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1985-03-07 第102回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年三月七日(木曜日)    午後一時十一分開議 出席委員   委員長 中村  茂君    理事 大石 千八君 理事 桜井  新君    理事 渡辺 秀央君 理事 細谷 昭雄君    理事 水田  稔君 理事 薮仲 義彦君    理事 横手 文雄君       榎本 和平君    鹿野 道彦君       菊池福治郎君    佐藤  隆君       笹山 登生君    塩島  大君       田中 直紀君    田原  隆君       近岡理一郎君    西山敬次郎君       野呂 昭彦君    堀之内久男君       若林 正俊君    辻  一彦君       富塚 三夫君    中村 重光君       松前  仰君    山中 末治君       遠藤 和良君    武田 一夫君       水谷  弘君    森本 晃司君       安倍 基雄君    菅原喜重郎君       中川利三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 河本嘉久蔵君  出席政府委員         国土庁計画・調         整局長     小谷善四郎君         国土庁地方振興         局長      田中  暁君         国土庁防災局長 杉岡  浩君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部公害課長  上野 治男君         化学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    大橋 哲郎君         国税庁直税部所         得税課長    岡本 吉司君         文部省学術国際         局学術課長   重藤 学二君         林野庁指導部造         林課長     依田 和夫君         林野庁指導部治         山課長     船渡 清人君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      林   暉君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 坂井 順行君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      山川 宜男君         気象庁地震火山         部地震予知情報         課長      津村建四朗君         建設省河川局河         川計画課長   寺田 斐夫君         建設省河川局治         水課長     萩原 兼脩君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      成田 久夫君         建設省道路局路         政課長     原  隆之君         自治大臣官房参         事管      木下 英敏君         自治省財政局指         事管      平林 忠正君         消防庁消防課長 清野 圭造君         特別委員会第三         調査室長    鎌田  昇君     ――――――――――――― 委員の異動 一月二十五日  辞任        補欠選任   吉原米治君     辻一彦君     ――――――――――――― 一月三十日  地震財特法期限延長に関する陳情書外二件  (第二七一  号)  南関東地域地震防災対策拡充強化に関する陳  情書外二件  (第二七  二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和六十年度における災害対策施策等につい  て説明聴取  災害対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 中村茂

    中村委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  昭和六十年度における災害対策施策について国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。河本国土庁長官
  3. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 災害対策に関する私の所信を申し上げます。  我が国は、その自然的条件から、地震台風豪雨豪雪火山噴火などによる災害を受けやすく、また、社会経済環境変化に伴い災害の態様も複雑、多様化してきております。  このような災害から国土保全し、国民の安全を守ることは、国政基本であり、政府といたしましては、防災基本計画に基づき、防災に関する科学技術研究推進災害予防強化国土保全推進、迅速、適切な災害応急対策及び災害復旧実施などに重点を置いて災害対策推進を図っているところであります。  昨年は、災害による被害が比較的少ない年ではありましたものの、年初の豪雪、六月の熊本県五木村の山崩れ、九月の長野西部地震桜島の活発な火山噴火などによる災害発生いたしました。  さらに、本年に入っても、昨年末からの降雪による被害、先般の新潟県青海町の土砂災害発生いたしております。  政府といたしましては、これらの災害に対処するため、関係省庁間の密接な連携のもとに、迅速かつ適切者災害応急対策に努めてきたところでありますが、これら災害に係る復旧事業につきましても、その促進を図ってまいります。  震災対策につきましては、発生が懸念されている東海地震に対処するため、大規模地震対策特別措置法の的確な運用に努めるとともに、引き続き地震対策緊急整備事業促進を図ってまいる所存であります。また、大都市震災対策につきましては、防災活動態勢充実都市防災性強化などに努めることとし、特に、南関東地域を対象とした震災応急対策活動システムに関する調査実施することといたしております。さらに、災害時の防災拠点として機能する防災基地整備をより一層進めることとしております。  近年多大の被害をもたらしている土砂災害につきましては、関係省庁との連携を図りつつ、治山砂防施設整備警戒避難体制整備など総合的な対策推進していくこととしております。  火山災害対策につきましては、全国の活動的な火山に係る防災体制整備促進してまいります。また、特に火山活動が活発化している桜島につきましては、避難対策降灰対策などを総合的に推進してまいる所存であります。  また、災害時における応急対策を迅速かつ円滑に実施するため、引き続き、防災無線網整備など防災情報収集伝達システム充実強化を図ってまいります。  さらに、災害に対する備えを一層強化するため、国民防災意識の高揚と防災知識の普及を図るとともに、関係機関の緊密な連携のもとに、地域実情に即した防災訓練実施してまいる所存であります。  昭和六十年度においては、これらの災害対策の総合的な推進を図るため、科学技術研究災害予防国土保全災害復旧などに要する経費総額一兆九千五百四十九億円を予算計上いたしております。  また、公社公庫などの政府関係機関におきましても、それぞれ所要の予算措置を講じているところであります。  以上、災害対策に関する所信を申し述べましたが、今後とも各省庁の協力のもとに防災対策に万全を期してまいる所存でありますので、よろしくお願いいたします。
  4. 中村茂

    中村委員長 引き続き、昭和六十年度における防災関係予算概要につきまして、政府から説明を聴取いたします。杉岡防災局長
  5. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お手元に配付いたしました「昭和六十年度における防災関係予算概要」につきまして御説明申し上げます。  この資料は、関係省庁からいただきました資料国土庁で取りまとめたものでございます。科学技術研究、それから災害予防、それから国土保全災害復旧、四項目に分かれております。  一ページ目の一番下をごらんいただきますと予算総額が出ております。下の合計欄の右側でございますが、これが一兆九千五百四十九億一千九百万というのが関係予算でございます。科学技術研究は二百五十七億円余、それから災害予防三千七百二十三億円余、それから国土保全一兆二千三十億円余、それから災害復旧等が三千五百三十六億円余、こうなっております。全体の予算は、昨年に比べまして三・七%の減でございます。特に災害復旧予算が一二・七%の減になっておりますが、これは五十九年は災害が少ないということで減になっております。ただ、五十九年に発生した災害につきましては、五十九年度における補正予算措置によりまして、五十九年度のおおむねの進捗率は八〇%、それから六十年度はおおむね九〇%と相なる予定になっております。  おめくりいただきますと、以下それぞれの項目について資料を掲げております。二ページから四ページまでが科学技術研究でございます。災害に関する諸般の研究調査をここに計上しておりますが、特に米印を付しましたのが地震予知に関する経費でございます。真ん中ぐらいにございますが、首都圏におきます地震活動研究あるいは関東、東海地域におきます地殻活動研究、こういうものを科学技術庁でやっております。  それから、おめくりいただきますと、一番上にございますが、文部省国立大学等中心にいたしました地震予知基礎研究をいたしております用地震予知に関する各省庁予知がございますが、これをさらにおめくりいただきますと、トータル地震予知に関して出ております。  四ページをお開きいただきたいと思いますが、四ページの一番最後米印数字が出ております。これは後から申します気象庁地震観測施設整備を含めました数字でございますが、地震予知関係はここにございますように五十七億三千万円の予算でございます。これは五十九年度に比べまして二%の増となっております。  次のページ、五ページ以降、五ページから九ページまでは災害予防に関する経費でございます。  主なものを申しますと、科学技術庁におきましては、原子力関係防災関係経費計上しております。  国土庁に関しましては、災害対策に関する総合調整推進経費、あるいは中央防災無線経費、あるいは南関東地域におきます地震応急対策経費等々の調査費計上いたしております。  それから、文部省におきましては、地震強化地域におきます公立学校改築等経費計上をいたしております。  それから、おめくりいただきますと、農林水産省経費が出てまいりますが、活動火山におきます防災施設整備、あるいは災害に対応いたしました食糧の備蓄、あるいは木材の備蓄等経費計上しております。  それから、通商産業省の関係でございますが、高圧ガスあるいは石炭鉱山保安管理、あるいは原子力施設等の主に産業災害中心とした災害予防対策費計上いたしております。  それから、運輸省関係では、港湾とかあるいは空港、それから鉄道防災対策経費計上しております。  それから、海上保安庁は、巡視艇等経費でございます。  それから、気象庁は、気象観測経費、あるいは地震観測経費、こういったものが計上されております。  それから、建設省は、もろもろの災害予防経費がございますけれども防災道路防災関係経費、あるいは都市防災に関する経費、あるいは雪に強い町づくり経費、あるいは避難路避難地等整備に要する経費、こういったものをそれぞれ計上いたしまして、トータル二千四百六十一億円余の災害予防に関する経費計上いたしております。  それから、消防庁は、消防防災無線整備、あるいは大震火災対策、あるいは消防施設整備、こういったものを計上いたしております。  以上が、災害予防に関する経費でございます。  それから、国土保全が、その次のページページ以降にございます。  これは、それぞれの省庁におきまして国土保全を行うわけでございますが、農林水産省におきましては、治山、あるいは海岸施設あるいは農地、こういったものの国土保全整備を行っております。  それから、運輸省におきましては、海岸あるいは国有鉄道関係防災設備、それから建設省関係では、河川、ダム、砂防、急傾斜、海岸整備等々の国土保全事業を行っていくことにいたしております。  さらに、今度は十二ページ以降でございますが、これが災害復旧等経費でございます。  公共土木施設災害復旧あるいは農地、それから農業用施設等災害復旧、あるいは公立学校等施設災害復旧費がここに計上されております。  それから、さらに災害関係の融資、あるいは厚生省の関係でございますけれども災害救助に要する経費、あるいは災害弔慰金経費、こういったものをそれぞれ関係省庁のところに計上をいたしておるわけでございます。  以上が、災害復旧等でございます。  最後になりますが、十三ページ公社あるいは公庫等防災関係予算を参考までに掲げておるわけでございます。  非常に簡単ではございますが、昭和六十年度におきます防災関係予算概要説明させていただきました。
  6. 中村茂

    中村委員長 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 中村茂

    中村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若林正俊君。
  8. 若林正俊

    若林委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま行われました災害対策に関する国土庁長官所信表明に関しまして、基本的な事項について御質問をさせていただきたいと思います。時間が四十分ですので、政府委員方々、答弁をごく簡略にお願いをいたしたいと思います。  ただいま長官所信表明の中でお述べになっておられますけれども我が国地理的条件気象的条件により台風豪雨豪雪洪水地震等災害発生しやすいわけであります。しかも、人口密度が高いために、これら災害国民生命財産を常に脅かしております。国民生命財産を、個々人の努力ではどうにもならない自然災害などから守るということは、政治の最も基本でなければならないわけであります。生命財産の安全が図られて初めて国民は安心して生活ができ、また事業にも励むことができるわけでありまして、その持てる活力を発揮し、そして民情が安定をするためにはどうしても災害対策充実させる必要があるわけであります。  このような災害対策は、国政基本にわたりますだけに、その施策はほとんどすべての省庁にわたっているわけであります。それだけに施策が総合的に、迅速に、的確に行われるのはなかなか難しい分野であると思います。このような各省庁にわたる施策を統括し、総合的に、一体的に諸対策が講ぜられるようにするというのが国土庁の務めであると思います。  国土庁は発足して十年、災害対策官房が担当しておりましたが、昨年水資源局をつぶしてまでも防災局新設をいたしまして、災害対策体制整備を行ったところであります。私は、かつて国土庁官房総務課に勤めておりまして、この防災局新設推進してきた立場からも、防災局が発足したということは大変に喜んでいる一人であります。昨年その防災局ができました直後に、御承知のとおり、長野県で木曽に大地震がありました。これが防災局の初仕事になったわけでありますけれども、大変迅速に、的確に実施され、大きな成果を上げることができたわけでありまして、地元はもちろん関係者から高く評価されておりまして、直接対策に取り組んだ防災局長初め関係省庁方々努力に深く敬意を表する次第であります。  しかし、このような緊急時の応急対策災害復旧対策に偉力を発揮しているのでありますけれども災害発生予防未然防止分野ではどうもその指導性総合調整力を発揮し切れていないのではないか、こういう危惧を持つものであります。これからの課題であると思います。現実には大変難しい分野でありますけれども災害発生を予防し、未然に防止することこそが災害対策基本でありますし、国民がひとしく望んでいることでありますので、大いにこの分野について努力をし、その効果を上げるようにしてもらいたいと願っているものであります。このことについて、まず国土庁長官決意、お考えを伺っておきたいと思います。
  9. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 先生指摘のとおり、国民生命財産災害から守るということは、政府に課せられた重要な任務であります。各省庁が一丸となりまして災害防止対策推進することが重要であると考えておりまして、このため、今後とも各省庁との総合調整に積極的に努力してまいる決意でございます。どうかひとつよろしく御指導のほどをお願いする次第でございます。
  10. 若林正俊

    若林委員 特に災害予防あるいは災害発生防止という観点分野について特段の御精進、御努力をお願いしたいと思います。  初めに、治水対策について伺いたいと思います。  昔から、水を治める者が天下を治めるとまで言われているのであります。治水対策国政基本でなければなりません。大洪水のときにはんらん可能性のある地域全国で三万八千方キロ、国土の一割を占め、ここに人口の約五割、六千万人が住んでおりまして、全国の資産の面では約七割が集中しているとまで言われております。  近年、治山治水事業の進展によりまして大河川はんらんは大分少なくなってきておりますけれども、私の地元長野県にあります千曲川水系のように、五十六年、五十七年、五十八年と連年堤防決壊等によって大水害発生しております。しかも、下流部堤防強化するといたしますと、すぐその上流部のあちこちで堤防決壊のおそれが出てくるという状況の大河川もまだかなりあるのであります。国は現在第六次治水事業五カ年計画を定めて、河川改修工事等実施しておりますが、その進みぐあいはどうなっておるのでしょうか。六十一年度にはこの計画期間が終わるわけでありますが、その計画期間内に目標達成するというのは大変難しい状況にあるのではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
  11. 寺田斐夫

    寺田説明員 第六次治水事業五カ年計画治水事業費に対します進捗率といたしましては、三年目に当たります昭和五十九年度におきまして四六・四%、四年目に当たります昭和六十年度当初予算を含めますと六二・四%となります。現下の財政事情のもとで計画期間内におきます達成の見通しは非常に厳しいものと考えられますが、治水事業重要性にかんがみまして、計画目標達成に向けて最善の努力をしてまいりたいと思います。
  12. 若林正俊

    若林委員 大変難しい状況にあるというお話でございます。  先ほど私が例に挙げました千曲川水系におきます国の直轄事業については、どんな状況になっておりますでしょうか。
  13. 萩原兼脩

    萩原説明員 お答えをいたします。  千曲川直轄河川改修事業の第六次の五カ年計画の中での進捗度合いはどうかという御質問かと思いますが、五十九年度の末で大体五〇%程度と思っております。先ほど治水事業全体で四六・四%と河川計画課長が申しましたが、ほぼ同じか少しよいということかと思います。したがいまして、五カ年計画のスタートの時点で心づもりをしておりましただけの事業量を、千曲川におきまして計画期間内でこなせるかどうか、大変あと努力をする必要があると思っておりますが、激特事業等もあわせてやっておりますので、その辺を加えますと何とかなるかと考えております。
  14. 若林正俊

    若林委員 国の財政事情によりまして公共事業全体が抑制をされているわけでありまして、大変残念なことではありますけれども、やむを得ない事情も理解できるのでございます。しかしながら、この限られた公共事業予算執行に当たりましては、各種の条件変化などに伴いまして危険度が高くなってきている河川、水域を、重点的に、優先的に整備をしていかなければならないと私は思うのですけれども、その点についてはどうですか。
  15. 萩原兼脩

    萩原説明員 先生から御指摘がございましたとおり、まさに限られた河川改修事業予算でございますので、例えば開発等によります流域のいろいろな条件変化、それに伴います治水安全度の低下、特にあるいは最近災害発生したという状況等を十分に勘案いたしまして、重点的に事業実施を図らなければならない、そのように考えます。
  16. 若林正俊

    若林委員 千曲川水系につきましては、文字どおり山々谷合いを縫うように千回も曲がり曲がって流れております川でありまして、昔からその流域水害に悩まされ続けてきたわけであります。住民は殊のほか河川堤防状況には敏感でありまして心配をいたしております。  先日、井上河川局長がわざわざ現地視察に来られまして、つぶさに現地を見ていただき、また話も聞いていただいたわけであります。建設省もその意味で十分な理解をいただいておると思いますけれども局長がごらんになりました浅川の下流部、あるいは須坂の相之島地籍八木沢川下流部、また松代地籍の蛭川などは、そのほんの一部にすぎないわけであります。信濃川水系千曲川や犀川の本体だけにつきましても、直轄県管理区間を合わせまして、堤防のないところ、改修が必要なところの区間延長は二百三・四キロに及んでおります。また、改修率全国平均約四二%と承知いたしておりますけれども、これらについては三七%に満たない状況にある、このように考えております。  局長さんが視察したところ以外でも、中野市の立ケ花地籍とか岩井地籍、また豊田村の上今井地籍長野市の安茂里、松代地籍など、数え上げますと六十カ所にも及ぶ護岸工事等を要する危険箇所一がございます。  災害復旧につきましては、先ほど治水課長からお話しございましたように、五十七年の樽川、五十八年の飯山の地籍にあります千曲川本流堤防決壊に対しまして、直ちに激特事業を適用していただくなど、迅速的確に対応していただいておりまして、地元住民も感謝しているわけでございますけれども、他方、予防防災措置につきましては大変におくれている。災害が起こる前に対策を講じてもらいたいという声が満ち満ちているわけでございます。現地の声を局長にも聞いてもらったわけでございますが、これら危険箇所整備についても前向きな措置をぜひともお願いしたいと思うのでございますが、重ねて御意見を伺っておきたいと思います。
  17. 萩原兼脩

    萩原説明員 お答えをいたします。  ただいま先生から御指摘がございました千曲川におきます六十数カ所に及びますいろいろ御要望箇所というものにつきましては、私ども直轄の場合は北陸地建を通じまして、あるいは長野県の担当部局を通じまして、十分実情を聞いておるわけでございます。また、治川の市町村から直接、早く改修をせよというお話も十分伺っておるわけでございまして、ごく一部ではございますが、先般河川局長が現場を拝見させていただきましたのも、重要性を十分認識しておったということの結果だと思っております。  いずれも御要望箇所は相当の延長をこなさなければいけない。いきなり六十数カ所に手をつけるということは大変難しいわけでございますが、私どももできるだけ十分にその重要度を検討させていただきまして、積極的な事業実施を図ってまいりたい、そのように考えております。
  18. 若林正俊

