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1984-07-10 第101回国会 参議院 農林水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十日(火曜日)    午後一時三十分開会     —————————————    委員異動  七月七日     辞任         補欠選任      安永 英雄君     菅野 久光君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 寛三君     理 事                 川原新次郎君                 北  修二君                 最上  進君                 藤原 房雄君     委 員                 大城 眞順君                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 坂元 親男君                 竹山  裕君                 初村滝一郎君                 星  長治君                 水谷  力君                 森田 重郎君                 稲村 稔夫君                 上野 雄文君                 菅野 久光君                 刈田 貞子君                 下田 京子君                 喜屋武眞榮君     国務大臣         農林水産大臣  山村治郎君     政府委員         厚生省生活衛生           局長      竹中 浩治君         農林水産大臣官           房長      田中 宏尚君         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君         農林水産省構造         改善局長    井上 喜一君         農林水産省農蚕           園芸局長    関谷 俊作君         農林水産技術会           議事務局長   櫛渕 欽也君         食糧庁長官   石川  弘君         林野庁長官   角道 謙一君     事務局側         常任委員会専門           員       安達  正君     説明員         厚生省生活衛生         局食品保健課長 玉木  武君         厚生省生活衛生         局食品化学課長 市川 和孝君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (米問題等に関する件) ○昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員  共済組合からの年金の額の改定に関する法律等  の一部を改正する法律案内閣送付予備審査  )     —————————————
  2. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る七月七日、安永英雄君が委員を辞任され、その補欠として菅野久光君が選任されました。     —————————————
  3. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私は、本日特に米の五十三年産米安全性の問題と、それから韓国米輸入問題、それにこれからの需給関係についていろいろとお伺いをしたい、このように思っているわけでありますが、通告をいたしました予定の質問の前に一つ伺いをしておきたいと思うことは、実は、きょう午前中に、昭和五十九年度の「農業観測」という資料が配付をされたわけでございます。それで、これをそれこそ中を細かくまだ精査をさせていただいているわけではありませんけれども、さっと見たところでは、これまでの国会における、いろいろと需給中心にいたしまして、特に韓国米輸入問題等もあっていろいろと議論になってまいりました点というのがこの中ではどういうふうにとらえられているのか。  第一は、いずれにいたしましても、韓国からの米を、輸入であるか貸付米の返済であるかという議論は別にいたしまして、とにかく外国の米に依拠しなきゃならぬという事情が出てきた。こういう問題は反省点として今後のことにもちゃんと入っていかなきゃいかぬのじゃないか、そんなふうにも思いますし、また、大臣が作柄のぐあいを見ながら今後の減反にも弾力的に対応していくという御答弁を、これは総理も含めての政府の見解という形として表明をされているわけであります。  ところが、このものを見る範囲の中では、何かそういうことに一切触れていないで、むしろ稲の生育の方がここのところちょっと取り返して順調な生育を見せている、というような記述はあるけれども、その辺のところが全然盛られていないということがちょっと私には奇異に感ずるのであります。ただ、この本が多分印刷をされた時期、原稿の時期などを考えてみると、あるいは原稿の時期にはまだということだったのかもしれないと思うのですけれども、そうすればただ配ってくるのではなくて、何かその辺のところを、ここの中はこうなっているけれどもこうだというくらいのものがあってしかるべきなのではないか。そんなふうに思うのですけれども、その辺はいかがでございましょう。
  5. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) きっとその本をつくって終わった時点で、私と総理の弾力的なというのが出てきたのじゃないかと思いますが、製作者等も呼びまして、今先生の言われましたところもひとつ注意して、もしあれでしたらお配りした先にまた別のもの、別のものというか、追加した書類でもお持ちしながら御説明するようなぐあいにしたいと思っております。
  6. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 印刷関係というのは私もわからぬわけではありませんからあれですが、要はそういう国会論議等があったわけでありますから、それだけに、こういう資料を配付するときにはそれなりに一定のコメントをつけてお配りになる方がいい、今後はそういうふうに配慮をしていただきたい、そんなふうに思います。同時にもう一つ、これは確認になりますのであれですが、そうすると、今までの国会でのいろいろと御答弁をいただいたことを私どもは受けとめて今後に対処していってよろしゅうございますね。
  7. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 何遍も御答弁申し上げましたが、第三期対策につきましては、本年度の作況を見た上で弾力的に運営するということははっきり申し上げられると思います。
  8. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 ぜひ、ことしもいろいろと心配をされておりますので、特に稲の生育が今の時期にいいときには、秋にはむしろ倒伏が多いとかいろいろな心配もあるわけでありますから、それだけにぜひそのことをきちっと踏まえていただきたいというふうに思います。  そこで、ちょっと順序の方があれなのですけれども厚生省から生活衛生局長に御出席をいただいておりますので、特に五十三年産米安全性の問題と、韓国米安全性チェック問題等につ いて先に、それから順番に質問をさせていただきたい、このように考えておりますので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。  厚生省の方で、五十三年産米残留臭素について調査をするということをお決めになったその動機は何でございましょうか。これは私の知る範囲では、国会で、この三月の衆議院予算委員会でいろいろと五十三年産米安全性についての議論があったその際に、竹中局長から農水省と相談をするという御答弁があった記録を私は見ておりますけれども、それが始まりでしょうか、それともその前から何かございましたでしょうか。
  9. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 先生お話のとおりでございまして、三月の国会審議において御指摘を受けまして、その後食糧庁と御相談をして検査を実施することといたしたわけでございます。
  10. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 厚生省のお仕事についてちょっと私もわからないところがありますからお伺いをするわけでありますけれども、例えば、国民の健康にとって重要な問題があるという判断をされる場合には、これは国会議論になるならないということにはかかわりなしに主体的に厚生省として調査をされ、あるいは検査をされ判断をされるのか、こういうことはあるのでございますか。
  11. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 先生お話は、食品安全性問題というふうに理解をさせていただきまして、食品の安全の問題につきましては、厚生省食品衛生法に基づきまして必要な規格基準設定したり、あるいは場合によれば監視、あるいは収去、そういったことをすることになっております。
  12. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 五十三年産米については、国会議論ばかりではありませんで、これは国会でも指摘をされておりますけれども市民団体だとかいろいろ心配をしているものがあったわけであります。これは厚生省としては、国会でそのことが議論をされるまでこれについて調査をしてみようというそういうお気持ちはなかったのでしょうか、それとももうお持ちになっていて国会での答弁ということになったのでしょうか。
  13. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) その点はまことに申しわけないのでございますが、五十三年産米の、特に臭化メチルあるいは臭素の集積の問題等につきましては、三月の時点で初めて厚生省として承知をいたしたわけでございまして、その後は食糧庁十分連絡を密にいたしておりますが、事前にその点について、十分認識ができなかった点については遺憾に存じておるわけでございます。
  14. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 市民団体からのいろいろなものがあったとか、その具体的事実の方は別にいたしましても、臭化メチル薫蒸によっていろいろなことがあるというのは、これは学術論文等でも発表されているものが随分古きものからいろいろとあるわけであります。それだけに厚生省の方はこれらの問題を踏まえて、やはり臭化メチルが何回も薫蒸をされているというものについては、主体的判断としてこのことに対応を先にしていただかなければならない、そういう問題ではなかったかと思うのですけれども、その辺のところはどのようにお考えですか。
  15. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 米を含めまして、穀類につきまして臭化メチル薫蒸をすることがある、あるいは臭化メチル薫蒸をいたしました場合に臭素残留をするということにつきましては、私どもはもちろん前から存じておりまして、小麦については既に五〇ppmという残留基準設定をしておるわけでございます。小麦の場合は、御承知のように大半が外国から輸入をされる、外国でどういう形で貯蔵されているかわからないというような事情がございましたので、小麦については基準設定いたしたわけでございますが、米につきましては食糧庁が責任を持って適切な管理をしていただいておる、そういう前提で考えておりまして、特に米についてはこれまで基準設定その他を行っていなかったわけでございます。
  16. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 小麦については、既に五〇ppmというWHOとFAOの基準という国際基準をもとにしてお考えになったのかもしれませんが、小麦については既にそういうものをつくってある。なぜ米についてはなかったのか。それは、今のお話によると、全面的に食糧庁を信頼をしてというふうに受けとれるのですが、そうすると、臭化メチル薫蒸を何回もしているという事実については、厚生省は全然御承知なかったのですか。
  17. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) その点は大変申しわけないわけでございますが、私どもといたしましては、四回、五回という頻回の薫蒸が行われたというような事実を実は知っておらなかったわけでございます。
  18. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 しかし、東京都の衛生局で、衛生研究所でしたか、ここで検査をした結果というようなものも既に出されていたわけでありますから、その辺のことについては、厚生省は全然この三月の時点では懸念をされるようなことは過去の論文の中からもそういうことはなかった、こういうふうに言われるわけですか。
  19. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) これは東京都で検査をされましたのは、たしか都の生活文化局が都の衛生研究所に依頼をして検査をされたと聞いておりますが、その検査をされた、あるいは検査の結果等につきましては、四月あるいは五月の段階で私ども連絡を受けたということでございます。  それから、臭化メチルを使うことによりまして臭素が残るということはもちろん文献等によっても知っておりましたが、同時にまた、臭素毒性というものはかなり低いと申しますか、臭素はかなり一般的に普通の食品の中にあるもので、WHOADIも一日当たりプロキロ一ミリグラムという相当大きな量でございますので、その点については私どもある程度の安心感を持っておったわけでございます。
  20. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 しかし、臭化メチル薫蒸というのは結構あるということは、その臭化メチル薫蒸による影響をいろいろと調べている論文がほかにもあるわけですね。あるいは厚生省はお知りにならなかったのかもしれませんけれども、例えば「メチルブロマイドに関する研究」ということで昭和三十六年に白石さんほかの方々のいわゆるその中のメチル基の中の炭素を放射性の酸素に置きかえての追跡調査というようなものもございますし、あるいは「醸造工学」という雑誌に載っているのでいけば、古米中のいろいろとにおいがする物質、酒をつくるときににおいがつく物質、それを追求していった中で臭化メチル薫蒸がこれの大きな原因であるというようなことにぶち当たった、確認ができたというような論文どもあるわけであります。いずれにいたしましても、その辺のところは、厚生省としてはもし十分に臭化メチル薫蒸している米がかなりあるということを御承知でなかったとすれば、これはやはりそういう食品安全の観点から私は非常に大きな問題である、厚生省がそういうことが掌握できるような体制というものをつくっていただかなければならぬ、こんなふうに思うのですけれど、その辺はこうした事実というものを余り御存じなかったのですか。
  21. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 臭化メチルの問題はWHOでも長年議論がされておるわけでございまして、一九六六年に最初に議論をされて、ADI等が決められたわけでございます。それ以降もほとんど毎年のように何度も再評価と申しますか、議論がされておったということで、その点につきましては私ども十分に承知をいたしておったわけでございます。ただ、残念ながら、先ほども申し上げましたように、米につきましては食糧庁において十分適切な貯蔵管理がされている、また、五回というふうな頻回に薫蒸をされた米が特に主食用として出回っておるというようなことにつきましては、まことに申しわけございませんが、残念ながら私どもはその時点までは承知をしておらなかったというのが実態でございます。
  22. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 この問題で知っていたか知っていないかということをいつまでもやっていても仕方がございません。  そこで、局長はそれこそ医学の関係ではスペシャリストでいらっしゃると思いますので、それだ けにいわゆる行政マンとしての形、考え方というよりも、むしろそういう科学者としての立場からいろいろとお考え伺いたいというふうに思うのであります。今WHOお話がありましたけれども、その国際基準については、例えば臭素残留量が五〇ppmという基準量になっていて、そこから割り出して一日一キログラム当たり一ミリグラムですか、そういうまた摂取量についてのあれがあるわけだと思うのです。そのことが適切である、このように判断をされたということになっているわけでありますが、そう判断をされたその根拠といいますか、例えばWHOのそういう出された基準が適切であるという何かいろいろなデータをごらんになって、そのデータに基づいて科学者としてもきちっとそれをとらえて、そしてその判断をされたのではないかと思いますけれども、その辺の根拠はどんなところにございますか。
  23. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) WHO委員会での五〇ppmという基準設定、あるいはそれらを参考にいたしまして私ども食品衛生調査会で、やはりこの際、五〇ppmを暫定基準とすることが適当であるという判断をされたわけでございますが、五〇ppmに至るまでのいろいろな議論があるわけでございます。  臭素と申しますのは、先ほども申し上げましたように、海藻その他多くの食品の中に常在をするものであり、かつまた、睡眠剤等に医薬品として使用されておる歴史が非常に長いものでございまして、臭素そのものについてはよく知られておるわけでございます。そういった人間に対する臭素作用最大作用量と申しますか、作用を起こさない一番大きな量というものを踏まえまして、それからおおむね十分の一ぐらいの安全度を見まして、一人一日当たりプロキロ一ミリグラム。五十キロの体重であれば五十ミリグラムというような一日最大許容量というものが設定をされたわけでございます。  この一日最大許容量を踏まえまして、臭素そのものの問題、それから臭化メチルが分解をいたしましたもう一方のメチルがたんぱく質にくっつく、あるいは一部でん粉にもくっつくというような問題がございまして、それらを含めてその一ミリグラム、プロキロ一ミリグラムから、さらにそういったものを含めた安全度を見て五〇ppmという基準設定をされておるということでございます。
  24. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そこまでの御説明は私どもも何回もいろいろな形で伺っておりますが、私はむしろ、そのWHOなりの設定をした基準が適切であるかどうかということを科学者として御判断になる、そういうデータはお持ちだったのですか、そして、例えばそういう中で臭素についての慢性毒性試験だとかなんとかということもやられているのでしょうか、それに基づいてWHOというのが決めたのでしょうか。それからさらに、WHO自身がいろいろと、そのほか科学の進歩の中で、知識のふえていった中で基準値を再検討するというようなことは今までほかのものでそういう例はなかったのでしょうかというようなことも含まれて、いろいろとWHOの決定を適正であると判断した、その根拠について私は伺っているわけです。
  25. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) WHOでの検討、あるいはWHOでは先ほど申しましたように一九六六年以降、六、七回にわたって毎年のように検討が続けられておるわけでございまして、それはそれぞれ提出された実験結果に基づいて議論が何度も行われておるわけでございます。私個人と申しますよりは、私ども食品衛生調査会がそういったWHO論議を踏まえて五〇ppmで大丈夫だと、そういう食品衛生調査会の御結論は私どもも極めて妥当なものであると考えておるわけでございます。
  26. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 どうもはっきりしないのでありまして、それでは皆さんの方でそのWHO基準が妥当であると判断をされたその資料について、これだけでまたやっているといろいろと時間を食ってしまいますのであれですが、私も勉強をさせていただきたいと思いますので、後ほど資料として私にいただきたいと思いますが、よろしくお願いをいたします。  それで次に、そこで小麦には五〇ppmという基準があったのに、米にはそれはなかったということ。ところがこれも衆議院予算委員会の中で、今度はこれは上村論文というのでしょうか、質問の中でそれが出てきたのに対して、竹中局長の方から、それにある平均値である四〇ppmを中心にして何か御答弁がされたように、ある雑誌に紹介をされて、それで私も改めてそのときの議事録も拝見をさせていただいたわけであります。そうすると大体雑誌に紹介されている内容のように私も受け取られるわけであります。  そこで、その論文には最高値が既に六二ppmというのが掲載されているわけでありまして、そういう中で局長がこう平均値でだけ答弁をされたということには何か私も釈然としないものが残りますけれども、その辺はいかがなのでしょうか。
  27. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 予算委員会平均四〇ppmのものではどうかというふうなお話がございまして、いずれにしろ現段階では国民の健康上問題はないと考えておるという趣旨の御答弁をしたと思っております。  先ほど申しましたように、臭素につきまして、一日最大許容量が一ミリグラムでございますが、例えば七〇ppmの米を三百グラム食べたといたしまして、それは二十一ミリグラムになるわけでございます。一方、一日最大許容量が一プロキロ一ミリグラムでございますので、五〇ということで、米以外から摂取されるいろいろの臭素を勘案いたしましても臭素の一日最大許容量からは相当下回っておるというようなことを踏まえまして、四〇ppmあるいはその前後のものについては健康上心配はないという趣旨の御答弁をしたと記憶をいたしております。
  28. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私は、いずれにしましても米の問題は、こういうふうに問題になってきた時期、少なくともかなり高いものが検出をされるという、そういうものがわかっている時期なわけでありますから、それだけに答弁についてはもう少し慎重な答弁をしていただきたい、こんなふうにも思うわけであります。  これも過ぎたことを幾ら申し上げても仕方がありませんが、いずれにいたしましても私はこの米の安全性、特に臭素の問題についてはやはり疑義が残っております。このことは後ほどまた、さらに細かくは担当の課長さんからでもいろいろと伺いたいというふうに思っております。  そこで、こうして国内産米でも非常にいろいろと問題が起こったわけでありますが、そこへ今度韓国米緊急輸入というような話が出てまいりました。それだけに韓国米についても私は実は安全性についていろいろと心配をしているわけでございます。この辺は今度は食糧庁ともかかわってくるわけでありますから、まず食糧庁の方からお伺いをして、厚生省のお考えをお聞きしたいというふうにも思うわけです。  新長官、引き継ぎをされまして、今、韓国米輸入のいろいろとあれをやっておられるのだと思いますけれども安全性に限定をしてまいりますと、前長官衆議院農林水産委員会の中で、こちらに着く前に韓国チェックをいたしますというようなことを答弁をしておられるのですけれども、その体制はどのように今されておりますか。
  29. 石川弘

