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1984-12-21 第102回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十九年十二月一日)(土曜  日)(午前零時現在)における本委員は、次の  とおりである。   委員長 福家 俊一君    理事 鹿野 道彦君 理事 久間 章生君    理事 三塚  博君 理事 小林 恒人君    理事 吉原 米治君 理事 近江巳記夫君    理事 中村 正雄君       加藤 六月君    佐藤 文生君       関谷 勝嗣君    田中 直紀君       近岡理一郎君    津島 雄二君       林  大幹君    堀内 光雄君      三ツ林弥太郎君    箕輪  登君       山村治郎君    若林 正俊君       兒玉 末男君    左近 正男君       関山 信之君    田並 胤明君       富塚 三夫君    西中  清君       森田 景一君    河村  勝君       梅田  勝君    辻  第一君     ――――――――――――― 十一月一日  福家俊一委員長辞任につき、その補欠として  三ッ林弥太郎君が議院において、委員長選任  された。 ――――――――――――――――――――― 昭和五十九年十二月二十一日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 三ツ林弥太郎君    理事 鹿野 道彦君 理事 久間 章生君    理事 津島 雄二君 理事 小林 恒人君    理事 吉原 米治君 理事 近江巳記夫君    理事 河村  勝君 理事 中村 正雄君       加藤 六月君    佐藤 文生君       関谷 勝嗣君    田中 直紀君       近岡理一郎君    林  大幹君       福家 俊一君    堀内 光雄君       山村治郎君    若林 正俊君       兒玉 末男君    左近 正男君       関山 信之君    田並 胤明君       富塚 三夫君    浅井 美幸君       薮仲 義彦君    梅田  勝君       辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山下 徳夫君  出席政府委員         運輸政務次官  小里 貞利君         運輸大臣官房長 永光 洋一君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸省国際運輸         観光局長    仲田豊一郎君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省貨物流通         局長      栗林 貞一君         運輸省港湾局長 小野寺駿一君         運輸省航空局長 西村 康雄君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   山崎  毅君         大蔵省主計局主         計企画官    藤井 誠人君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       鏡味 徳房君         運輸省航空局飛         行場部長    松村 義弘君         労働省労働基準         局監督課長   菊地 好司君         建設省道路局高         速国道課長   布施 洋一君         日本国有鉄道総         裁       仁杉  巖君         日本国有鉄道常         務理事     竹内 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     坂田 浩一君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         日本国有鉄道常         務理事     岩崎 雄一君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ――――――――――――― 委員異動 十二月一日  辞任         補欠選任   森田 景一君     橋本 文彦君 同月四日  辞任         補欠選任   梅田  勝君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   浦井  洋君     梅田  勝君 同月六日  辞任         補欠選任   梅田  勝君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   浦井  洋君     梅田  勝君 同月十一日  辞任         補欠選任   梅田  勝君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   浦井  洋君     梅田  勝君 同月十二日  辞任         補欠選任   梅田  勝君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   浦井  洋君     梅田  勝君 同月十二日  辞任         補欠選任   梅田  勝君     浦井  洋君 同日 辞任          補欠選任   浦井  洋君     梅田  勝君 同月十八日  辞任         補欠選任   西中  清君     浅井 美幸君   橋本 文彦君     薮仲 義彦君 同月二十一日  理事浜野剛君十一月二日委員辞任につき、その  補欠として津島雄二君が理事に当選した。 同日  理事中村正雄君同日理事辞任につき、その補欠  として河村勝君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十二月一日  地域交通整備法案小林恒人君外六名提出、第  百一回国会衆法第二四号)  交通事業における公共割引国庫負担に関する  法律案吉原米治君外六名提出、第百一回国会  衆法第二五号) 同月十三日  国鉄瀬棚線存続に関する請願佐藤孝行君紹  介)  (第一二四号)  国鉄分割民営化に関する請願志賀節君紹  介)(第一五四号) 同月十八日  国鉄若松車両センター廃止反対に関する請願外  一件(兒玉末男君紹介)(第二三七号)  国鉄瀬棚線存続に関する請願奥野一雄君紹  介)(第二三八号) は本委員会に付託された。 十二月十九日  国鉄地方交通線存続に関する陳情書  (第五六号)  第三次特定地方交通線選定調査に関する陳情  書(第五七号)  国鉄分割民営化に関する陳情書外二件  (第五八号)  九州新幹線建設促進に関する陳情書  (第五九号)  国鉄駅の無人化反対に関する陳情書  (第六〇号)  国鉄能登線存続等に関する陳情書  (第六一号)  国鉄福知山線及び山陰本線の複線電化促進に関  すも陳情書(第六二  号)  国鉄岡多線及び瀬戸線早期開業に関する陳情  書(第六三号)  中部圏における新国際空港建設に関する陳情書  (第六四号)  新広島空港の早期建設に関する陳情書  (第六五号)  港湾整備事業推進に関する陳情書  (第六六号)  海洋気象観測船大型新船化に関する陳情書  (第六七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  陸運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ――――◇―――――
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  このたび、運輸委員長重責を担うことになりました。まことに光栄に存じております。  御承知のとおり、今日の運輸行政は、国鉄の再建問題を初め陸海空と多岐にわたって多くの問題を抱えており、総合的な運輸政策の確立に寄せられる国民の期待は極めて大きく、本委員会に課せられた使命はまことに重大であります。  微力ではございますが、練達堪能な委員各位の御指導、御協力を賜りまして、委員会の円満かつ公正な運営を図り、その重責を果たしてまいりたいと存じます。  何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  3. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 理事辞任の件についてお諮りいたします、  理事中村正雄君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任及び本日までの委員異動に伴い、理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。それでは、理事に       津島 雄二君 及び 河村  勝君を指名いたします。      ————◇—————
  6. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸行政の実情を調査し、その合理化及び振興に関する対策を樹立するため  陸運に関する事項  海運に関する事項  航空に関する事項  日本国有鉄道経営に関する事項  港湾に関する事項  海上保安に関する事項  観光に関する事項  気象に関する事項 について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  8. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山下運輸大臣
  9. 山下徳夫

    山下国務大臣 このたび、運輸大臣を拝命いたしました山下徳夫でございます。  申し上げるまでもなく、運輸省の所管は陸海空にわたる交通全般はもとより、観光あるいはまた海上保安とか気象、非常に範囲が広うございます。さらにまた、現在御案内のとおり、国政重要課題でございます国鉄再建あるいはこれも難問の一つでございます海運・造船の不況対策等いろいろな問題を控えておりまして、全くそういう方面に今日まで知識の薄うございました私にとっては大変な重責だと、みずから身の引き締まる思いをいたしておるところでございます。  この上は、皆様方の御協力を心からお願いを申し上げまして、ごあいさつにかえる次第でございます。(拍手)      ————◇—————
  10. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。富塚三夫君。
  11. 富塚三夫

    富塚委員 おはようございます。  新しい運輸大臣山下運輸大臣から所信の表明がありましたが、大臣に就任されて早々の談話の中で、国鉄問題について分割民営を支持する、そういう発言をなさっていることについて新聞で拝見をいたしました。いやしくも監理委員会審議をして、その答申結論を待つまでは慎重に発言をされるべきだと思うのですが、大臣真意をお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたします。  先ほどの私の就任のごあいさつでも申し上げましたとおり、私はこの道においてはふなれでございますけれども、現在までのいきさつを私も一応勉強いたしました結果、臨調答申を受けて発足いたしました再建監理委員会の進めておられるこの方向に対しては運輸省としても協力すべきである。特に閣議におきましても、先般出されました第二次の監理委員会答申に対しては、それを最大限に尊重し、さらに一層所要の施策の推進に当たるものとする、こういう閣議決定もございますので、閣議決定の線に沿って私は申し上げたのでございます。
  13. 富塚三夫

    富塚委員 そうすると、大臣としていわゆる第二臨調なりあるいは今日までの経過を見て国鉄経営問題は分割民営化志向ということについて基本的見解を持っていると見ていいんですか。
  14. 山下徳夫

    山下国務大臣 運輸大臣である私としてはその方針に沿ってこれから処していくべきであるということでございまして、監理委員会がまたこれから作業を進めていかれる過程における内容については、またそれと呼応しながら進めていくということでございまして、今申し上げましたことは運輸大臣としてこれからそういう方針でもって処していくということを重ねて申し上げておきたいと思います。
  15. 富塚三夫

    富塚委員 では、個人としてはそういう考え方に立っているということでいいんでしょうか。運輸大臣としては答申を尊重される。しかし、個人山下徳夫代議士としては……。
  16. 山下徳夫

    山下国務大臣 公式の場でございますし、私は個人見解をここで申し上げることは妥当ではないと思います。あくまで運輸大臣として事に処してまいりたいと思います。
  17. 富塚三夫

    富塚委員 それでは新聞に書かれておったことは正確ではなかったということでいいんですか。
  18. 山下徳夫

    山下国務大臣 具体的にどういうことをお指しになっているか、ちょっとわかりかねますが……。
  19. 富塚三夫

    富塚委員 国鉄分割民営を支持するということを運輸大臣発言されたことについてお尋ねをしているのであります。その真意を聞いているだけでありますから……。
  20. 山下徳夫

    山下国務大臣 そのことは先ほどから申し上げておりますとおり、分割民営ということが監理委員会の進むべき方向として明示されている。第二次提言においてもそれはうたってありますから、閣議としてもこの線に沿って協力をするのだということ、これを閣議も第二次提言がなされた数日後に確認しておりますので、その確認に沿って私はやっていく、こういうことでございます。
  21. 富塚三夫

    富塚委員 いや、監理委員会分割民営をするという答申はまだ出してないのですよ。八月に出すのですよ。審議過程でいろいろな意見、国会でのやりとりはあるわけですよ。そこを誤解されてはちょっと困るのじゃないですか。
  22. 山下徳夫

    山下国務大臣 御案内のとおり第二臨調の行革の答申には分割ということもはっきりうたってありますし、その趣旨に沿って監理委員会作業を進められている。その監理委員会としては、この臨調の線に沿い民営分割念頭に置いてということをおっしゃっておられる。したがって、私はその念頭に置いてということは、それを頭に置きながらその線に沿ってというふうに理解いたしておりますので、その線で協力する、こういうことでございます。
  23. 富塚三夫

    富塚委員 ですから、念頭に置いてということを受けて分割民営を支持するという表現で新聞記事大臣談話として出ておりましたから、そこのところの真意を確かめたんですが、そこは分割民営を支持する基本的な立場を確認していいですね。お願いします。
  24. 山下徳夫

    山下国務大臣 前大臣もそれを念頭に置いてということをおおむね支持するということで行政に当たってこられたと私は理解いたしておりますから、それを継承しながらやっていくということであります。
  25. 富塚三夫

    富塚委員 私はやはり大臣に慎重に対処してほしいと要望しておきます。とかく監理委員会をめぐる論議はこの委員会でも何回かやってきているわけですから、大臣がかわられて急にまた変わられたような印象を受けないように、運輸行政一貫性という立場からもぜひそのことを要望しておきます。  次に、白ハイヤーあるいは軽自動車代行運転などいわゆる道路運送法上の違反行為が最近目立って社会的問題になっていることを運輸省も十分に御承知だと思います。  現在、東京や大阪を中心といたしまして千六百台を保有しているという大新東株式会社、これは道路運送法上の免許を受けないで旅客営業違反行為をしている。具体的には、リース会社ダミーに使って客に車両運転を行わせて月約四十八万以上支払うという契約をしている。白ナンバーを使用して客を運ぶ手段、つまり運賃とか料金を取っていることは明らかに道路運送法違反であるという点で、既に運輸省にもその問題を提起をしてあるんですが、この問題について運輸大臣は御承知なのかどうか。特に大新東株式会社、ここにもありますけれども、「車両運行合理化システム」なんというふうにして新しい会社がつくられているわけで、こういうことは明らかに道路運送法違反であるという点、また名古屋にも日本エキスパート・リーシングという会社ができて類似行為をしている。どんどんこういうことが拡大をしていく傾向にあるのですけれども運輸省としてはどのようにこのことについてお考えになっているか、お尋ねいたします。
  26. 服部経治

    服部政府委員 ただいま御指摘のいわゆる白ハイヤーの問題でございますけれども、これは車を持ち込みまして同時に運転手を派遣するというようなケースにつきましては、明らかに道路運送法違反行為であるというふうに考えられるわけでございますが、先生ただいま御指摘大新東という会社のやっております行為につきましては、先般私ども労働省とともども会社に参りましていろいろと調査をいたしたところでございますが、少なくとも現在までの段階ではこの大新東という企業体につきまして車を持ち込んでそれと並行して運転手を派遣しているという事実が確認されておりません。
  27. 富塚三夫

    富塚委員 明らかに違反行為であるということを今申されているわけですけれども、私たちが入手した資料でも、自動車管理見積もりというものを見ると、これはもう明らかにリース会社ダミーに使って、つまり客に車両を渡して運転をさせてお金を取るということをやっているわけですね。こういうことがどんどん拡大をしていくという傾向は御存じなんですか。この会社以外に、今申し上げました名古屋にも同じような会社ができて大変問題になっていることを御承知ですか。
  28. 服部経治

    服部政府委員 何と申しましょうか、いわゆる自動車管理業務といったような格好の業態がふえておりますことは私ども承知いたしております。
  29. 富塚三夫

    富塚委員 運転手を雇って車ごとに客に提供をして客の指示によって働くというやり方は明らかに職安法違反であるという話を、労働省からも聞いているわけですね。この問題で調査をするということは私どもの申し入れでも運輸省は約束されておりますが、いつごろまで調査をして結論を出されようとしておるのかお尋ねします。
  30. 服部経治

    服部政府委員 現在までの調査ではそういう違反の事実をつかめ得ていないということはただいま申し上げたとおりでございますが、この問題につきましては、今後とも労働省当局と連絡を緊密にいたしまして、断続的に調査を継続してまいりたいと思っております。
  31. 富塚三夫

    富塚委員 それから軽貨物自動車の違法な営業行為、現在、沖縄とか九州全県下あるいは関西、関東などで軽貨物自動車免許を受けないでお客さんを運んでいる、そういうのがたくさんあるように思われます。このことについて既に熊本地方調査した問題を運輸省にも提起をしてあるのですが、その後全然音さたがないのですけれども、どのように対処されようとしているのでしょうか。
  32. 服部経治

    服部政府委員 軽貨物自動車によりますタクシー営業類似行為の蔓延という問題につきましては、私ども非常に遺憾なことというふうに存じております。この問題につきましては、沖縄、奄美だけでなく、最近では九州各県にもそういったものが出てきておる事実は私ども承知しておりますけれども、何分先生も御承知のように、軽貨物自動車を使用して行いますタクシー営業類似行為というのは、そういう行為が反復、継続されているという事実を確認いたしませんとこれを違法というふうに断定して扱うことができない事情もございますし、また、そういった軽貨物自動車で行います貨物運送に付随して運送することができる旅客範囲につきましての判断基準が、残念ながらこれまで必ずしも明確でなかったという二つの事情がございまして、その対応に苦慮いたしておるところでございますけれども、先般来、国会での御質疑等も踏まえまして、また関係の各業界あるいは労働組合関係者の方からの御要望等も踏まえまして、この問題につきましては、私ども連日のようにその対策につきまして現在警察当局と協議を重ねているところでございます。今後ともそういった警察当局との連携のもとで、詳細な実態の把握に努めまして、抜本的な対応を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  33. 富塚三夫

    富塚委員 同時に、運転代行、いろいろ地域的な違いがありますけれども、最近は泥酔した人の車を運ぶというようなことも行われています。これも酒を飲まないような指導をするのが国として当たり前のことであって、こういったことも含めて最近は白ハイヤー問題などを中心大変混乱を起こしている。これは社会的な問題になっていくと私は思います。そういう点で私たちの方は重視していますが、今抜本的改革運輸省から対応を約束していただきましたけれども調査をする時期をもっと早めていただいて、明年早い時期に調査の結果を見て二足の方向を出していただくということはできないものでしょうか。
  34. 服部経治

    服部政府委員 こういう問題の対応が早ければ早いほどいいということは私どもも十分承知いたしております。私どもの能力の範囲内でできるだけ早く実態調査を終えたいと思っております。
  35. 富塚三夫

    富塚委員 次に、国鉄総裁お尋ねいたしますが、五十八年度、会計検査院から国鉄に対して指摘された事項があります。その中で特に委託業務に対する対応の問題ですね。保守作業、マルチプルタイタンパーなどを初めとする軌道強化工事に対する委託業務など、こういった問題について大変問題がある。いわゆる工事をやってないのに金を支払っているというずさんな結果が発表されていると新聞にも出ておりましたけれども、この会計検査院の報告を受けて、どのように国鉄当局としては対処されようとしているのか。とりわけ保守関連作業の問題について関連会社対応などについてお尋ねをいたしたいと思います。
  36. 岩崎雄一

    岩崎説明員 五十八年度の会計検査院からの指摘は合計で八件でございまして、不当事項が四件でありまして、今おっしゃいました委託業務に関するものがそのうち一件ございます。それから、処置要求事項としては旅行センター運営に関するものでございますが、これは特に委託関係ではございません。それから、処置済み事項につきまして駅業務委託等の場合の労災保険料の積算に関するものが一件ございます。そのようなものが直接請負契約に関する御指摘かと思いますが、いずれも検査院の御指摘のとおりでございまして、早速にこれらについては改善の上、指摘趣旨の部内への浸透を図ると同時に、今後は企業意識に徹して厳しい態度で経費節約に臨むよう、こういうような指導をいたしておる次第でございます。
  37. 富塚三夫

    富塚委員 往々にして国鉄技術者のOBの方々が会社をつくって、そこに仕事の量を割り当てて保守作業をさせている。私もそのことは十分知っているのですけれども、もうちょっと一元的にきちっとした指導をして、こういう会計検査院からの指摘などがないような方法をとることを検討できないのかどうか。今東海道線を見ても、東京—新橋間は何々会社新橋—新鶴見間は何々会社、全部ばらばらになって委託をしている。ですから、委託委託みたいな形になって大変問題がある。そこにいわゆる工事量請負の割り当ての問題やお金の支払いの問題でもさまざまな問題が出てきているように思うわけですが、そういう点について、総裁、積極的にもっとこういった指摘を受けないような対応というものを考えるべきだと思うのですが、どうでしょうか。具体的な検討はされているのでしょうか。
  38. 仁杉巖

    仁杉説明員 会計検査院からいろいろ御指摘を受けております。今、先生の御指摘の問題についてはいろいろ細かい事情がありまして、先生の御指摘のことにぴったりお答えするということにはならないかと思いますが、私どもといたしましては、いずれにいたしましても委託業務等をいたすその場合に、その内容についてきちっとした実態に合うような形にするということは、これは保守作業以外、駅の販売等委託等についても皆同じであると思いますが、こういう点について実は会計検査院の御指摘もございますので、私からも関係の局に対しまして、今度の御指摘趣旨を十分踏まえるようにということとともに、国鉄だけでなしに他官庁に対しての御指摘もございますので、そういう点も十分しんしゃくして改善に努めるようにという指示をいたしたところでございます。
  39. 富塚三夫

