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1985-03-26 第102回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年三月二十六日(火曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 安井 吉典君    理事 糸山英太郎君 理事 白川 勝彦君    理事 東家 嘉幸君 理事 森下 元晴君    理事 井上 一成君 理事 金子 みつ君    理事 貝沼 次郎君 理事 玉置 一弥君       尾身 幸次君    小山 長規君       高村 正彦君    桜井  新君       自見庄三郎君    関谷 勝嗣君       仲村 正治君    西山敬次郎君       松野 頼三君    中村 重光君       松前  仰君    斉藤  節君       春田 重昭君    中井  洽君       中川利三郎君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         厚 生 大 臣 増岡 博之君         通商産業大臣  村田敬次郎君         運 輸 大 臣 山下 徳夫君         郵 政 大 臣 左藤  恵君         労 働 大 臣 山口 敏夫君         建 設 大 臣 木部 佳昭君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     古屋  亨君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)藤波 孝生君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 後藤田正晴君         国 務大 臣         (北海道開発庁         長官)         (国土庁長官) 河本嘉久蔵君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 加藤 紘一君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      金子 一平君         国務大臣         (科学技術庁長         官)      竹内 黎一君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石本  茂君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  中嶋 計廣君         内閣官房内閣審         議室長         兼内閣総理大臣         官房審議室長  吉居 時哉君         内閣法制局長官 茂串  俊君         警察庁長官官房         長       鈴木 良一君         警察庁長官官房         会計課長    立花 昌雄君         総務庁長官官房         審議官     佐々木晴夫君         総務庁長官官房         会計課長    鈴木 昭雄君         防衛庁参事官  古川  清君         防衛庁防衛局長 矢崎 新二君         防衛庁教育訓練         局長      大高 時男君         防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君         防衛施設庁総務         部長      梅岡  弘君         経済企画庁長官         官房会計課長  長沢 哲夫君         科学技術庁長官         官房審議官   雨村 博光君         科学技術庁長官         官房会計課長  窪田  富君         環境庁長官官房         長       岡崎  洋君         環境庁長官官房         会計課長    八木 規夫君         環境庁水質保全         局長      佐竹 五六君         沖縄開発庁総務         局長      関  通彰君         沖縄開発庁総務         局会計課長   大岩  武君         国土庁長官官房         会計課長    北島 照仁君         外務大臣官房長 北村  汎君         外務大臣官房会         計課長     林  貞行君         外務大臣官房領         事移住部長   谷田 正躬君         外務省北米局長 栗山 尚一君         外務省欧亜局長 西山 健彦君         外務省中近東ア         フリカ局長   三宅 和助君         外務省経済協力         局長      藤田 公郎君         外務省条約局長 小和田 恒君         外務省国際連合         局長      山田 中正君         大蔵大臣官房会         計課長     朝比奈秀夫君         大蔵省主計局次         長       的場 順三君         国税庁調査査察         部長      村本 久夫君         文部大臣官房会         計課長     坂元 弘直君         厚生大臣官房審         議官      高峯 一世君         厚生大臣官房会         計課長     黒木 武弘君         厚生省生活衛生         局長      竹中 浩治君         厚生省社会局長 正木  馨君         厚生省援護局長 入江  慧君         農林水産省構造         改善局長    井上 喜一君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         通商産業大臣官         房会計課長   緒方謙二郎君         通商産業省貿易         局長      村岡 茂生君         通商産業省立地         公害局長    平河喜美男君         通商産業省機械         情報産業局次長 棚橋 祐治君         運輸大臣官房会         計課長     近藤 憲輔君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         郵政大臣官房経         理部長     高橋 幸男君         労働大臣官房会         計課長     若林 之矩君         労働省労働基準         局長      寺園 成章君         労働省婦人局長 赤松 良子君         労働省職業安定         局長      加藤  孝君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         建設省住宅局長 吉沢 奎介君         自治大臣官房長 津田  正君         自治大臣官房審         議官      石山  努君         自治大臣官房会         計課長     大島  満君         自治省税務局長 矢野浩一郎君  委員外出席者         人事院事務総局         管理局会計課長 大坪 波雄君         公正取引委員会         事務局庶務課長 矢部丈太郎君         北海道開発庁総         務課長     高橋 昭治君         大蔵省主計局司         計課長     西澤  裕君         会計検査院長  鎌田 英夫君         参  考  人         (住宅都市整         備公団総裁)  大塩洋一郎君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  京須  實君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ――――――――――――― 委員異動 昭和五十九年十二月十二日  辞任         補欠選任   近江巳記夫君     玉城 栄一君 同日  辞任         補欠選任   玉城 栄一君     近江巳記夫君 同月十三日  辞任         補欠選任   河野  正君     金子 みつ君   横山 利秋君     中村 重光君 同月十八日  辞任         補欠選任   近江巳記夫君     斉藤  節君   権藤 恒夫君     春田 重昭昭和六十年一月四日  辞任         補欠選任   白濵 仁吉君     綿貫 民輔君 同月三十一日  辞任         補欠選任   綿貫 民輔君     藤尾 正行君 二月六日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   小平  忠君     塚本 三郎君 同月二十日  辞任         補欠選任   中川利三郎君     津川 武一君 同月二十一日  辞任         補欠選任   津川 武一君     中川利三郎君 同月二十六日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     原田  憲君   桜井  新君     武藤 嘉文君   中川利三郎君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   松本 善明君     中川利三郎君 三月九日  辞任         補欠選任   原田  憲君     江藤 隆美君   武藤 嘉文君     桜井  新君 同月二十五日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     山下八州夫君 同月二十六日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     自見庄三郎君   小坂徳三郎君     仲村 正治君   桜井  新君     高村 正彦君   澁谷 直藏君     西山敬次郎君   藤尾 正行君     尾身 幸次君   渡部 恒三君     関谷 勝嗣君   山下八州夫君     松前  仰君   塚本 三郎君     中井  洽君 同日  辞任         補欠選任   尾身 幸次君     藤尾 正行君   高村 正彦君     桜井  新君   自見庄三郎君     江藤 隆美君   関谷 勝嗣君     渡部 恒三君   仲村 正治君     小坂徳三郎君   西山敬次郎君     澁谷 直藏君   松前  仰君     新村 勝雄君   中井  洽君     塚本 三郎君 同日  理事新村勝雄君同月二十五日委員辞任につき、  その補欠として金子みつ君が理事に当選した。     ――――――――――――― 昭和五十九年十二月二十一日  昭和五十八年度一般会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その2)  昭和五十八年度特別会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調 (承諾を求  書(その2)          めるの件)  昭和五十八年度特別会計予算総則  第十一条に基づく経費増額調書  及び各省庁所管経費増額調書  (その2) 昭和六十年一月二十九日  昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書 二月二十六日  昭和五十九年度一般会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その1)  昭和五十九年度特別会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調 (承諾を求  書(その1)          めるの件)  昭和五十九年度特別会計予算総則  第十一条に基づく経費増額調書  及び各省庁所管経費増額調書  (その1) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十六年度政府関係機関決算書  昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書      ――――◇―――――
  2. 安井吉典

    安井委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、これは、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安井吉典

    安井委員長 御異議なしと認めます。よって、金子みつ君を指名いたします。      ――――◇―――――
  4. 安井吉典

    安井委員長 次に、昭和五十六年度決算外二件を一括して議題といたします。  ただいまの各件は、第九十八回国会に提出され、第百回国会概要説明を聴取の後、今日まで長時間にわたり、予算がいかに執行されたかを中心として各省庁別審査を行ってまいりました。  本日は、それらの経過に基づき、各件について締めくくり総括質疑を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団総裁大塩洋一郎君、理事京須實君出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安井吉典

    安井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  6. 安井吉典

    安井委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  7. 井上一成

    井上(一)委員 私は、まず最初に、京セラ子会社巡航ミサイル・トマホーク部品を製造していた、この問題について二度にわたって予算委員会では指摘をしてきたわけであります。これに対して通産省調査約束されたわけでありますが、今日までの調査状況について冒頭聞いておきたいと思うのです。
  8. 村岡茂生

    村岡政府委員 京セラ子会社KIIに関します問題につきましては、私ども通産省におきましては現在調査継続中でございまして、今日現在まだ結論を得ていないところでございます。
  9. 井上一成

    井上(一)委員 関連の海外進出企業に対しては武器輸出禁止原則の精神を遵守するように通達を、そういう行政指導をする、こういう約束もされたわけでありますが、そのことについてもどういう手順でなされたのか。  さらに、三月十四日にある報道に、関係筋が明らかにしたところによると、「通産省は、この製品が標準品であるところから、〝シロ〟との判断を固めた。」「GD社用に特別製造したものではなく、標準品であることが確認された」、こういうことが報道されたわけであります。この記事のとおりそのような判断をされたのかどうか、この点についてももう一度聞いておきたいと思います。
  10. 村岡茂生

    村岡政府委員 我が国海外進出企業に関します通達に関しましては、予算委員会でお約束いたしましたとおり、二月二十七日付で社団法人日本在外企業協会に対しまして、武器の製造にかかわる対外直接投資武器輸出原則に準じて取り扱うことになっている、いやしくもこのような政府の方針に反した対外直接投資が行われることのないよう改めて注意を喚起いたしました。それと同時に、会員企業に対しましてその周知徹底を図るように通達を出したところでございます。  二番目の、井上委員指摘の三月十四日の東京新聞記事でございますが、先ほど申し上げましたとおり、私ども通産省におきましては現在本件調査継続中でございます。したがいまして、KIIゼネラルダイナミックスに販売した貨物について、私どもとしては何ら判断を下すに至っておりません。記事にありますように、通産省本件について最終的な判断をしたというような事実は全くございません。
  11. 井上一成

    井上(一)委員 私は、この問題は指摘をした時点から十分な調査をするという約束をいただいているわけでありますけれども、大変難しい問題だ。通産省がどれほど調査のために踏み込んだ事実関係を調べられるか、これは私自身も非常に疑問に思っているわけでありますし、親会社京セラから聞いたって十分なことは言わないわけであります。  具体的に規格がどうで、あるいは標準品であれば大量に生産されるものでありますから、そういうことは、どういうところに同じものが販売されてどういうところに同じ部品が使われているんだ、そこまで明確にしていかなければいけない。そういう意味ではなかなか、実態調査と言われるけれども、非常に困難も伴う問題である。しかし、私はどうしてもこの問題については十分な調査をして、その事実関係を明らかにしてもらいたい。京セラの一方的な申告というのですか、申し出だけでは十分信用に足る資料通産省は得られないと私は思うのですよ。GDにも、あるいは関係している多くの関係者から資料を入手することがその事実解明に大きな役割を果たしてくれる。  そういう意味でもう一度、現在調査が続行中だということでありますが、私は鋭意努力をしていただいて事実を明らかにしてもらいたいと、再度ここでその調査についての取り組みをお聞きしておきたいと思います。
  12. 村岡茂生

    村岡政府委員 現在私どもは、京セラ・インターナショナル・インコーポレーテッドの親会社であります京セラから、ゼネラルダイナミックスに販売いたしました貨物につきまして、入手可能と考えられるあらゆる資料の入手をいたしまして十全なる調査を行っているつもりでございます。しかしながら、井上委員指摘のように、本件米国法人事業にかかわる事業でありますし、また米国内の事情にかかわることを調査しなくてはならないということでございますので、幾多の困難があります。しかしながら、御指摘のように本件は厳正かつ慎重に判断すべきものということで、鋭意その困難を乗り越えるよう努力を払っているところでございます。
  13. 井上一成

    井上(一)委員 次に、労働大臣にお聞きをしたいと思うのですが、単身赴任政策減税については本年度中に話し合いをしてその実現を図るという約束でございますが、それと同時に、単身赴任者家族が住む住居と単身赴任をしているその赴任先との行き帰り、いわゆる往復路ですね、広い意味では私は一つ通勤という言葉を使いたいのですが、その途上での事故災害、そういう実態が十分把握されているのかどうか、その点と、さらに、そういういわゆる実家と赴任地との間における災害労災認定にすべきだ、こういうふうに私は思っているわけなんですけれども現状制度の中ではそれはどうなっているのか、その辺について大臣の考えを聞いておきたいと思います。
  14. 寺園成章

    寺園政府委員 単身赴任者家族のいる自宅に帰る場合についての災害でございますけれども、現に通勤災害として労災認定の申請が出た例がございます。そういう意味で、現実の問題としてあるというふうに認識をいたしております。
  15. 山口敏夫

    山口国務大臣 単身赴任者減税問題は、先生承知のとおり、今政党間折衝にゆだねられているわけでございますが、そうした問題認識のように、単身赴任者労働福祉改善の問題は非常に大きな関心を呼んでいるわけでございまして、労働省としては、労災保険基本問題懇談会というのがございますが、そこで、今局長からも答弁がございましたが、単身赴任者のいわゆる行き帰りの中における事故に遭遇したときの補償の問題をどうするか、こういうことも含めて、今機関にかけて検討、協議している、そういう最中でもございます。井上先生の御指摘のような点も踏まえて、さらに早急に検討して早急に結論を出したいというふうに考えますので、よろしくお願いいたします。
  16. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、その実態が、そういう事例があるということが事務当局から今報告があったわけです。それが労災適用から除外されるということであれば、まさに家族単身赴任をするその職場に送ることを非常に危惧する、安心ができない、そういう状況の中で今日単身赴任者が増加しているという現状を直視した場合に、どうしても労災適用制度改正に取り組むべきだ。  今、それは何か懇談会検討してもらっているということですが、大臣としては、労災適用可能な、制度改正も含めてそういう範疇に入れるために懇談会に相談をしているのか。これはもう当然労災適用を受けるべきだと私は思っているのですけれども、ちょっと大臣の見解を聞かせてもらいたい。
  17. 山口敏夫

    山口国務大臣 単身赴任者減税の問題は、いろいろ税制上の幅広い角度からの検討とか問題があるわけですけれども、いわゆる労災認定の問題は、私は、単身赴任者往復、まあ通勤時といいますかにおける事故被害という問題については、労災適用というものが十分検討可能なのじゃないかというふうには考えます。しかし、今懇談会でやっていますので、そういう国会での先生の方の御論議等も踏まえて早急に結論を出していただいて、そのしかるべき施策適用できるように努力したいというふうに考えます。
  18. 井上一成

