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1985-05-17 第102回国会 衆議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年五月十七日(金曜日)     午前十時四分開議 出席委員   委員長 安井 吉典君    理事 糸山英太郎君 理事 白川 勝彦君    理事 東家 嘉幸君 理事 林  大幹君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 貝沼 次郎君 理事 玉置 一弥君       小山 長規君    森下 元晴君       金子 みつ君    春田 重昭君       日笠 勝之君    滝沢 幸助君       中川利三郎君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 左藤  恵君  出席政府委員         郵政大臣官房長 二木  實君         郵政大臣官房人         事部長     中村 泰三君         郵政大臣官房経         理部長     高橋 幸男君         郵政省貯金局長 奥田 量三君         郵政省簡易保険         局長      大友 昭雄君         郵政省通信政策         局長      奥山 雄材君         郵政省電気通信         局長      澤田 茂生君         郵政省放送行政         局長      徳田 修造君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   上野 浩靖君         大蔵省主計局司         計課長     西澤  裕君         文部省初等中等         教育局小学校課         長       熱海 則夫君         通商産業省貿易         局輸出課長   土居 征夫君         通商産業省機械         情報産業局電子         機器課長    島  弘志君         郵政大臣官房首         席監察官    陣野 龍志君         郵政省郵務局次         長       桑野扶美雄君         会計検査院事務         総局第五局審議         官       吉田 知徳君         会計検査院事務         総局第五局審議         官       沢井  泰君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社副社         長)      北原 安定君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社職員部         長)      外松 源司君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社業務管         理部長)    神林 留雄君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十七日  辞任         補欠選任   斉藤  節君     日笠 勝之君   塚本 三郎君     滝沢 幸助君 同日  辞任        補欠選任   日笠 勝之君     斉藤  節君   滝沢 幸助君     塚本 三郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十七年度政府関係機関決算書  昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十七年度国有財産賞貸付状況計算書  (郵政省所管日本電信電話公社)      ――――◇―――――
  2. 安井吉典

    安井委員長 これより会議を開きます。  昭和五十七年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、郵政省所管及び日本電信電話公社について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本電信電話株式会社から関係者出席を求めることとし、その人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安井吉典

    安井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 安井吉典

    安井委員長 次に、郵政大臣概要説明会計検査院検査概要説明日本電信電話公社資金計画事業計画についての概要説明を求めるのでありますが、先ほどの理事会の協議に基づき、これを特に省略し、本日の委員会議録に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安井吉典

    安井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――    昭和五十七年度郵政省所管一般会計及び特別会計決算に関する郵政大臣説明  一般会計郵政事業特別会計郵便貯金特別会計及び簡易生命保険及郵便年金特別会計昭和五十七年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出予算現額は二百四十一億二千三十一万余円でおりまして、これに対する決算額は二百四十億四千三百七十七万余円となっております。  郵政事業特別会計歳入予算額は四兆三千二百七十三億八千六百五十万余円、歳出予算現額は四兆三千四百三十九億一千七百三十七万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では四兆六十四億四千四百九十一万余円、歳出では三兆九千八百三十四億六千三百八十七万余円となっております。  この中には、収入印紙等の売りさばきによる収入及びこれらの収入関係法令に基づき他の会計へ繰り入れる等のため必要とする支出借入金建設費等資本的収入支出が含まれていますので、これらを除きました事業運営による歳入歳出は、歳入では二兆一千八百八十一億八千七百三十八万余円、歳出では二兆六百九十三億六千五百八十万余円となっております。  郵便事業損益につきましては、収益総額は一兆二千百九十億二千八十九万余円、費用総額は一兆一千四百九億一千二百七十八万余円でありまして、差し引き七百八十一億八百十万余円の利益を生じました。  この結果、郵便事業累積欠損金は、五百三十九億三千百九十七万余円となっております。  郵便貯金特別会計歳入予算額は五兆三千八百四十二億七千六百六十三万余円、歳出予算現額は五兆四千三百九十五億六百十二万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では五兆四千三百九十五億一千四十九万余円、歳出では五兆四千三百九十五億四百八十六万余円となっており、差額五百六十三万余円は、法律の定めるところに従い翌年度歳入に繰り入れることといたしました。  簡易生命保険及郵便年金特別会計につきましては、保険勘定歳入予算額は四兆八千七百十四億八千五百八十七万余円、歳出予算現額は二兆七千二百二十三億七百二十八万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では四兆九千百五十四億五千五百五十四万余円、歳出では二兆四千三十一億二千六百十六万余円となっており、差額二兆五千百二十三億二千九百三十八万余円は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  年金勘定歳入予算額は五百十四億一千百七十六万余円、歳出予算現額は八十三億七千八百七十一万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では六百十八億一千四百七十万余円、歳出では八十三億二千六百十四万余円となっており、差額五百三十四億八千八百五十五万余円は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  次に、会計検査院昭和五十七年度決算検査報告において不当事項等として指摘を受けたものがありましたことは、誠に遺憾に存じます。今後、この種事例発生未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  以上をもちまして、昭和五十七年度決算概要についての説明を終わります。     …………………………………    昭和五十七年度日本電信電話公社決算に関する郵政大臣説明  昭和五十七年度日本電信電話公社決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十七年度事業運営は引き続き順調に推移し、損益計算上三千六百九十六億三千四百八十六万余円の当期利益金を計上するところとなり、昭和五十二年度以降黒字決算を続けているところであります。  収入支出決算内訳を各勘定別に申し上げますと、まず、損益勘定におきましては、収入済額は、四兆二千九百六億一千四百七十万余円で、予算額に比べ一千二百四十二億四百七十万余円の増収となりました。一方、支出済額は、四兆一千九百三十七億二千三百二十三万余円でありまして、支出予算現額四兆二千四百八十九億五千四百十四万余円に比べ、五百五十二億三千九十万余円下回りました。  次に、資本勘定におきましては、収入済額は二兆五千百三十八億五千七百九十三万余円、支出済額は二兆五千百三十八億五千七百九十三万余円であり、この中には「財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律」に基づき臨時かつ特例的に昭和五十六年度から昭和五十九年度までに納付した臨時国庫納付金総額四千八百億円のうち当年度納付額一千二百億円が含まれております。  また、建設勘定におきましては、支出済額は、一兆七千四百三十一億六千八百九十八万余円であり、これにより一般加入電話百二十万七千余加入増設をはじめとする各種建設工事が実施されたところであります。  最後に、昭和五十七年度予算執行につきましては、会計検査院から工事に関するもの二件の指摘を受けたことは誠に遺憾に存じます。  今後この種事例発生未然に防止するよう、日本電信電話公社業務を承継した日本電信電話株式会社指導監督してまいる所存でございます。  以上をもちまして、昭和五十七年度決算概要についての説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………    昭和五十七年度決算郵政省及び日本電信電話公社についての検査概要に関する主管局長説明                                会計検査院  昭和五十七年度郵政省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三十件及び意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号九〇号は、簡易生命保険及び郵便年金積立金の貸付けが不当と認められるもので、長野県上伊那郡箕輪町に対する貸付けにおいて貸付けの目的に沿わない結果となっていたものであります。  また、検査報告番号九一号から一一九号までの二十九件は、職員不正行為による損害を生じたものであります。  これらは、武蔵瑞穂郵便局ほか二十九郵便局で、郵便貯金又は簡易生命保険等事務に従事している職員が、預金者から郵便貯金預入申込みを受けて受領した預入金契約者から受領した保険料等を、領得していたものであります。  なお、このうち一〇一号から一一九号までの十九件については、五十八年十月末日までに損害額のすべてが補てん済となっております。  次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について説明いたします。  これは、郵便物集業務委託契約に関するものであります。  郵政省郵便専用自動車による郵便物の取集運送等業務を他に委託して行う場合は、受託者に指定の車種を配車させて行うこととし、その車種選定郵便物荷量によって決めておりますが、取集業務にあっては、ほとんどの場合最大積載量一千キログラムの小型車を配車させている状況であります。  しかしながら、本院において、五十七年度小型車を配車させることとして郵便物の取集業務を委託しております東京ほか四地方郵政局管内百十郵便局の二百九十三取集区における郵便物集業務の実情を調査いたしましたところ、うち百郵便局の二百四十七取集区においては、車種選定の基礎としている郵便物荷量調査によると、五十五年度以降三箇年間の各便の最高荷量をとってみても二百キログラム程度でありまして、重量、容積からみて、郵政省が各郵便局に配備して取集業務等に使用している最大積載量が三百五十キログラムの軽自動四輪車を配車させて取集を行ったとしても、荷量がこの程度であれば十分余裕があり、郵便物量波動性を考慮しても対応することができるものでありまして、小型車に比べ経済的で、かつ、近年性能も向上し民間でも広く使用されている軽自動四輪車の導入を図るべきであるというものであります。  仮に、小型車に代えて軽自動四輪車を導入したとすれば、車両に係る直接経費のみをとっても一台当たり年額減価償却費等の固定的な経費で三十一万余円、燃料費等の変動的な経費で三十二万余円が節減でき、先程申し上げました二百四十七取集区の請負料におきまして、約一億五千六百五十万円を節減することができる計算となるものであります。  つきましては、郵政省において全国の多数の集配郵便局小型車による郵便物の取集業務を委託しておりまして、その経費多額に上っておりますことから、受託者に軽自動四輪車を配車させるための諸規程を整備するなどして、もって集配運送費の節減を図るよう求めたものであります。  なお、以上のほか、昭和五十六年度決算検査報告に掲記しましたように、郵政事業特別会計機械器具に係る経理について処置を要求しましたが、これに対する郵政省処置状況についても掲記いたしました。  以上が昭和五十七年度郵政省決算について検査いたしました結果の概要であります。  次に、昭和五十七年度日本電信電話公社決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件及び意見を表示し又は処置を要求した事項二件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号一六〇号は、事務庁舎新築工事鉄骨工事設計に当たり、鋼板選定が適切でなかったため、設計額が過大となり、契約額が高価となったものであります。  この鉄骨工事鋼板材種は、施工管理上から材種混用を避けるために、一平方ミリメートル当たり四十一キログラムの引張り強さを有する鋼材のみを使用することとして設計していたものであります。  しかしながら、大きな応力発生するところには、引張り強さの大きい鋼板を使用すれば厚さの薄い鋼板で足りることとなり、また、施工管理上の材種混用の点についても、使用区分を明確にしてその取扱いを配慮すれば、特段の支障は認められないものであります。  したがって、大きな応力発生する柱及び梁のフランジ部鋼板については、引張り強さ一平方ミリメートル当たり五十キログラムの鋼材を使用したとすれば、同四十一キログラムに比べ単価はやや高いものの、鋼板所要量が相当量減少することとなり、設計額の低減が図られたもので、これに比べ本件契約額が約二千三百三十万円高価となっていたと認められるものであります。  また、検査報告番号一六一号は、臨時電話架設工事施行に当たり、電話機新設費及び撤去費積算が適切でなかったため、契約額が割高になったものであります。  これは、東京国際貿易センター内の展示館各種催物を開催する各主催者からの請求を受けて、そこに臨時電話新設し、催物終了後に撤去する工事であります。この電話機新設費及び撤去費積算については、一般加入電話の場合のように各地に点在する不特定多数の顧客からの請求により、一作業箇所当たり平均一個程度電話機新設又は撤去する工事で、その間の移動に相当の時間を要する場合に適用される複合単価により積算していたものであります。  しかし、本件工事は一開催当たり平均七十五個程度の多数の電話機を計画的、集中的に新設及び撤去するもので、作業箇所間の移動にもほとんど時間を要しない状況であります。  そして、公社では、別途、一定の地域で老朽劣化した電話機を取り換える工事のように、多数の電話機を計画的、集中的に新設及び撤去する場合に適用する複合単価を定めており、この複合単価は前述の一般加入電話新設又は撤去する複合単価に比べ低価になっているもので、本件工事はこれと同種の作業内容となっていることから、この複合単価積算すべきであったもので、契約額が約六千百六十万円割高であったと認められるものであります。  次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について説明いたします。  その一は、各種システムサービスセンタ設備使用料算定基準に関するものであります。  これは、データ通信サービスとして提供しているもののうち、各種システムサービス使用料に関するもので、センタ設備使用料算定基準が適切でなかったため、年額にして約九億三千六十万円が過少に算定されていたものであります。  この事態はつぎのとおり三項目になります。  その一項目ハードウェア設計・取付けに要する費用についてであります。この費用は、ハードウェア価格に対して一定工費比率を乗じて計算することとなっております。しかしながら、技術の進歩に伴ってハードウエア価格が大幅に値下がりしているため、現在では工費比率ハードウエア価格に対して相対的に上昇しているのに、これを考慮していないため、ひいてはこの費用が相当程度過少に算定されていたものであります。  二項目ソフトウエア開発費についてであります。この費用のうち公社職員が作成する分の費用は、その作業に要した人日数に一人日当たりの単価を乗じて計算することになっております。しかしながら、算定基準などに、計上すべき職員範囲が明確にされていないため、公社職員ソフトウエア作成に従事した人日数の一部が計上漏れとなっていたものであります。  最後システム開発に要する間接費用である諸掛費についてであります。この費用は、ハードウエアソフトウエア価格等一定の諸掛費率を乗じて算出することになっております。しかしながら、諸掛費率の決定に当たって、本社や電気通信局の建物、事務用機器器具などの取得に要する共通施設費を含めていなかったものであります。  したがって、工費率及び諸掛費率見直したり、ソフトウエア開発費に計上すべき実費の範囲を明確にしたりして、算定基準実態に即したものに改定する措置を講ずるよう求めたものであります。  その二は、電報事業運営に関するものであります。  電報事業収支については、毎年多額損失を計上し、五十七年度では一千百九十九億余円となっており、この結果、五十七年度までの損失合計額は一兆七千百十億余円となっております。  この要因の主なものは、公社直営業務については、人手を要する作業が多いこと、夜間における取扱通数が少ないのに二十四時間即応体制をとっていること、また、郵政委託業務については、取扱量に比べて多額委託費を支払っていることなどによるものと認められます。  このような事態が生じたのは、電報利用内容も大きく変化しているにもかかわらず、直営業務の運用の合理化要員配置適正化郵政委託在り方等についての検討が十分行われていなかったことなどによると認められたものであります。  したがって、このような現状のままで推移すると、今後も収支改善されず、損失は累増の一途をたどることになると認められたため、収支改善について意見を表示したものであります。  以上をもって概要説明を終わります。     …………………………………    衆議院決算委員会における昭和五十七年度事業概要に関する説明                             日本電信電話公社  昭和五十七年度電信電話事業概要につきまして御説明申し上げます。  昭和五十七年度公社事業につきましては、引き続き電気通信サービスの拡充・改良に努めるとともに事業運営効率化に努めた結果、おおむね所期の成果を収めることができました。  昭和五十七年度収支は、お客様の電話利用の増加に支えられたほか、増収施策の推進、業務見直し等による経費効率的使用、借入れの抑制等により、財務体質改善に努め、引き続き黒字決算となりました。  すなわち、総収益が四兆三千四百四十二億六千六百五十五万円余となったのに対しまして、総費用は三兆九千七百四十六億三千百六十八万円余となり、その結果三千六百九十六億三千四百八十六万円余の当期利益金を計上することができました。この利益金はすべてサービスの一層の改善に必要な投資等に充当しました。  以下、昭和五十七年度決算内容につきまして御説明申し上げます。  損益勘定収入におきましては、予算額四兆一千六百六十四億一千万円に対しまして、収入済額は四兆二千九百六億一千四百七十万円余となり、一千二百四十二億四百七十万円余予算額を上回りました。  その内訳は、電話収入で一千百九十二億六千百六十四万円余の増、電信収入等で四十九億四千三百六万冊余の増となっております。  支出におきましては、予算額に前年度からの繰越額及び予算総則規定による経費増額を加えた予算現額四兆二千四百八十九億五千四百十四万円余に対しまして、支出済額は四兆一千九百三十七億二千三百二十三万円余となっております。  次に、建設勘定におきましては、予算額に前年度からの繰越額及び予算総則規定による経費増額等を加えた予算現額一兆八千九百九十九億四千七百十四万円余に対しまして、支出済額は一兆七千四百三十一億六千八百九十八万円余となり、翌年度繰越額は一千五百六十五億七千三十八万円余となっております。  また、建設勘定支出及び債務償還等財源に充てるため、電信電話債券及び借入金により六千十一億五千三百十七万円余、設備料として一千五百五十億二千百二十一万円余の受入れを行い、一方債券及び借入金等につきまして六千四百九十三億三千七百七万円余の償還を行いました。  なお、国の財政再建に協力するため、「財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律」に基づき、臨時かつ特例的に納付する臨時国庫納付金総額四千八百億円のうち、当年度納付分一千二百億円を支出いたしました。  次に、昭和五十七年度の主な建設工程としましては、一般加入電話増設約百二十一万加入公衆電話は約七万一千個の工程をそれぞれ実施いたしました。その結果、移転も含めた電話架設のお申込みに対しまして、全国的に一か月以内で架設できる需給均衡の状態を維持しております。  最後に、昭和五十七年度決算検査報告指摘を受けました事項について申し上げます。  不当事項としまして、工事に関するもの二件の指摘を受けましたことは誠に遺憾に存じます。  これらは、中国電気通信局が行いました事務庁舎新築工事鉄骨工事設計に当たり、鋼板選定が適切でなかったものと東京千代田地区管理部が行いました臨時電話架設工事施行に当たり、電話機新設及び撤去費積算が適切でなかったため、不経済となったものであります。  是正改善処置を要求されました各種システムセンタ設備使用量算定基準につきましては、算定基準実態に即したものに改定するよう検討を加え、改善を図りました。  また、収支改善を図るよう意見を表示されました電報事業につきましては、設備近代化業務運営体制効率化郵政委託見直しなど電報事業の総合的な経営改善を図るよう努力しているところであります。  以上、簡単でありますが、概略御説明申し上げました。     ―――――――――――――
  6. 安井吉典

    安井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  7. 井上一成

    井上(一)委員 まず私は冒頭に、予算委員会並びに、当委員会でも再三指摘をしてまいったわけでありますけれども、京セラが販売をしているいわゆるコードレステレホン、さらには人工骨、さらにはICパッケージのセラミック、そういういろいろな問題点を指摘をしてまいりました。  予算委員会指摘をいたしましたアメリカ軍需産業大手であるGD社に対しての京セラの子会社であるKII、京セラ・インターナショナル・インコーポレーテッドの取引の事実、そしてそれがいわゆる武器輸出三原則の精神を踏みにじっているのではないだろうか、そういう問題指摘をしてまいったわけでありますけれども、報道によりますと、つい先日、京セラの稲盛社長が私の指摘をしたことについて改めて記者会見をして、その意思を表明されたと報道されています。  通産省にここで改めて、京セラ側がどのような問題認識を持っているのか、正確にお教えをいただきたい、私はこう思います。
  8. 土居征夫

    ○土居説明員 ただいま御指摘いただきました京セラの発表でございますけれども、五月十日、京セラ社長名で記者発表がされておるということで報告を受けております。その内容につきまして、該当部分は次のようになっております。   今年二月以来国会でKII(京セラインターナショナルインコーポレイテッド)が、GD社(ゼネラルダイナミックス)向けに販売した製品の一部が武器部品ではないかと問題になりました。  その際私が、NHKから電話取材を受け応対しましたが、その中で「いいかげんな噂を立てられて大変迷惑している」と述べたことが報道されました。後に、井上先生が独自の調査網で色々と調査されている事を知り、軽率な発言をして先生に大変失礼なことをし、誠に申し訳なく存じております。  ここに前の発言を取り消させて頂きます。  この件に関して申しあげますと、KIIは武器の生産比率の高いGD社に部品を販売したことは、事実であります。  その製品は、KIIとしては平和目的に使われるものと信じておりますが、それがGD社において如何に使われるかについては、商業上の慣行、企業秘密の問題もあって把握することはできません。  私共としては、武器三原則を遵守してきたと考えておりますが、疑惑を招き、国会はじめ各方面にご迷惑をおかけしたことを反省しますとともに、今後とも三原則を遵守し誠意をもって対処していく所存です。KII関係につきましては、以上のようなことと相なっております。
  9. 井上一成

    井上(一)委員 私は、予算委員会でもあるいは当委員会でも、企業の健全な姿勢を求めての問題指摘に終始してきたわけであります。当初から通産省に、その実態を調査して、できるだけ早い機会に委員会を通して私にその結果を報告してほしいということでありました。  この調査というのは非常に難しいであろう、何分アメリカ企業の内部に入った問題を我が国の通産省が調査することは、大変不可能であるという認識を私自身も持っています。今正確にそのコメントを聞かしていただくと、何に使われたかわからない。しかし、軍需産業であるゼネラル・ダイナミックス社に販売していた事実を考えると、今後この問題については、京セラ側からも十分事情を聴取し、かつ通産省として私の指摘した問題を踏まえて、我が国の武器輸出三原則の精神をすべての企業に徹底させるように強く要望しておきたいと思います。  それから先月の十一日、当委員会で私は、京セラが製造、販売しているコードレステレホンの現物を実は私はここに持ってきておりますが、そのコードレステレホンの違法性を指摘しました。このことについては、違法であることを認めて、すぐに販売を停止して回収するという方向が打ち出されたわけでありますけれども、実際問題としてその後実情はどのように相なっているのか、そのことから聞いていきたいと思います。
  10. 島弘志

    ○島説明員 コードレステレホンについてでございますが、四月十一日に先生の御指摘をいただいた以降、京セラから事情をさらに聴取いたしますとともに、製造、販売の中止等の指導をいたしました。これに対しまして京セラからは、今御指摘もございましたように、即刻製造及び京セラからの販売の中止を決定し、さらに四月十四日には、京セラ外の流通在庫についても回収を決定した、その後四月十八日には、全国の京セラ関係の販売責任者を集めて、代理店を含めた流通在庫の全面的な回収を指示した、こういう報告を受けているわけでございます。  回収状況でございますけれども、販売代理店には当時八千台強の在庫があったようでございまして、その回収に全力を挙げているようでございますが、五月十五日現在において四千六百五十八台の回収がなされた、このように京セラからは報告を受けているところでございますで
  11. 井上一成

    井上(一)委員 残余の分についてはどうなさるおつもりなのか。あるいは、後で指摘しますけれども、現在、違法な販売をして買われた者に対して京セラはどのように対応しようとしているのか。これは販売の分野で、あるいはそれを使う分野に入れば郵政の分野に入るかもわかりませんが、なぜ回収ができないのか、あるいは違法販売をした器具についてはどういうふうに対応されるのか、そういうことについてはどのような指導をし、あるいは企業側としてはどのように対応しようと当局に報告があったのか、この点はいかがですか。
  12. 島弘志

    ○島説明員 ただいま京セラからの報告を申し上げましたように、御指摘のとおり全面的な回収にはまだ至っていないわけでございます。そういうことでございますので、私どもとしては、改めて再度その回収につき強力に指導いたします。
  13. 井上一成

