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1984-03-24 第101回国会 参議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二十四日(土曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員の異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      杉元 恒雄君     成相 善十君      真鍋 賢二君     工藤砂美君      沢田 一精君     山東 昭子君      久保  亘君     粕谷 照美君      安武 洋子君     神谷信之助君      関  嘉彦君     柳澤 錬造君      喜屋武眞榮朴     青木  茂君      野末 陳平君     宇都宮徳馬君  三月二十四日     辞任         補欠選任      長田 裕一君     吉村 眞事君      宮島  滉君     浦田  勝君      内藤  健君     山本 富雄君      増岡 康治君     下条進一郎君      鈴木 一弘君     太田 淳夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西村 尚治君     理 事                 金丸 三郎君                 亀井 久興君                 初村滝一郎君                 藤井 裕久君                 村上 正邦君                 和田 静夫君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 伊藤 郁男君     委 員                 安孫子藤吉君                 浦田  勝君                 海江田鶴造君                 梶原  清君                 工藤砂美君                 古賀雷四郎君                 山東 昭子君                 志村 哲良君                 下条進一郎君                 杉山 令肇君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 竹内  潔君                 成相 善十君                 鳩山威一郎君                 宮澤  弘君                 山本 富雄君                 吉村 真事君                 糸久八重子君                 粕谷 照美君                 佐藤 三吾君                 志苫  裕君                 瀬谷 英行君                 高杉 廸忠君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 塩出 啓典君                 中野 鉄造君                 和田 教美君                 神谷信之助君                 柳澤 錬造君                 青木  茂君    国務大臣        法 務 大 臣  住  栄作君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        文 部 大 臣  森  喜朗君        厚 生 大 臣  渡部 恒三君        農林水産大臣   山村新治郎君        通商産業大臣  小此木彦三郎君        運 輸 大 臣  細田 吉藏君        郵 政 大 臣  奥田 敬和君        労 働 大 臣  坂本三十次君        建 設 大 臣  水野  清君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    田川 誠一君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖縄開発庁長        官)       中西 一郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       後藤田正晴君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       河本 敏夫君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       岩動 道行君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上田  稔君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長        兼内閣総理大臣        官房審議室長   禿河 徹映君        内閣審議官    手塚 康夫君        内閣法制局長官  茂串  俊君        内閣法制局第一        部長       前田 正道君        内閣総理大臣官        房会計課長        兼内閣参事官   渡辺  尚君        臨時行政改革推        進審議会事務局        次長       山本 貞雄君        警察庁長官官房        長        太田 壽郎君        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        行政管理庁長官        官房総務審議官  古橋源六郎君        行政管理庁長官        官房審議官    佐々木晴夫君        行政管理庁長官        官房会計課長   前山  勇君        行政管理庁行政        管理局長     門田 英郎君        北海道開発庁総        務監理官     楢崎 泰昌君        北海道開発庁予        算課長      平岡 哲也君        防衛庁参事官   西廣 整輝君        防衛庁長官官房        長        佐々 淳行君        防衛庁防衛局長  矢崎 新二君        防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君        防衛施設庁長官  塩田  章君        防衛施設庁総務        部長       梅岡  弘君        経済企画庁長官        官房会計課長   遠山 仁人君        経済企画庁調整        局長       谷村 昭一君        経済企画庁国民        生活局長     及川 昭伍君        経済企画庁物価        局長       赤羽 隆夫君        経済企画庁総合        計画局長     大竹 宏繁君        経済企画庁調査        局長       廣江 運弘君        科学技術庁長官        官房長      安田 佳三君        科学技術庁長官        官房会計課長   窪田  富君        科学技術庁計画        局長       赤羽 信久君        環境庁長官官房        長        加藤 陸美君        環境庁長官官房        会計課長     廣重 博一君        沖縄開発庁総務        局長       関  通彰君        沖縄開発庁総務        局会計課長    大岩  武君        国土庁長官官房        会計課長     安達 五郎君        法務大臣官房長  根岸 重治君        法務大臣官房会        計課長      村田  恒君        法務省刑事局長  筧  榮一君        外務大臣官房長  枝村 純郎君        大蔵大臣官房会        計課長      渡邊 敬之君        大蔵大臣官房審        議官       田中 泰助君        大蔵省主計局長  山口 光秀君        大蔵省主税局長  梅澤 節男君        大蔵省証券局長  佐藤  徹君        大蔵省銀行局長  宮本 保孝君        国税庁次長    岸田 俊輔君        国税庁税部長  渡辺 幸則君        国税庁調査査察        部長       冨尾 一郎君        文部大臣官房長  西崎 清久君        文部大臣官房審        議官       齊藤 尚夫君        文部大臣官房会        計課長      國分 正明君        文部省初等中等        教育局長     高石 邦男君        文部省大学局長  宮地 貫一君        文部省学術国際        局長       大崎  仁君        文部省体育局長  古村 澄一君        文部省管理局長  阿部 充夫君        厚生大臣官房総        務審議官     小林 功典君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   古賀 章介君        厚生大臣官房会        計課長      黒木 武弘君        厚生省医務局長  吉崎 正義君        厚生省社会局長  持永 和見君        社会保険庁長官        官房審議官    小島 弘仲君        社会保険庁年金        保険部長        兼内閣審議官   朝本 信明君        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        水産庁長官    渡邉 文雄君        通商産業大臣官        房審議官     棚橋 祐治君        通商産業大臣官        房審議官     山田 勝久君        通商産業大臣官        房会計課長    山本 雅司君        通商産業省貿易        局長       杉山  弘君        運輸大臣官房長  松井 和治君        郵政大臣官房長  奥山 雄材君        郵政大臣官房経        理部長      高橋 幸男君        労働大臣官房長  小粥 義朗君        労働大臣官房会        計課長      若林 之矩君        労働省労働基準        局長       望月 三郎君        労働省職業安定        局長       加藤  孝君        建設大臣官房長  豊蔵  一君        建設大臣官房会        計課長      牧野  徹君        建設省計画局長  台   健君        自治大臣官房長  矢野浩一郎君        自治省行政局選        挙部長      岩田  脩君        自治省財政局長  石原 信雄君        自治省税務局長  関根 則之君        消防庁長官    砂子田 隆君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十九年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十九年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 予算委員会を開会いたします。  昭和五十九年度一般会計予算昭和五十九年度特別会計予算昭和五十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、お手元の質疑通告表のとおり、経済財政金融教育に関する集中審議を行います。  それでは、これより杉山令肇君の質疑を行います。杉山君。
  3. 杉山令肇

    杉山令肇君 私は、まず財政の問題、続いて教育の問題につきまして順次担当大臣お尋ねをいたしたいと思います。  まず、財政の問題でありますが、最近、経済企画庁が発表いたしました月例経済報告によりましても、景気が次第に回復傾向を強めていることが理解ができるのであります。しかし一方、地域別業種別のばらつきがありまして、回復がなお十分でない点も見られるところであります。したがいまして、景気回復を力強いものにするもう一手の政策が必要でないかと思うのであります。財政は既に身動きのできない点を考えますと、当然、金融政策にその役割をお願いせざるを得ません。金利引き下げの足かせであった為替レートも二百二十円台と強くなっていますので、公定歩合を早急に引き下げるべきではないかと思うのであります。このことにつきまして経済企画庁長官お尋ねをいたしたいと思います。
  4. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 公定歩合をどうするかということにつきましては、これは日本銀行が判断されることでございますが、ただいまのお話では、やや円高傾向になったからこの際公定歩合を引き下げたらどうかということでございますが、この円高という問題が非常に流動的でございまして、本当に円高が定着するのかどうかはもう少し様子を見きわめないと何とも言えぬのではないか、このように思います。アメリカの金利が強含みでございますし、そういうことになりますと我が国との金利差がますます拡大をいたしまして、そして資本の流出がさらにふえる、こういう傾向もなきにしもあらずでございますので、そうなりますと円安の方向にも行きかねないということでありますので、もう少し円高傾向が定着するかどうかを見きわめませんと、私は日本銀行もなかなか判断がしにくいのではないか、このように思います。
  5. 杉山令肇

    杉山令肇君 増税なき財政再建で五十七年度以降の予算が編成をされました。そして、一般歳出は連年厳しく抑制をされまして、昭和五十九年度は三百三十八億円を減額される超圧縮予算が組まれたのであります。増税なき財政再建による歳田圧縮は確実に行われています。しかしながら、大蔵省が提出いたしました財政中期試算を見ましても、六十年度の要調整額は約三兆九千億円、六十一年度は約五兆円に達しています。財政再建の前途は全く厳しいと言わなければなりません。増税なき財政再建歳出削減を進めてきたにもかかわらず、五十九年度赤字公債発行脱却目標が実現できなかったのは、ひとえに五十六年度以降の経済成長半減による税収の低下にあると思いますが、大蔵大臣のお考えを伺いたいと思います。
  6. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに、まず五十九年度赤字公債脱却目標として取り組んでまいりました。今御指摘のように、いわゆる名目GNP伸び率から見ましても、半減という言葉がありましたが、実に五十六年、五十七年は五・七とか五・○、したがって税収は、名目成長率に対して比較するわけでございますけれども、まさに税収伸び率から見ますと三分の一とかあるいは四分の一とか、三・三とか四・○とか、そういう伸び率になった。このことが基本的に五十九年度赤字公債脱却目標を実現することができなかった、言いかえればその旗をおろした大きな要因であるということは御指摘のとおりであります。
  7. 杉山令肇

    杉山令肇君 高度成長時代に培われました歳出を全面的に見直し、制度改革がぜひ必要だと思います。と同時に、私は、現在高度成長時代に多くの自然増収を生み出した所得税法人税等直接税に過度に依存する税体系を根本的に見直し、低成長でも、ある一定の税収が確保できる税体系に転換しなければ、財政再建も福祉の充実も期待できないと思うのであります。すなわち、七対三と過度に直接税に依存している直間比率ヨーロッパ並みの六対四から五対五程度に引き下げる税制改革を断行すべきではないかと思います。大蔵大臣経済企画庁長官の御見解を承りたいと思います。
  8. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいまの御意見につきましては、昨年暮れに税制調査会から中期答申でちょうだいいたしました中においても「間接税体系合理化を図るため、物品サービス等に係る課税ベース拡大等について検討を続けることとすべきである。」、そのように指摘され、また五十九年度の税制改正に関する答申につきましても、今後「現行の物品税等個別消費税は、税負担公平性中立性を維持しつつ必要な税収を安定的に確保するうえで問題を含んでいるので、中期答申にも述べたとおり、今後、課税ベースの広い間接税について検討していく必要がある。」というふうに指摘をされておるところであります。いずれにしても、税体系あり方というのは究極的には国民の合意と選択によって決められるべき問題でございますので、今後とも国会の議論等を通じながら国民各界各層意見を伺って、幅広く検討してまいりたいというところであります。このことは、先般の政府与党連絡会議におきましても、河本経済企画庁長官からも、今後、税のあり方についての検討大蔵省政府与党それぞれにおいて行われたいとの要請をいただいておるところであります。  ただ、税制調査会でも、改めていま一つ指摘されておりますのは、直間比率というのは種々の考慮に基づいて税制が形成された結果を概括的に示すところの一つの指標であって、これについてあらかじめ特定の目標を設定して、専らその観点からのみ税体系を論ずるということは適当でないというふうに言われておるところであります。事実、間接税というものはいわば納税者選択の自由という幅は広まってまいります。それからいま一つは、各種の脱税とかいうようなものは直接税には現実がなりございますが、間接税のいわば脱税というような行為は大変少のうございます。そのことはいわば脱税とかいう点から来る国民の税に対する不公平感という点を少なめる要素を直接税に比べて持っておることも事実であります。と同時に、またある時期に仮に直接税、間接税の比重が結果として大きく変わるような形で体系づけられたといたしましても、経済成長によってそれが弾性値の形で影響を受けるのははるかに直接税の方が大きいわけであります。したがって、同じ税制が数年続いたら、その結果として出てくる直間比率というのはまた変化が生じてくるというようなこともございますので、言ってみれば感覚的に理解をしておられる直間比率というものを税体系というものの中で結果として出てくるものとして考えながら各方面の意見を聞いて対応すべき課題であるというふうに考えております。
  9. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 直接税と間接税比率が不均衡になっておる、これは御指摘のとおりでございまして、そこで先般の臨調答申にもこのことに触れまして、中長期的な課題としてこれを見直していったらどうだと、こういう答申が出ておるわけでございます。そこで、私もその意見に賛成ですし、私は中長期的というよりもできるだけ早く直した方がいいのではないかと、こういう感じを持っておりますので、ただいま大蔵大臣お話のように、先般も政府与党連絡会議でこの提案をいたしまして、大蔵大臣と自民党の政策責任者に早急に検討していただくようにお願いをしておるところでございます。税制あり方経済政策は非常に密接な関係がございまして、そういう観点から特に私も関心を持っておる次第でございます。
  10. 杉山令肇

    杉山令肇君 次は、教育の問題をお尋ねいたしたいと思います。  我が国経済成長は大変すばらしいものがありますが、反面、近年、非行、校内暴力事件等々大変低年齢化をいたしまして憂慮すべき状況下にあると思います。したがいまして、入試制度改善あるいは教育制度の見直し、教育内容充実あるいは教員の資質向上等々の大きな論議を呼んでいる実情にもございます。  さて、先般警察庁から発表されました全国中学校の昨年度の校内暴力事件は、全国中学校は一万七百五十八校ございますが、その中で暴力事件が発生をいたしました学校は残念ながら二千三十五校と発表をされております。精神文化の欠如によりまして、物は栄えてきたけれども心は滅びていくのではないかと心配されるような社会状況になっていると思います。特に総理施政方針演説におきまして、二十一世紀基礎づくりといたしまして、行政改革財政改革教育改革を掲げられまして、臨時教育審議会を設置される運びになりましたことはまことに時宜を得たものとその熱意と勇断に敬意を表するものであります。今後の教育改革への取り組み方につきまして文部大臣に所信を伺いたいと思います。
  11. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 今日の教育に関します。ただいまの杉山さんの御指摘は、まさにそのとおりであろうと思っております。  明治以来、日本教育日本の発展、繁栄に大きな影響力を及ぼしまして、教育を新しく日本国民に広く機会均等に与えることによっていわゆる身分制度家柄制度というものも廃止されまして、学問に一生懸命努力することによって自分たちの将来の大きな展望も開けてきたことでございます。戦後またこの教育はさらに義務教育の延長などで教育水準がさらに高まり、そして自由や民主主義というものを大事にする、そういう基本的な世界の中に仲間入りできる国際的な大きな力を築くところまで参りました。しかし、どのような制度でもやはり時代変化社会の大きな動きに対してこれまた対応していかなければならぬことは当然のことでございます。教育の諸制度もまたそれと同じでございます。そういう中で確かに学問を追求し、学力というものは大きく伸びてきたことでございますが、そのことによります価値観のいろんな多様な面もございまして、やはり社会における教育に関連した病理現象というものが起きていることも、いま先生が御指摘されたところでうかがえるわけでございます。  そういう中で、このたび私どもは新しい日本教育、これからの二十一世紀を担ってくれる子供たちへの教育の対応、そうしたことを考えまして、あらゆる教育に関連する分野の諸政策に関して必要な改革を図っていきたい、こういうことで新たに臨時教育審議会を設置することにいたしたわけでございます。もちろんこれは今日までの中教審を初めとして文教行政の長い大きな積み重ね、そこをひとつ踏まえ、さらにまた多くの国民の幅広い御意見をちょうだいしながら教育改革に取り組んでいきたいと考えております。どうぞいろんな意味で先生からもまた私どもに対しまして適切なる御指導をいただきますように心からお願いを申し上げておく次第でございます。
  12. 杉山令肇

    杉山令肇君 まあ当然でありますが、教育は百年の大計でありまして、一時的な思いつきでなく、長期的な展望に立って着実に教育改革を進めていただきたいと思うのであります。  さて、本年度の大学入試はほぼ終わったところでありますが、論議をしております共通一次についての改善はどうなっているのか、また二次試験の改善私立大学入試あり方等についても早急に改善を進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  13. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 本予算委員会におきましても、共通一次を初めといたしまして入試問題の改善に対します諸先生方の御意見が多く出されてきたところでございます。共通一次は、もう杉山さんは十分御承知でございますが、今日までは一応の評価は得てきたと思います。それはいわゆる量的な拡大に対応すること、あるいは難問奇問に対してのやはり高等学校のいわゆる学習の到達度をはかっていく、そういう意味でこの共通一次が過去六回実施を見てきたところでございますが、やはりこの試験を受ける高等学校を初め関係者の立場からはもう少し改善ができないものであろうか、こういう声が出されておりまして、当面、国大協といたしましてはできるところから改善をしていきたい、こんなことでとりあえず高等学校側から要望されておりました実施期日の繰り下げにつきましては、先般六十年度からは一月二十六、二十七日に繰り下げるという結論を出しておりますので、近くいわゆる実施要綱の改正をいたしたいと考えております。  もう一つ、科目や教科の問題でございますが、これにつきましても、ただいま国立大学協会におきまして入試改善特別委員会を設置いたしまして積極的な検討をいただいております。五教科七科目というのが負担なのか負担でないのか、いろんな意味で議論の分かれるところでもございますが、もう一つこの中で、俗に言うアラカルト方式のように、いわゆる自由な多様な利用ができないものであろうか、あるいはまた子供たち、生徒にとって一番苦痛なのは二次試験のところにぶつかってくるわけでございますので、もう少し二次試験に対する変化あるいは工夫ができないものだろうか。こういうことを文部省からああしろこうしろと言うことは、これは大学側には余り言えないわけでございますので、国立大学の皆さんの自主的な改善を期待いたしておるところでございます。  なおまた、共通一次に参加していない私立大学につきましても、逆に言えば、いささか難問奇問に類するような濃度の濃い試験科目にだんだんなっていることも否めない事実でございますので、私大関係者とも私は大臣就任後直接お目にかかりまして、共通一次の中に加わることはできないだろうか、私大側もアラカルト方式、メニュー方式のようなことで自由闊達に利用することを考えていただけるなら十分にそのことは検討できるのではないかという、そういうお答えもいただいておりますので、私大関係者にとりましてもこの問題の積極的な取り組み方を今お願いいたしておるところでございます。
  14. 杉山令肇

    杉山令肇君 これからの日本はますます国際的な人材が必要になりますが、国際人というのはまず立派な日本人であることが先決であると思います。無国籍的な国際人は相手から信頼され、尊敬されることはないと思うのであります。人間として、知、徳、体のバランスのある人材の教育が一層必要になると思いますが、文部省は道徳教育を具体的にどのように充実し、指導しようとするのか、お伺いをいたしたいと思います。
  15. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 知、徳、体、これが調和を図るということが文部省の一番教育の大きな目標でもあるわけでございます。特に杉山さんから今御指摘をいただきました児童生徒の豊かな人間形成を図るという意味では、極めて道徳教育は重要な役割を担っておると思うわけでございます。文部省といたしましても、道徳教育充実を図るという意味で、各種の施策、例えば教師の研修あるいは教材の整備、現場におきます研究推進などを行ってきたところでございますが、なかなかこれだけでは人間形成の意味で効力が発揮し得ない。何もかもすべて学校先生お願いをするということは先生にとっても大変な過重な問題でございますし、先ほど受験の問題で先生からお話がございましたように、やはり受験本位ということに、どうしても本人よりも社会の環境あるいはまた親の考え方がそのところに傾斜しがちでございます。ゆとりある教育をやって、できるだけ先生と生徒が親しみを持てるような時間をつくりたい、こんなことでゆとりある教育というものを実施いたしますと、むしろ親の方から、そんなことはやらないで数学や英語をもっとやってくれというような要望が出てきておるというそういう側面もあるわけでございます。  したがいまして、今後ともやはり道徳教育というものを充実させていくには、家庭と学校、あるいは家庭と社会社会学校というこの一体感というものの連携を図ることが大事でございまして、そうしたことに重点を置きながらこの五十九年度の予算編成の中でもいろいろと施策をお願いいたしておるところでございます。また、道徳教育も、これからはできる限り今申し上げたような事柄を推し進めていかなければなりませんけれども、何といいましても人間としての基本的な生活慣習、例えばしつけなど、こうしたことにもう少し重点を置いた一層の努力を傾けていきたい、こんなふうに考えておるところであります。
  16. 杉山令肇

    杉山令肇君 道徳教育につきまして、文部省が小中学校の道徳の実施要綱、道徳教育義務化のための施行規則の通達改正をしましたのは昭和三十三年のことだと思います。また、高等学校におきましては、昭和三十八年に高校社会科に倫理社会が新設され、道徳教育施行後既に二十年以上を経過しておりますのに、その実態はどうでしょうか。文部省が昨年の五月に施行いたしました公立小中学校における道徳教育の実施状況調査では、十分な教育が行われていない結果と聞いております。つきましては、道徳教育実施を阻害している原因は一体何であるのか、その辺の対策につきましても、ともに承りたいと思います。
  17. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 御指摘どおり、昨年の五月に文部省で実施をいたしました調査結果を見てみますと、道徳教育の取り組み方につきましては、確かに余り効果が出ていないという面もその結果として出てきておるところでございます。この背景をいろいろ考えてみますと、例えば先生方の中に共通理解が十分に図られていないという面がございます。あるいはまた、個々の先生方によっては指導力が必ずしも十分ではないというようなそうした問題もございますし、学校によりましては指導計画そのものが作成されていないというようなところも報告をされているところでございます。  文部省といたしましても、さらにこうした指導力の向上を図っていくという見地からも、新たに研修の手引書を作成いたしまして無償で配付するほか、来年度からは新たに中央における研修、そして学校と家庭の連携校の推進を図る、あるいは道徳用の郷土資料の研究開発、その地域地域の偉大なる先人の歩みなども勉強していく、そして地域意識というものを高めていく、こうしたことなどの諸政策を進めながら、さらに、先ほどもちょっと申し上げましたように、児童に基本的な生活やあるいはまた習慣や技能等を身につけさせるようなそうした指導を進めていきたいと、こんなふうに考えているところでございます。
  18. 杉山令肇

    杉山令肇君 昨日の文化と教育に関する懇談会の報告の中にも触れられていましたが、教員には、専門職として信頼される教師への期待と、現状に対する不満に関するものが実に多くあります。教育問題は教師の心構えと資質を抜きにしては考えられない問題であると思います。愛情を持って教育に当たるのはもちろんのことでありますが、今日の教育の現場を見るにつけましても、政治への中立も堅持していただきたいと強く期待をするものであります。  文部大臣に伺いますが、教員の違法ストライキに参加している現状、また学習指導要領に、「国民の祝日などにおいて儀式などを行う場合には、生徒に対してこれらの祝日などの意義を理解させるとともに、国旗を掲揚し、国歌を斉唱させることが望ましい。」と記述されてありますが、現状はどうなっておりますでしょうか。おのおのの現状と、それに対する今後の対応を承りたいと思います。
  19. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 日教組におきますストライキが繰り返し実施されておりますことにつきましては、まことに遺憾に存じております。文部省といたしましても、従前からストライキには参加しないように、またストライキ参加者に対しては厳正な措置で臨むように各都道府県の教育委員会に対し指導いたしてきたところでございます。最近は日教組が教育問題あるいはまた教育の荒廃、こうしたことに対して大変大きな関心を併せてくださっております。そのことについては私は大きな評価をしていきたいと思っているわけでございますが、今申し上げましたような違法なストライキをする、子供たちのやはり指導をするというそうした専門職的な立場から見たら、私はぜひこのことは改めていただきたい。そのことを特に要望いたしておりますし、またこうしたことを繰り返してこれから行われるようでございますと、文部省といたしましても、厳正なる態度で臨んでいかなければならぬと思っております。  お尋ねのストライキの現状はどうかということでございますが、昭和五十八年十月七日のストライキ参加者は全国で約二十五万人でございました。事後措置につきましては、現在までのところ懲戒処分約三万人、訓告約五万人というところでございまして、今後とも事後措置が速やかになされますように、都道府県に対しまして厳正な措置をとるように強く指導してまいりたい、こう思っております。  二番目の、君が代や日の丸がどのように扱われているかというお尋ねでございますが、旧旗や国歌を大切にするということはもちろんのことでございますが、特に最近におきましては、やはり国際社会におきます日本の地位、日本の立場というものが大きくやはりクローズアップされてきておるわけでございまして、尊敬される日本人になるためにはまず相手の国を理解する、相手の国のまた人々から理解を受けるようなやはり回民になっていかなければならぬ。そのためには相手の国の胴旗も国歌も大事にしていかなければならない、そのことのまず前提として自分の国の国旗や国歌を大事にする、こういう基本的な態度といいましょうか、習慣というものを、日本をこれから背負っていく子供たちがしっかり身につけていただくということは、学校教育のみならず日本の今後の発展に対しましても欠くことのできない私は教育の大事な要請であろうというふうに考えております。入学式や卒業式におきましては、大部分の学校では国旗掲揚、同歌を斉唱していることは大体おおむね七割程度でございますが、さらにまた教育委員会等を通じて指導力を発揮していきたいと、こう思っているところでございます。
  20. 杉山令肇

    杉山令肇君 私は、ここであえて岐阜県での出来事を発表させていただきたいと思います。  大垣市に大垣北高等学校という県立名門校がございます。卒業式の大事な式典に君が代を歌うのを省いたところが、式の最中に一人の生徒が立ち上がって君が代を歌い出したのであります。これが教育界に問題を提起したのであります。校長先生を呼んで事情を聞きますと、言いにくそうに言われた返事は、君が代を歌うと式が混乱をすると判断したのでやめたという答弁であります。なぜ日本の大垣で君が代を歌うと式典が混乱をするのかということであります。つまり、式典で国歌を歌おうと提案をすると、一部の先生がその必要性を認めず、職員会議を混乱させるのみならず、純真な子供たちに君が代を歌うことはよくないことだと教えている、この反対を押し切って式典で歌わせることはできないと思ったということであります。  続いて、多治見の古庄県会議員さんが、これから申し上げるようなデータの発表をされました。中学三年生になりますと、それぞれの学力テストというのを岐阜県では行っています。年四回でありまして、五百点満点で、岐阜日日テストというのを行っています。ところが、過去十年間、そのデータを細かく分析いたしまして、どういうことか、岐阜県の場合、日教組の加入率と並行して成績がよくない。加入率の高いところは成績が、点数がとれていないというデータを公式発表したのであります。一体全体これはどうなっているのかという大きな問題を投げかけまして、県議会で教育正常化要望決議案なるものが持ち上がってきたという経緯がございます。  また、近々私どもよく耳にすることでありますが、教室内で政治活動が一部の先生によって行われているという心剤をするのであります。具体的に申し上げますと、中曽根政権はよくない政権である、しかもこれに力をかしている自由民主党も大変悪いやつである、軍拡路線を走って君たちを将来軍人として駆り立て、戦争に巻き込もうとして悪巧みをしている自由民主党であり、中曽根政権であるから、これを早くつぶさなければいけないんだということを教室の中で教え込んでいる先生があるようであります。大変私どもは残念に思っているわけであります。  私の申し上げたいことは、教師こそ政治の中立性を守っていただきたい、また専門職として愛情を持って教育に専念をしていただきたいということであります。子供は利口であります。正直であります。教師の言動と姿につきましては正しく子供は評価していると信じたいと思います。違法なストライキに参加をしたり、政治活動をするようなことは必ず子供に不信感を与えると思うのであります。したがって、信頼のできる学校の教師として努力をしていただきたい。言いかえますと、愛情を持って教育に専念をするという姿勢がすなわち信頼につながるわけでありますから、そのようなひとつ先生方の姿勢を、一部の先生でありますが、改めていただきたいと思うのでありまして、先刻来いろいろな論議をされております大学入試高等学校入試制度の問題、あるいは教育制度の問題、教員の資質向上の問題等々の改善策が幾ら論議をされましても、教育の柱はまず現場の先生方の心の問題、先生方の姿勢の問題に大きなウエートがかかると私は信ずるものであります。そのようなことをあえて申し上げましたが、文部大臣の所信を承りたいと思います。
  21. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 杉山さんからいろいろな事例を挙げてお話をいただきまして、まさに御指摘どおりであろうと思います。私自身も自分の過去を振り返ってみまして、やはり教えられた先生の人柄、先生の人格、そうしたことが自分の人生の大きな糧となり、この方が大きなウエートがかかっていたような感じがいたします。  子供たちにとって心身の発達程度に応じて社会の勉強もしていただかなければなりませんけれども、大人の抗争や政治的なことや、そうしたことは教育の現場からできる限りこれは守ってあげるということが先生のやはり基本的な態度でなければならぬというふうに思っております。いたずらな戦前回帰の志向ということは、もう今の日本ではこれだけ民主主義が定着し、そして日出と平和というものを大事にしていく、そしてまた平和憲法を掲げていく、世界に例のないそうした憲法を持った国民であること、それはもう子供が十二分に承知をいたしているところでございます。私どもはそういう中で、これから世界の民族の中で、国際社会の中でいわゆる民族摩擦を起こさないような、国際社会の中に生きていけるようなそうした子供たち成長を見守っていく、そういうことが教育のやはり大事な基本的な姿勢でなければならぬ、こんなように私は今、先生お話を承りながら感想として持った次第でございます。
  22. 杉山令肇