    若林委員 次に、治山対策についてお伺いいたしたいと思います。  治水対策と切っても切れない関係にあるのが治山事業でございます。現在ほど山が荒れている時代はないというふうに考えるのでございます。山は単に林業生産ということだけではなくて、緑、水などの国土資源保全という観点から、大変に大切な国土資源でございます。治山事業はそういう意味からも極めて重要な意味を持っているわけであります。  そこで、第六次の治山事業五カ年計画の進みぐあいはどうなっておるのでしょうか。六十一年度までの計画期間における目標達成は大変難しい状況になっていると思うのでございます。あわせて、この治山事業につきまして、限られた予算を有効に実施するという観点から、治水事業と同じように、その執行にあたって、先ほど論じられましたような重要河川にかかわる部分を優先して実施していくといったような姿勢でこの治山事業に取り組んでいただきたい、こう思うのでございますが、お伺いいたします。
  19. 船渡清人

    船渡説明員 お答えいたします。  第一点目の治山五カ年計画の進捗状況でございますが、第六次の治山事業五カ年計画につきましては、五十九年度までの三カ年間の進捗率が四三・八%となっておりまして、また第四年目でございます六十年度の実施予定を加えますと、五八・七%というようなことになる予定でございます。このような進捗状況から見ますと、計画達成は必ずしも容易ではないと考えられるわけでございますけれども治山事業国土保全を図り、また国民生活の安定と向上に資する極めて重要な事業であるということから、今後とも計画達成には最善を尽くしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。  それから、第二点目の重要流域を優先して実施すべきであるがという点についてでございますが、治山事業実施にあたりましては、これまでも国土保全上重要な流域を重点としつつ、緊急度を勘案しながら、計画的な事業実施に努めてきたところでございます。今後とも、山地災害危険地が多いなど、保全上重要な地域の後背地復旧を優先するなど、治山事業計画的かつ効率的な実施に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  20. 若林正俊

    若林委員 山は、山村は大変大きな役割をしているわけであります。そこに人が住んでいて初めて、その山の国土資源としての保全も図られるというようなことでございまして、大都市人口、産業等が集中して、非常に片ちんばの国土利用になっております昨今、これら山で頑張って、ふるさと、地域を守っている山村の人たち、これらの人たちの立場も十分考慮に入れていただきまして、治山事業の積極的な推進を図っていただきたい、このように御要望を重ねてさせていただきたいと思います。  次に、豪雪対策についてお伺いをいたします。  昨年は、五十六年豪雪を超えます大豪雪でありました。しかし、ことしもまた北陸、信越、東北などの豪雪地帯では大変な雪が降っております。その対策地域住民はもとより自治体も大変御苦労をいたしているのでございます。ところが、昨年と異なりまして、ことしは新聞などでも余り取り上げられておりません。いつもは余り雪の降らない地域にたまたま雪が降ったというようなときには大騒ぎになるのでありますけれども、毎年毎年雪に悩まされている地域が、例年よりもさらに一層多い雪に苦しんでいるというような状況でありますと、余り注目されない、こういうことであります。ここに雪害対策の難しさ、立ちおくれの原因の一つがあるように思うのでございます。豪雪地帯では、台風豪雨などに比べて雪は災害としてまま子扱いになっているんじゃないかという強い不満があるわけでございます。また、国の試験研究の取り組みにつきましても、台風地震などに比べると大変に立ちおくれている、このように思います。  防災局長、ぜひこういう立ちおくれております雪害対策に一層の力を注いでいただきたい、こう思うのでございますけれども、いかがでございますか。
  21. 杉岡浩

    杉岡政府委員 ただいま若林先生からお話があったとおりでございまして、雪害対策につきまして我々もそのほかの災害に劣らないというか、それ以上の対策をとっておるつもりでございます。今冬の雪につきましても新潟あるいは青森あるいは北信、この地区に対しまして係官を派遣して雪の状況をつぶさに視察させていただいたわけでございます。これからの雪の推移を現在見守っておるわけでございますけれども、その状況によりまして、いろいろと関係省庁と連絡をとりながら、その除雪費等につきましても十分検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  22. 若林正俊

    若林委員 雪に耐え、雪と闘ってみずからの生活を守りながら、また豪雪地帯をふるさととして地域の発展に頑張っている人たちに対して、私はもっともっと国民全体が理解を深めてもらいたい、このように思うのでございます。そのためにも政府は雪に対する対策を、単に災害があったときの災害対策というのではなくて、もっともっと常日ごろこの問題に取り組んでいただきたい、このように思うのでございます。特にこの雪を克服して、さらに、その雪を利活用して、その地域を住みよく、また、たくましい地域にするような、そういう施策を重視いたしまして、対策充実し、推進してもらいたいと心から願うものでありますが、国土庁、いかがでございましょうか。
  23. 田中暁

    田中(暁)政府委員 雪害対策あるいは豪雪地帯対策推進に当たりましては、先生指摘のように、かつての雪に耐える生活と申しますか、そういったものから雪を克服する生活へと発想の転換を図りまして、さらに将来は雪を利用する生活を目指して施策を進めるべきだと考えておるわけでございます。  国土庁といたしましても、こうした考えのもとに、行政と住民が一体となって雪を克服した明るい地域社会をつくるためのモデル事業といたしまして、昭和五十八年度から克雪生活整備事業というものを実施しております。日常生活圏域を単位といたしまして、克雪活動のシステム化を進めてきておるわけでございます。また、近年の豪雪の経験及び特別豪雪地帯におきます山間集落などの現状を見ますと、家屋周辺の雪処理でありますとか、あるいは集落内の生活道路の除排雪というのが大きな課題になっておりまして、このような現状を踏まえまして、昭和六十年度からはもっときめ細かな、集落を単位とした特別豪雪地帯集落防雪体制整備事業というものを発足させたいと考えておるわけでございます。  また、これらのほか、国土庁におきましては雪国問題についての研究でありますとか、あるいは豪雪に伴う特異現象の影響調査、あるいは雪を克服したモデル的な地域計画の策定調査等々、豪雪地帯におきます定住構想の推進に関します調査研究をいろいろと実施いたしておりますが、これらの成果も踏まえまして、今後とも豪雪地帯対策に万全を期してまいりたいと考えておる次第でございます。
  24. 若林正俊

    若林委員 二、三具体的な施策について豪雪対策としてお伺いをしたいと思います。  まず、市町村道の除排雪対策経費等についてお伺いいたします。  市町村の道路、建物等の除雪関係経費などにつきましては普通交付税で過去二十年間の積雪の状況を基礎にして、一般的には普通交付税の中で割り増し算入されているわけであります。この算入につきましては、実際の経費が十分反映するように、必要に応じ見直しをしておられるようでございますが、これらの実態に即した措置を今後とも関心を持って対処いただきたいと思うわけであります。  しかしながら、これで貯えない、これを超える経費につきましては、御承知のとおり、特別交付税で見ることになっております。ことしの豪雪についても、かなりの市町村が市町村道除雪費等について地域実情に即した十分なる措置を特別交付税で見てもらいたいという要望が出てまいっております。これらの要望にぜひとも応じていただきたいと思いますが、いつごろこれらの決定がなされる見通してありますか、お伺いします。
  25. 木下英敏

    ○木下説明員 除排雪経費を含みます特別交付税の交付の時期の決定ということでございますが、現在のところ十二日、来週の火曜日で決定するということで現在準備を進めておるところでございます。
  26. 若林正俊

    若林委員 そこで、十二日に決定されるこの特別交付税で十分に所要経費が貯えればいいわけでありますけれども、私は、この特別交付税のみによって対処するのは困難ではないか、このように考えるものであります。特別交付税には、御承知のとおり、総枠の制限がございます。ルールに従って算出されました額は前年よりも二百億円も少なくなっております。その前々年に比べれば五百億円も少ないという状況であります。そこで、どうしてもこの特別交付税だけでは地域要望に対処し切れないというふうに危惧するものであります。昨年もこのことが問題になり、市町村道除雪費につきましては特別の措置として補助金を交付しているわけでありますが、ことしの豪雪に対しましてもこのような特別措置としての補助をしてもらいたい、このように思うのですけれども防災局長、検討状況はいかがでございますか。
  27. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お答えいたします。  異常豪雪のあった五十一年度、五十五年度、五十八年度、これは特別交付税のほかに、ただいま先生のおっしゃいましたような市町村道に対します特別の助成制度を開いたわけでございます。  今冬の雪の状態でございますけれども、昨年暮れから北陸地方を中心といたしまして異常豪雪があったわけでございます。地域によりましては通年の降雪量をはるかに超える地区があったわけでございます。こういった観点から、政府といたしましては関係省庁調査をいたしまして、現在その調査結果を分析中でございます。その分析結果を踏まえまして所要の措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  28. 若林正俊

    若林委員 特別交付税の総枠が前年、前々年よりも大幅に限定されておるといったような交付税上の状況も十分勘案いたしまして所要の経費が確保されるようにと、こういう観点で取り組んでいただきたいと御要望申し上げておきたいと思います。  なお、この除雪につきましてですが、機械の購入等に対する補助に関します要望も大変強いわけであります。その補助の採択基準として除雪を要する道路の延長が十キロという基準があるわけでありますが、これが厳し過ぎるという声もあります。また、その対象となります機種についても、もっと小型のものも補助対象にしてもらいたいといったような要望も出ております。降雪量など地域実情に応じて弾力的に対応してもらいたいという要望を申し上げておきたいと思います。  次に、雪おろしの費用についての所得税上の雑損控除制度についてお伺いいたしたいと思います。  この制度は五十六年に創設されました。雪害対策として画期的な措置であると大変評価されているのでありますが、実は、この適用状況を私の地元で調べてみたわけであります。私は、余りに適用件数が少ないのに驚いております。例えば豪雪で有名な野沢温泉村では、世帯数は千二百三十世帯あるのですけれども、五十八年度は一世帯だけ、飯山市、大きな市です、七千六百世帯ほどあるわけですが、この適用申請者は数名にすぎなかったとのことであります。長野県全体を見ましても、五十六年分でわずか八十三件、五十八年分では十一件にすぎないのであります。これは法定要件、五万円に達していないとか家族労賃が認められていないといったような制度的要因もあるのでありますけれども、そのほかに除雪の人夫賃、お願いをしたときの報酬でありますが、これなどはその相手から領収書をとってこれを添付するように指導をしておられます。相手方に領収書を要求いたしますと、こういう大変な人手のないとき、しかも厳しい作業であります、そういう意味で適期に作業をしてもらえないといったような事情もあるようでございます。このように適用件数が異常に少ないということは、せっかくこのような立派ないい制度を設けましても運用上の問題で制度の趣旨が生かされていないということを意味しているわけであります。まことに残念と言わざるを得ないのであります。  このような領収書の問題については、例えば市町村長などしかるべき人の証明があれば足りるとかその他の方法、いろいろ工夫を凝らしまして何らかの改善措置が必要ではないか、このように思います。そういう意味で、国税庁は当然国土庁などとも御相談いただきまして運用面での工夫をして、この制度の趣旨が末端で本当に生かされるような措置を講じていただきたい、このように思うわけでありますが、国税庁、いかがでございますか。
  29. 岡本吉司

    ○岡本説明員 御案内のとおり、現在の所得税法によりますと、雪おろし費用につきまして雑損控除の適用を受けます手続が決まっているわけでございまして、その雪おろし費用につきまして、これを領収した者のその領収を証する書類を確定申告書につけるか、あるいは確定申告書を提出する際に提示していただかなくてはいけない、こういう規定が政令で定められております。このように特定の支出につきまして所得控除、いろいろな所得控除を認めるとか事業用の経費として認めるというようなことにつきましては、やはり取引の相手方がはっきりしている、明らかであるというようなことが必要だというのが税法の、おそらく雑損控除だけではなくて税全体の共通の考え方ではないかというふうに考えております。したがいまして、このようなことを考えますと、雪おろし費用につきまして今お話がございましたように、相手方が判明しなくても何か雑損控除の対象となるよう工夫をせいというような御示唆でございますけれども、なかなか難しいのではないかというふうに考えております。  ただ、領収書の交付というようなことにつきましては、なかなか正式な領収書が出せないというようなことも承知しておりますので、どうしても領収書が出せないという困難な事情がある場合には、領収書にかえまして支払いの年月日であるとか相手方であるとか支払いの金額等がわかるような明細書であるとかメモであるとか、こういったものをかわりに出していただければ、あるいはお見せいただければ無理な取り扱いはしない、こういうことにさせていただいておりますので、御理解賜りたいと思っております。
  30. 若林正俊

    若林委員 税務当局としてそういう機会にさらに相手方の所得を捕捉したい、また公務員として正確に捕捉する努力をすることはそれなりによく理解できるのでありますけれども、この雑損控除の申請は、申請者が確かに費用をかけてそれだけの支出をして、雪おろしに金をかけたという事実があれば、その人には控除してやっていいということであります。その機会に相手方の所得を捕捉するのにどういう手段をもって捕捉するかということは別の次元の話ではないかと私は思うのであります。  しかし、時間もありませんので、国土庁とも十分相談をいただき、その趣旨が生きますような運用面についての改善を御検討いただきたいと思うのでございます。しかしながら、運用では限界もありましょう。制度論として言えば、豪雪地帯の人たちの生活実態ということを考えれば、現在の足切りの五万円がそれでいいのかどうか、この引き下げなどの問題を含め、また豪雪地帯の人たちの雪おろし、除雪等の負担をできるだけ軽減していくというようなことから、自由民主党内部においても我々は同僚、先輩議員ともよく相談をいたしまして、これについて検討したいと思っておりますけれども政府にあっても十分取り組んでもらいたい、このように御要望を申し上げておきます。  このように国土庁長官豪雪対策というのはまだまだ幅の広いいろいろな問題を抱えておるわけでございますが、何と言っても一番影に申し上げましたように、雪に対する政府、国としての対応の位置づけの問題、これをもっと明確にしなければならないと私は思うのであります。ただいま政府部内で四全総の検討が進められております。定住構想を核にした三全総の見直しであります。こういう四全総の中で、豪雪地帯、山村地帯、これらの対策を明確に位置づけて、具体的にその振興策を明らかにすべきだ、このように考えておりますが、長官、いかがでございましょうか。
  31. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 先生指摘のとおり、豪雪地帯というのは一つの大きなハンディを負っておるという見方を持って、政府がこのハンディに対してどうするかということを真剣に考えていかなければならぬと私は考えておるわけであります。御趣旨いろいろございましたが、国土庁といたしましては、できるだけの努力を払いまして豪雪地帯の方々に対応していきたいと考えております。
  32. 若林正俊

    若林委員 ぜひともお願いしたいと思います。  もう時間になります。最後に、地震対策について御質問をし、また御要望を申し上げまして終わりたいと思います。  一つは、地震防災対策強化地域財政特例法の問題であります。今年度で期限が切れることになっております。しかし、同法によります事業の実質的な残事業は千四百四十億円近くあります。また、その後の状況変化等によります新しい事業の要請もありまして、それらも九百三十億余あると承知いたしております。  そこで、ただいま議員立法で同法を延長するということが検討されているのでありますが、これにつきましては長官、どのようにお考えでございましょうか。
  33. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お答えいたします。  先般、当災害対策特別委員会基本問題小委員会、七月でございますが、これにつきましては来年度以降延長するという方針が出されたことを我々は承知しておるわけでございます。この法案につきましては、当災害対策特別委員会の方で議員立法として延長されるというふうに聞いておりますが、国土庁といたしましては、この法律が延長された場合には、緊急整備事業推進について十分全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  34. 若林正俊

    若林委員 最後でございます。  御承知のように、この東京圏には人口、産業、情報等が余りにも集中し過ぎている、こう思います。これには長い歴史的な事情もありましょう。いろいろな原因があるわけでありますが、国家の安全管理という面から見ましても、これは大変な問題を含んでおります。以前、五十三年でありますが、東京都が、いつ起こってもおかしくないと言われております関東大震災規模の地震発生をすることを想定をいたしまして、被害状況の推定調査をし、発表したこともあります。国土庁においても、南関東地域を対象とした震災応急対策活動システム調査といったようなものも継続して実施しているところであります。いずれも、想定の前提となる条件の設定等なかなか難しい問題があるわけでございますけれども、かなりの混乱、被害が生ずるということは疑いがないところでございます。  そこで、国土庁に伺いたいのでございますが、現行の三全総を見直して、先ほど申しましたように新たな第四次の全国総合開発計画策定の作業が進められております。その際に、現在のような東京圏など大都市に過度に集中をいたしております人口、産業、情報、文化等々を地方都市などに思い切って分散していくのだ、そういう考え方によりまして、地震災害によります被害によって膨大な人的、物的損失が起こることを防ぎ、また国の諸機能が低下、崩壊するといったような事態に備えていく、つまり、こうした防災上の視点から、政府全体として、この四全総の中で地方の振興ということをはっきりと位置づけなければならない、私はそのように考えておるわけであります。  もちろん、地方振興につきましてはその他のもっともっと本質的な、そこに人が定着して住んでおるということの評価ということが当然あるわけでございますけれども、同時に、今申し上げましたような防災上の視点から、国家の安全という立場からも、その点を政府省庁共通の認識として持てますように四全総ではっきりさせていただきたい、こう思うわけでございますが、長官最後に見解、いかがでございますか。
  35. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、人口、産業を地方に分散するということにつきましては、極めてごもっともな意見でございます。国土庁におきましても、昨年の十一月に発表いたしました四全総を策定するに当たっての長期展望でございますが、ここに地震による大規模な被害を防ぐために人口あるいは各種機能の再配置ということについても今後十分検討を加える必要があるというふうに言っているわけでございます。今後、四全総の策定に当たりまして、こういった点を踏まえまして検討を進めてまいる所存でございます。
  36. 若林正俊

    若林委員 ぜひともそのような考え方を明確に四全総の中で打ち出して政府施策の共通の認識としていただきたい、このように御要望を申し上げる次第でございます。  長官、いかがですか。
  37. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 徹頭徹尾、国民生命財産を守るという観点に立って、あらゆる施策を考慮に入れながら、その対策充実すべきであるという考えでございます。
  38. 若林正俊