    政府委員石川弘君) 韓国から返還されます米の安全性確認でございますけれども韓国側の協力を得まして、船積みをいたします前に検体をこちらに空輸をしていただきまして、これを農薬の残留性等検査をいたしまして、問題がないということを確認した上で受け入れるという方針でございます。現在そういう方向で韓国の方とお話し合いをしております。そういう結果を踏まえまして、また、厚生省ともよく御相談をしまして、今申し上げましたような形で安全性確認した上でこちらに入るようにさせたいと思っております。
  30. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 その韓国の場合、それはこちらか らだれかが行ってそれをやられるのですか。それとも韓国の方にお任せをするという形になるのでしょうか。  それから、何と何をチェックされるのでしょうか。
  31. 石川弘

    政府委員石川弘君) 現在、最終的な詰めをやっているわけでございまして、ごく細部のところまでまだ決定したわけではございませんけれども検体採取等については方法を定めまして、間違いなくその代表性のある検体を出してもらうというようなこともやるつもりでございますし、それから検査項目等につきましては、日本政府におい日本食品の安全という観点からチェックすべき項目につきましてはこれが完全にできるような項目についてチェックをいたすつもりでございます。ここ数日中にそういう最終的な詰めができると思いますが、現在は今申し上げましたようなことができる体制をつくるということで話を進めております。
  32. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 何と何をチェックをされるか、これは非常に重大な問題なのであります。それで、こちらからチェック項目は言わないのですか、具体的に何と何をチェックするかということは。
  33. 石川弘

    政府委員石川弘君) 食品衛生法チェックすべき項目につきましては、これがチェックできるような形にしてございます。
  34. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 それは使用農薬ということについてですか、それともそのほかのことについてもですか。
  35. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) これはどういうものについて最終的に検査をするかどうか、現在、農水省といろいろと詰めをいたしておるわけでございますが、とりあえず今私ども考えておりますのは、国内で規制をいたしております十二種類のもの、それからそれ以外に水銀等主なものについてもチェックをしたい、それから薫蒸ということで問題にもなっておりますので薫蒸剤についても検査をしたい、これが現在の厚生省考え方でございます。そういうものを中心にいたしましてこれから食糧庁詰めていきたいと考えております。
  36. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そうすると、厚生省の方からいろいろと御助言をいただいて、そして農水省が、食糧庁が対応をしていくという形になりますね、そのチェック体制の中では。  それで、今挙げられましたが、チェックの対象は、そうなると農薬だけではなくて食品衛生法に言われているすべてのものについてチェックをするということになりますか。
  37. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 韓国で使用されております農薬あるいは貯蔵の方法、そういったことを今農水省を通じていろいろと情報の提供方をお願いいたしておるわけでございまして、それらを踏まえまして米の安全性という観点から必要な検査をやる。したがいまして、国内規制の農薬十二種類はもちろんでございますが、それ以外に使用される可能性のあるものとして水銀系のものだとか、いろいろあると思いますが、それは向こうの使用状況の情報を提供いただきまして、それに基づいて考えられるものについてやっていきたいということでございます。
  38. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 韓国の方の論文は我々が読めるものというのが余りないわけですからなかなか面倒でありますけれども、でも中には、かなり韓国の土壌汚染とそれから河川、湖沼の汚濁、汚染ということを問題にしたものがございます。そういうあれを見てまいりますと、特に農業排水の影響とそれから工業排水の影響と両面があるように判断をされるものが書かれております。そしてしかも、特にソウルの周辺の農村地域でカドミウムあるいは水銀、鉛、砒素というようなものの汚染について触れられているものも、本当に細かいデータがないからはっきりわかりませんけれども、かなりのものがあるということを書かれたりしているわけでありますから、そうすると、いわゆる農薬と貯蔵の方法等だけではいけないので、要するに土壌汚染やそういうものから出てくるそういう危険性というものについてもこれはチェックをする必要がある、そんなふうに私は思うのですけれども、その辺は厚生省としてどういうふうにお考えですか。
  39. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 一般に議論をされる今お挙げになりましたような重金属その他の問題でございますが、これらも現地の状況をできるだけ把握をしていただきまして、その情報によって、検査をする必要があるかどうか、これはひとつよく判断をしたいと思います。
  40. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 農林水産省の方に伺いますけれども、その辺のところの条件、要するに河川の汚濁あるいは土壌汚染の問題、その辺のところの情報はどの程度お持ちになっていますか。
  41. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 農薬の関係でございますが、これは農薬の使用、臭化メチル等、こういうもので薫蒸しましたえさを連続投与しました動物の実験をする、そういうことで安全性確認するというのが農薬の安全面の問題でございまして、臭化メチルにつきましてはこの連続投与によります動物実験によりまして安全性
  42. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 今そのことを聞いているのじゃない。韓国の土壌汚染や河川の汚染を情報としてどういうふうにどの程度とらえているか、こういうふうに聞いているのです。
  43. 石川弘

    政府委員石川弘君) 今御指摘のような産地の土壌条件というようなところまで私どもは現在は調べておりません。ただ、私どもとすれば、そういうごく一般的に得られる情報のほかに、どういう農薬を使い、どのような栽培をしているかというような点についてはかなり詳しく調査をいたしておりますが、今先生指摘のように、特定の地域に特定のそういう土壌汚染問題があるということでございますれば、むしろどこの産地の生産物であるかというようなことはわかるわけでございますので、その辺のこともできれば情報収集をしてみたいとは思っております。
  44. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 これも厚生省の方にあれでございますけれども食糧庁長官が今そういうふうに答えられましたけれども韓国では今そういう心配が、例えば今私が挙げた論文は、漢江と言うのでしょうか、ソウルの近くを流れている川です。それの流域のことについて触れていますけれども、そのほかにもいろいろとあるというふうな話を聞いております。土壌汚染の問題はかなり深刻だという学者の話もあります。ということになりますが、そうすると、その辺は食糧庁は今まで御存じなかった、そういうことは調べておられなかった、土壌汚染とかあれの問題はということですが、当然厚生省のお考えとしては、その辺は積極的に食糧庁の方にお調べいただくように提起をされるのだろうと思いますが、いかがですか。
  45. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 食品衛生法上どうしてもやらなきゃならぬというのは、先ほど申しました農薬の十二種類、それから今回のに絡みまして臭素臭化メチル等々でございます。一般的なカドミウムの土壌汚染という問題につきましては、これは我が国でもそうでございますけれども、極めて限定された地域に起こる問題でございますので、そういった点で、食糧庁長官から今お話がございましたが、カドミウム鉱山その他、特に汚染が考えられるような地域の産米であるということであれば、これは当然一ppmという、これも暫定基準でございますがあるわけでございますので、それにのっとって検査をしていただく必要があるということでございます。  ただ、一般的に韓国全体がカドミウムに汚染されておるというふうには理解をいたしておりませんので、個別の限定された地域の問題として必要があるかどうかという判断をいたしたいと思うわけでございます。
  46. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 いや、限定された地域について必要があるかどうかというようなお答えでは、それは困ると思うのです。というのは、現実にそういうものがある地域についてはやはりきちっと検査をするということにしていただかなければ、例えばカドミウム汚染がある地域ではあるけれども、それを検査するかどうかわからない、こういうことなのですか。
  47. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 先ほど食糧庁長官がお っしゃいましたように、いろいろ情報を集めまして、ここにもし仮にカドミウムの土壌汚染がある、たまたまその地域からの産米であるということであれば、これはもう先生おっしゃいますように検査をしなきゃならぬ、当然だと思います。
  48. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 わかりました。  いずれにいたしましても、重金属汚染ということになるとこれはまた問題が大きいわけでありますし、それから国内に入ってから検査という体制、そこで問題が起こったというのではいろいろとまた問題もありましょう。が、しかし、厚生省としては、当然入ってきたものについてはやはり今度は独自でチェックをするという体制が必要なのだと思いますけれども、その辺はいかがですか。
  49. 竹中浩治

    政府委員竹中浩治君) 食品衛生法ということで限定して考えますと、これは荷揚げをする輸入港におきます食品検査、一般的な輸入食品検査というものの対象になるわけでございまして、そういう意味で私どもが責任を持っておる。しかし、米ということでございますし、食糧庁もいろいろ検査機能をお持ちでございますので、食糧庁として事前に、あるいは入港時においても可能な限り検査をやっていただいて、私どももそれに御協力をしていくという体制でまいりたいと思っております。
  50. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 いずれにいたしましても、事国民の健康にかかわる問題でありますから、二重にも三重にも留意をしていただいて安全弁を考えていただきたい、そのことをぜひお願いをしたいと思うのです。食糧庁の方も、今も指摘をいたしましたようなことがありますし、我々にはその点では極めて資料不足であります。国内でいろいろとそういうことを調べてもらおうと思っても、今国内で調べるのは大変資料不足であります。それだけに不安が大きいのであります。ですから、そういう危険性のないように、今の土壌汚染、河川の汚染というような問題についても十分に調査をして対処していただきたい、このように思いますが、いかがですか。
  51. 石川弘

    政府委員石川弘君) 極力情報の収集に努めまして、安全という問題で消費者の方々に御不安のないようにやりたいと思っております。
  52. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 それはぜひそうお願いをいたしたいと思います。ということは、韓国米が入ることに賛成をして申し上げているのではありません。我々が反対だと言っても、食糧庁はお入れになるのでありましょうから、お入れになるという場合には、ぜひ、少なくともそういうことにはきちっとしていただきたい。そして、それは厚生省の方もその辺は万遺漏なきようにきちっとその体制をつくっていただきたい。そのことを心から願うわけでありまして、厚生省局長、お忙しいところを来ていただきましたので、局長にはこの程度にさせていただきます。お帰りいただいて結構であります。ありがとうございました。  そこで、きょうは需給問題も聞きたいのでありますが、それは後の方に回して、今安全性に入りましたので、続いて安全性についてお伺いをしていきたいというふうに思います。  そこで、厚生省にお伺いをいたしたいと思います。  メチル基臭化メチルは、これはそれこそ御承知のように大変浮気なもの同士と言ったらいいのでしょうか、どちらも遊離しやすいという格好のものになっているようでありまして、特にメチル基はいろいろとほかのものに、特にたんぱくに結びつくということはいろいろな論文にもありますし、それからまた課長衆議院委員会でもいろいろと御答弁になっているわけであります。しかし、その中でメチル基の行方というものを追求する必要をなぜ全然お考えにならなかったのでしょうか。この辺はやはり私は疑問が残りますので、そこのところをお答えいただきたいと思います。
  53. 市川和孝

    説明員(市川和孝君) お答え申し上げます。  臭化メチル薫蒸に用いた場合、一部が臭素メチル基というふうに分解していくという点は先生指摘のとおりでございます。このメチルの方の部分につきましては、確かに一部の反応生成物というものについてはこれまでにも分析されたというような結果もございますが、これら全体を日常的監視というような目的でチェックするという適当な方法というものは、まだ今のところ確立されたとは言いがたい状況にあるのではないかと存じます。この点につきましてはWHO委員会でも議論はされているわけでございますが、なお行政目的と申しますか、そういう目的で利用できるような適当な方法というものはまだないというようなことが報告されていることもございます。  もう一つは、やはりこのメチル基というものの反応が臭素残留というものとほぼ並行して起こるということから、WHOの方でも、臭素というものを指標として分析していけば、そこに生じているメチル化物、メチル化反応というものが量的にとらえられるのではないかという考え方をとりまして、この臭素というものが比較的検査しやすいと申しましょうか、比較的分析が容易であるという観点から、この臭素を指標としてとらえているわけでございます。今回、私どももこのような考え方に立ちまして、臭素というものをとらえて分析をしたということでございます。
  54. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 同じお答えが衆議院の方の段階でもあったようでありますが、要するにメチル基のそれぞれのあれを固定していくには、まだそれなりの技術水準では出ていないところがある、しかし微量であるから、言ってみれば無機臭素一つ基準にして考えていけば安全性がある程度判断できる、お答えはこういうことなのだと思うのです。  ところが米につきましては、CH3が特にほかの場合よりも別の形で存在する可能性というのがあると思うのです。といいますのは、これも事前に差し上げた論文の中に、白石さんたちのやられた論文というのをきのうコピーをしていかれたから、あるいはごらんになったかもしれませんけれども、その白石さんがやられた実験の中で、一番最後にこん包材料について触れています。このこん包材料では、麻袋だとか紙だとかの場合はメチル基の存在は余り多くないようですけれども、だがサランについてはかなり大きいということが放射性炭素の追求で一応実証されたという形になるわけです。現在はサランの袋というのは、私の新潟県あたりでいきますと大体二%程度しか使われていないようであります。麻袋が大体五六、七%くらいですから、後はほかの材ということになる。  大体サランというのは二%くらいですけれども、五十三年産米のころというのはまだ二割くらいサランの袋が使われていたのではないかというふうに思います。そういたしますと、この時代にはサランの袋に入れたものが倉庫に保存をされていて、そして臭化メチル薫蒸を何回も受けている。メチル基は袋の部分にもかなり吸収されるという形になっている。これがまたさらに、米の中にある何らかの物質と結びつきながら新しい物質を生成をしていくという可能性もないわけではないでしょう。その辺のところが私は大変気になるわけであります。  時間もございませんから、私の気になっている部分を先に申し上げていきますと、例えば醸造試験所の皆さんがやられた実験の中で、臭化メチル薫蒸した中古米を使って酒をつくると大変臭い。その酒のにおいの原因を追求していったところが、それはDMS、つまりジメチルスルフィッドという物質だということがわかった。そのジメチルスルフィッドそのものはないけれども臭化メチル薫蒸した米には非常に大量にジメチルスルフィッドに転化をする、つまり前駆物質が大量にあるということをつきとめたという論文もあります。このことは、かなり慎重ないろいろな検査をしていますので事実だと思うのであります。  こうした変化というものも、実はそのことだけではないかもしれないけれども、CH3もそういう変化に一役買っているという可能性もないわけではないでしょう。この辺のところはいろいろなことがやはり未明のものとして、まだ我々にはよ くわからない部分というものが結構あるものである。それに疑いを持っていろいろな形で、今固定できる技術を駆使していろいろなことを検査してみるということが必要なのではないだろうか。  例えば、今できてくる新しい物質についても、これが人体に影響があるのかないのかというようなことについてやはり検査をしていく必要があるのではないでしょうか。その辺のところのチェックというものを今まで考えられたことがあるのでしょうか。これからその辺のところはいろいろとまた研究をしながら対応策を考えていかれるおつもりがあるのでしょうか。その辺のところは今後の健康管理の問題で極めて重要でありますから、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  55. 市川和孝

    説明員(市川和孝君) 先生ただいま御指摘のように、私どもは、現在の段階で包装材というものに起こる変化というものが、さらに米に影響を与えるかどうかというようなことについては知見を持ち合わせていないわけでございます。あるいはジメチルスルフィッドというようなものができる前駆物質が、薫蒸をした場合には米の中にできてくる。この点は従来小麦などでもかなり研究が行われておりまして、このようなものができるということは既に報告をされているわけでございます。従来の安全性というものを見るための実験というのは薫蒸いたしました小麦などのような穀類を食べさせた実験で行われているわけでございますが、私どもはこれまでのWHOにおきます評価あるいは食品衛生調査会におきます御意見等から、現在の段階安全性に問題があるというふうには考えていないわけでございます。  ただいま先生から御指摘いただきました点につきましては、さらに私どもとして研究者の意見を聞いたり、あるいは関係の省庁とも相談しながら検討してまいりたいと存じます。
  56. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 さらに、動物実験について市川課長はテレビでも発言をしておられましたし、それから国会答弁の中でもちょっと触れられております。その辺についてもまだいろいろと私はその面では伺いたいものが残っておりますけれども、きょうは実は時間がもう十分にありませんので。また、食品の安全ということでは、今後とも農林水産委員の一人としても生産の側に立ってやはり大きな責任がありますので、いろいろと伺っていく機会があろうかと思います。それで、きょうのところはあと一点だけお伺いをして厚生省の方は終わりたいと思うのです。  そこで、ちょっと飛躍をするように聞こえて申しわけありませんが、先ほどの白石さんの研究の中で、メチオニンとこれがよく反応をして、そしてメチオニン・スルフォニウム・メチルブロマイドという物質ができるのではなかろうかというような、論文の中にそういうことが触れられております。  そこで、メチルブロマイドがほかの物質と結びついて、これは微生物学的な効力についての実験なんかもちょっとやっておられるようであります。こういう形の中では余り影響がないというのかもしれませんが、いずれにしてもそのメチルブロマイドという形で物が残っているということにもやはりちょっとひっかかるところがあるますし、それから仮にメチルブロマイドそのものが、今度は検出をされなかったというふうに言っておられるわけでありますが、もし検出をされる、残留をしているということになると仮定をいたしますならば、食品の中にそういうものがあるということになりますならば、私はそれこそアミノ酸と非常に積極的に結合するという性格があるというふうに言われてますだけに、DNAあるいはRNA等に影響を与える。つまり遺伝子を傷つけるというそういう可能性というものは皆無なのでしょうか。これは素人のそれこそ杞憂にしかすぎなければ幸いなのですけれども課長も医学の方をいろいろとやっておられたようでありますので、それだけにその辺のところは可能性としては考えられるものでしょうか、どうでしょうか。  発がん性の物質としてメチルブロマイドがオランダの研究などでは確認をされた部分があるようでありますから、それだけにそういう可能性というものがないのだろうかということが懸念をされるのですけれども心配ないということになりますか、どうでしょうか。
  57. 市川和孝

