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1984-04-24 第101回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十四日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  四月二十日     辞任         補欠選任      曽根田郁夫君     林  ゆう君      前島英三郎君     下村  泰君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高平 公友君     理 事                 坂野 重信君                 小野  明君                 太田 淳夫君     委 員                 岡田  広君                 源田  実君                 沢田 一精君                 林  寛子君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 穐山  篤君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 内藤  功君                 下村  泰君    国務大臣        運 輸 大 臣  細田 吉藏君    政府委員        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       波多 秀夫君        日本国有鉄道再        建監理委員会事        務局次長     林  淳司君        運輸大臣官房長  松井 和治君        運輸大臣官房総        務審議官     西村 康雄君        運輸大臣官房審        議官       丹羽  晟君        運輸省海運局長  犬井 圭介君        運輸省鉄道監督        局長       永光 洋一君        運輸省自動車局        長        角田 達郎君        運輸省航空局長  山本  長君        海上保安庁次長  山下 文利君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        警察庁交通局運        転免許課長    柳井 洋蔵君        行政管理庁行政        管理局管理官   稲葉 清毅君        防衛庁長官官房        防衛審議官    新田  勇君        防衛庁人事教育        局教育課長    平林 和男君        日本国有鉄道常        務理事      竹内 哲夫君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君        日本国有鉄道常        務理事      岩崎 雄一君    参考人        日本鉄道建設公        団総裁      内田 隆滋君        日本鉄道建設公        団理事      横山  章君        日本鉄道建設公        団理事      松尾 昭吾君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十日、曽根田郁夫君及び前島英三郎君が委員を辞任され、その補欠として林♯君及び下村泰君が選任されました。     —————————————
  3. 高平公友

    委員長高平公友君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸省設置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会日本鉄道建設公団の役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高平公友

    委員長高平公友君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 高平公友

    委員長高平公友君) 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 穐山篤

    穐山篤君 最初に、運輸省中央組織改編という問題についてお尋ねします。  前回の国会で、いわゆる組織法についての改正が行われました。運輸省に関して言うならば、政令で内局のそれぞれについて改正をすることができる、こういうふうに相なったわけですが、政令によりますと、七月の一日から新しい組織に変わる、こういうふうに伺っているわけですが、本省の中の組織改編がどういう視点でどういうふうに変わるのか、またそれによって行政上のサービスといいますか、機能強化をされるのか、まず、そういう点についてお伺いしておきたいと思います。
  7. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 七月一日を目途といたしまして、運輸省本省機構改正いたすことにしておりますこと、今御質問にございましたとおりでございます。この内容につきましては官房長からお答えいたしますが、考え方について私からお答えをいたしたいと思います。  運輸省という役所は、御承知のように、昔の鉄道省逓信省とが合体して運輸通信省になり、そこから通信が分かれて運輸省になる、国有鉄道が独立した公共企業体になる、こういう形でできた省でございまして、国有鉄道が分かれました二十四年に一応現在の運輸省というものができたということでございます。  しかしながら、もともと鉄道逓信両省の所管になっておりました局がございまして、この局が一緒になってやってまいるということでずっときたわけでございます。当初は、海陸、いろいろ人事面でもなかなか交流も難しい、次官も海陸交代で出すといったようなことまであったわけで、海陸、別なところから集まったといったことで摩擦もないことはなかったわけでございます。  その後、だんだん時代が進展するにつれてその点は全然なくなったと言ってよろしいのでございますが、組織鉄道自動車海運といったような縦割り行政になっておるわけでございます。縦割りで、しかも前からの伝統を受け継いで、そのまま延長をしております関係で、いろいろな点で政策的に見ると総合性に欠ける、統一性に欠けるという面がなしとしないのでございます。相互の関係においてもぎくしゃくしたものがないわけ ではありません。  こういう点から考えまして、一応この縦割りというものをこの辺で御破算にいたしまして、いろいろ政策面からこれを分けるという横割り制度をやっていこう、こういうことにいたしたというのが今回の改革最大眼目でございます。そして、いわゆる許可認可というものが非常に多いのであります。これは伝統的に多いのでありますが、いわゆる許認可行政というものが幅をきかしておるわけでございますが、これをいわゆる許認可行政本位運輸省から政策本位運輸省に脱皮してまいりたい、こういった基本的な考え方でございます。  中身につきましては、官房長からお答えさせます。
  8. 松井和治

    政府委員松井和治君) 今回の運輸省本省機構改革のねらいにつきましては、ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、具体的な再編の中身についてお答えをさせていただきます。  運輸省は、官房のほかに七つの局を持っておりますが、今回の改革は、そのうちの五つの局を再編するものでございます。すなわち、新しく設置いたします局は、運輸行政の基本的な、かつ総合的な政策立案調整に当たります運輸政策局というものと、それから国際関係が最近非常に運輸関係におきましても問題が多くなってまいりますが、その国際関係等を一体的に所管いたします国際運輸観光局というものと、それから過疎過密問題の深刻化に伴いまして地域交通の問題というものを一元的に処理する必要から地域交通局というものを設けるということ、さらに貨物の面で貨物流通局という物流全体を所管する局、まずこの四つの局をいわゆる横割り部局として新設いたしたい、これに伴いまして従来の海運局自動車局鉄道監督局を廃止したいというふうに考えております。また同時に、船舶船員行政統合いたしまして海上技術安全局を設置するということにいたしております。  したがいまして、新しくできます局は、先ほど申しました運輸政策局国際運輸観光局地域交通局貨物流通局海上技術安全局、この五つでございまして、従来の海運自動車鉄道監督船舶船員という五局が再編されるわけでございます。このような改革に伴いまして、国家的課題であります国鉄事業再建に省を挙げて取り組みたいという考え方から、国有鉄道部を従来の鉄道監督局から大臣官房に移しまして、これを統括する国有鉄道再建総括審議官というものを設置することにいたしております。  このような改革によりまして、先ほど大臣からお答え申し上げましたような、従来のともすれば海、陸、空のばらばらの行政になりがちであった運輸行政を総合的に行うことができ、かつ政策中心とした行政への展開が図られていくものというふうに考えておる次第でございます。
  9. 穐山篤

    穐山篤君 縦割りの不合理性というものはかねてから我々も指摘をしていたわけですが、これを横の線に改編するということについては原則的に私ども賛成でありまして、長い時間がかかったなという感じがするわけです。  さて、先ほど大臣も言いましたが、気持ちの上では、許認可運輸省から政策的な運輸省に衣がえをしたい、これも大賛成なんですが、現実に陸、海、空を含めまして許認可事項がたくさんあるわけです。今まで整理はしてきましたけれども、いまだに千の単位であるというふうに記憶をするわけですが、その点についてどう改革をしていくのかという考え方はいかがでしょうか。
  10. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 今回の運輸省機構改革におきまして、そのねらいは、先ほど申し上げましたように、政策中心とした行政をしていきたいということを申し上げたわけですが、これは具体的にどういう問題が多いかと申しますと、実際に私どものこれまでの行政手法中心となっております免許制度事業にかかわる規制というもののあり方は、どちらかと申しますと、事業サービスの供給と需要をマッチさせるということに重点がございます。実際の行われます行政としますと、現在ある輸送サービスをそのまま維持していくという方向に働きがちでございます。しかし、今日におきましてはどういうことかと申しますと、経済社会変革は非常に大きくなっております。  そういう点から申しますと、各事業に対して私どもがなすべき問題は、むしろこれからそういう変革に対してどういう方向行政をしていったらいいか、また国民経済の中で各事業がどういう働きをしていったらいいか、そういうことを指し示す、新しい需要変化に対してどういう方向に進んでいったらいいかということを我々は積極的にそういう体制づくりをしていく必要があるというふうに考えるわけで、そういう意味での新しい対応への展開ということを積極的にプロモートするということを中心に進めていきたいということになるわけでございますが、その観点から申しますと、新しい政策のいろんな展開のための手法というのは、目標を具体的に提示して、そこへ誘導していくというようなこと、このためにはまたいろんな意味関係者からのヒアリングを中心としていろんな意見を糾合していくというような行政手法中心としていくということになるわけでございます。  ただ、免許制度につきましては、現在、先ほど申し上げましたような事業参入規制ということが中心になっていますが、こういう中で今後どの部分を合理化していく必要があるかということを業界ともよく話し合いをしながら誘導をしていくということを考えて、そして新しいサービスをどのように提供するかということを、まず業界自身の中でも活力を与えるようにしながら、その上でそういう活力が十分出せるような免許制度に漸次移行していく。その意味ではいろんな規制を緩和していくということに相なろうかと思いますが、具体的にどういうふうな免許制度へ移行していくかということは、現実にこの制度の中で各事業者が生活しているわけですから、そこは慎重に進めなければいけないということで、今省内で勉強している最中でございますが、方向としては今申し上げたようなことでございます。
  11. 穐山篤

    穐山篤君 陸上交通に仮に限定をしましても、ハイヤー、タクシーという交通機関があります。あるいはトラックという交通手段もあります。さらには、バス鉄軌道というのもあるわけですが、なかんずくハイ・タク、トラックバス業界の中からは、思い切った自由化を認めないか、こういう強力な意見が反面あるわけです。しかし、政策的に交通秩序を維持する、あるいは安全輸送を確保するという面からいうと、野方図自由化というものもある程度抑制をしなきゃならぬ、調整をしなきゃならぬという役目が行政政策的にはあるだろうというふうに私は思うんです。自由化の波が非常に強いからばっと自由にしろというのもわからないわけではありませんが、そういう調整というものと許可認可というものをこれからどうやってマッチさしていくかということが大きな課題だろうと思うんです。その点について目下勉強中というお話でありますが、この枠組みをどういうふうに考えているのか、基本的な部分で結構でありますが、お答えをいただきたいと思います。
  12. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 今、先生お話しのように、新しいサービスのための自由化という要望が一方にあると同時に、利用者の安定的な利用関係ということを維持するための秩序の維持ということもまた一方で要求されているわけでございます。  私ども一つ考え方としては、各事業ごと市場あり方が違うということで、規制をしなければ秩序が安定できないかどうかということは非常に小さな市場、例えばタクシーのような今この街角ですぐ契約を成立させたい、利用したいというような場合と、長期間にわたってどれが適当かということを選択できるような市場と、これはまたあり方も違うわけで、そういう場合の利用関係安定化ということが大いに顧慮されなければなら ないような業種、それからもう少し長期に需給を考えてもいいような業種、これによってはまず規制の仕方が違うだろうということが一つ。  それから新しい輸送サービスの形態、新しい輸送システムをどうしても構築するということのために今の許認可免許制がいろいろと桎梏になるというような業種については、できるだけ新しいサービスが創造できるような体制づくりをしていくというような見地から免許制の緩和ということを工夫していく必要があろうかと思いますが、全般といたしますと、先ほど申し上げましたように、多数の事業者が今運輸サービスを提供しているわけですから、それらの事業者もまた安定的に新しい体制へ移行していく、その中で必要な競争と協調ということが図られるというような秩序を考えて免許制の問題を取り上げていきたいと考えております。
  13. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、先ほどお話がありましたが、鉄監局国有鉄道部大臣官房のところにストレートに直属することになるわけですけれども、この国有鉄道再建総括審議官というのは、監理委員会仕事運輸大臣仕事役割といいますか、任務といいますか、その違いはどんなところにあるのか、ここが非常に紛らわしく感ずるわけですが、その点いかがでしょうか。
  14. 松井和治

    政府委員松井和治君) 先ほどごく簡単に申し上げたのでおわかりにくかったかと思いますが、国鉄の再建問題は、運輸省のみならず、国全体にとりましても大変大きな問題の一つかと存じます。したがいまして、これを処理する私どもの一元的な窓口と申しますか、処理を行う組織というものはどうしても必要であるという観点で考えまして、かつ、ただいま御指摘再建監理委員会との連絡窓口もしなければいけない。また、いかなる組織をつくりましても、この国鉄再建問題というのは必ず複数の局、組織関係が出てくる問題でございます。したがって、その問題をやはり総括整理する職というものはどうしても必要である、こういうことから今回の改正に当たりまして、日本国有鉄道再建監理委員会に対応し、かつ省内取りまとめ役をするという形で総括審議官職を設けるということにいたしたわけでございます。地域交通局あるいは貨物流通局にももちろん国鉄再建問題は関連をしてまいりますが、それらの局と相談をいたしながら、国鉄再建に関する中心的ないわば取りまとめ役というような形でこの総括審議官が働くというふうに考えておるわけでございます。
  15. 穐山篤