    杉山令肇君 次は、幼保一元化の問題についてお尋ねをいたします。  文部大臣教育制度改革について、幼保一元化が望ましいとの御意見だと承っておりますが、現場の状況等々を考えますと、いろいろと幾つかの大きな問題を抱えているように思います。もちろん表面的には同じ年齢児を対象にした施設である、所管は厚生省、児童福祉法の施設である、片や文部省の教育事業の施設であるという。所管は違いましても、同じ三歳、四歳、五歳、もちろん保育所は零歳児からでありますが、同じような年齢児を対象にした保育、教育を行っている。しかも保育内容につきましては、六領域を中心として幼稚園も保育園も遊びを導入しながら教育、保育をしているということも実情であります。  したがいまして、表面から眺めますと、いとも一元化でよいのではないかという考え方も浮かぶとは思いますけれども、それじゃ具体的に、例えて申し上げますと、現在設置主体の問題も大変な難しい問題に突入をいたしております。幼稚園におきましては学校法人立あるいは個人立、宗教法人立、また保育所におきましては社会福祉法人立と個人立という色合いでございます。しかも、幼稚園につきましては御承知のとおり公共性を持たせなければいけない、憲法上の疑義があるのだということも含めまして、現在、私学振興助成法の法人化促進の期間でありまして、来年の三月三十一日が再延長の最終期限であります。これに対しまして、現在の状況を伺いますと、全国で私立幼稚園というのは八千九百十五園ございまして、現在までに文部省の指導に従って個人の財産を寄附いたしまして、公益性でありますから、学校法人に寄附をいたしますと再び個人の財産に戻ってこないというルールであります。したがいまして、寄附をされる立場になりますと、非常ないろんな心配の要素も含めまして、勇気と決断を持って公共性に臨んで対応しているのが実情であります。そういう御指導を受けまして、現在は五千六百二十八園が法人化の設立をしているという状況下にございまして、来年の三月三十一日を控えて、今残っております三千二百有余の個人立幼稚園が懸命になって法人化の作業に取り組んでいる最中であります。  さて、このような準備段階のある中で、文部大臣から幼保一元化の望ましい方向の御発言がありました。これにつきまして幼保関係者に非常に一面では不安と動揺を与えているのが事実であります。一体全体どうなるのか、せっかくいろいろと先祖から預かった財産を公共性によって寄附をしてしまった、文部省の指導によってやってきた、また保育所の方にいたしますと、社会福祉法人化をしませんと、やはりいろいろと助成の道がない、融資の道がない、個人は不可能でありますから、そういう背景のもとにこれまた努力をしている最中であります。そういうふうな状況をまずひとつ御理解をちょうだいをいたしたいと思うのであります。  また、資格の問題も当然のことでありまして、教諭と保母、もちろん資格取得のそれなりの学経歴も資格要件も違うわけであります。保育時間の問題は、先般すでにお話が出ておりますように、原則的には教育事業の幼稚園の四時間、社会福祉事業の保育の八時間、これは原則でありますけれども、確かに現在日本国内を眺めておりますと、幼稚園の保育園化、保育園の幼稚園化という動きがあります。御父兄の強い要望もありまして、少しでも家庭の内職の手助けをしてもらいたい、そのような要請もあって、若干幼稚園が保育園寄りの、保育時間の四時間を多少延長している実情もあると思います。そのようなこともございますけれども、基本的には資格の問題、またそれぞれの目的が全く相反するという実情もございます。家庭で保育に欠ける子供たちのための保育という一つの責任を伴いながらの保育の八時間、教育を主体に置く幼稚園の実態等々もあろうと思います。  また、経理の取り扱いの問題を眺めてみますと、御承知だと思いますが、保育所の場合は厚生省の強い行政指導がございまして、措置費というルールによって各現場の方に金が流れていくわけでありますけれども、措置費の支出内容につきましては厳密に事務費と事業費と分かれております。事務費につきましては人件費、管理費。ところがここで問題なのは、大規模修理の問題あるいは減価償却の予算は全く厚生省の方では認めていただけないわけであります。したがいまして、どういうことが起きるかといいますと、保育園の修理が大型修理になる、あるいは施設改善を行う、あるいは社会福祉法人で借財をいたしますと、財源が伴わないものでありますから、園長が一応帳面上は園長給与を幾ら幾らという受領をいたしますけれども、そのお金はほとんど全額を園に寄附還元をいたしまして、その財源でその施設改善なりあるいは借財の返済に充当しているのが実態であります。  また、事業費につきましては、給食費、保育材料、保健衛生、暖房費というようなことで、細かく予算の細分化の執行について制限をいたして指示をいたしておりますので、なかなかもって大変な状況下にあります。幼稚園の方は、学校会計の基準に従いまして自主運営的な面がありますけれども、近年の園児の減少の問題、あるいは多額な私学振興財団からの借り入れ等々の返済の状況もございまして、大変な状況にあろうかと思っておりますが、いずれにいたしましても先ほど申し上げましたように、幼稚園の場合には個人財産を法人に寄附をするという、懸命に文部省が指導していらっしゃる実情から考えますときに、大臣の御発言が果たして今後どのようなスタイルになるのか、どのような幼児教育の実態になるのか、大変不安感を持っているということを申し添えたいと思うわけであります。  また、保育所の措置費の保育単価の問題と幼稚園の保育料の問題と比較をいたしますと、保育単価、措置費の方が著しく高いのが各地域とも普通ではないかと思います。それなりに理由はありますけれども、相当額の差がございます。  また、融資制度の問題に触れてみますと、現在、私立幼稚園は私学振興財団にお世話になっております。保育園の方は社会福祉事業振興会であります。ただし、いずれも法人体でなければ応対はしていただけないわけであります。  ここで、あえてその融資制度の内容を若干申し上げますと、私学振興財団の幼稚園から大学に至るまでの助成の中身であります。これは大変国の政策としてありがたいことでありますけれども、私は利子の問題については必ずしも現在の時代に合っていない、このようなことを申し上げておきたいと思います。参考に申し上げますと、私学振興財団の融資に対する利子は、昭和五十四年度あたりは八・〇%、五十五年度が一番高くて八・五%、また五十五年の十二月からは八%、現在はやや下がりまして七・一%という融資利息であります。これは現在の市中銀行から借り入れをいたそうとしますと、現実にはやはり安いところでは五%台、十年返済程度ですと五%程度、高くても六%何がしかで市中銀行で融資をしてくれるわけであります。しかるに、国の政府機関であります日本私学振興財団では、その時代はそのような社会情勢であったからいたし方ないという話でありますけれども、現実的には全く合っていない。返そうということになりますといろいろと、まあ与党でありますから言いにくいのでありますが、なかなか難しい御答弁がはね返ってくるものですから、各学校は頭を抱えているのが率直な現状であります。何とかひとつ改善の方向に御陳情もあわせ申し上げたいと思うわけであります。  それじゃ、一方の保育所の方は、社会福祉事業振興会ではどうなっているのか。これは、現在利息が四・六%であります。四・六%でありまして、さらに各都道府県がこの利子に補助を出しているものですから、設置主体が借り入れをした利息は三%、また地元の市町村が援助しているところもあります。そういうところはさらに下がりまして二%程度という低率で貴重なお金を使わさしていただいている状況にございます。片や四・六%、片や八・五%から七・一%という高率の格差がございます。  いろんな比較検討を申し上げましたが、いずれにいたしましても幼保一元化の問題につきましては、いろいろと行政の中身を一つ一つ分析いたしますと、なかなかもって大変な問題を抱えていると思うわけであります。どうかこの際ひとつこのような状況を踏まえまして、文部大臣の一元化の方向の御発言を承っておりますが、一体どの程度の一元化を考えていらっしゃるのか。中身すべての一元化なのか、あるいは部分的スタイルの一元化なのか、その辺のお気持ちのほどをお聞かせいただきたいと思います。
  23. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 杉山さんの非常に御懇切丁寧な資料をもとに先生のお考えも含めて御質問いただきまして、少し長い時間でございましたので、お答えをする方も非常に多岐にわたりますが、お許しいただきたいと、こう思います。  この委員会でも、幼保の問題は各党各派の皆さんからもいろいろと出てまいりまして、できるだけ政府側としては答弁は丁寧に簡潔にという、そういう指導を私ども、特に新人の大臣でございますので、そういう指示をいただいておりますから、できるだけ簡単に答弁を今までしてきたのです。でも、大変誤解があるようでございますので、せっかく杉山先生の御質問でございますから、少し私の申し上げておりましたことの誤解をぜひ解く意味でも、大変ありがたい御質問であったと思います。  幼保の問題というのは、今、先生がおっしゃったとおり、中身が実際には同じになっているのです。きのうも衆議院の文教委員会でもその御質問がございました際に、厚生省の担当課長からも、既に保育所の方も教育の水準を上げて幼稚園と何ら差がないようにいたしておりますと、こうちゃんと答えておられるのです。つまり、保育園としても幼稚園と同じような幼児教育になるように努力しておるということを言っておられる。つまり中身は同じようにしておこうということですね。ところが実質的に、今、先生がおっしゃるように、幼稚園の方は朝行けば昼もう帰ってまいりますし、保育所の方は夜まで預かってくれるし、場合によればもっと深夜まで預かる保育園だってあるわけでございます。そうすると、受ける親の立場、子供の立場というのは一体どこに差があるのだろうかということになる。同じようなことをしているのに幼稚園に行ったら簡単に帰ってくるし、保育所に行ったら非常に何といいますか、手厚く子供を預かってくれる。しかも親の負担は、それにかかる経費は幼稚園の方がはるかに高い。これをどう子供と親は考えるのだろうか。  あるいは、今、先生から細かな御指摘ございましたが、設置者の立場に立ってみましても、今、数字を挙げられただけでも、融資、助成、利子、地方公共団体の取り組み方、もう半分ぐらい意気込みが違っているわけですね、条件が。だから設置をする主体者にとっても、大変これは同じような箱のものをつくりながら、中身も同じようなことをやりながら、随分違った措置がとられている、これも迷いの一つであると思う。ですから、そういう具体的に中身も大体同じになっているのに設置主体や受ける子供や親の立場が全く違ってくるということ、このことでやはり今日一番苦労しているのは、杉山さん、地方の市町村長じゃないですか。  私の石川県は、日本でも珍しいぐらい幼稚園のない、保育所の多い県なのです。私の私的なことを申し上げて恐縮ですが、おやじは田舎で町長をやっているのですが、幼稚園をつくらないのです。つくりたくてもつくれないと言うのです。なぜかというと、そういう差を子供たちに与えたくないということです。ですから、私の選挙区の郡はほとんど幼稚園を持たないのです。何かお金持ちで余裕があるのが幼稚園へ行って、そうでない者が保育園に行ったというような印象を子供たちに与えたくないというのが市町村長のお考え。何も石川県だけじゃなくて、私のところに全国の町村長の皆さんから随分お手紙をいただいて、何とかこの問題は解決してもらいたい、我々にとっては一番このことが悩みの種ですといって率直な御意見が来ます。ところが一方では、保育園関係者から私のところに随分またお手紙やら要請書が参りますし、その中には保育園がとられて幼稚園に一元化されていくのではないかという、何かそういう危機感で私のところへそういうことをお話しになってこられる方がたくさんおられるのです。特にある要請書の中なんかは、幼児が激減していく、幼児がだんだん減っていくので、幼稚園が廃園や休園に追い込まれていく、その苦しさのために保育園をやめさして一緒にさせようとしている、こういうようなとらえ方なども公式な保育園の団体の皆さんの要請書の中にちゃんと入っておる。そういうとらえ方をするところにやっぱり私は大変な誤解があるというような感じがいたします。  私は、当面は厚生省、文部省両方から推薦された有識者によって懇談会をつくって検討された結果は、それぞれの機能と目的が違うのだから、それぞれの進め方をするしかないという結論を得たことも承知をいたしておりますから、当面はその方向で努力をしていただいたらいいと私は思っております。今どうこうするということではないので、この委員会を通じて関係者の国民の皆さんに私はぜひ理解をしてもらいたいと思いますが、今当面そのことをどうするということではなくて、これだけの相矛盾したことが行われているということについて、政治は何もそのことについて解決策を見出さないということが私はおかしいのじゃないか。  だとするならば、そのことも含めて、この際新しい教育機関の中で、いわゆる生涯教育、ゼロ歳からいわゆる死に至るまでの人間生涯教育全般にわたる新しい二十一世紀への展望策としての教育の各諸般の機能を検討してみようということであるならば、例えば就学年齢の問題だって当然検討に値する課題ではないだろうか。もちろん私の発言が新しい審議機関を拘束するものではございませんが、そうした観点でとらえていただくならば、新しい審議機関がどういうことを御検討いただくかはこれからの審議機関の皆さんでお考えをいただくことではございますけれども、やはり短期的なものと長期的なものというものも当然出てくるでございましょうから、将来長期にわたってこの幼保の問題は、やはり新しい機関で、保育園あるいは幼稚園のそれぞれの機能や目的というものを十分踏まえながら、何らか新しい方策が見出せないかということを検討していただく課題として期待していいのではないだろうか。こういうことを私はこの委員会を通じて再三申し上げてきたところでございまして、決して保育園を幼稚園に糾合するとか、いや厚生省から保育園を取り上げてしまえとか、そのようなことを私は申し上げているわけではございません。何らかの知恵が将来にわたって出てきてしかるべきではないか、このように私は考えて申し上げてきたところでございます。
  24. 杉山令肇

    杉山令肇君 時間がだんだんなくなりまして恐縮でございますが、転勤シーズンを迎えましたが、サラリーマン等の子弟の高校への転入学を容易にするため必要な措置を講ずべきだと思いますが、文部省としてこの問題についてどのように取り組んでおられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  25. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 転入学の問題につきましても、今大変大事な社会的な問題でもございまして、先般、三月の一日にも転入学希望者に対する適切な情報の提供、あるいは転入生の受け入れのための特別定員枠をそれぞれ設定するように、転居者の子弟の転入学についてさらに一層の便宜を図るように各都道府県に通達をいたしたところでございます。今後とも適切な指導をしてまいりたいと考えております。
  26. 杉山令肇

    杉山令肇君 我が国学校教育におきまして、私学は重要な役割を果たしていると思います。教育改革を進めていく上で私学の協力は不可欠と思いますが、今後私学助成についてどのように取り組んでいこうとされるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  27. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 私学が日本教育の中で大きな柱になっておることは御指摘のとおりでございますし、先生自身も直接そのことについては十分御研究をなさっておられることもよく承知をいたしております。  ただ、御承知のように、私学助成は極めて厳しい財政状況の中で、臨調の御指摘もございまして、当面抑制措置をいたしておりますが、長期的には助成法の趣旨を体しましてさらに努力をしてまいりたいと考えております。  なお、補助金の配分等につきましても、効率的な配分ができますように今いろいろな角度から検討をいたしておるところでございます。
  28. 杉山令肇

    杉山令肇君 ありがとうございました。(拍手)
  29. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で杉山君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  30. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、海江田鶴造君の質疑を行います。海江田君。
  31. 海江田鶴造

    海江田鶴造君 最近の建設業界におきましては談合問題というのが大きな問題になっておりますが、私はむしろその陰に隠れた暴力、恐喝とか脅迫というような暴力団による建設業界の被害といいますか、これは余り表には出ませんけれども関係者の間で大変大きな問題として浮かび上がっております。私自身長く公団に関係しておりましたので直接にも聞いておりますが、またいろいろ警察その他で調査をしてみますと、まことに驚くべき暴力事案があるようでございますが、この点について建設大臣はどのように認識をしておられるか伺います。
  32. 水野清

    国務大臣(水野清君) 建設業界の特に入札関係に暴力団あるいはそれに近いような人たちがいろいろとやっているという話は耳にいたしておりますが、御承知のとおりなかなか被害届が出てこないものでございますから、全く実態がつかみ得ないというのが実情でございます。
  33. 海江田鶴造

    海江田鶴造君 私がいろいろ調べた結果、なぜ表に出ないかというと、施主側、すなわち国とか公団とか都道府県、市町村、そういう公共事業の施主側に配慮、あるいは目をつぶってしまう、そういう傾向があることと、やはりそういうものに対する警察、検察の処置が被害者の立場に立っておらない極めて至らぬ点がある、それが原因であろうと思います。  御参考までに最近の事例についてちょっと申し上げますと、昨年の十月に大阪府で阪神高速道路公団の塗装業者を恐喝しておる暴力団が摘発をされましたが、これは現在塗装業者に対する下請、こういう問題でほとんど現実は暴力団に牛耳られておるというのが実情のようでありますが、摘発されたのは昨年の十月三日の阪神高速道路公団守口線の塗装業をめぐる問題であります。大体一千万円ぐらいの被害と言われますが、実際に立証された額はわずか百万円でございます。  また、これはちょっと古いんですが、非常に典型的な例として私申し上げますけれども昭和五十四年から五十五年にかけて、京都府で暴力団が架空会社をつくって、それを通じて大手から中小の企業に対する恐喝、脅迫をやっておりまして、このときの被害は、逮捕されたのは十名でございますけれども、被害企業は三十六企業、被害件数が十八件、被害金額は立件されたものだけで一億七千万、しかもこのほかに捜査を通じて明らかになったもので裏づけのあるものが別に二十三社、一億二千五百万というのが出ております。  その後、これは読売新聞がそのころに暴力追放キャンペーンをやりまして建設暴力の実態暴露をやっておりますが、五十五年のことでございますが、専売公社京都工場が、たしか五十六年に完成していると思いますが、この工費百八億円、このときに、情報によりますれば七千万円が暴力団に支払われておる。これは実際には検挙に室らなかったようでございます。  最近では、昨年の十一月二日に日本道路公団京滋バイパス、四十二億三千万円で落札されておりますが、落札された直後の十一月の五日から七日、八日、十一日と延べ六回、約十七名の、時には政治結社と名のる暴力団、あるいは同和団体を名のる暴力団ということで関係の会社並びに公団の事務所へ押しかけてきておるという情報であります。  こういう問題について、私はいろいろ関係者から状況を聞いたりいたしまして痛感するのでありますが、特に会社側がどうして被害届を出さないかというと、まず第一番目には、会社のイメージダウンになってその後の指名その他に非常に大きな支障がある。それからその金の出どころを追及されても困る。それからもう一つは、やはり警察が頼りない、後で暴力団に大きな仕返しをされるから怖い。さらに、裁判所に出て法廷で証言するということが非常に煩わしいし、恐ろしい。こういうことが原因であるようであります。しかもこれは施主側の現場監督者がそういう問題については割合に相談に乗らず、工期が大事だ、もし工期に間に合わなければ今は指名しないぞとかいうような態度もあるようであります。  こういう点について、私けさほどちょっと新聞で見たのですが、今後の指名等については死傷事故を起こした会社、それから贈賄をやった会社等は指名停止をすると新聞に出ておりました、そういう方法でいきたいと。私は、暴力団に金を渡しているような企業、会社は指名から一定期間外す、こういう措置はとれないものかどうか。それからまたもう一つ、少なくとも国、公団等の公共の工事につきましては、現場監督者が実際に工事を請け負っておる業者とよく連携をとって、そういう暴力事案に対しては親身になって相談に応じ、そして関係機関と連絡をとってそれを封ずるというような措置はとれないものかどうか。この点につきまして建設大臣の御意見を承りたいと思います。
  34. 水野清

    国務大臣(水野清君) 建設業者というのも全国に五十二万社ございまして、いろいろなものがあるということもお聞き及びだと思いますが、少なくとも一応建設省の入札、そういったことに参加するような業者に対しましては、暴力団と関係を持つというようなことがないように厳重に指導していきたい、また関係省庁ともよく連絡をとりまして、ただいま御指摘のような暴力団のいろんな入札等に関する介入というようなものを排除するようにやっていきたいと、かように思っております。
  35. 海江田鶴造

    海江田鶴造君 警察、検察の対応でありますけれども、私も実は経験がありますけれども、選挙等で選挙違反のおそれがある、ポスター等で違反のおそれがある場合に警察から警告を受けますが、あの警告の法的根拠は何でしょうか。    〔委員長退席、理事初村滝一郎君着席〕
  36. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) お答えいたします。  警告の法的根拠は、警職法の犯罪のまさに行われんとするのを認めたときの警告、制止、その警告でございます。
  37. 海江田鶴造

    海江田鶴造君 最近、暴力団の抗争事件が相次いておりますが、そういうときに、私は兵庫県におりますけれども、山口組の組事務所の前等には常時武装した警察官が警備をしております。世人は暴力団を守っておるのではないかというような見方もありますが、この理由、法的根拠は何でしょうか。
  38. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) ただいま申し上げました、犯罪のまさに行われんとするという場合の警告でありますし、また暴力団の事務所の前に警察官を立てまして警戒をするというのは、これは犯罪の行われるおそれが非常に強いわけでありますから、行われた場合、まさに行われんとする場合にはいち早く警察官が制止をし、現行犯逮捕するということで一般国民への暴力団の被害が及ぶのを防ぐ、こういった目的でございます。
  39. 海江田鶴造

    海江田鶴造君 私は、建設暴力の問題につきまして警察がもう少し本当に親身になって、建設業界は古来暴力がつきまとっておりますけれども、こういう問題についてもうちょっと今言われたような予防、場合によったら鎮圧、いたずらに——いたずらにということじゃありませんけれども、検挙して有罪に持ち込めない限りはやらないというような姿勢があるようであります。私は、どうしても裁判で有罪に持っていけないというようなものでも、やはり警察は勇気を持ってこういうものについては予防、鎮圧、特に工事事務所、工事現場等において暴力団等のそういう恐喝、脅迫がなされる場合には警察官を配置してやるべきではないか、このように考えますが、いかがでしょう。
  40. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 暴力団の取り締まりの最良の方策ということで私どもの方で考えておりますのは、暴力団につきましてはできるだけささいな事件でありましてもこれを事件として検挙する。検挙しまして身柄を長期間拘束するということに主たるねらいを持っております。しかし、そうはいいましても、なかなか今お話がございましたように、被害届というものが出にくいという実情は確かにございます。私どもの方は被害届を受けた上で事件として検挙するということになるわけでありますが、被害届がなかなか出にくいという事情も十分に考慮しまして、できるだけそういった被害、そういう状況についての相談を受けるという窓口を各県警察に設けておりまして、そこでできるだけの相談を受けて対処するということで現在までもやっておりますし、今後もそういう点にできるだけ力を注いでいきたいというふうに考えております。
  41. 海江田鶴造

    海江田鶴造君 法務省刑事局長は見えておられますか。  それでは、もう一度警察庁に聞きますけれども、暴力団が怖い、あるいは被害届が出ないのは後での報復、お礼参り等が怖いわけであります。この辺について警察は十分であると思っておられるのか、あるいは今のままではかなり不十分であって、業界がなかなか被害届を出さないのはこれはやはり警察にも責任があるとお考えかどうか、その点を改めてお伺いいたします。
  42. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) ただいまもお答えしましたとおり、暴力団につきましてはできるだけ事件として検挙するということがねらいでございますので、私どもの方としましては被害届を出していただいた上で暴力団を検挙するということが望ましいと考えております。しかし、そうはいいましても現実にはなかなか被害届が出にくいということがございますので、これは業者の方々といろいろと相談をして、できるだけ暴力団に対する警察の姿勢が業者の間にも浸透してもらえるような、そういうような懇談会等も今設けておるわけでございます。それと、先ほど申しました窓口というものを設けまして、これでできるだけ気軽に相談に来ていただくということもやっております。  また、民事介入暴力ということで最近いろいろと取り締まりをやっておりますが、この民事介入暴力の取り締まりにおきましては、これは昨年一年間で一万二千件ぐらい民事介入暴力を処理しておりますが、そのうちの一割程度が相手方へ警告をすることによって事件が解決をするということもやっておりますし、いろいろともろもろ取りそろえてできるだけやってまいりたいと、こういうふうに考えております。
  43. 海江田鶴造

    海江田鶴造君 時間もありませんので次に移りたいと思いますけれども、暴力団は政治結社を名のったり、あるいは右翼団体を名のったり、それから関西では特に同和関係団体というものを名のって、実際はそうでないのに名のって大変悪いことをやっております。目に余るものがありますので、警察庁は特に全国を指導されるように希望をいたします。  次に、文部大臣にお伺いいたしますけれども、実はけさの新聞で例のベビーホテル事件、ベビーホテルで赤ちゃんが、のどに詰まって死んだのに、対して親が託児所を過失致死で訴えた事件でありますが、それの判決の記事が出ておりまして、三十五歳の若い判事でありますけれども、極めて勇敢な判決を出しております。その彼の言わんとすることは、新聞によりますと、「経済的に特に苦しくないのに夫婦とも夜間働きに出、赤ん坊の健康もチェックしていなかった」、また「高度成長を経て物質欲ばかり強くなり、物さえ与えておけばいいという風潮」に対する批判である、こういうことでありまして、親の過失責任を八五%、託児所の過失責任を一五%という判決を下しておりました。私自身ベビーホテルというものに反対でございますが、この点について文部大臣の御所見を承りたいと存じます。
  44. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) ベビーホテルのことについて文部大臣がお答えをするのは所管であるかどうかちょっと迷うわけでございますが、ただ、先生が御指摘をされた点は、やはり物質中心主義になっている今日的世相に対する厳しい御批判であろう、それについて教育の任にある文部大臣はどう考えるかということであろうかと思います。  やはり今日の社会の荒廃というのは、先ほどの議論にも出ましたけれども、すべて学校だけで片づけるというのではなくて、社会そして家庭がやはり大きなウエートを占めております。むしろ私は家庭が一番の大きな、人間の一番小さなときの、いわゆるこの世に生をうけて最初に接するのはお母さんの乳房です。そこから人間感性がスタートするわけでありますから、極めて私はそこに大きなウエートを置かなければならぬと考えます。  したがって、やはりこれは、あえて海江田先生に甘えさせていただいて個人的な考え方を申し上げると、経済追求、利潤追求ということが前へ出てくる。やはり価値観変化ということも言えるのでしょうが、私たちの親たちの時代というふうにあえて申し上げていいかと思いますが、年齢層からいえば、海江田先生は私よりまあ兄貴ぐらいの年齢になりますが、こういう世代に生をうけ、教育を受けてこられた人たちの価値観は、経済も追求しなければならぬが子供たちへの配慮ということだけは決して欠いてはいかぬというお考えはあったと思う。私は、やっぱり最近の子供を持つ親の傾向としては、お金をもうけるためには子供への配慮というのはややもすると後回しになっているのではないか。それが今問題になっております例えばあの不良図書、教育用教材を出しておるような会社が平然とああした雑誌を出しておられて、社長が知らなかったと言うんです。この間、その社長が私のところへ見えましたけれども、本は出していたけれども、どういう中身だったか見ていなかったとおっしゃる。それぐらいのやっぱり経済を追求する、お金をもうけるためにはそこまでの配慮というものは行き届いていない。  例えばテレビもそうだと思うんです。民間放送のテレビ局の社長が、自分の孫や子供をひざに置いてセックスを中心にするようなああいう番組を黙ってお茶を飲みながら見ることが可能だろうか、そんなものは恐らくごらんになっていないのじゃないかと思う。そういうふうにコマーシャルで物を追求していった場合には、子供への配慮がどういうふうに影響されていくのかということをどうも考えない、そういう世代順が、やはり今日の社会の中心になり、指導的な役割を果たしていかれるそういう年齢層に達してきている。私はそういう時代的な背景というものを憂慮せざるを得ない、そういうふうに考えております。  私は、今日の教育の問題もまさにそこにあるわけでございまして、そういう混乱期の中、そしてまた人間の関係、子供への配慮、そうしたことを中心的にやはり教育の中で教え込まれていなかった、あえてこう申し上げていい。そういう時代の人たちがそろそろ大人になり、社会の中でいろんなやはり行動をしていかれるところに今日的な荒廃の問題が出てきているのではないか、そんな私は感じを率直に持っておる一人でございます。
  45. 海江田鶴造

    海江田鶴造君 この裁判官がけさの新聞で語っておったのでは、三歳まではどんなことがあっても母親が養うべきである、こういう信念を持っておると言っておりました。男女差別撤廃条約の承認、批准の関係で男女雇用平等法その他が出ておりまして、我が同僚婦人議員等からいろいろな意見が出ておりますけれども、私は母親というものはやはり子供のときには自分で面倒を見、教育に当たっていかなくちゃならぬと、このように考えております。  文部大臣、若き文部大臣に私は大いに期待しておりますけれども、世の母親よ、できるだけ家庭にとどまれと、こう言うお考えはございませんか。呼びかける御意思はございませんか。
  46. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 家庭を構成するやはり主要な位置を占めるのは父親であり母親である、私はそう思っております。それぞれ人格を認め合い、尊敬し合い、そして自分の立場をやはりわきまえて子供の教育に当たっていくということが一番私は至当であると思います。差別ではなくて、お互いの人格を認め合った中でそれぞれの立場というものの区別がやはりあると思いますが、それはみずから判断していくべきものであろう、そういうふうに考えております。
  47. 海江田鶴造

