運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-03-30 第101回国会 参議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月三十日(金曜日)    午前九時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      下田 京子君     吉川 春子君      喜屋武眞榮君     青木  茂君      秦   豊君     木本平八郎君      宇都宮徳馬君     野末 陳平君  三月三十日     辞任         補欠選任      堀江 正夫君     土屋 義彦君      久保  亘君     梶原 敬義君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         西村 尚治君     理 事                 金丸 三郎君                 亀井 久興君                 初村滝一郎君                 藤井 裕久君                 村上 正邦君                 和田 静夫君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 伊藤 郁男君     委 員                 安孫子藤吉君                 大鷹 淑子君                 長田 裕二君                 海江田鶴造君                 梶原  清君                 古賀雷四郎君                 沢田 一精君                 志村 哲良君                 杉山 令肇君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 竹内  潔君                 土屋 義彦君                 内藤  健君                 成相 善十君                 真鍋 賢二君                 増岡 康治君                 宮澤  弘君                 宮島  滉君                 糸久八重子君                 梶原 敬義君                 久保  亘君                 佐藤 三吾君                 志苫  裕君                 瀬谷 英行君                 高杉 廸忠君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 鈴木 一弘君                 中野 鉄造君                 和田 教美君                 吉川 春子君                 柄谷 道一君                 青木  茂君                 木本平八郎君                 野末 陳平君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        法 務 大 臣  住  栄作君        外 務 大 臣  安倍晋太郎君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        文 部 大 臣  森  喜朗君        厚 生 大 臣  渡部 恒三君        農林水産大臣   山村新治郎君        通商産業大臣  小此木彦三郎君        運 輸 大 臣  細田 吉藏君        郵 政 大 臣  奥田 敬和君        労 働 大 臣  坂本三十次君        建 設 大 臣  水野  清君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    田川 誠一君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)              (沖縄開発庁長        官)       中西 一郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       後藤田正晴君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       河本 敏夫君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       岩動 道行君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上田  稔君         ―――――        会計検査院長   鎌田 英夫君         ―――――    政府委員        内閣参事官    中村  徹君        内閣法制局長官  茂串  俊君        内閣法制局第一        部長       前田 正道君        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        行政管理庁長官        官房審議官    佐々木晴夫君        行政管理庁行政        管理局長     門田 英郎君        防衛庁参事官   古川  清君        防衛庁参事官   西廣 整輝君        防衛庁参事官   冨田  泉君        防衛庁長官官房        長        佐々 淳行君        防衛庁防衛局長  矢崎 新二君        防衛庁衛生局長  島田  晋君        防衛庁装備局長  木下 博生君        防衛施設庁長官  塩田  章君        防衛施設庁総務        部長       梅岡  弘君        防衛施設庁施設        部長       千秋  健君        経済企画庁調整        局長       谷村 昭一君        経済企画庁調査        局長       廣江 運弘君        国土庁長官官房        長        石川  周君        法務省民事局長  枇杷田泰助君        法務省刑事局長  筧  榮一君        法務省矯正局長  石山  陽君        外務省北米局長  北村  汎君        外務省経済協力        局長       柳  健一君        外務省条約局長  小和田 恒君        大蔵大臣官房審        議官       田中 泰助君        大蔵大臣官房審        議官       山田  實君        大蔵省主計局長  山口 光秀君        大蔵省主税局長  梅澤 節男君        大蔵省理財局長  西垣  昭君        大蔵省理財局次        長        志賀 正典君        大蔵省証券局長  佐藤  徹君        大蔵省銀行局長  宮本 保孝君        大蔵省国際金融        局長       酒井 健三君        文部大臣官房長  西崎 清久君        文部省大学局長  宮地 貫一君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   古賀 章介君        厚生省環境衛生        局長       竹中 浩治君        厚生省医務局長  吉崎 正義君        厚生省保険局長  吉村  仁君        社会保険庁医療        保険部長     坂本 龍彦君        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産省経済        局長       佐野 宏哉君        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        農林水産技術会        議事務局長    関谷 俊作君        林野庁長官    秋山 智英君        通商産業大臣官        房審議官     棚橋 祐治君        資源エネルギー        庁長官      豊島  格君        運輸大臣官房長  松井 和治君        郵政大臣官房長  奥山 雄材君        郵政省貯金局長  澤田 茂生君        郵政省電気通信        政策局長     小山 森也君        郵政省電波監理        局長       鴨 光一郎君        労働大臣官房長  小粥 義朗君        労働省労働基準        局長       望月 三郎君        労働省婦人少年        局長       赤松 良子君        労働省職業安定        局長       加藤  孝君        労働省職業訓練        局長       宮川 知雄君        建設大臣官房会        計課長      牧野  徹君        建設省都市局長  松原 青美君        建設省道路局長  沓掛 哲男君        自治大臣官房長  矢野浩一郎君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局選        挙部長      岩田  脩君        自治省財政局長  石原 信雄君        自治省税務局長  関根 則之君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計暫定予算内閣提出、  衆議院送付) ○昭和五十九年度特別会計暫定予算内閣提出、  衆議院送付) ○昭和五十九年度政府関係機関暫定予算内閣提  出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 予算委員会を開会いたします。  昭和五十九年度一般会計暫定予算昭和五十九年度特別会計暫定予算昭和五十九年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――
  3. 西村尚治

    委員長西村尚治君) まず、理事会における協議決定事項について御報告いたします。  審査を行う日は本三十日の一日間とすること、審査方式総括質疑方式とすること、質疑割り当て時間は総計八十分とし、各会派への割り当て時間は、日本社会党三十二分、公明党・国民会議二十分、日本共産党、民社党・国民連合及び参議院の会それぞれ八分、新政クラブ四分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。  右、理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、政府から趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣
  6. 竹下登

    国務大臣竹下登君) このたび、昭和五十九年四月一日から同月十一日までの期間について暫定予算提出いたしましたが、その概要について御説明いたします。  まず、一般会計につきまして申し述べます。  暫定予算が本予算成立までの応急的なものであることにかんがみ、今回の暫定予算におきましても、暫定予算期間中における人件費事務費等経常的経費のほか、既定の施策に係る経費について行政運営上必要最小限のものを計上することといたしております。  なお、新規の施策に係る経費につきましては、原則として計上しないことといたしておりますが、生活扶助基準引き上げ等教育及び社会政策上等の配慮から特に措置することが適当と認められるものにつきましては、所要経費を計上することといたしております。  また、公共事業関係費につきましては、直轄災害復旧事業費のほか、直轄維持修繕費等について、暫定予算期間中における所要額を計上することといたしております。  歳入につきましては、税収及び税外収入暫定予算期間中の収入見込み額を計上することといたしております。  以上の結果、今回の一般会計暫定予算歳入総額は二百八十六億円、歳出総額は三兆三百九十七億円となっております。  なお、これは、三兆百十一億円の歳出超過となりますが、国庫の資金繰りにつきましては、必要に応じ大蔵省証券を発行することができることといたしております。  次に、特別会計及び政府関係機関暫定予算につきましては、いずれも以上申し述べました一般会計の例に準じ編成いたしております。  以上、昭和五十九年度暫定予算につきまして、その概要説明いたしました。  何とぞ、審議の上、速やかに御賛同くださるようお願いを申し上げます。
  7. 西村尚治

    委員長西村尚治君) それでは、これより順次質疑を行います。和田静夫君。
  8. 和田静夫

    和田静夫君 暫定予算審議に入ったわけですが、私ども予算空白を招かないためにも、あるいは参議院予算審議権を守る立場からも政府暫定予算提出に踏み切ったことについては評価をしておきたいと思うのですが、ただし、政府予算空白参議院審議権の重みをどの程度理解していらっしゃるかということをいろいろ考えざるを得ません。まず、総理大蔵大臣見解を再度伺います。
  9. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる予算空白というものは、これは制度上予想されるべきものでないというふうに考えておるわけであります。そこで、私どもといたしましては、一方、二院制度のもとにおける参議院審議権を尊重するという立場がございます。と同時に、私どもにはいわば審議状況に応じて予算空白を置くことなく成立さしていただける期待権というものも存在すると思うわけであります。したがって、この問題はまだ議論の長いところであろうと思いますが、言ってみれば衆議院を通過いたしましたときに、同時に暫定予算を編成し国会お願いをするということについては、いわば一方政府としての期待権というものと、そして一方国会審議権というものの尊重と、その調和をどこにとるかということが最終的な判断の基準になるではなかろうかと、こういうふうに考えるわけでございます。したがって、私どもといたしましては、期待権の中における姿勢としては、暫定予算を通していただいた後も、なおいち早く暫定予算が消滅することに対してもまた期待を持ち続けつつ審議に御協力をすると、こういうことになろうかと私は考えております。
  10. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 暫定予算提出せねばならぬところに至りましたことは甚だ遺憾でございます。いわゆる空白というものは生ずべきものではない、さしてはいけないことであると思いますが、いろいろな審議の日数その他のかげんでこういう事態になりましたことは甚だ遺憾でございます。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 ここで委員長に、当委員会運営責任者として、国会役員としての立場から、五十九年度暫定予算及び六十年度以降の予算空白回避暫定予算制度を定着させるべしというような見地から御見解を承りたいのであります。植木委員長に負けない立派な見解を述べてもらいたいと思います。
  12. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 今、竹下大蔵大臣がおっしゃったようなことと同じようなことになると思うのでありますが、参議院としては、予算案が送付されてき次第、鋭意審議を尽くす、審議を尽くしてできるだけ暫定を回避して年度内にこの予算案成立さすべく皆さんと協力して努力してまいるべきだと思っておるのですけれども、どうしてもその審議状況を見ながら暫定を組まざるを得ない、そういうことになりますれば、政府の方に新年度の空白期間を来さないように早目に、早目にといいますか、年度内暫定予算成立させる措置をとってもらうように委員長としても努力をしていくべきだと、かように考えておる次第でございます。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 委員長、ちょっと前段の方、委員長の御答弁を予とするわけにはまいりません。当然、理事会で文章ぐらい練って委員長見解が出されてしかるべきだと思うんですが、そういう用意はないということでしょうか。
  14. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 今、急にその用意はございませんが、そういう気持ちでおることだけを御了解願いたいと思います。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ、委員長見解を一遍この機会に理事会協議をしながら出させてもらう、それでよろしいですね。
  16. 西村尚治

    委員長西村尚治君) それじゃ、後で理事会協議するということにいたしたいと存じます。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 総理大蔵大臣、もう一度見解を求めますが、六十年度以降も予算空白を招かないよう政府最大限努力をする、よろしいでしょうか。
  18. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは最大限努力は当然すべきものだと思います。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 法務大臣、この間、予算理事会に来ていただいて若干の論議をいたしましたが、やはりあの答弁、にわかでもありましたから、了解のできない部分があったが、まあ武士の情けで見逃したということにしてあるわけでありまして、どうも空白についてのあなたの認識は甘いようであります。刑務所の被収容者作業賞与金はどのように支払われますか。
  20. 住栄作

    国務大臣住栄作君) 予算空白期間認識、甘いことは決してないのでございまして、今お尋ねの刑務所の被収容者が釈放の際に支払う作業賞与金がございますが、出所者、四月の上旬一週間ぐらい大体百数十名、年によって違いますけれども、そのくらいでございます。作業賞与金出所の際払うことになっております。予算空白がございますと財政上支払うことができない、こういうことで各収容施設職員でつくっております職員会あるいは職員互助会、これは施設ごとにそういうものをつくっておりますけれども、この互助会なり職員会、これは職員慶弔等に備えるために毎月職員が積み立てておる。そこで第三者弁済ということで出所者に支払っていただいておる。これは私はもちろん適切な処置であるとは思っておりません。空白に対処する本当にやむを得ない措置だというように考えておるわけでございます。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 それは法務大臣が指示をされて全国統一的にやられているということになりますね、そうすると。
  22. 住栄作

    国務大臣住栄作君) そのようなことになります。
  23. 和田静夫

    和田静夫君 その職員会の性格、組織はどんなものですか。
  24. 住栄作

    国務大臣住栄作君) 今申し上げましたように、構成は各収容施設職員、目的は慶弔等に充てるために職員が積み立てておいて支払いに充てる、そういう職員親睦団体でございます。  なお、詳しいことは事務当局から説明をさしていただきます。
  25. 和田静夫

    和田静夫君 事務当局答えるときに、この法務省設置法の中にありますか。
  26. 石山陽

    政府委員石山陽君) 法務省設置法にはございません。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 全く私的な任意団体であるということが明らかになりました。  そこで法務大臣財政法のどこに個人ないし任意団体が本来国庫が支払わなければならない金を立てかえてもよいという規定がありますか。
  28. 住栄作

    国務大臣住栄作君) そういう規定はございません。先ほども申し上げましたように、やむを得ない、本当にある意味では緊急避難というような意味で、その期間のものについて第三者弁済ということで処理をしておるわけでございます。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 法務大臣、あなたがやっていたことでもないのに答弁するのは不満でしょうけれども、お気の毒ですが、法務大臣におつきになったから仕方がないわけでありまして、これはどう見たって、この間もあなたは理事会要請がないと言われたんですが、これは要請がないことはない。一歩譲ってみても脱法行為であることは間違いないですよ、これ。脱法行為である。あるいは潜決行為であると、こう言ってみますか。法をくぐっている。法の番人が脱法行為潜法行為をしてよい、こういうことになって、法務大臣、国の秩序が保たれると思いますか。
  30. 住栄作

    国務大臣住栄作君) やむを得ない、適切でないことはもちろんでございます。やむを得ないこととして処理をしておるわけでございます。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 法制局長官、今の論議をお聞きになって、立てかえ払いができる根拠法を挙げてくださいよ。
  32. 茂串俊

    政府委員茂串俊君) ただいま住法務大臣からも御答弁がありましたように、もともと予算空白というのは現在の財政制度のもとで予想されていないような異例な事態でございます。ただ、国政運営の面でどうしても支出をしなければならないといういわば義務費的なものもあるわけでございまして、その両者の調和といいますか、どのような形で処理をするかという面でいろいろと各省庁の方でお考えになられまして、そしてただいまの出所者作業賞与金につきましては今担当の大臣の方から御答弁がありましたようなことで処理していらっしゃるようでございます。まことにこれは正当な方法でないことは確かでございますが、ただ、国の立場といたしましては形式的な違法というそしりを免れるような形でいろいろとお考えをなされておるわけでございまして、この場合にも、強いて申しますれば、昨年も私の前任者の角田前長官が御答弁申し上げましたように、第三者による弁済という法理に乗ってどうやら説明がつぐのかなという感じがいたしております。
  33. 西村尚治

    委員長西村尚治君) ちょっと速記をとめてください。    〔午前九時十九分速記中止〕    〔午前九時二十九分速記開始
  34. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記を起こして。  ただいまの件につきましては、後刻理事会協議することといたしたいと思います。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 これは前向きに、後から暫定予算について委員長見解も出ることでありますから、その委員長見解の中にまとめて盛り込む、そういうふうに理解してよろしいですか。
  36. 西村尚治

    委員長西村尚治君) そういうことで協議してみたいと思います。
  37. 和田静夫

    和田静夫君 会計検査院に一点だけ聞いておきますが、検査院はこの予算空白を生じた場合の各省対応を知っていましたか。
  38. 鎌田英夫

    会計検査院長鎌田英夫君) お答え申し上げます。  予算空白というものは、何も今回議論になっただけではございませんで、過去相当の回数があるわけでございます。その都度こういう問題が起こってきておりますが、そのときの各省対応につきましては承知いたしております。
  39. 和田静夫

    和田静夫君 これは院長、大変な答弁ですな。知っておったんなら、結局あなたは違法あるいは脱法潜法、そういうような行為を認めてきたということですか。
  40. 鎌田英夫

    会計検査院長鎌田英夫君) 認めてきたという立場ではございませんで、やはり予算空白期間を生ずる、あるいは生じたという場合に何らかの措置がこれは国政運用上必要であるということであります。したがいまして、国政運用ということは、反面、国民の利益、これにも絡んでくることでございますので、これはやはりそういう事態が生じたというのが緊急の場合に該当するということで、緊急避難としてはやむを得ないのではないかという見解を持っているわけでありまして、認めたというわけではございません。
  41. 和田静夫

    和田静夫君 認めたのではない、見逃してきた。  それから、基本的に間違いを犯していらっしゃるのは、緊急避難緊急避難と言われますけれども、四月一日から空白になるということは参議院予算論議を踏まえてみればわかっていることですよ。あなた方の頭の中には五日までというやつがあるからそういうことが言えるんでしょう。そういう答弁は納得できない。
  42. 鎌田英夫

    会計検査院長鎌田英夫君) 四月何日までということは、私どもの方は承知いたしておりません。ただ、そういう事態が起こるということに対応して、これもやむを得ない処置であるというふうに、検査院としてはそういう立場をとらざるを得ない、こういうことでございます。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 そんなの答弁にならない。検査院の存在の意義がない。
  44. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記をとめて。    〔速記中止
  45. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 速記を起こして。
  46. 鎌田英夫

    会計検査院長鎌田英夫君) 先ほど来御答弁申し上げておりましたが、会計検査院としては、このような事態が繰り返し行われるということはまことに好ましくない事態である、こういう認識であることをこの際申し添えておきます。
  47. 和田静夫

    和田静夫君 何か法務大臣だけ時間の関係であれしましたが、労働大臣だって郵政大臣だって、あるいは参議院の事務総長だって、全部この問題は引っかかっていますから、一応問題は認識をしておいていただくように申し上げておきます。  検査院、もう一問だけですが、今の御答弁でありますが、どうしてこれを検査報告に載せるとか、あるいは改善の意見を出すとかということをされなかったんだろう、重要な事実に目をつぶってこられたということが解せないわけでありまして、その辺はどういうことでしょう。
  48. 鎌田英夫

    会計検査院長鎌田英夫君) 会計検査院が不当あるいは違法ということを、問題がありました場合にこれを問題提起するわけでございますけれども、その間、やはり事の内容によりまして、直ちにこれが不当なり違法と、そういう見解を検査報告で掲記いたしまして国会に報告するというような問題に該当するかどうか、その辺が、会計検査院の検査官会議の判断というものも従来あって今まで掲記されなかった、こういうふうに考える次第でございます。
  49. 和田静夫

    和田静夫君 先ほど深く反省をされたようでありますから、今後を見守りますが、そういうような姿勢だから各省に甘く見られて院法の改正もままならないんだということを一方で私は考えるものですから、あえて院長にお出まし願ったのであります。  次に、暫定予算の中身に入るわけでありますが、その前に一問だけですけれども、大蔵省、一方では予算空白をつくっておいて、そして一方では日切れ法案は早く上げろ上げろと、こういうわけですね。そうすると、日切れ法案というのは一体何なのか。
  50. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、私ども提案者から見れば、日切れ法案というのは、何月何日から施行したいということでお願いしておる限りにおいては、それが日切れだ、こういうことでございます。
  51. 和田静夫

    和田静夫君 例えば、仮に四月一円から施行したいと、こうなる、あるいは実施をしたいと政府は願望をお持ちになる。ところが、国会には議論が保障されている、討論が保障されている、したがって修正権も我々にはある。そういうことになってきますと、これは憲法に保障されているわけでありますから、日切れ法というものの認定というのは、そんな幅広いものではないのではないだろうか。
  52. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、今御議論にありましたように、我々はこれでお願いしておる、提案権に基づいて。だから、我々はその日にちをもって日切れと認定しておるからお願いしているわけですね。だから、私も国会議員ですが、修正権、国会議員の立場になっての答弁になりますので、それから先はやっぱり答弁しない方がいいと思いますので。
  53. 和田静夫

    和田静夫君 余り竹下さんとやりたくないけれども、しかし今の答弁はちょっとひど過ぎましたな。いや、お考えになっていることは私はよくわかりますよ。わかりますが、じゃ、端的に言いましょう。酒税法、物品税法、これは日切れじゃないでしょう。
  54. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私どもは、その日からお願いしておる、それがためにはこれだけの準備が要るから施行日はこれだということになると、やはり私ども認識からいえば日切れだと。先ほど申しましたのは百も承知で、別に誤解していらっしゃるとは思いませんが、日切れというものの認識は、修正権のある側から見れば修正権側の認識はそれはあると思いますけれども、今政府サイドにおるものですから、その議論は私からはしない方がいいと思ったからしなかったわけであります。
  55. 和田静夫

    和田静夫君 やっぱり法制局長官だ、ここのところは。
  56. 茂串俊

    政府委員茂串俊君) 御答弁申し上げる前にちょっと一言申し上げますが、先ほど私、予算空白の問題につきまして、角田前長官答弁を引用いたしましたが、昨年と申し上げましたのは間違いでございまして、一昨年の四月三日に当委員会で答弁をされたということでございまして、訂正させていただきます。  それから、いわゆる日切れ法案の問題でございますが、これはもとより法制上の観念ではございませんので、どうも私から御答弁申し上げるのはいかがかと思うのでございますが、非常に一般的に申し上げますと、実務的にいって、その法律案の予定した施行日なりあるいは相当の準備期間を残した日までにはどうしても成立しなくちゃいかぬというような法案でございまして、これが通らないときには国政運営面でいろんな意味で支障を生じたりあるいはまた国民の利害に影響を及ぼすといったような内容を含んだ法律案と言えるのかなというのが、私の非常に俗な意味での私見でございます。
  57. 和田静夫

