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1984-04-05 第101回国会 参議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月五日(木曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月四日     辞任         補欠選任      志村 哲良君     佐藤栄佐久君      安武 洋子君     小笠原貞子君  四月五日     辞任         補欠選任      水谷  力君     海江田鶴造君      吉村 真事君     田代由紀男君      刈田 貞子君     中西 珠子君      藤原 房雄君     中野 鉄造君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         西村 尚治君     理 事                 金丸 三郎君                 亀井 久興君                 初村滝一郎君                 藤井 裕久君                 村上 正邦君                 和田 静夫君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 伊藤 郁男君     委 員                 安孫子藤吉君                 海江田鶴造君                 梶原  清君                 古賀雷四郎君                 佐藤栄佐久君                 沢田 一精君                 杉山 令肇君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 竹内  潔君                 内藤  健君                 成相 善十君                 鳩山威一郎君                 真鍋 賢二君                 松岡満寿男君                 増岡 康治君                 宮澤  弘君                 宮島  滉君                 糸久八重子君                 久保  亘君                 佐藤 三吾君                 志苫  裕君                 瀬谷 英行君                 高杉 廸忠君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 刈田 貞子君                 中西 珠子君                 中野 鉄造君                 藤原 房雄君                 和田 教美君                 小笠原貞子君                 柄谷 道一君                 青木  茂君                 木本平八郎君                 野末 陳平君    国務大臣        法 務 大 臣  住  栄作君        外 務 大 臣  安倍晋太郎君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        文 部 大 臣  森  喜朗君        厚 生 大 臣  渡部 恒三君        農林水産大臣臨        時代理        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       中西 一郎君        通商産業大臣  小此木彦三郎君        運 輸 大 臣  細田 吉藏君        労 働 大 臣  坂本三十次君        建 設 大 臣  水野  清君        自 治 大 臣  田川 誠一君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       後藤田正晴君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       河本 敏夫君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       岩動 道行君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上田  稔君    政府委員        内閣参事官    中村  徹君        内閣官房内閣審        議室長             兼内閣総理大臣        官房審議室長   禿河 徹映君        内閣法制局第一        部長       前田 正道君        人事院総裁    内海  倫君        人事院事務総局        給与局長     斧 誠之助君        総理府人事局長  藤井 良二君        警察庁警備局長  山田 英雄君        行政管理庁行政        監察局長     竹村  晟君        北海道開発庁総        務監理官     楢崎 泰昌君        北海道開発庁計        画監理官     竹下  淳君        防衛庁参事官   古川  清君        防衛庁参事官   西廣 整輝君        防衛庁参事官   友藤 一隆君        防衛庁参事官   冨田  泉君        防衛庁長官官房        長        佐々 淳行君        防衛庁防衛局長  矢崎 新二君        防衛庁人事教育        局長       上野 隆史君        防衛庁衛生局長  島田  晋君        防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君        防衛庁装備局長  木下 博生君        防衛施設庁長官  塩田  章君        防衛施設庁施設        部長       千秋  健君        経済企画庁調整        局長       谷村 昭一君        経済企画庁物価        局長       赤羽 隆夫君        経済企画庁総合        計画局長     大竹 宏繁君        経済企画庁調査        局長       廣江 運弘君        科学技術庁計画        局長       赤羽 信久君        科学技術庁研究        調整局長     福島 公夫君        環境庁自然保護        局長       山崎  圭君        環境庁大気保全        局長       林部  弘君        国土庁長官官房        長        石川  周君        国土庁長官官房        会計課長     安達 五郎君        国土庁計画・調        整局長      小谷善四郎君        国土庁地方振興        局長       川俣 芳郎君        法務省刑事局長  筧  榮一君        外務大臣官房審        議官       都甲 岳洋君        外務大臣官房外        務参事官     有馬 龍夫君        外務省北米局長  北村  汎君        外務省経済局次        長        恩田  宗君        外務省経済協力        局長       柳  健一君        外務省条約局長  小和田 恒君        外務省国際連合        局長       山田 中正君        大蔵大臣官房総        務審議官     吉田 正輝君        大蔵大臣官房審        議官       水野  勝君        大蔵省主計局長  山口 光秀君        大蔵省主税局長  梅澤 節男君        大蔵省銀行局長  宮本 保孝君        大蔵省国際金融        局長       酒井 健三君        国税庁直税部長  渡辺 幸則君        文部大臣官房長  西崎 清久君        文部大臣官房審        議官       齊藤 尚夫君        文部省初等中等        教育局長     高石 邦男君        文部省大学局長  宮地 貫一君        文部省体育局長  古村 澄一君        文部省管理局長  阿部 充夫君        厚生大臣官房総        務審議官     小林 功典君        厚生大臣官房審        議官       新田 進治君        厚生省公衆衛生        局長       大池 眞澄君        厚生省公衆衛生        局老人保健部長  水田  努君        厚生省環境衛生        局長       竹中 浩治君        厚生省医務局長  吉崎 正義君        厚生省薬務局長  正木  馨君        厚生省社会局長  持永 和見君        厚生省児童家庭        局長       吉原 健二君        厚生省保険局長  吉村  仁君        社会保険庁医療        保険部長     坂本 龍彦君        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産大臣官        房総務審議官   塚田  実君        農林水産省構造        改善局長     森実 孝郎君        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        林野庁長官    秋山 智英君        水産庁長官    渡邊 文雄君        通商産業大臣官        房審議官     山田 勝久君        通商産業省立地        公害局長     石井 賢吾君        運輸大臣官房総        務審議官     西村 康雄君        運輸省鉄道監督        局長       永光 洋一君        運輸省自動車局        長        角田 達郎君        運輸省航空局長  山本  長君        気象庁長官    末廣 重二君        労働省労政局長  谷口 隆志君        労働省労働基準        局長       望月 三郎君        労働省婦人少年        局長       赤松 良子君        労働省職業安定        局長       加藤  孝君        建設大臣官房長  豊蔵  一君        建設大臣官房会        計課長      牧野  徹君        建設省計画局長  台   健君        建設省都市局長  松原 青美君        建設省河川局長  井上 章平君        建設省道路局長  沓掛 哲男君        建設省住宅局長  松谷蒼一郎君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局公        務員部長     中島 忠能君        自治省行政局選        挙部長      岩田  脩君        自治省財政局長  石原 信雄君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    説明員        会計検査院事務        総局事務長官        房審議室審議官  小川 一哉君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十九年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十九年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 予算委員会を開会いたします。  昭和五十九年度一般会計予算昭和五十九年度特別会計予算昭和五十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  それでは、これより藤原房雄君の一般質疑を行います。藤原君。
  3. 藤原房雄

    藤原房雄君 公明党・国民会議を代表いたしまして、内政を中心といたしまして質問いたしたいと思います。  最初に、経済景気問題でございますが、過日、経済企画庁から国民所得統計速報発表になりましたが、これによりますと相当強気な、景気回復が定着したというようなことを中心といたしまして発表があったようでありますが、その辺のことについてお伺いをいたしたいと思います。
  4. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 我が国経済動向を要点だけ申し上げますと、第二次石油危機が起こりましてから非常に厳しい状態が続いておりましたが、ようやく昨年の秋ごろからことしへかけまして経済回復方向に変わってきた、このように考えておりますが、ただ、回復方向に変わってきておるのですけれども力がまだ弱いということが一つ。それから長い間の不況が続いておったというその後遺症も残っておりますので、地域による差、ばらつき相当厳しいということが一つの特徴だと思います。それからやはり業種によるばらつきが残っておる。これからこのばらつきをどう直すかということでありますが、それにはやはりもう一段経済全体の力、回復力というものが強くならないとなかなかこのばらつきは解消できないのではないか。したがって、当面はこのばらつき対策を一体どうするかということが一つの大きな課題だと、このように思います。
  5. 藤原房雄

    藤原房雄君 マクロ的に言って、米国の景気の先行きに対する不安材料もこれはあるだろうと思いますし、また昨日あたりですと、ECでも造船関係経済摩擦の火種になるのじゃないかというようなことも報じられておりますが、日米経済摩擦、それからEC、それからアメリカ景気動向、こういうこと等を含めまして、今後の日本経済見通しというものはどういうふうに考えていらっしゃるか、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。
  6. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 我が国景気回復方向に向かいました一番大きな原動力は、やはりアメリカ景気回復による輸出の拡大だと、このように思います。それから第二は、やはり不況時代数年にわたる調整政策がようやく功を奏してきた、こういう背景があろうかと思います。我が国経済は、非常に世界全体とのつながりが深いわけでございますから、これからアメリカ経済、ヨーロッパの経済、アジアの経済世界経済全体の動きがやはり日本経済と表裏一体の関係にあろう、こう思いますが、特にアメリカ景気が一番大きく私は影響するのではないか、こう思います。  アメリカ景気動向につきましては、いろいろ説がございますが、アメリカ政府は、心配はない、選挙が済んだからといってこの景気が悪くなることはない、若干心配要因もあるが、さらにそれを上回るプラスの要因もあるので景気回復はここ数年続く、こういう非常に強気な見通しをしておりますが、私どもといたしましては、それに反対する意見もありますけれどもアメリカ政府のその見通しを否定する立場にはない、このように思います。
  7. 藤原房雄

    藤原房雄君 長官は、先ほどお話ありましたけれども企画庁の資料を見ましても、業種別、それから地域別によりまして相当跛行性がある、こういうことが見られるわけでありますけれども地域経済現状についてもう少し詳しくお話しいただきたいと思いますが。
  8. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 二月の初めに、全国十カ所の地域経済調査をしたのですが、やはり一番厳しい状態にあるのが北海道沖縄、それから東北の一部も非常に厳しい状態にございます。そのほか中国の一部、四国、こういうところがなお景気がよくなったという状態ではない、厳しい状態は残っておる、こういう感じだと思います。
  9. 藤原房雄

    藤原房雄君 特に、東北北海道、北陸につきましては、このたびの寒波豪雪、これが景気停滞に対して大きな影響を持っているのじゃないかということが考えられるわけでありますけれども、その辺のことについてお伺いしたいと思います。
  10. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) やはり今お述べになりました地域は、第一次産業が非常に大きなウエートを占めておりますほかに、公共事業ウエートが非常に高い、したがって豪雪による影響等も出まして、おっしゃるような傾向でございます。
  11. 藤原房雄

    藤原房雄君 保証事業会社協会実態調査によりましても、北海道請負金額の前年度比、これは全国を下回って悪い、こういうことが言われておりますが、北海道公共事業投資、五十八年度補正発注が本格化していたいのじゃないかというふうに見られていますが、どうでしょう。
  12. 水野清

    国務大臣水野清君) 建設省としての御答弁を申し上げますが、北海道地域景気全国的に偏ってまだ落ち込んでいるという、ただいま企画庁長官の御答弁もございましたが、補正予算配分あるいは五十九年度予算配分においても、北海道沖縄については内閣全体の方針としてかなり十分な配慮をしてきたつもりでございます。予算成立後にこの五十九年度予算については施行されるわけでございますが、公共事業配分というのは、御承知のとおり、原則としては各公共事業施設整備状況、いわゆる進捗率、それから地域住民要請というようなものを踏まえて、地域の実情を見ながら全国的に公平にやるという前提ではございますが、ただいま景気状況ということもあわせて、地域経済状況を考えて配慮をしていきたいと、かように思っております。補正につきましては、相当配慮をしてやってきたというふうに考えております。
  13. 藤原房雄

    藤原房雄君 前倒しでずっとここ数年やっておりますから、その後の対策ということでこの補正というのは非常に大きな意味を持っているわけですが、冬の間仕事がなかなかできにくいこういう積雪寒冷地域についての公共事業というものにつきましては、それなり対策を講じてやらなければいかぬだろうと思います。また、沖縄北海道は特に景気が悪いということですから、公共事業についての配分等についても十分に考慮すべきだと思いますが、いかがですか。
  14. 水野清

    国務大臣水野清君) ただいまも申し上げましたとおり、公共施設配分というのは、各費目といいますか、下水であるとか道路であるとか、そういう公共施設整備状況というものを基本に置きまして、さらに地域住民要請というものも踏まえまして全国的な配分をやっているわけでございますが、特に地域経済ということも考慮に入れて配分をしてまいるつもりでございます。特に、先生御指摘の積雪寒冷地域については、いろいろだ経済事情がこれありということも考えまして、五十九年度には相当配慮をしたつもりでございます。
  15. 藤原房雄

    藤原房雄君 前倒しということについての傾斜配分ということと、それから積雪寒冷地域についての公共事業については繰り越し施行、これがいつも問題になるわけでありますが、これは現状どうなっておりますか。
  16. 水野清

    国務大臣水野清君) 予算秋行については、たるべく当該年度内支出を完了していただくということが望ましいことは御承知のとおりであります。積雪寒冷地域における事業においても、なるべくその早期実施をやっていただいて、できるだけ繰り越しをしないようにという配慮をしていただきたいと、各自治体にもお願いをしております。しかし、積雪寒冷地公共事業というのは、その地域特殊性、特に積雪といいますか、冬季の工事が非常にできないという特殊な事情から、やむを得ず予算繰り越しを十分考えて配慮をしているつもりでございますが、今年度のように豪雪などのために事業実施が非常に困難になった場合は、所定の手続を経て繰り越すことができるようになっております。この制度を活用して、適正な事業実施を図るように各自治体と連絡をとり、指導してまいりたいと、かように思っております。
  17. 藤原房雄

    藤原房雄君 年度が三月三十一日というところに、二千キロに及ぶ南北に長い日本列島の悲劇があるのでありまして、そこにはやっぱり柔軟な考え方がたければならぬ。こういうことで、繰り越しについては事故繰り越し明許繰り越しがあるわけですけれども、ことしのような豪雪寒波、こういうときには事故繰り越しという、こういうことで予算上は扱うのではないかと思うんですけれども、それぞれの省庁に公共事業は関連するわけでありますけれども建設だけでも結構ですが、五十九年度繰越費用はどのぐらいになるのか、おわかりになりましたら御説明いただきたいと思います。
  18. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) 現在、五十九年度への繰越額調査中でございますので、正確な数字はまだ把握しておりませんが、現段階での見通しといたしましては、直轄と補助を合わせましておおむね三千二百億円ぐらいになるのではないかと見込んでおります。
  19. 藤原房雄

    藤原房雄君 予算消化に当たりましては出納整理期間の利用という、こういう工事がございますね。どうしても期日までに、三月三十一日までに仕上げられないということになりますと、雪を掘って芝張りしなければならないなんて、我々見まして、こんなことではと思うことがあるんですけれども監督官庁にとってはどうしても仕上げられないというこういうことから出納整理期間を利用するとか、繰越制度を大胆に取り入れるとか、こういうことで積雪寒冷地についての工事については配慮をいたしませんと、予算むだ遣いといいますか、やったことがそれなりの効果を生まないということが出てくる。だから、公共事業はなかなか難しいんだというのじゃなくて、傾斜配分しなければならない地域に対して、特にまたこういう年度末で、原則原則といたしましても、地域差といいますか配慮がなければならぬと、こう思うんですが、いかがですか。
  20. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、豪雪によって工事がおくれた場合の事故繰り越し、通常は明許繰り越しによって対処してきておりますが、気象関係等に該当しますので、支出負担行為をなし、避けがたい事故に該当した場合事故繰り越しをすることも可能である。ことしの場合は、特に豪雪普通一般に私どもがおよそ考えられるものよりも大きいわけでございますから、私は、そういう繰り越し要件等については、いわゆる積雪地における公共事業費についてこのような繰越理由が発生した場合は翌年度に繰り越すことができることになっておって、特に積寒地公共事業繰越要件について今から緩和するという必要は必ずしもないと思いますが、現行の規定の中で、今藤原さんのおっしゃった要求にはこたえ得るものだというふうに考えております。
  21. 藤原房雄

    藤原房雄君 異常気象なんかということはこれからまたいろいろお話が出てくるんですけれども、ことしだけのことではございませんで、こういう公共事業発注に当たりましては、そういう地域性というものを十分に踏まえて、工事の実効の上がるこういう施行というものを、予算上また決算上ということだけで縛りつけることのないような施策をひとつ柔軟にやってもらいたいということを提言しておきたいと思うんです。  最近いろいろ業種を見ますと、予算成立前に箇所づけとか設計とか、事務的なことについては随分進んでいるところもあるんですが、東北の一部なんか、また業種によっては非常におくれているところもありまして、予算成立前の事務的な処理、こういうものを速やかに行うようなことも、公共事業発注に当たりましてはやはり積雪寒冷地については十分な配慮が必要ではないかと、こう思うんですけれども、どうでしょう。
  22. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 公共事業執行に関する閣僚会議の大蔵大臣が座長という意味においてお答えをいたします。  建設省のみならず、農林水産省、運輸省等々、公共事業はおよそ十四兆幾らあるわけでございますが、なかんずく北海道につきましては積雪のことを考慮に入れて、したがっていわゆる降雪時にはどういう工事ができるか、それらも含めてかなり計画的な執行体制を従来にもなくとっていただいておることは事実でございますが、特にことしのような豪雪の場合、それもいささかおくれぎみになっておるということは私も現実の問題としてあり得ることだと思っております。したがって、例えば既に配分をいたしております補正予算等につきましてそれを考えまして、北海道知事さん初め各党の国会議員の方、いろいろな角度からそれに対する御要望がありました。一応我々が今財務局等を通じてとっておりますのは、かなりの補正予算等における傾斜配分に対しては非常に喜んでいただいておる。しかし、それもまた札幌周辺といわゆるそうでないところとの乖離がまだあるというような報告も受けておるわけであります。したがって、ことしのみならず、いわゆる積雪寒冷地帯、具体的に言えば北海道東北ということになりますが、これらに対する執行については、いろんな経験の上に立って、気象条件等を念頭に置きたがらこれが執行に当たっていかなければならぬというのは御指摘のとおりであろうと思っておるところでございます。
  23. 藤原房雄

    藤原房雄君 経企庁長官からも、業種、それから地域には跛行性があるというお話でありましたが、四十七、八年の不況のときに工業再配置促進法という法律をつくりまして、その不況地域に対して対策を講じたということでありますが、これは四十五年、国調でいろいろ地域指定のための数値を出しているわけですが、しかしこれはもう社会がこんなに変化しておりますし、誘導地域とか集積度、算定基準、こういうものについては見直さなければならないときに来ていると思うんですが、通産大臣どうでしょう。
  24. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 通産省では、工業再配置促進法におきまして、工業集積の低い地域を誘導地域に指定しまして、同地域への工業導入に資する各般の施策を講じているところでございます。この地域指定のあり方につきましては、現在、昭和五十九年度を目途としまして工業再配置計画の見直し作業を進めているところでありまして、その見直しの必要性についても検討する所存でございます。
  25. 藤原房雄

    藤原房雄君 先ほどお話ありましたように、素材産業が室蘭とか釜石とか新居浜、こういうところ、いわゆる目抜き、白地地域といいますか、こういうところについては当然見直さなければならぬときに来ていると思うんです。ただ、これから作業をして、その地域に指定になって、そしてということになりますと、さしあたって室蘭のようなところにつきましては、合理化が決定をいたしておりまして、都市が非常に疲弊をしておる。地方自治体といたしましては大変な苦境の中にある。地方自治体に対する起債の問題についての施策、それから新しい方式によって適用するというそれまでの間に何らかの施策をしなければならないのは当然だろうと思うんです。四十五年を基調とする現在の工業再配置促進法では妥当しないとしましても、新しい作業に入って新しいものができるというまでの間、それらの期間、こういう地域に対してどういう対策をお考えにたっていらっしゃるのか。これは自治省も当然考えられることだと思うんですけれども、通産省と自治大臣からちょっとお伺いしたいと思います。
  26. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 先ほどの誘導地域を指定する基準でございますけれども、これは四十五年度経済諸指標に基づきまして、当該地域産業内発発展力というものを尺度として決めておるわけでございますが、お尋ねの室蘭市に関して申し上げれば、これは五十五年度、十年後でございますが、五十五年度の工業集積度も全国平均レベルをはるかに上回る四・七四でございます。これは北海道地域が〇・二八程度という極めて低い水準からいたしますと、室蘭市の工業集積度は非常に高い水準にあるということでございまして、したがって工業集積度といった面からする全国一律的な尺度で物を考えるのではなくて、現在中小企業庁等が進めております特定不況地域の振興対策という側面からの支援策、例えば特定不況企業事業部門につながっております中小企業の認定及びこれに対する緊急融資対策、あるいは業種転換のための開発研究計画に対する支援、こういったもので対応していくべきであろうというふうに考えております。
  27. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) お答えいたします。  工業再配置促進法に基づく施策につきましては、地方財政の対応としてはまず税制上の特例措置がございますので、これに伴う減収の補てん等を地方交付税の算定を通じて行っております。それから各地方団体が地域活性化のためにいろんな施策を講じます場合には、これについて必要な地方債の許可を行う、さらに場合によっては特別交付税の配分等においても所要の措置を講ずると、こういうような形で対応をしてきております。
  28. 藤原房雄

    藤原房雄君 通産省、五十五年の数値がと、こういうことですが、それ以降悪くなっているわけでありますから私は言っているのでありまして、先ほど公共事業も札幌中心じゃなくてということですが、こういう不況の製鉄しがたい素材産業中心の都市、こういうところはそこが倒れますと大きな影響力があることは今まで経験済みでありますから、公共事業等についても十分な配慮をする。これは一省庁だけでできることじゃ決してないのだろうと思いますけれども、やはり力を入れて、その町の活性化のために力になるのは当然のことだろうと思うんです。そのことだけはひとつ申し上げておきたいと思うんです。  時間がありませんから次に移りますが、国土庁が中心になりまして今日までやってまいりました三全総ですね。三全総策定の後情勢が大きく変化をしたということで、去年ですか、いろいろフォローアップをしたようでありますけれども、主な項目についてどういうことがその中から出てきたのか、お伺いしたいと思います。
  29. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 三全総策定当時と、五十二年ですから日がたっておりませんけれども、やっぱり相当大きな変化があったわけであります。それはどういうことかと申しますと、もちろん第二次オイルショック等の結果のこともあると思いますが、問題は、社会的な構造が大きく変わってまいりました。急速に高齢化、それから経済の変化によって産業の構造あるいは技術が飛躍的に進んできておる、こういうような関係から、これはどうしても日本の将来というか、二十一世紀を目指して日本の国民が希望と夢を持っていけるというビジョンを打ち立てるというのには、やはりこの辺で三全総をフォローアップをして四全総の策定に入るときではないかということで、五十八年度は各省庁にお願いをしてその基礎的な調査を進めてまいったわけであります。そういう意味から今年度は各省庁にも御協力を願って四全総策定の基礎的なものをつくり上げていきたいと、こういうふうに考えておるところであります。
  30. 藤原房雄

    藤原房雄君 これからどういう手順で作業が進められるんですか。
  31. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 手順は、これはやはり国土庁というだけでございませんで、各省庁すべてこれにまたがっていくわけであります。そういう意味から各省庁のこういったことを基礎として四全総の策定に入ったと今申し上げましたのは、各省庁等々の意見を取りまとめつつ国土庁がその中心となって、厚生省ならば厚生省、あるいはまた建設省なら建設省、あるいは郵政省なら郵政省、あるいは文部省なら文部省と、いろいろな相当長期にわたってのビジョンづくりということでございますから、各省庁の意見を尊重しながらこの策定に入っていきたいと、こういうふうに思っております。
  32. 藤原房雄

    藤原房雄君 去年の十一月の秋ですか、国土審議会で四全総策定を正式に決定したんでしょう。
  33. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) それは四全総を策定するということを決定したことでありまして、これから策定の作業準備というか作業段階に入っていくと、こういうことであります。
  34. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは国土総合開発法にのっとりまして、国土庁だけでやるわけではないので、また地方自治体のいろんな意見を聞くとか、そんなことはわかっているんですが、手順といいますか、今後の進め方、一応は六十一年を目途とするというようなこととか、一応そういう大枠は決めたわけでしょう。  国土の将来像に関する世論調査、これは総理府が四全総策定の資料としてアンケートをとったようでありますが、これなんかを見ましても、国民に強い地方志向、物より心を重視するというような、そういうことが言われているようでありますけれども、この四全総というものがどういうまた角度から検討され、定められるかということは各地方によりまして非常に大きな関心事である。さっきも大臣が話ししておりましたけれども、四全総の基本方針、これは三全総で定住圏ということを主張されたわけですが、こういう構想については変わらないのかどうか。その辺どうですか。
  35. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) これは相当長期的なビジョンということを打ち上げるわけでありますから、やはり豊かで住みよいそういう環境づくりをするということでありますから、相当三全総のこういったことを反省をしながら、日本の国土を住みやすく、環境よく、こういうことにするのにはどうするかということになりますと、国土庁本来の過疎地域の解決の問題であるとか、あるいは先ほど来から御質問に出ておりました豪雪地帯におけるところの問題等々どうするか、具体的な問題たくさんありますが、具体的な問題については局長が見えておりますから細かいことは御報告をさせます。
  36. 小谷善四郎

    政府委員小谷善四郎君) まず最初に、四全総の策定の手順でございますけれども、一応、先生もおっしゃいましたように、昨年の十一月の審議会におきまして、六十一年を目途に策定するということで作業に入るということを審議会として御了承いただいたわけでございまして、現在進めておりますのは、四全総を策定するために二十一世紀初頭にかけて経済社会あるいは地域がどういうふうになるかという問題についてのかたり超長期的な展望作業を現在鋭意進めているところでございます。このような展望作業を踏まえまして、四全総の基本構想といったものを来年の春ぐらいまでにかけて固めまして、さらにその基本構想を踏まえて具体的な計画の課題の作業を進めて六十一年までに計画を策定したいと、こんなふうに進めているところでございます。  それから、四全総はどういう方針かということでございますが、したがいまして、これからの作業によって方針が決まるわけでございまして、必ずしも確定的な方針は現在のところまだ定めておりませんけれども、しかし三全総におきまして掲げました定住構想といったものの基本的な理念については四全総においても引き継がれるべきではないかというようなことが国土審議会におけるフォローアップ作業報告の中で指摘されているところでございまして、その辺のところも踏まえながら今後作業を進めていきたいと、このように考えております。
  37. 藤原房雄

    藤原房雄君 三全総におきましては、北海道東北地域について、二十一世紀に向かって増大する人口と限りある国土との安定的な均衡を図りつつ、定住構想を実現するための戦略的地域、これは食糧基地とかいろんなことが述べられておるんですよね。しかし、この増大する人口というのは大分当初の目標からは変わってきたようでありますね。それから最近の産業構造なんかを見ますと、労働力というのはかっては非常に重要視されておりましたが、今は交通網とかそれから企業の隣接とか、こういうことが非常に大きなウエートを占める。こういうことで、積雪寒冷地についても十分な配慮という大臣のお話ありましたが、地域経済を活性化するためには、やっぱり安定的な均衡ある発展がなければなりませんが、それなりの生活の場がなければならないわけでありまして、そういうことからいいますと、こういう積雪地というのは、国土基盤の整備とか産業資本の集積とか、こういうのが非常におくれているわけですよ。こういうものをどう位置づけて、どうこれから施策をするかということは非常に重要なことであり、この地域につきましては非常に関心事であり、そういうことについて三全総と同じように重点的な考えの上に立ってこれを進めていくということは、ぜひこれは進めていただきたいと思うし、そうでなければならぬだろうと思うんですけれども、その点については、大臣も雪国、雪の降るところにいらっしゃるわけだから御存じだと思いますけれども、ぜひひとつお伺いしておきたいと思います。
  38. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 大変それは大事なことだと思います。そういう意味で北海道等は産業基盤が弱い、こういうふうな関係から公共事業によって経済の活性化を図る、経済の浮揚を図る、七千億ぐらいの公共投資がなされておるわけでありますが、今、藤原さんの御指摘の室蘭地区においては、これは少なくとも鉄であり、日本の優良企業があそこに進出をしておるわけでありますが、素材関係が大変振るわないというこういうときでございますので、大変経済の流れがやはり雇用を大きく左右しているのではないかと、こういうふうに思っております。  そういう意味から、そういったことを配慮しなから工業再配置促進法によってやはり働く場所というものを確保しなければならぬ。これは藤原さんも私もそういう場所に生まれ育ってまいりましたから、人の省のことを言うと通産大臣にしかられますが、工業再配置促進法を多少見直して、私、思い出しますと、ちょうどこれは田中通産大臣のときにつくられたんですね。そのとき大変荒っぽいというか、強い工業再配置促進法であったことを私はよく承知しております。それがだんだん骨抜きにされていきまして今の促進法になったわけでありますが、昔に返すというわけにはいかぬですけれども、多少直してもらって、そうしてそういう過疎地域に強引に誘導できるような方法をとって、そうして雇用の場をつくっていく、こういったことがこれから大変大事なことでありますし、また四全総を策定する場合においてもやはり雇用の関係というもの、もちろん教育、産業も重要視いたしますが、特に雇用関係という問題について重要視しつつ策定をしてまいりたい。特に、先ほど来の定住圏構想の問題ですが、こういった思想はやはり生かしたがら策定をしなければならぬと、こういうふうに考えております。
  39. 藤原房雄

    藤原房雄君 大臣の御所見は御所見ですが、さらに最近の社会の大きな変化で、やっぱり交通輸送体系がこれはどうしてもおくれているとその地域は進展しない。それから今、地域産業の振興というお話がございましたが、あと三全総でいろいろ計画をしました開発プロジェクト、これも推進をしなければならないのは当然のことであります。  また、北海道東北につきましては、大臣、北東公庫という、これは開発のためにつくられた、法律までつくってあるんですけれども、これがやっぱり地域の開発のためにもっともっと機能を拡充したければならぬ。こういうことで、融資の範囲を拡大するとか、いろんな実情に合った形で進めていくということもこれまた大事なことで、これは国土庁の東北開発室というところでやる。これは各省庁あずかっていますから、地域なんということになると各省全部関係してくるんだけれども、いずれにしましても、こういうことについては言うところがないから国土庁長官に言う以外にないんだけれども地域の振興対策ということで一層御努力をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  40. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 御指摘のとおりです。融資先等々は相当狭められております。また融資先も相当偏っております。そういう意味から、融資のいろんな条件がございましょうが、できるだけ、私の置かれている立場からいって、幅を少しずつでも広げるようにということは皆さんにお願いをしておるところであります。これも今、藤原さんのおっしゃったとおり、いろいろ各省庁にまたがっておりまして、国土庁長官の発言というのは極めて弱いと、こういうことでございます。
  41. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 峯山昭範君の関連質疑を許します。峯山君。
  42. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 経企庁長官にお伺いをいたします。  五十九年度経済予測につきまして、民間の研究機関の、成長率の上方修正の動きが最近出ているわけでありますが、まあ予算審議中でありますから大変言いにくい面もあるかもわかりませんが、政府としまして、上方修正の感触ですね、これは大臣、どういうようにお考えか、一遍初めにお伺いしておきたい。
  43. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) もう少し経済全体の動きを見なければ何とも言えませんが、私もそういう傾向が、上方修正の可能性は十分出てくるのではないかと、こういう感じがいたします。
  44. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その主たる要因はどういうふうな点であるとお考えでございましょうか。
  45. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 一つは民間の設備投資、特に中小企業の設備投資が数年ぶりで相当勢いを回復いたしております。それから、消費は力がそう強くないんですけれども、経常収支がどうも最近の動きを見ておりますと少しふえる可能性もこれから出てくるのではないか。まだ現在は出ておりませんが、そういう可能性も相当あるのではないかと、こういう感じがいたします。
  46. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先ほどの御答弁で大臣は、景気の問題と関連をいたしまして、輸出による経常収支の拡大ですね、これが相当影響しているという話がございましたが、この点についてはどうですか。
  47. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 経常収支の見通しは、昭和五十八年度二百二十億ドルと想定をしておりましたが、最終段階で若干ふえるのじゃないかと、こう思っておりますが、五十九年度は、非常に世界経済も動いておりますので、五十八年度と同じ数字であると一応想定をしております。しかし、先ほど申し上げますように、もう少し経済動向を見なければわかりませんけれども、この経常収支がふえる可能性も若干あるのではないかと、こう思いますが、仮に経常収支が十億ドルふえますと成長は〇・一%高くなりますし、百億ドルふえれば一%高くなると、こういうことでございます。それから、民間の投資が五%ふえますと、これまた成長は一%高くなる、そういうことでございますから、先ほど申し上げましたように、消費はまだやや弱い点がございますが、設備投資とそれから経常収支の動向がやや流動的でございますので、先ほど申し上げましたような、ややふえる可能性もたきにしもあらずであると。しかし、まだ現在のところは断定的には言い切れない、こういうことであろうと思います。
  48. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 特に、民間の予測によりますと、大変強気の予測をしておるところがありまして、今の経常二百三十億ドルを四百億ドルと見ているところもあるようでありますね。そういうふうになるかどうかわかりませんが、いずれにしましても、もしそうなりますと貿易摩擦という問題がまたここで出てくるわけでありますが、そういう点を含めまして、大臣、どうお考えですか。
  49. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) ことしの初め、政府見通しをつくりました当初から、民間の見通しの中では経常収支は三百五十億ドルである、こういう見通しのところもございました。最近は、それをさらに上方修正するようなところもちらほら見えておりますが、しかしそういうことになりますと、日本の貿易黒字は五百億ドルを超える、こういうことにもなりまして、これはもう大変なやはり貿易摩擦ということになろうかと思います。そこでどうしても、余り貿易摩擦が厳しくなりますと自由貿易体制にもひびが入る、こういうことになりますので、何とか貿易摩擦が拡大しないようなそういう政策を強力かつ迅速に進めるということが当面の急務であろうと、このように考えております。
  50. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先ほど御答弁ございました、個人消費が力がないというお話ございましたが、個人消費に力をつけるための一番の方策としては、どういうことを考えられますか。
  51. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) これはやはり所得の伸びが少ないということでありますから、所得が伸びれば、それはもう当然個人消費はふえる、こういうことになろうかと思います。
  52. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 減税の上積みということは考えられませんか。
  53. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この間、この減税法案を通していただいたばかりでございまして、またいわゆるその財源に見合う間接税、酒税等、御審議いただいておるさなかでございます。これは減税すればそれだけ可処分所得がふえて消費を刺激するという、それは原則、理論はそのとおりでございましょうが、五十九年度予算におきましても、なお歳出の二五%は公債発行によって賄わざるを得ないという状態の中で、今御審議いただいて、通していただいて、そしてその財源について今御審議いただいておると。これが今日の時点で精いっぱいのものと言わざるを得ないというふうに考えております。
  54. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 円ドル問題についてちょっとお伺いしておきたいと思いますが、四月に第三回目の会議が行われると聞いておりますが、この事務レベル会議で、大臣、これは解決の見通しはどうなんですか。
  55. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは今度、二月、三月、それで四月で第三回目と。本来は、その三回目までで大臣代理のレベルの会合が終わって、それを議長であります私とリーガン財務長官に報告が上がっていく、こういう性格のものでございます。私どもといたしましては、十六、十七日のその第三回会合ということは、いわゆる日本側としての努力の成果が逐次積み上げられてくるものであろうというふうに今期待をいたしております。
  56. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先日のリーガンさんの記者会見等を見ておりまして、大変厳しいものだったんですが、特に今ネックになっている問題はどういうことが今ネックになっているんですか。
  57. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 端的に申しますと、日本側の対応の仕方というのはいわば積み上げ方式と、ステップ・パイ・ステップとでも申しましょうか。それで、リーガン財務長官の言葉をかりればストライド、要するに大変な歩幅で進むべきだと。その辺のいわば双方のスピード感の認識というものに差があるというふうに私は思っております。事務当局間で詰めますと、日本側も多大なる努力をしてくれたことは明らかである、こういうような共同記者会見になる。それで、私もリーガンさんも、私は国会、リーガンさんは中国からの帰りでしたから、報告をまだ聞かないままであったと。そこで、元来私自身がスローモーションかもしれませんが、印象としてはかなりスピードの差という印象は受けられたのじゃないか。その記者会見後、またお会いをいたしまして、双方のよって立つ歴史的経過等を話し合って、その認識は幾らかずつでも詰まりつつあるのではないかというふうな印象を私は受けております。
  58. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もしこれが解決できないとすれば政治問題になる可能性もあるわけですが、大臣としては、そういうことにしないで解決できる見通しがあるということでございますか。
  59. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 双方にとって完全に満足なものになるかどうか、これは私も予測できないところであります、我が方が言うユニタリータックスの問題があったり、向こうのユーロ市場におけるもっと急速な自由化の進展を期待する向きもございますから。しかしながら、一応四月、第三回会合が行われ、そこであらかたすり合わせが行われて、五月、報告書をいただいて、そしてサミットで別にこれは報告するわけじゃございませんけれども、それまでの間の二国間の話し合いとかいろんな場所があろうかと思いますが、それについて政治問題化するということはないように心がけていかなければならぬと思っております。
  60. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、ロンドン・サミットまで持ち込まれる可能性はない、あるいは持ち込まれるとお考えなんですか。
  61. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは一応二国間の問題でございますから、サミットの議題に持ち込まれるという性格のものではないと思います。ただ、当然のこととして、サミットになれば二国間も会う機会があるわけでございますが、しかしそれまでにおおよそこの方向だけは、双方の議長であります私とリーガン財務長官の間で確認する方向にまでは持っていきたいというふうに考えております。
  62. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先ほど公共事業前倒しの問題で質問しておりましたが、これは大蔵大臣、上期契約率の問題ですね、これはどういうふうにお考えなのか。大蔵省としては六〇%台を考えていらっしゃるようですが、やっぱり七〇%以上の契約率にしないと今の景気回復の足を引っ張ることにならないかと心配しているわけですが、この点どうですか。
  63. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 最近の我が国経済は、生産、出荷あるいは企業収益等の動向から改善が見られておるということでございます。したがって、今後とも国内民需を中心とした安定的な経済成長が達成されていくことを期待しておるわけでございますが、やはり機動的、弾力的な施行を図っていくという考え方でございます。五十九年度における公共事業等の施行方針は、一応予算成立を待って最終的には決定するということになろうかと思っております。ただ、六〇%と今、例示としておっしゃいましたが、振り返ってみますと五十五年、五十四年の暮れから過熱したと申しますか、特に物価の問題がございましたが、あのときに、五十五年を六〇%程度ということにしたことがございます。これはどっちかといえば抑制型と言えますので、これから議論してみなければわかりませんけれども、私は抑制型ということはまだ考えたことが余りございません。
  64. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題、河本長官、どうお考えですか。
  65. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) これは先ほど来いろいろ議論が出ておりますように、大勢としては景気回復方向にあるんですけれどもばらつきが非常に大きい。そこで、やはりこのばらつき対策が緊急の課題だ、このように私どもは考えておりますので、予算成立の段階で、与党の方からもいろんな要望も出ておりますので、関係各省の間で一体どうすればよろしいかということについて相談をしなければならぬ、このように考えております。
  66. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 結構です。
  67. 藤原房雄

