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1985-04-10 第102回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月十日(水曜日)     午前十時三十分開議 出席委員   委員長 保岡 興治君    理事 亀井 静香君 理事 北口  博君    理事 桜井  新君 理事 中島  衛君    理事 井上  泉君 理事 新井 彬之君    理事 小沢 貞孝君       池田 行彦君    榎本 和平君       太田 誠一君    金子原二郎君       唐沢俊二郎君    東家 嘉幸君       中川 昭一君    額賀福志郎君       野中 広務君    浜田 幸一君       東   力君    森田  一君       上野 建一君    清水  勇君       関  晴正君    前川  旦君       山中 末治君    坂井 弘一君       春田 重昭君    伊藤 英成君       瀬崎 博義君    中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 木部 佳昭君  出席政府委員         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房総         務審議官    松原 青美君         建設省建設経済         局長      高橋  進君         建設省都市局長 梶原  拓君         建設省住宅局長 吉沢 奎介君  委員外出席者         内閣審議官   松山 雅昭君         沖縄開発庁総務         局調査金融課長 草木 一男君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         大蔵省理財局国         有財産第一課長 吉川 共治君         住宅金融公庫総         裁       河野 正三君         住宅金融公庫理         事       関口  洋君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  救仁郷 斉君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  京須  實君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  台   健君         建設委員会調査         室長      井之上俊一君     ————————————— 委員の異動 四月十日  辞任         補欠選任   唐沢俊二郎君     太田 誠一君   國場 幸昌君     中川 昭一君   村岡 兼造君     額賀福志郎君   伏木 和雄君     春田 重昭君 同日  辞任         補欠選任   太田 誠一君     唐沢俊二郎君   中川 昭一君     國場 幸昌君   額賀福志郎君     村岡 兼造君   春田 重昭君     伏木 和雄君     ————————————— 四月四日  国民生活関連公共事業に関する請願(松前仰君  紹介)(第二六三八号)  同(井上泉紹介)(第二六九一号)  同(河上民雄紹介)(第二六九二号)  同(鈴木強紹介)(第二六九三号)  同(吉浦忠治紹介)(第二六九四号)  同(梅田勝紹介)(第二七〇四号)  同(清水勇紹介)(第二七三六号)  同(矢追秀彦紹介)(第二七三七号)  国民生活関連公共事業拡大に関する請願井上  泉君紹介)(第二六九五号)  国民生活関連公共事業促進に関する請願(斎藤  実君紹介)(第二七〇五号) 同月十日  千曲川の河川整備等に関する請願井上泉君紹  介)(第二七九二号)  同(木間章紹介)(第二七九三号)  国民生活関連公共事業に関する請願石田幸四  郎君紹介)(第二七九四号)  同(中西績介紹介)(第二八二八号)  同(松浦利尚君紹介)(第二八六六号)  国民生活関連公共事業拡大に関する請願(佐藤  祐弘紹介)(第二七九五号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進 法の一部を改正する法律案内閣提出第三七号)      ————◇—————
  2. 保岡興治

    保岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団理事台健君、同京須實君、同救仁郷斉君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 保岡興治

    保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 保岡興治

    保岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します、前川且君
  5. 前川旦

    前川委員 私は、まず最初にこの法案中身を伺いたいと思います。既に数多くの質問が行われておりますが、その御答弁の中でまだわからない面が幾らかありますので、今までの御質問とダブらないように若干のことを伺いたいと思います。  まず最初に、第一番の宅地造成資金貸し付け対象者拡大として、民間宅地開発事業者貸し付けをするということになりますが、このやり方を進めることによってどういうふうな住宅供給拡大につながるのか、どういうふうにして効果あらしめようとしておるのか。ただ金を貸すだけではちょっとわかりませんので、その点についてもう少し突っ込んだ建設省の見解を聞いておきたいと思います。
  6. 高橋進

    高橋(進)政府委員 土地区画整理組合住宅地の用に供するために事業を行うことに対しまして貸し付けの道が既にあるわけでございますが、その場合に、その業務を一括して代行してやる事業者に直接貸すということ自体が、事業をやりやすくするという意味におきまして住宅地供給につながるというふうに基本的に考えておるわけでございます。  それで、もう少し具体的に申し上げますと、今回、土地造成に必要な資金貸し付け対象にしようとする者につきましては、住宅建設事業者であること、それから土地区画整理事業施行地区内に土地を所有していること、すなわち土地区画整理組合組合員であること、それから土地区画整理組合から土地造成について委託を受けるに当たりまして保留地取得することを条件としよう、融資対象とする者につきましてはそういったことを要件としようと考えております。そういった人がやるときに融資をする。  ということは、そういう要件に該当する人に対してやるということが、住宅の用に供する土地造成に必要な資金貸し付けることによりましてこの組合施行土地区画整理事業が促進されるとなれば、当該施行者施行地区内の所有地におきまして速やかに住宅建設を行うことが期待できる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  7. 前川旦

    前川委員 今の話ですが、その保留地の問題ですけれども保留地にこの業者が家を建てる、つまり分譲住宅をするということを貸し付け条件にするというふうに考えておられるのかどうか。これはただ漠然と、多分効果があるだろうということでなくて、そこまで突っ込んだことを考えていらっしゃるのかどうか、それを伺います。
  8. 高橋進

    高橋(進)政府委員 当然その保留地住宅地として供給されるということを条件として、その分について融資が行われるわけでございます、
  9. 前川旦

    前川委員 それでは、この問題についての批判は後ほど井上理事から討論のときに行われますので、批判については避けておきます。  次に、災害復興住宅購入対象とする貸し付けが新設されますが、これはいいことだと思うのですけれども、一番不思議に思うのは、なぜ今までこれが放置されておったのか。これはごく当たり前のことで、家ががけ崩れか何かで流された、そこへ原状復帰、昔と同じようなところに建てると言ったって建てられるはずがないですよ。ですから、よそで新築するかよそで買うかしか方法がないわけなんで、なぜ今まで放置されておったのか非常に不思議なんですけれども、これはどうなんです。
  10. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  なぜ放置したかということでございますが、今までのケース、おっしゃるようなケースももちろんあったとは思うのでございますけれども、概して言えば、今までの罹災者の方々は従前にあったところの近くあるいはあったところそれ自体、そういうところでお建てになる場合が非常に一般的でございます。それから、この制度のできた時点あたりに少しさかのぼれば、分譲住宅でありますとか中古住宅流通というものも余り十分でなかったというような事態があったわけでございまして、最近住宅取得の形態としましてそういう分譲住宅あるいは中古住宅というものが非常に流通しておりますところから、こういうこともやったらということを考えて今回これを取り入れたわけでございます。
  11. 前川旦

    前川委員 遅きに失したと思いますけれども、しかし、これは新設するということはいいことだと思います。  そこで、この条件として災害救助法の発動された災害等となっています。この「等」というのはどういう意味なんでしょうか。
  12. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 災害復興住宅貸し付け対象となる災害でございますが、これは省令に規定されております。それで、おっしゃいましたような災害救助法適用があった市町村一つ以上あるような災害のほかに「前号に規定する災害に準ずる災害主務大臣指定するもの」という規定がございまして、先生お尋ねの「等」はこの主務大臣指定するものを指すわけでございます。  どういうものを指定するのかということでございますが、実はまだ指定の例は今までございませんが、言ってみれば、限られた地域の中で集中的に災害が発生した、しかし各市町村単位で見ると災害救助法適用がない、けれども地域を総体として見れば相当な住宅被害があったというようなことで、この適用がふさわしい、必要だというふうに思われる場合に指定をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  13. 前川旦

    前川委員 そうすると、災害救助法よりももう少し緩やかな基準でも考えていくということなんでしょうか、主務大臣の、建設大臣指定というのはもう少し幅広く持たせるのかということが一つ。  それからもう一つは、災害救助法の発動ということになりますと、市町村対象固定されますね。ところが、それ以外のところでも、対象となった地域以外でもこれは適用されるのか。例えば五十九年の六月には熊本の豪雨災害救助法が発動されていますね。そうすると、これは指定された地域だけが貸し付け対象になるのか。その一連の雨であれば県が違っても、指定された場所以外であっても、あるいは四国であってもこれ貸し付け対象になるのかどうか、その辺はいかがですか。
  14. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 後段の方からお答え申し上げます。  後段の方は、先生からお話がございましたように、一つ台風なら台風一つ梅雨前線豪雨ならそういうものによりましてどこかの市町村一つ適用になれば、それが仮に九州で適用になっても、例えば東北でもこの災害救助法対象になるということでございまして、同一の災害であればということにしております。  ところで、前の方でございますが、緩やかであるかどうかというのは一概に申し上げかねますけれども、要するにそういう災害救助法適用がなくても、ある一地域だけを見れば相当な被害があったということも考えられますので、そういう場合にこれで救済していくということを考えているわけでございます。
  15. 前川旦

    前川委員 できるだけ弾力的に考えていただいて、幅の広い救済ができるように努力をしていただきたいと思います。  さて、この場合の中古住宅購入資金貸し付け、これは一般的に言いますと、現在中古住宅購入資金貸し付けというのは三大都市圏政令都市ですか、大都市地域だけに限られて貸し付けが行われておるわけですが、この新しい災害復興住宅貸し付けについても大都市だけという枠があるのかどうか。そうであれば意味がないと思いますけれども、その大都市周辺大都市以内という枠を超えて、それ以外のところでも災害の場合は対象にしなければ意味がないと思いますが、いかがでしょうか。
  16. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 先生おっしゃるとおり、災害の場合はそういう枠を設けては恐らく意味がないと思いますので、これは全国的に適用させるということでございます。
  17. 前川旦

    前川委員 そうなりますと、この中古住宅購入資金貸し付けは現在大都市地域だけに限られているのですが、地方でもこういう要求は強いわけなんです。台風大都市以外のところも対象とするんだ、これをひとつ突破口にして、大都市地域と限らずに、全国に一般的な中古住宅貸し付け対象を広げるということをこの際やるべきではないかと思うのですけれども、その点の考えはいかがですか。
  18. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 この中古貸し付けにつきましては、最初始めましたとき、やはり新築持ち家取得難易度でございますとか中古住宅流通実態などを見ながら五十一年度から始めたわけでございます。ところが、最近は中古住宅流通もかなり全国的に広がってきておりますので、私どもとしては実は毎年予算要求に当たりまして大蔵省の方へは何とかこれも適用させてほしいという要望はしておるわけでございますけれども、なかなか意見が一致しないという点もございましてまだ実現されておりませんが、こういう災害の方でそういう実態が出てまいりますので、今後ともこれの拡大について鋭意検討してまいりたいと思っております。
  19. 前川旦

    前川委員 今のお答えは、建設省としてはそういう考え予算要求しているけれどもなかなか大蔵省の壁が厚いんだ、こういうことでありました。壁は厚くても、これは非常に国民要望が強いわけですから、少々の壁は突破するようになお一層の努力をお願いしておきます。ぜひこれはお願いをしておきます。  それでは次にまいりまして、住宅改良資金償還期間延長の問題です。これもいい話なんですが、この結果どの程度家賃負担が軽減されるか、逆に言うと家賃引き上げ幅がどれぐらい抑制されるか、その辺月額にしてどうなのか、どの程度見ていらっしゃるのか、いかがですか。
  20. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 住宅改良資金償還期間延長はさしあたり住宅供給公社からスタートを切ることにいたしておりまして、住宅供給公社賃貸住宅住宅改良を行います場合に、工事の内容やどの程度改良が行われるかということで一律に申し上げづらい話でございますけれども、仮に六畳一間とふろ場を増築したというような例を想定いたしまして改良工事費考えてみますと、これはいろいろ場合によって違いますけれども、一応四百万円ぐらいかかるということで計算してまいりますと、その四百万円の中に公庫融資額が仮に二百八十万円ぐらい入っているといたしますと、約四万三千円ぐらい家賃が上がるだろうと想定されます。  ところで、十年の償還期間を二十年に延長します。また、今回、改良貸し付けの金利を六・五%から六%に切り下げております。この二つを計算に入れて考えてみますと、四万三千円が二万六千七百円ぐらいということで、大体三十数%減るということに計算上相なります。
  21. 前川旦

    前川委員 今の計算はわかりましたが、この延長措置昭和六十年度は地方住宅供給公社賃貸住宅増改築工事にのみ適用されるということになっていますが、来年はどうするのですか。来年はこの枠を外しますか。来年は同じように地方住宅供給公社だけに対象を限りますか。それとも、来年はともかく、将来はこの枠を外していくという考えなのか。外すとすればいつごろから外すのか。ぜひこれは外してもらいたい。地方住宅供給公社だけに限らないで、一般住宅改良対象にしてほしい、こう思いますが、その見通しはどうでしょう。
  22. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 今回、公社賃貸住宅に限定してスタートを切ったわけでございますが、御指摘のように一般住宅改良の方にも、既存ストック有効活用ということから考えて、適用させていきたいなというふうに考えておるわけでございますが、いつこれが実現できるか今ちょっとお答えできる段階でございません。我々は精いっぱい努力してまいりたいというふうに考えております。
  23. 前川旦

    前川委員 言葉じりをつかまえて悪いのですけれども、いきたいなというのはいかにも弱い表現ですね、願望というか、これはいいことなんですからもう少し積極的に、いつからかわからないけれどもいきたいななんておっしゃらないで、もうちょっと積極的に努力するという構えを見せていただきたいと思いますが、いかがですか。
  24. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 まだ実は来年度の概算要求をどうするかその他いろいろ決まっておらない段階でございますので、何とも申し上げかねますけれども、私どもとしては非常に積極的にこの実現に努めてまいりたいというふうに考えております。
  25. 前川旦

    前川委員 それでは、貸付手数料について、これも随分質問がございましたが、例えば公庫融資を受けたマンション、これはマンション業者公庫融資を受けて建設する、これを今度は個人個人購入する。この場合に、公庫融資を受けた業者は当然公庫貸付手数料を支払うということに相なります。今度はそれに入る個人個人もこれまた公庫融資を受ける、このためには手数料を払うということになるのだろうと思いますが、これは二重払いのようになりはせぬか、こう思います。この点いかがですか。
  26. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 団地住宅などにおきまして、最終的には分譲業者からも購入者からも手数料をいただくということになるわけでございますけれども貸付事務というのは、建設資金分譲業者にお貸しする段階手続というものがございます。また完成した後に購入資金購入者にお貸しするという段階手続もございまして、手続は別に独立して行われるわけでございまして、貸付手数料はそのそれぞれの貸付事務を基礎にして算出いたしておりますので、二重払いにはならないという形でございます。
  27. 前川旦

    前川委員 二重払いにならないようにきちっとやってもらいたい。でないと個人個人負担が多くなりますから、きちっとやってもらいたいと思います。  ところで、この手数料積算根拠、これは政令改正の骨子をこの間いただきましたが、何をこの積算根拠にされて四万円とかいう数字をはじき出されるのか、どういうものを積み重ねていかれるのか、これはどうですか。
  28. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 公庫貸付事務でございますが、これは公庫自身金融機関地方公共団体、この三つが連携して行っているわけでございまして、貸付手数料は、その貸し付けに際して必要な事務量をその三者について算出しまして、その費用の範囲内で具体的な貸付手数料を決めるということにしております。  この貸し付け事務は、貸し付け種類別に見ますと同じ種別だとほとんど同程度でございますので、種別ごとに原則として定額にしておるわけでございますが、一部、宅地造成とかいうものにつきましては、その事業規模によって事務量が違ってくるものがございますので、規模別に額を定めているわけでございます。  今先生お尋ねの、例えば個人建設の場合の四万円はどうかということでございますが、これは貸し付け実態調査をいたしておりまして、その貸付選定といいますか、この人に貸し付けるのが法令上正しい貸し付けになるのかということ、あるいは建てようとするものが設計として公庫で定めました基準に該当するかどうか、現場に行ってそのとおり建っているかどうか、今度は貸し付け事務的な予約を手続としてするあるいは金銭消費貸借契約をする、こういった一連手続がございまして、この手続について標準的に見ますと一件七百七十分くらい個人住宅の場合がかるということでございまして、これに物件費を加えますと、費用として四万四千円というのが積算されたわけでございます。そういうところから貸付手数料を一件当たり四千円を削りまして四万円というふうにしたわけでございます。
  29. 前川旦

    前川委員 今のお話ですと、事務費というのですか、事務費には紙代とか鉛筆代とかなんとかいろいろありますね。それから人件費も入るのですか。となると、どういうふうにはじくのですか。この事務に要する時間にその人の賃金を時間割りで掛けて計算したり、そうすると見に行く人によっても、給料の安い人もあれば高い人もいますね。どんなやり方をするわけですか。時間に賃金なんかも掛けて積算するわけでしょう。  物価が上がりますね、そうすると人件費も上がりますね。そうすると、この積算根拠によると、毎年これは上がっていくのかどうか。今の四万円というのはとめておくのかどうか。今の積算根拠でいくと、自動的にコストが上がっていくと事務費も上がっていくということにならざるを得ないでしょうが、将来の見通しはどう考えていらっしゃるのですか。しかもこれは法律でなくて政令で決めるのでしょう。皆さんの方で自由にやれますね、渋いかがでしょう。
  30. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 一般にいろいろな手数料がございますけれども、これは人件費物件費を勘案いたしましてある期間を置いて見直しを行っているわけでございます。この貸付手数料につきましても一応はそういう対象になるわけでございますけれども電算化の推進でございますとか事務合理化に努めまして、現在の手数料体系というものをできる限り維持してまいりたいというふうに考えております。
  31. 前川旦

    前川委員 できるだけ維持していきたいということは将来の値上げをちゃんと見越しての御答弁だと思いますが、それに対しての批判は、また後ほど討論の中で井上理事から申し上げたいと思います。  それでは法案中身を終わりまして、次に、私は地方に住んでおりますし、大臣地方のことをよく御存じでありますが、地方から見た住宅政策について若干伺います。  住宅事情というのは地域によって違います。それは地価が地域によって違うから、住宅事情地域格差は当然出てくるわけであります。大都市に比べると地方の方が住宅条件はいい、これは一般的に言えます。だからといって、住宅問題は都市問題だ、住宅問題を都市に集中して考えるという発想法がよく聞かれるのですが、私はこれは非常に気になることなんです。大臣地方のことをよく御存じだと思いますけれども、特にこれから地方にUターンを奨励する、都市の集中を避けるためにはもっと地方の方を住みやすく魅力的な地域にしていかなければいかぬということを考えなければいけません。そういう意味では、確かに京浜都市圏とか大阪の都市圏に比べると地方住宅事情はいいかもしれないけれども住宅政策都市に集中するというのではなくて、地方地方なりにやはり力を入れた重点的な政策を持ってもらいたいと思いますが、この点について大臣の姿勢というか、お考えを問うておきたいと思います。
  32. 木部佳昭

    木部国務大臣 前川先生大変格調の高い御発言をいただきまして感謝をいたしておるわけです。  と申し上げますことは、例えば地方中核都市なんかへ行ってかなり裏側と言っては失礼ですが、見ますと、ある意味ではこんな地方のいいところにまだこういう悪い住宅事情があるんだなというようなところを、率直に言って時々私ども見受けるわけであります。そういう点を考えてまいりますと、今おっしゃいましたように、住宅というものは大都市地域だけにこだわらない、地方にもあまねく特性に応じた供給をするということが基本的な考え方である、そう私ども理解いたしております。  特に地方の場合には、地方地方なりの伝統的文化といいますか、また地域特性というものもございます、私、実は自分の選挙区のことを申し上げて恐縮でございますが、私の方の選挙区に左官屋さんで有名な長八という江戸時代の名工がおったのですね。その人はなまこ壁の大家だったらしいです。そのようなことで、下田なんかに参りますと、今でもなまこの壁がかなりたくさんあるわけです。ああいうのを見ますと、完全に今の地方伝統とか文化とか、また地方特性というものが非常にくっきり浮き出されているような感じがいたしております。  したがいまして、今申し上げますように、地方伝統的文化、それから地方特性、そういうようなものを今までも決して軽視したわけじゃないのでしょうけれども、そういうふうに伝統的文化というようなものを私ども一緒になって地域の皆様方と手づくりでつくり上げるというような、そういう意味考えてみても、今御質問いただきましたことは大変大事なありがたい御提言だ、そう私は認識をいたしております。
  33. 前川旦

    前川委員 地方住宅問題も大切にしていくという姿勢を今伺いましたので、どうかそのようにその姿勢を住宅政策で貫いていただきたいと思います。  さて、住宅公団というのは今住宅都市整備公団に名前が変わりましたが、今の大臣お話から考えるとちょっと腑に落ちないのは、住宅公団のときには公団も地方で家を建てました。しかし最近は地方からずっと撤退しまして、例えば名古屋の中部支社、九州の支社、これも廃止の方針を一遍出して、これは今は廃止ではなくて機構縮小ということで東京と大阪の二大都市圏に公団が集中をしていこうとしているのですが、今の大臣お話ではどうもこれは腑に落ちない感じがします。どういうふうに考えたらいいのでしょうか。
  34. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 最近の住宅事情先生御存じのように量的な不足から質的な不足へ、こういうふうに変わってきているわけでございますけれども、その最低居住水準未満の世帯というのが、見てみますと特に大都市地域において非常に多い、立ちおくれが見られるわけでございます。こんな状態から見まして、住都公団の仕事というものは、一方、地方において行われている公営住宅とか公社住宅というのがございますが、こういったものと適切な役割分担をしながら、特に住宅事情の改善を必要とする大都市地域において良好な賃貸住宅とか分譲住宅供給するということへ主力を置いていくという方向へ変わっているわけでございます。そういう事情から、御存じのように臨調答申におきまして、大都市圏に限定すべきという御提案をいただいたわけでございます。  こういった趣旨も踏まえまして、京浜と阪神の二大都市圏に重点を置き、さらにこれに中京、北九州、福岡を加えた四大都市圏において賃貸住宅分譲住宅の的確な供給に努めるということにいたしておるわけでございます。
  35. 前川旦

    前川委員 私は、今のお答えは腑に落ちませんが、議論をしても水かけ論になりましょうから、それはまた次の機会に譲りたいと思います。  さて、地方住宅事情なんですが、確かに地方の方が地価が安いから、持ち家は都市圏に比べるとやりやすいのは事実なんです。しかし、そうはいっても、賃貸住宅に対する要望も最近は地方も非常に強くなっているのです。例えば、私の周辺で見ましても、マイホームを持っている老夫婦なんかは、子供にそれを譲って別のところへ行きたい、老後の二人の暮らしを楽しみたい、そういう場合新しい家を、老夫婦のために持ち家を購入すれば地方でもやはり二千五百万、三千万ということになります。仮に住宅ローンで銀行から二千万借りれば、利子をつけて倍返さなければなりませんし、頭金も要りましょう。この頭金を十年、二十年運用すると、これも二倍、三倍になるでしょう。それに比べると、地方ですから仮に家賃を月に五、六万として、年間六、七十万払っても、十年で七百万ぐらい、二十年で千四百万ぐらいですね、老後二十年として。しかも、新しく買ったその家が二十年後に資産として値打ちがあるかどうかというのは疑問ですから、そろばんをはじきますと、老夫婦の場合、老後の二十年ぐらいを暮らすには、新しく家を建てるというのじゃなくていい借家があれば入りたいというのが、最近うんと出ている需要なんですね。  都市はもちろん持ち家が今不可能ですから賃貸住宅要望が強くなっていますが、地方でも同じようにこれは強いのです。地方の賃貸に対するそういうニーズ、それにどうこたえていかれますか。
  36. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 今先生お話しございましたように、地方でも賃貸住宅の需要というのが非常に高まっているということは承知いたしております。ただ、先生御存じのとおり、賃貸住宅を建設するということは結構お金がかかる問題でございまして、経営する側からいいますと、普通に、土地を時価で買って、その上に賃貸住宅を建てて、これをお貸しするという経営をもしやれば、通常の場合は成り立たない、コマーシャルベースでは成り立たないわけでございまして、先生おっしゃるように五万円とか六万円とかいう家賃賃貸住宅供給しようということになりますと、これは恐らくや、地主さんがその土地の時価に対応する利子分というものを放棄いたしまして、通常の管理費程度で我慢する、そういう形でもって土地を安く提供しなければ賃貸住宅の経営が成り立たない、これは恐らく全国的にそういう傾向になっているわけでございまして、なかんずく都市においてはその傾向は強いわけでございます。  そういう状態の中でどうやって賃貸住宅を余計建てていくかということが非常に問題でございまして、先般御審議いただきました農賃でございますとか特賃、あるいは公団のやっております民賃あるいは金融公庫のやっております土地担保賃貸住宅、こういう施策民賃というのは地主さんの協力を得ながら良好な賃貸住宅をつくっていこうということでございます。それにあわせまして公営住宅、公社住宅というものがあるわけでございまして、これらを挙げましてこういった要望に沿っていきたいというふうに考えているわけでございます。
  37. 前川旦

    前川委員 今のお答えは、民間の賃貸住宅だけに限って言われました、それは確かに採算の問題からいってなかなか難しいところはありますよ。でも地方住宅供給公社事業の実績を見てまいりますと、これは公社住宅ですけれども、特に賃貸住宅の実績は極端に悪いですね。非常に落ち込んでいますね。おたくで出している資料がここにあります。今さら読み上げなくても御存じだと思いますけれども、これは公社ですが、五十一年に賃貸住宅二千三百十五戸が五十八年にはわずかに七百九十二戸というように極端な落ち込みなんです。これはもうちょっと何か手当てをしないといけないと思うのですよ。ですから、民間ではなくてこういう公共住宅の立場で考えて、何かもう少し打つ手はあるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  38. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 昭和六十年度に公社の賃貸住宅につきまして建築工事費の単価を三・一%引き上げるということをいたしております。また、民間の商店とか事務所とかと共同して住宅を建てる、いわゆるげた履きみたいな形で上に公社住宅を建てるというようなこと、私ども、市街地住宅供給促進事業と呼んでおりますけれども、この対象地域を広げまして、県庁所在地都市とか人口二十万以上の都市にまで拡大し、この対象住宅に公社住宅を今度加えることにいたしておりまして、こういうことで、公社もそういう共同部な事業に参画して賃貸住宅をふやすことが可能になってくるというようなこともございます。それから、私先ほどちょっと申し上げました土地担保賃貸住宅でございますけれども、公社主賃と呼んでおりますが、これも公社がその土地担保賃貸住宅のお手伝いをするという形で賃貸住宅供給していくというやり方もございます。  こういったことを通じまして今後公社の事業拡大に努めてまいりたいと考えております。
  39. 前川旦

