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1984-04-19 第101回国会 参議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十九日(木曜日)    午後二時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 寛三君     理 事                 川原新次郎君                 北  修二君                 最上  進君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 浦田  勝君                 大城 眞順君                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 坂元 親男君                 高木 正明君                 竹山  裕君                 初村滝一郎君                 水谷  力君                 森田 重郎君                 稲村 稔夫君                 上野 雄文君                 菅野 久光君                 刈田 貞子君                 下田 京子君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   山村治郎君    政府委員        林野庁長官    秋山 智英君        林野庁次長    後藤 康夫君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        林野庁指導部長  高野 國夫君        林野庁業務部長  田中 恒寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○国有林野法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案及び国有林野法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次三案の趣旨説明を聴取いたします。山村農林水産大臣
  3. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  現行保安林整備臨時措置法は、昭和二十八年の大災害を契機に、山地災害の防止を主目的として保安林計画的に整備するため、昭和二十九年に制定されたものであります。その後、水需要増大都市化進展に伴う森林水源涵養機能保健休養機能等発揮に対する国民的要請等に対処して保安林配備の促進を図るため、昭和三十九年、四十九年の二度にわたりその有効期間が延長され、今日に至っております。この間、保安林配備については全体的にほぼ当初の目標を達成する等相当成果をおさめたところであります。  しかしながら、なお保安林配備を積極的に進める必要がある地域も多く存在することに加え、近年、林業をめぐる厳しい環境のもとで、造林保育伐採等の必要な施業及び管理が適切に行われていないこともあって機能が低下している保安林が増加し、山崩れ等山地災害の発生の危険性が高まるという新しい事態も生じております。殊に、都市化進展等に伴い山地山ろく地帯での開発が進んだ地域等にあっては地域住民安全性確保等の面で保安林配備及びその機能確保が早急に必要とされている等、保安林整備に対する国民要請が強まっております。  政府におきましては、このような保安林に係る諸情勢変化等にかんがみ、保安林整備臨時措置法有効期間を延長するとともに、機能が低下している保安林について所期の機能確保するための措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、農林水産大臣は、指定目的に即して機能していない保安林特定保安林として指定することができることとしております。  第二に、都道府県知事は、特定保安林指定されたときは、地域森林計画において、その区域内の特に整備を必要とする森林を要整備森林として定め、実施すべき造林等施業方法及び時期等を定めなければならないこととしております。  第三に、都道府県知事は、要整備森林またはその立木に関する権利移転等協議に関する勧告を行うことができることとしております。  第四に、要整備森林について地域森林計画に定める施業方法等に従って実施される立木伐採については、森林法伐採許可は要しないこととしております。  第五に、以上の措置を講じた上で、保安林整備臨時措置法有効期間を十年間延長することとしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  国有林野事業は、昭和二十二年以来特別会計により企業的に運営されております。この間、それぞれの時代における社会的、経済的要請にこたえて、林産物計画的、持続的な供給国土保全等公益的機能発揮地域振興への寄与等の使命を果たしてまいりました。このような中で、国有林野事業経営構造悪化傾向をたどるに至ったため、昭和五十三年度以降、国有林野事業改善特別措置法に基づき、昭和七十二年度までに経営健全性を確立するという目標のもとに、改善計画に即してその改善を進めてきたところであります。  しかしながら、その後の国有林野事業をめぐる情勢を見ますと、諸経費の節減等により、その改善について一定成果を上げたものの、木材価格の下落、低迷等によ力国有林野事業財務事情は一層悪化するに至りました。このような情勢のもとに、臨時行政調査会林政審議会答申等を踏まえ検討を行った結果、改善措置の一層の拡充強化が必要であると判断されるに至り、その改善措置一環としてこの法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、現在、昭和五十三年度以降十年間となっております改善期間を、昭和五十九年度以降十年間に改め、この間について新たな改善計画を定めることといたしております。  第二に、今後急増することが見込まれる退職手当財源に充てるため、借入金をすることができるようにするとともに、その利子財源に充てるため、一般会計から所要繰り入れを行うことができることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  国有林野法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  国有林野は、我が国の森林面積の三割、国土面積の二割を占め、林産物計画的、持続的な供給国土保全水資源飼養等公益的機能発揮、農山村地域振興への寄与等そのときどきの国民要請に応じつつ、社会経済上重要な役割を果たしてまいりました。  近年、都市化進展経済社会安定化等に伴い、緑資源確保に対する国民的要請が一段と強まっておりますが、特に森林造成にみずから参加し、あるいは林業に対する投資を通じて森林造成に協力したいという機運が国民の間に高まっております。  一方、国有林野資源現況を見ますと、特に人工林において、いまだ生育途上にある三十年生以下の森林が多く、今後、相当期間にわたりその育林に多額の費用を必要とする状況にあります。  政府におきましては、このような情勢に対処して、国民の参加による国有林野整備を促進するとともに、あわせて、生育途上にある人工林の育成のための資金確保にも資するという観点から、今回、国有林野に分収育林制度を導入することとし、この法律案を提出した次第であります。次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、農林水産大臣は、国有林野について、樹木共有持ち分の対価及び育林費用につき国以外の者に負担を求め、伐採時における収益を国とその費用負担者とが分収することを内容とする分収育林契約を締結することができることとしております。  第二に、分収育林契約目的たる樹木は、国と費用負担者との共有とし、その収益の分収は、樹木持ち分割合により行うこととしております。また、共有となった樹木については、分割請求はできないこととしております。  第三に、分収育林契約内容存続期間解除等について所要規定整備を行うこととしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 以上で趣旨説明は終わりました。  次に、補足説明を聴取いたします。秋山林野庁長官
  5. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下、その内容につき若干補足させていただきます。  第一に、保安林整備計画計画事項整備であります。  特定保安林計画的に指定するため、農林水産大臣が定める保安林整備計画計画事項として、特定保安林指定に関する事項を追加することとしております。  第二に、特定保安林指定地域森林計画変更等であります。  農林水産大臣は、保安林整備計画に基づき、指定目的に即して機能していないと認められる保安林で、その区域内に造林保育伐採その他の施業を早急に実施する必要のある森林、すなわち要整備森林があるものを、都道府県知事協議の上、特定保安林として指定することができることとしております。  都道府県知事は、特定保安林指定されたときは、地域森林計画を変更し、当該保安林指定目的に即して機能することを確保することを旨として、要整備森林所在、実施すべき造林保育伐採その他の施業方法及び時期等を追加して定めなければならないこととしております。  また、地域森林計画を立てる場合も同様としております。  第三に、権利移転等協議勧告であります。  都道府県知事は、森林法規定に基づき、要整備森林について地域森林計画に従って施業すべき旨の勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わないときは、その者に対し、都道府県知事指定する者と要整備森林またはその立木についての権利移転又は設定につき協議すべき旨を勧告することができることとしております。  第四に、保安林における立木伐採許可特例であります。  保安林における立木伐採については森林法規定により個別に都道府県知事伐採許可を要することとされておりますが、要整備森林については、地域森林計画において施業方法及び時期を定めることとしておりますので、これに従って実施される立木伐採については、個別の伐採許可は要しないこととしております。  第五に、保安林整備臨時措置法有効期間の延長であります。  保安林整備臨時措置法は、本年四月三十日限りで失効することとされておりますので、その有効期間昭和六十九年四月三十日まで十年間延長することとしております。  以上をもちまして、保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由補足説明を終わります。  国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  第一に、改善期間昭和五十九年度以降十年間に改めることといたしておりますが、これにより、現在、昭和六十二年度までとなっている事業施設費の一部の一般会計からの繰り入れ等措置は、昭和六十八年度まで延長されることとなります。  第二に、この新たな改善期間における新たな財政措置として、一定退職手当財源に充てるため、借入金をすることができることといたしております。この借入金は、現在行っております事業施設費についての借入金とは異なり、その資金の性格から改善期間に限って行うことといたしております。  また、この借入金については、事業施設費についての借入金とみなし、その限度額は、予算をもって国会の議決を経なければならないこととするとともに、その償還金及び利子は、国債整理基金特別会計繰り入れることといたしております。  第三に、この借入金につきましては、その利子財源に充てるため、改善期間において、予算の定めるところにより、一般会計から国有林野事業特別会計国有林野事業勘定に繰入金をすることができることといたしております。  以上をもちまして、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案提案理由補足説明を終わります。  国有林野法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下、その内容につき若干補足させていただきます。  第一に、分収育林契約の締結についてであります。  国有林野に生育している樹木は、国有財産法上の行政財産であるため、国以外の者と共有することはできないことになっております。したがって、国有林野に分収育林制度を導入するためには、国有財産法特例として、当該樹木について共有することができる旨の規定を設ける必要があります。  第二に、分収育林契約内容についてであります。  分収育林契約においては、契約目的たる国有林野所在対象とする樹木の態様、契約存続期間費用負担者持ち分割合費用負担者が支払うべき額、育林方法伐採の時期等を定めなければならないこととしております。  第三に、分収育林に係る民法特例についてであります。  分収育林契約安定性確保するため、その契約対象となっている樹木については、民法第二百五十六条の共有物分割請求規定の適用を除外することとしております。  第四に、分収育林契約存続期間及び解除についてであります。  分収育林契約存続期間は、当該契約対象となる樹種の伐期等を考慮して六十年を超えることができないものとしております。また、農林水産大臣は、国または公共団体において分収育林契約対象である国有林野公共の用に供する必要が生じたときは、分収育林契約解除することができることとしております。  なお、今回、分収育林制度を導入したことに伴い、現行部分林契約という名称を分収造林契約に改める等規定を整理することとしております。  以上をもちまして、国有林野法の一部を改正する法律案提案理由補足説明を終わります。
  6. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 以上で説明は終わりました。     —————————————
  7. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております三案審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  10. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) それでは、これより三案の質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 上野雄文

    上野雄文君 それでは、私からまず御質問を申し上げたいと思うのです。  私は、三月二日の日に、主として長官に対して公益的機能の問題でありますとか、あるいは災害の増加の現況、そしてその反省はどうなのかとか、それから松枯れの状況、それから間伐、そして林業労働力確保の方策、外材輸入の問題、これら一連のことについて御質問申し上げたわけです。それはきょういろいろ御質問申し上げるその前段として、少なくともこの現状の分析について大体基盤を同じにしておきたい、こういうような気持ちで御質問申し上げたところであります。  さて、きょうこちらに回ってまいりました特別措置法、さらに保安林、分収林の問題などについて私なりにいろいろ検討してまいりましたけれども、特に特別措置法の問題について、林政審答申が出て以来、大分いろいろなことが議論をされてまいりました。大臣はお忙しいですから、いろいろ新聞論調などをごらんになる暇がなかなかないのではないかと思うのですが、主だった新聞の大見出しあるいは社説、そんなものを見ましても、「実現困難な資産売却請負化も受け皿に難点」とか、「達成六十八年度にずらす 一万五千人を削減」とか、それから「国有林再建は前向きの視点で」といっていろいろな提起をしている。そういう社説があるかと思うと、また片っ方では「展望のない国有林答申」、こういうのがありましたし、また、「国有林に見る甘えの構造」などという手厳しい論説などもあったわけであります。  ともあれ、今何とか国有林をしっかりしたものにしなければいけない、今年度末一兆円になる借り入れ、そう言われている今のこの特別会計を何とかしよう、そういう点ではみんな一致をするのではないかと思うのです。  そこで、まず財政措置について、七十二年に収支均衡を図るというのを大命題にしているわけでありますけれども、五十三年に特別措置法がつくられて、あっという間に再びこれを出してこなければならないような事態に立ち至ったわけです。ですから、七十二年目標だ、こう言われても、そのことを信用できるのかなというふうに思ってしまうわけです。そこのところについて、ひとつ長官、担当の長官として具体的なお話をいただければと思うのです。
  12. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私ども五十三年以来、鋭意経営改善努力してまいったわけでございまして、それなり成果を得たわけでございますが、最近の木材価格の伸び悩みあるいは需要低迷、さらには私ども経営改善一環として鋭意内容整備をしてきたわけでございますが、能率向上等必ずしも十分でないということで、大変現在厳しい中でございます。  それで、今後の七十二年度収支均衡は可能かどうかという話でございますが、最近におきますところの木材価格の動向、あるいは先生今お話しございました債務残高累増等事情から見てまいりますと、昭和七十二年度に収支均衡を達成するということは、これは容易な目標でないということは私どもも十分考えておるところでございます。しかしながら、長期的に見てまいりますと、海外資源の減少が見通される中におきまして、国有林伐採量は、戦後植えられました造林地伐採時期に到達することもございまして、伐採量は六十年代末から上昇に転ずることになりますので、この間におきまして業務運営簡素化合理化要員規模縮減組織機構簡素化合理化林産物の積極的な販売戦略の展開によりますところの自己収入確保増大というふうな自主的改善努力の一層の徹底を図ると同時に、所要財政措置を講ずることによりまして、七十二年度までに収支均衡を達成するよう進めてまいる覚悟でござます。
  13. 上野雄文

    上野雄文君 何かお話を伺っていると、自分努力というよりも外的な条件で何とかなりゃせぬか、つまり外材輸入の問題との関係だというふうに聞き取れるような気がするのです。五十三年以降、私はやはり林野当局それなり努力をされてこられたと思うのです。というのは、我々地域における住民の立場からすれば、営林署がなくなったり、町の中にあった営林署が鉄筋コンクリートの建物ごと地ぐるみ売却されてしまったとか、統廃合の問題だとかということにぶつかっているわけです。ですから、林野当局それなり努力をされているわけでしょう。そういう面での自分の身を切るような努力をしたというのは、どういうようなことをおやりになったのですか。
  14. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 五十三年の経営改善計画を立てましてから以降、営林局につきましては、北海道に五局ございましたのを四営林局支局にいたしました。それで北海道は一営林局支局という形になりました。それから営林署につきましては、五十二年の閣議決定に基づきまして、その一割を五十三年度から六十二年度までに統廃合するということで、現在までに五十三年度と五十六年度に十六署を統廃合して、今後も進めてまいろうと思っています。それから事業所につきましても、事業能率性合理性ということを前提にいたしまして、相当の数につきまして統廃合を進めておるわけであります。さらに要員縮減につきましては、五十三年から五年間に約一万人の要員縮減をしておるわけでございますし、さらに事業能率性向上につきましても、一番例として御説明申し上げやすい、いわゆる素材生産で見てまいりますと、この五年間に約三〇%の能率向上をしたということで、私どもは鋭意経営合理化には努力してまいったところでございます。
  15. 上野雄文

    上野雄文君 林野当局にすれば、五十三年以降一生懸命やってこられたと。それでは最大の狂ったのは一体何なのだということを私なりに見てみますと、やはり材価低迷、五十三年のこの法制定当時それなり計画として見込んだのは、材価が年率五%ずつ上がっていくであろうということを前提にして計画を立てられた、私はそういうふうに受けとめているのですが、長官、これは間違いありませんか。
  16. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私ども五十三年に改善計画を立てる場合におきまして、試算といたしまして木材価格見通し等を立てましたが、そのときには、五%前後が今後の方向であるということを試算一環として出した経緯はございます。
  17. 上野雄文