    藤原房雄君 それじゃ、農業問題に移ります。  山村農水相が今アメリカで交渉いたしておりますが、アメリカへ行きましてからの現在までの状況をひとつ御報告いただきたいと思います。
  68. 塚田実

    政府委員(塚田実君) お答えいたします。  山村大臣とブロック通商代表との第一回目の協議は、現地時間四日の午前九時半、日本時間ですと昨日の午後十一時三十分から約二時間、米国通商代表部において行われております。そこで、第一回目の協議は、農産物に関する現下の問題に関する各種の事項について意見の交換が行われたそうであります。そして、あす五日も引き続き協議するということになっております。
  69. 藤原房雄

    藤原房雄君 私どもは、委員会でもまた大臣が表明しておりましたように、見通しのないのに行かぬぞということを、また委員会等の決議を尊重してということを絶えず言っておったんですが、政治決着、政治的な力による解決の方途というものが先行するようなことがあってはならぬということを一番危惧しておったんですが、突然訪米ということになりました。  それで、ことしの一月の末から二月の初めに安倍外務大臣がアメリカへ行きましたですね。そのとき、農産物交渉のことについてもいろいろ話し合われたようですが、マスコミ等によりますと、外相は打開の道筋はついたと、もう決断と実行だと、それで突破する以外にないというようなお話、これはやはり交渉内容に対する非常に厳しいイメージを受けるんですけれども、我々はマスコミで知る以外にないんですけれども、大変厳しい内容であったのではないか、こう思うんですが、どうでしょう、どうだったんですか。
  70. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 一月に参りまして、アメリカのブロック代表を初め、いろいろ幹部と会いまして、これは農産物だけじゃなくて、日米間の懸案問題について今後どうするかといった基本的な方向について話し合いをいたしたわけですが、その際、やっぱり農産物が先に来る、三月三十一日に協定がこれは切れるものですから、いろいろと話し合いました。その際にアメリカの考え方がどうかということも打診したわけですが、大変きつい、厳しいという認識を得まして、やはりこれを解決するにはアメリカ側がもっと弾力性を持って臨んでもらわなければ困るということを強く私は主張いたしまして、アメリカ側にもそうした気配もないわけではない、やはり農産物問題を何とか決着をして、その他の問題も解決をしたい、そういう大局的な判断がアメリカ側全体としてはある。ですから、最後にはやはり日米双方である程度の歩み寄りをして、特にアメリカが弾力的な姿勢でこれに臨めば決着のできる可能性はあるのじゃないか、そういうことで、帰って報告をしたわけでございます。  確かにその後の事務当局の交渉等の経過を見ますと、日本側もできるだけの努力をしております。それに対してアメリカもある程度の弾力性といいますか、歩み寄りは見せておるわけでございますが、しかしそうは言っても開きはまだ依然として大きいわけでございまして、これはなかなか突破できない状況に今ある。そういう中で、さらにひとつアメリカ側にも歩み寄ってもらいたい、日本はもうぎりぎりのところを走っておる、こういうことで今最後の交渉が山村農水産相とブロック代表との間で行なわれておるわけでございます。交渉に今まだ大きな進展が見られておるとも判断できませんが、しかし今後の両当事者間の交渉というものを見守ってまいりたい、こういうふうに思います。
  71. 藤原房雄

    藤原房雄君 VANのことも大変、通産、逓信関係で論議されておりましたが、これもやっぱり届け出に決着がしたようでありますけれども、どうも国際協調ということ、これは度外視してはならないことかもしれませんけれども、やっぱり日本の国益を守るという上においては、主張することは厳しく主張しなければならぬだろうと思うんです。安倍大臣は農林大臣やっていらっしゃって、今、日本が生産調整をして需給バランスを崩すようなことがあってはならぬという、こういう現状というのは一番よく知っている立場にあるのじゃないかと思うんですね。そういう見通しが十分でない中で、シュルツ国務長官からいろいろ要請があるという、こういう形で訪米しなければならないということを私は最も危惧しておったところなんですよね。この間のこと等について、なぜこういう形になって、やむを得ないということで訪米されるようなことになったのか、外務大臣としてどういう御所見を持っていらっしゃいますか。
  72. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは私は、やはり最終的には日米の両責任者で話し合わなければならぬと思います。決着がどういうふうになろうとも、どうしてもそれが日米関係から見まして大事なことであろう。三月三十一日にこれまでの協定が切れるわけで、事務当局間で話し合って、これ切れたからといって済ますわけにもいかない、その他の懸案もありますし、そして日米という大きな関係があるわけですから、前回も中川・ストラウス会談によって決着を見たわけですし、どういう決着になろうとも、これはやはり日米両国の両当事者間で、両責任者間で話し合うということは、これはもう避けては通れないことであろう。そういうふうなことで、話し合いをするにしても、やはり冷静な雰囲気の中で話し合えるような時期がいいのじゃないか。それが期限が切れてだんだんと時間がたっていきますと、日米双方間でますます妙なことになってしまうので、早い方がいいというのが私の考えでございまして、山村農水産大臣もそういうことは十分踏まえて、そしていろいろと関係者と相談をして、自分が行って話をつけるのが一番いいんだ、こういうことで行かれたものである。そして私は、それは今後のこの問題を処理する上において正しい方向であろう、こういうふうに考えておるわけであります。
  73. 藤原房雄

    藤原房雄君 気象庁にお伺いいたしますが、三月十日ですか、ことし四月から九月までの気象予報、それからまた異常気象白書を発表いたしましたが、概要について御説明いただきたいと思います。
  74. 末廣重二

    政府委員(末廣重二君) お答え申し上げます。  春分を過ぎましてもなお暖かくならなかったという今春の異常気象でございますが、これは、きのう、きょうとやや暖くなりましたが、天気の回復とともに再び寒さが戻りまして、平年並みの暖かさになるのは月半ば以降であると存じます。それから、異常気象の実態ということを私ども先ごろ発表させていただきましたが、日本を含めまして世界の多くの地域で一九六〇年代から七〇年代と、次第に気温、降水量の年々の変化が大きくなりました。特に北半球の平均地上気温の変動は近年著しく増大しているわけでございます。したがいまして、これからの一九八〇年代も引き続き年年の天候は変動が大きくなる、異常気象が発生しやすい可能性を含んでいる、こう予測しております。
  75. 藤原房雄

    藤原房雄君 この異常と言われるような寒波が四年も五年も続くということになると、これは異常ということじゃなくて、そういうのが常態といいますか、常の姿というふうな見方も出てくるんじゃないかと思いますが、どうでしょう。
  76. 末廣重二

    政府委員(末廣重二君) お答え申し上げます。  今までの例によりますと、二十年とか三十年に一遍しかあらわれないような異常な寒さとかあるいは降雪が何年も続くということはございませんでした。ことしの大変な、日本海側はもちろんのこと、太平洋岸側を含めての大雪ということも明治以来のことでございまして、同じような異常気象が何年も長期間にわたって続くということはないと思っております。
  77. 藤原房雄

    藤原房雄君 今、世界的にも気象状況がおかしいということで、それぞれの機関で調査をし、日本もそれに参加していると聞いておりますが、どうですか。
  78. 末廣重二

    政府委員(末廣重二君) 一九六〇年代から多発の傾向が進んでまいりました異常気象ということは、これは全世界的規模で起こっていることでございまして、一国の調査だけでは、その原因あるいは経過を十分に究明することはできません。したがいまして、私どもは国連の下部機関、専門機関の一つである世界気象機構を通じまして、全世界、北半球も南半球も協力いたしまして、この近年の異常気象の解明にただいま懸命に努めているところでございます。
  79. 藤原房雄

    藤原房雄君 豊作であることを祈るんですが、気象状況がどうも今までとは違うということが今言われております。端境期の米の需給ということが非常に心配されるわけでありますが、現在在庫が十万トンしかないということ、昨年の端境期には六十五万トン食べてしまったということですから、作況指数九六であったわけですが、ことしの端境期は大変危惧されるんですが、食糧庁ではどういうふうに見ておりますか、農水省。
  80. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) お答えを申し上げます。  五十九米穀年度におきましては、五十八年産の米の生産量を大体一千三十七万トン、こういうものに前年産以上のものを約十万ないし十五万トン加えるということで、供給計といたしまして一千六十万トン、それに五十八年の十月末の古米在庫が、前年産米の在庫量が十万トンございました。それに対しまして需要量は大体一千五十万トン。そういう意味で、確かに明年の十月末の前年産米の在庫量は十万トンでございますが、米の需給は、現実には早場米が相当出回ってきておりまして、米穀年度は十一月-十月でやっておりますけれども、現実には九月ごろから当年産米が相当出回ってくるということで、九月、十月期におきまして五十九年産米は約三百五十万トン程度出回ってくるということもございますので、私どもといたしましては、今年の秋の需給につきましても心配はないと考えております。
  81. 藤原房雄

    藤原房雄君 新米穀年度になれば新米三百五十万トンから四百万トンあるということですが、九月に間に合う量というのは大体百万トン、それから八月末というと在庫の十万トンということですから、非常にここのところは厳しい状況にあるということが言えると思うんですね。このことについてはどうですか。
  82. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 八月末の在庫量につきまして今手元に正確な数字がございませんけれども現状から見まして百万トン近い恐らく数字のものが出るのではないかと思いますし、もうすでに早いところでは七月末には九州の方から出てまいりますし、八、九、十と考えまして、需給につきまして私ども心配ないというように考えております。
  83. 藤原房雄

    藤原房雄君 外務大臣、援助米ですね、食糧不足国へ援助に回している米をことしから打ち切る、五十九年度からもうないわけですね。これに対して、非常に困るということでバングラデシュほかの国からも要請が来ていると思いますが、外務省としてはこれをどのように受付とめていらっしゃいますか。
  84. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 確かに、日本から直接、余剰米を食糧援助として送るということは、余剰米がなくなった現在においてできないわけですが、しかしKR援助という形で外国の米を買い付けまして、そしてこれを食糧不足国に援助する、こういうことをやっております。特に最近は、アフリカ諸国が干ばつ、飢餓で非常な悲惨な状況にあるわけで、我々としてはそうした食糧援助、特にKR援助を、これを積極的にやっていきたい。日本の米ではできませんけれども、ビルマとかあるいはタイとかそういう国々の米を買い付けて、そして援助という形で協力する、こういうことで今後ともこれは続けてまいり、そしてまた、アフリカ等の情勢を見ながら拡大をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  85. 藤原房雄

    藤原房雄君 五十四年から五カ年間で二百四十万トン近く日本の米を持っていった、輸出したわけですけれども、不足国は米が入ればいいのかもしれませんけれども、余ったからやったので、たくなったからほかから買ってやりますという経済ベースで物事を考えるような、そんなことで今までやっていたんですか。
  86. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは、基本的には人道援助という形で、別に余ったから出していると、こういうことではないわけで、米がもちろん余る前から我々としては、日本としてはKR援助という形で食糧援助を続けておったわけでございます。たまたま日本が余ったという状況にあったわけですから、それは日本の米を使ったということであって、別に特別な、何か日本が勝手に日本の立場だけで、わがまま、ちょっとひとつ勝手にやったんだということじゃなくて、あくまでも人道という立場を貫いて、長い間の制度としての食糧援助をずっと続けておる、こういうことであります。
  87. 藤原房雄

    藤原房雄君 端境期に危なくなるような、綱渡りするようなことよりも、今の三期計画を見直して、過剰米が出れば、当然これは海外の援助米にもできるわけですから、経済ベースだけで物を考えるんじゃなくて、この三期対策についても見直す必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  88. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、在庫状況につきましては非常に正常なものというふうには私ども考えておりません。そこで、水田利用再編対策は五十九年から六十一年まで三年かけて行うわけでございますが、三年間の需給だけで見ますと、大体平均いたしまして転作の必要量は面積として七十万ヘクタールでございます。これですと、実際上、単年度需給が均衡するといたしましても、在庫状況から見ますと不十分というように考えますので、私ども、そのうちの十万ヘクタールにつきましては在庫積み増し用に充てていく、それによりまして年間大体四十五万トン、三年を考えますと百三十五万トン、それに先ほど申し上げました米穀年度末の十万トンを入れますと、正常な平年作を想定しました場合、三年度先に大体百五十万トン近くの在庫ができる、そういうことによりましてやはり米の正常在庫を復元をしていきたいというように考えているわけでございます。
  89. 藤原房雄

    藤原房雄君 厚生大臣、時間がないということだから集中的にあれしますが、農村における老齢化というのは、まあ日本の人口全体が老齢化が進んでいるが、農村では特に急激に進んでおる。こういうことで、モデル的に農村における老齢化に対する対策、こういうものは厚生省としても特に重視しなければならぬだろうと思いますが、何か考えていらっしゃいますか。  さらに、農薬問題についていろいろお聞きしたいと思いますが、残留農薬のことがいろいろ言われております。いずれにしましても、農薬取締法でこれは農水省、それから食品衛生法、それぞれの法律で所管官庁が違うわけですが、使った後それが土壌汚染とか食品汚染とか、こういうことになりますと、これは人体に影響があるということだと厚生省だと思いますが、一元的にやっぱりこういうものについての調査研究体制というものがつくられなければならないと思うんです。量よりも質的にやっぱり最近は調査をする必要があるというふうに思いますが、いかがですか…
  90. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 第一点の、農村がこの高齢化を特に速めておりまして、今日非常に老人の多いところになっております。そのために、それぞれの市町村、自治体でもいろいろ施策が講じられなければなりません。私も厚生省に入りまして、地方の農山村の老人対策中心とした福祉施策ということに力を入れるように今日まで言ってまいりまして、例えばゲートボールの普及だと、これを今、力を入れるよう努力しておるんですが、これはむしろ都会よりも農村の方がそういう環境にあるわけですから、これからそういうことを勉強しまして、農村の老人が明るく常に笑顔を絶やさないで住んでいけるような環境づくりのために力いっぱい頑張ってまいりたいと思います。  それから第二の点でありますが、これは農産物にいろんな農薬やなんかが残っておって、これが食品衛生に影響を与えるようでは困りますので、厚生省としては食品衛生上の建前から、国民の皆さんが安心して食物をいただくということは、これは安心して生きていくための国づくりに一番大事なことでありますから、今後も念には念を入れて調査を進めるように努力してまいりたいと思います。
  91. 藤原房雄

    藤原房雄君 決意発表だけで、まあ時間ないからしようがないですが、農業につきましては土地と基盤とそれから人ですね。人の問題についてちょっとお伺いしておきますが、基幹的農業従事者、これは十六歳以上六十歳未満で平均百五十日働く方ですが、五十七年一月の農林統計で見ますと、十六から二十までの方ですね、統計に出てこない県がありますけれども、男女に分けてこれを報告いただきたいと思います。
  92. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 申しわけございません。今、手元にその数字がございませんので、後刻御報告を申し上げます。
  93. 藤原房雄

    藤原房雄君 お見せします。
  94. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 六十五歳以上の男女別のお話ですが、今、先生のお示しの数字、資料をいただきましたが、男子が四十二万四千六百八十、女子が二十二万六千四百九十というような数字になっています。それから、十六歳から十九歳の基幹的農業従事者につきまして、男子の基幹的農業従事者のいない県が十四県、女子が三十三県というような数字でございます。
  95. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは十八万人を対象にしたものですから、その中に出てこない数字があるからこれはゼロだとは言い切れないと思いますけれども、十六歳から二十までの方が統計に出てこないのが男子が十四県、女子が三十三県、統計に出てこないということは、もう後継者が本当に数えるだけだということでしょうね。  こういうように若者が希望を持って農業に従事していない、こういうことで、後継者問題というのが農業問題については最も大事なことだと思いますが、こういうことについては農水省はどう考えていらっしゃいますか。
  96. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 御指摘のとおり、若い層がこれから先農業に来ないということでございますと日本の農業は衰退してまいりますので、私どもといたしましては、やはり若い方々が農業に従事をするというためには、農業に新しい展望、将来について期待が持てるというようなことがやはり必要だろうと思っております。私ども、そういう意味におきまして、昭和六十五年につきまして展望を出し、具体的な農家像、農家経営というものを地域別に具体的に明示をしていく。また、それによりまして、若い方々に農業の将来というものを具体的に把握をしていただくと同時に、若い層につきましては農業教育、それに対しまして農業者大学校というような特別の教育制度、あるいは教育のための資金融通、低利資金の融通と、そういうような諸般の農民教育といいますか、農業教育を若い方々に普及をしていくということをもって今後の後継者確保に努力をしておるところでございます。
  97. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 時間がなくなりましたから簡潔に。
  98. 藤原房雄

    藤原房雄君 文部大臣、初等教育からこれは自然に親しむ、農業の重要性、こういうものに対する教育、またそれに接する機会、こういうものをつくることが大事だと思います。また、大学入学に当たりましても、共通一次ですね、やっぱり実業学校から受ける方はハンディを背負うわけですが、こういうことについては各大学でそれぞれ工夫しているんですけれども、推薦入学で文部省としてもこれはやっぱり取り組むべき問題じゃないでしょうか、どうでしょう。
  99. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 共通一次につきましては、もう御承知のとおり一般的、基礎的学習の到達程度を見るということになっておりますので、必修科目の範囲の中で五教科七科目を高校教育そして産業教育すべてに課しておるわけであります。五十七年度に改定をいたしました新しい教育課程に対応いたしまして、六十年度からは出題科目につきましては、職業科出身者のためには数学の出題範囲には工業数理あるいは簿記会計Ⅰに加えまして選択解答するようにいたしております。  職業教育全般についてでございますが、その中で、大学の進学につきましては、大体推薦入学をできるだけとり得るように各大学にも御協力いただいておりまして、大体二十五大学三十八学部が推薦をいたしておりまして、ちょっと古い数字で恐縮なんですけれども、農業関係では大体大学進学の希望者に対して九五・三%、水産につきましては九九二%でございますので、ほぼ上の方の学校にお進みになりたい方には希望がかなえられるようになっております。  それから、小学校の社会科を中心にいたしまして、農業に対しましては極めて国の重要な産業一つであるということの認識で、非常に教科書の中身に農業をたくさん記述をいたしております。ちょっと長くなって恐縮ですが、教科書全体で大阪書籍というところでは約二六%、学校図書では三二%、日本書籍では三四%、その他おおむね三〇%以上が農業問題、ここにもございますが、非常に多く記述されておりますし、最近では農作物栽培とか自然に親しむ勤労生活体験というような形で、農業作業を小学校の教科の中に組み入れているということもつけ加えて報告をいたしておきます。
  100. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で藤原君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  101. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、和田静夫君の一般質疑を行います。和田君。
  102. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと昼前の時間、かなり制約されましたので、順序まちまちになりますから、大臣、答弁者側には非常に恐縮でありますが、お待ち願うことがあるかもしれません。  まず、金融開放問題ですが、ユーロ円債の開放のためそこに焦点が非常に当てられてきていますけれども日本の公社債市場のあり方が大きな問題を投げかけると思われますが、その影響は。
  103. 酒井健三

    政府委員(酒井健三君) 日米のアドホックの作業部会や何かで、アメリカ側からユーロ円市場の拡大について非常に大きな関心が示されております。ユーロ円市場の中でも特に債券市場、ユーロ円債の市場開放について関心が寄せられております。そしてユーロ円債の場合、居住者が発行するユーロ円債と非居住者が発行するユーロ円債と分けられるわけでございます。  御承知のように、非居住者のユーロ円債の発行につきましては、昭和五十二年以来、外国政府とか国際金融機関等に発行を認めております。居住者のユーロ円債の発行につきましては、公募については今までは行われておりません。例外的に私募については行われております。昨年十一月の大蔵大臣とアメリカの財務長官との共同新聞発表で、居住者のユーロ円債の発行のガイドラインについて、一九八四年四月から緩和するというような意図表明を行いまして、四月から居住者の、日本の会社もユーロ円債を一部発行することができるようになった。しかし、御承知のように国内の社債発行につきましては有担保原則がある。ユーロのマーケットでは慣行として有担保ということはない、無担保ということが原則であるというような問題がございまして、私ども、居住者のユーロ円債のガイドラインの緩和に際しまして、その辺、証券界、銀行界、発行者の関係の意見調整を求めまして、国内の無担保債、無保証債の発行の基準の緩和もあわせて行われるというようなことで、ユーロ円債の発行の緩和による国内の社債発行くの影響というものにつきまして大きな影響を与えないように、段階的にやるようなステップがとられたという状況でございます。
  104. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、今答弁にありましたように、この有担保原則が一挙に崩れるということなどを含んで、今度の日米円ドル協議でもってかなり具体化すると思うんですが、今、段階的という答弁があったんですが、大臣としてはどういう構想でしょう。
  105. 竹下登

    国務大臣竹下登君) やはり私としては、国内のいわゆる調達に急激な変化をもたらさないようにやらなければいけないと。それで、日本銀行も大蔵省も大体共通しておりますのは、新聞紙上で見ますと、ユーロ円、ユーロ円ということが、特に第一回のアドホックのときに、一番最初の何といいますか、議題に書かれておりましたので、それが強烈に印象づけられておると思うのであります。したがって、やっぱり国内の金融市場に急激に影響というものが起こらない形でやっていかなければならぬということからいたしまして、いわゆる国内の適債基準、こういうようなものはやはりいろいろ協議いたしまして、非常に何といいますか、安心感のいくとでも申しますか、そういう形で指導して、四月一日から動いたばかりでございますけれども、これからもやっぱり国内金融市場への影響を一番配慮したから進めていかなければならぬ課題だというふうに理解しております。
  106. 和田静夫

    和田静夫君 金融の自由化に関連しまして、金融業界の再編成がクローズアップされてくることになると思われます。相銀以下の中小金融機関の再編成、吸収合併が急速に進行するのではないかと見ますが、そこでこれまでの大蔵省の中小金融機関の位置づけが大きく変わらざるを得ないのではないかと思うのですが、銀行局長
  107. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 御指摘のように、我が国の場合にはいろいろな金融制度がございまして、特に中小企業金融につきましては、相銀とかあるいは信金、信組、いろいろあるわけでございます。その自由化が進んでまいりますと、やはり非常にコストが高くなるとか、あるいは競争が激化するとかいうようなことで、特に中小金融機関に与える影響は大きくなると思います。  ただ、やはり中小金融専門機関として位置づけられております専門性、特に組合金融機関、信用金庫とか信用組合の位置づけというのは、やはり果たすべき役割はおのずからあるわけでございまして、この辺につきましては、私どもといたしましては、十分中小企業金融の円滑化に支障のないような対策を講じたから自由化への対応を図ってまいるということじゃないかと思うのでございます。
  108. 和田静夫

    和田静夫君 ずばり言って、中小金融機関の役割は終わったとは考えない、必要性はやっぱりある。
  109. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 必要性は多分にございます。同質化が進むとは思いますけれども、ますます一方で特色ある金融経営をやることが必要になると思います。当然残っておるわけでございます。
  110. 和田静夫

    和田静夫君 私も同様でして、中小金融機関独自の役割、特に中小零細企業に対する必要性としては依然として求められ続けると思います。ただし、この部門はそれぞれ特有の問題点を抱えていることも事実でありまして、きょうは二、三点指摘をしておきたいのでありますが、まず大阪の実業信用組合、私の知る限りでは百三十億円の不良債権を抱え込んでいる。この組合の預金残高が百八十億円と言われている。預金残高に迫る大量の不良債権となっている。私は長年にわたって本委員会や関連委員会でずっとこれは取り上げ続けてまいりましたが、一体どうなさるおつもりなのか。事実上の倒産状況であると考えられるんですが、どういう措置を試みられますか。
  111. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) これも先生御指摘のとおり、かねがね経営についてはいろいろ問題があった組合でございます。ただ、現在大阪府におきまして直接指導監督いたしておりまして、今直ちにここで経営内容なり、今後の対応についてこの場でお答えすることはなかなか難しいと思います。  ただ、私どもといたしましても、この一金融機関の問題が金融秩序全体に影響することがあってはいけないわけでございますので、特に大阪府が中心になって、私どもといたしましても近畿財務局が大阪府等といろいろ協議に乗っておりまして、現在、関係者間で各般の対策について協議が行われておる段階でございます。私どもといたしましては、その協議の状況を十分フォローいたしつつ、金融に混乱を起こさせないように努めてまいりたいと、こう思っております。
  112. 和田静夫

    和田静夫君 この実業の場合は極端な例でありますが、中小金融機関の問題行というのは大体ワンマン経営で問題を起こす、行政はそれを見て見ぬふりをする、そしてにっちもさっちもいかなくなったところで天下りを送り込む、どこもそういうパターンでやってきた、私が過去に取り上げた相銀以下のところは大抵そういうことですね。こういう姿勢については何か反省がありませんか。
  113. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 私どもの金融行政は、御承知のとおり預金者の保護ということを中心眼目といたしまして、特にサウンドバンキングの見地から行政を行ってまいったわけでございますが、ただ、最近におきましてはいろんな金融機関に対する社会的、国民的なニーズも多様化してきておりまして、単に預金者保護だけの見地から経営を行ったり、あるいは行政を行うわけにはいかないような時代になってきております。いろんな激動する経済金融情勢の中で、確かに、特に中小金融機関を中心にいたしまして経営について問題が起きているところも多々あるわけでございまして、特に御指摘のワンマン経営とか、あるいは公私を混交するような経営というのは一番私どもとしてはまずいと思っておるわけでございまして、そういう点につきましては検査を通ずるなり、あるいはその結果に基づきます行政におきまして、十分公共的な性格を持った、あくまでも免許企業であるところの金融機関であるということを中心に行政をやってきたつもりでございまして、私ども、今の御指摘のような仕方でもって救済をしてきたつもりはないのでございますが、結果としてそういう公共性というものの見地から、あるいは私どもの専門家がそこに入って手助けをするというようなことはあったかと思いますけれども、御指摘のようなことを基本的な方針として行政を進めてきたわけじゃございません。
  114. 和田静夫

    和田静夫君 実業の同じ例としてきょう私は何を取り上げようか、随分たくさん告発が来ていまして迷ったんですが、尼崎浪速信用金庫だけきょうちょっと一言言っておきたいんです。  この信用金庫は、理事長の弟の経営する産報実業KKに情実融資を行ってきました。産報が倒産した五十三年六月段階で七億二千三百八十万円の貸付残高となっています。現在元利合計で十億円を超えると見られますが、これはまず第一に担保らしい物をほとんど取っていません。第二に、事実上の地区外貸し付けてあります。第三に貸付限度額、当時、尼信の貸付限度額は四億ですが、超過しています。これは大蔵省に対しても尼信の元幹部から上申書が出ているようでありますから、事態はよくおわかりのところだろうと思うんですが、どうでしょう。
  115. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 具体的な問題につきましてはお答えを差し控えさしていただきたいと思いますが、今の御指摘の具体的案件、これは私どもといたしましても財務局を通じましてフォローさしていただきまして的確な処理をさしていただきたいと思います。
  116. 和田静夫

    和田静夫君 一般論といたしまして、こういうような貸し付けがあるときにはどういう問題が発生しましょうか。
  117. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) やはり、審査が不十分であったりあるいは担保不足とか、あるいは融資に対しまして的確でない融資が行われる可能性があろうかと思うわけでございます。いずれにいたしましても金融機関でございますので、先ほど申し上げましたような公共的な性格というものを十分わきまえた上で融資活動をすべく、かねがね指導をいたしているところでございます。
  118. 和田静夫

    和田静夫君 私は、理事長の退陣だとか、特別背任問題だとかというようなことが起こるのではないだろうかと素人なりに考えますが、近畿財務局が五十四年の二月と五十六年の八月と二回にわたって検査に入っています。この検査で不正融資は今明らかになっているはずでありますが、なぜこの時点で適正な処分ができなかったのか、私には不思議でしょうがないんですが、いかなる見解でしょう。
  119. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 私自身ちょっと詳しくあれいたしませんが、財務局を通じまして調査させていただきます。
  120. 和田静夫

    和田静夫君 日債銀の福島交通への融資が問題になっているわけですが、この日債銀と同様の出生の経路を持つところの日貿信。それで、尼信は多額の融資をこの日貿信に行っている。五十六年八月の近財検査でこれが明らかにされたんですね。ところが、この員外貸し付けになると考えられる問題について、検査の結果どういうような融資実態が明らかになって、どういう処理をされたのか明らかにしてもらいたいと思います。
  121. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 具体的な問題の本席でのお答えは差し控えさしていただきたいと思いますが、私どもといたしましても、きょう御指摘の案件につきましては私どもなりに調査いたしてみたいと思います。
  122. 和田静夫

    和田静夫君 私はこれ、近財の検査報告に基づいて質問いたしていますので、お忘れなく。  要するに、この検査の結果もろもろの問題を大蔵省はおつかみになった。だが、金庫の経営は改善されなかった。それはどうも私は金庫側と行政との間の癒着があったからと思わざるを得ないのありますが、この点も明確に調査を求めますが、いかがでしょう。
  123. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 私どもの行政にいやしくも金融機関と癒着するようなことは決してないとは存じますけれども、今の案件につきましては後刻私どもなりに調査いたしたいと思います。
  124. 和田静夫

    和田静夫君 この信用金庫はサラ金も経営をしています。近畿ナショナルファイナンス。本社は尼崎市東本町三の一、資本金一千万円、設立五十八年三月七日、代表取締役は川田正夫、尼信の総代です。それから、専務は大戸三千雄さん、尼信の元神戸支店長。このサラ金は尼信の総代がやっているような形になっているのでありますが、事実上、尼信のダミーであるわけであります。資金も尼信から子会社の尼信不動産経由で流れています。この点もお調べいただけましょうか。
  125. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 調査いたします。
  126. 和田静夫

    和田静夫君 このサラ金に関連して検察庁にお尋ねをいたしますが、東京都庶民金融業協会元総務課長遠藤悦三の横領事件でありますが、捜査状況を報告してください。
  127. 筧榮一

    政府委員(筧榮一君) 遠藤悦三に対します事件につきましては、さきに業務上横領で起訴いたしました。その後、同人に対する余罪の有無について捜査を継続中でございます。
  128. 和田静夫

    和田静夫君 都以外の協会についても捜査が行われていますか。
  129. 筧榮一

    政府委員(筧榮一君) 捜査の範囲、内容等につきましてはお答えを差し控えさしていただきたいと思います。
  130. 和田静夫

    和田静夫君 法務大臣、これは横領容疑以外にも捜査の視点は移っていると見てよいでしょうか。
  131. 筧榮一

    政府委員(筧榮一君) さきに起訴をいたしました五千万円余の業務上横領、そのほかに業務上横領の余罪と申しますか、それについての捜査も行われておることは間違いございませんが、そのほか何をどういうふうに捜査をし、あるいはしようとしているかというような内容の点については、現在捜査継続中でございますので、お答えは差し控えさしていただきたいと思います。
  132. 和田静夫

    和田静夫君 捜査はいつごろをめどにされているのでしょう。
  133. 筧榮一

    政府委員(筧榮一君) 鋭意捜査を継続中でございますが、いつごろまでということまでは、捜査の性質上、ちょっとお答えいたしかねるところでございます。
  134. 和田静夫

    和田静夫君 先日来、金融の自由化にまつわる諸問題を尋ねてきたんですがね。この金融自由化に伴ってCD、CPの流通市場が拡大してきておりますが、まずその流通の実態を大臣はどういうふうに把握されていましょうか。
  135. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) CDにつきましては、国内のCDが五十四年から出ておりまして、それが、ちょっと正確にはあれでございますが、五兆円ぐらいに達しているのじゃないかと思います。それからCPは、国内ではまだ問題がございまして販売されておりません。もう一つ、海外CP、CDがこの四月から証券会社と銀行とが相乗りで販売ができるようになりまして、これもつい先ごろ発足したばかりでございまして、実績はちょっと私詳しく把握いたしておりませんが、そんなに多くないのじゃないかと思います。
  136. 和田静夫

