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1984-04-24 第101回国会 参議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十四日(火曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 寛三君     理 事                 川原新次郎君                 北  修二君                 最上  進君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 浦田  勝君                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 坂元 親男君                 高木 正明君                 竹山  裕君                 初村滝一郎君                 足  長治君                 水谷  力君                 森田 重郎君                 稲村 稔夫君                 上野 雄文君                 菅野 久光君                 刈田 貞子君                 鶴岡  洋君                 下田 京子君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   山村治郎君    政府委員        農林水産省食品        流通局長     小野 重和君        林野庁長官    秋山 智英君        林野庁次長    後藤 康夫君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        国土庁地方振興        局過疎対策室長  仁科 英麿君        文部省初等中等        教育局教科書検        定課長      小埜寺直巳君        林野庁指導部長  高野 國夫君        林野庁業務部長  田中 恒寿君        労働省労働基準        局安全衛生部安        全課長      加来 利一君        労働省職業安定        局特別雇用対策        課長       矢田貝寛文君        建設省河川局開        発課長      志水 茂明君        建設省道路局企        画課長      鈴木 道雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国有林野法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案国有林野法の一部を改正する法律案及び国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 菅野久光

    菅野久光君 今緑や森林に対する国民的な関心が非常に高まりを見せております。森林が果たす国土保全水資源涵養そして保健休養などの公益的機能維持発揮への国民的な要請がかつてなく高まっておりまして、今後このことについては一層強まってくるものというふうに思っております。  今日、地球的規模森林危機が叫ばれ、先日のNHKのテレビ放映でも、国際的な有識者が二十一世紀への展望を諮る中で、人類生存最大危機として、地球上、特に南半球地域森林消失が挙げられています。今、朝日新聞の「守ろう緑追いつめられる動物海外の現場から」という連載記事にもありますように、動物生態系にも大きな変化をもたらせつつあります。このことはまた、人間生存にとっても重大な影響を与えるというふうに思います。政府は、こうした国際的な二十一世紀への予測に関してどのような認識を持っておられるのか。数字的なこともわかれば、そのことも含めてお伺いをいたしたいと思います。
  4. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 世界森林資源につきましては、ただいま先生からお話ございましたが、近年急速に亜熱帯、熱帯林減少について、これが指摘をされておるところでございます。これにつきまして、FAO並びUNEP、これはFAOは御承知国連食糧農業機関でございます。それからUNEP、これは国連環境計画熱帯林資源評価調査というものを一九八二年に実施されていますが、これによりますと、一九七六年から一九八〇年におきまして年間約一千百十万ヘクタールの森林消失したというふうに報告されているわけでございます。将来の世界森林資源展望予測につきまして、我が国政府がこれを行ったものはございませんが、今申し上げましたFAO並びUNEP調査によりますと、一九八一年から一九八五年の間にわたりまして年間で約一千百三十万ヘクタールの熱帯林減少があるだろうというふうに予測をされておるわけでございます。  また、一九八一年に米国政府が発表いたしました「西暦二〇〇〇年の地球」という、この中におきましてやはり森林資源問題に触れているわけでございます。このレポートによりますと、まず第一といたしまして、先進国につきましては面積蓄積ともに若干の減少はあるように見通されておりますものの、ほぼ現在の水準が維持されるだろうということを言われています。一方におきまして、熱帯林を中心としました開発途上国森林面積につきましては、移動耕作あるいは薪炭材の採取というふうなことが主たる要因のように言われていますが、年間一千八百万ヘクタールから二千万ヘクタールの減少が見通されているわけでございまして、西暦二〇〇〇年までにこれらの地域森林の約四割が消滅するだろうというふうなことがこれで指摘されているわけでございます。そこで、この世界森林面積は今後二十年間に全体の二割が消滅するだろうと、非常にこれは重大な予測と相なっているわけであります。  そこで、特にこの開発途上国におきます森林減少と申しますのは、やはりこの地域におきます住民の基礎的な生活物資でございます燃材の不足の問題、あるいは農業生産環境悪化等によって大きな影響をもたらすわけでございますが、同時にもう一つ重大なことは、やはり地球的規模での生活環境悪化という問題が非常にこれは懸念されるところであります。  そこで、我が国といたしましては、これまでも林業協力分野、特に森林造成という分野でいろいろ技術協力なりあるいは資金協力などをしてまいっておるわけでございますが、これからも熱帯地域森林資源造成保全に積極的に寄与していきたいと思っております。  現在やっていますものを若干申し上げますと、プロジェクト方式技術協力によりまして、特に森林資源造成保全に関する技術移転を主な内容としますところのプロジェクトフィリピンインドネシアそれからタイパラグアイ、ブラジル、ペルーと六カ国でいたしておりまして、現在四十五名の専門家をそれぞれの国に派遣をしておるわけであります。  それから二つ目としまして、開発調査実施ということでありまして、これは森林造成計画を作成するということ、あるいは森林資源調査ということを目的としました基礎的な調査マレーシアそれからパナマ、パラグアイ実施をしております。  それから、開発協力事業実施ということで、これはフィリピンマレーシアタイパプアニューギニア等民間企業の行った林業開発事業を支援しているという問題。  それからもう一つは、やはり今後の技術移転をするために大事な研修員の受け入れの問題がございますが、これまでインドネシアフィリピンパラグアイ、ケニア、中国という各回から百九十四名の研修生を受け入れて技術研修をしているわけでございますが、これからもこういう問題につきましてはさらに積極的に取り組んでまいりたい、かように考えておるところであります。
  5. 菅野久光

    菅野久光君 ただいまの長官の答弁のように、今我が国外材をかなり輸入して、これは後からの論議になるわけですけれども、一九七八年から二〇〇〇年までの予測で、今のお話のように、この期間の面積増減率ラテンアメリカマイナス四〇%、アジア太平洋地域で四九・九%、約五〇%ですね。それから、蓄積で同じくラテンアメリカでは四二・六%、アジア太平洋地域で五〇%もマイナスになる、大変な状況になってくるという予測がある。このことをやはり私ども前提に置いてこれからの林野行政のあり方というものを考えていかなければならないのではないかというふうに思っています。そのような地球的規模での森林消失が今日の地球上の異常気象要因にもなっているというふうに言われています。政府はこのような事態が本当に、先ほども若干触れられましたけれども人類生存生活環境にどのような変化をもたらすのか、しっかり認識をしてやってもらわなければならないというふうに思うのです。その辺の認識はいかがでしょうか。
  6. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 今の御指摘は極めて重要な問題であると思いますが、特に熱帯林森林造成問題で現在いろいろと問題があります。一つは、熱帯降雨林更新方法というのが必ずしも確立されていないという面が実はございます。これをやはり解明しなきゃならぬという課題がありますし、もう一つは、東南アジアはいわゆるラテライト系の土壌でございますので、皆伐した跡地が早期にこれはフムスが分解いたしましてエロージョンを起こすという問題がございますので、こういう地域森林造成にはまず豆科植物から植えながら、だんだんと有用植物を植えていくというような、そういう技術体系等も現在研究をしています。  もう一つは、やはり食糧増産で、例えばフィリピンですとカインギインという移動耕作民が二、三年耕しては移動していくと、跡が結局荒地になるということでございますので、移動耕作をとめるためには、そこに森林造成というような働く場をつくりながら、そこで地域皆さん森林をつくっていくというそういう体系をつくらなきゃいかぬということで、現在フィリピンインドネシア等ではそういうような形で各国の営林署の皆さん林野庁技術者とが一緒になりましてやっているというように、これは最近だんだんとそういういい傾向が出てまいっております。いずれにしましても相当広大な面積でございますので、今後進めてまいりますには、実験林造成からさらに今度は事業的な規模への森林造成にどう持っていくかということを、それぞれ現在話し合いをしているところでございます。特に先ほど開発途上国につきましては、現在二千万ヘクタールぐらいの森林面積がなくなっていく、大変なことでございますので、これは積極的に技術協力その他各種の協力をしていかなきゃならない、かように考えておるところであります。
  7. 菅野久光

    菅野久光君 先進国であり、また木材を多く輸入している日本として、技術援助の問題も含めて、まさに地球的な、人類的な立場でこれからもそういう面について努力していかなければならないのではないかというふうに私も思っているわけで、その点については、なお一層真剣に取り組んでいただきたいというふうに思っております。  我が日本列島においても、この狭い国土に多くの人口を擁して資源小国と言われるわけでありますが、資源と環境問題は二十一世紀への最大課題というふうに見なければならないと思います。現在、我が国は、木材需要の多くを外材輸入に依存してきているわけで、先ほど世界的な森林消失という事態の中で、これまでのような安易な外材依存は見直さなければならないというふうに思います。  そこで、国内森林資源維持培養最大優先して、環境維持木材自給率を高める方向への政策の転換が緊急課題となっているというふうに思うわけでありますが、この点の基本認識をお伺いいたしたいと思います。
  8. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 我が国におきましても、戦後の人工造林地が、先生承知のように約一千万ヘクタールでき上がりましたが、その過半数が間伐等の保育をしなきゃならぬという実態があるわけでございますので、私どもは今後やはり将来、二十一世紀におきまして、健全な森林資源をつくっていかなきゃならないということで、鋭意努力しているわけでございます。一方におきまして、我が国木材需要でございますが、その大宗を占めています住宅建設減少しておりますし、また、木造率も低下しているということでありまして、五十八年には全体で九千万立方メートル程度の木材需要に相なっているわけでございます。  このような中におきまして、国産材振興を図るためには、まずもちまして質的な面と量的な面と両面におきまして安定的に計画的に供給し得る体制整備していくことが極めて私は大事だろうと思います。そういうことで、まず一番大事なことを考えますと、造林林道等基盤整備をさらに一層積極的に進めていくと同時に、制度金融ども活用しまして、この基盤整備にさらに努めていかなきゃならぬわけでございます。そういう観点から特に私ども五十九年度におきましては――五十八年から始めておるわけでございますが、国産材安定供給特別対策事業と申しますか、地域の川上の森林所有者方々、それから素材生産方々、川下の木材流通あるいは製材加工する方方、もちろん関係市町村長さんも入りまして、全体でその特徴を生かした形でその地域立地条件に合った国産材を安定的に供給できる体制を進めていくということがまずは大事だろうと思います。  それから、五十九年からさらに今度は地域におきますところの木材産業活性化を図るために、実は五十七年、五十八年二回にわたりまして、将来の木材需要等関係から見てまいりまして木材関連産業再編整備ということで少し合理化を進めてまいったわけでございますが、五十九年からは今度は前向きにこれを取り組みまして、木材団地等におきまして製材工場木工場も、あるいはチップもあるいは木工家具をつくる事業、いろいろな団体、業界がございますが、それらの関連する事業体をそういうところに集めまして、生産方式合理化させるということでコストダウンを図っていこうというような考え方から、木材産業拠点整備緊急対策事業というものをことしから進めていこうと思っております。  それから、もう一つ、この木材事業を拡大するということでまず考えていかなければなりませんことは、やはり需要者方々木材について御理解をいただく、木材のよさを理解していただく、木造住宅人間生活と申しますか、生活上のよさを御理解いただくというような画で、大工、工務店方々やあるいは消費者に対しまして、これは一般方々に広く木材利用について御理解をいただく、普及啓発をしていく、こういうことから木材普及センターをつくるとか、あるいはそのほかのそういう意味での勉強をしてもらうとか、いろいろそういうことを内容としております木材利用促進体制整備事業というものも始めたいと考えておりますが、これは事業対象ともなります一般方々に、木林の利用をより一層御理解された上で活用していただくという、そういうふうな取り組みをこれからやってまいりたい。かような方法をとりながら木材需要を拡大し、国産材需給率を高めていこうというようなことで考えておるところでございます。
  9. 菅野久光

    菅野久光君 木は植えたらすぐ役に立つというものじゃない。それだけに先を見通した政策というものは極めて大事になってくるというふうに思いますので、いわば英知を集めて政策をつくり、そうして国内森林資源維持培養ということに当たってもらいたいというように要望しておきます。  ところで今日、森林林業問題についてさまざまな声が高まって、国民的関心が大きく広がっていくことは大変結構なことでありますけれども、緑の森林についての重要さは各方面で強調され、中曽根総理も花と緑ということを言っておられます。しかし、どうもムード的、情緒的なものに流されて、いま一つ政策的な基礎を持って言われていないのではないかというふうに思われます。この間の予算委員会での質疑の中でも、花と緑という中曽根総理発想緑化推進連絡会議等での発言でも、いわば箱庭的発想とでも言いましょうか、本質的な緑化、いわば森林重要性についての認識が違うのではないかというふうに私は思わざるを得ないのです。もちろん都市緑化ということも大事なことではありますけれども、今日国土緑化として重要なことは、都市部の水問題も含めた生活環境問題として上流域の山の森林をどうするか、このことが非常に大きな問題だというふうに思いますし、このことについての政策的なものが提起されなければならないというふうに思うわけです。政策的内容のことは後ほど論ずるにいたしましても、まずこの点の見解を承っておきたいというふうに思います。
  10. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 森林林業をめぐる厳しい情勢のもとで山の緑の造成、そしてまた整備を進めていくためには、何といっても国民理解協力のもとでこれを行うということが極めて重要であると考えております。そのために、引き続き各般にわたる林業施策推進に努めるとともに、国土緑化運動展開等により国民緑化思想の高揚に努めてまいっているところでございます。特に昭和五十八年度から、政府が決定いたしました緑化推進運動実施方針に即して国有林における部分林制度や、民有林における分収育林制度等の活用による国民の参加の森林づくりを進めてまいっておるところでございます。今後ともこれらの施策を通じて、国民理解と御協力をいただきながら山の緑の造成整備推進してまいりたいというぐあいに考えております。
  11. 菅野久光

    菅野久光君 こういうところで言えばそういう形になるのですけれども、どうもやられていることは、町の中に、庭に木を植える、街路樹を植えるということに何か力点が置かれ、そしてそのことがいかにも緑化運動をやっているのだという、そういう形でとらえられがちなわけです。しかし、今本当に人類的な面で、そして日本の将来のことを考えていったときに、もちろんそのことも大事だけれども先ほども言いましたように、上流域のいわゆる山の森林というものをどうしていくかということが大事だというふうに私は本当に思っておりますので、そういう点で林野庁大臣、ひとつ頑張っていただきたいというふうに思います。  そこで、今日各方面森林林業問題についての主張見解がいろいろ出ています。その中で、ぜひこの際、政府の統一的な見解を伺っておきたいと思うのは、自然環境保全という立場から森林は極めて重要な役割を果たしていることは論議の余地がないほどはっきりしているわけですが、この森林の持つ公益的機能最大発揮させていくためにはどうするかという問題、この問題が非常に何か一致されていないのじゃないか。  ある一部の極端な意見では木を一本も切るな、道もつけるなという、これは極端な言い方であるけれども、そのような見解もあります。これはこれまでの森林生態系を無視した過伐、乱伐に対する批判として出てきている部分もあって、その限りではその主張はうなずけないわけではない。しかし、自然のままに放置しておくことが森林公益的機能を維持することになるという見解であるとすれば、これは森林対象として営まれている林業そのものが否定されかねない。  また一方、林業経営を重視する立場からは集約的施業ということで、大面積の皆伐、画一的な単一樹種植林という方向をたどって、これまた森林公益的機能維持発揮という面で問題が出てくる。せっかく植林して人口林を仕立ててみたものの、昨今の自然保護要請に基づいて、伐採時期が来ても一斉皆伐するわけにもいかず、部分的区画皆伐か、択伐による複層林にしていくしかなく、これは林業経営省にとっては大変な手間暇のかかるものとなってまいります。これは特に国有林野の山の扱いでは重要なものとなってきていると思います。また他方では、森林自然回復力を持っているのだから、木を切っても、跡地への植林をしなくても天然森林は育っていくという見解もあります。確かに我が国気候風土の事情のもとでは、森林天然回復力を持ち一定の森林形成は図れるかもしれないが、これでは良質な森林をつくり木材を採取するという林業経営が成り立たないし、森林公益的機能を十分に発揮せしめることにはならないというふうに思うのです。このように、今日森林対象として自然保護という問題と林業経営という問題が一見対立しているようにも思えるわけです。  森林は、林業という適切な営みの中にこそその機能が保たれること、林業はまた森林資源の適切な維持培養を通じてなし得るものであること、さらにまた、林業山村林産業活性化なくして成立し得ないものだというふうに考えるわけでございますが、さまざまな見解が出ているだけに、この際政府見解を伺っておきたいというふうに思います。
  12. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 森林は、ただいま先生から御指摘がございましたように、木材生産の場であると同時に、国土保全水資源涵養保健休養の場の提供、自然環境保全形成といろいろの役割を持っておるわけでございますが、これらのいろいろな機能を高度に発揮していくためには、やはり人手を加えまして、活力ある健全な状態で維持造成することによりまして初めて発揮をできる、これが基本だろうと私どもは考えております。森林そのものは今先生からお話がございましたが、やはり生態系に立脚した再生産可能な循環資源であるということが非常に重要なポイントでございまして、我が国のように資源小国におきましてはこの森林資源循環資源として有効に、最高度に利用するということは私は極めて重要だろうと思います。その一環としまして、林業活動を活発化して健全な森林の確保が図れるものである。と申しますのは、やはり山村活性化林業活性化があって適正に森林が管理され、森林の持っております諸機能が十分に発揮される、こういう前提で私は森林の取り扱いを考えていかなきゃならない、かように考えているところであります。  現在森林資源基本になっております計画は、森林資源に関する基本計画でございますが、私どもはこれにおきまして森林機能整備目標を示しております。その整備目標に向けまして森林計画制度であるとか、あるいは保安林制度等をうまく活用しまして進めておるわけでございますが、当然自然環境保全には十分配慮して、森林の持っています多面的機能を高度に発揮しようと考えておるところであります。もちろん学術参考林というようなところについては、これはやはり生態系植生連続がどうなるか、いろいろ学問的なものはございますが、こういうとこちは当然そのままでいきますが、一般森林等については、機能を高めるためにはいろいろの手を加えながら高度発揮するということが極めて大事だろうと思っております。  私どもそういう考え方に立ってまいりますと、林業と申しますのは、自然のこれは保全と申しますか、保全とは対立すべきものじゃなくて、むしろ林業生産活動を活発に行い、適正に管理しながら、両者を調和させながらやっていくということが私ども林業基本でなければならない。かように考えておるところでございます。
  13. 菅野久光

    菅野久光君 大臣、今の長官見解でよろしゅうございますか。
  14. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 長官の言ったとおりでございます。
  15. 菅野久光

    菅野久光君 自然保護とそれから林業生産活動は調和させていく、そこのところを一歩間違うと将来にやはり大きな問題を残していくということで、慎重にこの種の問題については扱っていただきたいというふうに思います。  大体基本的なことについて聞いて、大分長官は懇切丁寧はいいのですけれども、一定の時間がございますので、次からはできるだけ簡潔にお願いをいたしたいというふうに思います。  そこで、以上の基本認識の上に立って、我が国森林林業全般について、特に国有林野事業の今日の経営悪化は、林政審答申でも指摘しているように、我が国森林林業全般をめぐる状況と深くかかわっているだけに、その現状と課題、そしてとるべき施策について伺っていきたいと思います。  まず、我が国森林資源の現況と資源基本計画との関連でどのような状況にあるのか、お伺いいたしたいと思います。
  16. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 森林資源の状況について御説明申し上げます。  昭和五十六年現在で森林面積が二千五百二十八万へクタールございまして、そのうち人工林が九百九十万ヘクタールでございます。それから天然林が千三百九十九万ございまして、その他森林状態でないところ、岩石地みたいなところが百三十九万ヘクタールほどございます。それから蓄積について申し上げますと、総蓄積が二十四億八千四百万立方。人工林と天然林に分けて申し上げますと、人工林が十億五千四百万立方、それから天然林が十四億二千八百万立方と、このようなことに相なっております。  それから、将来に向けての整備の目標でございますけれども昭和五十五年に作成をいたしました森林資源整備の目標というのがございますが、指向する森林資源の状態といたしまして、人工林を千二百三十九万ヘクタール、それから天然林を千百六十一万ヘクタール、こういう状態を指向して森林資源を充実していこうということでございます。なお、蓄積について申し上げますと、指向する森林資源の状態の中では三十三億立方程度を目標にしておりまして、人夫別に分けますと人工林が十九億四千万立方、それから天然林が十三億六千万立方というような内容と相なっております。  それで、人工林率について付言しておきますと、現状約三八%でございますけれども、指向する森林資源の状態が実現した暁には五二%程度になるという見通してございます。
  17. 菅野久光

    菅野久光君 次に、我が国森林資源の状況について、この十年間における森林蓄積の推移、それから伐採量の推移、成長量の関係も含めて年間どのくらいの資源ストックとなっているのか、できれば国有林民有林別に明らかにしていただきたいというふうに思います。
  18. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) まず、トータルで申し上げますと、五十一年三月末現在と比較して申し上げたいと存じますが、面積全体ではほとんど変化がないわけでございますけれども蓄積で約二億九千八百万立方増加をいたしております。それから人工林と天然林に分けて申し上げますと、人工林はこの間に面積が約五十二万ヘクタール増加をし、それから蓄積で約二億五千六百万立方増加をいたしております。一方、天然林につきましては面積で約四十五万ヘクタール減少をし、蓄積では約四千三百万立方増加をしているということでございます。したがいまして、蓄積の増大いたしました主な理由は、人工林の蓄積が急速に増加していることにあるということでございます。
  19. 菅野久光

    菅野久光君 人工林が約一千万ヘクタールぐらいあるわけですけれども、主要樹種別にその面積がわかりましたらおっしゃっていただきたいと思います。
  20. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 人工林につきましては、ただいま先生お話しのように約一千万ヘクタールあるわけでございますが、一番多いのは杉でございまして、蓄積で約六割を占めております。それから、次がヒノキでございまして、蓄積で一九%ほどでございます。それから松とカラマツがそれぞれ九%ずつでございまして、あとがトドマツでございますとかその他の針葉樹ということでございます。
  21. 菅野久光

    菅野久光君 杉だとかヒノキについての間伐の実施でありますけれども、何年ごろから何回、あるいは本数調整はどの程度のものか、その実施基準がありましたらおっしゃっていただきたいと思います。
  22. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 間伐対象となる面積が現在大変ふえてきておりまして、人工林一千万ヘクタールのうち、その約半数が間伐対象として登場してきているわけでありますけれども、林齢的には四齢級、大体二十年でございますが、四齢級から七齢級くらいまでの間にわたりまして間伐を行うのが通常でございます。  それで、現在そういった中で、民有林につきましてはとりわけ急いで間伐をすべき面積が約百九十万ヘクタールぐらいあるわけでございます。それから国有林につきましては、毎年、地域施業計画区というブロックごとに十年間を一期といたします計画をつくり直しながらローテーションを繰り返しておりますけれども、現在、有効な地域施業計画区を全国的に集計いたしますと、約三十万ヘクタールくらいの要間伐面積が存在をするという状況に相なっております。  それで、民有林につきましては、いろいろな間伐施策によりまして、五十七年度については約二十四万ヘクタール程度の間伐が実施されたのでございますけれども、まだまだ不十分でございますので、これからさらに積極的に努力をしてまいりたいと考えています。  それから、国有林につきましては、三十万ヘクタールの予定面積、これは十年間のものでございますので、年平均で申し上げれば約三万ヘクタール程度に相なります。これに対しまして実行が二万ヘクタール程度でございますけれども、これはまたそれぞれ必要な間伐対象林地につきましては民国通じましてさらに努力をしてまいりたい、このように考えている次第でございます。  なお、間伐の指針につきましては、それぞれ樹種ごと、地域ごとに違いがございますので一律には申し上げかねますけれども先ほど申し上げましたような林齢の幅の中で、現地の実態の必要に応じまして間伐をしているということでございます。
  23. 菅野久光

    菅野久光君 間伐が山をつくっていく上では非常に重要な、必要な、大変大事な問題なわけでありますけれども、早急に最初の間伐をしなければならない人工林の最初の間伐の面積と最近の実績、これはどんなことになっているのか、ちょっとおっしゃっていただきたいと思います。
  24. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 民有林につきましては、緊急に初回間伐を必要といたします面積が、私どもがいたしました調査によりますと約百九十万ヘクタールということに相なっております。これは五十六年三月三十一日現在に把握をいたしました数字でございますが、この面積に対しまして、先ほど二十四万ヘクタールを五十七年度に実行したと申し上げましたけれども、この中で初回間伐と目されますものが約二十万ヘクタール、このように把握をいたしております。
  25. 菅野久光

    菅野久光君 これは民有林国有林含めた数でしょうか。民有林だけで百九十万ですね。
  26. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 民有林についての数字でございます。
  27. 菅野久光

    菅野久光君 国有林はどんな状況ですか。
  28. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 国有林につきましては、先ほど申し上げました十年間に約三十万ヘクタールの間伐を予定しているのでございまして、年平均では三万ヘクタール程度になるわけであります。
  29. 菅野久光

    菅野久光君 この三万ヘクタールというのは、確実にやっているということですね。
  30. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) 実行率を申し上げますと約二万ちょっと、七〇%程度を面積では実行いたしておりまして、材積では九〇%程度になっております。  どうして材積の方が進んでおるかと申しますと、やはり高齢級、年のいった方が間伐の実行が販売関係でやりやすいということ。先生から今お話がありました初回間伐につきましては、どうしてもなかなか買い受け人を探すことが難かしい点がありまして、そちらの面積が少し落ちぎみで高齢級の間伐の方が進みますので、ちょっと面積と材積ではびっこ状態がございます。
  31. 菅野久光

    菅野久光君 民有林で百九十万ヘクタールのうち実行が二十万ヘクタール、国有林でさえも十年で三十万ですから一年三万、そのうち実際に実行しているのは二万ヘクタールぐらいというような状況だということが今の答弁で明らかになったわけでありますが、この間伐実施が停滞している原因は一体何だというふうに思われておりますか。また、今後の打開策についての施策をどのように考えておられるか、それをお伺いしたい。
  32. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) お答えいたします前に、先ほどの数字について若干つけ加えさしていただきますが、初回間伐を必要とする面積は百九十万ヘクタールと申し上げましたが、民有林について間伐を年間予定いたしておりますのは約三十八万ヘクタールでございますので、つけ加えさしていただきます。  それから、間伐のなかなか進まない理由でございますけれども一つには、木材価格が低迷状態を続けているというのが一点ございます。それから間伐材の需要につきまして、一般材すら不振が続いている状況の中で、需要開発をしていくことがなかなか困難な面があるということが一点ございます。それから三つ目には、間伐作業がどうしても人手を必要とし、あるいは機械を必要とするわけでございますけれども、所要の経費が増高しているという問題がございます。それからさらには、間伐林道その他の生産基盤、搬出機関の整備がなかなか思うようには進んでいないといったこともございます。さらにつけ加えますと、現在民有林におきまして人工林を所有しております林家の皆様方のかなりの方々がまだ間伐につきまして十分な経験を持ち合わせていない、こういうようなこともあるわけでございます。  したがいまして、対策といたしましては今申し上げましたことの裏返しみたいなことになるわけでございますけれども、やはり間伐材の需要開発をさらに積極的に進めていく必要があるということ、それから間伐林道その他生産基盤の強化について一層強力に進めみ必要があるというようなこと、それからさらには、森林所有者皆さん方に対しまして間伐技術の普及、あるいは間伐の必要性の徹底といったようなことについて一層努力を積み重ねていく必要がある、このように考えているところでございます。
  33. 菅野久光

    菅野久光君 先ほど数字の訂正がありましたけれども、初回の年度の予定としては三十八万ヘクタール、しかし、間伐について緊急を要する面積というのは先ほど言いましたように百九十万ヘクタール、このように確認をしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  34. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 言葉足らずで大変失礼いたしました。  間伐の対象になっております面積が、民有林につきまして全体で三百八十万ヘクタールございまして、その中で緊急に初回間伐を必要とする面積が百九十万ヘクタール、こういうことでございます。
  35. 菅野久光

    菅野久光君 いずれにしろ、間伐をしなければならない状況にありながら実質的には間伐ができないような、あるいはできていないような状況になっているという実態が明らかになったというふうに思っております。間伐の実施がおくれていることは、人工林の形質良好な木材を生産する上でも非常に将来問題があります。また、各地の間伐手おくれ地を見ると、森林がうっ閉していて、いわばモヤシか線香のような山になっている、下草も生えずに土壌がむき出しになっているところもある。ちょっとした雨にも表土の流出が起きて災害も起きているというふうに聞いております。地方議会等でも幾つかのところで議論になっていまして、間伐実施を単に林業経営上の経済的行為としてのみでなくて、今日では山地の災害防止からも間伐促進の声が高まってきております。間伐手おくれ外分の解消のために早急に間伐材の利用促進への流通、加工分野も含めた対策強化が必要でありますし、先ほどの間伐がおくれている原因等について早急に施策を行って実効性のあるようなものをつくり上げていただきたいということ、このことについては要望しておきたいと思います。  各地における山地災害について近年の事例を見ますと、集中豪雨とかの異常気象を理由とするものがありますけれども、その要因を検討してみますと、上流地域森林の扱いに起因するものがあるように見受けられるわけであります。長崎災害とか鳥取災害等においてはどうであったのか、また、山地における災害復旧等の施策についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
  36. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 災害につきまして御説明申し上げたいと思いますが、御承知のように、日本の国は大変地形が急なところが多いわけでありまして、加えて雨量も比較的多い、雨の降り方がまた集中して降る傾向が強い、こういうような自然的な条件があります中で、最近都市開発あるいは全般的な都市化の進展というようなことが進んできておりまして、いわば山地に近いところまで住宅、公共施設などが近づいてきているというようなことがあるわけでありまして、この両者の関係から山地災害が最近発生しやすい状況になっている、こういうことであろうと思っております。  そこで、山地災害を未然に防止いたしますために、保安林の制度でございますとかあるいは森林計画制度、こういった制度の適切な運用を図りますとともに、治山事業造林事業等の計画的な推進を図りまして、活力のある森林造成整備をしていくことが最も災害を防ぐためのポイントであろう、このように思っているわけでありまして、今後ともこういった施策推進につきまして努力をしてまいりたいと思っております。とりわけ山地災害の発生いたしました地区、あるいは発生のおそれのあります地区につきましては土砂崩壊防備保安林に指定するとともに、緊急性を要する箇所から復旧治山事業あるいは予防治山事業等の計画的な実行を行いまして、山地災害の防止に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  37. 菅野久光