    井上(一)委員 さらにもう一点、私は、パートタイマー退職金制度の問題について労働大臣に伺っておきたいと思うのです。  もともと退職金については、労働協約就業規則で、パートタイマーも含めて退職金の規定があるわけでありますけれども実態としてはなかなかそうはいかないわけでありますし、時にはそのパート時給退職金に見合う要素を含めて企業がその時給を決定していく、そういう現状であるわけでありますが、御承知のように、食品業界を不安に陥れたいわゆる社会への挑戦というべきグリコ犯罪、ああいうときにおける予期せざるパートタイマー退職に対しての行政としての一つの支えあるいは指導、そういうものが必要だ。  そういう意味で、パートタイマー共済制度というものを国が率先して、十分な雇用の安定あるいは労働者安心感、そういう意味も含めて、パートタイマー共済制度をもう少し公的な面で国家が取り組むべきではなかろうか、私はこういうふうに思うのですが、大臣の御所見を承っておきたいというふうに思います。
  19. 山口敏夫

    山口国務大臣 パート労働者全国で四百万規模おるわけでございまして、その大半が女性の労働者勤労者、こういうことでございます。これは、終身雇用が伝統的な我が国雇用関係において、家族とか家庭に対するロイヤリティーと仕事を持つという主婦のニーズがある程度一致して、非常にこの雇用が拡大しているわけですけれども、しかし、先生の御指摘のように、パートといえども中長期的にその職場仕事を持つということが非常に慣例化されてきたわけでございまして、そういう意味では、この間のグリコ森永等パート解職等もございますし、それから井上先生の地元の摂津市で、パート労働者共済制度を市の条例でいろいろ雇用者側に義務づけている。これは私は、パート労働者労働福祉の面からいっても、雇用の安定の面からいっても、あるいはパート労働者の勤めている会社に対する一つ責任感からいっても非常に大事な施策をしていただいたということで、非常に評価しているわけです。  それを国としてどう持っていくか。これを摂津市のような条例全国自治体にやれるかどうかということは、労働大臣労働省だけでそうしたいと言うわけにもまいりませんものですから、これは自治体レベルでやるのがいいか、あるいは今既にあります中小企業退職金共済制度の中に、一層そのパート労働者に対する共済制度退職金の問題を広げるような形がいいのか、ちょっとひとつ検討させてください。それで私は、このパート労働共済制度とか退職金の問題については、いわゆる前向きにといいますか、国会答弁用の前向きじゃなくて本当に前向きに検討したいというふうに考えますので、(発言する者あり)少し時間をかしていただきたいというふうに思います。
  20. 井上一成

    井上(一)委員 パート労働を守る方策として、私は、地方自治体が取り組んだから国がどうだという、そういう国への責任転嫁ではありません。シルバー人材センターというものを、いわゆる高齢化の中での安定した労働の場というのが供給される、そういうことを国の施策として取り上げてきた。これもやはり地方自治体から起こってきた一つの政策なんです。  今、大臣国会向けでない、本当に本音として前向きな取り組みをしたい、そういうことを言うと国会向けは何かとまたよく言われますから、これは大臣、まあまあ心がけて、私はそうとらないから、善意にとっておきますから、国会向けであろうがあるいはどこでおっしゃられることであろうが、一に心から労働大臣としてパート労働の保護に全力を尽くしてほしい、国として制度の確立を図っていくことに大臣として努力をしてほしい。  念を押すようでございますが、きょうあすの問題でなく、できるだけ早い機会に国として制度化したいというその意思をもう一度一言聞かせていただいて、この問題は終えておきます。
  21. 山口敏夫

    山口国務大臣 答弁の前に、ちょっと前言で不規則発言がございましたので、誤解のないようにおわびを申し上げておきたいと思います。  パート労働者共済制度また退職金制度の問題については、実現できるように早急にひとつ検討したい。いろいろどういう方法があるかについては、我々にもう少し時間をかしていただきたいということをお答えさせていただきたいと思います。
  22. 井上一成

    井上(一)委員 私は、次に厚生大臣に少し伺っておきたいと思います。  福祉というのは、その理念は崇高なものであり、そして非常に大事な、重要な役割を果たしている。しかし、社会構造なり時代が変われば、やはりそれに対応したとらえ方をしていかなければいけない。とりわけ高齢化社会に入っていく、そういう中で独居老人に対する具体的な問題点を聞いていきたい、こういうふうに思うのです。  ここ数年、政府の取り組みを見ていますと、どうも社会福祉行政は、いわゆる予算面ではどちらかというと時代変化に即した政策的視点に欠けているのではないだろうか。財政が苦しくなればその伸びを、いわゆる社会福祉事業に対する予算措置を縮めていこう、抑えていこう、そういうことはむしろその福祉の理念あるいは役割から大きくそれていってしまうのではないだろうか。そういうことを今日補助金の一律削減を一つの大きな象徴として私は指摘をしていくわけなんです。  独居老人に対しても、今までの手法ではもう対応できないのではないだろうか。普遍的ないわゆる市民生活、市民社会、市民組織の中に組み込まれた中で独居老人に対する手だてをしていくべきではないだろうか。そういう点について具体的な政策に欠けている。そして最初に申し上げたように、予算のつじつまを合わせるための努力に終始されているような感があるので、この点についての厚生大臣の考えを聞かせていただきたいと思います。
  23. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 御指摘のような財政事情でございますので、私どもといたしましても、厳しい財政の中でもできるだけ福祉の後退をいたさないようにということは、これからも十分気をつけていかなければならないというふうに思っておるわけでございます。  また今、ひとり暮らしの老人のことについてお触れになりましたけれども先生指摘のように、私どもも、お年寄りが地域の中に溶け込んで、いわば社会と接触を保ちながら健康で安全に暮らしていただくということが、お年寄りの立場を考えました場合には、それが一番お幸せであろう。家族と一緒に住むということよりも、今の高齢化社会あるいは核家族化、住宅事情等で、おひとり暮らしの方がおふえになるということもあるいはやむを得ないかもしれませんけれども、しかし、そのことによって生ずる寂しさでありますとか、安全に対する配慮でありますとか、そういうものについても、これから私ども厚生省といたしましても十分に気を配っていかなければならぬ問題であると思うわけでございます。  これまでも、細々ながら、ひとり暮らしの老人の個人別台帳をつくっていただいたり、そのことによりまして老人クラブ、婦人会、近所の方々等に御理解と御協力をお願い申し上げておるわけでございますけれども、今後も十分そのように対処してまいりたいと考えております。
  24. 井上一成

    井上(一)委員 総理が、活力ある豊かな日本をつくる、あるいは国民が生涯を通じて生きがいのある生活を送ることができる社会システムを構築する、こういうことをよく強調されているわけです。私は、確かにそのような社会を求めていくことには賛成でありますし、協力をしていきたい。しかし、実際に出てくるのはどういう実態かといえば、さっき言った補助率の一割削減、あるいは全く将来展望というものが持てない特に独居老人に対する施策ではないだろうか。そういうことについて厚生大臣として、まだ六十年度予算では措置はされていない、あるいは過去の予算ではそういう取り組みはなかったけれども、これからの高齢化社会に対して、独居老人といってもいわゆる任意的な独居老人あるいは必然的な独居老人、その中身がいろいろあるわけですが、しかし、ひとり暮らしのお年寄りに対してこういう政策を私は考えているのだというあなたの持つ理念あるいは目標というのを私はぜひ聞かせてほしい、こう思うのです。
  25. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 私は、家族と一緒に暮らすということも大切でありますけれども、顔見知りの人と仲よく暮らすということがその次に大事ではないかというふうに思います。したがいまして、先ほど申し上げましたように、地域社会の中にお互いに溶け込んで、そして一緒にたくましく生きていくということが必要ではなかろうか。そのためには健康の問題もございますけれども、健康の上にそのようなことを考えてまいりたいと思います。
  26. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、総理が来られましたし、厚生大臣はこれで終えておきます。  総理、まず最初に、続発する警官の不祥事件の問題について、率直な総理のお考えというか、受けとめというのでしょうか、認識というのでしょうか、所見を私は聞いておきたいと思います。
  27. 安井吉典

    安井委員長 ちょっと、今の井上君の質問の関連、大きく言えば関連するわけですけれども委員長として一言総理にお願いをし、それへの総理の御答弁とあわせて井上君の質問への御答弁をお願いしたいと思います。  国の決算審査は、国民の納めた税金がどう使われたかを明らかにし、その結果を次の予算に生かすというのが本来のあり方であると思います。ところが、衆議院では既に政府から五十七年度決算、五十八年度決算も提案されているというのに、本日ようやく五十六年度決算の締めくくり審議をするという状態にあります。きょうの審議を設定するにもいろいろ各方面から御努力をいただいたことはお礼を申し上げたいと思いますが、我々はこれが終わった後、五十七年度、五十八年度の決算審査を急ぎ、正常な状態に戻さなければならないと考えます。そうでなければ税金を納めた国民には相済まぬと思います。決算審査を促進するには、総理初め政府の御協力がぜひ必要だと思います。委員長としてそのことを強く政府に要請したいと思いますが、どうでしょうか。
  28. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 決算は、予算と並んで、国の財政運用並びにその締めくくりの点におきまして非常に重要な機能を営んでおることであると思います。そのような意味におきまして、委員長御発言の御趣旨を体してできるだけ努力いたしたいと思います。  ただいまの井上委員の御質問の件でございますが、相続く警察官の不祥事件につきましては、国民の皆様方にまことに申しわけないと思う次第でございます。特に今回の場合は、元警察官が制服を着用して犯罪行為を行ったという点におきまして、国民に対して大きな御迷惑をおかけし、御期待に背いたということのみならず、警察官としての名誉を非常に汚した恥ずべき行為であると思うのであります。このような事態が起きましたことについては、政府としても厳重に調査を行い、そのよって来るところを究明いたしまして、こういう事件が再び起こらないように相戒めたいと思っている次第でございます。
  29. 井上一成

    井上(一)委員 決算の審議の軽視については委員長からも、これは理事会で各党がすべて指摘をしてきたわけでありますから、今後十分注意をしてほしいと私からも強く要望しておきたい。  次に、中曽根総理が首脳外交として外交面においても非常に御活躍であるということは私も一定の評価をしたい、こう思うのでございますが、ややもすると外交の一元化がそこに損なわれる嫌いがあるのではないだろうか、私はそう受けとめるわけです。そういう点は十分な配慮がどうしても必要であるということを冒頭申し上げ、質問をいたしたいと思います。  せんだってソ連に対する弔問外交をなされたわけでありますし、ゴルバチョフ書記長との会談もなされたと聞くわけであります。そこで、対ソ外交についての我が国の外務省の一定の努力をここでるる申し上げる時間もありませんが、少なくとも八三年初頭における中曽根総理の対ソ認識と今日の対ソ認識に幾らかの変化があるのかないのか、この点について聞いておきたいと思います。
  30. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 変化はないと思います。私は総理大臣就任以来、対ソ関係も対話を広め粘り強く打開していきたい、そういうことを申し上げてまいってきておるのでございます。そういう意味におきまして、自分でも時期をどういうふうに目測していくかということで考えもし、努力もしてきたのでございますが、今回はチェルネンコ書記長の御逝去という不幸な事件ではございましたが、その機会をとらえまして首脳会談が実現したことは非常に喜ばしいことであると思い、このきずなをしっかりしたものにしつつ、懸案の解決等に向かって努力してまいりたいと思っておるところであります。
  31. 井上一成

    井上(一)委員 私の受けとめ方は、総理、少し違うのですよ。八三年初頭にあなたが訪米されていろいろな発言をなさったわけですよ。日本列島不沈空母だとかあるいは三海峡封鎖だとか、否定された部分もありますけれども、そういう好戦的なというか、強硬路線を強調してきた。むしろ対ソ関係において最悪の険悪な状況をつくり出したきっかけは、総理の八三年のあの発言だったと私は思うのですよ。それからそういう状況を、これは外務省が努力されたと私は思うわけなんですけれども、安倍外務大臣の国連でのいわゆるグロムイコ外相の訪日要請だとか、いろいろな積み上げがあって今回の首脳会談があり得た、私はそう思っているのです。  だから、少なくとも八三年の認識と今日の認識とが変わらないということであれば、今外務省が努力をしているグロムイコ外相の訪日というものにはそう期待が持てないのではないだろうか。あるいは五月下句ですか、日ソ高級事務レベルでの協議会に向こうの外務次官がやってくるわけなんですけれども、あなたの八三年の認識が今日も続くとするならば、外務省レベルでの対ソ折衝というものは非常に苦労が多い、そのことは外交の一元化に首脳外交が果たしてその役割を担ってくれるのであろうか、私はそういう危惧を持つわけなんです。  だから、素直な意見として、今度の新体制になって中曽根総理の認識が若干変化したというふうに私は受けとめておったのでございますが、変化がないというお答えなので、そんなことでグロムイコ外相の訪日を期待できるのでしょうかということをあえて聞いておきたい。
  32. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 私の考え方は、どの国に対しても日本の内部自体をしっかり固めるということが大事であります。国民のしっかりした御支持をいただいて、そうして日本の内部自体はしっかり固められる。それは、安全保障におきましても外交におきましても、あるいは財政その他においても同じことであります。それと同時に、国際的に見て日本というものが軽視できないという存在になっていく、また世界的にも非常に大きな役割を果たす存在になってくる。そういう認識で、無視できない、軽視できないという日本になって初めて外国も一人前の扱いをして話し合いに応じてくる、そういうことになるのだろうと思っておったわけです。  そういう意味で、私が総理に就任しましたときは国際関係の調整を要する段階でありました。つまり、韓国との関係あるいは中国との関係、ASEANとの関係あるいは自由世界との関係等につきまして一連の外交活動を行いまして、日本の国際的地位の安定ということを念願いたしまして努力したつもりなのでございます。その間に日本の経済力の上昇、国民の国際的意識の高揚等々のお力もいただきまして、また野党の皆様方の御協力、御鞭撻もいただいて、そして日本の国際的地位というものが無視できないくらいに高くなり、国際的役割に対する各国の要望もまた強まってきておると思うのであります。  そういうような結果を経まして、やはりソ連も日本と話す時期が来つつあると認識してきているのじゃないでしょうか。また、日本自体が余りにもかたくなな態度ばかりとらないで、そしてある程度の弾力性を持ちつつ、長期にわたって粘り強く問題を解決していくという姿勢が大事ではないかと思うのであります。やはり自由世界の中に属しておりますということを基本にして、そしてアジアの一国であるということを十分に認識して、そういう基盤の上に立って初めて対共産圏外交というものは実を結んでくるという認識のもとに私はやってきたつもりでおります。
  33. 井上一成