    和田静夫君 そこで大臣ね、この間からロボットに課税するとかいろいろの論議がここであったんですが、私はこのCD流通、今言われた五兆円、私の計算によると大体六兆円ぐらい、超えていると思うんですが、これに課税を考えないのはなぜだろうかということ、非常に不思議に思うのでありまして、課税問題としてやっぱり的確にこれは検討される必要があるんじゃないでしょうかね。
  137. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) お答え申し上げます。  CDにつきましては譲渡性を持った証券でございます。したがいまして、今そういう有価証券の流通税といたしましては有価証券取引税があるわけでございますが、現在の有価証券取引税は証券取引法に規定しております有価証券ということで課税の対象にしておるのが現在までの有価証券取引税の考え方でございます。したがいまして、現在CDは、いわば文書課税としての定額の印紙税が課税されておるわけです。したがいまして、このCDを転々流通するものとして、例えば有価証券取引税の課税対象にするかどうかということは十分検討すべき問題ではあると思いますけれども、従来の考え方は、このCDは譲渡性はあるにしても指名債権であるということでございますので、現在までのところ有価証券取引税の課税対象にはなっていないと、こういうことでございます。
  138. 和田静夫

    和田静夫君 現在までのところはなっていないことはよく知っているわけであります。しかしながら、実際問題として譲渡され、売買されているわけでありましてね、これはやっぱり課税の対象として大臣、大英断を持って考えてみる必要があると思うんですよ。
  139. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる証券取引税の対象になります現先とCDとの課税上の矛盾ということは指摘されておるところであります。それで、いろいろ議論して、今御説明申し上げましたように現在課税対象になっていない。しかし場合によっては現先そのものに対する考え方で平衡感覚を保つのか、その辺勉強すべき課題だということは十分私どもも認識しております。
  140. 和田静夫

    和田静夫君 課税の対象としても考えながら勉強されるというふうに理解しておいてよろしいですか。
  141. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 検討の対象であると御理解いただいて結構です。
  142. 和田静夫

    和田静夫君 防衛に入ります。  防衛庁長官、現在の防衛関係費の趨勢からいきますと、早晩GNP一%を突破する可能性が強いわけでありますが、五六中業の方はどうなるでしょうかね。アメリカの早期達成の要求が強いわけでありますが、予定どおり達成される方針でしょうか。
  143. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 五六中業につきましては、五十八、五十九両年度で正面装備につきまして、契約額でいきますと約二七%という程度に、なるわけでございます。したがいまして、この五六中業の達成という問題はそう簡単なことではないと考えておりますけれども、幸い、事業の中の主要な点につきましては、それなりに五十八、五十九で組まれておりますので、装備の近代化等もできつつあると、こういうふうに思っておりますので、大変厳しい環境ではございますが、その達成に全力を尽くしたいと、こう考えております。
  144. 和田静夫

    和田静夫君 外務大臣、アメリカの防衛力増強要求の中に五六中業の早期達成があるわけですね。
  145. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 国防白書ですか。
  146. 和田静夫

    和田静夫君 いえいえ、アメリカとの関係。レーガン大統領なんかの要請の中に。
  147. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) アメリカ側は確かに日本の防衛力の充実、さらに五六中業の早期達成等について要請をしております。
  148. 和田静夫

    和田静夫君 衆議院では人事院勧告との絡みで一%枠の突破が問題となりました。この問題は依然として氷解せざる問題ではありますが、私は別の角度からきょうは問題提起をしてみたい。  今仮に人事院勧告を完全実施せずに、それは認められないことですが、人勧を完全に実施しなかったとしても、五六中業を期間内に達成しようとすれば一%を突破することは必定ではなかろうか。  そこで、五六中業についてでありますが、防衛庁、五六中業の達成率は正面経費で二七%とされますが、期間中の人件糧食費及び後方経費の達成率は幾らですか。
  149. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。  これは、まず五六中業の性格からちょっと御説明申し上げますが、五六中業の対象といたしました範囲というのが、陸海空三自衛隊の実施する主要な事業ということになっております。この場合、正面装備に関する事業につきましてはある程度詳細な見積もりを行ったところでございますが、その他の事業については概略の方向を見定めるということにしたわけでございます。したがって、進捗率と申します場合にはある程度詳細な見積もりを行いました正面装備に要する経費について御理解いただくのが適当ではないかというふうに思っております。その点はただいま大臣からも申し上げましたとおり、五六中業期間中の新規契約額五兆三千億円に対しまして、これは五十七年度価格でございますが、五十八、五十九両年度での達成率は二七%であるということでございます。  そこで、今お尋ねのいわゆる防衛関係費の期間中の総額についてどうであるかという御趣旨がと思います。これは今申し上げましたとおり、この期間中の総経費というものは詳細な積算を行っておりません。ただ、当初の中業を作成した時点で十五兆六千億ないし十六兆四千億円という額を期間中の経費の推計額として一応公表した経緯がございます。これは詳細な見積もりを行ったものではございませんで、参考までに幾つかの前提を置いて大まかな試算をしたという性格のものでございます。したがって、これを基準として進捗率ということで議論をするのは私どもとしては適当じゃないと思っております。ただ、単なる計算の問題といたしまして、五十八、五十九両年度の防衛関係費の予算額を仮にGNPデフレーターを用いまして五十七年度価格に換算をいたしまして、そうしていま申し上げました期間中の総経費の総額に対してどの程度の比率、計算上の比率としてどうであるかという点を計算としてしてみますと、約三四ないし三六%程度ということに相なるかと思います。
  150. 和田静夫

    和田静夫君 それで、今の質問に答えられなかったんですが、人件糧食費は大体三七・七及び後方経費の達成率は三三・九ぐらいに踏んでよろしいですか。
  151. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 今の比率という意味で申しますと、私どもは、十五兆六千億ないし十六兆四千億という総額について五十八、五十九両年度の総予算性、全体としてGNPデフレーターで割って計算するという手法ぐらいしかちょっとできかねますので、後方なり人種なりとかというふうに分けて、そこまでの細かい計算をするのはちょっと難しいかと思います。
  152. 和田静夫

    和田静夫君 これ、ちょっと困ったな。きのう具体的にここはレクチャーをしてあるものだから、何の問い合わせもないから答弁ができるものだと思っておったんだが。  ちょっと突っ込んでみますが、五六中業の見積額が、私は、どうも正面経費に対してあなた方は人件糧食費及び後方経費を過重に見積もった。
  153. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 御説明申し上げますと、五六中業の場合の構成比でございますが、ただいま申し上げました十五兆六千億ないし十六兆四千億という一つの推計としての防衛関係費の期間中の総額はございますが、これの正面、後方等の比率の問題かと思います。これは、例えば後方でございますと、総額の少ない方の十五兆六千億で見ますと今推計額としては後方が約三一%ぐらい、それから大きい方の十六兆四千億という方で見ますと後方の構成比が三二%ぐらいというような数字に相なるわけでございますが、この辺は、過去の十年ぐらいの平均をとってみますと三一・六%というふうな数字もあるわけでございまして、これは必ずしもそう不合理な数字ではないのではないかなというふうに私どもは見てはおります。
  154. 和田静夫

    和田静夫君 ここでは答弁されませんが、どうも人件糧食費と後方経費の達成率の開きというものは一体何を意味するのだろうかということは私は不思議でたまらぬのであります。さらに、過小に見積もったとすれば達成率はもっと落ちて残額がもっとふえる、そういうことにならぬでしょうかな。
  155. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 先ほど達成率の御説明を申し上げましたが、これはもうちょっと詳しく御説明申し上げますと、正面の新規契約額についての達成率、これが約二七%というふうに申し上げました。これは御承知のように、期間中の五十八年度から六十二年度までの間の契約予定額の五兆三千億に対する達成率でございます。ところが御承知のように、正面装備の契約と申しますのは、それを取得するまで数年を要するものが多いわけでございまして、したがって支払いは後へ後へとずれていくという関係がございます。したがって、今度は実際の期間中の支払い額、そういう面で見ますと、それは今の五兆三千億の全部ではございませんで一部になる。そのかわりに、五六中業より前の五十七年度以前に契約をした分の支払いの残っているツケでございますが、そういうものが五十八年度以降のこの期間中に支払い額として出てきちゃう。そういう二つを足したものが今度は五六中業期間中の正面の支払い類となってきまして、それと人糧、それから後方関係、そういうものの支出見込みというものを足したものが先ほどの防衛関係費総額の十五兆六千億ないし十六兆四千億ということに相なりますから、そこは支払いベースで見ますとそれほど変な数字ではないというふうに御理解いただいて結構だと思います。
  156. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、きょうも非常に時間のあれがあって突っ込んだことができませんが、防衛庁、この正面経費の伸び率に対する後方、人糧の伸び率、言いかえると、後方、人糧の対正面経費弾性値というのは大体どれぐらい見込むのですか。
  157. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) お答えいたします。  今、先生おっしゃいます弾性値というものを計算いたしてみますと、昭和五十五年から例えば五十九年までとってみますと、人件糧食費に対する正面の経費の弾性値が高いときは一二・五、低いときは二・一ということで非常にばらつきがございます。これを考えてみますと、どういうことかと申しますと、人件糧食費の場合でございますとベースアップの大小というものがきいてきたり、それから増員があったかたいかということもきいてまいりまして、正面経費のための支出と必ずしも相関関係が密でない、こういうことがあるかと思います。同時に、後方経費に対する弾性値をとってみましても、今申し上げました五十五年から五十九年の間をとってみましても、高いときは四・六、低いときは一・二ということで、これもまたばらつきがございます。それはどういうことかと申しますと、やはり正面経費と後方経費との間で必ずしもそう一定した関係がないということでございまして、したがいまして、私どもといたしましては、正面経費と人件糧食費ないしは正面経費と後方経費との間の弾性値というものを頭に置いて計算といいますか、防衛関係費を考えていくということはいたしておらないわけでございます。
  158. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 午前の質疑はこれまでとし、午後一時十分に委員会を再開し、和田君の質疑を続けます。  これにて休憩いたします。    午後零時一分休憩      ―――――・―――――    午後一時十分開会
  159. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十九年度予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、和田静夫君の質疑を続けます。和田君。
  160. 和田静夫

    和田静夫君 どうも私、午前中の答弁余り釈然としないんですが、五六中業の見積もり自体過小見積もりであると考えますが、きょうはその点は深追いはいたしません。過小な見積もりによっても、五六中業を達成しつつGNP一%枠を堅持することは困難であるということだけは、きょう、ちょっと私なりに立証してみたいと思っているんです。  防衛庁、六十年度の防衛関係費は、新規調達をしたいで五十九年度までの歳出化額と退職手当支給件数増などいわゆる人種の伸びは何%ぐらい。
  161. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) お答えいたします。  まず、歳出化の増加額でございますが、ことし五十九年度予算でお願いしております後年度負担額の総額が二兆一千四百八十一億でございますが、その六十年度分の歳出化額として一応今の時点で予想しております数字が約一兆七百六十億円でございます。したがいまして、五十九年度の歳出化額と比べますと、この分で約九百三十億程度ふえるのではないだろうか。このふえる金額を増加寄与率という形で直してみますと三・二%ぐらいになるわけでございます。  そのほかにも、今、先生御指摘のように、人件糧食費等のふえが見込まれるわけでございますけれども、この金額は必ずしも今の段階で定かでございません。退職者がどのくらいになるかということも今の時点では明らかでない。ただ、明らかでないといっても、大ざっぱな見当ぐらいはつくのじゃないかということで大ざっぱに考えてみまして、退職者ですと四百数十億円ぐらい退職手当はふえるかなという感じでございます。そのほかに増加要因はあるかと思います。例えば五十九年度のベースアップが仮にあったといたしましたときに、その平年度化額が一体どういうふうになるのかという問題がございましたり、それから物件費にいたしましても、物の値段がどういうふうになるか。あるいは防衛庁の物件費では割合ときいできますのに為替レートがございますが、為替レートも一体どういうふうになるのか。その辺のところが定かでございませんものですから、私どもとしては、今申し上げましたように、歳出化としてふえる部分といたしまして三・二%ぐらいきくだろう、その上にあと何%かきいてくるだろう、こういう程度の今見込みでございます。
  162. 和田静夫

    和田静夫君 防衛庁に聞いてもなかなか具体的な数字が出ませんから、私の方で一九八五年度の防衛関係費の試算をしてみました。歳出化額一兆七百六十億円、増加額九百三十億円、これは衆議院提出資料で、今の答弁もありましたが、明らかであります。五六中業当初見積もりをベースに五六中業を達成するためには新規調達を幾らしなければならないかの試算、最低額でも三兆一千九百六十億、大きい方で三兆三千九十億、どちらも名目GNP成長率七%計算、三百十六・七兆円の一%オーバーしてしまう。GNP一%枠を守るためには八%から一一・八%の成長率が必要だということになる。しかも、この数字は今年度のベアを一%しか見込まない数字。人勧の積み残し分四・四四%を実施しただけで九・四%から十三・二%の名目GNP成長率が必要となる。防衛庁長官、どうでしょうか。
  163. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) そういう今の御指摘も一つの計算方法で出てくるのかもしれませんが、防衛庁といたしましては、先ほど政府委員から申し上げたような趣旨で考えておるということでございます。
  164. 和田静夫

    和田静夫君 防衛庁ね、五六中業を達成しようとするなら、昭和六十年度の防衛費は確実にGNP一%をクリアする、一%枠を守るというなら守る条件を示さなきゃならぬと思うんですが、どうでしょう。
  165. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。  まず、五六中業の性格は先ほど申し上げたようなことでございまして、正面装備品の調達についてはある程度詳細な見積もりはしておりますが、それ以外の人糧なり後方関係はそういった詳細な見積もりはやっていないというのが基本的な性格でございます。したがいまして、各年度の防衛費が一体どうなるかということにつきましては、これは毎回申し上げておりますように、各年度予算編成の時点におきまして、そのときどきの経済財政事情を勘案し、他の経費とのバランス等も考えながらそこで最終的に決まってくる、こういう基本的な性格になっておるわけでございますから、六十年度以降の防衛関係費が実際にどうなるかということは、やはり毎年度予算編成のその時点で決定をされることになりますので、その時点にならないと具外的なことは申し上げかねるということだと思います。防衛関係費の総額がそもそもわかりませんし、それからまたGNPの見込みそのものも現時点では具外的にこうだというふうには見通せないわけでございますから、その分母、分子の関係から申しまして、果たしてGNP比が今後の六十年度以降どうなるかということは明確には申し上げ得ないと思う次第でございます。
  166. 和田静夫

    和田静夫君 いや、その分母、分子があいまいだからというふうな逃げの答弁がずっと続くのですが、ともかく分子は一定の数字が出てくる。私の推計が間違っているといったらどこが間違っているのか、具体的に指摘してください。
  167. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) お答えいたします。  先生おっしゃいますように、一定の仮定といいますか前提を置きまして計算をいたしますれば、その前提に従いました計算結果というのは出てまいるわけでございます。でございますから、私、今伺っておりましたが、先生の計算はある前提に基づきまして御計算なすったものと思いますし、その計算そのものについて先生がおやりになったことでございますから、そのとおりだろうと思います。しかしながら、問題は、今申し上げましたように、前提をどう考えるか、こういうことでございまして、その前提は、現実の問題としてどうなるかということと前提というものは違ってまいりますので、その辺のところを、ただいま防衛局長が申し上げましたように、現実の問題としては、私ども、今先生がおっしゃいますようなことになりますものやらどうやら、ここで確たるお答えは申し上げられない、こういうふうなことを考えておるわけでございます。
  168. 和田静夫

    和田静夫君 私は、守る条件というのは、六十年度の新規調達をゼロにし、他の経費を削減するということを意味することになっていると思うんですがね。
  169. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 六十年度の新規調達をゼロにするという前提だそうでございますが、六十年度、新規調達を本当にゼロにするということが現実的にそういう物の考え方ができるのかどうかということについては、私どもとしては疑問を持つわけでございます。さりとて、それでは六十年度にそれは幾ら新規調達をおまえの方はどうしてもせにゃいかぬと思っておるのかというお考えもあろうかと思いますけれども、その辺のところはこれから夏にかけまして、シーリングの問題もございますし、それから概算要求を私ども取りまとめるということもございますし、その辺までの過程におきましてこれから私ども検討をしてまいる、こういうことかと存じます。
  170. 和田静夫

    和田静夫君 本当は全然理解できないんですがね。さっきも言われた後方経費やら人糧アバウト推計、これは私は過小推計だと言っているんですが、再度この推計見積もりは出ますか。
  171. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 先ほど申し上げました十五兆六千億ないし十六兆四千億の数字の中身としてどうなっているかという御質問かと思います。  これにつきましては、先ほど申し上げましたように、この数字そのものが一種の大まかな推計だという前提でお聞き取りいただきたいわけでございますが、この内訳といたしましては、まず一つは正面装備の経費でございます。これは先ほどもちょっと申し上げましたように、五六中業期間中の新規契約の分の中で期間中に支払いが来るものと、それから五十七年度以前に契約したものの支払いが残っておって五六中業期間中に支払いが来るものと両方合わせでございますが、合わせまして、これは支払いベースで見れば四兆四千億円ないし四兆六千億円、それから後方関係の経費といたしまして四兆三千億円ないし五兆三千億円、それから人件糧食費が六兆四千億円ないし六兆五千億円ということで、それぞれ足したものが十五兆六千億円ないし十六兆四千億円と、こういう数字に一応なっておるわけでございます。
  172. 和田静夫

    和田静夫君 企画庁、五六中業の見積もりの残額を、正面経費、後方経費、人糧、残額を均等に配分して、それに物価上昇率を掛けると三兆五千億円に達してしまう。三兆五千億円を一%の枠に抑えようとすれば、名目成長率どれぐらいですか。
  173. 谷村昭一

    政府委員(谷村昭一君) 突然のお尋ねでございまして、計算をいたしてみます。
  174. 和田静夫

    和田静夫君 していないの。今からするの。頭のいい人だからすぐ出るだろう。
  175. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 申しわけありません。ちょっと数字の訂正でございます。  印刷が不鮮明でございまして、先ほど後方関係経費四兆三千億ないし五兆三千億と申し上げたと思いますが、四兆八千億円ないし五兆三千億円でございますので、その部分は訂正をさせていただきます。
  176. 和田静夫

    和田静夫君 今の答えじゃないのか。まあとにかく協力しますが、私の計算では一八・二%。防衛庁、言い逃れはもうできないと思うんですね。後年度負担の歳出化と退手増分で何%いくか。五六中業を達成しようとすれば、六十、六十一、六十二年度の防衛関係費は幾らになるか、この辺はわかりますか。シーレーンが国策だといったら、シーレーン防衛費は幾らか、それは示されますか。
  177. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) ただいまの問題は、シーレーン防衛のための経費を五六中業でどういうふうに見積もっているかというお尋ねかと思います。  これは先ほど申し上げましたように、正面経費につきましてはある程度詳細に見積もっておりますので、そこの点をまず申し上げますと、これは陸海空の自衛隊別にこれを積み上げでございます。先ほど新規契約ベースで正面経費が約五兆三千億円というふうに申し上げましたが、海上自衛隊関係がその中で約二兆一千億円という数字に見積もってございます。これは海上自衛隊全体として海上交通の安全の確保というために機能をするという性格を持っておりますから、これが一応全体としてそういう効果を持つ経費であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。これによって海上護衛艦とかあるいはP3Cでございますとか、いろんな兵器の調達をするということを考えているわけでございます。
  178. 和田静夫

    和田静夫君 答弁になっていませんけれども、後でずっと詰めましょう。私、試算をあなたに提示しますからね。  そこで私は、素人として私なりの推計を出した。防衛庁側としても私は試算を出すべきだ。そうでなければ議論にならない。五六中業完全達成とGNP一%は矛盾するのだという私の指摘が一体正しいのか、あるいは間違っているのか、そこのところは国民に理解してもらわなければならぬわけでありますから、私の試算が不当だといったらその不当性を示す、こういうことでよろしいですか。この委員会はとにかく私が一歩譲って如くから。
  179. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) ただいま先生が御試算をお持ちだという話でございますが、お示しをいただければ拝見はしてみたいというふうに思います。ただ、私どもが持っておりますのは、先ほど来申し上げておりますように、五六中業というのは正面経費については詳細な見積もりをしておりますが、その他についてはそういうものをしていたいという、この五六中業そのものの基本的性格に由来するものでございますので、その辺のところは御理解を賜りたいと思います。
  180. 和田静夫

    和田静夫君 したがって、あとずっと突き合わすということですな。
  181. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 先生の数字をお示しいただければ、それを拝見したいというふうに思っています。
  182. 和田静夫

    和田静夫君 拝見しても、あなたの方からその数字に基づいて出してくれなげれば話にならぬ。
  183. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) しかし、新しい数字と申しましても、五六中業の性格そのものから、私が申し上げた数字以上のものを当方で出せるというふうには考えておりません。
  184. 和田静夫

    和田静夫君 それだとこの委員会は進まないんだな。私の計算に基づいて一%枠を突破してしまうじゃないかと言っているんですから、あなたの方が全然試算に基づいて推計をする必要がないということでは話にならぬわけだ。ちょっと調整してくださいよ。
  185. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  186. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記を起こして。
  187. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 和田先生からの資料を拝見いたしまして、検討を続けさしていただきます。
  188. 和田静夫

    和田静夫君 そこで長官、私は、GNP一%を堅持するというのであれば、五六中業の達成は断念しなければならないというデータをつくったつもりなんです。GNP一%と五六中業とどちらをとるのか、あるいはGNP一%と人勧完全実施とのいずれをとるのか。これは答えは一つしかないと思うんです。どちらをとるのか、ここのところだけは長官、はっきりさせてください。
  189. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) これは非常に政府全体としても重要な問題でございます。ただいま政府委員から申し上げたとおり、資料を検討さしていただきまして、いろいろお答えをいたしたいと、こう思います。
  190. 和田静夫

    和田静夫君 これは、締めくくり総括で一遍継続しますから。  福島交通。銀行局、福島交通の有価証券報告書を見ていておかしいと思うのは、生命保険各社が巨額の融資をしている。五十四年九月末で、住友が四十億、安田が四十二億、第一が十九億、平和が二十一億、第百が二十億、東邦が二十三億、大同が三十三億、巨額の貸し付けを行っていたわけでありますが、一説には日債銀が債務保証で貸し付けたんじゃないかということを言っていますが、どうですか。
  191. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) ちょっとその前に、先生、午前中の御答弁に関しましてちょっと訂正さしていただきます。  国内CDの発行残高につきまして、約五兆円と申し上げたわけでございますが、昼休み中に正確なことを調べておきましたら、五十九年一月末で六兆七百九十五億円、二月末で六兆四千七百四十億円でございますので、御答弁を変えさせていただきます。
  192. 和田静夫

    和田静夫君 私はそういうふうに言ったの。私の調査では六兆を超えると。
  193. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 今の御質問でございますが、日債銀以外の金融機関の融資総額が三百億円ほどあるようでございますけれども、そのうち二百三十億円ほどが日債銀の保証で出ているようでございます。
  194. 和田静夫

    和田静夫君 これはきちんと担保はとれていたんですか。
  195. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) この債務保証につきましては、私どもといたしまして、大光相互事件等がございましたときに、昭和五十四年でございますけれども、安易な債務保証が見られましたので、債務者に対する事前審査を十分に行う、それから過大とならないように十分配慮しようというふうなことの通達を流しておりまして、本件につきましても担保はとれているというふうに聞いております。
  196. 和田静夫

    和田静夫君 生保の融資の引き際も、私はいささか疑惑を持っているんです。有価証券報告によりますと、例えば住友生命の返済期限は六十年七月三十一日までと。五十八年九月にはゼロになっている。東邦の場合には、六十一年十一月三十日までの返済期限になっているにもかかわらず、五十八年九月にはゼロである。この事実、どう説明されましょうか。
  197. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 事実は御指摘のとおりでございますが、一般に返済期限の前に返済するというふうなことはあるようでございまして、例えば土地物件の売却代金等が一時的に、臨時的に入ってまいりますと、例えば金利の高い部分について早く返してしまおうというふうなことがあるようでございまして、本件につきましてもそういうような土地売却代金による期限前返済が行われたというふうに聞いております。
  198. 和田静夫

    和田静夫君 それにしても、福島交通の財務状況、五十八年九月にさかのぼる五年間ほどというのはそんなによくないんですね。確かに五十七年は土地売却益が入っていますよ。どうも必ずしもそれだけじゃないような気がいたしますが、福島交通の長期債務が急速に減少して、逆に短期の借入金が急速に増大している。財務諸表からそれを見ることができます。これは一般論としてでいいんですが、長期借入金の短縮を短期借入金で賄うという資金繰りという状況は、どういうふうにコメントされましょうか。
  199. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) これも事実は先生御指摘のとおりでございます。この点につきましては、金融機関側といたしまして、やはり不動産の売却等が行われました際に、その売却代金でなるたけ早く貸し金を回収したいというようなこともございまして、長期の書きかえのときにそれが短期に切りかわるというふうなことがあるようでございまして、ここのところ各金融機関とも福島交通に対する貸付金につきましては、長期のものを短期に振りかえて、できるだけ売却代金が出ましたときに早く返してもらいたいと、こういうことを考えているようでございまして、五十四、五年以降先生御指摘のような実態になっております。
  200. 和田静夫

    和田静夫君 日債銀は短期としても貸し付けていますか。
  201. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) そのとおりでございます。
  202. 和田静夫

    和田静夫君 それは正常な融資と見られますか。
  203. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 短期逆転資金等、いわゆる短期資金としての性格を持ったものについては、その短期への融資というのは正当に行われているというふうに考えられます。
  204. 和田静夫

    和田静夫君 預金の限度貸し付けですか。
  205. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 一部は預金担保に回っておりますが、預金の範囲内ではございません。
  206. 和田静夫

    和田静夫君 この預金の範囲内でない部分はどういうふうに理解したらいいんでしょう。短期ですね。
  207. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 短期貸しにつきましても不動産担保等、根抵当といいますか、そういうものに担保をとって貸しているわけでございます。
  208. 和田静夫

    和田静夫君 とっていますか。
  209. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) その点につきましては担保の評価の問題があろうかと思いますけれども、一応それも融資のあり方といたしまして、担保の範囲内で貸していると思います。
  210. 和田静夫

    和田静夫君 一般論としてわかりますが、その価格との関係においては大変な問題があります。  日債銀に検査に入ったのは、銀行局、いつでしょう。その検査報告をやってください。検査結果。
  211. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) ことしの一月に入っておりますが、検査結果につきましては、こういう場所でございますので、御報告は差し控えさしていただきたいと思います。
  212. 和田静夫

    和田静夫君 これは大変問題になっていますが、銀行局長、後で少し突き合わさせてください。
  213. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 差し支えない範囲で個別にあれしたいと思います。
  214. 和田静夫

    和田静夫君 運輸大臣、福島交通の補助金交付及び白河駅と駅周辺用地の買収問題について、調査結果。
  215. 細田吉藏

    国務大臣(細田吉藏君) お答え申し上げます。  バスと鉄道の補助、これにつきましては現地に当たりまして、バスにつきましては第一義的には福島県が補助をするものでございますから、県の方に命じまして調査をいたさせました。鉄道は直接こちらがやるので、こちらで検査をいたしました。その結果、鉄道の補助の点につきましては間違いがないと、こういう結果でございます。  白河の問題につきましては、国鉄で調査しておりますので、国鉄から報告をさせていただくことにお願いしたいと思います。
  216. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) お答え申します。  南河の土地の売却の件につきましては、運輸大臣からの御指示もあり、現在調査中でございます。
  217. 和田静夫

    和田静夫君 丸森線の第三セクター化に絡んで、福島駅前国鉄用地が福島交通に払い下げられるという新たな疑惑が報道されていますが、国鉄が一私企業の利権に関与した可能性も指摘されているわけですけれども、報告できますか。
  218. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) そのようなお話についてはお伺いをいたしておりません。
  219. 和田静夫

    和田静夫君 払い下げられないわけですかな、これは。
  220. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 払い下げるとも払い下げないとも、まだそのようなお伺いをいたしておりませんので、これからの問題として話が出てくれば検討するということになると考えております。
  221. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、この払い下げ価格は大体幾らぐらいですかね、平米当たり。
  222. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 今の丸森線に絡んで払い下げるというお話自体をお伺いをいたしておりませんので、具体的にどの場所であるかということも何も承知をいたしてないわけでございまして、したがいまして払い下げの場合の予定価格等についても全くの未検討でございます。
  223. 和田静夫

    和田静夫君 運輸省、福島交通が五一%の出資比率で阿部隈急行株式会社に参加する。この出資比率も他の第三セクター方式に比べて高いと思われるんですが、その経緯。
  224. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) お答えいたしますが、丸森線につきましては、本年の二月に地元の対策協議会におきまして、建設線を含む第三セクター方式による地方鉄道をやろうと、こういうことで地元宮城県及び福島県、あるいは関係市町村等が集まりまして、そしてそれぞれの出資比率を決めたわけでございますが、一般に第三セクター化を行います場合には、やはり地元地方公共団体とそれから地元の資本、あるいは交通関係者がおられれば交通関係者を糾合し、その資本参加を求めて第三セクターを行うというのが普通の例ではないかと思います。  今お尋ねの五割を超えることについてどうかというお話でございますが、一般的に第三セクターの中で地方鉄道業者等が参画してその地域の足を確保しようという場合に、例といたしましても五割を超える例もございますし、そこのあたりは地方の地方公共団体のお話の上でございますので特段の問題はないのではないかと、このこと自体では考えております。
  225. 和田静夫

    和田静夫君 最初反対していた福交が逆に積極的に第三セクターに乗り出してくる。それは何か当然条件がつけられたと思うんですが、先ほどの土地の問題などありませんね、これ。
  226. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) ございません。
  227. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ福島交通の方針が転換したのはいつですか。
  228. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 丸森線の協議会は五十七年の二月に第一回が行われまして、そして五十九年の二月、約二年間にわたっていろいろローカル線の転換の問題について協議したわけでございますが、五十八年の秋ごろ、何回かやっておりますが、一応福島交通としましては、やはりそこに鉄道が入ってまいりますと、当該バス事業等を行っておりますので、それへの影響等もありますので、そこのあたりの調整を行っておったというふうに思いますが、去年の秋ごろに大体地元等との話し合いを進めだから、むしろ地域の交通にひとつ参画していこうというふうに転換をされたと聞いております。
  229. 和田静夫

    和田静夫君 これ、自治省にちょっと調査を求めておきますが、国鉄から市へ、市から福島交通へという一連の話が出ています。この辺の調査を詳細にやってもらいたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  230. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 新聞報道でそういった問題が報道されておりますので、現在照会中でございます。調査をいたします。
  231. 和田静夫

    和田静夫君 運輸及び自治省に調査を求めますが、私のところに次のような投書が参りました。福島交通についてはとかく地元でもうわさになっておりますが、福島空港の位置決定についても福交不動産の介入がうわさになっておりますというものであります。三地区、安達南、旧村西、須賀川東のうち安達南、安達の岩代町の地主のところへ福交副社長が発表の半年前に土地買い付けにあらわれたと確認されております。倉庫を建てるという名目で、三百ヘクタールの土地でありますが、ところが、それを断った翌年空港建設の話が持ち上がったという代物ですが、位置決定の過程に何もなかったか、この辺を調査してください。
  232. 細田吉藏

    国務大臣(細田吉藏君) 福島空港を設けてくれと、設備をしてくれという話は福島県がいろいろおっしゃっておって、まだ本当の陳情段階でございます。どうするという、どこへどういうものをつくるというような点はこれは完全に福島県がおやりになっておるわけでございます。私どもの第五次空港整備計画の中へ入れてくれというお願いはこれから出てこようと、こういうことなんでございまして、位置その他について私ども相談にあずかっているわけではございません。したがって、その間にどんな事情があったかということはわかりません。また、私どもも今のところ、福島空港が果たしてどういうふうになるかということについての結論も、話はただ地元の御要望が強いことだけは承知しておりますけれども、何しろまあ東京相手というわけにいかぬでしょうから、大阪相手でしょうからね。大阪は今空港がいっぱいで飛べませんので、それらの点もありますので、実は相当慎重に検討したきゃならぬという問題でございます。場所等につきましては県内の事情がと思います。
  233. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) あわせて照会いたします。
  234. 和田静夫

    和田静夫君 厚生大臣、あなたの後援会報に「水芭蕉」という発行物がありますが、一遍全号を見せていただくわけにはいきませんか。
  235. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) いつでもごらんになっていただきたい。すぐお届けします。
  236. 和田静夫

    和田静夫君 外務大臣、あなたの個人用の運転手の人件費が小針さんから出ているという情報が入ったんでありますが、これは名誉のために聞くんですが、事実でしょうか。
  237. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) そういうことは全然ありません。
  238. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 志苫裕君の関連質疑を許します。志苫君。
  239. 志苫裕

    志苫裕君 外務大臣、三月十九日の本委員会での資産公開のやりとりの中で、今お住まいの富ケ谷の土地建物は前に持っておった自分の土地を売って得た資金で求めたというお話でしたが、ところが三月二十九日の衆議院の予算委員会では、福交不動産からの借り入れを充てたと、このように述べておられるんですが、食い違っておるようですが、御説明いただけますか。
  240. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) それは前のを売って、それからさらにそれだけじゃ足らないので借りて買ったわけでありまして、十何年前の話で、そのときのあっせんは福島不動産がやって、そのときに借りたと、こういうことであります。
  241. 志苫裕

    志苫裕君 資産公開はガラス張りに意味があるわけですが、なぜそのときにそのお話をされなかったんですか。
  242. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 現在の資産についての公開ですから、今私が申し上げたのは十年前の話であります。前の家を売ってそして買ったということは十年前の話で、今の家についてはそれは資産公開しております。
  243. 志苫裕

    志苫裕君 今の家をお求めにたるのに福交不動産から一億円お借りになったんでしょう。
  244. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) そのときはもちろん借りました。それでそれは完済しております。
  245. 志苫裕

    志苫裕君 前に持っておった土地建物というのは世田谷区代沢の土地のことだと思うんですが、これはどなたにお売りになったんですか。
  246. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは詳しく今覚えておりませんけれども、当時の福島交通不動産に頼んでその辺は処分してもらったわけです。
  247. 志苫裕

    志苫裕君 二口になっておるようですが、三百六十四平米と九百九十六平米。この九百九十六平米の方はどなたの名義のものでございましたか。奥さんとあなたと両方あられるようですが。
  248. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ちょっとその辺のところは正確に今覚えておりません。こういうところで間違った返事をするといけませんけれども、覚えておりませんが、それはもちろんきちっとしておるわけであります。
  249. 志苫裕

    志苫裕君 九百九十六平米は五十年の十二月に売却をされているようですが、そうすると当然五十年の所得申告に載ってくるというのが建前じゃないかと思うんですが、その点は御記憶ありますか。
  250. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) それは登記その他ちゃんとしておると思いますので、はっきりした記憶はありませんけれども、しかし税とか登記とかそういうのはちゃんと、私個人の財産ですから、しておるはずであります。
  251. 志苫裕

