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1984-04-10 第101回国会 参議院 予算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十日(火曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月九日     辞任         補欠選任      桑名義治君      塩川 啓典君  四月十日     辞任         補欠選任      藤田  栄君     安孫子藤吉君      真鍋 賢二君     出口 廣光君      近藤 忠孝君     上田耕一郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         西村 尚治君     理 事                 金丸 三郎君                 亀井 久興君                 初村滝一郎君                 藤井 裕久君                 村上 正邦君                 和田 静夫君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 伊藤 郁男君     委 員                 安孫子藤吉君                 長田 裕二君                 海江田鶴造君                 梶原  清君                 古賀雷四郎君                 沢田 一精君                 志村 哲良君                 杉山 令肇君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 竹内  潔君                 出口 廣光君                 内藤  健君                 成相 善十君                 鳩山威一郎君                 真鍋 賢二君                 松岡満寿男君                 宮澤  弘君                 宮島  滉君                 糸久八重子君                 久保  亘君                 佐藤 三吾君                 志苫  裕君                 瀬谷 英行君                 高杉 廸忠君                 矢田部 理君                 塩出 啓典君                 鈴木 一弘君                 中野 鉄造君                 和田 教美君                 上田耕一郎君                 柄谷 道一君                 下村  泰君                 木本平八郎君                 野末 陳平君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        法 務 大 臣  住  栄作君        外 務 大 臣  安倍晋太郎君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        文 部 大 臣  森  喜朗君        厚 生 大 臣  渡部 恒三君        農林水産大臣   山村治郎君        通商産業大臣  小此木彦三郎君        運 輸 大 臣  細田 吉藏君        郵 政 大 臣  奥田 敬和君        労 働 大 臣  坂本三十次君        建 設 大 臣  水野  清君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    田川 誠一君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)             (沖縄開発庁長        官)       中西 一郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       後藤田正晴君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君        国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       河本 敏夫君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       岩動 道行君        国 務 大 臣          (環境庁長官)  上田  稔君         ―――――        会計検査院長   鎌田 英夫君         ―――――    政府委員        内閣官房内閣審        議室長        兼内閣総理大臣        官房審議室長   禿河 徹映君        内閣審議官    手塚 康夫君        内閣法制局長官  茂串  俊君        内閣法制局第一        部長       前田 正道君        国防会議事務局        長        伊藤 圭一君        総理府統計局長  時田 政之君        青少年対策本部        次長       瀧澤 博三君        公正取引委員会        委員長      高橋  元君        公正取引委員会        事務局経済部長  佐藤徳太郎君        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        行政管理庁長官        官房審議官    佐々木晴夫君        行政管理庁行政        管理局長     門田 英郎君        行政管理庁行政        監察局長     竹村  晟君        防衛庁参事官   古川  清君        防衛庁参事官   西廣 整輝君        防衛庁参事官   友藤 一隆君        防衛庁長官官房        長        佐々 淳行君        防衛庁防衛局長  矢崎 新二君        防衛庁人事教育        局長       上野 隆史君        防衛庁衛生局長  島田  晋君        防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君        防衛施設庁総務        部長       梅岡  弘君        防衛施設庁施設        部長       千秋  健君        経済企画庁調整        局長       谷村 昭一君        経済企画庁調査        局長       廣江 運弘君        国土庁長官官房        長        石川  周君        国土庁長官官房        会計課長     安達 五郎君        国土庁水資源局        長        堀  和夫君        国土庁大都市圏        整備局長     杉岡  浩君        法務大臣官房長  根岸 重治君        法務省民事局長  枇杷田泰助君        法務省刑事局長  筧  榮一君        外務大臣官房長  枝村 純郎君        外務大臣官房審        議官       都甲 岳洋君        外務省北米局長  北村  汎君        外務省中南米局        長        堂ノ脇光朗君        外務省中近東ア        フリカ局長    波多野敬雄君        外務省経済局次        長        恩田  宗君        外務省経済協力        局長       柳  健一君        外務省条約局長  小和田 恒君        外務省国際連合        局長       山田 中正君        大蔵大臣官房総        務審議官     吉田 正輝君        大蔵省主計局長  山口 光秀君        大蔵省主税局長  梅澤 節男君        大蔵省関税局長  垂水 公正君        大蔵省理財局長  西垣  昭君        大蔵省銀行局長  宮本 保孝君        大蔵省国際金融        局長       酒井 健三君        国税庁直税部長  渡辺 幸則君        文部大臣官房長  西崎 清久君        文部省初等中等        教育局長     高石 邦男君        文部省社会教育        局長       宮野 禮一君        文部省体育局長  古村 澄一君        厚生大臣官房総        務審議官     小林 功典君        厚生大臣官房審        議官            兼内閣審議官   古賀 章介君        厚生大臣官房会        計課長      黒木 武弘君        厚生省公衆衛生        局長       大池 眞澄君        厚生省医務局長  吉崎 正義君        厚生省社会局長  持永 和見君        厚生省児童家庭        局長       吉原 健二君        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産省経済        局長       佐野 宏哉君        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        農林水産省畜産        局長       石川  弘君        中小企業庁長官  中澤 忠義君        運輸大臣官房長  松井 和治君        運輸省海運局長  犬井 圭介君        運輸省船舶局長  神津 信男君        運輸省鉄道監督        局長       永光 洋一君        運輸省自動車局        長        角田 達郎君        郵政大臣官房長  奥山 雄材君        郵政省電気通信        制作局長     小山 森也君        郵政省人事局長  三浦 一郎君        労働大臣官房長  小粥 義朗君        労働省婦人少年        局長       赤松 良子君        労働省職業安定        局長       加藤  孝君        建設大臣官房長  豊蔵  一君        建設大臣官房会        計課長      牧野  徹君        建設省計画局長  台   健君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局選        挙部長      岩田  脩君        自治省財政局長  石原 信雄君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        日本国有鉄道総        裁        仁杉  巖君        日本国有鉄道常        務理事      竹内 哲夫君        日本国有鉄道常        務理事      太田 知行君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十九年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十九年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 予算委員会を開会いたします。  昭和五十九年度一般会計予算昭和五十九年度特別会計予算昭和五十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  それでは、これより志苫裕君の締めくくり総括質疑を行います。志苫君。
  3. 志苫裕

    志苫裕君 農林大臣大変御苦労さまでした。きのうこの委員会でも同僚委員からいろいろお話ありまして、総理からも詳しいお話を伺ったところですが、当事者として特につけ加えて御報告いただくことありますか。
  4. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今回の日米農産物交渉に当たりましては、少なくともこの農産物というものが日米貿易摩擦の象徴のように言われております。そこで、何としてもこの日米農産物交渉というものを妥結したいというつもりで参りました。しかし、一時とても差が開いておりましてどうにもならぬということで帰国も決意したわけでございますが、もしこれが壊れた場合に日米両国に与える影響というものはどれほど大きなものになるかということを考えまして、そして双方から、水面下動きと申しますか、表へは出ませんでしたがいろいろた動きがございまして、そして最終的には双方で歩み寄って今度の妥結をした。私としては、許容できるぎりぎりの線ではございますが、日本農業を守っていけると思っております。
  5. 志苫裕

    志苫裕君 内容はもうすでに明らかになっているんですが、四年たてばやっぱりまた同じ問題にぶつかつて同じことの繰り返しになる。周りの環境がどのように推移するかにもよりますが、同じ対応繰り返しということになるわけでしょうか。
  6. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 私が行って感じたことでございますが、アメリカの国内におきましては、一応自由化というものを棚上げにしてやったということで最大限の譲歩をしたというぐあいのように思っております。我々日本で考えておるのとかなり違うものも感じました。そこで、最初決裂のような状態になってしまったわけでございますが、私は、しかし四年後にはやはり今回よりももっと厳しい姿勢で自由化なり枠の拡大というものを求めてくるのではないかというぐあいに考えております。
  7. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと今後のことを占う意味でもありますが、アメリカ大統領選挙の直前であるということはアメリカ側の態度にどのような影響を及ぼしたでしょうか。
  8. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 私は二つあると思います。一つは、大統領選挙前であるので当初の要求がかなりきつかったということもあったと思います。それともう一つ、そうかといって日米関係が悪化するということがそれはやはり大統領選挙のプラスにはならないというところで歩み寄りができたというぐあいに思っております。
  9. 志苫裕

    志苫裕君 四年たてば大統領選挙にたるわけですが、それはともかく、長い目で見て生産、流通、消費等各分野にわたって手をつけておかなければならぬ問題点も多いのではないかと、このように感じますが、その点はいかがですか。
  10. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生言われるとおりでございまして、我々は実は四年ではなくて五年間でと思ってやってまいったのですが、しかしどうしても向こうは四年でなければ話し合いがつかないということで四年で妥結してきたわけです。先と言われるように、長期にわたってといいますが、少なくとも今度の昭和六十二年、この期限が切れるわけでございます。それまでの間に足腰の強いというか、農業体質強化というものについて全力を尽くしていかなければならないと思っております。
  11. 志苫裕

    志苫裕君 次に入りますが、総理、六月七日から予定されておりますロンドンサミットについてでありますが、そのテーマはどういうものに絞られてくるのか、どういう情報をお持ちで、日本側のあらかじめの対応をどのように進めておられますか、お伺いいたします。
  12. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ロンドンサミットにつきましては、各首脳個人的代表が今までたしか一、二回会合いたしまして、どういうサミットにするかという一般的な話し合いを既に始めております。まだ決まったものはございません。ただ、このサミットが始まりましたゆえんは、いわゆる経済サミット、エコノミックサミットという言葉で表現されておりますように世界経済の問題が中心で出てきたわけでございます。そういう意味におきましても、やはり世界経済全般をどうしていくか、景気は回復し始めておりまして、この景気の回復のはずみをどうつけていくか、その中にあって発展途上国の問題あるいは各国にある失業の問題、まだ解消していない部分もございます。そういう問題をどう対処していくか、あるいは累積債務国家をどういうふうにして扱っていくか等々の問題がひとつ経済問題としてございます。それと同時に高金利問題であるとか、あるいは為替相場の安定の問題であるとか、あるいは今までも問題になりました赤字予算削減、消滅の問題であるとか、こういう各国の内政の抱えている問題も出ると思います。それと同時に、やはりINFの問題が前回大きな問題になりまして、平和並びに軍縮の問題が当然話し合いの中に入ってくるであろうと思いますし、私も特に平和と軍縮の問題につきましては大きな関心を持って臨みたいと思っておる次第でございます。
  13. 志苫裕

    志苫裕君 いろいろ報道によりますと、産業調整の問題であるとか日米欧委員会サミットへの六項目提言であるとか、あるいはまた蔵相代理会議における通貨安定策についての中間報告であるとかいろいろ論じられておるのであります。あるいはまた、この間アメリカ大統領が新ラウンド構想で何か少し提起をしたようですが、特にこの日米欧委員会サミットヘの六項目提言、これは当然話題になるんじゃないかと思うんですが、何か所見ございますか。
  14. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日米欧委員会は、今までサミットに対しましてその前に非常に適切な助言をしていただいております。今般におきましても同じように適切な助言をしていただいておると思いますが、執行を行う政府立場と客観的にごらんになっておる立場の落差というものは若干あるように思います。しかし、いずれにせよ大局的見地に立った一つ方向を示している貴重な資料であると考えまして、我々も十分念頭に入れながら対処してまいりたいと思っておる次第です。
  15. 志苫裕

    志苫裕君 サミットの歴史はそのときどきの状況にもよりますし、主宰国のアピールの仕方にもよりますが、少しずつ経済サミットから政治サミットヘという歩みにあることは否定をできないと思うのですが、今総理もそういう問題意識を述べました。  そこで、河本長官にお伺いしますが、あなたは三月二十二日の産労懇軍事費削減話題にできないものだろうかという、こう認識を述べておるようですが、その辺の真意についてお伺いしたい。
  16. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 先月の産労懇で、ロンドンサミットでは世界経済の再活性化という問題が出るであろうが、それに対する意見はどうか、こういう質問がありまして、それに対しまして、その第一は、ややもすると保護貿易的な傾向が出てきておりますが、これをどうしても排除して自由貿易体制を守っていくということが何よりも大事だと思うと。それからあわせて、世界軍事費が昨年の国連発表によりますと八千億ドルにもたなておって、それがとめどもなくふえ続けておる、これがやはり世外経済の足を大きく引っ張っておるので、このふえ続ける軍拡競争を、軍事費を何とか方向転換をして軍備縮小方向に持っていくことができれば、それは世界経済活性化に大きな貢献をするであろう、こういう趣旨の答弁をした、こういうことでございます。
  17. 志苫裕

    志苫裕君 その点、総理の御認識をもう一度伺いたい。
  18. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国連のある専門委員会調査では五千億ドルと言われており、あるいはほかの民間団体調査だと七千億ドルという数字が出ております。それぐらい膨大な数字軍事費は上がっておるのでありますが、果たしてそれだけで済んでおるものであるかどうか、水面下のものがほかにありはしないかどうか、まだ未確定のものもあるのではないかという感じもいたしております。そういう面を考えてみますと、ちょうど発展途上国累積債務と同じぐらいの額になるわけで、六千億ドルとも言われております。そういうような面から考えてみますと、軍備というものは随分むだをしているという感を禁じざるを得ないのです。しかし、にもかかわらずこれがなくては平和が今のところ維持されていない、こういう仕組みでなっておるという宿命的なことを感じます。そういう意味におきましても、我々は現実に即応して物を考えていかないと、ただ理想ばかりに突っ張るというと取り返しのつかないことが起こるという冷厳な現実というものにあわせて政策も進めておるわけでございますが、しかし、やはり軍事費をできるだけ削減して、そしてその金を民生に回し、あるいは飢餓に飢えているアフリカの国、その他の国々に回し、あるいは発展途上国の民生安定や福祉に回すということは、人類として非常に立派な理想であり、追求していくべきことであると考えております。
  19. 志苫裕

    志苫裕君 二十一世紀に向かって大いに文明論を説いておる総理ですからね。まさに、この膨大な軍事費の存在は驚くべき浪費でして、新しい文明の質が問われるんだろうと思います。しかし私は、軍縮について日本政府はどちらかというと核に限定をしまして、そして外に向かって物を言うという癖があるんじゃないかと思うんです。当然に、通常兵器を含む軍事費総体を対象にして日本軍仙備縮小もそれに含めるということでなければ、まさに地球上の脅威と言われるこの軍事費の増大に真っ向から立ち向かえないのじゃないか。やっぱり平和憲法を持った日本総理は、他の首脳に先駆けてこの問題の提起を力強くやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  20. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 軍縮の中には、お説のとおり核の軍縮のみならず通常兵俗軍縮も含まれると思っております。両々相まってこの軍縮の実を上げていくように今後とも努力してまいりたいと思っております。
  21. 志苫裕

    志苫裕君 防衛庁、在韓米軍との日米共同訓練は、日米韓軍事的連携にもなりかねないというので、やらないということを国会でもしばしば述べておられるんですが、ところが航空自衛隊森幕僚長は、三月三十日の記者会見で五十九年度の訓練計画の中でそれをやりたいと、こう述べておるわけですが、どういうことですか。長官、答えたさいよ、こういう問題。
  22. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 空幕長の発言につきましては、一般的にいわゆる戦技技量向上させる、そのことが非常に必要である、そういう一般論の中で出てきた言葉であると、こういうように承知しておりまするけれども、詳細は政府委員から答弁をさせます。
  23. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) お答えいたします。  空幕長記者会見の際に、記者団の方から在日米空軍F16と共同訓練をするつもりがあるかという質問に対して、これについては何とも言えない、わからないと答えております。それ以外に、今大臣お答えになったように、戦術思想が必ずしも同一でない他国の違った機種と訓練をすることは、新しい戦術戦法の開発あるいはまた戦術技量向上のために非常に役に立つんだという別な話でそういう一般論を述べておるものであります。
  24. 志苫裕

    志苫裕君 一般論であるかどうか、私はそこにいたんじゃないからわからぬけれども、F16との共同訓練には空白は並み並みならぬ意欲を見せているというのは、例えば去年の八月でしたか、ドネリー司令官の提案にそういう対応もしたようでありますが、いずれにしてもこの委員会で三月二十七日に長官が私にお答えになった。それから数日たたない日に空幕長がやりたいと。まさにシビリアンに対する挑戦ですよ、あなた。もう一度正確に答えてください。
  25. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 今申し上げましたとおり、一般的に言いまして戦技技量向上を図るということは、これは自衛隊として当然のことでございます。そういう一般論に立って、いろいろ記者会見をした際にF16というのが出てきたわけでございますから、それと共同訓練をやるということとは直接的に結びついていないと、そういうふうに理解しています。したがいまして、私が先般御答弁申し上げましたとおり、現在のところ共同訓練をする考えはないということを申し上げておきます。
  26. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。  中央指揮所が完成をいたしましたが、これの平時の運営と有事の運営、さらに米軍との連携において常時どういう形態になるのか、御説明いただけますか。
  27. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。  中央指揮システムの基本的な運用といいますのは、有事と申しますか、防衛出動等の自衛隊の行動というものを進めていく場合に、これを効率的、的確にやっていくということが基本でございます。したがいまして、そういった防衛出動の場合でありますとかあるいは治安出動その他いろんな事態があり得るわけでございますが、そういう事態が発生いたしますと、直ちに内局、統幕あるいは各幕等の関係者が中央指揮所に参集いたします。そういたしまして情勢の把握とか長官への報告を迅速にそこで行う、それを踏まえて部隊等との連絡あるいは関係部局間の調整を緊密に行うといったようなことをいたしまして、初動対処が迅速かつ的確に、また継続的に行えるということのためにこの施設を活用していきたい、こう考えておるわけでございます。平時につきましては、これは統合幕僚会議の方でそのための管理体制をつくっておりまして、統合幕僚会議事務局に管理運営室というのを設けまして中央指揮システムの維持管理ということを担当をしてもらうことにいたしております。それから第三点目の米軍との関係でございますが、これは電話等による連絡の方法は一応設けていきたいということを考えております。
  28. 志苫裕

    志苫裕君 米軍の例えば連絡将校のような者、もうちょっと偉いのかしれませんが、これが常時そこにいることになるんでしょうか。
  29. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) この中央指揮所に米軍の連絡将校を常駐させるというふうな計画は今持っておりません。
  30. 志苫裕

    志苫裕君 これは施設庁の関係になるんですか、自衛隊の立川基地では五十七年ごろからC1輸送機のローアプローチが行われておるんですが、このたび離着陸の訓練までしたいという申し入れを関係の、自治体に行っているそうですが、ちょっとその辺の内容とか詳細に御説明いただけますか。
  31. 千秋健

    政府委員(千秋健君) お答え申し上げます。  ただいまの立川飛行場におきますC1のアプローチ並びに着陸訓練でございますが、これにつきましては、立川飛行場が五十五年から新設されましたわけですが、その際これが大規模災害に対します救援対策基地という位置づけがなりまして、それに伴いまして自衛隊の方で、C1等による救援物資の輸送基地ということのためにC1を年間に何回か着陸させまして慣熟訓練をしたいということで、五十五年十月に基本的に立川市長と東京防衛施設局長との間で協議いたしまして、そういう慣熟飛行を行うという実施の基本的合意ができたわけでございます。  それで、五十七年からローアプローチの訓練飛行を始めたわけでございますが、その際、五十七年十月には、この訓練のやり方につきまして市長さんと東京防衛施設局長との間でもっと詳細な協議を詰めまして、五十七年度はローアプローチということで、五十八年度から着陸訓練を実施するということで協定ができたわけでございます。その後、五十八年度に実際に着陸訓練を実施しようということになったわけでございますが、若干、地元地方公共団体との話をもっと詰める必要があるということで今日に至りまして、五十九年度からはこの訓練をぜひ実施さしていただきたいということで、また改めましてこの三月二十一日に東京防衛施設局長から立川市長に協議の申し入れをしたところでございます。
  32. 志苫裕

    志苫裕君 立川基地は御存じのように、ど真ん中にあるわけでして、どこか外れにあるというのと少し違うわけで、飛行機が落っこちたりすれば危険もあるし、何よりも音がやかましいという、人々の暮らしにかかわるんですが、そこへもってきて鳥羽でC1が落っこちたりしまして、ますますその辺の不安をかき立てているんでしょう。皆さんの方はそういう危険、不安、騒音というようなものについてどのように見ているんですか。
  33. 千秋健

    政府委員(千秋健君) C1の慣熟飛行は先ほど申し上げましたように災害対策のためにぜひ必要ということでございますが、航空機の離発着てございますので、それに伴いますいろいろな騒音の問題、ただいま御指摘ありましたいろんな問題がありますので、そういう点を十分よく地元と話し合い、御理解を得たいというふうに考えておる次第でございます。いずれにしましても、この着陸訓練は年間二十回ということを予定しておりまして、月にすれば二回程度の離発着てございますので、私どもとしては、ぜひそういう面で御理解を得たいというふうに思っております。
  34. 志苫裕

    志苫裕君 私に御理解願ってもしようがないのでね。騒音はどの程度ですか。
  35. 千秋健

    政府委員(千秋健君) 五十七年度から実施しておりますローアプローチ、これにつきまして立川で私どもの方が北側、南側のところで測定しておりますが、これによりますと約八十五ホン程度の音というふうに承知しております。
  36. 志苫裕

    志苫裕君 あなた、変なことを言っちゃだめだよ。離着陸をやろうというので、そいつはやかましいだろうと人は言っているんですから、離着陸をしないホンを言ったってだめたんだ。離着陸するとどうなるかと聞いているんだ。
  37. 千秋健

    政府委員(千秋健君) 地上におきます騒音測定は、その飛行場の周辺環境、そういうものによって左右されますので、先ほど申しましたのは立川におきます実際にはかったものでございますが、現在のところまだ一度も着陸しておりませんので、その測定はできません。もちろん実際に着陸するとなれば、それより音は高くなるだろうと思います。
  38. 志苫裕

    志苫裕君 では、美保の数字は幾つですか。
  39. 千秋健

    政府委員(千秋健君) お答え申し上げます。  美保で滑走路から約五百メートルの距離ではかりました。高度が約百メートルぐらいの高度でございますが、その場合に、離陸の場合百七デシベルA、着陸の場合百五デシベルAでございます。
  40. 志苫裕

    志苫裕君 環境庁、この百七とか百五とかというのは一体どういう音ですか。
  41. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答え申し上げます。  騒音の単位はホンであらわしております。
  42. 志苫裕

    志苫裕君 これは委員長答弁になっていないよ。どの程度の音かと聞いたのにホンであらわすなんて。
  43. 千秋健

    政府委員(千秋健君) 先ほど私はデシベルAでお答え申し上げましたが、デシベルAというのはホンと同じでございます。それで、百ホンから百十ホンといいますと、鉄道のガード下とか自動車のクラクションに近い音ということになっております。
  44. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっとその前に、鳥羽の墜落事故は、その後原因究明はどうなりました。
  45. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) お答えいたします。  事故調査の結果、この菅島にC1が衝突しました事故は、非常に不安定な気象条件下で移動中のC1輸送機が用地的な非常な気候の急変に遭ったということが主たる原因であるというように解明をいたしております。
  46. 志苫裕

    志苫裕君 墜落の危険はそうたびたびあってもらっちゃ困りますが、この音はやっぱり何とも我慢ならない。私は美保の場合はちょっと土地カンがないんですが、立川の場合はとにかく本当に町の真ん中でして、駅から三百メートルぐらいの所ですからね。こうなりますと、この音はとても、年がら年じゅうガード下に住んでおるわけにいかぬわけで、同数の問題はもちろんございますが、地元の市民が反発を強めておる、市長ももちろん慎重のようでありまして、これは私は、この際中止を求めたい、こう思いますが、いかがですか。
  47. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 騒音の出ることは大変付近の住民の皆さんに御迷惑をかけますけれども、やはりこれは自衛隊といたしまして防衛上の任務もございますし、それから、あそこの場合は救難というようなこともありますし、物資の輸送というようなこともございますので、ぜひ御理解をいただきまして御協力を賜りたいということで今鋭意施設庁において話し合いを進めておる、そういうことでございますので、そういう点で御理解を賜りたいと思います。
  48. 志苫裕

    志苫裕君 基地がど真ん中にあることから問題なんですが、地元が強い反発を強めておるということにもかんがみて、これは別の場所を探すなり工夫をすることを求めておきたいと思います。  次に、この委員会ではずっとしばしば基盤的防衛力構想、すなわち大綱とシーレーンのかかわり方が議論になりましたが、私も締めくくりの意味で、やっぱりこの基盤的防衛力構想、平時の防衛力あるいは限定的小規模な侵略対処まで想定をするというこの防衛力構想と、一千海里までのシーレーン防衛構想とは明らかに異質のものである、レベルの違うものであるということは指摘をせざるを得ませんが、いかがですか。
  49. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) これも当委員会でいろいろ御議論のあったことでございますが、私どもは、シーレーンというのはいわゆる有事の際に哨戒、護衛、あるいは港湾とか海峡の防備、そういう各種の作戦を積み重ねるその累積効果によりまして海上交通の安全を確保する、これが我々のシーレーン防衛の意強でございます。そういうことから考えますと、シーレーンというのはいろいろあるわけでございまして、海上における侵略が大規模のときもありまするし、また限定小規模のこともございまするし、またそれ以下のこともございます。それに対応するために防衛計画の大綱におきましては限定小規模ということになっておる。これは大綱の別表、それに基づいて対処しているわけでございます。大規模のものにつきましてはアメリカの支援をいただく、こういうことでございまして、一千海里というのは、その海上交通の安全を確保する一つの方法といたしまして申し上げているわけでございまして、私どもといたしましてはそういうような脈絡でシーレーン防衛を考えておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  50. 志苫裕

    志苫裕君 何かシーレーン防衛、海上交通の確保といいますと、日本へ大事な資源を運んでくる船、これを守るというふうな、こういうふうに印象づけられるんですが、そうではない。世界有事の場合に世界的に動く米軍を補完をする、そのために一定の海域の制海権を日本が分担する、これがシーレーン防衛ということなんでしょう。いかがですか。
  51. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私どもはそういうふうに考えていない、したがってシーレーンの定義というものは先ほど申し上げたとおりでございます。そして、周辺数百海里、航路帯を設けるとするならば一千海里ということでございますと。いつも航路帯を設けると、こういうわけではございません。
  52. 志苫裕

    志苫裕君 別の角度から聞きますが、シーコントロールとはどういうことですか。
  53. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。  このシーコントロールという言葉は、今日各国におきまして、海上防衛のための運用であるとかあるいは防衛力の整備というようなことを考える場合によく使われる言葉でございます。その意味するところは、ある一定期間一定の作戦目的に応じましてある海域の自由利用を確保する、そういう意味で用いられているわけでございます。したがって、かっていわゆる制海権というふうな言葉で使われておった意味とはこれは違いがあると思います。かつての制海権という言葉は全般にわたって海をもう支配してしまうというふうな観念で使われていたと思いますけれども、今日シーコントロールという言葉で言われているのは、ただいま私が申し上げたような意味で使われていると理解をいたしております。
  54. 志苫裕

    志苫裕君 長官、あなたはしばしば、シーレーンの話をしますと、線じゃないんです、面なんです、海域なんですと、こう言っているでしょう。今のお話を聞いてわかるんですが、シーコントロールもシーレーンもそういう意味では同じ意味じゃありませんか。
  55. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 誤解があるといけませんが、私は、シーレーンというのは線でも面でもない、我々の言うシーレーンというのは海上交通の安全を確保する、こういうことを申し上げているわけです。そして一つのその態様として、周辺数百海里、航路帯を設ける場合には一千海里と、こう申し上げておるのでありまして、私は、面である、海域である、こういうような趣旨の発言はしておらないと思っております。
  56. 志苫裕

    志苫裕君 線でも面でもない、点でもない、何になるのかな、これ。
  57. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) ですから、シーレーンというのはいろいろの方々が自分の頭の中で概念がいろいろあるわけですね。そうなりますと議論をする場合にかみ合わないというので、実は衆議院でもこの問題が出ましたときに、シーレーン防衛に対する我々の考え方はこういうことだということを申し上げたわけでございます。
  58. 志苫裕

