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1985-04-19 第102回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月十九日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 三ツ林弥太郎君    理事 鹿野 道彦君 理事 久間 章生君    理事 津島 雄二君 理事 三塚  博君    理事 小林 恒人君 理事 吉原 米治君    理事 近江巳記夫君 理事 河村  勝君       佐藤 文生君    関谷 勝男君       近岡理一郎君    林  大幹君       福家 俊一君    堀内 光雄君       山村新治郎君    若林 正俊君       兒玉 末男君    左近 正男君       関山 信之君    田並 胤明君       富塚 三夫君    浅井 美幸君       薮仲 義彦君    中村 正雄君       梅田  勝君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山下 徳夫君  出席政府委員         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         運輸政務次官  小里 貞利君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君         運輸省運輸政策         局長      山本  長君         運輸省国際運輸・         観光局長    仲田豊一郎君         運輸省国際運輸・         観光局観光部長 丹羽  晟君         運輸省地域交通          局長      服部 経治君         運輸省貨物流通         局長      栗林 貞一君         運輸省航空局長 西村 康雄君  委員外出席者         議     員 左近 正男君         警察庁交通局交         通規制課長   越智 俊典君         科学技術庁計画         局国際科学技術         博覧会企画管理         官       沖村 憲樹君         環境庁大気保全         局企画課長   伊藤 卓雄君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       百瀬  信君         厚生省生活衛生         局水道環境部環 加藤 三郎君         境整備課長         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      松井  司君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      神戸  勉君         建設省道路局有         料道路課長   駒田 敬一君         建設省道路局国         道第一課長   岡田 哲夫君         建設省道路局道         路防災対策室長 寺田 章次君         日本国有鉄道総         裁       仁杉  巖君         日本国有鉄道常         務理事     竹内 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     坂田 浩一君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     太田 知行君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ――――――――――――― 四月十九日  都市における公共交通環境整備に関する特別  措置法案左近正男君外九名提出衆法第一九  号) 同月十七日  国鉄運賃値上げ分割民営化反対等に関する  請願外一件(田邊誠紹介)(第三〇九五号)  同(安井吉典紹介)(第三〇九六号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三一一〇号)  同(清水勇紹介)(第三一一一号)  高知県内気象事業整備拡充に関する請願(山  原健二郎紹介)(第三〇九七号)  同(山原健二郎紹介)(第三一一二号)  同(山原健二郎紹介)(第三二一一号)  ユーザー車検代行行為是正に関する請願(浜野  剛君紹介)(第三一〇九号)  脊髄損傷者に対する運輸行政改善に関する請願  (工藤巖紹介)(第三一九九号)  同(熊川次男紹介)(第三二〇〇号)  同(佐藤誼紹介)(第三二〇一号)  同(安田修三紹介)(第三二〇二号) 同月十八日  国鉄信越本線輸送力増強に関する請願(近藤  元次君紹介)(第三三一九号)  首都圏気象事業整備拡充に関する請願中島  武敏紹介)(第三三二〇号)  国鉄運賃値上げ分割民営化反対等に関する  請願小川省吾紹介)(第三三二一号)  同(日野市朗紹介)(第三三二二号)  同(松前仰君紹介)(第三三二三号)  高知県内気象事業整備拡充に関する請願(山  原健二郎紹介)(第三三二四号)  同(山原健二郎紹介)(第三三四三号) 同月十九日  ユーザー車検代行行為是正に関する請願中村  靖君紹介)(第三四六二号)  高知県内気象事業整備拡充に関する請願(山  原健二郎紹介)(第三四六三号)  同(山原健二郎紹介)(第三五九五号)  脊髄損傷者に対する運輸行政改善に関する請願  (池端清一紹介)(第三五二七号)  同(梶山静六紹介)(第三五二八号)  同(渡辺美智雄紹介)(第三五二九号)  国鉄分割民営化等反対に関する請願(井上  普方君紹介)(第三五七八号)  同(兒玉末男紹介)(第三五七九号)  同(竹村泰子紹介)(第三五八〇号)  ハイヤー・タクシー事業における行政改善に関  する請願梅田勝紹介)(第三五八一号)  同(佐藤祐弘紹介)(第三五八二号)  同(柴田睦夫紹介)(第三五八三号)  同(津川武一紹介)(第三五八四号)  同(辻第一君紹介)(第三五八五号)  同(中川利三郎紹介)(第三五八六号)  同(東中光雄紹介)(第三五八七号)  同(不破哲三紹介)(第三五八八号)  同(藤田スミ紹介)(第三五八九号)  同(正森成二君紹介)(第三五九〇号)  同(三浦久紹介)(第三五九一号)  同(山原健二郎紹介)(第三五九二号)  留萌測候所気象事業整備拡充等に関する請願  (小林恒人紹介)(第三五九三号)  徳島県内気象事業整備拡充に関する請願(井  上普方紹介)(第三五九四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十九日  国鉄運賃値上げ反対等に関する陳情書  (第三一八  号)  国鉄分割民営化反対等に関する陳情書外二  件  (第三一九号)  東北線業務体制近代化実施に関する陳情書  外三件(第  三二〇号)  地方バス生活路線維持に関する陳情書外八件  (第三二一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  都市における公共交通環境整備に関する特別  措置法案左近正男君外九名提出衆法第一九  号)  陸運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  港湾に関する件  観光に関する件      ――――◇―――――
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。陸運、海運、航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉原米治君。
  3. 吉原米治

    吉原委員 きょうは、最初に新交通システムについてお尋ねをいたします。  近年、地方中核都市において新交通システム導入されたり、また計画が進められておるようでございますが、既に開業している路線経営状況、また計画中のところは、その進捗状況等々について最初に御説明をいただきたい。計画中のものは建設省、それから既に運転開始をしているものの状況については運輸省。もう一つ運転開始はしたけれども、途中で採算が合わなくて運転停止をした地域もあるやに伺っておりますので、そこら辺も含めてひとつお答えを願いたい。
  4. 服部経治

    服部政府委員 お答え申し上げます。  新交通システムでございますが、これは在来鉄道バスの中間の需要に対応する交通機関としまして、地方中核都市あるいは大都市近郊のニュータウンの足の確保というようなことのために導入されてきておりますし、また幾つかそういうものの導入計画されているところでございます。  現在、営業中のものは、神戸のポートアイランド線、大阪南港ボードタウン線、山万のユーカリが五線、それから埼玉新都市交通の伊奈線、こういった四つがあるわけでございます。その経営状況でございますが、いずれも開業後間もないものでございまして、輸送の成熟がおくれておりますこと、また開業当初ということであって、資本費の負担が経営を圧迫しているというような要因が絡みまして、いずれも相当大きな欠損額を生じております。  それから、開業需要想定見込み等でやめたものというお話でございますが、その例といたしましては、かつて姫路市につくられましたものが、その後の需要の低迷によりまして、廃止を余儀なくされているという事態を承知いたしております。
  5. 岡田哲夫

    岡田(哲)説明員 計画中のものについてお答え申し上げます。  建設省では、新交通システム等導入が必要な地域におきまして、新交通システム及び関連道路都市計画決定並びに事業化に必要な諸資料を得る目的調査を実施しているところでございます。昭和四十八年度以降昭和五十九年度までに全国三十八地区で調査を実施しており、新交通システム導入を検討した都市としては、東京都、大阪市、神戸市、横浜市、広島市、福岡市、金沢市、岡山市、土浦市、藤沢市、西宮市、鹿児島市、千葉・市原市、浜松市、東広島市、厚木市、高松市がございます。  以上でございます。
  6. 吉原米治

    吉原委員 運行を停止した例で、姫路の例が今お答えがございましたが、これはどのくらいの期間開業したんですか。そしてその結果、どの程度の累積赤字を出して運転停止をしたのか。その辺は今お答えできますか。
  7. 服部経治

    服部政府委員 ただいま申し上げました一つの例でございますが、姫路市のモノレールでございますが、開業いたしましたのが昭和四十一年の五月でございます。それで八年後の昭和四十九年の四月に休止に入りまして、最終的には五十四年の一月に廃止をいたしたものでございます。この姫路モノレール廃止時点におきます累積欠損額はちょっと把握いたしかねておりますが、ちょっと手元に資料がございませんが、休止に入ります直前の収支は、収入が千九百万円に対しまして支出が一億八千万円ということで、収入の約十倍の支出を要するという格好に相なっていたものでございます。
  8. 吉原米治

    吉原委員 それは単年度の収支だろうと思いますが、休止に至ったときの累積赤字は結局幾らになるのか。恐らく膨大な欠損額になったと思われます。  そこで、今運転開始しておる四つ事業報告がございましたが、これはいずれも第三セクターあるいは民間会社で運営をされておるわけでございまして、いずれの企業体も大幅な欠損を出しておる、こういう御報告でございました。私は率直に申し上げて、こういった便利で大変公害の少ない新交通システムができること自体は反対をするものじゃございませんけれども、何分こういった先行しておる企業体がそれぞれ大幅な赤字を出しておる、にもかかわらず建設省は、道路をつくるついでだと言いながらインフラ部分をつくって、この種の新交通システムなるものの導入計画されておるように伺うわけですが、新しいものをつくることだけで地域交通のバランスをとっていくという、そのことだけではいかがなものか。建設省道路をつくるついでだから安上がりにできるからということではございましょうが、至ってこの種の問題は、今現状の御報告もございましたように、必ずしも経営収支は楽観できない。場合によっては、姫路の例のように運行休止しなければならぬ、こういうことも予測されるわけでございます。  そこで、私はきょうは広島の新交通システム中心にひとつお尋ねをしたいわけでございますが、建設省運輸省、それぞれ関係の問題についてお答え願いたい。  最初広島シングルモードシステム、これの採算性一体あるのかという点でございます。私、そんなことを関心を持っておりましたところが、たまたま四月十六日の日経の夕刊を読みますと、「火の車「ポートライナー」」「タダ乗り黙認、苦肉の合理化」こういうふうな大きな見出しで載っております。今服部局長の方から、既に開業しておるところの状況についてお話がございましたが、この新聞報道でも、それぞれ累積赤字が大変な額になっておる状況が報道されております。  そこで、建設省最初お尋ねをするわけでございますが、広島市の十一・何キロですか、道路をつくられて、その上にシングルモードシステムをやったらどうかという計画については、私は非常に採算性について疑問を持たざるを得ない。特に予測されておる利用人口とり方が非常に甘いのじゃないか。一日七万七千四百人という利用客を見込んでの計画のようでございますが、予測人口とり方にもいろいろ問題があるでしょうけれども、神戸先例を見てみましても、五十六年の開業時の予測人日は一日四万人、昭和六十五年では一日六万八千人、こういう予測人口を立てておりますけれども、現実に開業後二年たったこの五十八年実績でも一日三万四千二百人、意外と利用者が伸びておりません。さらに今日では開業三年目にして五十億累積赤字を出しておる。大阪の例でも、五十六年開業時に一日五万人、昭和六十五年には一日七万人の予測に対して、五十八年実績では一日二万三千二百人、これもまた計画どおり伸びてない。結果は三年間で累積赤字が百十億という、そういう欠損になっておる。広島の場合、先ほど言いましたように、七万七千四百人を見込んでおるのですが、現在の広島郊外にあります安古市地域、これは非常に新興団地がたくさんできておる地域でございますが、ここから市内へ、都心へ入ってくる利用客は、地元の広電バスで一日二万五千人、広島交通バス、これは二社あるのですが、この広島交通バスでも一日一万五千人、両社のバス利用客を合わせても四万人にしかならない。一体この両バス会社廃止をするという前提でこの新交通システム導入をされようとしておるのか、そういうふうに私は皮肉を言わざるを得ないような感じがしてならぬわけでございます。したがって、利用予測人口とり方神戸やら大阪先例を見ても大変甘いとり方ではないか、こんな気がしてしようがないのですが、建設省はその点どうお考えでございますか。
  9. 岡田哲夫

    岡田(哲)説明員 ただいま先生が数字を挙げて説明されました七万七千四百人というようなことで、広島市が現在採算性等試算をいたしております。この試算について、中身について今後どういう問題があろうかというようなことは、今後検討してまいりたいと思いますが、これまでのいろいろ新交通の全国的な状況等も見ながら、そういう問題について検討してまいりたいという段階でございます。
  10. 吉原米治

    吉原委員 後で審議会の経過についてもまたお尋ねしますが、続いて、広電広島交通など地元バス関係者が五十九年八月に、つまり去年の八月にこういった新交通システム計画を頭に描きながら駅勢人口、つまり駅を中心にした半径五百メートルの区間を人口調査したわけでございますが、その結果は六万四千九百人、一日七万七千四百人の利用客は到底見込むことができない、こういう調査結果を出しておるわけでございます。  そこで私は、採算性がなかなかとれないのじゃないかという疑問並びに利用人口を少し甘く見ておるのじゃないか、こんな気がしてなりませんけれども、この新交通システム一体経営主体はどういうことになるのでございますか。またその計画によっては、だれが一体そういう計画を了承して引き受けられようとしておるのか。ここら辺をひとつお聞かせ願いたい。
  11. 岡田哲夫

    岡田(哲)説明員 経営主体としては、市等も入りました第三セクター等が予想されていると思いますが、まだこの辺は今後の問題であろうかと思います。
  12. 吉原米治

    吉原委員 第三セクターは私も承知をいたしております。計画中身を見てみますと、広島市が二百五十億、民間が三百六十億、合計六百十億の第三セクター、このように私も計画中身を見ておるわけでございます。その中の資金計画を見ますと、全体の二〇%を出資金、八〇%は長期借入金、これは開発銀行が五〇%、市中銀行が三〇%、この長期借入金を見込んでおるようでございますが、とてもそういった長期借り入れに対する金利、この金利すら一体払えるのかどうなのか。一説によりますと、支払い利息は年に二十億以上とも言われておるわけでございまして、ちなみに広電の宮島線が一日四万五千人、市内電車で一日十万人運んで年収が四十五億ですから、とてもこんな不採算事業を引き受ける者はいないと思うのです。建設省サイドでは、引き受ける者は、今後問題を詰めていけば必ず引き受けてもらえるという自信がおありなのかどうなのか。そこら辺を……。
  13. 岡田哲夫

    岡田(哲)説明員 この辺につきましては、所要資金の問題についても、まだ今後さらに詰めていく問題もあろうかと思いますし、それから広島地方では、この新交通に対する期待が大きいわけでございますけれど、その期待が大きいという背景は、広島北西部にかなりの人口増加、工業団地住宅団地、そういうものが張りついていくという、そういう広島地方の全体の地域整備計画、こういうものとも絡んでおると思いますので、その辺をあわせて検討していき、またそれから将来の交通需要の伸び、こういうものをあわせて検討していくという中でぎりぎりの採算の問題がどうかということがもう少し鮮明になってくると思いますが、今はそういう構想のもとでこの計画を進めたいという観点での調査をやっている、こういうことでございます。
  14. 吉原米治

    吉原委員 至って建設省自信のないような話でございますが、私もますますそういう意味で不安になるわけでございまして、特に最近完成したと言われる北九州のモノレールでも、当初三百五十八億と言われておったのが、最終的には六百八十八億、約倍になっておる。この広島シングルモードシステムというのは、建設費が昨年の単価でございますか八百七十億と言われておるわけでございますが、これも完成時には当初見込みよりも倍ぐらいにやはり見ておかなければならぬ、そういうこと等を考えますと、とてもこれは収支採算は合うものではない、こう言わざるを得ませんが、何回聞いても、建設省はその点については、恐らく言われておる気味は、今中国地方交通審議会広島部会に諮問されておるやに聞いておりますが、そこで話を煮詰めるから、その点については明らかになるだろう、こういう御認識でございますか。
  15. 岡田哲夫

    岡田(哲)説明員 その審議会で議論されたことについて、建設省としてもまた検討を加えて答えを出していきたいと思います。
  16. 吉原米治

    吉原委員 そこでさらに、この広島の新交通システム制度の中で疑問点がまだ数点ございますのでお聞きしたいわけでございますが、広島市の北西部、言われております安古市地域でございますが、この団地周辺、新交通システム起点にどうやって一日七万七千四百人の乗客を寄せてくるか。近くの自転車で来れるぐらいの距離ならいいんですけれども、自転車で来れないような地域だとするなら、そういったフィーダー輸送といいますか、一体これをどういうふうに考えておるのか。逆に、今までは交通渋滞が若干ありますけれども、地元の両バス会社によってその団地の皆さんは直通で都心に入ってこれた。それが今度は新交通システムを利用しようとすれば、起点にまず行く方法、手段を考えなければならぬし、乗って終点に着いた、紙屋町でまた次の交通手段を考えなければならぬ。この起終点一体どのような接続対策を考えておるのか。団地、あの辺の周辺は歩くのには非常に大変ですが、バス輸送するというのなら比較的短区間になるわけでございまして、一体そういった短区間輸送だけを引き受けるバス会社があるのかどうなのか。こんなことを考えてみますと、交通渋滞を緩和して車の流れを速くしようという構想祇園新道なるものが一本つくられる、そこだけはいいのですけれども、そこの入り口と出口の問題が解決していない限り、依然としてこの交通渋滞は緩和されないだろう、そういう気がしてなりませんが、フィーダー輸送といいますか、起終点における接続対策、こういうものの考え方があったらお示し願いたい。これはどっちですか、建設省ですか。
  17. 岡田哲夫

    岡田(哲)説明員 建設省としては、その周辺道路網の問題ということでお答えを申し上げたいと思います。  先生、御指摘の祇園新道の問題でございますが、当バイパス道路交通円滑化交通安全の確保等目的として広島市中区から安佐南区に至る約八・五キロについて現在実施しているものでございまして、太田川以北については用地買収及び工事太田川以南については用地買収促進してきたところでございます。今後太田川以北工事促進し、山陽道広島インターチェンジ昭和六十二年度末供用予定、これに合わせて暫定車線供用を図るべく事業促進に努めてまいりたいと考えております。  この祇園バイパスに関連する道路整備については、まずバイパス終点から以北の国道五十四号線の区間については、既に佐東バイパスとして四車線供用済みになってございます。  北西部安古市団地群からの交通処理は、現在広島市で整備を進めております都市計画街路東野大塚線、幅員は二十五メートルでございますが、これで対処することとしておりまして、現在までの事業進捗率は約五〇%となっております。このうち国道五十四号の現道からバイパスの間については、バイパスの六十二年度末供用予定、これに合わせて供用を図るべく事業促進に努めておるところでございます。国道五十四号以西区間についても、早い時期に供用が図られるよう努めてまいりたいと考えております。  それから、祇園バイパス太田川以南については、現在四車線でございますが、今後用地買収に努め、山陽道供用に余りおくれない時期までに、市道常盤橋大芝線までの間を広島市内向きに一車線付加しまして、五車線供用できるように整備するとともに、将来は六車線及び八車線に拡幅することにより、既存の街路とあわせて市内への分散導入を図ることとしております。  なお、バイパスから分かれて市内への分散導入を図る市道常盤橋大芝線についても、バイパス太田川以北暫定供用、六十二年度末予定でございますが、これに合わせて広島市において整備を進めることになっております。  以上でございます。
  18. 吉原米治

    吉原委員 そこで、次は国鉄側にちょっと尋ねておきたいのですが、今建設省の方からお答え広島市の新交通システム構想の両端といいますか両側には、御案内のように、可部線芸備線という国鉄線があるわけでございます。かねてこの可部線芸備線は、それぞれ片や可部線は横川ですかで行きどまりになっておるし、片や芸備線の方は広島の駅で打ちどめ、そういう路線がまたぐというか両側国鉄の線路があるわけでございます。そこで昭和五十年に、一遍考えてみたらどうかということで、可部線高架複線化、そして芸備線接続をさして環状線とするというふうな構想が一時期打ち出されておったやに承っておりますが、現在、残念ながらこの可部線芸備線というのは、いずれも第三次特定地方交通線ということで調査の対象になっておるようでございますが、可部線芸備線接続させるという構想は、金が幾らでもあればできるかもわかりませんけれども、今の状況ではとてもやれそうにないということでございましょうか。一体どのくらいの財源を見込めば、有効活用といいますか、真ん中にそういう新交通システムをつくるよりも、既存の国鉄線有効活用した方がより有効的に考えられる、こう思うのですが、ひとつ国鉄の考え方だけを聞いておきたいと思います。
  19. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 今先生からお話しございました可部線高架複線化あるいは可部線芸備線接続をさせるという考え方につきましては、昭和五十年の八月に広島地方陸上交通審議会の答申にあった案でございますけれども、これにつきましては相当巨額の工事費を要します。これはその時点、五十年の単価で一応考え直してみましても、可部線の全線の線増、高架化で約七百八十億程度ではないか、それから可部線芸備線の短絡におきましては五十五億程度を要するのではないかというふうに考えられるわけでございます。  御承知のように、国鉄といたしましては、今大変厳しい財政再建途上にございまして、このような大型プロジェクトについて着手をしていくとか、国鉄単独で対応していくということはとてもできない状況でございますが、一方では、六十年一月から中国地方交通審議会におきまして、前回の五十年八月の広島地方陸上交通審議会の答申の見直し作業を行っておられるというふうにお伺いをいたしておりますので、そういった場における御議論を踏まえまして、県、市とも御協力をしながら、そういった広島北西部全体の交通問題の処理ということについて検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  20. 吉原米治

    吉原委員 そういう意味では、既存のものを有効活用する方が、この地域の、広島市あるいは周辺の総合交通体系上からいっても一番大事なことではないか。既存のものを廃止をして、そして新しいものならいいというものではないわけでございまして、そういう意味でひとつこの地域の総合交通体系、こういうものを確定をするということが大事だなと私は思いますし、特に既存の交通企業、これとの整合性を、この種の新交通システム導入する場合には、どの地域だって共通して言えることでございますが、既存の交通機関との整合性をひとつきちっとしていただきたい。  そういう意味で、一九七九年といいますと六年前ですか、三月二十六日に、当時の運輸大臣である森山欽司さんの、この種の問題についてのお答えが実はあるわけでございます。簡単ですから読みますと、この当時運輸大臣は、「既存の交通機関に対して新しい交通機関が並列した場合、既存の交通機関にある程度の影響がある場合、これは新しくやろうというときにはよく調整してやってもらうということだと思います。」そして続いて「調整がつかなければ認可をしないということでこれはできると思います。」こう言い切っておられるわけです。  そこで、山下運輸大臣に、今広島市あるいは広島北西部の新交通システム構想の中の概略を、やりとりの中で御認識を願ったと思うのですが、こういった既存交通との整合性あるいは調整、前の森山運輸大臣が参議院の予算委員会お答えになっておることについては、山下運輸大臣もお認めになりますかどうか。それは当然だなということでございますでしょうか、どうでございますか。
  21. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 最近の交通工学の非常な目まぐるしい進展は、今後とも新しい交通システムを次々に生んでいくと思います。その都度既存の交通機関が脅かされるということは、これは大変な問題だと私も思っておりますし、したがって、既存の交通機関との調整を十分図っていかなければならないことは当然だと私も理解いたしておりますから、森山運輸大臣が五十四年三月に参議院の予算委員会で答弁されました趣旨と全く変わっておりません。今後ともその方針で運輸省はいくつもりでございます。
  22. 吉原米治

    吉原委員 わかりました。  そこで、これは建設省になるのですか、運輸省になるのですか、しかし中国運輸局ということだから運輸省だろうと思いますが、実はことし、昭和六十年の一月二十五日に中国地方交通審議会広島部会に新交通システム構想なるものが諮問をされた。いつ答申が出るかわかりませんけれども、その諮問をする前の段階ですね、中国運輸局が提示した設問項目が五項目ある。この設問項目に対する広島市の対応策が実は注目されておったのですが、この五項目、いずれも御案内かと思いますが、一つは、計画案どおりに実施した場合の採算見通し、二つ目が、第三セクター方式が見込めない場合の対応策、三つ目が、路線定期バスとの競合で共倒れの懸念はないのか、また四点目が、駅勢圏以外からの吸客対策、五点目が、資金調達計画の具体的内容、この五つが、実は広島市に対して中国運輸局が問題を提起して、広島市の対応はどうかということを尋ねてこられておるわけでございます。  その答えが一応広島市の方から出たのかどうなのか。出たとすれば、一体どういう広島市の回答があったのか。そういうものなしに審議会へいきなり諮問をされても私は効果がないと思うのです。これは事前に言っておかなかったからちょっとおわかりにくいかと思いますが、お答え願いたい。
  23. 服部経治

    服部政府委員 ただいま吉原先生お尋ねの点につきましては、私ども子細に承知していない現状でございます。しかしながら、いずれにいたしましても、広島市で御計画、御構想中の新交通システム導入問題につきましては、現在、広島県全域の地域交通計画の策定ということを中国地方交通審議会で審議中の段階でございまして、その中でこの広島市の新交通システムが取り上げられて検討されるということでございます。先生がお取り上げになっておられますこの問題につきましては、私ども極めて重大な関心を持っておるところでございまして、当然その審議の過程では、一番大事なことは、需要の想定をどういうふうにするのか。もう既に現在の道路交通では広島市の北西部の人口増あるいはそれに伴います都心部への人口流入に適切に対応していけないのではないかというような事情も一方にございますけれども、しかし、先生もたびたび御指摘のように、このプロジェクトは現在想定されております段階でさえ既に八百七十億という大変巨額な投資を必要とするプロジェクトでもございますので、これが当初の見込みと違いまして、経営上非常な問題を生ずるというようなことがあってはなりませんので、一番大事な需要想定等につきまして、今後詳細に綿密に検討がなされていって、しかるべき見通しが得られなければ、次のステップには移り得ないのではないかなというふうに基本的に認識しておるところでございます。
  24. 吉原米治

    吉原委員 これを諮問された方の側は中国運輸局なんですから、中身はつぶさに承知をされてないようでございますが、今私が申し上げました五項目の点は未解決のままで審議会に諮問をされたというふうに理解していいですか。
  25. 服部経治

    服部政府委員 その中国運輸局の方から広島市の方に問い合わせ、照会中の項目といいますものも、すべてそういった新交通システムの建設の実現性、将来の経営状況の見通しいかんということについての資料、考え方の説明の要求であろうかというふうに考えるわけでございまして、そういうものをもとにいたしまして、それを踏まえまして、今後中国地方交通審議会での子細な検討が行われていくのだというふうに承知いたしております。
  26. 吉原米治

    吉原委員 私が言っておるのは、局長、少なくとも市が主導権を持ちながらやろうとしておる構想なものだから、それで市の態度が決まらぬままに審議会を開いても意味ないじゃないか。自分がやろうという構想を発表しておきながら、いや、今私がたまたま指摘をした運輸局から問題提起された問題については白紙でございます、いかがしたものでございましょうなんというようなことでこの審議会が持たれるとするなら、私は本末転倒だろうと思うので、事前に市の態度を運輸局が確認をして、それから審議会に諮問をされるということの方が私は順番だと思うのですが、どうでございましょうか。
  27. 服部経治

