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1985-08-20 第102回国会 衆議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年八月二十日(火曜日)     午前十時三十一分開議 出席委員   委員長 三ツ林弥太郎君    理事 鹿野 道彦君 理事 久間 章生君    理事 津島 雄二君 理事 三塚  博君    理事 小林 恒人君 理事 吉原 米治君    理事 近江巳記夫君 理事 河村  勝君       佐藤 文生君    関谷 勝嗣君       近岡理一郎君    林  大幹君       福家 俊一君    山村新治郎君       若林 正俊君    兒玉 末男君       左近 正男君    田並 胤明君       富塚 三夫君    薮仲 義彦君       梅田  勝君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山下 徳夫君  委員外出席者         内閣審議官   松山 雅昭君         日本国有鉄道再         建監理委員会事 林  淳司君         務局次長         警察庁刑事局審         議官      仁平 圀雄君         防衛庁防衛局運         用課長     大森 敬治君         国土庁土地局土         地政策課長鯉  河原崎守彦君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括 棚橋  泰君         審議官         運輸省国際運輸         ・観光局長   仲田豊一郎君         運輸省航空局長 西村 康雄君         運輸省航空局技         術部長     大島 士郎君         運輸省航空事故         調査委員会事務 藤富 久司君         局長         日本国有鉄道総         裁       杉浦 喬也君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道経         理局長     前田喜代治君         参  考  人         (日本航空株式         会社代表取締役 高木 養根君         社長)         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ――――――――――――― 六月二十五日  一、地域交通整備法案小林恒人君外六名提   出、第百一回国会衆法第二四号)  二、交通事業における公共割引国庫負担に関   する法律案吉原米治君外六名提出、第百一   回国会衆法第二五号)  三、都市における公共交通環境整備に関する   特別措置法案左近正男君外九名提出衆法   第一九号)  四、陸運に関する件  五、海運に関する件  六、航空に関する件  七、日本国有鉄道経営に関する件  八、港湾に関する件  九、海上保安に関する件  一〇、観光に関する件  一一、気象に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  航空に関する件(日本航空機墜落事故問題)  海運に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ――――◇―――――
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  航空に関する件、特に日本航空一二三便ボーイング747SR-100型機墜落事故について調査を進めます。  この際、去る八月十二日、日本航空機墜落事故でお亡くなりになられた多数の方々に、本委員会といたしまして深く哀悼の意を表し、御冥福を祈り、黙祷をささげたいと思います。  全員御起立を願います。――黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 黙祷を終わります。御着席を願います。
  4. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件について、本日、日本航空株式会社代表取締役社長高木養根君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと任じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  6. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 この際、日本航空機墜落事故について運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山下運輸大臣
  7. 山下徳夫

    山下国務大臣 私は、航空交通の安全の確保航空行政の最も基本的な課題であると確信して、従来から安全対策に最大限の努力を傾注するよう関係者指導してきたところでありますが、去る八月十二日、日本航空一二三便ボーイング747型機(乗客五百九名、乗員十五名)が墜落し、多数の死傷者が発生したことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。  この事故により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、御遺族方々衷心よりお悔やみ申し上げる次第であります。また、負傷されました方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げる次第でございます。  政府といたしましては、捜索救難活動を強力に推進するため、直ちに持ち回り閣議により日航機事故対策本部を設置し、本部では、きのうまでに七回にわたり会議を開き、生存者救出遺体の搬出に全力を尽くすことを申し合わせ、関係機関連絡調整を密にすることにより、事後対策の万全を期してきたところであります。  現在、関係機関総力を挙げた遺体、遺品の収容確認作業が鋭意続けられているところであり、今後ともその作業全力を傾注してまいる所存であります。  また、事故再発防止のため、事故原因究明を急ぐとともに、ボーイング747型機の垂直尾翼及び胴体圧室後部の一斉点検指示したところでありますが、今後かかる事故が二度と起こらないよう航空機安全確保に万全を期してまいる所存であります。  事故の内容及び対策実施状況については政府委員より説明させますので、よろしくお願い申し上げます。
  8. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 引き続き政府当局から説明を聴取いたします。西村航空局長
  9. 西村康雄

    西村説明員 日本航空一二三便の航空事故に関しまして、事故概要対策実施状況について御報告申し上げます。  この事故は、八月十二日十九時ごろ発生いたしまして、群馬県、長野県境三国山付近に墜落いたしました。事故機は、日本航空所属ボーイング式747SR-100型、航空機登録番号JA八一一九でございます。この航空機日本航空の一二三便で、東京国際空港を十八時に出発し、大阪国際空港に十九時に到着する予定の便でございました。搭乗者乗客五百九名で、うち幼児が十二名でございます。また乗員は十五名で、搭乗者総計は五百二十四名となります。乗員は、機長高濱雅己(四十九歳)ほか十四名でございます。  事故に至る経過と捜索活動概要を申し上げますと、事故機は、八月十二日十八時十二分に東京国際空港を離陸し、大阪国際空港に向け飛行中、十八時二十五分伊豆半島東方上空に至りまして、東京航空交通管制部に対して異常事態が発生した旨の緊急連絡を行っております。そして東京国際空港へ引き返すことを要求しております。東京航空交通管制部は、直ちに大島上空を経由して同空港へのレーダー誘導を行うために右旋回して東方向に戻るよう指示を行いましたが、同機からは操縦不能という報告がございました。事故機はさらに北西に向かいまして、駿河湾上空を横断して焼津付近上空において進路を北にとり、不安定な飛行を続けながら富士山の西側の上空を通過し、北東に向かいました。大月付近上空では高度を下げつつ北上し、十八時五十七分、東京国際空港から磁方位三百八度五十九海里の地点で羽田レーダーの画面から機影が消失いたしました。  関係機関は直ちに捜索業務を開始しまして、夜を徹して、自衛隊、警察消防等関係機関によりまして、空と地上からの墜落現場捜索が続けられまして、翌八月十三日の早朝、群馬県、長野県境三国山付近に墜落していることが確認されたわけでございます。  事故対策概要でございますが、今回の事故の重大さにかんがみ、捜索救難活動を強力に推進するため、事故の発生いたしました八月十二日、直ちに運輸大臣本部長とする日航機事故対策本部を設置いたしまして、既に七回にわたり会議を開き、生存者救出遺体収容全力を尽くすことを申し合わせ、関係機関連絡調整を緊密にいたしまして、事後対策の万全を期してきたところでございます。  また、運輸省について申し上げますと、事務次官を長とする事故対策本部事故発生後直ちに設置して、関係機関との連絡体制をしいているところでございます。  現地における捜索救助活動のあらましについて申し上げます。  八月十三日午前十一時五十分、群馬県多野郡上野村に現地における捜索救助活動に当たる体制として現地対策本部が設けられました。現地における捜索救助に当たっております要員、そして機材の出動状況について申し上げますと、防衛庁は今日まで約二万二千五百人、車両三千二百六十両、航空機延べ二百機という数の出動をしております。そして警察関係でございますが、延べ一万八千人、車両延べ三千二百両、航空機延べ四十機が参加しております。また消防関係人員約一万二百人、車両約四百両、航空機二機が参加しております。海上保安庁人員一千四百人、航空機三十八機、船艇五十一隻で、海上捜索に従事したもの及び陸上からの作業に従事したものでございます。  このような関係機関捜索救助活動の結果、生存者救出は、八月十三日午前、四人の生存者が発見されたわけで、生存者は、吉崎博子さん(三十五歳)、吉崎美紀子さん(八歳)、川上慶子さん(十二歳)、落合由美さん(二十六歳)で、いずれも女性でございます。  遺体収容確認でございますが、これに現在総力を挙げております。八月十九日二十三時現在では、収容遺体総数四百八十八体、身元確認がなされた遺体は三百九十三体となっております。  事故調査でございますが、航空事故調査委員会は十三日事故現場における調査を開始いたしました。現在、墜落現場におきまして調査実施しておりますが、別途八月十四日午後発見されたボイスレコーダーフライトレコーダー調査、解析を行っております。昨十九日夕刻、ボイスレコーダーの粗解読を終えまして、公表いたしました。  それから、浮遊物漂着物でございますが、これは相模湾付近の海域で八月十三日に垂直安定板前方上部が発見され、また八月十四日に補助動力装置空気取り入れ口のダクトと下部方向舵の表面が、さらに十五日に垂直安定板前方上部の一部が発見されたわけでございます。その後も事故機機体の一部と見られる物件が数多く湘南海岸等に漂着しております。海上保安庁では現在引き続き海上捜索を進めているところでございます。  それから、今回の事故原因につきましては、現在航空事故調査委員会調査中ではございますが、垂直尾翼損傷事故原因端緒であるという疑いが強くなってまいりました。そこでとりあえず八月十五日に、日本航空、全日本空輸、日本アジア航空日本貨物航空、この四社がボーイング747型の飛行機を所有しておりますが、この四社に対しまして、垂直安定板方向舵について所要の検査を実施して、ふぐあいがあれば修理するよう指示いたしました。さらに八月十七日に、垂直尾翼損傷胴体の与圧室後部構造の破壊から派生してきたという可能性もあろうかということで、上記の指示のほかにさらに胴体圧室後部構造点検項目として追加した次第でございます。  現在までの事故対策概要は以上のとおりでございます。
  10. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 以上で説明は終わりました。  次に、高木参考人から発言を求められておりますので、これを許します。高木参考人
  11. 高木養根

    高木参考人 日本航空社長をいたしております高木でございます。  去る八月十二日、群馬県、長野県境三国山付近におきまして弊社航空機墜落事故により極めて多数の方々のとうといお命を亡くし、また四名の方々に重傷を負わせるという大惨事を引き起こしましたことは、まことに申しわけなく、衷心より深くおわび申し上げます。  三年前の羽田沖事故に続き、再びこのような大惨事を引き起こしましたことは、まことに申しわけなく、ただただおわび申し上げる次第でございます。  御遺族並びに御被災者方々のお気持ちを考えますと、まことに申しわけないという気持ちでいっぱいでありまして、断腸の思いでございます。お亡くなりになられました方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、御遺族皆様に対しまして深く哀悼の意を表させていただきます。また、負傷されました方々の一日も早い御回復衷心よりお祈り申し上げる次第でございます。  これまで私どもは、安全運航確保会社経営至上命題といたしまして、全社を挙げて安全な運航確保と完全な整備実施に取り組んでまいりました。にもかかわりませず、今日このような大事故を引き起こし、国民の皆様方に多大の御迷惑をおかけする事態に立ち至りましたことは、まことに申しわけなく、ただひたすらおわび申し上げる次第でございます。公共輸送機関に携わる者といたしまして、責任を痛感しているところでございます。  御被災者救出並びに御遺体収容確認等捜索救難活動に際しましては、上野村、藤岡市、群馬等地元方々を初め運輸省防衛庁警察庁、消防庁、海上保安庁等多くの関係機関皆様の御協力をいただき、心から感謝いたしております。現在もなお、困難な状況の中で捜索救難活動実施していただいているわけでございますが、本当にありがたく、関係者皆様衷心よりお礼申し上げます。  御被災者並びに御遺族方々に対し弊社のとりました応急措置につきましては、事故発生後、直ちに羽田事故対策本部を設置するとともに、現地並びに藤岡市に千二百人に上る社員を派遣し、藤岡市に現地対策本部を設けて、御被災者及び御遺族方々お世話全力を尽くしている次第でございます。しかしながら、突発的な事態のため、遺憾ながら種々至りませぬところもありましたこととまことに申しわけなく存じております。事故発生直後より御遺族及び負傷されました御乗客方々に対しましては、それぞれ専任の世話役を任命し、お世話に当たっておりますが、今後も引き続きその任に当たらせることといたしております。さらに将来にわたりまして、御被災者及び御遺族皆様方お世話に万全を期するために、去る八月十三日付で「JA―八一一九号機事故被災者相談室」を弊社本社内に、また「JA―八一一九号機事故被災者大阪地区相談室」を弊社大阪支店内に設置いたしました。  今後の問題ではありますが、補償の問題につきましては、御負傷者並びに御遺族皆様方の御納得が得られますよう誠心誠意対処してまいる所存でございます。  事故原因につきましては、現在、御当局におかれまして、航空事故調査委員会中心に御調査を進められておりますので、真相の究明はその調査結果をまつといたしまして、私どもは八月十五日に御当局から御指示のございましたB747系列型機の一斉点検実施のみならず、事故につながる可能性のある要因を徹底的に洗い出しまして、直ちに具体的な対策を立て、早急に実行に移してまいる所存であります。  航空輸送に携わる者として、安全性確保至上命題であると認識いたしております。このことは全社員も同様でございます。しかしながら、今回このような大事故を引き起こしましたことは、まことに申しわけなく、重大な責任を感じております。  社内運航管理体制整備点検体制はもとより、社内の全部門にわたりいま一度徹底的に点検し、事故絶滅に向け、全役職員一丸となって努力を重ねてまいる決意でございます。  何とぞ今後とも御指導、御叱正を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
  12. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これにて高木参考人発言は終わりました。  高木参考人は退席していただいて結構でございます。     ―――――――――――――
  13. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鹿野道彦君。
  14. 鹿野道彦

    鹿野委員 質問に先立ちまして、今回の日航ボーイング747の墜落事故に際しまして、とうとい命を失われた方々に対しまして、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。御遺族方々に対しまして、心よりお悔やみ申し上げます。そして四名の生存者方々の速やかなる回復を祈るものであります。  今回の大事故、まさに衝激的な大惨事であります。起こってはならない、あってはならないことが起こってしまいました。振り返ってみますと、三年半前、五十七年の二月、あの日航羽田沖墜落事故、私がちょうどその当時運輸政務次官の任に当たっておりました。運輸政務次官という立場において、二度とこのような事故を起こしてはならないと心に誓ったものであります。それが今回のこの大惨事であります。犠牲となられた人々の無念さ、遺族、親族の方々の心情を思いますとき、どう申し上げたらいいか、言葉もございません。  運輸行政の根幹は安全の確保である、このような基本的な考え方を運輸大臣はどのようにお考えでございますか。
  15. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいま御指摘のとおりでございまして、これは航空機に限らずすべての交通機関の基本的な問題がすべて安全の確保から出発するという信念のもとに、私は国会におきまして、その私の気持ちも今日まで披瀝してまいりましたし、また披瀝しましたとおり事務当局にも常にそのように指導をしてまいった次第でございます。  とりわけ航空機が非常に大型化してから、今度はその最も悪い面が出てきたわけでございますけれども、そういう点を考慮しながら、航空機事故が直接死につながるという点を考え、航空機整備点検等法に決められたこと、あるいは全般的に特に航空機については注意するようにということをかねがね申しつけてまいりましただけに、今回の事故につきましては、まことに遺憾のきわみだ、かように理解をいたしておる次第でございます。
  16. 鹿野道彦

    鹿野委員 このような大惨事は本当にもう二度と起こしてはならないわけであります。そのためにも、どうしてこのような大惨事になったか、原因究明を徹底的になさなければなりません。機体残骸調査なりフライトレコーダーボイスレコーダーの解析なり、あるいは奇跡的に助けられたところの四名の方々の証言なり、そういうところから原因究明調査が進められておるわけでありますけれども、現時点におきましてはどう考えておられるのか、そしていつの時点でこの原因究明されるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  17. 山下徳夫

    山下国務大臣 運輸省航空事故調査委員会は、事故発生が十二日の夜遅くでございまして、その翌朝、いち早く委員長以下十三名、現地に派遣いたしまして、直ちに事故調査に入った次第でございます。  関係者協力を得ながら鋭意やったことはもちろんでございますが、主たる調査の目標は残骸調査機体残骸でございます、あるいは海上から拾い上げましたこれまた機体残骸、破片でございますが、それらについて今日鋭意原因究明、解明に当たっておる次第でございます。同時に、今お話がございましたボイスレコーダーフライトレコーダーにつきましても、既にこれらの分析等に入っておりますが、特にボイスレコーダーにつきましては、昨日粗解読と申しましょうか、おおよその解読が終わりましたので、直ちに記者団にも発表いたしまして、これは公表いたした次第でございます。ただ、粗解読と申しますのは、まだ若干解読できないところがある。同時にまた、どなたがこれを話されたか、それがわからないという若干の問題がまだ残っておりますので、鋭意こういう問題についても引き続き解読努力をいたしてまいりたいと思っております。  なお、生存された方々からの事情の聴取でございますけれども、なるほど病状は回復に向かっておられますけれども、やはり精神的な安定面がまだ不十分であるということでございますので、質問事項を絞って、院長その他を介しまして間接的に回答を求めるということでございますが、いずれある程度の精神的な安定が得られました場合には、さらに事故調査委員会等も直接いろいろと伺ってみたい、こういうことでございます。  いつごろ調査の結果が判明するかということでございますが、ようやく調査が本格化した段階でございますので、これからということでございますから、残念ながら今の時点におきまして、おおよそいつということを私から御回答できないことをひとつ御了承いただきたいと思います。
  18. 鹿野道彦

    鹿野委員 一刻も早い原因究明を望むところであります。  そこで、運輸省は八月十五日と十七日、同機種であるボーイング川の一斉点検指示されたわけでありますが、その一斉点検実施状況はどうであったか、お聞かせいただきたいと思います。
  19. 大島士郎

    大島説明員 航空局といたしまして、この事故の直後、同種のジャンボ747型機に対して事故端緒となるおそれのある、あるいは可能性が強い部分につきまして緊急に一斉点検指示したところでございます。  具体的には、八月十五日に垂直尾翼構造関係について、また事故現場における調査活動状況から見まして、二日後の八月十七日には後部耐圧隔壁周辺耐圧隔壁及びその周辺胴体構造についての緊急点検指示したところであります。目下点検作業が続けられておるところでございますが……(鹿野委員「簡潔に。簡潔にひとつ」と呼ぶ)きょう現在の結果につきましては、垂直安定板及び方向舵垂直尾翼関係の特に飛行時間の古い機体について申しますと、対象十六機中十四機が終了しております。また胴体の与圧隔壁関係につきましては、古い機体について申しますと、十六機中十三機が終了しておりまして、いずれも二十二日までの間にすべて完了する予定でございます。  古い機体について特に重点的に申し上げました。結果につきましては、現在までのところ、特に飛行に影響を及ぼすような種類のふぐあいは発見されておりません。
  20. 鹿野道彦

    鹿野委員 引き続きこの点検の徹底、そして対策、適切な措置をとられることを強調しておきたいと思います。  そこで、先ほど申し上げましたとおりに三年半前、あのような大事故が起き、そして今回の大惨事であります。日航のいわゆる安全の管理体制に問題がなかったのかどうか、その後どのように運輸省として指導してこられたのか、その辺のところを率直にお尋ねをしたいと思います。
  21. 大島士郎

    大島説明員 五十七年の羽田沖事故の後、乗員管理体制中心としまして、日本航空運航整備部門に対する立入検査をいたしまして、その結果、乗員管理体制運航整備についての改善事項を指摘いたしました。その後、臨時の立入検査あるいは年間を通じて行っております立入検査においてその実施状況点検してきたところでございます。しかしながら、今回再び重大事故が起こったことは大変遺憾なことに感じております。そこで改めて、特に整備部門中心といたしまして、近く立入検査実施し、この時点において問題点があれば、所要措置をとっていきたいと考えております。
  22. 鹿野道彦

    鹿野委員 政府側といたしましては、今後毅然たる姿勢でひとつ監督指導、これを強く望むものであります。  そこで、今日もあの暑い中、捜索隊方々もけがをなされながらも頑張ってもらっておるわけでありますけれども、それの中におきまして、まだ百四十名の方々身元確認されておらない、こういう状況であります。今後の身元確認に万全を期されるよう、そしてまた犠牲となった方々に対しましての十分なる弔意、そして補償の問題、その後の適切なる措置につきましては、どうぞひとつ政府側におきましても非常に重要な問題としてとらえられ、万全を期していただきますよう強く望むところでございます。  終わりに、今回のこの大惨事は極めて遺憾であります。このような事故は二度と起こしてはなりません。このような事故絶滅対策について大臣決意をお聞きいたします。
  23. 山下徳夫

    山下国務大臣 私は、この事故以後、参議院における委員会の答弁あるいは各種のテレビその他で私の所信を常に申し述べてまいりました。  まず、今後二度と人災と名のつくものが起こるということは、これはもう絶対許されないことである。同時にまた、人災だけでなくても、機体構造その他について、これは国際的な条約によって製造国の協力を求めることは当然でございますし、そういう点についても徹底的に、徹底的の上に徹底的というくらいの、そんな気持ちで私はこの際これに処していかなければならぬ。私自身がかつて事故に遭い、また今回の飛行機も、実はその飛行機に私も東京まで乗って、その直後に起きた事故でございますし、何か他人事でないとみずからに言い聞かせながら、これを行政の上にしかと踏まえて反映させてまいりたい、これが私の今日の気持ちでございます。
  24. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 兒玉末男君。
  25. 兒玉末男

    ○兒玉委員 運輸大臣にまずお伺い申し上げますが、本事故が十二日後発生してから、直接大臣にも連絡をとりましたが、十三日に大臣を通して中曽根総理に四項目の緊急申し入れをしましたが、その申し入れは中曽根総理の方にはお届けしてあるかどうか、まずお伺いしたいと存じます。
  26. 山下徳夫

    山下国務大臣 事故発生の夜、先生から御丁重な御連絡をちょうだいし、また厳しい事後対策についての御指示もございましたことは、私もしかと踏まえまして、仰せのとおり総理にはお伝えいたしております。
  27. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この重大事故を解明する運輸委員会において、私は去る十六日、この委員会に総理の出席を求めるよう運輸委員会の委員部を通して申し入れました。ところが言を左右にして、この委員会には出席できない。我が党の理事の強い要求にもかかわらず、こういう大事な委員会に出ないことは、靖国神社には参っても委員会には出ないのか。国会軽視の面が私は強いと思うのでありますが、いかなる理由で総理は出席ができなかったのか、その点明らかにしてもらいたい。
  28. 山下徳夫

    山下国務大臣 そのいきさつについては私もよく存じておりません。議運等においてどのようなお計らいをいただいたかということも存じておりませんけれども、当面やはりこの問題は、所管の大臣である私の責任において皆様方にお答えし、また私の気持ちを皆さん方に率直に申し上げることによって政府の姿勢と御理解いただくというふうに私自身は考えておる次第でございますから、どうかその点はそのようにひとつ御了解をいただきたいと思います。
  29. 兒玉末男

    ○兒玉委員 総理の出席ができないことは、まことに遺憾の意を私は表明する次第であります。  そこで、まず申し入れの第一点にございましたが、生存者確認捜索全力を挙げてもらいたいということでありますが、初期捜索において、聞くところによると、群馬の相馬原の部隊等も万一に備えて待機をしておったというふうに聞き及んでおります。同時にまた、十二日の午後十時前後に運輸大臣の要請によって陸上自衛隊、航空自衛隊等の隊員が約千五百名、それから群馬県警の警察官も相当数がその夜まで動員されておったけれども、諸般の情勢から翌日の夜明けを待って捜索活動に入った、こういうふうに言われておりますが、少なくとも現在の自衛隊等の装備状況からするならば、せっかく千五百名の動員要請があった以上、夜間の捜索活動がどうしてもできなかったものか、あるいは二次災害の懸念があったにしても、現在のいわゆる自衛隊等の装備からすれば、この初期における早期捜索活動は可能ではなかったのか、その辺の見解をお伺いしたい。
  30. 山下徳夫

    山下国務大臣 実は、その翌日、私も現地に向かいまして、私のヘリコプターがこの現場を発見するのに非常に手間取ったぐらい折り重なる山でございまして、よくもよりにもよってという、何かそんな感じがするぐらい非常に険しい、しかも交通が途絶えたところでございまして、事故の発生の夜、音信が途絶えてから四分後には自衛隊の飛行機が発進した。それを契機としてあらゆる手段でもって現地確認すべく努力を払われた。翌日私は行きまして、関係者からすべてその現状を聞きまして、初動の捜索について遺漏はなかったと私は存じておりますが、詳しくは関係の官庁からまた答弁があることと思います。
  31. 大森敬治

    ○大森説明員 お答えいたします。  自衛隊といたしましては、事故発生以来、関係機関協力をして捜索救助活動全力を挙げているところでございますが、その概要につきまして、まず御報告させていただきます。  十二日の十八時五十七分にレーダーから事故機機影が消えたという情報を得まして、自衛隊といたしましては、緊急事態といち早く認識いたしまして、十九時一分に百里基地でアラート待機中のF4EJ二機を発進させ、同機は十九時十九分事故現場に炎を確認いたしました。このような状況にかんがみまして、陸上自衛隊も十九時三十分、災害派遣の準備を開始いたしました。また航空色衛隊は、現場のより正確な位置を確認するため、アラート待機中のF4EJは戦闘機でございますので、改めて百里救難隊のヘリコプター、バートル107を発進させまして、より正確な位置の把握に努めたわけでございます。  しかし、現場は非常に急峻な原生林に包まれているところでありまして、また夜間に現場を確定することは非常に困難でございました。現在、航空自衛隊の装備している位置確認の方法といたしましては、タカンといういわゆる戦術航法装置というものがございます。これは地上局とヘリコプターに積んでおります機材がこの電波を受信いたしまして、航空機と地上局との相対的位置から方位と距離をはかるものでございますが、正確な位直を確定するためには、若干機材の誤差があるということと、それからヘリコプターが事故現場の直上位に位置するということも技術的に非常に難しいことでございまして、そのようなことで誤差が出てまいりますので、地上局との位置の関係からいたしまして、事故現場からプラス・マイナス三ないし五キロの誤差はどうしても出てまいる、そういうことでございまして、現場確認には自衛隊といたしまして最大限の努力をしたわけでございますけれども、明朝に改めてヘリコプターを飛ばしまして現場確認するということになったわけでございます。  以上のような状況でございます。
  32. 兒玉末男

    ○兒玉委員 現地に救援参加している部隊の諸君をどうこうということではございません。やはり戦後最大の航空事故であり、夜間といえども現在の自衛隊の持っている装備を活用すれば、まだまだ早期の捜索活動が可能ではなかったかという点をお聞きしているわけであります。  それから、相馬原の部隊というのは一体どういう任務を与えられている部隊なのか、そのこともついでに御説明願いたいと思います。
  33. 大森敬治

    ○大森説明員 夜間の捜索活動につきまして御説明いたします。  御質問の趣旨は、夜間におきましても捜索活動を継続してという御趣旨だと思いますけれども、現在、陸上自衛隊、航空自衛隊とも照明弾というものを持っております。陸上自衛隊が装備しております照明弾は、火砲の射撃をする場合に使うものでございますけれども、火砲とともに使いますので、火砲を現場に搬入するという非常に技術的といいますか、ほとんど不可能な状況にございました。また航空自衛隊も照明弾を装備しておりますが、現在、航空自衛隊が装備しております照明弾は、洋上で航空機が遭難したときの救難用の照明弾でございまして、航空機と海面との相対的な位置関係を識別するというものでございまして、光量の点で十分なものではございません。ただ、仮に照明弾を大量にヘリコプター等で落としまして現場付近を照射するということも考えられるかもわかりませんけれども現場は原生林に覆われたところでございまして、山火事を起こす可能性もありますので、諸般の事情を考えまして照明弾の使用は見合わせたわけでございます。  また、バートル107というヘリコプターもサーチライトを持っておりますが、サーチライトは夜間にヘリコプターが着陸する場合の照明用として使うもので、視認範囲が約三十メートル程度でございまして、起伏が大きい原野におきまして長期間捜索するには無理だということで、その使用も見合わせた次第でございます。  それから、相馬原におります第一二師団でございますが、陸上自衛隊の普通科部隊を中心とする師団でございまして、災害派遣その他がありますときには出動する任務を持っておるわけでございます。先ほど簡単に触れましたように、一二師団も緊急事態との認識のもとにいち早く災害派遣といいますか捜索部隊を急遽編成いたしまして、その準備にかかり現場に向かったわけでございます。
  34. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この問題だけを論議するわけにもまいりません。これから自衛隊としてもあらゆる場合を想定した救援活動というふうに部隊の編成等をさらに検討されて、山あり谷ありあるいは海あり、そういういろいろな状態に対応できるように格別の御検討を私は要望いたします。  それから第二点として、昨年四月の沖縄におけるアジア航空のDC8の事件、さらにはまた今回の事件についても、その経過を明らかにしながら国民の前に明確にすることが、遺族方々の不安を解消することでもあろうかと私は存じます。しかも、アメリカ等は本年八月二日の事故でも、もう三日には全部を公表する、そういうスピーディーな行動がとられておるにかんがみ、アジア航空の昨年四月の那覇空港事故も、その内容が全く解明されてない、こういうことではやはり航空事故に対する国民の疑惑が深まるばかりであります。これらの点について航空局はどのような処置を考えているのか、明らかにしてもらいたい。
  35. 藤富久司

    藤富説明員 お答えいたします。  ただいま先生のお申し出のありましたアジア航空事故につきましても、当航空事故調査委員会におきましては鋭意調査を続けておりまして、間もなくその最終報告を出す段取りになっているところでございます。
  36. 兒玉末男

    ○兒玉委員 一年以上経過するこの事故の結果がいまだに公表できないということは、やはり調査当局としても積極的な解明が足りない、このように私は判断せざるを得ません。今回もまた、ましてこういう重大事故でございますから、その原因、結果、関係はできるだけ早く解明できることを強く要望いたします。  次に申し上げたいことは、この前大臣にも申し入れしたように、まず当面ジャンボ機の至急点検を行うべきである。現在国内に七十機運用されておるようでございます。日本航空、全日空、日本アジア航空日本貨物航空、こういう点等において具体的に点検の日程等はどういうように確定をされているのか、また点検の具体的な内容等はどういう方法で行われておるのか、この点について航空局説明をお願いします。
  37. 大島士郎

    大島説明員 今回の事故の後、事故現場における残骸状況あるいは相模湾において揚収いたしました機体の部品等の状況にかんがみまして、航空局としては事故三日後の八月十五日に、とりあえず国内の航空四社が保有しておりますジャンボジェット機全機について、垂直尾翼の特別点検指示したところでございます。その後、残骸の発見の状況に合わせまして、二日後の八月十七日には、後部耐圧隔壁及びその周辺胴体構造につきましても緊急点検を追加指示したところでございます。  指示の内容につきましては、垂直尾翼関係では、一万五千飛行回数以上のジャンボ機については百飛行時間以内、一万五千飛行回数以下の比較的若い機体につきましては、飛行時間三百時間以内に点検を完了せよというものでございます。また後部耐圧隔壁関係につきましては、比較的古い機体の、一万五千サイクル以上のものについて、百時間以内に点検することを指示したものでございます。  点検は現在進められておりまして、きょう現在では、垂直尾翼関係では古い機体の対象十六機に対して十四機が完了しております。また比較的若い機体につきましては、対象五十三機中十四機が完了しております。また後から指示いたしました後部胴体の耐圧隔壁関係につきましては、古い機体のみでございますので、対象十六機中十三機が現在まで完了しております。完了の予定は、古い機体につきましては二十二日中、また若い機体も含めました全機につきましてはおおむね八月末に完了する予定となっております。現在までの点検の結果でございますが、安全上特に問題になるふぐあいは発見されてないと報告を受けております。
  38. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ただいま御説明がありましたが、先ほど自民党の部会長も言われたとおり、事故再発防止という点からするならば、今おっしゃったような程度で完全防止が可能かどうか、この点を再度確認したいと思います。
  39. 大島士郎

