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1985-06-07 第102回国会 衆議院 環境委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年六月七日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 辻  英雄君    理事 國場 幸昌君 理事 戸塚 進也君    理事 福島 譲二君 理事 岩垂寿喜男君    理事 和田 貞夫君 理事 大野  潔君    理事 中井  洽君       竹内  猛君    中村  茂君       馬場  昇君    松浦 利尚君       小川新一郎君    岡本 富夫君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石本  茂君  出席政府委員         環境政務次官  中馬 弘毅君         環境庁長官官房         長       岡崎  洋君         環境庁企画調整         局長      山崎  圭君         環境庁企画調整         局環境保健部長 長谷川慧重君         環境庁自然保護         局長      加藤 陸美君         環境庁大気保全         局長      林部  弘君         環境庁水質保全         局長      佐竹 五六君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部公害課長  上野 治男君         環境庁長官官房         参事官     杉戸 大作君         国土庁大都市圏         整備局計画課長 白兼 保彦君         文化庁文化財保         護部記念物課長 田村  誠君         厚生省生活衛生         局指導課長   瀬田 公和君         厚生省生活衛生         局水道環境部地         域計画室長   坂本 弘道君         厚生省生活衛生         局水道環境部産         業廃棄物対策室         長       伊原 正躬君         厚生省薬務局安         全課長     渡辺  徹君         農林水産省農蚕         園芸局肥料機械         課長      清田 安孝君         農林水産省食品         流通局企画課長 武田  昭君         林野庁指導部造         林課長     依田 和夫君         林野庁指導部森         林保全課長   原 喜一郎君         水産庁振興部開         発課長     河田 和光君         通商産業省基礎         産業局エネルギ         ー対策室長   地崎  修君         通商産業省基礎         産業局基礎化学         品課長     高島  章君         通商産業省機械         情報産業局電子         機器課長    島  弘志君         運輸省運輸政策         局環境課長   染谷 昭夫君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部自動車審査課         長       堀込 徳年君         運輸省港湾局計         画課長     坂井 順行君         建設省建設経済         局環境調整官  下口 良三君         建設省都市局公         園緑地課長   勝浦 康之君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     辻  栄一君         建設省都市局下         水道部流域下水         道課長     斉藤健次郎君         建設省河川局河         川計画課長   寺田 斐夫君         建設省河川局都         市河川室長   斉藤 尚久君         建設省道路局道         路経済調査室長 藤井 治芳君         自治省財政局地         方債課長    柿本 善也君         自治省財政局調         整室長     鶴岡 啓一君         日本国有鉄道建         設局審議役   岩橋 洋一君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十二日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     細谷 昭雄君 同日  辞任         補欠選任   細谷 昭雄君     竹内  猛君 同月三十一日  辞任         補欠選任   草川 昭三君     大久保直彦君 同日  辞任         補欠選任   大久保直彦君     草川 昭三君 六月七日  辞任         補欠選任   中村  茂君     松浦 利尚君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     中村  茂君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関  する件      ――――◇―――――
  2. 辻英雄

    辻委員長 これより会議を開きます。  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  3. 和田貞夫

    和田(貞)委員 まず御質問申し上げたいのは、去る三日の毎日新聞で、関西国際空港本体に関連する前島構想大阪府が立てておるわけでございますが、この前島構想計画について環境庁同意をする方針を決めたというように報道されたわけでございます。これはこの新聞の記事どおりであるのかどうかということ、その事実についてお伺いしたいと思います。
  4. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる関西空港の前面といいますか、これに関連しての前島の問題でございますが、私ども環境庁といたしましては、大阪府から従前から計画素案と申しますか原案と申しますか、これについての説明を受けてまいりました。当庁といたしましては、瀬戸内海環境保全特別措置法趣旨にかんがみまして、瀬戸内海埋め立てを行う場合におきましては同法の埋め立て基本方針に沿ったものでなければならないと従来から主張してまいりました。その中で、府の当事者と当庁の当事者担当官レベルでの意見交換の場におきまして大阪府から今回報道されている計画内容についての説明がございまして、ある程度の意見交換を行ったことは事実でございますが、当庁といたしましてはこの件に関しましての最終方針を決定したわけではございませんし、また、具体的な個別の内容につきましても見解を表明したこともございません。  今後の運びといたしましては、公有水面埋立法に基づきます正式手続がとられるわけでございまして、その際に瀬戸内法に基づく埋め立て基本方針趣旨にのっとりまして正式な意見を申し述べる、こういうことになると思っております。
  5. 和田貞夫

    和田(貞)委員 今の御答弁によりますとまだ正式に同意を与えておらないのだということでございますが、極めて具体的に同意を与える条件ともいうべきものが同意内容としてこれまた報道されておるわけです。  すなわち、都市開発用地をできるだけ削減していわゆる素案よりも一割縮小するという条件、あるいは護岸を石垣で傾斜護岸とするというような条件、あるいは前島内の緑化率を、素案では二〇%という緑化率をさらに引き上げるという条件、そういうようなものを内容として同意を与えるというところまで具体的に報道されておるのですが、これについてはどうです。
  6. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 ただいまも御答弁申し上げましたように、計画の個別の具体的内容につきまして担当官レベルでの意見交換がそれぞれ行われていることは事実でございまして、私どもも必要に応じまして上司に御報告申し上げていることも事実でございます。  そういう中で、ただいま御指摘のような規模の問題でございますとか人工護岸のあり方の問題でございますとか、あるいは緑地の問題でございますとか、そのほかにも下水の問題でございますとか、そういう個別の問題がそれぞれ話題になっていることは事実でございまして、そういう点にかんがみまして、政務次官のインタビューを受けての御答弁あるいは御発言は、それらについてお考え方を述べられたもの、かように受けとめておるところでございます。
  7. 和田貞夫

    和田(貞)委員 確かに前島計画というのは空港本体と密接な関係にあることは事実であります。したがって、これまたこの報道の中で、空港島と密接不可分であることを重視したということが一つ、それからその内容の中で、下水処理場建設については周囲の河川浄化に役立つということを環境庁としては評価した、そういう前提に立って同意方針を決めたと政務次官が発言されたということも記事になっておるわけです。  大阪府の素案が去年の十二月に発表されて、そしてこのことについては事務レベルではかなり突っ込んだ意見交換がなされておるというように今御報告があったわけでございますが、従来、環境庁としてはこの前島計画については聞き及んでおらないということを繰り返してきたわけでございますけれども、今の時点ではかなり事務レベルの方でその内容について意見交換をなされておるということでございますので、環境庁としてこの大阪府が持っておる素案内容についてどの程度意見交換をされ、どの程度把握しておられるのかということを明らかにしてもらいたいと思います。
  8. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 前島計画につきましては、今年一月三十日でございますか開催されました関西国際空港関連施設整備連絡調整会議幹事会におきまして、大阪府から正式にヒアリングをしたものでございます。なお、この連絡調整会議国土庁が中心になりましての関係省庁によって構成されている会議でございます。  そこで府からヒアリングを、聞き取りをいたしたということでございまして、それ以後、つまり二月以降大阪府から計画内容につきまして説明を受けているところでございます。そういうことでいわゆる大阪府の原案素案というものは私ども承知をしているということでございまして、その素案をめぐりましての意見交換が引き続き行われている、こういうことでございます。
  9. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは、まだ手続上、検討には入っておらないということですね。
  10. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 大阪府の持っております原案についての検討はそれなりに私どもは進めておりまするけれども大阪府がその原案をどう今後、例えば修正していくのか、あるいはその修正の結果、それをどういうふうにまた私ども取り上げていくのかということが今後のステップになろうと思いますし、それ以後その案につきまして所定の手続が行われるわけでございまして、最終的には公有水面埋立法に基づく免許手続の中で私ども意見を正式に申し述べる、こういう段取りに相なるわけでございます。
  11. 和田貞夫

    和田(貞)委員 先ほども申し上げましたように、空港本体と関連する施設道路の問題につきましては既に建設省の方が発表しているわけですから、これに呼応した施設というものはこれまた前島計画の中にどうしても必要であるということは事実でありますし、また、環境湾岸下水計画というのが立てられておるわけでございますので、その南部の下水処理場というものはこれまた環境庁立場からも必要であるということは事実である。したがいまして、手続の過程におきまして最終的に環境庁としての態度、方針というものがこれから決められていくことであろうと思いますが、私は自然海岸保全対策という観点に立って-私自身は泉州で生まれて泉州で育って、大阪湾海岸というものは海水浴場あるいは潮干狩りというようなことで、むしろ大阪府下全体のそういう場であったわけですが、今ではもう海岸線というのはほとんどなくなっております。  一番南端の岬町の長松・小島海岸というのが海浜保全区域になっておりますし、二色の浜という海浜がありますが、これは潮干狩り等に使われております。それからまた、前島沖出し部分の一部でもやはり潮干狩り等をやられておる、現在もなおやっております。そういう海浜があるわけですが、そういう海浜が、例えば二色の浜につきましては、その沖出し工事前島部分には直接なりませんけれども、これにつなぐところ湾岸道路によりまして海浜がこれでまたつぶれてしまう、あるいは前島計画の中でその一部の潮干狩り場所がなくなってしまうということになるわけでございますので、海浜保全という立場環境庁としては十分に頭に入れながら、この前島構想についての環境庁方針を決められるに当たりましてぜひとも重視してもらって結論を出してもらうように、この機会にお願いをしておきたいと思うのでございますが、大臣の方からひとつ。
  12. 石本茂

    石本国務大臣 今、先生が御提言くださいましたことを心いたしまして最終的な結論に達したいというふうに考えております。  また、正式な発表などはいたしておりませんことを局長も申しておりましたとおりでございますので、そのようにお答えいたしておきます。
  13. 和田貞夫

    和田(貞)委員 次に移りたいと思います。  地元のことを言って申しわけないわけでございますが、大阪というところ全国で一番緑に恵まれておらない地域なんです。私は、地方議員貿易促進議員連盟というのがありまして、二十年ほど前に私が団長で全国の皆さんとソ連東欧に行ったことがあるわけです。そのときには、イデオロギーは抜きにいたしまして、それぞれの地域議員さんとソ連東欧を見る中で非常に議論があったというような現象がございました。例えば、すばらしい景色を見ましたら、何と美しいな、何と広大な緑だなというようなことを大阪から行きました私たちがいいますと、緑に恵まれておる府県の代表の議員さんは、そんなものはあなた、何じゃというような物の言い方で、そこでけんかをするというぐらいに大阪というところ全国一の緑に恵まれておらないところであるわけです。  例えば森林の面積にいたしましても、国有林あるいは公有林民有林を合わせて五万九千二百六十一ヘクタールしかないのです。国定公園に指定されておる信貴、生駒山系、あるいは近郊緑地保全区域になっております葛城、紀伊山系、そういうものを合わせましても国定公園面積が一万一千七百七・四ヘクタール、近郊緑地保全区域面積が合わせて三万三千五百三十二ヘクタールというような状況であります。また、都市公園開設の推移を見てみましても、人口一人当たり面積大阪府下では三・四八平方メートルというようなことであります。  ちなみに海外におけるところ都市公園の現況を見てみますと、アメリカのニューヨークでは人口一人当たり十九・二平方メートル、ワシントンでは四十五・七平方メートル、イギリスのロンドンでは三十・四平方メートル、チェコのプラハでは三十七平方メートル、西ドイツのハンブルクでは二十八・九平方メートル、ベルリンでは二十六・一平方メートル、ボンでは二十六・九平方メートル、こういうように、都市公園につきまして、これは日本全体的に言えることであろうと思いますが、諸外国の都市公園開設状況というものを見てみますと、日本ははるかにおくれておるわけです。とりわけ緑に恵まれておらない大阪が、これまた都市公園につきましても非常に恵まれておらない状況であるわけでございます。  そのような中で、これは国立公園じゃなくて国定公園でございますから、もちろん国が直接管理をしておらないわけでございますが、国定公園について自治体管理をしていくために、緑を守っていくためには、民有地がそのほとんどでありますので、その土地を買収するというようなこと、あるいは仮に借地方式管理をしようと思いましても、どうしてもかなりの経費がかかるわけでございます。  国定公園について自治体が緑を確保するための施策を講ずるに当たっては、用地の買収あるいは借り入れ等について国の方で何か手当てを加えるというようなことは考えられないものでしょうか。
  14. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 お答えいたします。  まず、大阪府内の緑の状況、特に一人当たり面積等先生指摘のとおりの状況でございまして、過去からの経過それから場所特殊性からやむを得ざるところもあるかと存じますが、それの中でいろいろな努力府当局を初め地元市町村がされておると伺っておるわけでございます。  ただいま御指摘の、特に大阪の場合国定公園でございますが、そういうところについての土地取得であるとか、あるいはほかの場合の優遇措置というようなものの点でございますが、これにつきましては、基本的なことをまず申し上げますと、厳しい行為規制がかぶるわけでございますので、そういう地域につきまして、つまり、国立国定公園特別保護地区あるいは第一種特別地域というようなところについて、所有権を初めとする私権を制約するということとの調整を図る見地から買い上げ制度あるいは税制上の優遇措置があるわけでございまして、まあケースによるわけでございますけれども、それは現在ございますし、また、その運用につきましてはいろいろな工夫をいたしておるところでございますので、場所によるわけでございますが、そういう強い規制が行われていない地域についてはなかなか難しい問題もあるかと存じます。
  15. 和田貞夫

    和田(貞)委員 土砂取り国定公園の中で今なお継続しているという姿、既にこの土砂取りが終わって跡地として存在しておるわけですが、例えば万博会場に対してかなりの量の土砂採取した跡地北生駒でございますが、これは現場は極めて大変なことでございまして、二百八十五・九ヘクタールの荒れ地が、採取跡地ですが、荒れ地のままで、その中で緑地に回復した面積というのは九十一・四ヘクタールであって、あとは全くとられたまま、そしてしかも山の根っこまで土砂をとっておりますので岩石が露出をしたまま、そういうようなところ緑化しようと思いましても緑化ができないというような、こういう状況になったままに放置されておるわけでございますし、また、今なお継続して土砂採取の作業を操業中であるというところがこれ以外に十カ所、八十七・七ヘクタールに及んでおるわけです。  国定公園ということになりますと、地図の上にも国定公園という文字が出てくるわけで、海外方たちだけじゃなくて、旅行者が参りまして見たら、非常に荒れ果てたままに放置されておるようなことで、これが国定公園かなというような印象を与えることになりますし、なお、この跡地利用等によって霊園墓地ですね、これがこれまた非常に多くなってきておるのです。奈良県側で二カ所、大阪府側で二カ所、計四カ所の分譲墓地霊園が今現在分譲されておるというようなことでございます。  国定公園荒れ地のままに放置され、あるいは上から見れば国定公園というのはまるで霊園公園かと言われるくらいに、かなりの広範囲にわたってこういう状況になってきておるのですが、これらに対するところ規制措置というものは、これはもう単に管理をしておる自治体に任しておってよかるべきものなのかどうか、環境庁立場としてひとつお答え願いたい。
  16. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 お答えいたします。  二点ございましたわけでございますが、関連することでございますので相前後して申し上げたいと思いますが、まず、北生駒地区土石採取跡地状況は、非常に痛々しい姿であることは私どもよく承知いたしております。大阪府ではもとよりのこと、非常にいろいろな御努力をされておるわけでございますけれども、何分にも相当な量をいささか乱雑にとったというような状況がうかがわれるわけでございますが、まず、これは原則論でございますけれども、もちろんその原因者が、つまり採石業者の責任において後の始末をするというのはもう当然な前提ではございますけれども現実現実としてございますので、大阪府におかれましても、条件を履行させる、ないしそのほかのいろいろな工夫をするというようなことに努力されておりまして、私どもも相談に乗りながら対処してまいろうと思っておるところでございますが、なかなか進捗がうまくいっていないという点は先生おっしゃったとおりでございます。  特に、あの地域の石の質と申しますか、これがいわゆる豊かな土壌を上に持っておるというものでございませんので、緑化そのものも、努力しましてもなかなか難しいということでございます。しかし、大阪府におかれましても、緑化対策については鋭意検討されていると聞いておりますので、環境庁といたしましても、大阪府をバックアップしながら有効な方策をさらに工夫してまいりたいと思っております。  あわせまして、墓園といいますか分譲霊園関係でございますが、これは現実には先生おっしゃいましたとおり建設が数カ所ございます。これも基本的には、実は国立国定公園内における墓園は、墓園だからということではなしに、相当面積にわたって土地の形状を当然変更するわけでございます。これはその風致景観保護との関係上、特に特別地域内などでは原則として建設は認めないということになっております。ただ、場所によりましては許可している例があるわけでございまして、今先生がおっしゃいましたのもその一例でございますが、これは一言で申し上げますと、非常に荒廃した、例えば採石跡地の荒廃したようなところ緑化に役立つ利用というような意味合いと兼ね合いでございまして、実行しておるところがございます。  ただ、一般的にはこれは規制対象でございまして、大規模土地の地形の改変につながるものは一般的には許可いたしておりませんし、今後ともそういうケースについては同じ方針で臨んでまいります。もちろん、先生おっしゃいましたとおり、直接には大阪府でございますけれども環境庁方針ということもそういうふうに確立いたしておりますので、そんな方向で大阪府と協力しながら対処してまいりたいと思っております。  最初の荒れ地状態のままというのと今の霊園とのつながりもございますので、現在行われているものについては、せめてその緑地が若干でも回復するようにということで管理していただくように、今後とも大阪府と相談してまいりたいと思っております。
  17. 和田貞夫

    和田(貞)委員 墓地ではこれは緑化にならないわけなんですね。これは墓地ですが、(写真を示す)墓地緑化にならぬのです。やはり墓石ですから、石が林立したいわば墓の団地という形で、要するに緑じゃない。少なくとも霊園国定公園では規制してもらわなければいかぬ、禁止してもらわないといけない。霊園がいいということであれば、先ほど申し上げたように国定公園が全く墓の団地になりますよ。墓地というものは禁止してもらいたい。  それから、土砂採取については、新しくは規制しても、継続継続で今なお操業をしていっているわけですね、ああ、ああと言っている間に。しかも、北生駒の場合はいい土を万博会場に持っていっているわけです。そして、いわゆる地下鉄工事瓦れきを含めた残土ですね、汚い土をそこへ持っていって埋めておる。土の交換をやっておるのです。国定公園の中に悪い土を放棄されて、いい土を国定公園の外に持っていく、こういうようなことをしておるのですから、採取だけでなくてそういう残土の放棄、このことについてもあわせて規制をしてもらう必要が私はあると思うのです。  その点ひとつ、自治体だけに任せておくのではなくて、少なくとも国定公園という名がつくわけでございますので、環境庁としてもお考え方をまとめてもらって、大阪だけじゃございません、ぜひとも指導してもらいたいと思うのであります。  そこで、国定公園についてはまだそのくらいでございますが、近郊緑地保全区域ということになりますと、さらに全く環境庁はまかり知らぬ、自治体に任せっきりということになるわけですね。そうでしょう。そうすると、今度の関西国際空港の土取り場、これはまだ明らかになっておりませんが、大体予測するところでは、コンベヤーで土を運ぶというのですから、わざわざ北生駒から泉州海岸に持ってくるはずがない。あの近くの山林が壊されるということは予期されるわけです。そうなってまいりますと、国定公園ではないのでなお緩やかな規制ということになりますと、結果的にこれが先ほど申し上げた…(写真を示す)これは一部といえども国定公園の現状です。これで国定公園ということで恥ずかしくないかということです。まして、この保全区域に土取り場をと、いうことになりますと、大阪の山はずんべらぼうになってしまうという可能性がこれありなんですよ。  だからぜひともこれは、空港の土取り場に充てられる地域の跡は完全に緑を回復する、少なくともこの北生駒を中心とした国定公園のような跡地にならないように、これから事業が進むわけでございますから、緑の回復ということを必ず義務づける、こういうことをぜひともやってもらいたいと思います。これは努力目標ではなくて、完全に環境庁としては責任を持って、北生駒のような状態に放置されないようにやるということをぜひとも大臣の方から言い切ってもらいたいと思います。
  18. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 大臣の前に、若干事務的な関係もございますのでお答えさせていただきたいと思いますが、基本的には、先生のおっしゃることはまさにそういう考え方でいくべきだと思っております。  ただ、規制ということになりますと、言葉は同じではございますけれども地域地域によりまして、先生もおっしゃっておりましたように国立公園国定公園というところではないがという地域が当たる場合もございますので、しかし緑の問題を考えていく場合には考え方は同じことでございますので、法規制のあり方は若干は違ってまいりますけれども、これはいわゆる施工者と申しますか原因者と申しますかが、後の始末も当然に初めから組み込んで、セットして、ビルトインされた形で事業をやっていただくべきことはもう当然なことと思います。  コストの問題とかいろいろなことで同時に考えていただかなければいかぬような経済的な判断を要するような問題でございますけれども、直接の法規制がある地域はそれ相応な迫力のある対応ができるわけでございますけれども、そこは世間常識と申しますか、社会的な御理解のもとにおっしゃるようなことが達成できるように、私ども鋭意全力を挙げたいと思っております。この辺はもちろん、現地の大阪府ないしは関係の府県の関係当局とも十分軌を一にしながら対処させていただきたいと思っております。
  19. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは、前島を含め空港本体について環境庁としてはいろいろ意見をこれから言われるわけですから、その中にはこの土取り場、これは国定公園よりもなお規制の緩やかな近縁区域ですから、これは緑地、緑を回復するということを前提にした義務を課すというようなことをやってもらわないと北生駒の二の舞になるわけでございますから、現にこれから空港のアセスが進んでいくわけですから、ぜひとも環境庁がこの点についての意見を即、出してもらいたいということを望みたいわけでございますので、大臣の方からひとつお答えいただきたいと思います。
  20. 石本茂

    石本国務大臣 先生のお話を私聞いておりましたし、また、その写真も見せていただきまして、何か私なりに唖然としているところでございますけれども、今お言葉がありましたように、過去のものはもちろんでございますけれども、これから手をつけてまいりますものにつきましては、局長も申しておりましたように、法律で規制するとか規定するとかということももちろん考えていかなければいけませんが、とりあえず、義務として後は必ず緑化していくのだという対策をとるように厳しく指導してまいりたいと思います。緑は大切でございます。ありがとうございました。
  21. 和田貞夫

    和田(貞)委員 ここでお答えにはなれぬと思うわけでございますが、国定公園なり近隣緑地保全区域、自治体自治体なりに緑を確保することに努力しているわけです。  そこで、例えば大阪では、この国定公園の中に、府民の森条例というのをつくってできるだけ府が用地を取得するなり、あるいは借入方式によって整備事業を進めていく。ところが、土地の取得についての補助金が全然ないのですね。自治体も財政が大変なことなのです。あるいは里山整備事業をやるといっても国の補助金というのは全くない。あるいは自然公園の整備事業をやろうと思いましても、施設については補助金があるけれども、これまた用地の取得なり借入方式に対しての国の手当てというようなものがない。こういうことでございますので、これは今すぐということにはなりませんが、やはり緑を保全をしていくという自治体努力に対して国の方が手当てを講ずるという必要性があるのではないか。あるいは先ほどもちょっと触れられたわけでございますけれども、公共団体がそのために借地方式をとろうとするならば、それに対するところの税その他についての土地所有権者に対するところの手当てを講ずるとかいうようなことがぜひとも必要であろうと思いますので、これはひとつ検討課題にしていただきまして、いい答えを導き出していただくために努力してもらいたい、こういうように意見として申し添えておきたいと思うわけであります。  そこで、かわっていわゆる高原植物のブナの原生林について、これは環境庁としては実態をどういうように把握されて、どのように保全策というものを講じておられるのか、ひとつお聞きしたいと思います。
  22. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 お答えさせていただきます。  ブナにつきましては、特に春先から夏にかけてのブナ林の状況は見ただけでも非常に美しいものでございまして、これは近来とみに国民の皆様の間でも話題といいますか関心を深められておるところでございます。  我が国のブナ林の現状と大まかな対策をちょっと申し上げさせていただきたいと思いますが、私どもの方は自然環境保全基礎調査、いわゆる緑の国勢調査というのを何回かにわたってやっておるわけでございますけれども、その中で把握されたデータでございますが、全国的に約百八十九万ヘクタールのブナの自然植生がございます。もちろんこの辺の数字のとり方はどの程度までのところをとるかによって若干変わってまいりますけれども、これらの大部分は、日本列島の中では九五%までが東日本、特に東北を中心にした東日本に存在しております。関西以西では非常に少ないわけでございますが、面積だけで申し上げますと全体で五%ほど、そんなウエートかと存じます。  環境庁といたしましては、先ほど申し上げました緑の国勢調査を五年ごとにある期間の幅を持ってやっておりますので、ほとんど毎年そういう作業はやっておるわけでございますけれども、その調査でさらにその後の状況も把握していくわけでございますが、当然のことではございますが、すぐれた地域については自然公園とか自然環境保全地域に指定するなどいたしまして適切な保全に努めてまいっておりますし、これからもそういう方策を引き続き続けてまいりたいと思っております。
  23. 和田貞夫

    和田(貞)委員 関西には珍しいブナ林が、文化庁の方で天然記念物として、しかも古いことでありますが、私の生まれる前の大正十二年三月七日に天然記念物として指定されておるのですね。しかも、標高八百メーター台の和泉葛城山にある。これは八ないし九ヘクタールに及ぶわけですが、その当時は何千本ものブナ林であった。これが今五、六百本に減ってきている。これはもちろん大気汚染の関係もあるのじゃないかとも思いますし、これだけの数千本のブナが数百本に減ってきているという現状については、これは天然記念物でございますので、このような関西には珍しい、だから天然記念物に指定されておるのですが、これの実態を文化庁としてはどのように把握されて、この保全のためにはどのような方策を講じようとしておるのか、ひとつ文化庁の方からお聞かせ願いたいと思います。
  24. 田村誠