    服部政府委員 現在、中国地方交通審議会で審議いたしております問題の対象が、この新交通システム導入という問題一点でございますれば、一〇〇%ただいまの先生の御指摘が当たろうかというふうに思うわけでございますが、事実は、この審議会での審議をお願いいたしております事項というのは、広島県域全体にわたります地域交通計画の策定ということでございまして、その中の一つの問題としてこれがあるということでございます。諮問する側はいろいろ腹案を持って諮問申し上げるわけでございますけれども、運輸局といたしましては、現在、広島市におきまして構想計画中のそういう新交通計画があるという事実関係を踏まえましての諮問でございますので、確かに先生おっしゃるような、もっと事前に十分実態の全貌を把握してからの諮問が適切ではないかということもわかりますけれども、そうでない今のようなやり方も御容認いただけるのではないかなというふうには思っておるところでございます。
  28. 吉原米治

    吉原委員 もう諮問をされたというふうに私も聞いたものですから、それではそういった事前の、かねてから運輸局が設問をしておったその項目について、それぞれ市の態度は一応把握されての結果だろうというふうに私は予測して今聞いたわけでございますが、どうも五つの問題については市の態度が明確にならない。むしろその五つの問題が大きなポイントになるものだから、それらを中心中国地方交通審議会広島部会、そこで検討されるというのですが、これはどのくらいの見通してこの答申が出される予定でございますか。皆目検討がつきませんか。
  29. 服部経治

    服部政府委員 約一年を想定いたしております。
  30. 吉原米治

    吉原委員 以上で広島の新交通システムについての質問は終わって、次の質問に移りたいと思います。関係者の皆さん御苦労さんでございました。  次の質問は、実は新幹線公害問題。新幹線公害問題といったって騒音公害ありテレビ等の難視聴公害あり、あるいは日照問題、農業被害、たくさんあるわけでございますが、きょうは特に新幹線公害と言われるものの中で、テレビの難聴地域中心にしてひとつお尋ねをしたいと思うわけでございます。  今日、東北・上越それぞれ新幹線も開通いたしまして、東海道・山陽と新幹線網も徐々にではございますが、かなり全国ネットを広げつつあるわけでございますが、この沿線で、新幹線が通ることによってテレビが見えなくなった、加害者は国鉄だから、ひとつ国鉄の方で善処しろということになったと思われますが、その結果、国鉄の指導によってそれぞれの地域に受信組合という組合ができておるやに伺っております。この受信組合は、沿線の組合致、全体で何組合あって、関係者の世帯数は一体どのぐらいあるのか、最初にお聞かせ願いたい。
  31. 坂田浩一

    ○坂田説明員 新幹線の走行及び高架構造物によりまして、先生御指摘のテレビ障害が起きておりまして、その対策としましては、日本放送協会の技術協力を得まして、その対策の範囲を定めております。現在までに新幹線沿線に千五百二十三の組合がございまして、世帯数にいたしますと三十三万世帯ということでございます。したがいまして、平均的には二百世帯ということになるわけでありますけれども、この一番少ないところは数世帯から、多いところは千以上の世帯になるというようなことはございますが、いずれにしましても、平均的には二百世帯ということになっているわけです。  今までにこれらのテレビ障害対策としまして、国鉄としましては、工事費におきまして、五十九年度時点ではございますが、二百三十億程度の工事費を投入いたしておるところでございます。
  32. 吉原米治

    吉原委員 ちょっと今数字が違うのじゃないかな、坂田常務理事。千五百二十三組合とおっしゃった。組合数は間違いございませんか。
  33. 坂田浩一

    ○坂田説明員 千五百二十三組合ということです。実は昨年の時点で調査いたしましたところ、三千三百組合ということであったわけでありますけれども、この一年間でいろいろありまして、千五百二十三組合ということになっておるわけでございます。
  34. 吉原米治

    吉原委員 組合の数は減ったわけですか。
  35. 坂田浩一

    ○坂田説明員 はい。
  36. 吉原米治

    吉原委員 どういう理由で減ったのですか。
  37. 坂田浩一

    ○坂田説明員 ちょっとその辺はまだ定かでございませんが、地域でいろいろそういった話し合いで統合したとか、そういったことでなったように伺っております。
  38. 吉原米治

    吉原委員 それにしても千五百二十三組合と約半減しておるわけですな、組合の数は。それは統合によって減ったのか、テレビの難聴という問題が解消したから組合が解散したのか、どっちですか。
  39. 坂田浩一

    ○坂田説明員 先ほど申し上げましたように、統合により減っているということでございます。
  40. 吉原米治

    吉原委員 そこで一それぞれの単位組合との間で毎年受信施設を維持管理するための契約を交わされておるようでございますが、この契約書といいますか、協定書の前文に「国の妥当な基準が示されるまで」と、言ってみれば暫定的な措置だということで、運営費については一世帯当たり二百円、それから修理と称して千二百円がそれぞれ組合に出されておるわけでございますが、「国の妥当な基準」というその「国」とは、この場合、一体どこを指すのか。運輸省を指すのか、それともどこを指すのか。またこの「国の妥当な基準が示されるまで」の間ということで、かなり長い年月こういう文言が使われておる。私も調査をしてわかったのですが、郵政省やら建設省はそれぞれ独自の基準を持っていらっしゃるようでございますが、毎年のように「国の妥当な基準」というのは、一体どこの行政庁でどういう検討がなされて、具体的にはいつごろ明示されるものか、全く不明のままで今日まで来ておるわけでございます。  そこで、国の基準について、今申し上げましたように、どこでどういうふうな論議をして、まだ出せないのか、ひとつこれを明確にしていただきたい。
  41. 坂田浩一

    ○坂田説明員 その「国の妥当な基準」というのは、立法上その他の問題でなかなか決めにくいということで、実をいいますと、五十四年十月に中央用地対策連絡協議会で、公共施設の設置に起因するテレビジョン電波障害による損害に係る費用の負担に関する申し合わせをした。それに基づきまして、五十五年十月に国鉄としましても基準を定めて今日に至っておるところでございます。  先ほど、契約の中で「国の」という非常に漠としたものでございますが、一応そういうことで——ただし、この場合に、取り扱い方につきましては、現在既に維持管理方式で組合と協定に基づいてやっているものあるいは当時協議中のものを除くということで、今回の五十五年十月の方式につきましては、いわば今後の設備の設置費用あるいは維持管理の費用あるいは途中における劣化等における改修といったものを含めまして二十年間における費用、それと従来受信者が当然支払うべき費用を差し引いた残りについて一つのルールを決めまして、いわゆる打ち切り補償的にお示しして払おうというものでございます。したがいまして、今回のこの件につきましては、やはり従前の維持管理方式で実施してまいりたいと考えておるところでございます。しかし、世間一般の方式が大きく変化した場合には、国鉄としても当然そのように対応して検討してまいりたいと考えているところでございます。
  42. 吉原米治

    吉原委員 常務理事、これは今まで何回となく私も国鉄関係者の皆さんにお会いしておるのですが、国鉄自体がそういった基準を既に五十四年からあるいは五十五年ですか、五十四年とおっしゃったですな、そういう物差しをつくって今日まで来ておりますという御発言だったと思うのですよ。そうなれば、何で今まで関係組合の皆さんから交渉を申し込まれて、いろいろ国鉄側、なかんずく電気局の皆さん、交渉の場に出ていらっしゃるのに、国の基準がまだ明らかでない、あくまでも暫定的な措置なんだということだが、国鉄自身、それはどこにそんなものが出ておるのですかと言えば、いや、建設省の事務次官通達で出ておりますとか、あるいは郵政省の内部通達文の中にありますから、その精神を酌んで国鉄も対応しておるのでございますという説明が今日までずっと続いておるのです。なぜきょうの日になって、いや、実は国鉄もこういう基準は持っておりました、その基準に基づいてやっております、これは私もちょっとうがって見ますと、どうも格好がつかぬから、あったことにしようじゃないかというふうなことにでもしておるのかな、そんな気がしてならぬのですが、いかがですか。
  43. 坂田浩一

    ○坂田説明員 実を言いますと、先ほどもちょっと触れましたけれども、従来、五十五年十月から一応基準を決めて、打ち切り補償方式というのを決めたわけです。それは、そのとき時点において既に従来方式で経過措置として維持管理方式で毎年組合と締約しているといったところあるいは事前に既に協議を始めているところについては除くことにいたしております。したがいまして、五十五年十月以降定めましたこの方式につきましては、今後の例えば整備新幹線の建設とか、そのほかの新線等における建設、そういったものへの適用というふうにお考え願いたいわけであります。したがいまして、私どもの担当がそういったことに触れなかったのは、まことに説明不足で申しわけないと思いますが、いずれにいたしましても、その辺については今一応世の中世間一般の妥当な数字ということで、毎年維持管理について各組合に御提示して、円満に進むように努力しているところでございます。
  44. 吉原米治

    吉原委員 そうすると、常務理事、この協定書、契約書の中でうたってある「国の妥当な基準」というその「国」というのは、今おっしゃるように、「国鉄」と置きかえて読むという理解でいいのですか。「国」という表現と「国鉄」というのは違うわけですからね。ここで言う「国の妥当な基準」というその「国」とは一体何を指すのか、どの省を指すのか。
  45. 坂田浩一

    ○坂田説明員 実は、協定書というのは四十九年からそのままに使われております。したがって、先ほども御説明いたしましたように、五十四年に一応用地対策連絡協議会でお互いに申し合わせをして、それでいこうということで、国鉄もその申し合わせに基づいて、国鉄として要綱を決めたということでございます。したがいまして、これと、今行われている方式につきましては、いわば世間一般的な方式とそう変わってないと私どもも判断いたしております。  したがいまして、今後、先ほど申しましたように、大きく世の中のやり方なりが変わってまいりましたときには、国鉄としても十分検討して対応してまいりたいと考えているところでございます。
  46. 吉原米治

    吉原委員 常務、私の質問に的確に答えてもらわなければいかぬ。「国の妥当な基準が示されるまで」というその「国」というのはどこの省を言うのか、こういう質問をしておるのですよ。これは国鉄ですか。中身は建設事務次官の出しておるのと全く同じですか、どうですか。
  47. 坂田浩一

    ○坂田説明員 それは全く同じでございます。したがいまして、今回の「国の」という協定につきましては、当分の間というふうに御理解賜りたいと思います。
  48. 吉原米治

    吉原委員 当分の間はいいが、「国」はどこを指すのか。
  49. 坂田浩一

    ○坂田説明員 「国」は、先ほど申しました建設省のものと私どものものと全く同じでございます。  要するに、公共施設の設置に起因するテレビジョン電波障害による損害に係る費用の負担に関する申し合わせというのを中央用地対策連絡協議会の中で決めた、私どもその一員として入っておりまして、それが一応国の方向とお考え願ってよろしいのではないか、こう思っております。
  50. 吉原米治

    吉原委員 ここで言う「国の妥当な基準」という、その「国」はどこの省を言うのかといったら、今言われておるように、国鉄建設省と郵政省。だれがそのメンバーに入っておるのですか。
  51. 坂田浩一

    ○坂田説明員 公共の用地を使うところでございますので、それにかかわる省庁あるいは団体が入ります。ちょっと詳しいメンバーは持っておりませんので、後ほどまた御説明をいたします。
  52. 吉原米治

    吉原委員 それでは、協定書の「国の妥当な基準」というのは、少なくとも五十五年以降は国鉄一つの物差しを持っていらっしゃったはずです。そこで、その物差しというのはいわば渡し切り、これは後で国鉄の方も資料をいただかなければなりませんが、建設省の次官通達では「第一項の規定による費用の負担は渡し切りとするものとする」こういう物差し、基準ですね。にもかかわらず、従来から話をしてきたところだから維持管理方式をとって従来どおりやってきた、こういうことでございます。維持管理方式を各組合と国鉄が協定を結ばれてきておるわけでございまして、そういう意味では一定の資金も交付されておる。そこで二百円の運営費ではもうかなわぬ、一世帯当たり二百円の費用では運営が難しいからひとつ値上げをしてくれ、そういう動きがあることは御案内のとおりであります。二百円の運営費、通信連絡費とも言われておるのですが、そういうもので本当に運営が難しいと言われる組合に対して、国鉄は金を出しっ放しで、実は中身については、言ってみれば補償金のようなものだ、だからその金が何に使われようと監査の対象にならぬ、そういう精神でしょう。一方ではわざわざ維持管理方式でやるのだという限り、毎年毎年維持管理費を単位組合に交付しておきながら、中身について何に使われておるかわからぬ。あれは補償金だから、金が余ろうと足るまいと、それはもうそれぞれの組合の自主性に任すのだ、国鉄中身についてはタッチしませんということですか。
  53. 坂田浩一

    ○坂田説明員 ちょっと補足説明させていただきますと、国鉄の場合も建設省の次官通達の場合も、いずれもこのルールについては、これからスタートすることになっておりまして、経過措置としては、いずれも私どもと同じような方式で維持管理方式をやっているというところの御理解を賜りたいと思います。  したがいまして、その中で先生御指摘の維持管理費につきましては、御承知のように、年間の定期点検の修繕費なり、あるいは今御指摘ございました通信連絡費、あるいは電気料金、電柱共染料とか道路占有料とかいろいろございまして、そういったものを一応定めまして、実費積算で今やっております。その中で、特に今通信連絡費の二百円がささいではないかという御指摘でございます。私どもとしましては、あくまでも通信連絡費につきましては、事故発生時等の連絡費というふうに、電話等を主体に考えております。したがいまして、一世帯年間二百円の少額費用であるということで、特に監査をする必要はないのではないかと現在考えているところでございます。
  54. 吉原米治

    吉原委員 二百円で妥当であるかないかというのは、中身を見なければ私はわからぬと思うのです。各単位組合の運営が非常に難しい、後で触れますけれども、後住者の面倒まで見なければならぬ、とても二百円ではやれぬ、こう言ってきておる組合に対して、いや二百円でほかの組合は者やっておるのだから、がたがた言っておるのは君たちだけじゃないか、こういうことでなくて、本当に二百円でやれぬ、運営費はもっと値上げしてもらわぬと困ります、こう言っておる組合は、数字の中身まで入っていって、なるほど二百円では足らぬのだなという数字の調査をやはりしなければ、本当に困っておるのかどうかわからぬでしょう。特に発足当時百円だった、百円を二百円にした経過があるのですね。どういう理由で二百円にしたのですか。
  55. 坂田浩一

    ○坂田説明員 このルールを適用する場合に、四十九年については十分検討し得ないということでございました。その後五十一年に電話料金の値上げ等もございました。したがいまして、五十三年四月に値上げをさせていただいたという経緯がございます。
  56. 吉原米治

    吉原委員 だから、客観的に見て、電話料の値上げがあったから百円を二百円にした。そのときも、なるほど百円なら大変だろうなというのは、別に各組合の収支決算状況を点検したものでも何でもないわけです。外的な要因として、なるほど電話料金も上がったんだから百円では気の毒だからさらに百円を上乗せして二百円。つまり二百円という根拠も非常に薄いわけだ。だから、二百円で今運営は困りますと言っておる組合、それぞれの関係組合と中身に入ってなぜ協議をされないのか。協議をされた結果で、なるほど足らぬのだなという認識ができるか、あるいは国鉄が今言っておるように、大方の組合が二百円で辛抱してやっておるのに、あなたのところだってと、こういう内容なら、やりようによっては幾らでも二百円でやれるのじゃないですか。こういう話も協議の場で出るだろうし、だから維持管理方式、維持費を毎年毎年出していらっしゃる。個別に言えば二百円だけれども、世帯は三十三万世帯からあるわけですからすばらしい金額になるはずです。六千六百万。金は出しっ放しで、一体足りておるのか足りておらぬのか。該当組合から足らぬから値上げしてほしいと言っておるけれども、そういう組合の言っておる正当性すらもわからぬわけでしょう。だから、運営に困っておると悲鳴を上げておる組合については、まず二百円で妥当なのかどうなのかという調査をしなければならぬのが当然だと思う。調査をした結果、いやその程度ならあなたの方が運営はかなわぬから投げ出すとおっしゃるのなら、国鉄は加害者の責任者の側ですから、国鉄がかわって第三者に依頼する場合もあるだろう。二つの方法でしょう。値上げもせぬわ、運営はやってくれわでは加害者たる国鉄の責任は免れぬと思うのです、公害の発生源は国鉄側なんだから。どうですか。二百円でかなわぬという組合については、実際に該当組合とよく協議をして、妥当であるかどうか、なるほど二百円では安いなということがわかるような調査をしてもらえぬかという——調査をしますか。
  57. 坂田浩一

    ○坂田説明員 先生御指摘の通信連絡費につきまして、私ども大半の、一昨年までは三千三百組合、今年度につきましても大半の組合の方々から御意見を徴収いたしておりますが、いずれにしましても、現在の通信連絡費についてはそう厳しいというふうに承っておらないところでございます。現に五十九年度についてもほとんど円満に妥結されているということで、今年度についてもかなり協定作業も進んでいるというのが現段階でございますが、しかし、先生御指摘の点につきまして、今後そのような場合につきましては、それぞれの事柄について十分お話し合い申し上げ、誠心誠意対応してまいりたい、かように考えているところでございます。
  58. 吉原米治

    吉原委員 そこで、その受信組合に対して、受信施設というのはそれぞれ国鉄が費用を持って施設をつくっていらっしゃるわけでございますが、この受信施設の財産の所有権というのは一体どっちにあるんですか。該当組合にあるんですか、国鉄の側にあるんですか。ある現地局では、いや、それは国鉄の繰り延べ資産だというふうな言い方をしておる現地局もあるやに聞いておるわけでございますが、どっちが本当ですか。
  59. 坂田浩一

    ○坂田説明員 テレビ受信障害対策施設の帰属につきましては、受信施設組合の所属でございます。したがいまして、国鉄の財産ではないということであります。
  60. 吉原米治

    吉原委員 国鉄の財産じゃないということは、それぞれ単位受信組合のものだ、こういうことですね。  そうすると、その受信組合の了解がない限り、仮に後発局といいますか、商業放送等々でその受信施設を使いたいという場合には、この受信組合の皆さんの了解がないと使えぬことになりますな。
  61. 坂田浩一

    ○坂田説明員 先生、今御指摘されたように、個々の組合の御了解を得ないとできないというように思っております。
  62. 吉原米治

    吉原委員 そこだけ確認しておけばいいと思います。  場合によっては、それは国鉄と単位受信組合と関係民放、合意によってやられる場合もあるんだろうけれども、その場合に、これは盛岡鉄道管理局の管内で、最近受信協定書なるものが、日付は昨年の十一月ですね、五十九年十一月に、受信組合の所有であるその受信施設を利用して、国鉄民間テレビ会社と受信組合、三者が協定をしておるわけですね。しかも、その民放が放送する番組の視聴料は無料だ、ただでやります、しかし民放は国鉄側に使用料を払う、こういうことになっておりますね。  本来受信組合の施設だ、こうあなたはさっきおっしゃった。なるほど国鉄がつくったものであるけれども、受信組合のものだ。受信組合のものであるそれを使わすことは、三者で協定を結んでやっておるからこれはいい。ところがその使用料は国鉄側が取るというのはいかがなものか、自分の財産じゃないのに、人の財産を利用させておいて、その使用料は国鉄が吸い上げるというのは論理がいますかな。どうですか。
  63. 坂田浩一

    ○坂田説明員 ただいま民放、CATVにつきまして、その組合とCATVと三者合意の上でスタートをしておるように私ども伺っております。  ただいまのお金の問題につきましては、国鉄があるいは施設維持費、管理費の費用の負担の一部ということで徴収いたしているわけでありまして、決して先生今御指摘の点ということとは、お金は授受しておりますが、そういったことで、むしろ応分の一部負担をしていただくということで徴収しているというふうに考えて、それぞれ契約に基づいて徴収いたしておる、こういうところでございます。
  64. 吉原米治

    吉原委員 いや、常務、それだから私は所有権はどっちになるのかとあえて聞いたんですけれども、それは各個々の受信組合の財産です。そうでなくとも、今二百円の運営費じゃ困っておる組合がたくさんある。だから、せめてそういうことで、余分にその施設を利用して、しかも地元関係者の皆さんは無料で見せてもらうということなら大変いいことなんで、少なくとも民放会社から吸い上げる、どの程度吸い上げていらっしゃるか知らぬけれども、取っておられる使用料というのはそれぞれの受信組合にやったらいいんじゃないか。もともと国鉄が直接やらなければならぬその仕事を、受信組合をつくらせてやらしておるわけだから、だからそんなものを国鉄で吸い上げるなんかせずに、その施設を持っておるそれぞれの受信組合に渡すというのがごく当たり前の話だと私は思うのだが、どうですか、これは。大体金額にしてどのくらいもらっていらっしゃるのですか。
  65. 坂田浩一

    ○坂田説明員 ちょっと数字、今詳細にお持ちいたしていないので、はっきりしたことを後ほどまた御説明に上がりたいと思いますが、今概数で恐らく年間で六、七百円じゃないかというふうに伺っておるところであります、  ただ、先ほど申しましたように、私どもの維持管理費、二百円だけが非常に御議論賜っておりますが、実際は五十九年度の平均で一世帯当たり年間大体三千六百円、十一億五千万程度この維持管理のために国鉄としては年間全体の支出として払っているということでございまして、したがいまして、かなりそういったことで、その傾向につきましても、やはり最近どうしても、五十六年の時点で五億程度でございましたが、五十九年にはもちろん東北・上越のエリアがふえたということでございまして、約倍になっているという現状でございます。  それともう一つ、今先生御指摘の点につきましては、御存じのように、あくまでも財産は組合の財産でございます。しかし、維持管理費用につきましては、先ほど申しましたように、私どもとして十一億何がしのお金を毎年負担しているということでございます。したがいまして、その中で一部CATVというふうに使わせるということで、CATVからその使うことによる維持費について応分の負担をお願いしているというところを御理解賜りたい、こういうふうに思う次第でございます。
  66. 吉原米治

    吉原委員 それじゃ、特にこの盛岡の例を申し上げたのですが、これは具体的には金額はどのくらい、今すぐは正確にお答えできぬということですから、後ほどまた、この民放会社からどの程度国鉄はもらっておるのか、後で数字を知らしてくださいね。
  67. 坂田浩一

    ○坂田説明員 早速調べまして、御報告に上がりたいと思っております。
  68. 吉原米治

    吉原委員 そこで、それぞれの関係受信組合が、時によってはボランティア精神を発揮して、いわばただ働きをしながら受信組合の加入者の皆さんの面倒を見ておる。その中に非常に大きな難問が出ておるというのは、実は後住者の対策に追われておるわけでございます。このごろぽこんと一つビルが、アパートのようなものが建ちますと、すぐ何十世帯という人口がふえるわけでございまして、君のところは後から来たんだから、そんなテレビが見える、見えぬなんて、それは国鉄に言え、おれたちは関係ないんだというわけにいかぬわけだ。どうしても受信組合という限り受信組合の方で相談を持ちかけられる。同じ町内だ、木で鼻をくくったようなあいさつはできぬわけでございまして、この後住者の問題については、それは新幹線が通ってある程度の騒音はあるということを承知の上で家を建てられたんだから、国鉄はもうよう面倒見ませんよという構えだろうと思うのですよ。ところが現実には、新幹線が開通する以前から敷地を求めて、住宅を建てようという構想を持っておった人たちかもわからぬ。  そういう意味で、後住者の問題についても、率直に申し上げて、受信組合に面倒かけずに、後住者対策は国鉄の責任で、特にそういう意味では各地方鉄道管理局、余剰人員を抱えていらっしゃるようでございますから、そういう人員を使ってでも、後住者対策を直接国鉄がみずから手を下してやる、受信組合にはそういう意味では迷惑はかけぬ、このくらいの御決意はひとついただけないものなのか。  半減しておりますが、現在の千五百二十三の受信組合の皆さんは、非常に楽にやっていらっしゃるところもあるかもわからぬけれども、二百円の運営費でそう楽にやっておる組合はたくさんはないと思うのですが、その上にさらに後住者問題で面倒をやかされる、世話をやかされるというのじゃ踏んだりけったりなのでございまして、後住者問題は国鉄が直接手を下して面倒を見ましょうというふうなことになりませんか。ちょっとお考えを聞かしていただきたい。
  69. 坂田浩一

    ○坂田説明員 先生のおっしゃられる気持ちはもう十分——ただ、従来から後住者の方々につきましては、先ほど御指摘の受信施設組合の同意を得てそこへ入っていただく、施設費及び維持管理費については、後住者みずからの負担においてお願いするということでずっと来てまいっておりますので、今後もそういった形で続けさしていただきたい、こういうふうに考えるところでございます。
  70. 吉原米治

    吉原委員 依然としてそういう意味では、新幹線を通してもらいたいというのも住民の声だし、隣接しておる者は大変迷惑だというのもまた事実だし、その中にあって、わざわざそういうことが予測される、騒音が予測される、そういう地域にわざわざ家を建てたのだから、それはあなたの責任だ、国鉄は知っちゃおらぬ、これじゃ余りにも、何といいますか、このごろはトイレはきれいなトイレをつけて走っていますから問題はございませんが、騒音公害なりテレビの難視聴、ラジオもそうでございますが、そういう公害のたれ流しといいますか、変わった意味で公害が発生しておる。この間の名古屋の裁判の結果も、私聞いて大変残念に思っておるわけです、きょうは名古屋訴訟の問題には触れませんけれども。  後住者と、もう一つ後発局があるのですね、先ほど民放の話をしたのですけれども。これは私も承知しておりませんでしたが、何か五十七年の四月に参議院の内閣委員会でどなたかが答弁をされておるようですが、この五十七年四月八日の参議院内閣委員会の国会答弁はどういう答弁でございますか。
  71. 坂田浩一

    ○坂田説明員 そのときの答弁は、対策の対象とするテレビ局は、障害を発生する施設の完成以前に既に開局しているもの、またはチャンネル割り当てが行われ、開局が確実になっているものとされております。したがいまして、その対策後に開局されたものについては、費用負担として追加対策をしておりませんという回答です。
  72. 吉原米治

    吉原委員 そうすると、やはり後住者と同じような認識ですね。
  73. 坂田浩一

    ○坂田説明員 大体同じ趣旨でございます。
  74. 吉原米治

    吉原委員 これは後住者と同じ発想に立っていらっしゃるようでございますから、あえてもう一言申し上げるのですが、時代の趨勢とも並行して、テレビ等もそれぞれチャンネル数もふえてくるわけでございまして、新幹線が通っておらなければ容易につけられたであろうと思われるチャンネル、これからのチャンネルの増加については、ひとつやはり日本国有鉄道という立場から考えますと、沿線の利用者に迷惑をかけておることは事実なんですから、これもひとつ内部で、後住者対策も含めて、後発局の対応についてもよりよい御相談、御協議を願いたい、このことだけを申し上げておきたいと思います。  さて、次の、維持管理費の中の二百円問題でございます。  さっきも話をしましたけれども、受信組合を結成をさせた経緯からいっても、関係者の皆さんには絶対に迷惑はかけないという前提条件で組合を結成をされて、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、全国で当初は三千幾らあったのが、今統合等で千五百二十三組合になっておる、こういう状況のようでございます。  ここで、私はどうしても申し上げておかなければならぬ。繰り返しになると思いますが、一体二百円の値上げはできないものなのかどうなのか。仮に五十円アップすれば千六百五十万円、今の国鉄でいかに財政不如意といえども、千六百五十万円が捻出できないはずはない。五十円でいいという意味で私は言っておるわけじゃないのですけれどもね。文句を言ってくる組合だけを値上げするわけにいかぬじゃないか、一組合で認めれば軒並み全組合に適用しなければいけぬ、単価は二百円であってもばかにならぬ、こういうことだろうと思いますが、この千五百二十三組合それぞれ物を言わないから、黙っておるから、それは二百円で足りておるのだという認識は、私は単なる推測にすぎないと思うので、やはり前段申し上げたように、本当に二百円では困っております、何とかしてください、こういうところだけを、それじゃわかりましたと言って二百円を仮に——仮の話ですよ、仮に二百五十円にした場合に、黙っておる方が、大変だ、やはり国鉄本社に物を申さなければ、黙っておったら損するじゃないか、こういうことになるから、その値上げには応じられぬ、こう言っておるわけでしょう。どうですか。
  75. 坂田浩一