    志苫裕君 結局、皆さんはいろんなことを言いますけれども、やっぱり周辺三百とか四百とか、そういうところまではなるほどあったんですよ。しかし、一千海里までのシーレーン防衛というのは、日米防衛協力の視点から最近にわかにクローズアップされたという発生の経緯を見ても、皆さんがそうこじつけて言うものではない。どうも防衛庁はつまらぬところをこじつけて頑張る癖があって困るけれども、やっぱりシーレーンというこの発想は、世界有事というものが有事シナリオにありまして、それを前提にして、広い区域のうちの一部分を日本が分担をするという発想がなければこれは説明つきませんよ。そうじゃないですか。
  59. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 我が国の防衛力整備は、我が国が武力攻撃を受けた場合に自衛のため必要最小限度の防衛をしようということでございます。しからばどういう場合に武力攻撃を受ける可能性があるかということになりますと、これは国際情勢等も非常に流動的な面もございますし、一概に予測することはできませんが、我が国が単独で攻撃を受ける場合もありますでしょうし、あるいは他地域での紛争が波及してきて、その結果として我が国が攻撃される結果になるというケースもあり得ると思います。いろんなケースがあり得ると思いますが、いずれにいたしましても、我が国の防衛活動というものは、シーレーン防衛を含めまして、日本が武力攻撃を受けたときに自衛のために必要最小限度の範囲でこれを発動するということが基本でございますので、この点はぜひ御理解を賜りたいと思います。
  60. 志苫裕

    志苫裕君 いや、これは基盤防衛力構想は限定小規模な単独侵攻というふうに読めば大体説明がつく。しかし、シーレーン防衛あるいはガイドラインから出てくる日米共同対処という場合にはやっぱり世界有事の波及型というふうになっている。ですからこれは異質なものなんです。レベルの違うものなんです。それを皆さんは五六中業に持ち込んでごまかそうとしておるというところに問題があるわけで、これはいずれ引き続いてこの問題の整理はしていくべき課題だということだけを申しておきます。  総理もそうですし、外務大臣もそうですが、本国会では、衆参ともに対ソ経済措置の緩和について弾力的な見解を表明されましたが、私は判断としては時宜を得ていると思うんですが、率直に言って、経済的な打撃を与えてアフガンやポーランド問題で少し反省させようという目的があったんでしょうが、ブーメランのようにどうもしかけた方に被害が、とばっちりがやってきたという状況があって、世界の足並みもそういう意味では、日本がやらないのならお先に失礼というんで、ほかの国が貿易のシェアをとったりしているという実態もあるようです。こういう機会でありますから、経済は経済の問題として、弾力的な答弁もいただいておりますが、早目にその辺のけりをつけられるということがよろしいのではないかと思いますが、いかがですか。
  61. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 対ソ経済措置につきましては、その基本的な枠組みは変わっていないわけです。例えばアフガニスタンに対するソ連の進駐というのも変わっておりませんし、ポーランドの情勢も一憂一喜というふうな状況で基本的な枠組みは変わっていないんですが、しかしおっしゃるように世界の情勢がいろいろと変化しておる。ソ連も新政権ができたわけでございますし、そういうことを踏まえながら、やはり西側として連帯をとりながらこれに対して、また日本日本なりにそういう連帯の中で適切な対応というものはしていかなければならぬ、こういうふうに考えていろいろと検討を進めておるわけでございます。
  62. 志苫裕

    志苫裕君 安倍さん、西側の諸国とも相談してと言うんですが、その相談、いつごろから始めるのか。
  63. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) それはしょっちゅうココムとかそういうところで相談はいたしておるわけでありますし、また日本は、公的信用につきましてはケース・バイ・ケースということを行っておるわけでございますが、そうした点につきましても、状況の変化というものを見つめながら適宜対応していくということであろうと思います。しかし同時に、対ソ経済の基本方針はやはり政経一体といいますか、政治と経済を一体として対処していくという日本の基本的な方針は変わらないわけでございますが、先ほどから申し上げましたように、やはりいろいろと情勢の変化、あるいはまた新しいソ連の新政権の誕生による米ソあるいは東西関係の和解とかあるいはまた雪解けとかそういう方向が出てくれば、それなりにやはり機敏な対応というものを日本もおくれないでとっていかなければならない。しかし、基本的にはやはり西側で連帯というのが一つの基本線としてあるわけですから、これを崩すわけにはいかないわけでございます。
  64. 志苫裕

    志苫裕君 それは西側の連帯、西側がお先に失礼とやっておるんだけれども、これは通産省がいいのかな。日本の対ソ貿易額、あるいは今外務大臣は西側と言うが、西側の対ソ貿易額はどのように推移していますか。ちょっと御説明いただけるかな。
  65. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) お答え申し上げます。  詳しい数字は後ほど資料をもとにして申し上げたいと思いますけれども、最近の日本について申し上げますと、アフガン、ポーランド等で措置をとって以来の対ソ貿易は、八〇年、八一年、八二年と伸び続けております。それで、昨年におきまして二三%ぐらい減りましたけれども、これは必ずしも、そういう意味では措置の直接の影響というよりも経済内的な要因があるというふうに私どもは考えております。
  66. 志苫裕

    志苫裕君 いろいろ言い分があるようだけれども、いずれにしましても、ここへ来て輸出入ともに落ち込んでいることも確かだし、ヨーロッパ諸国を見ますと、オランダとかフランスとかスウェーデンとかイギリスとかというようなところは、日本の落ち込んだ分をとったのかどうか知りませんが、逆にふえているという状況で、経済的な面から見ますと考えてもいいという状況はあるわけであります。西欧とも互角に張り合ったり、またシェアを回復するための必須条件として、ケース・バイ・ケースで今やっておりますが、対ソ公的信用の供与の拡大であるとか、ココムの規制の問題、長期経済協力協定の問題、それから通商関係の事務所の設置というものは不可欠の課題のようだ気がするんですが、いかがですか。
  67. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今おっしゃったようないろいろな要素を踏まえて日ソ経済を進めているわけでありますが、今幸いに日ソ間には経済関係では少し話し合いをしようという機運が生まれておりまして、日ソの政府間の経済協議も近く行う予定にいたしておりますし、また民間の間の経済協力というものも徐々に進んでおる、こういう状況でございますから、大筋、大枠というものは先ほどから申し上げたような状況でございますが、しかし日ソ間においては、機運としてはやはり全体として少しずつ盛り上がっておるといってもいいんじゃないか。これはそれなりに私たちは日ソの政治対話とともに進めていく必要があるというふうに考えております。
  68. 志苫裕

    志苫裕君 総理、この点どうでしょうね。今もお話があったんですが、西側の政治家たち割合にしたたかで、自分のところの経済政策を変えたきゃならぬほどソ連の脅威がそう深刻なものとは考えていないというしたたかな対応ぶりもときどき見せるんですが、総理、対ソ経済制裁措置の問題についてはどのように。
  69. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 外務大臣が御答弁申し上げましたように、基本原則をわきまえつつ、応用問題については弾力的に考えていきたいと思います。この間も日曜日に永野日商会頭をお見舞いに上がりましてこの問題を話しましたけれども、民間でソ連といろいろ話し合い調査団ですか、会談を持ちたいという話がありまして、結構なことですと、そうお答えしておきました。
  70. 志苫裕

    志苫裕君 談合問題に入りますけれども、この間、公正取引委員会から独禁法上のガイドラインを設けた見解をいろいろお伺いをしたので、きょうはひとつ発注官庁、監督官庁の方に質問を向けたいと思うんです。  その前に、総理、談合問題は経済的な側面、また政治倫理という意味での政治的な側面、二つ持ちまして、しばしば論議をしてまいりまして、前総理を初め、これはひとつ厳正な対応をせぬといかぬということで今日まで至っておるんですが、談合問題についての総理認識をまず伺いましょうか。
  71. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 公正取引を害して独禁法違反になるようなことはこれは慎まなければなりませんし、また一般会計法規違反になるようなことはこれは取り締まらなければならぬと思います。ただ、この問題につきましては、例えば建設業関係の問題では、中小建設業者の生死に関する重要な問題が内包されております。ある程度の調整といいますか、弾力性を持った考え方を持ちませんと、大企業が横行し過ぎて中小企業に全然チャンスがなくなってしまう、いわゆる弱肉強食が出てくる危険性もなしとしたい。そういうようないろんな面から考えて公正取引委員会におきましてこれに対する考え方を出しましたが、これは非常に適切な考え方であると思っております。このような考え方に沿いまして、業界並びに企業者あるいは当事者が秩序のある、そしてきちんと節度をわきまえた行動をとることを期待してやまない次第であります。
  72. 志苫裕

    志苫裕君 総理の口からいきなり調整という言葉が出てくると、ああこれは大分深くかかわったんだなと私は勘ぐりますけれどもね。  建設大臣、この間公取から、建設業の諸特性と実態、わかりやすく言えば業界の言い分ということだね、伺いました。あなた、この業界の言い分についてどう思いますか。
  73. 水野清

    国務大臣(水野清君) 業界の言い分といいますか、その前に建設省として、このガイドラインに対して私どもは現在の独禁法という枠内で適切なものだというふうに理解をしております。ただいま総理からお話がありましたように、公共事業の発注に対して建設業というのが五十一万もたくさんございます。そういうものが非常にひしめき合っておって、なかなかこの不況下でいろんな問題を起こしがちな情勢でございますが、公取が独禁法違反とならないものを明示をしていただいたということは、公正取引委員会で行っております事前相談制度とかこういったものと相まって、事業者団体の適正な活動に私は資するものだというふうに理解をしております。
  74. 志苫裕

    志苫裕君 建設省も、業界の言い分と言ったら悪いか、公取が認めた建設業界の諸特性というものはもっともだなと、だから談合も緩めてやらぬといかぬなと、こういうふうにお考えになっているわけか。
  75. 台健

    政府委員(台健君) ガイドラインで示されております建設業の諸特性につきましては、公正取引委員会がガイドラインを作成するに当たりまして、関係業界あるいは建設省その他の発注官庁等から十分意見を聴取された結果でございまして、私たちの御説明とも符合しておりまして、諸特性につきましては私たちは全く同じ見解を持っております。
  76. 志苫裕

    志苫裕君 建設大臣は、この問題についての自民党の見解を閣議に報告をして了承されたと、こう言われておるんですが、これは大変異例なことですが、そのような事実、ございましたか。
  77. 水野清

    国務大臣(水野清君) 実はそのような御質問があるということで調べてみたのでございますが、もちろん私の在任中にこういうことはございません。どういうことなのか、実はいろいろ調べてみたのでございますが、そういう事実はないのでございます。
  78. 志苫裕

    志苫裕君 行管庁長官、あなたは前に官房長官もやってずっといなさるようだが、これが建設大臣から報告のあったことはございませんか、自民党案。
  79. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) このガイドラインは、これは公取の問題じゃないですか。建設大臣からそんな閣議の報告なんて私聞いたことございません。
  80. 志苫裕

    志苫裕君 いや、これは竹さんうそを言っているんじゃないかと思うけれどもね。自民党がいわゆる自主調整、さっき総理言葉にあった調整だ、これを談合とも言うわけでして、これを少し緩めようかということで、自民党案ここにありますけれども、これを公取に向かって提示するのに、事前に閣議に報告があったと。逆に言えば、閣議の圧力をもって公取に押しつけたということになるわけで、公取はそのような経緯を伺っておらないんですか。
  81. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 一昨年の八月でございますか、自民党の契約問題小委員会というのだと記憶しておりますが、そこから見解が出たことは事実でございますが、それは契約制度としての問題、それから中小を中心とする建設業者の健全な発展の問題、それからいわゆる入札談合の問題、いろいろな問題を含んでおりますけれども、私どもはその見解に対応しまして、公共工事を受注する建設業界の実態と特殊事情を十分考慮して独禁法の運用について適切な配慮を加えること、それともう一つ、建設業者団体等による独禁法上の活動の限界についての研究についても適切な指導を積極的に行うこと、今年の二月二十一周に取りまとめましたいわゆるガイドラインでございますが、それはいずれもこういう要請にもかなっておろうかというふうに考えておる次第であります。
  82. 志苫裕

    志苫裕君 ついでに公取委員長、これはダンピングの自粛要請が「その他の活動」のところにありますが、これは一般的にですか、個別にですか。
  83. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 個別工事の受注について低価格入札を抑止するような自粛要請というものが許されるというようなことはない、あくまでもこれは一般的な問題でございます。
  84. 志苫裕

    志苫裕君 三次案まで一般的という文言があって、でき上がったものから消えたのはどういうわけ。
  85. 高橋元

    政府委員(高橋元君) これはいろいろな表現を用意いたしまして、どれが一番わかりいいかということを研究してまいったわけでございますから、一次案、二次案、三次案というものについて、現在私は一々記憶しておりませんけれども、「採算性を度外視した安値での受注に関し自粛を要請すること」と申しますのは、一般的に、例えば自粛文を削りますとか、それから口頭で自粛を伝えるとか、そういう趣旨であることは変わっておりません。
  86. 志苫裕

    志苫裕君 この問題のまとめにしますが、これは建設大臣と公取から答えてください。いずれにしても、その辺ではこのガイドラインが出たことによって実際実質的には談合が可能になったと、こうふれ回っておったり、言って回ったりしている者もいますがね、この点についての公取さんと建設大臣の見解を聞かしてください。
  87. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 前回、御質問の際にもお答えしたことでございますが、受注予定者を決める、入札価格を決める、または入札の場から特定の事業者を排除する、それはいずれもガイドラインの中でも明示的に除外されておるわけでございます。情報活動なり経営指導というような事業者団体として業界の育成に役立つ行為の中で、いわゆるシロと認められるものを書いたわけでございますから、ここによって談合を認めたというようなことはいささかもないというふうに私どもは考えております。
  88. 水野清

    国務大臣(水野清君) 建設省としては、公取がガイドラインをお出しになって、これこれのような所作はこのガイドラインに照らしてみて違法でないということをお示しいただいたわけでありまして、その範囲で私は談合してよろしいであろうとか、公然とそんなものが許されるようになったという理解はしておりません。
  89. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 志苫君、時間がなくなりましたから簡潔に願います。
  90. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。  最後に外務大臣、四日の質問に続きますけれども、五十年前後に資産を売却したときの事情をちょっとお伺いしたら、正確にやっていると思うがわからないたあということですが、きょう報告できますか。
  91. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは十年前の話ですが、私も調べてみましたが、放棄という話でしてね、あれは放棄をしてそして最終的に抹消ということになるんだそうで、これは放棄したというのは、払うかあるいはまた売るかどっちかのことで、その辺はきちっとなっておりますから。
  92. 志苫裕

    志苫裕君 譲渡所得の話をしたんです。五十年の譲渡所得の話、税務整理はうまくいっていますかという話を聞いたんですが。
  93. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) それはきちっとなっておると思います、間違いなしに。昔の話ですけれども、調べておりませんが。
  94. 志苫裕

    志苫裕君 五十年に資産を処分して譲渡所得が載っておらないのはなぜですかと、こう言っているんです。
  95. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私もそのときのあれを見ておりませんけれども、個人的なあれですからね、十年前のことですが、譲渡所得、所得があればそれは載っているはずです。
  96. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で志苫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  97. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、峯山昭範君の締めくくり総括質疑を行います。峯山君。
  98. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、初めに総理にお伺いします。  政治家としての基本姿勢についてお伺いをしたいと思います。政治家の発言なり言動というものは院の内外を問わずその及ぼす影響というのは大変大きいということはもう言うまでもありません。したがって、事実に基づかない不用意な発言というのはこれはもう厳に慎まなければならないというのが政治家としての最小限のモラルであると思いますが、総理はどうお考えですか。
  99. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 政治家は公的存在でございますから、あくまで言動は慎重に、かつ事実に基づかないような発言についてはこれを厳に慎まなければならないと思います。
  100. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先般の衆議院選挙の最中に、事実無根の中傷発言で私たちも大変迷惑をこうむったのでありますが、中でも公則党にかかわる集団移動等の発言はまことに迷惑であり、許しがたいものであります。また、私もとんでもない発言だと思っております。発言者等の謝罪やおわびによりますと、うわさによるものばかりでありました。  そこで、総理の派閥の方は実は私も随分調べたんですが、こういう発言をしているんです。今度の選挙も公明党は、候補者のいない選挙区から大量に住民登録を移して選挙に備えていることは御承知だと思います、中曽根さんの年内選挙には大きな裏があるんです、それは大量に住民登録を移したのはいいんですが、中曽根さんの言うとおり一月一日を超えたら子供さんの学校は住民登録を移している先でいろいろ指定されてしまう、納税申告その他いろいろ不便なことが出てきちゃう、だからもし年内選挙をやってくれないんだったら、仮に四万票、四万人のうち三万人移しているんですが、残りの一万人を自民党の対立候補にぶつけると、こういうふうな圧力をかけられた、もしそれをやられちゃったら自民党は落っこっちゃう、年内解散の裏にはこういう裏取引があるんですという、とんでもない発言になっているわけであります。  中曽根さんの派閥のこの方の発言は、公明党が集団移動をしているという前提と認識のもとに発言をしているように思います。今まで我が党としましては集団移動などという卑劣なことをやろうと考えたことも、やったこともありませんし、全く迷惑なことであります。総理も、あなたの派閥の某議員と同じように、公明党が集団移動しているという御認識をお持ちでございましょうか。」
  101. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 公明党がいやしくもそのような不正行為、集団移動をやる、選挙目当てのそのようなことをやるとは思っておりません。
  102. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一つ、公明党が総理に対しまして、集団移動を理由に昨年末の解散、総選挙に対し圧力をかけたと、こういうふうに本人は言っているわけでありますが、我が党としてはそういう面におきまして圧力をかけたことも考えたこともありませんし、全くこれは事実無根であります。この点について総理の明確なお考えをお伺いしたい。
  103. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昨年の解散に際して、公明党からそういうような圧力を受けたことはありません。昨年の解散は、私は、特に臨時国会に提出しました行革七法案、それ以下の全法案の成立を期して、そのことを非常に念頭に置いて解散を実行したものであります。
  104. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは事実無根ですね。
  105. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御指摘のような事実はありません。
  106. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ぜひこの問題、本人にも厳重に注意していただくように御要望しておきます。  それでは次に、先日から問題になっておりました懸案事項を処理してまいりたいと思います。  まず初めに、ロッキード事件の反省という点から総括でも質問いたしましたが、会計検査院法の改正について、今までの衆参の決議を踏まえまして問題点を煮詰めて本委員会に報告するということになっておりますが、御報告をお願いします。
  107. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 会計検査院法改正問題につきまして、先般の参議院予算委員会におきます峯山議員の御指摘を踏まえまして、政府としての考え方を再度検討したところでございます。  一つは、自由な企業活動に対する公権力の過剰な介入となるおそれがある、これが一つございます。それからもう一つ、融資先に対しまして恐れを抱かせる、畏怖心を与える、政策金融が有効に機能しなくなるおそれがあるというような問題がございまして、現在の段階では政府として院法の改正を御提案するのは困難であると申し上げざるを得ないのでございます。  政府といたしまして国会の御決議を尊重することは当然でございまして、最近の御決議の趣旨に沿いまして、会計検査院の検査の充実強化を図るための実行上の措置につきまして十分配慮をしてきておるところでございます。今後とも御決議の趣旨が十分実現されますように政府として最大の努力を払っていくことといたしたいと考えておりまして、このような観点から会計検査の実施上の諸問題につきましての会計検査院の御意見も十分伺いました上で、必要があれば改善策を検討することといたしたい、このように考えておりますので、どうか御理解を賜りますようにお願いをいたします。
  108. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ただいまの答弁ではこれは理解できないわけでございますが、最後の方にございました、検査院の御意見を聞いて必要があれば改善策を検討するということは非常に抽象的なんですが、この点もう少し具体的に示していただきたいと思います。
  109. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) いずれにいたしましても、会計検査院の御意見を十分伺って、今までの院の御決議と対照しながらどういう点に問題があるのかというようなことについてよく改善策を練っていきたい、このように考えておるところでございますが、例えば先日のこの予算委員会の席上で会計検査院長が、いわゆる肩越し検査を行う場合にその必要があるかどうかということを決めますのを、現在では検査を受ける機関がそれを判断しているということになっておりまして、そういうところが問題だというような御発言がございました。このあたりも、これから改善をしていくについて会計検査院と話し合う一つ問題点ではないかと、そんなふうに考えておるところでございます。例えばということではございますけれども、肩越し検査を行います場合に、必要であると思われます場合には肩越し検査が円滑に行われますようにこれを指導するというようなことも具体的にその一つの改善策になるのではないかと、そんなふうに考えておるところでございます。  また、従来発出をいたしておりますいわゆる翁通達につきましても、実態を踏まえまして、会計検査院の御意見をお聞きした上でさらにこれを見徹すべき点があれば改善をいたしましてよく徹底をするようにいたしたい、そんなふうに考えておりまして、一層の努力をしてまいりたいと存じておる次第でございます。
  110. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、ただいまの答弁だけではこれは納得できないわけでございますが、検査院の方はただいまの官房長官答弁等をお聞きになってどういうふうにお考えでございましょうか。
  111. 鎌田英夫

    会計検査院長(鎌田英夫君) 会計検査院といたしまして、今、官房長官のお話を承ったわけでございますが、この件につきましては細部について、お話のとおりでありますれば政府側とよく詰めていかなければならないということでございますけれども、ただいまの官房長官の御答弁は本問題について一歩前進があったのではないかと、こういうふうに考える次第でございます。
  112. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 時間がございませんので、三点詰めなければいけませんので、もう一点、次の私的諮問機関の問題についてお伺いをいたします。  この問題、相当総括のときにやりましたんですが、その後の状況等につきまして行政管理庁並びに官房長官の方から御報告願いたいと思います。
  113. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この問題につきましては、理事会等でも御熱心に御検討をいただいたようでございますが、この際正確にお答えをいたしておきたいと思います。  各省庁が関係各界から有識者の参集を求めて開催する懇談会等行政運営上の会合につきましては、国家行政組織法第八条の法律で定めるところにより置かれる審議会等ではないかとの疑惑を避けるため、行政管理庁としましては従来から各省庁に対して審議会等との区別を明確にするよう留意を求めてきたところであります。しかしながら、本委員会における審議におきまして、この間の区分が必ずしも明確でないものがあるのではないかとの御指摘があり、また峯山委員が御疑念を持たれるような取り扱いが従来なかったとは申せません。  この際、懇談会等と審議会等との区分につきまして申し上げます。すなわち、審議会等にありましては、審議会等を構成する個々の委員の意思とは別の合議機関そのものの意思が答申等としまして公の権威を持って表明されますが、懇談会等行政運営上の会合にありましては、合議機関としましての意思が公の権威を持って表明されるものではなく、単なる行政運営上の意見交換、懇談会等の場にとどめるべきものであります。したがいまして、懇談会等の運用に当たりましては、各省庁はこの点を今後とも十分に留意する必要があり、特に聴取しました意見を合議機関の意思決定と紛らわしい形で取りまとめることなどのないよう留意すべきものでございます。  以上でございます。
  114. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 先般も御答弁を申し上げましたように、政府といたしましては、いわゆる行政運営上の懇談会等の会合と、国家行政組織法第八条の機関である審議会等とは厳格に区別をして運営をしていくように十分注意をしてきたところでございます。しかし、種々御指摘、御指導をいただきましたように、紛らわしい点も確かにあったことを私どもも反省しておるところでございまして、今後両者は区別を厳格にいたしまして、それぞれの目的に沿った運営をするように十分注意をいたしまして誤解を招かないように努力をしてまいりたい、このように考える次第でございます。  なお、本委員会で御指摘のありました平和問題研究会等の運営につきましても、今後の運営について誤解を招くことのないように十分注意をしてまいりたい、このように考える次第でございます。  ただいま行政管理庁長官からお答えを申し上げました趣旨に沿いまして政府全体をよく指導してまいりたい、このように考える次第でございます。
  115. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ただいま行政管理庁長官の方からも重ねて通達、お話ございましたが、郵政大臣、ただいまの通達につきましてどうお考えですか。
  116. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 八条機関と御意見拝聴という形でやる懇談会とは明確に区別しておるつもりでございます。
  117. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ただいま官房長官と行管庁長官からそれぞれ私的懇談会について発言があったわけでありますが、私は実はこの私的諮問機関の問題につきまして資料を令部集めて調査いたしました。その結果、相当な資料が、私きょうは持ってきませんでしたが、私の手元に集まりました。その中でこれを一番よくわきまえていたいのが郵政省であるということが明確になってまいりました。実はこの問題が明確になりつつある四月四日の日にも中間報告が出ておりまして、テレビで郵政大臣がしゃべっているのが映っておりましたが、これはまさに八条機関と混同しているというのが明確な発言でありましたし、したがって今お伺いしたわけであります。また、この問題につきましては紛らわしいことのないように今後とも注意していただきたいと思いますし、また七月一日からはこれが政令に変わります。そういう点も踏まえまして、今後この点につきましては十分反省をし、また政府の中でもがっちりやっていただきたいと思います。  以上踏まえまして、重ねて行管庁長官、郵政大臣、最後に総理から御答弁いただきたいと思います。
  118. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 先ほどお答えを申し上げましたように、八条機関による審議会と私的懇談会、厳格に区別をいたしまして、先ほど答弁申し上げたとおりに各省で運営をしていただくつもりでございます。
  119. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 恐らく御指摘の件は、テレトピア懇談会の報告をいただいたことについてではないかと思っております。あの構想は世界でも初めての試みでありますし、いろいろな分野の人の御意見を万機分論に決するという一つの手だてとしてやったわけでございます。確かに先生が御指摘のように誤解される面もあったかと思います。それは個々の意見の集成でございますけれども、リップサービスとまではいきませんけれども、長い間の半年近い形の御苦労をいただいた御意見の集積でもございますから、これを今後の行政の参考に供してまいりますといったような言葉がそういった紛らわしい誤解を与えたのじゃなかろうかと思っております。今後その点を留意して運営に当たりたいと思います。
  120. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御発言の趣旨を踏まえまして、各省に徹底しまして、八条機関と紛らわしいことのないように努力いたします。  先般、総括質問で御質問をいただきましたので、その後、文化と教育に関する懇談会の報告の作成等についてもよく注意いたしまして、あの報告は少し変わってきている報告になっております。それは共通意見、共通意見の中にもある部分においてこういう意見があった、こういう意見があった。それから特殊意見、個別的な意見の表明というのがみんな掲載されておりまして、そのようにして、決議とか合議、それをまとめるというような姿勢はとっておりません。皆さんの御意見を拝聴するという姿勢に完全に改革をいたした次第でございます。今後ともこのような趣旨を各省庁に徹底さしたいと思っております。
  121. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは次に、シーレーンの問題についてお伺いをしたいと思います。  この問題につきましては、私は、シーレーンの中の特に千海里という問題につきまして具体的にどこで決定をされたのかということを指摘したわけでございますが、この点に対してまとめた見解をお伺いしたいと思います。
  122. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 去る三月十五日の当委員会におきまして、海上防衛力整備の前提となる海上作戦の地理的範囲につきまして峯山議員から重要な御指摘をいただきました。この点につきましては、政府といたしましては従来からの経緯を精査する等鋭意作業を進めてまいりましたが、今般これがまとまりましたので政府委員から読み上げさせたいと思います。
  123. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) それでは、まとまりました結果を読み上げさせていただきます。   海上防衛力整備の前提となる海上作戦の地理的範囲について  我が国は、周辺数百海里、航路帯を設ける場合はおおむね千海里程度の海域において、有事の際、我が国の海上交通の安全を確保し得ることを目標に、海上防衛力を整備している。このような海上作戦の地理的範囲についての考え方は、「第三次防衛力整備計画」(大綱は四十一年十一月二十九日国防会議及び閣議決定、主要項目は四十二年三月十三日国防会議決定、四十二年三月十四日閣議決定)、「第四次防衛力整備五か年計画」(大綱は四十七年二月七日国防会議決定、四十七年二月八日閣議決定、主要項目は四十七年十月九日国防会議及び閣議決定)以来とってきたものである。  なお、上記のおおむね千海里程度の海域については、その全域にわたって防衛するという考え方をとっているものではない。 (1)国防会議で決定された「第三次防衛力整備計画」、「第四次防衛力整備五か年計画」の本文には、地理的範囲に関する具体的記述はないが、それぞれの計画期間内の整備量は、次のとおり、上記の海上作戦の地理的範囲を念頭におきつつ決定されているものである。  すなわち、「第三次防衛力整備計画」、「第四次防衛力整備五か年計画」においては、海上自 衛隊の保有すべき防衛能力を、我が国土から比較的近い海域で行われる防衛作戦に関する能力と外洋で行われる船舶の護衛作戦等に関する能力とに分け、前者を「周辺海域の防衛能力」、後者を「海上交通の安全確保能力」と規定している。  その場合において、能力算定の前提となる作戦の地理的範囲に関しては、計画策定段階において、「周辺海域の防衛能力」については周辺数百海里の海域、「海上交通の安全確保能力」についてはおおむね千海里程度の海域を目標とするという防衛庁の説明を踏まえ、政府部内の話調整を行い、海上防衛力の整備を行った。 (2)国防会議で決定された「防衛計画の大綱」(五十一年十月二十九日国防会議及び閣議決定)の本文にも、地理的範囲に関する具体的記述はないが、別表に定める陸上対潜機部隊の数及び作戦用航空機の機数のうち、固定翼対潜機に係る部隊の数及び機数は、次のとおり、上記の海上作戦の地理的範囲を踏まえて決定されているものである。  すなわち、「防衛計画の大綱」においては、我が国が保有すべき海上防衛力の目標規模を別表で示すとともに、その規模算出の前提とした海上自衛隊の四つの体制について、具体的に規定している。同規定のうち、「周辺海域の監視哨戒」及び「海上護衛等」の任務に当たり得る固定翼対潜機部隊の目標規模は、任務を行う海域に応じて算定されている。  その場合において、固定翼対潜機に係る部隊の数及び機数の算定の前提となる任務の地理的範囲に関しては、計画策定段階において、「周辺海域の監視哨戒」については周辺数百海里の海域、航路帯を設ける場合の「海上護衛等」についてはおおむね千海里程度の海域とする考え方を前提としているという防衛庁の説明を踏まえ、政府部内の諸調整を行ったほか、「防衛計画の大綱」が審議された国防会議の場においても、同趣旨を説明し、了承を得ている。 (3)防衛力整備についての以上の考え方は、国会における質疑に対する政府側の答弁や議員の質問主意書に対する政府答弁書(閣議決定)において、繰り返し明らかにしてきているところである。  なお、「周辺海域」という用語については、その後昭和五十三年に決定された「日米防衛協力のための指針」(五十三年十一月二十八日国防会議及び閣議において報告、了承)において、「周辺海域」の範囲を、日米が共同して作戦を行う海域という観点から、航路帯を設ける場合のおおむね千海里程度の海域をも含むより広い概念で使用しているが、これは運用上の観点に立ったものである。  以上でございます。
  124. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ただいまの統一見解を見せていただきましたが、私の質問には全く答えていないように思います。私は、たびたび御答弁しておられますように、要するに航路帯を設けるとすれば千海里程度というこの発言ですね、これは三次防の中にも、四次防の中にも、防衛大綱の中にもすべて決定されていない、それは一体どこで決定されたのかと、こう聞いているわけでありまして、今私たちが防衛論議をする場合にシーレーン防衛ということが出てまいりまして、しかもそのことがこの航路帯千海里というのがひとり歩きをしておる、これは非常に遺憾なことだからその決定されたのはいつどこで決定されたのかということを聞いておるわけでございまして、その点についての明確な答弁を伺わない限り、ただいまのこの統一見解は、問題点は非常にたくさんありますが、その点は別に指摘するとしまして、私の質問には答えていないように思いますが、どうですか。
  125. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 第三次防衛力整備計画、第四次防衛力整備五カ年計画、防衛計画の大綱におきまして、防衛力整備の前提となる海上作戦の地理的範囲について数百海里、千海里といった具体的な数値をそれぞれの計画の本分上示さず、期間内の整備量や目標となる防衛力の規模が決定されていることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、これらの整備量や目標規模が、その前提とたな作戦構想等に基づき算定されたものであり、防衛庁はそれぞれの計画の策定に当たって、海上防衛力整備の前提となる諸作戦の地理的範囲について、我が国周辺数百海里、航路帯を設ける場合や護衛を行う場合におおむね千海里程度という考え方をとっていることを関係省庁に十分説明し、政府部内の諸調整を行ったわけでございます。特に、防衛計画の大綱の場合は、その審議を行った国防会議の場においてもこの点について説明し了承を得ておるわけでございます。このように、それぞれの計画における海上防衛力の整備量や目標規模が、その前提とした諸作戦の地理的範囲を含む構想等を十分踏まえた上で決定されているものであることをぜひ御理解いただきたいと思います。
  126. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは大変な問題をたくさん含んでおりますんですが、これは国防会議の席上でも了承してもらっているということが先日の委員会でも出てまいりました。ただいまの統一見解の中にも、この二項目の最後の方に、国防会議の場においても同趣旨を説明し、了承してもらっているというのですが、国防会議で了承してもらった事項ですから、これは国防会議事務局の中にこの記録はあるんですか。
  127. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 国防会議の議事録というものはございません。国防会議が開かれましたときの議題あるいは決定事項等の記録はございます。  この一千海里の海上護衛の問題につきましては、これは大綱が決定されます国防会議におきまして、これは実は七回開いておるわけでございますが、当然のことながら大綱に決められてあります内容を決定するに当たって、国際情勢あるいは極東の軍事情勢、それの説明が防衛庁からございます。それからさらには、今度はそういった起こり得る可能性のある脅威に対する運用構想の説明があるわけでございます。
  128. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 記録はあるかないかだけでいい。
  129. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) その中において説明されておるわけでございまして、議事録としての記録はございません。
  130. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは大変な問題がたくさんありますので、まず防衛庁に今の統一見解の、問題点たくさんありますが、指摘時間がございませんが、前文のなお書きのところですね、これはどういうことか説明してください。
  131. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) この点は本文の一番前のところのなお書きだと思いますが、海上防衛力整備の前提となります海上作戦の地理的範囲を私ども従来考えてきた場合に、周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度の海域ということを考えてやってきたわけでございますが、そのことが千海里という言葉から、千海里でコンパスで引いたように海域全域にわたって守ることを考えているのかという点が必ずしも明確ではないじゃないかというふうな御議論もあろうかと存じます。そういう意味で、それはそういうことではなくて、あくまでも周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度の海域ということを考えているという点を念のために明らかにしたわけでございます。
  132. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 最後にガイドラインの周辺海域という説明をしておりますが、これとちょっと食い違うようだ気がするんですが、これはどうですか。
  133. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 日米防衛協力のための指針、すなわちガイドラインにおきますこれは用語の問題でございますが、確かにガイドラインにおきましては用語といたしまして周辺海域という言葉を使っておりますが、この点は周辺数百海里とそれから航路帯を設ける場合のおおむね千海里程度の海域を含むより広い概念として使っているわけでございます。これは日米が共同で作戦をする海域というものを簡明な用語で表現をするということが適当であるということからこういった使い方をした経緯がございます。しかしながら、防衛力の整備上の考え方といたしまして、あくまでも周辺数百海里、航路帯を設ける場合はおおむね千海里程度ということで考えているということは一貫して変わっておりません。そのことは、このガイドライン策定当時からしばしば国会においても御質疑ございまして、御説明をしているとおりでございます。
  134. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても、これは先ほど長官の方からこのいわゆる千海里ということについては今まで決定していないと。これは決定したところないわけですね、大臣。そうしますと、要するに自衛隊の考え方というものの基本はどこから出てきているんですか。この千海里を防衛する、航路帯を設けるというこの根底の考えですね、これはどこから出てきているかというのが一つの大きな問題であろうと思います。それで、結局そのことが自衛力の限界とも密接な関係があるわけです。それと、さらにはこの整備目標そのものが結局自衛権の及ぶ範囲そのものになるような雰囲気の見解にもなっております。そして、結局防衛庁そのものが国防会議でいろいろ三次防、四次防、そして大綱以来とってきたものであるという、とってきたものであるというこのことは防衛庁がとってきたものですね。結局そのことがどこで決定されたかということが明確でないまま防衛庁は説明をし、そういうふうにとってきているということ。それからこの一項目の中では、周辺海域の防衛能力という問題と海上交通の安全確保能力というこの二つの説明を分離して説明をいたしておりますが、これも防衛白書の中の記述からいたしますと非常にわかりにくい表現になっているのも事実であります。こういうふうないろんな問題点がありますので、それぞれの問題点につきましては今後、もう時間がなくなりましたので、それぞれの委員会で具体的に詰めてまいりたいと思っております。  以上、私の主張だけ申し述べて、私の質問を終わります。(拍手)
  135. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で峯山君の質疑は終了いたしました。  午前の質疑はこれまでとし、午後零時四十分まで休憩いたします。    午前十一時三十九分休憩      ―――――・―――――    午後零時四十二分開会
  136. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十九年度総予算三案を一括して議題といたします。  それでは、これより内藤功君の締めくくり総括質疑を行います。内藤君。
  137. 内藤功