    ○田村説明員 和泉葛城山のブナ林でございますが、ただいま先生からお話がございましたように、大正十二年三月七日に国の天然記念物に指定しているわけでございます。この葛城山のブナ林は、ブナの分布の南限地の圏内に近い地にありながら、多数の老樹が群生し、純林を構成しているというようなことで指定したものでございます。  しかしながら、今お話がございましたように、近年ブナの老樹が衰退しているというようなことで、五十六年ですか、管理団体にもなっております地元の貝塚市の教育委員会から報告がございまして、直ちに京都府立大学の学長であられます四手井先生にも参加していただきまして、文化庁と大阪府の教育委員会の職員が現地調査をしたわけでございます。植物の自然植生の問題でございますので、一回の現地調査結論を得るということは難しいわけでございまして、再度の調査を行うことも必要ではないかというような内容の指導もしてきたわけでございますが、昨年度、五十九年度に大阪府の教育委員会と環境問題を扱っております大阪府の農林部とが協議をいたしまして、大阪府の方で保全対策のための調査を行うというふうに承知しているわけでございます。  まだその調査結果の詳しい報告は受けてないわけでございますけれども、指定地域よりも若干広く、広域にわたりまして調査をしたようでございますが、それでも五百六十何本がというような、指定当時に比べますと相当減っているような状況にあるようでございます。詳しい報告をよく聞きまして、今後関係機関あるいは専門の先生方の意見も聞きながら保護対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  25. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これはひとつなぜ減ってきているのかという原因を追求してもらって、そしてその保護対策、保全対策というものを速やかに立ててもらわないと、悠長にしておけない問題だろうと私は思います。せっかく国の天然記念物に指定しておるわけでございますから、ひとつ大事にしてもらいたいと思います。ぜひとも早急に調査をお願いすると同時に、保護対策を講じてもらいたい、こういうことをお願いをしておきたいと思うのであります。  時間もありませんので、次に参りたいと思います。  関東の水、このいただいておる水よりも関西の水というのは非常ににおいがする、臭い、こういうのが定評です。これは大阪に限定して申し上げますと、淀川の水はまだ我々は飲料水としていただいておるわけなのですが、かつては淀川とともに一級河川の大和川の水を私たちはいただいておったのです。この大和川というのは、全くもう水がいただけないという状況です。そういうことになっておるわけであります。淀川の場合も、BODについては基準値の三ppmをはるかにオーバーをして四ppm以上になっておる、淀川でさえも。大和川の場合ははるかにそれ以上ですから、もう飲料水には値しない、こういうことになっているわけなのですね。これが、ますます大和川の水が汚くなっているわけです。  私は、水が、河川が美しいということと洪水、災害の防止ということとは一致している、逆に言えば、河川が汚染されていくことによって洪水、災害の原因になっていくということになるのじゃないかというふうに思っているわけです。その理由というのは、これは環境庁の方からきのう資料をいただいたわけでございますけれども、河川のワーストテンにこの大和川の支流二本が入っておる。建設省からいただいた一級河川のこの資料によりましても、大和川というのは埼玉県の綾瀬川に次いでワーストツーに入っている。  これはやはり現状はそういうとおりでございますが、それになってまいったというのは、大和川というのは奈良県が上であって大阪が下になるわけですが、森林と農地の面積というのが、ここ十年の間に奈良県側では森林と農地を合わせますと一万一千百五ヘクタール減少しておる。大阪側では五千五百八十一ヘクタール減少しておる。そしてため池が奈良県側で八百九十六カ所なくなっておる。大阪では百四十六カ所のため池がなくなっておる。そういうようにため池がなくなり、森林、農地というものがなくなることによりまして、水を自然に吸収しておるその森林がなくなる、あるいは自然湛水になっておったため池なり、あるいは農地がなくなって、そこら辺がコンクリート、アスファルトで塗られていくということになりますと、どうしても雨水というものは支流に放流され、そしてそれが一級河川に合流されておるわけですから、流量が非常に多くなってくる、これが先ほど申し上げたように、河川が汚れるということと洪水が発生する原因になるということが全くイコールだということを私は言っておるわけであります。  そういう現状を見たときに、この大和川というものを、かつては飲料水に供しておった一級河川であるわけでございますから、これに対するところ規制というものを、これは環境庁の方が直接担当しておらないわけでございますが、きょうは建設省に来てもらっておりますので、都市局ないし河川局の方からこれについての対策というものをお聞かせ願いたいと思います。
  26. 寺田斐夫

    ○寺田説明員 先生指摘のように、大和川の水質につきましては、昭和五十八年のBODの年平均値が一・二ppm、直轄管理区間においては綾瀬川に続いてワースト二位となっておる次第でございますが、水質悪化のピーク時の昭和四十五年の約二〇ppmに比べますと徐々に良化はされてきている状況でございます。  大和川をきれいにするために現在行っております方策といたしましては、基本的には下水道の整備、排水規制であると考えられますが、河川管理者といたしましても定期的な水質監視を実施しますとともに、大和川下流部におきまして底泥の除去及び河川敷の整備を行い、また、堤防の除草とかじんかい処理を実施するほか、河川の美化月間、河川愛護月間等で、大和川のクリーンキャンペーンなどによりまして河川の清掃、啓発活動を行っておるところでございます。さらに、大和川の水質汚濁防止連絡協議会等で水質の情報の交換及び水質事故時における措置などを行い、いろいろの機会を通しまして関係機関に水質浄化についての要請を行っているところでございます。  今後ともこれらの方策をさらに強く進めまして、河川の浄化に努めたいと思っております。
  27. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは建設省、河川流域の下水道は特におくれているのですよ。下水計画というものが極めておくれているということもこれに原因しているわけですから、下水計画、特におくれておる流域下水道について、おくれたままにほっておくのじゃなくて、何かいい案でもあるのですか。
  28. 斉藤健次郎

    斉藤(健)説明員 お答えいたします。  大和川の流域につきましては、先生指摘のように、奈良県側におきましては大和川の上流流域下水道、それから下流の大阪府内におきましては大和川の下流流域下水道というものを中心に下水道の整備を進めているところでございます。  奈良県側の上流流域下水道のうち第一処理区、これは奈良市側になりますけれども、第一処理区につきましては、四十九年から処理を開始しておりまして、幹線管渠の整備も概成しているという状況でございます。現在それぞれの都市におきまして公共下水道の整備を進めているという段階でございます。それから第二処理区、南側になりますか、これも五十八年度から一部地域で供用開始をしておりまして、現在鋭意整備を進めているところでございます。  また、大阪府内の下流の流域下水道につきましては、今池処理区、一番下流になりますけれども、四十五年から事業に着手いたしまして、本年六月に供用を開始する予定になっております。また東側の大井処理区につきましては、四十九年から事業に着手しておりますけれども、効率的に事業を執行するということを目的といたしまして、暫定的に今池処理場で処理をするという予定で工事を進めているところでございます。もう一つの狭山処理区につきましては、昭和五十五年度から供用を開始しているということでございまして、大和川流域関係下水道につきましては現在鋭意整備を進めているところでございます。  先生指摘のとおり、大和川及びその支川の水質保全を図るためには、当然この上下流の流域下水道またこれに関連いたしました公共下水道の整備が必須でございますので、今後ともその促進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  29. 和田貞夫

    和田(貞)委員 口先だけではなくて、極めておくれておるのだ、おくれておるからこの河川が汚れる原因になっておるのだから、ぜひとも予算を分捕ってきてやってもらいたい。  それから、河川については、これは確かにクリーンキャンペーンをやるということで、この間も地建の方でいろいろとビラを配ってもらったりキャンペーンをやってもらったわけであります。これはいいことだと思う。ただ、河川を改修するについて、その河川がコンクリートに固められたような河川になるということはかえって自然を破壊することにもなる。やはり河川の改修については、改修によってそこに魚が生息するような河川の改修を考えてもらいたいと思います。あくまでも水をきれいにするということと河川の改修ということは一体のものとして、自然を保持しながら河川というものを改修していくという観点に立ってぜひともやってもらいたいと思います。  申し上げましたように、乱開発が最大の原因でありますから、この乱開発につきましても別な面で規制していくことを建設省に強く望んでおきたいと思います。  最後に長官の方から、水も大変だ、河川というものは非常に大切なものでありますので、改修に当たって建設省環境庁立場からもぜひともそのような意見を言ってもらいたいと思いますが、環境庁長官としてひとつお答えをいただきたいと思います。
  30. 石本茂

    石本国務大臣 ちゃんとしたお答えができますかどうかわかりませんけれども先生が今申されましたように、両岸をコンクリートで固めてしまいますと、水は何事もなく流れてまいりますが、その水の中に含まれておりますいろいろなものがございますし、そこに草が生えましたりいろいろすることによって浄化作用が営まれるわけでございますから、その辺を建設省にぜひ御考慮に入れていただきまして、水の浄化ということも考えた護岸づくりをしていただきたいと私は思っております。
  31. 和田貞夫

    和田(貞)委員 終わります。
  32. 辻英雄

    辻委員長 馬場昇君。
  33. 馬場昇

    ○馬場委員 私はまず、水俣市の百間、丸島という水路があるわけですが、水銀ヘドロ除去の事業計画ができ上がって、五月二十五日に市の公害対策審議会に諮問されたわけでございます。  環境庁は、この問題について熊本県や水俣市をどのように指導なさっておるのか、その指導の経緯、それから現在の工事計画状況、今後この工事はどのように進めていくのかというスケジュール、こういうことについてどう把握しておられるのかをお聞きしたいと思います。
  34. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の百間、丸島水路でございますが、先生、十分御案内のことでございますが、丸島水路が丸島漁港に流れ込んでおりますし、百間水路が…(馬場委員「そういう説明はいいです」と呼ぶ)  それで、現在、都市下水を排水する水俣市の主要排水幹線としてはもう機能が失われているという状況にあるわけでございます。そして、この水路には、チッソの水俣工場あるいはもう一つ水俣化学工場、これから排出された水銀を含む汚泥が堆積しておる。また別の面では、水路の老朽化によりましての浸水被害等、周辺住民の生活にも影響がある。こんなことを踏まえまして、水俣市におかれまして当該水路における公害防止事業を行う、あわせて都市下水路としての機能回復を図る、こういうことであると思っております。そして、この水路の汚泥の処理につきましては、かつて、五十年当時だったと思いますが、熊本県が策定いたしました水俣湾等堆積汚泥処理計画の中にもヘドロ処理の一環として盛り込まれている計画であったと思います。  そこで、現状でございますが、先生指摘のとおり、本件事業の実施主体である水俣市が、五月二十五日に市の公害対策審議会に対しまして丸島、百間水路堆積汚泥処理事業費用負担計画を諮問したと承知しております。この計画内容としましては、公害防止事業の額を十二億七千九百万円程度と試算しておりまして、そのうち事業者に負担させる額が十億四千万円、こういうものを諮問の結果定めたい、こういうふうにすることであると聞いておるわけであります。  ところで、今後のスケジュールでございますけれども、水俣市におきましては、この公害対策審議会の答申を得た後に所定の手続を経まして工事に着工する。そして、水俣湾第二工区のしゅんせつ土砂投入が終了すると見込まれております昭和六十二年度、この年度に合わせるようにこの事業を完了したい、こういう考え方であるということを承知しておるわけでございます。私どもといたしましては、現在水俣市が行っておりますこの計画がうまく機能いたしますようにいろいろ御相談に応じてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  35. 馬場昇

    ○馬場委員 今の答弁を聞いておって、とにかく水俣病は世界の公害の原点だと言われているし、水俣湾で今ヘドロの除去工事が行われているのですが、これは世界で初めての大工事だと言われておるのです。本当に水銀ヘドロをなくして侵された環境を浄化する、世界に例のないような工事をやっておる。その一環としてこの丸島、百間排水路にたまっておる水銀ヘドロを除去するわけですよね。  もう一つこれも聞きたいのですが、丸島漁港、ここにも水銀ヘドロがいっぱい堆積をしているのです。水俣湾の水銀のヘドロを除去する、この丸島と百間の排水路の水銀ヘドロを除去する、そして丸島漁港の水銀ヘドロを除去する、この三つは一体なんですよね。そして、本当に公害の原点といわれる水俣の堆積ヘドロ、世界に冠たる仕事だ。水俣湾の場合、非常に難しいから、環境庁と運輸省と熊本県で計画委員会というのをつくり、技術検討委員会をつくり、そして国が主導的に、自主的、積極的に指導してきたのです、第二次公害を起こさないために。  その一環の仕事ですけれども、今の答弁を聞いておりますと、都市下水の排水の機能を失ったとか古くなったとか、そんな事業ではないのです。あくまでも堆積ヘドロを除去するという水俣病対策の一環ですから、それに対して環境庁の指導というのは、聞いておりますとか伺っておりますとか、御相談があればそれに応じますとか、こういう格好ではこの仕事に取り組む姿勢が大体間違っている。  そういう意味で次にお伺いしたいのですけれども、今言いましたように丸島漁港の計画はどうするのか。聞いておるじゃない、どうするのかということをまず答えてもらいたいと思います。  そしていま一つは、今言われたように五十年ごろちゃんと水俣湾と一緒に計画ができているのですよ。十年たっている。そしてようやく今ごろまた工事を始めようとしている。非常に遅いですよ。この計画にはヘドロの除去というのは緊急性を要するというぐあいに十年前に書いた。だから水俣湾を始めたのに、この排水路の除去はまだおくれておる。  こういうこともございますが、十年のうちにいろいろ環境も変わっている部分もあるのです。建設省に対して水俣市が花と緑の国際庭園博というのを水俣市で開いてくれと大分陳情して、なかなか難しいようですが、これができない場合には、例えば国内的な環境博覧会を何かやりたい、こういうことをまた国にいろいろ相談をしておる現状ですから、これはもうこの排水路の水銀の除去工事だけではなしに、そういう希望も水俣市にあるのだから、例えばこの排水路をきれいにして市民の憩いの場所にするとか、環境の快適性を確保するため、例えばこの水路の沿道に緑化植栽をするとか、こういうようにやはり前向きで計画をやるべきじゃないかと思いますし、環境を快適にすべきだ、そういう指導なんかを行う気はないですか、どうですか。
  36. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 やや私の答弁が事務的に過ぎたのかもしれませんのでおしかりを受けましたけれども、全く先生指摘のとおり、ヘドロの堆積を全体として第二工区を中心に埋めていく、そして二次公害を発生させない、これが物事の本質だろうと思っております。  お尋ねの丸島漁港の件につきましては、これは水俣市と違いまして県の事業ということになるわけでございまするから、今県が内々にはいろいろと計画を詰めているところであります。私ども、これも一緒に協力し合ってこの事業推進には大いに協力してまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。  なお、あわせまして、庭園博の構想でございますとか、国際博が無理でも国内的な環境博の構想でございますとか、あるいはそれに関連しまして百間水路あるいは水路周辺に沿道整備が行われるというようなことにつきましても、いいお考えだと思いますので、できるかどうか、その辺もさらに相談に乗ってまいりたい、こういうふうに思っております。
  37. 馬場昇

    ○馬場委員 建設省にお尋ねしますが、丸島と百間の排水路は都市下水路ですか、どうですか。
  38. 辻栄一

    ○辻説明員 この水路につきましては、下水道法の都市下水路の指定はまだなされておりません。けれども、事業といたしましては都市下水路事業で実施しようということで、既に都市計画決定、事業認可がなされております。
  39. 馬場昇

    ○馬場委員 都市下水路としてまだ指定されていないけれども仕事は都市下水路の計画としてする、そういうことですか。  続けて聞きますけれども、現在は正式に言うとこれは何ですか。都市下水路でなければ、現在これは掘り割りですか、どぶ川ですか。現在何ですか。
  40. 辻栄一

    ○辻説明員 私どもは一般の普通の水路というふうに理解しております。
  41. 馬場昇

    ○馬場委員 一般の普通の水路に都市下水路としての仕事をするわけですか。
  42. 辻栄一

    ○辻説明員 そういうことでございます。一般の水路を都市下水路事業として事業いたしまして、都市下水路としての機能が発揮できるようになりまして下水路の指定をするというふうな手順で、公共団体の方を指導しておるところでございます。
  43. 馬場昇

    ○馬場委員 どうも地元で聞きましても、これは都市下水路だというふうなことで地元の人はみんな呼んでいますね。私もそういうぐあいに今まで把握しておったわけです。ところが、だんだんこういう工事を始めていきますと、それが今は都市下水路と指定していないんだというぐあいに最近少し変わってきておりますので、少しおかしいなと私は思っているのです。実は、水俣市の振興計画というのがございまして、五十九年から六十三年までの五カ年計画ができているわけでございますけれども、その中にもこの丸島、百間水路整備計画というものがございまして、これも現在都市下水路として、都市下水路を改善するんだ、こういう計画になって、公の文書にも都市下水路になっておる。  そこでちょっと聞きたいのですが、厚生省、おられますね。――これはまず一般論として聞きますけれども、この下水管渠等に堆積した泥状物に対して下水管渠等の管理者たる国や地方公共団体がこれを除去して排出した場合、これは産業廃棄物として、汚泥としてとらえる。これは、厚生省の環境整備課長から都道府県の担当者あてに、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の疑義について」の問い合わせにそういうぐあいに答えておられますね。これは事実ですか。
  44. 伊原正躬

    ○伊原説明員 お答え申し上げます。  御指摘のような通知があることは事実でございます。
  45. 馬場昇

    ○馬場委員 そうしますと、この水俣の百間、丸島排水路、これが都市下水路であるとすれば、ここに今最高七七〇〇ppmぐらいの水銀を含んだヘドロがあると言われておるのですが、今度の計画でも二五ppm以上のヘドロを処理するという計画になっておるわけです。これが都市下水路とすれば、これは産業廃棄物で言われる汚泥になるわけですね。
  46. 伊原正躬

    ○伊原説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生指摘の通知は、公共下水道、公共管渠の中で発生したものという通知でございまして、ただいま問題となっておりますような水路、これにつきましては、廃棄物処理法の適用上、河川、港湾、それからただいま御指摘都市にございますこういった水路につきまして、公共用水域ということで、そのしゅんせつ土砂というのは廃棄物処理法の対象とは従来しておりません。
  47. 馬場昇

    ○馬場委員 昭和五十四年十一月二十六日、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の疑義について」、こういう問い合わせがありまして、「下水管渠、道路側溝等の清掃を行った際発生する泥状物は産業廃棄物か。」こういう問い合わせがあっていますね。それに対してあなたの方では、「下水管渠等に堆積したでい状物に対して、下水管渠等管理者たる国、地方公共団体等がこれを除去し、排出した場合は、産業廃棄物(汚でい)としてとらえる。」こういうことをはっきり答えておられますね。今のあなたの答弁はこれと食い違うのじゃないですか。
  48. 伊原正躬

    ○伊原説明員 先生指摘の五十四年の通知でございますが、これにありますように、下水管渠といったようなもの、これにつきましては「地方公共団体」と管理者を特定してございまして、なおかつこれにつきましては終末処理場なりそういうきちっとした処理施設が設けられておる。先ほど先生指摘になりましたような港湾とか一般の河川あるいは都市の管渠になっておらない水路、こういったところで発生します汚泥のしゅんせつにつきましては、広く環境保全対策というふうな観点からその処理が行われるということでございまして、厚生省の廃棄物処理法で言う産業廃棄物には当たらない。したがいまして、ここでございますような特定の管理者が当該施設物の管理行為として行うものについては、当該管理者の出す廃棄物というふうな格好になります。
  49. 馬場昇

    ○馬場委員 この水路は水俣市が管理して、今度の事業も水俣市が行うわけですね。私が言いたいのは、これは都市下水路だ、ここでいろいろしゅんせつ作業をしますと、ここから出る泥状物は産業廃棄物だ、そうしますと産業廃棄物処理の法律で処理しなければならぬ。ところが今度計画されておりますのは、水俣湾のヘドロの第二工区にここから持っていって埋め立てるという計画だから、その最終処理場が産業廃棄物で言う処理場に適合していない。だからこれは都市下水路でないんだ。だから産業廃棄物じゃないんだ。だから今の第二工区に埋め立てることができるんだ。そう後ろから理屈を持ってきて、非常に処理が厳しい廃棄物の処理ではなしにやろうとしておる、私はこう思うのです。そういう意味で質問しているのですが、答えがあっちへ行ったりこっちへ行ったりなかなかはっきりしないのですが、もう少し後で問います。  建設省に聞きますが、この水路は、今は都市下水路になっていないけれども将来はしたいのだとおっしゃいますけれども都市下水路に適しておるのですか、どうですか。  環境庁は、こういうのは公共用水域という形で残した方がいいのではないかと思うのですか、どうですか。
  50. 辻栄一

    ○辻説明員 都市下水路と申しますのは主として雨水排除を目的として整備するものでございまして、その辺の機能ができましたら、できるだけ都市下水路として指定するように私どもは公共団体の方を指導しておるところでございます。  それから、二番目におっしゃいました公共用水域の点でございますが、これは都市下水路に指定しましても同じような公共用水域であるということで、変わりはございません。
  51. 馬場昇

    ○馬場委員 環境庁にお尋ねいたします。  公害防止事業というのは公共用水域の浄化を目的とするわけでございますが、今回のこの事業は公害防止事業として行われて、その後都市下水路とするんだ、こういう方向になっておるわけでございまして、事実、市が負担する金というのは都市下水路として建設省が補助金を出すんだ、こういうぐあいにも聞いておるわけでございます。  公害防止事業としてしゅんせつしてから、事業終了後すぐ下水施設になりますと、水質保全につきまして環境行政が関与できなくなる、こういう結果になるのではないかと私は思うのです。そうした場合に公害防止事業の趣旨に反するのではないかと疑うのですけれども、例えばこれをしゅんせつしたなら、水をきれいにしてそこで子供が水遊びでもできる、こういうような格好にした方がいいんじゃないかと私は思うのですが、今の点についてどうお考えですか。
  52. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先ほど建設省からも御答弁ございましたように、都市下水路になりましても公共用水域であることには変わりございませんので、そこの水質を管理することは私どもの仕事でございます。したがいまして、その限りでは私どものコントロールが及ばなくなるということはございません。
  53. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 私ども公害防止事業ということで考えた側面から申し上げますと、御案内のように公害防止事業に要する費用の事業者負担を定めているのが法律の趣旨でございまして、その中で公害防止事業というものはいろいろなタイプ分けをしております。河川、湖沼等のしゅんせつ、導水事業がそこに挙げられておりまして、このケースはこれに当たる、しかも公害の原因となる事業活動を行った事業者が現存するわけでございますので、そこからの負担、この関係を定めるというのが事業者負担の趣旨でございまして、今それを受けての答弁を本局長がした、それにつながっていく、こういうふうに理解をしております。
  54. 馬場昇

    ○馬場委員 水銀ヘドロが四万トンぐらい堆積しておると言われておるわけでございますが、これを二五ppm以上、二万トン以上をしゅんせつする事業のようでございますが、これは環境庁で決めておる底質の暫定除去基準、この工事方法によってやるのですか。
  55. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 御指摘のとおりでございます。
  56. 馬場昇

    ○馬場委員 底質の暫定除去基準というのは昭和五十年ごろおつくりになったのじゃないかと思うのですが、暫定がついているのですね。十年間たってもまだ暫定で続けているわけですけれども、暫定を取った立派な恒久的な底質の除去基準はできなかったのですか。
  57. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 この暫定除去基準につきましては、考え方といたしまして、底質から溶出する水銀が魚類の体内に入ってそれが人間の健康に影響を及ぼすことがあってはいけないという観点から、とりあえず一定の算式に基づきまして水俣湾では二五ppmという基準を定めたわけでございまして、各地域によっておのずから違ってまいりますが、おおむねこの考え方によって処理してきたわけでございまして、現在までの運用状況を見ますとそれでほぼ間違いなかった。と申しますのは、それでやった結果、魚の方も一方でチェックしておるものでございますから、特に〇・四ppmという厚生省で定められた魚肉に含まれる水銀の基準値をオーバーすることがないという意味で、この基準でやってきて間違いなかったと私どもは判断しておるわけでございます。  確かに、暫定と申します点は、当時知見が若干不足した点もございましてこのように暫定という名はつけられておるわけでございますが、現在のところどもこの基準を大きく操作しなければならないというふうには判断しておらないわけでございます。
  58. 馬場昇

    ○馬場委員 何か自分たちがやったことについては間違いがないような答弁でございましたけれども、少なくともこういう大切な仕事をする場合、暫定的に決めたものは常によく検証しながら本当に立派な恒久的なものに決めるのが当たり前じゃないか。恒久的なものをつくろうという努力をしてない。  しかし基本的に私が言いたいのは、これは公害対策基本法の第九条にちゃんとあるじゃないですか。大気の汚染、水質の汚濁と同様に、土壌の汚染、これは陸にあれば土壌ですが海底に入りますと底質になるわけでしょうけれども、この土壌の汚染についても、健康保護、生活環境保全のため基準を定めるものとすると、環境基準を定めるようになっていますね。これは法律できちんと「定める」となっているわけです。  大気汚染についてあるいは水質汚濁については環境基準がありますね。ところが、この土壌とか底質についてなぜ環境基準をつくっていないのですか。なぜ環境基準をまだ土壌、底質につくらないのかということです。これをつくりますと、それを目標にして、例えば大気の場合には大気汚染防止法という法律ができている。水質の場合には水質汚濁防止法という法律ができている。ところが土壌、底質については環境基準がない。だから大気汚染防止法とか水質汚濁防止法、こういうものに対応する法律はつくってなくて、今言ったように、たかが-たかがと言うと失礼ですけれども、水質保全局長のつくった暫定基準という、指針という一片の通達でもって土壌と底質はやっている。そういう基本的な公害対策基本法というものに照らしてみて、そこから、例えば暫定というのもおかしいじゃないか、指針だけでもおかしいじゃないか、環境基準をつくってそれに対応する法律をつくるべきじゃないか、これが本当に健康を守り環境を守るということじゃないか、そういう意味で質問しているのです。
  59. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先ほどやや舌足らずでございましたが、先生のおっしゃられることはまことにそのとおりだと私どもも思っているわけでございまして、決して我々の一度決めた基準を常に検討するという姿勢を失っているわけではございません。確かに公害基本法ではそのように定められているわけでございまして、私どもとしても長期的な課題としてそのような方向に努力をしていることは、勉強し続けていることはやっているわけでございます。  ただ、例えば土壌について見ますと、その土壌の環境基準はいわば行政の目標でございまして、それを策定いたしますためにはいわゆる判定基準と申しますか、要するに土壌中にどのくらいの水銀があったらその上に生活している人間に有害であるかとか、この程度の濃度になればこういう現象が出る、したがってこの程度にしなければならない、こういう判定基準を策定しなければならないわけでございますが、土壌についても底質についても一般的にそのようなことをつくることは現在の諸先生方の知見をもってしては難しい、こういうふうに私ども先生方の御意見を伺っているわけでございます。  しかしながら、私どもとしては、例えばかつて工場排水等によって異常に底質の水銀の濃度が高くなったところとか、あるいは市街地でも同じような問題があるわけでございますけれども、市街地については過去に有害廃棄物を埋め立てところ、最近は廃掃法で規制がございますけれども、昔そういうものが埋め立てられたところ、こういうものについては暫定的に何らかの基準をつくって、やはり国民の健康の保護に、学問的にはわからないながらもできるだけのことはしよう、こういう見地からそれぞれ暫定基準、まあ底質につきましては暫定基準を定め、市街地につきましても現在検討しているわけでございます。  この底質の暫定基準につきましても決して私どもだけでつくったわけではございませんで、中公審に部会を設けまして、そこで先生方に御相談して決めたものでございます。  もう一つ、農地についても同じ問題があるわけでございますが、農地につきましては土壌汚染防止法で一応の基準値を決めまして、それに基づいて土壌汚染の防止をやっているわけでございます。  そのような意味で、先生の今御指摘になったことを私ども環境庁として怠っているということでは決してございません。それに引きかえ十年間たってもまだできないのは甚だ怠慢であるという御指摘につきましては、ただおわびを申し上げて今後努力するというふうに申し上げる以外にないわけでございますが、以上の事情もひとつ御理解いただきたいと思います。
  60. 馬場昇