    海江田鶴造君 私、昨年、九州のさる県に行きまして知事さんから伺いましたら、さる婦人団体が知事さんに陳情に来て、知事さん、今学校給食は昼やっていただいておりますけれども、朝もやっていただけませんかという陳情があったそうでございます。なぜかというと、今の親は両方とも働いておって朝寝をする、朝飯をつくってやる暇がない、したがって小学校中学校の子供で朝飯を食べないで学校に行ってぶっ倒れる、だから昼もやっていただくなら朝もやっていただいたらどうですか、朝も学校給食やってくれませんか、こういう陳情があったそうであります。私は、ここに今の世の中の甘え、場合によったらたかり根性というのが国民の中にあります。そういう意味で、たしか去年の暮れだったか、ことしの初めに、東京都内で何かの都合で学校給食をしばらくやめて弁当を持っていくことをやったのをテレビで見ておりましたけれども、そのときいろいろ子供たちに聞くと、やっぱりお母さんがつくってくれた弁当がよろしい、こう言う子供が多かった。私は、やはり親がどんなに忙しくても真心を込めて子供に弁当をつくってやれば、学校における非行、暴力に走ろうとしている子供たちも考える。  今やはり学校給食というのは、私はいい面もあると思います。しかしどうでしょう。私は学校給食を全廃しろとは言いませんが、週に一回あるいは二回、弁当を持っていく日を特に義務教育の小学校中学校でやっていただいたらどうかと思いますが、文部大臣いかがでしょうか。
  48. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 学校給食は、先生御承知だと思いますが、教育活動の一環として特別活動のうちの学級指導の中に位置づけられているわけでございます。御指摘のように、いろいろ工夫をして給食を一緒にやるというのは大変私は大切なことだと思っておりますが、教育の見地からいえば、同じものを一緒に食べるということを通じまして連帯感を養うという教育的効果も考えます。あるいはまた、児童生徒が協力して配ぜん、配食、後片づけをいたしまして、いわゆる助け合うとか勤労奉仕のそういう精神を身につけさしたいというのも教育上の意義ある考え方だと思っているわけです。しかし、確かにもう少し形を変えた、現実には学校によっては市町村の指導によって工夫を凝らして弁当を持ってきておられるような学校も私は承知をいたしておりますが、ただ学校給食というのは、私は小学校のときに初めてユニセフ物資で給食というのを経験した一人でありますけれども、当時はやっぱり貧富の差というのがあったと思うんですね。ですから、楽しかるべき食事の時間が非常に子供にとって苦痛になる、このことを考えていかなければならなかった歴史的なやっぱりそういう経緯があったと思います。  しかし、今日はそういう貧富の差というのが、国民経済力も大きく増しておりますから確かにない一面はございますが、家族関係の事情というのはやっぱりあるのじゃないでしょうか。そうしますと、弁当を持ってきて楽しそうに食べる子と、お母さんが朝早く働きに行かれる方もあるでしょうし、いろいろとこうした中に非常に複雑な、離婚もふえている今日の中で、いろいろ家庭環境が変化している。子供たちにとってはそのことも、弁当を開くたびに何か急におなかが痛くなったとか頭が痛いといってクラウンドへ出て、グラウンドの片隅でしょんぼりしてパンをかじっているような子供たちがいるというようなことも、やはり教育の現場からこれは何としても除去していかなきゃならぬ、こういうこともあるというふうにまたお考えをいただきたい。いろいろな角度で、給食もいただくということ、あるいはお母さんが弁当をつくってくださるということ、いずれにいたしましても、そのことに対してやっぱり教育的効果というものを常に考えて先生が適切な指導をしていくということが私は一番大事なことではないだろうか、そんなふうに考えております。
  49. 海江田鶴造

    海江田鶴造君 私は全廃しろとは申し上げませんので、週に最低一回ぐらいは親が、母親のいない子は父親が弁当をつくる、それでも恐らく外食あたりから買ったのを持たせるような風潮でございますけれども、できるだけ親につくってきてもらいなさい、こういう指導をするのが本当の教育であろうと思いますので、要望にとどめておきます。  最後に私は、甘え、たかりをこの世の中からなく岩なければいかぬというのが私の信念でございますが、今、公営競技、公営ギャンブルと申しますか、競艇、競馬、競輪、こういうところで働く人たち、お年寄りが多いわけですが、定年は六十五歳、それからまだ二、三年延ばせる、そういうような状況の中でこの人たちが年間、ボーナスも入れると三百万から三百六十万、もうちょっと取る人もいるという話ですが、こんなふうにもらっております。何でそんなにもらっているのかというと、失業保険をもらっておるわけであります。実際は月に十二日働く。ところが、十四日働いて二カ月で二十八日にならないと失業保険がもらえない、したがってあと二日間は研修という形にする。十四日働いて合計二カ月二十八日、そして一日四千百円の失業保険をもらっておる。それと給料と交通費なんかを合わせれば三百六十万を超す人もおる、こういうことであります。私は、公営ギャンブルで働く、まあ平均が五十歳以上でございますが、余りにほかの労働者との給与の差がひど過ぎる、そのように思っておりますが、この失業保険、特に公営競技における働いている人たちの失業保険をなくすることはできないのかどうか、労働省にお伺いいたします。
  50. 加藤孝

    政府委員加藤孝君) 御指摘の問題につきましてはいろいろ論議もあるところでございまして、現に中央職業安定審議会におきましてこの雇用保険法の今回改正の論議がされました際も、その雇用保険部会におきましてやはり論議のあったところでございます。しかしながら、その施行主体によりましていろいろ実態も異なるというような面もございまして、今後私どもとしてもそういう就労実態についていろいろ調査をさしていただきますとともに、この二月に出ました中央職業安定審議会の答申においても指摘をされているところでもございますので、その線に沿いまして今後、こういう被保険者の就労の実態あるいは生活の実態、さらにはまた他の一般被保険者との均衡、こういったような観点から検討をいたしてまいりたいと、こう考えておるところでございます。
  51. 海江田鶴造

    海江田鶴造君 ありがとうございました。(拍手)
  52. 初村滝一郎

    ○理事(初村滝一郎君) 以上で海江田君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  53. 初村滝一郎

    ○理事(初村滝一郎君) 次に、志村哲良君の質疑を行います。志村君。
  54. 志村哲良

    ○志村哲良君 私は、科学技術に関する二、三の問題、殊にこの分野の先端的な科学技術に関する二、三の問題に関して、関係大臣にお伺いいたしたいと思います。ただ、のどを痛めておりまして、お聞き苦しい点がありますことを冒頭おわび申し上げます。    〔理事初村滝一郎君退席、委員長着席〕  近年における科学技術の進歩発達はまことに目覚ましいものがあります。しかも、創造的な科学技術の進歩発達が人間生活のあり方に深くかかわったり、国家の産業や経済の消長に及ぼす影響の度合いが今日ほど大きいことはなかったと思います。これらの問題は諸般の分野にわたりますが、ここでは最も身近で関心の深い件に関し、お伺いいたしたいと思います。  まず、近年ライフサイエンスと呼ばれる科学技術の進歩に対し、農林水産業、工業、保健医療等広範な分野において大きな期待が寄せられております。昨日も科学技術委員会におきまして長官の所信表明を深い感銘を持ってお伺いいたしましたが、ここに重ねて科学技術庁長官にライフサイエンスに関する基本的な見解をお伺いいたしたいと存じます。
  55. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) お答え申し上げます。  日本の存立にかかわる基本的な問題は、科学技術の振興でございます。そういう意味において大変重要な点についての御質問でございますが、まず私どもは、ライフサイエンス、これが急速に進展を見ておりますが、特にバイオテクノロジーを中心とした生物学、医学、農学、あるいは化学、物理学、工学など非常に幅広い分野においての知見を活用いたしまして、そうして生命現象を解明する。また、それによって得られましたいろいろな知見というものを具体的に私どもの人間の生活に、つまり保健医療に、あるいは食糧に、資源エネルギーと、こういったような広範な分野で人類の福祉、これに活用していくということが、今日私どもの抱えている重要な科学技術の責任であろうかと思っております。  そういうことで、私どもは、科学技術会議におきまして、昭和五十五年にはライフサイエンスの推進に関する意見を取りまとめまして、その研究の進め方についての提言をいただきました。政府はこの提言を受けまして、日本のライフサイエンスに関する総合的な推進を行っております。また、昭和五十六年の十一月には、特に最近すばらしい進展を見ております遺伝子の組みかえ技術を中心とするライフサイエンス、御案内のとおり、これが先導的な基盤的技術の研究開発を総合的に進める、そのための基本計画について科学技術会議に諮問をいたしております。現在、鋭意その取りまとめをいたしまして、できれば四月じゅうにもその答申をいただくと、こういうことで進めているところでございます。  また、今後とも基礎の、何と申しましても科学技術は基礎研究が大事でございます。そういう意味におきまして、その充実を図る。特に国だけでやる、あるいは大学等だけでやるというようなことではなくて、いわゆる産、学、官と、こういうようなあらゆる持てる知識、組織というものを活用してまいる、その連携を強化していく、そうしてまた若い科学技術研究者を育成する、こういったようなことが大変大事であろうと考えております。そういうようなことで、ライフサイエンスというものはいわば二十一世紀へ向かっての日本の存立あるいは世界の人類の幸福のために非常に重要な分野であると考えて、鋭意これに向かって国を挙げて進んでいかなければなりませんし、科学技術庁といたしましてはその中心的な役割を果たして、総合的な産、学、官の機能を発揮してまいるように努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  56. 志村哲良

    ○志村哲良君 ただいま長官の御答弁の中でも触れておられましたが、最近、がん対策、あるいはいわゆる難病の克服などが国民的な関心を呼んでおります。政府もこれに対して積極的な対応を示しておられますことはまことに喜ばしいことであります。農業、水産業等に関しましても、核移植技術によるクローニング技術が極めて大きな影響を与えるものとして期待を寄せられておるものであります。  私は、ここで率直にお伺いいたしたいと思いますことは、近年、各分野におきまして遺伝子組みかえ技術、細胞融合技術等の産業化が期待される余り、この技術を支える基礎研究がおろそかになっていることはないかということであります。例えば、遺伝子の情報がどのような形で生物体の中で発現するのか、また生物の形質として表現されていくのかというようなことへの正しい把握ががん対策にとっても不可欠のものであるということは言をまたないところであると思います。また私は、これらに対し誤りなきを期すためには、遺伝とは何であるか、遺伝子の働きとはどのようなものであるかというような問題に関し基本的な研究開発がされて初めて遺伝子組みかえ技術等の産業への応用が正確にまた有効に行われるものと確信をいたしておるものであります。このような観点に立ちまして、ただいま科学技術庁長官の御答弁にも触れられておりましたが、改めて基礎研究が極めて重要であるという問題に関する長官の御所見を伺いたいと存じます。
  57. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) 志村委員仰せのとおり、何と申しましても技術が先行するわけにはまいりません。その技術の前には基礎的な研究というものが極めて大事でございます。従来、日本の科学技術は大変応用面においては非常なすばらしい成果を上げて括ります。しかし、そのもとになる基礎研究、知見、こういうものはどちらかといえば導入型でございました。しかし、技術の面においてはもう世界の先端を行くようになりました。しかし、そのもとになるのが輸入物であってはやはりいけない。これからの日本はそういう基礎的な科学技術、これを創造的に自分のものとしてつくり上げていく、それが今後の日本の大きな課題でございます。そういう意味におきまして、創造的科学技術というものをこれから進めてまいらなければなりません。そのためには関係の省庁は全力を挙げていかなければならないと考えているところでございます。
  58. 志村哲良

    ○志村哲良君 諸外国におきましてもこの問題に、深い関心を示しまして、例えばイギリス、フランス、西ドイツ等欧州九カ国及びイスラエルは共同出資によりまして欧州分子生物学研究所を設立し、基礎的分野への研究に大きな力を投入しておると伺っております。また、アメリカにおきましても、ライフサイエンスの研究開発の成果を産業化するに当たりまして、民間企業が積極的に研究を進めてまいりましたが、最近、産学協同によるライフサイエンス研究のための研究所の設立がされたと報道をされております。私は、もしこれらの点に関しまして諸外国におくれをとるようなことが起こったとしたならば将来に大きな悔いを残すことに相なるだろうと危惧を抱くものであります。  そこで、今このような状況下におきまして、我が国においては本来、産、学、官などと呼称されますが、私はあえて学、官、産と呼んでみたいと思いますが、一体となってライフサイエンスの研究開発を進めることが極めて重要であろうと考えます。この場合、ライフサイエンスのみにこだわらないことはもちろんのことであります。自然科学のあらゆる分野全般にわたるものでありますが、今あえて象徴的にライフサイエンスを挙げたわけであります。この点に関し、科学技術庁長官の所見を改めてお伺いしたいと存じます。
  59. 岩動道行

    国務大臣岩動道行君) まことに適切な御指摘でございまして、特に産業化ということを考えた場合にも、やはりその前に、大学はもちろんのこと、国のあらゆる研究機関、そしてまた民間の企業の持っているいろいろな研究施設等、そういうものを総合してやっていかなければなりません。ただ、これを一挙にすべての分野において一つのものにするということはなかなか現実の問題としては難しい点があろうかと思います。したがいまして、科学技術のそういう基本的なことについては、やはり科学技術会議等を中心としまして、関係閣僚が参加をいたして、そうして政府としては総合的にこれを進めるということによって御期待に沿うように努力をしてまいりたいと考えております。
  60. 志村哲良

    ○志村哲良君 ライフサイエンスを初め、殊に先端的分野におきましては、例えばニューメディアにおける物性論、地震の予知における地質学、地球物理学、殊にプレートテクトニクスあるいは火山活動の解明等々、基礎科学部門の研究の充実が極めて肝要であると考えるものであります。この点に関しまして文部大臣の御所見をもお伺いいたし、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  61. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) お答えをいたします。  大学を中心といたします学術研究は、我が国学問的な基盤を確保します。その水準の一層の向上を図ることのためにも必要欠くべからざることでございまして、あらゆる国家社会の分野の発展の基盤を形成するものでございます。特に、現在の社会経済を支えるためにも技術革新は、まさに独創的な基礎的な研究推進をすることは極めて重要なことでございます。このような認識に立ちまして、大学を中心といたしまして基礎的研究を一層充実したい。文部省としてもかねてから科学研究費の充実あるいは共同研究体制の整備を図る努力を重ねているところでございますが、なお一層、先生指摘どおり、科学技術はまさに、二十一世紀へつなげる日本の一番大きなエネルギーにしていかなければならぬ、そのような考え方で取り組んでまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  62. 志村哲良

    ○志村哲良君 ありがとうございました。(拍手)
  63. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で志村君の質疑は終了いたしました。  午前の質疑はこれまでとし、午後零時五十分に委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。    午前十一時四十七分休憩      —————・—————    午後零時五十分開会
  64. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  これより和田静夫君の質疑を行います。和田君。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 財政展望について質問をいたします。  中曽根総理は、中曽根内閣が続く限り大型間接税を導入しないとされたわけであります。しかし、今後の財政展望を考えますと、三兆円ないし四兆円の規模を持つ新税を構想しない限り到底予算編成はおぼつかないと思うのでありまして、そこのところを大蔵省はどのように突破しようとなさるのか、私にはさっぱりわかりませんので、大蔵大臣からわかりやすく説明をしてもらいたいのであります。  そして、先日も一つの試算を私は示しました。現行水準の歳出水準、現行制度をそのまま維持して歳出がどれだけ伸びていくかを私は四・四%の伸びと見込んだわけであります。そのように見込めば、一九九〇年度までに三十八兆円の要調整額、不足額の累計が出てくるということになるわけでありますが、大蔵省は仮定計算例というものを既にお出しになっているわけでありますから、現行制度をそのまま維持して幾らの一体要調整額、不足額が出てくるのか、そこのところがわからぬわけでありまして、ここのところは大臣答弁に続いて主計局、当然増を九〇年度に延ばしていくと一般歳出の平均伸び率は幾らになるんですか。
  66. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 和田さんからも、いわゆる和田さんのお考えになった前提を置いて仮定計算してみたと。私どもがある意味において中期展望を出し、あるいは仮定計算例をお示ししたのは、そういういろんな角度からの仮定計算などが議論の俎上に上って、それが結局国民の合意と選択がどこにあるかということを見定めるよすがともなればそれは幸いだと、こういうような感じでもって、まさにいろんな仮定を前提に置いてお出ししておるわけであります。その点においてはありがたいことだと思っております。したがって、今の場合、仮定も今後の政策選択の過程において変化してくるでありましょう。だが、まだ今のところ、やはりもうこれ以上制度、施策の根源にまでさかのぼってやるものはないというような考え方は持っておりませんので、一層歳出面において行財政の守備範囲を見直すという見地から節減合理化に取り組んでいかなければならぬ。そうして、各種の公共サービスの確保は国民の負担によって裏づけられるわけでございますから、したがって歳入面においても税制あり方について検討をしなければならぬ。されば、その税制もいわば要調整額を何でもって埋めていくかという具体的なものについて今確たる考えがあるわけではございません。これらも国会の議論等を通じながら、国民のコンセンサスがどの点で得られるかということをこれからも引き続き模索していきたい、このように考えております。  なお、臨調答申等を完全に実施した場合とか、あるいは今のおっしゃいました制度、施策を維持した場合の問題等につきましては、御指示のとおり政府委員から正確に答弁をさせます。
  67. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 現行の制度、施策を維持した場合に昭和六十五年度においてどういう歳出の推計ができるかということでございますが、現在お出ししております中期展望は後年度負担型の推計をしておる。その意味でただいま御質問の趣旨に合った推計をしているわけでございますが、この後年度負担推計の手法を使います場合には、そう長い期間にわたってこれをやることは非常に難しいということで、昭和五十四年に財政審でいろいろ検討してもらいました。そのときにも、結論的に申しますと、執行中の予算年度、つまり今年度予算で申しますれば、五十八年度を初年度としてそれから五年ぐらいが限界じゃないか。各国のいわゆる財政計画、これも我が国と同様に後年度負担型推計をしているわけでございますが、大体我が国と似たようなタームでやっておるということでございまして、六十五年度までこの後年度負担推計を延長してやるというのは手法として限界があるということでございます。そこで、実は仮定計算例という三つのこれは全く機械的な計算でございますが、お出しいたしまして、御議論の糧にさしていただきたいということでございます。
  68. 和田静夫

    和田静夫君 この間あなたは私に、地方交付税や国債費も聖域にしないとおっしゃったわけですが、この国債費を聖域にしないということはどういうことでしょうか。
  69. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 国債費は極めて義務性の高い経費だと思います。つまり、それぞれのボンドホールダーに対しましてはきちんと利子も支払い、きちんと償還もするという義務性の非常に高い経費だと思いますが、聖域にしないと申し上げました趣旨は、今後検討一つの道として、発行その他国債管理に当たりまして、例えばマチュリティーをもっと多様化する道がないかというような面でいろいろ工夫の余地がありはせぬか、そういうことも聖域とせずに検討すべきじゃないかという趣旨を申し上げたわけでございます。
  70. 和田静夫

    和田静夫君 地方交付税は地方公共団体固有の財源であるというのは、私は国会に出てから歴代の内閣総理大臣大蔵大臣とそれぞれ確認をしてきたところであって、ここに手をつけるということは許せないところですが、何しろこれは往復の論議なものですから、もうきょうは答弁、通告してありますが求めません。  そこで大蔵大臣歳出削減はやはり一般歳出中心に行わなきゃならぬ。その一般歳出削減でありますが、この大蔵省のお出しになった中期展望、仮定計算例を見ましても、具体像がどうも私の頭の中には浮かんでこないのであります。したがって、私は私なりの財政展望をずっと出してみたんですが、一般歳出の平均伸び率を二%と置けば、六年間で十八兆円の歳出を現行の歳出水準からカットしなければならぬということになってくるわけですから、年平均三兆円ずつカットしなければならぬ。そういうような大幅な歳出カットができるのだろうかということですね。いかがですか。
  71. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、今の仮定の上に立ってそれだけのカットというのはそれは大変困難なことだと思います。しかし私ども、いわば歳出カットというものがやはりだんだんその許容限度が、許容範囲が狭まってきておるという認識はありますけれども、これを言ってみればギブアップしたときに基本的に財政改革に対する姿勢が崩れてしまう、だからやっぱり執拗にそのことは進めていかなければならぬ課題だというふうに認識をいたしております。
  72. 和田静夫

    和田静夫君 河本さん、内閣をきょうはお預かりになっているわけでありますが、今仮に向こう六年間一般歳出伸び率を二%、三%水準に抑えたら、日本経済は一体どうなるというふうにお考えになっているのでしょうか。消費者物価上昇率を三%と見込めば、どうも私は実質マイナス予算ということになろうと思うので、そこの所見が一つと、今仮に三%程度の一般歳出水準をとった場合に、公共投資をどのように扱うかの問題がありますけれども、どの程度の成長率を見込めると思っていらっしゃるんでしょうか。すなわち「展望と指針」の七%というのは達成できるでしょうか。
  73. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 御質問に正確にお答えするのは大変難しい問題だと思うんですが、と申しますのは、例えばことしの五十九年度予算経済成長に対してゼロの効果しかない、成長に及ぼす影響は何もない、しかし四・一%成長が達成できる。これは要するに、五年ぶりで世界経済が上向いてまいりまして、それを背景として、日本でも久しぶりに設備投資がある程度出てきた、それから貿易もある程度伸びる、こういうことが背景になっておるわけでございまして、いわば民間だけの力で四・一%という成長を達成できる、あるいはそれ以上達成できるかもわからぬ、こういう判断をしておるわけでございます。だから、財政が仮に伸びなくても、世界経済の状態が大変よろしいとか、客観情勢がよろしい、民間が活力を持っておるということであれば、経済成長は十分達成できて、予想以上の成果を上げることもできる。なおその上に、お示しのような財政がある程度加勢をすれば、さらにその上のプラスの成長も可能になってくる。こういうことでございまして、民間部門とそれから公的部門との関係がどのようにその時点における経済情勢のもとで動いておるかということでございますから、なかなか財政の伸びだけ、あるいは縮小だけで経済全体の推移を正確に言うことば大変難しいと思っております。
  74. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵大臣、ばっさばっさと切り込んでも、しょせんは限界がある。しかも日本経済は縮小再生産の奈落の底に落ち込んでいく危険性が私は大きいと見ています。当たるか当たらないか、もうしばらくたてば私の方が当たると思うんですがね。財政は健全に生き延びるかもしれないが、経済は死に体という姿がどうも頭の中に、今、河本長官の御答弁がございましたけれども、私には浮かんで仕方がないわけであります。ここらのところは、まず河本長官、いかがでしょう。
  75. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 現在の経済を死に体と一概に定義づけるのは私はいかがであろうか、こう思いますのは、二回目の石油危機が起こりましてから数年間は非常に悪い状態が続いておりまして、この期間はあるいは死に体に近いと言ってもよかった、こう思うんですけれども、昨年アメリカの経済が上向いてきまして、その影響を受けまして日本経済もようやく上向いてきた。まだばらつきはございますけれども、しかしようやく力が出始めた。力はまだ弱いですけれども、ようやく力が出始めたということでありますから、現在の経済は死に体ではない、ばらつきが厳しい、こういうことだと思います。
  76. 竹下登

    国務大臣竹下登君) どちらかと言えば、今財政は生き延びて経済は死に体、私ども、大きな意味における経済の中の財政はその一部分だと思っております。しかしながら、財政が出動する能力が日本財政状態の中には私はあった、それはやっぱり国民の高い貯蓄性向に支えられたということが基本的にあると思います。それが結局百二十兆と申しましても、五十年度以降発行が百十兆でございますから、それまでの分は仮に少額であったという理解の仕方をしたといたしましても、それだけのものを発行していわば財政が対応できた。それが第一次石油ショック、そしてその対応の仕方というものが、結局ある意味において私は五十四年ぐらい、まあ言ってみれば公定歩合を上げたりあるいは公共事業の後ろ倒しをしなきゃいかぬぐらい過熱の危険があるほどまでにその対応力が効果を上げた時期であったではないかというふうに思います。  その後、言ってみれば第二次石油ショックというものが参りまして、そして我が国財政の対応力そのものが失われた。だから、ある意味においてその時点は経済は生き延びて、それを支える力が財政力にあって、その支える力の限界というのがその辺にあったのではないかなと。だから、まずは必要なときには対応力そのものを回復しようということから始まったのが財政再建というものではなかったか。したがって、日本の滞在成長力、人それぞれによって見方は違いますものの、とにかく諸外国に比べれば、そのどの要素から見てもまだある。だから、それに財政が足を引っ張らない、言ってみればそういう状態の中で逐次対応力を回復していくというその辺の調和というものが、その都度都度の予算編成の際、財政の出動する分野というものにおいて議論され、それが政策選択として出ていく。その辺が非常に難しいところであって、今まさに精いっぱいのところまで財政の対応力はある意味においてはその機能を果たし得ない状態になって、さて果たす対応力を回復するにはどうするかというのがちょうど今ではないか、こういう感じでございます。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 河本さんの答弁にもありましたけれども、私はアメリカの影響などというのはどっちみち大統領選挙までだと見ていますから、その辺のところは、ちょうど来年の予算委員会ぐらいにはどっちの見方が当たったかというような論争になるんでしょう。  ところで、完全雇用成長率を維持するための財政規模というものをどういうふうにお考えでしょう。
  78. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 昨年出ました「展望と指針」では、一応失業率を二%見当、それがほぼ完全成長率に近い、その前は一・七%、こう想定しておったのですけれども、これもこの程度の雇用率を達成するためには、現在は失業率は二・七%ぐらいでありますから、もう少し経済の力が強くならなければなりません。ただ、このためにはどれだけの財政力が必要かという御質問でございますが、それはさっきも申し上げましたように、財政というのは経済の一部でございますので、民間の経済の勢いが非常に強いときは財政が出動しなくても成長率は高まってまいりますから、その問題は解消できると思いますし、民間の力が弱いときには財政がある程度出てまいりませんと失業率はさらに高くなる。こういうことでございますので、民間の経済がどの程度その時点において強いかということとの関連でございますから、数字でお示しすることは大変困難だと思います。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵大臣としてはどの程度の一般歳出規模が望ましいと考えているのかという点なんですが、向こう六年間の平均伸び率にしてどういうふうに考えられるのか。いわゆる〇%から四%の間だろうというふうに思いますが、それはそういうふうに理解しておいてよろしいですか。
  80. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 定量的にそれを見通すというのは、今のところ確たる自信が率直に言ってございません。どういうところが本来一番好ましいものか、まさに経済のその一部である財政、これから議論の中で詰めていく問題ではないかというふうに考えます。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 いずれにしろ、〇%から四%の枠内で私は考えてみて、一方で大幅な歳出カット、他方で大増税が避けられない。大蔵省の資料に基づいて私がつくったこの表で、三%の一般歳出の伸びでも六年間累計で二十七兆円追加的な歳入が私の計算では必要になるわけです。そうすると、年平均で四兆五千億、この分を税外収入で見込むわけにはまいらぬとなれば増税ということになるのは必至だと思うんですが、いかがですか。
  82. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに一定の仮定を置いたものにおいてはそういう議論はできると思います。が、そこのところ、国民の皆さん方とこれから問答していかなきゃならない問題であると思っておりますのは、租税負担のほかに、いわゆる総じて言えば国民負担というもの、これも確たるかつての七カ年計画のときのような形ではお出ししていない。そのお出ししていない、お出しできない状態というものも余りにも不確実性が多かったからでありますだけに、それらを議論の中でこれから詰めていく問題じゃないかというふうに考えております。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 私としては、この膨大な追加的歳入必要額に無関心でいるわけにはいきません。どういうような歳出予算を組もうが、赤字国債依存から脱却しようとするならば追加歳入が必要になる。私たちはそれを不公平税制の是正から手をつけるべきである、まずそこから始めるべきである、そう考えておるわけです。  そこで二、三の例をきょう挙げておきたいんですが、まず法人税関係で、退職給与引当金、この繰入率はもっと引き下げることが私は可能であろうと思っているんです。大蔵大臣、これは今年度でやろうとされたことでありますから大蔵省としては理論的にはできるというふうに、理論的な問題をまずお聞きします。
  84. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私どもが税の上で一応判断いたしますのは、国会の議論とかもろもろの問題を正確に報告して、政府税調の中でいろいろ議論していただいた結果の答申というのがやっぱり下敷きになります。それを見ましても、一応いわゆる退給の問題につきましては引き続き見直しを行っていく必要がある、結論から言えばそういうふうに述べられておりますので、今後引き続き実態の推移を見ながら見直していくべき対象であるというふうに思っております。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 国税庁、問題の福島交通で退職金未払い事件が起きているわけでありますが、この退職給与引当金というのはどういうふうに積まれていますか。
  86. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) お答えをいたします。  福島交通の退職給与引当金の積立額につきましては、有価証券報告書に基づき申し上げますと、昭和五十七年九月三十日現在で四十一億五千二百万円、五十八年九月三十日現在で四十三億二千四百万円でございます。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 主税局、この退職給与引当金を積んでいても実際には退職金未払い事件が起きるということの意味ですね。要するにこれは私は利益留保、利益隠しのために使われている。福島交通の今度の例というのは非常によい例なんではないだろうか。大蔵大臣、いずれにせよ退職給与引当金というのは十分検討すべき課題であるというふうに思うんですが、いかがでしょう。
  88. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先ほども申し上げましたように、これの税制上の理論はこれは正確に一応立っておりますが、その後の雇用期間が大変長くなっておるとかいうような実情からいたしましても見直すべき対象ではあるというふうに私も理解しております。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 福島交通の話題を出しましたので少しお聞きしますが、関連会社の使途不明金、七年間で五十億円と、こうなっているんですが、これは報告できますか。
  90. 岸田俊輔

    政府委員(岸田俊輔君) 福島交通と福島交通不動産、その関連個人につきましては昨年調査を下しております。ただ、個別の問題でございますので、御報告は差し控えさしていただきたいと思います。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 報道によりますと、この使途不明金は政治献金に使われたとのことであります。もらった方の脱税というのは、これは調査されることになりますか。
  92. 岸田俊輔

    政府委員(岸田俊輔君) 個別の問題につきましてはお答えを差し控えさしていただきたいと思いますけれども、一般論で申し上げまして、使途不明金につきましては、私どもといたしましてはその解明に最大限の努力をいたしております。その結果につきましては、例えば認定賞与とか重加算税とかいろいろな問題は適正に処理をいたしております。ただ、税務調査につきましては限界がございますので、どうしても解明できないものにつきましては法人税を課するということでとどめております。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 福島交通不動産が政治家数人に巨額の貸付金を出しているという報道があるんですが、この事実は確認されているわけですか。
  94. 岸田俊輔

    政府委員(岸田俊輔君) 個別の問題でございますので差し控えさしていただきたいと思いますが、調査の過程におきましては、資金の流れその他については十分調査をいたしております。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 きょうは往復で時間ありませんから、もう少し突っ込んだ話は後へ延ばしますが、この貸付金は無利子で行われているとしますと、つまり事実上の政治献金だと言われるわけですが、受け取った側には税法上の問題が、貸し付けた方には刑事上の問題が発生している可能性が私はないとは言えないと思うんですが、国税、検察両方の見解を求めます。
  96. 岸田俊輔

    政府委員(岸田俊輔君) 私ども調査の過程でいろいろな問題にぶち当たるわけでございますけれども、私どもは法人税なり税の観点からの調査をいたしておりますものでございますから、その他については余り十分察知をいたしておりません。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 法務大臣
  98. 筧榮一