    穐山篤君 再建監理委員会昭和六十二年の七月末をもって任期が切れるわけです。ところが、この大臣官房直属審議官は、その監理委員会期限とは無関係に将来ともこういう形で存続をするのか、あるいは監理委員会との兼ね合いで、またその時期になれば政令をもって変えるというふうな性格のものでしょうか。その点どうでしょうか。
  16. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) ただいま御指摘がございましたように、この再建監理委員会というのは期限が切られておるわけです。しかも、既に法律でできたものでございますから御承知のとおりでございますが、第二臨調の答申の線に沿って国鉄再建の案を打ち出すことになっておるわけでございます。  第二臨調考え方というのはいろいろございますけれども、一番大きな問題は分割民営化というものを打ち出しておるわけでございます。この分割民営化という問題について再建監理委員会がどういう結論を出して政府に答申されるか、国有鉄道運輸省関係というものは基本的にこの出方いかんによって違ってくると私は思っておるのでございます。したがって、その再建監理委員会考え方出方、そしてそれを受けて政府がどうするというときに、この組織がこのままでいいかどうか、これはあるいは考え直さなければならぬのではなかろうか。  一例を申し上げれば、国鉄が仮に、七つ程度分割ということを臨調は言っておりますが、分割されたというような場合、それぞれの独立の企業体になったというような場合には、運輸省役割というのは非常に大きなものになる可能性があるわけでございます。その場合にこの組織で対応できるかどうかということは、私は相当疑問があると思っております。でございますから、とりあえず現在の段階においてこのような形で対処してまいりたい、こういうことでございます。
  17. 穐山篤

    穐山篤君 そこの部分、後で国鉄再建体制の確立のところでもっと具体的に問題の提起をいたしますので、中央組織改革といいますか、その点についてはこの程度で終わりますが、縦割り行政政策中心運輸省に衣がえをする、そのことについては私ども賛意を表しますので、十分その機能が発揮されるように心から期待をしておきたいと思うんです。  さて次に、地方組織改正、言いかえてみますと、今回の運輸省設置法の一部を改正する法律案中身についてお伺いします。  先日も大臣から趣旨の説明がありましたが、平たい言葉で言いますと、地方海運局陸運局を単純に統合したのだ、こういうふうに読み取れるわけです。少なくとも、この種の組織改編するに当たりましては、単純な事務的、技術的に統合したというだけでは私は余り値打ちがないと思うんです。今回の統合によって、地方におきます運輸行政あるいは指導監督、助成といった分野でどれだけの機能充実をされるか、またそれぞれ地方地域交通なり何なりに従事している業者、業界、あるいは一般の利用者も今回統合になってよかったという評価をするためには、やっぱりそこに機能強化サービス充実、適切な指導というものが相またなければならぬと思うんです。この間の説明では、二つ一つにいたしました、こういう単純なお話のようでしたが、もう少し私が触れた問題を含めて内容を明らかにしてもらいたいと思います。
  18. 松井和治

    政府委員松井和治君) 御指摘のとおりで、二つの局をただ単に寄せ集めたということでは意味がないという御指摘でございますが、私どもも今回の統合に当たりまして、最近地方公共団体運輸交通に対する関心が非常に高まってきておりますが、そのような地方公共団体との連携をこれまで以上によくいたしまして、地域住民のニーズをくみ上げつつ今後の地域交通行政あり方につきまして計画性を持った仕事を進めていきたいという観点から、実は今回の統合に当たりまして企画部という部を新たに設置することにいたしまして、海陸を通じました地域交通行政計画的推進に当たらせようというねらいを最大眼目といたした次第でございます。  もちろん、地方陸運局海運局におきましては、自動車検査登録でございますとか船舶検査でございますとかというような、安全に直結する現場的な業務も数多くございます。このような業務につきまして国民行政サービス水準が低下して御迷惑をかけるというようなことのないようにという配慮はもちろんいたしたわけでございまして、私どもといたしましては、サービス水準の低下を来さず、かつ地域住民の方々の御希望を吸い上げて行政に反映できる組織をつくりたい、こういうねらいで統合を図ったという次第でございます。
  19. 穐山篤

    穐山篤君 地域交通地方交通というのが非常に重視されてきた、当然のことだろうと思うんです。地方自治体の業務の中でごみ処理というのが今専門的な業務になっておりますが、地方公共団体の立場からいいますと、住民の足を確保する、あるいは地場産業を向上させたり福祉のためにはどうしても足の問題、交通の問題というのは不可欠な要素になっているわけです。自分のところで市営交通都営交通を持っているところは別でありますが、それ以外は直接地方公共団体交通問題で発言をする、あるいは調整をするという場が従来ほとんどなかったわけです。その意味では私ども大いに期待をするわけですが、現実問題として、その地方運輸局企画部が、地方公共団体なりあるいは地方のそれぞれの交通分野に対していかほどの指導といいますか、調整といいます か、そういうものができるかどうか、その点が非常にこれから具体的になればなるほど問題になると思うんですが、その点について具体策はおありなんでしょうか。
  20. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 今、先生から御指摘のありました問題は、これから新しくできます地方運輸局が本当に生きた行政ができるかどうかという、かなり重要なポイントを御指摘になっていると思います。  私ども地方運輸行政に与えられている課題というのは、一つ中央と同じような新しい経済変化に対応していくということ、あるいは我が国の経済その他社会生活国際化という問題に対応していくということ、こういうことは中央地方を通じてやっていかなきゃならないことでございますし、また何よりももう一つ地域について問題があるのは、地域社会自立化の傾向ということもまた同時に指摘しておかなければならない。私どもの今後の地方運輸局が実際にやっていくときの手法としますと、地域社会へいかに貢献していくか、地域社会をいかに活性化させるか、その中で運輸というのがどういう役割を果たすかということになろうかと思います。  そこで、例えば新しい経済の要請に対しましても、地方における物流の新しいシステムの構築ということは各県別あるいは市町村の単位でどんどんやっていかなきゃならない、こういう点では今までの陸運局海運局というような区分けではできなかった問題がございます。こういう点を企画部が担当して、地方公共団体、これは各県の商工部その他、そういうところとも密接な連絡をしていくということもまた必要でございますし、その結果、地域地場産業の振興、新しい地方運輸業の育成ということにもつながっていくことであると思います。  また、地域における交通施設の整備ということは、先ほど御指摘のような地方住民の足の確保という点からも極めて重要でございますし、今回の改正地方企画部一つ重要な役割としてありますのは、地域交通計画を整備していくということでございます。そこで、地方には、現在ございます地方陸上交通審議会を今度は地方運輸局ごとの審議会に組織がえいたしまして、そして各県ごとに部会を設け、そこで各県ごとの計画を知事部局等と一緒になって形成していくということも考えているわけでございます。そういう意味では、今後の運輸省行政手法一つの重要なあり方として、地方公共団体との密接な連携ということを一つ課題なり手法としてこれから企画部行政展開していく、こういうことを通じまして地域の振興に積極的な貢献をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  21. 穐山篤

    穐山篤君 地域交通の整備に関して衆議院で決議をされ、今主要な府県において地方交通整備の問題が審議されたり、あるいは既に答申をしたところもかなりあるわけです。あの作業をじっと見ておりまして、地方の専門家あるいは行政レベルでもそうでありますが、単に計画を立案をするだけではどうもぴったりこない、もう一歩前に進めて、この地域交通整備のプランというものが実行に移されるような具体的な方途が欲しいものだというのが全部答申の出したところの意見であります。そのことは運輸省も知っていると思うんですが、こういう意見にこたえて、もう一歩前に出るといいますか、突っ込んだ地域交通の問題についての対策というものの実現に向かって、今度新しくできますこの地方運輸局はそういう分野についても一歩前に出る、あるいはそのプランが実行に移されるような段取りをするようなことになるんでしようか。あるいはプランというものは従来どおりのものと同じということになるんでしょうか。その点どうでしょう。
  22. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 地域交通計画を策定しまして、それをできるだけ現実のものとしていくということがいかに地方交通行政のために重要であるか、御指摘のとおりでございます。  現在、既に十五地域が計画を策定しております。そこで、その計画の進捗が遅々としているという御指摘もあるいはあるのかもしれません。ただ、全般に申しますと、今回の地域交通計画はおおむね十年後を想定してそれに向かって着実に計画を実施していこうということでございますので、計画ができてすぐどうこうできるということではございませんが、それに基づきまして、その地方の都市の計画をつくり、あるいは今後のバス路線網の整備をし、地方鉄道の免許を考え、国鉄の都市におきます役割機能強化というようなことを逐次実施していくわけでございますが、私ども、新しい運輸局になりますときは、そういった機能を従来以上に重視して、できるだけ地方運輸局の総力を挙げて推進していきたいというふうに考えております。
  23. 穐山篤

    穐山篤君 大臣に伺いますけれども、この七月一日に移行します政令は、先ほど説明のあったように、陸運局海運局一緒になるけれども地域交通というものを重視した。  そこで、こういうことは研究をされたんでしょうか。例えば観光の問題です。国際空港、東京、成田、さらには大阪、それから最近、運動としても札幌国際空港化という話、あるいは九州長崎におきましても経由で出ているのがあると思うんですけれども、この観光の業務について今回の改正では国際運輸観光局というところに集約をされたわけですが、この観光の分野の態様を考えてみますと、中央からの指導監督というものも必要だろうと思いますが、やっぱりそれぞれの地域におきます観光という問題についての運輸省サービスあるいは監督指導というものが私は必要ではないかというふうに前から感じていたわけですが、今回の案を考えるときに、例えばの話、こういった観光の分野についても地方運輸局で、ある程度一定の部分だけは受け持ちましょうというふうな政策的な議論はなかったんでしょうか。あるいはその他の問題でも結構です。
  24. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 観光の問題につきましては、今お話のありましたように、中央では国際運輸観光局が所管いたしますが、やはり地域における観光の振興ということは、今後の地場産業としても観光を評価していく必要がございますし、あるいは国民のレクレーションという見地からも観光を評価していくということは当然今度の新しい組織改革でも考えていたところでございます。  それで、具体的には地方運輸局ではどういうことを考えるかということでございますが、地方運輸局の企画部地域整備課というのを設けることにいたしておりますが、この課は、地場産業の振興というような一般的な問題と同時に、具体的には地域の観光の振興ということを所管させるつもりでございますし、あるいはさらにそういうものとの関連で、地域がどういう輸送サービス、全体として航空から海運すべてを含めまして地域サービスを必要としているかということ、運輸行政に対して地方がどういうことを要求しているかということをよく調査しまして、その中で観光の問題はやっていきたい。  現実に、地方の観光の問題としますと、地域観光の活性化ということが重要でございます。各地の観光地で非常に衰微しているところもございます。そういうところでは新しい観光の開発のための情報が特に必要とされているわけで、中央におきましてもこれまで観光部が地方の都道府県の観光担当課と連携いたしまして、そういう意味での情報交換あるいはほかの観光開発の手法を御紹介するというようなこと、研修等を通じまして活動しておりますし、また日本観光協会というような民間の組織を通じても地域の観光開発というのを全国的な形で展開を進めているところでございます。今後とも、先ほど申し上げましたような地方運輸局を核といたしまして、各観光地の実情に合った地域観光行政というものを進めていきたいというように考えている次第でございます。
  25. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) ちょっとつけ加えて申し上げます。  今、総務審議官からお答えいたしましたが、観光というような問題こそ、海運局陸運局に分か れておるのではなくて、運輸局という一本であることが非常にスムーズにいく望ましい形になるというふうに思います。それから海陸の接壌点における倉庫とか、そういういろんな問題があります、海と陸とが絡み合っている問題。こういうものはうまくいく。今お話のあった観光などは、今度一本になることによって非常にその点は海だ、陸だということでなく、うまくいくのではないかというふうに私は考えております。
  26. 穐山篤