    井上(一)委員 実は私は、すぐにそれが回収され、適切な処置が講じられたと信じておったのですが、折り込みで四月十七日から二十一日までフリーコール、これは京セラの商品名でございますけれども、それが特別価格七万二千八百円で堂々と、「これからは、いつでもどこでもモシモシ」と、京セラ・コードレステレホン・フリーコールということで販売を促進しているわけなんです。私は、四月の月末に東京の電器店でこのフリーコール、京セラのコードレステレホンを買うてきたわけなんです。  これは念のために申し上げておくわけですけれども、販売している特別価格よりも比較にならない安い価格で買ったのですが、今回収を強い姿勢でというお答えがありましたけれども、違法販売をしたそういう器具に対して当局の対応が余りにも手ぬるいのではないだろうか、あるいは、企業のこれに取り組む姿勢が実際問題として真剣さがそこにあらわれていないのではないだろうか、そういうことについて指摘をしておかなければならないわけです。この点について通産、郵政、それぞれの対応の取り組みの決意をもう一度聞かせていただきたいと思います。
  14. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 先生から御指摘をいただいております京セラのコードレスホン、これが現在は公衆回線とつなげないというような、あるいは一部のものについてはそれ自体が電波法で規定いたしております強度以上の波を出すものもある、そういうことも可能であろうというような点もございまして、こういったものが利用者の方に出回るということにつきましては、これは利用者の方にとっても、十分知識もないような場合もございましょうし、これを使った場合には電電との間にいろいろな問題も生ずるというようなことで、私どもといたしましても、こういったものが販売されないようにということについては、京セラを初め関係の向きにもいろいろ話をしてきているわけでございます。  今お話がございましたように、その回収方について、京セラとしてもそういう方向で努力しているということでございますが、先生御指摘のような事実もまだあるということでございまして、この点については、さらに徹底した回収については一層の努力を払うべきであろうし、私どももそういうふうに注意を喚起したいと思っておるところでございます。
  15. 井上一成

    井上(一)委員 今電波法の話が少し出たのですが、それは後にしますが、これは電波法からいけば使った者が処罰の対象になるわけなんです。購入した者が、使っている者が処罰の対象になるということが明記されているわけです。そういうことになれば、買われた人が迷惑を受ける。京セラのコードレステレホンは違法な販売なんだから、これを使っては罰せられますよということを郵政省がもっと大きくアピールをし、あるいは京セラ自身が反省の上に立ってそういう取り組みをしていくことが大事ではないか、そういう行政指導ができないのか、そういうことをやるのか、いかがですか。
  16. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 電波法上によりますと、製造、販売に対しては直接の規律をいたしておりません。利用関係についての規律でございますので、今お話ございましたように、そういう違法な無線局を利用した者が罰せられるということになっているわけであります。したがいまして私どもは、そういうような違法な無線局というものが利用されて電波秩序というものを混乱させるということについては、いろいろ今までも対策を講じてまいりました。現にコードレステレホン自体につきましても、そういう違反の摘発等ということもいろいろ対応いたしてまいりましたし、また業界等につきましても、こういったことは好ましくないことであるということでいろいろ注意もいたしてきておりますし、また……(井上(一)委員「この問題はどうするんだ」と呼ぶ)  一般的な電波の利用の秩序という観点から見て、私どもとしては一般的に、そういう電波法上の秩序の維持ということについては十分いろいろな形で周知もしてまいりたいというふうに思っております。したがいまして、この今回の京セラのコードレステレホンというような問題を踏まえましても、私どもも一般的な形でというものを強化しながら、利用者に対してもそういうものを使わないように、またメーカー等についても、また業界等についても、そういうものは売らないようにという立場でいろいろ指導してまいりたい、こういうふうに思っております。
  17. 井上一成

    井上(一)委員 私は、一般的な問題を今指摘しているんじゃないんですよ。京セラの違法な販売をしたものを使ったら法に触れる、この問題に対してどうするんだ。通産は強力な回収を行政指導していきたい。郵政は、今度は使う側の人たちに対してどう、あるいは京セラに対しても、製造した者にはその法が適用されないということではなく、どうなんだ、そういうことは、私の質問していることに簡単明瞭、要領よく答弁しなさい。
  18. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 私どもといたしましては、京セラに対しましても、そういうものの販売等については好ましくないということで、善処方を話をいたしております。したがいまして、今回収がまだ十分でないということについては、この徹底ということについては、通産の方からも指示するようでありますが、私どもも同じ考えてあります。また、利用者に対しましても、これはそういうコードレステレホンというようなものが今自営機器としては使えませんよということについては、いま一段の周知ということをしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  19. 井上一成

    井上(一)委員 さらに次は電波法。このコードレステレホンが電波法違反を犯しているという事実関係について、私は若干指摘をしてみたいと思う。  まず、電波法施行規則第六条の一項がコードレステレホンに適用される、こういうことはそのとおりでございますね。
  20. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 そのとおりでございます。
  21. 井上一成

    井上(一)委員 もちろん、生産をしている京セラも、そのことは、フリーコールがその電波法の適用を受けている商品であるということは十分承知しているわけなんです。  ところで、京セラが販売をしているこの認定外商品、いわゆるフリーコールという名称で販売をしているコードレステレホンについては、送信の到達距離というのですか、電波が遠くまで届くように、その距離を延ばすために回路の一部の部品を切断する、いわゆるカットする。回路の一部の部品であるコンデンサーを切る、そのことによってパワーアップをしていく、いわゆる出力をより強化していく。そのことが結果、電波法に違反していくわけですけれども、そういうことを京セラの内部では、いわゆるAカット、ABカット、こういう一つの呼び方でやっているわけなんです。  だれがどこで、いつそういうことをやるかということは、今聞きません。しかし、そういうAカット、ABカット、いわゆる出力を上げるためにそういうことをしている、あるいは販売されているものがそうであるという、そういう事実は当局は御承知でしょうね。
  22. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 先生おっしゃいました要するに出力、まあ回路の中にコンデンサーというものが入っておりまして、二つ入っておりまして、これをAカット、ABカットというような呼び方をされているようでありますが、そういうことが可能な仕組みになっているということは私どもも承知をいたしておりまして、このカットをしない場合、それから一本だけカットをした場合、Aカットをした場合は、これは要するに、電波法で免許の要らない微弱な電波の使用の無線局という範囲に入るわけでありますけれども、ABカットをした場合は、これは範囲を逸脱するということになる。ただ、現時点におきまして私どもは、そういうような形のもの、ABカットをしたものが一つの商品として販売されているという事実までは把握をいたしておりません。
  23. 井上一成

    井上(一)委員 私は今言っているように、Aカット、ABカット、ここに商品を持ってきているんですけれども、京セラの内部では、コードレスを市場で販売をしてトラブルが起こった場合には、取扱店に相談をしてください、持ち込んでください。社内的にはそういうことに対して対策委員会というのでしょうか、そういう対策協議をやっているわけなんです。担当まで決めているわけです。AカットだとかABカットした場合にトラブルが起こった場合にはだれが担当するかということは、それはたしかあなたの方、当局も十分そういうことは把握していらっしゃる。  さらには、京セラ内部での調査では、いわゆるAカット――Aカットというのはそもそも何でしょう。ハンドセットの方を、二つある一つだけをカットしよう。べースセットはABカットされているわけなんですよ、私が先月末に東京の市場で買ったやつに。これは私は当局の担当の人には現物を見せています。どういうことをしているかといえば、カットがしやすいように目印がついています。マークがされています。さらには、簡単に代理店、販売店でこれがカットできるように、あるいはだれかがどこかでカットできるように、裏のねじに矢印をつけているわけです。矢印のついたねじを外せば全部これが取り外しができる。それで四隅と真ん中、全部でねじは十一個あるのですが、十一ある中で五個だけ矢印をわざわざつけているわけです。なぜつけているか。ここを外したらこのふたがあきますよ、ふたがあいたらどこをカットすればいいかという、その印もついているわけです。さらに今言うABカット、ハンドセットにはAカット、これは私が買ってきて切ってあるわけなんです。ABカットしているわけなんです。どういう事実をあなた方はどういうふうに京セラに弁解を、弁明を受けたのか。  これは私は、そこまで京セラの弁解をきょうお答えをいただく時間がありませんが、ともあれ、今Aカットは電波法施行規則六条にすれすれだ、ABカットは完全に違反だ。ところが、京セラの実験、京セラ側の数値からいっても、いわゆるハンドセット、Aカットだけでも、強度が高いやつはもう十五倍も十六倍も、二十メーターのやつがさらに三百メーターも五百メーターも届くんだ、あるいはABカットすれば、今少しお答えの中にあったわけですけれども、完全に電波法に違反していく、こういうことが明らかになっているわけです。  それでは、郵政省がこれを、Aカット、ABカットをしたものを、調査の中で数値をはかられましたか。
  24. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 二つの種類、タイプがございます。その二つの種類について、私どもの微弱な電波であるかどうかという基準に照らし合わせまして調査をいたしました。
  25. 井上一成

    井上(一)委員 その結果、Aカット、まあAカットというのはハンドセットの方だけですね、これだけの一本を切る。それで、Aカットをしておっても、もし仮にその電波のいわゆる出力がまだもっと欲しい、もっと強度なものに送信能力を高めようとすればBカットができるように、これをもっとよく聞けるようにしてほしいと言えば、どこかでだれかがカットできるようにしてあるわけです。それには、そこだけ黒いビニールの被覆がなされている。だれが見てもわかる。そういう事実も御承知なんでしょう。
  26. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 回路設計図等については私どもも承知をいたしておりますが、ここをこうすれば簡単にパワーアップになりますよというような表示をして販売されているかどうかという点については、私ども確かなものとしては承知をいたしておりません。
  27. 井上一成

    井上(一)委員 ここを切ればという、そんなことは書きっこないですよ。しかし、全体の回路の中で現物としては一回路図面を私は提示してもらいたいと思いますが、そんなことを言い出してきたら、現物と回路図面とはどうなんだということになりますよ。そういうことはきょうはもう時間がありませんので求めませんが、たくさんのややこしい回路があるのだけれども、カットをする場所については黒いビニールで被覆がしてある。これは私はお見せしていますよ。局長、報告を聞いていませんか。  だから、そこだけがなぜ被覆が必要なのか。本来はしなくてもいいのだけれども、そこをカットすれば一番わかりやすい。いつだれがどこでこれをしたかということは、今問うていないわけです。事実はそこだけマークされている。矢印もあるわけなんです。お見せしていいのですよ。これを持っていって見なさいよ。確認してなければ、今ここで確認しなさい。私は前もって郵政省にはこの事実関係を見てもらっています。局長、お聞きになって再度お答えください。
  28. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 私どもの職員が先生のところに参りまして、先生の今お持ちの製品かと思いますが、その点についての御指摘をいただいておるということは承知をいたしております。
  29. 井上一成

    井上(一)委員 なぜ私はこれを申し上げたかということは、既に生産をされている段階で、これをカットすれば電波法に抵触をする。違法に販売をし、それを使った人たちが、あるいはどこかでだれかがそれをカットすれば、まさしく電波法に違反をする。使用する人付、まさかそんなことはわからないわけですよ。自分が法律に抵触しているんだというようなことは、全く知らないわけです。だから、出荷時から既にAカットあるいはABカットを可能なような状況で生産をされているというこの事実を、私はやはり指摘をしていきたい。  あえて申し上げるなら、企業も生産の段階で、法に触れるということをわかりながらそういうことをやってきたという、そこにやはり企業のモラル、いわゆる私が指摘をしたい一つの問題点があろう。そこを郵政当局はどう受けとめられるのか、そのことについて十分な実情調査に入られる御意思があるのか。販売をしているものは事実カットしているのですから、そういうことについてやはり企業の姿勢を正してもらわなければいけないし、当局はそういうことを強く行政指導をしていくべきである、こういう認識に立つのですが、いかがなものでございましょうか。
  30. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 違法なコードレス電話に限らず、違法性のある無線機器というのを製造、販売するということは、これはやはり社会的責任というものは非常に強い、自覚をしてもらわなければならないであろうというふうに私どもも思っております。  したがいまして、今先生の御指摘のような事実等については、京セラ自体の問題といたしましても、これは製造、販売を中止をする、そして回収するということで、その徹底ということを私どもも望み、また指導もしてまいりたいと思っているわけでありますが、一般的に京セラのみならず、こういったことが起こらないように、電波の秩序というものが守られるようにということで、いろいろな観点から私どもも努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  31. 井上一成

    井上(一)委員 さらに私は、先ほどお答えの中で一部触れられたわけでありますけれども、郵政省が、問題を私が指摘をした後に、コードレステレホンを内部的に調査をされたと思うのです。それで、ハンドセットだけのAカットということは、回路を一つだけ遮断することですね。ベースセットはそのままであるという、その場合はまあまあその範疇に入るのではないか。ABカットというのはまさしく二つ切るわけですね、AとBと。これは何もAとBと印はついていないけれども、今私が言ったように、黒いビニールで被覆をしているところのコンデンサーを切れば、パワーアップするわけでしょう。  あなた方は、AとBということはだれに教わったのですか。僕はもう一度聞きますが、どこを切ったらどうなるかというのは、まあ技術屋だからわかっていると思うのだけれども、だれに教わって、そして郵政省の調べで、ABカットの場合はどうなったのか。これは完全に電波法に抵触する。何かさっきお答えの中で、Aはすれすれだ、ABは電波法に違反するんだ、こういうことの話だったのですが、私はここで改めて、切る場所はどこを切ったらいいんだ、Aカット、ABカット、向こうが切っている場所をだれに教わって、あるいは、そのAカット、ABカットをした場合には、これは電波法第四条の第一項のいわゆる微弱な許容値を超えているという、そういうことを確認をされたのか、このことを聞いておきます。
  32. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 機器の回線等につきましては、京セラの技術担当の者が参りまして、私どももその者から話を聞きました。したがいまして、AカットとかABカットというような言葉も、その時点で私どもも承知をしたわけであります。  それで、私どももそういう事態に対応しまして、この機器についての電界強度のテストをいたしまして、そのテストの結果ではございますが、ノーカット、コンデンサーについては一切カットしない場合、これは関係ございません。ABカットにつきましては、私どもの検査の結果は、いずれも電波法で要請をいたしております微弱の電波の限界を超えているという調査結果が出ております。
  33. 井上一成

    井上(一)委員 まず、最初に言ったように、Aカット、ABカットなんというのは、あなた方もわからないし、京セラの企業だけしか知らなかったということが明らかになった。そして、どこを切ればパワーアップするかということも、企業側から教えてもらっている。郵政省の調べでも、ABカットの場合は確かに電波法に違反する、こういうことが明らかになったわけです。  これはもう大変なことなんです。大変なことで、さっきから言っているように、電波法に違反するのは、使っている人たちが普通は抵触するわけですね。電波法違反ということが判明すれば、通常はどんな罰則があるのですか。
  34. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 電波法におきましては、無線局の免許がなくて開設をしているというようなことにつきましては、いわゆる無線局の不法開設罪ということでございますが、この利用をした者につきましては、たしか一年以下の懲役あるいは二十万円以下の罰金という罰則がございます。
  35. 井上一成

    井上(一)委員 これは先ほどからも申し上げるように、使用した者がその法の罰則を受けるわけでしょう。ところが、生産をする段階からそういうことを予測されて企業がコードレステレホンの生産をし、そして販売をしていた、これは大変な問題だと私は思っているわけなんです。  もう少しお聞きをしたいのですが、私の認識では、そういう悪いことをして、あるいは悪いことができるようにして、善良な消費者に売りつけていったという企業のモラルというのでしょうか、姿勢というのでしょうか、それが本当は私は信じられないわけです。こんなことでいいのだろうか、全く信じられない。しかし現実は、そういうことが事実行われていた。こういういわゆる違法性のあるコードレス電話を販売した者に対して罰則がなくていいんだろうか、使用した者だけがそういう罰則を受けるんだろうか、どうも世の中矛盾をしているのではないかという思いを私は抱くわけです。  過去においてもあるいはこれからも、いやそうじゃない、やはり生産、販売した者に対しても法的に一定の処罰があるんだというかくペナルティーというんでしょうか、そういうことが私は当然あると思うのですけれども、そういう点について郵政省はどうなのでしょうか。
  36. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 電波の秩序維持という観点から、電波法というものがいろいろな規制をいたしておるわけであります。今までも御説明申し上げましたように、製造、販売という段階にまではこの法律が及んでいないというのは、電波の利用関係という観点からの法律であるということが主な理由であるわけでございますが、私どもといたしましても、そういった製造、販売の段階でそういったものがつくられないというのが、やはり一番望ましいことには間違いございません。また、そういったことがさらに一層徹底するようにということ自体は、私どもも常に望み、またいろいろな方法で業界等にも今までも実は働きかけをいたしてきているわけでございますが、これからますます電波の利用というものが多岐にわたり、また一般的に普及してくるだろうと思うわけでございまして、そういった観点から見ましても、電波秩序の維持のために、製造、販売段階においても法の趣旨というものが十分徹底するように、私どもも今後一層努力をしてまいりたいと思います。  今御指摘の制度としてのあり方等につきましては、いろいろな問題があると思いますので、我々としても慎重に関係の向きとも検討をしながら対処をしていきたいと考えているところでございます。
  37. 井上一成

    井上(一)委員 くどくどとした答弁は要りません。過去において、電波法に違反した場合には、その製造あるいは販売した者に対して何らかの処罰がなされたのか、あるいはなされてないのか、あるいは通常そういう場合は、そういう処罰の対象になるのかならないのか、では、それを聞いてみましょう。
  38. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 過去におきまして、利用者以外につきまして罰則の適用というものが事例としてはございました。要するに、そういう違法な無線局の使用について、ある意味では刑法の補助の罪という観点からの罰則が適用されたというような事例はございます。
  39. 井上一成

    井上(一)委員 もう少し詳しく、電波法の何に違反して、あるいは刑法の第何条の適用を受けたのだ、そういうことを答弁しなさい。
  40. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 過去におきまして、違法性のあるコードレス電話の販売をした事例がございました。この者に対しては、電波法四条違反容疑に関連しまして、刑法第六十二条の幇助罪の適用により処罰されたという事例がございます。
  41. 井上一成

    井上(一)委員 今回、京セラのこのコードレステレホンについても、販売をした者はやはりこれが適用される。そうでしょう。過去においてそういうことがあったのだ。一般論としてやはりそういう処罰の対象というのは、使用者だけでない。これは今使っている人が電波法で違反が現実にあらわれてこない限り、どこで買ったか、販売した人も今特定はできません。しかし、私は現実にこれを買ってきた、まだ使ってない、これを使えば私は法に触れるわけだ。承知しているから使わない。そうしたら、私にこれを売った人は、この刑法の適用を受けるわけです、悪質だと。三万五千も生産をして、まだ市場には使用しているもの以外に相当数が在庫というか、店頭に並べられる、販売される可能性があるわけでしょう。だから京セラの場合も、今お答えになられたことが適用されるでしょう、買って使った、売った人が具体的に出た場合ですね、どうなんですか。
  42. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 その点につきましては、個別具体的な事例に即して判断すべきであろうと思いますので、今この時点におきまして、私がそれを適用するとかしないとかという判断はいたしかねると思います。
  43. 井上一成

    井上(一)委員 私は別に、取っ捕まえて罰金を取れとか、あるいは摘発せよなんというようなことは言ってないわけです。しかし、具体的に事実が、そういうようなことが明らかになったら、過去にもそういうことがあったようにこの法律は生かされる、こういうことでしょうと言っているわけです。
  44. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 違法な無線機の販売等の行為が、電波法の違反、幇助罪ということの適用はあるということは、先ほど申し上げたところでございます。
  45. 井上一成

    井上(一)委員 これはなぜこういうことを申し上げるかといったら、冒頭に申し上げたように、すべて回収しなさい、そういう犯罪を予防しなさい、こういうことなんですよ、裏側は。今あなた苦しい答弁をしているのだけれども、わかっているわけなんだ。お互いにわかっているわけで、あなたも無難な答弁をしようと犯罪が――じゃ、私が現実にこれを使って、どこそこで買ったと言ったら、私が法に触れて、売った人も法に触れるわけなんです。そういうことができるように指示した京セラも、刑法に触れてくるわけなんです。冒頭申し上げたように、今使用しているものも含めてすべて回収せよ、その決意をもう一度聞きたい。まだあと少し私なりに指摘をしたいことがある。悪いことをしたのだから、企業ぐるみで足を棒にしてでもこのコードレステレホン、フリーコールを全力を挙げて回収する、生産した分だけ全部回収する、このことの強い決意を持たなければいけない、それだけの決意を持って行政指導をしていかれるのかどうか、もう一度聞いておきましょう。
  46. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 回収の徹底については、強く私どもも京セラに対して指示をしていきたい、こういうふうに思っております。
  47. 井上一成

    井上(一)委員 私はなぜ強くこれを訴えたいかということなんです。企業の姿勢もよろしくはありません。市民の利便を図るんだと言いながら、あるいは消費者によりすぐれた器材――すぐれているかすぐれていないか、そんな評価を今ここで僕はするわけにもいきませんし、私はそれだけの知識もないわけであります。しかし、例えば最も身近な日常生活の中で、警視庁の交通情報というのがありますね、あるいは今あなた方が一生懸命力を入れて開催している科学万博、この施設等についても、一定範囲にしか電波が届かないいわゆる電界強度というのですか、ちゃんと守って、きっちりと電波法の枠の中で取り組んでいるわけです、当然でありますけれども。  警視庁でさえもなんということは、それじゃ警視庁は、警察は何をしてもいいのかということになるのだけれども、警察でもちゃんと守っているのに、どうして京セラだけが守れぬのか。守らさぬのか。そんなことで、郵政業務を担当していらっしゃる皆さんが厳しい姿勢で企業を指導していくなんて、言葉だけで言ったって私は理解ができないんですよ。そのことについて後で大臣にまとめてお聞きをしますけれども、こういうことは許せない行為だ。こういう許せない行為に対して厳しい対応を明確にしていくことが一番大事である。  それじゃ、もう一点だけ聞いておきましょう。京セラの使っている周波数は、通常一般的に使う周波数とは別な周波数ですね。
  48. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 京セラのコードレス電話の送信周波数帯の周波数というのは、陸上移動業務の重要通信に使用している周波数ということでございます。
  49. 井上一成

