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1985-05-29 第102回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年五月二十九日(水曜日)     午前十時六分開議 出席委員   委員長 安井 吉典君    理事 糸山英太郎君 理事 白川 勝彦君    理事 東家 嘉幸君 理事 林  大幹君    理事 新村 勝雄君 理事 貝沼 次郎君    理事 玉置 一弥君       小坂徳三郎君    小山 長規君       桜井  新君    森下 元晴君       渡部 恒三君    五十嵐広三君       上原 康助君    金子 みつ君       中村 重光君    斉藤  節君       春田 重昭君    中川利三郎君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         労 働 大 臣 山口 敏夫君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (国土庁長官) 河本嘉久蔵君  出席政府委員         北海道開発庁総          務監理官    西原  巧君         北海道開発庁計         画監理官    滝沢  浩君         国土庁長官官房         長       永田 良雄君         国土庁長官官房         会計課長    北島 照仁君         国土庁長官官房         水資源部長   和気 三郎君         国土庁大都市圏         整備局長    佐藤 和男君         労働大臣官房長 小粥 義朗君         労働大臣官房会         計課長     若林 之矩君         労働大臣官房審         議官      中村  正君         労働大臣官房審         議官      野見山眞之君         労働省労働基準         局長      寺園 成章君  委員外出席者         防衛施設庁労務         部労務厚生課長 會田 正一君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第一課長   里田 武臣君         科学技術庁計画         局計画課長   川崎 雅弘君         沖縄開発庁振興         局振興第三課長 西田 幸男君         法務省刑事局刑         事課長     東條伸一郎君         大蔵省主計局司         計課長     西澤  裕君         国税庁税部資         産税課長    庄島  修君         国税庁調査査察         部査察課長   野口 卓夫君         通商産業省産業         政策局商政課長 山下 弘文君         通商産業省立地         公害局石炭課長 鈴木 英夫君         工業技術院総務         部計画課長   中島 邦雄君         運輸省地域交通         局交通計画課長 圓藤 壽穂君         運輸省地域交通         局自動車業務課         長       永井 隆男君         建設省建設経済         局総務課長   城野 好樹君         建設省都市局都         市計画課長   鈴木 政徳君         建設省河川局開         発課長     志水 茂明君         建設省道路局高         速国道課長   布施 洋一君         会計検査院事務         総局第三局長  小川 一哉君         会計検査院事務         総局第四局長  磯田  晋君         会計検査院事務         総局第五課長  秋本 勝彦君         北海道東北開発         公庫総裁    吉岡 孝行君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ————————————— 委員の異動 五月二十三日  辞任         補欠選任   中村 重光君     多賀谷眞稔君 同日  辞任         補欠選任   多賀谷眞稔君     中村 重光君 同月二十八日  辞任         補欠選任   中川利三郎君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   津川 武一君     中川利三郎君 同月二十九日  辞任         補欠選任   金子 みつ君     五十嵐広三君   中村 重光君     上原 康助君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     金子 みつ君   上原 康助君     中村 重光君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十七年度政府関係機関決算書  昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十七年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管北海道開発庁国土庁)、北海  道東北開発公庫労働省所管〕      ————◇—————
  2. 安井吉典

    安井委員長 これより会議を開きます。  昭和五十七年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管北海道開発庁国土庁北海道東北開発公庫及び労働省所管について審査を行います。  それでは、順次概要説明を求めます。  まず、河本国務大臣から北海道開発庁及び国土庁について概要説明を求めます。河本国務大臣
  3. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 昭和五十七年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁は、北海道総合開発計画について調査立案し、及びこれに基づく事業実施に関する事務調整推進を主たる任務としております。  当庁に計上されている経費は、北海道開発事業費北海道開発計画費一般行政費等でありますが、このうち開発事業費につきましては、総合開発の効果的な推進を期するため一括計上されているものでありまして、治山治水対策道路整備港湾漁港空港整備農業基盤整備等事業費であります。  これら開発事業執行に当たりましては、関係各省所管一般会計への移しかえまたは特別会計への繰り入れ措置を講じ、直轄事業については北海道開発局が、補助事業については道、市町村などが実施に当たっているものであります。  昭和五十七年度の当初予算額は七千百十四億八千四百二十五万円余でありましたが、これに予算補正修正減少額八億五千五百一万円余、前年度繰越額二億九千六百六十四万円余、予算移しかえ増加額三千六百七万円余を増減いたしますと、昭和五十七年度総額は七千百九億六千百九十五万円余であります。  この総額のうち、前述のとおり開発事業執行のため、関係各省所管への予算移しかえ減少額が二千九百二十三億九千九百三十五万円余ありまして、昭和五十七年度北海道開発庁歳出予算現額は四千百八十五億六千二百六十万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は四千百七十六億八千二百五十七万円余、翌年度繰越額三億四千八百四十六万円余でありまして、その差額五億三千百五十六万円余は不用額であります。  次に、各省所管別移しかえ及び繰り入れ状況を申し上げますと、移しかえた額は、厚生省所管へ五千二百六十八万円余、農林水産省所管へ二千百八十九億六千三百七十一万円余、運輸省所管へ五億九千四百九十九万円余、建設省所管へ七百二十七億八千七百九十五万円余、合計二千九百二十三億九千九百三十五万円余であります。  また、特別会計への繰り入れとして支出した額は、農林水産省所管国有林野事業特別会計へ百二十八億三千八百四十五万円余、運輸省所管港湾整備特別会計へ四百二十四億八千三百万円、運輸省所管空港整備特別会計へ九十三億九千六百五十六万円余、建設省所管治水特別会計へ九百十三億五百四十三万円余、建設省所管道路整備特別会計へ二千十八億七千六百万円、合計三千五百七十八億九千九百四十五万円余であります。  次に、その他の経費支出につきましては、北海道開発庁一般行政費百九億三千百七十七万円余、北海道開発計画費一億九百五十五万円余、北海道開発事業指導監督費四億一千五百六十八万円余、北海道開発事業の各工事諸費四百八十二億一千百二十二万円余、北海道特定開発事業推進調査費七千八百七十九万円余、科学技術振興調整費三千三百七十万円余、災害対策総合推進調整費二百三十七万円余であります。  以上が昭和五十七年度北海道開発庁決算概要であります。  最後に、昭和五十七年度決算検査報告におきまして、指摘を受けた事項がありましたことはまことに遺憾であります。  指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正措置を講じたところであります。  今後は、このようなことのないよう十分注意する所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  国土庁昭和五十七年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十七年度の当初歳出予算額は二千四百九億六千九百三十八万円でありましたが、これに予算補正修正減少額八億七千七百九十七万円余、予算移しかえ増加額三百八十五万円余、予算移しかえ減少額千百八十億六千百六十三万円余、前年度繰越額三十二億五千七百二十八万円余を増減いたしますと、昭和五十七年度歳出予算現額は千二百五十二億九千九十一万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額千二百二十二億七千二百十四万円余、翌年度繰越額二十一億二千八百八十八万円、不用額八億八千九百八十九万円余となっております。  次に、支出済み歳出額の主なものは、離島振興事業費三百八十四億八千七百八十万円余、水資源開発事業費二百五十三億六千三百二十万円余、揮発油税等財源離島道路整備事業費二百十八億八千九百万円、国土庁百三十六億五百四十八万円余、国土調査費九十六億七千百九万円余、国土総合開発事業調整費七十三億七千五百十二万円余、小笠原諸島振興事業費二十億五千八百十一万円余、航空機燃料税財源離島空港整備事業費十四億六千四百万円、振興山村開発総合特別事業費六億六千三百六万円余、離島振興特別事業費五億七千六百九十八万円余等であります。  さらに、翌年度へ繰り越した主なものは、離島振興事業費十二億八千七百九十四万円余、水資源開発事業費六億千六百九十四万円余等であります。  また、不用額の主なものは、防災集団移転促進事業費補助金二億八千六百三十二万円余、土地利用規制等対策費補助金二億七百十万円余等であります。  以上が昭和五十七年度国土庁歳出決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 安井吉典

  5. 小川一哉

    小川会計検査院説明員 昭和五十七年度北海道開発庁決算につきまして検査いたしました結果の概要説明させていただきます。  検査報告に掲記いたしましたものは不当事項一件であります。  これは、トンネル工事の施行に当たり、アーチ部の覆工コンクリート等設計と相違して施工したものであります。  この工事は、一般国道二百七十八号豊浦道路改良の一環として延長千三百五十五メートルのトンネルを新設する工事でありまして、五十七年度は、上部半断面掘削四百十メートル、アーチ部鋼製H型支保工四百十基及びアーチ部の覆工コンクリート三百三十六メートルなど延長八百五十メートルを施工したものでありますが、このうち延長四十二メートルのアーチ部の覆工コンクリート等の施工が設計と相違していて工事が不良となっている事態でございます。  次に、昭和五十七年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果を説明させていただきます。  検査の結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。
  6. 安井吉典

  7. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 昭和五十七年度北海道東北開発公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  8. 安井吉典

  9. 吉岡孝行

    吉岡説明員 北海道東北開発公庫昭和五十七年度決算について、概要を御説明申し上げます。  当公庫昭和五十七年度事業計画は、当初、総額千六百億円の出融資うち貸付金千五百八十五億円、出資金十五億円)を予定しておりました。これに対し、実績は、貸付金千二百四十二億三千二百万円、出資金八億五千四百万円で、昭和五十七年度出融資合計は千二百五十億八千六百万円となり、前年度実績に比較し、二一・八%の減少となりました。  これらの出融資の原資といたしましては、政府出資金二十億円、政府借入金五百四億円、債券発行による収入七百十七億四十万円及び自己資金九億八千五百六十万円、合計千二百五十億八千六百万円をもってこれに充てました。  次に、昭和五十七年度収入支出状況を御説明いたしますと、収入済み額は、収入予算額六百五十六億一千一百六十九万円余に対し六百三十四億九千九十四万円余、支出済み額は、支出予算額六百五十五億五千三百六十八万円余に対し六百三十八億七千九百七十六万円余でありました。  また、昭和五十七年度損益状況でございますが、貸付金利息収入等益金総額が八百三十四億二千九百三十三万円余、支払い利息事務費等損金総額が、滞貨償却引当金繰り入れ前で七百九十三億二千四百六万円余となり、差額四十一億五百二十七万円余を全額滞貨償却引当金繰り入れたため、利益金は生じませんでした。  さらに、昭和五十七年度末における資産負債状況を御説明いたしますと、主な資産は、貸付金八千二百三十億一千三十九万円余、出資金九十億九百万円、主な負債は、政府借入金三千二百六十八億四千七百五万円余、債券発行高四千八百三十六億二千四百二十万円、滞貨償却引当金四十一億五百二十七万円余であります。また、政府出資金は二百六十六億円であります。  なお、昭和五十七年度末における貸付金のうち弁済期限を六カ月以上経過したものは、四十六億七千八百四十四万円余でありまして、これは貸付金残高に対して〇・五%になっております。  以上、昭和五十七年度北海道東北開発公庫決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  10. 安井吉典

    安井委員長 次に、労働大臣から概要説明を求めます。山口労働大臣
  11. 山口敏夫

    山口国務大臣 労働省所管昭和五十七年度決算について、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算について申し上げます。  歳出予算現額は、五千二百八十三億三千七百九十七万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額四千九百五十四億二千四十九万円余、予備費使用額三百二十九億一千七百四十八万円余となっております。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額五千二百二十三億二千五百八十五万円余、不用額六十億一千二百十二万円余で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額の主なものについて申し上げますと、雇用保険国庫負担金及び失業対策事業費等であります。  これらの経費は、雇用保険法に基づく求職者給付等に要する費用の一部負担及び緊急失業対策法に基づき実施した失業対策事業に要したもの等でありますが、このうち失業対策事業の主な実績は、事業主体数五百九十九カ所、事業数二千三百七、失業者吸収人員一日平均五万七千人余となっております。  なお、不用額の主なものは、特定地域開発就労事業費等であります。  次に、特別会計決算について申し上げます。  まず、労働保険特別会計について申し上げます。  この会計は、労働保険特別会計法に基づいて昭和四十七年度に設置されたものであり、労災勘定雇用勘定及び徴収勘定に区分されております。  初めに労災勘定について申し上げます。  歳入につきましては、歳入予算額一兆四千八百六十五億百八十九万円に対しまして、収納済み歳入額一兆四千三百十五億七千七百五十八万円余でありまして、差し引き五百四十九億二千四百三十万円余の減となっております。これは、徴収勘定からの受け入れ予定より少なかったこと等によるものであります。  次に、歳出につきましては、歳出予算現額一兆四千八百六十八億三千六百三万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額一兆四千八百六十五億百八十九万円、前年度繰越額三億三千四百十四万円余であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額八千七百二十七億一千百四十四万円余、翌年度繰越額一億四千七百七十一万円、不用額六千百三十九億七千六百八十七万円余で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額の主なものは、労働者災害補償保険法に基づく保険給付に必要な経費及び労働福祉事業に必要な経費等であります。  この事業実績概要について申し上げます。  保険給付支払い件数は五百四十四万四千件余、支払い金額は六千三百五十億二千八百五十九万円余となっております。  なお、不用額の主なものは、支払い備金等に充てる経費であります。  次に、雇用勘定について申し上げます。  まず、歳入につきましては、歳入予算額一兆七千二百五十二億三千七百二十三万円余に対しまして、収納済み歳入額一兆五千七百二十二億五十八万円余でありまして、差し引き一千五百三十億三千六百六十四万円余の減となっております。これは、予備費を使用することが少なかったこと等により積立金からの受け入れが少なかったこと等によるものであります。  次に、歳出につきましては、歳出予算現額一兆七千二百五十三億五千七百二十三万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額一兆七千二百五十二億三千七百二十三万円余、前年度繰越額一億二千万円であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額一兆五千三百六十一億八千七百二十七万円余、翌年度繰越額三億五千四百四十六万円余、不用額一千八百八十八億一千五百四十九万円余で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額の主なものは、雇用保険法に基づく失業給付に必要な経費及び雇用安定事業等事業に必要な経費等であります。  この事業実績概要について申し上げます。  失業給付のうち、一般求職者給付及び日雇い労働求職者給付月平均受給者人員は、一般求職者給付八十二万七千人余、日雇い労働求職者給付十万七千人余。  また、短期雇用特例求職者給付及び就職促進給付受給者数は、短期雇用特例求職者給付七十二万四千人余、就職促進給付四万七千人余でありまして、支給金額は、一般求職者給付一兆四百四十二億七千四百三十万円余、日雇い労働求職者給付二百九十六億五千九百八万円余、短期雇用特例求職者給付一千五百二十一億七千五百四十四万円余、就職促進給付六十億三千九百二十八万円余となっております。  また、雇用安定事業等事業に係る支出実績は、支出済み歳出額二千四百八十億五千六百七万円余となっております。  なお、不用額の主なものは、雇用安定等事業費等であります。  次に、徴収勘定について申し上げます。  まず、歳入につきましては、歳入予算額二兆二千四百六十三億五千四百六十四万円余に対しまして、収納済み歳入額二兆一千六百九十億七十六万円余でありまして、差し引き七百七十三億五千三百八十八万円余の減となっております。これは、労災保険有期事業に係る保険料収入予定より少なかったこと等によるものであります。  次に、歳出につきましては、歳出予算現額及び歳出予算額とも二兆二千四百六十三億五千四百六十四万円余であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額二兆一千六百八十三億二千五百九十七万円余、不用額七百八十億二千八百六十七万円余で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額の主なものは、労災勘定及び雇用勘定への繰り入れに必要な経費であります。  この事業実績概要について申し上げますと、労災保険適用事業場数百九十四万余、労災保険適用労働者数三千三百五十九万人余、雇用保険適用事業場数百三十五万二千余、一般雇用保険適用労働者数二千五百九十九万人余、日雇雇用保険適用労働者数十五万人余となっております。  なお、不用額の主なものは、他勘定繰り入れに必要な経費であります。  最後に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計のうち、労働省所掌分炭鉱離職者援護対策費及び産炭地域開発雇用対策費歳出決算について申し上げます。  歳出予算現額及び歳出予算額とも百八十七億三百二十五万円余であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額百八十億四千二百八万円余、不用額六億六千百十六万円余で決算を結了いたしました。支出済み歳出額の主なものについて申し上げますと、炭鉱離職者緊急就労対策事業に必要な経費及び産炭地域開発就労事業に必要な経費であります。  これらの事業実績概要について申し上げます。  まず、炭鉱離職者緊急就労対策事業につきましては、事業主体数四十三カ所、事業数二百十三、就労人員延べ五十二万一千人余となっております。  次に、産炭地域開発就労事業につきましては、事業主体数四十七カ所、事業数百八十二、就労人員延べ七十万二千人余となっております。  なお、不用額の主なものは、炭鉱離職者援護対策費であります。  以上が労働省所管に属する昭和五十七年度一般会計及び特別会計決算概要であります。  なお、昭和五十七年度決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。  これらの指摘事項につきましては、鋭意改善に努め、今後このような御指摘を受けることのないよう一層努力をいたしたいと存じます。  以上をもちまして、労働省所管に属する一般会計及び特別会計決算説明を終わります。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  12. 安井吉典

  13. 磯田晋

    磯田会計検査院説明員 昭和五十七年度労働省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十八件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項一件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号一二〇号は、身体障害者職業訓練校等運営委託に当たび、委託費の精算が適切を欠いたため、支払い額が過大となったものであります。  これらの委託契約は、身体障害者等に対し職業訓練等実施するために労働省が設置している中央身体障害者職業訓練校等運営を、身体障害者雇用促進協会に委託し、本件業務実施するために必要な人件費等委託費として交付しているものでありますが、委託費を精算するに当たり、同協会職員退職手当規程により退職手当支給しないことになっているため積み立てる必要がない雇用促進事業団からの出向職員に係る退職手当積立金等積立金繰り入れ委託費を精算していたものであります。  また、検査報告番号一二一号は、労働保険保険料徴収に当たり、徴収額過不足があったものであります。  これは、事業主が提出した確定保険料申告書において保険料算定の基礎となる賃金総額が事実と相違していたことなどにより、徴収額過不足があったものであります。  また、検査報告番号一二二号は、雇用保険失業給付金支給が適正でなかったものでありまして、失業給付金受給者が再就職しておりますのに、引き続き失業給付金のうちの基本手当等支給しており、給付の適正を欠いたものであります。  また、検査報告番号一二三号は雇用保険特定求職者雇用開発助成金の支給が適正でなかったものであります。  この助成金は、高年齢者等特定求職者の雇用の増大を図るため、特定求職者を雇用した事業主に対して、その特定求職者に支払った賃金の一部を助成するものでありますが、その支給要件を欠いておりましたのに給付金を支給しており、給付の適正を欠いていたものであります。  また、検査報告番号一二四号から一三五号までの十二件は、職業訓練関係補助金の経理が不当と認められるものであります。  この補助金は、職業訓練法に基づいて、都道府県知事が、中学校卒業者等に職業に必要な技能を習得させるため職業訓練を実施した場合などに、その都道府県に対してこれらに要する費用の一部を補助するものでありますが、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたり、事業費を過大に精算していたりしていたものであります。  また、検査報告番号一三六号は産業医学助成費補助金の経理が不当と認められるものであります。  この補助金は、産業医学の振興を図り労働者の健康管理の充実に資するため産業医学振興財団が産業医科大学に対し、同大学及び同大学病院の運営に要する経費の一部を補助するために要する経費を補助するものでありますが、同大学の職員退職手当支給規程等により退職手当支給しないことになっているため積み立てる必要がない嘱託職員及び臨時職員に係る退職手当積立金を積み立てて事業費を精算していたものであります。  また、検査報告番号一三七号は職員の不正行為による損害を生じたものであります。  本件は、福井公共職業安定所において、庶務課長が分任収入官吏の補助者として現金収納の事務に従事中、雇用保険失業給付金の不正受給者から返納金等を受領する際その一部を領得したものであります。  なお、本件損害額については、昭和五十八年一月末までに全額が不正行為者から返納されております。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  これは、福祉施設の設置及び管理運営に関するものであります。  労働省では、労働保険料のうち事業主負担し雇用福祉事業等に充てる分を財源として雇用促進事業団出資金を交付し、雇用保険の被保険者等のために多数の福祉施設を設置、運営しておりますが、そのうち勤労者体育施設ほか二種類の施設につき利用状況を調査いたしましたところ、被保険者等の利用が低調となっていて施設設置の意義が十分生かされていない事態が見受けられました。  このような事態となりましたのは、設置市町村や施設内容等の決定において調査が十分でなく、また、設置後の管理運営に当たって利用促進を図るための適切な対策を講ずる配慮に欠けていたことなどによるものと考えられましたので、今後は被保険者等の要望に即し、多数の利用が見込まれる施設の設置、運営を行い、本事業の意義を十分生かすよう格段の配慮が必要であると認め、改善の意見を表示したものであります。  以上をもって概要説明を終わります。
  14. 安井吉典

    安井委員長 これにて説明は終わりました。     —————————————
  15. 安井吉典

    安井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五十嵐広三君。
  16. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 労働大臣がお時間の予定があるようでありますから先に御質問させていただきますので、終わりましたらどうぞお引き取りいただきたいと思います。  大臣御存じのように、北海道は冬期間職を失う、ああいう積雪寒冷地でありますから、そういう雇用の特殊事情があるわけであります。一口に三十万人の季節労働者がいる、この雇用問題というのは実は大変大きな社会問題でもあるわけであります。極力通年施行を進めていただくような御努力もしていただいているのですが、なかなかそう簡単にいかない。そういう中で、しかも最近の北海道の経済事情が全国的に見ましても非常に陥没をしている、景気の回復がなかなか追いついていけないということ等もございまして、一層その深刻の度を増しているというのが現状であります。先日も、ある資料から申しますと、最近の公共事業費の抑制などで、この二年間に北海道で約二万三千人の建設労働者が仕事から離れているというようなこともあるのであります。  そこで、今日、労働省で御配慮をいただいております冬期雇用安定奨励金あるいは冬期職業講習助成給付金制度、こういう諸制度は、季節労働者の皆さんにとっては非常に命の綱のような思いのものなのであります。ただ、これが三年間の時限ということで、今年度で終了するということに一応なっておるわけでありますが、もとよりこれが今年で断ち切れるということになりますと、三十万人の季節労働者の生活は大変なことになるわけでありまして、労働省としてもこの問題について前向きにお取り組みいただいておりますことは私ども重々承知しておるのでありますが、ぜひこの機会に山口大臣から、これの継続強化などにつきまして一つの見通しをお聞かせいただければありがたいと思います。
  17. 山口敏夫

    山口国務大臣 五十嵐先生初め特に北海道選出の国会の先生方が、こうした季節労働者関係の給付金制度の問題で大変御熱心にお考えいただいておるということを私、十分承知をいたしておるわけでございまして、また先般、北海道に参りまして、横路知事ともそうした北海道における失業対策、施策等につきましていろいろ話し合いもさしていただいた経過もございます。  これは率直に申し上げまして、高齢者時代を迎えまして、これから五年、十年規模で五百万人近い労働人口が新たに増加をする、八〇年代後半、九〇年代前半の労働市場というものが非常に激動の時代を迎える、こういうものを有効に先取りをしながら雇用の安定を図っていかなければならない、これが労働省の基本的な重点課題でございますが、この北海道の三十万の雇用の創出できずして、五百万の労働人口に新たに職場を提供するということはなかなか難しい、こういう気持ちで、労働省としても、ぜひ道庁あるいは北海道の各自治体とも十分連絡をとりながら、お手伝いをする方法もいろいろ検討しようではないか、こういう話もしてきたわけでもございます。  今先生の御指摘の、そうした季節労働者の給付金制度の問題につきましては、御指摘のように六十年度が一つの打ち切りのめどということになっておるわけでございますが、この給付金制度の創設の経緯、また関係自治体及び事業主工事の通年施行化の努力等十分勘案しながら、現状においては残念ながら、六十年度ではいおしまいですという環境条件が整っておらない、こういう実情でございますので、十分御指摘いただいた線も考慮しながら、この制度の延長を含めて、労働省としても誠意を持ってこれを検討したい、かように考えておるところでございます。
  18. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ぜひただいまの御趣旨の方向で御検討いただきまして、より中身のある制度を継続していただきたい、こういうぐあいにお願い申し上げる次第であります。また、何といったって根元の通年施行ができるということが一番大事なことでありまして、いろいろ大臣が北海道を雇用創出のモデルケースにしようというようなことで、各機関と連絡機関のようなものを設けようという構想等も仄聞しておりますが、ぜひひとつ各省庁と密接な御連絡をおとりの上で十分な御努力を賜りたい、こういうぐあいに御要望申し上げます。  それで、開発庁におかれましても、通年施行に関するさまざまな開発研究というようなことも御努力いただいておるのであろうというふうに思うのでありますが、この機会でありますから、開発庁から御意見、計画等がございましたら、ちょっとお聞きしたいと思います。
  19. 滝沢浩

    ○滝沢(浩)政府委員 冬季の施行の問題については、私どもも大変関心を持っておりまして、当庁といたしましては、六十年度の予算におきまして一兆百五十億円という史上最高の事業費規模の確保を通じながら、労働者の雇用の安定に努めておりますが、冬季施行の問題につきましては問題が非常に多うございまして、いろいろ調査検討を建設省においてお願いしておりますけれども、工事が技術的に非常に難しいという問題だとか、それから経済的に冬季の施行は割高になるというような問題があるように聞いております。  しかしながら、地域の経済活動を促進するとか、雇用機会の拡大というような意味から非常に重要な問題であると考えておりますので、今後とも建設省と十分連絡をとりながら、粘り強く検討していきたいと思っております。
  20. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 何といっても建設省等の場合には一般的な仕事になるわけですが、北海道開発庁は、ああいう積雪寒冷の北海道の特殊な状況の中でどう工事を進めていくかということについては、専門的なお立場でお取り組みをいただくことになるわけでありますから、そんな意味では、開発庁が中心になって、通年施行をどうするかということの開発を鋭意お進めいただくようにお願いをしたい。諸外国は諸外国でそれぞれの工夫の中で御努力いただいているようでありますから、この際、ぜひ御要望申し上げておきたい、このように思う次第であります。  さて、国土行政関係の三庁統合の問題でありますが、これは五十七年に臨調から答申がありまして、あのときにいろいろなことがあった。政府も行革大綱でこれに触れて、ややあのときに方向は決まったなという感じを持っていたのでありますが、しかし、最近お聞きしますと、行革審の内部で、一部ではありますが、またどうもくすぶってきているようだということであります。そのくすぶっている、やや個人的な見解であろうというふうには思うのでありますが、そういう案をちょっとお聞きしますと、当面三庁の長官を一国務大臣が兼任することとする、沖縄振興開発計画の終期である昭和六十六年を目途にこの三庁を統合するという個人的見解を示しているということのようであります。  これは我々にとりましては大変なことでありまして、恐らく一定の状況は把握をしておられるのだろうというふうに思うのでありますが、北海道開発庁国土庁長官としてもそうでありますが、この現状等についてどう掌握になっておられ、また河本長官として、この私案に対してどういう見解を持っておるか、この際、御意見をいただきたいと思います。
  21. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 いわゆる三庁統合構想につきましては、五十八年五月の新行革大綱におきまして、関係施策及び計画の円滑な調整と整合的な運営に資するため、当面、三庁による協議の場を設けることとなっておりまして、統合につきましては、当該機関の担当する行政の特殊性にも十分配慮して、各方面の意見を聴取しつつ検討を進めるということになっているところでございます。  行革審の審議につきましての新聞報道は十分承知しておりますが、審議過程における問題でもございますので、コメントは差し控えたいというふうに考えております。
  22. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ちょっとよく聞き取れぬところもあったので、できましたら少し大きな声でお願いしたいと思います。  ただ、今の、新聞報道でもあり、コメントを差し控えたいということもわからぬではないのでありますが、きのうも実は内閣委員会で後藤田総務庁長官から一定の見解が出ているのですね。これはやはり担当大臣としては当然、北海道開発庁長官なら長官としての立場で一つの見解というものがなくちゃならぬものだろうと思うのです。どうですか。やはり少しお考えは言ってもらわなきゃいかぬのじゃないでしょうか。
  23. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 御説のとおり北海道は特殊な地域でございますから、国土が広い、豊かな資源がある、我が国の長期的発展に重要な役割を果たし得る地域であるという確信を持っております。この反面に、自然的、経済的な条件を克服して北海道の自立的な発展を遂げるまでにはまだ至っておりませんし、最近の景気動向を見ましても、我が国全体が拡大基調にありながら、ひとり北海道が大幅に回復がおくれているという現状であります。  このような中にありまして、北海道開発庁といたしましては非常に重要な役割を果たしておるのでありまして、さっきの臨調答申の際の、北海道二百十二全市町村議会、道内主要経済団体等が一致して統合反対という決議をしておる経過がございます。統合問題につきましては、これらの事情を十分に配慮して慎重に対処したいという考えでございます。  私は、個人的な意見を申しますと、北海道は北海道であるべきだという考えを持っております。
  24. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 またいろいろな論議が出てくると思いますから、ぜひひとつ、河本長官、今のお考えの上に立って頑張ってほしいと思う。  お話がございましたように、あの五十七年の臨調答申のときには、全道で二百十二市町村あるわけでありますが、この二百十二市町村の議会のすべてがこの統合反対、北海道開発庁はそのまま残せという強い意見書を出す、あるいは道議会でももとよりそうでありますが、道民こぞって、もうそれは与野党も何もない、全道民の強い要望でありますから、それを踏まえて対応していただきたい、こういうぐあいに思います。また、五十七年九月の閣議決定による行革大綱でも、そういうものを踏まえて一定の方向は出ているのでありますから、どうも変なことがまたくすぶるというようなことのないように、常に機先を制して大臣、頑張ってほしい、こういうぐあいに思う次第であります。  我々見ておりましても、北海道開発庁は、わずか八十七人という小さな規模で、実によくやっているというふうに感じているわけでありまして、それはもう非能率だとかそんな意味でその統合を論じられるというのは全くの間違いではないか。ああいう仕事のやり方というものは、むしろ一つのモデルケースとして考えてもいいぐらいなものであって、自信を持ってひとつ大臣、頑張ってほしい、こう思います。  今北海道は、北海道開発法に基づく新しい開発計画について作業に入ってきているわけであります。道は道なりに、道民の要望というものを土台にしながら新しい開発計画を策定中でありまして、開発庁におかれても、これを受けとめながらこれからの新しい開発計画についてのビジョンづくり等に、今準備に入っておられるようにお聞きしているところであります、もとより開発庁は、新計画を策定するに当たりましても、道民の意思というものをよく踏まえて、北海道の計画を十分下敷きにし、土台にし、組み入れながら円滑に開発計画の立案に当たっていくものであろうというふうに思うのでありますが、この際、河本長官のそういう策定の姿勢につきまして御見解を伺いたいと思います。
  25. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 先生御指摘のとおり、北海道総合開発計画の策定に当たりましては、関係地方公共団体の意見を十分聞きまして、それが反映するように最善の努力を払いたいと考えております。
  26. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ちょっとお聞きしますと、国土庁における四全総の作業が少しおくれているというようなこと等もあって、全体の北海道の開発計画の進め方等についても、日程等について一体どうなのかなというようなことなんかもちょっと聞くのであります。まあ大臣でなくて結構ですが、その日程等につきましてお見通し等をどうぞ……。
  27. 滝沢浩