    内藤功君 ニカラグアの情勢について伺いたいと思うんですが、アメリカのABC放送は、六日のニュースで、レーガン大統領が八三年の十一月に機雷封鎖指示の大統領指令に署名していたというニュースを流しました。ニカラグア政府は、国際司法裁判所への提訴もやったようであります。外務省に伺いたいんですが、機雷封鎖とアメリカ政府アメリカ国家機関との関係についてどういう認識か伺いたい。
  138. 堂ノ脇光朗

    政府委員(堂ノ脇光朗君) ただいま先生御指摘のとおり、四月六日のABCテレビ放送が米国政府関係者の謎といたしまして、レーガン大統領が昨年十一月にニカラグアの港湾に機雷を敷設する政府資金の支出を承認したと報道したということでございます。また、同じ番組の中で、アメリカの国務省はそのような事実を否定しているということでございますが、そういう報道については存じておりますけれども、アメリカ政府機関と機雷敷設の関係というものにつきましては、私ども事実関係をまだ承知しておりません。
  139. 内藤功

    内藤功君 機雷封鎖は国際法上も人道上も許せない行動だと我々は思っております。  そこで、先日我が国の輝潮丸という船が機雷に触れましたが、この輝潮丸の積み荷と経路はどういうものであったか御説明願いたい。
  140. 堂ノ脇光朗

    政府委員(堂ノ脇光朗君) お答えいたします。  輝潮丸の積み荷と経路でございますが、この輝潮丸は日本郵船がチャーターしております貨物船でございまして、定期的にニカラグアに参っておるということでございますが、今回は二月四日に神戸を出港しまして、メキシコ、ペルーなどの港に寄りまして、その後三月三十日コリント港に入りました。そして、コーヒー、木材などを積載して入った上で、同港で綿花などを積み込んだというふうに聞いております。
  141. 内藤功

    内藤功君 我々は、この船が台湾の基隆から積み荷を積んでいったという情報も得ておりますが、随時これは追及をしたいと思います。  そこで、アメリカとこの機雷封鎖との関係、この問題はウォール・ストリート・ジャーナルあるいはワシントン・ポストというところでも報道されておりますが、外務省の認識を伺いたい。
  142. 堂ノ脇光朗

    政府委員(堂ノ脇光朗君) アメリカの報道関係各紙、テレビなどがこの問題につきまして非常に高い関心を持っておりまして、アメリカのCIAがニカラグアの反政府ゲリラに対していろいろ支援を与えているが、その過程で機雷の敷設の援助をしたのではないかという報道はございます。しかし、私どもの承知しておりますところでは、例えばソ連のタンカーが被雷いたしましたときに、アメリカ政府国務省はそれにつきましてソ連政府の抗議に対して、そういう事実はないと否定したと聞いております。
  143. 内藤功

    内藤功君 アメリカが言ったからというんじゃなくて、これは日本の独自の立場調査をし、言うべきことは言うと、こういう態度を堅持されることを要望いたします。  次に、日米農産物交渉の合意の問題です。  既に、農業団体などはこの合意にふんまんにたえないと抗議の談話を発表しております。総理に伺いたいんですが、こういった農業関係者の方々の怒りの声に対してどういうふうにあなたはお答えにたるおつもりか。
  144. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日米関係においてぎりぎりの決着でできたことでございます。農業関係の皆様方の御不満やあるいは御心配がないように、政府としても、今後とも日本の農家の健全なる発展、生産性の向上等のためには全力を尽くして農家を守る考え方でおります。
  145. 内藤功

    内藤功君 今度の交渉の結果を見て、この言葉をにわかに私は信ずることができないのが非常に遺憾であります。  さて、高級牛肉の輸入量を四年後に約一・九倍にふやすというのであります。農林水産省に伺いますが、では国内の牛肉生産の伸びは今後四年間でどの程度見込んでいるんですか。
  146. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今、総理から御答弁ありましたように、我が国農業のこれが堅実に発展していくように、農業者の立場を守るということで、まあ不満はございますが、厳しいものでございますが、しかしこれならばということで、特にこの日米農産物問題が貿易摩擦の象徴のように言われておりますから、これをまず解決をすることということで全力を尽くしてまいりましたし、その際同行いたしました畜産局長、農蚕園芸局長、それぞれ、かんきつ、そして牛肉、この問題ではいろいろな御意見も伺いました。私も最終的に責任者として、これならばということでこれを決定したわけでございます。  それぞれ実務者から御報告いたさせます。
  147. 石川弘

    政府委員石川弘君) ただいまお尋ねがございました生産の見通してございますが、これは抽象的な長期見通し上の線上というのは三%をちょっと超えますような数字で見通しはございますが、具体的にこれから四年ということになりますと、現在おります牛の数をもとにしました積算がございます。ただこれは、今後日豪で交渉してまいります場合に総需要をどう想定し、国内の生産をどう見通すかということに重大な関連のある事柄でございますので、長期見通しの線をほぼ頭に置きながら、我々が推算しております数字で交渉するつもりでございます。
  148. 内藤功

    内藤功君 その数字をちょっとお示しいただきたい。
  149. 石川弘

    政府委員石川弘君) 今後の日豪交渉における重要な要素でございますので、ここで申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  150. 内藤功

    内藤功君 これ、重大な問題ですよ、お答えいただきたい。
  151. 石川弘

    政府委員石川弘君) 需要の見通しと生産の見通しの中で輸入数量を策定して、それを交渉の事項としているわけでございますので、四年と申しますと、長期見通しのように非常に長い距離の見通しの数字はございますが、短期に何年間で幾らを見通しておるということになりますと、交渉の中身そのものに関係いたしますので、ここでお答えすることは差し控えさしていただきたいと思います。
  152. 内藤功

    内藤功君 長期の見通しがあるんなら、その数字を言ってください。
  153. 石川弘

    政府委員石川弘君) 長期の見通しては、国内生産を昭和六十五年度で四十四万トン、これは部分肉換算でございます。長期見通しは部分肉ではございませんで、枝肉で交渉をいたしております。
  154. 内藤功

    内藤功君 国内の生産増をはるかに上回る輸入拡大で、自給率の低下はもうはっきりしていると思うんですね。私は、これはもうアメリカの圧力に屈して日本の農民に犠牲を強いるものと言わざるを得ません。  ところで、東代議士の問題です。いろいろ聞かれましたが、総理、この渡米については了解をしておられたんですか。
  155. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) あれは東君がワシントンに前に駐在をして、USTRそのほかに友人も非常に多い。そういうことで、ちょうどアメリカ上院で公聴会がある、その際に日本人がだれも聞いていないんではこれは心配だというので、自分で飛んで行きまして事前に公聴会の模様を聞き、農水大臣日本側にその感触を伝えたいというので独自で行ったのでございます。
  156. 内藤功

    内藤功君 その割にしては、ニューヨーク・タイムズここにございますが、インタビューで、中曽根総理が農相に日米交渉決着まで帰るなと指示したと言ったり、日本側が米側の報復措置を恐れていると語ったり、我が方の弱みを相手に言うような御発言もされておる。東氏は中曽根総裁派の方だと承ります。したがって伺うわけですが、どういう資格で訪米したのか、今度の交渉にどういう資格で関与したのか、単なる公聴会への出席ということでは私は納得できないんですが、総理に重ねてこの点を伺いたい。
  157. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が特使にしたとか、使いを頼んだとかということは全くありません。私は、山村農水大臣に全権を与え、また国会議員団の皆さんと相談をして決めてください、決めたことにつきましては私も全責任を負いますと、そういうことを申し上げたのであって、ほかに人に、頼むとか特使を出すというようなことは、全然やる筋でもないし、やってもいないのであります。東君はワシントンに長く駐在しておったので、ブロックさんとかあるいはそのほか昔からよく知っておる。そういうようなことから、日本農業関係の問題も心配をして、それで飛び出して行ったんだろうと聞いております。
  158. 内藤功

    内藤功君 事が事で、時が時だけに、これは疑問が残ります。東さんも帰ってきたようでありますから、きちんと聞いていただいて、この点、納得のいく説明をなお求めたいと思います。今回の合意につきまして見ますと、これは農相の訪米の時期、決裂後の再開の状況というものを見まして、非常に総理の政治判断、特に大統領選挙を前にしての対米協調最優先という色合いが強く見られると私は思うのであります。  そこで、次の問題に移りますが、これは政治倫理に関する問題です。  予算の成立を待って、中曽根総理は二階堂進氏を与党の副総裁に指名しようとしていると報道されております。そうなれば自民党四役のうち二人までがいわゆる田中派ということになります。これは単なる党内問題ではない。田中氏の政治的影響を一切排除するとうたわれました中曽根総裁・総理の声明に真っ向から違反するという問題だと思うんです。この点についての総理の御見解を伺いたい。
  159. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この点につきましてはこの前も御質問をいただきましたが、自民党の内部のことでありまして、内部の大事について他党から干渉される必要はないと考えております。
  160. 内藤功

    内藤功君 これは既に内部問題じゃないですね。一月十七日に不破哲三我が党の委員長総理がお会いになったときに、これは党内だけではなく党外の問題でもあるということをはっきり言われたはずであります。これは何回も不破さんからも念を押して総理もお認めになっているところであります。新聞でも大きくこれは論説の対象になっておる。こういう問題は党内問題ではありません。党内問題という域を超えた問題だと私は思うんですね、政治倫理の問題。各紙の社説もそうだし、それから最近日本世論調査会がやった世論調査では、総裁声明を中曽根さんは実行していらっしゃるかというのに対して、七二%の方が実行していないと、こういう結果が出ておるというのが、これが報道されております。新聞の投書には国民の多くの方の声も載っておる。私はこれはあえて、にもかかわらずこれをやろうとされるならば、これは率直に申しまして総裁選を目指しての布石なのかと、こういうふうに考えざるを得ませんが、どうですか。
  161. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 共産党の書記局長内藤君にするかあるいはそのほかの方にするか共産党が内部でお決めになることであり、これと似たようなことであると思います。
  162. 内藤功

    内藤功君 それはもう総裁声明が出ておりますから、その党の人事という域をもう既に超えておりますね。国民はみんな中曽根さんが約束したと、こういうふうにみんなとっております。  さて、では二階堂氏が今どういうお立場にあるか。昨年のロッキードの田中判決、ここに持ってまいりましたが、ここで全日空から五百万円を受領した。この事実が明確に認定されていることは総理、御存じですね。
  163. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 判決は判決なりに尊重してこれは受けとめております。
  164. 内藤功

    内藤功君 そこで法務大臣に伺いますが、法務省は昭和五十一年のロッキード特別委員会の秘密会で灰色高官の公表に踏み切って、二階堂進氏もその一人であることを明らかにした。この点は間違いないですね。
  165. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 衆議院のロッキード調査特別委員会で、秘密会という前提で国政調査に協力をすると、こういう観点から、その今お尋ねのことがあったということを私もその後出ました速記録で承知をいたしております。
  166. 内藤功

    内藤功君 そうしますと、法務大臣、この田中判決によって当時の法務省の指摘は正しかったと裁判所の判決で裏づけられたと、かように認識してよろしいですね。
  167. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 捜査のことを秘密会という前提で国政調査に御協力を申し上げた。何分これは捜査にかかわる、しかも起訴にも至らなかった事件でございますので、その速記録のことは、これは法務省から申し上げたのでございますが、その公表ということにつきましては私ども予定していなかったことだと、こういうように考えております。
  168. 内藤功

    内藤功君 法務大臣、二階堂進氏が五百万円受け取りながら起訴をされなかったという理由はなぜでございますか。
  169. 筧榮一

    政府委員(筧榮一君) 起訴にならなかった理由は、内閣官房長官としての職務に対する対価であるかどうか、その五百万でございますが、対価であるということが証拠上認定できなかったということでございます。
  170. 内藤功

    内藤功君 総理、以上の事実経過は、あなたが幹事長をしておられたときのことですから、もちろん御存じですね。
  171. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 見たり聞いたりしております。
  172. 内藤功

    内藤功君 総理、当時の自民党がロッキード特別委員会へお出しになった灰色高官の定義では、「ロッキード社の売込みに関し依頼を受け、ロッキード事件の金品の授受があったが、職務権限なきため罪とはならないもの」が灰色高官の一つである、こう言っております。自民党側自身の主張でも、これは灰色高官に該当することが明白ですが、総理、このごとはお認めになりますね。
  173. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 灰色という言葉は一体法的用語であり得るのであろうか疑問に思います。
  174. 内藤功

    内藤功君 自民党が当時出した文書で、灰色高官に該当するということはお認めになりますね。
  175. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 灰色高官というような言葉を果たして使ったのでしょうか、今私の記憶にはないと思います。
  176. 内藤功

    内藤功君 自民党の文書、七六年九月八日、いわゆる灰色高官として一般に公表すべきもの、この三冊目に書いてあります。お認めになりますか。
  177. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大分前のことですから私は記憶にありませんが、灰色というような言葉は法的用語としては通用しない言葉である、そう思います。
  178. 内藤功

    内藤功君 しかし、幹事長をやっておられたときの自民党の文書にはっきり書いてあります。総理、党内問題だとか、有能な人材とかおっしゃいますけれども、いやしくもロッキード事件で灰色高官と呼ばれた方、自民党自身もそう書いている。そういう定義に当たる方を政権与党の副総裁にするというのは、今日一体どういうことでございましょうか。これはまた七六年の国会決議、議長裁定、こういうものの趣旨から見ても私は納得できないんですが、いかがでございますか。
  179. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) するかしないかまだわかりもしないことを、どうしてそういうようにおっしゃるのか、私にはわかりません。
  180. 内藤功

    内藤功君 これはもう灰色高官という定義にはっきり当たるわけですね。自民党側自身が書いているんです。さらに総裁声明では、政治倫理の高揚とか清潔な党風確立ということもお約束なさっておりますが、私は、こういう灰色高官と言われている方を副総裁にするなら、これはもう清潔な党風どころじゃない、この意味でもこの総裁声明というものに反してくる、こう思いますが、いかがでございますか。
  181. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) あなたの御判断はあなたの御判断で御自由であります。
  182. 内藤功

    内藤功君 それではちょっと変えまして、河本国務大臣に伺いたいんですが、あなたは第二次内閣への入閣に際して、中曽根総理の声明を了解して、政治倫理、公正人事を確立するということで入閣したと新聞のインタビューでお答えになっていらっしゃいます。二階堂副総裁となれば、このあなたの入閣の弁から見てどうなんでございましょうか、明確な御見解を伺いたい。
  183. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私は、この問題につきましては正確な動きを知りませんので、今お答えする立場にはございません。
  184. 内藤功

    内藤功君 これはもう動きはよく御存じだと思って聞いたんですが、そういう御答弁ですか。  では安倍外務大臣、あなたは、報道によりますと、二階堂副総裁となると政局激変だと福田派首脳が言っておると報道されております。あなたの明快なその点の御所見を伺いたい。
  185. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私は首脳がどうかわかりませんが、いずれにいたしましても、党内副総裁の問題は党内問題ですからコメントは差し控えさしていただきたいと思います。
  186. 内藤功

    内藤功君 もう一人、田川自治大臣にお伺いしたい。あなたの行動はいろいろと注目をされておると思います。先日、立木さんの質問に対してあなたは、政治に田中氏の大きな影響力が及ぶとすれば無関心でいられない、こういうふうにお答えになりましたが、木曜クラブという会の会長をしておられて、灰色高官と言われておる方が副総裁になるということがもしあるとすれば、これは大きな影響力が出てくるようにも思われますが、いかがでございますか。
  187. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) まず他党の問題であるということが一つ。それからもう一つは、自民党の中でも今御発言がありましたように大変微妙な状態になっているという時点で、よその党の代表がこういう席でいろいろ論評する、あるいはまだ決まってないのにああだこうだということを申し上げることは差し控えたいと思います。お許しをいただきたい。
  188. 内藤功

    内藤功君 大変期待外れでございました。裁判所の認定にもかかわらず、二階堂氏は議長あてに、天地神明に誓ってシロだと主張しておるんですね。このままあいまいにしておくことはできないんです。  総理、私はここで政治的に解決する道はただ一つだと思うんですね。それは副総裁だ何だと言う前に、まずこの点をはっきりさせるために、あなたがかつて証人にお立ちになったように、二階堂氏自身に国会での証人喚問を行って、国会決議に書いてあるような真相の解明と、政治的、道義的責任の究明、もうこれ以外に政治家として、総理として選ぶ道はないんじゃないかと私は思います。どう思いますか。
  189. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 議院証言法の改正につきましては、どうぞ各党で早く議をまとめていただきたいと希望しております。
  190. 内藤功

    内藤功君 喚問自体についてはいかがでございますか。
  191. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ともかく、私は前に証言いたしましたそのときに、今のようなやり方でやるのは私を最後にしてほしい、次にそういうことをやる場合には法を改正してその上でやっていただきたい、今、日本で行われておる刑事訴訟法あるいはそのほかと均衝を保ったそういう法改正を行った上でやっていただきたい、そう念願して申し上げておるのであります。
  192. 内藤功

    内藤功君 西村委員長総理から明確なお答えがないので、私は、当予算委員会に二階堂進氏の証人喚問を要求いたします。
  193. 西村尚治

    委員長西村尚治君) それはまた別途理事会で協議いたすことにいたします。
  194. 内藤功

    内藤功君 次に、政党法の問題であります。  自民党の四役会議でも政党法は政治倫理の最優先の課題とされております。田中六助幹事長は、政治倫理協議会の真ん中に政党法問題が入っているとテレビで言っておられました。衆参両院の政倫協では、自民党代表は政党法制定を強力に提案をしておられます。総理はやはりこの政治倫理の中心問題はこの政党法制定だとお考えになっておりますか。
  195. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 必ずしも中心問題とは考えません。しかし、大事な問題として検討に値する問題であるから検討してほしいと党にお願いしております。
  196. 内藤功

    内藤功君 大事な問題だと。それでは総理は、その場合どんな内容の政党法をあなたの頭の中に描いていらっしゃいますか。
  197. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が検討をお願いした理由は二つありまして、一つは政治資金の規制の問題であります。選挙に随分お金がかかり過ぎている、そういうところから政治悪が出るという批判がございます。ところが、ドイツにおきましては、国家基本法でやはり政党ということを認めて、そして政党法をつくって、そして選挙の得票率に応じて何がしかの金を政党に補助して選挙資金等を捻出している、これを公明に、公に行っておるというやり方があります。日本の場合、こういうものは参考にならないものであろうかどうかということが一つ。それから昨年の参議院の選挙で比例代表制がでてまいりました。これは今までのように個人に投票するのじゃなくて政党に投票する、政治団体に投票するという、新しく変わってきたわけです。そうすると、今までと政党の地位が非常に変化してきておるのであって、そういう意味からも政党というものをもう少し法的に検討してみる必要ありやなしや、そういう意味で政党法ということを検討してくれとお願いしておるわけです。
  198. 内藤功

    内藤功君 実は自民党がまとめた政党法要綱をおつくりになった吉村正先生が昨夜逝去されたそうでございます。そこで、この吉村先生の中心にたってつくった案があるわけですね、吉村私案という。これは根本龍太郎基本問題調査会会長からたたき台としてつくってくれと言われて二週間でつくったと吉村さんは言っておられました。さて総理、この吉村私案というのはまさに自民党の案のたたき台、素案じゃないんですか。
  199. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 参考にひとつ見せてくださいというのでお願いして、たしか鉛筆書きで吉村先生がお書きになったものだということを聞いておりますが、それが自民党の案の基礎になるというようなものではございません。
  200. 内藤功

    内藤功君 総理はその案をごらんになったんですか、なっていないんですか。
  201. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 伝え聞いた話がありますが、何か共産党方面で大変気にしているようだ条文や内容があるというふうに聞いております。
  202. 内藤功

    内藤功君 じゃ、見てないのですか。
  203. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 見ておりません。
  204. 内藤功

    内藤功君 三月十五日の立木さんの質問で、総理は読んでいないと答えたんです。これは三十二ベージ。ところが、その前の方、三十一ページです、議事録では。読んでみると欠陥だらけの文章だと言っているんです。どっちなんですか。
  205. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 読んでみると欠陥だらけの文章だということは言わないと思いますよ。
  206. 内藤功

    内藤功君 いや、議事録に書いてあるんですよ。議事録見せましょうか。
  207. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それは議事録か何かちょっと変ですね。私は自分で一条一条正確に読んだ記憶がないんです。しかし人の話を聞いたという記憶はあるんです。その中で、共産党がいやに気にしている箇所があるという話も聞いておるんです。
  208. 内藤功

    内藤功君 共産党が気になるのは今の答弁なんですよ。読んだのですか読まないんですか。二つ言っているんですよ。ちょっと混乱しておられたんですかね。どっちなんですか、はっきりもう一遍言ってください。
  209. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は正確に条文を読んでおりません。しかし話は聞いております。もし読んだということで記録が載っておったらそれは訂正いたします。
  210. 内藤功