    ○馬場委員 公害対策基本法ができたのは昭和四十二年でしょう。ことしは何年ですか。そして大気についてと水質についてはちゃんとできているわけでしょう。やろうと思えば、あなた方暫定基準をつくったでしょう、環境基準ができないということはないと思うのですよ。だから、本当に土壌とか底質について取り組みが足らないんですよ。これは法律違反じゃないですか。法律にちゃんと書いてあるでしょう、基準を定めなければならないと。定めていないじゃないですか。今環境庁公害対策基本法に違反しているでしょう。もう完全に違反している。これは一日も早くつくらなければいかぬ。これは後で長官にお尋ねしますから、ひとつよく検討しておいてください。  私が言っておるのは、この底質、水俣で言いますと底質の処理・処分等に関する暫定指針というので水俣湾のヘドロ処理をやっていますね。ところが産業廃棄物の処理法がある。この産業廃棄物の処理の方が厳しくて、暫定指針の方が緩やかですよ。そこを私は一つ問題にしておるわけであります。例えば、暫定除去基準によって水銀のヘドロは有害水底土砂として海面に埋め立てておるわけですけれども埋め立てる基準なんか、これは有害産業廃棄物の最終処理の方法よりもこの暫定指針の方のヘドロの処理の方がずっと緩やかである。  ところが、この百間、丸島の排水路、最高七七〇〇ppmぐらいの水銀ヘドロがまだ入っている。今からやるのも二五ppm以上のヘドロを処理するんです。こういうような水銀を含んでいる産業廃棄物を処理するときには、これは密閉型でしょう。ところが、今第二工区というのはそういう密閉型にはなっていない。こういうことで、産業廃棄物以上に危険な水銀を含んでいるものの処理の方法が廃棄物処理法よりも非常に緩やかである。こういうところは、何といってもあなた方が土壌とか底質の環境基準をつくって、それに対応する法律をつくってきちんとやっていないというところに問題があると私は思うわけでございます。  これは厚生省がどこか、担当で答えていただきたいと思うのですが、例えば産業廃棄物の処理法で言う汚泥、これが例えば七七〇〇ppmの水銀を含んでおる、あるいは今度除去する二五ppm以上の水銀を含んでおる、こういう産業廃棄物は、処理するときにはどういう型で最終的に処分するのか、これをまずどこか担当の方から聞きます。
  61. 伊原正躬

    ○伊原説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の汚泥の処理の基準でございます。廃棄物処理法におきましては、まず有害物質を含まない汚泥と含む汚泥を分けておりまして、含まない方の汚泥につきましては…(馬場委員「含む汚泥、七七〇〇ppmぐらいの水銀を含んでおる汚泥」と呼ぶ)はい。水銀等の有害物質を含む汚泥の処分の基準につきましては、まず溶出試験を行い、基準値を超える場合は遮断型、基準値以下の場合は管理型の処分場に埋め立てることになっております。  そこで、この廃棄物処理法では溶出ということを基準にしてその処理を定めておりまして、先生指摘の二五ppm等のものは含有値でございまして、その二五ppmが直ちに溶出するという意味ではないというふうに考えておりまして、私どもの方は溶出試験というのを別途やりまして、それによって管理型か遮断型かの埋立処分の方法を決めているところでございます。
  62. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 廃棄物につきましては、産業廃棄物につきましても海面埋め立てをやる場合があるわけでございまして、先ほど先生指摘になりましたように、水俣湾の底質あるいは水路の底質のヘドロ、これを埋め立てる場合、これは産業廃棄物の扱いは各省間でいろいろ話し合いをやっておりませんけれども、その埋め立ての基準が産業廃棄物の場合に比べて甘いということはあってはならないわけでございまして、私ども全く同じ考え方によって処理しておるわけでございまして、少なくとも、費用負担の面は別といたしまして、処分の基準の点につきましては全く同様というふうにお考えいただいて間違いございません。
  63. 馬場昇

    ○馬場委員 さっき含有と溶出は違うようなことをおっしゃいましたけれども、今水俣湾のヘドロに二五ppm含んでおる。それが溶出しているわけじゃない、溶出している部分もあるけれどもと、そういう意味で、どうも私の質問に対して、そんならあそこは処理する必要がないというあなたの言う理屈も成り立つわけでございますけれども。  そういう点で、ここで申し上げたいのは、これは長官にさっき言ったのですけれども、私がさっきから言っているのは、公害対策基本法において、大気汚染、水質汚濁、土壌の汚染、これについて基準を定めなければならない、こういうぐあいになっておりますが、その大気と水質については基準が定まっておって、これに対してはまた大気汚染防止法とか水質汚濁防止法という法律がある。ところが、土壌とか底質については、そういう環境基準を定めなければならないとなっているのに定めていないというのは非常におかしい。直ちに定めなければならないと私は思うのですが、大臣のお考えを聞きたいと思います。  それからもう一つ、これは一般的に言いまして、廃棄物処理法で処理するのと、それから底質の暫定指針で処理するのと、今局長の話を聞きましたら、底質の処理のものが決して緩やかであってはならないと私は主張しておるので、そのとおりでございますというようなことを言っているわけです。時間があればいろいろこういう点はどうだ、こういう点はどうだと聞くのですけれども原則的にこういう水銀ヘドロなんというものを処理するのは産業廃棄物としてとらえてもいいんじゃないかとも私は思います。しかし、ともかくそれの処理が法律より緩やかであってはならぬと原則的に思うのですが、大臣、いかがですか。
  64. 石本茂

    石本国務大臣 先生のお話を聞いておりまして、この基本法ができましてもうそろそろ二十年になるわけでございますが、今日なお土壌につきましての基準が定まっておらない、これはさっき局長も申しておりましたように、怠慢であったということよりも、難しくて出なかったのではないかとも思うわけでございます。  いずれにいたしましても、先生の申されましたお言葉を肝に銘じまして、そして客観的に適正な基準を一刻も早く定めるということが私どもに課せられた任務であるというふうに私は深く認識をいたしましたので、こうしたことを事務当局にもやかましく厳しく申しつけまして、御期待に添うように、一日も一刻も早く結論を出したいと思います。お許しください。
  65. 馬場昇

    ○馬場委員 どうぞひとつ大臣、頑張っていただきたいと思うのです。  そこで、時間が余りないものですから、今度は費用の点についてちょっとお尋ねしたいと思います。  さっき費用を言われたのをちょっと聞き落としたのですけれども、私が調査したところによりますと、この百間、丸島水銀ヘドロ処理事計画の費用は二十億四千万という計画をつくっているようでございますが、これは間違いがあれば後で訂正してください。  そこで、自治省にまずお尋ねいたしますが、この費用の二十億四千万の中で、いわゆる都市下水路という関係から市が十億ぐらい負担して残りを原因者負担、その計算の方法等も今度諮問しておるようでございますけれども、水俣市も財政的に非常に困っているわけでございますので、これは市の事業の負担分について公害財特法の適用はできないものか、公害財特法を適用して市に対して援助できないものかどうかということを、まず自治省の方からお答えいただきたいと思います。
  66. 鶴岡啓一

    ○鶴岡説明員 先生御案内のように、公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の第三条の三項、これは公害防止計画が定められていない地域における公害防止事業につきまして、補助率のかさ上げ等をやる場合は、都市下水路とかそういう事業は対象に入っておりませんので、今お聞きしておりますと、事業そのものは都市下水路の設置といいますか改築の事業を考えておられるようでして、そうなりますと、この三条三項の適用は困難でございます。
  67. 馬場昇

    ○馬場委員 この辺も、今都市下水路ではないという主張をやって、でき上がったときは都市下水路にするのだというと、その辺はちょっと釈然としないのです。  では、どういう事業であればこの公害財特法、これは水俣湾には適用されているようですね、だから、どういう目的、趣旨であれば財特法の適用が受けられるのかということと、もう一つ聞きたいのは、結局チッソがまた負担能力がないと言うのですよ、後で通産省に聞きますけれども、そして今話は、水俣湾は県債を出していろいろ立てかえでやっているわけですけれども、水俣市が市債を出して、チッソが金が今ないから立てかえておいてくれというような話が実は内々行われておるようでございまして、水俣市とそういう話が自治省の間で行われておるかどうかということが二つ目。  それから、具体化した場合、この前、県債のときにも問題になったのですけれども、地方財政法の第五条との関係でどう理解すればいいのか、これをお尋ねしたい。
  68. 鶴岡啓一

    ○鶴岡説明員 お答え申し上げます。  まず前段の御質問ですが、財特法の三条三項が適用されますのは二条の第三項の五号から七号までの三つの事業でして、一つは公共用水域におけるしゅんせつ事業、導水事業等でございます。もう一つは、農用地または農業用施設において実施される客土事業等が一つのグループでございます。もう一つが規制に必要な監視、測定、試験事業、この三つでございます。  それから次に、もう一つの御質問の市債の立てかえの話は、まだ私どもの方には具体的に県なり市から話が来ておりません。そういうことで、私ども具体的に検討にまだ入っておらないというのが実態でございます。
  69. 馬場昇

    ○馬場委員 先ほどからずっと質問しているのですが、これは公共用水域のしゅんせつ事業と言っているんですね。だから、今、公共用水域のしゅんせつ事業であれば財特法の適用を受けられると言われたわけでございますが、非常に困っているわけですから、こういう点についてよく市や県と相談をなさって、援助をするという方向でひとつ努力をお願いしておきたい、こういうぐあいに思います。  次に、これはもう絶対に第二次公害を起こしてはいかぬということははっきりしているわけでございまして、私がこの委員会で何回も質問したのですが、水俣湾のときに担当であった運輸大臣の田村さんは、心臓手術をする以上に慎重にやりますとか、もう日本のあらゆる優秀な技術を全部使ってでも絶対にそういうことが起こらないようにやりますとか、そんな議論をたくさんした経験があるのですが、この百間、丸島の水銀ヘドロ除去の工事について、これは水俣湾では監視委員会というのができているのですね。この百間、丸島水路の水銀ヘドロ除去に対して監視委員会というのはできるのですか、それをつくれと指導されているのですか、これについてちょっと現状をお尋ねします。
  70. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 この事業につきましても、当然のことでございますが、私どもの定めました底質の処理・処分等に関する暫定指針に基づきまして適切な監視体制の整備がなされるべきものと考えておるわけでございます。具体の問題につきましては、現在、この丸島、百間水路の底質除去を実施するためにのみ新しく別途監視委員会を設けるのか、それとも既存の監視委員会がこれを担当するのかというようなことも含めまして市の公対審で御検討中というふうに伺っております。  私どもとしては、その形式はともかく、いずれにしても監視体制をきちっとして、それに基づいて事業が実施されるべきである、かように考えておるわけでございます。
  71. 馬場昇

    ○馬場委員 水俣湾のヘドロ除去の監視委員会というのは、県の条例でつくって今実動しているわけで、実はこの間基準を緩和して私はけしからぬと思っておるのですけれども、これは市の事業ですから市の条例で監視委員会をつくった方がいいんじゃないかというようなことを県は言っておるようです。しかし市は、県のやつでどうでしょうかとか、そういう話し合いをしているようですけれども、今言われましたように、これは絶対に事故を起こしてはならぬわけですから、非常に厳しい監視委員会というものをつくって工事を監視してやるということをおっしゃいましたから、ぜひそうやっていただきたいと思います。  次に、水俣湾等堆積汚泥処理計画というのが十年前にできたわけでございますが、これによりますと、水俣湾のヘドロ処理と百間、丸島の排水路のヘドロ処理と丸島港の漁港のヘドロ処理、三つをやるんだということで十年前にできたのですが、この中に「本計画については、地元関係者、地元関係機関に十分説明し、了解を得るものとする。」、こうなっているのです。この丸島、百間もこれに入っているわけですから、当然これは地域の住民だとかあるいは漁民等関係者に十分資料を提供して、公開をして、そして住民等に説明会なんかも開いて、話し合いを積極的に行政の方から進めて理解を得るようにしなければならぬと私は思う。そういう点について、環境庁や自治省等は、熊本県や水俣市に対して、地元住民、漁民等に対して説明をして理解を得るようなことをやりなさい、こういう指導をなさっておるのか、実際行われておるのか。私は地元ですけれども、何ら地元でそういうことが行われておることは聞いていない、資料も公開されていない。これはどうですか。
  72. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 御指摘のとおり、水俣湾等堆積汚泥処理計画におきまして、この計画については、地元関係者、地元関係機関に十分説明し、理解を得るものとする、こういうことが示されておるわけでございます。現在、先ほど御答弁申し上げましたように、水俣市において公害防止事業としてその事業費の負担その他を諮問中でございますので、今後の過程におきまして、この精神にのっとって水俣市において十分こういう措置がとられるものと期待しております。
  73. 馬場昇

    ○馬場委員 局長はおとなしいのかしらぬけれども、期待しておりますとかなんとか、あなた方は指導せいと私は今質問したわけです。自治省とか環境庁がそういうことになっているのだから積極的にそうしなさいと県や市を指導しなさいと言っているのですが、指導しますか。
  74. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 今お答え申し上げましたのは、計画それ自身が、県なり場合によっては市も参加したのかもしれませんが、そこでつくられたものでございますから、十分県はその精神にのっとっておやりになるでしょうし、市も当然のことだろう、こういうふうに申し上げたわけでございまして、私どもその手順において間違いがないことだと思っております。
  75. 馬場昇

    ○馬場委員 大臣、今の局長の話を聞いていると、もうこう決まっているのだ、間違いない。そういうのを間違いないようにして日常指導をするのが環境庁の仕事ではないかと私は思うのですよ。指導が足らなかったとかなんとかという反省はしょっちゅうなさる。事前に指導すればそういう反省をする必要もない。そういう意味でぜひ――その住民の理解なしには環境行政はできないのですよ。この辺について大臣、どうですか。今の局長答弁では物足りないのですが、一生懸命指導していただきたいと思いますが、どうですか。
  76. 石本茂

    石本国務大臣 局長は非常に内輪に発言をされたと思うのでございますが、今日まで当局に対しまして、こちらの方から指導ということはおこがましいかもわかりませんけれども、早くちゃんとするようにということは言ってきておりますので、今後御趣旨を体しまして本当に先頭に立つつもりで努力をしてまいります。ありがとうございました。
  77. 馬場昇

    ○馬場委員 時間が少ししかないのですけれども、これは大臣に最後に御質問、また要望も申し上げますけれども、水俣病が公式に発見されてから、昭和三十一年ですからちょうどことし三十年ですよね。三十年の中で水俣病の問題が何が解決したんだろうかと私は思うし、現在何も解決していないと言っても私は言い過ぎではないような深刻な状況にあると思います。私は、何回もここで言うんですけれども、水俣病というのは、日本だけではなしに、世界の、公害だけではなしに、環境問題の原点だと思いますし、この水俣病の問題を解決しなければ環境問題の前進はないんじゃないか、こう思っておるわけです。  ところが最近私は、後退しつつあるのじゃないかというような気がしてならないわけであります。この三十年の歴史を振り返ってみましても、その前も公式発見前の水俣病というのはあったのですが、公式に発見されましてから三十年の歴史を見てみましても、これは言い過ぎではないと思うのです。行政は何一つみずから本当に積極的に主体的に手を打ったことはない、こう言っても言い過ぎではないと私は思うのです。そういう積極的に自主的に行政がみずから先に手を打ったことがないだけではなしに、原因究明のときでも行政は本当に物すごく妨害したのです。患者たちなんかも分裂させて、支配して、本当に混乱を生んだわけです。苦しみを増したわけですね。それで途中では、もう水俣病は終わりましたという終結宣言までも環境庁はやったんです。行政がやったんです。環境庁はそのときなかったので、厚生省ですかね。そういうこともやりました。そしてずっとこれを終わりにしよう、圧殺しようという格好で続けてきたわけでございますが、物事が少し前進したのです。前進したのは、これは被害者がもう苦しくてやむにやまれず立ち上がって運動して、そして初めて、やっと患者が立ち上がって行政がそれに幾らか施策を持って対応した、これが転んできた三十年の歴史だと私たちは思うのです。  また、大臣、この間修学旅行く水俣の子が行ったんです。そうしたら、水俣病はうつると言われてけんかをして問題になったのはついこの間のことでございます。あそこは大体二十万人くらいの人が水銀に汚染されたと言われておりますが、その汚染された実態さえもまだ現在はっきりしていない、こういうことでございますし、患者が一番望むのは、金じゃない、体を、この病気をよくしてくれと言っているのですが、この治療方法だってまだ解明されておりません。地域全体も水俣病で病んでいるのですが、地域の振興なんかもできていないし、ここに新聞を持ってきましたけれども、係争中の、今裁判になっているのが何と十一件あるのですよ。ことしじゅうに判決が出るのは大分たくさんございますけれども、そういうことで現在ほとんど解決していないし、これが解決しなければ日本の二十一世紀の文明も語れないのじゃないか、こういうぐあいに思うのです。  長官、公式発見されてもう三十年。三十年後の水俣というのを長官の目で見ませんか。そして、本当にここから今まで行き詰まったようなものを解決するという道を見出していただけませんでしょうか。そのことをひとつお尋ねしたいと思います。
  78. 石本茂

    石本国務大臣 私、環境庁に参ります前に新聞あるいは現地にも参りまして水俣病というものには深い関心を持っておりました。この役所に参りましてから、この役所として一番重大な問題は何かといいますと、公害の被害者の問題、特に水俣病患者の救済に関することですということは耳にたこができるほど聞かされ、言い尽くされてきているわけでございます。  私も現地に行くのが当然かもわかりませんけれども、今先生からお話がございましたように、長い経過がございますし、またその中には複雑なものも介在してきたように思いますので、そうしたものについて、私なりに理解といいますか、了解点に達するその時点において水俣に出向するかしないかを考えたいというふうに、要するに熟慮を要する問題だなという気持ちで目下一生懸命に検討している最中でございますことを申し上げまして、先生のお言葉は、私、胸にしっかり受けとめておきたいと思います。ありがとうございます。
  79. 馬場昇

    ○馬場委員 長官、その熟慮に熟慮を重ね――環境行政とか公害行政というのは人間が人間を大切にするということでしょう。そうしたら、そういう被害に遭った人と話をするということ、これなしに環境行政、水俣病行政なんかできないと思うのですよ。熟慮するなんということは、裏を返しますと、何もしない、逃げるということにしかならないと私は思うのです。私は何人という環境庁長官と会いましたよ。水俣に直ちに行かれた人は、それなりに心を知って、少し理解があったんだ。行かれなかった人は、何にもしなかった、圧殺した、そう言っても言い過ぎじゃないと思うのですよ。  そういう意味で、本当に人の心を大切にされる石本長官ですから、だれが何と言おうと行ってみて、そこからはいいことしか出ない、悪いことは出ないのですよ、人間を大切にするという気持ちで行かれたら。その点について、ぜひ行っていただきたいということを申し上げたいと思います。もう一回答弁してください。
  80. 石本茂

    石本国務大臣 先生の申されましたお言葉の一つ一つに私は胸をえぐられる思いで拝聴しているところでございまして、さっき申しました熟慮という言葉が当てはまらなければ、私なりに、行く時期をいつにしようかということで、目下検討している最中でございます。そのことを御理解いただきたいと思います。
  81. 馬場昇

    ○馬場委員 終わります。
  82. 辻英雄

  83. 松浦利尚

    松浦委員 まず大臣にお尋ねをしておきます。  先ほど馬場委員からも御指摘がありましたけれども、どうも最近、産業が優先しまして環境とか公害対策というのは後退をしておる、そういう空気が国民の間にも今非常に広がりつつあるわけですね。時あたかも環境週間ですね。大臣に御就任になって環境行政についての長官のお考え方を、どういう状況であるのか、そのことをお聞かせいただいた上でこれからの質問をしたいと思います。
  84. 石本茂

    石本国務大臣 これは的確にお答えができますかどうか、半年以上もたちましてとぼけたことも申し上げられませんけれども、全体的な問題は別にいたしまして、今先生の申しておられます産業界の問題でございますが、非常に多様化してきておりますし、それから公害に関する実態そのものも、どう言いますか非常に深みを増してきているように思うのでございますね。化学物質によります環境汚染が非常に多くなってきている。そうしたことを含めまして、国民の健康を守るのでございますというようなことを言っている私どもの序としましては、この関係、今多様化してきた、深刻化してきたと私申しましたが、これを解明するための予算を獲得いたしまして、そして研究し、結論を一日も早く出さなければならないのではないかというふうに考えているところでございます。  この化学物質の問題につきましても、関係省庁との関連もございますので、私どもが中心になりましてこれらの施策を進めてまいるための知見と申しますか、それを本当に一日も早く、いっときも早く集約しなければならぬときが来ているというふうに考えております。
  85. 松浦利尚

    松浦委員 これは後からまた委員長にもお願いをすることになると思うのですが、どうも最近、あちらこちらに新たな環境破壊が起こってきておる、それに対応する政府の姿勢というのが遅々として進まない、後退をしておる。先ほど、三十年たっても水俣の問題は解決しておらない、そういう状況で、どうも最近の姿勢というのは、環境庁という言葉を使うと、何か環境庁の職員の皆さんが肩身を狭くしなければいかぬというような空気があるのじゃないか、そうでなければ、これから具体的に質問することについて的確にお答えいただきたいと思うのです。  私は予算委員会でも質問するつもりで長官においでをいただきましたが、時間がなくてできなかったわけですけれども、実は、質問主意書を二回にわたって出させていただきまして、答弁書をいただきました。この白書の中にも出ておるのですが、現在工業的に生産されている化学物質というのは数万点、こう書いてあるのですね。これが約二万件という御回答を正式に閣議決定でいただいたわけですね。労安法等によると四万とか四万五千とかと言われるのですが、正式に閣議決定とされたものは、約二万あると答弁された。  ところがこの二万ある化学物質のうちでチェックが終わったものについては、昭和五十九年度末で五百二十五物質しかないのですね。これは通産省がチェックされた数量であります。環境庁が残留状況等の把握を行ったものが四百九十一件。この中にはダブリがありますからこれをトータルしてという数字にはなりませんが、大まかに言って約一千件のチェックが終わったというところですよね。二万件あるのですよ。  これはまず通産の方からお尋ねをいたしますが、化審法等による審査というものでチェックをしておられると思うのですが、残りの一万九千件というのは一体どういうことになっておるのか。二万件あるうちに累計で五百二十五物質について安全性のチェックが終わった。残り一万九千五百ということになるわけですね。しかし環境庁がチェックを終わっていますから、それを足して約一千件。残りの一万九千件がどうなっておるのか。これをちょっと教えてくれませんか。
  86. 地崎修

    ○地崎説明員 お答え申し上げます。  既存化学物質につきましては、生産量とか輸入量、あるいは安全性に関する既知見といったものに基づきまして、人体及び環境に与える影響について懸念がより大きいと考えられるものから優先してチェックをしてきております。こういったチェックにつきましては専門的、技術的な知見をもとに積極的に進めているところでございまして、より危険性の高いものから順番にやってきておるということでございます。したがって、今後ともそういった点検については、そういったものから順番に鋭意進めていきたいというふうに考えております。
  87. 松浦利尚

    松浦委員 届け出のあった化学物質について、化学方程式等を見て非常に危険度が高いというものから優先的にチェックをしておられる、それはわかりました。  それでは、残った一万九千件というのは安全だということですか、より危険なものからチェックしておるのですから。残った一万九千件は野放しで使われておる。現実にそれは安全なんですか。使っておっても全然影響はない、こういうふうに判断してよろしいですか。
  88. 地崎修

    ○地崎説明員 従来から、人体及び環境に与える影響についての懸念がより大きいと考えられるものから優先して順にチェックしているわけでございまして、その残りの物質なんかについては、対象物質も非常に多いということで、限られた制約条件の中で鋭意努力はしておりますが、相当程度時間をかけて実施したいと…(松浦委員「安全かどうかだけ答えてもらえればいい、危険がないかどうかだけ」と呼ぶ)危険かどうかということについては、そのチェックの結果によって判断できるというふうに考えております。
  89. 松浦利尚

    松浦委員 この答弁書によると安全性のチェックを終わっておるわけでしょう。非常に危険なものを優先的にチェックをしてきておるけれども、残ったものでも決して安全だという断言はできないのでしょう、自然界にない物質をつくり出しておるわけだから。安全だということの断言ができるはずがないのですよ。  長官ちょっと、今は通産省の答弁ですけれども環境の責任者としてどう思いますか、今のような考え方で。
  90. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  ただいま通産省の方から、通産省でやっておられます事業の概要について御説明申し上げたわけでございますけれども環境庁の方といたしましても、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律が制定されました時点におきまして、四十八年の衆参両院の商工委員会の附帯決議もあるわけでございますので、昭和四十九年度以降に既存化学物質によります環境汚染の実態調査、五十四年度から名称を変えまして化学物質環境安全性総点検調査というものを実施いたしておるわけでございます。  環境庁といたしましても、数万点、二万点余に上ります既存化学物質につきましては、その化学構造、物理化学的性状、毒性等に関します既存知見を検討いたしました結果、環境汚染の観点から特に留意を要する化学物質として約二千物質をリストアップいたしたところでございます。この二千物質につきましては、先ほど申し上げましたように環境汚染実態調査あるいは化学物質環境安全性総点検調査の中におきまして、その中でも早期に安全性をチェックする必要性の高い物質から順に調査を実施いたしたところでございまして、五十八年度末までに四百九十一物質の調査を完了しておるということでございます。  先生がお話しございましたように残りの物質はということになりますと、私どもも、この数ある物質の中におきまして特に早急にそういう環境汚染の実態を把握する必要のある物質というものを逐次やってまいっているわけでございますので、そういう面で今後とも計画的に効率的にこういう化学物質の点検、調査というものをやってまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。
  91. 松浦利尚