    前川委員 これはなかなか難しい面もありますが、公社の問題は後でまた質問をいたします。御努力を要請しておきます。  さて、今度は地方の公営住宅の方ですが、地方から見て、公営住宅の収入制限、これは全国一律ですね。私はどうもここに問題があると思います。実際の運営として、全国一律の収入制限が厳し過ぎるのです。ですから、本当に住宅に困っている低所得者でも無資格になることが多い。例えば、一番新しい数字でいいますと、第一種であれば、新婚の場合、扶養ゼロ、子供がない場合、ボーナスを突っ込んで年間十五カ月分として見ると、月額十七万七千円ぐらいの収入以下でなければ入れません。これは私の計算です。収入基準は十四万一千円ですね。そうなりますと、十七万ぐらいの月収となると、共稼ぎであれば完全にこれは突破するわけですよ。そうすると、第一種にも共働きの場合は所得オーバーで入れない。となると、公営には入れない、といって持ち家の経済力もない、公営程度の民間賃貸住宅に入ろうとすれば家賃が高くて入れない、やむなく民間の木賃に入らざるを得ないというのが偽らざる実態になっているのです。ですから、まずこの収入制限をもうちょっと見直して、もう少し上げてはどうかということが第一点。住宅政策というのは、本当の低所得階層だけを対象にしたいわば一種の救貧政策ではないと思うのですよ。ですから、所得制限というのはもっと上げるべきではないか。  もう一つは、地方によって、国の一律ではなくて地方の自由裁量というか、あるいは地方に任せていいんではないか。この二点についてどうお考えでしょうか。
  40. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 公営住宅、これは先生御承知のとおり、要するに低額所得者に対して賃貸住宅供給するという公営住宅法の趣旨に基づいてやっているわけでございます。それで、何をもって低所得者というかということでございまして、現在は、第一種の上限といいますか、第一種は国民全体の所得水準の下から三分の一までカバーするという考え方でございます。要するに低所得者というのは、下から三分の一までが低所得者であるという一つ考え方に立ってやっているわけでございまして、この考え方がどうかということになるわけでございます。  しかし、この三分の一の壁というものを突破しますと、では次はどこなんだということになると、一気に二分の一までいってしまいそうな感じでございます。そうすると、国民を半分に分けて、下半分が低所得者で上半分が高額所得者ということになりますか、そういうことにするのはいかがかということで、要するに国民の税金を相当につき込んで建てる公営住宅をお使いただくわけでございます。下から三分の一ぐらいがいいところではないか、基本的な考え方としてはそういうふうになっているわけでございます。  ただ、具体の収入基準につきましては、先生お話ございましたけれども、扶養家族が一人の場合ですと、そうすると夫婦だけということになりますが、その場合ですと第一種の月額は、これはボーナスなども込みまして、二十五万五千六百六十六円という数字になっておりますけれども、とにかくそういう基準というのは昭和五十七年八月に改定いたしまして二年半以上経過しております。今まで大体二年ないし三年で見直しをやってきておりますので、そういう意味ではそろそろ見直しの時期でございますけれども、最近所得の伸びが鈍化しておりまして、今まだ五十九年の貯蓄動向調査というものが出ておりませんので確たることは申し上げられませんけれども、これを改定して果たしてどれだけ伸びるだろうかなということで今考えているわけでございますが、いずれにしましても、この六十年六月にこの調査が出ますので、それを見まして引き上げの措置を考えてみたいというふうに思っているわけでございます。
  41. 前川旦

    前川委員 この所得制限よりかちょっと所得のオーバーした層が一番困るわけですよ。入れないというので民間の、公営住宅よりもっと悪いところへ結局入らざるを得ない。ですから、そこのところ一番問題がありますので、現実に即したように見直しを努力をしていただきたいと思います。  今お答えございませんでしたけれども、国の一律ではなくて地方に任せてはどうかというのは地方でも強い意見がございますが、この点はいかがですか。
  42. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答えが漏れまして恐縮でございます。  先般来申し上げたような事情でございまして、実は、所得水準の見直しに関する御要望というのが確かに随所から出てまいっておりますが、大体、都会よりも田舎といいますか地方の方からの御要望が結構強いわけでございます。ところが、地方についてこういう所得の面から基準考えますと、これは都会よりももっと本来、有利なはずでございます。というのは、その地域の所得というものは全国水準よりも低いはずでございますので、逆に言えば入居水準からいいますと非常に有利になるはずでございますが、それが逆にそちらからの御要望が強いわけでございまして、これはいろいろな理由が考えられると思いますけれども、言ってみれば、しかるべき賃貸住宅がやはり足りないのかなという感じもいたしております。  ただ、所得の面で見ますと、例えば農家の長男、次男が、家はあるのだけれども、しばらくは結婚したら親元を離れてどこかに住みたいといったときに、家を改めて持つまでもないのでどこか賃貸住宅に入りたい、ところが、いい賃貸住宅がないから公営住宅なんとかというようなお話も結構ございまして、そういう意味からいうと、いわゆる低所得階層に対して税金を使って住宅供給するという意味合いからすると、いささか外れるのではないかというような面もございまして、そういうことで地方にこれを任せるということは、今のところちょっと考えていない状態でございます。
  43. 前川旦

    前川委員 しかし、そういう意見があるということを、ひとつ御記憶にとめておいていただきたいと思います。  さて、だんだん時間がなくなりましたが、ついでながら公営住宅家賃もだんだん高くなっているのですね。これはいろいろ理由がありますが、第一種二分の一の国庫補助、第二種三分の二の国庫補助、これは実額にとどかないという実態もあります。それから土地の価格も値上がりしているということもあるし、建築費も上がるということで、大体第一種で家賃は五万円ぐらいの水準になる。五万円ではこの所得ではとても払えませんから、大抵の自治体で政策家賃をとって、家賃を下げる、あるいは当初数年間のみは減額するといった形の傾斜家賃の制度をとっている。  香川県では丸亀に県営丸亀団地というのができまして、第一種七十戸建てましたが、政策家賃と傾斜家賃で大体三万五千円ぐらいで抑えているわけです、これは五万円ぐらいのコストになるのですけれども。それを助ける制度もあるのですけれども地方自治体にとってはかなり持ち出しになっているわけですよ。そういうことが地方の公営住宅に対するブレーキになっているのも事実なんです。御存じだと思いますけれども、これはやはりもう少し手当てをしてもらいたいという要望が非常に強うございます。いかがでしょうか、
  44. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 この問題につきましては、従来いろいろな補助単価を少し上げていきたいとか、あるいは先生が今、別の措置があるとおっしゃいましたが、御存じのとおり五十五年から家賃対策補助というものを実施しまして、政策家賃に伴う地方公共団体負担というものを軽減するように、今努力をしているわけでございます。  ただ、本来この公営住宅というものは国が二分の一なり三分の一を持ちまして、残りを原則的には受益者に負担していただいているという建前になっておるわけでございまして、地方公共団体はその足らず前といいますか受益者の負担の足らず前を補っていただいているということでございまして、いろいろな考え方がございますが、例えば地方住宅について、地方公共団体がもう少し何か負担するようなことを考えたらどうかという御意見すら聞かれるようなことでございまして、私どもは私どもなりに、今後の補助とか各種の補助についての、これをふやしていく努力はしていくつもりでございますけれども、そういう政策家賃と実際の負担との乖離というものを埋めるのは非常に難しい状態にあるということでございます。
  45. 前川旦

    前川委員 こういう予算の乏しい時代ですから事情はよくわかります。しかし、先ほどのお話のように地方も大事にしていくという立場から地方実態をよくつかんでいらっしゃると思いますけれども地方住宅政策がスムーズに進むように手厚い努力をしていただきたいということを重ねてお願いをしておきます。  さて、地方住宅供給公社でありますが、各県にある地方住宅供給公社は積立分譲住宅の建設、供給を主な事業として建設省の指導によって発足したものであります。これは御承知のとおりですが、現在積立分譲住宅制度は実情に合わなくなってほとんど建設されていないというのも実態なのです。これは大臣のところの静岡でも同じじゃないかと思います。しかも、それでは普通の分譲住宅はどうかというと、民間の分譲住宅と競合いたしますので、各地とも業績不振にあえいでいます。  こういうことを言っては香川県にしかられるかもしれないけれども、私のところは最初は公社が毎年二百戸分譲住宅をつくっていたのですが、ことしはつくっても三十戸しか売れない。それでは人件費が出せないのです。これはどこの県でもみんな共通の悩みではないかと思います。せっかく建設省の指導によってつくられた地方住宅供給公社が、お荷物と言っては言葉は悪いですけれども、非常に苦しんでいるというのが各県の実態ではないかと思いますが、この経営難に対して抜本的な対策をどういうふうに考えていらっしゃるのか、いかがでしょう。
  46. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 先生の今おっしゃいましたような事情は私どももひしひしと感じておるわけでございまして、これは、供給公社に限らず住宅建設自体がかなりの不振にあえいでいる中で公社自身もそういう状態にあえいでいるわけでございます。  私ども住宅供給公社が経営をする場合に、余り無理しないで、売れないものを建てたりしないようにという、要するに事業の効果的な執行というものを指導しているところでございます。また一方におきまして、公庫の長期低利融資、あるいは税制もほかのとは異なった優遇を講じているわけでございますけれども、なかなかそういう状態が改善されていないという実情でございまして、抜本的とおっしゃいますけれども、これもなかなか抜本的な経営改善の決め手みたいなものが見当たらない実情でございます。  ただ、昭和六十年度におきまして、公庫融資額をいろいろな形で引き上げ、単価も引き上げておりまして、そういう意味では公社については一般よりも非常に有利な引き上げになっておると思うわけでございます。そのほか、地域振興に資する公社分譲住宅地域特分と俗に呼んでおりますが、そういうものについて公庫の割り増しということも実施をしたいと考えておりますし、住環境整備モデル事業だとか木賃住宅総合整備事業であるとかいろいろなものに公社にも参加していただくように制度を改めておるわけでございます。  今後ともこういういろいろな形で公社の支援をしてまいりたいと考えております。
  47. 前川旦

    前川委員 きめの細かい公社の建て直しというか支援をどうか真剣に考えていただきたいと強く要望しておきます。  最後に、住宅建設五カ年計画であります。  第四次の五カ年計画は最終年でありますが、恐らく見通しとして、計画戸数の達成はもう不可能になったと思います。これはまだ確定した数字が出ておりません。しかし、民間の自力建設が極端に不振であったということから、これはもう不可能になったと思います。それはきょうは時間がありませんから議論しません。  ただ、第四期五カ年計画の大きな柱であった昭和六十年にはすべての世帯が最低居住水準を、半数の世帯が平均居住水準の確保、この二大目標の達成率は今どうなっておりますか、今どの程度達成されておりますか。
  48. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 最低居住水準の方につきましては、五十八年の調査によりますと、まだ達成できていない部分が四百万戸、三百九十五万世帯、全体の一一・四%残っておるということでございます。したがいまして、六十年度までを考えましても、これがゼロになることは到底期待し得ない状態でございます。  平均居住水準の方は、千七百六十七万世帯、全世帯の約五〇・九%がまだ達成されていないということでございますが、これはあと〇・九%でございまして、六十年度までを考えれば恐らくや達成可能だろうと考えております。
  49. 前川旦

    前川委員 住宅局長から随分強気なお答えをいただきましたけれども、今の水準は居住室とか食事室といったもので言っていらっしゃるのだと思いますが、もう一つ「設備について」というのがありましたね。「設備について」を含めて今の達成率なんでしょうか。規模だけから見た達成率なのか、設備まで含めての達成率なのか。
  50. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 今申し上げたのは規模だけの話でございまして、設備あるいは住環境の水準については考えておらない達成率でございます。
  51. 前川旦

    前川委員 私はそういう甘い発想をしてはいけないと思うのです。もっと厳しく考えていかないと、次の発展のエネルギーになりません。  そのほかにも、時間がないから言えなくなりましたけれども、外国と比べての比較でも、部屋数のとり方にしても、日本は非常に甘いでしょう。外国は非常に厳しいのです。それから、面積にしたってはかり方が違います。外国は内のりではかる。日本は聖心、壁の中心ではかる。さっきの部屋数にしても、地下室、屋根裏部屋、台所は向こうは部屋数に入れないとか、床面積にしても、日本の場合は店舗や事務所までも床面積へ入れて数えるとか、いろいろ甘さがあります。住宅政策に余り甘さがあっては、努力していらっしゃるから自分らのことを、努力しているのをできるだけ甘く考えたいのはわかるけれども、これから先を見通したらもっとシビアに、まだだめなんだ、まだだめなんだと考えていく方がこれからの力になると私は思いますので、時間がなくなりましたからその点の議論はもうできませんが、考え方を改めていただきたいということを要望しておきます。  最後に、次の第五次の建設五カ年計画は今度は何を目標に、何を重点に考えておられますか。それは審議会がありますからといってお逃げになってはいけません。審議会は平場で議論するのではなくて皆さん方の考えを持っていってかけるのでしょうから、基本的な考え方はもうちゃんと固まっていらっしゃるはずなんですから伺いますが、今もう完全にできないと思います居住水準の向上を引き続いて第五次でもどういうふうに考えるのか、住環境水準の向上についてどう考えていくのか。  それから、マイホームは都市では無理ですね。どう考えても、一般勤労者にマイホームは無理です。そうなると、最近の民間の借家建築、賃貸住宅がうんとふえていますが、これをどう考えるのか。質のよい賃貸住宅をつくるように政策を変えろというのはもうだれもが言っているのです。新聞も言っている、学者も言っている。質のいい賃貸住宅を中心に政策を変えなさい、これが大体コンセンサスになっていますし、常識になっていると思いますが、そういうふうに今度第五期では変えていかれるのかどうか。  時間がありませんからついでに申し上げますが、我が党は今の臨調に対して批判を持っているのですが、臨調の基本答申の行政部分、「国土、住宅土地」「基本的考え方」の中にこういう文章がある。「政府としても、最低居住水準未満の世帯の解消を目指して、良質な賃貸住宅供給促進と自助努力を前提とした持家建設の推進を図っていくことが重要である。」  どう考えるかというと、従来の考え方からいうと、持ち家が中心でしょうから、文章としたら、持ち家建設の推進を図っていくことがまず基本であるが、つけ足しとして、良質な賃貸住宅供給促進を図りなさいと書くでしょうね。それが文章では逆になって、良質な賃貸住宅供給促進が先に出て持ち家の方が後になっているのですよ。  これはどういう意味か。文章で先になった、後になったで変わるのかどうか知らぬけれども、臨調でさえ、今の持ち家は行き詰まっている、特に都市の勤労者では不可能になっているということを踏まえて、良質な賃貸住宅供給促進に住宅政策の重点を動かしなさい、こういうふうに言わざるを得なくなっている時代だと僕は思うのです。これをどう生かしますか。これは基本的なことですから大臣に。今までは持ち家中心でしたね。それをこの機会に良好な賃貸住宅に、しかも今民間の賃貸住宅の建設がどんどん進みかけているときですから、変える時期に来ていると思います。  ついでですからもう三十秒お許しください。これは四月九日、きのうの朝日新聞に「景気診断」という記事があります。ここに大橋弘さんという積水ハウスの副社長さんが書いた記事が載っていますが、「増える貸家建築」として、その中に、「建設省は、六十一年度からの第五期住宅建設五カ年計画で、従来の持ち家重視の政策から貸家重視に転換するという。住宅市場はこれを先取りしているといえる。」  こういう情報が一番早いのは僕らじゃなくてこういう業界ですよ。業界を代表する人が堂々と新聞で、建設省は転換するぞということを書いていらっしゃるのですが、かなり本当のことだろうと思うのですね。どうですか、そういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。考えていらっしゃるとしたら僕は非常に歓迎すべきことだと思いますけれども、最後にちょっと伺っておきたいと思います。
  52. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 いろいろ御質問がございました。審議会の陰に隠れて逃げるなとおっしゃいましたけれども、今審議会で御議論いただいておりますので、何か私どもがあらかじめ予見を持ったようなことでお答えするのもいかがかと存じますが、要するに、居住水準の問題などにつきましては、この前朝日新聞などにもちょっと出ておりましたように、審議会の中で既にいろいろ御議論をいただいております。例えば平均居住水準というものについてはもう少し高いレベルで今後見ていくべきではないかというような御議論が行われておりますし、住環境水準につきましても、これは把握の決め手が非常に難しゅうございまして、現実に調査で何をどうやって調べていっていいかということで勢い抽象的な基準にならざるを得ませんけれども、そういった中で何とかこれについてもレベルアップを図っていきたいというような議論が行われております。  持ち借の問題につきまして、私ども、決して今まで持ち家重視でやってきたという気持ちは実は持っておりません。持ち家についても持ち家志向が国民の間に非常に根強いものがございます。これにこたえていかなければなりませんし、借家につきましてももちろんその必要性というものは十分にあるわけでございまして、これについても対応していかなければいけない。これは過去の持ち家、借家のいろいろな傾向などを見ながら私ども政策に反映させてきているわけでございますが、先生おっしゃるように、最近の状態は非常に借家がふえてきているということがございます。当然そういったものもこの審議会の議論でも行われておりますが、今後の住宅政策にもそういう面が反映されていくのではなかろうかというふうには考えております。
  53. 木部佳昭

    木部国務大臣 先ほど来先生から大変心のこもった御意見を踏まえての論議をいろいろいただきまして、私も深く傾聴させていただきました。  基本的には、何といっても今までのように量の時代、充足の時代から質の時代に移行しなければならぬ。そういう意味では私は先生意見が一致いたしておりますし、同時にまた、今や地方の時代とも言われておりますし、先ほど私が申し上げましたように、できる限り地方のニーズ、またそうした考え方というものを反映できるようにしなければいかぬと思います。  それから、第五期の計画が六十一年度から発足するわけでございますから、審議会でもいろいろ論議をいただいておるわけです。特に最近の傾向として、先生からも御指摘いただきましたように、賃貸住宅の需要の動向を見ますと、これが非常に重要な課題になっていることも私どももよく承知をいたしております。ですから、先ほど申し上げましたように、充足の時代から居住環境やそういう水準を含めてやはり質の時代になってきていることは御指摘のとおりでございます。今住宅宅地審議会でそうした問題を御審議いただいておるわけでございますから、私どもといたしましても、これから地方の時代や、今申し上げたように充足の時代から質の時代であるというふうな基本的な考え方、また賃貸住宅に対する需要が非常に多いというような点等を基本的によく認識をして、できる限り新しい五期の五カ年計画の策定には取り組んでいきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。どうぞよろしく御指導いただきたいと思います。
  54. 前川旦

    前川委員 終わります。
  55. 保岡興治

    保岡委員長 関晴正君。
  56. 関晴正

    ○関委員 私は、まず第一に住宅金融公庫というものは今その経営の状態においてどうなっているのか、言うなれば健全経営でいるのか赤字経営でいるのか、その状況をこの際少し承りたいと思うわけです。あわせて、この金融公庫に対する出資金が、昭和四十二年度以来ずっと出資金というものがなくなって、そうして補給金ですか、形を変えて今運営されているわけなんですが、その結果、今日特別損失金などというようなものもまた招いていると思うのです。補給金に変わった、そして今度は特別損失金を導入するようになった。こういう状態を見ますときに、基本的にこの住宅金融公庫というものの運営方針、経営方針、そういうものがどうしてそう変わったのだろうか。何で出資金形態というものをずっと継続していく道をとらなかったのだろうかということを今の時点で感ずるわけであります。  そういう意味において、今度の金融公庫法の改正に当たって住宅金融公庫自体がどういう体になっておるのか、この際御報告いただきたいと思います。
  57. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  住宅金融公庫の経営でございますが、経営状態は例の特別損失金というものを除きますとこれは完全に健全なる経営をいたしておるわけでございまして、特別損失金というのは、いわば経営の別な意味におきまして国の財政的な見地から設けられているものでございます。  それから、先生お話にございました出資金をどうして利子補給金に切りかえたかということでございますが、そもそも出資金は、その出資金の貸付利息によりまして公庫の借入金の利息とか運営経費を賄っていくということで当初設けられたものでございますが、昭和四十年度以降、国の均衡財政といいますか、健全均衡財政という方針で財政需要が非常に旺盛になってまいりましたために、経費、資金の重点的な配分あるいは効率的な使用に努めるという見地から、これを出資金から補給金に切りかえたわけでございます。  言ってみれば、その金融公庫の増加する利子の逆ざやといいますか、利息の支払いというものにつきまして、これを出資金の利子で賄っていこうとしますと、出資金が非常に大きなものが必要になってまいりまして、この大きな出資金というものを寝かしておくということが国家財政上非常に不都合だということで、これを補給金に切りかえたということでございます。
  58. 関晴正

    ○関委員 私の聞いているのは事業の状態ではなくて、言うなれば貸付金業務そのもののことではなくて住宅金融公庫というものの運営、これは一体、年間どれだけの金がここに投ぜられて、どれだけの経費がここにあって、それを差し引きすると公庫全体は今日これだけの黒字で運営しておりますとか現状はこういう状況でありますとか、いわば公庫の貸借対照表、そういうものから見たところの状況を聞いているわけなんで、その点でひとつ局長でなくて公庫の総裁がおいでになっていれば、担当の方がおいでになっていればそちらの方でもいいですよ。今のお答えは、聞いているのに対してはお答えになっておりませんので。
  59. 河野正三

    ○河野説明員 お答えいたします。  ただいま局長から答弁いたしました事業の裏づけのもとに、経営の内容といたしましては、貸付金が、これは債権でございますが二十一兆円ぐらいあります。しかし一方、政府から借り入れております借入金がやはり二十一兆円ぐらいあるわけでございます。  建前がまあそういうことでございますので、その間には補給金というものをちょうだいしなければ健全な経営内容にはならないという形になっているわけでございます。しかし残念ながら、昭和五十七年度以降年々の補給金が十分にはちょうだいできない。六十年度予算におきましては、当初要求がゼロシーリングでございまして大変苦しいところを、建設大臣、大蔵大臣の御努力で年末に五百億円を超す上積みもちょうだいいたしましたが、経営内容としては大変苦しい。  そこで、その補給金のちょうだいできない部分はどうやって損益の計算上はできているかということになりますが、これはさらにその穴を埋めるための財投資金をちょうだいしている、こういう形でつじつまが合っております。しかしその財投資金は金利のついた金でございますから、さらに孫利子とでも申しましょうか、政府からの借入金に対する償還金に本来元金及び利息がありますけれども、それにプラス穴を埋めるための特別の借入金についての利息も上に乗ってくる、こういう状態でございまして、先生お尋ねの企業の経営内容ということになりますと決して威張れるものではない、こういうことになるのでございます。一応今までのところはそうお答えいたします。またお尋ねがありますれば出てまいります、
  60. 関晴正

    ○関委員 まだ私は本質論には入っておりませんので、おいおい入っていきます。  入っていく前に、この事業を担当しておる金庫の体が、心臓も肝臓も胃袋も腸もみんなよく整っているのだろうか。この体の診断をしておかなければよき事業運営も難しくなるであろう、こう思うものですので、いただいた資料等を見ましても、どうも住宅金融公庫の概要がわからぬ。それで私は、住宅金融公庫についてきちんと書いたものがありませんかと申し上げたら、出てきたのが「住宅金融公庫の概要 一九八三」。一九八四年はないのかと言ったら、急いでつくれば持ってきてもよろしゅうございますが、英語ではいいのができているのですよ、こう言うわけなんです。住宅金融公庫は何も英語でいいパンフレットを出さぬでも、きちんとした日本語で、色刷りでさわやかな公庫概要ぐらいはつくってみせたらどうですか、こう私は思ったのです。  英語にはいいのがありますと言うが、何で英語には住宅金融公庫のいい概要があって、国民も、特に我々が責任を持って審議しなければならないこの中に、そんなものを持ってくることができないのか、これはよほど中身が苦しくてそういう印刷物も出せないのだろう、こう私は思ったわけであります。多額のお金を国民住宅建設に供していながら、自分たちの体については、こういう立派な体でございますと胸を張って宣伝できるようなものがあっていいのじゃないだろうか。  そういう意味で、先ほどどうなっているのだ、黒字なのか赤字なのか、経常経費ですね。そしてそういう点についての人件費事業費等がそれぞれあってのことでしょうから、一九八四年度は、公庫の運営からいきますとこれこれの結果になる見込みであります、プラス・マイナスでプラスであります、言うならばそのことをひとつ御報告をいただければ、こう思いますので、総裁、そのことで毎日判こを押したり押さなかったりしている暮らしてはないだろうかと思いますので、お答えいただければと思います、
  61. 河野正三

    ○河野説明員 大変資料の方で御面倒をおかけいたしましたが、手元に六十年度の損益計算の予定表がございますので、それでお答えをさせていただきます。  先ほど申し上げましたような貸付金債権あるいは借入金の債務があるわけでございますが、六十年度の損益計算といたしましては、貸付金、国民の皆様方にお貸し付けをいたしました利息が一兆三千七百五十一億ばかり入る予定でございます。他方、政府から借り入れをいたしております借入金の利息が一兆七千六百十四億あるわけでございます。したがいまして、その限りでは大きくマイナスが出るわけでございますけれども、しかしながら一方、今回お願いをいたしております法律によりまして特別損失金の計上が認められるようになりますと、これが一千三十四億円、さらにまた一般会計から、さっき申し上げましたように昨年よりも五百数十億円上乗せした補給金の受け入れが三千四百数十億円、さらにまた今回御提案申し上げております法律が通りました場合には貸付手数料収入等も見込まれるわけでございます。これが六十億円というふうに考えております。それから滞貨償却引当金戻入とかいろいろ細かいその他収入とかがありまして、つじつまは損益では合う、一兆八千三百十五億円損失、利益が一兆八千三百十五億円、こういう形を予定をいたしております。しかし、これの前提といたしまして特別損失金の計上をしていただくということが大事な前提になるわけでございます。
  62. 関晴正

