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1985-06-12 第102回国会 衆議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年六月十二日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 保岡 興治君    理事 亀井 静香君 理事 北口  博君    理事 桜井  新君 理事 中島  衛君    理事 井上  泉君 理事 木間  章君    理事 新井 彬之君 理事 小沢 貞孝君       池田 行彦君    榎本 和平君       金子原二郎君    唐沢俊二郎君       國場 幸昌君    鈴木 宗男君       東家 嘉幸君    野中 広務君       東   力君    村岡 兼造君       森田  一君    上野 建一君       関  晴正君    前川  旦君       山中 末治君    小谷 輝二君       坂井 弘一君    伊藤 英成君       滝沢 幸助君    柴田 睦夫君       瀬崎 博義君  出席国務大臣         建 設 大 臣 木部 佳昭君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 河本嘉久蔵君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       永田 良雄君         国土庁土地局長 鴻巣 健治君         国土庁大都市圏         整備局長    佐藤 和男君         国土庁地方振興         局長      田中  暁君         外務大臣官房審         議官      渡辺  允君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房総         務審議官    松原 青美君         建設省建設経済         局長      高橋  進君         建設省都市局長 牧野  徹君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省道路局長 田中淳七郎君         建設省住宅局長 吉沢 奎介君  委員外出席者         議     員 新井 彬之君         経済企画庁総合         計画局計画官  戸嶋 英樹君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         大蔵省理財局国         有財産審査課長 山口 厚生君         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      玉置 佑介君         自治省財政局地         方債課長    柿本 善也君         会計検査院事務         総局第三局審議         官       安部  彪君         日本国有鉄道施         設局環境対策室         次長      鬼澤  淳君         北海道東北開発         公庫総裁    吉岡 孝行君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     渡辺 修自君         参  考  人         (水資源開発公         団総裁)    望月 邦夫君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    大嶋  孝君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  吉田  巖君         参  考  人         (住宅都市整備         公団総裁)   大塩洋一郎君         参  考  人         (住宅都市整備         公団理事)   京須  實君         建設委員会調査         室長      井之上俊一君     ————————————— 委員の異動 五月三十日  辞任         補欠選任   上野 建一君     嶋崎  譲君   山中 末治君     小川 省吾君 同日  辞任         補欠選任   小川 省吾君     山中 末治君   嶋崎  譲君     上野 建一君 六月十二日  辞任         補欠選任   浜田 幸一君     鈴木 宗男君   伏木 和雄君     小谷 輝二君   伊藤 英成君     滝沢 幸助君   中島 武敏君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   鈴木 宗男君     浜田 幸一君   小谷 輝二君     伏木 和雄君   滝沢 幸助君     伊藤 英成君   柴田 睦夫君     中島 武敏君     ————————————— 五月二十七日  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (武部文紹介)(第四八九六号)  同(中井洽紹介)(第四八九七号)  同(春田重昭紹介)(第四八九八号)  同(福岡康夫紹介)(第四八九九号) 同月三十一日  町村公共下水道整備推進に関する請願(小渕  恵三君紹介)(第五〇六六号)  同(大村襄治紹介)(第五〇六七号) 六月三日  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (奥田敬和紹介)(第五一三一号)  同(草野威紹介)(第五一三二号)  同(橋本龍太郎紹介)(第五一三三号)  同(小平忠紹介)(第五二三〇号)  同(横手文雄紹介)(第五二三一号)  町村公共下水道整備推進に関する請願(甘利  明君紹介)(第五二四〇号) 同月六日  町村公共下水道整備推進に関する請願(箕輪  登君紹介)(第五二七六号)  同(宮下創平紹介)(第五三三九号)  同(若林正俊紹介)(第五三四〇号) 同外三件(上村千一郎紹介)(第五四一三号)  同(江藤隆美紹介)(第五四一四号)  同(鍵田忠三郎紹介)(第五四一五号) 同月十一日  町村公共下水道整備推進に関する請願(愛知  和男紹介)(第五四六六号)  同(加藤六月紹介)(第五四六七号)  同(奥野誠亮紹介)(第五四八六号)  同(鹿野道彦紹介)(第五四八七号)  同(坂本三十次君紹介)(第五四八八号)  同(渡辺美智雄紹介)(第五四八九号)  同(大西正男紹介)(第五五四〇号)  同(西山敬次郎紹介)(第五五四一号)  同(葉梨信行紹介)(第五五四二号)  同(山本幸雄紹介)(第五五四三号)  同(梶山静六紹介)(第五五七三号)  同(工藤巖紹介)(第五五七四号)  同(三ッ林弥太郎紹介)(第五五七五号)  同(渡部恒三紹介)(第五五七六号)  同(渡辺省一紹介)(第五五七七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  住宅基本法案新井彬之君外二名提出衆法第  二四号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件  日本道路公団法等の一部を改正する法律案起草  の件      ————◇—————
  2. 保岡興治

    保岡委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施設に関する件について調査を進めます。  この際、日本道路公団法等の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来の理事会等におきまして御協議を願ってまいりましたが、その結果に基づきまして、お手元に配付してありますとおりの起草案を作成した次第であります。  本起草案趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明を申し上げます。  第一は、余裕金運用範囲拡大についてであります。  現在、日本道路公団等建設省所管王公団余裕金運用につきましては、有価証券の取得のほか郵便貯金及び銀行への預金に限定されておりますが、これらの公団資金の適切な運用を図るため、その運用先の幅を広げておくことが必要と思われます。このため、建設大臣の指定する金融機関についても余裕金運用先とすることができるよう、日本道路公団法首都高速道路公団法阪神高速道路公団法本州四国連絡橋公団法及び住宅都市整備公団法改正しようとするものであります。  第二は、道路債券発行規定整備についてであります。  日本道路公団資金調達効率化を図るため、同公団英米市場外貨道路債券を発行した場合、債券を失った者に交付するため発行するいわゆるかわり債券については、建設大臣認可を要しないこととするものであります。  以上が、本起草案趣旨及び内容であります。     —————————————  日本道路公団法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  3. 保岡興治

    保岡委員長 本件について発言を求められておりますので、これを許します。瀬崎博義君。
  4. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は、日本共産党革新共同を代表して、ただいま議題となりました委員長発議による日本道路公団法等の一部を改正する法律案反対意見を表明します。  我が国の道路建設は、第八次五カ年計画の終了時までに、ゼロから出発した高遠国道供用延長が三千二百三十二キロメートル、目標の四三%に達し、急成長している反面、市町村道改良率は三一%、舗装率はわずか一一%と、極端なおくれを来しています。しかも第九次計画は、第八次計画と比較して、一般道路が一・一九倍であるのに対して有料道路事業は一・三四倍になっているなど、大資本本位産業基盤優先高速道路網建設をさらに促進するものとなっています。その結果、国民には生活道路整備の極端なおくれとともに、道路公害環境破壊交通事故の多発などの被害を与えているのであります。日本道路公団高速自動車国道建設は、こうした反国民的、大企業優先道路計画推進の中心をなすものです。  日本道路公団かわり債券発行についての大臣認可を廃止することは、このような日本道路公団高速自動車道建設資金調達手段拡大を図り、ますます高速道路優先道路計画を推進しようとするものであり、我が党は強く反対するものであります。  なお、日本道路公団等余裕金運用先を農協その他の金融機関拡大することには賛成ですが、本改正案がさきに述べた重大な問題点と抱き合わせにして提案されているところから、全体として反対せざるを得ません。  また、本改正内容は、本来内閣が提出し、委員会で十分審議すべきものであります。それを延長国会の会期末になって急遽議員立法の形で持ち出し、しかも、我が党の反対にもかかわらず、委員長提案として審議抜きで成立させようとするのはまことに遺憾であり、強く抗議するものです。  以上で私の発言を終わります。
  5. 保岡興治

    保岡委員長 これにて瀬崎博義君の発言は終わりました。  お諮りいたします。  日本道路公団法等の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 保岡興治

    保岡委員長 起立多数。よって、さよう決しました。  なお、ただいま決定いたしました法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 保岡興治

    保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  8. 保岡興治

    保岡委員長 次に、新井彬之君外二名提出住宅基本法案議題といたします。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。新井彬之君。     —————————————  住宅基本法案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  9. 新井彬之

    新井議員 ただいま議題となりました住宅基本法案につきまして、提案理由及びその要旨につきまして御説明申し上げます。  住宅は、人間が住まうのみならず家族とのコミュニティーの形成の場であり、明日への英気を養う場でもあり、国民生活にとってかけがえのない欠かすことのできない基本的なものであります。  したがって、すべての国民に健康で文化的な生活を保障する責任を持つ国は、国民生活基盤である住宅についても快適でゆとりのある住居を確保し、国民住宅権を保障すべきであります。  これまでの住宅対策を見ますと、住宅金融公庫の融資状況に見受けられるように景気対策の一環として利用することに比重を置き、ひたすら民間依存に終始し、公的住宅についても極めて消極的であり、居住水準の引き上げという視点が欠落しているため、良好な住宅供給が停滞しています。そのため、戦後四十年経過した今日、依然として全国民の三八・四%が住宅に不満を訴えています。  このような現状にかんがみ、当面する住宅対策の隘路の打開を図りつつ国民生活環境整備促進するためには、国民住宅権を保障する国の責任を明確にして、住宅に対する国と地方供給体制明確化住生活基準の設定、宅地供給など住宅問題解決への基本的方途を確立せねばなりません。  以上が、この法律案提出する理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、国は、国民に健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を確保し、国民住生活を適正な水準に安定させるため住宅に関する総合的な施策を講ずることとし、また、地方公共団体は、国の施策に準じて、その地域に応じた施策を講ずる責務を持つこととしました。  第二に、国は、国民住生活の向上を図るため適正な住宅基準及び住居費負担基準を定めるものとし、国及び地方公共団体は、定められた基準に適合する住宅に居住できるようにするため住居費補助等施策を講ずることとし、また、国、地方公共団体等は、定められた基準に適合する公的住宅供給するものとし、既存の公的住宅基準に適合しなくなった場合には建てかえ等により基準を確保するため必要な措置を講ずることといたしました。  第三に、国は、住宅供給を総合的かつ計画的に促進するため宅地及び公共施設等を含んだ住宅供給に関する長期計画を策定することとしました。  第四に、国及び地方公共団体は、低額所得者等に対して適切な規模、構造、設備を有する住宅を低廉な対価供給するため公的住宅供給を促進する等必要な施策を講ずることとし、またそのために長期かつ低利資金融通や税制上の措置を考慮するものとしました。  第五に、国及び地方公共団体は、老人、母子家庭心身障害者等の福祉を増進するため、低廉な対価公的住宅供給または住宅建設等に必要な長期かつ低利資金融通について、特別な配慮をしなければならないこととしました。  第六に、国及び地方公共団体は、住宅地における良好な居住環境を確保するため、適正な環境基準を設定し、その確保に努めなければならないものとし、良好な宅地供給土地価格の安定、住宅地における公共施設整備住宅の災害からの保護のため施策等を講ずることとしました。  その他、政府は、国会住宅に関する年次報告提出すること、持ち家建設等の促進のための必要な施策実施等を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から施行するものといたしております。  以上が、この法律案提案及び要旨でありますが、何とぞ慎重審議の上速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  10. 保岡興治

    保岡委員長 以上で趣旨説明聴取は終わりました。      ————◇—————
  11. 保岡興治

    保岡委員長 建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本道路公団理事渡辺修自君、水資源開発公団総裁望月邦夫君、同理事大嶋孝君、本州四国連絡橋公団理事吉田巖君、住宅都市整備公団総裁大塩洋一郎君、同理事京須實君、以上の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 保岡興治

    保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  13. 保岡興治

    保岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上野建一君。
  14. 上野建一

    上野委員 きょうは、かねてから質問を続けてまいりました東京湾横断道計画について、この一点に絞って質問をいたしたいと思います。  まず、最近のマスコミやあるいはその他の関係から伝えられるところでは、建設省調査一定段階に来て、いよいよ来年度からは建設予算を要求する段階まで来ておると考えるわけでありますけれども、そういう段階に入って、今まで懸案になっておった幾つかの問題点、あるいはまた報告を求めておりました問題点についてきょうは明らかにしていただきたい、こう考えます。  まず第一に、この東京湾横断道について、従来の計画案を変えて川崎側トンネルにするという案を建設省としては固めた、こういうお話でありますが、そこら辺の問題から明らかにしていただきたい、こう考えます。
  15. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 東京湾横断道路基本形状につきましては、当初、当初と申しますか、川崎市側から約五キロメートルの橋梁、さらに人工島を介しまして約五キロメートルのトンネル、さらに人工島を介しまして約五キロメートルの橋梁という計画基本案として検討を今まで行ってきたわけであります。  しかし、その後の東京湾船舶航行実態調査結果、それから海上交通安全調査委員会におきます議論、及び最近のトンネル技術発達川崎側地盤の詳細な調査結果に基づく構造形式検討などを踏まえまして、特に川崎側構造につきましてはトンネル案についても現在検討を行っているところでございまして、別に最終的に決まったわけじゃございませんが、今までよりも川崎側トンネル案というのが非常にクローズアップされてきたということは事実でございます。  今後いろいろな状況を総合的に判断しまして最終的な基本形状を決めてまいりたい、かように考えております。
  16. 上野建一

    上野委員 最終的に決まったことではないと言いながら、道路局長は相当いろいろなところで発言をされている。そうすると、その川崎側十キロのトンネルというのは、航行船舶の今の実態その他から川崎側は橋は無理だ、こういう判断をしたと考えてよろしいですか。
  17. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生御案内のように、川崎側を通ります船舶の数が非常に多うございます。それで、その船舶交通川崎側周辺部におきまして非常にふくそうするおそれがある。先ほど申し上げましたように、特に川崎側の超小型、それから小型船航路横断道路を航過する船舶が集中しまして、付近が川崎航路の出入り口であること、及び川崎航路用待機錨地であることから、船舶航行が非常にふくそうするおそれがある。  それから台風等荒天時に避泊錨地を減少させると考えられる。これは構造物橋梁タイプの場合でございます。ちなみに、昭和五十八年の台風五号、六号の解析結果では、東京湾横断道路の両側二マイルの範囲内におきます最大避泊船舶は五十二隻で、全体三百三十二隻の約一六%という実態がございます。  さらにまた、工事中、一般船舶航行影響を与える、特に船舶航行がふくそうする川崎側橋梁部においてその影響が顕著であろうと思われる。  さらに、私が先ほど言いましたように、最近のトンネル技術が非常に発達してきましたということで、川崎側橋梁タイプについて構造上問題があるということではございませんで、船舶航路上非常に問題があるということでございまして、純技術的にはむしろ橋梁タイプの方が恐らくやりやすいであろうかと思いますけれども、先ほどから何遍も申し上げましたように、最近のトンネル技術が非常に発達しまして、広口径の沈埋等々の採用が考えられますので、一番初めに私が御報告しましたような結果で両方考えている。特に後者、すなわち沈埋タイプと申しますかトンネルタイプ航路上は非常に安心であろうということでございます。
  18. 上野建一

    上野委員 そうしますと、トンネル技術発達がある、それから船舶航行上も安全だ、こういうことだと思いますが、そのトンネル技術発達その他で経費の方はどういうふうになるのでしょうか。安くなるのですか、高くなるのですか。
  19. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 詳細設計をしてみないとわかりませんが、先ほど御説明申し上げましたように、川崎側は非常に軟弱地盤でございまして、支持層まで相当長いくいが必要でございます。そういうことから申し上げますと、やはり橋梁の方が安いのじゃないかと思いますけれども、これは先ほど申し上げましたように詳細設計をしてみないとわかりませんが、普通考えられる沈埋工法と比べまして、橋梁等タイプと比較した場合にはその差が少なくなるのじゃなかろうか。ちょっと詳細設計をしておりませんので、どちらが安いということは申し上げかねますが、普通の場合には、常識的には橋梁タイプの方が安いのだと思いますけれども、その差が、橋梁タイプ沈埋と申しますか、シールドタイプと比べまして、両者の工事費の差はそんなになくなっているのじゃないかと想像されます。  以上でございます。
  20. 上野建一

    上野委員 局長さん、沈埋シールド工法というのは別でしょう。これは沈埋じゃなくて、シールド工法でやろうというわけでしょう。そうだとすれば、シールド工法ならどのぐらいかかるという予算がわからないわけないでしょう。トンネル工法に方向を決めたというのなら、シールド工法ならどのくらいかかる、トンネル技術発達したからやるというのなら、発達したもので費用が幾らかかるかぐらいわからなければ、少なくとも橋とトンネルとどちらが安いかぐらいは明確にしてもらわなければ、それは答弁になりません。
  21. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 非常にラフな計算でございますけれども、川崎側橋梁タイプの場合はキロ当たり大体三百二十億、これをあの地盤シールドでやりますと三百三十億、差がわずかキロ当たり十億でございまして、しかしこれはあくまでラフな計算でございますので、ファイナルな計算をやってみませんと最終的な工事費の差は出てこないと思いますが、今のところ、大体キロ当たり三百二十億と三百三十億くらいの違いだろうというふうに踏んでおります。(上野委員「三百三十億がトンネルですか」と呼ぶ)そうでございます。シールドでございます。三百二十億が橋梁タイプです。
  22. 上野建一

    上野委員 そこで、きょう海上保安庁に来ていただいておりますが、前から海上保安庁には、海上航行安全性について一体どうなっているのだ、横断道との関係ではどうなんだということをたびたび聞いてきたわけですけれども、なかなかはっきりしない。ところが、既に建設省の側は、船舶の特に川崎側航行過密化によって実際橋梁では無理だ、こういう判断に立ったわけですから、そうだとすれば、もう海上保安庁東京湾の航海の問題についてどの程度危険性が加わるのかということについては、一定判断が出たはずだと思うのです。  川崎側は今の話もありましたようにトンネルにする。残る五キロは木更津側になるわけで、木更津側は依然として橋梁でやるということですから、そうだとすれば、これによってどれだけの東京湾における危険性というのが現状からプラスされるのか、そこのところを明らかにしていただきたいと思います。
  23. 玉置佑介

    玉置説明員 お答えいたします。  海上保安庁といたしましては、東京湾海上交通の安全を図るという立場から、この東京湾横断道路計画には重大な関心を有してきておりまして、従来から日本道路公団の実施しております東京湾横断道路海上交通安全調査に積極的に参加いたしますとともに、建設省と運輸省との間に設けられております東京湾横断道路連絡調整会議の場におきまして、計画案に対する検討調整を図ってきたところでございます。  今回、新たな基本形状といたしまして川崎側トンネル方式建設省において検討されているということを聞いておりますが、この方式が確定したといたしますと、従来の橋梁方式に比べまして川崎側航行船舶の集中に伴う航行安全上の諸問題というものは、大幅に解決されるものと考えております。  ところが、木更津側につきましては橋梁方式ということでございますけれども、これまでの調査では木更津側の架橋設置予定海域は水深も浅く、通航する船舶がほとんど小型船である、また通航量も比較的少ない、こういう海域となっておりまして、橋梁方式による航行安全上の影響は比較的少ないと私ども考えております。  しかしながら、湾内船舶交通流の整流方法でございますとか、有効航路幅の確保でございますとか、今後検討すべき事項もございます。これらにつきましては、先ほど申し上げました道路公団の実施しております東京湾横断道路海上交通調査の場において検討されるというふうに私ども聞いております。海上保安庁といたしましても、この調査に積極的に参加いたしますとともに、先ほど申しました建設省と運輸省との間に設けられております調整会議の場において、この計画案に対する検討調査をこれからも図っていきたいと考えておるところでございます。
  24. 上野建一

    上野委員 海上保安庁の方にお伺いしたいのは、今の点では川崎側が解決すれば木更津の方はそれほど大したことはない、今も海が浅いのだから余り船も通らないのだというお話です。そうすると海上保安庁としては、この東京湾横断道についての関係では問題はもうない、こう考えてもいいのか。  そこで、そうだとするとちょっと問題が残るのは、今度の構想の中に海上ビルが、海上都市とかという名前で発表されているのがあるのですけれども、あの海上都市あるいは海上ビルの、でかいのだろうと思うのですけれども、そういう構想との関連では、海上保安庁はどう考えているのか。  それから木更津側に島をつくらなければならぬわけですけれども、この島との関係で問題はないのかどうか。この点があります。  それからさらに、船舶航行の問題では、浦賀水道の幅が狭い、七百メーターしかないという実態があります。そこを二十万トンタンカーが通っていくということになると三隻以上の交差が事実上できない形になっていますが、しかし五十八年度の調査でも、一日に七百四十四隻の通航がございます。年間二十七万隻が東京湾に出入りしているという、現状でも大変な過密なわけですね。その現状でも過密なところに、確かに川崎側トンネルになったけれども、それでは島が二つできる。しかも一つの島は海上都市をつくるのだということになっている。そういうものとの関連で、危険性はその分だけは間違いなく加重されるわけです。  それから今、船橋港などはさらに大きな船を入れるために航路を掘っているのです。それから千葉港も順次最近ふえているということで、海上の交通の問題は、現状でも海上保安庁は事実問題としては困っているのだろうと思うのだけれども、それにそういう固定したものができ上がる、あるいは船舶の出入りはさらに一層激しくなる可能性がある、そのために港が今改修をされているということではあるわけですけれども、そこら辺の関連では、具体的にどういうふうに調査の結果はなったのか、明らかにしてもらいたいと思います。
  25. 玉置佑介

    玉置説明員 お答えいたします。  木更津側がまだ橋梁部分として残るわけでございますけれども、この木更津側橋梁部分に小型船用の通航路を設けることによりまして航行安全上の影響は緩和されるものと考えておりますけれども、先生ただいま御指摘のとおり、島との関係の問題あるいは千葉県側の今後の開発の問題等、今後検討していかなければならない事項がございます。したがいまして、これらの事項につきましては、先ほど申し上げました海事関係者、専門家、関係官庁が参画した委員会の場で引き続き検討されることとなっておると聞いておりますので、海上保安庁といたしましては、その検討結果を尊重していきたいというふうに考えております。  それから、浦賀水道の件でございますけれども、巨大船等につきましては航行管制を現在行っておりまして、その航行管制を行うことによって安全な運航が確保されているということでございます。  それから、島に海上ビルを設けるということでございますが、私ども、この海上ビルを設けるということについて具体的にまだお聞きしておりません。もしこういう計画が具体化されるというのであれば、十分に検討していかなければならないというふうに考えております。
  26. 上野建一

    上野委員 海上保安庁調査は、東京湾横断道計画にとっては入り口になるわけなんですね。海上保安上の問題が明確な形にならないと、こういうものをつくっていいのかどうかということも含めて明らかにされないはずなんですね。もう東京湾の危険はどうなってもいいということで建設するわけにはいかぬわけですから、そうだとすれば海上保安庁調査というのはもっと先行されなければいかぬはずだと思うのです。  ところが、今までも海上保安庁はどうも言うことがさっぱりわからない。安全を図るために重大な関心を持っているなんということを言うけれども、重大な関心を持って何年たつんですか。私は何回も聞いているけれどもさっぱり明らかでない。そして、先行した形で出てくるのはむしろ建設省の側が、もう川崎の方は航行が無理だからトンネルにするんだ、こう言ってくるわけですね。ところが、先月あなたの方に聞いたときでも、まだ調査中だ、慎重検討中ですと言う。そういうこと自体がおかしいじゃないですか。順序が逆じゃないですか。あなたの方はもう調査ができているのに明らかにしてないんじゃないですか。  海上ビルは無理なら無理になったという判断を示しているのかどうか、あるいは安全だと言っているのか、そういうことがなければこういう構想は出てこないでしょう。一方ではトンネルにしなければならないほど川崎側の海上は、ああいう建造物をつくることは無理だ、そういうふうに判断するぐらいのものになっているわけですね。それにあなたの方が関係ないような、まだわからないような、比較的少ないとかこれから調査だとか言っているんだけれども、そこら辺の海上保安庁としての責任はどうなるんですか。東京湾の安全の問題は主としてあなたの方にあるわけでしょう、安全を図る立場という意味では。どうもそこら辺のところがはっきりしないのだけれども、これは一体どう考えているのですか。
  27. 玉置佑介

    玉置説明員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、海上保安庁といたしましては東京湾横断道路海上交通安全調査委員会に従来から参画をしておるところでございます。川崎側トンネルにするということにつきましても、これが確定した案ということで出された場合にはまたこの委員会の場で検討が引き続き行われることになっておりますので、海上保安庁といたしましてもこれに積極的に参画をしていきたいというふうに考えております。  それから、海上ビルの問題については、私ども関係の向きから具体的にこういう構想を考えておるということは一切聞いておりませんので、まだ検討段階にも至っておりません。
  28. 上野建一

    上野委員 そうすると、川崎側トンネルになれば、あとは安全は大丈夫だ。その海上ビルは別にして、二つの島ができる、それから木更津側は今までどおり橋梁、それで安全は確保できる、そういうことですね。あなたの方はそういう判断をしたのですね。
  29. 玉置佑介

    玉置説明員 この問題につきましては先ほど御答弁申し上げましたとおりでございまして、これまでの調査によりますと、木更津側の架橋につきましては航行安全上の影響は比較的少ないと考えられるというふうに私ども考えております。しかしながら、残された……(上野委員「比較というのはどことの比較の問題ですか。川崎側に比べての話でしょう」と呼ぶ)川崎側に比べて……(上野委員「全体としてはどうなのかと聞いているのですよ」と呼ぶ)全体といたしましても、航行安全上の影響は比較的少ないというふうに考えております。  しかしながら、先ほど御答弁申し上げましたとおり、湾内船舶交通流の整流方法でございますとか有効航路幅の確保等、今後検討すべき事項がございまして、これらの事項につきましては引き続き東京湾横断道路海上交通安全調査委員会の場において検討されていくというふうに聞いております。したがいまして、私どもとしてはその検討結果を尊重していきたいというふうに考えておるところでございまして、今現在の段階において海上保安庁が単独で木更津側の架橋方式航行安全上問題が全くないとか非常に障害があるとかというように言える段階にはございません。
  30. 上野建一

    上野委員 海上保安庁はそういう今の橋をかける、かけないとの関連をもっと事務的に考えなければならぬのじゃないですか。橋をかけたら安全か、どの程度危なくなるんだ、気をつけなければいかぬのだということになるのか、そういうことをはっきり出して、その上に立ってあちこちで検討するわけでしょう。  例えばこの問題なんかで参考になると思うのは、先般の五月二十六日に起こったスペインのアルヘシラス港における爆発ですよ。この爆発はナフサの陸揚げ中に起こっていますね。これはタンカー二隻なんです。一隻が爆発して、その近所にいたのが爆発した。合計二万三千三百トンなんです。ところが、今東京湾に入ってくるのは、二十万トンとかという巨大タンカーが石油を運んでくるわけでしょう。五メーターの爆発の火柱が上がったという報道をしています。それでもう六十人ぐらい死んでいるだろうという報道もある。そういうことを考えますと、二十万トンタンカーなら千五百メーターぐらいの火柱が上がる、そうすると東京湾じゅう火の海になってしまう危険があるわけですね。しかも、タンカーが爆発した場合のことを考えますと、周辺のタンク、ガスタンクその他、これはまた大変なことになりかねない。  そこら辺の問題も含めて、海上保安庁は、例えばこれ以上危険なものをつくったらこうなりますよというものを警告としても出さなければならぬ段階だろうと思うのですが、この調査に加わっているのに第三者みたいな話をされているので困るのです。こういう危険性というものについては海上保安庁は心配をされていないのでしょうか。スペインのことだから東京湾とは関係ない、こうお考えなんでしょうか。そこのところをもう一度はっきりさせてもらいたい。  それから、あなたは調査調査と言うけれども、いつになったらこれは出すのですか。海上保安庁が力を入れてやったのはもう十年ほど前じゃないですか、あの東京湾実態の中から大変だということになったのは。そして、一部海上交通法も変えたわけでしょう。その点から見るとさっぱり明確じゃないのだけれども、この危険性についてはどの程度のことを考えておられるのか、もう一度お聞きします。
  31. 玉置佑介

    玉置説明員 お答えいたします。  海上保安庁といたしましては、東京湾における危険物積載船につきましては、海上交通安全法、それから港則法、これらの法律に基づく諸規制を行っておりますほか、例えば総トン数二万五千トン以上のLPG、LNGタンカー等に対しましては、安全対策確約書の提出を求めるなどの安全対策を講じてきているところでございます。  東京湾横断道路ができた場合のこれらタンカーの航行に伴う安全対策につきましては、橋梁の位置でございますとか、あるいは道路の形状、構造等の検討状況、それからLPGタンカー等の航行状況を勘案いたしまして、先ほど来申し上げております東京湾横断道路海上交通安全調査委員会における検討結果を踏まえまして、さらに必要があれば、これまでの対策に加えまして所要の措置を講じていきたいというふうに考えております。
  32. 上野建一

    上野委員 海上保安庁の問題はまた別にやるようにしましょう。さっぱりわからぬ。改めて時間をとります、ほかの時間がなくなりますから。  そこで、道路局長さん、引き続いてお伺いしますが、これはここまで進んできて、調査はもう大体完了したと聞いているのですけれども、その調査の完了、したがって調査費は来年からは要らない、むしろ建設費の段階だ、こういうふうに言われているのですけれども、この関係はどうなんですか。予算要求、間もなくその段階に入りますけれども、どういう形で来年度予算では要求されるつもりなのか、お聞きします。
  33. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 昭和五十一年以来日本道路公団でこの調査をやっているのは事実でございまして、一般調査につきましては、全部終わったわけではございませんが、漁業に与える影響とかいろいろ現在もやっております。  いずれにしましても、問題は先ほどから御指摘のとおり、船舶航行の安全の確保、それから東京湾の環境の保全、それから横断道路に関連します道路網の整備、一番大事なものの一つに、関係自治体等のコンセンサス、これらすべてにつきまして、関係機関と十分調整を図ってまいりたい。  これらの検討状況及び種々の状況の進展を踏まえながら今後の対応について総合的な検討を行ってまいるつもりでございまして、来年度、建設費で要求するかあるいは再度調査費で要求するかの点につきましては、今申し上げましたことを一歩一歩全部片づけまして、特に地方自治体、川崎側あるいは神奈川等々とよく協議してまいりたい、かように考えております。
  34. 上野建一