    上野雄文君 そこで、現状は上がるどころか下がってきてしまっている。五十三年以降、五十五年でしたかちょっと上がりまして、その五十五年に上がったところを一〇〇として押さえて今日の材価を見てみますと、七十何%かに低迷を続けているという状況ですから、これはとても収支償うという話にはならないわけなのです。そういう状況下にあって、今回また新たに十年間ということで、そしてしかも、七十二年収支均衡というのですけれども、いろいろまたこれも教えていただきますと、材価上昇率というものを四・五%程度に押さえているのだという話を聞かされているわけです。この点はどうでしょうか。
  18. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 過去三十年ぐらいにおきますところの木材価格上昇を見てまいりますと、六・五%前後でございます。また、この五年間で見てまいりますと二・七%ぐらいでございますが、これから長期を見ましての木材価格を見通すということは極めて難しい状況にございまして、六・五、あるいは四・五、あるいは三%とか、いろいろのケースがあるわけでございます。これは単に木材価格だけでなく、やはり今後の賃金、物価、あるいは要員とか、その他いろいろのものがございますので、私どもいろいろの前提条件をつけて試算したことがございますが、四・五と決めたというものはございません。
  19. 上野雄文

    上野雄文君 しかし、ある程度の仮定のものが生まれてこないと、全体の計画というものを押さえ込むわけにはいくまい。とりわけ特別会計は、国有林の山を切って、それを唯一の収入源にしていくわけでしょう。だとすれば、その材価の見積もりというのがやはり基礎にならなければ、これは立てようがないのだろうと思うのです。ですから、じゃその辺はどの程度に見てこれから立てようとしておられるのですか、収支均衡の全体的な展望の中で。はっきりあれしませんという話ではないのでしょう。
  20. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) これは昭和五十三年に定められました現行改善計画でもそうでございますが、年々の、あるいは十年間を通して、例えば木材収入が幾ら、あるいは経営改善期間の間は一般会計からの繰り入れもいただくわけでございますが、それは幾らということで、収入とか支出を項目別に数字として割りつけるような計画というものは組んでおりません。そして、今度の改善計画でも、これはまだこの法案を通していただきましたならば、林政審に諮って決めるわけでございますが、そこでも事務的には現在のところそういった年次別あるいは十年間の収支の項目別の金額というようなものを一本のものとして策定をするということは考えておりません。  それは、先ほど来長官が申し上げておりますように、木材価格の変動あるいは物価、賃金の変動、それからまた、財投金利というようなものもことしの二月までは七・三%でございましたけれども、二月から七・一%になった。非常に多くの前提条件の組み合わせの中でいろいろなバリエーションが考えられるわけでございます。もう一つは、仮にそれを一本に繰り入れの金額幾らというようなことを、向こう十年間、今後財政事情その他も変わってくるであろうと思われますし、いろいろ財政措置についての検討もまた私ども宿題になっているものもございます。そういうものを検討してまいります場合に、今後十年のそういったものを数字として固めてしまうということは、かえって今後の財政運営にとりまして、私どもとしましても窮屈な制約になってくるというような場合もまた考えられるわけでございまして、そういう意味での計画というようなものは現在のところ予定をいたしてないわけでございます。
  21. 上野雄文

    上野雄文君 そうすると、先ほど前段で長官の方から、七十二年収支均衡を達成するために一生懸命頑張りますというお話があったわけなのですけれども、そのときそのときに応じて年度単位に計画を立てていくのですということになってくると、少なくとも七十二年収支均衡というものを出したからには、それだけのものが示されなければ私たちは審議する意義がなくなってしまうのじゃないのか、こう思うのです。今年度は、この法律を出したときは七十二年収支均衡というのは目標として出しましたけれども、それはもうくるくる変わるので、毎年度ひとつ相談に乗ってくださいということだけでは、何か五十三年の一つの計画があって、今またやり直しということでなければ、私はこんなことを申し上げません。それなりの一つの展望というものを示してくれなければ、ちょっと審議できなくなってしまうではないですか、そうでしょう。口数が多いというのは、どうも弁解が多いというのはなかなか本当のことを言わないでごまかそう、ごまかそうという気が感じられてしようがないわけです。
  22. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) なるべく口数を少なく御答弁申し上げたいと思いますけれども……
  23. 上野雄文

    上野雄文君 いやいや、多くてもいいですけれども、わかりやすければ。
  24. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 林政審議会の中でも、この収支均衡目標年次をどうするかということについていろいろ御議論がございました。もう少し先に延ばしてもいいじゃないかという御意見もございましたし、もっと繰り上げるべきだというような御意見もございました。その過程におきまして、委員の方々からいろいろな試算の御要求がございまして、その前提条件に応じた幾つかの試算というようなことは審議会の意思形成の御参考に供するということで、私ども試算を出したことはございます。  そういった中で自助努力、また適切な財政措置、そういうものを組み合わせて七十二年度の収支均衡目標にして林野当局としても、政府全体としても頑張って七十二年度の収支均衡目標は変えない方がよかろう、そういう御結論をいただいた、こういうことでございます。
  25. 上野雄文

    上野雄文君 それじゃ五十三年のときに決めてそのとき期待をしておったのは、材価上昇率は五%、これが今日まで仮に五%ずつずっと上昇をしてきておったとすれば、単年度だって収支償っているはずだという主張があるのです。これはもう御存じのとおりだと思うのです。今の話のように七十二年収支均衡、その辺にそれを置いて国会に出せば、国会議員の方も、それだけ手間暇かけるのじゃまた延ばしてやろうじゃないか、そういうことで了解をもらえるだろう、こう思っているのでしょうか。ここで法律が通った段階で改めて林政審に当たって決める、こういうふうに言われましたけれども、大体通る見通しが立ってきたでしょう、衆議院も通ってこっちへ回ってきたのですから。そういう状況の中で、あなた方はその場合にどういう想定の仕方をするか、材価についてだけ、ほかのことはいいです、七・一の話はまた後から聞こうと思っているのですから。
  26. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 木材価格の基本になりますのは木材需要見通し等でございますし、木材需要の見通しになりますと、これは住宅着工の今後の見通しとかいろいろそういうデータがあるのですが、残念ながら現段階で五年先の住宅着工等につきましてもなかなか明確な見通しがないのは先生御承知のとおりであります。したがいまして、各識者の方々の御意見を伺いましてもそれぞれ木材価格の見通しにつきましては、四・五とか、三とか、もっと上がらないかとか、そういう御意見が多少ございます。しかも、先ほど私どもの次長が申し上げましたとおり、これは単に木材価格だけじゃなく、物価、賃金要因、財投の見通し、その他いろいろございます。前提条件が非常に多うございますので、一本でお示しすることはなかなか難しいということは先生にぜひ御理解をいただきまして、私どもはそういう中においてやはり今後自主的努力をしながら、その一方におきまして、財政援助を受けながら七十二年をめどに鋭意改善努力したいということで進めておることでございます。  また、附則にも書いてございますが、途中で場合によっては見直すことも当然ありますが、現在は林政審議会の先生方の御意見等も、いろいろ試算の上で現在七十二年をめどで収支均衡を図るということで、職員一同挙げて鋭意努力をしておりますし、そういう中でやはり国有林野事業健全性確保することが、私どもが将来にわたっての国有林の使命を達成する上に重要であるという判断で、七十二年収支均衡目標としまして鋭意努力してまいりたい、こういう決意でやりたいということでございますので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
  27. 上野雄文

    上野雄文君 それじゃ今度は話題を変えまして、次長から財投からの借り入れのお話が出ましたから、そのことについてまずお尋ねをしてみたいと思うのです。  今お話があったように、財投からの借り入れが今度七・三から七・一にしてもらったということで、その限りには結構なことで大変御努力をされたなと思うのです。ただ、国有林野の面と民有林との対比、これは衆議院段階でもいろいろ議論されたから、もう私が言いたいことは御承知だと思うのです。民有林の貸し付けのやり方と比べてみてそういうような方式をどうして導入できないのか。金利をもっと下げてくれてもいいではないか。七・三から七・一に下がったからもっと下げてほしい、五%ぐらいまで下げてもらいたい。民有林に実例があるではないか、しかも国が助成をしているではないか、国自身がやっている国有林野特別会計に対しても面倒見てもいいのじゃないか、こう思うのですけれども、この点についてひとつ。
  28. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) これまで借入金対象にしてまいりました造林、林道の整備等のための事業施設費につきまして利子補給というお尋ねだと思いますけれども、今回法案でお願いをいたしておりますような退職金の原資とはこれは違いまして、借り入れをいたしましたものは造林なり林道ということで事業資産になりまして、貸借対照表にも資産として載り、そしてまた、将来その生産活動によりまして利子を含む償還が可能になるという前提で借り入れるべき性格のものということでございますので、退職手当の原資とはやはり性格を異にしているというふうに考えておるわけでございます。  農林漁業金融公庫におきましてやはり造林、林道につきましての融資がございますが、これは我が国の非常に零細な中小林業者の林業経営合理化、近代化を促進するというようなことで、一般会計からの補給金を受けて一定の政策目的に応じました融資条件をとっておるものでございます。国有林野事業の場合には、我が国の森林面積の三割を所有いたします極めて大規模な事業体でございますし、民有林と国有林との対比という点での御議論でございますけれども、これもなかなか一律に比較のしにくいところが多々ございます。例えて申しますれば、私どもは国の経営しております事業でございますので、固定資産税見合いの市町村交付金というようなものは払っておりますが、税金の負担というものはないというようなことも他方においてあるわけでございまして、そういったことを総合して考えてまいらなければいけない問題ではないかというふうに考えております。
  29. 上野雄文

    上野雄文君 この部分については随分衆議院段階で議論をされたようでありまして、最初のかたくなな態度からは幾らかやわらかくなったというふうに私ども聞いているわけです。ですから、大臣もそういうような感触のいい返事をしたのじゃないのかなというような話も漏れ承っておるのです。  そこで、これはありていに言うと、皆さんの立場は要求をする側ですね。大蔵がなかなか壁になっていると私も思うのです。でもやはりそれはこっち側の要求としてどんどんぶつけていきますという気持ちぐらいになってくれないと、どうも前進は見ないのだろうと思うのです。我々も力いっぱい応援しているわけですから、そういう面で積極的な努力は払ってもらいたいものだと思うのです。その辺を、これは大臣に今聞いて断わられてしまうと困るわけですから、長官、ひとつ決意のほどをお示しいただきたいと思うのです。
  30. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 大分御激励をちょうだいしたわけでございますが、私どもやはり国有林野難業を進めるに当たりましては、何と申しましても自主的改善努力をすることによって国民の皆さんの御理解をいただき、財政措置をしていただかなきゃならぬという立場で、まず、自主的努力がなければ国民の皆さんの御理解をいただけないということで、鋭意自主的努力をするわけでございます。と同時に、今後国有林の見通しを立ててまいりますと、当分の間伐採量が落ちてくるというそういう資源構造もございますし、また、定年法施行に伴いまして退職者がふえますので、退職金の急増というような問題がございます。当分の間はやはり一般会計繰り入れあるいは財投資金の借り入れ等をしなきゃならぬという情勢にございますので、そういう計画を進めるに当たりましての必要な財政措置につきましてもこれからも一生懸命努力してまいりたい、かように思っておるところであります。
  31. 上野雄文

    上野雄文君 昭和三十二年に林増計画というものが発足をして、生産力を今後四十年間に二倍に増強することを目標にしてやっていきたいと。そして、昭和三十六年には林増計画を木材増産計画に改めてきたという経過があります。その結果は、この六年間だけで木増計画に沿った収穫というものが終わりになってしまって、その後は計画倒れで全くまさに絵にかいたもちみたいな計画だったという、そういうレポートを私は読んだのです。それに賛成してくれとは言いませんけれども。しかし、そういうレポートが出ている。それを私も読んでみますと、五十三年に出され、そしてまた今回提案された計画というものについて、どうもまゆつばと言っては言い過ぎかもしれませんが、もう一つ信用できかねる、そういう気分がどうしても私に出てくるわけなのです。さらに今度の計画が、皆さんが時に応じて変更を加えていくとは言いながらも、一定の七十二年という目標を立てたわけですから、何とか実現をしたいというその気持ちが担保されるためには林野の努力だけではだめなのです。自分の身を切ることや、施業計画のやり方や、いろいろなところの合理化もどんどん皆さんおやりになった、やったけれども、なお材価低迷という問題にぶつかってきている。  材価低迷は一体何なのだ、それは輸入政策ではないか。この間の三月二日のときもいろいろ議論もいたし、お話も伺いましたけれども、まさにそういう問題、大臣の最後の答弁でも、この参議院の農林水産委員会の決議に従ってこの低迷している木材価格の問題を何とかするためには、輸入の調整の問題とかそういうところまで行かなきゃだめなのだというお話もありました。それから、ただいま長官が住宅建設計画をどんどん進めていかなきゃいけない、こういうお話もありました。やはり林野だけの努力を求められても、この計画はなかなか達成するわけにはいかないのだろうと思うのです。これを包んでいる諸悪の根源を全部断ってもらう、あるいはそういう政策を変えてもらうということを同時に提起をしていかない限り、この問題は私は、七十二年の目標もまたもやだめになってしまうという悲観的な見方しか見ることができないというふうになるのではないか、こう思うのです。ここらについては、いずれ総括の段階で村沢理事の方からまとめてぶつけていきますから、私はきょうは前段的な問題として提起をしておきながら、私の疑問はこのまま預けておきたい、こう思っております。  次に、保安林整備臨時措置法の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、これも昭和二十九年からずっと三十年経過して、さらにまた十年延ばしというお話のようであります。ついこの間、この場所で審議をして成立をした肥料のあれと何か足跡が似ているような感じがするのです。あれも延ばし延ばしというやり方で、一体決め手は何なのだというのが、どうも肥料の場合も、そのときそのときの状況で物事をおっしゃってきた。この保安林の問題についても臨時措置法。臨時措置法の臨時というのがついて四十年間も続く法律、これをしも臨時という言葉が適切なのかどうかという疑問をまず持つわけです。  二十九年のときは、関西を中心にした大災害がスタートですから。それから三十九年は、いよいよ所得倍増政策で資本の側が水がほしいから水、水、水。水のためには保安林、こういう話でこういったわけです。そして四十九年は、今度は国民の皆さんのいろいろな生活の問題が絡んできましたからというお話で。今度は、大体確保するものは確保したから今度は確保したものをきれいにするのだ、そういう理由のようですけれども、私はこういったものが臨時臨時でいつまでも続くという、本当に今度はこの十年間で終わりになるのかどうかというようなことについて、やはり肥料の問題と絡んで一遍聞いてみたくなる。そこのところについてお答えをいただきたい。
  32. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 保安林整備臨時措置法でございますが、ただいま先生からお話のございましたとおり、これは昭和二十九年に十年間の限時法として制定されたわけでございますが、その前の年に大災害がございまして、緊急にやはり保安林整備しなきゃならぬということで進めてまいっておるわけでございます。  お話のとおり、三十九年と四十九年二回にわたりまして延長されて今日に至っておるわけでございますが、振り返ってみますと、第一期の二十九年から三十八年までの間は、災害防備を主たる目的保安林整備が行われてまいりましたし、それから三十九年から四十八年までの二期におきましては、先生もお話ございましたが、高度成長に伴いまして水資源の涵養、特に水需要の急増に対しまして水源涵養保安林を主体としました流域保全を中心とした整備をしていくということでやってまいりました。それから四十九年から現在までの三期におきましては、都市化進展あるいは生活環境の悪化、あるいは森林レクリエーションの需要増大等仁対処しまして保健保安林等の配備の促進、それから指定施業要件の整備が行われたわけでございます。私もこれまで振り返ってみますと、当初二十八年の末に二百五十二万ヘクタールでございました保安林が五十七年度末には森林面積の約三割、国土面積の約二割に相当します七百六十六万ヘクタールまで達しまして、ほぼ各期とも目標を達成してきたわけでございます。最近におきましては、先生御承知のとおり、大変国土開発の進展等状況の中で、今後さらに保安林配備をきめ細かく指定していかなきゃならない、こういう側面があると同時に、また林業をめぐる情勢が厳しい中で、一部におきまして機能の低下した保安林が増加しているというふうな新しい問題も出てまいったわけでございます。  そこで今回、これらの情勢を踏まえまして、その内容整備し、また、きめ細い保安林配備をいたしまして所期の目的を達成してまいるということで、これは森林機能回復にも鋭意努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  33. 上野雄文