    若林委員 終わります。
  39. 中村茂

    中村委員長 次に、辻一彦君。
  40. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、社会党並びに護憲共同を代表して、雪の問題について二十分間御質問いたします。  まず第一に、長官にお尋ねしたいのですが、雪というものに対してどういうお考えを持っていらっしゃるかということでありますが、豪雪、雪がかなり降ったときにその災害が随分出ますが、感じが非常に違う。火事があればすぐ被害が出るし、台風は直ちにわかるし、地震もあっという間に来る。雪の被害というのは、場合によれば一晩に一メートルも降る場合もありますが、一度ではなしに徐々に雪が積もって非常に大きな被害になる場合がある。したがって、豪雪とか雪害は、災害という観念から言うとやや薄い感じを持たれる場合が多いのですが、私は、雪害は災害である、こういう確認の上に国土庁は雪の対策にしっかり取り組んでほしいと思いますが、そういう意味で、雪害は災害であるかどうか、それについての基本的な認識を長官からまずお伺いをいたしたい。
  41. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 雪国が苦しい生活条件下にあることは十分認識しておるところでございます。雪自体が災害であるというお説でございますが、先ほど若林先生に申し上げましたように、一つの大きなハンディを担っておるということだけは間違いないのでございまして、それに伴いましていろいろな道路、交通、商業活動、経済活動すべてが制約を受けるということ自体は、全く災害であるという解釈を私は持っております。
  42. 辻一彦

    ○辻(一)委員 雪の場合はすぐにということは、雪崩でも来れば別でありますが、降っておる雪の場合にはその点が急激には来ないという点がありますから、雪害は災害であるという基本認識を長官持っておっていただけるなら大変ありがたいことですが、これはよく覚えておいていただいて、大事なときにぜひ取り組んでいただきたいと思います。  そこで、一、二だけ、基本的な点をお尋ねします。さっきも御質問でありましたが、いま策定中の四全総の中に克雪といいますか、雪にかつ対策というものをぜひはっきりと盛り込んでほしいと思うのでありますが、それらの策定作業がどういうように進行しておるか、どういう構想であるか、この点をお尋ねしたいと思います。
  43. 小谷善四郎

    ○小谷政府委員 豪雪地帯におきまして雪害の防除、克服の施策を講じて、産業の振興でありますとか住民生活の向上を図っていくということは、国土政策にとっても重要な課題であると私ども考えておりまして、四全総の策定に当たりましても、先生も御承知のように、豪雪地帯というのは国土面積の半分以上を占めておるわけでございますから、そういうことにもかんがみまして、豪雪地帯の置かれております制約条件でございますとか特殊事情を踏まえて、さらにはまた克雪、利雪に関する科学技術の進歩等にも対応しながら、防雪施設でございますとか消雪施設あるいは融雪施設等の整備、あるいは除雪体制強化等々、雪害の克服と地域振興のための施策について総合的に十分に検討を進めていく必要があるのではないか、そのような観点から現在検討を進めているところでございます。
  44. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは今策定進行中でしょうから、しっかり取り組んでほしいと思います。  そこで、時間の点もありますから、少し具体的な問題について二、三お尋ねをしたいと思います。  まず、雪崩の防止対策についてでありますが、雪崩も道路に来る雪崩、集落に来る雪崩、あるいはスキー場に来る雪崩といろいろありますが、今我が国ではスキー人口が非常にふえてきております。八百万とも言われますし、一千万とも言われている。たくさんの人が今新しく開発されたスキー場目指して集まっておりますが、雪崩を知らない、雪のこわさを知らない人がたくさん見えておると私は思うのです。したがって、これだけ国民の中にスキー人口が拡大をしていくと思わぬ心配といいますか、雪崩によって、スキーに喜んで参加した人が大変なことになる心配も非常に多いと思うのです。それに対しての対策を急ぐ必要があるのではないかと思います。  例えば一月五日に、長野県の信濃平では、スキー場に雪崩が起きて、十一人の子供が巻き込まれて一人の女の方が死亡するという事故が起きております。何回かほかにも起きております。これはスキー場に起きた雪崩なんです。  ところが、これは私のところになって恐縮ですが、二月二十四日の朝七時半でありましたが、福井県の大野市というのは特豪地帯で、福井県としては非常に雪の多いところですが、そこの仏原という、国道百五十八号線に地方として最近にない雪崩があって、三万トン、三万立方の雪が千メートルくらいのところから落ちて国道を埋めて、下がダムだというのでダムにまで雪がずっと積もって道はもちろん遮断、その後に百台の車がストップになってずっとおったのですが、それには貸し切りのスキーバス等も含めておったので、時間によってもしそういう貸し切りバス等が通っておるときにそういう雪崩が起きれば過日の三重交通のように大惨害を起こすことは当然であって、こういうことを考えると、私も先日、月曜日に現地に行ってみて、除雪をしておりましたが、道はあけておりましたが、もし貸し切りバスやスキー場に行くお客さんが走っておるときにこんな雪崩が起きたら大変なことになるな、こう思って、実は背筋が寒くなりました。  そこで、日本はスキー場が随分危ない場所にも、これは国道は別としまして、谷間なんかにも新しいところを開発してやっておる。こういう点から、スキー場に対する雪崩対策あるいはスキー場に通っための道路における雪崩対策、こういうことが今までより以上に大事さを持ってきておるのではなかろうか、こういうふうに思います。  ところが、まず第一に、スキー場で雪崩対策等をどういうふうにチェックしておるかというのを見ますと、規制するというか、安全管理をやる責任主体がどうもはっきりしない。スキーに行くリフト等は、運輸省が安全を見ておりますが、そのほかはこれという安全管理の体制がないのです。一般の参加者はゲレンデに入れば安全である、こういうふうに思っておるし、リフト券を買えばバスや汽車の切符を買ったと同じように心配ない、こう思っているのですが、実際は大変危ない場所もある。  そこで、こういうスキー場の安全、災害防止、雪崩防止、安全対策というような面から、どこの官庁もないとすれば、国土庁中心になって調整しながら取り組むべきではないか、こういうように思いますが、この点についての見解はいかがでしょう。
  45. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お答えいたします。  雪崩に関しましては、現在、一般的な問題といたしまして、まず関係省庁におきまして雪崩予知研究、これは非常に難しいわけですけれども、こういったこと、それから諸般の雪崩対策、例えば道路等における、あるいは山林等における雪崩対策、あるいはそれに対する予警報、こういったもろもろの対策を講じておりますし、関係省庁あるいは公共団体、こういったものと密接な連絡をとりながらやっておるわけでございます。  ただいま御指摘のスキー場でございますが、先般も信濃平でそういった事故があったわけでございますが、現在、雪崩発生のおそれがある場合には、スキー場の管理者に対しましてスキー場の閉鎖とかあるいはリフトの停止とか、こういったような措置を講ずる必要があるわけであります。そういった観点から、現在、例えば新潟県におきましては管理者の協議会、あるいは長野県等におきましても管理者の協議会、こういった協議会等を通じまして適切な雪崩対策を講じておるわけでございます。我々といたしましても、そういったところと十分連絡をとりながらこういった雪崩対策について注意を喚起してまいりたいと考えておる次第でございます。
  46. 辻一彦

    ○辻(一)委員 余り時間がないので詳しくは申し上げられないのですが、確かに国道とかにかかれば建設省、それから集落の雪崩なら建設省でありますが、スキー場あたりの場合は雪崩の対策というのは所管庁がちょっとはっきりしない。そういう点で、雪崩を初めとして、これだけたくさんの人がスキー場に集まるようになったら、ここの安全管理というものを、規制をどういうふうにしていくかという点について調整官庁としての国土庁の機能を発揮して考えてみるべきではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  47. 杉岡浩

    杉岡政府委員 雪崩全般に関しまして、我々といたしましては災害対策の面から関係省庁と連絡会議を開いてやっております。先般も雪崩全般に関しまして本当の雪害対策の一環といたしまして中央防災会議会長の通達を流したわけでございます。  ただいまのスキー場の件につきまして、リフトの管理の面あるいは開発許可の面、いろいろな角度から関係省庁が絡んでくるわけでございますけれども、それをトータルする省庁がないというのは先生がおっしゃるとおりでございます。そういった面から我々としても関係省庁と相相談して今後勉強してまいりたいと考えております。
  48. 辻一彦

    ○辻(一)委員 次に、特豪地域の見直しについて一点お尋ねします。  特豪地域は五十年前後だったか、見直しが行われて、かなり幅が広がったのでありますが、こういう矛盾があります。行政は大体市町村の山の峠を境にして分かれている場合があるのでありますが、片方は特豪地域、雪が随分降る。ところが、片方は峠を挟んで同じように雪が降るのであるが、特裏地域から行政的に外れているために特豪地域としての対策が得られない。そういう点で、雪の降る量は右と左に峠を下がってみれば全く同じように降るにかかわらず、この特豪の対策から外されている地域がある。  そこで、大きな意味の市町村となると難しいのでありますが、生活圏で考えた場合に、いわば合併前の旧村単位くらいを考えれば一つの生活圏となりますが、そういうぐらいに特豪地域に該当するような条件があるところはちょっと小さく見直しをして生活圏に適用すべきでないか。私は参議院当時にもこの問題はかなり提起をして、特豪の委員会等でも論議をされておったと思いますが、そこらの進行と見解はいかがですか。
  49. 田中暁

    田中(暁)政府委員 特別豪雪地帯の指定基準につきましていろいろと御意見があるということは、我々十分承知いたしておるところでございます。それと申しますのも、恐らく現在の制度上、特別豪雪地帯に指定されますと補助率のかさ上げ等々具体的なかなり大きなメリットが出てまいりますが、単なる豪雪地帯でございますとそういった措置がほとんど適用がない、つまり、そこに対策上の段差が大きいということが一つの原因になっているんだろうと考えておるわけでございます。それで、しばしば緩和という御意見が出されます。と申しますのも、現行の基準に当てはまるところは全部指定済みでございまして、現行の基準を侵さない限り追加指定ということはないというふうに我々考えておるからでございます。  ところが、その基準の緩和という点になりますと、これは大変難しい問題があるわけでございまして、まず一つは、特別豪雪地帯制度ができまして以来この要件は二つありまして、一つは、もちろん積雪の度合いでございますし、もう一つは、自動車交通の途絶といった住民生活の支障の度合いでございますが、雪の降りぐあいは長期的に見れば同じといたしましても住民生活の支障の度合いという方は制度発足以来随分変わってきておるわけでございまして、今も非常に大きな基準の要素の一つになっております例えば自動車交通不能日数三十日以上というような集落の数は、この十年間では一、二割くらいに恐らく減っているというような状況でございます。  現在のような財政事情のもとにこの基準を見直すといたしますと、今のような特別豪雪制度、今のような財政上のメリット付与というのが果たして社会的に見て妥当なのかという基本的な議論を巻き起こすというおそれもございますし、また特別豪雪地帯とそれ以外の豪雪地帯との段差をもっと緩めたらどうだというような意見もあるいは出てくるのではないかというように考えておるわけでございます。また、先生の御提案のように、現在の市町村単位の指定をより狭い生活圏で指定するというような点につきましては、これは現在でも一つの問題でございますが、データの科学性というものをいかにして担保するかという点で非常に困難な技術上の問題があろうというように考えておるわけでございます。  そういったこと等々からいたしまして、我々はこの特別豪雪地帯の基準というものは今後長期的な課題として勉強させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  50. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今局長最後にお触れになったところですね。測定とかデータは非常に難しさはありますが、峠を挟んでこちら側へおりると特豪地域、こちらへおりると普通の豪雪地域ですね。しかし、雪は同じように峠を挟んで両側で降っておるんですね。片方は特豪地域としてのメリットというか対策がいろいろなことが出る、こっちは行政的に区画が違うから受けられない、そういう点を見ると、目で見れば大体似た雪が降っているということははっきりしているわけなんだから、この生活圏のある旧村単位くらいならば少し見直す可能性はないかどうか。もう余り時間がありませんから検討しておいてください。勉強してもらえば結構ですから。
  51. 田中暁

    田中(暁)政府委員 市町村の行政区域とそういう自然的な境界とが一致しないという問題でございますので、なかなか難しい問題だとは思いますが、長期的な検討の一環として勉強させていただきたいと思います。
  52. 辻一彦

    ○辻(一)委員 もう一つ農林災害で、雪が降ると山の木並みが倒れて新しい仕事が雪国ではふえますが、例えば福井県の美山町というところへ行くと大体一億三千万の被害、昨年よりちょっと少ないという、やはり相当な被害が、有名な森林地帯でありますが、造林地帯に出ておりますが、全般的にいうと激甚災害に該当するような被害はどうも余りそれくらいの広範囲にはないように思うのですが、これは雪が消えなければ全貌が明らかにならないという点で、ひとつ林野庁の方で十分この調査をして森林被害に対しては万遺憾なきをぜひ期していただきたいと思います。  それから、もう一つは過疎債の問題でありますが、福井県に今庄という特豪地域があります。行っていろいろな様子を聞いてみると、雪のない村づくりをやりたい、住むにはいいんだけれども雪が多くて道がふさがると若い人は通勤に不便で定着をしない、だから道をあけてちゃんとすれば割と雪の深いところでも住みやすいわけですから、環境をよくしたいということで農林省の指定の農村のモデル事業なんかになっている。ところが、雪に勝つために融雪溝をつくる、そして、そういう設備にもし過疎債を少し出してもらえたら大変助かる。だんだん枠を抑えられて町単位の仕事が非常にできにくくなってきておる。そこで、特別豪雪地域だけでも過疎債の枠を少し緩めることができないのか、こういう切実な希望がありましたので、この二点について御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  53. 依田和夫

    ○依田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の今冬の森林災害でございますが、北陸等の一部におきまして現在倒伏等の被害が起こっておるという関係県からの報告が参っておることは、私どもも承知いたしております。私どもも現在関係県の協力を得ながら鋭意調査を進めておりますが、御指摘のように、現地が大半まだ雪の中に埋もれておるという状況に、ごさい良すので、もうしばらく時間をかけて調査を進めてまいりまして、被害の態様に応じまして、いろいろの制度を活用いたしまして、復旧対策に万全を期したい、かように考えておる次第でございます。
  54. 平林忠正

    ○平林説明員 過疎債のお尋ねでございますが、過疎債は昭和六十年度の地方債計画におきまして千六百七十億円を計上しているところでございます。ただいまお話しのとおり、枠配分という形で各県に配分をしているわけでございますけれども、まず、その事業の緊急性、もちろん適債事業であるかどうかといった点を考えて配分をするわけでございますが、各県からの御要望、あるいは現在、特に市町村におきましては地方債の借り入れがふえておりまして、地方債がある意味では過剰ぎみになっていること等から考えまして、今後はむしろ枠の拡大という点よりも、いかに必要な事業に適切に配分をされるか、配分の問題として十分考えていく必要があろうと考えております。  お話のありました事業は適債事業でございまして、現にお尋ねの町村の事業についても一部ごとし配分をしている経過もございますから、今後とも地域実情をよく承りながら対処していきたいというふうに存じます。
  55. 辻一彦

    ○辻(一)委員 終わります。
  56. 中村茂

    中村委員長 次に、松前仰君。
  57. 松前仰

    ○松前委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して質問するものですから、地元静岡のことばかりやっておるわけにはいかないとは思うのでありますけれども、一つだけ国土庁長官にお伺いをしたいと思います。  静岡の地震対策は、皆様方の御努力で大変にいろいろな面で努力がなされておりまして、県とか市町村の努力も大変なものがございます。万遺漏なきように今進めてきておるわけでございます。それで、特に細かい点は御質問申し上げませんが、前に議員立法で財特法がしかれまして、今度期限が切れて、再び議員立法で財特法をどうしようかということがこれからあるわけでございますが、私は、それについてぜひ延長してもらいたいという強い願望を持っております。もし、これが延長された場合において、事業執行をどういうふうにやっていかれるか。例えば三年間ぐらいですべてやれるものはやってしまうというようなことをやれるかどうかということについて、国土庁長官からお聞きしたいと思います。
  58. 杉岡浩

    杉岡政府委員 地震財特法延長されましたときに、政府といたしましてはこの延長期間内で全力を尽くすわけでございますが、五年あるいは三年、それぞれこれは延長期間にもよりますが、事業の中身によりましては当然期間内にも完成すべきものがあるわけでございます。そういったものにつきましては当然従来のペースを増しまして事業の完成をするという覚悟でおるわけでございます。
  59. 松前仰

    ○松前委員 もうちょっとはっきり言っていただきたかったのですが、地震が来てからでは何をやっても遅いのでありまして、できるものは前倒しにしてどんどんやっていくというお考えを持っていただかなければ困ると思うわけでございます。  国土庁長官に、ちょっとその辺についてお答えをいただきたいと思うわけでございます。
  60. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 先生指摘地震財特法でございますが、これは万全を期してやっていかなければいかぬという考えでございます。
  61. 松前仰

    ○松前委員 いろいろ申し上げても、それ以上のことはなかなかお答えにくいと思いますが、心の中は、早くできるものはどんどんやっていくと考えておられる、そういうふうに受けとめて、次の質問に移らせていただきたいと思います。  静岡あたりで地震関係について整備を一生懸命やっておるわけでございますけれども、これも、地震予知というものが基礎になって効果を非常に大きく発揮するということでございます。そこで、地震予知についてしばらく御質問申し上げたいと思います。  今静岡の関係、それから日本の関係全体につきましても、地震予知というものについては十分であるとお考えになっておりますでしょうか、気象庁
  62. 津村建四朗

    ○津村説明員 現在、東海地域地震予知体制というものは、大規模地震対策特別措置法に基づいて防災に直結した形で整備されておりまして、我が国としては最も充実しているものと考えております。しかし、地震予知というものは技術的に完成されたものではございませんから、学問、技術の進歩に応じて予知確度の一層の向上を目指して努力を続ける必要があるものと考えております。
  63. 松前仰

    ○松前委員 静団地区の地震予知の観測網というものについてはかなり整備をされているというお話でございました。これは大変いいことだと思うのですが、これで静団地方の東海地震予知になるかというと、これはちょっと違うのでございまして、というのは、そこだけの予知というか、いろいろな計測が行われているということになると、それ以外のところで発生したデータというものは全然集積されてこない。そうすると、予測のための、予知のための技術的確度といいますか、そういうものが余り大きくなってこないわけであります。ですから、私は思うに、東海地方の方は、これでいいというわけにはいきませんが、もっともっとやらなければいかぬですけれども整備されてきていることと同時に、東海地方の地震予知の精度を高めるためにはほかの地域においてもデータを取得していかなければならぬと思うわけでございますが、その辺についてはどのようにお考えになっておられるでしょうか。
  64. 大橋哲郎