    富塚委員 時間の関係がありますので、次に安全問題で、特に緩急車の連結省略問題について明年の三月三十一日から国鉄車両の検査周期を大幅に延長する。例えば電車は現在四年を六年に延ばすという問題。国鉄車両の検査周期はこれまで小幅に実施をしてきたという経過はありますけれども、十二年前にいろいろな事故を起こした問題などもあります。現実に国鉄車両が老朽化している中で、画一的に車両検査周期の延長をするというやり方には問題があるんじゃないかと思うのですが、これは運輸省が許可をするという建前になっているんですが、運輸省としてはどのようにお考えでしょうか。
  40. 棚橋泰

    ○棚橋政府委員 先生指摘のように、国鉄車両の検査周期につきましては国有鉄道運転規則に定められておるわけでございますが、そこに運転規則に例外規定がございまして、これの特認を運輸大臣承認でできる、こういうことになっております。そのような観点から、国鉄から特認の申請が出てまいりました場合には慎重に審査をして必要な承認を与える、こういうことになっております。  御指摘の件につきましては、御承知のように、最近技術の進歩、材質の改良その他、規則が制定されましたときよりは客観情勢が非常に変わってきておりますし、また国鉄車両の運行形態も、御承知のような国鉄の輸送量の特に貨物等の落ち込みによりましてかなり変わってきております。そういうような観点も踏まえまして、安全上支障がないと認めたものについては特例として整備修理期間の延長というようなことについて承認を与えておる、こういうところでございます。
  41. 富塚三夫

    富塚委員 安全性を確かめながら逐次この車検を延長するというのが建前であるならわかるのですけれども、画一的に古い車両を四年を六年にしてしまうといったやり方。今、国鉄から申請があれば運輸省はもう自動的にそれを認める一私は、基本的に安全性を追求する立場から所管運輸省としてはどうお考えでしょうかとお尋ねしているんですが、どうも従来の経験から見ると、国鉄当局から上がってくれば自動的にそれを認めるような感じになっているような気がするのですが、その点いかがでしょうか。
  42. 棚橋泰

    ○棚橋政府委員 私、国鉄から申請があればそのとおり承認するということを申し上げたわけではございませんで、慎重に安全性その他の見地からの検討をいたしまして、妥当であると認めた場合に承認をする、こういうことになっておりますと申し上げたわけでございます。  それから画一的という御指摘につきましては、そもそも運転規則の法令自体が、機関車、電車、客車、貨車というふうに検査のそれぞれの態様が分かれておりますし、また特別承認につきましても、それぞれの延伸につきましては車種ごとに検討をいたしまして、先ほど申し上げましたような技術の進歩、運行形態の変化などに対応をいたしましてその周期というものを違えて承認を行っておるというところでございます。
  43. 富塚三夫

    富塚委員 国鉄当局お尋ねしたいんですが、事故の件数を見ると、五十八年度五百三十七件電車の車両故障が実はあるというふうに聞いています。約五百件からの事故が現実にあるわけです。こういった事故があって、なおかつ回帰の延長をしなければならないというのは一体どういうことなんでしょうか。要員を生み出すために安全性を無視してもやらざるを得ないとお考えなんでしょうか。その点の問題点についてお答えを願います。
  44. 坂田浩一

    ○坂田説明員 お答えします。  国鉄としましては、基本的にはまず安全の確保というのを前提に業務の運営を考えております。先生が今御指摘車両検修の回帰の問題につきましても、今回の検修回帰の延伸というものの中には、先生も御承知のように期間で決めている分野とそれから走行キロ、いわゆる足回りとかそういった台車、そういったところの走行キロで決めている分野と両方を加味しながら回帰を決めているわけであります。また一方では、検査体系の中で数種類、主要検査あるいは交番検査あるいは全般検査といった各種の検査を組み合わせて、最も安全で合理的で効率的な体系をつくっておるところでございます。  今回の回帰延伸につきましては、前回、昭和四十五年に回帰延伸をやりまして、十五年有余の間に私どもとしましてはその間の各検査のデータ等を詳細に検討すると同時に、そういった面での問題点を改善あるいは技術の管理をするというような問題から今回運輸省に申請したわけであります。特に、先ほど申しましたように今回の延伸の主体は、走行キロにつきましては基本的にはほとんど変えてございません。したがいまして、タイムに要する、いわゆるそういった面での経年劣化といったものに対する対応ということで、これもあらかじめ各検査の中でそういったことを、履歴管理の中でどれだけ延びるか、年限がたったらどうなるかということの詳細なデータに基づいてお手当てするということによって十分対応できるというふうに考えておるところでございます。
  45. 富塚三夫

    富塚委員 車両の年度別故障件数の中で五十七年度は合計八百九十四件が五十八年度は千三百九十七にふえ、電車の車両故障も、四百二十七が五百三十七に、五十七年、五十八年と対比してふえているわけですわ。どんどんと車両故障がふえて安全の問題が基本的に再検討を迫られているときに、なぜそんなに無理してやらなくてはいけないのかということの疑問ですね。そこのところはやはり人を生み出すためにそのようなことを考えているのでしょうか。簡単にお答えいただければ……。
  46. 坂田浩一

    ○坂田説明員 お答えします。  先生指摘のように、車両故障件数につきましては統計的にはふえてまいっております。ただ、私どもとしましては一昨年来正しい事故の把握ということで、従来若干中央で処理されていた件数等につきましても全部本社へ細かく挙げさせるということで、車両故障のみならずいわゆる職員の取り扱い誤りによる事故につきましても正しくやる、細かい事故まで全部出そうということで、そういったことで統計的には今先生指摘のように車両故障はふえているというふうになっておりますが、ただ、一個列車当たりの遅延時分、これがお客様に非常に御迷惑をかけることでございます。そういった面については一昨年、昨年、今年と一個列車当たりのおくれ時分というものにつきましては着実に減少いたしておるところでございます。  国鉄としましては今、全体としていかにして効率的な運営をしていくか、まさにこれが国鉄の今後の経営改善計画としての自助努力でございます。しかしながら、安全という面をおざなりにするわけにまいりませんので、先ほど申しましたように小さな事故まで全部細かく把握することによって、的確な対応策を考えることによって大きな事故を防ぐということで取り組んでまいりました。車両故障につきましても昨年の十二月から細かく管理局を指導いたしまして全部詳細に本社で把握できるようにいたしました。そういったことで、件数としては残念ながらふえた結果になっておりますが、先ほど申しましたように列車の商品としてのおくれといった問題あるいは重大事故といった問題につきましては確実に減っているということで今回も踏み切ったわけであります、また先ほど申しましたように直接の、走行キロに比例する分野については基本的にいじっておりませんので、余り走らないけれども期間が来る、こういった日数について延伸したということで、安全の面についてもいささかも低下することなく、むしろレベルアップを今後も考えてまいりたい、かように考えております。
  47. 富塚三夫

    富塚委員 論理的に矛盾しているんだけれどもね。事故件数がふえているのはわかっています、しかし企業努力はしなくてはいけません、回帰は延長、そんなばかなことは世の中にはちょっと——それで安全性は一生懸命考えています、事故件数はふえています、わかっています、そんなばかなことはないと私は思うのですけれども、これはこの程度にして、もう一つ、乗客サービス問題の低下について。  私の選挙区で早川とか平塚駅の西口とか根府川、真鶴は来年の一月下旬から切符の窓口発売を券売機発売に変える、遠距離券、指定券、真鶴などは発売をしないからどこかで買ってくれ。それから根府川の駅では、新たに発行する乗車駅証明書で車内または下車駅で精算するようにしてくれということで、今こういう案が示されていることを私のところでも承りました。なぜこんなに無理をして——今国鉄には二万余のいわゆる余剰人員がおって、総裁もいろいろ苦労されていることはわかります。わかりますが、なぜそんなに住民のサービス低下、つまり利用者のサービス低下、こんなことを強行しなければいけないのか。まして東海道線で黒字線区であって、なおかつ都心に通勤している人たちが非常に多いわけです。また用事で出かける人も多いわけですが、こんなことをどうしてもやらなければいけないのでしょうか。国鉄当局お尋ねします。
  48. 須田寛

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  今先生指摘ございましたように、東海道線東京南局管内におきまして駅の合理化の提案をいたしておるところでございます。今御指摘ございましたように、平塚の裏口におきましては百キロまでの券売機を置きまして切符を買っていただく。それから真鶴と早川につきましては券売機で買っていただくほかに、日勤の時間帯だけ職員を置きまして切符を売りまして、深夜は券売機で買っていただくということでございます。それから根府川につきましては、お客様の数の少ない駅でございますので出改札をフリーにする。そういうふうに、各駅のお客様の実態に応じまして幾らか施策は違っておりますけれども、全体として効率化を追っていることは事実でございます。  ただ、実態を調べますと、平塚の駅などは大体百キロまでの券売機を置きますと、九五%までの方がカバーできる。それから早川、真鶴につきましてもそういうような状況でございますので、やはり私ども今置かれました現状で効率化を追及しなければいけないということで御協力いただけないだろうかということで、地元にも組合にも今提案をいたしておるところでございます。  先生指摘のように、確かに余剰人員問題というのを抱えておりますが、余剰人員問題を一方で解決いたしながら、やはり合理化の方も進めなければいけないという大変厳しい事情でございますので、そういった二兎を追うような施策を講じておりますことにつきましては、ぜひともひとつ御理解を賜りたい、このように存じております。
  49. 富塚三夫

    富塚委員 出札窓口での発売を券売機に変えていく、これは一つの方法ですね。だけれども、まるっきり切符を売らない。何でしょうか、新たに乗車駅証明書を発行する。そして車内または下車駅で精算せよ。ちょっとお客様や住民をばかにしているのではないか。こういう点は再検討していただけませんか。
  50. 須田寛

    ○須田説明員 根府川駅のお客様の数が今ちょうど六百余りでございます。大体私どもこれまで八百人以下の駅を全国で停留所化ということで職員の無人化をやってきた経緯もございますので、本線でございましたので現在までむしろおくれておったという感じでございます。六百名のお客様には確かに御迷惑をおかけいたしますが、今の乗車証明によりまして着駅で切符をできるだけカバーして精算していただく、あるいは車内でもカバーして買っていただくということでございますので、何とかその辺は割り切っていただけないだろうかと思っております。  ただ定期券とかあるいは回数券とか、そういうふうな特殊な切符につきましては、極力予約発売をやる駅を設けますとか、あるいは隣接駅その他で買っていただくとか、いろいろなカバーの方法は講じてまいりたい、このように考えております。
  51. 富塚三夫

    富塚委員 総裁お尋ねしますけれども、今須田常務が申されましたが、過剰人員は過剰人員だ、合理化合理化だ、こうおっしゃったわけですね。もちろん、企業努力をされるという経営者の立場は十分理解できます。しかし、二万何千人かの過剰人員をいろんな案を出していろいろ議論をしているようですけれども、自然淘汰するとか、まさに雇用問題にもかかわるのだし、検査周期の回帰の問題でも、こういった問題でも、もうちょっと機械的にならないように、そういった要員の運用の幅で安全性を大事にするとかサービスを低下させないようなことはどうして工夫できないのですか。そんなに画一的に官僚的にやらなければいけない問願なんでしょうか。住民の立場、お客さんの立場をもっと孝えることができないのでしょうか。
  52. 仁杉巖

    仁杉説明員 今須田常務がお答えいたしましたように、一方において合理化を進める、効率化を進める、一方において余剰人員が生ずる、こういう経営上の問題としては非常に難しい問題の対応に迫られているということでございます。今先生指摘のような点ももちろんございますが、私どもとしては、決して画一的にそういうことを考えているというわけではございませんので、例えば電気、施設等の保守等におきましては、将来外注化によって効率を上げるというような問題点に対しまして、当分の間直営でやっていくというようなことも考えておるわけでございまして、決して画一的にやっているというつもりではございません。  ただ、駅等の合理化については、今須田常務からお答えいたしましたように、非常に難しい選択ではございますが、私鉄に比べて人が多いというような御指摘もいろいろございますので、極力合理化を進めるというようなことで処理をしているということで御理解を願いたいと思うわけでございます。
  53. 富塚三夫

    富塚委員 国鉄再建のためにはやはり住民なり国民の協力を得なければいけないと思うのですわ。それはあなたたちも我々も皆同じことだと思うのですが。定期券も、もうすべてどうぞ下車駅で、途中駅で買ってくださいなんて、そんなやり方で、何か切符を箱に入れていってください、そんなことをなぜ東京の周辺でやらなければいけないのかというのが私は解せないわけですけれども、改めてこの問題はまた別に取り上げさせていただくことにいたします。  時間が参りましたので、最後に一つだけお尋ねしたいのですが、駅構内に入る入出場証明書を今二万三千枚全国で交付されていて、一年間の期限つきでやっているということで、大変あちこちで問題になろうとしているわけですが、これはどのような基準で発行されているのか。あるいは聞くところによると、国鉄のOBでも、キャリアの皆さんなどでやめられた人には一人五百枚割り当てるとかどうとかやっているようなこともちょっと聞きましたけれども、そんなことをやられているのでしょうかどうか。どんな基準でやられているのでしょうか、それだけお尋ねします。
  54. 須田寛

    ○須田説明員 今先生がおっしゃいましたのは、恐らく駅の構内の特殊な地理的な条件から、駅の裏の方に抜けるために、従来駅がないときにフリーに通っておられた方が駅ができたために通れなくなったというようなことで、通行証と申しますか、そういうものを出していることではないかと思います。  これにつきましては、原則として私どもの本社としての考え方といたしましては、そういうものはお出ししたくないということでございますが、やはり地方の実情で特殊な経緯もございますので、駅長なり管理局の判断で若干そういうことをやっているところが例外的にあるやに聞いております。ただその場合は、当然これは公正に措置すべきものでございますので、先生がおっしゃいますような特定の人々に優遇しておるというふうなことはないと確信をいたしますけれども、なおよく実情を調べまして、もしそのようなことがあれば、ないように厳重に指導いたしたい、かように思います。
  55. 富塚三夫

    富塚委員 ありがとうございました。
  56. 三ツ林弥太郎

  57. 左近正男

    左近委員 関西国際空港に関連する事項で二、三御質問したいと思います。  まず、大臣がかわられたわけですが、新大臣は関西国際空港の建設についてどのような認識を持って今後やっていかれようとするのか、お伺いをしたいと思います。
  58. 山下徳夫

    山下国務大臣 我が国の二大都市圏でございます大阪を中心とするこの地域において、もはや、航空の需要がこれだけ伸びているのに、空港の現状が麻痺してさらに一機の増便すら認められないという現状を見まするに、私は、飛行場の整備は全国にたくさんございますけれども、やはりこれは最も大切であり最も急がなければならぬ問題という認識で、大臣になったときから非常に使命感を持って実は取り組んできたわけでございます。したがいまして、そういう見地から、十月一日に既に新しい関西国際空港株式会社が発足いたしまして新しい体制のもとに真剣に取り組んでいる姿を、私は大変結構だと思って見守っておるのでございます。  ただやはり、運輸省もなすべきことは十分精力的にこれに呼応してやっていかなければならぬ。例えばこの問題につきまして、まず完成の時期についても、六十七年度末ということが当初計画になっておりましたけれども、これを改めまして、六十七年度中、一日でも一刻でも早くこの問題が解決して一番機が飛べるようにしたいというのが、基本的な私の気持ち、取り組み方でございます。
  59. 左近正男

    左近委員 今大臣もおっしゃいましたように、十月一日に新会社が発足したわけです。発足してから新会社がまずやったことは何か、これは滑走路の位置の変更でございます。三百五十メートルですか、陸側へ滑走路を移していく。飛行場の基本の問題は、私は滑走路の位置の問題だと思うのです。本委員会でかなりの時間をかけて論議した中で運輸省が示された基本計画、全体的な構想の枠内では入っておりますけれども、第一期工事の計画と変わっておる。こういう点、私は非常に唐突に思うわけであります。  このことについては、既にこの法案を審議する以前から運輸省と大蔵省の間で、経費をできるだけ削減をしていく、今度の変更によって八千二百億円が八千億円になりましたが、そういうような約束に基づいて、会社としては第一期工事の滑走路の変更なりその他の問題をやられたのではないか、こういうように思うわけですが、その点はいかがですか。
  60. 西村康雄

    ○西村政府委員 この十一月三十日に、運輸省会社からの事業計画の申請を受けましたのを認可いたしましたが、その際に、今お話しのように、会社からは空港計画を、第一期計画として従来運輸省が試案として地元にお示しをし、また国会でもいろいろな機会にお話をいたしました形の第一期計画の滑走路の位置と若干異にする形で事業計画の申請をしてまいりまして、これを認可したわけでございます。  今、この滑走路の変更につきましては二点違っておりまして、当初の第一期計画では、滑走路が二本ございますうちまずB滑走路を着手して、しかる後に将来二期計画としてA滑走路に入る、これはA滑走路の方は陸寄りでございます。そういう計画を当初はしていたわけですが、今回会社では、陸側に近い方のA滑走路から着手するということにしたわけでございます。A滑走路とB滑走路の間は三百六十メートル。結果といたしまして、第一期計画は全体として三百六十メートル陸側に近寄ったという形になるわけでございます。  この計画の変更につきましては、むしろ変更と申しますよりは、本来この計画は、会社がこの法律に基づきまして計画を立案して、それを運輸大臣が定めます基本計画に適合するものかどうか運輸大臣が調べましてこれを認可するという形が法律が予定しているところでございますが、かねてから、できるだけ安く、そして早くつくるということがこの空港の効用を高めるゆえんだと考えておりまして、そういう方針に基づきましてまた会社側は早速に検討を進めてきたわけでございます。その結果、今回のようなA滑走路にすることにしまして、お話しのように工費が全体として二百億円安くなるということでもございますし、またこの際、将来の空港の発展の可能性を考えまして、三千三百メートルの滑走路を最初から三千五百メートルやっていくということにすることが将来展望から見ても非常に適切だということで、今回の計画を認めることにしたわけです。今回の新しい会社の計画では、前々から運輸省関係の皆様に御説明しておりました全体計画には極めてよく適合しておりますし、また将来新しい滑走路、平行滑走路を海側に置くことによりまして空港の能力をより高めることができる、こういう可能性をも秘めている新しい事業計画でございますので、これはどの面から見てもまことに適切だというふうに考えて認可するようにしたわけでございます。その間の事情を御了承いただきたいと思います。
  61. 左近正男

    左近委員 法案が通ってから半年もたたぬ間にこういう基本的な面について変更する。これは会社ができたから会社で独自にやらせたらいい、私はこれは少しおかしいのではないかと思うんですね。これは会社会社ですけれども、法の第四条で株式の二分の一以上は政府が持つ、また出資についても三分の二は政府が出しているわけです。こういう基本的な問題について、本委員会での審議の中でもう既にかなり準備がされておったのではないか、私はこういうことを非常に懸念するわけです。余り会社をひとり歩きさせてはならない。空港にとって一番大事なことは、やはり私は安全性と公共性の問題だと思うのです。今、局長の方は、安く早く空港をつくる。これは少しおかしいのではないか。このことはやはり強く申し上げておきたいと思います。  次に、この空港は、今大臣が言われましたように六十年度末に工事に着手いたしまして、六十七年度中に開港を目指すということでありますが、まずこの工事の着手に当たって、何としても公有水面埋立法に基づく免許が必要であります。そのためには一番大きなハードルとして漁業補償の問題、それと環境の実施アセスメントの問題、この二つのハードルを越えなければ六十年度末の工事着手ということは不可能なわけであります。したがって、六十年度末に工事を着手するに当たって、公有水面埋立法に基づく漁業補償、環境実施アセス、これのタイムリミットはいつごろだと判断をされておりますか。
  62. 西村康雄