    ○滝沢(浩)政府委員 日程等につきましては、まだ正式には決めておりませんけれども、現在の新北海道総合開発計画の計画期間が昭和六十二年度までということになっておりますので、できれば六十三年度からスタートさせるというような考え方に立ちますならば、六十二年の七月ころには新しい次の計画に入っていくというような考え方のもとで、今鋭意作業を進めているということでございます。
  28. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 先ほどもちょっと申し上げたところでありますが、なかなかどうも北海道の経済がはかばかしく回復しない。私どもも、とにかく北海道に戻りましたら全くそのことを痛感するのです。どこへ行っても景気の話はかりであります。恐らく長官も、来道なされた折にそういうお話をたくさんお聞きのことが多いと思うのでありますが、本当に北海道の不況というのは深刻なのであります。  そこで、ことしに入りまして経済企画庁が発表する地域経済指標等を見ましても、そういう北海道の特殊な陥没ぶりというものは数字的に非常に明確になっておりますし、むしろ地域格差というものが拡大をしているというような状況でありますが、もとより北海道開発庁としては、こういう実態を踏まえられて一体どうやって地域経済を高めていくか、あるいはそういう格差の是正ということにどう努めていくか。  この間も、予算委員会で私、質問したのですが、竹下大蔵大臣が、やはり何といっても公共事業の箇所づけ等における傾斜配分等も十分に考えながら、本当に地域格差というものを考えていかなければいかぬ、こういうお話なんかもあったのですが、さまざまな御努力をいただいていると思います。そう詳しいことでなくて結構なんでありますが、これももしあれでしたら大臣でなくても結構でございますので、どういうような積極的な地域経済の振興策をおとりになっておられるか、そういうお考えを少しお伺いしたいと思います。
  29. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 先生御指摘のとおり、国全体の景気は拡大している中で、ひとり北海道が停滞しておるということは十分承知しております。それがために、昭和六十年度の開発予算におきましても非常に努力しまして、総事業費ベースで一兆百五十四億円と頑張ったわけでございます。北海道経済の振興に大きな役割を果たすものと考えておりますが、今後は事業の早期発注に努めまして、その円滑な推進を図ってまいりたいと考えております。  なお、北海道経済の将来的な発展を図るためには、今後とも開発基盤の整備、農林水産業、鉱工業など産業の振興を積極的に促進していかなければならないという考えでございます。非常に難しい課題でございますが、長官としては誠心誠意努力してまいる所存でございます。     〔委員長退席、新村(勝)委員長代理着席〕
  30. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 いろいろ御尽力いただいているのでしょうが、どうもしかし個々に点検すると、必ずしもそういう成果が上がっていないことも少なからずある。北海道のいろいろなプロジェクトの中で、相当大型のもので私ども期待をしている一つは、いわゆる高速道路の問題であります。  これは横路知事を初め道関係者も非常に熱心に先年来御要請を続けているところであって、この間も大笑いしたのですが、道路公団の北海道の出先に横路知事、一年間で五回も顔を出したということで、公団側の人はびっくりしてお話しになっていたくらい熱が入っているわけであります。我々も常日ごろお願いをしているのでありますが、しかし、どうもこれもここ数年の北海道のシェアを見てみるとはかばかしくない。ことに今年の予算のつき方というようなことも、最近お伺いすると、むしろこういう我々のお願い、そうして御援助を常に政府側からいただいている考え方と逆行するような配分になっているということは、どうも非常に遺憾に思うわけなんであります。  建設省からいただいた資料によりますと、今年三月末現在で供用延長で見ると、全国で三千五百五十五キロに対して、北海道はわずかに百三十キロにすぎない。全国比は四%のシェアであります。これは計画総延長に対する供用延長の比率として見ましても、全国の四五・二%に対して北海道はわずかに一二・七%という状況にあるわけであります。しかも、さっき言ったように景気が悪い、この際、少しでも工事を道内でやっていただいてその回復を図りたい、それはそうだろう、傾斜配分しよう、こういうものになっておるのでありますが、どうも今年の工事状況を見ると、そうなっていない。  ちょっと数字で今申し上げてみますと、工事費は、ここ四、五年を見ますと年々減少している。これは当初予算の金額でありますが、北海道の高速道路の工事費、五十七年は六百億円、五十八年は五百九十八億円、五十九年は四百九十億円、六十年、今年は四百八十二億円。これを全国に占めるシェアで見てみますと、今言う五十七年以降では八・一%が七・八%、さらに六・二%、そして今年は六%と、年々低下をしてきているわけなんであります。これでは不況に拍車をかけているようなものではないか、我々は非常に納得がいかないのであります。建設省、お見えになっていますか。どうですか、まず建設省の御見解を……。
  31. 布施洋一

    ○布施説明員 北海道におきます建設費は、ただいま先生から御紹介がございましたとおりの推移をたどって今日に至っているわけでございます。ただ、五十七年度がピークではございますが、五十年代前半はかなり年々増加をしてまいって、五十七年をピークとしてここ数年漸減してきているという状況でございます。  高速自動車国道の工事につきましては、御案内のように非常に工事期間が長うございます。特に、工事だけにつきましても五、六年ぐらいかかるということでございまして、工事の投資パターンといたしましては、比較的初期に投資が小さく、供用の間近になってお金がたくさん大きくなるというような特性を持っているわけでございます。そういったようなことから、必ずしも年々同じ伸び率で、あるいは同じような形で建設費が投入されるという形にはならない面がございまして、高速道路事業全体としての事業の展開のやり方、こういったものに左右されるという面がございます。  しかしながら、今申し上げましたように建設費の年々の変動というものは避けられないものではございますけれども、今御指摘のございましたように、北海道におきまして現在事業を進めております区間につきましては、設計協議でありますとか、用地買収、工事といったようなものをさらに促進すべく、必要な予算の確保について十分考えてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
  32. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 しかし、ことし開通するところが二カ所あるわけでしょう。札幌南と札幌の間七・三キロ、それから登別東と白老間十八・六キロ、合わせて二十五・九キロがことし開通になる。開通になるころは金額がふえるというなら、ここ三、四年減るのはおかしいのじゃないですか。  いろいろ言いたいことはわからぬことはないが、北海道なんかで工事する場合に、例えば用地買収の困難なところがあるとか何がネックだとかいうようなことは、こっちと違って余りないのです。金がつけば仕事は進むのです。ああだとかこうだとか理屈を言えば、私どもも何かかんか言いたくなるけれども、おしまいに話がありましたように、やはりそれは積極的にやらなければならぬ、ちょっと弱かったかなという感じがありましたから、そこら辺が本音だと思いますが、こういうことではうまくないと思います。  それで、一つは整備区間を延ばしていくということが大事だろうと僕は思う。整備計画区間で見ましても、全国の法定路線が七千六百キロ、これに対して整備計画区間が二千四百十四キロでございますから、三一・八%。ところが、北海道の場合には法定路線が千二十キロに対して整備計画区間が二百十二キロで、率は二〇・八%。これも非常に低いわけです。整備計画区間が短いということになると、それ以外のところは手がつけられないわけでありますから、どうしてもこれを延ばしていくということが大事だ。  五十七年の国幹審以降、国幹審はまだ開かれていないわけでございます。聞くところによると、今年の末ごろ開くのではないかというようなお話もありますが、国幹審が開かれる予定は大体いつごろになるのか、あるいは、今度の国幹審で北海道の整備計画区間をひとつ大いに広げてほしい、昇格をしてほしい、これについてのお考えをこの機会にお聞かせいただければありがたいと思います。
  33. 布施洋一

    ○布施説明員 高速自動車国道の基本計画、整備計画等は、今お話のございましたように、国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経て運輸大臣及び建設大臣が定める、こういうことでございます。今、国土開発幹線自動車道建設審議会をいつ開くのかという御質問でございますが、これにつきましては、現在抱えております事業の進捗度でありますとか経済社会の情勢等を考えて決めるということにいたしておりまして、開催する時期については現在のところ未定ということでございます。  それから、今御指摘のございました個々の区間の取り扱いについての考え方でございますが、これにつきましてもいろいろな考え方があるわけでございますが、例えば高速自動車国道の代替ルートとなる一般国道などの計画調整といったこともございますし、将来の交通需要、整備効果あるいはもろもろのことを総合的に考えて検討していかなければならないということでございます。私どもも現在、次回の国幹審に向けましてこの整備計画等について所要の調査検討を進めているという段階でございます。
  34. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 端的に聞きますが、つまり今言ったような北海道の状況というものは、計画をお立てになる建設省側として、やはりちょっと力を入れなければいかぬ、来年あたりから相当頑張ってみたいということなんですか、あるいはそうでないのですか。今のおしまいのお話ではさまざまなことを言っておられるわけでありまして、それはさまざまなプラス・マイナスの要因があると思いますが、その中で、繰り返しませんが、先ほど来申し上げているとおりの中でひとつ御尽力いただきたいと思うのですが、どうですか。
  35. 布施洋一

    ○布施説明員 現在整備計画につきましては調査中でございまして、具体的にどうのこうのと申し上げられる段階ではございませんが、先ほど来おっしゃっておられますように、法定路線に対します整備計画の延長が少ないとか供用延長が少ないということは、十分承知しているつもりでございます。
  36. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 余り同じことを何遍も聞かせないでください。そこから先ですよ。短いというのはわかっているのです。だから言っているのじゃないですか。だからどうするかということです。努力しなければだめだと思っているなら思っているように言ってくれませんか。全然感じないですか。
  37. 布施洋一

    ○布施説明員 弁解がましくなって恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、これは私ども事務的に処理するものではなく、審議会の議で決まるものでございます。したがいまして、我々審議会の事務方としては、今申し上げましたような北海道の現在の高速道路の実情というものは認識しているつもりでございますので、その点も十分考慮して考えたい、かように思います。
  38. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 わかりました。ぜひひとつ実情をよく踏まえて原案をおつくりいただいて、審議会の委員の皆さんに御理解を賜れるようにお願い申し上げたい。あるいはまた各年度の予算の編成につきましても、ここ数年こういう状況だから、来年の配分等につきましてはどうかよろしくお願いしたいと思います。  開発庁にもお願いを申し上げておきますが、北海道の高速道路の実情からして、開発庁としてもぜひひとつ建設省に強い御要請、調整をしていってほしい。ここ数年のこういう減少傾向というのは、まことにどうも私どもの本意でありませんものですから、この機会に開発庁の見解、お気持ちもちょっと聞いておきましょうか。
  39. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 先ほど経済の落ち込みの話がございましたが、何といいましても基幹道路の整備が大事なことでございますし、建設省と十分検討して努力していきたい、こういうふうに思います。
  40. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 これも北海道としては非常に困った問題なんでありますが、国鉄再建監理委員会で合いろいろ御検討いただいて、七月に最終答申が出ることになるわけでありますが、再建監理委員会の基本的な再建構想は、仄聞するところによれば、分割・民営というところにあるようであります。もしそういう方向になりますると、北海道の分割後の状況というものは大変なことになるのではないかと思うのであります。  国鉄の昭和五十八年度決算報告書によりますと、北海道内の赤字は三千百億円を超えている。今年一月に出された国鉄側の「経営改革のための基本方策」、これによりましても、昭和六十五年の本道の収支見通しは、函館、室蘭、千歳、根室、石勝、この五幹線だけで見てもなお二千三百億の赤字になる。これは他のローカル線は皆切って、そして現在の三万五千人の要員を一万四千人にしてという試みに立った案としてもこういうことが出ている。これじゃ、分割・民営といったって、とても引き受けるところが出てくるわけがないのであります。これは、ただ分割・民営ということでは、もしそういう方向になったのでは、北海道はレールの上では全減ということは必至であろうと思われるわけであります。私なんかは分割には全く反対なんでございますが、これは北海道民が息を潜めてこの経過を見詰めているというのが現状であろうというふうに思うのであります。  この北海道という特殊な地域について、しかも困難な現状にはあるが将来というものには強い確信を持ってその開発に臨んでいる北海道開発庁として、一体この国鉄のいわゆる分割・民営論についてどうお考えになっておられるか、もちろんさまざまな議論を内部ではなさっておられるというふうに思うのでありますが、その一端をお知らせいただければありがたいと思います。
  41. 西原巧

    ○西原政府委員 ただいま御質問のございました国鉄の分割・民営化について、北海道開発を推進する立場から開発庁はどう考えているかという御質問でございますけれども、これにつきましては、先生御指摘がございましたように、国鉄の再建監理委員会で現在検討が行われているところでございますので、その具体的な検討の推移を、先生おっしゃいましたように息を潜めて見守っているという段階でございます。
  42. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 これは道民は息を潜めて見ておるわけですが、開発庁や我々や道や行政にかかわっている者は、ただ息を潜めではかりいてもどうにもならぬわけであって、それはそれなりに、一体北海道はどういうことでなければいかぬかという考え方に立って十分に検討し、働きかけ、少しでもやはり北海道のためになるように積極的に動かなければならない今大事な時期だと思います。  これはなかなか今の時点で言いにくいということもわからぬものでもないですが、最近これは新聞紙上なんかでも出ているように、今言うような北海道は分割・民営ということになったら大変だ、これはだれしもがそう思っているわけです。再建監理委員会だってそう思っている。国鉄当局もそう思っている。どこだって、皆さんもそう思っていると思う。という中から、北海道開発庁を中心にした第三セクター論というのが浮上してきていると伝えられています。これも息を潜めて見ていますということの返事ではどうもならぬわけで、少し大臣、余り細かいことは要らないのですが、大筋で、気持ちの上でも結構ですし、何かひとつ、こういうことに対する北海道開発庁長官としての、さっき個人としてはというお話もあったけれども、それでもいいと思います。少しお気持ちをお話しいただければ……。
  43. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 先生御指摘の、北海道は鉄道とともに開発されていった地域であるということも十分承知しております。しかし、現在の国鉄の状況につきましては、再建監理委員会で検討されておりますし、時代の流れといいますか、国鉄がなぜこういう今日の現状になったかということをよく反省しますと、やはり大きな流れとしては、モータリゼーションにしてやられたというように私は受けとめておるわけです。この時代の流れに国鉄がいかに対応していくかということは大きな問題でございますが、いずれにしましても監理委員会が何らかの結論を出すと思いますので、それからまた運動を起こすなり、北海道は北海道としてのあり方をひとつ主張していきたいという考えております。  先生、第三セクターのお話も出ましたが、今この場で第三セクターで運営するというようなことは、監理委員会の結論が出る前に、そういうことはちょっと慎みたいというふうに考えております。
  44. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 慎重な御重言もやむを得ないところがありますが、つまり、ちょっと念を押しておきますが、北海道開発庁を中心としての第三セクター論については今否定はしなかったというぐあいに聞き取っていいですか。答申が出る前にそれをやるなんということは言えぬだろうということは、まあ、そんな感じの答申が出れば一応考えてみようという気持ちもまるっきりないわけじゃないということですか。
  45. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 判断の資料として、まず国鉄監理委員会がどのような結論を出すかということによって判断していきたいということでございます。
  46. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 わかりました。つまり、否定はしなかったということと受けとめたいというふうに思います。  以上で質問を終えたいと思います。  どうもありがとうございました。
  47. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員長代理 次に、中村重光君。
  48. 中村重光

    中村(重)委員 きょうは労働大臣国土庁長官にいろいろじっくり時間をかけて質問をいたしたい予定でありましたが、二十八分間だという時間の制約を受けております。そこで、私の質問したいことについて御連絡を申し上げておきましたから、したがって一括して質問いたします。それで一通りのお答えをいただいて、また折を見ていろいろ一問一答という形で質問をいたしたい。ただ、できますならば、二十八分でございますから、あるいは再質問が必要になるかもしれませんから、少し時間を残して答弁を終わっていただきたいと思います。  労働大臣も、最も若い大臣としてエネルギッシュに活躍しておられる、敬意を表しているわけですが、どうかひとつ、いろいろ微妙な立場もありましょうから、しっかり頑張っていただきたいということを要請をしておきます。  意見を申し上げることができませんから項目的にお尋ねをするのですが、第一に、従来大型小売店というのは正月三日は実は休んでいたわけです。ところが、最近の動向としては、もう二日から営業を始める、あるいは三日からというのもあるのですけれども、正月三日ということは昔話みたいな形に変わってきている。そうなりますと、中小小売店も右へ倣えということに実はなってまいります。社会通念週休二日制というような流れの中で、これに逆行すると私は思っています。ですから、少なくとも正月は、従業員もともに静かに休める正月ということになさる必要があるのではないか、このことに対して大臣の見解をひとつ伺っておきたいと思います。  もう一点は、先ほど五十嵐委員の質問に対してもお答えになっていましたが、高齢化時代を迎えたわけです。その高齢化時代に対処する労働政策はどうあるべきか、それから、エレクトロニクス時代あるいはロボットの導入ということで、雇用情勢は大きく変化をしてまいりました。これに対応する労働政策ということについて、どのような考え方をお持ちになっておられるかという点であります。  いま一つは、雇用者の三分の一はパートタイマーということになりました。ところが、家内労働とあわせて非常に低賃金だ、さらに退職金というものもパートタイマーには実はないわけです。これらのことを考えてまいりますと、大阪の摂津市で退職金を支給する条例をもう制定をしたのではないかと思うのですが、これらのことを参考にしながら、これは民間でございますから大臣がこうやれということにはならないことはわかっていますけれども、いい傾向ですから、そういうことに対する指導ということを強力になさる必要があるのではないかという点であります。  いま一つは、国鉄の労務管理がまさに囚人扱いになっているというようなことを耳にいたします。かつて私どもは、国鉄マル生というので調査をいたしたことがありましたが、それとは比較にならないようなひどい労務管理が行われている。国鉄に対する嫌気を出させようというような、そういう思惑もあるのではないかとすら考えるのであります。いわゆる退職あるいは一時帰休、出向その他、いろいろ国鉄は肩たたきとあわせて強力にそういう方向を目指しているわけでございます。  したがいまして、そのような思惑の中で、先ほど申し上げましたような囚人に等しい、例えば便所に行くときに時間をはかってしまうのです。何か個人的と申し上げてよろしいのか、生理現象というときにきちっと時間をはかる、何しておったんだ。実にひどい労務管理です。こういうことはやめさせないといけない。これだけは労働省としては重大関心を持って調査もし、これに対する適切な指導をやられる必要がある、こう思います。  いま一つは、御承知のとおり炭鉱の災害相次ぐというようなことでございます。これは、私どもも長崎の高島の場合も調査に参りましたし、今度の北海道のあの災害、重大な炭鉱災害、これは明らかに保安無視ということですが、保安の問題にとどまらない、むしろこれは大きな人権問題ということでこれに対処していくのでないと、炭鉱の災害を防止することにはならないのだと私は考えています。  労働大臣は、これらの問題に対してどのような見解を持ち、今後どのように対応していこうとお考えになっていらっしゃるか、適切なお答えをいただきたいと思います。
  49. 山口敏夫

    山口国務大臣 労働時間の短縮と休日の拡大、これは単に労働者の福祉の改善にとどまらずに、内需の拡大、個人消費の拡大、生活余裕時間の拡大というのが高齢化時代にとって非常に大きな不可欠の要件である、こういう立場から、私も就任以来時短の問題には熱心に取り組んできたつもりでございますが、特に今その中で一番の問題は、先生御指摘の大型小売店等の正月三が日の休日の問題をどう調整するか、こういうことでございます。  これは隣接の商工業者の従業員の問題にもなるわけでございますし、また小売店とかデパートで働く労働者の方々も、ふだん一般の方が休む日に働くということは覚悟してサービス業だから入ったとはいうものの、せめて正月三が日くらいは家族や子供たちと一緒に過ごしたい、こういうデパート、小売店に働く労働者の声も強いわけでございます。  そこで、我々は消費者の問題でもございますし、また消費サービスの問題とも関連をいたしますけれども、労働省といたしましても、そういう関係百貨店協会でございますとか小売店協会とも話し合いをしながら、何とか正月三が日の休日というものを進めていただけないか、こういうことでいろいろ意見調整をしておるところでございます。  まだ大半は正月の四日から店を開く、こういうところも多いわけでございますけれども、何軒かのお店が二日に開くとか三日に開くということになりますと、どうしても競争になりますので、四日から営業するところも、どんどん三日、二日、こういうことに追い込まれていってしまう、こういう点もございます。そこで労働省といたしましても、協会を通じて今懸命に調整をしておるところであるということを、中間的な報告としてまず御答弁申し上げておきたいと思うわけでございます。  それから、二点目の高齢化時代、またマイクロエレクトロニクス等ME化時代の問題でございますけれども、これは私は、高齢化時代というものは、単なる老人社会ということではなくて、健康な二十一世紀社会という一つの基本的な理念を持って取り組んでいかなければならない、そのためには、社会保障とか年金も大事でございますけれども、何よりも大事なことは、働く意欲がある高齢者に対しても職場が提供される、仕事が分配されるということだと思うのです。  そういう意味で、定年制の延長の問題は今中央職業安定審議会でいろいろ御審議いただいておりますが、それを半年ばかり早めていただきまして、最終答申といいますか、結論をこの七月ごろまでに出していただきまして、そしてそれに基づいて、関係の皆さん方の御意見も伺いながら、六十歳定年の法制化の問題をどうすべきか具体的な検討作業に入りたい、こういう考え方でございまして、六十歳定年を主流にすると同時に、六十歳前半層の雇用の延長というものを労働省としては最重点課題として来年度の新政策に取り上げたい、私、大臣としてのこういう決意、また取り組みを現在しておるというところでございます。  また一方、ロボットの問題も世界で一番我が国が導入しておる。こういうのはサミットの首脳会議におきましても大変羨望の的でもございますが、これは資源のない日本が国際社会においての競争力、技術革新を取り入れなければならぬという、使用者はもちろんでございますが、労働側からの深い理解と協力もいただいておるという点もあるわけでございます。  それはそれとして、労働災害を防止しつつ進めなければいけないと考えておりますが、一方、MEに伴う省力化の問題が雇用の場を奪うのではないか。という面も危惧されておるわけでございます。しかし、先生も御承知のとおり、パソコンにしても昔は一社に一台、一軒に一台というものが、各デスクに一台、個人に一台という時代で、オフィスオートメーションも非常に大衆化してくる。それを販売するのは今まで以上に、今まで十人でやっていたものが五十人、百人の営業マンでこれを普及していかなければならない、競争していかなければならないということで、結果的には省力化イコール雇用の喪失に必ずしもつながらないという点も考えられるわけでもございます。  いずれにしましても、そういうME化、OA化が雇用の問題に影響しない、そのミスマッチをきちっとやっておくということが一つと、それから労働災害の面での調査と事前防止、予防について、労働衛生の立場からも真剣に取り組む、こういう二点の配慮をしながら、この新技術時代に対応していかなければならないと考えております。  それから、パートの問題につきましては、さきの予算委員会でも社会党の先生からもお取り上げがありましたけれども、御承知のとおり、パート労働者が四百万近くおるわけでございまして、大半は女性の労働者ということでございます。しかし、パート労働といいましても、将来的には七〇%がサービス産業、第三次産業になるという産業構造の変化が予測されておるわけでございまして、どうしてもサービス競争がこれから激しくなる。そうなりますと、パートといえどもきちっと常用労働者以上に会社に対する協力が必要だということから、私は、パート労働者に対しましても、常用労働者と同じような待遇、条件の前進が見られる、また前進させなければならないと考えております。  その一つの問題として、今先生御指摘の退職金制度の導入の問題につきましても、行政指導の立場でどういう具体的な作業ができるかということは、実は労働省としても事務当局で今作業がもう既に始められておるところでございまして、今ここでこういう形にしますという御報告まで至っておらないのは大変恐縮でございますけれども、一層それを進めたい、そしてまた先生に御報告申し上げたいと考えておりますので、よろしくまた御協力のほどもお願い申し上げたいと思います。  あとの二点につきましては、基準局長から御答弁申し上げたいと思います。     〔新村一勝一委員長代理退席、委員長着席〕
  50. 寺園成章

    ○寺園政府委員 国鉄の労務管理の問題でございますけれども、企業におきます労務管理のあり方につきましては、当該企業における業務をどのような形で進めるのか、あるいは進めるに当たって良好でかつ健全な労使関係をどのような形で確立しながら進めていくのかというような観点に立って、企業の中で決められるべき事項であろうと思うわけでございます。ただ、それが例えば労働基準法などの法令に違反するというようなことがあれば、当然のことでございますけれども、行政として適切な監督指導を行いたいと考えておるところでございます。  それから、炭鉱災害についての御質問がございました。  先日の三菱の高島坑の災害に引き続きまして、再び北海道におきまして大変大きな災害が発生いたしました。まことに遺憾に存じておるところでございます。被災者の方々に心から御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族、関係者の皆様に心から哀悼の意を表したいと思うわけでございます。  事故が発生いたしますたびに、安全対策を適切に講じてこのような災害を再び繰り返さないようにということをその都度申しておりますけれども、なおこのような災害が後を絶たないということは、極めて遺憾に存ずるわけでございます。労働省といたしましては、働く人たちの命と健康を守るというのが行政の最大課題の一つであると認識いたしております。そのような観点に立ちまして、労働災害防止対策に懸命に取り組んでおるわけでございますが、炭鉱の問題につきましても、通産省と十分連携をとりながら、今後の災害防止に努力してまいりたいと思っております。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 今局長から、炭鉱災害の問題について人間の命という言葉、お答えがありました。人間の命は地球より重いということです。いわゆる大災害あるいは小災害、ともかく人が死ぬというようなことは大変な問題だということです。保安の完全を期するということは、災害の防止につながることは当然です。したがって、保安対策には特に配慮していかなければならないことは言うまでもないのですが、実際に炭鉱災害が続出している。  私どもが調査に行って、その原因は何かというようなことを考えてまいりますと、私は人の命のとうとさに欠けているということを痛感するわけです。ですから、人道問題である。ただ単なる保安の問題ということだけで留意しても、事故が起こることだってあり得るわけです。だから、基本はいかに人間の命を大切にするか、人間の命を守るか、これを基本にした保安対策等々が推進されなければならぬと思うわけなんです。強くその点を強調しておきたいというように思うのです。  それから、国鉄の労務管理、法的云々ということをおっしゃったわけですが、例えば生理現象で、申し上げたように便所に行く、時間が何分かかった、余り時間がかかったじゃないかということが法に触れるとは考えない、しかし、少なくとも常識外れな、もう本当に嫌がらせのためのそのような労務管理をやっているとしか考えられません。それで、法という立場のみで実態に対処するということは適当ではないんじゃないかという感じがいたします。  もちろん、法に触れないことを直接労働省の方からいろいろ言うことは、なかなか難しいということは考えます。しかし、労働省というものはどうあるべきか、基本は何かというような観点に立って対処していくのでないと、この重要な労働省というものがむしろ軽視されてくるということにつながってくると私は思います。今日の時代において労働省の果たす役割は、私は大変大きいと思う。そのことを、労働省の大臣初め皆さん方がその重要性を十二分に認識して対応するということが必要だということを強調したいと思うのです。  それから、今大臣のお答えのございました大型店の問題、なるほど四日から営業を始めるというところもあるでしょう。しかし、もう二日から営業を始める、いわゆる初売りをするというようなことが非常にふえている。そうなってくると、大型小売店同士の相互間の公正競争というものが乱されてくることになる。それから、中小小売店と大型店との競争、力関係が違うわけですから、そのことに思いをひとつしていただくのでないといけない。  実は、百貨店法から、スーパーもともに一緒になった大型小売店というようなことで、都市と地方は政令でもって四日と二日であったのです。だめだというので、都市あるいは地方を問わず四日間の休みということに政令を変更したわけです。しかしながら、やはりこれは一つのめどでございますから、そこでどうするかということになりまして、年間三十日は休まなければならぬというようなことで強力な指導をやっているということです。これが壊されつつあるということです。  これは留意していただかなければなりませんが、正月は労働者も今度は休めないということになるということです。同時に、先ほど大臣がお答えになりましたように、消費者の利便というものも考えていかなければなりません。だから、日曜とか祭日であるとかあるいは中元期、歳暮期、そういうときには休まないでやっているということです。こういう特殊な産業であるということに留意をして、少なくとも正月ぐらいは、三日間ぐらいは静かに店も閉め、労働者も休む、そういう指導をされる必要があるということを申し上げておきたいというように思います。  時間がもうなくなりましたが、一つの問題に深く入りますと時間が超過をいたしますから申し上げることができませんが、大臣、もう少し強力に指導なさらぬと、今の、また昔に逆戻りするということを抑えることはなかなかできないと思います。あなたにもいろいろ商業労連等々から陳情されているようにも伺っているわけですが、ある程度あなたの考え方というものは具体的な指導という面について固まっている点もあるのではないかと思いますが、もう一度これらの点についてお答えをいただきたい。
  52. 山口敏夫