    ○大橋説明員 現段階の技術では、先ほど気象庁の方からもお答えいたしましたように、東海地震のようなマグニチュード八クラスの大規模な海溝型地震につきましては、御承知のとおり、観測の集中強化などを図ることによりまして予知をすることも可能であると考えられる段階に来ておるわけでございます。しかしながら、直下型地震につきましては、短期的地震の前兆となる地震発生の機構が解明されておりませんので、予知できる段階には達して。いないわけでございます。このため、内閣に設置されております地震予知推進本部を中心といたしまして、関係機関の密接な連携協力のもとに地震予知のための技術の向上を図るための観測、それから研究を積極的に推進しておるわけでございます。  具体的には、過去に大地震発生した地域あるいは活構造地域等を検討いたしまして、観測を強化すべき地域というものを全国の中から指定をいたしまして、これを核として研究、観測網を展開し、観測、研究を進めるとともに、直下型地震発生機構の解明のための研究及び前兆現象の解析などにつきまして鋭意推進しておるところでございます。今後とも観測、研究充実強化を図り、予知技術の向上に努力してまいる所存でございます。
  65. 松前仰

    ○松前委員 大体普通の御答弁だと思うのでございますけれども地震予知という問題につきましては、今お話があったような程度でもって本当に予知が十分になるかということを御質問すれば、恐らくそれは答えることができないのじゃないか、そういうふうに思うわけなんです。というのは、これは実験をしてみるわけにいかぬですから。地震というのは、起こる前に何か前兆があって、それは地震が起こってから答えを出して、そのデータでこれは地震の前兆だというようなことがはっきりわかるということですから、起こってから後にやっとわかるという代物である。  東海地震についてはまだ起こってはいない。昔のデータがある。データといったって、これは人伝えという程度なものでございますから、これも科学的な根拠がないということになりますので、そうなりますと、やはり東海地震というところだけでもって予知というものを一生懸命やっておってもいかぬだろうと思うのです。この東海地震の場合には、たった一つの頼りがあるだけであります。東南海地震ですか、そのときに掛川地方で何か東大の方で測定をしておったら、針が振れて全然とまらなかった。そうしたら、すぐに地震が来たというただその一つの事例だけでもって何とか予知ができるんじゃないかということを言っておるわけですけれども、これとて確実なものではないわけであります。  だから、私が言いたいのは、もっとほかのところにたくさん地震が起こっておる。例えばチリ地震が起こりました。チリ地震はちょっと遠すぎますが、日本海中部地震、それから王滝村の地震東海地震が起こる起こると言いたしながら、そっちの方が先に起こってきたということになると、そっちの方のデータの集積というものがあったらこれは非常によかったなと今思うわけであります。そういうことで、日本のほかのところ、例えば日本の中でありましたらもっとほかの場所にもっともっと観測網の強化というか、そういうものをやっていくことそれ自体が東海地震の予測につながるのではないだろうか、そういうふうに思うわけでございますが、こういうことについてちょっとお答えをいただきたい。先ほどの決まったような御答弁じゃなくて、本当に頭で考えた御答弁をいただきたいと思うのでございます。
  66. 大橋哲郎

    ○大橋説明員 我が国地震の観測網につきましては、先ほど申し上げましたように、全国的に観測を強化すべき地域というものが現在全部で十カ所ございますけれども、これが地震予知連絡会によって指定されておりまして、こういう地域中心関係各省の協力を得ながら進めておるわけでございます。今後ともこういった方針に基づきまして鋭意観測、研究、そしてまたデータの収集をしてまいりたいと考えております。
  67. 松前仰

    ○松前委員 その答弁に私はそれほど満足いたしておりませんけれども、幾ら言ってもなかなかいい答弁になってこないと思います。  もう一つ申し上げますと、ほかの地域に観測網をもっと強化するということは、そのほかの地域の方は、東海地震のようなこういう非常に優遇された対策というものが講じられてないわけです。そうなると、そこのところをやれといったってお金がありませんから、今物すごい大きな規模の東海地震を集中してまずやっているわけでございまして、そういうほかのところの問題については余り対策を行われてない。そうなると、どうしたらいいか。これはやっぱり予知でもってカバーをしていってやるというのがまずは非常に重要なんじゃないだろうか。そのために地方に観測網を設けてやる、そして、そこから得たデータでもってまた東海地震の方の予知にもつながるというような非常に大きな効果があるわけでありまして、この今の国土庁の方からいただきました予算の中で、地震予知というものに関する予算がたくさん書かれております。が、これで十分かどうかというのは中身を細かく見ないとわからないのでありますけれども、この予知という問題についてはもっともっと力を入れてやっていっていただきたい。国土庁の方からちょっとその辺についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  68. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お答えいたします。  現在地震予知に関しましては、科学技術庁の方で地震予知推進本部というのを内閣の窓口として設けまして、関係省庁、これはいろんな研究機関が絡むわけでございますが、これを総括いたしまして、その推進を図っておるわけでございます。  先ほど予算のところで説明いたしましたが、昭和六十年度におきましては五十七億余ということで、五十九年度に比べまして二%の増ということでございます。財政環境、非常に厳しい段階でございまして、こういった災害関係予算はなかなか伸び切らないわけでございますけれども昭和六十年度におきましては地震予知に関する経費は増を見たわけでございます。今後各地におきましてさらに地震予知推進をしなければならないということでございますので、中央防災会議の一環として、特に国土庁あるいは科学技術庁気象庁建設省等々いろんな省庁が絡みますが、相携えまして地震予知推進について努力してまいりたいというように考えております。
  69. 松前仰

    ○松前委員 国土庁の方から、これからもうちょっと力を入れてというような形の御答弁がありましたので、私は非常に満足するわけでありますが、もっともっとこれについて力を入れて、頭を使ってやっていっていただきたいと思うわけでございます。  そこで、もう一つ。文部省の方、いらっしゃってますか。さらにもうちょっと幅を広げまして、日本だけでもって地震のそういう観測網をつくるというようなことは将来できそうな感じがするわけでありますけれども、実際に地震というのは地球規模なんですね。ついこの間もチリで地震がございました。チリで地震があって、あのデータはほとんどないという感じで、ハワイでもって何かいろんな情報がおかしくなっちゃって、津波が来るだの来ないだの、こんな非常に低レベルの話をしているわけでございますけれども、ああいうところはやはり地震の観測網というものを置いておくことは重要じゃないだろうか、逆に置いてやる。日本の技術のレベルが非常に高い、外国から評価されておると、去年の視察団の皆様方のお話を聞きますと、そういうふうにどこでも言っていた。そうなると、日本は技術が高いものだから、これを外国に技術指導なり観測網をつくってやるなりしてやる。そして、向こうの地震予知もやってやって、ついでにデータを日本にもらって、日本で地震予知のデータにして、解析をして予知に使っていくというような世界的規模の地震予知というのが必要なんではないだろうか、そういうふうに思うのです。  天気の方は、WMOですか、気象衛星その他でもって世界的に気象の観測をやっているけれども、同じ気象庁の中でも地震については世界的観測というのが余り行われてないように思うのでございます。そういう国際的なレベルでお互いに知識を持ち寄ってやっていくようなレベルに持っていった方がいいんじゃないだろうか、これは日本がそういうところに取り組むべきだろう、そういうふうに思うのでございますが、気象庁さん、もしくは文部省さん、どちらか、その辺についてどうお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
  70. 山川宜男

    ○山川説明員 ただいま先生指摘地震に関する国際協力でございますけれども、気象の方のようにWMOといいますか、世界気象機構のように条約に基づくところまではいっておりませんけれども、例えば地震の起こる国がお互いに拠出し合いまして、世界地震センターというものをイギリスのニューベリーというところに設けておりまして、調査的なデータは交換しております。  それから、津波の方に関しましても、先ほど少しお話が出てまいりましたけれども、これにつきましては政府間海洋学委員会のもとに太平洋津波警報組織というものを設けておりまして、そこでデータを交換することにいたしております。
  71. 重藤学二

    ○重藤説明員 ただいま先生が仰せのとおりでございまして、気象庁から御説明申し上げましたほかにいろいろなレベルで、あるいは個人の研究者レベル、それから研究機関レベル、いろいろなレベルで既においおいそういう協力、共同が進められております。  具体的に地震予知という関係で申しますと、ただいま、例えば日中でお互いに技術それから知識、場所、それぞれ相互の研究に有利な特徴を生かし合いながら今後共同研究を進めていこうではないかということで、具体的な相談が既に始まっておりまして、多分ことしの夏には中国でそういう相談があるんじゃないかと思っております。そのほかアメリカあるいはブルガリア、そういうところでだんだんそういう経験の交換と技術の相互の輸入で新しい研究の発展を期そうという動きが出ておりますし、そのことは文部省にあります測地学審議会の関係委員会でもそういう相談がだんだんなされておりますので、今後そういう方向で進んでいくものと期待しております。
  72. 松前仰

    ○松前委員 これからそういう方向でもって進んでいかれるということについて大変喜ばしく思うわけでありますが、こういうものをどんどん発展させていって、それがすなわち東海地震の予測に全部つながってくるというような、東海地震その他ほかの地域の日本の地震の予測につながるということになりますので、ぜひそういうつながりというところを勘案して、頭に置いて、国土庁もほかの国のことだから知らぬよということじゃなくて、そういうことも国土庁の中で頭の中に入れて考えていっていただきたい、そういうふうに思う次第でございます。  国土庁長官最後に、今のこういうような話についてどういうふうにお思いになりますか、お答えいただいて終わりたいと思います。
  73. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 先生の科学的な視野に立っての御意見でございますが、全く同感でございまして、今後万策を尽くして頑張っていく所存でございます。
  74. 松前仰

    ○松前委員 じゃ、終わります。
  75. 中村茂

    中村委員長 次に、水谷弘君。
  76. 水谷弘

    ○水谷委員 公明党の水谷弘でございます。  長官所信にも述べられておりますが、去る二月十五日夕刻、新潟県の西頸城郡青海町玉ノ木地区を襲った土砂崩れについて本日はお伺いをいたしたいと思います。  今回の災害は、局地的な災害とはいえ、その悲惨さは目を覆うような大変なものでございました。私は、一瞬にして一家六人のうち五人も犠牲者となられた大西栄治郎様御一家を初め、とうといお命を失われた十名の方々に心から御冥福をお祈り申し上げるものであります。  公明党の新潟県本部の調査団と一緒に私が現地に乗り込みましたのは、小雪が降る中で合同葬儀が行われておる日でございました。青海町一帯は本当に悲しみに打ちひしがれているような空気でございました。そこから現場へ参りまして、災害の現場に私も立ってしみじみとそのつめ跡を見たわけでありますけれども、こんなところでどうしてこんな災害が起きたのだろうか、起きてはならないところで大変な災害が起きたなといういたたまれないような気持ちになったのであります。そこで、お亡くなりになられた犠牲者の皆さんにおこたえするためにも、この災害の原因究明を徹底的に行わなければならない。そして、二度とこのような惨事を繰り返さないために全力で取り組まなければならぬということをしみじみと私は決意をしてきたわけであります。     〔委員長退席、水田委員長代理着席〕  長官、このような惨事は二度と繰り返してはなりません。そこで、今回の土砂災害に対しての長官の御所見と、国民生命財産災害から守る、その政府の最高責任者のお立場にあられる長官の今後の御決意をまず冒頭お伺いを申し上げたいと思います。
  77. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 先生指摘のように、私は現地を目の当たりに見なかったのですが、無残な写真によって被害状況を知ったわけであります。ちょうど私も上越市へ参りましたが、雪に埋もれた跡に近い場所であり、特に関心を深めておるところでございますが、大西御一家の本当に涙ぐましい悲惨な状況に対しまして心を打たれたようなわけであります。  このような災害が頻発するということは、日本列島に起こり得ることでございますが、国土庁といたしましても土砂災害対策推進連絡会議というものを設けまして鋭意検討をしておるところでございます。今後、学識経験者による調査検討委員会を設置して専門的な検討を行うなど、関係省庁との緊密な連絡で土砂災害対策に積極的に取り組んでまいりたいという考えでございます。また、公明党災害対策部会の薮仲先生から土砂災害に対する申し入れもお受けしております。  いずれにしましても、土砂災害は非常に悲惨な状況。事故が起こってから我々は悲惨だなということを感ずるようではいけませんので、ひとつ積極的に災害対策推進連絡会議中心といたしまして研究し、努力していく所存でございます。
  78. 水谷弘

    ○水谷委員 ただいまの長官の御決心でどうかひとつ――今長官もおっしゃったとおり、起きてしまってからどんな対応をしてもこれは償えない重大な問題であります。今後とも全力でお取り組みをお願い申し上げたいと思います。  今も長官お触れになりましたけれども、公明党災害対策部会といたしまして薮仲部会長とともに去る二月十九日、国土庁長官土砂災害に関する五項目にわたる申し入れを行ったわけです。ちょうど長官、公務のためにお留守でございまして、事務次官それから防災局長がおいでになりまして、私の方から現場の模様などをつぶさにお話を申し上げながら、そのときに防災局長に特に私が強調してお訴え申し上げたことがあります。     〔水田委員長代理退席、委員長着席〕 それは当玉ノ木地区の土砂崩壊の徹底的な原因究明をやってほしい、このことを特に強調してお願いをしてきたわけでありますが、防災局長、その結果をどう把握されておりますか、お伺いをしたいと思います。
  79. 杉岡浩

    杉岡政府委員 青海町の災害につきましては、国土庁といたしまして、あるいは関係省庁におきましては当日現地に係官を派遣いたしまして、まず災害状況を把握いたしたわけでございます。と同時に、いろいろな二次災害の防止等の対策を進めてきたわけでございます。また、翌十六日でございますが、関係省庁省庁の連絡会議を開きまして、二次災害の防止あるいは応急対策、あるいはそういった災害の原因究明等々につきまして申し合わせたわけでございます。そして先般、公明党の災害対策部会からの申し入れ、我々十分承知いたしております。これにつきまして、関係省庁の方にこれを配付をいたしまして、その御趣旨を十分踏まえて対策をとるように関係省庁に伝えたわけでございます。  現在、ここの地区におきましては、建設省中心にいたしましてボーリング等々、この地区の災害の実態を調査をいたし、なお、その調査の結果基本的な対策をどうするかというのは、現在検討をされておる段階でございます。
  80. 水谷弘

    ○水谷委員 ただいま防災局長から現在の原因究明等の調査についてのお話がございました。直接の所管庁であります建設省として、今回の災害の原因究明、現在どのようにお進めになっていらっしゃるか、お伺いをいたします。
  81. 成田久夫

    ○成田説明員 建設省といたしましては、現在建設省の方の指導で傾斜計あるいは伸縮計を設置いたしますとともに、先ほども防災局長の方からもお話がございましたが、調査のボーリングを実施いたしております。現在実施中でございますので、原因につきましてはその結果を待つわけでございますが、こういった災害の起こりますいろいろな原因、もとになります原因、それから、そういうものが実際に起こりますインパクトになる原因等がございますが、誘因と申しますかインパクトになる原因につきましては、二月上旬から融雪が起こっておりますし、さらに降雨等が災害の前に起こっておりますので、そういったものが原因じゃなかろうかというように思っておりますが、詳細はもう少しデータを見た上で詳しく分析をいたしたいというように思っております。
  82. 水谷弘

    ○水谷委員 もう一度お伺いしますが、原因究明はただいま調査中ということでありますが、いわゆる土砂崩れの発生の姿を具体的に掌握されておりますか。
  83. 成田久夫

    ○成田説明員 先ほども防災局長お話にもございましたが、建設省といたしましても、災害発生した直後、現地へ担当官を派遣いたしまして、現地の把握それから今後の対策等を行ったわけでございます。現地調査をした結果、崩壊斜面の上部に明瞭なすべり面があるということを見ておりますし、また移動いたしました土塊の形態等から急斜面における大規模な地すべり現象だというように私どもは認識をいたしております。
  84. 水谷弘

    ○水谷委員 地すべりを起こしたその付近が以前どういうような状況であったか、例えば以前にも山肌が崩れ落ちたとかいろいろな問題がそこにはなかったか、そういうことについては現在の段階で聞いておられますか。
  85. 成田久夫

    ○成田説明員 お答えいたします。  この玉ノ木地区で、現在崩壊した場所と全く同じではございませんが、以前に小崩落がございまして、そういったこと等を勘案してそれに対処した工事を実施してきております。
  86. 水谷弘

    ○水谷委員 全くそこと同じ場所ではありませんが、そのすぐ付近、ここでは四十年の九月に集中豪雨で地すべりが発生して、押し出された土砂が民家の手前まで行っている。また、四年後の四十四年八月にも山肌が崩れ落ちてふもとの水田が埋まる、こういうことがたび重なり、住民の皆さん方から大変に危険であるということの指摘が再三されてきた。そのために青海町は県に防止策を施すように要請をして、四十七年にやっと急傾斜地崩壊防止地域に指定をされたわけであります。現場の一帯は斜度が約四十度ほどの非常に傾斜のきつい所であります。そこには三十年生の杉が生えております。杉林のようになっております。現場はその場所だけが杉林なのであります。両わきの傾斜地はかなり強い岩盤のようなもので、非常にしっかり安定をしている。そこだけが杉林になっている。県の担当官にいろいろなことを尋ねましたが、意見が二つに分かれた。三十年生もの杉が生えている杉林だから非常に安定だという確信を持った。片方は、杉というのは相当湿気の多いかなり水分を含んだ、また土質においても、ここは砂と砂れきと粘土がちょうど三分の一ぐらいずつのそういうところに杉林がある。そういうことで、この場所はだれが見ても非常に心配だと感ずるようなところですよ、こういうふうなことをおっしゃる方もおります。  きょうは限られた時間でございますので深く突っ込んだ御質問はできませんけれども、私は、決定的にこの一つが欠落していたからこれだけ大変な災害が起きたということは申し上げることはできないし、また申し上げるつもりもありません。しかし、こういう災害を防ぐために最も有効な手だての一つとして私が申し上げたいのは、のり面を切ります、そして、そこに擁壁工をつくります、そのときに土質試験をして、構造が耐えられるかどうかのいろいろな試験をなさる場合がありますが、いろいろ聞いてみますと、この場所はほとんど試験はしておりません。まして、今申し上げたのりの上のこの杉が植わっている林の急傾斜のこののりがどういう地質で構成されているかなんということはとんと考えられない。  ですから、一番大切なのは、今回のこのような災害を見まして、やはり擁壁をつくる場所だけではなくて、少なくともその上方における地質について、県なり国なりが予算措置の中で明確に、だれが見てもちょっと危ないなと思うような場所は、熟練をされた技術者が現場にはおられるわけでありますから、どこもかしこも全部地質調査をすべきだなんということは申し上げないわけでありますが、今後このような災害を防ぐための一つの手だてとして、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律の施行令の第三条の中には、工事の技術的基準が明確になっておるわけであります。これのどこを見ても、いわゆるそういう観点からの地質調査は必要であるぞというような方向性は出てきてない。そういうものがなければ、現場の県だって新たに財政措置をして地質調査をするというようなことはいたしません。ですから、今ここでそれについて確たる答弁をいただこうとは思いませんけれども、急傾斜地の防災工事を行う場合には、地質調査というのは非常に重要な案件だということを建設省において篤と御検討いただき、そのような方向で実施をされるように、私は心から、今回のこの事故を振り返ってそのことをぜひ実現をしていただきたい、このように考えるわけであります。  もう一つは、この工事が施行されていく中での施行の仕方、いわゆる施行年次という問題が今度のこの事故の一つの要因になっているのではないか。上方からおりてきた土砂流が真っすぐおりてこずに、途中から角度を持っておりているわけであります。ちょうどそこは一番最近、五十八年に工事を行った方向に向かっておりてきている。四十九年から工事を始めて、そんなに膨大な延長じゃありません、わずかな区間、非常に危険な地域でありながら四十九年から五十八年までかかっている。こんなに長い期間にわたって同じようなところをだらだらだらだら工事をやっていけば、一番弱いところにいろいろな要因が集中していくのは決まっているわけであります。予算関係やらいろいろな問題があると思いますけれども、緊急に工事の手当てをしなければならない箇所、これは全国にも相当あると思う。そういうようなところについては特段の重点予算措置を行って、今回のように百五十メーターくらいのところを十年もかかって工事をやっている、その一番最後のところに土砂流が向かってきている、そういう可能性が非常に大きい、こういうことをよく御検討をいただきたい。  現在危険箇所の総点検等を行っておられるわけでありますが、それをより一層精度のあるものとして、今回のとうとい犠牲を無にすることなく、これは国土庁建設省関係諸官庁の皆様にだけ申し上げているのではなく、私も災害対策特別委員の一人として今後しっかりこれらの防災のためにも取り組んでまいりたい、こう同じ決意を分かち合っているような意味で申し上げているわけでございますので、今後特段の御努力をお願いを申し上げて質問を終わりたいと思います。
  87. 成田久夫