    井上(一)委員 総理、時間がないから多くを申し上げられませんが、私は、外務省の努力というものもあなたの今度の首脳会談に大きく貢献をしていた、こう思うのですよ。何時間待ったのか、そういうことはわかりませんが、十四日の最終にあなたがゴルバチョフ新書記長と会談ができた。私はやはり、いろいろ今言われましたけれども、外交の一元化を軸にひとつ十分な対ソ外交というものに取り組んでほしい、こういうふうに思うのです。  それで外務大臣に。  グロムイコ外相の訪日が日ソ関係改善の糸口をつくるのではないだろうか、私はそう思っておるのですよ。大臣もそういう取り組みをなさってこられたし、私は、やはり今申し上げたように、中曽根総理がいろいろ日本はアジアの一員と言われたけれども、ソ連に対する外務省の取り組みがこの間のあの首脳会談、まあ限られた時間ではありますけれども、そういうことでグロムイコ外相の訪日に対して外務大臣としてどのように対応されているのか、指示をされているのか、そういう点について、あるいは今後どう取り組んでいこうとなさっていらっしゃるのか、その点について外務大臣から聞いておきたいと思います。
  34. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 グロムイコ外相の訪日につきましては、これはグロムイコ外相が今度は訪日をする番だということは、去年の国連総会におきましてグロムイコ外相の口からはっきり出ましたし、そういう意向も出たわけでございます。そしてその間、それ以来日ソの対話も、国際情勢の緩和と相まって着々と進んでおったことは事実であります。そういう中で、今回の首脳会談で最高首脳同士でグロムイコ外相の訪日ということが表明をされたということは、非常に大きな意義があったのじゃないかと思います。その首脳会談を受けて、私も早速モスクワの大使館に、グロムイコ外相の訪日に備えていろいろと事務当局間で、外交当局間で準備を進めるように指示をしておるわけでございますが、私も、グロムイコ外相の訪日はまさに日ソ関係改善の糸口になると思うし、また、そういうふうにしなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。  しかし、日ソ関係につきましては、御承知のような領土問題という大きな懸案がありますし、この点については首脳会談においても両国の考えが明らかにされておりますように、依然として日ソ間には大きな隔たりがあるわけでございます。この問題が一挙に解決するというふうなことを考えることは、いわば幻想的なものであろうと思います。我々としては、日本の主張をあくまでも変える考えはありませんし、腰を据えてこの問題に取り組んでいかなければなりませんが、それにいたしましても、やはりグロムイコ外相の訪日によりましてこれまで進めてきました対話の一つの成果というものもここで明らかになる可能性はありますし、また、今後の日ソ関係のさらに改善という道が開けてくると私は考えております。  そういう意味では、グロムイコ外相の訪日は非常に日ソ間にとっては重要なことである、こういうことで今準備を進めております。ソ連側の態度はまだはっきりしておりませんが、首脳会談の様子等から見ますと、可能性としては十分あるのではないか、こういうふうに見ております。
  35. 井上一成

    井上(一)委員 六月上旬に外務大臣が東ドイツなりチェコ、ハンガリーを歴訪したいという、決定じゃありませんが、私は、こういうことも東側との関係を探るというのでしょうか、そういうことと同時に、日ソ関係改善への環境づくりだ、そう思うのですよ。だから大いに今後外務省としての努力を期待をしたいと思います。  それでもう一点、イラン・イラク戦争について我が国がどのようにこの和平交渉に役立とうとしているのか、国連に対して何らかの具体的な働きかけをなさったのか、あるいは今後しようとなさっていらっしゃるのか、こういう点についてもぜひ聞いておきたい。とりわけイラクの外務大臣が、確か月末ですか、訪日されるわけでありますが、その機会には何らかの提案をされる用意があるのかどうか、そういうことについてもひとつ聞いておきたい、こう思います。
  36. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 日本とイラク、イラン両国との関係というものは最近非常に進んできておりまして、イラン、イラク両国とも日本に期待するところが大きいのではないか、こういうふうに判断しております。  既に御承知のように、イランからも特使が日本にやってまいりまして総理にも会いましたし、私も会いまして、イランの考え方を聞いておるわけでございます。イランとしても何とか平和への道を模索したいということはその心底にあるのではないかというふうに判断をしております。しかし、イランはイランの立場というものもあるわけでありますし、この戦争自体についてのイランの判断というものも我々も十分聞かされております。  また同時に、今回イラク外相が、あの戦火の中でありますが、たった一日の日程を割いてわざわざ日本へやってくるということも、ただ両国間の関係を進めるということだけでなくて、やはりこれまで築き上げたイラクと日本との外交のルー上を通じて、さらに日本が国連その他に対して働きかけてきております努力の評価もあわせて、イラクとしても何らか日本がこの平和回復への一歩にさらに大きな努力をしてくれるということについての期待もあるのではないか、こういうふうに思っておりますし、私たちもイラクの外相の訪日というものを非常に重要に受けとめておりますし、十分腹を打ち割って話をいたしまして、今もう全く泥沼化しておりますこの戦争の何らかの平和への糸口をつけるために日本の外交努力をこれから進めていかなければならぬ。  既に国連におきましては、日本も去年の国連総会に、私自身も三項目の提案をいたしまして、国連事務総長もこれを高く評価をして、この日本提案、さらに国連の提案というものを踏まえていろいろと努力を続けられております。この二十日には日本の黒田大使を国連事務総長が呼びまして、日本のこれまでのイラン・イラク戦争に対する外交努力というものを非常に高く評価している、今後ともこの努力はぜひとも継続してもらいたい、国連と一体になって進むということを事務総長も表明いたしております。  そういうふうに、やはりイラン・イラクのこの戦争の少なくとも環境を、さらに平和環境を醸成をしていく、あるいはさらに一歩突っ込んで平和への糸口をつくるという面における日本の役割というものが、私はますます重要になってきたのではないかというふうに考えております。そういう面ではまさに世界は見ておりますし、イラン、イラク両国とも日本に対する期待も出ておるのではないか。そこで、これは日本もさらに国連その他の国々ともこれからも十分連絡をとりながら、何とかこの不幸な戦争の解決の糸口をつくるために今後努力を重ねてまいりたいと思います。
  37. 井上一成

    井上(一)委員 時間がありませんので、総理にちょっと聞いておきたいのですが、いろいろ予算委員会でも問題になりました日米共同作戦計画ですね。これについてはいつごろ総理は関係当局から説明を受けられたのか。あるいはその受けられた内容について外務大臣には指示あるいは伝言をなされたのかどうか。日米共同作戦計画の正式名称は何というのでしょうか、日本文、英文同時に私はお教えをいただきたい、こういうふうに思います。
  38. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 私は、大体土曜日の午前中は、外務事務次官から定期報告を受けるのを例としておりまして、そのたびごとに起こり得べき問題や過去の問題等について報告を受けており、また必要な指示をして、それを外務大臣に事務次官が伝えるという形で、一体になってやっておるわけであります。  日本の自衛隊の対潜訓練につきましても、その際にこういう計画があるということは聞いて、私も了承しておったところであります。正式の名称その他は政府委員から御答弁申し上げますが、私の了承のもとに行ったことは間違いないことであります。(井上(一)委員「いつ聞いたのですか」と呼ぶ)今何月何日ごろというのは私は覚えていませんが、恐らく行われる前……(井上(一)委員「署名前か、署名後か」と呼ぶ)この間のあれではないのですね、対潜作戦の話ではないのですね。それはたしか十二月の前、十二月の初めごろか十二月中ではなかったかと思います。
  39. 井上一成

    井上(一)委員 総理、外務大臣は一月になって知らされたというのですよ。私は、こんなことでいいんだろうか、そういう点についてやはり外交の一元化ということに危惧を持つ。時間がありませんので次の機会にこれは譲りますが、そういう事実関係です。  最後になりましたが、もう一点。  今、文化を大切に、文化財を守っていこう、そういう中で、京都の問題だと言えばそれまでですけれども、古都税の問題についていろいろと地域に、京都市と対象寺院との間でいろいろなトラブルが起こっておるわけなんです。円満な解決を私も望むわけでありますけれども、この古都税についてひとつ総理の御見解を聞かしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  40. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 地方税法によりまして、地方の独立税につきましては自治大臣に申請して承認を受ける、そういう形になっておりまして、たしか自治大臣は、形式、内容の整った条件に合ったものは自動的に承認しなければならない、そういう性格のものであると思っております。京都市の場合も自治大臣はそういう観点を持っておるわけでございますが、自治体のことでございますから円満に話し合いでこれを解決することが望ましい、そういう考えに立って今その調整を見守っておる、そういう段階でありまして、市と寺社側が円満に話し合いをして、できるだけ早急に解決するように期待しておるものであります。
  41. 井上一成

    井上(一)委員 住宅公団に御出席をいただいたのでございますが、時間がありませんので、共益費の使途について尋ねたかったわけでありますが、きょうはせっかくお越しをいただいて申しわけないのですが、次回にさしていただきます。  では、私の質問を終わります。
  42. 安井吉典

    安井委員長 次に、中村重光君。
  43. 中村重光

    中村(重)委員 総理、十数年ぶりに総理に質疑をするわけですが、かつて一週間に五時間、七時間と質問をしてきたわけですが、なかなか縁がありません。時間が三十分と限られておりますから、あれこれ欲張ってお尋ねしたいなと思うのですけれども、かないません。端的にお尋ねしますから、総理からもそういうことで端的にお答えをいただきたい。  今井上委員から、横浜の銀行の元巡査部長強盗事件ですね、これは警察官に対しても国民に対しても大きな衝撃を与えたということで、総理から今お答えがあったのですけれども、これは最近もう七件目でしょう。しかも、グリコ・森永事件が発生をしている兵庫県、大阪府、ああいった地域に特にそういう不祥事件が多いということから、横浜の強盗事件でもある少女が、警察官を信頼できないと強い憤りの批判をしているのですが、このグリコ・森永事件だって何をしているかわからぬじゃないかという、そういう警察に対する不信感というものが起こるのじゃないか、そういう不安すら私は感じるのですね。  グリコの社長を誘拐してから、事件が起こってから一年を過ぎたわけでしょう。それから、大阪府警の本部長は、この事件は動機としては金ではなくて恨みだ、しかもグリコの支店長以上の者でなければわからない事実を知っている、そこまで言い切っているのですね。それで、一日に四万五千の警察官を動員をしてローラー捜査までやっている。そこまで動機まで見当をつけているのになぜに逮捕できないのか。そういったことまで、こうした不祥事件の発生とあわせて国民に警察に対する信頼を失わせしめていることは大変なことだというふうに私は思うのですよ。  そこで、総理もこれは異常な決意を持って警察官の資質、適性検査なんというようなものも改めてやり直してみなければいけないのじゃないか。それから、警察官職務執行法第六条四項では、警察官は必ず名刺を持参しなければならぬ、請求されたらこれを提出しなければならぬということにもなっているのですね。悪いことをしようという者は、平気でそういうような作為行為もやるのでしょうけれどもグリコ・森永事件、いつこの怪人二十一面相の犯人の逮捕ができるのか。総理から今そういう的確なお答えができないことはわかっていますけれども、姿勢としてどうあるべきかということで改めてお答えを願いたいと思います。
  44. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 グリコ・森永事件につきましては、まだ逮捕に至らず、これもまた申しわけない次第でございます。非常に高度の知能犯罪になってまいりまして、こういう高度の知能犯罪、情報犯罪というものに対応する警察側の構えがまだ十分できていなかったということから発すると思います。こういう新しい時代の新しい型の犯罪に対しまして対応するようなやり方を至急整えて、訓練、教育も充実さしてやっていきたいと思っております。  なお、御指摘の警察官の不祥事件につきましては、確かにこういうことが頻発しているところを見ますと、警察官を採用するときの資質の検査とか、その後の教育訓練のやり方とか、つまり廉恥というものをしっかり教え込まなければいけない。恥を知るということ、名誉を保つということ、そういう面に対して普通のサラリーマンとは違う立場にある職務でございますから、そういう点に対する教育、採用の基準等も今後ともよくチェックしてやるようにいたしたいと思っております。
  45. 中村重光