    山口国務大臣 中村先生は、この問題に対する現状はもう十分御承知いただいているわけでございまして、私の方も、先ほど答弁した趣旨に基づいて、さらにこの正月三が日の大型小売店の休業の問題については、一層の行政指導といいますか、意見を調整しながら進めたい。なお、これはまた通産省等とも連絡をとることも、今先生の御指摘のような改善に対して有効な手だてにもなるのではないかというふうに考えますので、そうした役所とも連絡をとりながら改善方にひとつ取り組んでみたい、かように考えるわけでございます。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 これで終わりますが、先ほど高齢化社会にどう対応するかということについてお答えがあったのですが、働く場を開発をしていくという考え方の上に立って、時短の問題あるいは週休二日制の問題等強力に推進することは当然であるというように思うのです。  ところが、昨日の新聞でございましたか、労災保険支給を五十歳前半から削減をするというような、最低も最高も減額をしていくというようなことを労働省としては検討を始めたという報道でございますが、高齢者社会に入りまして、大臣が今お答えになりましたようなことが強力に推進されるのであれば結構だし、またそうなければならないんだけれども、新聞にあんな大きな見出しでもって、ありがたくないお年玉を、労災保険支給をいわゆる減額をするというようなことでは、八十年時代になって高齢者社会に入ったんだからおまえたちは我慢をしなさいというようなことでは、私は逆な方向を推進しているということを言わなければならない。この点についてお答えをいただいて、私の質問を終わることにいたします。
  54. 寺園成章

    ○寺園政府委員 ただいま労災保険の見直しの問題についてお触れになりましたけれども、現在労災保険の問題につきましては、労災保険審議会の内部に設けられております基本問題懇談会において制度全般の御検討をいただいておる段階でございます。その御検討の結果を踏まえまして私どもは対応したいというふうに考えておるところでございます。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 大臣から——じゃ、時間がありませんからこれで終わります。
  56. 安井吉典

    安井委員長 次に、新村勝雄君。
  57. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 大臣の御用があるそうでありますから、最初に大臣に基本的な問題だけをお伺いいたしたいと思います。  それは既に問題が提起をされておりますけれども、炭鉱の事故、大夕張あるいは高島におきまして大規模な炭鉱事故があったわけでありますが、これは申し上げるまでもなく、炭鉱は単なる個人企業というだけではなくて、今国策とも関連をするエネルギー対策の一つの政策的な考慮もあって、いろいろ問題がありながら仕事が続けられているという、こういう背景もあるわけであります。ところが、そういう中で惨事が繰り返されているということは大変残念であります。  そこで、今回のこの惨事に対して、労働大臣として労政あるいは労務を指導するという立場からどういうお考えをお持ちであるのか、あるいはまた今後のこういう問題に対する対処の基本的な御方針について伺いたいと思います。
  58. 山口敏夫

    山口国務大臣 先般の炭鉱災害につきましては、関係遺族の皆さん方に心からお悔やみを申し上げ、労働省といたしましてもいろいろな災害の後の手だてを進めたところでもございます。  今の先生の御指摘労災保険の問題でございますが、労災保険給付の問題につきましては、ILO百二十一号勧告の給付水準を満たす、これが大事なことでございまして、労災保険給付水準の改善の要否につきましては、現在、労災保険基本問題懇談会におきまして審議をお願いしておるところでございます。この結果を踏まえて労働省としては対処をしていきたい。  また、上積み補償の問題につきましては、今回の南大夕張炭鉱災害の遺族の場合は、現労働協約によりますと二千百万円が支給されると伺っておるわけでございます。上積み補償につきましては、基本的には労使間で自主的に話し合われるべきでございますが、我々も誠意を持って対処するよう事業主に対して指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  また、細部につきましては基準局長から御答弁申し上げたいと思います。
  59. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 大臣、先回りしてお答えをいただきましたけれども、遺族の補償については、現在は上積み二千百万ということだそうでありますが、これが決まってからかなり時間がたっているようでございますし、現在の経済状態からして果たしてこれでいいのかどうかということは、大いに検討の余地があると思うのです。それから、人の命はいかなる場合であっても同じではありますけれども、やはり国策に基づいて炭鉱の人たちは働いておられるということもございますし、そういう点を考慮した場合には、この金額で果たしていいのかどうかということが大変疑問であります。  炭鉱災害は、未然に防ぐことが最善であることはもちろんであります。そしてそれに全力を挙げていただかなければならないわけでありますけれども、こういう事態が発生した場合の御遺族に対する補償については、特段の御配慮があってしかるべきだと思います。そういう点について、上積みについては会社の責任で出すということでありましょうけれども、強力な行政指導というか、政府の御指導が必要であると思いますけれども、いかがでしょうか。
  60. 寺園成章

    ○寺園政府委員 仰せのとおり、災害を起こさないということが最も基本的なことだと思います。不幸にして災害が発生した場合に、その方々に対する補償につきましては、法制的には労災保険による補償があるわけでございますが、それに上積みをするいわゆる上積み補償につきましては、基本的に考えますと、やはり労使でお話し合いで決めていただくという事柄であろうかと思います。  炭鉱の場合におきましては、炭労との協約におきまして、現在二千百万という協定ができておるというふうに聞いております。今回の南大夕張の災害、それから先般ございました高島坑の関係についての上積み補償につきましては、この二千百万のさらに上の補償について今後労使間で話し合いが行われるというふうに承知をいたしております。私どもといたしましては、この上積み補償額を幾らにしろということは、政府の立場としてなかなか申し上げにくいわけでございますけれども、当該三菱鉱業だけでなくて、下請の方々もその中に入っておられるわけでございます。その人たちへの対応についても企業として十分配慮をしていただきたいという観点を含めた指導は、現在もう既にいたしておるところでございます。
  61. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 もう一つは保安体制でありますが、これは労働災害を絶対に未然に防止するという立場から、保安体制の整備、それからまた監督指導が極めて重要だと思いますけれども、今回の事故について伝えられるところによると、保安体制に欠陥があったのではないかというようなことも言われておりますが、この点はどう調査をされましたか。
  62. 鈴木英夫

    鈴木(英)説明員 今回南大夕張炭鉱で、五月十七日にガス爆発の可能性が高いと思われる災害が発生いたしまして、私ども炭鉱保安を監督しております立場として、非常に残念、かつ遺憾に存じておるわけでございます。  私ども、災害発生後、事故原因の究明が急務であるということで、災害が起こりました翌日の十八日に通産省の中に事故調査委員会を設置いたしまして、早稲田大学の房村先生に委員長になっていただきまして現地にも行っていただくということで、今事故原因の究明を急いでおるところでございます。  そのほか、札幌鉱山保安監督局におきましても、連日十数名の監督官を坑内の実況見分に入れまして、警察とも協力をしながら司法捜査の一環として調査を進めておるところでございます。  先生御指摘の炭鉱の保安体制に遺漏があったかどうかということにつきましては、なおこれらの調査の結果を見て私ども判断いたしたい、かように考えております。
  63. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 伝えられるところによりますと、ガス感知器、センサーというのですか、これの設置場所あるいは全体の配置の系統、これらが適当でなかった、あるいは保安規程に定める位置よりも低いところにあったとか、規程どおりに行われていなかったというような報道もありますけれども、そういう点はいかがですか。
  64. 鈴木英夫

    鈴木(英)説明員 ガスセンサーの問題でございますけれども、これは鉱山保安法の規定によりまして、正確に言いますと石炭鉱山保安規則の規定でございますけれども、ガスを効果的に測定できる場所に設置をするということになっております。かつ、私ども運用といたしまして、おおむね効果的に測定できる場所というのはどの辺かということで、原則といたしましては天井あるいははりの下から三十センチメートルぐらいのところが適当であろうということで指導をしておるわけでございます。  ただ、坑内にはいろいろ気流がございましてガスが拡散されますので、場合によっては、労働者の方がメーターを見やすい場所とかあるいは修理、管理がしやすい場所であっても、気流の拡散によりましてガスが効果的に測定できれば、そういう場所であっても必ずしも保安法の規定には抵触しないのではないかというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、実際にどういう場所に設置されておったのか、あるいは効果的に測定できる場所であったのかどうかということについては、先ほど申し上げましたように、なお捜査を進めておるところでございます。
  65. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 監督官庁としては、そのセンサーの場所あるいは配置の全体の系統等、これは当然常時把握をされておるはずですね。ですから、今回のような惨事があった場合に、その点に関してはもう当然事前に把握がされておるはずでありますけれども、その点はいかがなものですか。  それから、炭鉱についてはガスの突出とかガスによる被害が当然予想されるわけでありますけれども、そういうガスの突出あるいはガスが出てくる、そういったことについては、地層学的に、あるいはすべての最新の科学を総合して、そういうことに対する事前の予想なり可能性なりについては十分研究し尽くされていると思うのですけれども、そういう点についての科学的な事前の調査なり情報把握という点では、通産省としてはどの程度に努力をされているわけですか。
  66. 鈴木英夫

    鈴木(英)説明員 先生御指摘の、当該箇所周辺におけるガス測定器でございますけれども、これはいろいろな種類がございまして、例えばアナログタイプといいますか、数値が計測できるものであって、かつ中央監視室で監視できるようなもの、あるいは、その現場に置かれまして、ガスが濃くなった場合に電源を遮断する、つまり着火源を遮断してしまうというタイプのもの、いろいろ種類がございます。それで、特に重要な前者につきましては、当該箇所に四カ所ついておったということを、私ども、事前に確認をしております。  なお、設置箇所等につきましては、これは作業の進展に応じまして、物によっては毎日移動するものでございますので、まさに災害のそのときにどのような場所につけられておったかということにつきましては、今後の捜査にゆだねたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、ガス突出災害でございますけれども、この災害の原因につきましては、先ほど御説明を申し上げました房村先生を委員長といたします事故調査団のとりあえずの所見によりますと、ガス突出の形跡は非常に少ないということでございまして、ガス爆発ではないかというような見解をお述べになっておるところでございます。  それから、ガス源につきまして、それならばどういうところから出てきたのかということにつきましては、ガス抜き座の何らかのトラブルとか、あるいは坑内の亀裂を伝ってガスが異常湧出したとかいろいろなケースが考えられるのでございますけれども、これも現在調査中でございます。  なお、このガス対策、特にガス突出、ガス爆発といいますのは、過去の例からいいましても、炭鉱で最も恐ろしい災害の一つでございまして、一たん起こりますと非常に大きな被害が及ぶということで、日ごろからガス源対策、このためには、先進ボーリングといいまして、事前にボーリングを打ちましてガスを吸引をしてしまうというような対策を講じる、あるいは通気を十分にとりましてガスを拡散、薄めて坑外に持ち出す、あるいは発火源につきましては、防爆機器等を使いまして火花がガスに引火しないようにするというようなことで、私ども、各面にわたりましてこれまでも対策を講じてきたわけでございます。  今後とも、そういう観点に立ちまして、こういう災害を二度と起こさないように十分な監督指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
  67. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 一刻も早く真相の究明をしていただいて、その結果を今後の災害防止のために役立てていただきたいと思います。  通産省、お帰りになって結構でございます。ありがとうございました。  次に、労働保険特別会計の問題でございますが、労働保険特別会計のうち、五十七年度決算において、有給職業訓練奨励等委託費というのがありますけれども、この費目の執行率が非常に低いわけです。予算額が四十三億四千八百七十二万五千円というのに対して、支出済みのものが五億九千五十五万というふうに非常に執行率が低い。これはどういうわけですか。
  68. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 ただいま職業訓練関係の給付金が執行率が低いという御指摘でございますが、年々実績は上がりつつはございますけれども、水準として低いというのは御指摘のとおりでございます。  この原因につきましては、まず、生涯訓練給付金制度につきましては、昭和五十七年度に制度が発足したということもございまして、十分企業に対する周知徹底が行われていなかったという面も考えられますし、また、この給付金制度の支給対象が主として四十五歳以上の中高年齢者に対する職業訓練に限られておったということ、それから、事業内職業訓練計画等を初めといたしまして、支給申請の手続におきまして、賃金の台帳ですとかあるいは訓練受講の証明をしていただくとかいう手続面での煩瑣な点があったこと等が、不用額が生じている原因ではないだろうかというふうに考えておりまして、私どもといたしましては、手続の面での簡素化あるいは給付金制度についてのPR等について今後十分努めてまいりまして、制度の実効が上がるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  69. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そういう言いわけしかないのだと思いますけれども、そうしますと、この四十三億という予算の積算はどうしておやりになったのか。それから、確かに逐年上がってはおりますけれども、それにしても、五十九年でもまだ六割程度ですね。ですから、大変この執行率が低いし、行政の努力が大変疑われるわけなんです。  まず、予算の積算の基礎はどういうことになっているのか、それから、周知徹底についてどういう努力をされているのか、そこらの点を伺いたいと思います。
  70. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 予算の積算につきましては、民間企業における訓練の実施状況等に関する実態調査等に基づきまして、訓練計画の策定予想率あるいは訓練実施率等を想定いたしまして予算を計上したわけでございますが、実際上の給付を受ける段階におきましては、私どもが想定したとおりの、それだけの実施率になっていなかったという状況にあるわけでございます。  それから、制度の周知徹底等につきましては、私ども、各種のパンフレットを作成し、都道府県における職業訓練課あるいは関係事業主団体等に対して制度の利用を勧奨しているところでございますけれども、このPR等の努力が十分でないという点は、今後とも改善していかなければいけないというふうに考えております。
  71. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 この制度は現在就職中の者に対してやるわけでしょうけれども、その目的は、定年後の再就職を円滑にする、これを助けるということに重点を置くべきだと思います。ところが、必ずしも現在の運営はそうなっていないし、規定も必ずしもそうなっていないと思います。それから大企業と中小企業との間の配慮、これも十分ではない。この種の訓練は特に中小企業に重点を置いて、そして、しかも現職の人たちのうちで定年に近い比較的高年齢の層に対して厚く、しかも中小企業に対して厚くというのが本来の趣旨であると思いますけれども、そういう点でどうお考えですか。
  72. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 まず、中小企業におきまして自主的な訓練、事業内訓練が行いにくいという面に考慮をいたしまして、助成率につきましては、大企業よりも高い率をもって助成をしているというのが一つと、もう一つは、従来は大企業、中小企業とも一定年齢以上、三十五歳以上の者についての訓練というのを対象にいたしておりましたけれども、本年度から、中小企業につきましては二十五歳からの訓練実施についても、一定のメニューにつきましては助成ができるような対象に改めたところでございます。  また、定年退職者等の再就職を容易にするための訓練につきましては、現行におきましても、定年退職予定者に対する訓練につきましては、通常の訓練以上に訓練のメニューを多くいたしまして、また助成率も通常の助成率よりも高い率をもって援助をしているという状況でございまして、四十五歳以上の中でも定年退職予定者についての助成を手厚くしていくという点において、現行においても実施しているところでございます。
  73. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 若年者に対する措置を厚くしたというお話でございますけれども、若年者についても必要でしようけれども、むしろ中高年齢者に対する措置を厚くすべきではないかというふうに伺ったわけです。  それから、現状は、中小企業に対する助成率は三分の一ですね。これをさらに三分の二あるいはそれ以上に引き上げるお考えはないのか。それと、繰り返しますけれども、中小企業に重点的に、高年齢の者に重点的にという考え方が薄いようですけれども、その点についてはいかがですか。
  74. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 助成率につきましては、通常のものにつきましては大企業四分の一、中小企業三分の一、また定年退職予定者につきましては大企業は三分の一ないし二分の一に対しまして、中小企業の場合は二分の一から三分の二の助成をいたしておりますけれども、今後中長期的に、他の訓練の助成状況等と比べまして、あるいは勘案いたしまして、助成の改善等についても検討してまいりたいというふうに思っております。
  75. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 これは中小企業に対するものですから、ぜひ検討願って、三分の一を三分の二程度に引き上げる、これについての努力を願いたいと思います。  次に、これは直接関係はありませんけれども、労働力の維持、そして通勤者の福祉を向上させるという意味で、今首都圏内の交通事情が大変悪化をいたしておりまして、首都圏から東京中心部に通勤をする方々の数は恐らく百万単位、数百万に達すると思うのですけれども、この通勤交通が非常に今能力の限界を超えているという状況であります。日本の経済を発展させ、良質な労働力を維持するためには、総合的な交通対策というものもぜひ必要なわけでございます。そういう意味で、首都圏内の通勤交通の改善についても、ひとつ十分の御配慮をいただきたいと思うわけであります。こういう点についてどうお考えですか。
  76. 圓藤壽穂

    圓藤説明員 先生御指摘のとおり、首都圏の鉄道の混雑というものにつきましては、これまで鋭意鉄道整備が図られてきましたけれども、まだ十分でないという面につきましては、我々も十分認識しておるわけでございます。確かに、これまで神奈川でありますとかあるいは多摩でありますとか、主として西の方向に人口がふえてきたというような状況がありまして、鉄道網も西側を中心としまして整備が進んできた。ただ最近に至りまして、首都圏の東部でありますとか北部でありますとか、そういう地域の人口の増加が非常に急激になってまいりまして、これらの地域における交通網の整備がやや手薄であるということもございまして、これらの地域の鉄道混雑というものが非常に激しいということでございます。  こういう状況を踏まえまして、首都圏の鉄道網の整備を計画的に進めていこうということで、二十一世紀に向けて鉄道網の整備はどうあるべきかということを、現在運輸政策審議会において御検討をいただいておりまして、この答申を得て、今後計画的に鉄道網の整備を進めてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  77. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 運政審において審議中ということでありますけれども、その審議状況はどの程度まで進んでいるのか、そして、その発表はいつごろであるのか。  それと、特にお願いをしたいのですけれども、今お話にありましたように、東京を中心とする鉄道網のうちで、東京から西へ向かった方向については、これは歴史的にもかなり整備をされておる。それで十分とは言えませんけれども、まあ整備をされておる。北側についても相当の整備をされておる。まだ、南側についても一定のものがある。ただ常磐線と東北線の間だけが抜けておる。こういう事実があるわけです。だから、そういう点を十分考慮に入れていただいて、東京周辺の特に放射線の整備については、現在抜けている部分をいかにして補充し、強化していくかということに重点を置いていただきたいわけであります。  運政審の中間報告あるいは運輸省の統計にもありますけれども、昭和七十五年、紀元二〇〇〇年ですか、その段階において、東京周辺の東側、北側、南側というふうに方面別に分けた場合には、東側だけが依然としてふえ続ける、そのほかの方面については若干の改善を見る、こういう予想があるわけです。そういったことを十分考慮に置いて今後の審議の助言なり補助的な——補助的と言うと失礼ですけれども、十分そういう正しい方向に結論が得られるように努力をいただきたいと思うのですけれども、その点についてと、それからその発表の時期はいつであるのか、それを最後にお願いしたいと思います。
  78. 圓藤壽穂

    圓藤説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、現在運輸政策審議会で鋭意審議しておるわけでございますが、具体的には、路線網策定ワーキンググループと整備方策ワーキンググループという二つのワーキンググループを設けまして、先生御指摘のような点につきまして、特に東京圏の東、北、こういう地域の人口がふえる、そこから東京の都区部への流入人口がふえるということを十分認識いたしまして、特に先生御指摘の常磐線が首都圏で最も高い混雑率である、これを早く救済しなければいけない、都市交通対策上の喫緊の課題であるということは私どもも十分肝に銘じておるわけでございまして、最重点路線として御審議をお願いしておるということでございます。  まだ審議中でございますので、具体的にそれがどうなるかということにつきまして申し上げる段階ではございませんが、六月末を目途に鋭意御審議をいただいておるわけでございまして、当然発表の時期も、審議会の答申を得まして速やかに発表ということになるかと存じておる次第でございます。
  79. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 どうもありがとうございました。終わります。
  80. 安井吉典

    安井委員長 次に、金子みつ君。
  81. 金子みつ

    金子(み)委員 初めにお尋ねしたいと思いますことは、五十七年度労働省の予算執行に関する問題で、実はこの会議の冒頭に会計検査院の方から御報告がございました五十七年度決算労働省についての検査概要に関する説明というのがございまして、検査院から御説明のあった問題の中から私は一つお尋ねしたいことがあるわけでございます。  それは何かと申しますと、検査院の報告にもございましたように、労働省が、五十七年度労働保険料のうちの事業主負担して雇用福祉事業などに充てる分を財源として雇用促進事業団出資金を出して、雇用保険の被保険者のために、福祉施設という表現の仕方がしてございますが、体育館とか野球場あるいは教養文化施設などを建設してこれを運営するということを指導しておられるわけでございます。五十七年度の中では十九種類、千百九十三カ所あるんだそうでございます。そのように報告されております。その中で今申し上げた福祉施設というのは八百五十五カ所あるそうです。会計検査院がその中の三種類の福祉施設、今言いました体育館、野球場、教養文化施設のうちの二百五カ所を検査なさった報告が載っているわけであります。  これについては、建設費が百九十億円、そのうち国の出資額は百三十六億円になっているということです。これの利用状況を調査いたしましたら、百二十五カ所、建設費は国が八十二億出しております。その施設で、実は被保険者が利用していないということがわかったわけです。その利用の仕方が三〇%以下しかないということです。もっと少なかったりするものもある。要するに、対象になっている企業の従業員が、せっかくその目的でつくられておりますのにその施設を全く利用していないところもあった。あるいは会議室だとか研修室などがあっても、ほとんど利用していない。これは一体どういうためにつくったのだろうということは、私も大変疑問に感じました。  なぜこういうことになったのだろうということなのですが、この検査院の報告書を読みますと、労働省の基本方針で、施設を設置するのは人口一万人以上の市町村としているだけで、あと何も具体的に示されていない。それから、事業団の方でもほぼ同じような内容の方針を決めているだけだというふうに報告書の中には載せられているわけです。  私は、これを読みまして考えましたのは、労働省はこれだけの予算を出資して、働く人たちのための福祉施設としてこういうものを建設して十分活用してもらいたい、その趣旨は大変結構だったと思うのですけれども、それを建設して運営するためにどういうふうにしなさいという指示の仕方を一体なさったのかなと、実に不思議に思いました。私は時間がなくて、お出しになったでしょう通達あるいは内簡のようなものを拝見しておりませんけれども、一体どの程度に具体的に指示をなさったのですか、それが知りたいと思うことの一つでございます。  そしていま一つのお尋ねは、その問題に関連してですけれども、この問題については会計検査院から処置要求事項として示されております。五十七年度検査の結果処置を要求されているのですから、五十八年度において、昨年の報告をあれしておりませんが、昨年度中にこの問題の措置はなさったのかなさってないのか、まだできてないのか、その辺についてお尋ねをしたいと思います。
  82. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 これらの勤労者体育施設等につきましては、福祉施設に恵まれない中小企業労働者のために設置する施設でございます。この施設につきまして被保険者の利用が非常に低いという御指摘を受けたわけでございます。  従来、この福祉施設の設置に関しましては、労働省におきましては設置計画基本方針を定めて、その方針に基づいて設置の計画を決定する、また出資を受けた雇用促進事業団におきましては、当該施設を直接運営する場合あるいは市町村等に委託をして運営をしてもらうというケースがございますが、雇用促進事業団におきましては施設の運営要領というものを定めておったわけでございます。これらの基本方針等が、ただいまお尋ねのように人口一万人以上という程度で、必ずしも十分に詳しい計画になっていなかったがために、市町村からの要望等の審査において十分でなかった面がございまして、実際に設置した後被保険者の利用が、当初私どもが期待したような状況に至っていないというのが現状であったかと思います。  で、そのような指摘に対してどう措置したかという点につきましては、まず第一に労働省がとりましたのは、先ほどお答え申し上げました設置計画基本方針の見直しを行いました。この中におきまして、単に人口だけではなくて、被保険者がどの程度以上いるかということが一つ、それから、こういった福祉施設と言われる類似施設がそれらの地域でどの程度整備されており、かつ利用状況がどうなっているかというより詳しい基準を設定いたした上で、それに基づいて設置決定をするということが第一点でございます。  それから第二点は、雇用促進事業団におきます施設の運営要領の見直しにつきましては、被保険者の優先利用、また被保険者が利用しやすい利用料を設定するといった事項を加えるなどいたしまして、施設運営を委託しております市町村等に対しまして被保険者の利用の促進を一層図っていくという指導を行ったところでございます。  また、これら施設の運営を受託している団体からは運営実施状況報告をとるわけでございますが、その報告回数をふやして、より綿密な利用状況の調査を行えるように措置をいたしまして、利用度の低い施設につきましては個別の指導が行えるような措置をとったところでございます。  また、都道府県単位に勤労者福祉施設運営協議会というものを実は設けているわけでございますが、これにつきましても、労働省及び雇用促進事業団が計画的、積極的にこの運営協議会に参加いたしまして、個別施設についての運営改善についての指導ができるような措置を講じたところでございます。
  83. 金子みつ

    金子(み)委員 今いろいろ聞かせていただきました。  そこで、私はもう一つお尋ねしたかったのですが、それはどうして利用者が少なかったかということをどのように分析なさったかということなんです。その理由ですね。
  84. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 先ほど申し上げましたような計画の中において、人口を基本に置いただけではなくて、やはり本当に被保険者がこれらの施設をどの程度利用するかというところまで、事前のニーズ調査が十分でなかったということが、結果として被保険者等の利用が低調に終わっていたという原因ではなかろうかというふうに考えまして、設置計画におきましても、被保険者を中心とするニーズを把握した上で設置計画を決めるように改めたというふうに措置しておるわけでございます。
  85. 金子みつ

    金子(み)委員 会計検査院からいろいろ報告書をおもらいになってから措置の方法を考えて、今何項目がおっしゃったようなことを考えられたようですけれども、こういう問題は初めからしておくべきだったんじゃないですか。報告があったから急いでつくったような感じがします。とにかく施設をつくっておけば、そして事業団にその運営を任せておけばそれでいいんじゃないかというふうに、比較的安易に考えておられたんじゃないでしょうか。積極的にそのことを進めるための熱意に欠けていたんじゃないかというような感じがいたします。  報告書をとるようにしていらっしゃるようですけれども、その回数をふやすようにしたというふうにおっしゃるのですね。だから、今までは一年に一回くらいの報告をとっていらしたのかもしれない。いずれにいたしましても、これだけ費用をかけて、そして中小企業の労働者の被保険者の人たちのために考えてこられた施設の利用の仕方が大変に不十分であるということは、まことにむだだといいますか、もったいないといいますか、残念なことだと思うわけでございます。  こういうふうに計画を、今おっしゃったように措置を見直したりなんかなさったということですから、このことが実際に実現されているならば、今度の報告書にはこのことに対してはいい評価が出てくるだろうと期待したいと思うのです。そのことを期待しておやりになったんだろうと思いますが、そのようになってほしいものだと思っている次第です。  これは五十八年度になさったことですか。——そうですね。それでは、この問題は五十八年度になさったということを私も今わかりましたから、今度の報告書をよく見てみたいと思います。そこできちっとやっていらっしゃるということがわかるようなことになるであろうと期待して見るつもりでおりますが、それでよろしいですね。
  86. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 五十八年の十二月に指摘を受けましたので、五十九年度に、昨年改善措置をとったところでございます。  また、これらの福祉施設につきましては、事業主からの労働保険料という貴重な財源でございますので、その財源を使って福祉施設を建設、利用していただいておりますので、その趣旨が生かされますように、今後とも十分私ども努力をしてまいりたいと思っております。
  87. 金子みつ