    ○西村政府委員 現在私どもが予定しております事業の計画では、六十年度中に着工にこぎつけたい、こういうことでいたしますと、先ほどから申し上げました六十七年度中に供用開始に至るというように考えております。したがいまして、今お話しのような漁業補償なりアセスメントの業務はできるだけ六十年の七月ごろまでには終えるようにいたしたいというふうに考えております。
  63. 左近正男

    左近委員 恐らく六十一年三月ごろに工事の着手ということを考えられておるんだろうと思いますが、そのためには来年の七月ごろには、大きな問題である漁業補償の問題、環境実施アセスの問題、この二つの問題を解決しなければならない。そこで、運輸省としては漁業補償問題についての基本的な考え方はどういうものを持っておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  64. 山下徳夫

    山下国務大臣 基本的な考え方についてはただいま航空局長から答弁いたしましたとおりでございますが、実は私自身、私は佐賀でございますが、佐賀空港で今、漁業補償がうまくいかずに、身を持って体験しているわけですよ。ですから、事空港の新設に関する限り、漁業交渉くらい難しいものはない。しかもこれは先行しなければならぬということで、この問題については、新しい会社にも大臣立場で強く要請をし、誠意を持ってそして回を重ねて一日も早く解決するように努めるように、今後とも指示をしてまいりたいと思っております。
  65. 左近正男

    左近委員 今、大臣からお話があったのですが、今回の陸上から五キロも離れた海上における漁業補償というのは、戦後多くの漁業補償があっただろうと思いますが、これは初めてのケースではないかと私は思います。一般に沿岸部分というか、陸上から一・五キロ以内の漁業権にかかわる漁業補償問題については、これはある面ではその権利は漁協に属しておるわけであります。したがって、漁協単位で今日まで多くの例があったと思いますが、今回は許可漁業海域、そしてまたこの地域は兵庫県と大阪の入会漁業区にもなっておるということを聞いておるわけであります。したがって、従来のような漁業補償の概念でこの問題を話をしてもうまくいかないのじゃないかということを私は心配をしておるわけですが、この点はいかがですか。
  66. 山下徳夫

    山下国務大臣 一口に漁業補償と申しておりますけれども、もっと広い意味において漁業交渉かと私は思っております。必ずしも補償というカテゴリーではない。つまり、お互いの食い違いをなるたけ誠意を持って話し合えばまた解決つける部分もあるし、補償については当然経済的な額の問題等もございますからやらなければなりませんけれども、両面相まってやっていかなければならぬ。具体的な問題については、また航空局長がお答えすると思います。
  67. 西村康雄

    ○西村政府委員 今、先生からお話がございましたように、今回の漁業補償は、漁業権の補償という問題のほかに、許可漁業あるいは自由漁業等に対しての実質的な減収というものを補償していくという面がございます。したがいまして、これは漁業協同組合が持っているものとは違いまして各人に対する補償の問題ということでございますので、実際の交渉をするにつきましては、結局、漁業協同組合ごとにそういったものの交渉の権限をひとつ内部でおつくりいただいて、そして窓口を絞って交渉していくというような形が必要になるわけでございます。そういった点につきましては、大阪府等の協力を得まして今鋭意交渉の進め方について準備をしているところでございます。
  68. 左近正男

    左近委員 それでは、この海域にかかわる漁業補償の対象漁協の数、それと漁業者の数はどれくらいですか。
  69. 西村康雄

    ○西村政府委員 大阪府につきましては漁業協同組合は二十四漁協で組合員数は千八百二十六人でございます。それから兵庫県につきましては十七漁協で組合員数は二千七百一人でございます。合計四十一漁協の四千五百二十七人となっております。
  70. 左近正男

    左近委員 和歌山は入らないのですか。
  71. 西村康雄

    ○西村政府委員 現在第一次的には漁業補償の対象といたしますのは、具体的に空港を建設する、あるいは空港を運用する、さらには空港の建設工事をするということで漁業権あるいは先ほどの実際の漁業が影響を受ける人たちとの間でまず交渉をするということになっているわけでございますが、この海域は、先生言われましたように大阪府及び兵庫県の入り会いで漁業をやっているという実態でございまして、和歌山につきましてのこの空港建設がどういう影響があるかということは、さらに具体的に進めまして、その影響の度合いによりましてこれから必要があれば交渉に入っていくという形になるわけでございますが、現在の段階はさしあたり、ここで、漁業権あるいは漁業を行っているこの海域で、大阪府連あるいは兵庫の県連との間でまず始めていくということに考えております。
  72. 左近正男

    左近委員 まあ、今後和歌山問題も状況によっては対象になるというような見解だと思います。  そこで、この十二月の十八日に初めて空港の株式会社と大阪府漁業協同組合連合会との初会議が持たれたわけであります。これは流会したということを聞いておりますが、この原因は何だと報告を受けておられますか。
  73. 西村康雄

    ○西村政府委員 会社側が十八日に大阪府漁業協同組合連合会との間で、この連合会の各構成している組合に対しまして説明会をするということで会議をしたわけでございます。冒頭副社長がごあいさつを申し上げた後、出席した組合の中から、社長がきょうは来ていないというようなことでこのことを不満として、一応その日の説明会は流会になったというふうに聞いております。
  74. 左近正男

    左近委員 こういう大事な漁業補償の初会合に社長が出席をしなかったということもいろいろ問題があるだろうと思いますが、私は、そういう表面的な問題だけではなしに、やはり各漁業組合が今日運輸省方針なり会社の漁業補償に対する基本的な考え方に大変不信感を持っておるということではないかと思うのです。  まず、五十九年十一月三十日、運輸省が事業計画認可に当たって、会社に対して補償問題について公共用地の取得に伴う損失補償基準を厳守せよという考え方を出しておられます。このことが各漁業組合にとって大変不信になっておるのじゃないか。私、この基準についていろいろ資料をいただいて読んでおるわけでございますけれども、やはりもう少し柔軟に事に対応しなければ補償問題はうまくいかないと思いますが、その辺、運輸省としてはどうお考えでしょうか。
  75. 西村康雄

    ○西村政府委員 今回十一月三十日に、事業計画を認可するに当たりまして、漁業補償の問題につきましては公共用地の取得に伴う損失補償基準を厳守して漁業補償を行うというようなことで会社指導しております。ただ、この公共用地の取得に伴う損失補償基準と申しますのは、およそ政府関係機関が行います公共事業につきましてはひとしく適用しているものでございまして、これは言ってみれば当然のことをもう一度確認したということでございまして、今回の漁業補償についてだけ特別な厳しくするということでもございませんし、政府としては補償の問題というのは一つの基準に基づいて適正に行っていくということをこの際明確にしたということでございまして、このことが特別に今回の漁業補償を難しくしているとは考えておりません。  ただ、先生が御指摘のように、そういったことを含めて漁民がいろいろと交渉について不安を感じ、また問題意識を持つということでございますと、漁業の補償の問題につきまして円滑にいかない結果になりますので、そういった点につきましては、これから交渉していくときに十分お互いにルールについて話し合い、またお互いに漁業の実態についての認識を深くし合いながら共通の理解をつくっていくということをいたしますれば、必ずや合意を得ることができるというふうに考えている次第でございます。
  76. 左近正男

    左近委員 いずれにしてもやはり地元漁協と円満に話ができるように運輸省も柔軟に会社指導していただきたい、私はこのように思っております。  そこで、もう一つの大きなハードル問題として環境の実施アセスメントの問題がございます。今まで長い期間かけて三点セットということでかなり環境アセスの問題について今日まで取り組まれてきましたが、いよいよ工事に入るということで、実施アセスメント、この問題についてのアセスの項目は具体的にどういう項目になるのか、お教えをいただきたい。
  77. 西村康雄

    ○西村政府委員 実施のアセスメントの具体的な項目でございますが、騒音、大気質、それから海水の流れ、水質、波浪、高潮、津波、海浜地形、景観等、まだ多数の項目がございますが、そういった問題、あるいは海上交通といったような問題等につきましてアセスメントを実施していくということになろうかと思います。
  78. 左近正男

    左近委員 時間も余りないので、私はかねてから実施アセスについては総合的な観点からアセスをやっていただきたい、項目項目をピックアップした形で評価をするのではなしに総合的なアセスメントをやっていただきたいということをお願いをしているわけですが、この点を強く要望しておきたいと思います。  次に、工事が始まりますと、まず土砂採取の問題であります。この件については私は可能な限り公有地で土砂の採取をしてもらいたいということを主張をしてきたわけでありまして、本委員会の五月八日の委員会で前大臣の細田運輸大臣から、「できれば全部公有地からの方がよろしいと思っております。そう思っておるぐらいでございますから、なるべく多く公有地からということにいたしたい。どうも公有地からだけではちょっと間に合わなかったり、跡地の関係があったり、いろいろするようでございますから、しかし極力御趣旨のようなことでやるということでございます。」ということで、前大臣はこの跡地問題について最大限、極力公有地なり共有地、こういう公的な用地に選定をしていきたいということの表明があったわけですが、今日、これが各新聞報道ではかなり煮詰まった段階になっておるということを承っております。その後この方針に沿って会社作業をさせておられるのかどうか、具体的な見解をお伺いしたいと思います。
  79. 西村康雄

    ○西村政府委員 具体的な土取りの土地を決めるということは、全体の工程から申しますと、おっしゃるようにできるだけ早くやる必要がございますし、会社としても今選定作業を急いでおります。この選定に当たりましては、関係の府県と鋭意協議、調整をしておりまして、できるだけ早く決めていきたいということでございますが、この土取り地の選定に当たりましては、先ほど先生から言われました、できるだけ公有地を利用していく、確保していくということ、そのほかに、実際の経済性という問題あるいは環境に与える影響、防災の問題等も総合的に勘案しまして速やかに決定をするように、今非常に、最後の段階と申しますか、詰めを急いでおります。
  80. 左近正男

    左近委員 その趣旨に沿って作業をしていただくことを特にお願いをしますが、できるだけ早く土取りの場所の選定をするという、できるだけ早くというのはいつごろを考えておられますか。
  81. 西村康雄

    ○西村政府委員 まだ具体的にいつということを申し上げられる段階に至っておりませんが、来春には決めるような段取りにしていきたいというふうに考えております。
  82. 左近正男

    左近委員 大体四月ごろには決まるということで……。  次に、大臣は就任されましてから、この十一月二十日ですか、新空港の海上の視察と関西の状況の視察を行われたわけですが、そこで記者会見をされております。まず問題なのは、この新会社は千二百億円の出資でございます。そのうち三分の二の八百億円は国が持つ、二百億円は地方自治体、公共団体、あと二百億円は民間出資、こういうことでございますが、この民間の出資状況が七百九十九社にも及びまして、四百七十九億三千五百万円、二百億円の出資に対して四百八十億円も出資希望が出てきた、こういう状況を踏まえて、国の出資枠の変更問題について今後考えていくというようなことを言っておられますが、この点は事実ですか。
  83. 山下徳夫

    山下国務大臣 御承知のとおり、民間活力を大いに取り入れていくということは現内閣の一つの大きな特徴でもございますし、そのために担当の国務大臣も置かれているところでございますから、関西新空港のこの会社に対する出資等につきましても、これだけ熱意を持って地元で御協力をいただくという意味において大変歓迎すべきであり、民間活力を大いにひとつ取り入れるという立場からも、私はこれは取り入れていくべきであると思っておりますが、ただ、法に決められた配分その他がございますので、大体いつの時点においてどういう配分にするかということはこれから決めるべき問題だ、基本的には民間活力を大いに登用すべきである、このように理解しております。
  84. 左近正男

    左近委員 私は、大臣、重大な発言だと思うのですね。この法案の成立過程についてよく承知をしていただきたいと思うのです。この関西国際空港はやはり第一種空港である。第一種空港であれば、本来すべての金について国がやらなければならぬわけです。それを、民間活力というような方向で私どもはやむなくこういうような形になっておるわけです。そういうような状況から見ましたら、少なくともこの出資金の割り当て配分、これについては基本的に変えるべきでないということを私は強く申し入れたいのですが、もう一度、大臣答弁してください。
  85. 山下徳夫

    山下国務大臣 私は先ほど答弁申し上げたとおりでございまして、基本的には民間活力を入れるべきだという私の気持ちに変わりありませんし、また現内閣もそのように、民間活力を登用ということについて担当の国務大臣も置いてそういう方針行政を執行するということでございますから、重ねてその点御答弁申し上げたいと思います。
  86. 左近正男

    左近委員 そんな一般的な答弁じゃ困るのですよ。  政府が八百億出資されるのですね。で、今民間が二百億の枠です。これについて政府は持ち出し出資分を減らしていくのか、そして民間に二百億を、今四百八十億も出資希望があるのだから、それを増枠させていくのか、民間活力をあれするというような一般的なことじゃなしに、政府の基本的な出資額についての考え方を言ってください。
  87. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほども申し上げましたように、国が半額以上持つということは法に明記されておりますので、まだその間においてかなり弾力性があるような今の出資分の一応の案になっておりますから、その範囲内においては、私は今後話し合いによって決めていくべきである、このように理解しております。
  88. 左近正男

    左近委員 それでは今の答弁では、民間の出資の二百億をさらに増枠を受け入れていくということですか。
  89. 西村康雄

    ○西村政府委員 補足して若干の御答弁を申し上げますが、今回の全体の事業費は一兆円を考えております。当初例説明しておりますのは出資千二百億でございますが、国はこのうち八百億の出資金のほかに千二百億円の無利子融資というものを予定しております。結局、全体の一兆円のうち二千億円は国が資金を供与しようという基本でございますが、この基本の姿勢は変わらないわけでございます。したがって、ただ、民間が非常に出資の御希望があれば、国の方は出資から無利子融資の方へ回すというようなことも、これは考えていくことは可能じゃないだろうかということで、今後逐次増資の問題がある際に、民間の非常な協力姿勢というものをどうやって受け入れるか、そういうことを出資の際にあわせて考えていきたいという趣旨でございます。
  90. 左近正男

    左近委員 それはちょっとおかしいと思うのですよ。それは承知できませんよ。やはり公共的な国際空港、この位置づけを明確にしてもらわなければ私は困ると思うのですよ。だから八百億、二百億、二百億、この出資の枠については厳守をしてもらいたい。もう一度、大臣、答弁をお願いします。
  91. 山下徳夫

    山下国務大臣 当初予定されております、政府が負うべき無利子の貸し付け等については、これは政府は守っていくということでございますから……(左近委員「出資の問題だ」と呼ぶ)出資金の持ち分自体は、私は先ほどから繰り返し申し上げるように、法に定められた範囲内において、民間活力が非常に旺盛であるならば、それは修正があって当然だと私は理解しております。
  92. 左近正男

    左近委員 そういうのはおかしい。実際そんなばかなことがあるかい。今まで論議してきた経過を全く無視したような……。再答弁を願います。
  93. 山下徳夫

    山下国務大臣 何か政府が出資分を減らして、政府の責任を軽くして逃げるんじゃないか、そういう御懸念があるかとも思うのでございますが、もしもそれがあるとしますならば、先ほどから申し上げておるように、政府の貸し出し等についてのそういう持ち分は決してそれを減らすものではない、それは十分やります。  ただ、出資金の持ち分については、これはひとつ持ち分の変更があってもいいんではなかろうか。それが直ちに政府が逃げるということにつながることではないということを重ねて申し上げておきたいと思います。
  94. 左近正男

    左近委員 だから、今、大臣の御答弁であれば、政府出資の八百億を六百億まで引き下げることはあり得るということですか。
  95. 山下徳夫

    山下国務大臣 政府が二分の一を超える額を持つということでございますから、最高限度は今おっしゃるとおりでございます。
  96. 左近正男

    左近委員 やはりこの会社法案の審議経過というものを、新大臣、私はもっと尊重してもらいたいと思う。  民間活力、活力と言いますけれども、それではこの会社の人事構成は、これはどうなっていますか。社員が百五十一名、そのうち民間はたった七人ですよ。監査役を入れても、十二名の役員中純粋なる民間からたった二名ですよ。あなたたちが言っていることと行っていることは別ですよ、これは実際。やはりそういうことをやって、会社の基本、今まで論議してきた基本的な出資の枠についても変更するというのは、私はもってのほかだと思う。
  97. 山下徳夫

    山下国務大臣 当初のこの会社の陣容でずっと今後もいくということではなくて、当初やるべき仕事は国や地方公共団体の技術とか経験を主としてやるべき業務が多いということで、とりあえずこれで発足しますよ、今後ますます民間の経験者等、技術等が必要となるにつれて、これは肉づけをしてまいります、こういうことでございますから、現陣容でもって最後までいくということでは決してございません。
  98. 左近正男

    左近委員 一事が万事、そういうことなんです。前大臣は新しい会社は高級官僚の天下り先にはしないということを言っておったんですよ。現実にこれは天下りじゃないですか、全部。あなたたち、この委員会の権威はどうなっておるんですか。  出資問題でもそうでしょう。はっきり八百億の出資ということを決めながら、民間が七百九十九社、これはみんな思惑はあるのですよ。出資することによって、少しでも何か利権をもらおうという。こういうものに政府は乗ったらだめだというのですよ。クリーンな空港つくりということを前大臣は約束されておるのです。この点どうですか。佐賀の空港つくりと違うで。
  99. 西村康雄

    ○西村政府委員 民間の多数の方が出資を希望されているということは、この空港の建設に対して非常に多くの方が関心を持っているということでございますし、私どもは、こういう形を通じて関西国際空港が本当に地域社会の中で我々の空港ということでの参加意識を盛り立てるものとして、そういう面も評価しております。いろいろな思惑の方もいらっしゃるかもしれませんが、このことをもってクリーンでない空港ということではないと思います。  また、会社に出向しました職員の方も、非常に熱烈にこの新しい空港の建設のために日夜努力しております。今の職員は非常な優秀な人たちが本当によくやっていただいております。
  100. 左近正男

    左近委員 そんなことを聞いていないよ。もう時間がないので、私は今の大臣答弁を了解したわけじゃないですよ。やはり八百億の枠を守ってもらいたいということを強く申し上げておきたい。  そこで十月五日の空港の関係閣僚会議で関西国際空港関連施設整備連絡調整会議というのができましたが、この地域整備大綱というのはいつごろまでにおまとめになりますか。時間がないから簡単にお願いします。
  101. 西村康雄

    ○西村政府委員 関係十省庁で会議を設けましたが、整備大綱につきましては来年の五ないし六月ごろを目途にまとめたいというふうに考えております。
  102. 左近正男