    松浦委員 今部長が危険性のある物質を二千件抜き出して、それでチェックしていると言われましたね。そうすると、大体一年間に幾らチェックできるのですか。二千件の物質のうち、一年間に環境庁として的確にチェックできるのは何件ですか。二千件のうち、毎年何件チェックが終わりますか。
  92. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  当初、この計画を立てました時点におきまして二千物質を抽出いたしまして、それをどういう形で速やかにやっていくかということでいろいろ考えているわけでございますが、実際のフィールドにおきましての調査といいますものは非常に難しいし、技術者も数多く必要だというようなことから、環境庁といたしましては毎年約二百物質ぐらいを検討いたしまして、その中で、特に文献、知見等見ながら、環境汚染の程度が高いと思われるような物質につきまして約五十物質を抽出いたしまして、その五十物質につきまして環境調査、精密調査等の調査を行っているところでございます。
  93. 松浦利尚

    松浦委員 大臣、もう大臣は御存じだと思うのですが、環境庁でやっておられるチェック、二千件抜き出して、そしてそのうち毎年二百件ずつ、そして二百件のうち五十件という特に重要なものをスクリーニングしてチェックにかけておるわけですね。ですから十年かかるのですよ。人体に非常に影響があると思って環境庁がチェックにかけた、その物質二千件について十年かかるのです、今の対応では。  しかも、その物質は現実に使われておるのですよ。先ほど、土壌についての基準がないというふうに馬場委員から厳しく指摘がありましたけれども、水俣病が解決されないうちに新たな水俣病のようなものをつくり出すものが現実にチェックの終わらない形で野放しで使われておるのですよ。人体に影響が出て、さあ大変だと言って慌ててチェックをかけてみてももう遅いのですよ。そのときには三十年かかっても解決しないのですよ、水俣が解決しないように。我々が目に見えて、あるいは科学的に、あ、ここは大変なことになったと言っても、環境をもとに戻すには三十年かかってももとに戻らない、自然界にない物質ですから。だから、環境行政というのは産業、科学の進歩につれて極めて重大な意味を持っておるのですよ。ところがだあっと先行してしまっているのではないですか。  これは具体的に本環境委員会でも大分問題になったことなんですけれども、今世界のトップレベルを走っておるIC工場ですね。超LSI等のIC工場、各地方にどんどんとでき上がってきております。今余りにも競争が激し過ぎて飽和状態になりまして、ある程度生産調整をしなければならぬような段階にだんだんなりつつあるわけですから、そういう意味ではある程度のブレーキもかかってくるとは思うのですが、今通産省で把握されておるIC工場で使われておるガスの種類については、これは「サイエンスフォーラム」からとったのですが、ここにガス関係はもう非常にぴしっと出されておるのです。ところが、有機溶剤関係については、御承知のように兵庫県の太子町で問題になりましたIC工場の地下水汚濁の問題等が出まして、そのときにトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、それから1・1・1トリクロロエタン、この三つが使われておるということがわかった。これが登録されて、現在通産省に届け出られておるだけなのです。あとはどういうものが使われておるか、これはさっぱりわからない。  大臣、例えば御承知のようにアメリカのシリコンバレーで大問題になった、そうしたら我が国も兵庫県の太子町で問題になってきた、それで初めて慌てて環境庁から暫定基準がつくられたわけなんですよ。それまではかからなかったのですよ。極端に言うと、そんなに厳しい網をかけなくても大丈夫だという発想のもとにIC工場で使われておったのです。ところが、それが地下水を汚濁し、飲み水に影響を与えたのでこれが改めて問題になってきて暫定基準がつくられた、こういう状況なんですよ。  通産、どうですか、これ以上に半導体有機溶剤で現在把握されておるIC工場での有機溶剤の名前があったら教えてください。
  94. 島弘志

    ○島説明員 IC工場のお尋ねでございますので、ICの分野についてお答え申し上げます。  IC工場は、御案内のとおり、そう多くの量ではないようでございますけれども、多種類にわたるガス、化学物質を使っておりますし、それから有機溶剤、これは金属系やなんかも同じでございますけれども、トリクロロエチレン、その他の有機溶剤を使用しておるということは承知いたしております。有機溶剤に関しましては、既に先生も御指摘がありましたように、昨年の二月、八月にそれなりの措置を講じたところでございますけれども、今、先月からより詳細な調査に着手いたしまして、この調査等を踏まえながら適切な対策を講ずるよう業界を指導してまいりたいということで調査に入ったところでございます。
  95. 松浦利尚

    松浦委員 いや、私が通産にお尋ねしているのは、調査をしていただかなければならぬ、しかし化審法によると事前に届け出るわけだから、届け出られている物質について名前がわかっておれば教えてください、もっと具体的に言えばそういうことです。
  96. 島弘志

    ○島説明員 先ほど申し上げましたようにいろいろなガスが使われておりまして、ちょっと主だったものでも申し上げますと、モノシランとか二酸化珪素、アルシン、ホスフィン、三塩化硼素、ゲルマン、六弗化硫黄といったようなものが拡散工程で使用されているようでございます。例えばそのうちモノシランは既存化学物質というジャンルに入りますし、アルシンなんかは使用量が全国ベースで一トン以内というようなことでいわゆる少量新規化学物質、こういう扱いになっておると承知しております。
  97. 松浦利尚

    松浦委員 大臣、このIC工場等で使われるガスとか化学物質というのは企業秘密に属する内容なんです。だから、各企業が争って優劣を競うためにいろいろな化学物質、ガスを使っておるのですね。ですから、一つは企業秘密という壁があるわけですよ。それで私はこの前の質問主意書で、企業秘密等があるものについては立入検査等はどうなるのかという質問をしたのです。規制を受けておる化学物質についてはチェックできるのです。立ち入ることができる。ところがそれ以外のものについては立入調査ができないのですよ。それはそうでしょう。
  98. 地崎修

    ○地崎説明員 おっしゃるとおりでございます。
  99. 松浦利尚

    松浦委員 大臣、ですから立ち入りができないのですよ。そうすると、私は素人ですから、科学者でないからわかりませんけれども、例えば私なら私がある工場の排水を持っていきまして民間の検査所に委託しますね。規制されておる物質についてはチェックできるのです。ところが何が出ておるかわからない状態で、これは何が入っておるか見てくださいと言ったって、二万件あるのだからわかるはずがないのですね。ですから通産といえどもあるいは厚生省といえども、あるいは環境庁といえども、企業側が何を使っておるかということの把握なくしては何を使っておるかということの判断ができないのですよ。さっぱりわからないのですよ。それができますか。具体的に答えてください。できるかできないかだけで結構です。
  100. 島弘志

    ○島説明員 先ほど申しましたガス、多種類あるようでございますけれども、これについてはその使用実態等々調査をいたしまして、それを踏まえて技術基準的なものを作成したいということで、既に昨年からでございますけれども、高圧ガス保安協会等に関係者、地方自治体取り締まりの担当者あるいは学識経験者等を含む委員会を設けまして今検討しておるところでございます。それからさらに業界の団体がございます。日本電子機械工業会というのがございますけれども そこにも昨年から電子デバイス化学物質小委員会というものを設置するように指導いたしまして、そこで先ほど申し上げました高圧ガス保安協会の作業と連動しながら実態調査等を現在進めておるところでございます。
  101. 松浦利尚

    松浦委員 全く私の質問の答えにならないのです。それはわかりますよ。しかし私は、何を使っておるかわからない状態で調べることは不可能でしょう、チェックすることは不可能でしょう、そういうことをお聞きしておるのです。恐らくそれはできないと思いますよ。チェックは何人もできないと思うのです。そうでしょう。自席からで結構ですよ。そのとおりでしょう。――まあ首を振っておるからそうだと思うのですね。それで結構です。  それで、いずれにいたしましてもそういう状況のままなんですよ。しかも過熱な国際競争がある、国内競争がある。新しいガス、新しい物質というのがどんどんつくられていくのですね。しかも自治体の方はどんどん企業を誘致する、そのためにはIC工場が一番いいということでどんどん先端技術が進出をしていく。それはそれでいいのですよ。我が国の産業発展のためには大いに結構。  ところが問題は、今お話ししたようにそれに伴う環境行政というものが全くついていっておらないわけですよ。後追いになっておるわけですよ。今から調査をします、こういうことです。どういうものが使われているか今調査しております。しかし日本のIC工場はもうアメリカを凌駕して世界有数の企業になっておるのですよ。だから産業が優先して環境行政は後退しておるのじゃないかということが出てくると思うのですよ。通産省でその最終的な調査はいつできますか、はっきりした日にちを教えてください。
  102. 島弘志

    ○島説明員 高圧ガス保安協会での関係者集まっての委員会の作業の成果でございますけれども、これは年内、可及的速やかにということを目標に進めておるところでございます。
  103. 松浦利尚

    松浦委員 ガスについてはわかりました。そうすると、化学物質についてはどうですか。これも年内に速やかにですか。
  104. 島弘志

    ○島説明員 ガス、化学物質、同様でございます。
  105. 松浦利尚

    松浦委員 ぜひ通産の方も積極的に協力をして、IC工場で使われておるガス、化学物質の把握に努めていただきたい、第二の水俣病等が出ないように御配慮いただきたいというふうに思います。  そこで、さらに今度は、厚生省の方、来ておられると思うのですが、御承知のようにIC工場で問題になりましたトリクロロエチレンあるいはトリクロロエタン、こういったものがクリーニングでも使われておるわけです。ところが、今までは地下下水道に流しっ放しだったのですよ。垂れ流しておったのです。昨年の四月にこれの基準ができ上がりました。そうすると、クリーニング屋さんたちはその使っておる化学物質の扱いについてどういうふうにしておられるか、厚生省、把握しておられますか。
  106. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 先生御承知のようにクリーニングは零細なものが非常に多いという関係もございまして、確かに処理につきましては非常に困難な面がございます。先生御承知のようにトリクロロエチレンというのは溶剤として今は使用しておりませんが、テトラクロロエチレン、1・1・1トリクロロエタン、こういったものはドライクリーニングの溶剤として非常に多く使用されておりまして、私たちとしても、この暫定的な基準を速やかに達成するという必要がございますので、昨年の八月にドライクリーニングにおけるテトラクロロエチレン等の使用管理に係る暫定的な処理の基準というものを定めまして、クリーニング業者につきましては大きな全国的な団体がございますのでこの団体と話し合いを進めながら、廃液の処理装置をできるだけ早くつけるということ、それからスラッジにつきましては、これも適切に処理するように、組合で集めて業者に持っていくというふうな形をできるだけ早くとりたいということで現在全国的な指導を進めている、こういうことでございます。
  107. 松浦利尚

    松浦委員 大臣、今言われたとおりなんです。それで、私は東京で調べました。今言われたように非常に零細です。ですから、クリーニング屋は、本当はビニール袋に入れましてそれを保管しておくのです。ところが、保管する場所がないのですよ。これはやむを得ないと思う。だから、燃えないごみの収集のときにそれを出しておくわけです。そうすると、一緒にさあっと持っていってどこかへ捨てるわけです。どこに持っていくかは私は知りません。持っていったところ埋め立てるわけです。そうすると、御承知のように土壌汚染というものが起こってくるわけです。  ところが土壌については、先ほどおっしゃるように環境庁は基準というようなものをつくる意思が全然ない。先ほど馬場委員指摘したように、三十年たったけれどもやろうとしないのです。ですから、出たものは全部土に埋めてしまうのですよ。林野庁が使いました2・4・5Tだって、ダイオキシンだって、あれは国有林の山の中に、土の中に埋めて、その土壌が汚染されているわけですよ。ですから、当面基準のないところにみんな入れていくわけですね。しかし、それがやがて地下水等に浸透していって人体にはね返ってくる可能性がある。そのことを水俣病が教えておるわけです。ですから、こんなことを言うと大臣に大変失礼ですけれども、今の環境行政を見ておりますと、要するにいろいろな規制はするけれども規制をする原因、つくり出す原因についての歯どめというのがないのですよ。  厚生省の方にお尋ねしますが、今そんなことを言われても、ある程度国の助成というものがなければ、クリーニング業界でそれをつくりなさいというようなことを言ったって、資金的にやれるはずがないのですよ。それは命令する方はいいですよ。通達する方は、おいクリーニング屋、これをやれ、組合でつくれ、そういうような処理方法をしなさい、それで済むのかもしれぬけれども、準備する方は大変です。今まで許可されておって、安全だと思って使っていたら、ある日突然だめだ、こう言われるのだから。それにかわるものがない。  ですから、大臣、私が言いたいのは、国民の環境、生命を守るということについては金を惜しんではならぬということなんですよ。規制するのは簡単だけれども、これは国の助成なくしてはやっていけないですよ。どうですか厚生省の方、そうでしょう。
  108. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 先生のおっしゃるとおりだと思います。  ただ、私たちといたしましては、早急にこの廃液処理装置を各クリーニング業者に設置させたいということでございますので、私たちの方に環境衛生金融公庫というものがございますが、この公庫の低利融資を用いまして、できるだけ早急に全国的に普及させたいというふうに考えているところでございます。
  109. 松浦利尚

    松浦委員 やはり国の助成がもっと積策的にいかなければいけませんよ。そうしなければ結局国民にはね返ってくるわけでしょう。去年あれだけ問題になって四月から環境基準が決まって、そして企業の側はある程度通産あたりがチェックしているから、そういう垂れ流しとかなんとかという、太子事件のようなことはなくなるでしょう。しかし一方、逆に言うと今度はそういうことが零細な企業に負担がかかってくるのですよ。ですから、大臣、そのことはぜひ知っておいていただきたいというふうに思います。  次の問題は、環境行政というのが先ほど言いましたように後追い後追いという形になってきておるのですけれども、いずれにいたしましても、結果が起こってきてその部分だけを規制を加えるのではなくして、先ほど言いましたようにその起こってきている原因を調べ上げなければいかぬわけですから、その原因を調べ上げていくためには現在の環境行政でいいと思われますか。私は、アメリカのように環境庁はもっと権限を持ちましで――日本の場合は御承知のように通産がありますでしょう。労安法の関係で労働省もありますね。それから厚生省もありますよ。環境庁環境庁でやるのですね。やっておられることがそれぞればらばらなんですよ。ところがアメリカは環境庁で一本ですよ。そういう意味で、産業廃棄物等に対する規制措置あるいは原因に対する規制、そういったものについては環境庁は現在の法体系でいいと思われますか、もっと厳しくしなければならぬというふうに思われますか。大臣、どうでしょうか、その見解は。
  110. 石本茂

    石本国務大臣 先生のお話を今じっと聞いておったところでございますが、一つの事業を仮定いたしましても非常に幅が広くて、そして関係する役所が山ほどあるわけでございます。私どもの役所としましても、この公害を未然に防止するという建前を貫くために今日まで、後追いになったとは思いますが、頑張ってきまして、ことしはわずかの予算でございますが、このことのための予算もいただきましたし、それから研究するための人員もある程度増員をしたわけでございます。  私、先生にお願いをしたいと思うのでございますが、どうかこういう声をうんと大きくしていただきますと同時に、私どもは私どもなりの条件の中で精いっぱいの努力を重ねてまいりますが、今申しておられますような、法律と申しますかあるいは行政と申しますか、そういうものが大きな変革を見ないことには現状がいつまで続くかわかりません。しかし、人間の生命と健康を守らなければならないという大前提に立ちますと、予算の面でもあるいは人員の面でも、もっともっと私は増強しておもらいしたい。例えば現在の状況を、そのままではございませんが、この状況の中で公害を未然に防止しますという対策を立てますためにも予算と人員がなければとても思うようにはいきませんので、まず第一段階として、そうした面で先生、お力をうんと与えていただきたいことを、この席をかりまして私はむしろ先生にお願いしたいと思うのですが、よろしくお願いいたします。努力いたします。
  111. 松浦利尚

    松浦委員 大臣からお願いされましたけれども、これは大臣、端的に言って、やはり政権党である与党がもっとしっかりしてもらわぬとね。ここに先生一人しかおられませんが、ひとつそういう意味ではもっと積極的にしていただきたい。これは笑い話になりましたけれども、IC工場ですら数百のものが使われておりましてね。これが御承知のように、水質汚濁防止法とかあるいは大気汚染防止法で直接規制されないでしょう。そしてまた、どういうものを使っておるかということがわからないから分析の方法も確立されていないですよ。しかしどんどん進行していくわけですから、そういった意味ではやはり予算も人もたくさんとって、私は、環境庁に行政改革はないと思いますよ。そんなこと言ったら環境庁の人が喜んでおられましたけれどもね。本当に、産業が拡大していけばいくほど環境破壊とか公害が進むというのはこれは常識、これを未然に防止するためには、私は、環境庁というものが行革の対象になってはいかぬし、予算、人員等の配置ももっとふやしていくべきだというふうに思いますね。  それで、通産の方にお尋ねをいたしますが、岩手県の北上市が今度IC工場と協定を結びました。それは従来の協定内容と違って、未規制有害物質も監視対象にするという協定を地方自治体と結んだのですね。私は、企業としては一歩進んでいると思いますよ。これは名前も言っていいと思いますが、東芝、これは太子町の例の汚染源というものがあったので、その反省の上からこういう協定を堂々と結ばれたと思うのですがね。こういうことをやはり地方自治体あるいは通産、環境庁、厚生省あたりが積極的に指導して、企業を指導するのは通産省、地方自治体を指導するのは自治省あるいは厚生省、それで環境庁が中心になって、こういったものを協定として結ばしていくという努力はあってしかるべきだと私は思うのですよ。どうでしょうか。
  112. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 今先生おっしゃいましたように、新聞でもいろいろ、各地でそういった自治体と企業との間の協定のお話が出ております。私どもも、全国的な動きといたしまして、そういう方向で行くのは大変結構なことであろうと思っておりまして、各地それぞれ特性のある協定等が結ばれているようでございますので、私ども、知り得る限りにおきまして、そういう事例等は全自治体にも連絡をしながら、こういう形の公害未然防止の動きが定着していくように自治体とも連絡を密にしながら進めていきたい、こんなふうに思っております。
  113. 松浦利尚

    松浦委員 もう時間が参りましたからこれで終わりますが、ぜひ通産も、企業秘密だからとかなんとかと、こういうふうにIC工場等が言うかもしれませんけれども、先ほどお話がありましたように積極的に調査をして、どういうものが使われておって、危険なものについてはどのように規制を加えるかという点について、今年度中に結論を出して公表なさるということですから、そのことでぜひお進めをいただきたいと思いますし、環境庁も積極的にそういった面について力を発揮していただきたい。  私は、委員長に最後にお願いですけれども、毎年、環境週間というのをやるのですよね。私は、何もここに来て質問するつもりはありませんけれども、少なくとも総理大臣がこの環境委員会に出席して、そして、環境週間ではこうだった、これから一年間こうします、そういったことをやはりこの委員会に総理大臣に出てもらって、予算の問題等も含めて各党が質問をして、そして国民の皆さん、安心してくださいという対応を委員長、すべきだと思いますよ。大蔵委員会だってどこだって、重要なところにはみんな総理大臣が行く。この委員会には、聞いてみたら全然来たことがない。長官、火曜と金曜には閣議があるのですから、長官の方からもぜひひとつ、総理大臣に今国会にこの環境委員会に出席していただいて、各党の意見を聞いて、中曽根総理自身のお考えも述べていただく、そういう対応をぜひしていただきたい。委員長理事会に諮ってぜひ実現してください。国民が待っていると思います。
  114. 辻英雄

    辻委員長 御趣旨は理解しましたので、理事会で協議をいたします。
  115. 松浦利尚

    松浦委員 質問を終わります。
  116. 辻英雄

    辻委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  117. 辻英雄

    辻委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川新一郎君。
  118. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 きょう初めて質問させていただきますが、長いこと環境行政また日本の国民の生命と健康を守る立場に立って環境庁の果たしてきた役割、また今後の御努力に心から敬意を表して質問させていただきますが、新聞報道によりますと何か東京湾に異臭が漂って非常に沿岸住民が迷惑をしている。吐き気を催した、また一一〇審とか緊急の電話が殺到しているそうでございますが、その原因等についてはお調べがついたのかどうか。またその公害問題についてはどのように対処なされるのか。これは突然で通告してないのでございますが、環境庁としては当然掌握していると思いますので、これは緊急の問題でございまして通告をいたさなかったことはおわびいたしますが、もしも情報がつかめておったら、わかっている範囲でお知らせいただきたいと思います。
  119. 林部弘

    ○林部政府委員 県当局の方と連絡をとっておりますが、新聞で報道されております以上の情報はまだ入手いたしておりません。
  120. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは環境庁自体でおつかみになっていると思いますが、県当局というと千葉県、神奈川県、東京都、この沿岸地帯でございます。千葉県だと思いますが、新聞報道というとどの程度のことなのか私もよくわかりませんが、もう少し詳しくお話しいただけたらと思います。
  121. 林部弘

    ○林部政府委員 異臭物は硫黄を含んだ有機性のものではないかというように想像しておるようでございますけれども、その原因になる物質が陸上のものという目当ては今のところついていないようでございまして、原因が何によるかということは今の段階ではまだよくわかっていない。当時海の方からかなり風が吹いていたという状況がわかっているわけでございまして、原因が何であるかということについては現在なお調査中ということで、現段階ではまだよくわかっておらないということでございます。
  122. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは非常に大きな社会問題化しておりますし、またこういう問題が過去にあったのかどうかということもお聞きしたいのでございますが、この種の公害というものは、大気の汚染という問題について、気流だとかいろいろ私たちにわからない大気の秘密がございます。そういう中から、どこから発生した異臭がこうしてある一定の地域の人たちに被害を与えるのか、こういう問題についてのメカニズムの解明についてはこれからまたひとつ研究をなされて、こういう問題については早急にその原因と因果関係を調べて委員会に報告をしていただきたいと思っております。  それでは通告に従ってお尋ねしますが、私は環境庁の産業経済との関連、相関関係についてお尋ねいたします。  昭和四十六年七月環境庁が発足しました。私どもが国会議員になってちょうど二期目ですか、公害国会と言われ、墓場からの告発とか水俣病だとかイタイイタイ病そしてまた環七ぜんそく、この高度経済成長のもとに非常に産業経済が優先されて、公害という問題をおろそかにしたわけではないでしょうが、その方に力点が入った、そこで、特別に集中審議をしたことを私どもは記憶いたしております。  そういうことで、昨年十月一日に環境庁の首脳の方と経団連の幹部との初会合が開かれたわけでございます。この席上、昨年でございますから上田長官でございますが、環境政策と経済成長はともに不可欠で両立は可能である旨のOECDの考え方を引用し、環境と経済の調和に触れるような発言をしたということはまず事実であったのかどうか。  それというのも、これは今私が申し上げました、四十六年七月に発足して以来環境庁が十四年になりますが、環境と経済の調和という言葉は昭和四十五年の公害国会で公害対策基本法から削除されて以来、環境庁内ではいわばタブーになっていたのではないかということさえ私どもは思っております。そこで、こういった問題について、ヨーロッパの環境に対する考え方公害と企業との因果関係、そういう問題は日本の私たちとはちょっと異質に思う点もございますが、そういった国民性や国の慣行や国民の習慣、そして産業に対する考え方公害環境に対する基本的な考え方に多少の違いがあったとしても、OECDの考え方を引用し、上田長官がそのようなことを、経団連の幹部との初会合の――開かれたということ自体今までと異質であったと思いますが、その点について、二点お尋ねいたします。
  123. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 ただいまお話しの昨年の十月に上田前長官が経団連の幹部と会合をいたしました際のごあいさつの中で、今先生がお話しになったようなことについて触れておられます。  OECDは日本も加盟しておるわけでございまして、OECDのいろいろな勉強の会合がございますけれども、その中で「環境と経済」の国際会議というのをちょうどその年にやりまして、その結論を紹介いたしました上で、上田長官としての御発言は、正確に申し上げますと「経済の健全な発展も環境の健全な保全、利用があって初めてなされるものであり、環境に対する投資は長い目で見れば経済に対しプラスになると確信している。」こういうふうな発言をされたわけでございます。これは現在の公害対策基本法の趣旨に全く則した発言でございまして、かつてやや誤解を生ずることとなりました、経済発展が環境保全に優先するというような感じで受け取られた環境と経済の調和、もしそういう内容がその言葉に込められておるといたしますれば、そういうことを肯定したというものでは全くございません。
  124. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そこで長官にお尋ねいたしますが、そういう背景、確かに私も環境の保全、公害を防ぐために経済を阻害させ、産業の発展を足踏みさせていいということを考えているものではございません。日本の国民の資産の倍増だとか国家の繁栄ということを考えれば、我が国は輸入をして輸出をしなければならない産業国家でございますから、経済の発展ということは当然でございます。そこにともするとそれを優先するが余りに公害を垂れ流し、また環境が著しく損なわれてもある程度やむを得ないのだという考え方が、公害基本法の中にうたわれたものを削除したという背景、それが国会でいろいろと問題になったと思います。  そこで、今国会における石本環境庁長官の所信発表の中には、どこを探しても環境と経済との調和という言葉はないのですが、石本長官はこの問題をどう考えていらっしゃるのか。また上田長官と石本長官との間には認識の違いがあるなんということは私は思っておりませんが、そういう四十年代と五十年代、また六十年代から二十一世紀にかけてというものは、年々また歳々その環境も我々を取り巻くすべての問題も変わってくることは事実であります。四十年代のあの高度経済成長に浮かれていたときにあの衝撃的な石油ショックというものがあったり、また世界的に経済の足踏みとか失業問題とか雇用問題とか、私たち一国だけで解決するには余りに大きな問題が取り巻いていることは私たちも承知しております。そういう面に立ってのこれからの環境政策に対する見通しの中で、そういう言葉を使わないけれども長官とは全く異質ではないのか、これをひとつ御所見を承っておきます。
  125. 石本茂

    石本国務大臣 先生のお言葉にもございますように経済活動は豊かな国民生活のために重要なことではございます。しかし、それは国民の健康の保護や生活環境の保全に優先するものではないというふうに私は考えております。でございますから、今後どのように社会情勢が変転し、どういう事態が参りましても、国民の生命と健康というものは保護していかなければならない、これはもうだれがどう言われましても私はその信念を変えるつもりはございません。  また上田長官の申されました「経済の健全な発展も環境の健全な保全、利用があって初めてなされる」ということ、これは私は決してどうも思っておりません、同感でございます。
  126. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 力強い、環境庁長官としての責務、立場、また私どもの心を代弁されたと私は心にとどめておきます。  そこで、そういう長官の御決意、また私どもの気持ちを代弁する長官が、ことしの六月十八日から二十日にはOECD環境閣僚会議が開かれますが、この会議ではどんなことが議論される予定になっているのか、特に経済との関係も議論されるのか、これが第一点でございます。  第二点目は、我が国としては、このような会議を通じて世界の森林保全や砂漠化防止などの国際的な環境問題解決のために大きな役割を果たすべきだと考えております。会議に出席する長官の決意はどのようなものなのか、これが第二点でございます。  第三点目は、六月五日は世界環境デーであります。環境週間の始まった日でもありますが、歴代長官と比較して特に石本長官が力を入れていらっしゃる問題は何なのか、この三点についてお尋ねします。
  127. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 今、先生の御質問のうちの第一点、今度の環境大臣会議でどういうテーマでどういう質疑が行われるだろうかということにつきまして私から説明させていただきます。  今度の環境大臣会議ではテーマが四つほどございまして、一つは環境政策と他の政策との一体化、第二が公害防止と対策、第三が環境資源の管理、第四が開発途上国との環境協力の強化、この四つのテーマにつきましてOECD加盟国の環境大臣がフリートーキングを十分していただくというのが主要な内容でございまして、第一のテーマでございます環境政策と他の政策との一体化ということでは、当然のことながら、ただいまの話題となっております環境政策と経済のあり方についていろいろ御議論があろうと思います。私どもの大臣もただいま申し上げましたような基本的な姿勢に即しましていろいろ御発言いただけるのではないかと考えております。
  128. 石本茂