    大島説明員 ただいまの措置は、本事故にかかわる緊急の点検指示でございます。  ボーイング747全体につきましては、私どもも日ごろから整備品質等につきまして報告を受け、実態を把握しつつ指導しているところでございまして、当面ほかの部分の機体構造につきましては、現在行われている点検方式で特に問題ないと考えております。
  40. 兒玉末男

    ○兒玉委員 今回の一二三便は、先般大阪空港でしりもち事故を起こして約二十五名が重軽傷を負ったといういわくつきの飛行機であります。その際はボーイング社の技術者が点検修理をして、運輸省は故障状態回復というオーケーを出しているわけでございますが、これを契機に製造元であるボーイング社とも緊密な点検活動等を総合的にすることが極めて大事じゃないかと思っておりますが、その点どういうふうな見解をお持ちなのか、お伺いしたい。
  41. 大島士郎

    大島説明員 ただいま先生御指摘の大阪空港における地面接触事故につきましては、昭和五十三年六月二日に起こしたものでございます。その後、胴体下部構造中心といたしまして、日航からの委託によりボーイング社が修復いたしたものでございます。同機は、五十三年七月十二日に航空法に基づく修理改造検査に合格して、運航に復帰しております。本件事故とこのときの事故との間の関係は、現在事故調査が進められている段階でございますので、必ずしも明確ではございません。  ボーイングとの連携につきましては、ボーイングはこのジャンボジェットのメーカーという立場から日ごろから技術関係の連携を密にしておるところでございますが、近く行うことにしております立入検査等の結果も踏まえまして、ジャンボの整備状況整備体制に改善を加えるべき点があるかどうか検討していきたいと思っております。
  42. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間が限られておりますが、これはまた後日当委員会で審議するわけでございますけれども、アメリカのボーイング社が日本に持ってきてから内部構造をかなり変えている。例えば座席等の場合、乗客数がかなりふえているということも聞き及んでおりますが、その辺、内部構造についてはどういうような指導をしているのか、お伺いしたいと思います。
  43. 大島士郎

    大島説明員 ジャンボジェットの乗客定員につきましては、製造国政府である米国の搭乗者限界に基づいて我が国も審査を行って承認しているところでございます。
  44. 兒玉末男

    ○兒玉委員 座席数はどういうふうな基準になっているかということを聞いているわけですよ。
  45. 大島士郎

    大島説明員 座席数の決定につきましては、緊急事態における脱出の問題が非常に大きい要素になっておるわけでございます。ジャンボ、747の脱出口の大きさ、数等に合わせまして最大の搭乗者が決められるわけでございますが、これについては製造国政府の証明を得た上で我が国でも審査しているわけでございます。
  46. 兒玉末男

    ○兒玉委員 座席数の制限があると思うのですよ。全体の空間を考えて、例えば五百二十名とか五百名とかそういう基準があるかどうかということをお聞きしているわけです。
  47. 大島士郎

    大島説明員 基準につきましては、各型式の機体によって異なっておりまして、つまり基準そのものは脱出性、先ほど申し上げました脱出口の数、大きさに基づいて決められるようになっております。
  48. 兒玉末男

    ○兒玉委員 抽象的ですね。許容限度は何名かということを聞いているわけですよ。そのことを教えてください。
  49. 大島士郎

    大島説明員 現在の747の構造上、最大の乗客数は五百五十と私ども承知しております。五百五十人でございます。
  50. 兒玉末男

    ○兒玉委員 今日のようなこういう緊急事故の場合、やはり乗員が幾らかでも脱出しやすい、あるいは機内においてもできるだけ危害防止に対応できるようなスペースがあってしかるべきではないかと思うのですが、乗務員等の意見を聞くと、なかなかそれが手狭で思うようにできない、こういう批判が出ておりますが、その辺はどういうふうに理解をされておりますか。
  51. 大島士郎

    大島説明員 その点につきましては、製造国政府の審査の状況、これも踏まえまして決めていることでございます。私どもは現在の定員で緊急脱出に十分な余裕があると理解しておるところでございます。
  52. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間があとわずかでございますが、次に、日航の乗務員等々の管理体制についてお伺いしたいわけでございます。  現在、日航には六百名の機長がいるわけでございます。これは全部管理者であって組合員ではない。世界の航空界の趨勢から見れば、例えば全日空、東亜国内航空等の機長は全部組合員であります。だから、その立場からいろいろな事故解明なり、また問題等についても忌憚ない意見が出されておるわけでございますが、日本航空の場合は機長が組合員じゃないということで、かなり機長の発言等が規制をされているやに聞いております。また世界の航空界でも、機長が組合員でないということは、よその国から見ても異例だ、こういう指摘があるわけでございますが、これは航空局の見解を承ります。  同時に、この大きな会社において、例えば乗務員あるいは客室乗務員、また航空機関士等々、こういう人たちが三位一体となったところの定期的な安全委員会を開くことによって問題の解決に大きく寄与することが可能だ。ところが機長は組合に入ってないということから、なかなかその発言の場が自由でないということも私は聞き及んでおるわけでございますし、全日空や東亜国内航空とは非常な違いがある、そこに私は全体の労務管理体制と安全委員会におけるところの十分な討議が欠けているんじゃないかというふうに感じますが、その辺、航空局はどのような御指導をしているのか、お伺いしたい。
  53. 西村康雄

    西村説明員 機長が組合員か管理職かという問題につきましては、私どもこのことが航空機の乗務体制の安全管理という面から特に支障があるというふうには考えていないわけでございます。と申しますのは、実際に現場で安全管理の問題をするのに、組合員であるからとか管理職であるからといって、現実に発言することに制約がされているという事実は私ども認識しておりません。むしろ現場でいかにお互いが話し合うかということでございますが、組合員であるか管理職であるかということを通じまして、お互いの意思の疎通が図られないということはあり得ないことだと思いますし、現実にどのようなやり方がいいかというのは各社の事情によっていることでございます。国際的にも別に機長が組合員でないというところもあるわけでございますから、そういうことで安全性を失うということがあればもちろんこれは改める必要がありますが、私どもはそういうことは考えておりません。むしろこれから、今の日本航空の実情に即して、各部署で考えている安全問題を、いかに部内で十分に討議して、それを現実の安全施策に反映させるかという仕組みを合理的なものにつくり上げていくということが必要でございますから、それについては私ども日本航空に対して、今回の事故をきっかけにもう一度検討することを求めてまいります。しかし、それが直ちに、今も申し上げましたように、組合員であるか組合員でないかということに本質があるかどうかという点は、そのように考えておりません。
  54. 兒玉末男

    ○兒玉委員 局長、一つ答弁が抜けていると思うのですよ。いわゆる安全委員会、今申し上げたようなことが行われていないというように聞き及んでおりますが、安全委員会の制度はどういうように御指導なさっておるか、それをお伺いしたいと思います。
  55. 大島士郎

    大島説明員 安全委員会という名称のものがあるかというお尋ねでございますが、特にそういう名称のものはないと思っております。しかし、名称は別にいたしまして、日本航空全体として運航の安全を監視、観察する部門もございますし、また安全上の問題をいろいろな日常の企業活動で吸収し改善していると私どもは理解しておるところでございます。
  56. 兒玉末男

    ○兒玉委員 全日空とか東亜国内航空等にはそういうような制度があると聞いております。日航だけがない。これは制度の問題であるから千差万別でしょうけれども、より安全に運航するためには、お互いの衆知を絞ったそういう制度があってしかるべきではないか、こう私は考えるわけであります。東亜国内航空だろうが全日空だろうが、やはりいい点はそれを取り上げる、制度として持ち込むというふうな謙虚な気持ちがないから、このような事故が発生する一つの要素になっているのじゃないかというふうに私は考えますが、航空局としては、他社の例にならってやはりお互いが謙虚に意見を持ち寄って、一体となって飛行機の安全が確保できる、こういうシステムを採用することが極めて大事ではなかろうかと私は考えますが、いかがでございますか。
  57. 大島士郎

    大島説明員 日本航空には、安全対策を検討する部門といたしまして、総合安全推進部という部がありまして、そこにおいて総合的に安全を横の立場から観察している、あるいは改善意見を出している、こういう組織でやってございます。総合安全推進部の活動につきましては、今後私どもも注意をして強化充実の方向を指導していきたいと思います。
  58. 兒玉末男

    ○兒玉委員 そのことを強く私は要望申し上げておきます。  横長が組合員であるとかないとかいうことではないわけですよ。最高責任者である機長は、いかなる事故に遭遇しても、いかなる場においても、総体的な安全の責任者であり、機長の責任は重いわけですから、その場合にはやはりいかなる場合でも自由に意見の言えるような体制づくりを私はこの際希望したいと思っております。  最後に、今回の事故についてでございますが、一体事故原因は何であり、その責任はどこが持つのか、日航運輸省があるいはこの製造元が、その辺の責任分野ということも明らかにしておかなければ、これから遺族補償の策定なり、今後の問題解決についても、これが重要なポイントであろうかと存じます。これについて大臣の御所見なりあるいは航空局の見解を承りたいと存じます。
  59. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほどから申し上げましたように、いち早く航空事故調査委員会現地に派遣いたしまして、今日まで鋭意調査に努めております。原因が解明されなければ、その責任の所在というものは明らかにならないのは当然だと思っておりますし、そういう意味におきましては、まず第一に、原因究明をより正確により一日も早くこれが行われますようにまず努力し、その後に、ひとつそのことによって責任というものの所在を明らかにしてまいりたいと思います。
  60. 兒玉末男

    ○兒玉委員 今回の事故をめぐって社長の首を据えかえるとかなんとか巷間言われておりますが、これは運輸省日航等全体の非常に重大な責任でございます。これからの経営上の問題を含めて、運輸大臣としても総理とも相談されながら、やはり画期的な方向をとらなければ、またこの事故が起きるという危険性は十分内包されていると私は確認をするわけであります。  最後に、遺体収容等でございまするが、事件が発生してからようやく七日目に大型のヘリポートができる、これらの段取りも極めて緩慢である。いま少し早急な遺体収容等を図るべきだということと、それから百二十体のまだ身元がわからない、これは警察当局の非常な力をおかりしなければ不可能であろうかと存じます。同時にまた、医師団等の協力も必要かと存じますが、自衛隊員、地元警察官等の並み並みならぬ御尽力に心から敬意を表するとともに、最後の遺体捜索まで完璧な体制で進まれるよう希望して、最後に警察庁大臣の御所見を承って私の質問を終わります。
  61. 山下徳夫

    山下国務大臣 遺体収容数がけさの八時現在で四百八十八、それから確認数が三百九十三、収容または確認されていないのが百二十七でございますが、こういう現状からいたしまして、一刻も早く収容が全部終わり、かつまた確認も全部終わるように関係省庁ともよく連絡をとりながら進めてまいりたいと思います。  なお、現地におけるヘリコプターの基地等について今御指摘がございましたが、現地に行ってみますとわかるのでございますけれども、一つのヘリコプターの基地を発生当時から使っておりましたが、これ自体も基地というよりも、基地には基準がございます、とてもその基準に合うようなものではない、むしろ着地点と言った方が正しいかもしれませんが、プロペラを回しながら着いているというような非常に危険な状態でやっておりました。そして下からいろんな資材を肩でもって担ぎ上げる、いろんな苦労をしながら、さらにそれを補強し、そしてさらにもう一カ所つくった。つくるまでのいろんな苦労を考えますと、私はあれ以上は無理だったろうかと存じますが、いずれにいたしましても、今後こういう遺体の完全な収容まで、まず打って一丸となって各省庁よく緊密なる連絡をとりながら努力をしてまいりたいと思います。
  62. 仁平圀雄

    ○仁平説明員 遺体の発見及び収容状況につきましては、現在までにおおむね終了したと見ておるわけでございますが、何分にも現場は広範囲でございますし、遺体は散らばっておるわけでございます。本日も約七百名の警察官が付近一帯に出動いたしまして捜索に当たっておるところでございます。  それから、検視及び身元確認状況でございますが、収容されました遺体につきましてはおおむね検視は終了しておるわけでございますが、一番難航しておりますのが身元確認作業でございます。現在約四百名の警察官が地元の医師会、歯科医師会等の御協力を得まして連日深夜まで作業を行っておるわけでございますが、何分にも遺体損傷が激しいわけでありますし、また連日の猛暑のために腐敗もかなり進んできておりまして、身元確認作業が難航しておるわけであります。当初におきましてはほぼ完全な遺体が多かったわけでございまして、身体特徴とか着衣、所持品等によって比較的容易に身元が判明しておったわけでございますが、次第に難しくなっておりまして、現在は遺体から歯型のレントゲンをとりまして、それを生存中通っていた歯医者さんのカルテと合わせるとかあるいは指紋を採取いたしまして、在宅指紋、御居宅から採取しました指紋ですね、等を照合するというようなことで身元確認を急いでおるわけでございます。しかしながら、現在の見通しといたしましては、全員の身元確認するということは極めて困難ではないかというふうに見ておるところでございます。しかし、いずれにいたしましても、警察といたしましては、今後とも一人でも多く、少しでも早く身元確認できますようできる限りの努力をいたす所存でございます。
  63. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは、大臣に一言御要望を申し上げます。  今回の遭難事件で防衛庁警察庁、地元消防団並びに運輸省関係者が大変な御苦労を願っておることについて、大臣からもそれぞれの箇所にひとつよろしく申し上げていただきたいと思います。
  64. 山下徳夫

    山下国務大臣 どうもありがとうございます。
  65. 三ツ林弥太郎

  66. 近江巳記夫

    ○近江委員 一機の航空機事故といたしましては世界最大の大惨事となりまして、犠牲になられた方々の御冥福を心からお祈りを申し上げる次第でございます。また四名の生存された方々の一日も早い御回復を心からお祈り申し上げる次第でございます。  事故が発生いたしまして、私も翌日すぐに我が党の多田副委員長を団長といたしまして、上野村そして藤岡市、それぞれの対策本部にも飛びまして、実情をできる限り速やかに調査をいたしました。そして十四日の午後、山下運輸大臣に緊急申し入れをいたしました。そのいわゆる骨子は、他の航空機の心配な点の総点検を申し入れいたしたわけでございます。それを受けまして、山下運輸大臣が緊急の総点検対策本部として出されたわけでございますが、山下運輸大臣が最高責任者として現在も対策本部長に就任されておられるわけでございます。今回のこの事故につきまして、大臣の所感を伺いたいと思います。
  67. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、航空機に限らず、少なくとも運輸のすべての機関につきまして、安全がまずその最大の重要事項であることは、私も常に部下に対しても申しつけ、督励をしてまいった次第でございますし、今後ともそういう方針で貫いてまいらなければならぬ、これが運輸行政の基本でなければならぬと思っております。そういった私どもの願いにもかかわらず、こういう事故が起きましたことに対しまして、改めて亡くなられた方々に対して心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族の方方にお悔やみ申し上げる次第でございます。  現在は、先ほど申し上げましたように、遺体収容はほぼ終わりましたもののまだ若干残っておりますので、さらに範囲を広げて、自衛隊や警察方々の御協力によって鋭意これの収集に努力が払われておりますし、また遺体確認もさらに進めてまいらなければなりません。  同時に、この責任の所在を明らかにし、そしてそういう事故が再び起こらないようにするというためにおきましても、事故原因究明は徹底的にやらなければなりませんので、今後こういう面にさらに力を注いでまいらなければなりません。  いずれにいたしましても、少なくとも二度とこういう事故が起こらないように心がけ、そのための万全の措置をとってまいりたいと思っております。
  68. 近江巳記夫

    ○近江委員 川上慶子ちゃんの模様がテレビで流れておりました。墜落したときにはお父さんも妹の咲子ちゃんも生きておったという証言をいたしておるわけです。初期のいわゆる救難活動におきまして、あの辺の急峻な山並み、夜間である、悪条件がいろいろあるわけでございますが、この初期の救難活動について反省はございませんか。いかがでございますか。
  69. 山下徳夫

    山下国務大臣 私自身が現場に参りまして、先ほど申し上げましたように、よりにもよってこんなに困難なところに墜落したのかなと。重なっておる非常に峻険なる山並み、道路が全くないという現状でございますが、とにかく音信を絶ちまして四分後には緊急発進を自衛隊機がやった。そしてただ炎は見えたけれども、それがどこであるかということが、そういう状態ですからなかなか確認できない。たくさんの人々、地元の消防団まで含めて、警察、自衛隊、こういう方々が夜を徹して方々から山の中を登りながら捜索をしていったというその初動の捜索について、私は全く遺憾がなかったというふうに確信をいたしておる次第でございます。
  70. 近江巳記夫

    ○近江委員 トラブルが発生してから墜落まで約四十分あるのですね。そこで、ちょっと防衛庁にお聞きしますが、皆さん方の緊急発進というのは、命令を発してから何十秒あるいは何分で飛び立つわけですか。一般の緊急出動についてちょっとお伺いします。
  71. 大森敬治

    ○大森説明員 今回の場合につきましてまず御説明しますと、今回は十八時五十七分に機影が消えたという連絡を受けまして、防衛庁といたしましては、十九時一分に百里基地のスクランブルで待機中の飛行機を転用いたしまして、十九時五分に実際に発進させております。通常の場合に、スクランブルで待機をしておりますのは五分待機で出られるということになっております。そういうふうな状況でございまして、今回の場合には指示後四分で出ております。
  72. 近江巳記夫

    ○近江委員 レーダーから機影が消えた、そして命令が下って発進している。私はこう思うのですが、今日の総合的な交通体系の中で、航空機の需要というのはますます高まってくるわけですね。今度の場合、墜落するまで四十分間あるわけですね。ところが、このボイスレコーダー等から判断しましても、機長は尾翼の破損なんということは全然気づいていないのですね。機長自身が尾翼の破損がどうなっているかということは見えないわけでしょう。そういう場合、ほかの飛行機が、破損状況がどうなっているかと接近して、そしてまたそれによって緊急態勢ということが一面考えられなかったのかということも考えられるわけですね。そういう点、航空機のそういう緊急事態事故に対する防衛庁との関係というものは、運輸省はどういうようになっているのですか。     〔委員長退席、鹿野委員長代理着席〕
  73. 西村康雄

    西村説明員 運輸省関係では羽田に救難調整本部というのを設けておりまして、今回の場合も、この機影が消失するときはもちろんでございますが、その前から十分に注目はしておりました。ただ、操縦不能という状況が入ってまいっておりましたが、これについて常時監視はしながら、実際に飛行機が発進してやるというような態勢まで、まだこの段階ではこちらも決心がつかなかったということでございます。  実際は、遭難のおそれがあるときは、直ちに東京救難調整本部から関係機関へ連絡をして一斉に捜索救難に入るということは、極めて即時に行う体制がとられております。
  74. 近江巳記夫

    ○近江委員 その遭難対策本部が要請をすれば、自衛隊は直ちに発進できるわけですね。そうすると、結局そこの本部の判断というものが、機長からの報告、そこで判断が生まれるわけでございますが、少なくとも緊急事態ということを言っておるわけですね、なぜそのときに発進をさせて状況というものをすぐに調査をしなかったのか。この辺の手おくれということはどう思いますか、その辺の対策本部としての判断が緊急にできなかったということについて。
  75. 西村康雄

    西村説明員 十八時二十五分にトラブルが発生いたしまして、その連絡が東京の航空交通管制部に入ったわけですが、このときに東京の航空交通管制部からは、緊急状態を宣言するかということを照会しましたら、宣言するということでございました。それで実際に操縦が不能というような状況に入ってまいりまして、このときに私ども東京の航空交通管制部からは、自衛隊等に対しましても、緊急状態がJALの一二三便について発生しているという連絡はいたしております。ただ、この航空機の方向がどこにどう行くかということがわかりませんし、また航空機自体を救助するということもできないので、これは実際に航空機がどこへ飛んでいくかということを注目していたというのが実情でございます。
  76. 近江巳記夫

    ○近江委員 緊急事態を宣言する、しかも操縦不能と言っているわけでしょう。なぜそれでは緊急発進をさせて――外部の破損であれば、それはパイロットはわからないわけでしょう、そのときになぜそういう判断ができないのですか。そうすればまた何らかの形で誘導する。確かに操縦困難であることはわかりますけれども、何らかの対策をとれたわけなんですよ。  あなた方は、命令系統はそういうことはやっていますけれども、実際その運用ということについて、この辺の本当の緊急のそういう判断というもの、対策本部というのはそれが一番大事なんです。私はその点は非常に手抜かりだと思うのです。その点に対して反省しているのですか、どうですか。
  77. 西村康雄

    西村説明員 非常に操縦が困難に陥っておりましたが、当時の判断としては、東京の航空交通管制部からは、関係機関に緊急状態の連絡はしております。ただそのときに、なお当事者の感じとしては、機長は羽田へ帰るということを言っておりましたので、羽田へ帰れるかどうかということを注目した。確かにその間に飛行機がさらに北方へ行って不能になり墜落したという事実が発生したわけですが、その間発進できなかったかどうかという点については、今後十分に検討してまいりたいと思います。
  78. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常にその点は残念であったと思うのです。既にこれだけの犠牲者を出してしまったわけですから、これは小さいことじゃないのです。関係各省、ひとつこの辺の緊急出動のあり方について真剣に検討していただきたい。二度とこういうことのないように今後の対策をとってもらいたいと思います。  それで、きょうは非常に限られた時間ですから、次に進みますが、この原因ですね。原因がいわゆる隔壁の破損、それから尾翼の破断、油圧系統の破砕、こういうことがミックスして起きておる。これについて七年前の大阪空港のしりもち事件、このときの運輸省の検査体制というものは、マニュアルもなしに、ただボーイング社の言うことをうのみにしておる。非常に甘い状態で放置しておるのですね。今いろいろ原因は考えられておりますけれども、そういう三つの大きな原因というものが、これは瞬時にして起きたのかどうだったのかわかりません、今後の解明を待つしかないのですけれども、今、運輸省として、この原因はどういうところが一番、まだ確定はできないにしても、どの点が近いと見ているのですか。いかがですか。
  79. 大島士郎

    大島説明員 ただいまのところ航空事故調査委員会において原因究明調査がなされているところでございます。運輸省航空局といたしましては、事故調から公表される事実に沿っていろいろ打つべき手があるかどうかを判断している段階でございます。  現在のところ、後部耐圧隔壁に疑いがあるというように一般に報じられておりますし、私ども事故と重大なかかわりのある部分だと理解しておりますが、後部耐圧隔壁が実際にどういう状態であったか、もし亀裂があったとすればどこにあったのか等々につきましては、なお調査の結果をまたなければならない状況でございます。  大阪のしりもち事故との関連につきましては、これらの調査結果あるいは調査の進展を見ながら判断すべきことであろうかと思っております。
  80. 近江巳記夫

    ○近江委員 参議院の委員会においては、しりもち事故は修復してあるから関係ないというような非常に強いニュアンスの答弁であったと聞いておるのです。そんなことは断定できないでしょう。こういう隔壁の破損であるとか、これは全部いわゆる一連のものですよ。ですから、これが事故に関係しておったということも断定できない、しかし重要な原因の一つであるということは言えるでしょう。どうなんですか。
  81. 大島士郎

    大島説明員 過日、国会におきまして、私は、大阪のしりもち事故の修復作業においては、その時点において原状に復帰した、回復したと確認して検査に合格したものとお答えいたしました。本件事故との関係については、特に関係ないという確信を得るまでには至っておりません。やはり事故原因調査が判明した時点で判断いたしたいと思っておるところでございます。
  82. 近江巳記夫

    ○近江委員 参議院の答弁から、そういう因果関係といいますか、連動しておる原因というものについて真剣にあなたが取り組んだから、今のような答弁に変わってきたわけです。こういうことがミックスして事故が起きておるわけですよ。ですから、徹底してこの原因究明に当たって、二度とそういうような事故のないように責任を持って今後進めていただきたい、このように思うのです。  先ほど高木社長がお見えになって、退席されたわけでございますけれども日航機の事故というのは余りにも多過ぎますね。これは本当にその点については、この十三年間で大事故だけで六回起きているわけですね。この事故の問題ですが、私が調べてみましたら、六月、七月の間で何と十件起きています。福岡―東京、六月三十日、JA八一一五。東京-札幌、七月二日、JA八一二〇。東京-沖縄、七月九日、JA八一二〇。皆、上がっているでしょう。それから六月十五日、香港―バンコク、七〇一便。福岡―釜山、七月一日、九七七便。ニューヨーク―成田、七月一日、DC10、四七一便。ナンディ―成田、七月十六日、七七六便。羽田―沖縄、七月二十八日、九九三便。千歳空港でまた起きていますね。それからパキスタン・カラチ、八月十七日、DC10。全部これは運輸省に報告が行っているのですか。これは運輸省から聞いたのと違いますよ。私が調査したのです。どうですか。
  83. 大島士郎

    大島説明員 日本航空の日常の運航において異常が発生した場合、いわゆる異常運航については私ども報告を受けております。またそのほかに異常運航にならずとも、整備、機材の関係で安全上影響のあるような故障については報告を受けております。
  84. 近江巳記夫

    ○近江委員 わずかなこの二月の間にこれだけ、全部重大事故にかかわるようなことばかりですよ。私もこれを調べてみまして本当にぞっとしておるのです。こんな状態なら飛行機に乗れませんよ。そういうことをあなたは報告を受けて、運輸省としては日航に対してどういう指導をしたのですか。
  85. 大島士郎

    大島説明員 機材の故障にかかわるものにつきましては、報告を受けた後、この対策についても会社の報告を受け、また月々の定例の会議におきまして、前月に起こった故障の状況、あるいは対策、とった措置、また過去数カ月にわたる整備品質の状況、最近の故障の頻度あるいはその状況等につき細かく報告を徴しておりまして、これに従いまして必要な指導をしておるところでございます。
  86. 近江巳記夫

    ○近江委員 日航整備本部ですが、昭和五十四年には四千五百六十九、五十五年、四千五百八十、五十六年、四千五百四十五、五十七年、四千五百二十、五十八年、四千四百三十一、百三十八名も減らしておるのですね。しかも日航だけではない、ほかの航空会社のそういう整備も引き受けておる。  一部これは報道もされておりますけれども、インドネシアのジャンボ機ですが、日航が委託整備を受けて酸素パイプをふさぎっ放しですよ。インドネシア航空は四カ月、知らないで運航しておる。もしも空中で大事故があって緊急に乗客に酸素を吸わせなければならないことになっても、パイプが詰まったままですよ。こんな大事件が次から次へ起きている、こういう異常な状態。これだけの大事件を起こしておいて、これは監督官庁である運輸省中心とした立入調査、いろいろなことを今後なさると思うわけでございますが、これは異常ですよ。  しかも、ここに「おおぞら」という本がありますけれども、これは七月に出ておる。高木社長は実に利益のことばかり言っていますよ。高品質商品で利益率の向上、機長に対してもガソリンを節約しろ。そうすると、今回の事故だって羽田へ回る――あの辺には、新聞にも皆書いてありますけれども、名古屋空港もあればいろいろな空港がいっぱいあるわけですよ、防衛庁の基地もあるし、浜松もあるし。そのときに機長の頭に本当に安全第一の考えがあったか。常日ごろガソリンを節約しろとか、当然ほかの基地へ行けばまた飛行機を回して乗客を運ばなければならぬ、そういう経済性ということが頭に一瞬走ったのではないか、それが判断を誤まらしたのではないかということもあるのです。この対談でも一行だけですよ、本当に安全性のことについて言っているのは。十一ページに「安全第一ではあるけれども、安全以外のことはいっさい知らないんだ、ということではなしに、一面ではコストということに大きな関心を持ってもらう必要がある」、利益のことばかりですよ。皆さん、一遍読んでください。先ほどのあれでは何よりも安全第一ですと顔も上げられないくらいの姿勢でそういうことをおっしゃっておるけれども、堂々としたこの天下の対談においては利益第一じゃないですか。そして機長を初め経済性を追求しろ、ガソリンを節約しろ。安全第一なんて姿勢はどこに見えるのですか。言葉だけで済む問題ですか。  これだけの事故を起こしているわけでございますから、我が党が申し入れをした総点検というものはただ単なる総点検ではない、あらゆる徹底した根本的なメスを入れて対策を立て直してもらいたい、強く要望いたします。  これは、また日本航空だけではない、ほかの全目空初め東亜国内、これも一たび事故があれば、航空機事故というのは大変なことなんです。日航はだれが見ても考えても余りにもこういうことが累積しておる。しかし、ほかの航空会社がないかといえば、あなたの方にも報告が入っているでしょう、同じですよ。だから各社に対する総点検対策の強化ということを徹底して進めていただきたい、このことを強く要望いたします。  それでは大臣、最後に一言それをお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  87. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいまの御要望の点、とにかく交通機関にとって安全が第一であるということは、繰り返し私が申し上げる必要もないかと思います。  高木社長の「おおぞら」における座談会の記事、私まだ読んでおりませんが、これはやはり安全が第一である、そういう安全の上に立ってそのガソリンの消費量をどうするかというふうに私は理解したいのでございますが、直接聞いておりません。あるいはただ、自動車にもガソリンの経済スピードというものもありますし、飛行機にも当然あると思いますし、あるいはまたガソリンの搭載、飛行機に積んであるガソリンの量にしたってかなり余分に積んである。これは当然のことだと思いますが、長年の今日までの実績によって、余りにも積み過ぎる、いわゆる過剰防衛的なものがいいか悪いかという判断も出てくると思います。そんな長年の実績、経験の上に立ったガソリンの使い方という点を言われたのかな、そのようにしか私はちょっと判断できないのでございますが、その点も十分また社長自身にもよく聞いて、誤りなきを期するように、私からも指導してまいりたいと思います。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  89. 鹿野道彦

    鹿野委員長代理 河村勝君。
  90. 河村勝

    ○河村委員 質問に先立って、この事故犠牲になられた方々に心から弔意を奏させていただきます。  先ほど運輸省の方で事故原因の推定について非常に慎重な答弁がありました。事故原因調査が進んでおる最中ですから、それは当然であると思いますが、諸般の情勢から考えて、当初はR5のドアの損壊だと言い、その後、後部のプレッシャー・バルクヘッドの破壊と言い、いろいろな見方があるようですけれども、少なくともこの事故が後部の方の胴体の外壁が損壊をして、それによって垂直尾翼が破壊をされて、そのために起きた事故である、どの部位が最初に壊れたかということは別にして、とにかく大まかに言ってそういう原因であるということだけはほぼ間違いない、そう考えてもいいのでしょうか。
  91. 藤富久司