    内藤功君 そうすると、聞いた話でも含めてですが、吉村私案、政党法要綱には、政党の定義の中で、「革命の防止に寄与する」という基準を入れているんですね。これはこういうものをお認めになる立場総理自身のお考えは立つんですか、どうなんですか。
  211. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そのところだったんですね、共産党が気にしているというのは。そういうようなところを今我々は考えてはおりません。もう少し深く、もし政党法をつくる場合には推敲してみる必要があると思います。
  212. 内藤功

    内藤功君 これは気にしている第一なんですけれども、こういうことは考えていないと御確認いただけますね。
  213. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 革命にもいろいろありまして、文化革命もあれば精神革命もあれば、人間革命もあれば暴力革命もあります。したがって、いろいろ深く審査してみる必要があると思います。
  214. 内藤功

    内藤功君 我が党は、暴力テロは絶対認めない立場であります。精神革命、文化革命というのはこれは政党の問題じゃないです、人間革命というのは。問題は政治体制、社会体制の変革であります。そうすると、総理の頭の中にあるのは、政治体制、社会体制の変革を防止することについて何か基準を設けようというお考えを持っているんですか、どうなんですか。
  215. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昔の治安維持法みたいたものをつくろうなんという考えは毛頭ありません。
  216. 内藤功

    内藤功君 いや、昔の治安維持法なんかあなたがおつくりになると思っていませんよ。そうじゃなくて、そういう何らかの政治的な理念ですね、政策というもので政党の区分けをしようという、そういうお立場を持っているんですかどうですか。
  217. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 憲法の出版、言論、結社の自由を完全に守っていきます。
  218. 内藤功

    内藤功君 またこの吉村私案というものを見ますと、政党委員会というようなものをつくりまして、そうしてこれは行政委員会です。そのうちの十五人のうち十人は国会議員で、議席に案分比例して数を決めると、こういうふうなことを決めていたんですよ。多数党による少数党のこれは監視が私は出てくるおそれがあると思います。総理、こういうような政党と認めるかどうかを認定する機関はどういう機関がいいというふうにあなたの頭の中の政党法では考えているんですか。
  219. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私はまだ政党法をつくろうとかつくらないとか決めてないので、その政党法というものをどういうふうに扱ったらいいか検討してください、つくることの可否まで含めて検討してくださいと、そう言っておるのでありまして、中身までまだ考えておりません。
  220. 内藤功

    内藤功君 それにしては事態が進んでおるんですね。例えば衆参両院の政倫協では、自民党の代表は物すごく強く政党法制定を政治倫理の中心問題に据えておる。四役会議でも優先課題だと、党の政治倫理調査会ですか、それでもお決めになっている。どんどん進んでいる。一方ではあなたはやるかやらないか決めていない。そうすると、総裁がやるかやらぬか決めていないうちにいろんな機関がどんどん独走しているんですか、そういうものなんですか。
  221. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やるかやらないかということを各党間で相談して深く勉強してみたらどうかと、そういうことだと思います。
  222. 内藤功

    内藤功君 だから、そこで言う政党法というのは、政党と認めるかどうかを決める機関がなくちゃいかぬでしょう。それはどう考えているんですか。
  223. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) もしやるという場合には、そういうような中身も各政党間で相談して決めたらいいんじゃないかと私は思います。しかし、やると決まったわけではないわけです。
  224. 内藤功

    内藤功君 あなたはどう考えているのですか。
  225. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私にはまだ考えがないということをさっきから申し上げております。
  226. 内藤功

    内藤功君 くどいようですが、もう一つ、私は、気になることと言われましたが、気になることを全部言っちまいますよ。例えば、政党の発行する一切の出版物を発行の都度、政党委員会に提出する、こういうのがこの吉村先生の私案にあるわけです。これは昔の内務省でございますか、私は昔のことをよく知りません。総理は御存じでしょうが、内務省ですか、特高ですか、こういうものの検閲の復活のような感じがするんですよ。こういうものは、よもや総理は頭の中にこんなものをつくるという考えはないでしょうね。あるいはありますか。
  227. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) くどいようですが、政党法の中身についてはまだ全然思いをいたしていないのでありますから、お開きになる方が無理ではないかと思います。
  228. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 上田耕一郎君の関連質疑を許します。上田君。
  229. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 総理は、中身については考えていないと言われましたけれども、実は政党法の最大の問題は、政党の理念や政策のあり方を法律で規定しようとするそのことそのものにある。その法律の規定の枠に入らない政党を排除しようというところにあるわけです。昭和三十九年七月、当時の憲法調査会が報告書を出して、その政党法のところでありますけれども、政党を憲法、法律その他で規定すべきかどうか、当時の憲法調査会でも反対、賛成ほぼ半数だったというのですね。反対の方の意見にはこうあります。政党は憲法の規制の外にあるものとすべきだ、政党は本来自然発生的なものであり、国法によって規制されないことによってその機能を果たし得るものなんだと、だから一切政党について法律、憲法その他で規定すべきでないという意見が当時さえ半数あった。この問題については三つの意見がある。政党は国家機関の一部と見るという説、それから国家の外の性格を持っているのが本質だという説、三つ目は私的な市民社会と国家の活動とを媒介するものであるのだという説。首相は衆議院の予算委員会で二見委員質問に対していろいろ答えておられますが、首相自身はどういう考え方なんですか、政党について。
  230. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 政党は自由な結社で、国民の声を集めて議会政治においてそれを反映する、そういう団体であると思います。
  231. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 その政党を日本の憲法は結社の自由ということで規定してありまして、自由な結社ですから、一切政党について法律的規定はしないというのが日本憲法の立場なんですね。ところが首相は、政党法の制定をその可否、可否ということでやろうとしているわけです。先ほど西ドイツの例をお出しになって、あなた、二月七日にも西ドイツの方式を含めて検討しろと、自民党は西ドイツに調査団まで派遣するというんですけれども、西ドイツの政党に対する国庫補助の問題をあなたさっき言われましたけれども、西ドイツでは国庫補助問題以上に、自由で民主的な基本秩序を侵害もしくは除去する云々の政党は禁止するという条項が憲法にあるんですね。これはちょうどNATOをつくる時期の冷戦時代の産物ですが、この結果、ファシストの政党だけでなく、西ドイツ共産党は五十六年に禁止されているんです。関連団体四百団体が解散をされ、財産を没収されているんです。しかも、あなたは読んだか読まないかわからぬけれども、自民党の政党法要綱案、いわゆる吉村私案は、西ドイツのものよりももっとすごい規制が入っているんですよ。こういう問題についてあなたはどうお考えなんですか。
  232. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ともかく憲法のもとにおける言論、出版、信教の自由というものをあくまで護持していかなければならぬと思っております。今の政党法につきましては、それを果たしてつくるのがよいかつくらない方がよいのか、そういうところからスタートして、よく各党間で相談してくださいと、そう言っておるのでありまして、中身についてまで思いをいたしていないと再三申し上げたとおりです。
  233. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり、政党法をつくろうということ自体が、何らかの法律で決めると、その法律で決めた以外の政党というのはあかぬのだということになって、これは日本の憲法の結社の自由に反するんですよ。かつての吉田茂首相も、西ドイツに学んでひとつ日本共産党を非合法化したかったと「回想十年」の中で書いている。ところが、西ドイツの憲法と違って日本の憲法には結社の自由というのがあって、どうしても共産党を非合法化できなかったと、極めて残念だということを書かれている。あの吉田茂氏でさえ結社の自由があるのでできなかった。そういう政党規制につながる政党法をあなたはお考えになるのか。私はこういう政党規制を、もし憲法の結社の自由を尊重するとあなたが言われるんなら、この席でもうやめると、もう指示は撤回しますと、そして憲法の結社の自由はあくまで守り抜きますということを答弁していただきたい。それを答弁しないで、政党法の可否について勉強する勉強すると言いながら、自民党が西ドイツに調査団を派遣する等々のことをやれば、これはあなたが、日本国憲法の民主主義の根幹にかかわる問題について、憲法改正論者としてのあなたが改悪への一歩を踏み出そうとしているとしか思われません。明確な答弁を要求します。
  234. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 憲法に違反しない政党法でも、つくればつくれるだろうと思います。それは今の憲法をよく守って、そしてつくればつくれるのではないかと私は思っております。何も政党法をつくったからすべて憲法に違反するというものではない、つくり方によると。しかし私は憲法を守っていく、言論、結社、出版、信教の自由というものを守っていくとここではっきり申し上げているのでありまして、憲法に違反するようなことはやりませんと言明しておきます。
  235. 内藤功

    内藤功君 憲法に違反しないようにつくると。だれでもそう言いますよ。しかしあなたは冒頭にいみじくも言われたんです。西ドイツでは一定の得票を得た政党にお金を、資金を出すと。ここが問題です。必ず何かの政党の要件がそこに出てくるんです。あなたはこの吉村私案、三十五人以上の国会議員を擁することとか、当選議員の総得票、当選議員ですよ。その総得票の何%を得たことを政党の要件にこの吉村私案はしております。あなたはそれを読んでいないというのでありますけれども、しかしこういう政党法をつくれば必ず少数政党を認めたい、排除するという問題がまず起きてきますが、これはあなたの頭の中に必ずあると思うんです。いかがですか。
  236. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 民主主義におきましては、少数保護ということは非常に大事な点ではないかと思っております。しかし、それを具体的にどういうふうに法的に実現するかということは、これは諸般の問題を考えてその上で調整していくべきであると思います。
  237. 内藤功

    内藤功君 やはりはっきりと少数党派に対する排除ということを今否定なさらなかったというところが、私はなお大きく疑問として残るところであります。  さて総理は、政党は自由なる団体だとさっきおっしゃった。齋藤隆夫さんという代議士はどういうふうにあなたは政治家として評価しておられますか。
  238. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) たしか昭和十一年ごろの帝国議会において粛軍演説をやった方で、非常に立派な方であると尊敬をしております。
  239. 内藤功

    内藤功君 河本国務大臣はどういうふうに評価しておられますか。
  240. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 二・二六事件の後と昭和十五年に非常に内容のある演説をしておられますが、特に十五年の演説のために国会から除名されたと、こういうことがございますが、次の選挙ですぐに復帰しておられます。私は高く評価しております。
  241. 内藤功

    内藤功君 私どもと考え方の一致はないけれども、政党政治家として評価される先輩だと思います。この人が昭和二十二年十一月の法律新報という雑誌でこう言っておるんですね。政党というのは自由な団体だ、政党を結成するときには党則にこれこれのことを書かなきゃならぬとかなんとかということを決めるのはけしからぬことだと思っている、自分は反対だと。それから、少数の政党もあるだろうが、何ほど政党があってもいいじゃないかというような、泡のような政党ならば国民の前にさらされれば自然消滅してしまうからそういうことを気にすることはないんだと。そうして最後に、「政党は何でも国民の前に赤裸々に現れて、主義主張を標榜して国民に訴えて、国民がそれを審判する。良い政党は盛になって、悪い政党は衰える。いわゆる政党界における優勝劣敗、適者生存の原則が行われなければ本当の政党は出来ない」と、こう言っております。私は非常に大事なことを言っていると思う。政党の本来の原則はここにあるというふうに改めて痛感をした次第であります。  総理大臣に伺いたいんですが、つくるのがいいか、つくらないのがいいか……
  242. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 内藤君、時間ですから簡潔に。
  243. 内藤功

    内藤功君 迷っておられるようです。昔から、行くべきか行くべからざるか、そのときは行かないというのが原則じゃないんでしょうか。つくろうか、つくるまいかと言っているのならば、おやめになっていただきたい。こういうような法制定の考えを潔く撤回されることを要望いたします。(拍手)
  244. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で内藤君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  245. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、伊藤郁男君の締めくくり総括質疑を行います。伊藤君。
  246. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 農林大臣、四年後の交渉はもっとすごいものになると、こういうように言われておるわけですが、どういう感触でしょうか。
  247. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) このたび日米農産物交渉に当たりまして渡米いたしまして、我々が考えていた以上に大変な向こう側は譲歩を迫ったわけでございます。この貿易自由化というものを棚上げしたということは、大きなものを譲ったというような国内の世論があるように受けとめました。そしてまた、今回日米農産物妥結いたしました後でブロック通商代表から、四年後にはもっと深刻なものになるだろう、日本自由化というものを真剣に考えていただきたいという旨の発言もございました。
  248. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そうすると大臣、この四年間どのような対策を立てていこうとしておられますか。
  249. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今回どうにか日本農業を守ってきた農業者がやっていけるというような見通しには立っておりますが、しかし不測の事態が発生すれば、これには直ちに対応はいたしますが、それと同時に今の四年後というものを考えました場合に、やはりこれは日本農業体質強化、足腰の強い農業ということを我々は真剣に考え、これにどのような政策をもって当たるか、これからやってまいるところでございます。
  250. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 今回の枠拡大で畜産振興事業団の差益金はどのくらいふえるでしょうか。
  251. 石川弘

    政府委員石川弘君) 事業団の差益は、海外の国際価格と国内における価格、それから為替の変動等によって決まるわけでございますが、最近の状況を申しますと、五十四年ごろは国際価格が低かったわけでございますが、最近御承知のように国際価格が上がってまいっております。それから国内価格はずっと安定をさせておりますので、海外との牛肉の価格差はむしろ少なくなっておりまして、輸入量がふえておりますが、差益はむしろ減少しております。今後の動向でございますが、牛肉の国際価格はむしろ上昇ぎみでございまして、国内価格は安定的に推移するつもりでございますので、差益は増加をするという見通しはございません。
  252. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 この差益の活用の方法を教えていただきたいと思います。
  253. 石川弘

    政府委員石川弘君) 差益につきましては、基本的に国内生産を安定させるというのが一つの大事な仕事でございますので、ここ数年間、御承知のように、子牛の価格安定だとか生産性向上とかいったようなものに使っております。これは生産対策と言っておりますが、結果的には生産を安定することによって消費者の利益にかなうものでございます。それからもう一つの部分は、生産及び流通を合理化するための各種の助成をやっておりまして、例えば輸入牛肉の消費の拡大のための店舗をつくっていくとか、あるいはそのための諸般の助成もこの中に入っております。今後におきましてもこの両方の考え方でやっていくつもりでございます。
  254. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 オレンジの枠拡大で温州ミカンの減反は強化されるのでしょうか。
  255. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 温州ミカンの減産は、昭和五十三年度にいわゆる東京ラウンドの合意ができます以前から温州ミカンの過剰に対する対策として始めてきたものでございます。本年度以降さらに一万ヘクタール程度の減反が必要ではないかというふうに考えておりますが、このこと自体はオレンジの増枠とは直接関係はございません。したがいまして、温州ミカン自体としてどれぐらいの生産が適当かという問題は今後も検討する必要はあろうかと思っておりますが、オレンジの増枠に伴ってということではないというふうに考えております。
  256. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 この温州ミカンの輸出振興のためにどのような対策をとろうとされておりますか。
  257. 小島和義

    政府委員(小島和義君) 温州ミカンの生果での輸出は大体二万五千トン程度でございまして、最近の主な輸出先はカナダ、韓国などでございます。別途、ミカンの缶詰の輸出もございまして、これは主要な輸出先はアメリカ合衆国でございます。そのほか中近東などにジュースの輸出を、これは少量でございますが行っておるわけでございます。したがいまして、ミカンを初め、そのほかの国産果実につきましても輸出の可能性というのはまだ潜在的にはあるというふうに見ておるわけでございまして、今後、海外の市場調査、さらには試験的な輸出、さらにアメリカ合衆国とは検疫の問題もあるわけでございまして、それらの問題を解決しながら輸出に努めてまいりたいというふうに考えております。
  258. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 とにかく日本農業を守るためにさらに全力を傾けていただきたい、このように思います。  それでは次に移ります。防衛の問題で、きょうは締めくくりでございますから、GNP一%の問題、依然としてあいまいとしたものがあるわけですが、そこで一つだけ確認をしておきたいんですが、防衛費のGNP一%問題で五十一年度に閣議決定が行われているわけですが、この閣議決定における各年度の防衛関係費とは一体当初予算ベースを指すのか、補正をプラスしたベースか、それとも決算ベースなのか、この点をお伺いをします。防衛庁長官
  259. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 五十一年度の防衛費に対する閣議決定の一%という問題でございますが、これは予算編成をする際これを守らねばならぬことは当然でございますが、しかし補正の場合、決算の場合にもその趣旨は生かされるべきものであります。そういうふうに考えております。
  260. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 それはどういう意味ですか、さっぱりわかりませんが、もう一度答弁をいただきます。
  261. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 一%の閣議決定の方針ですね。これはもう予算を編成するときこれ守るのは当たり前でございます。しかし、それと同時に、補正の場合あるいは決算の場合、この趣旨が生かされるようにやっていく、これは当然でございます。
  262. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 私は、生かされるとか生かされないとかいう問題じゃなくて、この防衛関係費というものは、当初予算をベースとして考えるのか、補正をプラスしたものと考えるのか、決算をベースとして考えるのかと、こういうことなんです。答弁になっていません。
  263. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 閣議決定そのものには当初予算か補正予算があるいは決算がということは定かには書いていないわけでありますが、防衛関係費を決める際の一つのめどということで閣議決定そのものがあるわけでございますからして、当初予算をつくりますときのめどであることはその閣議決定から見て当然であると、こういうことを大臣は申し上げているわけであります。さりとて、それでは補正予算のときにはどうなのかということでございますが、補正予算のときも予算をつくるわけでございますし、補正予算のときにはそのときのGNPの見込みというものもあるわけでございますからして、補正予算をつくりますときにもそれは当然当初予算のときと同じように考えていくことになるのであろうと、こういうことを申し上げて、さらに決算はそれではどうでもいいのかというと、決して決算もどうでもいいということではございませんで、予算をつくるという場合には、もちろん政策的な配慮からGNPもわかりますし、それから予算そのものもわかるわけでございますから、分母、分子確定した形で物は考えられる。ただ、決算の場合におきましては、GNPは決算値で出てまいりますから、事後的なものといいますか結果的な色彩が強くなるかとは思いますけれども、やはり予算で守るということになっておれば、決算でもその趣旨は生かして物は考えていかれるものであろうと、こういうことを申し上げているわけでございます。
  264. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 依然としてわからないんですよ。一%を超えたか超えないか、その基準になるもとがはっきりしなければ計算のしようがないじゃないですか。これではもう前へ進めないですよ。
  265. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 計算の基礎でございますが、当初予算のときには、分母は当初予算で見込みますGNPの値でございますし、分子は当初予算に計上されます防衛関係費でございます。それから補正予算のときにはどうかと申しますれば、補正予算を編成するときに当初のGNP見込み額と補正予算の際の見込み額と違っている場合があると思いますが、その改定されたといいますか、その時点におきますGNPの見込み額が分母になり、それから分子には補正予算で加算あるいは減算されました後の防衛関係費が分子になる、これはそれぞれ金額的にははっきりするわけでございます。決算のときはどうなのかということでございますが、決算は、分子の方につきましては翌年の七月以降、事務的には七月末で確定いたしますけれども、本当の意味で検査院の審査を通った形でございますと十月ないしは十一月ごろになるかもしれませんが、そのくらいに出てまいりました数字が分子になり、それから事後的に、当初見込みましたGNPというのは、後、時間がたちまして確定値が出てまいりますので、確定値が変わってくることがあると思います。その確定値が分母になる。こういうことでございますから、それぞれ当初予算におきます値、それから補正予算時におきます値、それから決算時におきます値、分母、分子とも確定してきちっとその数字としては出てまいるわけでございます。
  266. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そうすると、三通りあるということですか、一%を判定する基準というものが。
  267. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) ベースによりまして確かに三通りあるかと思いますが、例えば五十九年度予算、今御審議いただいております数字一つでございます。
  268. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 それでは第一のあれですけれども、当初予算を分子とした場合に、例えば人事院勧告が仮に六%本年度勧告をして、それを補正で政府が完全実施するとした場合に、もう完全にGNP一%を突破したと、こういうことも、それも当初予算で見ているんだから、したがってそれを突破したって閣議決定を我々は守っているんだというように強弁できることになりますか。
  269. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 予算がこれで国会でお認めいただきますれば、それは予算でございますけれども、今度補正予算というものが、もう一つ手続がございませんと、予算はその間動かないわけでございますから、例えばのお話でございますが、人事院勧告で何らかの措置がされる、そうしてそれに基づきまして補正予算というものが組まれるという仮定があったといたしましたときにそこで問題になるわけでございまして、それまでの間は当初予算の姿のそのままの数字、それだけでございます。
  270. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そうすると、決算の場合もあり得るというんですが、決算が出るのは一年か一年半後になるわけでしょう。そういうものを基準にして判定をするということもあり得るというのはどういうことなんですか、これは。
  271. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 先ほど申し上げましたように、決算というのは分子の数字も予算の数字と必ずしも全く同じでないわけでございます。繰り越しもございますれば不用もあるといった形のものになりますし、それから分母も、先ほど申し上げましたように予測値と確定値とは必ず同額だというわけのものでもないわけでございます。でございますから、そこのところは予算の場合には意図された数値として出てまいるわけでございますが、決算の場合には事後的なものとして出てくるという意味意味合いは違っていると思いますけれども、冒頭、大臣からもお話ございましたように、予算でめどをつくったものが決算ではめどにならないということは論理的にどうもおかしいのではないか、そこのところは、やはり予算で意図されたものにつきましては事後的にもそのことにつきましては生かされていくべきものであろうと、こういうことを申し上げているわけでございます。
  272. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 いずれにしろ、分子と分母がはっきりして、そしていつの時点で一%を超えたか超えないかと、こういうことが明確にならなければ判定のしようがないじゃないですか。我々が国会で二月から議論をしているわけでしょう、この問題は。その判定にたるものがさっぱりわからぬ。三通りもありますと、これでは議論になりませんよ。
  273. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) どうも御質問の趣旨がよくわからないわけでございますが、あるいは私が申し上げているのが少し適当でないかもしれませんが、今の時点におきましては、先ほども申し上げましたように、当初予算にございます数字、これが一つあるわけでございます。それから議員のおっしゃいますように、仮定の問題といたしまして、今後補正予算が組まれるというような時点になりましたときには、また今の数字がその時点で変わりまして、補正予算で組まれる時点において一つ数字になるわけであります。それから決算的にどうなるのかというのは、年度が全部終わりまして精算がみんなつき、そしてGNPそのものが確定いたしますと数字一つとして、その時点で数字がある、こういうことでございますから、そのある時点におきましてはそれぞれのものとして一つのものがあると、こういうことかと思います。
  274. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 その論理からいけば、そうすると最終的には決算の判定があると。一年半か二年後でなければGNP一%を超したか超えないかわからぬと、こういうことになるわけですか。
  275. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 決算ベースの数値としては一年ぐらいたたないと出てこない、これは確かでございます。
  276. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 これはそれぞれ出るなんて、そんないいかげんなことはだめだ。いつの時点で判定するかさっぱりわからぬ。もう少しわかるように言ってくれませんか、わからぬ。
  277. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  278. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記を起こして。
  279. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 私がただいままで御答弁申し上げましたところは、これまでの国会におきます政府答弁をまさに踏まえたもので、そのとおり申し上げておるわけでございます。でございますから、三木内閣におきますあの閣議決定におきますめどと申しますのは、当初予算はもとよりでございますし、補正予算の場合、あるいは決算で出てまいります数値、それも含めた形で物は考えられていると思います。
  280. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そうすると、当初予算、暫定予算ベース、決算ベース、その三つのすべてについて一%を超えないというのが閣議決定である、こういうように長官、確認してよろしゅうございますか。
  281. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 政府の方で今までずっと答弁してまいりましたのは、五十一年の三木内閣の防衛費に関する閣議決定につきましては、その方針を守ってまいります、これが政府答弁で来ているわけでございます。今いろいろ御質問ございましたが、当初予算のときにこの三木内閣の閣議決定というものが基準となって予算編成することはこれは当然でございます。それから補正予算を組む場合にも、これはそのことを頭に置くのは当然でございます。従来の経過から申し上げまして。そして問題は決算のときでございますが、決算はこれは結果でございますからね。したがいまして、その結果につきましては要するにそういう趣旨が生かされる、もっと言うならば、当初予算をやるときにはこのことは明確でありますが、補正予算とかあるいは決算のときにはその趣旨が生かされる、そういう格好になるという道筋だろうと思います。これ以上は、これちょっと我々としてもお答えできない、三木内閣の防衛費に関するその閣議決定。
  282. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 だから、三つのケースで、そのすべてについて一%を超えないことを閣議決定としているんですねと言っているんですよ、私は。
  283. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) そういう意味で、三木内閣の意味というのはそういう意味ですね。
  284. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そういう意味ですか。
  285. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) はい。
  286. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そうすると、谷川前防衛庁長官は、五十八年十一月二十六日の本参議院の内閣委員会で、我が党の柄谷道一議員の質問に答えて、決算で考えることはあり得ないんだと、こういう答弁をされているんですよ。これと違いますね。
  287. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) だから、私今申し上げましたとおり、決算については結果として出ることでございますがら、その場合にも期待といたしまして、そういう趣旨が生かされるということを期待しておると、そういう意味でございます。
  288. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 いずれにしろ、三通りのあれがあるんだと、こういうことですね、その都度超えないんだと。  そこで総理、今答弁があったわけですけれども、内閣としては絶対一%を超えないという努力を最大限続けるんだと、こう言われているわけでありますけれども、もし超えるような事態があった場合、どのような責任をとられるのか、どう対処されるのか。
  289. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) きょうは総括の最終でございますから整理して申し上げますが、衆議院におきましても統一見解を内閣として申し上げましたが、昭和五十一年、防衛費に関する三木内閣の閣議決定の方針は、これを守ってまいります。この考えで今後も努めてまいる所存であります。
  290. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 こればかりやっているわけにいきませんので、次に進みますが、総理、大型間接税につきましては中曽根内閣としては導入しない、こう、述べられておりますね。ところが、増税なき財政再建につきましては、これは三月十七日の予算総括の田渕委員質問に答えられまして、これについては中曽根内閣が続く限りこれを守るとは、正直言って、言っていないんですと、こういうふうに述べられておりますけれども、その意味はどういう意味でございましょうか。
  291. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 増税なき財政再建の理念を努めて守ってまいりたいと思っておるわけであります。その増税なきとは何ぞやということについては、ここでしばしば御答弁申し上げて、臨調委員のお考えを御紹介申し上げた次第であります。そこで大型間接税という御質問がございましたので、流通の各段階において網羅的に税を取り上げるというような型の間接税を自分は大型間接税と呼んで、これは中曽根内閣が続く限り、やる考えはありませんと、そうはっきり申し上げたので、これはそのとおりでございます。
  292. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 いや、今私が言うのは、増税なき財政再建については中曽根内閣が続く限りとは必ずしも私正直に言って言っておりませんと、こう答弁されておるんですが、その点については。
  293. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これはいつまで続くかという問題もあるんですけれども、しかし増税なき財政再建のこの理念は、もうできるだけ全力を尽くして守ってまいりたいと、そう申し上げておりまして、これも非常なる困難もあるとは思いますけれども、ともかく力を尽くして、あらゆる努力を傾けて守っていきたいという考えを申し述べたのであります。そういう意味におきまして、その歳出歳入構造の見直しとか、あるいは税外収入の確保であるとか、あるいは景気振興による自然増収の増大であるとか、あるいは不公平税制の見直しであるとか、そういうような点に思い切ったメスを入れて、その理念を実現していくように、努力してまいりたいということを申し上げております。
  294. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 その御答弁は、理念は守るけれども、臨調も指摘しておりますように租税負担率につきましては将来非常に。動性、流動性がある、それを認めておりますから、そういう意味においての増税もあり得ると、こういう御答弁と理解してよろしいかどうか。
  295. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これはGNPとの比でございますから、GNPというものがどういうふうに変動していくかによって租税負担率は変わってまいります。そういう意味から非常に流動性を持っておりますと、そういうように申し上げたのであります。しかし、臨調答申の中に盛られた面から見ますと、国民負担全体を考えると租税負担率よりも社会保障負担率の方が高まってくる可能性があるのではないかという危惧を持っておりますということも申し上げたのであります。
  296. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 したがって、そういうGNPの変動と租税負担率から考えて、そういう臨調の言っている流動性、変動性があるんだから、そういう範囲の中において、あるいは租税負担率が四五%になるのか三〇%になるかはまだわかりませんけれども、その範囲ならば増税もあり得るんだと、こういうように理解してよろしいかどうか。
  297. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 租税負担率を変えない、GNPに対する租税負担率に大きな変動をもたらさないように基本的に考えていくという臨調答申の線を守って今後もやっていくということであります。その場合に、臨調答申の中では新たなる租税上の措置をやらないと。それは新しい税目を起こすとかというようなことも説明されておったと思いますが、それはやらないということを言っておるわけであります。
  298. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 もう一つ確認をしておきますけれども、総理は大型間接税の定義といたしまして、流通の各段階で投網を打つように普遍的に取る大規模なものだと、こういうように述べられておりますね。総理の頭の中にある大規模というのは一体どのくらいの額を指すものであるか。
  299. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それは定量的にはそう決められないものであろうと思います。そのときの税収全体がどういうふうに動くか、あるいはさらに税収の中身がどういうふうに変動していくか、またその中において直接税と間接税の割合がどういうふうに移動していくか、そういうさまざまな要素があって、大ということを定義するということをいま一義的に数量的に申し上げることは非常に難しいと思います。
  300. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 わざわざ総理が大規模なものと、こういうことを言われているわけですが、それでは、流通の段階で投網を打つようなものであっても、小規模なものならば構わないのかどうか。
  301. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大型間接税という質問に対してお答えしましたので、今そういうふうに申し上げたのでありますが、じゃ小型、中型はやるのかと言われれば、それはそのときの情勢を見て、一体やっていいのかやって悪いのか、臨調答申の線に沿うのであるかどうか、そのときの情勢を見でじっくり考えるべき問題であると思いますが、私個人は間接税というやり方はできるだけ避けた方がいいと、そういう気分を持っております。
  302. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 もう一つだけ確認をしておきますが、大規模なものでも流通の各段階で投網を打つような普遍的なものでなければ導入することもあり得るのだと、こう理解していいですか。
  303. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大型間接税とはいかんという質問がありましたから、大型間接税というものを私の考えておる範囲で積極的に定義して申し上げた。じゃ、しからばそれ以外のものは全部やるのかと、こう言われると、必ずしもそうとも限りません。ただ、大型間接税とは何ぞやという質問がありましたからそれを定義したのでありまして、それ以外、それに該当しないものをどう選択するかということは、そのときの財政状況、国民世論、諸般の情勢を考えて判断すべき問題であると思います。
  304. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 話を一転いたしまして、総理はことしの正月から平和と軍縮の年にしたい、これ非常に私も大賛成であります。私は海なし県の信州の生まれですが、総理も海なし県です。したがって御理解いだだけると思いまして質問をするわけですが、まあこの海なし県の人は逆に海へのあこがれも強いわけですね。そういう意味で海に対して大変関心を持っているわけです。  そこで、日本世界に冠たる海洋国家なんですが、しかし残念ながらそのシンボルとするものがないわけですね。そこで今、海事関係者を中心にいたしまして、そのシンボルとして乗員定員二千人くらい、そして三万トン程度、このような豪華客船、こういうものをつくろうという構想が持ち上がってまいりまして非常に支持を受けているわけですが、総理はこれについてどのようにお考えでしょうか。
  305. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 民間が採算ベースに合うということでおやりになるのはこれはもう御自由で、外貨獲得にもなると思いますし、国際親善にもなると思いますが、政府あるいは政府関係機関がこれを直接手を下すということについてはこれは慎重を要すると思います。
  306. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そこで総理、この構想というものは、各種年金の積立金がありますね、そういうものを拠出して、いわゆる年金客船というような形のものにしようじゃないかと、こういうことですね。大体二百五十億円くらいのものですから、これは出し得ない金ではないわけですね。各省にまたがりますから、総理がその辺を検討してみようじゃないか、こういうことを言われますと、これは前進していくわけですよ。先進の海洋国家見るとみんな持っていますね。それで、横浜あたりでエリザベスⅡ号なんか来ると非常に華やかで、豪華で平和的ですよ。したがって、総理が言うように、平和国家、そして海洋国家、そういうものを世界に示していく、こういう意味においても非常に意義のあるものだと思いますし、御再考をいただけないだろうかと、こう思います。
  307. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 厚生年金やその他の基金の使い方にむだが多いと、そういうふうに指摘されている折からでありますから、果たしてそろばんに合うかどうか。やはりそれも大事な点で、その夢と理想はよく理解できますけれども、またそのロマンも私は好きでありますけれども、やはりそろばんということが非常に大事で、この辺は河本長官にお聞きいただいた方がいいのではないかと思います。
  308. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 どうでしょうか。
  309. 細田吉藏

