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1985-04-17 第102回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月十七日(水曜日)     午前九時二十一分開議 出席委員   委員長 小川新一郎君    理事 浦野 烋興君 理事 太田 誠一君    理事 鹿野 道彦君 理事 高村 正彦君    理事 関山 信之君 理事 永井 孝信君    理事 坂井 弘一君 理事 玉置 一弥君       臼井日出男君    加藤 卓二君       船田  元君    山村新治郎君       網岡  雄君    上野 建一君       沢田  広君    森中 守義君       伊藤 英成君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山下 徳夫君         建 設 大 臣 木部 佳昭君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   古屋  亨君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 後藤田正晴出席政府委員         警察庁交通局長 太田 壽郎君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       波多 秀夫君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸省運輸政策         局長      山本  長君         運輸省国際運         輸・観光局長  仲田豊一郎君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省貨物流通         局長      栗林 貞一君         建設省道路局長 田中淳七郎君  委員外出席者         外務省北米局北         米第一課長   川島  裕君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       鏡味 徳房君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      神戸  勉君         郵政省貯金局営         業課長     坂田  淳君         郵政省電気通信         局電波部陸上課         長       佐藤  進君         日本国有鉄道常         務理事     坂田 浩一君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   沼越 達也君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   松尾 昭吾君         特別委員会第一         調査室長    内野 林郎君     ————————————— 三月二十六日  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第五一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  参考人出頭要求に関する件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第五一号)  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 小川新一郎

    小川委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本鉄道建設公団理事沼越達也君及び松尾昭吾君の出席を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小川新一郎

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 小川新一郎

    小川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高村正彦君。
  5. 高村正彦

    高村委員 まず総務庁長官からお尋ねいたします。  大臣所信で、第三次基本計画最終年次を迎えるに当たり、効果的、総合的な対策を推進するとおっしゃっておられますが、三年連続死者が九千人を超えるような状況でございまして、第三次基本計画目標である年間死者数八千人以下というのはちょっと達成不可能であるように思われるわけでございますが、この点についての大臣所見をお伺いしたいことと、もう一つは、このような状況を踏まえた第四次基本計画作成に当たっての基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。
  6. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 第三次の交通安全基本計画目標といたしておりました八千人以下に抑えるという目標が遺憾ながら達成できなくて、ここ連続三年間九千名を超す、まことに申しわけなく、残念に思っているわけでございます。ことしは、去年よりは数は減っておりますけれども実数は九千二百名余りということで、ただ、基本はどこにあるのかということを考えますと、関係省庁それぞれ懸命の努力はしていただいておるわけでございますが、何せ自動車台数が多くなっている。一つのいわば慰めみたいなもので言いわけにはならないのですけれども台数当たり死者の数は多少減少ぎみである。しかし、依然として実数は九千二百ということではまことに申しわけない、こう思うわけでございます。  そこで、ことしが最終年次でございますから、交通事故死を減らすというためには何といっても交通環境整備施設面整備、それから同時に啓蒙活動といいますか、いわゆる安全思想普及活動、もう一つ取り締まり適正化取り締まりのための取り締まりではなくて、事故防止とか、あるいは交通をスムーズにならすとか、こういった三つ政策を総合的な観点からやっていただかなければならぬのではないか。同時に、何といいましても、ここに四人ばかり大臣がそろっておりますが、交通安全対策というのは各省庁にまたがっているものですから、こういった場合にはやはり縦割りの弊害をなくして、できる限り総合性のある施策を各省庁にぜひお願いしなければならない。私の立場は、御案内のように交通安全対策基本法による交通安全基本計画を立てて、そういった計画事故分析の上に立った合理的なものにして、各省庁打ち合わして、そしてそれを各省連携をとりながらやっていただくということでございます。そういう観点で、交通事故減少、これはもう油断のならない、ちょっと油断をすると直ちにふえるという傾向がございますから、そういう点を十分配意しながら、今後とも一層政府としては責任を感じて、全力を挙げてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  7. 高村正彦

    高村委員 総務庁長官、ありがとうございました。総務庁長官はこれで結構でございます。  次に、国家公安委員長にお尋ねいたします。  交通事故死者数は三年連続で九千人を超えている。負傷者数も六十四万人を超えている。ことしの交通安全週間も昨年の交通安全週間より事故がふえているようでございます。また、交通公害その他道路交通に起因する各種の障害が発生している現状でございますけれども、これにどういうふうに対応していくのか、基本的な考え方を示していただきたいと思います。
  8. 古屋亨

    古屋国務大臣 お話しのようにこの三年間九千人を超えるという事故死亡者、ちょっとその前はダウン傾向にあったのが、また再び戻っております。私は、こういうような事故に対しまして、特に朝起きてテレビで道路交通状況を聞いておりますと、本当に事故がなかったという日は比較的少ないというような感じで、どこかでトラックが衝突したとか交通がこうなっているという状況を承りまして、やはり交通渋滞騒音交通公害というものも、道路交通を取り巻く情勢を非常に厳しく私ども感じております。そういう意味におきまして、一方、自動車保有台数、それから自動車免許保有者というものもどんどんふえてくる状況でございますので、先ほど後藤田長官も言いましたような総合的な施策を一層徹底するとともに、私ども警察取り締まりの点におきましても、そういうような交通渋滞騒音というマイナス部面に対しまして、取り締まりを通じて一層そういう点を充実していかなければならぬと思っております。  なお、根本的には、交通信号とかそういう施設の要望も相当ありますけれども、なかなかそういう施設の予算につきましては、国庫補助でございますし、十分なものがありませんので、そういう施設の面についても、交通に対する国民の関心をふやすという意味におきましても、私は、そういう点も何かひとつ警察としても新たな方向考えて、こういう施設整備をもっと根本的にやっていかなければならぬと考えております。
  9. 高村正彦

    高村委員 大臣所信で「交通事故防止し、人と車の調和のとれた安全で快適な交通社会を実現することは、国の緊急な課題であり、」こういうふうに述べておられるわけでございますが、快適な交通環境実現具体策というものを示していただきたいと思います。
  10. 古屋亨

    古屋国務大臣 人と車の調和のとれたという意味は、人口もどんどんふえてきていますし、それから、特に幼児の交通事故あるいは学校における交通関係教育とか、そういうことを進めるのと、一方で、国民が本当に交通事故が大変なものであるということを認識されることが一番必要だと私は思います。そのためには、物的あるいは精神的、両方の面があると思うのです。実は私がこんなことを言いますのは、私事になって恐縮でございますが、二十九年の暮れに私の一番大事にしていた母親を交通事故で失いました。そのときに兄弟や女の人が泣き声で叫んでどうしてこんなになってしまったかと言うことを聞きまして、できるだけこういうようなことはなくしたいということを本当に私は実感しました。それで警察でも毎日の負傷者、死んだ人の数——あれはロス警察でやっておるらしい、この企画は非常にすぐれたものであるというので、ロスに行ったときにそれを参考にしたということでございます。また、私も出していただきましてから、学校から五百メートルのところの国道とか、そういうところは必ず信号なり歩道橋をつけなければならない、それで二分の一国庫補助ということで暫定的に二年間の立法を考えまして、それを実現したこともございます。  何といっても交通事故の恐ろしさ、これは暮らしの中の買い物をするのと同じように本当に大事なものであり、特に事故に遭う人は一瞬にして遭ってしまうのですから、あらかじめ予定も何もできません。パスの転落事故でも同じことでございます。それと同時に、先ほど言いましたような施設面あるいは運転者教育も総合的にやっていかなければならぬ。そうしなければ人と車の調和のとれた社会ということを目標といたしましてもなかなかうまくいかない。それにいく便といたしまして、警察としても、交通取り締まりの態度はそういうようなことを目標にしてやっていかなければならぬ、私はそういう目標をお示ししたつもりでございます。
  11. 高村正彦

    高村委員 二輪車事故による死者が増加しているわけでございますが、これの対策交通事故対策の焦点の一つであると考えるわけでございます。二輪車事故特殊性によって、今大臣もおっしゃったように、運転者教育あるいは道路交通環境整備といったようなことが必要であると考えるわけでございますけれども運転者教育の面においていわゆる三ない主義というようなことも言われておりますが、やはり二輪車も文明の利器の一つでございますから、三ない主義もそれなりに意味があることでございましょうけれども、安全に乗りこなすという方向での教育ももっと必要ではないかと考えるわけですが、その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  12. 太田壽郎

    太田政府委員 ただいま御指摘のいわゆる三ない運動でございますが、教育委員会学校等のレベルで教育上の措置として実施しているというふうに承知いたしておりますけれども、ただいまお話しのように、制限のみではこの問題の根本的な解決にはならないと考えております。したがいまして、学校に学ぶ生徒あるいは子供たち交通社会の一員としての責任を自覚して必要な資質を身につけていくことができるように、交通安全教育を積極的に進めていく必要があると考えておるところでございます。
  13. 高村正彦

    高村委員 二輪車対策一つとして道路交通環境整備ということも同じように必要だと思うわけでございますが、いわゆるバイク専用レーンあるいは二輪車用二段停止線等整備についてどういうふうにお考えですか。
  14. 太田壽郎

    太田政府委員 二輪車専用レーンは、現在十一都県で約百四十八キロメートルにわたって行っております。さらに二段停止線は、三十五の都道府県におきまして約九千八百カ所で実施いたしておりますが、非常に効果を上げております。したがいまして、道路状況等いろいろ勘案しなければ全部のところにつげるというわけにはなかなかまいりませんが、そういうものが可能なところについては積極的にこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。
  15. 高村正彦

    高村委員 次に、運輸大臣にお伺いいたします。  大臣は、所信の中で「交通基本は安全の確保にあり、」「利用者が安心して交通機関を利用できる条件を整えることが何よりも肝要である」と述べておられるわけでありますが、昨年の交通部門別事故件数を見ますと、道路交通事故が五十一万八千六百四十二件、鉄道事故が千七百八十九件、海難事故が千九百二十件、航空事故が三十件ということで、とても安心して利用できる交通機関とは言えないような状況であると思うわけでございます。そこで、運輸事業者安全管理体制の充実と安全確保の責務の重大性を自覚させることが急務であると考えるわけでございますが、運輸大臣としての事故絶滅具体策をお示しいただきたいと思います。
  16. 山下徳夫

    山下国務大臣 今お話がございましたように、交通基本は安全の確保であるという鉄則はそのとおりでございます。  そこで、安全の確保のためには三つの大きなテーマがあると思うのでございます。  まず交通基盤施設の問題、二番目には輸送機器安全性の問題、三番目には運行関係者人間管理あるいは運行する人自体安全意識の問題とがあると思うのでございます。したがいまして、これらの面につきましては、私ども日常省内でいろいろと協議をしながら安全確保のために努力をいたしております。  御案内のとおり、交通行政というのは多元化いたしておりまして、先ほど御答弁になりました総務庁の方で一応おまとめいただいております。そこで私の方としては、今申し上げました中で、特に輸送機器安全性、これはもうしょっちゅう私どもでいろいろと指示をいたしておりますし、さらに最近、運行関係の、特に管理者の義務上における過失その他によって事故が多い、いわゆる人災は絶対起こしてはいけないということから、例えば三重交通事故の直後には特別監査をいたしまして、その結果処分もいたしましたし、それを契機全国陸上輸送業者には厳重な示達等もいたしたわけでございますが、ただ単に陸上交通に限らず、空にいたしましても船にいたしましても今申し上げましたような運航管理、人の面における事故を絶無にするために今後とも努力をしてまいりたいと思います。
  17. 高村正彦

    高村委員 建設大臣にお伺いいたします。  大臣は、所信の中で、交通安全施策等を十分配慮した道路整備を推進するとおっしゃっておられますが、その具体的な対策をお示し願いたいと思います。特に、これから高齢化社会を迎えるわけでございますが、高齢者身体障害者等弱者に配慮した道路整備が必要だと思うわけでございますが、そういう点を含んだ具体的な対策をお示しいただきたいと思うわけでございます。
  18. 木部佳昭

    木部国務大臣 私どもは、交通安全の五カ年計画によりまして、特に歩道橋とかそういうようなものに重点を置きまして今いろいろ努力をさしていただいておるわけです。  特に、御指摘のございました交通弱者と言っては申しわけございませんが、そういう立場の、特に高齢者身体障害者方々に対する施策といたしまして、幅の広い歩道整備、それから歩道の段差をなくするとか引き下げ、それから立体横断施設スロープ化とか利用しやすいような構造、そういうようなものについて五カ年計画を中心にして整備を進めてまいってきておるところでございます。  今御指摘になりましたように、特に交通弱者と言われる高齢者身体障害者方々に対しましては、今申し上げましたような施策では十分ではございませんから、公安委員会とか関係省庁とよく調整をとりながら、そういう立場の方のために最重点努力をしていかなければならない、こう考えております。
  19. 高村正彦

    高村委員 三大臣おそろいでございますから一言ずつ述べていただきたいと思うのですが、長野でスキーバス転落という大変悲惨な事故があったわけでございますが、この事故原因に対する所見と、再発防止のためにどういうことをされようとしておるのか、それぞれのお立場で御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  20. 古屋亨

    古屋国務大臣 警察立場として、私から申し上げます。  大変残念な事故でございまして、やはり危険場所の再点検をする、あるいはまた改善措置の実施、それから安全運転管理の徹底、そういうような点につきましては、その事故が起こりましてすぐそういうような問題についての交通局長指示を出したところでございます。  なお、こういうような事故につきましては、警察としてその原因はまだ捜査の段階で結論は出ておりませんが、やはり関係方面と十分連絡しながら、私どもはそういうような事故再発が絶対にないようにいたさせなければならぬと思いますし、そういう意味で、こういう事故を反省の機として警察取り締まりの面におきましても一層徹底するようにいたしたいと思っております。
  21. 山下徳夫

    山下国務大臣 この問題、先ほどの御質問答弁いたしたのでございますが、あの直後特別保安監査を実施いたしまして、車両の運行停止と厳重な処分を行ったところでございますが、それを契機といたしまして全国バス事業者に厳重な指示をいたしたところでございますし、今後そういう方針で折に触れて業者にいろいろと指導してまいりたいと思っております。
  22. 木部佳昭

    木部国務大臣 今国家公安委員長運輸大臣からも御答弁になりましたように、私ども総合的な対策関係省庁で進めていかなければならぬと思います。  建設省といたしますと、特に山間地域道路は路面が凍ったりなんかしますし、だからガードレールや何かについても弱いんじゃないかとか、いろいろな御意見が先般来あるわけです。これは余り強くしますと今度は逆になる場合もありますから、今土木研究所なり建築研究所、そういうところでガードレールその他の問題についていろいろ技術的な検討をしてまいっているところでございますし、道路管理の面についても十二分にそういう対策を配慮したい、こういうふうに考えております。
  23. 高村正彦

    高村委員 それぞれのお立場から基本的な御答弁をいただいたわけでございますけれども現状を見ますと、先ほど申しましたように、ことしの春の交通安全運動週間中の事故も昨年に比べてかなりふえているように昨日の新聞等で報道されているわけでございます。今後一層の御尽力をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  24. 小川新一郎

    小川委員長 次に、永井孝信君。
  25. 永井孝信

    永井委員 私、まず冒頭に、この交通安全委員会として最も心配しておりました大変な犠牲者を出すようなバス転落事故がありましたことについて、今も議論がありましたけれども、その問題からお尋ねをしていきたいと思うわけであります。  もう既に、あのバス転落事故を起こしました三重交通に対しましては、運輸省も労働省も一定の行政処分を行っているわけでありますから、それは当然なことでありまして、そのことについては深く掘り下げて申し上げることはないと思うのでありますが、具体的にこの事故を誘発した問題点について、私も現地に行って調査をしてまいりました。その関係から、このバス転落事故が単に過労運転であるとか、あるいは労務管理に問題があったとか、あるいは運行管理に問題があったとかいうことで、当事者だけの問題に限定をしてしまうことはやはり問題があろうということで御質問を申し上げてみたいと思うわけであります。  まず一つは、現地に参りまして現地警察当局あるいは運輸省出先機関、こういうところからも一緒に同行していただきまして調べてみたわけでありますが、行ってみると、事故が起こるべくして起こったのではないかという気が実はするわけです。例えば、この道路構造でありますが、転落事故を起こした箇所は非常に急カーブでございまして、その橋の転落する場所直前までは道の幅員が非常に広うございます。そして、橋だけが急に狭くなっているということなんですね。危険な箇所でありますから建設省の方も新たに橋をつけている、こういう状況に今置かれているわけですね。不幸にしてその橋ができるまでに転落を起こしてしまったわけでありますが、その現場というのが、転落場所に向かって緩やかでありますけれども下り勾配になっています。そうして急カーブになっている、こういう現状にあるわけです。  まず、安全対策として公安委員長にお伺いするわけでありますが、果たしてこの安全確保のための施策が十分されておったであろうか。時間の関係で私の方から初め一方的に申し上げますけれども、例えば道路速度制限は、現場は五十キロ制限になっているわけです。同じような状況の橋がこの橋を挟んで上流と下流にそれぞれありますが、そこの橋の速度制限はたしか三十キロ程度に落とされているわけです。そしてこの場所だけが、急カーブで非常に危険な箇所であるにもかかわらず速度制限が五十キロ制限になっている。現地でいろいろ調べてみますと、現地警察当局も断定はしておりませんけれども目撃者の証言などから、転落バスは大体三十五キロ程度ではなかったかという推定がされているわけです。だから、五十キロ制限のところで三十五キロから四十キロの間で走行しておったとすると、決して無謀なスピード運転ではないということが一つは言えるわけでありますが、こういう道路標識がなぜ五十キロ制限のままで、しかも冬季に、凍結しやすいときにその対策が立てられなかったのか、まず初めにお聞かせいただきたいと思います。
  26. 太田壽郎

    太田政府委員 御指摘箇所は確かにスピード制限は五十キロメートル毎時で決めております。しかし、これは御案内のように五十キロをいっぱい出していいということでは必ずしもないわけでございまして、それぞれの道路状況、凍結の状況その他を勘案いたしましてその中で安全なスピードで走っていただきたいという趣旨のものでございます。
  27. 永井孝信

    永井委員 スピード制限の問題については、必ずしもバス転落事故に限らず、当委員会もいろいろ議論を重ねてきたところでありますが、五十キロ制限で規制されておって五十キロ以内、しかも四十キロ以内で走っておったことが必ずしも事故の直接原因を誘発することに本来ならなっていかないということが一つ言えると思うのです。そして、このバス転落事故が起きてからカープ注意、速度落とせという標識を随所に立てました。これは、事故が起きてから立てているのです。言いかえてみれば、そういう安全を喚起するための標識などについて不十分であったことから、公安委員会としてこういう標識を後からつけたと私は思うのです。そうしますと、事故を起こす複合的な要因の中に道路規制についての標識などの設置が一つの問題を持っていたのではないか、こういう気がするわけでありますが、それは率直にお認めになりますか。
  28. 太田壽郎

    太田政府委員 ただいまお話しのように、事故が起きました後にいわゆる看板的なものを何枚か掲出いたしております。これは正規の道路標識といいますか、そういうものではないわけでございまして、一種の案内的なといいますか、注意を喚起する看板的なものでございます。
  29. 永井孝信

    永井委員 建設大臣に先にお伺いいたしたいと思うのでありますが、今度は道路構造の問題であります。  最前私が申し上げましたように、事故現場直前幅員が非常に広うございます。そして、その事故現場は急に狭くなっている。そして緩い下り勾配になっている。その緩い下り勾配のところにガードレールがつくってあるわけでありますが、このガードレールはA型でありますけれども一重なんです。隣に明治橋という橋がありますが、同じような状況でありまして、しかも、そこは上り勾配でありますけれどもガードレールが二重につくってある。そして現地でいろいろ調べてみると、十五度の角度で時速四十キロで当たったときにはね返るような構造になっているというのでありますが、このカーブの状態からいって十五度の角度で当たるということはまずないと断定していいと思うのです、急なカーブでありますから。当たれば四十度、四十五度という角度で当たるという計算になっていくわけでありますが、そういうことを承知で、このガードレールはA型であっても一重しかされていなかった。あるいは照明灯にしても、その現場の上だけ照明がしてあります。だから、この照明ではなかなか全体を把握することができない。あるいは凍結注意という標識カーブの一番Rのきついところに設置されているわけでありますが、現地へ行って調べてみましたが、夜ライトで照らしたときには、カーブを曲がらないとその標識は視界に入ってこないのですね。  こういう状況でありまして、しかも、当時気象情報から大雪警報が出ておりまして、そのための対策が立てられておったのかということを調べてみると、実は道路管理者の方もその対策は特に立てていなかった。立てていなかったということは、今までそういう大雪警報が出ても現地にはさほど雪が積もったことがないので大丈夫だろうということで特別な対策は立てなかった、こういうことも言われているわけです。そうすると、道路構造上そういう危険な箇所が、安全対策としてガードレールの問題も含めてそうでありますが、そのまま放置されておったことが結果として事故を誘発したのではないか。しかも、警察の調べでは、その前に何回も実はその現場で衝突事故転落しそうになった事故が起きているわけですね。  こういう問題について、道路上の欠陥という問題をどこまで建設大臣としては把握をされ、承知をされ、そうして今後の施策に生かすためにどのような考え方を持っておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  30. 木部佳昭