    左近委員 地域の意見を十分に聞いてお願いをしたいと思います。  私は、この空港問題で心配な点をひとつ申し上げておきたい。いよいよ工事に入るわけです。そして、私はこの空港の地盤沈下の問題についてかなり気にしておるわけであります。海上五キロということで、水深が約二十メートル、その下に約二十メートルの軟弱な沖積層がある。その下に百五、六十メートルの洪積層がある。今までのデータでは、この沖積層が五メートルから六メートル、洪積層においても一、二メートルの地盤沈下があるということが言われておるわけです。この不等沈下の問題について、現在の科学の中では、この地点がどれだけ沈下をするということがなかなか測定ができない。今三つの工法が考えられているらしいですけれども、やはりこの不等沈下問題について、私は運輸省としては深刻に受けとめてやってもらわなければ、空港ができても滑走路がでこぼこになる。二十四時間運航可能な国際空港だと言いながら、でこぼこを直すために飛行を中止しなければならぬというような事態が出るのじゃないかということを大変心配しております。この点について確信ある工法、これは少し金がかかっても、私は安全面からやはり非常に安全を重視した工法を、専門的な工法名は私は省略しますが、とっていただきたい。この点について運輸省としてひとつ簡潔に答弁してください。  もう一つ。私はなぜこういうことを言うかと申しますと、私は関西でございますが、関西では神戸のポートアイランド、また大阪の南港というところでかなり大規模な造成、埋め立てをされたわけであります。聞くところによると、このポートアイランドも南港についても、埋め立て完了後今日かなりになっておりますけれども、不等沈下というか、かなり沈下が進行しているわけです。この点について私はきょうは問題提起だけをしておきますから、簡単に答弁してもらって質問を終わります。
  103. 松村義弘

    ○松村説明員 今までの調査では、幸い海底地盤は割合均一でございます。したがいまして、不等沈下のおそれは少ないかと思いますけれども、しかし先生の御懸念ごもっともでございますので、十分検討いたしまして工法を選びます。それから工程管理も気をつけてやりまして、万全の策を講じたいと思っております。
  104. 左近正男

    左近委員 大阪とあれと一遍調べてください。
  105. 小野寺駿一

    ○小野寺政府委員 おっしゃるように、大阪南港、神戸のポートアイランド、両方とも沖積層並びに洪積層の沈下はございます。この洪積層の沈下につきましては、特に神戸港、大阪港いずれも昭和五十年以降調査をかなり進めておるわけでございますが、そのような成果をにらみながら、一層慎重な調査が関西空港では行われました。そこで、関西空港での洪積層の調査に関する成果は、さらに今後の港湾における埋め立ての沈下予測に十分使えるものというふうに理解いたしております。
  106. 左近正男

    左近委員 ありがとうございました。
  107. 三ツ林弥太郎

  108. 兒玉末男

    兒玉委員 六十年度の運輸関係予算に関連する問題、それから先般宮崎県内において非常な労働過重によるトラック運送によって一人の死亡者が出る事件がありました。宮崎県では同じような案件が二件起きておるわけでございますので、以上二点についてお伺いします。  第一点は、来年度の運輸関係予算の中で、特に国鉄関係で、長期債務の返還で来年から元本の返済が始まるわけでございますが、今日の情勢から判断しても再建法にあるように猶予期間ということができるようになっているわけでございますが、元金返済の猶予についてもう一つは、補助金額が概算要求で約六千三百億でございますが、今日の経営状況と再建に対する実情からして補助額の異常な切り下げはさらに赤字の累積につながる、そういう点からの補助金に対する配慮。三つは、安全上の立場からの工事経費の一定の額の確保、この三つが極めて重大でございますので、これに対する政府側の積極的な取り組みを要望し、見解を承りたい。  第二点は、公共交通としてのいわゆる地方過疎バスの問題で、実は本年度で補助が打ち切られる対象になっておる三種路線を中心にして概算要求で引き続き昨年度よりもやや上回る要求が策定されておりますので、今日の地方交通を守る立場からもやはり概算要求を上回る額でぜひ予算の内示ができるように運輸省側の健闘を要求し、御見解を承りたいと存じます。
  109. 永光洋一

    ○永光政府委員 六十年度の予算編成につきましては、厳しい財政状況の中で財政当局と精力的に折衝を続けておりますが、運輸省の予算の中でも国鉄の予算の問題あるいは地域交通の確保の問題という点につきまして、極めて重要な事項と我々も考えております。しかも、国鉄の予算につきましては、先生が今申されましたような千二百四十四億円の償還の問題あるいは六千三百三十三億要求いたしております国鉄の助成金の確保の問題あるいは安全対策という観点からの工事資金の確保の問題等、これらについていずれもやはり国鉄の予算の課題の中で大きな問題であると考えております。  ただ、現在財政当局におきましては、その折衝の過程において他の要求事項も含めて昨年並みの縮減というような非常に厳しい対応に迫られておりまして、非常に厳しい局面に至っておりますが、我々としましては、今先生申されましたように国鉄の再建、事業の再建という観点から必要最小限度の国の助成は必要であると考えますし、千二百四十四億問題につきましても国鉄の負担にならないような形での方向で決着をつけたいということを考えておりまして、先生提起された事項を含めて国鉄の予算につきましては最大限の努力を傾けてまいりたい、かように考えております。  それからさらに、地方バスの予算の問題でございますが、これも先生十分御承知のとおり、要求段階におきまして、マイナスシーリングの中でもこの問題については苦しい枠の中で増額の要求をいたしたわけでございまして、この問題につきまして重要なことであることは十分認識しておりますので、現在この要求の線に沿いましてこれも最大限の努力を傾けたい、こういうように考えております。
  110. 兒玉末男

    兒玉委員 山下運輸大臣九州の出身でございまして、特に鉄道を初め一般バス交通等十分御理解をされているわけでございますが、新大臣として六十年度予算編成に向けて、今官房長が言われたような点について、さらに大臣の一層の決意のほどを御表明いただきたいと存じます。
  111. 山下徳夫

    山下国務大臣 新年度の予算の中で、運輸省の重点予算については先般来運輸省の幹部といろいろ詰めてまいりましたけれども、今御指摘の点は最重要予算の一つとして今後とも真剣に取り組んでまいりたいと存じます。
  112. 兒玉末男

    兒玉委員 運輸省の御健闘をひとつ期待いたします。  次に、これは本年の十月でございますけれども、宮崎県内で起こりました居眠り運転による死亡事故という事件でございます。事件の概要は既に警察庁なりそれぞれ関係機関に報告されていると存じますが、具体的に申し上げますと、十月の二日午前二時十五分にこの運転手会社を出て、夜の二十時三十分まで十八時間十五分、ほとんどトラック運転と荷物積み込みの過重な労働に参加をし、それからわずか三時間しか仮眠をしないで北九州から宮崎県の延岡に向けて、積み込んだトラック運転をする。午前一時三十一分に会社を出ておりますから、実質三時間も休んでいない、まさに仮眠の状況です。そうして五時間三十分後の六時五十五分に通路を自転車で通行中の四十二歳の人をひき殺している、こういう事故でございます。  これは労働基準法上から申し上げましても最長十六時間の労働時間、平均九時間の基準を完全にオーバーする極めて異常な過重労働状態が具体的に報道されているわけであります。これは先般の二七通達から考えても、たとえ通達事項としても労働省あるいは運輸省の所管官庁としては適切な指導をする責任があるわけでございまして、この事件について延岡署は既に書類送件をしていることが地元の去る十三日の新聞で報道されているわけであります。この点について、運輸省当局それから労働省、さらに状況について警察庁の関係からそれぞれ御答弁をいただきたいと存じます。
  113. 山崎毅

    ○山崎説明員 お答え申し上げます。  ただいまの交通事故は先生指摘のとおりの交通事故でございまして、十月の三日の早朝に宮崎県内の北川町内におきまして発生した過労運転による死亡事故でございます。  この事故は、北九州市所在の運送会社運転手、三十九歳の方ですが、大型貨物自動車運転して日向市内へ配送荷物を運送中に、過労による居眠りから自転車で出勤途中の会社員、四十歳の方ですが、それと衝突をして死亡させたものでございます。  捜査といたしましては、国運転手を逮捕しまして所要の捜査を遂げた上、業務上過失致死罪と過労運転の容疑で送致をいたしました。また、会社側の背後責任の追及ということで鋭意捜査をいたしまして、十二月十二日に会社幹部二名及び法人を過労運転の下命容疑として、道路交通法の七十五条違反でございますが、それぞれ書類送致をいたしたところでございます。
  114. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 先生おっしゃいました十月三日の事故でございますが、これにつきましてはただいま警察庁の方から答弁がございましたように、警察の捜査によりまして運転者に業務上過失致死、これはもちろんでございますが、トラック運送事業者側にも過労運転の下命行為があったということで検察庁に送致されたということでございまして、私どもトラック運送事業を所管するものとして極めて遺憾な事態であるというふうに受けとめております。  私どもといたしましては、事故がありますと事業者からすぐ事故報告が来ることになっておりますが、それを受けまして直ちに運行管理者などに対しまして事故防止について注意を促したわけでございますが、警察の方で送致をされたことでもございます。十二月十三日に私どもの方でも、運輸局から所管の陸運事務所に対しまして特別監査を指示いたしまして、警察からの書類の返付を待ちまして本格的に調査をいたしまして、適切な指導とともに必要な厳正な行政処分も考えたいというふうに思っております。
  115. 菊地好司

    ○菊地説明員 本件につきましては、先生指摘のとおり、自動車運転者の運転時間等の改正基準にもとる点がございまして改善指導を図っていくこととしておりますが、さらに基準法の違反について精査いたしまして、法違反という事実がありますれば司法処分を含めました厳正な処分をしてまいりたいと考えております。
  116. 兒玉末男

    兒玉委員 労働省に再度お伺いしますが、現在の全国的な長距離貨物、大型貨物トラックの労働時間を見ますと、外国の例に比べても非常に長いわけです。でありますから、トラック協会等の統計によりましても、特に年間の総労働が三千時間を超えるという異常な長時間労働に耐えながらトラック運転労働者が働いている、これはもう大変な過当競争であり、同時に過重な労働を強要されていると言っても過言じゃないと思うのです。監督官庁として、特に労働基準局としては今回の事故を起こした会社の詳細な立入検査による実態の把握を行い、他の関連企業への大きな教訓として的確な指導を行う必要があろうかと思うのですが、それらについてどのような見解をお持ちなのか、労働省見解を承りたい。
  117. 菊地好司

    ○菊地説明員 労働時間全体の問題につきまして現在多角的に対策の検討を進めておりますが、その中でトラック、ハイタク業につきましては御指摘のような私どもにとりまして非常に問題とすべき事態にあると認識しております、御指摘の点も踏まえまして厳重な、詳細な調査をして、当該企業に対しまして指導、改善を図ることはもとよりでございますが、業界全体の今後の労働時間対策につきましても、関係省庁と十分打ち合わせをしながら強力な指導を進めてまいりたい、かように考えております。
  118. 兒玉末男

    兒玉委員 さらに、労働条件に関連するILOの百五十三号条約が、とにかくいまだに批准されていない。これは労働省運輸省、相互関連でございますので、ひとつ前向きの姿勢で取り組んでもらいたい。これは後で見解を承ります。  さらに運輸省に対しまして、ただいま労働省の方も的確な調査指導をすると確約されましたが、運送そのものは運輸省の所管でございまして、特に先ほど申し上げたとおり、トラック協会の統計によりましても非常に長時間労働が——これは会社から何時間運べと言われないことには運転者もみずから長時間労働をするわけではございません。当然、言われたところの平均九時間、拘束十六時間、この基準が守っていかれるならばこのような不祥な事故は絶対起きないと考えるわけでございまして、現在、長距離トラック輸送にしても無法地帯のような過当競争の現状にあるわけでございますが、貨物流通局長としては平素この事件を契機にどのような指導をされる御所見なのか、承りたいと存じます。
  119. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 いわゆる二七通達の遵守の問題につきましては、私どもといたしましても労働省と連携をとりながら、トラック運送事業者に対しましてその周知徹底を図る、それから運転者の勤務割りとか乗務割りの見直しあるいは休憩施設、仮眠施設の充実などによりましてその基準に適合できるように指導してきておるわけでございますけれども、さらに、従来からもやっております計画的な監査でございますとか運行管理者の研修でございますとか、こういったものを徹底させる。そのほか、五十五年の十月から労働省との間に相互通報制度というものを実施しておりまして、相互に得た情報を連絡し合って二七通達を守らせるということもやっておりまして、一層の努力を払っていきたいと考えております。  実は、ことしの夏営業用のトラックの事故が、追突の事故が中心でございますけれども、多うございました。また、先生が今お取り上げになっていらっしゃる事故もございました。私ども運輸省といたしまして年末年始の安全総点検というものを毎年やっておりますが、特にことしはこういった過労運転の防止を項目に挙げると同時に、今申し上げました高速道路などにおける追突事故とかを特に重点として点検を行う。これは事業者自身にまずやらせ、また私どもも適宜現地に出向いてそれを督励することも含めまして、我々の行政の基本であります安全問題は特に力を入れていこうということで、あらゆる手段を尽くして安全の確保に努めるということでやっておるわけでございます。
  120. 兒玉末男

    兒玉委員 二七通達についても、労働省もなかなか明確な答弁を避けておるようでございますけれども、全交運の調査でも、二七通達が完全とは言わなくても大体遵守されておるという箇所が全体の五〇%そこそこだ、こういう統計上の資料が出ておりますが、こういう点を含めて、特にILO百五十三号条約は当面の日本政府の重大な責任だ、私はこのように考えるわけでございますが、こういう点等に対する政府の姿勢がなまぬるいところにも一般の運送業界がこのような状況に置かれている最大の要因ではないかと思うわけであります。  固有名詞を言って大変どうかと思うのでありますけれども、大阪あるいは京都のある業者から、今まで数回、かなり分厚い資料による陳情書が参っております。それは佐川急便に対するところの、極めて違法的な、また労働者の人権を無視するような形の運送が行われている、こういう具体的な指摘が恐らく運輸省にも行っていると思うのですが、こういう業者があるからお互いが過当競争となり、そして労働条件の低下をもたらすという要因になっているように思われるわけでございます。これは監督官庁として大きな責任がある。さらに第二、第三の、今回のいわゆる北九州市のこのような死亡事故につながりかねない要素があらゆる大型輸送、運送会社の中には潜んでいるわけであります。その点に対して、運輸省当局としてはいま少し厳重な行政指導、さらにまた労働省としては立入検査等の強化、こういうことが強く要望されるわけでございます。だから、ILO百五十三号条約の批准、そのような運送関係会社の適切な検査、指導について再度運輸省労働省見解を承りたいと存じます。
  121. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 ただいま先生おっしゃいました中で、まず二七通達の違背の状況は私ども労働省で調べられたものなども十分承知しておりまして、確かにそれぞれの事項について見ますとそれに達してない、達してないといいますか、違背しているというような事例が相当多くあるということは承知しております。私どもも、できるだけ労働省が通達をされました二七通達の線に沿って指導、あるいはいろいろな監査を含めましてできるだけのことをやっていきたいと考えておりますし、また佐川急便の問題も、先生おっしゃられましたけれども、確かに違反があって、私どもの方にもお話があり、また私どももそれを摘発している部分もございます。それについては、それぞれに厳正な処分をすべきものはするということでやってきておるつもりでございます。今後ともその点については十分意を用いて厳正な態度で臨んでいきたいと思います。  それから、トラック事業者、特に区域の事業者は非常に数が多うございまして、今も過当競争というお話がございましたが、私どもは、やはりこういった過労運転とか過積載とか許されないような行為が行われながら競争をしているというのはまことに望ましくない状態であるというふうに考えておりまして、そういった点をきちんと厳しく、秩序を確保しながらその中で適正な競争をしていただくということでできるだけその線に沿って行政を進めていきたいと思っております。  また、御指摘の交通関係のILO条約への対応につきましても、この点につきましてはまだ条約の条項と今国内で行われておりますことの間の調整などもあるようでございますが、労働省と十分連絡をとりまして、鋭意これに取り組んでいきたいというふうに考えております。
  122. 菊地好司

    ○菊地説明員 労働省といたしましては、日本全国の企業種事業場を対象に監督指導を展開しているわけですが、先生指摘運送事業につきましては重点対象に置きまして毎年の運営方針の中で重視して取り組んできているところでございます。五十八年の例でも五千件を指導調査しておりますし、今後とも御趣旨を踏まえて精力を注いでまいりたい、かように考えております。
  123. 兒玉末男

    兒玉委員 じゃ運輸大臣に最後にお考えと所見を承りたいのですが、今それぞれお話がありましたように、日本の交通運輸労働者というのは拘束時間が非常に長いわけです。それだけ働かなければ賃金が十分もらえないという要素もありますけれども、例えばアメリカとかイギリスあるいはドイツ、フランス等に比較して、とにかく二千時間をはるかに超えているわけです。そういう点からもひとつこの際、交通運輸労働者の労働時間の実態等も担当者から十分お聞きをいただきまして、これの改善に所管大臣として一層の御検討をお願いしたいと思いますが、御所見を承りたいと思います。
  124. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほどからいろいろ指摘がございましたが、要は過重運転行為についてその業者の下命行為があったかどうかということでございまして、私はこの一点に尽きると思います。したがって、先ほどからまたお話がございましたように、厳しい経済の実態の中で非常なしのぎを削るような一つの業者同士の競争があるかもしれませんが、いかなる競争があっても業者がいわゆる遵法観念というのでしょうか、法律だけは守るという、これだけははっきりと培うように、労働省とよく話し合いをしながらさらに今後とも努力をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  125. 兒玉末男

    兒玉委員 終わります。どうもありがとうございました。      ————◇—————
  126. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 この際、運輸政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。小里運輸政務次官
  127. 小里貞利

    ○小里政府委員 けさほど山下大臣と御一緒にごあいさつを申し上げる予定でございましたが、参議院の議院運営委員会、本会議の方に出席いたしておりまして、その機会を得ず恐縮いたしております。  このたび、政務次官を拝命いたしました小里でございます。  申し上げるまでもなく、運輸行政は大きな問題をたくさん抱えております。山下大臣を補佐申し上げながら一生懸命、非力でございますが頑張ってまいるつもりでございます。よろしくお願いいたします。(拍手
  128. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします、     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  129. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
  130. 近江巳記夫

    ○近江委員 まず初めに、関西新空港の問題についてお伺いしたいと思います。  いよいよ予算編成も大詰めになってまいりました。この十月一日から株式会社が発足をいたしまして、いよいよ六十年度から着工、六十七年開港、これに向けて滑り出しをしたわけでございます。言うならば一番最初の滑り出し、これは六十年度予算ということでございます。運輸省としては二百五十億、概算要求をされておられるわけでございますが、漁業補償の問題等を中心といたしまして、最初の年の予算というものが非常に大事なものになろうかと思います。そういう点で二百五十億概算要求されておりますが、これは大蔵省との関係もあるわけでございますけれども、間違いなくこの予算の獲得をされるのかどうか、まず初めにお伺いしたいと思います。
  131. 山下徳夫