    ○坂田説明員 電話料その他の値上げ、通信連絡費の値上げ等がございましたら、当然私どもとしても考えてまいりたいと思います。  先ほど来申し上げますが、現時点では、かなりの多数の組合ともいろいろ毎年お話し申し上げておりますが、そういう問題点もほとんど上がってきておりません。したがいまして、先生御指摘の組合の中でいろいろ出てまいりましたときには、その事柄について十分協議いたしまして、誠心誠意対応してまいりたい、かように考えております。
  76. 吉原米治

    吉原委員 私はいろいろ受信組合の皆さんと会って何回もお話ししておるのですが、二百円の額は、それはこのごろの二百円ですから、たばこ一個買えば飛んでしまう金額です。だけれども、その受信組合に組織化されておる組合員数によって、資金的に比較的ゆとりのできる組合と、少数組合、わずか五人か十人しかおらない小さな組合は、あくまでも小額の財源にしかならぬわけでございまして、だから、世帯数といいますか、その受信組合ごとの員数に大体平均的なところを見て、平均以下の小さな組合は、それはいろいろな活動、世話やき、単なる電話だけで事済むわけじゃないですからね。場合によっては自分の仕事を半日休まなければならぬ問題だってあるわけだから、そういう意味では、平均値以下の受信組合の皆さんには、例えば平均は二百円だけれども、その上に割り増しをつけるとか、大きいところは何千人もおる、小さいところは五人か十人しかおらぬ、そういうピンからキリまで構成人員が違うのに一律二百円で処理しようというところに問題があるような気がするので、これは全く私案ですよ、私案だけれども、平均以下のところと平均を上回っておるところぐらいひとつ差をつけたらどうなのかな。運営に非常に支障を来す組合、それは平均以下の小組合。だから、仮に電話一本するにしても、十世帯の世話をやくのと百世帯の世話をやくのとでは、これはやはり違うと思うのです。そういう意味で、一つの私の考えた案なんだけれども、そういう配慮は一体できないものなのかどうか。これはひとつ考え方があったら聞かしてください。
  77. 坂田浩一

    ○坂田説明員 一つの御見解かと思いますが、御存じのように、通信連絡費そのものについても、必ずしも世帯数だけで律し切れないという問題、あるいはエリアの問題とか場所によるとか一あるいはメンテナンスをやっておるところとの地域的な条件とかいろいろございまして、先生が御指摘の点についてもわからないわけではないのでありますが、かなり複雑怪奇で、またアンフェアになるというようなことにもなりかねないということで、現時点ではこのままのやり方を踏襲させていただき、先ほど御指摘ございました、特にいろいろ問題ございます組合の方につきましては、個別具体的にどういうふうにするか、誠心誠意を持って対応してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  78. 吉原米治

    吉原委員 どうしてもこういう状況だから二百円で私は十分ではないと思うのですよ。皆さんもそれぞれ何となく二百円が妥当なんだ、文句言ってこないから二百円で足りておるんだという認識ですから、個々の組合の収支状況をつぶさに点検をした結果じゃないのだから、感じとして、いろいろ文句言ってこないから二百円で足りておるんだろうというぐあいの二百円。だけれども、年に何回となく受信組合の運営に支障を来すといいますか、運営がこれではかなわぬから国鉄に返上をしますという組合が中には出てきておる。運営は二百円ではとてもやり切れませんから国鉄の皆さんでやってほしい、面倒見切れません、こう言っておる組合については、加害者は国鉄側ですから、国鉄の方はそういう組合が出てきたら受けますか、どうですか。
  79. 坂田浩一

    ○坂田説明員 先ほど来誠心誠意お話し申し上げるということでお話し申し上げておるわけでございます。ただ、どうしても組合として御辞退されるということであれば、私どもとしては、またどのように対応するかというのは、その時点で判断させていただきたいと思います。
  80. 吉原米治

    吉原委員 いや、それは受けるとも受けぬともおっしゃらないので、そういう状況のときには、その場でまた対応策を考えますということですか。もしそれぞれの運営に困って、もう投げ出したい、そんな煩わしい仕事で実際に自分の本業に支障を来すからもう投げ出したい、こういう組合長が出てきた場合に、これは仮定の話ですから、今この場では仮定でお答え願って結構だと思いますが、そういう場合には、いや、それはもう一たん受けてもらったのだから、契約書も交わしてあることだし、そう軽々にやめてもらっては困る、断固やるべし、今さら返上するといっても、国鉄は受け付けませんよということなんですか、どうですか。そこら辺……。
  81. 坂田浩一

    ○坂田説明員 今そういう組合と締結いたしております途中において返上するということは、私どもとしても今後の運営上非常に困ると思いますが、そういうことであれば困るということでございますれば、あらかじめ事前に私どもとしても、その意を体して別途対応方を考えなければならぬのではないか、かように考える次第でございます。
  82. 吉原米治

    吉原委員 なかなかかみ合いませんけれども、そこでもう一点だけお聞きして、時間が参りますから終わりたいと思うのです。  今二百円で運営に困っていらっしゃるという手を上げた組合員に対しては、国鉄は個々の組合と運営費の中身についてまでタッチをしていただいて、本当に困っておるかどうかの点検をしてもらいたい。点検といったらおかしいのですが、各組合の相談に乗ってもらいたい、こう思うのです。その場合に、わざわざ東京まで、関係組合の皆さんを国鉄本社へ呼んで、収支報告書を持っていらっしゃい、あなたのところは何か運営に苦しいようだから、中身について説明においでなさいということではなくて、ひとつ皆さんの方からその単位組合へ出かけていかれてやられる御意思はございますか。
  83. 坂田浩一

    ○坂田説明員 私どもの現地の窓口は、それぞれ管理局が対応いたしておりますので、皆さん方をわざわざ東京までお呼びしてということではなくて、私どもの意を体して管理局に対応させたいというように考えております。
  84. 吉原米治

    吉原委員 そこが、今まで現地局の皆さんとそれぞれの単位組合、受信組合、何回となく折衝をやっておるわけだ。ところが、例えば二百円の運営費じゃもう困るから、これを多少でも上げてくれ、こういう折衝をしても、現地局では決定権がないわけだ。その種の問題は全部本社へ言ってください、こう逃げられてしまうから、地方の受信組合の皆さんは、もうしかたがない、汽車賃払って東京へ来なければならない。それは本当に現地局へそういう権限を征していらっしゃるのなら、ある程度のところは現地局で片づくはずなんだ。当事者能力のないものは交渉相手にならぬじゃないか、こう受信組合の皆さんは言う。皆さんの方へ言えば、それは出先でちゃんと対応させますから、こう言っておきながら、出先の皆さんは権限がない。権限のないものを交渉の場に行かせたって意味ないわけですからね。それが順繰りぐるぐる悪循環を繰り返して、結局問題があれば東京へ出てこなければならぬというふうなことにもう長年なってしまった。だから、二百円の運営費なんかもらったって、東京へ一回飛んで出れば旅費でパアになってしまう。そんなつもりで二百円は出してはおらぬと皆さん、あなたは言いたいのだろうけれども、本人、なけなしの金でも、自分のポケットマネーを出してでも来なければならぬ。そんなことまで何でしなければならぬのか。本来国鉄が公害ばらまいておるのに、国鉄の責任じゃないか、おれたちが何で自分で汽車賃払ってまで東京へ来てそんな折衝をしなければならぬ、こういうことになるでしょう。  そこで、最後ですから、坂田常務にもうこれ以上詰めてもしようがないから、総裁、何のがんの言ったってあなたが発生の原因者だから、本当に困っていらっしゃる受信組合の皆さんに対しては、これからも誠意を持って対応しますので、苦しいところはひとつ申し出ていただきたい、国鉄国鉄の責任で善処しますというぐらいな決意を述べてもらわなければ、また大臣も、所管大臣ですから、ひとつ沿線の利用者に、待望の新幹線が通ったのだから少々やかましいぐらいは、少々テレビが見れぬぐらいは我慢しろなんていうことじゃなしに、新幹線も通ってもらわなければならぬ、テレビもきちっとしたものを見てもらわなければならぬ、騒音で夜眠れぬようなことでは困るわけですから、そういう意味でひとつきちっと国鉄側に申し入れをしていただきたい。どうぞ、ひとつおっしゃっていただきたい。
  85. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 先ほどから先生の御質問を承っておりまして、現実に大変お困りの方があるとするならば、国鉄並びに関係各位から十分事情を聴取いたしまして、善処いたしたいと存じます。
  86. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 ただいま吉原先生から、テレビ障害の問題についていろいろお話がございました。私も詳細に承知しているわけではございませんが、御指摘の点につきましていろいろ考えさせられる点もございます。したがいまして、できるできないは別といたしまして、今先生の御指摘のような点を十分再検討して、御要望にこたえられるものについてはこたえるというふうな方向でまいりたいと思っております。
  87. 吉原米治

    吉原委員 終わります。
  88. 三ツ林弥太郎

  89. 左近正男

    左近委員 大気汚染の原因になっておるNO2の環境基準が、特に総量規制をしておる東京、神奈川、大阪において目標としておった六十年三月末日までに基準達成ができなかった、大変重大なことだと思うのです。この原因は何かということをはっきりお答えをお願いします。
  90. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のNO2の環境基準につきまして、ことしの三月末で達成できない理由は何かというお尋ねだと思いますけれども、先生御案内のように、窒素酸化物につきましては、五十三年に現行環境基準が設定されまして、以来、固定発生源、移動発生源等に対します規制を段階的に拡充強化してまいっております。中でも汚染の高濃度の地域といたしまして、東京、大阪、神奈川、この三地域は五十七年から総量規制という手法でもってこの窒素酸化物の削減に努めてきておるわけでございます。  現在、私どもの手元にあります公式なデータとしては、データの評価というのは一年間の全体のデータで評価しますので、五十八年分までのデータしかございませんが、五十九年度分のデータ、つまりこの三月までのデータは、この秋ぐらいまでに取りまとめて正式評価をするということになっておりますので、まだ五十九年度の状態がどうかというのはわかっておりません。  それから、達成できないという先生の御指摘は、恐らく、先般新聞等で報道されましたが、東京において達成ができないというのが正式に公表されておりますので、この意味かと思いますが、これは東京都に六十数局測定局がございますが、その中で特に汚染の激しい沿道沿いでございますけれども、そのある測定局が一カ所、今年度、今後幾ら頑張ってみても基準が達成できないということがわかった。つまり評価の仕方は難しゅうございますが、一年間三百六十五日ございますけれども、八日間基準を超えますと難しいという意味でのデータでございまして、それだけから即断はできませんが、全体的な傾向としましては、自動車が非常に集中しておりますところで、これは必ずしも沿道に限りませんけれども、環境基準の適合状況が悪いということでございますので、今後とも一層努力をする必要があるという判断をしておるところでございます。     〔委員長退席、津島委員長代理着席〕
  91. 左近正男

    左近委員 合いみじくも総量規制が基準に到達できなかった、その大きな原因として、やはり自動車の総量がふえたためではないか、こういうことをおっしゃったわけですね。これは実際問題、四十八年にこの基準ができまして、そして五十三年に倍ぐらいの基準緩和をしたわけでしょう。そうでしょう。それでもなおかつこの基準に達しないというようなことは、僕は重大な問題だと思うのです。これは今御指摘のように、自動車総量が非常にふえた。例えば四十八年当時は自動車の台数が二千六百万台、ところが今日これが四千六百万台、非常にふえているわけです。このことが大気汚染の一番大きな原因になっておる、そのように私は思うわけです。  五十九年現在、公害健康被害補償法による大気汚染の指定地域は全国で四十一カ所、慢性気管支炎、この認定患者が九万六百九十一人。私は大阪の出身でございますが、私の選挙区の大阪市の西淀川区では、今、西淀川公害訴訟、こういうものがやられておるわけです。同行政区の人口は九万一千三百人、ところが公害認定患者は二千八百三十八人もおるわけです。三十人に一人が公害認定患者になっておる。こういうような状況なんです。最近公害問題が大変風化をしている、このことについて私は非常に気にしておるわけでございますが、やはり政府を挙げて、この複合大気汚染の問題を真剣に考えていかなければならない。今、自動車総量が都市において非常に急激にふえておる、このことが大気汚染の一番大きな原因になっておる、これは運輸行政ともかかわりがあるんじゃないかと私は思うのです。この点について運輸大臣としてどういうような御見解をお持ちなのか、ひとつ明確にお答えを願いたいと思うのです。特に総量規制についてどういうようなお考えを持っておられますか。
  92. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 自動車の排気ガスによる大気汚染、この問題につきましては、これは運輸省としましても非常に重大な施策の一つであることは申すまでもありません。  今も環境庁から御答弁がございましたように、その中でもNO2、これは最も始末が悪いと申しましょうか、手をやいていると申し上げてもいいかと思いますが、現実に東京、大阪あるいは横浜という大都市における基準達成率が三五%というこのパーセントからしてもおわかりいただけると思う。したがって、運輸省としても、これだけは何とかもっと効果的な方法はないかということでいろいろなことをやっておるわけでございますが、今後とも排気ガスの規制、これが第一でございますが、あわせて今先生御指摘のように、非常に車が増加しておるということでございますから、これ自体に対して科学的ないろいろな規制の仕方をもやると同時に、もう一つは、今度は自動車につきましても、例えば公共交通機関の利用、そのためにはバスサービスの改善であるとか鉄道の整備であるとか、そういうこともやらなければなりませんし、あるいはまた能率的、効率的な物流体系の形成、物流基地を適正配置するとか、あるいは共同輸送を推進するとか、そういった点までいろいろときめ細かに今後とも配慮し、対策を進めてまいりまして、基準にできるだけ早く到達するように努力してまいりたいと思います。
  93. 左近正男

    左近委員 大臣、私は都市における大気汚染の問題が解決するためには、やはり総量規制以外にはないんじゃないかと思うのですね。今大臣も、そういう立場で公共交通優先、こういうような施策を今後前向きに検討していきたいということでございますので、これ以上申し上げませんが、そういう立場でよろしくお願いしたいと思うのです。  今環境庁、東京は基準達成できなかったと、恐らく大阪もできてないと私は思いますよ。これは今後具体的にどうするんですか。本来であれば環境庁長官なんか首ですよ。違いますか。
  94. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 私どもも環境基準の達成というのは六十年度全体を見てと思っておりますけれども、東京、大阪、神奈川等の汚染地域におきましては、さらに頑張らなければならないということは、十分認識しておりまして、過去の速報的なデータをベースに細部分析をいたしまして、その上でどこに手を打てばいいか、地方公共団体でもいろいろ工夫してやっておりますので、そういった点のどこをプッシュしていけばいいか、その中でまた各省にお願いするところはどういうところか、そういうことを分析いたしたいと思っております。近々窒素酸化物対策検討会というものを、専門家にお集まりいただいて、もちろん関係の自治体の責任者も入って分析をし、さらに今後の対策推進に努力したいと思っております。
  95. 左近正男

    左近委員 環境庁、頑張ってくださいよ。よろしく。  そこで、運輸省として今バスとかトラックの燃料にメタノールを導入していくというようなことをかなり積極的に検討されておる。これは排気ガス対策にかなり有効に作用するのではないかと私は思いますが、運輸省としてメタノール導入の意図なりその辺の考えはどうなんですか。
  96. 山本長

    ○山本(長)政府委員 先生の御質問の中にありました、非常に効果があるのではないか、私たちも同じように考えております。メタノール自動車の導入の意図と申しますか、というのも、実はNOx対策というのが大きな一つでございます。もう一つは石油代替エネルギーを導入していくという必要性もございますから、そっちの観点からも重要だ。この二つの観点から進めていくべきだと考えておる次第でございます。  まだ実用というところまでいっておりませんが、試作車といいましょうか、つくりまして、試験を実施しておるところでございますけれども、これは運輸省というよりは、関係のトラック業界等が中心になりまして、運輸省が援助をして、その試験には運輸省が参加してやっておるという形でございます。そんな形で試験を実施しておるわけでございますけれども、窒素酸化物について非常に効果がある、データ的に確定したというところまでまだなかなかいっておりませんが、非常に減る、黒煙を出すようなことはまずなくなるというふうな試験の結果が出ております。非常に効果があると考えておりますので、推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
  97. 左近正男

    左近委員 この件について通産省と運輸省の立場の違いなりいろいろあるらしいですが、きょうは触れません。公害のためにいいのであれば、運輸省としては積極的に国民にアピールしてやっていただきたいと思います。  そこで、国鉄の総裁に基本的な点だけちょっとお聞きをいたします。  十二日に名古屋の新幹線公害の訴訟の高裁判決が出ました。その後、原告側と国鉄との解決に向けての話し合いがされておりますが、国鉄はどのような方針でこの話し合いをされ、円満に解決をしていこうとするのか、その基本的な姿勢だけ簡単にお伺いをしておきます。
  98. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 御承知のとおり、判決が出たわけでございますが、この判決を踏まえまして、上告するとかしないとかいう問題もございますが、いずれにしても、地元の方から話し合いをしたいという非常に強い御希望があり、私も直接お会いいたしました。その席で、判決の重みというものは十分腹の中に据えながら、話し合いで解決できるものはしていきたいという気持ちで話し合いをするということを地元の方に申し上げたわけでございます。
  99. 左近正男

    左近委員 先日の話し合い、総裁みずから出席をされたということで、私も高く評価をいたします。原告の皆さんの言い分についてもよくお聞きをいただいて、ひとつ円満に解決のできるようにお願いをしておきたいと思います。  そこで、もう一点、国鉄の新幹線の七十ホン対策について防音工事の足切りをするということです。これは事実ですか。
  100. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 七十ホン対策について足切りをするというようなことが一部新聞に報道されておりますが、そのような事実はございません。七十ホン対策につきましても、誠意を持って鋭意進めたいと考えております。  その対策の中身といたしましては、発生源対策、障害防止工事対策といったものの組み合わせで考えてまいりたいというふうに考えております。
  101. 左近正男

    左近委員 環境庁が環境基準で告示しておる本年の七月二十八日までに、七十ホン対策は完了できるという自信があるのですか、今の答弁では。
  102. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 今年度の七月の環境基準の達成目標時期までに完全に達成できるということは申し上げられないと考えております。
  103. 左近正男

    左近委員 それではだめじゃないですか。まだもう少し期間がありますけれども、一遍具体的に七十ホン対策について国鉄としてはどういうようなことをやるのか、それらについて今後明確にしていただきたい、このことを要望しておきます。  そこで、大阪の問題でございますが、大阪の外環状線の問題と片福の連絡線問題について、五十六年に既に工事認可がされておる。したがって、国鉄の方で早く工事をやっていただきたいということ、これは大臣にも総裁にも、当委員会でも何回も私はお願いをしておったわけです。今の国鉄の財政状況のもとではかなり難しい現状があるということで、その点についても私はわからなくはないわけです。  そこで、大阪の大島市長は、特にこの片相連絡線の問題について、本年三月の大阪市会の場で、事業主体についても検討し、地元国鉄が一丸となり一日も早い着工を目指したい、こういうような答弁をされているわけです。そこで国鉄として今日までいろいろ御努力をされて準備をしてきた経過も十分わかります。今、大阪市長はこういうことを言っておるわけですが、この点について国鉄としても前向きに協議に応じていくお考えはございますか。
  104. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 大阪市の大島市長さんがそういう御答弁をされたということは承知しております。まだ私どもに具体的に御提案はございませんが、御提案がありましたならば、誠意を持って大阪市と話し合ってまいりたいと考えております。
  105. 左近正男

    左近委員 ひとつよろしくお願いします。  もう一つ大阪の問題で、大阪国鉄湊町駅がこの三月の貨物ダイヤ改正で貨物駅が廃止になりまして、かなり大きな土地があいたといえば語弊がございますが、ございます。そこで大阪市は都市改造計画としてあの地域についていろいろと考えを持っておられるわけですが、その点についても国鉄としては十分協議に応じていかれるという判断をしておりますが、それでよろしいですか。
  106. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 今の点につきましては、昭和五十九年の十月に、実際に湊町駅の貨物扱いを廃止したのは六十年三月ですが、それはともかくとして、五十九年十月に大阪市との間で湊町駅周辺地区整備計画調整会議というのを持ちまして、大阪市及び国鉄の実務担当者の間でこの地区のあり方、それから国鉄湊町貨物駅周辺の土地の利用計画、そういったものについて詰めているところでございます。  国鉄といたしましても、国鉄の本来の鉄道事業、あるいは増収対策、余剰人員対策といった意味での関連事業でございますとか、あるいは長期債務の償還の問題、そういったものとあわせて大阪市の御計画について十分お話をお伺いさせていただきまして、都市部の大変貴重な土地でございますので、都市計画に沿った使い方を考えてまいりたいと考えております。     〔津島委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 左近正男

    左近委員 よろしくお願いいたします。  それでは、少し関西国際空港問題についてお伺いをいたします。私、何回も本委員会で関西国際新空港問題を取り上げてきたわけですが、昨年の十二月二十一日に事業費問題についていろいろとやりとりをいたしました。それに関連して航空局長の方から、民間の出資問題にかかわりまして、全体で工事規模は、もろもろの経費を入れて一兆円、うち二千億円は国が資金を供給していくという基本的な姿勢は変わらないという答弁をされたわけですが、今の時点においても、その点は変わりないだろうと思いますが、どうですか。
  108. 西村康雄

    ○西村政府委員 現在も全体の事業計画におきます政府の役割は変わらないと思いますので、先般申し上げたとおりの計画で進みたいと思っております。
  109. 左近正男

    左近委員 この会社の出資は現在千二百億円ということですが、いずれ千五百億円にするのですか。
  110. 西村康雄

    ○西村政府委員 現在はまだ千二百億円という考え方で対処しております。
  111. 左近正男

    左近委員 私の地元大阪なので、今ここで論議する以上のことが現地ではどんどん進行しているわけです。民間出資五百億、これはこの前運輸大臣と大分いろいろやりとりしました。私きょうは触れません。やはり大臣の意向もあったのだろうと思うのですが、そういう立場でずっと流されているわけです。あなた、知らないことないでしょう。はっきり言いなさい。
  112. 西村康雄

    ○西村政府委員 現在、民間出資との関係では、この会社が発足する時点で、当初の民間出資の計画二百億に対しまして、地元その他含めまして四百八十億という出資希望を関経連を中心としてお取りまとめになったわけでございます。したがいまして、四百八十億についてはできるだけ受け入れたいという方向で検討はしておりますが、現在のところ千二百億の全体の出資金の枠組みを変える形で民間出資を受け入れるというような状況にまだ結論を得ていないわけでございます。現在の段階は、依然として従前どおり千二百億ということを申し上げるしかないと思っております。
  113. 左近正男

    左近委員 いずれまた二、三カ月したらはっきりするわけでしょう。何でもそういうことなんです。国会軽視ですよ。現地ではそれで動いているわけでしょう。現に向こうの社長か副社長がそんなふうに言っていますよ。民間出資は一応資金量五百億、要するに今二百億であと三百億、これは全部受け入れる、これについても具体的に信託契約をするということを言っておるわけです。これもお聞きになっていないですか。信託契約をして、どんどん民間資本の希望者については全部一〇〇%資金の受け入れを行いますということを言っておるのですよ。これはあなた知りませんか。
  114. 西村康雄

    ○西村政府委員 先ほど申し上げました四百八十億の民間の希望があるということでございまして、それをどうやって受け入れるか、できれば受け入れたいということで会社が検討しておりますが、その一つの案として、おっしゃるように信託はどうだろうかということを会社が検討していることを聞いているわけでございます。ただ、実際に信託をすれば、信託方式に伴ういろいろな問題点もあろうかと思いまして、我々も話を聞いたときに、そう簡単に行くかなということでございますが、現在のところ、会社は信託方式でいくというふうには考えていない、それは一つの案として浮上したということであって、信託方式でやろうというふうには今考えていないと聞いております。
  115. 左近正男

    左近委員 それでは、民間の希望した出資が今の資金計画では受け入れられない、したがって、新たな方式をとっていこうということで信託契約という問題が出たけれども、これについては、今局長が御答弁されたように、こういう方式はとらない、もっと別途の方式をとるという理解でよろしいですか。
  116. 西村康雄

    ○西村政府委員 今会社では信託方式をやるという考え方にはなっていないという状況と聞いております。今後どんなふうな形でできるだけ民間の御希望を受け入れるということが出てくるか、これからの課題だと考えております。
  117. 左近正男

    左近委員 それでは、私は運輸省に対して、大臣にもお願いをしておきますよ。現地で会社は余りラッパを吹かぬことです。これは全部大々的に報道もされているのですよ。今回の関西新空港は大量に国の資金も入っているわけです。やはり事業計画資金計画については航空局等と十分打ち合わせをして発表すべきじゃないですか。そういう誤解を私は持っているわけですが、局長はそういう印象を持たないですか。
  118. 西村康雄

    ○西村政府委員 私ども、関西空港会社の運営につきましては、できるだけ会社が責任を持って会社の創意でいろいろと事業を切り開いていくということにさせたい。一般的に言えば、できるだけ政府は口出しをしないで、会社の自主的な考え方を尊重しながら全体としてうまくやっていくというのが基本でございます。今回の場合、どういうふうな経緯でそういった信託方式問題がオープンになったのかよくわかりませんが、それは会社の中で議論しているいろいろなことを新聞記者に話をしたりするとわあっと出るというのはしばしばあることでございまして、そういうことで一々航空局の方が気を使っていると、かえって会社の創意を矯めることになりますので、少しくらいの雑音は出るかもしれませんが、しっかりした方向へ行くなら、それはそれでいいじゃないか、我々はもう少し高いところから会社を指導していきたいと考えております。
  119. 左近正男

    左近委員 今の御答弁に対して私もいろいろ言い分があるわけですけれども、私も時間が限られておるのでやめておきます。  しかし、国会の中でこの法案について長時間論議したわけですよ。資金計画事業計画問題、この経過を尊重してもらわないと困ります。その点だけ、どうですか。
  120. 西村康雄

    ○西村政府委員 国会で関西空港株式会社ができるまでに非常に熱心に御議論いただいた事情は、当然関西空港会社はこれをベースにしてやっていくということだと思います。ただ、今出ました問題は、新しい事情がいろいろ出てまいりますので、国会で御議論いただいた後のいろいろな事情については、また適宜適切に対処するという弾力性も必要でございますので、ひとつそこら辺は、会社もいろいろな工夫をすることをお許しいただきたいと思いますし、またそういった事情が出ましたときは、国会でこちらからも御報告させていただきたいと思うわけでございます。
  121. 左近正男