    志苫裕君 念のために申し上げますと、四十九年に三百六十四平米売却なさっておるようですが、この年は五千七百六十六万四千円の所得申告になっておりますが、五十年は一千四百五十万円です。そうなりますとこれは国会議員の所得とほぼ同じです。念のためにお調べをいただきたい。  それから、最後にいたしますが、この富ケ谷の土地建物は五十四年の八月と九月に抵当権が設定されておりますが、このうち二番抵当権の抹消原因が放棄ということになっておりますが、これはどのような原因でしょうか。
  252. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いや、それもよく正確には覚えておりませんが、抵当権を設定してお金を借りて、そしてこれを払ったということであろうと思います。正確には個人の財産のことですから私自身がよく覚えておりません。しかし間違ったことはしてないと思います。
  253. 志苫裕

    志苫裕君 お金を借りて抵当権を設定するわけです。それは一向構わないですが、返せばこれは弁済となるわけだ、原因が。しかし、放棄という原因は、法務省、どういう場合があり得ますか。
  254. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 専門的なことで、突然のお尋ねでございますので、すぐ調べたいと思います。
  255. 志苫裕

    志苫裕君 いや、これは事例を聞いているのじゃないんで、放棄という原因はどんなものだという、ぱっとわかる人はいないのかな。
  256. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  257. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記を起こして。
  258. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私もわかりませんけれども、その辺は、個人の財産で、まあ法律的にどうなっておるか知りませんけれども、借りた場合に借金をした、そのときに抵当権を設定したということだろうと思いますし、それで借金がなくなれば抵当権が抹消されるとかそういうことで、それはもうそのとき何も問題が起こったというような記憶は全然ありません。
  259. 志苫裕

    志苫裕君 外務大臣おっしゃるとおりで、一番抵当権は抹消になっているんですよ、弁済ですね。二番抵当権が放棄。放棄ってどういう意味がなとちょっとお伺いしたので、じゃいずれかの機会にまたお伺いします。
  260. 和田静夫

    和田静夫君 アメリカの諜報部員の二重スパイ事件についてでありますが、リチャード・スミスというのがきょうFBIに挙げられた。そこで外務、警察当局に伺いますが、調査、捜査結果を明らかにしてください。
  261. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 警察庁からお答えいたしますが、けさほどのFBIの発表によりますと、アメリカの陸軍情報保安司令部、これの元部員、これがリチャード・クレイグ・スミス、四十歳の男でございますが、それが本日、日本時間の午前六時二十分にFBIの係官に逮捕された。その容疑は、東京においてソ連の情報部員、これはソ連大使館の一等書記官のようでございますが、そのソ連の情報部員に国家防衛情報を渡したという容疑で、逮捕後告発されたということでございます。  我が国内においてソ連外交官が行った諜報事案でございます。私ども警察当局としても大変重大な関心を持っておるわけでございまして、ただいまはFBIの発表によって承知しているわけでございますが、早速に外務省、関係方面と連絡をとりまして詳細な事実関係の掌握に努めたい、かように思っております。
  262. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 外務省といたしましてもFBIの発表承知しております。現在、情報の入手に努めておりまして、事実関係調査確認中でございます。
  263. 和田静夫

    和田静夫君 一般論としてはこれはどういう展開を見せることになりましょうね、外務省。
  264. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) ただいま北米局長からお答えいたしましたように、事実関係を含めまして目下調査中でございますので、具体的なことについてちょっと私から申し上げるわけにはまいりませんけれども、仮に問題の人物が在京ソ連大使館の館員であって、仮にその言われているような行動がありまして、我が方の判断といたしましてそれが外交官の活動としてふさわしいかどうかというような問題が生じます場合には、その見地から検討することになると思います。
  265. 和田静夫

    和田静夫君 時間的にはどれぐらいのものを要するんですか。
  266. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 何分、先ほど申し上げましたように、ごく最近起きた事件でございまして、目下調査中でございますので、その発展を見ませんと、ちょっと時間的にどういう判断になるか申し上げることは難しいかと思います。
  267. 和田静夫

    和田静夫君 厚生大臣に伺いますが、問題の報徳会宇都宮病院ですが、四月二日に日精協が、適切な、妥当な医療を保障できるように病院の体制を速やかに改善することが責務である、そういう異例の声明を発表しましたね。これを受けてどういうふうに対応されますか。
  268. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 御指摘のように、日本精神病院協会の声明は、宇都宮病院に対し、入院中の患者に対する適切妥当な医療を保障できるよう、過去の病院運営方策及び体制を速やかに改善することを求めております。この声明は、日精協としての見識を国民及び病院に対して示したものと私どもは受けとっておりまして、厚生省としては、その趣旨を今後の行政の上で極力反映できるように努力してまいりたいと思います。
  269. 和田静夫

    和田静夫君 これ、院長に退陣勧告をするなどというような行政処分をお考えになるわけですか。
  270. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) これは栃木県の知事とも関係あることでございますから、今後の推移の中で、場合によってはそういうこともあり得るかもしれませんが、今のところまだそういうところにまでは至っておりません。
  271. 和田静夫

    和田静夫君 厚生大臣としてはどういう感触です。
  272. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 一つは、これは司直の手が入って、刑事事件になるということになってこれが明確になればこれは当然院長としての責任はとられることになると思います。
  273. 和田静夫

    和田静夫君 日本医師会の会長がかわって、昨日厚生大臣会談されたようでありますが、健保法に対する意見やら医療法に対する意見、相当変わるように聞いていますけれども、どういうふうになりますかな。
  274. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 羽田医師会長さんとお目にかかりましたけれども、医師会長さんも非常に立派な御見識の方でございました。前の会長さんも立派な方でありましたが、今度の会長さん、また非常に立派な方で、私の方はそう大人というわけではありませんが、この場合は私も多少は大人になっておりますので、健保法の改正については私の方も一言も申し上げませんし、それから医師会長さんの方も私に一言も言わないで、そういう問題には全く触れないで、今後の医療問題について、厚生省としてはやはり国民の健康を守るための医療対策を推進していく場合、これは医師会の皆さん方の御協力なしには進まないので御協力をいただきたいという話、また医師会長さんとしても、今後抱えておる医療体制の整備とか、あるいは医師会の皆さん方の抱えておる諸々の問題を解決するためには厚生省とやっぱり関係なしには進めたいということで、まあそれを話し合ったわけではありませんが、この問題はこの問題、これが終われば仲よく一緒に国民の皆さん方の、患者の皆さん方の健康を守るために一生懸命頑張ろうというお互いの話し合いだったというふうに私は解釈しております。
  275. 和田静夫

    和田静夫君 健保法など提出の前提条件が、関係諸団体との意志の疎通を十分にするということでありますから、その辺のことは含んで対処していただきたいと要望いたします。  人事院総裁、今年度の人事院勧告に関する方針ですが、何遍も答弁いただいておりますが、昨年の積み残し分は当然前提としては含まれるものと承る、これはよろしいですね。さらに給与関係各大臣、総務長官、労働、文部、大蔵でありますが、昨日の労働組合と政府側との関係における政労会談の内容が出ましたけれども、それらは、官房長官も含んで十二分に対処される、こう考えておいてよろしいですか。
  276. 内海倫

    政府委員(内海倫君) たびたび御答弁を申し上げたと思いますが、調査の結果、較差の中にそういうものが恐らくは出てくると思いますから、そういうふうな較差を明確に勧告をいたしたいと、こういうふうに考えております。
  277. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 人事院勧告が出されました場合には、良好な労使関係の維持、士気の高揚等に配慮しなから、昨日回答されていますように、勧告制度の尊重を基本的な姿勢といたしまして、完全実施に向けて誠意を持って取り組む考えでございます。
  278. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 人事院勧告が出されました場合には、人事院勧告制度を尊重するという基本姿勢を堅持しつつ、完全実施に向けて誠意を持って対処すべきものと考えております。
  279. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 勧告制度の尊重の基本姿勢に立って対処してまいりたいと思います。地方公務員の給与は国家公務員の給与に準ずべきであり、国が改定を行う場合におきましては、地方公務員についてもこれに準じて改定に必要な所要の財源措置を行ってまいります。
  280. 坂本三十次

    国務大臣坂本三十次君) 完全実施に向けて誠意を持って取り組む、二度あることが三度あるようなことのないように努力をいたしたいということです。
  281. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 人事院勧告、仲裁裁定、それぞれ出ました段階で、それぞれの制度の精神を踏まえまして、完全実施に向けて誠心誠意取り組んでまいりたい。政府部内でいろんなそれぞれの立場で意見が出るかと思いますが、それらを総合いたしまして政府の態度を決定していくようにいたしたい、このように考えております。
  282. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 官房長官からお答えがあったとおりに理解して泊ります。
  283. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で和田君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  284. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、糸久八重子君の一般質疑を行います。糸久君。
  285. 糸久八重子

    糸久八重子君 私は、本日、教育予算そして幼稚園教員の問題、さらに雇用の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、大蔵大臣にお伺いいたしますが、歳出を抑制することで財政再建を図るという内閣の方針によって、ここ数年マイナスシーリング方式による予算編成が行われており、年々厳しくなっておりますけれども、このシーリング方式、特にマイナスシーリング方式はいつまで続けるおつもりですか。
  286. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 五十五年度予算、一般行政経費ゼロ、その他の経費一〇%増。五十六年度、一般行政経費ゼロ、その他の経費七・五%増。それから、五十七年度からゼロになりまして、五十八年度がマイナス五%、五十九年度が経常部門がマイナス一〇、投資部門がマイナス五と、こういう経過をたどってきておるわけでございます。やはり、まず増税なき財政再建、それをてことして制度、施策の根源にさかのぼって歳出削減にまずは努力し、歳入歳出両面から財政改革に向かって進む。したがって、まだ概算要求の扱い方を決めたわけではございませんけれども、厳しいシーリングを設定することになるではなかろうかと、このように今日時点で申し上げる段階だと思っております。
  287. 糸久八重子

    糸久八重子君 マイナスシーリング方式は歳出を抑える効果はあるかもしれませんけれども、各省一律削減を強いられる結果、事業費の多い省庁は削ってもすぐ表面にあらわれませんが、人に関する経費の多い省庁はその傷が大きくあらわれる弊害は出てはいませんか。
  288. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは例えば人件費といいますと一番端的なところは法務省。あそこは別に公共事業やるところじゃないわけでございます。それから、ODA予算等がございます外務省、こういうような典型的なところがございますし、事業費ということになりますと、公共事業を抱えております建設省、農林水産省、運輸省、あるいは恩給とか年金とか、厚生省、総理府というようなところは予算が大きいわけでございますが、だからといって実質的な削減はそれぞれの細かい項目ごとにやっておりますので、概念的に見ただけでどちらの方が明確度が薄いというようなことは一つ一つ精査してみれば変わらないものだというふうに認識をいたしております。
  289. 糸久八重子

    糸久八重子君 一律削減方式の予算編成はもう既に限界に来たのではないかと私は思います。文部、厚生両大臣にお伺いしますけれども、このやり方が結局五十九年度予算で文教や福祉予算の切り捨てと多くの論調が指摘した背景と思うのですが、いかがでしょうか。
  290. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 確かに厚生省の予算を考えてみますと、年金とか医療とか、特に高齢化が進むにつれて自然に同じ制度の中でも費用がふえていく。しかも金額の非常に多いものを抱えておりますから、なかなか現在のような財政状態の中で、しかも国民の福祉に対するニーズというものにこたえて予算を組んでいくのは大変厳しい状態にあることはこれは間違いございません。しかし、日本の国に厚生省だけあればこれは国は守れるというものではありません。やはり防衛庁もなければなりませんし、農業政策もなければなりませんし、中小企業政策もなければなりません。そういう中で、やはり私は今度の予算で、政策予算の二八%、九兆二千五百億という予算を社会福祉にとれたということは、これは評価していただいていいだろうと思います。今後のこれは国民の皆さん方の選択で、税金はどんなに高くなってもいいから福祉は絶対に減らしてならないというような国民の皆さんの選択であればまた別でございますが、現在はやはり増税なき財政再建ということで国の方向が選択されて、国民の皆さんもこれ以上の増税というものは望まない。そういう一つ内閣方向ができて、私もこの内閣に入るときに、行政改革、増税なき改革、これには協力を申し上げるという基本的な姿勢で内閣に入っておるのでありますから、やはりこれ以上増税は容易でないという厳しい情勢の中で、しかも工夫に工夫を重ねて、できるだけ弱い立場の皆さん方に福祉の後退にならないようにということで、夜も寝ないで工夫してできた予算が今回の予算でございます。
  291. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) お答え申し上げます。  文部省予算も、糸久さんも御専門家ですからよく御存じのとおり、人件費の占める割合が非常に文部省予算の場合多うございまして、確かに予算編成上大分苦労はいたしました。しかし、四十六、七年ごろから大体主な教育行政に対する施策は順調に進んでおりまして、教員の給与の改善あるいは私学に対する補助の制度を確立する、その他多くの諸政策を実現をしてまいりました。したがいまして、その中で教育関係に携わる皆さんにはそれぞれ大変御苦労をいただきましたけれども、まずまずは文部省予算として直接教育の現場が混乱をしないように十分の配慮をしながら、高等教育あるいは義務教育諸学校あるいは社会教育、また体育、スポーツ、そしてまた文化庁関係予算等にも十分配慮をいたしながら、また科学技術などはやはり当面国として必要なものについてはかなりの増額を見ると、このようにバラエティーに富んだ予算を組んだつもりでございます。
  292. 糸久八重子

    糸久八重子君 それでは次に、文教予算に関連してお伺いしたいと思いますけれども、五十九年度予算の圧縮で、例えば学校給食費の補助というような子供たちの給食関係の補助金を削っておるわけですけれども、これは文部大臣、大変苦しいやりくりの結果ではないのですか。
  293. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 学校給食に要します経費は、学校給食法によりまして、施設設備、それから人件費は設置者負担をいたしております。これはもう先生御承知のとおりです。食材費がいわゆる保護者の負担と、こういうことになっておりまして、両者の密接な関係によりまして円滑に学校給食が行われるようになっているわけでございます。今度の父兄負担の食材費にかかわるものといたしましては、給食用のお米の値引き、それから飲用牛乳の補助等がございまして、若干補助率、割引率が下げられましたけれども、農林省とも十分に密接に連携をいたしまして、保護者に対しまして大きな父兄負担の増にならないように十分な配慮をして対処をいたしたつもりでございます。
  294. 糸久八重子

    糸久八重子君 ただいまのお話のように、例えば牛乳の単価を一円切り下げるとか、果汁の助成金を一円切り下げるとか、それから学校給食設備整備費補助金を削るとかというようなそういう予算になっているわけですけれども、学校給食をこれほどまでに削らなければ文部予算は編成できないのでしょうか。
  295. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 先ほど申し上げましたように、設置者の負担そして保護者にお出しをいただく点、両者相まって学校給食を円滑に進めておるわけでございます。数字的にはカットされている面もございますけれども、実質的に執行していきます場合にそう大きな混乱や影響がないように十分配慮をいたしてきたつもりでございますし、またそれぞれ県教育委員会等を通しまして、保護者に対して御無理のいかないように十分配慮をしたから学校給食に万全を期していくように指導いたしておるところであります。
  296. 糸久八重子

    糸久八重子君 公立文教施設費が昨年に続いて今年度も大幅に削減されているわけですけれども、いわゆるマンモス校と言われる学校は全国にどのくらいありますか。
  297. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) マンモス校というお話してございますが、特別の定義がないわけでございますけれども、一応三十一学級以上のものということで考えますと、昨年の五月一日現在の数字だったと思いますが、全国で二千百三十校だったと思います。
  298. 糸久八重子

    糸久八重子君 ただいま特別の定義はないとおっしゃいましたけれども、マンモス校、過大学級室三十一学級としている根拠はどこにありますか。
  299. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) お答えいたします。  過大規模校の定義づけとして三十一学級としているわけではございませんけれども、実際の施策をしてまいります際に、各市町村等が具体にその分離の計画を実施する場合に、三十一学級以上くらいのところから手をつけるというような実態がございます。行政の面から見ましても、各市町村が現実にそういう計画を立てられる場合に大変いろいろな難しい問題、用地の設定でございますとかあるいは学区制絡みの問題あるいはまた相当な経費を要する等々いろいろ困難な事情があるわけでございます。そういった中で、こういった過大規模校分離ということをやってまいります場合の具体的な各市町村の取り組みといたしまして、そういうところから手をつけているという実態がございますので、文部省といたしましても、まずはその段階から国として応援をしたいというような見地で三十一学級のものというのを念頭に置いておるわけでございます。  なお、ちなみにつけ加えて申し上げますと、標準として二十四学級ぐらいまでということが法令等にあるわけでございますけれども、二十五学級を超えて三十学級ぐらいのレベルのものにつきましてもこれの分離新設をしたいということで、急増地域等において補助金の申請があります場合には文部省としては優先的にこれについても対応しているところでございます。
  300. 糸久八重子

    糸久八重子君 政府は五十九年度予算でこの過大学級解決のためにどのような措置をなさろうとしていらっしゃいますか。
  301. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) ただいま管理局長から申し上げましたことによりまして、過大規模校につきましては多くの問題を抱えておりますが、文部省といたしましては、従来から可能な限り大勢といたしましては減少させていく方向でいろんな優先的な予算をつけてきたわけでございます。しかし、なかなかいろいろと御指摘をいただきますように過大規模の解消ができない。それにつきましてはいろんな理由がございますが、やはり一番の大きな理由は、用地を確保するということが非常に難しい、そんなことから従来やっておりました急増用地の補助制度を少し拡充をいたしまして、そして五十九年、六十年度の暫定措置ではございますけれども、学校を分離するための用地取得費につきまして特別の補助制度を開始するということにいたしたものでございます。今後ともそうした分離をできるだけ促進するように文部省といたしましても十分努力をしてまいりたいと考えております。
  302. 糸久八重子

    糸久八重子君 私は千葉県でございますけれども、千葉県のような人口急増地域の学校不足やマンモス校の問題だと非常に問題を多くはらんでいるわけです。こういうようなことの解消のためにやはり多く力を尽くしていただかたければいけないと思うのですけれども、やはり施設設備費の方で非常に予算が少なくなっているということにつきましても、先ほど大蔵大臣に伺ったわけですけれども、マイナスシーリング方式の犠牲になっているのではないのですか、文部大臣。
  303. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 大規模学校を分離するということにつきましては、それに限って言えば市町村、用地の獲得も大変難しいことでありますが、同時に通学区の設置だとか、あるいは昔から、先生も現場におられたから、校下意識みたいなものがございますからそう学校を簡単に物理的に分けるというふうなことにはなかなか地域住民の感情的なやはり割り切りができない、こういうようなところもあるわけでございます。ただ、いろんな意味で予算を抑えられているのではないかという御指摘でもございますけれども、少なくとも義務教育諸学校の設置者が要求をいたしております、また計画をいたしております事業量につきましては、文部省といたしましては十分その事業にこたえていけるだけの予算は確保いたしておるところであります。
  304. 糸久八重子

    糸久八重子君 文部大臣は小中学校の適正規模はどのくらいと判断なさいますか。
  305. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 先ほど管理局長からも申し上げたことと同じでありますが、学校教育法施行規則、義務教育諸学校施設費国庫負担法の施行令によりますと、小中学校は十二ないし十八学級ないし二十四学級が標準、ただし、特別の事情を除いてということになっております。これが大体標準であろうと、こう考えております。
  306. 糸久八重子

    糸久八重子君 文部大臣もそのようにお考えなんですね。確認をしておきます。  ここに、ある研究機関の行った調査があるわけですけれども、「学校規模と教育活動に関する調査」というものでございます。これによりますと、学校規模の過大化というのが教科指導などの教育指導上の面、学校内における教職員、子供、親たちとの人間関係の面、学校運営、施設設備などの学校運営面、子供たちの問題行動、非行の発現状況とそれへの対応の面など、およそ学校における生活の全面で大きなマイナスの影響を与えていることが明らかになっているわけです。政府は教育改革を前面に押し立てておりますけれども、まずこの過大学級解消が先決ではないかと思います。そして、このことにこそ多くの予算が使われるべきではないかと思うのですが、その辺の御見解はいかがですか。
  307. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) これも同じような答弁の繰り返しで大変恐縮でございますが、新設分離をさせようと、促進をしなければならぬと考えますのがこれは学校の設置者であるわけでございまして、文部省といたしましてはさっき管理局長が申し上げたように、いわゆる三十、三十一でなくても、二十五を超えても分離をしたいというお声があれば、これは優先的にそういう方向予算措置をいたしておるわけでございます。しかし、先ほどから申し上げましたように用地とか学区に関する住民の合意でありますとか、分離後の学校の規模とかいろいろございますし、それから児童生徒の増減というのは、急増いたしましたり、また急減をいたしましたり、社会的の背景によって減ったりふえたりといういろんなこともございまして、各市町村はこのような事情を考えたから大体三十学級を超えたところでというふうな判断を全国の皆さんがなさっておられるようでございまして、文部省といたしましては、御希望があってお進めになるならば喜んでお手伝いをさしていただくといいましょうか、そういう措置をさしていただく、これが従来とってきた方向でもございますし、今後ともそうした方向で進めていきたいと思います。  くどいようでございますが、当面やはり規模を分離をするということの最大のネックは土地問題にあったわけでございますので、用地の取得費についてもさらに拡充をしたという考え方で補助率を高めて、当面この問題でできるだけ整備促進をしていきたい、こう考えているところでございます。
  308. 糸久八重子

    糸久八重子君 また、有利子制度を導入した育英奨学制度もこれは考えなければならないと思うのですが、非常に問題があると思います。  問題は、五十兆数千億円の予算を組む政府が文教予算のこんな少額の削減に非常に一生懸命になるというのは、一つは一律削減方式のためであり、またもう一つは、財源配分機能が適正に働き得なくなっているからではないのかと思うのですけれども、文部大臣、いかがでしょうか。
  309. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 有利子貸与制度を創設をいたしましたというのは、糸久さんのような見方もあるかもしれませんけれども、私どもは、むしろ有利子貸与制度の創設をすることによって、事業量を拡大して、できる限りたくさんの方が育英奨学事業の適用を受けられるようにしようというのか今回の措置でございまして、片方には臨調の答申もございまして、いろいろとこの奨学事業につきましての指摘もございました。しかし一方では、できる限り多くの学生に対しての適用の範囲を広げていきたい、こういうようなことを考えまして、いわゆる量的拡充のために財投資金を使って導入をいたしまして低利の有利子制度を創設したわけでございまして、当面は大学と短大の学生のみに対象といたしまして、高校生につきましては従来どおりといたそうと、こういうことでございます。  もちろん奨学生は卒業後に本人が返還するものでございますから、直接今父兄に対して云々ということではないわけでありますが、幸い国の利子補給ということもいたしておりまして、学生負担の利率はできるだけ低利になるように配慮をいたしたところでございます。したがいまして、有利子貸与の場合は返還額は無利子貸与から比べますと大体二割程度の増になるわけでございますが、返還の負担に対しては卒業後の本人の返還能力というものも考えてみますと、そう大きな無理ではない。もちろん学生時代にお返しをいただければこれは無利子でございますし、卒業後に当然給与所得者というお立場にもなるわけでございますから、学生時代にお借りしたものについては若干の利子をちょうだいしてお返しをいただくということはやむを得ない措置ではないか。むしろ逆にそのことによって、単価もアップをいたしましたし、それから事業量につきましては延べにいたしまして約一万一千人の対象人貴をふやしたということでございますので、そういう視点から見てぜひひとつ御理解をいただいて、むしろ糸久さんからお褒めを少しいただいてもいいのじゃないかなと、こう思うわけでございます。
  310. 糸久八重子

    糸久八重子君 今の奨学制度問題につきましては、いろいろ細かいことはたくさんあるんですが、これはまた後で文教委員会等にお譲りしたいと思います。  次に、復活財源との関連でお伺いしたいと思います。  大蔵省原案の段階で調整財源、いわゆる復活財源は公共事業費を除いて八百億円ありました。しかし、その後明らかになったところでは、官房調整費なるものが七百億円ありまして、合計で一千五百億円でございます。この配分状況を見ますと、予算全体の中にある文教費、これは五十兆六千二百七十二億円中の四兆八千二百四十二億円ですけれども、この構成比が九・五%として、防衛費と比べてみますと、この復活財源の配分増としてはいかにも少ないと言わざるを得ないわけです。五・七%を占める防衛関係費が三百八十六億円の復活財源を受けるとすれば、九・五%を占める文教予算は六百四十億円受けなければおかしいのではないかと思うのですが、文部大臣、このような復活財源の使われ方にどのような異議をお持ちですか。
  311. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 概算要求時に、五十九年度におきます教育を進めるに当たっての予算を要求をいたして、その後大蔵と文部省と事務的な折衝を続け、なお本予算の折衝に入るわけでありまして、その予算折衝の道行きを見たがら足らざるを補う、そういう考え方でございまして、今のようだトータルで見て、あるいはパーセンテージで見るという見方は、私どもそういう取り方は持っていたいわけでございます。
  312. 糸久八重子

    糸久八重子君 文部大臣、六十年度予算ではやはりそのようなお気持ちでございますか。
  313. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) それぞれの要求項目に対して財政当局とどのような予算を詰めていくのか、そして文部省の事務当局が教育行政を進めるに当たって円滑に進め得るようなそういう予算要求をしていくわけでございまして、いわゆる復活財源の何%を取るとか、大体文部省の予算はこれだけのシェアを占めているというような考え方で取るべきものではございません。項目ごとのやはり財政当局との調整といいましょうか、要求を進めていくということが予算折衝の私は基本的なスタンスではないかと、こう思っております。
  314. 糸久八重子

    糸久八重子君 六十年度以降の予算につきまして幾つか注文をしておきたいと思うのですけれども、義務教育の教科書無償制度について文部大臣はどのような見解をお持ちでございますか。
  315. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) たびたび本委員会におきましても義務教育におきます教科書の無償制度について御議論があるわけでございます。文部省といたしましては、こうして野党の皆様方からも無償継続についての御質疑をいただくということは、御激励をいただいておるという意味で、文部省として大変ありがたいことだと考えております。  ただ、御承知のとおり、五十九年度予算につきましては従来どおりの措置を、いろんな経緯はございましたけど、させていただいたわけでございますが、この制度のあり方につきましては、臨調の答申では廃止等を含めて検討をしろという指摘がございました。それを受けまして、文部省といたしまして、中教審におきまして教科書の今後のあり方について御議論をいただきました。この制度を引き続き維持すべきものであるというような結論をいただいたわけでございますが、その他関係方面等とのいろんな折衝の中で、今年度につきましては従来どおりの措置をいたしたわけでございますが、これからの基本的な問題を十分検討しながら、六十年度予算につきましては文部省といたしましては従来どおりの継続をお願いをしていきたい、こういうふうに期待をいたしておるところでございますが、予算編成時に際しまして、党を初め関係者の意見を十分踏まえてその時点で結論を出すということになっておりますので、ただいまのところは、概算要求時までこの件につきまして私はここで結果的にどうなるのかということは申し上げられたいわけでございますが、私の気持ちとしては無償継続の方向で努力を重ねていきたい、こう申し上げることが適当かと思います。
  316. 糸久八重子

    糸久八重子君 大蔵大臣、文部大臣があのようにおっしゃっておられるのですが、大臣のお気持ちはいかがでございましょうか。
  317. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 臨調の答申からもいろいろ言われておるわけでございますが、この無償制度ができたときは、私も若いころでございましたが、自由民主党文教部会の副部会長をしておった当時のことであります。憲法論議は別として、いろいろな議論をいたしました。財政という立場からいいますと、教科書というのは、二、三、四、五、六と覚えると一番覚えやすうございまして、すなわち小学校は二千二百円、中学校は三千三百円、全部の予算が四、五、六、四百五十六億というので、二、三、四、五、六と、こう覚えておるわけであります。したがって、教科書以外の今度は漫画の本とか、それの売れ行きははるかに四、五、六を超しておるわけでございますので、そういう限りにおいては、財政面から見れば教科書は有償であっていいと、こういう考え方が一つあるわけであります。  いま一つは、大正十五年の三月三十一日までにお生まれにたったお方は、「ハナ ハト マメ マス」とみんな覚えていらっしゃいますし、その後の人が「サイタ サイタ サクラガサイタ」。だから大体それでうなずかれる人の年がわかるわけでございます。私も今、孫の教科書をすらすらとそらんじておりません。あれは親が買ってやったからああしてみんな熱心だったかなあなんという考え方も私個人にはないわけではございません。いずれにいたしましても、概算要求時点までに、今、森さんや私ども相談をいたしまして、私どもといたしましては、これはやはり親が買って与えるべきだという考え方の上に立ちながら折衝をして、最終的には内閣一体の形で六十年度予算で御審議を賜ると、こういうことになる方向であります。
  318. 糸久八重子

    糸久八重子君 二十一世紀の次代を担う子供たちにやはり財政難のしわ寄せは許せないと思います。  文部大臣、四十人学級は三年間の凍結の後六十年度からレールの上に乗せるということは間違いございませんか。
  319. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) この件につきましても、糸久さん初め皆さんから再三御質問がございますが、何とか四十人学級を希望のとおり、計画のとおり進めていきたい、こう期待をしてくださるわけでございまして、この大変ロマンに満ちたと、これは大蔵大臣が名づけてくださったわけですが、この五十五年から六十六年という十二年間の計画は、当時私が自民党の文教部会長をいたしておりましたときにいろんな苦労を重ねながらつくり上げたものでございますので、私といたしましてもこれだけにまで伸ばされた計画でございますだけに、何とかこの計画どおり実現をしていきたいと今も一生懸命そのことを考えているわけでございます。  御承知のように、行革関連特例法で三年間の抑制を今余儀なくされているわけでございますが、全体的な計画の年限、それから最終的ないわゆる計画の達成年度、これについては全く変更いたしておりません。今後ともいろんな意味で、ほかの面も含めて、いわゆる定数の配置の問題はたくさんまた要求も出てきておるわけでございますので、これらの分も皆あわせながら何とか適正な教育が進められるような、そしてまた現場の先生方にも、また子供たちにも喜んでもらえるようなそういう教育現場をつくるためにいろんな知恵を使ってみたいと、こう思っております。  したがいまして、もう一度繰り返しますが、最終年度、そして全体的な計画は全く変えておりませんので、この方向に従って今後とも私は努力をしてまいります。もっとも、ことしの秋ごろにはひょっとしたらもう大臣でもなくなるかもしれませんが、しかし、いずれにいたしましても、また党に帰ったら文教問題とはこれは決して離れられない私は運命だと思っておりますので、一生懸命頑張ってこの実現に努力する、こう申し上げるのが精いっぱいでありまして、今の時点で具体的にどうこうするということは、残念ながら先ほどの教科書の問題と同じでございまして、六十年度予算の概算要求の協議をいたします際に大蔵大臣に十分お願いを申し上げながら、大蔵大臣のお考え方も十分踏まえて、そしてでき得る限り御要望に沿っての計画を詰めていきたい、こう思っているところであります。
  320. 糸久八重子

    糸久八重子君 六十六年度までに、完了をしてくださるという決意を伺いましたけれども、希望といたしましては、とにかくなるべく早い時点で実現をしてくださるようにさらにお願いを申し上げる次第です。  それでは続きまして、最近幼稚園教育の見直しや幼保の一元化問題が話題となっております。幼稚園の教員の置かれている問題についてお伺いをしたいと思います。  幼稚園の先生方の身分は法律上どのように決められておりますでしょうか、文部省。
  321. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 幼稚園の設置者が市町村である場合は市町村の公務員であります。私立の場合には私立ということでございます。それから県立、国立の場合は、国立て設置したものは国立、都道府県立て設置したものは都道府県立の身分を有するわけでございます。
  322. 糸久八重子

    糸久八重子君 公立幼稚園の先生の身分は、法律的にはどう決められておりますか。
  323. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 公立の市町村立の幼稚園は市町村の公務員であるわけです。したがって、市町村が給与を支払うということになるわけでございます。
  324. 糸久八重子

    糸久八重子君 学校教育法の第一条で、学校の中に「幼稚園」と明確に入っておるわけですね。そして、教育公務員特例法二条の中で「教育公務員」と書かれてありますね。さらに、教特法の二十五条の五の中でも書かれてあるわけですけれども、それから見ますと、幼稚園の先生というのは教育公務員であり、そしてその賃金は当然のことながら国を基準として、つまり教育職俸給表の(三)表を基準として決めてよろしいでしょうか。
  325. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 身分的には先ほど申し上げました市町村の公務員であるし、それをもう少し正確に言うと市町村の教育公務員であります。幼稚園から小中高等学校までの給与については、教育公務員特例法がありまして、国立学校の教育公務員の給与の種類と額を基準として定める、こういうふうになっているわけでございます。
  326. 糸久八重子

    糸久八重子君 自治省の御見解はいかがですか。
  327. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 今、文部省からお答えがありましたように、教育公務員特例法の二十五条の五では、基準とするというふうに書いてございます。ただ、この規定というのは経過がございまして、その前は「例による」というふうに書いてあったわけですが、基準とするというふうになっております。基準とするというのは、同一でなければならないということでは私たちはないだろうというふうに考えております。なぜかと申しますと、国立の幼稚園の場合の職務内容というものと公立の幼稚園の場合の職務内容というのは違う、両者の性格が異なるということがあるだろうというふうに思います。また、先ほど先生もお話しになられましたように、保育園との関係が実はございまして、市町村においては幼稚園と保育所というのを二つ持っておるところが非常に多いわけですけれども、その両者の処遇の関係というのも実は市町村長の悩みの種でございまして、そこらを考えてそれぞれの市町村が実態に応じて現在対応しておるというふうに私たちは思います。そこで、基準とするということだから同一であってもいいじゃないかという意見もあろうかと思いますけれども、私たちは、今申し上げましたような理由から必ずしもそうでなくてもいいというふうに考えております。
  328. 糸久八重子

    糸久八重子君 今の御答弁はちょっと後でまたお伺いをする部分がございますので、そちらに譲ります。  文部省にお尋ねしますけれども、今、公立幼稚園の教員に教育職員(三)表を適用している市町村の数とそれから教員数、園の数、そして全体の割合はどうなっているか教えてください。
  329. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 教育職俸給表(三)の給与表の適用を受けている先生は、全体で四三・二%でございます。それから公立学校の幼稚園教員に対して、義務教育等教員の特別手当、それが支給されているのが一九・三%でございます。
  330. 糸久八重子

    糸久八重子君 ちょっと答弁が足らたいんですけれども、市町村の数や園の数はおわかりになりませんか。
  331. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 市町村の数は全体の一八・二%でございます。それから幼稚園の数で言いますと全体の三九・二%でございます。
  332. 糸久八重子

    糸久八重子君 全体の割合から四三・二%とお伺いいたしましたけれども、私の千葉県などでは(三)表が使われている園というのは本当に数えるほどしかないわけです。文部省はそれについてどういう御指導をしておいでですか。
  333. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 原則的には、制度の建前が教育職俸給表の(三)表を適用するということになっているわけでございます。したがいまして、その俸給表の適用ということを建前にして幼稚園の職員の給与も作成してほしいと、そういう指導をしているわけでございます。
  334. 糸久八重子