    木部国務大臣 先ほど申し上げましたように、私どもこういう痛ましい事故が二度と繰り返されないように、関係省庁で今いろいろ総合的対策を講じておるわけであります。先ほど公安委員長からも答弁ありましたように、今原因を究明中でございまして、何が主たる原因であるかということはこれから解明されると思いますが、そういう中にありまして、私どもは、先ほど私答弁申し上げましたように、ガードレールやそういう施設の面、管理上の面で問題があったかなかったかというような問題を、技術的、科学的に今研究をいたしておる次第でございます。  残余の問題につきましては、道路局長から答弁いたさせます。
  31. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 先生御案内のように、今回事故の発生しました国道十九号は山岳道路でございまして、全般的に線形が非常に厳しゅうございます。道路管理者としましても、従来より防護さくあるいは標識等の交通安全施設整備、線形の改良などに鋭意配慮してきたところでございますが、今回の大安寺橋の現場付近につきましても、付近の地形等を勘案いたしまして、ガードレールにつきましては御指摘のようにいわゆる高速道路用のA型のガードレールを設置するとともに、カープの手前にはカーブあり、あるいは滑りやすい、それから幅員減少といった警戒標識を設置していますほか、路面凍結注意喚起のための標示板及びカーブ誘導標示板等を設置しております。また、道路交通安全の確保には十分配慮したと考えております。  なお、今回発生いたしました痛ましい事故を二度と繰り返さないように、関係省庁によります「レジャー客輸送バスに係る交通事故防止対策について」の申し合わせに沿いまして、冬季においてレジャーバス等が多く通行する山間部等の道路を対象に、交通安全施設整備状況の総合的な点検を行い、その結果に基づき必要な措置を実施するよう指導しておるところでございます。  先ほど大臣が説明いたしましたが、ガードレールに関しましては、過去十年ほど前から土木研究所を中心に、実際に車を当てましていろいろな調査をして、現在その調査結果に基づきまして設置したのが先ほど申し上げましたいろいろな標準でございまして、先生御指摘のようにこのA型は普通の一般道路のB型よりもさらに強度な高速道路用であるということでございます。  それから、御指摘の照明が見にくいという御質問がございましたが、当該区間の曲線部及びその手前に、交通安全施設として視線誘導標とかあるいは警戒標識等を十分設けてございますし、それから道路の線形等に関する状況を提示し、ドライバーに予測させまして注意を喚起しているところでございます。より一層の安全確保を図る見地から道路照明灯を三基設けまして、路面及び周辺状況の視認性を確保してきたところでございます。特にカーブを示す標識につきましては、橋梁の手前百六十メーター及び九十メーターに、また曲線部につきましては大型の矢印の標示板五枚、計七枚を設置し、表示しているところでございます。これらはすべてカプセルレンズ型反射シートを用いた標識でございまして、夜間におきましても容易に視認できるものでございまして、照明灯など他の安全施設と相まって、カーブに進入することを十分予測できるものと考えております。
  32. 永井孝信

    永井委員 事故が起きた後、一月三十一日付で、総務庁警察庁、運輸省、労働省、建設省事故防止対策についての通達を出している。この通達の中には、当然のことでありますけれども、「関係機関は協力して、交通事故防止のため必要な措置がなされているかどうかについて、総合的に点検すること。」ということも含まれているわけです。そうして「関係機関は、必要と認めるときは、道路標識等の整備を推進するとともに、適切な交通規制の実施を図ること。」常に事故が起きてから後追いなんですね。本来、これは日常的にやられておらなくてはいけないことであります。  今、例えば標識のことでこういうふうに設置をされているという道路局長のお話もございました。しかし、現地へ行って調べてみると、転落事故現場の橋の一番手前の親柱のところに危険だという反射板が設置されているわけでありますが、その反射板は事故前から壊れたままなんですね。そして、警察の調べでいきましても、五十五年以来三十五件同じような事件が、転落こそしなかったけれども衝突事故が起きている。いわば札つきの欠陥道路なんですよ。だから、札つきの欠陥道路を放置しておったことにも問題があるのであって、そのことが刑事責任云々という問題ではなくて、道路管理者としてそういうものに的確に対応するように日ごろからやっておかなくてはいけない。それがなおざりになっていったことが事故を誘発した一つ原因ではなかったかということを、行政上の責任として私は申し上げているわけであります。  例えば、私ここに一つのサンプルを持ってまいりました。(写真を示す)私の家の近くの道路のサンプルでありますが、非常にカーブのきついところです。こういうところでは、カーブスピードを落とすように道路に段差をつけたり、そうして道路一面に黄色い塗料を使ってカーブの路面全部にこういうマークがつけてある。そして、ガードレールには初めからしまいまでこういうふうにカーブで危ないよということがずっと表示してあるわけです。危険な箇所はこのぐらいのことをしておくべきでしょう。  ああいう危険なところで、しかも一般の道路と違って観光シーズンに、あそこは冬が観光シーズンなんで、その道路の危険なところになれない観光バスなどが集中してやってくることはわかっているわけだから、橋をかけかえるぐらいならそういうことを事前にあらかじめやっておくべきだ、これは道路管理者の責任だと思うのです。だから、そのことが今直ちにどうこうというのではなくて、私は、やはりこの事故一つの遠因にそういう問題もあるということを自覚をして行政当局が対応してもらいたい。バス会社を監査しバス会社を処分をする、あるいは労務管理のあり方について立入検査をやって処分をする、それは私は当然のことだと思います。当たり前のことだけれども、だからといってそこだけにすべてを限定して責任をかぶせてあとは問題がないということでは、これからの事故防止ということにかなりの問題点を残すのではないか。謙虚にそういう事実は事実として、建設省も、そしてもちろん運輸省もそうでありますが、道路標識などについて公安委員会が指定するような標識の設置については、警察庁も含めて、やはり事故の遠因は我々にもあるという前提でこれからの対応をしてもらいたいということを私は申し上げているわけであります。  時間の関係がありますからこれ以上この問題は追及いたしませんけれども、この問題についてのこれからの対応もありますので、ひとつ建設大臣からもう一言御答弁いただけますか。
  33. 木部佳昭

    木部国務大臣 先ほども答弁申し上げましたように、関係省庁で総合的な対策をこれから努力しましょう、こういうことで発足いたしておるわけでありまして、ですから、今先生の御指摘の点と政府の対応策とそう大きな開きはない、私はそういうふうに思っております。したがって、今、私ども建設省といたしましても、管理上の問題であるとかまたガードレールその他技術的な問題であるとかというような問題につきまして、その解明のために鋭意努力をしておる、こういう次第でございます。また、そういうところが全国にもあるでしょうから、各地建に対してそういう点の管理上の問題がないように、私からももちろん指示をしてあるわけであります。
  34. 永井孝信

    永井委員 時間の関係がありますから、もっとこの問題を掘り下げて質問したいのですが、これからもまた機会があるでしょうから、そのときに譲りまして、次の問題に入っていきたいと思います。  運輸大臣にお聞きいたしますが、運輸大臣は、所信の中で交通事故についての被害者救済についてうたわれているわけですね。この被害者救済のための自賠責保険の問題についてお聞きをするわけであります。  昨年は当委員会でもかなり議論があったのですが、この自賠責保険の運用益から、特別措置によって二千六百億円程度の運用益のお金が一般会計に繰り入れられました。これはもちろん将来償還をするということになっているわけでありますが、当時その是非をめぐってかなりこの委員会でも議論があったところであります。ところが、そういう運用益から一般会計に繰り入れを行って、そうしてことし自賠責保険料率が改定をされる。しかも、かなり大幅な引き上げになっている。これは、既に四月十五日から実施されているわけであります。本来運用益というのはユーザーに還元することが原則となっておりますが、今回の料率改定というものはその趣旨に反するのではないかと思うのでありますが、どうでございますか。
  35. 服部経治

    ○服部政府委員 お答えいたします。  今般の自賠責保険の保険料の改定の問題でございますが、これはもう先生御承知のとおり、自賠責保険の収支が大変悪化してまいる状況にございまして、そういう状況に対応いたしまして、自賠責保険の収支の健全化を図ること、これが最も被害者救済に直結する道であるという認識のもとに行ったものでございます。  ところで、ただいまのご指摘の中に、先般、五十八年度の予算におきまして自賠責特会の運用益の二分の一の額を一般会計に繰り入れたこと、そのことを取り上げられて問題にされたわけでございますが、確かにそのこと自体私どもとしては率直にお受けしたような問題ではございませんで、当時さまざまの論議があったわけでございますが、これは国の大変厳しい財政状況というものを踏まえて、五十八年度限りの臨時の異例の措置としてやむを得ないということで踏み切ったものでございます。  なお、この運用益というのは、もう先生御承知のとおり、自賠責収支の外で起こる問題でございまして、その二千五、六百億円の繰り入れ自体が直接に自賠責保険収支の悪化の原因というふうには私どもとらえていないわけでございます。今回の保険料率の改定に当たりましては、その一般会計に繰り入れました二千五百億円を含めまして、自賠責特会及び損保会社に滞留しておりますすべての運用益金額を自賠責保険収支の改善に充当することといたしまして、保険料率の改定率をできるだけ圧縮することに努めたという経緯もあるわけでございますので、その辺につきましてぜひとも御理解を賜りたいというふうに考えるものでございます。
  36. 永井孝信

    永井委員 時間がありませんので、答弁はできるだけ短くしてもらいたい、それを要望しておきたいと思います。  今御答弁ありましたけれども、この運用益は枠外であると言いながら、本来ユーザーに還元すべきものを一般会計に繰り入れておいて、片一方保険料の値上げということはどうしても納得できない、これは私はどう言われても納得できないということをここで強く申し上げて、次に入ります。  そこで、今回の料率改定に当たって、本来この新保険料が適用されるべき契約について、人間の知恵が悪い方に働いたのでありましょうけれども、保険料の改定前に駆け込みで二重契約をやる、あるいは新規契約をやるということがかなり随所に起きてまいりました。これがやはりかなり行き過ぎだということもあったのでありましょうけれども、損保協会から特別に重複契約禁止等で通知するという状態まで、業界みずからがそういう通知をしなくてはいけないという状態まで実は生み出しているわけであります。  ここに四月二日の朝日新聞を持っておりますが、この朝日新聞でもこのように言っております。「一カ月前から有効になる二十五カ月の自賠責を旧体系の料金で契約する」ことを、いわば保険会社などが勧誘をした。そして、そのことによってユーザーの場合はかなりのお金が助かる、こういうことであります。ユーザーとすれば、保険料がどんどん値上げされることは大変なことでありますから、安くなればそれに従っていくのは当然なことでありますけれども、要は、ユーザーが自発的にそういうことをやることとは違って、損保会社とかあるいは車の販売店などが積極的にそういうことをやったらどうですかと勧誘するということでは、私は大きな問題があると思うのです。もう既に十五日から発足してしまっていますから、これは過去のことになりますけれども、こういうことがやられないように、やはり保険の本来の趣旨からいってきちっと対応してもらいたいということを私は強く申し上げたいと思うのであります。本来ならこういうことをやったら処分問題ですよ。何らかの処分があってしかるべきだ、こう思うのでありますが、これは、大蔵省、どうですか。
  37. 鏡味徳房

    鏡味説明員 自賠責保険の健全かつ安定的な運営を確保する目的で今回の料率改定が実施されたわけでございまして、このような料率改定の趣旨からも、御指摘のように代理店とか業界間で行き過ぎた勧誘競争が行われるのは好ましいことではないと考えております。したがいまして、私どもとしては損保業界等に対しまして、そのような過当競争が行われないように代理店を厳しく指導するよう、再三注意をしてまいりました。そのために、今先生からの御紹介がありましたように、業界内においてもその私ども注意を受けて自粛を徹底するようにしておりますので、このような動きは鎮静化してきていると聞いておりますけれども、行き過ぎた競争といった行為が行われないように、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。
  38. 永井孝信

    永井委員 そういうことについては、これから二度と起こらないように厳しくやってもらいたいということを強く要望しておきます。本来ならこれは募取法違反でもありますので、ひとつきちっとしてもらいたい。  その次に、同じくこの自賠責保険の保険料金の出納の問題であります。  振り込み方法は、私前から指摘してきたことがあるのですが、出納事務を取り扱う代理店というのはもう山間僻地に及んでいるわけです。ところが、この出納事務を取り扱う場合に、その振り込みをする対象に——全国津々浦々に二万数千もあるのです。例えば郵便局、あるいは労働金庫などもありますけれども、そういうところにも一定の、同一の手数料をもって振り込みをさせるということが考えられないかどうか。ユーザーの立場に立って、あるいは出納事務を取り扱う代理店の立場に立って、そういうことができないかうか。大蔵省、あるいは郵政省見えておりますか、ひとつ考え方をお聞きしたいと思います。
  39. 鏡味徳房

    鏡味説明員 自賠責保険の問題につきましては、やはり被害者救済ということで、保険料が正しく支払われたところから責任期間が発生いたしますものですから、現在は、保険契約の際に代理店に直接料金が支払われるという仕組みになっておりますので、他の損害保険の場合のように契約者が直接金融機関等を利用して保険料を支払うという必要は少ないのではないかと考えております。  また、自賠責保険は車検とリンクされているために、その大部分が自動車の販売会社とか自動車整備工場において募集されておりまして、強制保険であるという自賠責保険の性格から、通常の損保の代理店以外の団体等にも本保険の代理業務を認めてユーザーの利便に資するようにしているところでございます。
  40. 永井孝信

    永井委員 私が申し上げておるのは、ユーザーの直接振り込みということよりも、取り立て代理店が振り込む先は今市中銀行、信用金庫、信用組合に限定されておるわけですよ。そうではなくて、全国に二万数千も郵便局があるんだから郵便局を使うことも考えたらいいではないか、こう言っているわけであります。郵政省はいないのですか。
  41. 坂田淳

    坂田(淳)説明員 郵便局で取り扱っております送金や決済の各種の手段の中に郵便振替制度というのがございます。先生御指摘のとおり郵便局は全国津々浦々にございますので、自賠責保険を取り扱われる損害保険会社におかれましてこの郵便振替制度による保険料の収納方法を御採用いただければ、収納代理店の方々にとって大変便利になるのではないかというふうに存じております。したがいまして、郵政省としては、ぜひこの郵便振替制度を御利用いただければというふうに考えておる次第でございます。
  42. 永井孝信

    永井委員 実態的にそういうことができ得るように、ひとつ関係省庁間でも御協議いただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、医療費の適正化と不正請求の排除の問題でありますけれども一つは、労働者自動車共済というのがございますが、この自動車共済から損保会社の保険へ契約乗りかえということが出てまいります。それは、自動車共済の場合はその組織に加入している人を対象にしているものでありますから、例えば企業を退職した場合などについては除外をされていくわけですね。そうすると損保会社の方に保険を乗りかえざるを得ない、こういうことになっていくわけでありますが、この場合に、実は現在は無事故割引の通算を認めていないわけです。逆に、損保会社の契約から自動車共済へ乗りかえる場合は既に無事故割引の通算を実施しておりまして、いわば均衡がとれていないという状況にあります。被害者救済をしていく場合には、これが共済であろうと損保であろうと目的は共通のはずでありますから、行政の指導をそういう面でも及ぼすように考えられないかということがまず一つであります。  もう一つは、暴力団などが医療機関と結託をして被害者を食い物にするという事件が相次いで起こってまいりました。そう考えますと、損保あるいは全共連、自動車共済連などが共同のテーブルに着いて、情報の交換や問題点の協議検討などを統一的にできるようにしていくことが行政当局としても必要ではないか。  この二つについてごく簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  43. 鏡味徳房

    鏡味説明員 まず第一点の自動車共済から保険会社の保険に切りかえた場合の無事故通算の問題でございますけれども、メリット・デメリット制度は任意保険にございますが、これは保険契約者間の保険料負担の公平化を図るという観点から設けられている制度でございます。自動車共済にはメリット制度はございますがデメリット制度がないとか、料率体系が大分差異がございますとか、それから告知の内容等についても相当大きな差異があるという技術的な問題もございますので、当面、その間で通算が行われるというのは技術的に難しい問題が多いのではなかろうかと考えております。  それからもう一つ、不正請求を防止するための措置でございますけれども、これは、保険金の不正請求の防止のために保険会社相互間や警察当局等との協力体制の充実について従来から保険会社を指導しておりまして、現在全都道府県に保険会社と警察当局との情報交換の場が設けられてきているところでございます。ただ、これは、終局的には先生おっしゃるように関係業界全部通じる情報交換の場というものが設けられるのが理想ではございますけれども、ただ、この場合にはプライバシーの問題とか経費の問題等もございますものですから、当面は現在推進されております保険会社相互間と警察当局との情報交換を充実させてそういった不正請求の防止を徹底していきたいと考えております。
  44. 永井孝信

    永井委員 今、私の質問に対して、例えば無事故の通算割引の関係などについては料率も違うしいろいろなことが違う、だから難しいという話でありますけれども、損保から共済への場合は通算しているのです。その逆がなぜできないのか。できたらユーザーの立場に立ってそういうことができ得るように行政指導するのが本来の行政の立場ではないか、こういうことをまず申し上げているわけです。これは、もう一回お答えいただきます。  最後にもう一つは、私はこれは何回もこの委員会で取り上げてきたのでありますが、自賠責保険を取り扱う場合に自動車共済連も加えたらどうかということを何回も質問してまいりました。ここにも議事録を持っているわけでありますが、検討するということを何回も繰り返してきているわけですね。その判断基準も持ち合わせていないのでそれも必要なら検討したいとか、あるいは法律改正を伴う事項なので検討してみたいとか、いろいろなことを今まで繰り返してきたのですが、何年たってもその検討の結果が出てこない。その業務委託をする場合に基準があるのかどうなのか。あれば示してもらいたいし、もし検討しているとするなら検討の経過というものについても明らかにしてもらいたい。  これを最後にして、最前の質問をもう一回再質問と、この二つをお伺いして、時間がありませんので終わりたいと思います。
  45. 鏡味徳房

    鏡味説明員 第二の御質問は運輸当局の方からお答えいただいた方が適切かと思いますが、まず第一番目の御質問は、確かに、私ども自動車共済の内容はつまびらかではございませんけれども、保険会社から自動車共済に乗りかえた場合にはメリット・デメリット制度、それから保険会社に告知された事項等を見ながら通算が行われているということになっているようでございます。ただ、逆の方は先ほど申し上げましたように、料率体系が違いますし、それからメリット・デメリット制度が共済にはなくて保険の方にはあるというようなことから、告知事項も大分内容が違うようでございますので、通算は技術的には難しいとは聞いておりますけれども、なお業界で検討させてまいりたいと思っております。
  46. 服部経治

    ○服部政府委員 農協以外の共済組合にも自賠責の共済事業を取り扱わせてはどうかというただいまの先生の御指摘の点でございますが、この点につきましては、自賠責保険というものが被害者の保護を目的としまして付保が強制されるという極めて公共性の強い性格のものであることにかんがみまして、そういった御指摘のような共済組合がこの事業を適切に実施し得るだけの組織あるいは財政的な基盤というものを持っているものであるかどうかという点につきまして、主として被害者保護の見地からなお今後慎重に検討していく必要があるというふうに考えておるところでございます。  農協以外の共済組合あるいはその所管省庁からは、これまでのところ自賠責を取り扱いたいという申し出はございませんで、また、現在の体制のもとでも自賠責の運営は十分円滑になされているというふうに基本的に理解している現状でございます。
  47. 永井孝信

    永井委員 掘り下げが足りませんので、また次の機会にこの問題を引き続き質問することにいたしまして、終わります。
  48. 小川新一郎

    小川委員長 次に、上野建一君。
  49. 上野建一

    ○上野委員 首都圏等の住宅の密集した地域の交通問題として、安全で早いという鉄道建設が一番要求されておるわけでありますけれども、今既にその計画が実行されておる点、それからこれから建設しようとする京葉線と東葉線に絞って質問をいたしたいと思います。  まず京葉線の方から申し上げますが、京葉線については、今総武線が通勤鉄道としては限界に来ている、こういうことでかねてから建設が進められておるわけでありますけれども、国鉄としては新線の建設は今日の状態では珍しい、そうなってしまいましたが、それだけに京葉線に対する期待は住民の中から大変大きいわけでありまして、この一月も早い全線の開通を求められております。  そこで、質問をいたしたいのは、西船までの暫定開業、それから東京駅までの開通、こういうものは現状では一体どうなっておるか。今までのいろいろな約束、公表などとの関連で明確にお伺いしたいと思います。
  50. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 お答え申し上げます。  京葉線は、先生御指摘のように、新たな人口密集地帯を通り東京駅までつなぎたいということで、総武線の混雑緩和ということもございまして、鉄道建設公団におきまして工事を急いでおる線でございます。  御指摘の開業時期でございますが、新砂町を通って東京駅までの全線は六十二年度完成を目途に工事をいたしております。ただ、西船橋までの間がほぼ工事が終わっておりますので、これを暫定開業をいたしたい。ただ、取りつけ部分の蘇我というところの駅の工事がかなりまだおくれますので、その少し東京寄りの新町というところから西船橋までは六十一年三月ということに暫定的に開業をいたしたいと考えております。全線開業は、先ほど申し上げましたように、六十二年度中に完成をいたしたいということで現在工事を急いでおりますが、環境影響評価などの手続を現在やっておるところでございますので、それらの進捗によりまして若干の食い違いがございますけれども、今具体的に確定的に申し上げることはなかなか難しいわけでございますが、順調に進みましたら六十三年度には開業にこぎつけられるのではないか、かように考えております。
  51. 上野建一