    石本国務大臣 的確にお答えできますかどうか疑問でございますが、官房長が今申されましたように、環境問題の解決のためには、一つの国が努力するだけではどうにもできません問題が今地球上にはたくさん出てきております。こうした意味で、国際的に協力して対策を充実していくということが必要だと思っております。  それから、もしお許しをいただきましてこの会議に出席することができましたならば、私といたしましては、特に途上国の環境保全の問題も念頭に置いて、そして先進諸国の問題点といいますか、そうしたものをお互いが協力し合って進めていくべきであるということを強く訴えてきたいと思っております。  それから三つ目でございますが、これも官房長がお答えくださいましたけれども、私、環境庁に参りましてしみじみ思っておりますことは、水の汚濁問題、大気の問題も含めてでございますが、被害者であると同時に加害者であるのも国民ではないだろうか。一人一人が自分の身の周りの問題を熟慮しまして、加害者にならないことを考えるべきではないだろうかということを常日ごろ考えておりました。ことしは、これはあしたでございますが、中央行事といたしまして「環境問題の集い」を開催いたします。そこで女性の有識者の方々によります環境シンポジウムを開催したいというようなことも考えております。  いずれにいたしましても、国民の皆様がそれぞれのお立場環境は自分たちが守るのだということを何とか宣伝ができないものだろうか、そのことを込めてこの週間を期待しております。
  129. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 女性大臣としての特質を生かされる女性シンポジウムを開いて、そういった男性である私たちにわからない分野においてきめの細かい環境週間における特徴を出されんとすることに敬意を表します。同時に、長官が御就任以来、いろいろなところへ御視察なされて精力的に働いていらっしゃる姿も国民に好感を持って迎えられていることも事実でありますので、どうかそういった面をよろしく御配慮いただきたいと思うのでございます。  私は交特の委員長をやっておりますので、自動車問題には非常に興味を持っております。そこで、長官は自動車による道路交通公害にはどのような姿勢で取り組んでいかれるのか。  まず、ことしの環境白書でも明らかなように、車による大気汚染、騒音、振動というのは、改善されるどころかむしろ悪化する兆しが見えております。特に二酸化窒素、NO2については、東京、大阪、神奈川の大都市圏においてことしの三月までに達成するはずの環境基準を達成できなかったが、今後この問題はどうなるのだろうかということでございます。そこで、交通公害などは運輸行政、道路行政、メーカーの協力、さらにはユーザーの協力など、総合的な対策が不可欠でありますが、環境庁として今後どのような協力を求めていかれるのか。  私は今、自動車産業界の方々ともお話をしておりますが、涙ぐましいほどその面については努力もし、注目もしております。しかし、一つ一つの車には確かに優秀な機能が装置されたとしても、車の総体量がふえておりますので、総合規制の面において、総合排出という面については物理的にどうしようもないのではなかろうか、それでは自動車を減らす以外にはないのではなかろうかという気持ちまでしているわけでございます。文明の利器である反面、もろ刃の剣になるこれらの文明の器具について、私どもとしてもそれなりの委員会でも議論をさせていただいておりますが、環境庁立場においてはどうなのか。きょうは多面にわたって聞いているわけでございますので、ひとつお願いをいたします。
  130. 石本茂

    石本国務大臣 今、先生申されましたように、窒素酸化物につきまして、これまでも環境基準の達成に向けまして各種の規制を、固定発生源あるいは移動発生源につきましてそれぞれ逐年段階的に拡充強化してきたところでございます。しかしながら、多数の自動車が集中して、そして排出ガスをまき散らしていく、この影響を強く受ける大都市地域におきましては、環境基準の達成のためになお一層の努力を要する状況にあると私は考えております。現在、大気保全局長のもとに窒素酸化物対策検討会を設置いたしました。そして、さらに対策の推進を図るべく作業を進めている最中でございますことを申し述べまして、私のお答えといたします。
  131. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは専門の局長か部長さんで結構ですが、窒素酸化物については、昭和四十八年に大気汚染防止法では一日平均〇・〇二ppm以下と環境基準が決められましたが、企業などの意向を入れて昭和五十三年に一日平均〇・〇四から〇・〇六ppm以下に大幅に緩和いたしました。これさえことし三月には達成できなかったわけでありますが、今後これについてはどのように処置をなさいますか。
  132. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣から基本的な方向についてはお答えをいたしましたとおりでございまして、単体規制に関しましては自動車の問題につきましても逐年強化を図ってきておるわけでございますが、結局、過密な大都市圏に非常に多くの車が集まってきていることに対して今後どのように対策を進めていくかが課題になってきているわけでございます。その問題の具体的な対策をより有効に進めるために、今までも自治体レベル等でいろいろな試みが行われておりますけれども、私どもといたしましてもそれをさらに進めるためにはどのような形で進めていくかということにつきまして、自治体とのすり合わせも行いづつ専門家の御意見も伺いまして、結局はいわゆる単体規制以外に総合的な立場からこの交通公害問題に取り組んでいくということで、現在いろいろと検討いたしておるところでございます。  また、この問題は関係自治体ばかりでございませんで関係省庁もいろいろございますので、そういった省庁ともそれぞれ連携を強めながら施策の具体化を今急いでおるわけでございまして、そういう総合的な対策を進める、いわゆる低公害な形で物資の流通というものを進めるためにはどうあるべきかといったようなことも含めまして、現在いろいろと進め方についての検討をしておるという段階でございます。
  133. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは基準値を下げても達成できない、総合的な問題として今検討中、このまま持続していくと私たちの大都市集中圏における大気汚染による健康の問題というのはどう影響されてくるのですか。
  134. 林部弘

    ○林部政府委員 環境基準の達成の状況につきましては、私どもが常設いたして自動測定装置をもって観測をいたしております測定には二つの系統がございます。一つは、もう御案内のように、いわゆる一般環境大気測定局でございますし、もう一つは沿道における自動車排ガス測定局ということになっております。  全国的に眺めますと、一般環境大気測定局の方は割合に順調に対策の効果が上がっているというふうに考えておるわけでございますが、特に大都市圏の交差点に近い地域での自動車排ガス局が必ずしも改善されてきてない、こういうようなことが現在特色になっておりまして、そういった面で、実際に測定されております過去のデータを現在詳細に分析、検討いたしまして、それぞれの地域またそれぞれの測定局ごとの属性と申しましょうか、そこの特性と申しましょうか、そういうものの分析を現在いろいろといたしておりまして、そういうようなことに基づいて対策というものと結びつけていくということを考えているわけでございます。
  135. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私、具体的に健康問題ということで聞いたのでございます。こういう難しくて取り組みに困難な問題を放置しておくと、我々の都市の集中地帯における住民の健康というのはどうなるのかということが心配だから聞いているわけですが、それに対応して緑の木を植えるとか、何らかの措置を講じればある程度防げるのか、それとも自動車全体の総量規制というものを行わなければだめなのか。そういった問題で一々こういった追及を受けないために最初の〇・〇二から〇・〇六にした、それでもだめなら〇・一にするというようなこそく的な姿勢というものを繰り返す愚かな行為が我々の健康に――先ほども大臣がおっしゃったように、何物にもかえがたい環境と生命と健康という問題を優先なさるという、産業、経済にもそういった調和の中に優先という言葉をお使いになっている大臣としては、我々の健康問題をお考えになって何らかの措置を、ただ検討検討だでは不安でございますので、大臣の御決意はいかがでしょうか。
  136. 石本茂

    石本国務大臣 今、大気保全局長も申しておりましたように、このままほっておけばこれは本当に大問題になってくると思います。小手先の対策かもわかりませんけれども、緑をどんどん沿道の両側にふやしてまいりますとか、それから自動車の規制、これは言うべくして大変困難な問題だろうと私個人は考えますが、しかし、かといって、何もかも野放しにしてほったらかしにしておいたのではまた問題が話の外に行ってしまいますので、今規制しております基準につきましても、これでよいのかどうかということは、先ほど局長も申しておりましたし、私も申しましたように検討会をつくりまして目下検討中でございますので、そうした結論が出てまいりますれば、あるいはまたその経過におきましても先生方の御提言をちょうだいいたしながらそれに即応できる体制づくりをしてまいりたいというふうに考えております。
  137. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いよいよ都会議員の選挙が行われるということで、東京都では各党がしのぎを削った政策論争を展開していますね。格好のいいことを各党とも言っております。私どもの政党でもそれなりの考え方を述べておりますが、この問題は本当に真剣に超党派で考えなければならない大都市過密地におけるところの健康問題としての問題でございますので、今大臣、そういう検討をさせている、また待っているのだとおっしゃっていますが、一体この見通しなんというものはいつごろ大体出るのですか。
  138. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  私ども現在の作業では、先ほど先生の御指摘ではまた環境基準を下げるのではないかというようなことでございますが、私どもは現在環境基準を下げるというようなことは全く考えておりません。ただ、もう既に現場におきまして、この六十年度中に達成をするということが困難な状態になっているというのが大都市の現状でございますから、その意味では、六十年度における達成が困難であっても、できる限り近い将来に達成するための方策を現在検討しているということでございまして、ただいま作業いたしております当面の目標としては、六十三年あるいは六十五年といったできるだけ中期的な見通しの中で私どもはこれから施策の具体化を図って、例えば総量削減計画の中に盛り込まれていたような内容をどうやって実現していくかということの方策を現在検討いたしておるということでございまして、当面は、これから三年間ぐらいの間にどういうようなことをやるか、それが五年ぐらいの間にどの程度の効果を上げるかというようなことを頭の中に置きながら作業をいたしておるということでございます。
  139. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは余談なんですが、大臣聞いていただきたいのは、大都市における肺がんが非常に多くなっている。これはたばこの原因もさることながら、要するに大気汚染における原因が非常に大きいのではないかという問題ですね。がんの薬も特効薬というものはありません。五年先なのか三年先なのか、我々としては一日も早くこのがんの特効薬が出ることを期待しているわけです。それと同じように、今聞きますと三年から五年という目安は、まさに我々の一番注目しているがんの新薬の開発と競争しているように私自体承っておるわけでございます。一日も早くこの目標を達成していただかなければならないということを期待しているわけでございます。  そこで、これは話は変わるのですが、東北新幹線に伴う公害、騒音、振動という問題で、実は私は埼玉におりますが、この新幹線が通るスピードによる騒音と振動の対案として、埼玉県の県南の自治体では新幹線の公害問題を非常に厳しく住民の心として受けとめ、反対をしたわけです。その通すということの対案として、幅二十メートルですか、約十五キロ近い緩衝緑地帯というものを国鉄ではつくりまして、そこに緑もしくは公園または緩衝地帯を設けてその住民の騒音、振動における公害を必ず防ぎます、これによってひとつ新幹線を通してくれ、これが当時新幹線を通すときの国鉄側の言い分であり、我々の認識しておったところでございます。  ただ、それだけではまだだめなんだということで、通勤新線、通勤別線とも言っておりますが、これもあわせて新幹線に並行して通す、埼玉の県南三市の通勤緩和のために、現在通っております京浜東北線の乗車率がピークで二〇〇%というようなことの緩和のために、通勤新線を埼玉から新宿まで通すということを条件にしたわけでございます。これは話がつきまして、通勤新線がいよいよ十月初旬から開通する運びになりました。  ところが、国鉄側が当時公害環境という立場に立って緩衝緑地帯を約六百億以上のお金を投じて買い上げたわけですが、これの帰趨をめぐって、有償か無償がということで地元公共団体、埼玉県と国鉄、運輸省との間で折り合いがつきませんでいまだにデッドロックに乗り上げておるのでございますが、この間どんどん通勤新線が進んでおりまして、いよいよ十月から開通ということになりますと、この問題については早急に解決しなければならぬ。この公害問題の糸口で逆に国鉄と地元との間にひびが入ってしまったという大きな今政治問題化しております。  これは、両者の間に回を重ねた情熱的な取り組みでもう解決間近になっております。簡単に申し上げますと、この緩衝緑地帯の土地地元公共団体が買い上げるもしくは国鉄が無償でこれを払い下げるか。ところが国鉄は、御案内のとおり莫大な赤字を抱え、会計検査院の指摘も受けているのにそんなことはできない、当時そう言った覚えはない、これは買い上げろということでもめております。そこで、この席をおかりして、きょうは国鉄に来ていただいておりますので、この緩衝緑地帯におけるところの問題の解決はどのようについたのか、つかないのか、つきつつあるのか、この一点だけ環境委員会で私はぜひとも聞いておきたいのできょうはお尋ねしているわけでございますので、大臣もひとつ聞いていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  140. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 お尋ねの環境空間ということでございますが、御指摘のとおり、埼玉県下の大宮以南の新幹線を建設するに当たりまして、地方公共団体との間で、両側に二十メーターばかりの環境空間をとってほしい、こういうような御要望がありまして、私ども、これは地方公共団体がお使いになる用地の先行買収というふうに理解をいたしまして買収を進めてきたところでございます。したがいまして、この土地を戸田、浦和、与野の三市に買っていただきたいとずっと申し上げてきたわけでございますが、通勤別線の開業を間近に控えまして各駅の駅前広場をどうするかという問題が出てまいりました。都市計画決定をして、将来にも十分対処できるものを計画決定はしたのでございますけれども現実にはこれを事業化するのにはなかなか時間がかかるということから、当面、暫定の駅前広場をつくって開業に対処しようではないかという話も続いて出てまいりました。  そこで、この暫定駅前広場をつくる際に、先ほど申し上げました二十メーターの空間、これは国鉄では都市施設用地と申しておりますけれども、これを一部使うところがございますので、駅前広場をおつくりになる地方公共団体に買っていただく交渉とそれ以外の部分の空間を買っていただく交渉を並行して進めておりました。先生も御承知であろうかと思いますけれども、各市いろいろな言い分あるいは進め方についてお話がありまして、目下のところ、暫定駅前広場及びその取りつけ道路に要する用地のうち、将来の駅前広場の中で国鉄の負担となる面積、これは四分の一ということで建設省との間にお約束がございますが、これを除いた用地につきましては有償譲渡というごとで早急に売買契約を締結する方向で今お話し合いをしております。それから、その他の都市施設用地につきましては、私ども、有償譲渡については引き続き協議を進めさせていただきたい。ただ、今回暫定駅前広場協定書の中からは外すことはやむを得ない、このように考えまして、そのような格好で現在交渉を鋭意進めているところでございます。各市におきましてはそれぞれ御事情等もありまして、その御事情も含めまして現在交渉を鋭意進めているというところでございます。
  141. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 聞いていただいている大臣はよくわからないと思うのですが、この空間、公害を防ぐために、新幹線の公害を防ぐために国鉄と地方公共団体が政治的な争いになってしまったということは、私は県民の一人としてまことに情けない思いがいたします。ボタンのかけ違いというものは最後まで影響をいたします。そのよって来る原因は、新幹線の公害をどうしたら防げるかということが最大の問題だ。ところが、ここに金が絡みますから、お互いに高い買い物について、国鉄が買い上げろ、いや地元が買い上げるという問題で騒いでいるわけでございます。  ただ、今それはそれで切り離すということでございますからいいのでございますが、問題は、もう十月に電車が入る、逆算していくと六月から工事をしなければならない、その暫定の駅前の、駅の整備さえも今手がついておりません。場所によっては金網を張って入れないようにしております。今こういう不毛の対決が埼玉県で行われておりますが、これは両者も大人でございますからそれなりに話がついてまいりました。そこで、最後の話し合いがもうつく間際にきておりますから、私どもとしては、こういうことは余り荒立てることは言いたくないのでございますが、四、五日前に交特で視察をいたしました。そのときに地元の埼玉県の担当者はもう話し合いがつくということを言っております。  そこで、どういうふうに話がついたのかということ、その一部に緑地帯を使わなければ、緩衝地帯を使わなければならないその暫定工事に金を支払うということを地元がのんだのかのまないのか、この一点が今最大の問題になっておりますが、このお金の支払い方法とかいろいろな問題がございますが、そこの話が、きのうきょう、おとといの話の中で煮詰まったかどうか、その点を一点だけきょうは聞いておけばこの問題はもう聞きませんので、その点御親切に、二度も三度もここで立たせないように、聞いていらっしゃる石本長官にもわかりやすく、ひとつ納得のいくように、私も愚かですからよくわかりませんから、その辺のところをよく、ついたならついた、つきそうならつきそう、この問題だけというところだけお願いします。
  142. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 三つの市がございますので、それぞれ考え方といいますか進め方が多少違いますが、この暫定駅前広場で国鉄が将来とも所有する以外の土地、ちょっと言い方がややこしくなりますが、今度買っていただく土地を有償で買っていただくことはほぼ腹を決められたようでございます。これを例えば国鉄がお借りしている土地交換でいくとか、その他いつごろお支払いをいただくとか、この辺がこれからの詰めの問題でございます。
  143. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大変明快な御答弁をどうもありがとうございます。その一点がわかればもう話はスムーズにいくと思います。  大臣、私が今なぜこういう質問をするかといいますと、環境問題の一番大きな接点が政治問題化しては困るということ、その問題が国民不在のために、両者の利害のために、また駅ができなくて電車の開通がおくれるようなことがあったのでは、これは環境という大事な問題を両者が話し合いの上でつくっておきながら、後味の悪い、何とも言いようのない雰囲気の中で埼玉県の県民性が問われるということを私自身憂えておりますので、この公開の場でこうしてお尋ねしたわけでございます。環境問題等は非常に多岐多種にわたりいろいろな利害が絡みますので、住民と国の問題、また地域住民や自治体との関係、必ず利害の問題で激突いたしますが、今回の場合は国鉄と公共団体の利害が絡んだという一例を御紹介したのでございます。  そこで、これは国鉄さんにお尋ねしますが、二百四十キロのスーパー特急の出現したこの新幹線で、環境庁では東北・上越新幹線の騒音基準をどのように定めているのかということでございます。七十六ホン以上八十ホン未満の地域は開業から三年以内、七十ホン以上七十六ホン未満は五年以内に基準を達成することを義務づけております。埼玉県で申しますと、白岡町西六丁目七十八・一ホン、これは二十五メートル地点でございますが、その次七十六・二から七十、こうなっております。それから久喜市南二丁目で七十六・一から六十三・六、こういうふうにずっと上がったり下がったりした騒音が出ますが、この問題はことしの六月二十二日までに七十から七十五ホン以下にすべきである。三年以内というと、ちょうど六月二十二日までになるわけでございます。三年目の目標の環境基準を達成できるのかどうか。六月二十二日というともうあと幾らもございません。私が申し上げました三年以内の七十六ホンから八十ホンにひっかかっているところは、三年目というと六月二十二日が来ます。これはできますか。
  144. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 昭和五十年に環境庁から告示されました環境基準で、今先生がおっしゃいましたとおり、開業時から三年以内に七十五ホンを超え八十ホン未満の地区のないように達成する目標をいただいているわけでございます。最近これを達成すべく、いわゆる音源対策と申しますレール側あるいはパンタグラフのところ、防音壁等々努力してまいったのでございますが、残念ながら今先生指摘のように、沿線の騒音レベルを調査した結果、七十五ホンを超えた箇所が各県において認められております。これを音源対策だけで解決することは残念ながら不可能かと存じますので、障害防止対策をさせていただきたいということで現在地元説明及び評価測定等に鋭意努力しておりますが、六月二十二日というのはもう目の前でございまして、まことに申しわけないのでございますが、六月二十二日までにすべての家屋に障害防止対策、いわゆる防音工でございますが、これを完了することは、相手様の御都合もこれあり間に合わない、鋭意努力してまいりたい、このように考えております。
  145. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 テレビで拝見したのですが、石本長官が新幹線の公害で悩んでいらっしゃる住民の御家庭を御訪問して激励なさり、また御意見や注文や文句や不平を聞いていらっしゃる姿を見ておりました。国鉄さんにはそれぞれの理由もあるし、物事というのは何でも一足す一が二にならないことも私は知っておりますが、なぜ埼玉県の公共団体とトラブルが起きるのか、なぜこういう問題が起きるのかということを、今ちょっと私これを聞いていてわかるような気がします。  国民や国会や環境庁やいろいろな関係の中で、新幹線問題の公害、騒音や振動という問題を、ある基準を定めてそれに対して実行しなさいよという、またいたします、そして地元住民には迷惑はかけません、国家的な政策だから何とかひとつ通してくれ、またつくらねばならないという要請のある国鉄の苦衷もわかります。そういう中で、現実問題がいつも一つの約束とかそういった信頼性というものを喪失していくところに、国鉄が長い間、百年以上の歴史の中で、民間に切りかえていくにしてもいかないにしても、この公害問題の一番大きな原点というものは、いつもそこに信頼性、できるものとできないものとの区別と立て分けの中で信頼というものをから取っていかなければ、政治に対する不信も出るだろうし、またその関係する省庁に対する不満も出るだろう、私はそういう気持ちでいっぱいでございますので、国鉄さんもどうかひとつ謙虚になって、できないことは幾ら頑張ってもできないんだ、そんなに無理言ったってしようがないじゃないかというのでなくして、お約束なさったことはひとつお願いしたいと思うのです。  それが先ほどの埼玉県と国鉄との意見の食い違い、ボタンのかけ違い、新幹線を通すためにはどんな無理でもひとつここでは目をつぶって聞かせよう、通ったら後は後のこと、これが地元住民、埼玉県の公共団体には猛烈な不信を買っているのです。一つの公害問題をテーマにしてもこういう問題が起きますので、私もそんな大それたことを言う資格もないし、そんな立派な人物でもありませんのでそんなことを私は言いたくないのですが、どうかひとつ埼玉県の置かれている、日本全国の置かれている国鉄に対する信頼性の問題、政治に対する信頼性を取り戻すよう御配慮をいただきたいと思います。  次に、ごみの問題なんですが、夢の島の埋め立てが昭和六十五年までで満杯になるということをある新聞記事または漏れ聞いておりますが、事実ですか。
  146. 坂本弘道

    ○坂本説明員 お答えいたします。  ただいまのこの夢の島、実際にはこれは中防外側のお話でございますが、夢の島は昔の話でございまして、ただいま東京都の計画によりますと、東京都が実施しておりますこの東京湾の埋め立てにつきましては六十五年で満杯になるということでございますが、その後の状況変化等を考慮いたしまして現在都庁の中でいろいろ検討、見直しをやっております。したがいまして、しゅんせつ土砂建設残土等を含めて、その辺の見直し結果によりましては多少の延命があり得るのではないか、かように聞いておるところでございます。
  147. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 一日に一万七千トン、東京二十三区からごみが出ます。ごみというものは、もう私が申すまでもなく、国及び地方公共団体という公共がその立場に立って責任を持って処理するものと、また民間に委託しなければできないものとございます。産業廃棄物等は民間に委託しているわけでございます。非常に厳しい規制の中でこの問題が起きております。  そこで私はお尋ねしたいのでございますが、現在東京湾は公有水面埋立法に従ってはら捨てをやっております。その中には四五%以上まだまだ再利用できる、リサイクルのできる缶だとかいろいろなものが含まれて、生ごみと一緒に、生ごみは焼くのでしょうけれども、そういう不燃物をどんどん埋めているのです。それがあと五年たったら満杯になってしまうという。今よりもさらに文明の尺度が高まる、このごみの基準量がふえていったら五年先ほどうなるかということがフェニックス計画だと言われております。このフェニックス計画が今暗礁に乗り上げている。これは各関係の公共団体、国がその利害が激突してうまくいかない。五年といえばすぐたってしまいます。この五年の間に先ほどの大気汚染の総量規制もやらなければならない、また東京湾公有水面の埋め立てをどうするかということもやらなければならない、こういう問題は環境庁としてはどう扱うのでございましょうか。
  148. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 お答えいたします。  ごみの問題につきましては、先ほどの厚生省からの御答弁もございましたが、とにかく量の問題、これからの見通しの問題、いろいろと大変な問題を抱えていると思うのでございます。  東京湾におけるフェニックス計画につきましては、当面恐らく関係者がいろいろとこの取り組みについて御相談なり協議をやっているのだと存じておりますが、いずれにしましても、東京湾において、たとえそれが廃棄物の処理であろうとも大規模な海面の埋め立ての事業であることには間違いないわけでございますので、私どもも東京湾の環境の保全という見地から重大な関心を持たざるを得ないし、現にまた持っているところでございまして、関係者のフェニックス計画についての進展の度合い、計画の熟度の度合いに応じまして私ども取り組んでまいりたい、かように考えております。
  149. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そこで私は一つ提案をしたいのでございますが、現在は東京湾にばら積みで埋めております。これを圧縮固形化して十分の一の量に縮めるならば十年先延びするわけですね。一年が十倍になるわけですから十年先延びする。これを圧縮固形の形にしてコンクリートで固めます。そして処理コストが焼却方式より安い、半分で済むという試算も出ております。ばら捨ての場合は五倍から十倍の埋立用地が必要でございますが、これだと五分の一から十分の一に圧縮することができますし、圧縮固形化によって鳥やハエ、野ネズミ等の害がなくなりますし、圧縮固形化によってガスの発生公害がありませんし、埋立地の跡地利用等、地盤沈下がコンクリートでございますから出ません。今のようにただわあっと持ってきてはあっと積み上げて、ガスは発生するわ、ハエは出るわ、鳥がついばむわ、しかもそれは圧縮しておりませんから年々地盤沈下してまいりますわ。なぜこういうことを採用できないのか。  私のような素人が考えても、圧縮してしまえばそれだけ安上がりにつくのではないかという考えもいたします。しかも燃えるごみの中にも今プラスチックとか石油製品が非常に多いので、炉が非常に傷んで修繕代が例年よりもかさむという苦情が公共団体から出ております。ごみを再利用する方法が一つ。さらにそのごみをどのような研究によって、また新しい手法によって私たちの生活に寄与させることができるかということも考えなければならない。こういう問題は検討なされたことがあるのかどうか。しかもこういう街のアイデアに対しても耳をかそうとしない考え方、またそういう窓口もあるやに聞いております。私は、いいものだったらどんな圧力があってもこれを取り入れるべきである、こう考えておりますが、いかがでしょうか。
  150. 坂本弘道

