運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1985-06-06 第102回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年六月六日(木曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 小川新一郎君    理事 浦野 烋興君 理事 太田 誠一君    理事 鹿野 道彦君 理事 関山 信之君    理事 坂井 弘一君       臼井日出男君    加藤 卓二君       北川 正恭君    津島 雄二君       船田  元君    沢田  広君       村山 富市君    森中 守義君       伏屋 修治君    伊藤 英成君       永江 一仁君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山下 徳夫君         建 設 大 臣 木部 佳昭君  出席政府委員         総務政務次官  岸田 文武君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       波多 秀夫君         防衛庁教育訓練         局長      大高 時男君         防衛施設庁施設         部長      宇都 信義君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省貨物流通         局長      栗林 貞一君         運輸省航空局長 西村 康雄君         建設省道路局長 田中淳七郎君  委員外出席者         警察庁交通局番         議官      広谷 干城君         防衛庁教育訓練         局訓練課長   上田 秀明君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       鏡味 徳房君         文部省体育局学         校保健課長   下宮  進君         運輸大臣官房審         議官      増田 信雄君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      神戸  勉君         運輸省港湾局計         画課長     坂井 順行君         運輸省航空事故         調査委員会委員         長       八田 桂三君         運輸省航空事故         調査委員会事務         局長      星  忠行君         海上保安庁警備         救難部参事官  辻  宏邦君         日本国有鉄道総         裁室法務課長  本間 達三君         日本国有鉄道運         転局保安課長  小原 孝夫君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     戸谷 是公君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  秋富 公正君         特別委員会第一         調査室長    内野 林郎君     ――――――――――――― 委員の異動 六月六日  辞任         補欠選任   上野 建一君     村山 富市君   伊藤 英成君     永江 一仁君 同日  辞任         補欠選任   村山 富市君     上野 建一君   永江 一仁君     伊藤 英成君     ――――――――――――― 五月二十日  シートベルト着用法制化に関する陳情書  (  第四二九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 小川新一郎

    小川委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として新東京国際空港公団総裁秋富公正看及び日本道路公団理事戸谷是公君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小川新一郎

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 小川新一郎

    小川委員長 次に、昭和五十九年度交通事故状況及び交通安全施策現況並びに昭和六十年度において実施すべき交通安全施策に関する計画について説明を聴取いたします。岸田総務政務次官
  5. 岸田文武

    岸田(文)政府委員 「昭和五十九年度交通事故状況及び交通安全施策現況」及び「昭和六十年度において実施すべき交通安全施策に関する計画」について御説明をいたします。  この年次報告は、交通安全対策基本法第十三条の規定に基づき、政府が毎年国会に提出することになっておるものでございます。  初めに、昭和五十九年における交通事故状況について御説明をいたします。  道路交通事故による死者数は九千二百六十二人、負傷者数は約六十四万人、発生件数は約五十二万件であります。これを前年と比べますと、死者数で二・七%、負傷者数で一・六%、また発生件数では一・五%の減少になっております。  鉄軌道交通については、運転事故による死者数負傷者数は四百十八人及び一千百二十人で、死者数減少しておりますが、負傷者数増加をいたしております。  海上交通については、海難による死亡行方不明者数は二百五十二人で、前年に比べ増加をいたしております。  航空交通については、死者数は八人、負傷者数は三十八人で、減少いたしました。  道路交通事故は、昭和四十六年以降、自動車保有台数増加にもかかわらず、交通安全施設整備等交通安全対策推進に対応して着実に減少を続けてまいりましたが、最近は増加傾向にあります。特に死者数につきましては、前年に比べ減少いたしましたが、三年連続して九千人を超えるなど、依然として情勢は決して楽観を許さないものがございます。  昭和五十九年度は、第三次交通安全基本計画の第四年度として、道路交通においては交通事故増加傾向を抑止し、さらに減少に転じさせるため、交通安全施設整備交通安全思想普及徹底被害者救済対策推進等、各般の交通安全対策を強力に推進をいたしました。  このほか、踏切道整備港湾、航路の整備航空保安施設整備等の諸施策推進いたしました。  次に、昭和六十年度において実施すべき交通安全施策に関する計画について御説明をいたします。  昭和六十年度は、第三次交通安全基本計画最終年度として、道路交通では、交通安全施設整備を初め、交通安全思想の高揚、運転者対策充実等施策を講じることにより、交通事故増加傾向に歯どめをかけるとともに、特に、死亡事故の防止には格別の意を注ぐことといたしております。  また、鉄軌道海上及び航空交通においても引き続き所要の対策を講じ、交通安全を確保することとしております。  以上をもちまして説明を終わらせていただきます。     —————————————
  6. 小川新一郎

    小川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。臼井日出男君。
  7. 臼井日出男

    臼井委員 きょうは「交通事故状況及び交通安全施策現況」という五十九年度のものが発表されたわけでありますけれども、特に成田東京国際空港の問題について、これは私もいろいろ地方行政委員会等でこの促進意味でもって質問させていただいたわけでありますが、きょうは交特委でございますので、特に現在の状況でいつまで国際空港として成田東京国際空港がやっていけるのか、そういう問題について幾つ質問をさせていただきたいと考えているわけであります。  成田東京国際空港は五十三年の五月に開港成ったわけでありますが、それから本年で七年間たつわけであります。そういう意味で、この七年間四千メーター滑走路一本でもってやってきた、事故もなくやってきたということは、これはすばらしいことであります。しかし他面、七年間先進国である日本が四千メーター滑走路一本しか国際空港で持っておらない。これは考えてみれば甚だ不名誉なことであるわけであります。一刻も早くこういう状態は改善をしていかなければいかぬと考えているわけであります。  まず基本的な問題について少しお伺いをしたいわけでありますが、現在の状態でいつまで二期工事が進まないでもってやっていけるのか、これが私どもにとって、特に国民というよりはむしろ私ども千葉県にとって大変な問題であるわけであります。  そこで、一日の発着回数、その中でもピークというものはあるわけでありますが、年間でもかなりふえてきているわけであります。この四月で利用者数の累計は六千二百万人を超えた、五十九年度は年間一千百万人台になった、非常な伸びを示しているわけであります。現在の状態で一体いつまでこの空港がもつのか、将来利用者数の推移はどういうふうになっていくのか、これが私の今非常に聞きたい点であるわけであります。  それと同時に、発着回数も大変ふえているわけでありますね。ラッシュ時になると今二分半に一機離着陸している、極めて大変な発着回数でありますが、一体今後それはどういうふうに変化をしていくのか、そういう点について最初にお伺いをしたいと思います。
  8. 増田信雄

    増田説明員 お答え申し上げます。  ただいま臼井先生から御指摘のとおり、成田空港滑走路一本と旅客ターミナル一つという未完成のままの空港でございます。お話にございましたように、五十九年度、昨年度一年間成田空港を御利用いただきましたお客様は約一千百万人でございます。このときの、去年のターミナル利用状況を見ておりますと、夏休みとか冬休みとか、いわばお客様が大変多い時期には既に混雑を来しております。国際的なレベルから見ますと、やはりこのあたりターミナル能力としては一つ限界ではないかと考えているところでございます。  それから旅客伸びについてでございますけれども、このところ成田空港では非常に順調に伸びておりまして、年間六%から一〇%ぐらいの幅で伸びております。今後の国際交流増大、あるいは貨物輸入輸出増大ということを考えますならば、やはり当分は着実に同じような傾向伸びていくのではないかというふうに思っている次第でございます。  それから発着回数についてでございますけれども発着回数は、昨年度は年間七万四千回でございます。これまでは機材の大型化によりまして旅客増大いたしてもそれほど発着回数伸びない、吸収をしてまいりましたけれども大型化も一巡いたしましたので、今後は旅客便につきましては旅客伸びと大体同じテンポで伸びてくるのではないかというふうに考えております。
  9. 臼井日出男

    臼井委員 そこでターミナルの問題ですが、現在一つしかないわけでございますね。それから滑走路も一本、そういう状況で、空港能力としていつまでもつんだ、そこをずばっと考えがあったら聞かしていただきたいのです。
  10. 増田信雄

    増田説明員 まず旅客ターミナルでございますが、先ほども申し上げましたように、国際的な水準から見ますと千百万人ぐらい、昨年度の状況ぐらいで一つの節目と考えております。したがいまして、これからは、ほっておきますと非常な混雑状況を来すというふうに考えております。特に千百万のうちの約二〇%近くが通過客でございます。通過客は本当に立錐の余地もないというような状況でございますので、新空港公団におきましては今年度から通過客のための待合室を増設することにいたしております。さらに、来年度以降におきましてターミナルビルの改装に手をつけるということを御検討中でございます。そのようにしましてターミナル能力をふやすという努力はいたしておりますが、しょせん既存施設改良でございますので、能力アップにも限界がございます。一方、需要の方は先ほど申しましたように着実に伸びておりますので、私どもは六十年代の半ばごろにはターミナルがあふれてくるのではないかというふうに心配いたしております。  さらに滑走路についてでございますが、御承知のとおり国際線というのは離発着が非常に偏っております。成田国際空港で申しますと、夕方から夜にかけて離発着が非常に集まっておりまして、昼間はがらがらという状況でございます。こういう一つの山と谷の形を前提にいたしまして、国際線としてダイヤ調整をしないでどの程度使えるかということを試算いたしますと、年間九万回くらいまでなら御不便をかけないで使えるというふうに思っております。さらに九万回を過ぎまして、航空会社協力を得ながらダイヤの大幅な調整を行う、あるいは地上の待機、空中の待機という利用者にとって御不便をかけながら使っていくということになりますと、十一万回くらいまでは使えるのじゃないかと思っております。そういうことを考えますと、滑走路につきましてはここ二、三年でいわゆる好ましい状態を超してしまう。最終的にはターミナルとほぼ同じ時期、六十年代の半ばにはいわゆる国際空港としては使いづらい混雑状態になってくると思います。  そういうことを総合して考えますと、二年ないし三年後におきまして国際空港としての円滑な運用に支障が生じてくる、さらに混雑が増してまいりまして六十年代の半ばには日本の表玄関としては恥ずかしいというか、支障のあるような状態になってくるのじゃないかというふうに私ども考えております。
  11. 臼井日出男

    臼井委員 二、三年でもって国際空港としては胸を張れないような状態になる、六十年代の半ばには空港としての能力限界に来る。この二期工事が始まって支障なく円滑にいったとして、完成まで一体どのくらいかかるのでしょうか。
  12. 増田信雄

    増田説明員 いろいろな前提条件あるいは仮定はございますけれども工事に取りかかりまして大体五年ないし六年では完成できると考えております。
  13. 臼井日出男

    臼井委員 五、六年かかる。そういたしますと、今すぐ始めても、国際空港としての風格を保つためにはもうあと二、三年ということで間に合わない。能力限界が来る六十年代の半ばということについても、タイムリミットが来ているわけですね。そういう意味で、私どもは速やかな工事再開等を願っているわけです。もちろん、これには幾つかの難問があるということは十分承知をいたしております。  そこで、この二期工事は現在どのような状況であるのか、その点を簡略にお話しいただきたいと思います。
  14. 西村康雄

    西村政府委員 成田完全空港化のための工事は一刻も早く実施していかなければならないという認識は今先生からお話しのとおりでございまして、私どももそれに向かってあらゆる角度から努力しておりますが、幸い一昨年から空港周辺関係地方公共団体の議会から空港早期完成促進ということを御決議いただいております。また、地元市長等から用地買収等のごあっせんというようなことでも非常に熱心な御協力をいただいておりまして、地元全体あるいは千葉県の方向も、新しい千葉県の開発の核にしようというような御構想もありまして、そういう意味では空港工事を進めるための環境づくりは非常にできてきているというふうに見ているわけでございます。  ただ、実際に工事を進めていく場合に、私どもは未買収用地の取得につきましては、農家との話し合いの上で取得していきたいというのを基本にしております。そういう点が最大の問題でございますが、空港公団が既に用地買収をしていて、周囲状況あるいは農家との話し合い等状況等をいろいろと総合的に勘案しながら、できる工事から順次やっていきたいということで一刻も早く工事を進めて、その結果できるだけ完成を早くしていきたいという努力を続けるつもりでございます。
  15. 臼井日出男

    臼井委員 今お話しございましたとおり、千葉では周囲の十九市町村で既に促進決議が出ておりまして、県会の方でも決議が出ている。地元では促進のためのすべての条件が気持ちの面では整っているわけでありますので、ぜひとも早く進めていただきたいわけですが、これは非常にいろいろな難しい問題があります。  そこで、既にその準備段階のいろいろな工事が始まっていると思うのですが、本格工事ターミナルそれから滑走路、こういった面を始めるということになると相当な決断が要ると思うわけです。そこで、きょう運輸大臣見えでございますが、一体これはだれが決断を下してゴーサインをやるのですか。
  16. 西村康雄

    西村政府委員 今申し上げましたように、私どもは可能な工事から逐次やっていくということを申し上げたわけで、本格工事のためのゴーサインというようなことで殊さらに制限をつくっているわけではございません。したがいまして、状況が許す限りどんどん進めていくということを基本にしておりますので、これまで何か一般には工事を凍結しているというふうなお考え方で受け取られているようでございますが、そういうことは全くないので、政府として工事をやらないということを決めたことはこれまでございません。ただ、周囲状況が適切でないということで工事を差し控えてきたという事実はございますが、そういうことも、先ほど申し上げましたように、地元の非常に厚い御支援のもとにこれから逐次状況を見ながら、混乱ない工事を進めていきたい、こういうことでございます。
  17. 臼井日出男

    臼井委員 私は、今の答えというのは当然であるわけですが、やはりだれかが強力に促進をしていかなければならないと思うわけですね。ですから、運輸大臣見えでございますので、ぜひとも総理決断運輸大臣から迫っていただく、それについては千葉県側に対してもぜひとも頑張れという激励の声もかけていただく、そういうような形で運輸大臣が主管の大臣として大いに各方面を督励していただくということがこの際極めて必要なことじゃないだろうか。お聞きをいたしますと、その都度所轄の大臣である運輸大臣がいろいろな方々に御相談を持ちかける。現在は特に組織的なものはないというお話ですが、やはり定期的にそういう状態についてお話し合いをするような場もぜひとも今後設けていただきたいというふうに考えておるわけでありますが、一言お願いいたします。
  18. 山下徳夫

    山下国務大臣 成田の問題につきまして、地元の代議士としていろいろと御心配をいただいておりまして、大変ありがたく、また恐縮に存ずる次第でございます。  この機会に少しばかり私の感想を申し上げてみたいと思うのでございますが、御指摘のとおり、世界の大きな都市滑走路が一本というのは珍しいことでございます。一番多いのはたしかシカゴだと思いましたが、あそこには六本の滑走路がある。あるいは大都市における複数の空港一つ都市に三つも空港がある、その合計が四本、五本ということはざらでございまして、そういう面からすると、まことにどうもお寒い限りであるということはおっしゃるとおりでございます。  また、あわせて、現在の空港のキャパシティーからしてなかなか外国の需要に応じ切れない。現在三十二カ国から入っておりますが、同様にぜひとも成田に乗り入れたいという国の数が三十二カ国ぐらい、ちょうど同じぐらいあるわけでございまして、これらの御要望にも沿い得ない状況であります。  あるいは、今、何とかすれば十一万回と言いましたが、しかし、これはヨーロッパのように近接している国々の中の一つと違います。日本は非常に遠隔の土地に一つある。ASEAN地域もいろいろありますけれども、そういう面からしますと、かなりの長時間飛んでくる飛行機が多うございますから、一日に押しなべてというわけに、向こうを夜中に立つような便になったりしますので、なかなかまいりません。そういった諸般の情勢からすると、急がなければならないことは当然であります。  ただ、先ほどから御指摘の二期工事というお言葉がございますけれども成田に関する限り、一期工事、二期工事あるいは三期工事という区別はいたしておりません。適宜、できるものから可能な限り進めておるということでございます。もちろん、一部延期した工事もございますけれども、ただ、凍結措置というようなものを決定したこともないわけでございます。したがいまして、そういう状況において一体これからどうするかという御質問でございますけれども先生大方承知のとおり、現在の日本のすぐれた行政の機構からいたしますと、一々私とか、ましてや総理が一々決断を下さなくても、行政当局段階において相当のところまで片づく問題だと思っております。  ただ、政治的な配慮を必要とする問題も中にはございます。例えば警備状況等の関連においてですね。私どもはこれは法的にやれることもまだございます。法的な範囲内でもっと力ずくというのは語弊がございますが、強権を発動するということも可能でございますけれども、しかし、なかなかそればかり、力ずくでいくということもいかがなものかと思いますので、そこらあたり判断はやはり政治的な判断等も当然考慮に入れなければなりませんし、そういう問題につきましては少なくとも運輸大臣がやはり指揮をとるべきかと私は存じておりますが、総理まで御宸襟を悩ますようなことはなるべく大臣という立場においてしたくないし、また、十分私の責任においてそれをやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  19. 臼井日出男

    臼井委員 大変力強いお言葉をいただいて、ありがとうございました。  さて、それで、私どもいわゆる二期工事と言っております工事が始まっても完成まで五年間。そういたしますと、国際空港としての能力というのは、今始まっても間に合わないぐらいですから、当然国際利用客とのギャップが出てくるわけでありますが、これをどういうふうに処理をされようとしているのか、お考えをお聞きいたしたいと思います。
  20. 増田信雄

    増田説明員 私どもといたしましては、そういうことのないように最大努力をいたしまして、できることから淡々としてやっていきたいと思っております。  しかし、そうは言いながら、やはり御指摘のとおり完成までに長時間がかかりますので、一方においては既存ターミナル施設改良あるいは滑走路能力、効率ということを追求しながら、できるだけ国際空港として恥ずかしくないような能力アップに努め、また、一日も早い完成のために努力を続けてまいりたいと思っている次第でございます。
  21. 臼井日出男

    臼井委員 今、羽田沖合展開というのが始まっているわけでありますが、それはどういうふうな完成の予定になっておるのでしょうか。  それで、実は、最近私ども千葉でしきりと言われていることは、羽田空港沖合展開をしたらもう成田空港貨物空港でいいじゃないかということが言われているというふうなことが、本当にある人たちには信じられているような状況でもあるわけです。私どもは、成田東京国際空港ができるあの経過を見たら絶対そういうふうにしてはならないし、ぜひとも運輸省側もしっかりとした姿勢でもってやっていただきたい。それで一番肝心なのは、関心を持っているのは、羽田成田の兼ね合いなんですよ。その点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  22. 西村康雄

    西村政府委員 羽田沖合展開工事は今努力をしておりますが、現在の見込みでは六十八年の夏ということでございます。  このように羽田空港が仮に沖合展開をいたしますとかなりの能力増ができますが、もう先生承知のように、現在日本じゅうの各空港から羽田と連絡したいという希望は非常にございます。それらを今断って調整するのに大わらわでございまして、羽田空港がそのような能力増がありましても、恐らく数年のうちにこれはいっぱいになるおそれもある。実は、羽田能力増考えてかなり航空事業の規制の緩和というような方向検討中でございますが、しかし、客観的に今の航空交通伸びの大きさから考えますと、国内線輸送需要の増というのは非常に大きなものがあると思っております。そういうふうに考えますと、羽田国際線用空港として活用するという余地は全くないと私ども考えております。したがいまして、羽田国内線用成田は主として国際線、補助的には国際線のための国内線利用ということはございますが、そういう機能分担で今後とも進めていくという考えに変わりございません。
  23. 臼井日出男

    臼井委員 あくまでも国際線成田でというふうな御趣旨に私は受け取りました。千葉県民もさぞかし安心するのじゃないかと思っております。  秋富公団総裁には、お忙しいところありがとうございました。  大変遅くなったわけでありますが、実は先般四月十二日に、羽田成田空港に過激派のゲリラと見られるロケット弾が撃ち込まれた。飛距離が千メーターというのですから、これは完全な兵器だということであります。まして、飛行機が発着できる滑走路を越えて向こう側を撃っているわけでありますから、発着する飛行機をこれは当然ねらい得ることになるわけでありまして、これは成田ばかりではなくて、現実に羽田にも撃ち込まれておりますし、航空行政にとってもこれはなかなか大変な状況になったな、これが二期工事に対してどういうふうな影響があるのか、非常に心配しているわけでありますが、その辺の対応と、それから、せっかくお見えでございますから、これからの工事に対する意気のほどをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  24. 秋富公正

    秋富参考人 先ほど先生からお話しございましたように、去る五月に成田空港は開港満七年を迎えたわけでございまして、おかげで順調に進んでおりますが、私たちといたしましては、この空港を安全に、かつ効率的に運営するということが一つの大きな使命でございます。いま一つは、一日も早く完全な空港にする。この二つが私たちの担っている重大な責務であると考えておる次第でございます。  御指摘のように、去る四月十二日に今までのゲリラ活動とは全く異にいたします、フェンスの外側から約一千メーターの、いわゆる羽根のつきました火炎物を発射されるということでございまして、従来も私たちはゲリラ活動に対しまして防御を厳重にいたしてまいりましたが、これは直接に侵入してくるゲリラ活動に対する、あるいは時限発火装置といったものに対してでございました。こういった全く新しい形のゲリラ活動に対しまして、早速その直後に運輸省の方から、航空局からもいろいろの適切な御指示をいただいたわけでございますが、自主的な警備の強化を重ねてまいりました。警備当局とも緊密な連絡をいたしまして、一つには、できるだけ外周部に障害物のないように環境の整備をする、あるいは航空施設につきましてその防御を厳しくしていく、あるいは万一の場合に対する旅客の避難誘導措置、あるいは救助対策、あるいはゲートあるいは滑走路の閉鎖につきましての運用をさらに適切にする、こういった各面にわたりましてゲリラ活動のないように未然に防止いたしますとともに、万一不幸にしてそういったことがございましたときには、その被害を極力縮小するように、旅客あるいは航空機に対します安全対策ということを今後さらに私たちとしては重大な責務と思いまして努力してまいる所存でございます。
  25. 臼井日出男

    臼井委員 先般新聞を見ておりましたら、空港公団の警備について、四百人ほど増員をして、内部を守っておった警察官四百人程度を表に出して警戒できるようにということになったという記事が出ておりました。その詳細については伺いませんが、私は、そういう公団の積極的な、極めて速やかなる判断、これを高く評価をするわけでありまして、ぜひともそういう姿勢でもって今後お進みをいただきたいと思うわけであります。  時間がなくなりましたので、最後に運輸大臣にお願いをいたしておきたいわけでございますが、地元から要望しておりました問題も、すべての面についていろいろな御高配をいただいて非常にうまくいっております。しかし、五十八年十一月以降、私ども地元千葉県知事と公式に会談をしたということはたしかないと思っております。私は、先ほど申し上げましたとおり六十年の半ばに能力限界が来るとするならば、ことしぐらいがタイムリミットに来ているというふうな判断をしております。現実に直接農家の方々とか、いろいろな面で折衝するのは地元千葉県、公団でありますので、ぜひとも近いうちに一度千葉県沼田知事にお目にかかって激励をして、その運輸大臣のお気持ちを率直にお伝えいただけるような機会をつくっていただきたい、そう思うわけでございます。  あわせて今後の御決意を伺いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  26. 山下徳夫

    山下国務大臣 航空行政というよりも今の運輸行政の中で成田問題は極めて重要なものであることは、私も十分自覚をいたしております。それだからこそ今日までいろいろとこの問題について私ども頭を痛めて善後策について協議をしてまいったわけでございますし、今後ともそういう決意を持って、この問題については全知全力をもって当たってまいりたいと思います。  なお、先生の御意見は御意見として承り、また、御要望につきましては千葉県あるいは関係市町村とさらに緊密なる連絡をとりながら、また、今お話がございました直接会ってよく話せということにつきましては、なるべく近い機会にそういう機会を持ちたいと思っております。
  27. 臼井日出男

    臼井委員 どうもありがとうございました。
  28. 小川新一郎

    小川委員長 次に、加藤卓二君。
  29. 加藤卓二

    ○加藤(卓)委員 交通は国の動脈であり、また静脈でもあるし、その安全は国家の運命にもつながるこの委員会で、初めて質問させていただくことを感謝申し上げるわけでございますが、ただ、新人なるがゆえに失礼の段がございましたら、ひとつお許しを願いたいと思います。  我が国の自動車産業のすそ野は広く、政府の大変な支持を受け、また、関連産業の育成をも含めるその環境の形成、自動車の普及のための道路建設、整備等は公共事業を中心に行われて、自動車、特に乗用車に至っては、その保有台数は驚異的な伸びを示しました。すなわち、数字で申しますと、終戦の翌年の二十一年に十七万台であった我が国の自動車の台数は、昭和三十五年に三百四十五万台、そして四十年代に入りますと毎年二百万台前後増加し続けて、昭和四十二年には千百二十八万台、昭和四十六年には二千八十六万台、昭和五十一年には三千九十万台、そして昭和五十六年には四千万台を超え、四、五年で一千万台もふえるという大きな伸びを示してきたのは、これはすそ野の広い産業だという形で政府を挙げ、国民の大きな理解のもとに伸びてきたわけでございますが、自動車の保有台数がふえるのと一緒に交通事故も大変ふえてきているわけでございます。  すなわち、自動車産業の景気の消長が交通事故の増減につながってくるという、とにかく自動車の台数がふえることにおいて、大変な便利をするかわりに交通事故も起きてきた。特に戦後、道路をつくるときにはユーザーは重量税を払い、物品税を払い、大変なローンに耐えて、そして台数をふやしてきたわけでございます。そして国は道路をつくる、そういう形の中で、メーカーは大変恵まれた環境の中でその産業を育ててきたわけです。その自動車産業が政府による大きな保護を受け、そして大変な発展をしてきた今日、社会にどのような還元をしているかということが一つ。それから、自動車産業は、今までそれだけ保護を受けてきたことに関して、交通安全確保のために今後どのような形で貢献していくか、また安全に対しての対策を立てているのか。きょうは大臣見えでないと思いましたが、お見えです。もし大臣でなければ、どなたでも結構でございますが、自動車産業に関して、今日、交通安全に対しての政策、社会還元をどんな形で考えているかということでお話し願いたいと思います。
  30. 山下徳夫

    山下国務大臣 非常に大きな質問でございまして、私から的確に答弁できるかどうかわかりませんが、現在、運輸省にございます許認可の数は約二千二百ぐらいでございます。国全体で一方でございますから、大変な数の許認可が運輸省にある。その中の一番大きなものは何かといいますと、安全性のための許認可でございます。このことでもおわかりいただけるように、運輸行政の中で一番の基本となるべきものは、陸海空すべてを合わせて安全だ。安全性を保つということが行政の一番のポイントだということは、このこと自体でおわかりいただけるかと思います。しかも、今申し上げました二千二百数十の中の安全性の中でも、構造等自動車の安全性に関する許認可、そういうことをチェックするということが数の面でも一番多いのでございます。私は、ただ単に数の面から一つの例をとって安全に取り組む運輸省の姿勢を申し上げた次第でございます。  もう大分前、私がこの交特委に籍を置いておりました当時もいろいろ安全性が論議されました。例えば、トラックと乗用車の正面衝突の場合には、トラックの運転台が地上より非常に高いところにあるからおれの方は絶対に被害が少ない、無意識の中に、自然にそういう安堵感があるのじゃないだろうか。そういう運転台の高さ自体だってもっともっと研究すべきだということが、この場でいろいろ御論議があったことを私記憶いたしておりますが、一つの例として申し上げました。生産は通産省でございますが、そういう構造上の安全性というものは運輸省でございますので、今例をとりましたように、自動車の安全性については細大漏らさずあらゆる角度から、今後とも十分気をつけてまいりたいと思っております。  足りない点は、政府委員の方からまた御答弁申し上げます。
  31. 加藤卓二