    ○関委員 私の聞いているのは、事業から生ずる欠損金だとかあるいは事業費に満たすべき金の不足金だとかそういうことではなくて、あなたの方の住宅金融公庫自体人件費であるとかあるいは事業費であるとかそういうようなもののプラス・マイナスでいっては、住宅金融公庫事業として赤字経営をしておられるのか黒字経営をしておられるのか。赤字ならどのくらいの赤字で経営しておられるのか、黒字ならどのくらいの黒字で経営しておられるのか。赤字も黒字もなくてプラス・マイナスとんとんで住宅金融公庫事業を運営しておるのですよ、こういうことなのか。そこをひとつ教えていただきたいと思っておるわけですよ。
  63. 河野正三

    ○河野説明員 ただいまの損益計算書の中身で省略をいたしましたために先生に……(関委員「あなたの言ったのはことしの事業の話だ」と呼ぶ)いえ損益計算の話でございます。この損失の中に先ほど借入金利息、政府への利息の金額を申し上げましたが、実はこれが一番大きいので代表して申し上げましたのですが、事務費といたしましては百十五億円、それから業務委託費、これは地方公共団体金融機関に委託をいたしております委託費でございますが、これが三百二十八億円ございます。  したがいまして、公庫は年々三兆数千億円の貸し付けをいたしておりますが、それに必要な先生お尋ね事務費系統といたしましては、その百十五億円の事務費と業務委託費の三百二十八億円を足しました四百四十億円くらいが経費だ、こういうことになると思うのです。  そこで、これらを全部足しまして、損益は六十年度はとんとんになる予定を、当然企業といたしましてはとんとんにならなければ困りますので、立てております。こう申し上げたわけでございますが、さらにその最後に、とんとんにするためには、この特別損失金というのを、これは一種の入るべき金が入らぬための特別措置でございますけれども、これの千三十四億円というのがなければ困ります、こういうことを申し上げたのでございます。
  64. 関晴正

    ○関委員 そこで、今とにかく四百四十三億くらいは納経費としてかかり、それらのことは国の補給金もしくは特別損失金等の導入によってバランスをとっておられる、こういうふうに理解したわけですが、それでいいですね。  それで私が言いたいのは、出資金というものの持つ意味なんです。出資金というものは約千億近くあるわけですよね。もっと具体的に申し上げますと、この公庫の出資金というのは九百七十二億円です。そこでこの出資金というものに対して、大体これは二十年も前の九百七十二億ですから、今日経常経費として四百四十三億、その半分くらいになっているわけなんです。ですから、この体を運営する場合に資本金というものをとめないで、資本金というものを毎年毎年ある程度計上していって、この体の運営に、事務費であるとかそういう委託費であるとかというものはある程度資本金でカバーしていく、間に合わせていく、こういう運営の方針をきちんととっておれば、少なくともこの問題についての苦しみだけは私はせぬでもよかったと思うわけです。  何で資本金、出資金という制度を補給金に切りかえるときにこれにもっと抵抗しなかったのだろうか。こういうことを思いますときに、昭和四十二年以来十八年間も事業をしていながら一銭の出資も計上しない、こういう体の運営、公庫の運営というものはやはり適当ではなかったのじゃないだろうか、私はこう思うわけで、苦しみに紛れて安易に、資本金から補給金に変われば、まあそれでもよろしゅうございますと言ってきたところに、公庫の堅実性といいましょうか余裕性といいましょうか、そういう基盤の強化に非常に資する方便を、私は失ってしまったのではないかと思います。  資本金というものは事業を進めていく上においてなければならないものだ、資本金がなくて、そうして他に頼って、借金にばかり頼っていくという経営形態になると、公庫というものの体がだんだん弱くなってしまって、そんな公庫なら要らないよ、こういうところにいくのじゃないだろうか、私はそれを一番心配するわけなんです。  そういう点からいくと、公庫が一人前の生き方をしていく上に出資金というものは欠くべからざるものなんです。そう思いますので、出資金はやはりふやしてそうして体を健全にしていく、そういう運営方針というものをこの際きちんとすべきじゃないだろうかと思います。  これは公庫の総裁がそう思ったって大臣がそう思わないことにはそこにもいかないだろうと思うし、大臣もまた何で十八年も出資金の増加がなくやってきたものだろうということについての疑念もあるいはあるのじゃないだろうかと思いますが、この際資本金の拡充、資本金の増資、そういうことについて考えるべきではないかと思いますので、この点を大臣にお尋ねをしておきたいと思います。
  65. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げたいと思いますが、先ほどもちょっと申し上げたように公庫にかかる経費というのは、先ほど総裁の方からお話し申し上げました人件費事務費、そのほかに財投からお金を借りてそれを五・五%といった低金利でお貸しする場合の逆ざや分の補てんといったものが必要になるわけでございます。この全部ないし一部を出資金をもって賄っていく——その出資金をもって賄うといっても出資金を食いつぶせばあっという間になくなってしまうわけでございまして、結局出資金をどこかに貸し付け、運用いたしまして、その利息でもって賄っていかなければならないわけでございます。  そういたしますと、実質に必要なお金というものは、先ほどの経費その他は、人件費と経費だけですと四百数十億ということでございますけれども、さらに補給金などを加えますと四千数百億というものになるわけでございまして「この四千数百億円を利子でもって賄うような出資金というのは途方もない額になっていくわけでございます。  そういったこともございまして、出資金の積み重ねをもって賄っていくという方式ではおのずと限界があるということで、政府から利子補給金を直入するという方式に切りかえざるを得なかったということでございます。
  66. 関晴正

    ○関委員 二番目に質問いたしたいと思うのは、三年前にこの法律が出ましたときに、委員会では討議をされました。実によく討議をされておったと私は思います。それで、この討議の最後に附帯決議というのが付されました。この附帯決議というのは大変立派なものでありまして、この附帯決議を受けて、この三年間どう執行してきたのだろうかと思うわけです。  もっと具体的に申し上げますと、これは昭和五十七年四月九日の建設委員会に溶ける論議の模様でありまして、みんなこの特別損失方式というものはよくない、こういう意見で、反対が多かったのですが、多数をもってこれは終わった。だが、おしまいに附帯決議を出されまして、その附帯決議は一から八項までございます。この一から八項までのうち、私は特に一と四と八に実は関心を抱くわけでありますが、その一というのは、おしまいのところだけを読みますと、「住宅政策の拡充を図るため住宅基本法の制定促進に努めること。」  こうあります。この三年間政府は、この住宅基本法の制定促進にどのようにお努めになったのだろうかというのが一つです。  その次には、四項には「入居者に過重な負担をかけることのないよう指導すること。」というのがあります。いいことだと思います。  それから八項には、ここだけは特に強く申し上げておきたいのですが、「国は、住宅金融公庫の財政の健全確保と公庫金利の長期的安定を図るため、利子補給等の財政援助について特に配慮すること。」 こううたっているわけであります。  そういう点からいきますと、この八項目のうち今取り上げた点について、どう生かされているのだろうか、またどう取り組んでこられたのだろうか、これについてお答えをいただければと思います。
  67. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  最初の、住宅基本法のお話でございますが、住宅基本法というものをつくったらどうかという御意見があちこちからございました。また、国会筋でもそういうお話を何遍か伺って、私どもも今まで毎年住宅基本法案というものを検討してまいりまして、一応提出予定法案の中に入れておったわけでございます。  ただ問題は、この住宅基本法というものがどういった性格のものなのかということにおいて、いろいろ各方面で御議論がございました。例えば、社会党で御提案になったことがあるような住宅保障法というものがございました。これなどは、言うなれば応能家賃みたいなものを中に取り込んだ非常に実体的な意味のある法律でございまして、これとのバランスなどを考えてみました場合に、私ども考えでおります住宅基本法というのは、例えば、計画をどういうふうにつくるかとか、居住水準はどうあるべきかとか、さらに住宅政策の基本となる骨組みみたいなものはどのようにあるべきか、そういった種類のものを考えておりまして、単にその保障法案との比較だけで見ましても、非常に中身に隔たりがございます。それから、私どもの内部だけの話にいたしましても、一体どこら辺まで書いていくかということでいろいろ議論がございました。  そういったことで、この基本法案というものはやはり大方の御理解と御協力を得た上でつくるものでなければならない、国民のコンセンサスを得た上で成り立つものでなければならないという考え方から、非常に難しい問題でございまして、鋭意検討はしておったわけでございます。  このたびまた五カ年計画の改定の時期になりまして、六十一年から新しい五カ年計画ができるわけでございます。この端境期でございまして、少なくとも今年度は御提案することはあり得ない時期でございますので、今回は提出予定法案からもおろさせていただいたという経緯があるわけでございます。そういった難しい問題はございますけれども、今後これについての検討は鋭意進めてまいりたいと考えておるわけでございます。  それから二番目の問題、家賃の軽減ということでございます。これは、ちょうど前回の建設委員会で御審議いただきましたときに、公社住宅家賃の値上げの話がございまして、それとの絡みでこういった附帯決議が採択になったと記憶しているわけでございますが、今回貸付手数料というようなものも考えておりますけれども、こういった貸付手数料みたいなものにつきましては、恐らくこれによって公社住宅家賃に何らかの引き上げなどが行われるような種類のものでもございませんし、そういった意味からいって、今回の御提案というものもこの趣旨には決して反するものではないと考えておるわけでございます。  また、第八項につきましては、今後公庫の財政の健全化を図るということで、利子補給等の財政援助について特に配慮しろという趣旨でございます。このたびの予算におきまして補給金五百五十億円の増額が得られたというのも、そういう意味では大きな進歩であると考えております。ただ、残念ながらこれでは足りないものでございますから、また特別損失というものを継続せざるを得ないという御提案もあわせてさしていただいているという趣旨でございます。
  68. 関晴正

    ○関委員 住宅基本法案については鋭意検討しておるのだが、昭和六十年度には間に合うことができない、わかりました。  それでは、六十一年度からの住宅建設五カ年計画、この計画を出す時点においてはこの法案も準備して出したい、こういう御意思でございますか。
  69. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 先ほど申し上げましたように、非常に内容が難しい法律でございまして、御意見もさまざまでございます。私どもがある法案をつくり、これを御意見の整わないままに何とか仕上げるという種類のものでは基本法というのは決してないのじゃないかと考えております。そういう意味で、コンセンサスを得られる努力をした上で、得られるものならば出したいと考えております。
  70. 関晴正

    ○関委員 これを出すに当たって一番の難点と申しますか障害点、検討しなければならない点はどういうところでございますか。
  71. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 基本法というものは、一体どういう形でこれを構成するかというところから問題は始まるわけでございますが、現在住宅建設計画法という法律がございます。この法律は、ある意味ではやはり住宅建設の基本をなすものでございます。これの足らざるを補ってもう少し充実した中身にしていくということを、実は骨子において我々考えていたわけでございますが、その内容というものは、具体的な住宅政策を個々に書いていくという種類のものでは実はないわけでございまして、そういう意味で、あるいは大方の御理解を得られない面もあるのじゃないかというふうに考えておりまして、そこら辺が非常に問題だと考えております。
  72. 関晴正

    ○関委員 昨今のような財政事情になりますと、住宅建設の方向というのが国の方針としてますます後退していくのじゃないか、我々はそういうことを招いてはならない、そういう観点からもきちんとした法的な裏づけを整えておいて、国民の皆様に、我が国の住宅政策はこういうところに基本があります、こういうふうに示しておかないといけないときに今ある、私はこう思いますので、その点についてはぜひひとつ特に考えを深めて当たっていただきたいということを希望しておきます。  そこで第三の問題に入りたいと思いますが、この住宅建設の五カ年計画、それぞれにおいて進んでおりながら、計画の一〇〇%を超えるというのは公庫だけであります。公庫だけは予定よりもいずれもオーバーをし、またそのオーバーによって事業に資しておるわけなんです。ただ、この住宅建設の計画戸数というものがだんだんダウンしてきている。こういうダウンしてきている傾向というものに歯どめをかけなければならぬ。住宅産業ぐらい国民の景気を浮揚するものはないし、これぐらい役に立つものはない。だが、ともすればこの住宅建設の方向というものが国において戸数を減らす方向にあるのじゃないだろうか。とにかくことしの戸数についても、国民の声を受けて政府の原案をやっと幾らか高めてどうにか来た、そういっても昨年に比べて一万戸も減らしているわけです。ですから、私はこういうような方向はとるべきではない。そういう意味からも、六十一年から五カ年計画というものをどう定めていくつもりなのか。  これは先ほど私の方の前川さんからも御質問がありましたが、時間の関係できちんとお答えがされませんでしたので、今度の六十一年度の計画というものをどう持っていくのだろうか、この考え方がひとつきちんとしなければならない。やはりその考え方の基本にあるものは、必要とする金は国においてきちんと負担させる、こういう方向をとらなければならない。まずとにかく、六十一年度から六十五年までの第五次の住宅五カ年計画、この計画についての取り組みの基本姿勢、そうしてその構想、そんなに構想までいかなくても、目前に迫っていることですから、この際お示しされないだろうか、こう思います。
  73. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 第五期五カ年計画は六十一年から発足するわけでございまして、先ほど来御答弁しておりますように、ただいま鋭意住宅宅地審議会におきまして御審議をいただいておるところでございます。  そういうことで、この骨格みたいなものは、まだ審議中でございまして私今この段階で申し上げるすべもないわけでございますけれども、概して申し上げますと、今後の住宅政策の目標というのは、戸数の充足ではなくて住宅の質あるいは居住水準の向上にあるわけでございます。  そこで、この目標を達成するために、まず質の面での目標というものを少し高く掲げる必要があるのではないかというのが現在御議論なされている第一でございます。これは、先ほども答弁申し上げましたように、特に平均居住水準についてはどうやら六十年度で達成可能であろうという状態を受けまして、今後さらに高い水準の目標というものを設定したらどうかということでございまして、これは住宅の規模が中心でございますけれども、具体的な数字はまだ申し上げられる段階でございませんけれども、平均居住水準を現在四人家族で八十六平米といっておるのをもう少し高い水準に置いて、これに向かってあらゆる住宅政策をとっていこうということが一つでございます。  それから、あとは先生お話のございました戸数とか金額とかいうことでございますけれども、戸数につきましては、ただいままだその戸数についての議論に入っておりませんけれども、これは、過去の戸数の実績などを見ながらいろいろ積み上げた形で表示していきたいと思っております。  それから、大体この五カ年計画というものは、住宅の建設の目標を掲げることと、それから公的住宅について事業の量を掲げることということが書かれておりまして、その目標については、申し上げましたように質の向上の目標を高く持っていこうということで、量につきましては今までの推移を見ながら今後積み上げていきたいと思っているわけでございますが、このほかに、例えば高齢者対策の問題でございますとか、先ほど来御議論の出ました持ち家と借家の比率の問題でございますとか、あるいは公的な助成を今後どういうところに主体を置いてやっていくのかといったような、いろいろな問題がございまして、現在それらについて個々に御議論をいただいているところでございます。  そういうことで御議論いただきまして、ことしの六月ごろには御答申がいただけることになろうかと思いますが、その上で私ども計画の策定に当たってまいりたいというふうに考えております。
  74. 関晴正

    ○関委員 第一期においては六百七十万戸、第二期計画では九百五十七万戸、第三期では八百六十万戸、そうして第四期では七百七十万戸と、こう進んでこられたわけです。そうして五期目は、じゃどのくらいの戸数まで建てられるのか、これは立てられないはずないと思うのです、いろいろなデータがあって、あなた方は専門なんですから。少なくとも第四期の計画を上回るなら上回るようにしたいとか、これは堅持するようにしたいとか、だが世帯数の諸状況から見るとなかなかそうもいかないのでここを守るべく努めるとか、いずれにしてもそれぞれのデータに基づいての考え、また景気浮揚の一つの国の政策部面というものがあって、数字ぐらいは希望の数字で、このくらいまでやりたいんだと、またこのくらいまでやってもらわなければ我が国の経済発展がうまくいかないのだということで出せませんか。何もその出した数字で責任をとらせるようなことをしようと私は思っていませんよ。だけれども、少なくともこれを下回るようなことはしないならしない、このくらいは言えるのじゃないでしょうか。どうです。
  75. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 先ほど申し上げましたように、現在まだこれについて審議会での御議論は一切いただいておらないところでございます。  この七百七十万戸という見込みは、結果的にはこれを相当下回るのじゃないかというふうに見込まれておるわけでございまして、現在の住宅着工を見ましても、百十万戸台でここ二、三年低迷してまいりまして、五十九年度はこれがどうやら百二十万戸台に乗るかなということでございます。今後の予測になってくるわけでございまして、この予測と余り大きくかけ離れた目標を掲げるわけにもなかなかまいらないだろうということでございまして、仮に七百七十をそのまま横ばいにさせるといたしますと、また達成が難しくなるのじゃないかなという感じもしないではないということでございます。
  76. 関晴正

    ○関委員 とにかく、計画を立てておるけれども計画どおりに進んでない向きもある。あるけれどもやはり国の経済の発展策からいって住宅建設政策というのは一番いいことなんです。ですから、国の方の財政が弱いからというので弱いのに合わせて歩調をそろえてしまうと、縮小はまた縮小を生むの原則になってしまうと思うのです。そういう意味からいけば、到達できないからといってその目標を下げるには及ばない。やはりその目標を立てて進める、景気を住宅政策で引っ張っていくのだ、その気概がないと私はいけないと思うのです。その気概があって初めて自民党も幾らかいいことをしてくれたかな、こう思うわけですね。そうでないと、みんなダウンタウン、軍事費だけアップアップ、その前に国民生活がこれまたあっぷあっぷになってしまってうまくないと思うのです。本当に国民生活をアップさせるためには住宅政策をアップさせる。そういう意味において大変大事な役割を建設省は持っていると私は思うのです。  これは経済企画庁ともまた御相談されることでありましょうが、その場合の基本姿勢はちゃんとしなければならない。木部建設大臣、これはあなたのときにつくられる計画になるのじゃないだろうかと思うのですが、その際に、木部建設大臣がきちんとしたために立派なものができた、こう言えるように、またすべきじゃないだろうか、この際、そういう意味であなたの決意を伺っておきたいと思います。
  77. 木部佳昭

    木部国務大臣 今いろいろ御指摘いただきましたように、内需の振興というものに対する住宅の位置づけは大変大事な問題であることは私どもよく承知いたしております。  先ほど来局長からも答弁いたしましたように、また私も先ほど前川先生にもお答え申し上げましたとおり、とにかく住宅は今までのような充足じゃなくて質の時代に入ってきており、また迎える高齢化社会に対していかに対応を求めるとか、それから居住水準を上げていくとか、先ほど来前川先生からも御指摘がありましたように賃貸住宅のニーズというのも非常に強くなってきております。そうしたものについて今審議会の方で論議をいただいておるわけでございます。いずれ近いうちに審議会の結論をいただくでございましょうから、その上に立って、財政事情も大変厳しい中でございますが、今いろいろお話しいただきましたような、御指摘賜ったようなそうした住宅というものは、衣食住、我々の生存する三本柱の一番大きなあれでございますから、そういう点をしっかり踏まえて第五期の策定に対して最善の努力を尽くしてまいりたい、こう私ども考えております。
  78. 関晴正

    ○関委員 第五期の建設計画を立てる場合に、特に財政のあり方であります。財政のあり方において、特別損失金を経常化してしまうようなことはうまくないと思う。五十七年にこの損失金を後で国が払うからという格好にゆだねた。一度ゆだねると次もまた続いていきます。今その二回目でゆだねなければならない。せっかく利子補給をし、その補給金だということで国が面倒を見るつもりでおったと思ったら、面倒を見ることができなくなって、今度は後払いだ。  今日国債が我が国の財政を圧迫している姿というものは戦後最大でしょう。百三十三兆円の国債の発行残高、そして毎年今度は十兆円を超える国債に対する返済金、こういうことを思いますと、ますます財政は苦しめられていくと私は思うのです。そういうときに、五カ年計画を立てるはいいけれども、立てるときにこの繰り延べ額というのですか特別損失額というのでしょうか、こういうような金額がまたまたふやされていく、ふえていく、こうなると、これががんになって逆戻りしてしまって、今度は建設計画戸数が縮小されていくのじゃないだろうか、こうまた思うのです。ですから、後で国が払ってくれるのだからいいのだとか、補給金に切りかわったのだから、出資金については変わっていってもそう大したことがないのだとか思っていても、思わざるところにこの公庫というものは落ち込んでしまうのじゃないか。そうすると大変なことになる。  そう考えますと、今我々は反対だと言っても自民党の諸君は多数でこれを通してしまうのでしょうし、予算もまた通ってしまった現段階で、これをはね返していくというのは容易じゃない。だがしかし、来年度からの五カ年計画、住宅政策を建てる際に、私は本当にけんかをして、思い切り国民住宅を安くそしてより質の高いものをつくるのに手伝いをする、その役割を公庫が演じられるようにしていただきたい。  そのためには、この特別損失額がウナギ登りにふえていくというようなことは大変にこの公庫の命取りになる、私はそう思うのです。いつまでも安易にこういう格好で出してくれていけるものだと思ったら間違いだと私は思う。だから公庫の命取りにこの特別損失金がなっていくのじゃないか。だから補給金という制度をきちんと整えさせる。補給金というものが住宅金融公庫に対する国の基本的に変わりのない方針であります、こう出させて、そうして金がないからだとかなんだとかということで後払いなどということはとめる、こういうことで特段の御努力と御決意を促しておきたいし、来年度予算についてもその点について篤と見てまだ頑張らなければならない、私はこう思いますので、ひとつ肝に銘じてこの問題についてはお考えいただきたい。  私、きょう大蔵省の方を呼んでいると思うのですが、とにかく大蔵省は金がない金がないといってこういうところにまでしわを寄せて国民生活に圧迫を加える、こういうことは得策じゃない。そういう意味において、きょうは大蔵大臣を呼ぶわけにもいきませんので担当の方から、こうした方法で面倒を見るのではなくて、特別損失金を招かないで補給金できちんとやる、そういう方向にひとつ努力を求めたいし、その決意をまた聞きたい、こう思いますので、大蔵省の方からお答えいただきます。
  79. 涌井洋治

    ○涌井説明員 先生の方からただいまお話のありましたように、国の財政は百三十兆以上の国債残高を抱えております。そういう厳しい財政事情の中では各経費等に厳しい抑制措置をとらざるを得ないわけでございます。  その中で、住宅公庫につきましては、その重要性にかんがみまして無抽せん制度の維持とか金利もそのまま従来どおり据え置くというような措置をとっているわけでございます。しかしながら、厳しい財政事情の中でそういう措置をとっていきますと、必然的に補給金はふえざるを得ない、さりとてその枠の中で補給金をふやした場合には他の住宅政策に非常に大きなゆがみが生ずるということでございまして、こういう特別損失制度というのは、財政にゆとりがある場合にはとるべき措置ではないと思いますけれども、現在の財政事情の中でバランスのとれた住宅政策を遂行するためにやむを得ない措置だと考えております。
  80. 関晴正

    ○関委員 あと時間がありませんので、法案の具体的な問題について二、三お尋ねをしておきたいと思います。  今度の法案でプラス点になるものはどこにあるのか、こういうことになりますと、第一に宅地造成資金貸し付け対象者拡大、この拡大によってどれだけの金がそちらの方に向けられるのであろうか、その融資計画がございましたらその点ひとつ承りたい、こう思います。  いま一つ貸付手数料の新設ですけれども、私は、この貸付手数料にはさしたる根拠はない、こう思います。いろいろ今までの質問者に対するお答えもあるのですが、要するに貸付手数料の新設は、財政上、公庫事業上どうしても資金が不足だから、その不足の資金をカバーするのにこういうようなことにでもせざるを得ないのじゃないだろうか、こういうところから出たものだと思います。そういう考え方は私はわかるのですが、この公庫国民に奉仕しているといいましょうか、最もサービスしておるというところで尊敬されているのに、今度の貸し付けを受けられた方々から一々手数料を取るという思想は、私はどうしても納得がいかない。そんなことをせぬで、やはりサービスの部面はサービスとして向けたらいいんじゃないだろうか、こう思います。  あわせて、取るならば国民全部から取るのか、沖縄県民の場合はどうなっているのだろうかということを見ましたら、沖縄県民の場合はこの法律ではなくて特別な法律でやるのでございます、こう言っているのですけれども、それではその法律改正を今度国会に出さなければならぬじゃないか。ところがこれについては法律改正は考えていない、こう言うわけであります。法律改正は考えていないで沖縄の県民にも同じように手数料は課すということになりますと、私は法律違反の行為だと思うのです。だから国民に対して課するというのは法律だからそれはそれで済むとしても、今度の法律では沖縄は入らないのだろうと思うのです。これについてのお考えもいただきたいと思います。
  81. 高橋進

    高橋(進)政府委員 前段の受託造成者に対する融資額の見込みがどうかということについてお答え申し上げます。  今回、公庫法の改正案が認められました場合の受託造成者に対する融資額でございますが、これは、宅地造成資金の貸付額、昭和六十年度事業計画では千五百八十七億五千四百万円でございますが、ここの中で運用されることになっております。  ただ、その中でどれだけが融資されるであろうかということにつきましては、申し込みの受け付けをしてみませんとはっきりしたことはちょっと申し上げられないわけでございます。これから業務代行方式による組合施行土地区画整理事業の実施が準備されている地区は五、六カ所、あるいはもうちょっとあるのかもしれませんが、今つかんでおりますところでは五、六カ所あるように承知しております。ここ数年の間にこれらが融資を受けることになるであろうということでございまして、金額はちょっと申し上げかねます。
  82. 草木一男