    説明員(市川和孝君) 先生御案内のとおり、臭化メチルは物性といたしましては非常に揮発性が高いということでございまして、そのものとして薫蒸した食品中に長期間残留するということは考えにくいのではないかと存じます。また、今回の検査結果でも臭化メチルは検出されなかったという結果になっておるわけでございます。  ただいま先生指摘のとおり、やはり臭化メチルというものが食品中に残留するということは決して好ましいことではないというふうに私どもも思いますので、今後さらにその分析方法等につきましてより精度の高い方法といったものにつきまして検討を進めまして、食品安全性確保ということに努めてまいりたいと存じます。
  58. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 いずれにしましても、検出限界値というものは私はもっと厳しくあれできるように、それこそ技術開発も積極的にやっていただかないと、危険なものはそれが微量であっても怖いということになりますので、ぜひその辺は積極的な取り組みを厚生省ではお願いをしたい、そのように思います。  以上で厚生省の方は結構でございます。ありがとうございました。  そこで、あと少し生物学的な観点から伺いたいというふうに思います。これは農水省の関係だろうと思いますので、お伺いしたいと思いますが、お願いをしておりましたお答えをいただく方は出席していますか。  それじゃ、メチルブロマイドで薫蒸した米の発芽試験というのはされましたか。
  59. 石川弘

    政府委員石川弘君) 過去におきましてそういう検査をしたことはございます。昭和五十四年から五十六年度にかけまして実施をいたしました米穀の品質保全のための保管技術究明試験というのがございます。その中で発芽試験をいたしております。
  60. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 それじゃどのくらいになってますか。
  61. 石川弘

    政府委員石川弘君) これは五十四年にやったもので申しますと、収穫直後につきましては一〇〇%の発芽をいたしておりますが、一回薫蒸をいたしました後は九〇を若干割るような、平均しますと八七、これは個体によって違いますけれども、九〇を若干割るような数字が出ておりまして、二回薫蒸後は、これも非常にばらつきがございますが、大体三十数%まで発芽の成績が落ちております。
  62. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 二回目で三十数%ですね。これはプラス、マイナスはついていますか、その結果は。
  63. 石川弘

    政府委員石川弘君) これは三つの産地でやりましたものの平均値で今お答えしたわけでございまして、物によってかなりの振れがございます。
  64. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 後でそれじゃぜひ資料を下さい。ちょっとその伺った平均値だけで聞いていたのではということもあります。正確に事情を知るにはプラス、マイナスの分もある程度知らせていただきたいと思います。  そこで、とにかく薫蒸を重ねることによって発芽率がぐんと落ちるということになるわけですが、これは生物学的に言うとどういうことになりますか。死を意味しますか、休眠を意味しますか、その辺のところはどうなりましょうか。
  65. 石川弘

    政府委員石川弘君) 私もそういう御質問があるということをちょっと伺ったのでございますが、この検査をやっています観点は、どうやら低温とそれから常温というものを並べましてこういう発芽率の検査をいたしておりまして、どうやらその裏にあるものは、発芽率が高いものは生命力が強いという頭で整理をしたのだと思います。しかし、保管という観点から申しますと、御承知のように、片側はそういう一種の生命力の強さはあるかもしれませんが、病害虫にやられるマイナス面というものもあるわけでございまして、残った 個体としますれば、御指摘のようにやはり発芽率の高いものの方が生命力が強いものであろうと思っております。
  66. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 発芽しなくなったものは、そうするとそれは枯死したわけですか、どうなのですか。
  67. 石川弘

    政府委員石川弘君) 枯死というか、例えばそのこと自身がもう食物として適さないということを意味してはいないと思いますが、発芽をしないということですから、それをもとにして再び別の、別と申しますか、それにかわるべき、それを種としまして生産が継続できない、そういうものだと思います。
  68. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 その死んだものが食べられないとが食べられるとかということを私は言おうとしているのではありません。だけど死んだ、枯死ということになれば、そこには新たな生物関係が生まれてくるでしょう。というのは、例えば新陳代謝がわずかでも行われ、生きているというときには発生をしないカビが、死を意味することによって発生をしてくるという可能性というようなものがあるわけじゃないですか。私は今問題にしたいのは、発芽率が落ちてくるということが実はそのカビを呼ぶということについて問題にしたいわけであります。  米のこういう場合に出てくる、想定をされるカビの種類というのはどんなものがございますか。
  69. 石川弘

    政府委員石川弘君) 古米に発生いたしますカビにつきましては、四十五年でございますが、これはいろいろな試験をしたことがございまして、その結果、ほとんどの検体からは寄生カビというものは検出されませんでした。また、黄変光菌だとかアフラトキシンといったようなカビ毒産生菌も検出はされなかったわけでございますが、大変低い率ではございますが、カビ毒の一種でございますステリグマトシスチン、私、余り専門家でございませんので恐縮でございますが、そういうものを産生させまする菌が検出をされました。そういうことで、全く出ないということではございませんが、ある程度のものは出たという事実がございます。私どもの方といたしましても最近時点でこのカビ毒というのは実施しておりませんけれども、これは大変、御承知のように古いものを持っておりますので、台つき米のような非常に物自身がいわば傷んでいるものも中に少量ではございますが、あるわけでございますので、そういうものの管理につきましては今後も一層注意をしていきたいと思っております。
  70. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 カビ毒というのは、場合によっては微量の臭素よりは怖いという側面も多分に持っているわけです。そして、今の長官の御答弁の中でも、やられた発芽試験の中で、三回目になってくるともうぐんと発芽率は落ちてしまう。これが現実には、五十三年産米といえば、今はもうこれだけ経過しているのですから、その中でメチルブロマイドの薫蒸回数は一体何回ですかということもありますし、そしてそれで死んだ状態になってから倉庫の中に、しかも常温倉庫の中に随分長い期間置かれているという経緯もあります。しかも、そういうものは表面だけではなくて、米の内部までわたっている場合があるわけですから、精白をしても必ずしもそういうカビ毒等が完全に取られるということにはならない場合もあるわけであります。こういうことについて、今もう大方売ってしまって、食わされてしまっている格好になるわけでありますが、でも、残っているものだけでもせめて何とか手は打てないのですか。打つ気はございませんか。
  71. 石川弘

    政府委員石川弘君) 御承知のように、五十三年産米につきましては鋭意例の臭素残留等を検査しているところでございます。比較的管理状況がいい状況に移してはございますけれども先ほどちょっと申しましたように、台つき米のような非常にその物自身が劣化をしているものもございますので、そういうものにつきましては特にそういう問題があろうかと思います。そういう劣化いたしましたものにつきましては、トン数はそう多くはございませんけれども、例えばペットのえさ用というような形でも処分をいたしておりますので、そういういいものにつきましてと申しますか、検査をしますものについてはきちっと検査をいたしまして、間違ってもそういう御心配をかけることはないようにいたしたいと思っております。
  72. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 カビの検査もきちっとやられますか。
  73. 石川弘

    政府委員石川弘君) 今の検査の中でも官能検査をやっているわけでございます。先生指摘のように、細部まで調べなければわからぬではないかという御指摘もあろうかと思いますが、できるだけそういう官能検査等を通じまして、そういうものはまた私ども万が一にもないとは思っておりますが、注意をしながら扱ってみたいと思っております。このカビ毒だけのために別途一斉にということまでは考えていないわけでございます。
  74. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そうすると、もう検査は全部終わられたのですか。
  75. 石川弘

    政府委員石川弘君) まだ進行中でございます。
  76. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そうすると、その進行中のものについては、それではこれからはカビの検査もあわせてされますか。
  77. 石川弘

    政府委員石川弘君) 全部のものを何かサンプルを徴しましてその発生を見る、カビを培養してみるというような意味の検査は今のところ考えていないわけでございますけれども、官能検査で目で見て確かめてみた上で、それでわかるようなものはもう問題にならないわけでございますけれども、極力そういう御心配をかけないような形で考えてみます。
  78. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 目で見えるようになったのでは遅いのです。私が知っている米の中に、現にもう目で見てわかるものが出てしまっています。ですから、カビというものも相当深刻に考えていただいて、これに対するチェック体制というものを、あと残りが少なくてもとにかくそれをやっていただくということにしなければ、私は本当に心配が多いと思うのです。本来私たちは五〇ppmそのものだっていろいろと疑義がある。そして、それがまた食糧庁の倉庫にあるものだけで、あとは出回って、売ってしまったものではしようがないという、こういうこと自身にも大変な疑問があるのです。だから、積極的にむしろそれは回収をしてもらいたいというくらい言ってきているわけです。それにさらにこういう新たな問題を持ち込まれてはとても迷惑だという感じがするかもしれないけれども、それは健康という観点からいったら、これは大変なことなのです。だから、こういう問題でもしお気づきになっていなかったのなら、今からでも間違いない手を打っていただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
  79. 石川弘

    政府委員石川弘君) よく残っております米の状況その他を研究させていただきたいと思います。そういう状況の中で、そういうことを十分する必要があるものにつきましては、検討をさしていただきたいと思います。
  80. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 このことでやっていると、もう時間が幾らもなくなってしまいました。この安全性の問題につきましては、それこそこれからさらに五十二年産米ということではもう時間がなくなってしまうかもしれません。この次にお聞きするときにはみんな食べた後になってしまっているということになるかもしれませんから、その辺は、今度は韓国米中心にしていろいろと伺うというふうにしたいと思っておりますから、これで決着がついたというつもりではおりません。  そこで、今度は需給について伺いたいと思います。  これは現在の在庫量、六月末がわかれば一番はっきりと様子がわかるのでありますけれども、これが今一体総量として幾ら、そのうち主食用が幾らあるのでしょうか。それから主食用外が幾らになりますか。この主食用外のというふうに言いましたけれども、五十三年産米で安全だというのが正確には幾らあったのでしょうか。現在残っている、まだ検査の進行中のものがありますから、進 行中のものを除いて現在までのところが幾らあったのでしょうか。それで、その五十三年産米主食用にどのくらい使うつもりですか。それから主食外の加工原料米としてどの程度使うつもりでございますか。  それからさらに、今まで私は五十三年産米というふうに伺いますと、五十三年産米それについてしか御答弁がいただけませんでした。よくよく聞いていくと、その前の五十二年産米も五十一年産米もある。以前産米なんという言葉もあるということがだんだんわかってまいります。だんだんわかってきたのじゃ困りますので、とにかく私どもは五十三年産米と言ったときは以前産米ということで、五十二年も五十一年産米も、要するに五十三年以前の米はすべて含んでお聞きをしているというふうにひとつ受けとめていただいて御答弁をいただきたいと思います。
  81. 石川弘

    政府委員石川弘君) 六月末という御指摘でございますが、そこまではちょっと進めておりませんので五月末でお答えをいたしますが、主食で政府米で在庫いたしておりますものが約百十万トンでございます。それから、これもいわば食管で管理をいたしております自主流通米、これにつきましては、政府米と同じ精度というのはちょっと無理でございますので若干数字に動きがございますが、おおむね八十万トンとお考えいただきたいと思います。これが主食として一応頭に置いております普通の需給と申しますか、のときの私どもの供給可能量として在庫をしているものとお考えいただきたい。  それから、今御指摘のありました五十一年、二年等も含めましたいわば五十三年以前の産米として手持ちをいたしておりますのは約二十万トン強でございます。二十万トンを若干上回る量を持っております。  それから、その次の御質問の五十三年産米主食用にどう使うかというお尋ねでございますが、需給計画を立てます際に、五十三年産米につきまして約十五万トン程度のものを充当するということを頭に置いて考えていたわけでございます。これにつきましては、御承知のように昨年の特に北海道冷害等の影響がございまして、比較的価格の安いようなお米についての需要が大変強うございまして、これは私どもの方でこれだけ充てると積極的に言う性質ではございませんけれども、既に十三万トン程度の供給を五十三年産米でいたしております。これから端境期にかけましてもある程度の需要が出てくると思いますので、これは私、今の段階で数量でどれだけということを申し上げることはちょっと差し控えさしていただきたいと思っておりますが、ある程度のものはこれにさらに上乗せをして供給をせざるを得ないのではないかと思っております。これはあくまでそういう需要に対してこたえるということでございまして、私どもが何かそういう方に向けて幾らというように考えているものではございません。そういうような考え方でこれからの操作を考えたいと思っております。
  82. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 どうも長官はかわっても組織が変わらないのだから御答弁は変わらないのかもしれませんけれども、今までお答えいただいていた範囲からちっとも出ていないのです。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕  そうすると、もう少しあれを変えまして、これは五月末での話でありますから、二十万トン、その後、検査の結果五〇ppm以上のものと以下のものとが分かれてきているわけでありますから、これから以降五〇ppm以下のものをどのくらい売られていますか。主食としてはどのくらい売られましたか。
  83. 石川弘

    政府委員石川弘君) 検査をまだやりながらでございますけれども、現時点、六月中に既に基準に合格をしているということで販売を通知しました総量が三万九千トンございまして、これはそのとき検査しました対象数量七万八千トンのほぼ半分でございます。それ以外の分につきましてはなお検査しながらやっておるわけでございますけれども、今までに三万九千トンのうちに工業用に売っておりますのが一万六千トンぐらい、主食用には二万三千トン程度ぐらいのものが回っております。
  84. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そうすると、これは残りのうち先ほどお話のように安い米にかなり需要があるというようなことも言っておられましたけれども、この五十三年産米の、私たちからすれば合格と言うのはおかしいと思うけれども政府基準値以下のものというのはやはりこれは主力としては主食の方に回るということになるのでしょうか。
  85. 石川弘

    政府委員石川弘君) 私どもは需要に対しておこたえをしていくというようなことはやらなきゃいかぬと思っておりますが、全体の需給の計算のときは、先ほど申しましたように五十八年産米中心といたします米の操作を考えておりますので、これを操作の際に積極的にそちらに加えてというようなことではございません。結果としてそういうことがかなり可能性はあるとは思いますけれども先ほど申しました主食としての需給の際におきましては、今までのお話しをしましたような、政府が持っております百十万トンないし自主流通の八十万トンの世界を頭に描いて操作をしていくつもりでございます。
  86. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 五十三年産米というものがこれだけやかましく議論をされたのであります。そういう中でいけば、それこそ原則としては主食には回さないでいくというくらいの姿勢がぜひ欲しいというふうに思うのでありますが、そうすると主食の方が足りなくなりますか。
  87. 石川弘

    政府委員石川弘君) 主食の世界におきましても需給は決してゆとりがあるとは思っておりませんけれども、しかし問題といたしまして、私はどちらかといいますと、今まで申しました百十万トンないし八十万トンの世界、これは御承知のように比較的品位の高いものということになりまして、ことしの場合は特に昨年の冷害等で北海道の産米の量が大変減ったというようなこともございまして、質と申しますか、そういう値段の安いお米ということに対する需要に対しては、今の百九十万トンの政府在庫の中でこたえにくいという状況があることは事実でございます。しかし、百九十万トンの操作というものを頭に置きまして、タイトではございますけれども、何とかしのげる様子ではないか。これは新米のいろいろな供給に関する努力も必要ではございますけれども、そういうことを頭に置いて慎重な操作をすべきものと考えております。
  88. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 ますます聞いていると心配になってくるわけであります。そうすると、五十三年産米をいよいよこれはこれで絶対に食べないということにしたら、その五十三年産米で予定をしていた分だけ米が端境期に残るということになったら、それはそれで話はわかってくるのでありますけれども、どうもそんな事情でもなかなかなさそうな感じもするわけであります。そういう中では大変状況が厳しいというふうに思うわけでございます。  そこで、もう時間がなくなりましたから最後に、大臣にも黙ってずっと聞いていただいておりました。ぜひ大臣にひとつ気持ちをお聞かせいただきたいのでありますけれども、今やりとりがありましたように、米の安全性についてかなり私は厳しく考えていただいた方がいいのじゃないかというふうに思うのです。特に五十三年産米にもまだそうやって疑義が残っています。特にこれから先の韓国米については大きな心配がいっぱいあります。こういうことに相なりますから、その辺のところは大臣として絶対にそういう危険なことはないようにするのだという確かなあれをお聞かせをいただきたいというふうに思います。  それから、米の需給については大変今心配なのであります。特にことし何とか緊急輸入なんかして切り抜けをしても、来年また緊急輸入なんてことが絶対あっちゃならぬと思うのであります。その辺のところ来年は絶対にやらないということを、ここでもってぜひはっきりと言っていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょう。
  89. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 韓国米安全性につ きましては、先ほど長官の方から御答弁申したとおり船積み前にこれを検査して、そして安全の上にも安全ということを確認してこれを返還していただくというような形にしたいと思います。  また、米の需給関係につきましては、少なくとももっとゆとりのあるものにしていかなければなりませんし、来年度韓国米を再び現物返還というようなことは絶対にいたしません。
  90. 菅野久光

    菅野久光君 初めに、ちょっと通告はしていなかったのですが、きのう決算委員会がございまして、ここで総理が今回の米の問題について答弁された。その趣旨が、五十三年以前産米の残留農薬にかかわって加工用原料米に不足を来した、したがって、今回の米については何とか韓国から米を輸入して、こういうふうに言われているわけですが、加工用原料米だけが不足したということでとらえていいのか、主食も含めて不足をしているということでとらえていいのか、その辺をひとつはっきりしていただきたいというふうに思いますが。
  91. 石川弘

    政府委員石川弘君) 私は、加工原料として考えておりました数量にかなり大きな不足を来してきたということが韓国米の返還問題の端緒であると考えております。
  92. 菅野久光

    菅野久光君 それでは主食用米は不足をしていない、そういうことでその点は確認をしていいわけですね。
  93. 石川弘

    政府委員石川弘君) 先ほど申し上げましたように、ゆとりのある需給という観点からはかなり離れた形にはなっておりますけれども、これはことしの作、それから来年以降の作の転換、いろいろなことでカバーをしていくつもりでございます。端境期の乗り切りにつきましても、いろいろの工夫は必要でございますけれども先ほど申しました、政府が現在持っております米あるいは自主流通米というものを使いまして、非常にそういう意味ではきめの細かい操作が必要かと思いますが、何とか乗り切れると考えております。
  94. 菅野久光