    中村(重)委員 今総理から、情報化時代――犯人の方が情報化時代にマスコミを利用している。警察側はむしろこれを利用していない。それから、完全に犯人は的確判断、この犯罪を楽しんでいるという感じがしてならないですね。だから、最初申し上げましたように、異常な決意を持って一日も早く犯人逮捕ができるようにやってほしい。同時に、警察官の資質の検査、教育ということは、お答えのとおり対処してもらいたいということを強く要請しておきます。  それから、委員長から決算委員会の端的に言えば軽視に対する指摘があり、総理からもそれぞれお答えがありましたが、官房長官や総理から、特に閣議等の場合に全閣僚に対して注意を喚起してもらいたい。決算委員会を盲腸的存在のように考えているのではないか。委員会がなかなか開けないですよ、各省大臣だって出てこないのだから。法律がかかっていないのだからということで、なるべく先延ばしばかりしていこうとしている。大体、決算の結果によって予算の計上ということになっていくのでしょう。こんなでたらめなことではだめなんです。これまた総理は言うまでもなく、官房長官各省大臣に強く注意を喚起するという姿勢を強く望んでおきます。  次に、予算の計上、また予算執行の面について何としても不可解なことは、具体的なこととして申し上げなければわかりませんが、例えば諌早湾防災総合干拓事業、これは昭和二十八年から国営長崎干拓事業ということで始まった、二十八年から四十四年まで。当時大蔵大臣は水田さんだった。三年間も予算計上しながら事業の執行ができない。四年目の予算を計上するなんてことはおかしいからこれは打ち切りなさい。水田さんもそのとおりだというので打ち切ったことがあります。今度は多目的ということで長崎南部総合開発事業、四十五年から五十七年度です。これも執行できないものだから、今度は諌早湾防災総合干拓事業ということに変えた。  これは、この前の大水害等から当該地域は水位が高いのですよ。ですから、集中豪雨なんかになると冠水してしまう。これは塩害という形になるのです。そういうことですが、数字を言うと、国営長崎干拓事業ということで計画をし、南部総合開発事業ということで多目的に衣がえをしたときに一万ヘクタール、今度防災総合干拓事業になりましてから三千九百ヘクタールということに農水省は検討委員会検討を待って縮めたのです。それを今度はまた反対があるからといって三千六百八十ヘクタールに変えたのです。  この間、事業の執行はできないのに国費を幾ら使っているかというと、三十一億四千万円使っているのです。もちろん県が使っているのです。それから、漁民に対しても補償費は幾らということまで決めてしまった。だから、その補償費が入るというので漁民は撤退作戦をとって、別の事業に変わらなければなりません。漁業ができなくなるわけですから、当然そうせざるを得なかった。ところが、なかなか執行ができないということですね。こんなふざけた話があっていいのだろうかと私は思う。  しかし、これはやめられるかというと、やめられないです。これはやめたらいけないです。これは防災干拓事業ですから、どうしてもやらなければならない。今三池、稲富両長老代議士が間に入ってあっせんをしているわけです。ところが、どうしても国の方も譲ってもらわなければ、あるいは漁民の方も譲ってもらわなければなかなか調整がつかないだろうというような考え方もあるのです。  微妙な段階ですから、私はその点慎重にこの問題は質疑をしなければならないのですが、基本的な問題として申し上げるわけです。こういう姿であってはいけないのではないか。だから、総理もそういう基本的な問題としてこれを受けとめてもらわなければならない。これも両代議士があっせんをして、仮に三千六百八十ヘクタールを三千五百くらいでできるのかといったら、これは池をつくらなければなりませんから、水をためなければならないのですから、ぎりぎりのところにあるわけです。そういうような事情も考えなければなりません。  もう一つ基本的な問題として、私は総理にこの際十分検討される必要があるのではないかということで申し上げるわけですが、漁業権というのは財産権になっていますね。そうすると、もちろん当該の干拓をする地域の漁民の同意が必要であることは言うまでもありません、漁業権を放棄するのだから。ところが、周辺はどこまで影響があるのかわかりませんけれども、影響があると影響補償というものを出すことになるのでしょうね。ところが、同意を必要とするというところがおかしい。法律的に同意を必要とする根拠があるかといえば、ないのです。ましてや有明海は干拓の歴史ですから、有明海に面するのは、御承知のとおり佐賀県であり、福岡県であり、熊本県である。干拓をするところとははるかに遠い距離にある。しかし、海はずっとつながっているから影響があるのだ。だから同意を受けなければならないのだ。  そうすると、同意をしなければ、こんなに国費を使い、三十数年間も調査費をつけ、事業予算をつけても事業の執行ができない、こういう姿が適当であるのかどうか。例えば都市計画事業等は、承諾をしなくても強制執行をする道があるのです。やっています。ところが、この件については強制執行なんというのはできないのでしょう。そういうことが法律的に明らかではない。そうした基本的な問題、矛盾といったようなものがいろいろあるということをこの際総理は十分考えてもらわなければいけないのではないかと私は思います。  ですからこの件は、国費も三十一億も使い、そしてそういう当該地域の漁民はもう既に撤退している、撤退作戦をとっている、どうにもならぬところまで追い込まれておるという事実があるのにこれができないということになってくると、国政、県政に対する不信感が非常に強くなることは言うまでもありません。今度六十年度は二十億予算をつけているのですよ。ですから、年度末までにぜひひとつ決着をつけるということはそれを着工できるようにやられる必要があるということで、基本的な問題を含めてひとつ総理の見解を伺ってみたいと思います。
  46. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 長崎県の南部の干拓の問題は、長い間の懸案事項でございまして、これが進捗しないということは残念であります。しかし、これが調整については県当局もいろいろ苦労していただいておりまして、特に漁業関係者の間に円満に話し合いが終わるように懸命の努力を今までしてきているのだろうと思います。行政を行う方といたしましては、単に法律だけにとらわれることなく、円満なる造成ということが望ましい。後の問題もいろいろ考えてそういうこともやっておられものだろうと思いますので、我々も県当局のいろいろな調整を見守っておる、こういう状態であるのであります。余り強権的なことを考えるということは事態を進行させる上に必ずしもよくはない、そういう考えもあり得ると思っております。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 私も強権発動は好みませんよ。円満にやらなければならない。しかし、その問題とこうした漁業権というものは、財産権であるけれども法律的には同意を求めなければならないということではない。円満にやるというようなことのために延々として三十何年間も事業計画を立てて調査費をつけ、あるいは事業予算を計上し、その準備のために三十一億という国費を使い、また県費も使っている。繰り返し申し上げますが、こういうことである。  このことを考えていると、私は強権強権ということで申し上げているのではありませんが、基本的にこういう問題はどうあるべきかということを政府ももう少し責任を持って考え、これに対処していく必要がある。強権ができなければ粘り強く関係の漁民であるとか農民であるとかいうものの説得をしていくということも必要である。何か予算をつけるときだけ大蔵省の折衝等いろいろやる。ついたらばほったらかしておると私は申し上げませんけれども、どうもそこらに熱意が足りないというようなことになっているのではないか。そのことがこのような三十数年間も予算をつけ、事業執行ができない。ところが、陳情があるからといって予算だけはつけていく。行政改革とかといったような面からいっても、このようなことが放置されていいはずはないと私は思う。そういう意味で総理に申し上げたわけでございますから、もう一度。
  48. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 やはり関係者皆さんの御了解をいただいて、そして円満に進めることが結局は早い道になる、そう思います。県当局等を中心にしまして関係者の話し合いが一日も早くつくように我々は期待もし、政府もそういう筋に立って協力を申し上げたいと思っている次第です。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 それ以上は申し上げません。ただ、円満にやることが早い道だ、そして三十何年かかった、そのことをひとつ総理お考えにならなければ……。  それから財産権の問題も、いわゆる道路等については強制執行の道はあるが、こういうものには執行の道がない。さてバランスのとれた姿であろうか。どうあるべきかということで行政のあり方についても見直して検討して、適切に対処していく方法が必要である、話し合いとかなんとかということとは別に、法的に整備しなければならぬ点があれば法的な手当でもやる、そういうことが必要であろうということを問題を提起いたしておきます。  それから次には、総理も同感であろうと思うのですが、実に悪質な脱税、申告漏れという、特に医師、それからレジャー産業、目に余るものがありますね。レジャー産業も非常に成長しているわけですが、脱税は急成長している。この前調査をされたようですが、摘発されたのは二百三十四件でありますね。医師の脱税、申告漏れに至っては天文学的な数字みたいになっているのですね。こういったところに私は、国民の税に対するところの割り切れない感情というものが起こってくるのではないかと思いますが、総理は国民の税感情というものをどう受けとめておられるのか、ひとつ伺ってみたいと思います。
  50. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 やはり公平、公正ということが税に関する基本観念であるだろうと思います。そういう面から、最近新聞に散見しております脱税は極めて遺憾な事態でございます。医師とかあるいは遊技場とかいうようなものがいつも上の方へ挙がっておるようでございますが、こういうような問題につきましても、片一方におきましてはそれらの国民の皆様自体、関係者自体が自覚して、そして良心的な税の申告ということをやっていただく。また一方においては、税務当局自体が適切な捕捉を行う。両々相まって行う必要があるように思っております。国民の皆様方が持っておる不満感というものは、自分のことに比べてこれは公平ではないではないかという正義感から発するものがかなりあるように思いまして、税務当局も我々もそれにおこたえしなければならない、そう思っております。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 今総理が言われたように、税制改革に当たって予算委員会等の質問に対する答えで、公正、公平、簡素、選択、名文句が総理の口から飛び出す。総理はなかなか雄弁であるし、こういうような名文句も、それを聞いておって、総理に誠実さというもの、実行性というものがあるならば、もう言うことなしという感じを受けながら私は聞いておるんだけれども、どうもそこのところ少し欠けているようなところがあるんじゃないか、これが脱税とか申告漏れとかいうようなものをむしろ促していると言ってもいいぐらいなものになっているんじゃないかなという感じがするのですね。  総理は、公正、公平なんという中に、直間比率七、三になっている、これを縮めなければならぬというようなことも、どうも間接税の増税をしようということからそういう直間比率を縮め――直間比率が七、三なんというのは、余りにも広がり過ぎているというようなことです。ところが間接税というものは、総理の言う公正、公平、まあ簡素、選択は別として公正、公平ということにはならないんじゃないか。間接税、物品税というものは、富める者も貧しいものも同じに税金を払うことになるのですからね。必ずしも公正、公平ということにはならないんだろうと私は思っているのです。  むしろ、徴税というものを的確にやる必要がある。悪い者が得をする、頭を悪い方に使うと、いろいろと申告漏れとか脱税の道が開けてくるというような考え方を払拭してしまわなければいけないのではないかというように私は考えるのです。サラリーマンは給与から税金を天引きするでしょう。そして節税の手段というものはないのです。こういった点について総理はどうお考えになるのか、その点ひとつお聞かせをいただきたい。
  52. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 シャウプ税制の大きな改革がありましてから三十五年たちますが、おっしゃるように、税関係でひずみとかゆがみというものができておりまして、またそれが重税感、不公平感の原因にもなっております。そういう意味において、この際シャウプ以来の大きな基本的な観点から洗い直して、そして今の公正、公平、簡素、選択、それに活力ということも加えて、そういうような観点から見直してもらいたい、そういう希望を持っておる次第でございます。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 時間がありませんからお尋ねをすることができないのですが、ただ、途上国に対する援助ということについて、総理の見解を伺ってみたいと思うのです。  エチオピア等のこの援助物資も、半年もしないと現地に着かないということですね。それは交通上の問題であるとかいろいろあるのでしょうけれども、しかも、送った品物が難民の口に入らないということも言われている。ですから、送るまではいいけれども、それから先は相手国任せということなのかどうか。その点は総理はどうお考えになっているかということが一点です。  もう一つは、どうも日本の経済協力、特に途上国援助に対して理念というものがないのではないか。欧米は分配主義、日本は生産重点ですね。それから、スウェーデンであるとかオランダその他北欧諸国は、非常に貧しい国に重点を置いた援助をする、いわゆる人道主義というものの上に立っているということが言えるのではないかと思うのです。なるほど日本の経済協力の歴史というものは、賠償から始まって機械とか商品援助をやる、それが日本の産業を発展をさせた、それから輸出市場を拡大をした、そのことが企業主導という体制をつくり上げてきたというように私は思うのです。しかし、途上国の援助というものは、総理はいわゆる西側の一員として東西問題に重点を置かれて、南北問題は軽視されている。まあ完全軽視とは言いませんけれども、最近は大分姿勢が変わってきたようですけれども、そういうことをひとつ反省をしてみる必要があるのではないか。  同時に、日本の経済援助というものは非常に複雑だ。窓口が多い。非常にわかりにくい。せっかく最近は経済援助に対するところの予算もふやし、関係国際機関に対する拠出金もふやしながら、日本の経済援助に対するところの批判が非常に強い。このことをひとつ反省される必要があるであろう。  私は、やはり途上国援助に対するところの理念、定義をはっきりさせる、それから、ヨーロッパの先進国家がやっておるように援助基本法の制定ということをやる必要があるのではないか、そのような感じがいたしますが、総理の見解はいかがですか。
  54. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今日本がやっておりまするODA、海外経済協力、援助というようなものは、やはり当該国の社会の安定、福祉の向上、すなわち人道主義的観点から行っておるものなのでございます。日本もかつては発展途上国でございまして、そこからようやく抜け出て先進工業国になったということでありますから、我々は昔を忘れずに、今発展途上国あるいは貧乏な国々に、我々の昔を考えつつ、できるだけの御協力を申し上げるという精神に立って実行してまいりたいと思っておる次第でございます。  それから、物資が現地に届かない、あるいは経済協力の内容が必ずしも適切でないという御批判もいただきます。あるいは、対象によってはそれが不正に使われるというようなこともなきにしもあらずであるという御批判もいただいておりますが、それらにつきましては、我々は十分点検もいたしまして、そういう間違いがないように今後戒めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 私が申し上げた先進国家がやっているように援助基本法の制定ということについては、どうお考えになりますか。
  56. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 果たして今そういう法律をつくるのが適切であるかどうか、これは検討してみたいと思います。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 では、時間が来ましたから終わります。
  58. 安井吉典

    安井委員長 次に、斉藤節君。
  59. 斉藤節

    斉藤(節)委員 公明党・国民会議斉藤節でございます。  総理に御質問をいたします。  私は、我が国の核燃料再処理問題についてお尋ねしたいと思います。総理は核燃料の再処理問題についてどのように考えておられるか、お尋ねしたいと思います。  将来の我が国のエネルギー需要を考えますと、原子力発電への依存度は増大するものと私は思っております。そこで、現在のような極めてリスクが大きく、しかも莫大な費用のかかる外国への依頼というのはやめる方向で、我が国での大量再処理を可能にするべきだと私は考えるわけでありますけれども、総理の御所見を承ります。
  60. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 方向は、斉藤さんがおっしゃるような方向であるだろうと思います。ただ、日本の場合はそういう施設がなく、また技術もなかったわけでございますから、ある場合には英国に、ある場合にはフランスに委託をいたしまして、再処理をしていただいておりました。まあ、これの輸送に関する問題なんかも最近は散見しておるわけでございます。そういう見地に立ちまして、燃料のリサイクルという問題が、安全及び燃料の安定供給という面から望ましいということで、政府も動燃事業団で、まだ量は少のうございますけれども、リサイクルの施設を既に稼働させております。私も先年行って見てきたところでございます。それから、たしか六ケ所村にそのような施設をつくるべく、今民間が努力をして、青森県も御協力をいただいており、地元の御協力もいただいておるところでございますが、これらが支障なく稼働の運びに至るように政府も協力していきたいと思っておるところでございます。
  61. 斉藤節