    ○草木説明員 今の後段の件についてお答えいたします。  沖縄におきましての住宅金融は、沖縄公庫が本土の住宅金融と同じようなことをやっておるわけでございます。それで貸付手数料の方も同様の形で徴収することにしております。  沖縄振興開発金融公庫は、法改正は行わないで業務方法書の所要部分を改正することにより対応することにしております。これは住宅金融公庫法と沖縄公庫法とでは規定の仕方が異なっておりますので、そういうことにしたいと考えております。
  83. 関晴正

    ○関委員 さっきの千五百八十七億という額を設定されてのお考えですが、今度の新規の法によるところの対象者には、そのうちの何割ぐらいを予定されているのですか。
  84. 高橋進

    高橋(進)政府委員 全体の枠の中で運用しておりまして、何割というふうには予定しておりません。  実績を申し上げますと、土地区画整理組合に対する現在の融資実績は五十四億千六百万円でございますので、そういった金額とそれほど違わないものではなかろうかという感じがいたします。
  85. 関晴正

    ○関委員 先ほどの沖縄の問題についてのお答えなんですが、私はそれは無理だと思うのです。沖縄の法律住宅金融公庫法とはまた違っている、そして業務方法書にあると言いました。だけれども、業務方法書には手数料なんということは書いておりませんよ。あなたがおっしゃるように沖縄の法律で業務方法書に書いているならば別です。業務方法書にはそんなことは書いておりません。新たなる制度なんですから、手数料を取るということならば、第二十二条の業務方法書に三項をつけるとか、二項の中の四号にでも持っていくとか、そういうふうにしておかないと無理になるのじゃないだろうか。  私は、沖縄の県民が手数料を取られないことは結構だと思うわけですから何も法律を急いでつくれとは言いませんけれども、この法律を遵守する限りにおいては取れない、取ることは無理だ、こう思いますので、その点についてのお答えをいただければと思います。
  86. 草木一男

    ○草木説明員 その点についてちょっと申し上げます。  御指摘のとおり、私どもの方もちょっとそういう疑問も持ちましたので検討してみたわけでございます。住宅公庫の方は貸付条件などを詳細にわたりまして直接法律で規定することになっておりますけれども、沖縄公庫の方はそれに対応する事項が業務方法書で規定される形となっておりまして、御指摘の法律の二十二条によりまして、貸し付けに関連してとろうとしておるものであるということから、「貸付けに関する業務の方法」ということで読んで対応していっても差し支えないというふうに考えましたので、そういうことで対応しようとしておるわけでございます。
  87. 関晴正

    ○関委員 これは大変勝手なことだと思うのです。少なくとも法律において定めがない。定めがないのにあるかのごとく考えて、勝手に取りますなんということでは困る。  私は沖縄の場合は取りたくても取れないと思います。特に業務方法書という第二十二条があるわけで、この二十二条によって取ると言ったって、二十二条のどこにも手数料制度はない。国の方の金融公庫が今度の法律改正でやるならば、それに準じて向こうさんも法律改正をやるべきだと思うのです。やらないのであれば、沖縄の県民からは取りたくても取れない。準じて取れますというのは勝手なことだと私は思うのです。  この点について大臣どうですか。
  88. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 今沖縄開発庁の方から御答弁ございましたように、沖縄の公庫法は住宅金融公庫法と建前が大分違っております。住宅金融公庫法は、例えば五・五%でございますとか六・五%でございますとか、そういった細かい金利につきましても全部法律で定めておるわけでございますが、沖縄の方はそこまでやっておらないわけでございまして、そういう法律の立て方の精粗がございます。  法律の建前、形を首尾一貫させた形でやろうとしますと、住宅金融公庫の方はどうしても法律に書かないとバランスがとれないということで法律の改正をお願いしておるわけでございますが、沖縄開発庁の方では、そうしなくても取れるのではないかという考え方のもとに、法律なしで徴収に踏み切られることにされたというふうに伺っております。
  89. 関晴正

    ○関委員 これは大変な誤りだと私は思う。勝手に法律の中でそれを受けてやると言っても、やろうと思ったってやれない。手数料を取るなんという制度がない。沖縄の法律見たってない。それを勝手に貸し付けができるから貸し付けの業務方法の中でうたえばいいだろうと言ってみたところで、法律の基本にないものを業務方法書で勝手にうたうわけにいかないと思う。  この問題については東北開発公庫においても法律違反の行為があって、しばしば私はこれを取り上げているところでもあります。今、今度は沖縄の法律の中にそういうようなものを見るだけに、やはり安易に手数料でございますよと言って沖縄県民から取ってはならないと私は思う。取るならばきちんとした法律改正をして、そうして臨むべきである、こう思いますので、この点は私は今後のこの法案の審議に当たってさらに継続して吟味をしなければならない問題ではないだろうか、こう思います。  改めて今さらに質問する時間もありませんから、委員長においてこの問題の一つの見解をきちんと当局にとらせる、誤った見解で臨ませてはならない、こう思いますので、その辺はひとつ取り扱いについて委員長、善処していただきたい、こう思いますので、それを申し上げて、私の質問は、いずれまた時間があればこれについて特別質問を申し上げたいと思いますが、終わります。
  90. 保岡興治

    保岡委員長 関君の御要望については、また理事会等で検討して処置したいと思います。  春田重昭君。
  91. 春田重昭

    春田委員 昼休みを除いての引き続きの御審議、政府委員大変御苦労さまでございます。私は、本日は委員の差しかえということで質問の機会をいただきまして感謝しております。住宅の問題につきまして若干お尋ねしたいと思います。  第四次住宅建設計画というのが昭和五十六年から六十年度、五カ年間定められているわけでございますけれども、この期間中の住宅着工の状況につきまして、現時点においてわかっている範囲内でひとつ御説明をいただきたいと思います。
  92. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 第四期の五カ年計画におきまして、計画期間中の総住宅建設戸数は七百七十万戸でございますが、公的資金による住宅は三百五十万戸の建設を図ることにいたしております。  その進捗状況でございますが、この公的資金による住宅全体につきましては、住宅金融公庫住宅が順調に伸びておることもございまして、六十年度末までの見込みで大体九五・六%と計画に近い水準になる見込みでございます。公的以外の総住宅建設戸数につきましては、民間住宅建設の落ち込みによりまして五十八年度末までに四五・一%ということで、当初の見込みをかなり下回っている状況にございます。
  93. 春田重昭

    春田委員 五カ年の期間の中で計画されたのが七百七十万戸ですか、その中で公的資金による住宅建設は三百五十万ということでございますから、民間資金による住宅建設は残りの四百二十万、こうなるわけですね。公的資金による住宅建設はほぼ一〇〇%近い数字に達するであろう、こういうことでございますが、民間資金による住宅は五十八年度末で四五・一%である、こういうことで極めてその進捗率は悪いわけです。  五十九年度は大体出まして、あと統計が来月くらい出るのじゃないかと思うのですが、五十九年度の三月を残して大体二月までわかっておりますから、その辺の見通し考えて、六十年度の民間資金による住宅戸数、これらを大体推しはかって、最終の民間資金による住宅建設は四百二十万戸に対してほぼ何月ぐらい、進捗率で何%ぐらいいけるだろう、どうなるだろうかという見通し、この辺を御説明いただきたいと思います。     〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕
  94. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  五十九年度でございますが、大体全体で百二十万戸にいきそうだ、これは公的も入れて全体の話でございますが、百二十万戸にいきそうだということでございます。六十年度がどうなるかというのは、これは非常に難しゅうございますが、私どもは少なくとも百二十万戸を下回ることはないだろうということで、百三十はともかくとしまして、かなり百二十を超えることを期待しているわけでございます。それを全部織り込んで進捗がどのくらいになるかということでございますが、ちょっと数字の面ではなかなかはかりかねますが、進捗率としては余りよくない状態ではないかと考えております。
  95. 春田重昭

    春田委員 五十六年から五十八年度の民間資金による住宅件数は百四十三万戸、こう私は聞いておるわけでございます。したがって、五十九年度、六十年度は大体この伸びでいったとしても、民間資金による住宅件数はよくいって二百四十万戸だろう、こうなれば四百二十万戸のうちの二百四十万戸ということでございますから、五七%くらいになるわけですね。こういう状況でございます。したがって、住宅建設が全体的には非常に目標から落ちている、こういうことで、住宅産業を取り巻く状況は非常に厳しい現況になっているわけでございます。  そこで、公的資金による住宅件数はほぼ一〇〇%間違いなく建設される状況にある。ところが、民間の場合にはそういう形で六〇%を割っている。これは建設省見通しが甘かったのではないか、こういう指摘をせざるを得ないわけでございますけれども、どう御反省といいますか、どう思っておられますか。
  96. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 七百七十万戸という目標値を掲げました時点におきまして、確かに住宅着工がやや下降線をたどりつつある時点でございました。ただその段階で、私ども、百五十万戸ぐらいを何とか建てたいというかなりの意欲を持ってこれを掲上したわけでございますが、その後、所得とそれから住宅の価格との乖離というものがなかなか縮まりませんどころかますます開いていったというか、そういうことで住宅建設の落ち込みがなお下降線をたどったということがございまして、目標をかなり下回らざるを得なかったということでございます。目標の立て方としましては意欲を少し出し過ぎたというところがあったのではないかと考えております。
  97. 春田重昭

    春田委員 そこで大臣、この問題について大臣の御所見をお伺いしたいわけでございますが、大体流れはわかりましたか。要するに第四次五カ年計画で七百七十万戸、そのうちの公的資金による住宅件数は三百五十万戸でほぼ一〇〇%近い建設が六十年度までできるだろう。残る民間の資金による住宅建設が四百二十万戸で、六十年度を大体五十九年度並みとすれば、トータル化すれば二百四十万戸くらいで五七%になるということで、いわゆる七百七十万戸が相当落ち込んでくるという結果になっているわけですね。  そういうことで、確かに目標というものは大きく掲げなければならないわけですよ。大きいことはいいことだというコマーシャルもございましたけれども、しかし目標に大きくずれ込んできたというのは、やはりその実現に向かって、いろいろな外的要因があったとしても、建設省としていろいろな諸施策を講じながら民間の住宅建設を上げていかなかったなら、この住宅建設全体そのものがやはり低迷していくわけでございますから、そういった面で、ただ単なる外的要因だけで、民間資金住宅建設が悪かったのだ、これは仕方がないのだ、そんな形で建設省がお考えだったら大変である。  いよいよこれから第五次も出てくるわけですから、そういった面で、これをどう反省し、この第五次の五か年計画に生かしていくかということが大事になってくるわけですから、大臣、その辺どうお考えでしょう。
  98. 木部佳昭

    木部国務大臣 先ほど私も答弁させていただきましたが、今この住宅審議会におきまして、次期の五か年計画といいますか、それをいろいろ御審議をいただいているわけです。多分六月くらいに答申をいただけるのかなというような考え方を持っておりますが、今御指摘になりましたように、住宅建設というものは、内需の振興にとりましても非常に大きなウエートを占めていることは御承知のとおりであります。これはもう何といっても内需の振興を図るためにも一番が個人消費、二番が民間の住宅建設、三番日が設備投資、四番目が公共事業、この四つの柱が内需の振興の大きな柱になっているわけですが、その中でも民間住宅の建設というのは非常に大きなウエートを占めておるわけです。一時期、オイルショック以来下降線をたどったわけでございますが、ことしあたり幾らか持ち直してきておる。ですから、先ほど局長からも答弁したと思いますが、まあ百二十万戸くらいいくのじゃないかな、六十年度は百三十万戸くらいの期待はしなければいかぬ、こういうふうに思っておるわけです。  それからまた、金融公庫の方につきましても、五・五とそれから四十九万戸無抽せんの確保はできたわけですから、基盤はどうにか守られたというようなことでございます。  それからまた一つは、いろいろなローンとか何か重い荷物になって、そして消費者のニーズも多少変化しておる、そういうような問題について、今審議会で賃貸住宅はどう位置づけるのか、いろいろな議論をいただいておるわけでございますから、審議会の答申をいただいた上で、私ども国民のニーズにこたえるためにはどうするか、また今いろいろ御指摘いただきましたように、住宅建設の戸数をいかにして、内需の振興のためにもこの目的を達成するかというような問題につきまして真剣な検討をして、計画の策定をして臨みたい、こういうふうに基本的には考えておるわけであります。
  99. 春田重昭

    春田委員 さて、六十一年度以降の住宅建設計画でございますが、すなわち第五次の住宅五カ年計画でございますが、大体いつごろ発表できるのか。それとあわせて、第四次と比較してどんな見通しになるのか、第四次と比較しながら第五次の見通しについて御説明いただきたいと思います。
  100. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 第五期五計につきましては、ただいま御審議いただいております審議会の御答申が大体六月末ごろ得られるのではないか。それを基礎にしまして、私ども一つの腹案を持ちながら概算要求その他に当たってまいりたいと思います。計画自体を決定いたします時期は、年度内、年度の最後、六十一年の三月ごろになるのじゃないかというふうに考えております。
  101. 春田重昭

    春田委員 答弁の中でもありましたけれども、六十年度の住宅着工状況ですね、これは大臣からも今お話がございましたけれども、百二十万戸はいきたいという話でございますが、建設省のお考えは、一時のずれ込んだものから全体的に持ち直してきているのじゃないかということのようですが、しかし、私は中身が問題じゃなかろうかと思うのです。  そこで、住宅建設の中で持ち家と貸し家があるわけでございますが、この辺の推移を、四、五年間の推移でその割合がどうなってきているか、その辺ちょっと御説明いただきたいと思うのです。
  102. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 持ち借の比率でございますが、例えば昭和五十五年ぐらいから申し上げますと、五十五年で持ち家が七三・六に対して借家が二六・四、それが五十六年に持ち家が七一・二に対して二八・八、五十七年には六九・三に対して三〇・七、五十八年には六二・五に対して三七・五というふうに、大体持ち家六に対して借家四ぐらいの感じに今なりつつあるということでございます。
  103. 春田重昭

    春田委員 ただいま局長から御説明があったように、持ち家と貸し家を比較した場合、年々貸し家がふえて、いわゆる持ち家が減少してきている。かつて八対二が七対三、五十八年で大体六対四、そういう形で非常に貸し家がふえてきているわけでございます。  こういう環境といいますか、こういう現象を建設省としてはどう御認識なさっているのですか。
  104. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 いろいろ借家が伸びて持ち家が減ってきているという原因があろうかと思います。一つには経済的理由、要するに持ち家を持ち切れなくて借家に走るということもあるいはあるかもしれません。しかし一番大きな要因というのは、やはり土地をお持ちの方々が、地価が余り上がらないとかいろいろな状況がありまして、その自分の土地をどうやって有効に経営、運営していくかということの中で、借家経営というものを今非常に見直してきたといいますか、そちらに意欲を用い始めてきたという、これは供給者側の理由でございますが、そういうのが一つ挙げられるのじゃなかろうかと思います。  それから基本的な問題でございますが、要するに国民が、持ち家志向というものは相変わらず強いには強いのでございますけれども、傍ら借家でもいいとかあるいは借家の方がいいとかいうような意識の変化みたいなものが生じつつあるのではないかなということも一つの理由として考えられるわけでございまして、ただ過去にも借家が非常に伸びた、土地にアパートでも建てようやという傾向が非常に盛んになった時期もございまして、それがまた鎮静化されたりいろいろしたことがございまして、現在のいわゆるブームと呼ばれるような借家需要の増大というものが果たして本物であるのかどうかということについては、もう少し見きわめなければならない面もあろうかと思っております。
  105. 春田重昭

    春田委員 貸し家がふえてきているというのはいろいろな理由があろうかと思いますけれども、いずれにしても、貸し家というのはやはり狭小でございますし、低質な住宅が多いわけでございますから、今局長がおっしゃったように、国民の志向する住宅というのは持ち家であり、一戸建ちの家だと思うのですね。そういった面で、私は、国民の志向するそういう持ち家に対して政府が、建設省がどういわゆる新たな措置を講ずるかということが非常に大事になってくると思うのですよ。だから先ほどから言っているように、社会的ないろいろな要因で、経済的な要因で、そういう形で貸し家がふえているからやむを得ないと見て手をこまねいているのだったら、これは何にもならないわけですよ。そういった面で、本質的ないわゆる国民の志向する持ち家、一戸建て、これの方向に新たな措置を講じなかったら何にもならない。これはこれから申し上げますけれども、そういう貸し家というのは、床面積も小さいし、また内需の面におきましても投資額が非常に少ないわけですよ。そういった面で、私は、いわゆる持ち家の方向に何らかの措置を建設省として講ずる必要があるのではなかろうか、こう思っておるわけでございます。  そこでお伺いいたしますけれども住宅の着工床面積というのがあるのです。この住宅着工床面積の、持ち家と貸し家の場合を比較してこの四、五年からの推移を大体側説明いただきたいと思います。
  106. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 借家の床面積でございますけれども、これは昭和五十五年を一つのピークとしまして落ちつつあるわけでございます。昭和五十五年が一戸につき五十七・一平米というのがピークでございまして、それから五十六年には五十四・九平米、五十七年には五十二・二平米、五十八年には四十八・六平米、五十九年度、これは二月までの結果がございますが、これで四十六・三平米というふうに落ちてきているわけでございます。  一方、持ち家の方は依然として上昇の傾向にございまして、五十五年には百十九・三平米、五十六年には百二十・三平米、五十七年が百二十二・○平米、五十八年が百二十四・一平米、五十九年度の二月までが百二十五・三平米ということに上昇を続けております。
  107. 春田重昭

    春田委員 ただいま局長からお話しあったように、貸し家の場合の床面積は、五十五年をピークとして五十六、五十七、五十八、五十九、もうとどまるところを知らないくらい下がってきているわけですね、特に五十九年度は四六・三平米、これはどういう現象でこういう形になっているのですか。
  108. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 正確な事情というのはなかなかはかりかねるわけでございますが、私ども考えますのに、やはり我が国の世帯の人数というものがなお核家族化といいますか、小人数の方へ進んでいくという事態がございます。単身者が非常に多い。それから夫婦者のみも多い。こういうことで、世帯の小人数化ということが一つの大きな原因ではなかろうかというふうに考えております。
  109. 春田重昭

    春田委員 したがって、貸し家と持ち家を比較した場合の床面積というのは、かつては二分の一が、現在ではもう三分の一以上開いていっているわけですね。こういうことで統計上でも貸し家の場合は床面積が非常に狭くなってきている、こういう現象になっております。  ところで、政府は、建設省はいわゆる標準世帯の居住水準面積というのを決めていますね。これで最低と平均というのを決めていると思うのですが、これは大体何平米ぐらいなんですか。
  110. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 四人家族で見ますと、ミニマムといいますか、最低居住水準の方では住戸専用面積は五十平米ということにいたしております。それから平均居住水準の方で見ますと、四人家族で八十六平米ということにいたしております。
  111. 春田重昭

    春田委員 その居住水準面積の達成率でございますが、全国と都市圏とをあらわした場合、例えば東京圏や近畿圏、中部圏、どんなものになっていますか。
  112. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 全体で見ますと、最低居住水準に達しない世帯が全体で一一・四%ございます。それから平均居住水準に達しない世帯は五〇・九%でございます、  これを都市圏別に見てまいりますと、東京圏で見ますと最低居住水準に達しないものは一五・四%、一般が一一・四でございますから、東京の方がかなり多いということでございます。大阪圏で一五・一%、中京圏では一般よりも少なくて九・一%となっております。  それから平均居住水準未満につきましては、東京圏が六三・五%、これは一般が五〇・九でございますから、これもかなり高いということでございます、大阪圏が五七・四%、中京圏につきましては一般よりもよくて四四・〇%でございます、一〇春田委員 今御説明があったように、東京圏並びに近畿圏というのは非常に標準を下回っているということで、狭小な、そうした低質な住宅が多いということを示しているのじゃなかろうかと思うのです。この床面積の統計から見ても、都市圏においてはそういう形の非常に狭いところに住んでいるわけでございます。特に貸し家の場合においては、先ほどお話があったように最低の居住面積というのが五十平米でございますから、その五十平米も下回っているわけですね。だから平均居住水準面積からいえば、はるかに低い数字になっているわけです。  そういった面で、住宅着工数がかなり回復してきた、五十九年度は百二十万戸いくだろう、六十年もそれぐらいいくでしょう、こういうことで建設省の方が胸を張っておられるみたいでございますけれども、胸を張らないまでもかなり回復したと自信を持っておられますけれども、私が言いたいのは、いわゆる中身の良質な住宅を建設していかなくてはならない、数だけに目を奪われて、やれ建設計画があるからワンルームマンションを初め賃貸のそういう家をふやしたらいいという考え方は決してしてはならない、要するに内容が問題だろう、こう思っているわけでございまして、この辺、局長どうお考えになりますか。
  113. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 おっしゃるとおり、百二十万戸になる、今後もふえるかもしれない、私どもこれを別に喜んでいるわけではございませんで、申し上げましたように、私どもの目標は数ではなくて質でございます。  ただ、若干申し上げれば、最近建っている賃貸住宅、確かに面積的には非常に小さくなってきております。しかし、申し上げたように小人数の世帯がふえていることに原因があろうかと思いますので、居住水準の面からいいますと、例えば単身者でありますと最低居住水準でいえば十六平米でいいということになっておるわけでございまして、そういう世帯の人数との比較から申しますと、あながち、これが居住水準を割っているのかどうかということですと、あるいは割っていないのではないかということが一つ。  それからもう一つ住宅のよしあしというのは、面積もございますが、設備、性能面が非常に大きな役割を果たしておりまして、最近、家は小さくても、例えば断熱でありますとか遮音でありますとか、こういう点にはユーザーの方々は大いに気を使っておられるわけでございまして、最近建ちます家は、ひところのいわゆる木賃と比べると見違えるような質のよさは示しておりますので、心安んじているといいますか、そういうこともあるわけでございます。
  114. 春田重昭

    春田委員 局長の方でも、大体一世帯何人ぐらい住んでいるのか、その辺は正確につかんでいないわけでしょう。つかんでいないのにそういう形で、さも肯定するような言い方はよくないと思うのですね。私の言わんとするところは大体おわかりだと思いますけれども、そういった面で数だけとらえてはならないということを特に主張しておきたい、こう思っておるわけでございます。  今日、貿易摩擦で、内需拡大が内外から指摘されているわけでございまして、この委員会でも何回か指摘されていると思うのですが、先ほど大臣もおっしゃったように、内需の柱は何といっても住宅建設である、従来から何回も何回も皆さん方がおっしゃっているとおりでございます。したがって、この内需の柱が住宅建設である、これをただ単なるスローガンに終わらせてはならない、実質の伴った内需拡大の柱にしなければならない、こう思っておるわけでございます。  住宅投資額の推移を見ましても、時間がございませんからこちらで申し上げますけれども昭和五十五年で十五兆三千億だった住宅投資額が年々減ってきまして、昭和五十九年度は十四兆二千億になってきている。確かに住宅の着工件数といいますか戸数は、百二十万戸は維持されるようにしておりますが、中身を見れば、床面積も非常に小さくなってきている。投資額から見てもそう広がってきていない。こういう点で、やはり国民の志向する一戸建て、分譲、こういう持ち家、分譲の住宅に、金融面においてもまた税制面においてももっと配慮すべきであろう、こう主張しておきたいと思っているわけでございます。  第二点目は、民間業者の活力を生かす事業についてお尋ねをしていきたいと思います。  建設省はさまざまな手法を講じられているわけでございますけれども建設省の御方針を御説明いただきたいと思います。
  115. 高橋進

    高橋(進)政府委員 民間活力の活用につきましては、いろいろな観点から建設省全体で取り組んでおるところでございますが、特に宅地供給の面に即して申し上げますと、かつて、宅地供給量の最高のピークは四十七年度で、二万三千四百ヘクタールありましたが、そのときは約八〇%に当たる一万七千九百ヘクタールが民間事業によるものでございます。また最近停滞しておりますけれども、五十八年度におきましても六八%に当たる六千七百ヘクタールが民間事業によるものでございまして、そういった意味でも建設省としては、住宅宅地供給の施策を進めるに当たりまして、民間活力の積極的活用を推進していく考えでおるわけでございます。  具体的な施策といたしまして最近とっておりますことは、一つには、市街化調整区域における計画的開発の規模要件を二十ヘクタールから五ヘクタールに引き下げたこと。  二つとしましては、宅地開発指導要綱の行き過ぎ是正によりまして、宅地開発コストの軽減を図るということ。  三つ目といたしまして、三大都市圏等におきまして、宅地開発事業者が既に素地を取得している大規模な開発適地につきまして、五十八年度から地方公共団体地域整備政策等との調整を図りながら事業化の促進を図っているということ。  それから四つといたしまして、公的主体の開発した宅地に民間の住宅建設業者が建物を建設して共同で分譲を行う方式を推進しているということ。  最後に、新住宅市街地開発事業につきまして、本年三月に新住宅市街地開発法の施行令を改正いたしまして、造成された宅地を民間住宅建設業者に分譲し、当該反間住宅建設業者が建物を建設しまして宅地と建物を分譲する方式を新たに導入した。  以上のような点でございます。
  116. 春田重昭

    春田委員 ただいま建設経済局長から五点にわたって民活の内容について御説明があったわけでございますが、その問題につきましてさらに突っ込んで御質問を申し上げたいと思います。  まず第一点は、大規模宅地開発の促進でございます。現在どれくらい進んでおるのか、また、開発の面積はどれくらいを対象としているのか、この二点について御説明をいただきたいと思うのです。
  117. 高橋進

    高橋(進)政府委員 五十八年度から始めておりまして、五十八年度の地区は六カ所でございます。それから五十九年度につきましても六地区でございます。  面積の合計は今ちょっと手元にございませんので、後ほど申し上げます。
  118. 春田重昭