    国務大臣(細田吉藏君) お答え申し上げます。  前の長谷川運輸大臣も大変海が好きでございまして、ロマンは大変必要なんだと、そういう意味で年金客船というのはアイデアとしては非常におもしろいものであるし、興味もあるし、必要があることというふうに思うという答弁をいたしておりますが、私も全く同様に考えております。ただ問題は、もう専門家でございますので御承知のとおりでございますが、客船の運営というのはいろんな点を十分考えませんと大変な金食い虫になるというおそれがございます。そういう点で、今総理からお答えがあったように相当慎重に構えてこれはやらなければいけないのではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。
  310. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 船主の河本先生に答えていただきたいと思います。
  311. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 客船時代、大分前のことでございまして、今、世の中が大分変わっておりますから、運輸大臣がおっしゃったように、よほど慎重に検討する必要はあろうと思います。
  312. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 それは日本丸というような帆船もあるんですけれども、帆船は、ただ見て、ああいいなというロマンですね。しかし豪華客船という、名前はそうなんですけれども、三万トン程度ですから。エリザベス号なんか六万トン近くですからね。そういうのを日本が持って、そしてこれにいろいろな人を乗せて世界各国を回る、そして親善交流、そういうことは先進的海洋国家として、やはり日本は持つべきではないか。これは必要ですよ、絶対に。こういうことをぜひともひとつ、総理のツルの一声があればこれは大変進んでいくと思うんですよ。もう一度何か改めて御答弁ありませんか。
  313. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) せっかくのお話でありますから、よく研究さしていただきます。
  314. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 それでは、これは経済情勢分析につきまして、大蔵大臣と経企庁長官にお伺いをするんですが、経済情報分析が大蔵と経企ではいつも大きくかけ離れています。そう思いませんか。お二人から。
  315. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 大蔵省は、管内経済情勢報告というので、財務局長さんの会合を開きまして、そのときに承りましたものを整理してお出ししておると、こういうことであります。いずれにしても大蔵省の場合は、この関係各方面のヒアリングをまとめたものでございますので、必ずしも数字的な分析等がきちんとしておるものとは思っておりませんが、大体しかし読んでみますと、着眼点、経済企画庁でおまとめになったものとおよそ似たような形で毎度読めるものだなと、こういう感じはしております。
  316. 廣江運弘

    政府委員廣江運弘君) 経済企画庁と申しますか、政府の経済判断は月例経済報告に述べているとおりでございまして、一言で言いますと、輸出は増加しており、国内需要も持ち直しておって、景気は緩やかながら着実に回復をしている、ただこうした景気動向の中でもばらつきが残ると、こういうふうに言っております。私どもの方では、地域経済につきまして、ことしの一月の終わりから二月の初旬ごろにかけまして、全国十カ所で、実際現地の経営者の方からいろいろ御意見を承っておりますが、それも今申し上げましたマクロ判断等を基本的には裏づけるような方向になっておると思います。  かいつまんでちょっと申し上げますと、この報告は二月の初めに出しておりますが、最近の地域経済では、特色は輸出主導型業種の有無、公共投資依存度の大小が景気動向にかなりの影響を及ぼしておるということでございまして、輸出の増加や活発な公共工事に支えられました地域では景気は上昇しているのに対しまして、輸出業種が少なく公共投資への依存度の大きい地域、例えば札幌というような地域では景気回復がおくれているのが目立っておると、こういうふうに報告をいたしております。
  317. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 せっかくの大蔵大臣のお言葉でございますけれども、例えば個人消費について経企庁は、個人消費は総じて伸びが低く回復感に乏しいと、こう分析しているんです。ところが大蔵省の方は、このところ個人消費は上向きの動きだと、こう言っているわけですね。あるいは、公共事業についても経済企画庁の方は、各地域とも前年水準並みか、ないしは下回っていると、こう分析しているわけですね。しかし大蔵省の方はそうじゃないわけですね。多くの地域で前年を上回る順調な執行状況となっていると。これはまるっきり違うと思うんですが、いかがでしょう。
  318. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) ヒアリングの対象によって多少の相違はあると思いますが、結論のところを見ますと、まさに平素申し上げますように、大体「景気は地域や業種により動向に相違が見られるものの、全体的には緩やかながら着実な回復を続けている。」ということは、総じて同じ方向ではないかというふうに私は認識をしております。  ただ、この間出しましたのは二月早々の財務局長会議でございます。したがって、その後の状態、まあ私も思いますのは、あの財務局長会議の報告は私どもも出て聞きます。それから、出します間に日進月歩、また推移はしておりますものの、総じて、経済企画庁の方は毎月きちんきちんといわゆる月例報告をお出しになるわけですが、余り大きな差はいつも見られないとは思っております。
  319. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 しかし、大きな差があるわけですね。私が言いたいことは、大蔵というのは常に楽観的に見過ぎている、このため景気対策を後手後手にして景気低迷と財政再建をおくらせてきたと、こういうように思うんですけれども、この点の認識、いかがでしょう。
  320. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 大蔵省が間々渋ちんであるという表現は、そのとおりいただいてもいいのじゃないかと思います。ただ、渋ちんでありますが、意図的なものがあるわけではございません。
  321. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 この問題について経企庁長官一つだけお伺いしておきますが、非常に見方が違ってくる、そのために景気の動向にもかなり影響を与える、こういうことです。そこで、経企庁設置法第十一条三項に基づいて、大蔵省に対して経済財政運営の転換を勧告すべき時期ではないかと、こう思うんですが、その点についてのお考えをお伺いいたします。
  322. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 政府全体としての経済見通しは毎月月例報告という形で発表しておりますが、これを発表するに際しましては、企画庁が勝手につくっておるわけじゃございませんで、関係の各省、例えば大蔵省、通産省その他の各省と緊密な連絡をとりまして、意見調整をいたしましてまとめて発表するわけでございます。それが正式の政府見解ということになります。  ただ、今お話しの、それじゃ時々違った発表があるじゃないかというお話は、調査の時点が一、二カ月違いますと、これは今、相当激動期ですから違う結果も出てまいりますし、それを大きくとらえるか小さくとらえるかという表現の方法もあろうかと思います。ただ、政府部内では意見調整を絶えずしておりますので、今おっしゃったような十一条三項のようなことをやらなくても、今の段階では十分にやっていける、このように思います。
  323. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 個人消費の動向については後でお伺いします。  この際、労働省にお聞きをいたしますが、単身赴任者の実態調査の結果について、その報告、そして問題点についてお伺いをいたします。
  324. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) お答えいたします。  労働省では昨年の九月に、勤労者家庭の妻の意識に関するアンケート調査の中で、単身赴任者の問題を取り上げて調査をいたしたわけでございます。その中で、夫が単身赴任をしたことのある妻の実態でございますが、いろいろと困ったことがあるかどうかということを聞きましたところ、当然のことながら、困ったことがあるというふうに答えた方が多いわけでございます。その内容につきましては、子供の学校のための相談相手がいない、あるいは経済的な支出が同居している場合よりも多いというような困った点が多く挙げられているわけでございます。
  325. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 柄谷道一君の関連質疑を許します。柄谷君。
  326. 柄谷道一

    柄谷道一君 夫を単身赴任で出しました埼玉県の家族の一家心中事件、これは多くのサラリーマンに大きなショックを与えました。  そこで、まず行管庁にお伺いいたしますが、行管庁では、転居者の子弟に関する高校の受け入れ措置につきまして行政監察を行っておられますが、この中で何が浮かび出たわけですか。
  327. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 昨年の五月から六月にかけまして、全国のうち十の都道府県におきまして今御質問調査をしております。その結果によりますと、中学生、高校生を持った転居者の問題といたしまして、転学希望者に対し特定の学期については高校が受け入れを行っていないこと、それから転学しようと思ってもその受け入れの情報が十分でないということ、それから高校入試時期を控えました中学生につきまして転居予定地での入学出願期限が早過ぎること、こういった問題がございました。それで、行政管理庁といたしましては、関係省庁であります文部省に対しまして適切な指導を行うように改善の意見を通知しております。
  328. 柄谷道一

    柄谷道一君 その監察によりまして、高校生を持つ転勤者の四人に三人は単身赴任を余儀なくされているということが明らかになったと私は受けとめておりますが、そのとおりですか。
  329. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 監察にあわせましてアンケート調査をしておりますが、おっしゃるとおり、高校生の子弟を有する者に、限定いたしますと、七五・九%が別居している、こういう実態でございます。
  330. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいま婦人少年局長から妻の意識調査結果の内容は伺いましたが、労働省は、単身赴任の増減傾向、単身赴任の理由、一回当たりの転勤期間、単身赴任者に対する会社の援護措置、これについてどのように把握していらっしゃいますか。
  331. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) お答えいたします。  先ほどの調査以外に労働省といたしましては、雇用動向調査によりましてもう少し統計的な把握をいたしておりますが、これは昭和五十七年にしたものがございますが、千人以上の大企業におきまして有配偶の転勤者のうち、単身赴任者は一九・二%でございます。これを年齢別に見ますと、年齢の高い方の方が単身赴任が多いというふうに出ております。これは単身赴任の理由を見てまいりますと、この理由は動向調査ではわかりませんで、先ほどのアンケート調査によるほかはございませんが、その調査の中で、子供の学校のために単身赴任を余儀なくされたという者が最も多いわけでございます。したがいまして、子供が上の学校に行った場合に単身赴任をするということが多くなりますので、年齢が高くなるに従いまして単身赴任の率が高くなる、このように承知しております。また、それ以外の理由といたしましては、持ち家があるためにそれを離れられないとか、年をとった親と同居するために離れられないというような実情が挙げられております。しかし、先生の先ほど後の方でお尋ねになった件につきましては、まだ調査がよく整っておりません。
  332. 柄谷道一

    柄谷道一君 労務行政研究所がいろいろ調査をいたしております。それによりますと、単身赴任は今後もふえる傾向にあり、その理由も、子供の教育、進学等万やむを得ないものが圧倒的であり、かつ転勤に際して会社の必要性が優先され、本人の意思の反映度合いは薄い、しかも一回当たりの転勤期間は三年から五年と長期に及んでいる。これが言葉で申しました膨大な資料の分析であろうと私は思います。労働大臣、このような実態に対して労働省はどのような指導をとられるわけですか。
  333. 坂本三十次

    国務大臣(坂本三十次君) まだ労働省といたしましては、単身赴任者の家族の実態だと、委員のおっしゃるように十分には調査していない点は遺憾でございますけれども、ただいまの本人の意思にあらずして会社の都合で単身赴任がやられておるというお話もございましたように聞きましたけれども、それはある程度会社はいろいろ配慮をしておるようでありますけれども、本人の意向を聞かぬでやるというのは四〇%ばかりあるという調査もございます。しかし、おっしゃいますとおり、この子供の教育ということにつきましては、非常に単身赴任の余儀なくされる原因の最たるものでございます。こういうような点につきまして、これは会社の人事管理とか福利厚生施策において労使間にもっと配慮が行われてしかるべきものだと思っておりますが、さらにこの留守家族の実態など把握を進めまして、そして留守家族の福祉の観点、労働者の家族の福祉の観点から見まして適切な対策を考えるようだ検討を進めてまいりたいと思っています。
  334. 柄谷道一

    柄谷道一君 単身赴任者に対しましては、ほとんどの企業が単身赴任手当、または別居手当、さらには月一回ないし二回の帰郷交通費の実費等を支給しておりますが、これは全部課税対象となっております。したがって、せっかく会社が上積みの援護措置をとりましても、課税の関係でとんとんないしは場合によってはマイナスという結果が出てきておるわけですね。この点に対して、今、深刻な単身赴任者の実態を踏まえて、税制上の取り扱いについて再検討する用意は大蔵大臣ございませんか。
  335. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) この単身赴任者の方の今おっしゃいました税制上の措置ということになりますと、現状においての割り切り方といたしましては、これは雇用政策上の問題ではないか、雇用対策の中で解決することが最も自然な姿であろう、こういう認識を持っております。  ただ、今、柄谷さんおっしゃいましたように、かつてはパートというものが非常に少数であった、これが社会の大宗の対象になるようになった。と同じように、単身赴任問題というのは、経済情勢の推移の中に、企業の雇用関係の中に大変変化しておりますね。そういう変化したものを税制上でやりますと、個別な問題に、それぞれの人が個別な生活環境の中におるわけでございますから、一概にとり得るという点については確かに問題点もあるだろう。したがって、国会で出た意見でございますから、今までも議論しておりますが、雇用政策上の問題だという一応の結論を持っておりますが、これからなお勉強はさしていただかなければならぬ課題だという事実認識はしております。
  336. 柄谷道一

    柄谷道一君 最後に、総理にお伺いいたしますが、好んで別居生活、単身赴任をしているわけではないわけですね。やむを得ざる事由によってそれを余儀なくされている。そういう人々に対して、これは人間として月一回、二回、奥さんと家族のもとに顔を出す、これは極めて当然のことでございますし、各種調査では、別居することによっての経済的困難を訴えるのも妻の意識調査に出ているわけですね。こういう問題についてきめ細かな配慮をすることこそ政治の要請ではないか、こう思うんですが、総理の御見解を承って、私の関連質問を終わりたいと思います。
  337. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 単身赴任の問題を御質問していただきまして、大いに考えさせられる課題を与えられたような気がいたします。最近の情勢から見ますと、主として子供の学校の関係あるいは居住の関係からの単身赴任者が多いようでございまして、特に子供の学校の関係が非常に大きいようでございます。これは今回の教育改革の問題との絡みも出てくる問題ではないかと思っております。人間として生まれまして家族が同居したいと。私は、かねてから夕べのひととき家族で団らんする、その時間が幸せの時間であるということを前から強調している一人といたしまして、ぜひともそういうような時間を月に一回や二回はみんなで持てるようにしてあげたいと思う念、極めて切であります。そういう面におきましては、この問題は新しい社会的問題として私たちは真剣に検討さしていただきたいと思っております。
  338. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 行革に関連をいたしまして国鉄にお伺いをいたしますが、職員の現在の過員数はどのくらいですか。
  339. 太田知行

    説明員(太田知行君) 過剰人員のお尋ねでございますが、要員の配置が過剰であるのか、あるいは欠員状態になっているのかという問題につきましては、業務量の推移でありますとか効率の問題等々の要素を勘案して総合的に決定されるのでございますけれども、一番大事な柱は、その年においてどれだけの合理化が行われたかということと、それから同じくその年において、私どもの方は年度末に特別退職を行うようにしておりますが、その年度末特退の人員がどのぐらいであったかという相関関係において出てまいります。それで五十八年度につきましては、ただいま年度が変わったばかりでございますので、当該年度の合理化人員の精査をただいま行っておりますし、特退人員もまだ正確な数はつかんでおりませんので、この時点におきまして、現在の余剰となっている人員の正確な数字を申し上げる段階ではございません。  しかしながら、一つの推測といたしまして、五十八年度の合理化人員当初目標が一万五千五百でございましたが、修正をいたしまして二万八千九百という目標を掲げてやってまいりました。五十九年二月のダイヤ改正の完遂その他によりまして二万八千九百の目標をクリアしていることは確実でございます。一方、特別退職人員は、これまた正確な数字はつかんでおりませんが、若干例年の傾向とは違うように思いますので、仮にここで二万名と推定さしていただきますと、その差約九千名ぐらいはその関係において余剰となっているかと思います。そのほかに従来からの持ち越し等々勘案いたしますと、現時点での推定といたしまして、一万人を超す余剰人員を抱えていると申し上げることができるかと存じます。
  340. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 この一万人の余剰人員を抱えているその原因は何でしょうか。
  341. 太田知行

    説明員(太田知行君) 二、三年前までは、その年の合理化人員が大体一万人ぐらいの規模でございました。五十五年度、五十六年度あたりは一万一千人でございますとか一万二千人という規模でございました。それぞれの年における年度末の特退人員は、たまたま大変要員構成がひずんでいたそのピークの層が退職する時期を迎えておりましたので、二万人を超す特別退職者が出ておりましたので、合理化された人員をはるかに上回る特退が出ていましたので、余剰という現象が出てこず、むしろそこで何がしかの新規採用をする必要が出てまいりました。ちょうど五十八年度はそれと対照的に特別退職人員をはるかに上回る合理化を実施せざるを得ない状況にあった、その点がこの余剰人員の発生する一番大きな原因でございます。
  342. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 もう一つお伺いいたしますが、五十八年度、最大時どのくらいの過剰人員がありましたか。
  343. 太田知行

    説明員(太田知行君) 五十八年度の合理化人員の目標は二万八千九百でございまして、幾つかの項目に分けて、幾つかの段階でこれを実施してまいりましたが、従来は大体年度末で当該年度の目標をクリアする形になっておりましたけれども、五十八年度は二月一日のダイヤ改正、私どもこれを五九・二ダイヤ改正と言っておりますが、このダイヤ改正によりまして、ほぼ目標の大半を達成しております。しかも、その二月一日はまだ年度末でございませんので特別退職者が出ておりませんから、この二月一日ダイヤ改正実施直後が最大の余剰人員を抱えた時期と申し上げていいと思いますので、約三万名の余剰人員を抱えていたかと推定しております。
  344. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 一万人の給料は約五百億円ですね。五十八年度は最大時三万、ことしは一方が予想される、こういうことでございますが、これは将来のやっぱり国鉄再建にとりまして、しかも労使の関係にとりまして、最大の全面的対決という火種を残すことになると思うんですね。そういう意味で、一体この過員対策についてどのような方途が講じられておりますか。
  345. 太田知行

    説明員(太田知行君) 国鉄が公企体になりましてから、余剰人員を抱えた時期が二つございました。一つは終戦直後、定員法のころでございます。これは極めて特殊なケースでございますので例外といたしますと、その後四十四、五年ごろに動力車乗務員を、それ以前は二人で乗務しておりましたものを近代化ということで一人乗務に切りかえた、この時期に大体五千名ぐらいの余剰人員を抱えておりました。しかし、その余剰人員は、当時のことでございますから、輸送量がふえてまいりましたので二年足らずして解消いたしました。この時期を除きますと、国鉄の歴史始まって以来のこれは体験でございまして、大変私どもも戸惑い、対策に苦慮しているところでございますが、さしあたりこの人員につきまして有効な活用を図りたいということで種々の対策を講じておりますが、一つには、何といっても教育でございまして、いろんな教育でございます。フロントサービスの教育でありますとか技能教育でありますとか一般的な教育、従来はなかなか業務を遂行しながらの教育ということでございますので、いろんな計画を立てながらも完全実施に至りませんでしたが、この機会にまずもって教育の充実を図るということで力を入れておりますが、それのみならず、例えば特別改札をやるとか特別検札を実施しますとか増収活動に活用するとか、いろいろな方法でこの余剰人員の活用に努力をしているところでございます。
  346. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 職場に行って仕事のないほどつらいものはないですね、労働者は。今言われましたような程度の過員対策で果たして労働者の不満を除くことができるのかどうか、一抹の不安を感ずるわけでありますが、もう一度御答弁を願います。
  347. 太田知行

    説明員(太田知行君) 長期的な見通しということに相なりますと、国鉄の業務量、輸送量の推移がどういうことに相たるか、そしてまた能率の水準をどう置くかということにかかわってまいりまして、この点につきましては今後速やかに検討を要することだと我々も自覚をしておりますが、当面は、発生いたしました余剰人員について各地でそれぞれ工夫、知恵を凝らしながらその活用を図ってまいりたい、こういうことでございます。
  348. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 もう一つ基本的な問題でお伺いをしておきますが、五十六年五月の国鉄最後の計画を称する改善計画、これは人員縮減の面ではもう三十四万五千人になりまして達成をされておるわけでありますが、これを六十年度まで改善計画をそのまま続行するのかどうか。
  349. 竹内哲夫

    説明員竹内哲夫君) 経営改善計画は、国鉄の経営努力というものを前提にしながら諸種の施策を進めるものでございますけれども、その中の一番大きな柱と申しますのは、経営を重点化しながら、まずひとつ国鉄の自主的な自立経営を目指すという観点からいたしまして、特に幹線におきます損益の均衡というものを大きなねらいとしていたものでございます。もう一つは、幹線並びに地方交通線を通じましての一般営業損益という面でできるだけ多くの益金を出したいということで、この二つが収支改善の大きな柱となっていたものでございます。その基礎といたしまして、一人当たりの生産性を極力向上するという意味合いから三十五万人体制というものを柱としたわけでございます。  その後の状況では、旅客の輸送量につきましては、当初の見込みから若干微減の状況に推移しておりますが、貨物の輸送量につきましては激しい落ち込みを示したわけでございます。こういう中で収支を改善していくということからいたしますと、どうしても合理化施策の深度化を図る必要があるということで、この五九・二の時刻改正もその観点から、当初計画いたしました貨物営業の合理化をさらに徹底して深度化するという方向で、ヤードシステムの貨物輸送から直行輸送体制への貨物営業に切りかえたわけでございます。そうした努力によりまして、現在の私どもの見込みでは、六十年度におきまして何とか幹線収支における均衡を達成し、かつ地方交通線も含めました一般営業損益におきまして益金を計上することができるであろうという見通しを持っているところでございます。  しかし、この五十九年、さらに六十年という点を見通してまいりますと、現在の合理化実績だけではなおかつ足りない部分があるであろう、さらに現在進めております効率化を積極的に、さらに前向きに進める必要があるということを考えておりまして、経営改善計画当初で予定いたしました三十五万人はすでに五十九年度におきましてもう三十四万五千人というところまで到達をいたしておるわけでございますけれども、今後の状況を考えますとさらにこれを推進していく必要があるのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  350. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 さらに推進するということは、見直していくということに通ずると思うのですが、一体見直しをどの時点で行うのか、その場合に三十二万なのかあるいは二十九万なのか、それとももっと下だのか。国鉄の頭の中で考えているその構想というものはどのようなものか、総裁からお伺いをいたします。
  351. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 今、竹内務理事から御答弁申し上げましたが、再建計画は幹線系でどうやらバランスする、地方交通線では廃止がおくれているのでうまくいっていないというような話をいたしましたが、実は幹線系でバランスをしているという前提に一つ問題がございますのは、先ほど竹内常務からも申しましたが輸送量が落ちているという問題がございまして、収入が落ちるという問題がございます。したがいまして、今の再建計画がうまくいっているというふうになっております一つは、要員の効率化というものが進んだというところでバランスをしているというふうに理解をしているわけでございます。  今後の推定、国鉄がどうなっていくかという問題は非常に難しい問題でございまして、今いろいろと考えておりますが、六十年あるいは六十二年、六十五年というような時点におきまして輸送量が一体どうなっていくかというのを真剣に検討いたしておりますが、とりあえず六十年までの計画といたしましては、今の線上におきましていろいろ六十年度の数字が出ておりますが、この基本の数字が今申しましたように、輸送量にいたしましても人員にいたしましても変わってきておるということを踏まえまして改定をする必要があるかなというふうに思っております。それより先の問題になりますと、今いろいろ申しましたけれども、非常に難しい問題でございまして、ここの席で何年にはどのくらいになるというような数字を申し上げるまで作業が深度化していないというのが現状でございますが、なるべく急いでそういうような作業を進め、運輸省あるいは国鉄監理委員会等とも御相談をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  352. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 今のことについて運輸大臣、どんなような考えを持っていますか。
  353. 細田吉藏

    国務大臣(細田吉藏君) お答えいたします。  昭和六十年度につきましては、今、仁杉総裁が申し上げたとおりでございます。やや長期なものにいたしますには、実は今御案内のように第二臨調の答申を受けまして国鉄再建監理委員会でいわゆる分割民営化ということ、それから長期債務をどうするかということについて、どんなに遅くても昭和六十年中というよりも半ばぐらいまでには出そうということになっておるわけなんでございます。したがって、今総裁が申しました今後の運輸数量その他が変わってくるほかに、国鉄そのものがどうなっていくかということについて、利子の支払いまで含めまして検討していただいておるところなんでございます。  私ども運輸省におきましても、どちらかといいますと経営改善計画をこれから立て直してやや長期な計画を立てるというよりは、新しい経営形態はどうあるべきか、その際にはどういう形にするか、こういうことが言うならば一緒にきているわけなんでございます。でございますから、私どもは当面一番力を入れなければならぬことは、六十年度をどうするんだという意味での見直し、これをやってもらう。こういうことで、あとは根本的な問題、いわゆる分割民営化あるいは長期債務の処理の問題、これとあわせてどう考えていくか、こういうことをやっていかなければならぬと、このように考えておるわけでございますので、長期にわたる経営改善計画の見通しは今のところ立ててもどうなるかわからないものですから、そういう形にいたすしかないのではなかろうか、かように思っておるわけでございます。
  354. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 運輸大臣、ごつん免許という言葉がありますが、どんなことを言うのでしょうか。
  355. 細田吉藏