    ○坂本説明員 ただいま先生指摘の点でございますが、東京都の中防の中で今プラスチックを固めて少しかさを減らして埋め立てようという施設建設中でございまして、それが六十一年の十二月にでき上がるやに聞いております。そうしますとその分だけまた少し埋立地が延命できるというふうに伺っております。かつまた、今先生おっしゃいましたごみを出さないような方策につきましても、私ども厚生省といたしましてもいろいろ調査研究及び指導をしておる段階でございます。
  151. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういうことは聞いておりますけれども、もっと広く、民間がそういう問題を出したときにはこれを前向きに検討する用意があるのかどうかということを聞いているのであって、私は、東京湾の問題もさることながら、ごみの処理の方法に対する改革というものをある程度考えなければならぬときが来ていると思っているわけでございます。  そこで産業廃棄物処理業者の姿勢でございますが、私の県の例を挙げて申しわけないのでございますが、埼玉県の荒川の河川敷に秋ケ瀬というところがございます。この秋ケ瀬のところは県道が通っておりますが、そこに莫大なごみの山が今積まれっ放しになっております。これを積んだ業者は、悪質でございますから再度警察に呼び出され、拘置もされました。ところがその会社は、社長が拘置されておる間におかしくなってしまって、それを回収する能力がなくなってしまった。  ところがその大きな山は、自動車の走っている全く二、三メートル隣にこういう莫大な山が二つも三つもつくられておりますので、風が吹いてくると自動車にぶつかる。それで近所は悪臭で悩まされる。そういう公害が発生をしておるにもかかわらず県としてはただ行政指導しかできない。要するにそれをかわって県なり市が代執行できるということができないと法律ではうたっております。こういう場合法改正をしなければならぬと思うのでございますが、ただ行政代執行ができるのは、有害な薬品を含む汚泥だとか産業廃棄物については県が代執行できることになっておりますが、木材だとか廃止だとか、そういう重要な公害発生源にならない産廃については、ただ業者に向かって、あなたそれを持っていきなさいよという指導しかできないということになっておりますが、これはいかが考えておりますでしょうか。
  152. 伊原正躬

    ○伊原説明員 お答え申し上げます。  先生のお尋ねの不法投棄されたものの回収についての措置の問題でございますが、廃棄物処理法によりまして、当該不法投棄されたものが現状のままでは生活環境に重大な支障を生ずると判断した場合には、知事の方で廃棄物処理法に基づきます措置命令をかけまして、これは行政代執行にも結びつくものでございますが、それを活用いたしましてそれを収去するということができる格好になっております。  ただ、一般的に申しますと、不法投棄という問題はその原因から断っていくということが重要でございまして、先ほど御指摘の処分地の空間の問題やらあるいは廃棄物の処理に関する意識の問題、それから処理業者の経営基盤の問題、さまざまな問題に関連しますために、そのあたりを含めまして、厚生省では不法投棄の防止対策の調査研究、それに現在乗り出しているところでございます。
  153. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 もう時間がありませんのでこれで終わりますが、問題はいっぱいあるわけですね。この産廃業者の中にもまじめにやっている方とそうでない者もいますし、いろいろな問題を惹起しているわけでございます。そこで、私たちが運転免許証でも三年に一遍更改する。点検をする。なぜかというと、三年たつと健康状態や運転状況やいろいろ変わってくる。この激動する経済状態の中では産廃業者も二、三年の間にいろいろ変化を起こす。ところが一たん許可をいただければそのままずっと永続する。だからそういう問題が起きてまいりますので、三年に一遍とか四年に一遍はその許可の見直しをできるような仕組みをやりませんと、その会社の実態、その会社の社長の考え方、その従業員の実態等々が最初申請したときと同じ状態というわけにいきませんので、左前になった、そしておかしくなった、自分はもう残土の最終処分地もない、それだからあるとき休業状態になっているときに金に困って不法投棄を依頼される、こういう問題がたくさん出ている実態を御存じだと思いますので、私はこの業者の許可の再申請の見直しを三年ないし四年に一遍は必ずやらなければならぬだろうという、今社会情勢の変革をここで訴えておきたいと思うのでございます。  そのほか、このごみの問題、産廃の問題は、本来国が責任を持たなければならない問題を県に任す、県は市町村に任せる、市町村はさらに業者に一番最終の嫌なことは任せる、その業者はいろいろと経済問題、商売ですからいろいろな問題がある。そういうふうに上からどんどん下がってきて、一番つらい一番嫌な問題を民間に任せるところに、日本のごみ行政や産業廃棄物の処理の問題、最終のその捨て場、そういう問題について問題があるわけでございますから、どうかその辺のところを十二分に御勘案くださいまして処置を講じていただきたいと思いますが、その一点だけひとつお答えいただいて私の質問は終わらせていただきます。
  154. 伊原正躬

    ○伊原説明員 お答え申し上げます。  先生お尋ねの営業の許可に関する更新期限を設けるという件に関してでございますが、御指摘のように、産業廃棄物処理業者につきましては許可制がしかれておりまして、法はいついかなる時点でも処理業者に対しまして許可の際の要件というのを維持していくということを要求しておるわけでございますけれども、実態といたしまして、現実には許可を得てから長い年月がたつという場合には、そういった年月が経過することによりまして業務の内容に変化が生じてまいります。そこで、許可を行います都道府県におきまして、許可に当たりまして条件とか期限とかそういうものを当該許可につけまして、実際に適正処理が図られるよう各県において個別に対応しているところでございます。  厚生省の方といたしましても、こうした許可の際に期限、条件を付すというような措置、これは非常に有効なことだと考えておりまして、これをぜひ進めていってほしいということで、都道府県に対しても働きかけているところでございます。
  155. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 終わります。ありがとうございました。
  156. 辻英雄

    辻委員長 藤田スミ君。
  157. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 きょう私は、関西空港を含めまして、瀬戸内海の問題についてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、大阪湾の将来構想などの問題についてお尋ねをしていきます。  瀬戸内海環境の問題について、今ここでその現状など多くを語る必要はないと思いますけれども瀬戸内海環境保全特別措置法にもあるように、本来ここは「わが国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝地」こういうふうに言っているわけです。また、貴重な漁業資源の宝庫でもあり、それは私たち国民のかけがえのない食糧の宝庫でもあります。そういう環境を破壊せずに後の世の国民に引き継いでいく必要がある。こういう点で瀬戸内海は本来、長い間活用されてまいりました。  ところが、高度経済成長時代に、あのむちゃくちゃな開発によりまして海は汚されていく、そして赤潮が出てくる、美しい砂浜がなくなってしまう、景観も破壊される、お魚なども随分品種が変わりまして、タイなどというような高級魚はもうとれなくなっていく、こういう環境の破壊が進みました。  これではいけないじゃないか、そういうことになりまして、昭和四十八年に瀬戸内海環境保全臨時措置法というのがつくられ、そしてそれが五十三年には瀬戸内海環境保全特別措置法という恒久的な法律となっていったわけであります。そして、その法律に基づいて瀬戸内海環境にとって最大の問題である埋め立てに関する基本方針や、あるいは環境保全に関する基本計画もつくられていきました。臨時措置法がつくられて十二年、特別措置法がつくられて七年です。  現状はどうか。例えば赤潮の発生件数も減っているわけじゃありません。CODの環境基準も、白書にあるとおり全国に比べますとその達成状況は極めて悪い、著しく低い状況にあります。何よりも埋め立てそのものが依然として進行している。私ここで質問をいたしましたが、織田が浜というような、もう現在幾らも残っていない貴重なところが破壊されようとしているわけです。  こういう状況を私は今述べましたけれども、まず、環境庁瀬戸内海に対する御見解をどういうふうに持っておられるか、改めてお伺いをしたいと思います。
  158. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 瀬戸内海の現状についての環境庁の認識というお尋ねでございますが、私ども瀬戸内法の施行の成果を確認するためにも、各種調査を実施しておるわけでございますけれども、総じまして瀬戸内海の水質は、一部の海域を除きまして、全般的にはある程度の改善が見られる、かように判断しているわけでございます。  確かにCODの環境基準達成率について見ますと、最高に位置づけられますAランクについて見ますと、全国の達成率は七〇%でございまして、先生指摘のとおり、瀬戸内海は五十八年度で五七%でございまして、全国水準より低いということは御指摘のとおりでございますが、反面、四十九年当時これが四〇%程度であったことから比較いたしますと、CODの総量規制等の成果はそれなりにあったのではないかというふうに考えているわけでございます。また透明度等も漸次上昇してまいっており、これらは各地の漁業関係者等に伺いましても、ある程度改善を見つつあるということについては御異論はないだろうと思います。  しかしながら、御指摘のとおり、現在なお赤潮につきましては相当程度の発生を見ております。一時期に比べますと横ばいの状態でございますが、一件当たり継続日数はかなり長期化するというようなこともございまして、決して楽観できる状態でないことは私どもも認識しているところでございます。
  159. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ある程度の改善は見られるが、決して楽観できない、そういうことなんですね。それは、そういう点では瀬戸内法というのはそれなりの意味を持っていたと私は思うし、また現在でもあると思うし、大いにそれを生かしていかなければならない。ところが、瀬戸内法趣旨環境を守る上で本当に生かされているのかという点になりますと、大変いろいろと大きな問題があります。中でも埋め立ての問題に一番大きな問題があるというふうに思うわけです。  そこで、私はまず最初に確認をしておきたいと思いますが、この埋め立てにつきましてはいわゆる基本方針というものがありますね。都道府県が埋立免許を出すに当たっての基本方針なわけなんですが、この基本方針は、政府が閣議で決定した瀬戸内海環境保全基本計画でも確認をされております。そのとおりですね。そして、当然政府全体として、この基本方針に盛られた趣旨を尊重していかなければならないということだと思いますが、確認をしたいのです。簡単にお答えください。
  160. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 法律の構成は先生ただいま御指摘のとおりでございまして、私どもはそのような趣旨であると理解しておるわけでございます。
  161. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 この基本方針には何と書いてあるか。まず第一に重要な点は、この基本方針を答申として出しました瀬戸内海環境保全審議会の答申の前文というものを振り返って眺めてみますと「瀬戸内海環境保全臨時措置法が全会一致の議員立法として制定された経緯にもかんがみ、瀬戸内海における埋立ては厳に抑制すべきであると考えており、やむを得ず認める場合においてもこの観点」、つまり厳しく抑制すべきだという「観点にたって別紙の基本方針が運用されるべきである」、こういうふうになっております。この基本方針は、単なる埋立免許の際の基本方針ではなく、やむを得ず認める場合の基本方針である、こういうことで間違いありませんか。
  162. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 ただいま先生は答申本文をそのままお読みになられたわけでございまして、まことに先生のおっしゃられるとおりでございます。
  163. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうしてみますと、こうした基本方針がある、そして、その基本方針に沿って政府も自治体も行政を行う、これは当然のことだと思うのです。しかし、それにしては瀬戸内法趣旨、特に埋め立てについての趣旨が余りにもないがしろにされているのではないかと思わざるを得ないわけであります。もちろんこの間の織田が浜というような問題もありますけれども、私は、瀬戸内海の中でも特に大阪湾についてはその感を持たざるを得ません。  そこで、環境庁に、大阪湾における埋め立ての動向、また現在残っている自然海岸状況について、どういうふうになっているかをお伺いしたいわけです。
  164. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 瀬戸内海環境保全臨時措置法の四十八年制定以降、一件当たり十ヘクタールを超す埋立免許の合計面積は現在まで八百六十八ヘクタールでございます。戦後でとらえましても、総体としてどの程度大阪湾埋め立てが行われたかという数字につきましては、まことに申しわけございませんが私ども正確に把握しておりませんで、各種統計、文献等を参酌しまして戦後大体五千ヘクタール程度の埋め立てがなされたのではないかというふうに推定しているわけでございます。  さらに、自然海岸についてでございますが、大阪湾海岸延長約四百十キロメートルのうち、自然海岸は湾奥部には全く存在せず、湾全体で約四%の十八キロメートルということになっている現状でございます。
  165. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私、堺で生まれまして堺で育ちましたから、子供のころは、それこそ水着を着て大浜という海岸に行き、浜寺というところに行き、諏訪森という浜に遊びに行きました。与謝野晶子はあの浜があったから恐らく非常にすばらしい歌人として芽を伸ばしたのだろうと私は考えています。  しかし、今大阪湾奥部にはもう自然海岸がなくなったとはいっても、大阪湾二色の浜、樽井の浜というところは、二色の浜などは年間百五十万人の人々が集まります。この浜というのは、昔は大体夏になったら大勢集まるところですが、今は冬でも集まってくるのです。そして百五十万人の中には、奈良、京都、そういう遠いところからも小中学生がやってくるのです。  私は、また後でそのことについて触れますから言いませんが、自然海岸がここまでなくなってしまいました。そして埋め立てはここまで進められてしまったわけです。そして、大阪湾瀬戸内海の中でも一層埋め立てを避けなければならない、そういう指定地域となっているわけです。今現在、専門家の調査によれば、埋立免許は厳に抑制すべしということで減っているかもしれません。しかし、現在もなお毎年二百ヘクタールのペースで進んでいるというふうに言われております。大阪湾埋め立てられた面積の累計、それは今お話にありましたけれども、今後計画されているもの、また、埋め立てについて既に免許が行われているもの、さらに言えば、免許がまだ行われていないけれども予想されるもの、それについて環境庁はどういうふうに把握しておられるか、お尋ねをいたします。
  166. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 私ども行政的にこれを把握しますのは、公有水面埋立法に基づきまして協議をいただいた段階で初めて正確な数字を承知するわけでございます。確かに、各種新聞紙上等でいろいろな数字あるいは計画が公表されていることは私どもも承知しているわけでございますが、いずれも行政的なあるいは制度的な位置づけのあるものではございませんので、そのような意味で、正確にそれらの面積を集計するということも現在のところいたしておらないわけでございます。
  167. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 次の質問の前にちょっと地図を長官に見ていただきたいので、よろしいですか。
  168. 辻英雄

    辻委員長 どうぞ。
  169. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 これまでに埋め立てられた約五千ヘクタールとおっしゃいましたが、正確に言えば五千百十五ヘクタール、これは数字ははっきりしましたね。それから、既に決定されているものというのは、これは私は二千四百ヘクタールというふうに数字を聞いているわけですが、その点は明らかにされませんでした。  でも、そのことに余りこだわらないで次にいきますが、こういう状態の中で今非常に矢継ぎ早に計画が出てきているわけです。計画または構想と言ったらいいのですか、まず第一に、昨年の九月に運輸省の第三港建、第三港湾建設局が七千ヘクタール、この中には、数字のお示しはなかったけれども、二千四百ヘクタール入れてですが、七千ヘクタールが既に計画済みとして発表されています。こういう構想を発表しました。大臣、ごらんになっておられるこの地図の中の、私が赤で囲んでおらない部分、かつ真っ黒に塗っていない部分で、ぱあっといっぱい書いているのがその第三港建の構想なんです。さらに十一月には関西経済同友会が、港湾部の埋め立てとは別に、第三港建の構想とは別に、大阪湾のど真ん中に計一万三千ヘクタールの人工島をつくるというコスモアイルズ構想というのを発表しました。それから約半年して、今度は国土庁が、コスモアイルズ構想というのをバックアップするように、すばるプランというのを発表したのです。このすばるプランというのは一万三千ヘクタールに上る構想なんです。私が赤で囲んだ部分です。それが国土庁の発表したすばるプランです。  こうなりましたら、もう瀬戸内法も何もないじゃありませんか。環境庁は、瀬戸内法を所管するお役所として、こうしたことについてどう思われるか、今後どういう姿勢で臨むおつもりか、お聞かせをいただきたいわけです。
  170. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 確かに先生が今御指摘になられた三つのプロジェクト、これは私どもも承知しております。しかしながら、これは先ほど申し上げましたように、いずれも財政的な裏打ち等を経てきちっと制度的にセットされたものではございません。したがいまして、その意味では極めてユートピア的な構想を描かれている面もあろうかと思います。もちろん私その内容を一々承知しているわけではございませんので、そう申し上げるのはやや言い過ぎかもしれませんが、私どもの従来の行政経験から見まして、必ずしもそれがそのまま行政的な手続に乗ってくるものというふうには考えておりません。  それから、各省それぞれ構想を打ち上げておられるわけでございますが、特に運輸省港湾局等とは各種プロジェクトについて、先生からごらんになられれば不十分というよりも甚だ不満かもしれませんが、私どもなりに瀬戸内海埋立基本方針趣旨を生かすべく努力しているわけでございます。したがいまして、その趣旨につきましては各省庁ともそれなりに御理解いただいていると思うわけでございまして、七千ヘクタールとか一万三千ヘクタールという計画がどのように配慮してあるかという点については、計画の中身を知りませんので何とも申し上げられませんが、今後それらが具体化された段階では、私どもは埋立基本方針の精神に基づきまして適正に対処してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  171. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ユートピアだとか、具体的に出されたときにはそれなりに対処と言うから今日までこんなことになったのですよ。瀬戸内海を守るべき環境庁がどうしてそんな態度なのですか。三港建の発表がされたときに海上保安庁は、大規模埋め立てで危険だ、大阪湾の交通で警告という発言をすぐさまされたのですよ。環境庁というのはどうしてそんなに消極的なのですか。それはユートピアだ、構想だと言っているうちに今まで瀬戸内海埋め立てられ、汚されてきたじゃありませんか。私は、そういうふうな姿勢というのが今までむしろ環境を汚す大もとになったというふうに言いたい気持ちでいっぱいなんです。運輸省、国土庁、いずれの構想も瀬戸内法趣旨または「埋立ては厳に抑制すべき」という基本方針に全く反するものだと私は思いますが、その点ではどうでしょうか。
  172. 坂井順行

    ○坂井説明員 お答えいたします。  先生指摘の五十九年九月十二日に運輸省第三港湾建設局は、まだ中間的な案でございますけれども大阪湾の基本計画といいますか、基本構想案を出しております。これは、個別の港湾計画の改定を現在やっておりまして、十年先をにらんで各港湾管理者といいますか、大阪湾の中には特定重要港湾あるいは重要港湾ございますので、そういう管理者が計画を立てる際に意見を聞きながら現在取りまとめた中間的なものでございます。  したがいまして、まだ確たる固まったものではございませんけれども、その中間的な案ではございますが、基本的な考え方といたしましては、大阪湾の海域の環境保全に十分配慮し、なおかつ大阪湾取り巻く背後都市の総合的な環境改善に資するという計画を具体化するということで出したものでございまして、現在個別の計画はそれぞれの地方公共団体、港湾管理者等が策定中でございます。  したがいまして、今先生の御指摘の点でございますが、瀬戸内海の特別法の趣旨に十分のっとって個別、具体の計画を立案する、こういう手はずになっております。
  173. 白兼保彦

    ○白兼説明員 御指摘のございましたすばるプラン、これは近畿の超長期のビジョンをつくり上げていこうということで地元の公共団体と一体となって今検討を進めているものでございます。  先日取りまとめてお出ししました基本構想案というのは、今まで進めてまいりましたいろいろな調査、それから各界の意見を踏まえまして、今後ビジョンを取りまとめていくに当たりまして議論をしていただく基本的な方向とか枠組み、それから主要な構想などについて中間的に取りまとめたものでございます。これらの内容につきましては、今後各界の御意見を聞きながらさらに調査検討を進めていくことが必要なものであると考えております。  それから、御指摘ございました大阪湾のルネッサンス計画というのは、ただ単なる埋め立てという観点だけではございませんで、いろいろと今後の大阪湾の全体の保全、保存、開発というようなルールの確立等を図りながら、水域、陸域の自然環境の保存と有効利用というものを検討していこうというものです。  それから「すばるアイランド形成の検討」というのを出しておりますが、これらにつきましては、今後関係法令とか制度との整合性、こういうものに十分我々も留意しつつ、特に環境上の影響とか防災上の影響、こういうさまざまな観点から可能性について検討していかなければいけない、こういうように考えている次第でございます。
  174. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 全く埋め立てないのだったらこんなのはないわけで、長官、やはり埋め立て計画があるから出されているので、これは埋立構想なんですね。環境保全とか環境に配慮するとかいうのはこのごろもう開発のまくら言葉みたいに使われていまして、こういうふうに言うのもこれは当たり前のことなんですけれども、続けていきます。  運輸省に聞きますが、この三港建の構想はまだ固まったものではないと言うが、既に自治体には説明をされた、こういうふうになっているわけですね。そしてことしの暮れには運輸省の正式な大阪港港湾計画として港湾審議会に報告される予定と聞いておりますが、それはどうなんでしょうか。
  175. 坂井順行

    ○坂井説明員 お答えいたします。  現在、先生の御案内のとおりでございまして、去年の九月に構想を出しまして、その後、今年、年内あるいは年度内にずれ込むかもしれませんけれども、それを目指しましてそれぞれの港湾管理者は個別の港湾計画を立案中でございます。それを待ちまして、個別の計画そのものは港湾審議会で議論をし、個別それぞれの港ごとに十年先の計画が決まるわけでございますが、先ほど三建が出したものにつきましては、それを包含するような形で港湾審議会に報告をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  176. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そういうことなんです。環境庁は港湾審議会のメンバーでもあるわけですが、審議会でその報告を受けたとき、もちろん報告ですから、そのとき個別の審議をしていくということじゃないわけです。だけれども、報告をされたときに、ああそうですかということで聞くわけにはいかない問題じゃないか。環境庁というお立場はそういうお立場じゃないかと思うのです。こういうような構想が本当に進められていったら瀬戸内法というのはもう死の宣告を受けたも同じじゃないですか。政府が全体として守るべき瀬戸内法を踏みにじっている。環境保全だとかあるいは将来の瀬戸内海をよくするためだと言ったって、現実にこれだけの大きい埋め立て、運輸省の七千ヘクタールの計画だけでも大阪湾内でのそれまでの埋め立ての総累計をはるかに上回るのです。物すごい問題になりましたあの新空港面積の十四倍という規模なんです。ましてそれにプラスして一万三千ヘクタールのコスモアイルズ、国土庁のすばるプランになってしまったら、もうこれを見ていても淡路島まで歩いていけそうな感じで、実際またこれを道路で図もうとしていますね。こういうような構想を出しているわけです。  かつてのあの高度成長で取り返しがつかないことをしてしまった、だから今一生懸命頑張っているというのは長官の常におっしゃることなんですが、私は今環境庁がこれはだめだ、海上保安庁の方がおっしゃったように環境面から言えばこれはだめだよと――瀬戸内海の将来構想なんというのは環境庁が立てるべきだと私は思いますよ。環境庁が本当に国民のサイドに立って、自然環境保全の立場に立って立てれば、瀬戸内海を美しくし、人々が喜び、魚がたくさん集まってくるすばらしい瀬戸内構想というのができるじゃありませんか。そういう点で私は何としてもこういうような構想はやめてもらいたい、そういうことで長官にきょう態度をはっきりと示していただきたいのであります。――長官にお願いしているのです。
  177. 石本茂

    石本国務大臣 先生の御提言と申しますか、どこまでどう進んできているのかということは私は全然聞いておりませんが、心しまして今後の体制づくりの中で努力をしてまいりたいと思います。そのことぐらいしか申し上げられませんことをお許しください。必ずこのことにつきましては心してまいります。
  178. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 心してというのは抽象的で私余りよくわかりませんので、もう一度、瀬戸内法の責任官庁として、心してというのはどういうことなのか、こういう構想がいいと思っているのかどうか。
  179. 石本茂

    石本国務大臣 とにかく瀬戸内法は法律によって守っていかなければならない条件を持っております。だからその法律に違背するような、あるいはまた保全を壊すようなものには絶対私どもは対応していくことはできないと考えております。
  180. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 しつこいようですが、織田が浜のあの計画がありました。そして環境庁は織田が浜に対して調査にも行かれたし大変理解がある、少なくともその点では織田が浜の皆さんと一緒に悩まれていた部分があると私は思うのです。にもかかわらず、港湾審議会で環境庁はどれだけのことがやれましたか。計画をわずかに変更する、それも、私決してそれだけしかできなかったことをけしからぬとかここで言うつもりじゃないのです。それほど、実際に個別の計画が出てきて港湾審議会にかけられたときには、環境庁というのはもう本当に何もできないような状態になっているのです。  だから、構想結構じゃないですか。さっきユートピアとおっしゃったのですか、それ結構じゃありませんか。それに対して環境庁も大いに、それはだめだ、環境庁としてはこういう夢を持っているというのを打ち出したらどうですか。それはだめだとはっきりここでおっしゃってください。心してじゃないのです。長官、わかってください。今ここで長官が物を言う言わないがこの構想が現実に進むかどうかの岐路になっていると思いますので、長官のお言葉をもう一度聞いて先に進みたいと思います。
  181. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 長官が心してと言われた意味につきまして、私ども事務当局として考え方を申し上げます。  役所にはそれぞれ行政的な権限配分がございまして、従うべき法律、政令、基本方針等が定められているわけでございます。ただいまの運輸省、国土庁の御説明でございますけれども、私どもは、「厳に抑制すべきである」という条項がまずある、それからそれに基づいてやむを得ず認める場合には次のような方針に従ってやるべきである、そのやむを得ず認める場合においても大阪湾奥部についてはできるだけ避けるべきである、次の要件を満たさないものについてはできるだけ避けるべきであるという文言があるわけでございまして、そのような我々に与えられております法律制度的根拠に基づいて対処いたしたいと思うわけでございます。  織田が浜につきましても、細かい議論はこの場ではございませんが、私どもなりに瀬戸内法基本方針をぎりぎり読み込みまして、かつてない、港湾審議会で検討を一回延期していただいたわけでございます。そのことを十分であるなどというふうに誇らしげに申すわけでは決してございませんが、いずれにいたしましても、私どもは、先生から冒頭に御指摘いただきました法令とそれに基づく基本方針、これは政府が全体として守るべきものでございますから、この限りでは各省にコンセンサスがあるわけでございまして、それに従って対処していきたい。これが大臣が心してと仰されました意味であろうと私どもは理解して、適正に対処してまいりたいと思います。
  182. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 この問題はまた最後にもう一度長官の御決意を聞かせていただくということで、先に進んでまいります。  こういう構想の中で現在具体的な問題に入っているのが関西空港の問題であります。とりわけ前島の問題について私はきょうは聞きたいわけです。  この前島については、昨年の関西国際空港株式会社法案の審議のときにも私は質問いたしました。しかしそのときは、環境庁はまだ一度もそういう話を聞いたことがないということで答弁を避けられました。しかし、もう意見交換をしておられるということです。一月十一日に長官は大阪を訪問されて副知事から前島の要請を受け、それから一月末には政府の新空港地域整備に関する連絡調整会議ヒアリングも受け現在に至っておるというふうに聞くわけです。  さらに六月三日付の毎日新聞を見ますと、しかも環境月間の行事のために大阪に帰られた中馬次官は、非常に具体的な条件をつけたものまで添えて発言し、新聞に大きく発表されました。要するに、前島同意する意向を示されたわけであります。  新聞記事によりますと、埋立面積を三百五十ヘクタールから三百十八ヘクタールにするのだとか、護岸傾斜護岸として将来ここを藻場にするのだ、あるいは前島内の緑化率を引き上げるのだというような条件前島同意するということになっているわけですが、この発言は事実なんでしょうか。
  183. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 お答えいたします。  毎日新聞の六月三日付の報道するところに関してでございますが、この前島の問題につきましては、先生も御指摘のように計画素案大阪府が持っておりまして、それについての説明を受けていることは事実であります。私ども立場といたしましては、瀬戸内海の特別措置法の趣旨に基づいて埋め立て基本方針に沿ったものでなければならないという主張を繰り返しているわけであります。府と当庁の担当官レベル意見交換の場におきましては、府から素案の中身につきまして説明もありましたし、我々といたしましても当然のことながら基本的な立場を踏まえましての質疑応答なり意見交換を繰り返していることも事実であります。  ただ、私どもといたしましては、役所として最終方針を決定しましたり具体的な問題についての意見表明をしたことはないわけであります。これは今後の公有水面埋立法に基づきます正式な手続の中で意見を申し述べていく、こういうことに相なるわけであります。  私どもが今までに承知しております大阪府の案あるいは意見交換内容等について、上司である政務次官に御報告したことは私どもの責務上当然のことと思っておりますが、そういう中で政務次官の御判断の一つとしてあのような御発言があったと私どもは受けとめております。
  184. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それではさらにお伺いしますが、一昨日の朝日新聞には、長官が前島空港は別のものとは考えられないというふうに述べられて、事実上前島を認める発言をされたというふうにありましたけれども、これは事実なんでしょうか。
  185. 石本茂