    和田静夫君 やっぱりそういうことになってくると、政府側の願望だけを満たすものが日切れ法案だということになると、何でも四月一日実施という形で出してくればそれは日切れだということになりまして、これはこの答弁はちょっと納得するわけにはまいりません。三月三十一日に上げなきゃならぬというようなことになる、あるいは我我の審議権などというものがやっぱり阻害をされてくるということになりますから、ここのところはもうちょっと突っ込んだ統一的な見解を求めたいと思いますね。
  58. 茂串俊

    政府委員茂串俊君) 私から申し上げるのは、先ほど申し上げたように、適当であるかどうか、私自身ちょっと問題があるような気もいたしますが、強いて申しますと、例えば例を挙げますと、いわゆる法律の中には限時法というのがございまして、仮にことしの三月三十一日で効力を失うというような規定を前提にした法律があるとした場合に、それを三月中に国会成立さしていただきませんと法律がなくなってしまうというようなものもございます。  それからまた、例えば税法の場合でもそうでございますけれども、三月三十一日でいわゆる軽減税率その他の特例が切れてしまうというようなものが中にはあるわけでございまして、そういうものが三月中に通りませんと、仮に結果として四月過ぎてからそれが成立するとした場合には、その間における税率が非常に不自然に引き上げになるということになりまして、国民にもその意味での負担をおかけするというような問題もあろうかと思います。いろいろ日切れ法案の中にも幾つか類型があると思いますが、一番端的な例としては今申し上げたようなものがあるのではないかと思っております。
  59. 和田静夫

    和田静夫君 今の法制局長官答弁は、かなり私も納得できます。限時法的なもの、これはわかりますし、それから国際的な関係のものももちろんありましょうし、それから軽減、それが四月一日になった場合に大幅に市民負担を求めるということになるような法律、そこに限定をされるべきですね、これは。
  60. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、従来からのこの議論を踏まえて、ただ、私が本院の予算委員会の理事として理事会議論をする場合の議論と若干、私の今の置かれている立場がございますので、政府側でございますから、それは受けとめ方についてはその辺をそしゃくしていただきたいと思いますが、今、法制局長官からお話のありましたような問題、これは非常に感覚的にも、修正権を持っておる側も提案権を持っている側も一番理解のすり合わせのよくできる具体例をもっての御説明であったと思います。  私どもは、なぜそれぞれこの施行期日というのを定めておるかといえば、それは一本一本みんな言ってみれば予算と一体不可分のものであるとか、あるいは年度内に必要な財源の準備が整っていなければならぬとか、そういう理由をすべて含めてこの施行期日というものを決めて審議お願いしておるわけです。したがって、そういう考え方の上に立っておる限りにおいては、施行期日というものは、すべて日切れという認識を提案側からいたすのは、これは私は一つの必然性のあることではないか。したがって、中には、例えば五十九年の九月一日というものが予想されておりますものについては、施行期日は公布の日からと、こうやって、ただし、税率引き上げ課税対象の追加規定等は九月一日という書き方をしているわけですね。だから、私ども提案側からいえば、やはりそれは一つずつの理由を念査して、そして私どもの側からいえば、必然的に施行日を決定してその日が日切れになる。だから、一方、これから先は私がする議論じゃございませんが、いわば修正権という立場の日切れの見方とそれは違うことがないことを期待しつつも、違っておったと仮定してもそれは矛盾はないというふうに思います。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 提案者側の期待的な答弁、希望、それはわからぬわけじゃありません。しかしながら、大体第三者的に見て、客観性を持っておるおおよその統一的な接着点といいますか、それは先ほどの法制局長官答弁、こういうふうに認識しておきますが、そこのところは大蔵大臣いいですね。
  62. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただ、私どもはこれをよかれと思って蔵出を含めた予算案を提案し、その歳入をいわゆる私ども認識する日切れから想定をしておるという事実だけはこれは踏まえておいていただきませんと、予算書の整合性そのものを失うことになるわけであります。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 予算との整合性ならば、ことしは四月十一日にしか予算は上がりませんから、そういうことを頭に描けばいいわけでありまして、法制局長官答弁というものを大切にしながら、これから理事会その他でいろいろ協議を続けたいと思います。  暫定予算の中身ですが、一般会計予算暫定予算総則四条で、いわゆる蔵券発行額を五兆六千億円も取っているわけですね。主計官に来てもらって説明を受けましたけれども、どうも納得できない。他方、この予算説明では、十一日間の収支差額は三兆何十一億円です。蔵券発行が大き過ぎませんか。
  64. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) お答え申し上げます。  暫定予算におきます大蔵省証券の発行限度額につきましては、一般会計暫定予算が、歳入約二百八十六億円、歳出約三兆三百九十七億円であること及び昭和五十九年三月末における大蔵省証券発行残高が約二兆五千億と見込まれること等、暫定予算期間中における蔵券発行残高を決定することとなる諸要因というものを勘案して決めたものでございます。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 そこまでの説明は私も部屋でわかったんですが、ところが、いろいろ考えてみると、五十八年度分云々という答弁というのは、どうも私は大蔵大臣、おかしいと思うんですよ。ということは、もうちょっと突っ込んでみると、さらに特別会計暫定予算総則を見てみたら、外為資金、郵政事業の二つが一時借入金の限度額が九十六兆六千億円と七百六十九億円、後ろの方は郵政事業ですが、取っているんです。これも十一日間の暫定から見て多過ぎるような気がするんですが、これは郵政大臣その他それぞれのところ、答弁してください。
  66. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 先生、まことに済みませんでした。ちょっと質問の要旨を聞き漏らしたものですから。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 じゃ、事務局から。
  68. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 蔵券の発行限度額につきましては、先ほど申し上げましたように、五十八年度末の残高と、それから暫定期間中の歳出歳入の差、こういったものをあわせ考えまして、暫定期間中に円滑に財政運用ができるようにということで決めたものでございます。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 いや、西垣さん、これは財政法七条二項の違反じゃないですか。
  70. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 財政法七条で規定をしております大蔵省証券、これは資金繰りのためのものでございます。したがいまして、当該年度の歳入で返さなければいけない、つまり簡単に申せば、決算上の財源にしてはいけないということでございます。そこで、恐らく年度末にゼロになっていなければおかしいじゃないかという御趣旨かと思うのでございますが、これは出納整理期間がございますので、その間の調整によりまして、五十八年度でございますれば五十八年度の財源にすることなく処理するということにいたしておりますので、財政法違反ということにはならないと思います。
  71. 和田静夫

    和田静夫君 予想したとおりの答弁で、出納閉鎖期間中という答弁が出てくると思っていたんですよ。しかし、それはそんなことにならぬのじゃないですかね。五十九年度予算に計上するということにはならぬのじゃないですか。
  72. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) おっしゃるとおり、五十九年度の授権として、その根雪の分を改めていただくというのはおかしいじゃないか、これはこうだと思うんです。しかし、五十九年度の暫定期間に何ぼ何ほど授権していただくかということをお願いするに際しまして、残高で規制するという制度になっております、この授権の仕方として。そういたしますと、三月三十一日の根雪の分を含めて残高としてお願いして、結局厳密に申しますれば、それを引いた上積みの分が授権なんでございますけれども、しかし授権のお願いの仕方といたしましては、残高規制でございますので根雪の分も含めてお願いする、こういうことにいたしておるわけでございます。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 お願いしているのですということはわかるんですが、私が言っているのは、財政法七条の二項に触れただけですが、三項との関係では主計局長答弁は成り立たぬのじゃないですか。
  74. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 三項は、蔵券ないし一時借入金の最高額につきまして毎会計年度国会の議決を経る、こういうことでございますが、この国会の議決のお願いの仕方といたしまして残高でお願いしている、会計年度毎年そうでございます、残高の最高額でお願いしている。つまり、資金繰りの金でございますから、年度内にフラタチュエートするわけでございまして、そこでそういうことでお願いしているわけでございまして、暫定予算で申しますれば、暫定予算期間中にも償還期が来て返す、またすぐ借りるというようなことがございますから、そこで年度末の分も含めました残高でお願いしているわけでございます。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 これは法律の解釈ですから、法制局長官にぜひお願いしたいんです。私は、お願いをしているという立場はわかっているんですよ。わかっているんですが、どうも厳格に財政法七条二項、三項を読んでみますと、二重議決になりはしないですか、今の手法は。
  76. 茂串俊

    政府委員茂串俊君) 御指摘の財政法七条の関係、特に国会の議決を経べき大蔵省証券にかかわる最高限度額の規制の規定の解釈でございますが、これにつきましては、既に委員御承知と思いますが、五十二年度におきましても同じような事態が生じまして、そのときにもいろいろと大蔵省を中心にして検討が重ねられたようでございます。その結論といたしましては、この三項というのは、先ほど山口主計局長答弁にもありましたように、いわゆる残高ベース、出納整理期間の問題を前提にして考えまして、残高ペースによる規制であるというような結論に達しまして、したがいまして今回の暫定予算におきましても、五十二年度の暫定予算の場合と同様の処理がなされている、こういうことであろうかと思います。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 いや、処理の仕方は主計局長答弁されているからわかっているんですが、法制局長官、私が聞いているのは、その処理の仕方というのは五十二年度でわかっていますよ。やってきたんですが、私が言ったような論議はないわけですから、私が今新しい問題提起としているのは、そこのところを非常に疑義に思ったからであります、五十二年度も今度も。間違っていないだろうか。何も混乱させるためにやっているのじゃないんですがね。
  78. 茂串俊

    政府委員茂串俊君) ただいまの委員の御議論は、まさに発行ベースで計上すべきではないかという御議論であろうかと思いますけれども、ここで言うところの大蔵省証券なり一時借入金なるものの性格からいたしますれば、残高ベースで規制するのがこの法律の規定の趣旨であろうということなのでございます。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 ここのところは私は解釈上の問題もありますから、少し法制局長官と後で詰めたいと思いますから留保して進みます。  そこで大蔵省、そういう前提に立ってもどうも当初予算の蔵券最高額ですね、特別会計の一時借り入れ最高額のおおむねこれは七〇%台ですね。七〇%台で暫定予算に計上されるというんですが、この根拠というのは合理性がありますか。
  80. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) まさにそういうことでございますが、先ほど申しましたように、前年度末に存在するであろう二兆五千億程度のもの、これも含めまして残高として授権をいただいておくということでございます。  これは、今の御質問は法制局への法律上の問題としてございましたが、むしろ実態的に必要だと思うんです。と申しますのは、例えば四月の二日とか四日とかに税収が入ってきて国庫の資金繰りが楽になったという瞬間があろうかと思うのですが、そういうときには一遍蔵券を償還するという事態があり得るわけです、一日たりといえども利子がもったいないですから。したがって、そうするとまた借りるということになるわけでございまして、全体としては先ほど理財局長が御答弁申し上げましたような資金繰りの状況でございますので、こういう授権をいただく、こういうことでございます。だから、二重議決ということはないのでございまして、暫定予算として授権をいただいている。しかし、その根拠として考えれば、先ほど理財局長が御答弁申し上げ、私がるる申し上げておりますような根拠に立っておる、残高の最高限という考え方に立っておる、こういうことなんでございます。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 今の大蔵省の話の筋道はわからぬわけじゃありませんが、理財局長、七〇%台というものの合理性というのをもうちょっとわかるように言ってくれませんかね。
  82. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 先ほど申し上げましたような考え方でございまして、年度末の残高が大きいということで、結果として大きな額になっているわけでございます。  歳出と歳入のパターンが、三月決算が前年度の歳入に上がるという関係もございまして、歳出が早く出て歳入が後から来るというようなことがあるものですから、資金繰りとしてはどうしても後の方に負担がいく、こういった事情もございまして、たまたま最高限度額の七割にという非常に大きな額になっておりますけれども、そういう事情でございます。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 もう少しいろいろ後で教えてもらいます。  農水大臣、あしたアメリカへ行かれるんですか。
  84. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 参りません。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 総理大臣、農水大臣が三十一日に渡米することは好ましい、そういうお考えじゃないですか。
  86. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日米間の農産物の交渉がいまデッドロックに乗り上がっております。この状況を見まして、やはり日米間には単に農産物あるいはVANというような問題のみならず、貿易あるいは文化あるいは政治、安全保障、こういう大きな提携関係がありまして、これが世界の平和と安定に非常に貢献していると思う。その大きな日米間のきずなというものをお互いが尊重し合う。そういうものが傷つけられないようにお互いが配慮し合いながら平和と安定を確保していくという大きなところに目覚めて、大局的に諸般の経済摩擦の問題もお互いが考慮しつつ妥当な話し合いをして解決したい。それが私の基本的立場でありまして、その意思をアメリカ側にも、私はきのうここで答弁申し上げまして新聞にも出たから通じているだろうと思うんです。そういうような大局的見地に立ってできるだけ早く話を詰めたらいいと。四月二日に上院の公聴会がありますから、それを過ぎた後では恐らく上院の議員の皆さんに金縛りに遭っちまってアメリカのUSTRも動けなくなる危険があるのじゃないか。そういう情勢を見ますと、交渉の駆け引きといいますか、あるいは技術的な方法といたしましてもタイミングをいつ選ぶかということは割合に大事なファクターになってきていると思うんです。しかし、それには党内の意見もあり各省の意見もありますから、自分個人はそういう考えを持っておるけれども、これは各省及び党内の皆さんの意見もよく脚いて、農水大臣、外務大臣のところで判断をして私のところに相談の結果を持ってきてもらいたい。きのう以来この立場で一貫しております。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 そういう総理のお立場であれば、農水大臣、打開の展望というのはどういうふうに描いていらっしゃるんですか。
  88. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 御存じのとおり、先週事務局レベルの交渉があったわけでございますが、余りにも日米間の差が大きくて、とてもこれでは行っても交渉決裂ということになってしまうのじゃないかということで、現在米側の出方も待っておりますし、いろいろと慎重に訪米の時期は決めるべきだというような考えております。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、一定の解決の展望がなければ農水大臣総理の意向がどこにあろうとも訪米はしないと。
  90. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 私の場合は農林水産大臣でございます。参議院の農林水産委員会での一昨年五月の御決議、そして本年一月の申し入れ、これらを踏まえまして、農業者が犠牲にならないように、我が国農業が着実に発展していくという趣旨を踏まえましてこれに当たるわけでございます。そういうような意味から我が国農業を守るという立場を堅持してまいりたいと思っております。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 質問にちょっと答えてくださいよ。  解決の展望がなければ行かぬということですか。
  92. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 原則といたしまして、これならば話し合いがつけられるだろうという見通しができないと、これは渡米してもしようがない、そういうぐあいに考えております。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 今の、これならばというところ、あなたのこれならばはどれですか。
  94. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 我が国の農業が着実に発展していくという見通してございます。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 抽象的じゃなくて、数字では。
  96. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 交渉中でございますので、手のうちを見せるとこれはやはり国益に沿いかねますので、それはひとつ御勘弁いただきたいと思います。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 「よど号」ぐらいの心臓でだっと乗り込んでいって一挙にというわけにはいかぬですか。
  98. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) これは大統領選挙も絡んでおります、向こうの場合は。そして、日本、アメリカ、それぞれの農業を守るという立場がございますので、一発で解決と、これはちょっとなかなか難しいんじゃないかと思いますが、全力を奮ってやってまいります。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 総理、先ほどお言葉にありましたVANだとかあるいは金融開放なども含むんでしょうが、そういうものを一緒くたにして日米経済摩擦を農産物交渉で解決をするなどというお考えはよもやお持ちではないわけでしょうね。
  100. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは一つ一つが専門的な技術的な問題を内包しており、かつまた国益に関係している問題でありますから、一つ一つを丹念に解決すべき問題であると思います。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 雇用平等法に入りますが、男女雇用平等法ですけれども、婦人少年問題審議会の建議が提出されました。これもなお労使、公益三者の意見の隔たりが非常に大きいわけですが、労働大臣、これはどういうような立場でまとめていくおつもりでしょうか。公益側をベースにするということになりますか。
  102. 坂本三十次

    国務大臣坂本三十次君) 御承知のとおり来年が六十年で、そして条約を我が国としても批准をいたしたい、そういう立場もありますし、それからやはり婦人の能力をここで一段と発揮をさせるということは非常に結構なことだと、そういうような観点からこの審議会でもいろいろ審議が尽くされました。そういう法制の整備が必要だという大きな総枠の中では、皆意見は、その点ではコンセンサスはあるわけなんです。ただ、自分のいろいろな現実的な基盤というものがおのおのの立場にございましょうから、その点からいろいろな意見が出たわけであります。  和田さんも御承知のとおり、男女の機会均等が前提となって雇用の平等というようなことは、これは我が国の男性中心社会、欧米よりはその色彩が強いでしょう、そういう社会にとっては大きな転換をこれ意味するものでありますから、そんな簡単な問題ではありません。非常に大事な問題でありますけれども、非常に難しい。富士山の頂上は皆行きたいんだけれども、おれは御殿場口から、おれは吉田口から、おれはこっちの方だと、今のところそういうふうに二論、三論があるようでありますけれども、これは審議会の経過などをよく見まして、そして内容を見まして、そして私どもも我が国の実情もよく考えまして、そしてやはりこの際は潮どきだから、ひとつ国際的に見ましても、それから我が国の国民的な大きな見地から見ましても、やっぱり何らかの法案を取りまとめていきたいと、今一生懸命立法作業にかかっておるというところでありまして、やがてなるべく急いで労働省案を責任を持ってつくらせてもらって、それを関係審議会にもう一度お諮りをして答申をいただいて、早速今国会にも提出をしたいと、今全力を挙げて努力中というところであります。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 配置、昇進、昇格、教育訓練、福利厚生、強行規定にされますか、努力義務規定にされますか。
  104. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) 審議会の建議の内容が、先生今御質問の点につきましては、それぞれに一致した御見解をいただいておりませんので、全部につきまして現在検討中でございます。一致されました点はその一致されたとおりにできると思いますが、分かれております点は、大臣申し上げましたように今までの審議経過等を勘案いたしまして、私どもが法案作業をいたしたいと思っております。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 坂本先輩、これ、大臣としてはどういう希望ですか。
  106. 坂本三十次

    国務大臣坂本三十次君) 先ほども申し上げましたように、やっぱりおのおのの立場というところに力点を置きまするので、一気に理想的にいきたいとお考えになる方もあるでしょう。それからまた我が国の実情を踏まえてスロー・バット・ステディーでいきたいと、こうお考えの方もございましょうし、今はその辺が非常に大事なところでありますから、一生懸命やっておるというところでありますから、いましばらくひとつお待ちをいただきたい。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 もう一つ聞いておきますが、この不平等扱いの罰則というのは一切設けないですか。
  108. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) 一切設けないというようなことはまだ決めておりません。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 調停機関を新設するということは結構でありますが、勧告や命令を出せない調停機関にどのような実効性が担保されるのでしょうね。
  110. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) 調停機関は、調停案をつくりまして、それを受け入れるようにということを両当事者にお示しすることができるわけでございます。それを受け入れるかどうかは当事者の自由でございますので、強制するということはできないと存じます。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 この調停機関というのは、私は少なくとも職権による調査、差別行為の停止勧告あるいは損害賠償支出命令、支払い命令といいますかね、あるいは原状回復命令などの権限を持ったものでなかったならば、どうも大臣意味がないように思うんですよ。どこの田でもそういうような調停機関を持っているわけです。そうでなかったならば実効性が担保されないわけですよ。どうです、大臣
  112. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) 実効性の担保につきましては、非常に強いものあるいは余り強くないもの、いろいろあるかと存じますが、この調停機関については、先生の御指摘のように非常に強いものということはできないと存じますが、その調停機関が適当というふうに建議がなされ、しかしこれにつきましては、労働側の委員からはそのようなものでは十分でないという御見解が示されております。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 大臣局長も、私はどうもここのところをきちんとしないと、やっぱりざる法になってしまう危険性があると思っているんですよ。そんなざる法をつくるくらいなら現行制度の方がまだよっぽどましだなあというふうにさえ考えます。この調停機関に例えば何人の人員が必要だと考えていますか。
  114. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) 構成人員についてのお尋ねかと存じますが、建議の中ではそこまでは詳しくは述べられておりませんが、少なくとも各都道府県単位にということでございますので、都道府県。しかも調停機関ということであれば、複数の人数が必要かと存じますので、都道府県ごとに複数と、こういうふうに理解をいたしております。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、この男女雇用平等法というのは、そもそも婦人差別撤廃条約を批准するために制定されようとするものである、そうすると婦人差別を温存するためにつくられようとしているのではない、ここのところははっきりしている。差別というのは、一般に差別される側でないとその痛みはわからない。  審議会の建議は両論併記が多いものですから、なお慎重に取り扱われるべきだという気がしてなりませんが、少なくともいま一度働く女性の意見を聞いてみる必要があるのではなかろうか。大臣はそういうような立場をとられませんか。
  116. 坂本三十次