    上野委員 ところが、あなたそう言っているけれども、先月に自民党の開発委員会に出て、トンネル方式の問題と、事業主体については公団方式をとる、こういうふうにあなたははっきりと発言をされた、こういうことを、千葉県知事が県に帰って発表しているのです。ですから、そうなるともう調査は完了したというふうに考えられるのですけれども、一体それじゃ、これからやるとすると、あと何をやればいいのですか。何をやろうとしているのですか、来年度は。
  35. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先ほど御説明しましたように、まず船舶航行の安全の確保の問題、それからいわゆる東京湾の環境の保全、これは環境保全といいましてもいろいろなことがございまして、例えば中にすんでいる魚はどうなるかとか、そういうことも含めてでございます。それから、先ほどから申し上げましたように関係自治体等との取りつけ道路その他の問題等が残っております。  それで、先ほど先生おっしゃいました自民党の委員会で申し上げましたのは、道路公団にやらせるとかそういうことを申し上げたのではございませんで、もちろん道路公団が一つの有力候補であることは事実でございますし、さらに第三セクターと申しますか、そういうものも考えておるという意味で申し上げたはずでございます。
  36. 上野建一

    上野委員 そうすると、千葉県知事はうそを言っていることになりますね。もう公団方式でやるのだ、「田中淳七郎建設省道路局長が、公団方式をとる意向を明らかにした」、沼田知事は、その点を県庁で記者会見をして明らかにした。ちゃんと出ているのですよ。
  37. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 沼田知事さんがうそをついたとは思いませんけれども、最終的に日本道路公団に決めたとは私は申しておりません。
  38. 上野建一

    上野委員 七分どおり決めたのですか。
  39. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 もう先生御案内と思いますが、関西空港方式でやりますと、いろいろな恩典を考えましても資金コストが五%程度になる。片一方、日本道路公団でやりますと、約六%の資金コストで済む。一%差というのは、何らかの形で常識的には国費を入れなければいかぬということになりまして、そういう意味では、現在道路公団方式が非常に有利であろう、ただ、ほかにもやり方がございますので、先ほど御指摘になりましたタワー方式、いろいろなことを考えておりますので、一つの案でございまして、これから予算要求までの間にがっちり検討してまいりたい、かように考えております。
  40. 上野建一

    上野委員 しかし、あなたはもう、道路公団方式というのは前から何回も言っているし、それしかないのだ、しかしほかも検討している、こういうことは言っていたけれども、公団方式に間違いないとあなたは言っている。それしかないということをもう繰り返し、事実上言っているのですよ。千葉県知事は、まさか耳が悪いわけじゃないですから、こういうようにはっきり聞いているのだから、これはもう間違いない。  そこで、大臣にお伺いしたい。これは道路公団方式でやる、いわば本四橋と同じような形でこの仕事にかかるということだろうと思うのです。ところで、この間、本四橋の淡路島と四国とのあの橋を私ども見せていただきましたが、確かに技術的には大変な、すばらしいものであります。ただ、淡路島の本四橋の場合でも、明石の大橋がどうなるか、まだ全然見当もついていない、こういうことですね。それから、坂出ルートは確かに行われているけれども、これまた資金面で大変な状態になっている。  こういう実態の中で、建設大臣としては、こういう本四橋のあの三本の橋の問題でこれだけいろいろな問題になっている、新幹線も事実上通せない、こういう状態なんですけれども、そういう財政難の今日の状態の中で、この東京湾横断道については今言われたように取りかかれるような状態なんですか。  それから、行革審とのあの関係ではどうなるのですか。そこの二つをこの際明確にしていただきたいと思うのです。
  41. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 東京湾横断道路につきましては、現在道路公団調査を実施いたしておるわけです。私も、伺いますと東京湾横断道路も百二、三十億近いいろいろなあれをして計画なり調査を進めておるようであります。上野先生御存じのとおり、調査には実施調査とか一般調査とか、いろいろあれがあるでしょうが、今のところ一般調査昭和六十年ぐらいに大体関係機関との調整を図る、そういうふうな考え方で進んでいると私は承知をいたしておるわけであります。先ほど来、海上保安庁の方にも御質問がございましたが、船舶航行の安全の問題だとか、また環境汚染の問題とか、それからいろいろな横断道関連、そういう問題の整備関係であるとか、これからいろいろ調整しなければならぬ、また合意を得なければならぬものもたくさんあるわけでございます。  そうした状況をよく検討しながら、いろいろな意味の情勢、また、今財政難のお話がございましたが、確かに財政難であることはもうよくわかっておるわけでございますが、そういう中にも知恵をちゃんと出して、そして総合的な検討を行っていくということだろうと思っております。  ただ問題は、特に地方自治体とのコンセンサスの問題がございますが、これは私の伺っている範囲では、千葉県なんかは大変熱意があるというふうに伺っておりますし、また川崎なんかでも、熱意はあるでしょうけれどもいろいろ問題もあるようでございますから、特にこういう法律的にどうだとか調査がどうだとかということよりも、やはり何といっても一番大事な問題は、地方自治体とかそういう方々が、こういう重大な大きな計画、プロジェクトでございますからそういう問題に対してみんなが合意をしていろいろ参画していただいて御理解いただく、こういうことが非常に大事な問題だろうと私は思うのです。そういう点等も含めて総合的な御理解、検討を十二分に進めるように努力をさせていただきたいと思っております。  それから今の行革審の問題につきましては、別に行革の方から凍結を明石の橋のように受けておるわけではございません。しかし先ほど申し上げましたように財政もなかなか大変なときでございますから、いろいろ工夫をして努力をしていかなければならぬだろう、そういうふうに思っております。
  42. 上野建一

    上野委員 そこでおかしいと思うのは、やり出した本四架橋については行革審は財政上ストップをしている。ところが新たなやつは問題ないのだ、こういうことなんでしょうか。それともこれから行革審に打診をするのですか。そこら辺のところは一体どう考えればいいのですか。一方ではストップを食っているのに、一方新たなものならよろしい、こういうことでは一貫性もないし、行革審自体もおかしな存在だということになるのですけれども、そこの関係を少し明らかしていただけませんか。
  43. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生御案内のように、本四公団のいわゆる一ルート三橋ございますけれども、現在、臨調で五十八年三月に一ルート四橋について着工可、ほかのやつはちょっと待て、石油ショック等その他いろいろございました。そういうことで、本四公団に関しましては先ほど申しましたように一ルート四橋の着工は許可されているわけでございまして、この間六月八日に開通いたしました大鳴門橋はその四橋に入っておるわけでございます。明石海峡はその対象の中に入っておりませんので、やはり何らかの形で五十八年三月にお決めになった臨調の答申の制約を受けざるを得ない。  そういう意味での明石大橋でございまして、それに比べますと東京湾横断道路に関しましては、別に臨調のそういうものの対象になっておりませんし、それから第九次五カ年計画が六十二年度で終わりますが、その閣議決定、これはそのもの自体が閣議決定されたわけではございませんが、添付資料の中に東京湾横断道路は第九次五カ年計画内に着工する、最終が六十二年ということになりますが、そういうことを明示しておりますので、東京湾横断道路に関しましては直接的には臨調答申の制約は受けない、さように考えております。
  44. 上野建一

    上野委員 ただ、政治的に見ますと、片一方の本四橋は仕事をやり出したのに財政難で途中でストップを食ったわけですね。この間行ってみても、明石大橋ができなければあれは意味がないですよ、ある意味では。淡路島と四国はつながったけれども、本州とつながっていないのですよ。しかも地元は何とかして明石大橋をつくってくれと言っている。建設省はそういうつもりでやったわけですから。  ところがそれはストップさせておいて、そして今度東京湾はやるということになるとすれば、建設行政からいっても一貫性がないのじゃないでしょうか。それから片一方はストップした意味がなくなってしまうのじゃないですか。それなら先に本四橋をやらせたらいいでしょう。かわいそうじゃないですか。やると言ってやり出して途中でストップして、片一方は東京湾はやる。これは日本全体から見ればおかしなやり方でしょう。  それと、大臣についでに申し上げておきますと、木更津で世論調査をやったのです、市で住民調査を。それによると、横断道ができるとよくなると言っているのは四八%なんです。わからないというのと悪くなるというのと入れますと、残り過半数を超えるのですよ。だから、千葉県といえども必ずしも住民の段階になると、役所とか財界の方々は別ですが、住民の立場になると、わからないのも含めて過半数は——悪くなると考えているのも一〇%、二名くらいになるのですね。橋がかかると悪くなる、こう考えている人たちもいる。そういうことなんで、その点を大臣も認識をしておいていただきたいと思います。  そこで大臣に、今の本四橋との関連とあわせて、それではこれから自治体との関係を一体どういうふうな形で調整をされるのか。川崎側は決して賛成はしていない。後で申し上げますが、まだ問題もいっぱいある。こういうことなんで、具体的にはこれからどういうふうに自治体との調整をされるのか。  それから、これは道路公団でやるとすれば当然地元負担が出てくると思うのですね。国道だとすれば三分の一地元負担ですね。そういうふうに考えて間違いないかどうか、これもあわせて答弁をいただきます。
  45. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 まず神奈川県、川崎市等の地元の行政機関との調整の問題でございますが、東京湾横断道路に関連します道路の整備等については従来より関係自治体とさまざまな調整を行ってきたところでございますが、ことしの四月から東京湾岸地域整備連絡会議、座長は関東地方建設局長でございますが、これを設置して東京湾岸地域の幹線道路網について行政レベルで個々の検討を行っているのが真相でございます。  東京湾横断道路計画につきましても中間報告を随時取りまとめまして、地元自治体等に説明を行い、コンセンサスを得べく現在努力しているところでございます。  以上でございます。
  46. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 私も多少定かでない点もありますけれども、今の明石の鳴門の橋との関連性の問題でありますけれども、私が記憶している範囲では、あそこへ明石からずっと大鳴門へかけて通しで橋をかける、こういうことが構想として大体まとまったのが昭和三十九年の五月ころだと記憶いたしております。  それで、当時建設省の首脳部の考え方と地元の考え方というのは大きな開きがあったと私は記憶いたしております。その開きというのはどういうことかというと、建設省の首脳部の考え方というのは、もう鉄道の時代は終わったということですね。それから、四国全体と今までの国鉄の連絡船その他のいろいろな関連性というものを考えてみても、明石よりも坂出ルートの方が非常に意味がある。今までの故事来歴から考えてみても、また四国と中国地方や何かの経済的交流とか人的交流とか文化的交流、そういうふうなものの因果関係というか因縁というか、そういうものが向こうの方が強い。  国鉄の方は今ほどこうなるとは思っていなかったでしょうが、交通体系というものが、当時先進国を見ても飛行機とか自動車とか変わってくるというようなことで、鉄道の時代というものは非常に疑問があるということで、言えば、促進をしよう、橋をかけようという考え方は一致しておりますが、その辺がどうも調整がとれなかったというところに、かなり時間がかかっているように私は記憶をいたしておるわけであります。  そういう意味で、いよいよ一般調査から実地調査もして工事着工ということに鉄道併用橋でやったところが、オイルショックになってしまった。そこで一時中断をせざるを得なくなったというような経緯もありますし、それから今度やっと開通して——まだ建設中の中でも論議をされたことは、鉄道がこういう状態になってしまった、したがって今私が前段申し上げたように、坂出ルートの方が今までの交通の流れとか歴史的経緯からいって一番自然であるというような論議が出てきて、そして今御承知のとおり、場合によったら単独橋でいいのではないか、そういう御意見もあるわけですね。  でありますが、しかし一方ではあれは新幹線がかかっているのですから、私が承った範囲では百六十億ぐらいというのですが、これをそのまま何の解決もしないでこっちだけ単独橋でといったって、これは国民が許すわけはないと私は思うのです。  でありますから、国土庁長官もおいでになられますけれども、運輸省とか国土庁とか我々もその問題について一体どうするのかということの結論がないのに、いかに地元の熱望が強いものであるかは私も承知しておりますけれども、そんな国費のむだとかそういうことには政治として厳然とした明快な合意が得られるような努力をしなげればならぬわけです。そういう問題なども実は率直に言ってあるわけであります。  私自身もこの間テープカットをさせていただいて、ある意味では非常に自然との調和のとれた文化的遺産だ、また海外に誇れる日本の技術陣、公団を初め関係者の皆さん方の、また日本国民としても非常な誇りだ、子孫に対してあれだけ立派なものを遺産として残すということは非常にうれしいことだ、私はそういう大きな感動を覚えましたけれども、一方では、地元でも非常に強いいろいろな、明石の橋の問題もあるというようなことで、これをそこでもうさよならだということは、これも百億以上の調査費がかかっているわけですから、率直に申し上げて来年も今までと同じように調査すべきだ、やるやらぬの問題はもう少し高度の政治判断がありますから。  それからまた、効率的、効果的という面を考えた場合に、坂出ルートもかなり進んで六十二年の予定になっておるわけですから、これがおくれるということになったらやはり大変な問題だ。私どもは、先ほど申し上げましたように、横断道とかアクセスの関係を、四国の地域経済に貢献できる、そういう問題も財政の厳しい中で努力をしなければならぬでしょうし、そういうような全体的、包括的、総合的に検討しなければならぬ問題がたくさんあるわけですね。  私は、この間ある新聞の論説を見ましたけれども、日曜日の論説だったですが書いてあるのを見て、これも前から論議されたことを、非常に明快に心配の問題点を書いておられました。そういう点で、私ども国費のむだ遣いと言い切れないし、それによって子孫に対して将来に対してより夢と希望を持った大きな可能性を生み出す努力を政治も行政もしなければならぬ。そういう点を考えてみますと、今の上野先生のような御意見もございますけれども、私どももいろいろ御指導をいただきながら誤らない方向に努力しなければならぬ、そういうふうに考えております。
  47. 上野建一

    上野委員 どうも聞いたこととの関連ではちょっとまだ足らないのですが、時間もだんだんなくなってきますから具体的に一つ一つ詰めを申し上げますと、まず海上ビルについては、あれはどこから出た案ですか。建設省は知らないような話をしていますけれども、実はトンネル案と関連をさせて出てきている。トンネルの方は間違いなくそうするような話です。ところが海上ビルはどうも違うような話もある。これをひとつまず明確にしていただきたい。  それから事業主体については道路公団方式でやるということは、もうかねてから、この新聞にも出ているし、建設省の意向もそうだ。この点は、私どもの聞いているところでは、道路公団方式建設省は考えているんだけれども、大臣は違うんだ、大臣は第三セクターか何か、それよりも特殊法人方式ですか、そういうことなんで、建設省はまだ決定に至らないんだという話も聞くんですが、この真相はどうなんでしょう。  それから、道路公団方式でやったら、国道となれば地元負担が三分の一つくのか、それともこれは有料道路という形でやれば地元負担はゼロ次のか。本四橋の場合は地元負担、出していますね。出資していますね。この関係、どのくらいになるのか、それをお伺いします。
  48. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 まず海上ビル構想、サンケイ新聞に載ったものだと思いますが、海上ビル構想につきましては具体的な提案はまだ受けておりません。民間の一部でそのような構想が検討されていることについてはよく知っておるところであります。建設省としましては、民間活力の活用の仕方につきまして、現在、先ほどからお話ししておりますように幅広く検討しておりますので、人工島を活用した海上ビル構想につきましても、具体的な提案があれば積極的に検討の対象としたいと考えております。  なお、人工島の活用は本道路計画の基本的な考え方の中で検討してまいりたい、かように考えております。  次に、事業主体云々の件でございますが、先ほどから申し上げておりますように、別に日本道路公団方式だけに絞ったわけでございませんで、一応第三セクター方式も含めましていろいろ考えております。大臣との間で意見が食い違っているというようなことは絶対ございませんので、その点はお含みおき願いたいと思います。  それから、先ほどの公団方式の負担金の問題でございますが、先ほど言いましたように東京湾横断道路の事業主体につきましては、公団を含めまして現在幅広く検討中でございます。地元負担のあり方につきましてもいろいろな考え方がございますので、幅広く検討さしていただいております。  具体的に日本道路公団の一般有料道路でやりました場合には、先生おっしゃいましたように地元負担はないということになります。これを仮に本州四国連絡公団あるいは首都高速道路公団でやるというようなことになりますと、県の負担金あるいは特別市の負担金が出てくるわけでございます。それから直轄の場合には分担金という意味で三分の一。しかしこれは東京湾横断道路自身を直轄でやるということは現在の財政事情からいって考えられませんので、公団を含めて、あくまで有料道路でやりたい、そういうふうになろうかと思いますので……(上野委員「出資はどのくらいのことを考えていますか」と呼ぶ)  出資は、首都公団と本四公団の場合は違うわけでございますけれども、本四公団の場合で言いますと、国が二で地元が一。二が国でございます。一が地元関係県、それから関係特別市という意味でございます。それから首都公団の場合は一対一になっているはずでございます。  以上でございます。
  49. 上野建一

    上野委員 そうすると、残された問題点としては、前から私ども要求している中間報告、まとめた報告はいつごろ出すつもりですか。そしてその中間報告が出ない限り、自治体とどうするというようなことをいろいろ言っても検討の材料にはならぬと思うのです。いわゆる事業主体、それから今の海上ビル構想なども含めた中間報告を出して、それをもとに討議をしなければ討議にならぬと思うのですけれども、その点は一体どうなのか。  それから、環境調査の中で漁業との関係がまだ明確にされていませんが、これはもう一定のことはやったというふうに聞いておるのですけれども、この環境調査を具体的にどうなされようとするのか。  それから取りつけ道路について、川崎側については多摩川の河川敷を利用するというふうに聞いているのですけれども、そうなるのか。それから木更津側についてはもう取りつけ道路は確定をしているというふうに言われていますが、この点はどうか、それをお聞きします。
  50. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 まず結論から申し上げますと、この調査の最終報告と申しますか中間報告と申しますか、それは一応七月の初めになろうかと思います。早ければ六月の末になろうかと思います。  それから、一体東京湾横断道路の何を環境調査をやっているかということでございます。いろいろやっておりますけれども、先生御承知のように社団法人日本水産資源保護協会に調査を委託しまして、学識経験者、関係官庁等から成ります漁業影響調査委員会を設けておりまして、既往文献調査及び現地の調査により漁業実態調査しているところでございます。これは昭和六十年度におきましても引き続き漁業実態調査を行い、その調査結果をもとに、東京湾横断道路の建設が漁業に与える影響を把握する予定でございます。  なお、漁業補償等漁業関係者への対応につきましては、事業実施の段階で具体的な調整を行っていく考え方でございます。  さらに漁業に与えます影響等で、具体的には昭和五十九年度から二カ年の予定で水質あるいは流況、プランクトンなどの漁業環境の調査、さらに標本船、試験操業などによります漁介類、幼魚、ノリ等の分布、生態調査、さらに漁業、貝類漁業、ノリ漁業の経営体数等の実態調査、こういうことを主にやっております。  次に取りつけ道路でございますが、まず木更津側について申し上げますと、御案内のように湾岸道路、一般国道十六号長浦木更津バイパス、東関東自動車道千葉木更津線等の幹線道路がこの横断道路の陸上部とぶつかるといいますか接続する予定になっておりまして、横断道路をこれらと有機的に結ぶことが地域の発展と地域交通網の確保に重要と考えております。具体的なアクセス位置等につきましては、地元の意向を踏まえながら現在検討中でございます。  問題の川崎市側の件でございますが、川崎市は市域が御案内のように東西に非常に長くなっておりまして、そういう地形を持っておりますにもかかわらず、東西方向の幹線道路の整備がおくれております。背骨となる縦貫道路の整備川崎市から要望されているところでございます。その計画内容につきましては、建設省としましては、川崎市の要望を踏まえながら計画を策定したいと考えておりますが、現在川崎市の土地利用状況、再開発計画等を考慮しながら慎重に検討を行っているところでございまして、今後地元とさらに調整を行いながらまとめていくつもりでございます。  御指摘のように案としては、現在多摩川沿い案と内陸部の再開発計画をあわせた内陸部案の大きく分けますと二つの案があろうかと思います。そのどちらをとるかにつきましては、川崎市長さん、市議会の方々、あるいは局長等々と相談して決めたいと思っております。  以上でございます。
  51. 上野建一

    上野委員 時間が来ましたので終わりますが、どうも今までこの問題について建設省の話を聞きますと、大体新聞に発表するのがあって、この委員会では余り言わないことが委員会が終わると新聞に出るのですね。ですから、今度は議会が終わるとまた出してくるんだろうと思うのですね。七月初めというのは、これは議会が終わってからという話なんですね。しかも調査にしても、大体皆調査が終わっているのになかなか明らかにしない。それでいながら一般の新聞にはいろいろと出てくる。これは議会を余り重視してないということの一つのあらわれじゃないかと思うのです。もっといろいろな材料を出して議会で議論さしたらいいじゃないですか。一々しつこく聞かなければ答えないようなことじゃ困りますよ。もっとおおらかに出して、この結果こうなりましたと言う方がよほどいいだろうし、また、これだけの大事業を本当にやる気があるなら、そうしなければだめだろうと思うのです。そこら辺のところ、特に注意を申し上げておきたいと思うのです。  海上保安庁なども、もっと大胆に、現実の問題はいろいろあるわけですから、明確に出したらいいじゃないですか。建設省に遠慮することはない。あなたの方はあなたの方の所管で、東京湾はこれだけの危険がありますよ、それにさらに橋をかけるなんていうことは大変なことですよということを言わなければいかぬわけでしょう。それを言ってきたからトンネルになったじゃないですか、川崎の方は。木更津の方だってトンネルにする可能性はありますよ。そのうち島だってなくなってしまうかもしれない。そういう意味では、建設省に迎合しないで、海上保安庁は主体性を持ってやっていただきたい。  まだまだこの問題はこれから時間のかかる問題ですので、ぜひその点をやっていただきたいし、建設大臣もそこのところをやはり明確にしていただいて、議会をもっと重視した形でやっていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  52. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 私も議会の議席を持っておる人間でございますし、私自身も、役人の皆さんを信頼していますけれども、政治的な問題等については当然、委員会を無視してどうこうというようなことはございません。  それからもう一つは、私先ほどちょっと取り残した部分がありますが、内需の振興ということも、今私どもに課せられた貿易の摩擦に関連いたしまして非常に大きな政治の柱であることも、私もよく承知いたしております。明石の橋の問題といい横断道路の問題といい、大変大きな問題でございますし、ある意味で余りオープンにし過ぎていろいろやりにくい面が出てきてもいけませんし、しかしさりとて、今申し上げる内需の振興というような今なすべき国家的命題があるわけでございますから、そういう点なんかも私どもはよく肝に銘じながら前向きで取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。
  53. 上野建一

    上野委員 終わります。
  54. 保岡興治

  55. 山中末治

    山中(末)委員 私は、建設行政国土行政につきまして、ごく素朴な質問を申し上げたいというふうに考えております。  まず最初に、この間京都の新聞を送ってもらいまして読みましたら、非常に忙しい中を国土庁長官が京阪奈丘陵を視察されたという記事が写真入りで載っていました。事前にわかっておりましたら、建設委員の中にも二名地元の委員がおりますので、御案内もできたのになと二人で相談しておりましたけれども、そういう余裕もなかったようであります。この地元の京阪奈丘陵を視察していただいた後の担当大臣としての御所感等を、簡単にひとつ承りたいと思います。
  56. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 六月三日月曜日でございますが、大阪におきまして国土審議会近畿圏の整備特別委員会が開催されまして、一時間ほど余裕があるということでその機会に、関西文化学術研究都市の建設予定地を、京都府警のヘリコプターをお借りしまして空から視察することができました。予定地でございます木津川左岸の京阪奈丘陵、非常に緑に覆われてすばらしい地域でございまして、このような縁豊かな環境の中にそれぞれ小さな都市群を点在させるという現在の構想は、本地域の特殊性を生かした極めて的を射たものと感じました。  その後、関係省庁、地元府県等の積極的な連絡を図りまして、関西文化学術研究都市の建設の推進に一層の努力をしてまいる所存でございます。
  57. 山中末治

    山中(末)委員 極めて的を射た計画だということで担当の大臣として力いっぱい推進をしていくということでございますので、ひとつ地元のいろいろな意見も参酌願って推進をしていただきたい、このように思います。ありがとうございました。  次に、三月二十九日の建設委員会で、私は租税特別措置法の件につきまして質問を申し上げました。この具体的な問題につきましては、その後関係の市と国税局の方とでいろいろ相談を願っているようでありますが、こういう問題はまだまだ全国の中には問題としてあるんじゃないかというふうに承知をしております。  これは簡単に申し上げますと、現行の租税特別措置法の法制上、同一人に対する同一収用対象事業について二年以上の年にわたって収用がなされた場合、収用事業に係る譲渡所得の特別控除、これは今三千万円ということになっていますが、この特別控除は租税特別措置法第三十三条の四第一項及び同条三項第二号の規定によって最初の年のみの適用しかない、こういうことでありまして、しかも最初の年の当該事業に係る譲渡所得が三千万円未満の場合でもその額を限度としての適用しか受けられない、こういうことになっておるわけであります。  これをその額面どおり考えていくと別に矛盾はないのですが、現在の経済事情といいますか、財政事情といいますか、そういうものを勘案をしていきますと、必ずしも単年度で用地質収が全部できるとか事業が全部できるとかということにはならない。そうすると関係地方公共団体の財政力、国の方の関係もありますけれども、そういうものの割りつけによって用地買収が二年度にわたり三年度にわたらざるを得ないような制約もあります。そういうことから考えていくと、今少し申し上げましたけれども、やはり矛盾が出てきているというふうに思いまして、せんだっての委員会で具体的な一例を挙げて質問をさせていただいたわけであります。  これはやはりその問題の解決だけではなしに、これから事業を進めていこうとする地方公共団体の事業、あるいはまた国の事業、都道府県の事業も一緒ですが、うまく用地買収が進んで事業が所期の目的どおり進捗をしていくということが非常に大事なことでありますので、この問題について過去にもいろいろと建設省自体として、昔の、昭和五十二年度くらいですね、公共用地課長さんから通達を出されて各事業主体に対して指導を願ってきたという経過があるのです。ところが、大分年がたっていますので、地方自治体の課長等担当者もかわってきておりますので、改めてこれを事業主体である地方公共団体に対して通達を出して御指導願えないだろうかというふうに思います。それが一つ。  もう一つは、先ほど申し上げました現在の時点では矛盾が出てきていると思われるものについて、この三千万円のいわゆる用地取得に係る所得控除、この制度があって初めて道路事業とか河川事業とか都市計画事業の進捗がスムーズに図られていくというふうに私は思えてならないのです。この点について、まことに申しわけないのですが、道路事業担当、河川事業担当、都市計画事業担当の局長さんにもひとつ所感をお聞かせいただければ幸いだと思います。また、大体同じ考え方で、じゃ代表して私が答えておこうというのでも結構ですが、非常に大事なことだと思いますので、そのあたりをひとつお願い申し上げておきます。
  58. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 三月の当委員会でも御指摘になりましたことでございまして、我々もその問題について十分認識しておるところでございます。  おっしゃいますように、厳しい財政事情のもとにおきましては公共用地の取得も数年度にわたって行わざるを得ない場合もございます。こういった場合には三千万円を限度として同一事業に係る二以上の土地のいずれについても特別控除を行うこととしませんとかえって公共用地の円滑な取得に支障を及ぼすことになるケースもあり得るということにつきましては、先生の御指摘のとおりでございます。この点につきましては、それぞれの事業を施行している部局それぞれの局長意見、考えも同じかと思います。  それで今御指摘のございましたように、かつて昭和五十二年に公共用地課長が一般的に税務当局とそういったような面についても十分相談するようにという通達を出しておりますが、今御提案がございましたように、さらにこの段階でもう一度その点を十分周知徹底するような措置をとったらどうかということにつきまして、そういたしたいと思っております。  五十二年のときの通達はちょっと抽象的な面もあってわかりにくい点もあるものですから、国税庁の通達そのものにおきましても工区を分けてやる場合には別のものと考えていいんだ、こういうこともございまして、そういったことにつきましてもうちょっとわかりやすく、事業主体の方にもこういう制度があるんだから、そういったことを税務当局にもあらかじめ十分説明して税務当局の理解を得るようにして、その制度をできるだけ適用するようにするようなことを通達もいたしますし、またいろいろ用地関係者の会議もございます、ブロック単位、都道府県の担当者も含めた会議もございますので、そういった場におきましてもそういったことを周知徹底するように努めたいと考えております。
  59. 山中末治