    ○上野委員 東京までの間が六十三年春には開業するという公表が今まで何度かありましたね。したがって、これはやはり公表した約束事ですから、何としても六十三年春までには、したがって六十二年度中にはこれをぜひ完成して、六十二年度中開業、こういうことをぜひお願いしたい、こう要望しておきたいと思いますが、その可能性は全然ないのか。今のお話だと六十三年度中にずれ込むようなお話もありましたが、ぜひ六十二年度中にならぬものか、この点が一つお伺いしたい点です。  それからその次には、暫定開業、いよいよ来年の春、三月になるわけですけれども、そこで具体的にお聞きしたいのは、運賃については総武線と同じだと聞いておりますが、ダイヤについて一体どんなような形になるのか。何分置きに一本、これは通勤鉄道でありますから、通勤時のことだけお伺いしておきますが、通勤時には一体どのくらいの間隔で運転をされるのか。これは開業されれば十五両編成ぐらいにしなければいかぬと思うのですけれども、その編成についてはどうなのか。  それから、京葉線は県部分が千葉でありますので、管理局は千葉管理局になるだろうと思いますが、それに間違いないかどうか、ここのところをお伺いします。
  52. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 後半の問題は国鉄から御答弁を申し上げますが、前半の開業時期につきまして重ねて申し上げますと、私どもは六十二年度中完成ということを目途に工事を急がせております。ただ、先ほど申し上げましたように、環境影響評価のごとく、相手様のあることもございますので、今確定的に六十三年の四月とか五月とかいうふうにお答えできる段階ではない、しかし、それを目途に工事を急がせておるということで御了解をいただきたいと思います。
  53. 坂田浩一

    坂田(浩)説明員 暫定開業時期のラッシュ帯における列車の間隔でございますが、現在のところ一応十両編成六本ということで、大体一万九千人ぐらいの輸送を想定して考えておるところでございます。  それから、後段の京葉線の管理局の所在でございますが、暫定開業時期におきましては、当然その区間においては千葉と考えておりますが、それから先の都心乗り入れ部におきましては、現在の総武線の状況は、先生御案内のとおり東京南と千葉で管理しております。特に地下部分につきましては運行システムを変えておるという状況もございまして、今の段階ではまだ決めてはおりませんけれども、ほぼそういう形になるのではなかろうかと考えているところでございます。(上野委員「ダイヤは」と呼ぶ)六分です。したがいまして、一時間に六本、十両編成ということでございます。
  54. 上野建一

    ○上野委員 そこで、今国鉄の当面している問題とも関連しますが、国鉄にはいわゆる過員というのが今盛んにつくり出されているわけですけれども、この新線ができるということになれば、当然いわゆる過員と言われる中からここで働く人が出てくると思いますが、そういう形で国鉄の中の今過員と言われるような人たちが全部ここで働くことになるのかどうか。  それから、この新線は、私が前に質問したときには、大変技術革新を進めるんだ、合理化を徹底してやるんだ、こういうお話でありましたが、それは具体的に言うとどういう部分が今の総武線などに比べて合理化されて進むのか、これを聞きたいわけです。  それから、前から言われておったのですけれども、鉄道が今日の国鉄の状態の中から委託をふやすという話がありますが、この委託というのはこの京葉線ではどのような形で進められるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  55. 坂田浩一

    坂田(浩)説明員 まず、京葉線の技術革新に基づいたシステムということでございますが、運転保安システムにつきましては、特に在来線の幹線で使用しております自動信号機による自動閉塞方式でございまして、したがいまして、安全装置としてはATS装置をつけるということでございます。ただし、これに伴いまして、駅の列車集中制御、いわゆる運行管理についてはCTCということで一括して制御する。あるいは変電所等については遠方監視をする。それから駅について、入れかえその他の構内のポイント転換がございますが、これにつきましては第一種継電連動装置ということで、一番新しい電子式の連動装置も一部使うことにいたしておりますが、いずれにいたしましても、そういった運転保安上のシステムはそういうシステムでございます。  それから一方、特に営業関係のシステムでございますが、駅の配置につきましては現在具体的に検討を進めている段階でありますが、案内としましては自動放送装置あるいはITV、工業用テレビ等のホームにおける列車監視なり自動放送といったことを考えているところでございますし、また、特に出改札の関連につきましては、自動券売機あるいは武蔵野線で一部やっておりますし、片町線でもやっておりますが、自動改札を導入するといったようなことで極力効率化を目指しております。ただ、先ほど先生おっしゃいましたように、安全サービスの面でも十分配慮しながら、私鉄並みの効率的な要員を配置するということで現在検討を進めている段階でございます。したがいまして、余剰人員問題という中では、これに必要な要員というものは当然余剰人員と別個に要員として見込んでおるというふうにお考え願いたいと思います。
  56. 上野建一

    ○上野委員 その要員は一体どのくらいの数になりますか。その内訳としては、国鉄の中から全部回すのでしょうけれども、いわゆる過員と言われる人たちの中から回すのでしょうか。そこら辺のところはどういうふうになりますか。
  57. 坂田浩一

    坂田(浩)説明員 要員については今詰めておる段階でございますが、いわゆる乗務員、車掌、動力車乗務員あるいは駅の要員あるいは一部メンテナンス要員等を含めまして、現在のところ百数十名のオーダーというふうに考えております。  先生御指摘のように、現在のところ、この人が余剰人員でこの人は余剰人員でないというふうな整理をやっているわけでございませんので、全体の要員の中でそれを充当するというふうに考えておるところでございます。
  58. 上野建一

    ○上野委員 これを特に聞いていますのは、今千葉管理局だけで七百二十人ばかり人が余っているのですね。だから、これとの関連で、この際せっかく新線ができるのですから、それならできるだけ要員を国鉄の中から積極的に使っていく、そのことが必要なのじゃないでしょうか。ほかの会社に金まで出して使ってもらっているような状態まであるのですから、そういう場合に、新線ができるというときにそれを国鉄の中から少し多目に使うということは当然考えていいことじゃないだろうか、こう思いますので、もう一度お伺いしておきます。
  59. 坂田浩一

    坂田(浩)説明員 ただいま御指摘の要員問題でございますが、千葉につきましては現在のところ確かに先生おっしゃるように一部要員が余っている状態でございますが、国鉄としましては、今後の経営改革の中で極力効率化を進めていく。その中で、一方では余剰人員問題というものが大きな問題として出てまいっておりますが、この余剰人員問題につきましては、今進めております三本柱その他を精力的に進めることによって対応してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  60. 上野建一

    ○上野委員 それと、先ほど答弁があった駅の出札などのサービス部門ですが、通勤者が多いわけですから、働いている時間、朝の九時から五時なんという時間は、これはもう電車に乗ったり忙しい時間ですから、そこら辺との関連で、帰りの時間とか朝早くとか、こういうときに定期を買ったりいろいろなことができるのかどうか。これはどうしてもやらなければならぬと思うのですけれども、その点はどうですか。そこら辺のサービスもなくなったのでは鉄道も幾ら何でもひどいということになりますので、いつでも定期は買える、そのくらいの体制をとるべきだと思いますが、どうでしょうか。  それから、時間の関係がありますからほかのこともちょっと聞いておきますが、これは運輸省に聞きたいのですが、実はこの京葉線ができるまでに海浜交通とか京成電鉄とかのバスが代行をやっておったわけです。ところが、この京葉線ができることによってそれらのバス会社あるいはバスが要らなくなる、こういう状態が一方に出ます。しかし、これは非常に長い間国鉄のかわりを務めてきたわけですから、そうだとすれば、この人たちを路頭に迷わすなどということがあってはいかぬと思う。したがって、このバスの運行も含めて新しい路線も確保しなげればいかぬだろう。それから、確保する余地は十分にあると私は思います。したがって、これについては特に運輸省は指導上大変責任があると思いますが、一体これはどういうふうに進められておるか、お伺いをしておきます。
  61. 山下徳夫

    山下国務大臣 京葉線が開業いたしますと、地域住民の御利用の度合いによって客の流れが変わってくると思うのでございます。その客の流れによって周辺のバスの路線の再編成は当然行われるべきだと思っております。そういう意味におきまして、今後この鉄道の補完的な役割から見たバスの効率的な交通体系が整備されるように、そういう意味から私はバスの新しい運行体系というものは十分考えていかなげればならぬと思っております。
  62. 坂田浩一

    坂田(浩)説明員 現在のところ、定期券の発行につきましては主要駅で発行するということで、これは在来の首都圏管内の国電区間のサービス水準等考えまして、余り差の出ないような形をとっていくということで、主要駅において定期の発売をする、そういうふうに考えております。
  63. 上野建一

    ○上野委員 運輸大臣は大変積極的に考えられているということです。そこで、新しいバスの路線については、既に地元で県とか市や何かも入って協議が進んでいるのです。ところが、運輸省の指導が少し足りない。もうちょっと積極的にやってもらいたいですね。バス路線をやるとすれば、地元の県や市で話が進んでも、何といったって最終的には運輸省ですから、その点ではもうちょっと積極的に新しい路線について運輸省の指導ができないものかどうか。これは、大臣よりも実際行われている担当者からお伺いしておきたいと思います。大臣の話を受けて、もう一歩前に進めた話をぜひ。
  64. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま先生御指摘の点につきましては、現地運輸局におきましてこれから関係の向きからのヒアリングを行うことにしておるところでございまして、そういう手続を踏みまして実情を十分把握いたしまして、しかるべき適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  65. 上野建一

    ○上野委員 それでは、バスの路線については新しく積極的に行われる。私どもも、地元の問題でありますので、今後も運輸省に行くなりいろいろな要望を出していきたい、こう思います。  次に、もう一本の鉄道が今千葉県の中に進められております。これは、今の京成電鉄がもうどうにもならなくなって、何といいますか、安全な交通ができない、乗客が非常に危険な状態まである、その中から出されてきた鉄道で、東葉線と言いますが、東葉高速鉄道株式会社。これは県と民間と市、市も二つかかわっておりますが、いわゆる第三セクターというのでしょうが、この鉄道が計画をされたのが昭和四十七年三月。そして地方鉄道業の免許がおりたのが五十七年三月。この間十年かかっているわけですね。これが、大体運輸行政はそういうものなのかどうかわかりませんが、大変長い時間かかっている。経過もある程度私は知っています。知っていますが、こういうことでは運輸行政というのはいかぬのじゃないだろうか。地方鉄道のことについて都市交通審議会ですか、ここの答申が行われてから十年もかからなければ実際のことができないという運輸行政ではぐあいが悪いのじゃないだろうかと思っておりますが、もう過ぎたことを追及いたしましてもいろいろ弁解もあるだろうし、そういうことを聞いてもしようがありませんので……。  そこで、こういうふうにおくれているということを前提にして、これは大急ぎでやらなければならぬ鉄道なんです。運輸省はこれとの関連では免許した責任上これからの仕事を促進しなければならぬと思いますが、ただ、今民間活力とかいろいろなことが言われている中で、第三セクターで自治体と民間の鉄道会社その他が資金を出し合ってやるという鉄道、これはある意味では一つの見本になりかねない、そういう重要性を持っていると私は思うのです。  そこで問題点を申し上げますと、まず資金の面であります。  資金は、今まで発表されておるのでは二千九十一億かかることになっております。一キロ当たり百二十九億円。ところが現在これでは上がらないのじゃないだろうかと思いますが、この建設費についての見通しは一体どうか、これが第一点。  それからこの建設費との関連で、実は地元自治体に対して負担が要求されています。これはどういう形か私余りわかりませんが、二十四億から二十六億円の地元負担。一つの県と船橋、八千代市ですから、八億ずつ二十四億。こういうことがあるのですけれども、これは一体どういう負担金になるのか、どういう約束事になっているのか。それから、これを捻出するには運輸省はどういうふうに考えているのか。どういうふうにすればこの捻出ができるのか、あるいは運輸省は全然考えておらないで地元でやりなさい、出しなさいということなのか。そこのところをひとつ聞いておきたいと思います。
  66. 服部経治

    ○服部政府委員 この東葉高速鉄道と申しますのは、先生御指摘のとおり、こういった第三セクター方式で行われる首都圏近郊の鉄道の中でも特に大きなプロジェクトでございまして、建設費の総額が二千九十一億円かかりますけれども、この工事は鉄道建設公団によるP線工事という方式のもとに行われるものでございまして、資金調達の面では格別問題はない、そういう仕組みで行われるものでございます。  それから第二点目のお尋ねのいわゆる地元支援策と言われておるものの内容でございますが、これは、今申しました二千億を上回る工事の中で西八千代駅と車庫の開業設備工事を鉄道建設公団方式によるものの対象から外しまして、その部分だけは東葉高速鉄道が自分でやる。これに要する資金が百二十三億円でございまして、その百二十三億円のうちの二十四億円を地元千葉県及び船橋、八千代の両市が、開発利益の還元という方策を講ずることによって財源を確保して手当てをするということに相なっておるわけでございます。この開発利益の還元の方式につきましては、千葉県と二市が集まって五十九年の一月に研究会を発足させて現在鋭意その内容を詰めておる、こういうことでございます。  なお、この地元支援策の実現ということは大変重要な意味を持つものであると私ども受けとめておりまして、ぜひともそれの早期の具体化を期待したいと考えておるものでございます。
  67. 上野建一

    ○上野委員 どうして西八千代駅だけをそういう形でやることになったのですか。
  68. 服部経治

    ○服部政府委員 これは、ただいま申しました千葉県及び二市と東葉高速鉄道及び鉄道建設公団が十分に話し合いまして、そういう形で自社工事を行おうということに合意を見たものでございまして、その辺のより詳細ないきさつについては私どもつまびらかにはいたしておりません。
  69. 上野建一

    ○上野委員 そこで、だんだん明らかになってきているのですが、運輸省は鉄建公団に任しておるということですから鉄建公団にお伺いいたします。  今、開発利益の還元をするという形で二十四億円、二十四億円から二十六億円になるのですが、それを出せということなんですけれども、具体的にはこれはどういう形で捻出すればいいのですか。指導上はどういうふうになっているのですか。  例えば八千代市とか船橋市は借金をいっぱい持っているのです。そういう市で、しかも、人口がふえたのは市の責任じゃないのです。これは首都圏全体の問題であり、日本全体の政策からきているわけです。ところが、そこに住みついた人たちがこの負担をしなければならぬということになるといろいろな問題があるような気がするのですが、この開発利益の還元というのは一体どういうことですか。
  70. 服部経治

    ○服部政府委員 この開発利益の還元の仕組みにつきましては、現在千葉県と二市が鋭意協議中でございますけれども、その基本的な考え方は、東葉高速鉄道という形での新線が建設されますことに伴いまして沿線の開発が進みますが、その沿線の開発を行いますデベロッパー等から何らかの形、何らかの手法でもってしかるべき開発利益を還元してまいろうという仕組みであると理解しております。
  71. 上野建一

    ○上野委員 そうすると、その中で考えられるのは、今のデベロッパーから取るというのもありますが、どうも住民からも直接、新しく住民で住みつこうとするとそこからも何か負担金を取るような話もあるのですが、そういうことは全然ないと考えでいいですか。
  72. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま検討中の問題でございまして、そういうことがあるかないか、今この段階で明確なお答えを申し上げることはできないかと思います。
  73. 上野建一

    ○上野委員 既に県その他が第三セクターという形で資本金を出しているわけです。それに加えてこの負担金を自治体に出させるというやり方はかなり新しいやり方なんじゃないでしょうか。自治体に金を捻出させる形ですね。
  74. 服部経治

    ○服部政府委員 かなり新しいやり方であると思っております。ただ、似たようなことは例えば神戸の方でもございますし、これからの都市部におきます新線建設に当たりましては漸次そういう手法が導入されてしかるべしというふうに考えております。
  75. 上野建一

    ○上野委員 そういうやり方がしかるべきだ、やるべきだというお話なら、これに対して運輸省はどのような指導体制でこれから臨むのですか。例えば、これは一応会社ですから社長が知事になっておりますが、しかし、これは二十四億円の金を捻出するというのは大変なことで、具体的な指導がなければうそだと思うのです。その内容は、一体どんなやり方をしていくのか。
  76. 服部経治

    ○服部政府委員 先ほど来先生がお取り上げになっておられます地元支援策でございますが、これは東葉高速鉄道の建設について鉄道建設公団に工事の指示を出しました際に、地元千葉県及び船橋、八千代の両市から運輸省に向けて出された約束事でございます。地元の大変強い熱意を受けて建設されることになったこの鉄道でございますので、そういう形で地元の県及び両市が御協力されるということはまことに結構と申しますか、一つ考え方であると受けとめておるところでもございますし、この鉄道の今後の建設の円滑な進捗、あるいは開業におきますこの鉄道の経営の健全化を確保いたしますためには、こういった形での地元支援策の実現ということが非常に大きい意味を持ってぐるものであると私ども基本的に理解いたしておりまして、その実現方につきまして強く期待をしておる立場にあるものでございます。
  77. 上野建一

    ○上野委員 行政指導、これからの指導の方は。
  78. 服部経治

    ○服部政府委員 これから県と二市でお詰めになりました内容を私ども当然お伺いすることになるわけでございますが、私どもも御一緒に知恵を出す、あるいは御相談をする機会もこれからふえてまいろうかと思っております。
  79. 上野建一

    ○上野委員 そこで、運輸大臣、今お聞きのとおりで、この第三セクターという形の中から、これは本来なら地下鉄五号線を延伸するという話があったのを第三セクターに、金がないからということで切りかえた。これは国の補助金を出さなくて済むように、少なくて済むように切りかわった経過があるのです。そういうことで、その結果は大きく地元に負担がかかってくるということで、現状のとおりになりました。  ただ、問題は、地方自治体が積極的にそういう鉄道を敷きたい、鉄道を敷かなければどうにもならぬという状態になっていますからそういうふうになっているのですね。だから、そこにある意味ではつけ込んだようなところもないわけじゃない。しかし、自治体が約束したことですから、私はいいとか悪いとか言いませんが、問題は一般住民にまで負担をかけてはならぬと思うのです。そうなると、土地代がまた上がるし、いわゆる国の政策上も好ましくないと思います。  それから、民間活力の問題から考えましても、負担を一般の市民なり住民にかけるということであるならこれはおかしいわけで、そういう意味では逆に今この近辺は大変な土地の値上がりによって住民というのは被害を受けている方なんで、この点をひとつ特に注意していただきたいし、その住民に負担をかけるようなことがあってはならない。それから、自治体の負担もこれは大変なことなんで、これに対しても今後研究していただいて、地元で資金を捻出することはやるにしても、これが自治体の負債にならぬように御指導いただきたいと思いますが、運輸大臣はどうお考えでしょうか。
  80. 山下徳夫

    山下国務大臣 今おっしゃるとおりであると思います。こういった鉄道工事に直接住民に負担をかけるということはいいことではないと思っておりますが、ただ第三セクターという方式の中で、地元負担の中で、地方公共団体と住民の間の話し合いでそのようになったのかどうか、私も実は存じておりませんが、今後話し合いの都度それをよく意識しながら私ども善処してまいりたいと思います。
  81. 上野建一

    ○上野委員 そこで、三つ目の問題は、実は新東京国際空港の関係であります。  これは、先日の大蔵委員会を中心にした連合審査の中で若干申し上げたのですが、運輸大臣御承知のとおり、成田空港駅というのが成田新幹線との関係でできております。ところが、成田新幹線はもう御破算になっている。ところが駅だけはできていて、その関連でかかった費用が五百七十九億円、そしてその利子が二百六十六億円、全体で八百四十五億円の費用がかかっておる。いろいろな経過がありましたから、七百億が今事実上の借金としてこの駅にある。ところが、駅は使い物にならないで眠っている。その管理費だけでも年間一千万円かかる、こういうことのようであります。  そこで、これは運輸行政、鉄道の関連でまず第一に指摘したいのは、成田新幹線などという地元との関連を無視した鉄道建設の計画、当時私は千葉県議会におりましたが、千葉県も知らない、承諾もしていない、それから通過する各市町村も関係ない、挙げて反対ということになりました。これは県議会も反対し、各市町村も反対ということになってつぶれたわけですが、こういうできもしない線路をつくるような計画、その結果として約八百億の負債ができておる、こういうことになっておりますが、一体この駅をどうしようとしておるのか。これはこの間の質問の中では、新しい関連鉄道を敷く中で駅を利用する、こう言っておりますが、しかしさっぱりその計画は煮詰まらない。煮詰まらない理由というのは、一つは、やはり八百億も最初から負債があるような計画というのはなかなか進まないのじゃないだろうか。これは国鉄が直接やるなら別ですよ。ところが、これは第三セクター的なものにしようとしておるわけですね。あるいは地方自治体をこれに巻き込んでいこう、あるいは民間の鉄道会社とも関連するのでしょうけれども、そういうことなんです。  そこで、私は前から考えますと、例えば京成がスカイライナーというのを運転させて、これは空港からの要請、その他運輸省からの要請で、これも長い間空車を走らせておった経過でえらい赤字になっておる。このスカイライナーが、空港に関してはある意味では今唯一の鉄道になっておるわけですね。ところが、このスカイライナーをなぜあいている駅に入れさせてやらないのか。入れることによってお金も取れるのじゃないですか。わざわざターミナルから離れたところにおりなければならぬ。そこまでまたバスで行かなければならぬという状態ですね。ところが、この鉄道の駅はこの空港のターミナルの下にあるわけでしょう。そこへなぜ京成のスカイライナーを入れてやらないのか。これはどうも私ども納得いかないのです。当時からおかしいなと思っておった。したがって、スカイライナーというのはがらがらでわざわざ走らせた。離れているから乗る人がいないのです。そういう状態のときもありました。今は大分乗るようになったようでありますけれども、それでもまだ問題があります。  そういうことで行くと、これはむだ金を使って、しかも利用もさせない。将来いつまでこの借金が積もり積もるのか。もうかかった工事費の約半分近くが借金の利子になっておりますね。五百億、それで八百億ですから、約半分が利子、こういうむだな金を使っている。それなのに一方では、さっき言ったように第三セクターで地元負担が非常に多くなっておる鉄道が直接勤労者が通勤通学に使うのには金を取る、こういう形になっておるわけですね。だから、行政改革というのはこういうことをちゃんとしなければいかぬと思うのだけれども、一体この問題はどう考えておられるか、運輸大臣にもお伺いし、それから具体的なことはひとつ担当者にお願いします。
  82. 山下徳夫