    糸久八重子君 ところで、自治省から次のようn三点の指導が市町村になされているとのことなんですが、この考えに対して文部省、自治省の御見解を聞かせていただきたいと思います。  まず第一に、「幼稚園教育は義務教育と制度が異なるため各幼稚園に為いて、その教育内容は必ずしも均一でなく、また、保育所での保育内容と、それほど差が認められない場合も多い。更に幼稚園教員の資格についても、一般の学校教員と異なりそれほど均一な資格が求められていない。また、国立幼稚園と公立幼稚園の人事交流の存在も認められない」、これについてはいかがですか。
  335. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 先生がお読みになりました書類、私もいただきまして読ませていただきました。その書類というのがどのようにしてできたかということなんですが、私たちの推測では、市町村か県の職員が私たちの方に電話をしてまいりまして、私たちの職員が恐らく電話で答えたやつを当該地方公務員が整理をしたものだろうというふうに思います。  そこで、先生が今お読みになりましたことそれぞれについて私がここで御説明する前に、そのときにうちの職責が言いたかったことは恐らくこういうことじゃないだろうかというふうに思います。先ほど私が御説明申し上げましたように、教育公務員特例法の二十五条の五というので、基準とするというふうに書いてあるけれども、必ずしも同一でなくてもいいですよということを言いたかった。その言いたかった理由といたしまして、一つは、国立の幼稚園と公立の幼稚園との性格の違いといいますか、そのそれぞれで勤務しておられる教諭の仕事の内容の違いというのがございますねと。もう一つは、そこで資格という言葉を使ってあるのが不正確だと思いますけれども、恐らくそのときに話したことは、国立の幼稚園の先生と公立の幼稚園の先生では、学歴とかあるいは免許法に基づく免許の種類も相当構成において差があるということを言いたかったのじゃなかろうかというふうに思います。  先生がお手持ちの書類で一つ一つ語句を取り上げられて質問されると、私たちも、公文書でございませんので非常に御説明申し上げにくいんですけれども、私が今御説明したようだ趣旨でそれができ上がっておるのだというふうに御理解いただければ非常にありがたいと思います。
  336. 糸久八重子

    糸久八重子君 この文書は、電話でやりとりをしたというものではなくて、直接ある市町村長が自治省に行って、その交渉の席上での回答であったということなんです。したがいまして、かなり私はこれが自治省の考えであるというふうに思っているわけですけれども、文部省はいかがですか、これにつきましては。
  337. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 自治省でどういう形で指導をされているか詳細に承知しておりませんので、ここで一つ一つのことについて申し上げることができないわけでございますが、建前としては先ほど申し上げたような姿勢で文部省としては指導しているわけでございます。    〔委員長退席、理事初村滝一郎君着席〕
  338. 糸久八重子

    糸久八重子君 お伺いいたしますことがもう二点あります。  二番目なんですが、「国立の幼稚園については、大学所属の学校であるため、職務の一環として教育研究活動を担当していることなどもあって、勤務の態容及び教員の資格は義務教育諸学校等の教員のそれと、ほぼ同様であると認められるが、一般の公立の幼稚園についてはそのような実態は認められない」という答弁もあったわけです。これについてはいかがですか。
  339. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 今、先生がお話しになりましたのは、恐らく国立学校設置法の施行規則の二十七条のことを言っておるのだと思います。国立大学の附属幼稚園では、大学における幼児の保育に関する研究に協力をする、あるいはまた大学の計画に従って学生の教育実習の実施に当たることがその責務とされておる、国立の幼稚園におきましてはそういう立場に置かれておりますけれども、公立の幼稚園の場合には、公立大学の附属幼稚園を除きましてそういう位置づけがされていたいということをそこで言ったものだろうというふうに私は理解いたしております。
  340. 糸久八重子

    糸久八重子君 最後に、三番目です。  「(1)及び(2)の事情を考慮した場合、公立幼稚園教員の給与の取扱いが国立幼稚園教員の給与の取扱いと異ったとしても、それが当該公立幼稚園教員の職務実態に照らして合理的なものであれば教育公務員特例法第二十五条の五の規定に反するものとはいえない。例えば一般の公立幼稚園の教員について、一般行政職の給料表を適用するとか国立の幼稚園教員に支給されている手当を支給したいとかの措置がとられたとしても同条の趣旨に反したいものと解される」、そう答えているわけです。これについてはいかがですか。
  341. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 私たちの考えはおおむねそのとおりに御理解いただいていいだろうというふうに思います。なぜかと申しますと、最初に御答弁申し上げましたように、一つは、国立幼稚園と公立幼稚園の教諭の職務の違いというのがやはりあるということと、もう一つは、実態的なことでございますけれども、公立の幼稚園の教諭と公立の保育所の保母さんというのが、実態的に職務の内容とかあるいは勤務時間等におきましてもそれほど差がない、けれどもその両者を処遇上差別するというのは市町村長としては非常に難しい問題だという話もございます。そういう二点から申し上げまして、私たちはそこで先生がお読みになりましたように考えても差し支えないというふうに考えておりますが、なお手当の話につきましては、例の義務教育の特別手当というものを人事院が四十九年から五十三年にわたりまして三次の勧告をされて、教員の給与が改善されました。そのときに特別手当につきまして、当初は幼稚園の先生が対象にされていませんでしたけれども、第三次の勧告でしたか、対象にされたときの人事院の説明というのが当時ございますけれども、その説明の中でも私が今申し上げたようなことが実は書いてございます。  したがいまして、私たちの考え方というのはそれほど間違った考え方ではない、文部省が今御説明になられた、答弁になられたような考え方は文部省なりの立場としての考え方として私たちは理解できないことはないですけれども、もう少し地域における実態というものを考えて総合的に判断すると、私たちの考え方もまた御理解いただけるのじゃないかというふうに思います。
  342. 糸久八重子

    糸久八重子君 文部省には改めてお伺いいたしませんけれども、さっきの見解でよろしゅうございますね。
  343. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 小中学校の先生は、義務教育国庫負担法で国が負担するという仕組み、それから教育内容その他についてかなり詳細な学習指導要領の基準があり、教科書があるということで、ある意味では非常に全国同じような水準の内容を展開するということで、給与の取り扱いについてもかなり厳格な運用をしているわけでございます。そして幼稚園の給与につきましては、法律の建前としては先ほど申し上げましたように国の職員の例によって決めるということになっているわけですから、その法律の解釈としては教育職俸給表(三)の適用があるというふうに理解するわけでございます。ただ、地域の実態に応じては、先ほど自治省から話がありますように、保育所職員との絡みとかその市町村における財政力の問題であるとかいろんな問題が重なり合っているということで、必ずしも一〇〇%そういう形になっていないという実態は承知しているわけでございます。
  344. 糸久八重子

    糸久八重子君 文部省は教育公務員として取り扱う、自治省はそうでなくともよろしい、大変見解が違っているわけですけれども、実は人確法が出たときに国会の附帯決議で、幼稚園を含めて、「義務教育諸学校の教育職員の給与改善との均衡を考慮して同時に必要な措置を講ずること」ということが決められたわけです。一九七四年のことだと思いますけれども、二月十九日付でございます。その後文部省はこのことについてどのような措置をなされていらっしゃいましたか。
  345. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 昭和四十九年に人材確保法の成立によりまして、第一次から四回にわたって改善を行ってまいりまして、その際には、当然のことでございますが、国立幼稚園に適用される教育職俸給表の(三)表につきましても同じような改善が行われるわけでございますが、一体となって改善されているわけでございます。ただ、違いますのは、幼稚園に対して義務教育等の教員特別手当、この支給が幼稚園については若干おくれて改正された。しかもその内容が、一般の小中学校の先生ですと六%ということでございますが、幼稚園については三%。その三%を考える際に、いろんな勤務の実態、そういうものを配慮して義務教育と若干の格差がつけられているということで、これは現状状態ではやむを得ない措置がというふうに理解しているわけでございます。
  346. 糸久八重子

    糸久八重子君 どうもその辺あたりからだんだんに薄められてきて、幼稚園教員が教育公務員ということについての、自治省寄りにだんだんなってきているのじゃないかと非常に残念に思うわけですけれども、きちっとした改善が行われていないというのはやっぱり国会の決議の軽視ではないかと思います。やはり幼稚園の教師が教育職ではなくて、まあ今は行政職になったり、それから各市町村独自の給与表を使ったりという、いろいろな形が行われているわけですけれども、そういうことで他の給料表の適用を受けている、このことは先生としての勤労意欲が損なわれるのではないかと思うのですけれども、この辺について文部省の御見解はいかがですか。
  347. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 給与がどういう形の俸給表を適用されているか、どの程度の給与が支払われているかにかかわらず、幼稚園の先生は幼稚園の先生として園児の保育に全力を傾けるということが必要でございまして、俸給表が教育職俸給表でないから少し手を抜いていいというような理屈にはならないと思うんです。逆に、給与上の処遇改善については処遇改善の問題として考えていかなければならない、職務は職務としてそこに配属された以上は全力を傾けて幼児教育に当たってもらいたいと、こういうふうにお願いしたいと思います。
  348. 糸久八重子

    糸久八重子君 勤労意欲の問題なんですけどね。やはり勤労意欲を盛り上げていただくためには、どうしてもやはりそれは賃金の問題に絡んでくるわけですね。ですから、そういう観点できちっとやはり指導をしていただきたいと思うのです。しっかりとした指導するために、文部省としては通達でも出していただきたいと思うのですけれども。  自治省にお伺いいたしますが、自治省はこのことについてどう指導なさいますか。
  349. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) たびたび御答弁申し上げておりますので、およそ御理解いただけるかと思いますけれども、私たちの方では、今、先生がお話しになりました教育公務員特例法二十五条の五というのはよく理解できますし、それはそれとして尊重していかなげればならないと思います。ただ、私が答弁の中で申し上げましたように、国立幼稚園というものと公立幼稚園の職務の内容の違いとか、あるいはまた現地におきます、特に保育所との関係とか難しい問題がございますので、その関係というものをそれぞれの地方団体の方で頭に入れていただきまして、教育公務員特例法二十五条の五というものをそんなにかた苦しくといいますか、同一というふうにひとつ理解して運用しなくてもよろしいよという話はやはり申し上げた方が私たちはいいと思っています。
  350. 糸久八重子

    糸久八重子君 人事院にお聞きいたします。  直接の所轄ではないと思いますけれども、この公立幼稚園の先生方の賃金についてどうお考えでございましょうか。文部省と自治省との考えが食い違っておるということでは大変困るんですけれども、いかがでしょうか。
  351. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) お答えいたします。  国家公務員であります大学附属の幼稚園の先生方は、先生おっしゃいますように教育職俸給表(三)を適用してございます。これは冒頭に先生がおっしゃいましたように学校教育法で学校ということで規定されておりまして、したがってそこに勤務される教諭の先生方は教育機関に勤務する教育職であるという認識でございます。しかも、この免許資格制度も小中の先生とほぼ同じということでございますので、これは教育(三)を適用するのが適切であるということで、そういう定めをしておるわけでございます。  ただいま文部省と自治省からそれぞれいろいろお答えありましたですが、まさに私たちの所管でない公立の幼稚園につきましては、これをどう処理するかという点は、今私が申し上げましたような、人事院が教育職俸給表出を適用している理由これを十分お考えいただいて対処していただきたいと、こういうふうに思います。
  352. 糸久八重子

    糸久八重子君 予算委員会の中でもたびたび話が出ましたけれども、今、幼保一元化の問題が大変問題になっておるわけです。幼児教育を充実させていくためにぜひともこの幼保一元化というのは実現させていかなければならないわけですけれども、子供たちを指導する先生方の身分もまた賃金も現在のようにままならぬ状態では本当に困ると思います。まず条件整備をする、そのことが一番大切なことではないかと思いますので、最後に文部大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  353. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 文部省といたしましては、先ほどから局長が申し上げましたように、地方公共団体に対しましては、いわゆる国立幼稚園教員給与を基準として定めるべきであるということの指導はいたしておるところでございます。ただ、若干先生の御指摘の中に賛意を示すところもございますが、お金、給与で励みになるという、私は、それも現実としてはそうなのかもしれませんが、やはり教育の任に当たる先生は、幼稚園といえども、高等教育機関といえども、やはり使命感に満ちあふれて子供たちの教育に携わっておられると、私はこういうふうに理解をいたしておるところでございます。しかし、そうはあっても、こうした問題をうやむやにしておいていいというものではないと私は思っております。  ただ、先ほどからの議論に出ましたように、片方は国庫負担できちっと法律で定められておりますし、片方はいわゆる交付税の中で算定をするという地方の自治にお任せをしておるということでもございます。もう一つは、今お話がございましたように保育所という問題もございます。この国会でもたびたび幼保の問題で御議論をいたしました。私は一元化の方向がいいという考え方を持っておりますが、このことを言いますとあちらからもこちらからもおしかりをいただきます。先般も岡山の党の大会に行ってまいりましたら、市町村長さんはとっても喜んでくれまして、何とか我々の苦しいのをぜひ解決してください。ちょうど今自治省と文部省の意見の食い違いがあると同じように、それだけ市町村長の皆さんは苦しんでおられるということはよくわかります。  ところが一方では、保育の団体の保母さんたちがたくさんおられまして、私を目のかたきのようにして、福祉をないがしろにすると言っておしかりをいただきました。きょうのたしかサンケイ新聞の投書欄にも、森文部大臣は一元化を主張しているが、福祉をないがしろにする、けしからぬという投書が出ております。こういう議論になること、私はとてもおかしいと思うんでありまして、私は保育所をなくするとか福祉をのけものにするというのじゃなくて、今言ったように、給与のあり方でもこういう疑問が出てきておりますし、何回も申し上げますが、受ける子供たちや親にとっても矛盾を感じる。設置主体でやっている市町村も自治省の考え方と文部省の考え方の板挟みで苦しんでおるということであるならば、目的と機能は違うけれども、議論はもう何回もしてきたところだけれども、結果的に調整ができないわけでありますから、全く今までのものとは別の新しい幼児教育のあり方というものを、現状のままで結論が出ぬということであるならば長期的な課題として、今すぐどうこうすると言うから、何かすぐ保育所がなくなって保母さんの立場がどうかなるのではないかという、そういうむしろ警戒的な危機感みたいたものをどうも保育団体に僕は教えている人たちがあるんじゃないかということに非常にいささかの怒りを持つものでありますが、そういうことではなくて、本当に二十一世紀の将来に向けて幼児教育、そして福祉の問題も含めてどうあるべきなのかというようなことを新しい臨時教育審議会で御検討いただくことが最も適切なのではないか、私はこういう実は期待を持ってここで何回も申し上げておるところでございます。
  354. 糸久八重子

    糸久八重子君 給与の問題も自治省と文部省で、そして幼保の一元化も厚生省と文部省でと、大変いがみ合っていて本当に困るわけですけれども、今文部大臣の答弁の中に、賃金の問題云々ではなくて仕事についての誠実だということがありましたけれども、やはり今の教師というのは昔の聖職者じゃなくて労働者でございます。あくまでも賃金の確立が必要だということも一言つけ加えさせていただきたいと思います。  通産省と経企庁にお尋ねをする時間が実はなくなってしまいまして申しわけございませんが、どうしても労働大臣にお伺いしたいことが一つございますので、そちらに移らせていただきます。  雇用平等についての問題でございます。憲法二十七条には女性を含む全ての国民に勤労の権利のあることがうたわれておりますね。働く権利を持つ日本の女たちが今、働くという面でさまざまな不利な条件に置かれていることは基本的人権の侵害ということになりはしないでしょうか。労働大臣、いかがでしょう。
  355. 坂本三十次

    国務大臣坂本三十次君) 基本的人権の侵害に至るかどうかということはなかなか難しい問題でございますけれども、しかし今までの日本の社会というものはどうしたってやっぱり男性主導型で動いてきた事実は事実でございまして、そして何といいましょうか、長い間の、理屈ではなしに常識が、社会常識というものが、男は仕事、女は家庭と、こういうふうにずっときたものでありまするから、確かに女性が働きたい、そして意欲もある、能力もある、そういう人たちの門戸をやはり結果として狭めてきたことはこれはまあ事実であろうと、そう思っております。そういうところを改革しようというのが今度の男女平等法の趣旨でもございます。
  356. 糸久八重子

    糸久八重子君 もう一つだけ。もう少し申し上げたいんですけれども、時間が参りました。  三月二十六日に審議会から出されましたものは、差別撤廃条約批准に欠くことのできない平等法を制定するという本来の目的から大きく反する内容でした、私から言わせれば。政府は建議として受け取ったとありましたけれども、この人権問題が両論併記とか三論併記で出されたということ自体がやはりおかしいと思うんですね。大変難しい問題であったから最後までまとまらなかったということを国民に示すという報告だと受けとめてよろしいですね。
  357. 坂本三十次

    国務大臣坂本三十次君) 普通の審議会でしたら、一本で答申してもらえるというのがほとんどでしょう。両論併記ともなれば大騒動ということでありましょうが、今度の場合は三論併記もあるということであります。しかし、まあこれは普通の技術論と違いまして、もう長いやっぱり社会的な常識とか、深くは文明論にまで及ぼすことでありまして、しかも現実的な経済、雇用の場のやっぱり難しい問題もはらんでおりますので一生懸命に考えている。しかし、やっぱり今までの立場から考えられる人、こちらの立場から考えられる人、いろいろの立場から一生懸命考えていただいた善意の私は御意見であろうと思いまするけれども、しかしそういうことを言っておったのではやはり大きく一歩を歴史的に踏み出すことはできませんので、本当の皆様方の御意見を踏まえながら、日本のあるべき姿、女性の基本的人権、これにこたえる姿というものを、まあ一段高いところからというと語弊があるかもしれませんけれども、女性の権利を守るために、そして日本の社会をやっぱり活力あらしめるために、国際的な歩調を整えるためにと、いろいろな大所高所から見て、労働省としては一歩をここで踏み出していきたいものだと、歴史的な一歩を踏み出すことになるのではないかなという意識でやりたいと思っております。
  358. 糸久八重子

    糸久八重子君 では、時間がなくなりましたけど、この間の一日のテレビ討論会、じっくりと聞かせていただきましたので、またあの内容につきましては後ほど委員会でお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。(拍手)
  359. 初村滝一郎

    ○理事(初村滝一郎君) 以上で糸久君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  360. 初村滝一郎

    ○理事(初村滝一郎君) 次に、小笠原貞子君の一般質疑を行います。小笠原君。
  361. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まず最初に、環境庁に伺いたいと思います。  釧路湿原の保全対策について結果がまとめられました。環境庁としてこの問題をどうお考えになって、どう今後対処されるおつもりか、まず内容も含めてお伺いしたいと思います。
  362. 山崎圭

    政府委員(山崎圭君) お答えいたします。  昨年度に釧路湿原保全対策緊急調査というものを実施いたしました。その結果、釧路湿原の評価をいろいろとしているわけでございますが、その特徴的なことを二、三申し述べますと、釧路湿原は約二万一千ヘクタールに及ぶ我が国最大規模の原生的な自然状態を呈する湿原であるということ。それから二番目に、タンチョウヅルとかあるいはキタサソショウウオを初めとする貴重な野性動物の生息地であること。また第三点としまして、低層湿原ということで、その低層湿原の占める割合が極めて高い。こういうようなことで、学術上あるいは野性動物の保護上、国内だけではございませんで、ラムサール条約に一部指定されておりますが、そういう国際的にも重要な地域であるということでございまして、さらには我が国を代表するようだ傑出した自然の風景地である、こういう評価が行われているところであります。  そういうことを踏まえまして、私ども環境庁といたしましては、この緊急調査実施と並行いたしまして、学識経験者から成る検討会を設けております。今後の保全方策の基本的な方向について検討を重ねていただいたわけでございます。その意見も取りまとめてちょうだいしております。そのようなことで、この検討会の集約的な御意見としましては、釧路湿原の適切な保護と利用を図る、こういうための措置をとる必要がある。既存の制度から見て、自然公園及び鳥獣保護の制度を主体にして措置することが妥当である、こういうことが結論でございます。そのようなことで、私どもはこの検討会の御意見の趣旨にのっとりまして、地元関係者あるいは関係機関、これらと十分調整を図りながら、釧路湿原の保全のための適切な措置を今後とってまいりたい、こういう考え方でございます。
  363. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私も各時期に今まで三回その中に入ってまいりました。いまおっしゃったように、鳥類とかいろいろな生物から見ても、まさに保全すべき人類の宝庫だというふうに非常に私は感動を持って見てまいりました。  そこで大臣、私はぜひ大臣に一度見ていただきたい。そして一日も早く国立公園というふうな指定で保障していただきたい。いかがでございますか。
  364. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) お答え申し上げます。  私も前に北海道開発庁政務次官を実は仰せつかっておりまして、向こうへも行かしていただいたのでございますけれども、なかなかツルのいるところまで入らしてもらえずに、その外の方のところで、ここはちょっともう行けませんからといって追い返されたんですけれども、今度は環境庁長官でございますので入らしていただけると思います。機会を見てすぐ行かしていただきたいと念願をいたしております。
  365. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣、国立公園に早くしてくださいと言ったんです。
  366. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) 国立公園か国定公園が、この答申に従って検討をさしていただきたいと考えております。
  367. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 早くね。
  368. 上田稔

    国務大臣(上田稔君) はい、早くやります。
  369. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 これを守りますためには、どうしても建設省、そして北海道開発庁というようなところで積極的に調整しながらやっていただかなければならないわけでございます。建設大臣、それから国土庁長官、開発庁長官、お答えいただきたいと思います。
  370. 水野清

    国務大臣水野清君) ただいま環境庁長官からもお答えいたしましたように、国立公園になるか国定公園になるかしれませんが、釧路湿原というものが大変自然のいろんな環境も残っておりまして、重要だということはよく承っております。  建設省関係がありますのは、この真ん中を通っている釧路川の治水計画であります。釧路川の治水計画は、中流と下流地域に釧路湿原、遊水地である釧路湿原があるわけでありますが、その自然環境の保全などを考慮して、従来の湿原の有する遊水機能を生かしたまま、その保全に対して十分に配慮をした計画となっております。この水系の治水計画の基本となる工事実施基本計画は、環境庁とも協議の上、昭和五十九年の、本年三月に決定しているところでございます。
  371. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 湿原地区の保全、これは私は大変大事なことじゃないかと思います。先生のおっしゃるところは、特にタンチョウ、ここは渡り鳥でなく、年じゅうあすこに住みついておるところです。そういう意味でこういう問題が取り上げられるということは大変やはり心優しい小笠原さんでなければと。ところが、私の場合はちょっと反対たんですね、開発をする立場ですから。しかしながら、その開発をすることによってタンチョウヅルがそこで居つくということにはなかなか問題があると思いますので、開発に当たっては十分にもう注意をしながら、タンチョウヅルがそこに年じゅう住みつくような考え方を持って……
  372. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ツルだけじゃない。
  373. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) それはタンチョウヅルばかりじゃなく、特にタンチョウヅルが多いわけですから、そういう意味で、保護された鳥の問題についてはそこで永久に住みつかれるようにということを配慮しながら、地域住民の皆さんと一緒になって意見を聴取しながら開発をやってまいりたいと思います。
  374. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 次に、大規模プロジェクトの問題について伺います。  苫小牧東部、むつ小川原等に代表される大規模開発プロジェクトはどの地域ももう現在既に破綻しているというのは明らかになっています。これらの基本計画と、それから現在の到達状況について、各項目ごとに明らかにしていただきたいと思います。
  375. 川俣芳郎

    政府委員(川俣芳郎君) むつ小川原地区につきましてお答え申し上げます。  むつ小川原開発につきましては、昭和五十年に青森県で第二次基本計画を立てまして、それで五十二年に閣議口頭了解の趣旨に沿って推進をいたしております。計画目標、それからこれに対応します進捗状況は次のとおりでございます。  土地利用計画といたしましては、開発地区全体の面積が五千二百八十ヘクタールでございます。うち、工業用地として予定をいたしております面積が二千八百ヘクタールでございます。既に八八%の用地の取得を終えているところでございます。計画されました立地業種及び規模につきましては、一つは石油精製、一日百万バレル程度を目標にいたしたものであります。次に石油化学、年百六十万トン程度であります。また、火力発電三百二十万キロワットということに相なっておりますが、第二次オイルショック後の石油をめぐります諸情勢の変化から、これらの立地は進捗をしておらないところでございます。ただ、石油公団の国家石油備蓄基地が立地をされておりまして、目標五百七十万キロリットル、五十一基の石油タンクの建設が進んでおり、五十八年九月には既に一部オイルインをしておるという状況であります。これらによります。地の分譲は二百六十ヘクタールで、約一割でございます。  こういった状況でございますので、やはり一日も早く用地の売却に努めなければならないということで、むつ小川原開発株式会社、また地元の青森県等について、現在、鋭意努力をいたしておるという状況でございます。
  376. 竹下淳

    政府委員竹下淳君) 苦小牧東部の関係についてお答え申し上げます。  工業開発区域として考えております総面積は一万一千二百五十ヘクタール、このうち、工業用地面積は五千六百八十ヘクタールを見込んでおります。ただこの数字は、マスタープランを作成して以来、用地取得の段階で若干区域を絞り込んでおりますので、基本計画に示されておる数字よりはいずれも千ヘクタール程度ずつ少なくなった数字になっております。現在おおむねこの程度になるのではないかと見込んでいる数字でございます。  用地の買収についてでございますが、これは昭和四十四年から北海道が始めたものでございますが、かつての工業開発が、工業地帯と住宅地が混在したような形でスプロール化した発展をしていく、地域環境が悪化するというようなこともございまして、やはり公害のない良好な地域環境を持った工業都市を建設していくためには、用地を一括取得いたしまして計画的に進めなければいかぬということで、昭和四十四年、北海道企業局においてその一括買収に、先行買収に着手いたしましたのがその初めでございます。昭和五十七年度末までに取得いたしました面積は八千五十ヘクタールとなっております。このうち、分譲面積でございますが、これまでに北海道電力の石炭火力発電所、それから石油備蓄、化学工業、自動車工業、それからコールセンター等々に対して分譲をいたしておりまして、五十七年度末までの分譲面積が六百五十四ヘクタールとなっております。これを先ほど申し上げました工業用地の面積で割りますと、大体一二%程度という数字になっております。  ただ、ただいま申し上げました分譲先の企業は、それぞれ全体構想といいますか、そういうものを持っておりますので、そのために用地の拡張ということも今後見込まれるわけでございますが、それらを含めますと、全体で千ヘクタール程度になるということで、そういったことから全体の約一八%程度のものについて用地の利用の目算が立ってきているということが言えようかと思います。  工業生産額でございますが、これは基本計画を作成した昭和四十六年の段階で見込んだ立地想定業種につきまして試算したもので、三兆三千億円、当時の価格でございますが、そううたっております。現在までに操業しておりますものは、先ほど申し上げましたもののうち、北海道電力の火力発電、それと石油備蓄だけでございまして、工業生産という形には現在まだ至っておりません。ただ自動車工業、いすゞ自動車でございますが、これの工場建設が進んでおりまして、間もなく生産が開始されるという状況でございますので、近く生産額が見込めるような状況になっているかと思います。  進出企業の従業者数につきましては、先ほど申し上げました基本計画ベースでは五万人というような見込み方をいたしております。これに対しまして現在は、先ほど申し上げましたように操業中のものと工場建設の準備中のものがございますが、昨年末、五十八年十二月現在でございますが、現地の従業者数が三百九十人ということになっております。ただ、自動車あるいは北電火力の第二期、コールセンター等々が近々操業開始するということの見通しが立っておりますので、それが動き出した段階では、これにさらに、二百ないし三百名程度の増員が見込めるのではないか、こういうような状況でございます。
  377. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 むつの方、工業生産額と人口が抜けましたから、お答えください。
  378. 川俣芳郎

    政府委員(川俣芳郎君) 基本計画におきましては、目標の工業出荷額は、昭和四十五年価額で一兆二千億程度、従業員数は一万六千人程度と想定をいたしております。
  379. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 出荷額の現在と、それから想定。
  380. 川俣芳郎

    政府委員(川俣芳郎君) 現在のところは、先ほども申し上げましたようなことで、国家石油備蓄基地のみが立地をいたしておるわけでございまして、この関係で、五十八年度現在で約二百八十七名の就労者があるわけでございます。
  381. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは、この間この事業にかかった公的負担、国及び地方自治体、項目ごとの費用及び第三セクターの借入金、支払い利息について明らかにしてください。
  382. 川俣芳郎

    政府委員(川俣芳郎君) お答え申し上げます。  現在までに投入されました公的資金の額は、まず港湾等の公共事業に五十八年度末で約四百八十四億円でございます。さらに、工業再配置促進法に基づきます工業団地造成利子補給金が約四十二億円でございます。それから、むつ小川原開発株式会社に対します出資金のうち、公的なものは十五億円であります。これを合計いたしますと五百四十一億円に相なります。なお、現在、北東開発公庫からむつ小川原開発株式会社が融資を受けております融資残高は、五百二十三億円であります。
  383. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 苫東は。
  384. 竹下淳

    政府委員竹下淳君) お答えいたします。  まず、苫東開発に対する国関係の投入額でございますが、一つ公共事業関係でございます。これは公共事業の効率的な執行をするという観点から、企業立地の動向を見ながら、それに必要な範囲内でやってきておるわけでございますが、港湾、道路等でございます、これにつきまして昭和五十八年度まで。それからもう一つは、工業団地の利子補給金、これは五十七年度まで。合わせまして六百八十一億円の国費を投入いたしております。このほか、北東公庫からこの工業基地の造成等を行っております第三セクターの苫小牧東部開発株式会社、ここに出融資いたしておりますものが四百十七億円ございます。これは五十七年末現在で投入されているものでございます。それから地方自治体関係でございますが、先ほど申し上げました公共事業関係で五十五億円を投入している、これも五十八年度まででございます。  それから第三セクターに対する出資金、これは追及び市町村の分でございますが十五億円、それから用地を取得するために企業会計等で投入しておりますもの、これは五十七年度末で四百四十七億円ということに相なっております。第三セクターの五十七年度における借入残額は、北東公庫から融資した分につきまして四百二億円、北東公庫に対する支払い利息、五十七年度分は三十四億円とたっております。
  385. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ごちゃごちゃ皆さんにわからないように数字を挙げられると困るのね。私の方はちゃんと、もっと総合してわかりやすく、合計として、国には全体でどれくらいですか、そして地方自治体にはどれくらいですか、その公的負担と借入金残高と利息と年間の返済額についてきちっとまとめてくださいと言ったんですよ。ちょっとまとめてくださいよ。今のだったらみんなも聞いたってわかんないわよ。
  386. 竹下淳

    政府委員竹下淳君) 国等の投入している資金につきましては、国費と先ほど申し上げました出融資とございまして、これは性格が違いますので加算したものがどういう意味を持つのかよく明確ではございませんが、単純に加算いたしますと、国費ないし国の機関が投入しているものは千九十八億円でございます。それから地方自治体、これも企業会計等もございますが、同じようなことになろうかと思いますが、単純に加算いたしますと、その結果は五百十七億円というふうに相なります。
  387. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうふうに言えばいいのよ、初めから。  それから、むつも今みたいにまとめてわかりやすく言いなさいよ。本当にわからなくするんだから。本当に一生懸命話しして、ちゃんとわかるようにしてあるんだから、親切じゃないわね。
  388. 川俣芳郎

    政府委員(川俣芳郎君) 先ほども申し上げましたように、投入されました公的資金の額は五百四十一億円でございます。そのうち国費が三百六十一億円、県費が百八十億円であります。そのほかに、先ほど申し上げましたように、北東公庫のむつ小川原開発株式会社に対します融資が五百二十三億円あるわけでございます。これを足した数字がいかがかということになりますと、千三百十九億円ということであります。
  389. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 委員長、ちゃんと私の方はわかりやすく皆さんにも聞いていただきたいと思って、十分こちらの真意を話ししてあるんですよ。そして受ける方でもちゃんとそれを受けて、そして数字まとめていらっしゃるんですよ。それがここへ来たらわからないようにかえってやっちゃうのね。そして私、今また言ったでしょう、それじや借入残高はどれくらいですかと言ったでしょう。それについてもちゃんと出てこないじゃない。それから利息はどうなっているんですか。年間の返済額は、むつ小川原と苫東と両方でどうなっているんですか。項目をきちんと言って、まとめて答えられるように質問しているのに、何でまとめて答えないの。
  390. 初村滝一郎

    ○理事(初村滝一郎君) 政府委員答弁は、質問者の趣旨を体して簡単明瞭にわかりやすく御答弁を願うように注意をいたします。再度、補充答弁をお願いいたします。
  391. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 借入金残高。
  392. 竹下淳

    政府委員竹下淳君) お答えいたします。  第三セクターが北東公庫から借り入れております借入残高、先ほども申し上げましたが、五十七年度で四百二億円でございます。
  393. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 苦東とむつと分けて言ってよ。
  394. 竹下淳

    政府委員竹下淳君) 私、苫東だけお答えさしていただきます。  それから支払い利息でございますが、五十七年度の支払い利息は三十四億円。それから五十七年度の借入金に対する北東公庫への償還金は八十四億円となっております。
  395. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 年内返済額。
  396. 竹下淳

    政府委員竹下淳君) 五十七年度の実績で八十四億円となっております。
  397. 川俣芳郎

    政府委員(川俣芳郎君) 先ほど公的資金ということでございましたので申し上げたわけでございますけれども、むつ小川原開発株式会社全体といたしましての借入金残高は、五十八年度で千三百億でございます。それから新規借入額及び返済額は、五十八年度それぞれ二百四十七億円及び七十一億円でございます。それから五十八年度に支払いました利息支払い額は九十一億円であります。
  398. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 やっと、ぼつぼつっと出すのね。少し意図的じゃないの。気をつけてくださいよ。  これ、数字にこだわっていると本質が討論になりませんから、一応これで進めますけれども、今のおっしゃった中から考えても、国家プロジェクトということで約三千億、莫大な財政投資をしています。売れた用地は総面積から見るとそれぞれ五%ないし六%です。生産額はさっきおっしゃったように、合わせると四兆五千億の計画に対してゼロですよ。これに加えて第三セクターは大変な赤字です。元金も返せない、利子も大変だと。それでこれは破綻していると。この第三セクターの元金を返すのと、利子を一年間でどれくらいだと、これもおたくとちゃんと詰めたら合ったんですよ。四百二十二億円になるんです。一日にすれば両方で一億一千六百万円、一日でこれだけかかっているんです、そういうふうになって生産額ゼロ。それで北海道の検討委員会でも、鉄鋼などというのは特に新たにここに張りつけるなんていうことはもう見込み薄だと、だからこれを見直しなさいと言われて、もう見直しというのが全体の世論になっているわけですよね。なぜ行革だとか何だと言いながら、これは聖域にしてそのまんまにされているのかということは、何年でも私はしつこく言わなければならないわけです。  それで伺います。苫東とむつ小川原株式会社の顧問、取締役会長、おっしゃってください、名前。肩書がわかれば肩書も入れてください。
  399. 川俣芳郎

    政府委員(川俣芳郎君) むつ小川原開発株式会社の取締役会長は稲山嘉寛氏でございます。顧問につきましては私ども詳細承知をいたしておりません。
  400. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 承知してないといって、決算報告書にみんな出ているんだから調べてみなさいと言ったのに。言われなかったら北東公庫呼ぶからと言ったら、言いますからとおっしゃったからあれしたんですよ。
  401. 竹下淳