    斉藤(節)委員 では、次のテーマに移りますけれども我が国の農耕土壌問題についてお尋ねしたいと思います。  我が国の農耕土壌が、いわゆる化学肥料中心の農耕になっている関係で、土壌中の有機質の不足を来しております。そのため地力が非常に低下してきているということが問題になっておりますが、これについて総理はどのように認識しておられるのか、お伺いしたいと思います。  また、今日下水道の普及が図られております。しかし、終末処理場では汚泥処理に非常に苦労しておるわけでございます。また、生ごみなどの処理についても、これは大変費用がかかっているわけでございまして、これらのものをコンポスト化して有機質肥料として土壌に環元するならば、一石二鳥の効果があるのではないかと私は考えるわけでありますけれども、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  62. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 石油化学を中心にする化学肥料が普及いたしまして、非常に生産効率を上げていることは事実でございますが、一面においては地力の低下を来しております。そういう意味において、有機質肥料等を増加させるということは非常に大事なことであると思います。  そういう一つの考えとして、終末処理の汚泥から有機質肥料をつくり出すということは非常に大事なことで、私は、これがさらに拡充されて現在の化学肥料の欠陥を補うところまで進められるように希望し、協力もしたいと思います。今ある程度行われておりますが、まだ量的に非常に少ないと思っております。
  63. 斉藤節

    斉藤(節)委員 時間がない関係一つ一つ質問のテーマは違いますけれども、次はシアン化合物、青酸カリとかそういった青酸化合物などの毒物による犯罪などで社会不安が起きていることは極めて遺憾なことだと私は思うわけでありますけれども、しかし、我々の生活環境にも劇物あるいは毒物、こういったものがはんらんしているといっても過言ではないと思うわけでございます。  例えば、液体洗剤もそのようなものでありますし、化粧品もまた医薬品も農薬なども、こういったようなものは数を挙げれば切りがないわけでございます。これを乳幼児、子供、あるいは大人でも過って飲んだような場合には中毒を起こすわけでありますけれども、このような場合、特殊な技術を要することが非常に多いわけであります。普通の救急病院では処置ができないことがたまたまあります。  現在、これを完全にやっておりますのは、筑波大学の中毒センターというのが、総理御存じだと思いますけれども、これがあるわけですが、これもそこのセンターの内藤教授がボランティアでやっているというような状況であるわけであります。この点、諸外国に比べて我が国は後進国じゃないか、私はそんなふうに考えるわけでございます。このようなセンターを国として設置すべきだと私は思うのでありますけれども、総理の御所見をお伺いしたいわけであります。  ちなみに、この中毒センターの役割でございますけれども、現在、中毒一一〇番というような格好で、中毒が起きたときに、また起こるような心配があるようなときに、問い合わせに応じて原因物質の組成あるいは毒性、治療法などに関する情報を提供する機関として、実際に治療もやっているわけでございます。そのような筑波大学のボランティアに依存している。  それに対して、諸外国の例でありますけれども米国では今から三十年前にもう行っておりますし、フランスでは二十八年前から発足しているわけでございます。現在、世界四十カ国で活動しておりますし、この中毒センター世界連合というものもできているわけでございます。世界保健機構(WHO)と協力して活動しているわけでございます。また、中南米あるいはアフリカの諸国にもこういった中毒センターがあるわけでございまして、どういうわけか、アジアにはこれまで一カ所もないわけであります。  そういう点でぜひとも、このような毒物が多くなっている今日社会、非常に事故が多いわけでありますから、それを救うようなセンターを設置してはどうかと思うわけでありますけれども、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  64. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 現在、中毒患者等は救急病院で応急処置をしておるのだろうと思います。そういう救急病院に対して、中毒をどういうふうに予防し、あるいは手当てをするかといういろいろな教育をやってくれる、そういうところがあることは望ましいし、必要であるだろうと思います。最近のように、いろいろこういう新しい中毒症状というものが出てきますと、新しい学問、新しい研究が必要にもなってくると思います。  そういう意味におきまして、斉藤さんがおっしゃるようなそういうセンター的な機能を持つものが出てくることは必要であり、筑波大学のその御努力は非常に評価すべきものであろうと思いますが、しかし、大体これは総会研究の一環としてこの中毒という問題も勉強されないといけないと思うので、やはり総合医科大学とか、あるいは総合病院あるいは総合研究所の一環としてそういうものがあるのがいいので、それだけを独立してあるというのは果たしてどうだろうかと私も感じます。ともかくこれは勉強させてみたいと思います。
  65. 斉藤節

    斉藤(節)委員 独立してあるのはどうかという総理の御答弁でございますけれども、しかし、今まで総合病院などについても救急医療の施設はありますけれども、毒物を飲み込んだような場合に、それをどう処理していいかという専門の医者が余りいないわけでございます。そういう点で、やはり大いに養成もしてもらう必要もありますし、またぜひともつくっていただきたいと思うわけでございます。よろしくお願いします。
  66. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今申し上げましたように、非常に新しい薬が出てきたり、症状は出てまいっておるわけでありますから、ともかく勉強させるようにいたしたいと思います。
  67. 斉藤節

    斉藤(節)委員 以上で終わります。
  68. 安井吉典

    安井委員長 次に、貝沼次郎君。
  69. 貝沼次郎

    貝沼委員 大変難航しておりましたこの決算の総括がようやく実現できまして、本当によかったと思っております。私どもは、去年の暮れから、早く五十六年度のこの決算の総括をやりたいというふうに主張してまいりましたが、諸般の事情でなかなかこれが実現できなかったわけでありますが、本日は、異例中の異例で、短時間のうちにこれが行われるということになりました。そこで、時間も短いので、簡単に質問をしたいと思います。  まず初めの問題は、昨年の決算委員会の総括のときも総理に私、申し上げたわけでございますが、毎年、会計検査院から指摘されておるいわゆる税金のむだ遣いという問題であります。これは何回指摘されても、毎年同じように出てくる。先般、五十八年度の分も見ましたところ、やはりわずか全体、全体といいますのは検査対象機関が約四万一千二百機関あるわけでありますけれども、そのうちの八・四%の検査対象三千五百機関、これでやった結果ですら百七十一億円のむだ遣いということになっておるわけでございます。今、財政再建ということが緊急の課題になっておるときに、こういう事態が起こっておるということは、国民に対して甚だ申しわけない事実ではないかというようなところから、私は、この問題をもう一度ここで取り上げておきたい、こう思うわけでございます。  去年の私の質問に対しまして、総理はこういう答弁をいたしております。すなわち、「次年度あるいは将来にわたってその過失を繰り返さないように、あるいは同じような性格のことをほかでやっておるかもしれぬのでそういう点をチェックして、会計検査院の迷惑にならぬように今後ともきつく指導してまいるつもりでおります。」こういう答弁で、私もこれを了としたわけでございますが、しかし、このように変わっていないというような現実を見た場合に、果たしてこれは答弁のとおり行われたのかどうかということが疑問になってくるわけでございます。  そこで、総理に端的にお尋ねいたしたいと思いますが、こういうような指摘事項が毎年のように繰り返されて起こってくるという、その根本的な原因は一体どこにあるとお考えなのか、これが一点でございます。  それからさらに、その後、一年前から総理は具体的にどのような形でこのチェックなり指導というものをなされたのか、ここでお聞かせ願いたいと思います。
  70. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 同じようなことが指摘されているという御指摘は、まことに残念でございますが、なぜそういうことが行われるかということを見ますと、一つは、やはり綱紀の弛緩、もう一つは法令に対する知識が十分でない、そういうような面もあるだろうと思います。これらにつきましては、各省庁においてさらに督励して、資質の向上等をやらせたいと思っております。  それから、この前からどういうことをやってきたかということでございますが、先生の御指摘をいただいて以来、各省庁におきまする予算係、それから決算の審査係等々の連絡会議を、会計検査院及び大蔵省と共同でやりまして、そして取り扱いの研究、あるいは同じようなことを繰り返さないような注意等も各省庁のそれらの責任者を集めてやってきたところでございます。補助金その他でそのような不正、不当の行使をしたというような場合等もチェックしまして、今回の補助金の節減等については、相当のそういう該当するものを整理したり、あるいは廃止したりしてきておるのでございます。そういうような努力も実は一面においてやっておりますが、また別のものが出てくる、そういう傾向もありまして、さらに各省庁を督励して、繰り返さないように努力していきたいと思っております。
  71. 貝沼次郎

    貝沼委員 いろいろやってきたということでありますが、しかし、今度の補助金の問題にいたしましても、必ずしも会計検査院の指摘されたものがもとにはなっていないということを、私ははっきり申し上げておきたいと思います。あれをやったから会計検査院の指摘に対してこたえたことにはなっていないということを、はっきりと申し上げておきたいと思います。  それから、毎回総括のときに議決というものをいたしております。その議決の第一項のところにいつも、「適切な措置をとり、次の常会のはじめに、本院にその結果を報告すべきである。」ということが、たしか昭和四十一年度決算から書かれてあるはずでございます。これに対しては、政府も同意をしておるわけでございます。ところが、常会の初めに議決の中に指摘された事項についての講じた措置というものを報告することになっておるわけでありますが、今回はいつなされましたか、そして、それは「常会のはじめ」に該当するのでしょうか、その点をお尋ねいたします。
  72. 的場順三

    ○的場政府委員 三月八日に御報告しております。
  73. 貝沼次郎

    貝沼委員 三月八日というのは、「常会のはじめ」ということになるのでしょうか。
  74. 的場順三

    ○的場政府委員 極力早く提出できるよう努めておりますが、例年そういう時期になっておりますので、今回もそうなった次第でございます。今後十分に努力をいたしたいと思います。
  75. 貝沼次郎

    貝沼委員 こういうわけで、総理、書いてあるのは「常会のはじめ」、ところがやっていないわけですね、今申しわけないと言っておるわけですから。ということは、決算の軽視なんですよ。なぜこれが「常会のはじめ」というふうにわざわざ入れられたかということは、予算に反映させるためなんですね。ところが、その精神が生かれておらない。予算審議が終わったころ、ようやくこういう措置をいたしましたというのが出てくるのは、私は甚だいけないことだと思います。しかも、だれの名においてこれが行われたかといえば、閣議決定をして総理大臣の名のもとにこれは衆議院議長に報告されるものでありますので、今後の決意について総理からお聞きしたいと思います。
  76. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 御指摘のように、これからはその条文に従うように努力したいと思います。
  77. 貝沼次郎

    貝沼委員 単なる努力でなく、実現をしていただきたいと思います。  次に、これは戦後処理の問題の一環でございますが、時間がありませんので簡単に申し上げます。  一つは、いわゆる中国残留孤児についていろいろな問題が出ておりまして、徐々に解決されつつあります。しかしながら、今課題になっております一つの問題は、養父母に対する感謝の問題でございます。いろいろ日中間でその詰めは行われてきておるようでありますけれども、私はこれは新しい悲劇の防止とか、お世話になりましたからだけでなく、東洋的な道義という面から考えても、もう少しきめの細かい対策が必要ではないかと考えておるわけでございます。これにつきまして政府が今までやってきたこと、そして今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
  78. 入江慧

    ○入江政府委員 残留孤児が日本に参りましたときに、向こうに残ります養父母に対しまする感謝等につきましては、昨年、中曽根総理があちらに伺いましたとき、あるいは渡部前厚生大臣が伺いましたときに、日本国民を代表しまして感謝の意を表明されておられるわけでございますが、そのほかに私どもとしましては、感謝の意を表するというような意味におきまして、昨年、孤児を育ててくれました養父母を日本に招待しまして、孤児と一週間生活をともにするというようなこともやっていただいております。それから、向こうに残る養父母の生活の問題もございますので、その問題につきましては、昨年中国側と取り交わしました口上書に基づきまして、現在その扶養費の額をどうするかということを協議中でございまして、今後できるだけ早く結論が出ますように協議を続けてまいりたいというふうに考えております。
  79. 貝沼次郎

    貝沼委員 もう一点は、いわゆる中国残留婦人の問題でございます。これは内容について私がくどくど申し上げるまでもなく、よく御存じだと思いますが、当時十四歳以上のいわゆる女学生等が対象になっておりまして、その年代はちょうど私などがその年代になるわけでありますが、この方々に対して一時日本帰国を呼びかけたことがありましたが、自由意思で帰らなかったというふうなことになっておるわけですけれども、実際は帰れる状況になかったというようないろいろ複雑な問題がございます。また、この方々が帰国ということになりますと、本人だけでなく、配偶者の問題や子供の問題、あるいは孫ももう既にできておる人もおりますし、それから身元引受人の問題とか、あるいはその当時の日本人といっても、既にもうあの戦争中と現在の日本は大きく変わっておりまして、当時の感覚ではとても生活ができません。そういったところからいろいろな問題が出ておるわけでございます。  先般、日弁連の方でも、これは人権問題として扱わなければならないというようなことも提案されておりますし、決議も出ておりますので、私は、細かく言ったら切りがありませんけれども、こういうもろもろの問題を含めてこの中国残留婦人の問題について、内閣としてこれを取り上げて、そしてまとめて検討すべきではないか、そういう基本的な体制をつくることと、それから総合的な政策を立てる、こういうことを主張したいわけでございますが、総理のお考えを伺いたいと思います。
  80. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 残留婦人につきましては、厚生省が中心になりましていろいろ対策もやり、日本を訪問して親戚、知人等に会うという場合には旅費等も支給しているはずでございますが、詳細につきましては厚生省から御答弁申し上げます。いずれにせよ、日本人でかの地でいろいろお世話になっておる方々に対しましては、政府としてもできるだけの努力をいたしたいと思っております。
  81. 貝沼次郎

    貝沼委員 厚生省から出てくる答弁は大体わかりますから、もうこの際聞きませんけれども、私が申し上げたいのは、この残留婦人の問題を総理の口から、それは政府としてやりたい、きちっとやってまいりますということが聞きたかったわけでございます。ただいまの答弁でそういう方向性があると私は受け取りますので、もうそれ以上言わないことにいたします。ただ、旅費の問題を言いましたけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、子供の旅費などは対象になっておりませんし、それから一回目、あるいは十年後のもう一回目ということも認められておりますけれども、しかしそういった問題がたくさんございます。  次にあと五分ですから、これも厚生省の答弁になるかもしれませんが、未帰還者留守家族等援護法という法律が制定されておると思いますが、この法律は、これはシベリア抑留に対しての家族に対するものとしてつくられたと思いますが、この法律はいつつくられたのか、そして実際にその法律によって支払いは行われたのか、あるいはこの法律は生きているのか生きていないのか、この三点についてお答えを願いたいと思います。
  82. 入江慧

    ○入江政府委員 未帰還者留守家族等援護法でございますが、これは昭和二十八年に制定されております。それで一番ピークになりました時点の二十九年に留守家族手当を支払いました件数は約三万一千九百件ということになっておりますが、その後だんだん皆さんお帰りになる、あるいは向こうで死亡されるというようなこともございまして、現在はこの法律に基づきます留守家族手当の支給を受けておりますのは一人の方ということでございますので、そういう意味ではこの法律はまだ生きているということになります。
  83. 貝沼次郎