    山下国務大臣 午前中にも御答弁申し上げましたように、六十七年度末を六十七年度中にでも一番機を飛ばしたいという熱意に燃えているわけでございますから、このスケジュールからまいりますと六十年度末にはまずせひとも工事に着手したいということでございますから、まず六十年度予算につきまして第一に事業着工の予算を確保しなければならぬということでございます。したがいまして、当然事前にこれに伴ういろいろなことをやらなければなりません。今御指摘にございました漁業補償であるとかあるいは公有水面の埋め立て、さらには飛行場設置のための所要の手続、護岸とか架橋あるいは埋め立ての設計、こういう着工に至るまでの準備的な予算も当然あわせて獲得しなければ着工できないのでございますから、この二つに主眼を置いてぜひとも予算の満額、大蔵省より私どもはひとつ了解を得るように努力をしてまいりたいと思っております。
  132. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは大蔵省さんも来ておられるわけでございますが、大蔵省からもひとつ答弁をお願いしたいと思います。
  133. 藤井誠人

    ○藤井説明員 御質問についてお答えいたします。  先ほど運輸大臣からも御説明がございましたように、関西国際空港につきましては、六十年度末の工事着手、六十七年度末に開港を目途として整備を進めるということで準備を進めておるわけでございます。ただ、先生も御承知のように、六十年度における財政事情というものにつきまして、特例公債依存体質からの脱却という一方の目標もあるわけでございますが、まさに今予算編成過程の大詰めを迎えております。そうした中で、厳しい財政事情を踏まえつつなお引き続き運輸省と十分検討してまいりたい、かように考えております。
  134. 近江巳記夫

    ○近江委員 公共事業の二千億の上積み、これが取れるかどうかということで相当政府部内で検討されておられたようでございますが、マスコミの報道等でも上積みということもございますし、この公共事業——もっとも関西新空港というのはナショナル空港といたしまして既に発足しておるわけでございますし、これは大蔵省におかれましてもこの予算の獲得につきましてひとつ力を入れていただきたい、このように思います。また、運輸当局も、実際の実行という点になりますると何といいましてもまず初年度の予算を獲得する、これに全力を挙げていただきたい、このように思うわけでございます。  次に、このアクセスについてでございますが、これは地元におきましてもいろいろと論議をいたしておるところでございます。特に新大阪から空港までは阪和線を経由していくわけでございますが、一部新線ということになろうかと思いますけれども、一つは国鉄がそこに主体となってくる、こういう一つの案、あるいは南海線による乗り入れ、鉄道の面でいいますとこの二本が主体ではなかろうかと思います。さらには外環状線をやらなければいけません。ところが、御承知のように国鉄当局も非常に厳しい財政状況のもとで抑えておるということでございますし、実際に空港のそうしたアクセスということからいきますと、事情はわかるけれども、空港機能を十分発揮さしていくためにはこのアクセスを確実なものにしなければならないわけでございます。そこで、きょうは建設省また国鉄当局また運輸当局もいらっしゃるわけでございますので、順次ひとつお聞きいたします。  まず、この鉄道アクセスについてお伺いをしたいと思います。
  135. 西村康雄

    ○西村政府委員 関西空港が本当に関西全域のあるいは日本全域のための国際空港として機能を果たしますためには、何よりもこのアクセスを広域に機能するように持っていく必要がございます。そこで、特に東海道新幹線あるいは山陽新幹線を媒介にしまして、関西あるいは中国あるいは北陸がこの関西国際空港に連結するというような機能を果たしますためには、ぜひとも新大阪から関西空港まで直通の運転を確保していく必要がある。当初輸送需要がそれほど多くない間はとりあえず南海本線だけ乗り入れたらどうだというような考え方もあったわけでございますが、そういった空港の機能の重要性を考えますと、最初から国鉄を十分に生かすことを考えていくべきだということで、南海本線と阪和線をともにまず関西国際空港へ乗り入れるということ、そしてこの阪和線につきましては、新大阪から直通の運転をするように何があっても確保するということを基本方針としたわけでございます。この点につきましては、先般運輸省関係出先及び関係の地方公共団体等で構成しております近畿地方の運輸の連絡会議でもこの方向を確認いたしまして、ぜひともこの計画を推進していきたいということにいたしているわけでございます。  具体的には、新大阪から梅田貨物線を通りましてさらに環状線につなぎまして、これを天王寺で阪和線へつなぐということにいたしたい。このための阪和線の接続については若干の工事を要しますが、ここはできるだけ早く整備していきたいい。さらに、阪和線を関西国際空港へ取りつけるというためにはかなりの投資が要るわけでございますが、この投資につきましても何とか方法を講じてこの路線を整備していきたいというふうに考えているわけでございます。  特に、この具体的な整備につきましては、現在直ちに国有鉄道がこの部分を投資をしていくということについての問題がございますので、当面の方法といたしましては、関西空港株式会社がこの手続を分担して進めていくということが適当ではないかというふうに考えておりまして、そういう方向で今検討を進めているという状況でございます。
  136. 岡田宏

    ○岡田説明員 今運輸省の方から御答弁ございましたけれども、阪和線を利用しましての新大阪と新国際空港との直通乗り入れの問題につきましては、国鉄といたしましては阪和線の日根野から阪和線を使いまして天王寺に至り、天王寺から環状線それから梅田貨物線を使いまして新大阪へ結ぶということで所要のルート改良が必要なわけでございますが、一応そういったことで準備をいろいろ進めさせていただいております。なお、その場合延長約六十二キロでございまして、所要時分につきましては一時間弱の所要時分で到達できるものというふうに考えているところでございます。  それ以外の、先生もお話しございましたけれども、外環状線の延伸問題でございますとか、あるいは地下鉄なにわ線の問題でございますとかいろいろほかのルートもございますけれども、これらにつきましては大変巨額の工事費を要しますので、当面の段階といたしましてはそのような阪和線、環状線あるいは梅田線の改良をもって新大阪と空港との直結ができるというふうに考えているところでございます。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 仁杉総裁にお聞きしますけれども、私たち国鉄の財政という問題が非常に気にかかるわけでございます。今御答弁があったわけでございますが、間違いなく開港時までにこのアクセスは完成されますね。一応確認しておきます。
  138. 仁杉巖

    仁杉説明員 今運輸省航空局長さんからお話がございましたように、国鉄も関西新空港とのアクセスには積極的に出るべきであるという御意見でございまして、私どもも全く同感でございます。苦しい中ではございますが、でき得る限りいろいろやりくりをいたしましてもなるべく早くこのアクセスを完成するように努力するつもりでおります。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 総裁から非常に力強い御答弁をいただきまして、ぜひひとつ開港時までに、むしろもっと早い機会にこれを完成していただきますように強く要望いたしておきます。  それから、同じくアクセスといたしまして道路関係をお伺いしたいと思います。具体的にいろいろ聞きたいと思いますが、まず建設省から湾岸道路初め近畿自動車道等の道路関係についてお伺いしたいと思います。
  140. 布施洋一

    ○布施説明員 まず近畿自動車道でございますが、関西新空港に関連いたします近畿自動車道といたしましては、吹田インターチェンジから海南インターチェンジまでの区間約百二キロメートルがございます。そのうち、吹田インターチェンジから東大阪ジャンクションまでの区間約十七キロメートル及び阪南インターチェンジから海南インターチェンジまでの区間約二十七キロメートルは既に供用されているところでございます。残りの未供用区間でございます東大阪ジャンクションから阪南インターチェンジの区間約五十八キロメートルにつきましては現在全区間にわたり事業を進めているところでございます。しかしながら、この地域には多くの埋蔵文化財がございますことから、用地買収が完了いたしましたところから逐次その調査を行いまして、既に一部の区間は工事にかかっているところでございます。  今後の整備の見通してございますが、文化財の発掘調査が順調に進みますれば六十年代の中ごろには全区間供用できる、このように考えているところでございまして、今後とも関西新空港の開港までに供用できるよう努力してまいる所存でございます。  次に、湾岸線についてでございますが、大阪湾岸道路は大阪湾に沿って神戸市の垂水区から大阪府の泉佐野市に至る約九十キロメートルの道路でございます。現在大阪市の港区港晴から堺市の三宝までの区間約八キロメートルを阪神高速道路の大阪湾岸線といたしまして既に供用しているこころでございまして、その南の堺市三宝から泉大津市臨海町までの間約十一キロメートルにつきましては現在事業を進めているところでございます。さらにその南の泉大津市臨海町から泉佐野市に至る区間、この区間は約二十キロメートルあるわけでございますが、昭和五十四年度から既に調査を進めているところでございます。現在、この区間にございます阪南港の港湾計画でございますとか、あるいは大阪府下の貴重な海水浴場でございます二色ノ浜公園との調整、こういったものを含めまして路線計画を策定するための調査を大阪府とともに行っている、こういう状況でございます。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 この湾岸線につきましては調査中、この法案を審議しておるときもそういう答弁であったのです。しかし、湾岸線というのは京阪神地帯、空港に至る最も重要な道路になると思いますし、調査中、調査中ばかりではめどが立たぬと思うのです。いつまでぐらいに調査を完了して間違いなく開港のときまでこれを完了する、そういう明確なお答えをいただきたいと思うのです。調査中だけであれば濃霧の中に入ったみたいなものですね。
  142. 布施洋一

    ○布施説明員 今御説明申し上げました湾岸線でございますが、理想的なアクセスとして必要であるということは御指摘のとおりでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように計画を策定する上での調整事項がかなりございます。したがいまして、そういう調整事項を調整した上で都市計画決定等所要の手続を行い事業を進める、こういう形になるわけでございます。したがいまして、現段階でいつまでに開通するということを明確にすることは困難ではございますけれども、現在の状況から考えますと、大阪湾岸線の全線を空港開港までに開通させることは困難ではないか、このように考えている次第でございます。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 開港までに困難であるという極めて厳しい見通しの答弁があったわけですが、運輸大臣、関西空港の関係閣僚の中心者として、アクセスという問題は非常に重大な問題だと思うのです。今建設省がそういう御答弁でございますが、今後関係閣僚会議等におきましても全力を挙げて、諸困難はあるにいたしましても開港までには間に合わせる、こういう推進をぜひやるべきではないかと思うのです。大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  144. 山下徳夫

    山下国務大臣 新東京国際空港の完成の時点においてアクセスが不十分であったために都心との交通の円滑を欠いたという点も承知いたしておりますし、その前車の轍を踏まない意味におきましても私はアクセスは極めて重要な問題だと理解をいたしておりますので、ただいま御指摘の点は今後とも十分配慮してまいりたいと思います。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 運輸大臣、ひとつ力を入れていただきたいと思いますが、何といいましても建設省さん、あなたの方が本腰を入れてもらうことが一番大事なことなんです。再度の質問で恐縮ですけれども、見通しはそうだけれども実際本当に全力を挙げてやればいける、そういう自信もあるのでしょう。どうなんですか、忌憚のないところをひとつ。
  146. 布施洋一

    ○布施説明員 重ねてのお尋ねでございますが、先ほど申しましたようなまだ調整事項もございます。それともろもろの具体の計画を立てる上での未確定な事項がございますので、現段階でいつということを申し上げるのは困難だと考えておりますが、基本的には理想的なアクセスとして必要だということは認識をいたしておりますのでそれなりに努力をさせていただきたい、かように存じます。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、これは主体は阪神高速道路公団になるわけですね。それじゃ、具体的に調査費等きちっと計上していますか。
  148. 布施洋一

    ○布施説明員 事業主体でございますが、先ほども申し上げましたように、南の部分はまだ事業化いたしてございません。それでそこの区間の調査につきましては建設省近畿地方建設局が現在調査中でございまして、今年度調査費は二億四千五百万円を計上して調査中でございます。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 ひとつ建設省として総力を挙げて取り組んでもらうように強く要望いたしておきます。それでまた、機会あるたびに建設省に来ていただいて進捗状況、調査の状況、見通し等につきまして、その都度今後お聞きしていきたいと思いますから、一層馬力をかけてお願いしたいと思います。  それから、第二阪和国道ですけれども、これはどうなっていますか。
  150. 布施洋一

    ○布施説明員 第二阪和国道は、大阪府の堺市から泉南郡の阪南町に至ります一般国道二十六号のバイパスとして去年の十二月に延長約三十三キロメートルの区間全線供用を既にいたしたところでございます。第二阪和国道を阪南町からさらに南の方、和歌山方向へ延伸する計画につきましては、現在路線構造等に関する調査を実施しているところでございます。  今後、関西新空港に関連する交通を含めまして、将来の交通需要の見通してございますとか、あるいは周辺地域の開発の動向といったようなものを勘案しながらさらに調査推進いたしまして、路線計画を確定してまいりたい、このように思っている次第でございます。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 それもひとつ、和歌山に至る第二阪和の早期完成を強く要望いたしておきます。  それから、これは大阪府が主体になるわけでございますが、いわゆる俗に言う前島構想でございますが、大阪府におきましては沖出し方式にほぼ決めた、こういう報告も聞いておるわけでございますが、これは大阪府が主体でやる問題でございますけれども、空港のいわゆるバックグラウンドとして一体となった機能を発揮する基地でございます。したがいまして、これは運輸省といたしましても重大な関心を持っていらっしゃると思うのですが、この沖出し方式とほぼ決定したということでございますが、どういう見方をされているかお聞きしたいと思います。
  152. 西村康雄

    ○西村政府委員 この十二月に至りまして、大阪府は、今お話しの前島の構想につきまして計画素案という形で発表されております。これは、空港の対岸の沿岸部を今までは前島という形だったのが今度は沖出しという形で接続して埋め立てをして開発をするという構想でございますが、この大阪府の現在の構想ではここに流通の諸施設等、空港に関連するいろいろな計画をお持ちでございますが、特にこの中では、私ども、空港が将来非常に発展をするということを考えますと、空港の機能の一部をこの前島が持っていただくということが極めて重要なんじゃないだろうかというふうに考えております。  現在、成田の国際空港はたまたま原木というところに貨物のターミナルを持っておりますが、現在の水準の国際貨物の取り扱いにつきまして完全に手いっぱいになっておりまして、今後どういうふうに貨物の取り扱いをしていったらいいか今鋭意検討中でございますが、貨物の需要の伸びは当初予想したよりも極めて著しいものがございます。そういう点から申しますと、関西国際空港におきましても現在私どもが考えておりますよりはるかに大きな輸送需要が出てくる。特に、この国際空港は二十四時間空港でございます。貨物の輸送のために、世界とつなぐ上で最も有利な国際空港でございますので、そういう点を考えますとなお貨物の処理という問題について真剣に考えておかなければいけない。幸い、大阪府におきましてもそういう問題について十分御配慮されております。それで私ども関係者集まりまして、具体的に空港の機能のうちの貨物の取り扱いにつきましては空港本島とこの前島とでどのような機能分担をしていくことが円滑な貨物の処理あるいは将来の増大する需要に対して処理していくのに適切かということを検討しているところでございますが、こういった貨物の処理、さらにはそのほかの民間のいろいろな流通関係なりあるいは生産のいろいろな基地としても活用されることが考えられております。これから関係者が前島をどう活用するか、空港の本島の計画とあわせまして一体的なものとして具体化していくということを期待しているわけでございます。そういう点では運輸省も大阪府と十分連携してこれから具体化に努めていきたいと考えております。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、大阪府の沖出し方式というのは、前島というよりも、ほぼ決定をして両者協議の上で進めていく、こういうことですね。
  154. 西村康雄

    ○西村政府委員 前島の計画自身は大阪府がおやりになるわけですが、やはり空港の計画がどうであるかということを前提にして、これを中へ取り込んで大阪府が全体としての計画をおまとめになるというように今大阪府と話し合いをしておるわけでございます。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、午前中も問題が提起されたわけでございますが、いわゆるこの空港の変更ですね、当初我々提示しておりました計画を沿岸の方に三百五十メートル近づける、こういう案について運輸省は了解した、こういうことでございますが、これはどういうメリットでこれを承認したのですか。
  156. 西村康雄

    ○西村政府委員 午前中も申し上げましたが、この空港の計画を運輸省の試案から会社の具体的な計画に変えるにつきましては、まず一つはこの建設費が安くなるということでございます。この理由は、大阪の沿岸部に三百六十メートル近づくわけですが、ここはやはり海底が傾斜しておりますので若干浅い方へ入ってくるということで、土工の量も下がります。また漁業補償を対象とする区域、こういう点もこちら側へ寄ることによりまして減ってまいります。そういう点が一つございます。  それから、この計画はこれまではA滑走路、B滑走路が非常に近接して二本の滑走路が設けられるという計画でございました。これを今回は、将来の構想といたしましては二本の滑走路を分離してそれぞれ独立して使うということが可能なようにしたらどうだろうか、近接して滑走路を設けます場合には滑走路一本の能力に対しまして若干の余裕が出るという程度になりますが、二本の滑走路をかなり距離を置いて設けます場合には、二倍とはまいりませんが、かなりの大きな分が余裕が出てくる、それぞれ独立して使う部分が非常に大きくなってくるということでございます。そういったことが可能なような形が予想されるということでございます。  それから、なお今回の計画の中では、当初三千三百でスタートいたしまして、後に状況によって四千に延ばしていくという計画でございましたが、当初から三千五百に計画を改めて、二百メートルほど滑走路を長くしておくということにしようとしているわけでございます。この結果、滑走路の三千五百というものによりましてニューヨークまで直行便が行けるということが期待されているわけでございます。従来の三千三百でございますと太平洋の西海岸というあたりが適当な距離でございましたが、そういった意味で、関西国際空港は非常に能力が大きくなるということが期待されております。また、最終的には四千というものをとりあえず三千五百ということにすることによりまして、そういう面からも経費が削減されることが期待されているわけでございます。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 例えばニューヨーク直行便のことにつきましては、この法案の審議のときも私が指摘をしているわけです。そのときも、三千三百でもニューヨーク直行便は行ける、しかし胴体の短い飛行機である、それならあと数百メートル延ばせば直行便行けるやないかと。私の議事録をごらんになってみなさいよ、既に私は指摘をしているのです。そういうように、十月一日に会社が発足してわずかの間にこういう変更をしておるわけです。こういうことは当初からわかっておるはずでしょう。また環境問題等も、三百五十メーター前にせり出すことによって、海流のかげんとか、そういうことの心配はないのですか。環境の問題はどうなんですか。
  158. 西村康雄

    ○西村政府委員 第一期計画は三百六十メートル沿岸側に寄りましたけれども、これは当初の全体計画の中の移動でございます。したがいまして、これが第二期までできますと全体の形は最初申し上げたものと全く同じ形になるわけでございます。そういう意味で、これまで環境アセスメントを実施してまいりましたのは、最終的な全体計画を対象にしてやってまいっております。したがいまして、漁業等に与えますアセスメントの影響は、当初から予定されているものの範囲内で行われるというふうに考えております。
  159. 近江巳記夫