    金子(み)委員 わかりました。それじゃ五十九年の報告を見ればいいわけですね。二年おくれになりますね。はい、わかりました。それでは、この問題はそれまでにしておきます。  その次の問題ですが、大臣がお見えになるまで事務的な問題になりますが、労働省の方にお尋ねいたします。  日本の労働時間が世界的にずば抜けて長いということは、労働省の方はもう耳にたこぐらい、暗記していらっしゃるくらいその数字は御存じなんだろうと思います。思いますが、あえてもう一遍しっかりと認識していただきたいと思いますので、申し上げてみたいと思います。一九八二年の労働省の調査ですから、間違ってないだろうと思いますよ。  総労働時間が、日本は年間二千百三十六時間、アメリカが千八百五十一時間、イギリスが千八百八十三時間、西ドイツが千八百八十二時間、フランスは千七百七時間、こういうことが先進諸国の中の数字ですね。サミットのメンバーと考えてもいいかもしれません。これで見ますと、どうしても日本の労働時間は突出していますね。突出しているのは防衛費だけじゃないです。欧米では大体千八百時間が平均のようですね、千八百時間台。フランスのように千七百というのもございますけれども、大体平均すれば千八百時間台になります。それが日本は二千百三十六時間です。労働時間の長いこと。この長い労働時間。  したがって、週休の日数も日本は大変少ない。そうなるわけでしょう、休まないで働いているのですから。日本は八十三・四。それでアメリカからイギリス、西ドイツ、フランスと、全部同じ数字で百四となっていますね。百を超えています。日本の場合は百を下回る八十三・四、こういうことです。  そこで、休暇にも関連してきます。働き過ぎているんだから、休みもしないで一生懸命働いているということですから、休暇日数が少ないのは当然だと思いますが、やはり同じ調査の中の数字を見てみますと、年次有給休暇をとった日数というのが、何と日本は九・六日しかありません。このときにアメリカは十九・五、イギリスは二十二・五、西ドイツは三十・二、フランスが二十五・〇、みんな二けた台です。二けた以上ですね。二けたになっています。日本だけ一けた。  こうやって数字を見ますと、今さらのように、何と日本は休まないで一生懸命働いているなと。勤労国民結構だ、こういうふうに評価する人もいるかもしれませんが、大変に見事な違いが数字の中に出てきます。この働き過ぎが、働きバチとか働き中毒とかというようなことになって、貿易摩擦の問題の大きな原因にもなっていると言われるような状態だということは、もう今さら私が申し上げるまでもない、皆様も十分御認識の上だと思います。  そこで、私はお尋ねしたいことが幾つかございますが、そのうちの一つです。  休みが少なくて労働時間がやたらに長いということになりますと、どんなに元気な若者たちであっても、健康が侵されることがないことはないんじゃないかという心配が出てきます。ですから、私がお尋ねしたいのは、健康状態の問題を知りたいわけです。各事業所で働く人たちの健康状態はどうなのか。その人たちに対する健康管理のあり方はどうなっているのか。それは労働安全衛生法がありますからそれでやっていますというような通り一遍の御回答では困るのですが、例えばこの間うちから新聞に出ておりますように、熟年の人たちの自殺が非常にふえている。大変に多いという問題ですとか、あるいはノイローゼの人たちが大変に多く出てきているとかという問題が、思いがけない数字として先般みんなをおどかしたと思います。自殺は老人だけだと思っていたら、熟年者に自殺が多いということがわかったというので、みんなはっとしたと思います。  そういうような問題が出てくる原因がここにあると私は思いますが、労働省はどうお考えになりますか。それとは関係は違うとお考えになるか、あるいは健康管理はどのようにしているから大丈夫なんだと思っていらっしゃるのか、その辺をひとつ聞かせてください。
  88. 寺園成章

    ○寺園政府委員 労働者の健康の問題につきましては、私ども常日ごろから強い関心を持っておるところでございます。五十七年に労働者の健康状況調査というものを実施いたしました。その結果、健康であるというふうに答えた方が全労働者の八割近くを占めておられます。しかし、反面から見ますと、二割の方が慢性的な持病等障害を持っておられるということでございます。また、職場において身体的な疲労を感じる方が約六五%、それを上回る数字で精神的疲労を感じるという方がおられるわけでございます。これを労働時間の長さと関連して見ますと、やはり実労働時間の長い方の方が健康状況においてよくないという実態がございます。  そういう観点に立ちまして、私どもかねてから健康管理対策を進めております。先生御指摘のように、安全衛生法におきまして、一般的な健康診断あるいは有害物質を取り扱う職場におきましては特殊検診というような健康診断を実施し、また企業における衛生管理体制についても各種の義務づけをいたしております。  そういうような法律的な制度のほかに、総合的な健康管理、なかんずく精神面、メンタル面を加味した健康管理というものを今後進めていかなくてはいけないと考えておるわけでございます。そういう観点から、六十年度の予算におきましては、メンタル面を含めた総合的な健康管理対策が進むような施策というものも予算化をして、これから取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  89. 金子みつ

    金子(み)委員 わかりました。それでは、それは今後も十分気をつけてやっていただきたいと思っております。  次に問題を移します。  あと、時間も大変に短くなりましたので、大急ぎになりますが、大臣お見えになりましたのでお尋ねしたいと思っておりますことは、大臣が大変に意欲的に熱意を込めて努力を続けていらっしゃるというふうに私どもも承知いたしております労働時間短縮の問題並びに週休二日制の問題、それと休日の問題というふうに考えるわけでございます。たまたまその関係の会議にお出ましだったというふうにも承っておりますので、最も新しい御報告をしていただけるかと思いますが、それはそれといたしまして、お尋ねしたいと思っておりますことは、労働省では、昭和六十年度の労働基準行政の運営方針、こういうのをおつくりになっていらっしゃるように聞いておりますが、この問題の具体的な中身としては、金融機関の土曜日の週休二日制ですとかあるいは四週六休制ですとか、いろいろなことが考えられると思いますけれども、要するに完全週休二日制への移行を目指して、その間に段階的にどういうふうに進めていくかというようなことが考えられていらっしゃるのだろうと思うのです。  そのことについて、労働省だけでなくて関係各省庁でもどのようにそのことを広げていってもらえるだろうかということを、労働省側としてリーダーシップをとっていらっしゃるように私どもは承っておりますが、それはどんな程度に進められているのでございましょうか。大臣がお考えになっていらっしゃるような形に順調に進んでおりますのでしょうか、あるいはあちこちひっかかりがあって思うようにそのことは進めにくいというふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか、政策の問題として大臣のお考えを聞かせていただきたい。
  90. 山口敏夫

    山口国務大臣 基準局長のところで具体的に進めておりますが、私から総括的に御答弁申し上げたいと思うわけでございます。  金子先生御指摘のように、連続休暇の問題、有給休暇の完全消化の問題、いろいろございますが、私も基本的には、週休二日制が中期的に完全実施されるということが、日本の労働条件、また労働者の福祉かるしても一番妥当なのではないかということで、ゴールデンウイークの休暇の問題、また中村先生御指摘のように正月三が日の問題等を休日拡大の柱として進めると同時に、週休二日制の普及に鋭意努力している、こういうところでございます。  特に大蔵省、これは銀行関係がございます。また農水省、これは農協等の金融機関、また郵政省、特定郵便局等もございます。そういった省庁と連絡をとりながら、労働省といたしましては、この金融機関が週休二日制を実施していただきますと、他の企業間におけるこの普及度が非常に促進される、こういう立場で努力しているわけでございますが、ことしの九月の段階におきまして一応この四機関にかかわる金融機関がCDの稼働を進めるという合意がようやっと、紆余曲折を経て取りつけられた。CDの稼働ということによって二日制がさらに具体的に総体的に進められる、こういうことでもございます。  それから通産省などでも、ようやっとといいますか、同じ政府部内でございますから適切かどうかあれですが、労働省が提案しております週休二日制について、経済摩擦、貿易摩擦の立場から腰も上げていただきまして、通産大臣も大変熱心に週休二日制の普及を各企業間に行政的にも進めておる。そして通産省自身も、率先垂範という立場で週休二日制への取り組みを省内的にもいろいろ検討しておる。  こういうことで、ようやっと、国会で先生方からお取り上げいただいているその時短の問題、休日拡大の問題が国民的なレベルで真剣に討議をされてきた、こういう状況でございまして、いま一歩、我々としてもひとつ帆を追い風としてこの行政指導を強化していきたい、かように考えておるわけでございます。
  91. 金子みつ

    金子(み)委員 いい方向へ向かって進んでいるように今のお話でうかがえるわけでございますが、金融機関の週休二日制が実現できれば一番やりやすいというお話は、確かにおっしゃるとおりだと思います。  全国銀行協会連合会の会長さんのお話によれば、今大臣おっしゃった九月の三連休になる第二土曜日にCDを動かして、そして六十一年度、これはまた非常にはっきり具体的に言っているのですね。六十一年八月をめどにと言っていますね。六十一年というと来年ですね。来年の八月をめどに機械を動かして、そして週休二日制を実施するというふうにしたい、その問題は農協や信用金庫からも前向きに協力するという感触を得ているという発言をしておられます。農協や信用組合の問題は難しいのだろうというふうには考えられますが、その感触を得ているということは、できるということを見越しておっしゃっているのじゃないかと思います。  この問題がその方向で今進められている、大変に期待の持てる、来年の八月をめどに具体的に進んでいきそうだという感触を私は今得たわけでございますが、ここで私は、一つ心配事がございますので、それを大臣にお尋ねしたいのです。それは、そうなったときに中小企業もみんなするでしょうかということです。中小企業というのは非常に難しいと思うのです、実際問題としては。今の時点では、私どもがときどき関係者に話を聞きますと、週休二日制なんかとんでもないと言う中小企業の方が多いわけです。それで、このことが実現した場合に中小企業の人たちの対策をどうするのかということを、大臣、どんなふうにお考えになっていらっしゃるのかを聞かせていただければと思います。
  92. 山口敏夫

    山口国務大臣 確かに、私どもが労働時間短縮、休暇の拡大を進めている中で、中小、小規模企業からの抵抗というのは非常に強いものがございます。また、労働団体の指導者は別といたしまして、個々の労働者の立場でも、休暇の拡大についてはかなり抵抗が強い、これが日本の勤労国民の実態でございます。しかし、私は基本的には、日本自体が諸外国との経済摩擦の中で労働時間の問題が非常に重要なポイントになってくる、それからまた、日本自身で考えましてもME化、OA化等の中でやはり生活余裕時間の拡大というものが労働衛生の面からも非常に必要になってくる、こういうことでございますので、率直に言って、日本だけでは、日本人だけでは改善が進まないような問題も、いろいろ外国や何かからの問題調整の中からも、これはもういや応なくこういう問題に真剣に取り組まなければならない、こういう点も一つございます。  それからまた、労働条件が改善されて企業が倒産をしたという例は、率直に申し上げて少ないわけでして、いろいろな他の理由はありましても。ですから、言うことは非常に厳しい意見をおっしゃられるわけでございますけれども、それぞれの業種別あるいは企業別あるいは地域別の問題を踏まえながらきめ細かい休日のとり方を進めていけば、最終的には中小企業といえども、これは労働福祉が改善されてよりよい雇用環境、また営業環境ということにもなるわけでございますから、これはやはり一歩一歩御理解をいただきながら進めなければならないというふうに考えております。  先生からせんだっても御指摘いただきましたように、経済問題諮問委員会の中間報告、大来諮問報告に、週休二日制の拡大と労働時間の短縮の問題も、今政府が懸命に取り組んでおりますアクションプログラム、市場開放と同じように非常に大事なポイントだ、こういう指摘も出されておりまして、それをせんだっての閣議で、新政策の中にこういう報告を取り入れるということでよろしいかということで、総理初め他の関係閣僚諸公の御了解もいただいておるわけでございまして、労働省といたしましては、そういう施策も新政策の中に何とか織り込んでいきたい、こういう決意で今検討しておるところでございます。
  93. 金子みつ

    金子(み)委員 大臣のその非常に熱意のある積極的な姿勢をみんなが期待していますから、六十一年八月ですか、一応のめどになっているその時期までにどうか成立できるように、せっかく御努力いただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  94. 安井吉典

    安井委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後一時三分休憩      ————◇—————     午後一時四十分開議
  95. 安井吉典

    安井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上原康助君。
  96. 上原康助

    上原委員 労働大臣に余りお目にかかる機会が少ないものですから、きょうはこの委員会を借用させていただいて、わずかな時間ですが、主に沖縄の労働雇用問題について少しお尋ねをさせていただきたいと思うのです。  その前に一言だけ触れておきたいわけですが、せんだって男女雇用機会均等法が成立をしたわけです。しかしこの法律は、私ども社会党を初め、真に男女雇用平等を期待をしている特に女子労働者や関係者の期待に十分沿えてない面が多かったと思うのです。細々したことについては既に専門委員会でいろいろと審議をされた経緯がございますので割愛をいたしますが、例えば採用、昇進等における男女平等の取り扱いを企業の単なる努力義務にした点とか、差別された女性労働者を迅速かつ効果的に救済する機関を設置するものとなっていない点、女子保護規定を撤廃あるいは緩和するという労働基準法の改正、私どもからいうと改悪をセットとした点など、これから実施されるに当たっては、関係諸法令または政令等の制定に当たって十分配慮すべきだと思うのです。  そして、一応雇用機会均等法という形で運用されていくでありましょうが、一定の期間を置いて抜本改正を図るべきだと私どもは考えているわけですが、このことについて改めて労働大臣の所見と、今後法律の運用に当たってどのように労働省として対処をしていかれようとお考えなのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  97. 山口敏夫

    山口国務大臣 社会党からも、男女雇用法案の立派な法案がいろいろ御審議もいただいたわけでございますけれども、先般参議院で成立をいただきまして、これは国内法でございますから、今外務委員会で批准を審議いただいておるわけでございます。  私は、やはり法案にはそれぞれいろいろな性格、また現実の社会においてどうこれが展開していくかという問題がありますけれども、確かにいろいろ御批判をいただいているような部分、罰則規定がないじゃないか、努力義務だけじゃないか、いろいろ言われてもおったわけでございます。しかし、例えば共通一次試験のような、これは教育改革の非常に大きな一助になるといってみんなつくられたこの案も、運用してみるといろいろ論議も多いという問題もございます。  私は、男女法というのは、いろいろ批判はあったけれども、この成立によって女子の雇用機会均等というものが予想以上に前進、拡大をする結果を生むのではないか、現に、民間企業等におきましても、特に来春卒業の女子大生等を含めて、企業が男女雇用法を踏まえた女子労働者の採用等について非常に前向きに検討していただいておることもございます。また、自治省あるいは防衛庁等政府機関におきましても、女子の採用について非常に意欲的に御検討いただいておる。こういうことでもございまして、これがこれからさらに大きく育っていくのではないかということを期待すると同時に、労働省また労働大臣としてもこの運用のつつがなきを期するため一層努力しなければならない、そして、省令その他細目の規定につきましても、関係審議会等の意見も十分聞きながらひとつ対処していきたい、かように考えております。
  98. 上原康助

    上原委員 これも議論すればいろいろございますが、今外務委員会で大臣おっしゃいましたように男女差別撤廃条約あるいはその他の国内関連法の整備があって、またこの雇用機会均等法が本当にどういう形で女子差別がなくなっていく職場あるいは労働行政になるか見守らなければいかない点もありますが、いずれにしても、関係者の不満が相当強いという点は十分御念頭に置いて、今後対処していただくことを強く御要望申し上げておきたいと思います。  次に進みますが、沖縄の雇用労働失業問題については、沖縄北方対策委員会なりその他の委員会でもしばしば取り上げてきたわけです。また、今日まで労働省初め沖縄開発庁、関係省庁もそれなりの御努力はしてこられている点は認めないわけではないわけです。しかし、依然として失業率が非常に高いということ、また雇用失業対策が実効を上げていないという点、これは政府、国だけの責任とは言いませんが、いろいろな悪い条件が折り重なってこういう事態を招いていると思うのですが、時間の都合もあって余り具体的なことに触れながらお尋ねできないことは残念ですが、これまで労働省がとってこられた沖縄の労働者の雇用失業対策を進めてこられて、一体具体的な成果としてはどういうものがあったのか、まずお答えをいただきたいと存じます。
  99. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 先生御指摘のように、沖縄県における雇用失業情勢が、失業率にいたしましても五十九年で五・二%、あるいは有効求職倍率が四・二倍というような失業者の滞留が見られて、非常に厳しいということは十分承知いたしております。このような情勢に対応いたしまして雇用情勢の改善を図るためには、基本的には、沖縄県における産業の振興による雇用の場の確保が基本でございますけれども、労働省といたしましても、これらの施策と密接な連携をとりながら、沖縄県の失業者の特性を考慮した対策の推進に努めてまいったところでございます。  その対策の概要は、基本的には、昭和五十九年八月に、御存じのように第二次の沖縄県の労働者の雇用の促進及び職業の安定のための計画を定めたところでございます。  この計画に沿いまして、対策としてまず第一には、沖縄関係失業者等に対する就職促進手当の支給によりまして積極的な職業指導、職業紹介を実施するとともに、再就職の促進を図るための各種の就職援護措置を講じております。  第二には、県内の雇用機会が少ないという状況から、当面県外への広域職業紹介を積極的に推進するという観点から、沖縄におきます現地求人説明会の開催のほか、県外就職の促進のための就職資金貸付制度の特例、あるいは広域求職活動費の特例等の措置を講じております。  また三番目は、特に沖縄に特徴的なことは若年層の失業者の割合が高いということでございまして、全国では若年者の失業者の割合が三三%程度であるのに対して、沖縄では五四%にも上っているわけでございます。これは一つには、特に高校卒業者を中心に、卒業後進学もしないあるいは就職もしないという、いわゆる学卒無業者の割合が四人に一人に上っている。これは全国の平均でいきますとごく微々たる数字に対して、沖縄の場合は今申し上げたように非常に高い。沖縄についてはこういうような若年失業者に対しまして職場への適応を進めるための職場適応訓練を実施するというようなこと等、あるいは学校の先生に対して産業、雇用に関する講習を東京から出かけてまいりまして申し上げるというようなこと等、各種の対策を推進しているところでございます。  それから、六十年度からは雇用開発推進事業、これは従来那覇職安管内のみにおいて適用しておりましたけれども、沖縄全域にこれを拡大して雇用開発を進めていくという状況でございます。  以上のような諸施策を講じておるところでございますが、先生御指摘のように、雇用の実態が必ずしも顕著な改善をしていないという点につきましては、一つには国全体の雇用情勢の改善が景気の拡大の中においても必ずしも順調に進んでいないということ等が基本的にございます。沖縄におきましては、失業率が五十八年が五・六%に対して五・二%、これは全国に比べて倍近い水準であることは御承知のとおりでございます。しかしながら、若干ではございますが改善を見ていること、あるいは職業安定機関を通じての就職率につきましても、五十七年度の五・七%から、若干ではございますが、七%台に就職率の改善に努めているという状況でございまして、さらにこれらの諸施策を積極的に活用して雇用情勢の改善に努めてまいりたいと思っております。
  100. 上原康助

    上原委員 御丁寧な御答弁は大変結構で、そういうことがある程度なされてきていることは、私も冒頭申し上げたとおり、そういう努力があるにもかかわらずなぜ雇用失業対策ができないのか、特に雇用創出の場が確保できないのか、その欠陥はどこにあったのかということをむしろお尋ねしているわけなんです。  そこで、これもいろいろ議論を深めていかなければいけませんが、確かに今おっしゃいましたように、昨年沖縄県の労働者の雇用の促進及び職業の安定のための計画というものもおつくりになった。これなども相当指摘をしてようやくでき上がったわけで、文章としてはいいことが書いてある。だが、今もありましたように、県外産業職業情報センターとか、雇用拡大のためのいろいろの連絡協議会の設置とかなされてはいるわけです。だが、それにもかかわらずなぜうまくいかないのかということなんです。例えば沖縄県の調査によると、昭和五十四年に本土就職した学卒者のうち、五十九年までの五年間で実に八七・五%が離職して、在職者数が極めて少なく、職場定着状況が悪いというアンケート調査結果も出ていることは御案内のとおりなんです。  ですから、従来の労働省なり開発庁を含めての雇用促進方針というか計画というか、策定だけではうまくいかないわけです。ここを私どもは何とかして突破してもらいたいということをこれまで強調してきたわけで、その具体策いかんということなんです。なぜそうなっているかということは、一口で言うと、今もありましたように、雇用機会を創出する抜本的解決策としての積極的な産業振興がなされていないということに尽きるでありましょうが、それにしてももう少しはできるのじゃなかろうか。  例えば、よく言われている沖振法の第三十八条の問題は、単に単純な失業対策ということではなくして、雇用の場を創出する事業もやらなければいかぬということになっていると思うのです。こういうものは一向に手がつけられていない状況です。例えば、かつて沖縄県が提起した雇用対策基金の問題とか雇用創出特別事業の計画、また私どもも一緒になって検討して八一年、五十六年から五十七年にかけて提起をいたしました沖縄県特定経済社会開発事業団的な問題とか、こういうことについてほとんど政府の方が具体化をしてこなかったわけです。ここにこれまでの雇用対策としての大きな欠陥があるのじゃないのか。  一方、沖振法では、雇用拡大という側面からも、沖縄に自由貿易地域を設定して雇用の拡大を図ってはどうか、流通、生産、備蓄等の拠点としてのこういう法律根拠があって、なお政府がやろうと思えばできるかもしれないことがなされていなかったということに、復帰十四年目に入っても今の雇用問題が一向に改善されない根本的原因があるのじゃないか。ここを少し、ニューリーダーの一人とも言われている山口労働大臣の時期に、今までの労働行政あるいは労働政策よりは一歩前進したものを明らかにしていただきたいと私は思うのです。この件について、今指摘した事柄を含めて大臣の所見を求めておきたいと思います。     〔委員長退席、新村(勝)委員長代理着席〕
  101. 山口敏夫

    山口国務大臣 沖縄の失業率が全国に比べて倍ということで、五%近い失業率を示している、特に若年労働者の失業が多い、こういう状況でございます。先ほど北海道の五十嵐先生にも御答弁申し上げたわけでもございますが、これから六百万に近い特に高齢者を中心とした新たな労働人口にどう仕事を分配するかということが、労働経済政策として、労働省の政策として一番重要な問題だということで、労働時間短縮を初めいろいろな形での取り組みを現在しておるわけでございます。  そういう意味からいいましても、沖縄の雇用の創出をどうするか、こういう改善がなされずして膨大な新たな労働人口への仕事の分配ということはかなわないわけでございますから、今上原先生からも御指摘いただいたような点も含めまして我々としては真剣に考えなければいけない。ただ、失業の問題は、率直に言いまして、地方自治体との絡みも非常に重要だと私は思うのです。また、どういう産業誘致、雇用市場を拡大していくかということを県当局あるいは各市町村等とも連絡をとらせていただくという決意の中で、労働省としてもどういう協力、努力が必要かということが一つ。  いま一つは、今政府で盛んに民間活力、民間活力と言っておりますけれども、これは率直に言って、政府機関でいろいろ考えるだけではいい案が生まれ切れない。したがって、沖縄の経済的な土俵の中でどうやったら民間活力が必要か、そういうプロジェクトをあわせて考えながらその仕事をふやしていくということも、私はこれからそういう経済的な背景をむしろ活用すべきであるという考え方も持っているわけでございます。  いずれにしましても、今までとまた新たな視点に立って、ひとつ前向きに真剣に沖縄の雇用の創出の問題についても取り組みたいというふうに考えておりますので、いろいろ御助言また御提案をいただければ大変ありがたい、かように考えておる次第でございます。
  102. 上原康助

    上原委員 民間活力に依存というか、期待をするのはわかるわけですが、ある意味では沖縄全体が不況地域、業種を抱えているようなもので、最近企業倒産も多い。あるいは金融の倒産等も含めて、先行きはそう展望を持てないという状況なんですね。  そこで、おっしゃることはわかりますが、私は労働省がおつくりになった第四次雇用対策基本計画とかあるいは第五次雇用対策基本計画の中身をざっと目を通してみたわけですが、地域対策とかいうのはあるんだが、特に失業率の高い沖縄のオの字も出てこないわけです。もちろん、それは四十七都道府県それぞれ触れたら大変なんで、わからぬわけじゃないけれども、そこいらに政府の姿勢というものが出てきているような感じ。したがって、この第五次雇用対策基本計画の中で、あるいはさっき引用しました昨年八月二十八日におつくりになった沖縄県の労働者の雇用の促進及び職業の安定のための計画、こういうものをもう一遍再検討していただいて、その中に雇用創出あるいは今後の雇用失業対策というものを十分位置づけていく、この御努力はいただきたいと思うのですが、その点よろしいですね。簡潔にひとつ……。
  103. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 昨年策定いたしました計画につきましても、さらにその実効を上げるように努力すると同時に、また新たな雇用失業情勢に配慮した対策等についても検討してまいりたいと思っております。
  104. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつその点、強くお願いをしておきたいと思います。  そこで、今でさえそういう雇用問題を抱えているのに、御承知のようにバス企業の統廃合問題が出て大変深刻な状況になっていることは、せんだっても大臣にもお会いしましたし、また所管局長や関係者にもいろいろ御要望をしてまいりましたが、これはもう時間がありませんのではしょらざるを得ません。  いずれにしても、十一月の三十日までに琉球バスと那覇交通、いわゆる銀バスの合併計画がなされて、これまで両バス会社から出されたいわゆる雇用員の削減計画では、四百二十六人という大量の解雇、これは約二五%に相当するわけです。今どき一企業で四百二十六名前後の解雇となると、これは大量解雇に間違いない。これについては、もちろん今後の合併計画の中でこの数を減らしていく努力はいろいろとなされていくでありましょうが、最終的にどうなるかは知りませんが、いずれにしても相当数の合理化、解雇者が出てこないとは言えないと思うのです。  これについてどのような対策をお考えになっておられるかということ、そしてこのことについては、せんだっても、運輸省、労働省、開発庁の課長クラスで合同会議というか協議会を持って十分な対策をとるというような御発言も沖特で沖縄開発庁からあったわけですが、その点についてはどうなっているか、現段階で政府がとり得ると考えられるお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  105. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 労働省といたしましては、この沖縄のバス合併問題が雇用面に、現在でも厳しい状況にありますので、これによってさらに雇用の安定が損なわれることのないよう、失業の防止という観点から労使の話し合いの状況を十分見守ると同時に、私ども、現地等からの状況把握等につきましてさらに努力しながら、この話し合いの結果等に基づきながら対応を進めてまいりたいと思っております。
  106. 上原康助

    上原委員 三省の協議会というか、連絡会議というのはどうなっているか、御説明いただきたいと思います。
  107. 西田幸男

    ○西田説明員 お答えいたします。  二社合併につきましては、両社間におきまして鋭意検討が行われているということを承知いたしておりますが、合併に伴って予想される問題に関しましては、雇用問題を含めましてその対策について、運輸省、労働省、沖縄開発庁の課長クラスで検討をいたしてきているところでございます。既に過去四回打ち合わせ会議を持ちまして、六月早々にはさらに五回目の会合を準備いたしておるところでございます。今後とも事態の進展に対応いたしまして、意見、情報の交換を密接に行ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  108. 上原康助

    上原委員 そこで、運輸省に一点確かめておきたいわけですが、琉球バスと那覇交通の合併計画は、知事提言を受けて進められているわけですね、先ほど申し上げたようなタイムスケジュールで。しかし、五月十四日に、今度はまた唐突に沖縄バス、琉球バスの北部支線を切り離すという、新会社設立というか、新たな提案があるというわけですが、これは当初の合併計画案とは関連してないと私たちは理解をしているわけですが、この点について運輸省の考えと、また何か御相談でも受けてこのような支線分離提案がなされているのかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  109. 永井隆男

    ○永井説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のありました北部支線を切り離して別法人にするという問題でございますけれども、この問題は、現在関係者が焦眉の急の問題として検討を鋭意進めております琉球バス、那覇交通の合併問題とはおのずから別の問題であるというように認識しております。今関係者が全力を集中しなければならない問題は、那覇交通並びに琉球バスの合併問題を円滑にかつ成功裏に導くために全力を投入すべきだというふうに理解しているわけでございまして、私ども、この北部支線の切り離しの問題については事前に何ら関知しておらない問題でございまして、非常に唐突な感じを受けております。  今後どのようにこの問題を理解していくかということでございますが、この北部支線の効率的運行の問題、検討しなければならない問題ではあると思いますが、いずれにしましても、合併問題が解決した後の問題であるというふうに整理をし、合併問題に混乱を生じさせないような的確な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  110. 上原康助

    上原委員 それじゃ、そうあってほしいと思うのです。もちろん、北部支線の赤字、不採算路線をどうするかということは、新たな角度で合併問題とも関連させて検討しなければいけない問題だと思うのですが、これを持ち出して、また当初の本体がおくれるようではますます行き詰まると思いますので、その点は特に要望しておきたいと思います。  そこで、時間がちょっとなくて、あとの問題、お尋ねできるか知りませんが、労働大臣に一言要望等をしておきたいわけですが、今のバス問題あるいは冒頭申し上げた雇用失業対策等の問題で、やはり一遍沖縄の労働事情の視察とか、こういった雇用問題、バス問題を十分現地の生の声も確かめていただくという意味で、適当な機会に大臣に沖縄に行っていただく、そこでできれば関係者と意見交換もしていただきたいと思うのです。そういうお考え、あると期待しているのですが、いかがでしょう。
  111. 山口敏夫