    山中(末)委員 今高橋局長さんから、各局長さんのお考え、御意見も同様だ、こういうことでしたので、そのように承ってよろしゅうございますね。——ありがとうございました。これは今、この前の委員会、三月二十九日に申し上げた件については、まだ所得の確定申告がストップされている状態なんです。こういう問題が起こってきますと大変ですから、今局長さんおっしゃったようにいろいろな面でそういうそごを来さぬようにひとつ御指導をお願い申し上げたい、このように思うわけでございます。  それからその次に、先ほど建設大臣からもお話がございましたけれども、この間大鳴門橋が架橋されまして竣工されたわけであります。非常に立派な橋ができて、現場で私もちょっと聞かせてもらいますと、日本の架橋技術というのはもう世界一だということを専門家も地元のいろいろな方々も言っていました。これは非常に技術が進んでありがたいことだなというふうに思っております。  その夕刻六時から一般車両が有料で橋を渡ることができたわけですが、その後いろいろ聞いてみますと、日本の神話でございますけれども、アマノミナカヌシノミコトが天の浮橋の上に立ってアメノヌホコで瀬戸内海をかき回して、ぽっと上げてぽとっと落ちた滴が淡路島だ、こういう神話がありますが、私あの橋を見せていただいて、途端にそういうことを思い出しまして、付近の景色等渦潮の状況等を見ても、なるほどな、神話はうまいことつくってあるなというふうに実は思ったわけです。それほど天下の名勝でありますので、橋の上を通る自動車が、通過交通のはずですが、やはりそこで停車して、そして渦潮を見ている。そうすると、せっかくつくった橋のいわゆる交通停滞ですか、そういうものが起こってくるのではないか、あるいはまた、開通して間なしですから珍しいこともありまして今起こっているのじゃないか、こういうことを実は耳にしたわけでございます。これは大変なことだなというふうに思いますし、また一説には、余り景色がいいので、また橋の高さも随分高いので見晴らしもきくので自殺の名所にならないかという心配が、変な話ですが、実はあるようでございます。  こういう橋上の自動車の停車の問題の解消、それから後の方で申し上げました自殺の名所にならぬかという心配の問題、こういうことについて公団側としてはどのようにお考えになっているかなということを実は考えておるわけですが、先ほど申し上げましたように、橋梁技術の点では第一人者というふうに聞いています吉田理事がせっかくお見えになったようで非常に喜んでおるわけですが、今の二点についてひとつお考え方をお聞かせいただければ幸いだと思います。
  60. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 実は開通式の渡り初めのときに、たしか私と一緒に乗っていたのは建設省の近畿地建の局長だと思いますが、上から走りながらこれは危ないなということを私直感的に言ったのです。それで、網を張らなければだめだと。あそこは景観が非常にいいもので、橋の上から渦潮を見た方が立体的で一番いいものですから、特に今の若い人なんか非常にああいう光景を好むんじゃないでしょうかな、そういうふうに思った。それで網を張らないと、あそこでカメラなんかで撮っていて心ならずも落ちる心配がある。  私はそのときにもたしか局長に申したのですが、もう大分前の話で、私的なことで恐縮ですが、私の非常に親しい人が富士川を自転車で歩道を渡っていたんですね。それで富士山が余り景色がいいものだから、それを見ていて下へ落ちちゃったわけですね。そういうこともあるので、あそこのところは下が、すそがこのくらいしかない。あれは非常に危ないなということ。それから、恐らく車は側道のところへとまるんじゃないかな。下に網か何か張ってあるのかと言ったら、何もないというようなことを言っていまして、私非常に危ないと思ったのです。これは直感的に私は渡り初めのときに一緒に同行した近畿の局長に申したわけです。  そんなようなことで、非常にいい景観ですから、私先ほど申し上げましたように、二十世紀の英知が結集したこの鳴門大橋というものは、技術陣の皆さん方に対しても私は大変立派なものだという敬意を表したいと思うのですが、そういう配慮もできたらしてもらわないといかぬな。こういうふうに全く先生の御意見と同感でございます。
  61. 吉田巖

    吉田参考人 先生御承知のように、大鳴門橋は自動車専用道路でございまして、故障車など以外は駐停車禁止の状態になっております。ただ、今お話ございましたように、人間の気持ちとして、下に渦潮が見えるというわけで、とまりたい衝動に駆られてというようなことが起こってくるかと存じますけれども、道路構造上もあるいは安全確保のためにも駐停車というのはやめていただかなければいかぬわけでございまして、私どもは、非常に危険である、したがってこれに対する対応が迫られるわけでございます。  それで、今たまたまお話がございましたように、投身自殺といいますか、そういうものも含めまして、いわゆる歩行者が入ることはございませんので、身投げをされる方も車でいらっしゃるわけでございまして、まずは車がとまるということをとめることが緊急である、必要不可欠である、こう思います。そうすると、その実態を、我々としてはカメラを橋上の要点要点に配置いたしまして常時観察をして、我々としてはそういう事実を事前に察して、そして拡声機その他で御警告をし、あるいはパトロールカーで車が行って、駐停車しないようにお願いをする。あるいははっきり言って身投げをされる方のそぶりが見えましたらそれを説得する、そういう事前の措置でぜひ事実の起こることを防ぎたい、こう思っております。
  62. 山中末治

    山中(末)委員 吉田理事のお話はよくわかったのですが、飛び込んではいけないと熱海の錦ケ浦にきれいに綱張っていましたね。いつの間にか網が破れて、だれが破るのかわかりませんけれども、そして今はどうかわかりませんけれども、景色が余りよくないようになった。だけど飛び込む人がある。まして今建設大臣おっしゃったようにあんなきれいなところですからね。これは吉田理事さん、一生懸命そういうふうに考えておられるというのはありがたいことなんですけれども、防ぐのはなかなか難しかろうなというふうに実は思うのです。それはそういうふうにやっていただいたらありがたいのですがね。  そこで、実はこれも素朴な提案でございますけれども、あの橋の車の通る下側が鉄道が通るようになってございますね。あそこを鉄道が通るまでの間活用していただきたい。自殺はもちろんとめないかぬのですけれども、とまったらいかぬ、見るなと言ったって、やはりそれは見ると思いますな。僕だって、ははあ、動きますわと言いよってとまると思います。やはりそうなると、下側の鉄道の予定の道ですか、そこを何か活用して、そしてそこではとまって鳴門の渦潮を見てもらってもいい。設備要りますけどね。そういうふうなことで通過交通と観潮とを使い分けるような方法がないだろうか。  素朴な話で、実現するかどうかわかりませんけれども、これを同僚議員さん、先輩議員さんにも実は相談したのです。それはアイデアとしてはいいじゃないかということで、それで通行料はこれはいただかなければいけませんけれども、そういうふうなことを実は考えて、私がきょう一般質問さしてもらうならあの鳴門の橋をよく知っている議員さんの分も代表して今のような提案をしてみたらどうかということですので提案申し上げたのですが、その点可能性がありますか。
  63. 吉田巖

    吉田参考人 御承知のように橋の構造は上下二階建てになっておりまして、上が道路でございまして、下が将来新幹線が通るというような二階建て構造でございます。今の御提案は下の階、鉄道が走る予定の空間の御議論だと存じますが、実は道路と鉄道を分けておりますので、御提案のように自動車を下の階に持っていく、誘導するということは、もう既に橋ができております、それから当然前後は御承知のように国立公園でございますので、そういう中で今からそういう仕事をすることはできないと私は考えます。  ただ、自動車を下の階に持っていく以外の方法で御提案のような観潮も含めて利用できないかというお話は、兵庫県、徳島県、県を含めまして地元の方々から御要望が出ていることも事実でございます。ただ、利用するにつきましては、当然橋梁本体への影響もございますので、私どもとしてはそういう御希望が具体のものとして御提案があったときに改めて検討させていただきたい。そういう御希望が非常に出ておることも十分承知しております。
  64. 山中末治

    山中(末)委員 そういう御希望があれば検討したいということでありますが、今そういう要望をしておりますので、ひとつ御検討いただいて、私は無理にそうしなければならないと思っていないのですけれども、一つの方法として、先ほど大臣も心配されていましたけれども、ああいう心配事がそれによって解消していくという方向でひとつ御検討を賜りたい、このように思います。  なお、大鳴門橋の完成につきましては、先ほどの大臣答弁で大臣の感想等も聞かせてもらいましたので重複は避けますが、やはり地元で聞きますと明石大橋の問題が非常に強い要望として出てきているのは事実であります。ですから、社会経済的な状況の中で今すぐにどうこうだと言うことは難しいというふうに思いますけれども、とにかくストップさせられているから手がつけられないのだということではなしに、経済社会情勢につきましてもこれが好転をしていく場合には手をつけられるわけですから、ひとつ前向きで明石海峡大橋の建設について御検討、促進方を考えておられるのかどうか、ちょっと角度を変えて大臣にお聞かせいただきたいと思います。
  65. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 全体的ないろいろな活力のある経済社会とか、それから均衡ある国土の発展ということがもちろん我々建設行政の基本でございますから、それからこの間の開通式に伺っておの熱狂的な地元の皆さん方の喜び方、感激というものを見て、私も同じような気持ちになったことは間違いございません。  先ほども申し上げましたように、臨調との関係も、これから一体どういうふうに御理解いただくのか。それからまた、いろいろ民間の協力によって民間活力を導入できる最大限の部分というものは一体どういうことになるのだろうか、御理解いただけるかどうかというような点等も、率直に申し上げて私ども、事務当局にいたしましても公団にいたしましても、とれもずっと長い間調査をして、私もこの間どのくらい調査費がかかったかと言ったら百三十億近い調査費がかかっているわけですから、かなり長い橋で、三・六キロとか言って、これは世界一と言われているわけですから、そういう点の事前調査での技術的な解明、そういう問題は今までと同じように続けなければならぬでしょうし、それからまた、いろいろな客観情勢というものが好転し、だれが考えても地元の総意なりまた民間活力なりそういうようなもので着工ができる条件が整備されれば、もちろん地元の皆さん方の考え方と私どもは認識も一致しておりますし、そうしなければ今申し上げるように効果とか活力のある、また均衡のとれた経済社会というものが生まれないわけでございますから、今はどっちかと言うと片肺飛行みたいなものですから、そういう点についても十二分に理解をしているつもりでございますので、前向きで検討させていただきたい、こういうふうに思っております。
  66. 山中末治

    山中(末)委員 それではひとつ前向きで促進について御尽力賜りますように、重ねて要望申し上げたいと存じます。  次に、京滋バイパスの関係についてお聞かせをいただきたいのですが、きょうはその道路等につきましては今日まで随分深い造詣のある渡辺理事さんにお見えいただいているようでございますので、簡単に京奈バイパスの進捗状況はどういうところにありますかということが一つと、これは前回の委員会で同僚議員も質問をされたわけですが、六十三年京都国体までに京都府内の京滋バイパスの工事が全部できないだろうかという点についても、あわせてお聞かせいただければ幸いだと思います。
  67. 渡辺修自

    渡辺参考人 お答えいたします。  京奈バイパスでございますが、私ども道路公団では五十八年の六月に事業許可を受けまして、それ以来現地に入って進めておるわけでございますけれども、今の進捗状況は、五十八年の十二月から五十九年の五月にかけまして中心ぐいの設置、これを全部終わりました。その後、地元と設計協議を進めまして、必要な幅を出して幅ぐいを打設する、幅ぐいが打てましたならば今度は用地買収と、こういう段取りで進むわけでございます。  一部の地区、これは城陽市でございますが、設計協議がまとまりまして、間もなく用地買収に入ろうというところに行っております。その余の田辺町であるとかいろいろ地区がございますが、逐次設計協議を進めまして、今申し上げましたような段取りで進めていこうというふうに思っております。  ただ、京都国体が昭和六十三年でございまして、あと三年しかないわけでございます。そこで今、鋭意設計協議を進めるべくやっておるわけでございますが、これはどこでもあることでございますけれども、一部ではやはり難航しておるところもございまして、今後の用地買収それから工事の工程を勘案いたしますと、全線を六十三年国体に間に合うようにというのは、私はこれはちょっと困難かと思っております。     〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕
  68. 山中末治

    山中(末)委員 では六十三年国体までにどこまでやられる計画なのか、お聞かせいただきたいと思います。
  69. 渡辺修自

    渡辺参考人 今のところ大変交通上のネックになっておりますのが、この京奈バイパスと直角に交わっております国道三〇七号というのが田辺にございます。この田辺の三〇七号のバイパスを府の方で御計画になっておると伺っておるわけでございまして、そういたしますと、こういったものと一緒になりますと実は大変効果が出てくる面もございます。府道の八幡木津線の混雑緩和にもなるわけでございますので、できることならば田辺の西のインターといったところまでは何とか供用ができるように努力をいたしたいと考えております。
  70. 山中末治

    山中(末)委員 三〇七の併用といいますか活用、これはよくわかるのですが、田辺の西インターということになりますと、これは御存じだと思いますけれども、精華町、木津町内の新設が取り残されますね。それで、私も地元で、地方自治体あるいは住民の方から大分いろいろな要望を聞いているわけですが、これは困難だというふうにおっしゃっていますけれども、何としても馬力を出して国体までに供用開始ができるような御尽力をさらに願えないだろうかと実は思うわけなんです。  今選択に入っていない地域もありますし、もちろんこれから設計協議に入らなければいかぬというような地域もあるようですけれども、私どもが聞いている範囲では、これは公共団体から聞いているわけですが、地元にはいろいろな問題があるけれども、しかし努力さえすれば解決していくだろうということを聞くわけです。現場の方も、夜となく昼となく地元へ行っていろいろと話し合いをしたりしておられることはみんな認めているわけですから、これは思い切るときには思い切るというふうにせぬと、とにかく早く進めるという人や、あるいはまた用地買収の話等についても、ここまで実施計画が来ぬことには話にならぬと言われる。それでは六十三年国体までに京都府下の全線の供用開始をするということは困難だと思うのです。  やはりこういう道路の建設とか大きい事業については、大きな決断といいますか思い切りというものが一つ大事じゃないかと思いますが、地元の方は、京都願内は非常に難しいかもわからぬけれども、道路公団に御尽力、御努力願ってぜひとも仕上げてほしい。そうしませんと、投資効果が本当に出てこないのじゃないか。地元では、供用開始のときは四車線にしなくても二車線でもいいと言っていますね。そういう地元の要望ですから、やはりこれに極力こたえていただくということで進めていただきたいと私は思います。  今おっしゃったように、地元にいろいろな問題があるので難しいと思うということですが、田辺の西インターじゃなしに、もっと西へできるだけ延ばしていただきたいと考えますが、再度お考え方をお聞きいたしたいと思います。
  71. 渡辺修自

    渡辺参考人 京都と奈良という二つの大きな都市でございますので、本来ならば当然四車線の道路がとっくの昔にできていなければいかぬところかと思うわけでございます。そういうことで、京奈の重要性は地元でも大変認識していただいておりまして、おかげさまでそういう点では、一部問題があるところはございますが、非常に御協力いただいている面も多いわけでございます。  ただ、今申し上げましたように、全部一遍にかかるというわけにはいきませんので、やはり今のところは北の方から南に向けて進んでおるわけでございまして、職員の問題あるいは予算の問題等もございますので、先生の御要望につきましては十分よくわかっておりまして、私どもも努力はいたしたいとは思いますけれども、現時点では確約申し上げることはちょっと御容赦いただきたいと思います。
  72. 山中末治

    山中(末)委員 それでは具体的に要望を申し上げておきます。  今おっしゃったように、田辺西インターより西の方ですね、これについて、例えば隣はもうすぐ精華町でございますから、精華町は町内だけで大体四・九キロあるのです。精華町当局は助役を一人ふやしまして、それで対応をしてきておるのです。最近ふやしたのです。半年ぐらい前に、何とか頑張らなければならぬ、河本大臣の方の話もありますし、助役一人ふやして頑張っておるということで、田辺の西などと言わぬで、少なくとも精華町内の四・九キロ及びこの地内に精華インターの計画がございますね、それの用地買収も早く進めてもらいたい、こういう強い要望があります。これは今もう御答弁願いましたので、さらに要望としてつけ加えさせていただきたいと思います。そのかわり、地方公共団体も私どももできる協力はやっていきたいと考えています。  それからもう一つの問題、今渡辺理事さんがおっしゃったように、用地買収にはいろいろな問題が伴います。また、新しい道をつけるのにはいろいろな困難が伴うわけですが、実は、この間日曜日に、この間といっても三週間ほど前ですが、私、野球をやっておりましたら、今の田辺町ですけれども、そこへ十人ばかりの方が来られまして、車の中へ呼び込まれて、何の話かと思ったら、青葉台住宅というところの方なんですけれども、道路公団の方といろいろ話はしているけれどもなかなか進捗しないんだ、何の話ですかと聞きますと、いわゆる排ガスの問題とか騒音の問題とかそういうことについて、道路構造について善処してほしいということを申し上げておるけれども、道路公団の方自身はちょこちょこ来られて話し合いをされているらしいのです。それについては不平はないのです。その話の内容なんですね。一生懸命努力していただいていることはわかるけれども、我々の要望も取り入れてほしいんだと言っています。  それで、こういう席でそんな具体的なことを申し上げることはできませんので、道路公団の方へ前もって、その方々がどういうふうに思って要望しておられるのか、そういうものを資料提出しています。まめに話し合いはしておられるようですので、先ほど決断が大事ですよと言ったのは、そのあたりでやはり決断すべきものは決断していくということで進捗を図っていただかぬとなかなか難しいのじゃないか、現場も困ってしまうのじゃないかと思いますので、ひとつ決断をするときには決断をしてもらいたいと私は思います。  具体的には、初めはその地域は道路が通ってもらったら困るという話だったのです。私が行ったときは、三週間ほど前ですけれども、ウグイスが鳴いていました。静かなところです。台地の上ですし、非常にいいところなんですが、私も住宅都市整備公団関係で今まで十年ほどの間、町の中へ住宅一万戸を建設してきた経験があるのです。そのときは土を搬出せずにその中でつくっていこうということでやったのです。うまくできたのですけれども、ただ、丘ですから団地へ入っていくとき登り勾配があるわけですね。  ここの状況というのは、やはり自動車がローにして吹かしますから、ブーンといううなりが家の中へ入ってくるのですね。二重窓にしてもブーンというあれはなかなか消えません。実はこういうことがあるのです。私もその家に呼ばれて、御飯でも呼ばれながらその音を聞かせてもらったことがたびたびあるのですが、そういうことがありますので、住民の方々の願いといいますか、これをひとつ率直に聞いていただいて、そして決断すべきところは決断していただきたいな、このように要望を申し上げておきたいと思います。  それからあと、最後になりましたけれども、この前の建設委員会質問の中で、京都市西京区から久世郡久御山町まで十六キロの幹線道路、これは京都第二外環状道路ですね、この説明道路局長さんがされておられました。これは一般国道一号の京滋バイパスと同じく九号の老ノ坂亀岡バイパス及び第二京阪道路、これを相互に連絡をしながら京都市の都心方向に集中している交通の状況を分散さしていくのだ、こういう説明をされておりまして、非常にいい計画だなと思っているわけです。その計画が、今までの間、近畿地建においていろいろな調査をなさっている最中だということを聞きましたが、この調査の進捗の状況計画の概要等を簡単にお示しいただければありがたいな、このように思っております。
  73. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 御指摘の京都第二外環状線でございますが、現在近畿地建におきまして路線の検討及び道路の構造、文化財、環境への影響等、総合的な調査を実施しているところでございます。今後、さらに調査の促進を図るととともに関係機関との調整を行いまして、できるだけ早期に路線計画を策定してまいりたい、そのように考えております。一生懸命やっておりますので、よろしくお願いします。
  74. 山中末治

    山中(末)委員 今答弁いただいたのですが、今の答弁、私ゆうべ議事録を写してきました。この前の委員会局長が御答弁なさったと全く同じことです。読み直してもいいと思います。これは余り冷やかしたらいけませんけれども、そういう状況だと思います。  これは非常に大事な道路でございますし、御承知のように、南北の道路はあの付近は割に多いのです。一七一からずっと東の方まで計画も多うございます。ところが、東西の道路が余りないのですね。あっても主要地方道程度のものであって、こういうでかいものはないということで各道が停滞をしているということが言えると思います。そういう中で、今局長がおっしゃったように、できるだけ早くこの計画を策定して、都市計画決定も打たなければいけませんし、急いでいただきたいというふうに思います。  それからもう一つ。以前の委員会で、私は京都第二外環状道路の計画を余りよく知っておりませんでしたので、名神高速の京都南インターに入る今の一級一号国道、これは非常にふくそうして、私はしょっちゅう通っているわけですが、普通なら京都駅まで四十五分くらいで行けるのですが、それが二時間くらいかかる場合が非常に多いです。それは、南インターに入っていく車が国道一号の四車線の二線をとってしまうので、出てくる車がありますね、そこでふくそうしていくということで、付近も、一級一号国道の両わきともいろいろなものが建っていまして、あの拡幅というのは非常にしんどい。そういう中で、名神の京都南インターから吹田の間が今度は一車線ふやされるわけです。名神の流れがよくなる。だから、あれは七万台ぐらい今通っていると思うのですね。ところが一級一号国道の場合も六万四千台通っているというのが建設省の資料で出ているのです。そうすると、名神高速へ入るスピードアップができる、大量の車が運行できるということになれば、もっと南インターへ車が寄ってくるのじゃないか、そのアクセス道路としてはあの一本ではどうもならぬということを申し上げたはずです。  それで、大阪の方から来ます旧一級一号国道、今は府県道ですが、あれと桂川の向こう、西側にあります国道一七一、あれとバイパスをつなげば国道九号あるいはまた二十七号等へ、老ノ坂バイパスへ抜ける車がふえてきて、京都市内、南インターのふくそうが大分助かるのじゃないかということを申し上げたわけですが、先ほどちょっと申し上げたように、京都第二外環状道路という御計画がありますから、結果的には恐らくこれに乗っても同じことだ、だからこれはいい計画だと思っているわけです。  それで、この十六キロといいますのは西京から久世郡久御山町までの間ですね。そうすると、いずれ桂川を渡らなければいかぬわけですね。どの地点で桂川を渡ることになるのか、その辺の見通しだけでもお聞かせいただければありがたいと思います。     〔中島(衛)委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 京都府大山崎町地内の国道百七十一号線と八幡市地内の府道枚方京都線の間を結びます桂川の架橋の問題を先生おっしゃっているのだと思います。  この点に関しましては、都市計画道路石見淀線としまして昭和四十二年に都市計画決定されているところでございます。これは幅が二十二メーターでございます。  この桂川架橋と京都第二外環状道路との関連につきまして、現在京都第二外環状道路の路線計画を策定する過程で、路線の具体的な内容につきましていろいろ調整を図りながら、どこで渡るかということを詰めているところでございます。多分、当該都市計画決定された道路のところで渡るのじゃないか。それから、幅も多少広げなければいかぬと思います。都市計画の変更でございますね、そういうことになろうかと思いますが、これは今近畿地建が現地で一生懸命詰めておりますので……。  以上でございます。
  76. 山中末治

    山中(末)委員 宮前橋という橋もかけかえてもらったのですけれども、あれも幅員が大分狭うございまして今ふくそうしておりますし、今おっしゃるところなら、宮前橋から多少下流側になるわけですね。わかりました。  ちょっと時間が残っていますけれども、これで質問を終わらせていただきます。
  77. 保岡興治

    保岡委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  78. 保岡興治

    保岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。関晴正君。
  79. 関晴正

    ○関委員 私は、四月二十六日に閣議の口頭了解ということでなされましたむつ小川原開発計画のことについて国土庁長官にお尋ねをいたしたい、こう思います。  まず第一は、このむつ小川原開発の第二次基本計画に青森県の側から「付」なるものを昭和六十年四月十七日付でつけ加えて、そうして閣議の口頭了解ということに至ったようであります。この「付」なるものを見ますと、この「付」の中のいわゆる核燃料の三点セット、すなわち一つは廃棄物の貯蔵庫、一つはウランの濃縮工場、そしていま一つは使用済み核燃料の再処理工場、いわゆる三点セットなるものであります。ところが、この付表によるところの三点セットの位置づけが問題である。  むつ小川原開発第二次基本計画昭和五十年の十二月二十日に県が策定いたしまして、そうして五十二年八月の末に国が閣議口頭了解、そしてきちんと一つの計画を認知したと申しましょうか、定めたものであります。この定めたものによりますと、いわゆる工場等の配置計画というものによりますと、この場所には、いわゆる大石平、弥栄平というところにそれぞれ原油タンク並びに製品タンク並びに石油精製プラント、こういうようなものが位置づけられているわけです。その同じ場所にこの「付」なるものをつけ加えて、そして閣議で了解されたということは、実は腑に落ちないわけであります。  何ということなんだ。今まで定めた場所というものは、それじゃどこに行ったのだ。どこにも行かない。同じ場所に「付」をつけ加えて、そうして閣議口頭了解、理解ができません。この点についての長官のお考えをお尋ねしたいと思います。
  80. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 今回の青森県の計画修正によりまして、従来の青森県のむつ小川原第二次基本計画の土地利用計画等につきまして、県の新しい計画と抵触する範囲におきまして修正を受けたことになりますが、このような計画修正の考え方につきましては、先日のむつ小川原総合開発会議におきまして青森県から説明があり、関係省庁も了解しておりまして、閣議において了解されているところでございます。  なお、工業開発について、むつ小川原地域の振興を図るという基本的考え方には変わりなく、今後多角的な企業立地の促進を図るとともに、企業の立地の具体化に応じて具体的な土地利用計画等については青森県及び関係省庁と調整していく考えでございます。
  81. 関晴正

    ○関委員 大臣、このむつ小川原開発の第二次基本計画というのはごらんになっていますね。大臣、これをお読みになっていますか、お答えください。
  82. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 青森県の第二次計画につきましては、十分承知しております。
  83. 関晴正

    ○関委員 同じ場所に三点セットを置くというと、この計画はどこへ行くのです。今までの閣議口頭了解の計画された石油精製、製品タンク、そういうところはどこへ移るのですか。同じ場所にこれを置いたらどうなるのです。どこへ移るのです。
  84. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 前の計画の上にそれが乗るということは、私は新しい計画が優先するという解釈をしております。
  85. 関晴正

    ○関委員 新しい計画が優先する。と。そうすると、これまでの計画はなくなるわけですか。
  86. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 新しい計画が上に乗ったということでございますが、前の計画につきましては、先ほど申し上げましたように他の地区がございますから、工場誘致などにつきましてはまたよく連絡して転換するというふうな解釈をしていただければいいのではないかと考えているわけでございます。
  87. 関晴正

    ○関委員 私は長官をいじめようとは思わないのですが、長官、少なくともむつ小川原開発第二次基本計画というものがきちんとそろってあるわけです。そして、この基地の中に石油精製工場、原油タンク、それから製品タンク、こういうふうに位置づけられている、これが大石平というところであり、弥栄平というところなんだ。この同じ場所に今度は先ほども申し上げた三点セットを置くというわけだから、置くならば、今まで置く予定のものはどこへ行くのですかと聞いたのです。そうしたら、どこへ行くかわからない、でもなくなったのじゃない、今までの場所からはなくなるけれども計画がなくなるのじゃない、こういう話をされるわけです。  これほど欺瞞的なものはないと思うのです。なぜ今までの場所にこれを重ねるのか。重ねることにしたならば、今までの置く計画というものはどこかに移すなり定めてくれるなら別です。何も定めないということになりますと、重ねたままですよ。第二次基本計画のこの文書は生きているわけですよ。この文書が生きたままにこの「付」も生きているとしたらどうなるのです。今まで一つのおりの中にトラを置くつもりであった。今度はトラだけではなくてライオンも置くのだというのが方針になった。トラとライオンと同居させるのかと言ったら、同居させると言う。タイガーとライオンじゃ、ライガーが生まれるのかなという話まで出てくるわけです。そうしたらライオンは置くが、タイガーの方は適当な場所に連れていきます、こう言っているのですよ。  閣議口頭了解というものがどうでもいいものなら何も申しませんよ。先に定めたものを今度はこう変更するというなら、こう変更すると言って文書で示したらいいでしょう。文書はこのままですよ。そして解釈で新しいものがつけ加えられれば古いものに重なるなんて、何です、この話。これはどこの話なんですか。田舎のじいちゃんとばあちゃんの話だというならわかるよ。少なくとも今日の政府の閣議において、こういう重ねられることをそのままにして、そうした新しいものは古いものに優先する、では、古いものはどこへ行くのかというと行き先は不明ですよ、それで了解というのはどういうわけなのだ。これほど不可解な了解はないじゃないですか、どうです、これは。
  88. 田中暁

    田中(暁)政府委員 大臣がお答えしたとおりでございまして、この「付」ということが承認されることによりまして、先生御指摘のように、それまでの第二次基本計画の石油シリーズの立地が予定されていた土地利用等の部分につきましては変更を受けたと解しているわけでございます。そういった考え方につきましては十四省庁の会議においても県からそういった説明があり、それを十四省庁了承をいたし、また閣議におきましてもその旨の報告を大臣からしていただきまして、了解されているところでございます。  先生御指摘のように、それでは、それまで立地を想定しておりました石油シリーズが今度はどこの場所に行くのかということでございまして、これが現在の段階におきまして、今の五千ヘクタールの工業開発地区のうちの具体的なこの場所に移すのだということが検討できるほどの段階に達していればそれでいいわけでございますが、御承知のとおり、現在石油シリーズの立地は大変難しい状況になっておりまして、第二次基本計画で想定しております規模で、またその時期で立地されるかどうかということにつきましては、正直申し上げまして大変問題があるだろうと思うわけでございます。  現段階におきましては、今までの予定しておりました場所から動くはずの石油シリーズがどこに移るのかという具体的な結論を出すに至らなかったということでございまして、今後、技術開発の進展でございますとか、我が国にございますいろいろな石油シリーズ関係の陳腐化に伴います新設、そういったものの動向がもう少しはっきりした段階で具体化されていくものだ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  89. 関晴正