    ○近江委員 全体計画の中からいきますと影響はない、それはその中でいろいろと計算されておると思うのですけれども、しかし、こういう計画変更というのが、今お聞きしたらそういうメリットは出ておるわけでございますけれども、これだけの大きなプロジェクトを推進するについていとも簡単にそういう変更をしてくる、これは国民だって何か不安を覚えますよ。もう少しきちっとした詰めをした計画といいますか、絶対の自信を持って、あなた方も三点セットで長い間のそういう検討もされてきたわけなんですよ。今後気がついたことはいろいろと部分修正といいますか、それはやむを得ない場合もあるかもわかりませんけれども、我々国会にもこれだけの法案を提示して、計画案はこうです、それで半年たってこういう変更がある。私は非常に安直な感じがしますね。これについて何の反省もないのですか。いいことだったら構わないのじゃないかという感じですか。その辺少し聞かしてください。
  160. 西村康雄

    ○西村政府委員 会社が発足しまして余り時間のない間に、確かに従来運輸省から地元に対しても御説明し、この場でも御説明したような計画について修正を加えたような形で計画が出てまいりまして、運輸省もそれを適当なものとして認めたわけでございますが、今回の問題につきましては、いろいろな意味で、安くつくる、工事を早くつくる、そして地元への環境の問題は最大限尊重しながらやるという枠内であらゆる努力を常時やっていくべきだということ、また、将来への展望を考えながらやるべきだということを基本にしてやってまいりまして、そういう点では結果としては非常にいい選択をしたというふうに考えておりますが、確かに計画が急速に変わったという印象は否めないわけでございますので、今後この計画が変わった理由につきましては十分関係のところにも御説明をして進めていきたいと思います。  なお、滑走路の延長につきましては、当初計画した時点よりさらに新しいエンジンというのが出てまいりまして、四千メートルでなくても、三千五百でもニューヨークまで行ける、つまりわずかの滑走路の延長でニューヨークまで行けるというようなエンジンの開発がなされてきたということに伴いまして、そのような最近の状況を取り入れたということでございます。
  161. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後つくっていく問題ですから、現実の問題ですから修正ということも出てくるかと思いますけれども、皆さんも総力を挙げて基本計画というものを練ってこられたわけですから、我々議員も実際に急にこういうことがぽっと出てきて驚いておるような状況です。そういう点、ひとつ権威を持って、また修正等が起きる場合においては関係者に対して十分な納得のいく、そういう配慮が必要だと思うのです。そういう点が非常に手抜かりが多いと私は思います。今後十分注意していただきたい、このように思います。  それから地域整備の問題でございますが、来年の六月ごろに大綱を出すということですが、大体骨子としてどういうことを考えていますか。その点についてお聞きしたいと思います。
  162. 西村康雄

    ○西村政府委員 地域整備につきましては、閣僚会議決定に基づきまして、関係十省庁でこれから大綱をつくって進めていくということを考えております。地域整備の対象といたします空港の立地に伴う関連施設の範囲につきましては、これから関係各省がそれぞれの方針に基づきまして立案をし、また地元と十分協議をしながらつくっていく、そしてそれをこの連絡会議で調整の上整備大綱にまとめるという手順をしているわけでございますが、この整備大綱の中で取り上げられますプロジェクトといたしますと、例えば空港の鉄道、道路等のアクセスはもちろんでございますが、そのほかの関連公共事業、下水道その他いろいろなものが出てまいると思いますが、具体的には今各省が取りまとめ中でございますので、きょうの席では差し控えさせていただきたいと思います。
  163. 近江巳記夫

    ○近江委員 大綱は六月ということでございますから、十分ひとつよく練り上げていただきたい、このように思います。  空港問題ばかりやっていますと時間がありませんので、あと一点だけ。  関西国際空港推進会議、これは十一月二十八日に第一回をやっておられますね。ここでは特に何を重点として検討し、やっていかれるのか、少しわからないところがありますのでお伺いしたいと思います。
  164. 西村康雄

    ○西村政府委員 関西国際空港推進会議は関西国際空港株式会社が設けたものでございまして、これは先般の関西国際空港株式会社法の成立に際しましての当委員会の附帯決議に基づきまして設けることにいたしたものでございます。その委員会の附帯決議では、地方公共団体等の意向を会社経営に反映させるための仕組みを整備するよう会社指導しろという趣旨でございました。このため、会社は定款に関西国際空港推進会議を設けるということをうたいまして、この会議を設けたわけでございます。そういった趣旨から、この会議は特に地元の諸意見を十分に吸収するということ、そうして地元のいろいろな意味での御協力を取りつけていきたいということでございまして、関西国際空港会社は、先ほどの十一月二十八日に会議が開催されました際にこれまでの空港計画を十分御説明いたしたわけですが、各府県、市町村からもその点につきましてさらにいろいろな質疑があり、また関連して地域整備のいろいろな問題もこの会議では取り上げられまして、会社としてもこの地域整備について関係省庁に十分にアピールをして、ぜひ地元と一体となって関西国際空港を建設するように要請を受けております。会社もそういう趣旨を体しまして、地元とともに歩むような会社としてこの会議を大いに活用していきたいと考えている次第でございます。
  165. 近江巳記夫

    ○近江委員 空港問題は一応これで終わっておきたいと思います。  次に、総裁も来ていただいておりますので、国鉄についてお伺いしたいと思います。  一つは事故の問題ですね。これは十九日、品川で信号誤認、六十四本が運休。これももう一歩のところで大惨事になる事故である。先般も、十月十九日、これは西明石駅のブルトレ事故ですね。きょうもちょっとニュースでやっておりましたが、これは民鉄だと思いますが、上信電鉄というのですか、何か事故があった。この事故についてちょっと報告してください。
  166. 坂田浩一

    ○坂田説明員 一昨日の事故でお客様に多大の御迷惑をかけたことをまずおわびいたしたいと思います。  事故の原因につきましては、この電車が大船発の東京行きの電車でございまして、ちょうど品川駅の手前に場内信号機というのがございまして、そこが赤ということでございます。赤の信号を冒進してポイントを割ったというのが事故の概況でございます。  我々の保安対策といたしましては、信号冒進事故に対しましてATSというものを整備いたしておりまして、したがいまして、赤信号の手前に地上子を設けまして、そこで赤信号でございますと一たん警報が鳴ることになっています。この場合も赤信号の手前六百メーターのところに地上子がございまして、そこで警報が鳴りまして、この警報が鳴って五秒何もしないと非常ブレーキがかかるという仕組みにしてございます。しかしながら、非常ブレーキをかけないでも、減速手配をやり、確認押しボタンを押すことによってこれが解除されるということ。後、乗務員のマニュアルによるということ。ただ、それだけでも過去において苦い経験がございまして、その後、確認押しボタンを押すことによって注意力が、意識が薄れるということもございまして、警報持続というチャイムを鳴らすことによって緊張感を持続するというシステムを追加いたしております。さらに、その場内の直下にもう一つ、越しちゃいけないということで地上子を設けている。ここで二重の地上子を設けて防いでおったわけでございます。しかしながら、直下で一回とまって、本来ですとその直下の上の信号機を見なければならないのを、その前の信号機の第二場内という信号機を見てスタートして、このような事故が起きたということでございます。したがいまして、基本的には、同車乗務員は信号に従って運転することの基本が残念ながら今回守られていなかったということでございまして、私どもとしましても、従来から信号冒進事故防止につきましては月例の訓練等をやって指導してまいったわけでございますが、今回の事故にかんがみまして、さらに指導の強化を図ってまいりたい、かように考えているところでございます。  そのほか、国鉄の安全システムといたしましては、あと新幹線などの高速列車あるいは地上に過密する国電あるいは地下といったところにはATCという連続制御の保安設備を設けております。それから、乗務員が異常に倒れたり何かしたときには、エマージェンシーブレーキというものを整備いたしまして非常ブレーキがかかるというようなシステムを投入して、保安システムにつきましても整備を進めているところでございますが、今回まことに申しわけない結果に終わって、今後さらにこのような事故を起こさないように努力してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  167. 服部経治

    服部政府委員 本日朝起こりました上信電鉄の列車衝突事故について概要を御報告申し上げます。  本日午前七時五十三分ころ、上信電鉄株式会社、これは群馬県にございます国鉄の高崎駅から西南の方に伸びております線でございますが、この本線の赤津信号所構内におきまして、ともに二両編成の上り列車と下り列車が正面衝突をするというような事故が発生いたしまして、死者一名と百名を上回ります多数の重軽傷者を生じたものでございまして、まことに遺憾に存じておる次第でございます。運輸省といたしましては、直ちに担当官を現地に派遣いたしまして調査に当たらせているところでございまして、事故原因の究明にこれから全力を尽くしたいと思っておるところであります。
  168. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣総裁、皆さんのお気持ちはよくわかりますが、いずれにしても人命にかかる重大問題でございますから、これは一層気を引き締めて安全対策という点について力を入れていただきたい、このように思います。大臣から一言だけ、お二人を代表して……。
  169. 山下徳夫

    山下国務大臣 御指摘のとおりでございまして、この上とも十分国鉄に対しても注意をしてまいりたいと思います。
  170. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、事故というのはいろいみ人為的な災害もあれば天災もある。もういろいろなことがふくそうしてくるわけでございます。そこで私は、ひとつ国鉄の施設のことについてお聞きしたいと思うのです。  例えば橋梁あるいはトンネル、こういうものを建設年代別で見ますと、橋梁の上部については、明治時代が六千、大正が一万二千、昭和が六万三千。下部については、明治が二万三千、大正が二万二千、昭和が八万六千。トンネルについては、明治が百キロ、大正が二百キロ、昭和に入って千百キロ。こうなっておるのですね。この辺、いろいろとその危険の問題についてはランクづけをされている。Aランクについては非常に危険である。こういうところだけでもかなりの数に上っているわけですね。実際にそういう心配のない安全投資ということについてやっておるかということなんですよ。国鉄は今やもう財政が非常に厳しいということで苦しんでおることはよくわかるわけですが、これは一たびもしものことがあれば大変なことになるわけでしょう。したがって、安全投資ということについては、列車が動いておる今日においてはこれはもう絶対に手を抜くことのできない大変な問題だと思います。  例えば羽田トンネル、これは新橋から貨物線で大船付近に行っておりますが、これも最近は異常漏水で土木学会の判定を待っておるということなんですね。また東京トンネル、これは錦糸町から品川の辺まで入るのですね。総武線が上を走っておるようでございますが、これも漏水が多い。土木学会に委託をしておる。最も都心のこういう地域においてもそういう状況でしょう。私がおります大阪におきましても、下神崎川の橋梁等も従来から指摘されながらいまだに補修もされない。結局は、原因は金がないからだ。五カ年計画なら五カ年計画でやっていくんだけれども、緊急度の高いところからやっておるということでございますが、こういう状況でいいのかということなんです。  予算を見ましても、ほとんど横並びですね。余りふえてもおらない。例えば施設の老朽度、これで早急に何らかの措置を必要とするもの、国鉄調査では橋梁については上部が五千、下部が六千、トンネルについては九十キロ、こうなっておるのです。これを何年でやるのですか。もしものことがあれば大災害になりますよ。これは予算の問題ではないのですよ。五十九年度予算で橋梁が二百四十億円、トンネルが九十億円、合計三百三十億円でしょう。五十八年が両方合わせて二百九十億、五十七年が二百七十億、五十六年が二百四十億、ちょっとずつ上げていますけれども、こういうオーダーで実際にいけるのですか、危険箇所が。改良ができるのですか。それについてお聞きしたいと思うのです。
  171. 岡田宏

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。  今先生指摘ございましたように、国鉄で明治年間に建設されたものがなお相当数残っておるというのが現状でございます。これらの取りかえあるいは防災投資につきましては、大変厳しい予算事情の中でございますけれども、最優先に予算を配分をいたしておりまして、今先生からも数字の御指摘がございましたけれども国鉄工事経費全体が、例えば五十六年度一兆七百六十億、五十九年度五千六百六十四億ということで約半分近くに落ち込んできているという事情の中におきましても、河川改修でございますとか、橋梁改良でございますとか、あるいはトンネル改良でございますとか、そういった防災設備関係の費目につきましてはずっと維持しているという状況でございます。  それで、今具体的に総武線あるいは東海道線のトンネルの問題、羽田線の問題、あるいは下神崎川の問題という御指摘がございましたが、これらにつきましても具体的にいろいろな調査を進めておりまして、かつ施工法についてもいろいろ検討を続けているところでございまして、とりあえず現在は漏水防止というようなことで修繕を行っておりますけれども、これらの本格的な対策につきましても、できれば次年度以降取りかかるようにしていきたいというふうに考えております。  それから、先生指摘ございました今の変状、機能低下が進行しており早急に何らかの措置を必要とするという橋梁の上部工五千、下部工六千、トンネル九十キロ、これらの措置という中には、監視を強化する、あるいは運転規制をする、修繕をする、取りかえをする、それぞれの変状の実態に応じまして幾つかの段階が考えられるわけでございますが、このうち、おおむね五年以内に取りかえが必要ではないかと考えておりますのは、橋梁の上部工について申しますと約二千連、下部工につきまして約二千基、トンネルにつきましては約十五キロということで、これらの取りかえにつきましては、今のおおむね五年ぐらいということでございますと、何とか予算的にも措置をしてまいりたい、そういう最善の努力をしていきたいというふうに考えております。
  172. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは大蔵省も来ておられますし、もう論議をお聞きになっておわかりだと思いますが、こういう安全対策というのはちゅうちょすることのできない問題だと思いますので、それは十分バックアップをしてもらいたいと思います。  総裁も、これは本当に重大な問題であるわけでございますから、国鉄は予算が厳しい中わかりますけれども、ひとつ全力を上げていただきたい、このことを強く要望いたします。  もう時間がありませんので、あと一点だけお聞きします、  自賠責の引き上げの問題で、十九日に二九%という答申が出ておるわけでございます。このことにつきましては、我々かねて問題にしておるわけでございますが、この運用益の中から二千五百六十億を財政当局がいわゆる借り上げて、三年据え置きの四年返済。これを全く無利子ですから、二千五百六十億を七年間、利子だけで何ぼになりますか。こういうことから、結局ユーザーに全部転嫁されてきておる、また支払いの状況等につきましても、査定の問題でもいろいろな問題があると思うのです。  こういう平均二九%という大幅な引き上げ。今や自動車というのは、正確な数は政府に聞いてもはっきりせぬわけですが、五千万台、六千万台とも言われておるわけでしょう。こういう中で根本的な改善もせずにすべてそれをユーザーに転嫁するというやり方は、国民は許しませんよ。この答申については、政府としてどうするか、そしてまた今後いかなる改善をしようと思うのか、時間がありませんからポイントをきちっとお答えいただきたいと思います。
  173. 服部経治

    服部政府委員 お答えいたします。  運用益の繰り入れにつきましては先生指摘のとおりでございまして、昭和五十八年度予算におきまして累積運用益の一部二千五百六十億円を一般会計に繰り入れたものでございますけれども、これは一般会計の大変に厳しい財政事情というものにかんがみまして、後日これが確実に自賠責特会の方に繰り戻されるということを条件に、臨時異例の措置として行ったものでございます。  しかし、今回の保険料率の改定に当たりましては、自賠責審議会でも十分御審議をいただきました結果、一般会計に繰り入れられております二千五百億円を含めまして、昭和五十九年度末に自賠責特会保険勘定及び損保会社に留保されることになります累積の運用益の合計額六千五百七十億円の全額を保険収支の改善に充当することにいたしまして、所要の保険料率の改定率の圧縮にこれを活用するということが適当であるという内容答申をいただいておるところでございます。保険料の改定ということが現在の社会情勢の中で非常に大きい影響を持つということは、私どもも十分承知しておるところでございますけれども、これは自動車事故の被害者の救済に十分を尽くしたいという考え方からやむを得ないものとして、こういう段取りで進めてまいってきたところでございます。  なお、自賠責特会、自賠責制度につきましていろいろと御指摘のございます問題点、私ども十分頭に入れまして、今後多少時間はかかるかもわかりませんけれども、ぜひこれらの問題点の解決ということにつきまして、全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  174. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんから終わりますけれども、いわゆるいろいろな問題点というのはどういうように改善するのですか。その改善するポイントだけを答えてください。これで終わりますから。
  175. 服部経治

    服部政府委員 問題点は幾つかございますけれども、まず私どもが最も問題だというふうに考えております点は、医療費の適正化の問題でございます。この医療費の適正化の問題につきましては、医療費のチェック体制のさらに一層の充実ということを行ってまいりたいというふうに考えておりますほか、診療報酬基準の作成ということに向けまして、今後関係省庁との緊密な連携のもとにこの問題に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  176. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  177. 三ツ林弥太郎

  178. 河村勝

    河村委員 運輸大臣、けさテレビを見ておりましたら、運輸省と大蔵省とで来年度国鉄運賃を四%余り値上げをするという合意が行われたという報道をしておりましたが、それは事実ですか。
  179. 棚橋泰

    ○棚橋政府委員 御承知のように国鉄の来年の予算につきましては、八月三十一日に概算要求を提出しておりますが、その概算要求の中で、来年度の運輸収入というものの中に千五十億円、国鉄運賃の改定を見込んでおります。
  180. 河村勝

    河村委員 運輸大臣、これは事務当局の問題じゃないのですけれども、一体、今国鉄の運賃を値上げした方がいいと思っておりますか。私鉄運賃との開きというのは、異常なほどに大きく開いていますね。それで国鉄旅客貨物の客離れというのが、運賃が上がるたびにふえているわけでしょう。一体、今運賃値上げをやるべきだと、あなたお考えになっていますか。
  181. 山下徳夫

    山下国務大臣 国鉄の現状からしますと、やむを得ない措置として予算に組み入れた点について、これは私はやむを得ない措置と思っておる次第でございます。
  182. 河村勝

    河村委員 やむを得ないと言えばそれっきりの話だけれども、それでは運輸省というのはあってもなくてもどうでもいいわけであって、運輸省というのは交通政策全体をつかさどる役所でしょう。そのためにわざわざ大機構改正をやって、政策を中心に仕事をしていると言っていながら、現状やむを得ない赤字があってしようがないと言うのは、ほかに何か方法があるか考えたこともないのですか。
  183. 棚橋泰

    ○棚橋政府委員 先生指摘のように、私鉄等、さらには航空機等競争交通機関の中で国鉄は動いておるわけでございますから、それらとの運賃の相関関係を考えながら、競争力を考慮しながら判断していくべきだというふうに私どもも考えております。  ただ、国鉄の財政につきましては御承知のとおりでございまして、再建監理委員会の方から昨年非常にきつい御意見で、少なくとも単年度収支を前年度より悪化させない、こういうことを目途に予算を組むようにという御提言をいただいております。収入の確保には極力努めますし、また人件費、物件費等極力切り詰めた予算を編成しようというふうに努力をいたしておりますが、残念ながら、毎年借入金の利息がふえてまいりますこと、それから旅客等の増加もそれほど大きく期待できないというようなこと、さらには、先生、何か知恵がないかというお話でございますが、例えて言えば資産を売却するというような点につきましても、最大限に計上いたしましても、なお前年度より損益を悪化させないというような予算を組むことは非常に難しゅうございます。そういうような観点で、他の交通機関との競争力をもちろん配慮しつつ、最低限の運賃改定で利用者の皆様にも若干負担していただきたい、かように考えておるわけでございます。  なお、他の交通機関との競争関係につきましては、御指摘の点もございますので、ことしの改定におきましてもそうでございましたけれども、例えて言えば大都市の国電等について私鉄との競争関係を考慮する、また新幹線と航空機との関係を考慮して、それなりの配慮をしたきめの細かい運賃体系で対応してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  184. 河村勝