    ○加藤(卓)委員 今、自動車の構造に触れられましたが、国産車と外国車では、強度比較をするときに、同じグレードの自動車だとどうも外国車の方がまさっているのじゃないかという感じで一般に認識されておりますが、それが事実かどうかということと、我が国の自動車を輸出するときに外国の強度、規格に合わせるために車体等の強度を補強しているという問題がある。車体の補強をしなければならないような車が国内を走っているのかということが一つと、強度にどうしてもそういう相違があるのかどうかということが一つ。この二点についてよろしく。
  32. 神戸勉

    ○神戸説明員 お答えいたします。  日本製の自動車は故障が少ないというように品質的な面では世界的にも非常に定評があるところでございまして、その意味では安全性は高い水準にあると言えるかと思います。一方、欧米のメーカーの中には安全性をセールスポイントとして取り組んでいるところもございまして、日本のメーカーとしてもそういった姿勢を見習う余地があるのではないかと考えられます。運輸省としましても、我が国の交通事故が欧米に比べて二輪車あるいは歩行者が多いというような点、また小型の自動車が多い等の交通環境の実態等を踏まえまして、自動車の安全性の向上のための研究、安全基準の強化等に努力しているところであり、また、今後とも一層の努力をしてまいりたいと思っている次第でございます。  また、先生指摘のとおり、自動車に要求される最も重要な点は安全の確保、安全性の問題でございまして、自動車メーカーが安全性向上のために努力すべきことは当然でございますので、このような観点から自動車メーカー等関係者についても今後とも強力に指導してまいりたいと思っております。
  33. 加藤卓二

    ○加藤(卓)委員 安全ということを大変留意なさっているのはよくわかりますし、日本の車が排ガスとかいろいろなことでクリアして世界一の車になりつつある。しかし、バンパーだとかいろいろな問題に関して、外国の車が何のためにバンパーをつけているのかというのを見ていますと、本当に衝撃に耐えるためにバンパーをつけているのですが、日本のバンパーがそういう形でなされてないので、外国に出すときにどうしてもそれを補強して出さなければならない。それなら日本でもぜひ補強しないで済むような車をつくっていただくことの方がいいんじゃないか。  それから、安全基準というのをここでぜひ見直していただきたい。省エネだとか資源をなるべく有意義に使おうということで自動車の軽量化ということは当然なされていいんだと思うのですが、それと同時にスピードが出てくる。その出るスピードに比例した安全性が保たれるような規格をつくっていただきたい、こういうふうに願うものでございます。特に、自動車の安全性がスピードに比例して担保されているかという問題点を検討していただきたい。  それから、現行の審査基準の中では大体鉄を主体にしてつくってこられたと思います。しかし、省エネの時代とかなんとかじゃなくて、今ではプラスチックを使い、それもグラスファイバーから今はカーボンファイバーになってくると、非常に強化され、しかも軽くて、メーカーによっては鉄より丈夫なものができるのだというような言い方もされている。そういうものを使うのは結構でございますが、それに見合う安全規格を考えておられるかどうか、ひとつお話し願いたいと思います。
  34. 神戸勉

    ○神戸説明員 お答えいたします。  先ほど先生から御指摘がありましたように、安全かどうかという問題でございますが、日本車は非常に小さい車、形になっておりますので、欧米の同じような小さい車と比較しますと、強度的にほぼ同じようになっているかと思います。ただ、アメリカのような場合、自動車事故は自動車同士の事故が非常に多く、どうしても形として棺おけ型事故と申しましょうか、車の中に閉じ込められてしまうような形の事故が多いわけでございます。そういう意味で大きな車が乗員の被害を少なくするような対策を非常にとりやすいわけでございますけれども、一方、大型化しますと、事故時に他の交通に及ぼす被害は非常に大きくなっているわけでございます。そういうような事情があるわけでございまして、二輪車だとか歩行者の被害が多い、また小型車が多い等の日本の交通環境も勘案して、可能な限りの安全性の向上に努めていきたいと思っております。したがいまして、アメリカの基準につきましても、取り入れることができるようなものについては今後とも参考にして採用してまいりたいと思っております。
  35. 加藤卓二

    ○加藤(卓)委員 運輸省当局また通産の方でも非常に御努力なさって、非常にすそ野の広い産業の中に自動車産業が置かれている。これに対しては私たちも敬意を払いつつも、とにかく排ガス規制のときにあれだけ短期間にクリアし、しかも世界に冠たるエンジンをつくったのだけれども、どうもエンジンに比べると入れ物の方、乗っけて歩く車体や何かの方、私たちが大事にしていただきたいというところが粗末にされている。しかも、どうも売らんかなの姿勢の中に、つけなくもいい部品、安全と関係なくも便利という形ではユーザーから好かれるのでしょうが、どうもそういう形に重点が置かれているのじゃないか。それから、軽自動車が事故を起こしているのを見ているときに、私たち、子供たちに軽自動車にだけは乗せたくないなというような事故の形態をぜひなくさせるように、カーボン、いろいろな形の中で、ひとつ安全という形の中で、軽量でかつ安全なものをつくるような行政指導をぜひお願いしたい。と同時にまた、それだけのことにこたえなければならないのは、ユーザーの方はとにかくいろいろな形で税負担、いろいろな形で購買負担、金利負担をしている。しかし、国は道路をつくる、こういうような問題の中で大変な努力をしていることは事実でございますし、国の公共事業投資という形の中でやられたとは言いながら、それをただ乗りしたというような形でメーカーがとられないように、要するに少なくとも豊田佐吉さんから始まる発明のトヨタが、今日、次のどんな発明をして世の中にこたえていくのか。技術の日産がぜひその技術的な指導の中で安全を確保していただくとか、そういうような形の中で、メーカーが今日あることがメーカーの努力であることは事実でございますが、それを忘れたときに大変な問題が起きるでしょう。  アメリカでは安全、これが一番大事にされながら自動車ができてきているので、日本の自動車に比べるとどうも経済的になかなか骨が折れるのだということを向こうの人も言っていましたが、私は、そうではなくて、安全も日本でもだれかが強く言い出せば必ずこれはクリアできる問題だ、こんなふうに思っておりますので、ぜひ当局の方からの御指導と、それからまた今後ともひとつ大きな発言力ある地位をこの委員会で持っていただけるようにお願いしたいものでございます。これは答えてもらわなくとも結構でございます。  それでは、自動車の方の問題はもう皆さん方がいつもおやりになっているので、しゃべる方の人も飽き飽きしているのではないかと思います。交通というと海上も当然入ってきますので、海上の問題にひとつ触れてみたいと思うのです。  日本の国がとにかく十二海里から二百海里に移ったときに、領海が大体四倍になるし、漁業専管水域というのが五十倍に広がってきているわけです。領海権とか漁業権を守るためにその責任を負うことにもなったわけでございますが、海上保安庁はこのような大幅な拡大された海域において、北方海域における日本漁船の捕獲防止やそれから外国漁船に対する取り締まり等の問題が第一主義で海上保安庁の業務とされているわけでございますが、警備業務のほかに海難の救助だとか海上交通の安全確保、海上における治安維持、海洋汚染防止対策等大変多岐にわたっておられるわけですが、一九七九年の海上捜索救助に関する国際条約、SAR条約というのですか、ことしの六月二十二日に発効されることになっておると聞いておりますが、我が国も先ごろこの条約を承認し、加入することになったため、千二百海里にも及ぶ、またまた大きな本土の十倍にも及ぶ広大な海域の国際的な負担を負わなければならなくなる。そういうときに、捜査をしたりいろいろな活動をするときに、今までの海上保安庁は国際的な新しい潮流の中では、予算が伴わないこともあったでしょうか、どうも昭和五十二年の領海二百海里の問題、こういう問題のときに政府は新海洋秩序への対応がおくれたために、海上保安庁は重点海域を定めて効果的に船艇を使わざるを得ない。航空機の運用も一部に限られるようなことになっていたのではないか。そういうときに、今回はもっともっと広くなってきているので、そういう問題に関して少しこういう委員会を通じて発言の機会を持ち、また、私たちもぜひそういうことにひとつ協力を惜しまないものでございますので、国民の理解、御了解を得られるような努力をしているかどうか、ちょっと御質問するわけでございます。
  36. 辻宏邦

    ○辻説明員 ただいま海上保安業務の重要性についていろいろ貴重な御示唆をいただきましたが、私どもといたしましても、五十二年の海洋二法の施行以来今回また新たにSAR条約への加入という事態になってまいりましたので、巡視船艇及び航空機の整備につきましては、できる限りの努力をしてまいってきております。幸い、現在までにヘリコプター搭載型の巡視船は七隻の整備を見ておりまずし、今後引き続きこういった体制の整備を進めてまいりたいと考えております。
  37. 加藤卓二

    ○加藤(卓)委員 今のこういう国家財政の中では、私たちが言ったからといって予算がなかなか急にふえるものでもないでしょうが、どうもこの間うちの船艇のスピードの問題で、私たちもいささか一等国日本の国辱的な場面がなというような話がちまたに出るぐちいやはり関心を持たれる船のスピードという問題、こういうものに関して、これからは重点的に船艇をつくって、スピードで、いろいろな問題で何か残念な思いをしないで済むように船艇の確保をぜひひとつ、考えておられると思いますが、その点いかがでしょうか。
  38. 辻宏邦

    ○辻説明員 ただいま先生の御指摘のございました今回の不審船に関連いたします事件でございますが、残念なことながら、今回の不審船は四十ノットという高速を持っていた、また予想を上回ります航続能力を持っていた、こういったことによりまして捕捉するに至らなかったわけでありますが、海上保安庁といたしましては、今回のことも教訓といたしまして、より効率的な、効果的な捕捉方法や手段、こういった点につきましてさらに研究を重ねてまいりますとともに、御指摘の巡視船艇のスピードといったような性能面につきましても、今後とも全体の業務の動向を見ながらできる限りの努力をしてまいりまいと存じております。
  39. 加藤卓二

    ○加藤(卓)委員 次に、今度は全然新しい質問になるし、また提案になるのかもしれませんが、今の海上へ入ってくるというか、東京湾へ入ってくる物資の量というのは大変な量だということはよくわかります。そして、それが内陸へ運ばれるときにどうもトラックで運んでいると仮定しますと、それが東京、埼玉を通っていくわけですが、私の選挙区は埼玉だし、委員長の選挙区も埼玉でございますが、どうも埼玉というのは、群馬それから信越へ越える、それから栃木を越えて東北の方へ行く自動車が、東京を出たものが全部通過するわけでございまして、大変な交通量になっておりまして、とにかく県が相当な予算を使っても追いつけないのが現状で、そんなときに埼玉の方で、県庁で、そしてまた新聞紙上で内陸に港湾をつくってはどうかというような案が提案されるようになってきた。  これはライン川に始まり、ミシシッピ川、とにかくアメリカではミシシッピ川の物流の大変な輸送量というのは私たちこの目で見てきておりますが、ライン川も健全に働いておりますし、五大湖を初めとするセントローレンスというのですか、あの川の物資の輸送量も大変なものです。  ところが、どうも日本は、鉄道があれば鉄道にさっと頼るし、鉄道が要らなくなったわけでもないのでしょうが、トラックに移ればすぐトラック、昔のものを、大事なものを捨てちゃっているような気がするのです。特に、関東平野の利根川だとか、荒川というのはとにかく昔から川越ぐらいまで、そして片一方の利根川に至っては群馬境の深谷までは昔からどんどん大きな船が入ってくる。現状でも埼玉まで百九十九トンというのですか、もっと大きな船が入れるのかもしれませんが、ちょうどそのくらいの船が今一日何往復か入っている。現状、何もだれも構わないでおいてもその河川を使って内陸へ重油だとかオイル製品が運ばれている。これは大変大事な交通輸送手段だと思うのですが、そういうものが大変軽視されているために起きるいろんな問題となると、私は、安全という観点からいくと、河川の利用ができるところは十二分に利用すると大変大きな効果が出てくるんじゃないか。  とにかく今の交通の麻痺をなくなすためにも、ぜひそういうふうな交通安全上の観点から、こういう委員会から声を大きくしていただけると、これはこの委員会でできる問題じゃなくて、むしろ建設省だとか運輸省だとか、これが絡んでくる問題だとは思いますが、いずれにしても、ここは建設省も運輸省も、そして通産省も皆さんこういうふうに見えて話ができる唯一の場所でございますので、ひとつ私の方では御提案申し上げると同時に、とにかく日本の河川をいま一度見直していただけるならば大変有意義じゃないかと思うのですが、どなたかひとつ。
  40. 坂井順行

    坂井説明員 お答えいたします。  先生の御指摘でございますが、河川におきます舟運の活用という問題につきましては、航路の維持あるいは洪水時の工作物設置等への影響だとか、あるいは漁業者との調整というようないろいろ解決すべき課題は当然ございます。それで、今御指摘の荒川の件につきましては、確かに石油製品、重油を中心に月間数万トン上っております。東京湾の中から入っております。したがいまして、先生指摘のもっと積極的に活用すべきではないかということでございますけれども、運輸省といたしましては、道路交通への負荷の軽減とか陸上交通における事故減少という観点から、河川の舟運の有効性について十分認識しておるところでございますので、今後とも東京圏全般について舟運の活用方策について少し検討をしてみたい、かように考えておる次第でございます。
  41. 加藤卓二

    ○加藤(卓)委員 随分積極的な御意見のように受けとめるわけでございますが、特に埼玉は先ほども申した海のない県、関東には海のない県が幾つかあるわけでございます。しかし、交通が非常に渋滞しているというのは、特に埼玉の場合は信州へ行く、それから東北へ行く、そして信越と東北の両方の自動車が一遍に集まってそれが東京圏に入ってくるところなんで、これはただ軽く考えないでもっと重点的に考えるというのは、これは用地買収して道路をつくるときの苦労から比べれば非常にやりいいんじゃないか。もっと建設省と運輸省と、しかも漁業組合などという団体なりと話し合いをすればとにかくできることだ。現実に何も構わないで置いておいても二百トン近い船が、二百トンと言えば瀬戸内海でも随分みんな走っているタンカーですが、それがどんどん内陸へ入っているわけです。それからいくと、港湾施設や何かをつくることにおいてコンテナ船、材木だとかそれから本当に危険物、これは今皆さん簡単に考えているかもしれませんが、大変な危険物が道路の上を走っているわけです。これが一たん事故を起こしたときのことを考えると、河川で運んでいるときの方がはるかに危険度合いが少ないんじゃないかとか、コンテナだってやりようによれば積めるんじゃないかとか、そういうような形で、ライン川の交通状況とかというのを私はずっと戦前から注意して見ていればよかったのですが、この間ちょっと書類だけで見ましたら、汽車の貨物輸送はがくんと落ちていますが、あの輸送はほとんど並行してむしろ減らずに動いている。そしてトラック輸送はある種の上の高いところで動いていますが、現実にこのラインがなくなったときのトラック輸送の量というのは大変なことになるんだということを向こうの方もおっしゃっている。アメリカに至っては、あれだけの大陸の中を相当な形でまだ使われているのだということです。  ですから、日本のこれだけの住宅密集地の中を通るわけでございますので、そういう問題に関してはぜひひとつ今後とも御関心を示していただけるよう、運輸大臣の方からもまたよろしく御指導願いたいと思いますが、最後に運輸大臣、きょうは大変お忙しいところどうも御苦労さまでした、ひとつその問題に関して。
  42. 山下徳夫

    山下国務大臣 今の道路交通状況から見ますと、先生の御指摘まことにごもっともだと思います。特に水利ということは、私のところは川に面しておりまして、私は材木屋なんです。それで川の相当の地点でもって百トンぐらいの船で今日までずっと積んでおりますから、大体承知しておるつもりでございますが、場所によっては小運河をつくってでも水でもって運ぼうという時代でございますから、当然のことだと思います。しかし、いろいろ条件がございます。今答弁いたしましたとおりでございますが、そのほかにも河川の水の汚染の問題とかいろいろ出てくると思いますが、これは何も先生のおっしゃることに対して防衛的な立場で申し上げているのじゃございません。そういうものを十分考慮しながら、早速建設省その他関係の省庁と協議することにしたいと思います。大変ありがたい御意見だと思っております。
  43. 加藤卓二

    ○加藤(卓)委員 以上で終わらせていただきますが、どうもありがとうございました。
  44. 小川新一郎

    小川委員長 次に、森中守義君。
  45. 森中守義

    ○森中委員 幾つか問題がございますが、まず最初に警察庁と防衛庁にお尋ねいたします。  私の郷里は熊本ですけれども、熊本に防衛庁の第八混成師団があります。この八師団の中に健軍並びに清水という二つの基地が展開されていて、この基地から何キロかわかりませんが、周辺の演習地に向かって演習に出発する。これがまた大変なものですよ。熊本はまだまだ道路が完全に整備をされておりません。それなのに、たしか十一トン車くらいの大きな兵員輸送車に完全武装した兵員を満載して、まず三十両くらい出ていく。その中に指揮官車のジープが点々と入って、これが五、六台いる。それから給油車、それから飲料水を持ったり弁当を積んだり、そういう付随車が十五、六台いる。出発するに当たって、総勢百両くらいの編成で出てまいります。まさに、そこのけ自衛隊様のお通りだよ、こう言わんばかりで、市内の渋滞は大変なものですよ。  今まで人身事故がないのは幸いだと思いますけれども、これは私は五、六年前から一回は何かの機会に申し上げなければいかぬ、こう思っておりましたが、そういう自衛隊の日課に従ってやる訓練までやめろとは言わぬけれども、そういう運用上できることですから、百両出ていく場合に三つか四つか五つくらいに区分けでもして、交通渋滞にならぬような運行はできないものかどうなのか。これをひとつ警察庁、何かの機会に防衛庁とよく相談してもらいたいし、防衛施設庁の方でもその辺の一般常識でわかることだからそういう配慮はしてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
  46. 広谷干城

    ○広谷説明員 御指摘のように、熊本市内におきまして自衛隊の演習に車両が続行していくというようなケースがあるようでございます。それがラッシュ時にもかかるというようなことがあるようでございますので、警察といたしましては、自衛隊ともいろいろお話をいたしておりまして、特にラッシュ時にかかることをできるだけ避けていただくようにとか、また梯団が大きくなりました場合には梯団をそれぞれ適宜なところで若干切っていただくというふうなこともいろいろとお話を申し上げておるようでございますけれども、今後とも自衛隊と緊密な連絡をいたしまして、ラッシュに拍車をかけることができるだけ少なくなるように協議をしてまいりたいと考えております。
  47. 森中守義

    ○森中委員 広谷さん、これは二つの基地から放射線的に出ていくわけです。この方面に大矢野演習場がある。それから阿蘇、久住、天草、どれも国道が非常に狭いですから、あのでっかいのがいれば、救急車も対向車がいて通れませんよ。私なとも急いで空港に駆けつけるようなときには、よほどうまく縫っていかないと飛行機に乗りおくれるような場合がある。防衛庁にもよほど注意をしておいてください。そして、でかいものだから小回りがきかずに、よけもしない。人の話によると、指揮官車のところに行って、何じゃやかましいと言ったら、文句を言うなと怒っているわけです。それに、兵隊がカービン銃を持っているから物騒千万です。
  48. 大高時男

    ○大高政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の方から熊本におきます第八師団の訓練の状況並びに部隊の行動についていろいろ問題があるという御指摘があったわけでございますが、自衛隊におきましては、車両部隊が移動します際には車両を分散して時間差を設けてやっていくというのを基本にいたしておりまして、熊本の第八師団におきしても内規を設けましてこれを数両程度に区切ってやっていくというふうに、そのときの交通の状況あるいは繁閑あるいは車両の種類等を見ながらやっておるわけでございます。ただいま警察の方からいろいろ御指導も賜るということでございますので、そういった面も念頭に入れながら今後やってまいりたいと考えております。
  49. 森中守義

    ○森中委員 何しろ市街地ですから、郊外に出るまで一時間ぐらいかかる。それから先がまた大変。恐らく出発点から目的地まで九十分から百二十分ぐらいかかるのじゃないでしょうか。相当なものですよ、もちろん毎日じゃありませんが。自衛隊の日課がよくわからぬけれども、それはもうその土地に住んでいる者にとってみると非常に困惑する場合が多い。どこかに移転してもらうと一番いいのだけれども、今そうもいかぬし、これはよく八師団の方にもお話しになっておいてください。
  50. 大高時男

    ○大高政府委員 ただいま申し上げましたように、周囲状況あるいは交通の状況、車両の構成等、今先生の御指摘の点を十分踏まえまして事故のないようにやってまいりたいと思っております。
  51. 森中守義

    ○森中委員 それから、せっかく防衛庁もおいでいただいておりますので、先日の那覇空港のあの全日空機と自衛隊機の接触の問題をちょっとお尋ねしておきたいと思う。  山下運輸大臣、あなたの在任中にこういう不幸な出来事が起きないようによほど気を使ってください。かつて私は参議院時代に、丹羽さんが運輸大臣のころ、随分あの人が苦労されたことを覚えております。例の雫石の問題、あの惨劇がまだ残っておる。あれはまだ訴訟も済んでいないでしょう、係争中じゃないですか。  それで、運輸省からは書面でかくかくであったという中間的な報告をちょうだいいたしました。しかしまだぎりぎりの調査結果の報告でないようですが、防衛庁はこれは調査されておられますか。
  52. 大高時男

    ○大高政府委員 お答え申し上げます。  今回の那覇におきます事故につきましては、防衛庁としてもまことに遺憾に存じておるわけでございまして、運輸省の方の事故調査委員会に並行いたしまして、防衛庁におきましても事故調査委員会を設置いたしまして、現地に航空安全管理隊四名も派遣いたしまして、現在鋭意原因の究明に当たっておる。この運輸省の事故調査委員会あるいは防衛庁の事故調査委員会の結論を踏まえまして、今後こういう事故のないように抜本的な対策を立ててまいりたいと考えておる次第でございます。
  53. 森中守義

    ○森中委員 民間機は出発点から到着点まで、より安全に人を運ぶのが目的。自衛隊機はそうじゃなくて、いかにして敵機を撃ち落とすか、人殺しをやるかが目的だから、そういう目的が違うからめちゃくちゃなことをやっていいということはないと思う。それで、パイロットはキャプテンが一尉、それからコーパイが一尉でしたね。その辺の航空法上のライセンスは、民間の場合と自衛隊の場合でどうなっていますか。
  54. 大高時男

    ○大高政府委員 お答え申し上げます。  当日この事故を起こしましたMU2型機でございますが、これを操縦いたしておりましたのは操縦士の田中繁利、那覇救難隊所属でございまして、一等空尉でございます。本人は操縦士の資格を持っておりますし、飛行時間につきましては二千八百三十九時間余ということで、かなりの中堅クラスということになっております。それから当時一緒に乗っておりましたのが機長でございますが、機長は善光一尉でございますけれども、同じく那覇救難隊に所属ということで、これも航続時間は、今までの飛行時間でございますが、二千四百七十七時間余ということでございまして、大体中堅クラスというところでございます。ただ、この場合におきまして機長はMU2の操縦につきましては上級、それから田中操縦士につきましてはMU2の操縦につきましては中級という資格を持っております。
  55. 森中守義

    ○森中委員 MU2というのはスクランブルする飛行機ですか。どういう目的を持っている飛行機ですか。
  56. 大高時男

    ○大高政府委員 現在航空自衛隊におきましてMU2は救難目的に使っておりまして、バートル107型という回転翼の航空機がございますけれども、ヘリでございますが、これと二機で一組になって遭難いたしましたパイロットの救助等に当たる。その場合におきまして、MU2型機が現場に先行いたしまして遭難機あるいは遭難者を発見する、後ややスピードの遅いバートル107型が現場に到着いたしまして救助する、そういうふうにチームプレーで動くという形になってございます。
  57. 森中守義

    ○森中委員 西村航空局長見えていますか。さっき私がお尋ねしたのですが、今のお話だとパイロットは二千八百時間とか二千百時間、こうおっしゃるけれども、航空法上の民間機の機長等のライセンスとそれから防衛庁のそういう機長などのライセンスは相当開きがありますか。大体民間では三千八百時間ぐらいが機長のライセンスだと私は記憶しているけれども
  58. 西村康雄

    西村政府委員 今大変申しわけないのですが、手元に資料がないので正確なことをお答えできないのですが、自衛隊のパイロットの資格は民間航空に準じてやっていると承知しております。
  59. 森中守義

    ○森中委員 その辺が一つの大きな問題だと思うね。要するに、民間と軍用と共用空港があるわけだから、このMU2は救難機とおっしゃるから一分一秒を争わぬだろうけれども、場合によるとスクランブルをかけるような場合には一分一秒を争うかわからぬ。そういう場合には、それこそさっと飛び立つような場合には非常に難しいと思う。ですから、民間のパイロットのライセンスと自衛隊のパイロットのライセンスはある程度、むしろ航空局のライセンスを持たしておく必要があるんじゃないですか。そうしないと、自衛隊流の流儀によってこんなことをやると、これは大変なことになる。航空局長、自衛隊のパイロットのライセンスも航空法の枠の中に入れ込んでみたらどうですか。
  60. 西村康雄

    西村政府委員 航空機の操縦の基本については自衛隊機も民間航空機も同じでございますが、実際に自衛隊機は自衛隊機としての使い方、速度、性能等諸性能がございますので、そういう点では民間のパイロットの基準でこれを一律にやるということはかえって不適切な面がございます。実際に自衛隊の例えば戦闘機等の能力というものにつきましては、これは民間のパイロットの方の基準で当てはめようもございませんし、それは今言われたような自衛隊の自衛隊機としての特有の使い方に応じた、そして実際に民間航空機とともに混在するような使い方もある程度想定した、そういった形でのパイロットのライセンスというものは自衛隊が十分に安全面を考慮してやっていただくことが適当だと考えております。
  61. 森中守義

    ○森中委員 いや、これはおっしゃる説もわかりますが、民間も自衛隊もやはり安全という点でちっとも違わないと私は思う。自衛隊だから不安全であっていいということは言えませんよ。やはり飛行機は国のものであるし、乗っている人も日本人、その家族もいることだから、これは自衛隊のパイロットといえども人命はあくまでも尊重されなければならぬ。だから、そういう航空の安全という立場から見るならば、それは民間も自衛隊もちっとも違わないと思う。その辺はこれから先、大臣、防衛庁長官に言って、ひとつ空幕と航空局と一遍協議をやって、何かその辺で整合しておいたらどうなんですか。どうも自衛隊と民間の安全の目的意識が違っているような気がしますから、整合してもらいたい。
  62. 西村康雄

    西村政府委員 従来から自衛隊、防衛庁との間では、これは航空交通管制のコントロールのもとでやっておりますので、運輸省側は管制部の管轄区域ごとに自衛隊と打ち合わせを定期的にやるようにしております。いずれもこれは安全問題をテーマにしてやっているわけでございまして、中央でもできるだけ諸問題のあることに安全問題について協議をしていくということにしておりまして、そういう点では、安全を確保しなければならないというのは自衛隊でも非常に切実に感じておられることでございます。
  63. 森中守義

    ○森中委員 今度の場合、全日空機が右の方からずっと着陸してきた。自衛隊機は左の方から割り込んで出ようとした。しかし、ここにもやっぱり見張り義務という問題が出てくるけれども、それはいずれも有視界でしょう。そうすると、今航空局長の言われるように、コントロールという点では自衛隊を拘束しておるとおっしゃるけれども、その拘束を今度自衛隊が全然無視した、こういうことになるわけだね。あの報告書では大体そういうように私は受け取っている。
  64. 西村康雄

    西村政府委員 今回の事故の場合も、自衛隊機はフライトプランを管制当局に出しまして、そしてその後気象状態が必ずしも良好でないということを懸念しまして、特別有視界飛行ということの請求をしてきたわけでございます。そういう意味で、自衛隊機も完全に管制の中で飛ぶということをルールとして行動していたわけですが、最後の一点の離陸の許可ないし滑走路への進入という点について過失で入っていった。殊さらに法を無視して入るつもりでお入りになったとは理解しておりません。
  65. 森中守義