    上野雄文君 だから十年間また延ばしてやるということになるわけでしょう。そうすると、これは十年間で大体所期の目的を達成することができるというようなことになるのかどうか。そのことのためには、過去の三十年間の実績などから見てます自己評価はどうだったのだろう。保安林ということでとらえれば、当然通常良好な状態で地域住民を守ったり、あるいは水源涵養をやっているのは、それは当たり前のことなのだというふうに我々は思います。ところが、そうでないというお話なのだけれども、その辺のところがもう一つぴしっとお聞きしたい、こう思ってお尋ねしたわけです。
  34. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 二つ今回の法案の中身がございまして、今先生からお話ございましたように、まずは保安林計画配備につきましては十年間でおおむね完了する。それから保安林機能の回復につきましても、この期間におきまして、今度の制度化による措置によりまして森林所有者の方々の施業により機能を回復すると同時に、一方におきまして、治山事業等を積極的に推進することによりまして保安林についてはその機能を回復するということで、十年間に鋭意努力したい、その目的を達したい、かように考えておるところであります。
  35. 上野雄文

    上野雄文君 それでは、この最初の十年間が第一期ということになれば、今度は、これからの計画は第四期になるわけですね。その中身は一体どういうふうにしておやりになるのでしょうか。
  36. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) まず、保安林整備計画をつくることになるわけでございますが、保安林整備計画につきましては、五十九年度以降四カ年間で全国二百十八の流域別に保安林整備計画充実その他の調査を実施しまして、保安林配備、民有保安林の買い入れ、保安林機能確保整備措置、こういうふうに必要とする地域状況把握をしまして、計画を策定するためのまず資料を収集し、改定を行うわけでございます。  そこで、この整備計画の中身でございますが、まず第一は、保安林指定及び解除でございますが、今後の保安林配備につきましては、既存の保安林配備状況、それから保全対象との関連も勘案いたしまして、地域の実情に即しまして緊急に配備を必要とする箇所につきましてきめ細かな実行を考えているわけであります。それから第四期におきましての指定面積ですが、現在私どもが考えておりますのは、おおむね四十五万ヘクタールの見通しになるのではなかろうかと考えています。ちょうど四期の期末におきますところの保安林の延べ面積は大体八百七十万ヘクタール程度になる見込みでございます。それから森林等の買い入れでございますが、奥地にあるなどのために民有のままでは維持管理が困難で、国土保全等の公益的な目的のために国が直接維持管理する必要がある民有保安林は買い入れることにしております。  それから、特定保安林指定でございますが、先ほど提案理由説明等で申し上げましたとおり、特定保安林指定基準、その整備の考え方、その中で整備を要する要整備森林の要件、それからその施業方法並びに時期等を定める指針というものをこの中で計画することにしておるわけでございます。
  37. 上野雄文

    上野雄文君 それでお話のような仕事がセットをされていくことがわかったわけですが、ただ我々はどうしても、こういう仕事がセットされるとそれなり予算がついて、人が配置されてという格好で仕事全体が進んでいくのだろうと思うのです。前段の長官の御答弁、二十九年にこの法律ができるときの審議の議事録を私は読んできたのです。同じような御答弁をされていましたね。それは前の柴田さんの前ですかね、やはり流域の数も変わりないです。いわゆる調査をやるというのも変わりないです。大体同じようなことで、じゃ余りこれは進歩がなかったのじゃないかなという気がしてしまうのですが、まあそれはいいでしょう。そういう仕事をやるについて私は、国有林の大合理化で五万五千人を四万人にしてしまう、一万五千人も減らすという中でこの仕事がセットされていくとすると、どうやってやるのだろうというふうに思うのです。私がそういうふうに疑問に思うのは間違いですか。国有林がこれだけいろいろな面で苦しんでいるけれども、公益的な機能を果たす上で保安林の役割は非常に重要である、だから私たちはこういう仕事にも全力を挙げてやるのですというので取り組んでいかなければ、この法律の意味はないのだろうと思うのです。機能も上げているのですから、手を抜いてやらないというのならば、買い上げて、そして私らがやりますよと、こういう仕事であるはずですから、その辺はどういうふうにつなげて考えたらいいのですか。
  38. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) 国有林が非常に厳しい経営改善を進めておるわけでございますけれども、そういう経営事情によりまして保安林内のいろいろ造林等事業に支障を来してはならないということから、五十三年の経営改善計画に着手しまして以来、保安林内の造林につきましては保育も含めましてその一部に一般会計が入るようになっておるわけでございます。それからまた、非常に重要な治山事業につきましては、五十八年からはその全額を一般会計負担をするというふうにいたしておりまして、そういう手落ちがないような手だてが行われておるわけでございます。
  39. 上野雄文

    上野雄文君 これは我々も前々から言っておるわけです。本来国有林野で金もうけの方につながる——金もうけには今なっていないのですけど、そういうものはそうだけれども公益的機能の面については一般会計から出すのは当たり前だという主張を今やっているわけです。だけど、その区別のお話があっただけで、私が質問していることにお答えいただいていないのじゃないですか。
  40. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 保安林整備計画につきましては、御承知のとおり、国有林、民有林を含めました全体の保安林整備でございまして、先生から先ほどたしが御指摘いただきました二百十八は、整備計画をつくるに当たりましてはすべての流域についてはレビューするということは当然でございますので、ここは前と同じだと言われますが、やはり日本の山は変わっておりませんので、それは御理解をいただきたいと思います。  それで、やはり国有林、民有林を含めまして森林の持っています機能を、特に公益的機能の御指摘でございますが、高めていくというのが極めて重要でございますので、これは鋭意努力をしなければなりませんし、また、国有林改善に当たりましては、現在業務収入で人件費が貯えないという非常に厳しい状況にあることも事実でございます。私どもはやはり早期に国有林経営健全性確保するためには、要員縮減、組織の簡素合理化は避けて通れない道と考えておりますが、一方におきまして、赤字なるがゆえに経営管理の内容をゆるがせにしてはならぬわけでございます。これにつきましては、ただいま業務部長から御説明申し上げましたとおり、これまでも一般会計からそれなり財政措置をしていただいておるわけでございますが、私ども今後、財政措置経営改善を進めながら、国有林の持っておる森林機能につきましては、やはり国有林を持っておる使命を達成し得るような内容に持っていくことが極めて重要でございますので、これは鋭意努力をしていかなきゃならぬと思っております。  それからもう一点、そういう中で、今後やはり同時並行的に検討していかなきゃならぬ問題がございますが、これはまた同時並行的に検討もさらに重ねていきたいと思っております。
  41. 上野雄文

    上野雄文君 保安林問題検討会からの答申というか報告ですね。片っ方は林政審答申でぎゅっぎゅっ絞められてばかりいて、私なんかもこの間じゅうからこの委員会でいろいろな問題を議論するのに、みんな引っ込んだ議論——牛肉だってオレンジだってみんなそうなのです。これは大臣気の毒だなと思うほど、本当にみんなやられっ放しの議論ばっかりしているのです。そういう中で、大臣に対する答申じゃなくて長官に対する報告ですけど、こういう面で仕事をどんどんやっていきなさいという報告が出ているわけですから、こういうものをやはり最大限に広げて仕事をやっていってもらうようにしてもらいたいという、私は強い希望を持っていることを申し上げたいと思うのです。  さて次に、保安林としての機能が低下をしているものを特定保安林として指定するということになるわけですけれども、その指定の基準といいますか、どのような内容でお決めになるのか、それについてお聞かせをいただきたいと思います。
  42. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 特定保安林は、この指定目的に即して機能していないと認められます保安林で、森林所有者が造林などの施業を早急に実施する必要がある森林が存在するものを対象にいたすことにしておりまして、大体次の二つの要件を私ども考えております。  一つは、水源の涵養でありますとか、土砂の流出防備といった指定目的に反した事象が発生をしている保安林とでも申しましょうか、例えば水源涵養保安林につきましては、通常の降雨でも林内の各所に地表流と申しますか、雨が降るとすぐに地表に水流が発生をするような状態が出ておって、渓流がすぐに増水をする、あるいは渇水期には水がれが生ずる、あるいは土砂流出防備保安林について申しますと、これも通常の降雨がありますと表土が流出して渓流が濁ってきまして、川の底に土砂が堆積をする、そういったような現象があらわれているようなところというのが一つの要件でございます。  それから第二には、そういった保安林区域内に樹冠疎密度、樹種その他林木の生育の状況なりあるいは下層植生の状況森林土壌の状況などから機能が低位な状態にあると認められる森林でありまして、抜き切りをするあるいはそこへまた植え込みをしていくというような造林等施業を早急に実施する必要があると認められる森林が、その特定保安林の全部または一部を占めているというような要件が第二でございます。  実施に当たりまして、細かく詰めてまいりたいと思っておりますが、大きく申しまして、考え方としては今のような二つの要件で考えております。
  43. 上野雄文

    上野雄文君 それから、地域森林計画の変更が行われて要整備森林となりますと、その中での「その他の施業」、「その他必要な事項」というのは一体どういうことなのか、それらについてお教えをいただきたいと思うのです。
  44. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 特定保安林指定をされますと、地域森林計画を変更いたしまして、この特定保安林の中に含まれます要整備森林所在、それからその要整備森林につきまして実施すべき造林保育伐採その他の施業方法、それからその他必要な事項を追加して定めるということにいたしておりますが、「その他の施業」というお尋ねの点につきましては造林保育及び伐採に附帯をいたします施業、例えば伐採後の集材あるいは病虫獣害の防除といったような施業内容を定めることにいたしております。  また、第三番目に変更内容として挙げられております「その他必要な事項」という点につきましては、要整備森林及びそれ以外の特定保安林区域を通じて一体として行うことが必要な事項、例えば作業路の作設でございますとか巡視等の森林の管理、要整備森林以外の区域におきます施業等の実施に当たって特に留意すべき事項といったようなものを必要に応じて定めることを考えているわけでございます。
  45. 上野雄文

    上野雄文君 次に、特定保安林機能を回復するためにその整備措置についての実行を確保するための手段、そういったものについて制度上の措置の中身あるいは税制、金融、こういう面での助成などなどについてどういう手段があるのか、それもひとつ教えていただきたいと思います。
  46. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) まず、制度的な措置でございますが、御提案を申し上げております法案の中にございますように、この要整備森林施業は通常の森林所有者ならば行い得る程度のものでございますので、まず森林法の十条の五という規定に基づきまして、これは以前からある規定でございますが、地域森林計画の達成上必要なときには適正な施業をしなさいという勧告を知事ができるという規定がございますが、この地域森林計画特定保安林関係の改正を踏まえまして知事が適正な施業勧告ということで勧告をすることになっておりますし、さらに、今回の改正案によりまして、それでも実効が上がらないという場合には要整備森林につきまして権利の設定、移転協議勧告の仕組みを設けることにいたしておりますので、こういった制度的な仕組みで実施が確保されるものと考えております。  なお、こういった制度面だけではございませんで、私ども造林、林道等の各種の補助事業を実施いたしておりますが、その場合に、こういった特に整備が急を要するような保安林につきましては、事業の優先的な実施に配慮をいたしてまいりたいと思っておりますし、施業に当たりまして必要な技術的な事項につきましての助言、指導というようなものも強化をいたしてまいりたいというふうに思っております。  それから、保安林に対します税制、金融面の問題でございますが、保安林に対します税制措置につきましては、例えば保安林を治山事業のために地方公共団体等に譲渡をいたしました場合に、譲渡所得についての特別控除の制度が適用される、さらにこの保安林を取得した場合の不動産取得税の非課税でございますとか、保安林に対する固定資産税の非課税といったような制度が講じられておりますし、相続税におきましても、通常の評価額からこれは施業の制限の程度に応じまして、一部皆伐というようなところは二〇%、それから禁伐の外分、保安林でございますと、七〇%を評価額から控除をするというような税制上の措置がとられているわけでございます。  なお、金融面につきましては農林漁業金融公庫の造林資金、あるいは伐採保安林の規制によりまして制限されることによりまして現金収入が一時制約されるというような事態に対します、私ども伐採調整資金というふうに言っておりますが、こういった低利融資の道を開いておるわけでございます。
  47. 上野雄文

    上野雄文君 今度は伐採許可特例ということで特定保安林指定されたとすると、今までのように一々許可をもらわなくてよろしいということになるわけですね。私の余り数多くない経験なのですけれども、うちの方の保安林に、県の事業をやるために保安林の中に道路ができたわけです。当然県がやるわけですから県が伐採許可をした。そこに作業道ですがいい道路ができた。その上の開発を何かもくろむというようなことがありまして、これはいろいろな騒ぎがあったものですから、結局それはもとに戻ることになったわけです。そういうような経験からいって、今のところ保安林で手をつけることができないからぶん投げておく、全然手入れもしない、今度は手入れをしてきていろいろなあれをセットすると見事な道路ができるなどということになった場合に、そういう計画を織り込んでやると大変な利益につながるなどということがありはしないかという、そんなことなども考えたわけです。これを許可なしにやってよろしいというようなことにしてしまったこと、それからそういうことについての、どうこう言ってみても保安林ですから、どういうふうにそれを監視していくというか、保安林機能が失われないように担保をしていくのか、そういうようなことなどについてひとつお考えをお聞かせいただきたいと思うのです。
  48. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私ども整備森林につきましては、地域森林計画伐採指定するわけですが、その場合には、その機能を高めるために造林をする場合に邪魔になる、支障となる暴れ木のようなそういう木を伐採するとか、それから植栽木の生育上支障となるような林木につきましてこれを除去する、その株分の機能を高めるためにいわば支障木的なものだけをこれは切るわけでございまして、いわゆる皆伐なんというふうなことではなくて、例えば複層林に仕立てる場合には、暴れ木を切りましてそこに植え込んでいくとか、そういう形の伐採がこれの対象になるわけでございます。いわばこれは機能を高めるための伐採でございますから、本来ならば森林所有者がそこで普通の施業でやっていくならば、森林機能をよくするためには当然なさなければならぬものをやらないために、指定してそれを伐採させるという措置でございます。したがいまして、あくまでもこれは地域森林計画に定められているところに従って行われる伐採でございますから、それ以外の計画に従わない伐採というのは当然適用除外にはならぬわけでございますので、これは十分許可伐採の取り締まりの対象となるわけでございます。  そこで、御指摘のどういうふうにしてそれを見回るかということでございますが、各県に御承知の林業改良指導員等がおりまして、これがもちろん巡回指導して森林機能状況を見ながら、また、要整備森林の中の伐採についてはどうやったらいいかというようなことを積極的に指導をするということをしておりますし、また、森林保全巡視員がおりますので、これらの巡視員にそういうところについては重点的に見回って実施させながら、森林計画指定されたような伐採がなされ、しかも跡地には適切に植えられて機能が高まるような指導をしていくということで、これは十分看視をしていきたいと思っているわけであります。
  49. 上野雄文