    春田委員 いただいた資料によれば、五府県の六地区で既に調査なり協議が始まっていると聞いているわけでございます。  ところで、対象地区というのは大体三十ヘクタールを対象としていると聞いておりますけれども、いかがでしょうか。
  119. 高橋進

    高橋(進)政府委員 先ほどの御質問の、五十八年度に調査を行った六地区の対象面積は四百七十一ヘクタールでございます。  今御質問の、三十ヘクタール以上ということを調査の対象にしております。
  120. 春田重昭

    春田委員 民活導入事業という形で私も非常に高く評価をしているわけでございます。  そこで、この事業というのは、住宅業界を大手住宅企業と中小の住宅企業に分けた場合、対象面積は三十ヘクタール以上ということでございますので、どうしても大手の住宅企業のデベロッパー等に偏るのではないか、こういう懸念をするわけでございます。御存じのとおり、大手住宅企業も大変でございますけれども、それ以上に大変なのは、倒産や整理の危機に直面しているいわゆる中小の住宅産業でございます。五十九年度の建設業界倒産件数は約六千件と言われておりますけれども、そのほとんどが中小のいわゆる住宅産業であり、企業である。こういった点から、この三十ヘクタール以上というのはどうしてもデベロッパーとなりますから、大手の住宅産業から中小の住宅産業、企業の方にもいわゆるすそ野を広げるべきである、そういうことは運用面また指導面で何とかできないものなのか、こう考えるわけでございますけれども建設省のお考えをいただきたいと思います。
  121. 高橋進

    高橋(進)政府委員 三十ヘクタール以上という一応の基準を設けましたのは、大量の宅地供給が望めるとともに、開発される市街地が施設、規模等の面で一定のまとまりを持つということ。国としての調査ということになりますと、ある程度そのように規模を限定した方がいいのではなかろうかというふうに考えてしたものでございます。したがいまして、大手のデベロッパーをねらったという意味ではございません。ただ結果として、おっしゃるように面積規模が大きくなれば大手のデベロッパーの行うものが非常に多くなるということは確かに言えると思います。  私どもとしては、たまたまこの調査はそういうことに限定しておりますけれども、市街化調整区域におきましても、良好な開発であれば、その規模のいかんにかかわらずそれが促進されることを期待しておるわけでございまして、先ほど申し上げました市街化調整区域の開発許可の規模要件の引き下げも、二十ヘクタールから五ヘクタールに下げたというのもそういう趣旨でございます。したがいまして、今回のこの建設省の調査の対象にならない地区につきましても、良好な開発であれば、その促進が図られるように地方公共団体を指導してまいりたいと思っております。現にしております。その結果として、中小のデベロッパーなり住宅産業関連者の仕事にも関与する面が多くなるというふうに考えております。
  122. 春田重昭

    春田委員 その他の面で中小住宅企業については配慮している、こういう高橋局長お話でございますけれども、この面におきましても、大規模な宅地開発の面におきましても、当然下請等においては中小の工務店等を使うような御指導をいただきたい、こう要望しておきます。  二点目に、今いみじくも局長がおっしゃいました都市計画法による市街化調整区域における宅地開発、五十八年五月施行されまして、今日まで来ているわけでございます。従来二十ヘクタールが対象だったのが、二十ヘクタールから下がって五ヘクタール、こういう形で、かなりそういった面で中小等への配慮もあるというお話でございますけれども、これは五十八年五月に政令ですか、改正があったと思うのですが、それを受けて都道府県、指定都市で規則が定められた地域は全国で何カ所ぐらいあるのか、まず御説明いただきたいと思います。
  123. 高橋進

    高橋(進)政府委員 この四月一日現在で三十六でございます。
  124. 春田重昭

    春田委員 建設省が開発地域を二十ヘクタールから五ヘクタールに下げたということで、私も高く評価したいわけでございますけれども、いま一歩、五ヘクタールといっても、大体どれぐらいですかな、坪数でいったら一万か一万五千ぐらいになるのですかな、ということは、やはり中小企業の中でも中の上ぐらいになると思うのですね。だから小規模の方にはやはりかなりの御負担である。こういった面で、御努力をいただいて本当に私も評価するわけでございますけれども、五ヘクタールでも、今言ったように小企業や零細企業の工務店等までは行き渡らない。もっとすそ野を広げるためにはこういった面でさらに検討をする必要があるのではなかろうか。こういうことでお願いしておきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  125. 高橋進

    高橋(進)政府委員 五ヘクタール以上ということに引き下げたわけでございますが、その引き下げる場合の面積の基準はどこら辺がいいのかという点はいろいろな議論があると思うのですが、基本的な考え方としましては、市街地として一定のまとまりのある計画単位としてふさわしい最小のものは、いろいろな点から考えると五ヘクタールぐらいではなかろうかということで一応定めたわけでございます。  ただ、先生の今おっしゃった御意見は、これをさらに緩和すべきじゃないかということかと思いますけれども、何分にもまだ、五十八年に改正しまして今各公共団体で五ヘクタールについてやっている段階でございまして、当面はこの規則の状況あるいは運用等も見守ってまいりたいというふうに考えております。
  126. 春田重昭

    春田委員 さらに第三点目には、新住宅市街地開発事業、これはことしの三月五日に政令が改正されまして、民間の活力導入ということで非常に注目されているわけでございます。これは四月六日ですか、朝日新聞では、神戸の西神ニュータウンで既に第一号としてそういう形で、民間活力導入の事業として、神戸市が大体全体の六百四十二ヘクタールのうちの三ヘクタールを民間の業者に譲るという計画が発表されているわけでございます。この方法は、住宅都市整備公団や住宅供給公社、また市町村等の自治体が土地を企業に売って民間の企業が造成、分譲して個人に売っていくということで、民間のそういう営業とか、また設備、間取りとか広さ、そういったいろいろな民間のアイデア等が取り入れられてかなり好評じゃなかろうかと今から推測されているわけでございますけれども、これとてもやはり土地負担しなければならないという点で、まだまだ小企業や零細企業等にとっては一面厳しい面もあるわけですね。そういった面で、私もこの事業というものは今後どんどん推進していただきたい。しかし、今言ったような面で、やはり土地を抱くという点で問題はまだ残るであろう、こう思っているわけでございます。  そこで、中小というか、小企業や零細企業に喜ばれる方式というのは、先ほど局長がおっしゃった住宅都市整備公団と民間業者による共同分譲方式というのが非常に好評を得ていると聞いているわけでございますが、この共同分譲方式につきまして、これは都市整備公団の方から御説明いただきたいと思うのですが、大体いつごろから始まって現在までどれくらい事業が推進されてきたのか、この辺からひとつ御説明いただきたいと思うのです。
  127. 台健

    ○台参考人 住宅都市整備公団が宅地を供給いたします場合に、公団が開発した宅地にまず住宅建設事業者住宅を建設いたしまして、公団がその宅地を、それから住宅建設事業者がその住宅を、同じ人に同時に分譲いたします方式を共同分譲方式というふうに呼んでいるわけでございますが、当公団といたしましては、昭和五十四年度からこの方式によります供給を開始いたしまして、五十九年度までの累計で一千百四十八戸の実績になっております。
  128. 春田重昭

    春田委員 昭和五十四年から始まって、昭和五十九年度現在で千百四十八戸の戸数が売れた、こういうことでございます。理事さん、この分譲方式というのはかなり好評ですか、それともいろいろな批判的な声があるのかどうかですが、その辺総括して御説明いただきたいと思います。
  129. 台健

    ○台参考人 分譲方式につきましては、更地で分譲いたします場合に比べまして、新しく市街地を形成いたしますための初期入居に非常に有効であること、それから非常にバラエティーに富んだ住宅供給が可能であること等によりまして、好評であるというふうに考えております。
  130. 春田重昭

    春田委員 この方式は先ほど言った新住法と若干似ておる点があるわけでございますが、新住法の場合は民間企業が土地まで抱くという点でちょっと無理な面もあるわけでございますが、これは土地は公団が造成して、建物は民間業者が建てて売っていく、こういう形でございますから、特に私が今焦点を当てているのは小企業、零細企業ですね、工務店みたいなところ、こういうところは非常にありがたいわけですね。そういった面で、この分譲方式というのは非常に期待しておるわけです。  これは年々高くなってきているわけでございますけれども昭和六十年度の方針といいますか計画といいますか、どれくらいやろうとしているのか、公団としてはどういうお考えですか。
  131. 台健

    ○台参考人 公団といたしましては、六十年度におきましても引き続き五十九年度と同様な規模程度以上のことをやりたいというふうに考えております。
  132. 春田重昭

    春田委員 いずれにいたしましても、住宅企業の中で最も厳しい冬を迎えているのは、先ほどから言っているように中小企業であり、零細企業の建設業者や工務店であろうと私は思います。民間活力を生かす手法がさまざまとられております。私は、建設省に対して心から敬意を表するわけでございますけれども、決して一部の大手住宅企業等に利益誘導を図るというか、そういう批判があるようなことをやってはならないし、国民は納得しないと思うのですね。そういった面で、住宅企業の活性化というのは、中小企業や零細企業の活性化が住宅全体の活性化につながるわけでございますから、そういった下からの盛り上げをするためにもこの民活導入事業というものは、当然大手の民活もあろうかと思いますけれども、すそ野をもっともっと広げながらそういった中小零細企業に配慮する民活事業の導入を図っていただきたい、そういう諸施策を今後とも住宅政策の中で図っていただきたいと強く要望するわけでございますけれども、これは大臣の方から御答弁いただきましょうか。
  133. 木部佳昭

    木部国務大臣 先ほど来、中小企業を育成する立場でいろいろ見識のある御示唆をいただいておるわけでございまして、私どもは毎年たしか六月くらいだと思いますが、閣議で中小企業に対する発注といいますか、四三%から四三・七%くらいを中小企業に充てるというような、ある意味じゃそういう分野のあれを決めておるわけでございます。過去十年間を考えてみましても、一番倒産件数が多いのは建設業界、二番目が繊維、これは構造的なものがあるかもしれませんけれども、その比率は変わらないわけですね。今そういうふうなことをいろいろ私ども、中小企業の対策が非常に大事なときでございますから、建設省としても中長期的な業界の育成や発展のあり方について、例えば元請と下請の関係をどうするとか人材の養成をどうするとか、そういうかなり広範な問題を含めまして建設省内部で中長期のビジョンづくりも実はいたしておるわけでございます。  またいろいろ御協力いただき、御指導いただく民活の問題につきましても、私どもはこの民間活力というものが、政府の公共事業は財政的に非常に厳しいものですから民活でお願いする、そういうことではございませんで、例えば一つの例をとりますと、関西空港なんかは飛行場本体が約一兆円と言われているわけです。そういうものにつきましては、いろいろな出資についても予想以上の出資をいただいておるというようなことも、民間の皆さん方も非常な意欲を持っておられる。しかし、空港の建設と同時に道路のアクセスの問題なんかを考えてみますと、下水道とか住宅とか周囲の環境、新しい町づくりもしなければいかぬでしょうから、二兆と言われておりますが恐らく私は三兆の上になるんじゃないかというような感じを、素人でございますが持っておるわけであります。  そういう意味で民間のこういうふうな都市の再開発その他につきましても、また先ほど来いろいろ御指摘いただきましたが、国民のニーズも大きく変わってきております。でありますから、民間の方々に対して知恵のあるところは知恵をかしていただく、また資金的に協力できる範囲は御協力いただく、そして産学官が一緒になって都市の再開発なりまた新しい都市づくりを、手づくりの都市づくりをみんなでしていきましょう、そういう意味でいろいろ今その方策なり、どういうような方法が一番いいかというようなことで検討し、調査を進めておるわけであります。  そういう中にありまして、御指摘いただきましたように、中小企業の皆さん方の育成というものは私どもの一番大事な問題でございますから、そういう点等につきましても、いろいろ御指摘いただきましたような点をしっかり心に受けとめて、中小企業の育成発展のためにも、またそういう民活を進める上において皆さん方にも参画できるというような道を求めながら努力をしてまいりたい、こう考えておるわけであります。どうぞそういう意味で御指導、御鞭撻をお願いを申し上げたいと思います。
  134. 春田重昭

    春田委員 公団の台理事に一点だけお聞きしたいのですが、私は大阪でございますけれども、大阪を含む関西というのは、今大臣がおっしゃったように関西空港の大プロジェクトがあるわけでございますが、それと並行して京阪奈学園都市が計画されているわけであります。  この京阪奈学園都市の中でも大阪域の中では四条畷という市がございまして、地域では田原地区と言うのです。これは公団が来る予定になっております。それから、枚方の方でもそういう計画がなされるやに聞いているわけでありまして、この両地区におきましても、そういう民活方式、その中でも特に中小の住宅企業について十分な配慮をするような方式をとっていただきたい、このように要望しておきますけれども、これからの検討課題だと思うのですが、その辺ひとつお答えいただきたいと思うのでございます。
  135. 木部佳昭

    木部国務大臣 私、昨年の暮れでございますが、関西空港の予定地や、また今学園都市の構想もございますからヘリコプターでずっとあの辺を一回見せていただきました、地上で見るよりも上空から見た方が割合に立体的によく理解がつくものですから。丘陵で、今いろいろ教育の改革が求められているときに場所的には非常にいいところだな、そういう印象を実は受けました。これは学園都市にこだわらずに、何か皆さん方に御意見を承ってみますと、研究機関とか学園都市とかそういうようなものの総合的な計画を持っておられるようでございまして、私どもそういう意味で大きな関心を持って今いろいろ見守っておる、こういう状態でございます。
  136. 台健

    ○台参考人 御指摘の関西の学術研究都市構想につきましては、国土庁を中心にいたしまして構想が進められているところでございますが、公団といたしましては、公団の事業が同構想に役立つものであれば十分役立ちたいというふうに考えております。  なお、田原の地区等につきましても、当然その地区の特性あるいは地元の業者の方々の意欲等を十分に勘案いたしまして、共同方式につきましても積極的に検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
  137. 春田重昭

    春田委員 ありがとうございます。  住宅建設の生命線というのは、これは言うまでもなく住宅金融公庫の貸付金利であろう、こう私は思いますし、当然だと思うのです。この貸付金利は、大蔵省の内示では従来から実行している五・五%が六%になる案が出されたわけでございます。結果的には手数料の新たな徴収がなされたわけでございますけれども、この貸付金利につきましてはもとの五・五%におさまったわけでございます。この貸付金利の五・五%というのは毎年出てくる問題だと思うのですね。大蔵省も、この貸付金利の金利負担というものはかなり大きい、国鉄並みであるということで、今後とも概算要求の内示の段階でこの貸付金利については大蔵省建設省の間でいろいろ丁々発止の論議がされるだろうと思いますけれども、今言ったように貸付金利が五・五%が六%に上がっていく、さらに将来七・二%ぐらいになってくれば大変な問題で、やっと浮上しかける住宅産業がまた下降していくわけですね。そういった面で、六十年度予算が通ったばかりでございますけれども、本当に体を張ってまでもこの五・五%を今後とも守っていくという建設省初め大臣の強い強い決意が必要であろうと思っているわけでございますけれども、どうでしょうか、
  138. 木部佳昭

    木部国務大臣 住宅金融公庫の長期低利の五・五%というものは国民住宅水準を引き上げる根幹でありまして、無抽せんの五十万戸の問題につきましても、一万戸はマイナスになったわけでありますけれども一応四十九万戸確保できた。それから、手数料についてのいろいろな御批判もございますが、老人向けのいろいろなあれであるとか細かい配慮はおかげさまでさせていただいたわけでございます。  したがって、私どもは五・五%というものについては絶対に、これは今までも大きな貢献をしているわけでございますから、また量の充足の時代から質の時代へと大きく移行いたしておりますから、そういうものを踏まえましてこれからも改善のためにいろいろ最善の努力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、どうぞ御指導、御鞭撻をいただきたいと思います。
  139. 春田重昭

    春田委員 あと六分少々時間があるわけでございますが、高齢化社会に伴って老人住宅の問題について質問する予定でございましたけれども、これだけでも三十分ぐらいありますので、次に、私どもの新井理事にお願いいたしてまた差しかえていただきまして質問の機会を与えていただければその場でやりたいと思っておりますので、本日はこれにて終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  140. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 午後三時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時四十二分休憩      ————◇—————     午後三時一分開議
  141. 保岡興治

    保岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。清水勇君。
  142. 清水勇

    清水委員 まず最初大臣に所信を承っておきますが、国の住宅政策の基本は、改めて言うまでもありませんけれども、自力で良好な住宅を確保しがたい、そういう立場の庶民、大衆に対して、それぞれの所得に応じて、例えば公営住宅であるとか公団住宅であるとか、ないしは公庫融資をもって必要な住宅の確保を図る、その辺にあるのではなかろうかと、無論ほかにもありますけれども、その辺にウエートがあるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。     〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕
  143. 木部佳昭

    木部国務大臣 清水先生御指摘のように、これは何といっても良質な住宅供給するということが私どもの大きな使命でございます。これはもう全く御説のとおりでございます。  そこで、今、御承知のとおり時代が大きく変化をしつつありまして、例えば高齢者社会における住宅対策をどういうふうにするとか、ないしはまた、人口の約七〇%近いものが恐らく今世紀の終わりから二十一世紀に集中するであろうというようなことが言われておるわけでございますから、そういう意味で、また先ほどの午前中の委員会でもいろいろ御質問いただきましたように、賃貸住宅にウエートを置くべきとか、いろいろな御意見もありますしいたしますが、今先生からも御指摘になりましたとおり、とにかく良質な市街地住宅供給するということが住宅政策の使命であり、我々の責任である、そういう考え方の上に立って努力をいたしてまいりたい。同時に、今度新しい第五期の住宅五カ年計画も六十一年度を初年度といたしまして発足するわけでございますから、そこで今、審議会にあるべき姿をいろいろお願いを申し上げているところでございますので、私どもといたしましてもこれに大きな期待をし、また審議会の結論をいただきました上で、むしろ皆様方にもそうした点をよく御指導いただきながら、今申し上げますような基本的な考え方の上に立って住宅政策を推進することができるように最善の努力を尽くしたい、こう考えております。
  144. 清水勇

    清水委員 そこで、これから展開される住宅対策、各般のものが想定されるわけですけれども、特に私がただしておきたいのは、これは住宅局長あたりから答弁をしてもらうのかもしれませんが、今なお住宅困窮者が非常に多いのですね。率直に言って、所得の水準からいって公庫住宅対象者にはなり得ない、いわば比較的安く、比較的快適な公的賃貸住宅へ入居を希望する、こういう階層が非常に多いのですね。多いから競争率が非常に高い、そのために公的な賃貸住宅、例えば公営住宅等になかなか入居ができない、こういう状況が大都市圏はもとより地方中核都市等でも目立っているわけですが、こういうつまり住宅困窮度というか、これをどう解消するのか、この点について考えをまずお聞かせをいただきたい。
  145. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  公的賃貸住宅を中心といたしまして、いわゆる中低所得者に対する住宅供給を行っているわけでございますが、これは場所にもよりけりでございますけれども、おっしゃるように非常に倍率が高い、空き家持ちを何年もやっているとか、そういう事態も確かに承知しているわけでございます。そういった中で、私ども公的賃貸住宅をいろいろな形でふやしていきたいということで努めているわけでございますが、実態は、改めての御指摘を受けるまでもなくなかなか伸び悩んでいる実情もあるわけでございます。  大きな原因といたしましては、やはり土地取得難あるいは周辺の住民との間の調整が難しいとか、さまざまな理由がございますけれども、そういった状態の中で私ども何とかこういった公的賃貸住宅をふやしていきたいという努力を積み重ねているところでございます。
  146. 清水勇

    清水委員 何とか積み重ねていきたいと言いながら、限実には建設戸数などが減る傾向にあるのが実態でしょう。例えば前に公庫法の改正が行われた、あれは九十六国会でございましたか、良質な公的賃貸住宅を積極的に供給すべきであるという全会一致の附帯決議も行われている。あるいは、ここに臨調の答申があるわけですけれども、その中でも、今後の住宅政策の検討に当たっては政府としても最低居住水準未満の世帯の解消を目指して良質な賃貸住宅供給を促進せよ、こういう注文をつけているわけですね。これに一体どうこたえているのか。何とか努力をしていますと言うけれども、現実には着工戸数は減っているわけですよ。だから、これにどうこたえてきたのか、ひとつ具体的にお聞かせをいただきたい。
  147. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  公的賃貸住宅、代表的に申しますと公団それから公営とあるわけでございます。これが伸び悩んでいる大きな原因が一つには用地の取得難でございまして、住宅に困窮しているとはいうものの、都会などから少し離れたところへ建てますと今度は空き家がふえる。これは公営についても公団についても言えることでございますが、そういった状態の中でなるべく便利なところに賃貸住宅を建てなくてはいけない。そうした場合には当然土地の問題が出てくるわけでございますが、これがなかなか取得難であるというところに一つの大きな原因があろうかと思います。そういった意味で、住宅都市整備公団も戸数が現実にいろいろ減ってきているという状態もございます。  公営住宅につきましては、さらにこのほか財政的な事情もございましてやはり減ってきている状態でございます。  この打開策ということで、結局ユーザーの需要の非常に多いところに土地を求めなければいけない。その求めるやり方としましては、やはり今建っている住宅などを改造といいますか建て直しをいたしまして、土地をさらに有効に利用するということが一つ考えられるわけでございまして、こういった意味では公営住宅については既にこの建てかえ事業を実施しておるわけでございますけれども、今後、公団住宅においてもこういった建てかえというものを積極的にやっていきたいということで、六十年度からはこの調査に入りたいというふうに考えているわけでございます。  それから、公団住宅につきましても賃貸住宅が非常に不足しているというところから、今後、六十年度にはほんのわずかではございますが、千戸ほど建設戸数を増加させるということを考えているわけでございます。  そのほか公営住宅におきましては、まとまった団地というものが非常につくりづらくなっているところから、既成市街地の中にわずかの土地でもいいからその中に公営住宅を建てていこうよということで、いわゆるコミュニティー公営住宅制度というものを六十年度から導入することを考えているわけでございます。  そのほか、民間の土地を活用いたしまして民間と共同で建築物を建設するといういわゆるげた履き的な市街地住宅供給促進事業というものにつきましても、制度を若干改善いたしましてこの活用を図っていきたいとか、いろいろな形で努力はしているところでございます。
  148. 清水勇

    清水委員 確かにいろいろな方策を講じようとしていることは私も承知をしております。ただ土地の確保が非常に困難である、これも事実だと思いますが、今局長がいみじくも触れられているように、やはり財政面に大きな原因がありはしないのか。  例えば、住宅予算を見ると、五十五年度から六十年度にかけて七千五百億前後、ほとんど横ばいでしょう。しかし、この間に資材費が上昇するなど、いわゆる建築コストは上がってきているわけですから、ある意味で、事業量ベースで押さえればかなり大幅な予算の減少を見ているというのが実態じゃないかと思うのです。ですから、今言われるように何とか必要な量を確保したい、賄いたいというのであれば、無論財政事情のことも百も承知だけれども、しかしその中でも年々何とか必要な予算の確保といいましょうか、このために努力するというのは、つまりそういう面での努力の跡がうかがえないと努力を一生懸命やっているということに必ずしもならないのじゃないか、こう私は思わざるを得ない。  大臣、どうですか。
  149. 木部佳昭

    木部国務大臣 私ども建設省としても一生懸命努力はいたしておると思いますし、これからも最善の努力を尽くして国民のニーズや何かにこたえなければいけません。基本的に申し上げれば、これは政策全般の複合性といいますか、そういうものがないと、例えば宅地供給の問題もあるわけですし、また住宅をあれする場合に税制上の優遇なども当然お願いしなければならぬとか、そういう全体的なものがあると思うのです。ことしの税制などでも、都市の再開発を含めてかなりいろいろ私どもお願いしたのは大体全部認められた、私はそう思っておるわけです。  それからまた、先生の方は民活に対して賛成か反対か私はよくわかりませんが、規制の緩和をすることによって民活を進めて民間の知恵をかりたりして、居住水準の向上を図るために努力をするとか、また例えば、ただ部屋数だけを確保するわけではなくて、やはり充足の時代から、私たびたび申し上げているが、質の時代に完全に変わっておりますから、そういうものにもこたえていかなければならぬと思うのですね。それからまた、例えば都市の再開発なんかにいたしましてもそうでございましょうが、やはり空間をつくってそして余暇活動が少しでもできるとかまた緑をあれするとかというようなことで、やはり充足の時代から質の時代へ大きく変わっている。  そういう点なんかもかなり配慮しながらこれから取り組んでいかなければなりませんので、財政事情が非常に厳しい中でございますから、具体的には少しおくれているという感じが率直に言ってしますけれども、そういう変化、ニーズにこたえるということも非常に大事な問題でございますから、そういう点を私どもはよく勉強し、また激励もいただきながら、御指導賜りながら努力してまいりたい。  住宅問題というのはここまでやればいいという問題じゃありません。私なんか子供のときに、長男じゃないものですからよく言われたのです。男が一人前になるには、小さくても住まいを持つことと、田舎ですから自転車を持つことと電話を持つこと、この三つが整えば男として一人前の人間だ、実はこういうことも言われたことがあるわけです。  そういうことをいろいろ考えてみますと、今申し上げますように宅地供給の問題から空間を確保する問題から、緑の環境とか、いろいろな意味のことで総合的にこれからのニーズにこたえるためにどう我々はこれから真剣に取り組んでいくか、そういう点なんかも、先ほどもお答え申し上げましたとおり今審議会で第五期の住宅政策のいろいろな御審議をいただいておりますから、六月ぐらいにはその答申が出していただけるというようなこともございますから、その上に立って私どもは、新しい時代にいかにしてこたえていくか、そういう責任感と使命感の上に立って努力してまいりたい、こう思っておるわけです。
  150. 清水勇