    ○森中委員 その辺が問題でね。本当に間一髪。片一方は二百二十二人乗っている。また第二の雫石が発生しないとも限らなかった。そういう意味で、常時空幕と航空局と打ち合わせている、こうおっしゃるけれども、やっぱり人命の保全という意味ではもう少し防衛庁も慎重に事を運んでいかないと、離陸の許可がない、滑走路に進入していいという許可がないのを無視して出たということになると、これはもう大問題ですよ。
  66. 大高時男

    ○大高政府委員 航空機の航行につきまして自衛隊、民間を問わず安全を重視するというのは、これは当然のことでございまして、今回の事故につきましては、先ほど来申し上げておりますように事故調査委員会調査を待ちまして抜本的な対策を講じてまいりたいわけでございますが、特別有視界飛行の許可を申請し、その後これを離陸許可というふうに誤解した可能性というものは非常に高いわけでございまして、今後これはどういうわけでそういう形になったかという点、詳細に究明してまいる必要があろうかと思います。  しかし、いずれにいたしましても、こういった接触事故が起こりまして、乗客、乗員あるいはまた空港関係者の方あるいは沖縄県の方々に大変な御不安をお与えしたことは事実でございまして、これについては深く遺憾の意を表しますとともに、同時に、こういった事故が引き続き起こるということの絶対ないようにということで、この事故が起こりまして直ちに、航空救難団隷下の救難隊、九個ございますが、これにつきまして、管制基準あるいは関係例規を教育する、あるいはまた安全のための例えば的確なリードバック、管制塔から指示がございますけれども、これについてリードバックをやっていく、あるいは基地の管制隊あるいは管制官とのミーティングをやり、お互いの意思疎通を図るということをやってございます。  また、那覇におきます南西航空混成団でございますが、これにおきましても管制指示とかあるいは許可等につきまして、リードバックあるいは確認、それからまた基本的な諸動作でございますけれども、これはもう自衛隊に入りましたときから、航空学生のときからきちっと教えてきておるわけでございます。また、隊でもいろいろやっておりますが、これをさらに徹底していく。その他の部隊につきましても、事故防止対策の徹底を図るということで全部隊に通達を出してございます。  それからまた、航空機は航空自衛隊だけではございませんので、陸上自衛隊及び海上自衛隊のそれぞれの航空部隊に対しまして、管制に係る安全対策等について通達を発出いたしております。  なお、五月三十一日に運輸省の航空局長から私あてに事故防止の徹底について通達がございまして、これにつきましても私が直ちに関係の部隊、機関、これに示達したということで、事故の絶無を期してまいるというつもりでございます。
  67. 森中守義

    ○森中委員 どういう飛行機でもフライトプランを出して認可を受けて、後は管制官の指示に従うのは常識ですね。今度の場合には管制官のミスでもない、聞き違いでもないようだし、これはやはり防衛庁の操縦桿を握っていたパイロットの人の問題ですね。ですから、事故が幸いにして人身事故になっていないからこれ以上申し上げないけれども、しかしながら、人だから、神ではありませんからね、ちょっとしたことが取り返しのつかない大事になるわけだから、これは運輸省も、この前私どもがちょうだいしたあの調査報告だけで終わるわけじゃないでしょう。これはひとつ徹底的に、双方で個別的に調査をやるのも必要だろうし、あるいは合同の調査も必要だろうし、責任ある措置をとってもらいたい。  一等空尉というと相当高い地位にあるわけですね。航空司令なんというのじゃないですか。
  68. 大高時男

    ○大高政府委員 先ほど説明いたしましたように、安全教育につきましては航空学生になりましたときから、部隊におります勤務を通じまして終始一貫いろいろな形で教育を行ってきておるわけでございますが、今後さらにこれを徹底してまいる。また、今回の事故につきましては、先生指摘のように原因をよく究明いたしまして、また運輸省等ともよく連絡をとり、こういった形の事故が出ないように万全の対策を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  また、パイロットにおきまして一等空尉というのは、大体現役の中心と申しましょうか、一番働き手というようなところというふうに御理解賜ればありがたいと思います。
  69. 森中守義

    ○森中委員 結局、防衛庁の内部訓練によってパイロットの資格を与える。しかし、それは大体航空法に定めるパイロットのライセンスに準拠しているというお話のようだけれども、もうちょっと内部でライセンスを強化したらどうですか。この場合には技量未熟であるのか何か知らぬけれども、お粗末という一語に尽きる。もう少し内部で訓練の強化、教育の強化、同時にライセンスの水準を高める、そのくらいのことをしてもいいんじゃないですか。
  70. 大高時男

    ○大高政府委員 確かに安全教育の徹底ということは大切でございまして、先生いろいろ御指摘を賜ったわけでございますが、今後さらに安全教育を徹底してまいるということでございます。  いずれにいたしましても、両名ともかなりの飛行時間があり、しかも中堅の地位にある者が今回どうしてこういう形で、いわゆる特別有視界飛行の許可を離陸許可という形に誤認あるいは誤解したのかという点につきましては、やはり今後の調査を待って抜本的な対策を講ずるということでまいりたいと思っております。
  71. 森中守義

    ○森中委員 それでは、この項は終わります。警察庁、防衛庁、大変ありがとうございました。もうその関係は終わりましたからどうぞお引き取りください。  運輸大臣、前回ちょっとお尋ねしましたが、例の規制緩和の問題ですね、あの作業の現況をちょっと教えてください。
  72. 山下徳夫

    山下国務大臣 先般も申し上げましたように、運輸省が一番許認可事項が多いということは先生も御承知のとおりであります。許認可官庁から政策官庁へ脱皮し、昨年の七月には他省庁に先駆け、また他省庁にないような大きな機構の改革もいたしました。それ以来一つ一つチェックしながら、これらのもので不要なものはないか、改正すべきものはないかということを、今日なお委員会をつくって、毎日それらについて作業を進めておるところでございます。  件数その他について御必要でございますれば、局長なり執行部から答弁させます。
  73. 森中守義

    ○森中委員 包括的には今のお話でわかりますけれども、やはりこの前もちょっと申し上げたように、規制というのはできるだけ、可能な限り緩やかであることは結構です。しかし、運輸省は許認可官庁、こうおっしゃるけれども、規制というものは一定の運輸の秩序を維持するために規制があるわけですから、そのことを無視してどれもこれも外していくと公共性が失われていく。秩序が乱れていくとなると、これは大変ですよ。  余り細かなことを大臣にお聞きしてもおわかりでないでしょうが、担当の局長見えていらっしゃるようですから伺いますが、いろんな社団法人とか関係の団体等から、規制緩和についてさまざまな意見の開陳あるいは希望の表明等があっておりますか。
  74. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 昨年から私ども運輸省挙げて事業規制の見直しといいますか、問題に取り組んでおるわけでございますが、従来まで関係の団体といいますか、これは例えば経団連初め関係業界などからそれについていろいろ御意見が出ておることは事実でございます。
  75. 森中守義

    ○森中委員 ごく最近、運輸省の認可をもらっている社団法人に全国霊柩運送事業協同組合というのがありますが、ここからも何か申し入れが届いておりませんか。
  76. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 まだ事務的に私どもの手元には届いておりません。
  77. 森中守義

    ○森中委員 私のところにもその申し入れがありましたが、内容は非常に格調が高く、その業界の特異性は極めて高い公共性を持っている。ついては、その公共性を維持していくためにはどうしても現在の免許制を維持しなければいかぬ、運賃制を維持してもらいたい。さればといって、競争原理を否定する、行革審を否定するものではございません、こういうような意味が書いてあって、どうしても公共の秩序を維持していくためには運賃、免許が必要だ、こういう趣旨になっておるようでございますが、いずれ具体的にする場合には、事前に業界に何らかの見解の表明を求めたい、いわば事前協議とでもいいましょうか、そういうようなことの意見が付されておりました。いずれ局長のところにも来るでしょうが、今私が申し上げたことについてはどうお考えですか。
  78. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 現在、事業規制の問題については、先ほど来申し上げておりますように検討を進めておるわけでございますし、また、政府の中として見れば行政改革推進審議会でも検討されている。そういう中で、私どもこれから具体的な作業を進めていく、あるいは今申しました審議会からも結論なり答申が出るというふうなことが予想されますが、そういった中で具体的に検討していく過程におきましては、業界団体など関係者の意見も聞くこととしたいというふうに考えております。
  79. 森中守義

    ○森中委員 航空局長は帰りましたね。——いいです、大臣がおられるから。  大臣、ちょっと航空問題で一つ大事なことを私申し忘れていました。那覇の問題ではございませんが、日米の地位協定に基づいて米軍が張りめぐらしている我が国上空の領空の空域の問題。この空域をもうちょっと拡大するように、端的に言うならば航空主権の回復を図れるような、こういう日米交渉はできませんか。
  80. 山下徳夫

    山下国務大臣 これは局長が御答弁申し上げる予定になっておったようでございまして、私もよく事前に説明を受けておりませんが、この問題につきましては、米軍が行っております進入管制業務の返還問題、これは一昨年の末以来、実務者レベルにおける双方の意見交換の場において、当方より米側の意向の打診を行ってきております。これに対しまして、米側は、重要な問題であるので慎重に検討いたしたい、このような意向でございます。いずれにいたしましても、運輸省といたしましては、今後とも機会あるごとに本件問題を米側と協議してまいりたいと思っております。  また、米軍の使用しております訓練空域につきましては、日米安保条約の目的達成のための米軍の任務の必要性を勘案しながら、民間航空交通の安全の確保のため必要な調整を図ってまいりたい所存でございます。
  81. 森中守義

    ○森中委員 これは、大臣、今日の貿易摩擦の問題でもそうであるように、もう戦後何年になりますか、いつまでも勝者と敗者の関係じゃございませんよ。我が国の領空は我が国の領空権があるわけだから、それはやはり主権国家としての航空の空域はきちんと確保できるように一層の努力を願いたい。このことを最後に強く期待いたしまして、もう時間が参りましたから、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  82. 小川新一郎

    小川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十四分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  83. 小川新一郎

    小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。村山富市君。
  84. 村山富市

    村山(富)委員 私は、一九八三年三月十一日北海道の空港で発生しました日本近距離航空のYS11機墜落事故の問題について若干お尋ねしたいと思うのです。  この事件につきましては、テレビで報道特集で放映されましたが、それも私は拝見をさせていただきました。同時に、朝日ジャーナルに「YS11中標津事故の秘められた真相 事故調査委結論「機長操縦ミス」は国産機の名誉を守る策謀だ」、こういう意味の見出しで書かれている記事も読ませていただきました。その後私なりに関心も持っていろいろ調査のできる範囲を調査もいたしましたけれども調査が深まってくるたびに疑問が深まっていく、こういうものではないかというふうに思われますので、事実関係等について若干確認をさせていただきたいというふうに思うのです。  そこで、まずお尋ねしたいと思うのですが、事故調査委員会は、この種の事故が起きた場合に、例えば事故機の機体あるいは計器あるいは航空の保安施設、さらにまた気象状況等々、事故に関連をするいろいろなデータを集めて、そしてなぜ事故が起こったのかという真相が明らかにされるというような調査をされるものだと思うのですが、その点はどうでしょう。
  85. 八田桂三

    ○八田説明員 ただいま御指摘のございましたように、そういうむしろ関係者の方々が生存していらっしゃる場合あるいはその目撃者などを含めますと、私どもは口述と申しておりますけれども、そういう方々のあらゆるお話を伺う、そういうことも含めまして、先ほどおっしゃいましたいろいろな客観的なものを全部取りまとめまして、まずそれの資料を集めます。さらに、それが必要でございましたら、もちろん調査官の方でいろいろ細かい分析、解析をやりますけれども、何分我々だけの能力で足りないと委員会判断いたしました場合は、その方面の特別の学識経験者の方々を専門委員としてお願いいたします。その専門委員の方々にはそういう資料を提供いたしまして、完全なフリー、自由な立場でよく御研究いただいて私どもに御意見をいただく。最終的な判断は私ども委員会がして、専門委員の方の判断は参考意見ということになりますけれども、そういう方々の意見も十分承りまして、最良、最も公正で科学的だと考える結論を出したい。目的はあくまでも事故の再発防止という設置法に従ってやっておるつもりでございます。
  86. 村山富市

    村山(富)委員 そういういろいろなデータを集めて調査を進めていく。調査を進めた結論として、どこに原因があったのか、責任はどこにあるのかということがだんだん明らかにされていくわけですね。事故調はできるだけ科学的に正確に調査をして、原因を究明して、再発のないようにする。一方、警察は犯罪を捜査するわけですから、したがってだれが責任者なのか、だれの間違いなのかを追及していくことになろうかと思うのです。しかし、事故調の調査によってどこに原因があるのか、だれの責任なのかということについてはぼ明らかにされていく。  調査の過程で、その原因と責任は、一つ航空会社自体に管理あるいは運営上の責任はないのかということもあろうと思うのです。それからもう一つは、例えばエンジンとかプロペラとか機体そのものに事故の起こってくるような原因がなかったのかというごとも一つは問題になると思うのですね。それから機長の操縦には誤りはなかったのか、こういうことがそれぞれ原因として絞られてくるのではないか、こういうふうに思うのですが、その点はどうでしょうか。
  87. 八田桂三

    ○八田説明員 私どもの方は、今先生の御指摘のように、事故原因といたしましては、ある場合には運航会社の管理——事故は直接原因あるいは間接原因があり得ましょうが、それが関与している場合もあるかと思いますし、それからもちろん機材のことも非常にございます。それから、最後にお話がありました機長さんその他のヒューマンエラーというようなことも一般論としてございます。  先ほど責任とおっしゃいましたけれども、責任は、先生お話しのように警察の問題でございます。私どもは犯罪捜査のためでないということが設置法に明記されております。したがいまして、極力それに従う。一方、警察と申しますか、犯罪調査の方も法律がございます。私は警察か検察か何かよく知りませんが、大分そういうものがございます。そうすると、現場で調査でいろいろ競合することがございますし、それから確かに鑑定依頼というようなこともその調査をうまくやるために受けることになっております。ただし、警察が御関係にならない場合はもちろん鑑定依頼は参りませんから、私どもだけでやることもございます。だけれども、警察などが入ってまいりました場合には大抵鑑定依頼ということはついてまいります。  押収とか何かということになりますと、私ども事故再発防止のために、所有者の方々に事故再発防止に協力してくださいということでお願いして、ある物をしばらくお借りするということですが、警察の方は令状がやはり要るのだろうと思いますけれども、強制捜査権なり強制で押収する権利もあるのだろうと思います。そういう関係で、結局物が取りっこになっても困りますので鑑定依頼を受けますけれども、それに対して我々の設置法の先ほどの趣旨もございますので、我々は事故原因を調査いたしますと必ず大臣に報告して公表しなければいけません。  それで公表したもの、要するに報告書でございますけれども、報告書をもって鑑定のあれにかえる。それについては、たまにこれについてどういう意味だ、説明しろということがございましても、内容については、全部そこに書いてあるだけだ、あとテクニカルタームなんかの説明ぐらいはいたしますけれども、それ以上のことは御勘弁願うということで、その趣旨に沿うべく努力いたしておるつもりでございます。
  88. 村山富市

    村山(富)委員 後で大臣の見解も聞きますから、大臣、聞いておいてくださいね。  順次事実関係を私はお聞きしていきますから、質問した部分だけにお答えをいただけばいいと思うのです。  それで、もちろん責任追及は警察の仕事ですね。原因の究明は事故調の仕事、責任追及は警察の仕事。これは犯罪の捜査ですからね。だけれども、警察が責任を明らかにさせるためには、その素材として事故調の報告書がやはり基礎になるということは当然だと思うのですね。  そこで、私が今まで聞いてきた経過からしますと、この事故が起こった原因と思われる事故原因者というのですか、原因関係者は、一つはやはり航空会社一つはプロペラやエンジン等々機材に関係のある企業、もう一つは、今度は乗員、機長とか副操縦士とか、そういうものがこの事故に関係する原因関係者と思われるのですが、そこらの判断はどうですか。
  89. 星忠行

    ○星説明員 お答えいたします。  航空事故調査委員会設置法におきまして法律の文言として原因に関係がある者ということが出てまいりますのは、「原因関係者等の意見の聴取」という、最終段階におきましてそういう文言が出てきます。これは、事故調査をいよいよ終える前に原因に関係があるものと認められる者に対しまして意見を述べる機会を与えるという規定でございまして、中標津事故の場合は機長及び副操縦士が原因関係者に当たるということになっております。
  90. 村山富市

    村山(富)委員 機長や副操縦士が原因関係者となっていると判断できるのは、相当調査が進んである程度のめどがついてからじゃないですか。私はそんなことを聞いているのではないのですよ。事故が起こった当時、事故調が調査をやる、調査をやる範囲内においてだれが一体この原因関係者なのかということを考える場合には、そういうものが想定されるのではないですか。これはちょっと警察に見解をお聞きしましたら、そうですと言っていましたよ。  そこで、私はやはり航空会社、それから機材やプロペラ、エンジン等を担当しておる企業、さらに操縦しておる乗員等々にミスがなかったのかというところに問題がいくと思うのです。これは今言われた運営規則からいっても、原因関係者ということではそれぞれ平等に扱われておるわけですから。  そこで私がお尋ねしたいのは、エンジン、プロペラについて、エンジンは三菱重工サービス、これはこのエンジンをオーバーホールした会社ですね。それからプロペラは住友精密工業、これはプロペラをオーバーホールした会社ですね。その事実は間違いないですか。
  91. 星忠行

    ○星説明員 間違いございません。
  92. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、事故調はそういう機材、エンジン等々と関係のある企業であるということを承知の上で直接その会社に調査を依頼したのですか、どっちですか。
  93. 星忠行

    ○星説明員 調査という言葉意味合いでございますが、調査にはいろいろな段階がございまして、外形的に残されておる事実、部品とか残骸の状況といったものを例えば寸法はどうなっておる、どこがどうひしゃげておる、どういう箇所に傷がある、こういった事実調査をする段階と、今度はそういう調査結果から考えまして、どういう事実が結びついて、あるいは前後関係がどうなって事故の発生に至ったのであろうか、その過程を推理して組み立てていく、そして最後にこういうふうにして事故が起こったのだろうと認定する事実といったような、いろいろな調査段階がございます。  それで、最初の外形的な部品の形態とか損傷の状況といったものを調査する際に、専門技術者の手をかりる、そのエンジン、プロペラに詳しい者の手をかりるという意味で、おっしゃった三菱重工とか住友精密といった関係者に調査協力してもらったという事実はございます。
  94. 村山富市

    村山(富)委員 どういう中身の調査を依頼したかと聞いているわけではない。私が聞いているのは、この企業はそれぞれ事故の起こった機体に関係のある企業ですね、そうですと言うから、その企業に事故調が直接調査を依頼したのですかと聞いているわけで、調査の中身は何ですかなんて聞いていない。どっちですか。
  95. 星忠行

    ○星説明員 調査を依頼いたしました。
  96. 村山富市

    村山(富)委員 事故調が直接その会社に依頼したのですね。
  97. 星忠行

    ○星説明員 担当の調査官が依頼いたしました。ただし、お断りしておきますが、調査のすべてを依頼したのではなくて、ごく一部分の調査の作業に参加してもらったという形でございます。
  98. 村山富市

    村山(富)委員 私は事実関係だけを間違いありませんかと聞いておるわけです。  その調査の費用については、近距離航空の会社に負担してもらった。これは近距離航空がその費用については負担いたしますという申し出があって負担をしてもらったのか、あるいは調査委員会なら調査委員会の要請でもって会社に要請して会社の方もそれでは負担させていただきましょうということで負担することになったのか、どっちですか。
  99. 星忠行

    ○星説明員 企業の申し出に応じたものであります。
  100. 村山富市

    村山(富)委員 今回の墜落事故について、近距離航空がかかった費用の負担をした部分はどの部分ですか。全部負担したのですか、どうなんですか。もっと言えば、報告書を出すまで調査全体に費用が幾らかかって、その費用のどの部分を近距離航空は負担したのですか。わかりますか。
  101. 星忠行

    ○星説明員 調査は、事故調みずから調査官の手で行ったもの、あるいは今先生がおっしゃった関係者以外のところで調査を行った部分、あるいは今先生が関係ありと認められた企業の手をかりてといいますか、軒をかりてそこで調査を行った部分、いろいろな調査がございます。そして、三菱とか住友で行った調査の分について近距離航空の費用協力の申し出に応じました。
  102. 村山富市

    村山(富)委員 そうしますと、近距離航空が負担した費用というのは、エンジンのある部分について調査を三菱に依頼した、プロペラのある部分について調査を住友精密に依頼した、その部分の費用は近距離航空が負担した。あとは全部事故調が持ったのですか。事故調の費用、予算ですね、どうですか。
  103. 星忠行

    ○星説明員 そのほかに東亜国内航空の手をかりてやった部分もございますので、そういう部分について近距離航空が費用を一部負担したということを聞いております。
  104. 村山富市

    村山(富)委員 次に、確認させてもらいたいと思うのですが、一九八三年六月三日、事故調との打ち合わせ会議が行われているわけですけれども、その会議に三菱重工の担当者、近距離航空の関係者等々が立ち会っていますね。それから一九八四年一月三十一日、エンジン分解検査等々の参加者に近距離航空あるいは全日本空輸、これは聞きますと近距離航空に全額出資の親会社だそうですが、それから三菱重工の関係者が十二人参加しておりますね。それから一九八四年二月七日、第一回動力装置専門部会に近距離航空、全日空、東亜国内航空も入っておるようですが、三菱重工、住友精密等々の担当者がそれぞれ参加しているという事実は間違いないですか。
  105. 星忠行

    ○星説明員 ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんので、今おっしゃった事実は肯定も否定も、要するにこの場で確認することはできません。
  106. 村山富市

    村山(富)委員 この場でだれだれが出席しておりましたかと聞いたら、それは名前を覚えていませんということはあるかもしれません。しかし、これだけ重要な問題になっているときにこういう検討会が行われたこともないのですか。
  107. 星忠行

    ○星説明員 先生いろいろ資料をお持ちになっているようですが、私は今現在手元に持ってきておりません。ただ、恐らく専門技能者の協力も得ていろいろな調査作業を進めておりますから、先生が言われるような企業の者と調査官が一緒になっていろいろ調査作業をやっておるということはあろうかと存じます。
  108. 村山富市

    村山(富)委員 あろうかと思いますということじゃなくて、今わからなければ後で調べて報告してください。これはいいかげんなことで済まされる事件じゃないのです。  もう一つお尋ねしますけれども事故調が三菱重工、住友精密等々にエンジン、プロペラ等のある部分について調査を依頼した。その調査結果の報告書はそれぞれの会社から直接事故調に届けられていますか、それとも金を払った近距離航空を経由して事故調に届けられていますか。
  109. 星忠行

    ○星説明員 その詳細は今承知しておりません。
  110. 村山富市

    村山(富)委員 肝心なところになると承知していませんと言うのだけれども、私が調べている資料によりますと、三菱重工、住友精密等々から報告書が提出されています。近距離航空に二部、幸品に一部、発組に一部、控えが一部ということで、報告書が五部つくられています。私の承知している範囲では、近距離航空に報告書が出されて、近距離航空から事故調に出されていると聞いているのですが、この事実は間違いないですか。
  111. 星忠行

    ○星説明員 これも今ここで申し上げられません。恐らく先生の方がよく御存じなんで、私は否定も申し上げませんが、確認することも今はできません。
  112. 村山富市

    村山(富)委員 おかしいね。事故調が直接企業に調査を依頼したのでしょう。そうしたら企業は依頼先に報告書を出すのが当たり前じゃないですか。近距離航空が経費を払っている。だから、近距離航空がその企業に調査を依頼したのかどうかということがわからぬから聞いたのです。そうしましたら、直接依頼しました、ただ経費を持ってもらっただけです、こう言うから、報告書はどういう経路でいったのかと聞いたら、それもわかりませんと言うんだから、話にならぬね。
  113. 星忠行

    ○星説明員 調査を依頼したという言い方は、非常に微妙なことなんですが、我々の指示、監督のもとに調査の作業に協力してもらった、あるいは参画してもらったということで、調査はすべて事故調査委員会みずからが行ったとお考えいただきたいのです。ただその場合に、いろいろな器具、工具を使わなくてはいけない、特別なマニュアルに基づいてよくそれを知っておる専門の技能者の手をかりなければいけないということで、どういう作業をどうしてくださいというようなことを事故調が全部主体的に指示をし、必要な場合には立ち会いの調査官を派遣して調査を行っておるものでございます。その際に、ほかの、例えば近距離航空の方なども協力意味でそこにおられる場合がある。あるいは報告書はそういう方に渡っておる場合もあろうかと考えられます。
  114. 村山富市

    村山(富)委員 時間がもったいないからもうこれ以上言いません。しかし、依頼したか何したか知らぬけれども事故調のある人から、名前も知っています、ある人から住友精密の専務に依頼した文書も見ていますよ。あなたが言うように、依頼したか協力してもらったか何か知らぬけれども、いずれにしたって、事故調がその会社に協力を求めたことは間違いない。私はあえて調査を依頼したと言いますけれども……。その報告書が事故調に届けられておるのか、どの経路で入ってきたのか、そんなことはわかりませんと言うのでは疑念が残るばかりですよ。もっとはっきりしなさい。もう答弁はいいですよ、聞いたって答えられぬのだから。  そこで、次にお尋ねしますけれども、五十八年六月二十六日、さらに十一月十五日、機長並びに副操縦士、言うなら乗員ですね、これから分解検査の立ち会いあるいは写真の撮影等々について出入りをさせてもらいたいという要請がありましたね。その要請をお断りした理由は何ですか。
  115. 八田桂三

    ○八田説明員 主管調査官といたしましては、先ほど先生がおっしゃいました機材関係の調査は大体完了したという判断をいたしまして聴聞会を開いた次第でございます。その聴聞会でいろいろ御意見をいただきました。それで主管調査官としては大体十分だと考えてはおったのですが、その後専門委員の方々をまたお願いいたしまして、さらに念を入れて詳細な調査をいたしました。そういうものが全部済んだ段階、機材、特にプロペラ関係のことについては私どもとしてはもう済んだと思っているときに、機長さんからそういう申し出がございました。  警察から鑑定依頼とともに渡されている物件でございますが、その物件について私ども委員会が主体的に調査するためには、それを関係の方々に見せたり、専門委員に見せたり、それを部分的に切って顕微鏡写真を撮る、そういうことは私どもがしなければ原因調査もできませんから、していいものだと考えております。それで、ふだんでも渡されたものをそういうふうに処分というのですか、いたしております。  ところが、その時点で機長さんからそれを見せろというお話がございました。それに対して私どもとしては、機長さんがそういうようなプロペラの破断面に対する専門家であるとは判断いたしませんでした。したがって、そういうことについて機長さんの御意見を伺う、私どもの主体的な処分の権限でそれをお見せして御批判を聞くという必要は認めませんでした。しかし、非常に強い御要望がございました。それで、私個人としましては、持って帰るとかなんとかというのは非常に問題ですけれども、機長さんに立ち会いのもとに写真を振らせるくらいのことは構わないのじゃないかというふうに考えた次第でございますが、法律的には私どもが必要のためにその方に見せて意見を聞くということでなければ我々に処分権がないんだ、したがってそれは警察に聞くよりしようがないんだ、委員会としては構わないけれども、警察に聞いてくださいというような返事を申し上げたことがございます。
  116. 村山富市

