○田中(美)
委員 委員長にもお願いしたいのですが、
日本の態度はどうかということに対して、お答えは、
アメリカがこう言っている、こういう不誠実なお答えをしないでいただきたい。
委員長の方からも御注意を願いたいと思います。
アメリカが脅迫している、
ニカラグアに金を貸せば出資を出さないんだ。脅迫しているということは、私が言っているのではなくて、
中南米の二十四カ国が決議の中で、そういうことをさせるなと言っている。きょうの新聞を読めばわかることですので、
日本政府は、絶対これに加担してはならないということを言っている。結局、お答えできなかったということで、次の
質問に移らしていただきます。
やはり十五日の岡崎議員の
質問ですが、これに対して党ノ脇さんが、
ニカラグアの政権に対して選挙をボイコットした者もあるし、七党だけが参加した選挙であるとか、また六七%しか得票を得られなかったんだというような非常に偏見に満ちた
発言がありました。それは偏見なのか、
ニカラグアの問題を御存じないのか、無知であるのかわかりませんが、
ニカラグアの選挙の問題について、私の調べた点をちょっと申し上げたいと思います。
今
アメリカは、
ニカラグアが自分の国にとっても脅威になるというような、また
中南米にとっても脅威になるというようなことを言っておりますが、
ニカラグアは面積は
日本の三分の一、人口は三百万とちょっとの小さな国です。GNPは
アメリカの千二百分の一という、貧しい小さな国です。この国が、なぜそんなに
アメリカにとって恐ろしい国だという位置づけをするのか、私はここから非常におかしいと思うわけです。
御存じのように、今のサンディニスタ政権ができましたのは一九七九年で、それまではソモサ独裁政権があったわけですが、これは
アメリカが非常に支援していた。しかし、
国民からの支持が余りにもなくなったために、ちょうど南ベトナムのゴ・ジン・ジエム政権のような
立場になって、さすがの
アメリカもソモサを支持できなくなるというような中で、このサンディニスタ政権ができたわけです。しかし、
アメリカにとっては、自分に都合のいい政権を立てたかったけれ
ども、
国民はやはりサンディニスタ政権を選んだというふうに思うわけです。
しかし、これはどちらであるかということですが、昨年の八四年は、あなたがおっしゃるような六八%しかとれなかったという意見もあるというあの選挙ですが、ここで初めて総選挙がやられたわけです。果たして民主的な選挙が行われるかどうかということで、ヨーロッパその他の国からさまざまの
立場の観察者が選挙を見にきたわけです。それは数百万と言われています。選挙の仕方を見たわけですね。その中にイギリスの政治家もいたわけですが、この選挙の民主主義は完璧だったとイギリスの政治家が驚嘆しているほど、民主的であったと言われています。
言われたとおりに七党が出たわけですが、与党はこのサンディニスタ政権、それから野党が六党という形で選挙がやられました。選挙費用も、国の予算で平等に各党に分けられたし、テレビ宣伝も非常に平等で、むしろ
日本より平等だったのではないかとさえ思うぐらいに、与党が一時間であれば、野党は六党あるわけですから六時間ということもやりました。そして、あなたがおっしゃったように、選挙をボイコットした人たちもいますが、この人たちも選挙中、新聞を自由に町で売っていた。こういうふうに反対派の自由も保障しながら、その中で選挙をやられたわけです。そして、政情不安定、不安定と言われている中で、三千八百九十二カ所の投票所の中で、暴力で攪乱されて投票できなかったところはわずか九カ所です。その結果、投票率は七五%と記録的な数字を出しております。
一昨年の
日本の総選挙とちょっと比べてみてください。
日本の総選挙は六八%でした。この七五%の投票率の中で、サンディニスタ民族解放戦線の得票率は六七%。三分の二の支持を得たということは、
国民の圧倒的支持と民主的な手続をもってできた
政府であるということが、数字でもってはっきりしているではありませんか。この
政府が、わずか六七%しかとれなかったからこれがいいかげんなもののようなこういう
発言というのは、それならば一昨年の総選挙は、自民党は四五%しかとれていません。ということは、自民党政権もいいかげんな政権だということにつながるのでしょうか。
アメリカの大統領選挙もこの
ニカラグアと同じ時期にやられたわけですが、投票率は五三%ですよ。非常に少ない。レーガンがとったのが、この中の五八%です。選挙制度が違いますけれ
ども、全有権者という点で
考えますと、ロン・ヤス仲よく二国とも三〇%そこそこしか票をとっておりません。しかし、このサンディニスタは、全有権者数の五〇%を超えている支持をとっているわけです。こういう国に対して、わずか六七%しかとれなかった、こういう言い方をなさるというところに、やはり
アメリカベったりの姿勢、
日本の独立ということを失っているのではないかと私は思うわけです。
もう
一つ言わせていただきます。それは、私が
ニカラグアの肩を持つだけで言っているのではなくて、この五月の七日に
アメリカの経済封鎖に対して非同盟国は百一カ国集まりまして、非難声明をしております。それから、国連緊急安保
理事会でも
アメリカが孤立しています。先ほどお話ししました
中南米機構の十五日の
会議でも、いろいろな国が
援助をするということを言っているわけです。医薬品だとか、そういったものを
援助するということを言っているわけです。
そういう点で外相にお聞きしたいわけですが、こんなことをしていれば、
アメリカはもう現在世界の孤児になっている。こういうものに
日本だけがついていく。この間の
外務委員会では、エルサルバドルもそうだというふうに言われましたが、この二国だけが
アメリカについていくということでは、あなたは来年の東京のサミットには発展途上国をもというふうに言われますけれ
ども、これでは
日本は発展途上国をすべて敵に回してしまうのではないでしょうか。むしろ、ロン・ヤスと仲のいい間柄ならば、
アメリカの過ちに対しては忠告をすべきじゃないでしょうか。
先ほどの社会党議員の
質問に対しても安倍さんは、すべて
アメリカの言うとおりに動いているのではないというふうに言っていられましたが、このように世界の孤児になるような
ニカラグアに対する経済封鎖に理解を示すという態度では、これは本当に大変なことになると思います。そういう点でぜひ安倍外相に、レーガンに忠告をするように、シュルツ氏に忠告をして封鎖を解くように、緊急に
日本外務省が動いていただきたいと思います。その点で、外相の御意見をお聞かせください。