    左近委員 私は何も小さいことを言おうという気はない。安全できっちりした空港ができるためのいろいろなアプローチの仕方があるわけでして、その基本さえ間違わなければいいと思います。しかし、やはりいろいろな事実については的確に国会の中でも御答弁もいただきたいし、論議もしていきたいと思います。  そこで、大臣もこの空港を六十七年中には必ず開港させていくという強い決意を持っておられるわけですが、来年の三月から本格工事に入っていくわけです。大きなネックは漁業補償問題です。現在の交渉の状況はうまくいっていますか。
  122. 西村康雄

    ○西村政府委員 現在の段階では、四月六日に第三回の説明会をやりまして、会社側はできるだけ早く金額提示等に入っていきたいと考えているわけですが、まだその段階に至りません。漁業組合側の体制ができ上がっていない状況でございますので、一刻も早く組合内部のいろいろな話し合いを進めていただきたいということをお願いしている状況でございます、
  123. 左近正男

    左近委員 本年の七月ごろまでに漁業補償問題が解決をしなければ、日程的にかなりずれ込むわけです。今までのような沿岸漁業補償じゃなしに、五キロ沖というような認可漁業地域になっている。この補償の対象は基本的には漁業者一人一人に属するもので、非常に難しい問題なんです。地元のいろいろな意見を聞いてみると、一括交渉方式というのは限度があるのじゃないか。率直に言って利害が物すごく複雑なんです。そこで運輸省としては、会社側に対して、一括交渉方式はあくまで貫かしていくのか、場合によっては分離交渉方式を取り入れても仕方がないのか、その点どういう御見解を持っておられますか。
  124. 西村康雄

    ○西村政府委員 今御指摘のように、各漁業者ごとにいろいろな事情があるということだと思います。ただ、今度逆に個別ごとに、全体としては四千五百人という大変な数の方でございますので、これを分離するということもなかなかまた難しいということでございまして、これまで大阪湾で大阪府連あるいは兵庫県連との間で一括交渉の実績が既に八回ほどございます。いずれも話し合い、まとまってきたわけですね。そういうことでございますので、できるだけそれの方が問題の解決に資するという今見通してございますが、できるだけそれの方がいいんじゃないだろうか、組合がもしも中をおまとめいただけるなら。ただ、先生がおっしゃったように、最後までどうしてもできないという事情があれば、それはそのときの事態に弾力的に対応していかざるを得ないとは思いますが、現在の段階では一括交渉で進めさせていただきたいと考えている次第でございます。
  125. 左近正男

    左近委員 微妙な時期ですので、これ以上は御質問をしません。  そこで、土取り場所の選定は近いですか。
  126. 西村康雄

    ○西村政府委員 私ども今大阪府、和歌山県等で行っていただいておりますが、七月にいろいろな手続をするということでございますので、それまでの間をめどにして、今各府県とも非常に努力してやっていただいておると聞いております。
  127. 左近正男

    左近委員 最終段階だという理解でよろしいですか。
  128. 西村康雄

    ○西村政府委員 おおむねそういうふうに理解しております。
  129. 左近正男

    左近委員 これは一億五千万立方メートルという非常に大量の土砂でございますが、兵庫県、和歌山、大阪と三等分していくというようなお考えですか、五千万立方メートルずつ。
  130. 西村康雄

    ○西村政府委員 土取りの土をどう買うかということにつきましては、土砂の価格の問題、それから土砂の供給体制の問題等も絡みますので、一方では土取り地の整備計画との関連ということがあります。したがいまして、ある程度の量については計画的にとっていかなければならないが、一方でしかし、その時期に間に合わないというようなことになっても困るわけで、あるいはまた非常に土取りの価格が高いという場合も困りますので、今おおよそのめどとしては、そういう感じでございますが、これは必ずそうするというわけにもまいらない性質でございますので、そこら辺は基本的な方向としてはそんなことを考えているぐらいのことでございます。
  131. 左近正男

    左近委員 土取りする場合、新しい事業主体を設けるんですか。
  132. 西村康雄

    ○西村政府委員 土取りのためには地元地方公共団体が、これは大阪府と和歌山県でございますが、大阪府につきましては大阪府が、それから和歌山県につきましては和歌山県がそれぞれ公社をつくり、採取を計画的にやるというふうに聞いております。
  133. 左近正男

    左近委員 新空港と国鉄の阪和線を結ぶ連絡鉄道については、空港会社が建設するんですか。
  134. 西村康雄

    ○西村政府委員 国鉄阪和線を空港島に連絡させるという計画につきましては、阪和線の北側の方、新大阪までの間は現在もう既に国鉄がやるということで計画が進んでおりますが、阪和線から空港島への取りつけにつきましては、私ども、できるだけこれは一貫して国鉄輸送すること、運営することが適当だというふうに考えていますので、基本的には国鉄にお願いしたいと思っているわけですが、現在、国鉄の再建問題をいろいろと議論しているさなかでございますので、今すぐなかなか決めにくいという事情もございます。そういう点で、現在、一方でまた都市計画の決定ということも道路とあわせてやるような時期が差し迫ってきております。そういう意味では、結論がこのまま非常に出にくいという状況であれば、とりあえず関西空港会社の方が、この阪和線から空港島への、空港島連絡橋までの建設については、都市計画の建設主体として一応手続を進めるということも一つの案として考えられるのではないかと考えております。
  135. 左近正男

    左近委員 具体的にお聞きしますが、日根野駅ですね、あそこから空港島までは空港会社がやるということですか。
  136. 西村康雄

    ○西村政府委員 日根野から空港島の連絡橋の手前まででございます。連絡橋は空港会社がこれはもちろん自分で建設、運営するということになっているわけですが、その取りつけのところまでは、南海線と一緒になる部分までは、少なくとも国鉄単独の部分でございますので、この部分を国鉄が本来やるのがいい。しかし、現在の段階ですぐそういう計画が進んでいかないとなると、都市計画全体の進捗に非常に影響を与えますので、万やむを得なければ空港会社がこれを進めていくということも一つの考え方だと思って、現在、それを準備させております。
  137. 左近正男

    左近委員 空港会社がこの間の工事も責任を持ってやる、そういうことになりますと、これは事業費は幾らになりますか。これは幾らぐらいになるのですか。
  138. 西村康雄

    ○西村政府委員 事業費自身は二百数十億程度でございますが、空港会社が現在やろうとしていますのは、とりあえず都市計画等の決定の場合に、そういった計画を立案する、アセスメントをするという程度の事業を今考えております。
  139. 左近正男

    左近委員 それならレールを引くまでの工事は空港会社はやらないということですか。
  140. 西村康雄

    ○西村政府委員 今の考え方では、現在の段階、まだ決まっておりませんので最終的なことは申せませんが、建設段階はできるだけ国鉄なり国鉄の継承体がそれをやるような形で進めていくのが適当だということでございます。
  141. 左近正男

    左近委員 結局、この日根野から空港島の手前までの区間は、今アセスの問題について会社の方でやらしている、それで鉄道の具体的を建設については、空港会社自身がやるかもわからないけれどもやらないかもわからない、こういう状況ですか。端的に。時間がありませんので。
  142. 西村康雄

    ○西村政府委員 万が一の場合には、そういう事態があり得るのかもしれませんが、現在のところは、そういう形での方向では検討しておりません。とりあえず一定の時限まで、この計画を進めるというところまでが空港会社の分担すべき部分だとして現在は話し合いを進めているわけでございます。
  143. 左近正男

    左近委員 わかりました。それでは日根野から空港島の手前までの区間については、調査は空港会社はやるけれども、建設自身の工事費については空港会社は持たないということでよろしいですか。
  144. 西村康雄

    ○西村政府委員 そういう方向で今検討をしております。
  145. 左近正男

    左近委員 それではこれはできませんな、今の国鉄状況では。
  146. 西村康雄

    ○西村政府委員 非常に事業自身は採算的な事業でございます。そういう点では、新しい収益的な問題として非常に魅力ある事業だというふうに国鉄経営としては考えられるべきものだと思っております。
  147. 左近正男

    左近委員 もう時間がありませんから、それ以上はやりませんが、私はこの空港の建設に当たっては大きな会社ばかり——大きな会社はこれは空港をつくるために、いろいろ技術開発をしてかなり先行投資していることも事実ですよ。だけれども、やはり中小企業にも工事が受注できるような体制をどうしても大臣、とっていただきたいと思うのですよ。  それともう一つ、この空港ができたら空港のいろいろな施設について地元企業が出店できるような体制をぜひともお願いしたいと思いますが、これは大臣から一言御答弁をお願いします。
  148. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 これは会社が御決定になる問題でございますけれども、第一に申し上げておきたいことは、非常に関西でも注目すべき大きなプロジェクトであるということ、それに非常に高度の技術が必要であるということ、さらにまた限られた期間内に早急に仕上げなければならぬというようなことから、これらを満たす大企業中心にまず発注が行われるのは当然ではなかろうかと私自身思っておりますが、しかしながら、地元との関連、その他今御指摘の中小企業の振興対策という面から見みと、これを等閑視するという意味ではなくて、中小企業もそういう形の中でも、何らかの形で参加できる方法は私は考えていかなければならぬと思いますし、その点をまた会社とも詰めてまいりたいと思います。  なお、出店の問題も十分考えていかなければならぬと思っております。
  149. 左近正男

    左近委員 ひとつ大臣、そのような立場で会社の御指導をお願いしたいと思います。  もう最後の一点だけ。第二期工事についてどういう御見解を持っておるのですか、現時点で。
  150. 西村康雄

    ○西村政府委員 第二期工事の具体化の問題は、これからの航空輸送需要がどういうふうに推移するかということを見ながら、第一期がどんなふうに進んでいくかということと関連がございます。  もう一つは、大阪国際空港の存廃問題というのとも絡んでおります。そういう点の問題と絡めながら、できるだけ早く第二期工事をいつごろどうするべきかということを決めていきたいと考えております。
  151. 左近正男

    左近委員 今いみじくも答弁されたように、この第一期工事についても、まだまだたくさんな問題点があるわけです。なおかつ、伊丹の現空港をどうしていくかというような大きな問題もある。そういうような時期に、この第二期工事の問題について、あなたのところの幹部が、あなたより少しえらい人がいろいろと講演で言っておられる。僕はこれは少し不謹慎ではないかと思うのですよ。やはりそこらの点について、十分いろいろと地域状況を考えて物事を言ってもらわなければならない、私はこのように思うのです。これは答弁要りません。——いやいや、言っておるのですよ。テープレコーダー持ってきましょうか。だから余りリップサービスをするのもよし悪しですよ。  それだけ申し上げて、質問を終わります。
  152. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 この際、暫時休憩いたします。  本会議散会後直ちに再開いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  153. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。兒玉末男君。
  154. 兒玉末男

    兒玉委員 運輸行政の中で当面問題となっております日米航空協定と、昨年の国会でやった港湾運送事業法の一部改正後のいわゆる流通部門における問題点について、若干の御質問をしたいと存じます。  まず、日米航空協定についてでございますが、再度にわたる日米間の交渉はなかなか難航しているようでございますが、どういうような現状になっているのか、御説明をいただきたいと存じます。
  155. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 日本貨物航空のアメリカ本国に対する乗り入れ問題につきましては、今年に入りましてから加速度的に、精力的に交渉を重ねてまいりました。先般ワシントンにおいて開催されましたけれども、現在御承知のとおり、一時中断ということになっておりますけれども、この問題につきましては、相当の線まで詰まっておることは事実でございます。むしろアメリカの行政当局等を中心とする国内の話し合いということで一応中断しておるわけでございまして、私どもといたしましては、一日も早い再開を希望いたしておる次第でございます。
  156. 兒玉末男

    兒玉委員 ちょうど時期がアメリカとの経済摩擦解消という大きな政治課題が提起されている中でございますので、これらと一緒くたにされてはたまったものではない、こういうことで大変懸念をしておるわけですが、この協定成立の見通しについてはどういうふうな見解を持っておるのか、お伺いしたいと思います。
  157. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 御指摘のとおり、航空協定は相互主義に基づく一つの相互的な取り決めてございまして、現在いろいろと言われております通常の経済問題とは全く別個のものでございます。我々もそういう観点から鋭意交渉を行っているわけでございますが、ただ一般的な雰囲気と申しますと、どうしても相互主義の中の枠だけの一つの理論的な問題にとどまらず、全般的な雰囲気に影響されないということは言い切れないわけでございまして、現実にアメリカが現在ためらっているのも、そういう上層部の判断ということで、なかなかその辺の決断が出ていないということでございます。私どもは、再び三たびと中断しているわけでございますが、何とかその辺の壁を破って、アメリカの部内でもって意見が統一されて、そして日本側に改めて再開の申し出が速やかに行われるように努力をしているところでございます。
  158. 兒玉末男

    兒玉委員 三月末のワシントン交渉に際しまして、我々社会党の方でもいろいろと検討いたしまして、大臣を通して我々の考え方を書面で上げたわけですが、その点局長は内容を見られたかどうか、お伺いしたいと存じます。
  159. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 もちろん局長も見ていると思いますが、私も拝見いたしまして、ごもっともな意見であると思います。私どもが筋を通せということを行政当局に交渉に臨むに際して言ってまいりましたことは、今局長も答弁いたしましたように、両国間のいわゆる互恵条約であり、平等でなければならぬ、この原則を曲げない、これが一つの筋を通すということでございます。これが第一点。  それから、これもまた答弁いたしましたように、現在日米間においてかなり貿易摩擦について緊迫した空気があるのは皆さん御承知のとおりでありますが、我々はこれらに左右されない、つまり日米航空条約に基づく当然の権利を主張し、相手も当然の義務としてこれを受けとめて、ただそれだけの、いわゆる日米航空だけの問題として、これをひとつ推進していく、こういうことでございます。  先生からちょうだいいたしました、これに対する御要望は大変結構であるし、先生のおっしゃることは、一つの筋の通ったことで、私どもと全く一致しておると理解しております。
  160. 兒玉末男

    兒玉委員 この前アメリカから通商関係の上院下院の国会議員六名が参りまして、社会党の本部で、日本とアメリカとの外交関係委員会がございますが、その席でも私は申し上げたわけでございますけれども、アメリカは現在パンアメリカンやユナイテッドを含めて四社、沖縄を含めれば五社でございますが、飛んできているわけです。さらに今後の交渉の過程でそれ以上の数についても我々としては主張したい、こういうことが新聞でも報道されておりましたけれども、この日米航空協定、全体から見ても非常に不平等でございます。だからこの前のアメリカの国会議員団に対しても、まずスタートラインから公平な立場ですべきであるにかかわらず、大きなハンディを持ちながら今回の日米航空交渉も進んでおることは極めて遺憾である、しかもNCAの運ぶ貨物の量は全体の三%そこそこではないのか、そのことを条件にいわゆる日本への一般旅客機の乗り入れ等をさらにふやそう、また現在日米間では、日本航空単独でございますけれども、全体からの比率を見た場合にはるかに日本側が少ないわけですね。そうして問題となっています以遠権の場合でも、日本側はアメリカよりも極めて制約されている。ところが、アメリカから日本への乗り入れ便はほとんど全部と言っていいほど以遠権がフリーであります。この点についても、この際そういう基本的な航空協定がバランスのとれた立場から今後の日米交渉を進めていくべきだと思うのですが、大臣はそれについてはどのようにお考えになっているか、お伺いしたい。     〔委員長退席、鹿野委員長代理着席〕
  161. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 御案内のとおり、日米の航空協定というものは、例の戦後のサンフランシスコ条約の半年後に締結された。当時の日本とアメリカの力関係、すべてかなり違っておりました。したがって、それがそのまま、言うなれば平等でない条約として締結されたわけでございます。ですから、今日までの会社の乗り入れ数、おっしゃる以遠権、いろいろ御指摘のように不平等もあったかと思いますが、私どもはそれを少しでも縮める方向で今努力をしているわけでございまして、一挙にこれらを全部平等にすることは私は不可能だと思いますが、平等になる方向に向かって縮めつつ、これから交渉を続けていくということでございます。  なお、会社の数でございますけれども、これはただそれだけではいかない面もあると思います。乗り入れの箇所数あるいは便数あるいは飛行機の容量等にもよることでございますので、そこらあたりも十分計算に入れながらひとつ基本的な方針は、不平等を縮めることはあっても開くことはない、そういう方針で今後とも進めてまいりたいと思います。
  162. 兒玉末男

    兒玉委員 実際の実務については国際運輸局が参加をするわけでございますが、本年四月の「経済界」という本に、恐らく局長はお読みになったと思うのですけれども、もう少し運輸省の官僚はしっかりしろ、内側に強いが外側に弱いという指摘を私も読みましたが、かなり的を射ているのではないかと思うわけでございます。それは中曽根氏が一月に行って、自由化問題を含めてかなり弱音を吐いているのではないかということとも関連するのではないかと思うわけでございますが、先ほど大臣が、経済摩擦とは関係ない、全く独自の問題だ、こういうことを言われましたので、一応大臣の主張を信頼するわけでございますが、これからさらに具体的な交渉を詰める際において、私は特に次の点を再度強調したいと思っているわけです。  それは、第一に、現在日米双方の代表間で論議されていることは、まさに不均衡の拡大助長である。やはり国益を守るという立場から一段の奮闘をすべきだ。第二点は、このような形での解決は長年にわたる全般的な協定改定交渉の目的実現を妨げることにはならないのか。三点として、現在行われている交渉の内容は、日本の航空政策の根幹にかかわる問題を含んでおり、航空政策の全般について、国内において十分なる論議を深めて今後の交渉に対応すべきではないのか。四点目に、したがって、政府は以上の点に十分留意をしながら、筋を通して今後の交渉に当たるべきではないのか。こういう我々社会党の航空政策委員会でも一応の結論を得ているわけでございます。さらにまた今後運輸省当局もお呼びしまして、さらに我々とも論議を深めながら、今後の対米交渉の強力なバックアップをしていきたいと思っているわけでございますが、ただいま申し上げた点について、どのようなお考えを持っておるのか、お伺いしたいと思います。大臣の後に局長もひとつ答弁してください。
  163. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 先生が今おっしゃいました社会党の——先生中心におつくりになったと思うのでございますが、その四項目は全くそのとおりでございまして、先ほどから私も御答弁で筋と申しておりますのは、その四項目のことを指していると御理解いただいて結構だと思いますから、その趣旨をそんたくしながら、また私たちの主張も同じでございますから、さらに推進してまいりたいと思います。
  164. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 第一の、不均衡の是正に努め、国益を守るべきである、御指摘のとおりでございます。私どもも、サンフランシスコ条約の後に締結されました航空協定につきましては、機会をとらえては、この不均衡の是正ということで今までやってまいりましたが、これからも国益を守るという観点に立って十分努力をいたしたいと思います。  二番日の、全面改定交渉の目的に沿ってやってほしいということでございます。これは私ども昨年以来いわゆる包括交渉という名前で路線権、以遠権、それから輸送力、指定企業、こういうような面につきましてお互いの国の利益の均衡を図るということで、具体的に路線はどことどこにするか、企業数は幾つにするんだ、また輸送力の規制というか調整はどういう方式でやるかということをもう一年以上にわたって地道に詰めてきたわけでございますが、これもおっしゃるとおりの御指摘の線で、今後の日米間の拡大均衡を図るという線で対処いたしていきたいと考えております。  三番目の、これは航空政策の根幹にかかわる事柄ではないかという御指摘でございますが、これは御指摘のとおりでございますが、ただ、いわゆる国内の四五、四七体制ということがよく言われますが、四五、四七体制との関連におきましては、これは私が答弁するのは適当かどうかわかりませんが、あれは国内の、日本の航空会社のあり方としてどうあるべきかということで一つの仕切りをしたわけでございまして、私どもがアメリカと交渉をしているのは、いかなる政策がとられようとも、その政策が国際的にちゃんと行えるように、例えばそういう政策がいいと思う場合でも、アメリカの方からノーと言われないような、対米関係においてそれだけの幅をとっておくということを念頭に置きながらやっておりますので、いわゆる航空政策、四五、四七との関連においては、これは関係がない、対米関係に対する権益の交換であって、国内の航空政策の問題とは一応切り離して考えていただくというのが適当ではなかろうかと考えております。
  165. 兒玉末男

    兒玉委員 航空関係一つだけ申し上げますが、航空運賃の問題でございますけれども、かつてフィリピンとかあるいは大韓航空等が大変な運賃のダンピングをしておるということで、アメリカもIATAに加盟していない航空会社もあるやに聞いておりますが、これらの問題を総合的に判断します場合、お互いが共存共栄という点からも、特に航空運賃の取り決めについても慎重な対応をこの際考えておくべきではないのか、この点について御見解を聞きたいと思います。
  166. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 航空運賃、特に国際航空運賃のダンピングと申しますか、そういう現象は実はずっと前からございまして、特にIATAというのがあって、これに加盟している会社の中ではそれなりの秩序が守られてきたわけでございますが、それ以外の会社によるダンピング、しかもこれは日本で行われるというよりは、国外で行われることが非常に多いので、なかなかその実態の把握がしにくいし、また実態を把握したとしても、それをどうやって取り締まるかという問題について非常に実務的には難しい面があるわけでございます。しかしながら、そうかといって放置しておいたのでは、これは秩序が保てませんので、いろいろな形で、例えば日本の航空会社とそういう関係航空会社と一緒に会議を持って、協議会を開いて、そういう秩序を維持していくというようなことも航空局はやっておりますし、いろいろな手段を講じてやっておるわけでございますが、そのうちに、最近航空の規制緩和というアメリカの一つの大きな政策の流れがございまして、この中でまた国際航空運賃というのがほとんど自由な格好にアメリカではなっているわけでございます。そういうようなあおりを受けて、この問題が幾ら努力してもなかなか終結しないというのが正直申しまして実情かと思います。  しかしながら、私どもも反面、余りにも航空運賃について我々が硬直的であり過ぎたんじゃないか、国際航空運賃、特にIATAを中心とした航空運賃がお客様のニーズに合ったようなものがなかったというような事実もある程度はあったのではないかというような反省を合いたしておりまして、一つは、日本のやり方としては、グループ運賃というのを非常に安いものを設定する、正規の運賃はそれで維持していく、こういう二本立てが日本の国際航空運賃の政策の基本であったわけですが、これ以外にも一般の個別運賃、個人の運賃についてもいろいろな多様化されたニーズに合ったような、若干面倒くさくはなりますが、お客様のニーズに合ったようないろいろな運賃を導入するという方向も一つの方向ではないかと考えております。事実そういうようなものはIATAの場でも検討され、また必要に応じてこれから導入されてくるのではないかと考えております。
  167. 兒玉末男

    兒玉委員 何といっても最高首脳が運輸大臣でございます。今申し上げたような全般的な日米間の航空問題の処理について、ひとつ最後に大臣の決意のほどをいただきまして、次の問題に移りたいと存じます。
  168. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 先ほどからしばしば申し上げておりますように、筋を通すということが交渉の大原則であるという建前に立って今後も進めてまいりたいと思います。  なお、NCAの問題につきましては、既にもう二年以上前に政府が承認した会社でございますので、私はこれの乗り入れということは、またこれは政府の責任でもあるという気持ちで強力に進めてまいりたいと思います。
  169. 兒玉末男

    兒玉委員 それじゃ、港湾関係についてお伺いしたいと存じます。  きょうは栗林局長、どうも御苦労さんでございます。先般港湾法の改正がありまして、荷役問題等含めて料金の問題、あるいは中小関係あるいは大企業等の運営についても公平なる運営がなされることを強く我々は要望して法案の成立に協力をしたわけでございます。  これに関連しまして、先般全港湾の労働組合からも実は申し入れがございまして、これは横浜におけるある港湾関係の役員の問題をめぐりまして、非常に何といいますか、陰湿な暗闘といいますか、そういうことが行われたということが報道され、また全港湾の組合としても、運輸省に対して、今後の地域における港湾運送事業等が円滑にできるということと、一部の上層幹部の思惑によって脱会騒ぎ等を巻き起こして、ある人物の失脚をはかる、こういうことが起きているわけであります。固有名称は省きますけれども、運輸省に対する申し入れ、あるいはその後の港湾行政についてどういうような対応をされてきたのか、局長の御見解を承ります。
  170. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 ただいま先生おっしゃいました横浜における事件と申しますか、そういったことに関連したお話だと思います。  このお話は、私どもも十分承知はしておりますし、また具体的にも、特に関東運輸局を中心にして相当強い指導を行ったわけでございます。このいわば騒動といいますか、そう言っていいような事件が具体的にどういう——これは業界紙などでいろんなふうに報道されておるわけでございますけれども、その真相というのはなかなか正確なところはわかりにくいようでございますけれども、とにかく客観的な事実として非常に激しい格好でいわば団体内の争いがあった、あるいは業界内の争いがあったということは非常に遺憾な事態であると思っております。特に私どもは、昨年、港湾運送事業法の一部改正というものをお願いして、近代化に踏み出そうと、もう既に実態は相当進んでおりますけれども、制度的にも近代化を名実ともに推進していこうという時期に、こういう事態が起きたということは非常に残念だと思っております。  したがいまして、現実には関東運輸局あるいは本省におきましても、相当強い指導をして、一応とりあえずの決着を見たような姿にはなっておるのだろうとは思いますが、こういった業界内の問題、しかも団体のさらに大事に関するような話でございますと、本来私どもが内容に立ち入ってどうこう言う筋ではないと思うのでございますけれども、しかし、それが港湾運送秩序の問題とか、港湾運送の健全な発達とか、さらに利用者、あそこに働く人にまでいろいろと迷惑がかかるというふうなことは、これはどうしても避けなければいけないということで対処をしてきたような次第でございます。
  171. 兒玉末男

    兒玉委員 全港湾の関係の情報を見ても、どうも神奈川県における地区の問題じゃなくして、日港協の協会幹部に対するところの問題があるのじゃないか。それで全港湾としても、上層幹部の一部は責任をとってやめろ、こういうことが露骨に出るくらい、問題の本質が非常に根が深いのではないか、こう我々は懸念をするわけでございまして、運輸省の監督局長としても、この際、下部組織等から十分資料なり情報等の聴取を行って、このような陰惨なといいますか陰湿な騒動やらあるいは脱会騒ぎ等が起きないように積極的な指導をして、しかもお互いが、意見の相違があれば十分協議を重ねて、そして意見の対立がなくなるまで徹底的な指導をしながら円滑な運営が行われることが、先般の港湾運送法の改正の趣旨でもあったはずでございます。  しかも、時代の進展とともに輸送の形態も近代化されております。そういう点で、問題は特に港湾労働に従事する労働者としても非常に神経をとがらせておるわけでございますから、上部機関は、そのような機関同士のいろいろな紛争に巻き込まれないように、的確な指導をこれからやっていくべきだと思うのですが、いかがでございますか。
  172. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 先生おっしゃいますことは、まことにもうそのとおりだと思います。  ただいま申し上げましたように、昨年、港湾運送事業法の一部改正をお願いして新しい一歩を踏み出した時期でございますが、その後の状況を見ておりますと、業界内部の問題としては、必ずしもすっきりいっているわけではない。実はこの法律の施行自体については私は円滑にいっていると思うのでございますけれども、業界内部の問題としてはいろいろと問題があるようでございます。  私、それを見ておりますと、一つは、事業者と利用者の問題、あるいは事業者相互間のいわば商売の問題というのがあるようでございます。またいわゆる事前協議という制度は、これまた労使の問題ということになります。したがいまして、そういう問題については事業者サイドの問題であって、私どもが具体的な内容に立ち入ってどうこうするという問題ではどうもないような印象を受けております。それからもう一つは、先ほどおっしゃいました業界内部あるいは団体の内部のいろいろな問題、これはまた業界内部の問題で、なかなか内容に立ち入る話でもない。こういう整理は私は必要だと思っております。  したがいまして、こういった問題については、第一義的にはまず事業者がその責任と理性を持って十分話し合って解決するという態度が一番大事だと私は思っておりますが、しかし一方、港湾運送事業の秩序を乱す、あるいは事業の円滑な遂行を妨げる、利用者の利便を害する、そういったいろいろな影響が出てきて、せっかくの全体の近代化なり事業の健全な発達に支障を来すということではいけないわけで、そういう点は私ども様子をよく見ながら、内容の本質を見きわめながら、必要があれば積極的に指導を行っていこう、こう思っております、
  173. 兒玉末男