    貝沼委員 それではもう一点、これは総理のお考えをお尋ねしたいと思います。  有名な青函トンネルの活用策でございます。総工費約七千億円をかけてやったわけでありますが、当初と大分予想が変わってまいりまして、今は大変難しい状況になってまいりました。したがいまして、今後この活用策というものが問われておるわけでございます。政府としてはこれに対してどういうお考えを持っておるのか、お伺いいたします。それが一点。  もう一点は、トンネルは海底部に約半分ばかり、十二・二キロばかりが領海外というふうになっております。しかし、これについては我が国の管轄権が領土におけると同様に全面的に及ぶ、こういうふうに答弁がございましたので、見解がありますので、これは私、当然だと思いますが、したがって地方自治関係で警察とかあるいは資産に対する課税の問題など具体的に取り決めなければならない問題が出てきておるわけでありますが、こういったことを含めて政府としてはいつその結論をどういう方向で出そうと考えておられるのか、お尋ねいたします。
  84. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 青函トンネルは画期的な工事でありまして、戦後日本が行った最大事業一つで、歴史的に残る大きな功績であると私は思っております。ややもするとあれを厄介視する思想がありますが、これは間違っていると思うのであります。ともかくあれだけ偉大なものを子孫に残したということだけでも大きなことで、金の問題は金の問題でまた処理すべき問題である、そう思うのであります。この間に亡くなった方もございますし、努力された技術者等につきましては本当に御苦労さまであったと感謝申し上げたいところでございます。  ただ、これが活用につきましては、今委員会をつくりまして検討してもらっておるところでございますので、その結論をまって検討してみたい、そう思っております。今までいろいろな案があるようでありますが、在来線を伸ばそうとか、あるいは広軌も入れてカートレーンにして自動車運搬にも資そうとか、あるいは中には新幹線を函館まで持っていけという議論もございます。いろいろな議論があるのを承知しておりますが、その委員会におきまして結論をまとめてもらいたい、そう見ております。
  85. 貝沼次郎

    貝沼委員 もう一分ありますので、もう一点だけお尋ねいたします。  実は先ほども原子力の話がちょっと出ておりましたが、日本の原子力発電はトイレなきマンションとよく言われるわけでございます。私がここでちょっとだけお尋ねしておきたいと思いますのは、いわゆる低レベルの廃棄物でございます。これが従来のままでいきましても毎年ドラム缶で五万本出てくるわけでありますね。その処分の仕方につきましてもいろいろと難しい面がございます。こういった状況のもとに原子炉そのものもだんだん寿命が参りまして、いわゆる廃炉、デコミッショニングが問題になってまいりますと、この低レベルの廃棄物は大変たくさん出てまいります。したがって、この処分の問題は早急に結論を出さなければならないということになっておりますが、政府の方で何か特別にお考えがあればここで御発言を願いたいと思います。
  86. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 低レベルの放射性廃棄物については、私は先般南太平洋へ参りまして、関係国の懸念を無視して日本が単独で海中投棄をやるようなことはしない、そういうことを申して了解を得ることが先決である、そういう態度を示してきたわけであります。  ロンドン条約に基づきましてこの処理が今検討されておるわけでございますが、当面、日本としては陸上処理を行う。最近は圧縮技術がかなり進んできて、ぎゅうっとまとめて圧縮して置いておく、そういう形で適当な場所にそれらを埋没しておく、それを計画的に置いておく、そういう形でやっていけるであろう、また、そういう場所も住民の御協力を得て見つけていく、そういう努力をするのが適当であると思っております。
  87. 貝沼次郎

    貝沼委員 では終わります。
  88. 安井吉典

    安井委員長 次に、玉置一弥君。
  89. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ようやく中曽根総理に決算に来ていただきまして五十六年度の決着がつきそうでございますけれども、この五十六年が一つは財政再建のいわゆる元年のような形で出発いたしました。それと同時に行政改革も、当時中曽根行管庁長官だったと思いますけれども、を旗頭として行政改革で財政再建をやろう、こういう動きが政府の中で大変積極的に行われてまいりました。私たちももろ手を挙げて賛成をしてきたわけでございます。  しかし、今までの行政改革の中身を見ておりますと、どうも中曽根内閣の公約の柱として取り上げていただいている割にはなかなか効果が出ていない、そういうふうに思うわけであります。ただ、公社の民営化等におきましては大変強力な推進をいただいておりまして、ぼつぼつ六十年度から大変大きく寄与してくるというふうに思いますけれども、その他の行政機構の見直しについてはまだ公約の柱としていただいているほど効果がない、そういうふうに私自身感じているわけでございます。ただ、行政改革全般ということになりますと非常に範囲が広くなりますので、審議会等とそれから私的諮問機関、これに限定をして御質問をしていきたいと思います。  御存じのように、審議会等が今二百十四ございまして、昭和五十年には二百四十六あったわけでございますけれども、五十三年に一括整理法案ということで二百十二に減らされております。しかし、昭和五十三年から昭和五十九年までの間ほとんど横ばいの状況で推移をしてきたということから見て、一括法案のような大幅な処理をしていかなければ、審議会等というのがなかなか減らないのじゃないかというふうに思うわけです。  そして、各省庁別に見てまいりますと、総理府だけで二十二の審議会がございますし、また大蔵省では十四、文部省では十三、厚生省では二十二、農林省では十四、通産省では二十、こういうふうに各省庁別にかなりの大きな数があるわけです。そして、それぞれのいわゆる担当部局といいますか、そういうところを見ていきますと、一つ行政の課単位に審議会があるというようなことも実情としてあるわけでございますから、審議会のあり方そのものも問題になってくるのではないかというふうに思うわけでございます。  質問点を限定いたしまして、今の審議会の数が五十三年から横ばいである、減っていかない、こういうことについて中曽根総理としてどういうふうに思っておられるか、まずお聞きをいたしたいと思います。
  90. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 審議会を減らそうというのは行革の一つの目標でございまして、それにも努力しておるところです。先般総務庁をつくりました際も審議会の整理を一部行ったところでございますが、今後とも引き続いて努力してまいるようにいたしたいと思っております。
  91. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 行管庁と総理府が一緒になりまして総務庁ができたわけでございますけれども、ただ、先ほど申しましたように、審議会等の数が全く減っていないという状況は五十三年から続いておるわけでございます。ですから、できるだけ統合あるいは廃止というふうな形にしなければいけないと思うわけです。そのために各審議会の中で同類、例えば科学技術関係あるいは経済関係、金融財政関係、いろいろとあると思いますけれども、類別をしていくとかなり減っていくのではないかと思います。見直しの一つの方法として今申し上げたわけでございますけれども、具体的な思惑というか、こういうものがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  92. 佐々木晴夫

    ○佐々木政府委員 審議会等につきましても行政改革の重要課題ということで、昭和四十年に二百七十七の審議会がございましたが、それを逐次整理いたしてまいりまして、特に御指摘昭和五十二年、五十三年、これについて一括整理法でもって四十八の審議会を対象にしまして三十六の審議会を減じたというふうな作業をやったわけであります。その際、委員数の縮減その他、例えば千名の委員数を縮減した、こうしたことをやったわけでございます。  そのときに大幅な整理をいたしました関係でもってその分を、膨張は当然抑制しなければならぬということで、スクラップ・アンド・ビルドでいろいろとやっております。臨調でもいろいろ御審議をいただきました。そうした整理が相当程度進んでおる。その後にありましてもスクラップ・アンド・ビルドでやっておりますから、ただいまのところはその数が二百十四、これが現在存置されておるわけであります。今総理からも言われましたように、今後とも審議会の見直しは続けてまいる所存でございます。
  93. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 確かに中身が入れかわってきているので、数としてはふやさない、そして今度は減らしていただくということでございます。  ただ、審議会等があるために、国会における論議が非常に軽視されておるというような感じを受けるわけです。例えば政府税調がありまして、今の税制についてのいろいろな論議を行ってまいりますときに、税調の答申を待ってという言葉が政府側の答弁として再三出てくる。これは一つ行政の隠れみのとして使われておるというふうに感じるわけです。逆に考えていきますと、政府税調からの答申が出ないと国会の論議ができないのか、行政側からの明確な答えが出ないのかということにもなるわけでございます。総理大臣は一方では本院の議員でございますから、そういう立場も踏まえて、今の審議会のあり方、特に国会論議、国会審議との関係において本当にこれでいいのかと私たち思っておるわけでございますけれども、どういう御意見をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
  94. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 審議会はなるたけ整理した方がいいと思いますが、中には機能している審議会もあります。またいわゆる官僚独善、政治独善に流れないように国民の皆さんの意見も十分反映し、また利害を調整するという作用もしておるわけで、行政一つの手法としては認められるやり方であると思います。要は不要不急のものを存置することがいけないということであります。社会保障制度審議会とか行政改革に関する諸般の審議会とかみんな機能してきていると思うので、今後ともそれらの問題の取捨選択をしていくべきであると思っております。
  95. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 確かに大変大きな機能を持った審議会もございますけれども、まさに名前だけで休眠状態というのもあると思います。そして、先ほども申し上げましたように、審議会そのものが非常に細分化をされている。一方では、審議会の委員のお名前もここに出ておりますけれども、いろいろな委員会、審議会に顔を連ねておる方もおられまして、これだけ顔を出していて果たしてそれで十分な審議ができるのかというような心配もするわけでございます。そういう意味で、余り多くの審議会に名を連ねておられる方についてはある程度遠慮をしてもらうとか、逆に、そういう方々が専門家としてやられるならば、その方が出ておられる審議会についてはほとんど一本化できるのではないかと思うわけでございまして、これからの審議会委員のあり方についても十分御検討いただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  96. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 これにつきましては政府もいろいろ規制を加えまして、重任を廃するとか、年をとった人たちは引いていただくとか、なるたけ新しい人に入っていただくとか、女性をふやすとか、そういう点で努力しておりますが、今後もそのように努力していきたいと思っております。
  97. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 続きまして、私的諮問機関についてお伺いしたいと思います。  現在、政府部内、特に中曽根総理の近辺にも私的諮問機関がたくさんあるようでございますし、全体では数百と言われるぐらいあるというふうに新聞に出ております。中曽根総理に一番近いのは、大平さんがつくられた研究会といいますか、それをそのまま拡大されて、首相の側近の方々の一種のブレーンとしての研究会ということでもあると思いますけれども、政治家の場合と行政官の場合とはちょっと内容が違うと思うわけです。と申しますのは、これで見る限りにおきましては、各省局長クラスあるいは課長クラスにまで私的諮問機関があるというふうに出ておりまして、余りにも安易に私的諮問機関をつくり過ぎるのではないかと思います。また逆に、それだけいろいろな方々に御相談をなさるならば、何も最高学府を優秀な成績で出られて役所に勤める必要もないし、ごく一般的な方でも十分その役目ができるのではないかと思うわけで、人事の面から見ても大いにあちこち自由に人を動かせるのではないかと思うくらい周りが私的諮問機関で固められている。  まず、この私的諮問機関がたくさんあるという現状についてどういうふうな認識をされておりますか、お聞きしたいと思います。
  98. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 私的諮問機関が私設されることはよくないと思います。そういうものは逐次整理していきたいと思います。ただ、行政を行う者がよく国民の声を聞くとか、関係団体の利害調整をやるとか、そういう観点に立ってつくり、それをまたすぐやめていく、そういう形で適宜アドホックといいますか、臨時的にやるということは行政一つの方法として是認されることであると思いますが、いつまでもだらだらのんべんだらりと続けておるということは適切でない。スクラップ・アンド・ビルドでどんどん処理していく、そういうやり方ならば認められるものもあり得る、そう思っております。
  99. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 この新聞によりますと、総務庁から「正式の審議会や諮問機関のように意見の取りまとめなどしてはならない」というふうに一応通達を出されております。これでいきますと、従来から、先ほども審議会の方でお話を申し上げましたように、いろいろな意見、自分の意見ではない、一応参考だと言いながら、最終的には行政一つの流れとして審議会なりあるいはこれらの諮問機関の意見というものが走り出すわけでございます。そういう面からいきますと、何となく根回しの場でありますとか、あるいは役所の物事をうまく進めるために利用されているというような感じがするわけでございます。そういうことを考えていきますと、まさに役所としてあるいは行政機構として必要ならば正式な機関として認める、そうでないものは廃止をするというような明確な方向づけが必要だと思いますけれども、いかがでございますか。
  100. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 いわゆるそのような私的研究会というようなものが役所のシェルターに使われてはいけない、そう思うのです。そういうものはやめさせた方がいいと思います。しかし、真に意見を聞くとかあるいは利害を調節する、またある意味において参加させてそれらの人々の協力を得る、そういう場合もなきにしもあらずでありますが、そういう意味のあるものはやむを得ない、しかし原則的にそういうものはなくした方がいい、一般論としてはそういうふうに考えております。
  101. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 時間がございませんので、具体的な数字を挙げてそれを中曽根総理に聞いていただこうと思ったのでございますけれども、ちょっと難しいようでございます。  今の行政改革が、今度は電電公社の民営化あるいは専売公社の民営化ということで、若干株の売却利益に期待をされるというふうな向きがあるかと思いますけれども、先ほどからも申し上げておりますように、行政機構の見直しというものは、公務員のいわゆる削減とか機構の簡素化を大いにやっていかなければいけないと思うわけです。それと、我々から見ますと、人がいるから仕事をつくる、こういうことが非常にたくさんあるように思います。それと審議会の数等におきましても、今回の補助金のように一律カットではなくて、先ほどから総理が主張されておりますように、やはり有効なものについてはむしろふやしていく、そしてまさに動きのないものについては廃止をしてしまうという、いわゆる大きなめり張りをつけてやっていかなければいけないと思うわけでございますけれども、最後に、行政改革で果たして財政再建ができるとお思いですか、これだけお伺いして終わりたいと思います。
  102. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 できると思います。また、やらなければいかぬと思います。
  103. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ちょっと時間前ですけれども、おくれているようなので終わりたいと思います。
  104. 安井吉典