    穐山篤君 この企画部業務の中にそういうものがあるのだということが、ざっくばらんに言いますと、今初めてわかったようなことなんです。だから、私はぜひそういうことをやってほしいと思うんですが、例えば観光の仕事一つでも、文部省がやっていたり、文化庁がやっていたり、農水省がやっておったり、大変なものなんです。それが、例えば観光の情報が有機的に連結されていないという弱さを持っています。今回のこの問題で直接かかわりはないような感じがしますけれども行政改革というのはそういうふうな縦割りでなくて横割りという方が私はいいのじゃないか、こんなことを申し添えておきます。以上で地方組織の問題は終わらしてもらいます。  次に、鉄道建設公団の問題について、まず現状をお願いしたいと思うんです。  過日、予算が成立しました。その結果、実行予算というものを組んでおられるんでしょうが、ことしの主たる事業計画、この点を御説明いただきたいと思います。
  27. 横山章

    参考人(横山章君) 五十九年度の主な業務内容を御説明いたします。  AB線につきましては、鹿島線、内山線、野岩線、宮福線、この四線が工事中でございます。五十九年度の予算案では百四十億円ということになっております。  それからCD線でございますが、工事中のCD線は、小金線、京葉線、岡多線、瀬戸線、呼子線、この五線でございまして、五十九年度の予算案は六百億円ということになっております。  それからE線、これは津軽海峡線でございますが、本体工事及び取りつけ部の工事を進めておりまして、五十九年度の予算は五百二十億円ということになっております。  その次にG線、新幹線でございますが、上越新幹線は既に開業いたしまして、現在騒音対策の障害防止工、それから側道整備等の残工事をやっております。五十九年度の予算案は九十億円ということになっております。  それから整備新幹線、鉄道公団の担当では北陸新幹線でございますが、現在着工準備のための調査を進めておりまして、予算は調査費で十三億六千万円でございます。それから建設費で五十億円が概算決定で認められておりますが、これは当面保留される予定でございます。  それからもう一つ鉄道公団の事業ではP線ということで民鉄線をやっておりますが、現在工事中のP線は伊勢崎線外十二線でございまして、五十九年度の工事予算案は四百八十億円ということになっております。  以上でございます。
  28. 穐山篤

    穐山篤君 青函トンネルの建設工事は何回となく修正になったやに記憶をしているわけですが、今の状況でいきますと、おおむねいつごろ完成ということになるんでしょうか。
  29. 松尾昭吾

    参考人(松尾昭吾君) 青函トンネルは、本体が五十三キロ八百五十メーターございまして、現在トンネル工事を進めておりますのは海底の中央部だけでございまして、その掘削の延長はこの二十日で一キロ四百メーターぐらいになっております。したがいまして、明年六十年の春には貫通できるものと考えております。  それから開業関係ということで、軌道工事につきまして、昨年の十月中旬ごろからトンネルの両口からスラブ盤の敷設、レールの敷設等を進めてまいっておりまして、片線分で十七キロ少々の完成を見ております。また、電気工事につきましては、軌道工事とあわせまして照明や通信線等の工事を進めてまいっております。それから取りつけ部の工事がございますが、北海道側の方はトンネルが全部貫通いたしまして、橋梁、盛り上等の明かり工事に主体が移ってまいっておりまして、また本州側につきましても、トンネル工事の最盛期を迎えてまいっております。したがいまして、青函トンネルを含めました全体の工事は、六十一年度完成を目途に鋭意進めてまいっておるところでございます。
  30. 穐山篤

    穐山篤君 もう一度お伺いしますが、本州側とそれから北海道側、あそこは木古内まででしょうか、あれの路盤それから軌道というのは、ゲージが一メーター〇六七と一メーター四三五の両方がセットされるような路盤工事になっているんですか。
  31. 松尾昭吾

    参考人(松尾昭吾君) 現在、トンネル自身は新幹線が複線で通れます断面でつくっておりますので、スラブ盤と申しましてレールの下に敷設いたします盤は、標準の新幹線のゲージとそれから在来線のゲージと両方敷設できるようにスラブ盤を敷設してまいっております。
  32. 穐山篤

    穐山篤君 さてそこで、運輸大臣は、先日、青函トンネルの有効的な利用、こういうことで答申をいただいたわけです。鉄建公団の技術屋さんの立場からしてみると、何に使うかが皆目見当つかないで最高の技術でトンネルの掘削をやっているというのは大変な気持ちだろうと私は思うんです。そこで、単に鉄道が走るというだけでなくて、もっと有効的な利用はないかというふうに私は善意に解釈をいたしますけれども、全く残念なことだと思うんです。  さて、この最終報告をいただきまして、運輸大臣としては、カートレーン方式というんですか、これについての御感想はいかがでしょう。
  33. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 青函トンネル問題懇談会の御答申をまだいただいたばかりでございます。  結論的に簡単に申しますと、やはり鉄道として利用すべきである、こういうことについてははっきりしておるのであります。ほかの目的に使うということはいろいろ議論はあったが、やらない。そして、在来線としてつなぐ方法が一つ。それからカートレーンを、トンネル区間だけ大きい車が走れるようにする。つまり、在来線で結びますと自動車はせいぜい四トン車ぐらいまでしか運べない、したがって、より大きな車が積めるようにトンネルの中だけをやったらどうかというのが一つの案。もう一つの案は、前後の接続する部分をつないで大きなものが運べるようにしたらどうか、こういう案なんでございます。  まだ比較検討しておる段階でございまして、どちらがいいという結論は出ておらないのでございまして、なるべく早い時期にこれは決断をしなければならない。ただ、投資の関係も実は出てまいるものでございますから、大きい車が運べる方がより有効にトンネルとしては使えることは間違いないんですが、投資とそれから輸送需要といいましょうか、トラック需要、そういうものをもう少し検討いたしませんと結論が出てまいらない、こういうことでございます。  このトンネルにつきましては、単純にこれを経営の見地から見ればこれは問題にならない。建設費の利息や減価償却を考えますと問題にならないんですが、大きな国土開発的な見地、特に北海道の開発、北海道の道民の皆さん方の感情、気持ち、文化、いろんなものから考えてみてこの隊道はどういうふうに利用することが最高であるかという結論を出すべきである、ただいまのところ、そこの辺まででございます。いずれにしても、そう便々と長くこの方法についてどっちにするかということを決めないでおくという状態はよろしくない、かように考えておる次第でございます。何しろ出たばかりなものですから、なるべく早く決断をし、必要の投資をするものならばしなければならない、私はかように思っております。
  34. 穐山篤

    穐山篤君 大臣、こういう答申がなされて、道民の声だとか利用者の声というものを十分に踏まえて政策的にどうするか、いずれ決断をしなければならぬと思うんです。問題としては、青函連絡 船という問題点が将来残るわけです。それから新しい分野で言えば、付加価値情報網、VANという問題もこの隧道の中を活用ができるかどうか、そういう将来的な問題もあるわけです。しかし、完成時までどういうふうになるのかわからぬでは、当事者も困りますけれども、全体の問題としてうまくないと思うんです。大臣の気持ちとしては、おおむね時期的にはいつごろまでに、この青函トンネルの利用のあり方あるいは、相当の資本を投下しているわけですが、これの財政的な負担の問題というものを明らかにされるのか。その点いかがでしょうか。
  35. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 今お話がございました新しい通信網といいましょうか、そういうもののための活用というようなことも当然これは考えていかなきゃならぬ。もっとも、これは国有鉄道全体の問題に関連して今実は問題になり始めておる問題で、一青函の問題ではございません。  それから決めることは、私は六十年度予算の概算要求までには少なくとも決めなければならない。そうでないと、どちらに決めるにしましても、六十年度予算をどうするかというときにこれが大きく違ってまいりますから、目安としては大体私としてそのように考えておる次第でございます。  それから工事そのものは、本隧道が抜けるのはもうわずかでございますから、おっしゃるように早く決めてやらなければこれはいかぬ、かように思っております。
  36. 穐山篤

    穐山篤君 それと裏腹の関係になるわけですが、これからの鉄道建設公団のあり方、そのことについて触れておきたいと思うんです。  五十五年行革では、昭和五十四年十二月二十八日の閣議決定「特殊法人の整理合理化」の中で、「日本鉄道建設公団については、上越新幹線及び青函トンネルの本体工事が完了した時点(昭和五十八年度)において、他との統合等を図る。」、こういうものが打ち出されているわけですが、このことについてまず行管庁の考え方ですね、五十五年行革で「(昭和五十八年度)」と、こう書いてあるわけですが、どういう認識を持ってあの閣議が決められたのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  37. 稲葉清毅

    説明員(稲葉清毅君) ただいま先生指摘のとおり、いわゆる昭和五十五年行革、昭和五十四年十二月二十八日の閣議決定では、鉄道建設公団に関しましては、「上越新幹線及び青函トンネルの本体工事が完了した時点(昭和五十八年度)において、他との統合等を図る。」ということになっていたわけでございます。  これは当時の見通しといたしましては、残工事が昭和五十八年度内には完成するというふうに推定されておったということで、「青函トンネルの本体工事が完了した時点(昭和五十八年度)」と書いたわけでございますけれども、その後、私ども聞き及ぶことによりますれば、海峡中央部の地質が予想以上に軟弱であったというようなことで工事が遅延しており、先ほど鉄道建設公団の方から御説明がありましたように、その完成は昭和六十一年度中と見込まれる、このように聞いておるわけでございます。  それで、私どもといたしましても、閣議決定の趣旨は、あくまでも鉄道建設公団の主要工事でありますその両工事が完成する時点というふうに考えておりますので、昭和六十一年度をめどに閣議決定の趣旨に沿った措置がとられるように期待している次第でございます。
  38. 穐山篤

    穐山篤君 この五十五年行革というのは、各省庁が検討をして持ち寄って閣議で決めたものと私は理解をしているわけです。言いかえてみますと、運輸省が公団関係者と十分に協議の上で他との統合などを図る、こういうふうに提唱して閣議で決められた、こう相なるわけであります。その当時の認識としては、どういう視点で統合を図るというふうなことをある程度想定をしておったと思うんです。時期のことは別にして、統合ということについて意識して提示をされておったと思うんです。その当時の運輸省考え方、これはいかがですか。
  39. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) この昭和五十四年のいわゆる行政改革計画におきまして、前文にございますが、行政の各般にわたる徹底した簡素化、効率化対策というものの一環としまして、いわゆる特殊法人の整理合理化で幾つかの特殊法人を対象にいたしたわけでございますが、その中の一つとして鉄建公団につきましては主要工事が終わりますときにその統合等を図るというようなことで合意を見たわけでございます。  その時点におきまして、どういう形でこの公団を統合等の方向に進むかということの具体的な考え方というものは、やはり当時は五十八年でございますので、四年先のことでございまして、鉄道の将来の建設のニードというようなものだとか、いろんな問題の発展なり変化が考えられますので、当時におきまして具体的にどうということで絵をかいたということはないと思います。当然に、五十八年当時、その事態になりましたときにおきまして、鉄道建設公団の現状のいろんな内部的な問題等々も踏まえながら対応しなければならないということは考えたと思います。
  40. 穐山篤

    穐山篤君 どうもはっきりしないですね。その当時、行革ばやりあるいは統廃合というのがはやり言葉でしたから何か使ったというふうな感じの御答弁ですが、それでは運輸省として責任ある答弁じゃないと私は思うんです。鉄道建設公団というのは全国ネットで仕事はされておりますけれども、いずれは大きな工事が終了する時期があるだろう。これは本四架橋についても同じことが言えるわけです。本四架橋も、当初予定では昭和六十二年に完成をする。そうなりますと、あと残りますのは、本四架橋公団というのはサービスをする部分が少し残る、こういうことはだれでも認識ができるわけです。  ですから、当時はやっておったから他との統合を図るというふうな答弁では、これは余りに無責任じゃないかと思うんです。過去のことはいいとしまして、いよいよ完成時が近くなってくるわけでありまして、公団の持っております高度な技術をどう温存していくか、それから技術断層の防止をどうやって補強していくかという問題を踏まえて、公団職員全体としては先行き非常に懸念を持っているわけです。  そこで、公団にお伺いしますが、まだ一生懸命に仕事をしているときですから人心を乱すようなことはなかなか言えない状況にあるのは当然でありますが、公団の希望として、私が今申し上げましたような技術の温存、最高技術のこれからの発揮というふうな問題、あるいは実際に技術屋さんが全国各所で働いているわけですが、こういう人たちの気持ちを参酌してどういう方向がいいか、心境をひとつ教えてもらいたいと思います。
  41. 内田隆滋