    井上(一)委員 私は実はそこまでお答えをいただくとは思わなかったのですけれども、特別な周波数を使っている。私は、全部回収しなさい、ここまで厳しく言ってきた。罰しなさいとは言ってないわけです。ともあれ回収せよ。このコードレステレホンは、京セラだけでない、ほかのものもだとあなたは言われているのだけれども、私は、特にこの京セラのフリーコール、コードレステレホンは生産した台数だけ全部回収をせよ、こういうことを強調する最後のまとめはここに尽きるわけなんです。特別な周波数を使っているわけなんです。このことが大変重要なことであり、見逃せないことであるということを僕は指摘しておこうと思ったのです。  しかし、今あなたの方がお答えになったから、これはやむを得ない。京セラの使っている周波数は、防衛庁が使っている周波数に近いわけなんだ。いわゆる帯ですね、ここが問題なんですよ。防衛庁といえば、やはり機密の事項もあるでしょう。善良な市民にそれが漏れる場合がある、あるいは混線をする場合がある、そういうことにおいて我が国の防衛業務にも支障になってはいけない。私は支障になっているとは申し上げていない。支障になってはいけない。回収の必要性の意味はここの一点に尽きる。それほどまでこのコードレステレホンの無謀なやり方を私は指摘せざるを得ない。局長、えらいあなたの答弁がすんなりと出てしまったもので……。  実は最初、非常にガードがかたかった。ガードがかたくて、私は回収、それから強い行政指導ということを申し上げてきたわけですけれども、最後に大臣、今までの私の質疑を通して、私が何を中心に置いて問題提起をしているか、さらには何を当局に強く対応せよと迫っているか、そういうことも全部大臣、理解をしていただけたと思うのです。ひとつ大臣から決意のほどを聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
  50. 左藤恵

    左藤国務大臣 先生御指摘の点は私も十分承りまして、確かにこのコードレステレホンを使用いたしますと、明らかに電波法違反になるという機器であります。これを製造、販売するという行為は許さるべきでない、このように考えます。しかも、今御指摘の周波数帯が非常に重要な陸上通信に用いられておる周波数帯であれば、なお混信とかそういった問題を通じて社会に及ぼす影響は非常に大きいと思います。したがって、こうしたことにつきまして、京セラとしては、こういったAカットあるいはABカットというふうな方法ができて、それによって混信を起こす可能性があるにもかかわらず、それを一応隠したような形で販売をしておるというような商法そのものも好ましくない、私はこのように思います。  したがって、御指摘のとおり、製造いたしましたものを、販売、流通の過程にあるものはすべて回収すべきだ、そして、もしこれを使用したならば利用者が処罰されるということになるわけでありますから、利用者に迷惑を及ぼすことにならないように我々としてはこの回収は徹底的にやらせるべきである、私はこのように考えておるところでございます。
  51. 井上一成

    井上(一)委員 大臣のお答えのとおりで、本当に好ましくないというか、許されるべき行為でない。私は、電気通信事業の分野にも進出を予想される優秀な企業だと評価をしてきたわけであります。そのような企業が、このようなことで反社会的な企業姿勢というものについては、やはり鋭くその姿勢を正すべく私たちも問題を提起していかなければいけないし、そういう意味では、再三申し上げるように、今後郵政当局が正しい行政指導、厳しい行政指導を、いろんなかかわりがあって、例えばあなた方の先輩がいらっしゃるかもわからぬ、しかし、それはそれとして、きっちりと対応をしていただきたい。そのことが企業にとっても大いに役立つというのでしょうか、企業のためになる。そして、企業自身がみずからも誤った企業姿勢を正して、本当に社会に貢献をする先端企業になり切ってほしい、このことも私は思うわけなんです。そういう意味から、今後の当局の対応、さらには企業の姿勢、反省を含めての姿勢を私は見守っていきたい。  きょうは時間が参りましたので、これだけを申し上げて、私の質問を終えたいと思います。
  52. 安井吉典

    安井委員長 次に、新村勝雄君。
  53. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 最初に、検査院の検査報告書に関して郵政省にお伺いをいたしますが、「昭和五十七年度決算郵政省及び日本電信電話公社についての検査概要」というものの中に、郵政省決算について「不当事項三十件及び意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。」ということでありますが、その中で、検査報告九一号から一一九号までの二十九件については、遺憾ながら「職員不正行為による損害を生じたもの」であるという報告があるわけでありますけれども、まず、この九一号から一一九号までの職員の不正、これの概況について伺います。
  54. 高橋幸男

    ○高橋(幸)政府委員 お答えいたします。  昭和五十七年度決算検査報告書に掲記してございます「不正行為」、「職員不正行為による損害を生じたもの」、ただいま委員指摘のとおりでございます。
  55. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 いや、指摘のとおりじゃなくて、その内容はどうかということを伺いたい。
  56. 高橋幸男

    ○高橋(幸)政府委員 これらのすべてについて詳細に一々申し上げることは、時間の都合もございますので差し控えさせていただきたいと思いますが、「職員不正行為による損害を生じたもの」は、三十郵便局におきまして関係職員不正行為による損害を生じたものでございますが、二十九件、約五億五千四百万円、損害が生じております。このうち、五十八年十月末現在で損害の補てんが終わっていないものが、十一郵便局におきまして十件、損害額で約四億九千四百万あったということで掲記されたものでございますが、この損害額の一部につきましては回収済みのものでございます。
  57. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 大臣にお伺いしますけれども、郵政省業務は、非常に広範、複雑多岐にわたっておるわけでありますけれども、それにしても、郵政省関係の不正事件というのは後を絶たないわけでありまして、毎年相当数の指摘事項があるわけであります。内部監査等もやっておられるということは聞いておりますけれども、なおかつ、相当数の不正行為が毎年摘発をされるということはどういうことであるのか、その事務執行あるいは内部監査の体制、それに欠くるところがあるのではないかと思うのですけれども、大臣の御見解を伺います。
  58. 左藤恵

    左藤国務大臣 御指摘のように、職員によります不正行為が後を絶たないということは、まことに遺憾なことだと思います。  職員不正行為は、郵政事業の信用を著しく傷つけるだけでなくて、またお客様にも多大の御迷惑をおかけするというようなことでもございますので、その防止に最善を尽くしてきたわけでございますが、なかなかそういった点について徹底しない面が、特に現金を取り扱います職員には不正行為の機会と誘惑といいますか、そういうものが非常に生じやすいというようなこともございますので、従来から職員不正行為といいますか、その防止のために、防犯意識の高揚とかあるいは部内の相互牽制組織の強化とか、いろいろ対策を講じてきたわけでありますけれども、こうした点について御指摘のとおり、今回もこうしたたくさんの不正行為が出ておるということについて、今後一層そうした対策を十分徹底する以外にないんじゃないか、このように考えております。
  59. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 努力をされておると思いますけれども、依然として後を絶たない。それにはやっぱり何といっても、会計検査院検査があるわけでありますけれども、それに頼るというとおかしいのですけれども、それだけではなくて、基本的には省内の内部監査、自律的に防止をしていくという体制が必要だと思いますけれども、この内部監査に、ついては、ほかの省にもいろいろ要請をし、指摘をしたわけでありますけれども、特に現金を日常扱う業務については、特別の配慮ないしより徹底した組織、対策が必要だと思いますけれども、省内における自己監査、内部監査はどういう体制で行われていますか。
  60. 左藤恵

    左藤国務大臣 確かに犯罪の中には、長期間にわたって発覚がおくれたことがありまして、そのために、そうしたことで非常に金額も大きくなってしまっているというような事態もあると思います。そういったことから、内部監査につきましても努力をいたしておるわけでありますけれども、この監察の考査におきまして、郵便局に保管されています各種の証拠書類といいますか、そういうものの監査を行ったり、あるいはお客様からお預かりした金額の証書が正規に作成されているかどうかということのチェックをするための引き上げ調査とか、いろいろなことをいたしておりますが、何分にもそうした調査を徹底的にやるということが非常に難しいということで、抽出調査をやりますというようなことで漏れてしまった結果のものもあろうかと思います。  また、被疑者が犯行を隠しますために、預貯金の受け渡し、授受、これを直接預金者との間に行って、正規の業務の取り扱いがなされていないということによります事例もあって、早期の発見ができなかったということもありますが、今先生御指摘のようなことで、今後とも犯罪防止につきましては、一層この考査の方法自体にも工夫をいたしまして、そして職員の防犯意識の高揚とともに、この犯罪の絶滅に努力しなければならない、このように考えておるところでございます。
  61. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そこで、この不正行為ですけれども、今大臣がお認めになっておるわけですが、一年以上にわたる、これはあってはならないわけであります。一年以内のものは、内部監査であるいは内部の監督によってわかったという場合がもちろんあるわけでありますけれども、一年以内にわかるということならば、同じ不正にしても、いいことではないけれども、早期に摘発をされたということでいいのですが、この五十七年度の報告を見ますと、一年以上にわたっている事件が五件ある。その中には、特に十年以上、十二年にもわたって同じように犯罪が繰り返されていたということがあるわけでありまして、これは極めて重大だと思うのです。  これは内部監査の体制がどうなっているのか、どの程度に行われているのか、これを疑わざるを得ない。今大臣は抽出とおっしゃいましたけれども、会計検査院の場合には、これは大変な対象数がありますから抽出でもやむを得ないのですけれども、郵政省の場合は、抽出では済まないと思うのです。全局にわたってあるいは事業所にわたって、少なくとも毎年一回は内部監査をするあるいは自己監査をするということでなければならないし、そういう体制ができないのかどうか。また、現在は自己監査についても全部の機関についてはやっていないようでありますが、それらの事情についてまず伺いたいと思います。
  62. 陣野龍志

    陣野説明員 長期にわたります不正行為が発覚しておりますことは大変残念でございますけれども、五十七年の報告書に掲記されました中にもそういう長期のものがございまして、その後、こうした長期の犯罪に対しましては、私どもも重大なことと受けとめまして、いろいろと対策を講じてきておるところでございます。  私どもの業務考査におきましては、先生の今お話のございました抽出ということでございますが、ただいまのところは、すべての郵便局につきまして二年に一回、あるいはまた小局、小さい郵便局で比較的内部の牽制制度が機能しないおそれがあると申しますかそういう郵便局につきましては、現在のところ年に一回は臨局いたしまして考査を行うというふうな体制もしいているところでございます。  いずれにしましても、なかなかこうした不正行為が後を絶ちませんので、これからもいろいろと工夫を加えながら対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  63. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 抽出によってやっておるというお話でありますが、この五十七年の指摘にある一年以上継続して行われていた犯罪、不正行為の期間が一年を超えるものが五件あるわけであります。これは検査報告番号で九四から九八まで、これはいずれも一年を超えておるわけでありますけれども、この五件については抽出検査を経ているのかどうか。抽出検査を行ったけれどもなおかつ一年を超える不正があったのか、あるいはこの五カ所についてはたまたま全部抽出検査を免れていたのかどうか、その点はどうなんですか。
  64. 陣野龍志

    陣野説明員 御指摘の各郵便局につきましては、それぞれ内部の考査を実施いたしております。抽出と申しますか、該当の局につきましては考査は実施しておるということでございます。
  65. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、この一年を超える期間にわたって不正行為が続いたというところについても、いずれも検査をしたということですね。ですから、検査をしたにもかかわらず、なお。かつ五カ所が一年を超えて、年度を超えて、中には十二年にもわたって不正が継続したということは、これは非常に遺憾だと思うのです。  こういう事態を、数が多いからという申しわけはきかないと思うのです。こういう事態を完全に未然に防ぐにはどうしたらいいかということについての検討を、今行われているのか、過去においてもどういう形で行われたのかということです。
  66. 陣野龍志

    陣野説明員 ここに掲記されておりました中で代表的な事例を申しますと、赤池という郵便局の事例でございますが、この事件は大変長期にわたったものでございまして、こうした事態発生を私ども大変重大に受けとめまして、いろいろと従前の考査のありようと申しますか、先生おっしゃいました抽出して臨局するような考査につきましても、それまではこの種の局につきましては二年に一回やっておりましたのですけれども、この際一年に一回の臨局考査を行うということに改めましたりしたわけでございます。  いろいろとこうした犯罪の発生の都度、従前の考査のありよう、あるいは日常におきますその郵便局での内部の検査、監査体制が十分なものであるか、これが十分機能し得るような状態になっておるか、あるいはまた、職員の心の問題といたしまして、犯罪を起こさないあるいは起こさせないというふうな意識の徹底が十分であるかどうかというふうな各面にわたりまして、反省、検討を加えてそれぞれ施策を講じておるところでございます。
  67. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 今後ともひとつ厳重な自己監査体制を確立するということにお願いをいたしたいと思います。  それで、これはいずれも金の問題でありますから損害を生ずるわけでありますけれども、現在、補てんされていない国損額はどのぐらいあるのか。
  68. 陣野龍志

    陣野説明員 最近のこうした不正行為によります損害の回収状況について御説明申し上げますと、昭和五十三年度から昭和五十七年度までの最近五カ年間の決算検査報告書に掲記されました金額が約八億九千四百万円でございますが、その掲記された時点で既に回収されておりましたものが一億七千八百万円、回収率は一九・九%でございました。その後毎年回収に努めておりまして、五十九年九月三十日現在までにさらに約二億一千四百万円を回収いたしました。回収率は二三・九%となっております。したがいまして、報告書に掲記されましたときの金額と合わせますと、回収率は六〇・六%となっております。  こうした検査報告に掲記されました時点で未補てんの損害額があるものにつきましては、不正行為者が無資産、無資力である場合が多うございますので、なかなか回収率を一〇〇%に持っていくということができないのが実情でございました。しかし、本人が納付できない場合につきましても、連帯保証人を設けさせるとか、あるいはまた親族折衝をいたしますとか、一挙に多額を納付できませんときには分割納付させるなどの措置をとって、回収に努めているところでございます。
  69. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に、NTTの経営についてお伺いをいたしますが、その仕事のうちで毎年多額の赤字を出している電報部門、これを今後どう処理されていこうとするのか、その方針を伺います。
  70. 神林留雄

    ○神林参考人 お答え申し上げます。  今後の電報のあり方については、当然のことながら、政策当局である郵政省御当局の御意見等も、もちろん重大な私どもの行き方を決めるわけでございますけれども、一応私どもの現在の考え方といたしましては、現在電報が、主体は慶弔電報でございますけれども、大体四千万通強ございます。そういうことでございますので、一応お客様の御要望があるという格好で、今後とも電報事業電報サービスといったものは続けていこう、こういう考えで現在進んでおります。  ただ、先生もよく御存じでございましょうが、電報業務は大変な赤字を出しておるという実態でございます。これをこのまま放置しておいてよろしいわけはございませんので、私どもとしては、例えば新しい設備を入れる、あるいは運営の形態、サービスの提供の形態、例えば配達を直営、私どもの職員でやる配達から委託といった形態に変えるとか、あるいは委託しておる仕事がございますけれども、この辺の言うなれば効率化を図るとかいろいろなことを含めて、さらに電報自体、いろいろな新しいサービスの形、近間では、御存じかと思いますが、メロディーつき電報というのを始めておりますけれども、こういった格好で絞った運営形態の中でなお利用をふやしていく、諸種の方策を講じまして収支を極力均衡させていく、こういったことを含め、電報事業そのものは今後とも継続していきたい、こんなふうに私どもは考えております。
  71. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 この事業については、郵政省が電電公社、現在の会社と契約をして、会社の方から郵政省委託費を納入するという形になっておると思いますけれども、この関係については今後どういうことになりますか。
  72. 桑野扶美雄

    ○桑野説明員 今までNTTの方から私の方に対して定員という形で電報業務を委託しておりましたけれども、本年度以降五年間をかけまして、電報の取り扱いにつきましてはNTTが今民間におやりになっているような委託の方式に切りかえるということで、郵政省もそれと同じ方式を今後五年間に漸次切りかえていくということにしております。
  73. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 一方、郵政省では、やはり電子技術を駆使しての媒体として電子郵便を始めておるわけですけれども、この電子郵便の将来と電報との関係、これはどうお考えですか。
  74. 桑野扶美雄

    ○桑野説明員 電子郵便と申しますのは郵政省、つまり郵便事業が行っているサービスでございまして、これは情報量、情報内容が大変豊富であり、多様でございます。また、コピーでございますから、肉筆のような現物性を高く維持できるという特性を持っておりまして、これに対しまして電報の方は、片仮名文でございまして、さらにこれは内容を非常に速いスピードで相手方に届けるという特性を有しているわけでございます。したがいまして、それぞれにメディアとしての長所を有しておるわけでございますが、多分に類似性もあるわけでございます。しかし、利用者の方々はそれぞれにその特徴に応じて利用していただけるものと思っておりまして、電子郵便につきましては、機械を設置していく設置局の数をふやすとか、あるいは利用しやすいように制度の改善を行うとかいったようなことを考えておりまして、今後広く国民生活の中に普及定着していくように、本格的なメディアとして私どもは育てていきたいと存じておる次第でございます。
  75. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 それから、郵政省でも電気通信事業を考えているということが伝えられておりますけれども、その構想はどうなっているか、伺います。
  76. 二木實

    ○二木政府委員 お答えいたします。  郵政省は、今郵便、貯金、保険という事業を営んでおることは御案内のとおりでございまして、そのうち、貯金事業につきましてはオンラインサービスを実施しております。それで、保険の全国のネットワークを今構築中でございますが、既に貯金のオンラインにつきましてはもう更改期に入っておりまして、この貯金のデータ通信設備につきまして、さらに高度化したものを今考えております。  この高度化計画が実現いたしますと、貯金業務だけでございませんで、郵便、貯金、もちろん保険につきましても共通に使えるネットワークができ上がるということでございまして、私どもの自前の要するにネットワークが高度化されるということでございまして、別に郵政省としてそれを電気通信事業にするということを今もくろんでいるわけではございませんが、しかし、このネットワークが完成いたしますと、外部とのコンピューターの接続もできます。  私どもの郵便局は、全国津々浦々にあるわけでございまして、私どもの事業の性格上、地域に密着したサービスをやっているわけでございます。そういう中で、この高度化社会におきまして郵便局がどのような機能を果たし得るかということにつきまして、現在、先生方の御意見も伺いながら、省内でも検討を始めているという段階でございます。
  77. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうすると、全国を覆うネットワークができる、あるいは既にあるということでありますが、それを利用して将来は、省の内部の情報機関として使うのか、それとも一般の利用にも供するということになるのか、外部にも利用を許すのか、その点はどうなんですか。
  78. 二木實

    ○二木政府委員 一義的には、省内のデータ伝送のために高度化を計画しているわけでございますが、先ほども申しましたように、郵便局の機能というものを再検討いたしまして、将来、地域に密着したサービスとしてどういった機能が付加できるか、そういったものにつきまして今検討を始めているという段階でございまして、まだ具体的な、こういったものができるとかいうものにまで至っているわけではございません。
  79. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に、NTTの資産の性質についてちょっと伺いたいのですけれども、このNTTの資産は膨大なものでありますが、この資産の内客を分析しますと、一つは、運営によって得た利益がありますね。それからもう一つは、加入者が負担金、施設費として拠出した部分があるわけです。それから公共的な部分もあるわけです。この各部分の性質上の分類はどういうふうになっておりますか。
  80. 神林留雄

    ○神林参考人 先生御指摘のとおり、私どもの資産の中身としては、お客様から御拠出願った部分、もちろん債券の債務もございますし、年度年度利益金を積み立てた部分もある、こういうことでございますけれども、本日予定されておりませんでしたので関係職員参っておりませんので、その細かい数字等についてはまだ別途ということにしていただければと思います。
  81. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 これは通告してあったはずであります。細かい点はいいですけれども、加入者が施設の負担金として拠出している部分が、NTTの資産の相当の部分を占めているということです。ですから、そういう意味では実態的には、加入者が投資をして、加入者の持ち分があるという考え方ができるわけですよ。もちろん、支払う場合にはそこで所有権は切断をされるわけですし、そういう契約にはなっていると思いますけれども、それは電電公社が国の機関あるいは国の機関に準ずるという性格のもとに、将来ともに継続するということが暗黙の了解になっているはずなんですね。  ところが、途中で性格が変わって、今度は株式会社になった。現在、株式は政府が持っておるということですけれども、株式会社になったということになると、加入者の権利、これは潜在的な権利があるということも考えられるわけですけれども、その加入者の潜在的な権利が全くそこで切断をされて、加入者が有しておる潜在的な所有権が無視をされた、こういう形にも考えられるわけでありますが、そういう点については会社はどういうふうにお考えですか。
  82. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 ただいま委員指摘のとおり、電電株式会社の前身でございます電電公社の資産の形成過程を見ますと、設備負担金というような形で利用者である国民が拠出したものが、その大半を占めることは事実でございます。ところで、お尋ねの、しからばそのような国民が拠出をしたことによって形成された資産を、民営化に伴っていかように処理をするかの問題につきましては、電電改革三法が国会において御審議を賜りました際に、各方面から種々御議論のあったところでございます。  一つの御議論としては、先ほど先生からございましたように、拠出をした国民個々に返還をしてはどうだという御議論もございましたし、また他方では、新しい電電の会社が相当の負債を抱えているので、これは負債の償還に充てるべきではないかという御意見もございました。あるいは、将来の電気通信の高度情報社会における地位を考えますと、電気通信の技術開発のためにその一部を有効に使うべきではないかという御議論もございました。  そういった多様な御意見がありました結果、最終的に政府の統一的な意思といたしまして、電電の株式の処理につきましては、ただいま国会でまだ御審議をいただいておりますけれども、その三分の一を最終的に国が保有することを義務づけまして、残りの部分につきましては、国債整理特別会計に入れることによってあまねく広く国民の借金である債務の償還に充てる、最終的に国に保有されることになる三分の一の株式については、その配当金によって将来、産業技術あるいは電気通信技術の技術開発に資するということになったわけでございますので、広い意味におきまして国民共有の財産で形成されました資産は、国のいわゆる借金であります国債の償還にも充てられるし、また、広くあまねく産業並びに電気通信分野における技術開発にも還元されるという形になったわけでございます。
  83. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 最初に契約のときにそういうことがない限りは、所有権に関して憲法違反の疑いがあると思いますけれども、時間がありませんから、もう一点だけお伺いをいたします。  それは、打ち上げられたさくら二号、CS2bを自衛隊が硫黄島との間の通信に利用しようとしているということ、この問題については予算委員会で論議がされました。政府の正式な見解、明快な見解がまだ出ていないと思うのです。あのときは保留のまま論議が中途で終わっていると思うのですけれども、その問題に対する正式の見解を伺いたいと思います。
  84. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 ただいま御指摘のございましたCS2、つまりさくら二号を利用しての硫黄島の自衛隊と本土との回線設定の問題につきましては、当初、たしか五十八年の八月ごろであったかと思いますが、行革特別委員会の中で取り上げられまして、その後、ただいま委員からも御指摘がありましたように、予算委員会その他内閣委員会等でも取り上げられたところでございます。その際の政府並びに党のこの問題についての取り扱いは、国会の御決議自体は、当然のことですが、最終的解釈は国会に帰するということで、総理大臣あるいは関係大臣も御答弁申し上げたところでございます。  ところが、国会の御決議の解釈につきまして、政府といたしましてもその最終結論が出るのを見守ってきたわけでございますけれども、五十九年度の防衛庁の予算に硫黄島と本土との回線を設定するための所要の予算が計上されているわけでございます。つまり、五十九年度予算でございますので、六十年の三月末までにはそれを執行しないと、政府としての予算執行の責任を問われるというような事態になってまいりましたので、政府といたしましては、政府の判断で一定の解釈のもとにこれについて執行をしたところでございます。  その際の政府の見解といたしましては、当時はまだ公衆電気通信法が適用されていた時代でございますけれども、公衆電気通信法の定めるところによりまして、CS2の利用について、一般の方方と同様、自衛隊から利用の申し込みがあった場合は、これをすべて承諾しなければならないという強制規定にのっとってこれを承諾し、現在硫黄島との間に回線が設定されて通信が行われているところでございます。
  85. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 この点については予算委員会ほかで論議がありまして、まだ政府の正式な見解が出ていないはずであります。したがって、最終的には国会の意思も決定していないはずであります。こういう中で、予算執行のためにやむを得ずやったということでありますけれども、そういう論議が一方では行われていながら、政府の一方的な見解で進めることについては大変問題があると思うのです。五十九年度予算の執行のためにということでありますけれども、その前になぜ政府はもっと正規の手続をとり、あるいは国会の正式な意向を確かめなかったのか。また、政府としての正式見解がまだ表明されていないと思いますけれども、大臣はどうお考えですか。
  86. 左藤恵