    上野雄文君 先ほど触れた保安林問題検討会の報告の中で「保安林管理等の充実強化」というのがありまして、これは私が申し上げるまでもないと思うのですけれども保安林がレクリエーション需要の拡大などによって「入込者が増加したこと等に伴い、木竹の無断伐採、ゴミの投棄等により保安林が荒らされるという事態が生じている。このため、現地において保安林を保護管理する体制を整備するとともに、一部の地域においては、地域住民等が自主的に保安林の管理を行っている例が見られるので、このような自主的管理を更に助長していく必要がある。」ということと、二番目に、「保安林の重要性にかんがみ、保安林解除については厳正かつ適正に行う必要があることは言うまでもないが、保安林機能の維持向上に資する林道の開設等」、これは最後はコンピューターを入れろで結んであるのです。前段の問題なんかと絡めて考えてみまして、その辺の今長官の御答弁があったわけですけれども、もう一つ、何か片方は厳重にやっておって、そうして、あとはお前さんらに任せますよという感じで受けとめられるような気がするのです。間違いであればいいのですけれども、その込もう一遍ひとつ。
  50. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 森林計画で要整備森林ははっきり指定して、そこはどういう伐採の仕方をし、跡をどういうふうに更新しろという指導をするわけでございます。したがいまして、そこでなされる伐採行為というのは、先ほど触れましたように、機能を高めるために造林をする場合の支障となる伐採木であるとか、あるいは保育するに当たりまして除伐、間伐等をした方がいいというふうなそういうものを伐採するわけでございますので、私ども実施に当たりましては、森林計画に定められたような伐採が的確になされるように、先ほど触れましたようなAGあるいは巡視員が特に要整備森林等につきましては指導しまた看視してやっていく、この問題がやはり先生御心配の点にかかる問題でございますので、この点については十分そういうことがないような指導体制をとってまいりたいと考えております。
  51. 上野雄文

    上野雄文君 次に、この前の質問でもお尋ねをしておいたわけですけれども森林災害状況ですね。大変な額で、また、ここのところぐんと伸びてきているというこの分析ですね、災害の種類別にどういうふうに受けとめておられるか、それらについてお聞かせをいただければと思います。
  52. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 森林災害の発生状況につきましてのお尋ねでございますが、御承知のように、我が国の場合は一般的に大変地形が急峻でございますし、加えて、毎年のように台風でございますとかあるいは集中豪雨などが来るわけでございまして、そういったことから洪水や山崩れなどの災害が発生しやすい状況にあるわけでございます。特に最近は都市化進展をいたしまして、山地山ろく地帯まで開発が進められましたり、それからそれを裏返しに申しますと、災害が起こることによって直接的な被害を受ける対象物と申しますか、人々、保全対象がふえてきたというようなことがございまして、山地災害が次第に増加する傾向にあるということでございます。  このような山地災害を未然に防止するために林野庁といたしましては、従来から保安林の制度、それから森林計画制度といった制度の適切な運用とか、それから治山事業の実施でございますとか、さらには造林事業計画的な実施等を通じまして活力のある健全な森林をつくり上げまして、そのことによって森林災害が起こることをできるだけ減らしていこう、防いでいこう、こういうようなことでやってきたわけでございまして、今後ともこういった施策の推進に努めてまいりたいと思っております。  特に、山地災害の発生のおそれがあります地区につきましては、土砂崩壊防備保安林等に指定をいたしますとともに、緊急を要する箇所から復旧治山でございますとかあるいは予防治山でございますとか、そういった治山事業を実施いたしまして山地災害の未然防止に今後とも努力をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  53. 上野雄文

    上野雄文君 この間、長官からはいろいろ被害のあらましのお話は聞いたのです。ですから、そういうことで防止したいということだけれども、例えば林地の崩壊の場合にはこうこうでありますとか、それから松くい虫のあれはこうであるとか、長官より少し細かい話を聞けるかなと思ったのですけれども
  54. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 松くい虫関係につきまして申し上げたいと思いますが、最初に若干数字的なことを申し上げたいと存じます。松くい虫の被害につきましては、五十七年に材積的には百四十七万立方ばかりの被害が発生をいたしまして、この数字自体は対前年度を三割ばかり減少をしたところでございます。それから五十八年度の発生量につきましては、現在最終的な集計段階に入っておりますが、五十七年度よりはさらに減少するようなことが見込まれているわけであります。  このような松くい虫の被害跡地につきましても、被害地の樹種転換を進めるとか、あるいは復旧治山をするとか、こういったようなことをいたしまして二次災害が起こらないようにできるだけ早急に手当てをするということで努力をいたしているところでございます。  それから、被害ということになりますと山火事問題もあるわけでございますが、御存じのように、最近林野火災は長期的に見ましてふえてきているわけでございます。こういった山火事につきましては、発生前に予防することが大切なことは言うまでもないところでございますけれども、発生後の措置につきましては、やはり復旧造林をいたしますとか、あるいは火事によりまして表土が荒れて侵食を起こすおそれがあるような箇所につきましては、やはり治山事業的な措置も講ずることが必要でございますので、そういった造林事業、治山事業全体を含めまして松くい虫の場合と同様に、二次的な災害が起こらないようにということを趣旨に復旧に努めているところでございます。
  55. 上野雄文

    上野雄文君 別に責任追及をしようと思っているわけではないです。  御存じのように、この法律は衆議院でも賛成をさっきしてきたばかりですね。これは恐らくそういうことになると思うのです。だからこの保安林の果たすべき機能、今起こっている災害、ここのところ急増してきているのですね。私は、また最初の話に戻りますけれども、こういう状態になってきているのは、必要性が叫ばれている割にはやはり手抜きが行われているからなのではないのでしょうか。責任追及じゃないのですよ、いいですか。全体の林政審答申からそう皆さんがやらされてしまっているというふうに考えることはできないですか、どうですか。
  56. 高野國夫

    説明員(高野國夫君) 一般的に日本の林業は大変厳しい状況にあるわけでございまして、そういったことの中で森林の手入れは、保育とか間伐につきまして十分とは言いがたいような状況があるわけでございます。その中でやはり保安林につきましては、一般林の場合に比べてさらにと申しますか、もう少し努力をしなければならない状態にある、こういうことが今回の法律を御審議いただくことにつながっているわけでございまして、そういった観点から要整備森林といったような制度をつくりまして、疎林でございますとか、あるいはほっておいては林相がよくならないような部分につきまして植え込みをする、後の保育をする、それからさらに必要があれば、現在立っております悪い木を切った上で植え込みをするといったことを考えていこう、こういうことで今回の制度につながっているという考え方でございます。
  57. 上野雄文

    上野雄文君 いろいろな山をめぐる問題は出てきていると思うのですね。私は、そういう保安林整備をするということは極めて重大だという意味で、そこでこれも二十九年当時からの議事録を読ましていただきますと、提起をされておりました下流域との協力の問題ですね。もう三十年。あのころきちっと制度的な方向づけがされてはいなかったかもしれません。しかし、議論として問題は提起をされておったわけです。三十年もたってきて、今ずっと見てみますと、四十年以降にようやく取り組みが行われて、そして九つの県で十一の基金ができた。これは私はそれなりに前進だと思うのですが、数の面からいくと大きな前進だったとはやはり言い切れないのじゃないか。四十七の都道府県があって、それらの県での取り組みというものが現状どういうふうになっているのか、それらについてお聞かせをいただきたいと思います。
  58. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 先生今御指摘の「水源の森基金」というふうな形で下流域の地方公共団体あるいは関係企業の方々の拠出によりまして上流の森林整備する基金というのが各地で今設立されまして、先生御指摘のようにたしか十一の基金が全国につくられていまして、いわゆる上下流協力によりましてこの森林整備が進められている。これは非常に基本的には好ましいものでございますが、その内容を分析してまいりますと、やはり水需給の逼迫であるとかいう非常に緊急的な問題が出てまいりまして、それに基づきまして地域の盛り上がりの中でつくられてきたという経緯があるわけでございます。  そこで、私どもも実はこういう問題につきまして、昭和四十六年からいろいろ、例えば森林公益的機能の計量化調査であるとかあるいは森林造成維持分担推進調査であるとか、それから実態調査であるとか住民の方々の意向調査であるとか、あるいは森林の持っております公益的機能を増加させる上でどういう効果があるかというような調査を実はずっと重ねてやってまいっているのですが、この基金を一般化するに当たりましては、やはり何と申しましてもその受益の程度の定量化をどうやって把握するかという難しい実は問題がございます。それから、関係者の方々に御理解をいただく取りつけをどうしたらいいかとか、利害調整というか、いろいろ今後またこれを具体的に調査しなきゃならぬ問題が残っているわけでございいまして、私どもはそういう調査は今後も引き続き行うこととしておりますし、昨年から実は治山事業をやりました森林のいわゆる水路保全機能のモデル調査というのも、いわばそういう計量的調査の実証的な調査でございますが、そういうようなものもこれからも引き続き検討すると同時に、私ども昨年、五十八年度におきまして、都市住民森林整備に参加するための分収育林制度とかあるいは森林整備法人の制度を創設などしまして、今条件整備を実は図ってまいっているところでございます。私どもこれからもこの問題につきましては、さらに一般の方々に御理解、御協力をいただくべく努力してまいりますが、一方におきましてはそういう緊急的な問題で下流の方々が上流の方々と一緒になって森林造成し、この内容整備していくというのは非常に望ましいことでございますので、これは同時並行的に進めていくことが大切ではないかというふうに現在は考えているところでございます。
  59. 上野雄文

    上野雄文君 今長官からお話があったように、ずっと見てみますと、長官が言われたような意味でのでき方が、この基金をつくって上流、下流で協力をしていきましょうというものが望ましいわけですね。ところが、これは余り、でき上がったものを見てみると、それよりも直接的なダムの問題だとか、ダムでストレートに利益を受けるなどというところからお金を取って基金をつくるというものが多いように見ているわけです。特に五十年代のものはそういうような感じがするわけです。これからの十年間の間にこれは当然目標を、ただいいことだから推進したいということよりも、やはり幾つかでき上がって初めて成果があったという話になるのだろうと思うので、今日までの調査の積み上げによって大体幾つぐらいできそうですとか、何かそういうような目安はお立てになっていませんか。ずっと前からこの調査というのは継続されているのですね。その割には成果が上がらないのじゃないか、やりいいところだけちょっちょっとやったという感じがしないでもない。
  60. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) これは文字通り地域のコンセンサスの問題でございますので、さっきもちょっと触れましたけれども、例えば福岡の場合ですと、かつて非常に福岡市内が水に御苦労された時期がございまして、あれが契機となりまして、福岡の方々がやはりその奥地の森林造成に協力しようというようなことで、それが実りまして、現在は非常にうまく進められているというふうな面がございます。私どもはやはりこれはコンセンサスを得ながら進めてまいるということでありますし、昨年、さっき触れましたように五十八年の森林法と分収造林特別措置法の一部改正で森林整備法人というふうなものをつくりましたが、これが今度は各県の中核になりまして、この問題への中心的役割を占めていくのではないかと思っていますので、これがさらに、そういう意味でのコンセンサスをより深めるように一層私ども努力していかなきゃならないというふうに考えているところでございます。
  61. 上野雄文