    参考人(内田隆滋君) ただいま先生の方から御懇篤なるお話がございましたけれども、御指摘がありましたように、上越新幹線並びに青函トンネルが完成した時点で他との統合等を考えるという 閣議決定がございます。  それで、今現在は、上越新幹線の方は完成いたしましたけれども、青函トンネルの方はあと二年ばかり、地質等の関係でおくれております。したがいまして、その時点におきましてこの問題が検討されるというように私たちは考えておるわけでございますが、ただいま先生の御指摘がございましたように、当鉄道公団は創立以来約二十年たっておりますが、その間におきまして、上越新幹線あるいは青函トンネルあるいは京葉線等におきます軟弱地盤のトンネルの施工法等につきましては世界に誇る技術を持っておるわけでございます。従業員が、ただいま大分減りまして、二千六百人ぐらいおります。それらの個々の技術が大変すぐれているということも事実でございますが、鉄道公団の組織全体としてこのような大規模プロジェクトに取り組むシステム、これが非常に大切であるというように考えておるわけでございます。  したがいまして、今後どういう方向でこの統合等というのがなされるか、これは御当局にお任せせざるを得ないわけでございますが、この技術集団を分散することは非常に国家的な損失である。 私たちといたしましては、この技術集団を、将来起こるであろう大規模プロジェクト、そういうものに対して一体でその仕事に取り組むことができるようにぜひともお願いいたしたい。今後、国会の諸先生並びに政府御当局に対しましても、そういうことでお願いをしてまいりたいというように考えでおる次第でございます。
  42. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) この問題は私からお答えした方がよさそうでございますから、今の公団の総裁に加えてお答えを申し上げたいと思います。  今、答弁にもありましたように、「統合等を図る。」、こう書いてある。鉄建公団が持っておる技術力、ノーハウ、これは世界に冠たるものであるわけです。日本に鉄道を敷く必要が全然ないということであれば、これは考え方を変えなくちゃいけません。それにしても海外の問題は非常にあります。いわゆる技術協力その他、海外の鉄道需要というのは非常にあります。この点を別にしまして、やはり日本の国内でそれでは鉄道を敷く必要がないのかといいますと、私の理解しております限りではまだ非常にたくさんあるのでございます。現に、一例を申し上げれば、東京付近、大阪付近の大都市交通といったようなものを考えましただけでも、これは必要があるわけでございます。  ですから、そういった意味で、このせっかく持っておる技術力というものは結集をさしておかなきゃならぬ、そして活用をしなきゃならぬ、これが基本でございます。したがって、技術者なり、そういう働いておる人たちに不安を与えることは私はいけない。ただ、その技術力を発揮するのにこの公団がどういう形がいいか、あるいは「統合等」というのですから、どこと統合したらいいかということをこれから考えていくということではなかろうか、こう思っておるのでございます。  先ほど鉄監局長が答弁しましたが、当時は大きな仕事が済んだら国有鉄道と一緒にしたらどうだというようなことも一つの考えとしてあったことは事実なんでございます。大きなものが済んでしまうから、国鉄と一緒になって、そして仕事を続けていったらどうだ、こういうような考え方もあったわけなんでございますが、国有鉄道自体をどうするかという問題、特に国有鉄道のこれまでの大きな投資、あるいは今後行われるかもしれない、行われるべき投資というものをどういう形にするかという問題もこれは国鉄再建の問題に絡んでの根本的な問題でございますので、青函トンネルは先にそういう形が極端な形で出ているような格好をしているわけでございますから、そこらの問題とあわせてこれは考えていかなければならない、国鉄の再建と絡んで鉄建公団をどうするかということを考えなきゃならぬ、こういうふうに私は考えております。
  43. 穐山篤

    穐山篤君 かつて、私も国鉄統合をするのではないかという不確実な情報を聞いたことがあったわけですけれども、今の大臣の心境からいうと、そういうふうなものでなくて、もっと別な角度から統合などを研究したい、なかんずく、この最高の技術を永続的に生かすために一番効果的な集団にしたい、こういうふうに理解をしていいんでしようか。
  44. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 日本に鉄道を敷かなきゃならぬ必要性がまだあると思うんです。これは現実に大都市付近の通勤交通などを考えますと、一番端的な例で言うと、第二常磐線を敷くといったような大変な熾烈な要求があるわけです。大阪付近でもございます。あるいは新幹線も今のままでいいかどうかということになりますと、私は長い目で見て、新幹線を日本じゅうを覆うようなことは別としまして、やはり延ばしていくということも考えていかなきゃならぬ。こういうようなことを一体どういう形で今後国としてやっていくか。今の国有鉄道の形でやるということについては相当大きな問題があるわけなんでございます。したがって、この問題をどうするかということとあわせて考える、こういう意味でございます。
  45. 穐山篤

    穐山篤君 最後に要望しておきますが、長い時間、職員に情緒不安定な状況を続けさせておくということは余りいいことではないと思うので、十分意見を交換して得心がいく解決を図ってほしい、きょうのところはそういうふうに注文を申し上げて、公団の問題については終わりたいというふうに思います。  さてその次に、海上保安庁の問題について。  ここ数年、運輸省並びに海上保安庁として海上保安体制強化、こういう問題が提起され、ことしの予算におきましても広域的な哨戒体制という問題について予算上からも裏づけされています。この基本的なねらいといいますか、そこの点を明らかにしてもらいたいと思うんです。
  46. 山下文利

    政府委員(山下文利君) 先般、SAR条約、つまり海上における捜索救助に関する国際条約というのが採択になりまして、この条約は十五カ国が批准して、その後十二カ月たてば発効するという前提になってございます。既に十四カ国が批准をしておりますので、発効は時間の問題でないか、このように思っておるわけでございます。  この条約の内容は、各沿岸国が一定の海域を決めまして、その海域で捜索救助の責任を分担し、かつ隣接国と協力いたしまして全世界的に海難救助体制を完成しよう、このようなねらいでございまして、我が国としては、世界有数の海運水産国でございますので、ぜひともこの体制に参加すべきであろうということで現在関係方面と折衝中でございます。  ところで、このSAR条約体制に入りますと、太平洋岸におきましては距岸千二百海里という広大な海域を分担することになりますので、そのためにはいろいろな対応策が必要でございますが、その一つとして広域哨戒体制としてヘリコプターを二機搭載した巡視船を含めた巡視船の増強とか、あるいは遠距離用の大型航空機の増強とか、そういったことを早急に実施しなければならないということが必要になってございます。  また第二に、このSAR条約でも指摘されておるところでございますが、船位通報制度というのを含めた海洋情報システムというのを早急に整備する必要もございます。  そのような点を踏まえまして、予算においていろいろお願いしておるところでございます。
  47. 穐山篤

    穐山篤君 今お話がありましたように、あと一カ国批准をすればSAR条約というのは発効することになるわけですから、ごく近日中という時間的な関係になると思うんです。  さてそこで、日本海側の境界線は、俗に言う中間線というものを考えているのか。それから千二百海里といいますと、太平洋側ではおおむねどこが守備範囲ということになるんでしょうか。
  48. 山下文利

    政府委員(山下文利君) ただいまのSAR条約によりますと、それぞれの担任水域は隣接国と協議をして定めるということになってございますので、最終的には、日本海については相手国であるソ連あるいは北鮮、韓国、そのあたりとの協議にまつ必要がございますし、また太平洋側につきましては主としてアメリカとの協議になろうかと思いますが、それぞれの領土から考えますと、ほぼ中間的な線を引けば千二百海里ぐらいになるのではなかろうかという現在の推定でございまして、正確には今後各隣接国との協議が必要であろう、このように考えております。
  49. 穐山篤

    穐山篤君 過日、毎日新聞だったでしょうか、海上保安庁が巡視船に放射能測定器など高度な機器を搭載した装備をやっている、こういうふうに報道されているわけですが、これは今も領海十二海里、経済水域二百海里問題とあわせて広域監視体制を十分ににらんでこういった装備を搭載する、こういうふうに考えていいんですか。それとも、これは全然別の角度から巡視船の機能強化を図っているのだ、こういうふうに理解していいんでしょうか。どちらでしょうか。
  50. 山下文利

    政府委員(山下文利君) 従来から東京湾とかあるいは佐世保港には核関係の汚染問題がしばしば起こっておりまして、それらの港内においては既にそのような調査機能を備えた船を、小さな船でございますが、配置しております。しかし、最近 は外洋において原子力潜水艦が衝突するとか、そういう事案がしばしば起こっておりますので、そのようなものに対応するために一応そのような装置を備えた新しい船をつくったわけでございます。したがいまして、この問題はSAR条約に伴う広域哨戒体制とは別個の必要性に基づいて並行して実施しておる内容でございます。
  51. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、千二百海里哨戒体制あるいは救助体制というものが近々発足することになるだろうと思うんですが、その場合に、しばしば議論されておりますシーレーン防衛というものの自衛隊と海上保安庁とのかかわり合いはどういうことに理解したらいいんですか。
  52. 山下文利

    政府委員(山下文利君) シーレーンの安全問題というのを、これは外国の艦船からの武力による攻撃に対応するものである、このように理解いたしますならばこれは自衛隊の問題でございます。しかし、幅広く平時における海上輸送の安全問題、このように理解いたしますならばこれは当然海上保安庁の任務でございまして、そのようなシーレーンの安全問題というものは私どもの通常業務として当然行うべきことだ、このように考えております。
  53. 穐山篤

    穐山篤君 海上保安庁の所掌事務第二条なり、あるいは第十八条の強制処分の法律的な分野を見てみますと、例えば第二条では「海難救助」、これは一目瞭然であろうと思うんです。もちろん、それは米ソの艦艇が過って衝突をしたという場合もないわけではありませんけれども、「海難救助」というのは意味がわかりそうな感じがします。「海洋の汚染の防止」、これも常識的にわかります。「海上における犯罪の予防及び鎮圧」ということになりますと、少しこれは自衛隊の問題と部分的にラップする可能性なきにしもあらず、こういうふうに思うわけです。それから「海上における犯人の捜査及び逮捕」、これも何らかの条件のもとには起こり得る問題だというふうに思うんです。それから「海上における船舶交通に関する規制」、これについても厳密な意味で言うと、あれは日米の艦艇の問題だ、あるいは航空機の問題だというふうにしらばくれるわけにいかない問題が可能性としては出てくるわけです。  そこで、この広域的な哨戒体制について、自衛隊の守備範囲、それから海上保安庁の守備範囲の問題について、両庁で厳密な意味で協議をされたことがあるんでしょうか、あるいはその内容はどうなんでしょうか。
  54. 山下文利

    政府委員(山下文利君) ただいま御指摘のございました海上保安庁の所掌につきまして、その範囲がいういろございまして、例えば領海内においては刑事問題について犯人の逮捕とか鎮圧ができるとか、あるいは経済水域内においては外国の密漁船の取り締まりあるいはこれを追い払うとか、そういうことができるとか、それから海難救助につきましてはこれは極端に言えば全世界的にできるとか、それぞれ範囲が異なっておりまして、それぞれに対応した業務を行っておるところでございます。  ただいま御指摘の警備行動につきましての範囲でございますが、例えば平時における海賊行為というようなことになりますれば海上保安庁で対応するわけでございますが、それ以外の問題につきましては、これは防衛庁との間に警備行動に関する協定を既に結んでございまして、これに基づいてまず海上保安庁が前面的に出て対応する、ただし、これは平時の問題でございます。それで対応できない場合は、海上保安庁の要請に基づいて防衛庁が警備行動に出動する、このような内客を盛り込んだ協定が既に行われておるわけでございます。
  55. 穐山篤

    穐山篤君 平時の場合といいますか、現在の状況では、海上保安庁としては自衛隊との区分けはおおむねできるだろうと思うんです。しかし、シーレーン防衛については、昭和五十七年九月の日米安全保障事務レベル協議で前提条件というものが協議をされました。その前提条件についてはある程度意思の疎通が図られているわけですが、具体的な問題については目下協議中なんです。  三つあるわけですが、対ソ潜水艦哨戒、それから撃破態勢というのがシーレーン防衛の中の一つの重要な作業になっているわけです。それから二つ目には、宗谷、津軽、対馬の海峡機雷封鎖の態勢の問題が議題になっているわけです。三番目に、対ソ洋上防空迎撃態勢というのがあるわけです。  わかりやすい問題を取り上げてみますと、二番目の宗谷、津軽、対馬の海峡の問題。これはSAR条約が発効した段階でソビエトなり北朝鮮なり韓国と話をするにいたしましても、ごく常識的に言えば中間線、大陸棚があるかないかによっても多少の議論の違いがありますが、これは全部海上保安庁のエリアとぶつかる問題です。そこで、片方のシーレーン防衛の方は、私どもの態度からいいますと賛成しがたい話なんですが、この方はずっと作業がおくれているわけです。ところが、SAR条約が発効した場合には、海上保安庁の仕事は、日本海はもちろんのこと、太平洋まで千二百海里体制で哨戒体制をするということになりますと、先んじて行動を起こすことになるわけです。紛らわしい事件なしとしない、こういうふうに考えるわけですが、そういうことについて十分な対応を今検討されておりますか。
  56. 山下文利