    村山(富)委員 今御答弁をいただいたのですけれども、その答弁の中で、聴聞会が開催される以前ですね、要請があったのは。聴聞会は一九八三年の十二月二十一日にやっていますね。そして、立ち会わせてくれという要請をしたのは六月ですよ。そこは後で確認してください。  そこで、私があえて冒頭に聞きましたのは、原因関係者というのは絞れば三つあります。これは運営規則で言えば原因関係者です。警察用語で言えば被疑者ですよ。原因があるのじゃないかというので一応疑いを持って見られますよ。それに今までずっと申しましたように調査を依頼したりあるいは調査に参画をさせたり、企業にはそうさせておるにもかかわらず、飛行機に乗って、幸いに生存しているわけですから、その墜落したときの状況はどうだったかということを本人も確かめたいだろうし、また事故調査委も率直に聞きたい、そして、より念を入れて正確に物をつかみたいというのは私は当然だと思うのですよ。それを、今までるる聞きましたけれども、そういう関係のある企業、あえて関係と言いますが、そういう企業には、さっき何遍も言いましたけれども調査を依頼したり調査会議に参画させたり、直接タッチをさせて、そして機長だけは警察にいいか悪いかを求めて、警察がいいと言えば結構ですというような回答をして、言うならば区別して扱っているじゃないですか。もう機長は被疑者と決めつけてやっているじゃないですか。警察の回答を聞きました。警察の回答を聞きましたら、それは被疑者だから見せるわけにいかぬ、こう言って断られたというのですね、警察の方は。  いいですか、私が言いたいのは、警察が物件を押収している、事故調は警察から鑑定嘱託をされて、そして物件を管理している、そして調査をする。調査に必要なことは全部事故調が主体的判断でもってやれるのでしょう。だから、関係の企業にも頼んでやったのでしょう。機長だけなぜ警察の許可が要るのですか。なぜそんな扱いをするのですかということをお聞きしたいのです。
  117. 八田桂三

    ○八田説明員 先ほど私はその点を御説明申し上げたつもりなのですが、言葉が足りなかったかもしれませんが、そういう押収物件の破断面とかそういうところを、そういう道の専門技術者の方がおられるときに、そういうような方々の御意見なり、あるいはそれを参考のために伺うというために我々が処分権を持っておる、そしてそういうふうに行動してまいったわけです。それについて、一部、先生がおっしゃいました関係会社というところにもその破断面の調査を依頼したとかというようなことが、先ほどお話があったようでございます。  機長さんは、もちろんそういうふうな運航その他について非常な関係者であられることは事実だと思います。だけれども、そのプロペラの破断面そのものについて特別な技術者であるとは私ども判断しておりません。したがって私どもとしては、そういう方にそういう意味でお見せして御意見を聞くという、私ども委員会としての考えは持っておりません。ただ、御本人としては非常に御関心があるから、お見せするぐらいのことは我々は構わないんじゃないかと思いましたけれども、私どもの方からそれをその方に、これはなぜ壊れたんだ、どういうふうに壊れたんだということを——機長さんは、失礼ですがそういう破断面の専門技術者であるとは私ども考えておりません。そういうためにそういう行動をとりました。
  118. 村山富市

    村山(富)委員 これは議論してもしようがない話ですけれども、破断面についての専門技術者ではない、しかしどこに原因があるのかまだわからないのでしょう、実際問題。そこで、自分が操縦しておった飛行機の、自分が操縦していてこういう衝撃を受けたとか、こういうところに問題があったのではないかと思うとか、そういうお考えを機長は機長で持っていると思うのですよ。あるいは副操縦士は副操縦士で。そういう意味で立ち会いたい、物を見たいというのに、それを聞き入れてその意見を聞くのは、調査をより正確にするためには当然の話じゃないかと私は思うのですよ。思うんだけれども、さっきから言っていますように企業とは違う扱いをして、わざわざ警察にその了解を求めるような手続をさせて、そして警察から断られてできなかった。だから冒頭からずっと言っていますように、航空会社あるいは三菱重工、住友精密、あるいは乗員等々、関係していると思われるものの中で機長だけは、乗員だけはもうこれは別なんだ、被疑者なんだというような見解を持ってそういうような扱いをしたのではないかというふうに私は思いますから、もう聞いたって同じことを答えるだけだから終わりますが、それはだれが聞いたってそう思いますよ。おかしいじゃないですか。本当に正確に、より正しく科学的にとらえるためには、関係した者からあらゆる意見を聞いて、そして総合的に判断をするというのがある意味では当たり前じゃないかと思いますから、意見だけ言っておきます。  そこで、次にお尋ねをいたしたいと思うのですけれども、この種の調査にやはり予断があってはならぬというのはよく言われていますよね。これは当然の話ですよ。あらかじめ予断を持って調査をすれば、その予断に結論が結びつくように調査をつくっていくということもあり得ますから、したがって予断を持ってしてはならぬ。  ここに羽田空港事故があったときの新聞の報道がありますけれども、こういうことが書いてありますよ。   調査委設置法第一条「事故原因を究明し、もって航空事故の防止に寄与することを目的とする」。これが刑事責任の有無を調べる警察の特捜本部との大きな違いである。警察は事故原因につながると思われる疑問点に直接切り込んでいくが、調査委は事故機の機体、計器等々、あらゆるデータを収集、鑑定、分析し、その作業の中から不審点を浮かびあがらせる手法をとる。だから、事故四日目に高木日航社長が「機長のエンジン逆噴射が墜落原因」と受け取られる異例の記者会見をした時は「まずいことをしてくれた。調査に予断が入ってしまう」と不快感をあからさまにしたものだ。 こういう記事がありますね。私は、これは至極もっともな不快感だと思うのですよ。  ところが、これとは逆に、この中標津の墜落事故については、当時の新聞を見ますと、十一日に事故があって、十二日にその調査団が入っているのですね。   十二日午後三時すぎ現地入りし、事故機のフライト、ボイスの両レコーダーを回収し、乗客らから詳しく事情を聴くなど本格的な原因調査を始めた。  原因調査の手がかりとなるフライトレコーダ一などの分析は、東京に持ち帰って行うが、同調査委は、結果が出るには早くて十日間、コンピューターでの解析は一、二カ月かかる、としている。また事故機の損傷をチェックしたメンバーの一人は「一見した感じだが、機材より運航の方に原因があった可能性が強いようだ」と機長の操縦ミスを示唆した。 こういう記事がありますよね。  この記事だけでなくて、この当時発行されている新聞の記事を見ますと、全部こういうことをにおわすような記事が出ていますよ。これは事故機の損傷をチェックしたメンバーの一人が示唆した、こういう記事になっているのですね。これは新聞記事ですから、私は現に確かめたわけじゃありませんから言えませんけれども、不思議なことに、この当時出ている新聞の記事を見ますと、全部これと同じようなニュアンスを持って、いかにも操縦ミスだというようなことを決定づけるような記事になっていますね。これは一体どういう関係ですか。
  119. 八田桂三

    ○八田説明員 今先生の御指摘のように、あらゆる事故の最初に予断を持つことは一番いけないことでございます。私は、調査官が出かけるたびに必ず、そういうことに特に注意するように申しつけておりますし、それから調査官もその点については非常に気を使って、そういうふうになるべくとられないような発言をしておると私は信じておりますし、聞いております。
  120. 村山富市

    村山(富)委員 私は今までずっと申し上げてまいりましたけれども、こういう最初の予断がありますと、やはり機長の操縦ミスだ、だから機長は被疑者なんだということになってきますよ、警察の方の判断も、より濃厚だと。そうすれば、やはりおのずから扱い方が違ってくるのじゃないか。だから、こういう予断が前段にあったからこんなことになったのではないかというふうに私は受けとめますよ。これは私の見解ですから。いいですか。  そこで、大臣、あなた、ずっと今までの経過を聞かれたと思うのですよね。もう繰り返しませんけれども、この設置法の趣旨からいっても、やはり公正に科学的に正確に調査をする必要があるというのが、そして原因を究明して再発を防止するというのが事故調の目的ですよね。ところが、今までの経過で明らかなように、この運営規則からいっても、原因関係者というのはもうずっと列挙されていますよ。その中に整備に当たった会社とか、いろいろあるわけです。その中に乗員ももちろんありますよ。操縦士もありますよ。こういう法律の建前あるいは運営規則等々から照らしてみても、原因関係者はまかり間違えば被疑者になるかもしれないのです。調査によっては、近距離航空が被疑者になるかもしれませんよ。あるいはオーバーホールした住友か三菱重工が被疑者になるかもしれません。あるいは乗員が被疑者になるかもしれませんね。これはまだわからないわけですから。そのわからない過程の中で、その被疑者になるかもしれない企業に調査を依頼する。あなたの答弁によると、協力してもらったというのだけれどもね。そして、いろいろな検討する会議に参画をさせておる。そして、機長、副操縦士の申し入れについては警察の許可が要るという特別な扱いをしているのです。しかも、その調査を依頼した費用については被疑者に負担をさせているのです。これは協力してもらっただけで、主体的には調査委員会がやったんだというふうに言うかもしれません。しかし、私の調査では、それは電話で指示したこともあるし、立ち会ってない場合もあるわけですから、ずっと四六時中ついて一緒にやっているわけではないのですから、これは証拠を隠滅したりごまかしたりするということも疑えばできないことじゃないですよ。  そういう事故調査委員会のあり方でいいのかどうかということを考えた場合に、もう少し主体的に設置法の目的に照らしてその任務が十分果たせるようなものに事故調はする必要があるのではないか。今までの経過、これは私が一方的に言うわけではなくて、事故調査委員会の方も答弁をされているわけですから、両方聞かれているわけですから、したがって今までの問答の中で大臣判断されたことを、意見があればお尋ねしておきたいと思います。
  121. 山下徳夫

    山下国務大臣 基本的には、事故調の委員長及び委員はその所掌事務の遂行に当たって独立してその職権を行うということになっております。つまり、公正に行う。そういう趣旨から、まず委員長委員の任命に当たって両院の同意を必要とするという制度からしても、私はそれを重視されておると思うのでございます。したがって、独自の調査権を持っている今の事故調の調査に対して、大臣といえども個別の事案について一々当否の判断をする立場にないということが基本でございます。  ただ、御指摘がございました一般社会通念からしてこの調査をそういう人に依頼するのがどうかというような問題でございますが、これは寸法を当たるというような、言うなれば調査一つの予備行為であるというふうな、私は先ほどからの答弁を聞いておりましてそういう感じがするわけでありまして、調査の予備行為あるいは調査の作業の一端を手伝わせるといったようなことは、独自の調査をされるその方々の判断によって、公正を欠くものではないということであるならば、これまた私どもは子としなければならないと思います。  ただ、独立した機関といえども与えられた人員あるいは限られた予算ということは他の行政庁と同じでございますが、その遂行を誤らしめざるためにも、こういうのは一年間継続してずっとあるものではございません。もう御承知のとおりであります。突発的な問題でございますから、そのときにどっと経費が要ることがありますから、これは一般の経常費だけでは償い切れないことがありますので、その場合は予備費から使うことが可能であるという、制度的にもそういうことになっているということでございます。しかしながら、おっしゃったように一般社会通念からして著しくおかしいことがあれば、また私どももその点については考えなければならぬと思いますが、私は公正な立場で今日まで来ておられると信じておる次第でございます。
  122. 村山富市

    村山(富)委員 大臣としてはそういう答弁をせざるを得ないと思いますけれども、私も決してでたらめな、いいかげんなことをしたと思いませんよ。しかし、今までの経過をたどってみますと、やはり疑念を抱かせられるようなことがある。こういう点は今後注意した方がいいのじゃないですか。これは依然として疑念として残りますよ。  そこで、次に少し具体的な中身についてお尋ねをしたいと思うのですけれども、これはもう何か先般参議院の運輸委員会でも若干質問があったようですから詳しく申しませんが、報告書の中に写真が出ておりまして、その写真を見ますとボルトが十本あって、頭が全部切れていますね。これが写真ですね。頭が切れておるけれども、その切れた頭が六つだけ残って、四本はないそうですね。これは最初からなかったのか、あるいはあったけれども途中で紛失したらしいというのか、これはどっちですか。
  123. 八田桂三

    ○八田説明員 ボルトといいますか、一本の完全なボルトであったのが先端で全部切れておるわけですが、そのうち四本だけがなかった、たしか四本なかった。それがどこでなくなったのか、その後ちょっと調べましたが、はっきりいたしません。私はよくわかりません。だけれども、それがなくても、一本のものがぱっと切れて、しかも残っている方はきちっとついて、破断面が残っておりますから、技術者といたしますと、その相手側がないことは調査に何の差し支えもございません。  そういう意味で、特にそれが調査上技術的に非常に大事なものであれば一生懸命いたしますが、今それが見つからないかどうかわかりませんが、私どもとしてはもうとにかく片一方の方がぴたっと残って、片一方だけがなくなったということですから、それについては技術者としては十分わかるというふうなものでございますので、それ以上言えません。
  124. 村山富市

    村山(富)委員 私は、あってもなくても調査に差し支えないからというようなことを聞いているのじゃないのです。当初からなかったのか、あるいは途中で紛失したのですかと聞いているわけですから、それだけ答えてくれればいいのです。
  125. 八田桂三

    ○八田説明員 先ほどお答えいたしましたように、私はよくわかりません。
  126. 村山富市

    村山(富)委員 一説によれば、最初は全部あった、途中でなくなったという話も私は聞いていますけれども、これはそうじやありませんと言うかもしれぬから、私の聞いた一方のものだけを言っておきます。  委員長、これをちょっと出してみたいと思います。
  127. 小川新一郎

    小川委員長 どうぞ。
  128. 村山富市

    村山(富)委員 ここにボルトがあるわけですけれども、このボルトは長さが違うのですよね。だけれども、その太さは大体同じですね。同じものもあるし、違うものもあるのですね。このボルトは特殊なものでできていまして、普通の鉄とは違う。簡単に首が切れたり何かできるものじゃない。だから、あの程度の衝撃でこれが切れてしまうなんということは恐らくないのじゃないですかというのがある人の意見ですね。これは僕がここでせんさくして、あるかないかなんということを聞いているわけじゃない。これはもっと科学的に分析しなければわかりませんからね。だけれども、そういう意見がある。  私が聞きたいのは、この写真を見ますとボルトの間に白いところがあるのですよ。傷みたいなところがあるのですよ。この白いところの傷というのは、言われるように、十本が一遍にさあっとすっ飛んでしまった、切れてしまったというのではこんな傷はできません。これはやはり振動でついた傷じゃないですか、これがある意味からいくと専門家の意見なんですね。今度墜落した飛行機は、二月段階でプロペラの振動があったとかいうような報告も出ていますね。したがって、まずプロペラに原因があったのじゃないかという不審を持つのはある意味では当然です。そのプロペラの一番大事なところのボルトが全部十本すっ飛んだ。そして、六本は回収したけれども、四本は行方不明でわからぬ。もしこれが違うボルトが違うところに入っていたとか、あるいは完全に締め切ってなかったとかいえば、若干のぶれがあって傷ができるかもしれないし、それがまた墜落の原因になったかもしれない。これは破断面だけ見てわかるなんということ自体が正確を欠くのじゃないか。  だから、これは常識的に考えても四つ穴があるらしいけれども、その四つの穴からたまたま四つだけがすっ飛んで、どこかへ行ってなくなったなんということは、言えば言えぬことはないかもしれぬけれども、あり得ないことだ。あの中からすっ飛ぶことはなく、紛失することはあり得ないというふうに専門家は言っていますよ。しかも、この四つのボルトはなくたって調査に差し支えないなんというものではない。一番疑念がかかっているところですから、それは少しいいかげん過ぎるのではないかという意見もありますよ。その点はどうですか。時間がありませんから簡単に答えてください。
  129. 八田桂三

    ○八田説明員 今の先生の御意見でございますが、そのボルトは確かに飛行機の特殊な部品で特殊な材料でございます。非常に強い力がかからなければ、そう簡単には切れないと思います。だけれども、実はそれにつながっておりますエンジンの方のクィルシャフトというのがございますが、それはかなり太いものでございますが、それが数十の表面亀裂を生じながらねじれて切れてしまっております。それと同時ぐらいなものでございますから、非常に大きな力が働いたものと思います。プロペラが急激にとめられたときにそういう形で切れることは、我々技術者としては当然だと考えております。  それにつきましては、初め調査官もそういうふうに考えたようでございますけれども、それだけではあれなので特別な調査委員会、専門委員の方もお願いしまして、白紙の状態で各方面からそれをやっていただきました。そしてそれと同時に、破壊の段階というのは、そのプロペラが拘束されて破壊しなければそんなになりませんが、そういう最後のことでございます。その前にパワーがちゃんと出たか出ていないかというようなことも別に、要するに木にぶつかるとかなんかする以前にちゃんと出力が出ているというようなこともいろいろ各方面から総合して調査いたしました。したがいまして、私どもとしては現在その報告書に書いてあるような過程でプロペラが壊れたものと確信しております。それに対して技術者としては、私個人としては疑念を持っておりません。
  130. 村山富市

    村山(富)委員 しかし、正確に報告書の中には出ていない部分もありますから、だからやはりそういう疑念が持たれると思うのですよ。底部にとめてあった定着させるボルトがほかに二本ありますね。その二本も切れてなくなっているのでしょう。そんなのは報告書に出ていないのですからね。ですから、やはり正確にしてもらう必要があると思うのです。  時間がないから簡単に言っておきますけれども委員組合が公開質問状の中で、右の二ブレードのピッチ変更機構の破壊過程について、折れ方が逆ででないかという質問をしていますね。それに対して答弁は、これは主席調査官が答弁している。専門委員がそのように推定したのであって我々にはわからない、こう答弁しているのですよ。  私はここで聞こうと思わないのです、これは専門的な難しい問題ですから。ですから、この乗員組合が公開質問状で出しておるこの質問に対して後で文書で答えてください。いいですか。委員長、時間がないものですから、そのように取り計らってもらいたいと思います。
  131. 小川新一郎

    小川委員長 そのように取り計らいます。
  132. 村山富市

    村山(富)委員 それからさらにお尋ねしますけれども、この進入コースですね。機長の操縦ミスというものを裏づける一つの原因として、着陸するときの進入コースあるいは高さ等々に問題があったのではないかと言われている節がありますね。ところがこの報告書を見ますと、八三年五月に出した中間報告、それからその次に出た報告書、八三年の十一月は次の報告書ですね。最終報告書はその後に出たわけですね。三回報告書が出ていますけれども、その報告書で全部進入コースが違うのですね。訂正されているのです。これはどういう意味ですか。
  133. 星忠行

    ○星説明員 私ども調査の過程で知り得る段階で、それぞれその時点での最良と思う飛行コースを推定して出すのですけれども、次第に調査が詳細、精密になってまいります場合に、やはり多少、これはFDR、飛行記録計の記録したものであるとか目撃者の証言であるとか機長の口述であるとか、あらゆるものを総合してだんだん詰めてまいりますので、その際に少しずつこれが恐らく正しい姿であろうというのは変わっていくのは当然だと思います。最終報告書の姿が一番認定した事実に近いものと思います。
  134. 村山富市

    村山(富)委員 これはフライトレコーダーに記録されていますね。その記録を見て進入コースを判定するのでしょうが、フライトレコーダーというのは一つしかないですからね。私が聞いた範囲では、これは単純なミスでしたという話も聞いています。弁解しなくてもいいです。これは訂正されたことは間違いないのだから、三つとも違うことは間違いないのだから、違ったという事実だけ確認すればいいのです。  それから、ここに「滑走路23に対する右側周回進入経路」というのがありますね。これは一つの基準を示しているものです。わざわざつくってあるわけです。今はないそうです。このところから着陸するのが一番正しいのだというのだけれども、現実にいろいろ聞いてみますと、滑走路見えなければいかぬ、滑走路見える最低の気象条件の中では千六百メートルというのが基準になっている、だからこのコースから入ったのでは滑走路見えません、こういうことも指摘されていますね。簡単に言ってくださいよ。
  135. 星忠行

    ○星説明員 当日の視程は四千ないし三千くらいで、十分見えたと思います。また、仮に見えなかったとしても、ほかの手段、例えば地上の目標物等を目標にしながらきちんとした迂回コースを通るように定められております。
  136. 村山富市

    村山(富)委員 これは今はもうなくなっているそうですからね。それだけ言っておきます。  それから、プロペラに傷がついていますね。プロペラは二つあるわけですから、その二つのプロペラにそれぞれ傷がついています。プロペラは右と左があるわけですけれども、前に向いて両方一緒に回っているわけですから、本来ならばプロペラにつく傷というのは表に余計つくか裏に余計つくか、同じでなければならぬ。ところが、この右と左ではプロペラの傷のつき方が違うのですよ。これは、左の方のプロペラは傷が裏面にうんとついているのです。それから右の方のプロペラは表面にうんとついているのです。これはやはりプロペラの回転に問題があったのではないかと言われています。これは原因は聞きません。  ただ、こういう疑念を持たれたものについて、なぜ報告書に触れてこんな問題についても記録していないのですか。それだけ言ってください。
  137. 星忠行

    ○星説明員 傷から推定したのではなくて、もっと科学的に、もっと適当であろうという方法から推定したものであります。  ただ、傷のつき方が違うという点につきましては、左のプロペラはまだ飛行機についた形であります。右のプロペラは、飛行機から完全に脱落して地上を転げ回ってついた傷でございますから、傷のつき方に差があってもおかしくはないと考えております。
  138. 村山富市

    村山(富)委員 おかしくないと言ったって、客観的に疑念を持たれたら、やはりその疑念を晴らすために正確に報告すべきですよ。もうそれはそれでいいです。私は疑問だけを投げかけておきますから。  そこで、時間が参りましたから最後に申し上げますけれども、こういう一連の事故調査委の調査のやり方に対して、乗員の皆さん、パイロットの皆さんが関心を持つのは当然ですよ。いつかまた我が身にかかるかもしれないから、皆さん関心を持っています。それで組合がアンケート調査をやっています。  そのアンケート調査の結論を見ますと、これは中標津事故と石垣事故の両方についてやっているわけです。「両事故について知っていますか」これは、知っていますというのが三百九、新聞その他で知りましたというのが四百九十六あるわけです。それから「今回の両事故最終報告書を含め、事故調のあり方についてどう思われますか」「事故調は機長及び関係者の証言を尊重していると思いますか」というのに対して、尊重しているというのが六、いいえというのが七百五十八。「中標津、石垣事故最終報告書は、科学的事実に基づいていると思いますか」これに対して、いいえというのが六百九十九、はいというのがわずかに七。「現在の事故調は設置法にのっとった、独立性、公正さが保たれていると思いますか」これに対して、はいと答えているのが五、いいえと答えているのが七百二十四。「今回の最終報告書は事故再発防止に役立つと思いますか」というのに対して、はいと答えているのが十四、いいえと答えているのが七百四十五。  私は、一番関心を持っているのはこれらだと思いますね。こういう一番関心があって、いつかは自分の身に関連が起こるかもしれないというような関係者がこういう見方をしておるという事実だけは知っておいてもらいたいと私は思うのです。  そこで、申し上げたいと思うのですが、参議院の運輸委員会の審議の中でも、法務省の方から、検察庁が判断をする段階でさらに再鑑定を必要とするとか、あるいは事故調の方からさらに詳しくもう一遍ここのところについて鑑定してみたいからという要請があるならば適正に配慮しますというようなことも答弁されておるようです。ですから、これだけ疑念の持たれている問題ですから、もっと念を入れるという意味からすれば、できれば再調査をしてもらいたいと思いますね。同時に、乗員組合も納得のできるような再調査をもう一遍してもらえぬだろうかという陳情の署名活動もやっておるようですから、そういう意見にも十分耳を傾けて配慮していただきたいというふうに私は思うのです。  なぜそういうことを申し上げるかといいますと、機長や副操縦士というのは今会社で飛行機なんか乗れませんね。だから、恐らく陸地の仕事をしていると思うのです。しかし、仮にあなた方が鑑定したその報告書に基づいて起訴をされる段階になりますと、裁判にかけられるわけです。そうすると、二年かかるか三年かかるかわかりませんよ。事故が起こってもう既に二年以上かかったのです。この間、飛行機に乗れないのですよ。操縦士や副操縦士の経歴で一番重みを持つのが飛行時間です。本人の一生にとっては大変な問題なんです。まかり間違うと処分をされるかもしれませんね。懲戒処分もあるでしょう。行政処分もあるでしょう。あるいは刑事処分もあるかもしれませんよ。本人にとっては一生かかる問題なんです。それだけに本人が関心を持つのは当然だし、乗務員の皆さんが関心を持つのは当然ですよ。そんなことを考えた場合に、こういう問題は疑念があればその疑念には正しく答えてあげる、あるいは本当に解明しなければならない問題があるとするならば、一遍決めたことだからということにこだわらずに、謙虚に、より正確に調査をするためにやる必要があるのではないかというふうに思いますけれども、どうですか。
  139. 八田桂三

    ○八田説明員 ただいまの御意見どおり、乗員の方々がいろいろその辺をお考えになることはよく理解できます。ところが、私どもの方は犯罪調査に関係してはいけないということがございます。それで、事故報告書だけであらゆるところにお答えする。それ以外の文書などでは全部お答えしないということをやっておりますが、事故報告書について、よく警察、検察庁あたりから、報告書のこれこれを決めたバックデータと申しますか、資料があるはずだとかということをいろいろ申し出されますが、それらも全部お断りしております。それにお答えするためにも、あらゆること、必要なことは報告書に書いておくようにいたしております。  そのかわりと申しますか、事故調査報告書につきましては、おっしゃるように十分公正に、科学的に、我々の力の及ぶ限りそういうふうなものをつくりまして、そしてその上に、事実を曲げるわけには全くまいりませんけれども、そういうふうな表現にはできる限りの配慮もしながら、そういうふうに今までもやっておりましたが、これからも公正に、科学的に事故再発防止のためだけの設置法に従った報告書をつくっていきたい、調査を進めていきたい、そういうふうに考えております。
  140. 村山富市

    村山(富)委員 時間が参りましたからこれで終わりますけれども、またこれは継続される事件ですから、より関心を持って調査もさせてもらいますが、より正確に、科学的に、客観的に皆さんが納得できるような調査をすることが調査委員会の目的でもあるわけです。ですから、そういうことにこだわらずに、できるだけ公開して関係者の意見は謙虚に聞いて、質問があれば答えて、そしてみんなが納得できるような努力はする必要があると思います。いささかそういう点には欠ける点があったのではないかというふうに僕自身には思われますから、そういう点も反省いただいて、余りこだわらずに、人間一生の問題ですし、大変大きな影響を持つ問題ですから、そういう謙虚な気持ちで今後も取り組んでいただきたいということを特に要請して、質問を終わります。
  141. 小川新一郎

    小川委員長 次に、関山信之君。
  142. 関山信之

    ○関山委員 きょうもいろいろと陸海空それぞれの交通事故についての御議論が続いておるわけでありますが、えてして大きな事故が発生をいたしませんとなかなか問題が大きく取り上げられることがないというのが通例のようでありまして、実は、私はこの秋に開通される関越高速自動車道の関越トンネルの安全対策についてお尋ねをいたしたいと思うわけであります。かつて五十四年に日本坂トンネルの火災事故という大変な事故がございましただけに、あらかじめこの時期に間違いのない安全対策についてお尋ねをしておきたいと思うわけです。  最初に、改めて恐縮でございますけれども、関越の供用開始はいつになりますか。
  143. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 今のところ、本年の十月初旬ということを考えております。
  144. 関山信之

    ○関山委員 まだ、初句で何日というふうにはお答えいただけませんでしょうか。
  145. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 最後の詰めがございますので、明確に十月何日と言うわけにはまいりません。上旬を予定しております。
  146. 関山信之

    ○関山委員 そこで、最初に警察の方にお尋ねをいたしたいわけですけれども、高速道路、とりわけ長大トンネルですね、長大トンネルというのは言葉の余り厳密な規定はないようでありますが、公団の年報などによれば三千メートルを超えるものを長大トンネルの範疇に入れておられるようでありますけれども、この事故の発生状況、それからトンネルの事故の特徴というようなものについてお聞かせをいただきたいと思います。
  147. 広谷干城