    ○関委員 何というだらしのない閣議の了解だろうかと思うのです。青森県がむつ小川原開発の第二次基本計画をつくるに当たっては、昭和四十七年九月に一つの線が出まして、その線の手直しを命じられてそして第二次基本計画まで至って、それから二年近くたって閣議口頭了解に至ったわけです。それはそれは緻密な計画のもとにこの基本計画を国は承認したわけですよ。  なだらかな丘の上の方には原油タンクを、そこから流れてきて石油精製工場、さらにそこでつくられた製品をその下の方の勾配を取ったところにつくる製品タンク、その他のところには石油化学、それから火力発電を、そうして原油タンクを、あと大きな場所はそれぞれ緑地帯として、そういう意味で五千二百八十ヘクタールの計画のうちの工場計画というのが二千八百ヘクタールある。その二千八百ヘクタールあるうちで今申し上げた三つの石油精製が頭、それから石油化学が胴、火力発電が足と例えれば、頭と胴と足を設定したわけなのです。今度はその頭のところに核燃料サイクル基地を持ってくる、こういうことなのだ。  じゃ、頭はどこへ行くのか、なくなるのかと言ったら、頭はなくならない、首はついているのだ。どこに首はついているのか。首は肩についているのか、へそについているのか。首はどこについているのか、それは定かじゃありません、こう言っているのじゃありませんか。そんな定かでないものを閣議口頭了解なんて言って通すことができますか。血のにじむような苦労をし、その上でつくり上げた土地の買収であり、漁業権の取得であり、そういうことで行われてきたことの計画なのです。その計画の首が抜けてしまってもまだ抜けたのではない。どこへ行くのだと言ったら、どこへつけるかわからないが、抜けたのじゃない。こういう論は乱暴じゃありませんか。  少なくとも大臣各位に良識があればこんなものは待ったをかけるべきじゃありませんか。なぜ待ったをかけないのですか。こんなきずのあるものをどうして通せるか、こう言うのが閣議じゃないですか。今からでも遅くない。きずに気がついたならば直す、これは撤回してもう一遍吟味をする、こういうふうにすべきではないでしょうか。私はそう思いますよ。  しかも、あなた、この文書はこの第二次基本計画の文書を何も直していないじゃありませんか。我々のよりどころは文書でしょう。この文書のどこに変更を加えられましたか。このまま生きたのでしょう。頭二つのお化けをつくったのでしょう、あなた方、閣議口頭了解というのは。そう思いませんか。大臣、どうです。
  90. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 本件につきましては、閣議前日、先生から事情を十分承ったわけでございますが、この関係十四省庁の間で慎重に検討しました結果、核燃料サイクル施設の立地はエネルギー政策の観点から重要であるという結論が出ましたのと、地域開発にも大いに貢献するところがあるという基本的な合意が得られましたので、基本事項につきまして閣議了解を得たということでございます。
  91. 関晴正

    ○関委員 方向について了解することについては否定いたしませんよ。しかし、二次基本計画をそのままにして付表を加えただけでしょう。二次基本計画の中に付表と重なるところを何も直していないのですよ、あなた方は。直して、ここを削ってとりあえずわきに置いたというのならこれはまた別ですよ。この文書は生きているでしょう。それに矛盾を感じませんか。閣議口頭了解というのはどうでもいいことですか。私が全部読んで聞かせなきゃあなた方わかりませんか。新しいものが生きて古いものが死ぬなんというのは、これは何の話です。古いものがだんだん死んでいって新しいものが芽を出すというのは、自然界の話かもしれない。  しかし、この政治の世界にあって、行政の世界にあって付表なるものをこれに入れるというのです。この第二次基本計画の中に「付」なるものを入れるといって入れた。入れたら、ぶつかるところははみ出るのでしょう。はみ出るものをそのままにしておいてあなた方は認めたでしょう。頭二つじゃありませんか。頭二つだと思いませんか。三つ目小僧だとか二つ目小僧だとかよく話にあるが、ヤマタノオロチは八つだ、ヤマタノオロチまではいかないだろうけれども首は二つですよ、これは。  こんなおかしいことをあなた方の閣議口頭了解でどうして了解できるのです。みんな頭を二つ持っている人ばかりやっているのでしょう。(「頭いいんだよ」と呼ぶ者あり)よ過ぎる。これは頭一つに直してくださいよ、大臣。ここは大臣だよ。大臣以外にこれはやる人いないのです。青森県の知事なんて愚かの最高なんだから、こんな愚かな知事の言うことを聞いて成り下がって、そうかそうかとわかりながらもあなた方はやったでしょう。共犯の疑いさえあるのですよ、これは。余りひどい言葉はもっと後に言うつもりだけれどもね、初めから言ってしまえば困るから。これは容認できないですよ。こういうどこへ持っていってもおかしいことをあなた方は平気でやっているのです。  そこで、この問題について私の方から内閣官房長官に申し入れをしましたよ。十四省庁会議というのは頭が当たり前でない者ばかりそろっておられるようだから、みんな無口で、権力に弱くて、従っておった方がいいからというので物も言わないできている。これはおかしいからひとつ官房長官、あなただけは頭一つにしてやってくれませんかと社会党は申し入れしたのです。わかりました、こう言ったのです。わかったはずの人がそのまま通しているわけですよね。本当は高等学校に合格するだけの力がない。力がないのだけれども裏から入れてやれというようなことが間々この世の中にはある。落ちた著はどうするか、裏入学なんということがある。これは本当に資格上困るなと藤波官房長官は考えたはずです。  そればかりじゃありません。この問題を閣議決定する際に、私は外務大臣に申し上げております。外務大臣は十四省庁会議のメンバーではありませんからね。せめてあなただけでもひとつ、あの天ケ森の射爆場のアメリカの訓練飛行が行われる特別管制区の下にこうした核燃料の施設ができるということは好ましいものではないので、日米合同委員会の議を経てひとつ了解を求めるようにしなさい。そうしたら外務大臣は、この話は初めて聞く。この話は閣議口頭了解の三日前ですよ。内閣委員会の私の質問で、安倍外務大臣がよく吟味をしたい、こう言ってお答えがあった。  まずここで、きょうは外務大臣はおられないでしょうから、外務省から、どんな吟味をされたのかそのお答えをまず先に聞いておいて、この二つ首にどんな態度をとったのかをお答えいただければと思います。
  92. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 お答え申し上げます。  外務省といたしましては、先生御指摘の射爆場の問題につきまして、これは日米安保条約及び関連取り決めによって我が国が米軍に提供しております施設、区域でございますので、引き続きその機能が維持されることが必要だというふうにまず考えております。それから同時に、四月に先生御指摘ございましたような原子燃料サイクル施設の安全の問題どこの射爆撃場の機能の円滑な維持運用との調整が十分に図られることが必要だというふうな考え方に立っております。その上で、そういう理解のもとに閣議了解の閣議に外務大臣が臨まれたわけでございます。
  93. 関晴正

    ○関委員 アメリカの側においても、その下にこういうものができてもいいのだと言うとるのですか。
  94. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 アメリカ側との関係につきましては、四月二十三日外務省から先生に御答弁申し上げておりますとおり、今後関係省庁とも御相談をいたしまして、必要に応じて連絡、話し合い等調整を行っていきたいと考えております。
  95. 関晴正

    ○関委員 それじゃ、お話を何もしていないわけですね。お答えください。
  96. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 外務省といたしましては、今までのところ、正式にこの件についてアメリカと話をいたしてはおりません。
  97. 関晴正

    ○関委員 それでいいんですよ。本当のことを言ってくれれば話は早く済むの。  安保条約に基づく訓練飛行、その下に核燃の施設ができる。そのことについてのアメリカ側との意見交換というものもなく、そして閣議の場では了解ということになるのはどだいおかしいことだと思う。外務大臣は何で黙っていたのだろうと思うのです。  しかも、私は外務大臣に特に申し上げましたよ。この協議に汚れてないのはあなただけだ、あとの十四省庁のそれぞれの諸君たちはすっかり汚れちゃっているから、頭が二つになってもう見ることができない状態になっているから困ったものだ、外務大臣だけはひとつまともに見て当たってくださいね、わかりましたと外務大臣は答えられたでしょう。わかった外務大臣が閣議のときに、この点についてはどうなっているのだ、我が方でももう少し調べたいから待ってくれと言うべきだと思うのだけれども、なぜ言わないのですか。
  98. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 私が最初にお答え申し上げましたような基本的な認識を外務省は持っておりまして、そのような認識に基づいて検討いたしたわけでございますが、その結果、そのような認識そのものについて政府部内で特に問題はないという理解で外務大臣は対処されたわけでございます。
  99. 関晴正

    ○関委員 何です、今の話は。問題がないという認識は何です。問題を提起されているでしょう。何の問題もないという認識は何ですか、今のお答えは。問題あるじゃないですか。訓練飛行機の下に核燃の施設があっていいということについて、問題ないというのですか、外務省の見解は。アメリカに聞きもしないで。何です、今の答弁は。
  100. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 私、大変言葉が足りませんで申しわけございませんでしたが、繰り返しになりますけれども、私どもといたしましてはまずこの射爆場自体が引き続き機能を維持することが重要であるというふうに考えておりまして、その上で、ただ、その核燃料サイクルの安全の問題との間に調整を図る必要が出てまいりますれば、その点について必要に応じて調整を図っていくようにアメリカとも話をしていきたい、そういうことでございます。
  101. 関晴正

    ○関委員 調整の内容を問うているんですよ。その内容に可能性があるかないか聞いているんですよ。調整するということはどういうことです。調整したいという内容は是認できる内容ですか。可能性のある内容ですか。言葉だけでしょう、調整と言っているのは。問題についてまともに見ていないんじゃないの。  運輸省は核燃の施設の上は飛行機は飛んではならないという通達を出していますよ。控えて、遠慮して、その上は飛ばないようにという通達を出している。これは運輸省が出していますよ。危険が伴うからですよ。施設の上を飛んではならないという指導、通達を出していながら、飛んでいる飛行機の下にはつくってもいいということにはならないでしょう、少なくても。しかも、この問題については予算委員会で運輸大臣がきちんと、アメリカの飛行機であろうと国防上の飛行機であろうと自衛隊の飛行機であろうと民間であろうと、そういうものの上を飛ぶことを認めるわけにはいかない、こうはっきり答えていますよ。外務大臣だってアメリカの訓練が行われるその空の下にそんな危険なものができていいとは思っていないはずでしょう。  特別管制区というこの空域下に今の三点セットができるんですよ。調整というのは何です。この場所を変更するか、上の空を変更するか、どっちかでしょう。空を変更しようということができるかと言えば、さっき我が国の国防上難しいと言っているでしょう。難しいばかりじゃない。あそこにはF16が今また来て一層難しくなっている。  このむつ小川原開発の第二次基本計画には何と書いているかというと、天ケ森の射爆場は「防衛機能を阻害することのないよう調整しつつ、」「移転を含みその解決をはかる。」とあるわけです。第二次基本計画は射爆場のそばに工場を持ってくる場合も想定しているわけです。ですから、二次基本計画をつくって今日まで十年。十年の総括がなきゃならない。これからどうするのか。十年の総括のないままに、不用意に軽率に、そうして三点セットというものを同じ場所に配置する、こんな文書ありますか、こんな口頭了解ありますか。これはひとつ撤回するようにしてください。長官、いかがです。
  102. 田中暁

    田中(暁)政府委員 これまでの第二次基本計画というものが、石油ショックを契機といたします日本の経済の大変革によりまして、大変おくれているということは御指摘のとおりでございます。ただ、あの地区は我が国に残された貴重な大規模工業開発の適地であるという考え方というものは、依然我々そう思っておるわけでございまして、今後できるだけ多角的な企業立地を進めながら、できるだけ当初の、つまり工業開発を通じて地域の振興を図るというむつ小川原総合開発の考え方に沿った進め方をやってまいりたいと考えておるわけでございます。
  103. 関晴正

    ○関委員 何の答弁にもなっていない。むつ小川原開発計画というのは新全総計画が始まった昭和四十四年ですよ。高度経済だけなわのときにつくった計画なんです。それでみんなむつ小川原へむつ小川原へと草木もなびくがごとく土地買いが始まったんですよ。ところが、石油シリーズの時代は終わったんでしょう。石油化学にしても石油精製にしても火力発電にしてもすべて計画は落ち込んでしまって、外国の製品の方が安くなってしまって、この問題については我が国の将来というものはずっとしぼまってしまった。そこで、ここで大きく変更するならば変更するということで打ち出すのが閣議口頭了解の内容であると思う。了解があってからも計画があってからも十年、その前から考えると十六年ですよ。長期的展望に立てはだとか視点に立てはだとか言ってどれほどだましてきたかわからない。  その結果、むつ小川原開発株式会社というのは今日どれだけの借金を抱えておりますか、お答えください。
  104. 田中暁

    田中(暁)政府委員 むつ会社の借入金残高でございますが、ことしの五月末で千五百六億六千九百万円になっております。
  105. 関晴正

    ○関委員 どうです。むつ小川原開発株式会社の倍金、昨年の暮れには千四百四十六億でしたよ、半年もたたないうちに今や千五百六億、この後またふえていくでしょう。このままいったらことしどのくらいまで借り入れの見通しになっていますか。
  106. 田中暁

    田中(暁)政府委員 ことし末の借り入れの目標といいますか予定額というものは、承知しておりません。
  107. 関晴正

    ○関委員 あわよくんば三点セットに土地を買ってもらえば借金幾らか返せるという期待を持っているでしょう。そういう意味では計算がまだ立たないかもしれません。立たないかもしれませんけれども、あすに工場が建つわけでもないし、あすに売買が成立するわけでもないし、千五百六億を七、八%の利子でまたいくと百億を重ねますよね。年々百億を超える借金。そのたびごとに北東公庫が融資をするのでしょう。  借金の返済の見込みのない者に何で北東公庫は金を貸さねばならないのです。聞けば、あなた方が貸すように指導するから貸すんだと言っている。もうそういう指導はおやめになったらどうです。まだ返す見込みはなくても貸しなさいとあなた方は指導するのですか。
  108. 田中暁

    田中(暁)政府委員 御承知のように北東公庫は地域開発金融機関と呼ばれる政府系の政策金融機関でございまして、北海道、東北地域の産業の育成、発展のために長期資金供給することによりまして民間の金融を補うということが使命でございます。  むつ小川原開発のように非常に大規模な工業基地の建設事業は本来計画期間が非常に長期でありまして、先行取得いたしました。地の保有期間が長くなるということでございますから、途中で相当大きな借入金を持つという性格のものでございますが、特に先生何度も御指摘のように企業立地が大幅におくれていることがございまして、非常に経営状態が悪化いたしておることは十分承知しておるわけでございます。しかし、このむつ小川原総合開発の国家的意義というものは我々としては失われていない、今後も維持すべきものだ、こういうように考えておりまして、これに対しまして北東公庫が必要な長期性の資金を融資するということはあながち不当ではないというように考えておるわけでございます。
  109. 関晴正

    ○関委員 ひどい答弁ですね。返済の見込みのないものにも金を貸してもあながち不当ではないと思っている。この第二次基本計画によれば、昭和六十年には工場が煙を吐いていなければならないのですよ。この第二次基本計画の中にも一期計画、二期計画とある。その一期計画によると、もう六十年には煙を吐いていなければならない。何にもできやしないし、見通しも立たない。にもかかわらず北東公庫がなお金を貸し続けるという。こんな矛盾したものがありましょうか。金融の定則に反するのじゃないでしょうか。  北東公庫の代表が来ているはずですから、お答えをいただきたいと思います。
  110. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 お答えいたします。  ただいま国土庁の田中局長の方から御答弁ありましたように、むつ小川原開発の事業は当初計画に比べては相当おくれておるわけでございますが、当事業は国家的事業として長期的視点に立って推進する必要があると考えておるわけでございます。当公庫はこのような観点からむつ小川原開発に対して従来支援を行ってきているわけでございますが、このむつ小川原地域は、産業基地として我が国に残された少ない適地であるわけでございます。そういう意味で、今後エネルギー情勢の変化なり技術革新等に伴う産業構造の変革、そういうことに伴いまして新たに新規立地需要というものも出てくることが見込まれるわけでございます。  そういう意味で、この事業の推進は私どもの使命であります地域開発金融という点から考えまして十分対処してまいる、推進してまいるべきものとして今後とも十分関係省庁と協議の上対処してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  111. 関晴正

    ○関委員 あなたはかわった総裁ですね。この間の総裁は汗を流してもうしどろもどろに良心のとがめるところからお答えがあったわけですよ。きょうは吉岡総裁ですね。吉岡総裁のお言葉を今聞きますと、国家的立場に立ってやるのだ。国家的立場なんというものは今ないのですよ。これほど迷惑をかけて、開発難民は今生活保護の状態ですよ。あすに工場ができるからというので息子を工学部に入れる、高専に入れる、大学に入れる。土地代金はそっちに向けた。卒業したけれども何の工場もない。倒れたなら倒れたと思うのだが、まだ倒れてもいない。  あなた方は金を貸すときには順序というものがあるでしょう。政府と違うのですよ。この事業を一つ一つ調べて、そして返済の見通しの立つものに貸すのでしょう。あなた方、貸した金利も払えない企業に何で貸さねばならないのです。こんな金融機関が今どきどこにありますか。金を貸した、元金はもちろん利子も払えない、でもまた貸す。これは何でしょう。高利貸しの逆みたいなものだけれども。何貸したか知らぬけれども、これは中曽根貸しというのかそれとも河本貸しというのか知らぬけれども、こんなことは国民が理解しようとしたってできないじゃないですか。  あなた方は独立した公庫ですよ。国民の税金を預かって仕事をしているのですよ。何でも国の言うことを聞けばいいというものじゃない。聞けないものは聞けないと言ったらいいじゃないですか。そうしたら国はまた別な方法をとるでしょう。公庫としては、任務上背任行為に連なるようなことだからできない、こう言ったらいいじゃないですか。  よく考えておいてくださいよ、また返事を求めようとは思っていませんから。そのうちまたゆっくりやるけれども、総裁は総裁の権威にかけて、国民の税金を預かって、そうして東北開発の役に立つものに金をかけて、むだにならぬようにしよう。これはむだ金、死に金ですよ。前にも、死んだ馬に注射するようなものだからやめなさいと言ったでしょう。なおも死んだ馬に注射を重ねる。行政におけるむだ遣いをするなとあれほど言っても、大きなむだをしているじゃありませんか。これは本当に改めてください。  それから防衛庁長官、この長官もけしからぬ長官で、きょうはアメリカへ行ってしまっているからお答えはいただけないのだが、長官もあの地域における飛行訓練は施設の上には行かないようにしているからいいなんて言っているけれども、事実に相違いたしております。あそこに私どもの仲間が三日泊まりました、飛行機が来るか来ないか。何と来るわ来るわ。そういうふうに飛んでいながら、十キロも離れているからいいだろうとか、そういうそばの上は飛んでいませんなんて、とんでもない話だ、飛んでいて。防衛庁の代表、来ているなら答えてください。
  112. 保岡興治

    保岡委員長 防衛庁は来ておりません。
  113. 関晴正

    ○関委員 わかりました。来ていないのに時間をかけてもむだですからね。呼んできなさいよ、早く来いと言って。今せっかくいい話をしたのに何も聞かないままになってしまう。  結局、この間私に答えたのは、そういう空の上は十キロも離れているから飛んでいない。鷹架の方は飛んでいるけれども、そっちには行かないと言った。ところが、鷹架の上もこの施設はかかわるのです。  いずれにしても、いいかけんなことばかり言うから、三日間寝ないで、あの地域で飛行機がどれだけ飛んでくるか調査しましたよ。飛んでくるのですよ。アメリカですよ、自衛隊ですよ、みんな一緒です。そういう意味において、そういう空飛ぶ飛行機の下にこういう核燃施設を置いていいのですか。これは長官どうです。現実に今核燃の上は飛行機は飛ばないように指導している。では、飛んでいる飛行機の、どんどん飛びなさいという空のその下に核燃の施設を置くことを適当と思いますか。
  114. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 そういった問題につきましては、将来の問題でございますので十分配慮していかなければならぬという考えでございます。
  115. 関晴正

    ○関委員 ですから、今大臣も言った配慮が先になければなりません。できれば飛行機は飛びません、飛ばせません、天ケ森射爆場は撤去します、移転します、これならいいですよ。こういうことができますか、長官。
  116. 田中暁

    田中(暁)政府委員 先生御指摘のように、特に天ケ森の射爆撃場の防衛機能の確保ということと、それから核燃料サイクル施設の安全性の確保、その両方の調整ということは今後最も留意を要する事項であろうと考えておりまして、四月二十四日の十四省庁の申し合わせにおきましても特にその旨を記載しているところでございます。  つまり「防衛施設との関連については、その機能の確保に配慮しつつ、核燃料サイクル施設立地の安全性確保の観点から、上空飛行の制限等について必要に応じ所要の調整を行う。」という考え方でございます。  今後、核燃料サイクル施設の安全審査に当たりましては、その辺の、立地点の特性と申しますか、そういったことも当然審査の対象に含まれてまいりますので、安全の上にも安全を十分期してまいりたい、こういうように考えておるわけでございます。     〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕
  117. 関晴正

    ○関委員 環境庁、来ていますか。
  118. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 環境庁は来ていません。
  119. 関晴正

    ○関委員 来てない。とにかく事務当局も、十四省庁会議に加わったものはみんな出てくるように、こう言ったのに、その通り連絡がなかったからかと思いますが、環境庁においても環境の調査は何もしていませんよね。  それで石油精製工場はつくるという、そうして今の三点セットは置くという、世界のどこに核燃の三点セットと石油精製とが併設されているところがありますか、あったら知らせてください。
  120. 田中暁

    田中(暁)政府委員 先生よく御承知のように、核燃料サイクル施設のうち、現在国内にありますのは東海村の小規模の再処理施設、それから人形峠の濃縮施設であるわけでございますが、そのそばには、御指摘のように石油コンビナート等と隣接しているという例はございません。  また、私も全ての例を存じているということではありませんが、外国におきましても隣接している例というのは承知いたしておりません。
  121. 関晴正

    ○関委員 とにかく、石油精製そうして三点セント、これが置かれる場所に六ケ所村を位置づけて閣議は口頭了解したわけです。しかし、これを二つ置いた場合に、どういうような地域に及ぼす影響があるかという環境調査影響評価は何もやらないじゃないですか。二つ置いた場合に地元の産業がどう変わっていくのか、農業や漁業がどうなるのか、何も調べてないじゃないですか。何の調べもないままに二つ置いて結構でありますというのは一体何です。どうしてこういうような愚かな、そして軽率なことを閣議で口頭了解したのですか。  少なくともむつ小川原開発第二次基本計画というものを取り入れてこの修正を行うというならば、修正を行うということをきちんとしたらいいじゃありませんか。それを今のような「付」というもので、今まであったものをふっと消してしまったようなものでしょう。これは許されません。消したなら消したでいい。この文章を削除すればいい、この文章は生きているんでしょう。これはどう言ったってきずものですよ。口頭了解はやり直しをしてください。大臣、あなたの責任でこれはもう一遍考え直す。重なったままでいいというわけにいかないんだ。しかも二つ置くというなら二つ置くなりに、環境アセスも整えた上でちゃんと持ってこい。そうもしないで、電事連の言うことばかり聞いて、その家来に政府が成り下がっているようでは許すわけにいかない。近いうちに電事連を呼んで、電事連にもまた考えをたださなければならないと思っております。  少なくともこのむつ小川原第二次基本計画に「付」に書かれていると同じことが石油精製で書かれているわけだから、これを置いたまま、文章を置いたまま——六十七ページを見てくださいよ。大石平に弥栄平、地名も同じ、場所も同じ。そういうものをどうして認められますか。解釈で済まされますか。書かれたものが生きているんですよ。きずものですからね。首が二つあっていいというわけにいかない。どこについてるかと言えばついているところがわからない、どこかにつけたいと思う、こんな国会の答弁は今までにないでしょう。  これはやはり大臣が責任を持って、さきの閣議口頭了解はこの際見直しをする、そうして青森県にもっとちゃんとしろ、こう申し上げる、こういうふうにできませんか。
  122. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 本件につきましては、昨年の七月、私が就任前でございますが、むつ小川原総合開発会議におきまして青森県より報告を受けておりまして、会議の構成省庁は、核燃料サイクル施設のむつ小川原地区への立地を想定して、新たに生ずる課題につきましてそれぞれの立場から検討を行って論議を重ねてきたところでありまして、約九カ月に及ぶ慎重な検討を踏まえ、核燃料サイクルの施設をむつ小川原地区に置くという結論が出たわけでございまして、今先生御指摘の第二次計画と重複いたしますが、これが新しい計画だと御理解願いたいと思います。  また、我が国のエネルギー政策及び原子力の政策の見地からいたしましても重要な課題であるという認識のもとに、今後青森県及び地元の発展のために基本的事項についてもいろいろ申し合わせて慎重に対処していきたいという決意でございます。
  123. 関晴正

    ○関委員 大臣、あなた方が打ち出したものは打ち出したもの、これまでのものはこのまま、これじゃどうにもならないでしょう。書かれたものが基本ですからね。言葉じゃないんです。この第二次基本計画の中に重なっているままなんです。重なっているものの一つをどうするのかということがない限り、先ほど申し上げたように首二つの口頭了解でしょう。それでもし首二つのままにして隣にでも首を持っていくというならば、持っていった場合の環境アセスはどうなのかというのをしなければなりません。それをした上で初めてオーケー、よって閣議了解と進めるべきものです。それを何もやらないのでしょう。何もやらないで、これで了解というわけにいかない。  それから、今大臣は青森県が慎重にとにかく検討してよこした返事だ、こう言うんだけれども、青森県が任命した科学者の専門家会議というのがあります。この専門家会議で出されている文書というのは、青森県のことについては一つも書いていません。核燃料施設というものはどんなものか、三点セットはどんなものか、動けばどうなるかということについては書いています。だが、青森県の空には飛行機が飛んでいますよ、青森県の地面は軟弱な地盤ですよ、青森県の地面の下には活断層がありますよ、そんなことは一つも書いていません。富士山のてっぺんに持っていっても間に合うような話、何も青森県でなければならないというものは一つもない。  あと青森県の六ケ所村の全員協議会というのがあって、了承を得たと言うけれども、これは真っ赤な偽り、いいですか大臣、覚えておいてくださいよ。一月十六日、きょうは決めないことということで全員協議会が開かれた。決めないことといって全員協議会で会議を開いていながら、翌日六ケ所村の村長が青森県の知事に走っていって、オーケー、早くやってくれ、こう言っているのですよ。こういうことが起きたものですから、五月二日六ケ所村の村議会が開かれた。村長は何だ、我々は決めないといって約束して協議会を開いたのに、決まったからと言って知事に進達するとは何事だ、こう言って村議会は村長をボイコットしました。今村議会は開かれていませんよ、村長の不信行為を問うというので。  もともと青森県の知事は、専門家会議のノートがよく書かれている、六ケ所村は議決した、そうして青森県の有識者がよしとした、こう言ってあなた方の方によろしくと言っているのだ。この二つの問題、いずれも了とするに足るものではありません。まして有識者の意見というのは、全部県庁から補助金をもらっている諸団体の頭だけ、金の世話になっている者に意見を聞けばみんな知事の言うことだからなと言ってまあまあと言うのじゃないですか。そうして青森県に死の灰を拒否する会という会がある。ここのまじめな諸君たちが電事連にいろいろな質問書を出す、県庁にも出す、一つも答えなしです。  私は長官に言ったでしょう。村長や知事の言うことだけ聞いて事を運ばないように、住民の意思というもの、大衆の意思というもの、そこに暮らしている諸君の意見というものを聞いて当たりなさい、官僚的に事を進めないように、こう申し上げておいた。そういう点からいってもこの閣議口頭了解ということについてはきずだらけです。言うなれば事実に反することを基本にして口頭了解に持ち運ばれている現状からも、これは見直ししなければならない。  さらに文章を整理するためにおいても、同じ場所に二つのものができるなんというそのままの計画書、解釈だけでそれはなくなっているというばかげたことはありません。言葉が消えてないじゃないですか、あなた。文章が直されていないじゃないですか。そういう点からいってもこれを了とするわけにはいかない。  さらに外務大臣のきちんとした返事もない。空の上がどうなるのかというアメリカ側の意見も受けていない。いろいろ問題があるじゃないですか。  これはひとつ大臣の責任において再検討する、そういうふうにお考えできませんか。なお大臣はこれに固執して我を通しますか。やはり直さなければならないものがあるなと思ったらこの際検討する、そのくらいまではいけませんか。重ねて大臣にお答えを求めます。
  124. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 先生御指摘の点は、我々はやはり地元の意思と意見というものを尊重しておりまして、青森県の知事が出された案は地元の意見であるという解釈をしておりますので、その点御理解を願いたいと思います。
  125. 関晴正

    ○関委員 タブっているところはどうします、あなた。これは直さなければならないでしょう。
  126. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 青森県の知事がどうであるかということは我々の承知するところではございませんので、県知事の意思を尊重してその意見を受け入れたというまででございます。
  127. 関晴正

    ○関委員 時間が過ぎたけれども、今の答弁は了承できませんよ。青森県の知事が何と言おうと、同じところに二つできないでしょう。同じところに二つつくるままに文書が生きているでしょう。それを口頭了解したということは間違いじゃないですか。そのくらいは直して、環境アセスもちゃんとやらせてそれから持ってこいと言っていいんじゃないですか。大臣、もう一遍吟味してください。これは恥ずかしいと思わないで、やっていることが恥ずかしいのだから、直すことは何にも恥ずかしいことじゃない。
  128. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 第二次計画の上に今回の計画が乗ったということにつきまして私個人としてもちょっと矛盾しておるという考えは持っていますが、しかし今度の結論は青森県の出された意見というものを国土庁としては尊重して十四省庁の意見を統合して閣議了解に持ってきたということでございますので、その点ひとつ御理解を願いたいと思います。
  129. 関晴正

    ○関委員 これは大臣、ちょっと間違っているのは、二つ重なったままなんです。きずものなんです。わからないままに勝手な解釈で事を済ませているんだから、これはやはりちゃんと正すものは正して、そうしてまた考え直してください。これは何か大臣も少し興奮して、地元のことが余りわからぬものだから、あなたは知事の立場ばかり考えているだろうけれども、問題は具体的なものなんです。書かれているものにきずがあるならば直すのは当たり前でしょう。直さないままにこれを認めますの進めますのというのは、あなたの態度であってはいけませんよ。あなたは政治家なんだから、人に仕えているんじゃないのだから、人を使っているんだから。知事に言っておきなさいよ、これを直せって。そういうことで来るべき閣議にまたもう一遍きちんとしたものを出すようにしなければ本物にならない。  まだまだ聞きたいことがあるのだけれども、時間もありませんのでこれ以上はおきますけれども、十分考えてください。
  130. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 小谷輝二君。
  131. 小谷輝二