    兒玉委員 ここに詳細な資料が届けられております。これを読むと、これはやはり今後の民主的な改革のためには、行政当局のかなり積極的な全港運業の幹部への指導啓蒙も非常に大事じゃないかということが痛切に感じられますので、ひとつ今後の上層幹部の指導等についても万遺憾なきを期していただきたい、これについてひとつ大臣の御所見を承りたいと思います。
  174. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 今先生がおっしゃいました資料の一部については、私も拝見している部分もございます。それでいろいろな事件があって、それについての評価というふうなことを含めて書いてあるのだと思いますが、確かにトラブルというものがあったことは事実でございますし、私どもそれなりに関心を持って指導すべきことはしたというふうに思っておりますが、これは私はもう少しいわば両者の話を聞いてみないといけないという気持ちもしております。何といいますか、非常識的な行動にお互い出るということは、それは慎むべきことであって、秩序を守ってやるというのは当然でありますけれども、どうも必ずしも納得できない点がある。それは一方にだけあるのではなくて、両者にあるというような気がいたします。そういった点はよく踏まえながらお話を聞いて、私どもなすべきことはなしていく、こういうふうにしたいと思います。
  175. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 先ほどから局長が答弁申し上げましたように、この問題は業者間の争いでございますから、これは端的に申し上げると、責任は業者にあると申し上げたい。  しかしながら、そうは申せ、運輸省は指導官庁でございますから、そういう立場から指導しなければならぬ。ということは、紛争が拡大しますと、影響するところ大でございますから、そういう点に考慮いたして、極力指導してまいりたいと思います。
  176. 兒玉末男

    兒玉委員 これは大臣、質問の通告をしてなかった問題でございますけれども、先般名古屋地区の新幹線の公害問題の訴訟の高裁の判決が出まして、私も地元の皆さんとともに大臣のところに参りましたが、その処理について、やはり差しとめはああいう判決であって、恐らく速度減殺は不可能だろう。それから同時に、損害賠償の金額も二億程度減りましたが、要するに、国鉄としては、やはりそれに対する前向きの姿勢を要請されているということでございますので、特にこの解決について大臣としても積極的な行政指導をお願いして、地域住民との関係において円満な処理が速やかにできるように、同時にまた環境庁としても、七月までにその関係の基準を国鉄は出せという取り決めもございますので、こういう点も含めて、この際、大臣の御所見を承りたいと思います。
  177. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 これも基本的には私の方でございませんで、これは国鉄さんでございますが、法廷で決着をつけるということだけがベストではないということで、当事者双方で話し合うという機運がだんだん出てきておられるということを聞いておりますので、私どもまた国鉄当局に対しましても、その点はよくお話し合いをしたいと思います。
  178. 兒玉末男

    兒玉委員 それでは終わります。
  179. 鹿野道彦

    ○鹿野委員長代理 薮仲義彦君。
  180. 薮仲義彦

    薮仲委員 私が冒頭にお伺いしたいのは、いわゆるつくば万博、国際科学技術博覧会、開会されてからちょうど一カ月が過ぎたわけでございますが、二十一世紀に向かう人類のあるべき姿を求めてということで始まったわけでございます。私もきょうこの質問をするに当たって、昨日、ちょっと駆け足でございましたけれども、現地に行ってまいりました。中身の方では大きな問題もなくて順調に経過していると思うわけでございますが、最近の一部マスコミの報道を見てまいりますと、中身の問題よりも周辺のいろいろな問題で非常に評判を落としているといいますか、国民に余り好ましい影響を与えてないんじゃないか。私もここに最近の新聞のスクラップを集めてみたのです。これに全部目を通しますと、評判のいい話よりも困ったという話題の方が多いものですから。やはりこれは国が行ったイベントでもございます。そしてこれからの時代は当然高度情報化社会という時代に向かっていくわけでございまして、国民がそういう高度情報化社会にいかにソフトランディングするか、高度情報化社会というのはこういうこともあるんですよということを理解する上で非常に好ましい万博であろうと思うわけでございます。私、やはりこの万博が大成功のうちに終わってほしい、終わったらいろいろな苦情が出たり問題処理に困ったということではなくて、何とか好ましい形で終わってほしいなという気持ちを持ちながら、きょうは何点かお伺いをいたしたいと思うわけでございます。  特に、この主務官庁は科技庁であることは先刻承知の上でございますけれども、やはり博覧会のその協会だけでは対処し切れない問題もあるいはこれから出てくるかもしれません。そうなれば、大臣は運輸大臣であると同時に現内閣の枢要な国務大臣の立場にいらっしゃいますので、これには重大な関心をお持ちだと私は思います。またこのイベントに関連して、運輸省が所掌する関連業者、もちろん国内、国際の観光の問題もあるでしょうし、それに携わる旅行に関係するすべての業界は、大臣の所掌の中にあるわけでございまして、私は、これが成功することは、やはり運輸業界全体の非常に好ましい事柄でもあろうと思います。  そういうことを含めながら何点か問題点を整理してお伺いしてまいりますけれども、冒頭に科技庁さんにお伺いしたいのは、この博覧会が開会されてちょうど一カ月余を経過したわけでございますが、主務官庁としての率直な感想、評価等についてお聞かせいただきたいのです。
  181. 沖村憲樹

    ○沖村説明員 先生、今御説明いただきましたように、おかげさまをもちまして博覧会開会しまして約一カ月過ぎまして、一応国際博覧会として非常に立派な博覧会を関係方面の御協力をいただきまして開催できたというふうに考えております。現在のところ、国内館を初めいろいろなパビリオンにも人気が集まりつつありまして、入場者につきましては順調に入っていただいております。特に、これまで非常に天候不順の日が多かったのですけれども、昨日までで約三百十万人御入場いただきまして、このまま推移しますと、一応予定しておりました二千万人を達成し得るのではないかというふうに考えております。  ただ、運営面につきまして、今先生いろいろ御指摘ございました。開会直後ということもありまして、物価の問題でありますとか、あるいは一部の人気パビリオンに非常に人気が集中しまして、お待ちいただく時間が長くなっているといったようないろいろな面の御指摘がございますが、これにつきましては、現在協会と私どもで相談しましていろいろ対応策を講じていきたいというふうに考えております。  いずれにしましても、あと五カ月ございますが、今後さらにいろいろの運営につきまして努力いたしまして、立派な博覧会として終わるよう努力したいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  182. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、具体的にお伺いしますけれども、一部マスコミの報道を見ますと、問題点として挙げられること、これは万博本来の問題もございますけれども、周辺の問題が大きく災いしている面がございます。特に食べ物、宿泊施設、それからごみの問題等々が今出ているわけでございますけれども、これらの問題は関係者が努力をすれば必ず解決できる問題。それが余りにも大きくマスコミに報道されて、国民の出足を鈍らせている部分が多いのではないかと私は懸念をいたしております。新聞の報道を見ますと、「万博の味「高」「冷」「怒」」と出てきますし、「値段、普通の2倍目立つ弁当持参組」とか、あるいは「高い」「量が少ない」というような記事の書かれ方が非常に多いわけでございます。私も行ってざっと見てきたわけでございますが、なるほどなという問題もあるわけでございますが、しかし、これはやはりこの辺できちんと整理をして対処すれば解決するんじゃないかなと感じました。  特に食べ物の問題を明確にするためにお聞きしておきたいのは、会場内の食べ物、これは当然協会が責任を持たなければならない、解決しなければならない問題だと思うのですが、会場内にいろいろお店があるわけでございます。これは協会としては直接責任を持っていただいても持てる問題ではございませんし、関与した問題でもない、いわゆるそこに出店をして商売を始めようという自主的な行動であったと思います。しかし、見てまいりますと、もう出店自体が非常に無理であって、駐車場からバス輸送されるのに、その途中に店がある。これはもうとても大変だなと感じられます。いわゆる立地自体に当然無理がありますし、自家用車が入れない地域に、当然歩行者など考えられないところでお店を出しているところもありますし、この問題は、立地なさった方自体に相当これから困難が予想されるなということは、私は実感として感じてまいったわけでございますが、今申し上げた新聞報道などの問題については、これは当然ここで真剣に解決策に努力していただきたい。特に食べるという楽しみは、やはり非常に大事なことだと思うのです。中身の評判がどんなによくても、食べ物がこれだけ苦情が出ますと、お金が高くかかるんだな、家族連れで行くのはちょっとどうかなという懸念が出てまいります。もうこれだけたたかれたんですから、ここで協会の方としても、科技庁さんとしても心を入れかえて、だったらば味をよくして、みんなが楽しく万博に来られるように改善しよう、むしろ困難を打開して、この災いを転じてむしろ本当にいいものにしよう、万博の中は楽しんで家族で見てください、食べ物もつくば万博の会場でなければ食べられませんよ、こう変えちゃった方が私はいいと思うのです。私もいろいろな外国館を見てまいりましたけれども、そこで言われるのは、外国からシェフの方を呼んでいらっしゃるわけです。あそこでなければ食べられない料理も、またその腕を持った方もいらっしゃるわけですから、楽しく万博を見学なさって、またあそこでしが食べられないおいしいものを食べて帰ろう、満足すれば高くても文句は出ないと思います。やはりそこに、冷たいとか、量が少ないとか、余り値段どおりの味ではなかったなという苦情がこういう不評を買って、国民が本当は未来と遭遇して、それで夢を描きながら新しい自分の生活を確立させるためにある万博が、私はとんでもないことで所期の目的を達成しないということは、非常に残念に感じてきたのですね。ですからこの点については、積極的にこれは、科技庁さんだけでできなければ、当然運輸大臣初め関係の省庁の皆さんにお願いをして、みんながあそこへ、じゃ、万博も見るけれども食べ物も食べよう、あそこへ行ってああいうものを食べようというような評判になったっておかしくないと思うのです。これだけたたかれたんですから、決意新たに、あと五カ月間で、パビリオンもいいけれども、本当にあそこでおいしいものを食べるためにみんなで行こう、一度行った人はもう一回行こう、二度行ったら三度行こう、そのくらい積極的にやらなければ、何のためにやったのかわからなくなりますので、そういう決意でやっていった方がいいんじゃないかなと思いますけれども、どうです。
  183. 沖村憲樹

    ○沖村説明員 いろいろ先生に御心配いただいて非常にありがたいと思っております。今御指摘ございましたように、確かに開幕当初、一部の店で非常に高いものがございまして、新聞等でいろいろ御批判いただきました。この点につきましては、現在、博覧会協会で営業指導員というものを巡回させまして、立入調査を行いまして、適正な価格になるように指導をしております。特に問題があるものに対しては、適正な価格になるように厳しく指導したいと思っております。また営業者の方では、価格が高いということに対しまして自主的に監視委員会を設けておりまして、自主規制を行いつつありまして、適正な価格になりつつあるというふうに考えております。  ただいま先生から御指摘ございましたように、こういう店ばかりじゃございませんで、外国の楽しい店とか、適正な価格で運営していただいている店もかなりございまして、そういう楽しい面といいますか、よい面、そういう面につきまして、今後積極的に改善を図るとともに、PRをやってまいりたいと思っております、
  184. 薮仲義彦

    薮仲委員 規制緩和といいますか、デレギュレーション、こういうことが今政治の大きな課題でございますから、規制するようなあるいは圧力がかかるような話というのは当然考えていらっしゃらないと思うのです。みんなが伸び伸びと楽しく万博を楽しみながら、よかったなと言われるように、新聞に出ているのはほとんどがこの食べ物ばかりですからね。私は出店のお店の資料を全部もらって値段も知っているのです。でも、きょうはやめておきます。これはもう改善をしてほしい。みんなが家族で楽しく行けるような万博にするしかないのですから、そこに知恵を集めてやっていただきたいと思うのです。  それから、二つ目に問題になっているのはごみの問題ですが、これもやはりきちんとしなければならぬと私は思いますので、厚生省、来ていらっしゃると思うのですが、この件についてはちょっと正式にお答えいただきたい。  これを処理している事務組合というのですか、あると思いますが、その正式名称、それからごみ焼却炉の型式、一日可能な処理量、まあ通常の場合、その関係市町村のどの町が関係しておって、何トンぐらい処理できればいいのだ、この筑波万博のために改良していると思います。現在処理能力はどのくらいあるのか。この焼却炉はプラスチック、いわゆる高熱を発するものを処理するに適した焼却炉であるかどうか。その辺をお答えください。
  185. 加藤三郎

    ○加藤説明員 今の先生お尋ねの組合でございますが、正式名称は筑南地方広域行政事務組合と申しまして、万博が開催されているあの付近の筑波町ほかの六町村で構成する組合でございます。  この組合に焼却炉がございまして、この焼却炉は昭和四十九年の三月に運転を開始いたしております。規模は焼却能力は一日百八十トンを処理するということで、方式といたしましては全連続式焼却炉、こういうことでございます。  この組合の施設は、ただいま申しましたように、昭和四十九年に竣工したものでございますが、その後、時間の経過とともに能力が若干低下をしてまいりまして、それに対応すべく昭和五十八年度と五十九年度で改造工事をいたしたわけでございます。もう少し具体的に申し上げますと、当初の規模が百八十トンであったものが、五十七年度末ぐらいで大体百十トン程度、まあ百九トンという数字もございますが、大体百十トンぐらいに減ってまいりまして、その減った分を回復をする、もとの能力に戻す、百八十トンに戻すということでございます。改造の主な点は送風機などを改良して戻したわけでございます。  この組合では、従前からプラスチックごみの混合焼却につきましては、発熱量が高くなり過ぎるということで、プラスチックを不燃ごみとして扱ってきておりまして、その延長上で、今回の万博に当たりましても、万博から出ますごみを引き受けるに際しては、プラスチック等の容器につきましては、一般のごみと混合しないようにということでやってきているわけでございます。ただ、どのような焼却炉でございましても、一般にプラスチックごみが全く入らないという炉はないわけでございますので、量によっては、もちろんプラスチックが現に入っているし、入っても焼却できるわけですが、地元及び万博会場から出ますごみにつきましては、プラスチックは一応分別収集ということで別途処理、埋め立てによって処理いたしている、こういう状況でございます。
  186. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一点、厚生省、六カ町村で出る通常一日の発生量は何トン、それからこれは科技庁さんに伺いたいのは、万博として出る量は一日何トン、それぞれお答えください。
  187. 加藤三郎

    ○加藤説明員 通常のあれですと、約百十トンぐらい出てまいります。
  188. 沖村憲樹

    ○沖村説明員 博覧会の方では、今厚生省の方から御説明がございましたが、博覧会のごみ処理の基本計画といたしまして、最大二十万人としまして、一日一人当たり二百八十グラム、最大五十六トンのごみが発生するということを前提に筑南地方広域行政事務組合にあるごみ処理施設の会社にお願いしまして、現在、これまでの平均では、一日平均二十五トン、最大出ました日でも三十八トンということで、一人当たり二百二十七グラムということで、最大二十万人になりましても十分対応いただける施設ではないかと思います。
  189. 薮仲義彦

    薮仲委員 今お答えいただいたように、容量としては十分であるようであります。問題はプラスチックにかかわる部分であろうと思うのですね。これもマスコミに「禁止のプラスチック容器続々「炉が傷む」」ということで出ているわけです。この問題もやはりきちんと整理して解決しておいた方がいいと思うのです。マスコミに話題になるようなことは好ましいことではない。  そこで、はっきりしておかなければならないのは、私は日清食品と万博の協会との関係だと思うのでございますけれども、どんな事情があっても、ごみを処理するときには、プラスチックはやめます、また出店に際しては、プラスチックの容器は極力やめてほしい、もしもあっても、分別収集してはっきり処理をするということが前提だと思うのです。そうしなければ周辺の町村に御迷惑がかかる、こういうことがあってはいかぬと思うのですね。ですから、やはりどんな事情があったってルールは守るということを協会としても日清食品にきちんと言うべきだと思うのです。それは確かに、ビスタライナーですか、あそこをやるのに幾らかの分担金を出した、だから出店する、そこまではいいと思うのです。だから協会でやってはいけないというプラスチック容器を出すんだ、これは私はルール違反だと思います。やはり世の中というのはルールをきちっと守って、守らなければならない規則の中で最大限の営業活動をするのが正しいあり方であって、お金を出したんだから不法でいいんだ、そういうことは断じてあってはいけないし、これは是正されるべきであると思います。もしもこれを見逃せば、紙よりもプラスチックの方が安いんですよ、もっと零細な財政力の弱い業界の方は、じゃ、日清がやっているんだったら、うちだってやらせてくれよ、こうなってくると抑えられなくなってきます。やはり最初にルールはルールできちっと決めたことは守る、これはどんな大会であっても成功させる原則なんですから、言うべきことは言って、改めさせるものはきちんと改めさせる、これが私は大事だと思うのでございますけれども、いかがですか。
  190. 沖村憲樹

    ○沖村説明員 ただいま先生の御指摘のような事実がございまして、協会の方で営業参加者に対しまして、プラスチック等のごみを出さないようにお願いしてきておりますが、引き続きそういう営業参加者にお願いするよう指導してまいりたいと思います。
  191. 薮仲義彦

    薮仲委員 厚生省は物を申しにくいと思うのですね。協会と日清食品との契約でできたことであって、厚生省が直接物を申す立場にないと思うのです。しかし、どうであったって、関係市町村のごみ処理場にかかわる問題は、やはり監督官庁として厚生省は関心がなければならないし、周辺の町村のごみ処理場に影響を及ぼせば、地域住民から苦情が出てくる。そうすると、監督官庁としてその責任が問われる。そうなってくると、これは直接は万博協会の問題ですよ、そう言って済む部分と済まない部分とあると私は思うのです。ですから、きょうの表現は、厚生省として重大な関心を持って、こういうことはごみを処理するという厚生行政の見地から好ましいことではないということを関係者にきちんと言うべきだと思いますが、いかがですか。
  192. 加藤三郎

    ○加藤説明員 先生のおっしゃられましたとおり、私どもといたしましても、この問題、新聞等で報道されて以来、重大な関心を持って見続けてきております。  現地の実際の処理に当たっております組合側とも緊密な連絡をとってきておりますが、これまた先生御指摘のとおり、この問題は日清食品が万博協会の提示している条件に従わない、いわば無契約状態というような状態で運営しているわけでございますので、まず基本的には、先ほど科技庁さんの方から御答弁ございましたように、協会で対応し、それでもなお問題が残るようでございましたら、私どもさらに科技庁を通じまして協会に働きかけ、また地元の自治体に、廃棄物業者でおよそ問題が生じないように適正な指導をしてまいりたいと思っております。
  193. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか科技庁さんあるいは万博協会だけのあれでは済まない問題は、関係省庁で、今御答弁のとおり、関心を持って善処していただくようにお願いをいたしておきます。  それから、これは今度運輸省の方へ戻ってくるわけでございますけれども、プラスチック容器というのは、場内で発生するのもそうですけれども、団体バス等でお見えになる方には、これは非常にあれですけれども、やはり一般の方が持ち込まれる容器もあろうかと私は思うのです。一般の方に規制をかけるということは非常に困難であろうと思いますが、少なくとも今ウイークデーはほとんど団体の方ですね。きのう私も行ってまいりましたけれども、八割以上は団体の方じゃないかなと思うほど団体バスがびっしりですが、個人の駐車場はほとんどがらがらでございます。そうすると、ウイークデーの団体割引によって団体客が来るわけでございますから、どうか運輸省観光部といたしまして、お見えになる団体の方にも、観光業者、旅行業者を通じて、プラスチック容器というのは、あそこは非常に処理しにくい焼却炉のあるところでございますということを周知徹底していただいて、持ち込みについては極力協力するような態勢をとっていただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。
  194. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 運輸省といたしましては、この科学万博は確かに国際的な大きなイベントでございますので、できるだけ成功裏に導きたいということは全くその通り思っております。先生の御指摘のように、関係の旅行業界をその方向でよく指導いたしたい、そう考えております。
  195. 薮仲義彦

    薮仲委員 それから、またおもしろおかしく書かれるのは、旅行業者の方が弁当を持ち込むのは大変困りますという事柄であろうと思うのです。でも、私はあそこへ行きまして、やむを得ない事情もあると認識してまいりました。というのは、例えばあそこで団体バスの百人なり百五十人がどっと同じお店に入ることはできません。一つのお店の規模が限られております。そしてまた一定の時間に一定容量を出すような食堂にもなっておりませんし、限られたスケジュールの中で大変だなという点はいろいろ感じてまいりました。  しかし、そういう問題を含みながら私の思うことは、これから夏になってまいりますと、弁当の持ち込みということで腐敗するとか、あるいは食中毒でも起きますと、大事な万博に水を差すようなことになりかねませんので、やはり食事の持ち込みとか、あるいは会場内に安くておいしいものがあれば、どうやれば利用できるのかとか、いろいろとこれから関係者の間で処理しなきゃならない事柄だと私は思います。つまらないようなことであっても、これが大きな災いになる場合もございますので、これから湿度の高い夏を迎えるに当たって、当然科技庁が中心でございますけれども、旅行業者、そういう関係者の御意見をよく聞いて、どうすればお見えになった方が食事でトラブルを起こさないでお帰りになれるか、これも研究すればいい知恵がわいてくると私は思いますので、一生懸命努力していただきたいと思いますが、いかがですか。
  196. 沖村憲樹

    ○沖村説明員 お弁当の持ち込みの問題でございますが、ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、お弁当を持ち込まれる方が多くて、その結果、食堂の利用者が非常に少なくなっているということであります。これは今御指摘ございましたように、お客様のかなりの部分であります団体バスによる観客が、お弁当による昼食サービスを含んだ団体バスのお客様が多いということが主な原因であろうかと思いますし、また会場内の飲食料金が非常に高いというイメージが皆様に行き渡っているということも原因であろうかと思います。  これらにつきましては、協会の方で、今先生御指摘のような、衛生上の問題でありますとか、プラスチックのごみの問題から、バス業界に対しまして、そういうお弁当の持ち込みの自粛をお願いしておるところでございますけれども、今先生の御指摘のございましたように、会場内のいろいろな食堂が大いに利用できるようにPRをこれからやっていきたいと思います。
  197. 薮仲義彦

    薮仲委員 あともう一つ問題は宿泊施設ですわ。これもマスコミが報道したとおりちょっと読んでみますと、「評判が悪いのは、なんといっても会場周辺のホテル代が高いこと。カナダからテレビ取材で来た」名前は避けますけれども、「五人は会場から車で十分ほどのホテルに二泊したが、シングルで一泊三万円。食事なし。」「イタリアのテレビ記者は、筑波周辺に泊まるのをあきらめ、毎日、東京からレンタカーでスタッフ数人とやってきた。会場近くでは一泊七千円のホテルが開幕と同時に三万円に跳ね上がった。」等々、こういう書かれ方をするわけですね。  このホテルについては、事柄を正確にして言いますと、やはり科技庁さんあるいは運輸省としても、沖縄博等の経験から、これは行政官庁として手を出す事柄じゃない、関与すべきことではないということで、むしろ宿泊は、積極的な対応ということについては、既設のホテルあるいは周辺のホテルというような考えでいらっしゃったと思うのです。それはそれとして、それを当て込んだ業者の方がどっと来たということがございます。これはやはりそれらの方々が御自分の商売上の判断でおやりになったことでございますから、関係省庁にはいわゆる行政府としての責任というのはないかもしれません。ただ、既存のホテル、名前は挙げませんけれども、高いと言われているホテルがございます。そういうことがまた評判を悪くして、家族で泊まるのをやめてしまおうということになってきますし、出足をそぎます。運輸省としては、やはり既存のホテル等の指導については注意を払っていただきたいと思います。万博協会の方がいろいろな問題を整理して、どんどんお客さんが来れば交通も渋滞するかもしれない。そうすれば泊まるかもしれないのですよ。今はがらがらですからね。行きも帰りも一時間で行けますから。私自分ではかってみて随分近いなと思いました。これじゃ、あそこへ泊まる気も起きないわけでございますけれども、たくさんお客さんが来るようになれば、周辺のホテルもよくなると私は思います。それはそれとしまして、運輸省当局に既存のホテルがこういうやり方をしないような指導をきちんとしていただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  198. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ホテルにつきましては、大体大ざっぱに分けまして、政府登録ホテルとその他のホテルと二つの種類がございます。それで政府登録ホテルの方の関係につきましては、今の御指摘のような問題につきましては、特に問題はないように聞いております。その他ホテルの問題につきましては、私も今先生が御指摘になりました新聞記事も読んでおりますし、一部宿泊料金の問題があるということを承知いたしておりますので、関係の団体を通じまして、不当な料金の値上げをしないように、現在、指導を行っているところでございます。これからもしっかり見ていきたい、そう考えております。
  199. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかこの万博がすばらしい成果を上げて、国民に喜ばれて終わるようにお願いをいたしておきます。ここで大臣のお考えを聞こうと思ったのですが、ちょっと席を外されたようでございますから、大臣が来てからにしまして、問題を変えます。  国鉄の問題について、いわゆるベーシックな問題、基本的な問題について何点がはっきりしておきたいことがございますので、きょうは総裁にお見えいただいておりますので、明快にずばっとお答えいただきたいのでございますが、昭和五十七年七月の臨調の第三次答申にございますように、経営形態としては「国鉄事業分割し、各分割体を、基本的には民営化する。」いわゆる分割・民営の方向がここに出ておりますし、また監理委員会の見解としましても、ここにありますように、再建するためには「現在の公社制及び全国一元的運営から脱却し、新しい効率的な経営形態へ移行することが必要であると考えており、基本的には分割・民営化の方向を念頭において」と出ております。いずれにしても、監理委員会、臨調の方向ともに分割・民営ということが打ち出されておるわけでございますけれども、総裁とすると、この国鉄の再建案を基本にして「経営改革のための基本方策」というのをお出しになられた、そういうことを前提にしてお伺いするわけでございます。  巷間マスコミの報道等で国鉄総裁並びに国鉄の基本的な方向がとかくの記事になってまいります。例えば最近の月刊誌等々に出てまいることもあるわけでございますが、国鉄はどうも臨調あるいは監理委員会の方向に云々などと言われかねないものもあるわけでございます。しかし、私はやはり事柄をはっきりしておかないと、今後よくないと思いますので、総裁にはっきりお伺いしておきたいのでございますが、総裁の頭の中には、いつも経営改善を考えたときに、地交線の問題あるいは特定人件費ということがかかわりあって、ずばっと民営ということに踏み切れない思惑も心をよぎるのかもしれませんけれども、基本的なスタンスとして分割・民営といったときには、分割についてはいろいろ意見が分かれます。これはちょっとおいておいて、まず経営形態を民営化するという命題についてイエスかノーか、賛成か反対か、国鉄総裁として民営化の方向性については是か否か、その点をすっきりお答えいただきたいのです。
  200. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 先生お持ちだったと思いますが、この一月十日に国鉄再建監理委員会に御説明いたしました「経営改革のための基本方策」の中にもきちっと書いてございますが、私どもは「現行の公共企業体という経営形態を変更し、民営化を行うこととする。」と明瞭に書いてございまして、私どもの意図は民営化ということでは変わっておりません。
  201. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、重ねてお伺いいたしますけれども一ちょうど電電が民営化されるときに私は地元でいろいろ見ておりました。電電公社の職員の方がデパートへ出向なさってごあいさつの仕方から苦労して一生懸命努力していらっしゃるのを見て、大変なことだ、頑張ってほしい、心の中でそう思いながら電電の方の努力を見ておったわけでございますが、やはり国鉄が抱える問題としては、経営者の姿勢もさることながら、国鉄全体を支える職員の方の姿勢も大きく改善されてまいりませんと、よく歌手がお客様は神様ですと言いますけれども、民営になってまいりますと、職員の姿勢の中に乗っていただいてありがとうございます、よりよいサービスを提供して快適な旅行をお楽しみください、こういうような姿勢で接していきませんと、民営というのは非常に大変だな、私は国鉄には大変お世話になっている立場でございますから、どうのこうのと言える立場にないかもしれない。しかし、電電の例にならって考えると、やはり職員の万全体の意識ががらっと変わらないと大きな変革は望めないのじゃないかな、こう思うわけでございますが、この辺のところ国鉄はどうお考えなのか、担当の常務のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  202. 太田知行