    ○成田説明員 ただいま先生がおっしゃいました地質調査重要性につきましては、私どもも十分承知いたしております。従来からもその点について気を配ってやっておるわけでございますが、今後ともより重点的にやってまいりたいと思います。  それから施行年次については、若干いろいろ問題もございますが、現在調査をいたしておりますので、その辺の問題を見ながら先生のおっしゃる趣旨を十分踏まえて今後対処してまいりたいと思っております。よろしくお願いします。
  88. 水谷弘

    ○水谷委員 どうもありがとうございました。
  89. 中村茂

    中村委員長 次に、武田一夫君。
  90. 武田一夫

    ○武田委員 まず、長官に御質問いたします。  長官所信表明の中でも、国土庁の受け持つ重要な仕事の内容を明記されていまして、私は、非常に大事な部門を担当している省庁として一層の御努力と頑張りを期待している一人でございますが、今同僚の水谷議員からも話がありましたように、国土保全、これはもちろん大事ですが、やはり大事なことは国民生命財産を守るという大きな課題を背負っているということでございます。そういう意味で、あらゆる災害からしかと国民生命財産を守るという重要な分野であるだけに、総合的な対応が望まれると私は思います。  そこで、いろいろと対策を講じている中で、天災として自然の脅威というものの中でどうしても不可抗力なものもあるであろうと思うけれども、いろいろな事件、災害等を見てみますと、天災よりももっと怖い人災の面の立ちおくれといいますか、対応が十分になされてないというよりも欠けているところがあるんじゃないかと思う。そういう行政の立ちおくれという問題、これは一つの人災のあらわれだと私は思うわけです。  そういう意味で、長官もこの所信の中にそういう一面をもっと重みを置いて対応してもらいたいなという意味で、私は長官の御決意、今後の対応をお聞きしたい。  要するに、いろいろの制度、対策があっても、それを担当する人間、そしてまた、それを担当する省庁の責任ある皆さん方の一つ一つの状況に対する的確な判断と対応というものが災害事故を未然に防ぐかぎだということで、そういう方向への一層の強い取り組みを期待したい、こういうことで長官から御所信と御見解をお聞きしたいと思います。
  91. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 武田先生指摘のとおりでございまして、国土保全いたしまして国民生命財産災害から守るということは重要な責務であると考えております。関係省庁連携ある連絡のもとに災害予防強化国土保全推進、また適切な災害応急対策、応急復旧ということなどにつきまして総合的に、統一的に推進してまいりたいという決意でございます。
  92. 武田一夫

    ○武田委員 長官のそういう決意を受けて、災害というのは各省庁がいろいろな角度で御協力をいただかなくてはならない分野でありますが、きょうはその中で建設省気象庁に具体的な問題を取り上げてお尋ねをしたい。  土砂崩れによるこういう悲惨な災害なんかを見てみると、全国で二十七万カ所くらいあるそういう危険な場所への整備あるいは防災の対応が非常に弱い、おくれているということでありますが、私は河川、雨が降ればいつどうなるかといって心配されている河川がその中でたくさんあると思うわけであります。要するに、普通よりちょっとでも雨が降ると水が出てしまう。去年は台風なし、おととしも余りなかった。ところが、忘れたころに来るというならことしあたり危ないんじゃないかと私は思っています。私は宮城県ですが、去年東北、宮城県というのは余りなかった。ないときというのは怖いという前兆でございまして、我が宮城県の地震のときなんかも、来ない来ないと言っていると大きなのが来てやられたという経験を踏まえますと、そういう危険な、特に海岸、具体的に挙げますと築堤の問題ですね。そういうものの改築が非常におくれているということで危険な地域がたくさんあると思うが、その実態はどうなっているのか、まず具体的な数字説明してもらいたいと思います。
  93. 萩原兼脩

    萩原説明員 お答えをいたします。  河川関係整備状況でございますが、まず大河川と中小河川の二つに大きく分けさせていただきます。  大河川につきましては、おっしゃいますような改修を必要とする河川の総延長が一万二千七百キロほどあるというふうに私ども考えて、ございます。その一万二千七百キロにつきまして、これは戦後最大流量というものを目標にしてございますが、戦後四十年のうちでその川で起こった一番大きな流量、こういうものに対する整備率ということでございますが、五十九年度末、つまり現在で六割くらいが整備済みと考えております。したがいまして、逆に大河川につきましては四割くらいはまだこの目標に対して未整備ということになろうかと思います。  さらに、中小河川でございますが、私ども河川延長にして全国で七万三千五百キロほど、そういうものがあると考えておるわけでございますが、これは時間雨量五十ミリという雨を当面の目標といたしまして、それに対しましてどのくらい整備が進んでおるかということで見てみますと、現在の時点で整備率は大体二〇%と考えられます。したがいまして、逆に申しますと中小河川のうちの約八割は五十ミリの雨が降ると何らかの障害が起こる、そういう実態でございます。
  94. 武田一夫

    ○武田委員 かなりこれから対応しなければならない地域があるという一つの証拠ですね。  そこで、私は、去年がおととし、具体的な例を取り上げて宮城県にある吉田川という流域の築堤工事の状況、その当時は黒川郡大和町というところの一部落の状況質問して、その状況はどうかということで、用地買収等々でいろいろとあるということでなかなか思うようにいかぬという御答弁をいただいているわけでありますが、その吉田川という一つの例を申し上げますと、これは、水防警報を行う指定河川実施区域というのがありますね、そういうものの中にこの吉田川の左岸、右岸は含まれています。いずれにしましても、その大和町というところから志田郡鹿島台町というのですが、品井沼という沼のあった有名なところがありますが、そこに至ってこれが鳴瀬川に合流する地点までの間の中にはそういう危ないところが二カ所も三カ所もある。特に鹿島台町の志田谷地という、二百世帯余りの農家があってその地帯は穀倉地帯でありますが、左の方の岸辺が低過ぎる、さらに川が途中で狭くなっているということで昭和五十五年と五十七年には大変な水が出たことでパニック状態に陥っている。特にお年寄りの方々が多いわけです。そういう方々が毎年のように不安を募らせている。幸い五十八、五十九、六十というふうに何のこともなかったのでありますが、それだけに不気味であるということでこの点の早い対応を迫っているわけであります。  私も現地をずっと見て回りますと、まことに不安きわまりない。右の方が高くて左が低いわけであります。大和町という町から鹿島台というところ、その中に百世帯あるいは二百世帯の農家がありまして周りが畑や田んぼである。いざとなったときには人命がすぐに失われるような危険性のある場所というのも今申していただいた中にたくさんあるんだと思うのです。そういうところはやはり重点的にしておかぬと、先ほど水谷議員からお話があったように、洪水になった、流された、死んだでは済まない、私はそういう心配をここ二、三年しております。ですから、転ばぬ先のつえです。建設省の現場に聞きますと、一生懸命やっているんだけれども予算のつきぐあいが非常に遅々として進まずということで、御苦労しているのも知っているのでありますが、人命に直接かかわるような地点を最重点的な場所として築堤工事等々の改修工事に全力を挙げてやっていただかないと、生命、安全の保障という国土庁の大きな目標というか使命というか、それがむだにされてしまうおそれがあるものですから、具体的にこの地域の今後の状況、工程はどうなっているのか、聞かせていただきたいと思います。
  95. 萩原兼脩

    萩原説明員 お答えをいたします。  ただいま先生指摘がございました吉田川の左岸の鹿島台町の地内になりますが、志田谷地という地区、私どもの方では下志田地区という呼び方をしているようでございますが、おっしゃいますように、吉田川は大分低平なところにございますので改修すべき堤防延長が非常に長うございまして、御指摘の地区の上下流にも築堤をしなければいけない箇所がたくさんあるということでございます。その辺の上下流を私ども眺めながら改修を進めておるわけでございますが、この地区につきましては、もう古くなりますが、昭和四十六年ごろから品井沼橋という橋から順次上流の方へ向けまして暫定的にございます堤防を補強して完成堤防にしてきておるわけでございます。その間、宮城沖の地震等もございましていろいろ被害を受けましたので、その災害復旧の工事もあわせましてずっと上流へ向けて築堤工事をやってきておるわけでございますが、御指摘の地先には、まだ暫定のまま残っております堤防が約一キロちょっとございます。引き続き上流の方へ向かって工事を進めていく、そのための用地買収、それから築堤工事そのものをずっと続けておるわけでございます。ただ、堤防だけでございませんで、例えばいろいろ用水用の樋管がついておりますとか橋がありますとか、そういうものの手直しもしなければなりませんので、完成いたしません。もう少し時間がかかるかと思いますが、一生懸命やっていこうと考えておる場所でございます。
  96. 武田一夫

    ○武田委員 その努力、御苦労だと思います。ただ、もう一つは、やはりいろいろと見回りなど徹底しまして、そういう危険な状況でやっているようでありますが、やはり本格的な工事に入る時間、ちょっとかかるというニュアンスでありますけれども、その間のひとつ暫定的な処置もあわせて考えながら、要するに警戒態勢を怠りなく、なおかつそういう方向への努力もしてほしい、これは私は御答弁は要りませんが、要望だけしておきます。工事事務所の皆さん方、本当に苦労しているわけですな。何せちょびちょびしか金を使わないというのが玉にきずで、これはこの地域だけでなくてほかもあるということですが、先ほど申し上げましたように、人命に非常に直接的に関係のある場所、そういうところをもう一度点検されまして、積極的にそういうところから工事の早急な完成をひとつお願いしたい、こういうふうにお願いします。  もう一つ、気象庁にお願いします。  私たち、チリ地震というので、これは津波地震でえらく苦労したところで、向かいにいる菊池先生のあたりなんかは、その標的になった苦い思い出があります。私のおやじの実家もこのそばでございますから、あの地震の怖さというのは今でも知っています。この間のチリ地震における気象庁の対応、新聞、テレビ等でいろいろと言われています。私は気象庁さんを責めようとは思わないのだけれども、どうも奇々怪々なことがちょっとあるんだね。例えば、ホノルルの太平洋津波警報センターから入ってきた電報がダミー、訓練用の電報であった。それでその後、今度新聞によりますと、アメリカの地質研究所から太平洋の沖で津波の可能性があるということ、そして、ハワイセンターから、今度は津波がありそうだというのが来た。随分時間がある。なぜその訓練用ダミーを確認しなかったのかという私は一つの疑念があるのです。  前に私は農業気象のときに聞いたら、日本の気象というのは非常に優秀だ、長期予報なんかでは世界の冠たるものだと聞いて、私もそうかなと思って、その御苦労に敬意を表していたのでありますけれども、しかしながら、以前にチリ地震で苦い経験があったことを反省の材料にしていないのかなというのが一つ。そういう技術的な問題にどうして手間取ったのか。それからもう一つは、私は以前にも懸念しておったのですが、外国のデータというものを入手する力というか、経済力もある、予算の問題もありますけれども、ひょっとすると残念ながら非常に弱いんではないかというような点があるのですが、そういう点ひとつ一括して簡潔に、正直に答えてほしいのです。私は、そうだとすれば、やはりもっと、特に外国のデータが正確にきちんと入ってくるようなものにしておかぬと怖い。特にチリというのは、かなり日本どおつき合いが深いところでございますし、この「世界気象監視(WWW)生通信網図」というのを見ますとこういうふうな状態ですが、せめてここにもう一本くらいあったらいいなというような感じがする。先ほど社会党の先生が話したのもこの点ではないかと思うのです。ですから日本で、これはやっても三千万か四千万ぐらいでやれるそうな話も聞いているのですから、そういうようなこともして、ひとつさらに正確で安全な、しかもスピードのあるものが欲しいなという気もするものだから、気象庁のために、ひとつ正直に今回の状況、そして反省があればあったで、それは最後長官からお願いいたしますから、答弁を簡潔にして言っていただきたい。
  97. 山川宜男

    ○山川説明員 ただいま先生の御指摘の三月四日の朝にチリに起こりました地震につきましての津波の件でございますが、私ども先生指摘の二十数年前のチリ津波地震の反省は十分いたしておったつもりでございます。あのときの地震は、マグニチュードが八・五とも九・〇とも申しまして、このたび起こりました地震は、マグニチュードが七・四ということでございました。これはエネルギー的に考えますと、三、四十分の一から百分の一のような小さい規模の地震であったわけでございます。  これにつきまして、先生指摘のように、いろいろな震源のデータが入ってまいったわけでございますけれども、まず国際協力組織のもとで運営しておりますハワイの津波警報センターからは、地震の心配ないということを打電してまいったわけでございます。しかし、その後、先生の御指摘のデータも入ってまいったわけでございますけれども、今御説明いたしましたように、マグニチュード七・四ということで、マグニチュード七・四と申しますと、七年ほど前に宮城県沖に起こりました地震のマグニチュードと同じものでございますが、あの地震におきましても、地震そのものによる被害は出たわけでございますが、ほとんど重大な津波は生じませんでしたので、私ども、チリに起こりましたこの程度の規模の地震では、日本に重大な津波の被害が及ぶ心配はないと、それは確信していたわけでございます。  ただ、その日の夜中から翌日にかけましての零時二十六分でございますか、先生指摘のような津波訓練、津波ダミーという形での電報が入ってきましたので、もちろん問い合わせの電文を打ち返しまして、一時二十六分ごろには実際の記録であったという確認はいたしました。そのときには、現地で約五十センチメートルの津波が生じた。ハワイでは高さが数センチメートルから三、四十センチメートルの津波が生じたということでございました。  それで、私どもといたしましては、実際に観測されたものがこの程度の津波でございますと、日本に人命の被害を及ぼすような津波が来る心配は絶対ないというふうに確信いたしましたので、その後のデータを、例えばアリューシャン方面のデータが入るかどうかなんかもチェックしていたわけでございますが、一応津波の予想到達時間が朝の六時から七時ごろということでございましたので、注意を促す意味で、早朝五時に津波注意報を発表したわけでございます。  先生指摘の外国データの収集についてでございますけれども、今も御説明いたしましたように、ハワイの津波警報センターは、国際協力に基づきまして、津波予警報をいたします唯一の責任ある機関でございます。私どもとしましては、当初そのデータを信頼したわけでございまして、いろいろな電文のやりとりもしたわけでございますけれども、それでしかも津波警報センターは、これまでは有効に機能していたわけでございますが、確かに今回につきましては、いろいろセンター側に不十分な点がございましたので、これからは国際協力機構を通じまして強力に改善方を働きかけていきたいと思っている次第でございます。
  98. 武田一夫

    ○武田委員 詳しく御説明いただきましたが、いずれにしましてもやはり大事なのは、大小ではないと思うのだね。やはり湾内に小さな船がいれば、それが一メートルであろうと三十センチであろうと、やられるのは目に見えているわけなんです。ですから、そういうことを考えるときに、いろいろと慎重を期して御苦労なさったのはわかるけれども、今後の一つの方向性としてもっと精度の高いものを、だから、足りないとすればそういうものに対する応援も国土庁中心として政府にお願いをしていかなくてはいけないと思う。  私はかつてエルニーニョの問題のときに、どうしてそれが日本の気象の方に影響があるのを早くわからないのかと聞いたら、実は向こうの方のデータを買うのには、高過ぎる、そのための金がなくて現場の我々は困っているというのを聞いているのです。同じことが地震のサイドでもあればそれは大事な問題ですから、恐らくそういう情報の入手に非常に御苦労しているはずなんですから、長官、今後気象庁をバックアップしてあげまして、しっかりしたものになるよう応援してやってください。  最後にひとつ長官から激励の意味も込めて御答弁をしていただいて、終わります。
  99. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 武田先生指摘の情報入手というのは非常に難しいものでございますが、できるだけ早く災害予知して対応をしっかりやっていく、頑張ってやりますから、ひとつよろしくお願いします。
  100. 武田一夫