    小谷委員 関西国際空港のアクセス道路網につきまして二、三質問をいたしたいと思います。  関西国際空港につきましては、私が申し上げるまでもなく日本の新しい玄関として、二十四時間使用可能な唯一の空港として非常に期待が大きいわけでございまして、私も三点セットが地元協議として出された時点から大阪府議会で検討を重ね推進を図ってきた者の一人として、大きな期待を持っておるものでございます。それだけに、十分にその機能を発揮することのできるアクセス道路網の整備が何よりも大事である、このように思っております。そこで、近く決定されると思います空港関連施設整備計画大綱、また現在のアクセス道路網の計画、事業主体等について順次質問をしたいと思います。  最初に、この道路網のうちで大阪湾岸線、すなわち神戸、阪神間の都市そうして大阪の中央部を結んで湾岸から前島、空港島、このように計画されております阪神間と空港を結ぶ極めて重要な道路でございますが、これにつきましては五月二十七日に建設省が国の計画案としてまとめられて地元に示されている。これは着工へ向けて着実に一歩踏み込まれたものとして高く評価されております。現在私たち心配しますのは、公共事業の伸び、ここらを考えあわせまして、果たして開港時の六十七年度に全線が開通できるのかどうか、非常に危惧するものでございます。したがって、これには公共事業費の拡大、また予算の重点配分等ぜひ必要と思うわけでございますが、まずこの点、建設省いかがなものでしょうか。
  132. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 まず関西空港に関係します湾岸道路について御説明を申し上げます。  湾岸道路は、特にこの間、近畿地建が出しました計画案でございますが、この区間に関しまして旧大津港及び旧岸和田港の再開発の問題、それから松之浜埠頭の沖出し計画の問題、佐野漁港の沖出し計画、ざらに前島計画並びに二色の浜の環境整備事業等の諸事業がいずれも関連しております。これらの事業は湾岸道路の建設に先行し、もしくは並行して行うことが不可決でございまして、相互に十分な事業調整、進度調整をして事業を実施することが必要でございます。このため最善の努力をするとしましても、開港時に全線開通することは現在の段階では相当に難しい、かように考えております。
  133. 小谷輝二

    小谷委員 開港時に全線開通ができないということになればこれは大変なことになりますよ。これは要するに阪神間から湾岸道路を通って高速で泉大津まで来る。そこから、たとえ府道臨海線を通ったといたしましてもこれは岸和田でとまってしまっておる。それから、現在でも交通渋滞を毎日のように起こして車が進まない。二十六号線に入らなければ空港にいけない。これは大混乱を起こす。地元には大変な迷惑をかけることになると思いますが、この点はどうなんでしょうか。
  134. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 御指摘の点もございますが、関西新空港と大阪都心とを連絡する道路といたしましては、現在供用されている第二阪和国道を初めとしまして、近畿自動車道和歌山線、それから大阪湾岸道路、さらに主要地方道大阪臨海線等があるわけでございます。  第二阪和国道は既に、全線供用されておりますが、これは平面道路部分が多うございまして、もう一つ近畿自動車道和歌山線は空港開港までに間に合わせるべく現在鋭意事業中でございます。これは文化財の問題等々ございますが、大防府の方で非常に熱心にその方の受け入れ機関をつくっていただきましたので、楽観は許しませんが、埋蔵文化財の問題さえ片づけば何とか開適時には間に合う。     〔中島(衛)委員長代理退席、北口委員長代理着席〕  さらに先ほど御指摘の大阪湾岸道路、これは細かいことになりますが、大阪市の港区の港晴から堺市三宝間を現在供用しております。堺市の三宝から泉大津市臨海町間につきまして事業を進めているわけでございます。さらに泉大津市から泉佐野市間につきまして、先生御指摘の五月二十七日に計画原案を大阪府に提示したところでございまして、今後都市計画決定のための手続の進むのを待ちまして早急に事業化したい、かように考えております。  また、主要地方道大阪臨海線は、現在岸和田市大北町以北について供用中でございます。  大阪湾岸道路と大阪臨海線をつなぐ形で新空港開港時までに供用する案につきましては、南大阪湾岸整備事業の埋立地、いわゆる通称前島と言っておりますが、それから佐野漁港等、先ほどちょっと申し上げましたが多くの調整事項がございます。今後大阪府と地元の協力を得て、事業をできるだけ早く進めるように促進したい、かように考えております。  また、関西新空港開港に伴います交通需要につきましては、一応量的な面だけにつきましては、近畿自動車道の整備によりまして当面対処できるものと考えておりまして、湾岸道路も、できればできるだけこれに間に合わしたいとは思っておりますけれども、先ほど言いましたいろいろな問題点が同時にできませんと、要するに港の前出しの問題あるいは再開発の問題等々、道路以外の問題もたくさんございます。そういう意味で危ぶんでいるということのお答えをしたわけでございます。
  135. 小谷輝二

    小谷委員 国土庁の方にちょっとお尋ねしますけれども、空港関連施設整備大綱、これは現在作成中であろうと思います。五十九年十月に関係十省庁の局長さん方で連絡調整会議が持たれて、さらに幹事会等で作業が進められておると承っておりますが、空港関連施設整備大綱の決定はいつごろになるのですか。
  136. 佐藤和男

    ○佐藤(和)政府委員 先生御指摘のとおり、この関西空港の関連施設整備に関しまして、関係の連絡調整会議を設けているところでございます。第一回の連絡会議は昨年の十一月の十二日に行いまして、今ほどお話がございましたような幹事会の設置等を決めたわけでございます。その後、ことしになりましてから、一月の三十日、三十一日に関係府県からの御要望のヒアリング、それから三月二十日には大綱に盛り込むべき事項についての調整をしたところでございます。現在、関係各省におきまして、この大綱に盛り込むべき所管事項について原案を作成中でございまして、できるだけ早い機会に、その出そろったところを待って原案をつくり、地元との協議に入りたいと思っております。
  137. 小谷輝二

    小谷委員 この整備大綱が決定されなければ前に進まぬわけでございますが、できるだけ早い機会ということでございます。私たちが一応当初承っておるのは、六月いっぱいというふうなめどでということを承っておるわけでございますが、今月中にでも決定できるわけですか。
  138. 佐藤和男

    ○佐藤(和)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、現在関係各省におきまして原案を鋭意お詰めになっているところでございます。その出そろったところを待ってということでございますが、いずれにしましても、今月中にでも原案を取りそろえまして、地元への協議には入りたいと思います。特に六十一年度の予算要求にはぜひ間に合わせなければなりませんので、その点は十分留意して関係各省と連絡調整を図っているところでございます。
  139. 小谷輝二

    小谷委員 今月中にでも決定して発表される、このように承っていいわけですね。
  140. 佐藤和男

    ○佐藤(和)政府委員 現状におきまして一、二まだ未調整の部分がございますので、今月中に最終的な閣議了解まで持っていけるかどうかは、少し保留させていただきたいと思いますが、できる限り早い時点で関係各省の原案を取りそろえまして地元への提示という手順を考えております。
  141. 小谷輝二

    小谷委員 要するに、阪神高速の湾岸道路、これはこの整備大綱の中に明確に位置づけされておるのかどうか、私たちは当然これは位置づけされておるものと理解しておりますけれども、いかがでしょうか。
  142. 佐藤和男

    ○佐藤(和)政府委員 道路に関しましては、所管省の建設省の方で原案を現在作成中と承知しております。当然のことながら、御指摘の道路に関しましては、事項として整備大綱においてうたうべきことと承知しております。
  143. 小谷輝二

    小谷委員 それではこの湾岸道路、これは阪神高速道路公団の事業となるようですが、この所要の手続について伺っておきたいと思います。  一番最初に地元の市町村の原案によりまして大阪府の都市計画審議会、ここで決定が行われ、道路認定が同じく審議会で決定され、それから順次進められていくわけでございますが、大阪府の方は本年の秋に決定のめど、このように立てて進めておるわけでございます。次に建設大臣公団法によるところの基本計画を指示。それから同じく大臣による事業計画認可。それから予算の採択、これは一七・一キロ、二千八百億という予算規模になろうかと思いますが、このように順次基本計画また事業計画、それから予算採択、これがどのような時期に、どのような順序で、目途として行われていくのか、お答え願いたいと思います。
  144. 牧野徹

    ○牧野政府委員 大阪湾岸線の泉大津市−泉佐野市間の整備でございますが、今先生おっしゃいましたように現在大阪府で、私どもでお聞きしているのは六十年中、本年中を目途に都市計画決定を行うための手続を進めておるというふうに聞いております。  それで、その後の手続といたしましては、現在までの近畿地方建設局、あるいはことしから始まりました阪神高速道路公団による事業着手のための調査がございますが、こういう経緯を踏まえまして、早期の事業化に向けて整備方針を検討することになります。いずれにしても、都市計画決定ということが行われなければいけないわけですが、その手続と、次にはやはり予算採択ということがございますね。それが整えば、速やかに基本計画をお話のありましたように大臣の指示を行って、後は工事実施計画認可後、直ちに事案着手ということになるわけでございます。
  145. 小谷輝二

    小谷委員 順序はわかっておるわけですけれども、いつごろをめどに順次行われていくのか。
  146. 牧野徹

    ○牧野政府委員 現在時期的にはっきり申し上げられるのは、府の方で取りまとめ作業をされている都市計画決定はことしじゅうに行いたい、そこは確かでございますが、やはりそこが出発点でございますので、それ以降のことにつきましては、例えば六十一年度概算要求に入れていくのかとか、そういうお話になろうかと思いますが、この点は八月末までの概算要求もございますので、今ここで明言するのはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにしても、所要の手続が順次進めばもう早期に着工するという構えでいるということだけ申し上げさせていただきたいと思います。
  147. 小谷輝二

    小谷委員 くどいようですけれども大事なことですので、要するに本年度中に大阪府の方では都市計画決定をしたい。それに基づいて後は国の方の建設省の仕事になるわけですから、これが今のお話では六十一年度の予算に間に合うように予算決定をしたい、こういうことですか。
  148. 牧野徹

    ○牧野政府委員 次の年度が六十一年度でございますから、一番早いのは当然六十一年度になるわけですが、六十一年度の予算で、まあこれも含めてですが、どういう予算要求を行っていくかというのは、現在、省内で検討中でございますので、その明言はここでは差し控えさせていただきたいということでございます。
  149. 小谷輝二

    小谷委員 次は、近畿自動車道路、先ほど道路局長の方からございましたが、これは空港のアクセス道路網としては最も基幹となるものでございまして、大阪の東北部、京都、奈良、和歌山、これは空港と結ぶ最も重要なアクセス道路網でございます。これは自動車専用道路、それから鉄道、さらに一般道路、大型な、空港への幹線道路となるものである。同時に、その役割というものも関西国際空港と近畿各地域との物流の集散機能を果たす重要なものでございます。同時に、地域整備、地域開発、地域発展に寄与する重要な道路でございますが、この道路について一番最初にお尋ねしたいのは、まず、近畿自動車道路の松原から阪南町、ここまでの完成はいつを目途としておられますか。
  150. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 御質問の近畿自動車道和歌山線は、御案内のように大阪府松原市におきまして近畿自動車道天理吹田線と分岐しまして、和歌山県海南市に至る延長約七十三キロメートルの高速道路でございます。  現在、阪南インターチェンジ、これは大阪府にございますが、阪南インターチェンジから海南インターチェンジ、これは和歌山県でございます、その間約二十七キロが供用されておりまして、残る松原南インターチェンジから阪南インターチェンジ間約四十六キロにつきまして全区間にわたって事業を進めているところでございます。  この沿線区域には、先ほどちょっと申し上げましたが、多くの埋蔵文化財が存在することから、用地買収が完了した箇所につきましては鋭意その発掘調査を進めておりまして、一部区間につきましては既に工事にも着工しているところでございます。  今後、発掘調査等が順調に進めば六十年代中ごろには供用できる見通してございまして、関西新空港開港までには供用できるよう努力してまいりたい、かように考えております。
  151. 小谷輝二

    小谷委員 それでは、そこから空港連絡道路、この事業主体は日本道路公団がやられるものと思っておりますけれども、それ以外に考えておられますか。
  152. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 空港連絡道路、これは仮称でございますが、今御指摘の空港連絡道路の専用部にかかわる事業主体につきましてはまだ決定されておりませんが、現時点では日本道路公団により高速自動車国道として整備することが有力な案であると考えております。別に決まったわけじゃございませんが、日本道路公団が有力な施行主体の一つであろうと考えております。
  153. 小谷輝二

    小谷委員 空港連絡道路、これは計画によりますと、一般道路と自動車専用道路、それから鉄道、これが並列していくもので、都市計画決定、これは、一般道路は当然のことでございますが、自動車専用道路また鉄道部門、これについて都市計画決定はどのようにお考えですか。
  154. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 関西新空港前面と近畿自動車道和歌山線を結びますいわゆる空港連絡道路でございますが、これにつきましては大阪府等関係機関と計画調整を進めまして、昭和六十年五月二十七日大阪府に対して都市計画決定のための原案を提示したところでございます。これは近畿地方建設局が恐らく知事に原案を提示したという意味でございます。  なお、当該道路の一部の区間は、先生御指摘のように、鉄道高架部が併設される計画でございまして、今後大阪府が道路と鉄道の計画を一体として都市計画決定することになるものと聞いております。  以上でございます。
  155. 小谷輝二

    小谷委員 わかりました。  鉄道部門のこれの免許、また工事施行認可等につきまして、これは運輸省の方で検討されておると思いますが、自動車専用部分について、これは基本計画、それから整備計画、施行命令、日本道路公団がやることになればそのような順序になろうかと思いますが、これはいつごろをめどに立てておりますか。
  156. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 御指摘の空港連絡道路の自動車専用部につきましては、一般道路部等とあわせて環境アセスメントを含め都市計画決定の準備が行われているのは今御説明申し上げたとおりでございますが、仮にこの自動車専用道路部分を高速自動車国道として整備することとした場合には、先生御指摘の国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経まして整備計画等を策定することが必要となります。  国土開発幹線自動車道建設審議会の開催時期につきましては現在のところまだ決まっておりませんので、御質問整備計画、施行命令等の予定につきましては現在申し上げる段階にはございませんが、この道路の重要性にかんがみまして所要の手続が円滑に行われますよう各般の準備を進めてまいる所存でございます。  具体的に申し上げますと、もしも幹線道路網であります場合には、国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経て、高速国道法三条に言う高速自動車国道としての予定路線、四条に言う高速自動車国道の路線の指定、五条に言う整備計画の決定、そして日本道路公団に対する施行命令、さらに工事開始の告知という段取りになります。つまり、まず国土開発幹線自動車道建設審議会を開いてからいろいろな手続がなされるわけであります。
  157. 小谷輝二

    小谷委員 空港アクセスの幹線高速道路、これは名神高速、中国縦貫を吹田で結び、西名阪を松原で結んで、そして近畿自動車道路和歌山線を走って連絡道路から空港に入る。いかなることがあろうともこれは少なくとも六十七年の空港開港までには完成しなければならぬ。これがもしいろいろなことで途中で完成できないということになりましたら、全くの海の孤島となりどうにも行きようがない。笑われ者の飛行場になるわけでございます。六十七年開港時には完成する、建設省としてこのような確約はいただけるのでしょうか。
  158. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 ちょっとさかのぼりますけれども、先ほど先生がお触れになりました問題、まず例の空港と和歌山線を結ぶ連絡道路でございますが、その間に鉄道が入るわけでございます。これは建設省関係ないことでございますけれども、現在その計画を策定中と聞いております。それで鉄道の免許申請、これは関西国際空港株式会社が運輸省に対して免許申請を行う手続でございますが、それが七月をめどと聞いております。  それから許可がおりまして、この部分の都市計画決定は、大阪府の最近の情報によりますと、府としてはどうしても六十年十一月末を目途にしたい、ということは、ことしの十一月末にこの空港アクセス道路が都市計画決定されるであろう。国幹審をいつ開くかは別問題としまして、そんなに長い道路ではございませんし、先生御案内のように六・五キロちょっとでございますから。  問題は文化財でございまして、これも先ほどちょっと申し上げましたが、大阪府知事さんが非常に熱心に新しい公社みたいなものをおつくりくださいまして、もっぱらそういう文化財の調査員の増強に努めていただきました結果、和歌山線も含めて最近非常にピッチが上がっております。  そういうことを勘案しますと、これは仮定の数字でございまして今おまえ約束しろと言われましてもちょっと約束はできかねますが、文化財さえうまくいけば、あるいは用地——何せ用地を買わなければいけませんので、土地の皆様方の御協力さえまともな状態で得られれば、何とか間に合うであろう、さように考えております。
  159. 小谷輝二

    小谷委員 最後に、関西国際空港はこれからの新しい時代の日本の国の玄関でもございますし、二十四時間使用可能な唯一の飛行場でもございます。また、今までの飛行場で問題になるアクセス道路網、これはゆるがせにできぬ一番大事なものでございますから、特に建設省は、大臣初め皆さん方留意していただいて、いやしくも開港時に道路が十分完成できないということのないように努力していただきたい。この件について大臣の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  160. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 先ほど来道路局長の方からこのアクセスの問題につきましてお答えをいたした経緯もございますが、いずれにいたしましても近いうちに整備大綱が示されるわけでございますから、これを受けまして、この整備大綱に基づいて地元、関係機関、自治体などともよく協議をして、御理解、御協力を得られるよう最善の努力をするということが非常に大事でございます。今御指摘いただきましたように、この道路がもし万が一間に合わないなんということになったらこれはもう大変なことでございますから、その辺はもちろん事務当局の方でもよく承知いたしておることでございますが、私からもなお督励して、最大限の努力を尽くすように指示いたしたい、そのように考えております。  合成田のことを申し上げて恐縮でありますが、貿易摩擦の次に日本で評判が悪いのが成田−東京の時間がかかり過ぎるということでありますから、関西空港の場合にもまたそういうことを繰り返すということは国の非常に大きな——極端なことを言えば関西空港というのは日本の西の顔ですから、そういう点もよく承知いたしておりますので、最善の努力を尽くさせていただきます。
  161. 小谷輝二

    小谷委員 終わります。
  162. 北口博

    ○北口委員長代理 坂井弘一君。
  163. 坂井弘一

    ○坂井委員 最初に電柱の地中化についてちょっとお尋ねしておきたいと思います。  歩道の真ん中を安心して歩いていまして電柱にぶつかった、笑うに笑えぬようなことが今しばしばあるようでございまして、健常な歩行者がそういうことですから、車いすとかを利用される身障者などは、安心してどころじゃなくて大変気にしながら歩道を行かなければいかぬ。またその同じ歩道を自転車も走る。真ん中に電柱が立っている。ちょっと言葉が過ぎるかもわかりませんけれども、これでは人間が歩く道、歩道ではありませんで、欠陥道路だ。特に都会に多いですね。ですから、そういう歩道はやはり改良せないかぬだろうと思うのです。  具体的にどういう改良の方法があるのだろうか。いろいろなことを関係当局では検討されていると思うのですが、そういうことと関連しまして、電柱を地中へ埋めたらどうだということの指摘もあるわけでございますが、とりわけ最近のニューメディア情報網、これが従来の配電線あるいは電話線、その上に重なっていわゆる電柱ネットワークというのでしょうか、そういうものが全国的に張りめぐらされる、構築されるというようなことになってまいりますと、ましてこの電柱の地中化ということは利害調整が非常に困難になって、せっかくの地中化という計画があってもこれはなかなか思うに任せないようなことになるのではなかろうか。そうした交通の安全の確保と同時に、高度情報化社会の到来に対応できる道路の姿、そういうことの中でこの電柱の地中化について具体的に計画的な一つの方針も持ってやっていかなければならぬのじゃないか、こう思うわけでございますが、その辺についてどういう検討がされておりますか。あるいはまた、具体的にされようとなさっておりますか。まずお尋ねをいたしたいと存じます。
  164. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 道路上に設けられております、特に歩道上に設けられております電柱及びこれに架設されました電気通信あるいは電気、CATV、有線ラジオ放送等の各種のケーブルは、災害時の消防活動等を阻害し、都市の景観を損なうとともに、その支持物でございます電柱自体が歩行者あるいは車いす等をお使いになる交通弱者の通行上の大変な障害となっていることも、先生御指摘のとおりでございます。また、道路を占用するケーブルの需要が高度情報化社会を迎えましてますます増大するものと考えております。  このため建設省としましては、これらの問題に対処し、適正かつ有効な利用を図るために電線類の地中化を積極的に推進することとしておりまして、電線類を収容するための比較的安くて維持管理の容易なケーブルボックス、我々はキャブと言っておりますけれども、いわゆるキャブの整備により地中化を進めることとしております。このキャブシステムに関する技術的諸問題を検討するために、現在、全国四カ所におきまして試験施工を実施しておりまして、これを踏まえ、六十年度はモデル事業を実施することとしているのが現状でございます。  具体的に試験施工実施箇所を申し上げますと、東京の国道六号の日本橋の馬喰町、これは昨年度からやっておりますが、完成が六十年夏の予定でございます。それから大阪市北区南天満の国道二号線、これも六十年夏に完成予定でございます。ちょっと九州の方へ行きまして、久留米市の明治通りでございますが、これは国道二〇九でございます。これも完成が六十年夏。名古屋市内の東区小川町というところがございますが、これが国道十九号で、現在工事準備中でございます。さらに北陸の方へ行きまして、国道百五十七号、金沢市の香林坊のところでございますが、一応六十年の夏に工事完成する予定でございます。  また、道路局長の諮問機関でございますキャブシステム研究委員会、東京大学の越教授を迎えまして、学識経験者四名、関係省庁あるいは公益事業者等々を加えまして全部で委員長以下二十八人のメンバーで、いろいろ技術的な問題点あるいはその他いろいろの維持上の問題点等々について、あるいは電気、エレクトロニクスそのものの専門的な御配慮等々、御指導を仰いでおります。  モデル都市の選定でございますが、今後全国で十五都市ぐらいを予定しております。予算が十二億円ぐらいでございまして、これは道路管理者負担分でございまして、全体事業規模としましては恐らく三十億ないし四十億ぐらいになろうかと思います。都市の選定につきましては、先ほど申し上げました越委員長を中心とするキャブシステム研究委員会の結論が得られる九月ごろには決定させていただきたいと考えております。  長期計画としましては、この十年間で約一千キロメートルぐらいのキャブをモデル的に設けていきたい、そういうぐあいに考えております。
  165. 坂井弘一

    ○坂井委員 一定計画を持たれて進めていかれるようでありますが、相当急ぎませんと、あるいは予算面においてもかなり大きなものが要るでしょうししますから、なかなかいろいろな困難があると思いますけれども、ただ、社会資本あるいは公共資本をもっと整備充実をして、そうして安全で快適なそういう道路環境の整備ということはやはり一つの大きな時代の要請でもございますししますから、ひとつ積極的に取り組んでいただきたい。特にお願いをしておきたいと思います。  それから、同じ歩道でも歩道橋が、どうも見てみますと、全国的に余り活用されていない。むしろ、せっかくつくった歩道橋をもう撤去してほしい、こういう要望が相次いで起こっているようでございますが、そういう現況について。同時に、せっかく歩道橋をつくりましたが、今のようなことで非常に評判が悪い。利用する人もいない。心理的、肉体的に、歩道橋を渡れ、強制されるという、この言葉はどうか知りませんが、苦痛だとかなんとかというような、いろいろ裁判でもそんなような、歩行権の問題と同時に議論されているようでございますが、確かにあの歩道橋というのは余り渡りたがらない。渡りたくない。特に病院の近くの歩道橋なんというのは、病人にとっては酷ですな。やはり平面を安全に自由に横断できる、そういうことが一番理想的で好ましいことでありまして、歩道橋というのは交通安全という観点から考えられたことではございますが、しかし今申しましたように、余りにもその利用というものが行われていない、そういう現状があるように思います。  でありますから、二点目の問題として、せっかく歩道橋をつくった、しかし利用されないので、また近くに横断歩道を設置した、したがって、ますますこの歩道橋は使われない、無用の長物のごとく町の真ん中にかかっている。こういう歩道橋は全国で一体どのぐらいあるのだろうか、そういうことについて調査、把握されていると思いますが、一遍現況についてお聞かせいただきたいと思います。
  166. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 昭和五十八年三月末現在で全国にございます横断歩道橋は、トータル九千七百四十一カ所でございます。その一部のものにつきまして、横断歩道橋の近傍に御指摘の横断歩道が設置されている例がございますが、まことに恥ずかしいのでございますが、具体に、全国で何カ所あるかということにつきましては、まだ調査が行き届いておりません。  ただ、国道二十号線、千代田区の霞が関二丁目から世田谷区の給田町、国道二十号の直轄管理区間でございます、全部じゃございませんが、二十三区内の。五十九年二月末で調べましたところ、道路延長が十六・七キロのうち横断歩道橋は二十八ございまして、そのうち四つの横断歩道橋の近く、近くといいますのは約十メートル以内に、横断歩道が設置されております。これが四カ所。これを調べますと、すべて駅前のところでございまして、具体的には幡ケ谷、笹塚、下高井戸、南烏山という現状でございます。  それで、実はこれら四橋につきまして、昭和五十五年度に調査した時点のデータでございますが、今申し上げました四橋全部で、横断歩道者の数は全体で約四万四千人でございまして、このうち横断歩道橋の利用者が約二四%の一万一千人でございまして、かなりの人が横断時の安全確保のために横断歩道橋を利用している。ただ、これは先ほど申し上げましたように駅前のところでございますので、特に利用されているのじゃないかと思いますが、全国的には、先生御指摘のような無用の長物化したところもないわけではないと思いますので、今後鋭意調査してまいりたいと思います。
  167. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。わかりましたが、一遍全国的にきちんとした調査をされたらどうでしょうか。部分的なのじゃなくて、全国的な、全体的な調査をされたらいかがでしょうか。非常にそういう個所が実は多いように思います。  その横断歩道橋のかかった近くの住民あるいは商店街なんかの場合、特に悪評が非常に絶えませんね。しかも、もう人が通らないのですよ。近くに横断歩道をつくったものですから、その横断歩道を使いますね。信号もつくって、横断歩道橋はだれも通らないでそのまま。だから早く撤去してほしい、こういうことを盛んに聞かされますね。そんなところが果たして全国的にどれくらいあるのだろうかというようなこと等々も含めて、一度全国的な一斉調査といいますか、全面調査といいますか、そういうことをきちんとおやりになったらどうでしょうか。
  168. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 直轄のみならず、補助国道あるいは都道、県道あわせまして、市町村道までは多少無理だと思いますが、県道以上の道路につきまして調べさしていただきたいと思います。
  169. 坂井弘一

    ○坂井委員 次に、前払い金の問題なんですが、特に公共工事の場合の前払い金制度について、若干お尋ねしたいわけでございます。  その前に、この数字は正しいかどうか、国の直轄公共事業、六十年度予算では六兆三千六百八十九億だと思いますが、このうち約二割が用地費で、残りの八割、金額にいたしまして約五兆九百億、これの約四割が現金でもって前払いされる。金額にいたしまして約二兆四百億、このお金が前払い金で、現金で出されると思いますが、これは確認の意味で、間違いありませんか、どうでしょうか。
  170. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 ちょっと手元に詳細な数字を持ち合わせておりませんが、大枠としてはそういうことでよろしいかと思います。
  171. 坂井弘一

    ○坂井委員 そこで、公共工事の場合に、発注者であります国が、元請に対しまして、今申しましたおよそ四〇%の前払い金を現金で支払っているわけでありますけれども、この前払い金を受けました元請が、下請、この場合の下請は一次下請と言ったらいいのでしょうか、下請に対しまして、実は通達で建設省が何回にもわたりまして、「必要な費用を前払金として支払うよう適切な配慮をすること。」これは毎年二回通達をお出しになっていますね。それからさらに、この中には、「特に、公共工事においては、発注者から現金で前金払がなされるので、企業の規模にかかわらず下請負人に対して相応ずる額を、現金で前金払するよう十分配慮すること。」 こういう趣旨の通達でございますが、どれくらいの額を下請に前金で支払えば、必要な額と言えるかどうか。  この必要な額については後ほどちょっと触れたいと思いますが、まずお伺いしたいのは、こういう前払い金を国から現金で受け取りました元請は必ず下請に対して前払い金を支払ってあげなさいよ、こういう意味の通達でしょうか。
  172. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 今先生の御指摘のございました通達は、そういった通達を毎年出しておるところでございます。それの趣旨は、下請負が前金として実際に必要であるものは、その範囲内において前金払いするよう十分配慮しろという趣旨でございます。
  173. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、実は私、この問題を五十三年ころの予算委員会で指摘をいたしまして、その後ずっと改善されてきたようでございますが、一番最近の、公共工事に係る下請に対します前金払いの状況についての調査がございますが、この調査によりますと、注文者からの前払い金を現金で支払っていると答えたのが四三・五%、前回は四四・七%でしたですね。それから注文者からの前払い金を現金または手形で支払っているというのが、前回一五・〇、今回は一八・三%、下請に前金払いは行っていない、前回調査四〇・三、今回三八・三%。こんなことだろうと思うのです。  つまり、国から受けました前払い金の現金を下請に対して支払っていると答えたのが四三・五%、半分に満たない、こういうことですが、これは大体こんなことなんでしょうか、それとも、これは通達の趣旨からして、少ない、こういうことでしょうか。
  174. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 今先生がお示しになりました数字は、私どもの行っている実態調査によります数字そのものでございます。元請に対して支払われた売買代金のうち、どの程度を下請に対して支払うべきかということは、なかなか一律に判断して何%が適当かということは難しいと考えておりますが、今この数字が十分なものであるかどうかということになりますと、疑問な点もございまして、前払い金制度の趣旨にかんがみまして、前払い金は、下請業者も含めまして、公共工事の円滑な施行に資するよう適正に使われるべきであると考えまして、そういった指導はしておるところでございます。
  175. 坂井弘一