    菅野久光君 山地災害の問題については人命も伴うような問題であるだけに、この取り組みについて一層強化をしていただきたいと思います。  建設省はおいででしょうか。――全国的に電力とか水利用のためのダムがあるわけでありますけれども、現在大小合わせてダム貯水池の数はどのくらいありますでしょうか。
  38. 志水茂明

    説明員(志水茂明君) お答えいたします。  河川区域内にありますダムの数は現在千二十一ございます。それから建設省で所管しておりますダムの数は現在までに二百四十四ございますし、現在また三百七のダムを実施中でございます。
  39. 菅野久光

    菅野久光君 引き続きまして、最近これらのダムの堆砂が問題になっております。これはダム上流域森林の扱いが関係しているのではないかというふうに思うわけでありますが、ダム堆砂の実態、そしてどうすることが堆砂を少なくすることができるか、そういうことをお考えでしたらこの機会にお伺いしたいと思います。
  40. 志水茂明

    説明員(志水茂明君) 建設省では、毎年金国のダムにつきましてその堆砂状況を調査しておりますが、総貯水容量が百万立方メートル以上のダムにつきまして調べますと、堆砂量の合計は昭和五十六年度でございますが約八・八億立方メートルでございまして、総貯水容量に対します比率は約六%でございます。したがいまして、全般的にはダムの堆砂はそう大きなものではございません。しかしながら、発電専用の利水ダムで見ますと、建設後年数が相当経過しているダムにおきましては堆砂がかなり進んでおるものがございます。また、地域的に見ますと、地形とか地質などの条件から中部地方のダムの堆砂が多いわけでございます。また、総貯水容量が五百万立方メートル以上のダムにつきまして堆砂量の比率、総貯水容量に対します堆砂量の比率が八〇%以上というものは二ダムございまして、これは天竜川水系の中部電力でございますが、平岡ダムそれから同じく天竜川水系の中部電力の泰阜ダム、この二ダムが八〇%以上、それからまた六〇%以上のものは七ダムございます。  それで、我が国におきましては地形も急峻でございますし、地質も非常に複雑でございます。また、豪雨が多いというようなことで山地崩壊も多いわけでございまして、出水ごとに多量の土砂が河川に入ってきております。したがいまして、ある程度ダム貯水池に堆砂が生じるのはやむを得ないと私ども考えております。したがって、ダムを建設する際に当たりましては、おおむね百年間の堆砂容量を見込みましてダム計画を立てておるわけでございます。一般的に貯水池の堆砂は流域の地質条件、地形条件、それから先ほどからお話しになっております森林などの植生の状態、それから気象条件、これらの多数の因子がいろいろ複雑に関連して生じておるものと考えております。
  41. 菅野久光

    菅野久光君 どうもありがとうございました。結構でございます。  森林資源整備には計画林業活動推進が必要であるわけでありますが、特に林業経営にはその経営基盤たる森林計画的施業が不可欠であります。森林資源造成には超長期の歳月が伴うだけに、森林施業の計画的かつ着実な推進が必要とされるわけで、これは他産業とは異なる林業の特質として踏まえてかかることが重要だというふうに思います。森林所有者等が任意で策定することとしている森林施業計画は現在どのような状況になっているのか、その点について簡単に御説明いただきたい。
  42. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 森林施業計画の認定面積は、昭和五十八年三月末現在で約一千万ヘクタールと相なっております。この数字は、森林施業計画の作成が期待されますところの民有林面積に対しまして約六五%という数字になっております。私どもは、今後ともこの制度の森林所有者への普及徹底を図りながらその定着を図ってまいりたい、このように考えている次第でございます。
  43. 菅野久光

    菅野久光君 実質的には六五%ということで落ち込んで、まだそういう意味では必ずしもいい状況にはありませんので、この点もひとつ推進するために努力をしていただきたいというふうに思います。  時間がございませんので多少はしょらせていただきますが、国内林業の不振は木材需給構造のもとにおける木材産業の動向とも結びついているというふうに思います。  そこで、我が国木材の需給の現状と長期需給の見通しとの関係はどうなっているのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  44. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私どもやはり木材需給の今後の増大を企図しているわけですが、現在の場合におきましては、五十五年に策定いたしました木材需給の長期的見通しをもとにしてやっているわけでございます。現在需要拡大という面におきましては、先ほど申し上げましたように九千万立方メートルということで、一千万立方メートルくらい落ち込んでいるのが実態でございます。これをやはり需要拡大していくためには、さっきも触れましたが、やはり木材利用する分野の拡大ということでございまして、公営住宅の木造化であるとか、あるいは最近開発しております大断面の集成材等による体育館の造成であるとか、三階建ての木造建築の簡単にできる設計とかいうことで需要開発しておりますが、なかなか現段階では難しい状況もございます。今後さらに木材需要を拡大しながら、しかも、現在国産材自給率が三五%ということでありますので、逐次国内森林整備と相まちましてこれを拡大強化していきたいと思っていますが、最近、二、三%ずつ国産材の方がふえてまいってきております。
  45. 菅野久光

    菅野久光君 いただいた資料では、供給の率が五十四年度では外材が六九・二%、五十五年では六八・三%、五十六年が六五・六%、五十七年は六四・三%、五十八年が、見込みで六四・八%、若干外材の率が下がってきていますね。これからの需給見通しの資料を見ますと、七十一年度では外材の輸入量の比率が五六・七%ということで見込まれておりますが、この数字は間違いございませんか。
  46. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) そのとおりであります。
  47. 菅野久光

    菅野久光君 先ほど言いましたように、五十八年度で六四・八%、これから三年後にこれを五六・七%ということになれば、外材輸入の比率は約八%ぐらい下がることになるわけですけれども、この点については、この見通しとして大体こういう形でいけるというような自信をお持ちかどうか、お伺いしたいと思います。
  48. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私ども、ただいまの木材需給の見通しに基づきますと、輸入比率は六十一年度が六一%、それから先生指摘の七十一年に五六・七ということで今やっていますが、何とかこの方向に持っていくべく今後国産材の生産コストのダウン、基盤整備等で努力してまいりたい、かように思っているところでございます。
  49. 菅野久光

    菅野久光君 大変失礼いたしました。五六・七%は七十一年ですね。六十一年は今お答えいただいたように六一%、これでも三・八%下げている。これは大変なことじゃないかというふうに思いますが、この見通しを誤らないように、林野庁として適切な手を打つということで見通しが実現するように、ひとつ頑張っていただきたいと思います。  次に、外材の輸入状況でありますけれども、産地国別の内訳の実態をお知らせいただきたいと思います。
  50. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 丸太と製材に分けて申し上げますが、丸太が大半を占めますので丸太で申し上げておきますが、アメリカからは五十四年が一千二百四十三万、それから五十五年が一千三十万、五十六年が七百四十一万、それから五十七年が八百十万、五十八年が七百七十万、こういうことでございます。  それから、多いところで申し上げますと、インドネシアでございますが、これはラワン材でございますが、五十四年が九百九十八万、五十五年が八百九十万、五十六年がこれは四百五十万、ずっと落ちていますが、五十七年が二百七十二万、それから五十八年が二百二十二万ということでございます。それからマレーシアが五十四年が一千七十二万、それから五十五年が八百三十七万、五十六年が八百三十七万、五十七年が一千二十六万、五十八年が一千四十七万。トータルで申しますと、五十四年が四千四百七十九万、それから五十五年が三千七百五十一万、五十六年が二千九百二 十二万、五十七年が三千四十一万、それから五十八年が二千九百八十万、そういうことになっています。
  51. 菅野久光

    菅野久光君 いずれにしても、今主な国だけ申されましたけれども、アメリカあるいはインドネシアマレーシアあるいはソ連、こういったようなところが主たる輸入国ということになっていると思います。製材関係ではカナダも入っているようでありますけれども、いずれにしましても、先ほどのような世界的な規模での森林消失というような状況でありますから、本当に国産材というものをどのように需給に乗せていくかというようなことがこれから大事な点になってくるのではないかというふうに思います。  木材の備蓄機構ということでありますけれども、これは木材価格の下落という状況に対する有効な機能発揮するものになっていないのではないかというふうに思うわけでありますけれども、この辺についてはいかがでございましょうか。
  52. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 木材備蓄機構についてお尋ねがございましたが、この機構は、中心事業といたしまして短期的な木材需給の逼迫によります価格高騰に水をかけると申しますか、そのための備蓄を行うということを中心の事業にいたしておりまして、第一次石油ショックの際に木材価格が高騰したという経験を踏まえましてできた機構でございます。  今のお尋ねは、価格の下落、低迷に対してこの機構が十分な機能を持っていないのではないかというお尋ねでございますが、もともとそういった高騰を避けるための事業を中心にして仕組まれた機構でございます。もう一つは、近年の木材価格の下落、低迷はかなり構造的な、世界的な林業木材不況というようなものの中で生まれてきたものでございまして、なかなか特に開放経済体制のもとで、しかも木材と申しますのは大変バルキーでがさが張るものでございますから、保管なりあるいは質の低下を避けるためのいろいろな手だても尽くしますと、かなり保管管理に経費のかかるものでございます。価格の下支えをするために買い入れ保管をするというような形というのは、恐らくこれは緊急時に備えるための備蓄というものを別にいたしますと、価格政策的な意味での買い入れ保管ということをやっている例は世界的にもなかなかないのではないか、技術的にあるいは経済的に非常に成り立ちにくいものではないかというふうに思っております。  ただ、そのような中にありましても、木材の需給及び価格をめぐる問題というものは、むしろ現在低迷、下落の方に問題が推移しているということは事実でございます。もちろん、災害は忘れたころに来るというのと同じように、また異常事態で価格の高騰を抑制するという機能発揮される時期が考えられますので、この事業は続けておるわけでございます。逆に需給なり価格の安定のためにこの機構も寄与していく必要があるというようなこともございまして、需要の的確な把握とそれを供給にどうやって反映をさせていくかということから、この機構が五十四年度からでございましたか、いろいろな木材の需給及び価格に関する情報事業を開始をいたしまして、国内はもとより海外の主要な木材供給国におきます需給なり価格の情報を収集いたしまして木材関係者に提供する。さらに、五十九年度からは我が国木材市場が海外からいろいろな面で注目をされてきているというふうなこともございますので、我が国木材需給の実情等につきまして主要供給国に広報活動をするというようなことも始めておりまして、これらの活動を通じまして木材の需給なり価格の安定に寄与するように努めておるところでございます。
  53. 菅野久光

    菅野久光君 外材輸入の実態を言えば全く消費者任せで、政府はその実績結果を受け入れているにすぎないのではないか。丸太とか製品別の調整や国産材との調整など、木材需給全般について政府の積極的な調整が必要であるというふうに思います。九十八回国会で決議がされておりますね。あの決議の趣旨から言ってもぜひ政府としても積極的な調整に動いていただくように、決議の趣旨を十分生かしてもらいたいということを、この際特に私の方から申し上げておきたいと思います。  また、現在国産材については木材引取税がかけられて、外材丸太は、丸太ということで全く無税で国産材を価格的に圧迫しているわけです。外材丸太についても一定の国内引取税をかけて、その財源を国内林業振興に振り向けるべきであるという意見も大分あるわけですけれども、そういったようなことについてはどのようにお考えでしょうか。
  54. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 我が国の今後の需給見通しから見てまいりますと、当分の間はやはり資源事情から外材に相当量依存せざるを得ない状況に置かれているわけでございまして、私どもはやはり輸入が国内市況を圧迫しないように需要に見合った形で入れていかなければならぬということで、現在短期に見通しを立てながら指導しているところでございますが、現在の国際経済環境下におきましては、強権的な形での輸入規制というのは非常に難しいと思っておるわけでございます。私どもは対外的にはアメリカ、カナダという主要産地国と幅広い情報交換あるいは意見交換を行いながら、また、国内におきましては国産材外材に対応して競争できるような、競争力を高めるような基盤整備、あるいは安定供給体制に努力していくということが必要だろうと考えているところでございます。
  55. 菅野久光

    菅野久光君 農業にしても、漁業にしても、そうしてこの林業にしても、全部輸入に押されて国内の一次産業が大変な状況になっています。片方では御承知のように財政事情が悪化しているということで、十分それに対する手だてができないということなどを含めて、本当にこういったような国民の声も多くあるということを踏まえながら、今後十分に研究をしながら、国内林業発展のために頑張っていただきたいと思います。  ところで、我が国森林林業の厳しい状況と関連して、山村地域の過疎化、高齢化の問題があります。林業白書では、山村人口流出や高齢化が進行して、林業生産の停滞をもたらす要因となっていること、さらには国土保全、水資源の涵養、自然環境保全形成等の森林の持つ公益的機能の確保にとって大きな問題となっているというふうに指摘しております。山村は言うまでもなく、林業生産の主要な基地であるとともに、林業従事者の大部分生活する場でもあり、その意味で山村森林林業は密接かつ相互に重要なかかわりを持っているというふうに思います。  そこで、お伺いしたいわけでありますが、国土庁はおいででしょうか。――昨年三月に国土庁が発表した「過疎対策の現況」というものがありますが、一体過疎地域人口減少率の傾向は近年どうなっているのか、お伺いいたしたいと思います。
  56. 仁科英麿

    説明員(仁科英麿君) お答え申し上げます。  過疎地域人口動向のお尋ねでございますけれども、過疎地域振興特別措置法によりまして過疎地域に指定されている市町村が現在全国で千百五十一市町村ございます。これらの市町村の人口の増減状況を国調人口で見ますと、過疎化が進行いたしました。和三十五年から四十年までの五年間では一二・九%の減少、それから昭和四十年から四十五年までの五年間では一三・六%の減少とそれぞれ大幅な減少になっておりました。その後、昭和四十五年から五十年までの五年間では八・八%の減少昭和五十年から五十五年までの五年間では三・七%の減少ということで、全体としては減少率はだんだん鈍化してきているわけでございます。しかし、最近の動向の内訳を見ますと、自然増加とそれから社会減少に分かれるわけでございますけれども、この社会減少の傾向は近年だんだん減ってきている、一段と落ちてきているという状況でございますけれども、他方自然増加がだんだん低下をしてきているということで、全体の千百五十一市町村のうちの四割近い団体では自然減少になっているという状況でございます。  そういうことで、今後過疎地域人口の高齢化 が進展しますと、出生率はますます低下する、死亡率は上昇するということが予想されますので、自然増加率は全体としてますます低下するということになってまいりますので、既に自然減少が見られる四割の市町村のみならず、他の市町村につきましても今後厳しい見通しになっているという状況でございます。
  57. 菅野久光

    菅野久光君 減少が鈍化しているというよりも、むしろ減るべき人がいなくなったような状況ではないかというふうに思わざるを得ないわけであります。政府がいろいろ過疎対策を進めておりますけれども、それらの対策によって過疎克服の展望が持てるような段階にあるだろうか、その辺についてどのようにお考えか、率直にお答えをいただきたいと思います。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕
  58. 仁科英麿

    説明員(仁科英麿君) 過疎地域振興につきましては、昭和四十五年に制定されました過疎地域対策緊急措置法、いわゆる旧過疎法、あるいは昭和五十五年に制定されました過疎地域振興特別措置法、いわゆる新過疎法でございますが、こういったものに基づきまして総合的な対策が計画的に実施されてまいりました。その結果、過疎地域の居住条件も逐年改善され、あるいは人口減少につきましても全体としては一応鈍化の傾向を示しているということで、相当成果が上がってきていると考えているわけでございます。  他方、人口の流出が鈍化をしたとは言いながらなお続いているということもございますし、あるいは長期間若年層を中心とした人口流出の結果、地域社会の機能が低下をしている、あるいは人口の急速な高齢化の進展、さらに次の世代への継承の可能性の問題というものが新しい問題として出ている。それから過疎地域生活水準や産業、生産機能等も他地域に比べて依然として低いというような問題が残されていることも事実でございまして、過疎対策は依然として過疎政策上非常に重要な課題と考えている次第でございます。そういう中で、現在、市町村過疎地域振興計画あるいは都道府県の振興計画、そういったことに基づきまして、引き続き各般の施策を進めているわけでございまして、国といたしましても財政、金融、税制、各般にわたって措置実施しているところでございます。  過疎地域振興の目標は、まず若者の定住あるいはUターンの促進等によりまして人口減少を食いとめることが必要であるわけですが、さらに地域の経済や生活あるいは福祉や文化を含めまして、地域の活力を回復して、住民が希望と誇りを持って生活できるようにすることでなければならないと考えるわけでございます。そうした観点から、最近都道府県や市町村におきましても、従来の施策に加えまして産業の振興の強化あるいは都市その他の地域との交流による活性化、こういうような格好で新しい施策を展開する状況が出てきているわけでございまして、こうした点も踏まえまして、国といたしまして、一層過疎地域振興のために努めてまいりたいと考えているところでございます。
  59. 菅野久光

    菅野久光君 国土庁、どうもありがとうございました。結構でございます。  非常に山村は過疎化あるいは高齢化ということで大変な状況になり、そのことがまた林業労働力の確保という点でも非常に大きな問題になっているわけであります。今までの質疑の中でもいろいろ明らかになりましたけれども、何といっても地球的な規模での森林危機が叫ばれている。そしてこれまでのような安易な外材依存は見直さなければならない。こういう点では認識が一致できるのではないかというふうに思います。また、緑資源の主体をなす森林公益的機能に対する国民要請が高まっている。これも全く認識の一致できることだというふうに思います。また、森林公益的機能を十分に発揮せしめるためには、間伐の問題で触れたように、適切な森林施業を通じて計画的に森林資源整備充実する林業生産活動の展開が不可欠であります。このこともまだ十分になされていないという実態であります。そしてまた、活発な林業生産活動の展開を図るためには、木材需要の拡大、そして国産材の利活用の促進、外材輸入の調整、木材価格の安定など木材関連産業活性化が極めて大事であるというふうに思います。きょう時間がちょっとございませんので、この点について余り触れることができませんでした。  また、国内林業生産活動森林活性化するためには、山村地域振興が労働力の確保の問題も含めて非常に大事な問題であると思います。こういったようなことで森林林業をめぐる状況を背景として、国有林野事業も財政赤字のもとでその経営は悪化の一途をたどっておるわけです。我が党は、五十三年の国有林野事業改善特別措置法の制定時における国会審議において、今日の事態が当然予測されたことから、国有林野事業再建整備法として対案を示し、審議を通じ不十分な政府案の部分的修正で可決成立した経緯があります。当時の国会審議で、政府は現行の改善特別措置法の枠組みで百姓が可能であると言明していた経過からすれば、六年を経て今回の改正という事態となったことは、その見通しの甘さあるいは場当たり的無責任経営と言われてもやむを得ないのではないかというふうに思うわけです。現行法制定時における見通しの条件因子においてどの点で今日その差異があったのか、その点を簡潔に率直に語っていただきたいと思います。
  60. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私ども五十三年以来鋭意努力してまいったわけでございまして、成果そのものには私どもはそれなりのものを上げてきたと考えておりますが、現在確かに御指摘のとおり、五十七年度末で四千四百六十九億円の累積欠損金を出しておるわけでございます。原因としましていろいろ考えてみますと、まず収入面では、伐採量が資源上の制約等もございまして当初予定に対しまして縮減をせざるを得なかったということが第一点。第二点は、自由市場下での形成される材価が最近住宅事情の不振等のために下落、低迷している。それから支出面で見てまいりますと、戦後伐採盤の増加に伴いまして拡大した要員規模を鋭意調整しておりますが、まだこれが調整過程にあるということ。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕 それから、事業運営の能率化も鋭意努力しているわけでございますが、これも不十分であるというようなことで、人件費を初めとする諸経費が過大になっているところでございます。それからもう一つは、将来の森林造成基盤整備ということで投入しています造林、林道の投資資金ですが、自己資金の減少傾向のために借入金に依存せざるを得ない。これに伴いましての支払い利子等が増高しているということがやはり主な原因だろうというふうに私どもも反省をしておるわけでございます。
  61. 菅野久光

    菅野久光君 現実がそういうことでありますから、それだけに今日のこういうような状況を招いたことは本当に残念だというふうに思います。我が党は、現行改善特別措置法制定時の国会審議やその後の改善計画実施をめぐっての国会質疑において、国有林野事業の今日の財政悪化は、外材主導の木材需給のもとで住宅建設の落ち込みなどによる木材需要の減退、木材価格の下落、低迷など主としてその要因国有林野事業を取り巻く外部構造的なものであること、したがって、この打開策がないままに専ら経営内部の自助努力として当面的な収支均衡のみを追求し、人減らし、手抜き施業を助長拡大する改善計画は抜本的に見直すべきことなどを政府に求めてきたところであります。さらにまた、我が党は、林政審答申が出された以降において、一般林政等の充実強化の施策及び国有林野事業の改善策について明らかにし、その実現方を政府に申し入れ、かつ所要の立法措置も国会に提案すべく準備しているところであります。  そこで林政審答申は、国有林野事業の財政悪化要因について、国産材需要不振と材価の低迷、これまでの過伐によって目下資源造成過程にあることや、自然保護要請等からくる伐採量の縮減な ど外部的構造的な事情にあることを認めております。そしてこれを打開するためには、これまでの枠組みや一般林政等の充実強化や、財政措置をも含めた新たな政策展開なしにその再建は困難であるとの見解を示しております。この見解の示すところは、国有林野事業が直面している今日の経営悪化や財政赤字問題は、ひとり国有林経営の内部的努力のみでは到底打開できるものではないと認識しておるところであります。答申は、この認識見解を強調し、政策課題の提示にとどまって具体的解決策を示していない不十分さはあるものの、提示されている政策課題については政府として早急に具体化されるべきものであるというふうに思うわけです。この点についての政府見解をお伺いいたしたいと思います。
  62. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私どもは、林政審議会の答申におきましては、これからの国有林野事業の改革につきましての基本方向をこれは示されておると理解しているわけでございます。大変内容は厳しいわけでございますが、今先生指摘ございましたように、やはり内容的には、我が国林業全体を取り巻く構造的な要因国有林野事業固有の要因とが重なり合ってこれは出てきているというように私ども理解しているわけでございます。したがいまして私どもといたしましては、経営改善について自主的努力を鋭意これは進めるわけでございますが、と同時に、我が国全体の森林林業の将来展望を切り開くために、やはり同時並行的にこの林政上の施策の充実を強化されながら進めてまいらなきゃならぬと思っております。  なお、私どもは財政的ないろいろの措置をお願いするに当たりましては、やはり鋭意自主的な経営改善努力をすることによりまして国民皆さんの御理解をいただくことが大前提でございますので、そういうことを鋭意努力しながら、今回この国会に御審議いただいております改善期間の延長問題、それから新たな財政措置内容とする退職者に対する財政措置、また一般会計からの繰り入れというふうなことを進めると同時に、分収育林制度を国有林に導入するというようなことをいろいろやりまして国有林野事業の経営の健全性を確保しまして、その使命の達成に遺憾ないようにしてまいりたい、かように考えておるところであります。
  63. 菅野久光

    菅野久光君 時間がありませんので、答申が強調している新たな政策展開の必要性と関連して、答申は、「一般林政等の充実強化」として木材価格の下落、低迷などによる林業の収益性の低下は、我が国森林林業の使命や機能を十分発揮できなくなる事態に立ち至る懸念を指摘し、森林資源の確保と林業生産、流通体制整備強化など幅広い諸対策の検討とその具体化を政府に求めております。そういったような点についてこれをどのように具体的に検討をするのか、その辺を含めて早急に対策を立ててもらいたいというふうに思いますが、答弁をもらっていますと時間がなくなりますので、この点については早急にそういう対策を立てていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それから、木材の価格対策をしっかり林政施策として持たないままに、あるいは有効な施策なしに国有林野事業の収入確保を図るとしても、それは砂上の楼閣に等しいものではないかというふうに思います。国有林野事業の収入の大宗は木材販売収入によるものであり、これの減収は結局は山からの手抜きという支出減らしで当面を糊塗するだけで、そのツケは森林荒廃として後に回すものであると言わざるを得ません。土地売りとか一時的に自己収入の確保を図るとしているが、それで収支の均衡を図れると見ているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  64. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私ども非常に厳しい中での経営改善取り組みでございますが、先ほど申し上げましたように、これは国有林自体の固有の問題もありますので、鋭意経営改善に努力すると同時に、収入につきましても、従来の林産物売り払いにつきましてはさらに創意工夫し、前垂れ精神で収入の確保に努力すると同時に、資産につきましても不要の資産の売り払い、さらには土地利用面から見てまいりまして、地域の土地利用計画との関連におきまして、国有林の持っていますところの資産等につきまして、有効活用がある道があればそれも積極的に売り払うということによりまして自己資金の確保に一層努力すると同時に、財政的な措置につきまして、ただいま御審議いただいていますような内容の財政措置をしていただくと同時に、林政上の懸案事項につきましては幾つか林政審でもいただいております。そういう諸問題については、充実強化の方向に一層努力をしてまいることによりまして国有林の健全性を計画どおり確保してまいりたいと考えておるところであります。
  65. 菅野久光

    菅野久光君 大事な国有財産の切り売りということを安易にやることについては、売り払うだとか、そういうことで一時的な糊塗をするということについては、慎重にやらなければならないのではないかということについて十分指摘をしておきたいと思います。  答申も指摘する外部構造的要因である一般林政等の充実強化について、早急に具体化すべきであるというふうに思いますし、政府は、答申の一般林政等の充実強化の指摘事項について、改善計画の策定及び実施の段階で具体化するものと理解してよいかどうか。さらにこれらの計画策定に当たっては、可能な限り将来達成されるべき目標の数値を示してそして改善措置を行うことが必要だというふうに私は考えております。この点についてどのような見解を持たれるのか。  時間がございませんのでまとめて申し上げますが、改善計画実施と並行して具体化しようとする諸対策については、少なくとも改善計画策定の段階から一定の方向性を持った検討素案に基づいて林政審で審議が行われると理解してよいかどうか、その点をあわせてお答えいただきたいと思います。
  66. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私ども先ほども触れましたように、国有林の経営改善につきまして鋭意努力すると同時に、改善計画の策定及び実施の過程におきまして、一般林政等におきましての充実強化すべき事項も同時並行的にこれは進めてまいりたい、かように考えておるところであります。  なお、具体的な数値の話でございますが、これは経営改善の段階におきまして具体的な検討に入るわけでございますが、林政審答申を踏まえて、今度の十カ年間の前半期につきましては具体的にいろいろと検討すべき事項については、目標を持てということもございますので、これらは策定段階で検討してまいりたいと考えております。
  67. 菅野久光

    菅野久光君 やはり経済変動その他で数値が変わり得ることは当然でありますけれども、しかし、今の時点でのある程度の数値を示さないと、どのくらい達成されたのかどうかという後の評価の問題にもかかわってくるということがありますので、この点については、努力をすることではなくて、これだけいろいろ問題があるわけですから、国民の前に明らかにする意味でもぜひ数値で示すというようなことを特段要望いたしまして、私の質問を終わらさしていただきます。  どうもありがとうございました。
  68. 上野雄文

    ○上野雄文君 私からは分収育林の問題ですが、今長官菅野委員の質問に答えて、財政再建の一環としても分収育林の制度を取り入れていったのだというお話でありますから、いろいろ考えられる問題点などについてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  この前の参考人の方々の意見の中でもいろいろな話が出ましたし、昨今の林業を取り巻く環境というものは本当に大変な状態にあるわけであります。さらにまた、政府自身の林業白書でも、最近の林業生産活動については、昭和五十五年を一〇〇とすると林業生産指数で五十七年は九五に低下をしてしまっている。十年前と比べると約八割という水準にまで下がってしまったということが言われております。最近の外材の進出、材価の下落、林業の生産活動が停滞をしてしまって山村地 域社会が打撃を受けている。先ごろの私の質問でも、林業労働者の大変な移動という点などについても指摘をしてきたわけでありますが、さらに加えて、森林そのものの保育、間伐といったものが行われていない。先ほど菅野委員の質問の中でも、これからやろうという意気込みについてはわかりますが、現状が大変な状態にあるということも明らかになってきたわけであります。そういう状況の中で、逆に森林の持つ公益的な機能という面は大変に独調をされておりますし、また国民の側からも、そういう機能が十分に果たすことができるようにやっていってもらいたいという要請は強まってきているというふうに思うのです。  そこで、分収育林は、こういう状況の中で国民皆さんに参加をしてもらうという面では打開の一つ方法として位置づけることができるかと思いますけれども政府の方では五十一年から民有林についてもモデル事業としてこういう分収契約の事業実施してきているわけです。そしてまた、昨年には分収造林の特別措置法を改正して民有林の分収育林ということを制度化してきたわけです。私の住んでいる栃木県でも、粟野町という山を背景にして成り立っている町でこれを取り入れてまいりました。今日の民有林の分収育林がどういう状況にあるのか、そして今度政府が取り入れるに当たって、これも財政百姓の一つなのだというふうにお考えになったわけですから、そういったものの評価というものをどういうふうにされているのか、お尋ねをしてみたいと思うのです。
  69. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 民有林におきます分収育林につきましては、今先生からも御指摘ございましたように、五十一年から国の助成指導で公有林を対象にしてやってきたわけでございまして、名称は特定分収契約設定促進特別事業ということでやってまいりまして、五十八年度までに二十カ所で六百十五ヘクタールの設定が見込まれておるわけでございます。またそのほかにも各地におきまして、公有林、民有林を通じまして分収育林の実施事例が十数カ所見られるわけでございますが、私ども昨年御審議いただきました分収造林特別措置法の一部改正によりますこの民有林の分収育林制度がここで法制化されまして、昨年十月の法施行以来分収育林推進要綱等を策定いたしまして、現在各都道府県に所要の指導をしているわけでございます。と同時に、またこの分収育林の主な担い手の一つになっています森林整備法人の育成強化にも現在努力しているところでありまして、現在のところ、まだ発足して間もなくでございますが、既に何カ所かでこの具体的な準備が進められておるわけでございます。私どもは、今後、国有林民有林を通じまして国民参加による森林づくりということが、この分収育林制度によりまして積極的に進められ、森林重要性を御理解いただくと同時に、森林林業活性化にも期待できるものというふうに考えておるところであります。
  70. 上野雄文