    河村委員 幾ら言ってもやめると言わないのでしょうけれども大臣、一体、これは運輸大臣の権限で、国鉄運賃法の特例によって国会審議を経ずに今度の値上げができると思っていますか。
  185. 山下徳夫

    山下国務大臣 できる許容限度の中だと理解しております。
  186. 河村勝

    河村委員 五十二年に運賃法を改正して、特例措置として、運輸大臣認可によって国会審議を経ずに決めることができるようにしたわけですが、その立法趣旨というのはこういうことでしょう。従来国会にすべてがかかっておりましたけれども、毎年の物価の上昇によって人件費、物件費が上がっていく、それによって経費が増高しても、一々国会にかけることによってタイミングを失することがある。だから一定の限度を限って、簡単に言えば、物価の上昇率、物件費、人件費の上昇によって経費が増高したものに見合って、その範囲で運賃を上げることを認める、そういうことですね、間違いありませんね。いかがです。
  187. 棚橋泰

    ○棚橋政府委員 五十二年の改正の趣旨は、先生指摘のとおりでございます。
  188. 河村勝

    河村委員 そこで、その算定の根拠になるのが前年の事業年度の収支ですね。五十九年度の国鉄の収支というのはまだ完結していませんけれども、非常な合理化努力をやって、人件費では、共済年金の負担金なんという物価と関係のない大物の赤があるけれども、それでもなおかつ人件費で二百八十八億の減、物件費で五百五億の減、合計して経費は七百九十三億の減ですね。ですから、この収支がそのとおりにあるいはそれに近い数字で終始するとしたら、物価は若干上がっているけれども、物件費、人件費ともに経費の上昇というのは増加はないのですよ。  そうであれば、この法律によって認めている基礎になる要件というのがもともとない。だから、来年度の運賃値上げというものは運輸大臣の権限でもって上げる範囲を超えている、そうではありませんか。
  189. 棚橋泰

    ○棚橋政府委員 先生指摘のございました五十二年度の運賃法の改定に伴いまして政省令が制定されておりまして、その中で先生おっしゃいました物価等変動率というものの計算方法というのが定められておるわけでございますが、それは最近の実勢によりまして消費者物価指数、さらに賃金指数、卸売物価指数、その指数をウエートで計算いたしまして、対前年度よりも上昇している範囲内において運賃の改定を運輸大臣限りにおいて認可することができる、こういうことになっております。そのような考え方に基づきまして計算をいたしますと、先ほど申し上げました千五十億というのはその範囲内に入るものというふうに考えておるわけでございます。
  190. 河村勝

    河村委員 あなたはもとになる法律をすっ飛ばして物価変動率だけを言っているからそういうことになる。この国鉄運賃法附則の十条の三、これに何て書いてありますか、読んでごらんなさい。
  191. 棚橋泰

    ○棚橋政府委員 「前条第一項の規定により賃率又は運賃を定めることができる間においては、運輸大臣は、同項の賃率若しくは運賃又は第九条の二の」、これは定期旅客運賃でございますが、「運賃若しくは料金の認可をしようとするときは、当該認可に係る新たな賃率等の実施の日の属する日本国有鉄道の事業年度において実施されるすべての新たな賃率等の実施による収入の増加見込額の総額が、実施年度の日本国有鉄道の経費の増加見込額を超えないように、これをしなければならない。」。
  192. 河村勝

    河村委員 実施年度における日本国有鉄道の経費の増加の見込み額を超えないことでしょう。だから、経費がふえていなければ超すも超さないもないんだ。初めから物価の上昇によって経費はふえていない。逆に減っている。そうであれば、もともと上げる根拠は何もない、そういうことでしょう。
  193. 棚橋泰

    ○棚橋政府委員 先生指摘になりました第十条の三の第三項におきまして「第一項の実施年度の日本国有鉄道の経費の増加見込額は、実施年度の前事業年度の日本国有鉄道の経費の額に物価等変動率を乗じて得た額から、前事業年度の日本国有鉄道の経費の額を控除して得た額とする。」こういうふうに書いてございまして、来年度においてどれだけ経費がふえるかということについては見込みでございますので、前年度、すなわち六十年度であれば今年度の事業の見込み額に先ほど申し上げましたような物価等変動率というものを掛けたものとの差の範囲内において認可をすることができる、こういうことになっておりますので、その意味では一応そういう範囲内におさまるというふうに推定をしておるところでございます。
  194. 河村勝

    河村委員 ところが、冒頭に言ったように非常な合理化努力によって、物価もあるいは人件費も上がったけれども、人件費においても二百八十八億、物件費においても五百五億節減をしているから、だからもともと物価が上昇していないのだ。もともと立法趣旨というのは、物価の上昇によってコストが上がったから、その場合にもとの経費に対して物価上昇率、物価変動率を掛けたもの、その範囲で運賃を上げることを認めるということであって、経費が上がっていないのに——物価は上がっても経費が合理化で上がっていない。もとの条件がないんだ。にもかかわらず、上がっても上がらなくてももとの経費に物価変動率を掛けていいということにはならない。そうでしょう。
  195. 棚橋泰

    ○棚橋政府委員 私どもの考え方といたしましては、この法律の三項というのは、来年度においてどれだけ変動するかということを想定することができないので、前年度の事業経費に物価等の変動率を掛けた範囲内において運賃の改定ということはできるのである、そういうふうな法令の規定であるというふうに解しておりまして、その限りにおいては、明年度において千五十億というのはその範囲内におさまるというふうに考えておるわけでございます。
  196. 河村勝

    河村委員 私は昭和五十二年のこの法律をつくったときに運輸委員会理事をやっていて、この条文をつくるときに修正作業を一緒にやった一人なんです。だからこれの経過は残らず知っている。だから、この立法趣旨というのは、どう強弁しようと、とにかく物価が上昇して、それによって人件費、物件費が上がる。それにもかかわらず、運賃が弾力的に上げられないというのは非常に国鉄運営上困る。だから運賃法の例外措置として、そういう場合に運輸大臣限りで上げてもよろしいということを決めたのですね。だから、あくまでも物価の上昇によって物件費、人件費が上がって経費がそれによってふえる。ふえることによって初めて上げるという理由ができるのですね。ところが経費が逆に減っているのだ、五十九年度。六十年度はまだわからない。わからないけれども、恐らく六十年度においても似たようなことになるのでしょう。それでなおかつ、法を曲げてそれで運賃値上げが運輸大臣限りでできるなどというのは大間違いですよ。そう思いませんか。
  197. 棚橋泰

    ○棚橋政府委員 まことに何遍もくどいようでございますけれども、この十条の三に書いてございますことは、収入の見込み額ということは、来年度において「実施されるすべての新たな賃率等の実施による」という実際の問題を書いてございますけれども、「収入の増加見込額の総額が、実施年度の日本国有鉄道の経費の増加見込額を超えないようにこということでございまして、これは日本国有鉄道の経費の額というものの増加額というのをいかに見るかという問題ではないかというふうに考えられるわけでございます。  そこで、この増加額というものが明確でないので、同条第三項におきまして、この経費の増加見込み額というのは、消費者物価指数と卸売物価指数等の変動率を掛けて、それと前年度の経費との差額というものが増加率であると見る、こういうふうに法令に規定をされておるということで、その範囲内におさまる形であれば、私どもは運賃法の特例の範囲内であるというふうに解するのが正当であるというふうに考えておるわけであります。
  198. 河村勝

    河村委員 それは大変な間違いですよね。ですけれども、ここで幾ら議論してもだめでしょう。一遍来年になったら法制局を呼んで、法制局とあなた方と一緒に並んでもらって、それでもう一遍結論を出すことにしましょう。きょうは質問をここまでで、あとは保留しておきます。  ところで運輸大臣、さっきあなたは午前中の質問に対して、国鉄再建監理委員会のやっている仕事に最大限に協力をする、それで分割民営念頭に置いてという第二次答申のその方針を全面的に支持をする、そういう意味の答弁をなさいましたね。そこまではよろしいとして、そうするとあなたは、国鉄再建監理委員会がやっている仕事を支持して歓迎して眺めて、運輸大臣としては何らの行動をとらないで、答申が出るまで黙って待っている、そういうことでしょうか。
  199. 山下徳夫

    山下国務大臣 端的に申し上げまして、国鉄再建監理委員会作業に対して協力する義務を私どもは持っておる、私はそのように理解しております。したがって、来年の中ごろまでに出されるべき答申協力するためには、適宜私どもも意見を申し述べるのが妥当でございますし、既に貨物や自動車等については申し上げてきたところでありますし、事務的な段階において今日逐次協力を申し上げている、このように理解しております。
  200. 河村勝

    河村委員 黙って見ているんじゃ大変困る。やはり所管官庁としての見識がなければならないので、ただ資料提供ぐらいのことであってはならないと私は思います。そういうつもりでおやりをいただきたい。  そこで、国鉄総裁にお伺いをいたしますが、総裁の場合にはこれはもう自分自身のことですよね。自分自身が生きるか死ぬかという問題であって、本当なら他人に任せておくべき仕事ではない。だけれども、これまでの経過を見ますと、何だか黙して断罪を待つというような感じで、国鉄自体の見識が全然表に出てこないように思われる。そうなると、事務的な、部分的な接触はあると思うけれども、結局一切再建監理委員会答申任せということに相なってしまう。そういうふうに見えるだけでも、国鉄の一般の職員は、総裁初め国鉄の幹部は一体この問題をどう考えているのだろうという不安に何となく襲われて、仕事の上でも本当に張り切ってやる気にならぬというところがあるわけですよ。一体、総裁としては、国鉄経営形態を含む再建についてこういう考えを持っているということを再建監理委員会あるいは職員に対しても一般に対しても表明をするというお考えはないのか、それを伺いたいと思います。
  201. 仁杉巖

    仁杉説明員 今先生指摘のように、日本国有鉄道といたしましては、毎日の運営を担当するとともに、将来の展望というようなものにつきまして職員を引っ張っていくという重大なる責務があるわけでございます。今のような状況で、もちろん法律的に申しまして国鉄再建委員会が最終的に答申を出すということではございますが、我々は実務を預かっている立場でございますので、その作業に対しまして実務を担当する立場から意見を申し上げなければならないということは前々から私も国会等でお話をしているわけでございます。  ただ、この問題は、先生も御承知のとおり、たくさんの債務を抱えているというような問題、あるいはいわゆる私鉄並みというようなことを申しますと余剰人員があるとか、年金問題にしても容易に片づく問題でないというような問題がたくさんあるわけでございます。これらの問題につきまして、実はただいま役員会を中心にいたしまして国鉄の総力を挙げたような形で討議を続けておりまして、だんだんとその議論が詰まってきているということでございます。これをどういう形でいつ申し上げるかという問題は、監理委員会に対しましてもあるいは部内に対しても同じでございますが、これらについてただいま慎重なタイミング並びに内容を詰めておるところでございまして、なるべく早くしかるべく発表をしたいと考えているところでございます。
  202. 河村勝

    河村委員 ぜひそれをおやりになるべきだと思うのです、これは対内的にも対外的にも。それでないと再建監理委員会だって、本当の当事者で一番よく知っている国鉄が明確な意思表示をするということは大きな力にもなるわけであって、このままほったらかしておきますと、再建監理委員会が勝手にやるということにならざるを得ない。そんなことがあってはならないと私は思うのです。ぜひ早くやってほしいと思います。  さっき運賃のところで申しましたけれども運輸省が随分法匪的な理屈をこねて自分で上げようとしているのも、経営だけだったら合理化でマイナスになるくらいまでいっているわけでしょう。結局長期債務の利子がことしも千百億以上ふえるから、その分を生み出さなければならぬというための値上げですよね。こんなばかげたことはないんですよ。だから、そういうものは運賃法の特例でやれるということを考えるのが頭がどうかしていると私は思うのですよ。ですから再建についてはいろいろ問題はあるけれども、この長期債務の大半を何らかの形で政府なり何なりに肩がわりするということがなくては、いかなる経営形態の変更をやったって自立はできないわけですよ。ですからそこのところが最大のポイントになる。もしほっといてこの点を抜きにしたような再建案が仮に出たとしたら、総裁、あなたはどうなさいますか。
  203. 仁杉巖

    仁杉説明員 仮定のお話でございますのでなかなかお答えしにくいのでございますが、私といたしましては、国鉄再建監理委員会がこれらに対しまして明確な方針を示していただけるだろうと考えているところでございます。
  204. 河村勝

    河村委員 私の質問に関する限り国鉄関係の方々はお帰りいただいて結構です。  さっき近江委員から自賠責の話が出ておりましたが、自賠責の答申が一昨日出て、二九%アップ、これは四月から実行することに相なると思うのですが、これをやるのは運輸省なんですか、大蔵省なんですか。一体どっちなんですか。
  205. 服部経治

    服部政府委員 ただいまの御質問の意味でございますが、やるとおっしゃるのはその保険料率の改定そのものでございますね。これは大蔵大臣が先般自賠責審議会に諮問されまして一昨日その答申が出ました。この答申を受けまして大蔵大臣が認可をされるわけでございます。
  206. 河村勝

    河村委員 そうすると、自賠責の特別会計は運輸省が管理をしておるわけですね。そうすると、大蔵省が運輸省の監督官庁がそういうことになっているんですか。
  207. 服部経治

    服部政府委員 そのようには私ども考えておりません。私どもは、自動車事故によります被害者の救済ということのためにこの自賠責保険制度が円滑に運用されることを確保すること、それが私どもの仕事でございまして、この問題につきましては保険料率の面を担当されております大蔵省と緊密な連携のもとにこの問題に取り組んでまいりたい、またそうあるべきだと思っております。
  208. 河村勝

    河村委員 特別会計を管理するところと料率を改定するところが別の役所だというくらいばかなことはないんですよ。どっちでもいいから本当は一緒にすべきものだ、そうでないと責任の所在が明らかでない。だから私は今度のような乱暴な保険料率の値上げ案が出てきておるのだと思うのです。大蔵省、見えてますね。——さっき話の出た五十八年度二千五百六十億の運用益の一般会計繰り入れ、これは自賠責の財政が安定して豊かだからこれを一般会計に流用したんでしょう。それが何で一年たつかたたないで二九%も上げないと大赤字が出るという話に一体なるんですか。これはどういうわけですか。
  209. 鏡味徳房

    鏡味説明員 自賠責保険の収支につきましては、収入保険料と支払い保険金の対比で考えておりますけれども、最近収入保険料の方は昭和四十四年以来十五年間据え置かれてきているわけでございますけれども、給付の方は、その間に賃金とか物価が上昇しておりますし、それから支払い限度額の引き上げとか支払い基準の引き上げ等で給付内容が大幅に改善されてきている。それから交通事故が近年また増加傾向にございますものですから、給付の方が非常にふえてまいりまして、支払い保険金の給付の割合が大変高くなっております。したがいまして、損害率として算定されますところは、六十契約年度で一三七%という損害率でございますけれども、今回、それから過去の累積赤字が五十九年度末で四千八百億ぐらいと見込まれてございます。  したがいまして、そういう収支の状況を改善するために、十月二十二日に自賠責審議会に諮問をさせていただいたところでありますけれども審議会におきまして八回の審議を経て、先生指摘のように十二月十九日に、二九%程度の保険料の引き上げが必要であるという答申を得たところでございます。  その答申の中では、先生指摘のように運用益を活用して保険料の引き上げ幅を圧縮すべきであるという意見になってございまして、一般会計に繰り入れました運用益も含め全額を保険料の圧縮に活用すべきであるということを前提に、保険料の引き上げ幅を二九%程度に圧縮することが必要だ、このような答申をちょうだいしているところでございまして、私どもといたしましては、そのような答申の線に即して所要の措置を講じてまいりたいと考えております。
  210. 河村勝

    河村委員 六十年度の単年度の欠損を含めて昭和六十年度までの累積赤字は幾らになるのですか。
  211. 鏡味徳房

    鏡味説明員 先ほど申しました五十九年度末の約四千八百億に六十年度に見込まれます赤字を加えますと、約七千億円でございます。
  212. 河村勝

    河村委員 そうしますと、現在の運用益と、大蔵省が分捕った分二千五百六十億を足せば六十年度の欠損並びに累積赤字も一応全部解消する、だから、もしこれからの特別会計が収支均衡となるような運営ができるならば二九%値上げをやらなくてもよろしい、そういうことになりますね。
  213. 鏡味徳房

    鏡味説明員 先生指摘の運用益でございますけれども。これは過去の契約者の保険料収入から長年にわたって累積されてきたものでございます。したがいまして、これを一挙に取り崩すということになりますと、たまたま六十年度に保険契約をされる方については保険料の圧縮効果が一挙に実現されるわけですけれども、六十一年度以降に契約される方については、その分また料率を上げなければいけないということになりまして、契約者間の公平の問題もございます。  したがいまして、今回の答申では、運用益は五年間程度で活用するのが適当であるという意見になってございまして、過去の契約者が支払われた保険料収入から営々と積まれてきた運用益の性格からして、五年程度で活用していくことが適当ではないかと考えております。
  214. 河村勝

    河村委員 いや、今あなたの言われるように、契約者が営々として積み上げてきた大事な運用益だ。それを自賠責のために使わないで一般会計にぼかっと持っていくようなお役所が、今のような非常に親切な発言をする資格はないと私は思う。  時間がなくなりましたからまた次回に譲りますけれども、そもそも五十二年度では収支均衡しているのですよ。それが急速に悪くなってきているのですが、なり方がどうも異常なんですよ、件数それから医療費の額、両方とも。本来自賠責で扱う事故件数というのは、交通事故のふえ方と大体推移するはずのものですよ。ところが、昭和五十三年の交通事故、これは警察統計、自賠責の統計ともに一年に六十万件。それが五十八年度において、警察統計の方の交通事故は六十五万件、五万件ふえているだけだ。ところが自賠責の方は三十万件ふえて九十万件ですよ。一体何でこんなに差があるのか。ここで非常に大きな誤差があるのは、事故証明がほとんどないものが猛烈にふえつつあるということだ。首がむち打ちで痛いと言ったら、証明があろうがなかろうが強制保険で自分の懐が痛まないから簡単に払う、管理者である運輸省も大変おおようであって、それをチェックをなさらない。  それともう一つは、自由診療件数というのがめちゃめちゃに多い。現在医療費支払いの八六%が自由診療です。それにもかかわらず医療費のチェックのシステムが何もないに等しい。これじゃふえますよね。本当ならば運用益がまだ六千億近くあるのですよ。今度は保険金額も値上げなさるそうだけれども、これは言いわけのために上げるんだろうと思うな。それは上げて悪いことはありませんけれども、二九%も保険料率を引き上げて、それで死亡の際の保険金額をわずかに上げるというのでは痛みの方が大きいですよ。だからこの医療費のチェック制度と、もう一つは一体なぜこんなに事故件数がふえるのか、これを両面からチェックしませんと、ただ二九%上げると言われたって承知できないですよ。もう一遍洗い直して、その上で上げていいかどうか国民に審判を仰ぐべきですよ。答申をいただきました、さあ上げますじゃ——これは強制保険ですから、税金ですよ。本当なら国会にかけてやるべき性質のものですよ、税金と何ら変わらないのだから。  ですから、もう一遍出直すべきだ。大蔵省はなるべく保険料率を上げて、運用益がふえたらまた一般会計に使ってやろうという利点があるかもしれないけれども、それは運輸省立場から言ったらそれじゃいけないはずだな。だから、今私が指摘した点をもう一回洗い直してごらんなさいよ。それで、上げるか上げないかまだ先の話だから。いかがですか。
  215. 服部経治