    ○武田委員 終わります。
  101. 中村茂

    中村委員長 次に、横手文雄君。
  102. 横手文雄

    ○横手委員 私は、民社党を代表いたしまして、本年度の我が国災害対策全般について、大臣並びに各省庁の皆さん方に御質問を申し上げます。  まず、基本的な考え方についてでございますが、我が国の自然環境は、先ほど大臣の所信表明の中にも述べられておりましたように、大変変化に富んでおり、春夏秋冬の変化や美しさは我々に種々の恩恵や楽しみを与えているところであります。しかし一方では、常に自然災害に接近して生活している面があると言っても過言ではありません。  我が国は、気象的にも地理的にも極めて災害を受けやすい自然環境にあり、世界有数の災害国となっているのであります。国土はユーラシア大陸の東端に位置し、北東から南西に細長く横たわって伸びている列島であるため、大陸性と大洋性の両高気圧の谷間に位するところとなり、これら異質の気団の接触により前線が出やすく、毎年季節的にいわゆる梅雨前線帯の影響や台風の襲来を受けているところであります。  地形は南北に細長く、国土の中央を急峻な山脈が走っているため、河川は流路が短く勾配が急で、洪水に対する危険区域が広範に分布しております。  加うるに、日本列島は世界屈指の大地震帯の上に位置しております。低地沖積平野であることから河川はんらん、高潮による災害を受けやすく、我が国は震災や風水害中心とする天災が、各種の態様をもってあたかも年中行事のように発生し、毎年多数のとうとい人命や莫大な国富を喪失しているのであります。  また、社会的に見ても、国土が狭隘であることも相まって、戦後の人口増加や社会経済の発展に伴い、土地利用の高度化や石油コンビナート等の危険物の集積等が進行し、災害要因が複雑多様化してきております。  このように我が国は自然的にも社会的にも極めて災害を受けやすい環境にあり、災害による損失が国民の経済上大きな負担となっています。一昨年の日本海中部地震、山陰の水害、三宅島の火山噴火、昨年は台風の本土上陸こそなかったのでありますが、年初の豪雪桜島火山活動、五木村の山崩れ、長野西部地震等、大きな災害が頻発いたしました。また、昨年末から新潟地方を中心とした豪雪、本年に入ってからも四国の山林火災、新潟県青海町の土砂崩れ災害等、激甚な災害発生しているところであります。  そこで、振り返って根本的に考えてみると、一番政治に求められるものは治山治水であるということであります。水を治める者は天下を治めるというのは中国の長い歴史の中で考えられ、我が国が引き継いだ驚異的思想であります。社会福祉、教育ももちろん重要でありますが、まず災害から国民生命財産を守るのが政治の原点だと思います。各種の災害に対処するためには、災害予防に全力を期すことはもとより、災害が起きたときは国がきちっと手だてをするという考えを基本にしなければなりません。治山治水は一遍にはできない、そのかわり災害が起きたときの対応は国でやりますというのが今政治に求められているところであります。災害応急対策及び災害復興の迅速適切化を推進していかなければならないゆえんであります。  この意味で、昨年七月、国土庁防災局が設置されたことは大変意義が深いものであると考えます。したがって、防災関係予算については、国民生命及び財産を守る見地からも、また、その緊急性からも思い切った増額を図るべきであったと思います。先ほど御説明いただきました予算によりますと、昨年は災害による被害が例年に比べて比較的少なかったとはいえ、前年度比、災害復旧において八七・三%、全体の防災関係予算から見ても九六・三%にとどまっております。国土庁長官防災に対する取り組みの決意、そして各省庁にまたがっている防災関係予算についてこれでよいとお考えになっておりますか、まず大臣の御所見をお伺いをいたします。
  103. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 横手先生災害に対する私の方針を先ほど申し述べましたが、そのとおりを繰り返していただいたようなことで、ありがとうございました。  国土保全して国民生命財産災害から守るということは、重要な責務であると心得ております。関係省庁等との連絡を密にして災害予防強化国土保全推進、迅速適切な応急対策、応急復旧の実施など、各般の災害対策を総合的、統一的に推進してまいる所存でございます。
  104. 杉岡浩

    杉岡政府委員 予算関係のただいまの先生質問に対しまして、私から事務的にお答えさせていただきたいと思います。  災害関係予算につきまして、関係省庁の協力を得ましてある程度の確保に努めたわけでございます。  ただいま先生の御指摘がございましたように、全体としては三・七%の減ということになっております。今後この貴重な予算を効率的に執行してまいりたい、こう思っておりますが、特に我々といたしましては、災害対策の中で重点を置いている項目、これにつきましては相当の確保を図ったと考えております。  例えば、地震予知に関しましては昨年よりも二%の増でございます。それから、最近がけ崩れ等がございますけれども、これに対処するための急傾斜地の崩壊対策事業、これにつきましては六%の増でございます。また、災害対策に関しましては、無線施設、これが非常に効果があるわけでございますが、中央防災無線につきましては六%、あるいは地方の消防防災無線、これにつきましては一二・四%の増というふうに、個々の項目につきまして予算の確保を図ったところでございます。
  105. 横手文雄

    ○横手委員 万全を期していただきたいと思います。  次に、先ほど来、東海沖地震予知問題についていろいろと議論がなされておりましたし、私も以前、本委員会においてこの問題について何遍か政府の方針をお聞きをしたところでございますが、きょうは少し変わった観点からこの問題についてお伺いをしたいと思うのであります。  それは、東海地震の警戒宣言解除の問題について、東海地震の警戒宣言が発令された後、地震が長期間発生しない場合の対処についてお伺いを申し上げるのであります。  御案内のとおり、去る一月二十三日に、イタリーで、北部山岳地域に四十八時間以内に大地震が起こる可能性があるという内容の地震警報がテレビやラジオを通じて初めて出されました。このため、関係市町村を初め周辺地域住民約五万人が直ちに避難をしたのであります。その時間切れの二十五日になっても幸いにして何も起こらなく、この警報は空振りに終わりました。  イタリーは、我が国と異なって、法律上政府地震警報を出す権限はなく、イタリー政府があえて警報を出したということは、イタリーの農村部は石づくりの家が多く、地震のたびに多くの被害に遭っているので、無警報で地震に襲われるよりも、空振りでも警報を出した方がいいという判断があったものと思われるのであります。  このことは、警報下での社会生活や経済生活はどうなるか、警報解除の際の安全確認はどうかなど、我が国地震対策への教訓も大変多かったと思うのであります。  東海地震については、いつ発生してもおかしくないと言われており、その切迫性が世界でも例を見ない大震法の制定動機ともなったのであります。昭和五十二年に制定された大規模地震対策特別措置法は、異常データの判定から予知情報の伝達、警戒宣言の発令、関係機関の処置などを決めた法律であることは御案内のとおりであります。この法律では、大規模な地震により著しい被害を受けるおそれがあり、地震防災対策強化する必要がある地域地震防災対策強化地域として指定することになっており、東海地震については、昭和五十四年八月に静岡県を中心として六県百七十市町村を地震防災対策強化地域として指定をしております。  警戒宣言は大規模地震対策特別措置法で定められ、東海地区の観測網に一定以上の異常が出された場合、判定会が招集され、その結論によって内閣総理大臣が発令するとなっております。一たん警戒宣言が発令されると、この法律によって住民生活や経済生活がさまざまな規制を受けることになります用地震防災対策強化地域内では、公共交通機関、金融機関、病院などの営業や外来診療が停止され、電話は通話規制、道路も速度制限や強化地域への進入禁止措置などがとられます。このため、地震発生しないで宣言状態が長引くと、強化地域内での住民生活や経済活動に支障が出て、解除を望む声が高まることも予想をされます。  こうした事態を避けるため、大規模地震対策特別措置法第九条第三項では、地震発生のおそれがなくなったと認めるときは警戒解除宣言を発すると定められておりますが、問題なのは、発生のおそれが遠のいたことをどう判断するか、警戒宣言解除の基準や方法をどのように決めていくのか、このことが大変大事なことであります。イタリーのときは、警報の対象になった地域人口わずか五万人の山村地域であったが、東海地震対策強化地域人口は、静岡県だけでも三百五十万人に達するのであります。警戒宣言が発令されてから一定期間を過ぎても地震が起きなかった場合、社会的混乱が起こるおそれがあります。  そこで政府は、平素からの住民のコンセンサスが必要でありますが、これについてどのように対処されておりますか。警戒宣言解除の基準づくりやその方法についてお伺いを申し上げます。  一部新聞報道によりますと、「東海地震の「警戒宣言」が発令された後、地震が長時間発生しない場合の対応がまったく考えられていなかったが、気象庁は十四日までに、宣言解除の基準や方法について、検討をはじめることを決めた。地震発生しないまま宣言状態が長引くと、国民生活や経済活動が大幅に規制される。このため、地震発生の危険が完全に去らなくても、解除せざるを得ない状況がありうる、との判断に立ったものだ。」このように報道されておりますけれども、その点についてお伺いを申し上げる次第であります。  また、この地震予知、それは先ほど来議論が繰り返されておりますように、完全に予知ができないということであれば、その地震予知には空振りがつきものだ、これは避けられないことだろうと思います。  先ほど申し上げましたイタリーの空振りの後、静岡県では早速現地調査団を派遣された模様であり、次のとおりに報道されているのであります。「幸い、この警報は空振りに終わったが、地震国ニッポンからみると、貴重な〝実験〟をしてくれたようなもの。警報下での社会生活や経済活動はどうなるか、警報解除の際の安全確認は、などわが国の地震対策への教訓も多い。東海大地震への備えを急ぐ静岡県では早速、現地調査団を派遣したが、「人口五万人のイタリアの山村地帯と人口が密集しているわが国の太平洋ベルト地帯では規模が違いすぎるが、警報にもあわてないおおらかなイタリア人気質を学ぶべきだ」というのが結論だった。」このように報道されているわけであります。  しかし、ただ単にイタリーかたぎを期待するということでは少し寂しいような気がいたしますし、あるいは気象庁では空振りを許す寛容さを、こういうことを言っておられるわけでございますが、空振りがあるということが避けられないことであるとするならば、こういったことについての日ごろからの住民のコンセンサス――私も多くの地震の現場に行ってまいりました。北海道へ行ったときにほとんどの家庭で火を使っていた。にもかかわらず、あれだけの災害を起こしながら火災が一件も起こらなかった。こういうことで、ぐらっと来たら火を消せというのはかなり普及してきたことをその事実として見せつけられたわけでございますけれども、このような空振りの場合の地域住民との普遍的コンセンサスが必要であると思いますが、これに対する具体的方針をお伺いするものであります。
  106. 津村建四朗

    ○津村説明員 空振りの問題、それから警戒宣言解除の基準についての御質問でございましたが、気象庁の立場からまずお答え申し上げます。  先生指摘のとおり、現在の地震予知技術では、東海地震のような大規模地震についても地震予知が空振りとなることもあり得るものと考えております。御指摘のとおり、大規模地震対策特別措置法では、警戒宣言が発せられた後に、観測データから見て地震発生のおそれがなくなった、あるいは遠のいたと判定された場合には、気象庁長官が内閣総理大臣にその旨御報告をし、それに基づいて警戒解除宣言が発せられることになっております。こういうことにつきましては、気象庁は日ごろからいろいろな機会に周知するように努めております。  それから、基準のことでございますが、新聞報道に、気象庁で警戒宣言の解除に関する基準を検討することを始めたというふうに報じられたのでございますが、これは内容に若干誤りがございまして、この警戒宣言自体は内閣総理大臣から発せられるものでございまして、私どもはそのもとになる地震予知情報を御報告するわけでございます。この地震予知情報は判定会の学識経験者の判定結果を受けて報告されるわけでございまして、この判定自体でございますが、これは最近の地震予知研究成果から見まして、前兆現象の出現様式というのは大変複雑多岐でございまして、そういうものについて判定の基準をあらかじめ定めておくというのは大変難しいものではないかというふうに考えております。もちろん専門的にはいろいろな場合を想定して検討していくつもりでございますが、一般に基準がこうでございますというふうに周知させるような形のものはなかなかつくるのは難しいように私どもは考えております。
  107. 横手文雄

    ○横手委員 先ほど申し上げました解除基準の検討に入ったということについて一部報道に誤りがあるということでございますけれども、今その法律によって発令をするのは総理大臣ということになっておりますが、解除するときの基準その他について、先ほど申し上げましたように現地としても、警戒宣言を出した、そして一定の地域の経済活動をストップさせた、あるいはストップに近い状態に置かなければならない、幸いにして起きなかった、こういうときに地域では、イタリーの五万人の山間部と我が国のメガロポリスとは全然変わってくると思うのでございますが、そのときに逆の混乱のおそれがあります。そういうときに解除の基準についてどうされますか、これが私の質問であります。  それと、そういったことも、地震予知できませんということが今のところ結論のようなものだ、あるいはこれだけの観測網をしいておくとマグニチュード八程度のものなら引っかかるはずだ、こういうことで観測網がつくられておりますが、まだ世界のどこでもそれをつかまえたことがないわけでございます。そういったときに、危険性があるときには当然これを警戒の宣言をしなければなりませんが、これは空振りもありますよというようなことを日ごろから地域住民の皆さん方に徹底をしておく必要もあります。それがそのときの混乱を和らげることになりますということを申し上げているのでございますから、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  108. 津村建四朗

    ○津村説明員 先ほどお答え申し上げましたように、空振りがありますということについては平素から気象庁では周知いたしております。ただ、その基準をあらかじめお知らせするということは難しいということでございまして、警戒宣言が発せられた場合、あるいは警戒解除宣言が発せられた場合には、その技術的内容については気象庁長官が詳しく御説明申し上げることになっております。ですから、その事態になれば、なぜ警戒宣言が発せられたか、あるいは警戒解除宣言が発せられたかということについては住民方々に十分御理解いただけるように説明いたすつもりでございます。
  109. 横手文雄

    ○横手委員 それでは、次に参ります。次は、土砂災害についてお伺いをいたします。  近年自然災害による死者、行方不明者のうち土石流、がけ崩れなどの土砂災害によるものの割合が多くなっており、先ほど申し上げました、先日の新潟県青海町の土砂崩れの災害においては十名もの死者を出しており、また長野県王滝村のように地震による土石流の発生が多くの人命を失わせているのであります。  土砂災害については国土庁関係省庁連携を図り、総合的な対策を進めていくと言われておりますが、全国で土石流危険渓流は約六万二千カ所、急傾斜地崩壊危険箇所は約七万二千カ所とも言われ、砂防工事、急傾斜地崩壊防止工事が進められておりますが、その整備率は現在どの程度進んでおりますか、御説明をいただきたいと存じます。  それから、地震防災対策強化地域には急傾斜地崩壊危険箇所はどのくらいありますか。また、大規模地震対策特別措置法による緊急整備事業の中で土砂災害対策及び地すべり防止対策については現在どの程度対応がなされておりますか。  さらに、土砂災害に対する予警報システムの整備警戒避難体制整備は、人命を守る上から万全を期すよう努力していかなければならないところでありますが、事前対策応急対策について関係省庁間の連携など、国土庁はどう調整をしておられるのか、この点についてお伺いをいたします。
  110. 成田久夫

    ○成田説明員 ただいまお尋ねのありました土石流危険渓流の整備率でございますが、五十八年度末で約一五%でございます。それから、急傾斜地崩壊危険箇所、先ほど先生おっしゃいましたように、約七万二千カ所全国でございますが、この中には人工斜面あるいは砂防事業等地の事業実施すべき箇所がございますので、それらを除きますと全国で約五万八千カ所ございまして、これの整備率は約一四%ということになっております。  それから、地震防災対策強化地域内における急傾斜地崩壊危険箇所の数でございますが、この区域で約三千六百カ所ございます。それから、大規模地震対策緊急措置法で土砂対策あるいは地すべり対策についてどのようになっているかということでございますが、地震防災対策強化地域内において緊急に整備を必要とする砂防事業、これにつきましては、緊急輸送を確保するために必要な道路にかかわるもののうち発生する危険が著しい渓流において実施することといたしておりまして、昭和五十八年度末で六九%、それから同じく急傾斜地崩壊対策事業につきましても実施をいたしておるわけでございますが、五十八年度末で五四%、それから地すべり対策につきましては、昭和五十八年度末で約六四%ということになっております。
  111. 杉岡浩

    杉岡政府委員 土石流対策につきまして、従来から関係省庁いろいろと力を合わせてやっておるわけでございます。特にそのハードな面におきましては治山あるいは砂防施設整備、それから危険区域の指定とかあるいは予警報の伝達、こういったいろんな面で対策を進めておるわけでございますけれども、先ほど横手先生指摘のとおり、土砂災害による死者が最近多くなってきております。こういった観点から国土庁といたしましては、関係省庁によります土砂災害推進連絡会議を持ちまして、これをさらにいろいろな角度から検討を進めて、その対策を進めようとしておるわけでございます。六十年度、来年度でございますが、学識経験者を含めましてその調査検討の委員会を設けまして、総合的な土砂災害対策整備していきたいというふうに考えております。
  112. 横手文雄

    ○横手委員 私は冒頭、大臣に対する質問の中で、国土庁が昨年防災局を設置をされた、この意義を評価をいたしますと申し上げたわけでございますが、それは今局長の方からの説明がございましたような形で、国土庁中心になって十の省庁を一緒にして、これらの問題について推進連絡会議をつくり具体的に進めていく、こういったことは大変いいことだと思うのであります。  私が本院に議席をいただいて今三期目、五年と四カ月になりますけれども特別委員会はずっとこの災害対策特別委員会に席を置かせていただいております。この間何遍か質問にも立ちましたけれども、率直に申し上げて、最初のころは、国土庁というのは各省庁の扶養家族であろうか、こんな感じがしていたわけであります。そういった観点で、私も国土庁に期待をするという形で質問も続けてまいりましたし、要望も続けてまいりました。歴代の大臣の御努力、あるいは国土庁の皆さん方の努力、あるいは各省庁関係者努力によって、今防災局で新たに我が国自然災害から守る土石流対策、これの防止の問題についてこのような連絡会議が設置されたということは大変いいことであり、国民の皆さん方にとって、一日も早く災害未然に防ぐ、そういった国土づくりのためにこれからも努力をしていただきたい、このことを大きく御期待を申し上げますということを申し上げて、次の質問に入りたいと思います。  これは建設省でございましょうか、昭和六十年度の新規事業として実施される雪崩対策事業についてであります。  昨年十二月以降、北信越、北陸地方を中心とした日本海側の各地での例年より二週間ぐらい早い強い降雪は、各地で大きな被害をもたらしております。三月二日現在までの調査で、雪が原因で死亡した人は七十九名に上り、特に被害の多かったのは新潟県の四十二名、私の地元福井県でも五名の方が亡くなっておられるのであります。私は、これらの方々に対して心から御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。  実は、雪害というのは、問題はこれからの融雪期から始まるとも言えるのであります。山間部の豪雪地帯では、融雪期になりますと毎年のように雪崩災害発生し、とうとい人命が奪われております。これまで雪崩対策としては、林野庁が保安林や林道の保護、国鉄、建設省鉄道、道路交通確保のためのシェルターや雪崩防護さくの設置などを進められてきたところでございますが、集落を雪崩から守るための対策は立ちおくれているというのが現状だと言わざるを得ません。  予算を見ますと、雪崩対策事業費補助として八千万円が計上されております。そこで、集落における雪崩による災害から人命を保護するため、六十年度から新たに雪崩対策事業を創設し、国が地方公共団体の行う雪崩防止施設などの整備に対して二分の一補助をすることとなっておるのでございますが、六十年度では全国で三カ所事業実施する予定であると聞いております。その事業の内容、あるいはその選定地域等について、内容がございましたらお伺いを申し上げたいと思います。
  113. 成田久夫