    政府委員(山下文利君) 海上保安庁で実施しますSAR体制と申しますものはあくまで海難救助がねらいでございまして、遭難した船舶に対して緊急に出動して、体制を整えてこれを救助するということがねらいでございますので、外国不審船に対する警備ということを千二百海里に広げて実施することをねらいとしたものではございません。
  57. 穐山篤

    穐山篤君 この点、時間ありませんので、あと専門的には野田委員の方から具体的に煮詰めてもらうことにします。  さて、国鉄再建の問題について最後にお伺いします。私の持ち時間は十二時まででありますので、あと三十分しかない。国鉄問題について簡潔にお尋ねしますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  再建のために必要な経営改善計画十項目というのがございました。この進捗状況について、おおむねこれは終わった、これはまだこういう分野が残っている、そういう区分けで、ひとつ簡単に説明をいただきたいと思います。
  58. 竹内哲夫

    説明員(竹内哲夫君) 緊急十項目のうち、第一番目は職場規律の確立という問題でございます。これは現在総点検を年に二回引き続いて行っておりまして、この三月末に第五回の点検を行ったところでございます。今後、なお引き続きやってまいります。  なお、その際に、現場協議制度とそれから信賞必罰という問題がございましたけれども、現在現場協議制度については新しい制度に切りかえてございます。  それから昇給協定につきましても、これも既に改定を行ったところでございます。  それから新規採用の原則停止という問題がございますが、これは既に五十七年度の合理化、五十八年度の合理化を予定以上に実施いたしまして、五十八年度、五十九年度とも新規採用の原則停止を行っておるところでございます。  それから設備投資につきましては、五十七年度の予算に対しまして五十八年度では三千三百億円、並びに五十八年度予算に対しまして五十九年度ではさらに約千四百億円の抑制を行ったところでございます。  それから貨物営業の合理化につきましては、これは五十七年の十一月にダイヤ改正を行ったわけでございますが、その際、六十年度までに実施すべきものを繰り上げて行ったところでございますが、その後の状況の推移を見まして、さらに五十九年二月に、施策をさらに深度化いたしまして、直行輸送体制へ転換をしたところでございます。  それから地方交通線の整理の促進という問題でございますが、これは現在第一次選定の四十線のうち、既に十六線は転換を実施あるいは方向づけを行っておるところでございますが、その他の線 区についてはなお引き続き協議中であるというような状況でございます。  それから乗車証制度並びに兼職議員の承認の見直しという問題がございますが、これは既に実施をいたしたところでございます。  それから運賃の適正化という点につきましては、安易な改定を行わないということで五十八年度は改定を見送ったわけでございますが、五十九年度はこの適正化という観点から全国一律運賃制度を見直しまして、幹線と地方交通線というものと区分をいたしまして、その賃率を別個につくったというようなことで、この二十日から実施をしたところでございます。  それから資産処分に関しましては、当初見込みをさらにふやしまして、五十八年度予算並びに五十九年度予算におきましても千六百億円という規模での資産処分を実施あるいは実施中でございます。  それから最後に、自動車、工場、病院の合理化等という点がございますけれども、これは所定の線に従って進めておるところでございます。
  59. 穐山篤

    穐山篤君 継続的にまだしなければならぬものもあるようでありますが、大半は終わったという感じですね。  今までのその十項目の進捗状況について、運輸大臣あるいは監理委員会としてどういうふうに評価をされているんですか。
  60. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 五十七年に閣議決定をいたしました十項目につきまして、我々といたしましてもこの項目の実施につきまして強く指導をいたしておるところでございますが、今お話がありましたように、全体の項目についてその進捗状況そのものは我々としては評価をいたしておるところでございます。ただ、やはりまだ職場規律の確立におきましても、あるいは貨物の合理化等の問題におきましても、現在の国鉄の経営の状況下にかんがみまして、さらに深度化し、さらに推進すべきものではないか、こういうふうに考えております。
  61. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 監理委員会といたしましては、昨年の八月に緊急十項目をさらにブレークダウンをしたいわゆる緊急提言というものを意見として申し上げているわけでございますが、それの取り組み状況につきましては、例えば要員の縮減でありますとか、あるいは貨物輸送の拠点間直行体制の整備でありますとか、いろいろな部分において徐々にその成果を上げてきておる、このように評価をいたしております。ただ、中にはまだ残された課題もたくさんございますので、そういうものについてはさらに今後も引き続き徹底した取り組みをお願いしたい、このように考えております。
  62. 穐山篤

    穐山篤君 経済的な面からの質問になりますが、当時、この再建法を審議した際に、少なくとも昭和六十年には幹線において黒字、それを目標にしたい、それから幹線以外のところについても極力努力をする、こういう前提つきだったと思うんですが、現在のところ、これを経済的、財政的に見てどういう状況に判断されますか。
  63. 竹内哲夫

    説明員(竹内哲夫君) おっしゃるとおり、経営改善計画をつくりました際には、幹線におきます収支の均衡を六十年度には何とか達成したいという点と、もう一つの幹線及び地方交通線を含めまして営業損益でできるだけ多く益金を出したい、この二点を収支改善の目標としたわけでございます。  現在、その進捗状況でございますけれども、当初の予定から見ますと、輸送量が特に貨物におきまして計画と大幅に乖離をしたというようなことがございまして、一方では経費を切り詰めることによって何とか対応したいということで進めてまいったわけでございます。その結果といたしまして、昭和五十五年度におきます幹線の赤字は四千百七十五億円ということでございましたけれども、ただいまのところ五十九年度おおむね一千億円程度というところまで到達をしてきている。したがって、今後なお努力を必要といたしますけれども、六十年度における幹線収支の均衡というのは何とか達成できる見通しが立ったと言えるのではなかろうかというふうに思っております。  なお、一般営業損益におきましても、何とか黒字を出せる状態にまで参ったのではなかろうかというふうに思っております。  ただ、当初の計画そのものが、幹線と申しましても、東北、上越両新幹線の資本費等を別建てにいたしておりますので、純粋に幹線という点が完全に収支均衡ということになったわけではございません。一定の当初お約束した部分につきましては達成の見通しがついたというような状況でございます。
  64. 穐山篤

    穐山篤君 それでもなおかつ国鉄の経理状況を数字で拝見しますと、依然としてその重圧に苦しんでいる。この重圧の最大なものは、設備投資を中心にした借入金、長期負債というものが頭の上の大きな石になっているわけです。この借金を返すために苦労しているという感じでありますけれども、この借入金の問題、長期負債の問題や公共的な負担の問題、あるいは構造的な人件費、特定人件費の問題というのは国鉄にとってまことに厄介な問題です。また、無視できない問題なんですが、これらの将来展望がどうなるかによっても、率直に言えば従業員の士気に影響していくことは間違いないし、また管理者の経営手腕にもかなりブレーキになっていくことは否めないと思うんです。  そこで、個々の部分になりますと、運輸省としては今私が申し上げましたような大きなおもしについてはこれからどういうふうにされるのか、まず運輸大臣にお伺いしたいと思うんです。
  65. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) ただいま国鉄から説明がございましたように、緊急に国鉄としてやらなきゃならぬことについては、一〇〇%ではありませんけれども、かなりな程度に努力は続けられてまいっております。ただ、旅客、貨物の収入が思うように上がらない、計画どおり上がらないために困っておるわけでございます。  そこで問題は、国鉄財政の赤字をなくするために一番大きなものは何だというと、これは利息の支払いが大きいということで、これを改善しなきゃならぬ、国鉄の長期債務をどうするかということが基本的な問題でございます。この点については再建監理委員会でいろいろ御審議をお願いしておるところでございまして、どういう結論になるか私ども待っておるのでございますが、しかしこの点については運輸省も当然勉強しなきゃならぬ、こういうことで私どもの方でも具体的にこれをどうしたらいいかということを検討を始めております。監理委員会にも十分私ども意見も申し上げ、また国鉄の方でもこの問題をやはりどうすべきかということについて検討をいたさせるように国鉄総裁にもお願いをしておるわけでございます。  問題は、財政にゆとりがあれば国が肩がわりをするというのも考えられまするけれども、国も財政的に非常に困っているという中で非常に困難な客観的な情勢にあるわけでございます。何と申しましても、国有鉄道の長期債務の中の恐らく七割ないし八割というものは借金で大きな設備をつくったというところにあるわけなんでございます。したがって、これに対する考え方というものを確立する必要がある、こういうことなんでございまして、これを国有鉄道にとにかく何とかしろと言ってもこれは全然できるわけがありません。したがって、これは何らかの形で政治が解決しなきゃならぬ、政府が解決をしなきゃならぬという問題だと思うのでございます。どういう形にするかということについては目下検討中でございます。  なお、公共負担の問題、特定人件費の問題等は、これに比べますとより基本的な問題ではございません。しかしながら、これについても私ども検討を進めておるところでございます。
  66. 穐山篤

    穐山篤君 ここ五年間の借金と利子の支払いというものを数字で見ましても、本当に恐るべき数字になっています。ことしの予算でいきますと、借入金の返還が八千五百五十三億、それから利子や諸費の両方を含めますと二兆三千二百二十五億 円と膨大なものです。借金を返すために借金をする、この悪循環を断たない限り、人を幾ら減らそうが、貨物の本数を減らそうが、運賃の値上げをしようが、これは抜本的に再建ということにはならないと思うんです。  さてそこで、今度は監理委員会に伺いますが、監理委員会設置法の審議の際に幾つか問題点がありました。経営形態のこともありますが、それは後ほどお伺いするとして、国鉄再建の一番大きなガンになっております長期負債、構造的な欠損というものについて十分に検討する、こういうふうに言われていたわけですが、そこの部分について監理委員会の作業は今どういう程度に進んでいるんでしようか、あるいはどういう角度からこの問題について検討をなされているんですか。その点を伺いたいと思うんです。
  67. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 国鉄再建監理委員会は、国鉄が現在行っております鉄道事業というものについて、これが運営体制の面あるいは財政の面、いろんな面で正常な姿でこれが運営していけるようなそういう組織体をつくっていく、そういうものを考えていくということを基本にして作業を進めているわけでございます。  したがいまして、正常な姿で事業運営ができるということになりますと、そのような方向に持っていくためには、現在国鉄が抱えております非常に膨大な長期債務というものについてこれをどうするか、あるいは年金負担という問題、さらには現在進行中の大規模プロジェクトの資本費の問題、こういうふうな通常の事業運営ではなかなか背負い切れないような問題というものについては、これは何らか適切な形でこれを解決していくということが正常な事業運営を行っていくための非常に重要な前提条件である、このように私どもは考えております。  そういう考え方に沿って現在いろんな調査分析を進めているわけでございますが、現段階では具体的にそれをどうしたらいいかという結論部分までにまだ至っておりません。実効性のある具体的な結論をまとめるということでありますので、そういう見地に立った場合に、やはり実態というものを十分に分析し、それを踏まえた上で結論を出していく必要がある、こう考えておりますので、現在はそういう分析を続けておる段階でございます。ただ、この問題は、国鉄事業再建を図る上で非常に重要な問題であるという認識は十分に持っているつもりでございます。
  68. 穐山篤