    服部政府委員 自賠責保険収支の悪化ということは非常に大きい問題でございます。これを放置することは被害者救済制度の崩壊にもつながるわけでございまして、そのことの必要性は私どもどうしても申し上げたいわけでございます。  しかし、一方で、最前近江先生からも御指摘ございましたし、また今、河村先生から御指摘がありますように、この自賠責保険制度にはそれを取り巻くいろいろな問題がございます。その問題の解消に向けて私どもこれから、特に医療費の問題等を中心にいたしまして前向きの取り組みをいたしてまいりたいというふうに考えておるところでございますので、御了承を賜りたいと思います。
  216. 河村勝

    河村委員 時間がなくなりましたからやめますけれども運輸大臣、まだおなりになったばかりですから自賠責の中身までおわかりにならないでしょうけれども、常識的にお話をいたしましたし、老練なる政治家ですから、およそ見当はおつきになったろうと思うので、これは事務当局に任せないで、一遍洗い直しをやってください。いかがでしょう。
  217. 山下徳夫

    山下国務大臣 自賠責特会の保険収支の数字を見ておりますと、私自身そら恐ろしいような気がいたします。例えば先ほど御指摘がございましたむち打ち症、これは本人が痛いと言うのを、痛くないと医者もなかなか言えないと思うのでございます。最近、いわゆる医療器械によるこれの測定方法が徐々に開発されつつあるということを聞いておりますし、これは科学的測定によって解決しなければならぬ。それからもう一つは、医療費の支払いの一つの基準というようなものを決めて、それを医師会の御協力によって全国一律にやってはという意見等も出ておりますし、そこらあたりもあわせて検討させていただきたいと思います。
  218. 河村勝

    河村委員 終わります。
  219. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 辻第一君。
  220. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、国鉄の問題で質問をしたいと思います。  今、国鉄は深刻な経営危機ということであります。一九六六年、国鉄が累積欠損を生じるようになって以来の国鉄の赤字を発生原因別に調べてまいりますと、合計が十一兆七千四百三十一億円ということであります。旅客は三千八百十一億円、貨物は六兆七千六百九十四億円、特定人件費が二兆三千七百六十六億円、東北・上越新幹線資本費が五千七百四十七億円、ほかに荷物が一兆三千二百五十三億、自動車が三千百六十億、こういうことであります。  これは国鉄の統計をもとに整理をしたもので、国鉄ではこの数字は確認していただけると思うのですが、いかがですか。
  221. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 極めて小さい額で多少違った点がございますけれども、おおよそは先生の数字のとおりでございます。
  222. 辻第一

    ○辻(第)委員 今、純旅客は三千八百十一億と私申し上げましたけれども、全体の三%であります。一九六六年から七一年度を見てみますと、二千六百四十一億の黒でございます。一九七二年から七七年度までは八千三百三十四億の赤、一九七八年は三百一億の赤、一九七九年は百三十四億の黒、一九八〇年がマイナス十九億、一九八一年は四百九十億の黒、一九八二年、八百九十五億の黒、一九八三年、六百八十三億の黒、こういうことでございます。一九七八年から見てまいりますと、黒字の方が多いということであります。国鉄の収入、いわゆる貨物収入、旅客収入、雑収入、これで言いますと約九〇%が旅客収入だというふうに、国鉄の中でも大部分を占めている収入のところで、この十何年かで三千八百十一億の赤字でありますが、最近は黒字の方が多いということであります。  一般的に、国鉄の深刻な経営危機、まあ集中砲火が国鉄に浴びせられているというのが今日の状況だと思うのです。中には国鉄国賊論というようなことも言われておる。そして、国鉄の労使の問題とかいうことも言われておるわけです。また一部には、国民が過大な期待をしたというようなふうにも、まあ国民の方の責任も言われているわけでありますが、そういう実態の中で、この三%、しかも最近は黒字だということは、国鉄さん、いろいろな問題はありますけれども、この数字で見れば、なかなかいい線いっておられる、よう頑張っておられるというのが一つの見方であろうと思うわけであります。総裁、この点に関してどのようにお考えになりますか。
  223. 仁杉巖

    仁杉説明員 今、先生の分析されました資料は、ほぼそのとおりだと思います。ただ、御承知のとおり、特定人件費というもの、あるいは年金等、我々としては支払わざるを得ないというような問題もございます。また、もし貨物、荷物等をやめた場合には、それのベースになっております施設関係の費用が、列車等につきましても、それが旅客にかぶってくるというような問題もございまして、今先生の御指摘のように単純にはまいらないと思うわけでございます。  しかし、収入が大体三兆円程度に対しまして、利子が一兆三千億、さらに年金負担が六千億ぐらいというようなことでまいりますと、全般的に見ると大変苦しい。経費としては四兆七千億ぐらいかかるというようなことで、どうしても毎年一兆七千億、一兆八千億とかいうような赤字になるというような実態でございますので、これをどうしていくかというのは、やはりいろいろな角度から検討してみないといけないというふうに考えておるわけでございます。
  224. 辻第一

    ○辻(第)委員 しかし、先ほど申しました収入の約九割という大きな収入を占めている純旅客のところでこのような現実の成績だということは、今後本当に民主的に再建をしていく上で何か明るい展望をこの中に見出すことができる、私はこのように考えるわけであります。  時間がありませんので詳しく述べることはできないのですが、国鉄の赤字の原因というのは、私は、やはり高度経済成長政策に従属をして、大企業奉仕の、大企業の利益に従属をするような国鉄運営がやられてきた、過大な投資を、しかも借金でやってきた、そのことのツケが今日出てきている、これが一つだと思いますし、それから特定人件費、年金の問題、これも国策としてやられたことのツケが今日出てきているということであります。  こういうふうに見てまいりますと、その責任のところを本当に明らかにして、そこのところにきっぱりとしたメスを入れる、そして総合的な交通政策を立てて、しかも十分に営業サービスを向上させていくということをやれば分割民営ということをやらなくてもやっていけるのではないか、やっていける、私はこのように考えるわけであります。この点について、総裁いかがお考えですか。
  225. 仁杉巖

    仁杉説明員 今お話し申し上げましたように、全般的に見ますと非常に苦しい。例えば五十八年度末で累積債務が二十兆になっていく、利子が一兆三千億であるというようなことを考えてまいりますと、現在のままではとてもだめだということになります。その前提としましては、先ほどもちょっと触れましたが、累積債務の問題、年金の問題、あるいは効率化による人員をどうしていくかというような問題、あるいは営業範囲をどうしていくか、これは貨物、荷物等を含め、あるいは地方線を含みますが、そういうような問題をどうしていくかというようなことを解決しないといけないということがまず一つあると思います。また、今先生いろいろ御指摘ございましたが、やはりいろいろな意味で私鉄に比べると効率が必ずしも十分でないという点についての合理化というようなこともやっていかなければいけないというようなことでございます。  そうしたものを含めて将来の国鉄としてどうすべきかということ、これは先ほど河村先生の御質問でもお答えいたしましたが、私どもとしても今勉強を十分しておりまして、意見を申し上げなければならないと思っておりますけれども先生承知のとおり、これらの問題につきましては、国鉄再建監理委員会というものを法律上設立されまして来年の夏に答申をされるというようなことでございます。最終的にはそういうことになりますが、私どもが考えておりますことも十分反映するように、運輸省とも御相談しながら国鉄再建監理委員会の方にも十分申し上げていきたい。そうした上で、本当に国民のための国鉄をどうしていくかということを模索してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  226. 辻第一

    ○辻(第)委員 国が経営に責任を持つ公社制度、そして一元的にやっていくという立場、この立場を基本的に貫いて民主的に再建をする、その方向で御努力をいただきたい。再度要望して次の問題に移りたいと思います。  次に、検査周期の延伸の問題でお尋ねをいたします。  国鉄車両検査周期の延伸を計画され、昭和五十九年六月二十八日に運輸大臣承認を得ておられますが、この問題で運輸省承認を与えられたわけですが、この承認はどのような根拠と基準によって与えられたのかということをお尋ねいたします。
  227. 棚橋泰

    ○棚橋政府委員 国鉄の機関車とか客車、貨車というようなものの検査周期につきましては、国有鉄道運転規則においてそれぞれ定められておるわけでございます。ただ、運輸大臣の特別の承認を受ければこれによらないことができる、こういうことになっております。この規定に基づきまして、既に第一回は昭和四十五年に承認をいたしております。その後、この規則の制定時、さらには四十五年の承認以降、御承知のように国鉄の使用しております車両の技術的な面の改良、進歩、材質の改革、その他の進歩がかなりございました。それから、これも御承知と思いますけれども国鉄車両というものの運用状態というものもかつてとはかなり変わりまして、特に貨物輸送の落ち込み、旅客輸送の伸び悩みというような中で車両の運用形態も随分変わってきておるわけでございます。したがいまして、それに見合った合理的な検査周期があるであろうというようなことから、走行状態、車両の特性等を勘案いたしまして、今回さらに検査周期の変更についての特認をした、こういうことでございます。
  228. 辻第一

    ○辻(第)委員 けさもお話がありましたように、どちらかといいますと国鉄当局からの要請があって、十分な検討というのですか実証ということなんですが、そういうことが得られないままで承認をされているというふうな感じがどうしても私ども抜けないわけであります。  国鉄車両というのは本当に多種多様ですね。しかも車齢というのですか車の年齢というのですか、それも古いのもたくさんあると思うのですね。それから使う場合ですね、使用している地域によっていろいろなところがありますね。非常によく使うところとそんなに使わないところとありますね。こういう多種多様な条件のある中で、実際車両の故障というのが突発的にといいましょうか思いがけないところで、あるいは偶発的にもよく起こってくる、こういう問題がありますね。そういう点から見て、運輸省の今度の承認は非常に安全上問題があるのではないか、私はどうしてもそういう気がするわけであります。  この六月二十八日に出された承認にも、国有鉄道部長から国鉄の副総裁に出された文書の中に「なお、この承認は、車両の検査周期の延伸により重大な支障が発生し、又は発生するおそれがあると認められるときは、直ちに承認の全部又は一部を取消されることがあることを了知されたい。」こういう一文が入っておるわけであります。こういうのを見ますと一層不安を抱かざるを得ない。これで本当に何にも増して重大な車両の安全問題が保障されるのかということであります。このような「重大な支障が発生し、又は発生するおそれがあると認められるときは、」云々と、こういうことまで入れながらなにされるということは、私ども納得ができないわけでありますが、その点いかがですか。
  229. 棚橋泰

    ○棚橋政府委員 まず、国鉄部長名で出しました文書の中にそういう項目を入れましたのは、実は四十五年のときも同様のことが入っておるわけでございます。先ほど御説明申し上げましたように、そもそも基本は運転規則にあるわけでございまして、それをその後の情勢変化等によって特別の承認をしているわけでございますから、その特別の承認と異なるような事情が生じた場合には、本則であるところの規則に戻るということが当然であるということで、念のための文書をつけたということだというふうに私、解しております。  それから、いろいろな状況に応じたいろいろな変化があるものなのに画一的な意味での承認をするのはどうかという御指摘でございますけれども、そもそも検査周期というものは国鉄が行います検査の周期の最大限、これを超えない間で検査をしなければいけないということを定めるものでございまして、その範囲内において、国鉄内において実情に応じて必要な検査を行うという建前になっておるわけでございます。そういう意味では、国鉄がこれを実施に移します際にはそれなりの十分な配慮、検討を加えて行われるものというふうに考えております。
  230. 辻第一

    ○辻(第)委員 今くしくも建前と言われたのですが、本当にそれは建前になると思うのですね。実際問題としては、やはりそういう建前どおりにはいかないということだと思うのですね。恐らく時期が来たときにやるということになろうかと思うのです。短くあったものを長くしているわけですから、それ以上短くやられるということはまず余り考えられないということだと思います。しかも、私ども関係した労働者あるいは労働組合の方、いろいろお話を聞きましたが、本当に安全を確保する上からでは大変な危惧を抱いておられるということであります。  私ども、神奈川の大船電車区で車両検修を二十七年間勤めておられる労働者から聞いたのですが、電車は台車検査がなくなるのですね。台車検査で発見する故障は、モーターの軸のねじれや車両の摩耗など結構あると言っておられるのです。それをやめたら故障や事故がふえるのが目に見えている、こういう本当に切々たる訴えを私は聞きました。こういう問題で、現場の労働者、労働組合の方は、真剣にこの問題を、何としても安全を確保するために考え直すべきだ、撤回をすべきである、こういうお考えが強いわけであります。そして、もし一歩譲ったとしても、いわゆる試行、そういう期間を設けよというのも要望されているわけであります。  こういう点について、私は、その関係の労働者や労働組合の方は本当に長年真剣に取り組んでこられて、現場のことをよく知っておられるわけでありますから、その方たちと十分話し合っていただく、合意と納得という言い方があるわけですが、それに近いような状態でやっていただきたいというふうに考えるわけでありますが、その点いかがですか。
  231. 坂田浩一

    ○坂田説明員 お答えいたします。  車両検修の回帰の延伸につきましては、先生今御指摘がございましたが、我々、昭和四十五年の新しい検査方式以来、十五年の経過の中で、各主要機器の細かいところに至るまでの機器の履歴管理とか、摩耗状況とか損耗状況を十分チェックいたしまして、今回の上申をしたという経緯でございます。  周期の中には二種類ございまして、いわゆる日数とか月数、年齢のものと、走行キロによって修理をする、そういう二つがございます。今回は、基本的には車両故障につながる、あるいは安全に一番関係があるとされる走行キロについては現状のままにいたしております。ただ、経年劣化、いわゆるタイムとか年数によりますと、例えば塗装が劣化するとか、ゴムが傷むとか、屋根、そういった分野については、走らないけれどもその部分はもつという前提で、安全を損なうことなく実施するということでやってまいりました。  ただいま御指摘ございました台車検査につきましても、御存じのように、電車につきましては、モーターを持っている電車とトレーラー、付随車を持っている電車と編成で走っておりまして、トレーラーの方の台車、足回り部分については台車検査を行っておりませんでした。したがいまして、それらの実績といみじくも先生おっしゃいましたが、モーター等については台車検査の方で見ているわけですが、これについても十分手当てすることによって十分であるという自信を持ってやっているわけであります。  したがいまして、この車両検査周期の延伸にかかわりましては、六月の下旬に組合にも提示しまして、その後、二十数回にわたりましてそれぞれ議論を重ねておりまして、十分労働組合の理解と協力を得て実施することで現在協議を重ねておるところでございます。また、その中身につきましては、先ほど先生指摘がございましたが、関係職員にも十分周知を図るとともに、教育訓練等必要な措置を行ってまいることにいたしたいと考えております。
  232. 辻第一

    ○辻(第)委員 何物にもかえがたい安全の問題ですから、私が今要望いたしましたことをよく検討いただいて、十分な対応をとっていただきたいことを重ねて強調しておきたいと思います。  最後に、地元の桜井線のことでお尋ねをするわけでありますが、ことしの十月から増便になりました。そして京都から桜井までが直通で電化・増便ということになっているのですね。ところが、これが今、試行列車という名前で、毎日臨時の列車が走っているという形でやられているわけでありますが、この十月、十一月の実績を簡単にお答えをいただきたいと思います。
  233. 須田寛

    ○須田説明員 ただいま先生がおっしゃいました臨時列車の実績でございますが、桜井線の臨時列車は七本ございます。十月の平均の、乗車効率と私ども言っておりますが、定員に対しましてお客様のお乗りいただきましたパーセンテージでございますが、これが十月が四八%、十一月が四一%でございます。  奈良線の方は、十月が九二%、十一月が九〇%、こういう状況でございます。
  234. 辻第一

    ○辻(第)委員 定員から言えばそういうことですが、十月も十一月もかなりふえているのですね。恐らく奈良線もふえていると思うのですね。だから、私は、試行列車じゃなしに、ぜひ定期列車としていただきたい。お話を聞きますと、一年ほどたってうまくいかなければ、また取りやめるんだ、こういうお考えもあるようでありますが、そういうこそくなお考えではなしに、やはり努力をすればふえていく地域だと私は思うのですね。もっともっとこういうところではサービスも向上させ、頑張っていただいて、定期列車にしていただきたい。ぜひ定期列車にしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  235. 須田寛

    ○須田説明員 ただいまお話しございましたように、お客様が大体一〇%から二〇%くらい全体としてふえていただいております。ただ、私ども、最近こういった類似の線区の電化をした経験上申し上げますと、電化をいたしました際、一時的に非常にお客様がふえますが、後、どうももう一つ伸び悩みというところが多々ございますものですから、今回、地元の御要望で、とりあえず増発はさせていただきましたけれども、一年間実績を見させていただく、そしてお客様に安定した御利用がいただければ、今先生お話がございましたように、これを定期化いたしまして御利用いただく、そのように考えてまいりたいと思っておりますので、もう少し実績を見きわめさせていただきたい、このように存じております。
  236. 辻第一

    ○辻(第)委員 須田常務理事にもう一言お願いいたしたいのですが、国鉄の五九・一〇、六〇・三で券売機駅化とか無人駅がたくさん出ましたね。奈良県の桜井線と和歌山線で、奈良も王寺も交えて二十五駅のうち十五駅が無人駅になるというようなことです。その中にはいろいろ、もちろんサービスが低下しますし、安全の面でも問題でございますし、そういう点で私ども、無人駅化や券売機駅化、サービスの低下、安全の低下につながるようなことはやめよと、これまでいろいろ御要望してきたわけでありますが、本当に利用客の立場に立ってもっともっとサービスを向上させる、安全を確保する、そういうことをぜひ御努力いただきたい。ことに六〇・三については我々の要望を、もう何度も申し上げたと思うのですが、ぜひ御検討いただいて御対応いただきたい、こういうことを強く申し上げたいと思います。  そして、桜井線を定期列車にするためにも、この前とられた無人駅、たくさんできたと思うのですが、ああいうことではせっかく増便をしながら逆に無人駅にしてサービスを低下させる、これはマッチポンプみたいなというようなことも言えるわけであります。そういう点で、ぜひ私どもの要望にこたえた対応をしていただきたい、私はこのことをお願いして質問を終わります。ありがとうございました。
  237. 須田寛

    ○須田説明員 今、先生指摘のような合理化を進めていることは事実でございますが、関西の私鉄に比べて非常に今でもおくれているという指摘を受けておりますので、この合理化はぜひとも御理解をいただきたいと思います。ただ、サービスの改善、安全等につきましては、いろいろ輸送の面その他含めまして総合的に万全を期してまいりたいと思っておりますので、ぜひとも御理解のほどをお願い申し上げます。
  238. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後三時十一分散会