    ○成田説明員 雪崩対策事業につきましては、ただいま先生お話しのとおりでございまして、昭和六十年度から新たに実施をすることにいたしております。  事業の内容につきましては、雪崩の危険箇所につきまして、階段工あるいは防護さくあるいは誘導堤というような施設を設けまして雪崩の防止に役立てるわけでございますが、そのほか、警戒避難等についても将来的にいろいろ考えてまいりたいというように思っております。  それから、六十年度の実施でございますが、先生指摘のように、事業費一億六千万円、国費八千万円で、全国的には非常に緊急に対策を要するところがたくさんございますが、三カ所について実施をしたいということで、現在、箇所の検討をいたしております。  以上でございます。
  114. 横手文雄

    ○横手委員 あと二つほどございますが、幾らも時間がございませんので一遍に申し上げますから、ひとつまとめてお答えをいただきたいと存じます。これはたしか運輸省だと思いますが。  災害時に大きな力を発揮するのがヘリコプターであります。私は、前に、当時加藤国土庁長官だったと思いますけれども、多くの災害の現場に行って、ヘリコプターがいかに大きな力を発揮するか、こういうことで、このヘリコプターの整備を進めるべしということで提議をしてまいりましたし、その方向で頑張りますというお答えもいただいておるわけでございますけれども、ただ、ヘリポートの全国的な規模においては、その数は二十四カ所と聞いておりますが、大変少ないという感じであります。特に、一般用ヘリが空港、ヘリポート以外の場所で離着陸するにはさまざまな制限があり、緊急の際の活動に迅速性を欠くおそれがあると言われております。  運輸省では、昨年の段階で、非常時用ヘリコプター輸送ネットワークの整備を決めた、このように報道をされております。この報道を見ますと、「災害 〃陸の孤島〟なくせ 全市町村にヘリポート」、こういうことで、運輸省は、「どんな大災害時でも日本列島に〝陸の孤島〟を作らないよう、全国のヘリを総動員して「災害時用ヘリコプター輸送ネットワーク」を整備することを決めた。このため六十年度から全国どんなへんぴな自治体にも最低一カ所の「災害時用ヘリポート」を作り、自由にヘリが離着陸できるようにするほか、民間も含め全国約九百機あるヘリのうち緊急用輸送に協力してくれるヘリのリストアップ作業も始める。身軽さを最大限に活用したヘリの総動員体制を敷こうというもので、いわば運輸省版の〝危機管理策〟ともいえそうだ。」このように報道をされておりますけれども、この具体的な中身についてお知らせをいただきたいと存じます。  私も大変大事なことだと思いますから、これを進めるに当たって、運輸省で考えておられるだけではどうしようもございませんから、この問題について、この会議録を地元に送りまして、各地方自治体で、地方自治体としてどう取り組んでいるのか、運輸省の考え方とどうマッチしながら進めていくのか、こんなことも関心を持って見守りたいと思います。  それからもう一つ、これは消防庁になります。消防団員の活性化の推進と処遇の改善についてであります。  消防団は、消防本部、消防署が置かれていない町村にあっては、消防活動を全面的に担っております。風水害地震等の大規模災害時にあっては、多数の警防要員が必要となり、消防団の活躍に期待するところが特に大きく、住民の安全確保のために消防団の存在は不可欠であります。  しかし、最近、社会の高齢化と地域の過疎化の進行に伴って、町村の消防団員の年齢構成は徐々に高くなりつつあり、四十歳以上の団員の占める割合が多くなっているとともに、団員の減少化傾向も心配されるところであって、災害時における消防団の出動等に厳しい条件が加わることが心配をされております。政府は、高齢化が進行している消防団の活性化に対してどのように推進をしていかれるのか、これが一つ。  それから、もう一つは、消防団員の出動手当支給について、その支給額、支給方法は市町村の財政事情や国の交付金等によって、地域事情によってそれぞれ相違がありますが、支給額の極めて低い市町村、出動手当を団員個人に支給していない市町村があると消防白書にも書かれております。他との均衡の適正化の上から報酬、出動手当等の支給について、これは全国一律にはまいらないと思いますけれども、どのように指導しておられるのか、以上お伺いして、私の質問を終わります。
  115. 坂井順行

    ○坂井説明員 お答えいたします。  災害時のヘリコプター輸送ネットワーク計画調査でございますが、先生指摘のように、ヘリコプターというのは現在約九百機ありますが、ヘリポートと呼べるものが非公共用、公共用合わせて二十四、そのほか臨時的なものも入れまして約百程度しかございません。したがいまして、災害時に、特に民間のヘリあたりが緊急にいろいろなところに離着陸をしようとしますとそれなりの航空法の手続等が要りまして、緊急性にやや欠ける面があるというような反省から、私どもは来年度どんなことをするかということでございますけれども、私どもだけではとてもできるものではございませんので、もう既に地方公共団体等で体制をとられているところもございますが、協力を得まして、全国の市町村を前提に緊急時の災害ヘリポート適地というようなものを選定してみたいというふうに考えております。  それから、ヘリポートは、ヘリコプターの輸送圏から見ましてある程度のネットワークを形成するように配置せざるを得ない。さらに、人口集中地区におきましては、その人口数とある程度比例をして配置すべきであろうというふうに考えております。  それから、さらに、官だけではなかなか対応できませんので、災害時の緊急輸送に協力を求められるような事業者を選定するなり、あるいはパイロットあたりについてもいろいろリストアップをしておきたい。それから、ヘリポート指定をした場合につきましては、それなりのいろいろな管理等の問題が出てまいりますので、これは管理マニュアルみたいなものをつくりましたり、あるいは管理の要員をどうするかということについてもいろいろ勉強してみたい。さらに、その結果不足するような事態が仮に出たとすれば、また次の対応を考える必要があるのではないかというように考えておりまして、来年あるいは再来年、二カ年くらいで調査をしてみたいというように考えております。
  116. 横手文雄

    ○横手委員 自治体とはどういう連絡をとってやるのですか。
  117. 坂井順行

    ○坂井説明員 一部の自治体ではもう既にこういう体制がとられているところがございますので、そういうところはそれで構わないわけでございますが、むしろそういうところが少のうございますので、自治体の協力を得てというのは、その実態だとか、そういうことについて私どもではできる範囲も限られてございますので、実態調査については地方公共団体の協力を得たい、こういうふうに考えております。
  118. 清野圭造

    ○清野説明員 消防関係のお尋ねでございますが、御存じのとおり、我が国消防は常備消防とそれから消防団というのが一体となって構成をされております。常備消防がこれだけ普及した今日におきましても、消防団が地域防災に果たす役割は非常に大きいものがございます。火災時の初期出動あるいは警戒、残火処理などを初めとしまして、特に大火とか林野火災、さらには地震とか風水害などの多数の人員を必要とするような大規模災害時には非常に大きな役割を果たすものでございます。ところが、消防団員は現在百四万人おりますけれども、年々減少の傾向にございまして、さらに御指摘のように、団員の高齢化も進んできております。それからまた、団員のサラリーマン化によりまして昼間における活動力の低下といったことも懸念をされておるわけでございます。  そこで、消防庁といたしましても、地域社会の安全の確保、とりわけ大規模災害時におきます消防防災体制などを考えた場合、消防団の有する能力と機能の充実強化を図る必要があるというふうに考えまして、昨年十二月に庁内に消防関係者、それから学識経験者を中心とします消防団活性化対策検討委員会というのを設けまして、消防団の活性化対策について現在検討を行っているところでございます。今後、委員会におきまして消防団の現状あるいは地域実情等を踏まえた活性化のための具体的な方策について幅広く調査検討を行っていただく予定でおりますが、消防庁としましてもそれらの検討結果を参考といたしまして、消防団の活性化のための施策推進を図ってまいりたいと考えております。  それから、もう一点、団員の報酬あるいは手当の問題でございますけれども、非常勤の消防団員の報酬あるいは出動手当につきましては、各市町村がそれぞれの市町村の条例に基づいて支給をするということになっておりまして、これに要する経費につきましては地方交付税の基準財政需要額に見込んでおります。ちなみに、五十九年度におきます地方交付税の算入につきましては、年額でございますが、団長が五万一千円、あるいは団員が一万五千円とか、あるいは出動手当につきましては一回当たり四千三百円というような額が算入されておるところでございます。  ところで、実際に各市町村が支給しております報酬などの額を見てみますと、個々の市町村の財政事情とかあるいは地域実情に基づく消防団の運営の仕方等によりまして、御指摘のように、いろいろと異なっておりまして、中には支給額の低い団体も見受けられるわけでございます。報酬、出動手当をどの程度支給するかということは基本的にはそれぞれの市町村の判断でございますが、報酬は消防団員の苦労に報いるために支給するものでございますし、また出動手当につきましては消防団員が出動した場合の費用弁償として支給するものでございますので、ボランティアという性格が強いとは申しながらやはり相応の額は支給すべきてはないかというふうに考えております、したがって、従来もこの考え方に基づきまして指導を行ってきたところでございますが、今後ともこのような考え方で適切な指導を行いたいというふうに考えております。
  119. 横手文雄

    ○横手委員 終わります。ありがとうございました。
  120. 中村茂

    中村委員長 次に、中川利三郎君。
  121. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私の質問のメーンテーマに入る前に一つだけ長官にお聞きしたいのでありますが、この冬の豪雪対策について、私のところにも新潟県だとか、あるいは選挙区の市町村長からたくさんの要請が来ておることは、除排雪の費用に対する特交措置ですね。同時に、特に市町村道の除排雪経費への特例補助を何とかやってほしい、こういう要望がたくさん来ておるのであります。雪国の苦労あるいはハンディ、そういうものを十分に認識して前向きの取り組みをひとつお願いしたいと思いますが、前段、大臣からこの面の御答弁をいただきたいと思います。
  122. 杉岡浩

    杉岡政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、今冬の豪雪は、昨年の暮れから相当の雪があったわけでございます。かつて市町村道の除雪につきましては、五十一年、それから五十五年、五十八年という三年度にわたって特別の措置がとられたわけでございます。現在これにつきまして、関係省庁協議いたしまして調査をいたしておる段階でございます。そして、この調査の結果を分析いたしまして適切な措置をとっていきたいというふうに考えております。
  123. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は、岩石の採取についてお聞きしたいのであります。  御承知のように、今日砂利資源が不足いたしまして、岩石採取の事業がどんどん発展していくことが非常に期待されているわけであります。しかし、岩石の採取については、その採掘の方法だとか採掘処理のいかんによっては自然環境破壊やあるいは災害のおそれが十分予想されるところでありますが、この点につきまして採石法でも第一条で「岩石の採取に伴う災害を防止し、」と明確に規定しているところでございます。  そこで、この担当である通産省にお伺いするのでありますが、採取認可の際、災害防止のための保証として、各都道府県に対して、おたくではどのような指導を行っているのか、まずこの点からお聞きいたします。
  124. 林暉

    ○林説明員 採石法は、岩石の採取に伴う土地の崩壊等災害の防止をし、採石企業の健全な発展を図るため認可をしておるものでございますが、認可に当たりましては、当庁、資源エネルギー庁が定めました採石技術指導基準書によって判断することになっております。その判断によりまして、都道府県が認可することになっておるものでございます。
  125. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今御答弁ありましたように、通産省の採取計画の審査基準、こういうものをもとにしてやられておるわけであります。  それを受けまして秋田県では、県商工労働部長の名前で、去る昭和五十八年六月十三日、鉱-三九六で「岩石採取計画認可に係る事務取扱要綱の改正について」、こういう文書を出しているわけでありますが、この中では、その前段に、「その開発による汚濁水の流出、自然環境の破壊等が大きな社会問題となっております。こうした状況にかんがみ、県ではこの度岩石採取跡地の整理に係る保証等を含む「岩石採取計画認可に係る事務取扱要綱」を」定めた、こういうことが書いてあるのであります。  さらに、この内容を拝見いたしますと、この内容では、採石法第一条で言う災害防止を担保する、そういう上から採取跡地の整備、その整備計画の提出を義務づけているわけであります。つまり、埋め戻しですね。  それで、県が採石法に基づき、また通産省の指導に基づいてつくられたこの県の要綱というものがこれでありますが、これを拝見いたしますと、その文書の中に「申請者が「採石跡地の整理等を行い得ると知事が認めた組織」」、つまり、これは県の採石協会のことですが、そこに「加入している場合は、その組織が保証した保証書」が必要だと書いてあるのですね。それから、もう一つは、「申請者が「採取跡地の整理等を行い得ると知事が認めた組織」に加入していない」者ですね、つまり採石協会に加入していない人は、そういう場合は、「現に県内で岩石採取事業を行っている三人以上の同業者」、つまり採石業者ですね、それが「連帯して保証した保証書」が必要だ、こう書いてあるのですね。  つまり、こうして採取跡地の保証を制度的に実施しておる府県は、昨年十二月現在でも、この秋田県を含めまして全国で二十九都道府県があるというように聞いておるのでありますが、このような制度を取り入れていることについて通産省はどうお考えですか。
  126. 林暉

    ○林説明員 先生指摘のありました跡地の埋め立てのことに関しまして保証制度のことでございますが、この法律の運用というのは、先ほども申しましたように、災害の防止になっておりますので、それが担保されるような形で行われますればよろしいわけでございまして、保証をするというのも一つの方法かと思いますが、保証に関しましては、あくまでも県が行う問題でございまして、当庁といたしましては、保証をするに足る能力があれば当該保証制度が機能するものだと考えております。  一般的には、このような制度があることは望ましいことだと我々は理解しております。
  127. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、埋め戻しにはっきりとした保証、そのための条件が採石法に基づいて、また皆さんの指導に基づいて、今全国でたくさんつくられてきている、こういうことですね。  それでは、私、具体的にお聞きするのでありますが、山形県の遊佐町に本社を置く遊佐砕石工業という会社がございます。この採石業者が、秋田県由利郡の金浦可及び象潟町でこれまでも採石事業を行っているのでありますが、この第一回分の採石を始めたのは昭和五十六年九月でございました。ところが、それ以来ごとしまで、足かけ五年になっておりますが、ほったらかしておる。  私は、今月、三月三日、三月というのに雪深い現地へ入りまして、鳥海山のふもとにほぼ近いところでありますが、そこを、直接現場を拝見に行ってまいりまして、その現場の写真やらその他たくさん撮ってまいったのでありますが、本当に余りにもひどい状況に息をのむ思いをしたといいますか、その現場自体は、地獄の口がふたをあけたような、あるいは後楽園の野球場がすっぽり埋まってしまうような、そんな現場なんでありますね。そこに、冬の冷たい水がばあっと湛水して湖みたいになっておったり。  委員長にお許しいただきたいのでありますが、ここに写真を持っておりますので、ひとつこれを皆さんにお見せいただきたいと思うのです。
  128. 中村茂

    中村委員長 はい。
  129. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 こういう状況ですね。まさに大自然の破壊そのものでありますね。  したがって、この際、遊佐砕石に対する埋め戻し保証については、秋田県の採石協会というところでは、こういう状態では――昭和五十六年九月から採石を始めてほとんどほっぽり放しなんだ。これでは協会として保証することはできない、せめて八〇%ぐらいは埋め戻していただかないと、その第一回分にしても到底我々はできないということで、この県の、なぜそれをやらないかということに対する文書がここにもございまして、商工労働部長あて採石協会会長からの「保証書を交付できない事情について」、こういう文書であるわけであります。この中でも、現時点においては不十分であり、この約束の八〇%が果たされるまで保証書の交付は行わないこととし、今後の進捗状態の中で考えるというようなことを五十九年十二月十七日付で回答しているほどなのであります。この業者を協会は保証しなかった。先ほど読みました要綱にありますように、そういう場合は同業者、採石業者三人以上の連帯で保証することができると言っています。ところが、どの採石業者も、この業者には保証する人がだれもいなかったのです。いかに大変な業者だかということがおわかりだと思うのです。  ところが、事もあろうに県庁は、要綱に何にも取り決めのない地元の土建業者九社のがん首を並べて、それを保証人に仕立て上げて、これは特例だということで、去る二月二十二日に一方的にこの遊佐砕石に認可しておる事実がございます。今これは県内でも大変大きい問題になっているのでありますが、重ねて通産省にお聞きします。  このように要綱にもない土建業者を仕立てて特別の認可ということは、採石法を根拠とする趣旨から見て著しく不当なものであると私は思いますが、おたくの見解はいかがでしょうか。
  130. 林暉

    ○林説明員 先生の御指摘は、遊佐砕石工業株式会社の秋田県由利郡金浦町での採石事業のことかと存じます。  先生指摘のように、採石法におきましては、採石技術指導基準書によって判断をするわけでございますが、埋め戻しに関しましても技術指導書に規定しておりまして、採掘跡地に関して環境条件を考慮して埋め立てを行うということになっておるわけでございます。  先生指摘の秋田県の保証に関する問題でございますが、先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては完全に埋め戻しが保証されるということが望ましいわけでございます。県独自の保証制度、先ほどお話がありましたように、二十九都道府県がその制度を持っておるわけでございますが、保証の仕方に関しましてはそれぞれの県がやっておりまして、秋田県は秋田県のやり方でやられまして、私どもとしては、秋田県がそのような形で認可をしたのは差し支えないと理解しているものでございます。
  131. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 少しおかしくないかね、君。おたくの指導基準というか、それを受けて通達を二回も改正して、ごく最近は昭和何年でしたか、いずれにしてもそれを受けて、採石法の趣旨を生かしてそれぞれ独自に県が要綱としてつくり上げた。埋め戻しするということは、採石法の第一条、目的のところにはっきりうたわれていることは、先ほど申し上げたとおりでございます。ですから、埋め戻しは当然ここから出てくる帰結であります。そのために採石協会が保証する、それができない場合は同業者三人以上ということでやられている。それは県が勝手にやっているなんていうこととは全く意味が違うことで、とんでもない話ですね。そういう指導だからこそおかしいと思うのですよ。  したがって、こういう県の指導のあり方、つまり自分で決めた要綱さえも守らない、地元の土建業者を九社仕立ててこれで保証できるんだということは、明らかに採石法の趣旨から逸脱しているでしょう。地元の土建業者はどんどん山を掘って石をとってそれを売ればいいわけですから、コンクリートに使うなりアスファルトやいろいろな舗装をすればいいわけですから、まさにそこを逸脱したものであることは明らかだと思うのですね。聞くところによりますと、秋田県当局は、通産省に対して、この特例は埋め戻しが完全に担保されるならば違法ではないと言明した、こう聞いているのですね。きのうレクチャーで私、お伺いしたわけであります。  そこで、さらにお伺いするわけでありますが、採取業者である遊佐砕石工業は、この地域の採取に当たりまして、土地所有者である金浦町の町長あるいは金浦町の大竹牧野農業協同組合、両方とも地権者でありますが、これと昭和五十五年八月一日に相互協定書というものを結んでいるわけであります。この相互協定書の中には、前文に「採石法の精神にのっとり開発行為について、次により協定するものとする。」そうして、第三条「掘さく後の埋戻し」と項目がございまして、「概ね一万平方メートル以上を掘さくした場合は、これを超える分について常に埋戻し作業を行い、従前の高さにしなければならない。」こういう相互協定書が三者間で結ばれているわけでありますが、通産省はこの相互協定の存在について御存じですか。
  132. 林暉