    政府委員竹下淳君) 苫小牧東部開発株式会社でございますが、これ特殊法人でもございませんので、私どもの方から監督権もございませんので、お答えするのは適切かどうか疑義がございますが、公表されている資料等によりまして、私どもの知っている範囲で申し述べたいと思います。  会長はおりませんで、代表取締役社長太田剛氏、それから顧問は北海道拓殖銀行の顧問をしておられる広瀬経一氏ほか六名というふうに聞いております。
  402. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ほか六名の名前。
  403. 竹下淳

    政府委員竹下淳君) ただいま申し上げました広瀬経一氏、それから経済団体連合会会長土光敏夫氏、日本商工会議所会頭永野重雄氏、元参議院議員町村会五氏、関西電力名誉会長芦原義重氏、苫小牧埠頭社長西田信一氏、それと常任顧問の浅井正敬氏、以上七名というふうに承知しております。
  404. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いまおっしゃいましたように、そうそうたるメンバーでしょう、土光さんでしょう、稲山さんでしょう、永野重雄でしょう、江戸英雄、それから出光の石田さん、こういう人が顧問だとかなんかにちゃんとおさまっているわけですよ。だから、この人たちに遠慮があるのではないでしょうか。そればかりではありません。天下り官僚がたくさんいらっしゃいます。むつ、苫東、それぞれ役員の中の官僚から天下られた方の人数を教えてください。
  405. 川俣芳郎

    政府委員(川俣芳郎君) むつ小川原開発株式会社の常勤役員数は、本年四月一日現在で十二名でございます。これを当会社の役員に就任する直前の職業を基準に類別いたしますと、行政官庁一名、地方公共団体一名、特殊法人六名、民間団体、民間法人四名でございます。
  406. 竹下淳

    政府委員竹下淳君) 苫小牧東部開発株式会社の常勤役員は十一名おりますが、このうち国家公務員出身者が三名、地方公務員出身者が二名、特殊法人出身者が二名、以上でございます。
  407. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 特殊法人を含めますと七〇%近くなります。  じゃ、役員の給与と退職金は決算報告書でどうなっていますか。
  408. 川俣芳郎

    政府委員(川俣芳郎君) お答えいたします。  常勤役員の給与及び役員への退職金支給総額でございますが、私ども同社の有価証券報告書を調べたところによりますと、給与と退職金を含めまして、五十六年度は一億二千八百万円でございます。五十七年度は二億八百万円でございます。
  409. 竹下淳

    政府委員竹下淳君) 苫小牧東部開発株式会社の役員報酬等につきまして、公表されている資料から私ども承知している数字を申し上げます。  役員報酬でございますが、昭和五十六年度一億二千七百万、昭和五十七年度一億二千九百万。役員の退職金でございますが、五十六年度六千六百万、五十七年度なし。  以上でございます。
  410. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 わかりやすく言うと、年間の給料が一千万、退職金は四人で八千万、五人で六千六百万という莫大な数字になります。  次に、むつの場合、資料の一番上をごらんいただけばいいんですけれども、いわゆる渡り鳥というのがずっと出ております。次々と官僚が天下りまして、そして渡り歩いているというこの図をごらんいただけばおわかりになると思います。その次のページを開けていただきますと、渡り歩くのと、次は縄張りというのがあるんです。このポストは大蔵省の縄張りで、次々とこれが世襲していくというような縄張りというのがあるわけなんです。例えば大蔵省でいいますと、むつの常務取締役、このポストは全部大蔵省の縄張りにございますから、理財局長がなって、印刷局長がなって、東北理財局長と、それから経企庁もあります、農水省、通産省、北東開発公庫、みんなそれぞれ縄張りを持っていらっしゃるわけなんです。    〔理事初村滝一郎君退席、委員長着席〕  こういうことで国は融資、投資、さっきから言ったように、補助金というものを湯水のように投下をされている。そしてここにこういう人たちが天下って、そしてポストもとり、渡り鳥になって、そして借金の大変な中でお金を使い込む、これは大蔵大臣、おたくの縄張りも大きいですが、どうお思いになりますか。
  411. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 恐らく最初の計画から見れば大変たび重なる石油ショック等々によって開発がおくれておると思いますので、その間の経過からすればこういうことにもなるのかなと、こういう感じを受けております。
  412. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 国土庁長官もいかがお考えですか。
  413. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) この計画に入ったときは少なくとも北海道の場合は、北海道の振興開発とそれから産業と、こういった問題が重要な課題であると、こういったことから私はそこに計画をなされたものだと思います。また、むつ小川原についても、これはやはり地域振興というか、そういう意味で大規模な工業団地というものはこれはとてもじゃないができるものでは私はないと思います。そういう意味から、きょう現在においては、これは先ほど来から事務当局の話を聞いておっても大変気持ち的にもやるせないものがおありだと、よくわかると思いますが、しかしながら、これを長い目で見ますと、これは私は大事に育てていく必要がある、長い目で見るとこれはどうしても北海道の開発等々を考えた場合に、やはり工業の中核になっていく。例えばむつ小川原にいたしましても、あれだけの大規模なものというのはなかなか今後造成とか、あるいは何かということはなかなか困難だと私は思います。そういう意味で、きょう現在においてはこれはまあ批判すべきところはたくさんあります、話を聞いておってわかりますが、しかしながら、もう一歩下がって日本の将来ということを考えた場合において、長い目で見た場合においては、地方開発として大変意義のあるものではなかろうかと、こういうふうに考えています。
  414. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ次に、利子補給金の全体額と、苫東、むつの実績はどうなっていますか。五十一年以降現在までお答えいただきたいと思います。通産省。
  415. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 五十一年以降、合計いたしてございませんが、五十一年度と五十七年度、初めと終わりでちょっと申し上げますと、全体で五十一年度におきます交付額は三十三億強でございます。これに対しまして苫東及びむつ、先ほど御指摘の二社に対しましてはそれぞれ五億一千万及び三千百万、これは五十一年度がむつ小川原のスタートでございますので小そうございます、五十七年度で申し上げますと四十五億強でございます。これに対しまして苫東が十三億弱、むつ小川原が十三億強でございます。
  416. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 これは資料を見ていただければわかるんですけれども、今おっしゃったように、五十一年度を見ますと、全体の利子補給金のうちに苫東、むつが占める割合は八%でございました。それが五十七年度になりますと五七%を占めるようになっているわけなんです。つまり、利子補給に対して締められているにもかかわらず、ほかは締められていて、むつ小川原には非常に大きな額がどんどんつぎ込まれているということは、先ほど言った大物財界人のパックがあったからそれはできたことではないだろうか。  会計検査院に伺いたいと思います。三年前、私、これを質問いたしまして、これについて、このようなプロジェクトの投資効果についても今後の検査の中で検討していきたいとおっしゃっておりましたけれども、どういう検討をして、どう対処をしていらっしゃるか、現在のところどうなっておりますか。
  417. 小川一哉

    説明員(小川一哉君) お答えいたします。  先生が問題提起されておられます大規模プロジェクトにつきましては、投下される資金が非常に多額であるというふうなこと、それからその事業期間も長期にわたっている、そういうふうなことから、予算の効率的な使用といったことの観点から国費が不経済となっているのではないかというふうな事態も考えられますので、会計検査院といたしましても従来からこれを念頭に置きまして検査を進めてまいっております。その結果、決算検査報告に掲記する必要があると認めましたものにつきましては報告をさしていただいております。  先生御指摘の苫東の問題とか、むつ小川原の問題、これは検査が縦割りになっております関係上、なかなか全体像としてはとらえにくいと、こういうふうな面がございます。それで、そういうふうな問題につきましては官房の審議室というふうなところで横断的な検査をするというふうなことになっております。それで、毎年そういうふうな問題がたくさんございますので、昨年は私の所属しております審議室で、先生が問題提起されております苫東地区が入っております新産業都市建設事業及び工業整備特別地域整備事業、こういうふうなものについて検査を実施いたしました。この検査は事業実施の結果、工業出荷額とか工場の立地、それから国庫補助金によりまして建設されました施設の利活用状況、こういうふうなものが所期の目的を達成しているかどうかなどを踏まえて、新産・工特事業実施の効果の面から調査実施しているものでございます。
  418. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 内藤功君の関連質疑を許します。内藤君。
  419. 内藤功

    内藤功君 行政管理庁にお伺いしますが、昭和五十六年の十二月に工業再配置施策に関する行政監察の報告を出されたと思いますが、この監察の目的、内容、結果についてお述べいただきたい。
  420. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) ただいまお尋ねの調査昭和五十五年にやっておりまして、まず目的でありますけれども、当時の工業を軸としました過密過疎の同時解消の実現をねらいといたしました工業再配置促進法、この実施に関しまして、その後の石油ショックを契機とした経済の高度成長から安定成長への移行、そのほかの社会経済情勢の変化を背景といたしまして工業再配置諸施策の状況調査いたしましてその改善に資すると、こういう目的で調査をしております。  結果でございますけれども、五十六年十二月に結果をまとめて関係省庁に通知しております。一つは、この法に決められております工業再配置計画、その前提となっております経済成長率が低下しているとか、あるいはこの計画の目標であります昭和六十年の工業再配置の目標、これと実際との乖離が生ずる可能性が高い、そういったことでこの計画の有効な指針となるようなそういう観点から見直してもらいたい。それから地域の指定の関係で誘導地域というのがありますが、この地域指定についての見直し。それから工業団地造成の利子補給金、これについて新規事業に対する抑制を行うこと。こういった内容の勧告をいたしております。
  421. 内藤功

    内藤功君 利子補給金はどうですか。
  422. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 今の利子補給金は、工業団地造成利子補給金、これについて新規事業に対する抑制をしてもらいたいと、こういう内容でございます。
  423. 内藤功

    内藤功君 通産大臣にお伺いしたいんですが、こういう行政管理庁の勧告を受けまして、どのように対応されてきたかを伺いたいのです。  今、一般国民にとっては歳出カットで児童扶養手当を削られたり、心身障害者の社会復帰予算を削られたり大変な状況です。国民の納得を得られるかどうかという問題ですね。特にこの利子補給金は厳しく抑制をするというような勧告もたされておりますが、どのようにこの計画を見直す努力をされておるか、具体的に伺いたいと思います。
  424. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 通産省といたしましては、行管庁の勧告を踏まえまして、これまで補助金交付等、工業再配置施策の全般にわたりましてその効率化に努めてきたところでございます。さらに現在、近年の安定成長への移行や産業構造の知識集約化の進展等工業再配置をめぐる環境変化を踏まえまして、昭和五十九年度末をめどに工業再配置計画の見直しを行っておるところでございます。  詳細につきましては政府委員から答弁させます。
  425. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 行政管理庁から数点勧告を受けておりますが、第一に工業再配置計画、これにつきましては先ほど御答弁ございましたように、経済指標が相当大幅に狂っておりますので、これのフォローアップを行って必要に応じて見直せという勧告を受けたわけでございます。これにつきましては、五十六年十二月に懇談会を設けまして、鋭意フォローアップ作業をいたしました。その結果、五十七年十月にその結果を取りまとめておるわけでございますが、ただ、この工業再配置計画は六十年度を目標といたしておりますので、目標が切れますから、したがって五十九年度中に新たな計画を策定すべく現在作業を進めておるところでございます。  それから、地域指定の問題でございますが、要するに誘導地域、白地地域等の指定のあり方の問題でございますが、これも五十九年度末を目途に行っております再配置計画の新再配置計画、その策定作業の一環といたしまして、その見直しを行うべきかどうか、検討を進めたいというふうに思っております。  それから、工業団地造成利子補給金でございますが、行政監察におきまして、新規事業に対する利子補給につきまして、企業の立地の可能性が見込め、工業再配置の促進に資することとなるものに限るなど厳しく制限する、抑制すべしという勧告を受けておるわけでございます。この点に関しましては、五十六年度以降、工業団地の需要の動向、再配置促進への貢献、こういった点を非常に厳しく判断をいたしておりまして、五十六年度以降、ほぼ新規採択はこれまでの十件前後に対しまして年間一件程度という形で抑制を進めておるところでございます。
  426. 内藤功

    内藤功君 行管庁長官に伺いますが、昭和五十五年のこの監察と勧告の対象の中には、今問題のむつ小川原、それから苫東、これは対象として入っておりますか、どうですか。
  427. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 入ってなかったと承知しております。
  428. 内藤功

    内藤功君 これは大変問題ですね。行革を推進する行政管理庁が、利子補給については厳しく抑制しろという勧告をみずから出しながら、その五六%を占める苫東、むつを監察の対象にしないというのは、これはなぜか。これでは筋が通らないと思いますが、長官、いかがでございましょう。
  429. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それは昭和五十五年の監察でございます。私も当時北海道開発庁長官として苦小牧へ行きました。まだまだ具体的にどこがどうなるという段階でなかったわけですね。したがって、そういうような進度の関係ですね、それで五十五年の調査には外れておると、私はさように理解をしております。
  430. 内藤功

    内藤功君 まさにこれから厳しくやるべきときしゃたいかと思うんですね。私は、非常に納得しかねる点であります。特に、会計検査院は検査を行っているじゃありませんか。やっぱり真剣にむだや浪費をなくすという本当の行革の姿勢があれば、これは当然監察すべき、また少なくともそのことを検討すべきだと私は思うんですよ。再度、長官の御答弁を願いたい。
  431. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今申しましたように、当時は先行投資が始まったばかりでして、だから具体的に計画が進んでおるというようなところを全部調査をしたわけでして、ただ問題は、それじゃ現時点においてこれはどうするのか、こういうことであろうと思いますが、その点につきましては今、四全総、これの見直し作業も始まっておりますし、それから同時に、現状を踏まえて先般の勧告を受けて、通産省等が再配置計画の見直し作業を今やっておりますから、そこらの進度も見ながら、必要とあれば行管庁としては再度調査をするということも当然あり得る、かように考えております。
  432. 内藤功

    内藤功君 過去のことは問いませんよ。今からでも遅くはないというのはこのことです。むつ、苫東は、まさに高度成長政策の破綻の象徴だと思いますね。この二つのプロジェクトで国と道、県の負担は、さっきお話のように既に三千億、支払い利息は年に百六十一億、四兆五千億を予定した工業出荷額は現在ゼロですね。なお国の資金を投入し、血税を投入している、利子補給を続ける。見直しとそれから努力というものについては一向に明確な御答弁がない。私は、こういうことがまかり通る背景は、官僚の天下りと政界、財界の癒着があるからじゃないかと考えるわけであります。  そこで、最後に官房長官に伺います。  去る三月二十日、人事院の発表でも大量な天下りは後を絶たない、依然として大問題です。したがって、天下りについては、政府として現在の人事院規則にとどまらず、もっと厳しい規制をお考えいただく必要があるんじゃないか。その御検討のお考えを内閣の大番頭である長官にお伺いしたい。
  433. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 昨日も御答弁を申し上げましたように、いわゆる国家公務員の営利企業への天下りにつきましては、ことしの発表におきましても相当な人数になっておることは御高承のとおりでございます。しかし、それぞれ従来の方針に基づきまして措置をしてきておるところでございまして、新しく方針を出すというふうなことは今は考えておりませんけれども、しかし昨日も申し上げましたように、一般的に、常識的にという言葉がありますように、これはどう考えても多過ぎるとか、これはどう考えたってよくないというような見方、国民の皆さん方から見た見方というのは一般的にあると思うんです。そういう意味では、常識の域を超えないように、十分各省庁を指導してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  434. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、角度を変えて伺います。  役員ポストを一〇〇%天下りで占めている特殊法人名とその数。
  435. 中村徹

    政府委員(中村徹君) 常勤役員の全員が国家公務員で占められている法人でございますけれども、これにつきましては、閣議決定、閣議了解等において、これを規制するということになっておりませんので、私どもとして内容をチェックしているわけではございませんけれども、法人名で把握しているものを四月一日現在で申し上げますと次のようでございます。  公害防止事業団、公害健康被害補償協会、医療金融公庫、環境衛生金融公庫、社会福祉事業振興会、心身障害者福祉協会、森林開発公団、農業機械化研究所、林業信用基金、金属鉱業事業団、船舶整備公団、中小企業退職金共済事業団、建設業・清酒製造業・林業退職金共済組合、公営企業金融公庫、国立競技場。以上十五の法人でございます。
  436. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いろいろと伺っていてはっきり言えることは、財政再建だの、臨調だのとお出しになったって、やっていらっしゃることはまさに天下り、そこがうまくいかなければ特殊法人に、そこがうまくいかなければもっと広げようというので、認可法人というような隠れ法人を次々つくって官僚の皆さん天下りなすっていらっしゃる。そして、それについて今国民が納得しないようなそういう理由であくまでも固執していらっしゃるということは、まさにおっしゃることとやっていらっしゃることは大違い。弱い者、小さい者のところにしわ寄せをして、大きいところは御機嫌を伺いだから、こういう状態をまだ続けられるということにしか結果はならないと思うんです。このことは、私が今さら言うまでもなく、国民全体がこれに厳しい批判をしているということを申しまして、これは一応終わりたいと思います。  次に、身体障害者の問題をいろいろ伺います。  その前に、宇都宮病院の今度の事件の中で、あらゆる角度から調査をして今後の教訓にしていかなければならないと思うんですけれども一つの角度としては、職員の定数は一体どれくらいあったのか、労働時間はどういうふうになっていたのかというような、働いている者の立場から私はいろいろ問題があったと思います。  労働省として、こういった角度から問題をどう見ていらっしゃるか。就業規則もない、働く者に明示されていないというようなことを調査なすっていらっしゃるか、お聞きになっていらっしゃるか、この段階で御報告いただきたいと思います。
  437. 望月三郎

    政府委員(望月三郎君) 宇都宮病院の件でございますが、私ども、ごく最近はたまたま臨検監督をやっておりませんので、この事件を契機に労働条件がどうなっているかという点について調査を始めたわけでございますが、不幸にも捜査当局が関係書類を全部押収しちゃったわけでございまして、私ども今詳細は把握しておりませんが、今キャッチしている限りでは、従業員数は、男百名、女九十名、計百九十名ということでございます。  それから、労働条件の主な点でございますが、看護婦について申し上げますと、賃金は月平均約二十四万五千円。この額は、最近私ども実施いたしました賃金構造基本調査全国平均の額にほぼ匹敵するレベルの額でございます。  それから、労働時間につきましては、これは一月の所定労働時間が百八十七・五時間ということでございまして、同じく最近実施しました賃金構造基本調査全国平均から見ますと、月十七時間ほどちょっと多くなっております。  以上でございます。
  438. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 先ほども申しましたけれども、就業規則もない、働く者に就業規則も明示されていない。非常に問題を含んでおりますので、引き続き労働省としての調査よろしくお願いをいたします。  次に、国連障害者年を通しましていろいろお伺いしていきたいと思いますが、まず、国連の三十七総会で「障害者に関する世界行動計画」というのが出されたわけでございます。その二百一項を御説明いただきたいと思います。
  439. 山田中正

    政府委員山田中正君) 今、先生の御指摘ございました「障害者に関する世界行動計画」、昭和五十七年の十二月二日に国連総会で採択いたしておりますが、この行動計画二百一項目から成っておりまして、御指摘の第二百一項は、「定期的な評価の結果及び世界経済的、社会的状況の発展に基づき、世界行動計画を定期的に改定していく必要があろう。こうした改定は五年毎に行われるべきであり、第一回目は第四十二回国連総会における事務総長報告に基づき一九八七年に行うことになる。この再検討は、第三次国連開発の十年のための国際開発戦略の検討と評価を行う際に入力されるべきである。」というものでございます。
  440. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうふうに見直すべきであるというように言われているわけです。国内でもこの計画に呼応して当然見直していただきたい。そしてそのためには、中間年を設定して今までのまとめをして、そして今後の発展ということが必要になると思いますけれども、中間年を設定すべきであると思うんですけれども、どのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。総理府長官、厚生大臣、お答えいただきたいと思います。
  441. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 障害者対策につきましては、昭和五十七年三月に長期計画を策定いたしまして各省庁がいろいろやっております。これらの実施状況についての評価、点検のお話、これはもう当然必要であると思います。その方法等についてはまだ十分今詰めておりません。これから相談をいたしてまいりたいと思っております。
  442. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 方法じゃなくて、その方法も含めてだけれども、中間年というものを国連でも言われているんだから。
  443. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 中間年については、まだ検討いたしておりません。
  444. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 検討する気持ちはありますかね。
  445. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 研究いたします。
  446. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 今、総務長官答弁のとおりでございます。
  447. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、今、検討いたしますというお答えだったので、次に移らしていただきます。  次に、日本の障害者の障害別の人数、お知らせください。
  448. 持永和見

    政府委員(持永和見君) いわゆる障害者と先生おっしゃる中にはいろいろな方がおられるわけでございますが、私どもで推計をいたしておるところによりますと、まず身体の障害の方々でございますが、この方々は、身体障害者の方が二百三万人、それから身体障害児の方が十一万人、合わせまして二百十四万人でございます。それから精神。薄弱の方々、これが児者合わせて三十六万人でございます。それから精神障害者と言われる方々が約百万人でございます。そのほかに難病患者等ということで難病の方々あるいは結核の方々、そういう方々をカウントしておりますが、こういう方方が約百万人、合わせまして全体として四百五十万人以上おられるのじゃないかというような推計でございます。
  449. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういたしますと、障害者の中で精神障害者は今の数でいつでも約四分の一を占めるというたくさんの方がいらっしゃいます。  精神障害者の病床数、そのベッドの利用率、入院日数を昭和三十年と比べてどうなっているか、また諸外国と比べて傾向はどうなっているか。
  450. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) お答えいたします。  我が国の精神病院の病床数につきましては、昭和三十年四万四千二百五十床ございましたのが、五十七年には三十一万八千百八十六床となっております。病床利用率につきましては、昭和三十年におきまして一一一・一%となっておりましたが、五十七年では一〇二・六%となっております。それから平均の在院日数でございますけれども昭和三十年の統計ではとれておりませんで、三十五年の統計によりますと三百二十二・七日、五十七年には五百二十九・八日と、かようになっておるわけでございます。  それから諸外国のという御設問についてお答えいたしますが、国によりまして年次が若干異なるわけでございますが、アメリカでは病床数が二十二万七千七百九床でございます。比較の便のために人口十万当たりの比率で申し上げますとアメリカが百五でございます。それからイングランド、英国のイングランド部分を指しているかと思うんですが、人口十万人に、比率に直しますと二百九十一でございます。カナダにつきましては同じく比率が百五十五でございます。フランスが二百一でございます。これに対しまして日本は十万人当たり二百七十となっております。
  451. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ここで言えますことは、外国に比べて非常におくれている、つまり入院数を見てもベッドの利用率を見ても。そして現実に三十年から見ますと大変なふえ方になっているということを考えてみますと、これは病床で収容するんじゃなくて、諸外国が進んでいるのは社会復帰というところに非常に力を入れているわけですね。そういう社会復帰に対して、厚生大臣の考え方をお聞かせください。
  452. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 精神障害者、これは最初は適当な保護の中で医療を充実させなければなりませんが、今御指摘のとおり、やはり回復途上にある精神障害者を一日も早く社会復帰を促進するということは非常に大事なことでありますから、この面の施策に今努めて努力中でございます、
  453. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは具体的に伺いたいんですけれども、こういうことになっていないというのは、一つは福祉法というものの精神障害者に対しての裏づけがないということだと思うんです。厚生省、労働省、大蔵省、運輸省、建設省、文部省各省にわたって、身体障害者にはこういうサービスをしておりますという面があります、ところが精神障害者にはこれは除かれておりますという面がたくさんございます。各省庁、順次それについて御説明いただきたいと思います。
  454. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 厚生省といたしましては、身体障害者対策としてはいろいろなことをやっております。  まず、施設対策として施設への収容あるいはいろんな施設、点字図書館でございますとか盲人ホームでございますとか、そういったものの利用をいたしております。また、医療対策といたしましては、更生のために必要な医療の給付をやっております。またそのほか、福祉サービスといたしまして補装具の交付申請でございますとか、あるいはホームヘルパー、これは老人の方々と同様にいたしておりますが、ホームヘルパーの派遣でございますとか福祉手当の支給、それから日常生活用具の給付といったような施策を身体障害者の方々にはいたしておるところでございます。
  455. 吉原健二

    政府委員(吉原健二君) 精神薄弱者、薄弱児を含めまして申し上げますが、早期発見、早期療育、それから在宅対策、それから施設対策、この三つの対策を柱にして進めているわけでございますが、早期発見、早期療育といいますのは、妊産婦、乳幼児を対象にした保健所における健康診査あるいは先天性代謝異常等の検査、そういった検査を通じて早期発見、早期療育に努めているわけでございます。在宅対策といたしましては、精神薄弱者更生相談所あるいは福祉事務所における相談、指導、それから家庭奉仕員の派遣のほか、在宅の障害児の方に対しましては特別障害児手当というものを支給をしているわけでございます。施設対策といたしましては、精神薄弱者の更生施設でありますとか、授産施設、肢体不自由児施設、そういった施設に障害児者の方をお預かりして生活のお世話をし、療育、訓練をする、そういったような事業を進めているわけでございます。
  456. 水野勝

    政府委員水野勝君) 税制上の措置といたしましては、所得税法と相続税法に障害者控除がございます。それからまた物品税法におきましては、免税購入の特例が設けられてございます。これらの点につきましては、精神障害者と、その他の一般の身体障害者とは特段の差は設けてございません。
  457. 加藤孝

    政府委員(加藤孝君) 精神障害があった人たちで、その病状が回復いたしましたいわゆる精神病寛解者につきましては、公共職業安定所に求職申し込みがあれば、身体障害者の場合と同様に求職登録制度を活用いたしまして、個々の方々の事情に応じましたきめ細かな職業相談あるいは指導に努めているところでございますが、いわゆる雇用率という問題につきましては慎重な検討を要するという審議会の意見筆もございまして、慎重な検討をまだしておるという段階でございます。
  458. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 心身の障害の程度に応じまして養護学校、特殊学級でそれぞれ教育を展開しているわけでございます。そして、医療の治療を要する子供に対しては病院、施設等との連携をとりながら教育を展開する、こういう方策を講じております。
  459. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 交通機関の利用につきましては、身体障害者につきましては一般的に介護者等含めまして五〇%程度の割引をしておりますが、精神障害者につきましては、まず日本国有鉄道はこれは実施いたしておりません。その他の地方公営企業あるいは一部のバスにつきましては、地方公共団体の一般会計がこれを負担することによりまして割引をする、あるいは無料乗車券を発行するというような割引政策を行っております。
  460. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) 建設省関係の所管行政につきましては、心身障害者対策基本法に基づきまして各種の施策を講じておりますが、特記すべき項目といたしましては、まず第一には、官庁施設につきまして身体障害者の方々の利用を考慮した建設及び既存庁舎の改修、また道路につきましては歩道の段差の切り下げ等、それから住宅につきましては、心身障害者世帯向き特定目的公営住宅の建設、あるいは単身の身体障害者の方の公営住宅への入居、また身体障害者同居世帯の公団住宅への入居の優遇措置、それから住宅金融公庫につきましては、心身障害者同居世帯への融資に当たっての貸付利率の優遇及び割り増し貸し付けの実施、なお公共性を有します民間建築物につきましては、身体障害者の方の利用を考慮しました建築設計標準を策定いたしまして、その普及、指導を行っております。  なお、心身障害者対策基本法の中におきましては精神病関係の方々すべてを含んでおりませんので、それらにつきましては、また精神衛生法等に基づきまして厚生省の方と御相談をして対策を考えたいと思っております。
  461. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今いろいろたくさん並べていただきましたことは、不十分とは言いなから精神障害者を除く心身障害者には適用されてサービスを受けているわけなんですね。ところが精神障害者は全くそれらの恩恵を受けていない。ここに非常に不利益を精神障害者は受けているわけです。精神障害者福祉法制定の当時でございますね、昭和二十五年、精神障害者を外すというような限定したことから始まっているのですけれども、なぜそういうふうに外したのか、御説明いただきたい。
  462. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 今の先生の御質問は、身体障害者福祉法ができたときの経緯じゃないかと思うんですが。
  463. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうそう、身体障害者福祉法の制定時ね。
  464. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 身体障害者福祉法の制定当時の考え方でございますが、身体障害者福祉法におきましては、精神障害の方々は一応身体障害の方々と処遇の仕方、それから対応の仕方、そういったものが異なるので、身体障害者福祉法の範囲に入るのは適当でない、こういうようなことがございまして、それで身体障害者福祉法の中には入れておりません。
  465. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その理由をちょっと、なぜ適当でないのか、そこを聞きたい。
  466. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 法制定当時の検討の経過を申し上げます。  対象の問題については、とりあえず視力障害、聴力障害、言語機能の障害、肢体不自由、中枢神経機能障害の五種にとどめ、結核、精神障害については、法の施行状況を見て将来逐次これを包含するという方針をとることになった。その理由は、諸外国の現在の立法例によれば、必ずしも厳密に障害の個々の種類、範囲等を規定せず、結果において職業能力が相当損なわれていると認めるときは、たとえ内臓諸器官の障害であれこれを含むという形式をとっているものが多いが、法の画一的な施行を確保するためには、医療機関が整備されるまで、判定の特に困難な結核、精神障害その他は当分除外されてしかるべしという考え方と、限られた現在の予算で膨大な数に上るであろうこれら結核、精神障害者をも今直ちに対象とすることは極めて困難であるという根拠からであるということでございます。
  467. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、もう一度改めて聞きますが、昭和二十五年七月二十六日に身体障害者福祉法の障害の範囲について都道府県へ通達、社乙発第一一六号を出していらっしゃるのですけれども、そこの一の三というところをちょっと教えてください。
  468. 持永和見