    山下国務大臣 成田空港と都心部を結ぶ良質な輸送体系の整備につきまして、いわゆる鉄道アクセスにつきましては長い間の懸案だと私も承っております。つまり、空港のアクセス、それから千葉県北西部の地域的な非常な進展に伴うところの都心への通勤通学用の乗り入れ、もう少なくとも十年以上の懸案であると私も承っております。  先般来いろいろ審議されました結果、B案によって建設をやるということに決まったことでございまして、これから今御指摘の成田空港駅の利用の問題を具体的に詰めることになっておりますので、その問題につきましては局長から答弁させたいと思います。
  83. 服部経治

    ○服部政府委員 現在の京成線をあの地下駅に乗り入れさせて有効活用を図るべきではないかという点についてお答え申し上げます。  現在の京成線をそのまま延伸しましてあの地下駅に入れるということは線形の関係から到底無理でございますので、そういうことをやりますためには、現在の線ではなくてかなり手前のところからあの地下駅に向けて線路を新しく引っ張ってくる、こういう格好をとらなければなりません。そういたしますと、これに新しく二百億円の投資が必要でございます。それから、既に設置いたしております各施設が約八十億円むだになります。しかも、京成電鉄自体、先生御承知のような経営状況にあるわけでございますので、その点につきましては、私ども、京成を乗り入れさせるのではなくて、長い経緯のございました例の成田新高速鉄道、これのうちのB案を積極的に推進することによりまして地下駅の有効活用を図ってまいりたい、そういう方向で現在精力的に検討を進めているところでございます。
  84. 上野建一

    ○上野委員 線形が違うとか金がかかるとかいろいろ言って、今になればそうなるだろうと思うのですね。最初からこういう計画をやっておればこんなことにならなかった。そこら辺、こういうことに対する責任体制というものをもうちょっと明確にしなければいかぬのじゃないですかね。一方では赤字だ赤字だと言っておきながら、片一方ではこういう莫大な金のかかったものをそのままにしておいて、今になると新しい鉄道にしなければだめだという話です。  そこで、B案ですけれども、新東京国際空港アクセス関連で鉄道関係路線というのがA案からB案、C案まである。B案に決めたということでありますけれども、すると一体これはだれがやるのですか。だれが金を出して責任を持ってやるのですか。
  85. 服部経治

    ○服部政府委員 B案と申しますのは、もう先生も御承知のことと思いますけれども、東京方から申しまして、都営一号線、それから京成線、それから北総鉄道、それから住都公団鉄道がございます。それから先、建設運営主体未定の区間もございます。そういう格好で、既成の民鉄線と新線建設を要する部分とを合わせまして、これを直通運転形式でもって都心と空港とを結ぼうという構想でございまして、現在私どもの方で、そういった新線部分をどういう建設運営主体でもってやることが一番望ましいか、その他の幾つかの問題点について詰めを行っている段階でございます。
  86. 上野建一

    ○上野委員 それでは、あなたの計画では成田空港駅が使われるのはいつごろからになるのですか。
  87. 服部経治

    ○服部政府委員 そういう段階でございますので、現在の時点で明確にいつごろということを申し上げることができないのは大変残念なことだというふうに思っております。
  88. 上野建一

    ○上野委員 残念なんてごまかしちゃいけません。利子が毎年つくのですよ。例えば、五十八年度分だけで五十一億利子がついているのです。だから、一年おくれれば五十一億また赤字になるわけですね。ですから、これは急がなければならぬでしょう。少なくともいつごろをめどにこれをやろうとしているのか、そこだけは明確にしてくださいよ。のんべんだらりんと計画しているわけじゃないでしょう。めどぐらいは明確にしなければ、せっかく質問しているんだから。
  89. 服部経治

    ○服部政府委員 お言葉でございますが、私どものんべんだらりんとやっているつもりは毛頭ございませんで、関係者を集めまして鋭意検討に努めているところでございます。ただ、残念ながら、いつをめどにということまでを今の段階で申し上げるところまで来ていないということでございます。
  90. 上野建一

    ○上野委員 そんなめどのない仕事というのはおかしいでしょう。これは運輸大臣、本当に利子だけで年間五十一億もある。そのほか、八百億近い金が借金となって残っている。これは、年がたてばたつほど金がかかる。やがて地方自治体に必ず負担がくるだろうと思うのです。もし国鉄でやってくれるなら別ですけれども、国鉄だってやり切れないでしょう。だから、そういう意味で、これは早急に結論を出して鉄道の建設をやるならやるようにしなければならぬのではないかと思いますが、運輸大臣、どうでしょう。
  91. 山下徳夫

    山下国務大臣 今局長も申し上げましたように、こういう大切な問題を決してのんべんだらりんやっておるわけではございません。ただ、非常にたくさんの関係者がおられることですし、そういう方々といろいろ話を詰めていく段階においていついつまでにやるよということを、まず照準をどこに合わせているということをきちんと申し上げることが果たしてそういうたくさんの方々の協議を促進することになるかどうか。いろいろ私が承っております断片的な話を総合いたしましてもなかなか言えない面もあるのではないかと思いますので、とにかくこの問題については運輸省も鋭意早くやらなければならぬという方向で進めているという点だけは御了解いただきたいと思います。
  92. 上野建一

    ○上野委員 それでは、最後に要望を申し上げて終わりたいと思います。  きょう御質問申し上げたのは、主として国鉄の新線の問題と東葉線の第三セクターの問題でありますが、国鉄の問題としては、合理化とか技術革新とかいろいろなことをやる余り地元サービスが抜けないようにぜひしていただきたいのと、これからの問題としては騒音問題が京葉線にはございます。あそこはずっと団地が並んでいますし、住宅が密集している地帯を走るわけですから、騒音問題に対する対策をこれからぜひきちっと計画を立てて、開業したら騒音問題で問題になったというようなことがないようにお願いしたい、こう思います。  それから東葉線については、先ほど申し上げましたが、住民の負担にならぬように十分な御指導を賜りたいということを要望しておきたいと思います。
  93. 坂田浩一

    坂田(浩)説明員 先ほど列車の間隔について大変失礼な答弁をいたしました。一時間に六本でございますので、十分間隔でございますので、非常に申しわけありません。
  94. 上野建一

    ○上野委員 どうもありがとうございました。終わります。
  95. 小川新一郎

    小川委員長 次に、森中守義君。
  96. 森中守義

    ○森中委員 この際でございますから、まず運輸省の行政の姿勢についてお尋ねをいたします。  その第一点は、今日の日本国有鉄道はまさに破産寸前、大変な混乱状態に入っている、これはひとえに国鉄の管理運営が悪いから、労使がうまくないから、こういうことで済まされるのかどうなのか。運輸省設置法に基づいて運輸省には鉄道監督局というのがあった。これがいろいろ国鉄に対する改善命令を出してみたり、さまざまな計画を指図をする、こういう経緯の中からして、ひとり国鉄だけに今日の状態の責任を担わせるというのはどうかと思うのですが、これは運輸省の行政の姿勢として非常に大きな問題だと思う。これがまず第一点。  少し例示しますから、後で答えてください。  それから二番目は、先般の三重交通、それから最近また台湾旅行でバスが三十メートルも転落して邦人二名が死亡するという事件があったり、何しろバスの事故というものが非常に頻発しておりますね。こういうのは一体どういうことなのか。  それかと思うと、日米航空交渉、これが大体当事者間では署名直前までいって、後は商務省が待ったをかけてついに成立しなかった。そのために、関連のエアラインにおいては月に十億ぐらいの欠損を生じているという話であります。もちろん日米の貿易摩擦という非常に大きな問題があるにしても、運輸省及び外務省が中心になってそこまで相手方と話が進んでいるのに、商務省が待ったをかけてパアにしたというならば、何か特別な方法は打てなかったのかどうなのか。  それから、海上における遭難が頻発する。人命が次から次に失われていく。  こういうように運輸省の中に存在するさまざまな事件、問題というものは、かかって運輸省の行政姿勢の問題に帰するのじゃないかと思うのですが、山下運輸大臣はどういうようにお考えでございますか。
  97. 山下徳夫

    山下国務大臣 運輸行政全般にわたる大変な御質問でございまして、一口で私はここで答弁を御満足のいくようにできるかどうかわかりませんが、まず第一に国鉄の問題、これは百年以上続いた日本の国鉄で、今日のよって来るゆえんをさかのぼってみるといろいろな問題がある。そのことにつきましては第二臨調から御指摘をいただき、そして第二臨調の線に沿って今再建監理委員会が鋭意作業をなさっておられる。私ども、それにゆだねているというわけじゃなく、今日のような赤字に追い込んだ実態というものが、例えば公社制度あるいは一元的運営というものに起因し、そして鉄道の特性を全く生かすことができなかったというようなこと等を考え、再建監理委員会と平仄を合わせてすり合わせながら今事務的に作業を進めている段階でございますから、監理委員会の答申を得た上で立法化を行い、皆様方にまたそれを御提示して十分御審議いただくという段取りでございますから、そのように御理解をいただきたいと存じます。  三重交通等一連の事故の問題につきましては、先ほども私から御答弁申し上げたのでございますけれども、今日、陸上交通には特に多元的な行政の面があって、運輸省だけでは隔靴掻痒の感がある。したがって、これをおまとめいただいておる総務庁を中心に各省庁がいろいろと協議を重ねているところでございますが、我が省としてなさなければならぬことにつきましては、三重交通事故後、例えば特別監査を行い、行政処分を行い、また三重交通のみならず全国のバス業者に対して厳しい訓令等を出したのでございますし、今後ともいわゆる人災というものをなくするために我々全力を注いでまいりたいと思っております。  それからNCAの問題でございますが、私ども基本的にこれはもう二年以上前に政府が認可した会社でございますから、これは政府がまず責任がある、責任の所在は政府ということで、私自身はそれを明らかにして部下を督励いたしておる次第でございますけれども、御指摘のとおり、今年に入りまして私どもの方から強く要請してアメリカ側と詰めて協議してまいりましたが、率直に申し上げまして、あと一歩というところでなかなか詰まらないというのが私ども全く今苦慮しておるところでございます。  その理由は、御指摘もございました日米貿易摩擦によるところのアメリカの日本に対する指導者層の世論というものが非常に悪いということはもう御承知のとおりであろうかと思いますが、私どもは筋を通してそれらに巻き込まれることなく、日米航空条約の基本的な内容に照らしても要求すべきものは要求するということで、この問題だけは別の問題だよという姿勢でやってまいったのでございますが、必ずしもそのとおりいかない面は大変残念に思っておる次第でございます。私ども、今日、毎日毎日アメリカ当局と大使館を通じていろいろと事務的折衝を詰めたりいたしておりますし、情報を常に的確に把握しながら、一日も早くこれが実現を見るように今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
  98. 森中守義

    ○森中委員 山下大臣、ちょっと私も舌足らずの点もありますが、国鉄の問題ではそういうことを承っているのじゃないのです。今日国鉄がここまで落ち込んできたという責任は、ひとり国鉄当局もしくは国鉄の労使だけじゃあるまい。その指揮監督に当たった運輸省もその責任の大半を担うべきじゃないのかと言っているわけです。それが運輸省の行政姿勢として一体どうなのか。  それから航空協定の問題は、それ自体が航空主権を放棄したようなものですからね。しかし、今、地位協定をどうだこうだとまではここでは論及しませんけれども。確かにおっしゃるように、運輸省の航空当局と外務省が一生懸命になって詰めてきた。署名直前に来てアメリカの商務省がそれはまかりならぬ、貿易摩擦絡みだ、こう言って断ってきた。そういう情報が入っていたはずだから、そういうときに間髪を入れず何か特段の方法は打てなかったのかということを聞いているわけです。非常に対応が遅い。  それと、十億ずつの欠損ならば、たしかあの会社は八十億ぐらいの資本金だったと思う。もうこれは資本金を食ってしまいますよ。運輸省が適当だと思って認可したこの新設のエアラインの会社が、商いができないために資本金まで食いつぶしていいのかということを言っているわけです。どれもこれも対応が非常に鈍い。それが行政姿勢じゃないかと言っている。
  99. 山下徳夫

    山下国務大臣 国鉄の問題につきましては、私は国鉄だけが悪いのだということは決して申し上げておりません。長年、百年にわたって運営されてきた国鉄を振り返ってみて、どこに欠陥があったかということを十分認識しながらこれからみんなでひとつ協議をしていこう。特に運輸省としては、その監督官庁として十分責任を感じながら関係方面と協議をしていこう、簡単に申し上げればそういうことを私は申し上げたつもりでございます。  なお、NCAの問題につきまして、御指摘のとおり、対応の仕方が遅かったといえば遅かったという点も私は絶対にないとは申し上げませんが、何分相手のあることでございますし、筋を通すという一貫した強い姿勢が相手に受け入れられないことは私ども大変残念に思っております。  今、資本金は八十億とおっしゃいましたが、NCAの資本金は三十二億円でございますから、資本金だけならばもっと早く食いつぶす。しかし、何も資本金を食いつぶすことによって会社の倒産ということではございません。その後政府が十分これに対して、援助と申しますか、救済すべき点は当然やっていかなければなりませんし、あるいは乗員等も適宜、一定の期間遊ばしているというわけにまいりませんので、シミュレーターを利用して逐次訓練を怠りなくやるとか、そんなことは政府も大いにひとつ責任を持ってやってまいりたいと思っております。
  100. 森中守義

    ○森中委員 要するに、モータリゼーションの当初において随分大きな変動期が来るという想定をお持ちだったのかどうなのか。そして今、どちらかというならば臨調、行革に迎合している。しかも、その迎合の延長として規制を外そう。財界が、運輸関係の規制の緩和をやってくれという何か申し入れがあったそうですね。それを受けたのかどうか知らぬが、ワーキンググループなどをつくって規制緩和をやろうとしている。これは道路運送法の一条と正面からぶつかるのじゃないですか。
  101. 山下徳夫

    山下国務大臣 いわゆる公社制度あるいは一元的運営という面で非常にモータリゼーションに対応できなかった面があったために鉄道の特性というものが生かされなかったということは、先ほど申し上げたとおりでございます。  それから規制緩和は、政府が持っております一万件の許認可権のうちで運輸省が二千二百件以上も持っている。一番多いところでございますから、私が大臣になる前から、前大臣もこの点に非常に留意されまして、許認可官庁から政策官庁へ脱皮するんだぞということでいち早く行政機構の改革も他に先駆けて行われて、一つ一つそれらの問題について今チェックをしている段階でございます。ただ、私もこの問題については大臣を拝命しまして幹部を常に招致しながらいろいろ協議をし、実情を聞いているのでございますけれども、いわゆる許認可の根源をたどってみますると、やはり交通秩序を維持するため、ひいては社会秩序の維持のためにそれぞれそういう制度というのはできているということでございますから、ただ数が多いからどうとかこうとかと簡単なものではないということを、実はタッチしてみて私も非常にしみじみ感じておるのでございますが、そういう中にあっても極力不必要な規制は緩和し、手続等も簡素化するように常に指示をいたしておるところでございます。
  102. 森中守義

    ○森中委員 問題はその辺ですよ。  五十九年九月五日、省議の決定で、運輸行政における事業規制その他の規制のあり方に関する検討体制の整備ということで各部局ごとにワーキンググループをつくって、できるだけ縮小していこう、こういう方針のようですね。規制は極力最小限でやることが望ましい。望ましいけれども、例えば陸上交通関係を見る場合に、道路運送法の第一条の目的条項、これも大臣が言われたように「公正な競争を確保するとともに、道路運送に関する秩序を確立する」、こう言っておる。この一条の目的を果たすには、当然こういう規制も相当必要ですよ。それを臨調が言ったから、あるいは財界が規制緩和せにゃいかぬから、競争原理を導入せにゃいかぬからと言うので無定見にこういうことをやったのじゃ大変な混乱が起きる。その辺の基本が私はよくわからないのです。
  103. 山本長

    ○山本(長)政府委員 運輸省は、先生御存じのように、昨年七月に大組織改正をいたしました。その趣旨と申しますのも、運輸省発足以来三十年を経過し、その間における大変な時代の変化というものに対応した新しい行政を志向するという意欲に燃えたものでございます。  先生御質問の運輸事業にかかわる規制のあり方に対する検討というものも、おっしゃるように昨年の九月から委員会を設けまして、全省的な範囲において検討を行っておるところでございます。と申しますのも、やはり運輸省の行政の中におきまして許認可の占める割合が非常に多いということでございますが、その許認可という規制というものも、社会的あるいは経済的な背景を持って法制度としてできておるものでございますから、これ自身についてはやはり慎重に検討をする態度でなければならないというふうに考えております。ただ、長年の制度の制定、改廃あるいは追加というものが三十年にわたって積み重なっておるものでございますから、検討に当たりましては、まず許認可における手続の簡素化あるいは整理ということを中心として私たちは作業を行い、先般第一次のまとめをしたわけでございますが、主として手続の簡素化ということを中心といたしまして約四百三十件ばかり、これは省令を中心とする改善でございますけれども、これを実施しようということを取りまとめたものでございます。これの実施につきましてなお手続が必要でございますので、省内手続を終えまして、できるだけ早く事業者方々の負担も軽減し、役所の負担も軽減する、こういう方向で実施をしていきたいというふうに考えておるのでございます。  なお検討は続いております。先生おっしゃる道路運送法の基本にかかわる問題、道路運送法だけではございません、海上運送法もございますし、航空法もございますけれども、そういった制度にかかわる問題につきましても私たちは検討の対象にいたしておるのでございます。しかしながら、これにつきましてはいろいろな意見がございます。一方の意見があることを思えば他方の意見があるというふうにいろいろな意見がございますので、私たちはなお検討しておりまして、この点につきましては有識者、事業者方々、そのほか関係者の方々等の意見も十分に聞きながら、やはり新しい情勢に対応した制度というものを考えていかなければならぬということは基本でございますけれども、慎重に検討をしてまいりたい。しかし、作業を開始いたしましたから、なるべく早く結論を得るように努力をしていきたいというふうに考えている次第でございます。     〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
  104. 森中守義

    ○森中委員 政策局長、さっき申し上げるように、規制というのは大きいをもってよしとしない、極力最小限であることが望ましい。しかし、今道路運送法がある。これに関するさまざまの政省令がある。しかし、運輸省の独自の能力でそういうのを取り仕切りできないのじゃないの。今の軽貨物であるとか軽タクシー、こんなものはあなた方できないだろう。高松、佐世保、あっちこっちでどうしても警察庁の力をかりなければ、自分たちでこれをやっていく能力はないじゃないですか。そこへもってきて、こういう規制緩和をしたらどうなる。道路運送法だけでないことは私もわかる。けれども道路運送法の中には免許条項で非常に厳しいものがある。しかも、運賃条項もある。しかも、運賃条項のごときは、最近大阪ではこういう運賃なんておかしい、時代おくれじゃないかという裁判所の判決まで出ている。これは控訴して争うつもりですか。めちゃくちゃだよ。  それで、政省令をどうするこうするというその前提になるもの、道路運送法一条の目的を守っていくためには、どうしても需給調整というのが必要になる。需給関係をどうするのか。  それと、大臣がさっきおっしゃったように、非常に間口が広い、さまざまな社団法人がある、財団法人がある、そういう業界に対して事前に協議でもしていかなければ大混乱が起きますよ。そういう前提になるようなことを考えながら作業しているのですか、どうですか。     〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 服部経治

    ○服部政府委員 お話が全体の話から道路運送法の方に移ってまいったという理解のもとに私から御答弁申し上げますが、私どもは、道路運送法の精神といいますか、目的というのは、事業の健全性を確保してその健全な発達を図るということを通じまして、その利用者の利便の確保を図っていくということにあるのだと思っております。したがいまして、運送秩序の維持ということは当然ながら事業の健全な発達を図るために大変必要なことでございます。私ども、そういうことで道路運送法の考え方というものが利用者利便の確保ということを究極の目的として、そのために必要な各種の規制を置いているというふうに認識いたしておりますので、その点につきましては全体の大きな流れの中には置かれておりますけれども、今後慎重に検討してまいりたいと考えておるわけでございます。  それから、先ほどMKタクシー裁判の件にもお触れになりましたが、私どもあの裁判の中で示されました判示につきましては、事実認定及び法律の解釈、適用について重大な誤りがあるという認識を持っておりまして、現在控訴いたしておりまして、最後までこれは争っていくつもりでございます。(森中委員「控訴したの」と呼ぶ)しております。
  106. 森中守義

    ○森中委員 それじゃ、あと特定の問題を一つお尋ねしたい。既に政府委員室を通じて差し上げておきましたが、熊本における軽貨物タクシーの告発状、まだ告発はちょっと見合わせておるようですが、これをごらんになりましたか。
  107. 服部経治

    ○服部政府委員 告発状というのはまだ見ておりませんけれども、熊本の事情について申し上げれば、これはこういう席で申し上げますと後に影響が出ますので余り明言することは差し控えるべきであろうかと思うのでございますが、決してほかの県におくれをとっているわけではございませんで、実情を調査し、内偵を続けておるところでございまして、そういうことのための準備を現在進めております。
  108. 森中守義