    国務大臣坂本三十次君) 労働省はどなたにでも開放いたしておりまして、今まででもよく御婦人の方々の方が御熱心でございましたね、男性の方々よりは。いろいろな立場のいろいろなグループの方々もおいでになりましたし、それからまた五十二年来の審議だということを承っておりまして、この審議会の中にも女性のいろいろな意見が相当盛り込まれておるように今私は思っております。これはもちろん婦人の中でもいろいろ意見がございますよ。一通りではございませんが、いろいろな意見を盛り込んであると、私もまたそういう機会があれば幾らでも拝聴をいたしたいと思っています。
  117. 和田静夫

    和田静夫君 フェミニストをもって任ずる総理は、いかがでしょう。
  118. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 男女差別撤廃条約の基礎としての男女雇用機会均等法という性格のものであると認識しております。したがいまして、国際的にもある程度通用するものでなければいかぬと思います。ただ、日本に固有の社会的な条件とか今までの慣習というものもありますから、その辺も考慮して妥当な調整を図るように心がけたいと思っております。
  119. 和田静夫

    和田静夫君 自治大臣、政治倫理に関連しまして政党制度あるいは選挙制度の改正が俎上に上っているわけですが、政党法についてはまだ具体的な案が示されていませんから私も判断のしようがありませんけれども、これは参政権との関係で微妙な問題をはらんでいます。西ドイツでは違憲判決も出た経過があるわけでありまして、慎重に事を運ばれる必要があると考えていますが、まず第一に総理の御見解を承ります。
  120. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 政党法に関する発想は、私、前に申し上げましたように、参議院の全国区比例代表制というものが出まして、個人に対する投票でなくして党に対する投票に変化してきた。そういう点から、党というものがかなり公的性格を持ってきつつある、そういうこと。  それから、政治の倫理観という面から見て、政治資金をどういうふうに公正に扱うかという問題で、西独がやっているようなああいうやり方で選挙資金の一部を国家補助で出すという形に伴って、政治資金の規制というものをもう一回検討したらどうかという二つのポイントから私の発想は出てきておる。しかし、結論はまだ私自体が出ておりません。今までの日本の立憲主義という明治以来の伝統から見ますと、政党というものはどっちかといえば表へ出ないで、フランスあたりでもあれは憲政の恥部と言われております。パルティ・オントゥーズという言葉を使っていますが、表へ出せないところであると、そういうふうに言ってきておる。そういう面もありまして、いわゆる憲政の立憲民主主義という面から見た面と、それから今のような、今起きつつある問題との調和をどうとるべきかという点で私も判定しにくい問題で、権威者の意見もよく聞く必要がある、そういう意味で、党で今一生懸命勉強していただいているところです。
  121. 和田静夫

    和田静夫君 自治大臣、三木元総理との会談で、選挙制度の完全公営化を合意されたというふうに報道されました。完全公営化とは、自治大臣の頭の中には具体的に何を描かれていますか。
  122. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 三木元首相とお会いしたときの、選挙の公営拡大については完全公営化というそういう決定的な話ではなくて、このごろ選挙に金がかかって非常に困る、こういうような話から選挙の公営をもう少し拡大できないものだろうかと、こういうお話がございまして、これについては私も全く同感である、こういうことを申し上げたわけでございまして、具体的にどこまで公営を拡大するかという具体的を話したわけではございません。  自治省といたしまして、選挙の公営については御承知のようにかなり公営化が進んでおりまして、これ以上公営を拡大するというと、なかなか御承知のようにもう余りないのですね。選挙事務所をあと公営にするかどうかというようなことしか余りないと思います。  ただ、この間鈴木元総理にお会いしたときに、やはり同じように選挙の公営をもっと拡大してできるだけ金がかからないように、むしろ政党本位にやれないものだろうかというお話がございました。こういう点はおいおい検討をしていきたいと思っておりますし、具体的に今私からこういうことがあるということをまだ申し上げられる段階ではないということをお答えしたい。
  123. 和田静夫

    和田静夫君 今、鈴木前総理とのお話が出ましたけれども、私もこれ以上公営化をされるということになる場合には、政党法がやっぱり必要になってくるということにいくんだろうと思うのですが、自治大臣もそういうことですか。
  124. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 従来、政党法の議論が与野党を通じて何回かあったということは私も承知しておりますが、日本における政党法、特に最近の政党法の議論の中には、むしろ政党の扱う政治資金に関連した政治不信というのがかなりあると思うんです。そういう面で、政治資金の流れをもう少しすっきりさせる意味から政党法というものをつくったらいかがなものか、こういう議論になっているようでございます。私どもの方でも多少勉強をさしていただきましたけれども、政党を規制するということよりも、むしろお金の面でもう少しすっきりさせる方法はないだろうか、こういうような議論になっております。
  125. 和田静夫

    和田静夫君 これまでの公営化というのは、ややもすると選挙活動の規制を拡大する方向、あるいは国民の政治への参加、関心の拡大を阻害する方向で進められてきたというように私は思うのですが、宣伝カーにせよ、立会演説会の問題にせよ、選挙活動の自由を拡大する方向で取り組まれて至当だろうと思うのですが、そこの部分くらいはもう少し手が入るんじゃないでしょうか。制限の部分が多くなるのじゃなくて、立会演説会であるとか選挙カーであるとか、そこのところはもう少しオープンにしていったらどうでしょうか。
  126. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 政党本位でできるだけ選挙をやれるようにするためには、今御指摘のような点も拡大をしていくべきだというふうに思っております。ちょっと御質問の意味がよく早口でとても僕らは理解力がないものですから。
  127. 和田静夫

    和田静夫君 立会演説会だとか、公営の部分で過去よりも狭められたところがあるでしょう。そういうところは宣伝カーにせよ、もう少し選挙自由のために拡大をされたらどうでしょう。
  128. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) それは私、同感でございます。
  129. 和田静夫

    和田静夫君 この問題、最後ですが、白鳳党の中で企業献金の枠を緩和しようとする動きがありますが、これは大臣としていかがでしょう。
  130. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 企業の献金の枠はこれはいろいろ議論がありますけれども、私は今の国民世論から見て、政治資金の企業献金の枠を拡大するということはいかがなものだろうか、こういうふうに思っておりますし、献金をする方の側からも、枠を拡大していいというそういうような声は私も余り聞いておりません。
  131. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵大臣、さきの委員会で大型間接税を六十五年度まで導入しない、そういう方向で頑張るという趣旨の御発言がありましたが、確認しておいてよろしいですか。
  132. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる大型間接税というものですが、私の念頭には一般消費税(仮称)というものが大きなウエートを占めておりますものの、とにかく国会決議等で一応抑えられておる。その国会決議は今日なお生きておる。さようしからば、財政再建期間中そういうことはないことが好ましいという考え方を持って進めなければならぬと、こういうことを申し上げたわけであります。
  133. 和田静夫

    和田静夫君 総理、中曽根内閣では大型間接税を導入しないと明言されましたが、基本的な心構えとしては、今大蔵大臣答弁にございましたように、六十五年赤字国債の新規発行をゼロにするまで大型間接税は導入しない、そう理解しておいてよろしいでしょうか。
  134. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それまで中曽根内閣が続くかどうか、人様のところまで私たちが申し上げる権限はございません。少なくとも中曽根内閣がある間は大型間接税というものの導入は考えておりませんと、そういうふうに申し上げている次第です。
  135. 和田静夫

    和田静夫君 厚生大臣、報道によりますと、厚生年金基金の運用委託機関を拡大する、具体的には都銀や証券にも拡大するという方向を検討されているということになっているんですが、今後の方向を明らかにしてください。
  136. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 私も新聞で見たんですけれども、今回の年金の改革案にはそのことを入れてございません。ただ、厚生年金全体についても有利運用ということ、これはやはり将来のために積極的であるべきだという御意見はちょうだいいたしております。したがって、ただこれ有利運用も大事でありますけれども、これは本当に人間の老後を支える大事な大事なお金でありますから、その安全ということが前提になりますので、そういうことを踏まえながら、この年金法を通していただいた後にこの問題は真剣に考えていきたいと思います。
  137. 和田静夫

    和田静夫君 事務当局、今の段階でもう少し具体的に何かしゃべれますか。
  138. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 先生御承知のように、現行法におきましては、信託会社と生命保険会社に資産運用の受託機関というものは限定されておるわけでございます。この部分を含めまして、厚生年金基金制度それ自体はほとんど今度の改正案ではいじっておらないわけでございます。したがいまして、その厚生年金基金の資産運用の受託機関につきましても今回は全くそれはさわっておらない。あくまでも今大臣が申されましたように、この法案が通りました後で、今後の検討課題として検討さしていただく、こういうことでございます。
  139. 和田静夫

    和田静夫君 その今後の検討課題として検討する中に、今、私が言った都銀や証券も含んでいるようであります。そうすると銀行局長、都銀その他の信託業務の問題が絡んでくるわけでありますが、銀行局としてはどう考えていらっしゃいますか。
  140. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 具体的にはまだ厚生省の方から何も聞いていないわけでございますが、仮定の話といたしまして、仮に都銀に年金積立金の運用機関が拡大していくような場合でございますけれども、これは都銀の業務内容が年金運用に余り有効でないというふうな場合には、場合によりましては都銀の業務内容について、信託業務を含めましていろんな要望が出てくる可能性があるかと思いますけれども、全く仮定の話でございますので、そのつもりで御了承いただきたいと思います。
  141. 和田静夫

    和田静夫君 宮本さんの私的な諮問機関でも、そういうことはまだ検討されていないわけでしょうかね。
  142. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 都市銀行と証券会社が、自分たちも運用対象にしてもらいたいという希望を持っておって、そういう意向を表明していることは聞いておりますが、ただ具体的にはまだ全く議題になっておりません。
  143. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省、伺いますが、全国信用組合厚生年金基金というのがある。厚生年金基金の中でもこれは最大手に属するわけですが、この信組基金の役員によって信組年金研究会なる任意団体がつくられて、実は運用先の各銀行から会費を取っているわけであります。会費の金額もわかっていますが、今はどこがどうとは言いません。この会費というのは、基金の役員の退任せんべつその他というような形で使われている。事実関係も明らかでありますが、厚生省はこのところはしっかり把握されていますか。
  144. 古賀章介

    政府委員古賀章介君) 実は、私どもその年金研究会というものは承知をいたしておりませんでした。昨日、先生からきょうの御質疑についてお話がございましたので、早速写年基金の方に照会をいたしましたところ、そのような年金研究会があるということを確認をした次第でございます。しかしながら、その基金の関係でありますとか、それからその内容、性格等についてはまだつまびらかにいたしておりませんので、速やかに調査をいたしたいと、こういうことでございます。
  145. 和田静夫

    和田静夫君 これは研究会という体裁をとっていますが、私はこれをずっと支払いの関係を見てみますと、基金役員への一種の裏リベートですわ。そうなってくると、厚生年金保険法に触れる問題だというふうに考えられているんですが、そこのところもしっかり踏まえながら調査をお約束される、こういうふうに理解しておいて、大臣、よろしいですか。
  146. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 今初めて聞く問題なのでありますが、先生おっしゃるような問題があれば、これは大変な問題もありますから、これは違法等があるかどうかよく調査をさせて、さらに厳正な態度でこれに臨みたいと思います。
  147. 和田静夫

    和田静夫君 金融問題で私の手元に内部告発がかなり届いているのでありますが、一々予算委員会の平場で取り上げることもあれでありますから、それぞれ銀行局、その他との関係で処理をいたしていますが、昨日にわかに届いたので一件だけきょう挙げておきたいのは、岐阜商工信用組合の職員からのこれは内部告発でありますが、告発の内容というのは、岐阜商工信用組合の会長であり、全旧信用組合中央協会会長職務執行副会長を務められる杉山茂夫さんに関するものであります。  告発状によると、この信用組合の経営がかなり問題がある状態になっているようでありますが、銀行局は事実を把握されているようでありますから、答弁できる範囲で答弁してください。
  148. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 信用組合につきましては、御承知のとおり都道府県に監督を委任いたしておりまして、私ども直接にこの信用組合についての経営内容につきましては現在の時点では把握いたしておりません。
  149. 和田静夫

    和田静夫君 具体例を申し上げておきますが、これはもう既におわかりのことでしょうが、支店の用地を会長の個人名義で買って、そして信用組合から家賃を取り続ける。そして、それを今度は信用組合に買い取らせるという皆発状になっています。  それで私は調査をしてみました。そうしたら、西野町支店用地はやはり杉山氏個人の名義になっています。この土地は根抵当権者を岐阜商工信用組合とする根抵当権が設定されているんですが、債務者は日の出土地株式会社というふうになっているんです。この日の出土地株式会社というのは、五十八年六月までは杉山夫人が代表取締役をやっていた会社であります。監査役は同信組の総務部長である。銀行局、ここのところもまだおつかみになっていませんか。
  150. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 把握いたしておりません。
  151. 和田静夫

    和田静夫君 こういうような事実というのは、同信用組合の経営がワンマン会長によってかなり乱脈になっているということにあるのだろうと思うので、正確な調査を私は要求をいたしておきます。  告発状は、同信用組合と県当局との癒着についても実は問題を指摘をしています。大蔵当局としては県に対してやっぱりきちんと指導をする、そういう態度をとっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  152. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 東海財務局を通じまして早速調査いたしまして、必要があれば指導いたします。
  153. 和田静夫

    和田静夫君 福島交通の問題でありますが、新聞報道によりますと、東北新幹線郡山駅付近の福島交通用地地価をつり上げるため、五十四年度予算で新規立体化工事予算をつけたと報道されているわけであります。建設大臣、この新規立体化工事の策定についてちょっと説明してください。
  154. 松原青美

    政府委員(松原青美君) 御説明申し上げます。  郡山市の市街地は、御承知かと思いますが、国鉄の東北本線等で東西に分断されております。その市街地の中心部におきまして、それを連絡する道路としましては現在二路線しかございません。いずれも非常に混雑をいたしてございます。五十一年度に郡山市が郡山都市圏総合都市交通体系を策定いたしまして、東西の将来の交通需要等を予測いたしまして、幹線の整備を提案しているわけでございます。その中で、将来の交通量を考えますと、この二路線では倒底処理できない。これはいずれも片側一車線ずつの二車線の道路でございます。これに基づきまして福島県と郡山市から従来この路線の整備についての要望があったわけでございますが、特に国鉄をくぐるという関係でいろいろ問題がございました。新幹線がちょうど五十六年に当時開業予定をいたしておりまして、新幹線の開業までに下をくぐる場合には一緒に工事をしておかないと将来工事ができなくなる。できなくなると申しますのは、非常に工事費が膨大になるということでございます。したがいまして、これが路線として採択を急がれまして、五十四年度事業としてとりあえず新幹線の下だけを同時に施工したものでございます。
  155. 和田静夫

    和田静夫君 五十四年度予算をつけた時点で地元の福島県と郡山市ではこの計画を知らなかった、あるいは事業計画すら決定していなかったということになっているんですが、それはそうですか。
  156. 松原青美

    政府委員(松原青美君) 都市計画決定は、先ほど申しましたような事情で五十一年に提案されました道路でございますので、都市計画決定はなされておりませんでしたが、福島県と郡山市から陳情が出されておりまして、当然地元の熱意によって採択したものでございます。
  157. 和田静夫

    和田静夫君 自治省、都計審というのは地方自治体の機関ですね。都計審が都市計画を決定した後に国の予算がつけられるというのが筋なんですが、これはこういうことになっていますか。
  158. 松原青美

    政府委員(松原青美君) 街路事業は都市計画決定されました道路を整備する事業でございます。通常はそうでございますが、この事業のように他事業に関連して早急に事業化する必要があるもの、あるいは連続立体交差事業のように大規模な事業で相当大きな事業費を要するものなどにつきましては、近い時期に都市計画決定が確実に見込まれるものにつきましては事業採択をしているのが実情でございます。
  159. 和田静夫

    和田静夫君 国土庁、報道によりますと、福島交通不動産というのは昭和四十四年に七億円でこの用地を取得したとされているわけです。ところが、郡山市の地下道事業決定によって日本債券信用銀行の根抵当権が新たに二百億円設定されている。これは私調べてみました。これは地下道建設がこの土地の値段をつり上げたと思われるわけでありますが、いかがですか。
  160. 石川周

    政府委員(石川周君) 担当の局長が来ておりません。また、個別の具体的な事案、私、調査結果等を持っておりませんので、お答えするデータ、手元にございません。
  161. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ官房長、調査されますか。
  162. 石川周

    政府委員(石川周君) どこまでできるかわかりませんが、調べさせていただきたいと思います。
  163. 和田静夫

    和田静夫君 銀行局長、この日本債券信用銀行の福島交通及び福島交通不動産に対する融資は、これは今、表に報道されている額よりもさらに大きい状態であります。私の方も今調査を進めていますが、かなり膨らんできていますが、今その総額というのは明らかにされますか。
  164. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 福島交通については約五百二十億程度かと思いますが、福島交通不動産につきましてはちょっとつまびらかにいたしておりません。
  165. 和田静夫

    和田静夫君 これはどうです、銀行局長、つまびらかにできますよね、調査が終われば。例えば八百億を若干超えるぐらいのところまではいっておるのですが、そこのところは確認できますか。
  166. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 福島交通不動産につきましては百六十億ぐらいかと思います。
  167. 和田静夫

    和田静夫君 宮本さん、日債銀の福島交通及びこの関連会社への融資について全資料を私は明らかにしていただきたいと思うんです。また、ここで答弁できぬのなら、融資総額はまあありましたが、融資決定時期及びその額、担保の状況、利子、返済条件、いかがです。
  168. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 個別の問題でございますので、本店でお答えすることは差し控えさせていただきますが、有価証券報告書等によりまして公表されている分につきましてはお調べいたしまして御報告申し上げたいと思います。
  169. 和田静夫

    和田静夫君 運輸大臣、東北新幹線新白河駅前の土地を国鉄が発表する前に福島交通が買収していたという疑惑が明らかにされていますが、これはどういう関係になっていましょう。
  170. 細田吉藏

    国務大臣(細田吉藏君) 私の方では承知いたしておりません。
  171. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、ここのところを調査されましょうか。
  172. 細田吉藏

    国務大臣(細田吉藏君) 新聞にも出たようでございますから、調査させていただきます。
  173. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省、この福島交通に生命保険会社から巨額な融資がなされていますね。確認できますか。
  174. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 生命保険会社からはそんなに出ていないと思います。
  175. 和田静夫

    和田静夫君 いや、これはちょっと間違いじゃないですか。
  176. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 私どもの調査に関する限りでは四、五十億だと思います。
  177. 和田静夫

    和田静夫君 ないと、五十億ではえらい違うんですからね。やっぱり大蔵省というのは大ざっぱなもんだな、五十億というのはゼロなんだよ。  この融資は担保設定ありますか。
  178. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 現在詳しくその生保につきまして担保があるかどうかにつきましては、まだ調査いたしておりません。
  179. 和田静夫

    和田静夫君 調査されますか。
  180. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 調査いたします。
  181. 和田静夫

    和田静夫君 農協共済が二十五億貸していますが、これはどういう性格の融資でしょう。
  182. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 突然でございますのでわかりません。しかし、調査させます。
  183. 和田静夫

    和田静夫君 これは間違いありません、私は調べたんですから。慢性的な赤字会社になぜこれだけ巨額の融資がなされているのだろう、私には全く理解ができません。銀行局長、生保や農協の融資のあり方として、これは正常だとお考えでしょうか。
  184. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 先ほどの御答弁ちょっとあれでございますが、生命保険会社は実は現時点ではゼロなんでございまして、過去にありましたが、現時点ではゼロでございます。訂正させていただきます。申しわけがありません。  それから、金融機関の一般の融資につきましては、やはり相手方の経営状況を十分調べるということがまず第一でございます。それから同時に、担保設定につきましても十分な担保、十分なといいますか、適正な担保をとりまして融資することが必要でございまして、そういう点につきましては、私どもといたしましては検査等を通じまして常時各金融機関に対しまして指摘するなり、指導をいたしているところでございます。
  185. 和田静夫

    和田静夫君 警察庁、白石千鶴子さんの遺体がロス市警によって確認されたわけですが、どういう捜査の展望でしょうか。
  186. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) お答えをいたします。  昨年の十一月だったと思いますが、白石千鶴子さんの家族の方から家出人捜索願が山口県警察の方に出されまして、それを受けましていろいろと足取りの調査をやったわけでございますが、アメリカの方に渡っておるという事実がわかりましたので、ICPOのルートを通しましてアメリカの方に所在確認の依頼をやっておりました。きのうの朝、その関係で前に発見されておりました遺体が白石千鶴子さんのものであるという確認がロサンゼルス市警の方でなされまして、正式に回答を受けております。
  187. 和田静夫

    和田静夫君 日本の警察が今後具体的に米ロスの警察に対してどういう共助方法をとられますか。
  188. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) この白石千鶴子さんの死亡原因が犯罪に起因するものであるかどうか、これがはっきりいたしておりません。それとまた、日本人が関係しておるかどうかも現在のところはっきりしておりませんので、現在はアメリカのロサンゼルス市警の捜査を待っておる、こういう状況でございますが、いろいろと今までにも連絡がありましたし、またこちらからもいろんな依頼をやっておりますので、そういった関係でこれからもできるだけ緊密に連絡をとりながらロサンゼルス市警の捜査の結果を待ちたいと、こういうつもりでございます。
  189. 和田静夫