    左藤国務大臣 国会の御決議というものがございまして、それは宇宙の平和利用という立場だと思います。その平和利用というものにつきましての解釈そのものにつきましては、有権的な解釈は国会御自身がされることである、このように考えておりますが、そうしたものによりまして我々は判断をするわけでありますが、この問題につきましては、宇宙通信というものの一般的な利用という形で、特に自衛隊の通信とかというふうなことでなくて一般の公衆電気通信という形であるというふうに我々は判断して、そうしたことについての作業を進めたのじゃないかと思いますが、今お話のございました宇宙の平和利用そのものにつきましての、平和利用であるかどうかということについては国会の御決議に従いたい、このように思っております。現在の段階でまだそれが出ていない、そのように理解をいたしておるところでございます。
  87. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 ですから、正式にその国会の意思表示がない、一方的な政府の見解だけでやっていいのかどうか。一方では国会の中で論議が行われているわけでありますから、その論議がまだ結論が出ていない前に一方的にやっていいのかどうか、その点についてどうですか。
  88. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 大臣からも御答弁がございましたように、国会決議についての最終的御判断が国会に帰することは当然のことでございます。そうした見地から、政府としてもその結論を慎重に見守ってきたわけでございますけれども、政府としては予算執行その他行政を進める行政府としての責任がございます。そこで、先ほど申し上げましたように、五十九年度予算の執行すべきぎりぎりの期限が迫ってまいりましたので、政府といたしましては、政府部内の統一的な意思決定をいたしまして、それに基づいて行政府としての責任を全うしたということでございます。
  89. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、この問題についての有権解釈は、国会の立場からは表明されていない。いないけれども、政府の責任において進めだということですか。それから、この問題についてはこれは大臣の正式の見解と考えてよろしいかどうか。それから、こういう問題が今後起こった場合に、やはり同じような行政府だけの判断によって進めていくのかどうか、それを大臣にお伺いします。
  90. 左藤恵

    左藤国務大臣 もちろん、今の問題につきまして位政府としての一つの方針を決めたわけでございますけれども、先ほど申しましたようなことで、国会の御決議の問題につきまして、さらに国会でそうしたことと違った御決議に対します解釈と申しますかというものが進められた場合には、その時点において対処しなければならない、このように考えておるところでございます。
  91. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 終わります。
  92. 安井吉典

    安井委員長 次に、金子みつ君。
  93. 金子みつ

    ○金子(み)委員 初めにお尋ねしたいと思っておりますことは、これは郵政省の方も、それからNTT、当時は電電公社時代からの問題でございますが、お尋ねしたいと思います。  それは、どちらにも直営の医療機関があるわけですね、病院あるいは診療所。それでまずお尋ねしたいのは、郵政省あるいは電電公社が直営の医療施設を設置するようになられたその目的、何が理由で特別に直轄の医療機関を持つようになられたのか、それを教えていただきたいと思います。いつからという時期も教えてください。
  94. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 逓信病院の設立の理由というようなことにつきましてのお尋ねであろうかと思いますが、御承知のように、現在でも郵政省は三十万人を超える職員を抱えているというような膨大な組織でございますが、特にこの逓信病院を設立するに至りました経緯といたしましては、戦前、まだ全国的に医療機関も少なくて、利用に大変不便であった。そういう中で、逓信省の大勢の職員の中に主として結核が非常に多かったわけでありますが、結核も、もちろん逓信省の職員ばかりじゃなくて、国民病的に蔓延をしていた時代でございました。そういう事情のもとで、何とかして職員の疾病治療を、部内の医療機関を設けて、事業運営上支障を来さないようにしたいという声が部内的には非常に多かったわけであります。  そういう中で、昭和九年ごろからであったと記憶しておりますけれども、部内で職員及びその家族の疾病治療に当たるべき病院を建設しようじゃないかという機運が生まれまして、部内以外の方方の寄附等も受けながら、昭和十二年に東京逓信病院が建設されまして、実際には昭和十三年の二月一日から東京逓信病院を開院いたしております。その後、順次各地に逓信病院が設置されまして、今日では全国で十六カ所の病院が設置をされておりまして、職員とその家族の健康保持増進のために、大変重要な役割を果たしている現状でございます。
  95. 金子みつ

    ○金子(み)委員 わかりました。  そうしますと、私がお尋ねをしたいと思うのは、当時はそういう事情であったから、職員の健康管理のためを目的で特別の病院をおつくりになったという事情はわかるわけですが、状態は随分変わってまいりましたね、社会的情勢は変わりました。それで病院は非常にふえてきております。今日では約八千ぐらい日本には病院があるわけです。病院、医療施設が足りなかった時代はなくなったし、結核を主として対象としてなさっていらしたという事情もよくわかります。結核を対象にした特別の施設では結核療養所もあるわけですが、今日では結核療養所はベッドがあくようになりましたから難病の対策にするとか、国立病院でも難病対策に使っておりますし、いろいろ一般病院に転換しているという実情を御存じだと思うわけです。  そういうふうな事情が今日では出てきたということ赤原因だろうと思うのですが、私どもが聞いておりますのでは、この郵政省の直轄の病院あるいは公社の直営の病院、診療所等全国にありますものが、最近は統廃合を考えるようになってきたというふうなことも承っているわけでございます。それで、診療所を持っていらしたと私は思うのですけれども、たしか逓信診療所は昭和十九年に保健所に統合されたということを覚えております。ですから、そういうふうに診療所もあったはずでございますが、今日でも残っているのかもしれませんが、そういうものが統廃合されてきている。それで、今日では大病院だけが残っているんだというふうに私は伺っています。それがいい悪いということではございませんで、当然の社会情勢の結果、そういうふうに変わってきたのだろうというふうに思います。  実際問題としては、もしそれが事実であるとするならば、郵政省並びに公社でそういうふうになさった理由はどこにあったのかということや、あるいはどの程度統廃合がなされたものなのか、そして職員はどういうふうな扱いになっているのかというようなことがございましたら聞かしていただきたい。そういう事実はないなら、ないとおっしゃってください。
  96. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、確かに戦前と戦後、また最近における医療機関の整備というのは大変に整ってまいりまして、事情の変化もございます。同時にまた、疾病構造も時代の変遷に伴いまして変わっていることは事実でございまして、私どもも、直営の病院あるいは診療所を運営するに当たりまして、そうした客観的な情勢に適切に対応する立場から、病院の統廃合あるいは診療所の統廃合を実施しております。  ちなみに申しますと、例えば五十五年度末と五十九年度末を比べますと、逓信病院につきましては十六カ所で変わりませんが、今後六十三年度末までに利用率の低い逓信病院を二カ所廃止する予定で検討を進めておりますし、また診療所につきましては、五十五年度末に七十二カ所ございましたものが、五十九年度末では六十七カ所、五カ所廃止しておりますし、今後も適正配置を進めていくように統廃合を進めてまいる計画でございます。なお、医務機関に従事する職員の数につきましても、五十五年度末に三千五十三名おりました定員は、五十九年度末で二千九百四十五名というふうに削減をいたしておるところでございます。
  97. 金子みつ

    ○金子(み)委員 続けてお尋ねいたしますが、この病院は、お話もありましたように、職員の福利厚生の目的でございますから、入院する患者は全部職員でございますね。職員が入院することになっているというふうに承知しております。一般の国民はこの病院に入れてもらえない。すばらしい病院ができているのだけれども、横目で眺めるだけで、入りたいと思っても入れないということがあるわけなんです。ただ、職員の病院であるけれども、職員が紹介した患者は入ることができるということになっておりますね。最近は田中角榮元総理がお入りになったわけですが、田中さん、なぜ入ったんだろうといううわさが出ていまして、ああ、あれは郵政大臣だったから入れたのだろうというような話が町の中にあるわけでございます。その理由はいずれか存じませんが、それはともかくといたしまして、とにかく地域の人たちは入れないということを非常に問題にしております。  それから、その問題のほかに私がお尋ねしたいのは、紹介患者として入ることができた場合に、その人の医療費が大変高いということです。職員の場合は、職員は健康保険組合員ですから健保の診療報酬で計算されていきますから、一点十円で計算されて、そして職員は何か一点九円だそうです。いずれにいたしましても健康保険の取り扱いは受けておるわけなんですが、紹介患者というのは健康保険患者になっていないんです。ですから、紹介患者は全部有料患者、自由診療の形で紹介患者を受けているということなんですが、これはどういう理由なんですか。なぜ紹介患者も健康保険の取り扱いができないのでしょうか、その辺をお尋ねしたい。
  98. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 逓信病院の利用関係につきましては、職域病院としまして、主として職員とその家族の健康保持のために設けられたものでございますけれども、今日の客観的な情勢の変化の中で、逓信病院が存在しております地域の方々にも大いに利用していただいて、地域医療のためにも貢献できる分野があるならば貢献していきたいという考え方で、いわゆる一般開放を進めてまいりました。十六ある逓信病院の中で、そのうち二つは従来の結核療養所を逓信病院に改組したものでありまして、診療科あるいは交通の優等を考えましても、一般開放をするには非常に適当ではなかろうということで、今後廃止の計画を進めているところでありますが、残る十四の逓信病院のうち、十三カ所については一般開放をしてございます。  そういう意味で、部外の方が逓信病院を利用されるに当たりまして、職員の紹介というようなものは全然必要ございませんし、残る一つの逓信病院というのは、具体的には東京逓信病院でございますが、この東京逓信病院につきましては、我々も一般開放すべく努力を今日いたしているわけでございますが、諸般の事情からまだ保険医療機関としての許可をいただいておりませんので、職域病院として職員、その家族の診療料金とそれから部外の方の診療料金は、先生御指摘のとおり九円と十円ということで差がございますけれども、それは保険医療機関としての指定をいただいてないために、部外者の方はいわば全額医療費を負担していただいているという形になってございます。
  99. 金子みつ

    ○金子(み)委員 私がお尋ねしたいのは、そこなんですね。どうして逓信病院が保険医療機関になっていないのかという問題です。それはどうなんですか。
  100. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 私どもが開放いたしたいと考えております逓信病院の中では、東京逓信病院が一つ残っているわけでありますが、東京都にはそういった公共的な職域病院というのがほかにもございます。鉄道病院でありますとか専売の病院でありますとか、あるいはNTTの所管されております関東逓信病院というようなところがございまして、東京都の関係のところと現在調整中でございまして、私どもとすれば、できるだけ早く保険医療機関としての認可がいただけるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  101. 金子みつ

    ○金子(み)委員 そうすると、私の次の質問とつながってくるんですけれども、次の質問は、できるだけ一般開放するべきではないかということを申し上げようと思っておりましたが、今お話しのように、一般開放をよそはしているが、残っているのは東京だけだという話でございますね。開放したところは保険診療をやっているのでしょうか、やっぱり有料になっているんでしょうか。
  102. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 保険診療をやっております。
  103. 金子みつ

    ○金子(み)委員 そうすると問題は、東京に残っている東京逓信病院、それからNTTの場合ですと関東逓信病院、この二カ所だけということになって、東京にあるのができないんだ、こういうわけですね。これは今お話がありましたように、ほかにも鉄道病院だとかあるいは専売の病院だとか、それぞれ役所の病院がございますね。そして、それらがみんな一般開放していないという問題もあるわけで、ぽつぽつ開放するように向けていこうという考え方がおありになることも承っておりますから、大変結構な傾向だと思うし、当然そうあるべきだと思います。  ほかの病院に比べて、逓信病院もNTTの病院も両方の病院が、施設も人員も大変よく整っているわけですね。殊にハイクラスの病院だというふうに定評されています。特二類以上の看護婦を持っていたり、あるいはCCUでもICUでも非常に充実したものを持っておられて、そして非常にうらやましい施設なんだけれども、一般の人たちはそこに入れない、こういう問題が非常に大きなことになっております。大変に素朴な疑問を持つわけです。  電話も私たち、自分たちが使うんだし、郵便だってみんな国民が使っているんだけれども、そして料金は全部支払っているんだけれども、その基本料金、それてつくった病院に自分たちが入れないのはどういうわけだ、こういうふうな質問が出てまいります。それは私どもが返事をするわけにはいかないんですけれども、こういう疑問を払拭するためにも、できるだけ早く一般開放をしていかなきゃいけないんじゃないかということを、逓信だけではなく、国鉄あるいは専売の病院でも全部話は進めておって、どの施設もそのようになってもらいたいというふうに私たちは願っておりますし、ぜひ実現していただきたいと思っています。  その理由が、諸般の事情、諸般の事情とどなた様もおっしゃるのですけれども、諸般の事情を突き詰めていくと、一つのところに行き着くということも私は承っておりますし、存じております。でも、これは私は一つのエクスキューズになるんじゃないかと思うのです。実際問題として、本気でやる気があるのかどうかということを疑われても仕方がないんじゃないでしょうか。私は、問題になっている医師会のことなんかはよく知っております。よく知っておりますけれども、必ずしもそれだけが妨害になっているんじゃないんじゃないか、ほかにメリットがあってやってないんじゃないか、一般の地域の人たちが言うように、こういうところの病院は独善的だと言って非常に恨めしく思っているようなことが今でもあるんじゃないかというような疑いを持たざるを得なくなるのですけれども、そんなものは全然ありません、本当に折衝ができなくて困っているんですということであるならば、別の方法が考えられるんじゃないかと思うのですが、その諸般の事情は絶対的なものですか。
  104. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 逓信病院につきまして、大変高い評価をいただきましてありがとうございました。私どもも、そういう医療機関を運営しております立場からいえば、ぜひとも地域の方々にも御利用いただきたいし、また医療技術のレベルを上げるためにも、多くの患者さん方に利用いただくということも大切なことでありますし、それから病院の経営の面から見ましても、収支率を改善するためにも広く一般開放をすべきだというふうに考えておりまして、いろいろと努力をいたしていることは事実でございます。そういった理由からいいまして、私ども一日も早く一般開放ができますように、今後とも精力的に努力を続けていきたいというふうに考えております。
  105. 金子みつ

    ○金子(み)委員 これ以上御答弁は無理なことのようでございますから、この問題はこの辺にしておきますが、しかしこれは本当にみんながそう思っているんですから、実現できるようにやっていただきたいと思いますし、そのことのために何か必要なことがあれば、別の形で努力ができるはずだと思いますから、それをぜひお願いしたいと思います。  次に、時間が迫りますので、電波障害の問題についてお尋ねしたいと思います。  東京の新宿あるいは池袋などの高層ビルが並んでおりますところ、高層ビル群、それが原価になって、テレビの電波障害というのが広い範囲に行われているわけです。私の記憶でも、何年か前に新宿の高層ビルのテレビの電波障害で、中野や新宿の区民、住民の人たちと一緒に問題解決に努力した経験がございますけれども、今回、再びそのことがさらに拡大されて行われておるということなので、これを何とかして解決してもらいたいというふうに思いますが、何か根本的な解決方法はないものかということです。  前回は、有線放送にいたしまして、そして住民が費用を払ってやりまして、大変におかしいと思いながらも住民は納得して費用を払ったわけですが、今回また起こっておりますが、これについては何か具体的な方法、有線ケーブルだけでなくて、何か例えば中継局を設けるとかというような対策があるように承っておりますけれども、そういうことは具体的に進められているんでしょうか、どうなんでしょうか、その点についてお尋ねしたいことと、もしそのことが行われることがないんだとすれば、郵政省となさっては、こういうテレビ電波障害について直接の責任をどの程度、どのようにとってくださるのかということをお尋ねしたいのです。
  106. 徳田修造

    ○徳田政府委員 お答え申し上げます。  都市受信障害に関する対策の問題でございますけれども、郵政省といたしましては、これまで、そういう障害を受けております地域に共同受信施設、これは有線の共聴施設でございますけれども、こういうようなものを設置するとか、あるいは今の放送よりももっと高い周波数の電波の、SHF局と呼んでおりますけれども、こういうような中継局の設置をするとか、あるいは障害を与えております高層ビルの建築物の外壁に電波を吸収するそういうような材料を張っていただくとか、そのほか今先生御指摘ございましたような中継局を建設するとか、そういうようなことも含めましていろいろな方法について検討を進めておるところでございます。  郵政省といたしましては、この都市の受信障害につきましては、基本的には原因者負担の原則を貫くべきではないかという考え方で対処いたしておるところでございまして、こういう原則に基づいて関係者に対しての指導をいたしてきておるところでございます。
  107. 金子みつ

    ○金子(み)委員 原因者負担主義ということだから、郵政省は直接手を出すわけじゃないけれども、やりなさい、やりなさいという行政指導をしていらっしゃるというふうに理解していいですか。
  108. 徳田修造

    ○徳田政府委員 都市の受信障害につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、郵政省としても関係者を指導いたしまして、できるだけそういう障害を受けている方々の難視聴を解消するようにしたい、そのように考えておるところでございます。
  109. 金子みつ

    ○金子(み)委員 そういうふうに理解をいたしますが、そうするとなかなか解決が難しいみたいですね。しかし、この問題は限られた場所だけでなくて、これからだんだん広く広がっていくだろうと思いますから、その点は十分気をつけてくださって、そして原因者責任主義であるのかもしれませんけれども、それならばそれで、原因者がちゃんと責任をとれるような指導を郵政省の方からやっていただきたいと思いますので、その点を強く要望しておきたいと思います。  それから次に、これは郵便関係の職員の問題なんですけれども、郵便関係には職員の方がどれぐらいいらっしゃるのかと思うてお尋ねしてみました。そうしまして気がつきましたことは、四十七年、五十七年、五十九年と数字をいただいたのですけれども、四十七年から五十七年の十年間は職員の数がふえています。これは管理者の数も内勤の人の数も外勤の人の数もふえていますが、五十七年から五十九年にかけては外勤ががったり減ったんですね。外勤が減りましたのは、千百四十六名減っています。七万八千八百九十七から七万七千七百五十一と千百四十六名減っていますが、逆に内勤者がふえています。内勤者が千四百二十七名ふえています。だから、これは外勤を内勤に振りかえたのかなというふうに推察するんですけれども、なぜこういうことになったのかということが実は知りたいわけです。  私ども住民としては、いつからでしたか覚えておりませんが、郵便の配達が一日二回、午前、午後配達されたものが、一回になりましたね。今度一回になりますから御了承くださいという郵便局長のあいさつ状も参りました。それで、それはそういうことになったんだなというふうに思ったのですが、考えてみましたらば、これは配達をするのが一回になったから、人間が少なくて済むので人間を減らして、要員を減らして、そしてそれをそのまま内勤の方へプラスしたというふうにも理解できますし、それから行政改革の問題に絡めまして、そしてまず人間を減らしなさいということで、合理化で人間の数の方を先に減らして、そしてその結果、一回しか配れないじゃないかということで、一回の配達に切りかえたというふうに、どっちになるのだろうと思うのです。鶏か卵がみたいな関係になるのですけれども、事実はどうなんでしょうか、それを教えてください。
  110. 桑野扶美雄

    ○桑野説明員 郵便関係の職員につきましては、その業務量に見合った人の配置をしておるところでございまして、ただいま先生お尋ねの、郵便外務員の数が五十七年に比べて五十九年に減っているのはなぜかということでございますが、これは一つには、昨年の二月、五十九年の二月におきまして、郵便の運送を鉄道から自動車の方に切りかえましたわけでございまして、この関係によりまして、鉄道郵便局職員が減少したということでございます。それからもう一つは、今先生の御指摘のように、配達一度化をやりましたから外務員の数が減ったということでございます。
  111. 金子みつ

    ○金子(み)委員 要員を適正に配置するという問題で、最後に一つだけ質問させていただきます。  これは電信電話関係ですから公社の方になりますね。時間がありませんので詳しくは申し上げられませんけれども、会計検査院の報告書を読みまして発見したことなんです。それによりますと、今まで手動交換、これは専門用語では手動というのだそうですね、手で動かす交換ですね。市外電話の接続業務並びに電話番号の案内業務、これが自動化されてきたわけです。自動化されてきたから、人の数は余り要らないということに結果的にはなる。それから呼数が大変に減ってしまうわけですね。自動化された残りの部分だけしか人が要らなくなるわけですから、呼数がおのずから減りまして、人も少なくてもいいんじゃないかということになる。  それで、五百二十局の中で余剰を生じた取扱局は三百九十三局、七五・六%、ところが、逆に不足を生じている取扱局もあるわけなんです。大変にいろいろと実態が違っているようで、不足を生じた局は百局、約二〇%、こういうことになっているようです。結局、総体的な数字でいえば、十一人以上余剰のあるところは百三十七局、それから十一人以上不足のあるところは十七局、こういうことになっているようなんでして、大変に要員配置が不均衡になっていて、人件費としてむだな金が使われているという指摘があっています。  それからもう一つは、小規模取扱局の業務実態として、これも四百七十一局のうち九十二局の電報電話局では、普通は必要人員三名となっているのが、夜の十時から翌朝の八時までの宿直時間帯というのは大変少なくて、一日の総呼数の六・九%くらいしかない。だから人員は、そのための人は〇・一ないし一人の業務量になっているのに、そこに四人いるとか三人いるとか二人いるとかというふうに置かれているというのは、大変に不合理だということが指摘されているわけでございます。  これは報告書でございますから、詳しくは御存じのことなんだろうと思うのですけれども、この問題について、要するに要員配置の問題についてですけれども、検査院が大変具体的な指摘をいたしております。ですから、これに基づいて郵政省はどのように措置をしてこられたか。あるいはこれからもそういうことがあると思います。それで、どのようにその改善策を考えていらっしゃるのかということが承りたいと思います。そして最後に、これは大臣からそのことに対する決意をあわせて聞かせていただきまして質問を終わりたいと思いますので、お願いいたします。
  112. 外松源司