    安井委員長 次に、中川利三郎君。
  105. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 時間がございませんので、答弁は簡潔にお願いいたします。  外交文書の公開問題について総理にお聞きいたします。  おととい、第八回目の外交文書が公表されました。ところが、日米行政協定や日韓会談あるいは日華平和条約など当時の最重要案件を含む十一件が非公開になっております。この外交文書の公開、非公開の判断については、総理は当然外務省から報告を受け、了承されたものだと思います。  そこでお聞きするのでありますが、今回総理が非公開として了承した中に日米行政協定が入っております。総理はこの文書を非公開として了承したのはどのような理由なのか、明らかにされていただきたいと思います。
  106. 北村汎

    ○北村(汎)政府委員 事実関係がございますので、私から先に紹介させていただきたいと思います。  今回の第八回の外交記録公開におきまして、対象となりました文書の中で今回の公開に含まれなかったものはございます。ただいま先生が御指摘になりました行政協定もその一つでございますが、これは非公開にするという審査の決定をした結果ではございませんで、その対象となった文書が非常に多うございましてその審査に非常に時間がかかりまして、これらの文書はまだ審査が終了していないということでございます。ですから、今後とも審査を続けて公開、非公開の決定を行うということでございます。
  107. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 きょうは総理にお聞きするのでありまして、総理はこれを了承しているわけであります。したがいまして、非公開としたことについて、その了承した理由は何かということをあなたからお答えいただきたいと思います。
  108. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 外務次官の定例報告の際に、こういう方針でこういうことをやりたいと思いますという話がありまして、それは結構だろう、そういうことを言いました。やはり国益を害するもの、それからプライバシーにわたるもの、こういうものは非公開にする、そういう方針のようであったと思います。これは当然のことであります。ただ、行政協定がどうであるとか何がどうであるとか細かい話は聞いておりませんが、方針としてはそういうことであるということであります。
  109. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今私がお聞きするのは行政協定でありますけれども、そうすると、あなたは了承したわけでありますから、行政協定がどのように国益に問題があるのか、それを害するおそれがあるのか、どうお考えですか。
  110. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 行政協定とかなんとか、細かい具体的な話は聞かなかったのです。一般的に、こういう方針でやっております、そういうことで、国益を害するおそれのあるもの、それからプライバシーにわたるもの、こういうものはそうでありますと。しかし、行政協定が果たしてそれに当たるかどうか、私はそんなところまで深く確かめてはみておりません。今北村官房長の話によりますれば、整理にまだ時間がかかっておるものもある由でありまして、そういうものは人間とお金を注いで早く整理した方がいいと思っております。
  111. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 事務当局の整理に金がかかるからだ、こういうお答えてありますが、御承知のように、日米行政協定は、旧安保条約に基づき日本における米軍のさまざまな特権を定めたものでございます。そして、これは現在の日米安保条約とそれに基づく日米地位協定に引き継がれているものでございますが、日米行政協定に関する外交記録は、日本の安全保障の上からも大変重要な文書でございます。  総理は常日ごろ、安全保障は国の基本だとか、日米安保条約は日本外交の基軸と言っておりますが、こういう日本外交の実態が国民に知られてはまずいことがあるのか。いやしくもあなたは、全体のことよくわからなかった、何となくそういう方向があったから了承したでは済まないんじゃないかと思うのです、あなたのふだんの言い方からしますと。この点をお答えいただきたいと思います。
  112. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 総理大臣がそういう細かいところまで目を注ぐことは、なかなか時間もありませんし、また適当であるかどうかも疑問でありますが、できるだけ公開して正しい歴史を伝えるようにすることは、行政あるいは政治の責任であると思いまして、方針としてはそういう方に持っていくべきであると思っております。ですから、私は行管長官のころから情報公開には積極論者でありまして、今でもそういう方向で各省が話し合いをして調整を早くやるようにと督促しておる次第なのでございます。行政協定とかあるいはその他の問題についても、公益を害するというものあるいはプライバシーにわたるものは留保して、それ以外の可能なものはすべて公開する、そういうやり方で進めるのが正しいと思います。
  113. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今回公開されたものは、もうほとんど当たりさわりのない、国民の関心から言えばやや遠いものです。一番大事な、聞きたいと思っている日米行政協定だとか日韓会談、日華平和条約の問題だとかほかの条約だとか、いろいろやっておりますが、一番大事なところが欠けておるというところに問題があるというふうに私は申し上げているわけであります。  それで、日米行政協定については、現在の自民党総務会長で元外務大臣の宮澤さんが書いた「東京-ワシントンの密談」という本がございますが、その中でこう言っているのです。行政協定草案は、米国は駐留を希望する地点について、講和発効後九十日以内に日本側の同意を得なければならないとしながらも、協議が整わなければ、整うまで暫定的にその地点におってもよろしい、そういう規定がありまして、宮澤さんは、自分は「非常に驚いて、この規定を削ってもらうように外務省に申入れた」、こう書いているのです。さらに宮澤さんは、「ところがその後、再び驚いたのは、」「「岡崎・ラスク交換公文」の中には、そのままこの規定が確認されていて、しかも私がそれを知った時は、既に行政協定は両国の間で調印を終っていた」、こう述べているのです。  また、その当時防衛施設庁施設部企画課の窪田稔氏という方の論文、これは時事問題研究所編発行でありますが、サンフランシスコ平和条約発足時に米軍基地は二千八百二十四件、このうち、その後継続使用の合意がないまま使用された基地が五十件ある、こう言っているのです。つまりこのことは、合意しない基地まで含めて米軍は占領中の基地を継続使用したことになるんですね。この部分は当然占領の継続であり、主権の放棄につながる問題だと私は思うわけでありまして、そういう点からいいまして、まさに日米行政協定はこのようないわくつきのものであると思うのです。  したがって、この協定はアメリカの意のままですよ。一方的につくられ、米軍のさまざまな特権をすべて認めたものとしか言いようがないものでありますが、こういう経過を国民が知ることは国益に反するかどうか、総理の御所見をお聞きしたいと思います。
  114. 北村汎

    ○北村(汎)政府委員 ただいま委員が御指摘になりましたようないろいろな文書につきまして、私どもは全部つまびらかにしておるわけではございませんが、先ほども申し上げましたように、行政協定は確かに今回の第八回の公開に際して三十年ルールの対象になった文書でございますが、何分にもいろいろな文書の量が増大をしておりまして、今慎重に検討をいたしております。したがいまして、どの部分が国益を害するかどうかというような点については、ただいま慎重に検討しておるところでございます。
  115. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、今いろいろな宮澤さんの書いたものやらその他のものを挙げまして、この日米行政協定は非常に重要なものであるということは、御理解どころか、皆さんがその当事者であったこともあるわけでありますので、そういう点で、今後こういう問題について公表するのかしないのか。一説によりますと、もうこれでこれを終わりにするんだ。何だかんだいろいろな問題が出てきたので、今までは公表した、しかし、年度もどんどん遠くなってきておる、公開する資料のページ数も少なくなってきておる、じゃこの機会にこれをよしちまえ、やめちまえ、そういう意見もあるようでありますが、今後ともそういう外交文書の公表をやるのかやらないのか、はっきりしていただきたいと思うのですが、総理はその問題についてどうお考えになりますか。
  116. 北村汎

    ○北村(汎)政府委員 先ほども総理が御答弁されましたように、外交記録の公開と申しますのは、これは私ども外務省が民主主義のもとで外交を展開していく上に必要であるという認識から昭和五十一年に始めたものでございまして、それ以後今回で八回目の公開に踏み切っておるわけでございます。したがいまして、私どもは、やはりこの公開制度の基本原則というものは決して曲げないで、公開を継続していくということでございます。  ただ、先ほどからも御説明しておりますように、占領が終了いたしまして、その後独立回復後の外交文書というものは、これは本当に量的に物すごく増加しております。ファイルの数で申しましても、四年後になって約四、五倍でございます。電信交信の数を合計いたしますと約十数倍という量に増加しておりますので、そういうことで作業はおくれておりますけれども、公開の原則というものは貫いていく所存でございます。
  117. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 公開の原則は貫くのだ、今後もやるということですね。それを確認いたしまして、総理は単に外務省からこういうことを聞いたからそれを了承したまでだということで、答弁のほとんどを外務省に預けているような状態でありますが、こういう重要な問題については総理の主体性といいますか、当然国民の知る権利にこたえるという観点から、やはり指示するなり指導するなり、そうしていただかなければ、かつてあなたが国会答弁なさった、また先ほどもお話がありましたが、歴史の真実を発見するのに非常に大事な要素になっていると思う、日本におきましても同じように歴史の真実を日本人及び世界に明らかにする責任を持っておるのではないかと思います、こう言っているのですね。そういう立場からいたしますと、きょうのあなたのあれは事務当局答弁ということに大部分なっておりますけれども、やはりこの点については、外交記録、特に国の安全保障に関する重要問題、これは国民の最大の関心の的になっているわけでありますから、単に事務がふくそうしたというようなことではなしに、やはりふくそうしたと言いながら、アメリカから戻ってくるものでも、政府がべたべた紙を張って重要な部分を伏せてしまう、そういうやり方についてはやはり正すべきものだと私は思うのでありますが、最後に総理からこの点に対する御見解をいただいて、終わりにしたいと思います。
  118. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 おっしゃるように、歴史の真実を子孫に伝えるということは、政治及び行政の大変大事な責任であると思っております。これは前から私が申し上げているとおりでございます。その精神に沿いまして最大限今後も努力してまいるつもりでおります。
  119. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  120. 安井吉典

    安井委員長 次に、斉藤節君。
  121. 斉藤節

    斉藤(節)委員 私は、公明党・国民会議斉藤節でございます。  廃乾電池問題について、主に通産大臣にお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、使用済み水銀電池の回収状況は現在とのようになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  122. 棚橋祐治

    棚橋(祐)政府委員 お答えいたします。  水銀電池の回収につきましては、全国で約十一万店の一般電器店、補聴器取扱店等に昨年来回収箱を設置することにより実施しているところでございます。残念ながら、始めて一年で必ずしも周知徹底してない点もございまして、また最近その周知徹底に努めているところでございますが、現在業界団体の中間集計によりますと、昭和五十九年上半期に出荷しました水銀電池の回収率は約一五%程度でございます。
  123. 斉藤節

    斉藤(節)委員 回収率が大変悪いわけでありますけれども努力していただきたいと思うわけでございます。せっかく二十二万七千個も配付しました回収箱が十分使われてないという状況は大変残念だと思います。  次に、アルカリ乾電池の水銀使用量の減量化はどうなっているのか、通産大臣にお聞きします。
  124. 棚橋祐治

    棚橋(祐)政府委員 もう一つのアルカリ乾電池につきましては、昨年九月にアルカリ乾電池技術研究組合というのを結成いたしまして、水銀の含有量を低減すべく技術開発に取り組んできたところであります。当初は三年間で水銀の含有量を三分の一程度まで減量化することを目標としておりましたが、業界の技術関係者努力により、期限を二年ほど繰り上げまして、本年の九月ごろにはこの三分の一まで減量することに成功し、それを実施に移す見込みでございます。
  125. 斉藤節

    斉藤(節)委員 大変努力の結果が出ているようで喜ばしいと思いますけれども、さらにもっともっと目標を定めて下げていただきたいと思うわけでございます。  次は、水銀を使用しない乾電池等の代替製品の開発状況はどうなっているのか、その辺お聞かせ願いたいと思います。
  126. 棚橋祐治

    棚橋(祐)政府委員 業界の関係者も、水銀の総使用量の削減のためにできるだけ水銀を使用しない、あるいは極度に水銀を少なくするような乾電池等代替製品の研究に真剣に取り組んでいるところでございます。  現在、この水銀電池に代替するものとして最も有望と考えられておりますのが空気亜鉛電池でございまして、この開発に取り組んでおりますが、そのほかも代替可能な分野から、できるだけ水銀を使わない乾電池の生産体制を整備していくべく、一生懸命研究しているところでございます。
  127. 斉藤節

    斉藤(節)委員 今水銀を使用しない代替電池でございますけれども、その中にリチウム電池ですね、これは大変有望だと思うのでありますけれども、そのような電池の機器メーカーの採用状況はどんなになっているのでしょうか、お示し願いたい。
  128. 棚橋祐治

    棚橋(祐)政府委員 先生指摘のように、リチウム電池もそういう面で大変水銀対策としては有効な電池でございまして、まだ一部でございますが、補聴器とかカメラとか、そういう分野で水銀を使用する電池に代替されつつありますが、まだその初期の段階でございます。
  129. 斉藤節

    斉藤(節)委員 リチウム電池は大変有望だと思うのでありますけれども、メーカー側がどのくらい利用するかという問題が一番大きな問題だと思うわけでございます。そういう点、努力してもらいたいと思うのです。  この電池もいわゆる水銀電池のようなもの、主に使われているのは補聴器というふうに聞いておりますけれども、この補聴器に入れたり出したりするのに、個人でやっている点で回収が非常に難しいんだと思いますけれども、例えば時計のように、時計屋さんに行かなければ水銀電池が交換ができない、そういうような何か構造上の改良をやるのかどうか、御質問したいと思います。
  130. 棚橋祐治

    棚橋(祐)政府委員 先生指摘の点は、いわゆるデポジット制度についてであろうかと思いますが、確かに私どももそれができれば一つの有効な対策かと存じますけれども、消費者が購入した電池が必ずしももとの販売した小売店等で取りかえてもらえるということにならないケースがございますし、消費者として、自分が購入した場所等について必ずしも記憶が足かじゃない。したがって、自分が販売した電池でなければ責任が負えないというような問題、これは流通段階の問題でありますがございまして、なかなかその点についてうまく作用しない点もございますが、なお今後、小売店の団体等とも協議をいたしまして、そういう方向についても研究をしてまいりたいと考えております。
  131. 斉藤節

    斉藤(節)委員 せっかく大臣お忙しいところおいでいただいたわけでございますから、御所見をいただきたいと思いますけれども、いわゆる資源の再資源化の問題、これは大臣としてその開発をどのように考えておられるか、御答弁願いたいと思います。
  132. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 今御指摘になりましたのは、水銀含有廃棄物の再資源化技術開発状況等であろうかと思いますが、通商産業省としては、五十九年度に財団法人クリーン・ジャパン・センターが主体となって行う先導的技術を用いた水銀含有廃棄物実証プラントの建設に対しまして、国庫補助を行っているところでございます。そして、今後はその技術性、経済性の実証実験を推進をする予定であります。  本実証プラントは、使用済み乾電池などの水銀含有廃棄物を選別、それから焙焼等の工程を経て水銀、鉄などを回収するものでございます。本実証プラントが、北海道の留辺蘂町に処理能力二十トン・パー・デー、日量二十トンの規模で現在建設中でございまして、完成後三年程度の実証実験を実施をする予定でございます。
  133. 斉藤節