    和田静夫君 今までのロス市警との関係において、国内で解明すべきものと目下考えられるものがございますか。
  190. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 日本国内で現在解明すべきものとして考えられますのは、白石千鶴子さんがアメリカに渡ります前の足取りの詳しい事実関係、それとやはり交友関係といいますか、身辺のもろもろの関係についてはこれは日本で詳しく調べる必要があると思っております。
  191. 和田静夫

    和田静夫君 その調べはもう始まっていると見ていいわけですか。
  192. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 相当程度やっております。
  193. 和田静夫

    和田静夫君 話を変えます。  文部大臣、東京医科歯科大学の汚職事件について東京地裁の判決が下ったわけでありますが、この事件は国立大学医学部のさまざまな病巣を浮き彫りにした事件でもありました。文部大臣としては、この判決を聞かれてどういう見解をお持ちでしょう。
  194. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 昨日の判決につきましては、いわゆる人間の生命を預かる、そしてまた健康を預かる医師として、その医師をまた育てる教育というそういう立場にありまして、この犯罪は極めて残念なることでございますし、判決といたしまして私は当然なことであろうと考えております。とりわけ倫理性の高い仕事でありますだけに、この判決がおりた、あるいは処分等をしたということだけで文部省はすべてが終わったとは考えておりませんので、今後とも引き続き再発防止策につきまして適切な指導をしてまいりたいと、このように考えております。
  195. 和田静夫

    和田静夫君 医系の大学ではこういうようなものは日常茶飯事的だとさえ言われるようなことが巷間言われるのでありますが、行政側としても何らかの対策を新たにとるべきだと思うんですが、何か具体的構想がございますか。
  196. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 文部省といたしましては、今回の事件を契機といたしまして、各国立大学の医学部関係者に対しまして、大学自治の担い手としてのやはり自覚を促しておりますし、また再発防止をするために改めて指導をいたしておるところであります。具体的には、全国国立大学病院長会議常置委員会あるいは医学部長会議におきまして、医学部や病院におきますいわゆる兼業許可の徹底、あるいは寄附金受け入れの適正化、そして服務規律の保持などを申し合わせておりまして、遂行に遺漏なきように今後とも期していきたい、このように考えておるところであります。
  197. 和田静夫

    和田静夫君 防衛庁ですが、まずシーレーン防衛、三海峡封鎖について伺いますが、これは外務省調査企画部長岡崎さんのお書きになったベストセラーを読んでみますと、「日本本土の基地、港湾、さらには三海峡の戦略的価値を利用することが不可欠だというのがアメリカの戦略」、そして岡崎さんの持説は日本だけに対する軍事的脅迫のシナリオはフィクションだということになっているわけです。日本だけに対する攻撃はまずないと言い切っているわけですね。私はこの点については同感でありますが、日本だけに対する攻撃はまずないとなると、三海峡封鎖というのはどういう状況のもとで行われることになるのだろう。防衛庁長官、何か御見解ありますか。
  198. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 岡崎さんの著書に関連しての御質問だと思いますが、これは岡崎さん自身が書かれたことでございますので、それに対して私どもの方としてコメントすることはこれは差し控えさしていただきたいと思います。  三海峡封鎖という問題は、今までの国会の中でもいろいろと御議論のあったことでございます。そういう点につきましては、今までの経過を踏まえまして、政府委員から答弁をさせます。
  199. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。  問題は、我が国に対します武力攻撃というものにどういう態様があり得るかという問題ではないかと思います。いろいろあると思いますが、例えば陸海空の戦力をもってする着上陸侵攻ということが一つ考えられるわけでありますし、第二には海空戦力をもってする我が国に対する攻撃、さらには第三番目として海空戦力をもってする海上交通の安全に対する妨害、そういったようないろいろな態様があるわけであります。こういった我が国に対する武力攻撃の態様がどういうものであるかということにつきましては、これはもう千差万別でありまして一概には言えないと思います。そういったいろいろな攻撃があった場合に、我が国の対応の仕方の中にはいろいろな作戦の態様があることもこれまた御理解いただけると思います。  その中の一つのいわゆるシーレーン防衛という問題についていいますと、これは海上交通の安全を確保するための防衛作戦になるわけでございます。そのやり方はどうかといいますと、これもまたいろんな作戦があるわけでございまして、港湾、海峡の防備とか、あるいは護衛とか、あるいは哨戒とか、いろんな各種作戦の組み合わせによってこれをやっていくわけでございます。そういった各種作戦の累積効果によりまして海上交通の安全を確保するということが考えられているわけでございまして、その中の一つに海峡の防備ということがあることはこれはもちろん否定ができないわけでございます。  ただいま御指摘の岡崎氏の著書の中の一つの考え方というのは、これは個人の御見解ではないかと思いますので、その点についてのコメントは差し控えさしていただきたいと思います。
  200. 和田静夫

    和田静夫君 私は、岡崎さんの考え方についてコメントを求めているわけではもちろんありません。同感すべき点は同感すべきものとして私の中でそしゃくをして、その前提の上に立って質問をしているわけであります。  三海峡封鎖のあり得べきシナリオは、例えばインド洋で米ソ衝突が発生した、その際にソ連太平洋艦隊の出撃を阻む、そういうアメリカの世界的な戦略のもとで行われる公算が一つは強いと考えられますが、総理、こういうシナリオ構想というのは成り立ちましょうか。
  201. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) シナリオ構想は、もう自由奔放にあらゆるものが描けると思います。ベーリング海峡において接触が行われるとか、あるいは場合によっては北氷洋においてソ連の潜水艦、氷の下を通ってきていますから、それを阻止する作戦もあるでしょうし、ともかく東西南北、あらゆる面についてシナリオというものは可能であると思います。
  202. 和田静夫

    和田静夫君 そういう想定とすれば、いわゆる三海峡封鎖というのはアメリカのヘゲモニーのもとにおける末日共同作戦として行われる可能性が強くなるわけですが、その点、防衛庁長官、いかがでしょう。
  203. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 我が国の自衛隊が海峡防備の作戦を実施するというのは、これはあくまでも日本が武力攻撃を受けた場合ということが基本の前提でございます。したがいまして、我が国の海上自衛隊、航空自衛隊、陸上自衛隊がそういった、日本が武力攻撃を受けていない時点でみずから海峡防備の作戦をやるということはないわけでございます。
  204. 和田静夫

    和田静夫君 日本本土への直接攻撃が行われていなくても、アメリカが三海峡封鎖を行う可能性あるいは共同作戦をやろうと提案してくる可能性はあるんじゃないでしょうか。
  205. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 我が国が武力攻撃を受けていない場合におきまして、日本の自衛隊がそういった作戦を実施するということは、これはございません。  ただ、これは昨年の国会でもいろいろ御議論があったところでございますが、アメリカがいろいろな状況の中で海峡の防備というものを実施したいということを言ってくる可能性は絶無ではないであろうと、そういった場合に我が国がどういうふうに対応するかという問題が御質問のポイントかと思います。その点につきましては、昨年も政府見解を申し上げているわけでございますけれども、まず基本的には我が国がそういった要請に応じることは考えられないであろう、ただ例外的な場合に、我が国の安全を確保するためにどうしてもそのことが不可欠であろうというような例外的な場合を否定することはこれまたできないであろうと。そういった例外的な場合にはそういう事情を十分考慮して慎重に判断をする必要があろうと思いますし、そのときには我が国の国益に照らして最終的な判断を慎重に下す必要があり得る、理論的にはそういう例外的なケースもあり得ないわけではない、こういうお答えを申し上げた経緯がございます。そのことで御理解を賜りたいと思います。
  206. 和田静夫

    和田静夫君 問題は、例外的なことではどういうことが想定されるんでしょうか。
  207. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) この点は、昨年もお答えした中に例示といたしまして、例えば我が国の船舶が国籍不明の潜水艦によって撃沈されるといったようなことが生じて、我が国の安全上非常に問題が大きいというようなケースを一つの例示として申し上げたことがございますけれども、しかしながら、実際に一体どういうことかということになりますと、それは事態の様相は千差万別でございますから、それぞれの事態に応じまして慎重に検討をされるべきことではないかというふうに考えております。
  208. 和田静夫

    和田静夫君 法制局長官、これまでの政府見解は、「たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である」というんですね。「他に手段がないと認められる限り、」という限定句がついていること、さらに法理として展開していることという二点において極めて限定的にとらえられているわけですけれども、それはそういうことでしょうね。
  209. 茂串俊

    政府委員茂串俊君) 御指摘の見解は、御承知のとおり、三十一年の二月二十九日に当時の鳩山内閣総理大臣見解として船田長官が代読した、いわゆる政府の統一見解でございますが、ただいま御指摘のように、いろいろ厳格な要件のもとで法理上は認められる、可能であるという答弁であることはそのとおりでございます。
  210. 和田静夫

    和田静夫君 すると、先日、公明党の黒柳委員の質問に対して総理はかなり従来見解から踏み出した答弁をされたように私もここで聞いていたのですが、総理答弁は、相手が原子兵器を使ったらそのもとをたたいて、まずそれを破壊せよというのが防衛の第一の要請であるとまで言い切ったわけであります。これはやっぱり今の見解とかなり違うように思うんですが、いかがでしょうか。
  211. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 黒柳さんの御質問は、あのときの前提としまして、例えば艦砲射撃あるいは船舶による日本に対するロケット攻撃等があるような場合、あるいは敵が上陸してきて、侵入してきて、そしてオネストジョンのような戦術兵器を使う場合、つまり日本本土というものを対象にして周辺でそういうような侵略が行われた場合の想定であったと思います。私はそういうふうに解釈しました。したがって、その場合には侵略行為というものをそのまま認めてほうっておくわけにはいかぬ、そういう場合には自衛権を発動してそのもとをたたくということも正当防衛であり、戦争というよりもむしろそういう日本の防衛行為として当然認められるべきことである、そういうふうに申し上げた。片方の場合は、鳩山さんのときの御答弁は、他国の領域から日本をねらってそういうものが来た場合に、座して死を待つというよりも、そういうこともあり得る、そういうふうにやっているという、そういうケースが違う場合であると私考えます。
  212. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっとその前提のところも問題ですが、この総理答弁というのは、今も言われましたように、鳩山さんのときの法理としてではなくて、軍事作戦あるいは兵学としてやるということに中曽根答弁というのを私は受けとめたんですが、その態勢の整備、訓練を行うということ、さらに例えば仮にソビエトのSS20が打ち込まれてきたとするならその基地をたたく、つまりウラジオその他のシベリア、沿海州の基地をたたく、そういうことを総理は頭の中にやっぱりもうあのときは想定されたわけですかね。
  213. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日米安保条約の上における約束あるいは了解というものは、日本は盾でありアメリカがやりであると象徴的に申し上げますが、そういう攻撃的な外に大きく伸ばしてやるという行為は主としてアメリカに依存する。特に核兵器による抑止力というようなものはアメリカの抑止力のもとに我々はあり、それを期待している。そういう考えに立ってやっているわけです。
  214. 和田静夫

    和田静夫君 相手方の基地を攻撃する正面兵器を装備したいというお考えに通じていませんか。この装備するということを想定しなければ、どうもアメリカに任せるということだけではないようにあの答弁を承っておったんですが、そういう意思というのはないわけですか。
  215. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは日本は専守防衛に徹して、相手に対して脅威を与える攻撃的兵器は持たない、そういう原則をもって一貫しておりまして、私もその考えに立っております。
  216. 和田静夫

    和田静夫君 他の委員会にさらに引き続いて論議をさしていただきますが、今のと関連をして、F4ファントムの空中給油問題ですが、昭和四十八年にファントムの空中給油を外しました。そして、明快な田中総理答弁があのときある。時間が来ましたからはしょりますが、政府は、五十二年から五十三年にかけてF15の空中給油装置が問題化されたときにも考えないと、こう言った。専守防衛を言うのならば、いわゆるCAPという口実のもとに脅威を与えかねない空中給油を認めるわけにはいかない。ここのところはそういうふうに確認をしておいてよいわけでしょうかね。
  217. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) この空中給油の問題でございますが、まず基本的な考え方を申し上げますと、最近におきます航空技術の進歩というものは大変著しいものがございます。それによりましていわゆる超低空侵入とかあるいは高高度高速侵入といったような侵入能力が非常に今増大をしてきております。したがって、そういう状況の中で考えてみますと、やはりこれらに対処するためには、あらかじめ上空におきまして空中警戒態勢というものを強化していく必要性が増大をしてくるであろうということが我々としては考えられているわけでございます。したがいまして、そういう事態に備えるためには、やはり空中給油の機能というものを活用するという必要性はこれは否定し得ないところだと思います。  ところで、御質問のF4ファントムについてでございますが、これは御指摘のように、四十八年にいろいろな空中給油装置の必要性の議論を踏まえて、これを地上給油に改修をしたという経緯がございます。しかしながら、それはその当時においては空中給油装置をつける必要性がまだないだろうという判断に立っていたものでございまして、これを将来とも一切もう排除するというふうな考え方をとっていたわけではないわけでございます。そのことは五十三年三月四日の政府見解におきまして国会でも御説明申し上げておりますが、その中でるる説明をしている経緯がございます。これはF15に空中給油装置をつけておくことについての問題もありましたので、あわせて見解を申し上げたわけでございますが、この際にも、やはり将来の問題としてはそういうことの可能性はあり得るということを政府見解として申し上げておりますし、その決定をいたしますプロセスにおきまして、政府部内において憲法上その他の問題点を十分調査をいたしまして、これは問題がないという結論に達したわけでございます。  そういった経過についても、国会におきます御質問に応じまして、当時の福田総理大臣初め何人かの政府側からの答弁をいたしている経緯がございまして、私どもといたしましては、この空中給油の機能そのものはやはり専守防衛の立場からいって問題のないものであると、こういう判断に立っております。しかしながら、現在の時点において空中給油の機能を実戦的にそれをやろうという計画が現在あるわけではございません。
  218. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 時間が来ました。
  219. 和田静夫

    和田静夫君 今の答弁、そのまま私は受けとめるわけにいきませんが、時間ですからまた後刻にいたします。(拍手)
  220. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で和田君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  221. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、鈴木一弘君の質疑を行います。鈴木君。
  222. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私は、初めに、暫定予算そのものの中身でちょっとお伺いしたいのですが、ずっと歳出の方を見てまいりますと、ことごとくが四月一日から四月十一日までの期間に必要な額を計上していると、こうなっておりますが、地方交付税交付金については、四月概算交付を行うためということで、十一日分というよりも大変大きい金額が出ております。この点について、交付の日が既にもう来ているのかどうか、そうでなければもっと後送りでもよかったのではないかという気がするわけでありますが、これをお伺いしたいと思います。
  223. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 暫定予算三兆円のうち約一兆八千億が今御指摘の交付税でございます。交付税は四月概算交付ということで法律上は四月中に交付すればよろしいのでございますけれども、ただ、従来の例によりまして四月の上旬に交付することに慣例としてなっておりますので、過去の暫定予算の例でもそうでございます。今回も暫定予算に計上することにいたしました。
  224. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 歳入の方を見ても、交付税を算定するための三税というものは、実際は例の、五月まで取り分が前の年度に入るので載っておりません。そういう点からも大変奇妙なんで、その点は今後やはり二カ月分のものを早くもとのとおりに歳入についても三月いっぱいまでというふうにする、そういう努力がこれから要るだろうと思うのですが、この点いかがでございましょう。
  225. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 五十三年度からやりました五月税収の問題かと思います。それをもとに戻すということは一つの考え方かと思いますが、現在の財政状況ではそれを議論するゆとりがないということを御理解いただきたいと思います。
  226. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 前回、中曽根総理お願いをいたしまして、総括質問でお願いした資料、臨調関係の行政改革の資料をいただきました。ありがとうございます。  ここで、最初に行政改革についてこれからお伺いしたいのですが、一月二十五日に閣議決定をされた行政改革に関する当面の実施方針、これがございます。この中でぜひとも一、二点お伺いをしておきたい。いろいろ対比をして見てみました。  まず、ここで伺いたいのは、統合あるいは民営化を決定したもので今国会に法案が提出されたものもあります。しかし、この決定の中で言われているものが大分ございますが、農林中央金庫の民営化、東京、名古屋、大阪の各中小企業投資育成株式会社、高圧ガス保安協会、日本電気計器検定所、製品安全協会、日本自動車ターミナル、軽自動車検査協会、日本小型船舶検査機構、郵便貯金振興会、通信・放送衛星機構、中央職業能力開発協会については、今国会に民間法人化への法案が用意されているのかどうか、いないものはいつ国会提出するのか。これは各大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  227. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 農林中央金庫につきましては、去る一月に閣議決定されました昭和五十九年行革大綱におきまして、昭和六十年度末までの間にできるだけ早く民間法人化することということで言われております。今後この方針に従いまして、農林中央金庫法上の手当て及びこれに伴う農林中央金庫に対する政府の関与を最小限のものとするための措置について、関係省庁と協議をしながら着実に今進めておるところでございます。いつの国会ということですが、これは遅くとも昭和六十年十二月に召集される通常国会、これに提出する必要があるというぐあいに考えております。
  228. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 臨調答申で指摘されました当省所管の法人の民間法人化につきましては、やはり昭和六十年度末までに法律改正を行うということで、現在所要の検討あるいは条件整備を行っております。
  229. 細田吉藏

    国務大臣(細田吉藏君) 日本自動車ターミナル株式会社につきましては、六十年六月末日で廃止をして民営移行することに決めております。法案は次の通常国会提出いたさせていただきます。
  230. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 御指摘の郵便貯金振興会の民営化につきましては、当面の方針に従いまして六十年いっぱいで法案制定のめどを置いております。いま一つ御指摘の通信・放送衛星機構でございますけれども、これは今、年限は決められておりませんけれども、臨調答申の趣旨に沿って検討を行っていく予定でございます。
  231. 坂本三十次

    国務大臣坂本三十次君) 臨調答申におきましては、中央職業能力開発協会を民間法人化するためには、各職種についての技能検定制度が社会的に定着することが前提となるとしております。しかしながら、現段階におきましては、技能検定を必要とする職種であって技能検定が行われていない職種が多いこと、特に昨今の著しい産業構造の変化、技術革新の進展等に対応した新技能に係る職種、第三次産業分野の職種等に対する技能検定職種の拡大を図る必要があること等の問題が残されております。したがって、現段階では引き続き技能検定職種の整備、見直しを図るなど、民間法人化するための条件整備を進めることが先決であると考えております。
  232. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 高圧ガス保安協会、日本電気計器検定所、製品安全協会についてはどうなるでしょうか。
  233. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 先ほど申し上げたことと同じであります。
  234. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 労働省の陸上貨物運送事業労働災害防止協会初め建設業労働災害防止協会、林業・木材製造業労働災害防止協会、港湾貨物運送事業労働災害防止協会、鉱業労働災害防止協会について、臨調の答申はたしか民間法人化をうたっているはずでありますが、この一月二十五日の閣議決定では「事業運営の在り方を見直す」とまで言っておりますが、民間法人化のことは言っておりません。これは民間法人化を行わないということなのかどうか。そのわけはどういうわけなんですか。臨調答申を踏みにじっていくわけということですか。
  235. 坂本三十次

    国務大臣坂本三十次君) 陸上貨物運送事業労働災害防止協会を初めとする五つの業種別労働災害防止協会ににきましては、昭和五十九年一月二十五日の閣議決定において、「事業運営の在り方を見直すとともに、業界の自主的団体としての性格を明確化する。」とされております。これを受けて、労働省といたしましては、近く検討委員会を設置し、自主事業の充実、補助事業の効率的な運営など、その事業運営のあり方を見直すことといたしております。なお、労働省といたしましては、業種別労働災害防止協会は現行法でも業界の自主的団体としての性格を持っておりまして、民間法人化のために法律改正は必要ではないと考えておりますが、いずれにいたしましても、検討委員会の結論を受けて対処をいたしたいと思っております。
  236. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 何か私は、これは臨調答申が民間法人化と言っているのに、そういうふうに逆に民間法人化の必要はない、検討委員会をつくって十分対応していけばいいということなんだと思いますが、初めからこういうふうに踏みにじられるという格好でいいのかなという感じがするんですね。この辺はいかがお考えですか。
  237. 望月三郎