    ○外松参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、電話運用部門におきましては余剰の要員があるという指摘を五十八年度会計検査院から受けているわけでございますけれども、番号案内業務の分散、大きな局から地方の局へ分散するとか、あるいは要員を他部門へ配置転換するとかいうようなことの施策をずっと講じておりまして、現在時点におきましては、余剰人員というものはほとんどおりません。  今後の合理化のあり方でございますけれども、新しい手動台を導入しましてこの接続業務を集約していく、あるいは小さな規模の局の廃止、あるいは夜の業務は集約する、あるいは番号案内業務といったようなものをなお一層きめ細かく分散していくというような、いろいろな施策に着手しているところでございまして、一層の要員配置効率化、要員の適正配置に努めてまいりたいというふうに考えております。
  113. 左藤恵

    左藤国務大臣 会社は会社として、新しい体制でありますので、そうしたことについて十分配慮してもらえるだろうと思いますし、郵政事業につきましても、先生御指摘のような要員の効率的な配置という問題について、配転協約というようなものもあります。そうした中で、組合とも十分話し合いをして、そして効率的な配置というものをやっていくべきだ、こういうように考えております。
  114. 金子みつ

    ○金子(み)委員 終わります。
  115. 安井吉典

    安井委員長 次に、日笠勝之君。
  116. 日笠勝之

    日笠委員 電波行政の監督官庁であります郵政当局に、NHK、日本放送協会に関する細かい質問でございますけれども、少々伺いたいと思います。  一点は、NHK番組の中で、夜の十時半から「スポーツとニュース」という番組がございますが、この中でワールドニュース、アメリカのABCとかフランスのアンチンドゥーとかいう海外ニュースの紹介のところがございますが、実はこのワールドニュースの画面が変わるたびに、いわゆる画面の右の上に四角い、目視用信号というのだそうでございまして、通称パンチと言っておるそうでございますが、これが三秒前、二秒前と二回ほど出てくるわけでございます。最近はブラウン管も広角利用になりまして、非常に目立つわけでございますし、特に画面が暗い場合は、その打ち抜きの白い信号、目視用信号が目ざわりになるというくらい大きく映るわけでございます。  これは民放の方に聞きますと、民放では、画面は商品である、商品を傷つけるわけにはいかない、こういうことで、そういうパンチというものはほとんどありませんし、聞くところによりますと、来年の十月くらいまでには全国のどの民放もそういうパンチというものをなくしていく、こういう申し合わせができているそうでございます。  世界に誇る技術のNHKでございますし、受信者へのサービスということ、画面をきれいにしていくということ、いろいろなことを含めまして、この目視用信号、通称バンチというものに対する対策というものはないものでしょうか。この点をまずお聞きしたいと思います。
  117. 徳田修造

    ○徳田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘の件につきましては、私も実は本日、御質問いただいておりませんでしたものですから、準備いたしてございませんのですが、本件につきましては、NHKの方に先生のそういうような御指摘がございましたということを伝えまして、必要な措置をしていただくように要望いたしたいと思っております。
  118. 日笠勝之

    日笠委員 放送法を持ち出すまでもなく、「放送に関する研究」、第三十四条にも「郵政大臣は、放送及びその受信の進歩発達を図るため必要と認めるときは、協会に対し、事項を定めてその研究を命ずることができる。」こうあるわけでございますが、ぜひそういう方向で、大臣もNHKさんの方に、きれいな画面を受信者に提供する、こういう意味でひとつお願いを申し上げたいと思うのですが、どうでしょうか。
  119. 左藤恵

    左藤国務大臣 今お話しのとおり、郵政省といたしまして、そうしたことについてはやはり国民の皆さんの公共の放送であるNHKが、立派な画面を国民に提供できるようにということで要望いたしたい、このように思います。
  120. 日笠勝之

    日笠委員 続きまして、これは大臣の私的諮問機関、通称放送政策懇談会、正式な名称は非常に長いのですが、ニューメディア時代における放送に関する懇談会というものが、十五日でございましたか、会合を開かれておるわけでございます。今後二年の間に報告をまとめる、その間一度、中間にも報告を出したい、こういうことで、五項目ぐらいにわたりまして研究する項目があるようでございますが、その中に、公共放送(NHK)の役割という項目がございます。  放送衛星、これを将来打ち上げるようなことになりますと、大変に費用がかかる、そうすると今の受信料で貯えないのではないか、こういうようなことで、イギリスのBBC放送も、御案内のとおり内務省に小委員会を設けまして、いわゆるコマーシャル、有料の広告を取り入れるかどうかということも検討していくというような報道もなされておりますが、この略称放送政策懇談会におきましても、公共放送と称するNHKの受信料で貯えないという将来に対して、有料のCM、コマーシャル、広告、こういうものを取り入れるということについての検討はされるようなことになりますでしょうか。検討だけです、実施するかしないかは別といたしまして。
  121. 徳田修造

    ○徳田政府委員 このニューメディア時代における放送に関する懇談会、私ども通称、先生お話ございました放送政策懇談会と呼んでおりますが、この懇談会では、ニューメディア時代における公共放送、一般放送を含めての放送事業の経営問題についても議論したいと思っております。特に公共放送機関であるNHKにつきましては、将来こういうニューメディア時代においてどういう役割を果たすべきか。それから、衛星放送も含めてでございますが、いろいろなニューメディアが出てまいります。そういうニューメディアをNHKはどこまでやるべきなのか。それから、もしそういうニューメディアの放送を実施するとなりました場合の経営財源はどうなるのか、この辺も含めて検討していただきたい、そのように考えておるところでございます。  受信料制度の問題につきましては、従来は受信者が公平に負担するという建前で、いわばNHKの自主性あるいは不偏不党性を堅持する基礎になっておるところでございますので、極めて大きな問題を持っておる事柄ではないかと思っておりますが、こういう受信料制度そのものの将来のあり方につきましても検討いたしたい、そのように考えております。
  122. 日笠勝之

    日笠委員 CMを取り入れるかどうかということの研究は、やはり検討はするのですね、取り入れるか取り入れないかはわからないわけですけれども。これはどうですか、もう一度、CMに限って。
  123. 徳田修造

    ○徳田政府委員 この懇談会では、特にどういう範囲という枠を郵政省側から、一応の案はございますけれども、設定せずに、各先生方、懇談会の委員の方々に自由にいろいろ御検討いただきたいと思っておりますが、その中には当然、今先生御指摘のようなコマーシャルの問題も議論として出てくるのではないかと私ども考えております。
  124. 日笠勝之

    日笠委員 放送法四十六条においては、日本放送協会は、「他人の営業に関する広告の放送をしてはならない。」とあります。最近でいきますと、放送大学学園法には、この広告放送の禁止規定はないのですね。そういうようなことを含めまして、イギリスのBBC放送ということもありまして、将来そういうような方向も考えられるのではないかというふうな心配も一部においてはあるようでございますけれども、この懇談会でしっかりと研究、検討をしていただきたい、このようにお願いを申し上げておきたいと思います。  続きまして、本来の郵政業務についてお伺いを申し上げたいと思います。  今科学万博、大変好評といいましょうか、入場者もどんどんふえておるようでございますが、郵政省の国民へのサービスということで、ポストカプセル郵便というものが設置されておるわけでございます。ただ、これにつきまして国民が少々心配をしておる点がございますので、きょうはその心配の疑念を晴らしていただきたいと思いまして、句点がお聞きしたいと思います。  その一つは、昭和五十六年、神戸ポートピアの会場におきまして、十五歳以下の子供さんに、四年後の科学万博が始まる前にあなたの手のひらのコピー、手形を送り返しますよ、こう言って集めた三万枚を紛失いたしまして、子供に夢を売るということでございましたけれども、約束が空手形になった。果たして今度のポストカプセル郵便はどうなのか。  それともう一つは、最近特に問題になっております酸性紙の劣化現象というもの、これは百年単位だというわけでございますが、高温であるとか多湿であるとか、そういうふうな保管であれば非常に劣化が進む。せっかく二〇〇一年ですか、配ったら、保管状態が悪くて紙が非常に傷んでおった、こういうふうなことを心配されておられる方もあるわけでございます。  以上の点を踏まえまして、現在このポストカプセル郵便はどれくらい集まっておりましょうか。それも、会場内で投函したもの、会場外から来たものの数、それからどこにどういう方法で保管をし、安全を期していくのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  125. 桑野扶美雄

    ○桑野説明員 ただいまのポストカプセルの利用状況でございますが、五月十五日現在で、会場内で差し出されたものは三十一万八千四百五十七通、会場外で差し出されたものが十万五千八百七十五通、合わせまして四十二万四千三百三十二通になっております。  保管の件でございますけれども、この科学万博期間中に引き受けましたポストカプセル郵便は、会場内の科学万博郵便局は期間が過ぎますと閉局いたしますが、この事務を筑波学園郵便局で引き継ぎます。したがいまして、ここにおきまして配達局あてにその郵便物を区分、整理をいたしまして、酸化防止剤、乾燥剤を封入いたしました不燃性のアルミパックで密封いたしまして、厳重に保管するようにいたしております。
  126. 日笠勝之

    日笠委員 もう一つ、配達時期でございますが、「時の動き」の五月一日号の中におきまして大臣は対談をされておられますね。これを見ますと、二〇〇一年の元旦から配達したい、二〇〇一年の元旦以降に配達するものだ、こういうふうにおっしゃっておられます。元旦以降といいますと、二〇〇一年の元旦も、二〇一〇年の元旦も、またそれ以降も以降ということになるわけでありますけれども、目安としては二〇〇一年の元旦に配達するわけですか、それとも元旦から若干の、何日間とか一カ月ぐらいの間という余裕期間があるのか、それとももうそれはわからない、二〇〇二年になるか、三年になるかわからないと。この辺はどうなのでしょうか、配達のめどは。
  127. 左藤恵

    左藤国務大臣 これは年賀郵便として配達するということを考えておりますので、元旦に一〇〇%配達できれば元旦ということでございます。
  128. 日笠勝之

    日笠委員 それでは続きまして、これは新聞の投書欄なんかによく出ることでございます。これも去年の十月十七日の投書でございますけれども、電気料金の自動払い込を郵便局でやっていただきたい、こういうふうな投書が出ております。また、これはよく聞くことでございます。この電気料金の自動払い込みというのは、九電力の中で今五電力でやっておられまして、あとの四電力についてはまだ導入されていない。ところが、こういうように投書がどんどん新聞社なんかに来まして、早くやってもらいたい、全国一万八千局もあるわけでございますし、非常に便利である、こういうふうなことでございます。  これは電事連の方にお聞きいたしますと、いわゆる集金人の方々の雇用問題があるのだ、こういうふうなことでございますが、郵政行政の国民へのサービスという点を考えましても、ひとつ粘り強く電力会社と話し合っていただいて、できるところから早急に、こういう投書もどんどん来ておるわけでございますし、電気料金の自動払い込みというものが郵便局でできる、こういうふうにできないものかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  129. 奥田量三

    ○奥田政府委員 電力料金の自動払い込みにつきましては、ただいま委員指摘のとおり、九電力中五社について郵便局で取り扱っておりまして、残り四社について未取り扱いということになっているわけでございます。また、未取り扱いの理由についても、日笠委員指摘のような事情等を私どもも承知しているわけでございます。  しかしながらこの制度は、言うまでもなく国民の皆さんにとって非常に便利な制度でございますので、私たちとしては、残り四社についてもできるだけ早くこの取り扱いができるように、鋭意折衝をいたしております。この上とも努力をいたしまして、今すぐ、あるいは残り四社全部ということまでは申し上げかねますけれども、残り四社のうち一部のものについては、そう長い期間をかけなくて実現できるような感触も持っております。四社についてできるだけ早くこれが実現するように努力してまいりたいと思っております。
  130. 日笠勝之

    日笠委員 十二時半過ぎましたし、午後の分にしていただければと思いますが、いかがですか、委員長
  131. 安井吉典

    安井委員長 この際、休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十一分開議
  132. 安井吉典

    安井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。日笠勝之君。
  133. 日笠勝之

    日笠委員 郵便規則の第八十五条「交通困難地にあてた郵便物」というところでございますけれども、これの第三項、第四項、いわゆる交通困難、すなわち道路事情が悪いとかこういう意味のところでございましょうが、そういうところに住んでおる方は、あらかじめ郵便局長に、「郵便物の配達をする地域内にその郵便物を受け取るべき場所を定めて請求したとき」云々、結局郵便局長に、ここにポストを置いてください、こういうふうに定めて請求をするというのが第三項。第四項には、そういう交通困難地に居住されておられる方に対して、郵便局長が指定する場所に郵便箱を設置したときにはそこへ配達する。これは皆さんの方が御専門ですから、この八十五条の第三項、第四項、よく御存じだと思います。  実は、これは私の住んでいる岡山県の赤磐郡山陽町というところでございます。ここにおきまして備前瀬戸局から、山陽町の大字西中字高倉開拓、昔の開拓村でございます。全部で九世帯家がございますが、ここに週三回減回地、回数を減らす地域ということで一日置き週三回、山本万一さんという方でございますが、そこの家の前にポストが九つ並んでおりまして、さらにそこから奥の、山の上の方になるわけでございますが、八世帯の方々は郵便物が来たときにとりに出る、その前を通るとき、行き帰りのときに便郵物を持って帰る、こういうことでございます。これは昭和三十五、六年ごろ、各戸に配達をしてもらいたいという皆さんの要望を、地元備前瀬戸局に要請を出しておったわけでございますが、道路事情が悪い、こういうことで今もって各戸には配達をされておられないわけでございます。  その後、道路事情も大変よくなりまして、ガードレールとかカーブミラーであるとか、金網、ネットを張ったりしながら、また舗装もやりながら山陽町の方も道路を改修してくれております。確かに急勾配、カーブの多い地域でございますけれども、実はここのところには既に宅急便、宅配便、こういうものが各戸に届いておるわけでございますが、交通困難地、八十五条適用地ということで、山陽町の今のところにおきましては今もって各戸配達がなされていない、こういうことでございますけれども、この辺の事情を掌握されておられますでしょうか。
  134. 桑野扶美雄

    ○桑野説明員 八十五条適用地につきまして先生御指摘のとおりでございますが、山陽町大字西中字高倉開拓につきましての実情は、先生今お話しのとおりでございます。
  135. 日笠勝之

    日笠委員 地元の山陽町の町長さんも、瀬戸局の方に、道路の方も直ったし、宅配便の方も、民間の方は一軒一軒配っておるではないかと。また、地元の九世帯の方々も、当然そういう強い要望を昭和三十五、六年から持っておるわけでございます。今後、こういうふうな八十五条適用地の中でも、道路事情がよくなった、宅配便、宅急便なんかが届いておる、こういうふうなところについて各戸配達というものをしていくという方向はいかがでしょうか。
  136. 桑野扶美雄

    ○桑野説明員 八十五条適用地の解除といいますか、郵便物を配達するようにしていくということにつきましては、比況の変化、つまり道路事情の改善等に伴いまして、従前からも条件に合うようなところにつきましてはその改善に努めてきておるわけでございまして、今後ともそういった当該地域の比況や通信力等を勘案しながら、私どもの力といいますか、事情の許す限り、改善につきましては図っていきたいと存じております。
  137. 日笠勝之

    日笠委員 あと、徳島県の方でございますが、徳島の江原局というところの管轄になるわけですが、東俣名というところに同じく五世帯ございます。ここも道路の方も大変改修しておりまして、バイクで下の取りつけ道路から大体七分ぐらいで上がってくるくらいの距離だそうでございますが、ここもまとめて配達をされておる。一軒一軒お願いをしたい、こういうふうな要望がある、このように聞いておりますけれども、この点の認識はどうでしょうか。
  138. 桑野扶美雄

    ○桑野説明員 脇町の東俣名日ノ久保、それから下雨夜、木戸野というのが先生今御指摘の地域でございまして、世帯数は五世帯ございまして、これも八十五条適用地になっております。
  139. 日笠勝之

    日笠委員 具体的に二カ所ほどお聞きいたしましたが、これは郵政省の方のお話によりますと、昭和五十年時代は全国でこの八十五条の適用地一万一千世帯ですか、あったそうでございますが、漸次御努力をされて改革をされまして、現在は六千世帯ほどと聞いております。  先ほどから私、申し上げておりますように、民間の企業がサービス精神を発揮して、郵便物、郵便の小包なんか届かないところでも、一軒一軒配達をしておる。いわゆる郵便法第一条、公平な提供ということ、第六条でございますか、公平な利用、こういうことを考えましても、本来は民間がする前に、独占事業でございますので、郵政業務として積極的に見直しをしていくということが大切なんではなかろうか、このように思うわけでございます。確かに、戦時配達中止と申しまして、戦争中配達人の人手不足ということでそのようになってから、今日まで四十年間も各戸配達されていないという地域もございます。  これは昨日の夕刊の記事でございますけれども、今東京都内で私設郵便というものが横行をしておる、中には違法すれすれのケースもあるということでございますけれども、これはなぜそういうふうな私設郵便なんかが起こって、いわゆるそれなりの営業として成り立っておるか、横行しておるかといいますと、これはやはり何といいましても、現行の郵便制度のサービス不足という盲点をつかれた、このように考えられるわけでございます。やはり、現在の利用者のニーズに合った、そういう郵便業務でなくてはいけないと思うわけでございます。  現在、全国六千世帯あるわけでございますけれども、各郵便局、また配達する現場の皆さん、それぞれいろいろと努力はしてくださっております。ここに、昭和五十九年四月一日号の「時の動き 政府の窓」という出版物がございますけれども、この中に「行政相談の現場からひとこと」というページがございまして、これは長野県の戸隠村のことでございますけれども、同じく、やはり人手不足ということで昭和十六年に郵便物の各戸配達がなくなった地域でございますが、ぜひこれも地元の皆さんの強い要望でお願いしたいということで、行政相談委員さんに持ちかけて、その行政相談委員さんが郵便局長さん、また監察局長さんとも相談をし、わずか四戸ではございますけれども、四戸の各戸配達ができた。ただし、冬の期間は道路凍結ということがございますので、その間は一応できない、こういうことでございますけれども、行政相談委員さんもそういう各戸配達ということで一生懸命取り上げてやっておられる。  そこで、大臣にお伺いを申し上げますが、全国六千世帯ございまして、確かに今もって交通困難地、舗装もされていない、バイクも上がらない、こういう地域もあるわけでございますが、現実に道路の補修もされている、舗装もされている、バイクも十分上がる、こういう地域においてもなおかつ、先ほど二つの具体例を申し上げましたけれども、各戸配達ということがなされていない、サービスが公平に行われていないという点もあるわけでございます。大臣、今後、現場の郵便局長さんや配達する方々を含めまして、もう一度この六千世帯の見直しをする時期ではなかろうか。先ほどの民間のいろいろな私設郵便とか宅急便、宅配便とか、どんどん食い荒らされていると言っては何ですけれども、侵食をしてきておるわけでございます。対抗上も、サービス精神を発揮して見直しをしていくときではなかろうか、このように思うわけでございますけれども、その点、いかがでしょうか。
  140. 左藤恵

    左藤国務大臣 八十五条適用地というものをだんだんと減らしていかなければならないというのは、御調のとおりでございます。地域の道路事情その他いろいろな問題でできなかった地域につきましても、今後ひとつ全国的に見直しまして、できるところから着手していきたい、方向としては、これは改善していく方向に努力をしたい、このように考えます。
  141. 日笠勝之

    日笠委員 ひとつ積極的に改善の方向で、今御答弁されたようにお願いを申し上げたい。一日千秋の思いで待っておられる地域が、具体的には二つしか申し上げませんでしたけれども、たくさんまだあるようでございますので、この点もあわせてお願いを申し上げておきたいと思うわけでございます。  続きまして、郵便局員の特に外務員の方々の不正事件ということについて、若干お伺いをしたいと思います。  これは一番新しいニュースで、もう既に新聞報道されて皆様御存じでございますが、品川郵便局の外務員の方が、約一億円余りの架空の保険でっち上げということで詐取をした、こういう事件で懲戒免職をされておられる事件が大きく報道されておりました。車ほどさように、毎年郵便局員の方々、まじめな方が大変多いわけでございますが、一部の心ない方々の不正事件というものが、新聞、マスコミ等々をにぎわしておるわけでございます。会計検査院の方の「会計検査のあらまし」という本がございますけれども、それにも毎年何件か必ず不正事件のあらましが報告をされておるわけでございます。  それで、昭和五十八年に大臣訓示がなされました。これは、昭和五十七年に五億五千万といういまだかつてない不正事件、これは赤池郵便局の三億六千万という大変大きな不正事件がありましてその影響だと思いますけれども、五十八年の八月に、大臣訓示としてこれに対する訓示が発せられたわけでございます。その後、先ほど言いました一億円の詐取事件も最近ございました。どういうふうな対策を議しておられるか、あるいは内部監査はどうなっておるか、職員の日常生活というものはどのように、チェックと言うと語弊がありますけれども、上司の方々はされておられるか、その辺のところにつきましてまずお聞きをしたいと思います。
  142. 陣野龍志

    陣野説明員 郵便局員によります不正行為が目立っておりまして、大変残念なことでございますが、郵便局におきましては、郵便、貯金、保険、それぞれの業務につきまして、金銭を取り扱う仕事が非常に多うございます。この検査院で御指摘になりました不正行為は、こうした金銭を取り扱う出納員を命じられている職員が行ったものでありますけれども、何世、そうした出納員の任務を持っておる職員の数も十万人を超える数かと思いますし、また日常の金銭の出納の件数にいたしましても、これも何千万あるいは何億回という多数に上るものでございます。そういうことで、日常のこうした取り扱いの中で、事故を生じさせましたり、あるいはまた不正行為に及ぶことのないように、日常の業務の取り扱いそのこと自体につきまして、いろいろと監査、検査の体制を現業の郵便局の職場自体に用意をしてございます。  そのほかに、部内の内部監査といたしまして、会計事務そのものにつきましては経理部の監査をいたしますし、業務面の取り扱いを含めまして、郵政監察官が毎年郵便局業務実態につきまして定期的な考査をいたしますとともに、状況によりましては、特別にテーマを立てまして考査をするといったようなこともいたします。  また、地方の管理機関であります地方郵政局におきましては、それぞれ各事業部門を挙げて、局全体としまして、郵便局のこうした不正行為が起こらないようにいかに対処するかというふうなことを協議します機関を設けてもおりますし、またそれも活発に協議を重ねる、あるいは対策を講ずるということもいたしておるわけでございます。  また、二万余の郵便局でございますので、これらの機関を統括します郵便局長あるいはまたその下におります管理職の課長諸君といいますか、こうした人たちが、こうした内部の検査、監査の組織が十分に機能しますように心がけるとともに、先生御指摘のような職員の心の問題と申しますか、犯罪を起こさない、不正行為を起こさない、あるいはまた同僚に起こさせないというふうな、防犯意識とでも申しましょうか、そういうふうな意識の徹底を常々図るというふうなことなどもいたしておるわけでございます。  いずれにしましても、毎年こうした不正行為が出ておるわけでごさいまして、大変残念なことでありますし、その発生の都度たびたび反省、検討を加えまして、いろいろと施策を講じてまいっておりますし、これからもまた努力してまいりたいと思っております。
  143. 日笠勝之