    藤富説明員 お答えいたします。  ただいままでのいろいろ調査の概況から見まして、機体後部において何らかのふぐあいが生じていることは見られるわけでございまして、これが事故原因に関与しておりますことは一つの可能性としては考えられるわけでございます。ただ、そのふぐあい状況等まだまだ不明な点が多いわけでございますので、直ちにここで事故原因がそうだということを申し上げるまでには至っていないわけでございます。
  92. 河村勝

    ○河村委員 今の御答弁はそこまでだと思います。しかし、ほとんど間違いのないことも事実でありましょうから、そういう角度から質問をさせていただきます。     〔鹿野委員長代理退席、委員長着席〕  これは新聞報道なんですけれども、昨年、この事故機と同型の日航の三機について胴体の前部でやはり外板に亀裂が生じたという事故があって、それに対して修理に当たったボーイング社の方から、日本航空は客室に対する与圧のかけ方が強過ぎるという指摘があったという報道がされておりますが、与圧が過大だという事実があるのか、もちろん許容限度の中でしょうから過大という言葉は言い過ぎかもしれませんが、他の航空会社に比べて与圧の程度が高い、またボーイングの方でそれが過大だという指摘をしたという事実があるのですか。
  93. 大島士郎

    大島説明員 過大という表現が適当であるかどうかは差し控えさせていただきますが、ボーイング側のSR型と申しますのは、胴体部分については国際線で使っております747のLRと同じものでございます。したがいまして、胴体の与圧の圧力は最大八・九Psiというところまで許されているわけでございます。この747SRにつきましては、ボーイング日本航空の仕様に従って多少LRを改修した部分がございます。そのときの改修のボーイングの考え方としては、八・九ではなくてもう少し低い値を予定していたわけでございます。しかし、日本航空としては運用上の理由からLRと同じ八・九Psiの最大与圧がかかるような運用をしていたわけでございます。したがって、この運用につきまして直ちに安全上問題であるということにはなりません。この八・九Psiのボーイングの推奨した値以上の値で運用をすれば、金属疲労、つまり与圧からくる荷重の影響、こういうものが早目にあらわれるであろう、こういうような観点からそれに応じた点検方式を日本航空では採用しておりますので、トータルで考えまして、SRの与圧が過大であるという表現というか、そういうような見方は当たらないのではないかと私ども理解しておるところでございます。
  94. 河村勝

    ○河村委員 しかし、少なくとも与圧が高ければ金属疲労をそれだけ早めるということだけは言えるわけですね。ですから、許容限度いっぱいにやっていくということは決して望ましいことではない、これは旅客サービスとの兼ね合いでありましょうけれども。だからそこのところは、金属疲労からくる事故であろうと推定される状態がある限り、そういうものはやはりこの辺でもって見直して、別段少しくらい下げたからお客さんが苦しいとかなんとかということはないわけですから、当然事前にそのくらいの措置は講じた方がいいのじゃないかと思いますが、いかがなんですか。
  95. 大島士郎

    大島説明員 この点につきましては今後一つの検討課題と考えておりますが、他社のボーイングSRにつきましては、やはり最大人・九、つまり飛行の高度によっては八・九までかかる状況もございますので、日本航空のSRの与圧のかけ方につきましてなお技術的な検討を加えたいと思っております。
  96. 河村勝

    ○河村委員 先ほど話の出た、大阪で起きたこの事故機のいわゆるしりもち事故、それを修理する際に、これはしりもちですからどうせ胴体後部でありますが、後部の損傷した部分を新しいものに取りかえたというように聞いておりますが、今一番問題になっておる後部のプレッシャー・バルクヘッド、この辺の取りかえは一体どういうふうになされておるのですか。
  97. 大島士郎

    大島説明員 ただいま先生御質問後部耐圧隔壁につきましては、詳細な事前の点検の結果、下半分、下方百八十度の範囲で交換しております。
  98. 河村勝

    ○河村委員 半分取りかえというのは一体どういうことになるのですか。
  99. 大島士郎

    大島説明員 耐圧隔壁の構造は全局で十八枚の扇形の板をつなげたものでございまして、そのうち下の九枚につきましてリベット部分を外して新しい耐圧隔壁を当ててリベットを打ち直した、こういう修理の方法でございます。
  100. 河村勝

    ○河村委員 そういうことをすると、古い部分と新しい部分との継ぎ目に弱いところができるということはないのですか。
  101. 大島士郎

    大島説明員 その点につきましては、ボーイング社の設計技術者の手によりまして技術的検討を行った上、先生のおっしゃるような疑念はないということで修理を行ったものでございます。
  102. 河村勝

    ○河村委員 私は若干それに疑問を持っております。  それから、一九七八年にボーイング社の設計の方式が変わって、損傷許容設計というのですか、定期検査と定期検査の間にどこかの部分に重大な亀裂やなんかがあっても、定期検査のときに発見さえすれば、その間に他の部分が壊れて大事に至ることはないというふうな設計になって、その結果、SIDという点検方式が導入されて、定期検査のやり方や項目が非常に変わってきたというふうに聞いております。私も素人でよくわかりませんが、それと本事故機の検査との関係はどういうふうになっておりますか。
  103. 大島士郎

    大島説明員 航空機は大変長期間使用するものでございまして、当初設計のときに考えまする設計寿命というもの、これを超えて運用しておる、また運用できるような航空機が多くなってまいりました。イギリスの航空会社が起こした707の事故を契機といたしまして、長期間運用している航空機に対しては、現在決められている構造関係の検査で十分であるかどうか、こういうことが議論になった経緯がございます。その結果、ただいま先生おっしゃいましたSID、サプリメンタル・インスペクション・ドキュメントという追加構造検査項目と申しますか、そのような検査の方法が古い飛行機に対して発行されております。  現在、ボーイングの707、727、737、747型についてこのような追加構造検査項目が発行されておりまして、日本航空もこれに従いましてボーイングのLRにつきまして六機、それからアジア航空のLR二機につきましても、この検査項目に基づく機体に指定されておるわけでございます。その後、SRにつきましても、運用の状況から見て追加構造検査項目方式の適用を図った方がいいということでありまして、長期間使用されているSR七機についても追加したところでございます。しかしながら、この事故機につきましては、この追加点検プログラムに該当する検査期限にまだ達していないというのが現況でございます。
  104. 河村勝

    ○河村委員 この事故機は昨年の十二月に四回目のH整備、定期検査をやっているわけですね。その際には、SIDによらずに日航独自の検査をやっておるわけですね。それで一体この問題のバルクヘッド等はやはり検査をやっておるのですか。
  105. 大島士郎

    大島説明員 問題の後部耐圧隔壁については、三千時間ごとのいわゆるC整備というところである程度の状況検査をやることになっております。ただし、これは亀裂を発見するための詳細な点検とは多少違うものでございますが、一般的な耐圧隔壁の状況検査、こういったものを実施しているところでございます。昨年の十一月のC整備においてもそのような点検を行っております。
  106. 河村勝

    ○河村委員 時間がなくなってしまったのでもう伺えなくて残念なんですが、C整備というのは少し軽い検査ですね。ですけれども、H整備の方で本当はこの重大な部品が検査されてなかったとすれば、それは非常に重大な欠陥だったはずだと私は思います。それだけ申し上げておきます。  もう時間になりましたが、最後に大臣、一九七七年、これも先ほど話が出ましたが、ザンビアでイギリスの飛行機が水平尾翼が吹っ飛んだことによっておっこった事故の後、イギリスでは徹底的な破壊実験をやっているんですね。一つの生きている飛行機を徹底的に破壊実験をやって、壊すところまでやって、それで最終的に原因がはっきり究明をされたという経過がありますが、今度の事故については、やはりそのくらいのことをやらないと本当の事故究明はできないのであろうと私は思いますが、一体運輸省としてはどういう決意で臨むつもりですか。
  107. 山下徳夫

    山下国務大臣 ザンビアの問題は別といたしまして、例えば大阪におけるしりもち事故、この問題、いろいろとまた御質問もちょうだいいたしたのでございますけれども、この問題につきましても、メーカーから来てかなり広範に検査をし、広範に部品も取りかえた、これでもう完璧だということで、我が方の一定の資格を持った検査官もこれを十分検査して、そしてオーケーを出した。しかもそれから今日まで七年の間に何らのふぐあいもないし、あるいは一定期間を置いて行われるこれら尾翼の検査についても常にパスをしてきているということでございますから、現状の検査制度でもってはまず文句のないところでございます。  したがって、これから原因調査ですからわかりませんけれども、もしもそういう一つの疲労度合いその他について今のしりもち事故と何らかの関係があるという結論が出るとするならば、とてもこれは現在の検査制度ではだめだなということになるわけでございますし、私どもが人間ドックで検査をする、かなりの部分までやるが、それ以上に、疲労度についてはそういった一つの金属性のものまでレントゲンで通してやるという、まさに完璧に近いものまでやっておられる現状でも、さらにそれでもまだ発見できないものがあるとするならば、今御指摘のようなものもあわせて今後の課題として検討しなければならないかなと思う次第でございます。
  108. 河村勝

    ○河村委員 非破壊検査ではやはり限界があるんですね。一機つぶすというのは大変なことでしょうが、昨今はコンピューターが非常に発達しておりますから、コンピューターのシミュレーション等を使えば一機を犠牲にしなくても破壊実験と同じような効果を上げることだって可能なわけですから、私はぜひとも徹底した事故究明をやってほしい。それを最後に、時間がなくなりましたからその中身を申し上げる時間はありませんが、ぜひお願いをしたいと思います。  質問を終わります。
  109. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 辻第一君。
  110. 辻第一

    ○辻(第)委員 まず最初に、犠牲になられた方々の御冥福、負傷された方の御回復を心からお祈りをして、質問に入ります。  今回の事故は本当に悲惨な事故でありましたけれども、その中の一縷の救いと申しましょうか、それは四名の生存者救出できたということであったと思います。既に生存者の一人であります落合由美さんの証言の中で、墜落後生きておられた人がおられたという証言があったわけでありますが、今度は川上慶子さんの新たな証言が、墜落時や墜落後のまさに衝撃的な証言として報道されているわけでございます。  その一部は、墜落の急降下のときに、お父さんが私と咲子、それにお母さんの三人を両手を広げて抱えて守ってくれました。墜落後気を失った。気がついたら周りで人の話す声がざわざわという感じで聞こえた。お父さん、動けない、助けてと言うと、お父さんは、お父さんも身動きできないと言った。また妹の咲子の名を呼んだら返事があったので、からだ動くの、ばたばたしてごらんと言うと、手足をばたばたさせた。そしてやがて父も妹も声が絶えた。このような墜落前後のまさに地獄絵図と言うべき状況、必死に生きようとする親子の姿やかなりの生存者がおられたという状況が報道されているわけであります。  ところで、墜落が十二日の午後七時過ぎですね。生存者の発見が翌日の十三日午前十一時二十五分であります。この間約十六時間というかなりの時間が経過をしているのであります。夜間でありますとかあるいは奥深い峻険な山間部というようないろいろな状況があったと思いますが、救助の手がもっと早かったらという声は、御遺族は言うに及ばず多くの国民の声になっているわけであります。  大臣大臣御自身ももっと打つべき手があったのではないかといろいろお考えになったのではないでしょうか。今後に生かすべき教訓を読み取られたのではないか、このように思いますが、いかがでしょうか、お尋ねをいたします。
  111. 山下徳夫

    山下国務大臣 今お話がございましたような墜落の時点においては生存者もおられたやに私どもも想像できるのでございますけれども、そういう報道を見ますと、そういう方を何とか救出するような方法はなかったのかなというのは、これは私も当然そういう感情はあるわけでございます。しかしながら、今日までの捜索の経過をたどり、また私自身がこの目で見たいろいろな条件を見ますと、やはり不可抗力ではなかったかな、すべてベストを尽くしてあそこまでしかできなかったというふうにしか私はどうしても理解できないわけであります。
  112. 辻第一

    ○辻(第)委員 大臣の御心境などをお伺いしたわけでありますが、いろいろな理由があっても、やはり現在のこんなに発達をしたヘリコプターあるいはその他の状況、そういうことを考えてみますと、生存者があり得るんだという考え方に立つならば、もっともっとやる手があったのではないかと思うわけであります。  例えば、端的な話でありますけれども、夜間ということでいえば、照明弾を使うとか、時間がありませんので深く言うことはできませんけれども、もっともっと打つべき手があった。十分な検討を加える、さらに言うならば十分な反省をしていただいて、今後の初期捜索、救助活動に役立てていただきたいと強く要望するわけであります。大臣にもう一言この点についての御見解を伺いたいと思います。
  113. 山下徳夫

    山下国務大臣 あの一帯はすべて国有林でございますし、特に墜落の現場は二十二年生のカラマツの人工林で非常にきれいに植林をされております。そういった一帯全体を眺めてみた場合に、技術的な立場から、照明弾を投下するということは非常に大きな火災を起こすことになりかねないという、そんなことまで含めての判断があったように私は聞いておりますが、そのことについての詳しい技術的な判断は、私もその程度しかわからないわけでございますけれども、照明弾の使用について今御質問がございましたから、その一点だけをとらえて見れば、やりたいけれどもやれなかったのではないかと私は理解をするものでございます。
  114. 辻第一

    ○辻(第)委員 この問題は十分な教訓をその中に含んでいると思います。今後の十分な対応をぜひいただきたいと強く要望して、次に移ります。  まだ遺体収容されないお方やあるいは確認をされない方、かなりおられるようであります。遺族の御心労やあるいは体のお疲れなど大変な状況だと思います。これらの方々の御要望や御意見に十分こたえていただくよう一層の御努力をお願いをするわけでございます。またこの救難の活動、遺体収容の活動などに大変な御奮闘をいただいた方に、ここで敬意と感謝の意を表するものでございます。  次に、今度の問題、言うまでもなく運輸省責任は本当に重大だということを強く指摘をして、次の質問に入りたいと思うのですが、原因については今鋭意究明中ということでありますが、十六日、参議院で我が党の小笠原議員が質問をいたしました。今回の事故の背景には、日航が安全より利益を優先をする、このような経営姿勢があることを事実をもって指摘をしたところでございます。  先ほども話がありましたように、事故が頻発をしているわけですね。七月二十八日にはボーイング747が沖縄でフラップを脱落をするというようなことがありました。それから六月十五日にはDC8が、これは第二エンジンのフェール、それから七月一日にはDC8が第三エンジンのフェール、それから七月十六日にはDC10が第二エンジンのフェール、こういう事故が非常に多発をしているという状況でありますね。そしてこのような状況の中で、日航乗員組合の方のお話を聞きますと、ここを整備してほしい、早く整備をしてほしいということを言っても、部品がない、時間がない、人手がない、こういうことで先延ばしされるというような状況があると聞いているわけであります。  こういうような事故の多発に対して、そしてこのような乗員の皆さん方の言う今の日航整備体制状況について、航空局長、御存じだったでしょうか。
  115. 大島士郎

    大島説明員 日本航空の日常の運航の実態、またただいま先生御指摘のような日常の運航における機材の故障関係については、重要なものは直ちに報告を徴しているところでございます。私どもは、このような日常に起こる故障にいかように対処していくかということが、日常運航の安全を期する上で重要な要素であるという認識のもとに、一件一件の事故あるいは故障につきましても、この対策に関心を持って、対応ぶりを報告を受けている、こういうことをやっておるところでございます。また定期的な立入検査、私ども安全性確認検査と呼んでおりますが、そのような機会を通じまして現場での実態を把握しているところでございます。
  116. 辻第一

    ○辻(第)委員 極めて不十分だと言わざるを得ないのであります。  三年前、羽田での日航機の墜落事故がありました。あの事故原因は、まあ機長の問題でありましたけれども、あのときも私はいろいろ日航の現状を調査をいたしました。その中で、飛行機がだんだん大きくなってきている、そして老朽化していくということでしょうね、そういうことになりますと、整備の仕事がふえるわけですね。あの当時でももう大変危険な状態なんだ、そのことを私は調査の中でしみじみ感じたわけでありますが、先ほども申しましたように、その後一層安全よりもコストと利益優先という日航の姿勢、整備体制もどんどん人減らし合理化を進めていく、一方外注をどんどんやって利益を図る、こういうことがやられていたということですね。  こういう状況の中で、日航労組は、昨年の春闘のときに、もっと安全優先、整備を本当に大切にするような体制をとれ、このような状況の中での無謀な人減らし合理化をやめよ、そしてボーイング747はD整備、オーバーホールですね、こういうことをやるべきだ、こういう本当に血の叫びというような要求が出されたというふうに認識をしているわけであります。  また、先ほど申しました日航乗員の組合の方々の現実の考え方、安全整備をもっともっと重点にやるべきだということですね。もちろん機長管理職制度の問題であるとか、そういう問題も当然その中に含まれているわけてありますが、こういう第一線の現場の皆さん方の声や要望や要求、こういう問題を本当に謙虚に正しく聞き入れる、受けとめる、そして十分検討して生かしていくという姿勢がない限り、私は日航はまたこういう事故を起こさないとは限らないということを痛切に感じるわけであります。これは今の航空界全体で言えることで、単に日航だけではないと思うわけでありますけれども、本当に現場の第一線の声を十分聞いていくという姿勢がない限り解決できない、こういうふうに思うわけであります。  さらに言うならば、航空安全会議の方たちも、ボーイング747の特徴や問題点を指摘をされている。これも航空局はよく御存じだと思うわけでありますが、運輸省としては、こういう体制を進めていただく、第一線の現場で働く人々の実地に合った声、要望、そういうものを十分聞き入れて、検討して、そしてそれを取り入れていく、そういう指導といいましょうか方向を進めていただくということを強く要望するわけでありますが、この点での見解を伺いたいと思います。
  117. 西村康雄

    西村説明員 羽田沖事故の後、事故防止のための重要な反省として、あのときの片桐機長がああいう状況であったのに未然の防止ができなかったことにつきましては、これは日本航空の中の、何と申しましょうか職員相互の都合の悪いことはまあ見過ごすというのか見逃すというのか、そういうことが大きな原因だったと考えているわけでございます。そこで必要なのは、末端までの安全意識の高揚ということですし、そういう仲間同士のかばい合いというようなことも、安全意識が高まればそれは克服されていく。安全に対する責任感の問題ということがまず現場の隅々までしみ通らなければいけないということが最大の反省だったと思います。  そこで、現実にその後の措置としますと、乗務関係では副主席制度というのをつくって、できるだけ個別の乗務員からの声を吸い上げるというようなこともございましたし、またそのためのミーティングというのを常時やる、あるいは職員の一人一人の提案制度というのを今までもやっていましたが、それを強化するとか、あるいはさらに地上の関係者運航乗務員というのが直接にお互いにミーティングするような仕組みとか、それはそれなりのいろいろな工夫がされてきているというように思います。  ただ、先ほど申し上げたように、現場のそういった安全意識に対する責任感をさらに高揚していくためにも、そういう声が、職場の中で現実に問題があれば、それが実現していくという仕組みがやはり必要なんで、今お話しのような現場のいろいろな問題意識が実際の業務の運営に反映するような仕組みというのをさらに徹底していくべきだと思います。そういう意味で、今回の事故でも現場のいろいろな問題意識というものを反映させていきたいというふうには考えております。
  118. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  119. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 午後一時十五分から再開することとし、休憩いたします。     午後零時五十分休憩      ――――◇―――――     午後一時十五分開議
  120. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  海運に関する件及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  この際、日本国有鉄道総裁から発言を求められておりますので、これを許します。杉浦日本国有鉄道総裁。
  121. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 私は、六月二十五日付をもちまして国鉄総裁を命ぜられました杉浦でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  これまで運輸省におきまして国鉄と関係のある仕事を多くしてまいりましたので、国鉄問題の難しさというものをかなり承知しているつもりではございますが、国鉄再建のまさに正念場に差しかかっておるこの時期に総裁をお引き受けすることは、その責務の重大さにまことに身の引き締まる思いがいたす次第でございます。  国鉄の再建につきましては、これまでも何回も再建計画が策定され、実施に移されてまいったわけでございますが、いずれも曙光を見るに至らず途中で終了をしてしまいましたことは御承知のとおりでございます。  こうした状況の中で、去る七月二十六日、国鉄再建監理委員会より「国鉄改革に関する意見」が内閣総理大臣提出され、七月三十日には、この「意見」を受けて、政府はこれを「最大限に尊重し、所要の施策を実施に移すものとする。」こういう閣議決定がなされたわけでございます。  国鉄といたしましては、こうした政府方針に従いまして、その円滑な実施のために総力を挙げて努力し、国の機関として、また当事者としての責務を全うする決意でございまして、これにより国鉄は活力ある健全な企業体として生まれかわることができる、このように確信をしておる次第でございます。  今後この「意見」に沿った具体策を推進していくに当たりましては、余剰人員対策等幾多の困難な問題の解決が不可欠でありまして、そのためには、まず国鉄自身が最大限の努力を払うことはもちろんでございますが、どうしても政府全体のお力を得、また国会の先生方の強力な御支援なくしては、この難局を切り抜けることはできません。こうした点につきまして、どうぞ今後ともよろしく御支援、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。  また、このような国鉄再建問題を抱えながら、国鉄は毎日、本来の仕事でございます多くの旅客と貨物の輸送業務を遂行していかなければなりません。その際、安全輸送の確保は私どもの最大の責務であり、また、正確で良質な輸送サービスに徹するということも肝要でございます。このためにも、健全な労使関係のもと、職場規律を確立し、国民の御期待にこたえるようサービスに努めなければなりません。国鉄役職員一同、今後一生懸命努力してまいる決意でありますので、よろしくお願いを申し上げます。  就任に当たりまして、簡単ではございますが、一言ごあいさつを申し上げた次第でございます。よろしくお願いいたします。     ―――――――――――――
  122. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林恒人君。
  123. 小林恒人

    小林(恒)委員 質問に先立ちまして、委員長に一つ要望を申し上げておきたいと思います。  これは、とりもなおさず本日の運輸委員会、たまたま日航の大惨事がございましたから、午前中は日本航空の問題を取り上げましたけれども、本来計画をした段階では、国鉄再建問題を中心にして、過般提出をされた「国鉄改革に関する意見鉄道の未来を拓くために」といういわゆる再建監理委員会の答申に基づいて委員会を開催をしよう、こういうことでございます。そういった趣旨に基づいて開催をされた運輸委員会にもかかわらず、答申を出した当事者である再建監理委員長出席が実現をしないということについては、極めて遺憾の意を表さざるを得ません。  加えて、再建監理委員会法に基づく監理委員会の任務というのは、答申を出してそれで終了するものではなく、以降それな力の任務があるわけでありますし、総理に答申を出したからそれて関係大臣である運輸大臣出席をすればよいという、そういう性格のものではなかろうと思います。  加えて、八月の二日に開かれました参議院での運輸委員会の中では、冒頭参議院の運輸委員長から再建監理委員長に対して、「その際の監理委員会の当運輸委員会に対する対応が不十分で遺憾であります。この旨当委員会として注意いたします。」という御意見を付されて参議院の運輸委員会は開催をされました。いわんや衆議院の場合は出席もしないということなんですから、注意をするところの騒ぎではない。一体何を中軸にしてこれから委員会審議を進めていくのか、こういうことにもなりかねないわけでありまして、その意味では、冒頭申し上げた極めて遺憾だということの重みを委員長としても十分かみしめていただいて、今後の委員会運営をぜひつかさどっていただきたい、このように要望申し上げて、質問に入りたいと思います。  まず最初に、先ほども申し上げましたが、去る七月二十六日、国鉄再建監理委員会が「国鉄改革に関する意見」なる答申を総理に提出をされました。今後政府はこの改革案を軸にして動き出すことになるのだと思われますけれども、私もこの改革案を何度となく読ませていただきました。その内容は、民営はよくて公営ではだめだ、したがって、民営・分割のみが国鉄を改革する案である、こういったことに集約をされるかと思います。  二年余りの間に随分多くの議論が、実に百三十回を超える審議を重ねたと伝えられているわけでありますが、その努力そのものについては敬意を表したいと思います。ただ、その間の内容は、参議院の運輸委員長が、答申を受けて開催をした委員会冒頭でもいみじくも指摘をされておりますように、国民にも国会にも全く公開されることなく、その結論が民営・分割化という国民不在の改革案であることは、まことに残念であると言わなければなりません。  また、分割の案に賛成しなければ、国鉄総裁も首だというこういった事象に象徴されるように、テレビの水戸黄門の御印籠を取り出すと民営、そしてはっと国民がそれにひれ伏すパターンであると言わなければならないわけであります。果たしてそのようにうまくいくのだろうか。分割といっても、ただ東京の山手線の切り分けのような妙な案で、「鉄道の未来を拓くために」といういわゆる副題にも合うのかという疑問を持たざるを得ません。分割・民営化という前提の前にもっと議論がなされるべきではなかろうかと考えるわけであります。  誠意を持った哲学を示してほしいと思うのでありますが、ただ、公社制がこのような赤字をつくり出したという以前に、政府の交通政策は一体どうであったのか、どうしてここまで債務が累積したのか、なぜ破綻したと言い切れるような状況にまで立ち至ったのか、その責任の所在をもっとまじめに示すべきではなかったのだろうか、こんな考え方も成り立つわけであります。その上に立ってこそ、将来はこのようにしたいという答申であるべきでありまして、国鉄の公社制制度のみが悪く、そのツケをなぜ国民が支払わねばいけないのかわからない、こう考えるのであります。  こういったいわゆる総論的な部分でまず運輸大臣、さらに運輸省の中にあって、少なくとも再建法の時点であるいはその後の監理委員会法の時点で鉄監局長並びに事務次官の要職にあった現国鉄総裁ですから、みずからが立ち来った立場を十分踏まえた御見解を示していただきたいと思います。
  124. 山下徳夫

    山下国務大臣 今まで放置していたという御意見でございますけれども、私の知る限りにおいては再三再四改革案というものが示された、しかしこれがなかなか実施には至らなかった、あるいは実施されても、中途で挫折し、所期の目的が達せられなかったということで、第二臨調においてもこのことに深く思いをいたされて、再建監理委員会において引き続きこれは検討すべきであるという結論が出されている。それで、この再建監理委員会に対しましては、政府としても、その再建監理委員会の答えについては十分尊重していくという閣議の決定もなされているという方針に基づいて、今日まで一貫して内閣は協力的態度をとってまいりました。  今回出されたその案の骨子となるものは、今お話のございましたとおり民営でありあるいは分割でございますが、このことについては、公社制度に欠陥があった、一元的運営はよくなかったということについて、今日まで何回となく私からも答弁の場で申し上げたつもりでございますし、ここでまたそのことについてさらにかみ砕いて私から御説明する必要もないかと存じますけれども、今日再建監理委員会からこれを骨子として出された以上は、内閣の態度としても、これを十分尊重しながら、なるたけ早く法律案として皆様方に御提示して、しかる後に皆様方にひとつ十分御検討をいただきたい、これが現在の政府の態度でございます。
  125. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 先ほどごあいさつの中で申し上げましたとおり、私は、今先生御指摘のような国鉄問題にいろいろな場面でかかわり合いを持ってきました経歴がございます。過去何回も再建計画を実施いたしましたが、その都度、財政破綻の原因は何であるかということをいろいろな角度から分析をし、勉強してまいったつもりでございます。長期債務の累積あるいは運賃制度そのもの等々いろいろな原因がございますが、その奥にあるものとしては、やはり戦後の経済、社会の大激変、またそれをもとにいたします交通企業そのものの大きな変化、こういうものに国鉄の対応が非常におくれたところに原因があるというふうに総括的に申し上げられるのではないかと思います。  今回の監理委員会の御意見のいわば中核的な意見といたしまして、この戦後の交通事業に対する激変の中で国鉄がなぜ対応してこられなかったか、こういうような観点にメスを入れられたというふうに私は拝見をするわけでございまして、そのバックグラウンドとしての原因をいわば公社制度に求め、また全国一本の企業体という膨大な組織に求めたという点でございまして、その結果が民営であり分割化、こういうことになったものと思います。  私も今まで長くやってきた経験から振り返ってみますと、根本の理由、そのまたもう一つ先の理由というものを考えますと、今回の監理委員会の分析なり判断というものは非常に正鵠を得たものであるというふうに感じておるところでございまして、今後この監理委員会の「意見」に沿いまして、私どもは具体的に実施に移すべく努力をしてまいりたいと思います。
  126. 小林恒人

    小林(恒)委員 新しい総裁、あなたは言ってみれば戦争犯罪人みたいなものなんですよ、本来は。戦争犯罪人が今度は管財人になって国鉄の総裁に就任をされた。言葉じりをとらえて物を言うつもりはございませんけれども、例えば対応がおくれた、公社制度が悪かった、こういう言い分ですが、しかし、あなたは対応がおくれたときの責任者であった時期がある。法律をつくっても、それをなかなか実施できなかったとすれば、あなたは運輸省にあってその責任が遂行できなかったということにもつながるわけだし、公社制度が悪かった、こう言うけれども、公社制度のどこが悪かったのかということについては、私はいささか疑問を持っているのです。公社制度としての機能を十分に発揮できるような状況に置かなかったということの方が正しいのではないのか。  しかし、そこは五十歩百歩の議論だと指摘をされるのだとすれば、だからといって、それでは短絡的に民営化をし分割をする、分割の中身もいわゆる地域分割、六つに分けるというそういう事柄だけではなしに、縦横十文字に一刀両断にしてしまおうという、こういった中身が極めてベターだという言い方が、副題にもあります「鉄道の未来を拓くために」ということに一体ふさわしい内容なのかどうなのかということを、現国鉄総裁の認識としてもう少しかみしめてみる必要があるのではないだろうか、こういう気がしますよ。いかがですか。
  127. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 日本国有鉄道法による現在の公社制度のスタートの時点におきまして、企業性を発揮しながら能率を高め、それによって国鉄としての公共性を維持発展させていくのだ、こういう理念は、そのもの自体大変立派なことであったというふうに思うわけでございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、その後社会経済の激変があり、また交通事情も大変変わってまいりました。国鉄は、それまで有しておりましたいわば独占的なそういう公共的使命というものにつきましても、各種の交通手段、特に目立つものは自動車でございますが、あるいはその後の航空機の発展等々非常に競争的な交通手段の発展によりまして、その独占性を喪失してきた、こういうバックグラウンドが非常に問題ではなかろうかと思います。そうした中での従来と同じ公社制度の維持というものは、そのもの自体が大変無理なようになってきた、所期の目的どおり公共的、また企業的な両面を合うさせるということは大変難しくなってきたという事態があると思います。  こうした点に着目をされました監理委員会の分析が、振り返ってみましてまことにごもっともであるというふうに私どもは思うわけでございます。
  128. 小林恒人