    清水委員 どうも大臣から高適な理念を聞かされているのですけれども、私が率直に承りたかったのは、当面必要な住宅を確保するのに、残念ながら実質予算が年々減る傾向にある、ニーズは大きくなっているのにこれを賄う予算は小さくなっている、これでは、今せっかく大臣が緑豊かな空間をなどと幾ら言ってみても絵にかいたもちになってしまいはしないか。僕は、大臣の今述べられたような理念は大賛成です。しかし、それにはやはりそれにふさわしい住宅予算が確保されないと、現実には相変わらず公的賃貸住宅に入居したい者がありながら入れないという状況がある。こういうものについては一面量を確保しなければならない。しかし、量だけではなく質もと言うのならば、ある意味で言えば今まで以上にそれを賄うための予算が求められなければならないが、実は現実は逆になっている。だから、この点をどうするかということを実は私は問うたわけです。そうしたらどうもすれ違いのようなお話で、それはそれで結構ですけれども、来年度からいよいよ第五期五カ年計画をやる、今審議会に諮っていると大臣は言われた。審議会に諮ることも無論大事だけれども、語るまでもなく、今日国民のニーズがどこにあるかということはわかっておるわけですから、それに沿うような予算をどう確保するか。これは官房長の仕事なのかもしれないけれども、そのために具体的に一体どうするのか。局長でもいいですよ。
  151. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 御指摘のように予算面では横ばいという状態になっておりまして、特に今公営住宅などについては若干の削減が行われている状態でございます。一方、公営住宅に対する入居の需要というものは、地域に差はございますけれども、高いものがございます。ただ、これは一住宅だけでなくて、いろいろな面でも公共事業全体が要するに横ばいであり、かつ実質的にはマイナスであるというような事態になっておるわけでございまして、そういった中で私ども住宅政策をやっていく場合にどういうふうに考えていけばいいかということでございまして、公的賃貸住宅につきましては申し上げたようなことでなかなか現実に、例えばお金があってもできないという面もございます。しかし、お金が足りないという面もございます。公営住宅のごときは非常にお金がかかるものでございまして、何百万円ということで一戸ずつ建てていくということでございますので、そういう意味では非常に伸び悩むという種類のものでございまして、何とか限られた資金を有効に使いながらこういった公営住宅を建てていく方法はないだろうかとか、いろいろな面で勉強もいたしているわけでございます。  財政の問題につきましては、私どもは私どもなりに今後も努力するつもりでございますけれども、国家財政の問題もございますので、最大の努力をしたいということしかこの段階では申し上げることができないというわけでございます。
  152. 清水勇

    清水委員 今公庫融資については無抽せんで借りられる状況になっている、これはこれで結構だと思うのです。しかし、所得の面で公庫融資を受けるに至らないような低所得者は、競争率が非常に高くてなかなか入居ができない。無論、政府は放置をしているわけじゃないが、用地その他の事情もあって進展をしない。これはやはり是正をされなければならない重要な課題なのじゃないか、私はこう思うのです。長く御答弁をしていただく必要はないが、その辺はどうですか。
  153. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 公庫融資はだれに対してでも一応門戸は開いておるわけでございますけれども、現実にお金を借りて返す能力がなければ、借りて家を建てることができないわけでございます。そういう意味では、自力で家を建てられない人には賃貸住宅を何とか提供するということが最大の課題であろうかと思います。そういう意味で、公的賃貸住宅とあわせまして施策民賃その他賃貸住宅を今後いかにふやしていくかということが課題であろうかというふうに考えております。
  154. 清水勇

    清水委員 その点はより重点的に、より積極的にこれから取り組んでいただきたい。これは注文をいたします。  さてそこで、今公庫融資のこともちょっと申し上げたわけですが、最近の数字を見ても、年々公庫補給金が増額を見る。過去五カ年間に住宅予算に占めるシェアが倍増というような——倍増という言い方はおかしいが、二十何%から四五%という水準にまで来ている。私は、そのことが国の進める住宅政策にインパクトを与えるというようなことはどうしても避けられないと思うけれども、これは何とか克服していかなければならぬことだと思うのですね。  早い話が、大蔵省流に言えば公庫補給金をできるだけ削減というか抑制というか、そういう方向をとらざるを得ないという判断に立って、例えば五・五%という金利を引き上げるとか、あるいは今年度から手数料を取るとか、あるいは全体として補給金を減らすために必要な措置、償還期間の短縮というようなことも将来出てくるかもしれない、こういうようなことが財政のつじつまをどう合わせるかという観点では安易に出てくるかもしれないが、これは言うまでもなく住宅政策を大後退させることにしかならない。つまり、建設省のこれから進めようという方針にいわばブレーキをかけるだけではなしに、足を引っ張ることになる。こういうことについて、どういうふうに考えていますか。
  155. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 金融公庫の補給金が非常に増高しておるわけで、住宅予算に占める割合も年々ふえていくわけでございますが、この補給金の増高が他の住宅対策に影響を及ぼさない形で、これを何とか切り離して処置していただきたいということを、この六十年度の概算要求におきましても私ども強く主張いたしました。これは大蔵省の方もお認めいただいて、いわゆる別途検討ということで、私ども予算要求の枠以外で御検討いただき、現実に五百五十億のお金をいただいたということもございます。  今後も、この補給金の増高というものが他の住宅対策に影響を及ぼさない形で何とか処理していくということでお願いをしてまいりたいというふうに考えております。
  156. 清水勇

    清水委員 いずれにしても、このまま状況が推移をしていくと、来年度の予算編成に当たって、例えば六十年度の予算編成の際に手数料七万円という説が大蔵省からも出ていた、あるいは金利の引き上げというようなことも示されていた等々との兼ね合いから、将来ともにそういう形でしわ寄せを住宅政策の上に加えてくるというようなことが起こり得ないという保証もない。  そこで、五・五%という金利、二十五年償還という長期資金、これはいわば住宅金融公庫の基本的な、つまり根幹をなすものなんですから、これをどこまでも堅持する、こういうことをもう一回大臣に私はお尋ねをいたします。
  157. 木部佳昭

    木部国務大臣 御指摘いただきましたように住宅金融公庫の五・五%、それから無抽せんの問題なんかにいたしましてもそうでありますが、国民の間にもう非常に定着しております。ですから、今御指摘いただきましたような長期低利の融資というものにつきましては、まさに住宅政策の根幹をなすものでありまして、これが崩れたらもうどうしようもない、国民の期待を裏切るということになりますから、そういうことが絶対にないように最善の努力を尽くしたい、私どもはこう考えております。
  158. 清水勇

    清水委員 今建設大臣からかたい決意のほどが披瀝されたわけで、これはしっかり貫いてもらいたいと思うのです。  大蔵省からもお見えになっておりますね。にこにこ笑っておられるが、これは大蔵がその気になってくれないと困るので、特に未来ある主計官がおいでになるのだと思うのだが、これは国民のニーズに大蔵としてもどうこたえていくかという所信がこの際披瀝をされないと困ってしまうので、どうですか。
  159. 木部佳昭

    木部国務大臣 後から答弁があると思いますが、これはやはり大蔵省のものじゃなくて政治の根幹に触れる問題ですから、これはもう政治家レベルの大事な問題でございますから、先ほど答弁しましたような決意で進ませていただきます。
  160. 清水勇

    清水委員 それではまあ念のために大蔵省から……。
  161. 涌井洋治

    ○涌井説明員 住宅公庫につきましては、段階金利制度の導入、あるいは今回の繰り延べ措置による補給金の平準化措置の延長、こういう措置によって、中長期的には公庫業務の安定的な継続は確保し得ると我々は考えております。そういうことでございますので、現段階では金利の引き上げというものは考えておりません。
  162. 清水勇

    清水委員 大変結構な答弁があったわけですが、現段階というといつのことを言っているのかよくわからないのだが、これはやはり、今政治家である木部大臣からきちっとした決意が披瀝をされているわけですから、それに仕える立場でひとつしっかり、将来にわたって五・五%の金利はいじらない、こういうことを私の方から注文をつけておきたい。  なお僕は、僕はというより社会党は、今年度から手数料を取るなどというやり方は本来の公庫制度に背反するものである、低利資金制度に手をかけるものだ、こういう認識を持っているものですから、これは本来ならば速やかに提案の撤回を求めざるを得ない、こういう考え方に立っているわけですが、少なくとも提案者としては、できるだけ早い時期に、これは財政との関係もあるけれども、こういう手数料などといういかがわしいものは廃止をするといった気持ちがあるのかどうか、聞かしてくれませんか。
  163. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 このたび御提案申し上げているわけでございまして、もちろん私ども喜んで御提案申し上げているわけでは決してございません。既に御存じなので詳しくは申し上げませんが、今回の補給金の増高に絡む予算編成の段階におきまして、いろいろな問題が出ている中で、結局ユーザーにも何分の御負担をいただきたいということになりまして、手数料の徴収に踏み切ったわけでございます。  将来これをやめろというお話でございますが、公庫の財政状況といいますか、この補給金の状況が六十五年以降好転することを我々は大いに期待しているわけでございますが、そういった段階になってまた再検討すべき問題ではないかというふうに考えております。
  164. 清水勇

    清水委員 それでは、少なくとも来年度以降四万円程度という水準をさらに引き上げる、こういうことは全く考えていない、こういうふうに言えますか。
  165. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 私ども、今この引き上げについて全く考えてはおりません。
  166. 清水勇

    清水委員 いや、そこまででいいです。それ以上私も聞きません。  そこで、手数料に関連をしてちょっと聞いておきたいのですけれども、いわゆる災害復興住宅について制度の手直しをされた。これは結構です。結構なのですが、実は私は長野県ですけれども、不幸にしてこのところ災害続きなんですね。住宅金融公庫資金を借り受けて家を新築をした、まだ返済を始めて数年にしかならない、そういうときに住宅が倒壊をする、あるいは流失をする、また銭を借りて住宅を建てざるを得ない。そうすると、二重の返済というような格好で非常に困窮の度がきわまる状況で、何とかならないか、こういう声が非常に強いわけですけれども、これは制度的になかなか難しいと思うが、例えば災害復興住宅取得をする、そういうために例えば公庫資金を借りるという者に対してまで手数料を取るなんというのは、そんなむごいことはしないのだろうと思うが、その辺はどうですか。
  167. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 手数料につきましては、災害復興住宅については徴収しないという方針で考えております。
  168. 清水勇

    清水委員 それでは、これは一つ意見を申し上げて参考までに聞いておきたいのだけれども、本来、公庫資金融資というのは、銀行その他の金融機関から融通を受けることが困難とする者に融通をする、これが基本だと思いますね。ところが、だんだんに高額所得者に融資対象が広げられて、例えば八百万円以上であるとか一千万円以上であるとか、これらの方々はその気になれば銀行その他の金融機関からも借り受けられる。しかし金利が高い。したがって、金利の安い公庫資金に、こういう気持ちだと私は思います。  ただ、そのことが、全体としていわゆる公庫資金の運営に弾力性を失わせるなんということが、今はないのかもしれませんが、将来仮に起こるという場合にはどうしますか。
  169. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 現在の段階では、要するにそのことは、金融公庫の原資が足りるか足りないかということの問題でございまして、現在はまだ無抽せん体制も維持できているという状態でございますので、原資面では、確かに郵貯が非常に伸び悩んでおるから苦しいとかいろいろなことはございますけれども、まあ何とか貯えているという状態であるわけでございます。将来これが大きく削減をされるような状態になった場合にはどうなるか、今ちょっとここで申し上げることはできませんが、それに対する対応策というものは当然考えていかなくちゃならないものだというふうに考えております。
  170. 清水勇

    清水委員 同様な意味で、今度宅地造成資金貸し付け対象拡大をする。これにも関連があるのですけれども、実はその前にちょっと聞いておきたいのだが、ここに建設省の広報室で編集している「建設月報」というのがある。去年の十一月号に事例紹介として「民間ディベロッパーの宅地開発事業」、東急でやったものが紹介されておりますね。この中で、例えば土地区画整理事業による都市基盤整備という部分に触れて、いわゆる東急方式なる宅地の開発といったようなことが紹介されているのだが、どうも今度の法改正で、新たに対象となる宅地造成資金貸し付け対象を民間デベロッパーに直貸しで供与するというやつは、この辺のアイデアに依拠しているのじゃないかという感じがしてならないのだが、その辺はどうですか。
  171. 高橋進

    高橋(進)政府委員 まことに申し上げにくいことですが、建設省の職員として申し上げにくいのですが、ちょっと私、不勉強でそこの論文を読んでなかったものですから、今それとどう関係あるか、ちょっと申し上げかねます。
  172. 清水勇

    清水委員 それはちょっと不勉強だね。皆さんの方で出されて、私どもに勉強のために読めと言ってくれているものを、これほど重大な提案をしておきながら全然読んでないというようなことは、ここで言ってもしようがないけれども、これはよく見てください。東急と言えば五島昇社長で、中曽根さんのブレーンで、その部下である田園都市事業部長という人が、わざわざ依頼をされて書いているのですね。だから、仮にそうした意味で民活を言われるならば、なるほど政府はそういうことを考えているのかなということで私は私なりに受けとめるけれども、そういう、どこかの企業がやってうまくいったからなどというようなものを引例をして国の基本的な政策に重大な影響を持つというようなことは、これはいかがかと思うので、これは局長、見てなければしようがないから、勉強しておいてください。  さてそこで、この際公庫資金の返済に触れてちょっと聞いておきたいのですけれども、率直に言って、低成長経済に移行する、勤労者世帯の状況を見ると、ベースアッブが小さくなる、残業収入も少なくなる、主婦のパート所得も減少する、相対的に実質賃金、実質所得が落ち込んで、そのためにローンの返済が困難になる、こういう傾向というやつが僕は出ていると思うのですね。この間、民社の小沢委員は、子供が仕上がったから早く返したい、これも無論出ています。出ていますが、一面では、今私が指摘したような状況も非常に多くなっている。  さてそこで、現実に滞納がふえ、回収率が下がりというような傾向があるのではなかろうかと思いますが、いかがですか。
  173. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 昭和五十八年度末で、金融公庫におきます個人関係債権の六カ月以上の長期延滞件数が、五百八万九千九百二十三件の証書貸付残件数に対して、七千六十件、要するに七千六十件滞納があるということで、全体の数から見ますと〇・一四%ということだそうでございます。
  174. 清水勇

    清水委員 六カ月以上というふうに区切っているから〇・一四%という非常に小さい数字だと思いますが、例えば二カ月おくれる、三カ月おくれる、こういうようなものまでひっくるめると、かなりの件数に上っているのじゃないかと思うのですね。  さてそこで、いずれにしてもこういう時期ですから、実情にマッチをして、ある程度返済猶予といいましょうか弾力的な措置を講じて、いたずらに滞納者から家を取り上げて競売に付するといったようなハードな措置を考えるのではなしに、もうちょっと心の通ったソフトな配慮を払ってしかるべきではないかと思うが、どうですか。
  175. 関口洋

    ○関口説明員 ただいま先生から御指摘をいただきましたように、私どもは、滞納されました方とはよく御相談をいたしまして、その方が一番返しやすい方法をお伺いして、法の許す範囲内で、実際にそのお客様の御希望に沿うような措置をとっておりますので、決して取り立て一方というようなことはいたしておりません。
  176. 清水勇

    清水委員 法の許す範囲というのはどういうことですか、ちょっと教えてください。
  177. 関口洋

    ○関口説明員 まだその限界線に行っておりませんけれども、例えば償還期間は、先ほど先生御指摘のとおり木造の場合二十五年でございますので、それは法定の期間でございますから、二十五年をさらに延長するというようなことはできませんので、その範囲内で。例えば、今まで比較的景気のよかった時代と申しますか、いわゆるボーナスの多かった時代は、ボーナス時にまとめて返すというようなことがあったわけでございますけれども、これからの時代を考えてみますと、お客様の中には、それに頼っておったのでは公庫の方にも迷惑をかけるから支払いの形態を変えて毎月払うようにさせてもらいたいというような御希望があれば、それに沿うような形でやっております。それが法の範囲内でございます。
  178. 清水勇

    清水委員 これはいずれにしても二十五年間という期間があるわけでありますから、人生にとっても浮き沈みがあるし、景気も同様にあるわけですから、十分時間をかけて、ユーザーの条件にできるだけマッチをする形で無理のないようにやってもらいたい。  これは国の方としても、そういうことで指導していただけますか。
  179. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 ただいま理事の方からお話がございましたように、要するに繰り延べ払い的な制度もございまして、そういうのを極力生かしてやるようにしたいと思っております。
  180. 清水勇

    清水委員 次に、改良資金のことでちょっとただしておきたいのですけれども、いずれにしても民間のストックを活用する、これは非常に結構なことだと思うのですね。これを積極的に推進するという意味で、償還期間を十年以内から二十年以内に延長をして、いわば返しやすい、負担の緩和を図る、これは非常に積極的に評価ができると思います。だが問題は、ストックの有効活用ということを強調しながら、六十年度は公社の賃貸住宅対象を限定する。これは仏つくって魂入れないような話なんだ。なぜそういう措置を講ずることにしたのですか。
  181. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 公社のストックの最低居住水準未満と申しますか、実質の居住水準というものがかなりひどい、悪いということで、とりあえず公社の居住水準の向上をまず図るということから始めようということでございまして、でき得ればこれをほかの一般の方にも及ぼしていきたいという意欲を私ども十分に持っておるところでございます。
  182. 清水勇

    清水委員 財政事情によって六十年度は公社に限定をするというようなことはありませんか。
  183. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 財政事情と申しますか、とにかく、新しく制度を——新しいというか、新しい改善を行うわけでございまして、確かにおっしゃるように、全面的にこの改善を適用させていくということがよろしいとは思いますが、まあ順々にということもございまして、まず公社からということでやったような次第でございます。
  184. 清水勇

    清水委員 これはもう釈迦に説法ですからくどくど言いませんが、本来ならば、子供も大きくなったしこの際建てかえたい、しかし、資金のことを考えたり返済のことを考えたりするとそれもできない。そこで、より良好な住居というものを考えて増改築に踏み切りたい、増改築をやりたい、こういう庶民というのは非常に多いのですよ。こういう者にとって言えば、十年以内が二十年以内になるということはいわば朗報なんです。まあことしからこの制度をやるんだから、初めは公社だけにいたしましょうなんというつつましいことをおっしゃるのではなしに、財政事情が特にないんだとすれば、僕はこの際一般対象を広げるべきだ、こう思いますが、いかがでしょう。
  185. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 先生のおっしゃることは十分わかるわけでございますが、財政事情といいますか、やはり一気に改善を図っていくということに若干無理があるということで、ステップ・バイ・ステップということで私ども考えているような次第でございます。
  186. 清水勇

    清水委員 どうも何だか歯切れが悪くて、何もそんなにステップ・バイ・ステップなんと言われなくたって私はいいんだと思うのです。これはいずれにしてもこの際注文をしておきますが、この年度内にも条件が許すならば一般にも対象を広げられるように検討してみる、こういうことを要望しておきますから、鋭意検討してみてください。  さて、時間がなくなりましたから最後に一つだけ聞いておきたいのですけれども、補給金支払いの一部を後年度に繰り延べる、俗に言う特例的な措置なんですけれども、例えば建設省の資料を見ても、五十七年度以降六十年度までの繰り延べ額が三千三百七十四億、利子が四百六十一億にトータルではなる。さらにこれを六十五年度までやっていこうというわけですけれども、この方法を引き続きどんどんと続けていけば、これは当然のこととして利子が利子を生んで、繰り延べ累積額は一層膨大になる。やがて財政の面で公庫の業務の遂行に影響を来すことになりはしないか、こういうことを僕は恐れるのです。  ある試算によると、六十年度以降ずっと繰り延べを続けていくと、累積繰り延べ額は六十五年度で一兆八千億円、七十年度には四兆二千億円に達する、こういう試算がある。私は実は予算委員会で竹下さんとこれらのケースの問題で随分論議をいたしました。隠れた赤字国債ともいうべきものがやがて八兆九千億にもなる、利子が四兆どのくらいになる、これは大変なことだということを大臣自身も認めているが、特にほかに方法がない、勘弁してくれ、こういうことでしたが、例えば当年度の負担を緩和するために後年度に繰り延べるというやり方は、そのときは身軽になっていいかもしれないが、長い将来に向かって大変重い荷物をしょうことになる。財政的に不健全化がいよいよ増幅をしてにっちもさっちもいかなくなるという懸念がありはしないか。こういう点についてどういうふうに受けとめておられるか。
  187. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 先ほど先生のおっしゃいました六十五年に一兆数千億に達するということは、例えば昭和六十年度で申しますと五百五十億円実質には埋めていただいたわけでございます。これも埋めない、それから公庫としての自助努力的なこともやらない、そして手数料も仮に取らない、そういう形を今後ずっと六十五年までとり続けていった場合に今の事業量を変えなければそういうことになるという試算になるわけでございます。  幸いにと申しますか五百五十億円でもいただきまして、それから繰り延べ措置もそのために大分減ったわけでございまして、こういうことでいきますと額的には相当小さいものになってくるわけでございますけれども、ただそれにいたしましても、ある意味公庫にとって一つの重圧になってかかってくるということは否めないと思います。ただ、御承知のように、六十八年ぐらいになりますと段階制金利の効果が発揮されまして補給金は減少の方向に向かってまいりますので、そういった意味ではある種の平準化といいますか、それが図られることになります。それから繰り延べたお金は責任を持ってお返しいただく、法律で定めたところによりお返しいただくということになっておりますので、私どもはそれについては公庫に圧迫が加わらない形で解決されるものというふうに考えておる次第でございます。
  188. 清水勇

    清水委員 いずれにしても、今局長がいみじくも言われるように、公庫の運営あるいは財政に重圧とならないようにしていく、そのためにはできるだけ早くこういう特例的な措置をやめていくということにならなければならない。ところがどうも心配するのは、こういう特例的な措置が常態化してずっとこれから先も続いていくことになりはせぬか。もしそうなると、希望的観測という立場から今局長がある一定の方向を述べておられるが、そうではなしにまた悲観的な材料も一面ではあるわけですから、したがって、それやこれやを考えて、こういう措置はできるだけ早くやめる、こういうことに立たなければならないと思うのですが、いかがでしょう。
  189. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 この特別損失の措置というのは私ども、まあ政府全体としても恐らく、好んでやっていることではございません。財政上やむを得ざる措置として行われているものでございまして、財政状況が好転する場合には当然これは廃止されていく種類のものであるというふうに考えておるわけでございます。
  190. 清水勇

    清水委員 最後に、時間が二、三分ありますからちょっと聞いておきますが、この間大臣の所信を聞いている中でもちょっと触れておられたように思うのだが、宅地対策の一環としていわゆる線引きの見直しを促進する、こういうことが言われているのだが、しからば具体的にいつ、どういう方法で見直しを行うのか、考え方をお聞かせいただきたい。
  191. 梶原拓

    ○梶原政府委員 御承知のとおり、昭和五十七年の九月でございますが、線引き制度の運用方針の改善につきまして通達をしたところでございます。例えば土地区画整理事業等により良好な開発が行われる地域については市街化区域に積極的に導入する等、線引きの見直しが実態に即して適切かつ弾力的に行われるようにした次第でございます。  この方針に基づきまして、各都道府県で見直しの促進をしていただいておりまして、ことしの三月三十一日現在でございますが、見直しを完了したところが、都道府県の数でいきまして二十三、それから見直しの事前協議を終わりましたところが三、既に法律に基づきます手続を開始しましたところが五ということでございます。それで、今年度中に法手続を開始するという目標で作業をしているところが十二ということでございまして、残る四都道府県につきましては、まだ最近第一回目の見直しを行ったばかりでございますので、二回目の見直しを行わないというところでございます。こういう形で逐次線引きの見直しが進行しておる状況でございます。
  192. 清水勇

    清水委員 終わります。
  193. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 伊藤英成君。
  194. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 本法案については、我が党の小沢議員も既に質問なり意見を述べておりますので、私は、それに関連して住宅政策について御質問をしたいというふうに思います。  まず初めに、大都市地域における中長期的な住宅政策をお伺いしたいのですが、住宅建設の基本となる宅地需給についてお伺いをいたします。  昭和六十一年から六十五年度における宅地供給の可能性についてでありますけれども、「宅地需給長期見通し」によりますと、首都圏、近畿圏、中部圏の三大都市圏で、五十六年から六十年度に三万二百ヘクタール、それから六十一年から六十五年度までに、二万九千百ヘクタール、こういふうになっておりますけれども、近年のこの三大都市圏における宅地供給実績というのはどういうふうになっているか、お伺いをいたします。
  195. 高橋進

    高橋(進)政府委員 「宅地需給長期見通し」は五十六年の三月に策定いたしましたが、三大都市圏については今先生のおっしゃったとおりでございます。これに対しましてどういう実績であるかということでございますが、全国では毎年約一万ヘクタールで推移しておりますが、このうち三大都市圏におきましては約五千ヘクタールということでございまして、計画に比べまして停滞ぎみであるというふうに言えるかと思います。
  196. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 宅地は主として山林、農地から供給をされるというふうに考えられますけれども、宅地化促進法によって、特定市の市街化区域農地面積を昭和五十七年一月時点で見ますと六万七千二百四十一ヘクタール、そのうち長期営農継続農地が三万五千五百四十二ヘクタール、こうなっておりまして、その差三万一千六百九十九ヘクタールから宅地が供給されるものというふうに考えますけれども、これは、その対象地域や時点の相違など若干あるとしても、そういうことを考慮しても、今後の宅地供給は極めて厳しいのではないか、こういうふうに考えられますけれども、その対策及び見通しについて、お伺いをいたします。     〔中島(衛)委員長代理退席、北口委員長     代理着席〕
  197. 高橋進