    菅野久光君 それで、米の流通の関係については韓国から仮に輸入したとしても、それは主食用には回さない、全部加工原料米として使うのだというふうに確認をしてよろしいですか。
  95. 石川弘

    政府委員石川弘君) 私どもは加工原料として使用するという前提で入れておりますので、そういう方向で処理をしていくつもりでございます。
  96. 菅野久光

    菅野久光君 その点はそういうことで確認をさせていただきます。  今回の米の問題は、薫蒸による残留農薬が大きな問題になって現在のような状況になってきたわけであります。それではその薫蒸農薬のかかわりでありますが、EDBの関係についてちょっとお尋ねをいたします。  新聞等によれば、十五都県で地下水調査が、昨年の十月、十一月そして、この四から五月に行われたが、「二度とも「シロ」と判定したことで、同省は当面、EDBを継続使用する方針を明らかにした。」ということが六月十二日付の新聞に載っております。そして、六月二十四日付の新聞では、実はこの二月の七日付での「米国で禁止の薫蒸剤 農水省が「確保」を指導 安全調査の結論待たず」、ということが出ております。そして、六月二十六日には、今度は、土壌薫蒸用EDB剤の取り扱いについてという農蚕園芸局長の通達が生産自粛というようなことで出されています。この地下水の調査心配がないということで継続使用する方針を明らかにしたといって、何日もたたないうちに今度は自粛通達、何かどうも考え方に一貫性がないのではないかというふうに思われるのですが、この辺の事情について、時間がございませんので簡単にお願いいたしたいと思います。
  97. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) EDBの問題につきましては、ただいま御指摘のございましたような新聞報道等によりますと、少し経過が混乱しているような印象を与えましたことは、私ども非常に申しわけないと思っております。この六月二十六日の報道の根拠になりましたのは、二月に植物防疫課長名で出しました通達でございまして、これは簡単に申しますと、春作用の土壌消毒剤について原料面等でやや供給の安定を図る面で懸念がございますので、DD剤あるいはそういうものも含めまして、春作用土壌消毒の円滑な実施をするための流通面の指導をしたわけでございます。  一方、EDB剤そのものにつきましては、ただいま御質問の中にございましたように、御承知のようにアメリカでは地下水等へ出たというような結果も出ているわけでございますが、我が国では二回調査をしまして、地下水への影響はないという判断をしたわけでございます。しかし、EDB剤と同様の防除効果がありますDD剤というような薬剤の確保の見通しも一応得られましたので、この際、今後の万全を期するということで、こちらは六月二十六日付の局長名通達をもちまして関係の製造業者、団体に対しまして、土壌消毒用EDB剤の生産の自粛それからDD剤等の計画的生産、円滑な供給確保を要請する、こういうようなことでございまして、こういう指導の経過としまして、国内的にはEDB剤の原体の製造は大体四月以降はもう行われていないというふうに承知しております。
  98. 菅野久光

    菅野久光君 地下水に、二度とも検査をしたがなかった、新聞では継続使用する方針を明らかにしたということであったわけですけれども、事実的にはアメリカがやめたということで原体が入ってこない、そういうことも含めて代替剤のDD剤ができたのでやったのですが、それじゃ、出ていたとしたらこれはどんなことになるのでしょうか、その辺はお考えになったでしょうか。
  99. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) この問題につきましては、実は今回指導いたしましたDD剤というものは、これは若干高くつくわけでございますが、EDB剤の持ちますような、こういう面での汚染等の懸念がないというものがあったわけでございます。それで、この際、地下水調査を実施しますのと並行しまして、生産面につきましてもDD剤の国内での確保、それから若干輸入も含めまして懸念のないようなものをつくって国内供給にいわば切りかえていくというような準備を徐々に進めてまいって、    〔理事北修二君退席、委員長着席〕  その結果としまして六月の通達に至ったというようなことでございます。地下水調査の点については、これは二度とも懸念がないということで出たわけでございますが、いずれにしましても万全を期する必要があろう、こういうことでこういうような切りかえ措置を実施をした、かようなことでございます。
  100. 菅野久光

    菅野久光君 検査をして出なかった、そのうちにやめたということは、非常に私はよかった、出てしまってからではもうどうしようもないのじゃないかというふうに実は心配をしておったわけであります。アメリカで出たということは、日本でも出ないという保証はないわけですね。そのことはもう前もってわかっているにもかかわらず、そういったようなことをやるということは一体どういうことかというふうに思っていたわけですけれども、そのやさきにこういった措置をとられた。結局、実質的にはもうEDBということでは使われないような状況になってきて、代替剤であるDD剤に切りかわるというような状況だというふうに確認をしてよろしいですか。
  101. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) EDB剤の方につきましては、これは土壌用剤につきまして生産自粛をするということで実施をしておりまして、これからそういう土壌用剤の面でこういうものが使われるということはないわけでございます。
  102. 菅野久光

    菅野久光君 そうしますと、土壌の薫蒸用剤では使わないけれども、他のことでは使う、今のところ農水省としてはEDB剤の登録の取り消しをする意思はないというふうに理解をしてよろしいですか。
  103. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 今のところ、EDB剤につきまして登録取り消しという措置は考えておりません。ただ、土壌汚染の問題につきましては、これは起きますと影響が大変深刻でございますし、非常に長い間影響が及ぶということでございますので、これは早目に切りかえをしていくと いうことで、製造業者、関係団体等の協力も得て今回のような切りかえを早目に実施をした、かようなことでございます。
  104. 菅野久光

    菅野久光君 私の時間は十分までということで、時間がございませんので、EDB剤の問題についてはまだまだいろいろなことがありますので、それはまた別な機会にやらさせていただきたいと思います。  いずれにしろ、今度の米の輸入安全性がやはり国民の間でかなり懸念をされている。「技術と人間」の七月号に、「韓国米は安全なのか」という文章がありまして、十分まで二分ありますので、ちょっと読ませていただきますが、   農業評論家の林信彰氏は『土と健康』八二年十一月号で、韓国が米不足で米輸入国になっていると述べている。その理由として、韓国では国際稲研究所で開発された品種を一挙に全作付面積の八割くらいまで強制的に普及させたのだが、実はこれがイモチ病にきわめて弱く、四割も減収したためであるとしている。国際稲研究所の開発した品種は病害虫に弱く、化学肥料と農薬の多投で初めて高収量を得られるとして悪名高い。こうした品種を作っているとなると、相当量の農薬が使われていることは事実であろうと思われる。  六月二日の朝日新聞は、韓国では米の貯蔵に日本と同様に、化学くん蒸剤が使われていると報道している。そしてさらに同紙は、日本に返還される米は当然、在庫米が使われ、しかもその相当量は米国産米である可能性が強い、とも報道している。それが事実なら、「韓国から返済」という内実は、自由化問題にからんで、最も警戒されているアメリカ産米の輸入という形になるわけである。  ところで、そのアメリカで生産される米の農薬使用状況はどうなのだろうか。アメリカの科学雑誌『サイエンティフィック・アメリカン』八一年二月号によると、カリフォルニアでの米づくりに使われる農薬は、殺虫剤としてはパラチオン、除草剤としてはフェノキシ系が使われているという。フェノキシ系の除草剤には、最近、日本で埋め立て処分したのが流出して問題になったダイオキシンを含む「猛毒除草剤」2・4・5−Tが多用されていると思われる。アメリカでは2・4・5−Tは五十四年に規制されたが、水田と牧草地には使ってもいいことになっている。  さらにカリフォルニア米はEDBでくん蒸されている疑いが強い。今年二月のニューヨーク州の検査では、カリフォルニア米からなんと三五一PPbものEDBが検出されている これは二月十日、ニューヨーク・タイムズであります。  そういったようなことが出されておりますので、再び輸入を仮にされることになったとしても、安全性の問題については十分検査をして、国民に不安のないようにやっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  105. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、主といたしまして米の流通問題についてお伺いいたします。  先ほど同僚議員の中から現在の米の在庫量のこと等お伺いをいたしましたが、今、政府米と自主流通米の状況を百十万トンと八十万、これは五月末とおっしゃられているわけでございますが、この自主流通米の実情についてもう少し詳しくお伺いをしたいと思います。価格の関係と、あるいは地域差によってバランスがあるのではないかというふうに思いますが、この辺いかがでございましょうか。
  106. 石川弘

    政府委員石川弘君) ごく一般論で申し上げますと、自主流通米は政府米の水準よりも生産者の価格も若干高うございます。それから売りの価格も高こうございます。それだけ品質的と申しますか、食味においてすぐれたものでございます。  それから、地域によりまして生産されます比重で申しますと、やはり一種の良質米地帯と称せられる地域で、一般論として特に自主流通米の六〇%を占めておりますササニシキ、コシヒカリといったようなものは、御承知の東北なり北陸なり、そのあたりを主産地としてつくられておりまして、消費につきましては、比較的大消費地におきましては自主流通米の消費の比率が上がってきているわけでございます。この傾向はしばらく続いておりまして、かつて自主流通米の比率が三割ちょっとぐらいのことがございましたけれども、現在ではその比率が約四割まで上がってきております。
  107. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 値段の関係は…。
  108. 石川弘

    政府委員石川弘君) 個別のものの値段でございますか。
  109. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 個別と言わなくても、傾向的に。
  110. 石川弘

    政府委員石川弘君) 傾向で申しますと、これは御承知のように、政府米とは違いまして、価格の形成は売っております生産者と卸との間の協議で定められるわけでございます。大体普通の、普通のと申しますか、米価の上がります際に、そういうものを頭に置きながら自主的に決められておるわけでございますけれども、昨年で申しますと、たしか三%程度の価格が上がっておるかと思っております。
  111. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 消費地では、今特例標準価格米、安くておいしいということで、これを買いたくて米屋の店頭に行くけれども、要するに政府米が買えないという実情があるようでございます。そして、勢い仕方がないので自主流通米を買っているという実情があるようでございますけれども、こういう点はいかがお考えになられますか。
  112. 石川弘

    政府委員石川弘君) 買えないということはないと思っております、それなりの数量を出しているわけでございますから。ただ、先ほど申しましたように、例えば北海道産米というようなものは昨年の冷害で量的にかなり減ってきておりますから、そういうような事情がありまして、業務用等につきまして五十三年産米等を要望するというようなことはございますけれども、一般の消費者の方々向けの供給といたしましては、前年対比で売却量が若干低いものもございますが、何か目立って大きく落としているというものはないわけでございます。数%程度のことはございますが、そういう際立った落とし込みということをやっておりませんので、物がないから買えないというようなところにまでは至っていないと私は思っております。
  113. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そうでなくて、買えないのじゃなくて、高い方の分を買わされているということを言っておりますので、実情ですのでお伝えをいたしておきます。  それで、どうしてそういう状況が生まれるかということも店頭から聞いてまいりましたので、後ほどそのことはお伝えをいたしますといたしまして、日本経済新聞あるいは特殊専門紙で値の建ちます自由米についてお伺いをいたします。この自由米というのは、私は先回、米の市場はごちゃごちゃになっているのではありませんかということを申し上げたわけでございますが、その続きとしてお伺いをしたいわけです。との自由米というのは何でございましょうか。
  114. 石川弘

    政府委員石川弘君) これは食管で申しますと、いわば不正規流通米でございます。これは自由という何かいいイメージではございませんで、不正規流通でございまして、かつて非常に量的に余っておりました際にはかなりばっこをいたしたわけでございますけれども、新しい食管法を制定しました後、いろいろと流通業者の方々なり生産者の方々に協力をしていただいて、現在は比較的量的なものとしては小さくなっているはずでございます。出てきますのは、御承知のように、まずそもそも正規の出荷という手続をとりませんで、生産者からいわばそういう取引業者を経て流れてくる。物によりましては検査等もやっておらないようなものもございます。こういうものが一つの流れでございます。  それからもう一つは、かつてよく言われておりましたけれども政府管理米として正規のルートに乗るわけでございますが、販売をいたします際にいろいろと売れ残ったり何なりしますものが、 一度正規のルートに乗って、それからいわば不正規ルートヘ流れるというようなものがあろうかと思います。これは新食管法制定の際に問題になりまして、やはり需要の望んでいるものと供給するものの間に格差があってこういう流れが起こるのではないかというような議論もございましたので、極力そういう販売側の意向というようなものに沿えるように政府の売りにつきましてもいろいろ弾力的にいたしますと同時に、生産者サイドにつきましては、極力正規の流通ルート、これは協系、商系ございますけれども、そういうところで量を把握をして正規のルートとして流れるようにということを努力したわけでございます。  この種のものをすべてなくするというのは、これはなかなか不可能に近いことではございますが、私どもの目から見ますと、かつてこの自由米問題が大変な大きなシェアを占めていたことに比べますと、最近はそれなりの大きさにだんだんなってきているのではないか。ただ問題は、こういう米の需給等につきましていろいろと問題となってまいりますと、こういう不正規のルートがいわば暗躍をすると申しますか、そういうことをしがちでございますので、生産者の組織あるいは流通関係の組織の方々とも協力しながら、極力正規のルートで正しく流れるようにこれから一段と指導を強化していくというつもりでございます。
  115. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 幾つかの記事を調べてみますと、この自由米は今相当に需要が多くて、そして建て値も上がってきているという状況があるようでございますが、不足状況が続くと、その自由米の手持ち筋は売り惜しみをする、そして価格をつり上げているというようなことが出ております。それからまた、東京相場は高騰に次ぐ高騰を続けている。六十キロ当たり三百円から四百円ほど大幅に値上がりをして三類一等米で二万二千円から二万三千円というようなことが出ておりますし、大阪市場でも高騰相続くというようなことで、これは今長官も、こういう種類のものは取り締まれないというふうにおっしゃっています。先ほどから需給関係は決して楽ではないとおっしゃっている中で、この種の米というのは何か公認の流れみたいになっておりますけれども、やはりうまみを持つ状況に今ありますので、しかと御管理いただきたいというふうに思います。  それからもう一つは、特定米穀のことでございますけれども、これについてもかなりいろいろな情報が入ります。いわゆるくず米ですね、この辺のところはどんなふうにお考えでしょうか。
  116. 石川弘

    政府委員石川弘君) これは御承知のように、くず米と申しますのはそれなりに用途がありまして、いわば特定米穀の集荷業者が集荷をして販売するということになっておりまして、みそだとかしょうゆの原料その他いろいろございます。いろいろ豊凶差によって変わりますが、三十数万トンぐらいのものは毎年これは流れる性質のものでございます。これにつきましてはやはりそれなりの用途もあり、それから生産者にとってもそれなりの手取りになるわけでございますので、そういう特定米穀の業者を通じてきちっと流していくのが望ましいわけでございます。そのためにああいう特定米穀の業者というものをつくっているわけでございます。  それから、先ほどのことでちょっと補足させていただきますが、私どもは決していわゆる自由米を放置しているわけじゃございませんで、新食管法施行以来かなり厳しいことをやりまして、これは当時に比べれば流通量なんかははるかに小さくなっておりますし、それから、かつては堂々と何かそういう市場めいたことをやっておりましたが、そういうこともやらせないようにしておりますので、かなり厳しくやっているつもりでございます。さらにそこはきちっとやるつもりでございます。  特定米穀の方は、そういう不正規という話ではございませんで、それなりの流通をするわけでございます。これはそういう意味で、特定米穀が業者を通じてきちっと実需者の方に流れるようにこれまでもそうやっておりますし、今後もそういう指導はするつもりでございます。
  117. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 この特定米穀は集荷のときに穀物検査を受けますね。この検査方法は何を検査するのですか。
  118. 石川弘

    政府委員石川弘君) 検査を受けて等外という形で、要するに米の方の世界に入れないものとしてでございますから、特定米穀を検査するというよりも、検査することによって特定米穀の方に落ちていくということでございます。
  119. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 特定米穀そのものの検査というのはないのですね。米を検査した結果特定米穀は出てくる、こういう感じですね。それだったらよろしいのですけれども、私、大分仄聞のよくできる者でありまして、あっちこっちから入ってくることによりますと、その特定米穀を意図的につくるというような形のこともありますものですから。一・七ミリから一・九ミリに規格を上げる、そうすると網の目を落ちるでしょう。そういうふうな感じのこともいろいろ仄聞で入ってまいりますので、その特定米穀の穀物検定というのがあるのかないのかということを伺ったわけなのですけれども、そういうことです。
  120. 石川弘