    日笠委員 五十八年八月、二年ほど前に大臣訓示が発せられたわけですけれども、ごく最近一億というふうな大変大きな詐取事件もありますし、大臣としてその辺の訓示とか通達とか、何かそういうお考えはございますか。
  144. 左藤恵

    左藤国務大臣 こうした不正行為は撲滅しなければ、郵政事業の信用というものも著しく傷つけることになりますし、さらにまた、利用者の皆さんにも御迷惑をおかけするというふうなことに対して、国民の皆さんに申しわけないという立場から、ただ訓示を出すとかそういうことだけでなくて、実効の上がるような方法を具体的に考えていって、もっといろいろな業務考査、いろいろな監査、そうしたものの内部監査も徹底する、いろいろな面で犯罪の撲滅に全力を挙げなければならない、このように考えているところでございます。
  145. 日笠勝之

    日笠委員 これは会計検査院の方からいただいた資料でございますが、昭和四十九年五月から身元保証人制度が、人事院の方からしなくてもいいということでなくなっているわけでございます。きょう来ていらっしゃる郵政省の皆様方は、それ以前に入省された方々でございましょうから、郵政省に入られたときには、身元保証人というので恐らく一人か二人の方に判こを押していただいて入っておられると思うのですが、これは人事院の方は成績主義でいきたい、身元保証人がないから採用しないということでは差別にもなるし、優秀な人材も採ることができない、こういう観点から、昭和四十九年五月から身元保証人制度はなくなっているわけでございます。現在は、国家公務員法第九十七条の服務の宣誓のみでございます。  私は、金融会社、保険会社、証券会社、こういうお金を取り扱う民間会社の何社かに、お電話でございますけれどもお聞きいたしましたらば、採用の際は、特にこういうお金を扱う民間会社は、身元保証人、また連帯保証人とか、こういうものをやはり厳しくとるんだ、こういうふうに言っておられたわけでございます。  先ほどの人事院の方の成績主義で優秀な人から採っていきたいということで、身元保証人がないがゆえに採用できないとか、こういうようなことはやはりあってはならないと思いますけれども、このように身元保証人制度はなくなっているわけでございます。会計検査院の方からいただいた資料によりますと、先ほど言いました昭和四十九年五月からなくなっております。  これは古い資料で、もうないのだそうでございますが、昭和四十五年、四十六年、四十七年あたりのいわゆる会計検査院の方で指摘されました不正金額、そしてそれに対する今もって未補てんの額、これだけの金額を不正したけれども、これだけの金額はまだ補てんされていない、こういうふうなデータをいただいておりますが、昭和四十五年は六二%ぐらいでございます。四十六年は〇・一%ですか、ほとんど返っておるわけでございます。四十七年は四七%、四十八年が三三%、若干ばらつきはございますが、まあ三〇%、四〇%。四十五年がちょっと多いようですが、六二%という程度でございます。  四十九年五月以降、直近の一番新しい昭和五十四、五十五、五十六、五十七、五十八年の五年間ぐらい、いわゆる身元保証人制度がなくなってからの不正金額に対する未補てん額は、例えば昭和五十四年は六四%、五十五年は六〇%、五十六年は七〇%、五十七年は八五%、五十八年は七八%と、大変高率で推移をしておるわけでございます。  採用するときに、この身元保証人とか連帯保証人というのは恐らく身内の方、親戚の方がなるわけでございますが、そういうものがその人の日常生活というものをある程度チェックをしていく防止機関になっていたのじゃなかったのだろうか、このようにも考えるわけでございます。この四十九年五月以前と以降と比べると、この会計検査院からいただいたデータでは、先ほど申し上げましたような、そういう違いがございます。身元保証人制度があった時代は割と補てんができておったが、なくなって、大変高率で補てんができていない。六割、七割、八割という年もございます。  そういう意味におきまして、現金を扱うそういうふうな国家公務員に準ずる方、――国家公務員の方々については成績主義で入れることは大変いいことでございますし、身元保証人がなくても成績主義では入れるのだけれども、極力、身元保証人、連帯保証人を民間会社と横並びで今後は求めていくとか、そういうふうなことが一つの不正防止にもなるのではないか、このようにも考えるわけでございますが、その点のお考えはいかがでしょうか。
  146. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、郵政省にもかつて身元保証人の制度がございました。しかし、この身元保証人の制度は連帯保証人の制度と同一ではございませんで、いわば身元保証人を立てることによりまして、職員の保証人に対する道義的な責任を感ぜしめることによって、いささかなりとも不正な所為を防ごうという趣旨でございました。  しかし、先生も先ほどおっしゃいました。ように、職員の採用につきましては、いわゆる任免の根本基準というのは、あくまでもその人の成績といいますか能力に基づいて、厳正かつ公正に採否を決めるという趣旨が公務員法上の大原則になっておりまして、その趣旨に照らしてみますと、身元保証人を立てる立てない、あるいはどのような人を身元保証人に立てるかというようなことが、あたかも職員の採用の要件であるかのごとく誤解されるというのは、公務員法の精神からいっても適当ではないということで、四十九年に廃止をいたした次第でございます。
  147. 日笠勝之

    日笠委員 今の御趣旨はよくわかるのですが、民間会社では厳しくやっていますね。民間会社では成績主義じゃないのかというと、これはまた語弊があると思いますし、それから、身元保証人だから道義的責任だけだというふうな今お話がございましたけれども、現実には両親であるとか身内の兄弟なんかにも、不正があった場合本人が支払い能力がなければ、道義的責任ということで少し協力をしてもらいたいというのでしょうか、穴を埋めてもらいたい、こういうようなことでやっておられますね。  そういうような意味におきまして、特に現金を扱う分野というのは官業の中にはそんなにないわけでございますので、もし身元保証人制度ができないなら、何らかの歯どめ策というものをお考えなのか。郵政省の場合は、特に簡易保険を含め、年金だとかいろいろ現実にお金を扱う部署があるわけですので、そういうことでの歯どめというもの、それにかわるようなものは何かお考えでしょうか。
  148. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 先ほども申し上げましたように、職員に保証人的なものを立てさせることによって不正な行為を防止するということにつきましては、民間と違いまして国家公務員法の強行規定がございますから、それに触れるようなことはできないと思いますが、やはり現金を扱う郵政事業にとりまして信用を失墜する一番大きな犯罪の防止というのは、まず何をおきましても、事務の取り扱い上不正が起こらないような正規取り扱いの手続を決めますと同時に、お互いに内部監査をしっかりいたしまして不正行為が起こらないようにする。  同時に、職員の防犯意識という話が先ほどもございましたけれども、私ども、日常の職場におきましても、あるいは研修所の訓練におきましても、機会あるごとに犯罪の防止ということについて職員に対して注意喚起をいたしているところでございまして、そういったいろいろな措置を総合的に実施することによりまして、部内者犯罪の減少に努力してまいりたいというふうに考えております。
  149. 日笠勝之

    日笠委員 時間も来ましたので、不正を防止し、国民の信頼にこたえられるような郵政業務でありますようにお願いを申し上げて、終わりたいと思います。
  150. 安井吉典

    安井委員長 次に、貝沼次郎君。
  151. 貝沼次郎

    貝沼委員 今不正行為につきまして議論が出ておりましたが、私、実はこういう質問をやりたくないんですね。国営事業でありますから、国の信頼を一身に担ってやっておるところの職員が、こういう問題で信頼を落とすということは本当は言いたくない。言いたくないけれども、これがなくならない。先ほどの答弁を聞いておりましても、質問を聞いておりましても、これがなくならない。何でこんなことをいつまでもいつまでも続けなくてはならないのかということで、いや応なしにこの不正行為の問題を言っておかなければならないという嫌な立場なんですね。聞く方も嫌だ、皆さん、答える方も嫌なんでしょうけれども。  そこで、今ちょっと見てみました。五十三年度でありますと、会計検査院の報告書によると三十六件で、そして損害額が一億一千九百万。細かいことはいろいろありますが、ざっとそれぐらい。それから五十四年度になると、これは十七件に減っておりますが、損害額は一億四千六百万ぐらい。単位は円です。それから五十五年度になるとまたふえて二十七件、金額も二億五千百万円以上です。それから五十六年度になると三十一件で、一億四千五百万をちょっと超えていますが、大体それぐらい。それから五十七年度は、ただいまお話がありましたように二十九件でありまして、金額で五億五千四百万と大きいわけです。それから五十八年度は、三十九件とまたふえておりまして、三億五千三百八十万くらいでありますから、やはり金額も大きい。こういうように、いろいろな手を打ち、いろいろな訓辞も垂れ、また対策も講じておると言うけれども、この数字を見る限りでは余り効果はありませんなということを言わざるを得ないわけであります。  そこで、先ほど来いろいろと御答弁があり、例えばいろいろな手を打ってきているのだけれども、扱う人数が多いとか、あるいは金銭に直接携わっている人が多いからなかなか難しいんだという答弁のようですけれども、日本の国の信頼ということを担った上では、ただ単なるそういう答弁では済まされない段階に来ておるのではないか、こういうふうに私は考えるわけでございます。この点について郵政省としてはどういうふうにお考えか、どう受けとめておられるのか、この点を伺っておきたいと思います。
  152. 陣野龍志

    陣野説明員 御指摘のとおり、決算検査報告に掲記されます不正行為、件数も金額もかなり大きい数字になっておりまして、大変残念でございますが、先生御指摘のように、これらの不正行為はやはり一件も発生すべきでないというふうに思うわけでございます。  そのためにいかに対処すべきかということでありますが、単に職員の防犯意識を徹底させるというだけではなくて、内部の監査体制あるいは検査の利用といいますか、そうしたチェックのシステムをその都度見直しをいたしますとともに、仕事の仕方といいますか、流し方自体、金銭を扱うわけでございますから、現在の利用では果たして十分かどうかということも絶えず反省を加えます。  また今日、金銭の処理につきましても、あるいは私どもの郵便貯金、保険、これらの業務全般にかかわるわけでございますけれども、機械を導入しまして処理するということが進んでおるわけでございますが、そうしたコンピューターその他の機械を積極的に導入する、あるいはそういう機械力をもちまして従前はできなかった量の監査の作業も処理するというふうなことなど、いろいろと工夫をしてやっておるわけでございますが、これからもそうした方向でいろいろと研究工夫を加えまして、何とか一件でもこうした不正行為がないように努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  153. 貝沼次郎

    貝沼委員 その決意はそれで私は正しいと思います。ただ、そうならないのはなぜかなと思ったのです。先ほど話が出ておりましたように、一つは、最近郵政関係の事件では金額が多くなってきているということです。例えば今お話があった一億円の金をごまかしたという、どういう手口でやったのか、これは警察当局が調べておることですから私はよくわかりませんが、少なくとも新聞の報道によると、保険を契約した人から三カ月前納をやればそれだけのメリットがありますよというようなことで金をもらって、領収帳に印を押すわけですけれども、これがどうも押されていないらしい。ですから、お金だけがさっと渡っておる。そしてまた、それが郵政の方に入っていない。したがって、受入票の方も恐らく入りてないのですね。そういうことで、どうも考えられないことが起こっておる。しかも、前納したということが領収帳に印を押してないわけですから、それを今度はほかの人に見せて、この人のかわりにあなたが三カ月分を前納してあげればそれだけ配当がつきますよということで、ほかの人に話を持っていって前納させて、そのお金をまた懐へ入れて、そうしてこれが一億円とかという金額になってきておるわけです。私は、新聞を見る範囲ではどうもそういうやり口ではないか、こう考えるわけですけれども、当局はどんな見方をしておりますか。
  154. 陣野龍志

    陣野説明員 先生御指摘の先日品川郵便局の天職員によりまして起きた犯罪について御説明いたしますが、現在捜査をしておりますのは、私ども郵政監察官が捜査できない、警察官が捜査をする、私ども一般犯罪と申しておりますが、その一般犯罪に属します詐欺事件でございます。  御指摘のこの元品川郵便局職員は、現在警察で捜査しております犯罪のほかに、郵政犯罪、私ども郵政監察官が捜査をいたします犯罪を実行いたしまして、その概略を申しますと、在職中の昭和五十八年十二月六日から五十九年の十二月十一日までの間に、保険契約者から保険料を受領しながら受け入れ経理しない、あるいは保険契約者から貸付弁済金を受け取りながら、これを正規に受け入れ経理しないで着服する、こういう方法によりまして合計八百三十三万六千七百七十円の金額を横領したものでございます。  この郵政犯罪の捜査中に、これらの今申しました事件につきましては、関東郵政監察局が捜査を行いまして、六十年の三月一日から四月十一日まで順次地方検察庁に送致いたしまして、現在公判審理中でございますが、この犯罪の捜査中に御指摘のような一般犯罪が発生いたしまして、これを警察に通報したわけでございます。今警察で逮捕しまして捜査を始めたところでございますので、私の方は詳細は存じておりません。     〔委員長退席、井上(一)委員長代理着席〕
  155. 貝沼次郎

    貝沼委員 その話は監察局の方でやったことですから、この場合は二つ犯罪があるわけですね。一つは、そういうふうに監察局で調べられる範囲、それからさらに今度は警察の関係、こう両方なっておりまして、はっきりしたことはまだわかりませんけれども、ただここで問題になりますのは、金をいただいたときに領収印を押すわけですが、その領収帳というものを集金に行く人たちが持っておったということのようなんですが、これはいかがなんですか。
  156. 陣野龍志

    陣野説明員 郵政犯罪の保険料の業務上横領の手口でございますが、先生御指摘の今の犯罪の手口でございますけれども、保険料につきましては、保険契約者から前納保険料の払い込みを受けた際に、これはやっちゃいけないのですけれども、便宜、仮領収証を発行いたしまして保険料を受け取る、これを郵便局へ納めないで着服したというものでございます。また、貸付弁済金の横領の方は、契約者から貸付弁済金を受け取りました際に、正規の弁済金、利息、延滞金の受領証、受取を発行しませんで、これをまた便宜、仮の領収証を発行しまして、受け取った弁済金を郵便局へ納めないで着服したというふうな手口でございます。したがいまして、先ほど申しましたように、警察の方で捜査している犯罪の手口とこれとの関連につきましては、詳細は承知しておりません。
  157. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういうふうに領収帳がお金を出す人、いわゆる契約しておる人のところにないわけですね。どうも集金に行く人が持っていた。そしてそこに判を押して、はいあなたのものは受け取りましたよと見せたのではなくて、仮領収帳で渡しておる、こういうことですね。ということは、そういう領収帳というものは、これはいけないのですけれどもと今言葉がありましたが、それは預かってはならないという規定は明確にございますか。
  158. 大友昭雄

    ○大友政府委員 保険料を納めていただく、払い込んでいただく方法は、先ほどからお話のございますように、郵便局職員が受入票を持参をする、お客さんにあらかじめ郵便局の方から送っております領収帳と対査をして、お客さんの面前で保険料を受け取り、両者を突合して両方に受取印を押し、受け印を押して、本来お客さんが所持していただく領収帳を、その場でお客さんに領収証の代用といいますか、領収を証明するものとしてお返しをする。郵便局へ持ち返りますのは、郵便局から持ち出した受入票というものを、お客さんから預かった保険料と一緒に持ち返り、それを局で監査をする、こういう形でございます。  御指摘の領収帳を外務員が預かるということは、私ども、便宜預かりということで厳に禁止しているところでございます。
  159. 貝沼次郎

    貝沼委員 ところが、禁止してあってもそれを実行しておった場合に、その日わからない、こういうことなんですね。ですから、その辺にもうちょっと手を加えるところがあるんじゃないか。  それから、これは去年ですか、霞が関郵便局、十万円とこか打っちゃったから、金を余計もらった人はおりませんかといって手紙を出したんですね。戻ってきたのかどうか、恐らく戻ってこなかったんだろうと思いますが、我々から見ると、十万円というのは大変なお金なんです。これは、郵便局でだれに払ったかわからない、そうして、あなたが来たようですから、ひょっとして十万円余計もらっておりませんかと手紙を出した。今、手紙を出して返ってくるような世の中じゃないのです。そういう面が非常に甘いんじゃないか。  時間がありませんので、先ほど大臣が具体的なそういうものも詰めて研究したいというふうな答弁があったようですので、これ以上申しませんが、ただ一つ申し上げたいのは、郵便局の場合、ちょっと書くことが多いんじゃないかと思います。例えば郵便局へ行って現金書留、さっき私、送ったのですけれども、現金書留でも、これは同じようなことを何カ所書くのですか。受取人の氏名を三回書くわけですね。それから、差出人だって二回も書かなくちゃならぬ。振替にしたって同じことを書かなきゃいけない。ところが、民間の場合は全部複写になっておって、そんなもの一回書けばいいわけですよ。何でこういうことをいつまでもいつまでも同じようなことをやっておるのか、私はどうも解せない面があるわけです。こういうことは少し検討して改める一つの考え方はありませんか、これは大臣に伺っておきましょうか。
  160. 大友昭雄

    ○大友政府委員 保険料の集金の方法につきましては、先ほど御説明したとおりでございますが、局の方から持ち出します受入票と、お客様にあらかじめお渡しして集金の都度突合する領収帳とは、収納金額が保険料は月額一定でございますので、あらかじめ金額は打ち込んでございます。先ほど犯罪の手口として御説明申し上げた仮領収帳は、たまたま集金に伺ったときにお客様が何らかの事情で領収帳を提示できないというときに使用する用紙として、外務員に携行を認めているものでごさいます。これは金額の記入は、その都度受入金額を記入する形になっておりますので、御指摘のような事例が起こり得る可能性が強いということにかんがみまして、複写式にこれを改めました。
  161. 左藤恵

    左藤国務大臣 現金書留のような問題につきまして、今同じようなことを幾つも書かせるというようなことにつきまして、このたび郵便法の改正を御審議いただきました。そのときに、そういった点についてもう少しサービスといいますか、そういうような点で配慮する点がないかということについて検討して法案を提出したわけでございますけれども、その際に、さらにもう少し積極的にサービスできるような余地も、この法案でお許しをいただくような形をいたしましたけれども、なお今のような問題について、国民の立場と申しますか、そういうようなことで、利用していただきます立場に立った郵便行政というものをもっと検討しなければならない、のように考えておるところでございます。
  162. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間が参りましたので、終わります。
  163. 井上一成

    井上(一)委員長代理 次に、滝沢幸助君。
  164. 滝沢幸助

    滝沢委員 委員長、御苦労さまです。大臣、御苦労さま。  私は、質問いたします前に、一言謝意を表しておきたいと思います。  実は昨年、第百一国会におきまして三月の予算委員会一般質問、そして三月十二日の予算委員会の第七分科会におきまして、私は、第三種郵便の取り扱いの規定に関しまして、非常に取り扱いが厳しくなりましたために、一千部に達しない雑誌等が廃刊のやむなきに至っている事実を取り上げまして、これを五百に下げることはできないかと、こう申し上げましたところ、大変御理解をいただきまして、文芸雑誌、同人雑誌等に限り五百部でよろしいというふうに省令の改正をいただきまして、実は文芸団体、雑誌協会等から、大変に感謝をしておる、その旨をぜひとも郵政大臣に伝えてほしいということがありまして、奥田前大臣の英断と私は存じまして、心から敬意を表し、この旨をどうぞひとつ前大臣にもお伝えをちょうだいしたいと存じます。  さて、私は、きょうは決算委員会ということでありますから、少し決算年次たるべき五十八年の状況を中心としまして数字を読ましていただきますると、郵便事業は、五十六年末までに大体累積の赤字というものが一千三百二十億あると承っておりました。しかし、これは五十七年度におきまして、企業努力といいますか、大変勉強していただきまして、七百八十一億が単年度としては黒字になりまして、都合、累積の赤字が五百三十九億にとどまったと聞いております。しかし、五十八年度のこの状況の中で三百三十八億が単年度としては黒字になるのではないか、なるということで、今の累積の赤字は二百一億と拝見いたしております。  そのような流れの中で、五十九年度状況は、当初百五十五億ぐらいの赤字と見ていらっしゃったと承っておりまするけれども。これも大変御勉強いただきまして、いい方向に転じておると漏れ承っております。なれば、これが五十九年度におきまする決算の見通しといいますか、今日予測できる状況はいかがなものでありましょうか、ひとつ承っておきたいと思います。
  165. 高橋幸男

    ○高橋(幸)政府委員 お答えいたします。  五十九年度決算につきまして、ただいま計数取りまとめ中でございますので、はっきりした数字を申し上げられないことを冒頭におわびしておきたいと思うのでございますが、ただいま委員指摘のように、五十九年度決算、大まかな見通しといたしましては、予算で百五十五億の赤字を予定していたわけでございますが、ただいまの段階では、この百五十五億の赤字は消し込めるのではなかろうかという感じでございます。     〔井上(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  166. 滝沢幸助

    滝沢委員 大変、労使双方の努力の結果であろうと思いますが、大臣、このように最近、いろいろと今も御批判はありましたけれども、郵政事業というものは大変にいい方向に全体としては来ているのではないかと思うのであります。これがいわば黒字に転換しつつある、少なくとも単年度としては赤字が出なくなってきているという状況につきましては、この要因は何であろうというふうに御理解でありましょうか。
  167. 高橋幸男

    ○高橋(幸)政府委員 ただいま申し上げましたように取りまとめ中でございますので、どこからどういう形でどれだけの黒字要因が出てくるのか、つまびらかでございません。委員指摘職員の企業努力というふうなものも、その原因の一つではなかろうかとは推察されるところでございます。
  168. 滝沢幸助

    滝沢委員 今おっしゃっていただきましたとおり、私は何といっても、赤字赤字で来ましたものが少なくとも単年度黒字に転換する年次が多くなってきた、この現実はやはり労使双方の努力というものを見逃してはいけないと思うのであります。  ところでもう一つ、しかしここに心配なものがあるわけでありますけれども、どうも最近のテンポを見ておりますと、五年ごとにというように郵便料金の値上げの周期がやってくる、こんなふうに思うわけです。というようなことを見ますと、今年ないし来年度あたりに郵便料金の値上げの季節がやってくるかな、こういうふうに思うのだけれども、この辺はどうでございましょうか。
  169. 左藤恵