    ○広谷説明員 高速自動車国道のトンネル内におきます事故状況でございますけれども昭和五十五年から五十九年までの五カ年間事故について御説明申し上げますと、死亡事故が九件、重傷事故が四十八件、軽傷事故が二百八十五件、物損事故が千二百八十六件ということで、計千六百二十八件の事故が発生をいたしております。このうち死亡事故九件、死亡者十名になっておりますが、これについて事故の内容、特徴等を見てみますと、トンネル内の側壁や非常駐車帯に衝突をした単独事故が六件、六名発生をいたしております。それから追突による事故が三件、四名というふうになってございます。これらの事故の原因は、一つはスピードの出し過ぎ、車間距離の不保持、無理な追い越しや進路変更、居眠り等による前方不注視等が主な原因になってございます。  トンネル内の事故は、一たび発生すると、日本坂トンネルの事故の例を見るまでもなく、多数の車両を巻き込む多重事故あるいは車両大火災事故につながる危険性が高いために、トンネル構造に見合った十分な安全対策をやっていかなければならぬ、かように考えておるところでございます。
  148. 関山信之

    ○関山委員 かなりな事故があるということなんですが、加えてちょっとお尋ねしたいのですけれども、私が拝見をいたしました論文などによりますと、トンネルの延長比に対する事故比というのは大体延長に比例をしておるようですが、人身事故率というのはトンネル内の方がかなり高い傾向があるということのようでございますが、その辺の御認識はいかがか。  もう一つは、トンネルの事故の場合、入り口付近に事故が非常に集中をしているということが顕著に見られるようなんですけれども、この辺は車の渋滞との関係が日本坂の場合でもはっきりしているようで、非常に因果関係が強いんじゃないかという感じがいたしますが、その辺の御認識はいかがでございましょうか。
  149. 広谷干城

    ○広谷説明員 ただいまお話がございましたように、人身事故率につきましてはトンネル内の方が高いという認識をいたしております。
  150. 関山信之

    ○関山委員 そこでもう一つちょっと伺っておきたいのは、これは公団の方になると思うのですけれども、公団の方では、警察の事故の統計とは別に、トンネル内における車両の故障だとかトラブルなんかについてのデータもお持ちのようですが、これについてはいかがでしょうか。
  151. 戸谷是公

    戸谷参考人 日本道路公団の調査によりますと、高速道路全体の物損事故を含めた事故率は、五十八年は億台キロ当たり四十八件、五十九年は億台キロ当たり四十九件となっております。また、死傷事故率は、五十八年、五十九年とも億台キロ当たり十件となっております。  このうち三千メーター以上の長大トンネル五カ所につきまして調べましたところ、物損事故を含めた事故率は、五十八年は億台キロ当たり十一件、五十九年は億台キロ当たり十八件となっております。また、死傷事故率においては、五十八年は億台キロ当たり二件、五十九年は億台キロ当たり五件となっておりまして、これらの最近の事故率を見る限り、トンネル内では安全運転が比較的守られているように感ぜられます。  故障につきましては、ちょっと手元にデータがございませんので、省略させていただきます。
  152. 関山信之

    ○関山委員 ちょっと数字のとり方が違うものですから、一概に比較ができないので、そこへとどまって議論もできませんから、それはそれで伺っておきましょう。  それからもう一つの観点は、今回の関越の場合は暫定供用でありまして、本来四車線、二つのトンネルが掘られなければならないところを、一つのトンネルで暫定供用するというところに問題の大きな課題があるわけでございまして、暫定供用道路と四車線道路、従来の高速の中にもそういうケースがあるわけでございますけれども、これの事故の比較について、警察の方からお答えいただければと思います。
  153. 広谷干城

    ○広谷説明員 高速道路におきます交通事故の統計は、実は非分離二車線と分離四車線とを区別しておりませんので、全数でもってお答えをすることができませんけれども、実は昭和四十八年まで非分離二車線で供用されまして、昭和四十九年から分離四車線で供用されました中央自動車道の八王子−大月間、これは四十四・六キロメートルございますが、それぞれ前後五年間交通事故死亡事故の発生状況から対比をして御説明を申し上げたいと思います。  非分離二車線供用期間中におきましては、この五年間に交通死亡事故が五十件、七十七人、年平均十件、死亡者にいたしまして十五・四人の事故が発生をいたしております。これが分離四車線供用後における五年間におきましては二十四件、二十六人の発生ということになっておりまして、年平均で申し上げますと四・八件、五・二人ということになっております。この平均数で対比いたしましても、非分離の方が件数で約二倍、死者数で約三倍になっておる、こういうふうな状況でございます。  非分離二車線で供用される道路につきましては、その道路の実態に対応する速度規制など必要な規制を行っておるところでございますけれども、この数字から見ても、一般的には非分離の方が分離よりも事故が大変多くなっておるということが言えるというふうに考えております。
  154. 関山信之

    ○関山委員 そこで、道路公団にお尋ねいたします。  高速トンネルで暫定供用、対面交通というのは、恵那山の分離四車線が実現をして、今はそのような道路はない、暫定供用するトンネルはないというふうに伺っておりますが、間違いないでしょうか。
  155. 戸谷是公

    戸谷参考人 恵那山トンネルは、御承知のように五十年に二車線で開通いたしましたが、本年さらにもう一本トンネルが開通しておる次第でございます。ないということではございませんで、現在、高速道路で暫定二車線道路として運用されておりますのは、全国で中国縦貫自動車道の(関山委員「トンネルを聞いているのです」と呼ぶ)いや、その中にトンネルがあるということです。中国縦貫自動車道の広島北ジャンクションから鹿野インターチェンジ間八十七キロでございまして、この中に一車線のトンネルが含まれております。     〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
  156. 関山信之

    ○関山委員 それは、どの程度のトンネルですか。
  157. 戸谷是公

    戸谷参考人 手元に正確なデータがございませんが、まだ何本か一車線のトンネルが含まれております。
  158. 関山信之

    ○関山委員 問題にしているのは、三千メートル以上の長大トンネルということを問題にしているわけですから、ほんの先が見えるようなトンネルのことまで言っているわけじゃないのですが、その手のトンネルじゃないわけでしょう。
  159. 戸谷是公

    戸谷参考人 牛頭山トンネルというトンネルが、三千メーター以上で一カ所ございます。
  160. 関山信之

    ○関山委員 いずれにせよ、三千メートル級のものが一本ある、それ以外はないということですね。  そこで、日本坂の場合は、これは暫定供用ではなかったわけですけれども、いずれにせよ大変なトンネルの火災事故で、これは二千メートルのトンネルだったわけですが、死者七名、車百七十三台、半損半壊も入れれば百八十九台ですか、こういう火災事故があり、恵那山のトンネルの暫定供用という経験もあるわけですけれども、今回、この関越トンネルが開通されるに当たり、その他のトンネルも含めてでしょうが、こうした経験から新たに今どんな安全対策が講じられているのか、一般的にお伺いをいたしたいのと、同時に、この関越のトンネルについて、具体的にどういう安全対策が講じられてきているのか、この点はかなりたくさんのテーマがあると思いますけれども、まず、一般的なトンネル内の安全対策についての状況をお答えいただきましょうか。
  161. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 具体的にお答えしたいと思いますので、まず先生指摘日本坂トンネルですが、大事故を起こしたわけでございます。そのときのいわゆる長大トンネルのいろんなトンネルの事故を予防する装置と、その後、このときに、具体的に言いますと、昭和五十四年七月に発生しました東名高速道路の日本坂トンネル火災事故を契機に、学識経験者等専門家によります道路トンネル非常用施設設置基準調査特別委員会を設けまして、検討を行ったわけでございます。  その結果、昭和五十六年四月に道路トンネル非常用施設設置基準を、従来のものを強化しまして改正いたしました。それによりまして、トンネル内の事故の防止、あるいは事故の拡大防止のための施設の改善等の安全対策を図ってきたところでございます。  具体的に、じゃどう変わりましたかと簡単に申し上げますと、日本坂トンネルの非常用施設につきまして、これは日本坂トンネル自身も、後ほど述べますけれども、いろいろな装置があったわけでございます。その従来設置されていました非常電話、それから火災検知器及び監視装置、ITVでございますが、それらに加えまして、この委員会で、トンネル内ラジオ再放送設備や内部照明によります非常口誘導灯を新たに設置しまして、さらに給水栓それから水噴霧の設備それから貯水槽、可変情報板などを増設いたしたわけでございます。さらに、これらの施設の機能を十分に発揮させるためにケーブルを耐火耐熱構造とするなど安全施策を講じ、長大トンネルの安全対策について万全を期している次第でございます。  具体的に申し上げますと、まず新設しました施設として申し上げますと、日本坂トンネルの場合には、トンネル内のラジオ再放送設備、それから内部照明式非常口誘導灯、これはなかったわけでございますが、この委員会で、復旧後、トンネルの全区間にわたりましてトンネル内ラジオ再放送設備を設置しました。さらに内部照明式非常口誘導灯でございますが、これは両側の壁に大体百五十ないし二百メーター間隔で十六面設置いたしました。  さらに、増設した施設を申し上げますと、給水栓が日本坂トンネルの場合にはトンネル坑口に二カ所あったわけでございますが、それを、坑口二カ所のほかトンネル内に十カ所設けました。それから水噴霧設備、これは二つの壁面、二区画同時放水できるような設備があったわけでございますが、それをもうちょっと強力に、三区画同時放水できるようにした。それから貯水槽でございますが、東坑口に一槽、百七十トンの容量のものがあったわけでございますが、それを東坑口に三槽設けまして、容量三百三十トンに増強しました。それから警報表示板でございますが、小坂トンネルの入り口につくってあったものでございますが、それをさらに日本坂トンネルの入り口に一面、それから小坂トンネルの入り口に二面づくりました。内部照明式非常口標示灯でございますが、連絡坑口に三面あったものを、連絡坑口に三面、これは、それに回転灯をつけまして見やすいようにした。それから同じく対向側面、その反対側の側面にも三面設けました。  大体そういうところが補強された内容でございます。
  162. 関山信之

    ○関山委員 わずかな時間なものですから、まとめてお伺いをしなければならないのですが、今の一連の措置ですね、一つだけつけ加えて、後で簡単にお答えいただきたいのですが、事故想定はどういうものをお持ちになって、新しく関越の場合、今お話があったようなさまざまの設備を設けられているのか、その点を簡単に一点だけ。  それから、これは警察の方にお伺いをすべきか、公団、建設省の方にお伺いすべきか、警察の方からまず伺いましょうか。  中央分離施設ですね、それからスピード制限、これはどうなるのかという問題。それから、これは恵那山のときにいろいろと信号機論争なんかがあったようですけれども、この信号機はどうなるのか。それから五千メートル以上のトンネルについては、道路法上爆発物等の危険物積載車両の規制がかかっているわけなんですが、こういうものに対する規制の手だてはどうなるのか。  ちょっと時間がなくなっちゃっていますので、できるだけ手短にひとつお答えをいただきたいと思います。
  163. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 特別に日本坂トンネルの事故で反省しまして措置しましたポイントは、いわゆる給水装置を増強したこと、それから火事がいきましても、在来の導線ではすぐ燃えますので、先ほど申し上げましたように耐熱耐火性の導線にしたということ、さらに、もしも事故が起こりました場合に逃げやすいように、あるいは逃げるところがわかりますように、誘導的なものを新たに設けたということ、そんなものでございます。
  164. 関山信之

    ○関山委員 それでは、お答えいただく前にちょっと。  日本坂の場合は、過去のいろいろな議論を聞きますと、大型車両一台の炎工事故の消火、延焼阻止というあたりをいわば事故想定をしながら対応していたというケースがあるものですから、今回の措置にはどういう事故を想定しながら対応策をお立てになったのかなと……。特にそういう想定はないというなら、ないで結構ですから。
  165. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 先ほど概略的に申し上げましたように、水噴霧装置を強力にした。はっきり言いますと、水がなくなると困りますので、水槽を非常に補強したということ、これは一つのあれだと思います。それと、先ほども言いましたように、いろいろな情報、インフォメーションをドライバーに与える、それが新しいと思います。
  166. 広谷干城

    ○広谷説明員 関越トンネルの安全対策の問題と速度制限の問題につきましてお答えをいたします。  まず安全対策の問題でございますけれども、非分離二車線の供用ということで、道路管理者におきましても、今道路局長の方からもお話がございましたようないろいろな安全施設整備をされておるわけでございます。と同時に、地元の群馬、新潟両県警察でも、トンネルの安全確保の観点から、一つは、対面交通の安全に役立つ車道中央部の安全施設整備の問題、それから信号機、可変式の速度規制標識、可変情報板等、交通事故が発生した場合に適切に対応できる交通安全施設の問題、それから雪氷対策として、トンネルの出入り口におけるチェーンの着脱場及び融雪施設整備等、必要な安全施設整備につきまして現在道路管理者に対していろいろと要望や申し入れを行っておりまして、協議をしておるところでございます。     〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕  また、この安全施設のほかに、両県警察におきましては、対面交通の安全を確保するために必要な速度規制や追い越しのための右側部分のはみ出し禁止等の交通規制を行うということも考えておりますし、また、トンネルの入り口付近に速度違反の自動取り締まり装置を設置して速度違反の取り締まりを強化するというふうなことも考えておるわけでございます。  第二点の、トンネル内の速度をどういうふうにするのかということでございますけれども、この問題につきましては、やはり事故を防止する、安全確保という観点から慎重な検討が必要であるというふうに考えております。具体的には、今後、車道中央部の安全施設を初めといたします交通安全施設の設置状況等を勘案いたしまして、最終的には、現地で警察による全線の走行試験を行った上で、群馬、新潟両公安委員会において決定をすることになるわけでございます。  警察庁といたしましても、関越トンネルにおいて安全で、しかも円滑な交通が確保されるために適正な速度規制が実施されるように、両県警とも連絡を密にしていきたいと考えております。
  167. 関山信之

    ○関山委員 端的に聞きますが、協議中だそうですからお答えしにくいのだろうとは思いますけれども、恵那山の場合には四十キロ規制というのがかかっていたようですね。恵那山と特に事情が変わらなければ、大体ここらあたりになるのだろうというふうに考えていいですか。
  168. 広谷干城

    ○広谷説明員 恵那山の場合は四十キロの規制でございます。したがいまして、我々といたしましては、円滑の観点からいたしましても、四十キロ規制でなければかけられないというふうな安全施設にならないように、現在いろいろと道路管理者と、要望を申し入れたりあるいは協議をしておるという段階でございまして、今ここで大体どのぐらいだということにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。
  169. 関山信之

    ○関山委員 そういうことなんでしょうが、もう一つお尋ねをしておきたいのは、このトンネルを挟んで、まさにトンネルを出ると雪国だったということになるわけですね。これが交通安全の面からいきましても、交通渋滞の面から考えましても、恐らく冬季は大変な混乱が予想されるのじゃないかという心配が残るわけですよ。ここらあたりのことについては建設省並びに警察、それぞれどんな対応をお考えになっていらっしゃるのか。チェーンの着脱場をかなり広くとっているということだけは承知いたしておりますから、その分は結構なんですが、それにしても、このトンネル前後、非分離車線が続いてきて、トンネルの前後で冬季の車両のチェーンの始末なんか一体どういうことになるのだろうかということがあるものですから、その点について一言だけ、これもぜひ簡単にお答えをいただきたいと思います。
  170. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 先生指摘のように、チェーンの脱着場は広くとらしていただきまして、その点は前のところよりもずっと容量的にはございますが、何せ二車線の十・九キロメートルのトンネル、ただし、その前後とも二車線でございまして、二車線区間が月夜野インターチェンジから湯沢インターチェンジまで約三十六キロでございますので、もちろんチェーンをつけたり外したりすることでトンネル前後で多少の混雑は予想されると思いますが、一遍に四車になるというものでもございません。そこら辺はいろいろ警察御当局と相談させていただきまして、道路管理上、変なことにならないように十分注意をさしてまいりたいというふうに考えております。
  171. 関山信之

    ○関山委員 時間がなくなってしまいましたので、細かなことはついに聞けずに終わってしまうのですが、いずれにいたしましても、やはり高速自動車道としては二車線で供用するということには無理がある。私どもからすればそれなりに大変ありがたいことでもあるのですけれども、しかし、本来道路法なり道路構造令の建前からいえば、高速道の見通しのない暫定供用というのはやはりそのまま欠陥道路というふうに言わざるを得ないのではないかという感じもするわけでございます。恵那山の場合も五十年に暫定供用をして、五十三年に新しいトンネルの工事への着手が始まってはおるようでありますけれども、それこそ、最初に申し上げましたように、これはまさに一万メートルを超えるトンネルなものですから、一たん事故でも起きた日にはこれは大変なことになる、そういう心配もしながら、確かに予算上のいろいろな制約もあるでしょうが、このトンネルのことについては、安全対策上の問題からいっても、一定の見通しをつけながら将来への展望を開いていただかないといかぬのじゃないか。日本坂はまだ裁判係争中でしょう。もしこのトンネルで事故が起きたときに、それは一定の規制はかかりますから、その枠内で問題はないと言われればそれまでかもしれませんけれども、しかし、もともと高速道を八十キロから百キロですっ飛ばしてきて、いきなり四十キロに落とすということは、乗ったことがおありになればおわかりのとおりで、これは容易にできる話じゃないのですね。  ですから、その辺を踏まえて四車線化へ向けてのどういう展望をお持ちになるのか、ひとつお聞かせを道路局長と、最後に大臣から御決意をいただきたいと思うのです。
  172. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 二車になった理由につきましては申し上げません。  いずれにしましても、推定交通量がありまして、昭和六十年に何台ぐらいということは一応もくろみの中に入っておるわけでございますが、実際に十月初旬にオープンしましてある程度の交通量がわかるわけでございます。その時点で、いつ四車化すべきかということにつきまして十分交通解析をしながら考えてまいりたいと思っております。
  173. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 先ほど来大変貴重な御質問をいただきまして、恐縮に存じております。  先生からも御質問のように、長大トンネルの事故というのは、一たん事故が起きますと大変な事態になることは私どもよく認識をいたしておるところでございます。したがって、先ほど道路局長から言われましたように、十月の初旬の開通の時期までに安全対策というものについては最大努力を尽くさせていただきたい、そういうふうに思っておるわけでございます。供用後の交通の状況、そういうようなものをよく見まして、勘案しながら、四車線化に対する問題につきましては、実施時期その他につきまして私ども真剣に検討してまいりたい、そういうふうに考えております。
  174. 関山信之

    ○関山委員 ありがとうございました。  ちょっと一つだけ道路局長に、せっかくのお答えをいただいたものですから。  どういう交通状況が発生するか、予測交通量というのは大変難しい数字でありますから、なかなかとらえがたいところもあるのですけれども一つの目安は恵那山なんですが、ある一定の交通量の発生が、既に私どもお聞かせをいただいておる数字でも、六十年推定が一万三千七百までいくわけですから、そうなりますと、新しいトンネルの問題に対する対応というのはことしから来年にかけて一定の数字を見て対応することになる、こんなふうに理解をしておいてよろしゅうございましょうか。
  175. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 昭和六十年度開適時の、これはあくまで予想交通量でございますが、一日当たり約一万一千九百台を考えております。昭和七十五年度におきましては一万五千二百台程度になろうと、それぞれ見込んでおります。  先ほどから御答弁申し上げましたように、十月にはオープンすることになっておりますので、その後の交通量を解析しながら、しかるべきときには御指摘のように四車化の工事にかからなければならないと考えておりまして、やはり一にかかって実際の交通量をちょっと見させていただきたいと考えております。  以上でございます。
  176. 関山信之

    ○関山委員 ありがとうございました。終わります。
  177. 小川新一郎

    小川委員長 次に、伏屋修治君。
  178. 伏屋修治

    ○伏屋委員 私は、先月に起こりました国鉄池袋の事故の問題、それから自転車道の問題、それから高速道路の逆走の問題、これらについて二、三質問を行いたいと思います。  最初に、先月八日に起こりました池袋の操車場における事故、これについての概要、事故原因等々について国鉄の御説明をいただきたいと思います。
  179. 小原孝夫

    ○小原説明員 お答え申し上げます。  五月八日に池袋の電車区の構内で起こりました事故でございますが、ちょうど入れかえの作業中に電車が車どめを越えまして六メートル先の民家へ突っ込みまして、民家を破損させたという内容でございます。  原因でございますが、入れかえ作業と申しますのは、先生御存じのように誘導の旗の合図に従いまして、電車運転士がその合図によって動かしたりとまったりをする、こういう作業になっております。ところが、当日の電車運転士は、九両の電車をもって押し込み作業をいたしておりましたところ、ここの線に入るのは八両しか入らないところを、当人が九両入ると錯覚というか、思い込みをいたしまして、誘導係が停止の赤の合図をいたしましたのにそのまま車を動かして制定堤を突破して民家に入った、こういうことでございます。したがいまして、原因は、動力車の運転士が八両しか入らないのに九両と思い込んだことと、誘導係の停止の合図に従わなかったため、こういうふうに考えております。
  180. 伏屋修治

    ○伏屋委員 八台のところを九台と錯覚したということでございますけれども、運転検修の合図が運転者には目に入らなかったという一面と錯覚と、両方あるわけですね。当局の関係以外の第三者の目撃によるとかなりのスピードがあった、二十キロ以上のスピードで走っておった。運転検修係によらないまでも、第三者が見ても非常に危険だなと直感をした、その直後にどかんという音がした、こういうことを目撃しておるわけでございますけれども、それもやはり錯覚というような原因で処理をされるわけですか。
  181. 小原孝夫

    ○小原説明員 事故の原因について先ほど申し上げましたが、電車運転手が八両のところを九両と思い込んだということでございます。誘導係は停止の合図をいたしておりますので、これはバック運転をしておりました電車運転手の間違い。九両入る、まだまだ奥の方へ突っ込めるということで、要するに、間違った腕でございますが、自分の腕を信用し過ぎてスピードを落とさなかった、そういうことであります。  二十キロか十五キロか三十キロかという問題については、実ははかりようがないわけでございますが、民家に入りました状況等からしますと、それからそこの構内運転というのは二十キロが一応制限でございますので、それは守っておったように私どもの調べではなっております。大体二十キロかあるいはそれよりちょっと下か、そのように私どもの調べではなっております。
  182. 伏屋修治

    ○伏屋委員 くどいようですけれども、第三者の全然素人の方が見ても、いつもと非常に違う操車だな、こういうように考えた、その直後に事故が起こった、こういうことでございます。だから、事故の原因を簡単に、錯覚による事故であった、こういうように処理するのではなく、もう少し原因を究明する必要があるのじゃなかろうか。全然素人の第三者でも、危ないな、いつもの操車と違うなと直感したわけですから、いつもの二十キロ以上は出ておったのではないか、このように考えられるわけですけれども事故原因を今のように錯覚であるというような形で処理されておるということはちょっと問題があるのではないか、このように考えておりますが、どうですか。
  183. 小原孝夫

    ○小原説明員 二十キロかどうかという問題、はっきり申しますとわからぬ部分もありますが、確かにあれだけの被害を与えたものでございますし、もしかしたら高かったという面もあろうかと思いますが、ここは要注箇所で、八両しか入らないんだ、二十キロで運転するということは乗務員として当然知っていなければいけないことでございますので、錯覚ということではなくてむしろ仕事の内容をよく知らなかったのが直接の原因ではなかろうか、このように思っております。
  184. 伏屋修治

    ○伏屋委員 仕事を知らなかったというのはどういう意味なんですか。
  185. 小原孝夫

    ○小原説明員 当該箇所は池袋の電車区の中でも、普通は九両なり十両入る線が多く、山手線の電車は大体十両で運転しておりまして、十両そのまま入るわけでございますが、ここの線はちょうど短いものでございますので八両しか入らないのだ。だから、そういうところは気をつけなければいかぬのだ。民家もありますからここは気をつけて運転しなければいかぬのだ。私ども言葉で言いますといわば要注箇所、要注作業という表現をいたしております。したがいまして、そこについては、ここには特に危ないところだという意識を持ちながら運転をするのが一番大切なことだろう、かように考えておりますが、残念ながらそこのところは自分でははっきり承知しておらなかったという事故後の当人の発言もございます。この辺が一番ポイントとして、当人だけの問題ではなくて、一般の乗務員ももしかしたらそういうことであったらいかぬということで私ども対策を進めてまいっておるつもりでございます。
  186. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今答弁がありましたように、民家に接近しておるということで要注意の場所であった。したがって、その場合はより慎重に運転をしなければならないわけですね。それが、第三者の目撃者が見た範囲でもいつもよりもスピードがあったというようなこと、そこら辺は錯覚というような原因だけではなくて、運転者の中に緊張感がなかった、こういう一面が大きな原因ではないか、私はこのように考えるわけでございます。  最近における国鉄のいろいろな事故を見ましても、停車しなければならない駅を忘れて通過してしまったりというような綱紀の弛緩、どうもそこが事故の大きな原因ではないか、このように考えておるわけですけれども、最近の国鉄におけるそういう事故について二、三挙げていただきたいと思います。
  187. 小原孝夫

    ○小原説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘がありましたように、緊張感がないのではないかというような面も確かにないとは言えませんので、私どもはこの辺を重点に、若干はよくなったといえども、世の中から見ますとまだまだ問題なしとしないという考え方でこの問題は取り組んでまいりたいと思います。  それから、同じような事故でございますが、池袋の電車区のように配線がたくさんあるところで起こった事故について最近のものを言いますと、例えば二月十五日に東海道線の横浜羽沢で車両脱線がございました。それから五月二十八日に田端操、田端操車場の中で車両脱線するという事故がありました。  横浜羽沢の事故と申しますのは、留置してあった貨車に機関車をくっつけまして、その機関士が運転台を離れるときにブレーキをきちんとかけなかった。自動車で言いますと、離れる場合はサイドブレーキをきちっとかけて確かめて離れるというのが普通の姿でございますが、その辺が非常にあいまいであったために起こった事故で、三百メートルほど流れて車どめを突破して高架橋から機関車が一両落ちた、こういう事故でございます。  それから田端操の中で起こりました事故は、機関士は本線以外の構内では入れかえ信号機に従って、青か非かによって運転をいたします。当該箇所の入れかえ信号機は当日青でございましたが、その信号機の先が二またに分かれておりまして、右側の方が線路が短いものでございますから、機待ち線と言っておりますが、二十五キロで運転をする、それから左側の方へ参りますのが四十五キロで運転が可能なようにできておるわけでございます。そのことについては、信号機の下に右に行くか左に行くかという表示がきちんとできておるわけですから、該当の機関士は右側へ行くべきところを左側へ行けるんだと錯覚、思い込みをいたしまして、速い速度で運転しておりましたので、気がついたときには右側の方へ、車どめを突破はいたしませんでしたが、間に合わなくてぶつかりまして、数十メートルほど押し出して脱線をした。  これが最近東京近郊の構内で起こっている事故の概要でございます。
  188. 伏屋修治

    ○伏屋委員 国鉄はこれから秋に向けて民営・分割というように非常に焦点になっておるだけに、こういう事故に対しては非常に多くの方々が注目をしておるわけでございます。今回の池袋の事故に対しましても、一つは入れかえ線の作業の実態を調べ直す、それから二つ目としては、民家に接している入れかえ線については設備の改善方法を検討する、あるいは三つ目には、新しく配属された運転手や検修係の教育を徹底する、この方針を決めて各管理局に指示をした、こういうふうであるわけでございますが、今までの本当に多発しておる国鉄の事故を見ましても、それぞれ方針を立てて対処しておるのですけれども、その対処したその方針が本当に徹底されておるならばこういう池袋のような事故は避け得たのではないか、このように考えるわけです。その場その場のしのぎで行っておるのではないか、こういうような心配もしておるわけですけれども、その辺はどうお考えですか。
  189. 小原孝夫