    ○太田説明員 全く御指摘のとおりでございまして、今や国鉄は独占ではございません。多くの輸送機関、対抗機関の中からお客様に選択していただくというところでございまして、その本質は、民営化に相なればますます顕著になっていくというふうに存じまして、そういう競争場裏の中にあって唯一生き残る道は、選択していただくような対応を示すということでございます。そのためには、やはりお客様に接する接客の職員の接客マインドといいますか、民間的なマインドをもってすべての業務に対応できるようにすることと、国鉄の提供する輸送の質を高める、そのためには安定輸送、正確できちっと運行されるという体制が大事だと存じますので、それを支えるための職場規律といいますか管理体制について、これもさらに徹底を図ってまいる、いわば民間マインド、管理体制の推進ということを基盤にして職員の意識を高め、教育を徹底する必要を痛感しておりまして、今後さらにその面で努力してまいりたいと存ずる次第でございます。
  203. 薮仲義彦

    薮仲委員 これからこの問題は真剣に論議されることと思いますので、きょうは基本的な方向性だけ何点か伺いたいので、その事柄はどうか懸命な御努力をいただきたい、重ねてお願いをいたしておきます。  それで次に、監理委員会の御意見を伺っておきたいんですが、これも基幹的な問題でちょっと私認識をしておきたいことがございます。  まず、地交線の問題でございますけれども、監理委員会の方お見えになっていらっしゃいますか。私の手元にございます五十七年七月臨調の第三次答申ですが、地交線については「私鉄への譲渡、第三セクター化、民営化等を積極的に行う。」それから五十七年九月の閣議決定でも、地方交通線について「私鉄への譲渡、第三セクター化、民営化等を積極的に行う。」こうなっています。それから五十八年八月二日の監理委員会の提言、地方交通線についてはこう書いてあります。やはり「私鉄への譲渡、第三セクター化等民営化を積極的に推進すべきである。」さらに五十九年八月十日のやはり監理委員会の「日本国有鉄道経営する事業の運営の改善のために緊急に講すべき措置の基本的実施方針について」、いわゆる第二次になるわけでございますが、ここにこう書いてあります。地方交通線については、「国鉄からの分離を積極的に推進すべきである」、これはあくまでも「分離」、「分離」としか私には読めない。ところが、どうも最近予算委員会なんかで亀井委員長が答えているのは、これは監理委員会が正式に発表したわけではなくて、マスコミがリークしたことだと思いますけれども、七分割・民営、こういうのが出てくるわけです。これはもう御承知だと思うのです。これを読んでいくと、どうも地交線が七分割した会社の中に含まれているように感ずるわけです。そうなってくると、いつやら知らない間に、これほど公式に我々に理解させておいて、ころっと地交線は抱きかかえますよというような言い方に変えられてしまうと、一体どっちなんだ、もっと明確にしてほしい。「分離」、「分離」と書いておいて、にわかに抱きかかえられてはわけがわからない。この辺はいつどういう手続によって変えられたのか、変えたのか、変えないのか、その点をちょっと明確にしてくださいませんか。わかりやすく言ってください。
  204. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 確かに、今御指摘のように、臨調答申あるいは私どもの提出しましたいわゆる緊急提言におきましては、特定地交線以外の地交線につきましても、私鉄への譲渡とか第三セクター化とかというような民営化を積極的に推進すべきだというふうに提言をいたしております。ただ、これについてはあくまで、そういう路線を引き受けてくれる、そういう相手というものを積極的に探す、あるいはそのための条件整備をするということでありまして、そういう前提で、画一的にやるのではなくて、そういう引受手があれば、できるだけその方向を推進するという考え方が基本にあると思います。  そこで、最近における私どもの監理委員長の発言等でございますけれども、地交線の問題につきましては、五十五年の法律に基づきまして、現在進めております特定地方交通線、これについては、現在の方針どおり積極的にこれは進めていく、バス転換等の措置を進めていくということであるべきだろうというふうに考えておりますが、それ以外の鉄道として維持をする地方交通線九十線というものについては、もちろん今の段階でも、引受手があれば、それは民営化することについては、むしろ積極的にやるべきだと思いますが、しかし引受手がそうざらに出てくるわけでもないということでありますならば、こういう九十線につきましては、分割・民営化をした企業体がまずは抱えていく。これを画一的に切り離して、別の組織にするんではなくて、まずは直営として抱えていく。その活性化、効率化された企業体が、最大限の経営努力をして、これを抱える努力をとにかく死に物狂いでやってみるということがやはり筋ではなかろうかということで、その後の私どものいろいろな数字的な検討の経過も踏まえまして、最近におきましては、そういうものも含めて分割企業体というものを考えていくというふうに、今後の最終答申に向けての考え方を統一しておるということでございます。
  205. 薮仲義彦

    薮仲委員 ここに、第二次の「日本国有鉄道経営する事業の運営の改善のために緊急に講ずべき措置の基本的実施方針について」とありますね。これは今おっしゃったとおり、第一次の特定地方交通線四十線区、それから第二次特定線区についてはかくかくしかじか、第三次について云々と、こうなって、そこの中で、はっきり私が指摘したように、国鉄から分離していきなさいという方向を出しておいたのを、今の御答弁ですと、やはりそれを変えて、分離は無理だ、抱きかかえていきなさい、こう変わったんですね。
  206. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 先ほど申しましたように、引受手がありました場合には、その引受手によって立派に運営ができる場合には、その方向でできるだけ努力をしていきたいということでございまして、引受手がない場合には、これはやはり分割企業体が自分で抱えてやっていくという努力をすべきだろう、こういう考え方でございます。
  207. 薮仲義彦

    薮仲委員 私も静岡なんですよ。静岡でもいわゆる第一次の特定地方交通線として清水港線が廃止になったんですよ。第二次にまた出てくるわけです。そういうのを抱えているのです。二次あたりから、じゃ抱え手があるか。これは冷静に考えたってわかるとおり、地交線を鉄道側でもって経営収支が改善されるなんということは、地元の問題を一つ見ても、まず私は考えられないと思います。また特に雪の多い山陰、北陸、あの辺の地交線を見ても、除排雪の費用なんというのはばかにならないんです。それで、線路一本持って、地交線がその引受手があればなんて、こうおっしゃっているけれども、あるわけないんですよ。あの地交線だけ切り離して持てる人がいたら、まあそれはどんなスーパー経営者か知りませんけれども、まず無理だと思うんです。あると思うんですか。
  208. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 あればということでございまして、その状況その状況に応じて、例えば私鉄事業者が自分の路線一体として運営すればうまくいくというふうなものも中にはあるかもしれないし、そういうものがあれば、できるだけ積極的にその方向を推進した方が効率的であろう、こういう考え方で提言をしてきたわけでございまして、そういうことでなければ、これはやはり分割企業体が自分の努力で抱えていくということで物を考えなければいかぬ、こういうことで考えておるわけでございます。
  209. 薮仲義彦

    薮仲委員 この問題はこの次にしっかりやりますが、今の御答弁を聞いている限り、もう今度の答申は変わって出てくるなということが予測されますので、我が党としてもその辺のところを、変えるんなら変えるということをきちんと言っておいていただかないと、監理委員会がこうなっているのが、いつの間にやら国会答弁でころっと変わっているようなやり方はやめて、変えるんだったら変えるときちっとして変えてもらいたいということは言っておきます。  まだありますけれども、今度この七分割案が出てくるわけでございますけれども、一体これは本当に大丈夫かな、こう思うのは、例えばさっき総裁がお出しになったパンフレットでございますけれども、この中に北海道、四国、九州、五十九年度現在の営業損益が出ております。北海道三千億マイナス、四国五百億マイナス、九州二千三百億マイナス、合計五千八百億マイナスなんですね。これに何となく一兆円基金を充ててどうのこうのということが出ておりますが、一兆円で、例えば六%で運用しても六百億ですよ。六百億で例えばこの北海道、四国、九州の赤字というものが十分補てんできるのかなという感じが私はするわけです。どういうスーパー経営者がこれを経営なさって、わずか六百億の運用益でこれを経営改善できるのかな。とてもできないと私は思うのです。私も長年運輸はいろいろな関係でかかわり合っておりますし、いろいろな地域も見て回っておりますけれども、できなくなったらずたずたと営業区域を切っていってしまうのか、あるいはまた列車本数を切る、これは切るということは問題なんですね。  私の地元では、東海道線に駿河シャトルといいまして、今まで一時間に何本か、数本だったものを、うんとふやしておるのです。お客が戻ってきたのです、もう十五分に一本ぐらい走ると言ったら。駅も細切れにしたのです。そうしたらお客が戻ってきた。本数を減らしても、お客はかえって減るんですね。ふやすとどんどん乗ってくる。車よりも早い。  あるいはまた、一番問題なのは、静岡なんかは地震災害等でいつも考えるのですけれども、災害やなんかで、伊豆大島近海でどかんと地震が起きただけで、国鉄の持っておる優秀な技術がなければ線路が復旧できなかったのです。膨大な金がかかるのです。民間のいわゆるあそこを通っておる、伊豆半島を走っておる伊豆急が、自分の技術じゃなくて、国鉄さんの技術もおかりして通したい、あそこの見事な復旧には、国鉄さんのすぐれた技術が役に立ったと私は思います。  このように、地交線の問題や北海道、四国、九州等の問題を考えますと、一兆円ぐらいの基金で、六百億の運用益で、もっと七%に回したところで七百億ですが、これで果たして路線の保安や安全確保、営業収支が改善できるとはとても思えないのですけれども、この基本的な問題についてちょっと教えてください。
  210. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 私どもといたしましても、分割・民営化という場合に、いろいろな視点がございますけれども、そのうちでやはりそれぞれの企業体の収益性をどうやって確保していくかということが非常に重要な視点だというふうに考えておるわけです。例えば北海道、四国、九州のような場合を考えますと、活性化、効率化した企業体というものになったとしても、いわゆる民鉄並みの経営をやったとしても、なお相当な赤字が出るということは、これはもう明らかでございまして、その辺一体どれくらいの赤字になるかということについては、これはその効率化の手法をどう見ていくか、今いろいろな観点から数字的に詰めておる最中でございますけれども、その赤字については、何らかの形でこれが補てんされるような、そういう形での各企業体の財政基盤の是正措置というものを講じていくということが必要であろう、こう考えておるわけです。  その具体的な方法として、一部基金構想というふうなものも新聞に流れましたけれども、私どもとしては、まだ別に基金構想というものを固めておるわけではございませんで、いろいろな方法がございますので、どういう方法が最も民営化の方向に合致するか、あるいは将来の経営にとってそれが基盤としてしっかりしたものになるかといういろいろな観点を踏まえて、財政収支の不均衡の是正措置についての方法論を今具体的に検討している最中ということでございます。
  211. 薮仲義彦

    薮仲委員 最中であれば、結論が出てくるのをお待ちして、また御意見を伺うことにします。  ただ、少なくとも国鉄経営改善というのは、経営努力でできる部分と本質的にできない部分がございますから、幾ら努力をしても、経営努力によっては経営収支を黒字にすることができない路線があるということ、公共性の観点からどうしても維持していかなければならない部分があるわけです。単なる経営努力だけではいかぬという点はどう処理なさるのか、監理委員会の結論を重大な関心を持って拝見させていただきたいと思っています。きょうはもっとたくさん問題があるものですから、この問題はそれだけにしておきます。  それから、私は別に国鉄にごまをすったり褒める気はさらさらないのですけれども、事柄が正確でないということは大嫌いな性格でございますので、はっきりしておきたいと思うのですが、一部のマスコミに経営改善をやっても全然だめじゃないか、こういう書かれ方をしておるわけでございます。私も、初めて国会議員に当選したときに運輸委員でございました。そのとき、何回再建計画国鉄さんがお出しになっても、第一次、第二次、第三次、マスコミさんの言うことが全部正しいとは言いませんけれども、確かにこれは全くだめかなという感じがいたしました。しかし、第四次の改善計画の中で、私はやはり努力をしているなという点については、ここできちんとしておいた方がよろしいと思いますので、何点かお伺いしたいわけでございますが、この改善計画の目玉の中で、国鉄さんがある意味では身勝手と言うと、これは表現が不穏当でございますが、幹線は国鉄が一本化してやりますということが出ておるわけです。幹線収支というのは六十年になったら何とか黒字に持っていけますよというようなこともおっしゃっておられます。それから人員の削減も懸命に努力を重ねますということをうたわれていらっしゃるわけであります。人員を何とか経営努力によって合理化していこうという努力と、幹線における経営収支を黒に持っていこうという努力は、私はよく努力しているように思えるのでございますが、この辺の数字を簡単で結構でございますから、見通しを含めて御説明いただけますか。     〔鹿野委員長代理退席、久間委員長代理着     席〕
  212. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 要員関係と幹線収支関係でございますが、実は幹線収支につきましては、今回の経営改善計画収支改善の大きな柱となっておるわけでございまして、これを国鉄が達成することが経営改善計画の非常に大きな目標であるわけでございます。これに関しましては、当初の見込みからいたしますと、確かに輸送量の減少等の要素があって収入が大きく下回ったという事情はございますけれども、これを要員規模の縮減あるいは経費の節減といった観点から、経費規模を当初計画をさらに大きく切り込むことによりまして、当初計画では、六十年度で幹線収支におきまして均衡を達成するということを考えておりましたが、現時点では二百億円を上回る益金を計上することができるという見通しを確信を持って持っておるところでございます。
  213. 太田知行

    ○太田説明員 引き続きまして要員でございますが、当初計画はいわゆる三十五万体制ということでスタートをしたのでございます。その後、貨物の輸送量の減少あるいはさらに一層の効率化を目指して、各般の分野において見直しをしたということを含めまして、六十年度予算におきましては、要員体制、予算人員体制三十一万五千ということでございますので、当初の目標を達成しました上で、さらに一割程度当初目標をアップした体制にしている、こういうことでございます。
  214. 薮仲義彦

    薮仲委員 最近国鉄さんはよくけじめ、けじめと言われて苦しんでいるようですけれども、私もいいことはいいとはっきりけじめをつけておいた方がいいと思って、これを質問したわけでございますけれども、これを見ますと、五十四年度四十二万四千人、六十年度には三十五万人体制にしますというのを、その目標を達成したという努力は——ここに細かい資料がございますが、五十七年、五十八年などは当初計画、変更計画を上回るような合理化をやっていらっしゃった。これは私率直によく頑張ったなと評価をいたしてよろしいとは思います。それから幹線の収支についても、六十年度二百億の黒を出すということについては、それなりの経営努力があったんだと率直に認めます。このことは日本国有鉄道の監査報告書の中にも、結論だけ言いますと、「健全経営の基盤確立へ向かって大きな一歩を踏み出したものとして評価すべきである。」こう言われておりますのでこの辺はよかった。しかし、これから打開しなければならない数多くの問題があるわけでございます。特定人件費あるいは地交線の問題を抱えながら、さらに努力を重ねるわけでございますけれども、これはこの次に譲らしていただくといたしまして、基本的な問題について監理委員会の御意見も伺わせていただきました等々を踏まえて、この論議は詰めさせていただきたいと思います。  運輸省当局に伺っておきたいのですが、今挙げた経営改善計画の中の幹線の収支、人員の合理化については、運輸省はどう評価なさっていらっしゃいますか。
  215. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 今先生から御指摘がございまして、国鉄の方からお答え申し上げましたように、今回、六十年度で変更いたしました経営改善計画におきましては、幹線収支におきまして若干の黒字、要員の改善につきましては、当初の計画を上回る要員の合理化が行われておるということにつきましては、私ども国鉄の努力に対しましては、それなりの評価をいたしておるところでございます。  ただ、先ほど監査報告を引用して御指摘のございましたように、それは昭和六十年度という一つの時点をとらえてのそれなりの効果でございますけれども、国鉄全体の経営というのは一段と厳しい状況にあるわけでございまして、それにつきましては、さらにそれなりの抜本策が必要であるというふうに考えておるところでございます。     〔久間委員長代理退席、委員長着席〕
  216. 薮仲義彦

    薮仲委員 国鉄問題はこれぐらいにして、また次に譲りたいと思いますが、今おっしゃられたように、国鉄はまだまだ重大な問題をたくさん抱えておりますので、総裁以下、運輸省当局のいろいろな面での指導や協力や力をかりながら、さらに好ましい国鉄になるように努力をお願いいたしておきます、  次に、大臣がお戻りになりましたので、さっきつくばのことをずっとやっておって、私は運輸大臣としてこの成功にお力添えをいただきたいと願う一人でございます。大臣も恐らくその気持ちだろうと思いますので、つくば万博の成功については心をとどめておいていただいて、大臣のできる範囲内でまたいろいろと御配慮いただきたい、このことをお願いいたしておきます。  それに関することで一つお伺いしたいのは、日本の法律に通訳案内業法、通訳をなさるガイドさんに対してきちっと法律があるという国は珍しいわけでございます。きのう私は万博へ行きましたときに、ちょっとイタリア館へ行きました。そうしたらイタリア館の方が懇切丁寧な説明をしてくださいましたし、優秀な通訳の方がついていろいろと適切な御説明をいただいて、私もある意味ではイタリアを見直して帰ったわけでございますが、その中に、私が感ずることが一つあったのでございます。イタリアが持っている科学的な分野でイタリア館の方が一生懸命説明するわけでございます。原子物理学の最先端の加速装置のことをやるわけでございますが、これは私は日本語で聞いたってわかりませんね。大学教授に日本語で原子物理学の話を聞いたって私は居眠りが出るほどでございますからだめでございますが、通訳なさる方は汗をかきながら懸命にやっていらっしゃった。ああいう専門的な知識というのは、我々が日本語で聞いてもわからないのを懸命にやっていただいて、私は感謝しておったわけでございます。  何を私が言いたいかというと、先般の国際観光振興会法の質疑のときにいろいろとお話をさせていただいたわけでございますが、大臣はもうほとんど世界の国々を図られて国際情勢はお詳しいわけでございます。我々が言葉の違う、言葉の通じない国に行ったときに、やはりそこで通訳してくださる方、ガイドの方の説明というものは、我々がその国を理解する上に深いくさびを打たれるといいますか、ガイドさんの能力によっていろいろなことを理解する部分が相当あるのじゃないかなと私は思うわけでございます。  この通訳案内業というのは、大臣も御承知のように、語学は当然のこととして、地理や歴史や政治や経済、文化、あらゆるものについて国家試験に合格しなければならない。それによって都道府県知事の免許を受けて、訪日した外人に対して接遇する。民間の外交官として日本の国を正しく紹介して理解させる。国と国との間の相互理解、国際親善に非常に重要な役割を果たしてくださっていると思うわけでございます。先般も指摘しましたように、日本の国に来る外国の方々は、いろいろなものを通じて日本の国をそれなりに理解しているものの、必ずしも正確ではない。その方々が日本の国に来て、自分の目で見、肌で感じ、そしてガイドしてくれる方から適切な説明を聞いて、日本を好ましい国として帰っていかれる、こうなってまいりますと、通訳案内業、いわゆるガイドの方々の身分といいますか立場というものは、これからの国際社会において、経済摩擦の解消の上でも日本を知ってもらう上でも非常に大事な立場だなと私は思うわけでございますが、まず運輸省の通訳案内業者に対する位置づけといいますか、評価についてどうお考えであるかお聞かせいただきたい。
  217. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 運輸省といたしまして、通訳案内業関係の方々につきましては、そのお仕事につきましては、国際的な相互理解を増進するために大変重要な役割を果たしていただいておると考えております。それで、今先生御指摘のとおり、そのためにも優秀な方々に担当していただきたいと考えておりますものですから、国の方といたしましても、先生の御指摘のとおりに、国家試験を行い、さらにその国家試験の合格者につきまして都道府県知事の免許制度という形をとっておるような次第でございます。
  218. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、この通訳案内業の試験に合格した方の数と、実際にガイドを自分のなりわいとしてやっていらっしゃる方を、数字で結構ですからおっしゃっていただきたい。
  219. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ガイド試験と私ども申しておりますが、ガイド試験の合格者につきましては、五十九年度までで八千二百二十四人、それからガイドの免許を取得している人は五十九年四月現在で二千八十人、そういう数字でございます。
  220. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、ガイドの方が加入している協会があるわけでございますが、一つは社団法人日本観光通訳協会、ここに入っていらっしゃる方に、運輸省としてはどのような教育訓練といいますか、研修等を行っていらっしゃいますか。
  221. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生の御指摘の協会におきましては、試験に合格した方につきましての一番最初の研修と、それからその後年に一度ずつ、関東、関西、それからその他の支部でブラッシュアップというんでしょうか、講習会を行っております。それにつきましては、私どもの方といたしましても、私どもの担当官が協会に参りまして、いろいろと最新の情報をお伝えするとか、あるいは日本船舶振興会という財団法人がございますが、そちらの方からのそういう研修の補助金というようなことにつきましてのあっせんというんでしょうか、そういうようなことを行っております。
  222. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、もう一つの団体の全日本通訳案内業者連盟、こちらに対して運輸省は研修にだれか講師を派遣したとか、具体的な最近の政治経済情勢等を教えてあげたとか、そういう具体的なことはございますか。
  223. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま私が御説明しました協会につきましては、もう二十数年前からの協会でございますので、そういうことでやっておりますが、先生がただいまおっしゃった団体の方につきましては、割と最近の団体でございますので、私どもの方としては、こちらからそういう研修その他の場合に情報提供なりいろいろな御協力を申し上げる、そういうつもりでおりますが、今のところはまだ行われておりません。それからもう一つの、助成といいますか補助金の話につきましては、先ほどの制度は公益法人に対して行えるということでございまして、この団体はまだ任意団体の段階でございますので、まだ実現というような形にはなっておりません。
  224. 薮仲義彦

    薮仲委員 それから、もう一つお伺いしておきたいのは、国際観光振興会がやってらっしゃるグッドウイルガイド、いわゆるボランティアの、道案内程度をしてあげる善意のガイドさんを登録して、外人のために便宜を計らっておる、こういう実態があるわけでございますが、この実態、普及状況はどうなっていますか。
  225. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生の御指摘の、私どもグッドウイルガイドと申しておりますが、そのガイドはボランティアのことでございまして、外国の方が日本においでになって、日本の町を歩きあるいはいろんな交通機関をお使いになるというときに、次の駅はどこかとか自分のおりる駅はどこかとか、あるいはあそこに行くにはどうすればいいかとかいうことでお迷いになって、お困りになっている場合に、一番問題なのは言葉が通じるか通じないかということでございますので、そういうときにたまたまその近くにそういうグッドウイルガイドをできる人がいらっしゃると非常にスムーズにいろんな御案内ができる、そういうことを考えた制度でございます。現在そのグッドウイルガイドという形の方は一万七千人ほどおいでになっております。
  226. 薮仲義彦