    左藤国務大臣 郵便事業の健全な経営を図るために、これまでもニーズに即したサービスというものを心がけて、その需要の拡大に努力をしてまいりました。今御指摘いただきましたように、予算上は非常に厳しい状況ではございますけれども、ここ一、二年の状況を見ますと、そうした効率化と申しますか、そういうものが非常に進んでまいっておりますので、今後ともその健全な経営という点で努力いたしまして進めてまいりたい、このように考えております。  今国会で、先ほども申しましたが、郵便法の関係の二法を改正していただきましたこともございまして、そうした積極的な施策をして、例えば郵便の小包の問題につきましても、電話をいただいたらそれを出かけていっていただいてくるとかいうふうなこと、あるいは壊れやすい物につきましても取り扱いを注意してそういうものを配達するとかいうような、そうした積極的な、お客様のニーズに沿ったサービスというものを開発していくことによって、何とか今の問題、値上げをしないような形で進めていかなければならない、このように努力をいたしたいと考えておるところでございます。
  170. 滝沢幸助

    滝沢委員 つまり、当分の間値上げはないと理解してよろしゅうございますか。
  171. 左藤恵

    左藤国務大臣 そういうように努力をいたしたい、このように考えておるところでございます。
  172. 滝沢幸助

    滝沢委員 そこで、先ほどから承っておりますとおり、経営はややいい方向に転じつつある、しかもその要因たるや、いろいろのことはありましょうけれども、見逃してならないのは労使双方の企業努力、これにあると私は理解します立場におきまして、ちょうど今が仲裁裁定の出てくる時期でありますけれども、どうかひとつ、今年度におきましては仲裁裁定の完全実施ということに決意をしてちょうだいしたいと思うのでありますが、これはもちろん、政府全体のいろいろな立場がありましょうけれども、大臣としての決意を承っておきたいと思います。
  173. 左藤恵

    左藤国務大臣 賃金の問題につきましては、今もお話ございましたように、職員一人一人の努力によって今日の経営というものができていくわけであります。そうした立場からも、最も重要な労働条件であります賃金の問題について、職員の勤労意欲に影響するところが非常に大きいわけでございますので、お示しいただきました仲裁裁定の問題につきましても、仲裁裁定が示された場合には早期に円満解決するために誠意を持って努力をいたしたい、このように考えておるところでございます。
  174. 滝沢幸助

    滝沢委員 誠意というものは言葉で示すものではありませんで、やはり物と一緒に示すべきものでございまするから、どうかひとつ完全実施に向けて大いなる御努力を期待しておきたいと思います。  さて、そのようなことにまつわるサービスの向上等のことについても、幾つかの御提案を申し上げたいと思いますが、その前に、このたびの日米通商摩擦解消の問題について二、三お尋ねさせていただきます。  実は、この日米通商摩擦の解決の一環としまして日米通信協議というものが持たれまして、日本側は大幅な譲歩を余儀なくされたと聞いております。その中で、通信機器の安全基準というものが相当に緩和をしなければならないということになっていると聞いておりますが、このときに日本の通信の秩序というものが混乱することはないのか、こういうことを心配するわけであります。特に、これが利用者に対して不便が生ずるというようなことはないのかどうか、心配するわけでございます。いかがでしょうか。
  175. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 今回の見直しは、電気通信の端末機器の基準については、今後ネットワークの損傷防止を主眼として一題の簡素化を図る、こういう政府の対外経済対策に基づいて行ったということでございますが、その結果、技術基準につきましては、通信の秘密の確保、あるいは電話が確実につながるということの保証、あるいは人体の安全の確保、それからネットワークの保護、こういう観点から必要な項目というのは、現在行っているとおりこれは守っていただくということにいたしまして、利用者の選択にゆだねる余地のある項目については、削除をしようという考えで整理をしたわけであります。したがいまして、通信の秩序を維持するために必要な項目というのは引き続き規定が残っているわけでありまして、通信の秩序の混乱が生ずるというようなことはございません。また、利用者に不便を生ずるというおそれもないというように私どもは考えているわけであります。  なお、今回、通話品質に関する項目というものを削除いたしましたけれども、これにつきましては、既に今までの電話機というのが六千万台設置をされているという事実がございますし、また、電気通信事業者、現在行っているのはNTT一社でございますけれども、この伝送路の回線部分、こういったものの品質というようなものは従来どおり維持をしていくというようなこと、それからなお、品質の悪い電話機というものが出場いたしましても、これは利用者の選択あるいは市場原理ということによって自然淘汰されていくであろう、こういうふうに私どもは考えておりまして、我が国の電話の品質というものが低下するというおそれはほとんどないのではなかろうか、こういう判断に基づいたものでございます。
  176. 滝沢幸助

    滝沢委員 そこで、実はこのたび電電公社が民営化されまして、これは大変歴史的改革だと一面においては評価をし、一面においては危惧するものでありまするけれども、これに対しまして、資材調達協定を延長して適用されるということになりますか。
  177. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 電電公社の経営形態が公社から株式会社に変わったという変更に伴いまして、今まで協定を取り決めてまいりました日米の政府間取り決め、それからガット政府調達協定の扱いというものをどうするかというのは一つの問題であったわけでありますけれども、現行の日米政府間取り決めの有効期限である昭和六十一年度末までは現状どおりということで、それを適用していこうということでございまして、特段延長するということではないわけであります。  新電電が株式会社になったとは申しましても、特別法に基づく特殊会社であるということ、そういう観点、また事業者たる新電電自体、経営形態変更後も内外無差別の競争的な調達手続というものを確保していこうという意向を持っているというふうに私どもも承知をいたしておりますし、いま一つ、政府調達協定というのは各国のオファー類のバランスの上に立っている、各国でどのくらいの額というものをというようなことのバランスの上に成り立っているわけでありまして、新電電が抜けるということになりますと、かなりの部分というものが日本としての調達額が減るという形もございまして、その場合の代償措置ということが必要になってくるというようなこともございます。  こういった点を踏まえまして、政府の調達協定あるいは日米取り決めの扱いについて、冒頭申し上げたような、現行どおりでいこうということでありますけれども、その後どうするのだということにつきましては、現段階では白紙でございまして、今後政府間において検討していく課題であろうと思っておるわけであります。私どもといたしましては、新電電も引き続き良質で安価な製品というものを内外から広く求めるということによりまして、より良質の電気通信サービスというものを国民に提供していくということを期待をいたしているところでございます。
  178. 滝沢幸助

    滝沢委員 わかりました。  なお、アメリカはポケットベルの業務を行う、こういう面にもいわば意見を出してきておりまして、つきましては電波法の規制の緩和ということを求めてきている模様でございますが、これらに対する対応はどのように進んでおりますか。
  179. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 電波法は、混信から保護するというような、あるいは電波の有効利用という観点からルールを決めているものでございますけれども、いろいろな手続等は透明、内外無差別という原則に基づいて十分配慮されているというふうに私どもは思っておりまして、米国からもお尋ねのような規制緩和という話は、私どもは直接は伺っていないわけであります。  なお、ポケットベルにつきましては、これは今まで電電公社のみがある意味では独占的にこれを提供してきたということでございますけれども、この四月から新規参入というものができるような新しい体制になりまして、今後このポケットベルというような、電波を用いる電気通信事業も新しく事業参加ができるように、ということで、こういう法の改正の精神にのっとりまして、私どもはこういったものについても新しい事業体が取り組むことができるように、あるいはより高度なサービスが提供できるように、いろいろ今準備をしているというのが実態でございます。
  180. 滝沢幸助

    滝沢委員 次に、アメリカが通信衛星を日本に売るといいますか、日本が購入するといいますか、こういうことによりまして、日本におきましては電波の周波数の割り当ての変更が必要となってくるというわけでありまするけれども、それにつきましてどのような対応をお考えでありましょうか。
  181. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 電波の周波数につきましては、国際的にその用途が定められている、また、各国はこの国際ルールの枠内でそれぞれの事情に応じて利用を図っていくということが原則でございます。  今お話しの通信衛星の問題でございますが、この通信衛星に使える周波数といたしましては、俗称でございますけれども、Kuバンド、Kaバンド、こういう二つのバンド幅、周波数帯がございます。それで、特にKuバンドにつきましては、我が国では大部分が地上のマイクロ回線に使われているという事情がございます。そこで、Kuバンドを通信衛星に使う場合には、地上で使っている電波の利用と混信が生じない措置を講ずるということが当然必要になってくるわけであります。  したがいまして、通信衛星を使って電気通信事業を行う、通信衛星利用のための電波を割り当ててほしいという話がございますれば、私どもとしては、地上との混信対策がとられる等の措置が講ぜられるならば、これは通信衛星に使用させていこう、こういう考え方を既に表明いたしておるところでございます。  こういった方針は従来からの方針でございまして、特に方針を改めたということでもございませんので、ニューメディアと言われる衛星を使っての電気通信が今後発展できるように、周波数の有効利用という観点からも、私どもとしてはそういう対応をとっていこうと考えているところでございます。
  182. 滝沢幸助

    滝沢委員 そのようなことですが、それによって我が国の電波秩序が乱れるというような心配はありませんか。
  183. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 ただいまも御説明申し上げたわけでありますけれども、ポケットベルにいたしましても、通信衛星の利用ということにつきましても、電気通信分野に新規参入を行ってもらう、そして競争原理を導入することによってよりよい電気通信サービスというものが日本全国に行われることを前提にした措置でございまして、電波法の変更を来すとかあるいは今までの周波数割り当て方針を変えるというようなことではございません。さらに一層効率的な使用を図るという観点で行っているものでございますが、なお、先生御指摘の電波秩序の混乱というようなことが起こることのないように、その点についても今後とも十分配慮してまいりたいと思っておるところでございます。
  184. 滝沢幸助

    滝沢委員 このことの最後に、放送衛星のゆり二号ですか、これの打ち上げが延期されましたね。これはどのような原因でありますか、また、今後はどのようにこのことを進められるのか、承っておきます。
  185. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 放送衛星ゆり二号のaは、昨年一月二十三日にNHKの難視聴の解消等を目的として打ち上げられたところでございますが、その後四月並びに五月の初めにかけまして、三系統を予定しておりました放送チャンネルのうち一系統が故障を起こしまして、五月十二日の実用放送開始以降一系統のみで放送が行われるという、異常な状態になっております。それを受けまして、直ちに宇宙開発委員会ではその原因究明に取りかかったわけでございますけれども、昨年十月十七日に宇宙開発委員会の放送衛星対策特別委員会がその原因につきまして一定の結論を出したところでございます。  原因の詳しい内容は御説明を省略させていただきますが、いずれにいたしましても、その原因究明結果に基づきまして、関係機関に、おきましては、直ちに予備機であるゆり二号bに所定の措置を施しまして、今日まで所要のテストを繰り返してきているところでございます。その過程におきまして、三系統の中継器、厳密に申し上げますと進行波管と言うわけでありますが、三つの進行波管のうち一本が若干ふぐあいを起こしかけましたので、予備のもの、スペアと取りかえを行いまして、本年三月十七日に、三系統の進行波管がそれぞれ単独の形では異常なくテストを終了したところでございます。  しかしながら、ゆり二号aの故障によりまして国民の皆様に多大に御迷惑をおかけした反省にかんがみまして、国会におきましても、ゆり二号bの打ち上げにつきましては慎重の上にも慎重を期して、二度とこのような失敗を犯すことのないようにという御指摘をたびたびいただきました。そうした各方面の御意見を踏まえまして、これまで予定しておりませんでした三系統の進行波管を全部組み立てまして、組み込み実験を非常に過酷な条件のもとに徹底的に一カ月ぐらいかかってやってみようということで、今それを継続しております。  そのために、当初予定しておりました今年夏の打ち上げの時期がおくれるような羽目になったわけでございまして、つい先日、五月十五日に開かれました宇宙開発委員会の席上におきまして、約半年間打ち上げをずらす、来年の二、三月ごろ、つまり六十年度の冬季に二bを打ち上げることに、決定されたわけでございます。当初予定いたしました計画がおくれたことにつきましては大変申しわけないと存じますけれども、二度とこのような故障を再演しないための措置ということで御了承を賜りたいと思います。  なお、半年おくれることによります影響でございますが、ゆり二号aの方が幸い一系統順調に動いておりますので、半年おくれによりますNHKの放送の今後におけるスケジュールの変化、狂いというものはない予定でございます。
  186. 滝沢幸助

    滝沢委員 大変難しい作業でありましょうが、どうかひとつ成功しますように御努力を要望しておきたいと思います。  さて、空の話はこの程度にしまして、今度地上の話に返らしていただきます。  電話の発達は大変なことでありまして、電電公社があのようなことで民間資本を導入しまして新たなる発足をされた、こういうことでございますが、私たちが町々を歩いておりまして感じますことは、例えば新幹線のホームにしましても、ないしは大きな銀行また公園、至るところに公衆電話がたくさん設けてありまして、大変便利でございます。見ますると、赤い電話、ピンクの電話、黄色い電話に緑の電話、そしてまた最近はカード式というようなことで、これも多岐にわたってございます。  しかし、それそのものはいいんだけれども、利用する側にとって非常に困りますことは、両替機がついてないのです。五台も十台も黄色い電話、緑の電話と並んでいるのだけれども、どうして両替機はないのだろう、これが一般のお客様の立場の素朴な疑問でございます。それはきっと役所としてはそれなりの理由例えば公衆電話を設置することを許して機械を貸しておくだけで、両替の機械をつけることは設置する方の立場だよというようなこともあるでありましょう。しかし、利用者といたしましては、どっちがどうあれ、とにかく十円で済むものを百円玉が吸収されてしまう、ないしは千円札はあるのだけれども百円玉にどうもならぬというときに、また遠くに行きましてちり紙の一つも買わなければ両替もしていただきにくいというようなことであります。こういうことについて、もう少しお客様の立場に立った設備というものができないものだろうかということでありますが、いかがなものでありましょうか。
  187. 神林留雄

    ○神林参考人 お答えいたします。  先生の御指摘大変ごもっともでございまして、私どもとしてもいろいろな場所でお客様の御不便がないように対応したいと思っております。言いわけみたいなことになりますけれども、一応赤電話等を委託している者については、両替を含めて皆さん方に対応していただこうということで、そういった費用委託費の中に入っているのでございますけれども、私どもとしても、そういうこと祖別にいたしまして、先生御指摘のようにたくさん集まっている場所には、現在でも両替機を置いてございます。  私どもの調査ですと、全国で約千五百台ぐらいの両替機がございます。私どもNTTで設置しているもの、私どもの負担で設置しているものは約千台、それから駅等で、駅の弘済会で大量に受託されているところがあるわけですが、そういうところは人手による両替にかえてという意味を含めて両替機を置いている、こういったものが五百台、こんなふうになっております。  これもしかるべき値段がするものですし、後の維持管理というか、両替用のコインの補充とかいろいろな問題もございまして、なかなか私どもとしても至るところにというわけにはちょっといかない要素もございますけれども、必要な場所には今後ともつけていく、こういう方針で今後とも進めていきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
  188. 滝沢幸助

    滝沢委員 とにかく、そういうことが素朴なる利用者の声でありますので、これにこたえていただきまして、五台ぐらいの電話のあるところには、少なくとも一台ぐらいの両替機がどうかひとつちょうだいできるようにお願いをしたいと思います。  さて、サービスのお話の続きでありますが、郵便貯金特別会計というものが、五十九年度におきましては当初四千七百七十二億ぐらいの赤字を見ていらっしゃったと聞くのだけれども、これも先ほど申し上げておりまするとおり、企業サービスによるものでありましょうけれども、大変好転していると聞いております。どのような状況でございましょうか。
  189. 奥田量三

    ○奥田政府委員 郵便貯金特別会計収支でございますが、昭和五十九年度予算での収支は、単年度で千二百四十五億円の赤字、累積で滝沢委員指摘のように四千七百七十二億円の赤字を計上いたしました。この結果の決算につきましては、先ほどの郵便事業と同じく現在決算集計中でございまして、確たることを申し上げられる状況ではございませんが、この内容につきましては、この収支は好転するものと見込んでおります。  かなりよい結果の決算が出てくるのではなかろうかというふうに考えているわけでございまして、その理由といたしまして、一つには、最近御承知のように郵便貯金がかなり伸び悩んでおりまして、五十九年度予算では、五十九年度の純増加額を一兆円と見込んでおりましたところ、おかげさまで、職員の努力等によりましてこれが一兆九千億というふうな増加を見ましたこと、また、一方では極力経費の節減を図りましたこと等がございますが、この結果、決算につきましてはかなり好転するものと見込んでいるわけでございます。
  190. 滝沢幸助

    滝沢委員 大いにひとつ努力をしていただきまして、とかく批判もありました郵便貯金についての面目をひとつ回復してちょうだいしたいと思います。  ところで、ついせんだっての新聞に、超特急郵便というものが今度はできまして、何か一日のうちに、しかも数時間にしてこれを配達しようというようなことだそうでありますが、何か聞きますと、東京都内だけというようなふうにも聞いておりますが、大変結構なことでありまして、これをひとつ各都市に広げてちょうだいしたいということであります。  時間もなんでありますから、要望もつけ加えて申し上げますならば、実はこのようにサービスが向上してきますることは、例えば国鉄の新幹線のごときは大変いいんだけれども、しかしこの同じ日本の中に地域格差をつくったという結果にもなってきているわけで、願わくば、よくなるところがいいのはいいけれども、ひとつその恩典に浴しないところがないように、あるならばこれを速やかに解消していくように努力を要望して、お伺いさせていただきます。
  191. 桑野扶美雄

    ○桑野説明員 先生お話しの超特急郵便でございますが、最近における郵便サービスに対するニーズの高度化、とりわけスピード志向の高まりに対応いたしまして、現在具体的な成案はまだ得ていないのでございますけれども、例えばお客様から電話によりお申し込みをいただいて、自動二輪車、つまりオートバイで郵便物を集荷いたしまして、そのまま受取人のところに、指定された配達先に配達するというようなサービスを、手始めでございますので東京都内で試行してみよう、その結果でもってその後の成否は見ていこうということで、検討している次第でございます。
  192. 滝沢幸助

    滝沢委員 事務局さん、これをひとつ大臣に示してください。  さて、私は昨年の予算委員会の分科会で二、三の提案を申し上げておきました。それは、今はがきをお持ちしますが、そのはがきに広告を入れることです。もちろん、これは既に昨年も申し上げましたが、郵政省で実行していらっしゃいまして、だけれども、あれはこのはがきの大体半分に広告を入れることでございました。そして、四十円のはがきが三十五円で売れるよということであります。ところが、実際使ってみますと、広告面が大き過ぎるということと、よそ様に四十円なのに三十五円のはがきを差し上げることはいかにも失礼なような感じだということで、必ずしも好評を得ていません。  そこで私は、今申し上げましたような、下の方に小さいスペースですべてのはがきに広告を入れてほしい、あるはがきが三十五円というのではなくてすべてのはがきに広告を入れる、それによって得る広告収入は、郵政省の全部のダムの中に入れていただいたらいいのではないか。先ほども郵便料金値上げの話を承りましたけれども、そういうようなことで値上げをすることを延ばしていただくならば、これは大変ありがたいこと、このように去年申し上げましたら、何かこれは世界でも珍しいことで、そうそうできない、広告をしないはがきを希望する人が多いとおっしゃいましたけれども、全部に入っているならば希望も希望でないもないわけです。広告のとれない分につきましては、「豊かな暮らしは郵便貯金」というふうに書けばいいわけですから、そして気品のある美しい広告によってひとつ財政を賄ってちょうだいしたいと思いますが、いかがですか。
  193. 桑野扶美雄

    ○桑野説明員 先生には郵便の事業につきましていろいろと具体的にお心を砕いていただきまして、私ども大変感謝している次第でございます。  昨年も同じような御提案を承っておりまして、私どもいろいろとそのことについて話題にもし、検討もいたしたわけでございますけれども、先生今お触れになりましたように、すべての官製はがきに広告を入れるということになりますと、利用者の皆さんにすれば、広告のついていないはがきはやはりあるべきであろうというような御意見があるわけでございまして、つまり、お客様に対して選択の余地がなく、それを国が一方的に強制するというような形になりますものですから、私どもは今の段階では、国の行うサービスとしてはいかがかなというふうに存じております。
  194. 滝沢幸助

    滝沢委員 ないのが欲しいというのは、ないのがあるからでしょう。全部が広告になっているならば、その選択の余地がないわけです。そんな選択をしていただく、それほどに財政が豊かなら心配しなくていいんだけれども、どうかなといって心配しているわけです。  さて、同じような話でございますが、去年も申し上げましたが、郵便番号の枠と切手の部分を同じ色で印刷しても、ちっともこれは支障がない。それによって何か三千万とか八千万とかの利益になるとおっしゃっておりましたけれども、これもぜひとも実行していただきたいものだ、私はこのように思います。もうなりふり構わず思い切って財政の再建のために努力をいただかなければ、日本の財政は今どうにもならぬのじゃないですか。それは鉄道の分だ、郵便局はまずまずやっているという発想は、私はいけないと思うのです。そんなことでこれを申し上げさしていただきます。  ついでながら、郵便ポストにも広告を入れなさいということを申し上げましたならば、これは建設省との道路使用基準、約束に入っていないからとおっしゃいましたが、建設省にも理解していただかなければなりません。そういう意味で、どうかひとつこれも再度検討してちょうだいしたいと思います。  さて、文部省さんにも見えていていただきまして、お待たせをしまして悪かったわけですけれども、実は私は全く感無量な思いで最近おります。昔の話ですと、それこそ中国に留学しました安倍仲麻呂が、「天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも」、お月様を見て、どうにか故郷に連絡ができないものかなと思ったというのであります。「大江山いく野の道の遠ければ」なんと言った時代もございます。しかし、今は本当に便利というものでございます。  ところが、まあ。これ、時間がなんでありますが、牛乳配達の少年が、もう絶望してきょう死のうかあした死のうかと思っていた。ところが、あるうちの牛乳瓶はいつもきれいに洗って出ていた。こんなうちにはどんな人が住むのだろうな、どんな子供がいるかしらんと思って、いつも注意をしておりました。ある吹雪の日に、そこにやはり牛乳を届けましたならば、メモが置いてあった。そのメモには、「毎日朝御苦労さん、頑張ってください」と書いてあった。それに彼は生きる希望を持ったというわけであります。修証義には愛語回天と言っております。本当に一行、三行のメモが人間一人の一生を左右することは、決して珍しくはありません。  私は、兵隊におりましたときに、父上がくれましたはがき、あの戦争中、小さい粗末な紙のはがきです。あれをポケットに入れて、いつも難しい局面に立ったとき、上官に言われなきことでびんたを打たれるとき、それをポケットにさわっておやじを呼びながら殴られていたものです。それが私に苦しい軍隊生活を耐えさせたもの、力となりました。  そのようなことを思いますと、先ほど電話の話もしましたけれども、今日日本の便利になりました余り、お手紙を書かない時代になってきました。特に若い世代にそうでありますけれども、お手紙というものは電話とはまた違った味がある。お手紙というのは本当に味のあるものであり、おもしろいものであり、涙あり、そこに喜びありというようなことで、お手紙を書く喜びをぜひとも今の青年、学生諸君に与えたいものだ。そのために文部省がカリキュラムを工夫していただきまして、お手紙を書く時間というものをもっともっと多くして、少なくとも大学を出てきた者が、御法事のお使いを田舎のおじいちゃんに書いてちょうだいといっても書けないような状態ではなくしてちょうだいしたい、私はこう思うのです。  どうかひとつ文部省から、せっかく見えていただきましたので、この点についての御見解を承り、あわせまして郵便ポストをもっとふやしてちょうだい。昔は列車の中で思い出して書きまして、列車がちょっととまったときに駅員さんにお願いしてポストに入れていただきました。それが受け取った相手様に非常に心響くものでありました。今はポストが非常に足りませんで寂しい思いでありまして、そこら辺のところも含めて御両省からお答えをちょうだいしたいと思います。
  195. 熱海則夫