    小林(恒)委員 公社制度の議論、あるいは対応のおくれ、そのまま放置しておいていいというものではないわけですから、これから将来どうしていくかということの方が私はむしろ重要な課題だと思いますから、ここで議論を滞らしているわけにはまいりません。  言うまでもなく、国鉄は二万一千キロのレールの上を今日まで走り続けてきた、そしてそれは長い時間をかけて、ひとり国鉄や運輸省が育てたというだけではなしに、国民一人一人が育ててきた鉄道だ、こう言えるのだと思います。いわゆる国民の国鉄という認識、こういった背景があるからこそ全国に張りめぐらされていった鉄道網。なかんずく全国ネットワークというのは、まさにハードウエアの完成であって、それを効果的に生かすソフトウエアの開発が話し合われたことが今日まで一体あったのだろうか。同じものでも使い方によって異なるわけでありまして、そういう意味では、この国鉄二万一千キロの有効活用、こういった単純な言葉に象徴される中身というのは非常に不十分だったように私は考えるのです。  ですから、例えば東京-大阪間といった長距離は新幹線ネットワークに任せる、在来線はいわゆる中距離輸送の担い手として新しいダイヤを組む、国民の利用しやすいネットワークをつくり上げていく、こういったものとして理論づけされて新幹線網というのも形成をされてくる、利用者の立場に立った国鉄をつくっていく、このことが大事なことであって、これをずたずたに分割してしまった後、二度と戻るということはほとんど考えられないわけであります。国民はやはり一社制で鉄道が利用できるということを望んでいるから、五年前にでき上がった再建法の中での枝線と言われるローカル線だって何とか残してくれという陳情が激増する。予定どおりいっていないではありませんか、これは単に地域のエゴで残してくれということだけではなしに、論理性があるから強行突破をすることができなかったという一面だってうかがえるわけであります。  そういうことをそれぞれ勘案すると、国鉄の新しい経営形態というのは、やはり国が全額出資をする公共性の強い特殊法人というところに行き着くわけでありまして、全国一社制というのは外してはならない主要な課題なのではないかという気がいたします。  ところが、大幅な経営権を持つ中間の経営責任機構などというものは現実にはないわけでありまして、こういう経営形態が結果的に、私どもが長年主張してきた鉄道あるいは航空路、さらに海運をも含めたいわゆる陸海空総合交通体系、こういったもの自体に発展をしていくということはなかったわけであります。  しかし、依然として、四全総を策定するに当たっては、やはり鉄道網というのは重要な位置づけをされていることだけは紛れもない現実でありまして、そういった意味で、いわゆる地域住民のニーズであるとかあるいは地域密着型の経営体制であるとかというそういった表現と、現実の日本列島における経済構造やあるいは国民一人一人の利用しやすい交通網の形成、こういったことを十分に勘案をしつつ策定をされたとはどうしても思えないような部分が随所に出てくる。その基本はやはり最初に分割ありき民営ありき、こういったところに端を発していると言わざるを得ません。  こういうものが結果的に何を招来をするかというと、何のことはない、国鉄解体論につながってしまったり、あるいは貨物に象徴されるように、結果としては七月の二十六日までの間に貨物部門について監理委員会をして――総裁、あなたは立派な方針を出したと言うけれども、貨物分野については具体的に示唆するものを明示することができなかった、こういうことに象徴されるんではないですか。生き生きとした国鉄再生というのはどういう視点から確立をできるとお考えなのか、運輸大臣の所見を賜りたいと思います。
  129. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 先生からいろいろ御指摘がございまして、私どもも、今回の答申に至ります経緯というものから考えますと、いろいろな御議論があった、またこれについてはいろいろなお考え方があるということについては十分理解をできるものでございます。  ただ私どもは、あくまでも最初に分割。民営ありきということではなくて、最初になぜ今日のような国鉄の状態を招いたかということがあった、そしてその分析からこの答申がスタートして、このような御答申になったというふうに考えております。それらの点につきましては、私どもとしては基本的に監理委員会の考え方と認識を同じくするものでございます。  そして、このような形の中で、新しい形の中で活性化された国鉄、生き生きとした鉄道というものをどうして求められるかという先生のお考えにつきましては、私どももその点が一番重要である、逆に言えば、こういう民営・分割ということにおいて経営責任を明確にし、競争原理を明らかにし、そしてその中で活気のある経営形態というものを求めていくということで、初めて生き生きとした活性化ある新しい鉄道というものの将来を求められるのであるというふうに理解をしておるわけでございます。
  130. 小林恒人

    小林(恒)委員 仮に国鉄が民営化されようと分割化されようと、輸送事業が存在をする限りにおいて公共性というのは存在するのですよ、なくなりはしないのですよ。運輸省はそういう認識があるから、バスの路線を認可をし、トラックの路線を認可をしてきた。そういった意味での位置づけというのは、国鉄が民営になろうと分割化されようと、そんなもの性格的に変わるなどと思ってはいない。  ただ問題は、膨大な赤字を生み出すに至った原因、そのことに関する反省、そしてそういったものを正確に行う中から新しい再生の道というものを選び出していかなくてはいけない、こういう課題があるわけでしょう。そういう課題について、最初に分割・民営ありきではありませんと抗弁をするけれども、中身そのものについて、これが発表になったときの運輸大臣の談話も国鉄総裁の談話も、全面的に受け入れをして、これが大成されるために精いっぱい協力をします、こういう談話が発表されているわけです。  一体、当事者として国鉄は、それならば、こんなにずたずた論が明示をされて、再生のための道を模索できるのですか。総裁どうですか。
  131. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 国鉄が百年以上の長い輝かしい伝統、歴史を持つということはもう事実でございます。そうした中で国土開発的な重要な役割も果たしてまいりましたし、また日常の輸送におきまして国民に親しまれてきたということも全く事実ではございます。先生おっしゃるように、そういう意味におきまして、その公共性といいますか、言葉の問題は別といたしまして、度合いは違いますが、依然として国鉄に課せられたいわば公共的な要請、こういうものは非常に大きい。また今後も国鉄はその特性を発揮し得る分野というものはもう十分大事な部面でございます。こういうふうに思うわけでございます。  しかしながら、やはり今までの国鉄と違いまして、大変競争裏に置かれた、いわば独占企業でない競争企業としての行き方をしていかなければならない、ここに非常に問題があろうかと思います。そうした面で、どうやったらこの競争の中で一般の国民の要望におこたえしながら良質なサービスを提供するようなそういう企業体質になるかどうか、こういうところが非常に重要なポイントではなかろうかというふうに思う次第でございます。  そうした点で、いろいろな角度からの検討の一環といたしまして、現在の全国一本の一元的運営ということにつきましては、これはやはりなかなか目が行き届かないというような諸点を勘案された結果、これを適切な分割というようなことに結論づけられたものと思いまして、私どもはそうした線に沿って具体的にこれを今検討を進めておるところでございます。
  132. 小林恒人

    小林(恒)委員 答申によりますと、六分割をし、その後継分割も含めて民営・分割化をすれば、すべてその分割をされた会社というのは黒字基調で民鉄との競争に十分耐え得る、こういう表現ですね。どこの会社も全部黒字になりますぞというこんな試算が出ておるのですけれども、本当にそう思いますか、運輸大臣
  133. 山下徳夫

    山下国務大臣 分割につきましては、人の流れあるいは採算性、二通りの分け方があると思うのでございますが、やはり利用者の利便という面から人の流れをとる。人の流れをとれば、そこにやはり採算性から見ればなかなか均衡がとれない面が出てくる。それをカバーするために、特に三つの島においては基金制度あるいは無借金であるという制度を今度つくっていくということでございますから、政府なりがただ手をこまねいていて、それぞれが利益を生み出すということではなくて、それぞれそういう措置をとって、そしてしかる後にそれぞれひとり歩きするという見通しをつけたということであろうかと思います。
  134. 小林恒人

    小林(恒)委員 運輸省の内部でも十分に検討がし切っているとは私は現段階で考えていないのです。これは私は、恐らく運輸省はまだ十分検討し切ってないなという主観ですから、そうでないとすれば、また御意見を賜りたいと思いますけれども、だとすると、精いっぱい努力をする、黒字基調に転換するであろうということを前提に事が運ばれるとすれば、例えば五十八年度、五十九年度、六十年度、この間ずっと国鉄に対して政府は六千億ないし七千億程度の助成を行ってまいりました。助成の必要は一切なくなるという御認識でしょうか。
  135. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 大臣からもお答え申し上げましたように、今回の再建監理委員会の意見では、人の流動を主体にして分割をいたしまして、その結果アンバランスになる財政について所要の調整をするということを言っております。その手段の中には、先ほど大臣も申し上げましたように、無借金にしてもなおかつ赤字経営になる三島に対しては基金を設ける。そういう意味では一種の助成にかわるような手段というものも設けますし、また過去の債務というものを、合理的な範囲の部分を除きまして、これを新しい会社にはしょわせない、こういう形で、その債務については最終的に何らかの形で国民の御理解を得て政府において処理をする、こういう形になっております。したがいまして、こういう範囲におきますいろいろな措置というものは、今後とも財政的に講じなければなりませんけれども、それ以外については、一応私鉄並みの懸命の経営努力をすれば、それぞれの会社は助成なしに十分成り立っていける、こういう御答申であるというふうに理解をいたしております。
  136. 小林恒人

    小林(恒)委員 私鉄並みに助成なしというのはどういうのですか。私鉄に助成しているじゃないですか、これはどういうことですか。
  137. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 私の言葉が誤って理解されたと思いますが、私鉄並みの経営努力を行えば黒字基調で推移できる、こういう意味を申し上げたのです。
  138. 小林恒人

    小林(恒)委員 私の質問は、助成措置というものは今後考えないのかということなんです。これはこういうことなんですよ。  例えば鉄道に乗って山奥から東京に出てくるとしましょう。国鉄というのは受益者負担だから、たとえ運賃が上がったとしても、それは全額払って東京へ出ていらっしゃい。そこの息子さんが私学に入学をした。私学助成というのがあるわけだ。教育には助成をするけれども、あるいは私鉄には助成をするけれども、国鉄には助成措置というのは、ここまでやったのだから、基金制度を設けたりあるいは借金を整理してやったり、これだけやったのだから、おまえのところはやる必要はないぞ、こういうことになるのでしょうかという質問なんです。
  139. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 私鉄にもいろいろな私鉄があると思いますが、今回の監理委員会の御意見のとおりに国鉄を分割いたしますと、かなり大きな規模の鉄道ができるわけでございます。御承知のように、私鉄につきましては、ローカルの私鉄等に対して若干の助成がなされておりますが、それは大変狭い範囲の部分を経営する私鉄ということでございまして、そういう単位の私鉄と今回の国鉄というもの、先生の例で申し上げますれば、私学の助成と国立学校の助成というふうな同じ程度の規模のものの比較ということでは若干ないのではないかというふうに思います。  そういう意味で申し上げたわけでございまして、一応現在の答申の中身を分析いたしますと、六十二年の四月一日で、先ほど申し上げましたようないろいろな措置を講じて今後立っていけるという形でスタートをさせる鉄道というものは、原則として自分の経営努力において将来ともやっていけるというふうに考えております。
  140. 小林恒人

    小林(恒)委員 そうおっしゃいますけれども、例えばこの答申の中で北海道、四国、九州を考えた場合、債務の引き受けは免除する、基金を設定をする、そして合理化をより進化をする、基金の利息を運用基金にして頑張れば黒字に転換できるぞという非常に調子のいいお話なんですけれども、人口は北海道が五百七十万ぐらいですか、九州だって千二百万ぐらいですね。大幅な人口流動、人口増が見込めるとすれば話は別でしょう。しかし、若干の人口流動程度では、現在だって相当無人駅に象徴されるような形態で合理化をしてきています。さらにこれ以上の合理化をする、限界を超えた合理化をするということは、経営基盤を弱めていくということに一方ではつながり、一方ではどうしたって運賃値上げというところに傾かざるを得ない、こういうことになっていくことを危惧するわけです。  特に、北海道の国鉄が鉄道会社になることによって収益が急激にふえるという言い方、現に国鉄の幹部、北海道の副総局長が三百五十億ぐらい黒字になるというような演説を国会に来てやった経過がありますけれども、一つは私鉄並みにやっていけばという論理、北海道の場合、私鉄はないわけですよ。私鉄の存在するところでは積雪寒冷地というのは非常に少ない。そういう条件の違いというものは十分加味されたのかどうなのか。積算の基礎というのは一体どこからどういう数字でもって探り当てていったのか、ここは正確に私どもも承知をしなければいけない部分ですから、資料の提出を求めたいと思うのでありますが、資料のことを含めて御答弁いただけますか。
  141. 林淳司

    ○林説明員 お答え申し上げます。  北海道、四国、九州等につきましてどういう形で採算が成り立つかということについては、先ほど運輸省の方からるる御説明がございましたけれども、そのとおりでございます。  北海道、四国、九州についてどういう収支になるかということについては、概略につきましては今回の「意見」にも添付してございますけれども、さらに詳細な資料ということになりますと、現在膨大な資料を整理中でございますので、その辺の整理が終わった段階で、提出できるものはできるだけお出しするように努力をしたい、このように考えております。
  142. 小林恒人

    小林(恒)委員 終わった段階の目安を示してください。
  143. 林淳司

    ○林説明員 資料が極めて膨大でございますので、これを目下整理中でございますので、具体的に何月何日というふうにここでお約束するのは御勘弁をいただきたいと思うのですが、なるべく早く整理をして、お出しできるものはお出ししたい、このように考えております。
  144. 小林恒人

    小林(恒)委員 可能な限り早く資料を提出していただきたいと思いますよ。そういう認識の違いが一つはあることが明らかになりました。  そこで、幾つか御質問申し上げたいと思うのですけれども、こういうさなかに、いわゆる整備新幹線の問題が六十年度の予算策定の段階でも急にクローズアップをしてきた。今回の答申の中では、国鉄に対する答申ですから鉄建公団についてまでは触れてはいないわけでありますけれども、例えば整備新幹線の鉄道建設などを実施をする場合、分割をされた国鉄がやれるわけもない。施行者そのものは一体鉄建公団になるんだろうかという想定をするのでありますけれども、いかがなものでしょう。
  145. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 整備新幹線の問題は、経緯はもう先生よく御承知のとおりでございまして、ただいま政府において今年度の予算の取り扱いについて早急に結論を得べくいろいろ協議をしておるところでございます。ただ、当面はまだ国鉄は六十一年度いっぱいは存続するわけでございますし、そういう意味で、現在の建設区分になっております東北新幹線の盛岡以北、これは国鉄、それから北陸新幹線は鉄道建設公団、以下、九州、北海道というふうにそれぞれ分担が決まっておりますけれども、当面の問題については、担当は国鉄と鉄道建設公団ということで対応することになろうと思います。  ただ、その後、昭和六十二年度以降国鉄が新しい経営形態になった際に、どのような建設主体がそれを引き継ぐのか、ないしは鉄道建設公団との関係をどうするか、こういうことにつきましては、国鉄の経営形態全体を明確にいたします時点において、その取り扱いというものをあわせ検討してまいりたい。ただいま結論を得ておるという段階ではございません。
  146. 小林恒人

    小林(恒)委員 そこも実に不明確ですね。  それでは次に、土地の問題ですけれども、一月十日に国鉄が出した再建方策の中では、約三兆円の土地を売却をしたい、こういう提起がありました。今回の監理委員会の答申の中では、それをはるかに上回る五兆八千億と言われる膨大な金額が見積もられているわけです。そればかりではなしに、面積についても二千六百ヘクタール、五兆八千億と明示をしているわけですけれども、この積算根拠を明確にできますか。
  147. 林淳司

    ○林説明員 用地につきましては、「意見」の中に二千六百ヘクタール、五兆八千億程度ということを明記してあるわけでございますが、その個別具体的な内容、具体的にどこの土地を幾らで評価したかということにつきましては、これは今後の土地の取引等に重大な影響を及ぼす事項でございますので、その具体的内容は明らかにするわけにはまいらないことでございますので、御了承いただきたいと思います。
  148. 小林恒人

    小林(恒)委員 これは、まさにつかみだと思うのですよ。つかみなんでしょう、言えないということは。例えば大蔵省が土地を売却をする、国鉄が売却をする。国が売却をするわけですから、地価の高騰につながるようなそういうことはできません、したがって、二千六百ヘクタールの中身を具体的に示すわけにはまいらない、こういう言い方をするのでありましょうけれども、しかし国鉄の用地、いわゆる財産というのは国民の共有財産なわけです。そういう言い方が、逆に財界に勝手に値段をつけられて買いたたかれる。例えばことしの予算委員会の中でも、国鉄本社の用地を売ってはどうか、こんな議論がありましたね。神田の一丁目に行くと坪五千万円ぐらいするぞ、そんな金額なんかもささやかれました。しかし、幾らで売るのか、こういうことになると、これは極めて微妙なのではないですか。勝手に値段をつけられて買いたたかれる、こういうことを防止するために、少なくとも基本というのは、国民の前にこういう形態でという明らかなものを提示をする義務があるのではないですか。この資料提出はどうしてもできませんか。
  149. 林淳司

    ○林説明員 私どもは、この五兆八千億の土地につきまして、関係方面の御協力も得ながら個別具体的に調査をして把握をしたものでございます。決してつかみではございません。  それから、土地については、特に売却をする場合に公正を期する必要があるということで、その公正を確保するために公開競争入札を基本とする適正な時価でこれを売却するべきだということを意見の中にも明記してございます。いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、個別具体的にどこの土地を幾らに評価したかということについては、将来の土地取引に重大な影響を及ぼしますので、これは公表するわけにはまいらないということでございます。
  150. 小林恒人

    小林(恒)委員 いずれにしても、少なくとも国鉄問題が国会の中で議論が始まるその段階よりはるか以前に、我々が正確な意見で議論に参加できるような資料になるわけですから、国会にも国民にも明示をするという義務はあると私は思います。このことについてだけは特に強く要望を申し上げておきたいと思います。  それから、仮に答申どおり作業が進んだとすれば分割なわけです。新会社の適正人員をはじき出して、この答申の中にもつづり込まれてまいりました。過去数年間国鉄というところは新規採用をやっていないわけです。加えて六十二年度末の段階では新規採用をしないままにさらに二万人程度の希望退職を募り、それでもなおかつどうしようもないという判断があって、約三万二千人については新しい会社がしょい込む、こういう形態をとると、間違いなく新規採用は昭和六十二年四月の段階まではただの一人も行われないということになるわけですね。総裁、そこはどうなんですか。
  151. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 これまでの合理化あるいは人員対策の基本的な考え方は、毎年退職者が非常にたくさん出てまいりますが、その後補充をしないという形で人員の減を図ってきたということでございまして、これは今後とも新しい企業体に移行する間、やはりそうした姿勢を続ける必要があろう。さらにまた、それ以上に希望退職等の新たな仕組みを考える必要があるということでございます。
  152. 小林恒人

    小林(恒)委員 答申というのは、少なくとも副題に示されておりますように、「鉄道の未来を拓くために」、再生のための答申なんです。したがって、質問したい中身は、この答申の中に示された適正要員の推計、これは将来国鉄が本当の意味で生き生きとした企業経営を進めていく、それだけのものが組み込まれているのかどうなのか。これは私どもとしてはあえて推計と言わざるを得ない数字なんですね、膨大な要員削減をしようというわけですから。その意味では、積算の基準になったもの、主として私鉄並みの生産性という積算根拠は一体何なのか、この根拠をお示しいただけますか。あわせて資料の提出はしていただけますか。
  153. 林淳司

    ○林説明員 適正要員数の算出根拠につきましては、参考資料といたしまして「意見」にも添付をしておるところでございますけれども、さらにその具体的な詳細な内容につきましては、先ほど申しましたように、現在膨大な資料を整理中でございますので、その整理が済み次第お出しできるものはできるだけお出ししたいというふうに考えております。
  154. 小林恒人

    小林(恒)委員 すべて先送りで、本当は議論しづらいわけですよ。内容的に明示されない、資料は整理され次第、こういうことばかりなわけですね。従来おった要員が大幅に削減をされていく、そういう過程で、過般の日本航空事故にも見られるように、輸送業務というのは一つは安全性が基本であり、快適性が保障されていなければなりませんし、あわせて定時性という問題、このいわゆる三原則というのが極めて重要だと思いますけれども、安全問題について十二分な要員措置あるいはその他の機器類をも含めた措置というのは考慮されましたか。
  155. 林淳司

    ○林説明員 要員の算出に当たりましては、基本的には各私鉄それぞれ、また私鉄といいましても輸送密度によって違いがございますので、そういう面も考慮して、私鉄並みの要員数というものがまずベースにあるわけでございます。それにプラスしまして、国鉄の場合私鉄にはない特殊性もございますので、その辺の特殊性も加味をして要員数を計算した、こういうことでございます。
  156. 小林恒人

    小林(恒)委員 国鉄総裁、あなたが就任された直後に能登線の事故がありましたね。私は新聞談話しか読んでいないので大変恐縮なのですけれども、あなたは天災だと発言されましたが、その記憶はありますか。
  157. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 私は、現地へ法要に参りまして、後の新聞記者会見で、人災の点についてどう考えるか、こういう御質問があったことにお答えをした記憶がございます。警察なり国鉄の調査が現在進行中であるので何とも申し上げられないけれども、今のところ盛り土の崩壊が直接的な原因かと思います、点検と基準については今までのやり方として外れてはいないと思います、これらの点についても原因をもう少し調べていく必要がある、人災かという点については判定することが難しいというふうな感じを持っておるというふうに申し上げたところでございます。
  158. 小林恒人

    小林(恒)委員 あなたが今ここでこう言われるのですから、言ったとおりなんだと信頼をしたいのですが、新聞各社は、明らかに天災だ、人災を否定した、こう書かれましたね。この現実があるわけです。少なくとも七名の方々がお亡くなりになるような事故。鉄道を敷設するということは、自然を工作して敷設を行っていく、そういう意味では人工を加えるわけですから、人工を加えた中で、それぞれ集中豪雨によるもの、あるいは地震その他の派生的な要因によるもの、いろいろあったとしても、やはり旅客輸送をしている総責任者としてそういうニュアンスを与えるような発言があったということについては、私は遺憾だと思うのですけれども、あなたはどう思いますか。
  159. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 おっしゃる点の反省は、私今しておるところでございますが、当時としまして、概括的な感じということで長雨による盛り土の崩壊が直接原因であるというふうな感じを持っておったために、人災という新聞の方の御質問に対しまして、もう少し慎重な発言があってしかるべきであったと私は思っております。先生おっしゃるとおり、いろいろな意味で、たとえ天災であろうと国鉄自身の列車によって起こった災害でございますので、十分我々は責任を感じておるところでございます。
  160. 小林恒人

    小林(恒)委員 時間がありませんから、これ以上の問題指摘をしようとは思いませんけれども、国鉄総裁、私はあえてこういう立場にある国鉄総裁の発言としては、問答無用の暴言であったと指摘せざるを得ないのです。とうとい人命が失われでいっている、こういう現実、こういうことが再び起こらないためにも、運輸省当局に対して特にこの件で私がお願い申し上げておきたいのは、国鉄が今日こういう経営危機に陥るに至った経過というのは、紛れもなくモータリゼーションだ、私も部分的にはそう思う。  しかし、現実に交通事故死ということを考えてみた場合、日本航空はたった一機が墜落をすれば五百二十名のとうとい命を失ってしまう。そして長雨が続けば七名にも及ぶとうとい人命を失ってしまう大惨事を招来する。さらに、ことしの春ですか、三重交通のあのバス事故に見られるように、前途のある学生諸君がバス転落によって命を失う。これらすべては、交通にとってやはり安全が第一だという認識が欠落をしつつ、経済性だけを追求していくところに端を発しているということは、否めない事実として私たちは反省をしなければいけない課題なのではないだろうか、こういう気がいたします。  先日来日をしたノーベル賞受賞者であり、経済学者であるW・レオンチェフ氏の記事を「エコノミスト」で読ませていただきました。同氏は、イタリアの政府委員として招かれて、国有鉄道の効率化という意見を同国に提出し、その帰途に日本に立ち寄り、日本の国鉄再建問題について次のようなことを述べているわけです。今日本で話題になっている国鉄民営化の議論は、政府対民間という図式になっている、しかし、イタリアでは国鉄の最も効率的な輸送システムをどうつくるかに重要な関心を持っている、そしてその中で政府と民間のそれぞれのよい要素をいかに組み合わせるかということに努力をしている、日本の国鉄再建論も、民営化するにしろそうでないにしろ、どうしたら最も効率的にやれるかということを見つけることが一番先決の問題である。同氏が指摘をしておられる点というのは私も同感なわけであります。  一つの参考としてお話を申し上げましたけれども、再建監理委員会が提起をした答申書、これは尊重するという法の建前は十分理解をいたしますが、十分な議論というのはどのように保障されるのかということも、また国民の重要な関心事の一つになっているということを踏まえて、最後に運輸大臣並びに国鉄総裁の考え方をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  161. 山下徳夫

    山下国務大臣 今回の国鉄の改革は、まさに画期的ともいうべきあるいはまた革命的ともいうべき大変なことでございますことは、私自身も十分承知をいたしております。ただ、これは臨調によって時期も明示されておりますし、一応の物理的な期限というものがあるわけでございますから、少なくとも次の通常国会には法案の整備をして皆様方提出して御審議をいただかなければならぬということでございますし、その作業の過程におきましては、ただいまの先生の御意見も十分頭に入れながら私どもはこれから作業に着手してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  162. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 監理委員会の「意見」の方向に沿いまして、今具体的に作業を進めておるところでございますが、何分にも今までにない大改革でございます。国民全般の御理解、御支援をいただかなければなかなかこうした大改革はできないと思います。そういう意味におきまして、常に御理解いただけるようなPRというものを私ども十分にやってまいりたい、その上でこの大きな改革を実施に移していきたいというふうに思っておるところでございます。
  163. 小林恒人

    小林(恒)委員 終わります。
  164. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 富塚三夫君。
  165. 富塚三夫

    ○富塚委員 山下運輸大臣努力にもかかわらず、三光汽船、会社更生法の適用を申請された。世界屈指のタンカー運航会社が倒産をした。実質債務は一兆円と言われる超大型倒産である。御案内のように、心配されますのは連鎖倒産あるいは大量失業、地域社会への影響、またささやかれていますように、金融機関の再編成、河本前国務大臣が事実上のオーナーとして昭和四十年来救済を試みられてきたが、だめになった。  また、午前中審議をいたしました日本航空の大惨事、一二三便の墜落事故、五百二十名の死者、四名の重傷者を出した大変な惨事を起こしました。三年前に羽田の沖であれだけの事故を起こして、十分反省をして改革をしなければならないにもかかわらず、また大惨事を起こしてしまった。世界に誇る日本航空も、今や安全運航が期待できなくなってしまった。  そしてまた、今御質問申し上げます国鉄問題。汽笛一声新橋から、戦後の復興を支えまして、戦後の日本の経済の高度成長をつくり上げてきた国鉄の経営が今ピンチになっている。考えてみますと、くしくもこの三つは私たち運輸委員会の所属する分野の問題であります。  中曽根さんも、国民の支持が高いからといって、靖国神社の公式参拝など懸命になっておられますが、内閣はもっとこういった問題に真剣に取り組む。またその政治のかかわり合いの中で、運輸行政のあり方に問題があったのではないか。人命や雇用にかかわる大変な問題であります。     〔委員長退席、鹿野委員長代理着席〕 それだけに運輸行政のあり方、国会での対応、こういう問題について基本的に運輸大臣は反省をして、私は、我々も含めて反省すべきところはする必要があると思いますが、この点について一体どうお考えになっていますか、運輸大臣にお尋ねをいたします。
  166. 山下徳夫

    山下国務大臣 三光汽船の問題についていろいろと御心配をかけましたことを私も所轄行政の責任者として申しわけなく思っておる次第でございます。会社更生法の適用申請が出て、まだその決定はなされておりませんが、きのう全命令が出されたということは、それが直ちに更生法の適用につながるということではございませんが、何か推定するに、よい方向に向かうのではないかという期待も私自身は持っておる次第でございます。いずれにいたしましても、たくさんの関連企業もあることでございますから、この処理につきましてさらに私ども努力をいたさなければならないと思っております。  このよって来るゆえんは、構造不況に対して十分な対応ができなかったということも一つの理由であろうかと思いますが、今御指摘がございました国鉄も、広い意味からしますと、やはり構造不況、それは公社制度云々あるいは一元的運営云々といろいろございますが、それらの理由によって来る一つの鉄道の特性というものが生かし切れなかったという意味におきましては、やはり構造不況ということが私は言えると思うのでございますし、両々相まって、この海運、国鉄等につきましては、今後さらに政府としても思いをいたしながら十分対処していかなければならないと思います。  日本航空の問題につきまして、先ほど羽田沖の問題についても御指摘ございましたけれども、今回の事故につきましては、これからさらに詳細な原因調査が行われますが、現在想像し得る理由といたしましては、羽田沖の場合とかなりその原因を異にしておると思うのでございます。いずれにいたしましても、今日、航空というものは既に国内だけでも年間四千五百万人の者が利用する国民の足であり、乗らないというわけにはいかないのでございますから、徹底的に究明をしながら、利用者の方々に安んじて御利用いただけるように、これまた私の責任運輸行政責任ということを私はしかと私自身に言い聞かせながら対処してまいりたいと思います。
  167. 富塚三夫

    ○富塚委員 やはり運輸行政のあり方も、もっとガラス張りで行う必要があるだろうし、同時に国会での対応もきめ細かくすべきであろうという点で大きな反省が必要なんじゃないか。どうも形式的議論に終始をして、我々の求めようとする対応が運輸行政の中に十分に生かされていないんじゃないか、私はそういう疑問を感じている一人でございます。  そういう点で、これは本題ではありませんが、日本航空ども、あれだけ労使問題があって、安全問題にもかかわっていると三年前に言われておりながら、そのままあいまいになっている。全日空や東亜国内航空はうまくいって、なぜ日航だけがそういかないのかという究明が十分されないままに来ている。  あるいは国鉄問題についても、さまざまな問題ですが、何か壁で仕切って、ガラス張りにしないでやりとりをしてきているような、そういう形のものが、再建計画を立てても失敗しているんじゃないか、私はそう思うのです。  そういう意味で、今後は積極的にガラス張りの運輸行政といいますか、そういうものを運輸大臣に求めたいと思うのですが、所見はいかがでしょうか。
  168. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいま御意見を拝聴いたしまして、これからの運輸行政の一つの進むべき道かと私も存じます。したがいまして、御意見は十分尊重してまいりたいと思います。
  169. 富塚三夫