    薮仲委員 最後に、この問題につては大臣に御答弁をお願いしたいと思うのでございますが、先ほど来申し上げましたように、通訳案内業法という法律に基づいて厳格な国家試験を合格なさった方が八千名、そして実際に通訳としてやってらっしゃる方が二千名程度、多くの方がまだガイドとしての仕事についてらっしゃらないケースもあるようでございます。これは私も何人かの方のお話を聞いているわけでございますけれども、やはり社会的なステータスが低い、一日数千円とか一万円とか、それだけで生活がしにくいというケースもございます。ですから、やはり自分たちの生活基盤の確立ということが、これを生業としてやる上に非常に大切なことなんですというような要望も私も何回かお受けいたしておりまして、先般来観光事業あるいはつくば万博等の経緯を眺めておりますと、日本の将来のために、やはり優秀なガイドをたくさん育てて——国際親善や国際関係を改善する上には非常に重要な方々である。こういう方をある意味では国の宝のように育て、多くの人が自由に、というよりも多くの方がこの職業について、日本を広く知らしめるような、そういう日本であってほしい。いわゆる国際化の中で本当の日本をどんどん相手の国の言葉で紹介してあげられる方が多ければ多いほど、こういう小さな島国の日本にとっては大切なことであろうと思いますので、今申し上げましたように、いろんな協会、団体あり、また諸般の情勢等も、これは難しい問題が数多くあろうかと思うのでございますが、それを整理していただいて、何とかこの通訳案内業の方が一生懸命この仕事につけるような日本の状態にしていただきたいと思いますので、大臣の御決意を伺って、この問題を終えたいと思います。
  227. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 オリンピックのときに三十五万人だった外客が、昨年は二百十一万、大変な伸び率であります。こういう方がおいでになってお互いに相互理解を深めるということが大変に大切なことであります。さらにそういう理解が深められれば、今日の貿易摩擦ももっと摩擦を少なくすることができると私は思います。ただ問題は、言葉と言葉をお互いに一つのパイプで訳すということは、てにをは一つの使い方が違っても大変に大きな誤りが起きたりするわけでございますから、ガイドというのは一定の資格を持ったきちんとした人でなければならぬ。フランスとかイタリアとか世界的にもこのガイドの制度は非常に少数だということでございますが、これは日本が持っております非常にすぐれた制度の一つの成果であると思います。したがって、これからは一定の資格を持った人がこのガイドという仕事をやるというふうにちゃんと位置づけるための一つの資格と、そのための試験というものをやっていかなきゃなりません。  また、先生から御指摘いただきました、先ほど来のガイドに対するいろんな御高見は、十分拝聴いたしましたし、今後参考にさしていただきたいと思っております。
  228. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか大臣の今後の努力に期待いたしておりますので、よろしくお願いしておきます。それじゃ、次の問題に移らしていただきますが、これはちょうど雪も解けてことしも春が来たわけでございますが、いつも春先に起きてくるスパイクタイヤの問題、これはもう大臣は先刻御承知のことでございますが、各省庁の現状等を伺って、好ましい結論を早急に出してほしい、そういうことから何点かお伺いをさしていただきます。  このスパイクタイヤの問題は、御承知のように札幌、仙台で粉じん公害が出ておるわけでございます。道路の摩耗被害が大きな社会問題になっているわけでございますが、最近は松本、長野、富山などにもその問題が出ているようでございますが、この問題の本質的な解決はしにくいといいますか、やりきれない点は、やはり加害者がイコール被害者である、あるときはドライバー、あるときは通行人、住民ということで、加害者が被害者になっておる。もう一点は、交通の安全の確保等、良好な環境、住民の健康、交通安全と住民の健康という問題が二律背反しているわけでございます。どちらかを立てればどちらかをということがあるわけでございまして、これがこの問題を非常に複雑にしているわけでございます。  タイヤ自体の改良をしようということで、スパイクの本数を変える、あるいは性能を向上させようということでスタッドレスタイヤをいろいろ努力している、あるいはスパイクタイヤの使用期間を制限しようという努力もしていらっしゃる。道路条件を整備しようということで、除排雪の懸命な努力もやっていらっしゃるし、汚泥の処理もやっていらっしゃる。そういうことで関係省庁が努力をして、五十八年三月に環境庁、通産省、建設省運輸省、自治省、警察庁でスパイクタイヤ問題関係省庁連絡会議ができているわけでございますが、きょうは現在までの進捗状況と問題点をちょっと明らかにしておきたいと思いますので、関係省庁、要点だけ簡単にお話しをいただきたいと思うのです。  まず環境庁、スパイクタイヤの粉じんの実態調査を札幌、仙台——五十九年度は新潟でおやりになったようでございますけれども、この調査によって判明した、こういう点がよくわかった、粉じんが何倍であるとか、そういうことで結構でございます。  もう一点は、浮遊粉じんの組成の中で何が一番主なものであったか、これが二番目。  それから、大気汚染防止法にかかわるいわゆる基準ですね、十ミクロン以下ですかの粉じんについての大気汚染防止法による環境基準が決められていると思いますが、それについてどの程度の数値を出されていらっしゃるか、これだけ簡単に答えてください。
  229. 百瀬信

    ○百瀬説明員 お答えいたします。  環境庁が五十七年度札幌市、五十八年度仙台市におきまして実施いたしました実態調査によれば、交通量の多い幹線道路沿道においてスパイクタイヤの装着期における降下はいじん量は、非装着期に対し、札幌市においては約三倍、仙台市においては最も多い三月期で約九倍となっております。また浮遊粒子状物質濃度は、非装着期に対し両市とも約四倍となっております。  それから、次に御質問の粉じんの成分等でございますけれども、環境庁が札幌市、仙台市において調査した結果では、交通量の多い道路端における粒径が一・一から十一ミクロンの粉じんにつきましては、札幌市では、十二月にアスファルト舗装材に由来する粉じんの割合が六八%、土壌に由来する粉じん量が約一二%であり、残りは燃焼等に由来するとなっております。また仙台市では、アスファルトの舗装材に由来する粉じんの割合が一月に約六七%、それから三月には約六二%、残りは土壌等に由来するものと推定されております。  それから、第三番目の御質問の、粉じんに関する環境基準を超えているかという御質問でございますけれども、五十八年度に札幌市が国道三十六号線沿いの地点で行った調査の結果によりますと、一日平均値では十一月に三日、十二月に十日、三月に二日、環境基準を超えております。このうちの一日平均値の最高値は〇・一五七ミリグラム・パー・キュービックメーター、つまり一立方メートル当たり〇・一五七ミリグラムで、基準の約一・六倍となっております。また宮城県が仙台市内中心部の県道沿いの地点で行った調査結果では、一日平均値が十二月に五日、一月に七日、二月に七日、三月に十九日、環境基準を超えております。この中でのはいじんにつきましては、基準の約二・五倍、こういう状況でございます。
  230. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一点お伺いしたいのは、今お話しのように、健康被害を及ぼす浮遊粉じんというのは、非常に小さな十ミクロン以下というのですか、の浮遊粉じんが健康被害を及ぼすということで、環境庁はネズミによって吸入実験をやっていらっしゃるそうでございますが、この実験結果はいつごろはっきりするか、そのめどだけお答えください。
  231. 百瀬信

    ○百瀬説明員 環境庁としましては、スパイクタイヤによる粉じんが健康に及ぼす影響の把握に資するために、五十九年度から動物実験を主体とする調査を実施しております。これは三カ年計画でございます。
  232. 薮仲義彦

    薮仲委員 結論はいつごろ出ますか。
  233. 百瀬信

    ○百瀬説明員 三カ年の結果が出た後、いろいろと検討するということになります。
  234. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ、建設省にお伺いします。  今環境庁の答弁にもございましたように、浮遊粉じんの濃度の増大の主たるものは、アスファルト粉じんそれから土壌粉じんというふうにあったわけでございますが、建設省としては道路管理者として非常にこれも心を痛めていらっしゃると思うのでございます。路面の耐摩耗性舗装の研究に力を入れていらっしゃると思うのでございますが、現在のアスファルトというものを考えたときに、この中にもちょっとございますが、相当技術的には進んでいらっしゃるようでございますけれども、これ以上の改善努力、出ないようにできるかどうか、これは大変難しいと思うのでございますが、現状。それからいわゆる融雪期の汚泥の清掃ということが非常に大事だと思うのでございますが、建設省の耐摩耗性の向上についての現状と、それから越冬汚泥の除去は建設省に課せられた大きな仕事だと思いますが、これについて建設省の現状をお伺いしたいと思います。
  235. 寺田章次

    ○寺田説明員 お答えいたします。  現在、スパイクタイヤによります舗装の摩耗が先生御指摘のとおり問題となっておりますが、従前よりタイヤチェーンによります舗装の摩耗問題が存在しておりまして、建設省におきましては、耐摩耗性舗装の研究開発を行い、積極的にその向上を図ってきております。  アスファルト舗装の耐摩耗性を向上させますためには、一点といたしまして、アスファルト量を多目にすること、二点目としまして、骨材の最大粒径を大きくすること、三点目に、かたい骨材を用いること、四点目といたしまして、粗骨材料を多目にしたギャップ粒度の混合物を十分締め固めること等の方策がございますことが研究の面から明らかとなっております。しかしながら、アスファルト量を多くいたしますと、夏に流動しやすくなるといったようなこと、それから耐摩耗性舗装に適した骨材が必ずしも経済的に入手できない等の問題がございまして、舗装の耐摩耗性の向上は研究の面からは限界に近づいております。このような状況にございますけれども、研究の面で得られました成果を現場に応用し、舗装の耐摩耗性の向上を図る必要があると考えておりまして、昨年十一月の道路局長通達におきまして、現地の状況に応じた耐摩耗性舗装の活用を指示したところでございます。  二点目の越冬汚泥の処理の問題でございますが、積雪寒冷地におきましては、融雪期に路側に堆積いたしました汚泥が乾燥飛散いたしまして、沿道環境に影響を与えている箇所がございます。従前よりその除去に留意してきているところでございます。さらにその徹底を図るため、先般道路局長通達におきまして、融雪期における汚泥飛散防止対策の充実を図るよう指示したところでございます。今後ともこの通達に基づきまして、このような箇所につきましては、適時適切に越冬汚泥を除去するよう関係道路管理者を指導してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  236. 薮仲義彦

    薮仲委員 次は、通産省、ちょっとお伺いしたいのですが、通産省はいわゆる日本自動車工業会とか日本自動車タイヤ協会等そういう関係団体を通じましていろいろ努力をしていらっしゃる。また工業技術院等との関係の中でタイヤ本体をどうしようかという努力をしていらっしゃるやに伺っておりますけれども、一つは、形状記憶合金によるスパイクを、必要なときだけ突出して、必要ないときは引っ込めるということをおやりになっているようでございますが、実用化までには相当年数がかかると思いますが、現状と見通し、これが第一点。  第二点は、タイヤ協会で自主的な基準として第一次基準というものを決めて、スパイクタイヤの本数と突出寸法というものを決めておられますけれども、やはり第二次基準というものが今後大事になってくると思いますが、関係省庁にいつごろ第二次基準を提示して、意見を求めながらその作成に当たられるのか、大体第二次基準の関係省庁と協議するのはどの辺のめどでおやりになるのか、その辺をお伺いしたいのですが。
  237. 松井司

    ○松井説明員 御説明申し上げます。  一点目のスパイクタイヤの技術開発の現状あるいは今後の動向ということでございますが、民間、業界関係におきましては、スパイクタイヤのピンの改良だとかあるいはスタッドレスタイヤの場合はゴムの改質、こういうものの技術開発をやっておるわけでございます。それから国におきましては、今先生からお話がございましたように、工業技術院の試験所におきまして、長期的な視点から、いわゆる形状記憶合金などを使いまして低公害性のスパイクタイヤを研究しているところでございます。この形状記憶合金などを使った技術開発、タイヤの開発でございますが、これは温度の変化によってピンが出入りするというものでございまして、現時点では、その耐久性、それから信頼性、こういう面で、まだ基礎的段階でございますので、いつ実用化するかというめどは立っておりません。  それから、二点目でございますが、自動車タイヤ協会の第二次基準のことでございますが、現在自動車タイヤ協会の方でスパイクタイヤの本数の削減等につきまして検討しているということでございますが、同協会でも成案ができ次第できるだけ早い機会に関係省庁連絡会議等に諮ってまいりたい、こういうことを考えております。  いずれにいたしましても、スパイクタイヤ問題というのは、タイヤだけではなかなか解決できない問題でございまして、総合的な対策が必要ではないか、こういうふうに考えております。
  238. 薮仲義彦

    薮仲委員 時期的には年内早い時期にできるのですか。
  239. 松井司

    ○松井説明員 この基準の問題でございますが、安全の問題と環境の問題、非常に難しい問題でございまして、現在タイヤ協会の技術関係委員会で慎重に技術的な面で検討しておりますので、ここでいつその成案ができ上がるかということは申すことはできませんが、できるだけ早くできることを期待しておりますし、そういう成案ができ次第、先ほど申し上げましたように、関係省庁の連絡会議で検討さしていただきたい、こういうふうに思っております。
  240. 薮仲義彦

    薮仲委員 運輸省にお伺いしますが、運輸省はやはり自動車の構造、型式承認等いたしている見地からいろいろ苦慮していらっしゃると思います。時間がございませんので、簡単にお伺いします。  今おやりになっているのは、スパイクの打ち込み本数と舗装摩耗軽減率をやっていらっしゃるようでございますけれども、この結果が精査されるのはいつごろでございますか、その時期を教えてください。
  241. 神戸勉

    神戸説明員 お答えいたします。  五十八年から三年計画でやってございます。
  242. 薮仲義彦

    薮仲委員 最後に警察庁、最も最後には大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、その前に警察庁に……。  やはり警察庁とすれば、交通安全という重大な課題を抱えておられますので、スパイクタイヤの持つ制動性能というのは非常に重要な事柄であろうとよく理解できます。と同時に、先ほど来関係省庁がいろいろと出しましたように、関係省庁でいろいろ努力はしております。ただし、結論から言うと、健康上の安全と制動上の安全とのかかわり合いという本当に一番苦しい決断を迫られるのが警察庁ではなかろうかと私は思うわけでございます。やはりこれは率直に言って、スパイクタイヤのピンの本数をどうするかということにさしあたってはなるかもしれない。お話しのように、自主的にスパイクタイヤをはく期間を短くするとか、その他のいろいろな、建設省道路をよくしようと努力していらっしゃる、そういうことを踏まえた上で、最終的な安全の問題は警察庁が大きな判断をしなければならないと思うわけでございます。今、二次基準できるだけ早くということでございますが、このスパイクタイヤの二次基準についての警察庁の見解をちょっとお聞かせいただきたいのですが……。
  243. 越智俊典

    ○越智説明員 スパイクタイヤの第二次基準につきましては、現在日本自動車タイヤ協会で検討しているところであるというふうに聞いております。一般的にはスパイクタイヤのピンの本数を減らしますと、凍結路面における制動性能、それから坂道発進性能などが落ちまして、交通安全上問題が起こる場合もあり得ると考えております。どの程度までピンを減らしても安全上支障がないかどうかということが極めて難しい問題でございます。警察庁といたしましても、現在のスパイクタイヤ粉じんを軽減するために何らかの方策が必要であるというふうに判断しております。ある程度スパイクタイヤの性能が落ちても、交通安全上支障のないような環境整備方策、例えば安全教育ですとか除雪の問題ですとか、そういうことにつきまして関係省庁と協力して検討していきたいというふうに考えております。
  244. 薮仲義彦

    薮仲委員 最後に、時間が参りましたので、大臣にこの問題についてお伺いしたいのでありますが、今関係省庁の進捗状況を一通り大臣もお聞きいただきましたように、私もこの質問をしながら、この問題ずっと考えながら、いつも心が痛むわけでございます。交通安全上の人命尊重、今環境庁の指摘にありましたように、大気汚染の環境基準を超えている場合もございますし、また試験結果を見ませんとわかりませんけれども、本当に人体の健康にかかわるような被害が出てくるようなことが予測されますと、これまた深刻な事柄にもなろうかと思います。いずれにしましても、事柄はいずれにとっても安全という生命の問題にかかわることでございますので、厳しいいろいろな条件を踏まえながら、関係省庁の中にあって大臣がどうか御尽力いただきまして、最も国民にとって好ましい生活環境と制動性能が得られるような結論を得ていただきたいと思いますので、大臣の御決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  245. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 私は佐賀県でございますけれども、九州は総じてスパイクタイヤというのは余りないのですね。運輸省に参りまして、連日みたいに委員会で御議論の中にスパイクタイヤが出てくる。なるほど皆さん方の御意見を伺っておりますと、これは公害防止とか、あるいは安全対策からも非常に大切だなと私も十分わかりました。先ほどから答弁申し上げましたように、五十八年度から技術調査に入っております。やがてこの結果が出ると思いますので、この結果を踏まえて、関係省庁と十分連絡をとってまいりたいと思います。
  246. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  247. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 辻第一君。
  248. 辻第一

    ○辻(第)委員 最初に、国鉄運賃の値上げについてお尋ねをいたします。  今回の国鉄運賃値上げは旅客平均で四・三%となっております。五十二年の値上げ自由化になって以後今回で七回目、五十八年を除いて五十三年から毎年の連続値上げとなっております。これが国鉄の客離れを引き起こす要因となっておるということであります。  そこで、運輸省にお伺いをするわけですが、三大都市圏で昭和五十年度及び五十七年度の国鉄と民鉄の旅客輸送量の合計を示していただきたいと思います。
  249. 服部経治

    服部政府委員 お答え申し上げます。  三大都市圏におきます輸送人員でございますが、昭和五十年度につきましては、国鉄が五十四億一千二百万人、地下鉄を含めました民鉄の合計で九十三億三千万人でございました。それが昭和五十七年度には、国鉄輸送量が五十三億六百万人、地下鉄を含めました民鉄で百五億五千万人でございます。この間の伸び率は、国鉄がマイナス二%、民鉄がプラス一三%強でございます。
  250. 辻第一

    ○辻(第)委員 私が調べたのでは、地下鉄を除いて調べたのですが、それでは国鉄が五十年度約五十四億ですね。それが五十七年度には五十三億になる。それから民鉄が五十年度が六十四億だったのが七十億になっている。こういう大体同じ傾向であります。  運輸大臣にお尋ねをいたしますが、つまりこの七年間で、私の計算の方でいきますと、三大都市圏では国鉄は一億七百万人の減少であります。民鉄は逆に六億三千百万人の増加になっております。この数で見る限り、国鉄の客離れの原因を、モータリゼーションの結果だとかあるいは輸送構造の変化だとかいうふうに、単純に片づけることはできないと考えるわけであります。また東京で見ますと、新宿—八王子間で国鉄が四百四十円に対して私鉄、京王線では二百九十円です。私鉄に比べて国鉄が百五十円高い。このような現状があるわけであります。  三大都市圏の鉄道旅客が大幅に増加している中で、国鉄が減少し民鉄がふえているというのは、やはり連続運賃値上げによる国鉄からの客離れのあらわれでないか、このように考えるわけでありますが、運輸大臣の御見解を聞きたいと思います。
  251. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 三大都市圏の今の数字でございますけれども、私は率直に申し上げて、これは余り詳しくは存じません。ただ、今おっしゃる大ざっぱな数字だけでいけるかどうかという疑問は持っておりますよ。例えば走行キロが民鉄は延びてないかどうか、いろいろな問題があると思います。これは政府委員の方が適当だと思いますので、政府委員から答弁させます。
  252. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生御指摘のように、国鉄輸送量、まあ大きな落ち込みではございませんけれども、大都市圏におきましてはほぼ横ばい、若干減というようなことではないかと思います。それに対して私鉄の輸送量が伸びておる、これは事実でございます。その原因に、先生が御指摘のように、運賃の改定が影響していないということは申し上げられない、逆に言えばある程度の影響はあると思います。ただ、御承知のように、国鉄の場合には大変厳しい財政状況で、国民の皆様に助成金その他で大変な御負担をお願いしておるわけでございますから、やはり自前でできる限りの増収を図らなければいけない、そういうような観点から、ある程度の増収を得るための運賃体系というものはやむを得ないのではないかというふうに考えております。  ただその際、御指摘のように、競合する私鉄その他との競争関係、そういうものには十分配慮すべきでございまして、御承知のように、ここ三回ばかり改定の都度、今先生も御指摘のございました京王線との並行区間、そういうところにおきましては、特定の区間というような形で据え置きをいたしております。今回の改定と前回の改定におきましては、山手線、国電区間においてはそれなりに運賃の改定を見送っておるというようなことで、競争関係にはそれなりの配慮をしてきておるつもりでございます。  そのようなことでございまして、先生御指摘のような点が必ずしもないとはいえませんけれども、ある程度の改定はやむを得ないというふうに考えておるところでございます。
  253. 辻第一

    ○辻(第)委員 大臣、やはり数字で示したわけでありますが、民鉄がそんなにどんどん新線ができたということはないと思うのですよ。ですから、この数字は大体正確にあらわれているというふうに思うのですよ。ですから、やはり今の国鉄の客離れというのは、連続七回——五十八年、一回ありませんでしたけれども、その運賃の値上げによる客離れは非常に大きいということを篤と認識をいただきたいと申し上げたいと思います。  また、私は昨年十二月二十一日にもこの運輸委員会国鉄の純旅客収入が五十六年度、五十七年度、五十八年度はいずれも黒字になっており、赤字原因が資本費や特定人件費など、これまでの政策的な失敗のツケからきていることを指摘いたしました。今回の値上げは、この点からいっても全く不当だと私は考えております。  政府は、このように国鉄への客離れを招く運賃の値上げはやめて、国民や労働者の協力を得、本当にサービスを改善する積極的な営業政策を強めるなど、国鉄にお客さんを取り戻す措置をとって、国民の足国鉄として再建をすべきだと強く指摘をして、次に移りたいと思います。  次に、鉄建公団の問題でお尋ねをいたします。  運輸大臣、昭和五十四年十二月の閣議決定で「特殊法人の整理合理化」という項に鉄建公団が入っておるわけですね。そしてその中で「新幹線及び青函トンネルの本体工事が完了した時点」これは大体昭和五十八年度を指しておるようでありますが、「において、他との統合等を図る。」このようにされているということであります。御存じだと思います。ところが、今の鉄建公団の状況をいろいろお聞きいたしますと、どんどん仕事が減っておりますね。昭和五十四年度の鉄建公団の建設費が三千九百五十四億ですか、これが最高で、五十八年度では千八百九十一億あたりに減ってきておりますね。それから人もどんどん減ってきておりますね。定員が減ってきておる。昭和五十四年度が三千四百六十五名、このあたりがピークだと思うのですが、六十年度では二千三百六十九名、このように減ってきておるわけであります。国鉄の現状や国や地方自治体の財政事情なんか見てまいりますと、これから先の鉄建公団の仕事というのは、本当に大変な状態なんです。整備新幹線などがどんどんやられるということになりますと別ですが、これもまた議論の段階だということであります。こういう状況の中で、鉄建公団の職員の方、労働者の方、今の仕事を一生懸命やっておられるわけでありますが、暗やみの中におるというのですか、前が見えないという状況ですね。非常に暗い状況で仕事をしておられるわけであります。  年齢も、聞いてみますと平均三十五歳から三十八歳、まだできて二十一年しかたっておらないわけでありますから、大体そういう方が多いのです。そうすると、大体子供さんがかなり大きくなり出してきて、人生これからどうしていくのかという非常に大事なところへ差しかかっていると私は思うわけでありますが、その時点で前が見えない、どうなるのかというところへ来ているわけであります。それでどうか前を見せてほしいというのが労働者の偽らざる声であります。青函トンネルも一応貫通いたしました。あと大きな仕事は一年ぐらいで片がつくのじゃないでしょうか。そういうところへ来ております。上越なんかも既に済んでしまっておるわけであります。そういうところへ来ておりますので、いつどのような統合等をやられるのかはっきりしてほしいというのが職員、労働者の声であります。大臣、いつどのようにやっていかれようという方針といいましょうか計画なのか、お尋ねをします。
  254. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 今おっしゃるとおりに、昭和五十四年の十二月二十八日の行政改革の実施に伴う閣議決定で、このことが触れられております。その中で鉄建公団につきましては、「上越新幹線及び青函トンネルの本体工事が完了した時点において、他との統合等を図る。」こういうふうになっておるわけでございます。これも今おっしゃいましたとおり、上越新幹線につきましては五十七年の十一月に開業いたしておりますが、青函トンネルは、今一年とおっしゃいましたけれども、正確に申し上げますと六十二年完成ということで、今その完成に努力をいたしておるところでございます。  そこで、「他との統合等」ということを具体的にどのように進めるかということは、これは今後の鉄建公団に対する社会的ニーズの動向あるいは現在の同公団が保持しております鉄道建設技術の承継の方法あるいは公団職員の処遇とか、さらには国鉄経営再建問題との関連等、多角的な視点からこの問題は判断すべきであろうと私は思われます。今いろいろな面からこの検討を進めているところでございます。
  255. 辻第一

    ○辻(第)委員 今御答弁いただいたわけでありますが、それじゃ、まだ当分は変わらないという、その経過あるいは方向なども教えていただくというわけにいきませんか。
  256. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 今申し上げましたとおりに、そういった多角的立場からも検討中でございますから、まだ結論を得ておりません。
  257. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほど申し上げましたように、本当に前が見えない、本当に暗いという状況ですね。もっと端的に言いますと、はっきり方針とか方向が示されれば、今からでもそれに応じた対応をしていく、ここら辺がとにかくずるずると引き延ばされていっている、それで決心がつかぬという状況ですね。そういうことでありますので、先ほどいろいろ説明がありまして、まだ青函も六十二年だとかあるいは監理委員会というような話もありますけれども、できるだけ早く決定をして、それを職員、労働者の前に提起をしていただきたい、強く要望をしておきたいと思います。  それと鉄建公団は、そういうふうに仕事がない、人もどんどんそういう状況で減らさなければならないという状況になってきていますね。最近中堅幹部といいましょうか、局の部長さんあたりじゃないかと思うのですが、四十歳を超えるような方を三名ほどいわゆる肩たたきですね、そして民間へかわっていかれた。悪く言うたら天下りということになるのでしょうか、そういうことをやられた。これまではそういうのはなかったみたいなんですが、そのくらいの年齢ですね。これは職員の方に非常に動揺、不安を与えているのです。仕事がなくなったら、今度は我々もああいうことになるのではないか、こういうことであります。  さらに、そういう状況でもあるのに、国鉄から仕事がなくなってきて、人が要らぬような状況に、また鉄建公団へ来ておられるという状況があるようですね。そうなんだそうです。いろいろ矛盾しているのですがね。とにかくそういうふうに、これから先どうなるのかという非常な不安が強まっておる。そういう状況の中で仕事をしていらっしゃるというのが現状であります。  鉄建公団をつくられた経過その他については、いろいろ我々論議があるところでありますが、とにかく国の、政府の政策として、方針として鉄建公団がつくられて、お勤めになっている方は一生懸命やってこられたわけでありますから、運輸省として、政府としてこれらの方々に対するこれからの対応ですね、本当に誠意のある、責任のある対応をしていただきたいと思うのですが、いかがですか、大臣。
  258. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 いま御指摘になりました三人の問題、私よく存じませんが、しかし、やはり幹部の職員というものは、足し算引き算みたいな、そんな簡単なものじゃないと私は思います。やはり有能な人材を適材適所ということでございますから、そのような措置が行われたと理解いたしております。  将来の問題については、職員の不安を少しでも除去するような方向で、鉄建公団の今後の措置というものは考えていかなければならないと思います。
  259. 辻第一

    ○辻(第)委員 運輸省として、政府として本当に誠意のある、責任のある態度で臨んでいただきたいということを強く要望して、次に移ります。  次に、三月二十八日に、東大阪生駒電鉄が進めている生駒トンネル掘削工事のために、ちょうどその上にあります東大阪市の上石切町というところで民家が崩れ落ちたんですね。住民七世帯、十五人が九日間も避難しなければならないという事故が起こったわけであります。私は行くことができなかったのですが、地元の経塚幸夫衆議院議員が調査をされまして、私の現地の秘書も参加してきたわけでありますが、この問題はやはりいろいろ問題があるのですね。ことしの一月ごろから四十本ほどあった井戸がかれてきたとか、それから離れがちょっと落ち込んできたとか、それからちょうど陥没したところの離れの家の方の庭の池の水が変わってきたとか、そういうことがあったのですね。トンネルの関係ではないか、そういうことも考えられて、会社へその異変を訴えておられたということがあるのですね。ところが会社側は、建設をされる側は、工事のところから真上に高さが八十メートルあるので、まさかというようなことで十分な調査もされなかった、十分な対応がされなかったというような問題もやはりあるのですね。  それから、この工事をやっておられるところで、水平ボーリングがこのごろやられるようでありますが、これも非常に新しい方法なんだそうです。事故直後には、電鉄側はボーリングは週一回やっておりましたと言っておられたのですが、その後よく調べてみると、実際は三月三日に六十六メートルをやって、そして六十メートルを掘った。それから二十四日が次ですから二十一日あいているのです。事故が起こったら、一週間に一回やっておりましたと言って、実際はこれだけあいていた。そういうこともあって、問題があったと言わざるを得ないですね。  幸い地上の民家も命だとかけがだとかいうようなことはどうもなかったのです。またそこで仕事をなさっていた労働者にもけがもなかった、亡くなるというようなこともなかった。こういうことは非常に幸いだったと思うのです。しかし、もう少し間違えば、さらに人命まで奪うことになったのではないか、こういうことがあったのです。やはりその中には、慎重さに欠けておった、仕事を急ぐ会社の姿勢があったのではないか、こういうことも私どもは考えているわけであります。  当面の対応については、陥没をした地元あるいは東大阪市の要望に基づいて一定の対応をしていただいているということでありますが、それはもう十分やっていただきたい、そのような御指導をいただきたいということが一つ。  それから、やはり原因の究明を急いでやるべきではないか。しかも運輸省の責任で、そして公平な立場の第三者である専門家、学者ですか、そういう方も加えて公正な原因究明を早くやっていただきたいと思うのですが、やられるとすれば、いつごろになるのかということをお尋ねいたします。
  260. 服部経治