    政府委員(筧榮一君) お答えいたします。  福島交通の関係、新聞等で報道は承知いたしておりますが、まだ具体的な事実関係が明らかになっておりませんので、刑事責任があるかないかという点については、まだ明確なお答えはいたしかねると思います。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 これは名誉のために解明されておいた方がいいと思いますから質問しますが、渡部厚生大臣、けさの朝日新聞の報道によりますと、小鉢社長は、渡部が初出馬するときは丸抱えで面倒を見たと証言されているわけですね。丸抱えというのは、世間では通常、金の面倒を見るというようないろいろな意味にとられるのですが、これは事実関係は何か解明できますか。
  100. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 私が初めて選挙に立候補したのは昭和四十四年の十二月でございます。私の選挙区の矢吹町というところの出身でありますので、そのときは、十四年前の話でありますから正確でありませんが、たしか非常に顔のきく方で、有馬稲子さんとか芦田伸介さんとか私のために応援によこしてくれたと思います。そういう意味では非常に応援をしていただいたということでありますが、面倒を見たと、こういうことになりますと、私は八万九千人の私を投票してくださる有権者の皆さん方全部に面倒を見ていただいたと思っておりますし、また私の後援会に入ってくださっている人に全部御厄介になっておると思いますし、また私を応援し、和田先生を応援する方でも同じだと思うんですが、応援する人は、皆おれ一人の力で渡部恒三を当選させているんだ、あるいは和田先生をおれが当選させているんだというぐらいの熱意の後援者でなければこれは選挙になりませんから、それぞれの方がどういうお気持ちになってくださっておるかは、ありがたいことでありますが、二回目の選挙以後は御後援を一切ちょうだいいたしておりません。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵大臣も恐縮ですが、これは報道の話でありますから、小針社長とは親しいということになっているわけですが、どういう関係でしょう。
  102. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私もあの報道を読みましたが、今から二十五年ほど前に、ちょっと最近いろいろ新聞に書かれておりますが、議員宿舎というものがまだございませんで、溜池の住宅公団のげた履きアパートを国会からあっせんしてもらって数名入っておった時期がございます。そのときに、同じそのアパートの四階以下が事務所になっておりまして、そこに十ぐらい事務所があったと思いますが、そこの事務所の、何といいますか、住人が小針暦二氏であった。当時、会社名はちょっと覚えておりませんが、出入りのたびによく一緒に顔を合わしておりました。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 官房長官、きょうは不幸にして総理いらっしゃいませんので、このインタビューによりますと、「当時運輸大臣をしていた中曽根さんから帰国要請があった。」というふうに小針さん述べておるわけです。官房長官、この辺の事実関係は側近として御存じでしょうか。
  104. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 存じておりません。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 官房長官、これも総理の名誉のための話でありまして、特に私持ち出したんですが、事実関係、やはり総理からお聞きになって後ほど報告をしていただければ幸いですが、いかがでしょう。
  106. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 事実関係を聞きまして、お答えをするようにいたしたいと思います。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 法制局長官、どうも私は今度の一連のものを読みまして、きょうは時間がありませんから突っ込んだ論議できませんが、証取法の違反、虚偽記載という問題が浮かんでくる形になっているような気がしますが、どうでしょう。
  108. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) お答え申し上げます。  私も実は事実関係を全く承知しておりませんので、個別具体的な問題としてどうかというような御質問でございましたら、何ともお答えできませんので御了承願いたいと思います。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 まあ問題点としてこれは残しておきまして、一般なりのところでさらに突っ込んだ論議をいたしますが、警察当局としては、この福島交通の使途不明金について、先ほど若干の答弁がありましたが、どのように御対処されますか。
  110. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) お答えいたします。  警察といたしましては、きのうからけさにかけての報道で承知したわけでございまして、具体的な内容につきましては今のところ把握をいたしておりません。したがいまして、どういった形になるか、現在のところ何とも言えないと、こういう状況でございます。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 国家公安委員長、この問題について同じ質問でありますが、重大な関心はお持ちでしょうか。
  112. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 関心は持っております。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵大臣、私の論議をしたかったのは、今のことよりもいわゆる使途不明金の一般論について、大蔵委員会、決算委員会などでずっと何遍も積み重ねてきまして、竹下大蔵大臣ともいろいろとやり合いましたし、渡辺大蔵大臣ともいろいろと私の考え方を述べてきたところでありますが、いい例が出ましたのであれですが、私見を述べておきたいのでありますが、我が国の使途不明金についての罰則規定というのは極めて甘いわけですね。フランスのように、もらった方の所得税分も取るというようなシステムを考える、そうでないと私は一向になくならないのではないかということを自説としてかつても述べましたが、きょうも述べておきたいのであります。これも私は緊急に検討しなきゃならない課題になってきているのではないだろうか。たまたまこの予算委員会にぶつかって、福島交通不動産の問題が出たから、これだけが俎上に今のっているのでありますが、一連ずっと税務調査その他によって出てきているわけですからね。いかがでしょう。
  114. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはたびたび御議論のあったところでございますが、いわゆる経費として認めないことによって全額課税、仮装隠ぺい等があればこれは重加算税、しかしこれが法人税としての限界でございますと、こういうお答えをずっと今日までしてきておるわけであります。やはりそれ以上の問題ということになりますと、商法、刑法との関連分野等も当然のこととしてございましょうし、どういうふうに取り扱いをするかということは、検討さるべき課題であるという事実認識は持っております。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 法制筒長官どうでしょう、ここのところは。
  116. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) 使途不明金の取り扱いにつきましては、税務の執行上も非常に大きな問題であろうかと思いますが、今御質問にありましたような罰則あるいは制裁を科するかどうかという点につきましては、これまた非常に基本的な立法政策の問題であろうかと思いまして、軽々に私この席でどうこうと申し上げるような筋合いの問題ではないような気がいたしておりますので、御了承をお願いいたします。
  117. 和田静夫

    和田静夫君 河本首相臨時代理として、あなたの内閣を主管されている二十六日までの間に、この辺のことを一遍検討されませんか。
  118. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私も新聞で初めて聞いたようなことでございまして、これはしかし検討するといいましても相当時間がかかるんじゃないでしょうか。
  119. 和田静夫

    和田静夫君 経営の才に非常にたけていらっしゃるあなたの答弁としては非常に不満であります。  自治大臣、これは所管は多少違うことは十分わきまえながらでありますが、大臣、持論の企業献金の制限ですね。そういうもののために、使途不助金の罰則強化が必要であると私は考えますが、この際、新自由クラブの代表としての御見解を承りたい。
  120. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 使途不明金の罰則は、これは全然政治資金のらち外でありまして、これはむしろ商法の方の問題ではないでしょうか。私もちょっと勉強不足で使途不明金については別の方面でこれを取り締まるべきものであって、政治資金規正法は、そういう政治資金を出したのに届けなかったとか、あるいは受け取ったのに届けなかったというのは政治資金でございます。それから、税金の問題からすれば受け取った方の側は、これは大蔵省の見解でございますから、幾ら新自由クラブの代表でもちょっとこれは答えられないというわけでございます。
  121. 和田静夫

    和田静夫君 どうも質問の趣旨をよそにちょっと持っていって訓示的答弁が非常に多い自治大臣なものだから、時間がかかりますから、私の述べたことと趣旨が違う答弁があったことだけは受けとめておきます。  不公平税制についての第二の例でありますが、マル優についてです。これは不公平税制というよりアングラマネーの吸収という性格を持つのかもしれませんけれども、マル優は現行枠を維持する、あるいはひとり者の老人や寡婦といった人々を想定すると特別の枠が必要でしょう。しかし総体的に見て現行枠を維持する、その点大きくいじる必要はある意味ではありませんが、問題はマル優の悪用ですね、大蔵大臣。現在おおよその数字として百兆円強、何らかの形でどうも不正使用をされているような感じがいたします。国税庁長官を含んでどういうふうにこれは把握をされていますか。
  122. 渡辺幸則

    政府委員渡辺幸則君) お答え申し上げます。  マル優の不正利用ということでございますが、まず第一に、私ども金融機関に対しましてマル優の調査をいたしております。これは五十七事務年度で申し上げますと、全金融機関の店舗の約一一%に相当する四千六百件に対しまして実施をいたしております。その結果、約百七十億円の税金を追徴いたしておるわけでございます。この税金から一定の仮定を設けまして元本を推計いたしますと、約五千六百億円になるわけでございます。なお、これと別途査察もいたしておるわけでございますが、これにつきましては百七十一件につきまして告発処理をいたしております。これは公表帳簿に計上されていない、いわゆる別口預金を把握しているわけでございますが、この残高が百五十二億円ということになっておるわけでございますが、この中にかなりマル優関係のものも入っておるという状況でございます。
  123. 和田静夫

    和田静夫君 私、計算例をかつて示しましたが、どうも百兆円ある。これが六、七%で運用されますと、六、七兆円の利子所得が見込まれる。その源泉徴収率二〇%を掛けると一兆二千億から一兆四千億円の追加税収というものが見込まれるという計算になると私は見ています。したがって、グリーンカード制は私たちの反対にもかかわらず挫折をしているわけでありますが、改めてマル優の不正使用に挑戦してみる、こういうことが私は大蔵大臣必要だと思うんですが、大蔵大臣の政治姿勢として承りたいと思います。
  124. 竹下登

    国務大臣竹下登君) マル優制度そのものは、和田さんも、貯蓄奨励という政策的な意義はある、それが悪用されておる、和田登であったり竹下静夫であったりするものが存在をしておるではないかと。この問題は、私どもはマル優の悪用という観点からとらえるのではなく、いわゆる利子配当課税というものを、ああしてグリーンカードが御案内のような状態に今日凍結されておりますので、やっぱり税調の答申等からもいえば、この八月夏ごろまでにという御審議を期待し、ながら、角度は若干違いますが、もとよりそういうことが考え方の念頭には当然入ってくるでございましょうけれども、そういう利子配当課税というもののあるべき姿という形から検討を今まさに税調でもお願いをしておる段階であると、こういうことでございます。
  125. 和田静夫

    和田静夫君 さらに、金融資産税という税目が一つの構想として私はあるんじゃないだろうかと、こう思うんです。例えば、全く例えばでありますが、一億円以上の金融資産、預貯金、公社債、信託、株式、そういう所有者を対象として低い税率で徴収をしてみても一兆円近い追加税収は見込めるということになるんではないだろうか。したがって私は、この金融資産税というような税目は検討に値すると思っているのでありますが、いかがでしょう。
  126. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この問題も前回、先ほどの議論の問題も報告した結果、税調で一応答申はいただいておるわけでありますが、「利子・配当課税のあり方に関連し、固定資産以外の資産については資産課税が行われていないことにかんがみ、金融資産残高に対して課税を行うべきであるとの意見があったが、資産課税全般について今後どのように考えていくかという基本にかかわる問題のほか、他の固定資産以外の資産とのバランスをどう考えるか等、なお慎重に検討すべき問題が多い」と、こういうこの十一月の段階ではお答えになっておるわけであります。したがって、省内で具体的に今検討しておるという事実はございませんが、まさに税調のこの御指摘、さらに今度こうした議論が出ておるわけでございますから、それこそ慎重に検討すべき問題が多いと考えていただいて、なおその先どのような議論が展開されていくかという現状認識であります。
  127. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵大臣としては、その辺のところは少し突っ込んで前向きに出てくることを期待しているというふうに今の答弁を承っていいですか。全く受け身ですか。
  128. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 利子配当については、これはもうまさにできるだけ早いことを期待しておる。今の問題についてはなお検討すべき問題が多いという指摘でありますから、その多い検討すべき課題がこれからの対象ということでございますので、今期待しておるかと言われると、税の問題でございますから、絶えず受け身の態勢にはありますが、今直ちに早期にそういうものが答申されてくるであろうというところまでは期待を持っておりません。
  129. 和田静夫

    和田静夫君 所得税の総合課税化はどういう展望でしょうか。
  130. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは私は、総合課税化というのは従来からずっと議論されたことでありまして、それはそれとして、所得税のあるべき姿としては、それはやっぱり方向として堅持していくべきであろう。しかし、その総合課税に、まあ結論から申しまして、グリーンカードの問題等の議論もそこにあったわけでございますが、容易に国民理解を得ることができなかった問題がございますだけに、完全にそういうことで画一的に総合していくという方向にはまだ私は道は遠いというふうに思っております。
  131. 和田静夫

    和田静夫君 きょうは二、三の例示にとどめますが、今挙げたわずかな例でも私の試算によれば二兆円に近い追加税収が見込めるということになるのでありまして、不公平税制の是正はぜひ緊急に手をつけられるべき問題だと思いますが、総括的な大蔵大臣の見解をお伺いします。
  132. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 不公平税制の是正というのはこれはだれしもが思うことでございます。しかしながら、その不公平とはということになりますと、率直に申しまして個人個人の主観によってかなり違う問題がそれはあろうかと思います。しかし、例えばいわばマル優の悪用でございますとか、そういう個別的にだれが考えてみてもなるほど不公平だというような問題については、これはその義務を負う納税者のためにも不公平税制についての是正は不断の努力をしていかなければならぬ課題だというふうに思っております。
  133. 和田静夫

    和田静夫君 宮本さん、消費者金融についてですが、総合的な消費者金融規制法を構想されているようですね。内容、方向、またいつごろ。
  134. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 実はこの問題につきましては、貸金業法が成立いたしましたのを機に、これからの個人信用のあり方、それから私どもの消費者信用行政のあり方、こういうものを見直すいい機会じゃないかということで、昨年の秋から銀行局長の私的な研究会でございます金融問題研究会でずっと勉強してもらってきておりました。そしていよいよ今回、半年にわたります審議の結果といたしまして来週中にも報告書がまとめられることになっておるわけでございまして、その報告書におきましては、私ども今聞いているところによりますと、いろいろ現在の消費者信用の現状とか問題点などを分析しました後、今後におきます消費者信用のあり方につきまして、基本的な考え方、それから業界の対応の仕方、さらにその行政面での対応の仕方、そういうものがございまして、最後に立法面での対応というようなことも載せられているようでございます。その中に、現在の消費者信用問題に関しましてはかなり日本の場合はばらばらになっている。金利の規制についてもいろんな法律がございます。また、業法がたくさんございますし、また行為規制につきましてもいろいろあるわけでございます。そういう意味におきまして、特にその消費者保護等の問題におきましてかなりばらばらになっておるので、それをまとめまして、消費者保護法といいますか、あるいは消費者信用に関する統一法をつくったらどうかというふうな御提案がなされるやに聞いておるわけでございますが、そういう段階でございまして、そういう御報告を受けました後、各関係省庁とも協議いたしながらそういう総合立法が本当にできるのか、あるいはできるとすればどういう形にするのかというような点をしばらく時間をかけて検討してまいりたいと、こう思っておるわけでございます。
  135. 和田静夫

    和田静夫君 通産大臣、それとの関係で割賦販売法との関係が当然出てくると思うんですよ。その辺はどう考えているんですか。
  136. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 割賦関係の取引は最近非常に急速な拡大を遂げております。しかし、その一方で、先生指摘のように、消費者保護というものの法的な手当てがない場面がございます。例えば販売業者とそれから購入者との間に信販会社のようなものが介在する取引、私どもこれを割賦購入あっせんと言っておりますけれども、そういったものがございます。こうした状況に際しまして、私ども早急に対処をいたしますために、現在、今国会にも提出すべく割賦販売法の改正の準備を進めているところでございます。  それから、ただいま御指摘の消費者信用保護法あるいは消費者信用法というものにつきまして、ただいま銀行局長から御報告ございましたように、私どもまだその内容が必ずしも明らかにわかっておりません。そういうことでございますので、現段階ではコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにせよ将来の課題としては時間をかけて慎重に検討すべき問題だろうとは思っております。
  137. 和田静夫

    和田静夫君 防衛関係費GNP一%問題に入りますが、総括のときに防衛関係費をやれなかったんですが、きょうはちょっと違った角度からだけ、一般質問の前段のこととしてお聞きをしておきますが、経済財政が中心ですからそういうことなんですが、経済問題から見た防衛費GNP一%論ですが、企画庁長官大蔵大臣、私は軍事費というのは本来非生産的である、つまり軍拡というものは一般論として不経済である。中曽根内閣が、一九七六年の閣議決定「当面の防衛力整備について」を堅持するとされているわけでありますが、この閣議決定が防衛費を対GNP比でとらえたというところに私は経済と防衛費との関係で非常に示唆深いものがあると常日ごろ考えているわけであります。それはこの軍備というものは今も言ったように不経済なのだという発想、それで今日の時点でこの閣議決定をそのように読み返すことができると考えますが、簡単に両大臣、いかがでしょうか。
  138. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ちょっと私、今御質問の趣旨がわかりませんが、対GNP比一%ということが五十一年に決まりましたが、それをどう読みかえる……、私はそれなりのいろいろな数値があると思うんですが、一般歳出の中に占める比率とか、しかしあのとき一%という、ちょうど建設大臣をしておったと思いますが、私は非常に決め方としては適切な決め方だと思いました。それから、たまたまその後大蔵大臣をやっておりますと、そのことは私ども予算編成に当たって非常に念頭に置きやすい数値であったというふうに理解しております。
  139. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 御趣旨は、経済と防衛費との関係はどうかと、こういうことでないかと思うんですが、戦後我が国が荒廃の中から急速に立ち上がってまいりまして世界で第二の経済力を維持するようになったというその背景は、やはり戦後最小限の防衛費でもって、余力を挙げて経済発展のために努力をしてきた、工夫をしてきたということに背景があろうかと、こう思っております。そういう意味で、昭和五十一年の三木内閣の決定はそれなりに私はここ数年間非常に大きな効果を上げてきたと、こう思っております。  ただ、これも国力との関係でございまして、一般論から申しますと、アメリカはGNPの七%を負担しながら強い経済力を発揮しておるわけでございますし、一概になかなかこれは言いにくいと、こう思うんです。ただ我が国としては、それとは別に平和憲法というものもございますし、総理自身も一%という三木内閣の基本路線は守っていくと、こういう御答弁をしていただいておるわけでありますから、だから私は、やはり日本経済国家として発展をしていく、その分野で世界に貢献をしていくんだと、こういうことであれば一%枠を守るということは非常に大きな意義を持っておると、このように思います。
  140. 和田静夫

    和田静夫君 大体、前提的な意思統一ができたような気がします、一般でやりますが。  森福島大学助教授の推計が「財政危機の日米比較」という著述に出ているんですが、「防衛支出の対GNP比が一%増加するごとに経済成長率は約〇・四六%ポイント低下する。したがって、もし実質経済成長率を四・五%以上に保とうとするならば、防衛支出の対GNPはほぼ〇・八%以内に抑えなければならない」と。森助教授は、潜在成長率を損なわないためにはGNP一%以下に抑えなきゃならない、こういうふうにしているわけであります。防衛費をGNP一%以下に抑えるということは経済政策上からの私は至上命題だろう、中曽根内閣の閣僚としてこれはぜひ今後も堅持していただきたい、今の御答弁もありましたが。そればかりではなくて、竹下さんも河本さんも、政権をうかがう一政治家としてここのところはしっかりしていただきたいと思うのでありますが、御見解を簡単に承ります。
  141. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは当面、中曽根総理からたびたびお答えがあっているところでございますので、五十一年の三木内閣当時の閣議決定の方針についてこれを守っていく、そういうことでございます。将来の問題ということになりますと、これは具体的な問題が、具体的な必要が生じた段階において検討すべき課題であると思っておりますが、いわゆる経済と防衛費の関係経済企画庁課長さんのお書きになった文章等もございますけれども、私は、経済というものを考えたときに、いわゆる防衛費というものが生産性向上という意味からいえば足を引っ張っていくというような議論は、それなりに踏まえていなければならない議論だと思っております。
  142. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 今、大学助教授の数字を挙げての議論を御紹介になりましたが、私はその議論はやはり前提条件があると思うんです。どういう経済のもとではこういうことになると、そういうことであると思いますので、どの経済にも当てはまるということではないと思います。それはまあ別といたしまして、しかし、三木内閣の一%枠を守るというその基本路線を総理大臣が守っていくと、こういうことを言っておられるわけでありますし、私はその政策を支持したいと思います。
  143. 和田静夫

    和田静夫君 同じ質問、自治大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  144. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) GNP一%を堅持していく、こういうことには賛成であり、またそうすべきであると、このように思っております。
  145. 和田静夫

    和田静夫君 財政展望歳出削減の話に戻りますが、大蔵省は先日私の質問に対して、臨調答申財政審に基づいてカットするのであると、こういうふうに答弁されたわけです。そうすると、臨調答申で総額幾らカットできるのかということになってくるわけであります。財政展望というからにはそれくらいの数字が出るのだろうと思うんですが、これは出ますか。
  146. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 臨調答申等に基づいていろいろ歳出削減を工夫するというのはそのとおりでございますけれども臨調答申は定量的な表現で答申しているわけではない。例えば「医療費総額を抑制する。」というような表現でございますね。そうすると、幾ら抑制するのかということは臨調答申ではわからないわけでございます。そこで、その臨調答申をやったら数字的に幾らになるかということを申し上げるのは非常に難しいのじゃないかと思います。
  147. 和田静夫

    和田静夫君 全省庁、各大臣に聞きますが、全大臣ですが、実は私は、衆議予算委員会に皆さん方の各省から提出をされた予算委員会の資料を全部読んだ。そうしたら、とにかくまちまちで、私は衆議予算委員会はこれで一週間ぐらいとまってもよかったなと、私ならとめたなと、こう思っている。こっちへ来てからほかの委員会のことを言っちゃいけませんがね。その中でまじめに、今答弁がありましたけれども、これだけのカットになりますと答えられた数字が出ている省庁もあれば、まあここで具体的に言いませんが、全然出ていないところもあります。ここで答弁ができますか、一人ずつ。もしできなければ、今大蔵省が言われたように総括的な数字が難しいというのであったならば、私は一般でもう少し突っ込んだあれをやりますので、官房長官、全省庁のをおまとめになってお出しになりますか。その資料要求は衆議予算委員会で出ている資料要求に基づいたもので結構でございます。
  148. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) ただいまの御質問でございますが、一定の前提を置いた試算になると思うんです。例えば五十九年度予算で、臨調答申の趣旨に沿ってどういう歳田削減が行われたか、その財政効果は幾らかと、こう申します場合に、臨調答申でこういうふうに制度を変えなさいという答申がなされている場合には、今年度予算制度改正をやった、その結果、現行制度と改正制度の間でこれだけの財政効果があったということは言えるわけでございます。ところが、臨調答申で抑制しなさいと、こういった場合には、何に比べて比較したらいいかということになりますので、例えばその場合にはお許しをいただいて前年度に対してこれだけ減りましたという数字を出すことは可能だと思うんです。さっき言いましたものと後に言いましたものと、これを足すというのはどうかなという感じはいたします。ですから、つまりA項目でこう、B項目でこうと、それから例えば補助金なんか一律削減ということをやっておりますので、その項目でこうというような幾つかの項目に分けまして、省庁別に積算いたしまして、トータルを出してしまうとぐあい悪いと思うのでございますけれども、項目別の出しっ放しという資料でございますれば調製可能だと思います。できるだけお出しするように努力いたします。
  149. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で和田君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  150. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、粕谷照美君の質疑を行います。粕谷君。
  151. 粕谷照美

    粕谷照美君 文部大臣お尋ねいたします。  私は先日、一人のお父さんから一通の手紙をいただきました。自分の子供の教育の問題についての質問でありますが、その最後の部分に、うちの子供の偏差値は四十から四十三です、こういうことが書いてあるんです。偏差値というものが、親が自分の子供を人に説明する材料に使われるぐらいひとり歩きをしているということに非常に大きな怒りを覚えたわけでありますが、今、激発をしています非行、暴力、登校拒否など、教育の荒廃と呼ばれる現象は一刻も放置ができない事態であり、この偏差値教育に示されている現在の教育改革されなければならないというのは国民共通の願いであると思います。我が党も、この教育改革に。いて、教育内容の精選、教育条件の整備、偏差値教育の是正、後期中等教育の位置づけ、あるいは入試改革、幼児教育あり方等々、多くの政策提案を行ってきました。これらの教育改革課題検討国民合意のもとに行われることが前提であるというふうに思われますけれども、首相直属の臨時教育審議機関で審議をしなければならないということに文部大臣が賛成をしていらっしゃる、積極的にそれで進めていこうとしていらっしゃることの真意をお伺いしたいと思います。
  152. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 今日までの日本教育は、日本子供たち教育に大きな貢献をしてきましたし、また教育制度が定着して、そして特に戦後におきましては自由と民主主義、平和を志向する国民の大きな一つ目標、基盤にもなってきたわけでございます。しかし、いかなる制度にも、社会変化対応にやはり国もこたえていかなければならない。今、先生からも御指摘がございましたような事柄、それだけではございませんけれども国民教育に対するいろんな意味での疑問や不満がほうはいとして沸き上がっておるわけでございまして、どこか一つだけをこれを改めていくということではなかなか解決し得ない。そういう意味で、これから本当に将来二十一世紀を担っていく子供たちにとって、本当にふさわしい教育はどうあるべきものなんであろうか。また、その教育がいろんな諸機能にどのように影響していくものだろうか。こうしたことを広く国民の多くの議論の中で、そしてまた幅広い、高度な、いろんな角度からの考え方、こうした形で改めて教育全体を眺めてみる。そういうことで、総理大臣の諮問をする新しい機関において調査、審議をしていただく、こういうことになったものでございますが、御心配いただきますように、文部大臣として、なぜ総理にお任せをするのかという御指摘でございましょうが、法律の中には、教育基本法というものを大事に守り、同時にまた文部省が中心になって進めていく、また文部大臣がその新しい教育機関の設置に当たりまして、文部大臣意見を十分に取り入れて進めていく、設置しようという、こういう考え方で進めるものでございます。
  153. 粕谷照美

    粕谷照美君 今度の予算委員会でその内容が徐徐に明らかになりつつありますけれども、この臨時教育審議会、この設置法というものは、法律がもうできたのですか。どんな状況になっておりますでしょうか。
  154. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 法律の大要は、大体文部省において定めておりまして、間もなく国会に提出するために、今さらにその手続をいたしておるところでございます。
  155. 粕谷照美

    粕谷照美君 そこでお伺いをするわけですけれども、我が党の石橋委員長が二月八日に代表質問をいたしました。その中で、この教育臨調が「余りにも政府権力による教育への介入の意図が露骨に過ぎるというべきでありましょう。」と、こう言いながら、我々はこのような戦後の民主教青の総決算に手をかすわけにはいかない、「党首会談をやるというのであれば、あなたの構想を押しつけるのではなく、教育はいかにあるべきか」、「最初からひとつ話し合いを進めようではありませんか。」と、こういうことを育っているわけであります。この教育改革を政争の具としてはならないという考え方は文部大臣としては持っていらっしゃると思いますけれども、まだ各会派の合意を取りつけたとか、そういう状況にはないように思いますが、その辺はどうなっておりますか。
  156. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 政府がこのたびの法律を提案するものでございまして、総理の願望からいえば、提出の前にでき得れば各党との合意を得て提出したいという旨の御発言もございましたけれども、現実の問題として政府が案件を提出する前に各党と協議をするというその仕組みは、まだ私は成就されていない、こういうふうに思います。しかしながら、党と党との間で私ども政府の考え方や、また法律の基本的な構想を、党を通じいろいろと御議論をお願いをいたしておるところでございます。
  157. 粕谷照美

    粕谷照美君 この法律の審議をする委員会でございますが、大体衆議院においては内閣委員会、参議院においては文教委員会であるというようなことが私どもの耳に入るわけであります。これは国会が決定する問題だというふうに思いますけれども、もし内閣委員会で審議をされるということになりますと、そこには文部大臣が常時出席をすると、こう理解してよろしいですか。
  158. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 私の方もまだ同会に提出をいたしておりませんので、この法案がどの委員会で御審議をいただくかについては、まだ私自身もつまびらかではございません。ただ、どの委員会で御審議をいただくにいたしましても、質疑要求というものが出されてくれば、私として当然出席をし、そして先生方の御意見をちょうだいしながら政府の考え方も述べ、広く皆様方の御協議をいただきながらぜひ御成立をいただきたい、このように望むところでございます。
  159. 粕谷照美

    粕谷照美君 我が党はこれに対して一つの考え方を持っておりますが、きょうはそのことについては触れないで、先日出されました文化と教育に関する懇談会の方に移ります。  おととい、二十二日の当予算委員会でもこの懇談会の提案の取り扱いをめぐって十分な質疑が行われ答弁が行われておりました。私はそれを後ろの議員傍聴席で伺いながら、文部大臣総理大臣の間には答弁の食い違いがあるように思いました。きのうの夕刊を見ましたらやはり食い違いがある、衆議院の答弁にもあったというようなことが出ておりましたので、そこのところを明確にしていただきたいと思うんです。
  160. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 答弁の食い違いというのはどのところをお指しになっていらっしゃるのか、大変失礼でございますが具体的なところをお指しいただければと思いますが。
  161. 粕谷照美

    粕谷照美君 この文化と教育に関する懇談会の提言というのは首相の私的諮問機関であります。したがって、この提言は首相に対する報告ということになるわけでありますが、このことがたたき台になって、そして臨時教育審議会、仮称ですけれども、そこの中の審議の柱になっていく、たたき台になっていくということについて考え方の違いがあったように思います。その点についてはいかがですか。大臣としてはないというふうにお考えですか。
  162. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 私としてはないと考えておりますが。
  163. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、文部大臣はこの報告の提言は審議の中に大きな制約をもたらさないと、こう考えていらっしゃるのでしょうか、どうでしょう。
  164. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 文化懇の答申は、今、粕谷さんも御指摘ありましたように、総理に対する私的諮問機関として提言をされたものでございまして、大変私にとりましても参考にさしていただくにふさわしい、またこれから日本教育について大変御見識高い御提言であったというふうに私も感想を持っております。しかし、新しい審議機関は、これは新しい審議機関の皆さんでこれからどのような教育改革をしようかという御議論をいただくことでございます。したがいまして、どのようなお考えでお進めになるかはあくまでも新しい機関の方々が自身でお考えになることでございます。  ただ、文化懇の意見教育にさまざまな提言を寄せていただいていることでございますので、貴重な参考資料としてなさることもあり得ると、こういうふうに考えますが、これもあくまでも審議される先生方のお考えによるものではないかと、私はこのように考えております。    〔委員長退席、理事初村滝一郎君着席〕
  165. 粕谷照美