    国務大臣(細田吉藏君) ごつん免許というのは、どうも余り一般化した言葉ではないようですが、業界の方ではよく使われておるようでございます。免許のないトラック、いわゆる白トラックが、違反でございますけれどもやっておる。それに対してこれは道路運送法違反として処罰をいたす。処罰はいたすが、一方で免許申請をする、こういうのをごつん免許と称して、ごつんというのは処罰という意味で、処罰を片一方でして片一方で免許する、こういうことを意味しておるというふうに理解をいたしております。
  356. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 要するに、免許をもらう前に違法を積み重ねなければこの免許がもらえない。いわゆる実績主義になっていますね。そういう仕組みになっている。右手でごつんとやって左手で許可するという、こういうようなばかげた行政をいつまで続けていくお考えでしょうか。
  357. 細田吉藏

    国務大臣(細田吉藏君) どうも一般にトラックの免許を取ろうとする方々が、白トラをやっておらないと免許をくれないんだぞと、こういう空気があることはまことに遺憾でございますけれども、事実だと思います。そういう空気がございます。しかし、私どもはそういう違法行為があってある程度の白トラの実績があるものを免許する、そういう建前でも何でもないのでございまして、もう初めからそういうことなしの免許もたくさんいたしておるわけでございます。でございますから、やはり白トラというものは、取り締まるものは取り締まる。免許は、荷物の数量がこうあるということは、これは大体お得意先なり何なりの様子によってわかるわけでございますから、白トラをやらなくて、要するに業法の違反をやらなくても免許が取れるというふうに持っていかなければならない、かように思っておるわけでございます。しかし、一般的にそういう傾向があることを私は否定いたしません。これはそういうことがないようにむしろすべきだというふうに考えておる次第でございます。
  358. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 大臣、やっぱり許可を得るために結局は実績、要するに違法行為を積み重ねなければ許可がもらえない、こういうことですね。これはもう根本的に改めていただきたい。  それから交通運輸事業をめぐる環境というのは戦後大きく急速に変化をしたわけですね。その変化が激しかったために行政が追いついていけない、したがって業界の秩序も乱れている、こういう状況だと思うんです。今、許認可官庁から政策官庁にいよいよ衣がえしようと、こういう時期ですから、二十年代にできないわゆる現実と全く乖離しております道路運送法だと三法の全面的見直し、これは臨調も指摘をしておるわけでありますが、この問題についてどう対処されるか、考えをお聞きいたします。
  359. 細田吉藏

    国務大臣(細田吉藏君) 運輸省は今年七月、開省以来初めてといっていいような大きな機構改正を今やろうといたしております。御質問の中にございましたとおりでございまして、いわゆる縦割り行政を改めるわけでございます。いわゆる許認可が非常に多い官庁でございますが、個々ばらばらの許認可体制、そういうものから政策官庁に脱皮いたしたい、こういうことで大きな抱負を持ってやっておるわけでございます。  それで、各それぞれ縦の系統の法律が、業法があるわけでございますから、これについてはこういう機構改正をいたしますれば当然これは見直しをしていかなければならない、かように思っておるわけでございます。港湾運送事業法の一部については今国会に出しておりますが、やはり新しい組織ができましたところで横並びも考えたから見直していく。そして、業界の安定のために免許というものは非常に慎重にやらなくちゃいかぬと思っておりますが、許認可につきましては極力減らすという方向で再検討いたしたい、かように思っております。もちろん周囲の情勢も変わってきておりますから、それもお説のように考えに入れながらやっていかなければならないと考えておる次第でございます。
  360. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 総理、行革のかなめというものは、まず中央省庁がその意欲を示すと、こういうことが大事だと思うのですが、その点いかがですか。
  361. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 全く同感でございます。機構、人員あるいは補助金、そのほか全面的にさらに見直しを強めていきたいと思っております。
  362. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 その意味で、今回の内部部局の再編合理化は大変重要な意味を持っていると私は思うのです。  そこで、具体的にお聞きをいたしますが、内部部局の再編前と再編後の大貫はどう変わったか。これは防衛庁、国土庁、外務、文部、厚生、農水、運輸、郵政、労働、建設、順次お答えをいただきたい。
  363. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) まず、防衛庁からお答えいたします。  防衛庁は、合理化再編成の八省庁に指定をされまして合理化が行われましたが、この内部部局、内局の再編によるところの人員の増減はございません。しかしながら、第六次宝貝削減計画に基づきまして三百八名削減することになっておりまして、これを新規行政需要等に伴う増員必要最小限の百二十九名等と相殺をいたしますと百八十名の城となっておりまして、この結果、改編前五百五名であった内局の定員が五百二名と、三名の減となっております。
  364. 石川周

    政府委員石川周君) 国土庁では、臨調答申の趣旨を踏まえまして、防災行政体制を強化するために、五十九年度に防災局を設置し、これに伴う内部部局の再編を行うこととしたところでございます。この防災局の新設に伴いまして、要員の増加を図ることといたしておりますが、その大半は国土庁内からの振りかえ、それから防災関係省からの振りかえによるものでございます。そのほか、防災局以外のところでは定員削減を行うということで簡素化に努めておるところでございます。その結果、五十八年度末の定員、国土庁全体といたしまして四百四十六名、五十九年度末四百五十二名で六名の増員と相なっております。
  365. 枝村純郎

    政府委員(枝村純郎君) 外務省につきましては、臨調の最終答申でも、情報関係の機能でありますとか、広報文化関係の機能でございますとか、そういった機能強化をやれと、そのための機構の再編ということが言われておりまして、臨調答申にのっとりまして情報調査局の新設、外務報道官あるいは文化交流部の新設、もちろんそれに見合ったある程度のスクラップもしておるわけでございますが、そういう機構を整えております。この機構に直接に関連いたしますところでは、広報、報道、文化に関しましては、改編前の七十九名が八十三名と、四名のプラスになります。それから情報調査関係につきましては、改編前の四十三名が四十七名と、プラスの四名にたるわけでございます。これは先ほど来申し上げました臨調答申でも認められております外交機能の強化ということで、外務省定員も八十六名の純増を認められておりますので、その範囲内で賄うつもりでございます。
  366. 西崎清久

    政府委員(西崎清久君) 文部省関係でございますが、教育情勢はいろいろと変化しておりますし、具体的、総合的な文教施策を講ずる、こういうふうな趣旨に基づきましてこのたび、例えば従来私立大学等につきましては大学局と管理局に分かれておりましたが、新たに二元的な行政にいたすために高等教育局というものでこれを一元化することにいたしております。このような形で機構の再編成をいろいろと行いまして、従来の六局四部という構成は変わりませんが、五十八課を五十七課といたしました。人員で申し上げますと、従来の千三百七十二人を改正後におきましては千三百七十一人といたしまして、全体としましては二名の減と、こういうことに相なっております。  以上でございます。
  367. 小林功典

    政府委員(小林功典君) 厚生省関係でございますが、厚生省では医務局、公衆衛生局あるいは環境衛生局といったいわゆる衛生関係局を再編しようとしております。そこで、この再編の対象となりました部局だけを取り上げますと三名の増員になっておりますが、これはこの部局の中に、例えば老人保健医療でありますとか、あるいは医療監督でありますとか、どうしても省内でやりくりをしてもこの部門の体制を充実しなければいかぬという面がありましたものですからこれをやっております。ただ、厚生省全体といたしましては、組織、定員ともに縮減合理化をやっているところでありまして、定員で申しますと九名の減、これは先ほどの増員を飲み込んだ上での純減でございます。純減が九名、それから組織につきましても二課削減を行っているところでございます。
  368. 豊蔵一

    政府委員(豊蔵一君) 建設省におきます内部部局の再編合理化につきましては、臨調答申の趣旨に沿いまして、大臣官房と計画局との間におきまして企画調整等に関します事務の整序を図ることといたしておりまして、その結果、計画局を建設経済局と改組をすることとしておりますが、この整序に伴います大臣官房と計画局間の定員の移動を行って、トータルとしては人員の増加はございません。ただ、建設省全体といたしましては、やはり定員の削減の方針に沿いまして、定員削減三百六十二名、他省庁へ振りかえ三名、そのほかに新規増十四名、差し引き三百五十一名のマイナスとなっております。このマイナスの中に今新規増が若干あると申しましたが、それを地方支分部局と内部部局との間で若干の調整をいたしておりますので、本省全体で見ますと五名ばかりの増というふうに相なっております。
  369. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) お答えを申し上げます。  農林水産省関係の本省内部部局につきましては、過去に四十三年、四十七年、五十三年と大改正をやっております。その関係で今回の臨調答申におきましても、本省部局の内部部局の大改正については何ら提案はございません。臨調答申の中で問題になっておりましたものは二点ございまして、一つは農蚕園芸局の普及部の問題と林野庁でございます。そこで、五十九年度におきましては、農蚕園芸局の普及部を廃止をいたします。それとともに臨調答申にございますように、技術指導行政の総括を担当するという意味で農蚕園芸局に次長を置くことにいたしております。  林野庁内部組織につきましては、林政部門と国有林の経営部門とを明確に区分する、国有林の事業経営の改善を明確に進めるという意味で、私ども現在国有林行政を担当いたしております職員部及び業務部につきまして改組をいたしまして、管理部、業務部というように改組する予定でございます。これに伴いまして林野庁本庁定員は十七名減、また一課削減ということを考えておるわけでございます。
  370. 松井和治

    政府委員(松井和治君) お答え申し上げます。  運輸省におきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、省始まって以来の大改革を計画いたしておるわけでございますが、これに関連いたしまして、内部部局の定員は前年に比べまして二十三名の減ということになっております。
  371. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) 郵政省関係でございますけれども、郵政省におきましても、臨調答申並びにことし一月二十五日の閣議決定の線に沿いまして、電気通信行政の再編成を七月一日を期して行うことにいたしております。その再編成前後における定員の異動関係でございますけれども、現在二局でやっております電気通信行政機構を三局に分割再編成いたします結果、再編成前の一千六百二名の定員が再編成後は一千五百九十六名で、前年度に比較いたしまして六名の減員となる予定でございます。
  372. 小粥義朗

    政府委員(小粥義朗君) 労働省の内部部局の定員につきましては、再編前に比べますと再編後は十三名の城となる予定でございます。
  373. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 今の各省の答弁を聞いておりまして、私は不愉快であります。みんな都合のいいところだけ抜き出して、私の質問に答えてない。再編をした部局で再編後どのように変化したかということなんです。私の調査によると、郵政省と防衛庁しか減ってない。あとは全部ふえているんです。こういう状況で、全体の行革を進めよう、やっぱり内部部局が中心になって、隗より始めよではないけれども、率先してやらなければ行革は進まない、このように思います。だから、具体的な数字、先ほどいただきましたから、それらの問題についてはさらに間違った点については時間がありませんので後で追及をしていきたい、このように思います。  時間がありませんので、これは経済企画庁長官にお聞きをしますが、アメリカ経済ですけれども、過熱しつつあるという懸念がありますね。そしてインフレが再燃すれば引き締め、またそして景気失速、こういう見方もあるわけでありますが、どういうように見ておられますか。
  374. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 一―三月の速報は七・二%ということになっておりますが、これは何回か速報を修正されますので最終段階はわかりません。ただ、五%台の成長を相当上回っておりまして、非常に力強い回復の過程にあると思います。ただ、物価が安定をしておりますので私は大した心配はないんではないかと、こう思います。四%台で一応安定をしておる、こういうことでございます。
  375. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 我が国の最近の個人消費の動きはどうでしょうか。
  376. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 五十八年度の経済で政府見通しが大きく狂いましたのは、雇用者所得が伸びたかったということでございます。若干伸びたのですけれども、その伸び方が政府見通しを大幅に下回った、そこでこれがやはり消費に影響しておると思います。最近の消費はふえておるのですけれども、力が弱いというのはそこに私は背景があるのではないか、このように思います。
  377. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 今後の見通しはどうでしょうか。
  378. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 最近、経済全体が持ち直してまいりましていい方向に進んでおりますし、最近は時間外労働だとも相当ふえておりますので、五十九年度の雇用者所得は私は政府見通しのとおりほぼいくのではないか、このように期待をしております。
  379. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 いずれにしても個人消費は最近もたついてるわけですね。したがって、このもたつき、力強さが欠けていると。このまま推移すれば外需依存が高まって外交的な対外摩擦ですね、これが激化するのではないか、こう懸念されるわけですが、その点どうですか。
  380. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 確かにそういう傾向はあろうと思います。アメリカ経済が大変な勢いで回復しておりますのと、それからヨーロッパもいい方向にいっておりますししますので、どうもこの調子で進みますと貿易の黒字や経常収支の黒字がふえそうな気配であります。したがって、個々の問題を今グローバルな立場で解決すべく努力をしておりますけれども、やはりマクロ経済政策という問題がこれからは出てくるのではないか、このように思います。
  381. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そこで長官、内需拡大策、どんなことを考えられますか。
  382. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 内需拡大策として一番大きなウエートを持つのは、やはり国民の所得がふえるということが一番大きな要素だと思います。それからもう一つは、民間の設備投資が出てくるということでありますが、このためには金融政策が非常に大事でありますけれども、今御承知のような環境でございますから金融政策がなかなか動きにくい、こういうことがあろうかと思います。それからもう一つは、財政の面ですと減税問題がありますが、これは今片づいたばかりでございますから、今すぐのこれからの課題にはなりませんで若干時間がかかるのじゃないかと、こう思います。そうしますと、やはり五十九年度の公共事業の取り扱いをどうするかということがさしあたって緊急の課題になろうかと、このように思います。それからもう一つ大事な課題は、やはり自由貿易体制を守っていくということのためには、今当面の個々の貿易摩擦問題を、個々の課題を至急に解決するということが非常に大きな課題だと、このように思っております。
  383. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 それで、公共事業の前倒しですね、大体方向が決められたようですが、七〇%か七五%か、どの辺のところまで前倒しをされるお考えか、お聞かせをいただきます。
  384. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 公共事業の上期の執行率の問題でございますが、今、折々部内で検討しておるところであります。ただ伊藤さん、若干今までと違いますのは、あのようにして補正予算が大変遅く成立しまして、したがって災害と債務負担行為を足しますと一兆以上のものが三月に契約されているわけです。そうするとこれは、債務負担行為のものは当然五十九年度にカウントされるべきものでありますが、したがって実質の事業量はかなり今抱えておるという状態です。しかも債務負担行為が昨年よりも五百億円ぐらい多うございます。それを考えますと、言ってみれば、七〇%、これはまだ定かなものじゃございませんけれども、政治家の話として聞いていただければ、七〇%というものは自動的にいってしまうという傾向にもあるではないか。したがって、私どもが今比率でどのように論ずるかというよりも、むしろかねて言われております地域のばらつき、これにどういう傾斜をかけた公共事業の執行の方法があるか、これらをまさに今企画庁長官のおっしゃったいわゆる弾力的対応としてどういうふうな形でいくかというのは、関係方面、すなわち地方自治体の自治省等もございますので、我が国費ベースの公共事業省だけしゃなく、総合的に検討して、可能なことならば来週の火曜日の閣議前の閣僚会議でも開かれるようにしたい、こういうようなまさに正直な現状を申し上げます。
  385. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 最後になると思うんですが、公共事業の前倒しですね。これはやっぱり下期追加というものがないとどうしても不透明感があって、結局最終的には下期が落ち込んでGNPの足を引っ張る、こうなるわけですから、並行して考えていただきたい。  最後に、経企庁長官にお伺いしますが、我が国としてECと共同してアメリカの高金利是正のためにアメリカに強く働きかけていくべきだと考えますが、その点のお考えをお聞きをいたしたいと思います。
  386. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 来月いろんな国際会議がございますので、多分私はこの問題についてEC側からも強い発言があるであろう、このように思っております。
  387. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 終わります。(拍手)
  388. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で伊藤君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  389. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、下村泰君の締めくくり総括質疑を行います。下村君。
  390. 下村泰

    ○下村泰君 いよいよ終わりに近づいております。もう少しでございますから、相手変わって主変わらずで、皆さん大変お疲れになったような顔していらっしゃいますけれども、頑張っていただきたいと思います。  それから、最初に当たりまして総理に、先月の二十七日、三越劇場で行われまし「あゆみの箱」にお言葉をいただきましてありがとうございました。会長の森繁久彌からよろしくとの伝言でございます。  これは予定にないことなんでございますけれども、まことに恐れ入りますが、お答え願いたいと思うんでございますけれども、日航の三六便、昨日夜十時十二分に離陸して約一時間後、高度約一万メートル上空を巡航中、原爆のキノコ雲に似た雲を見たと。新聞の報道によりますと、その海域では、ソ連が同海域でミサイル演習を通告していたというような情報も出ておるんですけれども、これ、もし原潜がそういうような状態でもってキノコ雲が出たとなるとこれは大変なことになるわけでございますけれども、防衛庁の方にこの方の御意見がございましたらちょっと開かせていただきたいと思います。
  391. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  その情報に基づきましてアメリカ側にも調査をし、海空自衛隊等も情報収集をいたしましたが、現時点までのところ、このキノコ雲が放射性のものであるということは確認されておりませんし、これも情報でございますが、その民間航空四機、これについて放射能の汚染の有無を調査をしたというような報道がございましたが、これについてもそういう事実がないと、こういうことから、防衛庁といたしましては現時点、この演習とは関係のないものであろうかと。また、ソ連あるいはアメリカのこの周辺海域における特異な動向も認められないと、こういうことでございますので、自然現象ではなかろうかと判断をいたしております。
  392. 下村泰

    ○下村泰君 もしそれが事実ならばそれにこしたことはないと思いますけれども、もしこれが本当に原潜の事故でこういうことになったとなるとこれは一大事故でございますので、念のためによく調査していただきたいと思います。  法務省に伺います。  昭和五十年十一月七日の予算委員会で私が、優生保護法の中絶時期を八カ月未満を七カ月未満に縮めていただきました。これは大変ありがたいことでございました。そのときに、特別養子制度を早期に制定していただくことをお願い申し上げたんですが、その後法制審議会民法部会身分法小委員会においてこの養子制度を検討するというふうな情報を得ました。それから再開されていると思うんでございますけれども、もしお差し支えたければ経過をひとつ聞かせていただきたいと思います。
  393. 枇杷田泰助

    政府委員枇杷田泰助君) ただいま法制審議会の民法部会の身分法小委員会におきまして養子制度一般についての改正すべき点があるかどうかについての審議を行っております。一昨年の七月ごろから始めておるわけでございますが、その養子制度の検討の中で、いわゆる特別養子制度の採用が適当であるかどうか、また採用した場合の問題点などはどうかということを現在審議中でございます。なお、これからも何回か会を重ねて研究してまいりたいという段階でございます。
  394. 下村泰

    ○下村泰君 見通しとしてはどうでしょうか。
  395. 枇杷田泰助

    政府委員枇杷田泰助君) 特別養子制度につきましては賛否両論がございます。また、その中間的な意見もございます。そういうことで、今問題点の整理をしている段階でございますので、早急に結論を得るというところにはいかないと思いますが、十分な問題意識を持って検討しておるところでございます。
  396. 下村泰

    ○下村泰君 いい方向に向かっていると受けとめてよろしいでしょうか。
  397. 枇杷田泰助

    政府委員枇杷田泰助君) まだ結論の趨勢につきましてお答えをする段階ではございませんが、かたり推進すべきだという意見も内部にはあることは事実でございます。    〔委員長退席、理事初村滝一郎君着席〕
  398. 下村泰

    ○下村泰君 身体障害者の雇用についてお伺いしたいんですけれども、身体障害者の雇用の促進法を改正されますね、今度。この法ができましてからことしまでの納付金額と雇用率はどのように推移されていますか、お答え願いたいと思います。
  399. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) この納付金制度が五十二年度から発足をしたわけでございまして、五十二年度から五十四年度までは、収入百九十億程度に対して支出が百億程度と、こういうような状況でございますが、五十五年度以降は重度障害者対策を中心とする助成金制度ができまして、それの活用が大いに図られた、こういうことで、五十五年度になりまして、収入百九十六億に対して支出が二百六十八億と、以下こういう収入に対して支出が大きい状態が五十七年度まできました。そして五十八年度におきまして、現在の実績見込みでは収入が百九十億に対して支出百九十八億、こんなような状況になっておるわけでございます。この制度発足以来の累計で申しますと、千三十億の収入に付して支出が千十七億と、こんなような状況でございます。  この間におきまして身障者の雇用率はまあ毎年上昇はしてきておるわけでございます。五十二年度におきまして雇用率が一・〇九、こういう状態でございましたが、逐年上昇いたしておりまして、五十八年度は一・二三と、こんなような状況でございますが、ただ、最近におきまして全般的な雇用抑制の中でその伸び率が鈍化してきておる、こんなような事情にございます。
  400. 下村泰

    ○下村泰君 おたくの方からいただいた資料なんですけれども、私がこのことを取り上げました五十五年三月十七日の予算委員会のときには、この納付金が二百九十億円累計がありました。それが、そのときこの納付金をどういうふうに使用するのかという質問に対しまして、当時の藤波労働大臣は、雇用の促進に努めてまいりますとお答えくださったんですけれども、今年度を見ますと累計が四億九千六百万円。二百九十億もあったのが四億九千万、だんだんこの累計が低くなってきているんですけれども、これから先一体これだけの累計でどういうふうに面倒を見ていくのか、推移していくのか、ちょっとお答えください。
  401. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) この点は、先ほども申し上げましたように、重度障害者に対する助成金の制度が活用されまして、その結果積み上がっておりましたものが急速に減っていったと、こういうことでございまして、現時点におきましては、さっき申し上げましたように百九十億の収入に対して百九十八億のこういう支出になっておりますが、今後の予算の形といたしましては、収入と支出と大体同額というような形での助成制度の運用、こういう形で運用を図っていくと、こういうことになろうかと思います。
  402. 下村泰

    ○下村泰君 お話を承っていますと、身体障害者に大変うまく回転しているように思われるんですけれども、助成された企業の内訳と業績、どういうふうになっていますか。
  403. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) 現在まで特に重度障害者の雇用事業所に対する助成金、認定をいたしましたのが二百十八件ございまして、金額にいたしまして百九十五億の助成金を出しておるわけでございます。しかしながら、これらの企業の中では、やはりこの全体の景気の伸び悩みの中で受注がうまくとれない、あるいはやりくりがうまくつかないというふうなことで今までに二百十八件のうち十四件が倒産をいたしております。そしてそのうち六件ばかりが懸命に操業の継続に努力しましたところ、八件は何とか操業を続けておりますが、六件がまだ休業中と、こんなような事情がございます。
  404. 下村泰

    ○下村泰君 五十一年、暫定期間ありまして、五十二年の四月一日からこれが運用されるようになったと承っておりますけれども、五十二年から昨年までの八年間に二百社にも及ぶ倒産があった。この二百社がほとんど助成金を受けているわけですね。ところが倒産してしまうとこれはどうにもならないんですが、そこのところ労働省はどういうふうに受けとめていますか。
  405. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) 二百十八社の重度障害者企業に対する助成を行いましたということでございまして、倒産はそのうちの十四件でございます。そのうちの八社は倒産いたしましたけれども、いろいろ地元あるいは都道府県から労働省としてもいろいろな指導等いたします中で事業を継続いたしておりますが、六件についてはなお休業中と、こういうことでございまして、これにつきましては、そこに働いております障害者について他の事業所へのあっせん、こういうようなことで事態の解決を図りつつあると、こういうことでございます。
  406. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、私の聞いた二百社の倒産というのは、これは違いますね、事実とは。
  407. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) 二百社の倒産という数字は私どもは承知しておりません。二百十八社に対して助成をして、そういう多数の事業所を援助をしたと、こういうことで申し上げているわけでございます。
  408. 下村泰

    ○下村泰君 企業側も障害者の方もこの制度ができて大変いろいろな思惑があったと思うんですけれども、こういううまくいかなかった、あるいは倒産という内容なんですけれども、その倒産の内容というのは報告されていますか。
  409. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) こういう事態が起こりますと、まずは、ここで働く障害者の方たちの今後をどうするかと、こういう問題がございますので、これはすぐそういう報告なり連絡なりございますし、私どもも都道府県と一緒になりまして、あるいはまたその地元の関係機関一緒になりまして、懸命にその対策に乗り出しておるわけでございまして、それぞれ個別ケースについて私ども把握をいたしておりまして、業種別で言いますと食料品製造とか印刷とかクリーニングとか、そんなところで二件ずつ出ておるということでございます。特にこれは五十六、五十七、五十八年、こんなところで四件ないし五件というものが毎年出ておると、こんなことでございます。
  410. 下村泰

    ○下村泰君 実はこういう例があるんですよね。重度障害者等職場適応助成金、一人について月額三万円を三年間支給する。ここにございますね、「心身障害者の雇用促進のために」というパンフレットがございます。この中にもそれぞれどういう助成をするということが全部出てますね。最高額年間二千五百万でしたか、出るようになっています。そうすると、ある企業では、期間が来て半年後に身障者を解雇してしまうのですね。それで別な障害者をすぐ雇用して新たな助成金を受ける、あるいは設備費の助成を受ける、こういうふうなことをされますと、これは悪用されているということになりますね。それで、三年間の支給が五年ならば解雇されずにいたかもしれませんけれども、しかし五年たてばやっぱり解雇されているかもわからない。むしろ企業側の方がこういう悪用をしているという、こういう例はつかんでいらっしゃいますか。
  411. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) おっしゃいますように、半年後に解雇をしてどうこうと、こういうことであれば、それはそういう場合には、私どもの方は解雇してほかの人を雇うというような形のものに対する、企業に対する助成というものは考えておりませんが、恐らく自己退職というケースであろうと思うわけでございます。  この件数について見ますと、特に昭和五十五年度あたりに一年間で八十件、あるいはまた五十六年度において一年間で五十二件、こういうような一どきに相当多数のこういう認定実績がございまして、そういうところにおいて、率直に申しまして、私どものそういう助成をいたします審査体制について若干不十分な面があったということは強く考えておるわけでございます。そういう意味で、実は今後の貸し出しにつきましては厳重にやるような新しいまた審査体制を組んでやる、こんなことで構えておるわけでございまして、おっしゃいますように、本当に企業が身障者のために何とか多数雇用するためにやろう、こういうことよりは、やはりその制度をうまく使って何か事業を転がすというような観点でやられた方も私ども若干伺っておるわけでございます。そういう面で、この制度を、何か言葉は悪うございますが、食い物にするというような形のものがあったのではないか、こういう点についての反省も持っておるわけでございます。
  412. 下村泰

    ○下村泰君 これが国庫から出るお金ですとそれぞれ携わっている方は一生懸命目を皿のようにあけて調査なさるでしょうけれども、納付金ですからね、これは。企業が納めた金なんです。そうすると、促進事業団の方は自分の腹が痛むわけではありませんわな。どう使おうと人様が納めた金だ、そういうところに甘さがあったんじゃないですか。
  413. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) これは確かに税金そのものではございませんが、納付金という形で取っておりまして、それによって身障者の雇用促進を図る方に回している、こういうことでございますので、私どもほかの税金を使う場合と全く同じ感覚でやっておるわけでございますが、残念ながらこういう事態があったことは今後私どもも十分厳しく反省していきたい、こう思って泊ります。
  414. 下村泰

    ○下村泰君 この中にも、作業施設とか附帯施設とか作業設備とか、こういうことに対していろいろその助成金でお金が出るようになっていますわな、ですからこういうことを悪用するやつがいるわけです。ですから、今もお認めにたったように、査定が甘かったんではないか。ところが、この法の方を拝見しますと、第四条に返還の義務というのがあるわけですね。これにひっかかった、あるいはこれを発令したようなことがございましたか、今まで、その業者に、対して。
  415. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) ございます。
  416. 下村泰

    ○下村泰君 何件ありますか。
  417. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) ただいまその数字、手持ちございませんが、後ほど……。
  418. 下村泰

    ○下村泰君 いいですよ、数字は。長くなりますからね。早く上げるのを待っているから、みんな。  結局、本当に障害者の側のつもりで物を考えているのか考えてないのか、いつでも私はこのお話をするたびに寂しくなるんですよ。例えば今のように助成金を出しますよ。そしてこの附帯設備が全部整いますよ。これの理由というのは、これは身体障害者が働きやすいようにする設備の助成金でしょう。そうすると、企業側もその助成金を受けて設備ができたならばなぜ解雇するかということが問題になってくるわけですよ。それをころころころころかえるということは、明らかに悪用以外の何物でもないということになる。そうしますと雇用の助成期間三年がたったらぽいと。これじゃ人間的扱いじゃないじゃないですか、ごみみたいなものだ、これは。これが私は腹立つんです。こういうのを労働省で行政指導ができないものなのかどうなのか、きちんと整備が整ったんだから、そういうところをお伺いします。
  419. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) この助成金、これはもうまさに身体障害者の雇用促進のために出しておるものでございまして、こういう悪用に対しては私ども厳重に制度を運用いたしまして、返還させるなり、あるいはまた今後考え方を変えて、本当に身障者の雇用促進に役立てるような使い方という面で指導はもちろんしていかなければならぬものでございまして、御指摘を受けた機会に改めてそういった点についても強く指示をしたり、指導を強化したいと、こう思うわけです。
  420. 下村泰