    ○坂井委員 これはやはり少ないのじゃないでしょうかね。もう少しこの通達の趣旨を厳格に履行しなさいというように指導された方が、下請関係、一次下請、二次、三次、四次も含めまして、等に対しては、より親切な、あるいは公共工事に携わる建設業界全体の健全な育成にも沿うことができると私は実は思っておるわけでございます。中には、この前払い金制度に積極的に、前向きに取り組んでおる元請もおりますが、中にはそうではないところも散見されるようでございまして、もう少しきめの細かい実態を見ながらそれに応じた指導を徹底していただきたいと思うわけでございます。  前払い金の支払い状況全体で見ますと、おおむね支払っていると答えたのが一八・七%、支払う場合と支払わない場合がある、四四・四%、おおむね支払っていない、三六・九%。これは全体のあれですけれども、非常に少ないといいますか、小さいですね、そんな感じがいたします。むしろこういう制度があるのですから、この制度の趣旨からすれば、せっかく公共工事が健全に、また公共工事に遺漏なからしめるためにある制度ですから、言うならば元請は下請に対しては一〇〇%この前払い金を額はどうあれ支払ってあげるというのがこの通達の趣旨だろう、私はこう理解しているわけでございまして、半分にも満たないということでございますから、なおひとつ積極的にこの制度の活用を前向きに御指導をいただきたいと思うわけでございます。  それでも、下請に支払うべきと思う、が、全体から見まして一八・五%、今回の調査が一八・七%ですか、五十三年時点の調査では五・二%だったわけですから、それから見れば相当前進、改善されてきておるということは言えると思います。  それからもう一つは、せっかく四〇%を元請が国から現金でもって前払い金を受けた、その四〇%を仮に一〇〇%といたしまして下請に支払う前払い金はどれぐらいの額が適当なのかという議論をしたことが実はかってございますが、五十三年当時の建設省計画局長は、四〇%受けた前払い金、現金、これを一〇〇としましてそのうちの三七、八%を下請に支払うというのがまあ妥当じゃないか、こういうような答弁であったと思うのですけれども、今でもそんなことでしょうか。
  176. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 まず最後に御指摘のあった点でございますが、当時そういった先生からの御質問に対しましてそういった御答弁を申し上げている点を承知しておりますが、先ほど申し上げましたように、なかなか一律にどれだけの割合がいいかということは数字としては難しいところがございます。ですから、その数字が本当にいいのかどうかということについてはちょっと明確に申し上げられないかと思いますが、先生の御指摘のように、今の数字が十分かどうかとなりますと、これまた不十分の面も非常に強く感じておるところでございます。  そういった意味で、先ほど来お話の出ております元請下請関係の合理化指導要綱、そういった通達等でもっていろいろ趣旨徹底をしておりますが、同時に下請代金の実態調査につきまして実施しているのも、実は単に調査するばかりではなくて、その結果、改善すべきことにつきましては調査した対象の企業にまたフィードバックしまして、こういった点はもっと改善すべきであるということを通知申し上げておりまして、個別指導の役も果たしておるわけです。  今後、こういった調査は引き続き続けて個別的に指導を徹底してまいりたいと思いますし、また、最近、建設業という産業が非常に厳しい状況に置かれているという中で、元請下請関係がまずいとだんだん二次、三次の下請にしわ寄せが行き、さらには末端の労働者の方々の賃金、条件にも影響するという問題がございますので、実は去る四月四日、直接建設業の団体の会長さん方においでいただきましていろいろな要請を行いましたけれども、特に前払い金の適正な使用につきましても要請を行った、単に通達を出すばかりではなくて、実際お集まりいただいて、各業界の元請団体の方にそういった趣旨の要請も行ったところでございます。
  177. 坂井弘一

    ○坂井委員 これは申し上げるまでもございませんが、建設工事というのはいろいろな工事の組み合わせによる総合的な仕事でございます。その間、元請があり、下請関係一次、二次、三次、それらが工事内容、規模等によってそれぞれに非常に有効な、また大事な部分を受け持っているわけでございますから、元請と下請の関係は、そういう重層的な構造において相互に相連関しながらその工事全体がそういう総合的な組み合わせによってなされる、これはもう当然のことでございます。  当然のことでございますが、ただその間に、今申し上げました前払い金制度なるものが、時には元請が下請に対して一定の資材を提供します、それから工事の人についてもちゃんとしましょう、したがって元請が国から受けました前払い金、この現金は下請には渡しません、こういうのも相当あるわけですね。それは工事内容によってそういう資材は元請で全部調達をする、人も調達をする、用意をする、それでいいかもしれない。しかし、今申しましたように、工事内容、規模等々によってはそういう資材の購入あるいは人の手当て等もむしろ下請においてなされることがその工事をより効果的に効率的にいいものにできる場合があるわけでございまして、したがって、ここで通達で言われておる「企業の規模にかかわらず下請負人に対して相応する額を、現金で前金払するよう十分配慮すること。」「現金で」こうわざわざうたったのはそこにあるんだろう、私はこう実は理解をしているわけでございます。  時にはある元請は、資材も人も全部用意しているんだから、この現金は、国から受けた四割のお金は元請において全部有効に使っております、下請には不便はかけてはおりません、こういう言い方もあるようでございますけれども、これはその工事内容等によってはちょっと当たらぬこともあるようでございます、実態的に。したがって、こういうことにつきましても全部一律のあれではなくて、一つ一つ細かく目を通していきますと、それはそれなりにそれに応じた適切な行政指導と申しましょうか助言といいましょうか、そういうことも必要かと思われます。特に最近の情勢にかんがみまして、そうした建設業界下請関係の健全な育成発展、そのことをどうかひとつ建設省はなお心がけていただきますようお願いをいたしたいと思うわけでございます。  最後に、ひとつ建設大臣、今申しましたような点につきまして所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  178. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 私から今さら申し上げる必要もありませんが、元請と下請の関係というのは信頼関係で結ばれていかなければならない、これが前提になると思うのです。そうしなければ、まだいろいろな問題も発生しかねないということもあり得ると思います。そういう意味で建設省の方でも、非常に破産も多いときでございます、倒産も多いときでございますから、そうした点の中長期のビジョンを局長を中心にして今検討を進めておるわけでございます。  したがって、今申し上げますように、国から四割近いようなものが現金で支給されて、そしてこれがおくれたり何かいろいろされるということは、やはり地元に対して非常に経済的にも大きな影響力があるわけでございますから、法の許される範囲でそういうことが円満に行われて使命を果たしてもらうというようなことの指導を一層努力をして、公正な、しかも今申し上げる元請と下請の信頼関係、それから地域経済にも役に立つような、そういうふうな指導をしてまいるように努力させていただきます。     〔北口委員長代理退席、中島(衛)委員長代理着席〕
  179. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  180. 中島衛

    中島(衛)委員長 新井彬之君。
  181. 新井彬之

    新井委員 二、三の問題につきまして若干の質問をいたします。初めの質問は、我が党の木内良明代議士がまた折を見ましてデータをもってきめ細かく質問をすることと思いますけれども、きょうは時間の関係で若干触れておきたいと思います。  初めに、大蔵省が来ておると思いますので、大蔵省の方にお伺いをしたいと思いますが、昨年の十月閣議報告された東京都二十三区内の民間活力導入検討対象国有財産、これは十二件で八・五ヘクタールがあるわけでございますが、この中で千代田区所在の三件の処分の時期及び処分方針というのをどのように検討されるのか、お伺いしたいと思います。
  182. 山口厚生

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  お尋ねの千代田区内の財産は合計で三件ございます。まず紀尾井町三番地に旧司法研修所、これは約六千七百八十六平米ございますが、これにつきましては、今後の事務手続もあり確定的には申し上げられませんけれども、できますれば本年七月にも工事着工等の条件を付しました一般競争入札、これによる処分を考えております。  それから、神田駿河台の二の九の五に東京芸術大学の音楽学部の附属高等学校、面積としては二千四百七十二平米ございますけれども、これにつきましては、今後移転先の整備などの予算措置が必要でございますが、聞くところによりますと、大学の方では六十四年度末までに整備することを予定しておりまして、予定どおりに進行いたしますれば六十五年度以降処分可能となる見込みでございます。  それから、千代田区の一番町の二十三の一に警視総監公舎がございます。これは千八百七十一平米でございますが、ここには警視総監公舎と麹町の警察署長公舎とがございますけれども、いずれも東京都におきまして移転先の予算措置をしていただく必要がございます。この全体の予算措置の見通しがまだついていない段階でございますので、処分は数年先にずれるのではないかと考えております。  なお、この神田駿河台の東京芸大の音楽部附属音楽高校と一番町の警視総監公舎、この両者につきましては、その処分方法は現在未定でございまして、今後しかるべき時期に検討していくこととなるかと存じます。
  183. 新井彬之

    新井委員 民間活力の導入のための国有地の売却におきましては、地元の公共団体及び地元住民の意思を最大限に尊重すべきと考えるわけでございますが、五月の二十日に千代田区議会が採択した意見書に対して、大蔵省としてはどのように考えておられるのか、お伺いしておきたいと思います。
  184. 山口厚生

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  国有地の管理、処分につきましては、先生御承知のとおり、公用、公共用の用途に優先的に充てることとしまして、同時にこの原則を損なわない限度で民間に処分して極力財政収入の増加を図るということを当面の基本方針としておるわけでございます。このような考え方のもとに、都内の二十三区内の民間活力導入検討対象財産につきましても、まず最初に地元の地方公共団体がみずから取得をして公用、公共用に利用する意向があるかどうか、それからこの国有地を利用するに当たりまして何か御意見があるかどうかを伺ったところでございます。  先生御指摘の五月に千代田区議会から提出されました意見書でございますけれども、この意見書には、旧司法研修所の処理に当たりまして、「人口対策・まちづくり」を踏まえた開発を行うことなどの数項目御要望がなされておりますが、このような区の要望に対しましては、入札による処分の手続の中でどのように対応するかについて現在区の方と鋭意検討中でございます。
  185. 新井彬之

    新井委員 建設省は、これからの都市計画、日本の国づくり、いろろいろあるわけでございますが、そういう中でこういう千代田区のように、昼間人口は百万人です、しかし夜間人口になりますと二十分の一の約五万人に減る、これからますます人口が流出をいたしまして、それこそ住んでいる人がかえっておかしいぐらいじゃないかというような状況に今後ますますなっていくんじゃないかと思うわけでございます。片や過疎地域は同じように人口の流出を防ごうとしておりますけれども、これはやはり都市にどんどん人口をとられる、今度は人口がどんどん都市に集中するわけですけれども、こういう一番大事な東京の二十三区内というのは、千代田区、港区あるいは中央区、そういうところはもうビジネス街オンリーになりまして、夜間人口というのはほとんどいなくなる、こういう傾向というのはこれからますます強くなろうかと思います。  したがいまして、千代田区議会から四項目にわたりまして、御承知のように千代田区の基本施策である「人口対策・まちづくり」、こういうことを踏まえてとにかく考えていただきたい、これはもう本当に全党一致でもって大変な状況で今検討がされているようでございます。今も国鉄の跡地の問題につきましてもいろいろと交渉をやっているようでございますが、初めの計画とえらい違う、それでとにかく下に商業地域をつくってもいいから何とかその上に住宅を建てていただきたい、そしてそこに人が住めるようにしていただきたい、こういう本当に大変な要望があるわけでございます。  そういうわけで、大蔵省としては、これは国有地、財産を処分するわけでございますから、公平に、そういう立場できちっと処分をしなければいけませんけれども、今度は建設省の立場といたしまして、そういう千代田区なら千代田区の町づくりというものに対して、やはり先ほども国土庁長官言われました、地元の意見というものをよく聞いてやるのが一番正しいんだ、こういう立場があるわけでございますから、一体どのようにこの意見書を考えておられるか、お伺いをしておきたいと思います。
  186. 松原青美

    ○松原(青)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の五月二十日付の千代田区の区議会の意見書は私の方にも参っておりまして拝見いたしました。「人口対策・まちづくり」を最重要課題とするという御意見でございます。人口定着を図ろうとする町づくりの観点からは、この意見につきましては一つのお考えだと思っております。  ただ、この意見書の対象になっております紀尾井町の旧司法研修所跡地の形状でございますが、いわゆる旗ざお敷地になってございます。道路に直接接しておりませんで、細い路地、細いといいましても十メートルぐらいございますが、その路地を通して接している敷地でございます。  都の建築安全条例から見ますと、集合住宅を建てるには幾つかの条件をクリアする必要があるわけでございます。ただ、この条件をどのようにクリアをして住宅を確保するかということにつきまして、区の御意見がまだはっきりしていないわけでございます。どういう方策をとったらいいのかということについて具体的に明らかになっていない状況でありますが、これは具体的に明らかにするのは区の方としてもなかなか難しいだろうと思います。この土地をどのように使うかということにつきましていろんな考え方がございますし、周辺と一体となって使うという場合と、これだけ使うという場合といろいろケースがございます。  そういうことから、これを払い下げ、処分するに当たりましては、これを取得した方が区と十分打ち合わせしまして建築計画をつくられるというのが一番いいのではないかと考えておるところでございます。そういうことで、区の意向を入札者に何らかの方法で徹底するということが必要ではないかと考えておるわけでございます。
  187. 新井彬之

    新井委員 その問題はいろいろ難しい問題があろうかと思いますけれども、とにかく人口流出という問題につきましての何らか知恵を絞っての歯どめ、そういうものをかけるべきならかけるべきで施策というものをしてあげなければいけない。  だけれども、そのままほっておいて、これは一つの時代の流れである、日本全国どこへ行きましても、昔の宿場町なんというのは本当に廃れたところはたくさんございまして、そこを何とかしようと思っても時代の流れとして当然できないようなこともたくさんあるわけでございますから、そういう面についても、これから十年、二十年先にはこういうことになるのではないか、そのための四全総というのもあろうかと思いますけれども、そういう面も踏まえながらよく理解を求めて、次のもっと発展した町づくり、そういうものをやっていただきたい、このように考えるわけでございます。  それから二番目の問題につきましては、道路の問題でございますが、これも姫路市を初め市民の皆さん非常に願望しているところでございます。  国道二号線の交通渋滞解消のため、姫路バイパス、太子竜野バイパスの建設には一方ならぬ御尽力を賜り、昭和六十年末供用開始の運びとなりましたことは、建設省初め日本道路公団の御尽力のたまものと厚く御礼を申し上げます。  国道二号線は、姫路市内を東西に貫通する都市内交通上重要な路線であり、一日当たりの交通量も三万五千台と多く、常時交通渋滞を来しておりますので、次の場所についてお考えをいただきたい。  一つは、夢前橋西詰の交差点の改良でございます。夢前橋の幅員が非常に狭くて、かつ国道二十九号線より流入する市内への交通量が多く、交通流が阻害されておりますので、夢前橋西詰交差点を通らずに広畑方面へ直進する車のための直進車専用レーンを確保していただきたい。  二番目には、夢前橋東詰の交差点の改良でございます。国道二号線と県道姫路環状線との交差点は、左折する大型車両のため直進車の渋滞が続き、特にバスの定時性の確保にも支障を来しておりますので、左折レーンを橋上で確保していただきたい。  三番目には、国道二号線の姫路バイパスへの乗り入れでございます。太子東インターにつきましては、国道二号線を西進して姫路バイパスヘの乗り入れができない状況となっております。現道に待避車線、右折車線を設けることにより乗り入れが可能となりますので、これの改良をお願いいたします。  四番目には、国道二号線今宿から青山間の改良でございます。国道二号線の交通量は前述のように三万五千台と多く、市内唯一の東西幹線であるため当地区の交通渋滞は特に激しいので、早期に改良に着手されるようお願いいたします。  この四項目、今第二国道を何とか余り渋滞なく通過していただきたい。それと南北とかいろいろあるわけでございますけれども、これが一つの大きなネックになっている。これも大変な要望でございますが、こういう問題について今後どのように検討していただけるか、お答えをしていただきたいと思います。
  188. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 御指摘の、まず国道二号夢前橋西詰の交差点でございますが、この交差点は国道二十九号と国道二号の夢前橋西詰交差点より百メーター北側にございます国道二十九号と市道百三十五号及び市道百三十四号、市道六十号の変則五差路の交差点になっているところでございます。国道二十九号を北方向より広畑方面へ直進する車を国道二号との交差点を通らずに、これと立体交差している市道百三十五号によりスムーズに直進させるためには、この五差路の改良が必要でありますが、そのためには相当の用地取得が必要なほか、交差部での交通処理が相当複雑なことになりますので、その対応をいかにするか等の問題もございまして、今後、姫路市、丘庫県とも十分協議を重ね、適切な対策を検討してまいりたい、かように考えております。  その次に先生御指摘の、同じく夢前橋東詰交差点の件でございますが、一般国道二号の当該区間は、姫路バイパスが供用しておりますために、指定区間外の一般国道で知事が管理している箇所でございます。夢前橋の東詰交差点は国道二号と県道姫路環状線の交差点でございまして、御指摘のように交通混雑を生じているのは事実でございます。このため昭和五十七年度に兵庫県において交差点の隅切りを行うなど、交差点改良を一部実施したところでございますが、さらに交差点改良を実施するためには、沿道が人家連檐しておりまして、また夢前橋自身がこの交差点に非常に近接している、そういうことから改良計画を立案するための調査が必要と考えられます。今後必要な調査を行いますよう県に指導してまいりたい、かように考えております。  次に、国道二号線の姫路バイパスヘの乗り入れについてでございますが、国道二号と姫路バイパスとの接続部、太子東ランプの交通の処理方法につきましては、昭和五十年十二月に姫路バイパスの暫定二車線を供用する際、姫路市及び地元の方方とも協議して決定したものでございます。その際、現国道二号の姫路方向から姫路バイパスヘの乗り入れにつきましては、太子東ランプから一つ東側の姫路西ランプに接続する都市計画道路夢前川右岸線をバイパス供用とあわせまして整備を行い、これを利用しての姫路方向への交通の処理を図ることとしたところでございます。  太子東ランプのループに対しまして、現国道二号の姫路方向からの乗り入れ口を接続することにつきましては、ランプの他の出入り口との関係及びループ部分におきます交通の合流方法等につきまして、交通安全上問題がございますので、慎重に検討してまいりたい、かように考えております。  それから一番最後の国道二号今宿−青山間の改良についてでございますが、当該区間は現況幅員十三ないし十四メーター、車道の幅としましては八メーター、両側に二・五ないし三メーターの歩道がございます。交通量は十二時間で二万二千三百台でございます。この区間、直轄事業及び日本道路公団有料道路事業としまして、姫路バイパスを昭和五十四年十二月に開通させたところでございまして、今年度におきましても拡幅事業を行っているところでございます。したがって、現道の交通混雑緩和に役立つものと考えているわけでございます。  また、現国道二号につきましては、都市計画決定が二十ないし二十七メーターの幅員で行われておりますが、御承知のとおり現道は人家運檐し、改築を進めるにはその整備手法につきましてなお検討の余地がございます。今後兵庫県におきまして十分検討するよう指導してまいりたい、かように考えております。  以上でございます。
  189. 新井彬之

    新井委員 この問題は地元にとりましても非常に大きな問題でございますし、第二国道、やはりこれからますます大事だと思いますので、極力、鋭意前向きにひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  時間でございますので、終わります。
  190. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 御苦労さまでした。  滝沢幸助君。
  191. 滝沢幸助

    滝沢委員 委員長御苦労さまです。大臣御苦労さま。  初めに、これは随分と議論されたことでありますが、自動車重量税などにかかわる道路財源確保のことについてお伺いさせていただきます。  六十年度の予算によりますと、揮発油税の直入ということで一千百十億円、運用資金からの借り入れということで一千二百億円、これをもって、議論されてまいりましたいわゆる自動車重量税などのオーバーフロー分は解消しているというのが、実はこの三月六日の本委員会における我が党の小沢議員の質問に対する田中道路局長のお答えであったと理解していますが、そういうことでいいですか。
  192. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 そのお答えのとおりでございます。
  193. 滝沢幸助

    滝沢委員 そこで、そのような方法で、ないしはもっと別な方法があってもよろしいのでありますが、つまり六十一年度におきましてもいわゆるこのオーバーフローは生じないというふうに理解してよろしいですか。
  194. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 揮発油税の六十年度の収入額等々につきましては、いろいろはじき方がございますけれども、このまま進めばやはり多少ことしよりも伸びると思いますが、予算要求の手法その他につきましては、省としましても六十一年度まだ確定したわけではございません。しかし、考え方としては、六十年度と同じような方法でまいるのが妥当ではないかと考えております。
  195. 滝沢幸助

    滝沢委員 同じような趣旨の問いに対して、大蔵省の主計局から見えていただいているはずであります、お答えをちょうだいしたいと思います。
  196. 涌井洋治

    ○涌井説明員 六十年度の予算におきましては、道路の財源問題につきましてはオーバーフローは実質的に解消したと考えております。  それから、六十一年度予算でどうなのかという点でございますけれども、これは六十一年度の予算編成の中で財政事情全般の中でどうするか検討していくことになるかと思います。
  197. 滝沢幸助

    滝沢委員 両省のお答えの中に少し落差がありますが、これは立場上そういうことかもしれません。  ところで、問題は過去の、つまり五十七年度におきましておよそ一千四百十一億円、五十八年度におきまして一千六百億円、また五十九年度におきまして一千百億円、締めて四千百十億円と言われますオーバーフローのこの状況、これをいかにして復元していただくかということは、我が国の道路政策の上で大きな問題だろうと思っております。これがいつまでもこのようなままに置かれるならば、この目的説という税金の趣旨もゆがめられることでございます。速やかにこれを復元してちょうだいしなげればなりません。それにつきまして重ねて大蔵省のお考えを問いたいと思います。
  198. 涌井洋治

    ○涌井説明員 先生御指摘のとおり約四千百億円の過年度のオーバーフローがあるわけでございます。この点につきましては、建設大臣、大蔵大臣との間で、財政事情が許せばできる限り早く返すというお約束になっているわけでございます。ですから、そういうお約束を念頭に置きながらこれからの予算編成の中で検討していくということになるかと思います。
  199. 滝沢幸助

    滝沢委員 重ねて、これは速やかに正常な姿に返されるということに理解してよろしいですか。
  200. 涌井洋治

    ○涌井説明員 財政事情の許す限り速やかにお返ししなくちゃいかぬと考えております。
  201. 滝沢幸助

    滝沢委員 そのような議論を長く繰り返してきたことであります。財政事情というものは自然とあるものではなくて、政府当局の努力によって生ずるのではありませんか。ふまじめな答弁はだめですよ。それは大蔵大臣じゃありませんから一〇〇%確約はできないにしても、財政事情が許すならばという範囲質問ならば何百回も各議員さんから承っておられるはずです。  重ねて申します。財政事情というものは政府みずからの努力によって生み出すものであります。そのことを念頭に置いてもっとまじめに答えてほしい。
  202. 涌井洋治

    ○涌井説明員 速やかに返すということは先ほど申し上げましたように大臣の間でお約束しているわけでございます。ですから、そういうことを念頭に置いて……(滝沢委員「そこまででいいですよ」と呼ぶ)はい。
  203. 滝沢幸助

    滝沢委員 つまり、これを復元することは両大臣のお約束と理解させていただきます。  さて、進ませていただきまするが、建設省におきます六十年度の予算を拝見しますと、今年度で終わるべき事業計画が幾つかございます。  ちょっと見ましても、第五次の下水道の整備計画というものは、しかし六九・一%にとどまっている。また第三次の都市公園等の整備計画は七三・六%にすぎない。さらには第三次海岸事業によります建設省の持ち分としては八一・五%、これは相当に進んでいると見てもいいと思います。また第三次特定交通安全施設整備事業ということにおきます道路にかかわる分としましては八九・一%、さらには第四期の住宅建設事業のうちに公的資金住宅の分といたしまして九五・六%、これは大体達成されたと言ってもいいのかもしれません。しかし、このように最終年度におきましても、その事業を半ばにしているものが数々あるわけであります。  これは今年度中に補正という形で少なくとも完成に近づくことができますか。
  204. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 昭和六十年度の予算がようやく成立いたしまして、現在執行中でございます。できる限り本年度のせっかくちょうだいいたしました国費を有効に活用いたしまして各事業の進捗を図りたいと思っておりまして、現段階におきましては補正といったことについて私の方から申し上げられるような状況にはないことを御理解いただきたいと思います。今後私どもといたしましては、与えられた条件の中で内外の経済動向を注視しながら適切な対応をしてまいりたいと考えております。
  205. 滝沢幸助

    滝沢委員 大臣、このことはいかがなものでしょう。事業計画をこうして持っていらっしゃり、このようにいまだ事業半ばにして最終年次を迎えておるこの状況について、今年度少なくとも補正という形で達成に近づこうという努力をなさいますか。
  206. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 五本の各五カ年計画が六十年度で終わるわけでございますが、今官房長から答弁いたしましたように、これは私の立場でそういうことを申し上げてはどうかと思いますが、四角四面ぴしゃっと決まったものではありませんで、ある程度の努力目標といいますか、経済の発展計画や何かをよく見まして、そして財政当局とも相談し我々も全体的な枠を要求して、されているわけですから、なかなか要望どおりにぴしゃっとはいかない。特に近年は御承知のような財政状況である。補正はどうかということでございますが、今やっと予算執行を急いで、地元が待っておられるわけですから、そういう点に力を注いでおる段階でございまして、今私どもの立場で補正云々ということを申し上げる時期でなかろうと考えております。
  207. 滝沢幸助

    滝沢委員 まるで主客転倒しておるのではありませんか。建設大臣こそ財政事情が許すならば補正を要求して計画を達成したいとおっしゃるものと私は考えておりました。そんなものじゃないでしょうか。いかがなものでしょう。
  208. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 全国からいろいろな要望がたくさんございますから、心情的には先生の御指摘と私の考え方はそう隔たってはおりません。私どももできればそういう方向に行っていただきたいことを願っているわけですが、財政状況が、今さら申し上げる必要はない、一年間に金利だけでも十兆円近いほど払っておるわけですから、そういう状態であるということも私どもは認識をしていかなければならぬと思います。
  209. 滝沢幸助

    滝沢委員 つまり補正予算の可能性は極めて少ない、これらの計画の未達成分はすべて次の長期計画に取り込むというふうに理解して帰っていいですか。
  210. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 先ほど来答弁申し上げておりますように、先生とも考え方は同じでございます。社会資本の充実というものは国民生活に一番関係がありますし、また国土の均衡ある発展ということを考え、良好な国づくりのためにも必要欠くべからざるものでございますから必要でございますけれども、今申し上げますようにこれから景気の動向なんかを見なければいかぬでしょうし、いろいろな条件がこれからまた見なりそういうところでも論議されるでしょうから、私どもはそういうことを願っている一人でございますけれども、今ここで申し上げるということはどうだろうかと思っております。
  211. 滝沢幸助

    滝沢委員 大臣、心情はよくわかります。これは、さっき大臣も私と理解が一緒だとおっしゃっていただきました。そのような意味で私が大臣にお願い申し上げたいのは、もう少し積極的な姿勢で大蔵当局と交渉されて、この建設事業等について他の不急不要の経費を削減してでも補正予算を要求して全国の県、市町村の要求にこたえていくという姿勢を堅持されるように要望申し上げておきます。  次に、さてこのような公共投資、特に建設省におきます公共事業のことでありますが、これが地域割り当てがなされるについてのシステム、精神と、これが経済、特に地域経済に及ぼします波及効果についてのお考えをただしてみたいと思います。  その前に、これはちょっと事務的でありますが、事業費を配分なさる基本的な精神は大体何でございましょうか、簡単にお答え願いたい。
  212. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 その事業によりましていろいろございますが、基本的な考えといたしましては、その地域のニーズに適切に対応できますような、公共団体の御要望あるいは各地域の公共施設整備状況、また事業間のバランスといったようなものを考慮いたしまして各地域の配分を考えておるところでございます。
  213. 滝沢幸助