    ○富塚委員 私は、本日は、我が党の小林議員の質問に続きまして、国鉄に関する資産問題を中心に御質問をいたしたい、所見をただしたいというふうに思います。  監理委員会の答申の百二十一ページです。   「旧国鉄」における長期債務等の処理に当たっては、国民負担をできるだけ軽減するため、現在の国鉄所有地のうち、将来の事業の姿を見通した上で最小限必要となる事業用用地以外の用地は原則として売却対象とすることとし、これらを「旧国鉄」に帰属させた上で適正な価額で売卸し、もって長期債務等の処理財源に充てるべきだとしています。  この監理委員会の考え方なんですが、同時に監理委員会は「関連事業の展開に当たっては、土地を利用しない事業も種々可能であり、さらに、駅舎、線路、電車基地等の事業用用地で今後高度利用が可能と見込まれるもの」、非事業用用地は原則として売却するが、結局は関連事業の展開に当たっては、土地の利用を考えなくてもいいという考え方を出して、二千六百ヘクタール程度、六十二年度価額で五兆八千億の売却をやりなさいということなのですが、この考え方というものは、非事業用の用地は全部売ってしまえという考え方は、国鉄にはこれから航空や港湾などに比較をして投資が全く見込まれていない。あるいは国鉄が仮に民営化をする、あるいは民営的な手法を追求するとした場合でも、資産の活用ということを十分考えなければ国鉄の再生はできないだろうという基本的立場に立つと、余りにも短絡的にこのことを整理、区分されているように思われるのですが、その点についての監理委員会の見解はいかがでしょうか。
  170. 林淳司

    ○林説明員 国鉄改革につきまして、これは国民の理解と協力が不可欠でございますが、その場合、国鉄自身の最大限の自助努力というものがありませんと、真の意味の理解が得られないということでございます。  私どもとしましては、そういう意味で、国鉄自身の最大限の自助努力というものによって国民の負担をできるだけ軽減していく、こういう見地を重視いたしまして、できるものは最大限非事業用用地は売却対象にしていくのが正しいあり方ではなかろうか、このように考えているわけでございます。
  171. 富塚三夫

    ○富塚委員 民営・分割化して、あるいは補助金とか資産の売却で初年度は一%の利益を上げることにしたい、しかし投資の余力は全くない。航空や港湾、自動車、道路などに比較をして、そういう投資がないということの中で、資産の売却にだけ目を向けて、いわゆる将来の国鉄の再生を図るべき、収益を上げるべきところの民営的なそういったことを追求していくことの手だてが、土地を全部売ってしまったらできなくなってしまうのではないかと思うのです。それは単純なことだけれども、非常に大事な問題であり、あなた方はこの赤字を解消すればいいというだけの問題の答申になっているのではないか、その点はいかがでしょう。
  172. 林淳司

    ○林説明員 私ども監理委員会といたしましても、これから新しく再生される国鉄というのは。関連事業を積極的に展開してできるだけ企業収益の向上に資するという見地が重要であるということは十分認識しておるわけでございます。  ただ、現在非事業用用地として区分されているものについて、これがなければ関連事業は展開できないかというと決してそうではないんじゃなかろうか。現在の国鉄用地をつぶさに点検してみますと、駅舎でありますとかあるいは電車基地でありますとか、既存の事業用用地、これは新しい会社の方へ引き渡すものでございますが、既存の事業用の施設あるいはその用地というものについて、私鉄等と比べますと十分にまだ関連事業展開の余地がある、それだけの含みがまだ相当あるというふうに私どもは考えておりまして、そういうところも含め、さらに土地を使わない関連事業というものも多々あるわけでございますので、そこら辺を十分活用していけば関連事業の展開は図れるということを考えておるわけでございます。
  173. 富塚三夫

    ○富塚委員 五兆八千億円のいわゆる資産売却の問題を見込んだのは、国鉄の調査結果や行政監察の各種の資料を参考にして委員会の独自調査も加えて個別に売却可能用地を把握して見込んだ、こういうふうにしているわけです。  ここでお尋ねしますが、まず国鉄総裁、六十年の六月二十日に総務庁が行政監察を行って、売却可能な一千ヘクタールの貨物駅、工場など集約して見直しをやりなさいということについて勧告をしているわけですが、国鉄当局はこれを受けでどのような見直しをしたのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  174. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 監理委員会の答申をまつまでもなく、毎年国鉄といたしましては、資産売却によりまして、最近時点におきましては一千六百億円の予算を達成すべく用地を生み出し、売却に努めておるところでございます。  総務庁の御指摘もございまして、そうした線に沿いまして組織を挙げまして全面的な用地の見直しを検討をし、なおかつ、現在も詳しくそうした詰めを行っている最中でございまして、そうした総務庁の趣旨に沿い、また監理委員会の意見に沿いまして、今後具体的に詰めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  175. 富塚三夫

    ○富塚委員 国鉄の調査結果とは、行政監察の各種の資料とは、委員会の独自の調査とは、どういうことなんですか。監理委員会、教えてください。
  176. 林淳司

    ○林説明員 国鉄の独自の調査と申しますのは、例えばこの一月十日に国鉄の方が「基本方策」というのを出されましたけれども、そのときに三兆円という売却対象を公表しておられます。その三兆円の中身、例えばそういうものが国鉄の調査というものでございます。  それから、総務庁の方の調査というのは、昨年総務庁の方が独自に行政監察をされまして、その段階で用地についての監察をなされました。その結果について私どもとしても参考にさせていただいておるということでございます。  その他、私どもとしましては、この二年の間具体的に国鉄の用地についての個別の調査、もちろんこれは、全国網羅的にやることは、日時あるいは人手の関係で到底不可能でございますけれども、できる範囲で個別の把握をいたしております。そのような方法で調査をしたわけでございます。
  177. 富塚三夫

    ○富塚委員 監理委員会が参考としたデータについて、国会に明らかにするということをぜひしてもらいたい。小林議員からもその要請をいたしましたが、当然、監理委員会は内閣、政府に対してもそういう具体的なデータを明らかにすべきだと思うのですが、五兆八千億というこの内容の問題が極めて不明確であるわけです。このデータについて国会に明らかにしていただきたいと思うのですが、監理委員会はどうでしょうか。
  178. 林淳司

    ○林説明員 土地につきましては、先ほど申し上げましたように、個別の場所について具体的に幾らの評価をしたかということは、今後の土地取引に非常に重大な影響を与えます。したがって、私どもとしては、これを公表するわけにはまいらない、このように考えておるわけでございます。
  179. 富塚三夫

    ○富塚委員 全くやみくもから二千六百ヘクタールを生み出して五兆八千億を見込む。非事業用用地は全部売却せよ、これはちょっとひど過ぎるのじゃないか。  そこで運輸大臣、今私は前段に質問いたしましたけれども運輸行政はガラス張りであるべきである、大臣もそのように考えたい。当然国鉄資産の公開というものをすべきである。五兆八千億を生み出して累積債務の処理をするのだ、国民の負担を軽減したいのだというような監理委員会あるいは政府の考え方が出てくるならば、当然資産の公開があってしかるべきだと思うのですが、運輸大臣、約束していただきたいと思います。
  180. 山下徳夫

    山下国務大臣 今の国鉄が売却を予定されております国鉄用地につきましては、林次長からお話がありましたとおり、昨年でございましたか、品川の国鉄用地を売却いたしましたときに、予想外の非常に高い値段であったということで、国土庁から強い御不満の御指摘があったわけでございますし、また片方におきましては、今日の国鉄の現状からするならば少しでも高く売るべきであるという御意見もまたあるわけでございまして、公入札を原則とすると言いながら、今後どのような売却方法をとるべきか。公入札が原則でございますけれども、そこらあたり非常に難しい問題があると思いますし、ひいては今申し上げましたように、価格の問題にも影響しかねないということで、やはりガラス張りが原則ではございますけれども、部分的にはなかなか公表できない面もあるのではなかろうかと思います。そこらあたりは今後また関係者と十分話をしてまいりたいと思っております。
  181. 富塚三夫

    ○富塚委員 やはり正確に国民の前に公表する。国会の中で公表してもらったのを受けて議論をするということがなければ、そういうことがないから運輸行政は私はいろいろな誤解を生んでいるのだということを冒頭に言ったつもりなんですよ。国鉄の資産は国民共有財産だ、社会資本なんだ、みんなでこう言っているのだから、その点は明確にひとつ運輸大臣努力をしてもらいたい。お約束願いたいと思うのです。
  182. 山下徳夫

    山下国務大臣 これは我々閣僚の資産公開と違いまして、いろいろな要素が入っておると思いますし、冒頭に申し上げましたように、基本的には私も先生の御意見に賛成ではございますけれども、やはりこれは国家国民の財産でございますし、慎重を期さなきゃならないことはもちろんでございますが、御趣旨は十分私どもそんたくしてまいりたいと思います。
  183. 富塚三夫

    ○富塚委員 国鉄総裁、資産の台帳が国鉄にはあるのかないのか、ちょっとお尋ねいたしたいと思うのです。
  184. 岡田宏

    ○岡田説明員 資産の台帳につきましては、整備してございます。
  185. 富塚三夫

    ○富塚委員 その国鉄の台帳に基づいての資産の計算というのは、具体的に国鉄の当局から監理委員会提出したのかどうか、その点を総裁にお尋ねします。
  186. 岡田宏

    ○岡田説明員 監理委員会の御審議の段階でどのような資料を提出したかにつきましては細かくは承知いたしておりませんが、私ども持っております国鉄の資産の台帳、これは簿価で計上されておりますが、それらについては多分提出をさせていただいておるというふうに考えております。
  187. 富塚三夫

    ○富塚委員 その点は後でまたもう一回お尋ねをいたすことにいたしまして、実は政府の中に国有地活用推進本部というものが、民間活力導入を図るために置くのだと言って設置をされました。五十九年三月の品川駅の国鉄用地の売却、公示価格の三倍ないし四倍で売却したときの状況ですね、三・三平米七百十七万で一千十一億円で売った。運輸大臣、当時の細田さんは国鉄再建に大変役立つというふうに評価されている。また過日、八日ですか、東京紀尾井町の旧司法研修所跡地がやはり公示価格の三倍、三・三平米二千八百万で五百七十五億で売った。  これを受けて国土庁は、国土法すなわち国土利用計画法について、国公有地も含めるように売買の規制を考えたい、国公有地も売買の規制の対象としたいということを六十一年法改正に向けて検討したいとしているのですが、これには国鉄の用地も含まれるのですかどうか、これが一つです。含めることを考えているのかどうかということが一つ。  それから、内閣の国有地活用推進本部の設置、何の目的のためにつくられたのか、またメンバーの構成はどうなっているのかということについてお尋ねします。
  188. 河原崎守彦

    ○河原崎説明員 国土庁でございます。  ただいま御質問のありました点でございますが、国土庁土地局といたしましては、国土法が制定されまして十年になりますので、そのもろもろの問題点につきまして点検をしたいということを考えておりまして、二年間の予定で先生方にお願いして研究会をつくりたいと考えておりますが、その中で、ただいま問題になっております点、国公有地も土地取引の対象にするかどうかということを含めていったらどうかということを考えております。
  189. 松山雅昭

    ○松山説明員 お答え申し上げます。  国有地等有効活用推進本部の件でございますけれども、これは一昨年、五十八年十月二十一日に設置されておるわけでございます。その目的とするところでございますが、これは都市部における国有地等の有効活用につきまして、関係行政機関相互の間の事務の緊密な連絡を確保し、総合的かつ効果的な推進を図るために設けられているものでございます。  なお、お尋ねの本部の構成メンバーでございますが、本部長は内閣総理大臣、それから副本部長といたしまして建設、大蔵及び運輸の各大臣、それから本部員といたしまして関係各省庁の事務次官をもって充てております。なお、五十九年七月三日におきまして、この本部の中に本部長代行という制度を設け、現在金子国務大臣本部長代行に当たっておられます。  以上でございます。
  190. 富塚三夫

    ○富塚委員 その国有地活用推進本部のもとにつくられたと思うのですが、国鉄用地活用プロジェクトチームというものを五十八年六月八日、官房長官記者会見で公表されています。それには、錦糸町北側の用地約四ヘクタール、梅田の南の貨物跡地が約六ヘクタール、これを速やかに事業化を推進すべきだ、あるいは開発整備構想の策定を進める地区として汐留貨物駅約十七ヘクタール、そして東京の新宿貨物の跡地約三ヘクタールということで、具体的に錦糸町、梅田、汐留、新宿と、こう挙げられて検討されているというふうに資料を見せてもらっているのですけれども、この内閣につくった推進本部の中にこれをつくってどのようにこの四つの土地の問題について考えようと政府はしているのか、何が目的でこのプロジェクトをつくったのかということについて質問をします。
  191. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 先生のお話と若干食い違うかもしれませんけれども、沿革的に申し上げますと、まず最初には、民間活力のために国鉄用地をどのように有効に活用するかという話につきまして、国鉄用地の有効活用に関する連絡協議会というものができました。官房副長官が座長でございます。その席上においていろいろ国鉄の用地の有効活用について候補地の選定を行った。  その後、国鉄用地を含めまして全体に、先ほど先生の御質問で内閣の方からお答えのございました国有地等有効活用推進本部というものができまして、そしてそのもとに国有地等有効活用推進本部の企画小委員会というものができまして、現在はその企画小委員会中心にいろいろなプロジェクトについて検討が行われておる、こういう段階でございます。  御質問の錦糸町とか汐留等、具体的には錦糸町と新宿と汐留と梅田南でございますけれども、この四カ所につきましては、当初からそういう形で民間活力の導入の検討にふさわしい用地としての選定がなされまして、それぞれについて検討が行われ、例えて言えば、梅田南につきましては、既に土地開発のための組合が設定をされるというような形で、それぞれの検討が進んでおる、こういう形でございます。
  192. 富塚三夫

    ○富塚委員 監理委員会にお尋ねしますが、この四つ、錦糸町、梅田、汐留、新宿というものは、全部、二千六百ヘクタール、五兆八千億の中に入っているのですか、どうですか。ちょっとお尋ねします。
  193. 林淳司

    ○林説明員 この四カ所につきましては、既に先ほどの内閣の活用推進本部において具体的な検討がなされているものでございますので、私どもとしては、これは売却対象というふうに考えておるわけでございます。
  194. 富塚三夫

    ○富塚委員 国鉄本社及び現三局の土地と汐留や新鶴見や梅田や湊町などこういったところは予定しているが、錦糸町とか新宿については入っていないというふうに聞くが、それは間違いですか。
  195. 林淳司

    ○林説明員 錦糸町とか梅田南につきましては、明らかに非事業用用地でございます。私どもとしては、原則として非事業用用地は売却対象というふうに考えておりますので、それは入っているわけでございます。
  196. 富塚三夫

    ○富塚委員 結局、国有地活用推進本部、その中のプロジェクトとして検討している部分とか、総務庁の行政監察の勧告とか、監理委員会のデータを集めた問題の、いわゆる売却の範囲の問題とか、実はばらばらになっている。だから、資産を明確に公開をしてもらわないと、あるときにはこの土地は入れる、あるときは入れない、あるときには別に考える、それぞれの機関で別個に扱われて、国鉄の再建のために資産の売却をするなんて勝手なことをやられたのではたまったものではないというふうに一言で言って思うのです。そういう点で政府は明確にそういった方向について統一的な対応をとらなくてはいけないと思いますが、その点について運輸大臣はどうお考えですか。
  197. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 再建監理委員会の方の「意見」で資産売却の対象となっておりますのは、資産を売却して、その収入を充てるために非事業用用地を主体に売却を進めるべきだということでございます。  一方、国公有地等の活用とかその他の手段というのは、それらの土地を有効に利用するために、例えて言えば売却をするとしても、その際に極力民間活力が生かされるような形で売却をするという方策を探っておるものでございまして、その間についてはいわゆる売却のための手段を検討しておる、売却ないしは有効活用の手段を検討しておるということでございまして、そういう意味で監理委員会の方の売却の対象にされましたことと有効活用という問題については矛盾をするものではないと考えております。     〔鹿野委員長代理退席、委員長着席〕
  198. 富塚三夫

    ○富塚委員 全く一元的な対応がされていない。国鉄資産をどういうふうに計算するのか、資産をどういうふうに見るのか、そしてその中でどういうふうにいわゆる非事業用用地を売却する、あるいは事業用用地はどのように見積もって将来のことを考えるのかということをはっきりしませんと、内閣にできた国有地活用推進本部というのは一体何を意味しているのか。先ほどの何か文書を読み上げられただけでは納得できません。何か意図があるのではないか。  お聞きしますが、この国有地活用推進本部がどういうメンバーの形になっているか知りませんが、三菱地所、三井不動産など、これに加えて五十九年の十月に森ビル、東京瓦斯、住友不動産などを新たに入れたということは事実ですか。
  199. 松山雅昭

    ○松山説明員 お答え申し上げます。  今御指摘の件でございますけれども、現在国有地等有効活用推進本部があるわけでございますが、その本部のもとに昨年五十九年でございますが、二月三日企画小委員会というものが設置されております。これは官房副長官が主宰する会でございますが、この国有地等有効活用推進本部の活動に資するために企画小委員会を設置いたしております。その企画小委員会がいろいろな企画、推進を考えるに際しまして、民間有識者等から成るアドバイザリーグループ、こういうものの意見を求めてまいるということに相なっておりまして、ただいま先生御指摘の件は、国有地等有効活用推進本部企画小委員会のアドバイザリーグループのお話であろうかと思います。現在、アドバイザリーグループの方々といたしましては、十四名の方方が任命になっております。  以上でございます。
  200. 富塚三夫

    ○富塚委員 この国有地活用推進という中で、あるいは国鉄の資産の売却という中で、非常に不明朗な動きがあることがいろいろな雑誌や新聞にたくさん書かれているわけです。現実の問題としてそういう問題が出ています。  今、国鉄の八重洲の北口にあります二・二ヘクタールの場所は戦後ずっと使われてないところであります。バスの出入りとかそういうのに使われているところですが、地上三十二階建ての事務所のビルを建設するとかあるいは地上二十六階のホテル兼事務所をつくるという計画が国鉄によって進められた。それが三菱地所なり三井不動産、こういうところが中心に考えられておったものが、内閣官邸周辺から住友不動産も加えるようにという要請があって、目下その計画を中止しているということを聞いておるのですが、この八重洲の北口のところの問題は一体どう考えられているのか、その点についてお尋ねします。
  201. 岡田宏

    ○岡田説明員 今の先生の御質問にお答えいたします前に、先ほどの御質問に対しまして、国鉄用地の資産をつかんだものを監理委員会に報告をしたかどうかという点についてでございますが、面積につきまして御報告を申し上げております。簿価等価額につきましては御報告を申し上げておりませんので、謹んで訂正をさせていただきたいと思います。  今の八重洲の地区の問題でございますけれども、この地区につきましては、先生今お話ございましたような形で事業ビルをつくるというような企画を、国鉄側といたしましてもいろいろ立てた経緯がございますことは事実でございます。また東京駅に極めて近接する地域でもありますし、機能の充実整備を図るという意味もありまして、そういったものとあわせて、例えば事業所ビルをつくるというような計画を詰めてきた経過もございます。しかしながら、この件に関しまして今先生お話ございましたように、三菱でございますとか三井でございますとかあるいは住友でございますとかいうところからいろいろな注文が入り、そういったことでこの計画が進まないでいるということでは決してないわけでございます。  御承知のように、今国鉄といたしましては、再建監理委員会の御提出になりました「意見」の中で二千六百ヘクタール、五・八兆の用地売却をするという目標を与えられているわけでございまして、この目標を達成するために最大限土地の生み出しあるいは売却ということを考えていく必要があるということで鋭意作業を進めている、そういった関連もございまして、今当面この地区に事業所ビルをつくるという計画については進捗をいたしておりませんが、それはそういった事情でございますので御理解をいただきたいというふうに考えております。
  202. 富塚三夫

    ○富塚委員 監理委員会にお尋ねしますが、八重洲北口も国鉄本社と現東鉄三局も汐留も新宿の貨物跡地の三ヘクタールも、全部売却の対象にしておるのですね。売却の対象と見ているのかどうか、お尋ねします。
  203. 林淳司

    ○林説明員 具体的な場所について逐一イエスかノーかというふうに申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、少なくとも大きな部分として国鉄の本社につきましては、私どもとしては売却対象としてカウントをしております。その他については、先ほど申しましたように、非事業用用地は、現在空き地になっているものに限らず、今後集約可能な場所も含めまして、原則として売却対象としているということでございます。
  204. 富塚三夫

    ○富塚委員 全くわかりにくいのです。監理委員会のデータといいますか、判断にしている問題が各論では答えられない。国会の場で具体的に質問しているのにそんなことを答弁されていいのでしょうか。監理委員会が各論でわからぬ。しかし、二千六百ヘクタール、五兆八千億は売却するのだ、明確にここに書いておるのに各論ではわかりません。  私は、国民的な立場から考えるなら、東京周辺のイメージをどう持つかということを非常に大事に考えまして、いろいろ勉強してみました。八重洲北口の跡地も、話題になっています国鉄の本社も今度は売り払え、旧東鉄も売り払え、汐留も新宿も、加えて錦糸町もと、どんどんそういう問題が提起されてくるのですが、あるときにはこういうことを検討する、あるときはこうだ、何か監理委員会の中の各論も、今まで考えられている国有地の売却等には必ずしも合致してない点がある、箇所として挙がってない点がある。そういうものをデータとしてなぜ出せないのか、なぜごまかさなければならないのか。  ある人のうわさによると、汐留の構内は、本来、東京というのは、八重洲口などは三菱と三井です。住友グループは関西です。しかし、亀井さんが監理委員長をやって努力をしたから、その置き土産で汐留のことを考えてやりたい、住友グループも入れろ、こんなことが国民の間でささやかれていったら、それは誤解なんだ、そんなことはないんだというなら明確にしていく必要があるのじゃないか。  八重洲北口の建設の問題、世上うわさされている汐留、十七ヘクタールといいますが、実際は十九ヘクタール以上あると聞いています。そういう問題をどういうふうにしていこうとするのかということが明確にならなければ国民は納得しないだろう、私はそう思うのです。そういう点で監理委員会は、少なくとも二千六百ヘクタール、五兆八千億円を生み出すという内訳については明確に国会の場に出していただきたい。運輸大臣にもそのことを要求します。いかがでしょうか。
  205. 林淳司

    ○林説明員 まず最初に、最近雑誌等におきまして監理委員会のメンバーが何かかかわりがあるようなことが出ておりますけれども、そういう事実は全くございませんので、この場をおかりして明確に申し上げておきたいと思います。  それから、次にお尋ねの件でございますけれども、監理委員会といたしましては、先ほど申し上げましたように、国鉄をこれから再生させていく、大改革をするに当たりまして国民の理解というものが不可欠の条件である、そのためには自助努力をして最大限国民負担を軽減していく、こういう姿勢がないと本当の意味の国民の理解は得られない、その一つの方法といたしまして、持てる土地のうち今後事業に使う必要のないものについては原則として売却対象にしていく、こういう一つの明確な考え方を持っております。  そういう考え方のもとに具体的な調査をしたわけでございまして、先ほどの国鉄からのいろいろな調査の結果をお出しいただいたり、総務庁の監察結果を参考にさせていただいたり、私ども監理委員会独自の調査をしたりということで、それらのダブりを排除したりして総合的にチェックいたしまして、そして最終的に二千六百ヘクタール、五兆八千億という売却用地を確定したということでございます。  この内容につきましては、先ほど来再々申し上げておりますように、具体的にどこの場所を監理委員会としては幾らで見積もっておるというふうなことが仮に外へ出ますと、それをめぐっていろいろ不明朗な動きが出てくる可能性がございます。私どもとしては、これは国民負担軽減という見地から、旧国鉄において公正な方法、公正な値段で売却する必要があると考えておりますので、そのような不明朗な動きが出る可能性のある内容の公表は差し控えさせていただきたい、こういうことであります。
  206. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいまの資料の提出の件でございますけれども、この資料は監理委員会が所管されておる問題でございまして、資料の提出につきましては、監理委員会の自主的な御判断にゆだねるべきだと考えております。
  207. 富塚三夫

    ○富塚委員 運輸大臣政府が答申を受けたときは各論については一切報告されていないのですか。二千六百ヘクタール、五兆八千億円の内訳は言われていないのですね。ただトータルの数字だけなのですか。
  208. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 ただいまのところ、私どもは答申本文そのものをいただいた段階でございます。
  209. 富塚三夫

    ○富塚委員 監理委員会のそのデータ、そして政府がそれに基づいてこれからどうするかという問題は、国鉄総裁にもさっきお尋ねしたのですが、原簿によるデータをきちっと整理して国民の前に明らかにしていくようにすべきであるし、資料の公開については重ねて政府の立場からぜひ運輸大臣努力していただきたい。もちろんきょうは監理委員長がおりませんから、これ以上のことは言いませんが、質問はさらに次に留保させていただきます。  しかし、国民の側から見て、今のような、ある場所は、ある場所はと全部ばらばらになっているような中で何か極めて不明朗な動きがある。一部の利権集団がそのことをねらっているみたいなことに政府が加担するということがあってはならないし、そういうことを払拭していくことが真の国鉄再建に向けての道だと思うのです。  私は、国鉄問題は、資産はできるだけ活用して、パブリックセンターのようなものをつくって、環境庁の答申を見ると、東京などは緑とか公園は三倍か四倍にしなくてはいけないという国の政策等の観点が提起されておるわけです。汐留なんかはむしろ国立公園でもつくっていくぐらいなことを東京都と相談してやる、そしてそういうところに国鉄の余剰人員を吸収していくということを考えなければ、資産だけどんどん売却して赤字の清算だけすればいい、初年度は一%上げるけれども、後は投資の展望がない、そんな答申案では私は納得ができない、そういうふうに思います。そういう点で、答申を受けて検討されているようですが、根本的に政府にそのことを考えていただきたいということを要望しておきます。  それから、国鉄の資材の購入の問題でありますけれども、三千九百五十四億円の五十八年度の資材の購入の中で、電線、ケーブルなど八十一億。亀井さんのことを考えてなのかどうか知らぬが、毎年住友電工はシェアが上がっているという問題などもいろいろうわさされているわけです。この資材の購入のやり方の問題などについてもっと明朗に公開してやるようなことをすべきであるというふうに思うのですが、誤解を受けるようなことはないんですね。その点、国鉄総裁にお尋ねします。
  210. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 資材の購入に当たりましては、法令に基づくやり方によりまして公開競争入札あるいは場合によりましては随意契約というようなことで、いやしくも国民に疑問を与えることのないよう厳正にやっているつもりでございます。
  211. 富塚三夫

    ○富塚委員 国家の土地政策の見地から新たな土地の騰貴の問題に警告を発するという国土庁の考え方も一つは出ています。一方政府には、国有地も売買をして、あるいは民間活力を導入してやりたいという考え方も出ている。一方では国鉄の資産売却という問題も出ている。これは国民的な観点から見てどのように調和をしていけばいいのかということの問題になっていくんじゃないだろうか。  国鉄の立場からすれば、用地をどんどん高く売ればいいという考えがあるかもしれません。しかし、国民的な立場からすれば、土地の値上がりを招くことが国民生活を圧迫するという一面もある。そういう観点から考えますならば、私は、国鉄の用地というものはそんなに軽々しく売るべきではないし、そんなに速いテンポで片づけていくということをすべきじゃないだろうというふうに思うのです。  もう一つは、どうなんでしょう、国鉄本社のあの建物を売っ払う、そんなことを盛んに監理委員会も審議をやられているのですが、運輸大臣、まともにそんなことをお考えになっておられるのかどうか、そこらをちょっとお尋ねしたいと思います。
  212. 山下徳夫

    山下国務大臣 まず国鉄の財産の処分につきましては、今調和というお話がございました。なるほどそれも一つの要件かと思いますが、やはり順位といたしましては、これから複合経営、民営化に向かって鉄道以外にいろいろやらなければならぬからこれだけは残しておくんだよ、これから国鉄に必要だよ、これは私優先順位だと思います。しかる後に、その事業用をまず省いた後に、これを民間に払い下げていくという順序になろうかと思います。  それから、国鉄の本社の問題についてはちらほら私の耳に入ってまいりますが、これはやはり国鉄自体でお考えになるべきことだと思います。
  213. 富塚三夫

    ○富塚委員 私は、やはり国鉄再建というのは、資産をどういうふうに活用して、そして将来の展望をつくっていくかということが大事であろう、こう思うのです。そういう観点で、政府はこの監理委員会の答申にこだわることなくやっていただきたいと思います。  同時に、私たち社会党も、資産というものは売却じゃなくて活用していく。きょうは別の問題ですから質問をしませんでしたけれども、十万人余の人たちの雇用を吸収するなんということもそんな簡単なものではない。やはり資産を活用してパブリックセンターのようなものをつくって、そこに雇用を吸収していくという視点を大事にしなければならない。何か不明朗な雰囲気で特定の利権集団と癒着ができるようなことになると、国民は国鉄再建に信頼を持たなくなってしまう。  私は、徹底的に資産問題を今後も取り上げて国会で審議をしていきたい、こう思っていますが、重ねて言いますが、どうかそういう観点に立って、監理委員会のデータあるいは政府が資産の公開をすることを約束していただきたい、それを申し上げまして、私の質問を終わります。
  214. 三ツ林弥太郎

  215. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうの委員会は、当初国鉄問題に絞ろうということで予定をいたしておりました。その後、日航機の墜落事件、そしてまた三光汽船問題と、非常に大きな問題が入ってまいりました。きょうは午前中、日航機の問題で質疑をしたわけでございます。したがいまして、国鉄問題に入る前に三光汽船問題について若干お伺いしたい、このように思います。  まず、今回の三光汽船のいわゆる倒産、これの原因につきまして政府としてはどのように見ておられるか、これをひとつ率直にお伺いしたいと思います。
  216. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほど富塚議員の御質問にもお答えいたしましたように、基本的には構造不況によるものである。つまり第一次、第二次石油ショックによって世界じゅうが油を余り使わなくなった、油の使用量が半減した、したがって、油のデリバリーに必要とするタンカーというものは半分は遊ぶようになった。これがいわゆる外航海運の不況の始まりでございまして、そのよって来る構造不況の理由による対応について、各社いろいろあったと思うのでございますが、特に三光はタンカーが主力であったために、構造不況の影響を余計に受けたということが言えるかと思うのでございます。
  217. 近江巳記夫

    ○近江委員 この三光汽船が海運市況の予測を誤り、あるいは高度成長期の夢を追い続けた投機的な経営に真の原因があるのじゃないかとか、いろいろそういう厳しい見方もあるわけでありますが、大臣はいかがですか。
  218. 山下徳夫

    山下国務大臣 ちょっと今の御質問、わかりにくい点があったのですが……。
  219. 近江巳記夫

    ○近江委員 構造的な不況であるという原因をおっしゃったわけですが、いわゆる将来に対する予測を誤ったそういう経営のあり方、投機的な手法による危機を招いたとか、非常に厳しい見方もあるわけですが、他の要素について大臣はどう思われますかということを聞いているのです。
  220. 山下徳夫