    山口国務大臣 私もただいま国会の合間をいただきまして、労働災害防止のためのキャンペーンを通じて全国の都道府県で安全衛生大会に出席をさせていただいているわけでございまして、沖縄にもぜひお邪魔をして、関係の労使の皆さん方からも、今上原先生御指摘のような問題も含めまして率直に意見を伺う機会をいただきたいということを考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  112. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつ問題解決を図るという前提での訪沖を強くお願いしておきたいと思います。  そこで、あと一、二分しかありませんが、一、二分程度ひとつ委員長よろしくお願いしたい。  最後に、アスベストの問題、石綿問題です。これは何回かこれまでお尋ねして、基地内建造物のアスベスト使用状況の結果いかん、どうなっているのか、またその結果に基づいたこれからの対策はどのようにしておられるのか、アスベスト対策に関する各省庁協議の進捗状況等含めて、これまでの国会答弁の経過もありますので、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  113. 會田正一

    ○會田説明員 お答えいたします。  先生既に御承知のように、三月上旬、駐留軍従業員の安全対策について、その就労の実態あるいは安全対策面における米側への要請事項を列挙いたしまして、調査方を米側に要請したところでございます。  今月二十一日、米側から中間的な報告がございました。その内客を要約いたしますと、駐留軍従業員の安全対策については、いわゆる安全衛生計画に基づいて十分積極的に配慮しているということが一つ。さらには、米側におきましてはアスベストに関します影響は十分理解しておる。したがって、今後必要に応じてその使用の禁止あるいは縮小の措置を積極的にとっていきたいということ。あるいは、作業地域内におきましてアスベストにさらされる可能性については、いかなる潜在的な危険も防除できるように、必要な保護衣等の着用を積極的に進めていきたい等々の回答があったわけでございますが、駐留軍従業員の人数あるいは職域、どういう分野で働いておるか等々の問題がまだ回答がございませんので、現在それを督促しておるという状況でございます。     〔新村(勝)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、先生の御意図のように各省庁と折衝を具体的にまだ開始しておりません。可能な限り早くこの実態を把握いたしまして、しかるべき調整を図りたいと思っております。もうしばらく時間的余裕をいただきたいと思っております。
  114. 上原康助

    上原委員 時間も参りましたのでこれで終えますが、五月二十一日の中間報告ということについてもう一度資料として提出をしていただきたいということと、早目に各関係省庁との協議を持って政府の具体的な対策を講ずるよう強く要求をいたしまして、時間ですので質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  115. 安井吉典

    安井委員長 次に、斉藤節君。
  116. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 最初に、私から水の問題についてやらせていただきたいと思います。  我々人類にとって必要不可欠な水、これをどのように確保していくかという問題で、ダムの建設があるわけでありますけれども、現在ダム建設予定地でその建設が非常におくれておる、その原因はいろいろあると思いますけれども、まず私がこれから述べてまいりますことはその最たるものではないかと思いますので、取り上げた次第でございます。  まず、会計検査院にお伺いいたしますけれども、群馬県の八ツ場ダム、これについて特記事項として出されておりますが、これについて御説明いただけますか。
  117. 小川一哉

    小川会計検査院説明員 お答えいたします。  建設省と水資源開発公団が実施しております多目的ダムと河口ぜきの建設事業のうちには、実施計画の調査に着手いたしましてから十年以上を経過しまして、多額の事業費支出しながら用地買収とか補償交渉等が難航をしているために、ダム等の本体工事の着工の見通しが立っていない、こういうふうなものがたくさん見受けられましたので、昨年総合的に検査実施しましたところ、建設省の建設しております八ツ場ダム外三事業、それから水資源開発公団の建設しております滝沢ダム外二事業、計七事業につきまして事業効果の発現が遅延しているというふうな事態が見受けられまして、このまま推移いたしますと、災害防除等の治水効果、それから水道水等の利水効果、そういうふうなものに支障を生じます上、事業が長期化する、それに伴いまして経費が増加する、また物価上昇等によりまして事業費も増高する、そのために原水単価が高騰するなどの悪影響が生ずる、そういうふうな事態が認められましたので、五十八年度決算検査報告におきまして、特に掲記すべき事項として問題提起をした次第でございます。  八ツ場ダムの現況でございますが、このダムは、建設に伴いまして家屋二百七十九戸、それから宅地、農地等二百二十四ヘクタールの水没が予定されておりまして、特に、川原湯温泉、それから吾妻渓谷沿いの良好な農地の大半が水没する、そういうふうなことから、地元に非常に強い反対がございまして、ダム建設に関する基本計画立案のための用地等の立入調査とか地質調査さえ行えない状況となっておりまして、そのためにいまだに基本計画が公示できない。それからまた、十七年間にわたりまして、四十五億数千万円で吾妻川の水質観測とか上流の護岸工事等を施工しただけでございまして、水没家屋とか水没用地等の補償は全く行われていないという状況でございまして、問題提起すべき事態と認められた次第でございます。  以上でございます。
  118. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 今お聞きのように、大変な問題が起こっておるようでありますけれども、まず国土庁にお聞きしたいと思います。  国土の適切な利用という観点から水資源の重要性についてどうお考えなのか、まず国土庁長官から御所見をお願いします。
  119. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 水資源は、地域の生活、産業活動を支える貴重な国土資源でございまして、その安定的確保は極めて重要な課題でございます。したがいまして、国土の均衡ある発展を図る意味から、地域の生活や産業の動向などを十分に踏まえて、今後とも長期的な展望に立ちまして、計画的かつ先行的に水資源の開発を進めるべき必要があるという考えを持っております。
  120. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 まず、長期水需給計画、これは私は見直すべきではないかと思うのでありますけれども、その辺、いかがなものか。あるいは水需要の見通しはどうなのか、その内容についてどうなっているか、お知らせ願いたいと思います。
  121. 和気三郎

    ○和気政府委員 お答えいたします。  長期水需給計画につきましては、国土庁が五十三年の八月に第三次全国総合開発計画を踏まえまして策定いたしましたものでございまして、これに基づきまして、水需給の長期的安定化を図るために必要な施策を推進してまいっているところでございます。最近の経済社会情勢の変化がございますので、それに対応いたしまして、二十一世紀を目指す第四次全国総合開発計画を策定することにいたしまして現在準備されておるわけでございますが、この長期水需給計画につきましても、これと整合をとりながら新たな計画を策定するために、現在作業を進めている段階でございます。  新しい長期水需給計画につきましては、二十一世紀に向かって、生活の安定と質的な豊かさを求める国民のニーズがございますので、これにこたえるために、地域の特性を踏まえながら、長期的、総合的な見地に立ちまして、限りある貴重な水資源の活用を図っていく必要がありますので、これを基本的な方針といたしまして作業を進めているところでございます。
  122. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 国土庁は、昭和五十一年四月十六日でありますけれども、利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画、こういったものを立てておられるわけでありますけれども、この中に、先ほど申しました八ツ場ダムを組み入れて、これは閣議決定しておるわけであります。八ツ場ダムは、建設省の直轄ダムとはいえ、全関東の水資源確保という意味において極めて重要な多目的ダムと言われているわけであります。しかし、会計検査院からも、「特に掲記を要すると認めた事項」として昭和五十八年度に八ツ場ダムが取り上げられておるわけでありますけれども、つまり、昭和二十七年の建設計画発表から三十三年、昭和四十二年の実施計画調査より十八年という極めて長い年月を費やし、昭和五十八年までに先ほど説明のありました四十五億四千四百八十九万円という巨額をかけながら、いまだに用地買収や補償交渉なども何一つ具体的なものになっていない、そういう状況にあるわけであります。  国土庁は、四全総、つまり第四次全国総合開発計画、これは来年、昭和六十一年をめどに策定を定めているわけでありますけれども、この中でも水資源確保は重大な課題であると考えているわけであります。昭和五十七年の資料で見たわけでありますけれども、河川総合開発事業で、特定多目的ダム建設事業が四十三事業の四十七ダム、それから実施計画調査に入っているのが十七事業の十七ダム、河川総合開発事業が八事業の八ダム、それから流況調整河川事業として四事業の四ダム、水資源開発公団事業として十七事業の十七ダムというふうに、いわゆる八十九事業の九十三ダム、さらには補助事業での一級河川の多目的ダム建設工事が七十四ダム、同じく二級河川の多目的ダム建設工事が七十ダムと、補助多目的ダム合計が百四十一事業、百四十四ダムと、膨大なこれだけのものが計画されて、全く気の遠くなるような多目的ダムの建設事業が、将来の水資源の安定的確保というために計画されているわけであります。  しかし、これらは非常に費用が、いわゆる天文学的数字と考えるほどの額が必要になってくるということであります。これらのすべての事業がまだ遅々として進んでいないということ、いわゆる税金食いの事業とは言わないわけでありますけれども、円滑に進めるために、法体系の抜本的な見直しが必要であると私は思うのであります。特に水源地域対策特別措置法、こういったものを見直していかなければならないのじゃないか、あるいは租税特別措置法なども見直さなければならないのじゃないかと思うわけでありますけれども、これについてお伺いしたいと思います。いかがでしようか。
  123. 和気三郎

    ○和気政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、将来の水需給の見通しにつきましては、現在も大都市圏等におきましては不安定な取水に頼らざるを得ない状況がございまして、毎年夏になると非常に厳しい状況が訴えられております。また、昨年からことしにかけましても、全国的な水不足ということで心配がされてきたわけでございます。  そのように、現在も水需給の状況からいいますと不安定な状況にあることに加えまして、今後の水需給の見通しから申し上げますと、やはり生活用水につきましては、核家族化の進行あるいは生活水準の向上等によりまして、生活用水、特にまた第三次産業等に伴う都市活動用水の需要が伸びていくものと考えております。そういうことで、将来ともに水需給の需要の増大に対応するための対策というものが、緊急に重要な課題となっておるわけでございます。  私どもといたしましても、これらにつきましての課題を解決するために、いろいろ厳しい条件ではございますが、水源地域対策特別措置法による対策、整備計画、あるいはまた各主要な水系におきましては水源地域対策の基金を設けまして、これによって対応しているところでございます。  また、公団事業につきましては、特に六十年度からは、水資源開発の推進を図るため、ダム建設調整費として民間資金を導入いたしまして進めさせていただいておるわけでございます。  また、生活再建につきましては、御指摘のとおりいろいろとございますが、総合的な対策が必要であるという観点から、関係各省の御協力を得ながら、また地元の関係県の御意見も伺いながら、総合的な対策ということで進めさせていただいているということでございます。これらにおきまして適時的確な対応ができるように私どもとしては努めているところでございます。
  124. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 国土庁に対しての質問は以上で終わりまして、次は建設省関係の方に御質問申し上げたいと思うのです。  まず、ダム用地の確保が非常に難しくなってきていると聞いておりますけれども、現実はどのようなものでしょうか、御説明願いたいと思います。
  125. 志水茂明

    ○志水説明員 お答えいたします。  ダム建設に伴います用地買収は、先生御承知のとおり、水没者などの生活基盤を失わせるという非常に大きな影響がありますことなどによりまして、他の公共事業と異なる事情がございます。したがいまして、交渉が非常に長期化することが多いわけでございます。しかしながら、地元地方公共団体などの関係機関と緊密な連絡をとりまして、職業のあっせん、あるいは代替宅地の提供、あるいは生活相談など生活再建のためのきめ細かな対応を実施することなどによりまして、地権者の理解と協力を得て鋭意買収に努力しているのが現状でございます。  ちなみに、最近十カ年間に用地が妥結をいたしましたダムの状況を見ますと、実施計画調査にかかってから六年から十年かかりまして解決をしましたのがおよそ四五%、それから、十年以上かかって解決しましたものが一八%ございます。  以上でございます。
  126. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 そのように、ダムの用地を確保するのに大変御苦労されているようでありますけれども、まず用地買収ということになってくると思うのであります。その買収の対象としてはどんなものがあるのか、お知らせ願いたいと思います。
  127. 志水茂明

    ○志水説明員 買収の対象となりますものは、私どもの用地買収は、昭和三十七年に閣議決定をされております公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に基づいて行っているわけでございますが、それによりますと、その内容は、宅地、水田、畑、山林などの水没地の買収費、水没に伴って必要となる建物などの移転費、水没地に立木がある場合の立木の伐採、移植に要する費用、水没に伴って営業の継続が不能となるときの損失額などでございまして、水没前の財産価値に基づいて、従前有していた生活程度が復元できるように補償をしているわけでございます。
  128. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 今御説明のように、そういったものもあるでしょう。さらにお墓も入ってくるのではないかと思います。庭石なども入るだろうし、また塀も立派なものをつくっておれば、それも対象になると思うのであります。同じ家屋であってもいろいろあると思うのです。だから、それそれによって違うかもしれません。  そこでお聞きしたいのですが、先ほども問題にしました八ツ場ダムでありますけれども、このダムは今非常に別荘ブームになっている、そういう現況があるようですが、知っておられるかどうか、知っておられたら詳しく教えていただきたいと思います。
  129. 志水茂明

    ○志水説明員 八ツ場ダムにつきましては、先ほど来お話に出ておりますとおり、現在までにダム建設につきましての地元の了解が得られておりませんために、地元の立入調査ができない現状でございます。このため、御指摘の別荘につきましては詳細は把握しておりませんが、現在までにダムの水没予定地及び関連事業予定用地に約五十戸の別荘が建設済みもしくは建設中であるということを、県を通じて聞いております。
  130. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 そこで、先ほどもちょっと聞きましたけれども、補償金支給対象、これにはいろいろあると思うのですが、いわゆる単なる物件だけじゃない。物件であっても、そこへ人が住んでいていわゆる生活している、あるいはバラックを建てただけで生活はしてないとか、あるいは土地は所有しているけれども居住地は非常に離れていて遠くにいる、あるいは現在のように八ツ場ダムは非常に時間がかかっているわけですから、そういうことで、ダムが建設されるんじゃないかということを知ってから、五年前からか十年前からか移り住んだ者あるいは買った者、そういったようなものがいわゆる補償金支給対象になると思うのですけれども、その辺は現況はどうなっておりますか。把握しておられますか。
  131. 志水茂明

    ○志水説明員 先ほど申し上げましたように、補償につきましては、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に基づいてやるわけでございまして、土地のその実態を適正に評価することといたしております。したがいまして、補償に当たりましては、土地の利用状況、立地の条件、周辺環境などによりまして、その評価は当然異なったものになってまいります。特に土地の評価に際しましては、投資の目的等でなされました取引事例というものは考慮しない方針でございます。
  132. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 ついこの間、五月二十四日の日に私どもが行って撮ってきた写真を本日持ってまいりました。これは先ほど申し上げましたいわゆる別荘ブームということですけれども、その別荘なるものが極めて貧弱なものが多いわけです。建物は平均五十平米ですから、二DK以下、単なるバラック建てといったものがかなり多いのです。これは回しますから、見ていただきたいと思います。  今報告がありましたように、こういったものが五十戸建っているということですけれども、この建築依頼主の確認だとか、それから登記簿、建築許可証などについてはどうなんですか、やっていますか。
  133. 志水茂明

    ○志水説明員 御指摘の別荘は、現在までに建物に係ります登記は行っておりませんので、その建築依頼主、それからその現住所は登記簿で確認をすることができませんが、今後極力確認をしていくように努力したいと思っております。
  134. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 五十平米以下ならば建築許可証は要らないらしいのですけれども、いわゆる登記はするはずでありますから、これはできるだけ確認していただきたいと思っているわけです。しかし、現在はこの八ツ場ダム予定地はどういう地目、どういうことになっているのですか。これは予定地としてなっているわけじゃないわけですね。その辺はどうなんですか。
  135. 志水茂明

    ○志水説明員 私どもも、先生御指摘のとおり、このような事態は非常に遺憾なことでございますので、極力河川予定地の指定を早期にかけるべく努力をしておるわけでございますが、先ほど来のお話にありますように、地元に対しての調査ができないということから、ダムの建設の基本になります基本計画がまだできないということで、現在の段階では河川予定地の指定もできない状況になっております。
  136. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 そういうことでうまく法を逃れて、どんどん建てているのだと思うのであります。  ちょっと話は飛びますけれども、神奈川県の清川村にあります宮ケ瀬ダムの概要、進捗状況をちょっと教えていただきたいと思います。
  137. 志水茂明

    ○志水説明員 宮ケ瀬ダムは、中津川及び相模川の洪水調節、流水の正常な機能の維持と増進及び神奈川県内広域水道企業団への水道用水の供給を目的といたしております建設省直轄施行の多目的ダムでございます。  昭和四十六年度実施計画調査、昭和四十九年度から建設事業に着手をいたしておりまして、昭和五十六年度には清川村、津久井町、昭和五十九年度には愛川町の補償基準を妥結いたしまして、現在、補償金の支払いを行うとともに、水没者の代替地造成及びそれに関連するつけかえ道路工事等を実施中でございます。
  138. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 今お聞きしたように、四十六年に実施計画がされて、現在は用地買収などはほぼ完成しているのですね。それで五十九年、七百二十六億円支払っております。  そこで、この宮ケ瀬ダム建設による水没等の補償対象世帯数と補償金額について教えていただきたいと思います。
  139. 志水茂明

    ○志水説明員 先生今御指摘のとおり、宮ケ瀬ダムの補償は現在進行中でありますが、ほぼ九割方終わっております。  現在までに契約済みのものについて申しますと、関係地権者が約千三百五十名ございまして、一般補償総額が約五百二十八億円でございます。それで約五百二十ヘクタールの土地を買収をいたしております。したがいまして、契約済み一人当たりの平均土地買収費は約三千九百万円でございます。ここでは水没者が二百八十戸ございまして、二百八十戸の水没者に対しましては、おおむね三千万ないし五千万程度の補償金を支払っております。
  140. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 大体三百世帯で六百億円ぐらい支払っているというふうに聞いているのですけれども、それは正しいでしょうか。
  141. 志水茂明

    ○志水説明員 水没者は二百八十戸でございますが、それ以外の人で水没しない土地を持っている人がたくさんいます。したがいまして、関係地権者の総数は、今申し上げましたように千五百四十八名でございまして、そのうち千三百五十名に対しましては既に契約済みになっておりまして、これに対して五百二十八億円を現在支払っておる段階でございます。
  142. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 宮ケ瀬ダムの水没による補償金を受領しているそういったあれは、多額の金額に達しているわけでありますけれども、この補償金取得者の家々にチラシが配付されたということについて知っておりますか。
  143. 志水茂明

    ○志水説明員 宮ケ瀬ダムの地権者に対しまして、昭和五十五年ごろに法税対策研究会からチラシが郵送されているということは聞いております。
  144. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 今いみじくも法税対策研究会という言葉を聞いたわけでありますけれども、法税対策研究会というのは一体何ですか。
  145. 志水茂明

    ○志水説明員 私どもも、宮ケ瀬ダムの水没関係者にそういうチラシを送っていることなどによりましてその存在を知ったわけでございまして、その実態というものは定かでございません。
  146. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 実態は定かではないけれども、そういうチラシで知ったというんですね。そのチラシをここに私は持ってきているわけなのです。「宮ケ瀬ダムの高額補償取得者の税対策について」、こういうものが配られているわけなんです。これはいわゆる税金対策、言ってみれば脱税を教えるということですね。これを読んでみますと、大変うまいことが書いてあるのです。つまり、あめとむちと申しますか、最初おどしをかけておきまして、例えば「課税上の恩典について」ということを書いて、「公共用地の買収の規模の大小に拘らず課税上の恩典は次の三方法しかなく、宮ケ瀬ダムの場合のみ例外として取扱うということは絶対にありません。」ということで、最初に「三千万円控除の特例」、二番目として「代替資産取得の特例(二ケ年内)」、三番目として「収用交換の特例」、この「方法によって自衛する以外に方法がありません。」というようなことをずっと説いていっているわけでありますけれども、最後に自分たちの持っている土地を買いなさいということなんですね。  宮ケ瀬ダムの方々は高額所得者でありますので、税対策としてまたダムになるそういう場所を買ったらいいでしょうというようなことを書いているわけでありますけれども、まずその前に、法税研究会、これ以外にも数十社あるというようなことが言われておるのでありますけれども、それについて把握しておられるかどうかということをお聞きします。
  147. 志水茂明

    ○志水説明員 御指摘の関連会社につきましては、その実態は定かでございません。
  148. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 やり方が非常にうまいからよくわからないのだと思うのでありますけれども、この法税研究会のほかに法税何とかというのがありませんか。この関連をもう少し詳しく教えていただきたいのです。
  149. 志水茂明

    ○志水説明員 法税研究会のほかに、株式会社ほうぜいという会社があるのも聞いております。
  150. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 この株式会社ほうぜいというのは、いわゆる法税研究会と、社長といいますか、それは同じでございますか。どうなんでしょうか。
  151. 志水茂明

    ○志水説明員 両方は所在地が同一であるというように聞いております。
  152. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 この会社は、新聞情報でありますけれども、山梨県で何か事件を起こしている。詐欺事件のようなもので告訴されていて、現在係争中であるということですけれども、法税研究会というのは、やり口が非常にうまい会社なそうでありまして、非常にだまされやすいのですね。この八ツ場ダムの別荘建築主の中には、三十戸中の十人くらい宮ケ瀬地区の旧住民の方もおられるということですけれども、その辺はわかりましょうか。どうでしょうか。
  153. 志水茂明

    ○志水説明員 それは先ほど申し上げましたように、登記簿で確認できないものですから、実態が定かでございません。
  154. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 法税研究会あるいは株式会社ほうぜいですか、これが講習会をやっているのです。この講習会での説明なんでありますけれども、例えばAさんという人、宮ケ瀬ダムの地区の人でありますけれども、この人はダムの補償金を二億円もらった。そのうち一億円で住宅を建設したというのです。残りの一億円の税金対策ということでいろいろ話しているらしいのですが、まず、二億円取得したわけでありますから、そのうちの三千万円は租税特別措置法で、先ほども改正した方がいいんじゃないかと申し上げましたが、控除される。残り一億七千万円に対して税金はかかるわけでありますけれども、まともにかかって約五千八百万円だ、こう言っているのです。  これは正式なあれがちょっとわかりませんから、後で国税庁の方にお聞きしますけれども、そうなる。節税対策として代替地を買うというのですね。その代替地としては公共事業予定地にした方がいいんだ。これは先ほどのチラシにも書いてあるのです。学校だとか道路などは公共事業予定地でありますけれども、この予定地は計画変更が比較的なされやすいので、ダム予定地などは投資対象として最適である、こういう説明をしているわけです。  そこで、H社の所有するダム予定地を買えば、地目は山林で税金が安いんだ、評価額は六百円だ、こういうふうに言っているわけです。六十万円まで無税になるから、結局千坪までは無税扱いになって、贈与として最適である、このようなことを言っているわけです。贈与の場合は、今申しましたように六十万円まで無税ということになっておりますから。そういうことで、一億円あればH社の所有地をまず買えるんだ。しかし、H社の持っている土地は、そこは坪四万六千円で譲渡いたします。しかし、地目は山林ということになっているけれども、もう既に造成しておるんですというような説明をしているわけなんです。  そこで、国税庁の方にお聞きしたいのですが、今言ったようなことを説明しているらしいのですが、正しいのでしょうかどうでしょうか。その辺、御説明していただきたいと思います。
  155. 庄島修

    ○庄島説明員 お答え申し上げます。  収用の場合の特例は、先生申されましたように、一つは三千万円控除の特例がございます。それからもう一つは、代替資産の買いかえの二つがあるわけでございます。これはもう御承知のとおりでございます。  先ほど先生おっしゃいましたように、二億円の補償の問題でございますが、その補償の内容がいろいろございまして、先ほど建設省の方からお答えになりましたように、補償の内容によりましては必ずしも代替資産を買えない場合があり得る。例えばその二億円の補償が山林の補償であった場合には、これは住宅は買えません。  代替資産を買う場合には、方法としまして、いわゆる俗称で呼んでおるわけですが、一つは個別法というのがございます。個別に住宅、土地を売って、住宅、土地を買う。それから、一組法と呼んでおりますが、これは合体しまして一つの機能を果たす、わかりやすく言いますと住居兼用店舗、こういう場合は店舗と住宅、こういうふうにございますが、こういう場合。それから、事業継続法といいまして、収用されたところで今までおやりになっていたところの事業を、新しいところで買いかえてやられる。代替資産の買いかえはこの三つに限定されておりますから、補償金の内容をつまびらかにしないと、それで税金上問題ありませんというふうには、必ずしもちょっと申し上げられないということでございます。  以上でございます。
  156. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 いずれにしても、何か税金が安くなるというのですけれども、H社の言う条件で試算されたものがありますけれども、試算してみますと、Aさんは、二億円のうち一億円をダム予定地を購入したとして、H社の所有地の八ツ湯ダム予定地を二千百七十三坪購入できるということになるわけです。これを自分の奥さんと長男、長男の嫁、孫、それぞれに三百坪ずつ相続するわけです。本人、自分は九百七十坪をもらうわけです。坪評価額がH社の言うように六百円とすれば、先ほども言いましたように、六十万円まで無税でありますので、千坪まで無税で贈与できるということで、全員税金が要らなくなる、無税となる、そういうようなことになるわけです。  それに、ダム予定地を買うわけでありますから、ダム建設時にはまた補償対象となって、山林地であっても、ダム補償費となればほかの場合に比べて高いわけでありますから、これは大体一万円くらいで買い上げられるというふうに言っておるようでありますけれども、山林地であっても一万円くらいで買い上げられる。となると三百万円各自に入る。それでまた、それを先ほどのように、バラックでも何でもいいからそういう別荘を建てておけば、宅地扱いになる。そうなれば十倍くらいになって、十万円くらいになって一人三千万円ずつ入ることになる、こんなふうにH社は説明しているらしいのであります。  私は、きょう警察庁の方においでいただいているわけでありますけれども、答弁していただかなくても結構なんですけれども、県はこの土地を坪評価五千円というふうに言っているわけですが、それを、これは山林で六百円ぐらいだというふうにH社、法税研究会は言っているわけでありますけれども、何かそこに詐欺的なところがあるんじゃないかな、そんなふうに私は考えるわけであります。この辺、警察庁の方々、お聞きおき願いたいと思うのです。先ほど申し上げましたように、この会社は非常に違法行為的なことをやられて起訴されているような状況にありますので、詳しく調べておいていただきたいな、そんなふうに私は思うわけでございます。  そこで、このH社が、こういうように税金対策だと言っておきながら、一坪四万六千円でAさん方、あるいは宮ケ瀬ダムの方々に売っているわけです。これは今も申し上げましたように、県の評価は坪五千円なんです。非常に高い値段で売っていることになるわけです。仮に、この法税がいろいろ経費や何か入れて一万円で買ったとしても、坪四万六千円で売っているわけですから、坪当たり三万六千円もうけているということになります。しかも、話によりますと、H社は二万坪持っているらしいのですね。ですから、その二万坪全部売れたとすれば、大変な利益、つまり七億二千万円ぐらい、もっともっと多いんじゃないかと思いますけれども、そのくらい荒稼ぎしているんじゃないかと思います。  そういうような相当の利益を稼いでいる会社のように思うのでありますけれども、国税庁はこのことについてどうでしようか、調べているのでございましょうか。
  157. 庄島修

    ○庄島説明員 まず、先ほどからお話しになっております法税でございますが、これは登記されておりまして、登記の内容は、先ほどちょっと建設省の方からお話しになりましたけれども、その登記簿上に記載されておるのを申し上げますと、本店所在地は東京都中央区京橋三の七の五でございます。代表者は松下三佐男になっております。資本金は三千二百万円でございます。  それで、先生お尋ねの課税のことでございますが、大変恐縮なんでございますけれども、個別にわたる課税内容につきましては、答弁を差し控えさせていただいております。  なお、私どもとして申し上げておきたいのは、不動産の売買ということにつきましては常に関心を持っております。したがいまして、平素から新聞、雑誌等で報道されました事項あるいは国会で議論されました事項などを含めまして、できるだけ多くの資料を集めまして、課税上問題があると認められる問題につきましては税務調査を行うなど、適正な課税に努めておるところでございます。
  158. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 今の説明で私はちょっと納得はできないのでありますけれども、こういう大変な荒稼ぎをしているということで我々がつかんでおりますので、また別の機会にもっともっとこれは追及してみたいというふうに考えておるわけでございます。いずれにしましても、こういうような会社がはびこるという問題、この辺、私は一番問題にしたいわけであります。  この八ツ場ダムが計画されてから大変長い期間にわたって、このようにだらだらとやっておれば、やはりそこには利権に絡んでいろいろのものが入り込んでくる、そういうことになるのじゃないかなと思うわけであります。そういう点で、私は国の取り組み方が非常にまずいのじゃないかと思うわけでありますけれども、その辺、御答弁願いたいと思うのです。
  159. 志水茂明