    石本国務大臣 六月五日に朝日新聞の記者の方々のインタビューに応じまして、その節にいろいろな話し合いがあったわけでございますが、関西国際空港をつくるために前島埋め立てはいろいろな条件を具備しましてどうしても必要なんだという建前があるわけでございます。なお、ことしの一月大阪府に参りましたときには、話は聞きましたけれども何の応対もしておりません。今先生申されましたように、当庁としましては、いわゆる前島計画空港と切り離しては考えられないものと考えます、これは私確かに申し上げました。  以上でございます。
  186. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 前島空港は別のものとは考えられない、そういうことになりますと、環境庁空港にオーケーを出されたわけですから必然的に前島もオーケーということになるわけですね。そうするとこれは話が随分違ってくるわけです。そうでしょう。前島の問題についてはまだこれからなんです。何で一体などと言えるのですか。空港と一体ということになりましたら、これは空港建設の案が出た段階で運輸省の方からしかるべき発言があって当然なんですが、運輸省の方はそういう発言をしていますか。つまり、環境庁に何か協力要請はあったのですか。さらに、これについての正式なアセスメントというのは全く出されておりませんね。  環境問題を所管するお役所の一番のトップがそういう問題を抜きにして、空港にオーケーをした、それにつながる前島なんだからということで、それは一体なんだと言ってしまえば、それは事実上オーケーしたという発言になるわけなんです。どうなんでしょう。
  187. 石本茂

    石本国務大臣 その前段階がございます。本件につきましては、私が一月に参りました後、大阪府から計画素案内容について説明を受けまして、担当レベルでは計画内容について意見交換を行っております。これは事実でございます。しかしながら、本事業に対する当庁としての最終方針は、はっきり申しますとまだ決定しておりません。いずれにいたしましても、今後公有水面埋立法に基づく手続の際に正式見解を申し述べることとしております。そういうお話をしておりますときに、この前島埋め立て問題で政務次官がこういうふうに言っていらっしゃるというような話の関連としてこれは出てきたわけなんです。  その関連の問題につきまして、これは別々のものか一体のものかというような――話というものはいろいろなやりとりがございますから、そういうようないろいろなやりとりをしている経過の中で、もし埋め立てというものが出るならこれは一体のものでございます、全く別々のものではないと思いますということを申し上げたわけでございまして、決していきなり、それは一体です、だからオーケーします、そういう感覚で申し上げたものではございません。そのことを先生に御理解いただきたいと思います。
  188. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は長官にもうちょっと言っておきたいのです。  空港計画の三点セットと呼ばれるその一つのアセスの中ではこんなことを言っているのですよ。  大阪の六十五年公共下水道普及率は七〇%に達する、そして七十五年には一〇〇%に達する、そういうことを将来予測の基準に置いてアセスをした、さすれば大阪湾は汚れない、こういうことで空港のアセスメントというのは出されているのです。実際には、とてもじゃないけれどもそうじゃないのです。  ことしは昭和六十年なんですが、貝塚市以南は公共下水道普及率〇%なんです。これから考えて、六十五年までに七〇%だとか七十五年には一〇〇%だなんて夢のまた夢でしょう。今から下水処理場つくって、幹線引いて、そして下水道をずっと家庭に入れて、それを面でとらえて一〇〇%、こんなあほみたいなことを大まじめな顔をして、だから空港をつくっても海は汚れないんだというようなアセスメントが今日まで大手を振ってまかり通りながら今日この時点になっているのです。  そして今この前島の問題が出てきているのです。何で埋め立ててつくらんならぬのか、しかも何であんなふうな大規模埋め立てをせんならぬのかということで地元の人たちは大変心配している。その中で樽井の浜という残された海水浴場の一つも丸ごとつぶされてしまう、そういう心配をしているときに、こういう軽々な御発言をされるということが非常に残念でたまりませんし、これでは国民の不信が募るのは無理もない話なんです。だから長官にこういう言い方はしてもらいたくないんだということを申し上げているわけなんです。  さらに続けていきまして、昨年御答弁をいただけなかった点について改めて聞きます。  現在大阪府の企業局長であります浦西良介さんという方がおられます。当時は企画室長でありましたけれども、昨年一月三十日に行われたこの方の講演を聞きますと、こういうことを言っているのです。長官、よく聞いてください。   瀬戸内海の水質汚濁については臨時の措置法が出来ておりまして「環境改善にプラスするもの以外は埋め立てをしてはいかん」ということになっておりますから、前島をどういう理屈で認めてもらうように持っていけるか、これが非常に大きな問題であります。  いまのところ前島には下水の処理場、空港連絡の道路・鉄道のジャンクション、あるいはインターチェンジのようなもの、その他空港の関連施設あるいは緑地等を考えております。下水の処理場とかジャンクション等については「内陸部につくると環境が悪くなる」というような説明がつきますが、空港関連の施設、特にたとえば見本市会場であるとか国際的な会議場、研究施設、そういうものになってまいりますと環境庁をクリアすることがなかなか難しいという制約があります。 こう言っているのです。どう理屈をつけて認めてもらうように持っていくようにするか、これが非常に大きな問題なんだ、要するに、埋め立てを厳正に審査すべきはずの大阪府みずからがいかに法の網目をくぐろうかということを露骨に講演の中で堂々と言っておられるのです。こうした態度は瀬戸内法の精神を全く踏みにじるものだと思います。この方は現在大阪府企業局長です。まさに前島の、南大阪湾整備事業の最高責任者でもあります。瀬戸内法の精神を全く踏みにじるものだと思われませんか。
  189. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の昨年一月でございますか、大阪府の企業局の方、浦西さんの御発言につきましては、どういう状況のもとにそういう御発言が行われたかを私ども承知しておりませんので、それについての感想は差し控えさせていただきたいと思います。
  190. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そう言われるだろうと思ったのです。しかし、これはちゃんと講演の議事録で、しかも「新航空レビュー」という科学技術センターの発行している雑誌にちゃんと書いてあるから、私はそのとおりに読んでいるのです。だから私は、こういう法の網をくぐるような考え方瀬戸内海埋め立てようというような考えは瀬戸内法の精神に反しませんか、こう聞いている。反しませんか、いいのですか。
  191. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 その御発言が事実であったとしましても、どういう受けとめ方をしたらいいのか、私どもちょっと迷っております。そういう意味で、瀬戸内法の精神がまずあって、そして埋め立ては厳に抑制さるべきであるという基本方針があるわけでございますから、その線に乗ってやっていただくべきだと思っております。
  192. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 昨年暮れに大阪府は、南大阪湾整備事業、いわゆる前島計画を正式に発表しました。企業局長自身が述べている瀬戸内法上の問題を含めてここには幾つかの問題がありますが、まずその瀬戸内法上の問題で言えば、先ほど言ったようなことで、この計画瀬戸内法にある留意事項で説明のつくのはまさにジャンクションと下水道だけ。この二つとも私自身は意見があるのですが、それはちょっと横へ置いておいて、ようやく説明がつくのはジャンクションと下水道だけ。これも言えば、ジャンクションは陸地の問題なんです。そして下水道の方も、処理場だけつくってもそれにつなぐ公共下水道の建設見通しというのは全くないのです。さっきも言いましたけれども、この地域は特に地方の財政状況からして、下水道ならぬ下水路も予算がないからやんぴにしようかというような話になっているところなんです。  しかし、そういう問題もあるけれども、それも百歩譲って、まあこの二つは企業局長自身が言われるように理由があるでしょう。しかし、ここはいわゆる指定海域とされているところなんです。こうした埋め立ては、だから、この二つはともかくとしても、本来認められないものではないのでしょうか。
  193. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先生埋め立て基本方針については既によく御承知だと思いますのでくどくは申し上げませんけれども、「次に示している留意事項に適合しない埋立てはできるだけさけるように配慮すること。」ということで、若干私どもに裁量の余地が与えられていることは先生もお認めいただけるのではないかと思うわけでございます。  先ほどの企業局長でございますが、いわば推進の立場でございますから理屈云々というふうに言われたのかもしれませんけれども、私どもは、理屈の問題ではなく、埋立地の利用の目的そのものがこの基本方針に適合するのかどうかということを心配されているのだろう、そういう意味では、理屈のつけ方というと、やることは変えないでおいて言い方だけ変えるというふうに受けとられるわけでございますが、私どもはそうは受けとめませんで、利用の仕方そのものについて基本方針から御検討いただいているのではないか。そして、特に私どもとして申し上げられることは、「埋立てはできるだけさけるように配慮すること。」ということで裁量の余地が認められているわけでございますが、それはいわば埋め立ての目的等から判断すべき事項ではないかと、私は、担当者としては考えているわけでございます。  その意味で、先ほどちょっと御議論のありました空港本体と密接不可分というようなことが果たして言えるものであるかどうか、その土地利用が密接不可分であるかどうか、さらにまたその土地利用が汚濁が著しいかどうか、そのような点について具体的に私どもとしては大阪府の方と詰めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  194. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それではさらに、この前島沖出しタイプ――沖出しタイプというのはまさに海岸線をずっと埋め立てるやり方なんですが、大阪府がこの前島沖出しタイプにするということに当たって「南大阪湾整備事業の環境影響について」という資料を出しているわけです。  この資料がこれなんですが、この前島沖出しタイプにするか島タイプにするかという問題につきましては、四年前に大阪府は一度は島タイプにするという結論を出していたのです。そのとき、なぜ島タイプにするのかということについては、沖出しタイプにすると大事な藻場がつぶれるのだ、そして潮の流れが大きく変わってしまうのだ、だから浜から離して島タイプにする方がいいのだ、こう言ったのです。  ところが、大阪府は「関西国際空港計画に係る調査の概要」という資料を出して、沖出しタイプと島タイプの環境影響の比較をして、一たんは島タイプという結論を出しながら、今回この資料の中身を見ますと、四年前と内容は全く一緒なんです。私は表をつくって、ずっと、これも一緒これも一緒といって丸をしていったのです。違うのは結論だけなんです。かくかくで島タイプがよいという結論が、かくかくで、よって沖出しタイプがよい、こういうふうになっているのです。これは調査されたところは二つとも関西空港調査会というところ調査をされているのです。つまり、調査をして、かつてこういう結論を出した、同じ調査を今度は別の結論を出した。その間には何の理由もないわけです。要するに、環境影響の比較は全く変わっていないのに四年前は島タイプ、今回は沖出しタイプ、結論を正反対に変えている。  こういう点でも、私は瀬戸内法の指定地域に含まれ、そして環境上の問題が最優先に考えられなければならないところで、同じアセスの結論だけを変えている、こういうふうな経過を環境庁は十分注目しなければならないと思いますけれども環境庁はまずそういうことを御存じですか、そしてこれについてはどういう感想を持っておられるか、お伺いします。
  195. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 大阪府におきましては、いわゆる前島計画につきまして、先生指摘のように沖出し方式にするかあるいは島方式にするか、いろいろな検討を重ねてきていたということは承知しておりますが、それは新聞紙上で承知したりあるいは大阪府からいろいろ聞いたというような側面的な問題もありますけれども、いずれにしましても先生今御指摘のように、検討内容がどういう経緯で、どういう理由で、どういう結末をたどったか、この辺についてまだ詳細に承知しているわけではありません。今後、その辺につきましても注目すべき点として検討してまいりたいと思います。
  196. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、ぜひ資料を取り寄せてこの点は検討していただかないと、そういうものを乗り越えて政務次官がどんどん発言されたり、長官のお言葉、その部分だけ大きく発表したのか知りませんが、そういうものが先行していくということは環境庁の名誉にかかわる問題だと思います。ぜひ、この資料を取り寄せて早急に検討していただきたい。お約束をしていただけますね。
  197. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 いずれにしましても、公有水面埋立法手続の中ではそれは当然クリアしなければならない問題でございます。
  198. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そんなことは当然なので、今意見交換をしているというのですから、その中で十分やれるじゃありませんか。そうでしょう。時間がありませんから…。
  199. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 検討の過程でそれを十分踏まえて考えさせていただきます。
  200. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 さらに三つ目は、この埋め立てによって、この海域で貴重な、大阪府でもこれぐらいかというような藻場が破壊されるのです。さらに海水浴場もさっき言ったようにつぶされます。  ところで、その藻場の問題なんですが、どうも政務次官説明によれば、今度は藻場をつくるというようなことを言っておられるのですね。藻場を埋めてしまうから今度傾斜の護岸にして藻場をつくる、こういうふうに言っておられるのですが、農水省に来ていただいております。私は、アワビとかウニとかそういうのを、日本海だとか三陸、非常にきれいなところで増殖したというのは聞いておりますが、大阪湾とか東京湾とか、そういう汚れたところで藻場をつくった経験はおありなのかどうなのか、お伺いします。
  201. 河田和光

    ○河田説明員 ただいま御質問の点でございますけれども、水産庁は、つくり育てる漁業ということで今積極的にやっておりまして、特にアワビ、ウニ、これは栽培漁業ともセットいたしまして、種苗の放流などとあわせて漁場づくりに取り組んでおるところでございます。  どういうところで一番盛んにやっているかと申しますと、北海道とか三陸の岩礁地帯、そういうところが特にアワビ、ウニでは多いわけでございまして、大阪湾あるいは東京湾、こういうところではアワビ、ウニの生産はほとんど実績がございませんし、また漁業の実態も、湾口部ではとれているところもあるかと思いますけれども、そういう現状でございますし、アワビ、ウニに限って申し上げますと、そういうものについての藻場の造成について従来から地元からの要望のないこともございまして、大阪湾についてはこれまで実施した事例はございません。  ただ、アワビ、ウニだけでございませんで、魚特にクロダイとかカサゴ、そういうものについての幼稚仔、小さいときの育成場としての藻場の機能もございまして、これの造成につきましては、大阪府からも御要望がございますし、岬地区においてこのための調査を六十年度から助成して実施する予定にしてございます。
  202. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 六十年度から岬で実施しているのですか。ちょっと聞き取りにくかったのです。
  203. 河田和光

    ○河田説明員 これは沿岸漁場整備開発事業という公共事業で全国的にやっている事業でございますけれども大阪府につきましては、大阪府の岬町の地先でクロダイ、カサゴ、こういうものを対象にした増殖場の造成事業を実施する事前調査としての調査を補助事業として実施する予定にしております。六十年度の単年度の調査として実施する予定にしてございます。
  204. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 岬というのはまだ非常に美しさが残っておりまして、そこは素地があると思うのですね。埋め立てた傾斜の護岸に藻場を――ここに種をまいたら生えるかどうかというのは、土の上ならよくわかるのですよ。砂利の上にもみをつけてそれで稲になるかならぬかはよくわかるのです。海のことだからわからぬ。そういうふうな全く何もないところに藻場をつくっていく、真っさらでつくっていく経験はないわけですね。
  205. 河田和光

    ○河田説明員 この沿岸漁場整備開発事業というのは大変若い事業でございます。五十年代、五十一年からスタートした公共事業でございまして、大体は魚礁づくりとか、ほかの事業もそうでございますけれども、既存の岩場を拡大するような面から使う。藻場でもアマモ場とかガラモ場とかいろいろな藻場があるわけですけれども、通常アワビなんかでやっている場合には岩礁地帯でアワビの生息している場をふやす、岩場をずっとふやしていくという形態が多いのでございます。
  206. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 いずれにしても、大阪湾だとか東京湾、そういう非常に汚れたところで藻場を増殖していく、新たにつくっていく経験は、今のところはようやくその調査をするためにちょっと予算をつけた。しかも、それは今言っているところとは全く関係のないずっと和歌山に近いところでして、それはそれで大いに結構なんですが、そういうふうな、政務次官がおっしゃったような藻場づくりというのはそうは簡単にいかない。このことは、大阪府の臨海整備課長もこういうふうに言っておられるわけです。   海底の海洋生物の生息の状況というのは、まに学問的にも解明されてない諸問題があろうと思いますので、それにどれぐらいの費用がかかるかという問題は、現時点ではわかっておりません。今後、我々としては、水産行政を  携わっておられます農林部等と調整しながら、  そういう研究もしていかなければならない。大阪府のお考えを議会で言っておられるわけです。  そういうふうになりましたら、こうした点からも、基本方針に照らしてみれば、これは府民の台所を守る、魚を守るという点でも安易につぶすということはとても認められないことだと思いますが、もう時間がありませんから簡単にお答えください。
  207. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 自然海浜を残すことが望ましいことは間違いないことだと思います。ただ、計画素案によりますと、それに代替するような人工養浜なども指摘のように考えておるようでございますが、それらの点も含めまして今後の検討対象になると思っております。
  208. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 さらに、前島との関連で、これは空港本島とも絡むわけなんですが、土取りの問題についてもこの際一言聞いておきたいと思います。  大阪府と関西国際空港株式会社はことしの三月、アセスメントの実施計画書を出しました。これは大阪府のアセスメント要綱に基づくものなんですが、これには土取りのアセスメントが含まれていないのです。なぜかというと事業主体が違うのだ、こういうふうに言います。しかしこれは全く理由にならない不当な態度じゃないか。  これについては私が三年前にこの委員会で質問をいたしましたときに、当時の清水企画調整局長はこういうふうにお答えになっておられます。土取りということはおよそ環境影響評価の中で重要な対象事項であるだろう、過去にも電力の場合とか埋立計画の場合について、土取りについても影響評価の対象範囲に含めてやってきている実例は現にある、こういうふうに答弁されておられるわけです。  実際、発電所のアセスメント要綱を通産省がつくられるときに、環境庁は非常に積極的な役割を果たされて、その発電所というのはおおむね埋め立てでやりますから、だから土取りについてもアセスをやらなければいけないよという指導をされ、要綱にはそれが入りまして、そしてその土取りについても埋め立ての場合はあわせてアセスしなければいけないということになっているのです。  だから局長の方からこういう御答弁をされていると思うのですが、少なくとも公有水面埋立法手続の際には絶対にこの土取りのアセスを含めてやる必要がある。事業者が違うから、そういうふうなことで形式上にはいろいろあると思いますが、実態上は土取り抜きのアセスで埋立免許の手続が行われるというようなことは許されてはならない、こういうふうに考えるわけですが、環境庁はどうでしょうか。
  209. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 この土取り土砂採取運搬につきましては、運輸省が地元に提示しましたいわゆる三点セット、先生十分御存じのものでございますが、関西国際空港環境影響評価案におきましてこの土取りに関する環境アセスメントの実施要領等が明らかにされているところでございます。そういうことを踏まえまして、ただ先生お尋ねの公有水面埋め立て手続にあわせてやるかどうかは別にいたしまして、この土取りについてのアセスは切り離すか一緒にやるかは別にいたしまして行われる、こういうことに理解しております。
  210. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 切り離すかどうかは別としてもそういうことなんだということですが、現在正式にここを土取りするということさえ住民には知らされていない状態なんです。だけれどもこれは大変大事な問題なんです。長官大阪にいらっしゃったことがないからその辺の景色がわかってもらいにくいのですが、とにかく山を削って埋めるわけですね。だから緑も非常に大きな破壊になるのです。だからそういう意味でも車要なんですね。これは私の感情の問題として聞いてもらいたいのですが、発電所のアセスメント要綱と同じ考えで、つまり今度の公有水面埋立免許申請のときには絶対にこの土取りのアセスを含めてやる必要がある、そういうことから大阪府に対して環境庁ははっきりと物を言うべきじゃないか。もう一度お答えいただきたいわけです。
  211. 山崎圭

    山崎(圭)政府委員 公有水面埋立法手続にあわせてやるとおっしゃるので私はちょっとそこのところは保留申し上げたわけなんですが、いずれにしても土取りの大事さは私どもも十分認識しているつもりでございますので、土取りについてはアセスはしっかりとやらせる、こういうつもりでございます。
  212. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間がなくて本当に残念です。もう一つあります。  二色の浜というところは、さっき言いましたように年間百五十万人集まる。そして今ボーイスカウトなど子供たちが休みの日にたくさん、しかも地元だけじゃなしに方々からやってきて、空き缶を取ったりごみを拾ったり、そういうふうにして浜をきれいにしてくれている。そういう点ではたった一つ残された、本当にみんなから宝石に磨きをかけるように大事に大事にされているところなんです。  ところが、今度のこの空港関連で湾岸道路計画建設省から発表されました。それを見てびっくりしたのは、その浜の海水浴場、もう本当に五メートルと離れているだろうかと思うような、五メートルも離れていませんね、そういうところに、つまり松林がありましてそしてそこから歩いて浜へ行く、だから白砂青松と、こうなんですが、その白砂青松の松林と砂浜のど真ん中に湾岸道路が通過するというのです。そして説明されているのを聞くと、視角の邪魔になったらいかぬから、何だか道路の高さを十五メートルぐらいにして、人間の目の視点でこう見たときには道路が邪魔になっていないような計画にするんだなんてふざけたことを言ってわざわざ海岸線を通すというのです。  これは実際には埋立行為になっていませんから、環境庁がいろいろ法的に物を言えるような場面は出てこないわけなんです。しかし私はあんまりじゃないか、何ぼ何でもあんまりだというふうに思うのですね。二色の浜なんというのは、私たち昔の大阪海水浴場を知っている人間にとっては本当に笑いたくなるぐらい小さいのです。でもそこしか今ありませんからみんながとっても大事にしているのです。子供たちが一生懸命ごみ拾いをしてきれいにしよう、きれいにしようとしている、その心を大事にするためにも、この計画についてはぜひもう一度調べて建設省環境庁として物を言っていただきたい、私はこれは最後に長官にお伺いしておきます。  きょうはたくさんなことを言いまして、時間がなくて大分はしょりまして長官おわかりにくかったと思いますが、要するに当面する問題ではいろいろ問題があります。それから大阪湾の将来構想はと言えばかくもひどい構想になってしまいまして、これでは本当に死の宣告を瀬戸内法は突きつけられているのと同じなんです。その将来構想については、瀬戸内法を守る、瀬戸内海を守るということで、私はぜひ環境庁として積極的な動きを今すぐ始めていただきたい。何か事が起こったら、具体的になったらということで物を言うのでは遅過ぎるということは余りにも過去の歴史がはっきりと物語っているだけに、私は最後にもう一度長官の御答弁をお伺いして終わりたいと思います。
  213. 石本茂

    石本国務大臣 前島埋立構想をめぐりましていろいろな角度からいろいろなお話を聞くことができました。私どもは、ここまで参りましたら大阪府当局に対しましてできるだけ瀬戸内海の保全といいますか環境保全、これを守ってもらうことを厳しく言わなければいけませんし、また今道路の話も出ましたけれども関係省庁に対しましてもそういう風景といいますか、そこに住む人々、そこを愛する人々の心を傷つけないようにしてもらいたいということはよく進言していく決意でございます。
  214. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りました。終わります。
  215. 辻英雄