    ○上野雄文君 企業でこれをやっているところがありますか。
  71. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 先般、三井農林がこれにつきまして始めております。
  72. 上野雄文

    ○上野雄文君 大体のねらいというものについて、ぼやっとわかるような気がしますけれども、今国有林野会計が大変な財政危機の状況の中で、どの程度の位置づけというものをこの事業で財務面から考えられているのかということを教えていただきたいと思うのです。
  73. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私ども国有林にこの分収育林制度を導入するに当たりましての考え方は、基本的にはやはり緑資源の確保に対する国民的な要請を踏まえて、この国有林の緑資源確保に御協力いただくということがまず第一点の主なねらいでございます。と同時に、国有林におきましても戦後人工林が積極的に進められまして、現在三十年生以下の森林が人工林の八割強を占めているという実態でございますので、収入の平準化という面からもこれは非常に有意義なことでございますので、私どもこの両面からこの問題を進めてまいろうと思っております。  進めるに当たりましてまず私どもが考えておりますのは、この分収育林を進めるについては、対象とする森林というものが、やはり立地条件から見まして国民皆さんの参加に適しているということも、これは十分配慮しなきゃならぬわけでございます。そこで私どもは五十九年度におきまして、北海道を除きまして、本州、四国、九州の各営林局におきまして一ないし二カ所にまずこれを実施いたし、国民皆さんの適地選定に対する要請を踏まえて、また私どもの方からも、国有林野事業の運営からもどういうところがよいかということもさらに分析しながら、今後具体的に計画を立てて進めてまいりたい、かように考えておるところであります。
  74. 上野雄文

    ○上野雄文君 そこでもう一つは、既に始まっている民有林の分収育林制度と、今度政府の方で、林野の方でおやりになろうとするものと何か特段な違いがありますか、もしあるとすればそういう面について。
  75. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 昨年分収造林特別措置法の一部改正という形で、民有林につきましての分収育林制度の導入につきまして御審議をいただいたわけでございますが、本年ただいまこの国有林野法の一部改正ということで、国有林についての分収育林の導入の御審議をいただいているわけでございます。この分収育林制度と申しますのは、両方とも生育途上の森林の樹木につきまして契約当事者の共有といたしまして、伐採時期におきましてその収益を分収するという制度でございます。緑資源の確保に対します国民的な要請なり、あるいは我が国森林資源の状況は非常に若齢林が多いというような状況からいたしまして、広く国民一般の参加を得まして森林整備充実を促進していこうという趣旨でございまして、その限りでは民有林におきます分収育林と国有林におきます分収育林とで異なるところはないわけでございます。  ただ、法制度という点から申しますと、国有林野に生育しております樹木は、これは行政財産という国有財産法上の位置づけになっておりまして、通常の場合、国有財産法では私権の設定あるいは持ち分の譲渡等の処分を禁止をされているということがございますので、国有林野の樹木につきまして今回の法改正によりまして国有財産法の第十八条の例外を規定をする、農林水産大ばか分収育林契約というものを締結することができるという規定を置きまして、国有財産法の例外を適用するという点が法制度としては一つ異なっております。  それから、民有林の方の分収育林でございますと、土地所有者と造林者と費用負担者、この三者のうちの二者または三者の契約ということで制度が仕組まれておるわけでございますが、国有林野の分収育林につきましては、持ち分を経営に参加した者に与えたといたしましても、その樹木は行政財産としての性格を失いませんので、国が責任を持ってその対象になりました立木の保育管理をやる、そういう意味で、分収育林の契約を費用負担者と土地及び立木を所有している国との間の二者契約ということで考えて、保育管理につきましては国が責任を持ってやるという、二者契約の形をとっておるということが一つ特徴としてございます。  なお、民有林の分収育林契約におきましては、これは国有林も同じでございますが、民法の二百五十六条の「共有物の分割請求」の規定の適用除外を激いておりますほかに、契約当事者でございます費用負担者、育林者、土地所有者の間の紛争の排除でありますとか、権利関係の調整、特に費用負担者と育林者の権利保護に配慮する必要がございますので、このため、公募の際の知事に対します届け出その他必要な行政庁の指導というようなものが規定をされておりますが、国を当事者といたします国有林野につきましての分収育林契約につきましてはそのような保護調整規定を設ける必要はないということで、今回の改正案におきましてもそのような規定は置いていない、その辺が法制度の仕組みとしては若干異なっているという ことでございます。
  76. 上野雄文

    ○上野雄文君 次は、これはさっき長官からお答えが一都ありましたけれども、もう一つぴんとこないわけなのです。とにかく財政的に大変な累積債務を背負っている国有林野特別会計がこういう事業をやるについて、収入の確保を図ろうとしているのだろうと思うのでありますが、どう言ってみても先行き半分は持ってかれる。そういうものとの絡みの中で、全体の規模として一体どういうふうに位置づけていくのかというのはもう一つぴんとこないのがあるものですから、目的だ何だといろいろたくさんな御説明がついてしまうと、肝心かなめのところがぼけてしまうので、その辺大筋の数字で示していただけませんか。
  77. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 先ほどもちょっと触れましたが、今後の分収育林を実施するに当たりましてのいわゆる長期計画を示せということでございますが、私どもは、まず五十九年に先ほど触れましたように各営林局で具体的に一ないし二カ所を選び出しまして、それは杉、ヒノキの二十年ないし二十五年生ぐらいのものがまずは対象になると思います。それで先ほど立地条件の問題、それからニーズと申しますか、それぞれの地域皆さんの御要請の問題、それからもう一つどもの忘れてならぬのは、今まで国有林と地元の市町村とは非常に密接な関係にございますので、進めるに当たりましては地域皆さんの御理解、御協力をいただくということもございますので、それらを踏まえて五十九年度中には策定したいということで考えているわけでございます。
  78. 上野雄文

    ○上野雄文君 やはりどうもわからないというか、そういうことになってしまうのですけれど。  もう一つ、今度は角度を変えて、民有林でも、さらに地方公共団体でも企業でもこういうことをそれぞれ始めてきておりますね。国民国民と言っても一億一千万で、これもそのかわりはないわけでして、同じ基盤で国有林民有林それぞれの市場争いみたいな話になるのではないかと思うのですけれども、そういう面での検討はどんな検討をされておられますか。
  79. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私ども、これまで地元の市町村とは十分連携をとりながら部分林の設定であるとか、あるいはそれ以外の樹木施設制度というようなことでやってまいっている経緯もございますし、これから分収育林を進めるに当たりましても、やはり地域との関連性というものは十分配慮しなければならぬと思っております。そういう面から、私どもが特に実施する対象箇所を選定するに当たりましては、事前に地元と十分調整をとりながら進めていくことが非常に大事だと思いますので、そこには先生指摘がございましたように、十分配慮して計画を立てていくように考えているところであります。
  80. 上野雄文

    ○上野雄文君 また私の地元の話になって恐縮なのですけれども、五十四年度に粟野町が実施したのですけれども、そのときは五十五年に材価がばあんとこれは上がりました。それで、これはしめしめと思った人がやはりたくさんいらっしゃるのだろうと思うのです。ところが、それからずっと下がりっ放しという状況になってくるわけです。それで林野庁の方でたしかお調べになったのだろうと思うのですが、都市部の住民の方々は分収育林制度が始まれば参加しましょうと。ところが、参加しましょうと言った人たちの中でほぼ三九%ぐらいですか、将来の子孫のために財産として残してやりたいというのがたしかトップをいっておったと思うのです。ところが、今度は地方都市や農村地帯になりますと、そういうのはずうんと下に下がってくるというような傾向が見えるわけです。ですから、そういう状況下でこれからこれが伸びていくという下地があるのだろうか、どうなのだろうかというような点について率直な御意見をお聞かせいただきたいと思いますが。
  81. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 大変これは長期に向けての難しい御質問でございますが、私ども現段階でいろいろとアンケート調査その他をしておる段階におきましては、これはやはり緑資源への参加ということを非常に希望している方が多うございまして、今調査している過程でも、国土緑化に参加できるからというのが三九%、それから自然に接することができるからと思うのが二六%、それから子供や孫に資産として残してやりたいが二一%ということで、割合に緑造成に対する参加意識というのが非常に強うございますので、そこに私どもは、夢を買うということでこれは非常に希望のあることだと思います。  ただ、具体的に利回りはどうかということになりますと、これは各地域森林の状態によって、また杉なりヒノキなりによりまして違うと思いますが、いわゆる価格の上昇を見ない場合には三%前後くらいだと思います。やはりそういう将来に向けての森林造成に参加するということもこれは重要な因子になっております。今後木材価格につきましては大変これは難しいわけでございますが、むしろ私どもはそういう分収育林の制度を通じまして、国民皆さん国有林の経営に参加していただくということにさらに大きな希望を実はつないでおるということが実態でございます。
  82. 上野雄文

    ○上野雄文君 今度は、契約の具体的な問題についてお尋ねしておきたいと思うのですが、またうちの県の話になりますけれども、粟野町の場合は大変な競争だったのです。十七倍近いですか。これは先ほど申し上げましたような背景の中で行われてきましたし、割合関東地域の中でもそういう気分的なものがあった時期だったと思うのです。これが金もうけの対象にされるようなことがありますと大変なことになるのではないかなというのが一つ心配な点があるわけです。これは大体物すごい競争率になるだろうということの前提が立たなければできていかないと思うのですけれども、やはり抽せんでおやりになるということなのですか。
  83. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 先ほど申しましたように、国民の御理解をいただく、広く国民の方に参加をお願いするということでございますので、公募抽せん方式によって適切に相手方を選んでいきたいと考えております。
  84. 上野雄文

    ○上野雄文君 そこで問題は、今度はさっきからずっと議論になっていますが、外国の攻勢ということも考えられるのです。外国人もこういうものに参加できるのか、外国の企業が参加できるのか。この一連の自由化の中でそういう点についてはどんなふうにお考えですか。
  85. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私ども対象として考えておりません。
  86. 上野雄文

    ○上野雄文君 わかりました。  それから、さらに私どもの希望としては、こういうものはさっき菅野委員が農山村の過疎化の問題について触れられたわけでありますけれども、この制度の地域的な限定といいますか、やはり農山村の定住条件というものを整備するためにそういうところに集中的にやるというようなお考えがあるかどうか。さらにまた、将来にわたっての問題でありますが、参加した人の権利譲渡といったものを認めるというようなことになるのかどうか、その辺もお聞かせいただきたいと思います。
  87. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私ども国民参加によりますところの森林整備ということは考えておりますが、同時に、やはり地元の農山村振興ということも極めて大事であるということを考えておるわけでございます。したがいまして、国民皆さんにやはり農山村の実情を御理解いただき、森林造成重要性を御理解いただくということも、農山村振興のためには私はやはり重要なことだろうというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、先ほど触れましたとおり、国有林野事業をこれから進めてまいる過程におきまして、地域の市町村、地域皆さんに十分これまでも部分林設定あるいは国有林野の活用等で配慮をし、また、十分御意見を伺いながらしてまいっておるわけでございますので、今後ともその点については御指摘のとおり十分配慮してやってまいりたいと思っております。  なお、権利譲渡の問題でございますが、これは本当に長期間にわたりまして国民参加のもとに森林整備をするということであります。契約の長期 安定性を確保するという面から見てまいりますと、権利の処分というものは必ずしも望ましいものではないと思っております。ただ、公募に応じました費用負担者の方々が契約当初におきまして育林費用を一括して支払った後は、分収造林の場合にはこれはいろいろと保護義務その他ございますけれども、分収育林の場合にはそういう面では保護義務その他ございませんので、私どもはその権利を第三者に譲渡しても国にとって特に実害はないというふうな考え方から、分収造林よりは柔軟に権利の処分を認める方向で考えていますが、これもあくまでもやはり地元に対する配慮ということを十分考えてやってまいりたいと考えております。
  88. 上野雄文

    ○上野雄文君 今長官からお答えがありましたように、非常に長い契約期間ということになるわけですね。この間にいろいろな災害とかあるいは公共の用に供するために、例えば保安林の指定であるとかそういうような問題が起こってくると思うのですけれども、契約者に対する保護措置といいますか、そういうような問題についてはどうお考えになっていらっしゃいますか。
  89. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 分収育林契約の対象にいたします森林につきましては、国土保全等の観点から森林の取り扱いに制約がありまして、国以外のものに共有させることが望ましくないような森林等は除いて考えてまいりたい。緑資源としてふさわしい成長をしている森林、交通条件が比較的良好な位置にある森林等を選定をいたしたいというふうに考えておりますので、林況から見まして、将来伐採禁止の保安林に指定されるというようなことはほとんどあり得ないというようなところを選定をいたしたいというふうに考えております。  なお、御質問のとおり長期にわたりますので、森林被害を中途で受けるというような心配は確かにあるわけでございまして、これは費用負担者の権利の保全のために、分収育林契約の締結に当たりまして森林損害てん補制度に加入をしていただいて、災害を受けました場合には保険金、共済金がもらえるという契約を必ず結んで、保険に入っていただくということを条件とすることにいたしたいというふうに考えております。
  90. 上野雄文