    政府委員(持永和見君) ちょっと今探しておりますので後で御説明申し上げます。
  469. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 探してください。二十五年七月二十六日、通達。
  470. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 申しわけありません。今持っております通達集なり資料にはございませんので、後で取り寄せまして御説明申し上げたいと思います。
  471. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 なぜ外されたかというのがやっぱり一番問題でございまして、そしてそのときにどういう考え方で外されたかというところをはっきりさせたいわけなんです。今申し上げました都道府県への通達の中を見ましても、こういうふうに書いてあるわけですね。おたくがないとおっしゃるから私が言わたきゃならなくなってしまうんだけれども、「あらゆる原因によるあらゆる種類を有する者を対象」として障害者として保護しなければいけない。だけれども、今は一遍にふえちゃったら財政上大変だと。そして判定が難しい。だけれども、将来においてはこういう人たちをも含めてやるようにするということが書いてあるわけなんですね。私はそれ当然だと思うんですけれども、大臣、いかがお考えですか。
  472. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 先生おっしゃいました精神障害者の方々の問題も非常に大きな問題だと思うんですが、実は身体障害者福祉法が昭和二十四年にできておりますけれども、その当時にも既に精神障害者の方々の問題については議論がございました。また、精薄の方々についても議論がございました。そういったことを踏まえて、精神障害者の方々につきましては昭和二十五年に精神衛生法というのができております。また、精薄の方方につきましては、昭和三十五年だと思いますが、精神薄弱者福祉法というのが制定されておるわけでございまして、そういう意味合いで、現在の身体障害者福祉法とは別のそういった制度体系でそれぞれ処遇をすると、こういう形をとっておるということでございます。
  473. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、私、整理して申し上げますけれども、今申し上げました通達のほかにも、大臣、ここ大事なところですから聞いておいてくださいませ。二十五年厚生省社会局の名前で身体障害者福祉法についての解説がございます。ここでも身体障害者とは精神病、精神薄弱もすべて含む。障害を限定した理由は、先ほど言ったように、法の対象とするべきラインをはっきり区画することは現在技術的に困難である、そしてそれを非常に範囲を広げていくとこれは財政的にも大変だと。しかし、厚生省としても法を適用させ福祉を充実させるべきだと私は思うわけなんですね。そういう考え方については厚生大臣、いかがお考えですか。
  474. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 私はちょっと素人なんで、間違ったらお許しをいただくしかないんですけれども、今いろいろやりとりを聞いておりまして、身体障害者の方、これは足が切断されてしまうとか、それから耳が聞こえないとか、これは医療法でいろいろやっても治療に限界がありますね。やっぱり一生耳が聞こえないとか目が見えないとか、そういう不便を背負わなければなりませんから、これは当然福祉施策として福祉の対象でやっていくということで身体障害者福祉法ができ上がる。それから精神障害者の場合は適当な医療というものを加えることによってこれは治るわけですから、普通に。そういう意味でやっぱりまず医療を充実させて治すこと、そのためにはある程度適当な保護というものが必要だと。そういう観点から、ちょっと身体障害者の福祉法とは同列にならないということで、精神衛生法という法律のもとにその対策、その対策というのはまず医療、やはり治れば普通になるわけですから、そして社会復帰をさせる、そのためにいろいろなお手伝いをする。そういうことで身体障害者福祉法と別個の精神衛生法という中でその対策をやるように努めておるというふうに私なりに解釈しておるわけでございます。
  475. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 持永社会局長、できるだけ簡潔に願います。
  476. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 今の大臣のお言葉をちょっと補足させていただきますが、基本的には大臣のおっしゃったとおりでございますが、実は昭和四十一年に身体障害者福祉審議会から答申が出されておりまして、その中で精神障害者対策に触れております。その答申を一応御紹介申し上げますが、  精神障害者については、身体障害者福祉法の対象から除外することが適当と思われる。すなわち、精神薄弱者については、精神薄弱者福祉審議会において、精神薄弱者福祉法を中心対策の充実を検討しており、また、精神障害者についても、精神衛生審議会において精神衛生法に基づく施策強化の方向が審議されている。「精神」障害と「身体」障害とでは、理論的にリハビリテーションや援護の必要性は同じであっても、具体的にその技術的方法、施設の運営、障害者自身の利便等を考慮すると、精神障害者については、身体障害者とは別途に措置することが適当であり、身体障害者福祉法の対象とするのは時期尚早であると考える。というような、そういう答申が出ておるわけでございます。
  477. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣、先ほどおっしゃった精神障害者の方も障害を持って非常に苦労されているわけですね。きょうも傍聴に来ていらっしゃいますけれども、これは人に言えない苦労をしていらっしゃるわけですね。そして、医学的にと、こうおっしゃるけれども、医学も必要なんです。お薬を飲まなければならない。だけれども、医学で、これで生活を守り、生きるということを保証できない、だからそこに福祉が必要になる。こういう考え方で、例えば腎臓透析をやっている方でも、やっぱりこれは治ってないですね。透析しなかったら死んじゃうわけでしょう。だから、病気を持ちだから透析をすることによって生きていく、そのためにいろいろと手だてができている。そうすると、精神障害者の方もやっぱり病気としてはお薬を飲まなければならない。医療の範囲があります。しかし、それによって起こるハンディキャップを補うためにはやっぱり福祉の対象という形ができなければならない。  じゃ、なぜ精神障害者だけはそこで差別しなければならないかという理由は、どういうふうにおっしゃいますか。
  478. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 今、先生からお話がありました差別というような言葉をお使いいただくと、私どもはそういうことは全く毛頭に考えておりませんので、これは誤解のないようにいただきたいと思います。いずれも、これは身体障害者にしましても、精神障害者にいたしましても、これは国がその幸せな生活のためにできるだけお手伝いをしなければならない大事な方である。そういう認識については、少なくとも私は厚生大臣として厚生行政を扱っておって、これを差別するというような考えは毛頭持っておらない、これは御認識をちょうだいいたしたいと思います。  ただ、その対策を立てる場合、いわば処方せんをつくって、その対策を立てて、皆さん方にできるだけ幸せになってもらうための施策としては、身体障害者の皆さん方とまた精神障害者の皆さん方では、それぞれ異なった性格を持っておられて、精神障害者の皆さん方は、これは医療を充実してこれを治していけば全部普通になるわけでありますからね。だから、精神衛生法という中でとにかく治っていただいて、そして一日も早く社会復帰を健全にしていただくという対策を立ててきたということで、対策の立て方が違っておったということであって、やはりこの方々の社会で生きていくために必要なことは、できる限り厚生省として今後も努めてまいりたいと思います。
  479. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今、大臣は治るという前提に立ってお話しにたっていらっしゃるわけですね。お薬を飲んで治るんだったら簡単なんです。治ると思って今ずっとお話しになっている。どうですか。
  480. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) これはできるだけ治っていただきたい、そして健全に社会復帰して幸せに暮らしていただきたい、そういう願いを、できればこれは百人の方が百人に治っていただきたいという願いを込めて、私どもその施策を努めていくのは当然のことだと思います。
  481. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そう思いますよ。だけど、差別していないとおっしゃったけれども、結果的に差別になっているではないかと私は言いたいわけですね。  先ほどから各省庁いろいろおっしゃるのを聞きましたけれども、例えば労働省にしても、雇用率の対象にはなっていないわけでしょう。そして心身障害者の場合には雇うと雇い主に対してお金が出ますね。そして雇われた人にもお金が出ますね。住宅なんかにもいろいろ優先のサービスが受けられるけれども、精神障害者は受けられないですね、国鉄のバスにしても。だから結果的に区別されてしまって差別になっているのではないか。なぜそうなのかというと、ここに福祉法というものがないわけですよね。だから、その辺のところについて、これを福祉法の対象にしてこういう差別をなくするようにしてもらいたいというのが、私を含めて、患者、家族全部の願いなんです。いかがお考えでしょうか。
  482. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) これは、私どもが福祉政策、厚生行政を進めていく上で、それぞれお困りの方、あるいは不幸な立場に立っておる方、あるいは病に冒されている方、こういう方に健全になっていただいて立派に社会生活をしていただきたい、そういう気持では、身体障害者も精神障害者も全く私ども同じ気持ちであると、これは御認識いただいたと思います。その対策が、先ほど申し上げたように、それぞれの異なる性格から、一方は身体障害者福祉法、一方は精神衛生法ということでその対策が講ぜられる。  今、お話がありましたように、確かにいろんな役所でやっている施策が、身体障害者福祉法にのっとって身体障害者には行われているが、精神障害者には行われておらないというようなことが現実に存在しておることも、今お話しの中で間違いないようなんでございます。しかし、それは決して差別するというようなことからなったことでなくて、それぞれの異なった性格に対する施策の結果そういうことになったので、これは今御指摘の点もありましたから、私もよく勉強をいたしまして、そういう差別なんかをしている気持ちが毛頭ないことだけは間違いないのでありますから、これが御納得のいただけるような施策というものはどういうものなのかということを現実の中で勉強してまいりたいと思います。
  483. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 精神衛生法でできると思いになりますか、いろいろほかの障害者には適用されているのに。
  484. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 先ほどの答弁にも既に述べられましたように、精神障害者は他の疾病と異なるいろいろ特殊な事情がございまして、まず何よりも医学的管理、医学的な取り組みということが主軸になることは先生も御理解賜っていると思います。精神衛生法におきましては、まず医療と保護という観点から、先生のおっしゃる患者さんの福祉という側面も包んで対処をさしていただいているわけでございます。それで、現在精神衛生法の中で、医療だけにとどまらず、社会復帰対策地域精神衛生対策というようなことについても年々力こぶを入れて努力を今している最中でございます。何よりも社会復帰、精神症状が軽快し、回復するということが医学的な治療からまず大切なことでございますが、それ以上にまた大切なことは家庭生活、職場に復帰をするということが先決問題でございます。そのような観点で精神衛生法では取り組むことにしております。
  485. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、具体的に伺います。  精神障害者社会復帰対策、一生懸命やっていらっしゃるとおっしゃったけど、どんなことをやっていらっしゃいますか。
  486. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 精神衛生の社会復帰対策といたしましては、回復途上にあります障害者の相談指導あるいは社会復帰施設、デーケア施設、社会復帰のための社会生活適応施設あるいは通院患者リハビリテーション事業等を年々拡充して進めているところでございます。また、地域精神衛生対策といたしましては、精神衛生センターを中軸にいたしまして、保健所のネットを使いまして、精神衛生指導、相談というような事業を展開しつつあるわけでございます。
  487. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いろいろやっていらっしゃると言うけれども、具体的に何カ所あって、何人収容できるのか、その施設別に言ってください。
  488. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 現在、デーケア施設につきましては七カ所整備しておりまして、それぞれ定員が六十名でございます。それから精神障害回復者社会復帰施設につきましては、現段階で三カ所になっております。
  489. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 三カ所ありますか、二カ所でしょう。どこどこですか。
  490. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 川崎、岡山、それから一番新しくは北海道というふうに承知しております。
  491. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まだできていないでしょう。
  492. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) それから、精神衛生社会生活適応施設につきましては一カ所整備されております。これは定員が五十名でございます。そのほか、通院患者リハビリテーション事業につきましては十六の県で既に着手をしております。それから、保健所におきましては八百五十二保健所のネットで精神相談あるいは訪問指導等々の活動をしておりますし、精神衛生センターが四十一カ所設置されまして、高度の精神衛生地域対策というようなことの指導的な役割を演じているところでございます。
  493. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ちょっと、そうしたら今の箇所で何人収容できますか。通院というのは抜かして、ちゃんと収容できる人数、何人になりますか、今の合わせて。
  494. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) ただいま申し上げました諸施設は、そこに収容するというような趣旨のものはごく一部でございまして……
  495. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 適所を入れてもいいですよ。
  496. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) デーケアでございますとか、あるいは保健所におきますところのデーセンター機能を発揮する部分とか、あるいは精神衛生センターにおきますところのデーケア・センター的な役割とか、そういうようなことで、例えて申しますと、精神衛生センターにおきます精神衛生のいろいろな活動の件数は十万件を超えておりますし、また保健所におきましては年間三十万件というような実績も上げておるわけでございます。
  497. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 保健所で相談を受けたとか、保健所で何かやっています、一週間に一回と。精神センター十万件やりましたと。大事なことは、先ほどおっしゃったように、それじゃ施設として精神障害回復者社会復帰施設、川崎それから岡山でしょう、入所が七十人でしょう、適所が六十人ですよ。デーケア施設七カ所六十人でしょう、六、七、四百二十です。精神衛生社会生活適応施設、たった熊本一カ所ですよ。定員五十人でしょう。通院リハビリテーション事業やりました、十六県ですよ。合計して何人なんですか。合計して通院も入れて二千人足らずじゃないですか。さっき患者は何人とおっしゃいましたか、百万でしょう。百万に対して二千人足らずで、これで社会復帰施設をやっていますと言えますか、大臣。
  498. 大池眞澄

    政府委員(大池眞澄君) 御指摘の点につきましては、このような比較的新しい取り組みといたしまして現在モデル的に実施に着手したということでございまして、この実績を踏まえながら、今後とも必要な地域ごとの対応というものを努力してまいりたいと考えております。
  499. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 小笠原君、時間になりましたから簡潔にやってください。
  500. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今、新しいというふうにおっしゃったけれども昭和二十五年に障害者福祉に関していろいろ施策されて三十五年たっているんですよ。そして年々ふえているんですよ、さっきの数。それに対して今ごろ新しいだのヘチマだのと言っているところが本当に精神障害者を知ってないですよ。私は心からそのことをきょう訴えたいと思います。会ったこともないでしょう。話ししたこともたいでしょう。それでいつまでも谷間の谷間に置かれているでしょう。人として生きることがどんなにこの方たちは大変かということを私は真剣になって考えてもらいたい。精神障害者の差別に結果的になっていますよ。しっかり考えてください。そのことだけ私は声を大にして訴えて、終わりたいと思います。(拍手)
  501. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で小笠原君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  502. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、柄谷道一君の一般質疑を行います。柄谷君。
  503. 柄谷道一

    柄谷道一君 まず、官房長官にお伺いいたします。  アメリカ陸軍の元情報部員クレイグ・スミスが東京でKGB要員と接触し、FBIに逮捕されたという事件でございますが、さきの質問に対し、事実の確認を急ぎ対処する旨の政府答弁がございました。これ以上の答弁を求めることは無理と思いますから、一般問題として御質問いたします。  昨年三月、アメリカの国防次官は議会で、世界で最も情報が漏れやすい東京と苦々しく証言したと新聞に報道されております。東京は諜報戦の前戦基地であるとも言われております。しかも、最近特に東側がここ数年、軍事情報とともに先端技術、いわゆる軍事転用が可能な先端技術に照準を合わせて活発な諜報活動を行っていると言われますけれども、さきのレフチェンコ事件、そしてこれに続く今回の事件、あの手この手の活動に対して、内閣として一般問題としてどのように対処しようとしておられるのか、お伺いします。
  504. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 我が国におきます外国の諜報活動は、警察当局が過去にしばしば検挙した例がありますように、さまざまな形で行われている、これは従来もいろいろあったわけでございますから、そういう事実がたくさんにあるだろう、こういう予測は十分できるわけでございます。こうした活動を防圧するための方策といたしまして、いわゆるスパイ防止法の制定などいろんな議論もございますし、諜報活動などについてもっと配慮したらどうか、いろいろ心を配ったらどうかというような御意見も十分出ておるところでございますが、現行法の枠の中で公務員等の防諜意識を高めまして、防諜体制に十分検討を加える。同時に、捜査当局もこういった問題には従来も随分意を使ってきておるところでございますので、そういった厳正な取り締まりを行いまして、この種事案の防圧することを期待しておるところでございます。こういった考え方はかって中曽根総理も国会での御質問に対してお答えをしてきておりますが、そういった考え方で引き続き対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  505. 柄谷道一

    柄谷道一君 引き続き対処するという段階にとどまるのか、何らかの対応を検討するということを示唆された答弁であるのか、もう一度確認します。
  506. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 従来の考え方によりまして引き続き対処してまいりたいと存じております。
  507. 柄谷道一

    柄谷道一君 政府は、将来の我が国の財政、今後の社会保障のあり方を展望して、適切な施策を講じていく上で必要不可欠な基礎資料につきましては立法府の求めに応じ積極的に提出する義務を負うものだと考えますが、官房長官の御所見を伺います。
  508. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) いわゆる憲法第六十二条の国政調査権に関する御質問かと思いますが、国政における調査に対しましては、政府といたしましては十分これに誠意を持って対応しなければいかぬ、その姿勢を貫いていくべきだ、このように考えております。
  509. 柄谷道一

    柄谷道一君 今の御答弁にかかわらず、五十六年一月三十日に提出されました五十五年から五十九年度の財政中期展望に関しましては、本院の求めに応じまして歳出の主要経費内訳が提示されておりますが、その後再三の要求にかかわらず、この資料は提示されておりません。提出を決られる理由は那辺にございますか。
  510. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる財政の中期展望においての歳出の主要経費別内訳資料、これは去年の大蔵委員会においても、いわゆる予算委員会の委嘱審査の際でございますが、柄谷さんと議論をさしていただいた記憶を持っております。結局、那辺にあるかということでございますが、これは提出てきたい理由、基本的な手法として個々の経費の積み上げを行っておりますが、それは必ずしも主要経費別ではなくて、人件費、物件費、そのうち国庫債務負担行為の歳出化経費等性質別にグループ分けした経費について、それぞれ年次計画やマクロ指標を用いて推計したものを合計しておる。そこで、これをあえて主要経費別に分けても、推計方法がまちまちのため、各経費別の正確な姿は必ずしも反映されていない。したがって、いわばゆがみを全体として補正する意味を含めて予備枠というものがあるわけでございますから、やっぱりいろいろ議論をいたしました結果、それこそことし中期展望の経常部門と投資部門の分割表、これを提出さしていただいて、その中で社会保障移転支出と公共投資の後年度負担推計値をごらんいただくということが限界だとしてお示しをいたしたわけでございます。五十六年度のときに出した反省もございます。だから、結局ことし限界として御提出したものが今の二つでございますので、やはり要求をたくさんなさった先生方いらっしゃいますので、個別の意見も聞きながら、どのようなものが御供覧に供しても一番役に立つものか、もう一年これは勉強をさせていただくことにお願いをしたいと思っております。
  511. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、途中のプロセスや具体的内訳を明らかにしないまま結果の要調整額だけを示して、増税か歳出削減かを求めるというのは極めて不親切な当局の姿勢である、こう思わざるを得ません。臨調の第二部会報告、臨調基本答申の中にも、積極的に財政再建に当たっては必要な資料の提示を行うべきである旨の答申が強調されているわけでございます。  そこで、大臣は昨年三月二十四日の審議のときに、今までの方式では問題があったが、審議する側からそれを提出することがより親切であると言われればわかりますと、よってどういう形のものであるかということはにわかに答弁できないが、真剣に検討する約束はさせていただきたい、こう述べられたわけですね。私は、大臣の御性格からして予算案の通過を図るための一時的な言い逃れではないと信ずるものでございますが、ただいまの大臣答弁は、間違いなく明年には形は別として我々の審議に必要な資料は提示する、こういう約束をされたと受けとめてよろしゅうございますか。
  512. 竹下登

    国務大臣竹下登君) したがいまして、中期展望の経常部門と投資部門の分割表、これがぎりぎりだと、ことしは提示したわけです。それをさらに上回るものを合いみじくもおっしゃっていただきましたので、どのような形になるかというものを今の時点で予見できないにしても、精いっぱいの努力をして少しでも御要求に沿うものを提出するという構えでこれから検討を続けてまいります。その検討の中には、要求された先生方も入っていただきたいと思います。
  513. 柄谷道一

    柄谷道一君 私ここで、大臣にひとつ善処を求めたいことがございます。  我々がこの資料を要求したときに、大蔵省主計局の責任ある人が、要求を取り下げないと先生の立場を悪くすると存じますがそれでもよろしゅうございますかと、脅迫まがいの言辞を弄しているわけでございます。私はきょうあえて、いつ、だれが、どこで、どういう内容のことを言ったかという問題は伏せます。しかし、少なくとも大臣が、形は別として国政審議に役立つ資料を検討しようという前向きの答弁をされているときに、主計局の一員がこういうことを言うということは、国会議員や政党を軽んずるもので、私は断じて容認できないと思います。大臣としての厳たる善処を求めたいと思いますが、いかがでございますか。
  514. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 国家公務員たる者、法律にはないにしても政党というものが今日政党政治という形の中に存在し、そして選挙によって選ばれた国会議員に対して、いわば非礼に当たるような言動は許されないことであるという認識に私自身は立っております。その事実そのものは、柄谷さんも今日その名前も伏せるとかいうことでございますので、私そういうお気持ちをも私自身そしゃくしながら善処をさせていただきます。
  515. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、厚生大臣にお伺いいたしますが、同じく我々は、年金と医療の保険料の六十五年度までの見通しを要求いたしました。年金の部は提出されましたが医療保険に関しては提示されません。理由をお聞かせいただきたい。
  516. 吉村仁

    政府委員吉村仁君) 私ども御要望に応じていろいろ考えてみたのでありますが、医療費の将来予測そのものがなかなか難しいわけでございまして、私ども中長期的には医療費の伸びというものを国民所得の伸び以内にとどめたい、こういう目的を持っていろいろ政策の運用をやっていきたい、こう思っております。したがって、仮に試算をいたしまして、現行の保険料率のままで大体推移するならば、国民医療費の伸びは国民所得と同じ伸びになる。そして、いろいろな仮定を置いておりますが、もし医療費の伸びが大体国民所得の伸び、つまり六・五程度の伸びならば保険料率は上げる必要はございません。これが従来のように七・五%ぐらいの伸びになりますと、保険料率にいたしまして六十五年度は千分の二ぐらいは引き上げなければならぬと、こういうラフな計算はしております。
  517. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、医療保険が短期給付であってなかなか推定が困難だということはよく承知しております。しかし大臣、保険料の展望は示せない、しかし本人負担率、いわゆる二割負担はあらかじめ六十一年度まで予約してもらいたい、これで国民は理解できるとお思いでしょうか。
  518. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) その点が今回の改革案でも私は一番大事な点だろうと思っておるのであります。やはり将来国民の皆さんに安心して暮らしていただくためには、これからやはり社会保障の負担というものがかなり老齢化、高齢化が進むに従って大きくなってくるわけでありますから、そういう中で、年金はもう先生御案内のようにどうしてもこれは高齢化に伴って負担がふえざるを得ないのであります。私どもが今度改革案を出したのは、せめて医療費、医療保険の国民の皆さん方の負担をこれ以上できるだけふやさないように医療費の適正化をやろうということで、私もしばしばこれは答弁しておりますように、今回の改革案を国会の先生方に通していただくならば、現在の医療費というものを何とか経済成長の幅の中でとどめて、現行保険料率を当分の間引き上げたいで済むようにしたいという願いを込めておりますので、ただ恐らく役所としてはこれからの経済変動とかそういういろんなものが関連してくるために明確な数字を出せなかったのだと思いますが、私はこの法案を審議していただくということは、当然にこの法案を通していただくならば、当分の間健康保険の保険料率は現行程度にとどめるという前提でお願いをいたしておるのでございます。
  519. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、将来の国民の総医療、それによる保険財政、これと関連を持つ保険料の動向、これは我が国の医療保障制度を考える基礎的資料でございます。これはケースを設定すれば出し得る資料ではないか、こう思いますが、本院において健保法が審議されるまでに可能な限りの資料の提示を改めて求めたいと思いますが、いかがですか。
  520. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) たびたび衆参の予算委員会等でもやはり二十一世紀に向かっての医療保険の将来像なり、また我々の国民の健康を守るための幅広い立場でのビジョンというものを示さなければ、これだけでは議論できないのではないかという御意見を承っておりまして、私もこれにうなずくところが多いので、今担当職員に対してできるだけ皆さん方に御納得のいくところの医療行政というもののビジョンというものをつくるようにと、検討を命じておるところでございます。
  521. 柄谷道一

    柄谷道一君 官房長官、冒頭御立派な答弁をいただいたんですが、我々これを政略的に使うとかそういう意図ではございません。我が国の財政の将来がどうあるべきか、医療保障の将来はどうあるべきか、これを真剣に検討しようと思っても基礎的資料に欠けるわけなんですね。これは私は国政調査権の軽視と言われてもやむを得ないのではないか。これは官房長官として各省庁を督励して、極力国会議員の要望に対してはこれにこたえるべしという内閣の姿勢を示すべきだと思います。再度、長官に伺います。
  522. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) それぞれ資料の御要求があります場合に誠心誠意それに対応するように努力をいたしておりますが、それにおこたえできない場合にはそれぞれのいろんな理由があるのではないか、こういうふうに思いますけれども、それにいたしましても国政調査権というものは最も大事な機能でなければならぬ、政府はそれにさらにひとつ誠心誠意対応するのでなければならぬ、そういう基本姿勢に立って努力をしていかなければならぬと存します。機会あるごとに政府部内にそのように伝えまして、それぞれの資料の提出に御協力を申し上げていくようにいたしたい、このように存ずる次第でございます。
  523. 柄谷道一

    柄谷道一君 厚生大臣は、衆議予算委員会の審議過程で、今回政府が提出した健保法案はいわゆるベストのものである、こうたびたび言っておられますが、そのお考えは今も変わりませんか。
  524. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 今日、私どもの置かれている条件、財政が極めて厳しいということもございます、あるいは経済成長というものが鈍化しておるということもございます、また高齢化というものが待ったなしに急速に進んでおるということもございます、そういう厳しい条件の中でベストの案であるというふうに考えております。
  525. 柄谷道一

    柄谷道一君 厚生省の予算の大部分は法律補助でございます。しかも高齢化社会の到来に従う自然増が大きいわけです。こういう中でマイナス一〇%という画一的シーリングを求められれば、医療保障に関する哲学は横に置いてもそろばんを合わせなければならぬ、苦し紛れにつくったのがこの法案ではございませんか。
  526. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 今、御指摘のように、厚生省の抱えておる仕事、年金、医療保険、これは一番大きなものでありますが、その他の施策にいたしましても、これはどうしても同じ制度の中では自然増というものは避けられないものでございます。しかも、これはそれぞれの国民生活にかかわりのある問題ですから、待ってくださいと言うわけにもいかないものも抱えております。そういう中でこれはゼロシーリングとかマイナスシーリングとかいうことになれば、厚生省の予算というものを組むのに非常な苦労の要ることはこれはお察しのとおりでございます。しかし、そういう厳しい条件の中でなお二十一世紀の将来に向かって、我々は国民医療を安定させ、あるいは年金の将来に対する不安をなからしめるために今知恵を絞ってこういう改革案を出しておるわけでございます。
  527. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣はよく二十一世紀ということを言われるのでございますが、大臣、社会保険審議会の答申、総理直轄の社会保障制度審議会の答申、これは時として無視してもいい、こういうお考えですか。
  528. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 無視していいなどと考えられるものでございません。私どもの方からお願いしてそれぞれ権威ある立場の皆さん方に御意見をちょうだいするものでありますから、その御意見は可能な限りこれは尊重してまいりたいと存じます。
  529. 柄谷道一

    柄谷道一君 それでは、医療保険制度の抜本改正問題は昭和三十年に七人委員会の報告が行われて以来、昭和四十四年までに各層各界の意見は出尽くしました。これを受けて社会保険審議会は四十四年八月から二年に及ぶ五十五回の審議会を開いて大臣に意見書及び答申を行っております。社会保障制度審議会の答申も同様の内容を持つものでございます。私はこの二年間の社会保険審議会の審議に終始参加した者でございますが、大臣はこの答申をどのように認識されておられますか。
  530. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) それぞれの立場の方、またそれぞれの見識のある方、集まってちょうだいをいたしました今回の私どもの改革案に対する社会保障制度審議会の答申、社会保険審議会の答申、これは私はできる限り尊重して今回の改革案を提出したつもりでございます。
  531. 柄谷道一

    柄谷道一君 再度伺いますが、四十五年十月の意見書、四十六年十月の答申に沿うものであると胸を張って言うことができますか。
  532. 吉村仁

    政府委員吉村仁君) 四十六年の答申でございますので、私から答えさせていただきますが、四十六年の答申というのは医療保険の今後の整備につきまして、まず前提としてなすべきことがあるのではないか、健康管理体制、それから医療供給体制、それから薬の問題、それから公費負担医療というようなものをひとつ前提条件として解決をすべしということで、医療保険に関しましては今後包括医療、それから給付と負担の公平、それから国の財政的なてこ入れ、積極的なてこ入れというようなものを一つの基本的な方向において医療保険の改革を行うべし、大ざっぱに言いましてこういう答申であったと思うのであります。  したがって、私どもこれを現在の段階において眺めてみまして、四十六年の答申と今回の私どもの改革案の違いというのは、一つは、この答申におかれましては本人と家族の給付率を十割にすべし、十割を目標にしろというのが書いてございます。ここが一つ違います。それから国の財政的なてこ入れを積極的にやるべし、こういうことが書いてあるわけでございますが、やはり四十六年当時と現在の国の財政状況というのは質的に私は違っておる、こう思います。したがって、そこのところについてはやはり審議会の答申とは違った形になっておりますが、その二点を除いてあとは四十六年十月の社会保険審議会の答申に沿って考えておる、こういうように考えております。
  533. 柄谷道一

    柄谷道一君 この意見書及び答申の柱は、一つは、前提条件の整備について長期プランを立て積極的に取り組め、小手先の操作で切り抜けようとする姿勢は間違いですよ、これが一つですね。それを詳細にわたって書いております。二番目は、本人、家族とも高額医療疾患、長期医療疾患については十割給付を実現することが当面の急務である、いわば軽症患者は一定の適正な自己負担はやむを得ないが、長期及び重症患者については、これを国が見るということが疾病の不安をなからしめるゆえんである、これが二つの柱だと思うんですね、膨大なものですが。国民の疾病の不安を除去するという医療保障に対する厚生大臣の哲学をこの際お伺いいたしたい。
  534. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 国民の皆さん方の医療疾病、これについて安心をしていただくためにはいろんなことがありますが、一つは、やはりこれはサラリーマンの方も農家の方も、あるいは零細な商工業者の方もすべて大事な国民なのでありますから、これはできるだけその給付と負担の公平化、制度間の格差の是正、こういうものに努めていかなければならないと思います。また、非常に重い病気になって、病気のためにもうお医者さんにかかれないとか、病院に入院できないとかということがこれはあってはなりませんので、今回の改革案についても高額療養費ということで一割負担をお願いしますけれども、それはある一定限度まで、それ以上は全部無料であるというそういう制度もつくってあるわけでございます。
  535. 柄谷道一

    柄谷道一君 厚生省からモデルケースによる患者負担の現行と原案の比較について、代表的なものをお示しいただきたい。
  536. 吉村仁

    政府委員吉村仁君) まず、風邪で三日間通院をして、検査、投薬を受けたというケースでございますが、医療費が四千四百十円でございます。したがって、患者負担は四百四十一円、一割でございます。現在はこれは患者負担八百円でございますが、軽度なものにつきましては患者負担が減る、こういうことになります。それから盲腸で基準看護病院に七日間入院をして手術を受けた、こういうケースでは医療費が十五万七千九百九十円、したがって患者負担は一割の一万五千七百九十九円になります。現在の患者負担は四千三百円でございます。それから胃がんで基準看護病院に三十日間入院をして胃の全摘出手術を受けたケースにつきましては、医療費総額が六十四万六百十円でございます。したがって患者負担は一割の六万四千六十一円に相なりますが、先ほど大臣が御説明申し上げましたように、高額療養費支給制度がございますので、五万四千円で打ちどめでございます。もし低所得者の場合でございますと三万円で打ちどめでございます。現在の一部負担では患者負担は一万五千八百円ということに相なっております。
  537. 柄谷道一

    柄谷道一君 今の資料は意識的かどうか知りませんが、一カ月未満の入院のケースばかりの比較でございます。これをとっても軽症ほど安くなり重症ほど負担がふえる。いわゆる審議会答申とは逆転現象が出ているわけですね。仮に重症で三カ月入院した場合どうなるのか、現行は初診時八百円を払うだけで、入院三十日では一万五千円です。二カ月目以降はゼロでございます。これが今回の改正案になりますと、一カ月目が三万八千二百円の増、二カ月目以降三カ月目も新たにゼロが五万四千円の負担が課せられると、こういう形になるわけですね。これで大臣の言われました重症患者の疾病の不安をなくするという哲学と合致いたしますか。
  538. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 御指摘のように、被用者保険については今まで十割給付だったものを今回は九割給付、一割を御負担願うという制度に改めるわけでありますから、当然にそれは被用者保険の本人の皆さんについてはこれは負担が多くなります。そういう点で私どもは大変恐縮しながらこの法案の審議に当たっておるわけでありますが、しかし一方、御案内のように、その被用者保険の家族の皆さん方、また国保加入の皆さん方はもっともっと大きな負担をしておるのでありますから、今日の行政の中で一割御負担をお願いする。しかし、そのために先生御心配のように医療費が天井なく上っておってその御負担をかけるというようなことになっては大変でありますから、先ほど申し上げましたように高額療養費ということで五万四千円、また低所得者についてはたしか三万二千円程度だと思いますが、そこに歯どめをかけて、そこから以上の方は全額負担、こういうことになっておるわけでございます。
  539. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、どう聞いてもこれは財政上の事情でこうしたというだけであって、どうひねくり回してもあの答申とは全然違いますよ、大臣。四十五年、四十六年の答申と違うんですよ、これは思想が。このことは大臣率直にお認めにならぬといかぬと思うんですよ。今盛んに高額療養費、高額療養費と言われますけれども、今の高額療養費は同一医療機関ごとでしょう。本人と被扶養者一人ごとでしょう。そして第三には、暦月ごとでしょう。四番目には、所得に関係がないということですね、低所得者はございますが。こういう四つの欠陥があるということは、これはたびたび審議会で指摘されてきたところです。こういう問題に対して検討はされたんですか。
  540. 吉村仁

    政府委員吉村仁君) 私ども、高額療養費支給制度に今先生御指摘のような問題があるということは十分承知しております。ただ、私どもいろいろ検討をしてまいったわけでございますが、現在のようにレセプトに基づいて保険者が患者のかかった医療費を確認した上で高額療養費支給をするという前提に立つ限り、今、先生がおっしゃった問題点の解消は難しい、こういうことでございます。そこで、これにかわるような何かがないかということでいろいろ私どもも検討をしておるわけでございます。
  541. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣、A病院に盲腸で入院した、自己負担が四万円かかった、B歯科で歯を治して二万円かかった、合わせて六万円の自己負担をしたわけですね。これは適用にならぬでしょう。ならないんですよ。C病院で外来診査を受けて六万円の自己負担をした場合は高額医療制度にのるわけでしょう。医薬分業に協力をして病院に三万円払い、薬局に三万円払ったら、これは対象にならないでしょう。これ、矛盾だとお思いになりませんか。
  542. 吉村仁

    政府委員吉村仁君) おっしゃるとおりでございまして、矛盾といえば矛盾でございますが、現在の制度を前提とすればそういうことにならざるを得ないということで、問題点であることは十分私どもも考えております。
  543. 柄谷道一

    柄谷道一君 同じ病院に本人と奥さんと一緒に入院した、それぞれ五万円ずつの自己負担をした。家計は十万円の圧迫がありますね。この制度にはのりませんね。これも矛盾だとお思いになりませんか。
  544. 吉村仁

    政府委員吉村仁君) だんなさんと奥さんが一緒に高額の医療費がかかるような疾病になられた場合、そういうケースにおきましては今おっしゃられたとおりでございます。
  545. 柄谷道一

    柄谷道一君 さらに申し上げますが、三月二十日から四月十日まで二十日入院した、しかし自己負担は六万円払っても、二カ月、両月に分割されますから適用されない。一日から月末までなら適用される。どうしてそんな矛盾が出て、これで合理的と言えるんですか。
  546. 吉村仁

    政府委員吉村仁君) 決して合理的だというつもりはございませんが、現在の新医療費に関するお医者さんからの請求、そして医療費の支払い方というのは、個々の個人それから個々の医療機関、そして一カ月分をまとめてやる、しかもそれは暦月各月の一月から三十日、三十一日までと、こういうことでまとめる仕掛けになっている以上はやむを得ない方式だと思っておるわけでございまして、そこのところを変えるような何か別の考え方を持ってこない限りなかなかそこの解決はできない、決して合理的だと思っておるわけではございません。
  547. 柄谷道一

    柄谷道一君 さらに、所得に関係がないわけですから、個人個人の所得によって医療費の受ける影響度というのは非常に違う、こういう矛盾もありますね。今、局長は合理的とは言えないと言ったんですよ。しかし、現行制度にのる限り、そういう不合理もやむを得ないと、こう言われたんですね。不合理であるなら合理的に直すというのが施政者の責任じゃないですか。
  548. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) これは、一つ制度というものは弾力的に活用できないものでありますから、今の御指摘のような問題がいろいろ規則で行われればこれは出てまいるわけでございますけれども、しかし今までの制度の中でもこれは二割負担なりあるいは三割負担なりでやっておられる方もあり、今日一割負担をお願いするということでありますから、これがいろいろそういう点での矛盾でお困りの方が出てくるだろうということは、我々真剣にこの問題を取り上げて今後も議論して、また私どもも検討していかなければなりませんが、それをもってしてこの改革案が不合理なものだというわけにはまいらないと存じます。
  549. 柄谷道一

    柄谷道一君 本年二月の社保審、社制審の答申の前文は、いずれも審議期間が予算編成後の極めて限られた期間でしか審議することができず、答申をとりまとめざるを得なかった、極めて遺憾であると。社制審は、保険財政における収支のバランスのみにこだわった感があり、医療保険本来の趣旨に照らした検討が必ずしも十分に行われていないと、こう指摘しているのですね。私は、本人の負担率に手をつける、これは大きな医療制度に対する改革ですよ。その改革をやろうとするときに、重症病者に対する疾病の不安を除去するために高額医療費のあり方についてまず根本的にメスを入れて、そして国民が理解できる方式を確立して、そして一定負担の問題に論議を進めるべきだと、こう思うんですね。しかもこれは政令です。法律じゃないんですよ、高額医療費は。政令を直す気はないのですか。
  550. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) これは、今回私どもが出した改革案に対してちょうだいした社会保障制度審議会の答申、これは私も尊重しなければならないのは当然でありますからよく読ませていただいておりますけれども、やはり社会保障制度審議会においては定率の一部負担ということについては御理解をちょうだいした、また退職者医療制度の創設等には積極的な御理解をちょうだいした。ただ、社会保険審議会は、これは特定の立場の方の代表等も出ておりますので、この問題については両論併記ということで御意見をちょうだいしたわけでありますが、これは私の裁断で一方をとらせていただいたわけでございます。そこで、これらのいずれをも通じてこの制度を進めるに当たって、これは低所得者の皆さん方がお困りになったり、あるいは重い病気の方が医者にかかれないとか、あるいは病院に入院できないというようなことにこれはならないような配慮をしなければならないということは、重々私どもも真剣に受けとめなければならないものと考えておりますので、その一番大きな歯どめはこの高額療養費制度でございます。これは今、先生御指摘のように、社会保険審議会の答申をちょうだいいたして七月一日に政令として私が定めるということになっておりますので、これから各党の皆さん方のいろいろのお話もあるようでありますから、社会労働委員会の審議を通じて私どもも謙虚にこの委員会の皆さん方の御意見に耳を傾けて、そして今、先生御指摘のように、この改革によって本当に重い病気の方がこのために病院に入院できないとか、医者にかかれないとかないような配慮を努めてまいるつもりでございます。
  551. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいまの答弁は、今後の審議経過を見て、高額医療費の制度問題については謙虚に野党側の意見も聞いて弾力的に措置するという示唆と受けとめてよろしゅうございますか。
  552. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 各党の代表の皆さん方の話し合いでも、この法案は当該委員会の慎重な審議を尊重するということになっておりますから、これから委員会の審議を通じて各党の皆さんから、もちろん野党も当然でございますが、いろいろ御意見をちょうだいして、私はその声に謙虚に耳を傾けてまいりたいと思っております。
  553. 柄谷道一

    柄谷道一君 医療負担はこうした一部負担のみではございません。いわゆる差額ベッド、付添介護料等の保険外負担がございます。厚生省が発表されましたのは、非常に改善が進んでいるという資料の提示があるんですが、健保連の大阪支部がアンケート調査をしましたこの内容によりますと、一向に保険外負担の改善は進んでいないというアンケート結果が出ているんですね。これをどう私たちは読み取ればいいんですか。
  554. 吉村仁

    政府委員吉村仁君) 厚生省の調査は、全病室に、全病床を分母にいたしまして差額徴収をするベッド数が幾らあるか、そのパーセンテージでございます。それから大阪の健保連の調査は、入院した患者が、健保連が把握されました入院患者が差額ベッドの病床に入ったかどうか、入院患者を分母にいたしまして、その方が差額ベッドに入られたかどうか、こういう調査でございます。例えて申しまするならば、もしここの先生方が入院をされたとすれば、大抵差額ベッド、特別室へお入りになると思いますが、それを調査しますと一〇〇%差額徴収をする、こういうことに相なると思います。
  555. 柄谷道一