    政府委員石川弘君) 要するに米の方が当然値段が高いわけでございますから、そういう値段の高いものをわざわざ安くしか売れない特定米穀に落とす必要は普通はないわけでございます。何か特別の事情があれば別でございますが、普通ならば当然米としてより有利に売る。何か例えば限度とかなんとかに絡んでということがあるのかもしれませんけれども、ごく普通に考えれば、特定米穀の方へわざわざ落として手取りを下げるということはなかろうかと思います。
  121. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それでは次に、ちまたでいろいろ言われていることの話を幾つかお伝えしてみますけれども、いずれにしても先ほどから申し上げるように、消費地では非常に米が詰まってきていることだけは確かでございます。  小売店でも先ほど申し上げましたように、政府米が不足してきて大変悩んでいる。店頭に置かなければならないけれども、卸からそれがなかなかもらえないということで、枠拡大のお願いを卸の方にお願いするわけですけれども、なかなかないそでは振れないの一点張りで手に入らないということがあるようでございます。本当にないのかというと、それはそうではなくて、実は卸業はこの機会を使って、その政府米を新規小売店開発に使うためにそちらの方に余計振り向けている、こういう話がありまして、公正であるべきはずの政府米の割り当てを中間で卸業者がかなりうまい形に使っているというふうな情報を聞いております。  それから二つ目は、小売店が政府米が不足で非常に困る、それで泣きつく、そうすると、正規米はないけれども、やみ米ならあるよと言って、その価格は自由米相場に一俵五百円程度を乗せて、そして自由米をあっせんしてがっちりもうけている、あるいはまた、その自由米を仕入れてマージンを乗せて売っているくらいならばまだいいけれども、さっき長官もおっしゃったように、正規に受け取った政府米を今度は自由米相場で売ってもうけているというふうな、こういう話が実はあるのです。  そうして、これは私はじかに聞いてきた話なのですが、今消費地では店頭精米の米に大分嗜好がございます、店頭精米をしてもらうということ。それで店頭で精米をするお米屋さんがあるわけですけれども、この店頭精米をする米屋に対して圧力がかかっている。白米で買ってほしい、玄米では売れない、こういう話があるのです。これも私は聞いてきました。白米なら卸せるけれども、玄米ではやれないという、こういうふうなことを通じて私が申し上げたいのは、小売店さんも困っている、その前の段階のところのあたりが非常に今ややこしくなってきているのではなかろうかという問題が一つあるわけでございまして、こうした中間の大型卸売業者がなぜこんな商権を持つようになったのか、こういう点どういうようにお考えでしょうか。
  122. 石川弘

    政府委員石川弘君) 実は私も今から大分前で ございますが、食管法を直す際にちょうど食糧庁に在職いたしておりまして、卸、小売のいろいろなそういう苦情というものをその都度聞いていたわけでございますが、非常に結論的に申しますと、もしそういう問題がありましたらいつでも私どもにそういうお話を聞かしていただきまして、適切に対処しますが、卸と小売の関係と申しますのは一種の結びつき関係でございまして、そんなに卸が小売にいじわるばかりをしますれば、私はその卸屋さんとの結びつきをやめて別のもっといい卸屋さんにつきますよという形で、小売屋さんがその卸から離れるということは可能なわけでございます。したがいまして、そういういじわるばかりしていれば卸が滅びちゃうわけでございますので、今先生のおっしゃった何か小売いじめみたいなことばかりということであれば、それは別の系統に結びつきましてやればいいことだと思います。  その幾つかのおっしゃいました中で、例えば何か非常に高いものというようなお話がございますけれども、それはそれを持ってどこかへ高いのを例えば売りつけるような相手があれば卸もそういうことは可能でございましょうけれども、実は日本じゅうの小売店というのは全部どこかの卸に結びついているわけでございますから、人の商権を奪わなければそこへ入り込めないわけでございます。だから、高いものを売りつけて商権を奪うということは普通はできませんから、何かいろいろ小売の方でそういう御不満があることがありますれば、小売の組織を通じまして私のところへ御相談いただいても結構でございますし、それから卸に注意すべきことがあれば私どもの方からもお話をします。  大変一般論といえばよくそういうお話の出る業界でございまして、一つ一つはこなそうと思いますれば、私ども指導いたしておりますので、いわば卸、小売間のそういう苦情というようなものがないように行政指導をやってまいります。決してそのことは、何か米の大変な不足で問題を起こしてということよりも、日常のいろいろな商権との関連でよく出る問題でございますので、私どもも気をつけて処置をします。具体的に何かございますれば、私どもの方へお話ししていただいて処置をいたしたいと思います。
  123. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 余り実情をおわかりになっておられるのかおられないのかわかりませんけれども、現にそういうことが行われているようでありまして、系列化が非常に強固に進んでいるということだけは確かでございます。その大型の卸の業界の方たちが、我が方は何店の小売店を傘下に持っているということが一つの自分たちのやはりうたい文句になっているわけですから、そういう系列の中に傘下をつくっていくというのは私はやはり一つの彼らの戦略じゃないかというふうに思います。  次に、これも消費地で言われていることで、前の事柄と関連してくることでありますけれども、混米ということについていささかお伺いをしたいわけですが、混米、ブレンドですね。これをちょっと私は書いてきましたので読みまして、その後で問題を並べます。  混米という行為が認められるようになってから消費者も生産者も大変損をしている部分ができたのではなかろうかという声があります。生産地で一類から五類まで、そして一等から三等までと細かい検査基準を経て等級の決まる生産地の厳しさに反して、流通段階ではこれら等級あるいは類別がどういう意味を持つようになるのだろうかという疑問を生産地で持っている人がある。一日二千三百キロ程度も精米するような大きな工場で選別機、色彩選別機あるいは大型精米機、また研米機といった大型の機械が実はそうした精米工場で新しい米をつくり出してしまうということが言われます。  米の持っているそれぞれの味は全く失われ、逆にササニシキが入っていなくてもササニシキの味がブレンドによって出せるようになったとこの大型精米工場が言います。ブレンドという技術で百種以上の味がつくり出せると、その技術を誇る大型精米工場も出てきています。水分調節等も機械で十分行われ、その際、水分をいささか加えることで一%米の量はふやすことができ、二日米二トン分のもうけになるとか、こう言うのでございます。  それで、私は質問を何問がさせていただくわけでございますが、一番最初に伺いたいことは、生産地で気にしておられるところの一類から五類、そうして三等までの等級のあるこの一つの規制が消費地にどういう意味を持つのかということが一点です。  それから二番目は、ブレンドという技術をどのようにお考えになられるかということでございます。  まず二点から。
  124. 石川弘

    政府委員石川弘君) 御承知のように、産地で類別、等級別というのがございます。これは生産者から買います価格自身が、そういう食味と申しますか、原料米としてのいいものをそれだけ高く評価するということで、生産者にはそういういいものをつくっていただければ手取りがふえる。手取りがふえると申しますか、高い価格で国が買うという形でつくられているものでございまして、そのこと自身はいわば生産者の創意工夫を増すというような意味があるわけでございます。  そういうものを原料としまして、今度は消費地でどういう米をつくっていくかという場合に、やはり基本的には原料米のよしあしが消費者の方々に行き渡ります消費地の精米に反映されるわけでございます。それが何かブレンドという言葉の中でめちゃくちゃになってしまうということではこれは問題でございますので、御承知のように、各県で米穀流通適正化協議会というものをやっております。これには消費者の方も入っていただきまして、そこでどんな原材料をもとにしてどれくらいのものを入れて、最終的にどんな精米をつくっていくかということを、一種の品質ランクを設けましてやっているわけでございます。そこで、やはり立派など申しますか、いい原料を入れましたものは当然品質ランクの高いところに置くという形でやっておりますので、生産者のそういう努力というものは結果的に消費者にもそれが評価してもらえる。その場合に問題になりますのは、そういうことがお買いになる皆さん方にもおわかりいただけるようでなければいけませんので、表示の基準というのをつくっておりまして必ずつけろという基準と、それから任意的にこういう表示をしてもいいという形とやっておりますが、これではっきりわかるようにしてあるわけでございます。  その中でもう一つ、類別の方はそうでございますが、等級の一、二、三等につきましては、これは御承知のように三等というのは徳用上米原料としてのみ使わしておりますので、これはそういう意味の消費者とのかかわり合いではそういうような差があるわけでございます。  それからブレンドの問題でございますが、これは何もブレンドしなければならないという趣旨のものではございませんで、御承知のように、例えばササニシキ、コシヒカリのような非常に産地によりまして特に評価の高いようなものを単品で出している場合もございます。しかし、やはり日本各地でつくっております米を原料にしまして、これは御承知のように季節にわたって一年間食べていくわけでございますので、なるべく安定的に一定の品質水準を保って供給をしようと思いますと、このブレンドという手法を使った方がより合理的にできるわけでございます。  特に、今先生指摘の大型 精工場につきましてはそういうことを可能にするような技術水準を持っておりますので、そういう技術水準の高いところで一定の品質を間違いなく保証できるようなものを供給していくという手法で、最近そういうブレンドというものはかなり広範になされております。しかし、これは私どもが何かこうしなければならぬと言っているわけじゃございませんで、現に非常に超優良品種の単品物というものもこれは需要があってそれなりのものが売れております ので、そういうブレンドにはそういう一つの理由もございますし、逆に単品というものがなおかつ流通しているところもあるわけでございますので、そこは私どもはその両方のよさというものを見ながら今後もやっていく必要があるのではないか。  ブレンドをいたします際には、先ほど申しましたように、そういうされたものが適正に消費者の方に渡るようにという意味の品質表示問題等は厳格にやっていかなきゃいかぬと思っております。
  125. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 消費地ではこのブレンドということを一番やはり問題にしているわけです。何がまぜられているかわからないという不安を持っているわけです。それで先ほどの特定米穀、そして三類から五類等の雑銘柄の自由米、ここら辺のものがやはりブレンドの素材になっていくということを一般消費者はみんな知っているわけでございます。それで、今長官は、そのままで出すというふうなことをおっしゃいましたけれども、私どもコシヒカリ純米というようなものにはめったにお目にかかったことはございません。(「札だけ見ている」と呼ぶ者あり)札だけ、そうでございます。それは、生産地の皆様は何でございましょうけれども、私ども消費地にだけおります者にとっては床の間の上に上げておきたいほどのお米でございまして、一〇〇%純水というようなものはないのが実情なのです。それでブレンドというのは、当然のものとして私どもは受けとめております。それだけにこのブレンドという技術が、消費地にとって必要ないい技術、つまりメリットを与える技術として指導もしていただきたいし、研究も進めていただきたいのであって、これが悪用されていかれるようでは大変に消費地としては困るわけでございます。  それからもう一つは、先ほど店頭における精米というものに対する志向が消費地で強く大きくなってきているということを申し上げましたけれども、大型 精工場ででき上がってきた研米機にかかってぴかぴか光ったお米というのはとにかくもうおいしくないということが皆様の定評である。この辺の大型化していけばいくほど、実は米というものはもはや生鮮品ではなくて加工品になっている。消費地においては米という加工品が回ってきたというふうに皆思われているわけでございますが、食糧庁ではこういう点に対する見解はいかがなものでございましょうか。
  126. 石川弘

    政府委員石川弘君) 先ほど単品はお目にかからないというお話でございましたけれども、五十八年度の数字で申しましても、ササニシキ、コシヒカリといわれるものは全体で百七十万トンあるわけでございますけれども、そのうちの約四十万トンはいわば単品流通をいたしておりまして、三点セットと称します新潟、コシヒカリ、五十八年産というふうなことを表示をいたしまして単品流通いたしておりますので、決して皆無ではございません。かなりのものはそういう単品流通をいたしております。  それから、大型 精と店頭精米の問題でございますが、毎度そういう御議論もあるわけでございます。これは流通の合理化と申しますか、ある程度流通コストを下げできます場合に、やはりこういう大型 精工場が持つ意味というのは大変多うございます。例えば、店頭でほんの一日、トンじゃございませんで数キロというような能力でやっておりますれば、それに対してそれに必要な原料をばらばら供給していくというようなことになりますと、これは大変な手間暇もかかりますし、そういうことが流通経費を非常に増高させるというマイナス面がございます。  むしろ、合いずれにしましてもそういう段階で全部玄米流通しておるわけでございますから、よく例えば本当においしいのは、もみ貯蔵して今ずり米で食うのが一番うまいというようなお話もあるわけでございますが、やはりこういう物流の合理化という観点からは、大型 精工場の持つ意味というものは評価をしなきゃいかぬのじゃないか。しかし、私どもは全部が全部大型 精工場になれと言っているわけではございません。また、そういうお好みがあればそういうお好みに応ずる店頭精米もあるわけでございますが、結果論としますと、そういう店頭精米というようなものに依存をいたしますと、流通経費はかなり増高いたしますから、結果的に高いものを食べざるを得ないことになろうかと思います。  そういうことから、傾向としては比較的大型 精工場による米流通の方が伸びているのではないかと思います。しかし、そういう小売の店頭での精米がなおあることは事実でございます。私どもはそれに必要な原料も供給をしなきゃいかぬと思っております。大変一般論で恐縮でございますけれども、大型 精の技術というものは比較的高いと見るべきだと思っておりまして、むしろ問題は、今先生おっしゃったように、何をまぜているかわからぬという信用問題等がございます。これにつきましては、食糧庁の担当者もそうでございますし、いろいろな形で都道府県等も通じまして、どういう原料でどういうものをつくっているかというのをこれは時々見回って検査をいたしております。ですから、そういういかがわしい原料を入れてつくるなどということができないシステムで、どれだけの原料をどれだけの製品にしたかということがわかるようになっております。  よくそういう議論が出てまいる中で、消費地の方々に、例えばそういう婦人の集まり等でそういう大型 精工場も見ていただいて、いかなるようなシステムで動かして、どのように製品をつくっているかというようなことをPRしているところも多うございますので、ぜひ機会があればそういうところもひとつごらんいただきたいと思っております。
  127. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は三カ所ほど見て歩きましたけれども、研米までは必要がないのではないかと思ったりいたしております。それで大臣、この間の七日の土曜日に農協の青年部と婦人部が集まりまして、消費地の消費者団体のメンバーと合わせて、「米不足を考える」という会を持ったようでございます。そこで、消費地のメンバーは、生産地の人にもいろいろ苦労があるのだなということを改めて知り、そして二重米価制のようなものも改めてその意味を勉強したというふうに言っておりました。できれば生産地の皆さんの苦労が食べたいと、こういうことを言っておりましたので、お伝えをいたします。しかし、あわせて、ずさんな計画、ずぼらな管理、ずるいやり方手に負えない、こんなことでございますね、農林水産省及び食糧庁に向けて言っていたのでございますが、最後に大臣の御所見をお伺いいたします。
  128. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 消費地の皆さんと生産地の皆さんとお会いになって、いろいろお話し合いが行われたということを伺いました。内容については今伺いましたが、何にしても農林水産省に対する信頼を取り戻すのが第一だと思います。一生懸命頑張ってやってまいります。
  129. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 農林水産省も過日人事がございまして、長官はまた前も次長ですか、ずっとやっていらっしゃって、食糧管理のことについては詳しいのだろうと思います。今まで畜産局長さんで、これもまた日本にとりまして、農業にとりましては非常に重要な位置にあったわけでありますが、法案の成立や、また日米交渉の後のいろいろな諸問題についてお取り組みになりまして、今度はまたさらに、一番今国民の関心事であります食糧問題について長官として携わることになったわけでございます。現下のこの厳しい諸情勢について、個々の問題についてはこれからいろいろお尋ねをするわけでありますけれども長官に御就任の決意のほどをまずお伺いしておきたいと思います。
  130. 石川弘

    政府委員石川弘君) 前にもやっておったといいますものの、かなり時点が違っておりまして、需給の状況その他いろいろ問題があるように思っておりますので、先生方の御指導を得まして、一生懸命やっていきたいと思っております。
  131. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今刈田先生からいろいろお話がございましたが、最後の言葉は非常に胸に刺さるような言葉でございまして、お米というのは、食糧というのは一億一千万国民の欠かすことのできな い大事な問題でありますから、これを取り扱うということは非常に慎重さも要することであり、また、いたずらな不安をかき立てるようなことがあってもならないだろうと思いますし、そういう点では非常に、今までも大変な御苦労をなさったと思うのでありますけれども、今までのもう何倍も御苦労いただかなきゃならないことだと思います。今大臣がおっしゃっておりました、本当に国民に信頼を得られるようでなきゃならぬ。今はもう最低これ以下にないというぐらい信頼が失墜いたしておりまして、ここからひとつ新長官のもとに、何としても生産者に、また消費者にそういうことで信頼の得られるように率直に事実をお話しいただき、また国民に理解をいただくということで、誠実さを忘れずに、また率直に物事についてはお話ししていただくということで、御当局にもぜひひとつやっていただきたいものだと思います。  私は、昨日も農業者団体の全国集会がございましていろいろな要求がございました。そのことについては皆さん方もよく御存じのことだと思うのでありますが、いよいよ年に一度、自分たちがつくったお米が幾らになるかという米価を決定する大事なシーズンになったわけであります。きょう与えられた時間はわずかでありますから、詳細のことについてはお話はそこまでいかないと思うのでありますけれども、また後日、この問題につきましてはいろいろ皆様方のお考え等についてはお聞きしたいと思います。また、諮問案が出たわけじゃございませんから個々の問題については一々お尋ねするという段階でもないだろうと思うのであります。  私は、この米価審議会が、大抵植えつけをいたしまして七月半ばには決定をする、これは今までの通例であったわけであります。この審議会が十一日から十三日という予定であったものが、直前というとちょっと語弊がありますけれども、比較的時間の余裕もない間隔で二十四、二十五というふうに変更になった。新聞にはいろいろなことが書かれておりますし、私どもも確かにさもありなんと思う点もあるわけでありますが、この米価審議会の期日が、行政改革との絡みの中で、また明年度の予算のシーリングの中でというふうにいろいろ言われております。生産者の立場を考えると、自分の植えたものが今すくすくと育ちつつあるその中で一体このお米は幾らになるのかということはやはり最大関心事であるわけでありますが、それが決定する日が急速変更になるということは、生産者にとりましても非常にまた暗いものを抱かずにはおれない、このように思うのであります。  まず、この米価審議会の期日が二週間もおくれたということに対しまして、どういう理由でこういうことにしたのか、これをお伺いしておきたいと思うのであります。
  132. 石川弘