    ○上野雄文君 最後に大臣に。ずうっとこの問題については言い続けてきているわけですけれども、山の問題はこのことだけで決まりがつくわけではありません。それから財政問題なんかについても我々はいろいろな具体的な問題提起をしているわけですが、ただ、これをしも成功させるというためには、林業を取り巻く環境を変えて、しかも政策的に変えていくということが必要だと思うのです。もう木材の内需喚起をするということが何といっても大変なことなのだというふうに思うのですし、目的を達成するためにどうしてもそのことは避けて通れない道でありますし、これらの問題もひっくるめて大臣のまとめのお答えをいただいて、終わりにしたいと思うのです。
  91. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 分収育林制度も国有林野事業改善の一歩でございます。国有林野事業は緑資源の確保という問題を初めといたしまして、国民経済、国民生活にとってまことに重要な役目を果たしておるわけでございます。今国会におきまして、国有林野事業改善特別措置法の改正法案、そしてまた国有林野法の改正法案、これらの改正をお願いいたしまして、林政審議会の答申の内容を踏まえて新たな政策努力というものもいたしてまいりたいというぐあいに考えております。
  92. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 三案に対する質疑は午前はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後一時三分休憩、      ―――――・―――――    午後一時三分開会
  93. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案国有林野法の一部を改正する法律案及び国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  94. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、御質問を申し上げます前にお願いの点がございます。午前中の審議を伺っておりまして、林野庁皆さんの懇切丁寧な御答弁があったわけでありますが、どうも御答弁の方がかなり時間をとっているようであります。私は一時間しか持ち時間がございませんので、本来私も自治体の長をやりましたときに、ややこしい問題のときはできるだけ多くしゃべることにしておりました。御答弁が長いときは自信がないというふうに私の方で受け取らせていただく、こういうことでひとつ始めさせていただきたいと存じます。  そこで、最初にこれは私、通告をしておりました課題とは違うのでありますけれども、午前中の菅野委員の質問の中でちょっと気になります点がございますので、お伺いしたい点が一点ございます。それは南方の森林資源の消滅の問題に関連いたしまして、我が国から技術者の派遣であるとか経営についてのいろいろな援助とかいうような形で、人を中心にしてだと思いますけれども、派遣をしておられるという話を伺いました。そういたしますと、我が国におきましては国有林の主たるものはやはり針葉樹を中心にして、特に経営の管理に関しては、針葉樹を中心にした形になっていると思うのでありますが、そうした中で沖縄というそれこそ亜熱帯、熱帯の特殊な森林地域も持っているわけでありますから、そういたしますと、海外への協力関係でいきますと、そうした沖縄の森林というものが我が国にとっても極めて重要な経験ということにもなりましょうし、その辺のところは、沖縄の森林対策ということでどのような研究なり開発なり、そういう体制をとっておられるのか。海外の協力といいましても、実際の体験というものがないとなかなか問題があろうかと思いますので、その点を一点お伺いをしておきたいと思います。
  95. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 沖縄県の森林面積は十一万三千ヘクタールございまして、うち国有林が三万七千、それから民有林が七万六千でございます。その中で、私どもはやはり沖縄の森林と申しますと、先生承知のあの西表の方は本当の亜熱帯林でございますが、あそこはほとんど森林施業をせず、これは亜熱帯の森林林相を管理するということを中心にいたしまして、一部畜産と林業の混合的な運営をやっているところもございますけれども森林経営としてはほとんどあそこはやっておらぬということでございます。  それから、本島の方でございますが、これにつきましては、やはり沖縄と申しますと台風の来襲地帯でございますし、何と申しましてもやはりあそこでは琉球アカマツというものとそれからあとは熱帯、亜熱帯から暖帯性の広葉樹林というものが中心になっておるわけでございます。特にその中で国有林につきましては、主体はいわゆる二十年生から三十年生のなるべく手入れをしなければならぬ、いわゆる保育除伐と申しますか、そういうものをしなければならぬ森林が多うございまして、現在の第四次の南西諸島施業計画におきましては、そういう保育を中心とし、一部間伐をするというような形で、いわば森林機能を高めるための施業方法を中心とした取り扱いをしておるということが実態でございます。  それから、民有林関係につきましてでございますが……
  96. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ちょっと待ってください、済みません。対策を伺っているのではなくて、海外へのいろいろな協力をするといったら経験が非常に大事でありましょうと。そうすると、沖縄というのは非常に大事な経験を積む場にもなるのではないだろうかという受け取り方がこちらにありますので、そういう対応というものはどういうふうにしておられるか、これを聞きたいということです。
  97. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 失礼いたしました。  沖縄の植生と南方の植生とは、西表以外は全く 違いますので、あそこの森林施業が即フィリピンインドネシアの方には適用しがたい樹種でございますので、直接あそこから勉強になるということは極めて少ないわけでございます。ただ、今後の課題としましては、西表の森林とは極めて密接な関係がございますので、今後の対応としてはどうするかというのは今後の検討事項だろうというふうに私ども理解しております。
  98. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 いずれにいたしましても、国際的に協力をするという場合には、やはりそれなりにいろいろな経験の蓄積というものが非常に大事な意味を持つと思うのでありまして、それだけに今、西表の話を伺いましたけれども、それこそそういう蓄積をするという意味でも西表の森林対策というものは積極的に研究取り組みをしていただきたい、このことをまず要望しておきたいと思うのです。  次に、国有林経営が企業会計になっているということなのでありますから、それだけに何か国有林会計に全部経営がおんぶをしているということについて私は疑問があるわけであります。午前中もちょっと菅野委員が触れられましたけれども中曽根総理は、花と緑あふれる潤いある生活環境というようなことをうたいとげておられます。また、先日の委員会では、与党委員さんの中からも大分その辺のところを大いに強調をされた面がございました。ということであればあるほど私は、例えば保健休養林そのほかの公園的な機能とかそういった、言ってみればいわゆる材を売って収入を得るというような、そういう体制にはならない森林というのが結構あると思うのです。水資源の涵養林などもその代表的な例でありましょう。そういたしますと、この間の参考人の御意見の中でも、経済林と非経済林を現地でもって線引きをするということはなかなか困難な面がある、こんなふうにも言われております。しかし、企業の会計という観点から考えていけば、やはり企業的に経営ができる部分とその経営が全くできない部分というものは厳密に区別をしてかかっていかなければならない、こういう性格のものではないかと思うのでございますが、その辺のところのお考えをまずお聞きしたいと思います。
  99. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 国有林は、やはり脊梁山脈地帯を中心として北は北海道から南は九州まで分布している関係がございまして、今先生おっしゃいましたいわゆる非経済林、経済林という区分、これは林道を一本入れることによりましていろいろと変動するものですから、私ども、それをはかる尺度としては、ポテンシャリティーと申しますか、潜在生産力というものを基準にいたしまして、木材生産機能であるとか、水源涵養機能であるとか、あるいはレクリエーション機能というふうなそういう機能をベースにした一つ調査を行い、しかる後に森林区分、施業方法をどうするか、さらには経理部分をどうするかというふうな検討をしなきゃならぬと思っていますが、いわゆる非経済林、経済林の区分というのは非常に難しい。むしろそういうポテンシャリティーをもとにした恒久的と申しますか、その土地の持っている力がどういうものかということをベースにこれから検討していかなきゃいかぬなというふうな問題意識を持っております。
  100. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 いずれにいたしましても、いわゆる経営という観点からいったら、そういう収入を得るということで支出のバランスも考えていくようなそういう企業会計というものになじまない支出というものが現実の問題として結構あると私は思うのです。そういうなじまないものも一緒に企業会計の中で処理をしてきているというところにやはり今の国有林経営の一つの特殊な行き方があると思われる。その辺のところを私は、今後の問題としてかなり掘り下げて検討してみなきゃならない部分ではないか、こんなふうに思うわけです。  実は、非常に単純な話でありますけれども国有林経営というものが大分厳しいという状況の中で、私なりにどんなふうに厳しいのか、パソコンで経営分析を少しさせていただこう、そう思いまして取り組んでみたところが、困ることばかりでわからないことばかり。言ってみれば極めて特殊な体系ということになるわけでありまして、それだけに本当にどこが苦しいのだろうかという点については、私は、なかなか一般的にはわかり切れないという問題を持っていると思う。  そこで、続けてお伺いをしたいのは、例えば苗木の生産から材木として販売されるまで、これは普通の製造業等でいきますならば、原料の仕入れからそしてその仕掛かり品とか何とかというような計算などをしながら、最後に売り上げとの関係を出して全体にバランスシートをつくっていく、こういう行き方になるわけであります。苗木の生産から材木として販売される間というのは物すごく期間が長い、この間を通じてのバランスシートというのはどんなふうになっているのか、つくっておられるのでしょうか。
  101. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 今先生指摘のとおり、一般企業におきましては、多角的な投資に基づく継続的な生産活動をやっている場合に、当然のことながら、これは単年度収支では経営の成績をあらわすことはできないわけでございます。私ども国有林におきましても、これは企業会計の方式をとりまして、それに準拠した経理方式をとっておるわけでございます。御指摘の、今造林関係が一番問題になるかと思いますが、この造林に投資されました経費でございますけれども、これは資産経理という方式をとっております。具体的に申しますと、造林に要しました経費と申しますのは、年度の収支上は確かに必要になりますけれども、これは損益計算上は費用とはならずに立木資産の価格の増加という形で経理をしているわけでございます。したがいまして、こういういわば資本的支出でございますので、これにつきましては、その植えた木が伐採される段階におきまして収益というのが出てまいります。それに売上原価という形で対応するという形をとっておりまして、この売上原価として費用化されて損益計算をするという形をとっているわけでございますので、いわば取得原価主義という方式を四十八年から取り入れているわけでございます。
  102. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 その方式は大体御説明の範囲でわかりました。そういたしますと、私は、経済の一つのあれを見ていくには、普通でやれば原料の仕入れから始まってそれの販売、これまでの一つの流れをくくってみて、そして損か得かという判断になっていくと思うのです。ところが、それは普通の製造業であれば一年のうちに何回か回転をいたしますね。だが国有林の場合には、木という特殊な相手ですから、それが三十年なり五十年なりという長い年月がかかるわけであります。そうすると、それを通してのそういう経済的判断をする資料というものはあるのですか。
  103. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) これは先生承知のバランスシートによりまして、そこに立木資産と土地資産というような形でこれが表示されていまして、しかも、これはほぼ五年置きに見直しをするという形でこの資産内容が具体的に示されると思います。したがいまして、今のお話造林の問題につきましては、森林が植えられましてから大きくなる過程で、それがその都度立木資産として評価されてバランスシートの上に載ってくる、こういう形をとっています。
  104. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 それはわかりましたから、見直しはそうすると五年ごとと、これは資産としての見直しでございますね。  それから続けて、その資産はそういうバランスシートで見ていきましたときに、その三十年間という長い年月の中で資産がふえていくというのは普通のあれになるのですけれども、資産を食っているというような形はありませんか。
  105. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 先ほど五年置きと申しましたのは、これは訂正させていただきますが、大きな変動があった場合に見直すということでございますので、そこを訂正させていただきます。済みません。  それから、これは資産を食っていないかという話、これは毎年の損益計算、それから今のバラン スシート上でその内容は処理されているわけでございますので、その都度その都度そういう形で分析、評価されているというふうに私ども理解しています。
  106. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 いや、私の伺ったのは、そういう長い年月の間で資産を食ったというようなときはありませんか、あるいは現在は食っているというようなことはありませんか、こういうことで伺っています。
  107. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) これは五十七年度で先ほどの資産の関係を申し上げましたが、ここで繰越欠損金として三千四百八億円載っていますが、これは結局繰越欠損金でございますから、その分はいわば食ったという形で出るというふうに理解していいと思うのですが。
  108. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうすると、それでちょっと私もその辺まだ、数字的にももう少し個人的にははっきりさせていただきたい分もないわけではありませんが、一応そういう形で資産を食っているという事実は出されましたから、そこでお伺いするのですが、それではなぜその資金を食うような状況になったのかということで、その理由をどのようにお考えになっておりますか。
  109. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 国有林野事業勘定は五十七年度末で繰り越しの欠損金は四千四百六十九億円になっておりまして、この中身の分析を私どもはいろいろしているわけでございますが、やはり収入面で見てまいりますと、第一点は我々の自己収入の最大のものでございます林産物の販売収入が、まず伐採量が資源制約で切れなくなっているということが第一点ございます。  それから、木材価格が木材需要の低迷によりまして下落して低迷しているということがございます。それから支出面におきましては、昭和三十六、七年から大変国有林関係木材需要の急増に対応するということで伐採を増加してまいったわけでございますが、それに関連しまして要員給付も大分膨らませております。伐採量の減少に伴いまして鋭意要員調整をしていますが、いまだに調整過程に現在あるということも人件費が多くなっているということにつながりますし、事業運営につきましても、特に五十三年以来鋭意能率化に努力しておりますが、またこれは不十分であるということから諸経費が増大している。それから、現在造林あるいは林道等の投資資金につきましては、これは自己資金が減少してきているという関係もございまして借入金に依存している。したがいまして、これに伴う支払い利子等は増高しているということが原因であるというふうに私ども理解しています。
  110. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 今の御答弁を伺っておりまして、例えばかなり木を切った時期があった、その時期に要員もかなり確保したというお話も含めてあったわけであります。私は、むしろその時期というのが森林成長量に対して伐採量がかなり上回ったといいましょうか、俗な言い方をすれば乱伐傾向にあった時期ということになるのじゃないだろうか。そんなことが今むしろ資産を食っていかなければならないような状況をつくり出していることの一つではないか、私はこんなふうにも思います。  それからさらに、先ほど触れましたように、企業会計の支出の中に含めていくにはなじまないような経費、例えば水源涵養林であるとか、そのほか言ってみれば、それは潜在的なあれがあるとはおっしゃるけれども、現実の経営の中では、そこからは収入は上がらないで一定の投資はしていかなければならぬという状況の中に置かれているわけなのですから、それだけに、単年度単年度で決済もしていかなければならない、そういう企業会計のあり方というものとはなじまない支出の部分だというふうにも思うのです。その辺のところが私はやはり国有林経営というものにいろいろと影響を与えていて、本来やらなければならない、本来果たさなければならない使命というものにも重大な影響が出てきているのではないか、こんなふうに思うわけなのです。  そこで、林野庁では、人工林が毎年天然林に編入されるというものがあるわけであります。まず、この人工林が天然林に編入されるという理由は何かということがあります。そして、それが最近どのくらい天然林への編入があったのか、面積とか蓄積量とか等について掌握をしておられると思いますので、それをお聞きをしたいと思います。
  111. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) 人工林として造林をいたします際には、言うまでもなく最後まで人工林として仕立てる計画造林に取りかかるわけでございますけれども、やはり適地の見誤りとか、あるいはその後気象害とか獣害とか、いろいろの原因によりまして人工植栽木よりはむしろその後の天然に生えてきた木の方が成長が旺盛であると。私どもそういう造林地の今後の扱いを決めます調査を、大体五年置きに山を回りまして施業計画というものを編成いたしておりますが、そういう際に、この造林地は将来とも造林地として持っていくべきか、あるいはここで天然林の方の勢いがまさっているので混交の状態にするか、あるいはまた、いっそ思い切って天然林とするかというふうな判断をするわけでございます。その際、天然林に編入されるように決定をいたしますものを天然林編入と申しておりまして、最近の数年の平均の数字で申し上げますと、年に六千ヘクタールから七千ヘクタール程度が天然に編入となっているわけでございます。  いつごろの造林地が多いかと申しますと、ちょうどこれは昭和三十年代の半ばから四十年代の半ばにかけまして当時の高度経済成長時代に大量の木材需要に対応する、木材価格も安定する必要があるということで、国有林が総力を挙げましてそういうものに対応いたし、大変奥地につきましても伐採を進めたわけでございます。その奥地の造林につきましては、当時まだ十分な技術的な蓄積も今日考えますと不足であったと思いますので、樹種の選定の誤り、その他施業上の不十分さもありましてここらあたりの造林地にいわゆる不成績造林地が発生し、これが天然林に編入という形をたどっているのが多いわけでございます。
  112. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 結構あるわけなのですが、そうすると、これは金額的に評価をするとどのくらいのものになりますか。要するに、造林というものは将来伐採をという目的でするわけでありますから、それが結局そうならないで天然林ということに編入ということになりますと、これはかなり重大な問題になってくるのではないかと思うのですけれども、これは金額的に評価というのはできますか。
  113. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) この種の造林地から落ちるといいますか、外れていきますものの資産価格を資産除却という形で落としております。中には林道でつぶれ地になりましたり、あるいはダムの水没等もあるわけでございますが、大きくは天然林編入によるものが多いと考えております。金額で申し上げますと、大体毎年六十億程度の資産価格でございます。
  114. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 国有林が随分苦しい苦しいと言っているときに、六十億円くらいの評価額のものが人工林から天然林へ編入をされていくということは、これは非常に大きな問題なのではないか、私はそんなふうに思うのです。これは担当の方々から言えば、それはもし天然林になったとしても、将来はこれは伐採をして収入の一助にし得る面も持っているという言い分もありましょうけれども先ほど来申し上げてきたように、長い年間でもって収支の全体のバランスを見ていくというあれからすると、将来のそういうものも含めて、そこでその国有林財政全体が適切な財政状況になっているかどうかということの判断をする、そういうシステムになっていればいいですけれども、大体単年度単年度の資料を出して、それがいろいろと御議論になるという格好の中でならば、私は将来のことというものを今計算に入れて、このことを不問に付すというわけにはいかないのではないか、そんなふうにも思うわけです。この点は、いろいろとまたお考えの違いがあるかもしれませんが、とにかく私はこうした国有林経営の中で一つ 大きな問題点があるということを申し上げて、次の質問に入りたいと思います。  先ほど午前中の議論の中で、国有林の間伐が適切に行われない部分もあるということを認められた御答弁がありました。そういう下刈りその他も含めてのかかわりの中で山が手入れが行き届かないで、いわゆる山荒らしという状況になっている部分というのが現在もかなりある、私はこんなふうに思うのです。我が党の調査によりましても、そういうものがかなりあるということが言えるわけであります。これはもう既に山荒らしの状態は十分調査をして、そのことがすべて解消をするということになっていたはずでございます。その辺のところをどのように対処をしてこられ、そして今をどのようにとらえておられるか、その辺のところをお聞きをしたいと思います。
  115. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) いわゆる不成績造林地問題が集中的に、いろいろ御議論いただきましたのは、五十三年八十四国会でもあったわけでございますが、あのとき私どもは全国的な一斉調査を二度、五十二年の四月と五十四年の四月現在でいたしたわけでございます。そのときの掌握をいたしました不成績造林地につきましては、五十八年までに計画的にその解消に努めてまいりましたので、その時点で把握をいたしましたものにつきましては、ごく一部、例えばカモシカの害等で非常に手だてのいまだないようなむずかしいところ、約千数百ヘクタールございますが、それを除きましてはそれぞれ対応を終えたわけでございます。  今でもあるのではないかというお話でございますけれども国有林で毎年造林いたしておりますのは、大体三万五千ヘクタールの造林地をつくっておりますけれども、その中では局部的にいろいろな被害も出るわけでございまして、そういうものはやはり毎年、毎日毎日の私ども国有林の経営管理活動、営林署、担当区、事業所等で行っております管理活動によりましてそういうものを把握いたします。毎年の業務計画と申しておりますが、そういうものに織り込みまして、極力早期にそういうものは解消するように、例えて申しますと、下刈りなどにいたしましても、毎年の事業量は大体三十五万ヘクタールの下刈りをいたしておりますので、そういう形状の発生部分と申しますか、そういうものにつきましては毎年の業務計画の中で極力解消するように努めているところでございます。
  116. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 今お話がありましたけれども調査をして、その時点での調査をした結果のものについては全部解消をされたと思うのです、それは当然そうしていただかなきゃならなかったわけでありますから。しかし、現在もかなり膨大なものが私はあるのではないかと推測をされるのでありまして、それを毎年毎年の業務の計画の中で解消をということで簡単にできるものなのかどうか、その辺のところも随分気になるわけであります。我が党が調査をいたしました範囲の中でも、これは北海道から九州までそれぞれあるわけでありますけれども、ここにそれぞれの証拠の写真等も持ってきております。下刈りの不足あるいは間伐の問題、それからさらには、極端なものでいきますと薬剤散布による被害がそのまま放置されているような状況まで、かなりのものがあるという事実が私どもにわかってきているわけなのでありまして、こういう状態の中で私はむしろ山荒らしの状況というものはそれこそまた早急に点検をして、こういうものをなくするという姿勢をぜひとも見せていただきたい。それがないと、国有林の使命を果たすと幾ら口で言われても、こんな状態であったのでは私は信用し切れない、こんなことにもなってしまいます。その辺のところをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  117. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) そういう国有林としてやるべき重要な業務につきましては、大きな計画といたしましては、営林局でつくります施業計画というものがあるわけでございますけれども、それをさらに補う営林署の日常の経営管理活動があるわけでございます。その両方と相まちまして、しっかりした計画を毎年立てていく、こういう御議論をいただいたということを十分私ども下部組織にも勉強させまして、そういう事態がもしあるならば、早急に解消するように計画をつくらせ、実行をいたします。
  118. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 時間がありませんので、そこのところでまたやりとりを十分やっている時間がありません。それぞれの調べてきたものもありますから、これをお貸しいたしますので一度見ていただいて、こんな状態なのですから、早急にそういうものは解消していただくための努力をしていただきたい、このことをまず要望したいと思います。  それで、そのためには予算措置等もいろいろとあるわけでありますから、そういう予算措置が必要な場合は、それこそいろいろと予算の厳しい時期だなどということを言わないで、まずこういうものを解消しなきゃならぬという使命感でひとつ問題を提起をして、委員会にも提起をしていただきたい、こんなふうに思うわけです。  時間もなくて本当に走り走りで申しわけありませんが、あと、先ほどダムの話がありましたけれども、私ども農民関係のものを見ていきますと、送電線の下は一定の幅を持って線下補償というのが電力会社からやられるようになっております。この線下補償というものを、それぞれ組合ができたりいろいろな形で対応はありますけれども、とにかくそういう形になっているわけです。発電ダムがあれば当然送電線が通ります。ダムがなくても、例えば私どもの方の柏崎の原発から東京へ送るということになれば膨大な送電線が通ります。こういったときの線下の関係ども、言ってみれば私は、国有林だといってもやはり当然そういう一つ事業に貸し付けているわけでありますから、そういう補償というものがあっていいのだと思うのです。この点は通告しておりませんでしたけれども国有林の経営ということで考えていったら収入は少しでも得るということが大事だと思いますので、おわかりになりましたらお聞かせいただきたいと思います。
  119. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 送電線敷につきましては、これはすべて貸し付けでいたしております。毎年毎年貸付料を取ってやっております。
  120. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 補償料を取っていますね。
  121. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) はい、やっています。
  122. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 補償料についてもいろいろと伺いたいところがありますが、先ほど申し上げたように、農家などの場合は送電線の幅のさらに一定の幅というものを見ながら対応しているというのですけれども、その辺のところもこれは取っておられるというのですから、原則としては私はわかりましたので、やり方についての掘り下げはまた別ということにさせていただいて、また何か機会があれば伺うことがあるかもしれません。要するに、私がこんな御質問を申し上げたのは、国有林経営というものが少しでも収入を上げて、もちろんその地域へしわ寄せするなどということのないように上げていって、経営を健全化の方向へ努力をするというためにいろいろな手を尽くしていただかなきゃならぬ、そうしていると思うから御質問を申し上げたわけであります。  そうした観点からまた見ますならば、材木の販売ということにつきましても、これは林政審答申の内容を見ますと、どうも立木販売の方にかなり傾斜をしているようでありますし、それからまた、林野庁の現在の実績も立木販売の方にかなり偏っているという格好になっていると思います。しかし、これはやはり経営の観点からいきますならば、できるだけ付加価値の高いものというような形で考えていただくのが当然だと思うし、そのためには素材販売等にもっと配慮をしていただいた方がいいのではないか。しかしながら、もちろんそれは国有林でありますから地元との関係というものを全く無視するわけにはいきません。それこそ営利主義でいってもいけませんから、地元との間は十分に配慮をしていただくといたしましても、その中で素材販売というものにもっと配慮をしていってはどうか、こんなふうに思うのですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  123. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 国有林の今後の販売形 態の問題でありますが、林政審答申の趣旨に沿いまして立木販売を指向するわけではございます。現実実際の問題として幾つか私ども検討しなけりゃならない問題でございますが、それはまず第一に、製材業者の方々が、伐採部門を縮小しまして素材で買いたいという要請地域によって非常にあるということです。それから、市売り市場から素材供給への依存度というのは最近高まってまいっておるという問題。それから、今国有林自身では要員調整をしておりますけれども、ともかく働く人たちがいますので有効活用をもちろん図っていかなければならぬという問題がございますし、付加価値を高めて収入増を図らなきゃならぬという問題がございますが、もちろんこの場合には、立木処分よりもはるかに付加価値が高くなきゃいかぬということがございます。そんなことも考えますと、今後相当規模素材生産販売というものは継続していかなければならぬというふうに考えております。
  124. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 もう時間がどんどんと経過してしまいますので、本当にはしょって申しわけありませんが、それこそ簡単な御答弁でわかりやすくお願いをしたいと思います。  そこで、自助努力をいろいろとしておられるということなのでありますけれども、この自助努力が地域住民にしわ寄せになったというのでは私はくあい悪いと思うのです。ここで営林署の統廃合ということが今その自助努力の一環ということなのでしょうか、やられているのでありますが、この場合地元の意見というものはどのように反映されているのだろうか、こういう点で私は幾つかの疑問があります。  これは私の体験でまことに申しわけありませんけれども、ことしの豪雪に対して新潟県で雪崩の死亡事故があって調査に参りました。そのときに、その地域は営林署の管理管内でありますが、営林署にジープを貸していただきたいというお話をいたしましたところがジープがなかった。これは統合された営林署なのでありますから、ほかのところを廃止をしてそこへ統合したのでありますから、範囲はうんと広くなった、山の中を見て歩くのに、私はそういう機動力というものがそれこそ十分過ぎると言ったら言葉は悪いけれども、とにかく最大の機動力というものは確保していただいているのが普通だと思うのでありますけれども、そのときはどういうわけかありませんでした。いろいろとそのことが話題になりまして、後に何か前橋の局の方から回していただいたそうでありますけれども、地元では長岡を廃止するということで随分反対があったのです。そういう中でいろいろなことが起こってくるじゃないか、雪崩に対してのパトロールだって非常に手薄になる、地元ではいろいろな心配があります。果たしてこういう統合の中でそういう意見というものがどういうふうに反映されているのだろうか、この辺のところが大変疑問になるわけであります。いかがでございましょうか。
  125. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 今の配車の関係でまことに御無礼を申し上げました。以後そういうことのないように指導してまいりますので、御容赦賜りたいと思います。  なお、営林署の統廃合問題でございますが、私どもやはり経営改善を進めるに当たりましては、機構の簡素合理化問題は避けて通れない道だろうというふうにこれは受けとめておりまして、今後やはり五十二年の閣議決定を踏まえまして、六十二年度末までには当時の営林署の約一割、三十五署を統廃合するということで、現在五十三年度と五十六年度二カ年にわたりまして十六署を統廃合したわけでございます。私どもはやはり地域社会における営林署と地元との関係というのは極めて密接な関係ございますので、統廃合を進めるに当たりましては、十分地元の公共団体の方々の御理解協力を得るように最善の努力を払いつつ進めておるところでありますし、また、国有林野事業機能の低下や地元の皆さんに対するサービスの低下を招くことのないように、営林事務所等を廃止するなどいたしまして今までも努力してまいっておりますが、今後もそういう考え方で慎重に対処してまいりたいと考えております。
  126. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ぜひ地元の意見というものを十分に聞いて、そしてそれこそそごが起きないようにしてもらいたい。私は統合することだけでも、広くなるだけに随分いろいろと問題があると思うのです。それだけにまた地元にしわ寄せがいかないように、あるいは地元でいろいろとある要望がだめにされてしまうというような形にならないように十分な配慮をしていただきたい、このことを御要望申し上げておきたいと思います。  次に、民間の活力を利用していただくということは非常に大事なことだと思いますけれども、そこで、例えば植林の際の苗木の活着率というのは、請負に出した場合にはどのくらいになりますか。直用との差がありますか。
  127. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) 最近三年間調査の数字がございますので申し上げますと、直用の場合の活着率が九六から九七%、請負の場合が九四から九五%程度となっております。
  128. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 大変いい成績の御報告がありましたけれども、私は実際の面でいくと、その辺これは平均でいってもなかなか大変なのに、本当にそうなっているのかなという心配もないわけじゃありません。一くわ植えという言葉があるわけでありますので、これでうまく活着していない部分というのは結構あるということは現実の中ではよく見受けるのです。ただし、これは今の平均の数字としておつかみになって出されてきたということで、私はそれは全体の中ではそういうのは例外なのかもしれない、こうは思いますけれども、あってはならないことだと思うのです。民間の活力を利用したけれども活着率が悪くて成績が悪かったなどというようなことになるなら、これは出さない方がよかったということにもなるわけであります。その辺のところも十分に今後の問題としては考えていただきたいと思うわけであります。  そこで、もう時間がない中でまことに恐縮でありますが、林野庁に登録をされている民間業者の労働の諸条件について若干伺いたいと思います。この間の参考人の御意見の中でも、山林労働者の大変悲惨な生活状況というものが一部報告をされたりしておりました。それだけに非常に重大な問題だと思うわけであります。そこで、特にその中で生活の問題というよりも労働条件について、私は林野庁がどれだけ掌握をしておられるのかということについて、これから若干伺いたいと思います。  これは五十八年一月の北海道新聞に載っていたもので、林野庁の網走管内で、一つの企業がブルドーザーの無資格操作をさせておいたために死亡事故を起こしたという記事がある。これは労働災害として大変悲しい結果が出たわけでございます。この点については、そのときどういうふうに林野庁は対処をされ、その後どう対処をされたか、まずこれを伺いたいと思います。
  129. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) 御指摘のありました災害は、五十七年十一月十五日に北見営林支局管内の立木販売箇所で発生したものと承知しておりますが、労働基準監督署が五十八年一月十七日に伐出作業の責任者を書類送検し、五十八年の七月十三日に不起訴処分となっているように承知をいたしております。  私どもといたしましては、営林支局におきまして直ちに災害後に本署に呼びまして、災害防止について責任者に再発防止を含めまして厳重に注意をいたしたところでございます。同時に、関係業界に対しましても労働安全衛生の確保を図るように改めて指導いたしまして、災害防止の一層の徹底に努めたところでございます。なお、これは私の方の登録業者でございますので、私どもの評価の点数をこの事故によりましてランクを下げでございます。
  130. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 労働省はお見えになっていますか。――労働省にお伺いするのですが、今北海道の一つの事例を申し上げましたが、これが労働省としてはどういうふうな扱いにその後なったかということをお聞きしたいのが一つ。  それから、林業労働者というのはこうした労災事故の発生率がかなり高い方ではないか、私はこんなふうにも思うわけでありますが、他産業と比較をしてどういう状況になっているか、そのことをちょっとお聞きしたいと思います。
  131. 加来利一

    説明員(加来利一君) まず第一点でございますが、ただいまの林野庁の方からお話がございましたとおりの措置がされておるわけでございます。なお、ブルドーザーの運転手につきましては、労働安全衛生法によりまして一定の講習を終了した者でなければ大きなブルドーザーについては運転できない、こういうことになっております関係上、送検が行われたわけでございますけれども、これらの講習会の実施、周知その他につきましては、その時点以降さらに強めてまいってきておるわけでございます。そのほかに、林野庁と合同で各種の安全対策をとってきたわけでございます。  それから、第二の御質問でございますが、林業での労働災害でございます。林業の労働災害は、私ども休業四日以上の災害という形で把握しておりますが、これは昭和五十三年以降減少はしてきておりますけれども昭和五十七年では一万九西九十五件という数の災害がまだ発生しておりまして、死亡災害につきましても、昭和五十七年には百二十四件という死亡者が遺憾ながら生じたわけでございます。死亡者の方も、昭和五十年には百五十三件でございましたので若干の減少は見ておるわけでございますけれども、まだまだそういった災害が発生しているというのが現状でございます。
  132. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 労働省にお伺いいたしましたので、続いて恐縮ですが、労働省にお伺いをいたして、それから林野庁の方にと思っています。  私は、林業労働者の実態というものは、雇用契約一つにいたしましても大変――労働省、ちょっと聞いていてください、労働省に伺っておりますので。雇用契約一つにしても契約書一つを取り交わしていないというようなものも随分あるというふうに承知をしております。林業労働そのものが、言ってみればかつて建設業がそうであったように、現在すべてなくなったというわけじゃありませんけれども、前近代的な状況の中に置かれているのではないか、こんなふうにも思うのです。そういう中でこうした林業労働者に対する保護というものを考えていきましたときに、例えば林業手帳などの発行などをやって、職安、市町村というところで掌握しながら行政的な指導管理というものが業者の方にも行き届く、労働者の一定の権益も守れる、こういうような方向性というものがとられてはいかがかと思うのですが、その辺のところはどのようにお考えでしょうか。
  133. 矢田貝寛文

    説明員矢田貝寛文君) 今お話ございましたように、林業労働につきましては作業の季節性とか、あるいはその経営規模が小さいというようないろいろな問題の中で、御指摘のような雇用の安定の問題、その他雇用面でいろいろと改善していかなきゃならない問題があろうと思います。そういった中で、私ども労働省としましては、現在そういった面での雇用条件の改善指導とか、あるいは通年雇用奨励金等を活用しまして安定的な雇用の確保というようなことに努めておりますけれども、実際に雇用の近代化を進めるためには、やはり林業事業主等におかれまして、そういった近代化のための諸対策を推進する場合に、円滑に受け入れていただける体制なり、あるいはみずからそういった近代化を進めていただく、そういった条件の整備充実と併行しながら進めてまいらないとなかなか実効が上がらないのじゃなかろうかと思っております。御指摘のございました手帳制度等の問題につきましても、そういった中でいろいろと今後勉強していきたいと思っております。
  134. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 もう時間がなくなりましたから、最後に大臣に伺いたいと思うのです。本当は聞きたかったことがまだほかにもいろいろとあったのですけれども、きょう私が御質問申し上げてきました経過の中で、私は国有林経営というものは非常に問題がまだいっぱいある、こんなふうにも思うわけです。そしてまた、最後の今の問題で行きますと、いろいろとおっしゃったけれども、現実はこの事故を起こした業者がまたさらにちゃんと入札にも参加し、あるいは事業を請負っているわけなのであります。本来であれば、死亡事故を起こした者については、私が自治体の長だったころなら、そんなものがあると、しばらくの間は一切仕事をさせないというくらいの強い姿勢で臨んでいかなきゃ議会がもたなかったのであります。そういうことまで考えていきますと、私は、大臣がこの間御答弁の中で、臨調答申の優等生みたいに林野庁を評価しておられた答弁というものは大変残念に思うのであります。  これらのこと等を考えていきましたときに、林野行政というものは、本来私はこれからもっともっとそれこそ改革をしていかなければならない多くの問題を持って、そしてそれらが本来の使命達成へ向けての道であろう、このようにも思うわけであります。優等生どころか、本当に問題が多過ぎるという感じを持ったままですから、そういう中での法案審議、簡単に賛成するというわけにもいかないみたいな状況というものがあるわけであります。こうした中で、大臣としてきょういろいろと出てきた問題、特に最後の労働災害の問題などというのは人命にかかわる問題でありますから、そういう点での御決意というものも含めて今後の方針をお伺いをして、終わりたいと思います。
  135. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 労働災害等については十分に配慮してこれに対応するようにさせてまいりますし、また、林政審議会答申におきましても、「林野庁のみならず政府全体が国有林野事業の非常事態認識し、これに取り組むことを期待する。」と、こういうぐあいに指摘もされておることでございまして、私としても全力を奮って関係方面理解と御協力を得ながら国有林野事業の改善に取り組んでまいるつもりでございます。
  136. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 先日の審議に引き続き、午前中からまたるる質疑が進められておりますので、私は同僚委員の御質問がなかった部分のところをいろいろお伺いしてみたいと思うわけでございます。  午前中の質疑等を伺っておりまして、かなり重要な部分が私自身にも知らされてまいりまして、大変気持ちとしては深刻になっているわけでございますけれども、私は先回、参考人の方々をお呼びして一部質疑をいたしましたときに、今の林業にソフトな要素としてやはり知恵とかあるいは技術というものを投入することによって何とか救いがなかろうか、こういうお話を申し上げたはずでございますが、これは今後の課題であるということで筒井先生もおっしゃってくださったことを記憶いたしておりますので、きょうはそんな観点からひとつ話を伺ってみたいというふうに思うわけでございます。  ところで、知恵とそれから技術というものを使いまして今の森林の価値を高めていくためのよい出づくり、先回岡先生が盛んにおっしゃっておられましたけれども、よい出づくりを目指すためには、林業技術の活用が極めて重要であるというふうに私は思うわけでございます。そこで、人工造林等を行う場合の樹種の選択あるいは適地の選定等いろいろあると思うのでございますが、こんなところからまず聞かせていただきます。
  137. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 森林資源造成整備に当たりましては、いわゆる適地適木主義と申しますか、まずはそこに基本を置きまして、森林の持っていますところの木材生産あるいは国土保全水資源涵養等、それぞれの機能が総合的に発揮できるようなそういう森林造成をするということが私ども基本になっているわけでございます。特に国有林におきましては、昭和四十八年以降新しい施業方法というものを導入いたしまして、それまでの拡大造林というものを見直しまして、特に立地条件に合った形で、地域の特性に合った樹種を選定しながら森林資源の育成整備に鋭意努力しているところでございます。  先ほど論議がございました一部の不成績造林地等が過去におきましてあったことも十分踏まえまして、私どもはやはり林地の立地条件を踏まえた 形じゃなかったかということを深く反省しておるところでございます。そのため特に考えておりますのは、技術的合理性ということをベースに置いた考え方に立っていかなきゃならない、かように考えておるところでございます。
  138. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 例えば、具体的に申し上げますと、造林面において同じ大きさの木をたくさん並べるとか、あるいはまた同じ樹種を並べるとかいうふうなことによって起きてくる弊害というようなものがあるわけでございます。こういうことは大変林業を不健全化していくということにつながると思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  139. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) ただいま先生から、同一樹種で同一林齢の人工林を広くつくると森林が不健全化するのじゃないかという御質問があったわけでございますが、昭和四十八年以来、国有林におきましてはそれまでの森林の取り扱いを変えまして、できるだけ伐採箇所は分散をする、それから一伐採箇所の面積は小さくする、それから禁伐とすべきところについてはやはり禁伐としていく、さらには全体としての皆伐面積を小さくいたしまして、それを択伐的な取り扱いに移していく、この今申し上げましたように森林の取り扱い方を変えたわけでございます。今日に至りますまでその方針にのっとりましてやってきておりますが、樹種の選定につきましてはやはりその土地土地の立地条件がございます。土壌でございますとか、傾斜でございますとか、あるいは南に向かっているか、北に向かっているかといったような方位でございますとか、あるいは土壌の深さとか、そういったようなことをその土地土地につきまして十分調べた上で樹種を選択をして植えるというようなことをやっているところでございます。  同一林齢あるいは同一樹種の森林でない方がいいのではないかという御趣旨でございましたが、私どもやはりこれから先、複層林的な山の取り扱いというものをできるだけ取り入れていきたい、このように考えておりますことと、それから天然の力を利用して山を仕立て上げることのできる部分につきましては、いわゆる天然林施業というものを積極的にやってまいりたい、このように思っているところでございます。先ほど長官が御答弁申し上げました中で触れました、いわゆる技術的な合理性に基づいてこれからきめの細かい施業を展開してまいりたい、このように思っているところでございます。
  140. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 林政審の答申の中でも、「公益的機能の高度発揮及び多様な木材需要に対応した弾力的な供給を可能とする資源造成の観点から、複層林施業の推進に努める必要がある。」と、こういうことが書かれておりまして、その複層林施業とは、「森林を構成する林木が二層以上となるよう植栽等を行い、上層木を伐採しても林地が裸地化しない森林造成すること」、こういうふうなことが言われておりますので、今の問題を、今のお答えを含めてこの複層林あるいは混交林というふうなことについて、私は大変今後考えていかなければならない課題だというふうに思います。  先ほど同僚委員への答弁の中にも、主要な樹種として、杉が六〇%ですか、それからヒノキが一九%、あるいは松、カラマツ等九%ずつというふうなお話がありましたけれども、こういうものはやはり今その種類ごとに固まって現在では植えられているわけですね。昨年春の東北地方の山火事について、この山火事の原因が、針葉樹が濶葉樹に比べて非常に多く植えられていた、そしていわゆる針葉樹造林に力を入れ過ぎたというか、偏り過ぎていた弊害であるというふうなことが指摘、報告されていることがあるのでございますけれども、こういうことに対する見解はいかがでございましょうか。
  141. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 山火事の発生、拡大については、先生御存じのとおり、これは気温の問題、風の強弱の問題あるいは湿度の問題と、大変気象条件、地形あるいは季節その他各種の条件の複合された中で発生しているわけでございますので、森林の耐火性を樹種のみに結びつけることは必ずしも妥当でないというように私も理解しておるわけでございます。私ども日本森林造成を検討する場合に、やはり適地適木でやっているわけですが、その場合に、比較的日本の場合には地形が急峻でございますので、最上流部がアカマツ、中間がヒノキ、下流が杉というふうな形で植えられるという形が比較的多うございます。しかしながら、やはり全般的に見ますと、広葉樹の方が針葉樹よりは耐火力が強うございますので、私ども指導としましては、道路の周辺とかあるいは尾根筋とかいうところにはできるだけ広葉樹林を残すような形で指導をしておるわけですが、民有林の場合にはどちらかと申しますと全般的に所有形態が零細なために、やはり〇・五ヘクタールとか一ヘクタールというふうな小面積に同一林齢の形あるいはヒノキが植えられるという例は御指摘のとおりございます。しかし、私どもはやはりこれからは、今申しましたような山火事防止というのが極めて重要でございますし、防火帯を設けるということも重要でございますし、そういうところについては成林可能な広葉樹を積極的に導入していくということが私は大事だろうと思います。  それから、特に亜高山帯地帯のようなところにつきましては、これは皆伐して一斉造林するということは非常に成績の悪い造林をするということになりまして、ここはむしろ群状に択伐をしまして、そこに北海道の場合ですとトドマツ、エゾマツを植え込むというような形で広葉樹林と針葉樹林を混交させる形の施業体系を今とっているわけでございますので、こういう形の天然林の改良事業というものがこれから重要だというふうに考えているわけでございます。  それから、一般民有林におきましては、戦後の拡大造林が非常になされたときに、薪炭林を伐採しまして一斉に人工林ができたというのがございますが、そこにつきましては、今先生指摘複層林施業ということで間伐を強度にいたしまして、その間に今度は幼齢木を植えていくというような形で二段林に誘導していくような、そういう複層林造成パイロット事業というものをことしから実は始めておるわけでございます。やはり絶えず地表を被覆している状態で森林がつくられることが、大径木、小径木が生産されると同時に、森林保全上も極めて重要でございますので、現段階はパイロット事業でございますけれども、逐次これを拡大していきたい、かように考えておるところでございます。
  142. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ところで、今の混交林化ということを保安林にこそ考えてみたらどうかというふうに私は思うわけでございますけれども、この場合、保安林に対しては森林法でいわゆる不作為の義務があるというような問題がございますので、そういう点での絡みはいかがでございましょうか。
  143. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 複層林森林の水源涵養機能なり、あるいは土壌保全機能を高度に発揮させるために望ましいものというふうに私ども考えておりまして、保安林につきましても、昭和五十八年度に治山事業の一環としまして水土保全機能強化総合モデル事業、さらに五十九年度には重要流域保安林総合整備事業といったような事業を創設をいたしまして、複層林の積極的な造成なり複層林施業の普及定着を推進しているところでございます。  しかしながら、この複層林施業はこれまでのいわば単純一斉林の施業に比べまして比較的高度な林業技術を要するものでございまして、まだ残念ながら一般森林所有者の方が一般的に実施できるものにはなっていないということでございますので、こういった事業を通じまして、まずは林野庁といたしましては、こういった複層林施業が技術も含めまして円滑に実施されるように、森林所有者等に対します指導なり助言という形で普及に努めてまいりたいというふうに思っております。  指定施業要件との関係でございますが、この問題につきましては、確かに一番骨格になっておりますのは伐採の種類の指定なり制限でございまして、例えば一斉林を複層林に誘導いたしますような場合に、抜き切り、択伐のようなことをやりま して、そこへ下層木を植え込んでいくというようなことをやります場合に、指定施業要件が障害になるような場合があり得ないことはないわけでございますが、その辺の調整は保安林の制度の中の運用の中で図っていかなければいけないと思っております。逆に複層林施業というものを指定施業要件として、保安林制度の中で伐採についてのいわば規制ではなくて今度積極的な施業義務みたいなものを規定をしていくというようなことにつきましては、これは保安林の制度あるいは指定施業要件というものの性格の根本にかなりかかわってくる問題になりますし、先ほど申しましたような技術的な指導、助言というようなものがある程度進んだ段階での将来の検討課題ではないかというふうに考えておるところでございます。
  144. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は大切なことだと思いますので、ぜひ将来の検討課題にしていただきたいと思います。  ところで、先祖とから同僚議員の質問の中から出てきたいわゆる出づくりの大変さ、そして今荒れている状況等を私は伺っておりまして、大変胸が痛くなる思いをいたしますわけですが、こうした出づくりに対して技術的に何とかもっと指導ができないものだろうか、こういうことを大変感じ入ったものでございます。例えば間伐の問題にいたしましても、あるいは下刈り、あるいは枝打ち等、こういう問題の一つ一つにしても、やはりこれは皆作業であり技術ですね。こういうものの指導面は一体どんな状況に今なっているのか、こういうことをお伺いしたいと思います。
  145. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) ただいまお話ございましたように、造林、保育、それから病虫害の予防、大変それぞれ大切な仕事でございまして、私どもといたしましても幅広い技術指導が必要であろうというぐあいに考えている次第でございます。  そこで、昭和二十五年から制度化されているものに林業普及指導事業というものがございまして、都道府県の林業事務所、名前は県によっていろいろでございますけれども林業事務所などに普及指導職員、全国で約二千六百人おりますが、こういった職員を配置いたしまして、森林所有者などに対するいろいろな技術指導を行いながら現在に至っているところでございます。こういった普及指導職員によります指導体制をさらに補完と申しますか充実するために、林業についての専門的な知識、技術を有する林業技士という制度も設けておりまして、これは昭和五十八年五月現在で全国に約四千六百人程度おります。こういった林業技士でございますとか、あるいは地域の模範となりますような林家を選びまして、私ども指導林家と呼んでおりますが、これまた全国に九百八十人ほど指定をいたしております。こういった林業技士でございますとかあるいは指導林家を活用いたしまして、地域に密着をした実践的な技術指導をあわせ進めているというのが実態でございます。
  146. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 こういう例えば今おっしゃられた林業技士ですか、あるいは指導林家の方々、こういう人たちをもっとふやすとかということを通して、いわゆる林業改良普及事業ですか、こういうものをさらに振興させるという方針というものをお持ちでございましょうか。
  147. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 林業技士につきましても年々人数がふえてきておりまして、大体毎年二、三百人ずつふえている状況でございます。また、指導林家につきましても、五十三年度に三百八十七人であったのが、先ほど申し上げましたような数までふえてきておりますので、これから先もこういう指導的な方々を確保をいたしまして、地域における技術指導の中核的な役割を指導職員などと力を合わせながら果たしていただくように努めてまいりたいと思っております。
  148. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そうしたいわゆる技術振興というものを図ることとあわせて、林業あるいは山づくりといったものに対して国民的なコンセンサスをつくっていくということの努力も、実は非常に大切な要素になっていくのではないかというふうに私は思うわけでございますけれども、例えば学校林の設置あるいは林業教育といったものの充実を図ることを通して、一般国民理解協力を得るというような努力を進めるべきではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  149. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 御指摘のとおり、これからの緑資源の確保という問題につきましては、国民方々理解協力を得ながら進めていくということが極めて重要でございまして、これまでも、今お話に出ました学校林の造成につきましては、最近の例を若干申し上げますと、五十二年に八十八校、五十三年も八十八校、五十四年も八十五校、五十五年も七十四校、五十六年は六十校、若干減っておりますが、そういうふうに学校林は鋭意努力をしているわけでございます。これらを通じまして森林重要性理解していただく。また、二十一世紀の森の整備というものも私ども事業をしておりまして、これもやはり将来に向けましての森林重要性というものを一般国民皆さんに御理解をいただくということをやっております。また、緑の少年団というものを各県にそれぞれおつくりいただいているわけですが、やはり少年時代から緑に親しみながら森林の大事さを理解していただくことが今後の極めて重要な青少年対策であるということで、私どもは、国土緑化推進委員会の主催します国土緑化推進運動の展開の中で、そういう施策を積極的に現在進めてきておるわけでございます。さらに五十九年度からは、都会と山村方々が一緒になりまして森林造成に従事していただくという「ふれあいの森林」づくりを進めておりますが、これなどを通じましてのやはり一般国民森林造成、森づくりへの理解を深めていただくように、これからさらに一層進めていかなきゃならぬ、かように考えているところであります。
  150. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私がきょうここに持ってきたのは、これは西ドイツのパンフレットなのですけれども、これがミュンヘンの町の中にまでたくさん配られてありまして、掲示板があるようなところにひょっと立てかけられてあったり、あるいは公共施設に全部備えであったりして、これが非常におもしろいということで私は持ってまいりました。先ほどから言われている混交林のあり方みたいなものもちゃんとここで出ておりますし、それから緑とどういうかかわりをすればいいかということでは、体操したり踊ったりというようなことがみんな出ているわけです。それから、森にはこういう動物もたくさんいるよというようなことが書かれておりまして、そして、そういうところではこういう遊び方もできるのだというような中で、こういう紹介もあるわけです。  それから、こちらの方の文については、大切な森の中ではこういうことをしてはいけないよということが一切書かれているものでありまして、ドイツ語が達者でない私でも、この絵を見ますと、森の中に自動車を持ち込んだり、あるいは森の中でこういうことをしてはならないというようなことが出ておりまして、これは大変にいいパンフレットだというふうに思いました。こんな形の一つのPRの仕方。ミュンヘンというのは町を出るとすぐ森につながるというような地形にありますものですから、町の中にこういうものが置いてあるのだと思うのです。私も二、三カ所のこういう森林公園のようなところを日本で参りましたけれども、町の中にこういうものが置いてあるということが国民的コンセンサスをつくっていくということに大変つながるというふうに思いまして、これはおもしろいパンフレットだと思ってきょう持ってまいったわけでございます。こういうものを通して、ぜひ、国民に森の大切さ、ありがたさ、そして必要であるということをPRしていったらいいのではないかと思いまして、これは漫画チックに書いてあるのが大変気に入りましたので、ちょっと御紹介申し上げたいと思いました。  森は多面な機能を持っておって、国民にとってはかけがえのないものであるということの認識を、ぜひお互いにしていきたいというふうに思っているものでございます。それにつけてもやはり大切なことは子供の教育ということで、今農水省 の方からはお話をちょうだいしたわけでございますけれども、文部省のお方、お見えになっていらっしゃると思いますが、文部省でこの森林あるいは林業というものに関する教育についてどんなふうにかかわっておられるか、ちょっと御紹介いただきたいと思います。
  151. 小埜寺直巳