    柄谷道一君 これは議員のことを例に挙げられるんですが、健保連は被保険者に対して行ったアンケートですよ。数も相当多いんですよ。これは特殊なものを調査したような印象を受けるんですが、これはちょっと訂正してください。
  556. 吉村仁

    政府委員吉村仁君) わかりやすいかと思いましてそう申し上げたのですが、中身はそういうことでございます。入院をされた患者が差額ベッドに入院されたかどうか、差額ベッドをお使いになったかどうか、そういうパーセンテージでございます。
  557. 柄谷道一

    柄谷道一君 この点は、時間がございませんけれども、私は保険外負担の現状も、やはり今回の法改正の一つの大きな要因として、要素として、本人負担というものは志向されなければならない。これだけ指摘しておきます。  そこで、四十八年の七十一国会で、政府は、厚生保険特別会計法第十八条の八で、四十七年度末の累積赤字は、同勘定の負担において借入金で処理し、同十八条の九で、借入金の償還及び借入金にかかわる経費は、一般会計より予算で定める金額を前会計年度逐次繰り入れて処理する、こう明確にお答えになっているわけですね。その後、政管健保はどのような償還がされ、現在残高は幾らであるのか。
  558. 坂本龍彦

    政府委員坂本龍彦君) 政府管掌健康保険の四十八年度末累積赤字についてお答え申し上げます。  四十八年度末時点におきまして借り入れました額は三千三十三億でございましたが、これが五十七年度末におきまして五千七百二十二億になっております。これは四十八年度以降の利子が重なったものに対しまして、五十七年度末における政管健保の黒字の一部を七十四億償還に充てる。これは当時の法律改正によりましても、いわゆる健康保険の持っております資産に見合う部分については保険料で返す、その他の損失に見合う部分は一般会計から返すと、こういう仕組みになっておりますので、資産に見合う部分の一部について七十四億だけは償還をいたしたわけでございます。
  559. 柄谷道一

    柄谷道一君 大蔵大臣にお伺いしますが、これ、だんだん金利で膨れていっているわけですね。しかし、あの七十一国会当時の政府答弁は今後も守ると、こう御確約願えますか。
  560. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 今後におきましても、国の財政事情その他諸情勢を総合的に勘案いたしまして処置するようにいたします。
  561. 柄谷道一

    柄谷道一君 大蔵大臣に確認しますが、私は暫定予算の際に、日雇い健保、今、累積約七千億円でございますが、これも同様の扱いをするんですかと言いましたら、そうであるとお答えになりましたね。もう一回確認したいと思いますが、よろしゅうございますか。
  562. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) ただいま政管健保についてお答えしたのと同じ考えでございます。
  563. 柄谷道一

    柄谷道一君 五十九年は累積赤字の利子分の半分に当たる二百八億円の繰り入れしか行っておりません。こうした姿勢からしますと、政管同様、日雇いの累積赤字は今後ますます金利により増大するものと思われますが、その場合も方針は変えませんね。
  564. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 御承知のような財政事情でございますので、やむを得ずこういうことになっているわけでございますが、考え方は同様でございます。
  565. 柄谷道一

    柄谷道一君 社保審は今回の法案に関する答申の中で、健保組合、国保組合の設立を積極的に推進すべきである旨を述べております。どう対応されますか。
  566. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 私も全くそのように考えております。
  567. 柄谷道一

    柄谷道一君 厚生省は五十九年度に国保組合の地域拡大を目指して施策を講じられておりますが、健保の場合は触れられておりません。現在は法律では三百人以上ですね。通達で千人以上になっていますね。それで健保組合の設立を促進するということになりますと、この千人を見直さない限り設立促進はできないわけです。そういう趣旨ですか。
  568. 吉村仁

    政府委員吉村仁君) 千人の基準を見直す、直ちに見直すというわけではございませんが、実際上の運用、認可の基準の運用につきまして弾力化したいと、こういうように考えております。
  569. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 柄谷君、時間ですので簡潔に。
  570. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間が参りましたので簡単に申しますが、医療費問題は、そのほかに医療費の適正化対策だと多くの問題在抱えております。これらに対して十分の審議を行い、厚生大臣もベストと胸を張るのではなくて謙虚に、二十一世紀を目指すのですから、二十一世紀の我が国の医療保障はいかにあるべきか、我々の意見にも十分耳を傾けていただきたい。このことを強調しまして、質問を終わります。(拍手)     ―――――――――――――
  571. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で柄谷君の質疑は終了いたしました。
  572. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、野末陳平君の一般質疑を行います。野末君。
  573. 野末陳平

    ○野末陳平君 高齢化社会を迎えるに当たりまして、国民の中にはいろんな不安を抱いている人が多くなりましたけれども、きょうは、そういう現代人の不安心理につけ込むどぎつい商法というか商品というか、そういうものを三つばかり取り上げて、これは今のところ法の規制外にあるものばかりですので、このまま野放しにしておいていいかどうか、そんなことで当局の対応をただしたいと思います。  まず先に、厚生省からお答えをいただいて、大臣に答えていただければいいんですが、健康食品がブームになっておりますね。これは国会でも大分何回か取り上げておりますが、特にその中でもビタミンEだとは非常にブームな感じで、しかしこれは医薬品ではありません、健康食品ですね。そこまではいいんですけれども、値段が物すごく高いというのが一番の問題なんですが、最近の傾向としまして一流製薬会社が健康食品に非常に力を入れてきた。これはもうかるから当然なんですけれども、そうなりますと、健康食品を製薬会社が大々的に宣伝しますと一般人はこれを薬と間違えてしまう。薬と紛らわしい。そういうような傾向が大分強くなりましたが、厚生省の方ではその実態を把握していますか。
  574. 正木馨

    政府委員(正木馨君) 御質問の健康食品についてはいろいろ幅広いわけでございますが、先生御指摘の点は、製薬会社等が売り出しているものの中に一般の国民から見て医薬品まがいというものが出回っておるのじゃないか、これについて実態を把握しているかというお話だと思います。私ども正確な数をつかんでおるわけではございませんが、そういった点について非常に注目をしております。  そこで、先生御案内のように、昭和五十七年に最高裁判所の判例がございまして、一般通常人の目から見て医薬品と誤認されるようなものについては、これは薬事法違反というものが成立するという判例がございます。そういった判例に従いまして、私どもとしては医薬品まがいの健康食品について十分な取り締まりを行うという態度でおります。
  575. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで、具体的に一例だけ挙げますが、ただこれはあくまでも最近非常に目立つから一例として取り上げるのでして他意はないんですけれども、塩野義製薬のベクスというのが出てきまして、これは非常に今宣伝しておりますね。この広告を見ますと、完全に医薬品まがいだと思うんですよ。というのは、健康食品という表示はもちろん全然ありませんで、「天然型ビタミンE」とこうなっておりますが、まずつくっているのが一流製薬会社だということですね。それから形状ですが、形がカプセルとか穎粒状になっていますからこれも薬と紛らわしいんですね。それから摂取の方法について一回一カプセル、または一包一日二回と全く薬と同じような言い方をしておりますね。ここだけ書きますと、これは当然一般の人は医薬品と間違えて、これは効き目があると思ってしまう。これは厚生省から見たら非常に好ましくない、問題のある広告じゃありませんか。
  576. 正木馨

    政府委員(正木馨君) 先ほど申しました五十七年の最高裁判所の判例におきましては、薬事法二条に言う医薬品とみなされるのはどういった観点から考えるのかということを判示されております。それによりますと、そのものの成分、形、名称あるいは表示された使用目的、効能効果、用法、用量あるいは販売方法、そういったものを総合的に判断して、これは一般通常人から見て医薬品と紛らわしいというものについて薬事法の適用があるということでございます。具体的事例を挙げられたわけでございますが、やはり事案に即しまして総合的に見て、一般通常人の立場から医薬品と見るおそれがあるかどうかというのがやはり判断基準になろうかと思います。
  577. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃ、一般通常人から見て、この広告を、効能の表示についてやってみますと、抹消血行障害による手足の冷え、しびれの緩和に効く、更年期における肩こり、不眠、頭痛、そういうものの緩和に効く、こういうふうになっているんですけれども、ここまで書かれますと、これは薬そのものの効き目を宣伝している広告としか思えないわけですから、薬事法に当然違反すれすれと、こんな感じを持ちますけれども、当局はどうですか。
  578. 正木馨

    政府委員(正木馨君) やはり先生のおっしゃいますように、効能効果、疾病の治療に効能があるとうたうことがやはり大きなポイントになると思います。ただ、それだけで必ずしも薬事法二条に該当するかどうかという点は、なお事案に即して考えなければならないわけでありますが、やはり総合的に見て最高裁の判例でも示しておりますように、一般の人からどうも医薬品と見まがうというようなものであれば、きちんと薬事法に従って医薬品の承認をとって医薬品として販売をしてもらうということが筋道であろうと思います。
  579. 野末陳平

    ○野末陳平君 ですから、一般人から見ると、広告のやり方に非常に紛らわしい、問題があると思っていますから、だから栄養補助食品とか、あるいは栄養補給食品とか、そういう活字が大きく出ている、あるいはテレビのコマーシャルでそういう文言があれば、これはまだいいと思うんですが、全くありませんからね。ですから、どう考えてもこれは好ましくない、問題がある、こう思っているんですが、大臣、いかがですか。
  580. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 今、先生から御指摘の問題、これはそれぞれ非常に大事な問題で、私もお聞かせいただいておったのでありますが、ただ一つは、健康食品ブームというようなものが起こっているのは、やはり国民全体の中で健康問題に対する関心が非常に強くなったのでこういう商売ができてきたということもあると思います。しかしそのために、そういう国民のせっかくの健康に関心を持ってきた中で、これに便乗して、いかがわしい商売など、あるいは消費者に迷惑をかけるようなことがあってはならないのはこれは当然のことでございます。したがって、今も政府委員から答弁が一部ありましたように、それから薬事法、また食品衛生法、栄養改善法と、現在厚生省が持っておるこれらのもので規制できるものはこれは十分規制してまいりたいと思いますが、しかし何しろ健康食品というそのものが最近ほうはいと出てきたものでありますから、これそのものを対象としたまだ行政というのはできておらないわけであります。ですから、これらの三つの法律によって十分消費者の皆さん方に迷惑をかけないでできるものかどうか等のこともこれから大きな関心を持って勉強をしなければならないし、またやはり一番大事なのは、そういう消費者の皆さん方の啓蒙であると思いますので、そういう点も今後検討をしてまいりたいと思います。
  581. 野末陳平

    ○野末陳平君 今までは小さい会社が主に健康食品をやっていましたけれども、やはりもうかるものですから一流の大きなところが出てきましたね。だからこそ問題が出てきたと思っているんです。今の厚生大臣の方針を今後とも強化していってほしいわけですが、さてこの値段ですね。この値段の高さというのがこれがむちゃくちゃなんです。そこでこの値段が適正かどうかというのは、これは判断のしようがありませんが、非常にこれは高いんです。一例を言いますと、ビタミンEが一番今ブームなんですけれども、このビタミンの値段はすごいんですよ。先ほどたまたまこの広告に出ましたシオノギのベクスというのは四千八百円と七千八百円、こうなっています。百カプセル、百八十カプセルですけれども、これも高いなと思いますけれども、ほかの会社のは九千円のもありますね。百カプセルで九千円のもあるし七千円のもあるし、一カプセルが大体八十円、九十円ずつ。どう考えてもこれは随分高いなと思うんです。薬に比べて研究開発費なんというものほかからないわけですよ、はっきり言って。これは御存じだと思いますけれども。そうすると、薬九層倍といって、薬が高いというのは研究開発で長年いろいろ費用も時間もかかってと、こういうことを聞きますと、そうかなとついごまかされてしまいますが、健康食品というのははっきり言ってそういう部分は全くありませんね。すぐつくれます。つまり、あれは食べ物なんですから。となると、こういうべらぼうな値段がついているというのは、どう考えても、それに国民が健康に関心を持つ余り、不安を持つ余り飛びつく、これは問題だと思うんで、厚生省から見て、医薬品と比べて健康食品は高過ぎませんか。
  582. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 健康食品につきましては、先ほどからお話がございましたように、薬事法、それから食べて健康を害するおそれがあるというような場合には食品衛生法で規制をいたしておるわけでございます。値段の問題につきましては、厚生省としてなかなか手を出しにくいわけでございますが、実は健康食品問題につきましては、五十八年度経済企画庁中心にいたしまして、厚生省が主として健康に与える影響の問題、食品衛生の問題、それから今の値段も含めました消費者保護というような観点で経済企画庁が担当いたしまして総合的な調査を現在進めておるわけでございます。その調査の結果等も見まして、これはどこの省が担当するかということはございますが、政府全体としてそういった点も検討していきたいという段階でございます。
  583. 野末陳平

    ○野末陳平君 いずれにせよ、この健康食品は値段設定の根拠が全くなくてぼろもうけだと思いますが、それにしてもこれが安くなればそれなりの意味があると思うんです。ですから、厚生省は値段について直接関係ができないんでしょうが、やはりこれは広い意味で安くするような指導も考えてほしいと思うんですよ、関係省庁とあわせましてね。  厚生大臣に最後に聞きますが、やはり健康を守る立場から食べ物の指導とか運動の指導とかいろんなことをなさるわけですね。そうすると、そういうものはむしろわざわざ役所が言わなくても、国民の方もかなり知識もあり関心もある。しかし、こういう新しく出てきたものについては啓蒙する部分がないと、非常に高いものにだまされて効き目があると思ってついむだなお金を出して、いわばカモにされる。こういうことのないようにこれもひとつ指導の対象に加えて積極的にやらないと、今ブームになっているだけに、今のうちにきちっと手を打ってほしいとお願いしておくんです。
  584. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) これは全く先生御指摘のとおりの問題で、大変重要な問題だと考えます。国民の皆さんが非常に健康に関心を持つようになったということは、私はすばらしいことだと思うんですが、その関心をやっぱり正しい方向に啓蒙、指導していくというのが私どもに与えられた職務でありますから、それに便乗していかがわしいことがあってはなりません。しかし、また健康食品の中にも今先生御指摘のように、これは安くたって、いいものであれば、これは国民の皆さん方の利便になるのもあるわけでございますから、これが健全な形で国民の間に進んでいくようにできるだけこれらの問題について調査検討をいたしまして、正しい啓蒙に努めてまいりたいと思います。
  585. 野末陳平

    ○野末陳平君 厚生大臣、結構でございます。  次に、特にこれは中年以降のサラリーマンの将来への不安心理につけ込む商品としてリースマンションというのがあるんですね。これが非常に人気化しておりまして、中高年のサラリーマンが、何といいますか、ここのお客さんになっているのが現実なんです。  さて、まず大蔵省に聞きますが、今はやりのこのリースマンションの広告を見ますと、必ず大きな活字で節税ビジネスとか節税効果とか、こう書いてあるわけです。じゃ節税とは一体何だと、これは大蔵省の解釈をまず聞かせてほしいんです。
  586. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) 大変難しい御質問でございます。私ども、リースマンションにつきましてはいろいろ資料を集めておるわけでございますが、今の場合、節税ということにつきまして、これは税法上の概念でもございませんので特別の定義が統一的にあるわけでもございません。ただ私ども一般に理解しておりますのは、税法上認められた方法によりまして合法的に所得を減少させて、それによって税負担を減少させることというようなことになるのではないかと思うわけでございます。節税のほかに、例えば脱税、難しく申しますれば租税適脱でございます。それからまた租税回避というのがございますが、こういうこととは少し違うのではないか、合法的な制度の利用ということで区別ができるものだと思っております。
  587. 野末陳平

    ○野末陳平君 広告のままを説明しますと、このリースマンションというのは、住宅ローンの金利分とか減価償却とか固定資産税というものが、赤字になりますと、この赤字の結果サラリーマンの場合は源泉で納めた税金が戻ってくると、こういうことです。ですから税金は戻るんです、間違いなく。しかしながら、これは赤字になった結果税金が戻るのであって、税法そのままなんであって、特別に節税の工夫をしたわけでも何でもないんです。だから妙味のある節税商品というわけじゃありませんで、これはあたかも医療費控除で税金が返ってくる、これが節税でないのと同じことですね。だから私は、黒字で税金が返るのだったら節税たんだが、赤字になった結果、赤字はしょせん税金が返っても赤字ですから。となると、これを節税商品だ、節税で得する、こういうようなことを大きくうたって、何となく税金の負担にあえいでいる中高年サラリーマンに得する錯覚を与える商品、こういう広告はちょっと好ましくないと、こういうふうに思っているわけたんですが、大蔵省としても、こういう節税を売り物にする商品、あるいはそういう宣伝については、ある程度自粛を促しても当然じゃないかと思うんですが、いかがですか。
  588. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) リースマンションについてはお尋ねのとおりでございまして、赤字によりまして、その赤字を給与所得等と通算するということで税の還付を受ける、そういうことになるわけでございます。ただ、節税と申しますのは、言葉が非常に広い意味を持っておりますので人によって受け取り方が違う、その辺に節税という言葉の持つ機微が潜んでおるのではないかと思っておるわけでございます。そういう問題と離れまして、委員がただいま御指摘になりましたような問題は、一般にこれは商業道徳とか商業倫理とかに関係する問題ではないかと思っておるわけでございます。こういう問題につきましては私どもといたしましても関心を持っておりますし、税務執行固有の問題ではございませんが、委員のおっしゃることもそれなりに私ども理解ができるわけでございます。
  589. 野末陳平

    ○野末陳平君 まさしく商業道徳の方にかかってきてしまうんですね。特にお人よしのサラリーマンに錯覚を与えるというところに一番の問題があるわけですが、まあ非常にこの定義が難しいから。  そこで、この広告を見てみますと、このリースマンションの大手はマルコーというところなんですが、「節税ビジネス」というような具体例を広告で見てみますと、ここがまた節税効果の実例が、ローンを借りた一番最初の年が一番大きく税金が返ってくる、これを例に挙げるんですね。すると、年々減っていくわけですからね、返ってくる額も。そうすると、ここの一例、最初の年の一例をもってこれはいい、得をするんだという、何というか、宣伝をしている。やっぱりここが一番サラリーマンがひっかかってしまうという気がします。これは大蔵省に聞くよりも建設省にお聞きしたいんですが、どうですか、こういう例示をするということは建設省から見ても好ましい傾向ではないんじゃないでしょうか。
  590. 台健

    政府委員(台健君) 御指摘のように、リースマンションの広告の中には、いろいろございますけれども、初年度だけを表示している広告もございまして、これは御指摘のように好ましくないことでございますので、不動産公正取引協議会を通じまして二年目以降についても表示するように指導しているところでございます。
  591. 野末陳平

    ○野末陳平君 いずれにせよ、節税でつる商品というのは、真実をばかすというか、やはり税に余り知識のない、ただただ将来の不安を考えてしまうサラリーマンにとって、盲点をついた、ちょっと道徳的に問題のある商法だと僕は思っているわけです。広告の規制は建設省のサイドでいろいろと目を光らしていると思いますけれどもね。  もう一つ、リースマンションは節税と同時に安定した副収入というのが売り物になっているんですね。余裕のある老後を支えるための安定経営だと、こういうようなことで売っておりますが、しかしながら今後の住宅政策とも絡めて建設省にお伺いしますけれども、この手のリースマンションというのが十年先、二十年先に安定した収入をもたらすと思いますか。
  592. 台健

    政府委員(台健君) リースマンションにもいろいろあると思いますのでケース・バイ・ケースだと思いますが、広告によりますと、例えば家賃は二年ごとに改定いたしまして年三%ずつ上がる、あるいはそのたびに敷金等の収入があるというふうな前提を置いた計算等もありまして、それらが実態に即しているかどうかにつきましては若干の疑問を持っております。したがいまして、それが誇大にわたるものであれば厳重に指導したいと思っております。
  593. 野末陳平

    ○野末陳平君 十年、二十年先のことはわからないんですから、今断定するのもそれは乱暴かもしれませんが、常識的に考えても、古くなれば借り手は減るし、それから修繕費その他もかかるし、新しいものがどんどん建って供給がふえれば安定収入じゃなくなるしと、ごく常識的なことを考えない、つまり常識的なことをぼかすような誇大広告なんですよ。そこが一番気になっているんです。  中には、家賃保証システムなんというようなことをうたっているところもありますけれども、こんだ保証の担保なんか全くないと思うんですね。そうでしょう。
  594. 台健

    政府委員(台健君) 御指摘の家賃保証システムはリースマンションをサラリーマンなどに売る会社がみずから保証するということでございますので、御指摘のように、その会社の経営内容によりましては保証がうまくいくかどうかは問題でございます。
  595. 野末陳平

    ○野末陳平君 要するに、会社が倒産すれば保証はないという、ごく当たり前のことです。  そこで、今もう既に買ってしまったサラリーマンに対して、こういう前金保証制度なんというのが普通のマンションにありますけれども、そういうような考え方は、建設省としてこれはできますか、この手の物件に対して。
  596. 台健

    政府委員(台健君) リースマンションの商売が比較的新しいことでございますので、まだそこまで検討しておりません。
  597. 野末陳平

    ○野末陳平君 これはやはり一種の投資なんですね。だから、投資だからリスクがあって当たり前なんで、これは個々の責任に帰するのですけれども、しかしやはり事情がよくわからないとつい不安心理につけ込まれて手を出してしまう、ここに問題がある。  もう一つ、このリースマンションの売り言葉は資産価値なんですね。今後資産価値がふえていく、こういうようなことを言っているんです。建設省に実情を伺いますが、一般のマンションに比べてこのリースマンションは非常に割り高なんですけれども、これは実態はどうですか。
  598. 台健

    政府委員(台健君) 全体を把握しているわけではございませんが、昭和五十八年に東京都の区部で販売されたいわゆるワンルームマンションと一般のマンションとの一平方メートル当たりの販売価格を比較してみますと、リースマンションが約四割から五割ぐらい高目になっております。ただし、これにつきましては、例えば不動産研究所の調べによりますと、販売単価が高い理由といたしまして、小規模の建築になりますので、壁とか設備機械等の建築費のウエートが高くなるということ、それからマンション用地の確保を急ぐ余りに、相当高い土地を手に入れてマンションを建てているということ、それから需要が相当ございますので、強い需要に支えられまして、強値で値をつけているというふうなことが指摘されております。
  599. 野末陳平

    ○野末陳平君 ですから、一種のブームになって、サラリーマンがカモになっているということになってしまうんです。今、高い理由がいろいろありましたけれども、結局、四割から五割高い分だけ資産価値も落ちているわけですし、実際に物件を見ればわかりますけれども、天井は低いし、材料は悪いし、将来長もちするとは到底思えない、いわば粗悪品ですよ。ですから、こういうものを投資の一種で個人で責任を食えばいいんだというふうに言うには余りにも、五年、十年、二十年先にサラリーマンが将来の安定を願って投資をするんですから、今のうちに警告を発しておかなきゃいかぬと思って、法の規制外の物件ではあるけれども、あえて建設省にお伺いしているわけです。  大臣、そういうわけでして、このリースマンションですが、私的年金なんという言葉を使っているのもあるんですね。公的年金じゃ足りないから、もう一つの老後の収入とか、うまいこと書いてあるんです。全部これは中高年サラリーマンの不安心理につけ込む、どぎついですよ、やり方がえげつない。そこでひとつ、投資の一種でリスクもあるんだということをわかってもらいたいけれども、まるでそんなことを考えないで実情は手を出しているでしょう。  そこで、建設大臣にお願いするのは、後で失敗して気がついたのじゃもう手おくれなんですから、こういう販売法にブレーキをかけるということを建設省が考えるべきじゃないか。だって、いい建物が建ってほしいのにこういう粗悪品がどんどん建つことはよくないでしょう。そういう意味からも販売法にブレーキをかけるべきじゃないですか。
  600. 水野清

    国務大臣水野清君) このリースマンションは、おおむねいわゆるワンルームマンションなんでございますが、先ほど来事務当局が申し上げましたように、非常に商売のやり方がすれすれなんであります。広告の仕方も、誇大広告ならこれはまた取り締まる方法がありますが、節税云々というところで、本当のところだけはあるんですけれども、うそのところといいますか、ぐあいの悪いところは余り書かないで売り出す、こういうようなすれすれの商法をやっているわけであります。ですから、法に触れれば、不動産取引業法みたいなものがありますから、それでひっかけることができますが、なかなか非常に難しい。それから、一つは、都心の地価が上がったものですから、大きなスペースのものがなかなかつくれない、そこで小さなものを細切りにして売っている、こういう最近の一つの傾向もあるわけであります。それからまた周辺の人たちが、ワンルームマンションは非常に困る、独身者というのですか、管理責任もないし、いろんなことがあるということなんでありますが、各方面から、この国会ではもう大分各委員会でそういうおしかりを受けております。法律的にもいろんな角度から、誇大広告なら公取法違反にもなるんでしょうし、いろんな面から攻めて指導をしていきたい。  それから今おっしゃったように、特に一千五百万から二千万ぐらいのもので売っていますから、ちょうど中年層のサラリーマンの預金目当てみたいな商売なんでありまして、そういうせっかくためた預金をこういうことで投資をされて、案外広告倒れで損をなさるということがないように、研究をして指導していきたい、かように思っております。
  601. 野末陳平

    ○野末陳平君 まあこれは冷静に考えれば、広告ほどの安定性とか将来性がないというのはわかるんですけれども、今のところどうやらブームになって、業者の方が少なくもサラリーマンより頭がいいということになっていますね、残念なことに。大臣にもお答えいただきましたけれども、環境問題、都市計画の面からも、今後リースマンションをどういうふうに扱っていくか、ひとついろいろな点でいい方法を考えてほしいと思います。どうもありがとうございました。  それから今度は、文部大臣にですけれども、健康食品もリースマンションもこれは手を出さなければそれまででいいんですけれども、教育に絡む予備校とか学習塾とかいうことになりますと、どうしてもこれは親としては絶対必要であるというふうな感じもしてくる存在ですが、教育費が高いと今よく言われますけれども、これは教育費の大半というのは当然ながらいわゆる学校教育以外の塾とかおけいこ事とか、スポーツとか、そういう費用だと思います。  そこで、学習塾のことをお聞きしますけれども政府としては今後の教育改革の中で塾をどういうふうに位置づけているんですか。これは一種の必要悪だからしようがないというのか、それとも今後とも育成していこうというのか、それともなくす方向にすべきなんだと、どういう位置づけですか、塾は。
  602. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) いわゆる学習塾というのは、補習塾型もございますし、それから進学塾的なものもありまして、実態はさまざまなんです。それに、例えば野末さんが近所の子供を集めて善意からいろんな指導をなさることもこれまた野末塾なんですね、お金を取るか取らないというのは別問題でありますが。それから塾に通う背景というのも理由はさまざまでございます。したがって、そういう意味で、私としては文部大臣という立場から言えば、塾をなくするということよりも、塾に通わなくていいような学校教育にするということが、私にとってはそういう状況をつくることが一番大事だと、こう考えております。  答弁の時間が長くなりますと、また委員長や理事さんにしかられますが、教育改革は端的に申し上げてそういう塾に通わないような状況をつくり得る教育体制をぜひつくりたい、これが私の切なる願いであります。
  603. 野末陳平

    ○野末陳平君 実にそのとおりですから、塾を何も無理に育成したりする必要は全くないと思います。自然消滅でもいいし、生き残るべきものが生き残るのは当然だと思います。問題は受験用の塾ですね。小学生相手、中学生相手、高校生相手、こういう塾あるいは進学教室、この月謝が、これが高過ぎるという、ここをひとつ文部大臣にも考えてほしいと思うんです。これは小さく良心的にやっているところもありますよ。だけれども、今やこれは一種の営利事業化しましたから、そうなると大きな有名塾、進学教室は非常に高い。大体名の通ったところは、もう小学生相手に月に二万、三万ですね、小学生相手。これはどう考えても家庭にとってかなり重い負担なんで、この結果、教育費が教育費がと言われると、本当にこれが教育と言えるかどうか疑問ですが、こういうのは高過ぎませんか、この月謝。
  604. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 高い低いというのは、これはなかなか一概には言いにくいところでありまして、教育費はそれぞれの家庭の所得水準、それから子供の学校段階におきますかかる費用も大きく変わっておるわけでございます。結局、支出は家庭が判断をするということになってまいりますので、負担の軽重、高いか低いかということは一概には文部省として言うことはこれは難しいことでございますが、私的に私の感情から言えば、他の教育費から見れば、さっき糸久さんの議論にも出ておりましたけれども、一般の教育費に関してほかの書物や他の補助的なものを買う方が高いじゃないかということ、それに比べ教科書なんて安いものじゃないかという議論がつい出てくるわけでありまして、そういう意味では高い低いという判断は非常に難しいのでありますが、個人的には他のものに比べてやはり何か人の弱みにつけ込むというような感じがいたしますから、そういう意味では、私は余りいい傾向だとは言えないと、こう申し上げられると思います。
  605. 野末陳平

    ○野末陳平君 小学生相手で月二、三万の授業料なんですが、負担できる家庭はいいんですけれども、また負担できなければ行かないからいいんですけれども、しかしこれが高校、大学というふうに少し上がってきて、予備校なんというふうになるとまた高くなるんですね。特に医科大学、歯科大学系統の方は、これは高いのはしようがないと父兄が思うらしくて、物すごい値段の設定が、値段というか入学金、授業料、これが例えばあるところは入学金が二十万、三十万。入学金ですよ、一年間の。そして授業料が年間四百万円なんていうところがありますからね、予備校が。あと諸経費が三十万。つまり予備校に入るために四百五十万円要る。これが一番高いところですがね。あと、大体医科歯科系の予備校は二百五十万前後です。となると、こういう金でもって、まあ親心といいますか、受験生の、大臣がいみじくもおっしゃった弱みにつけ込んでいって金を取る。これは幾ら自由競争とはいえども、父兄にとったはいいか悪いかよくわからないような、内容と値段が果たして適正であるかどうかよくわからないような商売でしょう。だから、こういうものを野放しにしておいて、しようがないんだというのもどうか。これは授業料について文部省があれこれ口は狭めないかもしれませんが、どう考えても親心、そして受験生の弱みにつけ込む、暴利をむさぼる商売としか言いようがありませんよ、ここまで高くなると。いかがでしょうか。
  606. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 私も野末さんの今の御質問に対して、野末さんが一番好まれるような答弁をしたいのはやまやまなんでありますが、端的に申し上げて、学習塾というのはさまざまな社会的な必要性に応じて存在しているわけでありますから、国が基本的にこれに直接関与するということにはこれはなじまないものでありまして、それから学習塾へそもそも通わせるということ、子供を託すかどうかというのは、これは専らお父さん、お母さんの判断にゆだねられているわけであります。野末さんも今、入れなくてもいい者は入れなくていいんだというようなお話もありましたが、したがってこのように学習塾の費用について文部省から指導したり規制等を講ずるということは、やはりこれは慎重に考えなければならぬ。それぞれ個々の憲法に保障された職業だといえば職業ということになってくるわけでございます。ただ、学校法人の中で、予備校だとも学校法人化しているのがございますが、これも結果的に文部省が認可するということじゃなくて、都道府県によってこれを認可をしているわけでございますから、やはり予備校だとは学校法人という立場でございますから、私はやはり学校教育の多様化の中に学校法人というのはあるわけでございますので、そういう意味では文部省としても啓蒙はできるのではないか、こう思っております。
  607. 野末陳平

    ○野末陳平君 僕も小ぢんまりと良心的にやっている塾なども一々うるさくなんというようには全く思いませんけれども、何といったって最近は、駅前の一等地には予備校なんかどんどん建っていて、もう完全に教育に名をかりた営利事業になっているでしょう。ますますマンモス化しそうですね。だからこそ何か考えておかなきゃと思っているわけです。  角度を変えますけれども、大蔵省に聞いておくんですが、この学習塾、予備校の中の大手は学校法人になっておりますが、せんだって大蔵大臣に質問しましたら、学校法人の課税も検討しないでもないようなお話だったんですね。これ、一般の塾は同じ仕事をやっていて課税できちっとやっていますね。学校法人になった、マンモスで、そして物すごくもうかっているところの方が逆に非課税になっている、こういうことになりますね。これはどう考えてもおかしいので、公益法人の中に宗教法人、学校法人とありますが、この今うけに入っている教育産業の中の大手の学校法人、これはやはりきちっと課税の対象にしないとまずいと思うんですが、どういう検討をしているんですか。
  608. 水野勝

    政府委員水野勝君) 学校法人その他公益法人が行っておりますところの収益事業につきましては、他の一般の営利事業との権衡を考えたから、適宜その課税範囲を見直さしていただいているところでございまして、御指摘の予備校等につきましては、五十九年度の改正におきまして必要な適用除外措置も講じました上で、学校の入学試験に備えるため、または学校教育の補習のための学力の教授業、これは収益事業として今年度課税対象に含める、こういうふうな措置を講じたところでございます。
  609. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますと、今後とも一般の法人にならない塾と同じように課税が行われていくというふうなことで理解していいんですか。
  610. 水野勝

    政府委員水野勝君) 考え方としてはそういうことでございます。ただ、いろいろ従来から行われてきておりますところの予備校教育の実績、経緯等にもかんがみまして、必要な除外措置は講じておるわけでございます。
  611. 野末陳平

    ○野末陳平君 ですから、そういういろいろな除外措置などがありますと、結果的に一般の壁と、つまり良心的な塾の方がかえって税金をきちっと払って、そしてぼろくもうけているところの方が払っていない、こういうアンバランスがまずいんですね。ひとつ今後とも厳しく検討して課税を当たり前の法人並みにするということをやってほしいと思います。  もう時間がなくなりましたけれども、いずれにせよ文部大臣、これはやはり父兄の負担を軽くする方向を打ち出すのも文部省の仕事だと思うんです。ですから、塾はいいですよ、そしていい塾もあるでしょう。しかし、これが余りにも父兄の過重な負担に現在はなっているわけです。その点でもう一度、授業料を安くする方向、あるいは上限を設けるような方向、その程度までは何かいきたいと思うんです。これで最後にします。
  612. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 先ほども申し上げましたが、教育に自分たちもかかわり合いを持っておられるということの意識を持ってくださるなら、みずからそうした謙虚な気持ちでやっていただきたいたと望む以外に方法はないわけでありますが、先ほども申し上げましたように、そうした塾、予備校に通わなくてもいいような教育環境をつくることが私に与えられた最大の私は課題だと、こう考えております。ただ、先ほど厚生大臣も答弁されましたけれども、健康食品と同じように、健康に対する意識が出てきたということと同じように、塾や予備校ではなくても、仮にやっぱり余裕が出てきますとテニスあるいはスイミングクラブ、どうしてもそういうところへ移っていくわけでありまして、じゃそのことまでも規制をできるのか、文部省でかかわり合い持てるのかということになれば、かなりこれは慎重にならざるを得ないということでございまして、少なくとも先ほど申し上げたように、進学をしないというそういう子供たちの気持ちにつけ込むようなこうした各種の塾や予備校については、関係者には十分やはりその反省の上に立っていただきたいと思うし、何といいましてもそういう塾や予備校がはんらんしない世の中をつくるということに誠意を持って私は努力していきたいと、こう思っております。
  613. 野末陳平

    ○野末陳平君 終わります。
  614. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上、野末陳平君の質疑をもって一般質疑は全部終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十七分散会