    山下国務大臣 会社の今日までの経営の姿勢を見ておりますと、確かに御指摘の点が、ある段階においてはあったかもしれないと思います。しかしながら、第二次石油ショック以来は、先ほど申し上げましたように、やはり構造不況が一番大きな原因であるということでございます。海造審の答申におきましても、その点は十分指摘をしてございまして、これからやるべきことは、まず、集約、非集約というものをなくして一本化してやるのだよということと、このいわゆる構造不況に対してどう取り組むかということ、この二つが指摘してあるわけでございまして、私はこの指摘のとおりに、やはり構造不況、特にタンカーを中心とした外航海運の不況のあおりをもろに食ったということであろうと思うのでございます。
  221. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回のいわゆる倒産の影響、社会的な影響でございますが、これにつきましてはどのようにごらんになっていらっしゃるか。これにつきましては、日銀の営業局長は、金融債務の金額は大きいけれども一般債務は少ない、しかも信用力の高い造船、商社など大企業が中心なので連鎖倒産はないだろう、また発生しそうな場合には金融機関と早目に連絡をとって有効な手を打つ、こういうようなことを言っているわけですが、私はそれは非常に甘い見方だと思うのですね。現実にもうそういうような倒産の心配がたくさん出てきておりますし、中小企業への影響というのは非常に少ないと見られておったわけですけれども、予想に反して数百社に及ぶということが明らかになってきております。通産省としては、十五日に連鎖倒産防止臨時対策本部を設置して、金融、信用保証、相談、指導等にわたる対策実施を発表しておる、こういうわけですが、これの影響につきまして、運輸大臣としてはどういうようにシビアにとらえておるか、また対策として呼応してどういうことを考えておるか、これらの点についてお伺いしたいと思います。
  222. 山下徳夫

    山下国務大臣 一般産業に比べて連鎖倒産、いわゆる与える影響というものは、すその広がりが非常に狭いというような見方も一部でございましたけれども、私はそうではないということを言い続けてまいりました。  一つには造船対策でございますけれども、三光汽船が今日までやってまいりました、いわゆる造船による船腹をスクラップしながら超近代化する、変えていくということによって、毎月百数十億のものが造船会社に支払われてきたということで、これは造船不況にはかなりいい影響を与えてきたことは事実であります。しかしながら、その造船の計画もあと三十隻残っているということで、直ちに造船業界に及ぼす影響もかなり大きいと思っております。  同時にまた、この中小企業も今御指摘のとおり、正確な数字は把握いたしておりませんが、少なくとも数百社に及ぶことは間違いないのでございますから、これらの点につきましては、私の省でできることは運輸省でもって最大限にひとつ努力をして、連鎖倒産その他影響がなるべく大きく広がらないようにしてまいりたいと同時に、中小企業の救済等につきましては、通産省、特に中小企業庁と十分連絡をとりながら、その救済策にひとつ最善の努力を払ってまいりたいと思っております。
  223. 近江巳記夫

    ○近江委員 この影響につきましては、造船業界については確かにそういうように影響は出るだろう、こういう見方をされているのですが、国内、国外に分けまして、いわゆる国内の海運業あるいは海運市況、中小造船業界、それの関係、そしてまたいわゆる国外の海運市況、船主、代理店関係等に分けて、もう少しお伺いしたいと思います。
  224. 仲田豊一郎

    ○仲田説明員 まず、国内の海運業界に対する影響を申し上げますと、長期的また短期的に考えますとなかなか複雑でございまして、私ども、まずこれによって船が動かなくなる、しかも世界第一の運航船腹量を持つ会社の船が動かなくなるということを前提にすれば、それは需給関係ではもちろん供給が減るということになりますので、市況は強含みになるということが理論的には考えられるわけでございます。しかしながら、全部とまるということはございませんし、荷主に対する責任というのはございますので、できるだけ船は動くという形にいくかと思います。  それから、先になりますと、この会社が昨日裁判所の保全命令を受けまして、一応財産の保全処分ということを受けて、これから再建という道を歩むか否かという判断に差しかかるわけでございますが、どういう形でこの会社が再建されるか、どういう形で決着されるかということによって、いろいろとその効果、影響の方が違ってくると思いまして、なかなか今の時点では即断ができないのではないかと思っております。  それから、外国に対する影響でございますが、外国は一般的なマーケットという意味では今申し上げたとおりでございますが、私ども一番気にしておりますことは、こういう事態になりまして、外国の日本海運全体に対する信用というものがどうなるか、これをもしも傷つけ、また不要な混乱を起こすような事態になりますと、これまた日本海運業界に対する一つの信用の失墜ということで好ましくないことでございますので、このようなことがないように、十分関係者の御協力を得て、私ども全力を挙げて努力をしていきたいと考えておる次第でございます。
  225. 近江巳記夫

    ○近江委員 今御答弁ありましたように、非常に深刻な状況であるということは一致しておるわけでございます。いわゆる保全処分をしたと言いながら、まだ五里霧中、霧の中である、見通しはそのように思うわけでございますが、申請をしておるわけでございまして、今後どういう手順といいますか、運輸省として再建に至る道というものを予想しておられるのか、この辺につきまして考えておることがありましたらお伺いしたいと思います。
  226. 山下徳夫

    山下国務大臣 会社更生法の適用を申請される前に、大和銀行の頭取とも話を申し上げました。そのときには、更生法の適用はあくまで破産ということではない、再建を目的とした更生法の適用であるということを明言されました。したがって私も、そういう目的であるならばということで申し上げましたし、また同時に、今局長が答弁いたしましたように、今日まで七つの海に君臨してきた日本の海運界、このプライドを傷つけることのないよう、まず外国からいわゆる不信感を持たれないということ、国際的に信用を失墜しないということに基本を置いてひとつ十分御配慮願いたいということに対して、これまた大和銀行の頭取もこれを子とされたわけでございます。  したがいまして、今国外の幾つかの港でもって停船の事態が起きておりますけれども、これらに対する緊急的な措置につきましては、融資銀行筋とも十分今後また我々もいろいろと相談をしてまいりたいし、また基本的には、先ほど申し上げましたような線を了解されておりますので、そういう意味におきまして、私どもは今後とも努力をし、また今申し上げましたように、とにかく船が停船しないで、一日も早く全部もとどおりに動くような体制をとりながら再建がなされるように、私どももまた努力してまいりたいと思っております。
  227. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは非常にいろいろな考え方があるわけでございまして、政府としても安易なそういう救済といいますか、もっとシビアな立場に立って、今後はやはり我が国の海運のあるべき姿、またその対策といいますか、そういうことを真剣に考えていかなければいけないと思うのですね。そういう点、今後海運界全体に対してどういう手を打っていかれるか、最後にこの問題についてお伺いしたいと思います。
  228. 仲田豊一郎

    ○仲田説明員 御指摘がございましたように、今回の事件は、日本の海運業界にとって極めて大きな影響を与える。いろいろな意味がございますが、国内におきましても海外におきましても、かなり大きな影響を与えるという可能性がございます。これも、もとはと申しますと、海運の世界的な不況に端を発しているわけでございまして、こういうような構造不況に対処するために日本の海運政策というものがどれだけのことができるか、国際的な一つの流動的な経済の中ではございますが、その中でかなりのシェアを持っている日本の海運というものの行動によって、これがまた海運の不況に対して一つの効果ある対策を生み出すということも考えられますので、こういうような方向で私どもも、海運行政の中で政府は何ができるかということを具体的に考えてまいりたいと思っております。
  229. 近江巳記夫

    ○近江委員 何ら具体的な答弁が出ていない。具体的に考えていきたいと思います、希望的な答弁だけなんですね。何か考えていることがあるのですか。
  230. 山下徳夫

    山下国務大臣 基本的には今局長が御答弁申し上げたとおりでございますが、さらに具体的という重ねての御質問でございますので、お答えいたしたいと思います。  先般の海造審の答申におきましては、一つは集約、非集約の問題に触れでございますが、これからの対策としては、絞ってみれば、ただ一点と申しましょうか、それはいわゆる余った船をどうするか、構造不況対策の基本的な解決はやはり解撤、いわゆるスクラップを促進するということがはっきり明示されております。あるいはまた、つとにOECDの国際的な総会におきましても、昨年、一昨年といわゆる解撤を促進する以外にはないという満場一致の採択がなされておるわけでございまして、その線に沿って、運輸省といたしましては、今後とも構造不況対策の一番の決め手となるのは、やはり解撤であるという観点に立って、中国その他関係諸国とも十分話し合いの上、超近代化船に変えるという一つのそういう過程も考えながら、解撤に対して具体的に進めてまいりたいと思っております。
  231. 近江巳記夫

    ○近江委員 厳しい試練に立たされておる海運業でございますし、ひとつ総力を挙げて、海洋国日本のこれはなくてはならない一つの分野でございますので、今後一層の努力をしていただきたい。強く要望いたしておきます。  次に、国鉄問題に入りたいと思います。  亀井委員長のもとでこの二年間の努力は多とするわけでございますが、しかし、きょうは亀井委員長が来られていないということにつきまして、いろいろな理由があるにいたしましても、運輸委員会なんです。運輸委員会におきまして、いろいろな用件があるにしても、本日出席できなかったということにつきましては非常に遺憾に思います。これを先に申し上げておきます。  そこで、あと二年の任期をお持ちであるわけでございますが、今後のこの委員会の活動につきまして、重点をどこに置かれて、どういうようなスケジュールによって今後行おうとされているのか、この点につきましてお伺いしたいと思います。
  232. 林淳司

    ○林説明員 私ども監理委員会は、「意見」を先月末にお出ししたわけでございますが、今後さらに法律によりまして存続をするわけでございまして、基本的には新しい企業体が発足をする時点まで存続をするというふうに考えられておるわけでございます。  これからの監理委員会の活動といたしましては、端的に申しますと、この「意見」を政府において実施をされていく段階で、それを逐次フォローアップしていくということになろうかと思います。具体的に意見を求められれば意見を申し上げたり、あるいは監理委員会独自で意見を申し上げたりということもあろうかと思います。そのほか、私ども、二年間にわたってつくりました今回のこの改革案につきまして、広く国民の御理解を得るような努力も続けていきたいというふうに考えております。
  233. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは非常に限られた時間でございますので、何点があと続いてお聞きしたいと思います。  公共性の変更の問題でございますが、公共性と企業性という問題について、今までの国鉄はやはり公共性というものが主眼であったわけですね。企業性というのは結局いろいろな形でおくれてきたということでございました。今回、こういう民営・分割ということになってきますと、公共性というものが私鉄並みのいわゆる公共性に変化するだろう、このように言われておるわけですが、これについてはどうかということが一点です。  具体的に、例えば運賃上の公共負担、こういう問題についてはどういうように展開するか。例えば運賃上の割引、戦傷病者、重度身障者等に対する補助等はどうなるか、こういう点で具体的にお考えがあればお伺いしたいと思います。
  234. 林淳司

    ○林説明員 公共性の点でございますが、現在の日本国有鉄道法におきましても、公共性と企業性ということが書いてあるわけでございます。これはどういう意味かと考えますと、企業性と申しますか、いわゆる効率的な経営をやることによって結果として公共性というものを発揮していく、そういう位置づけになっておるのだろうというふうに考えております。  私ども監理委員会といたしましても、鉄道事業というものについて、これが公共性がないというふうに言っているわけでは決してないわけでございまして、いわゆる公益事業一般が持っておる公共性と申しますか、あるいは言葉をかえれば公益性という言葉になろうかと思いますが、そういう意味での強い公益性は持っておるというふうに考えておるわけでございます。これは公益事業といたしまして、電力とかガスとかあるいは私鉄、その他運輸事業一般、それぞれ公益性を持っているわけでございますが、それと同じように鉄道につきましても、いわゆる国民一般の利便に供するという意味での公益性は強いものを持っているというふうに考えているわけであります。  ただ、一部よく議論されますが、国鉄についてはそういう公益事業一般を超えた独特の、何らかの公共性があるかというと、それについて私どもとしては、独占性を失って競争下にある現在の国鉄において、そういう独特の公共性というものは持ち合わせていないのではないか、このように整理をしているわけでございます。
  235. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に、第三次地方交通線の問題、そしてまた地方交通線の問題でございます。  第一次の特定地方交通線の転換というのはほぼめどがついておるように聞いておるわけでございますが、第二次特定地方交通線の処理というものはこれからでございますし、また第三次特定地方交通線というのは今後の問題になるわけでございます。そういうことを考えてまいりますと、これらの処理というものが、果たして六十二年の四月のいわゆる新会社の登場までに実際間に合うのかどうかということは非常に疑問になってくるのですね。もしこれらの特定地方交通線の転換が終わらない場合はどうするのか、監理委員会はどういうふうに考えているかということが一つであります。  また、この地方交通線につきましては、国鉄の「基本方策」を見ましたところ、その大部分を別会社にしなければ経営が成り立たないと主張しておるわけです。しかし、監理委員会では、今いわゆる分割・民営化という抜本的な改革を行うならば、地域と一体となった活力ある経営が行える結果、鉄道を地域住民の足として再生して残していくことが可能である、こうされているのですね。結局新会社が引き継ぐということになっておるわけでございますが……。  ところが、各地方におきましては、非常にその点を心配しているわけですね。経営上の点からいって、そうは言うけれども、新会社が引き継いだとしても、結局すぐに廃止をしてしまうんじゃないか、監理委員会がいい格好をして新会社の責任にゆだねようとするんじゃないか、そういう極めて辛らつな考え方というものがあるわけでございますが、これは本当に地域住民の足として再生して残していくことができるのですか。その点の心配はないのですか。  以上の点についてお伺いします。
  236. 林淳司

    ○林説明員 お答え申し上げます。  まず第一点の一次、二次、三次線でございますけれども、私どもといたしましては、この答申をつくる段階におきまして、従来から、昭和五十五年の特別措置法に基づきまして、特定地方交通線については明確な法律に基づく対策が講ぜられておるということでありますので、これについては、現在若干その進捗のおくれはあるものの、これから鋭意努力をしていただいて、いわゆる分割・民営化の時点までにバス等への転換が完了するように強く期待をしておる、こういうことでございます。  それから、第二点の問題でございますけれども、いわゆる特定地交線以外の、その他の地交線、約九十線ございますけれども、これについて一つ一つ取り上げてみれば、もちろんその中には、その線だけでは採算がとれないというものは当然あるわけでございます。ただ、私どもとしましては、それぞれの会社全体の中で、その中には収益路線もあるわけでございますので、全体の中で徹底した経営努力をするということによってより多くの地方交通線が生き残り得るのではないか、抱えていけるのではないか、このように考えているわけでございます。  現在の大手私鉄なんかを見ましても、大手私鉄のそれぞれの会社の路線が全部黒字線というところばかりではございませんで、大手私鉄の中には、赤字線も抱えておる、そういう会社もあるわけでございます。私どもとしては、分割・民営化され、活性化され、効率性がアップした、そういう企業体の中で、経営努力の中でできるだけ多くのローカル線を抱えていくということを主眼に考えておるわけでございます。
  237. 近江巳記夫

    ○近江委員 監理委員会はそうは考えているわけですけれども、現実に地方の県知事であるとかいわゆる住民は、やはり非常にそういう心配があるわけなんですね。それに対しては、そういうように考えておりますという答弁でとまっているわけです。新会社は今後どういう行動に出るのかということは全く未知数なんですね。監理委員会としては強く希望はなさっているかもしれないけれども、後の行動というものは果たしてそれとイコールであるのかどうかということはやはり疑問なんです。そういう点では非常に心配がある。これについては大臣、どう思いますか。
  238. 山下徳夫

    山下国務大臣 基本的には、もうどうにもこうにもならないものは切り捨てる、そのことによって残された地方線を救済していくという考え方であろうかと思います。したがって、もうかる路線だけ、利益が出る路線だけでもって今後新会社が運営するというのではなくて、特に地方の実態を考えるならば、そういうものもなるたけ抱きかかえていって、そして経営努力によって何とかペイしていくという、今の林次長の答弁と全く同じ考え方を持っております。
  239. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう心配がありますので、今後よくフォローをしていただきたい、このように思います。  それから、鉄道貨物事業対策の問題でございますが、これも監理委員会は、政府にいわゆるボールを投げているわけですね。十一月までに実現可能な具体策の作成を政府に求めておる。これは監理委員会として、そういう職責を十分果たしたものではないと私は思うのですけれども、また逆にボールを投げられた運輸大臣政府として、十一月までに具体案の作成、これを間違いなくやるのですか。自信あるのですか。両者からお伺いします。
  240. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 貨物の問題につきましては、監理委員会の御意見の中で、その基本的な方向、旅客と違う性格であるというような点に着目して、全国一本で、かつ旅客会社と別会社において経営するということを基本に、具体的な対策政府において検討するように、こういう形で御意見をいただいております。  私どもは、監理委員会の御審議の段階の途中から、既に貨物問題につきましては再三国鉄と運輸省、さらには監理委員会等交えましていろいろ議論をしてきております。そういうような集積もございますし、またこの御意見をいただきまして、直ちに国鉄との間で、推進本部の両者の協議会というものの中に貨物の分科会をつくりまして、既に検討を始めておるところでございます。  貨物につきましては、なかなか難しい問題がいろいろございますし、また旅客会社との関係というようなことにおいてもいろいろ困難な問題、解決しなければならない問題のあることは事実でございますけれども、それらにつきましては、先ほど申し上げましたように、従来の検討の集積等の上に立ちまして、十一月三十日という期限の間に的確な結論を出せるよう最大の努力をしていくということで、ただいまやっておるところでございます。
  241. 林淳司

    ○林説明員 貨物輸送の問題につきましては、確かに最終結論を十一月三十日までというふうにしておりますが、これにつきまして私どもの「意見」におきましては、まず機能的に旅客部門と分離して、全国一本の貨物会社で運営するのが一番よかろうということ、それからさらに、その場合にコスト低減のためには具体的にどういうことが必要であるか、さらに販売体制はどういうことを考えていかなければいけないかというような基本的な認識は、すべて「意見」の中に書いてございます。  ただ、具体的にレールをどのように使用するかというふうな技術的な問題、それからまた流通機構の中で貨物というのは非常に複雑な仕組みになっておりまして、その中で荷主あるいは物流業者が鉄道貨物というものをどの程度、どういうふうに利用していくかという見通し、この辺のところを実務的に相当詰める必要がありますので、具体的な結論をさらに若干時間的余裕を持って出そうということにしたわけでございます。
  242. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、もう時間がありませんので、あと一同だけ簡単に聞きますが、いわゆる余剰人員対策の問題でございます。特に再就職のための対策を必要とするいわゆる特別対策対象者四万一千人、こういう方々に雇用の場を確保するということは至難のわざだと私は思うのですけれども、これは間違いなく政府として三年間でやる自信はあるのですね。これだけ一つお伺いして質問を終わります。
  243. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 最終的に監理委員会の御試算で約四万一千人という人員につきましては、新会社がこれを引き継いだ場合には新会社の効率的な経営が行えないという意味で、これを分離して旧国鉄において再就職等の手段を講ずる、三年間をめどに行う、こういうことになっております。  御指摘のように、これはなかなか大変な問題であろうというふうに考えております。したがいまして、政府の中に余剰人員対策本部というものを既に設けまして、これを中心として、政府全体の問題として、これらに対する対応についてこれから具体的な対策を検討していくという段階でございます。「意見」にもございますように、これは大変重要な問題であるというふうに政府も認識して、期限内にこれが達成できるように最大の努力をするということでやっておる段階でございます。
  244. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  245. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 薮仲義彦君。
  246. 薮仲義彦

    薮仲委員 本日は午前中に先般の日航事故の集中審議が行われました。私も運輸委員の一人として、亡くなられた方々に対し心から御冥福を祈り、また御遺族の方に心からお悔やみを申し上げるとともに、大けがをなさった方が一日も早く全快なされるように祈りつつ、安全についての厳しい反省の上に立って何点か質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  冒頭に、大臣と国鉄総裁にお伺いしたいわけでございますが、本日午前中には空の事故について審議が行われました。しかし、大臣所掌の運輸行政というものは空だけではなく、今も多くの船舶が多くの旅客を乗せ海上運航しておるわけでございますし、また陸上には高速道路を多くの車両も走っております。あるいはまた全国網の目のように鉄道網が走っておるわけでございまして、油断をすれば大惨事が起きかねない。先般の能登線の事故もございました。また開業以来事故のない新幹線。もしも新幹線がと思うと、これは考えることも嫌でございます。  そういうわけで、大臣所掌の行政の中には――先ほど大臣は、人命を損なうことだけは断じてあってはならないと明言なさいました。私は静岡でございます。これから台風シーズンです。台風で大増水したとき、富士川のピアが一本飛びました。たまたま列車が通らなかったから事故は起きませんでした。しかし、あれすら予測できなかった事態であったことは事実でございます。このように、鉄道の安全の総点検、あるいは海上輸送、陸上輸送、大臣所掌の行政全般について、今回のことにかんがみて安全を喚起なさって、先ほどの御決意のように、再びこの委員会で悲しい審議がなされないような行政であっていただきたいと心から願いつつ、重ねて大臣の御決意と、総裁の安全に対する決意を最初に伺いたいと思います。
  247. 山下徳夫

    山下国務大臣 午前中からたびたび答弁申し上げておりますように、これは何も航空機に限らず、輸送機関全般に対して、安全の上に安全という、本当にその一点にすべてを傾注して今後やらなければならぬことは当然であります。  今回の日航事故につきましては、目下遺体の収集作業、それから確認といったような問題に全精力を傾けておりますが、一段落つきました時点におきましては、やはり御遺族に対する補償の問題が出てくると思いますけれども、私は亡くなった人命というものは金銭によって償えるものではないと思っております。他に手段がないからやむを得ず金銭の賠償という問題、補償という問題に移ってくるということでございまして、そういう意味からしても、とにかく人命ということを考える場合には、念には念を入れて、まさに完璧を期して、これからの安全というものを進めていくというふうに、今後とも進めてまいりたいと思っております。
  248. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 安全の問題は、運輸にかかわりある者といたしまして、交通事業のいわば基本であるというふうに私ども認識をしております。ふだんから安全の徹底については隅々まで行き届くように指導をしておるところでございます。  先般、不幸にいたしまして能登線の事故がございました。なお原因究明中でございますが、直ちに同種の路盤等の問題について全国総点検をし、また基準の見直し等の作業を直ちに開始したところでございます。  このように、いかなる事態になろうとも、やはり安全は交通の基本であるという認識で、今後とも慎重に、厳重に注意をしてまいりたいと思います。
  249. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかただいまの御決意のように、行政万般にわたりまして、安全第一にさらなる御努力をお願いいたしておきます。  本日は、先般の答申をいただきました「国鉄改革に関する意見」について、この中だけ質問させていただきますけれども、先般の参議院の審議あるいは本日の同僚委員の質疑の中にもたびたび出てまいりますように、私もこれを読ませていただいて、何点か非常に判断のつきかねる問題が出てまいります。何点かというか数多く出てまいります。  これは大臣並びに総裁そして監理委員会、それぞれにお願いをいたしておきたいわけでありますが、少なくとも国民の代表として運輸委員会があるわけでございます。この当該委員会で「鉄道の未来を拓くために」というこの表題のとおり真剣に審議をするときに、手元に何ら資料がない。判断材料がなくて、国民の皆様に、このような形で国鉄は再生いたしますという決断は下せなくなってまいります。その意味におきまして、大臣初め総裁、監理委員会ともに、我々がいわゆるこの答申というものを法律の上に乗せるときに、十分判断できる資料だけは提供していただきたいと思います。この点、確認をしてから質問に入りたいのでございますが、いかがでございますか。
  250. 林淳司

    ○林説明員 今回の「意見」に盛られている内容についての積算基礎とかそういう資料でございますけれども、これにつきましては、先ほど申しましたように、非常に膨大な資料を駆使して答申をつくったわけでございますので、それを現在整理しております。したがいまして、その整理が終わりました段階で、お出しできるものはできるだけお出しするように努力をしてまいりたい、このように考えております。
  251. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 運輸省といたしましては、必要な資料につきましては、従来から御提出を申し上げておりますが、その線に沿って御提出を申し上げたいと思います。ただ、監理委員会あてに御提出を申し上げました資料の取り扱いにつきましては、監理委員会の御判断にお任せしたい、かように思っております。
  252. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣に要望しておきますけれども、先ほど来、質問の大半は資料の問題でぎくしゃくいたしております。限られた時間の中で、資料がなくて審議できないことは、国民にとって不幸です。正確な判断を期せません。大臣運輸省の所掌の大臣として、少なくともこの委員会に、国鉄再建の責任があるわけでございますから、必要な資料と判断したならば、それがあるいは理事会であっても提示して、判断に供するようにしていただきたいと思いますが、大臣の御決意を伺います。
  253. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほどから申し上げますように、野党の皆さん方の御質問の中にもガラス張りという言葉が出まして、私も基本的には同じだということをるる答弁してまいりました。その基本的な考え方には変わりはございません。ただ、先ほど来具体的に例が出ましたように、国鉄の財産の処分等について、全部これを洗いざらい出せという点については、これは国鉄再建監理委員会あるいは国鉄の御判断に任せなければなりませんし、私はガラス張りが基本であっても、やはりすべてが公開というわけにまいらない場合もあるかと思いますので、この点は御了解いただきたいと思います。
  254. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、具体的に質問してまいります。  まず、この答申の中で、昭和六十二年度旅客鉄道会社経営見通しというのがございます。これは単年度収支で、当期利益は全部プラスになっております。合計六つの会社で三百十億の黒字になるわけでございます。少なくともここにいる運輸委員会のメンバーそれぞれが今思うことは、現在の国鉄は年間二兆数千億の赤字を出しておる。それが六十二年から黒字になるというこの積算根拠を、我々はまずきちんと理解をしてスタートしなければならないと思うわけでございます。長期債務は確かにかくかくしかじか、わかります。新会社に十一兆四千億の負債を負わせます、こういうことはわかりますけれども、ここに出てまいりますのは六十二年度の経営見通しだけでございます。  大臣も御承知のように、この国鉄再建に関して政府がとった行動は昭和四十四年から始まっておるのです。四十四年にスタートしたときには、五十三年度の償却は黒字にいたします、そこで十カ年先の年度の黒字を予想したわけでございます。また、四十七年にスタートした国鉄財政新再建対策要綱、これも五十六年度に収支均衡というふうに十年先を見通しておるわけです。さらには四十八年も、同じように五十七年度に収支均衡。何回も同じことを繰り返しておる。この四十七年も、これは四十八年二月二日に閣議で了解事項として「日本国有鉄道の財政再建対策について」等々、ずっと今日まで大臣も御承知のように何回も繰り返しでやってきた。それはすべて初年度だけではなく、少なくとも五年先、十年先を見通しての再建計画なんです。ここで確かにスタートです。黒字になっておる。我々はこの中身を見なければ、果たしてこれが黒字なのかどうかわからない、この積算根拠がわからなければ。今まで国鉄の収支試算が狂ったのは何か。スタートした翌年にもう収入が減ってくる。収入の見通しの誤りがこの再建計画をすべて狂わしたのです。このような一枚の紙でわかったら大変なことなんです。これは今私は具体的に指摘いたします。  ここの中で数多くの問題点を私指摘したいのですが、最初に言っておきたいのは、ここで黒字になったのだから、六十三年からの赤字体質は経営者の責任という判断に立つのか。もしもこの六十二年の積算の中に無理があったならば――私は後で聞きたいけれども、人件費であるとか物件費をどう見ておるのか、あるいは災害に対して予備費をどう組んでおるのか等々の問題を具体的に今資料要求いたしますけれども、六十二年は確かに黒字の数字合わせはできております。六十三年赤字になったら、おまえは無能な経営者だ、こういう言い方をされかねない計画であると思うのであります。少なくともこの運輸委員会でこういうものを提供するのであれば、運輸委員会の各委員が、なるほどこれは六十三年、六十四年、六十五年と黒字になるという確かな判断がこれでできたら、私は大変な人だと思う。この資料を出すのであれば、運輸委員の各人に、なぜこうなって黒字になって、さらにこれが六十三年、六十四年、六十五年、将来にわたって黒字経営が可能であるという積算の根拠をはっきりしなければならぬと思う。  そこで、まず申し上げておきたいけれども、この中での人件費と物件費、例えば金額でどうなっているか、割合はどうなっているか、この点どうですか。
  255. 林淳司

    ○林説明員 ただいま御質問ありました六十二年度の各会社の収支見通しにつきまして、収入の内訳とかあるいは費用のそれぞれ、人件費とか物件費等の積算根拠というものにつきまして、これは先ほど来再々申し上げておりますように、現在膨大な資料を整理中でございますから、なるべく早くこれを整理いたしまして、整理がつき次第、その積算根拠については御提示をさせていただきたいというふうに考えております。
  256. 薮仲義彦

    薮仲委員 それがなければ、きょう委員会を開いても本当の審議はできないのですよ。  さらにもう一つ言っておきますけれども、物件費の中で、きょうも冒頭になぜ私がこれを言ったかといえば、いわゆる安全に関してどれほどの予算を組んでおられるか。保守、点検、安全に関して、この六十二年度の経営見通しの中で、金額にしてどれだけ安全に対してお金を投資しているかおっしゃってください。例えば老朽の橋をつけかえる、あるいはまくら木を取りかえる等々の保守、点検、安全に関する費用はどのくらいですか。
  257. 林淳司

    ○林説明員 私どもとしましても、安全問題については極めて重要であるというふうに認識いたしておりまして、したがって、この積算の中には必要な取りかえ投資というものは全部見込んであります。それぞれ収入、支出の各費目についての具体的な数値につきましては、資料が整理され次第お出しをさせていただきたいというふうに考えております。
  258. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっと国鉄さんに伺いますけれども、車を取りかえていく、普通は、我々現業の人にいろいろ聞いてみますと、例えば山手線で使った古い車はだんだんと地方へ、使えるところへ使っていくというような話。あるいは主要幹線で使った列車については、だんだんとローカル線へ玉突きでやっていく。このように車というものは、玉突きで新しい車両を入れていくと、古いのは順繰りで地方へ地方へと回っていくというふうな基本的なルール。もちろん新しい車両も入れますけれども、そのように聞いておりますが、簡単に、そうなのか違うのかおっしゃってください。
  259. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 先生おっしゃるように、各路線ごとの車両の配分につきましては、毎年計画を持ちますが、いろいろな車両の組み合わせの中で、ある線に投入する車両をその線が持っておった車両として、余った車両を次の路線に充当する、いわゆる玉突き的な運用ということは現在やっているとおりでございます。
  260. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは総裁にお願いしておきますけれども、玉突きの資料をいただきたいと思います。  それで、監理委員会にお伺いしますけれども、例えば三島はもう全部黒字になっておるのですね。北海道、四国、九州ともに黒字になっておる。私はすばらしいと思う。こうあってほしいと願っておる。この三島の黒字は後ほど質問いたしますけれども車両については、この計算の中で積算の根拠の中に減価償却を入れていますか。別会社ですよ。
  261. 林淳司