    政府委員石川弘君) 実は就任いたします際には既に決まっておりまして、どういうぐあいにという御質問に答えづらいわけでございますけれども、例年御承知のように十数日ぐらいにやっておったわけでございます。ことし大変先生方に御迷惑をかけましたこの種の韓国米その他の問題がございまして各方面との論議が大変行われたわけでございまして、その辺の関係を踏まえまして少し時間がおくれたわけでございます。決して決めたものを変えたということではございませんで、いろいろと関係者との論議を重ねながら決定をしたいということで、二十四、二十五、特にその前のよく言います前広米審において担当論議を尽くしておきたいというようなこともあったようでございまして、結果的にはおくれて申しわけがございませんが、こういう日程でやらしていただきたいと思っております。
  133. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 米価審議会は農林省設置法の中に定められておるわけです。それでこの運用については食糧庁がいろいろ事務的なことはやることになっておりますから、期日を決めるとか何かというのはこれは米価審議会の委員の方がお決めになるのじゃなくて、食糧庁の方でいろいろなそういう事情を勘案して期日の変更をなさったのだと思います。今長官は、私のなる前だというお話ですけれども、それはもう事務引き継ぎということで、私が決めたのじゃありませんなんていうそういう言い方はこういう公の席では通らないのじゃないでしょうか。そういうことですと、また我々もちょっと言わなきゃならないことがいっぱい出てくるのですけれども、そういうことじゃなくて、やはり決まったことについては引き継ぎとしてちゃんと責任をもってきちっとしていただかなきゃいかぬと思います。  それで、前広米審でいろいろ議論するということもそれも一つのことかもしれませんけれども、例年から見てことしはおくれたことは事実でありますし、これだけ議論のある国民の大きな関心事でありますから、お米のことについては真剣に討議しなきやなりませんけれども、価格決定ということについては、これはそんな今までと大きな隔たりがあったとは思えないのです。どうも二十四、二十五と大きく二週間も後退させたという意味が私どもはよくつかめないのです。これは食糧庁事務当局、事務方がいろいろな関係の中でお決めになったことだろうと思いますけれども、ここらあたりをまずもうちょっと我々に納得いくようなお話をいただきませんと、何となしに決まったというと、新聞報道でいろいろ言われておりますが、正式な農林省としての考え方というのは今初めてお聞きするわけでありますから、やはりそういうことであったのかということになってしまうので、ぜひひとつ国民の前に、生産者の方々の前に、こういうことだったのだという責任ある御答弁をいただきたいと思うのですが。
  134. 石川弘

    政府委員石川弘君) これは農林省で決めることではございますが、審議をしていただきます米審の委員の方々にも御相談しながら決めてまいるプロセスになっておりまして、いろいろな大変複雑な問題を抱えた本年度の米価でございますので、従来前広米審というのは実は一日でやっておりました。しかし、本年は前広米審で二日かけまして、米に関するありとあらゆる観点からの御意見をいただこうというところから組んでまいったようでございます。その際、そういうことをいたしますための準備その他を考えまして一週間後ろにずれてきて、そういうことをもとにして、前広米審の結論を得た上での米価ということでさらに週がその次の週になった、そのように考えておるわけでございます。  そういう意味で、何か他の審議会の関係とかその他のことということを念頭に置いたわけではございませんで、米審の委員の方々の御意見も踏まえて二日開催、その二日開催いたしますための会場整備等でいたしますと、次に若干の間を置いて本審議会をやらざるを得ませんものですから、そういう意味で若干後ろにずれ込んできたというのが今回の米審の日程でございます。
  135. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 行政改革推進審議会の意見書が出されるわけでありますが、さらにこの小委員会、六十年度行財政改革小委員会という、これは六十年度の予算のあり方等を検討するようです。この中には公共事業等いろいろな項目について検討することになっているのですが、その中にも当然生産者米価の抑制とかそのほか補助金の削減等いろいろなことが課題になるのではないかと言われておる。これは明年度の予算編成ということですから、今日のこういう財政事情の中で基本的な考え方というのはきちっとまとめていなければならないでしょう。その線に沿って進めるということはこれは必要なことかもしれません。しかし、それに符節を合わせるがごときこの日にちをずらすという、これは米価を抑制するために当然そういう一つの日程的な調整がなされた、財政再建という中で非常に厳しい予算の枠の中でという、いろいろな口実をつくるために。  ですから、米価審議会において審議する方々もそういうことがもう意識の中に十分にあって、現在の米を取り巻く諸情勢という広範な判断というものがとかくにそがれがちな、阻害されがちなそういう環境の中で決めなきゃならないというの は、これは非常に米価審議会というものの性格上好ましくないことではないか。私は、いろいろな事情があったのかもしれませんが、それは年の初めからずっとスケジュール的に今日まで来ているわけでありますから、ここに来て何もこういうことをしなくても、これは財政再建の厳しい中での議論であることは当然であります。それがこういう行政改革推進審議会での大枠というものが定まった上でというのは、余りにもことしの生産者米価に対する一つの大きな圧力と見ざるを得ないと思うのです。またそういう考え方の方も非常に多いのですけれども、こういうことについてはどういうようにお考えですか。
  136. 石川弘

    政府委員石川弘君) いわゆる行革審の小委員会でいろいろ御論議があることは承知をいたしておりまして、私どもも必要な私どもの意見も申し上げる、委員の中でそういう論議をなさる際に、米をめぐります非常に厳しい状況等についてもお話をしているわけでございます。  私ども、法律に定めますように、食管法で米価審議会の御意見を聞いて決めるということになっているわけでございまして、そういう意味で、前広米審その他の段階においても米審の委員の方々の御意見をよく承りまして、それに基づいて私どもの方の考え方を定めていきたいと思っております。決して行革審というようなものを何かのために使おうとか、あるいはそれと何か歩調を合わせてというような意味で日が合致しているのではないと理解しております。
  137. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 昨年の米審では、審議会の始まります前に政治的ないろいろな取引があったということで、これは大変に物議を醸しまして米審が荒れに荒れました。これはよく御存じだと思います。金子前農林大臣も本当に後からそれに対して陳謝文ですか、読み上げるようなことであったわけであります。今日までも米審の推移をずっと見ますと、そのときそのときのやはり厳しい社会情勢、財政事情ということもあり、そしてまた、審議会のメンバーの中にもいろいろな意見がございまして答申ができないとか、それから両論併記とかいろいろなことがございました。  私どもは今こういう米を取り巻く諸情勢の厳しい中で一番憂うることは、審議会があって審議会でいろいろな専門的な方々やそれぞれの立場での議論をしていただくにもかかわらず、それとは別に政治決着というようなことでこれが決められるということは、じゃ何のための審議会かということがいつも議論になるわけでございます。いわんや昨年のように審議会にかける前にそういうことが話し合われておるというようなことであったら、審議会の存在を無視するものだと言わざるを得ません。  また、審議会が終わった後についても、結局その価格決定に当たっては、政府自民党が政治的な判断の上に立ってこれを決めるという慣習は、少なくともこういう農業に対して非常に国民が関心を持ち、米価につきましてもこのたびこういう非常に厳しい環境にある中で、大臣としましては是が非でもこれはやはり法にのっとり、そしてまた原則に立ち戻ってやっていただきたい。中曽根総理大臣は悪法も法だなんて、自分たちの都合のいいときはそんなことを言っておって、肝心なときは法律を守らぬなんというようなことではこれは相ならぬと思う。ことしは非常に厳しい環境にあって一億国民がみんなこの推移に対して厳しい眼で見ているだけに、その衝に当たります農林大臣の立場というものは非常に重要だと思うのですが、大臣にこの米価決定に当たりましての決意のほどをお聞きしておきたいと思います。
  138. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 本年の米審の日程は、御存じのとおり十九、二十日が前広米審、本米審が二十四、二十五ということでございますが、生産者米価の取り扱いにつきましてはまだ何も決めておらないところでございます。しかし、これは例年どおりの食管法に従いましたところのいわゆる物価そのほかの事情に配慮しながら、再生産の確保ということを旨として米価審議会の意見を聞いて適正に決定する考えでございます。いずれにいたしましても米価審議会の意見を聞くとともに、また関係各方面の意見も調整もやらなければならないと思いますが、いわゆる適正に決定するということで全力を尽くしていきたいと思います。
  139. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私はもう就任以来山村大臣を信頼を申し上げております。また、国民も厳しい目で見ている現状の中で、今も信頼されるそういう農政でなきゃいかぬというお話でございましたけれども、信頼をさらにこれ以上落とすようなことがあっては相ならぬということで申し上げておるわけでありますが、ぜひひとつこの取り扱いにつきましては慎重であっていただきたいと思います。  米価についてはまだそれは諮問されていないわけでありますから、具体的なことについてはまだ議論する余地はないのかもしれませんが、五月の二十五日ですか、米価の算定に関する米価審議会小委員会、これは今までも米価をどういうように算定するかということで、安定性の確保とか、需給事情の反映とか、算定要素等こういうものをいろいろ議論いたしまして小委員会で決めるわけでありますが、ことしの米価算定に当たりましての小委員会での決定、生産費・所得補償方式、こういうことを基本としてということで、またそのほかいろいろな問題について述べられております。  米価算定に当たっての考慮すべき事項として、やはり生産費や物価その他賃金とか需給事情、稲作経営の現状、今後のあり方、財政事情、農産物価格との関係等考慮する必要がある、これらのものを織り込んで算定するということは非常に困難だ、しかし一定の算定方式に基づいてこれらの諸事情を極力踏まえて算定を行う必要があるということや、一定の算定方式というものも、いつまでもこれを変えないということになると算定が硬直的になって諸情勢に対応できなくなる、こういうようなことについてこのたびこの小委員会で発表なさっております。これらの小委員会での決定につきましては、農林省としては、食糧庁としましてはどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。
  140. 石川弘

    政府委員石川弘君) 小委員会におきまして、基本的には先生もおっしゃいました現在の生産費・所得補償方式という、大筋はこの線に従ってということになっておりますので、私どももその点はそういう考え方でやらしていただきますが、その要素のとり方等につきましていろいろ御議論がございまして、意見が若干分かれているものもあるわけでございます。こういうものの中のどんな形をとるかというのは、私どもはそういうことを含めまして目下検討をいたしております。この要素はこういうこと、この要素はこういうことというようなことではまだ決めてもおりませんし、勉強いたしておる最中でございますので、基本的にはこの小委員会の報告の大きな線の上に従いながら、どういう要素のとり方をするかということを詰めてまいるつもりでございます。
  141. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 個々の数字、また指数というものをどういうふうにとるかということについては、そこまでのことを私はお聞きするのではございませんが、小委員会についての受けとめ方、そしてさらに最近の米を取り巻きます諸情勢についてどういう認識を持っているかということがまた非常に大事なことだろうと思うのです。  具体的なことになるわけでありますが、先ほどの小委員会の報告の中にも、いろいろな勘案するときにこういうことをということの中に個々の問題がございます。これは当然小委員会としましては、農業全体また社会全体ということを勘案していくわけでありますけれども政府の最近の姿勢というものは、どちらかというとやはり財政事情が非常に逼迫をいたしておりましてということに最重点が行きまして、それが上に出てしまって、あとのものはみんな小さくなって見えなくなってしまう。いろいろなことを参酌をいたしましたが、それはこの中にもありますように、個々のことを一々算定するということは非常に難しいことだ、それを反映するということは。そういうことも我々は十分わかりますし、また、生産者の方々 もそれなりに理解をしているだろうと思うのであります。  しかしながら、生産費とか物価とか、また需給事情とか稲作経営の現状というものに対しての食糧庁として、農林省としての認識というものが、どこまで我々の立場をわかってもらえるのかという、こういうことに対する不信があっては相ならぬ。こういう事情ですから、こういう社会情勢の中にありますからかつてのような大幅というわけにはいきません。農業団体も抑えに抑えてのこのたびの七・七%というような数値を出したようであります。これは最近、生産費を償うということが言われておりますけれども、この法律の上から言うと、再生産が可能な価格ということでありますけれども、生産費が償い得ないという現状は、年々これは大きな格差になってずれ込んでいることは数値の上からも明らかです。  こういう生産資材の高騰や生産費の高まりという中で六年も米価が抑えられてきて、生産費をなかなか償い得ない現状にあるということ等については、一体農林省としてはどのようにこれを受けとめていらっしゃるのか。こういう個々の問題、実は個々の理解の仕方、現状認識というものが非常に大事なことになるのだろうと思います。きょうは数字的にどうだということは申し上げません。次の機会にこれは一つ一つまたお伺いしなきゃならぬだろうと思いますけれども、こういう問題について総体的に今の稲作経営全体をどう御理解になっていらっしゃるのか、お伺いしておきたいと思います。
  142. 石川弘

    政府委員石川弘君) 算定をいたします各要素につきましては、それぞれ重要な意味を持っておりまして、そのときどきの経済情勢なり、先生のおっしゃいました財政事情等も含めましたいろいろな要素で、どういう考え方をとるのが一番適正であろうかということで詰めてまいるわけでございます。そういうことが米価審議会におきましても論議されるわけでございまして、私どもも、かくかくしかじかの理由でこういう考え方なりあるいはこんな要素のとり方をしているということを委員の方々に御説明するわけでございますので、今先生から御指摘がありましたように、現時点において米の生産なり流通なり消費といったような問題をどのような形でとらえるかということを基本にいたしまして、各算定要素なりあるいはそれに適合させますための具体的数字というものを詰めてまいるつもりでございます。そういう意味では、小委員会でお出しになっております考え方なりあるいは要素のとり方についてのいろいろな御示唆があるわけでございますので、そういうものの組み合わせの中から適正なものができるようにという努力をするつもりでございます。
  143. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 農家経済のあり方とか、また最近の、専業がだんだん少なくなって兼業化が進んで、七割を超すような現状になってきている。こういうことについては、過日農振法を中心にしましての議論のときにいろいろお話をしたわけであります。現在いろいろなことがありますけれども、きょうは時間がありませんから、一つだけ申し上げたいのは、食糧庁長官が畜産局長でありましたところで、畜産の方も大変な火の車といいますか、経営状態の悪化のためにいろいろな対策を講じられ、法的な改正もございました。稲作につきましても、最近はやはり専業で大きくやっているところほど経費がかさんで、昔およそ一ヘクタール未満でも生産費を出すぐらいのことはできた。それがだんだん最近はもう二ヘクタール、三ヘクタール、そして専業で大きくする人ほど資材やまた購入肥料というものが大きくなって、畜産のように五十頭、百頭という、それに伴う施設というものとは違うのかもしれませんけれども、稲作におきましても減反ということのために収入減、それが大きく専業農家に覆いかぶさっているのが事実です。  数字的なこと等については後日またいろいろ申し上げたいと思いますが、こういうことの中から、北海道等においての大きな面積でやっているところについては、固定化負債のための対策を何とか講じてもらわぬと、稲作農家といいながらも最近ではにっちもさっちもいかなくなったということを言う方々が非常に多い。昔はそうでなかったかもしれませんが、この五十三年以来米価がずっと据え置かれて、たかだかが六%そこそこ、諸物価、諸資材三五%という中では、そしてまた機械化、老齢化というものが進む中におきまして、農家にもこの六年の間に大きな変化が来ているようです。大きいことが必ずしもいいことではなくして、その経営基盤確立のために、占有権やまた機械購入や購入資材の高騰のために固定化負債がだんだん累積しつつあるという現状等もしっかりひとつ、御存じなことだろうと思うのですけれども、大きな稲作農家の変化の中で見過ごすことのできないことだろうと私は思うのです。  そういうこと等についても、この六年間米価がほとんど据え置き同然であったという中で、今非常に厳しい環境にある。国の財政事情ということも当然のことであります。私もよく理解をするところでありますけれども、稲作農家というものも専業であればあるほど、大きければ大きいほどそういう苦境に立たされて、基本法農政で言われた他産業に比すべき所得ということは絵にかいたもちのような存在になっているというのが現状だと言わざるを得ない。こういうこと等についても十分に認識をして、今回のこの米価算定等につきましても十分な配慮、また、今後の進め方等については考えていかなければならないことだろうと思うのです。こういうことについて、そのほかいろいろなこともございますけれども、固定化負債のいろいろな対策を稲作農家についても考えなければならないような、大きいところほどそういう問題が起きつつあるということ等についてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いをしておきたいと思います。
  144. 石川弘

    政府委員石川弘君) 御指摘のように、かつては米作の有利性というものが非常に強く言われておりまして、あらゆる他の作物に比べて米が有利であるというような条件があった時代もございましたけれども、いろいろ厳しい環境の中で、今御指摘のように所得の面なり収益性の面なりいろいろと問題がある場合が出てまいっております。しかし依然として、どちらかと申しますと相対的に稲作が有利だというような数字が出がちでございますけれども、今御指摘の比較的大規模農家、非常に効率的な経営と考えられている部分につきましても、何しろ最近におきます機械に対する投資等が非常に大きゅうございますので、これを完全に稼働させません場合には、やはりなかなか容易ではない事態があろうかと思います。  御指摘の負債問題というような形で、稲作農家のみを何か特別に調査をしていくというようなことは今はいたしておりませんけれども、例の自創資金等その他のようなもので、必要なものにつきましてはその都度経営の改善の可能性を見ながら実は融通をしているわけでございます。少し私どもも、この稲作の今置かれている環境の中で、特に冷害等によって累年所定の所得を得られなかったという方々については、県等を通じまして各種の災害対策その他によって負債が固定化しないようにというようなこともやっているはずでございますけれども、なお一層そういうものを必要なものにつきましては検討を深めていきたいと思っています。
  145. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間もありませんから、あとは後ほどにします。  さっき刈田さんのお話のときに、新聞等で自由米の値が建つというのは一体どういうことか、そういうことが好ましいことなのかどうか、雑銘柄について二万二千円から三千円というこんなことが公に活字になっているということ等については、農林省では一体どういうふうに受けとめていらっしゃるのか、そんなことはあり得ることじゃないとか、何か食管法の改正のときにどうとか先ほどいろいろお話をしておりました。そういうことが活字になっているという現状に対しては、また何かそういうことをお知りになったらお知らせくださいなどということですが、それはそちらの 方でしっかりやっていただくことであります。それは活字になっていることは御存じだと思いますし、いろいろ言われておるわけですから、そういうことについては食糧庁としてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、私は非常にこれは不思議に思えてならないことなのですが、どうなのですか。
  146. 石川弘