    説明員小埜寺直巳君) 今の先生のお尋ねの件でございますけれども森林林業に関します教育につきましては、主として小学校及び中学校の社会科の時間において行われてございます。  教科書の関係でございますけれども、教科書につきましては、表現の差異、あるいは記述の濃淡はございますけれども森林林業の意味や役割についてほとんどの教科書で記述がなされてございます。
  152. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 五十三年の指導要領改定のときに、産業教育の中でこの林業がカットされたというふうに聞いておりますけれども、これはどうなのでしょうか。
  153. 小埜寺直巳

    説明員小埜寺直巳君) 指導要領の表現といたしましては、確かに先生おっしゃるとおり林業という言葉はございませんけれども、例えば小学校の五年生の指導要領でございますけれども、この指導要領の中では、地図その他の資料を活用しながら、国土の位置、地形、資源の分布の概要及び特徴を調べて、それらが国土の土地利用と密接な関連を持っていることを理解させ、地理的環境としての国土の特色について理解を深めさせるというような表現になっております。言葉はございませんけれども、身近な産業との関連ということで現実に指導は行われているわけでございます。    〔委員長退席、理事最上進君着席〕
  154. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は地元の教育委員を長いこといたしておりました関係で、子供との触れ合いが多くあったわけでございますが、日光の山の学校に子供を連れてまいりましたときに、戦場ケ原の森林の中にきれいな木の札がたくさん下がっていました。板橋何々小学校というふうなことが書いてございまして、実はその子供たちと触れ合いを持つことができたわけですけれども、その教師は、夏の山の学校の機会を生かすために一つの一貫教育を行ってきた。  その初めは、まず社会科から始まって、そして林業というものはどういうものであり、それが我我の生活とどういうふうに密接につながっていくかということをまず教えた。そして、山の大切さを訴えながら、彼は、その次の仕事としてこれを図工の時間に生かした。そして、図工の中でその木の札にたくさんの子供たちの思いをつづらせた。そして次の夏に山の学校へ出向いたときに、それぞれがつくったその作品を山の木にそっと自分たちでみんなつけて帰った。こういう一貫教育をしたこの実績を私は見てきまして大変に感激をいたしました経験がございます。そのときに、彼らがつくったその木の札には、山を大切にしようとか、木々の声が聞こえるとか、あるいは樹木は僕らの友達だとかいうふうなことが書いてございまして、私はとてもいい教育だなというふうに思いました。林野庁は、緑は友達だというふうに書いてございますが、こういう教育が私はやはり生きた教育だというふうに思うのでございますけれども、いかがでございましょうか。
  155. 小埜寺直巳

    説明員小埜寺直巳君) ただいま先生から大変貴重な御意見をいただきまして、私どもも実は感銘しておるわけでございます。先生おっしゃるとおり、教育というものが特定の教科だけに絞って行われるものではなくて、やはり学校全体の教育活動の中で一つ一つの事象をとらえながら教えていくべきものだと考えております。したがいまして、先生の今御紹介になりました点につきましては私は全面的に賛成する次第でございます。
  156. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そういった面の御指導をひとつよろしくお願いしたいと思います。  ところで大原、今回の法律改正によりましてこの林業の問題、山の問題は、国民的な課題としてみんなで考えていきたいというふうに私は思うわけでございますけれども、今後の林業というものについての大臣の抱負をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  157. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 我が国国土の二割、森林の三割を占めるのが国有林野でございます。そして、これは現在及び将来にわたって国民にとっての大切な共通の財産でもございます。国有林野におきまするこの分収育林制度の実施は、その森林整備充実のため、広く一般国民の参加を得るとともに、参加者の国有林野に接する機会等をつくり、まさに開かれた国有林として国民共通の財産に対する意識の醸成とその定着化が図られることを考えております。そしてまた、これが広く緑の国土づくりと国民の緑意識の向上に大きな役割を果たすものと期待しておるものでございます。
  158. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 よろしくお願いいたします。  次に、分収育林制度の問題について一部お伺いをしたいのでございますけれども、この分収育林制度の導入を契機にして国有林における体験林業あるいは施設設置の導入の拡大といったことを考えながら、つまり分収育林とそれから分収造林の制度を結合させて複合林の形成、あるいは先ほど申し上げた複層林形成、あるいは混農林、つまり自分が投資した場所に農を行うというような問題、こういう混農林といったような問題を実現する方向でこの森づくりへの参加ができるものであろうかどうであろうか。例えば私が、今度この育林制度が実施されるようなことになりますと、その一都をお借りすることになります。そこでシイタケをつくってもよろしいのでしょうか。
  159. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私どもこれまで部分林制度でありますとか、あるいは記念植樹、あるいは体験林業というような制度を通じまして、いろいろと児童の方々森林造成の意識を高め、御理解をいただくというようなことをやりながら、また一方林間学校などで自然を勉強するということは極めて重要でございますので、そういう林間学校の施設敷を提供して自然観察をするとか、あるいは森林浴のための遊歩道の設備であるとか、さらには先ほどもちょっと申し上げましたが、「ふれあいの森林」づくりで都会の人と山村の人が一緒にやはり森づくりをするということを進めています。この分収育林の実際に当たりましても、今まで申し上げましたような制度とうまく連携をとりながら、やはり国民皆さんが森づくりに参加できるような方法を検討していかなきゃならぬ、かように考えておるところであります。  そこで、先生指摘の、分収育林と分収造林を結合させた複層林造成は、考え方としては非常に貴重な将来に向けましての御意見でございますけれども、実際の仕組みにつきまして、やはり分収育林と分収造林それぞれ対応が違いますものですから、これは今後の私どもの検討課題にさしていただきたいと思います。  それからもう一つ国有林野での農産物それから特有林産物の栽培の問題でございますが、今、背の木場作と申しますか、造林地に大根その他の野菜をつくるというようなこと、実はこれは試験的にはやっております。しかしながら、これはいわば今まで地元の作民の方々対象にしてやっているわけですけれども、もし今後都会の住民の方方を対象にする場合には、地元との調整問題だとか、あるいは栽培技術その他制度的にいろいろとまだ検討しなきゃならぬ問題がございますので、これらは今後の分収造林、分収育林の推進との関連で検討してまいりたいと考えてます。
  160. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 先ほども同僚議員の中から出ておりましたけれども、この分収育林制度についてはやはり今後民法二百五十六条の適用除外とか、それから国の善管義務とか、こういうふうなものも含めて検討課題が残るであろうと思いますけれども、その辺のところはまた私は機会を得てお伺いをしますので、きょうは外します。  そしてもう一つ、これも私のような素人の考え方の問題なのでお尋ねをしたいということなのですが、この分収育林制度こそ私は保安林に適用したらどうだろうかという考え方なのです。先ほど上野議員の方からは、この育林制度が保安林とい う指定を受けるようなことがある場合にはどうなるのかという逆の質問が出たわけでありますけれども、私は、つまり下流の者が利益を得ているのだからいわゆる受益者が参加をしていくという形でこれを仕組むことを考えてはどうなのかという問題なのですが、こんなものはいかがでしょうか。
  161. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 分収育林の対象となる森林は、やはり国民皆さんが森づくりの参加に適するようなところを選んでいくということは申すまでもございません。したがいまして、交通の利便性だとか、立地の安定性、森林の状況等を配慮して選定することになりますが、先ほど申し上げました保安林というのはどちらかといえば禁伐であるとか、あるいは強い制限を受けているところなので、これはちょっとやはり対象としては難しいわけでございますけれども、流域保全で皆伐ができるような水源涵養保安林の施業要件の中で十分できるようなところにつきましては、これは指定目的に支障を及ぼさない場合におきましてはこの対象になり得ると私ども理解しておるわけで、その場合、ダム上流の水源林等の森林につきましては、今お話がございましたが、水源林と深い関係のございます企業、地方公共団体などにこの分収育林制度に参加を求めるということは、やはり奥地水源林の今後の整備充実のためには有意義だと思いますので、これは今後検討してまいりたいと考えております。
  162. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから、私も持ち時間が決まっておりますので、次の課題に入らしていただきます。  先ほど稲村委員の方からも、山の木の売り方の問題で話が出ておりましたけれども、いわゆる立木販売にするのか、素材販売にするのかということで課題があるわけです。この素材販売で大変いい成績を上げ、そして努力しておられるというような例を私は聞かされ、ちょっと読まされましたので、林野庁方々皆さん御存じだと思いますけれども、一部御紹介いたしますと、秋田営林局の鷹巣営林署でしょうか、ここの研究発表のデータを一部読ましていただいて、私は実は大変感激をいたしました。やはりこういう努力といいましょうか、知恵と申しましょうか、こういうソフトな要件が重なってきますと、まずやる気が出てくるのではないかというふうに私は思いますものですから、一部御紹介をいたしますわけです。  この営林署では、とにかく切り出してきた秋田杉の素材を何とかいい条件で売るということで、一番最初に検討したのが販売時期の調整をしたということ、これは大変に私は、ちょっとした気の使いどころだけれども見事であるというふうに思います。秋田杉は大体冬山期間の十二月から三月の四カ月の間で年間生産量の二分の一が出されてしまう。その時期を実は夏にまで調整して持ってきて、その生産量の平準化を図ったということ、これは非常によい工夫ではないかと思います。  それから、採材の多様化ということで、一般的にこの地方では三・六五メーターで採材を行っているところの分を七メーター三十に切った、こういうことで四四%もの収益が変わってきたというデータがございまして、私はこの知恵の使い方は大変結構なことであるというふうに思いました。  それからあとは、出た材木の仕分けの仕方、その仕分けの仕方の細分化を図ることによって、いわゆる顧客のニーズにこたえてみた。こういうことで、これも見事であるというふうに考えます。  それからさらには、情報の提供としては、その現物がよく見えるように並べたというようなささいなことです。それからあるいは商品に対して産地表示をした。その競りに入る人たちはみんな玄人ですから、産地表示をしただけで、その材木がどういうものであるかという特性をすぐつかむというようなことで、たった産地表示をしたというだけで買い手のニーズを非常にキャッチすることができた。これは私は大変な策だと思いました。  それから、あともう一つささいなことだというふうに思うのは、いわゆる実寸法の表示をした。表示に決められた形の表示をしたのではなくて実寸法表示をしたということで、買い手が大変便利した。  これは全部ソフト的要素だと思うのです。ところが、こういう要素を取り入れたことによって、この営林署で四〇%以上の年間収益をオーバーさせたということは、私は大変な知恵だと思いますし、それから、これが行われることによって民間に与える刺激剤にもなったということ、こういうことをやはり私は今後各方面の細部にわたって御指導いただけたら大変ありがたい、あるいはみんなの検討課題にしていただきたいというふうに思うのでありますけれども、この辺いかがでございましょうか。
  163. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 今先生から秋田営林局の好事例をお示しいただきまして、まことに私どもとしてはありがたく思っています。今までどちらかと申しますと、販売方法につきまして、今お話しのソフト面での創意工夫という面で私はやはり足りなかったということを反省しておりまして、俗な言い方でございますが、前垂れ精神と申しますか、売るものをニーズに合った形で売りさばく、それから、ちょっとした配慮ですけれども、知恵の働き方で収益が非常にふえるということは極めて重要でございまして、私ども、これからの国有林の収入確保という段階においては、同じものを売る場合におきましても、今非常に重要なことをいろいろと御紹介いただきましたので、全国の営林署でやる場合にも、今までもこれについては十分というか、徹底しておるところでございますが、さらに一層こういう面での知恵を働かして、創意工夫をしながら販売活動をするように努力してまいりたい、かように考えているところであります。
  164. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから、木材加工の際のこれは質向上につながる問題だと思うのでございますけれども、乾燥度の問題で、私はこういう専門家がいるのかいないのかよくわからないのですけれども木材乾燥士とかあるいは木材保存士というふうな士がいるようでございますけれども、こういう名前を持った人たちはどんな役割を果たしているのですか。
  165. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 木材乾燥土並びに木材保存士というのがございまして、これは木材の乾燥、木材の防腐防虫ということをいたしまして品質の向上、安定という面、あるいは耐久性をさらに一層高めるという面におきまして大変役立っておるわけでございますが、この木材乾燥士と申しますのは、日本木材加工技術協会が、それから木材保存士と申しますのは日本木材保存協会が、それぞれ自主的にその資格検定試験を実施いたしまして認定しているものでございます。  現在、それぞれの団体からの報告によりますと、木材乾燥士につきましては八百二十三名登録しております。これが製材工場等に配置されております。それから木材保存士につきましては五百十六人登録されまして、防腐防虫処理を行う合板工場とか製材工場に配置されまして現在活躍をしているわけでございます。  木材を乾燥するとかあるいは防虫防腐をするということは、木材の品質を高めることでもございますし、木材の狂いとか割れとか腐れというようなことの欠点を除くという面で極めてこれは、今後さらに品質を高める上においては、一層この専門家方々役割というのは重要になってくるものと現在考えておるところであります。
  166. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 日本農林規格についてお伺いをいたしますが、先ほど私がソフトな要素を取り入れた採材というようなことを申し上げましたけれども、例えば四メーターを六メーターに変えたり、あるいはまた、三・六が七・三に変わるというような採材の仕方がこの日本農林規格に何か触れてくることはございますか、製材する場合に。    〔理事最上進君退席、委員長着席〕
  167. 小野重和

    政府委員(小野重和君) 本質建材のJASでございますが、寸法のお話でございましたけれども一般的には実寸法を表示するということになっております。
  168. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そうすると、いわゆる普通採材か ら特殊採材に変えても、表示さえすれば問題はないわけですね。
  169. 小野重和

    政府委員(小野重和君) 特に問題はございません。
  170. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ところで、今JASの格付を受けている格付量はどのぐらいございますでしょうか。
  171. 小野重和

    政府委員(小野重和君) 本質建材のJAS格付量でございますが、合板で六億四千三百万平米、フローリングで二千五百万平米、製材では七百万立米となっております。  ただ、これは数量でございますが、格付比率が一番問題だろうと思いますが、格付比率で申し上げますと、合板で四七%、フローリングで六八%、製材が二二%ということになっております。
  172. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ところで、この日本農林規格、つまりJAS製品というのは、今例えば製材品で二二%というふうにおっしゃっていましたけれども、このJAS製品は基準でいくといわゆる高級品に入るのか、それともいわゆる基準なのか。食品などの場合いろいろ問題があるわけでございますけれども木材の場合にはどんなものでしょうか。
  173. 小野重和