    粕谷照美君 二十二日の文部大臣答弁も私はそのように伺いましたので、再確認をしたということで、この点については了解をいたしました。  それでは今度、文化懇報告のまとめについて文部大臣がどういうふうにお考えかということを若干伺います。  この総論のところにあるわけですが、ページ数で言いますと三ページになるんですけれども、「教育基本法や教育に関する特定の見解にとらわれず、」意見を調整したと、こういうふうに書いてあります。この問題については、今国会の論議を通じて首相は一貫して教育改革教育基本法にのっとって行うと、こう答弁されてきているわけで、ここに矛盾があるというように思われてなりません。これは総理がいらっしゃれば総理に伺うのが当然でありますけれども文部大臣としてはこの辺は間違いがないと、こうお考えでございますか。
  166. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 文化懇の報告には確かに「教育基本法や教育に関する特定の見解にとらわれずこという、そういうように書いてございます。そういう意見を整理したものであるというふうに述べられておるというふうに私は解釈いたしております。しかし、ちょっと勉強不足で、忙しいこともあるんですが、全部熟読玩味いたしておりませんが、しかしざっと一読した限り、教育基本法の精神に直接抵触するようなそういう考えは私は示されていないような感想を持つものでございます。しかし、常々ここで申し上げておりますように、新しい機関はあくまでも教育基本法の精神にのっとって行われることを期待をいたしておるところでございますし、審議に当たりましても恐らく同懇談会が私的懇談会であることに留意しつつという、そういう報告をしていただいておることでございますから、私はそのことが新しい審議機関が教育基本法をしっかり尊重してということを言っておるわけでありますから、そこに私は矛盾もないし、また教育基本法を害するようなそういうおそれというものは私はないと、こういうふうに信じております。
  167. 粕谷照美

    粕谷照美君 この問題について伺ったわけは、この報告書の個別意見というところにわざわざ三人の委員が御意見を出していらっしゃるわけです。鈴木健二氏は、「七歳入学、義務教育を中学二年までの八年間とする六・四・三・三制がふさわしいと考える。」、わざわざこう出されているわけで、これが教育基本法にとらわれず討議をしたという部分に入っているのではないかというふうに思うわけですね。ところが総理答弁は、教育基本法を守りますでありますから、この辺のところはどういうものなのか、こういうことも次の審議会では審議をされるのかどうなのか、その点について伺っておきたかったわけであります。  ところで、文化懇は中等教育に関して「学校制度検討を含めた対策が必要である。」と、こういうふうなことを言いながらも、教育制度については「今日の時点で学校制度学校段階の区切りを一律に改めることは必ずしも妥当ではない。」、こうやっているわけで、これは総理のおっしゃる、あるいは文部大臣のおっしゃる教育基本法を守り、ここの部類に入るのではないかというふうに思うわけであります。文部省は去年の七月に、佐野事務次官をキャップとする学制改革プロジェクトチームを発足させております。ことしに入って第十四期中教審を始動させて学制改革検討を諮問する予定であったというふうに思いますけれども臨時教育審議会でのこの取り扱いはどのようになるのでしょうか。
  168. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 文化懇の報告も先生指摘されておりますように、自由にして濶達な未来を展望していくということでございますと、現時点で学制を一律に改めるということは妥当ではないけれども、しかしこれからの学校制度全般を眺めてまいりますと、このこと自体、再編について避けて通れないというようなそういうやはり指摘もいたしておるところでございます。また、中教審の第十三期の報告でもこうした学校制度の多様化、弾力化について指摘を受けておることでございますので、特に文部省の場合は、必要がございましたら事務当局に答えさした方が適切かと思いますが、その当時といたしましては、児童生徒の数の激変、そうしたことに対処していわゆる義務教育学校はどうあるべきだろうか、こういうことを検討していこうというふうに、私は当時党におりましたので、問いているところでございます。  しかし、新しい審議機関におきましては、当然審議機関自身が考えられることでございますけれども、やはりこうした学校制度全体のものを検討しないわけにはいかないというように、私はそんな予想もするわけでございますが、しかしこれも、総理も私も再三述べておりますように、教育基本法は遵守していきたいという気持ちは常に述べておるところでございます。ただ、誤解があっては恐縮でございますが、御審議をいただく先生方にはできるだけ御自由な御論議をしていただくことが日本教育にとって、また将来を展望する教育制度あり方について自由濶達な議論ができ得る方が日本教育にとって最も私は適切ではないかというふうに考えているところでございます。
  169. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、大臣の答弁を伺いながら、それでもなおかつ、なぜ文部省の諮問機関である中教審でそのことが討議をされたのではいけないのだろうか、だめなんだろうかという疑問を消すことができないわけであります。この辺のところで私ども国民が思うには、文部省は力がないんだ、中教審ではだめなんだと、こう総理が判断をしたのではないかというふうに考えているのじゃないかと思いますが、文部大臣はそうはお考えにならないんですか。
  170. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 中教審は、文部省固有の事務でございます教育、学術、文化、これに関します調査、審議を進めてきておるものでございます。新しい審議機関は、これからのいわゆる二十一世紀に対応すべく、幅広いいろいろな角度からの教育の見方、また視点などもいろいろ角度を変えて考えていってみたい、こういうことでございまして、特に、まさにゼロ歳から生涯教育という観点から見てまいりますと、各行政機能とのかかわり合いもあるわけでございます。そういう角度で物を見てまいりますと、単に文部省固有の事務だけではなくて、幅広く政府全体がその責任を持ってこれに当たっていきたい。こういうことで新しい機関を総理のいわゆる諮問機関として設置をしたところでございまして、中教審とのかかわり合いについては決して私どもは矛盾を感じていないものであります。
  171. 粕谷照美

    粕谷照美君 行政との関連ではそのようだと思いますけれども、しかし裾広い角度から物を見ていきたいというのであれば、今まで中教審の人選が悪かったということを今文部大臣自身のお口から皆さんの前に報告をされたようなことになりはしないでしょうか。
  172. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 私は、そのような御指摘の点を申し上げたつもりはございません。中教審は、今日まで大変すばらしい議論を踏まえながら、そして戦後の日本教育が誤りなきように立派な考え方を示してくれましたし、また文部省はそれにこたえて、恐らく御指摘、御提言をいただきましたことについてはほとんどの面で解決をいたしておりますし、なお解決していない面については研究を進めているところでございます。しかしながら、例えばいわゆる先導的試行のようなことに関しましては、当時といたしましては国民的なコンセンサスがなかなか得にくかった。今のようにいろんな角度の教育議論がたくさん出ておりますときでございますと、また当時とは違った取り組み方ができたのかもしれませんが、そういうふうな問題を一つ取り上げてまいりましても、もう文部省固有の事務だけではやはり判断がつかない、政府全体の取り組みが必要になってきていると、こういうふうに考えております。したがって、中教審は、これまでは本当にすばらしい立派な議論を集積した提言をしていただいておりますし、今度の審議機関も、もちろん中教審の今日まで積み上げてくださった議論のその上からスタートをしていきたい、それを踏まえてスタートをしていきたい、こういうふうに考えているところであります。
  173. 粕谷照美

    粕谷照美君 私はますますわからなくなったわけですけれども、すばらしい答申をもらった、そしてその答申を受けて文部省としては的確な手を打ってきたと。それでなおかつ今教育荒廃の現状が出ているわけでありますから、的確な手は打たれなかったからこういう状況が出たのではないか。中教審答申そのものに、これは私どもは問題があると指摘をした部分がたくさんあるわけですけれども、問題があったからこういう状況が出てきたのではないか、こう思っているわけでありまして、その辺は文部大臣と私どもの考え方の違うところであります。これは長年にわたって文教行政を行ってきた自民党政府としては十分に反省をしていただきたい、こういうふうに思っております。  ところで、この文化教育懇のメンバーなんですけれども総理が任命なさったわけですから、皆さんそれぞれ一がどの方だというふうに思いますけれども、しかし、人間が立派であるということと物の考え方がどうであるかということとはまたちょっと違うというふうに思うんですが、農林大臣おいでになりますけれども、事前に通告しておきましたが、北海道の農民連盟が、農業不要諭を唱える企業の製品を買いません、こう言って、ソニーと味の素とダイエーの三社に対する不買運動の緊急提案を満場一致で決めた、こういうふうになっているんですね。これはどういう内容だか御存じでしょうか。
  174. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) お答え申し上げます。  全上川農民連盟青年部執行委員会というところで、日本農業不要諭を主張する財界、特にソニー製品は買わない、あるいは味の素製品は買わない、ダイエーは利用しない、そういう不買運動に全農民が取り組もうという決定をしたということを承知しております。これは三月十二日か十三日かと記憶しております。
  175. 粕谷照美

    粕谷照美君 その不買運動を決めた発言の内容というのを何か御存じですか。
  176. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) お答え申し上げます。  冒頭に申し上げましたように、ソニー株式会社井深名誉会長、味の素株式会社渡辺名誉会長あるいはダイエー株式会社中内社長という三人の方のそれぞれの発言をここに印刷をしてございまして、特に農業については過保護であるとか、あるいは日本農業について保護政策が不要ではないか、そういうような主張が根っこにございまして、それを具体的に、例えばソニーの井深名誉会長を——これ、全文を読みましょうか。
  177. 粕谷照美

    粕谷照美君 はい。
  178. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) ソニー井深名誉会長の発言内容といたしまして、「競争力を失なったものを国内にかかえておくことは国民的損失、計算すると農家には農産物を作ってもらうより金を渡してあそんでもらった方が得、農業と工業では、単位面積当たりの生産性で一千五百倍の開きがある。だから日本の農業はそっくり東南アジアへ移したらよい」。味の素株式会社渡辺名誉会長の発言といたしまして、「十兆円余りの農業産出額に対し三兆円の国家予算を使っているのは農業過保護も甚だしい、食品メーカーが国際水準で食品原料を入手出来る価格の実現など、また高い米価水準が他の農産物価格にも波及、牛肉・肉類など農水省の価格支持政策は、生産性の高い大規模農家を価格決定の対象とすべき。」である。ダイエー株式会社中内社長の発言といたしまして、「輸入自由化でつぶれる日本農業なら、それも仕方がない。米だって何だって外国から買えるのだ。」というような発言を引用してございまして、こういう主張を唱える会社、企業からは物を買わないというふうな主張をしているところでございます。
  179. 粕谷照美

    粕谷照美君 農林大臣にお伺いいたしますけれども、この井深ソニー名誉会長は文化と教育に関する懇談会のメンバーになっているわけですね。そういう重大な日本の二十一世紀を考えていく方が、日本の農業をそっくり東南アジアへ移したらよいなどと言うようなことについて、農林大臣としてはいかがお考えですか。
  180. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) お答えいたします。  今、先生がおっしゃったような具体的なことは私存じませんでしたが、ただ、財界の中にありまして、いわゆる農業、農村、これについて特に国際分業諭というのが提言されてきておるということは承知しておりました。しかし私は、我が国の農業というものは、農村というものは、これは決して過保護でも何でもございませんで、これは先進国を見ていただければそれぞれわかりますが、我が国農業に対する保護よりももっと手厚い保護をやっておるところも多々あるわけでございます。特に、農業、農村というものが国民の一番基礎的な重要な作物である農産物というものを、食糧というものを安定供給するというものを初めといたしまして、そしてまた健全な地域社会の形成、また国土、自然環境の保全など、いわゆる経済合理性だけではこれは律し切れないものがあるというぐあいに私は考えております。そして、今後とも農村、農業が有する役割を効率的に果たすように、国内生産で賄えるものはできるだけ国内生産してこれを賄うということを基本といたしまして、そして今後とも我が国の農業の発展に私は努力してまいりたい、そういう考えでございます。
  181. 粕谷照美

    粕谷照美君 この中教審の審議委員などは、「人格が高潔で、教育、学術又は文化に関し広く且つ高い識見を有する者のうちから、」云々と、こう書いてあるわけですけれども、私は、これからの教育を審議するに当たって、本当に教育とは何なのか、人間が生きていくということは何なのか、こういう基本を重視する立場の方々が教育審議委員になっていくように努力をしていかなければならない、こう考えているわけでありますけれども、今の私の質問で、文部大臣、内容おわかりになったと思いますけれども、審議委員のメンバーの中に経済を優先していくような方々が選ばれるというのはどういうふうにお考えですか。
  182. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 総理の文化懇に選ばれているメンバーの皆さん、私は必ずしも経済界に偏重していると思っておりません。もちろん選ばれたのは総理ですから、どういう観点でお選びになったのかは官房長官にでもお聞きをいただいたらばと思いますが、いろんな分野の方々がおいでになったような気がいたします。もともとこの私的懇談会というのは、総理が個別に御意見をお聞きする、それを便宜上御一緒にお話を承るというような形になっておるのだろうと思います。  井深さんにつきましては、今のような御発言があったかどうか私も承知をいたしておりませんが、私の立場から言えば、あの方は、ゼロ歳からの教育ということ、いやむしろ赤ちゃんが胎内にいるときからの教育が大事なんだという学説をよくいろんな書物などで出していらっしゃることも知っておりますし、また本当に今のソニーという企業をあそこまで大きく成長なされた、大変な苦学、また努力をされた方だというふうにも聞いておりますし、そういう御経験や、また幼児教育に対する御見識や、そういうもので、恐らく総理教育上に関する御意見をお聞きになったことではないかというふうに思います。したがいまして、経済優先のというふうに粕谷さん御指摘でございますが、全体の顔ぶれを見ると、必ずしも私はそのようになっていないのではないかなというふうな感想を持っております。
  183. 粕谷照美

    粕谷照美君 内容がわかっていただければ、あとはまたお考えいただけるというふうに思いますので、私はこの問題についてはここでとめます。  ところで、この他省庁も含まった臨時教育審議会をどうしてもつくらなければならない理由の一つに、幼稚園と保育所の問題がある。午前中杉山委員から随分詳しい質問がありましたので私は内容に触れませんけれども、この幼稚園と保育所の問題について、文部大臣は長期の展望と当面何をしなければならないかというこのことが課題になるというお話をなさいました。しかし、長期の展望をつくるといたしましても、長期の展望がきちんとしない限り、私は当面の対策ができないというふうに思いますが、この長期の展望について諮問をなさるんですか。文部大臣は全然お話をなさらないというふうには考えませんけれども、何かこの点についてのサゼスチョンなりやられるわけですか。
  184. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) いろいろ御関係の、また御造詣の深い委員の方がたくさんいらっしゃいますので、時々私が短い時間に限られた中で発言をするものですから、おしかりをいただいたり、また御激励もいただく面もあります。さっき私は杉山さんに対してお答え申し上げたのは、私は、幼保の一元化を非常に積極的に推進をしておるというような発言につい新聞などで受けとめられておりますと、保育所の皆さんから見ると何かあたかも幼稚園に全部吸収されるのではないか、厚生省からもぎ取られるのではないかという、そういう行政の皆さんも御心配もあるようにもなっております。  私が申し上げたのは、幼稚園、厚生省両方からの懇談会で、両方とも機能と目的が異なっているんだ、こういう御指摘があって、それなりの機能、目的で進めるというようなそういう結論だったというふうに私も承知をいたしておりますから、杉山さんが例えば幼稚園の設置主体の問題とかいろいろのことで今やらなきゃならぬことがたくさんある、そういう問題が心配でできなくなるというそういう御指摘でありましたから、私は、そういう問題はそれぞれ今の行政当局の指導で進めていただくことはちっともやぶさかではない。ただ、設置主体がいろいろ補助率のことや、利息のことや、国の経費のことや、地方自治体がお手伝いをすることなど、全く違っているじゃないかとか、受ける子供たちや親の立場から見ても、中身は同じなのにとても不満が多い、こういうことであれば、このままいりまでも両省のままで進めるということは、やっぱりこれは政治として看過できないことではないか、そういう意味で、この問題はもう少し将来において、いわゆる就学年齢のようなこともあわせて御検討いただく長期的なテーマとしてもし解決し得る方法があるとするならば新しい審議機関で検討されるにふさわしい課題ではないだろうか、こういうふうに私は申し上げておるわけでございます。しかしながら、あくまでもこれはこのようなことをやってくださいというふうに、今審議機関が設置をされて、委員の皆さんが選ばれて、どのようなことを御議論されるかということはまだ私どもも把握してないわけでございますから、あくまでも私の希望的な期待感を申し上げたわけでございます。
  185. 粕谷照美

    粕谷照美君 そういう細かいことをやろうとしても、やはり将来の展望をきちんと明示しないうちに保いろんなことの解決はできないと思いますし、私も、子供を預ける母親や、あるいは子供たちの立場に立ては、保育というのは保護をする、教育する、この言葉が一緒になった言葉だというふうに思うわけですね。したがって、保育は一元化するというのが理念でなければならない。そういうもとに立っていろいろな討議が行われるのが正道であろう。このことは何も新しい審議会でやらなくても、文部省が十分に厚生省と話し合うということでできるのではないかと今まで考えてきたわけでありますが、何にも前進、何にもと言うと問題がありますが、若干の前進があっただけで、基本的な解決ができないことを非常に残念に思っているものでございます。  さて次に、婦人差別撤廃条約批准に関連してお伺いをいたしますけれども、一月二十五日の決算委員会で久保田真苗議員から、文部省はこれをどうするのか、こういう質問をいたしました。それに対して、文部省といたしましては批准に差し支えないように努力をする、こうおっしゃっているようでありますけれども、具体的な手続としてはどのような形でやられますでしょうか。
  186. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 日本高等学校におきます家庭科というのは、これは長い伝統の中から出てきたものでございます。これは粕谷さんの方が御専門ですから、よくおわかりのとおりでございます。しかしながら、そのことが差別撤廃条約を批准するために妨げになるという、こういう御指摘があるわけでございますので、この制度を妨げにならないようにどのように改善をしたらいいのか、大変大事な問題でございます。しかしながら、一方では家庭科の先生方からは、この家庭科というのは子供たち教育の基本につながることであって、これはやはり揺るぎなきものであるから、ぜひきちっと残してほしいという御陳情や、そういう運動もあることも、これも先生御承知だと思います。非常に難しい問題でございまして、したがいまして、この必修科目をどうするかということについては、教科全体の問題にもなるわけでございますので、それぞれの関係方面とも十分調整をし、意見を聞きながら、条約批准の妨げにならないような方向をぜひ見出したい、こういうふうに今考えているところでございます。
  187. 粕谷照美

    粕谷照美君 大臣、このことについては一月二十五日、こういう答弁があるんですね。近く発足いたします第十四期中教審において論議をしていただきます、そして条約十条(b)項に抵触しないように、批准に妨げにならぬようにいたしますと、こういう答弁になっているんですね。    〔理事初村滝一郎君退席、委員長着席〕  私は、この十年間を顧みて、文部省自体が条約に抵触するおそれがあるということを認めたというだけでも大きな進歩だ、十年かかってようやくここまで来たのかという感じがしてならないわけです。私どもは何も家庭科をなくするなんて言うんじゃないんで、同一にやりなさいということを言っているわけでありますから。この答弁の中で言いますこの十四期中教審が今度三年間凍結になるわけです。この問題は来年が批准なんですね。総理はできれば世界会議までに批准をしたい、来年の夏までにと。そうすると、三年凍結したら、それはできないのではないか。具体的にどうやったらその批准の妨げにならないと文部省は判断をされるのですか。
  188. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 教育課程の改定は相当時間がかかって行われるわけでございます。したがいまして、批准されるのが来年ということになりますと、少なくとも今年中にある方向を出さなければならないと思います。そうしますと、そのためにどういう形でその結論を出すかというための関係者から成る検討機関を設けまして、そして論議を重ねまして、方向の結論を出してもらうということになろうと思うんです。その結論が具体的に改正されるのは、次の教育課程全体が改定される際に具体的内容として出てくるというようなスケジュールで考えるわけでございます。
  189. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、来年の夏までには間に合わない、こういう心配を持っていますけれども、どうですか。
  190. 高石邦男

    政府委員(高石邦男君) 先生も御存じのように、教育課程を改定する際には、具体的な作業を始めて現場で実行するのには十年かかるわけなんです。したがいまして、この論議が起きた段階で到底六十年度までに間に合わないということはわかり切っていたことでございます。しかし、そうはいっても条約との関係が残るわけでございますので、少なくとも批准するまでには一定の方針を出すということを決めれば、それによっての方向づけが行われるということになりまして、具体的仕事はその上に立って進めていくという手順になろうかと思います。
  191. 粕谷照美

    粕谷照美君 文部大臣が就任早々に日教組と会ったということが非常に大きくマスコミに取り上げられました。まあたくさんの教育団体にみんなお会いになって、たまたまその一つが日教組だったと思いますけれども、そのこと自体があれほど大きく新聞、テレビに出ていくということは、日教組と文部省との関係を物語るものだと思うんですね。この日教組が現場教職員を五十万組織している、現実に教育の任に当たっている、そういう現場の中からいろんな問題が今起きてきている。私は文部省が日教組と会うということは非常に大事なことだというふうに思いますけれども、今後の大臣のお考えをお伺いして質問を終わりたいと思います。
  192. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 日本教職員組合は、今、粕谷さんから御指摘がありましたように、子供たち教育に御熱心な先生方のお集まりの職員団体で、これは大変よくやっていらっしゃる。特に最近は教育荒廃あるいはまた教育改革等についてもいろいろな御意見を持っていらっしゃるということについては大変ありがたいことだと思っております。  午前中、杉山さんの御質問の中にもありましたけれども、一方ではやはり違法なストライキをやるのはどうなのかという声も、また多くの国民の中のこれは関心事でございます。今後とも日教組が、本当に教育の現場で子供たちに最も大きな影響を与える、そういうお立場であるという自覚はもちろん持っておられるでありましょうが、私は、そういう方向で教育に関するいろんな条件、いろんな考え方はもちろんこれからも提言もし、また教育の任に当たっていただきたい、こう思うわけでございますが、やはり国民の多くの、今五十万というふうに先生指摘されましたけれども、逆にまた多くの国民が、なぜ先生がストライキするんだろうか、なぜ違法なことをおやりになるんだろうかという疑問も者お持ちなわけでございまして、どうぞそういうことのないような、子供たちにとって本当にすばらしい先生であってほしいな、こう私は文部大臣としていつも願っておるところでございます。
  193. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 時間が参りました。
  194. 粕谷照美

    粕谷照美君 時間ですけれども、ストライキをやらないで済むように人事院勧告などは値切らない、完全に実施をする、そのために文部大臣としては努力をしていただくことを要望して、終わります。(拍手)
  195. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で粕谷君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  196. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、峯山昭範君の質疑を行います。峯山君。
  197. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 初めに、財政経済の問題についてお伺いをしたいと思います。  初めに行政管理庁長官にお伺いをいたします。  最近、行政改革に対する国民の関心というのが、二、三年前と比べますと、特に急速に冷却してきたような感じがするわけでございますが、総理は、先日の総括の質問でも、この点につきまして、今ちょうど胸突き八丁、今こそ正念場である、こういうふうにおっしゃっているわけではございますが、しかしながら、国民の関心という点からいきますと相当冷却している、私はこう思うんですが、長官どうお考えですか。
  198. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 最近そういう声は私も時々耳にするわけですけれども、私ども行政改革というのは、去年の臨時国会で七本の法律が可決をせられた、これはまさにまだ入り日なんですね。これからが私は行政改革の正念場である。この国会には関連法案全部で三十本当さしていただきますが、ぜひ国会で十分御審議をしていただきたい。ただ、行政改革は、いよいよ具体化ということになると、各方面に痛みを伴うことはこれはやむを得ません。そうなりますというと、これはやはり国民的な御理解と御支援がなければ実際問題としてはなかなか実現の難しい仕事である。そういう観点で考えますと、私どもは正念場と心得てこの一つの国会に三十本からの大変厄介な課題の解決に当たるということでございますから、私どもの方は別段行政改革が後退しているなどとはさらさら考えていない、これからが本当の正念場である、こういうことなんです。しかし、難しい仕事であるだけに、どうしても国民の皆さん方の御理解、御支援がなければならない。そういう観点から見ますと、最近マスコミの取り上げ方等も、もうこれはどうやらだんだん軌道に乗りつつあるんじゃないかといったような物の考え方じゃないんでしょうか。取り上げ方が減っていることは事実でございます。  そこで、臨調の後身である審議会も、各地で国民の皆さん方に行政改革というのはこういうものだということを訴えるということで、今日各地にお回りを願っているわけですが、何といっても基本的にこういう仕事は相当な年月を要する。年月を要しますと、どうしても困難な仕事であれば、一方で年月は要するんだけれども、難しければ難しいほど熱いうちにやらないとなかなか成果が上がらぬということも私は十分理解をしておりますから、今後は、大変難しい仕事でありますが、どんどん政府としては臨調答申の線に沿って、法律案を必要とするものは法律案、政府部内でできるものは政府部内でどんどんやっていきますから、どうぞひとつ皆さん方の一腰の御鞭撻をお願いいたしたい、かように考えるわけでございます。
  199. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 後段の決意のほどはよくわかるんですが、国民の関心が急速に冷却してきている、そういう感じですな。これは率直にやっぱり受けとめていらっしゃると思うんですが、どうですか。
  200. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私も全国を回ったり選挙区へしょっちゅう帰っておりますが、本当の意味での国民理解、私は冷却しているとは思いません。どうしてもこれはやってくれ、これが国民の切なる願いであろう、私はそう思っているんです。まあ委員がこれからおっしゃらんとしている意味は、私はもう十分わかっておりますけれども
  201. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大蔵大臣大臣はどうですか。行革に対する国民の関心、これは大変冷却してきている。実際、自分の選挙区へ帰りまして行革のことをいろいろ話をしましても、行革行革と言っているけれども、結局しわ寄せは我々に来るんじゃないか、やっぱり今行革と言ったって景気が悪いのもどうもならないじゃないか、こういうような反論が必ずあるんですよ。昔は、二、三年前は行革の話をするとみんな目を皿のようにして聞いたし、そういう感覚が現実にあったわけです。ところが最近はないんです、事実。こういう点、大臣どうお受けとめになっていらっしゃいますか。
  202. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は、財政改革、したがって行政改革というものは財政改革のための手段ではない、やっぱりこれはもっと基本的な問題であるというふうに説いて回っておりますと、私の話が上手なのか下手なのか、みんなちゃんとお聞きになっておりますし、そして質問もかなり多うございます。なかんずく、やっぱり地方公務員給与の問題、各紙等でキャンペーンがございました影響もあったでございましょう。その種の角度からの御質問も多うございますから、決して冷却しておるというふうには認識いたしておりません。
  203. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 結構です。そこら辺のところは、中曽根内閣の一番の欠点はそういうところですわ。どういうところかといいますと、ここで答弁することと実態とが大分違うということです。総理がここで答弁していることと実際に総理がやっていることが違うというのを、私はいろんな面できょうは立証したいとは思うんですけれども、時間が余りありませんからあれですが、そういう点なんですよ。まあ一つずついきましょう。  大臣増税なき財政再建というのがありますね。これはもう行革をやるときの政府の公約でもあると私は思うんですけれども大臣、これは今後もやっぱり政府の方針として守り通していかれるおつもりなんですね。
  204. 竹下登

