○
国務大臣(
森喜朗君)
久保さんの御
指摘やまた今御
心配は、私
どもに対する注意を喚起するという
意味で
お話をいただきましたが、すべてそのとおりだと思うんです。
この問題は、長くなって恐縮でございますが、私も党におりまして
部会長をやっておりましたときから、既にこのことについては早くから役所の方でも
対応するようにということで指示もいたしておりまして、決して泥縄的に少し遅きに失しているのではないかということには当たらないのでありまして、かなり早くから
文部省も
取り組みをいたしておりますが、いろいろ今
議論に出ましたように、それぞれ御
専門の
検討機関を設けて
検討をずっと続けておるところであります。
ただ
基本的に、
久保さんもおわかりですが、大変難しいのは、まず
経済情勢が大体今のような
状況で推移するであろうかということが、まず
一つですね。そこが
進学率との絡みが出てきます。
それからもう
一つは、今
お話がございましたように、
国公立と
私学との
負担はどの
程度になるだろうか、これもいろんな
議論の出るところでありまして、
私学に余りにも
負担をかけないで、本来は国でやるべきではないか、公でもう少しそれは処理すべきではないかという
考え方から見れば、まあ七、三ぐらいにしたらどうかというような
意見もいろいろ出てくるわけでございますが、財政の
状況を
考えてみましたり、あるいは
定員をある
程度、こういう
状況の中で
大学の
学部をつくる、あるいは
新設大学をつくるということは、今の臨調の
指摘、
行政改革のこうした
現状から見て非常に難しいのではないか。これは
政治責任論は別でございますが、難しいという
考え方から、おおむねこれも今ある八対二ということで推移させることがいいだろう、こういう
考え方を
基本的にまずしておるわけです。
ところが、それを今度は、じゃあ
私学にも
国公立にも、ある
程度定員をふやしていくということになりますが、
基本的には、これは
与野党を通じ
て、
地方にもう少し
大学を分散すべきではないかという
意見があるわけですね。そして、それぞれ
先生方も御
承知のように、北海道から沖縄もそうでしょうが、九州に至るまで、
大学をつくれ、
大学をつくれという要望が非常にきております。これは、こういう
ピーク時なんというようなことを頭に置いたことではなくて、
高度経済成長の
一つの後始末的な
考え方から、
工場誘致に用意しておった土地が余った、人が来ない、何とか産業振興しなきゃならぬ。そこで
大学をという、こういう非常に短絡的な
希望意見もあるわけですね。でき得る限りそういう形で
配分も、四十八都道府県を少しウエートを
地方に置きながら、大体この
程度の人間でふやしていこう、
学生数を
許容量をふやしていこうという
数字は、これはかって
中間報告で出したんです。それを出しても、かなりの
批判が出るわけですね。これは
与野党を通じて出るわけです。何だと、また
大都市中心じゃないかと、こういうことになりますが、できるだけ
負担をかけないで、将来また
急減していくわけですから、
急減のところを国が全部
責任を持って引き取るということはできないわけでございますので、ある
程度大
都会のキャパシティーの
能力のあるところに若干は数をふやしていかなきゃならぬ。ふえる率は圧倒的に
地方を多くしておるわけでありますが、
現実の問題としての、
現実の
数字にパーセンテージを上乗せいたしますと、数量の絶対数は大
都会中心になる。これについては非常に各党からも御
批判が出ているところであって、いわゆる
大学を
地方に分散するという
計画とは違うじゃないか、こういう御
指摘も出ます。しからば、
地方にできるだけ誘導するような
措置をいたしますが、これもまた
先生方一番おわかりのとおり、果たして
大学に
高等学校の
生徒が行ってくれるんだろうか。
徳島の
大学にこれだけキャパシティーふえました−
徳島という名前出してちょっとまずいかもしれませんが、
世耕先生いらっしゃいますから、近畿
大学に五百名
負担させますよと言えば、これは行く人が出てくるかもしれません、大阪ですから。しかし、変な話ですが、私の石川県に、金沢ならそう嫌がらぬとは思いますが、仮に千名分ふやしますよと言ったって行ってくれなきゃそれまでの話で、これを国が強制命令したり、
高等学校が強制的にあっちに行け、こっちに行けとできないところにこの
計画の立て方に非常にむずかしいところがある。もう少し、これはおしかりいただくかもしれませんが、私の私的な
発言としてお認めをいただきたいんですが、そもそも
大学に受けることを全部国が
責任を、もって引き受けなきゃならぬのかという、こういう
議論も出てくるわけで、やはりこれは試験によって、
能力に応じて受けてもらわなきゃならぬ。しかし、社会問題になることはある
程度予測しておかなきゃならない。
受験地獄ということが再来する。そのことについての
対応は国がしなきゃならぬ。
政治の
責任としてしなきゃならぬ。こういういろんな要素を含んだ大変むずかしい問題でございまして、要は
高等学校の
生徒がどういう
考え方をしてくれるかということにかかってくるわけでありますが、そういうことをある
程度予測しながら、いろいろな
受け入れ体制をつくっておかなきゃならぬというところに今、確かに
久保先生からおしかりのとおり、遅いんではないかと言われるのは当然でございますが、
文部省としても、随分早くからこのことに取り組んでおったことは間違いございませんが、今、そういう
意味で、まずまず
国立大学として、もしやり得るならやってくださいというんじゃなくて、やれるならおたくの
現有のキャンパスの中でどの
程度の
受け入れが可能でございますか。国としては、今申し上げておったような
議論の
数字ではありますけれ
ども、各
大学でやるとするならどの
程度の
受け入れができるでしょうかということを、今まず照会をいたしております。これが、あたかもそれだけ引き受けてくれよと言われたように受け取られている面もございまして、先般、衆議院の
文教委員会でも少しおしかりをいただいたところでございますが、まだそういうことではなくて、まずリサーチをしていく。そして、今度は
私学関係の皆さんにも
お話をさしていただかなきゃならぬ。ある
程度、
東京中心の方々は喜んで
定員増をやりたい、
学部、
学科増をやりたいと、こういうふうにおっしゃることは大体予想できるわけですけれ
ども、それを安易に認めてしまいますと、全体的に
文教関係の
先生方は、これはもう
与野党を通じて
お話しくださっておりますが、もう少し
地方に誘導すべきであるという
考え方と少しまた違ってくるという面が出てくるわけでございまして、そういう面で非常に正直に申し上げて四苦八苦しながら
計画を進めておるところでございますが、今、
中間答申が出ましたので、この
中間答申の
数字を
一つの基準といいましょうか、バロメーターといたしまして、今後は各
大学、
国立大学にどの
程度の
可能性があるかということをまず今
調査をいたし、なおかつ、それを少し
地方全体にどのように向けていくか、こういうことをこれから精力的に急いでまいります。確かに、今までの
時点では、
先生から御
心配のように、少し遅いんではないかという、そういう
お話でございますが、かなり早くから
対応いたしておりまして、
国立大学協会、あるいはまた
私学関係団体もこの
時点のことを踏まえながら、いろんな
意味で
考え方も
検討していてくれているようでございますので、間違いのないように、そして
先生から今御注意いただきましたことに対しても、
十分泥縄式にならないように、そしてできる限りこの時期には多くの
生徒が
高等学校から
大学に進学することについての、そういう混乱した
状況をつくらないように、
文部省として十分真剣に取り組んでいきたい、こういうふうに
考えております。
大変長くなりましたけれ
ども、非常にむずかしい問題が幾つかございますので、
先生、十分御
承知でございますが、あえて
問題点として
指摘もさしていただいたわけでございます。