    ○志水説明員 八ツ場ダムは、利根川沿川の洪水調節、それから首都圏の都市用水確保を目的といたしております建設省直轄施行の多目的ダムでございまして、首都圏の治水、利水のかなめとなるべき重要な事業でございます。  このダムの建設によりまして、約六十ヘクタールの農地及び宅地と川原湯温泉を含みます約三百四十世帯が水没をしまして、住民の生活環境と生活基盤に重大な影響があるとして、地元に根強い反対があるわけでございます。  このために、建設省といたしましては、水没者の生活再建及び関連地域の整備が極めて重要な課題であると認識をいたしておりまして、関係都県及び関係省庁の協力を得まして、水源地域対策の充実に努めてきたところでございます。  一方、群馬県は独自の立場で八ツ場ダムに係る生活再建案を作成いたしまして、地元長野原町に提示をいたしますなど側面的な対応を進めてきておるわけでございまして、長野原町もこれを受けて種々検討を行っておると聞いております。  建設省といたしましては、本事業の治水、利水上の重要性にかんがみまして、今後とも群馬県を初めとする関係行政機関の理解と協力を得まして、生活再建に係る具体策の計画をまとめ、長野原町を初めとする地元関係者のダム建設に対します同意を得て事業を進めるべく、全力を挙げて努力してまいる所存でございます。
  160. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 この宮ケ瀬ダムに端を発した八ツ場ダムのいわゆる別荘ブームというものが、単に補償金目当てのための建物ばかりじゃなくて、立派なものもあるようでありますけれども、いずれにしましても、このような法税というような研究会あるいは株式会社がダニのように入るということについて、やはりもっともっと、我々国民の税金でありますから、そういう税金がどんどん湯水のごとく使われていることには私たちは非常に腹立たしく思うわけでございまして、そういう点で、その辺よくやっていただきたい。行政側に強く要望しておきたいと思うわけでございます。  次は、国土庁にまたお尋ねしますけれども、一昨日ですか、国土庁は二十一世紀に向けた東京大都市圏改造の指針となる首都改造計画について発表されましたけれども、これはどのような計画でございますか。
  161. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 国土庁におきましては、東京大都市圏の今後の整備の指針とするための長期的視野に立って、従来の東京都心部を中心とする一極依存構造を、立川、八王子などの業務核都市の育成、整備を中心といたしまして、多核型に改造していくということを内容とする首都改造計画を取りまとめて、一昨日埼玉で、東京都知事、それから神奈川、埼玉、千葉の知事、それから茨城県の竹内知事を交えましてその内容を発表したわけでありますが、今後ともこれらの核都市育成のための事業推進を図るために、金融、税制上の措置をあわせて講じていくこととしております。本計画の実現に向けて諸施策を積極的に推進していきたいという考え方でございます。要するに、東京一極中心に対しまして、二十一世紀ではそれではいかぬじゃないかということから、今般の改造計画をつくったわけでございます。
  162. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 このいわゆる都市改造計画でありますけれども、これは、先ほども申し上げました第四次全国総合開発計画、四全総あるいは首都圏整備計画の中に盛り込んでいくということでございますので、私はこれは極めて重要だなというふうに考えているわけでございます。  そういうことでありますから、ここで私のちょうど地元であります多摩自立都市圏というのがこの中に入っているわけでございます。このいわゆる多摩自立都市圏の位置づけについて御説明願いたいと思います。
  163. 佐藤和男

    ○佐藤(和)政府委員 お答えいたします。  今回提案しました首都改造計画におきましては、その五部で地域別整備構想といたしまして、それぞれの自立都市圏に関します今後のビジョンを書いております。  お尋ねの多摩自立都市圏に関しましては、一面では、いわば甲信地域との接点としての広域国内的な機能を担う、もう一方では、東京大都市圏における広域防災機能の一端を担うということで、立川、八王子を業務核都市として、先ほど御答弁いたしましたように育成してまいりたいという位置づけでございます。
  164. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 では、具体的ビジョンをお聞かせ願いたいと思うわけでありますけれども、例えばこの多摩自立都市圏ではどういうようなことを考えておられますか。
  165. 佐藤和男

    ○佐藤(和)政府委員 今回の首都改造計画では、まず立川、八王子地区では、立川基地跡地、それから立川駅、八王子駅周辺地区において業務市街地の整備を推進するというのを基本としてございます。  立川基地跡地につきましては、御存じのように、広域防災基地としての整備を進めるわけでございますが、もう一方の八王子地区を中心といたしましては、大学、研究機関のいわば既存の集積を生かした人文、社会科学系に関する学術研究、研修機能を育成することとしております。  それで、直接ハードの面と関係いたしますが、中央自動車道と首都圏中央連絡道との結節点を中心として物流の基地をつくっていきたいということを、この主たる内容としております。
  166. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 今お聞きしたので大体ビジョンがわかったわけでございますけれども、御案内のように、この多摩地区は大学の数が八十六校もあるわけです。そのうち八王子市には二十一校も大学があるわけです。いわゆる学園都市と言っていいのじゃないかと私は思うわけです。しかし、文化面の施設等の整備が非常におくれておりまして、例えば音楽堂、コンサートホールあるいは美術館、博物館といったような公共的なそういったものは、何一つないと言ってもいいわけです。単なるベッドタウンと、それからあとは工業地帯が少しあるというぐらいで、今は大学ばかり非常にたくさんふえてきていますけれども、そういう点の整備が非常におくれていると思うわけです。その辺、ぜひとも二十一世紀に向けて、そんな二十一世紀なんということではなく、もっと緊急を要すると思うのですけれども、道路の整備だとかそういうものをしていただいて、そういう文化施設も大いにつくっていただきたいと思うわけです。  特に多摩地区、ちょうど八王子あたりは、今お話しのように圏央道とそれから中央自動車道とのジャンクションになりますね。あの辺はちょうど流通機構、そういったような公共的な建物なども建ててくださることを大いに私はお願いしたいと思うわけでありますが、何しろ、今道路が非常に困っている状況でありますので、交通網の整備をまず早くやっていただきたい。国土庁として、その辺のことを急いで、これは策定の中に入れていただくのでしょうけれども、具体的にも早くやっていただきたいと思うわけでありますけれども、その辺はいかがなものでしょうか。
  167. 佐藤和男

    ○佐藤(和)政府委員 交通網の整備の基幹的な事項は、先ほどの先生おっしゃいましたような中央自動車道、首都圏中央連絡道でございますか、また、この立川、八王子を中心としまして、もう一つの副次核都市といたしました青梅市等の圏域内の主要拠点を連絡するいわば格子状の幹線道路網の形成を図ることを首都改造構想の中でも申し述べておりまして、このあたりは、今後東京都、さらには立川市、八王子市、青梅市等の地域の方と相談しながらその具体化を進めてまいりたいと思っております。
  168. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 大変ありがたいと思うわけでありますけれども、町田も、特にあの辺は道路が狭くて困っているわけでありますので、それも一緒にあわせてよく考えて計画に入れていただきたいと思うわけでございます。その辺、ひとつよろしくお願いしたいと思うわけでございます。  さて次は、労働省関係の方にお尋ねしたいと思いますので、国税庁関係の方あるいは国土庁の皆さん、大変どうもありがとうございました。またお願いします。  そこで、まず労働大臣にお聞きしたいのであります。  先ほどもいろいろ問題になっておりましたけれども、先日、三菱石炭鉱業南大夕張炭鉱の爆発事故、ガス爆発だ、そのように見られているようでありますが、その事故があったわけでありますけれども、被災あるいは被害者、そういう犠牲になられた方々に大変私は冥福をお祈りいたす次第でございますけれども、労働大臣はどのように今回の事故を考えておられるのか、その辺、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  169. 山口敏夫

    山口国務大臣 先日の三菱高島坑の災害に引き続きまして、再びこのような大惨事が発生したことはまことに痛ましい限りでございます。被災者の方々の御冥福をお祈りし、御遺族、関係皆様方に心から哀悼の意を表する次第でございます。  と同時に、災害発生のたびに安全対策が講じられておるわけでございますけれども、繰り返し繰り返しこうした問題が発生するということは大変遺憾でございまして、実は、先般も三菱鉱山の社長が労働省に報告に来たときも、保安の問題について非常に厳重に、労働者の生命を守る、炭鉱労働災害の発生というものに対して一層厳しく取り組んでいただきたい、こういう決意を申し伝えたわけでもございます。労働省といたしましても、通産省と十分連絡をとりながら、こうした対策に今後ともひとつ努力を傾注していきたいということが第一点。  それからまた、被災労働者、その遺家族に対する労災補償につきまして迅速な給付が行えるよう万全を期する、また遺家族の生活の安定を確保するため、就職を希望する方々の雇用対策なども、これは今後の問題でございますけれども、先生の御心配いただいているような点を含めまして、労働省としてもこの対策に十分配慮したい、かように考えておるところでございます。
  170. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 ひとつよろしくお願いしたいと思うわけでございます。  そこで、通産省の方、おいでいただいていると思うのでお聞きしたいと思いますが、新聞の報道によりますと、爆発事故で坑内員が携帯していた緊急時避難用の一酸化炭素マスク、いわゆるCOマスク、これは昨年一月、八十三人という大勢の犠牲者を出しました三井三池有明鉱の坑内火災の際も、口にくわえることができないほどの高熱を出した、いわゆる欠陥マスクであるということを私どもの宮崎議員も何回か指摘しているところでございますけれども、今回の事故について、いわゆるマスクがどうだったのか、役に立ったのか立たなかったのか、その辺、ちょっとお聞きしたいと思います。
  171. 鈴木英夫

    鈴木(英)説明員 今回の災害でございますけれども、私ども、現在事故調査委員会にお願いをいたしまして、災害の原因あるいは態様等について御検討をいただいているところでございます。ただ、今のところガス爆発の可能性が非常に強いというようなことでございまして、そういうことになりますと、残念ながら一瞬にして被害が坑内に及ぶということになりまして、マスクをおつけになる暇もなかったのではないか、そういう場合も想定されるという感じでございます。  なお、いずれにいたしましても、私ども現在までのところ、罹災された方あるいは助かられた方でマスクを使用された実績があったというふうには報告を受けておりませんで、そういうことから非常に急激な災害ではなかったかというふうに考えているわけでございます。  なお、詳細につきましては、今後一層調査を進めてまいりたいというふうに考えております。
  172. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 今御説明ありましたように、そういう一瞬のうちにいってしまったということであれば、マスクをつける暇もなかったわけでありましょうけれども、実際問題、このマスク、CO、一酸化炭素でありますから、当然マスクのここでもって無毒にするとすれば、酸化して二酸化炭素にするということだと思います。それはいわゆる化学反応でありまして、この場合は発熱反応ですから、当然すごく熱くなるわけでありますけれども、この改良の方はどうなっているのでしょうか。
  173. 鈴木英夫

    鈴木(英)説明員 このCOマスクにつきましては、先生御指摘のように、ホプカリットという薬剤を用いておりますけれども、これでCOを酸化をいたしまして、炭酸ガス等に変えまして人体に無害のものにする、こういう原理でございます。したがいまして、当然熱は出るわけでございます。  しかしながら、その熱の程度が使用しましたときに耐え得るかどうかということが問題でございまして、従来から私どもJISでこの温度測定について規格を決めております。この規格範囲以内であれば十分耐え得るものであるというようなことがいろいろなマンテストで、実は私も実際に吸ってみましたけれども、確認されております。  しかしながら、先生御指摘のように、このマスクといいますのは、やはり人命にかかわる問題でございますので、私ども不断の努力によってこの改良に努めていかなければならないというふうに考えておりまして、昨年来ヨーロッパ等にも調査団を出し、海外のいろいろな規格等も研究をいたしまして、かつ、メーカーの方にも改良についての要請を行いまして、着々準備を進めておったわけでございますけれども、今回この基準となりますJISを改良する手続を今進めておるところでございます。  その内容を大ざっぱに申し上げますと、従来のマスクの性能をさらによくいたしまして、従来は有効時間六十分でございましたけれども、これを九十分にする、あるいは温度でございますけれども、これは熱電対ではかりまして、現在日本のマスクがマキシマム大体九十五度ぐらいでございますが、これをさらに九十度まで下げるような規格にしようということで、現在JISの改正を急いでいるところでございます。これによりまして、新しく改良されたマスクが漸次配備されるようになると私どもは期待しておるわけでございます。
  174. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 改良しても、六十分から九十分と三十分の延長ですね。あるいは九十五度Cから九十度に下げる。いずれにしても、ここが九十度からの温度になりますと、乾燥しているからいいでしょうけれども、大変な熱だと私は思うのです。その辺、もっともっと研究していただきたいなと思うわけでございます。そういういわゆる一酸化炭素マスク以外に何か別な方法を考えているのでしょうか。あるいはどのようにしたら坑内で長く、うまく助かるか、どういうようなことを考えておられますか。
  175. 鈴木英夫

    鈴木(英)説明員 先生御指摘のように、私どもなお改良を続けなければいけないと痛感をしておりますけれども、このCOマスクに一つ限界がございますのは、外の空気を酸化いたしまして吸入するということでございますので、外部が酸欠状態になりますと、これはなかなか効果をあらわし得ない、こういう性格でございます。特に炭鉱ではガス突出等の災害がございまして、このときには一時的に酸欠になるというようなことも考えられるわけでございます。  したがいまして、私どもが今とっております対策といいますのは、特にガス突出の危険のあるところにつきましては、五分程度もつ酸素マスクを配備いたしまして、これでとにかく近くの空気供給設備に退避をするという形でこれに対処しているわけでございますけれども、この酸素マスクにつきましても、なお長時間もつ優秀なものを開発する必要があるということで、五十八年以降、軽くてかつ時間が長くもつ、具体的に言いますと、約二キログラム強でかつ三十分ぐらいはもつというような酸素マスクの研究を進めてまいったわけでございます。  現在、この研究を加速化いたしまして、五十九年度中にこのマスクに対します坑外でのマンテストを実施いたしまして、さらに本年四月からは、北海道、九州の各炭鉱で、試作をしておりますマスクを配備いたしまして、これが実際に作業上支障なく使えるものであるかどうかという実験をしていただいているところでございます。そういうことで、この酸素マスクにつきましてもなお力を入れて開発を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  176. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 酸素マスクは確かにいいと思いますけれども、ボンベでは重くて困るわけでありますから、いわゆる化学反応で酸素を発生させるような、非常に小さくても大量に酸素が発生する、そういう化学反応物質を使ったものも研究されたらどうかなと思うわけであります。  いずれにしましても、炭鉱では大変な犠牲者が今出ているわけです。しかも、マスクが随分研究されていますけれども、非常に役に立った、それで助かったというのは余り聞かないのです。そういう点でもっともっと改良していただきたい、こんなふうに思うわけでございます。要望しておきたいと思います。もうこれで結構でございます。どうもありがとうございました。  さて、そこで次は労働省関係にまたお願いしたいと思うのですけれども、今度はILO条約についてちょっとお聞きしたいと思うのです。ILO条約の批准について我が国の状況はどうなっているのか、その辺、教えていただきたいと思います。
  177. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 ILOが現在までに採択した条約数は百五十九ございますけれども、我が国が批准しております条約の数は、現在まで三十七でございます。内容としては、基本的人権に関するもの四、安全衛生に関するもの四、雇用に関するもの三、社会保障に関するもの五、あるいは船員に関するもの十といった内客でございます。
  178. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 百五十九本のうち三十七本しか批准してないということでありますけれども、大変少ないなという感じを受けます。我が国のILO条約の批准数はまだまだ非常に少ないわけでありますけれども、時間短縮、これが叫ばれている今日、せめて労働時間あるいは休日休暇関係条約だけでも早く批准できるようにしてほしいと思うわけであります。労働省としてもそういう点はもっと努力をすべきじゃないかなと思うのですが、いかがでございますか。
  179. 寺園成章

    ○寺園政府委員 労働時間などに関しますILO条約のうち第一号条約、第三十号条約、いずれも工業あるいは商業、事務所における労働時間に関する条約でございますけれども、これらにつきましては、基本的には我が国はその基準を満たしておると考えております。  しかしながら、労働時間制度のあり方は、それぞれの国の労働慣行と密接に関連を有するものでございます。例えば、我が国の場合におきましては、時間外労働は、終身雇用慣行のもとで景気変動に対する雇用調整機能を有しておることは事実でございます。また、そのような観点から、経済情勢の変化に応じまして、ある程度弾力的に時間外労働を付与することが必要であるというような事情もございまして、細部の点でこれらの条約に一致をしておらないということから、現在まだ批准ができておらないということでございます。  そういうことではございますけれども、労働時間短縮の必要性ということは、私ども十分認識をいたしております。時間短縮に向けて今後一層の努力はしてまいりたいと思っております。
  180. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 もっと一層努力をお願いするわけでございます。政府がILO条約の批准のために国会に提出する際のルールが閣議決定されているわけでありますけれども、国内法の完全整備を重視する余り、国際社会でいわゆる労働先進国だと我が国が言われるような、そういう印象づけができないというまずさがあるんじゃないかと思うわけであります。労働団体等の要望にも即応した方が国際的対応として上策ではないかと思うわけでありますけれども、いかがでございましょうか。
  181. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 御指摘のように、ILOの条約の批准数が他の先進諸国に比べて少ないといった面で、もっと批准を促進するために、むしろある程度批准をした上でいろいろ直していったらいいんじゃないかという御意見もあるわけでございますけれども、ILOの条約に限りませんで、我が国の場合、国際条約につきましては誠実に遵守するというところに趣旨を置きまして、そのために国内法制の整備を図った上でこれを批准するという方針をとっておりますので、そういう面で条約の完全履行のための前提条件として、国内法の整備が不可欠であると考えているわけでございます。
  182. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 その辺、ひとつよろしくお願いしたいと思うわけであります。  次に、貿易摩擦の中で、我が国の労働条件が著しく低いという批判を私たちたびたび聞くわけであります。この中には偏見あるいは誤解と思えるものもありますけれども、我が国の労働事情を正確に理解してもらうための積極的な労働外交といいましょうか、これが必要だと思うのですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか、御所見をお伺いしたいと思います。
  183. 山口敏夫

    山口国務大臣 率直に申し上げまして、労働時間の短縮の問題とかあるいは休暇の採用の問題等で、諸外国に対しまして、国内的にまだまだ環境を整備しなければならない、こういう問題も事実ございます。しかし、同時に、日本の成熟した労使のいわゆる民主的な話し合い決着の中で生産性を高め、そしてまた分配率を協議する、こういう慣行等を含めまして、また一つの総体的なワークシェアリング的な大枠の取り組みの中で、今日失業率が二・五%ということで、先進諸国においては一番低い失業率を確保しておる、こういう問題も含めまして、やはり諸外国にも日本の労働市場の問題をよく御理解をいただいて、そしてまた認識も改めていただくということが、先生の御指摘のように非常に必要ではないかと我々も考えます。  そこで、労働省といたしましては、政労使のいわゆるミッションをアメリカあるいはヨーロッパ、そういう貿易摩擦が非常に議論の多い場所も含めまして、出向いていろいろ意見交換をしてまいりたいということで、具体的に今作業を進めております。また、ILOの総会等に我々も国会の事情が許せば出席をさせていただきまして、アメリカのブロック労働長官を初め、各国の労働問題の担当者に率直に日本の実情も御認識をいただき、また意見交換もしてまいりたいということもあわせて考えておるところでもございます。  御指摘のように、一層労働外交を進めていく、こういう考えでございますので、いろいろまた御理解、御鞭撻のほどもぜひお願いを申し上げたいと存ずる次第でございます。
  184. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 ひとつそれをよろしくお願いしたいと思うわけでございます。どうも外国に偏見、誤解が随分多いように私は感じているわけでございますので、その辺、よろしくお願いしたいと思います。  次は、ILOの分担金の割に、我が国のILOで働く日本人の職員数が少ないのではないかと私は思うわけです。その職員数及びその比率、割合はどうなっているのか。それから、その中でいわゆる幹部職員の数、その幹部職員の比率、割合もまたどうなっているか。その辺、まずお聞きしたいと思うのです。
  185. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 ILOの分担金の全体に占める日本の分担率でございますが、これは一九八五年で一〇・二三%ということになっております。それに対してILOの職員の中で日本人職員数が少ないという御指摘、実は前からもいろいろいただいているわけでございますけれども、ILOの全職員数約三千名でございますが、そのうちで日本人職員は三十九名、比率で見ますと一・三%ということになります。そのうちのまた幹部職員、これはいろいろなランクのとり方があると思いますけれども、一応課長クラス以上というふうに見た場合に、ILOの幹部職員数、専門職を除きまして二百十名ということになろうかと思いますが、その中で日本人の幹部職員の数は十名でございます。その率にしますと四・八%というのが現在の状況でございます。
  186. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 確かに一〇・二三%の分担金をやっているわけでありますから、少なくとも一割ぐらいの職員数があってもいいのではないかと思うのですけれども、三千名のうちの一・三%、非常に少ないと思うわけです。これにはやはり語学に関係する点もあるかもしれませんけれども、しかし少ないと思うわけです。幹部職員は二百十名のうち十名だというのですから、比較的一般職員に比べて多いわけでありますけれども、しかしいずれにしても、それでもまだまだ少ないな、そんなふうに思えるわけでございます。  そこで、ILOにおける幹部職員に、あるいは一般職員でもいいですけれども、大いに日本人が多数輩出することが、いわゆるILO条約批准促進に対する自己努力につながるとともに、国際社会における日本の理解の促進あるいは地位向上にも貢献することになるのじゃないかなと思うわけでありますけれども、その辺、どうですか。
  187. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 今御指摘のように、ILOに対する我が国の対応についていろいろ理解を深めていく、またILOの諸活動に対して日本としても積極的に対応していくといった面で、ILOの事務局の職員に日本人職員が数多くいることは、一つの大きな要素だろうと思っております。ただ、従来のところは、いわゆる言葉の問題であるとかいったようなことで、必ずしも思うように数がふえていないというのが現状でございますけれども、実は、ここ数年前からそうしたILOの職員の中で日本人職員をできるだけふやそうじゃないかといったような機運もございまして、今労働省としてもそうした面での努力を始めているところでございまして、まだ必ずしもその成果を見るまでに至っておりませんけれども、今後ともそうした努力は続けていきたいと思っております。
  188. 山口敏夫

    山口国務大臣 ことしのILO総会に、私も国会の事情が許せば出席したいと考えておりますので、その折、先生の御指摘の問題もひとつ意欲的に試みてみたい、かように考えております。
  189. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 ひとつその方面の努力をお願いしたいと思うわけでございます。やはり我が国は、これほどGNPも大きくなっておりますし、国際社会における地位も非常に重要な段階に入っておりますので、なお一層そういった点も御努力願いたいと思うわけであります。  以上で私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  190. 安井吉典

    安井委員長 次に、玉置一弥君。
  191. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 私は本日、国土庁に対しましては、関西文化学術研究都市の開発状況についてこの取り組み姿勢を確認したいということ、そして労働省につきましては、ME化への対応をどう考えているのかということについてお聞きをしていきたいと思います。  まず、関西文化学術研究都市の問題でございますけれども、どうも筑波の学園都市を見てみますと、昭和三十八年から五十四年まで非常に長きにわたって開発が行われまして、以来、六年間経過をしているわけでございますけれども、その状況から見てまだまだかなり時間がかかるのではないか、こういう予測をいたしております。しかし、特に京都、奈良、大阪、それぞれの府県のこの文化学術研究都市に対する期待感というものは非常に大きいものがございまして、少しでも国民の前に明らかにしながらその進行状況をより前向きに進めていく後押しをしていきたい、こういう気持ちから質問するわけでございまして、ぜひ明快な御答弁をいただきたい、かように思います。  今まで、昭和五十二年にこの文化学術研究都市の構想がつくられまして、以来、なかなか表面立った動きがなかったわけでございますけれども、昨年の七月ですか、ようやく国土庁の中に推進の部門がつくられる、こういうことになりました。それまでただ絵にかいたというか、まだ絵にもかかれないもちのような感じでございました。それがまず一歩前進をしたという感じがいたします。  ただ、進め方が、いろいろな状況から各府県のレベルが合わないということもございまして、むしろ国土庁がもっと強引に音頭取りをしていただいて引っ張っていただかなければ、各府県のそれぞれの思惑、これがなかなか調整できないのではないか、こういうふうに思うわけでございまして、まず国土庁にお伺いしたいのは、国がどのような取り組み姿勢を示していくのか、そしてこれからの開発スケジュール、これをどこに焦点を置いてどういうふうな日程で行っていくのか、いろんな状況報告も兼ねて、その辺についてお伺いしたいと思います。
  192. 佐藤和男

    ○佐藤(和)政府委員 まず、従来の経過から申し上げたいと思いますが、先生今ほど御指摘のように、昭和五十二年、地元におきまして奥田先生らによって関西の研究学園懇談会の準備会が結成され、これが多分地元におけるスタートだろうと思います。その後、近畿圏の基本整備計画で関西学研都市構想の検討を進める旨の決定がございまして、昭和五十七年に国土庁が関西学研都市基本構想としてまずイメージを提案したものでございます。  その後は、昭和五十七年、五十八年にいわゆるハードの基幹部分についての通産省、農林水産省、林野庁、運輸省、建設省の共同の京阪奈地域総合整備計画調査が実施されて、これが昨年の七月に公表された。これとほぼ軌を一にいたしまして、まず奈良県、それから京都府が地域に関します基本的な構想を提示し、それからややおくれまして、本年の三月に大阪府が地域に関します基本的な考え方を提案して、これでほぼ三府県の足並みがそろったわけでございます。  私どもといたしましては、まずこの三府県の基本構想をもとに、できるだけ速やかな時点でその三者の共通的なテーマに関して基本計画的なもの、全体計画的なもののたたき台、素案をつくってまいりたいと思っております。
  193. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今のお話を聞いていますと、あくまでも各府県、三府県が中心になって構想を進めていく、それを、単なる調整というのは言い方は悪いですけれども、まとめていくのが国土庁だ、こういう感じでございます。  ただ、先ほどもちょっと言いましたように、今回出されました五十九年二月の奈良県の基本構想、そして五十九年三月の京都府の建設基本計画、六十年三月の大阪府の基本構想、それぞれ名前からいっても構想と計画というふうにかなり具体化の進め方がレベルが違うわけでございまして、筑波の場合には、一応法律ができていろんな計画をむしろ国がほとんど主導権を握って、逆にいろんな調整面で各自治体と渡り合う、こういうような形で進められましたけれども、進め方からいきますと、むしろ国がかなり消極的な感じがするわけでございまして、この辺についてどういう姿勢を示してやられるのか、お伺いしたいと思います。
  194. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 筑波研究学園都市は、これはもうほとんど政府主体でございますが、京阪奈におきましては、産官学の協調と民間の活力を基本とすること、そういう原則で進めておるので、政府が消極的なように見えるかもわかりませんが、趣旨はそういうことでございますので、御理解願いたいと思います。国土庁では、今後学研都市の建設が各機関、各界の相互の分担と協力によって推進されるよう、緊密な連絡調整を図っておるところでございます。
  195. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 言葉だけで消極的に見えるけれども実は積極的だと言われても、どうもなかなか信じられないのです。と申しますのは、今までの国土庁のいろいろな大きな事業すべてが、大体法律なりあるいは閣議了承というような形で、政府が認知をしながら進めていくという形でございます。  今回の文化学術研究都市の問題につきましては、昭和五十三年十一月、ここで一応近畿圏基本整備計画の総理大臣の了承というか、こういう形で進められていると聞いておりますけれども、これからしてももう七年近くたっているわけでございまして、総理大臣が認めたやつを進めていくのにどうしてこんなに時間がかかるのか、こういうことが一つあるわけです。  それと、各省の取り組み姿勢でございますけれども、国土庁が一応主務官庁ということでやっていただいておりますが、各省からの働きかけじゃなくて、むしろ国土庁が大変躍起になって各省を引っ張り出してきているというのが実情でございます。むしろ、各省に対する一種の権限というか主導権を握るためには、法体系の整備なりあるいは内閣としての意思を確認していかなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけです。  聞くところによりますと、今の各三府県の計画、これがことしの夏ごろまでにはまとめられるということになっておりますけれども、まず政府としてオーソライズする手順、手続、これを示していただきたいというのと、それからいつごろまでにそういう体系ができるのか、これについてお伺いしたいと思います。
  196. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 関西文化学術研究都市は、関西国際空港とともに、関西の地盤沈下に対しまして関西の復権を図るための核となる事業でございますから、計画の具体化をさらに進める必要があると考えております。全体計画の早急な策定の関係省庁間の緊密な連絡調整の場を設置するよう事務当局に指示したところでございます。国土庁といたしましては、今後各省庁、地元の府県等と密接な連絡を図りながら、本都市の建設推進に努めてまいりたいという考えております。
  197. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 何回もお聞きしますけれども、各省庁と密接な連携をとりながらというのは、これは昭和五十三年から私が地元の問題としてとらえて国土庁にお聞きをしたり、あるいは各省庁の担当窓口の方にいろいろお聞きをしたときに必ずそういう話が今までついてきている。  いつまでにどうするということ、これは一つは事業量との関係もございますし、今の財源状態の中で、国土庁、各省庁だけではなかなか決めにくい問題もあるかと思いますけれども、一つは文化学術研究都市の持っている意義といいますか、こういう面からいきますと、今の技術革新の状況あるいは日本がこれから歩むべき道、こういうものを考えていきますと、そう先の話をされていたのではとても間に合わない、そのころはいろいろな基本特許をすべて諸外国に抑えられて日本が取り残される、こういう状況になるのではないか、そういう心配もいたしております。  そういう面から考えまして、筑波だけでは足りないから、多分、文化学術研究都市というものを関西にもつくって、関西の持っているいろいろなノーハウを集積しよう、こういうことだと思うのですけれども、余りにも先の見通しかないような感じがするので、夏ごろにできるのかできないのか、これについてもお聞きしたいと思うのです。
  198. 佐藤和男