    滝沢委員 まこと、お手本のような御答弁でございました。かくなければいけないことであります。  ところが、事古きにわたりますが、鈴木内閣の末期に朝日新聞が公にいたしましたてとによりますと、これは何も建設省だけを責めているわけではありません、政府全体と言ってよろしいでありましょう。公共投資の比率を全国の県の平均を一〇〇といたしました場合に、新潟県が二五三であると言っております。次に当時の総理の御出身であります岩手県が二四九と明記されております。以下落ちていき、一〇〇を割っていくことになるわけでありますけれども、少なぎは四十幾つということに相なっておる県もあるように見受けておきました。  私はこのことを、今おっしゃったようなシステムで予算は配分されるのではなくて、その選挙区、その府県の御出身の議員さん等の政治力ないしは内閣の大きな政治的配慮によって公共事業は決定されると申し上げて過言でないのではないかと思うわけであります。  ついでに、いささか過言にわたるかもしれませんけれども申し上げさせていただくならば、おっしゃるような必要なる場所に必要なる事業という視点ではなくて、そのときの各党のと言ったらいいのでしょうか、実際は各派閥でしょうか、ないしは各議員さんのお力関係というのでありましょうか、政治力学によって決定されると世間は見ているのでございます。ないしは、それは公共の費用、つまり国民の血税によって選挙運動まがいの公共事業の分配がなされていると国民は見ているのでございます。ですから、これのいかんによって選挙に効果がはっきりとあらわれてくると言われているわけであります。  ちなみに、しかしこれが実際に地域の経済にどのように波及するかということもついでながら申し上げさせていただくならば、世間が考えているほど地域の経済にそのまま密接をしてはいないということでございます。  戦前、公共事業費等は八〇%が人件費といいますか労務費であると言われておりました。スコップ一丁とお弁当を自分の家から持って出れば、それはほとんど労務費ということで地域に落ちたのであります。その当時におきましては、確かに地域経済を潤す大きな要素でございました。しかし、調べていただきましたならば、今労務費は大体において一九%と言われております。ほとんどは鉄鋼となりセメントとなり機械機材となり油となり、ないしは金利となって直ちに東京に返ってくる性質のものであります。でありますから、いわゆる朝日新聞のかの指摘によれば、この新潟のごときも、国民の側から見れば血税が新潟等に使われているというふうに見るのだけれども、県民生活の姿というものは決して高いものではない。大学の入学率は全国でおしりから二番目とか三番目とか書いてございました。  そのように、いわば一つの例でございますが、地域に及ぼす経済効果はさほど生きていない、こう見ているようでありますが、しかし、それらは一つの参考的なお話としまして、どうです、大臣、予算の配分は政治力学によって決まると国民の皆さんから見ていただいているということは、まことに遺憾なことではありませんか。御所信を承りたいと存じます。
  214. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 基本的には先ほど官房長が答弁されたとおりだ、私もそう思っております。またそうでなければならない。しかし、近年、経済状況といいますか、工業その他のいろいろな経済のパターンというものが、生産も含めまして、非常に大きな変化をいたしております。高度成長時代には確かに、たくさん油を使って、たくさん鉄を使って、そしてある意味では公害も垂れ流すような、そういうような勢いで日本の経済は伸びたわけですが、最近では御承知のとおり、この四、五年来の財政の厳しい状況もあるでしょうし、また、いろいろな海外の環境とか、日本は輸出主導型が多いわけですから、そういうふうなことで、また国内の方の場合でも、私ども見ておりますと、かつては造船王国と言われました長崎県なんかも今や不況期になっている。それから太平洋側と日本海側を見てみましても、やはり日本海側と太平洋側では日照だけでも一日平均四時間も違う。それからまた、御承知のとおり今いろいろなハイテクの産業が大きくあれしているとかというようなことで、非常に流動的で大きな変化をしておる。  そういう中にあって、やはり地域の皆さん方はそれぞれの立場で社会資本を充実しよう、そういうことが、また道路なんかが計画をされて進めば先端産業の誘致ができるとか、新しいそういうニーズが生まれてくるだろうというような期待もございますし、それから道路一つ考えてみても、高速道路から我々の生活道路まで体系的に整備されなければならぬというような点等を考えてみますと、今申し上げますように、私どもは、国民の血税を公正に効率的に、そしてしかも高度成長のときと違って、公共事業だけが景気浮揚する大きなあれにはならない点も確かにあるかもしれませんけれども、そういう気配りを恐らく地域の事務当局は、県なり市町村なりまでいろいろなヒアリングを何回も重ねたり、そういう点も配慮しながら取り組んでおられる、私はそう信じております。     〔中島(衛)委員長代理退席、亀井委員     長代理着席〕
  215. 滝沢幸助

    滝沢委員 くしくも、高度成長時代と今は違うとおっしゃっていただきました。まさにそのとおりでなくてはいけないわけです。  しかし、私は、ここに一つの指摘を申し上げておきたいと思います。具体的な例は遠慮させていただきますが、建設省等におきまする設計の中で、時代錯誤も甚だしい、華美にわたり、いわゆるぜいたくにわたるものが多いのではないか。例えば橋梁にしても、建造物、建物にしてもそのとおりであります。むしろ国民の皆さんが今日置かれている立場で要求していらっしゃるものは、その用を足すことのできる、堅牢にして質素な素朴なものではないでしょうか。そういう面で、例えば並木を見ましても、柳等を植えれば本当に簡単に安く、しかも活着もいいのに、カツラとかエンジュとかそういうものが植えられる。これらを見ますると、どうも発想の転換が、大臣はおっしゃるのだけれども、実際の設計等の面には具体的にはあらわれていない、このように見ているわけであります。これらについて一つの指摘を申し上げて、御注意を喚起しておきたいと思います。  さらに、そのようにおっしゃいまして、お答えとして、政治的配慮で、あるいは政治的な力関係予算が配分されるとはおっしゃっていただきませんけれども、今のお答えは暗にそのことを肯定されたような、しかし日照の時間とかなんとかおっしゃっておりますけれども、そのように思うものでありますから、実は東北という立場で申し上げさせていただくわけでありますが、東北横断自動車道は三本の計画がございます。なかんずくその問題の、今申し上げました新潟といわきを結ぶあの自動車道、この進捗の状況と今後のスピードアップの御計画をひとつ承っておきたい。
  216. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 東北横断自動車道いわき新潟線は、いわき市を起点としまして郡山市において供用中の東北縦貫自動車道に接続し、さらに新潟市に至る延長約二百十キロメートルの高速自動車国道でございます。  このうち郡山ジャンクションから猪苗代インターチェンジ間二十六キロメートルにつきましては、現在設計協議及び用地買収を行っているところでございます。  また、猪苗代インターチェンジから会津坂下インターチェンジ間三十四キロメートルにつきましては、昭和六十年三月に路線発表を行い、現在路線の地元説明を行っているところでございます。  さらに、津川インターチェンジから新潟インターチェンジ間四十四キロメートルにつきましては、安田インターから新津市に至ります区間において、既に昭和六十年三月に路線発表を行い、路線の地元説明を行っているところでございます。  また、津川インターから安田インターに至ります区間及び新潟市内の区間におきましては、現在日本道路公団において、路線発表に必要な調査を行っているところでございます。  残りのいわき市−郡山市間約七十一キロメートル及び会津坂下町−津川町間約三十一キロメートルにつきましては、現在東北、北陸両地方建設局におきまして整備計画策定に必要な計画調査、地質調査、気象調査などを進めているところでございます。  以上でございます。
  217. 滝沢幸助

    滝沢委員 道路は、ある地点からある地点までは少なくとも開きませんと、これは用を品さないわけです。会津若松から郡山間のごときは、見ておりますと、今の四十九号線というのは全部黄色い線でいわゆる追い越し禁止の区域であります。こういうことで道路の用を足すはずはないわけでありますから、非常に急ぐ人もあれば、ゆっくりという人もある。これが改善されないことによりまして、倒産しなくたっていい会社が、三時までに銀行に帰れなかったために倒産をしたという例も聞いているわけであります。  そこで、私は一つの提案を申し上げますが、今おっしゃっていただきましたその基本の計画と、それはそれ、どうかひとつ大いにこれをスピードアップしてちょうだいしたいということでありますが、ともに現道を、今使っておりますあの四十九号線に対して追い越し可能な地区をもっと数数、これはそうそう費用のかかることではありませんから、速やかに、直ちにと申し上げさせていただきます。これを相当の数ふやしてちょうだいしなければ、地域の状況はどうにもならぬということになっているわけでありまして、これについて一言触れさせていただきます。
  218. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 四十九号を初め二車線の国道で追い越し禁止が非常に多くなっているというところが最近非常に多いということはよく認知しているところでございまして、今後公安委員会とよく協議させていただきまして、できましたら、必要なところは追い越し可能なふうにさせていただきたい、かように考えております。
  219. 滝沢幸助

    滝沢委員 そこで、先ほど、三時までに帰れなかったために倒産した会社の話を申し上げましたが、建設事業、特に零細中小企業と言われる立場の建設業者の倒産の状況は、最近においてどのようなことであるか。私たちの日から見れば、これは大変つらい立場に追い込まれている、こういうふうに見ているわけであります。しかも、この状況を御説明いただくとともに、今後の指導体制といいますか、倒産する企業等を通じて辛酸をなめております国民、地域民に対してどのような方途があるものか、伺わせていただきます。
  220. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 昭和五十九年におきます建設業の倒産は、件数で六千百十三件、対前年比九・二%増、負債総額で六千七百六十四億円、対前年比一五・一%増となっております。これは件数、負債総額とも過去最高の数値でございます。しかも、主な原因別に見ますと、景気変動による販売不振等によりますいわば不況型の倒産というものが全体の六八・九%と、七割近くがそういった要因になってきております。なお、本年に入りましてからは、前年に比べますと件数では若干減っておりますが、負債総額では前年に比べてもなおふえている、こういう状況でございます。  もともと建設業のほとんどが中小建設業者でございまして、倒産する業者の方も中小零細業者であるわけでございますが、いろいろの対策はとっておるところでございます。  若干申し上げますと、中小企業信用保険法に基づきます不況業種の指定を行いまして債務保証の円滑化を図るとか、基本的には公共事業関係予算、これは非常に厳しい中ではありますが、財政制約下ではありますが、建設省関係予算につきまして六十年度事業の確保に努めてこれの効率的執行を図るということが、経営の安定に資するものと思っております。  なお中長期的にはいろいろ、中小企業近代化促進法に基づく業種別の近代化の推進でございますとか中小業者の共同化の施策の推進をやらなければならぬ、またさらに業界全体の産業構造としてどうあるべきかというようなことにつきましても今鋭意勉強しておるところでございまして、そういった観点からも中小企業対策というものを考えてまいりたいと思っております。
  221. 滝沢幸助

    滝沢委員 建設業者等の倒産が大変に多い、しかも本人の不努力、放漫経営によるものよりもむしろ構造的な条件によるものが多いと今承ったわけであります。  ところで、請負契約、入札等をめぐって、いわゆる談合等はありますか、ありませんか。実態をどのようにとらえていただいているか、そしてその指導をいかにされているか、つけ加えてお伺いさせていただきます。
  222. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 昭和五十六年の秋でございますが、いわゆる談合問題というものが大きく取り上げられまして、また国会でも論議がなされました。そういったことを受けまして、昨年の二月に公正取引委員会の方から、独占禁止法の運用上の問題としまして公共工事の建設業の工事発注についてのガイドラインというものも示していただいたわけでございます。  私ども業界を指導する立場といたしましては、そういった方針に基づきまして独占禁止法違反にならないように指導しておるところでございまして、いわゆる談合といったようなものはないものと考えております。
  223. 滝沢幸助

    滝沢委員 ないものと見ていらっしゃるならば結構な話でありますが、そういうことが零細中小企業にお仕事が回ってこない一つの原因になっている。私は何も事を荒立てて政府を責める気ではありませんから、具体的な事例は数々持っておりますけれども、きょうは遠慮させていただく。しかし知らぬは本庁ばかりなり。この不況のときに大きい会社に仕事を取られて、零細中小企業が倒産に至るというようなことのないように指導を徹底してちょうだいしたいと思います。  次に、話が少し変わりますけれども、自治省からもお見えになっていただいているはずであります。  そこで、お伺いさせていただきます。  先般、決算委員会において自治大臣にもお尋ねをしましたが、事がはっきりいたしません。そこで、今度は場所を変えて建設省をメーンとして承っているところでありますが、自治省と建設省、もちろんその奥には大蔵省が介在していらっしゃいまして、事の発端は大蔵省さんの方で、国の財源が厳しくなってきた、そこで建設省さんに対する予算の配分も厳しいということで、従来市町村単独事業等でやってきたものないしは補助事業としてやってきたものとこれらに対する手当ても厳しくなってきたというところに発想の原点があるかと理解したのでありますが、ことしから三年間にわたりまして道路整備緊急措置法に基づいて臨時交付金という制度が実施されてございます。  ことしの予算は随分とごろのいい、切りのいい数字でありまして、千百十億という数字だそうでありますけれども、これはよく承りますと三年間に八千億お使いになる見込み、ですからこれを三で割りますと二千七百億くらいになろう。それに対しましていかほどの事業の希望があるものか。そうしてみますと、予算的に見て四〇%ぐらい、これは交付金で見よう、しかし残り大体六〇%はというところから問題が分かれるわけでありますけれども、市町村、多くの団体からおっしゃってきますことは、この事業については交付金の四〇%、その残りの六〇%につきましては起債をちょうだいできると理解していた。少なくとも建設省ないしはその出先の説明段階ではそのように理解された。今、各団体は予算の編成を終わりました。この段階で自治省からの通達によれば、一切そのようなことはございません、地元で全部持ってくださいということだと聞いているのであります。  このようなことであるならば、大変ありがたい事業だと思ったけれども、とてもとてもこれはできませんよ、私の方の団体としては来年は遠慮させていただく以外にございませんという声すらも返ってきているわけであります。  これらのことについて、この事業をめぐっての両省の見解、またできるならば大蔵省の見解も承らせていただきたいと思います。
  224. 柿本善也

    ○柿本説明員 地方道路整備臨時交付金の対象事業のお話でございますが、この事業につきましてはいわゆる交付金事業でございまして、補助事業の場合のようないわゆる地方負担、裏負担といいますか、こういうものが当然に生ずる性格のものではない、こういうふうに考えているわけでございます。  法律の立て方として、地方団体が交付金の額を超えて事業を行う可能性は法律上認めていることは承知しておるわけでございますが、こういう交付金に充てる事業は各種の交付金の事業と同じように地方の単独事業として考えておるものでございまして、実際にも六十年度の地方財政計画をつくるに当たりましては、この千百十億円につきましては道路事業費の歳出に交付金の額と同額の千百十億円を立てた、要するにその分だけ地方単独事業が増加するという形で計画を立てたところでございます。  それから、個々の団体の措置にも絡むかと思いますが、地方の単独の道路事業につきましては、各種の道路目的財源とか交付税、そういうもので一般財源の措置もされていることでございまして、この事業につきまして地方団体がみずからの判断で交付金を超えて事業をされるような場合につきましては、まずそうした一般財源を充ててもらうべきである。しかも、財政計画上そういう措置になっておりますので、そのために特に起債措置を講ずることは考えてないし、そういう線で地方団体にもお伝えしているところでございます。
  225. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生御指摘の緊急地方道路整備事業の地方負担分につきましては、先ほど自治省からお話しがございましたが、マクロ的には、オールジャパンという意味でございますが、地方の道路財源に与えられましたいろんな交付税とかその他等々によりまして対応可能であると考えております。  しかしながら、個々の地方公共団体の財政事情によりましては、事業実施上支障が生じるような場合があろうかとも思いますので、その場合には適切な措置が講じられますよう関係各省にお願いしているところでございます。今後とも本制度が円滑に運用され、バランスのとれた道路整備が図られるよう努めてまいりたい、かように考えております。
  226. 滝沢幸助

    滝沢委員 今のお話の適切な措置とはどういうことですか。
  227. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 やはり原則論は、今自治省の課長さんがおっしゃったとおりだと思います。ただ、具体的に申し上げますと、島根県の一部の市町村、これは昨年の災害で非常に打撃を受けておると思います。それから長崎県もさようでございますね。そういうところで、非常に財政力が苦しい市町村で、非常にいい計画の事業、これは県、市町村含めてという意味でございますが、その場合には何らか関係の、特に自治省さん等々に、先ほど申し上げました地方財政計画はございますが、その中でひとつお考えいただけませんでしょうかという意味でございます。
  228. 滝沢幸助

    滝沢委員 建設省がやや温かい感じ、自治省が全く冷たい感じというふうに、最初からそういう感じで進められた計画でございました。今ほどの自治省のお答えは先般の決算委員会で承ったときにもちょうだいしております。しかし、この事業に対して現に幾つかの市町村が、平たく言えば建設省と自治省とにだまされたという感じを持っていらっしゃる。自治省がそのようなことをきちんとおっしゃったのは六月六日の次官通達ではないでしょうか。それを見て初めて、ああ起債は全然だめなんだなということがわかって、既に予算措置も終わった後であり、非常に困るとおっしゃってきているわけであります。  実は自治省さんというのは、今は地方自治の総束ねというふうな立場で自治団体の立場に立って物をお考えかと思いますと、何かそうではなくて、昔の内務省当時の体質がまだ残っておるのじゃないでしょうか。  実は過ぎ去りましたことではありますが、五十九年度におきまして、これは建設省関係ありませんけれども、国土調査の費用につきまして、これは従来特別交付金を十分の八ちょうだいしていたものを十分の五に減額をされた。そのことは実施団体等が全然知らないうちにそのような措置がされて、猛然たる反撃によりまして今年度は元に復したと言われているわけであります。このことについての答えを求めるのではありませんけれども、お答えいただけるなら一番結構だけれども、いずれにしましても、事ほどさように自治省というものはどうも末端市町村等の立場に立って物をお考えになるのではなくて、逆に本庁の考えといいますか、大変その点で市町村に対して冷たい仕打ちが多いというふうに私たちは見ているわけです。  この問題の事業等に対しても、初めは建設省本省がどのような立場をとられたか私はよく存じませんよ。しかし、少なくとも県、市町村にこれらの事業を指導される立場においてはいわゆる起債が可能なごとき説明があった、ゆえにこれは大変いい仕事だと思ってそちらに行ったところが、後で自治省から冷たく突っぱねられたというふうにおっしゃっているわけです。この間のことについて、これをどうかひとつもう一回両省が検討して、少なくとも県、市町村が、この際は市町村になりますが、だまされたという感じを持っていて、来年度からはこの事業はもうこりごりだというようなことにならないような再指導の方向を模索されるお考えはありませんか。
  229. 柿本善也

    ○柿本説明員 大変答弁が冷たいという御指摘でございますが、地方税、交付税、国庫支出金、地方債、いろいろな零細な財源を組み合わせてやることが地方団体の宿命でございますので、そこで決められる決まりというものを原則にして財政運営を行わないと不測の事態が生ずるわけでございまして、我々もそういう地方財政の健全性を図る立場から、やはりその事業の性格から申し上げていることでございまして、そういう点は御理解を賜りたいと思うわけでございます。  この交付金の事業につきましては、そういう性格からいたしまして、実は六月六日に公式の文書としては差し上げておりますが、それ以前から千百十億は単独で、要するにそれ以外の負担を伴わないものであるということは地方団体に連絡は十分行き渡っておりますし、尋ねられるごとに起債はそういうものは予定しておりませんということは予算が決まりました時点からお答えしてきたことでございます。決して冷たく急に言い出したことでございません。  ただ、交付金の事案を再度考えてはどうかということでございますが、やはりそういう決まりの問題でございますので、この交付金の、わかりやすく言えば裏負担みたいなものについて起債を認めるということにつきましては無理かと存じます。ただ、道路事業ということではなくて、道路事業についてはいろいろな財源がございますので、各団体で御工夫していただくことにいたしまして、地方団体全体の財政運営ということは我々としても十分責任を感ずる部門でございますので、地方団体全体の財政運営の問題としては質問趣旨のような点を我々も生かして、いろいろ事情を聞いて対処してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  230. 滝沢幸助

    滝沢委員 建設省はどうです。
  231. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先ほど申し上げましたように、一般論としましては、地方公共団体には道路に関する財源があるわけでございまして、私が申し上げましたのは、財政力指数の少ない方がこの事業に賛同されて非常に困っている市長さんがもしも現実に出てきた場合には、再度自治省さんなり何なりに財政計画を含めてお願いしたいという意味でございます。
  232. 滝沢幸助

    滝沢委員 自治省さんはお答えが冷たいのじゃなくて、お考えそのものが冷たいのですよというふうに申し上げて、自治省の基本姿勢というものを私は問うているわけであります。  話はこれに直接かかわりありませんけれども、あの指紋押捺だってそうでしょう。現場の県、市町村が苦労しているときに、せんだっていろいろと質問もさせていただきましたけれども、それは法務省からの事務委託であるので、各市町村がそれぞれやりなすったらいいでしょう、こういうお答えに終始しているわけです。  私は、自治省というものの基本姿勢が市町村の側に立っていない、こういうふうに申し上げているわけでありまして、ここでそれを言っても仕方がありませんが、両省に対してもう一回お伺いします。現実にきょうこの時点におきましても、市町村の中には、この仕事にはだまされた、失望した、このままならば来年はとてもこれはできませんとおっしゃっているというようなことが、なぜ起こったのです。両省が呼吸を合わせて今お答えいただいているようなことを説明していただいているならば、少なくともそのような誤差というか錯覚というか誤謬というか、そのようなことが末端市町村に起ころうはずはないじゃありませんか。それが現実に起こっているということはなぜでしょう。両省はどのようにこのことを踏まえて反省いたしますか。どちらからでも結構です。
  233. 柿本善也

    ○柿本説明員 私どもとしては、先ほどお答えいたしましたとおり、この交付金が決まりましてからいろいろなお尋ねあるいは公式の説明を通じまして、一貫してこれについては地方債を充てるべき性格の事業にならないということを説明してきたつもりでございまして、混乱を生じたのにどうかと言われてもちょっとなかなか答えにくいわけでございますが、もしお答えできるとしたら、先ほどの答弁で申し上げたように、当該地方団体全体の財政運営についてはその事情に応じて御相談に応じたい、こういう姿勢でまいりたいと考えております。
  234. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先ほど自治省の方からお答えありましたように、一般的な解釈としては起債は無理ということはよく存じ上げています。したがいまして、私が先ほど申し上げましたのは、この前実は自治省さんにお願いに行ったわけでございますが、最終的に困った場合には地方財政計画の中でいろいろ考えてください。今課長さんがおっしゃったような同じ意味でございます。
  235. 滝沢幸助

    滝沢委員 ほとんどの市町村と言っても過言ではないと思うのです。私は国の財政運用の中で、今度の補助金の一割カット等の発想の原点ではありますが、地方財政富裕論のようなものがあるのを残念だと申し上げました。実は富裕な団体というのは極めて少ないのでありまして、ほとんどの現場の市町村というのは苦労しているわけでありますから、どうかひとつ今両省からお答えいただきましたようなことで、特別苦労している団体等に対しては特別の措置を今後模索していただきますように要望させていただきまして、この項を終わらせていただきます。  最後に、これは経済企画庁さんも見えていただいているわけでございますが、そこで私は総合交通体系と申しますか、総理大臣は戦後の総決算、このようにおっしゃっていただいております。その戦後の総決算という中に、この四十年間日本の国は何をしてきたか、こう一つは問いたい。  世界でただ一つ原爆を落とされた国ならば、もう一度原爆が落ちる可能性がある。少なくともそういう可能性がある。ないしは侵略も受ける可能性がある。いわんやまして地震も災害もある可能性は大変に高いわけです。それなのに、どうして日本の国では道路というものは道路使用目的だけが考えられて、一朝事ある場合の、例えば飛行機の滑走路とかいうような諸外国で行われている道路計画ができないものだろうか。ないしは、交通の手段として鉄道あり、道路あり、空路ありしますけれども、その持ち分の分担等も決して十分に、しかも特に防衛、安全ということを基本にして事が練られているとは見られないわけです。  それならば今私は、例えば今後、戦後の総決算、見直しでありますからこれからでもいい、やはり原爆は落とされる可能性がある、災害は非常に高い可能性を持ってまたやってくるということを考えて、交通体系全体を防衛ないしは安全保障という立場に立って練り直していただきたい、このように思うわけでありますが、いかがでありますか。  特につけ加えさせていただくならば、日本には四十階、六十階というような霞が関ビルとかいろいろなビルができておりまするけれども、これらの大きなビル等におきまして、あるいは全国津々浦々の何とかセンター、何とか会館では、いざというときにどこに逃げるのでしょう。地下ごうがどうしてないのでしょう。建築基準法一つを改めれば解決することではありませんか。  私は、高度成長時代になすべきこと、これが今になってもできていないのは非常に残念なことだけれども、過ぎ去ったことは仕方がありません。今後これらに対してどのような考え方を持たれるのか、経企庁を中心として政府の考えを承っておきたいと思います。
  236. 戸嶋英樹

    ○戸嶋説明員 お答えいたします。  総合交通体系という問題につきましては、昭和四十六年十二月に臨時総合交通問題閣僚会議というものがございまして、そこでいわゆる四六方針というものを定めてございます。そこでは競争原理を活用しながらあらかじめ各交通機関の分担関係を想定し、交通需要の調整、誘導ということを進めていくというふうな考え方を述べているところでございます。この基本的な考え方は現在もなおおおむね妥当な方向であろうかと思います。  ただいま御指摘の安全に関する問題でございますけれども、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、これは現在ある経済計画でございますが、これの中でも今の総合的な交通体系を整備するという考え方とあわせて、地震に対する安全性の向上を図るため、交通手段の整備を図る等の防災対策等を充実する必要があるという考え方を述べているところでございます。
  237. 滝沢幸助

    滝沢委員 これは経済企画庁でもいいし建設省でもいいのですけれども、地震等のことはわかりました。しかし他国からの侵略等については防衛庁等との協議等がありますか。どこの道路がそのような発想に立って諸外国のそれのごとく整備されておりますか、承りたいと思います。
  238. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 道路の整備につきましては道路構造令に基づいて所要の設計を行っておりまして、国防上の観点からの整備については特に配慮していないというのが我が国の現況であろうかと思います。  しかしながら、広く国民の今、財産を守る観点から、災害時あるいは地震時等におきます緊急輸送路の確保や橋梁等構造物の耐震性の向上など、安全で確実な道路交通の確保に重点を置いて道路整備を推進しているところでございます。  先生のお考えも傾聴すべき一つのお考えであると思いますけれども、防衛道路の問題、特に飛行機とかそういうもの、この問題につきましては国民各層にいろいろな御意見のある問題と認識しておるところでございます。
  239. 滝沢幸助

    滝沢委員 大臣、ほんの一言。それでいいかということです。
  240. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 今局長答弁のように、日本の場合には非常に山の多い国でございますし急傾斜の非常に多い国でございます。そういう点に力を入れて私は今日まで道路行政を進めてきた。いやしくも平和国家でございますから、そういう想定は全くないのが当然だと考えております。
  241. 滝沢幸助

    滝沢委員 それは誤りだと指摘させていただいて、質問を終わらせていただきます。  大臣御苦労さま、委員長御苦労さま。
  242. 亀井静香

    ○亀井委員長代理 瀬崎博義君。
  243. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まず住宅の問題から伺っていきたいと思うのです。  第四期の住宅建設五カ年計画は、昭和六十年度までにすべての世帯が最低居住水準を確保し、半数の世帯が平均居住水準を確保することを目標にしているわけですね。ところが、総務庁統計局の五十八年住宅統計調査を見ますと、公社公団の最低居住水準未満世帯は実に二十一万五千九百世帯、全体の二七・八%を占め、平均居住水準未満世帯は六十七万一千二百世帯で実に八六・四%に及んでおるわけですね。これは民間の借家よりも状況が悪いわけです。それから、公団については五十五年の調査報告しかありませんが、最低居住水準未満が十二万五千百五十五世帯で全体の二一・四%、平均居住水準未満が四十四万四千百七十八世帯で七六%。  このままではとてもじゃないが五カ年計画どおりにはいきそうもない。だから、少なくとも最低居住水準未満の解消のためには、何はさておき公団としても特別な対策を急ぐ必要があるのじゃないかと思うのですが、どういうことをやっているか、まず伺っておきたいと思います。
  244. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 お答え申し上げます。  公団住宅につきまして最低居住水準未満の世帯が多い、あるいは平均居住水準未満の世帯が多いというのは残念ながら事実でございまして、こういったものの改善に取り組んでいかなくちゃならないことも御指摘のとおりでございます。ただ、そうは申しましても現実にある住宅居住水準を急に上昇させていくのは容易なことではございません。私ども、今までは例えば二戸一改造であるとかいろいろな形で居住水準の向上に努めてきておるわけでございますが、今後公団住宅につきまして増改築を一層やっていきたいということと、公団住宅の建てかえに本腰を入れて当たってまいりたいと考えておる次第でございます。
  245. 瀬崎博義

    瀬崎委員 本腰を入れてとおっしゃったんだけれども、増築について言えばようやく五十九年度から始まったばかりで、そもそも計画が三百戸と少ない上に実績はさらに少なくて百戸ですね。六十年度は計画そのものが五百戸しかない。たしか公団は、十六団地、約二万四千世帯に対して増築についての希望アンケート調査をされているわけですが、その十六団地についていわゆる増築希望者は率で示してどのくらいあったのか、お答えいただきたいと思います。
  246. 京須實

    京須参考人 十六団地のアンケートでございますが、調査の結果は、全体の三六・五%の居住者が増築の実施を希望されました。
  247. 瀬崎博義

    瀬崎委員 実数でどのくらいありますか。
  248. 京須實

    京須参考人 七千五百七十七名でございます。
  249. 瀬崎博義

    瀬崎委員 わずか十六団地のアンケート調査でもそれだけの希望者はあるわけですね。計画そのものが非常に低いんだけれども、非常に低い計画すら実際にはなかなか実施できていない五十九年度の結果があるのだけれども、その主な理由はどこにあるのですか。
  250. 京須實

    京須参考人 ただいまお尋ねの十六団地につきましては、初めての増築でもございますので、居住者の方々の増築に関する御意見、希望等を全般的に把握したいという点から調査いたしました。その中からさらに全国七団地を実施対象団地に増築に関して選びまして、法的あるいは物的に増築が可能である住宅約四千七百戸を対象に、今度ははっきり増築希望かどうかの御意見を聴取しております。その際、多数の増築の申し込みがあったようでございます。  ただ問題は、増築と申しますのは工法上一棟単位でその棟の全員の同意を得るという必要がございます。そのために、増築を希望される方がおられましても全員ではない、あるいはまた、中には増築は希望しないがほかへ引っ越してもいいという方がおられます、そういう方々についてはいろいろとお願いもしたりして努力いたしましたが、つまり結果的に、全員が増築賛成、一棟全部がそろうことがなかなか難しい。こういうために、実際行われましたものが百戸、こうなったものと考えております。
  251. 瀬崎博義