    政府委員(小野重和君) JAS規格全般についてもそうなのでありますが、この本質建材のJAS規格でございますが、本質建材が住宅建設用といたしまして各種の使用方法がございます。いわば汎用性のあるものでございますので、JAS規格自体は各品目の基本的な事項を決めるということにいたしております。  ただ、JAS規格はそういうことでございますけれども、高級品がございますが、高級品はJAS規格に格付していないかというとそうではございませんで、格付した上でその高級品の場合には取引上当然価格に反映されるというふうになっております。
  174. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 もう一つは、先ほど木材保存士のところで御説明があったわけでございますが、材木の防虫剤、いろいろなものが使われておりまして、これはたしか農林規格の中で決められていたのではないかというふうに思うのですけれども、弗素、ホルムアルデヒド、クロルデン、その他いろいろ使われていると思いますが、その辺の分の規制、それから安全性について、規制の基準があると思うのですが。
  175. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 木材の防虫処理の問題は、これは耐久性を高める上に重要でありますと同時に消費者の保護の観点から重要なものでございまして、酵素化合物等の木材の防虫処理に使用する防虫剤につきましては、これは先ほど出てまいりました日本木材保存協会におきまして、木材保存に関する多くの分野専門家の参画を得まして、処理木材の品質の向上、安全性の確保等を目的としまして調査研究を行うと同時に、効力、安全性等の面で有用な保存剤の認定を行っているところでございます。  私ども林野庁としましても、これらの認定された保存剤を使用するように業界に指導して、その安全確保に現在努めているところでございます。
  176. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 これは住宅問題研究会みたいなものがございまして、その中で木材研究みたいなものをやる主婦が出てきたわけです。そこらあたりで、家を建てたけれども、何かいろいろと薬品のにおいがするみたいな話が出てきまして、これは材木そのものの、要するに薬品の問題ではなくて、建築工程の中における問題であるというふうには私思いますけれども、特にクロルデンみたいなものが使われているということで大変神経質になっている消費者団体等もあるわけで、この辺のところについては安全性を御確認の上で使われているのかと思いますが、もう一度お願いいたします。
  177. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 先ほど申し上げました木材保存協会のもとにおきまして、こういうものを十分配慮して現在やっておるようでありますが、この問題につきましてはお話しのございましたような点がございますので、さらに徹底を期すように指導してまいりたいと思います。
  178. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 このクロルデンについては当国会の社労委員会でも問題になりまして、これは厚生省でも使い方を考えておられるはずですので、その辺ぜひ連携をおとりになって聞いてみていただくようお願いいたします。  それから、集成材等あるいは合板、こういうものの中に使われている接着剤のことも聞いてくれと頼まれましたので、ぜひこれはお伺いをしたいのでございますけれども、今かなりの接着剤が使われているわけでございます。この接着剤はどんなものでございましょうか、安全でございますか。
  179. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 突然の御質問で私もここに資料がございませんが、これは日本合板検査会というものがございまして、合板検査会におきまして接着剤問題については十分配慮した形でやるように検査をしておりますが、後ほどデータにつきましては差し上げます。よろしくお願いいたします。
  180. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 細かい問題で種々お伺いをいたしましたけれども、いずれにいたしましても、私先ほどちょっと秋田営林局の例を御紹介いたしましたが、こういう小さな自助努力がつながってこそ何かこのたびの三法が初めて生きてくるというようなことを考えながら小さな問題をたくさん集めて考えてみたわけでございます。これは全部ソフトな要素としてもう一度見直しをされなければならない部分のものというふうに私了解いたしまして、きょう細かい題材ばかりをそろえたわけでございます。どうぞこういうことに努力をいただいて、いい出づくり、そしていい収益の上がる経営をしていただきたいことを希望いたしまして、質問を終わります。
  181. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 国有林野法の一部を改正する法律案についてお伺いをいたします。  最初に、大臣に白書についてお伺いをいたします。  先日発表されました五十八年度林業白書ですが、この中で、「我が国林業及び木材産業は、」「需給両面にわたって厳しい局面を迎えている。」としております。また、「長期化している林業生産活動の低迷は、」「山村地域社会にも大きな打撃を与えている。」、そこで「森林計画制度の適切な運用、林業生産基盤整備拡充、国土保全対策の充実、」等、総合的施策推進することが必要であると指摘しております。この白書は今回で二十回目を迎えたわけですけれども、今回発表になった白書は、昨年と比較して主な特徴としてはどういう点が挙げられるか、最初にお伺いをいたします。
  182. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 世界森林資源減少する中で、これが中長期的にはかなり減少するだろうと言われておるその中で、我が国では現在約一千万ヘクタールの人工林を造成しております。これらを中心に年々森林蓄積の増加を見ております。ただ、これはその大部分が成育途上にございます。今後保育管理を適正に行い、これを次の世代へ守り育てていくということが重要な課題となっております。  このために、まず生産基盤の整備、間伐の促進等林業生産に関する施策推進と、地域林業形成推進国産材供給体制整備木材需給の安定、そして公益的機能の高度発揮国民参加のもとでの緑資源の確保を図っていくことが必要でございます。  また、今後の国有林野のあり方につきましては、経営の健全化に努めつつ、これら林政上の課題に適切に対応してその推進に寄与していくことが必要でございます。  以上のような諸点が本年度の林業白書の指摘のポイントではないかと思います。
  183. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 白書の中の「林業生産活動の低迷」ですけれども、その原因としては、木材価格の下落や林業経営費の増高によるいわゆる林業の採算性が低下して、森林所有者林業経営意欲に著しい減退が見られるというふうになっておるわけですけれども、今も大臣はいろいろ御説明されまして、こういうところが特徴だということですけれども、私も過去の白書をずっと読んでまいりまし て感じられるのは、語句は違っておりますけれども、悪い言葉で言えば余りかわりばえがしないというふうにも感じるわけです。この林業をめぐる厳しい状況を脱皮するためには、何かこれといったクリーンヒットというのですか、そういうものを早急に考えていかなければこの森林林業を健全に維持し、また発展成長させていくということは困難な状況じゃないかというふうに思われるわけです。  林野庁としては、広く国民理解協力を求めるというふうに言っておりますけれども国民生活森林がまだまだ国民理解されずに、端的に言うならば林野庁のひとり相撲のような感じもしないわけではございません。  そこで、林野庁は、この森林機能とか、それから国土保全自然環境保全等について、森林資源というのは、ただ森林、いわゆる樹木にあるだけではなくて、木も石もみんなこれは森林資源ということでございますので、そういったことを踏まえて国民にPR、理解をどういうふうに求めているのか、どういうふうに努力しているのか、その点についてどう考えておられるか、お伺いいたします。
  184. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私どもはこれまでも国民皆さん森林重要性を御理解していただくべく努力しているところでございますが、特に最近は森林の持っています公益的な機能の側面が極めて重視されてきていることもありまして、従来から国土緑化推進運動の展開とか、あるいはグリーンキャンペーン等を通じまして森林重要性を御理解いただいたわけでございます。特に五十八年度からは、最近の緑資源の確保問題が重要になっている一面におきまして、その森林を管理育成している林業関係あるいは山村が非常に苦しい状況に置かれているということを考えまして、やはり国民参加のもとにおいての森づくりを通じまして、森林重要性森林機能を充実強化するためには十分な手入れが必要であるというようなことを御理解をいただくということで、緑化推進運動実施方針に即しまして、国有林におきます「ふれあいの森林」づくりであるとか、あるいは民有林の分収育林制度の活用というようなことで努力してきたわけでございます。さらに本年におきましては、国有林におきましても民有林と同じように分収育林制度を導入し、御理解をいただくということで、現在国有林野法の一部改正法案の御審議をいただいているところでございますが、今後ともこの森林造成の問題について国民運動といたしまして、山村の人だけでなく都会の方々も一緒になって森林の育成に、あるいは森林づくり協力してもらうような体制をつくってまいりたい、かように考えておるところであります。
  185. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 森林資源とか緑資源といいますけれども、何をもって森林資源、緑資源と言われるのですか。
  186. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私どもやはりこれは、立っている森林とその土地並びにそれを取り巻く動植物も含めまして森林と言うべきだろうと思います。したがいまして、森林の持っている機能と申しますのは、私は今申しましたような木材生産機能国土保全機能森林レクリエーション機能自然環境保全形成という広い分野にわたり、かつはそこにすむ鳥獣等も含めて森林資源の一部であるというふうな理解が大事ではないかと思っております。
  187. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 森林資源とは、それを取り巻く鳥獣、また石もそうだし、もちろん木もそうですし、いろいろあるわけです。  国民生活森林についてですが、白書では、保健休養機能を有する森林利用者が年間約八億人、それから一方、国有林野への大林者数は年間二億人以上もあるというふうに報告されております。しかし、入林者がふえればふえるほど、またそれだけ山は荒らされるといいますか、いろいろな障害が出てくるわけです。したがって高山植物や土石盗採ですか、樹木の損傷、倒伐、各施設の損傷など被害も多発している、こういうふうに聞いております。  そこで、具体的な例としてどんなひどい事例があるか、おわかりになったら教えていただきたいと思います。
  188. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 今先生指摘のように、最近入林者がふえることによりまして森林の被害の状況も増加しています。五十三年から五十七年度までの五年間植物の盗採が十一万一千五百件、それから土石の盗掘が一千作、それから施設の損傷が二千六百件というようになっています。この被害の発生状況は最近若干減ってまいっておりますが、要は、森林資源重要性に対する国民皆さん理解、それから森林造成に非常に長年月がかかる、人手がかかるということを数多くの国民方々に知っていただくことが、こういう被害が減少する道でございますので、関係省庁とも連携とりながらこれは進めてまいらなければならない、かように考えているところであります。
  189. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 具体的な例でどんなのがありますか。
  190. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 多少具体的に申し上げますが、植物の盗採等では庭木、盆栽あるいは山草の盗採、それから土石の盗掘では庭石などに持っていく話、それから樹木の損傷等ではキャンプのまき等に立っている木を切るとか、それからあと林地の汚染としましては、いろいろと解体物件とかその他を捨てるとか、あるいは空き缶、紙くずを捨てるとかそんなふうなものが出ていますが、これはやはり山に入る人が多くなればなるほどこういう問題は出るおそれがございますので、さらに注意をしなければならぬと思っております。
  191. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そういう事態の起きるのは公徳心の欠如というか、国民森林に対する理解の不足というか、そういうことで起こってくるのではないかと思います。中には意識的にそれをやっている人が出てくるのではないかというふうに思います。今いろいろ何万件という損傷事件、施設の破壊等があったように聞きましたけれども、これは単に驚いたり嘆いたりしている状況ではないと思うのです。公徳心の問題というよりはまだまだ森林というものに対する国民一人一人の認識が不十分であってこういう事態が起こってきている、こういうふうに考えます。森林については、申し上げるまでもなく、公益的機能を持つと同時に、国民生活としても切っても切れない無限の価値を秘めておるわけです。我々大人も森林の価値を再評価するための勉強も大切であると同時に、先ほど刈田委員からお話しありました青少年にもこの森林についての教育をしていく必要が大切ではないか、こういうふうに考えるわけです。  ぜひこの点について、農水省サイドとしてもやっていただきたいと思うわけですけれども森林教育について、学校の教科書の中から、先ほど文部省からお話しありました。小学生を中心に林業ということについていろいろな角度から教えられているという答弁がございました。しかし、そういう林業という言葉はないということですけれども、確かに林業の項目が学校の教科書からなくなっておるわけです。それでは、林野庁としては文部省に、森林林業の教科についてどのような働きかけをしているのか。これは蛇足になりますけれども、最近特に若い人というのは物を大事にしないとか、食べる物を大切にしないという風潮が出てきておることは間違いございません。例えば、食べる物はどういう生産過程を経てできてきているのか、また木材にしても、長い年月たくさんの人によって手入れをされてできているのか、どうしてどのようにつくられてきているのかということがわからないためにこういう結果を生んでいるのではないかと思われるわけです。まさか米も、田植えをして次の日に米ができるなどということは思っていないでしょうけれども、いずれにしても成長過程というのですか、その間には多くの人が苦労をして生産されている、そういうことが不認識のために大事にもしない、また大切にもしない、こういうふうになってきているめではないかというふうに思われるわけです。こういった ことは大人も認識をしなきゃいけないけれども、小さいときからそれは教えていった方がよりベターではないか、こういうふうに思うわけですけれども、文部省は先ほど答弁ありましたので、いわゆる監督官庁の農林水産省としては文部省にどういう働きかけをしているのか、この辺いかがですか。
  192. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 先生から今御指摘ございましたように、五十二年に児童の負担を軽減してゆとりのある教育の実現を図るという観点から、授業時間の削減とか教育内容の精選を図るために小学校の学習指導要領が改訂されまして、五十五年度からの社会科の教科書におきまして、御指摘のように林業につきましての記述がなくなったわけであります。林野庁におきましては、極めてこれは重大な問題だというふうに認識しまして、文部省に対しまして機会あるごとに学習指導要領における林業関係の記述の復活の申し入れを行ってきたところでありますが、五十七年に、学習指導要領を補足的に説明した文部省編集の小学校指導書社会編の手直しが行われたわけでございます。  このほかに林野庁としては従来から、今先生からお話ございましたが、小さいときから森林をつくり、自然のシステムを学び、自然の大事さを自分の経験を通じて学びとるという面から学校林の造成であるとか、あるいは二十一世紀の森の整備であるとか、緑の少年団の育成を推進してきたわけでございます。学習指導要領が改訂された次の年の五十六年には、独自に林野庁としましては関係団体の協力を得まして、全国の小学校の五学年の全学級に「森と木の質問箱」という補助教材を配付いたしまして、少年の森林林業に対する理解関心を持っていただくように努力したわけでございますが、今後とも文部省などの協力を得つつ、少年の森林林業に対する関心を一層深めてまいるように努力してまいりたい、かように考えておるところであります。
  193. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 この法案は国民参加の林業経営といいますか、そういう趣旨でございますけれども国民参加の林業経営とか国民参加の緑資源の開発とかこういった面から、今言ったように指導要領だけではなくて、また小さいときから教えられるように、教科書に林業経営のあり方というのですか、関心を持てるような意味のものを入れてもらうように文部省の方に働きかける用意はしてあるのかどうなのか、その辺はいかがですか。
  194. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) これまでも鋭意やってまいったつもりでございますが、今後さらにこの問題については取り組んでまいりたいと思っております。  なお、補足になりますが、国際児童年の記念のときには国有林も提供いたしまして、文部省と一緒になりまして自然を現地において学びとるためのそういう緑地を提供して現在やっておるのも、その一例として重ねて申し上げておきます。
  195. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 長官から申し上げましたが、私の方も何しろ農林水産省でございますので、林が抜けたら大変なことでございますので、これは先ほど刈田先生の方からもいろいろなPR等の材料もいただきました。いいものはどんどん取り入れる、文部省の方にも私から申し入れます。
  196. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは、通告してありませんけれども、法案の内容について何点かお伺いします。  まず最初は、国有林野法の一部を改正する法律案の十七条の二ですけれども、この中で「農林水産大臣は、国有林野について、契約により、一定の土地に生育している樹木を国以外の者との共有とし、」云々と書いてありますけれども、この「国以外の者」の範囲には日本国民のほか外国人の法人企業、外国資本等の参加も含まれているのか否か、簡単にお答え願います。
  197. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 含めておりません。
  198. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に、これも十七条の二ですけれども、「国が行う保育及び管理に要する費用の一部をその者に支払わせ」と、出資の最高額に限度があるのかないのか。
  199. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 分収育林は、生育途上の立木につきまして契約時点での評価をいたしまして、それと成林に至りますまでの保育管理の経費を計算をいたしまして、持ち分割合に応じて私ども今五対五ということで考えておりますが、その合計額の二分の一を支払っていただくということでございます。これは事務処理なりあるいは応募者の方の便宜ということも考えまして、原則一口五十万というようなことで考えております。何口までというような制限を一律に設ける考えはございませんけれども、たびたび国会でも御質疑ございましたように、特定の大企業などにこういった国有林の立木の持ち分というものが大きく集中するようなことがあってはならないということの御注意もいただいておりますが、私どももそれは望ましいことではないと考えておりますので、応募の状況を見ながらそういうことが起きないように、例えば例として申しますと、公募抽せんをやります場合に、応募していただいた方に最低限の口数をまず割り当てて、そしてそれでなお余裕があるときに第二次の抽せんという形で参加していただくというような、いろいろ抽せんのやり方等によりまして、適切にできるだけ大勢の方に参加をしていただくような工夫を必要に応じてやってまいりたい、こういうふうに思っております。
  200. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 偏らないようにお願いいたします。  この種の事業を今現在民間の企業でやっておられますけれども、企業と国との分収育林の内容の相違はどういう点がございますか。
  201. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 国の場合には、先ほど申し上げましたように、国有林として分収育林契約の対象になりました森林につきましても、行政財産としての地位はそのまま存続するわけでございますので、保育管理は国が責任を持って行うということにいたしております。民有林の場合でございますと、土地所有者、造林者、費用負担者、この三者のうちの二者または三者の契約ということで三者契約もございますし、それから今まで立木と土地を持っていた人が土地所有省になって、造林と資金面とを両方第三者にお願いをする二者契約というような形もあり得るわけでございますが、国有林の場合には費用負担者と国の二者契約という形に一本に絞りまして、対象立木の保育管理については国が責任を持つという形に限定をしているところが特徴だと思います。
  202. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に、分収育林契約ですけれども地域によって当然違ってはくるわけです。国有林に成育する樹木は、地形とか地質とか、また日当たりのいい場所、悪い場所、当然これのよしあしはあるわけです。その成育状況が違ってくる地域、この点私は一律にいかないと思うのですけれども、この点はどうされるのですか。
  203. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) お話のように、ある程度の差が対象林分によって違いますので、一口を五十万円といたしておりますが、その対象林分の将来の成長その他を加味しまして、五十万円が対象といたします面積を、今まで平均的なものは〇・三ヘクタールぐらいを考えておったのですが、非常にいい成長が期待される場合には、それが〇・二ヘクタールになるとか〇・一五になるとか、そういう面積でかげんをいたしまして、一口五十万円を動かさない形でやってまいりたいと考えております。
  204. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると五十万円のものは、これだけの面積のものもあるしこれだけの面積のものもある、また傾斜地等もいろいろありますけれども、要するに面積で調整をしていくということですか。
  205. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) そのとおりでございます。
  206. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次は、第十七条の五でございますけれども、分収育林の対象となる樹木は人工林であるので、二十年から三十年後には採伐可能でありますけれども、それにもかかわらず契約期間を六十年とした理由というのは何が理由でございましょうか。
  207. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 現在の国有林野法におきまして、部分林の最高限度は八十年となってお るわけでございます。部分林と申しますのは分収造林に相当するのでございますが、先生今御指摘のように、分収育林につきましては二十年生以上の山を対象といたしておりますので、やはり六十年を超えない範囲で決めるというふうに規定をしておるわけでございます。
  208. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 二十年、三十年ぐらいで切れるわけですけれども、それをもっと倍の六十年としたその理由がちょっとわからないのですが。
  209. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 部分林の最高限度がこれは八十年というふうに規定されております。したがいまして、将来の問題としましては、さっきちょっと議論がございました複層林のような形のものがありましても、これは十分その中ではまり得るだろうということで、現在の部分林の最高年八十年からマイナス二十年ということで、ぎりぎり限度六十年までという規定をしておるわけでございます。
  210. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に、費用負担者が分収契約をして、その収益を当然期待するわけです。もちろん、気持ちの上でも、山に行けばせいせいするとかそういうことはあるでしょうけれども一般的には収益というものを期待するのが当然だと思います。この分収益をどのぐらいと国の方では見込んでおられるのですか。
  211. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 分収育林の利回りでございますが、これは対象になっております森林一つの固まりと申しますか、林分の成長量と材価が将来どの程度上昇するか、この両方によって決まってまいるわけでございます。このうち、材価の上昇率はこれは二、三十年後の話でございますので、利回りもまた確定をしないわけでございますが、仮に木材価格が全く現在と横ばい、変わらない、契約時点と同じだと仮定をいたしまして、林木の成長で例えば二十年生のときに契約をいたしまして、伐採時までということで考えて標準的な試算をしますと、三%とか二・七%とか、そのくらいの数字がケースのとり方によって出てまいります。そこにあと材価の上昇が何%乗るかということでございます。仮に材価の上昇を三%とすれば六%、四%とすれば七%といったような利回りに最終的になるわけでございます。したがいまして、分収育林と預貯金とどちらが有利かということは一概に決まらないわけでございますが、一般的に申しますと、やはり財産運用として高利の利回りを期待するというよりは、インフレヘッジと申しますか、全般的な物価上昇があれば当然木材価格もそれに応じた上昇をしていくだろうという意味での、お金で持っているよりは物として持っているという意味でのインフレヘッジの要素が入ってまいると思います。  それともう一つは、アンケート調査などによりますと、やはり自然との触れ合いを求める、あるいは緑資源に自分も参加をしてみたいといった、いわば無形の効用と申しますか、そういったようなものを全体総合をして応募をしていただくことになるのではなかろうか。また、その辺の材価の動向によって最終的な利回りが変わってくるというようなことにつきましては、募集をする際に、応募者の方にも十分御理解なり御説明を申し上げてやらなければいけないというふうに私ども考えております。
  212. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 もちろん無形の効用というものは当然その中に含まれてくるわけですけれども、今のお話だと成長量と材価によって違ってくるわけです。今度逆に、もし経済変動、災害等で負担者に相応の利益を与えることができない事態が起きた場合、利益どころじゃない、損をするような事態がこれは起きないとも限りませんから、もしそういうふうに起きた場合には、国としてはこれはどういうふうに対処していくのですか、この辺はいかがですか。
  213. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 災害につきましては、契約の締結時に必ずこれは森林組合がやっております森林災害共済もございますし、国がやっております直営の森林保険もございますけれども、そういったいずれかの森林の損害てん補制度に二十年なら二十年という期間、二十五年なら二十五年という期間加入をしていただきまして、その加入契約を分収育林契約と同時に締結をしていただくという形で、万一災害などで立木が損壊滅失した場合の被害をてん補できるような措置を講じたいと思っております。
  214. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に、大体国有林というのは街道筋にあるわけではないし、国道筋にあるというのが少ないわけです。山奥の方にあるわけですから、その分収育林契約を結んだ費用負担者が自分が契約したところをちょっと見てみたいという場合に、国として、契約した人ですから山奥の方へお見せするという、こういう案内等はやってくれるのですか。
  215. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) これは当然国の持っております森林造成に参加をしてくださるということでございますので、いろいろな私どもができる限りでの便宜をお計らいをするということはあわせてやらなければいけないと思っております。思いついたときにばらばらとおいでいただくということではなかなか応接が大変でございますけれども、資金を提供していただきまして保育管理を国がやっております森林を一年に一度あるいは二年に一度ごらんになりたいという方について、現地を見ていただくような機会を設けて御案内をするというようなことは私どもする必要がある。また、そういうことを通じて山に触れていただくのが私どもにとってもありがたいことでございますし、それがまた国有林国民に開かれたものにしていく一つの手だてにもなるのじゃないか、こういうふうに思っております。
  216. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 ではもう一点、木材の消費でございますけれども、総理府の住宅統計調査ですか、五十三年にやった結果、単純計算ですけれども、住宅総数は既に世帯数を上回っているという数字が出ております。もちろん大きな家もあるし、小さな家もあるし、いろいろあるわけですけれども、そこでこれからの木材消費ということになると、一番大きいのは家の問題ですから、増築とか改築、それから模様がえ等、こういうところに焦点を当てて消費を喚起していかなきゃならないというふうになります。こういう点について林野庁としてはその対応、施策というものは何か考えておられますか。
  217. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 今後の木材需要の拡大という面につきましては、やはり住宅の推進のための建設省とは十分連携をとってやっておるわけですが、特に私どもが今月を入れてやっておりますのは、公営住宅の木材化の問題につきまして、各都道府県に建設省と林野庁とも出向きまして、その木造住宅のよさを御理解いただくとともに、まずは地域林業関係者の要請にもこたえるような木材利用の拡大ということをお願いすると同時に、農林水産省としましては各種補助事業、例えば畜舎のようなものでございます。こういうものにつきましては、できるだけ間伐材等を中心としました木材需要拡大の方向の方策を導入していただくようにしているわけでございます。  さらに、今後私どもはこれを進めるに当たりましては、やはりこの利用拡大という面から見てまいりますと、例えば「いえづくり'85」、それからセブンバイセブンという間伐材だけの家づくり、それからもう一つ大断面集成材の導入によるところの体育館等、これは二千平米以下は木造でできるというふうなことでようやく了解もとれました。また、三階建ての木造につきましても、簡易設計でなし得るような方法も建設省と連携をとって進めておりますが、いずれにいたしましても、従来木造で当然なされるべきところが最近代替材に変えられてきているところを、木材のよさを十分理解した上でそういう分野への拡張を図ってまいろうと考えているわけでございます。特に五十九年からは大工、工務店方々消費者方々にも木材のよさを御理解いただくための木材利用促進のための対策普及センター等もつくるわけでございますが、そういう面での積極的な展開、さらには国有林材だけでこれはいろいろの樹種が多数ございますので、それの家づくりへの展開といろいろな方法を講じながら、現在木造住宅の増大に、木 材需要の拡大に取り組んでおるところでございます。
  218. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 国有林野法の一部改正に関連して、国有林野事業についてでありますけれども国有林野事業特別会計は、先ほど午前中からお話ありましたように、木材需要停滞のもとで近年は年々約一千億前後の赤字を出しておるわけです。累積赤字が五十七年度末で四千五百億円近いものになっているわけです。国有林野事業の問題としては、恒常的赤字体質からの脱却が大きな問題ではなかろうかというふうに考えるわけです。政府としては赤字の脱却方法はどのような対応策を進めようとしているのか、基本的な問題でございますけれども、これをお伺いするわけです。  それと同時に、この改善特別措置法の法律案が今もちろん審議中でございますけれども、成立したと仮定して、七十二年度で収支均衡ということが目標になっております。そこで、現在の状況がそのまま推移していった場合にそれが可能なのかどうなのか、この辺が心配なのですけれども、どうなのですか。
  219. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私ども大変現在国有林野事業の厳しい中で、これから赤字脱却をもちろん進めていくわけでございます。その場合におきまして、まずは自主的改善努力ということが極めて重要でございますので、自己収入の確保増大はもちろんでございますが、組織、機構の簡素化、合理化、それから要員の縮減、さらには不要資産の販売等、いろいろの手だてを講じながら自主的努力をするわけでございます。と同時に、これからの十年間と申しますのは、伐採量の減少という問題がありますし、一方におきまして、退職者の急増の問題があります。また、木材価格につきましても、将来において見てまいりますと、海外資源減少という問題がある中におきまして、六十年代の末から上昇に転ずるという見通し等もございますので、そういう中で私ども自主的努力をしながら、不足の分については財政的な措置をお願いする。今国会でも御審議いただいておりますように改善期間を延長する問題と、それから退職者の急増に伴う退職資金の財政投融資からの融資、それから一般会計からの利子補給といういろいろの措置を講じながら、まずは健全化に努力をしていかなければならないわけでございます。と同時に、私どもやはり国有林野事業の現在の問題点を分析しますと、我が国林業全般にわたる構造的問題と、それから国有林野事業固有の問題もございますので、林業全体の構造的な問題につきましては、一般林政の拡充強化ということを同時並行的に進めてまいりまして、目標の七十二年に大変厳しい中ではございますが、健全化を確保すべく頑張ってまいりたいと考えているところでございます。
  220. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 七十二年度の収支均衡はどのように考えていますか。
  221. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) ただいま申し上げましたような自主的努力を講じながら、一方におきまして、財政措置を六十八年までお願いしながら、最終的に七十二年には収支均衡を達成し得るようにこれから努力してまいりたい、かように考えているところであります。
  222. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 国有林野事業合理化、収支均衡化の努力の中で今後問題となる点は、非経済林の経営をいかに経済的に遂行していくかという点ではなかろうかというふうに考えるわけです。国有林野には経済林と非経済林とあるわけですけれども、先日の参考人のお話をお聞きしましても、経済林と非経済林の線引きというのはこれはむずかしいと言われておるわけです。しかし、実際には非経済林は存在しているわけです。全国に千七百万ヘクタール近くあって、その四分の一は国有林野であると数字の上ではなっているわけですけれども、この非経済林というものは国土保全森林公益的機能の維持、鳥獣の保護などのために樹木の伐採を厳しく制限しながら管理をしていくべき森林でありまして、大変に費用はかかるけれども、樹木は商売の種というのですか、金にならない、こういうのが非経済林の森林であります。  この非経済林というのは、非経済林ですから生産性、収益面で今言ったようにないわけですから、国有林野事業の改善経営に大きな妨げとなっているのではないかとも思われるわけです。そこで、この非経済林の位置づけといいますか、国有林野事業に占める非経済林のあり方の点については、基本的には林野庁としてはどういうふうに考えておられるのか。
  223. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 国有林我が国の脊梁山脈地帯に比較的多く分布し、奥地の森林が多いということもございまして、国土保全上極めて機能が高こうございますが、一面におきまして収益の確保に結びつかないという森林があることも事実でございます。いわゆるというふうにあえて申し上げますのは、これはやはり動的なと申しますか、林道等の開設によりまして経済林化する面もございます。むしろこの問題は、土地の奥地の水源林機能の高いそういう潜在生産力を持っておるところとか、あるいは里に近い木材生産機能の高い潜在生産力を持っているとか、いろいろそういう潜在生産力というふうな恒久的な物差しで論議しなけりゃいかぬなというふうな問題意識は私どもも持っているわけでございます。  そこで、今後の国有林の経営成果を明確に把握いたしまして適正な経営処理をするということからも、また収入の確保には結びつかないが、国土保全上から資本を投下していかなきゃいかぬというふうな問題の費用負担の問題とか、いろいろ今後経営改善を進めるに当たりましての経費分担のあり方の問題というものは、今後重要だろうと思っているわけでございますが、現在まだそういう方法につきまして明確な物差しがございません。そこで、私ども五十九年から森林の区分の方法であるとかあるいは管理体制の問題、さらにはそういう森林についてどういう施業方法を導入すべきか、また、受益者の負担の問題をどうすべきかといろいろの問題があるわけでございます。したがいまして、これは今後の私どもの重要な課題だというふうに考えておるわけでございます。林政審答申でもこの問題につきましては御指摘をいただいているわけでございますので、各方面の意見を聞きながら早急に調査検討をしてまいりたい、かように考えておるところであります。
  224. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 話は飛んで恐縮ですけれども、この二、三年特に大きな問題となってきた松くい虫の問題でございますが、南の方から発生して現在では侵食されていないのは北海道だけだという状況になっているわけです。それが国立公園内の森林についても大分虫食いが進んでいるようでありますけれども、その後の病害虫の発生状況、この松くい虫対策の進捗状況はどういうふうになっておりますか、御報告いただきたいと思います。
  225. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 松くい虫の被害につきましては、五十三年度以降二百万立方を超える激甚な被害状況が続いていたのでございますが、五十七年度に至りまして材積で百四十七万立方ということになりまして、五十六年度の二百七万立方に比べまして約三割の減少を見たところでございます。五十八年度につきましてはまだ最終的な整理をいたしておりませんが、前年度よりもさらに減少するのではないかという見通してございます。  松くい虫の被害対策につきましては、五十七年三月に改正されました松くい虫被害対策特別措置法によりまして地域の被害の態様でございますとか、あるいは松林の機能に応じまして各種の防除措置を組み合わせまして実施いたしますとともに、被害地の樹種転換あるいは復旧治山の促進などといった対策を総合的に行ってきているところでございます。具体的に申し上げますと、五十七年度におきましては予防措置といたしまして特別防除、それから地上散布、これを合わせて約十四万ヘクタール、それから駆除措置といたしまして特別伐倒駆除と伐倒駆除を約六十八万立方について行ったところでございます。こういったようなことから、これまでの被害対策が徐々に効果をあらわしてきているのではなかろうか、このように思っている次第でございます。  なお、五十九年度におきましては、従来からの 施策に加えまして空中から被害木を探査をしたり、それから駆除をしたりという新しい手法を導入することでございますとか、あるいはほっておきますと感染源になりますような松林についてできるだけ早く除去してしまう、こういうようなことでございますとか、さらには一般の松林と隣接をしております庭園とか社寺、こういう中にございます松林との一体的な被害対策の推進というようなことを実施をいたしまして、全体として一層きめ細かい被害対策を進めてまいりたいと思っているところでございます。
  226. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 松くい虫の状況は、私、千葉県ですけれども、千葉県は終息状況の方向に向いているような感じがするわけです。これに反してまだ数字はわかりませんけれども、今度、杉が何かやられているという話を聞きますけれども、その状況はどうなのですか、簡単で結構です。
  227. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 杉につきましては、いわゆるせん孔虫という虫の被害が発生を見ているのでございます。これは実はなかなか調査がしづらいという性格を持っておりまして、私どもいろいろと工夫、努力をいたしておりますけれども、五十七年度の被害につきまして都道府県から報告がありましたものを集計したところでは、スギノアカネトラカミキリによります被害面積が百九十五ヘクタールほどございまして、主として近畿地方とそれから中国地方に発生を見ているということでございます。それから、スギカミキリによる被害というものもあるのでございますが、これが七百四十七ヘクタールほどございまして、やはり近畿地方と中国地方に発生をしているということでございます。実はこれが杉の木の中に入っておりますために、切り倒してみて、切って初めてわかるというようなこともございまして、なかなか調査が難しい面がございますけれども、これから先なお一期、都道府県の方と協力をいたしまして調査を進めて適切な対応策を考えてみたいと思っております。
  228. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に、国有林を含め林政全般にわたる施策を充実させることが、山村から人口流出を防ぎ、そして林業活性化に通ずる道だというふうに思います。ところが、日本林業の保健的活用がヨーロッパ、西欧から比べると著しく立ちおくれている。そういう現状を見ると、その対策を急がなければならないというように思います。そこで、今話題になっている森林浴ですか、これについて政府はどのような見解を持っておられるか。林野庁長官が提案されたようですけれども、御専門のようですからお聞かせいただきたいと思います。
  229. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 国民の緑資源に対します関心がとみに高まっておりますが、私ども林野としましては、国民皆さん森林への触れ合いの機会を通じまして、森林づくり、森づくりが大変長期にわたって人手を要するし、金もかかるということを一般国民方々に御理解いただく。やはり森づくりに対する理解協力を求めると同時に、国民皆さんの心身の健康増進には大変、御承知のようにフィトンチッドが出るということで、これは非常に森林浴ということを通じての心身の健康増進につながるという医学的な面もございますので、そういう両面からこれを進めておるわけでございます。  今私どもこの森林運動推進するに当たりましては、都道府県、市町村長内容等を照会すると同時に、現在、国有林には各地に自然休養林というのがございますが、これは、その地域を代表する景観、森林資源内容を持ったものでございますので、そういう地域におきまして、国民皆さんにこれを御活用をいただく。さらには国土緑化推進委員会におきましても森づくりの重要性、それから国民の健康に森林がプラスになるという両面からこの運動を進めることとしているわけでございます。私どもは今後の森づくりを国民運動の一環として進めるに当たりましては、こういう運動を通じて森林に親しみ、自然の重要性理解してもらって初めて実効あるものになるものであるということで、積極的に進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  230. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 気候的にも、これからの春から夏、秋にかけて森林浴のシーズンに入るわけでありますけれども、新聞の報道するところによると、北海道では既に、真駒内の「森のマラソン」ですか、それから野幌というところですか、ここでは「森の交響曲を聴く会」、兵庫では六甲山で「神戸市民の会」が催されるという計画があると見ておりますけれども森林浴が国民関心を集め出したせっかくのチャンスでありますので、政府にあっても積極的にこの森林浴の普及に努めて、国民に夢とロマンを与えていくということに一層の努力をお願いしたいわけでございます。今、一、二具体的にお話がありましたけれども、この森林浴の普及の構想ですけれども、なお具体的に何かございましたらお話しいただきたいのです。
  231. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 今申し上げました、まず国有林としましては、一つには、今自然休養林というものを各地にたくさん設けてございますので、そういうところをその地域その地域皆さんに御活用いただくということ、それからもう一つは、御審議いただいております分収育林の制度を通じまして、国有林森林づくり一般国民皆さんが参加していただくことを通じまして、この森林浴の意義と、それから森林づくりに対する理解ということを進めていただくというようなことが大事だろうと思います。一方におきまして、これは国だけでなく、国民運動として進めていく必要があると思いますので、これは国土緑化推進委員会が今まで緑化推進ということで国民運動を展開しているわけでございますが、さらに今後は、その国土緑化推進運動の一環として、森林浴への誘導をしながら、森づくりあるいは森林造成重要性を特に都市皆さんに御理解いただき、山村都市方々も一緒になりまして国民運動として森林づくりに邁進してまいるというような方向づけが必要だと思うわけでございまして、これらの方向で具体的な措置をいろいろ考えていきたいと思っておるところであります。
  232. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 もとへ戻って大変恐縮ですけれども、本法律の改正では、国有林野について一般国民が分収育林の契約をすることができるようにするという内容ですけれども、昨年、民有林に分収育林制度が導入されたわけです。私一人ではなくて、この制度は緑資源の確保のために大いに期待できると希望を持っているところであります。このたび、生育途上にある人工林の育成のため、国有林野に分収育林制度を導入するということは非常にいいことだと思いますけれども、この法を改正して分収育林を促進しようという意図、目的、これをもう一度お話しいただきたいと思います。  と同時に、今度は逆に、昨年民有林に分収育林が始まったばかりでございますので、実績もまだない実態を考えれば時期尚早とも考えられないわけではございません。この民有林の定着化を待ってからでもいいのではないかという気もいたしますけれども、この二点についてお伺いをしたいと思います。
  233. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 先生からもお話が出ておりますように、緑資源の確保に対する国民的な要請関心が高まっておる現況におきまして、やはり森林造成にみずから参加し、あるいは林業に対する投資を通じて森林造成協力したいという機運が高まっておるわけでございまして、私どもそういう中で、やはり国有林もその場をし提供で、緑資源重要性について国民皆さんの御理解を得、国有林重要性を御理解を得るというのは極めて重要だろうと判断いたしたわけでございます。と同時に、現在の国有林の人工林の状況を見てまいりますと、戦後造林された造林地が多いわけでございまして、三十年生以下の森が約八割強を占めておる、これもやはり国有林の経営悪化の一因にもなっておるわけでございますので、その収入の平準化ということと両方あわせましてこれを積極的に進めてまいりたいと考えておるところでございます。  そこで、ただいま先生から、昨年民有林に導入 してすぐ国有林というのは時期尚早ではないかという御指摘がございますけれども、むしろ私は、国有林国民皆さんの財産であり、森林であるわけでございまして、緑資源の確保に対します国民要請が非常に高いということでございますと、私どもは、やはり国有林におきましても民有林と同様に分収育林制度を導入して適切な運営を図ることが国民要請にこたえる道であると考えておりますし、林政審議会におきましても、これにつきましては経営改善の一環として取り組む必要があるというような御指摘をいただいております。私どもはそういうことを踏まえまして、今回国有林におきましてもこの制度を導入した次第でございます。
  234. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 五十七年の十月に行った分収育林等に関する都市住氏の意向調査と、五十八年九月に行った調査結果が資料として出ておりますけれども、それによると、育林制度では、「すぐにでも参加したい」というのが五十七年が一〇%、五十八年が二二%、これは倍以上になっています。「将来いつかは参加したい」というのが四二%から三九%、これは余り変わりありません。「参加したくない」というのも三六%から三三%、これも大した変わりはない。ということになると、若干ではございますけれども、この育林制度について国民理解が深まっているように思われます。  また、森林への投資活動に参加したいその理由としては、一つ、「国土緑化に参加できるから」というのが三九%から五十八年は二八%に減っております。「自然に接することができると思うから」というのが二六%から一三%ということで、約半分になっております。「子供や孫に資産として残してやりたいから」、これは二一%から三九%、約倍になっておるわけです。「将来の収入が期待できそうだから」、これも八%から一八%ですから約倍になっている。こういう結果が出ているわけです。  このように一年間でも意向調査変化が出ているわけですけれども、今後国有林の分収育林が進むにつれてどのような方向国民の意向が進むことを期待しているのか、この点は林野庁としていかがですか。
  235. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私どもは、国有林の分収育林制度に国民皆さんが積極的に対応しようという方がふえてきていただいておるということは非常にありがたいことだと思っています。特に国有林は本当に国民の財産でございますし、いわゆる開かれた国有林であるためには広く国民皆さんの御理解をいただいた上で森林づくりをすることが極めて重要でございますので、私どもはそういう皆さんの御意向を十分踏まえた形で、ニーズに合った形でこの制度をこれから活用してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  236. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 このアンケートでございますけれども国有林というのは、先ほども言いましたように民有林に比べて比較的奥地に位置して、地域的にも地理的にも非常に不便なところにあるわけです。今回の資料として提出されたアンケート調査には、都市住民に対する意向調査がないわけですけれども、本来からいけば、国民の参加によって国有林の分収林計画をやっていこうという趣旨でございます。それならば、都市住民に調査をしていくのが本来の調査の目的ではなかろうかというふうに思うわけでございますけれども、五十七年と五十八年の調査対象が異なったという、その理由は何かあるのですか。
  237. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 分収育林の制度につきまして、当初は都市住民一般に対して調査をしたわけでございますが、やはり地元の皆さんの意向も聞かなきゃいかぬということにしたわけでございます。今後はさらに広く両者の意向も調査しながら、それに合った形でこの分収育林制度を進めていくように対処してまいりたいと思います。特に、五十九年からは本州、四国、九州の各営林局におきまして一ないし二カ所モデルを実施することになりますが、それとの関係におきまして今の御指摘の点については十分踏まえてやってまいりたい、かように考えています。
  238. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 簡単で結構でございますが、この分収割合については、法律の十七条の四に、「分収林につき、費用負担者は、分収育林契約に定められた分収木に係る持分の割合により、分収木に係る収益を国と分収するものとする。」、こうありますけれども民有林の分収分割は、都道府県や林業公社の例では、土地所有者四に対して造林者、費用負担者は六の割合となっておるわけです。国有林の分収育林の割合はどういう比率になるのか、今後もこの比率はどのぐらいになるのか、またその比率は今後とも変更をしないのか、その辺はいかがでございますか。