    ○小原説明員 お答え申し上げます。  確かに現在、国鉄は非常に大変な時期でございまして、私どもといたしましても、やはり国民の皆さんに本当によく仕事をしてわかっていただけるように頑張らなければいかぬ、それ以外に生きる道はないのだということを再三繰り返し申してはおるのでございますが、こういう事故が起こってみますとやはり反省するところも多々ございまして、本件等の事故もただいま先生からお話がありましたような対策を立てて、それに今取り組んでいるわけであります。その場その場というつもりはないのでありますが、結果的に見ればそう言われてもやむを得ないものも確かにございます。  ただやはり、こういう時期に私どもふんどしを締めてかからなければいかぬと思っております。従来のように単なるありきたりの、これをやりなさいということではなくて、やったらそれを一カ月後、二カ月後には必ずトレースをしますよ、要するに、そのやったことに対する評価をして、またフィードバックするということを最近は特に力を入れてやっておりますので、今先生の御指摘については十分肝に銘じましてこれからもまた取り組んでまいりたい、かように考えております。
  190. 伏屋修治

    ○伏屋委員 綱紀の緩みというものを引き締めてかかっていただかないと今後に大きな問題を残していくのではないか、このように考えますので、その点は強く要望しておきたいと思います。  この池袋の事故も、幸いにして、当時は娘さんが一人だけでおったということにおいて人命に至らなかった。けれども、ここに家族がおったならば大惨事につながった、こういうふうに考えるわけでございます。その補償の問題については具体的にはそれぞれもう交渉を進めておられると思いますが、その経緯等についてもお尋ねしたいと思います。
  191. 本間達三

    ○本間説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、当時電車が飛び込みましたアパートでございますが、本当に幸いなことに。中に人がおいでにならなかったということで、これはまことに不幸中の幸いだと思っております。いずれにしましても、私どもの一方的な過失であのような被害をもたらしたということで、大変に申しわけないと思っております。  早速関係者が謝罪に伺いますとともに、補償についてのお話し合いをさせていただきました。結論から申しますと、現時点におきましては示談が交渉中であるということでございます。  経緯を若干お話しいたしますと、まず一番問題になりましたのは家の問題でございます。御存じのとおり、二階建ての家の一階に約七十センチぐらい電車の先頭部がめり込んだということによりまして、一階部分の側壁それから天井が壊れまして、土台も二、三十センチずれるというような損壊状況でございまして、これをどうするかということを家主さんとお話し合いをいたしまして、家主さんの御希望に沿ったような補償をいたすのがやはり一番いいと私ども考えておりまして、家主さんの御希望としてはこれをもとどおりにしてほしい、こういうことでございました。ただ、技術的にそれがもとどおりになるかどうかということにつきまして私ども調査しましたところ、技術的には可能であるということになりましたので、今のところ大体そういう方向で話を進めている、こういうことでございます。  それから、中に家具とか調度品とか衣類とか、いろいろなものが、家主さんのものが入っておりました。これを若干損傷させておりますので、この分の補償もいたさなければなりませんが、数が相当数ございますので、今その損害額について調査中であるという段階でございます。いずれにいたしましても、この問題、私どもとしてはできるだけ早く、誠意を持って円満に解決をしたいというふうに考えているところでございます。  それから、これはアパートとして一部使われておりまして、二階部分でございますが、二階部分のアパートに下宿人として学生さんが一人おいでになりました。この方につきましては、早速その日以後の、事故日以後のさしあたりの宿泊ということが大変御不便だということでございますので、私どもでホテルをあっせんいたしまして、私どもの費用で約十日間そこにお住まいいただきまして、その後もとの家の近くにアパートを借りてあげまして、そこにお住まいいただいているという状況でございます。家賃等の差額その他の補償につきましても私どもが持つということでおおむね話し合いはついておりますが、最終的な話し合いというものはまだできておりません。近々円満に解決ができるものというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  192. 伏屋修治

    ○伏屋委員 起こってはならない事故、一方的な責任のある事故であるだけに、いわゆる被害者の方が満足する補償を進めていただきたい、このように思います。  国鉄の問題は以上で終わりたいと思います。  次に、高速道路の逆走の問題でございますけれども、よろしいでしょうか、答弁の方は。  最近、山梨県で、女性のドライバーがパーキングエリアから本線に逆走して事故を起こし、本人は死亡、そして巻き添えを受けた人たちが重傷を負った、こういうような事故、あるいはまた千葉県の京葉道路では暴走族の方が警察に追われて京葉道路に入り込み、逆走して事故を起こした、こういうような高速道路の逆走事故が多発しておるようでございます。これは、逆走すれば高速道路であるだけにもう完全に命はないと見て間違いがないわけでございますけれども、そういう意味で、いわゆるモータリゼーションの先進国であるアメリカあたりでも六〇年代からこの高速道路のいわゆる逆走防止ということについて鋭意検討を加えておるようでございます。具体的には、パーキングエリアから逆走しないような装置をつけたり、あるいは錯覚を起こして逆走しないように、夜間でも色の変化で、いわゆるチャタリングバーと言われておるようでございますけれども、そういう色分けによって錯覚しないようにというような装置がいろいろ考えられておるようでございますが、建設省として、この辺の、高速道路の逆走事故防止に対してどういうような対策を講じておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  193. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 高速道路の逆走につきましては、通常では考えられない非常に特異な事例であると考えております。  この逆走を防止することにつきましては、第一義的には高速道路利用者のマナーに依存するところが多いと思われますので、この点につきましては、関係機関とも十分な連携を図りながら、高速道路上での運転方法や安全運転マナーの教育、PRに努めてまいりたいと考えております。  また、道路の施設面で逆走を完全に防止する方策を講ずることは非常に難しいと考えておりますが、非常にまれな例とはいえ、御指摘のように逆走による事故が発生していることも事実でございますので、諸外国や国内の実態を踏まえまして安全対策を図るべくさらに努めてまいりたいと思っております。  具体的に現在私たちがとっておる手段を申し上げますと、サービスエリアとパーキングエリアにつきましては、エリア内から逆走を防止するために進入禁止の規制標識及びエリア内から本線に車両を誘導するための案内標識を必要な箇所に設置しております。また、本線への流入部には指定方向外進行禁止の規制標識を設置しております。次に、インターチェンジとジャンクションにつきましては、案内標識はインターチェンジまでの方面及び距離表示標識のほか、インターチェンジの手前二キロメーター地点、一キロメーター地点、五百メーター地点、出口地点の計五カ所の案内標識を設置しておるところでございます。先ほど先生指摘のアメリカの例等々も今後勉強させていただきまして、いろいろ検討させていただきたいと考えております。
  194. 伏屋修治

    ○伏屋委員 いわゆる道路公団あたりは、こういう逆走事故というのは、今答弁にもありましたように常識では考えられない事故である、だから一台一台の車を監視するわけにいかないのだからというような非常に安易な考え方があるように受けとめられるわけでございますけれども、逆走が起こったならば完全に人命が消滅しなければならぬ。人命を尊重するという立場からも絶対起こってはならない、千に一つか万に一つかわからないけれども、やはりそれでも細心の配慮をしておかなければならないのではないか。  高速道路は多くの方々が高い料金を払って走っておるのにもかかわらず、まるっきり考えられないような逆走してくる車に巻き添えを食らって重傷を負う、こういうようなこと、あるいは人命にかかわるようなことになればとんでもないことで、そういう面からも逆走に対する防止策というものに対しては鋭意検討を加えていかなければならないし、そういうものに対するある程度の予算というものはもう少しつけても構わない、こういうふうに考えるわけでございます。  いわゆる道路標識も、今つけておるからそれで防止できるんだ、こういうような安易な考え方でなくて、錯覚を早くよみがえらせるためにはどうしたらいいのか。いわゆる居眠り防止等につきまして、私どもの方の国道四十一号線、いわゆる高山の方へ上っていく道路あたりにも、居眠り運転による事故が多いというところからフクロウの標識をたくさんつけております。そのフクロウの目玉が右左に動く、そういう奇抜な標識によって眠気を覚まさせるというような工夫もされておるようでございますので、こういう逆走防止のための、今までどおりの交通標識でなくて、特異な、うっかり運転が防止できるようなそういう交通標識というものを検討する必要があるのではないか、このように考えますが、どうですか。
  195. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 先生指摘のように、非常にまれな、件数としては少のうございますけれども、一遍そういう事態が生じますと必ず死亡事故につながるものでございますので、御指摘の点を踏まえましていろいろ今後とも検討してまいりたい、かように考えております。
  196. 伏屋修治

    ○伏屋委員 よろしくお願いを申し上げます。  高速道路の問題は以上で終わりたいと思います。  次に、自転車道路の問題についてお尋ねをしたいと思います。  先日も本委員会から、埼玉県の浦和それから大宮と、いわゆる自転車の駐車の現状を視察に参りました。私も参ったのですけれども、正直なところ申し上げますと、あれは視察に来るからというので事前にかなり整理されておったのではないかな、このように私は思うわけでございまして、私どもは本当は生のままのそういう自転車駐車状況を視察したかったわけでございますが、当地の方々は、衆議院から来るからというので大あわてにあわてまして整理したような面もございます。そういう面からも、自転車の駐車というものについて、今後もう少し、各市における条例もありますけれども、やはり考えていかなければならないのではないか、このように私は思うわけでございます。  自転車道路についても同じことで、五十三年に道交法が改正されまして、自転車によるところの自動車に巻き込まれる事故防止のために緊急避難的にいわゆる自転車が歩道に乗り上げてきておる、歩道を自転車が共有しておる、こういうような現状でございますけれども、自転車は白線で分離した車道寄りを徐行して走らなければならない、こういうように道交法にはなっておるわけでございますが、現況は、私もこの間国電蒲田駅の駅前のところを調査してきましたけれども、白線は全然ありませんし、自転車は交通弱者である小さい子供さん、老人を全く無視して、徐行どころかスピードアップして暴走しておる。こういうような現況を見るにつけましても、何とかこれに対処していかなければならない、このように考えておるわけでございますが、そういうような道交法改正によるところの自転車、歩行者共有のそういう白線分離という実態は今どのようになっておりますか。
  197. 広谷干城

    ○広谷説明員 現在、普通自転車の歩道通行可の規制をしておるものが全国で約三万区間、それが三万六千八百キロメートルほどございます。さらに、今お話しございましたような自転車の通行区分を指定しておりますものが三百七十三区間、四百九十キロメートルほどある、こういう状況でございます。
  198. 伏屋修治

    ○伏屋委員 そういうふうに実態のお話がありましたけれども、その実態とそぐわない面が余りにも多過ぎるのじゃないか、こういうふうに思うわけです。白線分離しておると言いながら、全然ない。交通標識はいわゆる自転車と歩行者のマークを入れた標識があるということでございますけれども、自動車最優先という考えがその底流にあるように思えてならないわけです。いわゆる自動車あるいは自転車、歩行者、同じような権利をやはり保持してあげなければならない。それが今のところは自動車が最優先の権利を持って車道を走る、自転車はその権利を押されて歩道に押し上げられた、歩道に押し上げられたことによって今度は歩行者の権利が全く無視されておるというのが現況なんです。だから、歩道を歩行者がショーウインドーを見ながらゆったり歩く、そういう歩道はもう皆無に等しい、自転車に気をつけながら歩行者は歩道を歩かなければならない、これが現況なんです。  道交法でそういうものを改正したとするならばこれは警察庁の問題だと思いますが、警察関係もそういうような自転車の取り締まりをもう少し強化していかなければならないのではないか。いわゆる自動車取り締まりの方に重点を置いて、自転車、歩行者の中というものの取り締まりがどうも緩やかではないのかという心配を私もしておるわけでございます。これも大きな事故につながると思うのです。いわゆる巧緻性に富んだ若い年代とか、そういう方々は自転車が直前に来ても逃げることができます。しかし、幼児とかお年寄りは自転車が直前に来たら逃げられない。ついにぶつかった、それによって転倒した、大事な頭を大地にたたきつけたということになれば、事命に及ぶ大きな事故になると思うのです。  そういうことから考えれば、自動車の取り締まりもさることながら、やはり道交法改正でまだそれが地についておらない現在ですから、より一層警察庁の方も力を入れてそういうものをやらなければならない、このように考えるわけですが、警察庁の考え方をお尋ねしたいと思います。
  199. 広谷干城

    ○広谷説明員 今お話がございましたように、昭和五十三年の道交法の改正によりまして、自転車が車道を走っておって余りにも悲惨な事故が多く発生しておるという観点から、歩道を走ることもできるようにいたしたわけでございます。その意味では、自転車の事故といいますものは実は昭和五十年に比べまして現在は約七割くらいのところまで減っておるということでございまして、その意味では大変効果が上がっておるわけでございますけれども、歩道に今度は自転車が出てきたために、お話しのように歩行者が逆に自転車のために不便になっておると申しますか、危険になっておるとか、そういうことがあることは否定できない状況でございます。  したがいまして、我々といたしましても、歩道というのは名前のごとく歩く道でございますので、その歩道の実態が本当に確保できるように、一つは自転車の利用者に対する指導と申しますか、そういうものを十分にやっていかなければならぬと考えておりまして、なお一層街頭活動を強化いたしまして、ふさわしくない自転車の乗り方に対します指導を徹底するとともに、また、一般的に自転車の乗り方、マナーといたしましても十分な教育ができるように努力してまいりたいと考えております。
  200. 伏屋修治

    ○伏屋委員 歩道を自転車と歩行者が共有しているのは我が国だけでありまして、諸外国ではこういうものは一切見られないわけです。西ドイツでもアメリカにおいても絶対に歩道に自転車を通さない、道路幅を狭くしてでも自転車には車道を走らせておる。こういう現況でありますので、そういうことを踏まえても、自転車専用レーンというものをもっと積極的に今度の施設整備五カ年計画の中にも盛り込んでいかなければ、歩行者、弱者がますます押し込められてしまうということを心配しますので、その辺の自転車レーンについての考え方も後ほど御答弁いただきたいと思います。  それから、私が駅の前のそういう繁華街の歩道を歩いておって自転車に遭遇する、その自転車ドライバーはほとんどが小学生、中学生、高校生なんですね。そういう方に限ってかなりのスピードで走ってくる。こういうことにつきましても、学校における安全教育というもの、ただ自動車から避難するときの安全教育ばかりでなくて、自転車に乗って町を走るときにはどうするのが一番安全なのかというようなことについての学校における安全教育、あるいは交通安全運動期間中こういう自転車の乗り方等々についてどのような具体的な指導をしておるのか、文部省、総務庁、それから自転車専用レーンについてはまだ警察庁にもお尋ねしたいと思います。  以上、御答弁願いたいと思います。
  201. 波多秀夫

    ○波多政府委員 自転車の正しい安全な乗り方につきましては、学校教育の場においてはもちろん、この点については後ほど詳しく文部省の方から御答弁があろうかと思いますが、全国交通安全運動等の各種の安全運動あるいは関係機関、団体などの行います自転車教室といった各種の講習会、こういったものの機会を通じまして指導、啓蒙に努めておるところでございます。この中におきまして、幼児や老人等の交通弱者の保護の見地から、徐行、一時停止義務の励行といった点につきまして重点を置いて指導に努めておるところでございます。今後とも関係機関、団体と連携いたしまして、あらゆる機会をとらえましてこういった点について十分マナーの確立が図られますよう努力をいたしてまいりたいと存じます。
  202. 下宮進

    ○下宮説明員 学校における自転車の安全教育についてお答えいたします。  自転車に関する安全教育につきましては、小学校、中学校、高等学校を通じまして学校における特別活動の学級指導、学校行事を中心にして行っているところでございます。特に小学校におきましては、安全な乗り方、歩行者保護に必要な態度を身につけることをねらいといたしまして、発進、停止、走行の仕方あるいは交差点の通行の仕方等について指導しているわけでございます。また中学校におきましては、自転車の安全な利用についての理解をさらに深めるとともに、交通の決まりを守り、安全に行動できるようにすることをねらいといたしまして、自転車による事故の現状、原因あるいは安全な走行の仕方、交通規則等について指導しているわけでございます。高等学校におきましては、小中学校における指導をさらに発展させて、交通規則の理解、実践あるいは環境、状況に応じた自転車の乗り方等について指導しているわけでございまして、さらに、こういった学校における交通安全教育がさらに推進されるよう指導してまいりたいと考えているところでございます。
  203. 広谷干城

    ○広谷説明員 自転車専用レーンの問題でございますけれども、現在全国で四百四十八区間で五百二十四キロほど自転車専用レーンを指定いたしておりますが、自転車が安全に通行できる環境を整備できるように、道路管理者とも連携をとりながらこの自転車専用レーンの設置につきまして努力してまいりたいと考えております。
  204. 伏屋修治

    ○伏屋委員 先ほど総務庁と文部省の方から安全教育についてのお話がございましたけれども、それは確かに安全教育のしおりとか、いろいろなものがあるのは知っております。しかし、余りにも現実離れをしておる。だから、もう少し都内の現実をよく直視して、その中で現実に即した安全教育を、学校という一つの隔離された中でやっておっても、一歩外に出ればそれが全然守られないのが現状です。  自転車の駐車に関してもそうだと思うのです。いわゆるパーキングエリアを決めておっても、パーキングエリアから一台分はみ出たくらいだったら勘弁してくれるだろうという形でそこへ置いていく、それがだんだん広がって、いわゆる放置されておるような自転車の状況になっておるのではないか。だから学校、総務庁で安全運動期間中そういうものをやることも大事ですけれども、それが現実に即し、それがもう生活に、自分の体にしみ込む、そしてそういう交通道徳、交通秩序を自分が守るということが日常化する、そういうような教育が鋭意進められなければならない。ただ運動期間中だけ何か総花的にきれいなことをやっておってもだめなんで、横断歩道のところに立っていろいろ指導してみえる方もおりますけれども、いわゆる歩道におけるそういうような現実に対しての指導を具体的にもっと進めていただきたい、このことを最後に要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  205. 小川新一郎

    小川委員長 次に、坂井弘一君。
  206. 坂井弘一

    坂井委員 二つの例を挙げます。  一つは、千葉県のある高校生が二輪車の免許を取りまして車を購入いたしました。そうしまして、その車を実は他人に貸したわけでございますが、借りた人が事故を起こしました。車を貸しました高校生は校内規則の三ない運動違反であるということで、退学処分になりました。実はこれは訴訟になりまして、現在公判中でございます。  いま一つの例は、高知県のある高校生、この高校生は学校の許可を得ないで二輪車の運転免許を取りました。そのために無期停学処分を受けました。その後停学は取り消しになったようでございますが、この件につきましても目下高知地裁で公判中のようでございます。  今の二つの事例は、いずれも三ない運動から起きました事件でございまして、このことにつきまして、きょう文部省からおいでいただいておりますので、率直な御感想をまず承りたいと思います。
  207. 下宮進

    ○下宮説明員 お答え申し上げます。  二輪車の運転に関する三ない運動のような規制は、二輪車の運転によりまして高等学校生徒が死傷したり人身加害に至るなど悲惨な交通事故の経験を踏まえ、学校、教育委員会、PTAなどが、こうした事故を未然に防ぐために生徒や保護者の理解を求めながら、運転免許の取得、二輪車運転などを制限している措置でございまして、私どもはこういった運動がかなりの成果を上げているのではないかということを思っているところでございます。  先生指摘のような千葉、高知でこの三ない運動との関連で懲戒処分の事例がございましたが、この処分につきましては、学校がいろいろな観点から判断して処分をしたことなんだろうというふうなことでございまして、具体の係争事件でございますので、その評価につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、学校における懲戒処分を進めるに当たりましては、十分いろいろな事情を考慮しながら適切な対応をする必要があるのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
  208. 坂井弘一

    坂井委員 やがて法廷は司法の上での決着をつけると思います。思いますが、十六歳になればだれでも二輪車の運転免許を取る資格要件としては整うわけですね。それを何人たりといえども法律上の理由なくして拒絶するということは、これはできないはずだというのが大方の法律関係者の見解のようでございます。言うなれば、十六歳のこれは権利であり、自由なんだ。それを三ない運動で免許を取らせない、取らない。取らせないということはこの自由なり権利、これを奪おうとする、このこと自体は違法ではないか、まことに不当である、こういう意見が法律学者の中では大勢を占めるようでございます。  それはそれといたしまして、文部省は昭和五十六年の六月の末に体育局長名によりまして「交通安全の確保と交通安全の徹底について」の通達を出しておられますね。ここで「高等学校においては、二輪車の使用規制等の管理的指導を行っている場合においても交通安全教育の徹底を図ること」こううたっているようでございますが、この通達をめぐりまして、交通安全の徹底を図れ、二輪車使用の規制をしておっても交通安全の徹底を図れ、そう言われても、我が校は三ない運動でバイクを一切認めていないんだからそんな通達は全く関係ありません、あるいは全面禁止しているんだから文部省がそんな通達を出したって必要ないじゃありませんか、何で交通安全教育なんかやらなければいけないんですか、こういう学校がありますね。  一方で規制をし、その一方で交通安全教育を施せというのは、まことにこれは矛盾したことでありまして、今のようなことが現場の学校から起こってくるということは、これは当然中の当然だ。これで交通安全教育の徹底なんか図られるはずがない。もし、いやそういうことはないんだということであれば後で教えていただきたいと思いますが、私の手元にははっきりした学校からそのようなことが実情だということの資料が参っております。これは指摘をしておきたい。  同時に、交通安全教育に対する積極度の問題、このことは、これは総理府が報告を求められました「交通安全教育の総合的・計画推進に関する調査研究」、国際交通安全学会から出ました。これは立派な内容でございまして、丹念に見せていただきました。この中に、今申しました高校の交通安全教育に対する積極度の問題に触れている箇所がございまして、こういうふうに言っていますね。「交通安全教育に対する積極度は、地域による相違が著しい。」云々とありまして、「県レベルでいわゆる「三ナイ運動」を実施している県よりも非実施県で積極度が高い。」三ない運動をやっているところは余り交通安全教育をやらない。三ない運動をやっていないところが交通安全教育に対する積極度が非常に高い、こういう指摘一つ。  それから、いま一つ見逃すことのできないのは、こういう記述がございます。「高校生に対しては、二輪車・原付の通学許可を得ている者に対して、校庭を用いて講習を実施するケースが多いが、学校との協力体制が重要である。三ナイ運動実施校からは当然のことながら協力が得られず、高校生が免許を所持していながら、再教育、向上教育を受ける機会が与えられないままになっている。」大変重要な指摘だろうと私は思います。そうした報告が、内閣総理大臣官房交通安全対策室、委託者でございますが、ここになされたことでございますから、当然のことながらこのことについては非常に重要な関心を持って受けとめておられると思いますが、いかがでしょうか。こういうことでありますと、交通安全教育が十分に行われない。学校側の協力も得られない。果たしてこれでよろしいものでしょうかね。規制をしておるそういう学校においても交通安全教育の徹底をしなさいと文部省は通達を出した。しかし、前段申し上げましたように、我が校は三ない運動を徹底的に実施をしておるんだからそんな必要はさらさらありません、こう言う。まさにそれを裏づけるのがこの調査結果でございます。  重ねて文部省、率直に、先ほどは効果が上がっているという話でしたけれども、この交通安全教育についてはどうお考えですか。
  209. 下宮進

    ○下宮説明員 交通安全教育の実施でございますが、先ほど先生指摘があったように、第三次の交通安全基本計画が策定されました際に、体育局長通知で交通安全教育の徹底について通知をいたしたところでございます。  その後文部省におきましては、昭和五十七年度から交通安全教育に関する研修会の見直しをやりまして、中央レベルでは交通安全教育指導者養成講座を開設いたしまして、教員の指導力の向上を図っているところでございます。また、この講習会で受講した先生方を中心にいたしまして、都道府県段階で交通安全教育の指導者研修会を開催していただいているわけでございます。そういった研修会を通じて、各高等学校におきまして交通安全教育がさらに進展いたしますようにお願いしているわけでございます。先生指摘のような事例も全国を見ればあろうかと存じますが、私どもは交通安全教育を充実するという観点から、さらに徹底を図ってまいりたいと思っているわけでございます。
  210. 坂井弘一

    坂井委員 免許証を校長室の金庫にしまって、ただ取り締まる、そういうことで交通道徳というものが育つはずがない。私、一番心配しますことは、校内規則、校規で決めたことだから、ばかばかしいけれどもこれは守らざるを得ないというのですがね、まあ守ってやりましょう、いたし方がない、こういうことであっては生命に対する尊厳といいますか、あるいは仲間同士の友愛といいますか、そういうものが何にもない。ただ単なる自己中心のそういうとんでもない人間ができ上がってしまうのではないか。これは、教育の問題として実に心配するわけでございます。  この間も何か、ドライヤーを使った、これは校内規則違反だということで先生が生徒を殴り殺した。私は、ドライヤーの使用禁止をすることを校内規則で決めることがいいのか悪いのか、そんなことをここで論じようとは思いません。思いませんが、何とばかばかしいことを決めたものだなと、正直そう思う。むしろ、もしそれを決めるのならば、それは生徒が、生徒の風紀委員会等において髪の長さとかスカートの長さとか、ドライヤーを使うとか使わぬとか、生徒みずからが決めるというような校内規則であれば、これは本気になって生徒が守るでしょう。しかし、どうもこの三ない運動というものを見ておりますと、周囲の、親は親で子供に車を買ってくれとせがまれるのが困る、取り締まる方は取り締まる方で暴走行為に走る一部の者があって事故が起こって困る、学校は学校で現場の先生は、先生はと言っていいのか、あるいは教育委員会と言っていいのか知りませんが、こんなことでバイクの教育を初めもう煩わしい、これがなければ事故なんか起こらないんだ、こういうまことに皮相的、一時的な、教育の本質というものをなおざりにした考え方が、高校生をバイクに近づけないという物の考え方の基本にあるのではないか。私から考えれば、周辺の大人どもの極めて勝手な、これはエゴですよ。管理主義であり、無責任であり、主体者は高校生である、生徒なんだ、その生徒の考え方というのは全くここにはありませんね。  三ない運動のことに関しましてきょうは資料を持っておりませんが、この間から随分たくさん私なりに勉強させてもらったつもりであります。見れば見るほど、実態を聞けば聞くほど実はそういう感を深くするわけでございまして、もし先ほどからのように三ない運動が事故防止に効果がある、こう言うのなれば、それは車を取り上げておるのですから、車に乗らないのですから事故は減る。これが当たり前というならば、日本全国から全部車を追っ払ったらどうですか。車のない社会にしたらどうですか。交通事故はゼロになるでしょうね。私は、そういう発想というものが教育者が音頭をとって起こってきたところに非常にばかばかしさといいますか、言葉は過ぎるかもわかりませんが、苦々しささえ感ずるわけでございます。これまた言葉が過ぎることがあればお許しをいただきたいと思いますが、こうしたまことに愚かしい、反社会的な規制、禁止、その結果一体何が起こったか。隠れ乗車でしょう、免許証の二重取得でしょう、無免許運転でしょう、そういうことが続発しているじゃありませんか。しかも、そのようなことによって実態的には事故もふえているのじゃありませんか、どうですか。バイクの許可校と禁止校と事故はどういうことになっておりますか。どちらが多いですか。
  211. 下宮進

    ○下宮説明員 お答え申し上げます。  各学校別に細かくは調査いたしておりませんが、文部省が本年三月に調査したところによりますと、都道府県の教育委員会、PTA、高等学校長協会等の申し合わせなどによりまして、全県的に二輪車の規制を実施している都道府県の数は二十八府県ございます。これらの府県における高等学校生徒の二輪車による交通事故について、規制を実施する前年における死傷者数と昭和五十九年における死傷者数とを比較いたしますと、死者数及び負傷者数がともに減少しているところが十八県となっております。また、当該二十八府県におけるこれらの死傷者の合計数につきましては、規制を実施する前年におきましては死者二百七十六人、負傷者一万六千百九十七人でありますのに対し、昭和五十九年においては死者二百四人、負傷者一万百二十七人となっております。
  212. 坂井弘一