    高橋(進)政府委員 御指摘のとおり、宅地供給は最近停滞を続けております。年間一万ヘクタール程度で推移しておりまして、特に民間供給の停滞が目立っておるわけでございます。今後の宅地供給見通したときにどうかということでございますが、いろいろ開発許可の状況あるいは土地区画整理事業の認可の状況、そういったことから判断いたしますと、今後直ちに大幅に伸びるというような状況ではなくて、引き続き停滞の状況が続くかと思います。  これに対してどういう対策で臨むかということでございますが、宅地供給対策というのは基本的に総合的な対策になるわけでございますが、具体的には、この国会において御審議いただきましたとおり、市街化区域農地の宅地化を促進していくための法律延長もお願いしたわけでございます。それによりまして、そういったことに関連しまして三大都市圏の特定市街化区域の農地について固定資産税の課税の適正化その他の促進措置を講じてまいったところであります。そのほか、これとあわせまして公団、公社等の公的機関による計画的宅地開発の促進、住宅金融公庫等の政策金融による民間の優良な宅地開発の推進、関連公共公益施設整備の推進、都市計画の線引きの見直しと開発許可制度の適切な運用、都市再開発による土地の高度利用の促進、土地税制の改善等を総合的に推進してまいりたいと思っております。
  198. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 その見通しはどうでしょうか。
  199. 高橋進

    高橋(進)政府委員 具体的にこういった措置によってどう量的な宅地供給が増加するかということについては、量的にはちょっと申し上げかねますけれども、こういった総合的な従前から行ってきている対策とあわせて今後ともそういったことをやることによって、相当な効果があるものとは考えております。
  200. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 ニーズの非常に高いことでございますので、ぜひ頑張って、よろしくお願いをいたします。  それから、公庫宅地造成資金についてでございますけれども、六十年度の公庫事業計画を見ますと宅地造成資金が減少をしております。これは、表を見ますと千八百五十一億から千五百八十七億円というふうに減少しているわけですが、その理由はどういうことでしょうか。
  201. 高橋進

    高橋(進)政府委員 近年地価は高値で安定的に推移しているわけでありますけれども、宅地購入層の所得の低迷ということもございまして、売れ行きが一般に不振であるということ、あるいは土地価格が高くて宅地造成適地の取得が困難であるということに加えまして、宅地造成事業期間が長期化いたしまして、金利負担の増大等のために事業採算性が悪化しておるわけでございます。こういったことから宅地開発事業者事業意欲も減退しているということでございまして、公庫の六十年度事業計画は前年度に比べまして御指摘のとおり減少しておりますが、こういった要素、それから通年度の実績等も勘案いたしまして決定をしようとしておるものでございます。
  202. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 そうしますと、今回のこの法改正によってどのくらい宅地供給は促進されるのか、そしてまた、それが住宅建設の促進にそのままストレートにつながるのかどうか、ちょっとお伺いいたします。
  203. 高橋進

    高橋(進)政府委員 今回の法改正でお願いしております民間事業者土地区画整理組合から委託を受けて土地区画整理に係る土地造成を行う融資でございますけれども、これにつきましては、この法律改正が認められまして、受け付けをいたしまして、どれだけあるかということがはっきりするわけでございまして、現段階ではちょっと具体的に申し上げられませんが、我々の承知しておるところでは五、六件、あるいはもっと多くの対象事業があるように承知しております。そういったところから来年度数カ所出てくるのではなかろうかというふうに考えております。こういった今回の法改正によりまして、公庫資金貸し付けを受けた者が供給する宅地というのは、公庫貸し付け資金住宅の用に供する宅地の造成に必要な資金であるということ、それから本制度により公庫資金貸し付けを受ける者が住宅建設事業者であるというようなことを条件とすることとしておりますので、それなりに速やかに住宅建設のために利用されるものというふうに考えておるところでございます。
  204. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 次に、大都市における住宅確保の可能性についてお伺いいたしますけれども、首都圏において、都心から一時間くらいの通勤圏で四人の標準世帯が八十六平米の平均居住水準を確保できる分譲住宅の価格等についてお伺いしたいのですが、まず一戸建てとマンションで、しかも東京と大坂二カ所についておのおの価格は大体どのくらいというふうに考えたらいいのでしょうか。
  205. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答えいたします。  住宅金融公庫昭和五十八年度に「民間分譲住宅購入資金利用者調査」というのをやっておりまして、この結果によって今の御質問にお答えするわけでございますが、都心から一時間の通勤圏というのは、時間でとっておりませんので大体二十キロから三十キロくらいで一時間ではないかということで想定いたしまして見てみますと、規模が八十六平米くらいの分譲住宅の平均価格は、東京圏では戸建てあるいはマンションともにほぼ三千万円でございます。それから、大阪圏では戸建でが二千八百万円、マンションが二千五百万円という結果が出ております。
  206. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 それから、取得のための資金構成を平均的なサラリーマンの場合で見ますと、手持ち資金、それから借金、その借金の中でも公的な部分、それから民間部分と分けて、大体どんな比率になっているのでしょうか。
  207. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 同じく公庫の調査の結果によりますと、戸建ての住宅購入費が二千九百万円ぐらい、その取得のための資金調達の内訳が、平均的サラリーマンで手持ち金が約三五・一%、公庫の借入金が四一%、そのほか民間金融機関でございますとかあるいは勤務先から借りたというのもございますが、こういった借入金が二三・九%というふうになっております。マンションにつきましては三千万円でございまして、その取得のための資金調達の内訳は、手持ち金が三八%、公庫からの借入金が四四・九%、その他民間金融機関、勤務先等からの借入金が一七・一%。大体両方似たようなことに、なっております。
  208. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 こういうことからして年間のローンの返済額を見ると、平均的なサラリーマンが特に二戸建て、マンションでも同じような形ですが、独力で購入するのはなかなか大変ではないか、こういうふうに思いますが、どのようにお考えですか。
  209. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  独力でというところにいろいろ問題がございまして、例えば手持ち金が先ほど三五%というように申し上げましたけれども、金額にしますと一千万円近くのお金になるわけでございまして、一千万円を自分たちだけで持っておるかどうか、あるいは昨年度から親子の間の贈与制度などを設けたわけでございますが、親なり親戚からお金をもらっているというようなこともあろうかと思いますが、そういう点は別といたしましてローンの返済金を見てみますと、先ほどの例で見ますと、月額が十一万円ぐらいになります。  そしてこの十一万円というのは一体どういうことかといいますと、首都圏の平均的なサラリーマンというものの月収がどのくらいかという問題がまたございます。貯蓄動向調査によりまして京浜地区の勤労者世帯の年間収入の平均というのを見てみますと、ボーナスも何も入れて五百五十七万円というのが出ておりますが、こういう面から見ていきますと、これを十二で割った額に対して月額十一万円の返済金額はどのくらいに当たるかと見ますと、おおむね二四%ぐらいに該当するわけでございます。  そこで、この二四%ぐらいの支払いというものが可能かどうかという議論でございます。収入の何%ぐらいをこういうローンに充てるのがいいかということでいろいろ御議論ございます。確たる基準はないわけでございますけれども、例えば昭和五十年の八月に住宅宅地審議会が答申をしておるものの中で持ち家の償還金の負担限度はどのくらいかということについて触れておりまして、これについては所得五分位階層の中の第三分位、要するに真ん中の標準世帯の負担限度はおおむね二五%程度ぐらいかというような記載がございます。そこから見てまいりますと、この二四%というのはぎりぎりいっぱいのところになるわけでございまして、これが適切かどうかということになりますと、いろいろ御意見があろうかと思います。
  210. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今の数字は、年間収入から計算されたのは税込みの数字ですか。
  211. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 これは粗収入で、それを十二で割りまして今の月額十一万円との比較をしたわけでございます。
  212. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 そういうふうに考えますと、実際には税引き後で考えるとさらにさらに厳しい状況であるというふうに私は考えるべきだ、こういうふうに思います。  今通勤時間で見て一時間以上の通勤者数というのは、全国で見ますと、五十三年のときに三百十万人で、五十八年になりますと三百七十万人に増加しております。しかも、このうちの約八割は三大都市圏にいるわけであります。したがって大都市地域においては中高層化を促進して、都心に近いところに居住するとともに、世帯の成長等に伴って住みかえが容易にできるように進めていくことが望ましいのではないかというふうに考えますが、いかがですか。
  213. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 大都市地域におきまして、住宅立地が遠くなるとかあるいは都心部において人口が減少して困るとか、こういう問題がございます。こういうものに対処いたしまして、また職住近接という要望にこたえていくために、都心部に近い既成市街地におきまして土地の高度利用を図りながら良質な市街地住宅供給を促進していくことが必要でございます。そういう意味で、住宅型の再開発事業というようなものを一生懸命やっていく必要があるわけでございます。  昭和六十年度の市街地再開発事業予算が、この厳しい財政の中で前年度比二七%増という今の時代としましては大幅な増額をいたしているのも、こういったためでございます。また、いろいろな優良なプロジェクトに対しまして容積率の緩和を図るというようなことも進めているわけでございます。そのほか、税制その他いろいろな手法がございますけれども、こういった各般の施策を通じまして今後市街地住宅供給促進に努めていきたいと考えておるわけでございます。  また、大都市地域におきまして、国民のライフステージに応じまして適切な規模を持った良質な住宅に住みかえていくということが御指摘のように重要なことだと思います。日本におきましては、アメリカにおけるように住みかえ、中古売買みたいなものが余り活発に行われていない状況にございます。国民性その他いろいろ理由はあると思いますけれども、私ども、従来から金融公庫融資あるいは流通市場の整備などで中古住宅流通を促進させるために努力しているわけでございますが、今後ともそういった住みかえの円滑化というものには大いに意を用いてまいりたいというふうに考えております。
  214. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 それから、公庫融資に係る中高層住宅のうちで、分譲と賃貸に分けて近年の供給実績はどういうふうになっているか、お伺いします。
  215. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 最近住宅金融公庫融資いたしました中高層住宅の貸付実績でございますけれども、五十七年度におきまして分譲系が六万六千十八戸、賃貸系が四万二千九百九十四戸でございまして、合計して十万九千十二戸ということになっております。これが五十八年度になりますと、分譲系が六万八千四百九十二戸、賃貸系が三万一千七百六戸でございまして、合計いたしますと十万百九十七戸という結果が出ております。
  216. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今、無理をしても持ち家をするというようなことは多いのだろうと思うのですが、その要因として、賃貸では良質の住宅が少ないということもあるのじゃないか、こういうふうに思うのです。住宅の所有関係、それから居住室数別の住宅数の全国統計を見てみますと、部屋数で見ると、五十八年度で、二DKまたは三Kと見られる三室以下が借家の七二%を占めております。それから、三DKまたは四K以下と見られる四室以下の借家が九三・三%、こういうふうになっております。ちなみに、持ち家の場合ですと、三室以下は八・七%、四室以下は二五・五%、こういうふうになっております。  教育費や教養文化費等も削って住宅ローンを支払うというようなことは、個人の生活にとってもそしてまた同時に日本の全体にとっても非常に問題ではないか、こういうふうに思うのであります。そういう意味で私は、今後の大都市住宅政策においては賃貸住宅というものをずっとずっと重視していかなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うのです。  これは実は、御存じのとおりに全民労協という組合の組織でもこういうことを強く要請していたというふうに私は記憶しますけれども、こういう、今申し上げたような大都市における住宅政策というのをとっていく必要があるというふうに思いますが、いかがですか。あわせて、これはまた大臣にもお伺いしたい、こう思います。
  217. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  非常に無理をして持ち家を取得している方が多いというのはいろいろ新聞などにも出ておるわけでございますが、そのことの一つの原因が賃貸住宅の不足にあるのかどうかということにはいろいろ御議論はあろうかと思いますが、確かに、良質な賃貸住宅がいっぱいあるという状態ならば持ち家志向というのももう少し違った形になるかもしれないという気はするわけでございますけれども、いずれにいたしましても、大都市地域におきまして四、五人家族の標準的な世帯向きの賃貸住宅が不足していることは確かだと思っております。そういう意味で、良質な賃貸住宅供給というものは私どもの大きな課題であると思っております。  公営住宅、公団住宅につきましては、先ほど来いろいろ御議論ございますが、私どもはこういったもののほか、施策民賃でございますとか、あるいはそのほか今後いろいろ知恵を絞りまして、大都市における賃貸住宅の積極的な供給に努めてまいりたいというふうに考えております。
  218. 木部佳昭

    木部国務大臣 今局長からも御答弁しましたように、また先生御指摘のように、賃貸住宅や持ち家のニーズについていろいろな問題が起きております。実は私この間も、これは東京都の一つの例でございますが、区長さんの有志の方と懇談する機会がありましたけれども、ある区の区長さんなんかは、昼間かなり大勢お勤めに来ているのですが、夜になると極端なことを言いますとそれこそほとんど空っぽになってしまう、こういうことでは区の活力を失う、また区政の面でもいろいろ努力しても努力がいかないような感じがするので、そうしたニーズにこたえるようにぜひ努力してもらいたい、ある意味では都市の再開発とか良好な環境づくりとかというふうなものを総合的に対策を立ててもらいたい、そういう強い要望もございました。  また、今御指摘いただきましたように確かに貸し家需要というものは伸びつつある現状でございますから、私どももそうした点をよく承知いたしておりますので、これからも全力を挙げてそういう賃貸住宅の問題その他について最善の努力を尽くしていきたい、こういうふうに考えております。
  219. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 ありがとうございました。  私も、例えばアメリカとかヨーロッパとか、そういうところの主要な都市もその一端は見ているというふうに思っているのですが、やはりこういう方向が合理性もあり、ぜひ促進すべきだと思いますし、本当に安くて長もちして、そして質の高いものというのをぜひ進めていただきたいと思います。  次に、共同住宅における生活について質問いたしますけれども、五十八年度で三階建て以上の共同住宅を見ますと五百三十万戸、そしてそのうちの六階以上が百四十一万戸あります。五十三年と比べますと、三階から五階までが百万戸、それから六階以上ですと六十三万戸の増加、しかも六階以上の増加率は特に著しいものがあります。大都市地域での中高層化というのは必然でもありますし、さらに促進する必要があると考えますけれども、例えば維持管理とか建てかえというような基本的な問題もありますけれども、今それと別の視点でちょっとお伺いしたいのですが、高層階居住による人間への影響についてです。  これは、御存じのとおりに最近新聞等でもいろいろ報道されたりしておりますけれども、例えば十階建て以上の住宅も今五十二万戸あるようであります。それから、十五階建て以上の住宅も三万戸あるということでありますし、二十数階建てとか三十階建てのものが建設中であるようであります。こうしたときに、これらの入居者のすべてが非常に高いところ、高層階の居住者とは言いませんけれども、高所で居住することによる心理的なあるいは生理的な弊害はないのだろうか。例えばホテルとかオフィスなどですとある意味では一時的といいますか若干違った視点もあろうかと思うのですが、そこに居住するというふうに考えたときにはいろいろな問題がないのだろうか。そしてまた同時に、子供等に対する配慮という面で、これまた新聞にも出ておりましたけれども、子育ては五階以下でないとよくないとか、イギリスの場合にはそういうことが現実に行われているとかいうような記事等も出ておりますけれども、この人間への影響についてはいかがでございましょうか。
  220. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 我が国で次第に住宅が高層化しまして、高層住宅居住者というのがだんだん出てきているわけでございます。しかし、歴史がまだ何分にも浅いわけでございまして、その実態といいますか影響といいますか、あるいはその人たちの意向、そういったものについて知られているところは余り多くはないわけでございます。一般的には眺望がいいとかということで快適だという面もある反面、災害に対して不安であるとかというような面もあろうかと思います。しかし、未解明な面が非常に多くて、今後こういう点についていろいろ調査し、また分析もし検討してまいらなくちゃいけない面が多々あるわけでございます。  今まで若干の調査結果などが手元にあるわけでございますけれども先生御指摘ございましたように、これはどこでございましたでしょうか、建築研究所と日本女子大学が子供の遊びについて調査を行いまして、高層住宅に住む子供ほど集団で遊ぶことが苦手になっているというような調査の結果がございます。  それからもう一つ、悪い方の評価としまして、これは近畿大学がやった調査でございますけれども、高所不安ということで六階から二十階ぐらいの階に住んでいる人は七割ぐらいが不安を感じるということを言われたそうでございますし、また二十一階から二十五階、もっと高いところではちょっと減っておるのですが、やはり六割ぐらいが不安だと言われた、そういう結果を聞いております。  ただ、逆に非常によい評価もないわけではございません。これは住都公団が葛西超高層住宅、これは二十三階建てでございますが、これで調査した結果、一年間住んでみた人たちに聞きますと、超高層住宅を選んでよかったという答えが九五%返ってきているというものがございます。  それから御存じの三井不動産のサンシティーというのがございます。これも相当高いのも入っておりますが、ここで非常に満足したとか、まあ満足したというのが合わせまして九〇%を占めているということで、この評価という面でも相当違いが出てくるわけでございます。  ただ、子供の遊びにつきましては、先生御指摘のようにいろいろ今後の問題にもかかわりますが、御意見がございますし、確かに地表までおりて遊ぶという機会がだんだん遠くなる面もございまして、屋外に出ることが阻害されるということもあろうかと思います。こういう問題につきましては、子供の遊び場となる空間を建物の中に織り込んでいったらどうか、屋上はもちろんでございますけれども、途中の階にひとつ遊び場を設ける、そういう設計をした建物も幾つか出てきております。  私どもそういうようなことで工夫を凝らしているところでございますが、今後そういう住民の御意向等もあわせていろいろ調査し検討してまいりたいと思っております。
  221. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のお話でこれからも調査研究を進めてくださるということですが、私の感じとしては、それこそ今では技術的には技術進歩によって非常に高いものができるようになりました。しかし、どんなに高くてもいいのだろうかと考えると、やはりそうじゃないのだろうという気がするのです。そういう意味では、今お話にもありましたけれども、例えば子供だったらどうだろうとか、あるいは子供を考慮しなくていい家庭だったらどうなんだろうかとかいろいろなことがあると思います。これは真剣に研究する意味があるのだろうと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。  次に、同じこういう共同住宅の中の生活の件でありますけれども、動物の飼育についてお伺いしたいのです。  マンション等こうした中高層住宅で夫とか猫、ペットを飼っている世帯というのは結構見かけるわけでありますけれども、こういうところでの動物の飼育について一般的にはどういうふうに定まっているのか、そしてまた同時に外国の場合もどういうふうになっているかということをお伺いいたします。
  222. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 中高層住宅など共同住宅における犬や猫の取り扱いにつきまして、住都公団の賃貸住宅では賃貸契約書の中で、あるいは分譲住宅におきましてはその分譲いたす場合に公団がある種の指導をいたします標準管理組合規約の中で、小鳥とか魚類以外の動物を飼育することを禁止するということになっております。  それから公営住宅におきましては、これは県の規則とかあるいは入居時の指導によりまして、犬や猫など他人の迷惑になるおそれのある動物の飼育をしないように今規制している場合が非常に多いというふうに聞いております。また民間分譲住宅マンションなどでも管理組合の規約で近隣に迷惑あるいは危害を及ぼすおそれのある動物の飼育を禁止しているところが多いようでございまして、これについては実態の全体はまだわかっておりませんけれども、非常に多いというふうに聞いております。  外国につきましてはなお十分な調査がないわけでございますが、一部の調査の結果はあります。概して言えば、犬や猫を飼ってもいいというところがございますが、その場合、例えば犬の大きさを制限するとか、あるいは頭数をたくさん飼ってはいかぬとか、そういう制限をするとかという例があるようでございます。それから鳴き声とか抜け毛とかそういうものがある動物は禁止するという例もあるようでございまして、これは国によって違う面、そしてしかも国の中でもマンション等によって違う面、いろいろあるように伺っております。
  223. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 ことしの二月九日の朝日新聞の夕刊に、住都公団が犬や猫の飼い主に対して契約の解除あるいは住宅の明け渡しを求める、提訴も辞さないというようなことが報道されておりますけれども、どういうふうになっているか、お伺いをいたします。
  224. 京須實

    京須参考人 公団の賃貸住宅につきましても、犬、猫等の飼育につきましては、ただいま局長が御答弁されましたように、入居の際の賃貸借契約におきまして、あらかじめ犬、猫を飼育してはならない旨の約束をいたしまして入っていただいております。  しかしながら、やはり事実上飼っておられる方もあるようでございまして、最近特に居住者から犬、猫飼育についての苦情が多数寄せられてまいりました。そのため公団では、そういう方に対しまして口頭または文書によりまして飼育を中止するように注意を喚起しております。大部分の方は理解を示されまして飼育を中止されているのでございますが、中には、再三警告いたしましても飼育をやめられない、さらに問題は、近隣に著しい迷惑がかかっている、そういう現状の方もございます。そういう方につきましては、私どもとしましてはやはり賃貸借契約を解除いたしまして明け渡してもらうことに踏み切らざるを得ないわけでございまして、これに応じられない方については提訴もやむを得ないか、こう考えております。しかしながら、現段階におきましては、まだ具体的に訴訟を提起した例はございません。
  225. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 実はこの件については飼い主のマナー等の問題もあるだろう、こう思いますので、私自身は意見は差し控えますけれども、今後大都市において特にですけれども、中高層住宅の居住者が増加をしてまいります。そうしますと、子供の情操教育という点からしても、あるいは老人だけの居住者ということもあるでしょう、あるいは犬や猫が好きな人もあるでしょうし、そういう人の生活の潤いということのためにもこういうニーズを感じる居住者というのはこれからどんどん増加するのだろう、こういうふうに思うんですね。そうしたときに、そうしたペットとも、あるいはそうしたペットの好きな人とも共存できるような方策を検討する必要があるんじゃないかと思うのです。それはアメリカでも、あるいはヨーロッパでもそうでありますけれども、現実には非常に多くの方がそういうものを飼っていたりいたします。それはマナーも非常にいいのだろうと私は思うんですね。  そういう意味では、どういうふうにしたらこれから共存できるようになるのだろうかということを検討する必要があるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。     〔北口委員長代理退席、委員長着席〕
  226. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 おっしゃるように、ひとり暮らしの老人の場合ペットを飼いたいとか、子供の情操教育でペットを飼いたいという御要望は非常にあろうかと思います。しかし反面、犬や猫は鳴き声を出してうるさいとか、あるいは抜け毛があるとか、あるいはふん尿の問題もございまして、こういう面で逆に、犬や猫が嫌いな人にとってはこれは大変なことになるという両面がございます。  例えば犬を鳴かないように、ほえないように飼育することも可能であるとかいうことも聞いておりますし、今後これはやはり犬や猫の飼い方の問題が非常に大きな要素を占めるのではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、こういう問題については今後の高層住宅の住まい方の問題として、私どもの方でもできる限り勉強はしてまいりたいというふうに考えております。
  227. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 時間が終わりましたのでこれで終了いたしますけれども住宅というのはハードな部分をつくればいいというのじゃなくて、やはりその中で快適な生活を送れるということが必要なんで、そのためにも、先ほど共同住宅における生活の面をいろいろお伺いいたしましたけれども、ぜひ一層の研究、検討をお願いをして、質問を終わります。
  228. 保岡興治

  229. 中島武敏

    中島(武)委員 住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法一部改正案について質問します。  今回の改正案で、特別損失に係る補てん措置を昭和六十年度から昭和六十五年度まで繰り延べをしておられるわけですが、これはなぜこういう措置をとられましたか。
  230. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  住宅金融公庫の補給金というものが大変に増高しておりまして、この増高している補給金、本来ならば、これは予算一般会計から賄っていただければ一番よろしいのでございますけれども、財政事情が非常に厳しくて賄っていただけないというところで、私ども、今回の六十年度予算におきましてもいろいろ努力いたしまして、大蔵省とも議論もしてまいったわけでございますが、五百五十億円というお金はいただいたわけでございますが、まだ不足分をカバーするに至っておりません。そこで、やむを得ずといいますか、今後六十五年まで繰り延べ措置、特別損失の措置というものを延長するということで法律をお願いしているわけでございまして、六十年度には千三十四億の繰り延べを予定させていただいているところでございます。
  231. 中島武敏

    中島(武)委員 六十年度は千三十四億と言われましたが、それから後の六十一年度からはどれだけを予定されるわけですか。大体同じぐらいというふうに考えてよろしいわけですか。
  232. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 六十一年度以降の損失金の額につきましては、今後の事業量の問題もございます。あるいは財投金利がどう変わるかという問題も影響がございます。あるいは補給金を今後どれだけいただけるかという問題とも大きくかかわってくるわけでございまして、今の時点でこれが六十一年以降どういうことになるのか、繰り延べが行われるのか行われないのか、行われるとしたら幾らぐらいかということにつきましては、今ここでお答えできる段階にはないというふうに考えております。
  233. 中島武敏

    中島(武)委員 もう一つお尋ねしますが、住宅金融公庫は今後とも無抽せん貸し出し方式を堅持されるおつもりか。それからまたどれぐらいの戸数、従来五十万戸ぐらいなのですが、これははっきりしたことは言えないかと思いますけれども、やはりその辺は維持していきたいと考えておられますか。
  234. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 無抽せん方式は、先ほど大臣からも御答弁申し上げたのですが、五・五%の金利とあわせまして今後堅持してまいりたいというふうに考えております。  また、戸数の面でございますが、これは過去の、要するに住宅建設の経緯などを見ながら予算に計上していっているところでございまして、例えば六十年度について申しますと、持ち家が若干横ばいないしちょっと減りぎみであり、そして借家が多いというところから、四十九万戸という予算計上で一応いけるのではないか、仮にいけなくても弾力条項を用いまして資金面では御不自由かけない、無抽せん体制は維持できる、そういうことにしておるわけでございまして、今後どうなっていくかは予測としては非常に難しゅうございますが、これは次の五カ年計画とももちろんかかわりがございますけれども、およそ今の傾向でいけばほぼ似たようなところになるのではないか、これは推測でございます。
  235. 中島武敏