    ○森中委員 その調査は全部私の方で済んでいる。みんな必要なら差し上げるよ。反復継続しているわけだ。告発代理人は衛藤善人という弁護士、告発人は熊本県自動車交通労働組合の執行委員長松本止喜、この人らによって熊本南警察署長あてに全部告発状が用意されて、皆さんの対応いかんではいつでもやろうと言っている。これは、警察庁も見えているようだが、御存じでしょうね。  参考までに申し上げると、キャブ熊本という集団、それからフレンドという集団、タクハイという集団、この四集団で合計百車両くらい持っている。それで、熊本陸運事務所のお話だと、どうも追跡してみようとしても、継続反復しているかどうかをやろうとしても、無線でやっているものだからなかなか追っかけにくいという話のようだ。  今申し上げたのは、適切な申請によって無線局として新設の申請をして、そしてチャンネルは許可してあるのですか、どうですか。
  109. 佐藤進

    ○佐藤説明員 ただいま先生から御質問のキャブ熊本、フレンド、タクハイ、それで先生ただいま四集団とおっしゃいましたが、今のところ三集団ではないかと思うのでございますが、その御質問の三者のうちフレンドにつきましては、電波法に基づくところの無線局免許を受けているわけでございます。他の、キャブ熊本それからタクハイ、この二つにつきましては、その名称を免許人とする無線局は熊本市内にはただいままで調査しましたところございません。
  110. 森中守義

    ○森中委員 そうすると、その余は全部不法通信をやっているというわけだな。電波法にも違反しているわけですね。
  111. 佐藤進

    ○佐藤説明員 先生今御指摘のとおり、そういう事実がございますとするならば電波法に違反していると考えられますので、早速そういった事実関係調査いたしまして、郵政省としても対応したいと考えているところでございます。
  112. 森中守義

    ○森中委員 服部地域局長、今お聞きのように全国的にそういうものだと思う。無線局としての申請はしていない。パーソナル無線というのもあるが、これはちゃんと届け出るようになっているから、これも一遍見なさいよ。電波法違反でもあるのですよ。こういう実態を全国的に把握しているのですか。これは告発しても、警察は第一義的には行政機関である運輸省責任ということに恐らくお考えだろう。警察庁どうですか。
  113. 太田壽郎

    太田政府委員 この種の違反事件を検挙するに当たりましては、所管の行政庁と連絡を密にいたしまして、まず所管の行政庁で十分指導監督をしていただいて、それに従わないという悪質なものについて告発という手続をとっていただいて刑事手続に移行するというのが通常の形でございます。
  114. 森中守義

    ○森中委員 これは、熊本では非常に深刻な問題です。ひとり熊本だけではない。ちなみに熊本の実際の状況を申しますと、熊本県内では法人が百九十二社、車両台数で四千五百五十、個人が五百三十六。軽が相当ある。熊本市内では五十社、二千五百八十九車両、個人が五百三十六。三千百二十五。それで熊本の需給率は、熊本県で三百九十三名に一台、熊本市で百九十六名につき一台、実はこういう需給状態になっておる。これで今の四集団が割り込んできているから、それは相当な深刻な打撃を受けていますよ。したがってこうした告発までせざるを得ないと言っている。熊本の陸運事務所あるいは福岡の地方局は、この状況をどういうふうに把握しているのですか。
  115. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま先生は熊本の実情を例にお引きになってお話しございましたけれども、私どもといたしましては、そういう状況全国各地に蔓延してきている、そういう実態を踏まえましてその対応に苦慮してまいったところでございまして、先ほど警察庁の方からも御答弁ございましたけれども、私ども昨年の秋以来警察当局との連携を強めまして各地でもって内偵行為を続け、既に五カ所で告発に踏み切りまして強制捜査を行っているところでございます。一方で、先般、これも先生も御承知でございますけれども、議員立法という形で道路運送法の一部改正をする法律が可決成立いたしまして、五月九日から実施に移される運びになっておりますが、私どもこういった改正法律を踏まえまして、今後はそういったものの取り締まりが容易にできることになりますので、さらに警察当局との連携を強めながら、取り締まり防止に遺憾なきを期してまいりたいというふうに考えております。
  116. 森中守義

    ○森中委員 服部さん、そうするとこの種行為というのは明らかに違法、脱法であるというふうに基本的に考えているというわけですね。
  117. 服部経治

    ○服部政府委員 そのとおりでございまして、従前の道路運送法の規定に照らしますときは、有償でもって反復継続してそういう行為を行わなければ四条違反というふうな形で捕まえられないということがございましたけれども、今回の法律改正によりまして、一回限りの違反を行いましてもそれは行政処分の対象となり、あるいは罰則適用の対象になるということになりましたので、今後は非常に実効のある取り締まりができるものというふうに私ども考えておるところでございます。
  118. 森中守義

    ○森中委員 道路運送法の議員立法による改正の本旨も、運輸省のやり方がなまぬるいというところで、もう我慢し切れずに国会がやったわけだ。しかも、それは運輸省出身の梶原清君、この人は一時自動車局長をやった経験があって、我慢できないと言っている。そして、今私の手元に福岡高裁の判決文がある。この判決文を見ると極めて明瞭、ごらんになったことはあるかな、違法、脱法と断言している。どう見てもこれは道路運送法に合法であるとは言えない、断罪すべきだ、こう言っているわけですよ。しかも、これは那覇地裁の判決を不服とした控訴審に対しての判決ですよ。ここまで高裁でも言っているわけだから、もう少し全国的に一適正に免許をもらっている業者がいる、しかも決して今日のこの経済状況の中でいいとはいえない、そこにこういうバイキング行為というか、海賊行為をやったのでは、もう運輸省は何をしているんだと言われてもしようがないじゃないの。大臣、これはどうですか、交通局長も見えておるし、少し指揮監督して、警察庁と相談して、全国一斉に摘発、強制捜査をやろうじゃないかということをお考えになったらどうなんですか。
  119. 山下徳夫

    山下国務大臣 運輸省の対応が遅かったのではないかという、これは客観的に見たらそういうことも出てくるかもしれませんが、今日の非常に複雑化した陸海空の交通体系の中で、いろいろなものがちょっと油断すれば出てくるのですね。ですから、早く芽を摘むということが一番大切なことで、そういう意味においてはある面から後追い行政的な面が出てくることもやむを得ないと私は思っているのです。今回の議員立法につきましても、運輸省それから関係の諸先生方と話し合いの上議員立法という形でお願いしたのでありまして、何もしなかったから梶原議員が運輸省に対してとにかくけしからぬというお気持ちでおやりになったとは私は理解いたしておりません。十分話し合いをしながらああいう形でお願いしたのでございます。  いろいろ申し上げましたけれども、とにかく被害は小さいうちに早く芽を摘むということで今後とも対応してまいりたいと思います。
  120. 森中守義

    ○森中委員 これは継続反復という事実認定ができなければ手がつけられぬというようなものじゃないのですよ。今私は電波の例を挙げたけれども、電波法違反まで飛び出してくる。だから、反復継続しているならばやってみたらどうですか。できないことじゃない。ただ、地方の陸運事務所の体制は非常に弱体で、所長がいて輸送課長がいる。その下に二人か三人ぐらいの事務官しかいない。これじゃどうにもならぬ。警察庁にも総務庁にも協力を求めなさいよ。この委員会もまた、本来の運輸委員会だけで事足りるんだけれども、ここまで交通問題が非常な混迷状態に陥っておる、どうにもならぬというわけで、各党協議の上で設置されたわけだから、そういう国会の意思というものも大臣もよくお考えいただいて、今地域交通局長は五月の九日から新法が効力を持つということを言われておるが、それまでどうするのですか。放置するのですか。警察庁は何も好きこのんで縛ろうというわけじゃないだろうけれども、やはり第一義的には行政指導がもう限界です、そういうことを言えば、どんな援助でもするでしょう。  これは、やらなければ道路運送法の第一条の目的は崩壊しますよ。大混乱に陥りますよ。これはひとつ大臣交通局長もおられるし、総務庁長官は見えていないかな、閣議にも一遍諮って、全国的に一斉にやってみたらどうですか。全国からもまた大衆が動員されてくる。しかも、高裁の判決も出ているわけだから、やってちっともおかしくはない。大臣、もう一回正確に、やるのかどうするかを答えてくださいよ。
  121. 山下徳夫

    山下国務大臣 適切に対処してまいりたいと思います。  ただ、今お話がございました五月九日の施行でございますけれども、それまで手をこまねいて待っているわけではございません。五月の九日からこういう法律が施行されたら直ちに車両の使用停止といった行政手段であなた方を取り締まりますよということで、だから今のうちにおやめなさいと、今こそ私どもの行政指導を強化すべき段階だと思っております。
  122. 森中守義

    ○森中委員 これは一つの提言ですが、地方の陸運事務所が非常に弱いから、ここに司法権を与えるような監察官の配置でもしたらどうですか。そうすると、もうちょっと強くなるかもわからぬ。ただ免許の受付をやったり届け出の受理をするようなことばっかりじゃ、とてもじゃないがこんなことはできない。それとも、道路運送はそっくり交通局長にお願いするかだな。こんなものは運輸省が持っていても何にもならぬじゃないの。
  123. 山下徳夫

    山下国務大臣 私も九州でございますが、私以上に先生はどうも気短なようでございまして、おっしゃる趣旨はよくわかっていますよ。ですから、これができなければそっくり警察庁に持っていけとおっしゃらずに、今後また先生方と話し合っていこうじゃございませんか。
  124. 森中守義

    ○森中委員 葉隠れ武士は熊本の者とは違って大分気の長い方だから……。しかし、佐賀の乱というのもあったんだから、熊本の神風連と同じように。一遍決めたならば、それはやはり西郷南洲か勝海舟のようにやるべきですよ。何せ道路運送はもう運輸省には任せられぬ、極論すればそういうこと。警察庁、太田さん、力をかしてやりなさいよ。これはまだたくさん申し上げたいこともありますが、きょうはこれで終わります。  ただ、委員長にお願いしておきたいのは、この委員会はもう二回流れましたね。三回目。うちの理事からいろいろお話を聞いていると、閣僚の出席が悪い、それでこの委員会を開けなかった、こういうことですが、もう少し委員長職権を発動して、閣僚が逃げ回ろうとするときはつかまえてでもここに連れてきなさい。そうしなければこの委員会は解散だ。何にもならぬ。こういう重大な問題がありますよ。ここはひとつ委員長と、特に各党の理事諸君にも懇請しておきます。
  125. 小川新一郎

    小川委員長 ただいまの御忠告、肝に銘じておきます。
  126. 森中守義

    ○森中委員 ありがとうございました。
  127. 小川新一郎

    小川委員長 次に、坂井弘一君。
  128. 坂井弘一

    ○坂井委員 最近の事故増加の原因一つに、残念ながら交通社会人全般のマナーの低下、安全意識が非常に低い、自己中心の運転、それから無謀運転、そういうことが非常に事故増加につながっていると私思うのでございまして、この安全意識を高揚するためには、やはり何よりも交通安全教育あるいは安全運動、このことが非常に大事なことは言うまでもないことでございます。確かに安全教育につきまして、例えば幼稚園とか学校、職場等々各分野で熱心に行われておりまして、それがそれなりの役割を果たしていると思うのですが、ただ残念ながら、これも教育内容とかあるいは教育の実態等を見ますと必ずしも十分ではない。まだまだ解決しなければならない問題が多々あろうかと思うわけでございまして、こうした安全教育の体系化といいましょうか、生涯教育だ、そういうとらまえ方の中で交通安全教育を一貫化する、体系化するということの必要性がさらに大きくなってきているのではないか。  例えば内閣総理大臣を会長とする中央交通安全対策会議というのがございますけれども、ここに交通安全教育のプログラム作成委員会というようなものを設けて、関係省庁あるいは各界各分野の専門家、そういう方々によって、今申しました幼稚園、小中学校、高校の学校教育、あるいは母親とか老人などを対象とする地域教育、あるいは職場における教育、さらに運転者教育など、各種安全教育の体系的な基本プログラムをつくったらどうだろうか。一見、安全教育の体系が確立されているかに見えてはおりますけれども、その実そうではない。したがって、今のような安全教育の体系化という観点から提案をしたいのでございますが、いかがなものでしょうか。よろしくお願いします。
  129. 波多秀夫

    ○波多政府委員 お答えいたします。  交通安全教育に関しまして、体系的なプログラムを作成して体系的に実施してはどうかというお話でございます。  御質問の中にございましたように、交通安全教育安全対策の推進の上におきまして大変大きな柱であるということは私ども十分認識をしておるところでございまして、政府交通安全施策の大綱を示しております交通安全基本計画の中におきましても、生涯にわたる交通安全教育の機会を確保するということを目標にいたしまして、国、地方公共団体あるいは民間の団体等が学校、家庭、地域社会等におきましてそれぞれ教育を実施をいたしておるところでございます。さらに、これらの教育につきまして充実強化を図る必要があるというふうに考えておるところでございまして、したがいまして、今後もこれらの教育の機会の拡充あるいは教育内容の充実、教材の開発整備、こういった問題に一層努めてまいりたいと考えております。  御指摘の体系的プログラムを作成してはどうかという点に関しましても、このような施策の検討の中で、こういうプログラムがどのような内容を持つものか、また性格的にどんなものになるのかというふうな点、いろいろまだ詰める問題もあろうかと思いますので、これらの施策の検討の中で引き続き研究をしてまいりたいと考え保ております。
  130. 坂井弘一

    ○坂井委員 運転者だけじゃなくて国民全体というとらまえ方の中で、各年代、各層、各分野すべてにわたる生涯教育というような形での安全教育の体系化を図ることが非常に大事ではないかなということで私は御提案申し上げたわけでございます。  同時に、安全教育を行う指導者の養成の問題、これもまた大変大事な課題であろうと思いまして、交通安全教育センターというものをつくったらいかがだろうか、つまり地域の交通安全の指導員、あるいは運転者教育を行う自動車教習所の指導員、あるいは職場における運行の管理者あるいは安全運転の管理者、さらには二輪車の指導員でありますとか、交通警察官まで含めまして、交通安全教育に携わる指導員の養成、さらに質の向上を図る研修機関としての仮称交通安全研修センターというようなものをつくったらどうだろうかということを我が党は提案しているのでございますが、ちょっと御見解などをお聞かせください。
  131. 太田壽郎

    太田政府委員 先生からただいま御提言のございました交通安全教育研修センター、非常に幅広いものだろうというふうに推察をしているところでございますが、そういうものの全部をカバーするのはあるいは難しいかもしれませんが、実は私どもの方で自動車安全運転センターと協力いたしまして、今お話しのような現実に役に立つ安全運転技能あるいは知識の普及向上を図るための研修センターといたしまして、茨城県の水戸の射爆場の跡地、これは国有地になっておりますが、その一部、百ヘクタールばかりを用地として一応予定をいたしているところでございます。そういたしまして、昭和五十九年度には現地において地形とか環境等の調査も実施しているということで、同じような調査を六十年度においても実施していく予定でございます。こういうような調査等を踏まえまして、今お話しの延長線上にございますような中央研修所の早期建設に向けて努力してまいりたいと考えておるところでございます。     〔委員長退席、関山委員長代理着席〕
  132. 坂井弘一

    ○坂井委員 大いに進めていただきたいと思います。  次の問題ですが、最近オートマチック車が非常にふえてきておりまして、普及率が四〇%ぐらいになりましょうか。それに伴ってということでもありましょうが、このオートマチック車による事故が非常にふえておる。最近も幾つかの新聞報道がございました。このオートマチック車の自動車教習所における教習実態等の問題はさておきまして、お伺いしたいのは、こうしたオートマチック車の限定免許制の導入の問題、議論もございますし意見もあるわけですけれども、これについてはどういうお考えでしょうか。
  133. 太田壽郎

    太田政府委員 今お話しのように、オートマチック車の普及というものが非常に目覚ましいものがあるわけでございます。そこで、今お話しのような限定免許を認めてはどうかというような問題が時々話題になるわけでございますけれども、私ども、現在の非常に厳しい交通情勢のもとにおきまして、安易な免許というような印象を与えかねないAT車の限定免許を認めるということは交通事故の増加につながっていくのではないかという懸念もあるというふうに感じているところでございます。それから、具体的にそういうものを取り入れます際の限定免許試験を行うための必要な体制の整備というような点についても非常な問題があるわけでございます。  しかしながら、今お話しのようにAT車の普及率というのはますます今後高くなることが予想されるわけでございます。そういう情勢におきまして、今申し上げましたような問題点を踏まえまして、免許制度上どのように対応していくべきかということについて十分研究をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  134. 坂井弘一

    ○坂井委員 この問題も、前向きにという言い方がいいのかどうかわかりませんが、十分検討を進めていただきたい課題だろうと私は実は思っておりまして、警察庁が、たしか昭和四十六年当時でしたか、この限定免許をやったらどうだろうかというような検討をされたやに聞いておりまして、当時は確かに普及率が非常に低かったし、あるいはこのAT車というのは油食い虫だとかいうような意見もこれあり、さらには今お話しのようにオートマチック車しか運転できない人に車を使わせるのは危険だというような考えもあったようでございます。ただ、だからといって、これだけAT車が普及してまいりますと、むしろAT車を運転する技術、これはやはりしっかりつかみませんと、何かうっかりミスみたいな感じで重大事故につながったということが最近相次いでいるようでございますので、そういうこともあわせ考えて、この教習の実態なり、あるいは同時にこの限定免許制度の導入、これに限って何かいい方法がないものか。やはりもう少し事故防止という観点から工夫する必要があるのじゃないか、こう思いますので、ひとつ前向きに、かつ慎重でなければいかぬと思いますけれども、検討を進めていただきたい。お願いをしておきます。  それから、運輸大臣お見えいただいておりますので、この機会にお尋ねしたいのでございます。  タクシー行政の根幹をなしていると思います同一地域同一運賃、この原則が大阪地裁の先般の判決によりまして違法だということでございますが、県境とか一部の地方空港に参りますと複数の運賃体系、運賃の異なるそういうタクシーが入っておる。さして混乱は起こっていないと私は思っておるのですが、そこで、運賃認可の際にある程度の幅を示して業者に選択の余地を与えるようなことができないものだろうか。例えば、一定の地域ごとに標準的な運賃というものを決めて、それで何%か自由裁量の幅を持たせる。それでもって申請に基づいてその幅を認めて認可するというような、そういう方法はとれないものだろうかというような意見が一部にあるようでございまして、私もそういう意見に対してはちょっと耳をかさなければならないのじゃないかなという気が実は個人的にしているわけですが、せっかくの機会でございますので、運輸大臣の方からお答えをいただければと思います。
  135. 山下徳夫

    山下国務大臣 タクシーの運賃につきましては、私どもとしては基本的には安全を確保するためにやはりタクシー業者の収入を確保してやる、やるということはどうかと思いますが、確保するという考え方でございます。例えば東京地域におけるタクシーの原価の中で、人件費は福利厚生費を含めて七十九・何がし、約八〇%でございます。したがって、運賃を自由競争みたいにいたしますと、結局、人件費を切り詰める以外にはないということになりまして、アルバイトを雇ったり、つまり運転者の質が低下するという危険性があるということでございます。そういう意味から、やはりタクシー業者というものは半ば公共的なものでございますから、安全性確保する意味において、ある程度運賃の保障をしなければならぬという建前をとっているわけでございます。  もしもこれを自由運賃にいたしますと、例えばタクシー乗り場において最初の車が四百八十円、何台かずっと次々に見て回ったら十台目に三百五十円のがいた、さあこっちへいらっしゃいということで、そんなことになりますとタクシー同士の争いが起きる。あるいはまた、外国から来られたお客様の中でも、やはり今日成田等で白タクが問題を起こしている。世界の先進国を回ってみましても、タクシー料金についてはきちんとした表示がなされているということから見ますると、やはり私はタクシーの運賃は建前としては同一であるべきである。そしてまた、一社ごとにその収益状況を見ながら認可するということになりますと、せっかく認可を受けておりながら、若干でも自分のところが高いとなると安く認可された料金に合わせようとすれば、運賃の認可制度というものは根底から崩れてくるわけでございますから、そこらあたりも勘案しながら、原則は統一的な運賃がよろしかろうと思っているわけでございます。  しかし、御指摘のように、全く、絶対統一であるかとなると、またやはり酌量すべき点があるか。例えば地域的な運賃差であるとかあるいは車の種類、さらに、きょうも議論がございました軽トラタクシーというような面を考えますと、やはり外国みたいに屋根の上にちょっとしたものをつけて荷物を載せるキャパシティーをもっと大きくしてそういう人たちの便を計らうとか、あるいは身体障害者用とか、いろいろ考えてみますと、これからいろいろな新しいアイデアによるタクシーも考えられると思いますから、そういうことによって運賃差ということは考えてもいいのではないかと思います。そういう技術的なことにつきましては、現在も運賃差がある程度あると思いますから、局長から答弁させたいと思います。
  136. 坂井弘一

    ○坂井委員 これは上級審においてどういう結論になりますやら予断を許しませんが、確かに大臣おっしゃるように、タクシー業の経費に占める人件費の割合というのは非常に大きいわけですから、そういう特殊性の中で料金を下げるということは労働条件の悪化につながりかねない、安全性が脅かされるのではないかという見方につきましては、やはりこれは非常に大事な視点だろうと思いますけれども、ただ、かといって同一運賃というのが、今の時代の趨勢の中で、果たして金科玉条、このまま永遠にいいのかどうかということになりますと、さてまた議論の分かれるところだろうかな。したがって、数%、若干の幅を持たしたというような折衷案みたいな提案が試みられるということだろうか思いますから、このことにつきましては、これはそれなりの意見だということで十分ひとつ運輸省でも研究をされたらいかがか、これも一つ御提案ということで申し上げておきたいと思います。  それから、次の問題でございますが、実はフロントガラスの安全性の問題が最近また随分にぎやかに言われているようでありまして、高速道路を走っている車のフロントガラスが突然クモの巣状に割れて視界が全くゼロになってしまう、そういう事故が相次いでおる、こう言われておるのですが、そうした実態については把握されておりましょうか。     〔関山委員長代理退席、委員長着席〕
  137. 太田壽郎