    政府委員(望月三郎君) 第二次臨調答申におきましては、「設立の目的及び役割を維持しつつ、業界の自主的団体としての性格を明確化するため、自立化の原則に従い民間法人化する。」と、先生おっしゃるようにされておるわけでございますが、私どもといたしましては、関係省庁とも協議をいたしまして業種別災害防止協会の民間法人化のための方策について慎重に検討を行ったわけでございますが、その結果、業種別災防協会につきましては、他の認可法人に比べ民間法人としての性格が極めて強いという結論に達したわけでございます。  その中身とするところは、業種別災防協会は、災害防止団体法の第一条に「労働災害の防止を目的とする事業主の団体による自主的な活動を促進する」と規定されていることからうかがえますように、その性格は事業主の自主的団体でございまして、また臨調答申においていわゆる民間法人化を指摘された十四の法人のうち、国またはこれに準ずるものの出資が制度上及び実態上ないことという点、それから会長初め役員の選任は協会が自主的に決定をしておりまして、行政庁の認可等も一切不要に現行としてはなっておるわけでございます。それから事業計画や予算について行政庁の認可は不要になっているというような三つの要件を満たすものは業種別災防協会だけがその要件を満たしておるということでございますので、以上のようなことから、私どもは災防協会の民間法人化が臨調答申で取り上げられた趣旨というのは、業種別災防協会の事業運営を改善することと、それから業界の自主的団体としての性格をより明確にしろということを臨調が答申したものと解しまして、先ほど大臣から答弁したような格好に理解しておるわけでございます。
  238. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いずれにしても、都合のいいところだけをつまみ食いするような格好だけはできるだけやらないでいただきたいと思うんです。  この一月二十五日の閣議決定が民間法人化を示した特殊法人は先ほど申し上げましたけれども、それ以外にもありまして、全部で六十年度末までにと期限をつけられたものが十二法人、今後そのための条件整備を進めるとするのが二法人ございます。その中で一般会計からの出資を受けているものは幾つあるのか、それぞれの法人の出資受入れ額はどのくらいか、ちょっとお伺いしたいと思います。これは大蔵省だと思いますが。
  239. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 御指摘の十二法人の中で一般会計の出資がございますものを順次申し上げますが、高圧ガス保安協会一億円、日本電気計器検定所五億四千四百万円、製品安全協会二億円、日本小型船舶検査機構二億四千九百万円、日本消防検定協会八千万円、それから一般会計ではなくて自動車検査登録特別会計から軽自動車検査協会に対しまして四十八億六百万でございます。それから十二法人以外で、期限の定めがなく条件整備を進めるという範疇の中で、通信・放送衛星機構、これが二十七億三千百万、それから六十年六月までに廃止して民営へ移行するという範疇になっています日本自動車ターミナル五十七億七千九百万、以上でございます。
  240. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 ところで、臨調答申の最終答申の九十ページから九十一ページにかけて民間法人化するということの規定が書いてあります。この規定の中には「自立化の原則」のところにございますが、その中のアの(イ)の①のところに、「商法又は民法上の法人で、国又はこれに準ずるものの出資が制度上及び実態上ないもの」というのが民間法人化するということになるということがそれに書かれております。したがって、この中にある民間法人化する先ほどの特殊法人は、これまで受け入れてきた国のいわゆる出資金、そういうものを国に返さなきゃならない、まさかそれをそのままにして置いておくというわけにいかないだろうと思いますが、この辺は総理、いかがお考えでございましょうか。
  241. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 民間法人になります場合には、原則として国からの出資は行わないことになろうかと思います。具体的にはただいま検討中でございますので、その検討の過程で私どもとしても慎重に検討してまいりたいと思います。ただ、結論的に申しますと、いずれにいたしましても、法律をもって国会の御審議を仰ぐということになろうかと思いますので、その出資をどうするか、その法律の中に定められることになろうかと思います。
  242. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは総理、実際現在の財政というのはもはや余裕がないということは十分おわかりだと思いますし、それだからまた臨調の答申が言うまでもなく、民間法人化したならば国から出ていった出資金というのは返すべきだろうというふうに思います。当然返済計画はできていなければいけませんし、国会提出すべきものだろうというふうに思うんですけれども、この点いかがお考えでございましょうか。それが財政民主主義というものだと思うんですが。
  243. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 財政が苦しい折からでございますから、できるだけ御趣旨に沿った方向で努力してまいりたいと思います。
  244. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 次に、臨調答申でも指摘をされ、閣議決定の実施方針でも具体的に触れている附属機関及び地方支分部局の整理合理化でありますけれども、その中で幾つか前国会成立した総務庁設置法等の一部を改正する法律、この施行によって廃止される支分部局があると書かれておりますけれども、この廃止という意味はどういう意味なんでしょうか。
  245. 門田英郎

    政府委員(門田英郎君) お答え申し上げます。  臨調第五次答申、最終答申でございますが、ブロック機関の下に設置されている府県単位機関、四種類の機関についてこれを廃止し、必要な現地的事務処理機関を置く、こういうふうになっているわけでございまして、昨年第百回臨時国会におきまして総務庁設置法等の一部を改正する法律案の御審議をちょうだいし、それぞれ地方行政監察局、財務部、こういったたぐいの従来の府県単位機関について廃止し、本年十月一日をもちまして新しい現地的事務処理機関、事務所名称でございますが、として発足するというふうな法案が成立をした次第でございます。
  246. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 今の説明を伺っていると、ただの看板のかけかえということにすぎない。世間で言う廃止というと、いままでそこにあったものがなくなるという意味なんですけれども、多分に看板のかけかえ的な感じがするんですが、そういうことなんでしょうか。
  247. 門田英郎

    政府委員(門田英郎君) 昨年の法案御審議の際にもいろいろと御説明を申し上げたわけでございますが、御指摘のように単なる看板のかけかえということではございませんで、やはりこういった臨調答申の指摘に沿って現地的事務処理機関化するという見地に立ちまして、業務につきましてはできる限りブロック機関の方に集中する、あるいは業務の処理方式を合理化するというふうなことによりまして業務内容を極力圧縮する。と同時に、それに伴いまして要員の面でも、本年一月二十五日の閣議決定でも明らかにしているところでございますが、地方行政監察局あるいは財務部、こういったものにつきましては今後五年間に二〇%、地方公安調査局につきましても全体を通じて二百人というふうな縮減を図る。と同時に、先ほど申し落としましたが、郵政省の郵政監察局支局、これにつきましても同じく二〇%の要員縮減を行うというふうな方針を立てているところでございまして、とりあえずこの昭和五十九年度、発足当初におきまして相当の削減を行うという措置をとっている次第でございます。
  248. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 総理がお約束していただいて出していただいたこの特殊法人の整理合理化、あるいはいろいろな地方支分部局の整理の問題等をいただきました。この書類を見ておりまして、附属機関等の整理合理化もいただいたのですが、私はまだまだこれは不十分であるというような感じがするのです。それは大変そう言うとなんですが具体策が欠けております。  これも私は指摘をして具体的にお伺いをしたいと思うんですが、例えば文部省は、国立競技場、国立教育会館、国立劇場の人員の縮減を五十八年度は図っている、五十九年度も図ることにしているというけれども、具体的に何名ずつだったのか、どう変わったのか、どう将来目指していくのか、こういうことも明らかになっておりません。これは明らかにしていただきたい。それから、競技場と国立劇場は施設利用の活用を図ったとしているけれども、年平均の利用をどのぐらいふやしたのか、そういう点もわかっておりません。それから、通産省で石油公団、金属鉱業事業団、こういうところを見ましても、石油開発体制の見直しといっても、「対象事業の厳格な選定」というだけで、具体的にどう厳格にしたのか、また金属鉱業事業団も、収益納付規定をどう整備するのか、この辺をひとつ具体的に示してもらいたい。
  249. 森喜朗

    国務大臣(森喜朗君) 文部省といたしましては、かねてから特殊法人の定員の縮減等経営の効率化に努めてまいりました。臨調答申も踏まえましてさらに推進をいたしておるところであります。御指摘をいただきました三法人の過去五年間の縮減数について申し上げますと、国立競技場は十二名減であります。国立教育会館につきましては六人の減、国立劇場につきましては十人、合計二十八人の縮減を図っております。六十年度以降もさらに、業務運営状況を勘案しながら、引き続き定員縮減措置を推進していきたいと、こう考えております。なお、国立競技場につきましては、答申を踏まえまして、昭和六十年の二月から日本学校健康会と統合いたしまして、日本体育・学校健康センターとすることといたしておりまして、今国会に今法案を提出いたしたところでございます。その他の答申指摘事項も所要の合理化に努めてまいりたいと存じております。
  250. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 臨調で指摘されました石油公団の対象事業の厳格な選定、あるいは開発体制の整備につきましては、当然のことながら、従来から融資の選定に当たっては、地質的な面、経済的な面、それから相手国の状況等を厳密にやっておるわけでございまして、公団発生以来去年の暮れまでに大体申し込み千百件以上あるという中で、採択されたのは八十件程度ということで、厳格にやっておりますし、効果的にも、試掘事業の成功率というのは国際的に比べても遜色がないというのが実態でございます。ただしかし、より効率化といいますか、厳格にやるという意味で、我我としては石油公団にいろいろと審査体制あるいは審査能力の向上等々の指導をいたしておるわけでございまして、具体的にどういうふうにあらわれているかというと、これからの問題でございますが、例えば五十八年度中に採択した案件というのは中国のプロジェクトがあるわけでございますが、これが中心でございますが、これにつきましては非常に条件等のネゴを満たしておりますし、あるいは具体的に申しますと、開発体制につきましても中核的に責任を持つ会社というのをそれぞれ決めて、民間の活力と責任体制をより強化するということを特に配慮して進めておる、こういう実例もあるわけでございます。  それから金属鉱業事業団につきましては、収益納付をちゃんとしろということでございまして、この臨調答申を踏まえまして、昨年の八月に鉱業審議会の鉱山部会、通産大臣の諮問機関でございますが、そこで収益納付の基本的な考え方を了承を得て現在作業中でございまして、広域地質構造調査等々につきましても、そのための具体的な基準の策定を現在検討しておりまして、ほぼ作業は終わっておりますので、こういう事業から民間が利益を得るという場合には、五十九年度以降はその納付が具体的に実施できる、こういう体制になっておるわけでございます。
  251. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 運輸大臣、日本航空株式会社については効率的な経営に努めるとしていますが、具体的なものは出ておりません。どうなっているんでしょう。
  252. 細田吉藏

    国務大臣(細田吉藏君) 日本航空につきましては、親方日の丸的な経営をやっておる、給料が高い、人間が多い、いろんな点で御批判があるわけでございます。それぞれ具体的にベースアップの制限、あるいは管理職の給与の削減、定員の削減等をいろいろやっております。具体的に必要があればお答えを申し上げますが、個々にやっております。一昨日から三日間コーパイロットのストライキが、昭和二十年代から初めてという三日間違続の大ストライキが今残念ながらきょうまで行われておるところでございますが、こういうこともこれまではとかく妥協的な方法でこういうことがないようにしておったわけでありますが、やはりこうした大きな方針に基づいて断じて合理化をやらなければならないということから、こういうことが起こっておるということからも、熱意はうかがえると思っております。しかしながら、まだまだ民間航空会社と比べますといろんな点で劣っておりまするので、こういう点についてさらに努力を重ねなければならぬと考えておる次第でございます。具体的な数字等がもし御必要であれば、政府委員から答弁をさせます。
  253. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 具体的な数字が本当は欲しいのですけれども、これは時間のこともありますので後で書類でいただきたいと思います。  次に、内閣官房の方ですが、全特殊法人の常勤役員の総数二割縮減の問題、この整理状況はどうなっているかということがはっきりわかっておりません。五十九年度予定三十九人と書いてあるだけでございます。また、特殊法人職員の四万七千百九十九人削減というけれども、具体的な特殊法人名別の整理人員というものが出ないのかどうか。資料では五十八年度までの実績が四万七千百九十九人というふうに書かれているんですけれども、これは間違いないのかどうか。
  254. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 臨調の第一次答申におきましては、昭和五十九年度までの間に特殊法人全体の常勤役員総数の二〇%を縮減することを求めておりまして、全体で八何人ございますので、その二〇%といたしますと百六十人を縮減するという計画でございます。個別の割り当ては内閣官房が各省庁ごとに行いまして、全体で百六十人の縮減を実施しようとするものでございます。五十八年度末までには百二十一人の縮減を行いまして、現在五十九年度分の各省別の割り当てを行いますために、それぞれ非常に厳しい折衝を行っておるところでございます。資料として提出をいたしませんでしたのは、五十九年度分を今非常に厳しく折衝いたしておりますので、どうしても各省横にらみみたいな形になりまして、一省ごとに随分厳しい語調でその縮減を迫っておりますので、ちょうどその最中でございますので、ちょっと全体を資料として提出さしていただくことを控えさしていただいた次第でございますが、いずれまた五十九年度分が固まりましたら資料として出すことはやぶさかではないと、こんなふうに考えておるところでございます。  職員につきましても、国家公務員の定員削減計画に準じて措置するということでまいっておりますので、それぞれ特殊法人の予算の認可などを通じまして定員を削減していくこととなっておる次第でございます。五十五年一月一日から五十九年一月一日までの四年間で九十四万四千人から八十九万七千人と、四万七千人の実数の減少となっておる次第でございます。こちらにつきましても、同様の理由によりまして資料として提出をいたしておりませんが、いずれ時期を見て提出をさしていただきたいと思いますが、お許しをいただきたいと存じます。
  255. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 次に、地方支分部局の整理の問題ですが、これは法務大臣、地方法務局支所、出張所、これは七十二カ所整理となっていますが、具体名は出せませんか。
  256. 枇杷田泰助

    政府委員枇杷田泰助君) 五十九年度に七十二庁の統合を考えておりますけれども、現在との登記所をいつの時期で整理するかということについては検討中でございます。しかし、いずれにしましても、五十九年度中に予定の七十二庁は実現をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
  257. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 農水大臣、農水省の統計情報事務所、これは五カ所整理というのですが、具体的な場所はどこでしょうか。それから食糧事務所の支所四カ所整理とあるんですが、その具体名はどこになるのでございましょうか。
  258. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) お答えを申し上げます。  現在、五十九年度におきまして整理統合を行う具体的な箇所名は調整中でございますけれども、統計情報事務所の出張所につきましては、北海道の寿都、茨城の鉾田、千葉の市原、東京の大島、広島の加計の五カ所を大体念頭に置いております。  また、食糧事務所の支所につきましては、静岡の磐田、愛知の豊田、広島の上下、長崎の対馬、この四カ所を予定しているところでございます。
  259. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そのほか運輸省は二十カ所も整理するというふうになっております。この点については、これは大変量が多いことでございますが、ひとつどういうふうになっていくのかお伺いをしたいと思うんですが、どこでまとめていただけるんでしょうね。
  260. 松井和治

    政府委員(松井和治君) お答え申し上げます。  運輸省では五十九年度末までに二十カ所の附属機関等の整理を行うわけでございます。具体的な内訳を申し上げますと、海運局等の出張所が八カ所でございます。それから管区気象台の気象通報所が四カ所、それから地方航空局の航空無線標識所が二カ所、管区海上保安本部の航路標識事務所が一カ所、計十五カ所は既に実施をいたしました。五十九年度にさらに管区海上保安本部の航路標識事務所五カ所を廃止するという予定にいたしております。合計二十カ所でございます。
  261. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 まだそのほかに、例えば大蔵省でいえば、北東公庫の財投依存度の引き下げの方法とか、経企庁の海外経済協力基金の国際協力事業団との連携強化の具体的内容とか、理化学研究所の研究課題の重点化とか、他機関との連携強化、組織の整理、運営の改善、こういうものの具体名、具体策、それから地域振興整備公団の民間資金の活用とか、あるいは地方公共団体による適切な負担の導入ということで採択した二カ所の地名とか、国際協力事業団の移住部門職員定員の縮減、あるいは日本開発銀行の相当数の項目の融資比率の引き下げの各項目名と融資比率の引き下げとこれによる効果、輸出入銀行の融資比率の引き下げの具体的状況とそれによる効果、日本万国博覧会記念協会の民間へ業務委託した中身、こういったことが、はっきり申し上げて、今回いただいた資料の中には具体的に出ておりません。きょう私が聞いたのでは、確かに官房長官の言われたように、まだまだ各省とのにらみ合いもあって出せないところもあるでしょうし、地域の利益と重なって具体名が出ないところもあると思うんですが、今申し上げたようなところについて、これはきちっと具体的な名前を出していただきたいと思うんですが、いかがでございましょう。できるでしょうか、お約束していただきたいと思います。これは全部にわたっておりますから、官房長官
  262. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 御趣旨に沿うように努力をいたします。
  263. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いずれにしても、この行革の問題は絶え間なく進んでいかなきゃなりませんので、よろしくお願いをいたしたいと思いますし、私どももまた見ていきたいと思っております。次は、金融問題に移りたいんですが、金融資本の自由化ということでございますが、各国それぞれの歴史、伝統、産業構造の違いということで、ヨーロッパ諸国の間でも一律ではないし、それから日本とアメリカでもそれぞれ国内の事情の違いがあるということになりますので、どうしても金融の自由化というと何か漠然としたものになってまいります。一九八二年五月、第二次市場開放対策で、我が国はガットにおけるサービス貿易についての国際ルールづくりへの積極的貢献ということをうたっておりますが、その後どうなったか、これは大蔵大臣に伺いたいと思います。
  264. 山田實