    政府委員石川弘君) そういうことを行っている方々が、かつては何か自由市場のようなものを設立するというような話まであったわけでございますが、食管法の改正を機会に不正規流通に対するいろいろな指導、取り締まりをやってまいりまして、私は、その時点に比べればはるかに規模の小さいものになってきているとは思っております。例えば建て値とかなんとか書いてありますけれども、それじゃ一体どれだけの米が動いたかというようなことが一切出ていないということ等を見ますと、そんなに…。もしそういうものがあればやはり私どもは取り締まるわけでございますが、いわば仲間相場的なことを書いているようなものがあろうかと思います。  私どもは基本論としましては、何度も申し上げますように、集荷業者なり卸につきましてああいう制度を持っているわけでございますから、そういうものが一日も早くなくなるように行政面で、必要な場合はこれはさらにもっと手法的な面も含めて、そういう人たちが暗躍できないような素地をつくっていく、そういうことも今までもやってきているはずでございます。今後もさらにそれを強めてまいるつもりでございます。
  147. 下田京子

    ○下田京子君 まず、生産者米価の問題でお尋ねいたします。  昨日九日、全国米価大会が行われまして、大臣もその御様子はお聞きになっているかと思います。とにかく米の輸入、こんな衝撃的なことはないということで大変荒れました。そのときに新潟県の婦人の代表の方が、百姓がだめなら百姓をやめたらいいのじゃない、お母さん、こう言われたと、子供がついてこれるようなそういう農業をやりたい、生産費を償う米価を何とか保証してほしい、こういう声もありました。  大会が終わって午後ですか、全中の代表の皆さん方が大臣のところに会いに行かれたと思うのです。六十キログラムの基準価格でもって一万九千三百八十四円の七・七%アップはぎりぎり最低のものだ、そういうお話もあったと思うのです。その際大臣が、今までですと、現段階では白紙でございます、こういう話だったけれども、新聞報道によりますと、米価は再生産の確保を本当に検討したい、今後の農政を考えて全力投球したいという非常に誠意を持った回答がなされたというふうに報道されていました。私も、これは今までの発言から一歩前進して、本当に大臣もこうした農家の皆さんの声に真剣に耳を傾けて対応していかれるのか、こう思ったのですが、その辺の決意をまず聞かせていただきたいと思います。
  148. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 昨日ですか、全中の皆さん、またあと全農いわゆる農業者の代表の皆さんがおいでになりました。十人ばかりでおいでになりまして、七・七%、一万九千三百八十四円というようなこともお伺いいたしました。私といたしましては、まだこの米価の取り扱いにつきましては決めてはおりません。前広が十九、二十日、本米審が二十四、二十五ということでございますが、ここで皆さんがおいでになりましたときに、私はやはり食管法の規定に従いまして、いわゆる再生産の確保を旨として日本農業を守るというような立場で一生懸命やりますからということでお答えした次第でございまして、その気持ちは変わりはございません。
  149. 下田京子

    ○下田京子君 食管法に基づいて適正に決めるということなのですけれども、今大事なことは、先ほど私が申し上げました昨日の米価大会の様子にもありますけれども、とにかく米の輸入のことを含めて大変今農民の皆さんの怒りが大きくなっています。中には、中曽根首相は全農民の前で責任を明らかにすべきだ、あるいはまた異例の緊急発言という形で、全国農協青年組織協議会の委員長も農相の罷免要求、あるいは輸入米の阻止行動というような呼びかけも出されたわけなのです。とにかく今までのことを見ていますと、お米が過剰だ、財政的負担が大変なのだということでもって生産者米価というものは抑制され続けてきたのではないかと私は申し上げざるを得ません。  そこで、長官にお尋ねしたいのですけれども、五十二年を一〇〇とした場合に、生産者米価が五十八年、あるいは五十七年でも結構ですが、名目米価で、あるいは実質米価でどの程度になっているのか、お知らせください。
  150. 石川弘

    政府委員石川弘君) 生産者米価で申しますと、五十二年の六十キログラム当たり米価は一万七千二百三十二円でございます。それに対しまして、五十八年の米価は一万八千二百六十六円でございます。
  151. 下田京子

    ○下田京子君 私は、実質米価、名目米価ともどうなっているかというふうにお尋ねしたのです。これはお答えになれないということは、恐らくそういう計算をされていないのかなと思うのですが、今お話しのように、生産者米価は五十二年は一万七千二百三十二円ですね。これを一〇〇といたしますと、五十八年の場合には一万八千二百六十六円で、一〇六・〇で六%アップになっています。  では、生産費と比較してどうなのかということです。第二次生産費は五十二年が一万五千八十九円ですね。これを一〇〇としますと、五十八年の数字はまだ出ていませんから五十七年で比べれば、二万五百八十四円ですね。これは一三六・四、三六・四%アップになっています。ですからここで言えることは、数字がはっきり物語っている。名目では、五十七年の場合に一〇四・二ですから四・二%アップでしょう。五十八年は六%アップでしょう。しかし、第二次生産費は五十七年度でも一三六・四%ですから、実質これは二三・六%マイナスということじゃございませんか。まさに米価は据え置きどころか、この五十二年以来から見てみますと引き下げというふうに言えると思いますけれども、どうでしょうか。
  152. 石川弘

    政府委員石川弘君) 米価を算定します場合に、御承知のようにいろいろな効率性とかそういうものが入って算定されるわけでございます。一定の資材費等がかかりましても、効率が上がれば、それをもって再生産が確保できるということでございますので、先生指摘のような例えば生産費の上がり方で裏返しにしまして下げというような御議論は、そういう御議論としてはあるのかもしれませんが、米価算定につきましては、例えば効率ということを一つ加えてみましても、そういう数字でそれが実質とおっしゃるのには私ども賛成しがたいと思っております。
  153. 下田京子

    ○下田京子君 賛成する、しないは別なのです。実際に再生産を確保するということになれば、生産費を償わない米価ということはあり得ないということです。その考え方を変えませんと、これは私はやはり問題だと思います。稲作農家の生産意欲を後退させます。しかもまだ、四年連続不作の要因ということが米価据え置きにあるというふうに繰り返し言われております。先般、総理質問の際にも、総理自身が、峰歩き的需給だということで、ゆとりのない需給状況をお認めになっています。ことしもまた天候もまだわかりません。となれば、本当に生産者が意欲を持って取り組めるような米価を私はちゃんと決定すべきであるということを重ねて主張しておきたいと思うのです。  次にお尋ねしたいことは、韓国米輸入安全性問題であります。  まず第一に、確認したいのですけれども、なかなか交渉が難航しておるようですが、この理由はどこにあるのか、恐らく韓国米安全性確認方法なども大きな問題になっているのだなというふうに感じております。前長官が、この安全性確認方法では積み出し前にチェックをすると。その理由は何かといえば、日本の港に着いてから、いや安全でなかったなどということになって問題になっては困るからだと。ただ、そのチェックの仕方は、韓国でやるのか、あるいは韓国にその体制 がない場合にはサンプルを日本に持ってきてやるか協議中だということでありました。先般、新長官も、その問題で御質問があった際に、今韓国の協力を得て、船積み前に空輸でもって検体を持ってきて、日本の国内でチェックをする方向で話し合いをしているところだという話がありました。  そこで確認したいのは、前長官と今の新長官の話を総合するに、一つはっきりしていることは、とにかく事前チェックをする。それは空輸で検体日本に持ってくるということになれば、韓国にあってそういうチェック体制が整っていなかったというふうに判断してよろしいのかどうか。
  154. 石川弘

    政府委員石川弘君) 向こうに能力があるなしと申しますよりも、私ども輸入といいますか、返還を受けるわけでございますので、私どもの方でそのサンプルをチェックする方がよかろうという合意になったわけでございます。合意と申しますか、そういうことで話を進めているわけでございます。
  155. 下田京子

    ○下田京子君 体制の話はちょっとまだはっきりしていないのですが、それはさておくことにいたしまして、厚生省にお尋ねしたいのですが、厚生省としては、事前チェックでのサンプル調査ということも当然だと思うのですが、日本の港に着いた時点でも検査なさる、これまた当然だと思います。そうした検査のためには、やはり何といっても韓国米でどういう農薬が使われているかなど、その使用状況等の情報が何よりもまず必要だと思うのです。さっきの御質問に対する答弁ですと、厚生省食糧庁に今その情報を依頼中なのだというお話でありましたが、もうちょっと詳しく情報の入手の状況がどうなっているか、お知らせください。
  156. 玉木武

    説明員(玉木武君) 今御指摘ございましたように、現在厚生省としましては、農水省を通じまして韓国米に使用されております農薬の使用状況について情報をとっておるところでございます。しかしながら、米については日本と余り違わない農薬を使用されているというような情報を農水省の方からいただいております。
  157. 下田京子

    ○下田京子君 詳しい情報は今まだ依頼中だけれども、大ざっぱに言うと日本と余り変わりないだろうというような話だと。  農蚕園芸局長にお尋ねしたいのですけれども、さっき食糧庁長官は、ここ数日中には交渉がまとまるというふうなお話でした。今また厚生省の方では、まだ確かな情報は得ていないけれどもということだったのですが、当然農蚕園芸局の場合には、国内における農薬使用規制ということが主な任務であると思うのです。何せ韓国米の農薬の使用状況という点は、単に向こうの話ではなくて、重大な関心を持って受けとめていると思うのです。  そこで尋ねたいのですが、韓国のそういう農薬の使用状況についてどうなっているか、あるいはさっきのあれですが、検査体制といいますか、チェック体制というのは韓国でどうなっているのか、同じ日本国内でそういう仕事を預かる局長としてどう把握されているのか、お聞きしたいわけです。
  158. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 具体的な情報につきましては、さらに食糧庁から詳しい資料等がいずれ得られるかとも思いますが、私どもの立場から、いわば農業技術的な視点から見ますと、韓国の場合にも、大体稲作なり稲作に伴います病害虫の実態がそう我が国とは違わないのではないか。例えばいもち病でございますとか白葉枯れ病でございますとか、紋枯れ病等のこういうようなもの。また、虫で申しますと、トビイロウンカとかセジロウンカのような同じような病害虫があるということでございますので、恐らく農薬使用の実態は日本とはそんなには変わらないだろうという感じを持っております。  なお、さらにつけ加えますと、これは最近少し韓国の中でも自国製で農薬をつくり始めておるようでございますので、若干日本から韓国への農薬の輸出は減ってはおりますが、日本で使われておりますものも輸出されておりますので、全体を見ますと使用の状態はそんなに変わらないのではないか、かように思っております。
  159. 下田京子

    ○下田京子君 とにかく詳しい情報はまだない、それで推測だがということで同じようにお述べになっています。それでちょっと心配なものですから、厚生省に再度お尋ねしたいのですが、もし正確な情報が得られないとした場合に一体どうするのだろうか、大変心配します。玄米については農薬の残留基準というものは決められていますね。現在は十二種類が決まっていますからこれは当然やると、さっきもお話がありました。それに今回問題になりました臭素残留についてもやりますね。そのほかチェックを必要とする農薬等は具体的にどんなものが考えられますでしょう。
  160. 玉木武

    説明員(玉木武君) ただいま御指摘がございましたように、国内産米に定められております残留の農薬基準十二項目に加えまして、米の規格基準に規定されておりますカドミウム、及び今回暫定的に基準が定められました臭素についても検査を実施したいと考えております。さらに、薫蒸剤としてその使用の可能性が考えられます燐化アルミニウムについての検査も行いたいと考えておりますが、必要に応じサンプル分析調査を行いまして、その安全性について万全を期してまいりたい、このように考えております。
  161. 下田京子

    ○下田京子君 食糧庁長官に再度聞きたいのですけれども、これは事前チェックはもちろんやりますね。同時に、今のように国内に入ってきたときに港の時点でこれは厚生省が独自の任務でまたやりますね。その際に、今お話しになったように、厚生省は国内の法規に基づいて検査する、それからまた必要なものもやる。こういうことで、これにはねられたら大変なことになるわけですから、そういう意味では同様の内容について事前チェックでもやられるというふうに理解してよろしいですね。
  162. 石川弘

    政府委員石川弘君) 検査の最終的な仕方はまだ両省で完全に固まったわけではございませんけれども、私どもがそういう事前チェックをいたしますのは、国内に入りまして問題にならないようにということでございますから、両省で協議をいたしまして、こういう項目はやろうということが決まった範囲につきまして当然事前チェックをやるつもりでございます。
  163. 下田京子

    ○下田京子君 ちょっと今の答弁は気になりますね。今さっきは数日中にもまとまるというふうなことでお話がありました。だけど最終的に国内ではまだ固まっていない。国内で固まっていないのに詰めているということになりますよ。ちょっとこれははっきりしませんね。  具体的なことでお聞きしたいのですけれども、スミチオン、これは商品名だそうですが、フェニトロチオンですね。この問題でお聞きしたいのですが、厚生省の農薬残留基準によれば〇・二ppmとなっています。ところが、国際基準によりますと一〇ppmということになっているのです。だけれども、これは当然国内の基準に準拠して行われるだろうと思うのですが、具体的にどうですか。
  164. 石川弘

    政府委員石川弘君) 私、実は一つ一つ項目はまだ勉強いたしておりませんけれども、私がまだ協議をしておると申し上げたのは、先ほど申しましたように韓国からの情報もすべて完全なものを受け取っているわけではございませんので、そういう面で安全を確認したものを入れるということを前提にして協議すべきことは協議をしているわけでございます。国内においてそれはむしろ処置すべきことでございますので、そういう意味で両省でいろいろな情報を得た上で相談をして、それでやって検査をするということでございますので、数日中にまとまるであろうと言っておりますことは、そういうことを当然前提にした、国内でこういう検査もする、こういうこともやるということを前提にしたまとまり方になろうかと思います。
  165. 下田京子

    ○下田京子君 国内基準を前提にしてやるということですね。簡単に。
  166. 石川弘

    政府委員石川弘君) 当然でございます。
  167. 下田京子

    ○下田京子君 では、この問題で最後にお願いがあるのは、情報の収集はまだ完全でないというお話でした。国民の皆さんは大変心配していますし、やはり五三米の安全性が問題で韓国米輸入ですから、それが安全であるかどうかというのは一大関心事ですから、その情報の公表をお願いしたいこと、同時に、韓国における農薬の使用状況とあわせて検査の中身、結果、これは当然公表されると思うのですが、その点についての御答弁
  168. 石川弘

    政府委員石川弘君) これは我が国のことでありますと同時に、韓国にも影響のあることでございます。私どもは国内の方々に御心配をかけないという趣旨でやるわけでございまして、そういう意味で、どういう形をとるかは別にいたしまして、国内の方々に御心配のないような姿で結論が出るようにやっていきたいと思っております。  それから、情報等につきましては、先ほど稲村先生からもいろいろ御指摘がございました。したがいまして、私どももそういうことの完全を期すためにいろいろな情報はさらにとっていくつもりでございます。
  169. 下田京子

    ○下田京子君 情報はとる、そしてとにかく国民にはきちっと報告もする、これは確約できますね。
  170. 石川弘

    政府委員石川弘君) これは韓国との関係もございますから、私が申しましたのは、私どもが国内で使用します限りにおきましては、それは安全なものということがお約束できるような形にやろうと思っております。
  171. 下田京子

    ○下田京子君 安全なものであるかどうかということはきちっと情報を出し、そしてまた国内基準に基づいてこういうものをこういう形で検査したということで国民に明らかにすることが安全の何よりの保証ではないですか。そうでないとしたら、これは重大な問題であるということを私は今回指摘するだけにとどめておきます。  さらに、この韓国からの輸入問題なのですけれども大臣は今後絶対韓国から輸入はない、今回限りだとお述べになっております。つまり、そのことは、五十二万トンの貸付米中に今回十五万トン輸入してきますから残り三十七万トンということになりますね。それは当然現金返済ということになるのだろうと思うのです。ところが前長官衆議院で、我が党の中林議員がこのことについて聞きましたら、残りの返還方法については、日本の国内事情を踏まえて韓国側と協議をして今後決めたい、こういうことを言っているのです。ちょっとわからないのです。つまり、五十五年の当分の間、現金返済のこの契約は生きているのか、それとも今回の十五万トンの現物返還で五十五年契約というのは破棄されたものと見るのか、どっちなのかということなのです。
  172. 石川弘

    政府委員石川弘君) 前長官がそう発言されておりますことは承知をいたしております。それはこういうぐあいに御理解をいただきたいと思います。我々の立場としまして大臣が申されたようなことで今後処理したいということでございますが、これはあくまで両国との間で決めてやることの性質のことでございます。したがいまして、我が方の気持ちだけでこれがすべて成り立っているわけではございませんので、相手方との話をしながらということを言ったのが前長官答弁でございます。私どもの方の気持ちは大臣が申し上げたとおりでございます。
  173. 下田京子

    ○下田京子君 そういう我が方の今回限りの措置ですよ、つまり五十五年に当分の間現金返済ということの契約があったけれども、今回現物でというふうに言ったこれは今回限りの措置でありまして、今後はそういうことじゃありませんよということをきちっと伝えてありますか。
  174. 石川弘

    政府委員石川弘君) これは相手国と交渉いたします際の基本的なことでございますが、あの基本条文自身、双方がそういうことをお互いに、条件が変わった場合に言えるというような条件がある文章でございます。したがいまして、何かの機会に今後一切相手国の意思とは無関係日本の国の意思だけで物事を決められるということではございませんので、私どもの気持ちは大臣が申し上げたとおりでございますから、そのように御理解いただきたいと思います。
  175. 下田京子