    国務大臣竹下登君) やはり、増税なき財政再建というのは、これはてことしてちゃんと踏まえていないと財政改革は進まないと思っております。
  205. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは行管庁長官、先の質問、あなた御存じだそうですからあれですが、増税なき財政再建というこの問題ですね。これは総理が行革を進めるに当たってのいわゆる一つの大きな行革の至上命題という言葉も使いましたし、バックボーンという言葉も使いましたし、そういうふうに考えて総理は発言をされましたし、その前には土光さんの発言もあってこの問題が取り上げられたわけですね。そのときに総理が何回も行革の委員会で発言されたことの中に、先ほどもちょっと大臣おっしゃいましたが、国民の皆さん方に行革を推進するに当たってはやっぱり痛みを分かち合う、だから行革を推進することでいろいろと御協力をいただく、そのかわり政府としては増税なき財政再雄を守ると、こういう発言を何回もしていらっしゃるわけですね。  国民は、そこでやっぱり一冊の問題は、この増税なき財政再建というこの問題、ここですね。受け取り方が大分違うわけですよ、感覚として。要するに国民は、やっぱり大蔵大臣政府に裏切られたと思っているんですよ。国民増税なき財政再建といいますと、本当に増税なしという点、これは私もこの予算委員会で大分皆さんの御意見を聞いておりましたけれども、わかりにくいですな、本当に。専門家はそれはわかるかもしれませんが、国民の立場からしますとわかりにくいわけですよ。先ほど行管庁長官が、これから胸突き八丁、いわゆる行革の本番に入る、そういうふうな意味ではこれはやっぱり国民の支援なり応援がなければならない、そういう時代に入る。しかしながら、そういうふうな時代になって最近は新聞が余り取り上げない。何となくマスコミの皆さん方の取り上げ方が悪いみたいな言い方ですけれども、実際は私はそうじゃなくて、政府自身が国民に対して、いわゆる専門家じゃないです。専門家でない普通の国民、私たち普通の庶民が考えて、政府増税なき財政百姓ということでしっかりやってくれるだろう、こう期待したけれども、実際は今度の今年度予算のいろんな中で出てくる税の値上げというものに対して、この間、これはもう既に御存じだと思いますが、土光さんを中心にした審議会の皆さんが公聴会をやっていますね、名古屋とかあっちでやっていますね。あそこでのいろんな中身を見てみますと、国民の皆さんがいろんな発言する中身はこの点に集中していますわ。こういう点についてやはり政府国民を裏切っているんじゃないかという考え方があるわけです。  この問題について行政管理庁長官はどういうふうにお考えかということと、それから大蔵大臣は、その税の面について国民の率直なわかりやすい面での考え方、その点御答弁をお願いしたいと思います。
  206. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 先般もこの委員会でお答えいたしましたが、いわゆる土光臨調による行政の改革は、従来と手法が違って制度、施策の基本にまでメスを入れる、そしてまずやるべきことは既定経費の削減であるということでございますから、これは政府としてはやらざるを得ない。そうなればそれだけの経費負担が減ることはこれはもう事実ですけれども、同時にそれは既存の制度が変わるわけでございますから痛みを伴うということもこれまた事実であろうと思います。行革の考え方としては、したがってあくまでも既定経費の削減が最優先である、そして制度、施策の見直しをやるんだと、こういうことですね。それと同時に、今回のこの行政改革というのは発端が、御案内のように、財政再建問題と絡んできておりますから、そこで財政百姓については、まず既定経費を削減をし、そして同時に増税のない財政の百姓をやりなさい、こう言っているわけですね。そこで、増税なき財政再建は何ぞやということになりますが、これは大蔵大臣からお答えがあろうかと思います。  そこで、私の率直な感じは、今、峯山さんおっしゃいましたように、ことしもああいった思い切った減税も財政窮乏の折からやる。しかし同時に、税の構造その他も考え、そして増税のない範囲内での一方での増収措置といいますか、増税ですよ、これは。そうしますと、納税者は変わりますから、納税者が変われば変わった税金が重くなる。例えば酒を飲む人は、これは重くなりますから、そうなればこれは増税ではないか、これは増税なき財政再建に反しておりゃせぬかといったような率直な国民感情があることは、これは私否定いたしません。しかしながら、土光臨調の物の考え方は、そこまで否定をしているわけではないんですね。そこらをどう理解をしていただくかということが、私は大変難しい場面ではなかろうかなと、こう思います。したがって、峯山さんのおっしゃる国民サイドに立ってのこういう批判があるじゃないかということは、私もよく理解ができるところでございます。
  207. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 素朴な国民感情として、いま後藤田行政管理庁長官からお話がありましたように、個々の人にとって、自分の可処分所得の中から払うものが、なかんずく間接税増税になっているんじゃないかと、こういう素朴な感じは率直にあると私は思います。臨調で申されておりますのは、これはもう峯山さん御存じのとおりのことでございますが、そこにまでたどり着くに若干の時間が私はかかると思います。なるほど減税というものをやる、しかし財源がない、さはさりながら、我々の今日までにおける受益を減らしていく、そうなれば一体どこでどうするかと。おれの一杯の酒はそのためのものだと、こう気がついてきまして、そうするとやはり高齢化社会というものもおのずから気がつき、そこに最終的には国民がどう判断することかだという今過程にあるという状態ではないかなと、こういう気がいたしております。
  208. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 確かにそこら辺のところは国民の感覚とのギャップは多少あるかもわかりませんね。現実の問題として、臨調自身も、私は答申をずっと見ておりますと、そういうギャップは事実あったわけです。だから、答申の中でも、最終答申増税なき財政再建というのはどういうことだということをうたわなければならないところまで追い込まれたわけですからね。  そこで、これもこの委員会で何回か問題になっていることですけれども、これは臨調答申の中のいわゆる増税なき財政再建ということで、全体として租税負担率を上げないという問題ですね。この問題、これは既に五十九年度の国民所得比で国税が〇・三%、国税と地方税両方合わせまして〇・五%、この負担率が上昇しているわけですね。この点、大蔵大臣、実際問題としてどういうふうにお考えになっていらっしゃるかということと、それからこの臨調の主張する負担率を上げるとか上げないとかいう場合、多少の基準というか、許容される範囲というのがあると思うのですね。柵と言ってもいいですね。これは今増税なき財政百姓は守るとおっしゃって運営をしていらっしゃるわけですから、そういうふうな中で、今年度の予算からいいますと、この臨調で言う租税負担率、既にもう上がっているわけでありますが、その範囲、幅ということについてはどういうふうにお考えか、これをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  209. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは難しい問題でございます。例えば税収のことでこの場で御質問受けたときに、私は一%は誤差のうちというようなことを申し上げて、後から非常に反省したことがあります。その一%というのは三十兆の三千億という感じで、昨年でございましたか、申し上げたことがございますが、まあ言ってみた後で本当にそれだけにおさまるかなと、まあおさまりました、やれやれという気がいたしたわけでございますが、今度の場合も、いま御指摘のとおり、昭和五十八年度当初は二三・七、それが補正後で二三・九を若干上回って、そして今度は租税負担率は二四・一と、こうなるわけでございます。今度の場合は、もとよりこれは大部分が自然増収によるものでございますけれども、この許容範囲を何%にするかということは、私はここで確たる数値を申し上げるほどの自信もございません。だから、こういうものもこうした問答のうちに、だんだんこの辺かなというものが出てくるではなかろうかというふうに考えております。
  210. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、もう一つの臨調の新たな税制上の措置はとらないという点がありますね。この点大蔵大臣どういうふうに理解していらっしゃるかということと、それから一般消費税は、これは導入しないということは、これはもう何遍も明らかにしていることでありますが、税の名前が別であれば、一般消費税と実質的に同様の機能や負担となるいわゆる税、例えば売上税とかいろいろな名前のものがありましょうけれども、そういうようなものが許されるのかどうかということ。それから、または一般消費税でも福祉のための例えば目的税とする場合は、これは臨調の新たな増税に当たるか当たらないかという問題もあるわけでありますが、この二点お伺いしておきたいと思います。
  211. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 第一点は、これは峯山さん御承知のとおりでありまして、新税導入等によって租税負担率を引き上げるような税制改正は避けるべきであると。そこで、その新税とはどういうものか、一般消費税(仮称)、これは一応国会決議等で否定した。されば売上税あるいはヨーロッパ型の付加価値税とかございましょう。今私どもは、多段階にいわゆる消費一般にかけるというようなものは、やはりそれによって大きく租税負担率が変わるとしたら、それはやっぱり新税だというふうに理解をしなきゃならないのかなと、こういうふうに思っております。  そこで、いわゆる福祉税の問題でございますが、本来、税というのは、色のつかないお金が入りまして、それをそのときどきの社会のニーズに対応して富の再配分をやるというのが理想でございましょうけれども、急速にそれらを充実する場合に、間々目的税という手段はございます。したがって、これを特定財源として社会保障施策を充実するのだ、あるいは維持するのだという場合に、それが福祉税という名前で同じような形のものが出たとすればどうするか。その議論は確かにございます。その議論がございますが、それを国民が容認するかどうか、その辺の判断をどこに求めるかということが、これまた再三言うようですが、こういう問答の中で自然に生じてくる一つのコンセンサスではなかろうかと、こういうふうに考えます。
  212. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これも大蔵大臣のお考えをお伺いしておきたいんですが、税調や財政審が主張する課税ベースの広い間接税の考え方ですね。この課税ベースの広い間接税の考え方と、一般消費税及びそれと類似の間接税の違う点、それから同じ点を、大蔵大臣どういうふうに理解しているかということと、それからこういう問題について大臣大蔵省自身に検討、研究をさせている税、これはどんなものがあるか、そういう点についてお伺いしておきたいと思います。
  213. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 税調で今御指摘のとおり、今後課税ベースの広い間接税について検討していく必要があるとされておることは事実であります。したがって、勉強は続ける必要があるというふうに申し上げておるところでございますが、したがって究極的には国民の合意と選択で決められるわけでございますので、意見を伺いながら幅広く議論をしていく中に検討の方向も模索されるという考え方でございます。  そこで、課税ベースの広い間接税の諸類型として一応整理されるもの、これが絶対かと言われると必ずしもそうではございませんが、単段階課税の製造者消費税、これはカナダ製造者消費税からとったものであります。それからオーストラリア卸売売上税、スイス卸売売上税、それから小売売上税、これはアメリカの州税、カナダの州税に多いものでございます。それから多段階課税としては、取引高税、これは日本でもかつてわずかの間ございました。それからEC型付加価値税、それからいわゆる一般消費税(仮称)、こういうようなものではないかなと、こういうふうに言って、勉強の素材としてはそういうものをよく御指摘に応じて御説明申し上げたりしておるところでございます。  そこで、具体的に新たな措置をそのようなものを対象にして検討しておるかと。これは、勉強はいつでもしなければならぬわけでございますけれども、これこそ国民各層の意見を伺いながらこれからも幅広く勉強していく課題で、個別にこれをやれ、これをやれというようなことは今日やっておりません。
  214. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 直間比率の見直しということをよく言われるわけでありますが、この場合、さきの臨調のいわゆる租税負担率を引き上げるような措置はとらない、この制限はやはりこの直間比率の問題にも私はかぶると思いますが、これはどうですか。
  215. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただ、直間比率の見直しをやれというのは税調でもかつて出た言葉でございますが、臨調にもございます。その後税調の方ではいろいろ議論されて、どうも直間比率の見直しというのは、要は結果から出てくるものだから、やっぱり税体系の見直しといった言葉が適切であろうというので多少変化はあっておりますが、その臨調で指摘され、概念としてのいわゆる直間比率の見直しというのは、これは税体系そのものの見直しでございますから、やはり絶えず念頭に置いてやっておくべきものであるというふうな理解の上に立っております。しかし、それが今おっしゃいました租税負担率なり、国民負担率を大きく変えていくような新税ということになると、やはり問題ではなかろうかと思います。
  216. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、逆に租税負担率を引き上げるような措置はとらないということもやっぱりかぶるということですね、結局は。
  217. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 余り議論しておりますと、それじゃ直を減らして間をふやしてトータル一緒ならいいか、こういう議論にもなる場合もあり得ると思います。その場合、仮に減らす間というものが新税であったら、やっぱり今のようなものもかぶってくるであろうというふうに考えます。
  218. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 当然そういうことも出てくると思いますね。  そこで、総括して再確認しますが、この増税なきという枠がある限り、これは大臣昭和六十五年度までの財政再建期間中の各年度の赤字国債発行減額の引当財源に増税はできない、そういうことになりますね。したがって、先般国会に示した仮定計算の各年度の一兆八百億円の赤字国債減額というのは、これは当然自然増収とそれから歳出削減でひねり出す、この努力が結局は増税なき財政再建の大前提になる、こういうふうに理解していいのじゃないかと思いますが、どうですか。
  219. 竹下登

    国務大臣竹下登君) やはり、まずは歳出削減というものをやっていけと、そうしてその受益者も国民、負担するのも国民だから、国民の側からそれではこの点は負担増してもやむを得ないではないか、こういうコンセンサスが上がってくることも、それはあるかもしれません。しかし厳密に言えば、まずはおっしゃるとおり歳出削減に充てて、そうして経済運営等よろしきを得ながら自然増収を大きく期待し、税外収入ももちろんですが、しかし一方、いわゆる歳入面においても合理化を図れということも言われておりますので、絶えず税の見直しというものは念頭に置かなければならぬというふうに理解をしております。
  220. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 不公平税制の問題をやりたいと思っておりましたが、時間が少なくなってまいりましたのでこの次に譲りたいと思います。  教育問題についてお伺いしたいと思います。  まず文部大臣大臣はさきの臨調答申について、臨調答申は先ほどから行政管理庁長官大蔵大臣からも種々御答弁がございましたが、当然尊重し、行革はこれから本番であると、そういうようなお考えであろうと思いますが、さきの臨調答申に対する文部大臣としてのお考えを初めにお伺いしておきたいと思います。
  221. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 臨調の答申を受けまして、文部省も適切なる対応はいたしておるところでございます。しかしながら教育というものは、日本の国にとって、また将来の日本を支える青少年を育成するという立場から見ますと、もちろんお金という問題、財政という問題と全くこれは常にかかわり合いかない問題だとは言い切れない問題ではございますが、日本の将来の命運をかけるという意味では、やはり教育に対する諸経費というのは、私は個人の気持ちとしても惜しんではならない国家的大きな投資だというふうに考えております。  しかしながら、日本教育制度全体から見ますと、やはりこれからの日本の国全体のいろいろな社会変化にかんがみてみますと、今のすべての教育は、すべてこの制度で完璧なものであるかどうかということは、やはり単なる臨調の答申だけではなくて、教育全体、むしろ文部省がみずからやはり考えていかなければならぬ問題もまたたくさん私は含んでおるのではないかというように考えております。ただ、財政の問題だけで考えますと、私は自由民主党の文教部会の仕事をずっとやってきておりましただけに、文部省の経費というのは率直に言って七割ぐらいが人的経費でございますので、なかなかこの面で臨調の答申というものを守ってまいりますと、政策経営という面では、文部省の政策を進める上においては非常に難しいなということで、臨調の答申の対応を着実に実行するためにも非常に今日まで苦労をしてきたところでございます。
  222. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 端的で結構ですが、文部省としては、森文部大臣としては、臨調答申を大枠として尊重するのかしないのか、どうですか。
  223. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 尊重してまいりましたし、今後とも尊重していかなければならぬと考えております。
  224. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そこで、最近の教育の問題というのは大変重要な問題になってきておりますことは大臣も御存じのとおりであります。また、教育全般にわたりまして抜本的な見直しが必要であることも当然であり、我々もそう認めております。また、この行革にかわって教育改革の問題が今、国民的に大きな関心を持ってきておることは我々も認めておりますし、また新しい機関の設置、これにつきましても私たちも相当いろんな角度から議論をいたしましたが、当然必要であろうと、そういうような考えております。しかし、新しい教育機関の設置につきましては、これは大事なことは、やっぱり国家権力の介入というような問題はこれは非常にいけない問題でありますので、そこら辺のところの懸念というのはあるわけであります。  そこで、何回も申し上げておりますが、教育は国家百年の大計とも言われております。したがって、これは前も総理にお伺いしましたが、どういう点をどういうふうに改革するのか、改革の志向といいましょうか、そういう点はある程度明確にしてかからなければいけない問題ですね。そういうような意味で、きょうは総理もおりませんので、文部大臣として国の教育改革大臣の決意のほどを初めにお伺いしておきたいと思います。
  225. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 午前中の議論の中でも申し上げたことでございますが、日本教育は戦後の日本の繁栄に大きな役割を果たしてまいりました。また、今日の教育制度日本の中に定着をいたしておることも事実でございます。しかし、いかなる立派な諸制度であっても、社会変化によってやはり対応していかなければならぬ。教育もまた同じであろうというふうに考えます。今後におきます社会変化に対応する教育を実現するということはまさに緊急かつ重要な課題でもございますし、社会変化等に対応する教育の実現を期して教育改革を行う必要というのは、まさにこれも国民的な要請でございます。そういう意味で、このたび新しい教育審議機関をおつくりをいただきまして、まさにゼロ歳から生涯にわたる教育全般を教育改革の対象として必要としておりますと、こういうことで新しい審議機関をぜひ設置をしていきたい、このように考えておるところであります。
  226. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、教育改革のための新機関の設置につきましては先ほど申し述べたとおりでありますが、さらにそれを一歩前進をさせまして、総理府にそれを設置するというふうなことにつきましても我が党としても提言をいたしておりますし、そういう方向で進んでいってほしいと考えております。  総理府に設置してもらいたい理由といたしまして大体三点ぐらい私たちの党は挙げているわけでありますが、主な点を申し上げますと、教育改革の必要性が叫ばれながら、何をどのように改革すべきかについては国民的合意が形成されているとは言いがたい状況であります。新機関の設置によって、国民合意のもとに教育改革にかかわる長期的かつ基本的構想を策定する必要があるということです。それから第二番目に、教育改革に関しては中央教育審議会が一定の役割を果たしていることはもう御承知のとおりでありますが、しかし中教審は文部省設置法によって設置されており、その答申は事実上、同設置法の権限、機能の範囲内に限定されてしまっております。他省庁にまたがる広範囲な改革問題を検討するためには、総理府に新機関を設置することが妥当である、そういうふうに考えているわけであります。それから三番目に、教育改革国民の協力と支持を得つつ、国会、政府挙げての取り組みが必要であり、文部省のみに改革をゆだねることは適当ではないと考えるものであります。  そこで、政府としては、新機関の答申を尊重し、国会での十分な審議を前提に、その実行を図らなければならない、そういうふうに私たちは考えているわけでございますが、この点について大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  227. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 新しい機関は、今、峯山さんからも御指摘をいただきました、公明党の諸政策の中で御指摘をいただいたとおり、極めて重要なものでございます。新たな機関は、総理の諮問に応じまして、教育改革につきまして調査、審議をいたすわけでございますが、このことは議院内閣制のもとで、行政の総合調整権を持っております総理大臣がみずからの諮問機関として置くものでございます。そういう中で、御答申をいただいて、そしてその答申に基づいて文部省が行政を進めてまいります。その諸施策については国会の皆様方の御審議にゆだねるということは当然のことでございます。
  228. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この新機関の設置について幾つかお伺いしておきたいと思います。  この新機関が国家行政組織法の第八条の機関であるということはもう既に御答弁の中で出ております。また、この最終答申のめどにつきましては、三年をめどということで出ているようでございますが、三年間それじゃ何にもやらないというわけにも私はいかないと思うんですが、そういうような意味では中間答申とか、あるいは随時その状況を報告し、あるいは逐次、逐年実行するような問題は当然報告し、あるいは実行するようにした方がいいのじゃないかというような考えもあるわけですが、この点についてはどうですか。
  229. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) ただいま御指摘をいただきましたことは、やはり新しい機関が設置をされまして、新しい機関自身で御検討いただくことでございますけれども、やはり議論の中にございますこと、時々はこの概要を国民の前に明らかにしていくということは極めて大事なことであろうというふうに考えております。どういう方法でやるかという工夫については新機関で御検討いただくことになる、そういうことを期待をしておきたいと思います。
  230. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それから、まあいずれにしましても、その新機関で詳細は検討するというお答えになるかもわかりませんが、私たちのいろんな要望、あるいはこの問題に対する私たちの主張というのがありまして、それぞれ例えば、諮問事項の性格、内容、方向についてはあらかじめ明らかにしてもらいたいとか、あるいは地方公聴会を開催して、審議、答申に地方自治体を初め現場の意見を十分反映さしてもらいたいとか、それから新機関の構成は学識経験者のほか、教師、父母、地方自治体の代表者を加えるよう努力してもらいたいとか、あるいは新機関の審議は原則として公開してもらいたい、それから委員は両院の同意を得て任命するようにしてほしいとか、こういう要望があるわけですが、こういう点についてはどうですか。
  231. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) これも今、峯山さんから御指摘をいただきましたとおりで、新機関である程度お考えをいただくことになるわけでございますが、当然広く国民の皆さんの議論をやはり起こしていただくということは、総理もまた私もこの委員会でたびたび申し上げておることでございますので、今御指摘ございましたような地方公聴会あるいは広く国民の皆さんから意見を聴取でき得るようないろんな方策は、私どももぜひ考えてみたいというふうに考えております。  また、委員の人選につきましてもこれからの問題でございますが、これも総理が常に答弁をいたしておりますように、幅広い多くの分野の中から御選任をいただくようなことになる、そういう意味で、大体人数もいささかこれまでの審議会よりも若干多くなるというような形になるのも、できるだけ幅広い方々にぜひこの任に当たっていただきたいという、そういうことを希望いたしておるからでございます。  なお、審議の公開につきましてでございますが、前もこのところで申し上げたのでございますが、公開ということは必ずしも私は自由な御論議を呼ぶことにならないのではないかということを申し上げました。やはり発言に制約が出てくるということになるかもしれない、そういう意味で、その都度審議の概要を別の形で国民の前に明らかにしていくという方策の方がよいのではないかというふうに考えるところでございます。  また、委員の選任につきましての国会同意でございますが、それぞれ委員お願いをしたいという方を、個別に各党の皆さんにこれが適格か不適格かというようなことをお尋ねすることも、またこれは政治的な中立をという意味からいうと一考を要しなければならぬというふうに考えておりまして、その点につきましては、私どもとしてはその方策は、方向はとらないという考え方をいたしておるところでございます。
  232. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一点、基本的なこの問題についての原則ですね。これはまあ当たり前のことを私たち書いたつもりなんですけれども一つは、憲法とかそれから教育基本法というような問題は厳正に守ってもらいたいということが一つ。それから二番目に、教育の政治的中立をあくまでも確保すること。三番目に、党利党略を排除し、政争の具に供さないこと。それから四番目に、従来の中教審並びに各方面から提起されている改革案を十分参考にすること。こういうような原則を守ってもらいたいと要望をしているわけでありますが、この点についてはどうですか。
  233. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 前後いたすかもしれませんが、中教審の議論を踏まえて、そこからスタートをしたいということは当初から申し上げているところでございまして、峯山先生の御指摘どおりの方向で進めてまいりたいと考えております。  それから、教育基本法、そしてまた憲法、この枠の中でやることは当然のことでございまして、この法律の中にも、教育基本法の精神にのっとりと明記をいたしておるところも当然でございます。また、政治的中立あるいは御指摘のような政争の具というような御懸念には全く及ばない。むしろ、そのことと全く無関係にするということで新しい審議機関を設け、幅広く国民合意の中で多くの皆さんの議論を呼びたい、招来をしたい、こういう角度で検討していただくところでございます。先ほども申し上げましたけれども、その結果に基づいて答申されますし、そして、実施していく場合は当然教育基本法の精神の中で行われていくことも、これまた当然であるというふうに申し上げておきたいと思います。
  234. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そこで大臣、先ほども同僚委員の方から質問がありましたので余り詳しくは申し上げませんが、いわゆる中教審の答申、これが昭和四十六年、四十九年と、総理も言っておりますようにかなり内容のいい立派なものができた、こう総理もおっしゃっておりますね。それがどうして実行できなかったか、その原因について、これは文部大臣はどうお考えなんですか。
  235. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) これまでの中教審の答申は、ちょっと時間がかかりますので簡単に申し上げなければいけないと思いますが、ほとんどはいろいろな角度で実現をいたしております。昭和二十八年に文部省にこの中教審が設置されて以来数数の答申をいただいておりまして、教育、学術、文化の振興上に極めて重要な役割を今日まで果たしてきていただいたわけであります。項目的にいえばまあ七割から八割ぐらいはほとんど実施をいろいろな角度でしてきておるわけでございますが、ただその中でやはり先導的試行あるいはまた幼稚園の設置義務、こうしたことが確かに、まだ未完成、未実施というふうにいえば申し上げることができると思います。したがって、この二つとも先ほどからも申し上げておりますように、当時としてはなかなか国民的なコンセンサスが得られない状況であったということでもございます。幸い今、先生の党から出ておりますパイロットスクールなどはまさにこの先導的試行と軌を同じゅうしているわけでございまして、また各党からもこうしたお考え方がたくさん出ているわけでございますが、そういうお考えが今回こうしてほうはいとして沸いておるということがやはり国民的な要請が大きく沸いてきている時期であると、こういうふうに受けとめて、新しい機関でこうしたことなども検討いただけるのではないかという期待を持っておるところでございます。幼稚園の設置の義務化につきましては、先ほどからいろいろ出ておりますような種々の御議論の中で今日まで完全なものにはなっていないということは、むしろ先生の方もよく御承知のとおりでないかと思います。
  236. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、私が言いたいのは、要するに今度新しい機関を総理府に設置する、総理直属の機関とする、そのことを一生懸命説明する余りかどうかわかりませんが、要するに中教審が完璧に実施できなかったのは文部大臣の諮問機関だったからできなかったのだと、そうじゃありませんか。
  237. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 文部省の固有の事務はいわゆる教育、芸術、文化でございます。今幾つか完全にでき得なかった問題というのは、文部省固有の事務からやはり枠を少し外れるものもかなりございます。そういう意味で今日まで国民的な合意がなかなか形成しにくかったと、こういうふうに御理解を得たいと思うんです。
  238. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 文部大臣はもう少し怒ってもらいたいと私は思っているんですけれども、私が言っているのじゃなくて総理が言っておるわけね、これは明確に言ってますよ。明確なところは後で言うにしまして、「四十六年でも四十九年でもかなり内容のいい立派なものができておるけれども、実行できなかった。」、これは中教審の答申が実行できなかった。「どこに原因があるだろう。そういう点も考えてみますと、やはり総理直属の審議機関にして、そして内閣全体を挙げて力を入れてやるという新しいやり方に持っていかなきゃ、また同じことを繰り返す危険がある。中教審というのは文部大臣の諮問機関でしたから、どうしても実行が鈍ったわけですね」と。これは大変な問題でしてね、ほんま言うたら。要するに、よその省庁へかかったにしても、やっぱりこういうような問題は国家行政組織法に基づいたものの答申ですよ。それが文部大臣の機関だったからできなくて、それじゃ総理府だったらできると、そんな保証はないわけですよ。他省庁にまたがったにしても、総責任者は総理なんですから、閣議なり何なりでぱっと言えばいいわけですから。ですから僕は、こういうふうなことがまかり通るというのは、文部大臣、このことをあなたもそばに座って開いていたでしょう。総理の言うことをへいへい言うだけじゃなしに、もっと怒ってもらいたいね、とんでもないと、本当に何を言っているんだと、そうじゃないだろうと。要するに今あなたが御答弁になったようないろいろな事情があってできなかったのであって、これは取り消してもらいたいんだよな、ほんま言ったら。中教審というのは文部大臣の諮問機関であったからどうしても実行が鈍ったんだと、そうじゃないでしょう。こういうことははっきりしてもらいたいわけです。
  239. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 政府全体が取り組むというそういう姿勢、あるいはそういう空気がその当時はやはり醸成され得なかったんだろうと私は考えております。ただ、峯山さんにお言葉を返すようでございますが、私も決して総理の言いなりになっているわけではございませんで、このたびの法律のいわゆる検討におきましても、教育基本法の精神にのっとり、もちろんこれは総理も述べられたことでございますし、またそれぞれの条項におきまして文部大臣意見を聞いて進めるという条項も明記をいたしておりますし、あるいは新しい事務局もこれは文部省で、そうして文部事務次官がこれに当たる。また、そういうお考えを総理から内々にお示しをいただいておりますけれども、直接総理の諮問機関でございますけれども、この主務大臣の責任を持っていくのは文部大臣であるという考えで進めるようにという、こうしたお考えもいただいておりますのも、文部省の名誉にかけて今日まで私も総理といろいろと議論した中での総理の御判断でございますこともどうぞお含みおきをいただきたいと思います。
  240. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 総理といろいろ議論したあげくがこの総理の発言だったんじゃ困るわけですよね。議論したあげく総理予算委員会でこんなことを言っているのじゃ本当に困ると思いますよ。やっぱり文部省というのはそれなりの見識があって、昔は総理大臣よりも文部大臣の方が偉いことがあったわけですから、そういう点から考えますと、私は、文部大臣の発言とかそういうようなものは、例えば文部省の権威にかけてこういう問題はかっちり実施するという考えでなければいかぬと思うんですよ。  そこで、これは、私は先ほど臨調の問題をわざと申し上げたわけでありますが、臨時行政調査会の答申の中にも文部省関係はたくさんあるわけですよね。これは要するに、あなたは先ほど行革の答申を尊重する、あるいは守る、あるいはそういう方向と言いましたけれども、この第二臨調の答申を全部尊重するということで今度のこの新しい審議会がスタートするとしたら、これは全部枠になりますな。これが全部枠になったら、これは何にもできませんよ、違いますか。これは本当に第二臨調の第一次答申から始まりまして最終答申、基本答申に至るまでいろいろありますよね。いろいろな問題をきちっと答申していますね。そうすると、それが例えば今度できる機関の一つの新しい枠組みといたしますと、新しくできる新機関はいわゆる何をやるんですか。いろいろな枠がいっぱいできちゃって、あなたは少なくとも行革審で答申したこれは一たん白紙にするとか、全部アウトにして新たにやってくださいというふうに言わないとできませんよ、違いますか。  実際問題として、今問題になっております四十人学級の問題にいたしましてもこれは凍結しなさいとか、私学助成は全部削減しなさい、教科書は全部有償化しなさい、育英奨学金の融資の制度の導入などもいっぱいありますな。本当にたくさんありますよ。中身はあなたも御存じのとおりですわ。そうしますと、よほど、ここら辺の整合性というのをどういうふうにするのか、これは行政管理庁長官とも関係があるわけですが、本当にこれはどうするということを、ここら辺のところをはっきりして新しい機関をつくらないと、これは何をしていることかわからなくなってしまう可能性がありませんか、実際問題として。どうですか。
  241. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 教育の諸制度を進めて、あるいはまた改革をしていきますということになりますと、当然そうした財政的な負担というものは伴ってまいります。この教育を新たに見直していこう、また社会変化に対応して新しい教育制度全般を考えてみよう、こういう総理のお考えの中には、こうした財政の問題と、そのところの非常に難しい微妙な点があるということは私もよく承知をいたしておりますが、私の記憶いたしておりますところで、その点について先般この委員会でもたしか総理の御答弁がございましたけれども、そのことにも十分留意をしなければならぬけれども、新しい教育のどうあるべきかについては自由濶達な御論議にゆだねたい、こういうふうに総理が御答弁をされておることを私は記憶をいたしておるところでございます。私は、教育全般にわたりまして、長期的な問題、そして無期的な問題があると考えておりますが、短期的な問題で文部省固有の所掌事務に関しますものは今後もこれは積極的に進めてまいることは当然でございますけれども、また教育の諸制度全体を考えて、私はもう必要でなくなったものもやっぱり諸制度としては出てくるのかもしれませんし、また新たに生み出さなければならぬものも出てくるのかもしれませんし、そうしたことを今日までの教育全体を見直すという意味で自由濶達な御論議をまずいただくということが私は大変重要ではないかというふうに考えておりますし、そうした考え方で私は新しい機関が進められるものであるということに期待をいたしておるところであります。
  242. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣は自由濶達というところに逃げ道をつくっておられますが、行管庁長官、これはどうなんですかね、実際問題として。第二臨調で教育に関する答申が随分ありますよね、第一次からずっと最終答申まで。この最終答申までのいろんな問題というのは、これはこれから検討する場合、新しく発足する臨時教育審議会ですか、そこのいわゆる審議の中身に対して第二臨調の答申の内容というのはどういうふうな枠になるのか、全く枠にならないのか、ここら辺の考え方、これは今まで私お伺いしたことございませんし、問いたことありませんので、一遍考え方を明確にしていただきたいと、そういうふうな意味で御質問するわけですが、どうですか。
  243. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 第二臨調の答申は、聖域を設けないで国政全般にわたっての改革の御意見でございますから、その中には委員が御指摘のような私学助成であるとか、あるいは教科書無償の問題であるとか、あるいは四十人学級であるとか、あるいは育英資金の問題であるとか、各般にわたっての答申が出ておるわけでございます。しかし私は、この新しくできる教育審議会がどういうような審議をなさっていくのか定かでございませんので、今からどうこうということは言えないと思いますが、やはり教育審議会も行政改革のこの意見書というものを頭に置きながら私は適切な御審議、そして適切な御答申があるものと、別段この枠を取っ外さなければ審議ができないといったような問題でもないのではないかと、今定かにどうこうということは言えませんけれども、私はそのように理解をいたしておるわけでございます。
  244. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても、文部大臣、この問題は非常に大事な問題でありますし、これからこの問題をどういうふうに取り扱うかということは、それは自由濶達にやってもらうのはやってもらうといたしまして、そこら辺のところは文部省としましてもどういうふうにするか、またどういう点が今後の審議に影響してくるかというようなことも十分検討して、いわゆる諮問する場合にそういうことも十分、全くこれを無視するわけにもいかぬし、第二臨調の考え方というのも十分尊重しなければいけないと思いますので、そういう点も含めて最終的にこの問題についての大臣の御答弁をいただいておきたいと思います。
  245. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 御審議をいただくテーマは、まだここでこのようにしていくということを申し上げることは越権でございますが、予想できますところでは、やはり長期的なものと短期的なものというのが出てくると思います。長期的に日本の諸制度を全く改廃するという意見も出てくるかもしれません。それによってまた財政的に負担が伴うこともあるかもしれませんし、逆にまた財政が全く一新をするという面が出てくるかもしれません。ここに大蔵大臣がいらっしゃいますので余計なことを申し上げるとしかられるかもしれませんが、やはり日本の今の当面の財政のこの状況の中で抑制政策はとっておりますが、大蔵大臣の悲願でございますように、必ず財政再建が私はできるだろう、長期的な展望教育政策でございますから、財政事情のまた好転という面も出てくるかもしれない、そういう中で長期的な問題にやはり対応していくというとらまえ方もできるかとも思います。いずれにいたしましても、これから日本の百年の計という最も大事な教育の諸制度検討するところでございますから、今、後藤田長官お話しになりましたように、御審議をいただく委員の方々はそういうことも十分留意はされるであろうと思いますが、また当然遠い長期的な展望で考えてまいりますと、その当時の財政的状況というものもまた好転するという背景の中で、新しいまた財政を伴うものはもう少し長期的な問題として取り上げていくと、こういうような私は工夫ができるのではないかと、こういうふうに考えております。
  246. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 法制局長官にお伺いします。  いわゆる文化と教育に関する懇談会の報告が出たわけでありますが、これは後で、いずれにしましても、理事会におきまして八条機関の問題については最終的に検討して議論をするということになっておりますので結論はそこに譲るといたしまして、法制局長官の見解をお伺いしておきたいと思うんですが、私がこれから申し上げることが違っておりましたら訂正をしていただきたいと思いますし、少なくとも私はいままでの法制局の皆さんの御答弁に沿ってこれから言ってまいりたいと思っております。  いわゆる私的諮問機関のあり方といたしまして、まず第一に、会の名称ですけれども、会の名称については、初め何々審議会というふうになっていたわけであります。ところが、審議会というのは八条の名前と紛らわしいということでありまして、これは懇談会の方がいいのじゃないかということになった。懇談会というのも紛らわしいということになりまして、今度は懇談会とか研究会とかいろんな名前が出てきた。そこでまたそのことが問題になりまして、林法制局長官は結局、会の名称そのものがどうあろうと、実体がいわゆる合議機関として、合議機関というのは二人以上集まれば合議機関ですから、何人か集まって会議をすれば、実体がどうかというのを見るんだというのがまず一つ。  それから答申ですけれども答申の問題については、初め答申というのはこれはまさに八条機関でありまして、だからこれは答申という名前はいかぬと、だから報告にせいと。報告というのもやっぱりおかしいということで、これも報告とか、まとめとか中間報告とかいろんなことになってきた。結局、この問題もさんざん議論したあげく、当時の林法制局長官は、これもやっぱり実体がどうかということが問題なんだということになった、こういうことですね。したがって、そこのところで議論になりましたのは、これは行政管理庁のあの通達の中にもありますが、一人一人の個々の意見の開陳だけですね。意見をまとめるというのはないと、意見を述べるにとどまると、こういうふうになってますね、通達では。そこのところはそういうことでいいだろうと私は思いますが、それはそれでいいかどうか。  それから三番目に、いわゆるその答申が、例えば総理の私的諮問機関なら総理の体の中へ全部入ってしまうと、そして総理の口からああじゃこうじゃと言うのはこれは違反にはならないけれども総理の体を通過しないで、例えば答申そのものがぱあっと、ああいい内容ですと、これはもうたたき台になりますよなんということは、これはやっぱり抵触するおそれがあると、私はこう考えているわけでありますが、長官のお考えをお伺いしておきたいと思います。要するに、私の言ったことで違っているところを指摘してもらいたい。
  247. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) ただいま幾つかの御意見がございましたけれども、第一の名称、協議会とかあるいは審議会というのは紛らわしいから避けて、そして懇談会とかあるいはその他の会の名前をつけるということ、それから、そこでいろいろ個々の意見が出ました場合に、それをいろいろな文書にまとめて出すというような場合に、それを答申と言うことはやはり紛らわしいから避けるべきであるということで、要は実態であるという点は私もそのとおりだと思います。要するに実態でございます。実態と申しますのは、もう委員非常に詳しいので一々申し上げませんけれども、要するに私的懇談会の場合には、学識経験者等の個々の意見を聴取するというところに本質があって、したがって八条の審議会のように、いわば行政機関としての統合された意思決定がなされて、そしてそれが公の権威をもって表明されるということがないというところがいわばその実態、あるいは本質の差であると思います。  それから二つ目の、一人一人の個々の開陳にとどまってしかるべきではないかということも私も原則的にそうだと思います。ただ、いろいろ便宜一カ所に集まりまして、いろいろ御議論をして、個々の方々の意見が純化されると申しますか、そういうことで進んでいくということは、これは私はあってしかるべきではないかと思うのでございます。  それから三番目に、答申総理の体に入ってしまうという非常に難しい言い方をされましたけれども、これも、個々の学識経験者の意見というのは、総理が全部それをひそかに見て、それを総理が口にするということでなくてもそれはよろしいのであって、それがいろんないわゆる合理的な形で文書の形で出ていくということも、これも別にそのこと自体が問題になるような気も私はしておりません。  以上でございます。
  248. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 どうもありがとうございました。(拍手)
  249. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で峯山君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  250. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、神谷信之助君の質疑を行います。神谷君。
  251. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間が短いので、御答弁の方もひとつ簡潔に御協力をお願いしたいと思います。  一つは、まず大型増税の問題であります。  中曽根総理は、本予算委員会で、私の内閣では大型間接税は導入する考えはない、さらにその後のやりとりで、公約と受けとって結構と御答弁になっています。当然大蔵大臣もこれと同じ考えだと思います。さらに、大蔵大臣衆議院の大蔵委員会で、六十年度は導入しないという答弁をされたように聞いておりますが、この点は間違いないでしょうか。この二点。
  252. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 総理のお答えになった考え方というのは、私もそのとおりであります。六十年度はと言って限定してお答えしたことはちょっと記憶にございません。あるいは、六十年度はやらないかと言われて、そうですと言ったかもしれません。
  253. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ新たに聞きましょう。  六十年度はやらないということは間違いないですか。
  254. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる総理のお約束の中身のとおりでございますから、そのとおりです。
  255. 神谷信之助