    ○林説明員 存じております。
  133. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 わかりました。通産省はそのことをよく承知していると言っているね。つまり、どんどん仕事が継続するわけですが、一ヘクタール掘るごとにそれをちゃんと埋め戻しなさい、一ヘクタールを標準にしてそういう格好で仕事をやりなさいという相互契約書ですね。今言いましたように、これは五十五年の八月一日に契約を締結されているわけですね。ところが、この遊佐砕石工業は、土地所有者との間に結んだ相互協定書に基づいて、第一回目の採取計画を協定が結ばれた翌年の五十六年に秋田県に申請しているのですね。  そこで、私、お聞きしたいのは、遊佐砕石工業は土地所有者との協定を踏まえて、当然秋田県に対して採取計画を出さなければなりませんな。とりわけ採取跡地の埋め戻しをやらなければならない、私は常識としても当然そう考えますが、通産省の考え方はいかがですか。
  134. 林暉

    ○林説明員 埋め戻しに関します協定が存在いたすということを申し上げましたが、御指摘のとおり、その協定に埋め戻す計画になっているわけでございます。私ども、県から聞いたところによりますと、埋め戻しに関しましては協定どおり行われているということで第三回目の認可がつい最近されたと聞いております。
  135. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 埋め戻しが協定どおりやられていればそういう写真が出てきますか。その写真は私が三月三日に行ったものですよ。ばかなことを言わないでください。あなた方が県から何を言われたか知りませんが、まさに大変な実態だということは写真が証明しているじゃないですか。私は現場でこの目で見ているのですよ。何もやってないのですよ、失礼でありますけれども。  そこで、私は、非常に問題だと思うのは、今のことも関連しまして、五十九年の第二回目の採取計画の認可に際しての問題があるということですね。これは何かといいますと、秋田県の指導要綱に基づいて、遊佐砕石工業は県の採石協会との間で採取跡地の埋め戻し問題について協議がなされているわけですね。その際、会社から協会あてに確約書なるものが五十八年の十二月二十八日に提出されております。この確約書、ここにあります。  これは何と書いてあるかというと「確約書」、ここには「当社は、このたび申請した岩石採取計画実施にあたり、下記条項を遵守することを確約いたします。」「記」「一」「二」「三」とありますが、「一」だけ読みますと、「今回の認可申請区域に含まれている既採取地については、土地所有者の指示に従い、早急に埋戻し修復を実施する。」こう書いてあるのですね。だから、これは県に出したやつですね。このことは、つまり遊佐砕石は秋田県に対する申請で、第一回目の採取跡地の埋め戻しは五十九年四月までに行う約束になっているにもかかわらず、それすらも履行していないということですね。採石協会はこのことに対して、遊佐工業との間で確約書まで提出させて履行させようと一生懸命になって指導しているのが現状なんですね。  通産省はこの点について、こうした事実を把握していますか、いないですか、どちらかはっきり一言で答えてください。
  136. 林暉

    ○林説明員 先生の御指摘のことでございますが、私どもでは第一回の認可といいますと五十六年からの認可でございます。その分にかかわるものは総計五・九ヘクタールであって、この埋め立て、埋め戻し計画は三段階に分かれている。その三段階に分かれております第一回の分は、第二回の採石法の認可に当たりましたときに既に完了していると承知しております。  それから、第二段階の一・二ヘクタールに関しましては、当初五十九年の四月までに埋め戻しをする予定だったということでございますが、若干おくれまして、五十九年の十月の段階で終了しておる。  第三段階に関しましては、約束によりまして六十四年の三月までに実施をするということで、五カ年かけて実施をすることになっておりまして、その五カ年分の五十九年度分についてはほぼ完了し、六十年度分についても予定を早めてやっていると県から報告を受けております。
  137. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 第一回目、ほぼ完了している、何ぼかやった跡はありますよ。今の写真はどうですか、皆さん。まず、いずれにしても、協会に対する、あるいは地元の町や地権者に対する約束を一つも実行していないでしょう、一つも。だから、こういう、次から次に協会は今一生懸命、これをやってくれ、せめて八〇%でもいいから埋め戻しをしたならば保証書を出しますよ、こういうことをやっているわけですね。  今申し上げましたように、いろんな約束事をしておりますが、一つも守っていないというのが実態なんですね。しかも、あなたは、今県が三段階に分けてとか何とか言っていますけれども、いずれにしても、県の指導はそういうやらないことを追認して、その責任を追及するのではなくて、そして、さらに五十九年から何ぼだかにかけてやりなさい、多分埋め戻しをするでしょうというような態度なのですね。こういうことでは本当にもう大変だと業者のたくさんの人々がおっしゃるのは当然だと私は思うのですね。  それで、さらにお聞きするのでありますが、今埋め戻しをしているのだ、こう答弁していますが、県に対する採取計画と町や土地所有者に対するその当該企業つまり遊佐砕石工業、三者の間で結ばれた相互協定は、埋め戻し計画について違う内容になっているのですよ。だから、あなた方の答弁はとんちんかんになるのです。相互協定では、私の先ほど指摘いたしましたように、埋め戻し計画については、一ヘクタール以上掘削した場合は、これを超える分について常に埋め戻し作業を行う、こうなっているのです。ところで、この遊佐砕石業者は、県に対する採取計画、この相互協定を踏まえて認可申請を行うことは当然だと思うのです。採取跡地の埋め戻しについて、土地所有者との間で締結された協定書と県当局に提出した採取計画が違っているということですよ。  そういう内容のもので出されているということは、通産省は採取計画認可に際してこのようなことがあっていいことなのか、こういうお立場ですか。時間もございませんから簡単にやってください。
  138. 林暉

    ○林説明員 埋め戻しが計画どおりされているかどうかに関しましては、認可は県の方に任せられておるわけでありますが、第三回の認可、今年二月にされた認可の以前には数十回にわたり立入検査をしてその実情を調べた上で認可をしたと私ども聞いております。
  139. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 だから、とんでもないことだということを何回も私は口を酸っぱくして言っているじゃありませんか。事実と違うということを申し上げているのです。しかも、町その他の皆さん方と業者が約束したそういう協定書だとかそういうものと、皆さんに出したあれが違うということは、そういうことがあってはならないということを私は言っているのであって、あなたの答弁は何か県から聞いた代弁ばかりしているわけでありまして、よしんば第三者的に見てもこういうことがあってはならないのだということは、当然皆さんの態度でなければならないと私は思うのです。  しかし、時間もありませんから次に移りますけれども建設省来ておりますね。――この現場というのは、象潟町横岡字川台というところでございますが、そこに町道と白雪川を結ぶ区画約三百メートルの町の森林管理用道路がございます。町の建設課が管理している道路でありまして、これがこの遊佐砕石の採掘によって幅二十メートル、深さ十メートルくらい切断されたままになっているのです。  町当局によりますと、採掘に当たっては迂回路をつくる、それから五十九年十二月三十一日、つまり去年の大みそかまでに原形に復す、こういう契約で採掘を認めた、そういう経緯がございます。ところが、私が行ってみましたら迂回路というのはどこにも見当たらないのです。仮設道路がどこにある、どこにも見当たらない。先ほど皆さんにお回しした写真、この青い線を引っ張ってありますが、本来ここが道路なんです。これはそれを断ち切っているのです。はっきりここに出ているわけです。  そういうやり方をしているわけでありまして、こういう現状では約束違反どころか、まさに犯罪的な役割を果たしていると思うのですが、これでは結局道路という公共物をぶち壊しただけだ、こう言っても言い過ぎではないと思いますけれども、この点について建設省どうお考えですか。
  140. 原隆之

    ○原説明員 御説明申し上げます。  私ども、道路法によります道路につまましてそれぞれ地方公共団体に管理をお願いしておるわけでございますが、お尋ねの件につきまして私ども町当局にお尋ねをしたわけでございます。そういたしましたところ、道路法の道路につきまして、すなわち町道につきまして掘削の同意を与えたことはない、また町道が掘削されているという事実もないというお話を承っておりまして、私ども、冒頭申し上げましたように、道路法によりまして管理をしている道路につきましては今のところお尋ねのようなお話はないというふうに承知をいたしております。
  141. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 だから、前段私が申し上げましたように、道路法上の道路でなくて、森林管理用道路として町の建設課が管理している道路なんだ。しかし、道路であることには間違いないですね。しかも、ここは鳥海山の一つの登り口にもなっておるのですよね。そういう重要なところが遮断されたままになって、町との約束である迂回道路さえもつけてないのが実態なんですね。  ところが、問題はこの道路の寸断だけではありません。この地域で営業を営む製材業者から、いろいろな方から私というか町当局に、これは象潟町ですが、たくさんの陳情、請願書が寄せられておるわけですね。例えば、ある製材業者はまさに生活権の侵害だ、こんなことで町はどうして黙っているのか、何とかしてくれとか、今まで自分は森林で木を養って非常にうまく商売やってきたけれども、このような状態になれば自然破壊で木も育たなくなる、何とかしてくれということで、たくさんの陳情、請願が寄せられまして、今きょうここに製材業者関係二つ、それから、その他二つ持ってきておりますけれども、それがすべて昭和五十九年三月七日、ここの議会で採択になっている。  採択になっている以上、そういう問題についてしかるべき要路にも連絡があったと思うのですけれども、通産省にそれではもう一回お聞きするわけでありますが、これは道路の問題も含めまして明らかに採石法第三十三条、ここにございますけれども、問題は、「公共の用に供する施設を損傷し、又は農業、林業若しくはその他の産業の利益を損じ、公共の福祉に反すると認めるときは、同条の認可をしてはならない。」こういう規定があるわけでありますが、こういうやり方は抵触しておりませんか。
  142. 林暉

    ○林説明員 御説明いたします。  採石の運搬に伴う交通事故、道路の破損等、いわゆる交通災害は採石法の直接の規制の対象ではございません。道路交通法、道路法等の関係法令によって直接規制されるものでございまして、公共の福祉に反するか否かの判断は、これらの法規の方から決められるものかと考えております。  現在、当該採取場に存します町道に関しましては、通行の確保が図られていると私ども承知しています。
  143. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 三十三条のこれには明らかに抵触するものだ。  私はこの点について今までいろいろ質問してまいりましたが、国土庁長官の御見解を、感想でも結構です、一言承りたいと思います。
  144. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 採石など国土の乱開発によりましていろいろな災害が起こっているという御指摘でございますが、採石法などの関係法令の的確な運用によりまして災害発生を防止することが肝要であると考えております。政府といたしましても、今後も採石などに伴う災害発生防止に万全を期していきたいと考えております。
  145. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大臣からそういう答弁がありましたけれども、ついでながら、警察庁来ているはずですが、警察庁にお伺いします。  この業者、遊佐砕石工業ですね、ここに新聞がございます。五十九年十一月二十四日、「無許可で廃棄物処理 遊佐の砕石業社長ら三人を検挙」つまり、山形県で無許可で産業廃棄物の処理を行い、社長を含めて三人が検挙されたと私、聞いておるわけであります。新聞でも読んでいる。  警察庁にお聞きするのは、検挙された内容は、どういうことで検挙されたのですか。一言で答えてください。
  146. 上野治男

    ○上野説明員 お答えいたします。  この事件は、昭和五十九年十月、山形県警察酒田警察署に対し、地元住民から、近くに採石場があるが、そこで多量の廃材を焼却しており、ばい煙が畑や家屋に飛んできて困るという苦情が寄せられたことを端緒にして捜査をしたわけでございますが、結果、先生指摘の遊佐砕石工業という業者が、同社と取引のある建設業者等からコンクリート片あるいは庭木材等の廃棄物の処理委託を受けて、燃えるものは自社の営業所で一たん野焼きし、燃えないものはそのまま採石跡地に埋め立てているということが判明した次第でございます。  関係者を呼んで調べましたところ、採石跡地をそのまま埋め戻すのはもったいないという気持ちから、お得意さんから頼まれるまま廃棄物処理場として使っていた、それがいつの間にか本業になってしまった、こういう供述が得られましたので、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、廃棄物処理業違反として検挙し、昭和五十九年十一月、山形地方検察庁酒田支部に送致している次第でございます。
  147. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今の御答弁にもありましたとおり、そういう不法なことをして、いつの間にかそれが本業みたいになって、全部委託を受けて何十万と稼いでいるんだな。そういう業者だということを改めて私は申し上げたいんですが、私が今まで指摘してきましたように、遊佐砕石工業は採取業者として採石法の精神にのっとって果たして採石業を行っているかどうか、まさに疑わしい限りだと思うのですね。このような業者に対して、私が冒頭述べましたように、秋田県当局は「岩石採取計画認可に係る事務取扱要綱」の中で規定されておる採取跡地の整理計画の一項で、そこで言うところの採石協会の保証がなされていない業者にまで要綱に反して採取計画の認可を与えているわけですね。こんなことがまかり通るならば、採石法第一条の目的そのものをこれはもう疑わなければならないと思うのですね。ここにうたわれておりますところの「岩石の採取の事業の健全な発達」、それを実現することは到底できなくなるわけでありますね。この業界の育成発展に支障を及ぼすことは明らかだと思うのですね。  秋田県当局が採石協会保証をほごにして建設業者の同意だけで認可を与えているのでありますが、この保証をした建設業者、土建業者、その中に例えば村岡工業、大沼組、長田建設、そういう会社なんか入っていますか、入っていませんか。
  148. 林暉

    ○林説明員 跡地処理に関しまして県に対しての保証業者の名前をということでございますが、秋田県が実施しております保証制度はあくまでも……(中川(利)委員「入っているか、入っていないか聞いているのです、この土建業者の名前が」と呼ぶ)当庁といたしましては、具体的に了知しておりませんし、また県の判断でもございますので、答弁を差し控えさせていただきます。
  149. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私が、私の代理である県会議員その他が直接県の商工労働部の参事と会っても、全部九人の名前を述べました。あなたはお立場があるから言えないかもわかりませんが。  つまり、私が聞きたいことは、秋田県当局が要綱を無視してまで遊佐工業に対して採取計画の認可を与えたその背景には、政治の力が働いているんだ、地元では一般にそう言われているんですね。この問題について県当局の言明を見ましても、県の要綱はどうでもいいんだと言っているんじゃないんだ、今回限りの特例で認可を与えたんだ、こう言っているんですね。この言明を見ましても、その背景には特別なことが行われている、そう疑わざるを得ないと思うんですね。この点について私は調べてみました。先ほど通産省が答弁した、採取計画の認可に際して保証を与えた建設業者名の中に大沼組という組もございます。この大沼組は秋田県由利郡東由利町に事務所を置いている会社でございまして、この会社は、秋田県選出の代議士である村岡兼造氏の政治団体である兼山会に対して、五十八年一月から十二月までの期間、合計百二十万円の政治献金を行っております。また、遊佐砕石工業に保証を与えた建設業者の一つである村岡工業は、発行株数が四万四千六百株、そのうち村岡兼造氏は二万二百株、村岡氏の実弟が二万株、そういう格好になっておりますから、これらを見れば村岡兼造氏が実質的なオーナーであるということは、秋田県民がみんな承知しております。採石法の精神、趣旨が政治の力でゆがめられているとは一般的な県民の疑いでありますが、この件について通産省の見解をお伺いしたいと思います。――おかしいじゃないですか。委員長さん、裁量してください。先ほどは、前段の民社党さんが何分やったとお思いになりますか。私は計算しておりました。私だけ、そういうことはおかしいじゃありませんか。
  150. 中村茂

    中村委員長 奏員長が別に言っているわけじゃないですから。向こうの方でやったことですから。もう少し……。
  151. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 この点は御答弁ないようでありますから、あとちょっとで終わりますから、お許しいただきたいと思います。  この会社は無許可で廃棄物処理をしているということで秋田県でも、山形県で警察に挙げられましたね、秋田県の金浦町でもコンクリート、アスファルト、それから家屋の廃材等の不法投棄を行ったとして昨年の十二月に本荘保健所から公文書でやられているんですよ。不法投棄をやめることを指摘し、不法投棄をしたものについて整理する、こういう警告を受けた事実もあるわけです。  私が先ほどからこの採取のあり方についてるる申し上げましたように、事業経営姿勢は疑うべきものがあると思います。しかも、この業者は仕事が二県にまたがっているのですね。ですから、採石法でいうところの通産大臣の登録業者でもあるわけですね。だから、私は聞いているのですよ。通産省はこの業者の経営姿勢について、今までの答弁を見れば、一体今までのやり方でいいというのですか。おたくの登録業者ですよ。また、現に採取を進めておる秋田県金浦可及び象潟町の採取事業について、採石法第三十四条の六で規定しておる採石業者に対する指導及び助言などを当然行うべきじゃないかと思いますね。そのことをはっきり伺っておきたいと思います。
  152. 林暉

    ○林説明員 たびたび申し上げておりますように、保証制度というのはあくまで県の運用でございます。業者の登録に関しましては、二県にまたがるものは通産大臣ということでございますが、採取計画に関しましては県の認可ということになっておるわけでございます。今回の跡地の埋め戻しに関しましては県の認可の関係でございます。  いずれにいたしましても、先生指摘がありましたので、県から十分事情を聞きまして、よろしく処理していきたいと考えております。
  153. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わりますが、一言。  通産省、そういう姿勢だから全然業者はなめている。皆さんに対する報告も不確かなもので、それをまた根拠に皆さんは物をしゃべっているという点が私、たくさん気がつきました。いずれこの問題は、時間がありましたら、また後でやらしていただきます。
  154. 中村茂

    中村委員長 中川委員にちょっと申し上げておきますけれども、埋め戻しについては、できていなければ災害と相当関係してきますけれども、今の本質の方はまた違う委員会などで十分詰めていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会