    坂井委員 きょう細かい内容には触れませんが、どうかひとつ文部省、学校別に細かくお調べください。学校によってはバイクを許可し、そして交通安全教育を徹底して行う。バイクの乗り方、安全な運転の仕方、技能等々も身につけさせる。そういう学校においては交通事故が減っておる。事故も減っておる。そういう例がある。また一方、片やこの三ない運動を徹底しておる、しかし交通安全教育をやらない、そういう学校において事故が続発しておる。そういう実態というものをつぶさに把握していただきたい。  高校生が免許を取って何で悪いのか。この素朴な疑問に対して的確にだれも答えようとしない。真っ正面から答えようとしないですね。私は非常に残念なことだと思うのですが、高校時代というものは体力にしましても運動神経にしましても感情にしても、これはピークの時代、疾風怒濤の時代だ、こうも言われますが、そういう内部から噴き上げてくるものがある。そういうものを抑え込む、三ない運動で。そういうことだけで事故がなくなる、これが安全だ、そう思ったらとんでもない。そういうような抑えつけて高校生が納得をして、ああなるほどそうか、わかりました、じゃ我々自体からこういう決まりに対しては積極的に推進していきましょうなんということになろうはずはありませんね。論理においても欠けておる。実態、実情においても全くそれを無視した、最初言いましたような、周辺の勝手な考え方というものがこの問題についてはまかり通っておる。  まあ、時にはバイクというものは、今の高校教育が持っている能力主義とか選別主義、そういう中からこぼれた生徒のある種のはけ口になっている。お互いに仲間意識、そういうものを育てる場、ほっとする場、そういうことにもなっているというような話も聞きました。  ある県の交通安全実施計画を見ますと、次のように書いております。「高等学校にあっては一般的に二輪車は本来不要なものであることを理解させ」云々。二輪車が不要というんだったら、世界じゅう、日本じゆうから二輪車をなくしたらどうですか。そういう指導をやっているのですか。「高校生活にバイクは不要」こうも書いてある。これは何かバイクを持たせると暴走する、バイクイコール暴走イコール暴力、こういうみそもくそも一緒にしたようなむちゃくちゃな考え方が根っこにあるのじゃありませんか。だから高校生をバイクに近づけない、近づけなければ事故は起こらない、非行にも走らない、これはどう考えてもおかしいですね。だから、今の「一般的に二輪車は本来不要なものであることを理解させ」これは私はさっぱりわからないので、本当はこの意味も総務庁に解説をしていただきたいと思ったのですが、そんな時間の余裕もないようでございます。むしろ本日は、ある小学校における積極的な交通安全教育の取り組みについて御披露だけ申し上げておきたい。  これは、和歌山県橋本市の恋野小学校における例でございます。「歩く免許証」というのです。歩行者の免許。それから「自転車運転免許証」というのがあるのです。小学校で歩行者としての歩き方を実地に教育する、安全教育も施す、それでパスした人には歩行者の免許証。歩行者のマナー、ルール。それから次には自転車。自転車の運転技能、安全な運転の仕方、安全教育、それにパスした人には「自転車運転免許証」を交付する。子供たちは喜々として誇りを持って、自信を持って、この免許証を持って自転車で学校に通っている。これが教育ではありませんか。この結果どうなったか。この小学校で五十七年に四十六件あった交通事故が五十八年には三十件。十六件も事故が少なくなった。効果があったということですね。  しかも、これはだれがやり出したか。自転車クラブというのがあるのですが、この自転車クラブは、読みますと、子供たちが自転車クラブを先生つくってくださいと言って、子供たちの要望でできた。その自転車クラブの子供たちの発想でこういうことになっていった。私が先ほど申し上げた高校においては、高校生という主人公が不在で、周囲の親だ教師だ学校の関係者だ、取り締まる側だ、そういう者の勝手で高校生の考え方を全く無視して規制だ禁止だ、これは交通安全教育ではないということを私は申し上げたいわけであります。  本当の教育というのは、今言ったように、小学校においてもこういうことが行われている。立派じゃありませんか。こういう小学生が中学生、そして高校、大学、社会人、それは、いわゆる車社会、交通社会の中の立派な交通人として、そのルール、モラル、安全ということをしっかり身につけた交通社会人として、この社会の中で事故をなくしていこう、自分の命も大事にする、他人の今も大事にする、お互いに譲り合う互譲の精神、そういうものが培われていくのじゃありませんか。  高校の時代だけ取り上げる、三年間我慢しなさい、三年間我慢したら、高校を出たらバイクに乗って走りなさい、これは暴走しろということを教えているにも等しいですよ。三年間我慢しろという物の考え方は、私をして言わしめればまさに自己破壊的な思想ですね。その間自己がないのですよ、高校生は。だから、どうですか、こういうことでボイコット運動まで起こった学校があるじゃありませんか。これはまことに残念ながら私の方に嫁する学校でありますので、校名を言うのはつらくて言いたくない。しかし、なぜ授業ボイコット運動まで高校生たちがやったかという彼らの気持ちは、私はわかるような気がするのですね。こんなばかばかしいことをなぜ今日なお押しつけているのでしょうかね。  事故が少なくなった、これは一時的じゃありませんか。皮相的ですよ。もう少し長い目で、長期にわたって、交通社会人としてこの車社会の中でという物の考え方があれば、高校の時代だけ三年間これを取り上げてしまおうなんというようなむちゃくちゃな考え方は出ないと私は思うのです。それは事故をなくしたい。高校生がバイクに乗って暴走して事故を起こす、けがをさせる、あるいは非行化というところにも結びつかないでもない。親もそれで困る、そういう事情があることはわかりますよ。わかるけれども、それは極めて一時的、皮相的だ。教育の本質というものはそうじゃないでしょう。そういうことに対してもっと教育が積極的に参加していく。しかも、その主人公はあくまでも生徒たちだ、そういう意思なり意見というものを尊重しながら、周囲が温かくそれを見守り、いい方向にその芽を伸ばしていくというのが、社会人として巣立っていくそういう生徒、高校生たちに対する教育者の立場でなければならぬと思うし、また、そういうことであってこそ初めて真の交通安全教育がなされていく、その結果交通事故というものが減少方向に向かっていく、実は私はそう思うわけでございます。  例えばアメリカなんかでは、ある州では、免許を一年ないし三年早く与えましょう、しかしそのかわりに、高校、中学でこの交通教育をしっかり受けてくださいよと受けさせる、そういうことを条件にして一年ないし三年早く免許取得の資格を与える、そういう州がありますね。これは当然だと思います。物の道理ですよ。例えばテキサス州、カリフォルニア州、ノースカロライナ州、これは運転教育を受ければ、免許資格が十八歳ですが、十六歳で資格を取ることができる。モンタナ州、ニューメキシコ州、それらについては、同じく十八歳でありますが、交通安全教育、技能訓練等を中学、高校で受ければ三年早めて十五歳で免許を与える、こういう仕組みですね。これは当たり前だと思う、現にかなっています。  交通教育というのは交通人の教育でありまして、単に安全であったらいいというような、そういう皮相的なものでもない、もっとそういう高いモラルの水準にまでわたって教育するというのが交通安全教育だろう、こういうふうに私は思っておりまして、自分さえよければよい、そういう自己中心の物の考え方では世の中をだめにしてしまう。社会全体の中で生活をしているんだということを教えて、そして、先ほど言いましたような、互いに譲り合う、そういう精神もこの交通安全教育の中で培っていくということが極めて大事な教育の大きな課題であろう、教育に対する一番大事な視点というのはそこにあるだろう、実は私はこう思っているわけでございます。  最後にお尋ねをいたしますが、したがって今のようなことで、三ない運動、こういうことに見られる交通社会から隔離するような管理主義あるいは無責任、責任の転嫁、事なかれ主義、こういうものは排して、そういうことであったのでは長期的に見て事故防止の効果は期待できない、むしろ今申しましたような積極的な運転者教育、交通安全教育を行って、安全を確保できるような人づくりを高等学校においてもやるべきである、そう私は思うわけでございまして、この三ない運動はそうした観点からも見直すべきである、こう思っております。文部省、総務庁、警察等々関係省庁の率直な御見解を承って、質問を終わりたいと思います。
  213. 下宮進

    ○下宮説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、交通安全教育の重要性ということにつきましては、私どももさらに推進しなければいけないということから、昭和五十九年度には、高等学校の生徒用の教材といたしまして「高校生の交通安全」、さらには教師用の指導資料として「高等学校交通安全指導の手引」を作成し、その普及の徹底を図っているところでございます。今後ともこういった資料を活用しながら、交通安全教育が充実してまいりますよう努力をしていきたいと思います。  さらに、先生指摘の三ない運動の問題につきましては、その運動そのものは各都道府県で自主的にやられているわけでございまして、評価の問題もありますし、マイナス面もあるという指摘もございます。そういった意見もさらに踏まえながら地域において対応する必要があろうかと存ずる次第でございます。
  214. 広谷干城

    ○広谷説明員 いわゆる三ない運動につきましては、教育委員会や学校等のレベルで教育上の措置としてこれらの運動を実施されておるということは承知いたしておるわけでございます。しかしながら、制限のみで、単に車の運転から遠ざけるということだけで済む問題でないことは御指摘のとおりでございまして、今後車社会の一員となるこれらの者がその責任を自覚し、必要な資質を身につけることができるような交通安全教育の活動を積極的に推進をしていく必要があるし、またそのための努力も警察としてもいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  215. 波多秀夫

    ○波多政府委員 ただいま文部省及び警察庁の方から御答弁がございましたが、総務庁といたしましては、交通安全基本計画の中におきましても安全教育の推進ということを重要な柱として取り上げておるところでございまして、今後とも安全教育の推進についてさらに努力をいたしてまいりたいと思います。  なお、三ない運動の問題につきましては、事は学校教育の問題と深くかかわった問題でございますので、今後とも文部省ともよく相談をいたしまして、さらに安全教育の推進に努めてまいりたいと存じます。
  216. 坂井弘一

    坂井委員 この三ない運動の問題につきましては、私は機会あるごとに取り上げてまいりたいと思っておりますので、どうか関係省庁は積極的に研究、検討をされんことをお願いいたしまして、質問を終わります。
  217. 小川新一郎

    小川委員長 次に、永江一仁君。
  218. 永江一仁

    永江委員 交通戦争という言葉がはやりましてから既にかなりの年月がたつわけでございまして、一万人前後の命が交通事故の中で失われていく、死者が出る、これはまさに戦争である、こういうことが依然として続いておるわけでございます。     〔委員長退席、関山委員長代理着席〕 そこで、総務庁その他が中心になりまして、政府、都道府県、国民、すべての力を結集する中で、官民挙げて今日まで交通安全対策に取り組んできておるわけでございますが、昭和四十五年の死者一万六千七百六十五人をピークにいたしまして若干死亡者数が減ってきたということは、まことに喜ばしい一つの趨勢であろうと思っております。  総務庁が第三次交通安全基本計画策定の中で、死者を八千人に抑えるという大きな目標を掲げて今日まで努力してきた。昭和四十五年の一万六千七百六十五人から比べますと半減させるということで、非常に大きな事業でございました。そして、一時八千人台にまで来たわけでございますが、残念ながらここ三年、九千人を超えるということになっておるわけでございまして、昨五十九年度は九千二百六十二人ですか、果たして六十年度八千人台に抑えることができるかどうか、この点についてまず見通しをお聞きいたしたいと思います。
  219. 波多秀夫

    ○波多政府委員 先生指摘のように、交通事故死亡者につきましては、昭和四十五年をピークといたしまして、その後着実に減少いたしまして、五十四年には八千四百六十六人とほぼ半減の目的を達成いたしたわけでございます。第三次交通安全基本計画におきましては、御指摘のように死者を八千人に抑えるという目標を掲げたのでございますが、昨年の交通事故の死者の数は九千二百六十二人でございまして、一昨年に比較いたしますと二百五十八人減少はいたしておりますものの、三年間連続して九千人を超えるという状況でございまして、この第三次基本計画に掲げました目標の達成は大変厳しい状況にあるということは御指摘のとおりでございます。
  220. 永江一仁

    永江委員 ことしのことを聞くのはなかなか酷かと思いますが、現在、六十年度の今日は六月でございます。四月からわずか二カ月ほどでございますが、趨勢としてはいかがなものでございますか、八千人台に抑えられそうでございますか。
  221. 波多秀夫

    ○波多政府委員 本年の状況でございますが、五月末現在で死者の数は三千五百六人でございまして、昨年に比較いたしますと百五十六人増という状況になっております。ただ、昨年は年の前半非常に減少をしたというふうな事情もございまして、一昨五十八年に比較いたしますと百四十七人減ということになっておりまして、今後の情勢いかんということは大変難しいことでございますが、大体年間を通じてもそのようなところになるのではないかと考えております。
  222. 永江一仁

    永江委員 そこで、第三次の計画がことしで最終年度、来年度から第四次の交通安全基本計画の策定に入られるわけでありますが、この目標ですね。第三次では八千人と、かつての一万六千人を半減するというその勢い、望みからいえば、次の第四次計画は、さらにその半減というと大げさかもわかりませんが、四千人あるいは五千人という計画にすべきじゃないかとぐらい思うのでございますけれども、第四次計画策定に当たって目標はどのように変更されるおつもりなのか、その辺の見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  223. 波多秀夫

    ○波多政府委員 昭和六十一年度を初年度といたします第四次交通安全基本計画の作成につきましては、現在実施いたしております各種施策の点検等の作業を進めるとともに、学識経験者の御意見あるいは都道府県等の意見を聞いておるところでございまして、今後さらに学識経験者、民間団体等の御意見を承り、関係省庁と協議しつつ計画を固めてまいりたい、かように考えておるところでございまして、御指摘の目標の設定につきましても、この計画検討の中に含めまして検討をいたしてまいりたい、かように考えております。
  224. 永江一仁

    永江委員 今からその策定作業の中で数字を決めるということはわかるのですけれども、この第三次計画では死者八千人という目標を掲げて九千人を若干オーバーするということはまことに残念ですが、一応がつての一万人を超えるところからは進んできたわけでございますから、私の希望といたしましては、あるいは一つの大きな目標として、今度の計画はまさか同じ八千人ということはないと思うのでございます。これをかなり割り込んだ数字を出すべきであると思いますけれども、その点いかがでございますか。
  225. 波多秀夫

    ○波多政府委員 私どもの気持ちといたしましては、先生おっしゃいますようにそういった厳しい目標を掲げまして、それに向かって努力をいたしたいという意気込みは持っておるわけでございます。他方、目標の達成可能性というふうな面もまた考慮いたさなければならない要素かと思います。その辺を含めまして検討させていただきたいと思います。
  226. 永江一仁

    永江委員 この点につきましては、水かけ論になりますのでこれ以上申し上げませんけれども、目標は大きい方がいいというか、かつて一万六千人の死者があったときには、八千人ということもその当時から考えれば半減でございますから、そういう意味では、第四次計画においては一つの大きな目標を掲げて交通安全に真剣に取り組んでいただきたい。やはりその目標があると、それに対して施設は、設備はどうすべきかというふうにだんだんと交通安全に対する力が入るわけでございますから、人間は目標が甘いとそういうことに対する努力がどうしてもおろそかになる、と言うと言い過ぎでございますけれども、往々にしてそういうことでございますから、一つの目標としては、ある意味では実行が難しいぐらいの数字をぜひ掲げていただきたい、私は強く御要望を申し上げておくわけでございます。  次に、交通安全に対しては施設整備というのが重要な課題になってくるわけでございますが、第三次交通安全施設等の整備五カ年計画が本年度で最終年度になっておるわけでございますけれども、過去五年間の進捗状況はどのようになっておるのか、警察庁並びに建設省にお尋ねいたしたいと思います。
  227. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 道路管理者分でございますが、これについて申し上げますと、現在五十六年−六十年度の実績見込みを含めまして、全体としまして道路管理者分の進捗率は目標どおりいけば一〇〇%ということになりますが、実際上は八九・一%、一〇・九%ぐらい積み残しがあるというふうに考えております。
  228. 広谷干城

    ○広谷説明員 第三次の五カ年計画の公安委員会分の進捗率でございますけれども、大変残念なことでございますが、計画を千九百億円ということで立てましてスタートさせたわけでございますけれども、年々実は予算的には減っておるという状況がございまして、五カ年間トータルで進捗率は六九%という状況でございます。
  229. 永江一仁

    永江委員 交通安全というのは、確かに先ほどもここでるるお話がありました教育の問題とか心構え、心がけ、そういうことも大事ではございますが、やはり施設、設備、道路、そういったものが計画どおりに実行されて初めて交通安全、交通事故から国民を守るということは言をまたないわけでございます。そういう意味からいたしますと、今御答弁ございましたように、建設省の関係は八九・一%、警察庁の関係は実に六九%という進捗率というのは、まことにお寒い限りだと言わなければならないわけでございます。  そこで、第三次計画は今年度で一応終わる、しかしながらそういう積み残しがたくさんあるということになると、計画自体が果たしてどういう意味があったのかということまで問わなければならないわけでございますが、来年度からの第四次五カ年計画についてはどのような規模でどのようにやっていこうとお考えになっておるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  230. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 まず第三次の現況から申し上げますと、先生御案内のように昭和五十六年度に発足して本年度に終わるわけでございますが、道路管理者分の特に力を入れましたのは、交通弱者でございます歩行者あるいは自転車を御利用される方々の安全を確保するために、歩道、自転車道等の整備を最重点に考えております。この結果、歩行中及び自転車利用中の死亡者の数は昭和五十五年の三千八百十八人から、昭和五十九年につきましては三千五百二十三人、約八%減少というふうな状態でございまして、かなりの効果があったものと考えております。しかしながら、その内容をつぶさに調べますと、二輪車、自転車乗車中の事故増加していることもございまして、全体の死亡者は依然として微増ないし横ばい、昭和五十五年度八千七百六十人から昭和五十九年度九千二百六十二人という憂慮すべき状態でありますため、昭和六十一年度以降も引き続き五カ年計画に基づく計画的な事業の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。  新しい五カ年計画の具体的内容につきましてはまだ固めるには至っておりませんが、歩道等の整備が依然として不十分であること、また高齢化社会の到来や身体障害者の方々の社会参加のための環境整備、それから道路交通情報に対する認識の高まり等、交通安全事業を取り巻く社会的ニーズがますます多様化しつつあることの状態を踏まえまして、まず第一に歩行者、自転車利用者、特に子供さん、お年寄りの方々、身体のお悪い方々の交通安全の確保、それから第二に、円滑かつ安全な車両走行の確保を図りますために交通隆路の解消のための交差点改良の実施等に努めるほか、道路交通情報の提供の充実などの交通安全対策を中心に検討を加え、計画の策定を進めてまいりたい、かように考えております。  なお、第四次、新しい計画の投資規模につきましては、先ほど申し上げましたように現在検討中でございますが、交通安全の重要性にかんがみ、より一層の充実を図るよう努めてまいりたい、かように考えております。
  231. 広谷干城

    ○広谷説明員 交通事故は四輪車、二輪車等を中心に全体として増加基調にございます。また、自動車交通量の増加に伴いまして幹線道路、都市部等の交通渋滞が悪化する傾向にもございます。したがいまして、交通安全施設の充実に対する国民の皆さん方の御要望というものは依然として大変大きいものがあるというふうに考えております。  次期計画の進め方につきましては、予算の制約等もございますので、現在関係省庁と協議を進めておるところでございますけれども、最近の交通情勢にかんがみまして、次期の計画におきましては、一つは信号機の高度化等による幹線道路の円滑化対策、交通管制センターの拡充等による都市機能の確保、押しボタン信号機や視覚障害者用信号機の整備等によります交通弱者の保護等を重点に交通安全施設整備推進する必要があるというふうに考えております。
  232. 永江一仁

    永江委員 これは業界紙ですけれども、第四次交通安全施設計画は事業規模一兆円くらいと出ておりますが、第三次では一兆一千億円ということでしたけれども、この第三次はいろいろ積み残しがあるとか、また財政的に大変厳しいということはよくわかるのでございますが、いかがなものですか、第四次においては、少なくとも第三次あるいはそれ以上の規模の安全対策をやっていくという、そういう心づもりといいますか、そういった御答弁をいただけないものでございましょうか。
  233. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 先生の励ましでええ格好したいのでございますけれども、やはりいろいろ検討さしていただきまして、実のある計画をやりたい、かように考えております。
  234. 永江一仁

    永江委員 こういう業界紙に数字まで出るくらいでございますけれども、国会での御答弁とはまた意味が違うと思いますから、これ以上申し上げませんが、少なくともこれはまさに国民の生命、財産を守るということからいえば、我が党は防衛予算も認めておるのでございますけれども、防衛もこれは国の安全と平和を守る、そういう意味においては、この交通安全は、まさに国民の安全と生命を守るという意味においてまことに重要な予算であると私は考えております。そういう意味で、ぜひとも第四次の設備事業計画が十分に国民の安全を守り得る、そういうことで今後とも御努力いただきたいと思うわけでございます。  同時に、ただ金をかければいいというだけでもない面があると思います。今、警察庁の方でしたかの御答弁にも、信号機の高度化というお言葉もございましたけれども、ただやたらに信号さえつけておけば安全ということでもない。やはり渋滞の原因にもなっておるわけですし、そういった連動性、高度化、そういったコンピューターをこれから入れていくというくらいまで、やはり進歩しなければならないと思うのでございます。  先般来、いろいろな新聞の社説においても、とにかく東京都内、大都市の渋滞ということ、これはもう非常な資源のむだであり、国民の経済活動においてもこれは非常なマイナスになっておるわけでございます。私なんかもよく車を運転いたしますけれども、もうあの渋滞に入ったときの精神状態というのはまことに不健全でございまして、いらいらする。そういう中で、何とかこういった渋滞とか交通のスムーズな方向について、ひとつ全体的な国民の知恵を出さなければいかぬということがよく言われておるわけでございます。  そこで、実は最近私の方に持ち込まれた問題でございますが、信号機に番号を全部入れればどうかというアイデアを持ち込まれたのでございます。警察庁その他の方にも御相談したのでございますが、なかなかそうは簡単にいかぬというお話でございます。私はこれを必ずしもそのとおり採用していいかどうかわかりませんが、この方のおっしゃるのには、例えば国道一号線にはずっと一番から順番に信号に番号をつけておけば、よく我々も経験するのでございますが、どこか知らない町へ行ったときに、あそこのガソリンスタンドの信号を左に曲がって、その次の橋のところの信号を右に曲がってと、こういう説明を受けても、なかなかわかりにくい、ぐるぐる回る。ところが、国道一号線の何番の信号をこう回る、何番の信号を右に行くということであればわかりやすいし、もし十五番の信号と言われておったのに、気がついたらもう十六番の信号が来ておれば、これは行き過ぎたということがすぐわかる、こういうようなメリットがある。この人は、そういうことをやって全国、日本じゅうの車が十分でもそういうことでうろうろするのがなくなれば、省エネとあわせてこれはもう相当な経済効果になるという計算まで出しておるのでございますけれども、こういった信号機に一つの背番号的なものをつけるというアイデアについて、いかがお考えでございましょうか。
  235. 広谷干城

    ○広谷説明員 道路案内につきましては、現在、地名等による案内板によりまして行われておるところでございまして、これがある程度定着をしておるんじゃないかというふうにも考えておるわけでございますが、御指摘の方法につきまして、非常に碁盤目状等に道路が整然としておるというふうな格好でございますれば、一つの方法であろうかと思うわけでございますけれども、御承知のとおり、現在の日本の道路網というのはまことに複雑になっておるというふうな点もあるわけでございまして、現在の日本の道路網に適しておるかどうか、案内誘導の方法として有効かどうかというふうな問題もあろうかと思います。  したがいまして、直ちにそれを採用をするということは大変難しいのではなかろうかというふうに考えておるわけでございますけれども一つのお考えとして伺わせておいていただきたいと思います。
  236. 永江一仁

    永江委員 これは個人的な一つのアイデアでございますが、そういった交通安全あるいは交通の渋滞をなくするということについて、やはり国民が知恵を絞ってこういう要望をしてきたことにつきましては、ひとつ警察庁あるいは建設省も含めてだと思いますが、真剣に取り組んでみる、頭からこれはだめだというのではなしに、どこか地方で、一つの島とか一つの地域で一遍試験的に採用するというようなことがある場合には、積極的にこれに取り組んでいく、あるいは見守っていく、こういう姿勢が必要だと思うのでございますので、今後、警察庁におかれましても、こういったアイデアも十分含みながら、ぜひとも新しい信号機等の開発も含めて御努力いただきたいということを申し上げたいと思います。いかがでしょうか、ぜひそういうことで取り組んでいただけませんでしょうか。
  237. 広谷干城

    ○広谷説明員 道路交通を円滑化するということは、これはただ単に円滑を図るという意味だけでなくて、そのことがひいては交通安全にもつながるというふうに理解をしておるわけでございまして、この円滑化対策につきましては、いろんな知恵をめぐらせまして取り組んでいかなければならぬというふうに考えております。
  238. 永江一仁

    永江委員 ぜひ皆さん方のいい頭で知恵をめぐらす、同時に、国民のいろんな方から寄せられる意見はやっぱり心を開いて聞いていく、こういう姿勢もぜひやっていただきたいと思うのでございます。  あわせまして、信号機は警察庁で、道路標識は建設省ということでございますが、ある雑誌のコピーでございますが、「日本の道路標識は世界最悪」こういうふうに書かれておりまして、私も実は自分でよく車を運転する者として、これはなかなかあり得ることでございます。  一例としてここに出ておりますが、三百メートル先、右へ行ったら新宿、横浜、左へ行ったら新宿、日野。一体新宿へ行くのはどっちがいいのか、こういう道路標識が出ておる。  いろいろおもしろいことが書いてありまして、真っすぐ行けば日本橋で、左へ行けば馬込、しかしそのとおり行ったら行きどまりの道だ、こういう道路標識がいっぱい出ておるのでございます。これは、すべての道はローマに通ずるだから、右へ行こうが左へ行こうが、どこかで新宿へ行くであろう、これは間違いとは言えないかもわからぬけれども、しかしこれは実に紛らわしいのでございます。本当にこれは運転した者でないとわかりませんけれども、こういったことでうろうろしておるうちについ接触事故を起こす、あるいは大事故につながるということは、これは本当によくあることなんでございます。  そういう意味で建設省にお尋ねするのでございますが、こういった道路標識というものをつくる基準、あるいはどこでどう決めていくのか、この道路標識ができる過程といいますか、その基本的なお考えはどういうふうになっておるのか、お尋ねいたしたいのです。
  239. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 御指摘の案内標識は、道路を御利用になります方を目的地まで誘導するために欠くことのできない重要な施設でございます。そのために、建設省におきましては、標識令に加えまして、道路標識設置基準、これは昭和五十三年三月二十二日付でございますが、都市局長及び道路局長通達を設けまして、目標地の案内方法等につきまして規定し、案内標識の適正な設置に努めているところでございます。  また、昭和五十年度より毎年十月に全国道路標識週間を設けまして、道路標識の表示内容等を点検いたしまして、この点検結果に基づきまして所要の改善を行っているのが実態でございます。  先ほど言いましたこういう基準の設置方法でございますが、原則論には、社団法人日本道路協会というのがございまして、そこで学識経験者あるいは道路を御利用される一般の方々、そういう方々の委員会を設けまして、もちろん役所の方からも委員あるいは幹事が入りますけれども、そこでいろいろディスカッションしていただきまして、その中からマニュアル的なものをつくって、それに基づいて要点だけを、先ほど申し上げましたように、道路局長名あるいは道路局長都市局長名で各県あるいは建設省の直轄の現場に流しているというのが実態でございます。今後とも、道路交通状況等に留意いたしましてわかりやすい案内標識の整備に努めてまいりたい、かように考えております。
  240. 永江一仁

