○上野雄文君 私は、ただいま議題となりました案件につきまして、
日本社会党を代表して、
政府提出の一部改正
法律案に反対をし、同法案に対する
日本社会党の一部修正案に賛成の
立場で意見を述べたいと存じます。
二十一世紀における人類の課題は、平和な国際環境づくりと資源、自然環境問題だと言われています。その意味では、
森林の持つ人類に与える公益的な
機能はより評価されなければなりません。木材の生産、
水資源の涵養、大気の浄化、自然災害の防止、緩和、自然環境の保全と保健休養の場の提供など、
国民生活にとって不可欠な資源であることは、この
法律の審議の過程で明らかになったところでありまして、
政府並びに各党ともその点では意見が一致するものと思います。
そこで、資源小国と言われる我が国ではありますけれ
ども、その
森林資源はまさに唯一の再生可能な資源であり、十年後には国産材時代が来ると言われているように、木材の自給率は飛躍的に向上すると言われています。今こそ
森林の果たす公益的
機能を高めるという
国民的な要請にこたえ、国家百年の大計のもとに我が国の
森林、林業とその中核である
国有林事業の民主的な再生と再建策を確立しなければならないと考えるものであります。
しかるに、本
委員会で審議した
国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する
法律案は、林政審でも、「新たな政策展開なしには、
昭和七十二年度までの
収支均衡の達成は困難である」として、財政
措置及び
一般林政などの施策の
充実強化を提起しているにもかかわらず、七十二年度
収支均衡を掲げ、それは目標ではなくて、それまでのプロセスとしての数字的な長期収支試算も明らかにされず、それは決意と願望という形であることが明らかにされています。
そして、その中身は、
改善期間の延長と退職金に関する
資金対策づくりだけの
改善策であって、何ら抜本的な打開策を持たないまま対応するにとどまっているとしか言えないのであります。これでは再建はおろか、七十二年の
収支均衡は到底おぼつかないと考えざるを得ません。そして、
政府案では、当面の自助努力のみの
改善策に追われ、結局、
国有林野の再建どころか、ますます手抜き
施業による
国有林野の荒廃を招き、そのツケを後に回す愚かな施策と言わざるを得ません。
今
国有林野事業の再建、
充実のために緊急に必要なことは、我が国の
森林、林業の中核的存在である
国有林野事業の使命、役割の総合的な発揮ができるよう明確に位置づけるとともに、
国有林野資源の
充実、
保育重視、これらの計画的な
施業の遂行、
国有林野事業の使命達成にふさわしい
事業の実行形態及び運営のあり方、使命達成に必要な機構、要員の
確保充実、財政
措置についても、抜本的な見直しを図らなければなりません。
日本社会党の修正案は、まさに
国有林野事業の
改善計画を抜本的に見直したものであります。
すなわち、まず趣旨の中に、公益的な
機能の維持増進、
山村地域の振興等の修正をすることは、
国民の
森林資源の
充実を求める声が高まっているときだけに、時宜に適したものと言わざるを得ません。
林政審答申では、
国有林野事業の公益的
機能の強化を強調しています。また、
改善計画を七十二年度までとし、
森林資源の
整備、そして必要な
資金の
確保を盛り込んだことは、
国有林野事業の使命達成の上で当然のことであり、
資金計画のない
改善計画では絵にかいたもちと言わざるを得ません。
また、
一般会計から特別
会計への繰り入れについても、
治山事業を初め、
森林保全
管理、
レクリエーション事業など、当然
経費として繰り入れることは、非経済林、公益的
機能を十分に発揮できるようにするために絶対に必要な
経費であります。
また、借入金に対する償還
期間の延長、借入金の利子補給など、民有林並みの
措置をとるべきであり、
国有林野事業が赤字になるのは、これらの財政
措置がとられていないからだと考えるものであります。
社会党提案の修正案が仮に満場一致で決定された場合でも、
国有林野の
改善はなお厳しいことには変わりはありません。ただ、これらの
措置がとられることにより、
国有林野事業に命をかけている
人たちの一層の励みが、この
事業改善の大きな力になることは間違いのないことだと私は考えるものであります。今ほど、木材は輸入できても、
森林は輸入できないという言葉をかみしめる必要なときはないと考えます。
以上、私は、
政府提出の
国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する
法律案に反対の意見を述べ、同
法律案に対する
日本社会党提出の修正案に賛成の意見を述べた次第であります。各位のよりよき山をつくる社会党の修正案への御賛同を願ってやみません。
なお、我が党は、
保安林整備臨時措置法の一部を改正する
法律案及び
国有林野法の一部を改正する
法律案については賛意を表するものであることを申し述べまして、討論を終わります。