    中島(武)委員 六十年度の特別損失金の繰り延べ額が今言われたように千三十四億円、それで六十五年度までこの額で推移すると仮定しますと、六年間の合計は六千二百四億円になります。ですから、六十六年度から七十五年度までの十年間の年度ごとの平均の特別損失金の補てん額はどれぐらいになるか、六百二十億四千万円に達するわけです。一番多いのは七十年、七十一年度でありまして、千三十四億円になるわけです。  もちろん私が今ここで言っております計算、数字には、五十九年度特別損失金のうち六十六年度に国が行う補てん措置分、それから六十年度から六十五年度の特別損失金に係る利子のことはここではちょっと省いているのですけれども、大体そういう計算になると思うのですが間違いありませんね。
  236. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 先生のおっしゃられる前提に立って計算すればまさしくそのようになると思います。
  237. 中島武敏

    中島(武)委員 さらに年平均六百二十億四千万円、これは決して少ない額とはいえないと思うのです。ところで、六十六年度は特別損失金に係る補てん措置そのものがなくなるわけであります。ですから、本来必要な利子補給額四千百四十億円を丸々補給しなければならないということになりますね。それだけで済まない。  それはなぜかといいますと、これに五十九年度特別損失金の六十六年度補給額二百九億円を加えなければなりませんし、それから六十年度の特別損失金の六十六年度補給額二百七億円を加えなければなりませんし、さらに六十年度から六十五年度までの特別損失金に係る利子分四百四十億円を加えなければならない、つまり合計すると四千九百九十六億円になる。非常に大きな額になるのです。これを六十五年度の国が行うべき利子補給金の額、これが三千八百五十三億円ですけれども、これと比較すると一挙に千百四十三億円、三〇%もふえるということになるわけであります。  これは非常に大変な問題じゃないかと私は思うのです。こんなふうに一挙にふえてきてもちゃんと補給することはできるというふうに言えるのかどうか、この点ちょっと伺いたいと思います。
  238. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 今度の繰り延べ措置が終わりまして、六十六年に財政再建が行われるという事態になりますれば、先生のおっしゃった額のとおりになるかどうかは別といたしまして、とにかくそれは七十五年までの間に埋めていただくということになっておりまして、私どもはそれを期待するというか、信じているところでございます。
  239. 中島武敏

    中島(武)委員 私は大臣にお尋ねしたいのです。といいますのは、六十五年度に財政再建ができるかどうか。これはできない危険性が率直に言って非常に強いと思うのですね。現に五十九年度の財政再建というのはできなくて、それで今回のような改正を行うということになってきた。貸付手数料も新設しなければならないというところへ来たのですね。  大蔵省はことしの一月に「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」というものを発表しておりますが、これによりますと、これも大臣御存じのとおりなんです。六十六年度の国債の償還額は十八兆五千五百億円に達する、こうなっているのですね。六十年度予算の社会保障関係費の約二倍という額なんです。しかも特例公債の借りかえ措置をとるということをやっているわけなのでありまして、財政危機はいわば永続的にと言っては言い過ぎかもしれぬけれども、続くという実態じゃないかと思うのです。  そういう中で、一挙に三〇%もふえるというようなものをちゃんと補てんをするということができるのかどうか。そんなことは絶対安心だ、こういうふうに胸張って断言できるかどうかという点をお尋ねしたいのです。これは大臣から答えてもらいたい。
  240. 木部佳昭

    木部国務大臣 政府としましては、御承知のとおり昭和五十八年に「一九八〇年代経済社会の展望と指針」というものを閣議で決定しておるわけでございます。したがって、財政の再建につきましても私どもは最大の努力を払うということでございまして、全力を挙げて取り組んでいかなければならない。したがって、補給金等の問題につきましても、これは住宅政策の根幹をなすものでございますから、私どもは、例えば五・五%の貸付金利の問題等につきましては堅持をしてまいりたいと考えております。
  241. 中島武敏

    中島(武)委員 私は率直に申しますけれども、やはり五十九年度と同じような事態が来る危険性が非常に濃厚だと思うのです。それで再び、特別損失の繰り延べ措置をお願いしますとかあるいは五・五%をもっと引き上げなければならないとかいうような圧力がかけられるという事態が来るような気がしてならぬのです。こういう点を指摘しておきたいと思うのです。  それで、もう一つ関連して私はお尋ねしたい。  それは実はこの前の建設委員会で、東京・港区六本木にある林野庁公務員宿舎跡地の払い下げについて、住都公団をトンネルとして事実上払い下げを受ける業者が決まっているのではないかという趣旨の質問を私はしました。その後の推移を見ますと、私の指摘したとおりになっているということを確信しているわけであります。  報道によりますと、森ビルの森泰吉郎社長は、林野庁の宿舎跡地も森ビルの進めている赤坂、六本木再開発の延長線上だ、こういうふうに言っていますが、建設省、それから住都公団の方の御見解を聞きたいと思うのです。
  242. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 港区六本木の国有地につきましては、住都整備公団が払い下げを受けるかどうかを含めまして検討中でございまして、公団の払い下げが決まっているとか利用計画が決まっているとかそういう段階でございません。ましていわんや、払い下げる先がどこであるか、そんなことが決まっているわけもございません。
  243. 救仁郷斎

    救仁郷参考人 六本木宿舎につきましては林野庁からいろいろお話がございまして、ただ、今の都市計画のままではあの土地は有効利用できません。したがいまして、港区あるいは東京都と御相談いたしまして、都市計画をどういうふうに変更すれば最有効利用ができるか、あるいは港区の御希望に沿えるかということでいろいろ私どもお手伝いはしております。  ただ、ただいま建設省からお話がございましたように、私ども払い下げを受けるんだということもまだ正式に決まっておりませんし、もし仮にそういうことがあったといたしましても、どこに払い下げるんだというようなことも決まっておりません。
  244. 中島武敏

    中島(武)委員 今御答弁がありましたが、ここに財団法人森記念財団が出しております「地区計画の再開発的活用」という、これは御存じと思うのですけれども、この書物を持っています。これは五十八年の三月に出されたものなのです。  それでこれを読んでみますと、その前に森記念財団というのは森ビル株式会社の森泰吉郎社長の業績を記念し、都市再開発などの総合的な調査研究を目的として、五十六年七月に設立されたものであります。六億三千万円の基金もすべて森ビルから出ております。率直に言うと、森ビルのダミーのような財団だというふうに私は思うのです。  ここで地区計画等研究委員会が設けられて、そして港区のG地区について研究をしておりますが、私いろいろ調べてみますと、このG地区というのは今回問題となっております林野庁六本木宿舎跡地を中心とした地域と隣接をしているところであります。それでこのG地区についてどのような開発手法を行うか、検討しておりまして、A案からE案まであるわけです。  ところが、私は非常に問題だというふうに思いますのは、これには建設省の人たちが参画をしているのです。これによりますと、片山正夫審議官ですね、当時は建設省住宅局建築指導課長だったのです。それから田村嘉朗人事課長、当時は都市都市総務課長であります。それから蓑原敬住宅建設課長、当時は都市都市計画課土地利用調整官でありました。こういう人たちが加わっているわけなのです。  それでこれは認められると思うのですが、ちょっと初めに伺っておきましょう。
  245. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 森記念財団の研究の一環としまして、地区計画等研究委員会がございまして、そのメンバーに建設省の職員が参加しておるわけでございます。これは財団の地区計画等研究委員会の活動というものは、公益的な目的を持った市街地環境の整備等に関する勉強会でございまして、先生御存じのように、こういう地区計画であるとか再開発であるとか、こういうものの勉強をいたす場合には、単に机の上だけで空理空論で勉強しても、これは勉強にならないわけでございまして、ケーススタディーといいますか、どこか具体的な地区を見つめながらやっていく必要があるわけでございます。たまたまやったところがその御指摘のG地区であるということでございます。  こういったところの活動に役所の職員が参加するということも、これは再開発にいたしましても、地区計画にいたしましても、所管行政に非常にかかわりの深い仕事でございますので、現職職員が参加することも否定されるものではないというふうに考えております。  また御指摘のG地区でございます。確かに六本木の農林省の宿舎跡地と隣接はいたしておりますが、これは先生もあるいは御存じと思いますが、その両地区の間には大きな段差といいますか、高低差がございまして、これはその地域と地区としましては全然別個なものでございます。したがいまして、これを両方関連づけて再開発とかそういうものが行われる種類のものでは決してないというふうに理解いたしております。
  246. 中島武敏

    中島(武)委員 当然のような答弁なのですけれども、私はこの間もこのことについて申し上げたのじゃないのだけれども、こういうやり方はやはり非常に疑惑を招くと思うのですね。それでこれは率直なあれですけれども、民間デベロッパーと建設省が癒着をしているのじゃないか、こういうふうに言われても仕方がないというふうに私は思うのです。今はメンバーがかわったけれども建設省からやはり現在も参加しておられるわけですね。それから、この財団の評議員にも、都市局長住宅局長住宅金融公庫総裁、それから住宅都市整備公団総裁が加わっているわけであります。それで私は、誤解を招かないためにもやはりこういう点は出席をしないとか辞任をするとかということをやるべきじゃないかというふうに思うのです。  実は、きのうも東京都議会の決算委員会でもこのことが問題になりまして、私の聞いている限りで言えば、今後オブザーバーに変えることなども含めて、誤解を受けることのないように検討していきたいという答弁があったようであります。  大臣どうですかね。私はやはりこの種の問題というのは、公正、どこからも疑われないというふうにやっていくのが一番いいというふうに思っているのです。どうですか。
  247. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私からちょっと御説明申し上げたいと思います。  私どもといたしましては、公益法人の役員に私どもの職員が参加するといいますか就任するということは、従来から認めておりません。ただ、特に学術研究団体で、他省庁関係の学会等の関係でどうしてもその方が無報酬で役員になるという場合が間々ございますが、私どもが直接関係しております公益法人につきましては行っておりません。  ただ、評議員というのは役員ではなくて、それらの公益法人がやはりその目的に従って的確に運営されるためのいわば諮問機関的な性格を持っておりまして、そういうようなものは、私どもまた行政を預かる立場として、そういう諮問機関のメンバーとして参加することはあり得ることだと考えております。  それからまた勉強会などを開く場合に、やはり学識経験者の一人としてメンバーに参加してもらいたいというようなことにつきまして、これを委員という表現で使ったり、あるいはまた勉強会の単なるメンバーとして参加する等のようなことがございますが、これはそれぞれのケースに応じまして、勤務に支障があるかないかを判断いたしまして、承認するかどうかをいたしております。私どももそういう意味で純粋な公益法人の目的を達成するための勉強会であるというような場合には、ある程度参加を認めておりますが、これは具体の個々の問題といたしまして、ケース・バイ・ケースで判断をしていきたいというふうに思っております。
  248. 中島武敏

    中島(武)委員 私は今の答弁は納得しないのですけれども、内閣審議室来ておられますか。  ちょっと委員長、資料の配付をお許しいただきたいのですが……。
  249. 保岡興治

    保岡委員長 はい。
  250. 中島武敏

    中島(武)委員 実は今配付をしておりますものは議事録の中身、国有地等有効活用推進本部の企画小委員会の議事録であります。それで、これはワープロで打ち直してあるのですけれども、現物はこれなのです。ちょっと見ていただきたいのですけれども、この間もちょっと私はこの問題に関してお尋ねしたのですが、内閣審議室にお尋ねしたいのは、こっちの方を見てもらってもいいいのですけれども、間違いないと思うのですが、どうですか。
  251. 松山雅昭

    ○松山説明員 お答え申し上げます。  今私このワープロで打たれました資料を初めて拝見するわけでございますけれども、少し読ませていただきますとあれでございますが、五十九年十二月三日企画小委員会を開きましたということは、私の記憶から考えまして間違いないのじゃないか。  ただ、細かく議事録の中身が書いてありますけれども、ちょっと私の記憶にもございませんし、事細かな、そういう企画小委員会自体が非公開の場であるということもございまして、このような正確な議事録というふうなものをつくってはおりません。  以上でございます。
  252. 中島武敏

    中島(武)委員 今ワープロのものを見てもらったわけなんですが、これがそれなんです。ちょっと見てもらいたい。
  253. 松山雅昭

    ○松山説明員 お答え申し上げます。  あくまでも先ほど申し上げましたように、企画小委員会というのは内部の会議でございまして、外に一切公表しないということもございます。  今、先生の方から資料を拝見いたしましたけれども、果たしてこの資料なるものがいわゆる議事録と言われるものであるかどうかという点については、コメントを差し控えさせていただきます。
  254. 中島武敏

    中島(武)委員 これは間違いないと思うのです。後でゆっくり読んでもらったら間違いないことが一層確実になると思うのです。  それで、これを読んでいただきますとおわかりになりますが、非常に重要なことが書かれているのです。例えば一番最初のところを見ていただきますと、「林野庁六本木宿舎については、港区は、住宅、しかも住都公団による賃貸住宅を希望していた。結局、公団が基盤整備を行い、一部を賃貸住宅とし、残りを民間に処分することになった。」こういうふうに書かれているのですね。何かいかにも決まったというふうに書かれているという点については、果たしてこうなのかということを大蔵省にお尋ねしたい。  時間がないのでちょっと急ぎます。その次に、今度は新宿西戸山の問題についてはどうか、見ていただきたいのですが、大蔵省から説明があってこれに対して副長官が、「新宿・西戸山がうまくいかなくなる可能性があるのは何故か。」こういう質問をしている。それに対して、「地元町内会がアンケート調査を行っており、区としてもそれをふまえる必要があると言っているからである。また、共産党が反対署名運動を行っている。」ということを言い、建設省が、「日照権の影響もないはずなので、いずれはうまくいくと思う。ただ、次の審議会となると五月になる。」こういうふうに言っている。それで最後の締めくくりのあいさつの中で、これはその次のおしまいの方にありますが、副長官のあいさつで、「新宿・西戸山については都市計画決定を急ぐことこういうふうに言っているわけであります。  都市計画決定を急ぐことというふうなことを言うことは、率直に言って地方自治に対するいわば介入といいますか圧力といいますか、ということではなかろうかというふうに考えるわけです。これは建設省として一体どうなのかという点をお尋ねしたいのです。  それから、最後に僕は大臣にお尋ねしたいのですけれども、今も言ったのですけれども、まだ払い下げが六本木は決まっているのじゃないですけれども決まっているように書いてある。事態は、一体本当のところはどうなのかということをよく厳正に調査をしてほしいということ。それから西戸山については、五月の都計審に諮ると言っている。とんでもないことだと私は思っているのです。  と言いますのは、六本木も同じことでありますけれども、やはり住民、区議会の意向を十分尊重しなければいかぬと思うのです。六本木につきましても、区議会から三月二十六日付で建設大臣あてに要望が出されているので、建設大臣はよく御存じだと思うのです。公団住宅をつくってほしいという中身のものであります。そういうことから言うと、やはり住民や区議会の意向というものを十分尊重してやっていくべきではないかというふうに考えます。時間もないことでありますので、それぞれ公団も含めて御答弁をいただきたいと思います。
  255. 保岡興治

    保岡委員長 既に質疑の時間を終了していますから簡潔明瞭に答えてください。
  256. 松原青美

    ○松原(青)政府委員 先般から引き続きの御質問でございますので、私がお答えさせていただきます。  十二月三日の私の記録を調べましたら、私も出席いたしてございます。ただ、この議事録は私は初めて見るわけでございまして、果たして先生御指摘の箇所の六本木の宿舎につきましてこういう発言があったのかどうか、記憶いたしておりませんが、印象に残っていないところを見ると、こういう趣旨はなかったのじゃないかと思います。この前御質問がありまして、当日の会議の配付資料を見ましたら、この六本木につきましては住都公団に払い下げで検討中というような資料がついていたと思います。そういう資料が大蔵省からたしか配られたはずでございますから、こういうような説明があったかどうか、記憶は定かではございませんが、私の記憶にないところを見ると、なかったのではないかと思っております。  それから今度は、私の発言のところでございます。建設省と書いてありますのは、当日私が発言したことだろうと思いますが、このときこう発言したかどうか正確に記憶いたしてございませんが、この西戸山の問題につきましては、新宿区と基本的には計画の概要について合意ができております。そういうことを考えますと、もちろん日照の問題もクリアいたしておりますし、いろいろの問題をクリアいたしておるわけでございますから、いずれうまくいくだろうという考え方は当時から持っておったわけでございます。  それで、最後の副長官の発言メモというところで、「都市計画決定を急ぐこと、」と書いてあるという御指摘がありましたが、果たしてこういう発言があったどうかもはっきりいたしておりませんが、しかしながら、都市計画決定を急ぐようにという特段の指示はいただいておりません。
  257. 救仁郷斎

    救仁郷説明員 先ほど申し上げましたようにまだ決定はしておりませんが、いろいろ諸官庁の御指導を受けながら適切な処置をとってまいりたいと思います。
  258. 吉川共治

    ○吉川説明員 お答えいたします。  ただいまの六本木の関係の大蔵省の発言でございますが、私も今資料を見さしていただきましたので、そのときどういう発言があったのか、全く記憶にございませんが、と申しますのは、主として民活財産の処理状況、今後の状況について大蔵省は説明しておりまして、その中で資料としては六本木宿舎のことが上がっておりますので、多分その関係で発言があったのではないかと思います。  ただ、これにつきましては、先ほど松原総務審議官から御発言がございましたように、随契予定ということで住都公団は検討中というような形になっておりますので、あのような断定的な発言があったとはちょっと考えられない次第でございます。  以上でございます。
  259. 木部佳昭

    木部国務大臣 港区の区議会から要望書は私ちょうだいいたしております。
  260. 中島武敏

    中島(武)委員 時間が参りましたので終わります。
  261. 保岡興治

    保岡委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました     —————————————
  262. 保岡興治

    保岡委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。北口博君。
  263. 北口博

    ○北口委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案について賛成の意向を表明するものであります。  本法律案は、住宅金融公庫の業務等について、宅地造成資金貸し付け対象者拡大災害復興住宅購入資金貸し付けの新設、住宅改良資金貸し付け償還期間延長貸付手数料の新設及び公庫の特別損失に係る補てん措置等の措置を講じようとするものであります。  これらは、国民住宅に対する要望にこたえて、良質な住宅等の取得を容易にするため、最近における国の財政事情、経済の事情や公庫の財政の健全確保の必要等に照らし、可能な限り、最大限の改善を図った妥当な措置と考えるものであります。  以上、本法律案に対する賛成の理由を申し述べて、賛成討論を終わります。(拍手)
  264. 保岡興治

  265. 井上泉

    井上(泉)委員 住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅等建設促進法の一部を改正する法律案に対して、私は反対討論を行うものであります。  私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいまの政府原案に対し反対の討論を行います。  政府原案は、その内容を子細に検討すれば、国民の生存権、国の社会保障義務を明確に規定した憲法第二十五条、及び、それに基づき国民の居住における最低生活水準を保障し、トータルとしての国民の居住水準を引き上げることを目的とする住宅金融公庫法の基本精神に違背することは明らかであり、我々には断じて容認できるものではありません。  住宅金融公庫法第一条には「国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設及び購入に必要な資金で、銀行その他一般金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」と明確に書かれています。  また、昭和二十四年二月十九日、当時の建設大臣の諮問機関、住宅対策懇談会がその答申書に添えて提出し、後の住宅金融公庫法制定の原案となった「住宅金融公社要綱」の中でも、「勤労庶民のための住宅建設資金で、他の金融機関から供給を受けることが困難なものを供給する法人であること」がはっきりとうたわれているのであります。  したがって、住宅金融公庫法が、住宅建設を希望しつつも資金不足のためそれができないでいる国民資金を融通することを目的とするものであり、営利を追求する民間企業のために資金を融通するためのものでないことは明らかであります。  しかるに、政府原案は、宅地造成資金貸し付け対象者拡大と称し、営利追求の民間デベロッパーへの直接融資の道を安易に拡大するものであり、それは、国民生活向上のための助成を大手不動産業振興のための助成に変質させ、究極的には住宅金融公庫制度の崩壊につながりかねないものであり、我が党はこれに反対であります。  振り返れば、昭和二十五年、住宅金融公庫制定の際、我が党を代表して前田委員討論を行い、営利を目的としない、生活協同組合などの法人に対しては、将来、融資の道を開くべきだという内容の希望を述べております。このことから、公庫法制定当時には、非営利法人を含むいかなる法人に対しても融資は許されなかったということがわかります。ところが、営利を目的とする大手不動産業者などの法人にも直ちに融資の道を拡大するのが今回の措置であり、公庫法の基本精神に違背することは明白であります。しかも、近年、大手民間デベロッパーが、住宅建設融資を受ける際の信用を肩がわりするかに見せかけて、一般国民の財産を不正に取得する事件があるとの情報もあり、今回の措置がその種の傾向を助長しないかどうか、大いに懸念されるところであります。  それに加うるに、四万円程度と言われる貸付手数料の新設も、公庫法第一条及び憲法第二十五条と矛盾するものであります。国民は、憲法に保障された生存権、居住権の裏づけとして住宅金融公庫による融資を受けるのであって、手数をかけたからといってわざわざ新たな手数料を支払うたぐいのものとは考えられないのであります。  しかも、この手数料の内容が政令で定められることも極めて重要であります。すなわち、新たな立法措置を経ることなく、手数料の金額を政府の判断で引き上げることも可能なのであります。そうなりますと、一説のように、来年度七万円に引き上げられる可能性はもちろんのこと、将来、十万円、二十万円と上昇する可能性も否定できないのであります。  また、今回の手数料導入が、貸付金利それ自体の引き上げのための布石にならないとも限らないのであります。  確かに、いわゆる臨調行革による締めつけのため、各省庁、各部局の間で微妙な調整が必要だったこと、もしくは、限られた予算の中で、住宅改良資金の貸付条件の改善等、いろいろな工夫が行われたことは我々も認めるところであり、また敬意を表するところであります。しかしながら、前述したような住宅金融公庫制度の基本精神に違背する措置が含まれていることを重大であると考え、政府原案に対し、反対の意思を表明するものであります。  なお、国民の生存権、居住権を保障するための施策としては、良質で低廉な公共賃貸住宅の量的拡大もあわせて必要であることを提言し、私の反対討論を終わります。(拍手)
  266. 保岡興治

  267. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案に対して反対討論を行います。  反対する第一の理由は、貸付手数料を徴収する制度を新たに設けたことであります。  これは住宅金融公庫法第一条で、国民が「健康で文化的な生活を営むに足る住宅」を建築するために、低利融資を行うことを住宅金融公庫の目的として定めた趣旨に真っ向から背くという点で、高金利政策に道を開いた段階制金利の導入に次ぐ改悪と言わなければなりません。なぜなら、貸付業務は住宅金融公庫本来の業務であるにもかかわらず、その業務に要する費用国民に転嫁するものであって、第二次臨調答申等が強調している受益者負担の制度を導入したものであります。  また、今回設けられた手数料徴収制度は、今後の経済事情の変動いかんによっては、手数料の値上げを行い得るものでもあります。この貸付手数料徴収制度は、将来廃止すべき性質のものであり、到底容認できないものであります。  反対のもう一つの理由は、昭和五十九年度の財政再建が失敗したにもかかわらず、またまた、一般会計からの利子補給金の不足分を特別損失と称して、昭和六十年度から六十五年度の六年間について補給を繰り延べ、六十六年度から国の交付金で補てんする措置がとられ、これによって、将来、現行の貸付金利の引き上げが行われる危険性が高まっていることであります。  六十六年度には特別損失の措置はなくなり、本来必要である利子補給に六十年以降の特別損失に係る交付金が加算され、国の住宅金融公庫に対する予算額は、六十五年度に比較して、私の試算によれば一挙に千百四十三億円の増加、伸び率にして三〇%増となることが予想されます。  特別損失の名のもとに国が当然公庫に支払うべき利子補給金を繰り延べることは、自民党政府によって引き起こされた国の財政破綻を、公庫から国が借金をした形で後年度にしわ寄せするにすぎないものであります。  しかも、重要なことは、六十五年度に国の財政再建が成功するという展望は極めて暗いと断ぜざるを得ないのであります。我が党は、五十七年度の本法改正に際して、提案されていた五十九年度における財政再建が不可能であるという見地を明確にいたしました。そして、その結果は、我が党が指摘したとおりになったのであります。六十六年度といえば、大蔵省が今年一月に提出した「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」によれば、国債の要償還額は十八兆五千五百億円に達します。これは、六十年度予算の社会保障関係費九兆三千二百億円の約二倍という驚くべき額であります。  こうしたことを考え合わせると、利子補給金の繰り延べ分が返されるどころか、将来、それが貸付金利の一層の引き上げに転嫁される危険が大きいと言わなければなりません。このように自民党政府の責任による財政破綻の結果を国民に転嫁させることは、絶対に容認できないのであります。  以上、本法案に反対の理由を述べ、討論を終わります。(拍手)
  268. 保岡興治

    保岡委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  269. 保岡興治

    保岡委員長 これより採決に入ります。  住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  270. 保岡興治

    保岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  271. 保岡興治

    保岡委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、桜井新君外四名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。桜井新君。
  272. 桜井新

    ○桜井委員 ただいま議題となりました住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 国民の住生活の安定向上を図るため、住宅金融公庫融資については、その根幹的金利の維持と融資戸数の確保等貸付け条件の維持・充実に引き続き努めるとともに、公庫に対する利子補給等の財政援助に特段の配慮をはらうこと。  二 公庫に対する利子補給については、国の会計制度及び財政の健全化の原則に照らし、今後特例的措置を常態化させることのないよう特段の配慮をすること。  三 公庫貸付金の繰上げ償還がなお一層推進されるようその方策を検討すること。  四 第五期住宅建設五箇年計画の策定に当たつては、地方公共団体をはじめ、国民各層の意見を十分に参酌するとともに、適正な家賃の公共賃貸住宅供給の推進に努めること。  右決議する。 以上であります。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  273. 保岡興治

    保岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  274. 保岡興治

    保岡委員長 起立総員。よって、桜井新君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、木部建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。木部建設大臣
  275. 木部佳昭

    木部国務大臣 住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重し努力してまいる所存でございます。  ここに、この法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手)     —————————————
  276. 保岡興治

    保岡委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  277. 保岡興治

    保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  278. 保岡興治

    保岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十四分散会