    上野雄文君 時間が参りましたので、最後に大臣にお尋ねというか、今まで私いろいろ御質問を申し上げてまいりました。この前の大臣の最後の御答弁で、木材の問題について輸入の調整の問題なんかも一生懸命やらなきゃどうにもならないということで御答弁をいただいたわけですけれども、この林野の問題をこれだけ取り上げて、ここを幾らごちゃごちゃつついても、言うなら国全体の政策の中でこれがきちっと位置づけられていかないと、幾ら頑張ってみたって材価低迷していれば再建計画は立ちっこないです。ですから、そういう林野をめぐる条件整備という面でまさに政府の全体の力で頑張っていただかなければならないことだと思うのです。とりわけ、先ほど触れました借入金の問題などについてもひとつ林野の立場で頑張っていただくということ。よくするためにはそうしてもらう、内部で切るべきものはこれ以上切れないところまで来ているというのが林野の状況だと思うのですよ。御所見を伺って終わりにしたいと思います。
  62. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 国有林野の問題につきましては、臨調そのほかいろいろな御答申もいただいておりますが、これから見ると優等生的、はっきり言うと協力体制でやっていると思います。そしてまた、今先生おっしゃいましたように、できるだけのことはする、そしてまた、これは一林野庁、農林水産省ということではなくて、国を挙げて、政府を挙げてこれにかからなければならないというぐあいに私も考えておりますし、林野に対するPRも十分いたしますし、また、今後の進行状況を見ながら、国から出してもらうものは出してもらうというような方向でやっていきたいと思います。
  63. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いわゆる林野三法についてきょうから審議に入るわけであります。それぞれこれからまた、いろいろ議論が出るだろうと思うのでありますが、私は、総括的といいますか、全体的な問題、また、国有林の問題等についてまずお伺いをしておきたいと思うのであります。  最初に大臣、過月は日米農産物交渉ということで、大変な立場で交渉に当たられたということでありますが、きょう審議をいたします国有林を初めといたします森林問題も、これは国土保全という意味からいたしますと非常に重要な問題であります。これもまた危機的状況にございまして、今回の法改正を伴って提出されているわけであります。いみじくも大臣は、林野に関係のある山村というお名前でございまして、どの大臣がどうということは私は申し上げませんけれども、殊のほか山村振興とか林野行政については御造詣といいますか、素人かもしれませんけれども、一生懸命やろうという気持ちにおいては、歴代の大臣にはまさっても劣らないものがあるのではないかと私は思うのです。まず、大臣の御決意のほど、この法案を出されましたことを踏まえまして、今後のことも含めてお伺いしておきたいと思うのであります。
  64. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 林野につきまして、名前がということでございますが、名前だけではございませんで、私としてできるだけのことは一生懸命やっていきたいと思います。  特に、国有林野事業につきましては、昭和五十三年に国有林野事業改善特別措置法を制定して経営改善を進めてまいりました。しかしながら、その後の国有林野事業をめぐる情勢を見てみますと、諸経費の節約等により、改善一定成果は得たものと思いますが、しかし、木材価格の下落、低迷等により国有林野事業財源事情は一層悪化してまいりました。  このような情勢に対処して、臨時行政調査会、また林政審議会答申をも踏まえて検討を行いました結果、改善措置の一層の拡充をし、強化をするということが必要であると判断いたしましてこの法案を提出いたした次第でございます。何とぞ、よろしくお願いしたいと思います。
  65. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣の強い決意を聞いたのですが、よろしくお願いしますではこれはどうかなと思うのでありますが……。  私は、農林水産省というものが、農水省、二百海里が起きまして水産の方が大事だということなのか、林の字が何か影が薄くなったみたいな感じがします。それでも農林省の皆さん方はじっとこらえて、特に林野の皆さん方はそんなことじゃないだろうという気持ちでいらっしゃったのだろうと思うのでありますが、農水省と、こういうふうに言うのだそうであります。昔は農林省と言ったのですけれども、決して林が影が薄くなったのではないだろうと私は思うのです。本来ならば、国土計画法ですか、限られた日本列島の面積の中で林野の持つ意義というのは非常に大きいわけでありますし、それぞれの産業はそれぞれに重要であることはもちろんでありますけれども、かけがえのない緑を、そしてまた、この緑というのは生物的な視点の上からも、また国土保全の上からも、水資源といたしましても、また、人間が生きる上に緑なくては生きられない。これはこんなことを言っているともうあしたになってしまうから申し上げませんが、緑の効用ということを考えますと、本当に列島的な、そして国家的な事業としてこの緑の問題は考えなきゃならぬだろうと私は思うのです。そういう中でのことであって、その重要性はどんなに力説しても力説し切れるものじゃないと私は思うのです。こういう私の考え方に対して大臣はどうお思いでしょうか。
  66. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生のおっしゃいましたのは、私の考えとそっくりそのままでございまして、緑資源というものを大切にしていかなきゃならない、これは今国民的な盛り上がりのようなものが出ておるわけでございます。ここで、なお一層PR等を行いまして、林野に対する国民的な御理解をお願いしようというぐあいに考えております。
  67. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それじゃ私がそこに座って、大臣にこっちに来てもらうようなことになるのですけれども。  国土の七割を占めます日本の山林というものがどんなに重要であるかということについては、文化的な視点や、また、生物学的な視点や生態学的な視点、いろいろな角度から論じられていることは御存じのとおりです。特に、日本列島の五割を占める面積の中に山村振興地域といいますか、この中に人口がおよそ二割程度、二〇%、あと八割近くの方は都市に住んでいらっしゃる。そして山村の水、緑というものの効用を受けておる。こういうことからしますと、山村振興法などというのは実にこれは重要な意義を持っております。私はこういうことを言いまして、山村振興法などというこの法律がどれだけの効果があったのか、これはここの場で云々することじゃないのかもしれませんけれども、過疎化が加速度的に進むなどというこんなことでは、山村振興法というのは一体何のためにあるのか、こう言わなければならぬと思うのです。  これは今回のこの法律改正ということだけじゃなくて、大臣は閣僚の一員でもございます。そういうことからこれらの法律の整備も大事なことでしょう。私どももいろいろ部会でも検討してまいりました。社会党さんは今後どうなるかわからぬということのようでありますが、私どもは部会でもよく検討に検討を加えて、これは必要なことだろうという方向性は出ております。それとともに、閣僚の一員といたしましてぜひこの山村振興ということに対して、農林省の所管でないのかもしれませんけれども大臣でありますから、ひとつ大臣、関心を持っていただき、これは決して国有林野、そのほかの保安林や、こういう法律だけで山林があるわけじゃございませんから、そういう総合的な目でまた見ていただきたい、このことをまず大臣に要望しておきたいと思うのですが、いかがですか。
  68. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 先生のおっしゃるのはよくわかりますし、また今、山村振興という面においても農林水産省としてできるだけのことをして御期待に反しないようにやってまいりたいと思います。
  69. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 国有林、先ほど同僚委員からもいろいろ質問がありましたが、国有林野事業が、一生懸命努力をなさって今日までの経過もこれあるわけでありますけれども、私も農林水産に四十四年からですか、ときどき抜けたときもありますけれども、当時からいろいろ問題の提起がありました。五十三年にこの計画が立てられて、暫定措置法が計画をされて、十年計画を立てて進めてきたわけですけれども、これは長官、年度途中といいますか、当初の計画よりも早めてここで計画を練り直さなければならなかった、このたびの法律を提出しなければならなかったいろいろな理由があるのは我々もわかるのですけれども、限られた時間でありますから、最も重要な、根本的な問題についてぜひひとつその原因を御説明いただきたいと思います。
  70. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私どもは五十三年以来国有林野事業経営改善に関する計画に基づきまして、鋭意事業の全般にわたりまして経営改善努力してまいったところでありまして、私どもそれなり成果は上げてまいったつもりでございますが、この木材価格低迷という問題もこれは非常に大きな因子であります。と同時に、国有林資源事情と申しますか、一つには、その後、カラマツ林であるとか、あるいは広葉樹林等につきましては伐期の伐期齢を延長しているというようなこともございますし、それから一部また伐採計画対象になっておったものをそれ以外に外す、そういう資源的な制約から伐採量が減少してきているということもございます。それから、私どもは鋭意経営改善には努力して事業実行上も作業仕組みの改善合理化であるとか、職務意欲の向上等努力してまいってきておりますが、それにつきましてまだ十分でないというふうなこともございまして、やはりこの際、再度基本的に見直しまして新しい角度からこの経営改善を決意し、実行しなきゃならぬ、こういうことになったわけでございます。
  71. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 林政審からもいろいろ答申が出ておりますからあれですが、五十三年のときいろいろ計画を立てた。四十八年のオイルショック以後、五十三年といいますと、第二次オイルショックの以前か前後か、日本の経済は今までのような高度成長ではいかぬぞ、いろいろなこれから不透明な問題があるのだという時点での計画だったわけです。それも以前だったら私はこんなことを申し上げませんが、そういう中で、大臣も、今お話がありましたように、一定成果はあったということですが、どういう成果があったのか、本当に詳しく聞いてみたいものですが、当初の計画と現在。それよりももっと現在ですと状況が厳しい状況にあるでしょう。森林は五年や三年でそんなに変わるわけじゃありません。  だから、今、伐期を延長したとか、資源的な面のことをいろいろお話ありました。伐裁量を減少さしたというようなお話がありましたが、そういうことは五十三年だって当然考えられていたことじゃないかと思うのです。要するに五十三年の計画から見まして、当時、合理化というようなことなんかも、合理化というとすぐ、組織を縮小するとか、人員を減らすとか、こういうことになっていくわけなのですが、五十三年当時いろいろとにかく計画をされました。組織、機構の簡素化、高齢者に対する退職の促進とか、そういうことで要員の適正化、労働生産性の向上、こんなことをいろいろやったようです。一応そういうことは一生懸命になさったのだろうと思うのですが、そのほかに、やはり林野事業としてのいろいろ計画があった、そういうものがどう計画どおりに進んだのか、進まなかったのか、改善処置の進捗状況もあわせてひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。
  72. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私どもは、五十三年来鋭意経営改善努力をしてきたわけでございますが、二、三これについて触れてみたいと思います。  事業能率向上につきましては、先ほども申し上げましたように、事業実行上の作業仕組みを改善するとか、あるいは職務意欲を向上させるというようなことで、素材生産の労働生産性でこれを見てまいりますと、この五年間に約三〇%程度素材生産の労働生産性は上がっております。  それから、要員規模縮減につきましては、高齢者の退職促進等によりまして、経営改善に着手してから五年間で定員、内外の職員合わせまして約一万人の縮減を図ったわけでございます。これは全体の二七%に相当します。  それから、組織機構の簡素合理化につきましては、五十四年の一月に、北海道営林局北海道営林局と四支局に再編整備をしまして、現在営林局が十、支局が四という体制になっております。それから営林署につきましては、改善期間中に一割をめどに統廃合するということで、五十三年度に九署、五十六年度に七署の統廃合を行ったわけであります。それから事業所につきましても、着手以来五カ年間で二百六十三事業所統廃合を行っております。それなりに私ども改善努力をしてきたわけでございまして、それはそれなりに着実に計画どおりに進めてまいったところでありますが、先ほど申し上げましたような、その後の客観情勢変化等もございまして赤字がふえまして、財務事情がより厳しくなったというふうな実情にございます。
  73. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 だから、そういう機構的なことについては随分御熱心にやられたようで、私どもも、手をこまねいていたとは決して言いません。五十三年度に制定されたこの法律の第二条の改善計画では、具体的に改善計画事項としての六項目、造林、それから林道の開設とか、運営の効率化とか、収入の確保、こういうことについて関係する事項がございます。こういうことについては実際どういうふうに成果が上がったのか、また、どういうように評価をしていらっしゃるのか。その辺の人員とか機構とか、そっちの方は力を入れてやって、肝心のこういうことが進まないようなことであってはならぬという気持ちがあるのですが、これは法律にも定められていることでありますし、当然今日までも分析していらっしゃるだろうと思います。客観情勢のいろいろな変化というものはあるかもしれませんけれども、五十三年当時と現在と比べてそんなに大きな変化もないだろうと思いますので、まず、こういう造林とかそれから林道開設とか、特に運営の能率化、収入の確保ということについてどれだけの御努力をなさったのか、ここのところは非常に私どもも関心があり、また、どういうふうに評価をしていらっしゃるのか、どういうふうに認識していらっしゃるのか、そこらあたり私どもとしましてはぜひ知っておきたいところだと思うのです。
  74. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) 多少個別の事業にわたりますけれども改善成果、実績について申し上げますと、森林資源整備に関連いたします造林あるいは林道の開設等に関しましては、改善期間内で計画いたしました量につきましてはほぼ計画どおりの実施を行ったところでございます。また、事業運営の能率化に関しましては、長官からも触れたところでございますが、生産のみならず、造林事業におきましても生産性の向上あるいは請負化の推進と申しますか、民間事業体によるところの請負化の推進を行っておるところでございます。  なおそれから、いろいろ職場の士気に関連の深い労働災害の発生件数にいたしましては、これが二〇%の減少を見たことと同時に、振動障害認定者、非常に深刻な問題でございましたが、この発生が非常に減っておることに努めまして、この点につきましては大変な成功をおさめたと言えるかと思います。  その他、収入につきましては、五十五年に比べまして二〇%から三〇%という材価の下落等もございまして、木材関連の収入につきましては大変落ち込みもございましたけれども、それをカバーするために不要資産あるいは高地価地域のいろいろな庁舎敷あるいは宿舎敷等の処分をいたしまして、それをカバーするというようなことによりまして、何とか最小限の事業実行にかかわる分につきましては収入を確保してやってきたところでございます。
  75. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 造林とか林道、これらは計画どおりだということですが、運営の能率長官お話しになったようなことだという、生産性は向上しただろうということですから、それはそのように承っておきましょう。  収入の確保については、これは不要資産でカバーしたということですが、私はそういう不要資産でカバーしているということじゃなくて、もっと林野庁として、そういう資産売却によるというのも、それはやむを得ざるときにはその手段もとらざるを得ないこともあるでしょう。しかし、この三年度の計画の中にもいろいろ計画があったのだろうと思いますけれども、一つの収益の上がるような工夫、努力、技術開発というものが当然考えられておったろうと思いますし、今日そういうことが一つの成果をもたらしていなければならないのじゃないか。今のお話ですと、不要資産の売却というか、そういうことでカバーということだけで何もなかったみたいな話なので、これは皆さん方もいろいろ収入の確保については当初の計画もあり、今日までも御努力をなさっていらっしゃったのだろうと私は思うのです。もう少しそこらあたりを御説明いただけますか。
  76. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) 私どもの収入の大変大きい割合を占めますのは素材生産販売でございまして、御案内のことと存じますけれども、素材などにつきましては、採材の寸法とか、販売時期とかが大変単価、収入にかかわりが深いわけでございます。新鮮材を市況の需要の動向に即応した形で採材して供給する、そういうことに全国の営林署の職員は大変努力をいたしておりまして、そういう点でも大変減収をカバーする点がございました。また、生産性の向上につきましても、単なる士気の向上だけではなく、振動障害の認定者を多数抱えておりますので、これらの作業員の戦列に参加し、生産力に寄与するためのいろいろ新しい機械の開発、改良等を作業仕組みに取り入れまして、そういうことによりましての作業能率向上も大変にあったわけでございます。  また、販売につきましてはいろいろ努力をいたしましても、お上の商法のような御批判もございましたけれども、最近におきましては非常に積極的な販売戦略を展開するということで、今月末には晴海で木造住宅の展示などもいたしておりますが、ああいうことも初めて行いまして、国有林材ひいては国産材の声望と申しますか、名前を高めたい、それが全体の林業を活性化する道、それが国有林としても自分のためでもある、また、日本林業のためにということで職員一同一生懸命努力をいたし、相応の成果を上げていると考えているところでございます。
  77. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 五十八年度国有林野事業業務方針、この中にも四ページのところで、「効率的な予算執行管理」、二番目に、「事業収入の確保」、ここにも「林産物の販売に当たっては、計画的安定的な販売に努め、新鮮材の供給需要に応じた採材と販売、高品質材の選木販売等を行うとともに、各販売ブロックにおけるマーケッティング活動を充実させ、有利販売を図る。」、これは私どもは、全国のことですから、どこでどういう材をどういうふうに売っているかなどという全体的なことはとてもわかりません。また、今後同僚委員からもこの点についてはいろいろお話があろうかと思うのですが、お話のありましたように、国有林野事業としてこの素材の販売というのは唯一の収入になるわけです。  ここにありますように、計画的な安定的な販売というのは大事なことはもちろんでありますけれども、新鮮材の供給需要に応じた採材と販売、高品質材の選木販売、こういうその土地その土地のものについて、また建築様式、また使用者側、こういう方々の需要に応じた形で、素材といいましても工夫、考慮をしていきませんと、十年一日のごとく同じようなことをやっていると、せっかくの素材といいましても、それがいつも同じ価格で、生産性、人員的な面についてはいろいろな努力をしましても、せっかく六十年、七十年たった木を切る、その切り方一つ、またその製材についても価格に大きな影響力がある。  これは、衆議院の方でもいろいろ議論があったようでありますけれども、このように事業計画の中にもはっきりうたわれておりますし、どう見ましても組織とか人とかということには随分御熱心のようですけれども、私はこういうことから、後ほどまた同僚委員から話があろうかと思うのですが、どうも私も九州とか京都、東北、北海道はもちろんですが、回りますと、その地域地域で随分いろいろ工夫をしているようです。林野の中におりますとどうしても地域性というか、その枠の中にありまして、これは消費動向というものとの間のコミュニケーションというか、また市場との関係性とか、それは京都なんかに行きますと、本当にそういうことを関西方面で痛感いたしておるのです。  こういうことから言いまして、林野事業というのはなかなか難しい一面はあるのですけれども、日本全体が外材に押されているということです。これは林野庁としまして、やはりもっと取り組むべき方途というのはあるのじゃないか。現在はこうです、住宅事情がこのように減ってまいりましてという、そういうことは一般論としてはわかりますけれども、大事な国民共有財産であります国有林、少しでも価値あるものとしてそれが市場に出されているのかどうかという観点から見ますと、これは大いに各地を回れば回るほど疑問を抱かざるを得ない。私どもも各地にいろいろな調査をしますが、私どものはほんのわずかな間のことですから、もっと広範囲に見ますとこれはいろいろな問題が多々あるだろう。今日また同僚委員からもこの問題についてはお話があるのですが、ぜひこれは事業収入の確保ということでいろいろ事業計画としてはうたわれておりますけれども、この内容のより一層の検討と、それからそこにいる人がそういう意識にならないといかぬ。そういうことから、これは意識を変えていくということが必要ではないか。  作業能率だけを上げても、とったものをより価値のあるものにするということを怠るようではこれは本末転倒です。そういうことから、こういう一つの経営といいますか、収入部門の大事な部門についてのもっと強力な指導性といいますか、皆さんに対しては指導性、また、日本全体の市場の動き等総体的な問題について御検討いただいて、またみんながそういう意識で、それはみんなが切る人は切る人、そういう立場はあるのでしょうけれども、それぞれの営林署営林局、そういう当事者の方々の頭をまず切りかえてもらわなきゃいかぬと思うのです。きょうは詳しいことを申し上げる時間もございませんから、この事業計画の中にも文章としてはあるのですけれども、実体が今お話を聞いてもどうもない。こういうことで、いろいろ工夫をし、努力をし、少しでも収入を高めようということで御努力なさっている営林署もあるようでありますが、そういうことで研修といいますか、人の交流とかコミュニケーションとか、こういうものを林野庁としてもぜひ進めるようなこともあわせてお考えいただけたらどうかと思うのです。大変ですけれども、どうでしょう。
  78. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私ども収入の大宗を占めます木材販売につきまして、過去を振り返ってみますと、やはり前垂れ精神に足らない面があったという反省をいたしまして、昨年ごろから特に力を用いておりますのは、今先生も御指摘がございましたが、私どもとしては販売地点が全国営林署にあるわけですから、そういう広域販売のシステムの活用の問題、それから需要に見合いました素材の生産、例えば秋田杉で申しますと、従来秋田杉は大体三メーター六十で採材していましたが、むしろこれは四メーターと三メーターでやった方が関西地区の市場には非常にいいとかいう、そういうマーケティングについての情報網が必ずしも十分でなかったというようなこともございますので、そういう全国的なニーズに合った広域販売システムを、私ども解く特にこの五十八年以降強力に進めておりますが、今後の事業実行に当たりましては、各職員一人一人がそういう意欲を持っていくことが大事でございますので、そういう点についてはさらに一層指導してまいることを考えているところでございます。また、間伐材等の販売につきましては、長期的に安定的供給をすることによってやはり需要開発ができるわけでございます。  それから、最近国有林材によるところの住宅建築の推進等も、これは広く国民の皆さんに木材のよさを発見していただくと同時に、国有林材については非常に数多い種類の木材があるわけでございますが、それらを組み合わせたところの住宅建築への需要開発というようなことも考えているわけでございます。これはいろいろな面でやはり知恵をしぼりまして、有効販売、さらに価値の高い販売方式というようなものをこれから取り組んでいきたいと思っています。これがやはり今後の木材収入の増大につながるものであるというふうに考えています。  なお、一方におきまして、この問題は単に国有林だけじゃなく、国有林、民有林を通じました木材需要の開発の問題がございますので、私どもは建設省と連携をとりながら、最近は大断面の集成材による場合には、今までの十三メーターという制限が外れた体育館その他にも導入できるようなことも一応やっております。また、間伐材のセブンバイセブンというふうな住宅の開発であるとか、さらには間伐材の集成材をあらゆる分野に活用する問題であるとか、いろいろと需要全体の需要開発をし、国産材の有用性を御理解いただくことも大事でございますので、林野行政の一環としてはもちろんでありますが、特にまた国有林の秋田杉であるとか木曾ヒノキであるとか、あるいは青森ヒバであるとかいうふうな高品質材もあるわけでございますので、これらの売り方につきましても、先生今お話しのございましたようなことをさらに研究を重ねて進めてまいりたい、かように考えているところであります。
  79. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 長官は一番悩んでいる最高責任者ですから、もう何とかしなきゃいかぬぞということでぴんと来て一生懸命御努力なさっているのでしょうけれども、それが現場で大臣と同じような気持ちでお取り組みいただくならば、またそういうシステムが省内にできるとか、そういう連絡が、これだけ日本列島をカバーするという大きな組織の中にあるわけでありますから、一朝一夕にできるとは思いませんけれども、しかし私は、この収益部門としてそこの工夫、考慮というのは非常に大きな立場というかウエートを占めるだろうと思います。そして結局、それをやるのは人であるということで、みんながその意識に立たなきゃいかぬ。  何か林業の話になると、すぐ首切りがもう真っ先に来るみたいなイメージが我々も頭から抜け切れない。組織上のこととか人的なこととか、それは今までいろいろな過渡期がありましたし、そういう経緯はあったかもしれませんが、そういう収益部門といたしまして、何も国有林を高く売りつけるというのじゃない、貴重な百年近い長い間にわたっての国民共有財産を価値あるものに利用していただく。私は筑波の林業試験場ですか、ああいうところに行きますと、いや、すごいなと思うのだけれども、あそこはあそこであって、なかなかそういうものが普及宣伝というのは難しいのかもしれませんが、そういうものの実用化というのはある程度の時間がかかるのは当然といたしましても、それなりにやっているのだと思います。そういうことについての強い意識とそれを実用化していく、また、そういうものをさらに発展させるための機構上の体制づくりとか、それからまた、一人一人がそういう意識に立っていくための意識を改革していくとか、こういうことについての手だてというものはぜひひとつ御努力をいただきたい。  それで、技術開発ということについても随分省内でも御努力をいただいておるのだろうと思うのですけれども、今度林政審でも、抜本的な見直しとか、新たな政策の展開とか、こういう言葉が出てくるのです。いろいろなことをお考えになっていらっしゃるのだろうと思うのですが、私は特に今までと同じように、ただ木を切って出すということだと今までと同じことを繰り返すのじゃないか。そして人をどんどん減らしていく。この広大な国有林野、それで民有林だって結局その地域性を見ますと、青森とか岩手なんかへ参りますと、国有林があって町があるみたいなものですから、民有林といったって国有林がやっていることを手本として見ていくという形がどうも多いようです。国有林の方がその地域の指導性を持っているというふうに私どもは思うわけです。そういうことから、やはり新しい時代に即応した改革というものが待たれるのだろうと思います。それが地域の大きな発展にまたつながるのじゃないかと思うのです。  そういうことから、技術開発、それからもう一つは、私もこの前、畜産物の問題についていろいろ申し上げたのですけれども国有林野の利用ということは、肉牛なんか特にこれは重要なことだと思うのです。青森とか岩手の方へ行きますと、農家の方々も安くもないのに後どうしろとか、いろいろな条件が付されるので非常に、まあ最近は随分変わってきたようなのです。そういう地元の、それはただでは貸せられないのかもしれませんけれども、適正な価格というのはあるのだろうと思うのです。畜産業もこれまた大変な窮状の中にあって、飼料が大きなウエートを占めるという意味から粗飼料が望ましいことだということなのですが、それが高ければ、とてもそんな国有林を借りて草地に利用するということは、採算ベースに合うのか合わないのかなんということになるのですと、これはせっかくのものが活用されない。  今日までも、いろいろ委員会等でも提言があったり、また皆さん方もその事情については御存じだと思うのですが、こういう林産物についての技術開発、そしてまた林野の活用ということも含めて将来、現状と、それからこれから林野が生きていく上で少しでもこれが活用されるためにどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いをしておきたいと思うのです。
  80. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) 国有林の技術開発につきましてお答え申し上げます。  お話がありましたように、国有林林業関係の技術は、やはり日本では一番大きいフィールドを持った林業事業体だということで、昔からいろいろ民有林に対しましても私ども先導的あるいは模範的な役割を果たしてきたというふうに考えております。現在も造林から生産に至るまでの各般の技術情報と申しますか、いろいろその成果を、蓄積を持っておりまして、それがだんだんと民有林にも伝わり、最近では海外にも技術移転ということで国際協力の大きな一翼を担っておる、そういうような事情もあるわけでございます。今後につきましても、国有林の技術開発は自分経営改善する、これに寄与するという視点ももちろんございますけれども、やはりひいては民有林業の先導的、模範的な役割をも果たすということで、職員がそういう使命感を持って技術開発に当たるように私ども指導しております。  やはり、今の日本林業で当面しておるいろいろな問題、例えば天然林施業とか広葉樹の施業に大変国民的な関心が高まっておるわけでございますが、またこれは確立したと言えない点がございますので、そういう点の研究とか、あるいは職業性疾患で振動障害が非常に大きい問題でございます。低振動チェーンソーの開発でありますとか、作業仕組みの中でそういう障害を防圧する仕組みの開発でありますとか、また今度は、特有林産物とかいろいろの自然野菜というのですか、そういう森林栽培をいたしました野菜類につきましても林地の多角的利用ということで関心が高まっております。そういう点の研究、いろいろの点につきまして現在技術開発を進めているところでございます。
  81. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) もう一点、先生から御指摘のございました、今後の山村地域の活性化との絡みで私ども混牧林の問題を強く取り上げておるわけですが、やはりその中におきましても技術開発の問題は極めて重要でございまして、いわゆるバイオマスの分野の取り組みをしておるわけであります。一例を申し上げますと、今林業試験場と草地試験場で共同でやっておりますのは、シラカバとかポプラのチップを高圧下で爆砕しますと、その飼料が非常に畜産業の飼料として有効であるというふうな実験を少し前から実は実施しているのです。これは将来の山村地域はやはり農業と林業の複合経営によりまして活性化を図るという極めて私ども重要な実験結果がございますので、ことしから畜産局と連携をとりながら、現地において実際に進めてまいりまして、今後の山村地域の立体的利用に一層努力してまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、今後の改善計画を進める上におきましても、また林業の振興の面におきましても、やはり技術開発ということを強力に進めませんとなかなかこれが進みませんので、さらに一層この面につきましては、ただいま業務部長が申し上げましたように積極的に取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
  82. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間も残り少なくなりましたから、この問題についてはまだ同僚委員からもいろいろお話がございますが、次に、今度の分収育林ですが、これは去年ですか、おととしか、民有林については大変な関心を集めたようであって、場所によりまして皆さんも大変応募数が多かったように聞いておるのです。今度国有林でもこういう形をとろうという。これは中身のことについてはいろいろお聞きしたいこともあるのですけれども、時間がありませんので後日にいたしますが、民有林での実態と、今後国有林でこういう形をとるということについての、とるに至りました経緯といいますか、今後の見通しとか、こういうことについてちょっとお尋ねしておきます。
  83. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私どもの分収育林を進めるに当たりましての基本的な考え方は、昨年もここで申し上げましたと思いますが、最近、国民の皆さんが緑資源確保という問題に相当強い関心をお示しいただいておるわけでございまして、また、都会の方々も緑資源確保相当積極的に協力したいというふうな意向もあるわけでございます。私どもはこれからの緑資源確保につきましては、農山村の方々はもちろんでございますが、都市部の、森林によりましていろいろの利益を受けられておる方々も一緒になりまして、この森林資源整備充実を図ってもらうということがこれから非常に重要だろう、そういう考え方に立ちましてこれまでも進めてまいっておるところであります。  国有林に今回導入いたしますのは、そういう国有林経営につきまして、やはり一般の方々に御理解をいただき、国有林そのものは国民の皆さんの財産でございますので、そういう中で一緒に森林づくりをしていこうという考え方があるわけであります。と同時に、戦後植えられました国有林人工林が、特に二十一年生、三十年生前後のものが多うございます。そこで、この分収制度によりまして収入の平準化ということも考えまして、両面からこの問題について取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。  分収育林制度につきましては、昭和五十一年から民有林の広葉におきまして実は実験を重ねてまいったわけでございますが、各地域におきまして大変これに対する反響が大きく出てまいりまして、私どももやはり将来の二十一世紀に向けましての森林資源整備充実する面に立ちまして、国民の皆さんの御協力をいただきながら進めることが大事でございますので、ぜひとも国有林におきましてもそういう考え方に立ちまして今後進めてまいりたいと考えています。特に、国有林の場合におきましては、国有林所在の市町村の方々、地域の皆さんとの今までのいろいろ地元振興に協力してきた経緯もございますので、実施に当たりましては、当然のことながら、地域の皆さんと十分話し合いをしながら進めてまいるつもりでございます。
  84. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 さっきの大臣説明の中にありましたように、分収育林契約内容について、契約目的たる国有林野所在対象樹木の態様、契約存続期間とか費用負担者持ち分割合費用負担者の支払うべき額、育林方法伐採の時期、こういうものを定めなきゃならないということになっているわけですけれども、ここらあたりはいろいろお聞きしたいことがある。また、今長官おっしゃったように、国民が緑に対して非常に深い関心があるというか、国民的なコンセンサスといいますか、緑に対する強い強い気持ちがあるわけです。今、法律を定めてやろうというのですが、事前に相当論議をし、そしてまた明確にしておきませんと、後々これが問題を起こすようなことになりますと、結局国民のそういう気持ちを裏切ることになるわけですから、これは非常に慎重にいろいろな角度から論議をしなきゃならないことだろうと思うのです。考え方としては私どもはよくわかりますし、こういう形で進めていくのは当然のことだと思いますが、その中身のことについては、今後いろいろ省令等で決められる問題についてもやはりある程度議論しなきゃならぬだろうと思うのです。  きょうは時間がございませんし、また、後ほど同僚委員からこの問題についてはお話しあることになっておりますが、さっき、国有林野事業というものは大変に経営が逼迫をしていて不要資産でカバーしておるというお話がありました。これはやむを得ないことだと思いますし、また、全国的な今日までの経緯についで私どもつまびらかにしているわけじゃありませんけれども、比較的都市部とか市街化区域の中に、また調整区域の中に、この森は残しておいた方がいいのじゃないか、この土地は林があってしかるべきじゃないかという感じのするところが、どんどんとは言いませんけれども、不要資産ということなのか売買されておる、私どもも具体的な例を幾つか知っておるのです。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕 私どもがヨーロッパへ参りますと、町の真ん中に大きな緑の公園がある。日本は、公園率、緑被率というものを見ましてもヨーロッパからずっとおくれておる。こういうことで、都市の中にいかに緑をふやすかということも非常に重要な課題であると思うのです。日本は御存じのとおり地価が高いですから、これから土地を買って森をつくるなどというようなことはとてもできないことであって、そういうことから言いますと、財政的な面から言ったらそれは処分せざるを得ないというのかもしれませんけれども、これはやはり都市機能ということから言うと最小限度線として残すべきものが売買されるということは、国民的な立場から見てどうかと思うようなことが非常にあるのです。  この不要の資産ということですけれども、これは林野庁という立場からしますと、やはり今後の市街化区域、調整区域、いずれにしましても山村だけじゃなくて、そういうところにかかわっているところについては、緑を守るという強い決意の上に立って臨みませんと、財政的なことだけでこれをやってしまいますともう取り返しのつかないことになる。緑を守るところはどこもない。環境庁はあるものをどうするというだけです。林野庁がそういうことでやはり先見性を持ってやっていただきませんと緑はどんどん後退するだけ、山の奥に行かなければ緑がない、こういうことになる。今日では希少価値という状況です。  これはいろいろ御検討なさるのでしょうが、経済ベースじゃなくて、ぜがひでも林野庁としては、これは今度はこういう法律ができてある程度カバーできるわけでありますし、だからということじゃないのですけれども、当初に大臣が強い決意を述べておりましたが、国土の中の大事な緑、わけても林野庁としてはその緑を守る、市街化区域、調整区域の中の緑を守るのだという強い決意を、大臣、ひとつお持ちいただきたいのですが、長官から先にお話しいただいて、次にひとつ大臣から決意を伺いたいと思います。
  85. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 先生からお話しのございました都市周辺の森林につきましては、これは国土保全、生活環境の保全等に極めて重要な役割を果たしているわけでございますので、当然私どもはこういう国有林として持っておらなきゃならぬ問題については、十分配慮していくという前提に立っているわけであります。  それで、これから私どもは、不要資産と申しますのは、いわば官舎敷で要らなくなったところであるとか、あるいは高地価地域から低地価地域へ移動して、あるいは土地利用の立体化によって浮いてきたような、そういうものを販売する対象として考えているわけでございますが、林野そのものの問題につきましては、今ちょっと触れましたように、いずれにしましてもこれはやはり地域の土地利用計画との関係、それから環境保全との関係を十分見きわめてやってまいるつもりでございますので、今の御指摘の点については十分私どもも配慮した対応をしてまいりたいと思っております。
  86. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 今、特に都市近辺の森林ということでございますが、これはやはり水源の涵養、また災害からの防備、そのほか生活環境のいわゆる形成、保全、これらの公益的な機能を大きく有しておるものでございまして、この機能発揮というものが何といっても国民生活の安全、快適ということにつながるわけでございますので、これらの森林等の処分等につきましては、もう慎重の上にも慎重にという態度でやってまいりたいと思います。
  87. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 森林が直接ということじゃない。最初は保安林になっているものが、だんだん都市化が進む、そのうちに保安林解除になる、やがては地方自治体に払い下げる、地方自治体が民間に、こういう形が、すぐ、きのう、あしたあるなどということじゃないのですけれども、後になってみると所有権がいつの間にか変わっておる、こういうことが私どもの目の前にもあるものですから申し上げているわけです。今、大臣も強い決意をお述べになっていらっしゃいましたが、ぜひその点、ひとつ目を光らせていただいてお願いしたいと思います。  ちょうど一年になるのですが、去年、秋田沖の地震のときに、能代の防風林が高波を抑えたという。私も現地へ行って、これがなかったら一体どうなったろうかということがございました。潮水をかぶりましたから、あれはもう枯れてしまったのが大半で、後どうするかということ。これは林野の問題だから林野の金でと言うけれども、林野はとてもそんな金はございませんということで大変御苦労なさったことをちょっとお聞きしました。経済ベースだけで物を考えますと、植林はどうするのかとか、いろいろなことがあるのかもしれませんが、保安林指定というのはそれぞれの意味があってやっておるということですから、それが後の手入れもできなくなるなどということのないような、赤字で大変だからなどという、こういう経済ベースでしか物を考えられないというのじゃなくて、やはり保安林、また、国土保全の意味からの緑の保全ということは非常に重要な意味を持っています。当初そういうことが言われておりました。そんなことについては大臣も、そういう経済性だけではなくて国土保全とか、また国民の健康の上からもぜひ見ていただきたい、こう思うのです。  時間もいよいよなくなったようでありますが、去年の山林火災で、仙台のすぐそばの利府町というところがあるのですが、そこで火事になりまして家屋も焼失した。家屋の方は、住宅金融公庫があるからお金を借りて家を建てる、また、県や町でいろいろ面倒を見ていただく。山林を持っている方々はこれは大変でして、その原因も明確に失火という過失のためにということになっているのです。そこで民有林の方々には県とか国からも補助が出るのですけれども、例え二割にしても三割にしても自己の負担自分でお金を出さなきゃならないということになりますと、収益になるのは何十年先のことですから、とても個人としては耐えられません。それで木を植える気がなかなかございません。森林組合さん何とか面倒を見てください、こういうことでいろいろ地元では話になっている。これは火事になった原因がはっきりしているのだから、それは全部面倒を見ろということで訴訟を起こされた方もいらっしゃる。しかし、そんなことでいつまでも争っているよりも、我々はできるだけのことをしていただければということで、話し合いしようという方もいらっしゃる。これは地元の現状について、今突然申し上げて……
  88. 北修二