    ○下村泰君 もう福祉というのは今や物を与えたり物をつくってそこに収容したりする時代ではないんですね。もともと福祉というのは、人間と人間の心の中の愛情のあらわれが出てこなければ福祉という言葉意味はなさないと思うんですよ。労働大臣、これに対してどういうふうにお考えですか、お答え願いたいと思います。
  421. 坂本三十次

    国務大臣(坂本三十次君) 下村さんのおっしゃるとおりで、特に体の不自由な人にいろいろな雇用の場を与えようとする思いやりから、その日の当たらぬところに日を当てようという趣旨で発足した制度を悪用するということは許されぬことで、厳重に今後そういうことのないように私ども監督指導をいたします。
  422. 下村泰

    ○下村泰君 次に厚生省、難病についてちょっと伺いますが、今難病と言われる患者の方は全国でどのぐらいいらっしゃるんでしょうか。
  423. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 現在、小児慢性疾患につきまして医療助成を行っている者及び特定疾患治療研究費で対象としている方を合わせまして、合計約十万人ということでございます。
  424. 下村泰

    ○下村泰君 それでは現在公費負担の対象となっている難病の数、どのぐらいになっていましょう。そして患者の数はどのぐらいでしょう。
  425. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 小児慢性疾患につきましては九疾患群ということで、そのそれぞれの疾患群の中には多数の疾病が含まれております。また、特定疾患治療研究費によります医療助成につきましては、二十五疾患が五十八年度の状況でございますが、五十九年度予算案に対しましては、一疾患の追加を予定しております。
  426. 下村泰

    ○下村泰君 五十九年度一つふやすわけですね。
  427. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) そのとおりでございます。
  428. 下村泰

    ○下村泰君 その対象になる病名、わかりますか、どういう名前なのか。
  429. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 近く専門家によって構成いたします懇談会で御意見を賜りまして、その上で決定する運びとなっております。
  430. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、まだ対象にならない難病もあるわけですね。
  431. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 難病対策の対象としておりますものは、原因がまだわからない、そして治療法もまだ確立されていないという疾病に関しまして種々研究班の形で調査研究を行っているわけでございますが、その中である程度診断のめどがつき、ある程度の治療方法のめどがつくというようなものにつきまして、毎年一疾患ずつ追加をいたしておるところでございます。
  432. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、その治療のめども何にも立たない本当の難病中の難病というのは全然対象にならないわけですな。
  433. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) そういう病気もまだございます。
  434. 下村泰

    ○下村泰君 厚生大臣に伺いますけれども、国民ひとしく平等にすべてを受けなければならない。今お聞きするというと、難病中の難病で全然対策も何も立たない、治療の対象にもならないものは難病の中には入らないんだと、こういうような御意見なんだ。どうですか。
  435. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) ややお答え申し上げるのに不正確だったかもしれませんが、まだその診断の方法等がはっきりしないそういうものにつきましては、まず研究ということで取り組んでおるところでございます。
  436. 下村泰

    ○下村泰君 研究ということで片づけられてはたまったものじゃないと思いますけれども。じゃ伺いますが、その研究対象になっている難病の研究費、それは満足のいく額なんですか。
  437. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 現在、難病関係の研究といたしましては、特定疾患調査研究費、それから心身障害研究費、神経疾患研究委託費等によって対処しておるところでございます。非常に現在マイナスシーリングというような厳しい財政事情下ではございますが、前年同額を確保いたしまして、効果的に取り組んでいただいておるところでございます。
  438. 下村泰

    ○下村泰君 局長はああいうふうに言っておりますけれども、厚生大臣、どうなんですか。足りないものは足りないとはっきり言ってください。
  439. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 下村先生に難病の問題、大変御熱心に御指導をちょうだいしておるのでございますが、これはそれぞれ大変なことでございますから、今政府委員から答弁をいたしましたように、治療法の研究の確立等医学的な面を進めながら、また予算の方もこれお願いをして、できるだけこの難病対策を進めるようにいたしておるわけでございます。五十九年度予算でも、ゼロシーリング、マイナスシーリングという中で、特に強くお願いして五・二%、予算を増額しておると思いますが、そういうことで今度も難病を新しく追加しようと専門家の皆さん方にお願いして、さらに年々この努力を続けてまいりたいと存じます。
  440. 下村泰

    ○下村泰君 この際、総理にお伺いしておきますけれども、こういう問題に対して、どうなんでしょうか、大変苦しい予算の中ではあるとは思いますけれども、日本人一人一人、思っても全部日本人なんですからやはり面倒を見なければならない国には義務があると思いますが、こういうことに対する予算その他はどういうふうにお考えでしょうか。
  441. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 下村さんのお考えに私も同感でございまして、本年度予算編成に際しましても、がんと難病には特に強く予算的措置を講ずるように大蔵省にも要望しまして、たしか難病だけでも三十億円ぐらい昨年から比べればふえていると記憶しております。今しかしお話を伺ってみますと、いわゆる難病中の難病というものについてまだ必ずしも措置が万全ではないという感じがいたしまして、これらの問題の処理につきましては、さらに深く検討を加えるように指示したいと思います。
  442. 下村泰

    ○下村泰君 公費負担に指定された難病と、されない難病とでは、されない難病の方の方はいつ指定されるのか、宝くじより率が悪いんですよね、これは。宝くしというのは、一応買ってちゃんと期日が来れば当せんのナンバーが出るわけです。これが難病の患者は出ないんです。自分の病名が出ない限りは宝くじ当たらないんですからね。大変な私は心痛だと思いますよ、その方々は。よろしくひとつ御配慮願いたいと思います。  それから健康保険、これ改正になるのは私余りうれしくはないんですけれども、もしこれが間違って成立した場合、被保険者本人の負担が一割になりますけれども、公費で特定のいわゆる疾患の治療をされている患者はどういうふうになりますか。
  443. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 大変御心配を難病の問題についてちょうだいいたしまして、ありがとうございます。今総理からもお話がありましたので、私も一生懸命これから進めてまいりたいと思います。  今回、健康保険法の改正によって患者一部負担が成立した場合、難病患者の皆さん方は、その自己負担分を公費負担とすることになっておりまして、すなわち患者に御負担をかけないということになっておりますので、下村先生、安心して健保法に御賛成をちょうだいしたいと思います。
  444. 下村泰

    ○下村泰君 この場合私は何と言っていいかわかんないですよ、ありがとうございます。  それでは、今度は色覚異常、いわゆる色盲、色弱についてひとつお尋ねしたいと思いますが、昨年の衆議予算委員会でこの問題が取り上げられております。五十八年二月二十二日に中野寛成委員が取り上げております。一体、政府の方では、色盲、色弱、いわゆる色覚異常の人たちというのはどのくらいいるのか、数をつかんでいらっしゃいましょうか。
  445. 吉崎正義

    政府委員(吉崎正義君) 色覚異常者の数についてでございますけれども、正確なデータはございませんが、幾つかの報告から推計をいたしまするに、我が国ではおよそ男性の四ないし五%であろうと思われます。なお、これにつきましては人種差がございまして、白人は七ないし八%、黒人の場合には二%前後と言われております。なお、これは大部分が伴性劣性遺伝でございますので、女性は男性の二十分の一以下と言われております。
  446. 下村泰

    ○下村泰君 五十四年に名古屋市内の小学校で、名古屋大学眼科の教授で市川さんという方が調査しているんですけれども、名古屋の教育委員会と眼科医が協力しまして、市内の小学校四年生を対象にして、男が一万六千九百十三人、女子が一万六千三十五人、この調査の結果、やっぱり四・五%から大体五%の人たちが色覚異常であるという結果が出ていることは事実でございます。それで推定していくというと、大体二百七、八十万から三百万ということはおのずからうなずけることになるわけです。    〔理表初村滝一郎君退席、委員長着席〕  色覚異常を語るとき一番大切なことは、色覚異常であるということのためにあらぬ差別があってはならないということです。ところで、文部省にお尋ねしますが、文部省では就学児童に色覚検査を実施しているということですけれども、どのような意図で実施なさっていらっしゃるのか、お聞かせください。
  447. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 学校におきます児童生徒の色覚異常の検査は、小学校一年生、それから小学校四年生、中学一年、高校一年、高等専門学校におきましては一年、四年と、大体三年ごとに学校保健法に基づきまして色覚異常の検査を色覚異常検査表を用いてその有無を調べているところであります。  異常者に対します教育方法には、これは一般の児童生徒において、それぞれ十分に児童生徒を理解して、個人差に対応して指導していかなければならぬと考えておりますが、ただ、教育上はできるだけそうした異常者に対しての精神的な苦痛といいましょうか、そういうことがないようにしなければなりませんが、工業関係とか理科関係とか美術関係とか、どうしても色の関係が出てまいります。例えば交通安全の教育などもそうでございますが、そういう方々に対しましては、実態に即しまして適切な指導を行う必要がある、こういうふうに考えております。できる限りそうしたことに対する区別をしないように、それぞれの個人的な指導を十分にしていくように、そういう文部省としては指導方針を各教育委員会を通じまして指導をいたしておるところでございます。
  448. 下村泰

    ○下村泰君 実はこの深見先生もおっしゃっているんですが、こういうことをして一体どういう結果が生み出されるのか、ときによっては先生が無知な場合にはその子供に与える精神的ショックが非常に大きい。ですから、検査をするのは結構であるけれども、その後の対策が非常に難しいと、こういうふうにおっしゃっている。今の大臣のおっしゃったのは、その後就職する場合のいろいろな方法ですけれども。ですから、小学校四年とか、小学校六年あるいは中学のときにそういうようなハンディをどかんと烙印づけた場合、非常にこれは大きなショックだと思うんですよ。そういうことに文部省はどういうふうに気を使っていらっしゃいますか。
  449. 古村澄一

    政府委員(古村澄一君) 色覚異常検査は、今、大臣が申し上げましたように、その後の教育をより円滑に、子供のためにたるようにということで検査するわけでございますので、その辺は十分注意をして検査をするように当たらせております。
  450. 下村泰

    ○下村泰君 厚生省にお尋ねしますが、色覚異常の治療というのはどういうふうにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  451. 吉崎正義

    政府委員(吉崎正義君) 先ほども申し上げましたけれども、大部分が伴性劣性遺伝でございますので、この治療につきましては今後の課題であると考えております。
  452. 下村泰

    ○下村泰君 今後の課題であるといって、何か具体的なことはありますか。
  453. 吉崎正義

    政府委員(吉崎正義君) 非常に難しいテーマでございますけれども、例えば理論的には遺伝子組みかえ等で不可能ではないのであろうと思っております。
  454. 下村泰

    ○下村泰君 この深見先生の御本を拝見しますと、いろんな方法で、いろんな形で眼科医の方々が御苦労なさっていらっしゃいますけれども、遺伝による色覚というのはなかなか思うようにはいかないということが出ております。そして、「対策」という項目の最後の項に「その他」というのがありまして、「鐵治療によって色覚異常がなおると主張している人達がいる。しかし、この方法は眼科関係の学会で公に論じられたことはほとんどなく、討論に耐えられるような治療成績の発表もない。今のところ民間療法の一種としか考えようがない」というようなことを書かれていらっしゃるんですけれども、これは専門家がこういうふうに言っているんです。  ところが、一方では、ある目の治療するところがありましてね。そこからこういうようなパンフレットが出ていまして、そしてこのパンフレットなんかを見ると、企業は四千以上その色覚患者に対して制限を行っている、私のところに来れば治りますというようなことをやっておる。三万人ももう治癒したというようなことを宣伝しているわけですね。そういうことを厚生省は御存じでしょうか。
  455. 吉崎正義

    政府委員(吉崎正義君) 御指摘のございましたような色覚異常も治るという文書があることは承知をいたしております。
  456. 下村泰

    ○下村泰君 厚生省の方はそれ承知しておりますって、厚生省の方はどういうふうにお考えですか。これは治るんですか、本当に。厚生省の方はそういう治療方法で治ると見ていらっしゃるんですか。
  457. 吉崎正義

    政府委員(吉崎正義君) 医学に関する図書の出版は本来自由でございますが、研究の発表ということで。私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、今後の課題でございまして、ただいま先生が専門家の意見を御紹介なさいましたが、私どももそのように考えております。
  458. 下村泰

    ○下村泰君 何ですか、余りすっきりした御返事じゃないんですがね。専門家でさえも色覚異常の判定というのは非常に難しいというふうに断定しているわけです。そうなりますと、文部省の方の教育方針もいろいろと難しいことが出てくると思うんです。現在そういった報告を受けて、とにかく潜在的にこの患者が多い。しかもその人たちは人に余り言いたくない、自分のものとしておきたいわけですね。それだけにお一人お一人の悩みというのは非常に大きいと思うんです。ですから、文部省の方としても、この間文部大臣、始球式でえらいいい球を投げておりましたけれども、ああいうふうにこうすきっとうまくいくかどうかひとつお答えしてみてください。
  459. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 先ほども申し上げましたように、個人個人の児童生徒に先生の立場で個人指導をしていくということは大事だと思います。その色覚異常に対しての区別、差別はあってはなりませんので、大学入試、高校入試、あるいは文部省からいえば教員の採用、そういったところには十分配慮しなければなりませんが、ただ、理科の実験などは色で判断するわけですし、先ほどちょっと申し上げたように、交通安全の場合はやっぱり色が大事でございます。工業などもそうだと思いますので、恐らく実態は文部省としては全部正確に把握はいたしておりませんが、個別に進路指導等個人と先生との間で、あるいはまた親の理解を十分得ながら方向を紹介する。色覚異常に対して問題がないような方向へ進むように先生としては個人個人の指導をしていく、これが現在のところは一番的確な指導方針ではないか、こういうように考えておりまして、どうもすっきりしたボールにはなりませんですが、先生の方も十分おわかりのとおりでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  460. 下村泰

    ○下村泰君 ワンバウンドぐらいで受けたということにしておきます。  昨年の、同じく先ほど申し上げました中野委員質問の中で大野労働大臣が、「企業に対しましては、現在、正当な理由なく、ただ色覚異常を有するというだけで採用しないということはいかぬということで、厳重に忠告もいたしております」というふうにお答えになっていらっしゃるんですが、労働大臣に改めてお伺いしますが、どうなんでしょうか。そういうふうな狭い採用規定でもって締め出す。もちろんありますよ、それは。いろいろと色に対する感覚がまずければできない仕事もたくさんありますけれども、全般的にどういうふうになっていましょうか。
  461. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) 例えば、先生お示しの資料に出ています四千社でそういう色覚異常者を採用しないという話がございましたので、もしそうであれば問題であるということで、そこに出ております会社を労働省としても調査をしてみました。しかし実際には、採用します、ただ検査部門とかそういう特に色の判定をするようなところには回さないというような対応をしております。こういうことでございまして、もちろんそういう色覚異常であれば全然採用しないというのはこれはもう問題だという基本認識対応していく考え方でございます。
  462. 下村泰

    ○下村泰君 石原式なんという、あれ調査するのがありますけれども、総理もおやりになったことがあるでしょう、お子さんのころに。くるくるくるくるページをめくって、6だとかハだとかイだとかありましたな。あれも、色覚異常でも、色弱の場合にはちょっと長い時間見ていればわかるんですよね。ところがあれにも三秒と書いてあるんです。三秒というのはわりかた長いんですよ。皆さんちょっと勘定してごらんなさいといったって勘定できる方はいないと思うんですよ。一、二、三と、これが三秒だと思うんです。三秒というのは長いんです。一、二、三、これが三秒なんです。私は何十年もこの商売をしていますからね。そうしますと、一、二、三と、このくらいの時間をかければ色弱でも見えるんですよ。それをばっばっばっばっとやられて、おまえは目がおかしいと言われたんじゃこれはとてもじゃないけどかなわないんです。労働大臣、ひとつお答え願いたいと思います。行政指導でお願いします。やっていただけるのかいただけないのか、こういう人たちに。
  463. 坂本三十次

    国務大臣(坂本三十次君) 今、政府委員お答えいたしましたように、和同ドクターズグループという調査があったということを昨年二月労働省も気がつきまして、そしてこのような件について就職に当たり不利な取り扱いを受けることがあれば問題だということで事情聴取をしたけれども、今、局長の言うように、この結果によると色覚異常者をすべての職種について採用しないという企業はほとんどない。制限している場合であっても、作業上安全確保や色覚を不可欠とするなど職種上やむを得ないと判断されるものに限定しておるというのがこれが事実であるということでありますが、私といたしましては、あらゆる機会をとらえて事業主に対して本人の能力と適性に基づいた採用を行うよう指導をいたしまして、色の正確な識別能力が業務遂行上不可欠とされる特定の職種を除いては色覚異常者の就職が不当に制限されることのないように今後事業主に対し啓発、指導を行いたい、こう思っております。
  464. 下村泰

    ○下村泰君 ありがとうございました。  ここで一つお願いがあります。委員長、こういうもの持ってきましたがよろしゅうございますね、見せるだけですから。日本眼科医会色覚研究会の羽生田進先生という方が昨年の八月の十日に要望していらっしゃるんです。と申しますのは、ここに小学校五年生の社会科の本がございます。これ、文部大臣よく見ていてください。この中にこういうグラフがあります。こういう円形のグラフ、見えますね、そこから。見えなけりゃどうぞ来てください。ございますね、これ。このブルーの薄い青地の上にこういうふうにグラフが出ているわけです。ここのところを、これを拡大いたしますとこういうことになる。これ、大臣総理もよく見ておいてください。こういうふうになる。ここへこの先生の要望はこうしてくれというのです。おわかりになりますね、これ。つまりグラフの回りにちょっと線を入れてくれ、この教科書に。そうしますと色弱でも何でもはっきり見えるわけなんです。一番いかぬのが真っ白い字の上に何かあるならばいいんですけれど、こういう薄いブルーなどのかかったところへこういうようなグラフの割り方をされると見えなくなるのですね。それからもう一つここに海図がございます。この海図も恐らく海の色ですから青くなっています。ここに線がいろいろ書いてあります。この赤い線の両わきにちょっと黒い線を入れてくれればこれは全部見えるようになる、こういうわけなんです。これを羽生田先生が要望しております。文部大臣お答えください。
  465. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 下村君、時間です。
  466. 下村泰

    ○下村泰君 はい、済みません。やってくださるかどうか。
  467. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 大変重要な、そしてまた参考になる御意見をちょうだいしましたが、教科書は文部省が直接つくるものではございませんので、教科書会社等にそういうことができるかどうか、そう難しい問題ではないようだ気もいたしますが、十分指導してみたいと思います。
  468. 下村泰

    ○下村泰君 終わります。ありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  469. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で下村君の質疑は終了いたしました。
  470. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、野末陳平君の締めくくり総括質疑を行います。野末君。
  471. 野末陳平

    ○野末陳平君 まず文部大臣に、いわゆる有害図書の規制ですけれども、議員立法の動きがその後どうなっているか文部大臣御存じならばその報告と同時に、大臣自身が規制立法でもしなければいけないと、本当にこれが現在必要であるとお考えなのかどうか、それをまず。
  472. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 御指摘の有害図書問題は、衆議院の予算委員会総理の御答弁を受けまして、有害図書の協議を与野党で今していると、こういうふうに聞いております。直接文部省としては、基本的には有害図書を文部省の所管で云々することはできないわけでございまして、ただ出版倫理の問題であるというふうに私ども考えて、でき得れば出版社の良識に期待をしたいというのが率直な建前論になるわけでありますが、ただ従来までもこうした有害図書については総理府などを中心にして何年も繰り返しきているわけです。ちょっと言葉はよくありませんが、イタチごっこみたいなところがありまして、おかしな本が出ているなということで、それを調査し、あるいはそれが新聞に出ますと、かえって売れるというようなことになる。そしてその出版会社はそれでその次の週あるいは次の月の号あたりは割と自粛をする、しばらくするとまた出てくる。こういうことが続いておるわけでございまして、文部省といたしましては、やはり子供たちにそうした激しい殺りくあるいは性描写、そういうものが入ってこないように、できるだけ子供たちのためにガードしてあげなければならぬ、そういう立場でございますが、残念ながら今日までこうした繰り返しを続けておるということになるならば、結局はその対応策がないならば、出版の自由、表現の自由というものを侵さない範囲においてむしろ法律で規制をされている方が子供たちをしっかり守ることになる、私はこのように考えております。
  473. 野末陳平

    ○野末陳平君 確かにひどい内容ですが、特に取り上げられました少女雑誌は。しかし、国会であれが取り上げられたことによりまして業界にもかなり自戒、自粛の動きが出てきているようですね。そこで、私考えますのに、やはり対応がないならばとおっしゃるけれども、現行法をどこまで効果的にあるいは弾力的に運用できるかなかなか難しいところでしょうが、しかしこの際我々のやることは、規制の立法をつくって直ちに体罰を加えるというのではなくして、やはり国会としてきつい警告を発するという形で、まずこの業界に一段の自己規制、自己反省を求めることも必要であろうと思うんですね。そしてその様子を見て実効が上がらないということであれば、当然私は規制してもいいだろうと、そういうふうに考えます。  文部大臣に重ねてお伺いしますが、今回はやはり研究だけにとどめて、国会として決議をして警告するという方向が一番望ましいのではないか、こういうふうに考えているんですが、これについてはいかがでしょう。
  474. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 先ほども申し上げましたけれども、私は大変悲観的なことを見ておりまして、実効が上がらないと思っているんです。  ちょっと長くなって恐縮ですが、かつて放送倫理の問題も随分出てまいりました。もう十年も前でありますけれども、夜遅い番組は特にそうでありますが、非常に子供たちが見るにちょっと忍びないような問題、今でもそうです、むしろあの当時より今の方が激しくなっているんじゃないでしょうか。そのときも逓信委員会等で民放各社の経営者の皆さんにおいでをいただいて議論をいたしました。ちょうど建設大臣、たしかあのころ放送小委員長をなさっておられました。しかし、そのときだけはおさまるんですが、その後はだんだんだんだん拡大をしていく。むしろあの当時から見ると今やもうひどいですね。それで、経営者に話を聞くと、そういう時間に見せる方が悪いと、こういうことなんですね。しかしラジオなんて、野末さん御存じでしょうが、夜の夜中やっているラジオなんて、それこそ大人が聞けないですね、恥ずかしくて。そういうふうにどんどん拡大をしていく。雑誌だってそうでありまして、確かに不良雑誌をつくっている出版のアウトサイダーみたいなところがある。これを一体どう抑えていくのか。あるいはむしろそういうことで、日本でも有数の著名な雑誌社がいろんな本をつくっている。表紙だけ見ますと、本当に松田聖子ちゃんとか中森何とかさんというようなかわいい少女雑誌のように見えるが、中を開いて見ると、愛染恭子さんの大きな裸が出ている。全くどこでどう制限していいかわからないですね。  だから私は、先ほど申し上げたように、やっぱり表現の自由、出版の自由といいますか、そういうことに対してある程度の法の中で、枠の中で抑えることができるなら、むしろ私どもは、子供たちを守る立場では法をつくっていただいて、そして逆に言えばその法の発動をむしろある意味では機能的に運用さしていくということの方が今の段階では適切ではないか、私はそんなふうに考えております。
  475. 野末陳平

    ○野末陳平君 私は法の発動よりも国会決議の重みの方が今選ぶべき対策だと、そういうふうに思っているわけなんですね。  総理にお聞きしますが、確かにもう法で規制しなければというような内容もありますが、ただ、有害図書といいますと、文部大臣おっしゃるとおりテレビだってみんなそうなってきますね。ですから、何かここで立法に踏み切ると、非常にスピードでやりますから、余りにも国会で問題になってから立法までの経過がスピーディーで、スピードのあるのは結構ですけれども、この場合は、ちょっと粗っぽい法律ができて、ざる法になるかあるいは行き過ぎになるか非常に心配しているところたんです。ですから、こういう立法化はもうしばらく様子を見まして、今時期尚早で、ひとつ国会で決議をするという重みの方を総理としても選んでほしいと思いますがいかがでしょう。
  476. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この問題は、私が国会に出てまいりましてから時折起こってまた消え、また時折起こってまた消えてきておる問題であります。最近は非常にひどい状況になってきておりまして、この状況を見ますと、もはや為政者として放置を許さないと思います。  したがいまして、私自体といたしましては、この機会に、やはり全国の各都道府県等においても条例でやっているところもありますが、全国的なそういう基盤を法的に与えてあげるということでしっかりやっていただくという面もある。地方が割合にずさんなところもあるわけです。条例をつくってもほとんどもうそれは死んだに等しいような、放置されているという場合もあります。そういうような面も考えてみますと、この際はやはり立法措置を行いまして、もちろん憲法の範囲内で表現の自由、出版の自由の中で当然やるべきことでございますが、それをつくって伝家の宝刀として持っているということも意味があるのではないかと思っております。
  477. 野末陳平

    ○野末陳平君 まあそういうおどしをかけないと、結局は出版界も自粛しないという面も確かにありますので、非常に残念なんですが、しかしもし立法なさるというならくれぐれも慎重になさってほしいし、私としては賛成はできない、こう考えております。  次に農産物交渉の問題で農水大臣にお開きします。  今回の結果は、率直に申しましてかなり高い評価を与えていいだろうと思います。しかしながら、国民にとっての関心は、日米関係ももちろん大切ですけれども、さしあたり要するに牛肉が安くなるのかどうか、こういうことだろうと思いますね、当然のことながら。そこで、今回取り決めました輸入牛肉の増枠で、今後すぐにとは思いませんが、今後四年間にわたってでもいいですが、牛肉というのは農水省として安くできると、こういうお答えができるのかどうか。
  478. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) このたびの日米農産物交渉に当たりましては、私ども国益というものを考え、また日本農業というものを考えて、一生懸命やってきたつもりでございます。何にしても初めて褒めていただきました。ありがとうございました。  牛肉につきましては、昭和五十年以来ほぼ横ばいというような状況でございます。諸物価の上昇率がかなりのものを示している中で、牛肉だけが横ばいということは、これはまあ値下がりをしておるというようにとってみていただいてもいいのじゃないかと思いますし、また今回の農産物妥結というものは、消費者のメリットがどういうぐあいに出てくるかということにつきましては政府委員の方から詳細に今御答弁申し上げます。
  479. 石川弘

    政府委員石川弘君) 輸入牛肉につきましては五十年水準を三割ぐらい下回った水準で現在あるわけでございますが、これは国産の牛肉より約二割から三割ぐらい安い水準で今後も推移するかと思います。ただ、これはあくまで畜産物価格安定法の運用の中で行われることでございますが、これが下がり過ぎまして今度は国産の牛肉が再生産が不可能になりますればこの法律の定める趣旨に反するわけでございます。私ども、国内の再生産も確保しながら、かつ外因から入れます牛肉が安定的に推移するようにという運用をするつもりでございます。
  480. 野末陳平

    ○野末陳平君 そういう抽象的なお答えではありませんで、しかも、もとと比べてと、もとが高過ぎたわけですから、そうじゃなくて、今回の取り決めが一体これからの牛肉価格にどういういい影響を与えるか、少なくも安くしてほしいという国民の期待にこたえられるかどうか、これをお聞きしたわけですよ。
  481. 石川弘

    政府委員石川弘君) 畜安法で定めておりますのは、国内で生産する牛肉が安定的に再生産できるということ、それから消費者の方に安定的に供給するということでございます。したがいまして、私ども、外国産牛肉につきましては現状でも国産牛肉より二、三割安く供給され、これは五十年水準よりさらに下がってきているわけでございますから、こういうものについてまあ値下がりも含めて安定的に推移すると考えております。ただ、そのことが国内で生産する牛肉を再生産できないようにするのであれば法律の定める趣旨に反するわけでございますので、その両者の関係を十分見きわめながら運用するつもりでございます。
  482. 野末陳平