    斉藤(節)委員 厚生大臣にお尋ねしたいと思うわけでありますけれども、昨年の予算委員会の一般質問におきまして、私がこの乾電池問題を取り上げましたときに、いわゆる廃乾電池の資源回収という点から、第三セクター方式による工場を設置して再処理してはどうかということを御提案申し上げましたら、前向きの答弁をいただいたわけでありますけれども、その後どのような進捗状況になっているか、お願いしたいと思います。
  134. 竹中浩治

    ○竹中政府委員 先生から昨年の予算委員会で第三セクターについての御質問がございまして、そのとき、当時の渡部厚生大臣から、第三セクター方式も含めて検討させていただくという趣旨の御答弁を申し上げておるわけでございます。  それらを受けまして、昨年の六月から生活環境審議会に特別の専門委員会を設置をいたしまして、使用済み乾電池処理の基本的なあり方について検討を始めておりますし、それから五十九年度から三カ年の計画でいろいろな回収処理対策に関する調査を実施いたしております。この審議及び調査の中におきまして、先生御提案の第三セクター方式による処理体制につきましても、現在検討を進めておるところでございます。  私どもといたしましては、おおよそ本年の夏ごろを目途にいたしまして審議会におきます中間的な取りまとめをお願いをいたしておりまして、大体当初のそういう予定どおりに現在進行しておる段階でございます。
  135. 斉藤節

    斉藤(節)委員 以上で終わります。  どうもありがとうございました。
  136. 安井吉典

    安井委員長 次に、中川利三郎君。
  137. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 自動車査定料などの違法徴収についてお聞きいたします。  この前の決算委員会で、私は、中古車販売に当たって自動車重量税の二重取りなど、自動車販売業界の悪徳商法を追及いたしましたが、同じくその第二弾として、きょうは下取り手数料、下取り諸費用の違法徴収についてお聞きするのであります。  この問題については、初めて問題になった三年前の国会で、参議院で我が党の質問の中で、通産省は、ユーザーが査定料を強制的に支払わなければならないという法的根拠はないんだ、あるいはユーザーの依頼または明白な同意なしに査定料を支払わなければいけないということはないよう業界を指導してまいる、こう答えております。それにもかかわらず、今なお相当数のディーラーが反復継続してこうした違法徴収をやっておるのであります。  ここに一枚の資料がございまして、委員長に一枚参考までに上げてください。これはトヨタ東京カローラ株式会社の注文書でありますが、五十九年二月十八日に、ある方が中古車を買ったわけであります。総計自動車代が六十八万七千三百五十円であります。ところが、前の車を彼は下取りに出したわけですね。その下取り料が一万円なんです。ただの一万円。ところが、この明細の中の附帯費用明細というのがありますが、ここを見ますと、下取り諸費用が七千七百円取られているのですよ。それから、下取り車査定料が三千円取られている。つまり、一万七百円取られているのですね。自分の出した下取り車が一万円で、こうした諸費用がそれを上回っているということですね。つまり、このユーザーから、依頼したことも同意したことも全くないのにこういうやり方をされているということは、さきの重量税のただ取りといい、今回の下取り車査定料といい、明らかにこれは詐欺商法であって、しかも、通産省指導方向に逆行するものだと考えますが、これについてどうお考えですか。
  138. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 中川委員指摘の下取り車の問題でございますが、査定制度は、中古自動車取引における下取り車の客観的かつ公正な評価を行うということで、中古車取引の適正化をねらいとしたものであることは御承知のとおりであります。実際の査定は、財団法人日本自動車査定協会が実施をいたします資格試験に合格した査定士によって、お客の依頼に応じて実施をしております。  販売店における査定料の徴収につきましては、委員が今御指摘になりました五十七年五月、安武議員からの御質問があったわけでございまして、その後、五十七年の六月に、自動車の所有者に対し、あらかじめ了承を得ずに査定を行い、その料金を請求することは好ましくないので、是正が図られるようにということで関係業界を指導したところでございますし、その後もその徹底に努めておるところでございます。したがって、この指導に反する具体的な事例がございますれば、改めるよう指導してまいる所存でございます。
  139. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 この前そういう指導をした、通達を出したと私は聞いておりますが、にもかかわらず、こういう状況が横行しておるということが問題なのであって、このような状態は放置すべきじゃないし、日本自動車ユーザーユニオンや我が党の議員室に持ち込まれましたユーザーの苦情や注文書などから見まして、今日なお相当数のディーラーがこのような違法徴収を行っていることは確実であります。  今仮に、新車、中古車の年商売上台数八百十万台のうち、三分の一のユーザーが下取り車を持ち込んで、そのうち三分の一のディーラーが、ユーザーの依頼や明白な同意なしに、平均一万円の下取り車査定料等の徴収を反復継続していると見ると、ユーザーの被害は年間約百億円にも上るものだと考えられるわけですね。そういう点から見まして、早速事実関係調査した上で、ユーザー泣かせのこのような悪徳商法は速やかに根絶すべきであると思いますが、通産大臣、重ねてこの点についての対策をお聞きいたします。
  140. 棚橋祐治

    棚橋(祐)政府委員 先ほど大臣が申し上げたとおり、昭和五十七年に中古車を取り扱うディーラー約一万二千、それから新車を取り扱いますディーラー二千、約一万四千の業界の方々に、ただいま先生からお話があったように、依頼者の了解なしに手数料等を取ることはいけないという指導をいたしまして、自来その周知徹底に努めているところでございます。大体、先生指摘のように現在新車が年間五百万台から六百万台の幅で販売されていると思いますが、そのうちで中古車の下取りを行いますのが半分強の三百万台程度かと思います。さらにそのうちで、推定でございますが、六〇%から七〇%程度が中古車の査定を行うケースでございますが、私ども承知しているところでは、大方のディーラーはユーザーの了承をとって査定料を徴収しているものと聞いておりますが、中には先生指摘のように、何分数が多うございますので、私ども通達による指導が徹底していない面もございましょうから、その点につきましては今後さらにその徹底を図りたい、このように考えております。
  141. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 厳重に事実関係調査をすることを特に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  142. 安井吉典

    安井委員長 これにて昭和五十六年度決算外二件についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  143. 安井吉典

    安井委員長 昭和五十六年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、各位のお手元に配付いたしております。  これより議決案を朗読いたします。      議決案   昭和五十六年度の一般会計歳入歳出決算、特 別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。   本院は、毎年度決算の審議に際し、予算の効 率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実があがっていないのは、まことに遺憾である。  一 昭和五十六年度決算審査の結果、予算の効率的使用が行われず、所期の成果が十分達成されていないと思われる事項が見受けられる。    左の事項がその主なものであるが、政府はこれらについて、特に留意して適切な措置をとり、次の常会のはじめに、本院にその結果を報告すべきである。   1 行財政の合理化・効率化を推進することにより、政府は財政再建に努めるべきである。   2 各省庁等における会計内部監査の重要性にかんがみ、政府は、行政改革との関連も考慮しつつ監査施行率の向上及び監査報告書の作成など、会計内部監査体制の充実強化に努めるべきである。   3 各省庁等における電気需給契約については、本決算委員会指摘に基づき、政府において契約電力の変更の措置を講じているところである。     政府は、今後も需給電力の動向を把握し、適正な電気需給契約を行い、電気料金が不経済に支払われないよう努めるべきである。   4 沖縄県読谷村内の国有地問題はいまだ解決していない。     政府は、沖縄県の国有地の現状に配慮し、早急にその利活用が図られるよう努めるべきである。   5 公益法人の運営については、その設立の趣旨に沿うよう政府は一層適切な指導監督を行うべきである。  二 昭和五十六年度決算検査報告において、会計検査院が指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。    政府は、これらの指摘事項について、それそれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。  三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。   政府は、今後予算の作成並びに執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、財政運営の健全化を図り、もって国民の信託にこたえるべきである。     ―――――――――――――
  144. 安井吉典

    安井委員長 これより昭和五十六年度決算外二件を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。白川勝彦君。
  145. 白川勝彦

    ○白川委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表いたしまして、昭和五十六年度決算につき、ただいま委員長より御提案の議決案のとおり議決するに賛成の意を表するものであります。  当委員会は、昭和五十六年度の予算がいかに執行されたかを各省各庁別に順次審査を続け、その間、是正改善を要すると思われる事項については、その都度関係当局に注意を喚起してまいりました。しかし、ただいま委員長御提案の議決案に示されたとおり、予算の効率的使用等所期の成果が十分に達成されていないと思われる事項並びに会計検査院の昭和五十六年度決算検査報告に不当事項、改善処置要求事項等が指摘されたことは、甚だ遺憾であります。  なお、一般会計の歳入に二兆四千九百四十八億円の不足が生じております。  政府は、これらの指摘事項等につき誠意を持って改善されるとともに、二度と歳入不足が生じないよう格段の配慮をされ、国民の信託にこたえられることを希望いたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手)
  146. 安井吉典

    安井委員長 次に、金子みつ君。
  147. 金子みつ

    金子(み)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、昭和五十六年度決算につき、ただいま委員長から提案されました議決案に対し、反対の意思を表明するものであります。  議決案の中の指摘事項については賛成いたしますが、最大の問題点は、巨額の歳入不足を生じさせ、決算調整資金から二兆四千九百四十八億円を補てんせざるを得なくなったという政府の財政運営に強く反省を求め、改めさせなければならないことであります。  また、海外経済協力基金の問題につきましても、累積債務を包括した政策が確立されておりません上、援助の窓口が一本化されておりませんため、その効果が上がっておりませんことなどを指摘してまいりましたが、依然として改善されておりません。極めて遺憾だと言わざるを得ないところであります。  以上の理由から、私は本議決案に反対するものであります。(拍手)
  148. 安井吉典

    安井委員長 次に、斉藤節君。
  149. 斉藤節

    斉藤(節)委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま提案されました昭和五十六年度決算についての議決案に対し、反対の意思を表明するものであります。  以下、反対の主な理由を申し上げます。  それは、「前記以外の事項については異議がない。」として、この決算を総体的に是認している点について承服できないからであります。すなわち、この事項以外にも異議が多々あるからであります。  具体的には、第一は五十六年度の財政運営の明らかな失敗であります。政府の過大な経済見通し、これをもとにした甘い税収見込み、さらに財政経済運営の失敗による内需の低迷、国民生活切り捨て、増税、公共料金の値上げ、福祉後退の予算であり、昭和五十六年度を財政再建元年として五十九年度までに財政再建を行うという国民への約束も財政再建の糸口さえ見出せない結果となり、今日まで深刻な影響を及ぼしております。厳しく政府の反省と財政再建への決意を求めるものであります。  次に、個々の政策の実行において各省ごとに指摘してきたように、医療費払い過ぎ返還問題や沖縄の旧軍用地問題やコンクリートクライシスの問題など、行政運営に是正すべき点が少なくありません。  以上、理由の一端を申し述べました。  最後に、決算をより充実させるため、会計検査院の権限拡充強化のもとに検査体制の整備を図るべきであると主張し、反対討論を終わります。(拍手)
  150. 安井吉典

    安井委員長 次に、玉置一弥君。
  151. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 私は、民社党・国民連合を代表し、昭和五十六年度決算外二件について、ただいま委員長より御提案のとおり議決することに反対を表明するものであります。  五十六年度予算審議の際に、増税によらない財政再建を行っていくため、より強力な行政改革の推進を訴えてまいりましたが、政府は、印紙税、酒税などの増税で逃げてしまったのであります。結果は、国内景気の低下を招き、税収の伸び悩みからかえって苦しい財政運営となったのであります。  これまでの審議の中でも指摘がありましたように、今回の議決案以外でもまだ改善を要するところがあるため、我が党はこの議決案に反対の立場をとるのであります。  決算委員会での指摘事項が速やかに政府によって改善され、今後の予算編成及び執行がより合理的に行われるように強く求め、私の討論を終わります。(拍手)
  152. 安井吉典

    安井委員長 次に、中川利三郎君。
  153. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、昭和五十六年度決算を議決案のとおり決するに反対の意を表明します。  反対理由の第一は、本決算が軍事費を削り、暮らしと福祉、教育の充実を求める国民世論に背を向け、憲法違反の軍事費を急増させた内容になっているからであります。  第二は、財政再建と称しながら十二兆九千億円もの赤字国債を発行し、発行残高を八十三兆円にも膨らませたばかりか、消費不況の深刻化による税収不足も相まって、二兆五千億円という未曾有の歳入欠陥、赤字決算を生じさせたのであります。  このような内容を持つ昭和五十六年度決算について、ごく限られた指摘事項のほかは異議がないとする本決議案には、到底賛成することはできません。  以上で私の反対討論を終わります。(拍手)
  154. 安井吉典

    安井委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  155. 安井吉典

    安井委員長 これより順次採決いたします。  昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算昭和五十六年度特別会計歳入歳出決算昭和五十六年度国税収納金整理資金受払計算書及び昭和五十六年度政府関係機関決算書を議決案のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  156. 安井吉典

    安井委員長 起立多数。よって、議決案のとおり決しました。  次に、昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書の両件は、これを是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  157. 安井吉典

    安井委員長 起立多数。よって、両件は是認すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 安井吉典

    安井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  159. 安井吉典

    安井委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。竹下大蔵大臣
  160. 竹下登

    ○竹下国務大臣 ただいま御決議のありました行財政の合理化、効率化の推進による財政再建につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、努力してまいりたいと存じます。
  161. 安井吉典

    安井委員長 次に、藤波官房長官
  162. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 ただいま御決議のありました各省庁における会計内部監査につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、行政機構の簡素合理化にも留意しつつ、内部監査の充実に可能な限り努力してまいる所存であります。  次に、各省庁等における電気需給契約の改善につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも各省庁において不断の注意を払ってまいる所存であります。  次に、公益法人の運営につきましては、今後とも各法人がその設立の趣旨に沿った運営を行うよう、政府は一層適切な指導監督に努力をいたす所存であります。
  163. 安井吉典

  164. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 ただいま御決議のありました沖縄県読谷村内の国有地問題については、早急にその利活用が図られるよう努めたいと存じます。
  165. 安井吉典

    安井委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十九分散会