    ○下田京子君 二つの疑問点があるのです。一つは、日本の現物輸入は今回限りですよということで相手側にきちっと伝えていますか。それから二つ目に、それはしかし、双方との関係だというお話ですから、そうなれば場合によっては、日本は現物の輸入は今回限りだと思っていて相手に伝えても、韓国側が現金ではなくてやはり現物でということになったら、また輸入があり得るということですか。
  176. 石川弘

    政府委員石川弘君) 私どもは何かそういうことを期待したり、そういうことで今何か言い逃れのように言っているようにお聞きかと思いますが、そうではございませんで、こういう交渉事のときに相手の立場として、当然機能として行使し得ることを全部否定するようなことは申し上げられないということだけでございます。私どもの気持ちは、大臣がかねがね申し上げているとおりでございます。
  177. 下田京子

    ○下田京子君 それは明確じゃございません。だって、一番最初には現物で、ところが五十五年には、当分の間現金で、こうなっていて、それで今度は、いや現物でよこせと日本側は言ったでしょう。もう一切国内にあっては今回限りだとこう言っているのですから、そういう立場できちっと対応されて五十五年のところに戻るのかどうかというところをはっきりさせていかなかったら、交渉だって不明じゃありませんか。これは問題だと思います。
  178. 石川弘

    政府委員石川弘君) したがいまして、そういう相手方がどう言うかということは、私どもの方で、相手方はもうこうしかしてはいかぬということは申し上げられないわけでございますが、私どもの立場は、大臣が申し上げたとおりの形で行動をしていこうと思っております。
  179. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) もう時間が来ました。
  180. 下田京子

    ○下田京子君 最後に。あいまいです。やはり輸入に道を開くようなそういうあいまいさを残さない、そこをきちっとする、そのことを再度申し上げて、質問を終わります。
  181. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣にお尋ねいたします。  これまでのいろいろな質疑の中で、私から言わせてもらえば大臣最大級と申しますか、これ以上の決意を述べられる表現の言葉はないのではないかと思うほどの決意表明があったと思います。一例を申し上げますと、食糧の安定的供給、日本農業を守るのだ、そのためには不退転の決意をということをたびたび申されたわけであります。  そこで、もう一点確認しておきたいのですが、日本農政の抜本的見直しということについて、あれこれ詳しい例は無理かと思いますが、そういった抜本的な見直しということであれだけ国民を騒がせ、あるいは生産者農家を怒らしておるというこの情勢にこたえるためには、要望にこたえるためにはまずこれを、こういった観点からひとつ具体的という意味も含めてお聞かせ願いたいと思います。
  182. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生は今、農政の抜本的見直しということでございますが、最もこの基本とも言うべき米の生産力という問題は、潜在的には依然として需要を上回っております。今後とも水田利用再編対策の着実かつ的確な推進が必要であると考えております。本対策の推進につきましては、米の需給や作況等に応じた適切な需給計画のもとで弾力的な対応をしてまいることにしたいと考えております。特にゆとりのない今の需給計画というものは、もう少しゆとりのあるものにしていくというぐあいに考えます。  また、今後の農政のあり方につきましては、基本的には先般の農政審議会の報告等に即しまして中核農家の経営規模の拡大、優良農地の確保と農業生産基盤の整備、農業技術の開発普及等を推進することによりまして生産性の向上を図りながら農業の体質強化に努めてまいる考えでございます。  また、これらとあわせまして、近年のこの異常気象等に対応し得るたくましい稲づくりや健康な 土づくりの運動の推進、また地場産業の育成、都市、農村の交流等を通じて村の住民に就業と生きがいの場を与える豊かな村づくりも推進してまいりたいと考えております。  以上のような各般の施策を実施することによりまして、農業者が夢と意欲を持って取り組める農業の実現に努めてまいりたいというぐあいに考えます。
  183. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 必ず実らせてくださるよう期待をいたします。  次に、共同減歩について一言お尋ねしたいのですが、これは地域の特殊性といいますか、地域性によって共同減歩の率は考慮の可能性、余地がありますか。どうですか。
  184. 井上喜一

    政府委員(井上喜一君) 共同減歩につきましては、農業者が共同いたしまして利用する施設について、一部の者の負担のもとで用地を生み出していくというのではなしに、その施設を利用いたします者の全員が共同で土地を出し合って用地を捻出することが望ましい、こういうことで、圃場整備事業等を実施いたします場合にそういうような考え方で共同減歩をいたしておるというのが実情でございます。  それで、いろいろな場合によりまして対応は違うと思いますけれども、原則的に申しますと、地区内の農業者が主として利用する場合は、その用地のふくそういたしますような場合には、その地区内の農業者が全部の農地を出すということでございますし、その地区内の農業者が主として利用するものでない場合におきましてはその利用する割合に応じまして、その割合に応じた面積を超えない範囲内で捻出をしていくということを考えておりますので、減歩をいたします。その目的に応じまして、そこは地区内の状況に応じて権利者の会議で決まっていくものと我々は考えております。
  185. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 と申しますのは、今度の法改正によって生活環境施設用地も含まれてまいります。私がそれをお聞きいたしましたのは、沖縄の場合持ち前が非常に零細地である、そういう零細の土地の立場からも共同減歩ということは実際問題として非常に問題を醸しておるのです。それが今度のこの改正によってさらに生活環境用地もこれに含まれてくるとなりますると、いよいよ問題が増大してきまして、その拠出する面積がますます増大することになる心配が十分考えられるので、それで地域の実態に即した共同減歩の指導をどうしても適材適所といいますか、弾力性を持たしてその地域に即する配慮がなければ結果的には、角を矯めて牛を殺すという言葉もありますが、そういうことになりかねない、こういう不安を持つものですからそれをお聞きしたわけなのです。今の御説明では、やはり地域に即する配慮が可能であるということですので、ぜひ沖縄の場合はそういう御配慮を特にお願いしておきたい。よろしくお願いいたします。  次に問題は、第三次の土地改良長期計画に対する対応について、これも大変に期待が大きいだけに内容的には非常に難しい問題が絡んでおると思われてなりません。ということは、財政的な厳しい背景があるわけなのです。そうして、そういった情勢の中で進捗しておる状況も必ずしも安心できる、手離しで喜べる状態ではないわけなのですから、そういう状況を踏まえて、間違いなくその所信、目的に向かって進んでもらわなければいけないと思うのですが、今後どのような施策で推進をしていこうと決意しておられるのか、あるいは考えておられるのであろうか、そのことをお聞きしたい。
  186. 井上喜一

    政府委員(井上喜一君) 今御指摘のとおり、第三次土地改良長期計画の計画事業量は約三十二兆八千億となっております。現下の財政事情考えますと、これの実現は極めて厳しいものがございますけれども、土地改良長期計画の場合は、五十八年度から五十九年度までの二年間の進捗率が事業費ベースで一一%となっております。厳しい財政事情のもとにありますけれども、農業基盤整備事業はやはり構造政策の基本的な部分でございますし、今後の農政の課題にこたえていくために必要な投資規模でもございますので、今後とも計画の達成に向けて努力をしてまいりたいと考えます。  また、農業基盤整備事業の実施に当たりましては、事業効果の早期の発現及び事業の効率的推進を図ることが必要と考えておりまして、このために、まず第一に、新規事業の採択につきましては極力抑制し、継続事業の着実な推進を図ることといたしたいと思います。また、国営事業等によりまして基幹的な施設の整備が進んでおります地域につきましては、圃場事業等の関連事業を優先的に実施いたしまして、効果の早期発現に努めたいと考えております。圃場整備等につきましては、また、原則にとらわれないで、地域の実態に即して事業費をできるだけ抑えるような指導もしてまいりたいと考えております。  なお、沖縄県につきましては、基盤整備の状況が本土に比べてなお不十分な点もございますので、採択基準あるいは補助率、予算等について特別の優遇措置を講じているところでございまして、今後とも積極的な事業の推進を図ってまいりたい、このように考える次第でございます。
  187. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これまた、それこそ不退転の決意が期待されるわけでありますので、大臣、そのおつもりで頑張っていただきたいと思います。  次に、米の備蓄と安全性については先ほどお話がありますので、私は重複を避けたいと思うのでありますが、まず最初に、沖縄の米対策については政府はどのような見解を持っておられるのかをお聞きしたい。
  188. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 沖縄の地域的な特性と申しますと、亜熱帯地域でございまして台風常襲地域であるというような特性から、御承知のように、作目につきましてはサトウキビ、パイナップルを主要作目としまして、これに畜産、野菜も加えました非常に多様性のある農業が展開されているわけでございます。その中で稲作の状況は、これは先生よく御承知のことでございますが、年々面積が減少を続けておりまして、特に水田利用再編対策におきましては、御承知のように、沖縄の場合はいわゆる割り当てをしておらないわけですけれども、これが非常に減少しまして、特にその大部分がサトウキビにかわっておるというようなことでございます。その地域的な条件もございますし、沖縄の農家の方々の作目選択という面から見てもなかなか稲作を伸ばしていくということは難しいのではなかろうか、かように考えております。もちろん、農家の意欲があり、また条件の合いますところでは稲作ができますように、基盤整備でございますとか、いいものの品種を普及しますとか、それから栽培技術を沖縄に合ったものを普及していくとか、こういう対策等は進めていく、かような考えを持っております。
  189. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私が備蓄対策、安全性を特に重視しておりますのは、今おっしゃったように、もっと数字的に申し上げますと、沖縄県の米の自給率はたった三%なのです。九七%は移入に頼っておるわけなのです。ですから、本土の備蓄米がどのような形で安全に、完全に備蓄されておるか、確保されておるか、このことがはっきりしませんというと、これまた今までの安全性の問題という、危険、不安が起こる可能性があるかもしれない。でありますから、そこをはっきり−他県の旨さんとも違うのはそこであります。  たった三%、しかも、今おっしゃったように年々減少して、昭和四十年の需要量が十万トン、四十六年が八万三千トン、五十六年が七万三千トンに対して、自給量は、四十年が二万五千トン、そして五十六年が二千百九十トンと、まさに十分の一に減少しておるわけです。ですから、こういう状態に対して、国は沖縄に対してどういう米作の考えを持っておるのであるか。また、移入に頼る米は、そのものが、備蓄そして安全に貯蔵された米でなければ安心して食べられないわけでありますから、そういうことを思うとこれはよそ事ではない、こう思ってあえて聞くわけであります。その点ひとつ心配のないように十分裏づけていただきたい、特に念頭に置いていただきたい。  それと関連しまして確認したいことがございますが、最近、琉球大学の新城教授が多収穫米のすばらしい品種をつくり上げておるのです。これに対して政府はどのように理解しておられるか。また、そのことに対して、これを全日本の米作の立場からどのように考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  190. 櫛渕欽也

    政府委員櫛渕欽也君) 超多収米の開発のためには、一代雑種によります雑種強勢の利用というものが大変有効であろうという考え方は前からあるわけでございます。しかしながら、稲などの自家受精作物といったものにおきましては、これまで一代雑種の採種が大変困難でありましたために、その一代雑種利用というものがほとんど可能性がないのではないかというふうに考えられてまいりました。  こうした状況の中で、ただいまお話のありました琉球大学の新城教授が細胞質雄性不稔系統の開発とその利用によりまして稲の一代雑種品種の実用化の端緒を開かれたわけでございまして、この点につきましては私ども深く敬意を表しておるわけでございます。農林水産省といたしましても、現在超多収稲の開発とその栽培技術の確立、そういったプロジェクト研究を進めておるわけでございますけれども、この中で新城教授の御協力をも得ながら、同教授の開発された細胞質雄性不稔系統といったものを利用した一代雑種品種の開発を目下精力的に進めておる状況でございます。
  191. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひこのすばらしい研究成果を日本の稲作奨励のために、発展のために見守って、また激励をして生かしていただきたいということを要望いたしておきます。  次に、沖縄で今農業振興の面から困っておる、これも他県に例のないことと思っておりますが、実は遊休地が狭い沖縄の土地にいっぱいある。基地も災いしておるわけですが、残っておる土地でさえも遊休地が非常に率が高い。何とかしてこの土地を国の力によって買い上げてもらって、それを農業者に譲渡する、与えるということを考えてもらえないかという、これは要望を兼ねての質問であります。  といいますのは、この遊休地の面積が四千六百二十九ヘクタールあるわけなのですが、それを分析してみますと、農外資本、特に北部、八重山の地域に多いのですが、全体の九〇%を占めておるわけなのです。この地域が沖縄の復帰の前後、海洋博の前後にかけて、本土の土地ブローカーが乗り込んでいってどっさり買い占めて、今不毛の土地にしておるわけなのです。  この遊休化した土地をさらに分析してみますと、一年から五年以内遊休地としてほうってある五百三十六ヘクタール、約一一・六%、それから五年以上ほうっておるものが四千九七二ヘクタール、実に八八・四%を占めておるのです。ほとんどの遊休地が永年遊休地の形で放置されておるということなのです。これを何とか生産の土地にしたいというのが沖縄の農民、特に若者に強い要望があるわけなのですが、個人の力ではどうにもならない。これを国のお手を煩わせてもらって、ぜひひとつ手続上は国が買い上げて、それを農業者に売り渡す、こういう方法で何とか生産の土地に生かしていってもらいたいということなのですが、大臣、いかがでしょうか。
  192. 井上喜一

    政府委員(井上喜一君) 先生指摘のような遊休地があるということでございまして、我が方は的確な数字は把握していないわけでございますが、そういう遊休地があるのは事実でございます。未墾地の形態のものもございますし、今先生が言われましたような既墾地の場合もあるようでございます。未墾地につきましては、農地法によります買収規定はありますけれども、現在この規定を適用いたしまして強制的に買収するということはとっておりません。それだけの必要性、緊急性が乏しいということでございます。しかし、農用地保有合理化法人というものがございます。沖縄県におきましても農用地保有の公社がございます。この公社を通しまして既耕地なりあるいは未墾地を買い入れまして、意欲のある農家にそれを売り渡していくということをやっておりまして、今後はこういう制度を積極的に活用いたしまして対応していくことが望ましいのじゃないか、このように考える次第でございます。
  193. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 喜屋武さん、時間になりました。また次の機会に、時間が来ましたから。
  194. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 十六分ですよ。あと二分ある。じゃ急ぎます。間違いなくこう来ておりますから。  今の件ですね、ちょっと即答は御無理かと思いますが、ぜひひとつ研究していただいて、具体化していただきたいということで、返事は要りません。  最後に、例の沖縄の松くい虫駆除の方法が…
  195. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 喜屋武さん、時間になりましたから。
  196. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 二通りの賛否両論がありまして、やれと、やめてくれと両論ありますが、それに対する具体的な見解をお願いをしまして、時間ですので終わります。ぜひそれをお答えください。
  197. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 松くい虫防除につきましては、沖縄県におきます琉球松の重要性にかんがみまして、私どもは空中散布の方法によりまして特別防除いたしておりますが、この際にはよく環境関係の部局とも連絡をとり、また地元住民の意見も聞きまして、現在貴重な原生動植物の生息地であるとか、学校、病院等の周辺は避けるとか、あるいは水田地を除外するというような万全の注意を払いながら環境保全に注意をしているところでございまして、特に沖縄におきます琉球松の重要性からは、松くい虫を避けるためにはやはり空中散布は絶対必要だというように考えておりまして、関係住民の方々の意見も十分聞きながら実施しておるという状況でございます。
  198. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 本件に対する質疑は本日はこの程度といたします。     —————————————
  199. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 次に、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を趣取いたします。山村農林水産大臣
  200. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  この法律案は、農林漁業団体職員共済組合による給付に関し、恩給制度、国家公務員等共済組合制度その他の共済組合制度の改正に準じて、既裁定年金の額の引き上げ等による給付水準の引き上げ等を行おうとするものであります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、退職年金等の年金額の算定の基礎となった平均標準給与を、昭和五十八年度の国家公務員の給与の上昇率を基準として引き上げることにより、年金額の増額を行おうとするものであります。  第二は、退職年金等についての最低保障額の引き上げであります。これは、恩給制度の改善に準じ、退職年金、遺族年金等に係る最低保障額を引き上げようとするものであります。  第三は、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げであります。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  201. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 以上で趣旨説明は終わりました。  次に、補足説明を聴取いたします。後藤経済局長
  202. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 昭和四十四年度以後に おける農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。  この法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  第一は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、昭和五十八年三月三十一日以前に給付事由が生じた退職年金、減額退職年金、障害年金、遺族年金、通算退職年金及び通算遺族年金につきまして、その年金額の算定の基礎となった平均標準給与を、昭和五十八年度の国家公務員の給与の上昇率、平均二・〇%を基準として、旧法組合員期間に係るものについては昭和五十九年三月分から、新法組合員期間に係るものについては同年四月分から引き上げようとするものであります。  第二は、最低保障額の引き上げであります。これは、退職年金、障害年金及び遺族年金につきまして、年齢及び組合員期間の区分に応じ、その最低保障額を昭和五十九年三月分から引き上げるとともに、遺族年金については同年八月分からさらに引き上げようとするものであります。  例えば、六十五歳以上の者の退職年金の最低保障額については、昭和五十九年三月分以後七十九万二百円から八十万六千八百円に引き上げることとしております。  第三は、標準給与の下限及び上限の引き上げであります。これは、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額につきまして、その下限を農林漁業団体職員の給与の実態等を考慮して七万五千円から七万七千円に引き上げるとともに、その上限を国家公務員等共済組合制度に準じて四十四万円から四十五万円に引き上げようとするものであります。  このほか、所要の規定の整備を図ることとしております。  以上をもちましてこの法律案の提案理由の補足説明を終わります。
  203. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十二分散会