    神谷信之助君 中曽根総理は、いままでの予算委員会の審議の中で、大型間接税とは、流通の各段階で投網を打つように普遍的にその過程に課税するもの、そしてかなり大規模なものと定義をされていると思うんです。こうしますと、かなり大規模でないもの、いわゆる中型、小型、これならよいというお考えになるわけでしょうか。
  256. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる総理のおっしゃいましたのは、まずは消費一般に網をかけてしまう、そうして多段階でかけるというような意味で、いろいろな税制を頭に置きながらお答えになったと思っております。  それから、かなり大規模と、これはまた何が大か、何が中か、何が小かというのは、これはなかなか難しい問題でございますが、強いて言えば、やっぱり臨調答申にあります、租税負担率を新税によって大幅に変えていくようなことはいかぬということは、概念的に言えるのじゃなかろうかなというふうに思います。
  257. 神谷信之助

    神谷信之助君 この区別がなかなか難しいんですね。何を基準にするかということもあるのですが、例えば一兆円の増税ということになると、これは大型ということになるのでしょう。
  258. 竹下登

    国務大臣竹下登君) その一兆円というものは、それは物によっては大きいと見れるでありましょう。
  259. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで、さらにもう一つお伺いしておきますが、税調がことしの一月に答申をした中で、御存じの課税ベースの広い間接税検討の問題ですがね。これも今、大蔵大臣は返事はしないという答弁をなさっていますが、この返事をしないということは、課税ベースの広い間接税の導入があり得るということになるわけですか。
  260. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まあ最終的には国民の合意と選択の問題になりますが、いわゆる勉強の課題として指摘されておるものはいつでも勉強しておると、こういうことでございます。政策選択ということになると、まさに国民のコンセンサスがどこにあるかということを見きわめてからでないとやれるものではないと思っております。
  261. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、現実に国の財政というのが極めて困難な状況になってきている。したがって、減税をやればその減税の財源を逆に増税に求めなければならぬというような状況が五十九年度の予算に出てきているわけです。六十年度はやらないけれども、しかし導入は検討していくんだと。検討しているということは、六十五年までの財政再建の期間中は大型間接税はやらないということになるのか、検討しているということは、六十年はやらぬが、六十一年はわからぬ、六十二年は経費の節減にも限度がありますからわかりませんということになるのか、この点はいかがですか。
  262. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 当面それを念頭に置いたら歳出に対する手が鈍る、だからやっぱり増税なき財政再建というものをてことして対応していかなければならぬ。  そこで、もう一つ申し上げておいた方がいいかなと思いましたが、税調の答申はございますので、勉強を続けるというふうに申し上げておりますが、税制そのものを否定しない形の勉強というのはいつでもやっていかなければならぬ問題だというふうに理解しております。
  263. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、税制そのものを否定しない税の勉強はずっとやっているんだと、こうおっしゃるんです。しかし、それは税調の答申課税ベースの広い間接税の導入、それを目指した検討ですから、問題は、これが今おっしゃるように、経費の節減という歳出の切り込み、これが鈍ったらいかぬのだと、だから簡単にそうは言いませんとおっしゃるんだけれども、しかしまあ限度がありますから、これは限度がくればやむを得ずそこでやらなければならぬということになるのかどうかということを聞いているんですよ。  例えば、具体的に言いますと、一応今六十五年を目指して財政再建をなさっている、財政再建の間は増税なき財政再建なんだから、六十五年度まではそれはやりません、大型間接税導入なんかはやりませんということになるのか、あるいはそこまでもつでしょうかと、こういうことになるのか、その辺ですが。
  264. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 大型間接税という問題、その漠然とした概念の中での議論でございますからなかなか難しい御質問でございますが、いわゆる漠然とした概念の中における大型間接税というものはやらない、こういうことは言えると思います。
  265. 神谷信之助

    神谷信之助君 六十五年まではということですか。
  266. 竹下登

    国務大臣竹下登君) それは物の考え方でございますけれども課税ベースの広い間接税の導入についてではなく、間接税について検討していく必要がある、こうされておるわけですね。国民のニーズの中で直接税よりも間接税がいいじゃないかと、こういう議論が起こってきて、それがある種のコンセンサスになるということもまあ初めから否定してかかるわけにもいかぬ問題じゃないかなと。しかし、中曽根総理がそうおっしゃっておるわけでございますから、私どもとしてはその方向をこれからも堅持していくというべきことではないかなと思っております。  これは、少しつけ加えますと、一般消費税を財政再建の手段としてやらないという決議をいただきましたときにも、決議案をつくるときに私も相談に入りまして、いわゆる税というのは消費の段階か所得の段階かいずれに担税力を求めるかという問題ですから、その税制そのものを否定したらこれは国民に対してもまた困る問題じゃないかということで、いわゆる一般消費税(仮称)というふうに書いていただいたわけですね。だから、税制そのものを否定する形のものを今の財政の責任者の私がお答えするというのは、危険なことじゃないかなというふうに思っております。
  267. 神谷信之助

    神谷信之助君 一般消費税(仮称)ですね。これが国民に拒否をされたというのは、また国会の決議にもなったというのは、これは非常に広範な国民に対する大衆課税になってしまう、それがひいては国民の生活にも日本経済にも大きな影響を与える、こういう国民的なコンセンサスの中で国会決議が生まれたんです。だから、直間比率の見直しとかどうとかおっしゃるけれども、問題はそういう大衆、しかも広範な、しかもあの場合は非常に過重な、多段階ですから。だからそういう点についての拒否反応というものが出たと。しかし、今これだけ国家財政がどうにもならぬようになって、国債も百十兆を超えるという状態で、そして蔵出に切り込みをどんどんやったけれどもどうにもこうにもならなくなったら、いわゆる租税負担率に大きな変動はしないけれども、六十五年度までにでも大型間接税の導入はあり得るということになるわけですか。
  268. 竹下登

    国務大臣竹下登君) やっぱりこれも、いわゆるがつきますが、いわゆる大型というものは、これは実質上国民のコンセンサスを得ることは難しい問題だというふうに私は思います。だから実際問題として難しいことではないかなというふうな理解の上に立っておりますが、やっぱり一方、税制調査会等でも歳入面においても合理化を図りなさいよと。それは人それぞれによって違いますにしても、不公平感とかいろんな問題がございますから、そういうものはいつも念頭に置いて、税というのはこれが絶対だという形でなしに、絶えず見直していくという姿勢は持ち続けていかなければならぬというふうに思います。
  269. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういう一般論で私は申し上げているのじゃないんです。現実に国の財政が大変な状況になっている。だから大蔵省の方でも、中期財政展望をつくって、幾つかのケースで考えていろいろ模索されているわけでしょう。そして同時に、歳出の方も徹底的に切り込んでいくんだということで、年金や健保の問題やら私学助成やらいろんな問題に切り込みをなさってきている。その切り込みをやってみても、しかしどうにもこうにもならないという事態で膨大な累積赤字ですから、ですから六十五年度までは何としても大型間接税の導入はやらぬということになったのか、事と次第によっては、あるいは大臣の言い方では、国民的コンセンサスがあればあり得るということになるのですか。
  270. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 国民的コンセンサスがなかなかそれは難しいとは思いますが、国民的コンセンサスがあれば、それはまた国民の合意と選択ということを前提に置けば、それはやらなければならぬということになると思います。が、国民的コンセンサスが容易に得られるものであると認識しておるかと言われれば、それはそうは思っていないということでありましょう。
  271. 神谷信之助

    神谷信之助君 先ほどの同僚委員の質問に対して、大臣は、課税ベースの広い間接税の中にEC型付加価値税ですね、これも入っていて勉強なさっているということは明らかで、今までもそういう答弁をなさっていると思う。そこで、仮に総理が言うように、かなり大規模な税収といいますか、ものではなしに、税収で言うならばEC型の付加価値税でも税率をうんと低くしてやれば、それは中型、小型なんで、それはあり得る、導入でき得る、あるいは導入することもあり得るということも言えるのかどうか。この点はどうですか。
  272. 竹下登

    国務大臣竹下登君) EC型付加価値税というのは、実際問題として、一般消費税というものを一応税調の答申もいただいて考えた時点において随分勉強しましたですがね。そして、今でも学者の中では、ある意味において一番公平なのは消費の段階に担税力を求めるEC型付加価値税というのが一番公正じゃないかと言う学者もいらっしゃいます、率直に言って。しかし、これが私は今直ちにコンセンサスになる環境にはないというふうに思っております。ただ、その規模を小さくしてとおっしゃいましたが、そうなるとまたいわゆるこれに伴う人員の配置とかいろんな問題がありますから、実際問題として正確にその問題を議論するのには、もう少しいろんな前提を置いて議論しなければならぬのではないかなと思います。
  273. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、多段階的な道じゃなしに単段階的な方法ですね。取引売上税とか付加価値税とかそういうもので一つの段階だけで課税する、あるいは物品税の対象品目をうんと広げていく、サービス課税もやるとかどうかということですね、そういう方向に広げていくということはあり得るのですか。
  274. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは税調でも答申いただいておりまして、今日のいわゆる個別の物品税というものが本来あるべき姿からいわゆる性格が徐々に異なってきているのじゃないか。だからこれの持つ便益性とかいうものに対して勉強していきなさい、こういうことを言われているわけです。だから、国民のコンセンサスというものが、この直と間とを比較しますと、間接税選択の自由がありますし、また脱税なんというのがほとんどない。だからそちらの方へ移行していくというような状態があったとしても、それにいつでも対応できるだけの勉強はしていかなければなりません。したがって、いわば今後の物品税のあるべき姿というものについての検討はいつでもし続けていかなければならぬ課題だというふうに心得ております。
  275. 神谷信之助

    神谷信之助君 結局、今までのわずかな議論ですから十分じゃありませんが、大型間接税はやらない。六十年度中曽根内閣はやらない。十一月に総裁選挙がありますからどうなるかわかりませんが、とにかく六十年度はやらない。ここまでははっきりしている。しかし、中型、小型になると六十五年度まではやらないとかどうとかということもはっきりしないし、今の多段階型も、あるいは単段階型も、この点も物品税はずっと拡大をしていって、その中でコンセンサスが一番いい消費税、間接税といいますか、消費税と大臣おっしゃった、それはEC型だというコンセンサスができてきたらそっちへ乗りかえていく。言うなれば、つなぎを入れて結局は大型間接税ではないのかという不安というのはやっぱりまだ解消されない。明確にお答えにならないと、どうも私ども疑点を持たざるを得ないというように思うんです。  時間がありませんから、その次に六十年度予算の問題でちょっとお尋ねしますが、財政の中期展望によりますと、六十年度はどのケースをとってみても二兆千三百億円から三兆八千億円の財源不足、これが出てくるという試算になっています。したがって、来年度予算編成は大変厳しい窮屈なことになるということを大臣も覚悟されていると思うんですが、この中で、あの財政の中期展望の中に、五十九年度で期限の切れるところの、例の行革一括法による特例措置の復活といいますか、これは入っているのか入っていないのか、どうですか。
  276. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは御指摘のとおり、五十九年度までに、特例公債依存から脱却することを方針としていたこともありまして、一つの区切りとして五十九年度までとした法律でございます。だから、逆に言えば特例公債依存体質からの脱却の努力目標が新たに示されたから即特例適用期間の延長に直結するものであるというふうには、法律はそうなってはいないと思うんです。  そこで、今後の対処方針ということになりますと、六十年度以降の財政改革をどのように推進するかという観点から、今後政府部内において財政状況とか社会経済情勢等を総合的に勘案して検討すべき課題であるというふうに思いますので、現時点で確たることを申し上げることはできないというふうに考えるわけであります。だから、新たな目標ができましたので、それは一つの概念的には頭にある課題でございますから、そういうことを踏まえながら、総合的に見てどうするかということを決定していただく問題じゃないかなと。いますぐトタでつながる問題ですという性格のものではないというふうに考えます。
  277. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、五十九年度までというやつが延長されるかもわからぬし、延長されぬかもわからぬ。だから延長されることもあり得るということですね、これからいろいろ全体の状況を見て。  そうなりますと、厚生大臣、厚生年金などへの国庫負担金の四分の一カットが御承知のように五十七年から五十九年度までの三年間。政府は、これは六十年度からカットはいたしません、そして借りたものその分は、計画はまた別だけれども、年金財政影響のないように戻しますと。これが借りたときの国民に対する政府の約束だった。ところが今、大臣が言われるところだと、延長する場合もあり得るとおっしゃるとなると、これは厚生大臣、重大な問題だと思うんですが、どうですか。
  278. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 私ども理解では、行革関連特例法は特例適用期間中、すなわち五十七年度から五十九年度までの特例措置を定めるものであり、その特例適用期間経過後は当然本来の規定どおり国庫負担に戻るものと解釈をしております。  また、行革関連特例法による年金国庫負担金の減額分については、積立金運用収入の減額分を含め、将来にわたる年金財政の安定が損なわれることのないように、特例適用期間経過後において国の財政状況を勘案しつつできる限り速やかに繰り入れに着手することとなっておるものでありますから、こういうふうに解釈をしておりますし、今後具体策については当然財政当局と相談をしていかなければならないと、こう思っております。
  279. 神谷信之助

    神谷信之助君 厚生大臣、当然相談なさるでしょう。しかし、特例期間を設け、脱却するまでは特例措置をやる、こうなっておる。だが大蔵大臣は、脱却するのは五十九年までだったんだけれども、それができぬようになって六十五年まで延ばしたんだと。だから、脱却するまでといったら、それが延びたんだから延長もあり得るという意味のことをおっしゃっておるんですよ。これからあなたの方はもう四分の一カットは許さぬ、ちゃんと返してもらうんだと。しかし、これから話し合いでということであれば、それならまだずっとカットが続くかもしれぬということになるんですが、どうですか。
  280. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 私は総理大臣でも大蔵大臣でもありませんから、厚生大臣としては、当然に今までのこれは定められたことでありますから、そういうふうにしてまいりたいと思っております。
  281. 神谷信之助

    神谷信之助君 文部大臣ですがね、文部大臣の方も、いわゆる小中学校の四十人学級の問題、これも財政困難な状況だから、とにかく三年間だけは休んでくれ、しかし終わりの年度は変えませんと。後を追いかけていきますから、三年間だけストップさせてくれ、こういうことでやったんですが、これは六十年度からはきっちりやるということでしょうか。
  282. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 先生指摘のとおり、今三年間の抑制中でございまして、ただ、改善計画の全体規模とそして六十六年のいわゆる十二年計画の達成期間は変えておりません。ただ、来年度の予算編成の概算に当たりまして、ことしの夏に六十年度予算編成時に当たりましてどのような配置方法をとるのか、これにつきましてはその時点で判断をしていきたい、こう考えております。
  283. 神谷信之助

    神谷信之助君 六十六年に計画は完了する、三年間ストップしたと。今度は六十年度、これは財政状況でもう一遍休むんだ、それで終わりはやっぱり六十六年ちゃんとしますと。これはだんだんだんだん行ったら最後にどえらい金が要ることになりますよ。実際問題として四十人学級はいつまでたっても進まぬ。それに向かって一歩一歩進んでいく、道程が。そしてマンモス学級がそのまま残されていく、非行化の一つの原因にもなっていく、こういうことになるんですよ。文部大臣、今の答弁ちょっと私は納得できないんだけれども、これは国会に対する約束であると同時に、国民に対する約束なんです。そういうあいまいな答弁では困るので、はっきりしてください。
  284. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 配置計画の六十六年度のこの全体計画達成年度は変更いたしておりません。今もし一年延びたらどうかというそういう御質問もございましたが、いわゆる行革関連特例法の延長ということについては、延長を前提とした議論というのはこれは私の立場では差し控えなければならぬと考えております。いずれにいたしましても、適正な四十人学級を一つ目標とし、またほかにもいろいろといわゆる定数の配置については文部省は最善の努力をいたしておるところでございます。今後とも、児童数の変化等もございますし、その中でいろいろ工夫をして、今御指摘をいただきました最終年度までには完全にこの方向が実施できるように文部省としては最善の努力をしてまいりたい、こうお答え申し上げておきます。
  285. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 時間がなくなりましたから簡潔に願います。
  286. 神谷信之助