    ○理事(北修二君) 時間でございますので、簡潔にお願いいたします。
  89. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 突然申し上げてお答えはなかなかできないかもしれませんが、民有林というものは非常に負担というのは大変だということで、苦悩しているという事実だけはよく御認識をいただいて、これは後ほどまた報告をしていただきたいと思うのです。うちの方はきょうはわずかなあれですけれども、まだ二日、三日びっちりやることになっておりますから、そのうちに報告いただきます。  それから、四十八年に青森県の上北郡の七戸町野佐掛共有地、ここの地域をある大手の方が買い占めた。その中に保安林がある。水源涵養保安林です。当時、櫻内農林大臣は、保安林の木はただの一本も切らせません、こう言っているのです。ところが、ときどき行くたびに地元の方のお話を聞いてきますと、それがいつの間にか、保安林が一部解除になったところがある、こういうことなものですから、私も、あれ、大臣の発言は一体あれは何だったのかという疑問を抱いておるのです。これは突然ですから、ちょっと事前に言っておけばよかったのですけれども、どういうふうになっておるか、これはぜひひとつ調べていただきたい。もう三日も四日もこれから質疑をするわけですから、その間にきちっとした回答をいただきますが、もしおわかりになっておれば、概況というか、もう時間がありませんから、簡単にちょっと一言だけでも。
  90. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 今の上北郡七戸町の水源涵養保安林解除でございますが、この保安林につきましては、牧道設置の地元の要望を踏まえまして、保安林としての機能に悪影響を及ぼさない範囲で一部解除をしたものと承知をしておりますが、今突然のお話でございますので、事情を精査いたしまして別途御説明を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  91. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私のところへ来て詳しく説明していただいて、わかればあれですけれども、この辺は重大な問題ですからお願いします。
  92. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) わかりました。そのようにいたします。
  93. 下田京子