    永江委員 この日本道路協会内で委員会を設置して、一つのマニュアルみたいなものをつくるという御答弁でございますけれども、これは地域地域によってそこの道路状態なり何なりをよく知っておる人の意見を入れないととんでもないことになる。  この雑誌の中にも出ておるのは、真っすぐ行けば高円寺、矢印で左へ曲がったら調布、右へ曲がったら新宿と、こういうのが出ておるけれども、実はこの道路は右折禁止だ。警察では右折禁止。ところが建設省の感覚では、これは右へ行ったら、右の方に新宿があることは確かなんです。だから、これも間違っておるとは言えないかもわからないけれども、運転している者にとっては右へ行ったら新宿かと思ったら、あに図らんや、これは警察庁の方では右折禁止の道路になっておる、こういう標識が出ておるという実例がたくさんこれに出ております。  こういうことから考えますと、恐らく建設省、警察、その辺の連絡が不十分じゃないかと思うのですけれども、その点はどうなんですか。
  241. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 先生指摘の、あるいはその雑誌に書いてあること、そういうようなところもあるかもしれませんが、あるのだと思いますが、通常の状態であれば、公安委員会さんと道路管理者とよく協議いたしまして、打ち合わさせていただいておるわけでございます。今後ともそういうことがないように、公安委員会さんといろいろ打ち合わせながら改善すべき点は改善してまいりたいと考えております。
  242. 永江一仁

    永江委員 そういうことで、ぜひこういった道路標識設置の中においては、先ほどお答えになったこの日本道路協会内に学識経験者とかドライバーの方も入っておるということでございますけれども日本自家用車協会とかあるいはJAFとか、いろいろそういったドライバーの団体が日本に多いわけですね。何せ五千万人が運転免許を持っておるのですから、ここの中にもほとんどの方がもう該当者だと思うのです。もっとそういう意見を、地域に入って、あるいは地域の意見を酌み取ってこういう標識をつくっていくというきめ細かさ、何かこう一元的に上からぱっと流すというだけでなくて、そういったきめ細かさをぜひ行政の中に入れていただきたい。これはまさに交通安全ですね。この一環なんです。そして、これが住民に対する行政サービスであります。  そういうことから、もちろん余り狭い範囲だけに視点を置いておりますとまた別の弊害も出てくる。私なんかもよく経験しますけれども、どこそこという標識でずっと行っておったらいつの間にかその地名がなくなっておるというようなこともよくあるわけでございまして、その一貫性というものも大事である。そしてまた、道路には地域的な顔があると言われておりますけれども、そういったものをよく知っておる者、その地域の自家用車協会等とも十分相談をし、あるいは意見を聞きながら道路標識をつくっていくという親切さをぜひ取り入れていただきたいということを強く要望さしていただきたいと思います。  時間の関係がございますので次の問題に移りますが、自動車保険についてでございます。  この自動車保険につきましては、今年度、この保険料率が平均二九%上がったということで、実は多くのドライバーを嘆かしておるのでございます。普通は、健康保険とか労災保険、それぞれには診療報酬基準と審査機関があるわけでございますが、自動車保険についてはこういったものはない。そして交通事故の診療というものが非常に高額化の傾向にあるのじゃないかということが言われておりまして、それが保険収支を悪化させておる原因になっているのじゃないか。その治療、支払いの適正化ということが再々言われておるにもかかわらず、そういった適正化についての改善はほとんどなされないままに、この料率の引き上げのみがことし四月十五日から実施されたということで、まことに多くのドライバーを嘆かしておるわけでございますが、こういった治療費の支払いの適正化についてどういうふうな対処をしておるのかということについてお尋ねいたしたいと思います。
  243. 鏡味徳房

    鏡味説明員 今御指摘のございました支払い保険金の適正化の問題、特にその治療費の支払いの問題でございますけれども、これにつきましては、かねてから診療報酬明細表の提出を義務づけて、自動車保険料率算定会の出先機関である調査事務所におきまして医療費調査担当者が診療費のチェックを行うとか、それから高額請求事案あるいは過剰濃厚事案と思われるものにつきましては、自動車算定会の顧問医の助言を得ながら、問題のある医療機関に照会、改善依頼を行う。また、損害保険協会の地方委員会という組織がございますが、こういったところから地方医師会に医療費適正化の協力要請を行う。それから医療費調査のより一層の精密化を図るため、自動車保険料率算定会において医療費に関する統計の収集を行ったり充実を行うというようなことによりまして、この適正化を図ってきたわけでございます。  ただ、先生指摘のように、これでもまだ十分と言えない面がございます。これは昨年十二月に自賠責保険審議会より答申をちょうだいしておりますが、その中でも、さらにその医療費調査担当者の研修等の強化、それから交通事故医療に関する調査研究の充実、それから最後に先生からお話がございました診療報酬基準案の作成等によってその医療費の支払いの適正化を一層行うようにという御意見をちょうだいしておりますので、私どもとしましては、この御意見に沿って、その医療費の適正化の方向に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  244. 永江一仁

    永江委員 その適正化の中で、自賠責保険の請求には交通事故証明の添付というのが必要とされておるわけでございますが、それにもかかわらず、証明書の添付なくして保険金の請求をしておる事故が全事故の二〇%に達しておるということになっておるのです。交通事故の事実確認ができないまま支払っておるのじゃないか、これがこの自動車保険収支の悪化の大きな要因になっておるのじゃないかということをいろいろなところから指摘されておるわけでございます。  そもそも、交通事故を起こせば、道路交通法第七十二条で運転者はその交通事故を届け出の義務があるわけである。これに違反した場合には三月以下の懲役あるいは三万円以下の罰金というふうな厳しいことが科せられておるわけでございますが、そういった交通事故証明添付がないもの、これは法律違反ではないかという感がするのでございますけれども、そういったものにも被害者救済、このことはわかりますが、そういったことが不正請求という思いを非常に強くさせる。また、そういった野放し的なものがこの収支の悪化につながっておるのじゃないか。そうすると、善良な運転者にその分がかぶっておる、こういうことになると、何か正直者がばかを見て、今回二九%料率アップといっても、本当に良心的な者がそのしわ寄せを受けて、何か不正請求をしておる者のところに一方的に上積みしていっておるのではないか、こういった気がするわけでございますが、そういったことはございませんでしょうか。
  245. 鏡味徳房

    鏡味説明員 先生の御質問にございました事故証明書のない請求事案というのは、全体の五%程度ございます。この問題につきましては、運輸省の方からあるいはお答えいただくのが適当かもしれませんが、私の方で調べているところですと、自賠責保険の保険金は、自動車の運行によって他人の生命または身体を害した場合において法律上の損害賠償責任を負担することによる被保険者の救済と申しますか、損害をてん補するために設けられている制度でございまして、したがって、警察の事故証明書が何らかの事情によって得られない場合、例えば工場内、道路以外のところで起きた事故等でも、その事故によって損害が生じた場合には、それが確認される場合には保険金を支払うということによって被保険者の救済を図る制度になっております。保険金支払いの対象となるか否かの確認に当たりましては、保険金請求の際に交通事故証明書の入手不能理由を請求者から徴収するとともに、医療機関等に照会する等、不正請求等の排除を行っているところでございます。ただ、昨年十二月の自賠責保険審議会答申でも、人身事故証明書の添付を励行するようにという御指摘をいただいておりますので、現在、損害保険協会から各保険会社に連絡文書を発遣するなど、人身事故証明書の添付の励行に努めでいるとともに、それを呼びかけるポスター、チラシを発行し、保険金請求者に協力を要請することとしております。
  246. 永江一仁

    永江委員 それからもう一つは、自賠責が年々赤字になっておるということでの書類の数字をいただいておるのでございます。これは推計の数字でございますが、昭和六十年は二千二百二十二億円の赤字になるであろうということは、これは推計の数字として出されておるのですが、本当にその年に保険料がどれだけ入ったか、支払い保険金がどれくらいであったか、こういった数字の資料の要求を我が党の政審がたびたび大蔵省にしておるのでございますけれども、いまだに出ていないのでございますが、これについては資料を出していただけますか。
  247. 鏡味徳房

    鏡味説明員 自賠責保険の収支の状況につきましては、いわゆる契約年度、ポリシー・イヤー・ベースで推計を行いまして、収入保険料と支払い保険金を計算するのがその収支の状況としては一番正しいところがつかめるわけでございますけれども、御要求がございましたので、現在、先生から御要求があった資料が提出できるように作業を進めておりますので、もうしばらく時間をいただければ提出させていただけると思います。
  248. 永江一仁

    永江委員 ぜひその資料を出していただきたいと思います。  ちょっと時間がございませんので、はしょりますが、去る五月二十四日の新聞報道によりますと、この自賠責保険を任意保険に一本化をするという大蔵省の方針があるという報道がありましたけれども、こういう事実はあるのでございますか。
  249. 鏡味徳房

    鏡味説明員 今御指摘の問題につきましては、大蔵省として最近特に検討を行っているわけではございませんし、したがいまして方針を固めたという事実もございません。私どもとしましては、昨年末に自賠責保険審議会の答申をちょうだいしておりますが、この答申では、現行の自賠責保険制度を前提に、先ほど指摘がございます医療費の適正化等に向けての種々の御指摘をいただいておりますので、この答申を受けて、この答申の指摘事項の改善に向けて最大限の努力をし、制度の改善、運営に遺憾なきを期してまいりたいと思っております。
  250. 永江一仁

    永江委員 時間が参りましたので最後にいたしますが、今おっしゃった昨年十二月十九日のこの自賠責保険審議会の答申、この前書きの最後には、「長期的な責任保険制度のあり方については、本制度が自動車事故の被害者の保護に果たしている役割等を勘案しつつ、長期的な課題として今後とも検討を続けていく必要がある。」という項目があるのでございますが、これは読みようによると、何か任意保険との一本化も含めてこれからの長期的な面で再検討していく必要があるというふうにも読めないことはないのですけれども、これはそういう趣旨では、ございませんか。     〔関山委員長代理退席、委員長着席〕
  251. 鏡味徳房

    鏡味説明員 今先生から御指摘のありました答申の文章でございますけれども、責任保険制度のあり方につきましては審議会においても種々の議論があったわけでございまして、したがいまして、被害者救済を果たしていくという制度のあり方として審議会においていろいろな議論があったために、ここでは「長期的な課題として今後とも検討を続けていく」という答申をちょうだいしているわけでございます。したがいまして、具体的にそれが何を指すかということにつきましては、今後の時代の推移に応じながら絶えず制度の見直しを図っていくという趣旨でこの答申をいただいておる、このように考えております。
  252. 永江一仁

    永江委員 時間が来ましたので、これで終わります。
  253. 小川新一郎

    小川委員長 次に、辻第一君。
  254. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、まず交通安全施設整備事業五カ年計画に関連をしてお尋ねをいたします。  きょうは建設省と警察庁にお越しいただいていると思うのですが、第三次計画はことしで終わりですね。来年度から第四次の計画がスタートするものと思うのですが、いかがですか。警察庁と建設省。
  255. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 御指摘のとおり、第三次特定安全施設整備事業の五カ年計画は本年度終わるわけでございます。来年度から新しく第四次が始まるわけでございますが、五カ年計画の具体的な内容につきましては今後検討してまいりたいと思います。
  256. 広谷干城

    ○広谷説明員 ただいま建設省の局長からお話がございましたとおり、第三次の五カ年計画は終了いたしますので、公安委員会分の計画につきましても十分検討して策定をしてまいりたい、かように考えております。
  257. 辻第一

    ○辻(第)委員 最近の死亡事故傾向を見てまいりますと、死者の大体四〇%が歩行者や自転車利用者、こういう状況であります。昨年はやや減って三八%ということでありますが、この歩行者、自転車利用者対策を重点に置いてやっていただきたいということを強く要望するものであります。  そういう観点からも、通学路の整備というのは大変大切な問題だと思います。私は、昨年四月、当委員会で通学路の整備について質問いたしました。殊に私のおります奈良県というのは人口が急増いたしまして子供さんがどんどんふえていく、それで新しい学校がどんどんつくられるのです。そういう状況で通学路がふえるわけでありますが、それへの対応が非常におくれるといいましょうか、いろいろな問題があるわけであります。そういう点も含めましてぜひ通学路を整備していただきたい、こういうことを要望したわけであります。その中で通学路の実態把握、実態調査をするように求めました。当時の沓掛道路局長は「新しい交通安全五カ年計画を策定する際にも十分調査して対応していきたい」、このように答弁をされております。第四次五カ年計画の策定に際しまして具体的にどのように調査をされるおつもりなのか、簡明にお答えをいただきたい、このように思います。
  258. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 先生御案内のように、現在の第三次特定交通安全施設整備事業五カ年計画の実施に際しましても、歩道等の整備を最重点に実施しております。その際に、特に通学路に重点を置いて整備をいたしておるのが現状でございます。その第三次五カ年計画の改定に際しましても、交通弱者対策といたしまして、歩道等の整備を重点的に交通安全対策を進める予定でございますが、具体の整備箇所の選定に際しましては、児童それから幼児等の通学実態を十分に調査いたしますとともに、学校関係者等とも調整を図りながら通学路の整備を引き続き重点的に進めてまいりたい、かように考えております。
  259. 辻第一

    ○辻(第)委員 その際に、いわゆる法で決められている通学路だけではなしに、実際にかなりの子供が通る、そういう通学路、広い範囲での学童や生徒の通学の用に供する道路の整備についても、教育委員会の意見などをよく聞いて、そして十分調査をして、十分な対応をしていただきたい、強く要望しておきます。いかがですか。
  260. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 特定交通安全施設整備事業におきます採択基準を具体的に申し上げますと、一般の歩道と通学路、先生指摘の通学路と差をつけております。  具体的に申し上げますと、一般の歩道の場合には十二時間の自動車交通量が千台以上、それに対しまして子供さんがお通りになりますいわゆる通学路は、この基準を緩和いたしまして五百台以上というふうにさせていただいております。それから一日の歩行者の交通量が一般の場合には百人、それに対しまして子供さんがお通りになります通学路の場合には、学童、園児の方々の数が四十人以上の場合にというふうに、通学路の方が採択基準を甘くといいますか、採択しやすいようにさせていただいております。  それから、先ほど指摘の学校の先生方、PTAの方々あるいは学校関係の方々との話し合いをよくやっているつもりでございます。今後ともそのようにしたいと思います。
  261. 辻第一

    ○辻(第)委員 警察庁と建設省はこれで終わりますので、結構でございます。  続いて、私は、最近沖縄の那覇空港で起こっている問題に関連をして質問をいたします。  「航空フォーラム」のナンバー二十四、全運輸労働組合の機関誌だと思いますが、その中に「那覇空港の現状」というのがあるわけであります。「那覇空港の軍民共用廃止の声は、今や県民の願いであります。軍用機は航空法適用除外を良いことに民間では考えられない安全を無視した飛行を続けており、いつ大惨事が起こるかわからない、そういった状況の中で、空港に働く職員は、毎日緊張の連続です。」このように冒頭に記載されているわけです。これはことしの春に出ているのであります。そして去る五月二十八日に、沖縄の那覇空港でボーイング747型機と航空自衛隊所属のMU2型機の接触事故ということが起こりました。それから日ならずして、今度はF104J機ですか、迎撃戦闘機が緊急着陸をする、こういう事故が発生をしたということであります。  この「航空フォーラム」に危惧されておったことが数カ月たたないうちに起こった、しかも相次いで起こったというのが実態だと思うわけであります。前者につきましては、去る三日の参議院決算委員会でも我が党の佐藤昭夫議員が取り上げました。これまでの調査や資料から、自衛隊機が無許可で滑走路に進入をしたということは事実だと思います。防衛庁も既に自衛隊機の過失を認めておられるというのが今日の事態だと思うわけであります。  ところで、今度の事故は、自衛隊機がとんでもないミスを繰り返しているということではないかと思うのですね。それは、まず最初は、六月四日の運輸省の事故調査の報告の中にも記載があるわけでありますが、トランスポンダーコードというのですか、これの復唱を誤ってやっているのですね。それを指摘されている。そういうことがまず一つあるわけですね。それから今度は、特別有視界飛行方式による飛行の許可を受けただけの状態で、滑走路への進入の許可が出ていないのに、指示のないままに進入をしたということがあると思うのですね。三つ目には、進入前に停止をし、安全を確認することも怠ったということだと思うのです。この三つの問題がまずあると思うのですが、この点については、航空局長、いかがですか。
  262. 西村康雄

    西村政府委員 航空事故の原因として、暫定的ではございますが、六月四日に航空事故調査委員会が今日までわかった事情について報告書を出しておりますが、今先生から引用されました部分は、私どもも自衛隊機が管制の指示に従うという点について、多少思い違えているのか、どうも過失があったことを否めない。過失については、一つはタワーの指示について離陸の許可ないしは滑走路への進入の指示と、どちらかもないままに入ったということが一つ。それからもう一つは、滑走路へ入る前に必ず着陸機があるかどうかということを十分確認して見張りをする、これは航空法に定められておりますが、そういう見張りについて十分やらなかったという疑いがあるというふうに、私どももそういう過失がどうもあったように理解しております。
  263. 辻第一

    ○辻(第)委員 これは自衛隊にお尋ねをするわけでありますが、二人のパイロットが乗っておられたのですね。この二人のパイロットが、一人がいわゆる操繰をするというのですか、もう一人の方は、一人がやっておればほとんど関係なしに、いわゆる予備という形で横におられるということじゃないのですね。二人とも同じように、十分その操縦をしていくいろいろな順序をきちっと確認をしながらやっていくということではないのでしょうか。その点はいかがですか。
  264. 上田秀明

    ○上田説明員 御指摘の那覇の事故機の場合でございますけれども、御指摘のようにいわゆる機長と、機長ではない、通常、一般、副操縦士等と申しておりますが、その二名が搭乗しておりまして、いささか複雑でございますが、機長はこの当該機におきましてはたまたま副操縦士の役割を果たしまして、いわゆる機長にあらざるもう一名の、もちろん操縦士資格を持っておりますけれども、その者に実際の運航をやらせておりました。このこと自体は何ら問題ないわけでございます。通常の場合、現実に操縦桿を握っておる者といわゆる副操縦席にいてそれを補佐している者とが互いにチェックリスト等を読み上げて指示を確認しながら運航するということは、航空自衛隊あるいはその他の海上自衛隊、陸上自衛隊におきましても、そういう複数の搭乗員が乗る航空機においてはそういう手順になっております。
  265. 辻第一

    ○辻(第)委員 そうなりますと、私が先ほど言いました、三つ言うたのですが、いわゆるコードの復唱を間違えた、これは直接関係ないと思いますけれども、しかしそれもやはり一つ間違いですね。そして、あと指示のないままに進入をする。それから安全確認をやっていない。しかも二人乗っていてですよ。疲れできてというのじゃなしに、これから出発するというときにこういう状態ですね。とんでもないことだと思うのですね。許すことのできない事故だと私は言わざるを得ぬわけであります。これは、もう少し間違えば本当に悲惨な大事故になっていたわけでしょう。これは済みませんで済まぬのですよ、こういうことは。強く、厳しく抗議をしたい、こういうふうに思います。  そしてまた、この「航空フォーラム」の記事になるわけでありますが、その中に「軍民共用の実態とその不安全要素」ということが書いてあるわけでありますが、その中に「軍民共用に起因する航空の不安全要素の事例として」ということの一つに「アレスティングギアやジェットバリアによる民間航空機のタイヤの破損や踏み越えたときの異常なショックがあり、又、風向きの変化で使用滑走路が変更されると自衛隊による取り付け直しが実施され、その作業のために滑走路が閉鎖されることで管制業務に負担を強いています。」こういうことがあるのですね。  それから「F104戦闘機のスクランブルあるいは実射訓練の際行われるアーミング・ディアーミングが飛行前に誘導路上で行われ、しばしば離陸待機中の民間機を狙う形で実施されています。ジャンボ・トライスター等の大型民間航空機がその目前を走行することもあり、誤射・暴発等の場合は大惨事となることは明白です。」こういうこともあるようであります。  たくさんあるわけでありますが、もう一つ引用しますと、「空港両側区域における自衛隊機のエンジン調整はその都度滑走路を横断して実施されており、車両によりけん引された自衛隊機の滑走路横断は、那覇空港の円滑性に影響を与えています。」こういうことなんですね。  もっと書いてあるのですが、この三つだけでも、これは本当に交通安全というのは大事なことですね。殊に航空機の安全の確保ということは、もう何にもかえがたい大切な問題だと思うのですね。私はこれまでほかの問題でも、殊に航空の安全の確保の問題についてお尋ねをしてきたわけでありますが、これは何としても大切にしなくちゃならないものだ、こういう大臣の御答弁も」いただいているわけでありますが、大臣、いかがですか、この点について。
  266. 山下徳夫

    山下国務大臣 この問題についてはしばしばお答えいたしておりますが、今おっしゃるように、これは理想からいえば軍民別の空港の方がよいには決まっております。ただ、まず第一に、どんな空港をたくさんつくりましても、いわゆるルールを遵守するということ、これがまず基本でございますから、そういう一つの定められた規則を守らないで起こる事故というものは、どんなに空港整備しても次々に起こるわけですから、まず基本はやっぱり守るべきことを守るということであります。  同時に、今三つの問題の中に、例えば何か滑走路を横断するというようなお話がございましたけれども、余力からいえばまだ相当あるのでございまして、現在七万数千回使っておりましょうか、那覇はフルに使えば十二万回使えるのですから、まだまだ相当の余力があるということでございますから、きちんと規則どおりにやればまだまだ十分であるということでございます。
  267. 辻第一

    ○辻(第)委員 どうも時間がないので何なんですが、この間の参議院での佐藤議員の質問のときには、大臣は、ルールを守ることが大切だということも言われたわけでありますが、軍民分離がベターだ、このようにおっしゃった、これは事実ですね。一言。
  268. 山下徳夫

    山下国務大臣 今も分離することが理想であるとお答えしました。同じことでございます。
  269. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、引き続いて起こりましたF104J機ですね。これの問題で、これも非常に危険な状態だったですね。沖縄タイムスであるとか、あるいはまた琉球新報は、本当に沖縄県民は引き続く事故で衝撃を受けた、一刻も早く民間専用の空港にという声が沸き上がっているというような記事が出ておりますね。そしてしかも、十一日にもこの問題での臨時議会が開かれる公算だ、こういう状況になっているわけですね。先ほど申しましたこの軍民共用での危険性、そして県民が何としても民間専用の空港にという、沖縄の方の悲願と言ってもいいような問題ではないかと思うわけであります。  そして先ほど大臣は、きょうは軍民分離が理想だというような言い方にちょっと変わっているようでありますが、この前は、私はそこにおらなかったのでわからぬのですが、ベターと言ったのですか、そうではなかったのですか。まあ、大体軍民分離するということが本当に大切なことだと思うのですね。そういうことで、理想だというようなことじゃなしに、本当に現実的に具体的に民間の専用空港にすべきだ、こう思うのですが、いかがですか。
  270. 山下徳夫

    山下国務大臣 このことは先般参議院でも申し上げましたとおりでございますが、日本空港整備の現状は先進諸国の間で必ずしも超一流とは申しません。いわゆる民間機を利用する場合でも、空港までの距離が一時間以上かかるところを空港空白地帯と申しておりますが、日本地図をずっと塗っていった場合に、空白地帯がかなりまだたくさんある。それはそうでしょう。第一、七十七しか全国に空港がないのですから。しかも、その中でジェット化されているのが三十七しかない。半分以上はまだプロペラなんです。そういった現状からいたしまして、またさらに三大プロジェクトもまだ実施中でありますし、あるいはまだ新たに空港をつくってほしい、あるいは移転させてほしいとかいうたくさんのものが毎日みたいに私のところへ陳情が来ております。  そういう現状の中、それともう一つは、狭隘な国土からした場合に、空港をつくれるような該当適地というものはそうやたらにあるものではございません。諸般の情勢、そういった現況を見た場合に、七万数千回しか使っておらない、しかも十二万回キャパシティーがあるというようなものは秩序正しく使っていただけばいいのではなかろうかということを、この間申し上げたとおり、きょうも私はそのようにお答えいたしておきたいと思います。
  271. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、そういうことではやはり承服できないのですね。どうしても本当に軍民を分離をして、安全な民間の専用空港をつくっていくということをぜひ具体的に対応していただきたいと強く要望するわけであります。  私は、先ほど三つのことで那覇空港の軍民共用での危険性を指摘をしたわけでありますが、さらに申し上げますと、沖縄での自衛隊機の事故がこれまでも非常に多いのです。五十九年にも自衛隊機が炎上して亡くなったというのがありますね。それがサイドワインダーの爆発、それですかね、違いますか、それがヘリコプターの炎上ですか。それからサイドワインダーの爆発、それから戦闘機の離着陸の失敗、こういうようなのもありましたね。自衛隊、いかがですか。
  272. 上田秀明

    ○上田説明員 沖縄、那覇におきます自衛隊機の航空機との大事故という分離をしておりますけれども、復帰後五件でございます。このほかに、米軍機の大事故が一件。ございます。サイドワインダーの爆発は別に扱っております。  航空機の方の大事故を御指摘の点を含めましてたどってまいりますと、五十九年にはT33、航空自衛隊の練習機でございますが、滑走路をオーバーランいたしまして擱座して炎上、死亡一名出ております。  それから御指摘のヘリコプターの方は、五十八年六月に陸上自衛隊のバートルのヘリコプターが那覇の飛行場内におきまして、着陸の際、ホバリング状態の際に地上共振を起こしまして炎上いたしまして、これは死亡者は出ておりませんが、機体が破壊されております。  そのほかに、五十五年六月、それから四十九年九月にそれぞれF104Jの戦闘機が、これは空港ではございませんが、那覇空港から飛び立って訓練の途次あるいは帰途、墜落事故でそれぞれ死亡者が出ております。  それから昭和四十八年には、陸上自衛隊のヘリコプターが、これも墜落事故でございまして、人員の死亡者はございませんが、機体を破壊しております。  以上でございます。
  273. 辻第一

    ○辻(第)委員 今お聞きした中でも、五十五年に墜落事故がある。そして五十八年、五十九年、そしてことし六十年にもう既に引き続いて二回ということでありますから、大臣、これはルールを守ってもらうだけというようなことで片づく問題じゃないと思うのです。そのたびに運輸省としてはそれなりの対応をされたと思うのです。それが相次いで起こってくるということは、ルールを守るあるいは軍民分離が理想だというようなことでは片づかない問題だと思うのです。そういう点で、どうしても民間専用空港にするということで対応をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  274. 西村康雄

    西村政府委員 今那覇空港で御指摘のあった事故が三件ほどございました。そのほかに共用空港でも若干の事故があるわけですが、その他の民間の飛行場でもそれなりの不注意の事故というのはしばしばあります。実際に今先生指摘のように共用空港だったから事故があったのかどうかというあたりにつきましては、必ずしも共用あるいは自衛隊だから安全度が低いのだということになるかどうかという点につきましては、必ずしもそうばかり言えないだろうというふうには思っております。  したがいまして、先ほど先生が言われました共用空港であるがための飛行場の円滑な運営という点については、例えば先ほど話したバークナインを張るとか、あるいはエンジンテストのために滑走路を横断するとか、そういったいろいろな問題はあることはございます。ただ、そういうことも現在那覇空港では自衛隊と那覇の空港事務所との間の協定で実際には問題が生じないようにしておりますし、組合からはアーミングの問題でいろいろお話はございますが、現実にアーミングのために支障が起きたような事例はございません。そういう意味では、事故の防止なり安全な飛行場の運営ということについてはかなり注意をしているわけでございまして、事故の発生そのものも自衛隊機であるがゆえの問題がどうかという点についてはまだこれからの問題だと考えております。
  275. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が来たわけでありますが、頻々と自衛隊機の事故が起こっておるというのが現実なんですね。そういう現実の上に本当にそこのところを民間機が飛んでいくわけでありますから、安全上重大な事態だ、問題だということであります。繰り返しますが、本当に民間の専用空港にするために十分な対応、対策をとっていただきたい、強く要望して質問を終わります。
  276. 小川新一郎

    小川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会