    穐山篤君 運輸大臣にもう一度確かめるわけですが、前段、組織改正の中で、大臣官房のところに国鉄独自の審議官を置く、事柄が重要であるので専門的に対応したい、こういうことなんですが、避けて通れない長期負債というものについての認識はそれほど私どもと変わらないと思うんですが、監督官庁としてこの避けて通れない大きな長期負債の問題、大臣は退職金とか年金のようなものはそれほどと言われましたが、多少ウェートは下がるかもしれませんけれども、監督官庁として、この長期負債の処理の問題あるいは悪循環の問題について政策的にこういうふうにしたらどうかなという、そういう条件はないんでしょうか、あるいはそれを研究されているんでしょうか、先ほどは勉強していると言っているんですが。この問題は、構造的な欠損や借金の返済の問題についてはもう十年越しの議論なんです。したがって、十分研究は終わっていると思うんです。監督官庁としての考え方はいかがでしょうか。
  69. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 十年越しの問題というお話でございましたが、五十五年に一遍五兆円ほど棚上げして、そして再建計画を立てた、それがやはり思うようにいかない、またたまってくる、今年度末でたしか二十二兆円ぐらいになると思います。  もちろん、今あなたも御心配になっておるというお話でしたが、我々はこの問題を国有鉄道最大の問題と心得ております。ですから、これにつきましてどうするかということをやらなければ、あと経営形態をどうするとか、現在のものをどうするとか、これもやらなくちゃいけませんけれども、この問題を解決しなければ、経営形態をどう変えるということにしても、前提としてこの問題を解決しなきゃならぬ、こういう認識でございます。  したがって、細かく私どもの方で申し上げませんが、私の方は今プロジェクトチームをつくっております。選択すべき方策というものはそうたくさんはないと思っております。たくさんはないだろうと思っておりますが、どれもそれぞれなかなか実行上の問題になるとそう簡単な問題ではない。簡単な問題ならとっくに解決しているはずでございます。非常に難しい問題ですが、これはどうしても政治的に乗り越えなきゃいかぬ。運輸省だけでは乗り越えることはできないと思います。政府を挙げてこれを乗り越えなきゃならぬ、こういうことだと思ってその案を私どもつくる。  そして、実は監理委員会というものは、私の意見によれば、それを最大の目的として、政府が取り上げるということのためにできたのでないかとさえ私は考えておる。こういうことでございますので、監理委員会のお力でこれに対する最終の解決案を出していただく、我々はそれに向かって御意見を十分申し上げる、こういう考えで今進めておるところでございます。抽象的に言っておるのじゃございません。具体的にやっております。
  70. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、手順を伺いますが、監理委員会が経営形態の問題を議論するにいたしましても、この前提条件になります大きな負債の処理の問題というものが目鼻がつかなければどうにもならぬと思うんです。今の大臣答弁で言うと、監理委員会がまず長期負債のみならずその他も含めて、この銭金の問題について監理委員会考え方を整理整とんして政府に答申をする、それまでは政府監理委員会の作業を見守る、今こういう答弁なんですが、監理委員会の作業としてはそういうことで理解をしていいんですか。どうでしょう。
  71. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 御質問の趣旨とちょっと違うかもしれませんが、監理委員会といたしましては、先ほど申しましたように、長期債務等の問題、これは国鉄事業再建を図る上で極めて重要な課題であるということは十分認識しておるわけでございますが、ただ、この長期債務等の問題につきましては、それを単独で処理するということではありませんで、国鉄の赤字体質を改めるための抜本的な対策というものと一体的に取り扱うことが必要だ、このような認識でございます。したがいまして、今後、効率的な経営形態の確立というふうな問題とあわせまして、こういう基本的な問題を全体的、総合的に検討しまして結論を出してまいる、このような考え方で現在作業を進めているわけでございます。
  72. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 今、林次長が述べられたと同じ考え方なんです。切り離すことができないというふうに思っておるわけでございます。そう言っているうちにもだんだん悪くなってまいりますので、できるだけ早く結論を出すような努力を監理委員会の方にもお願いしたい、こういうことでございます。
  73. 穐山篤

    穐山篤君 仄聞するところによりますと、監理委員会はことしの秋口ぐらいまでに経営形態のあり方の問題を含めて何らかの中間意見を発表する、こういううわさが飛んでいるわけです。その一例として、もちろん民営ということではありませんが、分割という思想の中で、例えば四国を一遍試しに実施してみよう、あるいは北海道、九州も試しにやってみる、そういうふうな意見があるかと思いますと、いや、この機能分野で、分割はできないにしてみても、分割という思想でひとつ試行をしてみたらどうだろうとか、こういうふうな話がちらちらうわさに聞くわけですが、その程度まで作業が進んでいるんですか。あるいは今の長期負債の問題を含めて経営形態のあり方について何らかの意思表示を監理委員会は年内のうちにされる準備があるんですか。その点を伺いたいと思います。
  74. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 現在、監理委員会といたしましては、先ほど申し上げましたように、いわ ゆる実態につきまして基礎的な調査分析をしておる段階でございます。したがいまして、基本問題について方向づけを現在既に完了した、あるいは方向づけをしておるという段階まではまだ至っておらないわけでございます。  それで、監理委員会といたしましては、経営形態のあり方、あるいは長期債務等の処理、こういう問題を総合的に検討いたしまして、いわゆる基本問題に対する結論をまとめるわけでございますが、その時期といたしましては、私どもとしては一応来年の昭和六十年の半ば、大体その辺を目途にして結論をまとめたいということで現在作業を進めておるわけでございます。したがいまして、先ほど御質問にございましたような、四国を取り上げてどうこうするとか、あるいは経営形態あるいは長期債務等について部分的に何らかの結論を出すとか、そういう考え方は全くございません。したがって、この夏あるいは秋に何らかの中間答申が出るのではないかというふうなことが御質問にございましたけれども、現在監理委員会としてはそのような考えは全く持っておりません。
  75. 穐山篤

    穐山篤君 来年に考え方を明らかにするということがはっきりしたわけですが、その場合に監理委員会として運輸省意見を当然聞くでしょう。あるいはまた、当の当事者であります国鉄意見も十分聞かれると思うんです。国鉄というのは国民の足なんです。その意味国民意見を聞く、そういうチャンスを考えながら来年半ばというふうに言われたんでしょうか。その点をお伺いします。
  76. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 監理委員会といたしましては、先ほど申しましたように、実効性のある、かつ具体的な結論を出すということが任務でございますので、したがいまして、実態というものを十分つぶさに調べる必要がございます。したがって、監理委員会独自でいろいろ調査をして勉強するだけでなくて、幅広く各方面の御意見も伺う、こういう考え方で従来からやっております。  昨年の秋におきましても、国鉄当局、あるいは国鉄関係の労働組合、あるいは私鉄の経営者、運輸省とか、あるいは大蔵省その他関係省庁、いろいろな方面からいろいろな御意見も伺っておりますし、今後また審議の進捗状況に応じまして、さらに関係の方々からいろいろな御意見を伺いながら結論をまとめていく、こういう考え方でおるわけでございます。
  77. 穐山篤

    穐山篤君 時間ですから、質問を終わります。
  78. 高平公友

    委員長高平公友君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時三分開会
  79. 高平公友

    委員長高平公友君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  80. 矢田部理

    ○矢田部理君 運輸大臣に伺いますが、運輸省設置法ができましたのが昭和二十四年でありますが、今回の機構改革はこの設置法ができて以来の大がかりな、大幅な機構改革だというふうに言われておりますが、この中身はどんなことなんでしようか。
  81. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 具体的な中身については事務当局からお答えさせますが、基本的な考え方について私から先に申し上げたいと思います。  現在の運輸省設置法は二十四年にできたのでございますが、これは国有鉄道が分かれたときに現在の形の運輸省ができたという意味で二十四年にできたわけでございます。戦前は、海、陸、空の運輸仕事鉄道省逓信省に分かれていたわけでございます。戦争中、一度、運輸通信省になりまして、通信が分かれて運輸省になった。そのときは国有鉄道はまだ鉄道総局として残っておったわけでございます。しかし、言うならば現在の組織は戦前の組織から国有鉄道が抜けた、そして鉄道監督局の中に国有鉄道部という監督機関ができたという仕組みのものでございます。したがって、随分と古いいわゆる縦割り行政、しかも逓信省鉄道省時代以来のしっぽをずっと引いた形の組織になっておったということは否めないところだと思います。  そこで、これを海、陸、空、こういうものを総合的にもっと眺める必要があるのじゃないか、一つ一つの運送機関についての免許、許可認可というふうなものを中心にして組み立てておる行政をもっと政策的に交通全体として横割りにして眺めていく、こういう仕組みの制度にすることが妥当ではないかと随分前から論議をされておったところでございますが、ようやくこれが今回出せるということになったのでございます。  私もかつて経験がございますけれども、両省が一緒になりましたために、海だ、陸だといいまして、人事の交流が何だかんだといって、一緒になって当分の間はなかなかうまくいかなかった点もございます。次官も交代で出すというような話まであったぐらいでございまして、ようやくそこで今回の機構改正によって新しい発足ができる、こういう状況になったかと考えております。したがって、今後は国際的なあるいは国内的な運輸交通を総合的に見る官庁としてやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。  局の内容については、官房長からお答えいたします。
  82. 松井和治

    政府委員松井和治君) 今回の運輸省機構改革の具体的な中身につきまして、簡単にかいつまんで御答弁申し上げます。  まず第一が、本省の内部組織でございます。  ただいま大臣が御答弁申し上げましたとおり、従来交通機関別の縦割り組織七つの局を設けておりますが、この七つの局のうち五つの局を再編整備いたしまして、新たに運輸政策局国際運輸観光局地域交通局貨物流通局海上技術安全局という五つの局を設けまして、これに伴いまして海運自動車鉄道船舶船員の五局を再編するものでございます。  それと同時に、従来の総務審議官を振りかえまして、国鉄再建問題を担当いたします国有鉄道再建総括審議官という職を設けまして、従来鉄道監督局に置かれておりました国有鉄道部官房に移管いたしまして、この再建総括審議官の統括のもとに置くというものでございます。  以上が本省の内部組織改革でございまして、大臣お答え申し上げましたとおり、海、陸、空というような交通機関別に若干ばらばらな面がありました行政の一元化が図れるもいうふうに考えておるところでございます。  第二に、外局であります海上保安庁と気象庁の部の再編をいたしまして、海上保安庁では部を一つ結果的に減らすことになりますが、気象庁では地震火山部を新たに設けるということにいたしております。  それから第三番目に、地方組織改革でございまして、先ほど大臣の答弁にもございましたように、従来の逓信省鉄道省の系列を引きます陸運局海運局という陸、海別々の地方ブロック機関を今回統合いたしまして、全国九カ所に地方運輸局を設置する。この地方運輸局には新たに企画部をつくりまして、地方交通行政の企画機能充実を図りたいというふうに考えた次第でございます。  以上が、今回の運輸省機構改革の概要でございます。
  83. 矢田部理

    ○矢田部理君 機構とか組織をどうするかは、その前提に政策があるわけです。運輸交通政策の基本があって、その政策をより効果的に実現するためにこういう機構なり組織なりがいいのかということが問われてくる。そういう意味では、前提に運輸交通政策の基本がなきゃならぬ。今日のその基本は何によって示されているのでしょうか。
  84. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 今回の行政機構改革をするにつきましては、おっしゃるように、今日運輸省が解決を迫られている政策課題、これを解決するための有効な組織づくりということが主眼でございます。具体的には、その政策課題ごと にそれを解決するに必要な政策手段を担当する各課をグループにして、そして局をつくっていくというのが新しい組織づくりの基本的な考え方だと思います。  それで、具体的に今我々が運輸省としてどういう問題があるかということでございますが、今日の我が国の状態を申しますと、実際に経済、社会が変化してきまして、非常に政治、経済、社会ともに一つ国際化の色合いを強めていくという状況もございますし、また経済が成熟化するに伴いましていわゆるソフト化の傾向が出ているわけでございますし、また高齢化社会になりましてライフサイクルが変わってくる、生活様式、価値観が変わってくる、こういうことで運輸サービスに対するニーズが非常に大きく変わってきているわけでございます。  こういう状況におきますと、従来各交通機関ごとに縦割りでやってまいりましたのは、戦後の復興期から高度成長期に輸送力を整備するということは、各輸送力ごとの技術的な体系である各交通機関ごとの各局が分担してそれらの輸送力の増強を図っていくということが行政システムとしては非常に適切だったわけでございますが、その中で各局はこれまで輸送力を大いに伸長させ、そしてまたその方向でいろんな施策を工夫し、問題の解決をしてきたわけですが、今回の経済の構造の変化に伴って出てきていますのは、物の流れをどうするか、いかに効率的な流れをつくるか、あるいは新しいサービスの要求に対応するかということでもありましたし、あるいは快適な高速な旅客サービスをどうやって維持するかというような、旅客なり、物流なり、そういった問題に対して有効な解決の仕方をする、あるいは国際化の趨勢に対して有効な対応をするということで、それぞれのグループアップをしていくということでございます。  今回の行政機構改革の先駆的な役割を果たしたのが五十六年の運輸政策審議会からの答申でございます。このときに、幹線交通あるいは地域交通あるいは物流というような各課題別にこういった政策展開が必要だということが一応出まして、さらにそれらを受けて問題解決の有効な仕組みとして私どもは今回組織改正に踏み切ってきた、こういうことでございます。
  85. 矢田部理