    ○下田京子君 国有林野事業改善特別措置法に関連いたしまして、まず最初に、何といいましても出づくりの担い手、これはやはり労働者だと思うのです。けさほどのニュース等を聞きますと、きょう給与関係閣僚会議が開かれて、数字は定かではありませんが二・八%の有額回答というふうな予想も言われております。夕方から始まるということなのですけれども、先ほど大臣が林野庁全体優等生的、そして協力体制でやっております、こういうお話がございましたが、協力の名において少なくとも国有林経営の悪化を理由に労働者の犠牲を強いてはならないと思うので、当然民間等のことを考えて対応すべきだと思うのですが、その基本的なお考え方を聞かせてください。
  94. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) ただいま五十九年度の新賃金に対する考え方ということでございますが、私ども国有林野事業を取り巻く諸情勢は大変厳しいものがございますが、    〔理事北修二君退席、委員長着席〕 基本賃金につきましては、これは給与特例法第三条の規定するところによりまして一般職の国家公務員それから民間事業の従業員の賃金その他の事情を考慮して、現在鋭意努力中でございます。
  95. 下田京子

    ○下田京子君 物価の上昇、民間ベース等々を考えて対応いただきたいと思いますが、今のお話の中で、基本についてはそういったことで考えたいということなのですが、問題は手当の方はではどうなのかということなのです。実に八三年の仲裁の完全実施がなされていないということは、私が指摘するまでもなく御承知していると思うのです。  公務員並みにいきますと、夏期手当が一・九、年末二・五、年度末が〇・五カ月、計四・九カ月分支給されなければならないと思うのです。金額ベースにいたしますと百十二万九千九百四十円ということになると思うのです。ところが、林野の場合にはどうなのかというと、削減分が夏期でもって〇・一一、年末〇・一五、年度末〇・一一、合わせて〇・三七カットされているのです。金額にいたしますとざっと八万五千三百二十二円、こういうふうなことがあってはならないと思うのです。私はしかとその辺を対応をしていただけるように、これは大臣から御答弁ください。
  96. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 私といたしましては、いわゆる一般職の国家公務員と変わらないようにということは、農林水産省の大臣といたしまして、林野庁を所管する大臣といたしまして再々私の意見を申し述べているところでございます。
  97. 下田京子

    ○下田京子君 次に、今度改善特別措置法が改正されることになるわけなのですが、五十三年に立てたこの改善計画をなぜに改めなければならないのか、最大の理由はどこにあるのか。私は五十三年の法制定のときに大きな二点の問題点を指摘して反対いたしました。  改めて申し上げますと、その第一は、事業運営のあり方なのです。財政悪化を理由に、公益的事業部分は収入に結びつかない、こういうお話で縮小し、そして営林局署の統廃合さらには人員削減などすべての分野でいわゆる合理化を図るというのは、国有林事業の使命を放棄してそして国有林野を一層荒廃に導くものじゃないか、こういうことを指摘しました。二つ目には、国有林野の収支改善の問題でございます。収支の悪化の根本にメスを入れずに、一般会計からの繰り入れも、いわゆる合理化前提にわずか四十八億円、依然として借入金に依存するというやり方では経営は一層悪化せざるを得ませんよと、こう指摘したのです。五年たちまして私の指摘したとおりになったと言わざるを得ないと思うのです。  改めてお尋ねするのですが、こうして五十三年度改善計画を立てたのに、今回また改正しなければならないというその最大の理由は何か。端的に言って私はそれは財政事情の悪化にあるのではないか。財務事情悪化こそが最大の原因ではないか、こう思うのです。
  98. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私ども五十三年以来、鋭意経営改善努力してまいって、それなり成果を上げたつもりでございますが、木材価格が五十四年、五年と上がりましたが、その後におきまして価格の停滞、下落等の原因がございます。それが影響しているのも事実でありますが、と同時に、やはり国有林資源事情から、従来伐採予定をしておったところが切れなくなったという経緯もございますし、また、こういう資源の重要性にかんがみまして伐期齢を延長するとか、あるいはカラマツにつきましても伐期齢を延長するとかいうようなことで、資源内容から見まして収入の対象となる伐採量の減少を来したということもこれは大きな原因でございます。また、私は、収入の木材販売につきましても鋭意努力はしているものの、まだ前垂れ精神に足らぬ、企業努力に足らぬという反省に立ちまして、収入確保のためにはさらに一層知恵を絞って販売活動をしなきゃならぬということもございます。また、事業運営につきまして鋭意作業仕組みの合理化等を進めてまいったわけでございますが、まだその成果が必ずしも十分でない、こういうふうなことがございまして、残念ながら現段階におきましては業務収入で人件費が賄えないという非常に厳しい状況に立ち至っておりますので、私どもはやはり自主的な改善努力をさらに一層高めながら、また、その上に立ちまして国民の皆さんの御理解をいただいて財政措置をお願いするということで、当初の目的としました国有林経営健全性を七十二年に確保してまいりたい、かように考えておるところであります。
  99. 下田京子

    ○下田京子君 いろいろ御説明がございましたが、問題をはっきりさせるためにお聞きしますけれども財務事情がなぜ悪化したのか、最大の理由は何だと思いますか。
  100. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) やはり業務収入が予想したのに比べまして落ちたということも棚当大きな要因の一つになっております。
  101. 下田京子

    ○下田京子君 つまり木材価格低迷ということでしょうか。
  102. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 木材価格低迷がございますが、と同時に、当初予定した伐採量よりも収穫量を落としたという経緯もございます。
  103. 下田京子

    ○下田京子君 木材価格低迷伐採量お話がありましたが、最初にある「木材価格の下落・低迷」ということなのですけれども改善計画がスタートした五十三年以降の推移を見てみますと、国産丸太の卸売物価指数の推移ですけれども、五十三年度を一〇〇といたしますと、五十四年が一一八、五十五年一三五、五十六年、下落いたしましたが一一八、五十七年一一二、五十八年が一〇六というふうになっていると思うのです。間違いございませんね。間違いあるかないかだけでいいです。
  104. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) そのとおりでございます。
  105. 下田京子

    ○下田京子君 間違いないということは、五十六年以降、今もお話ししたように確かに下落、低迷という部分もあると思うのですが、五十三年以降五十八年までの六年間を平均してみた場合にどうなるかとなると、これはまあおかると思うのですが、約一一・五%というふうになります。ですから、全体としては一五%アップのところで推移してきたというふうに言えると思うのです。  実際に、それじゃ国有林の素材販売の実績単価の推移はどうなったのか。立米当たり、五十八年はまだ実績はまとまっていないと思うので、五十三年から五十七年までの五カ年の数字をお知らせください。
  106. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 木材価格の素材単価でございますが、五十三年が、これは平均でございますが三万四百円、それから五十四年が四万一千七百二十円、五十五年が四万二百七十円、五十六年が三万二千四百六十円、五十七年が三万一千二百八十円というのが平均単価でございます。
  107. 下田京子

    ○下田京子君 今お述べになった数字を五年平均で見ますと、立米当たりは約三万五千二百円だと思います。これを五十三年に比べますと、五十三年が三万四百円ですから、これも一一五・八%というふうになります。要するに、木材価格低迷といっても、改善計画を立てた五十三年度基準で見まして、しかも全期間を通して見ますと、極端に落ち込んでいるということにはないと思うのです。先ほど改善計画の際に、二・五から六・五%の木材価格上昇を一応試算はしているのだというお話がございましたが、さっき木材の低迷だというふうにおっしゃっていましたから、とすれば、その改善計画当時によほどの価格上昇ということを見込んで立てたというふうにも考えられるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  108. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) いろいろと五十三年におきましても試算はいたしました。ただし、あくまでもこれは試算でございまして、公表数字ではございませんが、当時五%前後は上がるのではないかという意見が識者の間にもございまして、それも計算の一つのデータと相なっております。
  109. 下田京子

    ○下田京子君 一定のデータは立てたけれども、完全な具体的なものはなかったということだと思うのです。そうしますと、改善計画の見直しが必要になった最大の原因は、木材価格の低落がその主なるものではないというふうに思えるのです。  さっきお話ありました伐採量の問題なのですけれども、御説明では、一定制限があって切れなかったということもありました。確かに改善計画を見ますと、相当期間にわたって伐採量の増加が見込まれない、こういう指摘もしております。五十三年に立てた基本計画では、伐採量を年平均千三百九十万立米と見込んでいたはずです。しかし、実際の伐採実績はどうかといえば、いただいた資料によりますと、端数切り捨てて五十三年千五百三十四万立米、五十四年千四百七十五万立米、五十五年に千三百七十八万立米、そして五十六年が一千三百六十八万立米、五十七年一千四百十一万立米と、こういうことになりますから、平均いたしますと一千四百三十三万立米、つまり五十三年に立てた基本計画時点の一千三百九十万立米を上回る伐採は実施したきたというふうに言えると思うのです。どうですか。
  110. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 五十三年から五十七年まで、ただいま先生お話しの実績はそのとおりでございまして、ちょっと具体的になりまして恐縮でございますが、五十三年は当初考えました試算とほぼ同じ数量でございます。それから五十四年は、実績が計画に対して九八%、五十五年が九四%、それから五十六年が九五%、五十七年はほぼ計画どおりというふうな伐採量になっていますが、内容的には若干、今量で申し上げましたが、質的な変化がこの中に含まれております。  一例を申しますと、屋久島のあれはやめたという経緯もございますので、ひとつそういう質的な変化もございますので御理解いただきたいと思います。
  111. 下田京子

    ○下田京子君 私は、その財務事情が悪化した最大の原因がどこにあるかということを聞いたのです。そうしたら、木材価格だとか伐採量だとかという話があったのですが、結論として私が指摘したいことは、その木材の単価にしても、伐採量とも計画当時に比べたら全体としてそんなひどい落ち込みじゃないと、これは言えるということなのです。実態として木材販売の収入が改善計画の見込みと違っていなかったということだと思うのです。 じゃ問題は何かということになる。そこで、歳入面で見ますと、五十三年当時から伐採量は減ると見通していました。この理由は、過去の過伐による資源上の制約があるからだ、あるいは公益的機能からの制約があるからだ、こういうふうな説明をされていました。ところが、伐採量は減るという、そのことによる木材収入の不足分を一体何で賄うかという点で、借り入れで賄うのか、一般会計で公益的な意義をしっかり評価して賄うのか、借り入れか一般会計かと、どちらを選ぶのかという二つの選択があったと思うのです。その際に、政府は借り入れによる歳入不足の補てんの道を選んだのです。一般会計からの繰り入れはどうだったかというと、五十三年には四十八億円、次の五十四年が八十億円に、法制定後三十二億円が増になりました。しかし、その後ずっと見てみますと、五十五年は八十四億円、五十六年は八十七億円、五十七年は八十七億円、五十八年は九十億円で、五十九年度分ですか、これは九十六億円、ほとんどふえていないといってもいいと思うのです。ところが一方、借り入れの方はどうかといいますと、五十三年、九百九十七億円、そして五十八年に二千七十億円と、約一千億円以上もふやしてきたということがはっきりしているのです。問題は、こうやって借り入れによってどんどん借金をふやしてきたというところにあるのじゃないでしょうか。
  112. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 先ほど先生の御指摘の原因の中に、私ども説明を落としておりましたが、やはり人件費を初めとする諸経費の増大の問題と、もう一つは、今お話の出てまいりました造林、林道の投資資金、これは財投資金でやっておりますが、それの借入利子の増高というようなものが原因になっておるわけでございまして、私ども国有林野事業はやはり企業的に運営しなきゃならぬわけでございます。  そこで、現在人件費を業務収入で賄い得ないというふうな実態であるとするならば、もちろん業務収入の企業努力による増収確保はするわけでございますが、一方におきまして、やはり健全性確保のために要員縮減その他もやっていかなきゃならない、両面からこれは対応していかなきゃならぬ、かように思っているところであります。
  113. 下田京子