    ○熱海説明員 お答え申し上げます。  私どもも、今日の手紙離れとか文字離れ、こういったことに対しては大変心配をいたしておるわけであります。そこで、学校教育では、五十五年から新しい指導要領を実施いたしておりますが、その中で、小学校、中学校、高等学校において、各学年で手紙を書く書き方あるいは文章のつくり方、こういったことをずっと指導することにいたしておるわけであります。特に国語の作文の時間、こういったところでは、例えば小学校では必要な事柄を順序よく書くとか、あるいは中学校では目的や必要に応じて適切な形式を考えて書くとか、高等学校もまた同じような形で指導するということで、作文の時間と、それから昔書き方と言いましたが、今は書写となっております。その書写でもあて名の書き方とかこういったことも押しなべてやっているわけであります。  そういったことで我々も力を入れてやっているわけですが、この問題は、子供たちに書き方を教えても、実際に日常生活ではがきや手紙を書く習慣をつけるということが非常に大事であります。それからまた、こういったことを奨励することも大事であります。したがって、文部省では、今例えば手紙作文コンクールとか、こういったことをほかの団体でやっている場合に後援をしたりして、いろいろこういった面の奨励策も今講じているところであります。
  196. 桑野扶美雄

    ○桑野説明員 ポストの設置についてでございますけれども、これにつきましては、郵便の利用者の利便を図りまして、あわせてサービスの公平を期するという観点から、隣接ポストとの距離だとか利用見込み戸数等を一応の目安といたしまして、一方郵便局における手間暇がかかるわけでございますので、要員事情等も考慮の上、必要の高いところから設置をしておるわけでございまして、現在、これは五十八年度末でございますけれども、全国でおよそ十四万五千本のポストが設置されておりまして、毎年大体千本ずつくらいの設置でふやしております。ただいま先生から郵便につきましても心温まる御激励もいただきましたし、御趣旨はよく承りました。
  197. 滝沢幸助

    滝沢委員 ありがとうございました。  最後に、特定郵便局局長さん並びに従業員が非常に苦労して頑張っております。これに対して温かい施策をひとつ要望しまして、終わります。  大臣、どうも御苦労さん、委員長、ありがとうございました。
  198. 安井吉典

    安井委員長 次に、中川利三郎君。
  199. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 特定郵便局の問題でお聞きするわけであります。  郵政省の資料によりますと、五十九年九月末現在、全国の郵便局の数は一万九千百二十七局、このうち一万七千八百七十七局が特定郵便局となっておりまして、全国の郵便局の大部分がそうです。いわば町の郵便局でありますが、特定郵便局は普通郵便局と違いまして、小規模で職員の数も少なく、局長を頂点とした家族的な雰囲気で仕事を行っているわけでありますが、同時に、この特定郵便局は全国津々浦々に設置されまして、郵政省事業である郵便や貯金、保険の業務を通して地域住民と密接なつながりを持っております。国民の日常生活に深いかかわりを持つ郵政行政の業務を推進する上で、特定郵便局が果たしていく役割はますます重要になってきていると思いますが、この点について、郵政大臣の所見をまずもってお聞きするのであります。
  200. 左藤恵

    左藤国務大臣 今お話しのとおり、郵便、貯金、保険の三事業、それぞれ国民生活に非常に密着したサービスであるわけでありまして、郵政省はそれらを全国あまねく公平に提供するということで郵便局を設置いたしておりますが、特にそのうち今お話がございましたような特定郵便局、これは郵政事業の最先端の業務を担当して、そして事業の普及に最も貢献しておる存在である、このように認識しております。したがって、今後とも特定郵便局はその地縁性を生かして、郵政事業の推進を通じて地域社会の発展に貢献することが期待されているもの、このように認識いたしております。
  201. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今の大臣答弁にございましたように、特定郵便局の役割は本当に重要なものだ、特に社会経済の激しい情勢変化のもとで、郵便、貯金、保険のそうした事業サービスの向上のために本当に役割というのは重大だということのお答えがあったわけでありますが、このような重要な役割を担う特定郵便局の長、つまり特定郵便局長というのはどのような基準で任用されているのか、お答えいただきたいと思います。
  202. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 特定郵便局長の任用に当たりましては、その地域におきます信望を担い得る、かつ行政手腕のある人を選考で任用いたしております。
  203. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 任用規程によりますと、今お話があったことでありますが、「年齢満二十五年以上ノ者」、いわば社会的な常識と判断を持っている者ということが一つです。二には「相当ノ学識才幹アル者」、いわば常識だけでなくて、相当な判断力や能力がある者が要求されているということだと思います。同時に、当然この方々は国家公務員法に基づく一般職の職員だと思いますが、いかがでございますか。
  204. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 おっしゃるとおり、一般職の国家公務員でございます。
  205. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 一般職の国家公務員だというお答えがございました。そこで、全国で一万七千局もある特定郵便局局長組織として、特定郵便局業務推進連絡会、いわゆる特推連という組織がございます。これはちゃんと法律に基づいた組織でございますが、この規程を見ますと、第二条、「連絡会は、地方郵政局長の監督のもとに、次に掲げる事項について、連絡および推進を行う。」となっておりまして、その「次に掲げる事項」として、一つには「業務の正常運行、事務能率の向上および事故犯罪の防止に関すること。」などとなっております。同時にさらに、「連絡会に部会を置く。」として、「部会の役員は、地方郵政局長が指名する。」ことになっております。ですから、この規程からいいましても、この特推連、特定郵便局業務推進連絡会は官側、つまり当局側の組織だと理解して間違いないですね。
  206. 二木實

    ○二木政府委員 先生御案内のように、約一万八千の郵便局が全国津々浦々にあるわけでございますが、これを通じて業務の推進を行うということにつきましては大変苦労があるわけでございまして、大体百局ぐらいの単位をもちまして、ある地域ごとに特定郵便局業務推進連絡会を置かせて、先ほどお話しのようないろいろなことをやらせているわけでございまして、そういう意味では公的な組織でございます。
  207. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 郵政省監修の郵政行政要覧昭和五十九年度版を見ますと、上に連合会がありまして、その次が連絡会、その次が部会、その次が特定局、こういうピラミッド式の一つの流れになっていることがはっきりしておるわけでありまして、しかも公的なそういう組織だということをお認めになったわけですから、次にお伺いしたいことは、具体的にお聞きするのでありますが、この特推連の秋田の第一部会の部会長は、秋田市内のどの局長がなっていらっしゃいますか。
  208. 二木實

    ○二木政府委員 秋田中部連絡会秋田第一部会長は、秋田広西局の郵便局長でございます。
  209. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 秋田には、県内に中部、南部、北部の三つの連絡会がございまして、今秋田の中部連絡会の秋田第一部会の部会長はだれかとお聞きしたのでありまして、お答えによりますと、秋田第一部会の部会長は秋田広面郵便局長である。  ところが、昨年七月十二日、この部会長の名前で、部会内に「暑中見舞ハガキについて」という事務連絡用の文書が出されました。これが文書そのもののコピーであります。五十九年七月十二日付、秋田第一部会局長各位殿として、秋田第一部会長秋田広面郵便局長が差出一人に一なっております。内容は、「暑中見舞ハガキについて 先日暑中見舞ハガキ百枚の御用意願いましたが二十六日の部会の時にあて先を記入のうえ御持参を願います。」先日暑中見舞いはがき百枚の御用意を願ったが、二十六日の部会のときにあて先を書いて御持参くださいとあります。  そこで、私お聞きしたいのでありますが、この部会長の指示文書をもとに各局長はそれぞれ自腹で百枚の暑中はがきを買い求め、知り合いや局利用者のあて名を書いて部会長に差し出しているわけであります。中には、知り合いといったってそんなにたくさんおりませんから、電話帳で書いてみたり、いろいろな無理をした人々もおるわけであります。  ところが問題なのは、このはがきが裏の方は白紙なんです。どうなったかといいますと、郵政省出身の参議院議員の暑中見舞い用として出されているわけであります。当局側の組織である特推連の部会長が指示文書を出して、来年の参議院選挙の事前運動を行っているわけであります。しかも、私が調査したところによりますと、これは単に秋田第一部会だけでなくて、秋田県内の男鹿、南秋、河辺、本荘、由利、各地域でも発覚しておるわけでありますが、これが暑中見舞いのコピーでありまして、郵政省はこのことを知っておりますか。
  210. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 昨年の八月三十一日付の秋田さきがけ新聞に、そのような記事が載っていることは承知しております。
  211. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 承知しているとするならば、その暑中見舞い、つまり郵便局に白紙で集めて、後から裏の方に印刷された参議院議員のお名前はだれとだれですか。
  212. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 新聞に掲載されております暑中見舞いはがきによりますと、参議院議員長田裕二、参議院議員岡野裕の両名になっております。
  213. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 ばかに声が低いですね。長田裕二、岡野裕というお名前が出ましたが、問題は、この両方の方とも全国区の比例代表の議員であります。しかも、あなたは新聞の報道によればと言うが、私は新聞の報道で質問しているのじゃないのです。第一部会の会長秋田広面郵便局長が暑中見舞いはがきについて出した指示文書をもとにあなたにお伺いしているのです。そういうお答えはやめてください。同時に、新聞で承知しているということでありますが、事実として承知していただいたものと今初めて思うわけであります。  しかも、こういう事例は今回が初めてじゃなくて、五十七年の参議院全国区のときも、初めて拘束比例代表の選挙がありましたが、あの場合はこういう特定郵便局を使って自民党の党員集め、一人で三、四人で、大変な全国的な問題になったという経緯もございます。  そこで、この文書を出したということは広面の局長自身もお認めになっているわけでありまし保て、私はここでその文書を持っておるわけでありますが、先ほど、新聞にもこういう問題が出たので私は承知しておるというあなたの御答弁ございましたが、確かに地元の新聞にはこうして大きくいっぱい出ておるわけでありまして、例えば、一番古い状況が出たのは昨年、昭和五十九年の八月三十一日の地元の新聞に、「県中央部の特定郵便局長 暑中見舞いはがき郵送事前運動が、参院議員名で 強制的に、費用も自前 組織活用、またぞろ復活」という大きい記事が出ておるわけです。  ところが、これについて率直に反省するのではなくて、これをやった皆さん方がこういうことを書いているのです。五十九年十月十日の文書。新聞に出た、今言った八月三十一日の新聞に対する批判ですね。批判といいますか、「八月三十一日付秋田さきがけ新聞朝刊に掲載されたことについて」、こういう表題なんです。何を言っているかというと、内容は、「九月六日午前十時から協働社大町ビル六階写真室において部会々議を開催、」そして、「一般報告・業務・奨励・防犯・質疑応答・意見交換その他特推連関係」のあれをやったというのです。  そうして、同じ話し合いの席上、「標題の件」、つまり秋田さきがけ新聞に八月三十一日掲載された件に、ついて、「標題の件について文書を出したことの謝りの言葉が部会長から出され、」そこままではわかるのですが、その次は何が書いてあるかといいますと、「情報の提供者は必ずこの中にいるはず私の質問に答えてくださいと言って、左手から一人一人の意見を求めた。」十三人しかいない会議ですよ。その中からだれがこれを新聞社に知らせたかというようなことで、一人一人にそれを求めたというのです。しかもこれを見ますと、何というかひどいというか、全く、何々という名前は申し上げませんが、その「局長の内部告発であると確信している。」とか、仲間からこの男に違いないという指摘もございますし、「それなりの制裁措置があってしかるべき」だ、こういうこともこの文書の中には出ておるわけであります。  そこで、私がお聞きしたいということは、こういう状況であるということと、もう一つ時間の関係がありますからついでに申し上げておきますと、年賀はがき――暑中見舞いの話、合いたしましたが、それだけにとどまらず、ことしの年賀状も同じ形でやられておるということであります。ことしの年賀状はこういう年賀状でございまして、これは本物そのものでございます。コピーじゃありません。しかも、このときはさすがに証拠を残さなかったわけでありますが、したがって、文書の指示じゃなくて、すべて口頭で行われたと聞いているわけであります。  この指示を出す際に、それだけではなくてもう一つあるのです。同じ参議院議員、これも両名連名でありますが、この指示を出すときにもう一つ、今度は長田裕二後援会に入りましょう、こういう、これも本物でありますが、後援会入会申込書を配付して会員集めの指示を出しているわけであります。しかもこの後援会入会申込書を見ますと、判こを押す欄があるのです。なぜ判こを押す欄があるかというと、こんな厳重なことをするかというと、今までも後援会のあれを何回もやってきたけれども、本人の意思が全然わからないというわけだ。そこで今度は判こを押す欄をつくりましょうというわけだ。  こういうことをやられておるということについて、あわせて当局は知っておりますか。つかんでおりますか。
  214. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 ことしの三月に、同じく秋田さきがけ新聞に掲載された記事につきましては承知をいたしております。
  215. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 承知しておる、新聞に出た分については承知しておると。しかし、先ほどの「八月三十一日付秋田さきがけ新聞朝刊に掲載されたことについて」、その中で犯人捜しのようなことをやっておるのも、公のあの人力の文書ですね。このことについて、こういうやり方について、私はこれは大変重大な問題だと思うのです。  とりわけ、この後援会申込書については、確かに新聞にも書かれたようでありますが、書かれて騒がれたら、あそこの新聞、ことしの三月九日のある新聞でありますが、「知り合いの局長から参院議員の後援会入会申込書を渡され勧誘されたのは先月下旬。そのままほうっておいたところ、今回の事実が報道された七日に局長が「あの話はなかったことにしてくれ」と訪れ、」それをばあっと回収して回っている。大急ぎで回収したりして、公正なものであればなぜそういうことをするのかという問題もあるわけでありますが、これは明らかに国家公務員法第百二条、「政治的行為の制限」、あるいは人事院規則一四-七、「政治的行為」の規定に抵触してくるものではないかと思いますが、この点について警察庁にお聞きするのであります。これら一連の問題について事実確認を行っていると聞いておりますが、いかがでございましょうか。
  216. 上野浩靖

    ○上野説明員 お答えいたします。  御質問の件につきましては、現在秋田県警におきまして事実関係を調査中でございます。
  217. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大臣にお聞きするのでありますが、こういうことが許されるものかということです。いわばそういう公的のあれが明らかになって、警察も今そういう点では調査中だ、しかもこれが全国的にもそういうことがやられておるということですね。その一つの例を私の地元の秋田県で引き合いに出したわけでありますが、こういうことをやったならば選挙の公正、先ほど大臣が申しました特定郵便局の末端での役割というのは非常に重要で、公平、公正な仕事が重大な職責としてあるということをおっしゃっていましたが、そういうこととどのような関係になるのでありましょうか。
  218. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 三月にも新聞記事が出ましたので、関係郵政局の東北郵政局にその事実を照会いたしましたところ、東北郵政局としましても、秋田県内の特推連の会長を呼びまして事実を調べたようでございますが、新聞に掲載されたような事実はなかったというふうに私ども報告を受けております。  いずれにしましても、私ども、特定郵便局長といえども一般職の国家公務員でありますし、したがいまして、国家公務員法等の一定の政治的目的を持った政治行為は禁止ないし制限されておりますし、そういう公務員法等の法令に違反することのないように、機会あるごとに綱紀の厳正な保持を指導しているところでありまして、こういった新聞記事が出るということ自体、大変誤解を招くことでもありますので、今後とも十分に指導してまいりたいと考えております。
  219. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 新聞記事、新聞記事と皆さんおっしゃるけれども、私はきょう事実関係で申し上げているわけであります。その新聞記事さえも、事実を調査したならばそういう事実はなかった、そうおっしゃるわけでありますが、今れっきとしたこういう事実を次々に明らかにされて恥をかくよりも、その時点でなぜ皆さん方が積極的に一ただ全然そういうことはありませんでしたということをうのみにするような、それほど単純なものなのかということです。その裏には郵政省とそういう特定議員に対する大変な癒着があるということが、これまでもいろいろな格好で証明されてきているわけであります。  そこで、確かにこういう新聞に出ても、現地の責任ある方は、あれは我々が指示を出した覚えはないんだ、末端の連中が勝手にやったのだろう、あるいは家族が勝手にやったのだろう、こういうことで、またこういう言い方もあるのですよ。特推連、いわば法律に基づくそれじゃなくて、別の同じような全国特定郵便局長会、全特会というのがありますね。そっちが任意団体だから、そっちでやったのだろうとか、そういう格好で知らぬ顔の半兵衛、それで一たん落ちつく。あとなくなったと思えば、またぞろそういうことが顔をもたげてきますね。来年の六月には参議院の比例を含めた選挙がございますが、こういうことを野方図に野放しにするならば、これは大変なことになりましょうし、その程度の皆さんの御認識なり実態の聞き取りの範囲内では、こういうものを防げないと思うのでありますが、いかがですか、大臣。
  220. 左藤恵

    左藤国務大臣 職員に対しましては、平素から国家公務員法等に定めます服務規律に違反することのないよう、綱紀の粛正について指導しておるところでございまして、今先生御指摘のような疑いを持たれるような、そういう行動がないよう今後とも十分指導していかなければならない、このように考えておるところでございます。
  221. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 事実上大臣の今の御答弁は、その事実を、あることを認めたものと私は理解するのでありますが、ある局長はこう言っておるのです。公務員である以上こんな行為は許されない、したくない、そのことを百も承知だけれども、はがきの例で言えば、仮にはがきを出さなければ局長の座を追われる、そういう雰囲気が全体としてあると言っているのです。だから従わざるを得ないのだ。悪いことだと承知しているけれども、そういう特推連の会議を途中から切りかえて、今度はそれだとかいうような格好でいろいろ使い分けしているようでありますけれども、私がきょう出したのは第一部会の資料でお話しするわけでありますから、そういう使い分けたとか、秋田の言葉で言えばまやまやとしたそういうすりかえは絶対にやめる、やらせない、そういう強い決意を私はお聞きしたいのでありますが、いかがですか。
  222. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 私ども、平素から職員に対しまして、これは管理者、一般職員も同様でございますが、国家公務員法等に定めます服務規律の厳正な保持につきまして指導しているところでございます。特に衆議院議員の総選挙とか参議院議員の通常選挙、または統一地方選挙等があります場合には、その都度、国家公務員法第百二条や公選法に違反することのないように通達を発しまして指導しているところでございまして、今後とも、機会あるごとに、綱紀の厳正保持について指導してまいりたいと考えております。
  223. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなた方は昭和五十七年のとき問題になったと同じようなことをおっしゃった。しかも去年の夏に秋田にそういう問題が起こった。あるいはことしの年賀状でも起こった。全県的にも起こった。だから、あなたが自発的にそういうことを質問がなかったから答えない、言う必要はないということになるかもわかりませんが、内部でそれを通達したり、そうしてはいけないということは一回もないのです。普通ならば、本当にまともに反省するならば、口先だけでないならば、何らかそこで皆さんの毅然たる態度を通達なり指導文書なりで出すべきだと思うのです。そういうことをしましたか。
  224. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 最近では、一昨年の十二月にも依命通達を発出しまして、職員の政治的な中立あるいは行政の公平な執行につきまして十分配慮するように通達をしてございます。もちろん、通達のみでなく、会議等でも、それを下部に周知徹底するように指導しておるところでございます。
  225. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そういう趣旨を下部に徹底するように、周知させるように指導を強めているはずにかかわらず、こういう問題が一向に消えておらないというところが問題なんです。郵政省の体質が、私は根本的に問題があると思う。  なぜかといいますならば、例えば先ほども申し上げましたが、過去の選挙の例でも、前回の参議院選挙一つ見ても、郵政省の前の人事局長でしょう、あの人を推して組織ぐるみで入党工作、いわばある特定政党の党員を三人、四人と大体枠を決めてやらせた。これは明らかに国家公務員法違反だ。そういうことも社会的に明らかにされました。しかし、新人ながら、そういう強引なことをしたからかどうか知りませんが、この方は自民党の比例代表名簿の第四位までのし上がっていったわけでありまして、めでたく当選したようでありますけれども、私のところには、こういういいかげんな選挙のやり方について、郵政省のやり方のいいかげんさを内部告発する文書が前回にも寄せられているのです。  例えば、これは長野、新潟の方ですね、信越郵政局の文書課長が特推連などの会議の場で、その場を通じて局長二万円、課長一万二千円、副課長一万円、課長代理・主事が五千円、その資金拠出割り当てなど行われていることがるるここに書かれておりまして、彼は何と言っているかというと、「公務員は政治的には中立で政治活動は禁止されていると職員を指導している管理者が組織ぐるみで裏側では職制による政治活動を命令し、思想信条の自由まで侵害して」いるということについて、悲憤きわまりないような文書、告発を私たちに寄せております。「信越郵政局も文書課長が主体となって局長たちに具体的な指示を行っており、私たちに対して局長は建前は自由といいながら本音は強制的に」云々ということを書かれているのです。  だから、この神聖な議会の委員会の場を、いっときの言い逃れの場にするということは、私は許すことができないと思うわけでありますので、その点を強く指摘しておくと同時に、これらのことを何にも反省しないで、またも来年の参議院選挙に向けてこういうものが今ぼつぼつ見えておるわけでありますので、そこで特徴的なことを一つだけ私は最後に大臣にお聞きしたいのであります。  この岡野さんといい、長田さんといい、いずれも田中派に属しておりますね。この次の改選になる人はどの方、その次はもう一人の方でありますけれども、いずれも特徴は田中派といいますか、合いろいろ問題があるようでありますが、一方は創政会、片一方の方は非創政会でございまして、共通しているのは郵政省出身の方であるということです。  左藤さん、あなたも郵政省出身であり、また同じ派といいますか、俗に田中派といいますか、ここに属していらっしゃるわけでありますが、このような郵政省の組織を利用した事前の選挙運動については、特にそういう立場からも厳しく取り締まるべきだと思います。最後にこの点をお聞きして、私の質問を終わらせていただきます。
  226. 左藤恵

    左藤国務大臣 これは派閥とかなんとかという問題ではなくて、今お話がございましたような点については、私は、法に照らして公平に、公正にやらなければならない、このように考えております。
  227. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  228. 安井吉典

    安井委員長 次回は、来る二十九日水曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十一分散会