    太田政府委員 東京の例でございますが、警視庁におきまして、首都高速道路を走行中の車両のフロントガラス全体に突然今お話しのようなクモの巣状のひびが入ったという届け出を、昭和五十九年中に二百四十九件受理いたしております。こうした事実は首都高速道路全域で発生しておりまして、高速走行時に発生していることが多いようでございます。原因につきましては定かではないという状況でございます。  ただ、こうした場合に、これに伴います交通事故というのは昭和五十八年、五十九年とも一件も発生していないという状況でございます。
  138. 坂井弘一

    ○坂井委員 幸いにしてといいますか、事故につながっていないのですが、これまた事故につながりかねない、むしろその危険というのは非常に大きいと思います。  この間も聞いた話なんですけれども、事実、運転しておりましてフロントガラスがばっとクモの巣状に真っ白、随分冷やりとして急停車したという体験談を聞きまして、怖いなと思ったのですが、そんな事故というのが今のお話のように随分最近多い。首都高速や中央道なんかでは一日に一件とか二件とかというような割合であるというようなことですから、やはりこの原因究明、何か犯人は小石ではないかというような説が有力なようですが、これまたはっきりしていないようですね。どうしてこういうことになるのだろうか。しかし、いずれにしてもひび割れするのはいずれも強化ガラス製のフロントガラスであるということのようでございまして、そういうことで、強化ガラスというのがクモの巣状になって大変危険である。  そこでお尋ねしたいのですが、五十八年度、日本における車の七七%が部分強化ガラスが使われている、こういうことのようでございます。後で申し上げたいと思いますが、外国等におきましては、今のような状態にならない、言うなれば安全性の高い合わせガラスが使われている。我が国においては、そうではなくて、合わせガラス以外の部分強化ガラスが七七%だというようなことのようでございますが、なぜ合わせガラスが普及しないのでしょうか。
  139. 神戸勉

    ○神戸説明員 お答えいたします。  道路運送車両の保安基準におきまして、先生おっしゃられたように、前面ガラスには合わせガラスと部分強化ガラスが規定されているわけでございますけれども、先生先ほどの御質問のように二十数%しか合わせガラスが使われてない状況ではございます。その理由につきましては定かではございませんけれども一つ、合わせガラスというのが部分強化ガラスに比較しまして価格が二倍弱というようなことも大きな理由ではなかろうかと思われます。
  140. 坂井弘一

    ○坂井委員 事故を起こしましてフロントガラスに頭を突っ込む。これは後でシートベルトの関係で若干お尋ねしておきたいと思うのですが、フロントガラスに頭を突っ込むのですね。部分強化ガラスを日本の車はほとんど使っておりますものですから、小石が当たってクモの巣状のひび割れ状態になる。ばんと頭が当たればその部分が大きく砕けて穴があいて、人間が体ごと外へ飛び出すというような事故もある。その際に、ガラスの破片で眼球がやられるのですね。それで失明事故が随分多い。これが合わせガラスでありますとそういうことにはならない。ただ、どうも聞きますと合わせガラスというのは高いのですね。合わせガラスが例えば六万一千円、強化ガラスは三万四千円、ちょっと単位は定かでございません。ざっと倍につくわけですね。そういう価格差の問題も当然あるのでしょう。あるのでしょうが、今申しましたように、安全性から考えますと合わせガラスははるかに安全性が高い。逆に言いまして、部分強化ガラスを日本の車はほとんど使っていますために今申しましたような事故になりまして、しかも失明事故、これが多い。  慶応病院の眼科の木村先生の研究によりますと、全国的な実態調査をされたそうですが、全国千二百の救急病院に対してアンケート調査をいたしました結果、失明した人は、フロントガラス、今の部分強化ガラスにばんと顔を突っ込んでそれで失明した人が年間千人、これは推定でございます。御存じだと思いますが、これは木村先生の研究レポートです。それほど部分強化ガラスによって事故が起こり、また失明というようなことになっておる、こういう実態等につきましては把握されておりますか。
  141. 神戸勉

    ○神戸説明員 木村先生の研究におきまして失明者の推定がなされていることにつきましては承知しておりますが、こうした失明に至る事故に対してのみならず、事故時における被害の軽減対策としましてシートベルトの着用が一番有効な手段でございますので、今後ともシートベルトの着用率の向上ということに向けまして啓蒙を図っていくことが極めて重要なことであろうかと思っております。
  142. 坂井弘一

    ○坂井委員 ごもっともですね。私もそういう観点でシー年ベルトの効用ということをとらまえたいな、こう思ったのです。ただ、安全というのはやはり二重三重にチェックし、かぶせていくことでありまして、シートベルトをつけるということによってフロントガラスに頭をぶつけるということがなくなる。そのことによって今のような頭部あるいは目玉がやられるというような事故が非常に少なくなる。  しかし、同時にまた、フロントガラスそのものの安全性をより高めるということも非常に大事なことだと思いまして、車の安全を審査する運輸技術審議会で昭和五十五年十月でございますか、次のような答申がございますね。申し上げますと、「前面ガラスについて、衝突時の安全性とともに、走行時における破損の際の視界確保につき性能要件を強化する。」このことは、読みますと、やはり今の部分強化ガラスでは十分ではないぞ、合わせガラスというようなものもなお研究しながらそういう性能のいいものを取り入れていきたい、恐らくこういう答申と思いますが、この答申に基づきます目標時期が三ないし四年、技術的なデータの収集を行い、法制化、行政指導を講ずるということで目標時期を三ないし四年と定めているのだろうと思いますが、結論はいつごろお出しになりますか。
  143. 神戸勉

    ○神戸説明員 先生御質問になりましたように五十五年に運技審から答申をいただきまして、フロントガラスだけではございませんけれども、一連の自動車安全基準の拡充強化目標ということで、その中の一つとしまして、前面ガラスにつきまして、衝突時の安全性とともに、走行時における破損の際の視界の確保につきまして性能要件を検討し、三、四年を目途として安全基準の具体的な改正、強化を行うべきであるという旨の指摘をいただいております。  運輸省といたしまして、答申に従いまして、自動車技術に関する学術団体であります社団法人自動車技術会へ委託しまして前面ガラスの安全性について調査研究を行うとともに、その報告結果を踏まえまして安全ガラスについての評価方法等の検討を今進めているところでございまして、ごく近く答申の趣旨に沿った結論が出せるものと思っております。
  144. 坂井弘一

    ○坂井委員 運輸省でも五十五年、五十六年、自動車技術会にフロントガラスの安全性に関する研究の委託をいたしておりますね。その報告書を見ますと、「合わせガラスの安全上有効性が認められる。」そういう点を強調しているようでございまして、やはり今の部分強化ガラスよりは合わせガラスの方が少なくとも安全性が高いということは、もういろいろな機関等において研究され、結論が得られていることだと思います。  同時に、フロントガラスに部分強化ガラスが使われているのか、合わせガラスが使われているのか、一般にはわからぬわけですね。見分けはつきませんね。何らかの形で、この車は部分強化ガラスですよ、この車には合わせガラスが使われていますよという表示をするようなことは不可能でしょうか。
  145. 神戸勉

    ○神戸説明員 お答えいたします。  表示の仕方そのものにつきましては、ちょっとガラスの生産につきましては私どもの所管でございませんので私の方から申し上げられませんが、一般ユーザーから見まして、合わせガラスを使っているのか部分強化ガラスであるかというのは非常に難しい、見分けはできないというお話でございますけれども自動車の販売に伴いまして、そのカタログの中では使用ガラスの種類というのを明示しておりますし、またガラス業界におきましても、モーターショー等の場を活用しまして前面ガラスの特性の差というようなものにつきましてもPRしてきているところでございます。そういう状態ではありますけれども、いかなる前面ガラスであっても乗員の頭部が前面ガラスに衝突するということは極力回避すべきことでありまして、先ほども申し上げましたようにシートベルトの着用等のPRも兼ねて行いたいと思っている次第でございます。
  146. 坂井弘一

    ○坂井委員 アメリカなんかは昭和四十三年に生産全車、全部の車種に合わせガラスの採用を法律で義務づけたわけですね。我が国から輸出している車は全部合わせガラスを使っているわけですね。そこなんですが、それじゃアメリカは合わせガラスの採用に当たってどういう評価、検討がされたのかということを、若干私勉強してみました。そうしますと、随分安全性が高いということですね。特に目や顔の傷あるいは脳への衝撃、そういう面から非常に安全性の高いのがこの合わせガラスであるという結論を得まして、今申しましたように四十三年から法律によりまして義務づけたわけです。白米、フロントガラスによるけがというのは激減しておるというのが実態、実情のようでございます。  義務づけておる国が九カ国もございまして、西ドイツ、フランス、この辺は義務化していないのですけれども、実際は普及率が非常に高こうございまして、西独一〇〇%、イギリスでも八五%、圧倒的に高い。これはフロントガラスの安全性について全般的に非常に認識が深まった、高まったということだろうと思うのですけれども、こんな言い方をして大変恐縮なんですが、外国人の命は大事で日本人の命は粗末にしていいという論法は通りませんので、それほど諸外国においても実験研究の結果安全性が高いということであれば、少々高くついても安全性、やはり人間の命は大事ですから、合わせガラスの採用ということをより積極的に取り入れるような例えば行政指導なり、その他的確な何らかの手が打てないものだろうか、また、そういう方向関係省庁間で意見調整を進めるようなことができないものだろうかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  147. 神戸勉

    ○神戸説明員 お答えいたします。  先ほども答弁申し上げましたように運技審から答申をいただきまして、相当時間経過しているわけでございますが、ただ、私どももその答申そのものをよく検討させていただき、また自動車技術会へ委託しまして、その前面窓ガラスの安全性につきまして研究しているわけでございまして、ごく近くにその結論が出せるものと今の段階では思っております。
  148. 坂井弘一

    ○坂井委員 メーカーあるいはユーザー、関係諸機関、広く一般国民の意識、見方、いろいろあろうと思いますから、そうした各方面の意見あるいは研究成果等々十分踏まえられながら、この問題も積極的に進めていただきたいなと思って私は申し上げたわけでございます。  それから次に、シートベルトの着用の問題、是非をめぐっていろいろあるようでございますので、若干あらかじめお尋ねしておきたいと思うのでございます。  今シートベルト着用を義務づけておる国というのはオーストラリア、ヨーロッパ諸国など三十カ国ありまして、大多数が罰則をつけているようでございます。アメリカでも、ニューヨーク州がことし初めからですか、始めたようであります。我が国におきましてもシートベルトの着用推進ということで、現在二十一の道県議会、八百四十余りの市町村議会でシートベルト着用推進の決議がなされております。国会におきましては、当委員会が決議を行ったという経緯もございます。現在、自動車の世帯普及率の全国平均は一・一七五台でありまして、運転免許所有者が五千万人を超えたということで、まさに車社会交通社会人としての自覚と行動が求められるときであろう、こう私は思うわけであります。  せっかくの機会でございますので、まず自治大臣にお伺いをしたいわけでございます。  実は、交通事故で死ぬのは個人の勝手だという意見がありますが、私はそれでは済まされないと思っております。片や、個人の自由を強制するということについてはこれまた極めて慎重でなければならぬ。法律によって縛りつけるぞと言われたらだれしも反発したくなる。人間の気持ちというものも無視するわけにはいきません。しかし、今言いましたように、シートベルトをつけていないために死を招いたということになりますと、車に同じく乗った人あるいは死んでしまって残された家族、遺族の嘆き、悲しみ、それから救急、事故処理等々周囲に対する迷惑、大変大きな被害と社会的な負担を他に負わせることになるわけですね。したがって、私はこれは個人の次元でとらえるべき問題ではなく、社会の次元で考えなければならない問題ではないか、また、それが不可欠ではないかと思っておるのですが、大臣はどうお考えでしょう。
  149. 古屋亨

    古屋国務大臣 先生お話しのように、シートベルトの着用という問題についてはこの前の交特で御決議をいただきました。率直に申しまして、シートベルトは車に備わっておるのですが、急ぐとか何かでつけないということが多いと思います。先ほど先生がおっしゃったように、交通事故で死ぬのは勝手だという意見、私も先生と同じ気持ちでございますが、これは社会的にも非常に大きい問題だと思います。車と人という関係は毎日の社会生活で密接な関係にあり、交通道徳、交通秩序を守るということは生涯教育の一環としてやっていかなければいけません。  実は私の田舎でも署長さんが言うには、死んだ人のあれを見るとシートベルトをつけていれば半分は助かりますよ、これは署長さんですから取り締まりの経験だけから言っておると思いますけれども、そういうことでございます。だから、交通違反に対する考え方というものを生涯教育その他の方法によって直す、交通違反というのは行政的な罰ではなくて本当に悪いことなんだということを教えることが非常に大切ではないかと思っております。  選挙区の方で私のところにも時々、ちょっと酔っぱらって捕まったから何とかしてくれ、率直に言ってそういうことを言ってくる人がおります。私は公安委員長だし、ちょっとそういうことはできないと言っておりますけれども、みんなの考え方の中に悪いという意識が少ないということが一つの大きな原因ではなかろうかと私は考えております。そういう意味で、シートベルト着用も、御決議によりまして私どももこれに踏み切ることにしたのでありますが、死亡の数を減らすこと、そして法律で行政点を減らすとかいろいろありますが、とにかくシートベルトをつけることが運転者の義務であるということをはっきり頭に入れる、そういうような意識を通じまして世間一般の交通に対する考え方を変えてもらうことが一番大事ではないかと思っております。もちろん交通施設やいろいろな問題も改めていくことは必要でございますが、このシートベルト着用を通じて死者が減るということは大変望ましいし、また、そうでなければならぬと思っております。最初でございますので行政罰で一点減らすことにした、これはいろいろ御審議いただきたいと思っておりますが、シートベルト着用の話をしますと、八割以上の方がいいことをやったと言われます。皆さんの御決議によってこういうことができたのでありますから、私は大変感謝をしておるような次第でございます。
  150. 坂井弘一

    ○坂井委員 シートベルトの効用というのは非常に高い。確かに死傷事故が激減するであろうほどの効果が予測されるわけでございます。大事な人命でありますから、交通戦争というまことに悲惨な状況の中で多くの人々の命を救う、結果的にそういう効果があらわれるならば、法制化したことの意味は十二分にあるであろうと思っておるわけでございます。  ただ、人間は気持ちの中に、余り押しつけられるのは好まないというようなものがあります。私は自分自身を戒めながら意見を交えてお尋ねしているわけでございますが、だからこそ冒頭申しましたような安全教育安全思想を一人一人が持つということ。自分の命は自分で大事にしよう、車社会の中で得手勝手に自己中心の車の運転をすると他の車、他の人に迷惑をかけるんだ、しかもその迷惑は、事故につながった場合には人命を損ねるという大犯罪にもつながるのだという意識。自分の命を大事にできない者がどうして人の命を尊重することができるかと私は思うわけでございまして、そういう意味で、交通事故で死ぬのはおれの勝手だ、シートベルトを一々つけろつけろというのは要らざるおせっかいだと言う人は、人間としてまことにお粗末な、無責任な人だな。しかし、なぜそういうことになるのだろうかな。それは教育というよりもっと人間性に根差した何かなんだろうか。そこのところが根っこにありませんと、法律でやられるのは嫌だ、また、おいこら警察の始まりか、こういうことになりかねない。したがって、その辺の意識については十分に皆さんの御意見を伺いながら進めていかなければならぬのではないかと実は思っております。  そこで、法制化して強制力を持たせることにするということでありますれば、これはやはり法制化する法的根拠の検討なり、社会的な影響、コストの問題、果たしてこの取り締まりが可能なのかどうか、指導が徹底できるかどうか、さらには社会的な熟度といいますか、十分機が熟しておるのかどうだろうか、こういうようなことを検討されたと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  151. 太田壽郎

    太田政府委員 この問題につきましては、今御指摘のように、社会的な熟度といいますか、そういうものが非常に大切だろうというふうに考えております。先ほど先生からも御指摘がございましたけれども、当委員会におきまして前国会において御決議をいただいた、これは、私どものこの法案を今回三月の初めに国会の方へ提出させていただきましたそれの出発点になるものでございました。それから、各自治体の非常に幅広いシートベルト着用の決議、そういうようなものも今の社会的な熟度といいますか、そういうものを判断する重要な資料としてこの法制化に当たりまして検討したという状況でございます。
  152. 坂井弘一

    ○坂井委員 シートベルトの着用率の向上、これは定着化させようということで、ある事業所、ある地域あるいはある路線等々においてモデル的な実験が試みられているようでございまして、相当成果をおさめつつある。例えば私の知っておるある企業におきましても、そこに通勤する従業員、社員全員シートベルトを着用、これはもう自然に板についておる、身についておる、大変結構なことだと思っておりまして、大変効果を上げておる。しかし、そういうシートベルト着用による効果の測定はどういうようになっておりますか。実態的な把握は正確に行われておりますか。その辺のこともまた次の機会にお伺いをいたしたいと思っております。  ただ、もう一つ、シー下ベルトをつけておったためにかえって事故に遭った、シートベルトをつけていたがために死傷事故につながった、こういうことがある、こういう話も出るのですが、そんな例がございますか。
  153. 太田壽郎

    太田政府委員 やはりシートベルトも装着の方法が正しく行われなければならないわけでございます。私どもの方で、今お話しのようなシートベルトをしていたために死亡に至ったというような形での調査は実はしておりませんけれども、慶応大学の佐藤教授、この方はシートベルトの問題について非常に研究をされておる方でございますが、この先生がいろいろな形で事例を集めておられるわけでございます。その中に、シートベルトをしていたが、ただ、つけ方が悪かった、例えばベルトを大きく緩めていたために体が車にぶつかった、実際上形の上では締めていると果たして言えるのかどうかわからないような事例とか、あるいはシールベルトが腹部にかかっていたために内臓破裂を生じて死亡したというような事例を、あちらこちらから大分幅広くいろいろ探された中でそんなものがあるというようなお話をされているわけでございます。やはり正しく装着をするという面について、十分な理解とPRというものが必要であろうというふうに感じております。
  154. 坂井弘一

    ○坂井委員 私の勉強した範囲でもおっしゃるとおりかと思うのでありまして、正常な装着をしないで死傷事故につながった、そんな一、二例を挙げてシートベルトをつけたことが悪だというような一それに対してやはりきちんとした正確なことを教える、PRすることも大事だと思いますし、より大事なことは、正しい着用の方法について具体的にどう教えていくかという問題も一つあろうと思います。このことは同時に、例えば妊産婦の扱いをどうするのだとか、あるいは身体障害者にはどうするのだとか、あるいは子供に対してはどうするのだとかという問題等々も含めて、シートベルトの正しい着用の方法については十分周知徹底しなければならぬ、こう思います。  それから同時に、交通事故の処理というのはどこの国でも警察がやる。ただ、事故データといいますか、それは警察に保管されるのだろうと思うのですが、この事故データと事故の際のむしろ死傷事故につながった場合の医療データ、そういうものを専門の組織をつくって収集をして、特に医学的な面から分析をしてそのデータの活用に努めるべきではないか。こういう研究というものが、どうしたらけがが少なくて済むかとか、事故防止あるいは事故の際の適切な対応に非常に有効に役立つのではないかと思うわけでございます。今データは単に警察に保管されているだけだろうと思うのですけれども、今言ったような医療データ等まで含めまして、しっかり、できれば専門的な組織までつくって医学的な面から分析をする、それを活用するというようなことをお考えになったらいかがでしょうか。そんなお考え方の検討はされておりませんか。
  155. 波多秀夫

    ○波多政府委員 先生御指摘のような警察事故データそれから医療データとをドッキングさせて事故防止の上で活用するというのは、大変傾聴に値する御提言だと思います。現在までそのような観点調査等は行われておりませんが、今後そういった観点からいろいろ検討してまいりたいと存じます。
  156. 坂井弘一

    ○坂井委員 これは僕は大変大事なことだろうと思いまして御提案申し上げたわけでございます。  それで、シートベルト着用の際の効用、それから正しい着用をしなければいけませんというようなこと、同時にまた、今幾つかありますシートベルトの様式を一本化する。より装着の簡便なもので、しかも安全効果の高いもので、しかも言われるような煩わしさとかなんとかというようなことができるだけない、あらゆる角度からよりよいシートベルトを開発し、様式を統一する必要もあるのではないかな。確かに車によっては非常に煩わしいのがありますね。ですから、そんなものも一緒にしてさあ減点制だと言われますと、シートベルトというのはこんな締めつける窮屈な、不格好な、面倒くさいものかという意識を持つ人は、要するに非常に性能の悪いといいますか、そういうシートベルトを装着した人に多いのではないかなという気が実はするわけでございまして、そういう点についても十分な検討をされなければならぬだろう。同時にまた、高速道路で始めまして大体一年たったら一般道路まで及ぼすんだということのようでございますが、これらについては、一般道路はもう少し時期を見ながら先に送るというぐらいの慎重さがあってもいいんじゃないかな。そんな感想をいろいろと実は私は持っております。  いずれまたシートベルトにつきまして委員会において検討されると思いますので、そのときに譲りたいと思いますが、本日は、シートベルトに対します私の認識といいますか、必要性は十分ありという立場から、若干の意見を交えながらお伺いをしたわけでございまして、また次の機会に譲りたいと思いまして、本日は、これで終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  157. 小川新一郎