    ○下田京子君 今人件費の問題を言いましたけれども、人件費の方は、一言言っておきますけれども、五十三年に、全体の中で推移ですけれども、これは六七・一、それが五十八年度で五五・穴とむしろ落ち込んでいるのです。ですから、努力してきたということなのです。  つまり、私たちに言わせれば、人件費割合は落ち込む。つまり、賃金抑制、人減らし合理化をやったということなのです。さっき落としていたとおっしゃいましたが、大事な問題ですけれども、結果は明確だと思うのです。  私は、財務事情が悪化した最大の理由は累積する長期借入金による支払い利子、それから償還金増大にあると思います。いいですか、五十三年度が借入金の元本と支払い利子のあれがどうかというと、百三十九億円が五十九年度になって千百十三億円、八倍です。絶対額で九百七十四億円も増額になっております。五十八年度の当初実行予定ベースで見て、借入金利子と元本償還で八百五十七億円ですね。そして、五十八年の損益が六百九十三億円となっているのです。つまり、借金を返すためにまた借金して、そして赤字になっているということでしょう。サラ金財政の実態が浮き彫りになっていると思います。まさに、今日改善計画が破綻しているというその大きな原因は私はここにあると思うのです。そうでしょう。
  114. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 財投資金からの借り入れの数字は今お話しございましたが、これも財政悪化の原因の一つであるというふうに私は理解しております。
  115. 下田京子

    ○下田京子君 原因の一つなどというものではなくて、今の話をよく聞いていてくださってもう一回振り返ってもらえれば、最大の財務事情悪化の原因であるということを理解できると思います。そこを理解しないと真の改善は成り立たないということです。原因をはっきりさせないで新たな改善は成り立たないということです。繰り返しそのことを指摘しておきます。  次に、そういう考え方で、じゃ、今後十年間の改善計画なのだけれども、果たして、先ほどからお述べになっているように、収支均衡が可能なのかどうかということなのです。今後十年間の改善計画内容で具体的に聞いていきたいのですけれども、収入の中心であるのがやはり木材の販売だと思うのです。五十八年三月に策定され、八月に変更された経営基本計画では、年平均の伐採量は千二百八十万立米としております。これが五十八年実績でいけば千四百十一万立米、それよりも大きく落ち込むということになると思います。ですから逆に言うと、今後の伐採量は五十八年の実績よりも落ち込むのだ、しかし、いい財政事情にしていくのだということになりますと、よほど材価を高いように見込まないと販売収入の大幅増額は見込めないということになると思うのですが、いかがでしょう。
  116. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 今後伐採量につきましては、資源事情から減少していくというのは事実でございまして、上向きますのが昭和六十八年から以降に相なるわけでございます。木材価格の見通しにつきましては、これは需要構造の問題あるいは海外の資源との状況その他を見てまいりますと、大変難しい見通してございまして、過去三十年間見てまいりました六・五%というそういう高い見通しはとり得ないだろうと思っております。やはり私どもは販売努力で、今度はできるだけ有利な販売をすることによりまして、財政の収入確保には努力していかなきゃならぬ、かように考えておるところであります。
  117. 下田京子

    ○下田京子君 販売努力は大いに結構です。ただ、今のお話にも明らかなように、伐採量が六十八年以降にならないとふえない、しかも材価のアップは見込めない。ところが、借入金の支払い利子と償還額の合計が六十年度以降どうなっているかということなのです。これは、借り入れがないとしても、六十年度以降のものを見ますと、六十年で千二百六十四億円、六十一年千三百六十二億円、六十二年に千四百四十三億円、それから六十三年は千四百四十八億円と、六十三年度までに年々増大することになっているのです。これはもう資料ももらっていますからよろしいです。  しかし、実際は、六十年度以降も造林、そして林道、さらに今回出されておりますように新たに退職金などの相当の借り入れも見込まざるを得ない、こうなるわけでしょう。とすれば、この利子の支払い、元本償還額はさらに大きくなっていくということになるじゃありませんか、どうです。
  118. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) これからの借り入れの元木、利子の償還は大きくなりますが、私どもはやはりできるだけ財投資金からの借り入れを少なくするように努力していかなきゃならぬわけでございますので、先ほど申しましたように、林産物の販売収入を確保すると同時に、もう一つは国有林野事業の資産の中で不要資産の売り払いの問題、さらには高地価地域から低地価地域へ施設を移転することによって収入確保を図るとか、さらには林地につきましても、これは地域の土地利用計画等を、あるいは環境保全等を十分踏まえた上に立ちまして、この国有林野事業との調整をとりながら売り払うことによりまして自己収入のさらに増大を図っていかなきゃならない、かように考えておるところであります。
  119. 下田京子

    ○下田京子君 改善計画が十年延長される六十八年までに、主なる財源になる木材販売の収入も見込めないという中で、資産の売り払い、施設のどうのこうのなんというのは邪道に等しいです。この問題は次回に譲ります。  問題は、長官はさっきからお述べになっていますが、林政審でさえ指摘していますでしょう。何と言っていますか。「累積債務の増大が予想され、一面からみれば金利負担との闘いの様相を呈する」と、こう言っているのです。この今からやろうという十年間のものはまさにサラ金財政だということを林政審だって言っているのです。ここのところをしっかり押さえて、じゃどうするかということを考えていかなければならない。今ちょっと財投からの繰り入れはできるだけ見合わせたいということなのですが、とすれば、それは一般会計からの繰り入れを考えていただくしかないのです。その収支均衡の見通しなのですけれども、林野庁からお話を伺ったのです。  一定条件に基づいてのあくまでも試算でございますということで、私も聞きましたが、そのいただいた資料によりますと、仮に木材価格の方は年率四・五%アップして販売努力で一%の林産物収入増を見込んで五・五%林産物の収入増があるとして、賃金は定期昇給込みで約三%、物価の上昇率は一%、こういうことを一定条件に置いた場合に、七十二年度借入金がゼロ、つまり収支均衡させるということを機械的に試算した場合にどうなるか。それでも長期債務残高は二兆円になる、こう言っています。しかも、支払いの構造が問題です。事業支出が三千八百二十一億円、つまり人件費です。この人件費はかなり節約されるのですね、五十九年予算要求と比べますと、七十二年度でざっとマイナス一五%ということで。ところが、逆にこれは償還金一千四十二億円、それから長期借入金の支払い利子分が一千五百四十五億円、合わせますと、償還と利子分で二千五百八十七億円です。全支出の何と四割を占めるというような実態になるのです。しかも、さっき言ったようなことで仮にも木材価格が長期的に低落ということになりますと、長期債務残高が二兆円ところかもっと大きくなるということも言えると思うのです。どうです。
  120. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) これはあくまでも私ども前提条件を幾つか置きました試算の一つでございますので、ぜひともそれはそういう試算の一つであるということを御理解いただきたいと思います。
  121. 下田京子

    ○下田京子君 私は試算の一つだということで最初に理解していると言いました。しかし、単なる試算ではなくて、一定の方向に基づいて、そして林政審なり臨調なりに言われて出した試算で、やはり今後の方向を示したものだというふうに受けとめておるわけです。そういうことを考えて当面何を改善するのかといいますと、さっきもちょっと申し上げましたけれども公益的機能を維持するためには、一般会計繰り入れを考えることなのです。自助努力も結構ですけれども、本当にいい山をつくる、国民的な立場からの公益的な機能を維持するということを考えたら、一般会計繰り入れをすべきだというふうに思うのです。この点では、実は昨年十月二十四日に会計検査院が長官あてに実地検査の結果に基づいて文書で報告していると思います。その報告の中にはどういうことが書いてあるかといえば、今私が申し上げましたように、公益機能を果たすために赤字がどうかなどということで見ちゃいかぬというふうなことを指摘して、特に非採算林、主として第一種林地については、国有林野事業のみの経費負担で管理経営を行うことは合理的でない、こう指摘をしているのです。やはりこの際、思い切って一般会計繰り入れという方向で政治折衝に当たるべきだ。これは大臣から御答弁ください。
  122. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) まず、私から事務的なことを。  いわゆる非採算林の取り扱いの問題につきましては、私どもはこの調査に若干時間をかけていかなければならぬと思っております。非採算林、採算林という言葉そのものも、これは経済変動によって移行するようなものであってはなりませんので、これはあくまでもその土地の持っている機能と申しますか、木材生産機能とか、あるいは水資源涵養機能であるとか、レクリエーシーョン機能というようなものに踏まえた形のまず機能を調査し、それに対して森林地帯をどう区分するか、手入れ区分をどうするか、森林施業をどうするかということをはっきりしませんと、なかなかこの問題については難しいだろうと思います。私は、五十九年にはまず当面、公益的機能の高い林地を対象として調査をしようと思っております。それらの調査をこれからしてまいりまして、しかる後に、この問題についてどうするかということを検討しなければならない、かように考えているところであります。
  123. 下田京子

    ○下田京子君 大臣の答弁の前に。大臣、会計検査院でもそうやって指摘してくださっているのだから、長官が、何が公益かどうかということでこれから調査するなどとおっしゃっていますけれども、実は今の林野庁長官あてに出した文書の中に、こういうことを言っているのです。公益的機能を主要目的とする第一種林地が八二%を占めているが、国有林野事業会計では、どこまでが経営上の赤字なのかというふうなことで考えるのはあれだ、公益的な機能を果たすためにはやはり特別会計だけじゃどうなのだと、こう言ってくれているのですから、思い切ってこの際明確に、公益的な機能の維持のためにこうあるべきだと言って財政当局にも当たるべきだと私は思うのです。
  124. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 実態に即しまして、必要と認めればこれは私がいろいろ話をしてまいります。
  125. 下田京子

    ○下田京子君 本当に国有林野のことも考えて、国全体の山の持つ公益的機能を考えるなら、大臣、もう答えは見えていますから、はっきりした、それに報えるような答えをしていただきたいと思います。  次に、借入金の利率の問題なのですけれども、これは財投資金の金利は現在七・一%だと思います。民有林の場合は、造林、林道について国の補助を受けていますし、その上に公庫資金三・五%で四十年償還という全く長期的なお金を借り入れているわけです。こういう民有林との問題もございますが、私は、何よりも国有林野会計のあり方で考えなければならないのは、もう何度か指摘されていると思うのですけれども林業生産が長期間にわたるということなのです。ですから、資金が回収されるというのも長期的になるということなのです。さっきもお話しのように、六十八年度以降にならないと伐採量もふえないということは明確なのです。そういう点から見ても、少なくとも造林や林道等の投資資金について、公庫資金並みの金利となるような対応をしてしかるべきだと思うのです。さっきのお答えに基づいて具体的に、大臣、お答えください。
  126. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 今回御提案を申し上げております退職手当の原資と違いまして、造林、林道の場合には事業資産として資産になり、また、将来の生産活動を通じて利子も含めて償還をするという筋合いのものでございますので、なかなか造林なり林道の資金につきまして利子補給というのは難しい問題であろうというふうに考えております。民有林につきまして、農林漁業金融公庫の造林、林道の融資条件、これは我が国の森林所有者の方々の規模が非常に零細だというふうなことで、特定の政策目的を持ちまして、金利なども、いろいろな造林の種類、あるいは借入者の森林所有の規模というようなものに応じまして段差をつけておりますが、国有林の場合には国土の約二割を占めます大森林所有者でございますし、農林漁業金融公庫の融資条件と直ちに同一に扱うということはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
  127. 下田京子

    ○下田京子君 私は民有林のことだけは言わなかったのです。林業生産という特殊性をわざわざ主張しているのです。というのは、さっきもうお話があったからなのです。  ただ、造林、林道等についての財投からの繰り入れについての利子の問題というのは難しい。だけど、できないとおっしゃっていない。とすれば、やはりやっていただきたい。それをやらないということになりますと、本格的な改善措置というのが今回も見送りということになる。その行きつくところはどうかということでございますけれども収支均衡ということでもって借入金に依存していく。そうなりますと、国有林野労働者の大幅な首切り、いわゆる合理化、そして必然的に山が荒れるということになるのじゃありませんか。  先般の試算の問題ですけれども木材価格四・五%上昇という場合であっても、収支均衡の七十二年には国有林野労働者が二万人になるという話も出ているわけなのです。
  128. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 先ほど長官からもお答え申し上げましたように、業務収入をもって人件費を貯えないというような状況にございますので、私どもは一方においては、国有林野事業の職員がかなり高齢化しているというような問題も別途抱えてはおりますけれども、ここのところはやはり要員規模の適正化というものは避けて通れない道だというふうに判断をいたしております。林政審答申におきましても、五年間に現在の五・五万人体制から約四万人規模にするということを今後の要員管理の一つの目標として御提言をいただいているという状況でございます。  ただ、昭和六十四年度以降の要員規模につきましては、その時点までの国有林野事業改善合理化の進捗状況等いろいろな状況を総合的に判断をいたしまして、その時点でその後の要員管理についての方針を固めたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  129. 下田京子

    ○下田京子君 要員管理が四万人体制にというふうな指摘もあり、また、閣議でもそういう方向になっているからやむなしたとおっしゃいますけれども、私がずっと指摘してきましたのは、臨調が一体本当のところ何をねらっているかというところを明らかにしないとこれは重大だということを申し上げたいわけなのです。現行改善計画の抜本的な見直しを行い、こういって臨調では定員外職員の新規採用原則停止、そして定員内職員についても、国有林野事業の適切な運営の確保に必要な最小限の新規採用にとどめ、厳に抑制する、省庁間配置の促進も進めよ、こういうふうな指摘もあるわけです。聞くところによりますと、臨調の内部の議論の中では、かつて昭和十年前後の要員数、つまり一万人体制というような話も出ていると聞いております。こういうことでやむなしで行き着くところは、これは本当の意味の国有林野の山づくりにはならない、こういうことを私は申し上げておきたいのです。しかも、臨調答申の基本理念の中にはどういうことを言っているかというと、官業としての事業範囲のあり方を見直せと言っているのでしょう。だから、一万人体制というものが単なる議論の中で出てきたことじゃないということなのです。計画、管理、監督以外はもう民間に任せてしまいなさいということでしょう。そうなったら一万人程度という数字も出てくるのです。これは重大問題だと思います。さっき大臣が、私は農水大臣だ、本当に労働者あって山ができるのだ、こうおっしゃいました。まさかこういう方向で二万人体制どころか一万人、片や長期借金が二兆円ところか三兆円、そういう方向でよしとするのですか。
  130. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) ただいまこの問題につきましては次長が申し上げましたとおり、私どもも今後五年間に五万五千人体制を四万人体制にすることを目標に進めてまいるということで、それから以降のことにつきましては一切触れておりません。その段階で経営改善の実態を踏まえて検討するわけでございますので、一万人体制などということは全く考えておりません。
  131. 下田京子

    ○下田京子君 最後に一言。  今後、それは十年計画後また考えるのだということだけれども、さっき言ったように、臨調が言っていることはどういうことなのだということをきちっと踏まえて真の改善をやらなかったら大変なのです。大臣、そこを踏まえてくださいよということを言っているのです。御答弁をいただいて、質問を終わります。
  132. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 十分承知してやっていきます。
  133. 谷川寛三

    委員長谷川寛三君) 三案に対する質疑は本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十六分散会      —————・—————