    瀬崎委員 問題は、なぜ希望がありながら全員同意を得ることが非常に難しいかということですね。  これはもちろん、NHKでもその実態について一遍特集の放映もしているでしょう、それから居住者団体である公団自治協にも一番の障害はどこにあるかということを聞いていましたね。そうしますと、例えば具体例、東京の小平の場合でいくと、増築前の家賃は二万八千四百円から三万七千九百円でおったのが、増築後は五万四千百円ないし六万四千九百円、ほぼ倍になっていくのですね。それから神奈川の相模台の場合でも、増築前二万八千二百円から三万八千三百円だったものが、増築後は五万三千五百円から六万四千九百円、これもほぼ倍に上がっていく。大阪の千里津雲台の場合も大体同じような傾向なんですね。  面積が四〇%強しかふえないのに家賃の方はほぼ二倍になってくる。ここに、希望はあるんだけれども実際同意となると二の足を踏む。ここを解決する必要があるということが共通した意見になっているわけです。  さて、こういう増築後の家賃が高くなる原因についてはもう当然明らかになっていると思うのですね。公団はどう考えていますか。
  252. 京須實

    京須参考人 増築後の家賃でございますが、増築に要する費用をもとに一定計算方式がございまして、そのものを従前の家賃に加算するいわゆる加算方式でございます。  この増築に要する費用につきましては、私ども金利を五%と計算をしております。これでも国の方からの利子補給はされておりますし、またあわせて増築部分の家賃につきましては地代分は取っておりません。地代は既に前の家賃に入っておりますから取らないでいいわけでございますが、問題はやはり、もとの家賃とは建設の時期が違います。物価騰貴等がございまして、そのために見かけ上は四〇%の増築であっても倍になるといったような傾向があるわけでございますが、新しく全部を建てればもっとはるかに高くなるものが、一部の増築でありますのでまだ全体から見れば相対的には安い、そういう感じでございます。
  253. 瀬崎博義

    瀬崎委員 今、年利率五%計算と言われたけれども、償却期間はどう見ておられますか。
  254. 京須實

    京須参考人 その増築された住宅の従来の部分が管理開始後七十年でございますので、七十年マイナス従来の経過期間でございますから、残った期間でございます。
  255. 瀬崎博義

    瀬崎委員 普通、新築した場合ですと、まず先ほど言われた年利率に相当する部分、五%に相当する部分は現在四%計算になっておるわけでしょう。それから償却期間は七十年で計算するわけですね。ところが、増築部分については金利は計算上五%を採用する。それから償却年限はもとの七十年から経過年数を引いた残り。だから、三十年たったものであれば四十年ということで償却期間を見るわけでしょう。これは極めて割高になってくるのは火を見るよりも明らかではないかと思うのですね。  ここがやはり希望をしながらもなかなか同意の段階になると二の足を踏む。生活に非常に激変が起こるわけですね。やはりここに工夫を要するのではないか、改善の努力を集中しなければならないのじゃないかと思いますが、いかがですか。これはひとつ総裁あたりに答えてほしいですね。
  256. 京須實

    京須参考人 私どもは、途中から追加されました増築分につきましては、確かに七十年に比べまして、最近でございますと約五十年でございますが、この場合の計算で七十年と五十年では余り実際の支払いの家賃には差は出ないかと思っております。  それからまた、五%と四%の差でございますが、四%に家賃計算をやっておりますのは五十七年からでございまして、やはりこれは地代の高騰あるいは建設費の高騰等でございまして、公団が主に入居を予定しております中堅所得階層、こういう方々が所得におきまして一定の負担率で利用可能な家賃にするために家賃を下げるためでございまして、いわば全体の家賃総額が高い場合の措置でございます。     〔亀井委員長代理退席、委員長着席〕  増築の場合には増築した部分は確かに割高のように見えますけれども、全体やってみれば増築後の家賃というものはまだ新規の同程度の規模の家賃から見ればはるかに安いわけでございまして、そういったものにつきましては、私どもは、金利の問題よりも極力工期を短縮するとかあるいはまたコストの低減、そういったものに努めて今後努力したい、こう考えております。
  257. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私どもが試算したものであるいは公団側とは結論が違うかもしれないけれども、この償却年数を新築した場合の償却年数に直すとか、あるいはまた四%の金利利用をした場合ですと、やはり現在の増築後の家賃アップの割合は二〇%ぐらい下がるのじゃないかと思うのですね。もちろん工法その他を検討して建築コストを引き下げて家賃を下げるのも一つの方法だと思いますね。いずれにしても、一方で五カ年計画ではそれぞれ平均の居住水準とか最低の居住水準を掲げて政府がそれを達成することを主要な住宅政策目標にしているのですから、公団はまず模範を示さなければいけないわけでしょう。これがそういう状況では、やはり公団として責任を果たしているとは言えないと思うのですね。  その点で、特にこの点は総裁に強く要望しておきたいのですが、今年三月十九日、公団自治協と公団との間で家賃訴訟の和解が成立をしました。その重要な一項目として、公団自治協の代表を基本問題懇談会の家賃部会に正式に参加させるという項目がありますね。ですから、やはり本当に居住水準を改善するために熱意を示すというのなら、この家賃部会において増築に伴う家賃の改定のあり方も十分に検討課題として、居住者側の意見も大いに反映しながら、それを今後の公団施策に反映させる必要が太いにあると思うのですね。でなければ、せっかくのあっせんの結果も生きてこないのじゃないかと思うのですね。総裁、いかがですか。
  258. 大塩洋一郎

    ○大塩参考人 公団の家賃部会におきましては、家賃全体の問題を踏まえつつ、空き家入居の際の家賃であるとかあるいは家賃改定の問題とか等々をその都度お諮りする、そういう場でございます。今御指摘の増築あるいは建てかえ等の問題につきましても、家賃の一環として問題が出てまいりますれば、それは当然大きな問題であれば諮ることになろうと思いますが、現在一つの方式をもって試行中でございまして、我々はその積み重ねを経験として、これをもとに今後いろいろなノーハウを重ねてまいりたい、こういう姿勢で今のところ臨んでおります。
  259. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは大臣に住宅問題の最後として伺っておきたいのですが、五十八年の住宅統計調査では、これは全国的にでありますが、四八・八%が平均居住水準を達成している、そういう調査結果を受けて、住宅宅地審議会は新たにこれまでの平均居住水準を上回る誘導水準を打ち出そうとしているわけでしょう。ところが、現在の最低居住水準すら達成されていない公団住宅もたくさん残っているという、これもまた事実なんですね。だから、やはり政府住宅政策の最も重要な柱の一つとして居住水準の向上を掲げる以上は、政府は真っ先に公団においてそれを実行していかなければならないと思うのです。  先ほど言いました三月十九日公団公団自治協との間の家賃訴訟の和解については、建設大臣があっせん者になっていらっしゃるわけですね。ですから、その内容についてもやはり建設大臣は大いに尊重するという立場が必要だろうと思うのですね。いろいろな方法があると思いますけれども、今後そういう家賃部会等でいろいろと意見が出され、議論が行われ、また公団の方もいろいろと工夫、努力をして、少しでも増築後の家賃の引き上げを抑えて、そのことによって居住水準の向上を促進しようとするときに、やはり建設大臣としてはそういう努力を尊重して全面的に実行可能となるように大いにバックアップをしてもらわなくちゃいけないし、むしろ大臣が率先してそういう努力を推進されるべきだと思うのですね。  お答えを伺っておきたいと思います。
  260. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 私、あっせんをさせていただいた立場から申し上げますと、これは国会の附帯決議やなんかで、早期に解決すべきである、私もそういう考え方を、そういう国会の決議を尊重する意味で皆さん方に御了解をいただいたわけであります。今おっしゃいますように、今まで住宅政策というものは充足の時代であったわけでありますが、これからやはり質の時代に当然入っていかなきゃならぬ、居住水準の向上というのはそういう意味だろうと私は解釈いたしますが、そういう意味で、居住水準というものがもっと向上していかなければならぬ。  しかし、何といっても訴訟でも家賃が高いとか安いとかというような問題があるわけでして、私だって借りている立場なら安い方がいいので、また公団政府の方から言わせれば、十分とはいかなくてもその辺の物価政策や社会状況を勘案してこのぐらいが妥当かなというようなことだろうと思うのです。したがって、自治協の皆さん方と公団やなんかの皆さん方がやはり信頼関係の上に立って話し合いをよくされて、そういう機会を通じまして、そしてお互いに余り無理のないところで、まあ一遍には高飛びもできないでしょうけれども、徐々にそういう方向に向かってお互いに努力されるということは非常に大事なことである、私どもも基本的には、今申し上げますように充足の時代から質の時代に入ってきておる、そういう認識の上に立って努力をさせていただきたいと思います。
  261. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ぜひ努力を今後強化をしていただきたいと思います。ただ、質の時代に入って量の時代ではないと言われましたけれども、まだまだ住宅、特に賃貸住宅等は必要を満たしていないということも一言つけ加えておきたいと思います。  それでは、住宅問題は終わりますので、住宅都市整備公団の方は退席されて結構です。  次は、昨年来いろいろと質問をしてまいりました琵琶湖観光船補償問題についてただしたいと思います。  水資源開発公団は、琵琶湖総合開発事業の一環として京阪グループの琵琶湖汽船、西武グループのオーミマリンなどが所有いたしております旅客船十八隻を対象に、総額四十六億五千七百万円の船舶補償を予定して、既に十五隻に対して約三十五億円の補償が払われているわけです。  この補償の性格について、今年三月七日の予算委員会分科会で会計検査院の小川第三局長はこう言っているのです。ちょっと長いのですが、確認しておきたいと思います。  機能補償か事業損失補償かというふうな問題でございますけれども、当初公団側といたしましては、この補償につきましては琵琶湖における旅客船事業の公益性にかんがみまして、湖水位の低下による旅客船の航行上の支障に対して、その運航機能を維持するというふうな観点から主として説明されまして、本院もこれを受けて検査を進めてまいった次第でございます。当初は機能補償という説明が強かったので、それを受けて調査を進めてきた。  しかし、公団側の詳細な説明といたしましては、本院に対して、本件補償の性格としては渡し切りをもって補償するいわゆる事業損失に対する補償でありまして、その補償額の算定に当たって旅客船事業の公益性から機能回復を図る費用を補償しているものである、性格は事業損失補償であって、ただ計算上機能回復を図る費用を補償しただけのことなんだ、こういうふうに言ってきているのですね。  この考え方は当初から変わっていないようでございますけれども、本院といたしましては、当初の段階でこの機能補償の問題について非常に力点を置いた説明を受けまして、補償の基本的性格について必ずしも十分な説明を得ていなかったものでありますので、公団の考え方がその後何か変わったのではないかというふうな印象を受けてはおります。 こう答弁されておりますね。会計検査院に確認をしておきたいと思います。間違いありませんね。
  262. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 先生のおっしゃられるとおりでございます。
  263. 瀬崎博義

    瀬崎委員 では、国会における水資源公団の補償の性格、根拠についての説明はどうだったか、ちょっと振り返っておきたいと思うのです。  国会での私の質問は昨年三月と七月の本建設委員会、それから四月の環境委員会、三回にわたってやっているのですが、公団側は一貫して、琵琶総による新たな利水で琵琶湖の水位が最大二メートル下がる場合がある、その場合にも琵琶湖の船舶運航事業は相当の公共性を有するから、そり機能の維持を図る必要があるんだ、しかし水位が二メートル下がると、現在南湖は平均水深が四・一メートルしかないので、喫水深が一・二五メートル以上の船は航行に支障を来すので、南湖を主として航行する船舶を対象に喫水深一メートルの船に改造する費用を補償するものだ、こういう説明をされてきたのであって、およそ事業損失補償などという説明は、ただの一度なりともなかったのではありませんか。
  264. 大嶋孝

    大嶋参考人 お答えいたします。  この旅客船の補償につきましては、琵琶湖の開発事業に伴う水位低下によりまして生ずる旅客船の航行上の支障によります損失に対しまして、事業損失補償として金銭渡し切りによりあらかじめ賠償したものでございます。これによりまして、被補償者は、事業の施行に伴います損失について以後一切異議を申し立てないということを約したものでございます。  この事業損失補償につきましては、三十七年六月二十九日に閣議了解されました「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の施行について」の「第三 事業施行に伴う損害等の賠償について」におきまして、損害等の発生が確実に予見される場合にあらかじめ賠償して差し支えないとされておりまして、この補償もこれによって実施したものでございますけれども、当初算定の方に重点を置いて説明をいたしたことも事実でございます。
  265. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私が聞いたのは、今あなたが言われた問題の説明を去年の三回の国会答弁においてやったかということを聞いているのです。一遍もなかったのではないか。
  266. 大嶋孝

    大嶋参考人 国会答弁の中では事業損失補償ということは表現していないと思います。
  267. 瀬崎博義

    瀬崎委員 だから私は、水位低下時においても南湖の船舶運航機能を維持するための補償であるという当時のあなた方の公式答弁に対して、しかしそういう答弁から見れば現実に実施された補償内容には重大な不当性、不法性があるぞという指摘をしてきたわけです。  多くを繰り返しませんが、主な点だけ挙げても、第一に、「ちくぶじま」に対する補償で建造された代替船の「なにわ一号」は、琵琶湖においてではなく、大阪の堂島川で水上バスとして使用されている、これは非常に不当だということ。第二に、銀竜丸とか湖城は十数年にわたって全く使用されていなかった、こういうものに対する補償も不当だ。第三に、新光丸とか「あけぼの」とか「ゆうぎり」、銀竜丸は喫水深が一・二五メートル以下の、もともと喫水深の浅い船なのに補償している、これも不当だ。第四に、水資源公団と滋賀県旅客船協会との間で交わされた覚書では、旅客船の改造内容については新しい船の材質を軽合金にするとしておきながら、補償によって建造されたミシガンとか「なにわ一号」は安くつく鋼船である。まだありますけれども、こういうようなことを指摘したわけです。  ところが、今になって公団側は、私が不当、不法だと指摘した事実そのものについては反論しないで、補償の基本的性格について、今あなたが言われたように、当時説明していなかった事業損失補償というものを前面に押し出してきたわけです。会計検査院にもそういうふうに説明を変えて言っている。これは結局、機能補償の立場からは私が指摘した不当性、不法性を認めざるを得なくなってくる、このことを事実上自認したものだと私は断定せざるを得ぬと思います。したがって、国権の最高機関である国会で答弁してきた本補償の性格とか理由基準、つまり去年一連の委員会で言った答弁の内容から外れている、そういう補償については潔く公団みずから是正措置を講ずべきだと私は思うのです。  だけれども、会計検査院も事業損失補償という説明を受けて、そういう立場からいろいろ調査しているとおっしゃるので、私自身がそれを認めるというのじゃないが、事業損失補償として実施された、先ほどあなたが昭和三十七年六月二十九日の閣議了解の「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の施行について」の第三に準拠したとおっしゃいましたので、あえてきょうはそういう前提で質問してみたいと思うのです。  その閣議了解の第三項というのは、事業損失補償については要綱、すなわち公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱、通称一般補償基準と言われているものですね、「この要綱においては損失補償として取り扱うべきでないものとされている。」とした上で、その例外的なものとして、「しかしながら、これらの損害等が社会生活上受忍すべき範囲をこえるものである場合には、別途、損害賠償の請求が認められることもあるので、これらの損害等の発生が確実に予見されるような場合には、あらかじめこれらについて賠償することは差し支えないものとする。」こう定めているわけです。これに準拠したと言われるのでしょう。  会計検査院に聞きたいのだけれども、これはあくまで損害賠償の請求が認められるような損害の発生が確実に予見されるような場合についての事前の賠償、そういうことを言っているのじゃないかと思うのです。今回の場合に当てはめますと、水位が下がったからといって船が全く壊れてしまうわけでもないのです。また、現在運航している船が全く運航不可能になるというわけでもないのです。要は、政府説明によれば、めったに起こらないであろう水位の極端な低下時に一定期間運航できなくなることはあり得るということなんでしょう。  そうすると、この第三項の事前賠償という趣旨からいくならば、その水位が極端に下がって船が運航できない、そういう状態における事業の損失分だけを補償すればよいのであって、機能全体の回復を図る、そういう必要は本来この第三項からは生まれてこないのではないかと思うのですが、会計検査院、いかがですか。
  268. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 お答え申し上げます。  公団側の説明によりますと、本件補償は事業損失補償でございますけれども、特に琵琶湖におきます旅客船運航の公益性を考慮しましてその機能の回復を図るための費用を補償したものであるとしておるわけでございます。この種の特殊な事業損失につきましては、一定の算出方式があるわけではございませんので、公団といたしましては、その補償額の算定に当たりまして、公共補償基準を参考といたしましたり専門家の意見を徴するなどいたしまして、これを実施しているわけでございますけれども、本院といたしましては、公団の採用しましたこの算定方式が合理的かどうかというような点につきまして、現在慎重に検討いたしておるところでございます。
  269. 瀬崎博義

    瀬崎委員 重ねて会計検査院に聞きたいのですが、結局今の説明は、本来そういう機能回復まで補償する必要のない事業損失補償ではあるけれども、しかし観光船の公益性を考慮してその機能回復を補償する、そういう計算方式をとったんだ、こういうことになるのじゃないかと思うのですね。  では、そういう公益性を考慮して機能回復をも考慮に入れた補償をするやり方は、ちゃんと公共補償基準に示されているわけですよ。船が直ちに公共施設ではないからこの基準要綱が直結適用されるわけではないけれども、しかし、少なくとも公共補償の算定を用いるというなら、この公共補償の算定を用いるということは、機能回復するための補償が上乗せされますから、当然のことながら財産価値は補償によって増加するわけですね。だから、そのときにはちゃんとこの公共補償基準要綱では公益性の確保を担保する、そういう点についても一定の規定というものを設けておるわけでしょう。金額の算定に当たっては会社にとって有利な公共補償の例を用い、公益性の確保については一般補償の事業損失補償だからといって補償金の使い道は勝手自由だ、何に使おうといいんだ、これはちょっと私は筋が通らないと思うのですね。検査院はどう考えますか。
  270. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 公団側の御説明によりますと、この補償の性格は金銭渡し切りをもってするいわゆる事業損失に対する補償でございまして、その補償額の算定に当たりまして旅客船運航上の公益性にかんがみて機能回復を図るというその費用の考え方を用いているという特殊な性格のものである、というふうに説明されているわけでございます。それで公団といたしましては、そういうものでございますので公団側はその補償額を被補償者に支払いまして、それから被補償者側は事業の施行に伴う損失について以後一切その異議の申し立てをしないということを約束することにその本質があるということを申しておるわけでございます。  私どもとしましては、これらの点につきまして、この補償の性格等から見ましてこれが妥当なものであるかどうかというような点につきまして、現在検討をしているわけでございます。
  271. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それは、普通の事業の損失よりははるかに有利な機能回復補償で計算してもらえば、企業側が文句を言うはずがありませんよ。異議を唱えるはずがありませんね。もしもそれが通るなら、企業側が異議を言えば異議を言わなくなるまで何ぼでも有利な計算方法をとっていけばいいのか、こういうことになってしまうわけですよ。  そこで、会計検査院の事前説明をお願いしたときに検査院は、この種事業損失補償で機能回復までやっている事例として、高速道路や新幹線騒音に対する民間防音工事の例なども出されたわけですね。私もちょっと調べてみたら、確かに建設行政実務研究会、事実上建設省関係幹部によって構成されている研究会ですが、その編著に成る「収用と補償」という解説書にも、事業損失補償の例として交通騒音防止対策とかテレビ電波障害除去対策などが挙げられているわけです。  そこで、ちょっと道路関係についてまず伺いたいのです。「高速自動車国道等の周辺における自動車交通騒音の防止対策について」という局長通達が出ていますね。防音工事に要する費用の全部または一部を助成することにしているわけですが、対象になっている建物の所有者が道路公団等から受け取る助成金を防音工事以外の目的に使用することは認められているのですか。
  272. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 そういうことは認められておりません。
  273. 瀬崎博義

    瀬崎委員 国鉄にもおいでをいただいていると思うのですね他国鉄も、新幹線の騒音振動防止対策についていわゆる事業損失補償の性格に該当する助成をやっていらっしゃいますね。どうでしょうか、対象となっている建物の所有者が国鉄から受け取る助成金を防音とか防振以外の目的に使用することは可能なんですか。
  274. 鬼澤淳

    ○鬼澤説明員 お答えいたします。  国鉄の新幹線におきますいわゆる障害防止対策におきましては、あくまでも騒音、振動を軽減するための施策目的以外にこの金を使うことについては実施しておりません。
  275. 瀬崎博義

    瀬崎委員 同じ事業損失補償でありながら、新幹線や高速道路の騒音防止、つまり生活環境の機能回復のための補償の方は、定められた機能回復措置以外には受け取った金は使えないことになっているわけですよ。  ところが、一方、琵琶激観光船補償の方は、この琵琶湖の南湖航路の機能維持とは全く無関係の大阪水上バス建造にもらった補償金を使うことも自由だ、これはどう考えたって筋が通らない。不公平ですよ。公平であるべき行政にこんなことが許されていいのか、国民がこれで納得するか、検査院どう思いますか。
  276. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 本件と類似のいろいろな補償事案につきましては、その補償額の支払いとかあるいは機能回復の確認がどのようになっているかというような点につきましても、本院としましては資料の収集、分析、検討を行っている段階でございますけれども、ただいま先生から貴重な事例につきましてのお話がございましたので、御指摘のありましたような事例につきましても十分勉強さしていただきたいと考えております。
  277. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは公団の方に伺いますが、昨年七月の本委員会で銀竜丸について伺いましたね。この船は昭和四十四年ごろから航路使用船舶認可も受けてない、船舶検査も受けてない、運航実績報告書にも運航記録はない、そういうことなどから、もう十数年にわたって使用されていない船ではないかと私がただしたのに対して、大嶋理事は  この船は、随時顧客の需要に応じまして南湖を中心とする臨時的な運航に投入されていたものでございます。当公団といたしましては、この船が南湖の交通手段として機能しているというその実態にかんがみまして補償の対象としたものでございます。と。  また私がもう一遍念押し質問をしたら   潜り航行であるかどうかはわかりませんが、私どもとしては、臨時的に交通手段に供されておったという事実がございますので、それによって補償したということでございます。こう答えたのでしょう。  ところがその後大嶋理事は非公式に、銀竜丸が昭和四十四、五年ごろから一切使用されていなかったという私の主張を認める御報告をされたわけです。それはそれで受け入れます。だとすれば、「臨時的に交通手段に供されておったという事実がございますので、それによって補償した」というこの国会での公式答弁の「臨時的に交通手段に供されておったという事実」がなくなってしまった以上は、少なくともこの船に関しては補償する根拠は消滅した、こう言わざるを得ないのじゃないですか。
  278. 大嶋孝

    大嶋参考人 御指摘のように銀竜丸につきましては、臨時的な運航に投入されていたという答弁をいたしました。まことに恐縮でございますけれども、その後精査いたしましたところそういう事実は確認できませんので、改めてここで資料未整備のまま不用意な答弁をいたしましたことにつきましてはおわびを申し上げたいと思います。  そこで、運航していなかった、そういった船舶に対してどうかというようなお話でございますけれども、今申し上げましたように補償時点の昭和五十六年におきまして銀竜丸が運航されていなかったことは確かでございますが、当時、いわば就航待機中とも言うべき状態にございまして、所要の手続を経ればいつでも航行し得るように維持、補修はされていたというものでございます。この補償につきましては、この船のこのような機能、つまりいつでも航行し得る船舶としての機能が琵琶湖開発事業の施行に伴います水位低下により損なわれることになりますので、その機能を回復するために要する費用を補償したものでございます。
  279. 瀬崎博義

    瀬崎委員 さてまたこの銀竜丸についても補償の理由の根拠を言いかえたわけですね。はっきり言ってこれはあなたのところの負けですよ。  それはそれとして、また道路の方を伺いたいのですが、「高速自動車国道等の周辺における自動車交通騒音の防止対策について」の通達では、防音工事の助成あるいは移転補償の対象となる住宅を「すでに供用を開始している高速自動車国道等の周辺地域にあっては、五十一年八月一日に」というのはこの通達が出された十日後に当たる日ですが、「現に居住の用に供しているものとし、その他の高速国道等の周辺地域にあっては供用開始の日に現に居住の用に供しているものとする」 こう定めていらっしゃるわけなんです。  そこで伺いたいのですが、対象となる住宅が現に使用されておらず、所有者は全く別のところに住んでいる。こういう所有者にも補償といいますか、助成は出されるのか、あるいはまた、その所有者が近くその家に住むつもりだからという、実際には戻らないのだけれども戻りますという意思表示だけがあった場合、そういう申し出があった場合、対象となるのか、この点を伺いたい。
  280. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生御質問の、昭和五十一年八月一日または供用開始の日に空き家であった住宅の所有者が、当該日以後居住することとなった場合に、防音助成の対象とするか否かにつきましては、個別の事情を考慮いたしまして助成を検討してまいりたい、かように考えております。したがいまして、一々当たりまして、どういう事情でそういうふうにおなりになったのか、そういうふうなことで必要であれば助成したいと考えております。
  281. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私が聞いたのは、いずれにしろまた戻って現に住まわれたらいいのですが、戻りたいという意思表示はあるけれども現に戻るという事実がない場合、補償の対象になるのかということです。
  282. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 そういう場合は補償の対象にした前例がまだないと思っております。
  283. 瀬崎博義

    瀬崎委員 同じく、国鉄の新幹線騒音の場合や振動防止対策についても聞きたいのです。  今と同じように対象地域に住宅はあるのだけれども、しかしそれは使われておらない、所有者は別のところにいる。その所有者がいずれ戻りますからひとつ助成を下さいよ。しかし、実際に戻るという事実はまだ生まれていない。そういうのが補償の対象といいますか、助成の対象になりますか。
  284. 鬼澤淳

    ○鬼澤説明員 先生御存じのように、国鉄の新幹線につきましては昭和五十一年三月九日、これは閣議了解でお決めいただいたことでございますが、その時点に所在する家屋を対象にいたします。その家屋であって現に居住する建物に対して助成をするというスタンスをとっておりますので、したがいまして、先生ただいま御質問のように、現在空き家の場合には対象から外させていただいております。
  285. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは会計検査院に伺います。  この防音工事に対する損失補償では、今答弁がありましたように高速国道の場合も新幹線の場合も現に使っている住宅でない限り、また建設省はそのときの事情によると言うけれども、現にそこに住むという事実が生まれてこない限りは対象にならない、こういうことを明確にされましたね。  ところが、一方、同じ事業損失補償だと言っている琵琶湖観光船の方はどうか。十数年間全く使用されていない。さらに、今何という言葉を使われましたか。就航待機中と言われましたね。だけれども、船舶検査を受けたわけではなし、運航のための認可手続をとったわけでもなし、そういう状況にすぎないわけですよ。そういう銀竜丸とか湖城という船に対しても補償が出ているわけです。  片方は、現に使用していない、現に住んでいない住宅は補償の対象にならない、こういう厳格な方針をとっている。片方は十数年間使っていなくて、就航待機中とかなんとか言ったって法的手続は一切とってない。動かそうにも動かせない状態に置いてある船にまで補償金を出す。この大きな開きを一体どう説明したらいいんですか。もしこれがまかり通るというなら、私はこれも重大な不公正、不公平な行政と言わざるを得ないと思います。検査院の見解を伺いたいと思います。
  286. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 ただいま先生いろいろな事例を挙げて御説明になられたわけでございますけれども、本件船舶運航上の機能回復を図るための補償というものにつきまして、その対象とされているものの中に、長期間係留されたままで船舶検査証書を国に返納しまして、その間運航実績がない船舶も補償対象とされていることは、検査の結果事実でございます。  このように長期間係船された旅客船につきましては、公団は外観観察とか所有者からの聞き取りによりまして、これはかなり整備されておって所定の手続をとれば将来就航が可能ということで判断されまして、将来利用に供される可能性がある以上は、航行障害が生じておるということは受忍の範囲を超えるものであるということで補償の対象としておりますけれども、この点につきましても実態の把握に努めまして、また社会的受忍の範囲を超えたものであるかどうかにつきましても、いろいろな事例等も参考にさせていただきまして現在検討を行っているところでございます。
  287. 瀬崎博義

    瀬崎委員 会計検査院は現在これは鋭意調査検討をやっているということだから、我々としてはそれは待ちたいと思います。だけれども、やはり会計検査院までが、こう言われることのないように、よく言われる言葉ですが、社会通念上国民が納得する、こういう検査結果を必ず出すように、それだけはここでひとつきちっと決意を明らかにしておいてほしいと思うのですね‘答弁を求めます。
  288. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 本件につきましては、現在鏡意検討しているところでございますけれども、慎重の上にも慎重に検討いたしまして、所定の手続をとりまして適正な結論を出したいと考えております。
  289. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは公団の総裁の方に伺いたいのですが、現在、補償予定船のうちなお弁天丸、「こがね」、みどり丸の三隻は未補償で残っているわけですね。補償契約が未締結であります。ただいまお聞きのように、会計検査院はなおこれからも鋭意調査、検査を続けていって適正な結論を出していきたい、こう言っているのです。  したがって、会計検査院がそういう検査、調査を継続しているときに一方で残っている船にまた補助金を支払うということになってくると、今度は公団自身が世論の集中批判を浴びるということにならざるを得ないと思うのですね。これは最小限度の措置として、ひとつ総裁としても国民の納得するような措置、つまりこういう検査の続いている間、残っている三隻に補助金を払うような非常識なことだけはすべきではないと思うのですが、総裁、いかがですか。
  290. 望月邦夫

    望月参考人 ただいま未契約の船が三隻ございます。現在のところこれらの船につきましては、契約を申し出るというふうな事態になっておらないわけでございます。我々は、いろいろ申されますけれども、日ごろから適正な補償を心がけてやってきたことでございますし、また、今回この種の問題が非常に議論されたことでありますので、今後とも適正な補償に努めてまいりたい、かように存じておるところでございます。
  291. 瀬崎博義

    瀬崎委員 終わります。
  292. 保岡興治

    保岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十二分散会