    ○林説明員 北海道、四国、九州につきましても、必要な維持更新投資は行い得るように、それに相当する額の減価償却費を計上してございます。
  262. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、その減価償却の資料をいただきたいと思います。きょうは資料要求が大分たくさんありますけれども。  それから、特に安全の問題で私は、現業といいますか、特に労働組合の中では全施労の皆さんの御意見などを伺っておりますと、全施労の皆さんは、特に現場で保線の業務に従事なさりながら、安全というものについて非常に――我々がいつもお話を伺うことは、安全が手抜きになっておる、安全が手抜きになっては困る。線路を命がけで守っていらっしゃるあの現業の皆さんの声を聞きますと、私は重ねてこの安全について、特に全施労の皆さんあるいは現業で保線に携わっている方の御意見というのは重要だろうと思うのです。この中にも「全施労は、安全無視の無差別合理化に対して、輸送通路の基盤を担う施設労働者として輸送安全の確保に対して責任が持てなくなると機会ある毎に警告してまいりました。」こう訴えておられます。このような大事な声というものは尊重しないと、今度の日航事故のようなことになりかねないと思うのです。総裁、このような貴重な意見というのはそんたくして、現業の安全に対する悲鳴にも似た、また何とかしなければという気持ちは十分に生かして国鉄再建に努力していただきたいと思いますが、いかがですか。
  263. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 先ほど申し上げましたように、安全の問題は運輸に携わる者の基本の問題でございます。ただいまの全施労の皆様方の声というものも、基本的には私ども肝に銘じて安全に留意していきたい、このように考えております。
  264. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは三島の問題をちょっとお伺いするのですが、これは百五十六ページにこう出ておるのです。私はすばらしいと思うのですが、例えば北海道は五十八年度国鉄収支が七百九十億ですね。それが八百七十億にぽんとふえるわけです、八十億ぐらい。四国も二十億あるいは九州においても百二十億というふうに、すべて営業収入がどんとふえてくるんです。  その前に、ちょっと国鉄さんにお伺いしたいのでございますが、今申し上げた三島のここ最近の、一つは営業と貨物の収支の流れ、北海道の五十六年、五十七年、五十八年、四国の五十六年、五十七年、五十八年、九州の五十六年、五十七年、五十八年、これは監理委員会の場合は貨物は除いていますけれども、まず鉄道部門としての収入だけちょっと、ふえているか減っているか、傾向だけ言ってください。簡単で結構ですよ、資料はありますから。
  265. 前田喜代治

    ○前田説明員 三島の収支について申し上げますと、北海道は五十六年九百七十四億の収入がございました。五十七年九百七十一億、五十八年九百十六億でございます。それから四国が五十六年二百七十八億、五十七年が二百七十四億、五十八年が二百五十九億でございます。九州が五十六年千二百三十七億、五十七年千二百二億、五十八年千百四十七億でございます。
  266. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間がありませんから……。旅客の傾向も同じなんです。  大臣、この合計の数字をちょっと私申し上げますと、今局長の答弁のように、北海道で申し上げますと、五十六年九百七十四億の営業収入があったのが、五十八年は五十六年に比較しますと五十八億減っているのです。マイナス五十八億。九百十六億しか営業収入が上がっていない。年々下がっておる。四国も同じように、五十六年に二百七十八億あったものが、五十八年では二百五十九億、マイナス十九億です。九州も、千二百三十七億あったものが五十八年では千百四十七億。ここはもう百億近い、九十億ですよ。九十億のマイナス傾向にあるわけでございます。  監理委員会の答申の中には、ここに「要員数の減少に伴う支払給与、退職金負担の減等、」とわずか数行で書いてあります。これだけで果たしてこのように百億近い、あるいは三島合わせれば膨大な赤字を抱えているこの営業収入の減がにわかに全部黒字になるのか。これをたった三枚の紙で判断しろ。判断できたら私は大変なことだと思う。なぜこんなに黒字になるのか、わずかこの数行ではできません。これが黒字になって、さらに北海道も九州も四国も、立派に民間の一企業として経営できるという根拠について、今御答弁いただけなければ、積算の根拠、見通しについての正確な資料をいただきたいのですが、いかがですか。
  267. 林淳司

    ○林説明員 ただいま北海道、四国、九州について国鉄の方から、営業収入の過去の推移について御答弁ございましたけれども、あれは貨物が入っておる数字でございまして、貨物を除いた旅客だけで見ますと、過去五十八年まで伸びております。私どもの五十八年から六十二年までの推計につきましても、過去における収入の伸びとほぼ同程度の伸びを見込んでおります。もちろんその積算についてはいろいろやっておりますので、それについては先ほど来申し上げておりますように、他の資料同様、現在資料整理をしておる最中でございますから、それが終わり次第できるだけ早く可能なものはお出ししたいというふうに考えております。
  268. 薮仲義彦

    薮仲委員 あなたがそうおっしゃると思ってわざわざさっき言わなかったのです。私はここに旅客収入を持っておるのです。これを申し上げますから、よく聞いてください。これは国鉄の資料です。  北海道、五十六年度六百二十六億、それが五十八年度では六百十九億、マイナス七億です。ふえていませんよ。四国、五十六年度二百三十九億、五十八年度二百二十五億、マイナス十五億です。九州、五十六年度九百七十二億、五十八年度九百二十五億、マイナス四十七億です。これは貨物を引いてあります。だから、資料というのは正確によこさないと、あなたがここで答弁なさったことを丸のみすると判断を誤るのです。だと思って、私は貨物を引いておけといって資料をちゃんと経理局からもらってあります。ですから、資料というものは、国会議員に出すときには正確に出していただかなければ困る。これは重ねて申し上げておきます。  この問題は、もっと資料を下さるということですから、次に進みます。もっと大事なことがたくさんあるのです。  それでは、監理委員会にお伺いしますけれども整備新幹線についてはこの経営見通しの中に入っておるのですか、入ってないのですか。大臣はゴーのサインをとおっしゃった答弁をしておりますけれども、この積算根拠に整備新幹線が入っているのですか、入ってないのですか、はっきりしてください。
  269. 林淳司

    ○林説明員 その前に、先ほど私が申し上げた数字は、五十二年から五十八年までの平均値を見ております。これでは伸びておるということでございます。  それから、整備新幹線につきましては、これは私どもの収支の面では一切カウントをしていない、収支面では一切見ていないということでございます。
  270. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは新聞の社説でございますから、必ずしも事柄が正確だという判断には立ちませんけれども、新聞の社説ではこう書いてございます。「自民党五役と、政府の関係四閣僚が二十二日に、北陸、東北(盛岡-青森)の両整備新幹線着工問題を協議する。」その内容として、「年末合意の内容は①北陸、東北両新幹線は六十年度から建設に着手する②着手に当たっては所要の立法措置で、並行在来線の廃止を決定すると共に、財源のあり方に結論を出す」こうなっています。これがなぜ大事かというと、整備新幹線が通ると並行在来線は廃止するのです。そうすると、監理委員会が二カ年間やったこの問題は全然御破算になるんですよ。その点どうですか。  それともう一つ、再建監理委員会はこう言っております。この中で「公社制度の問題」、「①外部からの干渉 第一の問題は、国の関与の度合いが大きいことから、外部干渉を避け難い体質を持っている」、だから公社はやめて民間にせよとおっしゃった。今政治の場で、整備新幹線をやるぞというような外部の圧力でもしも答申がゆがむのであれば、あなたのおっしゃったこの答申がおかしくなってくる。あなたはどっちのスタンスで――断固政治のそういう介入というのを避けて、この答申の中では入ってないとおっしゃった、これを貫くのかどうか、はっきりお答えいただきたい。
  271. 林淳司

    ○林説明員 整備新幹線の問題につきましては、基本的には私ども監理委員会として、具体的にその整備新幹線をどうするのかという方法論につきましては、この監理委員会の検討の枠外であると考えております。  しかし、私どもとしては、現在の国鉄を改革して新しい健全経営体質に持っていくということのためには、やはり将来にわたってその健全経営というものを維持していかなければならない。そういう観点から見ますと、整備新幹線というのは、今後の会社経営に大きな影響があるという観点から、今回の「意見」におきましても、基本的には慎重に判断してもらいたいということを述べておるということでございます。
  272. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは後でまたやります。  国土法の考え方をちょっとお伺いしますから、簡単にお答えください。  これは先ほどもお話がございましたように、千代田区の旧司法研修所跡地が三・三平米当たり二千七百九十五万円、周辺公示地価の二・八倍で売られたことに対する国土庁等の見解が出ているわけでございまして、先ほど林さんは公開の競争入札ということを言われた。もしもこの国土法がかかってまいりますと、競争入札ではなくて、売り主と買い主で路線価が決定して、そこで地価が決まってくるわけでございます。そうしますと、国鉄の再建の中で、用地売却という大きな項目があるわけでございますが、もしもこの建設省、農水省等の協議の中で、国土法の見直しの中で国鉄の用地も国土法対象となってくれば、積算根拠が大幅に崩れます。もう審議すること自体が無理になってきます。これは絶対に国土法の対象外にするというお考えなのかどうか、お考えを伺っておきたい。
  273. 林淳司

    ○林説明員 私ども監理委員会の考え方は、この「意見」に書いてあるとおりでございまして、公開競争入札を基本とする適正な時価で用地は売却するという考え方でございます。
  274. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは大臣に伺いたいところでございますけれども、公開の競争入札と国土法でやる場合とでは全然地価の評価が変わってまいります。これは大臣も御承知のとおりなんです。きょうは時間がないからやめておきますけれども、これによっては、この計画自体がまたゼロからやり直してございます。その点、この次に伺いたいと思いますので、きょうはこれだけにしておきます。  それから、ちょっと国鉄さんに伺いますが、五十五年からの自然災害、年間どのくらいの災害復旧費用がかかっているか。時間がありませんので、金額だけ言ってください。
  275. 岡田宏

    ○岡田説明員 災害の復旧費ということでお答えを申し上げます。  五十五年度二百十七億、五十六年度百七十三億、五十七年度百八十二億、五十八年度二百十二億、五十九年度は五十三億ということでございます。毎年かなり開きがございますが、これらは雪害の規模でございますとかあるいは大規模地震等があったというような事情によって変動しているものでございます。
  276. 薮仲義彦

    薮仲委員 今数字をざっと申されましたけれども、大体二百億近い。昨年はなぜこれだけ被害が少ないか。台風が一度も日本に上陸しなかったのです。ですからこれだけの金額になっておりますけれども、年間約二百億、これだけの自然災害です。この間の能登線のように、ああいう事故による復旧等も入れますと、年間二百億、三百億の災害復旧予算は組まなければならない。  これは線区別、路線別にもっと細かく私は資料要求を今後いたしたいと思いますが、もしもこれが北海道、四国、九州等にまたがってまいりますと、この再建計画自体、技術的に災害復旧は一体どうするんだ、あるいは線区によっては膨大な災害復旧費がかかるから、もうつぶしてしまえというようなことになりかねません。この点についての明快な資料を私の方にいただきたいと思いますので、要求しておきます。  最後に、余剰人員問題でございます。九万三千人のいわゆる余剰人員を四つの部門に分けるわけでございますけれども、基本的な方向としてどういう手法でおやりになるのか。これをおやりになるのは、まず国鉄がおやりになるのかどうか。いわゆる新会社に移る方がいらっしゃるわけでございます。それから余剰人員の中で希望退職なさる方がいるわけでございます。それから新会社の中でも、余剰人員として割り当てられる方もいらっしゃるわけでございます。それから旧国鉄の中新しい職場に行きなさいと言われる方がいるわけです。四通りあると思うのですね。この四通りの方、それぞれどういう判断でおやりになるのか。もしもこれを法律なんかでやればえらいことになります。どういう判断基準でおやりになるか。またお一人お一人の希望を聞いていってやるとなったら一体どうなるのか。  私は、やはり基本的にはお一人お一人の希望を聞いてやらなければならない。しかもそのときに、新会社に行けばこういう将来があります、旧国鉄に残った人にはこういう夢があります、それらの将来の夢と希望と生活設計がすべて成り立つようなはっきりとした見通しを立ててあげなければならない。できるかどうか。あと二年間でこんな大勢の方の雇用問題を解決することは重大なことだと思うのです。  そこで私は、きょうは時間がないのではしょって質問しましたけれども、やはり基本的には御本人の希望を最優先しなければならないだろうと思います。もしもその希望が合わなかった場合に一体どうなさるのか、そういうことも含めて雇用問題についてのお考えを最後に伺って、質問を終わりたいと思います。
  277. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 余剰人員対策につきましては、国鉄といたしましてこれからやる最も重要な事項であり、また大変難しい事柄であると考えております。国鉄がなし得る最大限の努力をいたしまして、いわば雇用問題の環境整備といいますか、これを政府にもお願いをしなければいけませんけれども、まず雇用の場の確保という観点につきまして最大限の努力をいたしてまいりたいと思います。  ただ、国鉄がやり得ることもやはり限界がございます。大変な人数でございますので、したがって、この問題につきましては、国あるいは地方機関あるいはまた産業界、国民全般の御認識、御理解、御支援をいただきたいということでございまして、いわば大改革の大変な中核的な問題としまして、各方面に訴えていきたいと考えておるところでございます。
  278. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  279. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 河村勝君。
  280. 河村勝

    ○河村委員 先ほど運輸大臣、再建監理委員会の答申に対して十分尊重するというお答えがありましたが、尊重というのは政治的にはいろいろな使われ方がして、時には、尊重というのは尊重しないという意味にも使われますが、一体あなたが十分尊重するとおっしゃった意味はどういうことですか。
  281. 山下徳夫

    山下国務大臣 再建監理査会の「意見」につきましては、ことしの七月三十日の閣議におきまして、これを「最大限に尊重し、速やかに成案を得て、所要の施策を実施に移すものとする。」このような閣議決定がなされております。基本的な方針はこのとおりでございます。  そこで、「意見」が出されましたので、まずこの「意見」を私ども十分内容を検討いたしまして、今申し上げました最大限に尊重しながら、しかし今日の鉄道というものが国民生活の充実のために極めて重要な問題であるということもまた一面十分考え合わせまして、しかも鉄道の機能が十分発揮できるような、そういう面を十分考慮した上で、来るべき次期通常国会に御提案する前に、法律案作業にそういう基本方針で臨みたいと思っております。
  282. 河村勝

    ○河村委員 内容を最大限に尊重するが、重大な問題であるので十分内容を検討してこれからの仕事を進める、こういう意味ですね。そうしますと、基本的な答申の方向ないし方針、そういうものはこれは守っていくが、具体的な中身については、検討の過程で鉄道の将来を考えてぐあいの悪いものがあれば、それは修正をしていくことも十分にあり得る、そういうふうに理解してよろしいですか。
  283. 山下徳夫

    山下国務大臣 「意見」が出される前に、常に運輸省は監理委員会とすり合わせをやりながら参りました。したがいまして、「意見」が出されて、私どもの考えと非常に大きく食い違っている点はございません。特に今日の、人工呼吸をもって命脈を保っているような国鉄におきまして、今回の「意見」、つまり今回の処方せんはベストであると私は理解をいたしております。したがいまして、今日の時点におきまして、この「意見」と私どもが考えておりますことはおおむね意見が一致いたしております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、国民生活に極めて重要な鉄道であるという点その他を考えてみましても、大きく修正されることはなかろうと理解いたしております。
  284. 河村勝

    ○河村委員 国鉄総裁に伺います。  この監理委員会の答申が出るまでの間、理由のいかんは別として、監理委員会と国鉄の間に十分な意見の交換が行われたとは思われない。しかし、先ほどあなたは、監理委員会の出された「意見」に沿ってこれからやっていきたいというお話でしたね。そうすると、あなたのその「意見」に沿ってというのはどういうことなのか。実務者ないしは経営をこれまでやってきた国鉄として、実際、具体論になってきますといろいろな問題があるはずであるけれども、そういうものは、少なくともかなり大きなテーマに関する限りは、多少ふぐあいのことがあっても我慢してやっていくというのか、それとも国銭としての意見を十分述べていくというのか、どっちですか。
  285. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 私、総裁になりましてから、監理委員会の「意見」が出るまで一月近くでございましたが、国鉄としての御意見をいろいろな面で具体的に監理委員会に申し上げてまいりました。相当部分お取り入れいただいたものと考えておる次第でございますが、今後の取り組みといたしましては、先ほど申し上げましたように、政府といたしましてこれを最大限尊重するという閣議決定があるわけでございまして、そうした政府の方針に従って、我々もいわば基本的な骨格の部分については、これはもうそのままやはり実行する必要がある。ただ、いろいろな細かい問題、なおまた解決を今後要する問題、例えば貨物の問題等ございます。そうした点については、なお今後も、時間が非常にないわけではございますが、鋭意検討しまして、政府とともに勉強をしていきたい。しかし、基本的な部分につきましては、答申をそのまま実行したいというふうに考えております。
  286. 河村勝

    ○河村委員 運輸省、国鉄ともに、ほとんどこの答申の中身を、具体的な部分についてもそのまま受けとめて作業を進めていくという。ことであれば、これはここでもってこの答申の中身を議論しても余り意味がないことになるわけですけれども、民社党としても、党としても分割・民営を基本にしたこの答申の基本方針を支持をして、かつ推進をするという決定をしております。しかし、そういう立場から見ましても、その基本的方向を否定はいたしませんけれども、具体的な中身になりますと、これから申し上げる幾つかの部分について私は大きな疑問を持つ。国鉄百年の伝統と歴史を閉じて、それで新しく出発するのですから、やはり将来に向けて、百年先まで見て、それで新しく生まれた企業体、民間の会社になったものが、そこで働く者が本当に一生懸命働けば、政府の干渉なんかを受けずに自立して栄えていけるのだという希望の持てるものでなければならぬ、私はそう思っているのです。  ですから、そういう角度から見て、これは疑問の点があると思えば、私は、政府といえども国鉄といえども、今まで一応すり合わせをやってきたのだからもうこのままでいいのだということではなくて、基本的方向については変えなくとも、中身については、かなり大きな問題であっても、それは貨物一つとりましても、別会社にする、そうして貨物設備や車両はみんなその会社に持たせる、そうしておいて運行はどっちにやらせるのだということは決めないままでほったらかしでしょう、監理委員会の答申は。そうなりますと、一体どこまで新しくできる貨物会社に設備を持たせたらいいのか、車両を持たせたらいいのか、やはりそこまで立ち返らないと、私は本当の案というのはできないと思うのです。だから私は、もう一回出たものだから、とにかくこれを最大限尊重して動かさないのだということではなしに、もう少し弾力性を持って対処してほしい。将来を考えて、おかしいと思ったら正すのだというぐらいの精神を持ってやってほしいと思うのですけれども大臣、そうはいかないのですか、いかがです。
  287. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 具体的にこの監理委員会の御意見を受けて、これをどのように政府法律案なり何なりにまとめていくかという段階におきましては、いろいろな具体的な検討が要るであろうと思います。その過程におきましては、監理委員会からお示しされました数字その他は、監理委員会において一定の前提のもとで御試算等をなされたものでございますから、そういうようなものについては十分検証をいたしたいと思いますし、そして貨物の問題につきましても、十一月三十日までに貨物の運行形態等を決めますと、それに伴いまして、今先生御指摘のように、旅客会社の方にも影響が出てくるというのは当然でございます。そこらの点につきましては十分検討をいたしまして、現実的に実行可能な案といたしまして、法案その他にしてお示しをするようなことをいたしたい、かように思っております。
  288. 河村勝

    ○河村委員 これからのスケジュールをちょっと伺いたいのですけれども、これからどういう時間をかけて、やがてこれは国会に法案として出してこなければならぬわけでありますが、一体どういうタイムスケジュールで進めていくつもりですか。大臣、これはいかがです。
  289. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 基本的には、再三大臣からお答え申し上げておりますように、次期通常国会におきまして関係法案を提出いたしまして御審議をお願いいたしたい、かように思っております。  そのための法案作成準備に現在入っておりますが、基本法的なもの、国鉄を新しい経営形態に変更するための基本的な法律、それからそれに関連いたしまして、今後それらの新しい会社が運営していくための基本になるべき法律、そういう基本的な法案が数本必要ではないかと思っております。  それから、従来国鉄、公社ということでやってまいりましたものが変更されるわけでございますから、それに伴います関係法律の整理というものがございます。これが私どもの考えでは大体百三十本前後手直しが要るのではないかと思っております。これらの中には、例えば鉄道敷設法とか基本的な問題について検討しなければならないいろいろな法案もございます。それらを検討いたしまして、あわせまして整理法として、これも通常国会までに間に合わせるように提出をいたしたい。  それらの作業に並行いたしまして、十一月までで貨物の問題についての成案を得、それもその中に組み込んでいく。一方、国鉄等におきましては、資産の問題、要員の問題での具体的な洗い出し、中身の整理というものをいたしまして、これも法案御審議の際に必要な実態についての明確な洗い出しという作業を行わなければならない。このような作業を総合いたしまして、次期通常国会までに間に合うような形で行いたい、かように思っております。
  290. 河村勝

    ○河村委員 幾つかの問題についてお尋ねをいたします。  長期債務の処理、これがすべての前提として一番大事であります。この再建監理委員会の答申では、最終的に十六兆七千億の債務を何らかの形で政府に肩がわりをしてもらうことに相なっております。この数字が最終的にどうなるかは別にいたしまして、少なくともこのくらいのものを政府に肩がわりをしてもらわなければすべての再建案は成り立ちません。今いろいろな採算がとれるかとれないかということについての基礎的な数字の議論がございましたけれども、それ以前の問題としてこれができなければ、いかに分割・民営をしても成り立つものではございません。  ですから私は、答申が出る前に再建監理委員長の亀井さんにお会いしたときにも、再建監理委員会の数字を使えば十六兆七千億の長期債務を政府が肩がわりをするという約束を先に取りつけてもらいたい、もしそれを引き受けるという確約がとれなければ答申は出せません、そうおっしゃってくださいと言ったのであります。実際その後お会いしてないので、どの程度の話し合いを政府、特に中曽根さんとしたか私は知りませんが、運輸大臣はこの点をどういうふうに受けとめて、どうなさるつもりでございますか。
  291. 山下徳夫

    山下国務大臣 この長期債務の問題は、余剰人員とともに今度の国鉄改革にとって最重要の問題でございます。この問題は、新しい国鉄の再建計画から、新しい国鉄のいわゆる民営される運営から全く切り離して処理されなければ、十六兆七千億円自体もそれにかぶせるということでは健全なる今後の運営ができないことになるわけでございますから、全くこれは別個に処理しなければならぬ。とりあえずこれは旧国鉄にまず移しておきまして、そして何らかの形でこれは国が処理してまいらなければならぬ。ただ単にこれは公債等によって処理すべきではなく、新たな財源をいかにするかということをこれから真剣に考えていかなければならぬということでございます。
  292. 河村勝

    ○河村委員 この問題は別には相違ないのですけれども、しかしこれが片づくというめどがついていなければ、これから何百の法律をつくっても何しても、何の役にも立たないのです。すべての作業がむだになってしまうようなものです。ですから、これは今あなたが総理大臣にかわって約束するとはおっしゃれないでしょうから、別の機会にまたお尋ねするつもりでございますが、くれぐれもこれがすべての前提であることをお忘れなく仕事を進めていただきたいと要望しておきます。  ついでのようですが、これは監理委員会にお聞きした方がいいのでしょう。長期債務の中で新しい会社に背負わせるもの、新しい会社といっても、北海道、九州、四国は除くということですから、結局本州の新会社に背負わせる額が十四兆二千億、これは常識的に見て随分大きい。かつて常識的に考えていたものは大体十兆どまりだと思いますが、その額はここで議論しても仕方がありませんからきょうはやめますが、その中に、新幹線の資産の再調達価額と簿価との差額二兆八千億は新会社に持たせるようになっているんですね。資産に見合う長期債務を新会社に持たせる、これは一応の筋であります。ですから、その計算がここにおっしゃるように十一兆あるというならば、これはそれで一応筋が通りますが、この二兆八千億をその上にかぶせるのは、どう考えても理屈に合わないと思うのです。なぜこれを入れたのですか。
  293. 林淳司

    ○林説明員 基本的な前提として、資産の簿価に見合う債務というものは、まず原則として持っていってもらうという考え方で出発したわけでございますが、その後もろもろの検討をいたしまして、いろいろな負担軽減とか年金問題その他いろいろございますが、そういう検討の過程におきまして、さらにもう少し持てる余裕があるということでありまして、その場合、新幹線について、これは収益力が非常に強うございますので、新幹線の収益力に着目して、新幹線については再調達価額で評価して譲渡する、あとの在来線の資産については簿価でいく、それによって全体として採算がとれる、こういうことでございましたので、そのような処理をしたということでございます。
  294. 河村勝

    ○河村委員 どうも余り理由にはならないようですね。もろもろの他の要因、年金その他のファンドをつくったり何かするので、長期債務、潜在的債務というものを加えてしまった、それで三十五兆円何がしになったものだから、始末に困って、それでちょっとでも理屈がつくものは何かないかなということでこの二兆八千億を加えたんでしょうね。これは気持ちはわかりますけれども運輸省としてもう一遍検討の必要があるのじゃないかと私は思いますが、新しい会社に背負わせることの理屈よりも、一体無理か無理でないかという点で運輸省では検討されていますか、いかがですか。
  295. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 ただいま林次長からお答えがございましたように、新幹線の収益力というものに着目をして、それを再調達価額で保有主体に渡すということは、少しでも国民に最終的に御負担をいただかなければならない債務というものを減らし、なおかつ新しい会社が採算をとっていけるような形にするというような調整の過程においては、私どもといたしましてもそれなりの理屈があるというふうに考えております。内容を精査をいたしますけれども、基本的にはそういう方向については、私どもも同じ方向で進むべきだということに考えております。
  296. 河村勝

    ○河村委員 この点は問題点として残しておきます。  次に新幹線リース方式、これは私はこんな無理な方式をなぜとるのかという非常に強い疑問を持っております。亀井監理委員長にも、この新幹線リース方式とそれをとらなければならないような分割の方式について再検討を要望いたしました。亀井さんも考えてみるようなことをおっしゃっておったけれども、結局だめでした。  一体、なぜこういう方式をとるのでしょうか。これは明らかに新幹線の資産を別の機関に持たせる。その新幹線保有機関、これはペーパー機関というかペーパーカンパニーですから、それ自体は力がないから、結局運輸省自体が直接管理をして、それで新幹線のリース料を上げ下げして、本州の三つの会社は大きな収益格差ができますから、真ん中の東海会社だけ多分居眠りしていても数千億の利益が出て、あとの二つはどうもはかばかしくないということになりそうでありますから、それをコントロールしようということでしょう。ですから、そうなりますと、せっかく民営自立と言いながら、結局政府がそのリース料によって新しい会社の死命を制することができるのですね。少なくともそのおそれがあるのです。こういう方式を私はやってはならないと思うのですけれども運輸省はどう考えているのですか。
  297. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 新幹線のリース方式には、私ども二つの側面からの考え方があろうかと思います。  一つは、新幹線というものは、やはり国の根幹的、基本的な交通機関でございますから、これにつきましては国民があまねくこれを平等な立場で利用できる。例えて申し上げますと、非常に古くできて、かなり前にできて償却が進んでいるがために大変安い負担で利用できる、後からつくった新幹線は大変償却費等がかさんで、非常にお客さんに高い負担を招くというような形は望ましくないのではないか。現在は国鉄という形でこれが均一の形で提供されておるわけでございますけれども、そういう観点から見て、将来国鉄を分割・民営にした場合において、これをできるだけ平等な条件で利用できるためには、これを一括して保有をして、平均化して貸し付けるということが一つの意義があるのではないかというふうに考えております。  第二点は、先生ただいま御指摘がございましたように、そういう形で新幹線を貸し付けました際に、保有新幹線について、その利用度、設備の立派さというものを勘案して、一定の基準を設けて、これをリース料で貸し付けることにすると、結果的にかなり収支差の出る新しい分割会社の収益というものについての平準化が図られる、こういうことで効果がある、こういう二つの側面があろうかと思っております。  そういう意味で、私どもはこのリースの方式は非常に有意義な、意義のある制度であるというふうに考えております。  なお、先生ただいま御指摘のように、せっかく民営化した会社に対して国がリース料によって干渉するということになるのではないかということでございますけれども、私ども監理委員会の「意見」を拝見する限り、このリース料につきましては、法令によって明確に定めて、その法令の基準に従ってリース料を定めてこれを取る、こういうふうに「意見」で御指摘をいただいておりますので、そういう意味で、政府において恣意的な介入でこれを上げ下げするというようなことは考えられない。そういう意味で、現在の上越新幹線を国鉄が鉄建公団から借りて、これに対して一定の借料を払って運営しておりますけれども、これについては国鉄は、鉄建公団ないしは国からその借料においていささかも干渉されているわけでもございませんし、そういう意味において一定の基準に従ってリース料を取る限りにおいては、先生の御指摘のような御心配は私どもは起こらないというふうに考えておるわけでございます。
  298. 河村勝

    ○河村委員 最初の理由というのは、何も成り立たないのです。国民が平等に利用するためなんというのは、何も理由はないですよ。新幹線が動いている限り国民は平等に乗るのであって、それがリースであろうとリースでなかろうと、それは一つも関係はない。  それから、後の問題は、法令の基準に従うのは当たり前ですよ。しかし、法令の基準であっても、そこには運用の幅が幾らでもあるのです。運賃の決め方だって、法令に基づいてやったって、それに大きな幅があると同じことです。失礼な言い方だけれども、役所が権限を持てば必ず干渉したくなるという本質的な欠陥を持つのです。ですから、こういうことはやるべきではない。  これはどうしてもやらなければならぬというなら、それはまた考えなければならぬけれども、こんなことをやらなくても済む道はあるでしょう。そんなことをしなくたって、会社の持つ長期債務の負担を、真ん中の会社、東海会社が非常にもうかるなら、そこに長期債務十二兆円の中の大きな部分を持たせる、ほかを少なくする、そうすればそれで片づく話であって、何もペーパー会社に持たして時々リース料を変えてやるなどということをやって、経営干渉の余地を残す必要はないでしょう。いかがなんです。
  299. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 まず最初に、私の申し上げました平等に利用する云々というのは、例えて申し上げますと、東北新幹線は新しくつくったために大変資本費負担がかかる、東海道新幹線は償却が進んでいるために大変安い価格で利用できる、こういう形になりますと、国民の皆さんの間にはでこぼこができる。やはりこういう基幹的交通機関というのはできるだけ平準化した形で利用できるという形が望ましいという意味で申し上げたわけでございます。  二番目の点につきましては、私からお答え申し上げますよりも、再建監理委員会から御答弁をいただくのが適当かと存じますけれども、人の流動、流れというものに沿って分割のパターンを決めた結果、収益にかなりの差が出る、この調整については、今河村先生御指摘のようなことも含めて、いろいろな形での収益の調整というものについて御検討がなされたと聞いております。その結果、それらについてはいろいろ法令上、法制上等から見て無理がある。民間会社に債務をしょわせるというようなものについて、これをただ収益を調整するために債務をしょわせるというような形でのやり方はなかなか難しいといういろいろな御検討の結果、この案が最も適当であるということで御結論に達したというふうに私どもは承っております。
  300. 河村勝