    神谷信之助君 最後に申し上げておきますが、今明らかになったことは、結局、財政再建によって、それがまた今のところだったら六十五年、これも危なくなってきつつあるわけですけれども、そのために福祉や教育に対して特例措置をおっかぶせてきたのが六十年度も同じように続く危険というのがこれははっきりしてきておりますね。しかし、ストップをするときに、特例措置をやるときに、文部省の四十人学級の問題も、年金等からのカットの問題も、これは国会を通じて国民に対して、三年間だけなんだ、それでそれ以後はやりません、年金財政に迷惑かけないようにお返しもします、必ず四十人学級やります、こうおっしゃったんですね。それが結局ふたをあけてみたら、やっぱりそれは国民に対する空約束になってしまうということになりかねぬということを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
  287. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で神谷君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  288. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、柳澤錬造君の質疑を行います。柳澤君。
  289. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 私は、目先の問題ではなくて、政府がお決めになっている政策というものが長期的に眺めたときにどういうふうになっているかということでお聞きをしていきたいんです。  政府政策の権威というものはどこにあるんだろうか。具体的な例で申し上げますと、防衛費はGNPの一%以内ということ。これは昭和五十一年のときに当時の三木内閣が閣議決定をしたはずです。それがその後、福田内閣、大平内閣、鈴木内閣、そして現在の中曽根内閣も、これは堅持をするとして今日に来ているわけです。片や、先ほどからも御議論になっているんですが、赤字国債の問題で五十九年度に赤字国債はゼロにしますということは、たしか五十四年度のときの大平内閣がお決めになったはずなんです。これは大平内閣から鈴木内閣まではそれが堅持されてきたんですが、今の中曽根内閣になったらいともあっさりそれはお捨てになった。そして、今度は六十五年度にゼロにするんだと、こういうふうになったわけです。ですから、その辺の政府がお決めになるそういうふうな政策というものの重さといいましょうか、権威といいましょうか、価値というものを私たちがどういうふうに判断をしていったらいいかという、長期的な展望で眺めての判断の仕方を教えていただきたいんです。
  290. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 財政の角度からのお尋ねでございますが、私は事ほどさように難しい問題であるということをまさに証明したような事態であったと思うのであります。五十四年の暮れから五十五年も私たまたま大蔵大臣でございましたが、その当時は言ってみれば公債政策というものが一番よく機能しておった、そういう時期ではなかったかと。そこで、その後に第二次石油ショックがやってきたわけであります。この第二次石油ショックによりますところの経済成長の鈍化というもの、これは当時、見通しをすることはおよそ多くの人が不可能に近いものではなかったか、したがって政策転換というものをやらざるを得なかったと。だから、政府の示した政策というものはもとより重いものでございます。なかんずく、国会においてお答えしたというようなものは大きな責任を負うものでございますが、それ以上に事態の変化というものがそれを余儀なくせざるを得ない状態の中においては、国会等の議論を通じて国民理解を求めていかなければならない使命もまたあるというふうに考えております。
  291. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 本来ならこれは総理大臣にお聞きすることなんだけれども総理はおりませんし、竹下大蔵大臣も近くやっぱり総理になられるんだから、そういう点でもってあえて大蔵大臣にお聞きをしたので、ですからもう少しその辺のところを懇切丁寧にお答えしていただかないと、私が聞いていることについての答えにならないんです。  大臣ね、この赤字国債の問題は、大平内閣のときはそのときの一つの情勢でそれはいいと思うんです。一昨年のここの通常国会のときの予算委員会のときに、私自身が、五十九年度赤字国債ゼロにするといったってそんなことできるんですかと、私が考えたって無理だと思ってお聞きをいたしましても、それはできます、やります、できなければ責任をとりますという答弁でしょう。だったら五十八年度は、もう翌年のことですから、五十八年度は一兆九千六百億というあの中期計画どおり下げますかと聞いたら、そこはちょっと考えさせてくださいと言って言葉を濁したわけなんです。ですからこの辺は、変わったことが私は悪いと言っているのじゃないんですけれども、一昨年のこの予算委員会で、私が考えても難しいなと思い、私たち民社党はあの当時でも五十九年度赤字国債ゼロというものに何も固執をしないで、むしろ六十二年度ぐらいにずらしてでも、今やることは無気何波を先決させることではないかというそういう考え方も持っておったんです。時にはそういう発言もしたんです。しかし、政府が五十九年度ゼロにする、ゼロにすると言うから、政府がゼロにするものを何も延ばせと言う必要はないわと、こう来たんですから、その辺についてのお考えといいますか、私がお聞きをしているところをもう少し御答弁をいただきたいと思うんです。
  292. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに、柳澤さんの所属される政党のいわゆる経済政策というものは、比較して言うならば拡大均衡とでも申しましょうか、場合によっては建設公債などを、まだ国民の貯蓄性向が強い今日、大きく金利を押し上げる要因にもならないから増発して、それによって自然増収を求めて、なだらかな形の財政再建のソフトランディングとでも申しますか、そういう方向の主張を多年なさっておるわけです。そこのところが政府がいつも、私どもも議論の段階で苦しみますのは、予算というのは御案内のように単年度主義で、一度かけた努力目標というものに向かって、進む場合に、単年度主義の物の考え方からくれば、政策のある種の転換を行うのは非常にぎりぎりになっていくわけでございますよね。かなり前からそうなりそうでございますと言った途端から、またいわゆる歳出削減等のなたが鈍ってしまう。したがって、そこに私はいわゆる単年度主義であるという問題と、当時から感じておりましたのは、いわば我が国の持つ潜在成長力をどう見るかということで、私どもの考え方と当時民社党の考え方とは潜在成長力の見方というものに開きがあり、もう一つは、我々がかなり窮屈に単年度主義の中でお答えをしていくという問題と、長中期というよりも短中期ぐらいでございましょうか、そういう形で御質問なさる点とのギャップというものは今でもあるような気がしております。
  293. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 大臣おっしゃるとおりでね。だから、予算は単年度でつくるけれども、これが政権が自民党政権とまた今の我々野党がというようにかわっていたのならそんなことは言えないけれども、自民党政権が続いているんだから、内閣がかわってもそこに一本の筋が通ってなくてはいけないでしょう。通っておったって、単年度で予算を組みながらやはりそこで手直しをしなくちゃいかぬから、手直しすることに文句を言っているのじゃないんですけれども、そこにやっぱり筋の通ったような経済政策財政政策を用いていただきたい。  そして次にお聞きするのは、さっきも言った、防衛費がGNPの一%以内、何を根拠で、私、この一%以内の枠がいけないと言っているのじゃないんです。GNPに対して一%以内というようなこういう決め方をしているのは、私が知る限りで世界の中で日本だけだと思うんですよ。もしも防衛費について枠をはめるならば、その年の国家予算の中で何%、これ以上はもう防衛費には使わないよ、そう言って国家予算をつくるというならば、そこに歯どめというか枠の意義があると思うんです。GNPの一%といって枠をはめるという、いささかもって、私から言わせていただいたら、大蔵大臣、それは当時の内閣と違うから大蔵大臣の責任じゃないですけれども、お粗末過ぎませんか。それについて大臣、どうお考えになりましょうか。
  294. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 当面このGNPの一%というものは、それをめどとしてということが五十一年の閣議で決定しておるわけであります。その当時の環境も思い出してみますと、GNPそのものの見方というのも、いわゆる高度経済成長期でございますから、四十九年第一次石油ショック後とはいえ高度経済成長期でございましたから、やはりそうしたものを一つのめどとしておくということと、それから政策論議が、なかんずく経済問題はほとんどが対GNP比で論じられて、今日もその傾向はございますけれども、だから一定割合というようなものも一つの見識でございましょう。そしてまた中身の問題もあります。軍人恩給をどうするかとか、海上保安庁の経費をどうするかとかいう問題もございますけれども、それはそれぞれの考え方によってあるべき姿であって、総合的には、総体的には各諸経費とのバランスをとりながら判断していくわけでございますから、これでなくちゃならぬというものは必ずしも私はないじゃないかと思います。
  295. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 ずっと堅持をしてきたんですし、別に私も今GNPの一%の枠を外せと言っているわけじゃないんですけれども、枠のかけ方としていささかもって適当ではないではないでしょうかと言っているわけなんです。大臣ね、私はGNPを根拠にして、GNPの対比をもってやるのならば国家予算だと思うんですよ。国家予算を組むときこそGNPに対比をしてどのくらいのところに歯どめをかけるか、この辺をめどにしていって物差しをお持ちになることだと思うんです。ですから、私も調べてみて昭和四十年代の前半、四十年から四十五年度というのは、GNPに対して国家予算というものが一〇・七%から一一・三%、平均で一一%と大変安定をしているんです。それがだんだん上がってきて、最近の五十四年から五十八年度というところの五年間を見ますと一七・五%から一八・八%、平均で一八・二%になっているんです。昭和四十年度を基準にして五十八年というものを見ますと、GNPの方は八・四%になっている。国家予算の方は一三・五%になっちゃっているんです。したがって、昨年の五十八年度の予算というものが五十兆三千七百九十六億と組んだけれども、これがもしもGNPと同じ八・四%で国家予算が組まれておったら、五十八年度の予算は三十一兆二千七百三十億になるはずだと。そうすれば、税収だけでもって三十二兆三千百五十億あったのですから、国債なんか出さなくてもバランスがとれてやれたのじゃないですか。今ここへ来て急にそれをやれといっても、とてもじゃないけれども今の五十兆の膨大な国家予算になったんだからできないですけれども、そのGNPの対比でやるならば、国家予算そのものをGNPの対比で一つの物差し、歯どめをかけるということをお考えになったらどうかということを提言したいんですけれども大臣いかがですか。
  296. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今度の税収なんかはGNPのいわば名目成長率弾性値一・一というようなことで仮定計算等をお出し申し上げておるわけでございますが、GNP対比というものは私は一つの尺度のはかり方だと思いますが、言ってみれば高度経済成長期におきましてはGNP自身も順調に名目伸びていくわけでございますから、そこでおおむね名目成長率以下という表現が最近使われておりますが、名目成長率を念頭に置いて予算編成をされておれば、すべての国民のニーズに対応したそれなりの政策ができた。一つのポイントは、やっぱり四十八年の言ってみれば暮れからですが、第一次石油ショック。そこへ持ってきて、いわゆる福祉元年というものをやりまして、私はそれでもあの当時見込んだ成長率だったらいけたと思うのですが、それに今度はGNP自身が鈍化した。そのGNPの鈍化に従って受ける公的サービスを落とすということは、これはなかなか一度やったら困難な問題でございます。それに今度は国債費と、こうかぶってくるわけでございますから、いまおっしゃったように、GNPというものは念頭に置くべきでありますが、GNPそのものが順調に上昇気流に乗っておるときと、そうでない大きな世界経済の転換の中においては変化していくということはこれはやむを得ないのかなと。ただ、今でも名目成長率以下の伸びに考えなさいよと、こういうことはよく指摘を受けるところであります。
  297. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 いや大臣、だからきちっとしたことじゃなくて、GNPに対比をして国家予算一つの物差しにして考える。それで、その国家予算の中のどのくらいかということの一つの枠というものを防衛費で考えるというようなことに関連を持たせておったら、私は行政改革なんて大騒ぎをしてやられなくても済んだことだと思うのです。今すぐやれといってもできないけれども、考え方をそういうふうにお切りかえをいただきたい。  時間がありませんで、通産大臣と農水大臣のお二人にお聞きをするのですが、私のお聞きをしたいことは、日本の鉄鋼産業といったら基幹産業です。その鉄鋼産業が世界一、二をいくくらいの近代的な設備を持っているからいい鉄ができて、自動車産業も電機産業も造船産業も、ああして今日のこれだけの日本経済ができ上がっているわけです。その鉄をつくる鉄鉱石は我が国にはないわけでしょう、ほとんど一〇〇%輸入。片やお魚の方は、日本の漁業産業も非常に発達して、今、年間千百万トンもとれるんですよ、自分で。食べ切れないほど魚をとっている。その関係がどうなっているかというと、昭和五十年のときの鉄鉱石の輸入は二十一億九千八百万ドル。そのときの魚介類の輸入というのは十一億九千五百万ドル、鉄鉱石の五四%。それが五十三年には鉄鉱石が二十四億五千三百万ドルで、魚介類が三十億一千七百万ドル、鉄鉱石の一二三%もお魚を輸入しているわけです。一番新しい、まだ昨年は出ないから五十七年度のところを見ますと、これはドルよりか円の方がわかりやすいから申し上げるんですが、鉄鉱石に支払う輸入の外貨が八千九百九十億円。お魚を買うために支払う外貨が九千八百億円。世界一の水産王国といって一千百万トンものお魚をとって、食べ切れないほど魚があるにもかかわらず、日本では鉄鉱石がとれない。その鉄鉱石はどうしても輸入しなければならない貴重なものです。その鉄鉱石の輸入以上にお魚を輸入しているというこういう日本経済あり方、そういうことについて政府は黙っているんですか、両大臣の御意見をお聞きしたい。
  298. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 輸入量、いわば輸入額は同じくらいということになると思うのですが、やはりこれは物差しの問題でございまして、いまおっしゃるように、日本の鉄鉱石はほとんど国外に依存いたしておるわけでございます。しかし、その鉄鉱石の輸入の量というのは、やっぱりわが国の鉄鋼生産、この基本水準によって決定されるものだと思います。と同時に、魚の方は同民消費、全国民の食生活に必要な量、この量と回内生産を賄う量との差によって決定されるものでございますから、仮にこれが多少類似した輸入額だといたしましても、やっぱりこれは物差しが違うものでございますし、また将来価格が変動する、あるいは需給の動向が変わるということによってまた変動するものであると私は考えます。
  299. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 先生おっしゃいますように、水産物の輸入というのが極力ふえております。これは確かに食生活の向上というものがございまして、そして輸入される魚というのがこれがみんな中高級魚と言われるようなものでございます。それと、二百海里時代、これを迎えまして、漁場が日本の漁船が入っていけないところが出てきてしまいまして、例えばベニシャケだとか、かずのこだとか、それからまた中高級魚の中でもエビ、イカ、これが需要がふえてまいりまして、とても国内産では間に合わないというような状況でございますが、しかし農林水産省といたしましては、やはり何といってもこの水産物の供給、これは沿岸漁業、沖合漁業、これらを一層振興させまして、我が国周辺で漁獲される水産物の有効利用というものを考えていかなければなりません。  そこで、特に高級魚が多いわけでございまして、今いろいろいわゆる栽培漁業と言われるような漁業、これの振興も図りながら、この需要に見合った、そして需要に応じたような漁業振興策をつくって、できるだけ国内で賄っていくという方向でやってまいりたいと思っております。
  300. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 通産大臣ね、やっぱり日本の産業をおまとめの大臣が今のようなことを言われたのでは困るんで、私が言っているのは、鉄鉱石は日本にないんだから一〇〇%輸入でしょうと。これがなくちゃ困るんですと。それで、これだけの近代的な鉄鋼産業があるから日本経済がこれだけ大きくなってきていると思うんです。お魚の方は日本で幾らでもとれて、一千百万トン、お金にして約三兆円足らず、三兆円までいかないんです。今の輸入の方は百万トン足らずなんですよ、確かに高級魚だから。百万トン足らずの魚を輸入して一兆円近いお金を払っているんです。今貿易摩擦だなんて言われて、まだ何だかんだ日本は外貨が入ってくるからいいけれども、これ数年したらそんなことは言っていられなくなる、そんな高級魚を食べる人は限られているんだから。だから、その辺を急にがくんとできないけれども、長い将来で、日本の漁業産業だって立派なものあるんだから、その辺も農水大臣やはり配慮してやっていただきたいということです。
  301. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 先生が言われますように、確かに国内でよくとれるわけでございます。例えばイワシなどは三百数十万トンとれるわけです。ところが一割ぐらいしかこれ食べませんで、あとは飼料だとかそっちへ回ってしまう。そこで今、水産庁長官と一緒になりまして、「ザ・サカナ」というシリーズをつくりまして一生懸命食べてもらうように努力しております。
  302. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 ありがとうございます。そういうふうに考えて、やっぱり長期的展望を持っていろいろ政策にお取り組みいただきたいと思うんです。日本の漁業産業なんて私は立派なものだと思うんです。  それから、大蔵大臣、もう時間もなくなったんで細かい数字は省いて、ともかく国債残高が百二十二兆円にもなるというわけなんですから、そういう点でこれどう始末をするんですかということなんです。言うならば、いわゆる花見酒経済に入るんじゃないんですか。もうそれ以外に方法ないと思うんだけれども、その辺どうお考えになっているか。
  303. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この百二十二兆、なかんずく五十年度以降で百十兆と、今度借りかえをお願いすることになったと。基本的な考え方としては、まず第一段階これどうするか。すなわち一般会計における単年ごとの新規財源債としての赤字公債の発行をゼロにするということに全力を傾注しようと、これが第一段階。第二段階として今御指摘なすっておる特例公債の残高についてできるだけこれを減少さしていこうと、こういう考え方に立ったわけであります。  そこで、その第二段階の計画をどうするかということについては、それこそこれからの財政事情等を総合的に勘案しながら、年度ごとにこれを考えていかなければならぬ課題だと。安易な考えではございませんけれども、一応いまの百二十二兆というのは既存の国民の貯蓄の中に言ってみれば埋め込まれておる。新規債というのはこれからの国民の皆さん方の貯蓄を当て込んで政府が借りるというものでございますから、言ってみれば既存のものとこれからの貯蓄性向の中で伸びていくものとの経済に与える影響力というものは、これはおのずから違ってくる。しかし、財政としては既存のものの金利というものが公債費で出てまいりますから、これはできるだけ減っていくように、第二段階としてはこの残高そのものを減らすことで逐年努力していこうということが今言う第一段階、第二段階という考え方であります。
  304. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 時間がなくなっちゃって経企庁長官申しわけないけれども、あと一分で、景気を何とかもう少し回復させなければいけないし、そういうことについて長官のお考えをお述べをいただいて終わりたいと思います。
  305. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 何回か申し上げておりますが、二回目の石油危機が起こりまして、ようやく五年ぶりに経済が上向いてまいりました。世界経済もいい方向に行っておるようでございますから、これまではなかなか思うように経済も伸びなかったんですけれども、これからはやはり少し工夫をいたしまして、潜在成長力ができるだけ実現できるようなそういう経済政策を進めていくということが緊急の課題であると、このように思っております。
  306. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 終わります。(拍手)
  307. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で柳澤君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  308. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 次に、青木茂君の質疑を行います。青木君。
  309. 青木茂

    青木茂君 大蔵大臣に御質問申し上げたいのですけれども、その前に、大変御不幸がございましたそうで、これは私も同じようなことを経験いたしまして、さぞ心痛むことでございましょう。謹んでお悔やみを申し上げます。  そこで、政治倫理に絡んでですけれども、私は昨年の行政改革特別委員会あるいは大蔵委員会におきまして再三再四にわたりまして、増税はやりませんねということをくどくも辛くも念を押したつもりでございます。そしていろいろお言葉の微妙なニュアンスはございましたけれども増税はやりませんという方向での御回答であったというふうに存じております。ところが、総選挙を経過いたしまして途端に、ぽかんぽかん増税の内容が出てまいりまして、公共料金の陸続とした引き上げが出てきておる。これは一種の私は政治的ペテンではないかと思うわけでございます。もしこれがペテンでなかったら、世界の辞書からペテンという言葉は消えてしまうのじゃないかと思います。選挙の前にはっきりとした政策の青写真をお出しいただいて、それで民意を問うのでなかったならば、これは私は最大は政治倫理の違反で、政治倫理という言葉を丸めてどぶに捨てちゃったような感じがある。まずここのところですね、政治倫理の問題というのは元首相と現首相の問題だけではないので、政治家が、政治家というより政党ははっきり自分だちの政治の基本方針を選挙の前に示さなかったというところにあるのではないかと思うわけでございますけれども総理がいらっしゃいませんもので、増税なぎの問題のあのときのやはり責任者は大蔵大臣でございますから、あえて大蔵大臣に御質問を申し上げたいと思うわけでございます。
  310. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 政治倫理あるいは政治家の持つ倫理、私は、今おっしゃったのも確かに大きな倫理であると思っております。増税なき財政再建、これはてこである。したがって、その増税なき財政再建のいわゆる定義とは何ぞやというような議論はいたしましたけれども、選挙のときに、なかなか臨調でおっしゃっている定義までがこの議論の対象にはなりかねたというふうに思います。  私、いつも思います。やっぱり政党にとっては選挙前に約束したことと選挙が済んでやることとが違った場合にはうそをついたではないかという厳しい批判に立たされる。なかんずく、非礼ながら、政権の座につく心配がない場合は時に気楽だなと思うことを長年の与党として感じておりますので、そういう意味においては、おっしゃった趣旨を今後とも政党としても、また政治家としても心得て対応しなければならぬ課題だと思います。
  311. 青木茂

    青木茂君 我々サラリーマン新党が政権をとることはございませんものですから、そう言われてしまえば返す言葉はないわけですけれども、しかし国民のレベルにおいては、永田町で議論されているところのでこぼこ調整であるとか、手直しであるとか、いや増税ではない、増収であるとか、そういう言葉は国民のレベルにおいてはなじまないわけですね。ですから、やはり選挙なんだから、民意を問う最大のチャンスなんだから、そのときにこれだけの減税をやります、その見返りはこういう方法でこれだけでございますというしっかりした青写真をつくっていただいて選挙戦に臨むというのが、むしろ政権政党の最大の倫理問題だと僕は思うわけなんですけれども、重ねてその点について御質問申し上げます。
  312. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 政権政党かくあるべきだと私も思います。
  313. 青木茂

    青木茂君 そうなりますと、これは総理が大型間接税、これがいわゆる固有名詞であるのか普通名詞であるのかということの議論は依然として残りますけれども、大型間接税を導入しないということは公約である、そこまでおっしゃっておるわけですね。しかしながら、昨年のことがございますから、国民が疑惑の目で見ていることは間違いないんです、ああいうふうにおっしゃったけれども、また何かひっくり返るんじゃないかと。  したがって、私は、ここで総理がいらっしゃらないときに総理にお答えを願わなければならないことを申し上げても仕方がないのですけれども、総現代行として河本長官がいらっしゃいますから、総現代行の立場でお伺いをしたいのですけれども、少なくとも常識的な意味において、間接税を導入するということに立ち至った場合、それははっきりと民意を問うんだ、民主主義において民意を問うというのはまさに選挙を通じてでございますから、民意を問うんだということをお約束願えるかどうか、まずそこからいきましょう。
  314. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 総理は、何回も答弁しておられますのは、大型間接税は導入をしない、大型間接税は何ぞやというと、中型、小型ではない、大型である、こういう御説明でございます。
  315. 青木茂

    青木茂君 大型間接税が中型、小型ではないということを皮肉に言えば、超大型であるともとれるんであって、そういう問題じゃなしに、とにかく大型間接税を導入をしない、こうおっしゃいましたね、定義の問題はともかくとして。国民はそのつもりでおるわけです。おりますけれども、何かの情勢変化において普通名詞の意味における大型間接税を導入するというようなときが来たとしたならば、それは民意を問うべきである、選挙を通じて民意を問うてから決めるべきである、それが私自身の申し上げておる民主主義の原点であるということを私は申し上げておるわけです。
  316. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 大型間接税の問題につきましては、これは自分の公約である、こうおっしゃっておるんですから、私は狂いはないと、こう思います。
  317. 青木茂

    青木茂君 ついては、これは本当に、総理がいらっしゃらないから河本先生に言ってもお困りはわかるけれども増税によって財政再建をやるというようなことに立ち至った場合は民意を問うてくれという希望があったと、しかもそれは単に希望ではなしに、いつ、どのような方法で民意を問うんだということを私は、代行から総理が御帰国なさった場合お伝えをいただきまして、そして具体的な形において御回答をいただきたいと、そのメッセンジャーの役はやはりやっていただきたいというふうにお願いをしたいんですけれども、この点はお引き受けくださいますでしょうか、どうでしょうか。
  318. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) これは何回も繰り返しますけれども総理はもうここで繰り返し繰り返し大型の間接税は導入しないと、こういうことを言っておられるわけですからね、それをまた疑ってどうですか、どうですかと言うのはいかがなものでしょうか。
  319. 青木茂

    青木茂君 繰り返し繰り返し増税はありませんねということを、昨年私は念を押したんですよ。それからまた事実あったんですから、それで心配しているんですよ。だから、はっきりと選挙の前にこういう方法で財政再建やるんだというスケジュールとプログラムを立ててから民意を問うという具体的な形で選挙に臨んでいただきたい、それを伝えていただきたい、伝えていただきたいというお約束を願いたいと、こういうことを言っているんです。あとの問題と違うんです。
  320. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 今度の増税と減税の問題ですね、確かにお説のような意見もあると思いますが、これを大蔵大臣がどのように評価しておられるか、私はちゃんとお考えがあるのじゃないかと思いますから、これについての大蔵大臣のお考えを聞いてそれからまた議論を進められたらいかがですか。
  321. 青木茂

    青木茂君 問題がちょっとずれるんです。基本的に増税なきと、こう言っておられるわけですね。国民のレベルから見てどう考えても増税であるというようなことをもし今後おやりになることがあった場合は、はっきりと民意を問うていただきたいということを、総理が御帰国なさったら代行の立場からお伝えいただきたい、こう言っているんです。
  322. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは税の問題でございますので、さしむき私が担当と、こういうことになるわけです。ただ、増税というものは、税というのは絶えず見直しをする、そうすると、一つのものが増になり一つのものが減になることもあり得るわけです。その都度民意を問うておったら毎年解散しなければいかぬようなことにもなりますし、それよりも本来、お互い私どもは四年間の任期を与えられ、先生は六年間の任期を与えられていらっしゃる、解散というものはこれはまれなるものでありまして、そうたびたびやっていいことではないと思っております。
  323. 青木茂

    青木茂君 まれなるものだけれども、半年間でやった例もあるわけですからね。とにかくそういうことを私が申し上げなければならないのは、昨年の例があるからなんですよ。これは私だけじゃございませんね、みんなそう思っていますよ。ですから、そういう意味でくどくも辛くも念を押したわけです。お伝えいただくのはいいでしょう、議事録にも載るんだから。総理にお伝えくださいとお願いしておるだけなんです、僕は。これはいいんじゃないですか。
  324. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) そういう意見があったということはお伝えしておきます。
  325. 青木茂

    青木茂君 さらに大蔵大臣に御質問申し上げます。  六十年度、二兆とも言い、三兆とも言う非常な財源不足が予想されている。しかも、今度の減税の見返りの一部といたしまして法人税率の引き上げをおやりになりましたね。これは二年間の時限立法でございますね。そういたしますと、減税は制度減税であり、その見返りの方は時限立法であるということになりますと、二年過ぎると新たな財源の問題がどうしても出てくる。そういう問題を含めて考えますと、六十年度、六十一年度と進むにつれて私は財源不足は深刻になってくると思います。それをどういうスケジュールとプログラムでもって埋めていこう。一方において百兆円以上の国債を抱えながら財政を運営なさっていらっしゃらなければならない。財政事情はいろいろ深刻である。だから、それをどうやって埋めていくスケジュールとプログラムをお持ちであるか。特に来年度のことで結構です。来年度のことでそれをどうお考えになるか、二兆から三兆と言われる財源不足についてこれをまずお伺いを申し上げたいんですけれども
  326. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まあ展望でお示ししておるある種の仮定を前提に置いたものといたしましても、御議論をいただく素材として提供しておるわけでありますから、それから見ればこれだけの要調整額が要るのじゃないか、一体それはどうするんだ、当然そういう御質問が出るわけであります。  そこで、私どもは、なお制度、施策の根本に踏み込んで歳出削減をやっていきましょう、と同時に、やはり歳入面の合理化についても検討しながら、最終的には国民の合意と選択になるものだから、あのようなものでも提供して、先生と私が議論をする間におのずから国民の合意と選択の線がそこで浮かび上がり、そこに政策選択をすればいい、こういうことでございます。
  327. 青木茂

    青木茂君 その合意と選択ということは、この国会の内部において幾ら議論がありましも、それが外へ出て国民の皆様方にわからなければこれは何にもならぬわけでございます。だから、最近はもう定量ではなくて定性だという言葉が非常にはやるわけでございますけれども、定性という意味で私が伺うならば、相次いで予想されるところの財源不足、この問題につきまして自然増収でお埋めになることをお考えになるのか、あるいはもう面倒くさいから、超インフレ政策をとってしまって全部ほごにしてしまえというようなことをお考えになるのか、いやそうじゃないんだ、徹底した歳出カットでお考えになるのか、あるいはそれの少しずつのつまみ食いというのを組み合わせでお考えになるのか、そこら辺の、少なくとも五年先、十年先のことじゃないんです。来年度の予算編成方針においてどこでどういう形でお考えになるのかという、定性論で結構ですから御見解を伺いたいと思うわけでございます。
  328. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはいみじくもおっしゃいましたように、同然増収、私どもはそれは期待を大いにかけております。しかし、期待をかけたとしても、それは全体の成長の程度、なかんずく今緩やかながらいわゆる回復基調に入っておるということに期待をかけ、金融財政等の弾力的な運用によってそれをより定着ならしめていくことによって自然増収を期待するというのはもとよりでございます。それとやはり歳出削減ももう済んだという段階ではない、こういうふうに考えております。したがって、それらの組み合わせをどうしていくか、こういうことがそれこそ議論の間で詰まってくる問題ではないか。だから今日、来年はこれとこれとでいきますということを言えるというのは、相当なやっぱり偉い人でないと、私にはちょっと今定量的にもちろん断定できませんし、青木先生の言葉をかりれば、まさに定性的にその組み合わせをいかにするか、こういうことではないかと思います。
  329. 青木茂

    青木茂君 歳出カットはとてもじゃないが済んだと言えない、それは当然でございまして、まだ入り口にさえ達していない、そういうふうに私どもは考えております。しかし、大臣がおっしゃいましたけれども、これ、二年先、三年先、五年先を伺っているのではない、来年の御方針の、しかも量の問題ではない、キャラクターの問題を伺っておるわけです。それを事この段階においてまだその議論の中で詰めていくんだでは、私は少しのんびり過ぎるんじゃないか。逆に言うならば、来年以降の予算編成方針を明らかにしていただかなければ、五十九年度予算のイエスかノーかというのは、われわれの判断材料が出てこないのではないかという心配を実は持っておるわけでございますけれども、そこら辺のところはいかがでございましょうか。
  330. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そこで、まずは財政改革の進め方ということを一応資料として提供したりして申し上げているわけです。したがって、この国会の中で御議論をいただく中でまず最初の着手するものは何かというと、概算要求時点だと思うんです。そこに六十年度予算の編成方針は出ませんが、いわゆる概算要求ということに対する一つの方針を出していく、だからそう遠いごとではないと私も思っておりますだけに、このような問答に対して絶えず傾聴をしておるわけでございます。
  331. 青木茂

    青木茂君 どうもまだ伺っておりまして、明年度予算については何のスケジュールもプログラムもないような感じがして仕方がないんですけれども、ちょっとここまで詰まってきた財政でございますから、あすはあすの風が吹くとか、果報は寝て待てとかというのんきに構える状況ではないというふうに思わざるを得ないわけでございますね。しかし、スケジュールとプログラムを現時点においてお示しを願わなければやむを得ないんですけれども、早急にいつどういう方法でもって財政の百姓の道筋を明らかにしてやるんだという道筋だけは明らかにしていただきたい。それがいつであるか、どういう方法であるかということを私どもといたしましては非常に渇望して待っているということを申し上げておきたいと思います。  その次の問題でございますけれども、これはやはり代行としての河本先生お願いを申し上げたいわけでございます。これは私ども記憶があるわけでございますけれども、ちょっと古い話でございますけれども昭和五十五年三月二十八日に、これは大蔵委員会だったと思います。所得税法の一部を改正する法律あるいは租税特別措置法の一部を改正する法律ですか、それが議論されましたときに附帯決議というのがございまして、その附帯決議の参議院段階においては七番目ですね、「深夜労働に伴う」、つまりこれは残業でしょうね。「深夜労働に伴う割増賃金、寒冷地手当及び宿日直手当については、税の軽減について検討すること」、こういう附帯決議がございました。それより前に衆議院段階におきましては、「深夜労働に伴う割増賃金、寒冷地手当及び宿日直手当については、一定の非課税限度を設けることの是非について検討すること」。かなり具体的だったやつが参議院ではちょっとぼけてきているんですけれども、まあどちらにいたしましても、これはその当時われわれは外におりまして国会は大変前向きなことを附帯決議していただいたと喜んだ記憶があります。この附帯決議はその後どうなりましたでしょうか、それをお伺いをしたいんですけれども
  332. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この附帯決議の問題は、附帯決議、これももとより税調へ正確に報告します。そうすると、それが次の機会あるいはその次になる場合もございますが、この答申として出てくる。それを一つ一つどういう過程を経でどういう形で出てきたか、こういうことを御説明申し上げればいいのでございますけれども、例えて申しますならば、「鰥夫控除については、委員会における審議経過をふまえて、昭和五十六年度税側改正において実現を図ること」、そうなりますと、今度五十六年税制にはやっぱりそれがちゃんと出てくるというふうにきちんと出てくるものもございます。それから雑損控除とかいろんなものにつきましては、これはなお引き続き検討するとか、特に勤務の特殊性や名目のいかんを問わず、通常の給与と同様、雇用関係に基づいて支給されるものは、その性格は給与であり、税制上は他の給与と同様に取り扱うべきであると考えると、こういうような答えとして、深夜労働、割り増し賃金、寒冷地等々はそれなりに出ておるということであります。
  333. 青木茂

    青木茂君 附帯決議というのは、僕は院の意思だと思いますね。院の意思である以上、そういうような経過報告は、つまりどういうふうに検討されて暫定的な見解がこういうふうになったということは、私は経過報告として院にお示し願うのが筋ではないかと思うんですけれども、お示し願ったということになっておるのでしょうか。
  334. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 附帯決議のこの項がこうなりました、この項がこうなりましたという形ではお示ししていないと言えるでございましょう。ただ、こうして問いかけがありますと、それなりにお答えできるような準備はいつでもしております。
  335. 青木茂

    青木茂君 私は、附帯決議というのは、今申し上げましたように、院の意思でございますから、これを軽く見ないというのか、空文にせずに、また院の方でも附帯決議つけたらつけっ放しで後は知らぬということではいけないと思うわけでございます。そういう意味におきまして、これから附帯決議がついたものにつきましては、経過報告で結構でございますから、院の意思を行政府はこういうふうに考えて、こういうふうに検討しているんだということをお示しいただくのが、私は行政責任であるというふうに考えております。  それに絡みまして申し上げるのですけれども、昨年の十一月二十四日に、やはり所得税の臨時特別措置的なものですね、そういうものに対する法律を大蔵委員会で審議をやりましたときに附帯決議が四項目ついております。この四項目のうち特に一番、二番——一番は、とにかく所得税は税の基幹なんだから、それが長い年月をほっぽらかされておいて、昭和五十二年以来六年間もほっぽらかされたように、ほっぽらかされておいてゆがみを生じちゃいかぬから適宜見直しを行うことという重要な附帯決議がついておりますし、あるいは税の不公平を正すということで、利子配当の問題であるとか、事業所得の課税の問題であるとか、極めて不公平感是正のための重大な附帯決議がついておりますがこれをどう御検討なさっているかという経過は常に私は院の方にお示しを願いたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  大変失礼いたしました。(拍手)
  336. 西村尚治

    委員長西村尚治君) 以上で青木君の質疑は終了いたしました。  これをもちまして、経済財政金融教育に関する集中審議質疑は終了いたしました。  明後二十六日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三分散会      —————・—————