  239. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 国有林におきます分収育林の分収割合は、五対五の割合でやりたいというふうに考えております。これは先ほども御答弁申し上げましたように、国有林がこの分収育林契約の対象になりました立木につきましても、行政財産として管理経営の責任を果たしていくということからいたしまして、少なくとも二分の一は国が持っていることが適当であろう。それから、同じ割合で共有することによりまして、参加していただく方々の連帯感とか共同責任感を生むことにもなりますし、それから比率としても非常にわかりやすいということでございます。民有林の分収割合につきましては、今お話しございましたように、土地所有者四、造林者一、費用負担者五という割合でございますが、国有林の分収育林契約におきましては、国が土地所有者と造林者を兼ねておるわけでございますので、そういうことから申しますと土地所有者の割合の四と造林者の割合の一を合わせました国が五、費用負担者が五、こういう形になりまして、民有林ともほぼ平仄が合うものというふうに考えております。
  240. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは時間が来ましたので、最後に大臣にお伺いしたいのです。  林野庁はこの分収育林の推進に際して経済メリットをどう考えているかということでございます。先ほどちょっとお聞きしましたが、無用の、いわゆる無形の効用、これは当然あるわけですけれども、現在の経済状況からいきますとその材価の値上がりもそんなに期待はできないのではないかと。材木の価値増加が年二、三%の上昇程度では、比較して大変あれですけれども、普通預金の金利を下回るような数字になるわけです。当然そこに投資というのですか、契約をするということになると経済メリットを考えない人はいないのじゃないか。こういうことで経済的に考えたらそれほど魅力がないように考えるわけですけれども、この分収育林を今後どういうふうに推進していかれるのか、大臣の腹としてはいかがでございますか。
  241. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 分収育林の将来の経済性につきましては、何にしても契約期間が極めて長期間でございます。そういうようなことからいいまして、木材価格の変動等を確実に見きわめることはほとんど困難でございます。そういうようなことからいいまして、その結果というものはかなり幅の広いものになるのじゃないかというぐあいに考えております。ただ、分収育林に参加されようという国民の動機といたしまして、経済性だけではなくて、緑資源確保のための森林造成整備に参加したいという意識もあずかって大きなものと考えております。その意味でこの制度は国民皆さんに夢を買っていただく、そういうようなものだというぐあいに考えております。
  242. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 終わりました。
  243. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 過日の質問で留保しておった点がありますので、ちょっと補足して二、三の問題についてお伺いしておきたいと思うのでありますが、青森の県安林火事のことについては、いろいろ御説明いただきましたが、攻道としてやむを得ないものだという説明がございました。それはそれで一応了解いたしておきましょう。  その節にお話し申し上げましたが、林政審の答申の中にも、「自己収入の確保・増大」ということで、積極的な資産の処分、分収育林の国有林への早期導入、森林レクリエーション事業の積極的拡 大、林野、土地売り払い等について六十三年度までに過去五年間の実績約一千億円のほぼ三倍程度の確保ということ言っているのですね。このことについて過日、こういう一千億円の三倍の三千億円ということになりますと、山の奥の土地なんか売ったのではとてもそんなお金になるのじゃなくて、結局地価の高いところ、それは地方自治体といたしましては、地方自治体としての都市計画ということで非常に緑を保存しておきたいとか、またそれなりの機能のあるそういうところを切り売りするような形になるのじゃないか。今後のこういう問題については十分にひとつ検討いただきたい、このように長官にも申し上げて、長官も、そのとおりでございますというお話でございましたのですが、    〔委員長退席、理事北修二君着席〕 これは臨調から言わせると国有財産の有効利用とか、林政審から言わせると今申し上げたような林野事業の改善とか、こういうことなのでしょうから、この切り売りをするということは、林野庁としては大変な身を切るような思いなのだろうと思います。この前概括的なお話だったのですが、私はこういうことについては何点か調査したのがあるのです。  すぐ身辺なところに、仙台の東照宮一丁目の仙台営林署ですね、この構内一万二千九百四十三平方メートル、そのうち半分に近い六千六十三平方メートルの保全緑地の指定を受けているところが、この三月ですか、売買契約が成立したということなのです。これは一義的には、一万平米を超すような大きな地域についての売買については、法の上から言うと、地方自治体と協議をするということになっているはずですし、当然そういうこともお話し合いをしたのだろうと思いますけれども、これはいつこの売買についての話をして、県なり市なりとどういうお話し合いを進めてきたのか、その辺の経過をお聞かせいただきたいと思うのですが。
  244. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) お尋ねの土地は、仙台営林署の庁舎及び同署の公務員宿舎等の敷地の一部でございます。西側が市道に接した旧営林署庁舎とかテニスコートなどの用地に、また、東側の植樹林帯の方は条例で保全緑地に指定されているというようなところで、この緑地の南及び東側には市立の小学校がございまして、あるいは東照宮の境内地に隣接をしているという平たんな台地で、周囲は宅地化が進んでおるところでございまして、都市計画法上の住居地域でございます。  実は、この土地につきましては、旧営林署庁舎を活用しまして森林資料館用地及び一部見本林として使用されてきたのでございますが、東北財務局から四十七年と五十五年と二度にわたりまして、庁舎敷の非効率使用ということでかねて御指摘を受けておったところでございます。この指摘を受けましていろいろ検討してまいったわけでございますが、この資料館を検討の結果廃館することにいたしまして、その跡の敷地につきまして、今後私どもとして他に使用する見込みがないということで売り払いすることにいたしたものでございます。  当然のことながら、この売り払いに当たりましては、その土地の有効利用を図りますために、まず、他省庁及び地方公共団体にその利用計画または利用の希望の有無を聞いたわけでございますが、いずれも希望がございませんでしたために、一般競争に付するということに相なったわけでございます。土地の売り払いにつきましては、営林局ごとに国有林野管理審議会というものを設けておりますが、五十八年の九月に諮問をいたしまして、異議のない旨の答申を受けております。この地方公共固体への買い受け希望の有無の照会は一年ほど前からいろいろ協議をしてまいりまして、管理審議会で五十八年の十月二十一日に売り払いの方針が認められたわけでございますが、仙台の市長から五十九年の一月二十五日に買い受けの希望がないという回答をいただき、また、宮城県知事からは一月二十四日にやはり買い受け希望がないという回答をいただきましたので、五十九年の三月六日に一般競争入札の公告をいたした、こういうことに相なっております。
  245. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 審議会を通し、そして法的な手続は踏んでいるようですが、もちろんそれはそうだと思うのです。今お話がありましたように、一部の半分近い面積について、これは保全緑地の指定になってます。これの解除の申請が去年の暮れですか、出ていると私は聞いておるのですが、どうですか。
  246. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 大変申しわけございませんが、私ども保全緑地の解除の申請が出ておるということは、ただいまのお尋ねまで承知をいたしておりませんでございました。
  247. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 うちの議員から、この地域のここは一部保全緑地の指定を受けている、その条例があるのだけれども、これを解除してもらいたいという申請があるという、そんな話がちょっとありまして、あそこが売買されるということは、「杜の都」とこう言われて、緑には特に関心を持ち、そしてそれをふやそうということで大変努力している、それも一番いいところ、一番大事なところです。そこがそういうことで出ているということは、これは少し問題だなという意識でおったのです。しかし、何ぼ林野庁、営林署でも、もちろん地方自治体との協議もあるだろうし、また、個人に売買するということは相当時間がかかるのじゃないかなと思っておったのですが、ことしの三月に入札したということです。  これは、国としては確かに国有財産の処分ということで、それなりの手続をやるのかもしれませんが、地方自治体としましては、地方自治体の一つ都市計画なり、都市策観とかこういうことでいろいろな計画があるわけですね。今そうでなくても地方財政が大変ですから、買うか買わないかと半年かそこらで問い詰められましても、買いますなどということは、相当財政力がなかったらできないのじゃないかと思う。いろいろな利用計画というものは考えられたようですが、結局、国のものは安く買えるという考え方が地方自治体にあるわけじゃないけれども、特に、高いとか、もう少しどうかならぬかとか、いろいろ協議があり、また、使用目的が、どういう目的がいいのかということも随分検討をされたようです。とにかく、この話が出て一年近くというさっきもお話があったのですけれども、実際はそんなに期間がない。  それで、これをこの仙台という町の中から、この位置は非常に大事なところで、しかもこの中には学術林というのですか、そういう貴重なものもあるわけです。それは保全緑地で条例で縛ってありますから、木は切れないとしましても、個人に渡るのと公的なところでそれを管理するのとでは違うだろと思います。また、一般市民の利用度というか、こういうことからいいまして、手続上私は何がどうだということじゃないのですけれども、これは上から手続を踏んではさっとある期間でということじゃなくてもう少し時間をかける。それからもう一つは、国でさえも財政が大変だといって身売りをする、身を切るのですから、いわんや地方自治体がそれを受けるなどという財政の余裕なんかあるわけがございません。こういうことから、これは大臣、閣僚の一人ですから、もしその利用の目的ということが明確になって、地方自治体として、こういう利用方法がある、ぜひ買いたいということでありますと、それ相応の、自治省は起債を認めるとか、延べ払いにするとか、いろいろな支払い方法とかなんかということで、対策というものを考える、やはり地方自治体の意向というものをあくまでも尊重する、こういうことで、財政的に援助が大変なことはよくわかりますけれども、十数億ということでこれは入札でやってしまう。  私は、こういうことが、これはもうやってしまったことですから、けしからぬ、このやろうと、こう言ってもどうしようもないのですけれども、今後のこととして、やはり物件によっては慎重に考えるべきところがあるのではないでしょうか。そしてまた、地方自治体が今すぐはできないのだということで、利用のいろいろな方途について御 検討をなさるなら、また、その財政的な裏づけが当面すぐないということならば、それなりの配慮というものでこれを進めませんと、もう今都市の中の緑がどんどん失われておる。一たん失われたものは再び返ってこないということで非常に叫ばれています。それが、役所が率先してそれをどんどん進めるみたいなことではこれはどうかな、いかがなものかなと思います。  林政審では、勇ましく進軍ラッパで三倍やるのだぞということですから、もう、それということかもしれませんが、やはり場所というものがあり、そしてまた、地方自治体は地方自治体の都市計画というものはいろいろとあるわけです。これは大臣、何とか自治省といろいろまたお話しいただいて御検討いただきたいことだと思うのですが、いかがでしょうか。
  248. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今先生おっしゃいましたように、これは場所等も大きく関係するものでございます。特に、緑資源というものがあるところでは、これはやはり東京都のど真ん中の何も緑の生えていない林野庁の持っている土地を売るのとは違うと思います。これらは特に、今先生おっしゃいましたように地方自治体とよく綿密に連絡をとりながら、今後も公的な面のものはやはり優先してやっていくという形をとっていきたいと思います。
  249. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この委員会が始まってから緑という言葉はもう何百遍、何千遍、何万遍使ったかわかりませんけれども、その端から緑が失われていくようなことじゃ……。  それでまた、分収育林制度の導入にあわせて、過日私は国有林の開放で、酪農、畜産ということで、もっと借りやすくするといいますか、これは地元へ行きますといろいろな問題があるので、後日そういう点を一つ一つ指摘し、また改善してもらわなければならないことを申し上げたいとは思っておるのです。こういうことや、それから記念植樹とか体験林業制度とか森林レクリエーション、これは一部そういうものは行われておりますが、多角的な多様なこういうものにぜひ国民の森に対する触れ合いの場をつくる、こういうものの計画、きょうはいろいろお話をしておりましたが、ぜひこれから進めていただきたいものだと思うのです。  大事な緑が不心得者のために一瞬の間に灰になってしまう。これもまた本当に憂うべきことで、去年御存じのとおり、東北、北陸の山火事で、四月ですか、一瞬の間に六千ヘクタールですか焼失してしまった。私どもは現地を調査いたしましていろいろ申し入れをいたしました。また、各地からそれぞれ要請があったろうと思うのであります。緊急治山事業とか復旧造林事業とか、それから林道等についてもいろいろ申し上げまして、去年、ことし、それぞれ予算がついて進められておるようでありますけれども、特に、復旧造林事業の進捗というものは私ども一番心配をいたしているところでありますが。時間もありませんからまとめて申し上げます。  この復旧造林事業の現在の進捗の状況と、それから起きたものはひとつしっかり手を入れていただかなきゃなりませんが、ことしもまたなどということのないように予防対策をしっかりしてもらいたい。これは林野火災予防対策事業で、ことしは山に入る省に対する指導啓蒙とか、防火帯とか、空中巡視とかいろいろやるようになっているようでありますが、これの予防施策。それから、去年特に申し上げたのは、航空消火体制の強化ということで、皆さんお話を聞きますと、アメリカのようにヘリコプター、飛行機で消火するような体制はできていないけれども、それぞれ専属といいますか、一たん緩急のときには飛んでこれるようになっているのだというのですが、実際当日は整備に入っておったりなんかしまして消火には間に合わなかった。フェーン現象とか強風とかいろいろなことがありますから、作業も非常に難しい面もありますけれども、やはり初期消火といいますか、まずは山に入る人たちに対する指導啓蒙ということと、それから起きたことに対する空中からの航空消火体制、これのシーズンというのは大体決まっているのですから、そんな大事なときに整備しているなどというのじゃなくて、ちゃんと対応できるようにこれはきちっとしてもらいたい。  去年あれだけの事故がありましてからいろいろ御検討なさったと思うのですけれども、この復旧造林事業と航空消火体制の強化、そしてまた予防対策等についてのことしの予算と中身のことについてお聞きして、終わりたいと思います。
  250. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 一瞬にして山火事で大事な資源がなくなるという極めてこれは重大なことでございまして、特に昨年の四月二十七日に大規模の林野火災がございました。それで私どもまず緊急対策としましては、その災害市町村のうち四市町村につきましては、局地激甚災害に指定すると同時に、被害の状況に応じましていろいろの助成制度を導入しまして、復旧造林、緊急治山、林道整備、それから森林国営保険の加入による森林に対する保険金の支払い等をやったわけでございますが、後で復旧造林の数字は御説明申し上げます。  特に、今までいろいろと、これは予防と消火体制の有機的連携ということで消防庁と連携をとりながらやってまいっておるところでございますが、特に新しい五十九年度からの対策として私ども考えておりますのは、この大規模火災を教訓といたしまして、五十九年度予算におきましては新たな助成事業といたしまして、都道府県に、危険度の高い特定地域対象としまして空中からの巡視、これは全国八地域でございます。それから火災の現場を見てまいりますと、尾根筋等に防火帯道を設けることによって相当防げるというふうな教訓もございましたので、防火帯道の設置、これは二万メーターほどでございます。それから自動音声の警報機の重点配備というようなことを進めておるわけでございます。さらに本年も既に四月の下旬でございまして、ことしは雪の関係で若干時期がおくれてはおりますが、林野火災の危険期を迎えているわけでございますので、全国の山火事の予防逆動の実施、それから林野火災の予防対策の徹底につきまして指導通達を出しまして、ああいうことが二度と再び起きないように、今徹底を期しておるところでございます。  なお、一瞬にして森林資源が灰じんに帰するようなことがあってはなりませんので、私どもはこの問題については消防庁その他関係機関と十分連携をとって進めてまいりたい、かように考えております。  なお、現在の復旧造林の実績につきましては、指導部長の方から御説明させます。
  251. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 森林災害復旧事業の経過、予定につきまして御報告申し上げます。  五十八年度の、これはまだ実績見込みでございますが、面積で七百五ヘクタールでございます。それから五十九年度に予定しておりますものが五百七十八ヘクタールでございまして、全体として五十九年度中に終了見込みのものと、それから六十年までかかるものがございますが、いずれにいたしましても、全体としては六十年度までにはすべて終了する予定でございます。
  252. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣、そういうことですから、ひとつ火について、緑は大事ですけれども、一瞬にして灰になってしまうということで、今までになかった対策をいろいろ講じているようですけれども、よく目を通していただきまして、ことしはちょっと季節がおくれているようですけれども、あのような大きなことのないように、ひとつ万全を期していただきたい。  大臣の決意のほどをお聞きして、終わりたいと思います。
  253. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 林野火災によりまして国民の貴重な財産、林野資源を失うということは国家的に大きな損失でもございます。このために農林水産省といたしましては、林野火災予防対策の充実を図るよう今後とも努めてまいります。
  254. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、森林三法の質疑をいたします前に、次のことをお聞きしたいと思います。  雪を知らない沖縄出身の喜屋武からしますと、 ことしの豪雪はもうまれの雪である。その後遺症が今日までたびたびテレビの報ずるところになっている。まさに雪は魔物である、こういうイメージがひしひしとするわけであります。人命の損傷やあるいは野生動物の凍死、あるいはまた果樹、畑作の損失、こういうふうに拾い上げてみますというと、まさに雪は魔物であるのかなと。こういう反面、今度は森林三法と結びつけて考えた場合に、このまれに見る豪雪が水資源の涵養という立場から、豪雪の降れば降るほどそれが水資源の涵養に正比例するのであるかどうか、私はするような気もいたすわけでありますが、まだ、自信がありませんので、そのこともお尋ねいたしたい。  次には、日本列島が豪雪であるわけですが、沖縄を除いて日本列島の豪雪の被害が、惨害とも表現していいのじゃないかと思いますが、それが森林を守る、育てるという立場から、今日どのようなどれだけの被害があるのであるか、その被害の状況、以上の二点をお尋ねいたしたいと思います。
  255. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) まず、雪の森林資源との関連で、大変これは難しい質問でございますが、やはりこれは特に東北、北海道それから北陸地域という比較的多い地域におきましてことしはまた雪が一段と多うございまして、ただいま森林被害がどの程度出ているかということで、私ども大変この対策に今気を使っているところでございます。一方水問題については、先生も御指摘ございましたように、水源涵養という面からは極めてこれは意義の大きいものでございますので、やはり私ども途中におきまして雪崩を防止し、地元に被害を起こさぬような意味での治山事業を積極的にすると同時に、森林そのものにおきまして、例えば同じ杉でございましても、福井、富山、新潟地域のいわゆる雪に強い品種系統、それから東北における秋田杉あるいは青森ヒバとか、北海道におけるトドマツ、エゾマツというふうな地域に合った品種というものを中心にして育成していきませんと、一朝にして雪害に遭うというようなこともございますので、やはり活力ある森林をつくっていくということが極めて重要ではなかろうか、かように考えておるところでございます。  それから、ことしの冬の雪の被害でございますが、現在まだ雪が解けない関係もございまして十分的確な数字までいっておりませんが、現在のところ把握している被害総額は百六十二億円に達しております。
  256. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、森林三法に入っていきたいと思いますが、お尋ねする前に、いかなる法律にしても素通りしてはいけないと思っておりますので、きめ細かにという気持ちで私の疑問に思っていることを率直にお尋ねして理解を深めていきたい、こういう気持ちで今立っておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。  最初に、国有林野事業措置法を中心にしてお尋ねいたしたいと思いますが、まずお尋ねしたいことは、これは改善期間の半ばで変更されたというわけなのですが、その変更の理由も、事業収支の赤字増大だとか、そのために経営状況が悪化した、それから借入金ができるように法改正をする、こういうことがその本旨だということは理解しております。私がお尋ねしたいのは、なぜこのような事態になったのであるかということ、その背景と原因が何であるかということをお尋ねいたしたい。
  257. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 国有林野事業昭和五十七年度末の累積欠損金は約四千四百六十九億円というぐあいになっております。これは材価の低迷と、それから売上高がこれによって減少いたしました。その一方で、国有林野事業が組織また要員規模事業内容の面でなお改善途上にございまして、諸経費が過大となったことによるものであると考えております。  このために、今後は御審議いただいております国有林野事業改善特別措置法の改正案及び国有林野法の改正案の成立をまちまして、さきの林政審議会の答申を踏まえた新たな改善計画を策定し、経営の健全性の確保に努めてまいる考えでございます。
  258. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次にお尋ねしたい要点は、改善事項の成果は、現行の経過、七年目になるわけですから、それなりに政府は評価しておられるわけです。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕 ところが、一定の成果を得たのだと、こう提案理由に示されているわけなのです。ところが、一定の成果を得たのだということは、裏を返せば何かしらそこに心細さを感ずるものがあるわけなのです。目標には達しなかったけれどもある程度の成果は得ることができた、こういうふうに私は理解をいたしておるわけでありますが、なぜその目的達成ができなく、そして一定の成果を上げたという表現をされたのか、その真意をお聞きいたしたい。
  259. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 改善計画の各項員につきまして、重要な事項につきまして五年間の進捗状況を申し上げますと、まず第一に、国有林野事業におきます造林と林道の開設等の基盤整備に関する事項におきましては、造林、林道それぞれ十カ年の目標に対しまして、おおむね五〇%が実施されたところでございまして、一応改善期間の五カ年を経過した時点としましては、私ども計画に沿った実行がなされたというふうに理解しております。  それからその次に、国有林野事業の運営の能率化に関する事項でございますが、まずそのうちの第一点としまして、作業能率の向上につきましては、作業仕組みの改善合理化、それから職務意欲の向上等によりまして、五年間素材生産の労働生産性を約三〇%向上させたわけであります。  それから、事業実行形態の適正な選択を図るために、素材生産業に対しまして請負未導入局に請負を導入するということでありますが、これにつきましては五十四年に北見、名古屋両営林局に導入し、さらに五十五年には秋田営林局にも導入を図ったわけであります。  それから、労働安全衛生の確保の問題でございます。課題でございますが、これは五年間で改善計画実施以前の五年間に対して被害発生件数を約二〇%減少するとともに、振動障害認定者の発生の減少に努めて年々新規の認定者の減少が図られてきております。  それから次に、国有林野事業の経営管理の適正化に関する事項におきましては、まず第一点としまして、要員規模の適正化の点でありますが、高齢者の退職促進によりまして、五年間で定員内外合わせまして約一万人の縮減を図ったわけでございます。これは約一五%の縮減でございます。  それから、組織機構の改善合理化につきましては、五十四年一月に北海道の五営林局を北海道営林局及び四支局に再編整備をいたしました。現在は十営林局と四支局ということでございます。それから営林署につきましては、改善期間中に一割を目途としまして統廃合を行うということで、五十三年度、五十四年の三月に九営林署、それから五十六年度、五十七年の三月に七営林署の統廃合を行ったわけであります。  それから、国有林野事業に係る収入確保に関する事項でございますが、まず、林産物の販売収入の確保でありますけれども木材の市況の長期不況というようなことがありまして十分な収入を上げることが困難であったわけでありますが、資産利用の見直しによりまして、五年間で改善計画実施以前の五年間の約二倍に相当する八百九十億円の林野、土地の売り払いを行い、自己収入の確保に努めてきたところでございます。  これらが、ただいま先生指摘の、事項別に私どもがやってまいった改善計画の成果というふうになろうと存じます。
  260. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 一定の予算を裏づけて日時がたてば、それはある程度の成果を上げるのはもう必然であります。  私が指摘したい、要望したい願いは、目的を明確にするならば、その目的はどこまでという目標を明確にしてかからなければいけないのではないか。だから、今度この法案が成立したとしても、 それはよくなることは当たり前のことです。ところが、どこまでよくなすという目標を設定してそれに向けて、きめ細かにその目標に向かって、そして現時点ではこうなっておるという明確な目標設定をしなければ観念論になる。まあ観念論だけでもないわけでありますが。  そこで私が言いたいことは、国有林野専業改善特別措置法の第二条の二項に明確に「改善計画は、次の事項について定めるものとする。」と六項目を挙げられています。ところが、そのそれぞれの項目がどの目標の域まで達成するのであるかという明確な目標が現行法では示されていないと私は思っているのです。大臣、ひとつ要望を兼ねて、この今度の法律に対してはぜひ具体的な目標を打ち立ててもらいたい。そして、現行法のこの目標達成が一定の成果を上げたということでなく、自信を持ってこれだけの成果を上げたのだという、こういうことでなければいけないと思うのですが、いかがですか。
  261. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 林政雄議会の答申におきましても、改善期間の前半期につきましてはできるだけ具体内員標を設定して経営管理を行うべきであると提言されておるところでございます。林野庁といたしましても、答申で目標として示された資源整備、そして要員規模、林野それから土地売り払い規模等も含めてそのような方向で今後検討してまいります。
  262. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、国有林野事業の経営改善を行うためには、まず財務状況の改善、つまり赤字の縮小、これは今さら申し上げるまでもありませんが、そういう目的を持っておる。この赤字発生の原因とその内訳をはっきりさせなければいけないという気持ちから、赤字発生の原因とその内訳を明らかにしていただきたい。要望します。
  263. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 赤字につきましては、収入面と支出面と両面から分析しなければならぬわけでございますが、まず収入面といたしましては、自己収入の大宗を占めます林産物の販売収入に関しまして、まず伐採量が最近資源上の制約等によりまして縮減をせざるを得なかったという実情がございます。それからもう一点、自由市場のもとで形成される材価が近年住宅事情の不振等のために低落して低迷しているという問題があるわけであります。  それから支出面におきましては、戦後の伐採量の増加に伴いまして、これは昭和三十六年以降から特に多くなったわけでありますが、拡大した要員規模を伐採巌の減少に対応しまして縮減すべく努力をしておるところでございますけれども、いまだに調整過程にあるということ。さらには事業運営の能率化につきましても鋭意努力しておりますが、いまだ不十分であるというようなことによりまして、人件費を初めとする諸経費が過大となっていること。それから造林林道等の投資資金につきましては、最近内己資金の減少傾向に伴いまして借入金への依存度が高まっている、こういうことでこれに伴うところの支払い利子が増加しているということが大きな原因でございます。
  264. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次にお聞きしたいことは、この林政審議会の答申に対する姿勢についてお伺いしたいのです。  この林政審議会の答申は、五万五千人を四万人にするということを前提にしておるわけです。ところがこれに対して大変気になりますことは人員のいわゆる出血整理ですね。この整理に対しては国会決議によってもその歯どめがかかっておるわけであります。そういうことと照らし合わせて職員に犠牲のないように配慮すべきである。政府はこの林政審議会の答申にどのようにこたえていこうとしておられるのであるか、そのことをお聞きしたいと思います。
  265. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 国有林野事業の要員規模の縮減の問題でございますが、これにつきましては、現在五十歳以上の職員が五割近くを占めるという現状にございます。そこで、五十九年度末に予定されています定年制の施行によりまして退職者の急増が見込まれるわけでございますが、また一方におきまして私どもは省庁間の配置転換を進めてまいる、それから新規採用の抑制をするということによって対処する考えでございまして、実施に当たりましては、今先生もございましたけれども、さきの国会決議の趣旨もありまして、国家公務員法第七十八条第一項第四号に基づく人員整理は考えておりません。
  266. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、経費を努めて節減したいと、これは林野庁のお考えは当然だと思いますが、問題は、林野庁事業実施体制をいわゆる直用から請負に、こういう転換を考えておられるわけですが、ところがこれもバランスといいますか、よほどその度合いを配慮しないといけないのではないか、こう思うわけなのです。今後どのようにしていこうと考えておられるか、いわゆる直用と請負の度合いの問題ですが、お聞きいたしたいと思います。
  267. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 国有林野事業の請負事業についてでありますが、林政審答申におきまして、業務運営の抜本的改善のため請負化を促進する必要があるというふうな答申の趣旨を踏まえまして、適切に対処してまいる考え方でございます。今御質問の、今後の請負現業の割合でございますが、これは全体の事業量、直用事業の要員規模、さらには直用事業の能率性の推移とも関連するわけでございまして、今直ちに具体的に示すことは難しいわけでございます。今後直用の要員の縮減に伴いまして直用の事業量は減少をすると見込まれますから、請負事業の割合は相対的には高まるものと考えております。
  268. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、作業効率を上げていくと、これは合理化も統廃合も結局作業効率を上げるという前提があるわけでありますが、その場合に、例えばその効率は素材生産で五十三年を一〇〇とした場合に五十七年度は二七%上昇をしておる、植えつけの場合はその上昇率が一一%落ち込んでおるというアンバランスの統計が出ておるわけです。今後この効率をどのようにして上げていこうと考えておられるか、伺います。
  269. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) 造林事業と生産事業の生産性の伸び率の差がございますのは、造林事業は大変に人力作業に依存している部分が多いわけでございますので、その点でなかなか作業能率の向上は困難なわけでございます。生産事業の場合には機械化によりまして、あるいは作業仕組みの改善によりまして生産性の向上を図る点が非常に可能なわけでございます。そういう中にありましても、五十三年来私どもいろいろと創意工夫を凝らしまして、作業方法の改善合理化、人員の適正配置あるいは職場内研修等を行いまして職務意欲の向上を図ってまいったわけでございますが、この路線をさらに今後より強めまして、生産性の向上に努力をしてまいりたいと思っております。
  270. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、これは大臣にお聞きしたいと思うのですが、政府は、国有林野享楽の財務悪化の原因は木材価格の下落、低迷を主張しておられる。しかし、この現象は何も今に始まったことではない、以前から予測されたことであると理解いたしております。今後も材木の本格的な伐採期に入って、木材価格が一層低下することが懸念されておるわけです。したがってその経営改善は容易なことではないと思います。そこで政府の一層の努力が必要になってくるわけであります。特に収支の均衡を七十二年度までに円滑に達成するという目標を、願いを持っておるわけですが、木材価格の今後の見通しと、計画目標達成に対する政府の決意をこの際伺っておきたいと思います。大臣の決意をお聞きしたい。
  271. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 最近におきます木材価格の動向、債務残高の累増等の事情からすれば、先生が言われましたように、昭和七十二年度収支均衡達成が容易な目標でないことは事実でございます。したがいまして、今後は御審議いただいております国有林野事業改善特別措置法の改正及び国有林野法の改正を待って、林政審議会の答申を踏まえた新たな改善計画を策定して、七十二年度までに収支均衡を達成するよう努めてまいる覚悟でございます。  また、国有林野事業の経営悪化は、我が同林業 全体を取り巻く構造的問題が深く関係しております。こうした構造的問題の改善打開を図るために、林政審議会答申で提訴されている問題等についてあわせて検討し、その施策の充実強化を図ってまいる考えでございます。
  272. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、国有林野法改正案に対して二、三お尋ねいたします。  簡単に申し上げますと、分収育林に関する意向調査の参加希望者は予想以上とは言えないかもしれませんが、とにかく相当な六割近くあると。ところがこれは内容的には角度が変わったかどうか知りませんけれども、アンケートによるとまた四割そこそこになっている。ここで気になりますことは、いざ金銭を出資するという時点になるというとあるいはしり込みすることもあるのではないか。ムード的には、今日の社会情勢あるいは政策、あるいは緑に対するあこがれから理解が、ムードがアップしつつある、けれども、いざ金を出して出資するということになると果たしてどうだろうか、こういう懸念も持つわけでありますが、そういうことをどう見ておられるか、お聞きしたいと思います。
  273. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 国民皆さんの森づくりへの参加の意欲は、アンケート調査等から見ますと相当高まっているというふうには考えられるわけでございますが、国有林の行う分収育林に対しましてどの程度国民の参加が得られるかという問題につきましては、五十九年に北海道を除きました各営林局におきまして一ないし二カ所ぐらいまずモデルで実施していこうと思っていますが、その過程におきましてその対象地域、地元との関係、それから国民皆さんのニーズがどういう情勢であるかということをさらに確かめながらこの問題については取り組んでまいりたいと考えておるところであります。
  274. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、分収育林を経済的メリットの面から比較してみた場合に、例えば木材の材質の成長分といいますか、一応二から三%以上とすることが挙げられています。ところが、今度は投資をするという面から金利との比較検討をした場合に、こういうことが気になるのです。結果的には金利の高い投資信託に資金が流れるのではないか、その反面、木材の消費は将来ともむしろ減退の方向はあっても、うんと消費量がふえるということが期待できるだろうかどうだろうかということです。  それから、国産材の出回りは確かに十年後には多くなってくると思われます。ところが、出回るけれども材木価格が果たして上昇するかどうか、この点も気になるわけであります。それで、こういった情勢を見回して、どのように政府予測しておられるかということを伺いたいのです。
  275. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 分収育林の制度の導入につきましては、私どもは単に経済的な投資の対象としてではございませんで、やはり緑資源の確保への国民の参加要請にこたえるということを主な目的にしているわけでございます。  今先生からお話のございました育林分収の将来の経済性につきましては、契約期間が極めて長期間にわたりますために労賃、諸物価、木材価格の変動等を確実に見通すのは非常に難しいわけでございます。対象となる土地の立地条件、あるいは植栽樹種、保育等の時期、それから内容いかんによりましてまた大きな影響もされるわけでございますので、かなりその結果には幅があるものというふうに考えられまして、一概にはなかなか申し上げられない側面がございます。私どもは公募、契約に当たりましては、この育林分収の趣旨あるいは仕組み等を十分説明いたしまして、費用負担者の理解を得て行うこととしておるわけでございます。  そこで、次の問題としまして木材価格をどのように予想しているかということでございますが、将来の木材価格につきましては、今後の需要動向はもちろんでございますけれども、景気等の社会経済的情勢に大きく影響を受けるわけでございまして、その的確な見通しというものはなかなか難しいと考えておるわけです。ただ、地球的規模森林資源減少という問題が見通されている中におきまして、我が国外材輸入の将来というものはこれは楽観を許さない状況があると見られるわけでございまして、これらを勘案いたしますと、かつてのような大幅な上昇は望めないといたしましても、ある程度の木材価格の上昇は期待できるものというふうに考えておるところでございます。
  276. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 どうもこの点気になりますね。  次に、費用分担者が国と分収契約をするに当たって、大企業とそれから外国法人が参加できる、こういう結びつきから大企業や外国法人等の参加や大量の出資申し込みなどがあることも予想されるわけですが、これに対して政府はどのように対応をしていこうとしておられるのであるか。また、契約の場所によっては例えば山の地質が異なる場所、あるいは場所によって、地形によって日当たりのいいところと日当たりの悪いところが出てくるわけです。それによって今度は成長が異なってくるわけなのです。そういったいろいろうるさいといいますか、難しいといいますか、点が出てくるわけですが、それをどのように考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  277. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 国有林の分収育林につきましては、国有林森林造成につきまして広く国民の皆様の参加を求める、理解をいただくということが目的の一つでございますので、広く参加者を得るという観点から公募抽せん方式によりまして適切に相手方を選定していきたい、かように考えているわけでございます。  そこで、極端な大口の応募者がいるような場合には、小口の応募者が阻害されないように応募者の口数の調整を図るということやら、ほかの場所をあっせんするとかいろいろの方法をとりまして、多数の応募される方々の希望がかなえられるように公平かつ妥当な仕組みと運営をこれから検討してまいりたいと思っております。  なお、外国人、外国法人の参加につきましては、今申し上げましたような目的がございますので、対象といたしまして考えておりません。  それから、対象地によって成長ぐあいが異なるので契約者相互に不公平が生ずることがないかというお話でございますが、この分収育林契約におきます立木評価につきましては、契約の対象地ごとに成育当初に立木の評価方法として一般に使われておりますグラーゼル式という方式を使いましてこれを出すこととしております。このような方式を見ますと、森林の状況の相違を反映した適正な評価を行えるわけでございまして、こういう考え方で募集数を決定してまいります。契約対象地ごとに不公平が生じることのないようにこれは仕組んでございますので、そういう考え方で進めてまいりたいと思います。
  278. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、これはあり得ないことを欲するのですが、あり得ないとは言えない、こういうことも考えるのですが、国が保育管理の適切さを欠いて、適当な管理を怠って、その結果出資額に食い込んだ場合に、国はこの費用負担を費用負担者に対してどのような措置を講ずるお考えであるかどうか、いかがでしょうか。
  279. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 国有林の分収育林契約の対象といたします森林は杉、ヒノキ等の人工林でございまして、かつ成林が大体確実な中齢級のものを選ぶ。大体植栽しましてから十年ぐらいの間というのは成林の過程で、先ほども不成積造林地みたいな話も出ておりましたけれども、心配がいろいろ残る年ごろでございますが、まあ二十年生ぐらいになれば大体成林の見込みがもうついてくる。そういうところを対象にして選定をして契約の対象にすることにいたしておりますし、さらに保育管理につきましては、契約書に定めます管理経営計画に基づきまして国か責任を持って適正な施業と管理を実施することにしておりますので、国の保育管理が不適正になることがないように、これは広く国民一般の方から費用を負担していただいて共有という状態になっている森林でございますので、特に十分に配慮をしてまいるつもりでございます。  ただ、そうは申しましても、山火事でございますとかあるいは豪雪でございますとか、そういうようなことによりまして、善良なまた忠実な計画どおりの保育管理をやっておりましても、災害等によりまして分収契約の対象になっております立木が損害を受ける、極端な場合には滅失をしてしまうというようなことがあり得るわけでございまして、その点の費用負担者の権利の保全というものは十分考えておかなければいけないということで、公募に当たりましては、費用負担者の方々森林損害てん補制度に加入をしていただきまして、そういった事態が生じました場合には保険金なり共済金が受け取れるような契約を同時に締結をしていただくということで対処してまいりたいと思っております。
  280. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 万一の場合に後始末も無責任なことをしてもらうとそれこそ大変なことでありますから、やはり締めくくりをよきにつけあしきにつけてきちんとやってもらわぬといかぬと思うわけです。  次に、さらにこの分収育林の契約解除がある場合に次のことを聞きたいのです。  契約解除の場合に費用負担に見合ったものを返還するのであるか、それともまた他のいかなる方法があるのであるか、そのことを伺いたいと思います。
  281. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) これは現行の部分林と申しますか、今度名称を変更いたしまして分収造林というふうにいたしました。植栽のときからの分収契約の場合も同様でございますが、この分収育林契約の目的に、対象になりました国有林野が公用、公共用あるいは公益事業の用に供する必要が生じたというような場合につきましては、全部または一部につきまして国が契約解除をすることができるということにされております。このような必要が生じました場合には、国はあらかじめこの費用負担者にその理由等を御説明申し上げまして、費用負担者の合意を得て解約をすることとしております。  この場合、かなり伐採期に近い、あるいはもう伐採できるような状態になっているというような、立木の市場価格が存する状態になっておりますならば、立木を販売しましてその収益をそれぞれの持ち分割合に応じて分収することになりますが、この場合、分収金が解除によって生じた費用負担者の損失に満たないときにはその差額につきまして、国にその差額分の補償を求めるということになってまいろうかと思います。この場合には、一般的にもいろいろ公共事業実施に伴います損失補償のルールがございますので、それに従って処理をされるということになろうかと思います。  また、立木の市場価格がまだ存しないというような場合につきましては、費用負担者は解除によりまして生じた損失を国に補償を求めることができるということになります。  さらに、いずれの場合におきましても国は分収育林契約を締結いたします場合に、契約締結時以降の保育管理の費用を一括して前払いで費用負担者からちょうだいをするわけでございますので、その前払いを受けております育林費のうち、契約解除時点以後に相当をいたします保育管理の費用、育林費というものは当然国が費用負担者の方に払い戻す、こういうことで考えております。
  282. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 余計な注文かもしれませんが、国ともあろうものが個人に損失を与えたりあるいは不快感を与えたり、こういうことのないように、むしろ倍にして、のしをつけてあげるというお気持ちで後始末をきちんとやってもらう、これを要望しておきます。  次に、保安林整備法改正案について、二、三お尋ねいたします。  森林多面的機能に対する国民要請が近年非常に高まって、そして多様化してきた。しかし、林地の荒廃状況を見ますと、年々逆に増加してきておる。それを被害額の上で見ますとこうなっております。昭和五十五年には七百八十八億三千万円、五十七年には二千四百八十九億、前年の五十六年の二倍にはね上がっておるのです。こういうふうに非常に急増しておる。政府は林地荒廃のこの原因をどのように見ておられるのであるか、確かめたいと思います。
  283. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 災害の発生状況は、数字的には今先生のおっしゃったとおりでございますが、我が国の場合、自然的な条件といたしまして一般的に地形が大変急峻でありまして、地質的にも大変複雑だというような地域が多いことと、それから加えて毎年のように台風でございますとか、あるいは集中豪雨でございますとか、そういった災害に見舞われることが多いわけでございまして、こういった自然的な条件と、それからさらに一方、経済の発展、都市化の進展などに伴いまして、山地、山ろく地帯まで開発が進んでまいりまして、保全対象がふえてきたというような変化の中で最近災害の発生する危険性が高まってきている、このように認識をしているところでございます。  そこで、これから先の対策でございますけれども、災害発生の危険のある地区につきましては治山事業を積極的に推進しますとともに、保安林の適切な配備でございますとか、あるいはその機能向上に努めまして災害ができるだけ発生をしないように努力をしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  284. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、地域森林計画を作成なさるときに、森林所有者の意見を聞くと先ほども言われました。これは当然だと思いますが、その場合に政府はどのような方針を持っておられるのであるか、お伺いします。
  285. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 先生のお尋ねの件は、地域森林計画で要整備森林につきまして施業方法を定めるときに意見を聞くべきじゃないかというお尋ねかと存じます。  私どもは今度の措置によりまして、要整備森林につきまして森林所有者が行うべきものとして定めた内容と申しますのは、いわば森林所有者が通常の林業生産活動の範囲内で対応可能な森林の取り扱い、森林施業を予定しておりまして、森林所有者に特に過重の負担を課するものではございませんので、私ども森林法で規定されております地域森林計画についての「意見の申立て」の手続によりまして森林所有者の意見を反映することで足りるものと考えております。  ただしかしながら、そうは言いましてもやはり要望術森林整備措置を円滑に進めていくためには、森林所有者方々がこの制度の趣旨を十分御理解していただきまして積極的に対応していただくということが望ましいわけでございますので、私どもは事前に説明会等を通じまして関係者の意見をお開きすると同時に、その施業の実施能力を持っておられない森林所有荷の方々に対しましては、その森林施業を委託してもらうとか、あるいは分収林契約のあっせんなどの助言指導を行う、同時に、必要な場合には協議の勧告を行うように都道府県を指導してこの要整備森林につきまして実効あるようにしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  286. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、要整備森林を定めるに当たって、要整備森林に該当する森林所有省に国の計画を示すことは当然であるわけですが、その場合にこの計画に従えという強制をするのであるか、また、この計画一つの指導目標であるという姿勢で提示するのであるか。姿勢の問題になると思いますが、いわゆる国の方針を強制するのでこのとおりやれと言うのであるか、それとも、これは指針として参考にしてということになるのであるか、その姿勢を伺いたいのです。
  287. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 地域森林計画で要望価森林につきましてどういう施業をするかということを定めるわけでございますが、この施業の内容森林所有背の方に遵守していただくべき具体的な規範を示すということでございまして、命令や罰則で担保されるような強制力を持ったものではございません。ただ、これに従わない森林所有者に対しましては、地域森林計画に従った施業がなされるように都道府県知事が森林法の第十条の五 に基づく勧告を行うことができることになっておりますし、必要な場合には、さらに通常の勧告だけでも実効が上がらないという場合には、権利の移転等の協議の勧告をすることができることになっている。ここまででございまして、協議から先の強制力とかいうものを持った、担保している制度ではないわけでございます。  ただ、内容的に通常の森林所有者であればやっていただけるような森林の施業でございますので、これによりまして実効を上げるように努力をしていきたいということでございます。
  288. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 三法については大体私がお聞きしたいと思っていることを率直に伺わしていただきました。  次に、特に全国と状況の違う、特殊事情下にある沖縄の森林を守り育てるためにという一つ発想で、この三法が沖縄の森林を守り育てるためにどのような意義を持つか、この点からお尋ねいたしたいと思います。  その前にまず、今実は沖縄で非常に困っておることがあります。それは国道五十八号線、御存じかと思いますが、沖縄本島の西海岸を通って北に走っておる。そこに、海洋博の記念木として国道に植えられたココヤシの並木がずっと北の方に、そして恩納村、名護の近くまで、それから途中にゴルフ場がたくさんありますが、そのゴルフ場の周辺にいっぱいココヤシが植えられておるわけです。御存じかと思いますが、それにタイワンカブトムシというヤシの害虫がばっこしまして、今や全滅の危機に瀕しておるのです。この実態を調査なさったのであるか、それでそれに対する駆除と予防、このことをひとつ具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  289. 鈴木道雄