    政府委員(山田實君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘になりましたとおり、一九八二年五月のいわゆる市場開放対策第二弾におきまして、御指摘になりましたような事項が盛られたわけでございますが、その後一九八二年十一月に開催されましたガット閣僚会議におきましてこの問題が取り上げられました。その結果幾つかの合意がなされまして、まず第一は、とりあえずサービス貿易について関心のある国がそれぞれの国内においてサービス貿易の現状等について検討しようじゃないか、我々ナショナルスタディーと呼んでおりますけれども、そしてこのナショナルスタディーの結果を報告書の形にして、ガットを通じて各国に通報しようじゃないか、それからそういった報告書あるいはその他の情報をもとにして、ことしの十一月に開催が予定されておりますガット総会におきましてレビューをしていこうじゃないか、こういうことになっております。この合意に基づきまして現在作業が進められているわけでございますが、現状におきましては、主要各国がそれぞれの国内においていわゆるナショナルスタディー、検討を行っていこうという段階にございます。
  265. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは、金融の自由化については相互主義という考え方もありますけれども、事の重要さから見て、大蔵大臣が言っておられる漸進的、弾力的に行っていくということが私はいいんじゃないかと思いますけれども、これもよくわかります。大蔵大臣の方で今具体的なプランはございますですか、考え方としては。基本的な方針です。
  266. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 金融自由化あるいは国際化、これの具体的プランということになりますと、今おっしゃいますように、漸進的、弾力的に進めていこうと、それで部内でいろいろ検討しておる問題と、それから先般中曽根・レーガン会談で確認いただきました私とリーガン財務長官との間の共同新聞発表に対するアドホックグループの積み上げと、二つがあると思うのであります。  後者の方は、今度四月十六、十七と第三回目をやりまして、主として哲学のほかに、両国間の関心事項について両者の事情等を相互認識しながらも前向きに対応する方向でさらに進めていこうと、こういうことになります。それから前者の国内の問題につきましては、要するに我が国はいわゆる固有の業務の不可侵というような長い伝統といいますか歴史、おっしゃったような問題がございますので、しかし現実、自由化傾向になりますと、その中で競合する分野が広がってまいりますので、これらは一応金融制度調査会である方向を打ち出してもらい、今度はそれをさらに敷衍して、それぞれの具体的問題について自由化の方向にそれぞれの垣根の中でまさに円滑に調和していくような方途を見出していこうと、大ざっぱにいえばそういうことになるのかなと思います。
  267. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 今の前者のと言われた国内の自由化の問題で、今の話だと垣根をだんだん下げていく感じを受けました。そうせざるを得ないだろうと思いますが、金融制度調査会の金融の自由化に関する小委員会によりますと、大口預金金利規制の方から撤廃するとあります。既にそういうふうに順次自由化が進んでおりますし、そうなると、大口預金のお得意である法人とか機関投資家は、既に現先取引やCDだとか、こういうことで金利自由商品に投資をしている。    〔委員長退席、理事初村滝一郎君着席〕 これに対して小口預金金利の方は、どうしてもこれは規制金利ということでございますけれども、困難な課題であるということで自由化が進んでいない。これでは将来小口預金者の利益が無視されるということになっていくのじゃないか、こう思うんですけれども、この点はいかがでございますか。
  268. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) おっしゃるとおり、大口預金の自由化から進めたいと、こう思っておるのでありまして、小口預金の自由化は時期がおくれるかと思います。したがいまして、御指摘のとおり、ちょうど自由と規制とが併存している時期における小口預金者の利益をどういうふうに守るかというのは一つの大きな課題でありまして、金融機関、証券会社とも、そういう点につきましては、国民の小口の金融資産というものをどう過渡的に提供していくかという点につきまして、例えば昨年からは国債の窓販が始まりましたときには預金と国債とを結びつけて商品をつくり出すとか、あるいは最近いろいろ出ております金融機関と証券会社の提携によります新しい商品というようなことで、いろいろ証券会社、銀行とも工夫をしながら小口預金者の利益にも十分配慮して円滑な自由化への移行を実現したいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  269. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 また後でこれはやりますが、この答申といいますか、この委員会のこれによりますというと、一方では郵便貯金と民間金融機関との預金金利について、一元化できるようなルールとかシステムの確立の必要性をうたっております。報告書では、郵貯制度の見直しを行い、民間金利と連動するシステムの確立と言っているわけですが、郵貯の運用の自主性を欠いたままの郵貯金利のみ自由化するということになるとこれは片手落ちでございますし、この点についてどう考えているか。これは大蔵大臣と郵政大臣、両方に伺いたい。
  270. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 当面は、私も現状認識ということになりますと、やはり三大臣合意をいたしましたこのことがすなわち現状の我々のあるべき姿ではないかと。そこで金融自由化の波の中での今後の展望と、こういうことになるわけでございますので、これは臨調答申にも指摘されておりますが、公的資金の有効かつバランスのとれた配分、財政金融政策との整合性確保等の観点からこれを堅持すべきであると考えると。いわゆる統合運用問題にはそういうことがあり、そして金利が自由化された場合の郵便貯金ということになりますと、民間金融機関の金利と均衡のとれた形で決定されていく必要がある、こういう考え方で臨んでいくということにはなるでございましょう。が、基本的にさらに議論していかなきゃならぬ問題は、官業である郵貯が民業を補完しつつ適切に運営されていくというその問題をもやっぱり含めた議論をしていかなきゃならぬだろうと。だから、当面は両者が協議して機動的、弾力的に対応し、将来の問題としてはいま少し時間がかかりますけれども、その流れの中で検討をしていかなければならぬ課題だというふうに考えております。
  271. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 現在の民間金利は、御存じのとおりに細かく上限を決めた金利調整法とか、あるいは日銀のガイドラインによって決められておるわけですが、郵貯もしたがって民間のそういった金利動向を配意しつつも大蔵大臣協議して整合性を保っていこうということで三大臣合意があるわけでございます。したがって、連動という言葉はちょっとなじまないわけですけれども、実質的に現在のところ連動しておるというのが実態でございます。したがって、今後の金利自由化の大勢に従いますと、私たちもやはり市場実勢に応じた形で運用を図っていかなければならぬ、預金者の金利を保全していかなければいかぬということになります。ですから、先般も国債を自主運用させていただきたいということで大蔵省にお願いしたわけでございますけれども、これらのことは今年度は実現をいたしませんでした。しかし、こういった形は今後とも継続的に、やっぱり市場実勢に応じた運用というのが今後大きな問題化してくることは当然だと思います。しかし、他方大変な財投の原資として重要な役割を果たしている郵貯のことでございますから、今後とも大蔵省とこの問題については検討を詰めさせていただきたいと思っておる次第でございます。
  272. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは今の郵政大臣答弁少しありましたけれども、金利の方はできるだけ運動する、いえば将来金利の自由化が進んでくるとそれに連動するという、連動と同時のものにするとなるわけですか、自由化になってくると。しかし、運用の方は自主性を欠く、こういう非常に奇妙なものが起きるわけですが、今の原資の出題で言っておりましたけれども、その点もう一歩本当のことというか本心というか、郵政大臣に伺いたい。
  273. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 今ほど申しましたように、そういったガイドラインが撤廃されて市場実勢に合わしていくというのが自由化であろうと理解しております。したがって、そういう形になった場合には、結局資金の運用も市場実勢に合わせていかなければいかぬということに当然なると思うんです。ところが、御存じのとおり、財投資金としてそういった役割を果たしている郵貯の原資でございますので、今御指摘のとおりに金利は市場実勢に合わせにゃいかぬ、運用はそういった形で財投資金として大蔵省にお願いしておるという形になりますから、確かに今後とも私たちは自主運用という方向の中で預金者の金利を保全していかなければいかぬということに模索してまいらなければならぬと思っておるわけでございます。御理解をお願いいたします。
  274. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは大蔵大臣に伺いたいんですけれども、先日の答弁のときにも伺ったんですが、いわゆる大蔵省証券というようなTBの問題でございますが、経済、金融が国際化していくと、一方でこれはどうしても金利の自由化、弾力化を求める。国債は大量に発行されれば既発国債としての存在は、これはなかなか魅力のある商品になるわけです、自由金利商品に。そうすると、規制金利の商品というものから資金のシフトがそっちに行くのじゃないか。これは金融の円滑な行き方というものを阻害するとなれば、どうしても金利の自由化、弾力化は私どもは避けられないだろうと思っております。  三月十九日、日銀総裁がここで答弁をしましたけれども、その答弁のとおり、蔵券の市中売却とか市中のオペレーション、そういう必要がこれからはますます短期国債の発行によってふえてくると、そういうことになると、TB等の発行金利を自由化せざるを得なくなるんじゃないか、私はそういうふうに思われてならないんです。預金金利の規制をしておけばどうしてもさっき申し上げたような資金のシフトが出てきますから、そうすると、もう最後にはTB等もそういう発行金利を自由化していかなきゃならないということになるのだろうと思うんですが、その点についての考えはいかがでございますか。
  275. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 鈴木さんのおっしゃるTBの発行方式並びに、そうなれば当然金利の自由化等々の問題を大きく促進することにもなるわけですが、それは理論としてはあり得る理論でございます。ただ、私ども今日の国庫制度財政制度、金融制度というものから考えると、今のものを前提にして考えた場合には、やはり一時的財源調達という性格のものでございますだけに、やはりこれは今日の財政事情等から見ても、金利等が割引歩合が上昇いたしまして利子負担が増大するというようなことはちょっと問題があると、事実その点においては考えます。でございますので、この問題についてはいろんな意味において総合的に判断しなきゃならぬ課題だと。だからかつては、言ってみれば国柄の違いから、向こうの国にはこういう制度がある、これがなじんでおる、我が方では違うと、だから検討課題だという若干開きがあったと思いますが、今は金融専門家筋でもかなりのこの問題の議論がなされるようになりましたので、いずれにしても今の財政制度国庫制度と金融制度全般に係る問題でございますので、総合的に判断をしなきゃならぬ課題だと、問題意識は私もございます。
  276. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私は、この間の答弁から見て、これはもう自由化は避けられないなというふうに思いました。その点は今問題意識を持っているということですから、十分検討をしていっていただきたいと思うんです。  それから、先日、先物為替の実需原則の撤廃が、省令が公布されて、施行が四月一日からということで大変喜んでいるところもございますが、確かに予約締結の機動性を増加させておりますけれども、逆に差益をねらった投機的な行為も出てくるだろう、そういう撤廃が為替相場に与える影響、これは大蔵大臣としてはどう分析しているのか。また、為替予約に対する為銀が与信管理体制の確立をしないと、思わぬところで為替差損で大損をするということが出てくるわけでありますが、大変喜んでいる反面、そういった心配も若干あるわけですが、この点についてどう考えていらっしゃるか、お伺いしたいんです。
  277. 酒井健三

    政府委員(酒井健三君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、ことしの四月一日から先物為替予約の実需原則を撤廃することにいたしたわけですが、これの為替市場に与える影響につきましては、撤廃に伴いまして予約の相手方の銀行も与信管理体制を整備することにしておりますし、したがいまして著しく投機的な先物取引というものはおのずからチェックされることになるだろうと思いますし、それから今日、内外におきまして為替取引の規模というのが非常に大きくなっている、厚みが増している状況でございます。そういうようなことを考えますと、確かに実需原則を廃止するということは一つの為替変動要因になり得るか、それは否定できないかと思いますが、それが特に為替相場に乱高下をもたらす大きな要因になるというふうにはならないのじゃないかというふうに考えております。  それから、銀行側の与信の管理体制でございますが、実需原則のもとでは先物の予約をしましても、将来期限が来たときに手形が上がってくるとか、そういうような実需の裏づけがあるという安心感がございます。今度はその実需というものとは切り離された形になるわけでございます。しかし、契約の片方の当事者である銀行としては、相手方に信用を与えるという問題になるわけでございまして、そこは従来よりも銀行としても与信の管理体制を整備する必要があろうかと思います。具体的には、為替の相手方に対する与信の限度という、枠ということも場合によっては必要でございましょうし、そしてまた為替予約による顧客の損益状況を従来以上に十分把握しなければならぬというような問題も起こってまいりますが、これは銀行の業務として与信を与えるという面からいえば、ある意味では当然のことではなかろうかというふうに考えておりまして、実需原則の撤廃によりまして、そういう面で大きなトラブルが起こるというふうには私ども予想いたしておりません。
  278. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 経企庁長官に一つだけ伺いたいのですが、アメリカの景気が予想を上回るということで、FRBのボルカー議長は過熱と言い、米国政府関係者は過熱でないと言っております。この点、アメリカの市中金利が上がれば金利差が日本との間で起きてきますが、これについての影響等をどうお考えになっているか、伺いたいんです。
  279. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) アメリカの金利が上がった場合に円はどうなるかということでありますが、私はこれまでの動きから判断をいたしまして、やはり円は安くなる、こういう影響が出てくるであろう、このように判断をしております。
  280. 初村滝一郎

    ○理事(初村滝一郎君) 以上で鈴木君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  281. 初村滝一郎

    ○理事(初村滝一郎君) 次に、内藤功君の質疑を行います。内藤君。
  282. 内藤功

    内藤功君 今回、沖縄に配備のグリーンベレー、特殊作戦部隊の正式名称、目的、任務、それから編成、装備、指揮系統、上級部隊、こういった点を御説明いただきたいと思います。    〔理事初村滝一郎君退席、委員長着席〕
  283. 北村汎

    政府委員(北村汎君) お答え申し上げます。  既に発表されておりますとおりに、米国は沖縄のトリイ通信施設に最終的に一個大隊、約二百五十名から三百名の陸軍特殊部隊及び関連支援部隊、隊長はジェームス・エステップ中佐でございますが、その配備を計画しております。この配備は段階的に行われる予定でございまして、第一段階としては、本年三月に約三十名ぐらいから始まって、最終的には先ほど申し上げましたように、一個大隊の規模になるということでございます。  この米陸軍特殊部隊と申しますのは、これは空挺あるいは偵察あるいは通信あるいは軽兵器、重兵器、いろんな兵器の訓練操作等、種々の技術的な分野で十分訓練をされた非常に優秀な人員から成る部隊でございまして、部隊運用の効率化という観点から少数精鋭を旨としておるというふうに聞いております。そういう訓練を十分経た部隊でございますから、当然軍事教官という意味での素質も素養も持っておるというふうに考えます。  それから、米国におきましては、こういうような部隊というものの有用性がこのごろ非常に認識が高まってきております。そこで、こういう部隊を配備することによって、日米安保条約の効果的な運用を高め、さらに抑止力を高める、こういうことで今回沖縄に配備したものと承知をいたしております。
  284. 内藤功

    内藤功君 指揮系統と上部組織。
  285. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 陸軍特殊部隊と申しますのは、これは委員御承知のように、特殊行動部隊という非常に大きな概念がありまして、それには陸海空三つがそれぞれ分かれておるわけでございます。しかし、今回の沖縄に配備される特殊行動部隊というのは、その中の陸軍の第一特殊行動群と申しておりますが、その中に属する四つの特殊部隊というものがございます。その中の第一特殊グループ、そのうちの一個大隊が沖縄に来る、こういうことでございます。
  286. 内藤功

    内藤功君 返還前沖縄にいましたグリーンベレーはどういう部隊であったか。
  287. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 陸軍特殊部隊としては、昭和三十五年十月に嘉手納の空軍基地内に第一特殊部隊グループが配備されまして、それはその後昭和三十九年に同グループはアジア特殊行動部隊というふうに改称されたと承知しております。これが四十九年までいたわけでございますが、その任務につきましては、当時の吉野アメリカ局長から、四十六年十一月八日の参議院予算委員会で御説明をしておりますが、これは非通常戦争、主としてゲリラ戦争、破壊活動防止作戦、それから民生支援活動であるというような趣旨の答弁をいたしております。
  288. 内藤功

    内藤功君 返還当時、中曽根総理佐藤内閣の閣僚であったと思いますが、この部隊が撤退して施設が廃止されたのはなぜか、この点をお伺いしたい。
  289. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 私ども米軍の内部のいろいろな事情というものにことごとく通暁しておるわけではございませんが、この特殊部隊というものは相当程度削減をされた経緯がございます。そういうことに応じて四十九年に沖縄から引き揚げたということだと承知しております。
  290. 内藤功

    内藤功君 第三国人を訓練しているということもその理由の一つですか。
  291. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 先ほど申し上げましたように、米軍はベトナム戦争後一般に縮小されたわけでございまして、特殊部隊というのもその一環として四十五年ごろから以降逐次縮小された、これが大きな理由だと思います。  先生御指摘の第三国人の訓練というのは、これは沖縄返還前に行われておったというあれがございますけれども、返還後は、これは地位協定がすべてに適用されるということで、第三国人が訓練のために施設区域を使用することはできないということでございまして、しかしそれが撤退の理由であったというふうには私どもは承知しておりません。
  292. 内藤功

    内藤功君 当時の福田外務大臣は、グリーンベレー、これが第三国人の訓練をいたしておるわけで好ましからざることだと、こう答弁した。政府は、安保条約上第三国人が訓練の目的で施設区域を使用することはできないということをしばしば明らかにしております。現在も同じ見解でございますか。
  293. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 私ども考え方は変わっておりませんで、この問題は当時からもいろいろ議論された経緯がございます。特に、昭和四十七年五月二十三日、共産党の松本善明議員から提出された質問書に対しまして、佐藤総理大臣から質問の主意書に対する回答が行われておりますが、そこで、  わが国の提供した施設・区域は安保条約に基づいて米軍に使用を認めているものであり、第三国人が訓練の目的で在日米軍施設・区域を使用することは、安保条約上認められないところである。このことは、米国政府も充分承知している次第であり、沖縄において従来行なわれていたかかる訓練は、復帰時までにすべて中止された。こういうふうに回答しております。
  294. 内藤功

    内藤功君 今回配備の特殊部隊は、第三国人の訓練を行うことを重要な任務の一つとする部隊ではないんでしょうか。
  295. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 特殊部隊と申しますのは、先ほども説明しましたように、極めて広範な範囲において相当充実した訓練を受ける少数精鋭の部隊でございますから、そういう部隊が友好国の要請に基づきましてその戦技向上のために訓練をするということはこれはあり得ることだと思います。しかし、先ほどからも申し上げておりますように、日本においてその第三国人に、日本が米軍に提供した施設区域を使用してそういう訓練を行うということは、これは安保条約上できないということでございます。
  296. 内藤功

    内藤功君 この部隊はどうですか。質問はこの部隊です。
  297. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 沖縄に配置された部隊ということでございますか。
  298. 内藤功

    内藤功君 はい。
  299. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 沖縄に配置された部隊というものは、これはやはり特殊部隊の一部でございますから、これも軍事教官としての素養を十分持っておるものと思います。したがいまして、友好国からの依頼があって、そうして要請があって、そしてその訓練をしてもらいたいというような要請がある場合には、それが戦技の向上に役立つということで協力をするということはあり得ると思います。
  300. 内藤功

    内藤功君 第三国人の訓練を任務とする部隊じゃないのかというんです。
  301. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 先ほどからも申し上げておりますように、この特殊部隊が施設区域におきまして第三国人を訓練するということは安保条約上できないことでございます。
  302. 内藤功

    内藤功君 二月のワインバーガー長官の国防報告にはいろいろ書いてありますが、その五十四ページ、二番目のパラグラフの一行目から五行目までにはどんなことが書いてありますか。
  303. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 五十四ページのスペシャル・オペレーションズ・フォーセス、特殊行動部隊というところの第二パラグラフの第一文でございますね。
  304. 内藤功

    内藤功君 一行目から五行目まで。
  305. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 一行目から。ここは、この前のパラグラフで、ソ連が、直接または間接に第三世界に焦点を置いて米国と直接対決することなくその目的を達成するためにグローバルな、全地球的な揺さぶり作戦とでも申しますか、英語ではグローバル・キャンペーン・オブ・テスタビリゼーションという言葉を使っておりますが、揺さぶり作戦のようなものを実行してきていると、こういうことを言って、その後それを受けて、米国の特殊行動部隊はこのような揺さぶり作戦に対応するために運用されていると。我々の安全保障援助計画の重要な要素として、この特殊行動部隊、SOFと訳しておりますが、このSOFは世界のあらゆる地域の、十五カ国の軍隊と協力して、これら軍隊が不安定な情勢や侵略に効果的に対処し得るよう彼らを訓練していると、これが御指摘の文章のところでございます。
  306. 内藤功

    内藤功君 十五カ国の軍隊と協力、訓練すると書いてある。  もう一つ、国防報告の同じページの三番目のパラグラフにはいろいろ書いてありますが、どういうことが書いてありますか。
  307. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 第三パラグラフは、これは危機の際ということで始まっておりますが、危機の際には、この同じSOFが、通常戦力の使用が不適切かまたは不可能な状況下において、柔軟で状況に即応したオプションを、選択肢です、選択肢を提供することになる。大規模な紛争においてはSOFは我が通常戦力にとって不可欠な補完戦力となろう。SOFは非通常戦、アンコンベンショナル・ウォーフェアという言葉ですが、非通常戦あるいは対テロリスト作戦、それから安全保障援助、心理戦及び直接行動並びに情報任務等の多様な任務に使用されることになる。こういうことでございます。
  308. 内藤功

    内藤功君 グリーンベレーはベトナム戦で活動したのであります。昨年夏、中米のホンジュラスでも戦闘しておる。レバノン、モロッコ、リベリア、ソマリア、コロンビア、エルサルバドルで戦闘に従事しております。ゲリラ戦や対テロ作戦など多様な戦闘をしておる部隊、大使館員の救出訓練とか、降下、渡河、それから、生き残り、ナイフでの刺殺、待ち伏せ訓練、こういったものをやっており、またゲリラに対する拷問の仕方も教えていると言われておる。派遣先の国の言葉を話す能力は特に重視をされておる。まさに外国で戦闘し、行動する部隊であります。私が今言ったようなことは否定できますかどうですか。外務大臣いかがですか。
  309. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 先ほど御説明いたしましたように、この部隊は、空挺あるいは通信、偵察、いろんな武器の操作、そういうような広範な範囲で、特別充実した訓練を受けておる少数精鋭の部隊でございます。したがいまして、そういう部隊は、例えば小規模な紛争が起きました場合、これは国防報告の別の箇所に出てまいりますけれども、そういうような小規模な紛争の場合に、その紛争のエスカレーションを回避しながら作戦を効果的に進めていく、そういうことも可能でございますし、またその紛争がエスカレートして大規規な紛争になった場合にも、先ほど読み上げました国防報告の中にもございましたように、その効果的な運用によってほかの通常戦力の補完的な役割を果たすということでございまして、これはいろんな分野の行動を予定しておるわけで、その事態事態に即応した行動をとる部隊であると思います。
  310. 内藤功

    内藤功君 総理お疲れのようですが、総理、それから外務大臣、今言ったようなグリーンベレーのそういう活動のことについてはお読みになったりなんかしたことありますか。総理は読書家だから読んでおられると思うんですが、どうですか。
  311. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) グリーンベレーがベトナム戦争のときに活躍したということは、もちろんよく承知をいたしております。今、局長答弁いたしましたように、特にアメリカの国内においては、最近こうした特殊部隊の有用性というものが非常に高く評価されるようになりました。非常に今日の厳しい国際情勢の中で、この少数精鋭の特殊部隊を沖縄に派遣をする、そしてこれが安保条約の有効性を高めていく、抑止力を高めていく、こういう意味において非常に有効である。こういう見地に立って今回派遣されたものである、こういうふうに承知しております。
  312. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 〇〇七のテレビを見て、非常におもしろいと思いました。あとは外務大臣と同じであります。
  313. 内藤功

    内藤功君 テレビでもはっきりそれが出ているはずであります。  十五カ国の軍隊という話が出ました。十五カ国の軍隊とは、どこの国であるか、日本は入るのか、入らないのか、この点を伺いたい。
  314. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 先ほどの国防報告の中に、十五カ国の軍隊という記述がございました。これはまあ国防報告の中の文章でございますから、私どもがこれを有権的に解釈するということはできないわけで、どこの国がそこに含まれておるかということは私どもは承知しておりません。ただ、文脈から見ますと、割合何といいますか、第三世界における国とか、アメリカがその軍事協力をいたしておるそういう国のことを指しておるんだろうと思います。  日本についての御質問がございましたけれども、日本に対する特殊部隊の配置は、これはこの三月に始まったばかりでございまして、まだ三十名ぐらいの程度しか来ておりませんから、日本との間でそういうような特殊部隊と日本の自衛隊との間の交流が行われておるということは、これはまだないわけでございます。まあ私どもは、想像いたしますけれども、日本は十五カ国の中には入っていないと思います。
  315. 内藤功

    内藤功君 これは重大な問題なんですね。十五カ国の中に日本が入るか入らないかというのは、非常に我々にとっては重要な問題であります。アメリカ政府あるいは軍部にこの日本が入るかどうかということを外務省は照会したのですか。今、思うという話ですが、照会したのかどうか、この点。
  316. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 照会はしておりません。
  317. 内藤功

    内藤功君 これは重大な問題ですよ。三月に配備されたと言うけれども、配備の発表が三月で、実際は二月のはずです。なぜこんな大事なことを照会しないのか。照会いたしませんでこれは済まないです。安倍さん、大臣いかがですか。大きな政治問題です。なぜこういうことを照会しないんですか。日本の運命にかかわることです。
  318. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 日本の運命にかかわるかどうか、そんなことではないと思いますが、まあアメリカの国防報告ですから、その中でアメリカがどういうふうに解釈しているのか、それは日本がこれに対してそう照会するほどの必要は私はないのじゃないかと。とにかくこの特殊部隊が日本に入ってくるわけですが、それはそれなりに少数精鋭の部隊として、日米安保条約に基づいて、条約上の枠の中で入ってくるわけでございますし、ですから我々はそういうことまで照会する必要は全然ないと考えております。
  319. 内藤功