    服部政府委員 お答え申し上げます。  今回、東大阪生駒電鉄のトンネル工事におきまして、大変不測の事故が起こりまして残念に思っております。先生ただいまお尋ねの中には幾つかの問題の御指摘があったわけでございますが、まず井戸の渇水問題でございます。これにつきましては、工事に着手いたしますよりも前の段階で、あるいはその直前の段階ないしは工事中にもしかるべき井戸がれへの対応策を講じてまいっておるところでございます。  それから、ボーリングにつきましても、詳しい数字は省略いたしますけれども、こういった性質の工事からいたしまして、必要なボーリングは随時行ってきておるというふうに承知いたしておるところでもございまして、決して東大阪生駒電鉄のこの工事に対する取り組み、対応姿勢に特に問題があったというふうに今の時点で申し上げられる段階ではない。それは最後に先生御指摘の原因究明のために行われます今後の調査の結果いかんを踏まえて判断されるべき問題かと思います。  最後のお尋ねの原因究明のための調査でございますが、これは東大阪生駒電鉄といたしましても、一日でも早くその原因究明のための各種の技術調査に取りかかりたい意向を持っていると私承知いたしております。  なお、これにつきましては、東大阪市の御意向もかなりあるやに聞いておるところでございまして、東大阪市の方とも連携を密にいたしまして、できるだけ早く原因究明の調査に取りかかるべきである、そのように思っておりますし、私どももそういう角度から重大な関心を持って見守ると同時に、東生電に対してもしかるべき指示を与えたいと考えております。
  261. 辻第一

    ○辻(第)委員 第三者を含めた公正なということはどうですか。
  262. 服部経治

    服部政府委員 済みません。答弁漏れでございます。  この原因究明に当たりましては、当然のことではございますけれども、公正な第三者、すなわち学識経験者でございますとか、こういったトンネル工事のオーソリティー、経験者を含めました公正な場で技術的な調査の結果を踏まえていろいろと御検討いただき、御判断いただくということが当然であるというふうに考えております。
  263. 辻第一

    ○辻(第)委員 その原因を究明した調査結果、もちろん題係住民を初め公表していただきたいと思いますが、いかがですか。
  264. 服部経治

    服部政府委員 この原因究明の結果につきましては、関係の自治体、すなわち東大阪市と緊密な連携をとりまして、説明会の開催など地元住民への公表を確実に行わせるように関係者を指導いたしたいと考えております。
  265. 辻第一

    ○辻(第)委員 運輸省として十分な対応をしていただきたい。改めて要望しておきます。  生駒山に、東生電のトンネル以外に国道三百八号線のバイパスといいましょうか、第二阪奈道路の建設計画があるのですね。先ほど申しました陥没事故の例で見られますように、全体としては、生駒山がトンネルを掘るのにそんなに難しい山かどうか、それはいろいろ論議があるのでしょう。しかし、断層地帯があったり破砕層があったり、やはりそういう問題のところがたくさんあるみたいにも聞いているのです。そしてこういうような事故も起こったということですね。その経験の中には、住民の方がいろいろ情報を提供されても、それに対してどうも不十分だったと言わざるを得ぬと思うのですが、そういうこともある。そういうことも含めまして、今回の事故を教訓にして、事前の調査を十分にやっていただきたい、このように思うわけであります。地質の問題も、それから十分に事前調査、環境影響評価、アセスメントをやって、そしてそれを地域住民あるいは地方自治体の人に十分公表する、説明をする、そして合意と納得の上に進めるべきだ、このように考えるわけであります。  残念ながらもう時間がありませんので、詳しく申し上げることはできませんが、何回も申し上げてきましたので、課長よく御存じだと思うわけでございますが、これまでの経過の中では非常にアセスメントが不十分であったり、あるいは地元の人への説明といいましょうか、都市計画法での縦覧云々というような問題も大変不十分な状況で進められていると私は聞いておる、認識をしておるわけであります。この例で見られますように、そういうことがないように、十分な事前の調査やあるいはアセスメント、そしてそれを公表し、民主的に住民の合意や納得の上で進めていく、そういう態度を建設省としても十分指導していただきたい、このように思うのですが、いかがですか。
  266. 駒田敬一

    ○駒田説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、三百八号のバイパスの立地地点は非常に地質が悪いところでございます。地質調査につきましては、私どものところでは昭和四十六年からボーリング、それから物理探査等をずっとやってまいりました。またトンネルにつきましては、現地で専門家を集めたトンネルの委員会をつくって技術的な検討をいたしておるところでございます。今回の東大阪生駒電鉄の事故の教訓もございますので、実施に当たっては、これを十分に踏まえて慎重に進めてまいりたいと考えております。  それから、地元説明がないという御指摘でございますが、都市計画決定をやります際には、地元説明をすると県は申しておりますし、その説明に基づいて案をつくって、これを縦覧しまして、また市町村の意見を聞いたり住民の方々の御意見を聞いたり、最終的には都市計画地方審議会に諮って決定してまいります。その段階で環境アセスメントも実施いたしますので、先生の御指摘のようなことがないように、十分に周知するように県を指導してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  267. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  268. 三ツ林弥太郎

  269. 梅田勝

    梅田委員 去る四月十六日に、昭和六十年度の東京都の二酸化窒素、NO2の環境基準を、新年度に入りましてわずか十一日しかたっていないのに、その時点で突破した、そのような発表を東京都がしたことはまことに重大でございます。NO2の環境基準の上限の一日平均値〇・〇六ppmを上回る日は一年間に一週間以内とされておりますのに、わずか十一日で八日、これをオーバーした。これはまことに重大な問題でございまして、環境庁はどのように考えているか。環境庁は昭和五十三年に大気汚染防止法の環境基準を大幅に緩和いたしました際に、新しい基準につきましては、七年後の昭和六十年三月末までに環境基準を実現する、再々そのような約束をされてきたはずでございますが、責任をどうおとりになるつもりですか。
  270. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 お答えいたします。  窒素酸化物の対策に関しましては、先ほど先生御指摘の五十三年に改定されました環境基準の達成に向けまして各種の対策を講じてまいっております。固定発生源対策、移動発生源対策、それぞれに逐次強化を図ってまいっておるところでございますが、御指摘のように、東京都におきましては、六十年度に入りましたある時点におきまして、一測定局において既に八日間〇・〇六を超えたという速報値が得られております。厳密に言いますと、一年間で長期評価するわけでございますが、この局についてのみ言いますと、このあと一年間幾ら頑張ってももう合格しないという意味合いになるわけでございますが、今後とも東京都におきましても、ほかの地域においても頑張りますし、環境基準を達成できないとしても、百点満点取れなくても、ぎりぎりのところまで頑張るというのが我々の考え方でございます。  なお、私どもとしましては、窒素酸化物に関する対策をさらに効果的に推進することを目的といたしまして、近く学識経験者あるいは公共団体の行政責任者も交えました検討会を持ちまして、今後とも地方自治体とも協力いたしまして、対策を確立し、さらに進めていく方向で努力したいと思っております。
  271. 梅田勝

    梅田委員 五十八年度の東京における環境基準の達成率は、一般局の八五・七%に対して自動車排出ガス測定局では、前年度に比べて向上したとはいえ、まだ三九・三%で、極めて低いというのは従来からはっきりしているわけです。今回は入口のところで基準達成は絶望だと言っているような状況でしょう。もっと事態を深刻にとらえて、発生源対策をどうするか、あるいは総量規制をどうするかということについてもっときちんとした対応をしないと、私はうまくいかないと思うのです。  そこで運輸大臣にお尋ねいたします。  そんなことでございまして、自動車がどんどんふえるから、今までいろいろやってきたけれども、なかなか成果が上がらぬという問題も私は一応わかります。それだけに自動車問題を管轄している運輸省の責任は非常に大きいということで、今回の問題についてどう考えておられるか。  いま一つは、去年の八月の朝日新聞を持ってまいりましたが、「車の排ガスNOx規制新車検査OKでも二割が基準超す」ということで「生産時、排ガス規制には合格しながら、現に道路を走っている車(使用過程車)の約二割は合格時の許容限度値を上回る窒素酸化物(NOx)を排出している」ということで、幾ら新車のときに検査しておっても、実際走っておるのは相当違反車が多いという状態になっている。そういう事実を明らかにして、運輸大臣に対しまして、「自動車排出ガス規制の許容限度遵守に係る指導強化について」という要望が昨年の七月五日付で東京都知事から出されている。「東京都においては、排出ガス対策が使用者と整備工場に委ねられている一般の使用過程車について、窒素酸化物等の排出実態を調査してきたところでありますが、この結果は別表のとおりであり、測定した五十二台中二十三台が、排出ガス許容限度を越えておりました。」ということで、メーカーに対しても厳重な指導をしてもらいたい、こういう要望が出ておったわけです。その結果、今回の事態でしょう。だから、そういう点を考えると、運輸省としての対応は甘かったのではないか。この二点について大臣の御所見を承りたい。
  272. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 総論的なことだけ申し上げましょう。  御指摘のとおり、基準達成がなかなかうまくいっていない。しかし、これは放置しておったわけではなくて、関係省庁、本当にみんな知恵を出し合って、特にNO2の問題についてやってきておることは事実でございます。基本的に都市の構造が違うということも私はあると思うのです。例えばアメリカやヨーロッパ等におきましては、都市面積に対する道路の保有率が三〇%以上というのが多いのですね。東京はどうでしょう。恐らく一五、六%ぐらいでしょうか。だから、これを基本的に解決するには、そういう都市構造から変えなければいけませんよ。ですから、現行においてやるとするならば、やはり発生源である自動車交通合理化から考えていかなければならぬ。もちろんこのNO2対策も直接やっておりますし、年次計画で今後も進めてまいりますよ。同時に、やはり自動車交通の合理的な面も考えていくということになりますと、午前中も御答弁申し上げましたけれども、公共交通機関の利用について、例えばそのためのバスサービスの改善であるとか、あるいは鉄道の整備であるとか、あるいは貨物につきましても、物流基地の適正配置であるとか協同輸送の推進、そういった総合的な対策を寄ってたかってやらなければなかなか達成できない。そのためには、また私ども関係省庁とみんなで知恵を集めて、ひとつ精力的にこの問題には取り組んでまいりたいと私は思います。
  273. 神戸勉

    神戸説明員 お答えいたします。  運輸省としまして、自動車の排ガス公害対策につきましては、常日ごろからその重要性については十分認識しておるところでございますけれども、まず御質問にありました東京都の要望についてでございますけれども、新型自動車の型式指定の際に、排出ガスの性能、それからまたその耐久性につきましても確認いたしまして、またユーザーにつきまして的確な点検整備の励行というようなことで啓蒙に努めているところでございます。  また、ほかに御質問のありました、甘かったんじゃないかというお話でございましたけれども、私どもも自動車の排ガス対策につきましては、中公審の答申を受けまして、関係省庁とも打ち合わせをし、長期計画をもって規制を進めてきたところでございまして、またただいま先生御質問のありましたような現象もあるわけでございますので、また関係省庁とも話を詰めて積極的に取り組んでいきたいと思っております。
  274. 梅田勝

    梅田委員 法律というのは何でも、法律でも規則でも何でもそうですけれども、抜け穴があると、そこへみんな流れていくのですよ。ざる法と言うのだね。だから、どれだけ仕掛けをして漏れぬようにするかということが行政の非常に重要な責任だと私は思うのですよ。  それで、昨年の東京都の要望が出ましたときに、あなた方の方の室長の方が新聞に出ておるわけだけれども、「排ガス規制の趣旨からいって、使用過程中も」含め「合格時のNOx許容限度値は維持されるべきで、こんごも、従来通り業界を指導していきたい。」こういうように言っておるのです。今あなたが答弁したと一緒のことを言っている。しかし、使用過程車に対してどんな指導ができるのですか。点検ができるのですか。公害の規制法に基づいて、運輸省としては道路運送車両法によって環境基準達成のための発生源規制をやる、いろいろ措置をやってきた。ところが実際は、一たん型式に合格すると、後は野放しじゃないか。車検をやるときにテストをしますか。野放しになっている第一点の問題としては、この使用過程車の検査ができていない。定期点検チェックと言っておりますけれども、では、そこで実際整備工場でやれますか。それから車検のときにやれますか。お答えください。
  275. 神戸勉

    神戸説明員 お答えいたします、  窒素酸化物は、エンジンの特性からいたしまして、一般的には使用に伴って排出量が増加するという傾向にはございません。  また私ども、先ほど先生の御質問にありましたように、新車時に排出ガス防止性能につきまして審査いたしますとともに、その耐久性についてももちろん確認しているわけでございます。  また、御質問のありましたように、車検場なり整備工場で窒素酸化物を測定できるような簡単な測定装置というのは、まだ開発されてない状態でございまして、使用過程の車について測定することは困難な状況でございます。
  276. 梅田勝

    梅田委員 要するに、NOxについては検査ができない。一億円ほどかけると検査する機械があるそうだけれども、それは型式のときだけ使われておる。それは全国にある整備工場や我が国の国の側の車検場にはない。  あなた方は、簡易測定機が技術開発としてはまだ完成してない、いろいろなことを言われているわけですけれども、しかし、いわゆる炭化水素、HCや一酸化炭素、COの場合、これは点検基準値というものが設けられてチェックされている。ところがNOxにはないわけですから、点検のしようがない。法律でも、罰則がなかったら、これはざる法になるのだ。取り締まりしても、ちょっと怒られたぐらいで済むのだったらどうということはないというふうになるでしょう。こんなことでは全然発生源規制というのは進みませんよ。  それで、あなた、型式をやったんだから後はうまくいくはずだと言うけれども、この東京都の五年間にわたって調査した資料によりますと、先ほど言いましたように、五十二台中二十三台が違反しておった。例えばトヨタは十三台、そのうち四台はだめだ。そしてもう一遍これは点検やり直したといって整備をやった。整備をやったけれども、なおかつ一台はどうにもならぬ状態だ。つまり全体としては二割ほどがだめだというのがこの東京の数字で出ておるわけです。  だから、メーカーに対してもっと厳格な仕事をやれということと、それから中間で車検の際に点検ができるような体制というものをどうしてもつくらなければ、発生源対策としては不十分だ。  それで、車がだんだん増加していくといっていろいろ総量規制をやらなければいかぬというのに、今ごろは公害問題、大分ちょっと静まって、鎮静化してきたというようなことで、最近は緩和の方向でちょっと緩める傾向が出ているでしょう。——いや、総量規制でですね、交通規制の問題で。  だから、いろいろ言われておりますが、きょうも資料をいただいたんですけれども、なぜ簡易測定の機械がうまくいかないのか。運輸省として、そのためにどのような努力をしてきたか、予算はどれほど使ってやってきたか、その予算の状態は最近はどのようになっておるか、ちょっとお答え願いたい。
  277. 神戸勉

    神戸説明員 お答えいたします。  窒素酸化物はアイドルの運転時にはほとんど排出されないというものでございまして、窒素酸化物の測定に当たりましては、一酸化炭素あるいは炭化水素と異なりまして、負荷をかけた状態で測定する必要がまずございます。さらに車検場、整備工場で使用するためには、簡易でなおかつ短時間に精度よく測定できることがどうしても求められるわけでございまして、このような厳しい条件を満足する機器、測定法というものの開発は非常に技術的に難しい問題で、今の状態になっているわけでございます。  また、低公害自動車の使用過程における排出ガス特性把握法の研究ということで、運輸省としまして昭和五十四年度から五十六年度まで約七千五十万ばかりの予算を計上いたしております。  この研究結果によりますと、測定機の開発、試験法の単純化あるいは測定精度の向上等の問題がまだあるということで報告を受けております。
  278. 梅田勝

    梅田委員 これは昭和五十四年度から三年間にわたりまして、今言われたように、七千四十八万円ほど予算をつけてやられて、それで僕も報告書をいただいたのだけれども、いろいろあの手この手で我々も調べたのだけれども、相当低額の予算でできるということが言われているのですよ。それであなた、負荷をかけた状態でないと検査ができない、その装置は大変金がかかるというように言われるけれども、我々は困難にぶつかったときには、いろいろ闘志を燃やしてそれを乗り越えていくわけ。矛盾は発展の原動力という言葉があるでしょう。困難な問題のときこそ新しい進歩が生まれてくるわけ。あるいは失敗は成功の母、こういう困難にぶつかってこそ技術屋というものは闘志を燃やして、何とか安くて簡単にできるような機械を開発できぬかということで闘志を燃やしてもらわないと、私は困るのですよ。三年間せっかくやって、もうこれは中止だ。あなたの方は基礎的な資料を得られたということで中止しちゃったのだけれども、こんな重大な問題について継続的になお力を入れていくということを何でやらないの。どうでしょう。
  279. 神戸勉

    神戸説明員 先生御質問の研究につきましては、交通研で三年計画でやったわけでございますけれども、それによりまして、窒素ガスの簡易測定法に関します基礎的なデータというものは終了したわけでございまして、その調査によりまして問題点が一応明らかになったわけでございます。  今後につきましては、その問題点というものを解決すべく、今までは国がどういう問題点があり、今の状態でどういうネックになっている問題があるかということを調査で見出したわけでございまして、その困難な問題につきまして、民間事業者を含めまして、民間で商品としてそういうものを開発していくものだと私は認識しておる次第でございます。
  280. 梅田勝

    梅田委員 公害は待ってくれないのよね。それで有毒ガスでどんどん、どんどんぜんそくになったりする人が出てくるんだから、事人命にかかわる問題ですから、そんな弱い姿勢じゃなくて、もっと国としても力を入れてやる。検査するのは国の責任ですから。そうでしょう。メーカーの方はつくるわけ。しかし、それがいいか悪いかということを判断下すのは国じゃないですか。それが予算はつけない、予算要求すらしてない、こんな弱い姿勢では私はだめだと思うのですね。  それから次に、新車のときの規制がまた弱いというのがしり抜けの第二番目ですよ。これはいわゆる走行テストというのをやられておるわけでありますが、いずれも低速時の運転モデルをもとにして規制値が設定されておる。ところが高速になると、これはもう機械が機能してない。だから、今日のように高速道がどんどん、どんどんできて、自動車がぱあっとスピード出して走っておるわけ。そのときにはもうNOxは出しっ放しだ。もう機能してない。だからそのようなやり方というものは再検討すべきではないか。新しい基準というものを設けるべきではないか。どうですか。
  281. 神戸勉

    神戸説明員 お答えいたします。  現在の排出ガス試験に用いてます走行モードは、運輸省交通安全公害研究所におきまして、走行ルート、時間帯及び交通事情等さまざまな条件のもとで自動車の走行実態につきまして調査を行い、代表的な市街地を走行する場合を反映するものとして作成したものでございます。  この走行モードは、四十八年の排出ガス規制から採用し、今日に至っております。その後の交通環境等の変化に伴い、交通の実態にそぐわない面が出ているおそれもあることから、本年度から交通安全公害研究所におきまして、走行モードの構成手法の調査研究を開始しているところでございます。この調査結果を踏まえまして、さらに検討してまいりたいと思っております。
  282. 梅田勝

    梅田委員 スピードを出したら規制装置が機能していないというのは、これは欠陥商品ですよ。これはちょっと認識していただきたいですね。  それから第三点のしり抜けは、ディーゼル車の規制が非常に弱いということでありまして、乗用車に比べまして、まずNOx規制のやり方が弱いわけ。ところが大型のトラックやバスは軽油が燃料のディーゼル車。しかし、乗用車規制による低減率で調べてみますと約九二%、ディーゼル車につきましては、副室式で四八%、直接噴射式で五一%の低減率ということで、非常に低いのですね。燃料の消費量で見ますと、全体の総量から見ますと、ガソリン車の約二倍ディーゼルの関係は使っているわけ、軽油の関係は。そうしますと、トラックやバスというのは、機能的にはよけい走っておるわけ。だから、ここを規制しなかったら、総量のあれはなかなか減らぬよ。そこの基準が甘いというのは、何としても全体として大気汚染が広がっていくという原因になる。そこのところをどう改善していくか、お考えを示していただきたい。
  283. 神戸勉

    神戸説明員 ディーゼル車の排出ガス規制につきましては、五十二年十二月の中央公害対策審議会答申によりまして、その長期目標が設けられたものであり、この目標値は技術的に達成可能なぎりぎりの限度として設定されたものでございます。  その答申に基づきまして、これまで五十四年、五十七年、五十八年の三次にわたりディーゼル車の規制を計画的に強化してきたところであり、今後とも環境庁と密接な連携を保ちつつ、低公害車の普及の動向、排出ガス低減技術の開発状況を見守りながら対処してまいりたいと思っております。
  284. 梅田勝

    梅田委員 あなた方の答弁を聞いておったら、何でも困難困難言って、先ほども申し上げたように、困難に直面したときに闘志を燃やさなければならない。そうでなかったら公害規制なんかできませんよ。確かにディーゼル車、そう簡単にいかぬというのは、私も技術者の端くれですから、エンジンが専門ですから、だからよう知っておるけれども、しかし、そういう困難に直面したら一生懸命知恵を絞らなければいかぬのよ。  ところが、自動車が一方どんどん、どんどんふえるでしょう。しかし、国のそれに対応する、例えば車の車検の要員につきましてもふえていないというのは、私非常に心配でありまして、ここ二十年間ばかりに要員の関係はどうなったか。自動車のふえ方に対してどうなっているかというので資料要求いたしましたら、昭和三十九年に自動車の台数は六百九十八万台ですか、これを一〇〇といたしまして、昭和六十年、四千七百六十八万四千台、六八三ですね、倍率が。要員の方は千三百二十五人ですね。千三百二十五人を一〇〇として、現在は千九百八十二名、一五〇という倍率だ。これを聞いて、こんな体制では十分な検査もできぬわい、これでは整備工場に対する指導もできぬわいと思ったのでありますが、大臣、もう時間がございませんので、全体として運輸省としてこの大気汚染をつくり出している自動車の排ガス規制の問題について、今までの対応の仕方というのは非常に甘い。これをどうするか。それから車検場あるいは民間車検が行われておりますが、そういう整備工場に対しての指導の要員も非常に手薄だ。これを何とかしなければならぬということについてひとつ闘志を燃やしていただきたいと思うのでありますが、御決意をお伺いしたい。
  285. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 こういうときにこそ一生懸命知恵を絞れということを再三おっしゃっていますが、知恵は一生懸命絞っていると思うんですよ。ですけれども、やはり医学にしても工学にしても、できないものはできないでまだ残っておるものはたくさんあるんですね。そういう中で、とにかく今後ともこれをやらなければならぬことは確かでございますし、さっき申し上げた発生源の問題も含めて、これは総合的にやっていかなければなりません。今後とも努力をいたします。
  286. 梅田勝

    梅田委員 まだ若干時間が残っておりますので、一言言っておきますけれども、まだきょうはたんと質問することがあるんですよ。この間、車検登録事務所の設置の承認案件の際に、私は実はこれをやろうと思っていたのです。ところが、質疑を申し出たにもかかわらず許されなかったということがございまして、委員長、だから今後、やはり承認案件の問題でありましても、軽視しないでひとつ十分に質疑をするということを要望しておきまして、ちょっと早い目ぐらいですけれども、私の質問を終わります。      ————◇—————
  287. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 この際、本日付託になりました左近正男君外九名提出都市における公共交通環境整備に関する特別措置法案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。左近正男君。     —————————————  都市における公共交通環境整備に関する特別   措置法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  288. 左近正男

    左近議員 提出者を代表し、ただいま議題となりました都市における公共交通環境整備に関する特別措置法案の提案理由並びに概要について御説明いたします。  今日、モータリゼーションの進展や都市への人口の集中により、都市部における道路交通は慢性的な渋滞を来し、路面電車、バス等の公共交通機関はその機能が著しく低下しております。  したがって、この際これら公共交通の機能回復のため抜本的な諸施策を講じ、その輸送サービスの質を高めることによって利用者需要にこたえることが国民経済的にも重要なことであります。また、こうした公共交通の環境改善を進めることは、利用者の利便性や快適性を向上させるだけでなく、今日の騒音、振動、排気ガスなどの公害や事故防止にもつながることにもなります。  よって本法案は、全国の各都市において、緊急に公共交通の環境の整備を図ることが必要な都市公共交通環境整備都市として指定し、当該市長等が先頭になり、公安委員会道路管理者及び交通事業者と協力しながら必要な施策を果たす仕組みをつくり、利用者需要に的確にこたえ、もって住民の福祉の向上に寄与しようとするものであります。  次にこの法案の概要について簡単に申し上げます。  まず、この法律において「公共交通環境整備都市」とは、東京都、大阪市その他慢性的な道路交通の渋滞により公共交通の機能が著しく低下しており、緊急に公共交通の環境の整備を図ることが必要なものとして政令で定める基準に該当する都市とします。また、本法の対象とする「公共交通事業」は、軌道業と一般乗り合い旅客自動車運送事業とします。さらに「道路管理者」とは、道路法に規定する道路管理者であります。  次に、この法律の中心となります公共交通環境整備計画についてでありますが、公共交通環境整備都市の長は、国の助言や指導を受けながら、関係交通事業者や住民の意見を聞き、その都市における公共交通の環境の整備に関する計画を作成することとします。その際、東京については、東京都公安委員会及び道路管理者に、その他は道府県知事、道府県公安委員会及び道路管理者とあらかじめ協議しなければならないことにします。  そしてこの計画は、  一、公共交通円滑化及び公共交通環境整備を図るための道路の新設、改築等に関すること。  二、道路標識、街灯など道路の附属物で公共交通の環境の整備を図るためのものの整備に関すること。  三、バス専用・優先通行帯及び駐停車禁止場所の設定、優先信号機の設置等公共交通運行円滑化を図るための事項。  四、バス総合管理システム、バス接近表示システム、バス乗り継ぎターミナル、停留所の上屋等公共交通利用者の利便性及び快適性を図るための施設及び設備の整備に関すること。  などの内容について定めることとします。そしてこの策定された計画は、各都道府県の公安委員会及び道路管理者、道府県知事に送付するとともに国家公安委員会、運輸大臣及び建設大臣に提出しなければならないこととします。  また、国は、公共交通環境整備都市の長に対し、計画作成のために必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならないが、あわせて公共交通の環境の整備促進するための財政上の措置をも講ずるよう努めなければならないこととします。  以上が法案の概要であります。  各委員におかれましては、ぜひとも本案に示された内容を十分御検討の上、この際、国民の期待する新たな制度の確立のため格段の御協力をお願いするものであります。  何とぞ慎重審議の上、速やかに御可決くださいますようよろしくお願いをいたします。(拍手)
  289. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時七分散会      ————◇—————