    説明員(鈴木道雄君) お答えいたします。  一般国道五十八号の沖縄県恩納村地先の街路樹のうち、ヤシの木は約四街本ございまして、大半がトックリヤシモドキでございます。道路を管理しておりますのは沖縄総合事務局でございますが、枯死しているものは現在のところ見受けられないというような報告を受けているところでございます。  しかしながら、今御指摘のような事情もございますので、今後とも道路パトロール等注意深く街路樹の状況を観察するとともに、必要に応じまして関係部局と御相談をいたしまして適切な防除を行うように指導してまいりたいと考えております。
  290. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 聞くところによりますと、その防除の方法は非常に困難である、難しいという話も聞いておりますが、やり方によっては実効を上げることが可能であるのですか、いかがでしょうか。
  291. 鈴木道雄

    説明員(鈴木道雄君) 今の実情は現在申し上げたようなことで、週一度パトロールいたしまして、リフト車で職員が上がりましてそこを検査しているのですが、まだそういう枯死しているものはないというような報告なものですから、この防除の方法についてどういう方法がいいかというところまでまだ詳しく私どもも聞いておりませんけれども、大変難しいというように聞いておりますので、関係の御専門の部局とも御相談の上、対応していきたいというふうに考えております。
  292. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひひとつ知恵を絞って、金を出してくださって、必ずこれを駆逐していただきたい。これは意義のある、復帰そしてまた海洋博の記念のシンボルである。それでココヤシの並木というと、これは沖縄の名物にもなっておるわけであります。その緑のココヤシがもう赤茶けた褐色のヤシになって立ち並んでおる、こういう状況がますます広がりつつありますので、ぜひひとつ国を挙げて解決してもらうようにお願いをいたします。  次に、水資源の涵養という柱と自然環境保全するというこの二つの柱から沖縄の森林をどう守っていくか、また守るべきであるか、こういう点、方向に質問を進めてまいりたいと思います。  沖縄本島の中部から北の方、北部の中に、俗に言う――これは軍事基地演習との関係もあって、きょうはそのことは触れないことにいたしますが、そこに水がめという言葉で表現しておるところの、沖縄本島には沖縄百十五万県民の九一%がおるわけなのですが、それだけの人間の水がめが北部の森林にあるわけなのです。ですから非常に大事な水資源地域である、いわゆる水がめである。このかけがえのない沖縄の水資源を、その地域一帯をどうしても守ってもらわなければ、これは県民の命にかかわる重大な問題があるわけなのです。ところが、皮肉にもここに広大な米軍基地がある、そしてその基地の中で次のようなことが平気で行われておる。りゅう弾砲による実弾射撃演習、この演習が山火事の頻発につながっておるのです。今度は、恩納岳と言えば沖縄の平和のシンボルと言われておる有名な山ですが、その山を目標に百五十五ミリ砲の実射訓練を惜しげなくして、その恩納岳を打ち砕いておる、森林を破壊しておる、山肌がもう赤茶けておるのです。こういう状態にあるわけなのですが、それこそ、あすあさっての問題ではない、緊急にこの緑を守らなければ県民の生活に、命にもかかわるという重大な関連を持っておるわけなのです。このような沖縄の環境を、自然を、森林を守っていかなければいけないのだが、どうすれば守れるのであるか、長官ひとつ、そしてあと大臣にお願いします。
  293. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 沖縄県の方々にとりまして水資源の問題というものは大変重要な問題でありまして、特に北部の今先生指摘森林水資源涵養上極めて重要であるということは、私どもも十分承知しておるところでございます。  ただ、この北部訓練場内の森林につきましては、地位協定に基づきまして米軍の施設区域として提供されていることから、保安林の指定を行うことは、これは関係省庁に関連する事項でございまして、現在関係省庁で研究をしているところでございます。  北部訓練場以外のダム周辺の森林につきましては、水源涵養保安林等の指定等もやってまいっておるところでございますし、また北部の国有林につきましては、現在、第四次の南西地域施業計画に基づきまして、特に二十年生前後の密生した天然林が多うございますので、そこにつきましては、これは活力をより一層高めるために除伐、間伐ということを私どもはしているわけでございます。それによって森林機能をより高めようということで努力しているわけでございます。  それから、今御指摘の米軍基地内の演習に起困する山火事の多発の件でございますが、これは特に森林を火災から守るということは極めて森林資源維持培養上あるいは林業振興からもちろんでありますが、水源涵養機能の向上等からも極めて重要でございます。私どももそういう観点から沖縄県の全体の森林林業整備に努力しているところでございますが、基地内の森林につきましては、今申し上げたような経緯もございまして、米軍がその管理に当たっておるわけでございますので、農林水産省といたしましては防衛施設庁等の関係機関と連絡を密にしまして、山火事の多発が防止されるようにこれは適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。
  294. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今長官から御答弁したとおりでございまして、いわゆる地位協定という問題もございますので、なかなか難しい問題もあります。しかし、いわゆる水資源の涵養、また山火事の防止ということは林野庁の重大使命でございますので、防衛施設庁とも相談しまして、できるだけのことはやっていきたいと思います。
  295. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今長官大臣の御答弁は、そこまではいつでもどこでも聞いておる点なのです。そこをあと一歩どうすれば抜け出していただけるかということが実は私が期待しておるところでありますが、それをひとつ忘れないでください。  次に、もう一つの側面は、自然環境保全という面からまた沖縄が非常に大事な島である、自然を守ることの意義、それは野性鳥獣の保護をしなければいけない、してもらいたい大事な島であるということなのです。すなわち、世界の学術界に貢献しておる珍しい鳥、珍獣がおる宝の島である。 これは自画自賛ではありません。沖縄のことを国際的には東洋のガラパゴスと言われております。その地南米のガラパゴスですか、それに匹敵する東洋のガラパゴスと言われておる、世界に二つしかない、双壁の学術界の大事な宝の島であると、こういうことが言われておる。きょうは環境自然保護立場からの質問は抜きにいたしますが、その程度にお聞き取り願いたいのです。  そこで、結局水資源の涵養、自然環境保全というこの両面から沖縄をどうしても大事にしてもらわなければいけない。そこで、地位協定のために森林法の適用除外になっておる森林をどうして守るかというところに私が言いたいポイントがあるわけであります。それは森林法そうして保安林整備臨時措置法、この網を何らかの形で沖縄の森林に、基地内の森林にかぶせていただかない限り沖縄のこの宝の島の森林を守ることは不可能であるということなのです。これは難しいことであると言えばそれの一語に尽きるわけでありますが、私はあえて申し上げたいと思います。  地位協定のために森林法の適用除外になっておる森林は、岡がこの宝の島を何としてもこれは守ってもらわなければいけない私は義務があると指摘いたします。そのことをお考えになって、先ほどのところから一歩抜け出したその決意を込めて長官大臣、答えていただきたい。どうしてもこれを何らかの手段を講じて守ってもらわなければいけない。これは個人的な御見解でも結構でありますから、本当に率直に答えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  296. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 米軍基地内の森林保全整備の点でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたとおり、基地内の森林につきましては、地位協定に基づきまして米軍に提供されておるものでございまして、森林法や森林病審虫等防除法等の国内法をそのまま適用することは米軍の施設管理権との関係もありまして困難な事情にあるわけでございます。林野庁といたしましては、基地内の森林が適切に管理されるように関係機関に要請を申し上げるというようなことで、十分連絡をとりながらできるだけ国内法の趣旨が生かされるように今後とも努力してまいりたいと考えているところであります。
  297. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 農林水産省といたしましては、できるだけのことをやります。
  298. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣の短いお言葉の中に非常に心がこもっておると私は理解いたしております。これをひとつ空語にしないでいただきたいと思います。  先ほど私は、環境庁の立場を一応抜きにしてと前置きをしましたが、このことだけはぜひ耳をかしていただきたい。といいますのは、先ほど私は自画自賛ではないという前置きで宝の島ということを申し上げましたが、実はこの沖縄の森林に住まっておるところの鳥獣には世界の学術界に貢献できるもろもろの鳥獣がおるということ。例えば、まず鳥では文化庁から特別天然記念物に指定されておるアホウドリというのがおります。それからノグチゲラ、カンムリワシというのがおります。それからイリオモテヤマネコ、ヤンバルクイナ、こういう世にも珍しい、世界的な珍しい特別天然記念物に指定されておる鳥獣がおります。今申し上げたのは特別天然記念物です。  次に、天然記念物に指定されておるのにケラマジカ、これはシカであります。ケラマジカ及びその生息地ですね。それからダイトウオオコオモリ。それから三つにリュウキュウヤマガメ、特別のカメがおります。それから最近発見されましたヤンバルテナガコガネですね、これは日本最大の甲虫だと言われております。  以上は特別天然記念物あるいは天然記念物に指定されておるわけでありますが、まだこれからも続々と出つつありますのはヨナグニアリツカコオロギ、これがまた新極の発見としてあらわれておるのであります。それから、日本唯一のサワヘビ、これは蛇の一種です。それから久米島に、これは沖縄が中国大陸と一つであったということを立証する大事な蛇のようでありますが、キクサトアオヘビ、これは菊里という方がそれを発見をして学会に紹介をしておるわけであります。  このように沖縄には某地の中で特殊事情にある島でありますけれども、そういう中にすばらしい世界の学会に貢献できるところの鳥獣がたくさんおるわけなのです。ところがそれが先ほど申し上げました山火事の被害を受け、それから実弾射撃の被害によってだんだん締め出されてくる。それから、時々またそういった珍しい鳥獣が自動車事故に遭って、ということは山ですめなくなって道路に出た瞬間に人間にひき殺される、こういった悲劇も最近出つつあるわけであります。ですから、人間も守らなければいけないが、こういう生物もどうしても両々相まって守ってもらわなければいけない、こう私は思って申しておるのです。また沖縄かとおっしゃるのではないかという気にもなりますけれども、勇気を出して沖縄をいつでも主張いたしておるその気持ちを、ぜひ倍にして受けとめていただきたいということを心から御要望申し上げまして、時間が参りましたので、これで終わります。
  299. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 三案に対する質疑は本日はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  300. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 次に、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山村農林水産大臣
  301. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農林水産業施設災害復旧事業数国庫補助の暫定措置に関する法律は、農林水産業施設の災害復旧事業についての国庫補助の制度を設けることにより、農林水産業の維持と経営の安定を図る上で大きな役割を果たしてきたところであります。  しかしながら、沿岸漁場の整備開発の進展といった最近における農林水産業の動向、法律制定以来の物価の上昇等により、本法の災害復旧制度には実態にそぐわない面が生じてきており、このような状況を踏まえて、災害復旧制度の改善と運営の合理化を図るため、今回の改正案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、最近における農林水産業の動向を踏まえ、国が災害復旧事業費の一都を補助する農林水産業施設として沿岸漁場整備開発施設を追加するとともに、共同利用施設の所有主体として付利を目的としない法人を追加することであります。  第二に、法律の制定以来の物価の上昇等を踏まえ、災害復旧事業対象とする工事の費用の最低額を一カ所当たり十万円から三十万円に引き上げることであります。  第三に、災害復旧制度の運営の合理化を図るため、災害にかかった箇所が連続している場合において、一カ所の工事とみなすことができる間隔を、五十メートル以内から百メートル以内に拡大することであります。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  302. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 以上で趣旨説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十分散会