    ○佐藤(和)政府委員 全体計画の素案についてのお尋ねと承知しておりますが、全体計画は、最初に申し上げましたように、現在出そろいました三府県の基本構想をもとに、その共通部分を取り出し、かつ、三府県の構想の調和を図る形で、私どもがまず下書きと申しましょうかたたき台をつくり、三府県と調整をして、国土庁プラス三府県の原案をできるだけ早い機会につくりたいと思っている次第でございます。それをもとに関係各省に対して、所管の事業その他所管の施設についてお願いするという段取りを考えています。  私どもが各府県との調整に入る最初の段階ですが、これは大臣からの御指示もございまして、できるだけ早い機会に現在出そろっております各構想について詳しく関係府県と討議をして下書きをつくって、関係府県にまず私の方なりの素案を提示したいと思っております。したがいまして、時期に関しては今後の関係府県との調整によって決まりますが、ただ、私どもが関係府県に提示します素案については、ここ一、二カ月の間にはしなければならないと思っております。
  199. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 先ほど政府の認知の話をいたしましたけれども、要するに政府でオーソライズするということですね、これは先ほどもちょっと言いましたけれども、閣議了承とか特別立法とかいろいろな方法があるかと思います。そういうのでいきますと、例えば筑波の場合には、筑波研究学園都市建設法というのが昭和四十五年にできまして、これで計画の位置づけを行った。そしてその中には、周辺開発地区整備計画というものまで含まれているということでございます。  今のところ、近畿の方でこういう開発をやる一つの大きなよりどころというのは、近畿圏整備法というのがございますけれども、この範囲内でやるのか、あるいは特別立法という形で新しいものを起こすのか。そして、この範囲内でやるとすれば、閣議了承なり、今の一つの原案ができてからの話になると思いますけれども、これについてオーソライズするいろいろな方法があるかと思いますけれども、今国土庁で考えられているのはどういう方法で政府としてオーソライズされるのですか。
  200. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 関西文化学術研究都市の建設を進めるためには、地元からいろいろ要望があるのですが、この計画の具体化を具体的にどう進めるかということについて今考えておるわけであります。本都市に対する計画及び事業の具体化を図るために関係省庁と一層の緊密な連絡と言いますが、これは通り文句のように聞こえますが、実際に緊密な連絡をとって、例えば局長レベルの連絡会議を設置して進めていきたいと私は考えております。
  201. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今もまだ根回しというか、そういう段階だと思うのですが、しかし実際予算づけして走り出すとすれば、閣議了承なり閣議決定なりをしていかないとなかなか進めにくいと思うわけでございます。逆に国土庁としてこれからの推進意欲という面の一つのバロメーターになるわけでございまして、その辺についてぜひ強力な推進ができる体制をとっていただきたいと思います。  ちょっとサンプル的であれですけれども、それぞれ各省庁綿密な連携をとるということでございまして、そういう話がもう既に今まで聞かれているわけでございまして、各省庁にこの関西文化学術研究都市のことについて、国土庁なりほかの省庁からどういう働きかけがあって、今どういう進行状況であるか、聞いてみたいと思います。一番ウエートの高いと思われます工業技術院の方、来ておられますか。——今国土庁の方からいろいろお話がありましたけれども、今までの状況とこれからの一応の計画があれば、お答えいただきたいと思います。
  202. 中島邦雄

    ○中島説明員 御説明いたします。  現在私ども、こういった地域に産業が立地した場合にインフラの状況がどうかといったようなことで、例えば用水の状況とか地質とか、そういったインフラの中のインフラというのですか、一番ベーシックなところを今調査をやっております。こういった調査結果等をもとにいたしまして、国土庁といった省庁といろいろ連絡をとっておる段階でございます。
  203. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 建設省にお伺いします。  建設省がかなり先行してこういうことに取り組んでいかなければいけないと思います。また、国土庁とは非常に身近な存在でございます。かなり情報が密接だと思いますけれども、建設省の今のこの文化学術研究都市についての状況、そしてこれからの計画を御報告願いたいと思います。
  204. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明申し上げます。  建設省といたしましても、この関西文化学術研究都市に対しましては、土地利用、治水、利水、下水道、交通体系というような基盤整備の責任があるわけでございまして、五十七年、五十八年の二カ年にわたりまして京阪奈地域総合整備計画調査ということで、国土総合開発事業調整費によりまして調査を行ったところでございます。この調査に基づきまして、基本方向の検討とか整備計画の策定、それからモデル都市のケーススタディーというようなことを取りまとめてございます。今後、この研究都市の全体計画が国土庁の方で取りまとめられました場合には、先ほど申し上げました調査の結果を踏まえながら協力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  205. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 科学技術庁、これまたメーンになると思いますけれども、ひとつ……。
  206. 川崎雅弘

    ○川崎説明員 ただいまの先生の御質問についてでございますが、科学技術庁としましては、職掌柄、我が国全体の科学技術振興という見地から、こういう研究機能を物理的に集積していくという一種の研究の集積効果は、産業界とか民間あるいは国あるいは大学の持っております研究機能がそれぞれ有効に働くという見地から非常に有効ではないか。現に筑波の経験に照らしましても、国研あるいはその他の大学等四十六の機関がありますが、それを中心にして民間が既に二十七の研究機構をその周辺に配置するというような動き等から見ましても、非常に重要ではないかと考えておりまして、かねてから国土庁の方で進められるいろいろの調査には、お話も聞くと同時に、御協力も申し上げてきたわけです。  ただ、現在までのいろいろお話を進めています段階では、何と申しましょうか、どうも科学技術庁の出番は上物の方になってからの話ということになるのではないだろうかと考えておりまして、特に下の都市全体のフレームワークというような点の作業がある程度終了した時点から、当庁としても本件に本格的に取り組むべきではないかと考えております。  なお、若干蛇足でございますが、昨年十一月の二十七日に総理大臣に科学技術会議から答申が出されておりますが、その答申の中におきましても、あに関西のみならず、地域においてこういう研究機能を集積していくということが、我が国全体の科学技術水準の向上という見地から望ましいという趣旨の答申をいただいておりますので、こういう答申を踏まえて、そういう今度の関西学術研究都市問題についても対応してまいりたい、かように考えております。
  207. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 関西学研都市の推進協議会というのがございまして、その学術部会が昭和六十年三月に、我が国の学術研究の振興における学研都市の役割という論文を出しております。こういうもので見ていきますと、かなり国際的な学術文化の交流あるいはいわゆる基礎技術、こういうものに重点を置いて進めていくということ、そして二十一世紀の新しい都市としての機能を持たせたこういう町をつくっていかなきゃいけない、こういうことが書いてあるわけでございますけれども、国土庁も当然これをお読みになっていると思いますけれども、この辺で今の学術研究都市のねらいなりあるいはこれからの構想、これとの関連についでどういうふうに取り扱っていかれるか、お聞きをしたいと思います。
  208. 佐藤和男

    ○佐藤(和)政府委員 去る五月の二十日だと思いますが、京都で開催されました関西文化学術研究都市推進協議会におきまして、その学術部会の御報告が行われたことは承知しております。また、私自身もその会議に出席しております。  この報告は、我が国におきます学術研究振興の基本的方向と関西における役割及び関西文化学術研究都市の都市像についてまとめたものでございまして、特に研究開発という都市のいわば頭脳的な部分に関して、非常に傾聴に値する御意見というふうに承知しております。
  209. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 これは地域のというか、関西のいわゆる政財界から盛り上がってきた話でございまして、当然向こうの思惑といいますか、そういうようなものも大分入っていると思いますけれども、少なくともここに書かれている内容につきましては、私もやはりこれからやっていかなきゃいけないというふうに思うわけでございまして、十分御理解をいただいて具体的に構想の中で織り込んでいただきたいと思います。  ことしの秋に一応、今回五月二十日にも話がございましたいわゆるナショナルプロジェクトとしての動きを具体化していこう、こういうことが推進協の中で行われておりまして、ここでナショナルプロジェクトとして秋には着工式を行いたい、こういう話がございます。  聞くところによりますと、住宅・都市整備公団が一応着手をされるということでございまして、住宅開発なのか、あるいはこの文化学術研究都市としての本当の初めての着工ということになるかということで、いろいろ財政当局との問題とかがあるというふうに聞いておりますけれども、我々としては、地域、エリアが指定をされるということでございますから、当然文化学術研究都市の初めての着工だというふうに位置づけをしたいというふうに思うわけでございます。  これについて、どういう位置づけを行われるのか、また財政当局との話し合いの状況とかその辺について、もし公表できるものでおれば公表していただいて、そして国土庁としてあるいは国としてのいわゆる力の入れぐあい、これをお示しをいただきたいと思います。
  210. 佐藤和男

    ○佐藤(和)政府委員 この文化学術研究都市におきまして、地元の京都府知事さん、それから先ほど申しました促進協の方で、今秋をめどにいわば研究都市としての着工式と申しましょうか、そういう式典を行いたいという御要望が出ていることは私どもも承知しておりますし、いわば地元の総意を盛り上げる意味で、国土庁といたしましてもこの方向に御協力申し上げたいと思っております。
  211. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ということは、今の学研都市としての着工と受け取っていいわけですね。学研都市としての着工ということでよろしゅうございますね。
  212. 佐藤和男

    ○佐藤(和)政府委員 京都府知事さんの御要望、それから促進協の総意ということでは、まさにこれを機にこの文化学術研究都市をスタートさせるいわばモニュメントとしての式典ということをお考えのようでございます。私どもは、この文化学術研究都市を今後とも全国民的な立場で推進するという意味で、いわば非常に意義がある催しというふうに承知しております。
  213. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ぜひ、これからそれを機会に、具体的な動きがわかるようにお願いをしたいと思います。  筑波の状況を見てみますと、この筑波の法律の中に周辺整備というものが明確にうたわれてきておりますけれども、いろいろ地域の事情それぞれ聞いてみますと、この指定されたエリア内、そこにおきましては、やはりどういうピッチで、どういうスケジュールで進んでいくのか、これが非常にいろんな都市計画との関連で影響があるということでございます。  また、周辺の地域につきましては、逆にすぐ近くにかなり立派なものがいろいろたくさんできてくる。言い方は悪いですけれども、今まで例えば木造二階建てのアパートに住んでおりまして、自分たちが住んでいるときには余り気にならなかったのですけれども、お隣に鉄筋のすごい豪華なマンションができた、こうなりますと、何か自分が変なところにいるんじゃないか、こういう気持ちになるということだと思いますけれども、これがこの周辺地域にはまさに明確に出てくるわけでございまして、開発エリア内だけではなく、筑波のときにも行われましたような周辺地域対策というものもやはり十分考えていかなければいけないと思います。  特に開発のスケジュール、これによって都市計画が変わってくるということもございますし、また特に人口分布の変化、これがなかなか読めないということもございます。道路整備だとかあるいは下水道整備だとか、先ほどもお話がございましたけれども、この辺についても、あるスケジュールに沿って規模を設定していかなければいけないわけです。例えば最初から二十万の規模で設定いたしまして、実質的な運営は七、八万だということになりますと、まさに経費倒れということになりまして、各地方自治体の持ち出しが非常に大きいということになるかと思います。  そういう意味で、各地域からのいろんな要望がございますけれども、まとめてみますと、既存の地域とクラスターと言われております指定の地域、これとの格差をできるだけ見直して詰めていただきたいということ、そしていろんな開発のスケジュールをできるだけ事前に明確にしてもらいたい。  それから、ピッチがこれまたわからないのですけれども、今の都市計画の決定あるいは線引き、これが五年に一回の見直しということになっております。この五年に一回の見直しで、五年で十分に間に合うのじゃないかという人と、それから、本当に進め始めたら随年なりあるいは随時の見直しという形に持っていかなければいけないのではないか、こういう話がございますので、その辺、今まとめていろいろなことを申し上げましたけれども、周辺整備あるいは区域内の整備、これについて国土庁が今お考えになっておられるのはどういう進め方をされるのか、続いてお伺いしたいと思います。
  214. 佐藤和男

    ○佐藤(和)政府委員 今ほど先生が御指摘になりました数点は、今後全体計画、素案をつくり、かつ関係の方面と御協議する際の非常に重要な御指摘と思います。  最後におっしゃいましたクラスターの指定地域と周辺地域の問題でございますが、当然のことながら、この関西の文化学術研究都市の構想は、学術研究という一面と地域整備という一面もあわせ持っているものでございます。この新規開発のクラスターと周辺地域が調和のとれたものとなるように、計画の推進に当たっては十分検討してまいりたいと思います。  ただ、筑波の例は、御存じのように中核部分二千七百ヘクタールをほぼ全面的に国が、実際は住宅・都市整備公団でございますが、買収して、それを核とした部分と、周辺の地域整備計画という二段構えにしたわけでございますが、この都市の場合は、ああいうまとまった形での都市づくりというよりは、御存じのように幾つかのクラスター、要するに小都市群で形成されるわけでございまして、そのあたりが、中心地区対周辺という形のような非常に極端な段差が出てくる危険性は余りないのではないかと思います。ただ、御指摘にありました点は、今後の計画づくりにおける一番の配慮点だと思います。
  215. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今の公共投資をふやすかふやさないかというので、財政事情からかなりもめておりますけれども、我々ちょっと心配いたしておりますのは、この大きなプロジェクトが動き始めたときに、既存の公共投資の枠内、これで果たして対応できるのかな、こういう心配がございます。別枠でというのはちょっと難しいと思いますけれども、そういう状況から見て、現在各地方自治体におりておりますいろいろな補助金なり直轄事業、こういうものを含めて別枠なのか、あるいはその枠の中で大部分消化しながら一部割り増し的な配分を行うのか、こういうことを本当は知りたいのです。  ちょっと時間がないのでやめますけれども、この事業推進するための既存の諸計画、多少ここに吸収される部分が出てくるかと思いますけれども、その辺をできるだけ別枠扱いといいますか、これは予算との関係で非常に難しいと思いますけれども、このために既存の地域が影響を受けるということがないように、これはぜひこれからの開発に当たってお願いをしておきたいと思います。  先ほどちょっと申し上げました線引きのことでございますけれども、この件につきましてだけ一点お伺いをしたいと思います。随年見直しにすれば一番いいのではないかと思いますけれども、今、五年ピッチで見直しが行われている、これにつきまして、現在でも特例があると思いますけれども、適宜対応ができるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  216. 鈴木政徳

    鈴木(政)説明員 ただいま御質問の関西文化学術研究都市関係の線引きの見直しでございますが、既に昨年の十一月に京都府におきまして、この地区につきましては線引きの見直しを行っているところでございます。そして相楽地区では、市街化区域が三百四十七ヘクタールということになっておりましたが、今回の見直しで九百三十三ヘクタールの編入を行っているところでございます。さらに、今後の開発に対応するために、特定保留という形で当該地区で百十六ヘクタールの地域を用意しておりまして、この地域の開発の進展に応じまして随時編入できるようにしております。  都市計画につきましては、このように今後とも、事業の進捗に応じまして実態に即した適切な見直しが行われますように、地方公共団体を指導してまいりたいと考えております。
  217. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ちょっと時間が少なくなってまいりましたので、簡単にお答えをいただきたいと思います。  実は、やはり筑波がどうなっているかというのが非常に心配でございまして、今回の五十九年七月に国土庁内に設置をされました推進室、ここには、筑波研究学園都市建設の経験を生かすことのできるような人員構成をしている、こういうふうに五月二十日に発表をされているわけです。この筑波研究学園都市の経験を生かすというのは、やはりいろんな問題点を把握して、三十八年から五十四年までかかったこの長い歴史の中でのノーハウの蓄積があったんだと思いますけれども、この辺を手短に、こういうことが今度の文化学術研究都市の開発で織り込まれているということを、例を挙げて説明をいただきたいと思います。
  218. 佐藤和男

    ○佐藤(和)政府委員 筑波の研究学園都市に関しましては、先生御承知のとおりでございます。ただ現状におきまして、中心都市地区計画人口が十万人のものに関しまして、過半までも至っておりません。それから機能的には、研究学園都市として最高の機能を持っておりますが、これを今後活用して周辺整備に反映させるということについて、いろんな工夫が要るんじゃないかと思っておりまして、新つくば懇談会を大臣の私的な諮問機関として設けましたのも、その趣旨に出たものでございます。  今申し上げましたようなことを、今後関西の文化学術研究都市におきましても、対応はいろいろ変化があると思いますが、十分参考にしながら計画づくりを進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  219. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ありがとうございました。  あと残った時間、労働省にME化について御質問したいと思います。  マイクロエレクトロニクス機器、これが昨今非常に伸びておりまして、いろんな製品なりあるいは職場に進出をしている、こういうことでございます。生活形式そのものにおきましても、このME機器の利用がふえております。しかし、最も大きな影響というのは、やはり雇用面、これは例えば製造メーカーの場合でございますけれども、物をつくるための合理化、そしてより精度を上げて画一的に製品化する、こういうことから、ME機器の利用が非常に多くなっております。また、事務部門につきましても、OAといいますかオフィスオートメーション、あるいはオフィスコンピューター、そういうものが活用されて、いわゆるファイリング、そういう部門にまで影響を出してきておる。  こういうことからいきますと、労働条件あるいは雇用条件の大変な変革につながってきている、こういうふうに思われるわけでございます。労働組合関係でもかなりこのME機器に対する危機感を持っておりまして、いろいろな組合がそれぞれ独自で調査をし、その対応をどうやっていこうかということで再三の論議をしているわけでございます。  実は、ここに日本労働協会が調査をいたしましたアンケートがございまして、この調査時点は五十八年一月でございますけれども、この調査の内容は、昭和五十二年以降のME機器の導入の状況、労使の話し合いの状況、職場の年齢構成の変化、転出者の配転先あるいは再教育の状況、導入に対応するための手続、いろいろな調査が行われました。  結論としては、労使交渉はかなりこのME機器をめぐって行われてきているが、会社側の単なる説明であり、労組の意見表明というものにとどまっているという見方をしております。一方では、ME機器によって発言の内容がかなり違う。そしてシステム機器、いわゆる組織に影響するような大きなものについては、やはり労働組合としてかなり強い発言なりあるいは規制をしているということが書いてありますし、機器そのもの、機械そのものだけを入れるということについては何ら問題はないというようなとらえ方をしております。  しかし、この中で出てまいりましたのは、いろいろな雇用の確保、あるいは熟練労働者の方たちの配置転換あるいは再教育、こういうものにかなり苦慮しているというようなことが実態である、そういうように言われているわけでございまして、ちなみに、この調査をされました対象が六百ぐらいの組合でございまして、その中で九一・七%が何らかの形でME機器を導入しているということでございます。  まず、ここでお聞きをいたしたいのは、ME化の状況労働省としてはどのように把握をされ、またどういう問題点を把握されているか、これについてお聞きをしたいと思います。
  220. 中村正

    中村(正)政府委員 お答えいたします。  先生今お尋ねの、どのような調査をしているかということにつきましては、いろいろな角度からやっております。例えば、労政局系統でまいりますと、今お示しいただきました労働協会を通じての調査もございますし、安定局では、雇用職業総合研究所というのがございまして、そこを中心に雇用を中心とした研究をしております。また基準局系統でございますと、安全研究所あるいは産業医学総合研究所、そこでは労働安全衛生面からの研究をするということで、いろいろ研究調査をしているところでございます。
  221. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 先ほども言いましたように、実態の中でいわゆる製造部門、それから事務部門、この辺への影響が非常に大きいということであります。今いろいろな調査をされたということでありますけれども、問題点としてどういうことを把握されたか、これについてお聞きしたいと思います。
  222. 中村正

    中村(正)政府委員 まず、労使関係につきましては、何といっても、影響を受ける労働者の問題を考えますと、労使間でのコミュニケーションが十分にいくということが技術革新の導入にとって必要でございますし、労働者の保護という観点からも必要かと思います。その点の問題意識が一つ。それから雇用面におきましては、雇用量全体がどうなるか、これを維持しなければならぬという問題と、当然起こります配転についても、スムーズに配転が行われる、そして、これとの関連で職業訓練、これは企業内の場合もありましょうし、公共の場合もございますが、職業訓練が十分にそれにキャッチアップするということが必要ではないか。それからあとは、安全衛生面では当然のこと、人体に対する影響あるいは生命に対する影響がないように、こういうところを問題意識として持っております。
  223. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 調査によりますと、製造、事務管理が大体同じ傾向だということでございまして、余剰人員の発生、単調労働の発生、教育訓練負担の増加、これが一応上位三つだ。そして、販売営業、技術設計部門、これが類似をしているということでございますけれども、教育訓練負担の増加、精神的負担の増加、こういうものが一応問題点として摘出をされるということでございます。  いろいろ業種ごとに取り組み姿勢が違いますけれども、これに対処していくために話し合いをやっていこうということでございまして、現在、特に私たちの方で関係のありますところでいろいろな取り組みをやっているわけです。これは一つは、やはり労使の話し合いをより積極的に行って、先ほどもお話しございましたように、いわゆる雇用量、職場の確保、これを何としてもやらなければいけない。しかし一方では、今の厳しい状況の中で生き抜いていくための合理化でございますから、当然その合理化としてのメリットを出していかなければいけない。こういう両面がございまして、それぞれいろいろなことをやっているわけでございます。  サンプル的に申し上げますと、一九八四年七月、これは電機労連でございますけれども、ME革命化における雇用確保と労働の人間化をめざすガイドライン、こういうことで一応の基準を設定して、この基準に沿って話し合いをしていこう。この中には、特に安全衛生に対するいろいろな対策が織り込まれておりまして、これをやっていかなければいけない。一九八四年八月、自動車総連におきましては、新技術導入対応指針ということで、雇用、労働条件、人間性に深刻な問題を与える、この対応を考えていこうという取り組みをしている。一九八五年一月におきましては、全日本労働総同盟において、新しい技術と人間の調和、これはME革命に対応する体制をとろうということでございまして、それぞれ各労働組合あるいはナショナルセンターとしての対応策がどんどんと打ち出されております。  しかし、私たちは、特に労働省、そして経団連あるいは経営者協会とかのいわゆる経営レベル、これが比較的こういうものに対しての取り組みが消極的であるという話を聞くわけでございます。特に、労働組合のある場合には話し合いが行われる場があるわけでございますけれども、中小企業なり未組織労働者の分野につきましては、なかなかその話し合いも行われないというような状況でございまして、やはり国として何らかの施策を考えていかなければいけないのではないかというふうに思うわけでございます。この辺について労働省としてどのようにお考えになっているのか、お聞きをしたいと思います。
  224. 中村正

    中村(正)政府委員 確かに未組織労働者あるいは中小企業における労使協議ということになりますと、正直申してなかなか難しい点がございますけれども、先ほど申し上げましたように、やはりマイクロエレクトロニクス、それに限らず新技術の導入に関しては、それをスムーズに導入すると同時に、労働者に対する悪影響はできるだけ少なくする、そのためには労使のコミュニケーションを十分にすることが必要だ、こう認識しております。  その辺の一つのあらわれといたしまして、五十九年の四月二十五日に雇用問題政策会議、これは政労使、それから学者の先生方も入っておられますが、かなり高いレベルの方々が集まっていただいておるその会議におきまして、五つの原則を提言として出していただきました。その中の一つとして、労使協議といいましょうか、産業、企業、職場レベルでの労使間における具体的な問題に関する協議システムの確立に努めること、また、ナショナルレベルにおける政労使間の意思疎通を図ること、こういう御提言をいただきました。この御提言に基づきまして、できるだけコミュニケーションが広がっていくことを期待しているところであります。  幸いにして、昨今の調査によりますと、労使協議制の制度を持っているのは企業のうち七〇%に達しておりますし、それから、技術革新に関する話し合いをするかという問いに対しましては、六〇%程度がそういうものをしますという返事をしております。それらの協議がより実りの多いものになることを望んでおるところでございます。  具体的にもう少し申しますと、雇用問題政策会議のほかに、御存じの産労懇というラウンドテーブルの会議がございますが、そこでも特に労働側から強い御意見がございまして、新技術と労働問題、これを議題にすべきであるというお話がございました。その場を活用しながら新技術と労働の問題についても時折話をしていこうということになっております。あるいは、産業別にいろいろ個別の問題があろうかということから、主要な産業について、労のみならず使の方々に集まっていただきまして、新技術と雇用の問題について議論しようということで、つい先々週でございますけれども、電機産業についてこの会議をいたしました。近々自動車についてもこれをしよう、こういうふうになっております。このようなことで、できるだけコミュニケーションということを広めていくように労働省としても努めていきたい、こういうふうに存じております。
  225. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 山口大臣が帰ってこられましたので、あと五分ですからまとめて聞きたいと思います。  今、ME化に対するいろいろな雇用の問題あるいは労働環境の問題という話をしているわけでございますけれども、どうも労働界側というのは、やはり雇用を守るという意味から非常に神経質にならざるを得ない状況でございます。しかし、企業の側も同じように、今度は従業員を守るという意味あるいは企業の社会的責任を果たすという意味から、同じレベルで物事を考えていかなければいけないのですけれども、労働省もなかなかそこまで細かく見ていただけないという話を先ほども私はしたわけで、中村さんはそうじゃないという話ですけれども、実際我々が受けとめておりますのは、どうも対応が遅いということでございます。  いろいろな調査をされていると思いますが、具体的な政策論議にはいろいろなレベルがあると思うのです。全国的に画一的にやる問題あるいは地域としてやる問題、産業間でやる問題、企業でやる場合の問題、こういうふうにあるわけでございますけれども、この辺を一つずつ固めていかなければいけない、そういう時期に来ているのではないかというふうに思います。例えば全国レベルで考える場合には、雇用と技術、これを見直していくような審議会なり研究機関というものをやはりつくっていかなければいけないのではないか。  それから、今盛んに行われております時短、時間短縮ですね、これは場合によっては雇用拡大につながるわけです。ただ採算との問題がございまして、原価の厳しいものについては非常に進めにくいと思いますけれども、しかし人が長くだらだら動いているよりは、半分だけ働いてあと遊んでいればいいわけですから、こういうことがやはり組織的に、産業別なりあるいは地域別なりという形で行われていかなければいけないだろうと思います。  そして、先ほどの調査にもあるようでございますけれども、安全衛生の面について、新しい分野ということでかなりこの分野が伸びてきているわけでございますから、この分野についてのやはり一つの方策、まあ今までは労働衛生というのは後追いでございまして、何か事故がない限りなかなか手がつけられないというような状況でございましたけれども、これをやはり先に、予防という面で進めていかなければいけないというふうに思います。  そして国際的には、先ほどもお話がありましたように、貿易摩擦にまでこの時間短縮が使われるというような状況でございますし、技術革新という日本のレベルから見て、やはり世界的に認知をしていただくための一つの方策を考えていかなければいけないのではないかというふうに思います。  いろいろまとめて申し上げましたけれども、このME化に対して、やはり国として、労働省として一つのルールをつくっていく必要があるのではないかというふうに思うわけでございまして、ちょうど時間でございますからこれで終わりますけれども、ぜひこれに前向きの御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
  226. 山口敏夫

    山口国務大臣 資源のない国でございますから、やはり新技術に対しては果敢に導入して、ある種の生産性を高め、国際競争力を身につけなければならない、こういう基本的な産業政策は不可欠だというふうに考えるわけでございますし、特に日本の労使、労働側のそうした状況認識の中で、ME化、OA化が世界の国に先駆けて非常に推進されておる、また一方、にもかかわらず、雇用関係は非常に安定をしているということで、サミットなどにおきましても、大変この辺のなぞといいますか、実情に対する興味、質問も多いようでございます。  しかし、そういういいことばかりではなく、今玉置先生御指摘のように、新しい労働災害、労働衛生上の問題を今から取り組んでいかなければならない、こういうことだろうと思います。特にパソコンでありますとかオフィスオートメーション等におきましても、テレビを目先に置いて毎日何時間も見る人もいないわけでありますが、業務上からすればそういう作業も必要になってくるということから来る視覚障害、そこから来るまた精神的な障害、ストレス等々コンピューター時代における労働災害をどう解決していくかという中で、例えばシャドーマスクの設置を義務づけたらどうだとかいろいろな論議も含めて、今産業医科大学等の研究班などにも取り組んでいただいておるということも一つございます。  それからまた、第六次労働災害防止計画におきましても、新たな技術導入に対応した安全衛生の確保という目標の中で、産業用ロボット等の安全衛生規則の改正、「VDT作業における労働衛生管理のあり方」というガイドラインの公表等積極的に施策を推進をしていきたい。労働省としては、こうした先端技術に関する安全衛生情報の収集及び調査研究に努めまして、その結果に基づいて対策を推進をしていきたい。そこで今問題は、玉置先生の御指摘のように、先取りでこういう問題を取り組んでいかなければならないということが一点ございます。  しかし同時に、障害者雇用と健常者の問題で、年をとるとだれもが何らかの障害を持つ、こういうことと同じように、こういうふくそうした社会でございますから、どこまでが新技術における労働災害であり、どこまでが社会的な、肉体的な、精神的な障害であるかということの基準、物差しが、なかなか結論が出しにくい、区別しにくいという点も事実上ございまして、その中でどう新しい労働災害を防止するかということを、専門家の先生方等の御研究も十分いただきながら、考え方としては、全く先生と同じ認識を私は持っておりますので、特にもう六十一年度予算及び政策のガイドラインを決める段階に来ておりますので、ひとつこれらも取り入れて政策の中に反映をしたい、かように考えておりますので、よろしくまた御協力もお願いをしたいと思う次第でございます。
  227. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ありがとうございました。終わります。
  228. 安井吉典