    ○矢田部理君 お話がありました五十六年の運政審の答申、「長期展望に基づく総合的な交通政策の基本方向」なる文書がございますが、今日の運輸政策なり交通政策の基本はこれに示されているというふうに伺ってよろしいでしょうか。
  86. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) これは五十六年の答申でございます。今日の状況においても、基本的な考え方はこれにのっとっていくことが適当と思いますが、正直なところ、この時点からいろいろな意味経済の諸条件がまた変わってきております。したがいまして、部分的にはこれと違う対応を必要とするところも幾つか出ておりますし、特にまた、この当時予想していたより国際化の進展あるいは情報化の問題というのがより大きくクローズアップしてきておりますので、そういう点を重視し、考慮しながら、これらの答申の基本的な考え方にのっとって行政展開していく必要があると考えております。
  87. 矢田部理

    ○矢田部理君 経済的に見ますと、当時あった新経済社会七カ年計画下の答申だったように思われるわけです。その後、御承知のように、「展望と指針」が出されたもとでの見直しが相当程度必要なのではないかと思われるんですが、いかがでしょうか。
  88. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) おっしゃるとおり、運政審の見直しをつくりましたころのいろんな諸前提、特に経済の成長の問題、あるいは石油の価格の問題等、計画の前提となりました事項がかなりずれてきております。したがいまして、この運政審の答申の際の将来見通しというのは数量は一般的に多目でございます。その後、今日これらの経済の成長率がより低目になっておりますし、またその当時よりも経済の物離れと申しますか、貨物需要経済の成長から乖離してくるという現象もまた著しく強くなってきているという方向で全体としては見直す必要があるということでございます。
  89. 矢田部理

    ○矢田部理君 その見直しの作業がまず先行するべきではないでしょうか。新たな「展望と指針」のもとにおける政策形成があって、しかる後にそれに対応する組織論、機構論があるのが常なのではないかと思われるんですが、いかがですか。
  90. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) おっしゃるように、そういう見直しというのは常に経済の状況に応じてやっていくことが適切でございますし、今回の「展望と指針」の後、「経済運営の基本的態度」におきましても、新たな経済の成長に伴って国内の輸送の貨物あるいは旅客がどのように伸びていくかというのは、概要としては前提を立てております。ただ、基本的な運輸政策審議会の答申の方向づけというものは大きな乖離はしていないということで、これを中心に具体的な問題に取り組んでいくというふうに考えております。
  91. 矢田部理

    ○矢田部理君 率直に言えば、七カ年計画というのは破綻したんです。しかる後に「展望と指針」も出されたわけでありまして、それに基づく全般的な見直しが先行さるべきだというのが私の位置づけの一つでありますが、内容的にもこれは幾つか問題があります。  そのことは後にするといたしまして、大臣がおっしゃられたように、陸、海、空を総合的にあるいは一元的に眺めて行政対応をしていきたいということが一つの趣旨だというふうに言われておるわけでありますが、とりわけ、従来縦割り、乗り物別に仕分けされておった部局が横割り政策課題別にという形になってきている。これも一つ考え方だろうと私も思うわけでありますが、そうだとすれば、単なる機構だけ、組織だけを変えるのではなくて、例えば、設置法の第三条に運輸省の任務が書いてありますが、このばらばらに項目ごとに書いてあるものももう一度見直してしかるべきなのではないか。これにも総合性、一貫性、連係性みたいなものを持たせるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  92. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 運輸省設置法の第三条には運輸省の任務が書いてございます。ここでは、水運、陸運、港湾、船舶及び鉄道車両その他の陸運機器、船員運輸に関連する観光、気象業務、倉庫業、海上の安全及び治安の確保、海難の審判、航空、捕獲審検所の検定の再審査に関して国の行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関とするというふうに書かれております。  今、先生指摘のように、運輸省の任務をこういう新しい組織理念に基づいてもう一度書き直したらどうだというお話でございますが、そういうふうに設置法の書き方を直すというのも確かに一つのやり方ではないかと思います。ただ、運輸省設置法の基本的な役割と申しますか、それは国の行政全体の中で各省にどういうふうに事務を配分するかということが主としてねらいでございます。そういう意味では、むしろ積極的な政策理念ということを重視するよりは、各省の権限なり所掌事務の分界点というものについて必要な指針を与えるようなことが、ここの場合の任務としての規定の意味づけかと考えております。そういう意味では、とりあえず今回の場合、各省との関係では変動がないということでございますので、従来どおりの任務にしておくということにさせていただいたわけでございます。
  93. 矢田部理

    ○矢田部理君 各省庁等の境界線を明らかにする意味一つ確かにあるでありましょうが、その明らかにされた境界線の内側で問題を縦割りではなくて総合的にやる、一元的にやるということであるならば、この縦割り型、項目列挙型のことではなしに、もう少し運輸省の今日的に持つ任務、役割を前面に出して、それと機構改革を対応させるというのがより好ましい姿ではないのかというふうに私は思うんですが、いかがですか。
  94. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) お話のようなやり方で設置法を書き直すというのも一つの行き方かと存じます。ただ、今回の組織改正をいたしまして、これは一つの新しい提案として当面の状況に応じ た一つ組織改革ということでお示ししているわけでございますが、運輸省の任務それ自身は、先ほど申し上げましたように、政府の中でどういうふうな枠組みかということでございますので、多少そこら辺ではねらいが違う。また、先生の言われたような新しい理念というのは、各組織の書き方、各局の書き方の中で新しい理念も読み取れるようなことにする方がより具体的、適切なことではないだろうかというふうに考えておりますので、とりあえずはそういうふうにさせていただきたいと思っております。
  95. 矢田部理

    ○矢田部理君 次の問題に関連して移りますが、どうも運輸省は、今日の交通の実態なり運輸政策の持つ問題点などについて必ずしも認識が十分でないのではないか、幾つかの問題の破局もあるわけでありますが、これらの点についてどんなふうに考えているのか。国鉄がそうなっています。それから交通戦争の実態は大変厳しい状況にある。これらに対して行政が十分に責任を果たしたとは言えない。むしろ相当程度国民の信頼を喪失しているという現実もあるわけでありますが、交通戦争の方から状況を見てみますと、警察庁、最近の交通事故関係の統計はどうなっておりましょうか。
  96. 柳井洋蔵

    説明員(柳井洋蔵君) お答え申し上げます。  最近の交通事故の発生状況でございますが、交通事故によります死者で申し上げますと、御案内のとおり、昭和四十五年をピークに四十六年以降九年連続しまして減少いたしましたが、昭和五十五年に再び増勢に転じ、五十七年、五十八年と連続して九千人の大台を超えております。特に、五十八年は前年に比べまして四・九%、四百四十七人増加して、死者九千五百二十人でございます。また、事故一般、これは人身事故でございますが、その発生件数は、昭和四十四年をピークに八年連続して減少しましたが、五十三年以降増勢に転じております。そして、五十八年におきましては五十二万六千三百六十二件ということで、前年に比べて四・八%増加をいたしております。  以上でございます。
  97. 矢田部理

    ○矢田部理君 本論に入る前に、この警察庁の統計というのは、死者は事故後二十四時間以内の死亡者でしたか。そうだとすれば、それ以後の死者についてのデータはありませんか。
  98. 柳井洋蔵

    説明員(柳井洋蔵君) ただいま申し上げました数字は、おっしゃるとおり、二十四時間以内のデータでございまして、厚生省等の関係につきましては手元に持っておりません。それより二割近く上回るのではないかと思いますが、正確な数字は今手元に持っておりません。
  99. 矢田部理

    ○矢田部理君 二十四時間以内の死亡者を死者として扱っていて、事故に遭ってそれ以後の死亡者は扱っていないということになりますと相当数が上積みされる、今二割という数字が出ましたが。つまり、その数字から見ましても、優に一万人を超える人たちが年々交通戦争の犠牲者になっているわけです。けが人ということになると、これは数十万人の人たちということになるわけでありまして、これが一たんは、先ほど説明がありましたように、件数が減ってきたのに、五十三年あるいは五十四年ごろ以降再び増勢に転じたのはどういう理由でしょうか。原因等についての分析がありますか。
  100. 柳井洋蔵

    説明員(柳井洋蔵君) お答え申し上げます。  交通事故につきましては、いろいろな要素が絡み合いまして発生しておりますことから一概には申し上げられませんが、主な増加原因としましては、運転免許保有者数、またさらには車両保有台数が著しく増加いたしております。それに加えまして、その利用形態も多様化いたしておりますなど、交通の過密化、複雑化、それらが一段と進んでおります。また、その一方、国民交通安全に対しましての切実感といったものが薄れつつあるというようなことが挙げられるかと考えております。
  101. 矢田部理

    ○矢田部理君 車の台数がふえた、あるいはドライバーがふえたからある種の自然現象だというような説明にも聞こえるわけでありますが、警視庁あるいは警察庁でどうにかなるという性質のものではないんですが、大臣この辺のところはどうお考えですか。こう年々犠牲者が大量に出る、それが最近またふえてきておるということは、大臣としてこのまま放置しておいていいということではないのではないかと思われるのですが、いかがですか。
  102. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) おっしゃるとおり、大変大きな問題だと思います。一時減少したのは、交通安全の施策がかなり思い切って集中的に行われたこと、これが私はかなり大きな原因をなしておるということは否めない事実だと思います。例えば信号機を増設するとか、あるいは横断のための陸橋をつくるとか、その他一連の国会でもいろいろ論議された交通安全施策が徹底した点があると思います。私は、最近になってまた増勢に転じたということは、この点がややマンネリ化したといいましょうか、いろいろなことを怠れば、車自体が増加いたしておりますし、運転者自体も増加いたしておりますから、ふえてまいるということになってふえておるのではないか。こういうところで、やはり政策的に再びふえる方向になっておるのを抑えるということで強力にいろいろな手を打っていかなければならないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  103. 矢田部理

    ○矢田部理君 交通戦争の対策はひとり運輸省だけの問題ではない、警察も関係する、道路行政を預かる建設省にもかかわる、教育の問題もあるかもしらぬ、あるいは全体として自動車の台数の急増に対してどういう手が打てるのかという通産省レベルの問題もあるかもしらぬ等々、一つの例でありますが、いずれにしても交通運輸行政というのは非常に各省間にまたがっている。この辺を解決しませんと、運輸省内部の機構いじりだけで問題の対処はできないのではないかというふうに思われる点もあるんですが、この点はいかがですか。
  104. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) それは全くお説のとおりでございまして、運輸省でやれることには限界がございます。それから警察庁がやることにもそれの限界がございます。これらの関係がうまくミックスしませんと実際の効果はあらわれない。  一例を挙げれば、私どもの方で一番交通事故に大きな影響があると思っておるのはトラックの問題でございますが、トラックの過積載、こういう問題になると、これは交通取り締まりの問題とトラック行政物流行政との接点の問題でございます。これは恐らくかなり大きな原因をなしておるのではないかと思います。また、トラックについて言うならば、もう一つ労働省が絡んでまいりますが、労働基準の問題がある。これと交通事故の問題。運輸省と労働省と警察庁と三つが絡んできて、その間がよほどうまくいかなければ交通事故を減らすわけにいかない。これは非常に難しい問題がここにあると思っております。トラックの例について申しましたが、そのほかの点についても、そういったように各省にまたがる問題というのはかなり大きいものがあると考えております。
  105. 矢田部理