    小川委員長 次に、玉置一弥君。
  158. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ようやくこのように交通安全の委員会が開かれまして、非常に喜んでいるわけでございますけれども事故の方はなかなか喜んでいるようにはいかないようでございまして、時間の関係もございますので、今まで準備したものが全部できるかどうかわかりませんが、久々でございますから、なるべくたくさんの項目についてお聞きをしていきたいと思います。  まず、事故防止全体についてのお話を総務庁を中心にしてお聞きをしていきたいと思います。  総務庁の長官より、「より効果的、総合的な交通安全対策を推進してまいる所存であります。」また、国家公安委員長の方から、「交通事故防止し、人と車の調和のとれた安全で快適な交通社会を実現することは、国の緊急な課題であり、」「従来の施策を一層充実して」、こういうふうに言われております。運輸大臣の方は、「情勢の変化に的確に対応して」事故防止に努めていきたいというふうに言われておりますけれども、ことしもう既に死者の数が例年に比べて非常に多いということの結果が出ておりまして、三月二十日現在で死者数千七百三十一名、これは昨年同期比より百十五名多いということでございます。比率ですると七・一%。このままいきますと、例年九千人を上回っておりますけれども、四年間引き続き九千人以上の死者が出るということが見込まれる、そういう非常に悪い事態になってきているということです。  また、総合的な交通安全対策、これは警察関係、公安関係の調べでございますと、進捗率が六九%くらいしかない。五カ年計画が六九%ということでございまして、実に計画の七割しか進まないということでございまして、こういうことが続いてまいりますと、本当に交通事故というものは抑えることができない、まさに情勢の変化によってふえたり減ったりするだけである。だから、所信表明でいろいろいいことを言われておりますけれども、これは単なるお経でございまして、そのお経の教えをよく理解していない人のみが事故を起こしてふやしていくのではないか、こんな気がするわけでございまして、時間もございませんので、改めてその取り組みについてお伺いいたします。  具体的にお聞きをいたしますけれども、老人、子供の事故対策、これは数年の動きの中で確かに成果が出てきております。しかし、事故総件数としては、まだまだおさまったというところまで下がっていない。今まで、従来の交通安全委員会におきましても、学校関係でありますとか各省との連携を十分とった上での対策をお願いしたいということを申しておりましたけれども、具体的にどういうことをされて、今回効果が出たのか出ないのか。そして今後どういうふうに対応されるのか、これについて総務庁の方から具体的な答弁をお願いしたいと思います。
  159. 波多秀夫

    ○波多政府委員 老人及び子供の交通事故に対する対策でございますが、御指摘のように高齢化社会の進展に伴いまして、老人の交通事故というのが増加傾向を示しております。それからまた、将来の社会の担い手でございます子供の悲惨な事故というのも、減少いたしておりますが、依然として多い状態でございます。  政府といたしましては、交通安全基本計画にのっとりまして、人命尊重を基本理念にいたしまして、いわゆる交通弱者であるこういった子供あるいはお年寄りの方に対する事故防止施策重点として行っておるところでございます。  具体的に申し上げますと、子供の事故防止につきましては、まず第一に安全な交通環境確保を図ること、第二に保護者等に対する啓蒙指導、第三に家庭、学校、幼稚園等における交通安全教育、しかも年齢の発達段階に応じた安全教育というものを充実強化していく、こういった施策を行っておるところでございます。  また、老人につきましては、安全な交通環境整備、第二に、社会全体が老人の事故防止するといった意識を持っていただくような、そういった意識の醸成、第三には、変化する交通環境にお年寄りの方が適応できるよう、老人クラブ等を利用いたしまして交通安全思想の普及を図るといった対策施策を、関係省庁と協力いたしまして講じているところでございます。今後ともこれらの施策を一層推進してまいりたいと考えております。
  160. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 毎年大体同じような答えが返ってくるのですけれども事故が減った中身についても十分検討いただきたいと思うのです。というのは、いろいろやって、どれがいいか悪いかという、確かに予算面の制約もございますし、そしてやはり各省庁の持ち味というか、分担がございまして、そういう分担をある程度公平にするという面もございますし、また、効果的な対策考えるという面で、なぜ減ったのか、これをやはり十分分析していただいて、それでより効果のある対策というものが出てくるのではないかというふうに思うわけです。毎年今お話がございました内容でやられているように我々も受け取っておりますし、手抜きはされていないと思いますけれども、やはり一つ一つ重点項目を挙げてつぶしていく。またその際に、その関係者に交通安全の意識を十分徹底させるという意味で、全般を網羅するよりも、むしろある程度的を絞った、あるいは大きなテーマということでとらえてやられた方がいいのではないかと思いますけれども、これについてはどのようにお考えになりますか。
  161. 太田壽郎

    太田政府委員 警察といたしましても、今御指摘のような、そういう重点を絞って実は対策を進めておるところでございます。  先ほど総務庁の方からもお話がございましたけれども、ちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、例えば幼児、学童につきましては、幼児交通安全クラブ、これは現在約二万の団体で、加盟人員が三百八十万人程度でございます。それから交通少年団、これは約四千五百の団体で、加盟団員が約八十六万人というようなものを中心にいたしまして、さらに保護者とかそういう母親ぐるみの交通安全教育ということで進めているところでございます。  それから高齢者の方の問題でございますけれども、これにつきましては老人ホーム等のいわゆる交通安全部会の設置というようなことで、これは約三万七千団体で、約三百万人の方々がそういう部会に入っておられる。あるいはお年寄りの交通安全指導員を委嘱する、これも約三万六千団体で、六万人余りの方を委嘱をしておるわけでございます。  こういう形で、具体的な今申し上げましたような組織といいますか、その辺を中核にいたしまして、そういう交通安全思想の普及徹底というようなことを図ってまいりたいというふうに考えております。
  162. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 年々九千人を上回る死者というのはこれまた大変な数字でございまして、毎年話題になっておりますけれども、我々としても何とかして低減の方向にいきたいし、また逆にいろいろな施設、先ほどもお話がございましたように、事故を起こしたくてもできない、あるいは道路を横断しようとしてもできないというように、むしろかなり強制的な防止ということも考えていかなければいけないと思うので、その辺もぜひこれから、これは総務庁警察庁には余り関係のない、むしろ道路管理の方の問題だと思いますけれども、ぜひお願いを申し上げたいと思います。  運輸大臣がおられますので、運輸省についてお聞きをしたいと思います。  実は過積載の問題でございますけれども、我々も道路財源のいろいろな論議をするときに、せっかくつくられた道路が過積載によって破損をされるということを目の当たりに見ているわけでございます。この過積が周期的に問題になりまして、しばらくするとまたもとに戻るということが非常に続いてきているわけです。運賃の決め方等についても、かなり商慣習として過積を奨励するような内容もあるんじゃないかというふうに思うわけでございます。特に車のブレーキ性能から考えますと、普通大体トラックの場合には安全係数二・五から三見ているということで設計されておりますけれども、それでも二倍なりあるいは最近は三倍近くのいわゆる積み過ぎというような状態が非常に目立ってきております。  特に砂利運搬車、これはいろいろ調べてみますと、普通のトラックというものは横の倒すやつがありますね、あおりというのですか、普通は。ダンプはどう言うのか知りませんけれども、普通のトラックで言うとあおりというものがありまして、ドアより上になりますと見えた部分だけ過積載だというふうに言われておるわけです。そういう状態であるのに、その上に差しげたというか、板をつけまして、さらにまたテントをつけるということで、前からでも見える車があるくらい積み過ぎている、こういうのをよく見かけます。  道路が、ダンプの通るところと通らないところの傷み方の差が極端に出ているということは、やはりそういう重量制限を超えた車がたくさん通るところについて道路損傷、ひいては、特に夜間が多いのですけれども、そこでハンドルをとられて事故を起こすということにもつながってきておりますので、過積載についての対策、今までにどういうことをやられてきたのか、また、取り締まりとしてはどういうことをやられてきたのか、運輸省並びに警察庁の両方からお答えをいただきたいと思います。
  163. 山下徳夫

    山下国務大臣 過積載というのは非常に大きな事故につながる要因となるわけでございまして、今先生は道路の損傷のお立場からお話しになりましたけれども、きょうは建設省おいでだと思いますが、道路の設計というものはどの程度か、私の理解では二十トンくらいじゃないかと思いますが、そういう一つの限度ではなくて、もっと小さなトラックでも過積載による大きな事故はしょっちゅうあっていることと思います。  したがって、私どもといたしましては、そういう立場から特に車体の構造、そういう面、もちろんこういう自動車の性能は日進月歩でございましょうけれども、それらも含めてどの程度までが安全性が保たれるかということを専門的立場から常に検討するとともに、限度を超えた過積載というものは非常に大きな事故につながるということから、ひとり運輸省だけではなくて、関係省庁とも緊密な連絡をとりながら事前にこれを防ぐということ、指導と取り締まりとあわ世でやるということから、各都道府県単位で、警察と都道府県の関係者、それから県の陸運事務所、こういう三者によって過積載防止連絡会議というものを現在設置いたしております。ここで日常頻繁に連絡をとりながら、これらの違反行為がないように今後ともまた私ども指導してまいりたいと思っております。
  164. 太田壽郎

    太田政府委員 過積載違反の取り締まり状況でございますが、五十九年中におきまして十万三千二百三十三件を検挙いたしております。これは前年に比べまして六・五%、約六千三百件の増ということになっております。それから超過割合でございますけれども、最大積載量の二倍以上も積載していた違反というのが二万二千十五件ということで、これまた前年に比べまして二千八百十六件、一四・七%の増という状況になっております。  これらの違反につきまして、単にこれを現場のダンプカーといいますか、そういうものの取り締まりだけでなくて、これを下命容認あるいは教唆幇助というようなことをいたしました自動車の使用者あるいは荷主等の責任を追及するという件数も、五十九年中五千七百十九件ということで、これは前年に比べまして二四%の増ということになっておりますが、こういう面についても厳しく対応してまいりたい。それから、これらに伴いまして自動車の使用制限処分をいたしました件数は五十九年中百十一件、百八十台でございまして、いずれも対前年十数%の増というふうになっているところでございます。
  165. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 運輸大臣にお願いしたいのですが、会社名はちょっと言いませんけれども、たしか一カ月かその前後、前に、東北の方である運輸会社が過積載を奨励するような運賃を認めているというような話がありました。いろいろ荷主との関係、今の流通の変化、非常に小ロットになってきておりますし、また運輸業者の数が非常に多いということもありまして、どうしても過当競争になってきている、そういう状況の中での採算という面を考えてのことだと思いますけれども、過積載を黙認しなければなかなか採算上もできないし、仕事もとれない、こういうようなことがあるそうでございまして、この辺について、他省庁との連携は先ほどもお伺いしましたが、運輸省としての指導の徹底をお願いしたいのですけれども、いかがでございますか。
  166. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほど交通局長からもお話がありましたように、この過積載は運転者だけではだめなんですね。教唆幇助という言葉をお使いになりましたけれども、特に付加価値の少ない原材料、例えば砂利であるとか木材であるとか、木材の中でもチップなんというのは本当にただみたいなものですから、相当積まなければパルプの原価にはね返るとか、いろいろ言いながら今までかなりやってきたことでございますけれども、これはむしろ荷主とかそういう方に責任があるわけでございますから、そこらあたりまで含めて今後とも指導、あるいは警察と緊密な連絡をとって検挙等もお願いしなければならぬと思っております。
  167. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 きょうは道路局長に来ていただいておりますので、この件について建設省としてお答えをいただきたいと思います。  一つは、今の道路破損の問題の影響があるかないかはよくわかりません、数字的には難しいと思いますけれども建設省としてどういうふうにお考えになっているのか。  もう一つは、今も運輸大臣の方からお話がございましたように、建設材料、素材、この辺についてのいろいろな基準もあると思います。例えば補助金を出すときのいろいろな設計基準なり建設業界に対するいろいろな指導というものもあるかと思いますけれども、我兵も従来から、建設省もこういう過積載あるいは建設素材の材料単価の見直しの際に、こういう砂利の単価だとか砂の単価だとかいろいろな面で見直すべきだというような話をしていたときがあったのですが、その辺から見て建設省としてどう受けとめられて、これからどうされていくのか、もしお考えがあれば伺いたいと思います。
  168. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 道路管理者といたしましては、道路構造を保全し、または交通の危険を防止するため、道路を通行する車両の重さ、高さ、長さ等につきましては車両制限令によりまして制限を行っております。しかしながら、先生御指摘のように依然として違反車両の通行が後を絶たないのが現状でございます。このため、従来よりこの対策を強力に推進しているところでございますが、今後とも車両重量計等を備えました取り締まり基地の整備拡充を図るとともに、違反車両の取り締まりをさらに強化することとしている次第でございます。  また設計荷重は、先ほど運輸大臣がお答えになりましたが、一応二十トンということで設計させていただいております。  先ほども答弁中にございましたが、確かに砂利とか木材とか、そういう余り付加価値のないものを積んでいる、それが大体超過重量の大きな原因であろうかと思いますが、御案内のように騒音原因にもなりますし、いわゆる交通公害といいますか、自動車公害の最大の原因でございますし、それから専門的になりますけれども、舗装を著しく損傷いたしますし、それからジョイント、橋梁の取りつけ部等々の騒音の大体の発生源はこの過積載のトラックでございますので、私どもの方はこれを何とかいたしたいと思っておりますけれども、先ほどのように付加価値の少ない材料が多いということで、ただ積算上は、三省協定というのがございまして、毎年毎年砂利とか砂等々のことにつきましては関係各省と打ち合わせながら単価を決めさせていただいておりまして、特別に過積載を意識した積算にはなっていないと考えております。
  169. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 一般的に建設省の積算基準というのは他の府県より一年おくれ、市場よりは二年おくれと言われておりますけれども、そういうのも影響しているのだと思うので、ぜひ中身をチェックしていただいて本当に無理のないようにしていただきたいし、そう言ってまた余り公共投資の値段が上がるというのも考え物でございますから、その辺はうまく調整をいただきたいと思います。  かわりまして、オートマチック車についてお伺いをしたいと思います。  先ほども坂井先生の方から御質問がございましたように、今、新車のうちで約四一%がオートマチック車である、これは乗用車ですけれども。このオートマチック車の事故が非常に目立ってきているということです。ちなみに八三年の普及率は、乗用車でいいますと、大型車は一〇〇%ですけれども、中型車八一%、小型車四八%、大衆車二三%、平均で三八%、こういうふうになっておりまして、アメリカの例なんかで見ますと八四・四%がオートマチックということで、日本の場合もまだまだこれからふえてくるのではないかと思います。  オートマチックは、既に免許を持ってお乗りになっている方はわかりますように、片方の足が要らないぐらいに非常に楽であるということもありますし、車の面から見ると乗り心地がいいということもありますし、ともかく疲れが少ない、こういうことがあります。私も最近はオートマチックしか乗ったことがないので、普通の車は乗れるのかなという心配もしているのですけれども。しかし、そういう状況の中で、現在の教習所のいろいろの教科課程を調べてみますと、オートマチック車についての訓練がほとんど行われていないというのが現状でございます。それも府県によって全くゼロのところもあり、一部入れているところもある。非常にばらついている。こういう現状を見て、そしてまたオートマチック車による事故。これは一つは、免許を取ったのはいわゆるマニュアルミッション、普通の変速機、手で動かす変速機、これでいろいろ訓練をされて、そして実際に買った車がオートマチックだ、こういうことになり、また、オートマチックの特性を十分理解しないままに、もともと運転技術が未熟な人がその車に乗った、こういうことで、場合によると大きな事故もあります。  これを見て、やはり今の自動車普及の中でオートマチックの比率を無視した形での自動車学校の教習が行われているのではないか、それから、普通の方でもオートマチックに乗る場合には逆に教習所に行ってちょっとなれてからやるべきではないか、こういう二通りの気持ちを持っております。このオートマチックのいわゆる教習所の中においての問題をどういうふうにお考えになっているのか。私としては、オートマチックの教科を教習所の中に当然設けるべきではないかと思うわけでございますけれども、これについてのお答えをいただきたいと思います。
  170. 太田壽郎

    太田政府委員 今御指摘のように、AT車の普及率が非常に高まってきた実情でございます。したがいまして、教習所におきましても当然このAT車に関する基礎的な教育といいますか、それは施す必要があるであろうという認識を持っております。  そこで、学科教習につきましては、既に教習生全員に対しましてAT車の正しい取り扱いと運転操作上の注意事項を中心に数時間の教習を実施いたしております。ただ、技能教習につきましては、一応正規の教習課程が終わった者でさらにAT車の技能教習を希望する人について実施している状況でございまして、現在、二十二の都府県、百八の教習所でこれを実施しているという状況でございます。ただ、技能教習につきましても今の程度ではいささか不十分であると考えまして、先般各都道府県警察に対しましてこの問題についての充実強化のための留意事項を示しまして、関係の教習所の方にもそういう趣旨を普及させるということで配意をしているところでございます。  ただ、これを直ちに実施するということになりますと、教習所に教習用の車の備えつけとか、あるいは教習所の体制の問題というようなこともございますので、この点については必ずしも一気に実現するというわけにはまいらないかと思いますが、方向づけといたしましては、ただいま申し上げましたような基本的な認識のもとに進めているところでございます。
  171. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 どうも車の方が先行して、運転技術の方が後追いのような感じがするわけです。それと、単なる体制整備ということではなくて、やはり画一的に、各府県同一レベルで行っていかなければいけないと思います。今の二十二県以外の方がちょっと多いわけでございますから、こういう面でやはり十分連携をとっていただいて、運転される方はそこの府県に行くわけではなくて、どこへでも行くわけでございますから、全国一律の指導をお願いしたい。確かにこういう事故が目立ってきております。特に初心者の方が建物のような駐車場に入れるというのが非常に多いわけです。東京でもデパートの駐車場なんか、真っすぐ行けばまさにどすんと落ちるような、そういう感じのところもございますし、よそ見するとどうしてもブレーキから足が離れる、これは初心者でなくてもあるわけでございます。その辺について十分徹底していただきたいと思います。  それから、先ほど坂井先生の方からオートマチック車の限定免許という御意見がございましたが、私はちょっと意見が違いまして、オートマチックというのは確かにある時期乗るかもわからないけれども、車というのはまさに趣味も兼ねているわけですから、オートマチックばかり乗ることもない。そして、人の車を頼まれて動かすということもよくあるわけですから、その辺から考えまして、やはり限定にしないで、今の教習課程の中で十分訓練をしていただくというのが大事じゃないか。  今の教習課程を見ておりますと、金額的に二十万ぐらいのお金がかかる、あるいは場合によっては、大体年齢分かかるのだという話があるぐらいでございまして、この辺も、例えば大都市周辺と東北地域あるいは九州とでは大分条件が違うわけですね。これは教習所の経営という面から考えまして、急激な変化というのは難しいと思いますけれども、ある程度整備期間を置いて対応していくならば、オートマチックによる教習時間の効率化というのもある程度図れるのではないか。それと、安全性の面での教育というものもできる、こういう面があるので、そのバランスは十分考えながらやらなければいけないと思います。むしろ技術向上のための一つの手段としてのオートマチックの活用も考えていくべきではないかと思っておりますけれども、これについての御意見を伺いたいと思います。
  172. 太田壽郎

    太田政府委員 ただいまいろいろ貴重な御意見を拝聴いたしたわけでございますが、私どもといたしましても、AT車がどんどんふえてくればそれに応じてというような社会実態の変化に対応して、やはり教習所の方も教習内容なり何なりをそれぞれ見直して、そのときどきの社会実態に合ったものに変えていくということで、教習所につきましては全国的に組織としてかなりしっかりしたものがございますので、そういう連合会等を通じてそういう趣旨を徹底してまいりたいというふうに、考えております。
  173. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 大蔵省に来ていただいていますけれども、これは保険の話でちょっと長引きそうなので、きょうはやめまして、道路局長に引き続きお伺いをしたいと思います。  実は、道路の防災対策でございますけれども、四十六年から全国的に危険箇所の総点検をやっていただいておりまして、さらに四十八年、五十一年と見直しをしている。しかし、依然として危険箇所というのは非常にたくさんあるようでございます。私も、今回の補助金削減一括法案の論議をしておりますときに、こんなところまで影響するのかなあという心配をしていたのですけれども、まず、現在、最終の状況がどうなっているのか。それから第九次道路五カ年計画がございますけれども、これとの関連はどうなっているのか。というのは、総額の確保がだんだん難しくなってきておりまして、その辺で防災対策がおくれていくのじゃないかというような心配もしておりますので、この辺についてお答えをいただきたいと思います。
  174. 田中淳七郎