    内藤功君 今回のグリーンベレーは第三国人の軍隊訓練の任務は持っていないということを先ほど外務省の局長が言いましたけれども、任務がない、そういう訓練は絶対やらないということを、この部隊の来日に際して米政府に照会したかしないか、この点も改めてお伺いしたい。
  320. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 先ほども答弁いたしましたように、私どもが安保条約第六条に基づいて米軍に提供しております施設区域において第三国人が訓練を受ける、訓練のためにその施設区域を使用するということは、これは安保条約上できないことでございますから、その点は先ほど読みました答弁佐藤総理大臣から松本議員に対して出された趣旨に、この中でもはっきり書いておりますように、アメリカ側はこれを十分承知しておるということでございますから、改めてそういう点を照会することはいたしませんでした。
  321. 内藤功

    内藤功君 これは核の問題と共通のやはり発想法なんですね。この部隊は、さっき私も言いましたように、ホンジュラスにおいて、それからかつてベトナムにおいて、またモロッコ、リベリア、エルサルバドル、あらゆる世界の地域において十五カ国の軍隊と一緒に行動し訓練をする、そういう部隊なんです。この部隊が日本にいるということは、これはアジアの緊張をさらに激化するし、また日本の自衛隊と連動した場合に、これは国際的な緊張をさらに高めるものだと、こういう重大な問題であります。  ですから、こういう大事なことを改めて照会する必要はあるのであります。もしその必要がない、これはもう簡単なことだというふうに考えておれば、これこそが非常に重大な問題だと思うんです。私は重ねて外務省に対してこの二つの問題、つまり十五カ国という中に日本が入るかどうか、さらに今回の部隊については国防報告でこのような記述があるのだけれども、一体これでよいのか、果たして本当に第三国の訓練をやっていないのかどうか、やらないのかどうかということを、改めて確認するよう求めるものであります。
  322. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 条約というものは、両国が誠意を持ってこれを遵守しなければならないわけであります。特に日米安保条約は、日本とアメリカがその条約の精神そして内容、これをきっちりと守っていくという上に成り立っておるわけでございますから、したがって条約上禁止されておることをアメリカ政府がやることはこれは絶対あり得ないわけでありますから、そういう点について今さら照会をする必要はないと私は思っております。
  323. 内藤功

    内藤功君 これは納得できません。あくまでこれは日本政府としてこの点をしっかり確認するということが私は必要だと思います。
  324. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今申し上げましたように、これは日米安保条約の、先ほどから局長が言いました意味において、できないことですから、第三国人を訓練する、教育するということはできない、そういう安保条約上の取り決めになっておるわけでございますから、これはアメリカが部隊を持ってきたといっても、そういうことをするはずがないことは今さらこれはもう条約上の建前からいきましても当然のことである、そういうふうに政府としては確信をいたしておりますし、そういう意味においてアメリカに照会をするまでもないことであろうと、こういうふうに考えるわけであります。
  325. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 吉川春子君の関連質疑を許します。吉川君。
  326. 吉川春子

    吉川春子君 外務大臣は、第三国人を教育しないと答弁されましたけれども、八三年六月十六日付のジャパンタイムズには、百名以上のグリーンベレー特殊部隊がエルサルバドル政府の軍隊に対ゲリラ作戦の集中教育学校を設立するためにホンジュラス東部の僻地に送り込まれるというふうに報道しております。このようにグリーンベレーは他国に対する内政干渉の謀略部隊であることは明白ですが、外務大臣、このことは御存じですか。
  327. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まあ外国のことは外国のことであろうと思いますけれども、日本においてそういうことはあり得ない、こういうことでございます。
  328. 吉川春子

    吉川春子君 こういうことも御存じなくてやっているということは無責任だと思います。日本共産党は、独自の調査で、陸上自衛隊に二部別班という謀略部隊がいることを追及しました。自衛隊には調査学校があります。ここで使われている参考資料の一つに「秘密戦機論」というのがあり、政治謀略の手口を教えています。それによりますとこう書いてあります。「「対手国の特定者の政治思想の変更又は射手国政治中枢に自国派の者又は自国の者を入れること」。そして第二段は、潜入させた者によって「自国の希望する政策、革命等に因り自国陣営の強化、射手国の崩壊、新国家の建設等を行うこと」」などと書かれています。この二部別班は、日常労務者風に変装して上野の山谷ドヤ街に潜り込んで生活するなどの訓練も行っていました。また、あの金大中事件にも関与した可能性があります。  アメリカのグリーンベレー特殊部隊との共同訓練とは、アメリカのこの部隊の持つテロリスト対抗作戦、心理作戦、直接行動、諜報任務や謀略活動の専門部隊の技術を自衛隊の部隊にも教育し、一層強化するというものではないですか。このような米特殊部隊と自衛隊との共同訓練は行うべきでないと思いますが、防衛庁長官、いかがですか。
  329. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) そういうことは私承知しておりませんけれども、ここで言われるのにはそれなりの側根拠があるだろうと思いますから、根拠を述べていただきたいと思います。
  330. 吉川春子

    吉川春子君 どっちが質問しているんですか。私が質問しているんです。
  331. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私は、今までの経過を知りませんので、政府委員から答弁させます。
  332. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 共同訓練についてお答えいたしますが、いろいろな機会にお答えしていますように、この部隊はまだ配置が始まったばかりで、私ども特段の計画があるとか検討しているというわけではございませんけれども、御案内のように、陸上自衛隊は自分の任務遂行に必要な教育訓練、そのために、それの練度向上に資するために米陸軍と年数回の共同訓練をやっておるわけです。したがいまして、先ほどのこの特殊部隊の任務にありますように、コンベンショナルな侵略、大きな侵略があった場合にそれを支援するということがございますから、共同訓練の中身としてそういったものが出てくるような場面があれば共同訓練をすることもあり得るだろうと私ども考えておる次第であります。
  333. 吉川春子

    吉川春子君 非常に防衛庁長官の御答弁は遺憾だと思いますし、こういう重大な問題ですので、強くこの際指摘しておきたいと思います。  このような諜報謀略特殊部隊の沖縄配備は、平和を願う沖縄県民の強い怒りを呼び起こしています。名護市議会は三月二十八日、全会一致で抗議決議を行い、グリーンベレー部隊は諜報。情報収集、対ゲリラ活動、テロ作戦など局地戦、奇襲作戦専門の部隊で、重大器などあらゆる兵器に精通する部隊で、反平和的と悪魔部隊ぶりを明らかにして、同部隊の配備は沖縄基地の拡大強化につながり、第二次世界大戦でとうとい犠牲と戦争の愚劣さを体験した県民に大きな衝撃と危機感を与えているというふうに指摘して、日米両政府と沖縄県に対し特殊部隊の沖縄再配備を即時中止するように求めておりますけれども総理、この決議を尊重すべきだと思いますが、いかがですか。
  334. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 決議は決議として承りますが、日米安保条約のもとに、おきまして、その枠内で行われていることであります。日本の防衛力には役立っていると思います。したがって、別に照会する必要はない。安保条約の枠内で行われていることを一々照会したら、これは照会で目もあらずという形になります。
  335. 内藤功

    内藤功君 まず、防衛庁長官、先ほどの御答弁の中で、根拠があるかと言われた。しかし、防衛庁長官はまず御答弁なさるべきであります。あれは、あなたよくお調べになってください。参議院予算委員会におきまして、我が党の上田耕一郎議員が総括質問でこの問題を取り上げて聞いたんですよ。それはどうですか。御存じでしょう。
  336. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 根拠は、ただいま政府委員からも話がありましたが、共同訓練ということはできるわけです、これは。そのこと自体はできるわけでございまして、共同訓練のできるということはそのとおりでございますが、現実に山谷でどうのこうのと、こういうことは私聞いておらなかったものですから、あなたはどういうことでそういう事実を言われるんですかと、その根拠をお示ししていただきたいと、こういうことでございます。だから、事実につきましては私は承知していなかったということでございます。
  337. 内藤功

    内藤功君 それならそう答えればよろしいので、吉川議員の質問の根拠はこの参議院予算委員会の上田質問と、もう一つこれを明らかにしました「影の軍隊」という本がありますよ。後で長官にお見せしますからよく読んでください。ここに全部日本共産党があらゆる知恵を尽くして調べたものが載っておるんです。だからあなたは、答弁しないで質問者に根拠を聞くなんて、そういうことはやっぱり軽々になさらない方がよろしいと思いますよ。いかがですか。
  338. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 今これで丁丁発止の議論をするつもりはございませんが、私の言う根拠というのは、そういう事実ですね、そういう事実を知らなかったものですから、その事実は一体どういう根拠ですかと、こう聞いたのであって、共同研究ができるということはこれはもうできるわけでございますから、その点についてもし誤解をしておったとするならば、それはそういうことで御理解をいただきたいと思います。
  339. 内藤功

    内藤功君 まだ言いたいのですが、このぐらいにしておきましょう。  総理に最後に御質問申し上げたいと思います。  私は、このグリーンベレーというのは、あなたも映画をごらんになっておわかりだということですけれども、諜報とか謀略とか破壊活動、直接行動、こういうもうありとあらゆる、外国の領土奥深く入って、いわば外国の内政、内戦に対して一つの物理的な力を加える部隊ですね。まあ軍隊にこういうのがあってもいいというならそれでいいですが、しかし第三国人に訓練を行うそういう部隊であり、またみずからもそういう行動をする部隊、これが平和主義、平和国家、総理は国際国家と言われておりますが、そういう平和主業を標榜する憲法のもとで、我が国においてこの配備を許すことができるかという問題であります。それは安保条約とか憲法とか自衛隊法とかの法律解釈論を私は言っているんじゃないですよ。政治として、こういうものを認めることがアジア諸国の緊張をさなきだに高めて、それからアジア諸国民に日本という国に対するいろんな疑惑を持たせるということにならぬか。私は政治家としての判断を求めているのであって、条約に反しないとか憲法に反しないとか、そういう次元の議論じゃない。この点でもう一回総理のお考えを伺いたいと思うのであります。
  340. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やっぱり近代防衛におきましてはインテリジェンスオペレーションというのは必要であり、日本の防衛に役立つと思っております。
  341. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 今の言葉の中に影の軍隊というのがございましたが、私は影の軍隊などというものはこれはなかなか大変だと思います。
  342. 内藤功

    内藤功君 それは本の名前ですよ。
  343. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) そういう意味合いで、そういう事実があるのかどうか、これは政府委員から答弁させます。
  344. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 先ほど先生御指摘のような、別班というような謀略を専門とする部隊というものは我が自衛隊にはございませんので、明確に申し上げておきます。
  345. 内藤功

    内藤功君 私はあくまでもこういう部隊の撤去、配備中止を要求して、質問を終わります。(拍手)
  346. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で内藤君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  347. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、柄谷道一君の質疑を行います。柄谷君。
  348. 柄谷道一

    柄谷道一君 国家の平和と安全を確保することが国政の大本であることは論をまたないと思います。この問題に関するまず総理の基本的な御所見をお伺いいたします。
  349. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり主権と独立、その国の文化を守り、そして福祉を向上させ、平和を守る、これが国政の中心課題ではないかと思っております。そのために、財政あるいは教育あるいは芸術、文化政策、スポーツ政策、あらゆる面において施策を振興すると同時に、地方自治の本旨に基づいて地方自治を振興するということも大事な要請であると思います。
  350. 柄谷道一

    柄谷道一君 戦争を未然に防止するその第一の要件は、平和戦略の展開であろう、第二は安保条約の有効な機能であろう、そして第三は専守防衛、非核三原則の原則に立つ防衛力の整備である、こう思いますが、いかがでございますか。
  351. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 同感でありますが、二と三は、どっちが先か後が、やはり自分で自分の国を守るという意識の方が先だろうと思います。
  352. 柄谷道一

    柄谷道一君 順番はまあ別として、防衛庁長官にお伺いいたしますが、その一つの戦争抑止力である防衛という問題は、あらゆる局面、可能性を想定して、これに対応する万全の策を確立することにあると、こう思いますが、長官見解を伺います。
  353. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) それは一般概念としてはそのとおりだと思います。ただ具体的には、我が国では防衛計画の大綱、それに基づいて現実的な対処をしておると、そういうことでございます。
  354. 柄谷道一

    柄谷道一君 その一つとしての有事立法の問題でございますが、五十三年九月二十一日に基本的見解長官から示され、既に七年目に入ろうといたしております。また、五十六年四月二十二日に中間報告が行われてから満二年を経過しようとしております。  まず防衛庁に、第一分類について、中間報告後どのような研究が進展しているのかお伺いします。
  355. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  第一分類につきましては、ただいま御指摘のように、五十六年四月二十二日に中間報告をいたしまして、十一項目の問題点の指摘を申し上げたわけでございます。そのうち何点か申し上げますと、例えば第七十条予備自衛官の招集でございますが、これは七十六条の防衛出勤下令後でなければ招集できないというのは不合理ではないか、七十七条の防衛出動待機命令で招集するという方向で問題点を検討すべきであろうという結論を得ております。第二点、九十五条というのがございますが、武器防護、これは二十九年にできた条文でございます。当時は、通信施設であるとかレーダー施設であるとか、あるいは武器を搭載しない輸送船等の存在がなかったものでございますから、これが防護対象になっておらない、これを加えること。さらには、待機中の部隊、これを防護することができるかどうか。人という言葉は入っておるのでございますが、これは警備兵の意味ではないかというようなことがございまして、この点についても要検討。  その他、十二項目について検討を要するという御報告を申し上げましたが、その後は外国の法制等の調査、あるいは第二分類の各省庁との調整、この段階に入っておりまして、現時点におきましては第一分類は一応研究はほぼ終了したという形で、その状態のままでございます。
  356. 柄谷道一

    柄谷道一君 防衛庁以外の省庁に属する第二分類の研究、進展状況を御説明願いたい。
  357. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  第二分類につきましては、五十七年の夏ごろから各省庁約十省庁にわたりまして、項目については約七十項目、法令の数で約五十でございますが、防衛庁所管以外の法令に関し、防衛出動時の自衛隊が自衛隊法に定められた任務を遂行する上で問題になりそうな点についての有権解釈等を求めて、今日まで各省庁との調整をいたしてまいりました。昨年暮れに柄谷先生の内閣委員会での御質問に対してお答えを申し上げました段階では、その回答率は約三〇%程度であると、こういうことでおしかりを受けた経緯がございますが、その後、各省庁の理解と御協力が高まりまして、現時点七十項目のうちの約五十項目、七〇%程度の回答を得、なお残りの問題につきましても御回答をいただくべく交渉中でございます。
  358. 柄谷道一

    柄谷道一君 検討中という回答も回答でございます。その七〇%というのは法制に直ちに入り得る中身を含むものかどうか、御答弁願います。
  359. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  七十項目のうち、ある程度問題解決に前向きに役に立ったものもございますが、現行の法令で解釈をいたしまする限り、その問題は難しいと、こういう消極的な回答を含めまして七〇%の回答でございます。
  360. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、この内容について本来であれば各省庁に質問をいたしたいところでございますが、本日は時間的制約もございます。改めまして防衛庁に、各省庁に具体的にどのような五十の法律について検討を依頼しておるのか、また各省庁がこれに対してどのような回答をしておるのか、私として別途資料の提出を求めまして、その結果に基づき、時間をかけて別の機会にこの問題は質問をいたしたい。  そこで総理に申し上げますが、第一分類はおおむね研究は終わったが、第二分類はやっと重い腰を上げたというのが実態であろうと思うんです。第三分類はほとんど手つかずというのが現状であろうと思います。私は、シビリアンコントロールという立場から、仮に不幸にして有事を迎えたという場合、法規がないわけですから超法規的な対応しかできない。これはシビリアンコントロールからするとゆゆしき問題でございます。国民の財産、権利を守る上においても大きな問題が生じます。これは一防衛庁の問題ではなくて内閣自体が真剣に取り組むべき問題であると思いますが、総理として、これをいつごろを目途に研究を完了させようとしておるのか、お伺いします。
  361. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 柄谷さんのお考えには私も同感でございます。防衛庁を中心にして今まで努力さしてまいりましたが、第三分類等につきましては、内閣全体の問題でもございますから、至急これを督促させるようにいたしたいと思って、できるだけ早くこれを進めるようにいたしたいと思います。
  362. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間が短いので、最後は一般質問の際に伺いたいと思いますが、総理に若干基本的問題についてお伺いいたします。  イギリスのジェーン海軍年鑑五十八年版、これには、「戦争において最も考えられるソ連の行動進路は相当数の陸上部隊が北海道の北部を占領し、海峡を確保して海軍展開への相応の援護をすることであろう」と、このような分析をいたしております。また、日本研究のために日本の防研に派遣されましたリットン・ウェルズ・ジュニア海軍中佐、これは新防衛論集一月号の論文の中で、「ソ連は宗谷海峡の両側をコントロールするため稚内方面に対しヘリコプターによる急襲を行う可能性があり、またオホーツク海の南部海峡を確保するための飛行場を獲得するため北海道の東北部を占領する可能性もある」、こう述べているわけでございます。  総理の訪米以来シーレーンの重要性が論議されておりますが、これらの軍事専門家の指摘は、シーレーンにおいて脅威が発生するときは、同時にまた北海道も脅威が生じ、海上航路帯の防衛と北海道防衛は同一時点で配慮する必要があろうという指摘であろうと、こう思います。この指摘に対する総理の受けとめ方及び所見をお伺いいたしたい。
  363. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 我が国は特定の国を仮想敵として考えることはやっておりません。ただ、シーレーンが危殆に瀕するとか、あるいは日本が侵略されるというそういう危機が迫ってくるというような場合、あるいは侵略された場合等に備えでいろいろな防衛上の諸般の政策を講じ、また訓練もやっておるわけでございます。その中に北海道も非常に重要な地点として考えられておるわけであります。これは現在の国際情勢一般、アジアの情勢一般等を考えてみて、訓練あるいは作戦上のいろいろな観点から見まして、そういうように考えてやっておるところでございます。
  364. 柄谷道一

    柄谷道一君 同時並行的に考慮しなければならぬということについては同感でございますか。
  365. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これはシーレーンが脅かされる、そういういわゆる有事の場合には、単に北海道のみならず、あるいは日本周辺の島嶼あるいは半島、そういうところにいつ何が起こるかわからぬ、そういう厳重なる警戒を要する段階に入ってくるだろうと思います。
  366. 柄谷道一

    柄谷道一君 国会においては戦域核の問題が議論されておりますが、ソ連極東軍の戦術核の配備について防衛庁の現状把握の現状をお伺いします。
  367. 古川清

    政府委員(古川清君) お答え申し上げます。  戦術核の定義というものは必ずしも国際的に明確に確立は実はしておらないところでございますけれども、一般論的に申し上げまして、接触戦的な様相の濃い戦場において、ある一定の局限された戦場の場所において使われる相手国の部隊あるいは相手国の部隊を支援する設備等々に対する攻撃に使用される核ということが一応の定義として私言えるかと思います。これに該当するものといたしましては核爆弾であるとか、飛行機、支援戦闘機等から投下する爆弾、あるいは核砲弾、りゅう弾砲とか、そういった口径の割合と広い大きい砲弾でございまして、こういった砲弾、あるいは核地雷、こういったものが当然戦術核に当たるかと思いますけれども、ソ連の場合におきましてはどの程度戦術核を持っているか、また極東のソ連軍のどの部隊がどの程度の戦術核を実際に保有しているか、いかなる管理をしておるかということにつきましては必ずしも明確でございませんで、私ども実はソ連がかような戦術核の兵器を持っていることはほぼ間違いないと思っておりますけれども、その詳細は十分把握していないところでございます。
  368. 柄谷道一

    柄谷道一君 戦術核を装備していることはほぼ間違いがない。不幸にして有事に例えば北海道等で陸上戦闘が行われる場合、戦術核の使用という問題は可能性絶無と言い得ません。これに対して対応する総理の御所見をお伺いしたい。
  369. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本に侵略があって、日本の領域の中におきまして、もし万一、仮にも戦術核というようなものが不幸にして使用されるという場合がありましたら、そういう場合においても我々は通常兵力、通常兵器をもちまして断固としてそのもとを撃砕すると、そういう脅威をなくすということをやるのは当たり前のことであろうと思います。
  370. 柄谷道一

    柄谷道一君 我が国は戦術核を持っていないんですから、通常兵器で反撃するしか道はありません。しかし、そういう場合は安保条約の発動がございます。戦術核に対して米軍が有事にその持ち込みの協議を行ってきた場合、我が国はどのような対応をするのでありますか。
  371. 北村汎

    政府委員(北村汎君) ただいま委員が想定なさいました仮定の問題について議論をいたしますことは、非常にいろいろな事態考えられるわけでございまして、これは差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、我が国に対する武力攻撃というもの、そもそもそういうものを生じせしめないために抑止力が必要であると、こういうことで、私どもは安保条約の抑止力というものに依存しておるわけでございます。政府がこれまでたびたび国会で御答弁しておりますように、いかなる場合におきましても核の持ち込みというものに対しては政府はこれを拒否する方針でございます。
  372. 柄谷道一

    柄谷道一君 平時事前協議、いかなる場合もノーと、これは総理がたびたびお答えになっております。有事の場合、この問題については国益及び状況に応じ、その協議の中で判断をするというお考えはないのですか。私はこの非核三原則というものが、直接軍事侵略という非常事態まで想定した原則であるのかどうか、この点をくどいようですがお伺いします。
  373. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはもう平時、有事を問わず日本は非核三原則を厳守するというのが日本の基本的な姿勢であります。
  374. 柄谷道一