    辻委員長 竹内猛君。
  216. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ちょうど六月五日は国際環境デー、それから今は環境週間、それから国際森林年ということで、山の緑を守ろう、つくろうという、こういう二つの意義ある週間と時を迎えて、特に今各地で問題になっており、既に取り組みがされていて、なおかつ結論がなかなか見出しにくい一つの問題は、空き缶の処理の問題、もう一つは松枯れの問題ですね。この二つについて質問をしたいと思います。時間が十分にあるわけじゃありませんし、そういう関係から、細かいことについては十分な質問ができませんが、これについてはいずれまた日を改めて質問したいと思います。  最初に空き缶問題の方から入っていきますけれども、現在、空き缶に対する状況について、環境庁は昭和五十九年度の公害白書の中でいろいろなことをやろうとしておりますが、その中に資料が一つ載っておりまして、それを見ると、「空缶のポイ捨ての理由」としては、近くにごみ箱がない、これは四三%、それから、自動車に乗っていて始末に困って捨てる、これは一四・六%、ごみ箱や家まで持ち運んでくるのが面倒だから、これが一一・七%、ごみ箱などがいっぱいだからというようなことで八・七%、みんなが捨てるから、八%、人目につかないと思ったから、四・二%、こういうものを加えていくと、大体九割というものが捨てる場所がない、こういうところに問題があるようですね。  この問題について、実態はわかるけれども、それならどうしてこれをないようにするかということについては、どんなことをやろうとしているか、そこの点についてちょっとお聞きしたい。
  217. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 空き缶の問題は、数年来大変私ども頭を悩ましておるところでございまして、今白書の内容を御披露いただきましたように、確かに捨てる場所がないというようなことも大変大きな問題点だろうと思いますけれども、ここ数年、各省庁と一緒に取り組んでおりますと、この問題、大きく分けまして二つの特徴があるようでございます。  一つは、やはり今捨てる場所がないと申しましたけれども、そう何でもぽいぽい捨ててもいいという話ではございませんので、まずそういうものについてはきちんと自分で始末すべき場所に自分で始末をするという心構えが大切であろうと思っておりまして、モラルの向上というのをどうやって図っていくかというのが一つの課題でございます。  それから、場所地域等によりまして散乱の実態とか原因、いろいろバラエティーに富んでおりますので、かなり地域場所等に応じましてきめ細かい対応を図っていかなければいけないというような感じを強く持っておりまして、その点、地方の自治体等とも十分協力をしながらやっていく。したがいまして、啓蒙、啓発活動とともに、いろいろな実効ある対策を皆さんに披露しながらそれを広めていく、この二つの方向で力をいたしておるところでございます。
  218. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そのことは理解ができますが、総理府の五十九年十月の環境問題についての世論調査によると、「居住地域の生活環境の問題点」の中で、散乱ごみ、空き缶が散乱されるというのは二八・四%と第一位に挙げている。人口十万以下の市、町村が三一・七%と、やはり人口の少ないところの市町村に非常に空き缶の割合が高いという。騒音とか水質汚濁等もその次に続いておるけれども、やはり一番多いのが空き缶の問題だ。したがって、大ざっぱに言って、空き缶のポイ捨てという問題は農村地帯の最大の問題と言ってよい。  なぜ大都市よりも農村地帯にそういうものが起きているかというと、やはり農村がどうも捨てやすい状況にあるということだろうと思う。そういう点についてどういうふうに御認識をされているか。
  219. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 今先生もおっしゃいましたように、人目のつかないところにぽいと捨てやすいという感情もわかりますけれども、今先生が引用されました総理府の「環境問題に関する世論調査」、これは数字が構成比で出ておるものでございますから、それで、いろいろな環境の問題事項についての構成比でございますから、農村あるいは小さな都市は、騒音でございますとか水質の汚濁でございますとか、こういうことにつきましては大都市に比べてウエートは比較的低いものでございますから、相対的な問題として農村なり地方都市には空き缶の問題が大きくクローズアップされる、こういう面も数字上はあろうかと存じます。
  220. 竹内猛

    竹内(猛)委員 都市の問題にいくといろいろとまた公害は別なものもありますからね。  そういう点で、農村において主として起きている問題は、単に空き缶が困るということではなしに、その空き缶によって、農機具で作業するとそれに空き缶がひっかかってきて農機具が傷む、それから作業中に災害が起こる、体にそれがひっかかってきていろいろ事故が起こる、こういう農業災害の大きな原因になっているのがこの空き缶の問題なんですね。これは各地で起きております。現在、日本農業新聞が空き缶問題について特集をして非常に注目を集めているのは、恐らくそういうことではないかと思う。  確かに、政府の中にも、五十六年に十一省庁から成る空き缶問題連絡協議会というのがつくられていることも承知をしておりますが、これのやっているところをずっと見ると、確かにそれぞれの省庁はそれぞれに向かって努力はしているが、一体どこにへそがあって、どこが終わりなのか初めなのかわけがわからない。これは何かやっているということにすぎないので、一体何をどこから始めて最終的にはどこへ持っていこうとするのか、この辺のことについてもう少し深い対策が必要ではないかと思うのですがね。これは環境庁が恐らく事務局になっていると思うけれども環境庁としては一体これをどのようにまとめようとしているのか。これはどうですか。
  221. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 この連絡協議会は、何か一つの結論を見出すべく絞って取り組んでいるわけではございませんで、先ほど申し上げましたような現状に即しまして、どうやって少しでも有効な普及活動をやっていくことができるだろうかというようなことも頭に置きながら多面的に進めておりますので、なおかつ、普及活動でございますのでなかなか決め手が出ない、あるいは時間もかかるということでございますが、先生おっしゃるように、目立った効果が出ないじゃないかという面もあることは私どももいささか反省をしておるところでございます。
  222. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは大変困るのでありまして、やはりこの辺でひとつ空き缶というものに対する――これだけの数が出ている。いろいろ調べてみると、空き缶じゃないけれども、一年間につくる缶の数が百二十億個と言われる。その中で鉄の部分が八割、アルミニウムが二割です。そういうようなことになると、日本人口が一億一千七百万ほどありますか、一人の人間が百個以上の空き缶にとにかく接触をするわけなんです。そういう状況ですから、これがいろいろなところでいろいろな災いをするということは御承知のとおりですから、これの生産から回収、再生という方向に向かって努力していくのが筋だろうと思うのです。  実際十一ぐらいの法律が関係をしていると思うのです。この空き缶に関連しては十一くらいの法律がある。そういう法律が本当に現在空き缶を処理するために機能をしているのかいないのか。どうなんでしょうか。軽犯罪法というのもあるし、省略をして清掃法というか、そういう法律もありますね。それから道路法、港則法、港湾法その他自然環境保全法とかいろいろあって、あるものは懲役に入れるとか二十万円以下の罰金に処すとかいうことになっているが、警察庁、これは捜査して懲役にでも入れたのがあるのですか。
  223. 上野治男

    ○上野説明員 お答えします。  正確なところはございませんが、私は聞いたことはございませんので、ないだろうと思っております。  一般論で申し上げますと、私ども警察の立場でいいますと、悪徳業者から消費者を守る、庶民を守るというのが本来の任務でございます。ですから、そういうような専門の業者が違反をするというような場合には、たった一回の違反でも厳しく検挙するというのが一般的な方針でございます。しかし、国民生活の中で平均的な国民が、今竹内先生の御指摘のようにだれもがたくさん扱っているという問題につきまして、その都度検挙するということが果たしていいのかと申しますと、必ずしもそうでないだろう。あるいは国民の合意としてそういう明確に禁止するという法律がはっきりあれば別ですが、それがない現在では、必ずしもそう取り締まらないという考えで現在おるわけでございます。
  224. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ある新聞によれば、五十九年に警察庁刑事局保安部公害課というところで調べたところによると、廃棄物の処理の中でこの空き缶に関するものが四千七百十五件あったという。これは本当ですか。
  225. 上野治男

    ○上野説明員 私、公害課長でございますが、私のところで扱っている資料ですと、今先生のおっしゃったのはちょっと手元にないので正確ではないかもしれませんが、一般的にごみの不法投棄の件数であっただろうと思います。空き缶ではなかったような気がいたします。
  226. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いずれにしても、投げるのは多分、空き缶とか空き瓶あるいはプラスチック、この三つでしょう。そういうものがこういうふうに行われている。法律は十一ある、けれども実際に法律が執行されていない、こういうのが実情じゃないのかな。  きょうは、十一の省庁の皆さんに来てもらって一つ一つどうしているかということをここで尋ねればいいけれども、そういう時間はありませんから、その主なところに来てもらったわけです。  農林水産省は一番被害者だな、ある意味においては。缶の中に入れるジュースをつくったり缶詰の中身の果物をつくったりすることは農民の役割ですけれども、その缶をつくるのは通産省、それからそれを運ぶのは運輸省でしょう、投げる方を監督するのは警察庁、環境が壊されて困っているのは環境庁なんだ。そういうことからすると、農林省はこの空き缶という問題について一体どれくらい関心を深めて何をしてきたか、ちょっと農林省から聞きたい。
  227. 武田昭

    ○武田説明員 お答えいたします。  空き缶の問題につきましては、もちろん私どもも十一省庁の協議会の中に入っていまして、先ほどからお話が出ておりますように、消費者が捨てないモラルの向上というのがやはり一番基本であろう。そういう観点から、私ども飲料業者団体を所管いたしておりますので、飲料業者団体なり、あるいは五十七年に特にこの問題に関連して食品容器美化協会というのをつくっておりますけれども、そういう団体等を指導しながら消費者啓発のためのポスター、パンフレットといったものの配布なり、企業においてもくずかごを寄贈するとか、あるいは御案内のとおり缶には「あきかんは くずかごに」という表示が全部との缶にもついておりますけれども、そういうことも企業の方はいたすようにしているわけでございます。  そういうことで、私ども関係省庁と十分連絡をとりながら、これからもそういう考え方で対応の充実に努めてまいりたいと思っております。
  228. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは今度は運輸省だ。運輸省は車の方ですが、車というのは四千五百万台から五千万台あって、国民の成人の半分は車の免許証を持っている、運転しているかどうかはわからないけれども。そういう者があちこちに出向いていって、その車の中からぽいぽい捨てるから起こるわけですから、その車とポイ捨ての関係について、その辺のことはどうですか、いろいろ調査をされたことはありますか。どういう感じでしょうか。
  229. 染谷昭夫

    ○染谷説明員 今自動車の保有者と空き缶のポイ捨ての関係調査したことがあるかということでございますが、私どもそのような調査をしたことはございません。
  230. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは今度は建設省にお尋ねしますが、建設省道路管理者です。道路は農道があり町道があり、そして県道、国道といろいろありますが、一番ポイ捨てをするのは農免道路の両側、あぜ道、それから交差点、曲がったようなところに捨てられるという非常に細かい調査がありまして、いろいろ調査をしている方はいらっしゃる。空き缶対策協議会の新日鉄の関係のこの調査あるいは通産省のクリーン・ジャパンなんというのは極めていい調査をしていますね。山ほど調査はある。ところがその調査を生かすかということになると大変難しいわけですね。  ここに「カンコロジー」というのがある。「道路上の散乱状況について」というのがあって、このしっぽの方にこういうことが書いてある。「調査道路沿いに車と道路環境を詳しく調べることである。」ということで、「第二の場合には法規制、車そのものの装備の見なおしといった方向で問題の改善が図られるかも知れない。」という形で、これは建設省に言ってもしようがないが、運輸省の方に言うべきだろうが、道路の問題について、空き缶が捨てられているということについて、それはしようがないと見るのか。それとも、建設省としてもこれは忌まわしい事態だ、何とかしなければならないとお考えになっているのか、その辺はどうですか。
  231. 下口良三

    下口説明員 お答えいたします。  道路管理者としての建設省におきましても、道路周辺に捨てられます空き缶問題については一番頭の痛いところの問題でございますが、これについては五十六年以来、先ほどの先生御案内の連絡協議会以前から、昭和四十年代あたりから道路等については空き缶問題が非常に問題になってございまして、これにつきましては、まず道路管理者としてやってまいりましたことは、先ほど各省からも御披露ありましたように、啓蒙、啓発活動といたしましては、毎年八月に道路を守る月間がございまして、これは一カ月間、平常も当然でございますが、道路の維持管理としての清掃活動と、さらに地域住民団体等とあわせましていろいろなキャンペーンを張りながら、また警察等の御協力もいただいて、道路の沿線の看板等に警察署長名等の名前を記載させていただきまして警告をしていただくとか、さらにはサービスエリアその他等につきまして、大体そういうごみが多く出るような箇所にはごみ容器等を置いたりいたしまして、また一方、警察当局等の春秋の交通安全運動期間中にもあわせてそういうことについてドライバーに対して啓蒙、啓発をやっていく努力をしてきておるわけでございます。
  232. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで、どうしても取り締まりの警察庁にもう一遍聞かなければいけない。これは一々文句を言わなければ直らないという先ほど環境庁の方から話があったけれども、モラルだ、それぞれ一人一人の心の問題だ、それは詰めていけばそうだと思いますね。これは、きょうは文部省は来てないけれども、文部省はそういう教育をしているかどうかわかりませんが、いじめの問題というのがこのごろテレビで問題になっていて、仲間をいじめるんだから空き缶を捨てるぐらいのことは簡単な話だと思ってはまずいけれども、警察としては、今の車社会の中で、しかもあふれるばかりの缶が生産をされてどんどん捨てられているという中で、十一の法律もあるけれども、それが意外に守られていないという事実に対してこれをどういうふうに思いますか。
  233. 上野治男

    ○上野説明員 たくさんある法律の中の一つに道路交通法がございますが、通行中の車から空き缶を捨てるというのを現場の警察官がたくさん認することがございます。これは大変危険なことでございます。私ども高速道路を走っていまして、物が飛んできたということのために運転が非常に危なかったという経験もありますが、そういうことから見ましても、従来から、車から、特に高速道路ところから物を捨てる者については厳しく取り締まるという方針を持っておるところでございます。  私ども一昨年特に調べた統計によりますと、道路交通法で検挙した者が二十六件、それから指導警告したのが約千五百件ございました。これは記録に載っているのは千五百件ですが、実態はもう少し多いだろうと思っております。ですが、もっと厳しく取り締まれと先生がおっしゃったような意見も内部にもございます。しかし、現状としまして、なるべく指導警告で済ませるものは済ませていきたい。より危険なもの、交通の妨害になるもの、危険の著しいものあるいは指導警告に従おうとしない者、そういったものを除き、なるべく指導警告で済ませたいという方針を今後も維持していきたいと考えている次第でございます。
  234. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大体十一の中の、主な役所の今までとってきたことを聞いて、おおむねこの程度のことですね。これではどうも物足りないですね。  例えば、五十七年に京都市では条例をつくって、市の条例の中に罰則まで加えて運動をやっていますね。けれども、適用されているところはきれいになったかもしれませんが、それ以外のところは空き缶の山が絶えない、こう言うのですね。京都市以外のところは、農村地帯には空き缶の山が絶えないと言う。それから、各地ではデポジットの運動やあるいはボランティアが空き缶を集めようということで日にちを決めて総出でやっていますね。これを見ると、全国的に無数の運動が行われています。各地で行われておりますが、私の茨城県では日立市を中心として、県がつくった条例を日立市で適用して市民運動としてやっておりますけれども、やはり依然としてこの問題には満足できないものがある。こういうことで、モラルに基づいた運動あるいは各県の市町村の条例等によることだけではどうも最終的にうまい処理にはならないというのが現状ではないかと思います。  そこで、ある新聞の論説にこういうことが書いてある。これは非常に傾聴に値しますから、ちょっとここのところを読んでみます。   空き缶公害追放への取り組みが全国で進んでいるが、この問題の難しさは、現状では、結局はモラルの問題ということになってしまうことにある。やがて国民全体のモラルが向上し、空き缶、空き瓶をポイ捨てするような不心得者はいなくなるということは確かに理想的なことであるが、いまの姿は果たしてその理想に向かって進んでいるといえるのかどうか。モラル向上の呼び掛けは、これからも一層強めていく必要があるが、その一方では、この運動はそれだけでいいのかという気がしてならない。  空き缶公害防止の責任者はだれかとなると、これがなかなか難しい。田畑やあぜに空き缶、空き瓶を投げ捨てられ、農作業の邪魔をされるだけでなく、まかり間違えば大けがをさせられるかも知れない農家も、被害者だとばかり思っていると、法律上は必ずしもそうではない。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」によると「土地又は建物の占有者は、その占有し、又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めなければならない」ことになっている。空き缶が散らばっていることと〝清潔〟という言葉との間にはイメージのずれがあるが、土地を占有し、または管理する農家にも、空き缶などが散らばっていないように清潔を保つ〝努力〟をする義務があるということになっている。  この清掃法は大事なことを定めている。これは空き缶、空き瓶などの「一般廃棄物」は市町村に収集し、運搬し、処分することを義務づけているのだ。このことが、市町村以外の者に対しては空き缶公害追放については努力義務にとどめる結果を招いている。  農家とか市町村を持ち出す前に、空き缶公害の直接の原因者はいうまでもなくポイ捨ての本人である。ポイ捨ては、清掃法や軽犯罪法などいくつかの法律で罰則を定めて禁止しているが、実際はだれも見ていないところを見計らって捨てるのだから、これらの法律が適用されることはめったにない。法律の力でポイ捨てをなくそうというのは極めて困難である。  そこでモラル向上となるが、モラルが向上してポイ捨てがなくならない限り、捨てられた空き缶をどうするかの問題になり、農家がどうの、市町村がどうのという問題になる。市町村の廃棄物処分義務といっても、五十戸以上の集落がない町または字の区域については市町村のこの義務すら免除されているのでは、過疎地域では立つ瀬がないところが少なくない。  投げ捨てられた空き缶、空き瓶をみて、製造したメーカーや販売した店には責任はないのかとだれしもが思う。この問題はしばしば論議されるが、先にもみたように、空き缶、空き瓶などの一般廃棄物を処分する義務は市町村にあるのであって、メーカーや販売店にはその義務はないことになっている。  しかし、われわれは、空き缶公害を追放するためには、もう一歩踏み出すべきときではないかと考える。一歩踏み出すことは、小さな缶や瓶に入れた飲み物の製造、販売に何らかの規制を加えることである。 以下、若干ありますけれども、こういう論説がある。これについて環境庁の責任者としてどのようにお考えになるか、ちょっとお答えを願いたいと思います。
  235. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 現実になかなか実効が上がらないことに対する極めて端的な御指摘だろうと思います。  ただ、全般的に見ますと、例えば私ども市町村の担当の方に去年に比べて空き缶の状況がどうなったかということを聞いてみますと、三割くらいの方は去年に比べてよくなったという回答をされておられるのがここ数年の例でございまして、ある面ではじわりじわりとよくなっているのではないか。  しかしながら、缶の量も年々ふえますし、今おっしゃられたような農村地帯あるいは人の目に見えないところにどっとたまってそういうことが出てしまうというような問題点は確かにあるわけでございまして、先ほど来主要な省庁からもお話がございましたが、関係する十一省庁、地道に、しかし手を抜くことなく、着実永続的に今までの方向を推し進めていかなければならないというのが最小限度のところであろうと思っております。
  236. 竹内猛

    竹内(猛)委員 時間が来たから、これだけやっていると松くいの方がおくれてしまうから、締めくくって一つの提案をしたいので、環境庁長官の方から答えてもらいたい。これは提案ですから、何も一〇〇%これでいかなくちゃいけないということじゃない、一つの考え方です。  空き缶というのは、もともと鉄をつくったり、アルミニウムをつくるところから始まる、それがなければできないのですから。そういう物をつくる生産者というものがまずある。それから缶をつくる工場というのがありますね。それから缶に飲料水や食品、ビール、ジュース、コカ・コーラを入れる、そういうものがあります。それから今度はそれを販売する店、デパートでも売るだろうし、小売店でも売るだろうし、自動販売機からも売る。この自動販売機も、駅の中にもあるし、またそうでないところにもある、たくさんあるようですね。それから、それを買って飲む人は、車の中で飲んで、その車の免許証を与えられているのが五千万人もいると言われる。  そういう中から、日立市の方からの提言としては、なかなかモラルではいかないから、ひとつ車の中に空き缶を入れる袋をつくって、それに入れて、おりたらそれを集めて始末をしたらどうか、こういう提案をしたら、今度はそのディーラーは、トヨタ自動車や日産というメーカーの方に、車それ自体に空き缶を入れるような装置をしたらどうなのかという提案をしているのです。そうなるとこれは尋常じゃない。そんな余計なことをするなという形で、車のメーカーがそんなものに応ずるわけがないだろう。  それから、全国的に北海道の隅から沖縄まで、都市といわず農村といわず空き缶というのはあるのだから、モラルとか条例とかそういうものじゃなくて、一つの統一した法律によって処理すべきじゃないか。空き缶の回収と再生、処理に関する法律というようなものをつくって一本のものにしてやっていかなければ、みんなそれぞれの官庁があっちこっちをつまみ食いをしてやったところで始末ができないじゃないか。これだけ道路がよくなり、車の免許者がたくさん出てくると、その辺のことは必要じゃないかなと私は思うのですね。農村の田んぼに捨てられたのは、農家は、おれのところは物をつくる場所であってごみ捨て場じゃないのだよ、こういうふうに思っている。これらの気持ちにこたえるために、ひとつ長官からお答えをいただいて、きょうはこれで終わるけれども、また次にもう少ししっかりした質問をしたい。
  237. 石本茂

    石本国務大臣 いろいろよいお話を承りましたけれども、十一の省庁が関連している、しかしポイ捨ては全然改善されない。  私が思いますのは、ああいう缶詰の飲料水がどんどんふえたということと、お店に行かなくても、田舎の道路にでも自動販売機が至るところにございますが、ああいうものを少し取り締まることができないだろうかということと、そして法律、規則はどんなにつくりましても、ほうる者の心構えでございますから、今水が汚れるから各家庭の流し場をこういうふうにしたらいいじゃないかということや、一人一人がやるんだと言っていますけれども、あれ方式に一人一人の国民の皆さんに、缶は捨てるなという何かよい方針ができないだろうかというようなことを考えております。  ちょうど今環境週間でございますから、捨てた缶を拾うだけではとても話になりませんので、捨てないような人間育成というものを考えるときが来ているのじゃないか。それには一人一人に缶をほうるな、ほうったらこういうことになるのだということを何か手渡しまして――ただ、人間の生命に災いを及ぼすような問題が余りありませんから、そっと周りを見て、いないからほっとけということになるのじゃないかと思いますが、モラルの問題だ、それをどう喚起するか、これが宿題だと考えております。いろいろな御提言ありがとうございました。
  238. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この問題については時間がないからこれ以上申し上げませんが、今言うような問題を整理して、組織的にそれぞれの持ち場において十分に、モラルも大事にし、資源も大事にし、日本には資源がないのですから集めたものも再生して活用する、そういう心も大事にしていく。そして、缶を捨てる者と拾う者はまるっきり違った立場にありますけれども、そういう道徳心を大事にしていくことは必要ですから、これからの課題にしていきたい。  そこで、松くい虫の問題に入りますけれども、松くい虫法が五十二年にできるときに私たち社会党は、この法律自体は大事だが、松くい虫を処理する方法について、農薬の散布方式はよろしくないと、当時の環境庁長官は石原慎太郎さんでしたが、そのときに幾つかの注文をつけた経過があります。  それから五年たって延長して、やがてあと一年少ししますともう一遍延長しなければならない時期が来ます。にもかかわらず、現状は日本の松くい虫は依然として消えていない。大部分ところでは、松が散布方式によってよみがえったところもあります。それは事実認めなければならないと思います。しかし、集落の接続しているところでは、これを散布するとコイが死んだりミツバチが死んだり魚が死んだり、あるいは人間に害があったりするということで非常に問題が起こるわけでありますから、どうしてもそれができない。民有林が中心でありますから、今度はまた所有者がいろいろな注文をつけてやりにくい点もある、ここにも問題がないとは言えませんで、この前延ばすときには改良した延長をしたわけですけれども、やがてこれが切れる段階になりました。  先般、日本で一番松くい虫がはびこっている茨城県、私のところですが、現地を調査したわけですけれども、その中でいろいろと要求をされた点があります。それは、松くい虫の法律はこれからもぜひ延長してもらいたいが、民有林所有者からもあるいは町長からも強く言われたことは、枯れた木を伐倒して運び出す費用、それから運搬をする道路、こういうものは、単に個人の土地だからあるいは公有地だから国有地だからという形ではなくて、一つのつながりですから、これに対してはぜひ一定の補助なり助成なりをしてほしいという要求がありました。これはぜひやってもらいたいことだと思うのです。  それから、跡地利用の問題です。松が枯れてその跡にどういう樹種を植えるかということが問題なんです。また松を植えるのか、それとも杉やヒノキを植えるのか、植えるとしたらどれくらい費用がかかるのか、こういうところまで計算をしていかなくちゃならない。これが二つ目の問題。  三つ目の問題は、松というものが、従来は燃料であり、建築材であり、あるいは船をつくるための必要なものであったということですけれども、最近のエネルギー革命で必要がなくなってきて、観賞用の松というものはありますが、どうもあれがなくなったものだから松に対しては余り関心がないという形になりますけれども、この松を大事にしていく。例えば環境庁管理しておる宮城の前の松のように手入れをしてやれば松はきれいになる。ところが手を抜くからこれはよくならないわけであって、何とか松の命を長くして、これはめでたい木ですね、松竹梅という形で松というのは大事な木ですから、これを長もちをさせるためにいろいろと努力をしてもらいたい。  今三点申し上げましたが、時間が来ているから三点についてお答えをいただきたいと思うのです。
  239. 原喜一郎

    ○原説明員 お答えいたします。  第一点目は、松くい虫の被害地の場合の被害木の運搬あるいはまたその道路等の問題でございますけれども、松くい虫の防除に関しましては、これはいろいろ命令等によりまして伐倒駆除等を行っておるわけでございますけれども、伐倒駆除の場合には、先生御案内のようにこれは搬出をいたしませんので費用の算定には入れておりませんけれども、新しい現在の法律では、新たに特別伐倒駆除と申しまして、被害木を林地以外に持ち出しましてこれをチップにしましたり焼いたりする場合がございますが、こういうふうなものにつきましては搬出経費も通常算定の中に含めておるわけでございます。  なお、この問題につきましては、林業改善資金等におきまして被害木等の伐採搬出費用につきましては無利子資金の融資等も行っておりますので、そういう制度をできるだけ森林所有者の方々には使っていただく、こういうふうなことでお話し申し上げております。  それから、道路の問題でございますけれども、被害木の利用あるいはまた樹種転換をする場合にどうしても林道が要るわけでございますけれども、これにつきましては、いわゆる林道の採択要件をこういう被害地につきましては緩和いたしまして弾力的に運用する、こういうふうなことで行っております。  それから、跡地の問題でございますけれども、これは御案内のように、森林につきましてはそれぞれの地域、それから土壌条件等によりましてどういうふうな樹種を植えたのがいいのか、こういうふうなことでございますが、これにつきましては、民有林につきましてもある程度土壌調査というふうなものを行っておりますので、できるだけその土壌調査に基づきましていわゆる適地適木ということで造林していただきたい、こういうふうに思っております。  それから、松の利用の問題でございますけれども、松の利用につきましては、先生からお話がございましたように、かつては大変燃料としても有用でございましたし、あるいはまた九州の芦北地方、これは水俣地方でございますけれども、従来は芦北林業ということで坑木等につきまして大変利用されたわけでございますけれども、いろいろな関係で現在そういうふうな利用は少なくなっております。ただ、松につきましては、茨城県におきましてもたばこの養苗に松の落ち葉が大変有効であるとか、いろいろ多用途の利用がございますし、あるいはまた成長の大変速い木でもございます。  したがって、将来にわたりましてはできるだけそういうふうな高度の利用につきましても研究いたしたいと思っておりますし、さらにまた、この松につきましては大変土地条件の悪いところにも、生える、こういうふうなことでございますので、いわゆる国土保全の観点から、必要なところにはできるだけそういうふうなちゃんとした措置をしながら植栽していきたい、こういうふうに思っております。  以上でございます。
  240. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大変時間が過ぎましたが、これで終わります。
  241. 辻英雄

    辻委員長 次回は、来る十四日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十四分散会