    安井委員長 次に、中川利三郎君。
  229. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まず、通産省にお聞きするのでありますが、マルチ商法、連鎖販売取引とはどういうものかということであります。通商産業省の資料によりますと、「マルチ商法は、いわゆるネズミ講(全面禁止されています。)に商品販売を組合わせた販売形態であり、次々と新規の会員(販売員)を勧誘・加盟させながら組織を拡大させていくところから「ネズミ講式商法」とも言われています。」  この資料の中には、マルチ商法でなぜ被害が出るかということで、勧誘の際に、特異な成功例の引用や多大の利益が得られると信じ込ませる等不当な手段がとられる例が多いとか、一般的に商品は市価より高く、思うように売れないことが多いとか、加盟者の中には、対人関係の破綻や金銭的な損失が発生するとか、いろいろな注意事項が書いてあります。その他ありますけれども、マルチ商法とは大体こういうものだというふうに理解してよろしいですか。
  230. 山下弘文

    ○山下説明員 お答え申し上げます。  今先生おっしゃいましたとおり、私どもの出版しております——訪問販売等に関する法律にいわゆるマルチ商法というものの定義がございまして、物を販売することを……(中川(利)委員「大体そういうものかということを聞いている。それでいいですよ」と呼ぶ)先生のおっしゃったとおり、そういうふうに理解しております。
  231. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それでは経済企画庁に聞くのでありますが、最近はマルチ規制の法の網をくぐるようにいたしまして、マルチまがいの商法が横行しておるようでありまして、実は私の手元に東京都消費者センター普及相談課が発行しておる八四年十一月号の「かしこい消費者」というパンフレットがございます。この中にも、「今年度に入りマルチまがいの販売に関する相談がふえています。マルチ商法も含め、四−七月までに百七件と、昨年同月間の五十九件に比べて倍近い件数です。宝石や洗剤、羽毛布団等が多くを占めています。」こうあるわけですが、恐らく経企庁に入ってくる相談、苦情も傾向としては大体そうなっていると思いますが、いかがでしょうか。なっているか、なっていないかで結構です。
  232. 里田武臣

    里田説明員 先生の御指摘のとおり、五十九年に入りましてから大体倍増という傾向になってございます。
  233. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大体倍増してきている、そういう一般的な趨勢にあるということははっきりいたしました。  それでは、きょうの主題であるジャパンライフという会社についてお伺いいたします。  この会社は、羽毛布団あるいは磁気マット、まくら、健康寝具を主力商品として取り扱っている会社でございますが、創立してまだ間がない。それなのにこの五年間に年商、売り上げが三百三十二倍にふえている。そういう時期はどうかといいますと、この期間というのは安定成長、低成長、いわば消費需要の冷え込みの時期に当たるわけでありますけれども、念のために申しますと、この会社の年商は、五十四年には三億六千万円、五十五年には七億五千万円、五十六年には四十一億三千万円、五十七年には四百億、五十八年には千二百億、五十九年にはこの倍の二千四百億目標実現の見通しだ、恐らく達成するであろうと私は思うのであります。その特徴は今お聞きになったとおりで、例えば五十六年、五十七年で見ましても十倍にふえているんですね、四十一億から四百億ですから。先ほど言いましたように、五十四年からわずか五年間で三億六千万から千二百億ですから、三百三十二倍です。こういう驚異的なやり方というような感じもするわけでありますが、大変な成長であります。  その秘密は何かというとマルチ商法、厳密に言えばマルチまがい商法と言われているものではないだろうか、マルチ訪問販売ですね。なぜかと申しますと、その商法のやり方、システムを拝見いたしますと、消費者が別の消費者を開拓して、同時に消費者が販売員になる、連鎖的にこういう格好になるのです。そうして一人が子供を六人つくる、その子供が孫を六人ずつつくる、三世代で一応システムが完結する、こういう格好になっておるわけでありますが、世代を重ねてまいりますとより大きい利益が入ってくる、こういう仕組みなんです。  例えばこの会社は羽毛布団、磁気マットその他セットで売っているわけでありますが、一セット三十万円弱でございます。ユーザー一人を見つけて一セット三十万弱売りますと、一五%のマージンが入る。つまり四万五千円ですね。子供六人つくるわけですから、そうしますと第二世代の完結時、つまり六人つくったときには、四万五千掛ける六ですから、二十七万円の収入が入る。しかもそうなりますと、ファミリー長という一ランク上の方へ格上げされるわけであります。この地位につきますと、今度は自分の子供が開拓したユーザーから、つまり孫から二五%の利益を受け取れる、そういう仕組みが一つであります。  もう一つは、こうした基礎単位のほかに販売実績によるランク分けといたしまして、先ほど言いましたファミリー長あるいは代理店、あるいはその上に販社、こういうシステムがつくられているわけであります。ですから、これは法律で言うところのマルチと非常に近いものだと私は思うのでありますが、これについてどうお考えですか、簡単で結構でございます。
  234. 山下弘文

    ○山下説明員 先ほど申し上げました訪問販売法の定義との関係で申し上げますと、消費者が物を販売しているかどうかというところは違っておりますけれども、それ以外のところでは似たようなものになっているというふうに理解しております。
  235. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 物を販売しているかどうかということは違うけれども、そのほかは大体同じだという今の御答弁でございましたね。つまりマルチに非常に近いのです。物を販売しているかどうかということにつきましても、ジャパンライフの場合は委託ということなんだな。しかし、この委託にいたしましても、元を取るためには次から次へ子供、孫をふやしていかなければいけないというのですから、売らなければならないわけですから、結局同じことになっているわけであります。この点について今お認めになったわけでありますから申し上げますと、法すれすれのところの網をくぐっている会社なんだということなんです。このことは否めないと思うのです。  ここに「マルチ訪問販売の全貌」という本がございますが、この本では、「しかも、この価格設定は、同業他社の普及タイプ商品と比べて相当割高に設定されている。末端の小売り価格で三〇−五〇%ほど割高なのである。」というふうに書いています。これは紹介だけにとどめますが、まさに法すれすれでありますからこそ、五十一年にマルチを含めた訪問販売法という法律がつくられましたが、その際、その前段に当たる四十九年の七月、「消費者被害の現状と対策 事業者責任の強化について」という中間覚書、これは国民生活審議会消費者保護部会消費者救済特別研究委員会、座長加藤一郎さんで開かれておりまして、その中には、「消費者利益を必然的に害することになる販売方法、すなわち、マルチレベル販売、SF商法などは社会的に無価値であり直ちに禁止すべきであり、」こういう答申もしておるわけであります。  また昭和五十年三月、産業構造審議会流通部会第十一回中間答申によりますと、その中に「施策の基本的方向」ということが書かれておりまして、「以上のような問題点を解決するため、政府においては、次のような考え方にそってマルチ商法について具体的な対策を検討することが必要である。」こう言いまして、その内容として、「その活動を実質的に禁止するよう厳しい規制を行うべきである。特にこの商法が組織拡大の手段としてリクルート機能に大きく依存しているところに基本的な問題点があり、このようなリクルート料の授受は極めて好ましくないものと認めざるを得ない。」こういうふうに指摘もしておるわけであります。  まして、この問題がずっと引き続き国会でもやられておりますが、いわばそのときの法案審議昭和五十一年五月二十日の参議院の議事録でありますが、政府委員の天谷直弘さんがこんなことを言っているのです。「マルチをやっておる連中、特に悪いマルチをやっておる連中というのが非常にずる賢い連中でございます。」うまいことを言ったものですね、ずる賢い連中でございます。「ある法律規制をかけますと、たちまちに契約内容とか中身を変化させまして法律から逃げてしまう、そういうことを考えておる連中でございます」。ですから「その場その場でマルチ業者の出方に応じて政省令を変えていきまして、取り締まりの実を挙げたいと考えておる次第であります。」云々ということを言っています。  そこで私は、先ほども相談件数もふえておる、そういうことはなぜかといいますと、こういう指摘も政府答弁もありながら、通産省がマルチ規制の枠を非常に狭めておる。今四つの基準、構成要件を決めておりますけれども、本来は実質禁止すべしという消費者保護の原点に立って検討するなり、通産省に働きかける筋合いのものだというふうに私は思っているわけでありますが、この点につきまして経済企画庁はどのようなお考えを持っているか、お聞かせいただきたいと思います。
  236. 里田武臣

    里田説明員 御指摘のような悪徳商法につきまして、私ども一番対策に頭を痛めておるところでございますけれども、先ほど先生が御指摘になられましたように、こういう取引の形態というのは非常に複雑な形をとっておりまして、現にマルチ関係で割と近いものでございますと、フランチャイズシステムということで、こういうものは全然害が及んでいないわけでございます。申し上げるまでもなく、憲法上営業の自由というのがございまして、いたずらに全部禁止するというわけにはまいりません。それで悪いものだけ規制しようとしましても、なかなかそこが法技術的に難しいという点がございます。  しかし、私どもとしては、できるだけこういう問題についてより効果があるように努力をしなければいかぬと思いまして、毎年消費者保護会議で決め、同時に、この問題は消費者がしっかりしなければいかぬという面もございますものですから、関係省庁にお願いすると同時に、消費者の啓発ということに対して一層力を入れているというのが実情でございます。
  237. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 非常に難しい問題だというようなお話ですが、大筋において私の先ほどの質問をお認めいただいたと思うわけであります。  東京都の「かしこい消費者」によりましても、まがいについて大変心配しておるのです。「相談室」という欄でございますが、「マルチ商法の場合には、訪問販売法に消費者保護の規定がありますが、マルチまがいについては何の規制もないため、事情の分らない消費者へ強引な勧誘が横行しているようです。うまい話に気をとられることなく、内容をしっかり把握して、」云々というふうに書いて注意を与えているわけです。  そこで、私はこのジャパンライフのことを主として聞くわけでありますが、この会社がどういう会社であるかということでありまして、山口労働大臣と同じ山口会長でありますね。これはもう御承知かと思いますが、日本三大マルチと言われました先ほどお話しのあったジェッカー・フランチャイズ・チェーン社、その元社長でございまして、その商法は余りのことで国会でも再々取り上げられました。  例えば五十年五月二十二日の衆議院物特、ここではジェッカーの主力製品のイオン源水器が薬事法の無認可だ、電気取締法の認可、登録の違反だということやらいろいろな点が論議されておりまして、しかもこの会長さんといいますか社長さんの実際のやり方もこの論議の中に出されまして、例えば相手に余計なことを考えさせないで強引に話を進めるとか、あるいは現在あるだけのお金を申込金として入れさせる、そういう指導方法をとったということも国会で論議されているわけであります。通産省はこうした国会の論議を承知しているかどうか、ちょっとお伺いします。
  238. 山下弘文

    ○山下説明員 国会での御議論については、私どもも承知いたしております。
  239. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 承知しておるということでありますね。  それで、やっぱり何というか、なかなか立派な宣伝もしたり、広告もしていますね。例えば、これはせんだっての読売新聞の五月二十六日付でありますが、まさにでっかい「鴨は羽毛の素晴しさを、人に教えてくれた。」なんて、半面使った広告を出したり、外国の女優の何とかというのを毎日のように出しておったり、いろいろ宣伝したりしておるわけであります。  実際、末端に参りますと、六人の子供をつくる、それに布団を売りつける、こんなこといっても、実は簡単なものじゃないですね。知人、友人といっても限界がございますし、しかも高い布団を買わされてちょんだ。ただ、なぜ文句が出ないのか。いろいろな被害届けが出ておるけれども、なぜそんなに社会的に大きい問題にならないかというと、買った人と売った人が同じ人間なんです。そういう格好でこういう問題が突発してこないという背景もあるわけであります。  実は、私のところにも相談に来た御夫婦がございまして、片っ方、奥さんの方はだんなさんと離婚するというのです。片っ方は、もう一回やり直してくれとだんなさんは言うのです。そして御一緒に私のところに来たわけでありますが、なぜかといったら、このジャパンライフの布団販売をしたというのです。ところがこの三五%、今普通だと末端の方は一五%やそこらでありますが、もっともうけなければいかぬ、そういうふうにやられていますから、三五%マージンがおりてくるいわゆるファミリー長から営業所長に格上げしていけば、またそれだけ収入がふえるわけです。その資格を取るために、自分で一千万円買い込んでしまったというのです。  ところが買い込んだけれども、バックマージンが来るから何でもないと思っておったら、クレジットの返済の方が多くなりまして、とうとう行き詰まったというのです。それで私のところに来たのですが、お父さんの方は、もう一回母さんにやり直してほしい、とにかく無資本でやれるのはあれだけだというのです。奥さんの方は、ジャパンライフにもおやじにも愛想が尽きたからさっぱり別れたい、こういうことで、私も非常に困ったという笑い話のような事例もございます。  実際問題として、例えば代理店という相当ランクの上の方でも、「月刊クレジット産業」という雑誌のコピーでありますけれども、そういう大きいところでも、現在代理店が千百五十社あるようになっていますが、そこまで行き着くために二千社以上が脱落して消えておるというのが実態だと書いてあるわけであります。ですから私は、やはりそういう悲劇や何かをやらないためにも、もっと厳粛にこの問題を見ておかなければならないと思うわけでありますが、経企庁の御見解はどうでございましょうか。
  240. 里田武臣

    里田説明員 私どもは、消費者被害が具体的に出ましたら、国民生活センター、それから全国に二百六十六ございます消費生活センターを通じて、できるだけ適正に消費者が十分救済されるように指導させておりまして、今後ともそういう問題が出てきましたときは、適正に対応させていただきたいと思っております。
  241. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それじゃ、もう一回経企庁に聞くのですが、例えば東京都消費者センターでは、五十九年上期に羽毛布団のテスト、試買試験をしているのです。恐らく国民生活センターあるいは都道府県消費者センターでも、ジャパンライフの羽毛布団の検査を、当然商品テストをしたと思うのですけれども、そういう事実はありますか。
  242. 里田武臣

    里田説明員 センターでは羽毛のテストはやりましたけれども、ジャパンライフは入ってございません。どうして入ってないかといいますと、大体センターのテストといいますのは、公平を期すために、センターの職員がもう全くランダムに商店に行きまして、そこで買ってきた商品を調べる。ですから、メーカーから提出させたり、そういうような商品は調べない、こういうことで、厳正を期しておりますものですから、今言っておられるジャパンライフは商店で売っておりませんので、たまたまそういうセンターの今の基準に乗らないということで、調べてないわけでございます。
  243. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、流通のまないたの上に乗っておらない商品だということですね。ところが、五十九年度ですか五十八年度ですかのシェア、羽毛布団のシェアは全国の四六%台になっておるのですね、ほかの西川だとかいろいろありますけれども。それほど実際的には、向こうの言い分では年商が上がっているわけですから、四六%、半分ぐらいのシェアに今迫っているというときに、市場に全然出てこないから検査のしようがない、こういうことは不透明さの一つとして、これはもう大変な問題だと私は思うわけでありますが、これはひとつ指摘にとどめておくわけでありまして、今まで私がお話ししてきたジャパンライフの商法はいろいろ問題があることが、当局でもそういう御認識だということもわかりました。  そこで、大蔵省に私、お聞きするのでありますが、昭和五十八年五月十二日に東京国税局が、法人税法違反でこのジャパンライフを東京地検に告発したと聞いておるわけでありますが、どのような内容で告発したのか、明らかにしていただきたいと思います。
  244. 野口卓夫

    ○野口説明員 お答えいたします。  ジャパンライフは東京都豊島区に本店を置きまして、羽毛布団などの販売を行っている会社でありますが、この会社については、東京国税局が昭和五十七年八月に法人税法違反事件として国税犯則取締法に基づく査察調査に着手しまして、翌五十八年五月に東京地方検察庁に告発したものであります。その後、五十九年四月に起訴され、同年八月に東京地方裁判所において有罪判決が下され、既に刑が確定していると聞いております。
  245. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり脱税、法人税法違反で告発された、こういう御答弁でありまして、それでは法務省にお聞きいたします。  東京国税庁の告発を受けて東京地検は、翌年の五十九年四月二十八日、ジャパンライフ社及び同社の役員、先ほど来申し上げておりました実質的なオーナーである山口隆祥氏、この被告を起訴し、同年八月三日東京地裁で、ジャパンライフ社に対して罰金七千五百万円、山口被告に対して懲役二年、執行猶予四年の有罪判決が出たわけでありますが、所得の秘匿方法、この事実について裁判ではどのように認定されたか、お聞きいたします。
  246. 東條伸一郎

    ○東條説明員 お尋ねの事件につきましては、今御指摘のような経過をもちまして既に有罪判決が確定しておるわけでございますが、その判決書によりますと、所得の主たる秘匿方法というのは、架空仕入れを計上するという方法であると認定されております。
  247. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そういうことでございまして、ここに判決文もございますけれども、時間の関係で省略したいと思います。  そこで、山口労働大臣にお聞きするのでありますが、昨年六月六日、つまりこういう告発だとか起訴だとか全部あった後でありますが、あなたは昨年六月六日、武道館で開かれたジャパンライフの大会といいますか、ここにありますが、「成長企業コンフィデンシャルシリーズ! 初公開 ジャパンライフの大研究」、こういうすごいカラー刷りの立派な本があるのです。これを見ますと、「創立三周年記念大会プログラム 一九八四・六・六於・日本武道館」、ずっと時間進行がありまして、十一時二十分には「感謝状贈呈」というところがございます。その一番冒頭に「新自由クラブ幹事長」、当時あなたは幹事長でしたね、「山口敏夫氏からジャパンライフ株式会社取締役会長・山口隆祥氏へ」というのが出ておりまして、あなたは感謝状をやったことになっていますね。  あなたはどんな動機でどんな内容の感謝状を、ジャパンライフのこういう方に、こういう商法について社会がいろいろ指弾している中で出したのか、非常に恐縮でございますが、ひとつお聞かせいただければありがたいと思います。
  248. 山口敏夫

    山口国務大臣 中川先生のプロフィールを拝見しておりましたら、学生時代は柔道の猛者で、背負い投げの中川、こう呼ばれておったと書いてございますけれども、今いろいろ取り上げられた会社と私の関連にいきなり結びつけてこられたわけでもございますが、私は当時ということでなくて現在も党の幹事長でございまして、共産党のような組織政党でございませんので、いろいろな会合には率先垂範して、人様の集まる会合にはできるだけ出席をしたい。今、大臣在任中でございますので公務が優先しておりまして、なかなか会合に出る機会も少ないわけでございますけれども、人様の集まる場所にはできるだけ出かけていって、いろいろごあいさつをする機会も多い、こういうことでございます。
  249. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 人様の集まるところに行くというのは私も同じでございますから、私は大臣にその点を申し上げておるのじゃなしに、あなたが感謝状を差し上げておることですね。そこで、どういう動機でどんな内容の感謝状を差し上げたのか、その点をお聞きしているわけであります。
  250. 山口敏夫

    山口国務大臣 いろいろ選挙等でお世話になっているということの感謝の気持ちを申し上げたということだと思います。
  251. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いろいろ選挙でお世話になっていると。そうすると、あなたのそのときのあいさつがここに載っているのです。あなたのお写真もついておりますが、ここにはこう言っているのです。「日頃から物心両面より支援してくださりまた国民の健康という大きな」云々とこう書いてある。物心両面からあなたを支援しているということなんですね、これで見ますと。これはあなたのあいさつがついているのです。しかも、そのあいさつが終わった後は、その結びには「山口会長、ありがとう!」、こういう言葉で結んでいらっしゃるのです。「感謝状が手渡され、両山口氏は固く手を握り合う。拍手、拍手。」というふうに情景まで書いてあるのです。まあしかし、わかりました。そういう御関係だということはわかったわけであります。  ところで、ジャパンライフ社の代理店などが主な会員となっておりますところの政治団体がございまして、健康産業政治連盟、略称健政連という団体がございます。この健政連の五十八年政治資金収支報告書を拝見いたしますと、五十八年十一月十九日に特別賛助会費として、山口大臣の政治団体と言われておりますところの松竜会あるいは入間比企開発協議会、龍志会、新政治経済研究会、龍政会の五団体におのおの百万円ずつ、合計五百万円の献金がなされてございます。これは間違いありませんか。
  252. 山口敏夫

    山口国務大臣 先生の御質問が事前に御指摘をいただきましたので調べておりましたところ、そういうきちっとした政治資金法に基づいて御報告を申し上げているということでございます。  ただ、一つ私の方から申し上げたいと思いますことは、五十八年は三大選挙がございまして、各党とも空前の選挙資金ということで、千四百七十二億政治資金が集まっておるわけでございまして、共産党等におきましても二百八十五億、こういうことでございます。私も党の責任者としていろいろ献金の協力を各団体また個人的な支援者からいただいておる、こういう経過の中での献金報告でございます。
  253. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 事実なようでありますが、例えば五十八年五月十二日に法人税法違反で告発され、五十九年四月二十八日には地検から起訴され、いろいろな格好があって、そして、それを承知でもいろいろ物心両面で御支持いただいているからといって感謝状をあげたりなんかしていらっしゃるわけでありますが、さらに今のお答えでは、共産党のことを云々ということでございましたが、それはこの質問には関係がございませんので、ひとつ改めていただきたいと思うのでございます。  さらにお聞きしますならば、今の献金はいただいた、こういうことでございますが、そうするならば、五十八年以前にあなたはジャパンライフ社から政治献金をいただいたことがございますか。
  254. 山口敏夫

    山口国務大臣 私の政治資金団体は、公認会計士と弁護士に責任者になっていただいておりまして、すべて違法行為のないように、国会でこういう御批判をいただかないようにという立場で管理していただいておりますが、それ以前の献金ということは私、承知をしておりません。  ただ、共産党のことに触れましたのは、共産党のように、党が献金を集めて個人に何百万円単位でこれを選挙資金として配分をするという党と、我々のように、個人が集めてそれぞれの候補者にもバックアップするというシステムの違い等もございまして、そういう意味におきまして、たまたま私、答弁の中で御紹介申し上げたわけでございます。
  255. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今いろいろお話ごさいましたが、新自由クラブというのは、私はお金では非常にきれいな政党だ、こういうことを日ごろ信条としていらっしゃる、そう思っておりましたら、何か共産党を引き合いに出して、共産党というのはきれいでありますから、いかにもそういう格好と同列のものとしてお扱いになるような言い方でありまして、私は非常に残念だと思うのです。  本題にまた入らせていただきますならば、五十八年以前はないということでありますが、しかしあなたは、五十八年十一月には五百万円いただいているわけでありますから、献金する以上、献金目的、そういうものがあると思うのです。ただではだれも出しませんね。しかもあなたの立場からいえば、非常に清潔だ、こう日ごろおっしゃっていらっしゃるわけでありますので、そういう意図の、何というか、何でももらっておけばいいのだということで済むのかどうか、どのように御理解なさっていらっしゃいますか。
  256. 山口敏夫

    山口国務大臣 いろいろそういう先生の御指摘のような関係ということでなく、友人の紹介としていろいろ政治団体から政治団体へ献金をいただいた、こういうことでございまして、私の政治活動の中で先生の御指摘のような指摘をいただくようなことは一切ない、こういう責任を持って国政に参画させていただいておるわけでございます。
  257. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、政治的な動機のないお金だ、友人としての大変きれいなお金だ、こうおっしゃりたいと思うのでございますけれども、ここに健政連が行った政治家に対する献金についてのジャパンライフが出している新聞がございます。五十九年の九月一日号でありますが、その中でこう言っているのです。こういうとんでもないことをはっきり山口会長の方はおっしゃっているのです。どうおっしゃっているかといいますと、五十九年九月一日、港区の新高輪プリンスホテル飛天の間、私の宿舎のすぐ近くでございますけれども、これは八四年九月四日の毎日新聞でありますが、そこで、「壇上に上がった山口氏は、講演の後半で政治献金に触れた。「企業には、政界対策ができる人もいなくちゃいけない……いざという時、銀行は金を貸してくれない。国会喚問されてもどの代議士も助けてくれない。人脈がないからだ」と一気にまくしたてた。」こうあります。  その次には、二、三省略して、五十一年十一月に倒産した自分の体験を語った後に、「「そういう失敗をしましたよ。だから健康産業政治連盟じゃないですか」。「産業を将来大きく伸ばすために協力してくれる代議士の先生方に政治献金している。おかげでいろんな協力者が陰に日なたになってくれている」」、こうおっしゃっているのです。あいさつしていますね。新聞報道にも出ていますね。  政治家に対する献金の効果をこのような格好で強調しておるわけでありますが、先ほどの大臣の御答弁のような格好では余り甘過ぎると思うのですが、いかがでございましょうか。
  258. 山口敏夫

    山口国務大臣 きれいな金を友人からもらった、こう言いたいのでしょうという御指摘でございますが、私は政治団体から政治団体への献金を受けさせていただいた、こういうことでございまして、先ほど来から先生の党と比較するわけでございませんが、三百億近い政治資金を集めている共産党が、その資金ゆえに政策をねじ曲げた、こういうことはないと思うのです。やはり政治資金と政治活動、政策というのは、おのずとその政党、政治家の責任と誇りの上に立って運営されていく、こう私は認識をしておるわけでございます。
  259. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 共産党の清潔さとあなたの方の党が同列のものだ、こういうふうにおっしゃりたいと思うのでありますけれども、その点は私も先ほど来御注意申し上げたところだと思うのです。  そこで、さらに私はお伺いするのですが、きれいごとでは済まないんだということです。なぜかというと、さらに山口会長の発言の中には、今申しましたように政治献金が我々を守っているんだ、こう言いながら、その効果の一つに、「きょう、皆さんに配った訪販新聞の一ページ。そこにいろんな活躍が載っている」ということを言っているのです。このとき配られたジャパンライフの訪販新聞、それがこれです。それを見ますと、大変なことが書いてあるのです。  ここに一つのところを読みますと、つまりこういうことです。社会党さんがあのとき法律改正案を出す予定だった、それをつぶすことができたというのは、それも政治献金のおかげだというような意味なんだね。ちょっと読んでみますと、「社会党の改正案の大きな特徴は、」云々と書いて、「社会党の法律改正案によると、再販売に係る取引だけでなく委託販売に係る連鎖販売取引についても規制されることになる。」つまり委託販売に係る連鎖販売取引、これも規制になる、そう書いているのです。  そこで私は、この金の趣旨というものは、健政連の政治献金というのは自民党、新自ク、社民連でございますけれども、新聞で報道されていますように、ジャパンライフの山口会長のあいさつというのは、政治献金が廃案につながったかのようなものであったということなんです。つまり、政治献金することによって、社会党の訪販法の改正案に乗らないでくれ、こういうことだと私は思うわけでありまして、ジャパンライフ社の商法を規制する内容を持つ訪問販売法改正案を廃案させる目的で改正案を提出している政党以外に献金するというのは、法案買収の一種であると私は思うのです。  法案廃案のために、審議に当たる立法府、その職務に関して金品の授与が行われているならば、刑法で言う贈収賄になると思いますが、この点について法務省はどういう見解を持っていますか。
  260. 東條伸一郎

    ○東條説明員 先生今御指摘の事実は、これは私どもの立場で申し上げますと、いわゆる証拠によって確定した事実でも何でもございませんので、そのような事実を前提として贈収賄罪の成否ということをこの場面で論ずることは、まだ適当ではないと思っておりますので、答弁はひとつ御勘弁願いたいと存じます。
  261. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 最後に、それでは再び大臣にお聞きいたしますが、今までの質疑で私が指摘してまいりましたように、ジャパンライフ社の商法というのは多々問題があると思うのです。ジャパンライフ社の政治団体である健政連から多額の政治献金を大臣は受けていらっしゃるわけであります。しかも、寄附の目的、効果につきましても、先ほど述べましたように、山口会長の方は重要なことを述べているわけであります。山口大臣の政治献金につきましては、今の問題だけでなくて、ことしの三月二十六日、衆議院の内閣委員会で我が党の三浦議員が御指摘申し上げましたように、公選法違反の政治献金も受けていますね。政治献金を受けてならない業者から献金を受けたという問題を指摘されているわけであります。  このような問題がある以上は、この際、そういう企業がら政治献金を受け取ったりするのじゃなくて、これを返上するとか、今日、国務大臣の一人として悪かったということで襟を正す、こういうことでなければ国民に示しがつかないと思いますが、最後に大臣からこの点についての御見解をお聞きして、私の質問を終わります。
  262. 山口敏夫

    山口国務大臣 三月の問題につきましても、選挙中における公選法規定の問題もございまして、これを自治省の方にも修正をいたして訂正を求めた、こういうことでございまして、私の方もそういう事務的な手続上の問題として軽率であったということにつきましては、訂正をもってそれを修正をした、こういうことでございます。  また、先生の御指摘の問題につきまして、私も赤旗等にいろいろあることないこと、というよりもないことないこと書かれて、名誉棄損で訴えたいような心境の場面もたびたびございますけれども、それはそれとして、先生にこうして御指摘いただくような問題については、我々も政治家として、特に今国務大臣としての責任ある立場でもございますので、そういう不信や指摘を受けるような問題については重々自重して国政に専念したい、かように考えておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  263. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  264. 安井吉典

    安井委員長 次回は、来る六月七日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十五分散会