    ○河村委員 そういうこじつけを言っちゃいけないのです。債務の調整は、既に九州、四国、北海道には長期債務を持たせないと決めているんでしょう。これはどういう理由ですか。今言った理由と全く反対じゃないですか。もう既に収益性をもとにして、もうからぬところには長期債務を持たせないと決めているじゃないですか。それが何で本州の三会社について、もうかるところを大きくして小さいところを低くすることができないのか。何も理由ないじゃないですか。いかがです。
  301. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 再三申し上げますが、私から御答弁申し上げるよりも再建監理委員会から御答弁申し上げるのが適当かと存じますが、私どもが承っている範囲におきましては、債務の切り捨てとか債務の上乗せというものについてもおのずから限界があって、今回の場合には、東海道新幹線というものを抱えた東海会社に大変大きな利益が出るというような観点から、それを債務の調整でやることは困難であるという御結論が出たというふうに承っております。
  302. 河村勝

    ○河村委員 全然理由ないじゃないですか。ただ債務の形で残すかリース料で召し上げるかという違いだけじゃないですか。要は結局、国鉄の持つ長期債務をどう処理するかという違いだけじゃないですか。そういうばかな理由がありますか。  きょうは時間がないからいつまでもこの議論できません。けれども、根本的には、こういう旅客の流れによって三つに分けたという分け方そのものがおかしいのですよ。だからリース料を取るなんという変な形のものができる。私たちは分割・民営を基本にする基本方針には賛成をしているのですよ。ですけれども、本州を三分割しなければならぬということにとらわれる必要は全くないでしょう。だからそういう収益格差が大きくなる。大きくなるからこういうリース料方式なんというものをとるようになる。もしそうでないとすれば、運輸省がいつまでたっても、民営になってもしっかりと会社を自分たちの手で抑えて、責めつけてやろうという魂胆があるとしか考えられない。それ以外にはなくなっちゃうのだ。そうでしょう。  ですから、私は今、債務の持たせ方で調整しろと言いましたけれども、根本的には、わざわざ収益格差がめちゃめちゃに違うような会社を三つこしらえるからいけないのですよ。東海会社は眠っていても数千億の利益が出る。東と西は成り立つかどうかわからぬという状態だ。そういうふうに分ける理由がどこにあるか。旅客の流れからというならば、本州は首都圏と近畿圏を中心にして旅客は流動しています。大きな流れの中心は東京と大阪です。ですから、大ざっぱに言って天下分け目の関ケ原くらいで東西に分けたらよろしいのです。そうすれば収益は大体バランスする。若干の問題があれば、それは長期債務の持たせ方で調整をすればよろしい。  この答申にも指摘しているように、今新幹線は東京の指令所で東海・山陽含めてコンピューターコントロールをしていますね。ですから、運行管理も車両の運用も、施設の保守まで全部コンピューター管理していますから、どこで切っても同じことだ。何も大阪で切らなければならぬ、東海・山陽の境目で切らなければならぬということもないわけだ。ですから、関ケ原見当で東西二つに分ければいいはずです。そうすれば、同時にダイヤ調整、運賃調整その他も極めてスムーズにいく。  規模の問題ならば、二つも三つも大した違いはない。現に電電は一本だ。だから私は、それでも本州は二つくらいにして、お互いに競い合って、張り合って努力して会社を運営した方が、励みがついて能率が上がるであろうと考えるから、初めから私は本州も二つに分けたらよかろう、こう言っておるのです。今こうしたリース方式などを見ますと、無理に三分割することの弊害ははっきり表に出てきている。そう思いませんか。大臣、聞いていてどう思いますか。
  303. 山下徳夫

    山下国務大臣 政府の立場としては答えは一つでございまして、審議官からるる御説明申し上げたのと私も全く同じ意見でございます。  問題は、今回の監理委員会作業、百三十回重ねて、最終的に一番難航を極めたのはこの分割であったと私ども漏れ聞いております。そこで結局、その分割、線引きでございますが、どういう線引きをするかといういろいろな意見があったに違いないと思うのでございますが、結局はお客の利便ということによって人の流れを中心とする。その結果、島においては九五%から九九%ですか、あるいは本州においての三つの分割においては、同一区域内線内、同じ会社内において九八%という結果が出たということであり、そういうところから出発いたしまして、その調整のためにやはりリース方式はやむを得なかったというふうに私は理解をいたしておる次第でございます。
  304. 河村勝

    ○河村委員 あなたは再建監理委員会の報告だけ聞いて、理解している理解しているとおっしゃるけれども、ここは国会の場ですよ。私が今申し上げたことについて、もっともだとお考えになるのか、さっぱりわからぬというのか、それとも私の言うのは間違いだというのか、そのどれなんですか、一体。
  305. 山下徳夫

    山下国務大臣 率直に申し上げて、すべてがもっともだと理解するだけの知識は私も持ち合わせないのでございまして、これは大変に難しい作業であったと思います。ただ、先ほど来答弁申し上げましたように、再建監理委員会の「意見」が出る前に常に適宜すり合わせを運輸省はやってきたということでございまして、そういう面も含めて私は理解をしておると申し上げたわけでございます。
  306. 河村勝

    ○河村委員 幾らすり合わせをやっても、歴史ある国鉄百年の幕を閉じて新しく生まれるものを、本当にいいものをつくろうという愛情があれば、こういうことは思いつかないのですよ。考えてごらんなさい。このリースは三十年均等償還だと言っていますね。すると、三十年たったらリースは全部終わりで、それで新会社に新幹線も持たせるということです。だからさっきの、国民のものだから別に持たせておくなんという理屈も何もないのですよ。三十年たったら別に持たなくてもいいという理屈も何もない。三十年先どうなるかというと、天下に大変動でもない限り、やはり東京-大阪間を持つ東海道新幹線の優位というのは変わらないのですよ。だから、リース料を払い終わった後には、残ったものは、真ん中の東海道新幹線を持つ会社だけはべらぼうにもうかる、東の会社、西の会社はさっぱりだというのが残っちゃうのですよ。  三十年先のことは責任を持たないと言うなら、それは私は間違いだと思う。三十年たったら戦争でも起きて全然変わってしまうということをお考えになるなら大間違い。三十年たってもそう大きな違いはないのです。三十年後のことを、ちょっと私が申し上げたのをどうお感じですか。リース料を払い終わったら東海道新幹線を持つ会社だけがうんともうかる、そういうことになる、これはおわかりでしょう。いかがです、大臣。――いや、これは本当に簡単な話ですよ。
  307. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 私が先ほど国民に均等と申し上げましたのは、御承知のように、東北新幹線というのはまだ建設されたばかりでございまして、償却負担が大変高くなっておるわけです。東海道新幹線は低くなっておる。山陽新幹線はその真ん中、こういう形になっております。これが三十年で終わりました段階においては、そういう意味で保有主体自体は元利均等という形のものを終えますので、そういう償却負担というものはもうその段階では平等になる、そういう意味においては平等である、こういうふうな意味で申し上げたわけでございます。  三十年たちました後に、東海道の会社というのは収益性が高く、東北・上越が収益性が低いかということにつきましては、これは御承知のように、東北・上越新幹線は開業いたしましてから、徐々にではございますけれども、利用客がふえてまいりまして、山陽新幹線についても、やはり新幹線の開発効果によって非常に利用客がふえてきている。そういう意味で、いろいろな意味の構造変化というようなものも地域的に起こるということは当然予想されるわけでございまして、そういう形において、三十年後において東海道・山陽新幹線と東北・上越新幹線との間にそうべらぼうに大きな、片方はもうかって片方はもうからないというような格差が出るかどうかということは、私、今の段階では十分にわかりませんので、そういう意味においては先生の御質問に対して明確なお答えはできない、かように考えております。
  308. 河村勝

    ○河村委員 そういう腰だめで物を言ってはいけないのです。少なくともいろいろな与件を与えて、コンピューターでシミユレーションぐらいやってこうなりますというならまだ一応聞けるけれども、ただ、そのころになれば東北もよくなるから、鹿野さんは大変喜んでおるかもしらぬが、そういういいかげんな答弁をしてはいけないのです。そういう問題を含んでいる。  大臣、私、きょうは時間も終わったからこれでやめますけれども、本質的な大きな問題があるのですよ。ですから、十分尊重は結構です、結構ですけれども、こういう本当の、中央の背骨じゃないけれども、少なくとも肋骨かももの骨に該当するぐらいの大きい部分で問題があるのです。だから、すべて承認必謹みたいなことではいけません。それを申し上げておきます。  余剰人員問題を本当はきょうお尋ねしたかったのです。四万一千人の余剰人員を新会社に引き継がないで旧国鉄に残す。それは三年期限、就職のあっせんはします。就職のあっせんをするといっても、三年期限でしょう。事実上の指名解雇だ。今、民間の一般の労使慣行でも、第一次石油ショックの後の大変な合理化をやっているときでも、指名解雇はやっていないのですよね。それをどうやってやらせようというのか、これは大問題があるのです。これはいずれまた機会がありましょう。きょう再建監理委員会の林君に聞いてもどうせろくな返事もしないと思いますので、きょうは答弁を求めないことにいたします。きょうはこれでやめます。
  309. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 梅田勝君。
  310. 梅田勝

    ○梅田委員 私は初めに重大事故など重大問題発生の場合の責任のあり方についてただしておきたいと思うわけでございます。  まず第一は、午前中も議論されました日航機の墜落事故の問題でありますが、これは大量の死傷者を出したという点におきまして歴史上初めての大事故だ。このときに、日航の役員の責任は免れないと思います。ところが、前回羽田沖事故のときに、結局は辞職しなかったですね。何だかんだと言いながらやらなかった。今回は、社長は何か辞任をほのめかしているようでございますが、まだはっきりしない。あのような羽田沖の労務管理の結果生まれた重大な日航責任でありますが、ああいう重大事故を起こしながらしゃあしゃあと仕事を続けているそういう無神経さ、これが安全軽視、それから経営第一主義、これに走らせている、私はそうとしか思えない。従来から国鉄でも重大事故が起こったときにはたびたび総裁が辞任したことがあります。昔はあのような事故が起これば責任をとって責任者はやめたものですよ。それがだんだんやめないようになってきた。ここでやはりけじめをきちっとつける必要がある。重大な事故を起こせば首になるんだ、責任をとってやめなければならぬ。政府関係の会社ですよね、日航法に基づいてやられているわけですから。そういう慣習が確立されなければ、今日の事態が起こりましても、今後の事態は改善されないと私は思うのですね。だから、日本航空株式会社法に基づきまして認可権を持つ大臣でありますから、どうされるか、所見をまず第一にお伺いしたい。  第二番目の問題は、七月十一日国鉄の能登線で列車が転覆するという事故が起こった。国鉄総裁は、就任早々だけれども、間が悪いと思って、この問題におきましても辞任をすべき性質のものである、それほどの重大な事故であると認識をされているかどうか、お伺いしたい。
  311. 山下徳夫

    山下国務大臣 日航高木社長がほのめかしたということではなくて、正式に辞意を申し出ているのであります。そこで法に基づいて私の認可も必要でございます。この辞意は会長に対して申し出られたものであり、その直後私と会長と話し合った結果、現時点においてすぐ辞表を受理することは簡単であるけれども、それよりも一刻の猶予も許さない遺体収容であるとか生存者の問題、その時点においては生存者がまだあらわれるかもしれないし、生存者救出あるいはまた身元確認とかそういった緊急的にやるべき仕事がある、したがって、これらの問題を社長として当然社長責任においてやり、一段落ついた時点においてその辞表を受理するということははっきりしているのでございますから、それはほのめかしたのではなくて、今回は責任者は当然責任をとるということは明確に申し上げておきたいと思います。
  312. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 安全の確保は、運輸関係に携わる者としてはもう最重点の事項であるというふうにかねがね私は思っております。したがいまして、就任早々の能登線の事故につきましては大変ショックを受けまして、関係職員を動員いたしまして、その事後措置に万全を期するようにということで行動をとったわけでございます。こうした事故が二度と起こらぬ、こういうような体制を今後固め、また検討するということで今後十分に対応していきたいというふうに考えております。
  313. 梅田勝

    ○梅田委員 責任をとってやめるとは言われなかったですが、会社の社長がやめたらそれで済む問題ではない。全取締役は責任をとるべきではないですか、今回の事故はいかがですか。
  314. 山下徳夫

    山下国務大臣 まだ事故原因もこれから本格的な調査に入る段階でございまして、この時点において責任をとる範囲等については申し上げるべきではない、そんな段階ではないと思っております。
  315. 梅田勝

    ○梅田委員 いずれその問題をはっきりさせていただいて、単に社長責任とったらいいという問題でないほど大きな問題であるということだけは御認識をいただきたいと思います。  それから、国鉄の経営破綻の責任も、私は重大事故に匹敵するような重大問題だと思うのですね。明治五年以来日本国有鉄道として発展をしてきた今日、これが経営破綻でございます、サラ金財政でございますということで、事実上の破産宣言をしたというのが今回の答申の中身ですね。後で引き続き責任問題を追及していきますが、国民共有財産としての国鉄をこのようにした、そして今回これを一部であるが売り払う、最終的には株を全部民間に放出してすっかり売り払ってしまう、こんな重大問題が起こっているのに、歴代の自民党政府、現在は中曽根内閣、どういう責任をとるつもりか。私はかかる事態は内閣総辞職に匹敵するような重大事態であると思うのでありますが、大臣の所見はいかがですか。
  316. 山下徳夫

    山下国務大臣 何かやめさせることばかりの御質問でございますけれども、私は、今度の国鉄の問題につきましても、やはりこれは積年の弊であることは間違いないと思うのです。したがって、その時点時点において総裁だけの責任であるかというと、私はそうじゃないと思っております。いわゆる公社制度であるとか一元的運営であるとかいろいろな問題の集積が今日を招いているということでありますから、そうやめさせるに急にして他を顧みないというのはどうかと思います。
  317. 梅田勝

    ○梅田委員 長過ぎたのですよ。自民党政治が長過ぎるのです。三光汽船の問題でも、ずっと長らく今日まできたわけです。そしてついに事実上の倒産ということで会社更生法の申請になった。河本さんは事実上のオーナーということで、責任をとって国務大臣をおやめになった。そういうものですよ。不始末を起こしたら、最後はそういうことになるの。この重大問題を引き起こしたという点において、私は自民党政府には国鉄問題を再建する能力がないということだけを申し上げて、さらに具体的に追及をしていきたいと思うのです。  今回の国鉄再建監理委員会の答申を拝見いたしますと、国鉄経営悪化の最大の原因として、公社制度と全国一元の巨大組織として運営されてきた現行経営形態を挙げ、過去の再建策が失敗に帰したのは、その問題にメスが入れられなかったからと断定しております。政府・自民党の責任や財界の責任は全く追及されていない。過大な設備投資を借金で強要した政府・自民党、財界の責任は一体どうなるのですか。中曽根さんの好みの人たちを監理委員会のメンバーにしているわけでありますから、最初から結論はわかっているのですよ。予想された答申だとは思っておりましたけれども、中身が余りにも悪いということで、我々は腹が立ってしようがないのです。国鉄を解体して分割・民営と言っておりますけれども、結局これは財界がよいところをねらって、もうからぬところは切り捨てる、こういう論法ですよ。全くあいた口がふさがらないと私は思います。国有財産、国民の足としての国鉄、この解体は国民は断じて許さないということをまず最初にはっきりと申し上げておきたいと思います。  そこで、運輸大臣に重ねて政府責任についてお尋ねをしたいわけであります。  昭和四十八年六月十二日、第七十一国会でございますが、私は運輸委員会で当時の田中角榮総理大臣に対して国鉄の再建計画について質問したことがございます。  それまでありました計画を変えた、なぜ借金を膨らましてまで巨大な設備投資計画を強行しようとするのか、十カ年で十兆五千億円の設備投資をやり、長期債務は約十一兆円に膨れ上がる、当時の支払い利息は一日当たり約六億円、それが計画では十年先には約十八億円に達する、三倍になる、その危険性を指摘して、私は「設備投資は、さしあたり大都市の通勤輸送力の増強や地域住民、中小荷主の利用できるような輸送力の整備、こういう必要なものを最優先的にやるように改めて、規模を大幅に縮小する、」そして「利子補給を含めて年に五千数百億円の国の支出を行なえば、その年から国鉄財政というものは長期負債を減らしながら償却後黒字になって、運賃値上げの必要なしに再建可能になる、」と提案をしているわけであります。  ところが、当時の首相はどう言ったかというと、「道路は五カ年間に十九兆五千億でございます。それでもなお車はどうにも動かないというのでありますから、十兆五千億で一体足りるかな」と開き直って、「鉄道の再建策としては最善である、」と断言しておるのであります。この考え方がとんでもない間違いであったということは、今日では極めて明白でありますが、大臣、どのようにお考えですか、責任をどのようにおとりになるつもりですか。
  318. 山下徳夫

    山下国務大臣 自民党の責任だとか経営者の責任とかいろいろおっしゃっていますが、また中曽根総理の好きな者だけ委員にしたとか、勝手な御判断で勝手に腹かかれるについては私は責任はないわけでございますけれども、その問題は別といたしまして、過去における再建計画は、何も自民党だけがやったのではなくて、法律に基づいて時の政府関係者の御意見を十分承ってこしらえたものである、それができなかったという点において、さらに赤字が累積して、これ以上放置するともはや人工呼吸すらもきかなくなるというせっぱ詰まった今日の段階において、今回の再建計画がなされた。このことは第二臨調において指摘され、第二臨調の答申の中でも、国鉄が一番重病人だよ、だから国鉄については再建監理委員会というものを法律に基づいてつくって、その答申をまってこれに対して対処しなさいということでございまして、この点はあなたも国会議員として十分御理解いただいていると私は思うのでございます。
  319. 梅田勝

    ○梅田委員 自民党は国会の中では多数党だったのですよ。我々は反対したのです。だから、先ほどわざわざ当時の会議録を持ってきて、我々はそのように指摘をした。ところが十兆五千億でもまだ足らぬ、そう言って過剰な設備投資をやった。この点についての深刻な反省がないと、先ほど来議論になりましたように、今度また整備新幹線の問題についていいかげんなことになってくる。  財界の方は、大規模なプロジェクトが何とかならぬか何とかならぬかと言っておる。本四架橋の問題についても、早いこと何とかあれをやれるようにしてくれ。いろいろなことを言っていますね。財界の方は金がようけ余っているそうですが、昨年は十五兆円に及ぶ海外の投資をやる。どこか国内に投資の対象はないかと一生懸命探している。生産設備はもうどんどん更新されて、生産力が高まっているからそう簡単に投資もできない。そこで目をつけたのが国有企業じゃないですか。  そのように考えてみると、過去の失敗、現在の国鉄経営の危機、財政困難、これはどうして生まれたかということについて深刻なメスを入れることなしには問題は解決しない。同じ間違いを繰り返していく。財界が支配しているのですから、自民党は政治献金をもらっているのですから、財界から言われたら弱いんだ。結局その方向にずっと計画を変えていく、またぞろ同じことになるのですよ。だからここのところを明確にしておかなければ、本当の国民の足としての国鉄を立派に再建することはできないのです。  我々が声を大にして言うのは、過去何遍言っても自民党の諸君は真剣にその話を聞こうとしなかった。前の細田運輸大臣だけは、私が予算委員会あるいは当運輸委員会質問しますと、ある程度よく考えた御返事をなさっていますよ。なるほどよく知っているな、みずからも加わってきた問題ですから幾らかの反省があると思ったのでありますが、今回の答申を見ていると、そんなものは一かけらもない。それを最大限尊重ということで、ついにぱっと分割。民営の法案が出てきて、これを一気に多数でもって押し切ろうというのであれば、国民は迷惑千万ですよ。だから、ここのところは徹底的に議論して、間違いの本質、問題点を明らかにして改善をする、改めるということがなければ私はよくならないと思う。もう一度大臣の御所見を承りたい。
  320. 山下徳夫

    山下国務大臣 重ねての御質問でございますが、どうもあなたの御質問に私はわからない点があるのでございます。率直に申し上げまして、深刻にメスを入れて問題点を剔抉したからこそ新しい再建案というものが生まれてきている。それなのに、メスを入れてないメスを入れてないとおっしゃるそのこと自体、私はあなたに反対に質問したいくらいでございまして、再建計画の基となるものは、公社制が悪いとか一元的運営が悪い、よって鉄道の特性が生かされないといういろいろな問題を指摘されまして今日の再建案が生まれた、このように理解しております。
  321. 梅田勝

    ○梅田委員 あなたは全然わかってない。勉強不足ですよ。なぜ今日の膨大な赤字が生まれたかということをずっと順を追って考えてみなさいよ、国鉄がずっと赤字だったわけじゃないのだから。昭和三十九年からなぜ赤字になってきたか、ずっと経過的に追ってみなさいよ。そして田中角榮さんが総理大臣をしているときに、あの方は全然反省なしに、なおそれでも足らぬかななどということを言った。そこのところを明確にしなければだめだということを重ねて申し上げておきたいと思います。  次に、長期債務等の処理と配分の問題についてお伺いしたいと思うのでありますが、答申におきましては、昭和六十二年四月の時点で国鉄の長期債務は二十五兆四千億円となると述べております。ところが、そのほかの長期債務等ということでいろいろなものが入っていますね。この際ということでいろいろな不良債務を一切国鉄の責任におっかぶせるというのがあらわれておりまして、例えば青函トンネル、これは本来国が責任を持つべきものです。鉄建公団の凍結中の工事費、さらに本四架橋に係る資本費まで今回国鉄に押しつける。一挙に長期債務等は三十七兆三千億円にまで膨らんだ。  国民から見てたら、最初監理委員会が発足したときは二十兆、二十兆と言っていた、これがいつの間に三十七兆になったのだ、これはどうしようもないな、分割・民営もやむを得ないかというように、マスコミを通じてだあっと書き立てたらそうなりますよ、金額だけを見たら。我々もサラ金の相談がよくあるのです。サラ金のカードを一枚持ってきて、これ何とかなりませんか、これだけですか、次から次へと出して二十何枚出したという例があります。ちょっとずつ出すのだ、一枚か二枚なら何とかなると思うのに、二十何枚も出たらどうもならぬな、逃げなければしようがないな、こうなる。今までのやり方というのはそうなっているじゃないですか。そういう点で、長期債務等について一つ一つ国鉄の責任、国の責任を明確にしてやる必要がある、処理と配分の仕方について根本的に考え方を変える必要があるのじゃないですか。
  322. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 先生の御質問、若干理解できないところがあるのでございますけれども、国鉄は国の機関、その国鉄のために建設をした青函トンネルその他の鉄道建設公団の関連施設、これは全く性格的には同じものでございまして、逆に言えば、国鉄の債務だけを整理しても、鉄建公団その他の債務について何らかの処置をとらなければ、逆にそれを使う国鉄の負担になる、こういう考え方から、監理委員会の方としては、この際、国鉄に関連する債務というものを新しい国鉄の経営から一切切り離して、そして健全な経営にするというためにこれを旧国鉄に一括して債務として集める、こういうふうな感覚で今回の「意見」が出されておるわけでございまして、むしろ先生がおっしゃるように、国鉄の負担から債務を切り離す、負担にならないようにするというために、こういう措置がとられておるわけでございまして、別に国鉄に押しつけるとかいう感覚ではないというふうに思っております。
  323. 梅田勝

    ○梅田委員 いや、最初から分けてやれと言っているんだ。分けてやれ。我々も運輸委員会で、鉄建公団がようけ工事をやっておって積み残しをやって、青函トンネルもやっておる、どうするんだ、全部これは包含して考えなければいかぬよということも言いましたよ。考え方としてそうですよ。しかし、全部が全部国鉄の責任のような扱い方をするなということを言っているのです。この一覧表を見たら、旧国鉄におっかぶせるというようになっているじゃないですか。そうしてずっと順番に財産売ったり株を売ったりということで、残った金は国民の負担ということにしてある。しかし、最初はあたかも国鉄がこれだけの赤字をつくり出したかのように言っているんだ。  これは昨年の三月十三日の予算委員会で、当時の細田運輸大臣に対しまして、青函トンネルをどうするんだということを質問いたしておりますが、大臣は、「これを無理やりに国有鉄道にそのままの形で、八百億出す形で経営しろということは言えない、かように考えておる」というように、はっきり国鉄の責任にはできないということを言っているのですよ。だったら、最初から「長期債務等」の処理の項目でこれは別だとなぜ明記しないのですか。
  324. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 「長期債務等」とは、表現を一括したために「等」という言葉が使われておるのでございまして、先生ごらんのとおり、「長期債務等」の表の中には、明確に青函部分が幾ら何が幾ら、こういう形で明記されておるわけでございます。  それから、旧国鉄に持っていくということを国鉄に押しつけるというふうに先生御理解でございますけれども、旧国鉄というのは債務の処理機関でございまして、新しい鉄道であるところの現在の国鉄の生まれ変わる鉄道というものとは別に、債務だけを処理する機関として残るわけでございまして、むしろおっしゃるように、新しい鉄道に押しつけないために旧国鉄というところで整理をする、こういう形になっております。  細田大臣が八百億の負担にならないようにと申し上げたのも全くそういう趣旨でございまして、どこか別のところで債務を処理しなければ、鉄道建設公団は有償でつくっておりますから、債務を処理しない限りは国鉄に使わせるときには有償で貸さなければならない。したがって、債務を一括して旧国鉄で処理をするという形になって、初めて新しい国鉄の経営形態の負担にならないという形での貸し付け方ができる、こういう形になるわけでございまして、趣旨としては、先生おっしゃるように、これを負担させないというためにこの旧国鉄に集めておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  325. 梅田勝

    ○梅田委員 それは全然考え方が違いますからね。項目は別にしてやれと言うんだ。「長期債務等」ということでごまかしの手法が行われておる。国がやった責任ですから、そこのところは明確に区別して、責任の所在ということを明確にして、国民にわかりやすい形でやるべきだというように要求をしておきたいと思います。  それから、年金負担の問題でありますが、これの積算基礎及び年度別支払い額がよくわかりませんので、これは後日資料を提出していただきたい。それから、この財源を国の責任において処理するということを明確にしていただきたい。  それから、三島の基金の財源は土地を売るようでありますが、これも財源的にどうなっているのかを明確にしていただきたい。  それから、余剰人員対策九千億円となっておりますが、これは年度別使用区別を明らかにして、これまた財源はどうするのかということですね。五年前四十万人になりました体制を今回は二十一万人ほどにするわけですから、大激減ですね。大変な処理になるわけでありますが、そう簡単にできるものじゃない。三年間で事実上首を切られる。先ほども同僚委員の質問がありましたけれども、幾ら民間でも合理化をやる場合にこんなひどい合理化はない。これはそう簡単にできるものじゃないですよ。  それから、土地の売却につきまして、六十二年度価額で五兆八千億、二千六百ヘクタール売るということでございますが、これはどういう手順で売ろうとしておられるのですか。一挙にばさっと売ってしまうのか、あるいは年度別に売られるのか、そこらあたりの計画も明らかにしてもらいたい。我々は売るのには反対なのですよ。誤解せぬでくださいよ、あなた方の計画はどうなっているのかということを聞いているのですから。  それから、国鉄資産は非常に膨大でございまして、土地、建物、それから車両、機械、相当の資産があるわけです。簿価と時価が違うということも今日では大きな問題になっておりますが、国有財産を的確に保存しなくちゃならぬということで、財政法や国有財産法におきまして極めて明快にその責任が示されておりますが、一体国鉄の資産をどのように評価しようとしているのか。この間、日タの問題につきまして評価をどうするかという議論もやりましたが、民間がいわゆる特殊法人に変わるときには相当厳密に資本金の評価もやっているのですね。今回は、株を将来全部民間に放出するということになっておりますが、予定する収入価格としては六千億しか組んでいない。いいところは全部売って、あとは事業用資産だからそんな売ることはないだろう、だから、そんなに価格は急に上がるものではないというお考えがあるかもしれませんが、私は、たった六千億で民間に売り払うということは、これは国有財産の強奪に等しいと思うのですね。ですから、この評価をどうするか、この点につきまして明確にお考えを示していただきたい。  それから最後に、十六兆七千億については国民の負担のように言っておりますが、この財源手当てはどのようにするのか。そして初年度にもしこれができなかった場合、狂いが生じた場合にどうするつもりなのか。  以上、時間がございませんので、まとめて申し上げましたが、なお、それ以外にたくさん質問することがある。第三次特定地方交通線の問題にしても、分割・民営による不合理性について、無人駅の問題、それから経営見通し、いっぱい御質問したいことがあるわけでございますが、質問時間が来たようでございますので、以上、御答弁を願います。
  326. 林淳司

    ○林説明員 お答え申し上げます。  いろいろ資料の要求がございましたけれども、一般的に私ども監理委員会の「意見」に出しておりますデータということについて積算資料を提出してくれという御要望がございますが、先ほど来申し上げておりますように、非常に膨大な資料でございますので、現在それを整理中でございます。さらに、その中には先ほど来申し上げておりますように、公表することが適当でないというものもございますので、その辺のところを十分整理した上で、御提出できるものについてはできるだけ御提出するように努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、三島の基金あるいは余剰人員対策費というものについて財源はどうだということでございますが、これは財源と申しますか、その負担の区分としましては、「意見」の中の表にもございますように、これは新事業体の負担ではなくて、旧国鉄の方の負担というふうに整理をしております。  それから、資産についての評価でございますけれども、先ほど来申しておりますように、一般的には簿価で資産を引き渡す、ただ特定のもの、新幹線でありますとか――新幹線については再調達価額、その他の関連事業用資産については時価というふうな評価をするのが適当であろうというふうに記述をしてございます。  具体的にどういう場でこれが評価されるかというのは、これは法律事項でございますけれども、結局、通常一般に行われますと同様に、政府に資産再評価委員会というのが置かれて、そこで最終的な評価がなされるであろうというふうに考えております。  株について六千億と申しますのは、これは新しい会社の株式が、いずれ公開をして処分をするわけでございますけれども、その段階でどういう市価がつくか、現段階でこれを見きわめることは非常に困難でございます。プレミアがつくという場合もございましょうし、それからある一定期間、いわゆる相当長期商売れないというものもありましょうし、そこら辺については、今幾らで株が売れるかということについては判断することは困難でございますので、とりあえず六十二年度の額面価額というものを計上してあるということであります。これが仮に高いプレミアがついて売られれば、その分は旧国鉄の収入になるわけでありますので、その分だけ国民の負担の軽減に資するということになるわけであります。  それから、十六兆七千億の財源についてでありますけれども、これについては、私どもとしては三十七兆三千億というもろもろの潜在債務、顕在債務というものを整理し、その負担関係を整理した結果、十六兆七千億は最終的に事業サイドでは負担できない、あるいは国鉄サイドでは負担できないというものでありますので、これについては最終的には何らかの形で国民負担を求めざるを得ない。ただ、具体的にそれをどういう方法で、いつどういうふうに解消、処理をしていくかということについては、これはかなり実務的な事項でございますので、その具体的方法については政府の方に検討をゆだねておる。国の責任において処理をするのでありますが、その具体的方法については実務的な検討にゆだねておるということでございます。
  327. 梅田勝

    ○梅田委員 答弁に不満がありますが、これでやめます。
  328. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十七分散会