    ○野末陳平君 今のお答えは、要するに消費者利益という面が薄いんですよね、どうしても生産者の立場に立ってしまって。それもやむを得ないとは思っていますけれども、しかしグレープフルーツでも、それからレモンでも、輸入枠が拡大して、あるいは自由化になれば間違いなく安くなっているわけですね。オレンジは恐らく今回安くなるだろうと思うんですね。牛肉のみが目に見えてそういう効果が出てこないということは確実でしょう。ですから、それについて国民が期待しているんだが、いろんな理由があって安くならないならしようがないけれども、いかにも安くなっているんだというようなお答えになりますと、ちょっとこれはそのとおりとは言いかねる。  大臣に聞きたいんですが、今後四年間にわたってこういう取り決めをなさってきたわけですから、少なくも消費者にはこういう点でプラスがある、年内は安くすると、こういう約束をなさったらどうですか。
  483. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 農林水産省といたしますと、これは消費者だけではなくて、生産者、消費者双方が利益を得るということを求めていっているわけでございますが、今、先生が言われるのは畜産振興事業団、このことであろうと思いますが、いろいろこれからもよく勉強いたしまして、改善するところは改善するということでやっていきたいと思っております。
  484. 野末陳平

    ○野末陳平君 たまたま大臣から畜産振興事業団の存在について言及されましたから私もお聞きしたいと思うんですが、行政管理庁が、この事業団の価格安定操作がいわば消費者不在といいますか、いわゆる高値安定のやり方だと、こういうような指摘をしていると思いますけれども、そこでどういう点でこの行管庁などの改善勧告を受けて、どの点を直していって結果的に消費者利益に還元されると、こういうふうに考えておられるんですか。具外的に言っていただかないと、何しろ値段の問題になりますからね、大臣ひとつお願いします。
  485. 石川弘

    政府委員石川弘君) 行管の御指摘のありましたのは、昭和五十四年から五十五年にかけて一時期大変高騰したと、その間の運用について問題があったのではないかということでございます。全体で申しますと、五十年水準で外国産の牛肉と一番競合します乳牛の雄、中というところでございますと、昭和五十年を一〇〇としまして、その後一〇〇を超えましたのは昭和五十四年ただ一年でございます。それ以外の年はお調べいただきますとわかりますように、卸売価格は常に一〇〇を割っているわけでございます。したがいまして、私どもは五十四年の運用につきましては、これは大変大量なものを輸入し放出したのでございますが、放出の数量なり放出の時期について問題があったかと思います。今度は私どもの予定しております輸入数量は相当大きなものでございますので、そういうような状態は万に一つも起こり得ないだろうと思っております。ただ、そういうものを大量に放出し過ぎて国内生産が、再生産ができなくなればまた別の問題が出てくるわけでございますから、その両者の兼ね合いを考えながら運用するつもりでございます。
  486. 野末陳平

    ○野末陳平君 それだったら具体的にこれにお答えいただきたいんですが、じゃ今回の輸入牛肉増枠によりましてひとつ市場に出す安売り牛肉ですが、今のお店の数をふやす、あるいは放出量も今までの倍というようなレベルでやることをもう計画しているのかどうか、これが実現するかどうか、それをお願いします。
  487. 石川弘

    政府委員石川弘君) 御指摘は多分指定店だろうと思いますが、指定店につきましては昨年におきましても店数を増加をいたしております。これにつきましては、小売商とのいろんな関係もございますが、ボリューム自身が大きくなってまいりますれば指定店の数につきましても当然考えるべきものと考えております。
  488. 野末陳平

    ○野末陳平君 その結果、少しでも安い牛肉が食卓に回れば当然いいわけなんですけれども、一段の努力をお願いしたいと思うんですね。  それからもう一つ、常に問題にされるのが、やはり牛肉の場合特に問題なんでしょうが、流通機構ですね。流通機構は確かに私もいろいろ知っているんですが、複雑過ぎるんで、ここにメスを入れれば牛肉は安くなると観念的にはわかってもなかなか難しいだろうと思うんです。しかし、難しいで済ますわけにいきませんので、今後に向けて農水省としてはこの流通機構にどういう改善指導をしていくというそういう計画があるのか、その辺のことを大臣から聞かしてほしいと思うんですけれども。
  489. 石川弘

    政府委員石川弘君) 食肉流通の仕組みでございますが、量がふえてまいりますし、いろいろ合理化もいたしておりますが、一つはやはり生体で持ってきて市場へ出すというようなことはむしろ今後はだんだん減りまして、産地で解体、屠殺して部分肉で流通させるという、そういう物流の近代化が必要かと思っております。このことにつきましてはかなりのスピードでやってきてまいっております。それから、むしろおっしゃるのは商業流通と申しますか、取引のあり方等の問題だと思いますが、これにつきましては、何と申しましても取引量が小さいということが最終小売店に行くまでの経費がかかり過ぎるわけでございますので、もっと何と申しますか中間を省略するような、例えば現在も生産者団体と生協とが行っておりますような取引とか、あるいは購買単位、これは日本の場合大変小そうございますが、もう少し大きい購買単位で動くためのいろんな展示的な施設、そういうものをいろいろ考えております。私どもとすれば、ある程度の改善をやってきているつもりでございますが、一周それに力をつけるつもりでございます。
  490. 野末陳平

    ○野末陳平君 大臣お答えいただかないと頼りないんですよね。
  491. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生が言われますのはよくわかりますので、流通機構を初めとして、とりあえずできるものはどんどん大胆にこれをやってまいります。
  492. 野末陳平

    ○野末陳平君 先にそれをお答えいただいて、その後当局から説明をしていただく……。  総理、そういうわけでして、これは今回の措置は日米関係が第一ですが、しかし消費者にこの妥結の利益が還元されなければ意味ないと思いますね。そこで、今回大事なことは安くする努力だろうと思うんです。そして消費がふえていく。それでまた生産者が潤うという形が一番望ましいので、ひとつ総理、流通機構の問題と畜産振興事業団のあり方、二つについて総理からもこれにメスを入れて、安い牛肉が提供できるようにそういう方向へのひとつ御決意をお伺いしたい。
  493. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 牛肉を安くすることにつきましては、昨年来私もかなり関心を持って、肉の日を設けて、二十九日は肉の日で、安い肉を売るとか、そのために指定席もふやすとか、あるいはそれのお金をどこから出すかというので、畜産事業団から、たしかあのころ百億ぐらいだったと思いますが、記憶が間違っていたら訂正さしていただきたいと思いますが、それで特に安い肉を市民の皆さんに供給するように手配をしたり、努力してまいってきております。今後も今農林大臣が御答弁申し上げましたように、流通関係、価格関係につきましては十分配慮いたしまして、御期待に沿うように努力を続けてまいりたいと思います。
  494. 野末陳平

    ○野末陳平君 ひとつ国民を喜ばしてほしいと思います。  さて、大蔵大臣ですがね、時間がなくなっちゃったんですが、大蔵大臣ね、秋に新しいお札が出ますけれども、おなじみの聖徳太子がなくなっちゃって、これがいずれ五万円とか十万円で出てくるんではないかなんというまことしやかなお話もあるくらいですが、政府としてはここらで高額紙幣の発行の計画があるかどうか。これは一万円札がもう二十五年以上たっておりますし、それから貨幣価値も大分変わってまいりましたので、高額紙幣を出すならば一つのチャンスが近づいているのではないかなと、そんな気がするので大臣にお願いします。
  495. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 高額紙幣を発行するかどうか、これは国民の現金種類に対する需要の動向のほかに、高額紙幣の発行による心理的影響、インフレなんかでございますね、そういうのを総合的見地から判断すべきものであって、当面、高額紙幣を発行することは考えていない、これが公式な答弁であります。  それで、これは野末さんとの間でも議論したことがございますが、前に五千円札が出たときに、全体の日銀券の中で八七%に達したわけですね、千円札が。その次が、今度はやっぱり八七%になりまして、千円と五千円を足したもの、それで一万円札と。この三月末における日銀券発行残高に占める一万円券の金額構成比は今まだ八四・二、こういうことでございます、これは参考のため。これが規則として、基準として法律で決まっておるわけではございませんが、従来から見れば、まあ一つの御説明申し上げてもいい数値だと思って、あえて御説明をいたしましたので、現時点では考えておりません。
  496. 野末陳平

    ○野末陳平君 最後になると思いますが、総理に、大型間接税は中曽根内閣でおやりにならないということで、これは全くそのとおりしていただければいいと思いますが、信用しておりますが、ただし、そうすると財源の点で非常に今後苦しくなることもあり得るわけですね。となると、増税はやらないけれども金は要るんだから、そこでマル優の廃止などを頭の隅で考えておられるのではないかと、こう思ったりしますが、これはいかがですか。
  497. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今、よく言葉がわからなかったんですが、どういう意味のことですか。
  498. 野末陳平

    ○野末陳平君 マル優の廃止をすればかなりの財源が出ますからね。
  499. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大体、臨調答申の線を守りまして、歳入歳出構造の見直し、あるいはさらに税外収入の確保とか、そういうような努力を傾けまして、ともかく増税なき財政再建を貫いてまいりたい、今後も努力してまいる所存であります。
  500. 野末陳平

    ○野末陳平君 このマル優問題は大蔵委員会でやるべきだと思いますけれども。  さて最後に、今回の予算はかなり苦心の跡が見えるし、減税もあったし、それから伸びも抑えられたしという点でますます評価できるとは思うんですね。しかし、行政改革という面からいいますと、補助金のカットなどの歳出面で、歳出カットがいまひとつ物足りない、そういうふうに私は思いますから賛成はしにくいという意見だけを、討論がありませんので表明して終わりにします。  (拍手)
  501. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上、野末陳平君の質疑をもって締めくくり総括質疑は終了いたしました。  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。昭和五十九年度総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。     ―――――――――――――
  502. 西村尚治

    委員長西村尚治君) それでは、これより総予算三案に対する討論に入ります。  討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。佐藤三吾君。
  503. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十九年度予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。  我が党は、政府の国民生活犠牲、生活不安を増加させる経済財政政策を転換し、国民生活の向上、内外経済の不均衡の是正及び財政再建に展望を持てる予算を編成することが必要と考え、本予算を軍拡と国民生活圧迫の予算とすることなく、生活安定、平和保障の経済財政改革の予算として編成するよう、本委員会において政府予算の問題点を摘出し、その根本的見直しを求めてきたのであります。  しかし、政府予算の審議の中で、中曽根内閣の本質が明白となり、強者は生き残り、弱者を切り捨てる国内政策が進められる一方、対外政策はアメリカ軍備増強路線、対ソ戦略の一翼を担う危険な軍事優先政策が推し進められているのは明らかであります。このような予算は絶対に認めることはできないのであります。  以下、反対の主な理由を五点にわたって申し上げます。  第一の反対理由は、不公平な税制改正が行われ、低所得者に実質増税、高所得者に大きな減税効果が与えられていることであります。  国民が所得の伸び悩む中で、切実に求めてきた所得税減税が七年ぶりに実施されますが、その実態は所得税、住民税の最低税率を引き上げる一方で、所得税の最高税率を七五%から七〇%に引き下げるといったように、低所得者冷遇、高所得者優遇の不公平の拡大となっているのであります。しかも、所得税減税と増税上が一体となっており、その増税には酒税、物品税、自動車税等の大衆増税が含まれているのであります。さらに第二、第三の税金とも言うべき社会保険料、各種公共料金、手数料の値上げが伴うことによって、低所得者の家計の実質所得はマイナスとなる事態も招きかねません。これでは税に対する国民の不満は一向に解消されないのであります。  第二の反対理由は、行政改革と歳出削減が福祉と教育に集中して、弱者しわ寄せの予算となっていることであります。  健康保険法の改革により被用者本人の給付率の切り下げ、高額医療費の自己負担限度額の引き上げ、児童扶養手当制度の改悪、雇用保険法の改悪等々弱い者泣かせの行革予算と断ぜざるを得ません。医療費の膨張の元凶となっている不当な薬価基準、人権無視の医療法人の存在、政治献金と癒着した民間企業への補助金支出等、行政改革の対象とされるべき分野にメスが入れられないままに、本来削るべきでない予算を削る非情な措置は許されません。しかも、民生行政に直接かかわる地方自治体財政の負担にツケ回しをすることは、まさに時代に逆行するものであります。  第三の反対理由は、内需主導、国民生活充実の政策による景気浮揚策が欠落していることであります。  最近のマクロ経済での景気の動向は良好と言われますが、それは依然として外需依存、輸出の増大によってもたらされており、これでは対外経済摩擦の打開は困難であります。その上、マクロ経済の好況は、企業別、職種別、地域別の格差の拡大を内包しており、国民生活のレベルでの格差は縮小するどころではありません。個人消費増大のための所得税減税等も税負担の軽減効果はなく、人勧、仲裁裁定による公務員賃金等の完全実施にも消極的、その王公共投資も実質マイナスの伸び率という予算では、内需主導、国民生活向上につながる経済成長を期待することはできないのであります。  第四の反対理由は、財政再建の具体策、方法が示されず、財政改革の展望の見出せないことであります。  国債整理基金特別会計への繰り入れ公約一兆六千百二十七億円を取りやめ、電電公社、専売公社からの納付金をふやしてなお前年度当初予算比で一兆円の特例公債の減額ができず、五千二百五十億円の減額にとどまったのであります。大型間接税の導入をしないと中曽根内閣は公約しますが、いかなる手だてを講じて特例公債依存財政からの脱却を図り、国債依存率二五%の財政赤字を改善していくのか、展望を示されないのであります。年度末の国債残高は約百二十二兆円に達し、特例公債の全額現金償還の約束をほごにして、どこに打開策を求めるのか明らかにできない財政音痴の予算となっているのであります。  第五の反対理由は、軍備優先、軍事大国化につながり、世界軍縮要求に逆行する予算となっていることであります。  一般会計の伸び率が前一年度当初予算比で〇・五%増という超緊縮予算の中で、防衛関係費は四年連続の特別扱いで、前年度比六・五五%という突出を認めているのであります。防衛関係費の増加額千八百四億円は社会福祉費の増加額八百八億円を大きく超えるまさに大砲型予算であります。レーガン政権の対ソ戦略に積極的に加担し、防衛白書が北の脅威をあおり、核を積んだ米戦艦、航空機の寄港、通過問題が国民に解明されない現状を見るとき、平和憲法を持ち、世界平和に貢献すべき我が国のとるべき政策では到底あり得ないのであります。  以上、五十九年度予算に反対する主な理由を申し述べましたが、最後に政治倫理問題に関連して付言いたしたいのであります。  国民の負託にこたえるべき政治家、とりわけ閣僚たる者は、職を利用した財産の増大は許されず、そのために中曽根内閣は閣僚の資産公開に踏み切ったことは一つの進歩と見るものでありますが、まことに残念なことに、公開の基準が不十分で不鮮明な部分が多いのであります。しかも、閣僚内部でも意思の一致が見られず、極めて消極的な御仁もおられるのであります。政治倫理を確立し、国民の政治に対する信頼を回復する一方策として、資産公開法の制定が必要でありますが、中曽根内閣にその意欲が見られません。我が国の民主政治の前進のために政治的英断を求めて、私の反対討論を終わります。(拍手)
  504. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、藤井裕久君。
  505. 藤井裕久

    ○藤井裕久君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十九年度一般会計予算外二件に対し、賛成の討論を行います。  石油危機後の経済の停滞に対処するため、政府は巨額の公債を発行して景気の下支えをし、国民生活の安定向上に努めてきたところでありますが、反面このことが我が国財政にとって著しい構造的不均衡の状態をもたらしております。  すなわち、公債発行残高の累増は、将来の公債償還を困難にするばかりでなく、利払い費の増加を招き、財政本来の機能を発揮することが極めて困難な事態となったのであります。これをこのまま放置するならば、我が国財政は急速な人口の老齢化など今後の社会経済の変化に迅速に対応することができなくなることは必至の状況となっております。今まさにこの財政の構造的不均衡を是正して、財政が新しい時代の国民的要請にこたえ得るようその対応力を回復することが緊急の国家的課題となっております。  かかる観点より、以下本年度予算の特色とその賛成の理由を申し述べます。  まず第一は、歳出構造を徹底的に見直し、予算規模を圧縮したことであります。  すなわち、五十九年度予算は、財政構造の質的改善を図るため、地方財政対策、医療保険、年金、育英奨学資金、児童扶養手当、雇用保険だと、制度の根本に踏み込んで改革を行い、歳出の節減、合理化を行っていることであります。この結果、一般歳出の規模はマイナス〇・一%の伸び率で、これは昭和三十年度以来実に二十九年ぶりの低率となっております。また、補助金等については、連年にも増して積極的に整理合理化を行い、前年度に比べ四千三百五億円を減額しておりますが、補助金等の総額がマイナスになったのは昭和三十四年度以降初めてのことであります。これらにより、国債発行を前年度に比し六千六百五十億円減額しておるところでありますが、そのほかまた十省庁の内部部局の再編合理化とあわせ国家公務員約四千人の大幅縮減を図っております。このように、厳しい財政事情にありながら着実に財政再建の道を進めている政府の姿勢は高く評価できるものであります。  第二は、国民の税負担の軽減を図るため所得税等の減税を実施していることであります。  五十九年度税制改正の最大の眼目は、国民的要請となっていた所得税及び住民税を全般的に見直すことにより、初年度一兆一千八百億円に上る大幅減税を行うことといたしていることであり、これにより四人家族の給与所得者の課税最低限は現行の二百七万九千円から二百三十五万七千円に引き上げられ、中堅所得層の負担軽減に大きく寄与しております。なお、これに見合う財源については、現下の財政事情にかんがみ、赤字公債の増発によることなく法人税、酒税、物品税等に求めておりますが、これも現下の財政状況から見ればやむを得ざる措置と考えるものであります。  第三は、歳出の徹底した見直しの中でも、社会経済や国際情勢に対処して財源を重点的かつ効率的に配分していることであります。  その一は、社会的、経済的に弱い立場にある方方に対する福祉対策の推進であります。高齢化社会に対応するための各種制度の改革とともに、老人や心身障害者に対してきめ細かい福祉施策を充実いたしております。  その二は、国際社会への貢献の見地から経済協力、防衛の面で配慮をしていることであります。すなわち、経済協力費を対前年度比七・九%増計上しておりますが、特に政府開発援助予算九・七%増は、アジア諸国を初めとする開発途上国の安定と発展に資するものとして我が国の国際的責務に対する姿勢を明確にするものであります。さらに、防衛費の伸び率六・五五%についてでありますが、我が国周辺をめぐる厳しい軍事情勢を直視するならば、自由主義国家群の重要な一員として我が国の独立と平和を守るための必要な限度の防衛力の整備充実は当然のことであります。  以上申し上げましたように、五十九年度予算は、極めて厳しい財政事情のもとで、歳入歳出両面において財政構造の質的な改革に最大限の努力が払われており、評価できるものであります。  最後に政府に要望いたしますが、五十九年度の我が国経済は、国内民間需要を中心に景気の自律的回復が見込まれ、財政面からの景気刺激の必要は当面ないと考えますが、景気動向には業種別、地域別のばらつきもまだ各所に見受けられますので、引き続き民間経済の活力を最大限に生かす機動的な経済運営に、努められますよう強く期待し、予算三案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)
  506. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、中野鉄造君。
  507. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十九年度予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。  以下反対理由を申し述べます。  反対理由の第一は、七年ぶりに行われようとしている所得減税が我々の主張とかけ離れ、その規模が圧縮され、しかもその中に増税が隠されていることであります。  長期にわたり課税最低限を据え置き、国民に実質増税を強いてきたことを考えると、少なくとも我々の修正要求のように、所得税、住民税合わせて一兆七千億円程度の減税は必要と言わなければなりません。厳しい国民生活の実情を無視する政府の態度は到底認めることはできないのであります。しかも、政府の所得税減税を含む税制改正では、低所得省はもとより、すべての納税者に適用される最低税率を引き上げ、逆に高額所得者を一段と保護する最高税率を引き下げようとしているのであります。これこそ取りやすいところから取る弱者しわ寄せの税制改正と言っても過言ではありません。  第二は、増税なき財政再建を公約しなから、大幅な増税を行っていることであります。  一億国民の悲願であった所得税減税が五十二年以来七年ぶりに実施される傍ら、法人税を初め酒税、物品税等を中心に総額九千五百億円余の増税が行われようとしております。酒税、物品税の増税は逆進性も甚だしい大衆増税そのものと言わざるを得ません。その結果、所得税減税が実施されるにもかかわらず、租税負担率は五十八年度の二三%台から一気に二四%台へとはね上がっております。増税なき財政再建を看板に掲げながら、その一方で大衆増税をもくろむ政府の態度は断じて見逃しにできません。  反対の第三は、医療費抑制を理由に、健康保険の本人給付率を十割から九割へ引き下げようとしていることであります。  財政逼迫を理由に、もしこのような改悪が行われるならば、総受給者の減少が不可避であるばかりか、これこそ総理の提唱するがん対策とも真っ向から対立する施策であると言わざるを得ません。医療費抑制は、乱診乱療、過剰検査の是正、薬価基準の適正化を徹底すべきであり、国民の健康をじゅうりんする健保改悪案は直ちに撤回されるべきであります。  第四は、政府のこれまでの公約と法律義務を翻し、五十年度以降発行してきた特例国債、すなわち赤字国債の借りかえ禁止条項を過去にさかのぼってすべて外そうとしていることであります。  我々は、再三にわたり赤字国債の現金償還の困難性を指摘するとともに、その早期対策の必要性をただしてまいりました。少なくとも定率繰り入れ停止に追い込まれた五十七年度時点で現金償還の不可能であることはだれが見ても明々白々であったのであります。しかも借りかえ禁止条項の緩和は、償還到来時に毎年度行うべきであるとの我我の主張には一顧だにしようとしなかったのであります。このような政府の怠慢と財政民主主義を踏みにじる行為を我々は断じて容認することはできません。  第五は、国鉄運賃を初め、米価、医療費など生活関連公共料金が一斉に値上げされようとしていることであります。  政府主導による見境のない公共料金の値上げによって国民生活は再び圧迫されようとしております。我が国経済が丸三年に及ぶ不況からようやく脱出し始めているとはいえ、国民所得の伸びが低迷を続けている状況下において公共料金の値上げラッシュは、大幅増税とともにますます国民生活を萎縮させ、再び景気拡大の芽を摘んでしまうおそれが十分であり、到底認めることはできません。  最後に、防衛関係予算の突出や防衛費GNP一%以内との枠を取り外そうとすることなどに見られる中曽根内閣の危険な軍事拡張政策に警鐘を鳴らすとともに、金権腐敗擁護の姿勢に反省を促して、私の本案に対する反対討論を終わります。(拍手)
  508. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、内藤功君。
  509. 内藤功

    内藤功君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の昭和五十九年度予算三案に対し反対討論を行います。  今国会最大の課題は、総選挙に示された国民の意思に基づいて田中問題に明確な決着をつけることであります。本委員会においても、政治倫理確立の第一の課題として再三にわたって論議が交わされたのは当然であります。しかるに、政府・与党は、課題を故意に先送りにしたばかりか、憲法違反の疑いのある政党法制定を企図しております。この政党法制定の動きこそは、国政の刷新を求める政治勢力の抑圧と少数党の排除を図る以外の何物でもないことは本委員会論議を通じても明らかであります。さらに中曽根総理・総裁は、本予算成立直後にも二階堂副総裁を実現させようとしていますが、私は、こうした二重、三重のすりかえ、国民意思のじゅうりんに強く抗議し、以下に反対の理由を申し述べます。  反対理由の第一は、対米配慮を最優先させた対前年度比六・五五%増の異常突出の軍拡予算であることであります。二兆円を超える後年度負担を加えれば実に五兆円を上回る巨費となり、政府みずからが公約してきた対GNP比一%枠さえ突破しようとする中曽根内閣の態度は断じて許せません。  反対の第二の理由は、軍事費増大、財界奉仕からきた財政危機の犠牲をすべて一般国民に転嫁すするため、社会保障を初め、今まで国民の要求と努力で築き上げてきた制度や原則を根本から突き崩そうとしていることであります。  本人十割給付を切り崩す健康保険制度の改悪を初め、年金、雇用保険、児童扶養手当の切り下げから、四十人学級の凍結、私学助成の後退、奨学金の有利子化、減税財源確保を口実とした大衆増税、公共料金の相次ぐ大幅引き上げ、地方財政への攻撃等々に至るまで、国民生活は重大な打撃を受けるのは必至であります。その上政府・自民党は、大型あるいは中型間接税導入の意図を明らかにしているのであります。また、予算審議中に妥結した日米農産物協定による輸入拡大は、日本農業の危機を一層深くするものであります。  反対理由の第三は、深刻な財政危機によって国債費が予算の一八%以上を占め、政府の財政展望によってさえ昭和六十年度には財政危機の新たな段階を迎えるという最悪の事態にありながら、巨額の浪費構造を温存したまま、民間活力の発揮の名による新たな財界奉仕が企てられていることであります。このような財政危機をさらに深刻化させるような予算案は断じて認めることはできません。  最後に私は、本委員会の予算審議のあり方についても一言申し述べます。  政府・自民党が当初、予算の年度内成立を図るとして本委員会の審議日程の極端な圧縮を図ったこと、また予算委員会開会中の総理を初めとする閣僚の外交日程の押し込みは、国民の負託に基づく国会の審議権を軽んずるものとして遺憾の意を表します。  これで反対討論を終わります。(拍手)
  510. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、伊藤郁男君。
  511. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 私は、民社党・国民連合を代表し、ただいま議題となっております昭和五十九年度予算三案に対し、一括して反対の討論を行うものであります。  我が国経済は、最近ようやく景気回復の兆しが見られるとはいえ、公共事業の息切れ、貿易摩擦の激化、倒産件数の増加など、多くの懸念すべき材料を抱えており、なお楽観できない状況にあります。かかる現状を克服し、速やかな景気回復を実現するためには、これまでの政府・自民党による縮小均衡型経済運営を転換し、拡大均衡型経済運営を早急に実施しなければなりません。  しかるに、中曽根内閣が、積極経済政策への転換に対しても、行財政改革の断行に対しても極めて不十分な姿勢に終始し、経済財政両面にわたり破綻をもたらしたこれまでの縮小均衡型経済運営をなおも踏襲しようとしていることは残念であります。このような経済運営によっては、速やかな内需主導型の景気回復も、我が国経済の潜在成長力の顕在化も望めず、税収は依然伸び悩みを続け、ひいては財政再建の遅延が大増税を不可避とすることは必至であります。このような政府・自民党の大増税路線は、臨調答申のかなめであり、かつ中曽根内閣最大の公約でもある増税なき財政百姓の趣旨に全く反するばかりでなく、経済成長を阻害し、我が国経済を不況へ逆戻りさせるものにほかなりません。このような路線への端緒をなす五十九年度予算は到底認めることができないのであります。  中曽根総理は、昨年末の総選挙戦のさなか、来年度予算編成に関する構想を発表されました。その内容は、臨調答申を守り、増税を行わない、赤字国債発行額を極力大幅に削減する、公共事業の適切な確保を図る、民間活力を最大限に発揮させる、高目の成長を期するなどでありました。にもかかわらず、今回の中曽根内閣の手になる五十九年度予算においては、減税規模を上回る約一兆三千億円の増税が行われること、赤字国債発行額は一兆円減額予定を大幅に下回り約半分の五千二百五十億円にとどまっていること、一般会計の公共事業関係費は二%の削減となっていること、民間活力を発揮させるような具体策は乏しく、むしろ民間活力を減退させる法人課税の強化などを図っていること、来年度実質成長目標は高目とは到底言えない四・一%となっていることなど、選挙中の公約が全くほごにされていることと言わざるを得ません。  財政再建や行財政改革などの国家的課題に取り組むに当たっては、国民の理解と協力が十分得られるような確固とした、信頼に足る政治姿勢が何よりも肝要であります。我が党は、このような国民への公約違反について中曽根内閣に強く反省を促すものであります。  また、臨調答申が求めた財政再建の具体的手順と方策の明示、財政技術的操作による表面的な歳出抑制の回避等々について極めて不十分な取り組みしか行われなかったことはまことに遺憾であります。  さらに、政府が社会保障の理念や展望を明らかにしないままに、現行保険制度の改悪だと、福祉の後退を図り、国民の負担を増大させようとしていることは容認できません。我が党は、今回の健保法改悪を阻止するため今後とも闘い続けるものであります。  また政府は、選挙で示された政治倫理確立への国民的要望に対し、極めて消極的な姿勢に終始してまいりました。我が国の民主政治の発展のため、政治倫理確立のため全力を傾けることを強く要求し続けるものであります。  最後に、五十九年度予算が当初より暫定必至であったにもかかわらず、暫定回避に固執し続け、参議院の審議を制約しようとしたことは許すわけにはまいりません。この点についての政府の反省を促すとともに、給与所得控除の改正などの与野党間の約束を誠実に果たすよう強く求め、私の反対討論を終わるものであります。(拍手)
  512. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  昭和五十九年度一般会計予算昭和五十九年度特別会計予算昭和五十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  513. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 多数と認めます。よって、昭和五十九年度総予算三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  514. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十九分散会