    ○田中(淳)政府委員 道路防災対策としましては、道路交通の安全と円滑化を図るため、異常気象時におきます落石、それからのり面崩壊等の危険箇所につきまして、のり面保護工、洞門工等の事業を実施いたしているところでございます。  昭和五十五年度におきまして実施しました防災点検の結果によりますと、要対策箇所は全旧で約七万七千カ所でございまして、それに要する事業費は約一兆五千億円と見込まれております。  当該箇所についての整備の進捗率でございますが、昭和五十九年度末現在で、箇所数でいいますと四五・四%、事業費ベースで申し上げますと四九・一%の達成の見込みでございまして、五カ年計画もまだあと三年ございますので、何とか一〇〇%達成を目指して頑張りたいと考えております。  以上でございます。
  175. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 単独事業と補助事業とございまして、補助事業の場合には国が出すからということなんですが、せっかく自治大臣おられますからお聞きしたいのですが、今回の補助金カットですね、参議院にようやく回りましたけれども。この中で単独のものが、率から言うと大体二割の事業があるということでございますけれども、我々が地方財源のお話をいろいろ聞くときに、今度の補助金一律カットで箇所づけが減るのじゃないかとか、あるいはほかに費用が食われるから単独というものは非常にやりにくくなるというようなお話を聞いております。今回の動きを含めて、地方自治体としての道路の防災という面から考えて、補助金の動きは一年限りと思いますけれども、今後の財源確保のために、自治省は、もし相談を受けられたならばどういうふうなお考えを示されるのか、全体で結構でございますからお答えいただきたいと思います。
  176. 古屋亨

    古屋国務大臣 私どもは、地方自治体の補助金というのは、一律カットではかえって効果はない、事務の分量や仕事の配分ということで、例えばこういう事務がなくなったからこういうものは削る、あるいは地方に定着したものはそれによるということで、昨年、予算編成まで大蔵省と意見が対立しておったのでございますが、極めて厳しい国の財政状況下におきまして、一年限りとして、そして地方に与えるものについては補てんをするという話をいただきまして、やむなくそれに従った。国の財政事情に従った。でございますので、今、御承知のように地方は五十六兆円ぐらいの借入金を持っておりますし、それから三千三百の団体のうち四分の一程度、八百二十団体が公債費二〇%以上という、赤信号と私ども言っておりますが、そういうようなことで非常に厳しい状況でございます。  でございますので、物によりましては単独事業等で国の関係の援助が減ってきたために、どうしても地方でやらなければならぬ単独事業等については、私ども、町づくりという点から、それに対する起債というようなことを今度は積極的にやろうということにしておるのでございます。しかも、起債といいましても借金でございますから、余り多くなっては地方の財政上も困るわけでございます。そういう意味で、地方道路の充実ということは私ども大変大事だと思いますし、国道その他と比べて地方の道路が一番おくれておることは先生も御承知のとおりでございます。そういう意味において、一般的に言えば、地方単独のこの問題については財政上の措置をするという建前でございまして、ただ、国の補助金等によってやっておるものにつきましては、やはり起債の条件も大変厳しいし、起債も相当出ておりますので、物によりましては起債の措置を講ぜられないというものもあるわけでございますが、一般的には地方道路整備充実ということは大変重要なことと私ども考えております。
  177. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 終わります。ありがとうございました。
  178. 小川新一郎

    小川委員長 次に、辻第一君。
  179. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、営業用トラックの交通事故について質問をいたします。  営業用トラックの交通事故は年々増加をしている。昭和五十七年には二%、五十八年には四・三%、昨年は大型で五・三%ふえた、このように認識をいたしております。また五十八年度の交通安全白書では、車両一万台当たりの死亡事故発生率は、自動車、原付自転車全体で一・三件ですね。ところが営業用トラックは九・九件、八倍という高さだ。また、同じ交通安全白書の中の「事業種類別重大事故発生状況」によると、これは昭和五十七年度ですが、トラックが四九・二%、ハイヤー、タクシーが三七・二%、バスが一三・六%、毎年このような順番になっているようであります。  そして、昨年の八月に姫路バイパスで起こりました事故。これはトラックの居眠り追突により五台の玉突きとなって、乗用車二台が炎上、一家四人が亡くなり八人が負傷されるという、本当に悲惨な、重大な事故がありました。事故に悲惨でないものはありませんが、トラックの事故というのは特に悲惨な事故が多いというのが私の考えてあります。こういうような特徴といいましょうか、問題点を持っているのが営業用トラックの交通事故現状だというふうに思うわけであります。  その背景といいましょうか、原因といいましょうか、を見てまいりますと、荷物の減少という状況がありますね。それから、トラック業界というのは中小業者が多くて、荷主から圧力といいましょうか、いろいろ契約上抑えつけられるというような状況があるというふうに聞いているわけであります。そういう状況の中で、原価を償えない運賃であるとかあるいはいわゆるダンピングだとか、先ほど申しました荷主からの不公正な契約の強要であるとか、また下請、子請、孫請というのですか、あるいは名義貸し、あるいは物流子会社の運賃買いただきなどというような状況ですね、非常に経営が厳しいという状況、そういう状況の中でどうなるか。やはり過積をやる、それから長時間の労働をやる、無理な運行をやる、あるいはスピードアップをやる、こういうことにつながってくると思うのですね。これがトラックの交通事故の、しかもふえておるという背景にある原因だ、こういうふうに私ども考えているわけであります。  そして、昨年の十一月の運輸白書、これにも「トラック運送事業対策」というところの中に「トラック輸送は我が国国内貨物輸送の大宗を占めているが、約三万五千に上るトラック運送事業者はそのほとんどが経営基盤の脆弱な中小企業であり、荷主に対し取引上弱い立場に置かれることが多い。このため、運賃ダンピング、過積載、過労運転、違法白トラ等のいわゆる輸送秩序の乱れが生じ、問題となっている。」こういう記載があるわけであります。  また、粟林貨物流通局長おいでですね。ことしの三月九日の交通新聞に載っているのですが、三月八日に、運輸省専門紙記者会との定例会見の中で、規制について、経済規制と安全問題などの社会的規制があるとし、社会的規制は私はもっと厳しくしてもよいと思っている、社会的に許された土俵で公正な競争をやるべきだ、このように言っているわけです。  また、ことしの一月二十一日の日経流通の中に、「運輸制度見直しの時」というような表題だったと思うのですが、規制緩和の問題、運賃体系の問題、免許制度の問題、こういうことの座談会の中で、非常に部分的に取り上げて何ですが、「過積みとか過度の労働時間といったことは、きちんと取り締まるなり、処分をしたうえ、通常、社会的にも認められる運輸業の土俵が生まれるのではないか。」このように言っていらっしゃいます。また、同じ中で「長時間労働の問題とか過積載の問題とかがあるように思う。反社会的、あるいは非常識的な意味での競争手段がベースになっているとしたら、やはり問題だ。きちんとした土俵をつくる必要があると考えている。」このように述べておられる。局長のこの御発言は、大体そのとおりでございますか。
  180. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 先生今お読み上げになりましたのは、私が記者会見なりあるいは座談会で話したことで、恐らくそのとおりだと思います。  私、そのとおり考えておりまして、今営業用トラックによる重大事故というものが実は一昨年、昨年とふえてきておりまして、その背景に何があるか、過労運転でございますとか非常に過度の過積み問題とか、さらにその先にあるトラック業界の、これは非常に小さな企業が多うございますので、そういったところに根差す問題、いろいろ問題があると思いますし、やはり輸送秩序問題というものは非常に大きな問題で、社会的に認められないような手段を使ってそういう土俵の上で競争するというのは、決して公正な競争ではないというふうに考えております。やはり土俵をしっかりさせて、その上で事業者が大いに創意工夫を凝らしてやっていくというのが正しい姿ではないか、そういう観点からいろいろ検討しておるわけでございます。
  181. 辻第一

    ○辻(第)委員 その過積みの問題であるとか過度の労働時間、こういう問題については、私は本当に局長意見と同じであります。  そこで、端的にお尋ねをするわけでありますが、トラック労働者の労働時間というのは非常に長いのですね。過度の労働という状態になっているわけでありますが、私はきちっとした社会的な規制を、安全上、また輸送秩序を守る上でも、また労働者の健康や生活を守る上でもぜひやっていただきたいことは、既に旅客自動車の中ではやられておる運行規制、この旅客の中の中身は問題があるのですが、それと同じように走行キロによる乗務規制、運行規制を運輸規則の中にぜひ盛り込むべきだと考えるのですが、いかがですか。
  182. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 過労運転の問題につきましては、私どもの方の道路運送法に基づく自動車運送事業等運輸規則にも過労運転防止の規定があるわけでございます。具体的なそれの目安としては、労働省の方でいわゆる二七通達で連続運転時間とか拘束時間といったことを非常に具体的に何時間と決めて通達を流し、事業者がそれをしっかり守るということでできるだけ努力をしておる最中でございますので、私ども、そういった点必ずしもまだ十分ではないことは承知しておりますが、まずそれをしっかり守っていただくようにやるのが第一ではないかと考えております。
  183. 辻第一

    ○辻(第)委員 これまでの御発言より大分トーンがダウンしたように思うのですが、もっと積極的に、トラックについても運輸規則の中に運行規制を取り入れるべきだ。例えば消防法ではタンクローリーなど一般道路では二百キロ、高速道路では三百五十キロ以上は二人という規定があって、効果をあらわしておるということであります。また、ヨーロッパのECでは、道路運送規則の第六条に、一日で八時間、四百五十キロメートルを超えるトレーラー、セミトレーラーの運行は二人乗務で出発するか、四百五十キロメートルのところに交代運転手を用意しなければならないというのがあるわけであります。本当にぜひそのような運行規制を取り入れていただきたいと思うのですが、大臣、いかがですか。
  184. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 ただいま申し上げましたように、例えば連続運転時間は何時間までということまで具体的に決めて労働省の方で今指導しておられる。労働省の方でいろいろお調べになったことによりますと、非常に多くの事業所がまだそれに違反している、しかしみんな今努力している最中で、年々若干ではありますけれども率は上がってきている、こういう状態でありますから、私どもあらゆる手段方法を検討して、労働時間の問題など、あるいは今の運行についても運行管理者制度もありますし、運行記録計も義務づける等いろいろな手段を使ってやっておるわけでございまして、そういったことを今また総合的に考えております。ただ、今の先生おっしゃることを具体的にすぐ入れるというようなことはなかなか言いにくいのでございますが、できるだけ効果の上がるような方法を考えてやっていこうと思っております。
  185. 辻第一

    ○辻(第)委員 大臣の御答弁がなかったのですが、大臣、運行規制を取り入れていくということでぜひ努力していただきたい。  時間がありませんので次へ移ります。次は過積載の問題であります。  これは警察庁にお尋ねをいたしますが、昨年の過積載の違反摘発件数を簡単にお伺いしたい。それから、過積載の違反を見つければ当然その車の走行を許さないはずでありますが、私どもの聞いておりますのには、一日に二回捕まるというのがあるのです。ということは、一回捕まってもそこでそのまま走行が許されているということですね。これはどういうことなんでしょうか。
  186. 太田壽郎

    太田政府委員 五十九年中におきます過積載違反の取り締まり件数は十万三千二百三十三件でございます。  それから、過積載の車を検挙いたしました場合には、通常はその過積の物をその場なり何なりにおろさせるという措置を講じているのが原則でございます。
  187. 辻第一

    ○辻(第)委員 原則はわかっているのですが、聞いてみますと、実態は一日に二回捕まるのがかなりあるのです。ということは、そこできちっとした処理がやられていないのです。そこで一応調書をとって後で罰金は取るけれども、そこのところは通行を認めているのがどうも実態のようであります。これはとんでもないことで、過積違反車は走行できない、そこで荷物をおろすなりかわりの自動車を持ってこさせて荷物を積ますなりして、きちっとした対応をやるべきだと考えるわけであります。当たり前のことなんですが、国家公安委員長、いかがでございますか。過積載で捕まればそこできちっとした、それがそのまま走るというようなことがないという対応をやっていただきたいと思うのですが、お約束いただけませんでしょうか。
  188. 古屋亨

    古屋国務大臣 お話しの点は私もよくわかります。過積載の違法状態をそういうふうに放置しておくことは法の建前からもおかしいことでございますので、早急に十分な対策をとるように警察庁に指示いたして検討させます。
  189. 辻第一

    ○辻(第)委員 アメリカやイギリスあるいはヨーロッパ諸国はかなりきっちりやっているそうであります。  アメリカでは過積は各州ごとに重量計検問で罰金三百ドルから五百ドル、積みかえなければ通過させない、違反件数によって企業単位に通行禁止、事業免許の停止、免許の取り消し、こういうことになって、そのために各企業が自主管理とか自主規制しているということで、ほとんど過積がないと言っていい状態だと聞いているわけであります。  またイギリスでは、過積分の貨物はその場でおろさせる、当然だと思うのです。さらには裁判所に直接連行して罰金を科したり、トラックのナンバープレートを取り外したりすることもある。こういうことがやられておる。こういうことの中で、過積載がほとんどないというのが実態だと聞いているわけであります。  私は、何もこのとおりやれということではありません。もちろん法体系も違いますし、いろいろあろうかと思います。しかし、現状では、過積載を捕まえても、後で罰金を払ったらそれでしまいなんやという形がやられておるのではないか。本当に実効の上がる対策をとられるべきだ。そのことについては、このアメリカとかイギリスあるいはヨーロッパ諸国の経験をよく学んで、いろいろな手段を国として講じて、過積がもう起こらないということをぜひやっていただきたいと思うわけであります。この過積の問題については、運輸省はもちろん、あるいは建設省も非常に対策を強化という方向で進んでおられるわけでありますから、関係省庁と力を合わせて過積がないような状態にきちっと、殊に警察庁では取り締まりをいろいろな方法を考えてやっていただきたいと思うわけであります。  それからもう一つは、過積を幹線道路の一定の場所で、ここという急所、東海道なら静岡のどこかにありそうな気がしますが、そういうポイントポイントに常設的なチェック設備を設置して通行チェックをやるということがぜひやられるべきである、このように考えるのですが、いかがですか。
  190. 太田壽郎

    太田政府委員 重量測定機の設置の状況でございますが、固定式が三百七、それから可搬式のものが七百六十九と、千七十六というものを活用して現在取り締まりを行っているところでございます。これは今御指摘のような、特に主要幹線道路で問題のポイントにそういうものをつくるということは非常に必要なことでございまして、道路管理者の方とも十分に協議しながらこの種の施設を進めているという状況でございます。
  191. 辻第一

    ○辻(第)委員 何度も申しますけれども、いろいろな手段も講じて各省庁とも連絡をして、過積が日本ではもうないのだという状態を一刻も早くつくるために努力をしていただきたい。強く要望するわけでありますが、国家公安委員長、恐縮ですが、御決意のほどを。
  192. 古屋亨

    古屋国務大臣 過積が交通秩序を乱しておるということはお話しのとおりでございますし、また、私どもそう考えております。  また、恐らくこの過積というような事象の裏にある中小企業といいますか、そういう方、あるいは特に悪質なものについては背後関係も追及しまして、とにかく過積というものをやれば必ず荷物をおろされるのだというような感覚になりますように、警察に十分取り締まりを徹底するように指示してまいりたいと思います。
  193. 辻第一

    ○辻(第)委員 いわゆる長時間労働など、先ほど申しました問題や過積の問題、こういうことも含めて、車だけを取り締まるのじゃなしに、その背後ですね、業者であるとかあるいは荷主であるとか、ここのところにも厳しい規制を加えていただくということも重ねて要望をしたいと思います。  次に、営業用トラック事故は、初めに述べましたように、いろいろな特徴があるのですね。普通の自動車事故一般でとらえることはできない、そういう特徴を持っているというふうに私は思うわけであります。  警察庁にお尋ねをいたしますが、営業用のトラック事故の時間帯別発生状況というのはお調べになったことがありますか。
  194. 太田壽郎

    太田政府委員 営業用貨物自動車だけに限定したものは実はとっておりませんが、貨物自動車一般ということでちょっと御説明させていただきますと、貨物自動車が第一当事者となりました人身交通事故の発生状況、昭和五十九年のものでございますが、昼間が七九・四%、夜間が二〇・六%となっております。
  195. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ、営業用トラックの事故の時間帯など、はっきりと原因をつかむ、分析をする、そういう調査をする、そして対策をとっていただきたい、このように思います。  御存じだと思いますが、昨年の十月に静岡県警と静岡県高速道路交通安全協議会が調査をされた、こういうような報告書がありますね。こういう立派なものがあるわけでありますから、営業用トラックの事故の問題についてもぜひ十分な調査分析をして対応をとっていただきたいとお願いをいたします。  最後に、きょうは道路公団はちょっとお願いしていなかったのですが、営業用トラックというのは、深夜、二時ごろから朝方にかけて事故が多いのですね。それは、居眠り運転というのが実態としては多いようですね。いろいろ新聞だとか、あるいはこれへもそういうことが書いてあったように思うのですが、居眠りというのは、過労からくる居眠りというのですか、過労でなくても居眠りは夜中にくるわけでありますが、そういうことですね。それで、東名だとかあるいは名神、ここの大型車の駐車場をぜひ拡充をしていただきたい、このように思うわけであります。通行台数を見てみますと、東名では、昭和四十五年では五千二百万台だったのが、五十八年では一億三千万台、約倍増をしております。名神では、昭和四十一年が千七百万台、それが五十八年には六千四百万台、これは三倍化しているわけであります。  ところが、駐車場は、昭和四十四年に四千台、五十八年は六千台、バランスがとれていないですね。車の伸びに比べて駐車場は伸びていない、少ないということでありますから、本当に眠くなって少し休憩したいな、休みたいなと思っても、もういっぱいで休めない。そうすると、やはり路上でとめるときがあるようですね。そういうところへまた追突が起こるとか、いろいろなことが起こる。あるいは、休憩したいのだけれども、休憩するところがないので、眠いけれども無理して走るということで事故が起こる、こういうことがあるように風いておるわけであります。ぜひこの対応をしていただきたいと思うわけでありますが、どなたに御答弁をいただいたらいいでしょうかね。これは総務庁交通安全対策室長がたれか……。
  196. 波多秀夫

    ○波多政府委員 御指摘のような過労運転防止につきましては、関係省庁の間におきまして過労運転防止の連絡のための会議を持っておるところでございまして、その会議等におきまして、各省庁間の連携を保ちながら対策を進めておるところでございます。その中におきましても検討しておる問題でございます。今後とも御質問の趣旨を体しまして検討してまいりたいと思います。
  197. 辻第一

    ○辻(第)委員 営業用トラックの交通事故の問題は、やはり緊急で重要な課題だというふうに思うわけであります。運輸省国家公安委員会、それから建設省総務庁と連絡して十分な対応をとっていただきたい。強く要望して、質問を終わります。  ありがとうございました。      ————◇—————
  198. 小川新一郎

    小川委員長 次に、内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  提案理由の説明を聴取いたします。古屋国家公安委員会委員長。     —————————————  道路交通法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  199. 古屋亨

    古屋国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の槻要を御説明いたします。  この法律案は、最近における道路交通の実情にかんがみ、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路交通に起因する障害防止に資するため、座席ベルトの装着及び乗車用ヘルメットの着用に関する規定その他運転者の義務に関する規定を整備するとともに、原動機付自転車の右折方法に関する規定を整備し、あわせて違法駐車車両に関する措置の合理化を図ること等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を説明いたします。  まず第一に、原動機付自転車の右折方法につき特例を認めることであります。  これは、現在、原動機付自転車は自動車と同様の方法で右折しなければならないこととされておりますが、これでは、広幅員道路等においては危険を生ずる場合もありますので、そのようなときには、軽車両、すなわち自転車等と同様の方法で右折させようとするものであります。  第二に、違法駐車車両に関する措置に関する規定の整備であります。  現在、違法駐車車両を移動保管した場合において引き取り人があらわれないときについては、何らの規定も置かれておらず、このため、保管がかなり長期間に及ぶ車両もあります。そこで、この点を改め、所有者の氏名が不明である場合等にあっては、公示後六月をもってその所有権を都道府県に帰属させる等所要の措置を講じようとするものであります。なお、保管費用等の現在の徴取手続には督促規定がないので、これを明文で定めております。同様の改正は、違法工作物の除去費用等の徴取手続に関しましても行うこととしております。  第三に、運転者の遵守事項に関する規定の整備であります。  その一は、著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる騒音を生じさせるような方法で自動車等を急発進させること等をしてはならないこととすることであります。  その二は、運転者が座席ベルトを装着しないで、または助手席同乗者に座席ベルトを装着させないで自動車を運転してはならないこととすることであります。  その三は、乗車用ヘルメットをかぶらないで原動機付自転車を運転してはならないこととし、あわせて自動二輪車免許を受けて一年に満たない者は、いわゆる二人乗りをしてはならないこととすることであります。  その四は、初心運転者のうち、法令違反を犯し、一定の基準に該当することとなった者は、都道府県公安委員会の行う講習を受けなければならないこととすることであります。  その他、手数料に関する規定及び期間に関する規定を整備するとともに、本法改正に伴い必要な規定の整備をすることとしております。  なお、この法律の施行日は、改正規定の内容によって分けております。  まず、期間の特例に関する規定は、できるだけ早い日時が望ましいので、公布の日から施行することとしております。  次に、違法駐車車両に関する措置及び違法工作物等を除去保管等した場合の費用徴取手続についての規定は、ある程度の準備期間が必要となりますので、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行することとしております。  次に、いわゆる初心者講習に関する規定は、電子計算組織の準備等が必要でありますので、来年の一月一日から施行することとしております。  次に、原動機付自転車の運転者の乗車用ヘルメット着用義務に関する規定は、ヘルメットの生産能力を勘案して、公布の日から起算して一年を経過した日から施行することとしております。  その他の規定につきましては、公布の日から起算して六月を超えない範囲内で政令の定める日から施行することとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同を賜らんことをお願いいたします。
  200. 小川新一郎

    小川委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本案に関する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  201. 小川新一郎

    小川委員長 次に、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会から連合審査会開会の申し入れがあります。これを受諾し、連合審査会を開会するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 小川新一郎

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会の日時等につきましては、両委員長協議の上決定いたしますので、御了承願います。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四分散会      ————◇—————