    柄谷道一君 石油コンビナートが火事になった、有事ですな。このときに普通消防車だけで消せと、それで米軍は来援いたしますか。
  375. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういうような場合には、自分の力で消せると思います。
  376. 柄谷道一

    柄谷道一君 戦術核使用による核汚染地域に自衛隊は裸で飛び込めと、こういうことですか。
  377. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今の話は石油コンビナートの話でありましたから消せると申し上げたのであります。  我々は、ともかく非核三原則を基本的に守って、それに徹していくと、そういう考えに立っておるのであります。
  378. 柄谷道一

    柄谷道一君 有事の場合もノーと言うのであれば、事前協議ということは無意味じゃありませんか。
  379. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これも安保条約で事前協議条項というのが両国間で合意されておりますし、そして日本は非核三原則というものをいわば国是としてこれを持っておる、そしてこれはあくまでも有事であろうと平時であろうとこの日本の非核三原則は貫いていく、こういう日本の基本的な姿勢でございますから、そうした見地に立って、たとえ有事の際といえども核の持ち込みに対してはもちろん日本はノーであると、こういうことであります。
  380. 柄谷道一

    柄谷道一君 この問題についてはただいまの政府答弁は余りにも形式的だと思いますが、時間がございませんので改めて一般質問等で深く議論をし合いたいと思います。  そこで、厚生大臣にお伺いいたしますが、昭和四十八年の政管健保累積赤字、これは当時七十一国会で一般財源をもって償還する、保険料の値上げをもって償還することはないと、こういう確認のもとに法改正が行われました。今回の日雇い健保約七千億円と考えますが、この累積赤字の処理も健保の処理と同様の方針を堅持するのかどうか、このことに対して厚生大臣にお伺いしますと同時に、大蔵大臣の保証を求めまして、質問を終わります。
  381. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 大変御心配をいただいてありがとうございます。  これは国費を導入することによって解決するという道が開かれておりますので、これは堅持してまいりたいと思いますが、ただ、今財政状態が非常に厳しい条件の中で予定どおり入ってこない状態でありますけれども、これは決して皆さんに御迷惑をおかけすることのないように大蔵省に強く折衝してまいりたいと思います。
  382. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 従前の日雇い労働者健康保険事業に係る累積債務につきましては、引き続き借り入れができることとして、そしてその償還の財源に充てるため一般会計から繰り入れができることといたしますとともに、現実、今御審議いただいております五十九年度におきましては、利子の二分の一相当額、これの繰り入れを行うということを今予定をしておるわけであります。
  383. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で柄谷君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  384. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、青木茂君の質疑を行います。青木君。
  385. 青木茂

    青木茂君 内政問題につきましてまず総理にお伺いを申し上げたいんですけれども総理はこの前明確に大型間接税の導入を否定なさいましたね。これで言われておりますところの多段階課税は消えたというふうに私ども非常にすっきりと理解したわけでございますけれども総理の頭の中に、単段階の、単段階でも広くこれは物品をとれば大型と言えないことはございませんから、単段階の間接税が大型の中に入るか入らないか、この点いかがでございましょうか。
  386. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が申し上げましたのは、流通の各段階において投網をかけるように網羅的に税金を取る、そういうようなものを大型間接税と考えておりますと、こう申し上げました。そういう意味であります。  単段階と申しますのはどういう意味でございますか。
  387. 青木茂

    青木茂君 例えば小売なら小売の段階、卸なら卸の段階、メーカーならメーカーの段階を横に広げる場合です。総理のはこう縦ですね。
  388. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 小売とか卸とかといういろいろな段階でも、みんなそれは多段階になるんじゃないでしょうか。横切りに、大根を横に一本切るように切れるものじゃないと思うんですね。そういう意味で、専門的、技術的にそれは解明を要する部分がかなりあると思います。
  389. 青木茂

    青木茂君 多段階と単段階は、もうすでにこれは常識語になっておるわけですから、この前の税調の木下先生の公述でもそういうお話があったわけですから。それでは大蔵大臣いかがでしょうか。
  390. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、物品税、単段階課税、現実あるわけでございます。だから、単段階のものは現存しているという認識です。
  391. 青木茂

    青木茂君 その単段階課税、物品税ですね、それを非常に広げた場合、総理が否定なさった大型間接税の中に入るか入らないか、こういうことです。
  392. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはそのときの観念の問題だと思いますけれども、現実問題としては。が、今、便益性等に着目して物品税の対象として検討しなさいと。これは私はそれなりに、物品税の持つ性格が徐々に変わりつつある現段階において、その検討は必要だと思います。ただそれが、されば、なくなるものもありましょう、あるいはプラスされるものもありましょう。しかしどこまでが大型かということになりますと、それはその時点で議論すべきものじゃないかなと、こう思います。
  393. 青木茂

    青木茂君 それでは、総理のおっしゃいますところの大型間接税というのは、メーカーから消費に至るまでの各段階にいわば投網のようにかけるものに限定をする、こういうことですね。
  394. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一応そういうふうに考えておりました。しかし、いろいろな議論が出てくる場合には、それに応じてまた検討を加えてみたいと思います。
  395. 青木茂

    青木茂君 大型間接税の定義はわかりました。  それで、もう一つ申し上げたいんですけれども、どうも政治というのがぎすぎすして、丁々発止も結構なんですけれども、税という世界の中でいきな計らいというようなものが出ないだろうか。つまり、例えばドイツにありますところのクリスマス控除なんというのも一つのいきな計らいでございましょうし、あるいはドイツで、単身赴任の者が家へ帰りまして精神的、物理的に夫婦であることを確認する費用は必要経費になっているというようなものもいきな計らいの一つだと思います。  そういう意味で一つ御提案申し上げたいんですけれども、これはサラリーマンであろうと農業であろうと自営業者であろうと、三十年以上も働いて五十五か六十になったときに、国が御苦労さんでしたという意思表示として、その年、一生一度だけ所得税と住民税をひとつただにするというような、税におけるヒューマニズムですね、そういうようなものをお考えいただく余地はございませんでしょうか。
  396. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはやっぱり税というものは、窮屈な話をすれば、憲法に定められた義務がら発生して、そうするとそこに不公平感がないように、そこで一つは税制そのものに対する学説がまたある、それらすべて議論をして、そこで国民の理解を求めながら今日に至っておると、こういうことでございます。記念宝くじみたいな感じで税を議論することはなかなかこれは難しい問題だと思います。  しかし、今おっしゃったような議論国会等でどんどん議論されて、まさにこれが世論となる、まあなかなか難しいと思いますけれども、それはそういうときに考えられるかもしれないが、しかし税といきな計らいというのは非常に整合性の難しい課題ではないかと思います。
  397. 青木茂

    青木茂君 これをやっていただくと中曽根内閣の支持率は七〇%ぐらいになるんじゃないかと思いますけれどもね。  まあそれはともかく、そこで今度は憲法と税理論の問題で御質疑を申し上げたいんですけれども、いわゆる人約三控除、これが二十九万円からようやくにして三十三万円になりつつある。これは二十九万円レベルでも結構ですし三十三万円レベルでも結構ですけれども、一体こういう金額ですね、端数の出た金額ですから、ラウンドナンバーじゃないんだから、その学問的根拠があるはずなんですね。その根拠についてちょっと御説明をいただきたいんですけれども
  398. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) お答え申し上げます。  今、委員が御指摘になりましたように、今回の所得税法の改正で基礎的人的控除三控除につきましてそれぞれ四万円引き上げるということを御提案申し上げているわけでございます。御案内のとおり、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、それぞれ人的控除といたしまして、特に給与所得者の場合はこれに給与所得控除が加わりまして課税最低限を構成する、それに累進構造の税率構造で究極的な税負担が所得税の場合は決まるわけでございますので、所得税の議論をいたします場合に一つの控除だけの水準を切り離して議論をするということはむしろ適当ではございませんで、そういった総合的な組み合わせのいろいろな組み合わせをやった結果、今回の場合二十九万円が三十三万円の引き上げが妥当な水準でおるという結論に達したわけでございます。  その結果、前回の課税最低限の引き上げが行われました五十二年当時の給与所得者の課税最低限二百一万五千円、これが今回二百三十五万七千円になるわけでございますが、税引き後の収入額で対比いたしますと、この間の名目物価の上昇にほぼ見合う、そういう水準で総合的な観点の中で決定したものでございまして、この控除一つだけを取り上げてこれを何%上げるというふうな議論過程を経てできたものではないわけでございます。
  399. 青木茂

    青木茂君 しかし、そうするとこれは漠然と上げちゃったということになって、理論的根拠がなくて、今大蔵大臣がおっしゃいましたように、税法というものは理論的なものに基づいてやらなければいけないんだと、こういう御答弁ですね。しかし人的控除というのは所得税の根幹ですから、それを引き上げるのに総合的妥当と思われる、妥当と思われるというのは徴税当局が妥当と思われるのであって、なぜ妥当なのかということを伺っておるわけですね。
  400. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) これはただいま申し上げたとおりでございまして、税制調査会の昨年の秋の答申でも、今回の所得税の見直しに当たりまして前回、つまり昭和五十三年以降ということになりますが、その間の物価あるいは所得の変化の状況等総合的に勘案して検討すべきものであるということでございます。したがいまして、個々の控除額の引き上げ幅じゃなくて課税最低限の水準、先ほど私が申し上げましたのは税引き後の収入額がほぼこの期間の物価水準に見合うというふうなところをねらいながら、この額が結果として決まってきたということでございまして、繰り返して恐縮でございますけれども、人的控除の控除一つを取り上げまして、二十九万円から三十三万円にするにはどういうパーセンテージで引き上げるのがいいかという思考過程をたどったものではないということを御理解願いたいと思うわけであります。
  401. 青木茂

    青木茂君 課税最低限を決める場合、蒸し返しになりますけれども、事業所得者の場合は必要経費は入れていない。そして給与所得者の場合は給与所得控除を必要経費だ、必要経費だとおっしゃりながら課税最低限の中に入れている、こういう矛盾があるからあえて課税最低限から人的控除を持ってくるのじゃなしに、人的控除から積み上げて我々が税金をかけてはいけない収入の限度、所得限度というものを問題にしたいわけなんです。そうしますと人的控除、扶養控除、基礎控除、配偶者控除、これは最低生活費非課税の原則に基づいてでき上がったものではないんでしょうか。
  402. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 課税最低限をどういう水準で画するかというのはいろいろ議論があるわけでございまして、我が国の税制も、戦後税制調査会の議論の過程も、我が国の所得水準なり経済あるいは財政事情の変化に伴いましてそれぞれ移り変わりを見せておるわけでございます。三十年当時はなるほど課税最低限と最低生活費というものをかなり結びつけて、これを目安として議論をされたわけでございますが、四十年代以降は、むしろ最近時点におきます税制調査会の議論では、課税最低限というのは理論的な意味での最低生活費と、いわば標準的な生活費の間のどこかに来るものであるけれども、それが計量的に決められるものではない。結局は、それはそのときどきの物価の状況とかあるいは財政の事情等を見ながら、そのときどきの租税政策で決められていくべきものであるというふうに考えられておるわけでございます。
  403. 青木茂

    青木茂君 あいまいであってはいけない税法が、そこのところがあいまいなんですよ。  それでは、大蔵省関係の方がお書きになった実務書をひとつ全部検討していただきたいと思います。それには私が入手しているもので見ましても、基礎控除であるとかいわゆる人約三控除ですね、それは最低生活費免税の思想に立脚しているものだというふうに明確にあるわけですよ。これは大蔵関係の、あるいは大蔵御出身の方のお書きになった本ですよ。だから明らかに三控除をつくったということは、最低生活費非課税の原則、それでなければ基礎だとか扶養だとか配偶者を分ける意味がないわけですから、もう一度御答弁お願いしたいと思います。
  404. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 基礎的人的控除と最低生活費との関係につきましてはいろいろ議論の変遷がございます。現時点におきましては、私先ほど申し上げましたとおり、最近時点におきましては三控除をもって課税最低限、最低生活費というふうなかっこうではお示しをしていないわけでございます。つまり、我が国の場合、納税者の九割以上は給与所得者でございますから、給与得所者の課税最低限、しかも我が国の場合は概算控除ということで非常に客観的な控除体系を持っておりますので、そういったもので物差しをお示ししておるわけでございます。事業所得者につきまして三控除プラス社会保険料の課税最低限ということが議論としてかって行われたこともございますけれども、これは事業所得者の場合は専従者控除とかあるいは青色を選択している場合とか、家族がどれだけ所得控除を受けているかということによりまして態様がまちまちでございます。したがいまして、そもそもそういったものについて想定的なものであるとはいえ、課税最低限の議論をするのほかえって議論の混乱を招くというのが私どもの現在の立場でございます。
  405. 青木茂

    青木茂君 そうすると、日本の所得税法の中には最低生活費非課税の原則は生きているんですか、もうなくなっているんですか。
  406. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 所得の基礎的な非課税とされる部分、これは最低生活費に食い込むということは好ましくないというのは、従来から基本的な所得税に対する考え方として貫かれておるわけであります。
  407. 青木茂

    青木茂君 生きておるわけですね。  そういたしますと、この人約三控除、その中に最低生活費の部分がどれだけあって、そうでない部分がどれだけあるかの議論はさておきまして、三十三万円という金額を仮に想定しても、これを十二で割ったら二万七千五百円、これ全部最低生活費だとしても食費すらカバーできない。そういうようなものが果たして理論的と言えるかどうか。そんな年三十三万円で扶養できるような安上がりの嫁さんなんてありっこないんですから、そういう意味において私は、この問題について税法は理論を吹っ飛ばしちゃっているという不満はどうしても絶えないんですけれども、どうでしょうか。
  408. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 先ほど来私が申し上げておりますことは、人約三控除を足したものが最低生活費であるというふうなことで議論すべきものではないということを申し上げておるわけであります。
  409. 青木茂

    青木茂君 それでは、税務当局にお願いを申し上げておきます。現在言われている課税最低限と最低生活費との関係を早急にひとつ御提出願いたいということでございます。これはよろしゅうございますね。
  410. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 課税最低限と申しますのは、先ほど申し上げておりますように給与所得者の収入のうち所得税が課せられない部分という定義をいただきまして、それと各種の生活費、例えば生活保護基準との対比とかということでの資料なら御提出申し上げられると思います。
  411. 青木茂

    青木茂君 私が申し上げているのは、課税最低限と言われるものの中に生活費部分がどれだけ含まれているか、どういう計算で最低生活費というものを把握なされているかという理論的根拠なんです。よろしゅうございますね。  時間がございませんから、二つの判例だけ申し上げて終わりにいたします。  一つは、昭和四十二年五月二十四日、いわゆる朝日訴訟と言われるものでございます。これは憲法二十五条の計量的基準として、つまり健康で文化的な最低生活の保障ですね、憲法二十五条の計量的基準として生活保護法による生活保護基準を挙げている、これとの関連が問題。
  412. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 青木君、時間ですから簡潔にお願いします。
  413. 青木茂

    青木茂君 五十五年三月二十五日、課税最低限が現実の生活条件を無視したことが一見して明白なほど低額である場合には違憲の問題が生じると、憲法違反の疑いがあると、こういうことでございます。
  414. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で青木君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  415. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、野末陳平君の質疑を行います。野末君。
  416. 野末陳平

    野末陳平君 私も税金関係ですが、一問目だけは総理に必ずお答えいただきたいと思いまして、宗教法人への課税ですけれども、これは甘いと思いますね。特に、収益事業における方の優遇ですけれども、これは一般の民間企業に比べまして余りにも優遇が過ぎると思います。これは常識的にそう言えると思うんです。そこで、この税率が一七%も開いておりますし、それから寄附金の損金算入への特典もありますしね。ですから、宗教法人の収益事業にかかる所得税率、これはもう今や時代的役割を終えまして不公平の典型になってきていると思いますね。ですから、宗教法人というものが収益事業を行う場合に、民間に比べて非常に競争面でも有利な条件がありますし、むしろ民間を脅かすような面すらありますから、そこでこの際競争の公平のために、それから同時に、世に言われるいろいろ不公平という面、租税特別措置などの不公平はかなり是正されましたから、そうすると残ってくるものはかなり絞られできます。そこで、この宗教法人の収益事業にかかる所得税率の優遇をこの際もう普通法人並みに落とすべきだというふうに考えまして、大胆なる課税強化の方向を打ち出してほしい、そう思いますけれども総理にお答え願います。
  417. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 宗教法人は公益法人で、公益法人についてはたしか二五%、一般法人が四二%ですか、これはやっぱり公益性というものにかんがみて、そういう収益部分について課税しているんであるだろうと思います。確かに、野末さん言われるような御議論が最近かなり高まりつつあります。それは、場所によってはパーキングをやったり、あるいは結婚式場をやったり、そういうようなもので民業を圧迫するという声が出てきつつあるからだろうと思います。これはしかし一面におきましては、我々は宗教を非常に尊重するという気持ちもあり、かつ公益性を持っているということでやっているわけでありますが、その点はやはり我々は宗教というものを大事にしていかなければならぬと思っております。しかし、そのような最近の世論等にかんがみて、国税庁も収益性のある仕事をどういうふうに認定していくかと、そういう事実上の行為においてかなり最近は力を入れてやってきているのではないかと思いますし、それは正しいことであると、そのように思っております。野末さんがしかしそういうふうにおっしゃった世論があるということはよく頭に置いてまいりたいと思います。
  418. 野末陳平

    野末陳平君 収益事業の幅の問題だけでなくして、いわゆる公益性をここまで優遇していいのかという問題ですから、その意味の課税強化をお願いしておきます。  そこで、また宗教法人といえども、今度は地方税におきまして固定資産税の優遇がありますが、これはやはり受益者負担の原則からいっても地元にただ乗りして宗教活動をする、これはこれでいいだろうけれども、非収益面においての優遇が十分あり過ぎるわけですから。となると、この一般レベルで固定資産税の方も納めていただくという方向を打ち出すべきだと、この優遇は抑えるべきだと、こう思います、自治大臣
  419. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 宗教法人に対する固定資産税は、それが専ら用に供せられているものはもう大分前から非課税になっております。しかし、今御指摘のように収益事業になっている、つまり専ら宗教の用に供していないと見られる、そういうようなものについては、例えばお寺さんが駐車場に利用して料金を取っているとか、あるいは旅館の宿泊と類似をしている、そういうようなものに対してはもう既に固定資産税としてこれを課税しているわけでございます。  今、御指摘のように、宗教法人に対して甘いという声ももちろん私ども聞いております。できるだけ厳格に、正確に課税をしていくことに努力をしてまいります。専ら用に供するそのもの自体に対して、境内地であるとか境内地建物であるとかというような、そのものに対する固定資産税については、今私どもで即刻これを課税するとかしないとかということは申し上げる段階ではございませんで、これはほかの税とのバランスもあり、全体の非課税処置として税制調査会のお力も煩わして決めなければならない問題であると思っております。
  420. 野末陳平

    野末陳平君 私が言いたかったのは、専ら用に供している宗教活動にかかわる関係施設の解釈の幅を広くとられ過ぎて現実には固定資産税の優遇を受けている、その面を指摘したので、検討をしていただきたいと思います。  それから、同じ公益法人の中の学校法人なんですが、これも今や昔と時代が違ってまいりまして、特にこの学校法人の中の大きい予備校とか壁とか、いわゆる新興教育産業ですね。こういうものが莫大な授業料収入が非収益事業として課税を免れているとなると、丸もうけで、非常に笑いがとまらないくらいに現実はなっておりますね。ですから、いわゆる時代の推移とともにあらわれたこういう大型化した予備校や塾なども今のままで果たしていいのか。教育とか学校というものに名をかりた一種の産業なんですから、ここら辺はやはり課税の方向を打ち出すのが当然であると、こう思っておりますが、これは大蔵大臣、検討なさいますか。
  421. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 一般論として、いわゆる公益法人、学校法人も公益法人の一つでありますが、これの答申はたびたび議論しておりますようにちょうだいしております。そういう方向で一方検討すると同時に、今のような、この国会である種の世論を背景にしてそういう意見が出たわけでございますから、当然のこととして検討すべき課題だというふうに認識すべきであると考えます。
  422. 野末陳平

    野末陳平君 最後に総理お願いしますが、やはりこの不公平という言葉は非常に耳に快いんですけれども、しかしその中身が余りにも違うので、何でも不公平を正せと、あるいは税は不公平だからということばかりでは、いつまでたっても不公平感というものがなくならないわけです。だけども、現実には不公平税制と、もう皆、口を開けば言います。そこで最後に、総理認識では不公平税制とは何でしょう。何と何があと残った不公平税制か、それだけをお聞きして終わりにしたいと思います。
  423. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本人の、特に税金を納めている人々のバランス感覚に反するような税制を不公平税制と思います。
  424. 西村尚治

    委員長西村尚治君) これで野末君の質疑は終了いたしました。  以上で質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。     ―――――――――――――
  425. 西村尚治

    委員長西村尚治君) それでは、これより暫定予算三案に対する討論に入ります。  別に討論の通告はございませんので、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  昭和五十九年度一般会計暫定予算昭和五十九年度特別会計暫定予算昭和五十九年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  426. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 多数と認めます。よって、三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  427. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十分散会      ―――――・―――――