    ○矢田部理君 今、大臣が言われたのはかねてから指摘をされてきているところでありますが、今度の運輸省機構改革はそういう問題にどう対応しようとしているんでしようか。どういう面でのプラスが出てきているんでしょうか。
  106. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 今、大臣から申し上げましたような警察あるいは労働という関係省庁との間の問題を個別に解決するということは、これは各省間のむしろ問題そのものの対処の仕方、整理の仕方の問題でございますが、運輸省のサイドについて申し上げますと、先ほど申し上げましたように、今回は貨物流通局というものができることにしておりますので、そういう意味では貨物の流通をめぐるいろいろな問題はそこの局で一元的に見る。貨物輸送にかかわる安全の問題というものも、一つそこでも輸送技術の問題としても出てまいります。そういう点では、そこでひとつ専門的に見ようという体制一つあるわけでございます。それから地域交通局というものができますと、ここでは陸上技術安全部というものをつくる ことを予定しておりますが、そこでは鉄道自動車を通じての陸上技術の諸問題というものを考えることで、鉄道自動車を含めた安全問題というものをここで一元的に考えていくという形ができてまいります。また、海上技術安全局という局ができることによって、船の運航に関するハードとソフトの問題を一元的に見ようというような形の取り組みが可能になるわけで、そういう意味では運輸省の取り組みは、全体を運輸政策局が安全問題を統括しながら、それぞれの部分部分で今まで以上にシステム的な取り組みをするような体制に近づいたものだと考えております。
  107. 矢田部理

    ○矢田部理君 私が質問をするに当たって、総合的な運輸交通政策というのはどこでわかるのか、どこが担当しているのかと言ってみたら、運輸省だけではない、いろんな方面にまたがっていると。そこで、運輸省機構だけ変えたのでは全体の推進はできない、じゃ内閣官房長官に来てもらおうと言ったら、内閣参事官室が来まして、それは総理府の交通安全対策室というところでやっているのだと。それは安全の問題だけではないか、安全は交通の要諦だというふうに大臣も所信で言われておりますから、きょう来てもらったら、いや政策はやっておりませんと。政策はどこかと聞いたら、経済企画庁だと。いろんなところに、それだけでもまたがり過ぎているわけです。モノレールはどこかと聞いたら、あれは建設省だ、地下鉄は運輸省だと。どうして建設省なのかと聞いたら、あれは道路の延長線だ、したがって縄張りは建設省だと。  いずれにしましても、政策も、担当部局も、それから対策の立て方も非常にばらばらなんです。これを全体的にまとめていく、あるいはイニシアをとっていく部署が必ずしも明確でない。しかし、最終的にいくならば、やっぱり何といったって運輸省ではないのかというふうに私は思わざるを得ないわけです。その点で、安全のために総理府に全体の総合調整機構も場合によっては必要なのかもしれませんが、もうちょっと運輸省自身が、内部の機構を今日的に対応させるというだけではなしに、それ自体もまだまだ幾つか問題はありますが、もう少し総合的に交通運輸政策を立て、かつ、それを担う官庁、安全をもっともっと推進する官庁としての役割を果たすような機能運輸省自身もしていくべきなのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  108. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 昔からある議論なんですが、交通省というものをつくったらどうか。一番問題は、道路とそれから道路の上を走る交通とが別な省で担当されておる。レールの方は、レールをつくる方から汽車を動かす方、車両まで全部一緒でございます。自動車について言うと、走る道路は建設省、それから生産の方は通産省、動かす方は運輸省、こうなっておるわけでございまして、こういうところを、少なくとも道路の建設と交通というものは一本にしたらどうかと昔から議論があるわけでございますが、一向に進展をいたさないというのが実情でございます。  それと同じようなことが、今地下鉄とモノレールについておっしゃいましたけれども、地下鉄もモノレールも運輸省と建設省の共管になっておるのでございます。軌道法というのは運輸省と建設省の共管ということになっております。ですから、いわゆる総合化というような見地からいうとそういうところまで直していかなければならぬ。あなたのおっしゃることはよくわかるわけでございまして、内閣全体の機構を新たに見直すべきではないか、新しい時代の新しい機構に見直すべきではないかという御議論につながってまいる問題である。全く私どもはその必要性があるようなことがたくさんあると考えておりまするけれども、どうもそこまでなかなかいけないというので、今までの守備範囲において変えていく、こういう形にとどまっておることはまことに遺憾でございますけれども、やむを得ないということでございます。
  109. 矢田部理

    ○矢田部理君 大臣は実力者大臣だと私は見ているんですが、ひとつこの機会に、内部の機構いじりだけでなくて、そういう方向性ももう少し前進させていただきたいということを特に期待しておきたいと思います。  もう一つ、先ほどから問題にしてきたわけでありますが、少しく時代おくれではあるが依然として交通運輸政策の基本は五十六年の運政審答申だというふうに先ほど説明をされているわけです。ただ、その運政審の答申を私なりに読んでみますと、どうもやっぱり基本の思想に置かれているのが競争の原理、受益者負担の原則に貫かれているように思われるわけです。大臣は、ことしの所信表明の中で、運輸委員会でありますが、次のように述べているんです。「運輸行政の要諦は安全の確保であり、また、国民の求める良質な輸送サービスを将来にわたって安定的に確保することが基本的な課題」だというふうに言われている。まことにごもっともな話だと思うんですが、この「良質な輸送サービスを将来にわたって安定的に確保する」という問題の立て方、考え方と競争原理や受益者負担論というのは、特に競争原理というのは一致しない、矛盾をしているというように私は思うんですが、いかがでしょうか。あわせて、大臣は輸送や交通問題の公共性あるいは社会的な使命、これをどんなふうに位置づけられておられるか、お考えを伺いたいと思います。
  110. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 交通の安全ということとそれから公共性の確保ということは、行政としてはこれは最大の使命であるということについては変わりがないと思っております。運政審の答申、もちろんこれを無視してどうこうということになっておるようには私は思っておりません。ただ、表現の仕方その他についていろいろ御疑点があるかもしれませんが、審議官から答弁をいたさせます。
  111. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 交通運輸政策の基本は今、大臣が申し上げたとおりでございますが、運輸政策審議会の答申も、必要な一番基本的な問題として掲げておりますのは、国民あるいは経済が必要とする輸送の手段、移動の手段を確保していくことだということをまずその根本に据えているわけでございます。  したがいまして、それを運輸行政が具体的に限られた資源の中で一番効率的な体制をつくり上げていくにはどうしたらいいかということでございますが、そこは資源の最適配分というような考え方もございます。あるいは国土の開発という考え方もございます。そういうような考え方を通じて、できるだけ可能な部分においては各交通機関の自由な利用者の選択によっておのずから交通体系を形成させていくということ、これが一番効率的なやり方だということが基本にあるわけでございます。それを運輸行政としてはできるだけ援助していく、それが行政役割一つでございます。  もちろん、そのような役割のほかに、先ほど申し上げましたような国土の開発なり、あるいは国民の最低必要な輸送手段をそのような方法では確保できない場合にこれを何とか確保していくということも行政の重要な課題でございます。運輸政策審議会の答申はそういう考え方を貫いて具体的にどういう展開をしたらいいかということを提言しているわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、この時点と現在と経済的な与件がかなりずれている部分があるので、そういう点については今後修正しながら進めていこうということでございます。
  112. 矢田部理

    ○矢田部理君 運政審答申はまた議論するとして、大臣の言われた輸送サービスの安定的確保、これを貫くのだという立場からしますと、例えば最近の国鉄地方線が赤字だとか財政負担が大き過ぎるだとかという理由で切り捨てていくのはこの大臣の所信に反するのじゃありませんか。過疎バスの問題なども同じような問題を含んでいるように思われるんですが、いかがでしょうか。
  113. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 基本的に公共性を維持するという立場をとるということについては、私が今申し上げたとおりでございます。しかしながら、他の反面の、企業としてどうするかという問 題がやはり考えられなければならない。全部、企業としてというよりは国営事業としてやる、あるいは公営の事業としてやるというようなものならともかくも、日本の交通企業については私的な企業、そういうものを中心に考えておりますし、国鉄の場合でも企業性というものを考えるということになっておるわけです。そこで、いろんな摩擦現象といいましょうか、公共性と企業性との間の限界をどこにとるかということで、いろいろなところで問題が起こっておると私は承知するのでございます。  それは今御指摘になった国鉄のローカル線についても起こっておりましょうし、また過疎の交通地方鉄道についてもあるいはバスについても起こっております。また、トラック輸送についてもそういう問題が起こっております。いろいろ具体的に、問題の衝突といいましょうか、摩擦といいましょうか、そういうものが起こっておるのでございまして、それはどの限界まで公共性を維持していくかという問題に私は帰着いたすのではないか、公共性の見地から何でもかんでも必ずいいのだというわけには必ずしもまいらないというところに非常に苦心の存するところがある、かように思っておるわけでございます。
  114. 矢田部理

    ○矢田部理君 少しく国鉄問題を議論したいのでありますが、昭和三十九年に赤字に転落して以来、何度かにわたって国鉄再建策が提起をされ、わずかの期間でそれが破綻をし、再度この道しかないといって提起をされたのがこれまただめになるということが繰り返されてきているのでありますが、こういう国鉄問題の再建策をめぐる議論、大臣はどんなふうにお考えですか。みんな、これしかないといって提案をし、国会に出してきたものがわずかの期間で破綻をした、失敗をした、だれも責任をとらない、一体どうなっているのかと思うのが国民の率直な声だと思うんですが、いかがですか。
  115. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 国鉄の問題まさに大問題でございまして、累次の再建計画がなぜつぶれているかということを考えてみますと、基本的には国有鉄道で運ぶ旅客、貨物というものが、旅客について言いますと自動車と遠距離は航空機に、貨物について言いますと遠距離、大量のものが内航海運トラックに食われておるということで収入が伸びない、国鉄が競争機関として非常に弱点を持っておる、こういうことが私は基本にあると思います。  考え方によれば、国の政策が先ほど申し上げた海、陸、空総合的に考えられておらなかったという点も多分にある、私はそう思います。それこそばらばらにやられておるという中で、国有鉄道がそのシェアが減っていく。このことが、何遍計画を立てましても予想よりも数量が少なくなり収入が少なくなるものですから、穴があいてしまうということが一つ。それから国有鉄道の投資というものが原則的に借金でやられている。ほかの交通機関については、原則的に言いますと公共事業費でやられておる、利子のつかない金でできておる。こういうところに大きな相違がある。国有鉄道はかつては借金でやっても優にこれの利息を支払って借金を返すことができた。これが先ほどのような事情から数量が伸び悩みまして借金が返せない。それどころではなくて、その借金がだんだんとたまってまいった。こういうことが基本的には一番大きな原因だと思っております。  そのほかに、これは労使関係の問題。国有鉄道の使用者側、管理者側も労働者側もいろいろ反省をしなきゃならなかった点も多々あると思います。あると思いますが、やはり大きな国有鉄道の財政の行き詰まりというのは前に挙げた方のことが基本的なことである、かように考えておるわけでございます。  何もせぬじゃないかというお話でございますが、何もしないのではないのでありまして、これがために再建監理委員会というものをつくりまして国有鉄道をどうしていくかということをやろう。それから日常の合理化については、緊急実施事項というようなことで、これはかなり私は他の公社などにも例を見ないほどの合理化等は努力をしておるところであるというふうに思っております。
  116. 矢田部理

    ○矢田部理君 何もしないではないかというよりも、例えば六十年には三十五万人体制をつくる、三十五万人体制をつくれば再建の基盤はできるのだと。六十年を待たずして人員は三十五万人を既に割っている。依然としてその基盤はできない。労働者だけは合理化の犠牲になる。毎年毎年運賃の値上げが行われている。乗客がそのたびごとに離れていく。これでいいのだろうかということが一つあるわけですが、同時に、振り返ってみますと、随分国鉄はいろんなところに投資をした。いろんなところというのは、鉄道をつくるということで鉄橋や線路をつくったわけでありますが、相当部分を投げ出してしまって無残な姿をあらわしている。この企画は一体だれがやったか、なぜだめになったか、だれが責任をとるのかがいまだにはっきりしない。  きょうは鉄建公団にも来ていただいておりますが、鉄建公団が手始めた仕事で途中で中止をしてしまった仕事の実態について説明をいただきたい。
  117. 内田隆滋

    参考人(内田隆滋君) お答えいたします。  今御指摘の工事の休止線でございますが、これは国鉄の再建法との整合性を図るという意味で、AB線の開業後の輸送密度の低いものにつきましてはただいま工事を中止しております。それで、地元が第三セクターによって運営をやるということが確実になったものについては再開いたすということでございます。現在休止中の線路は二十四線区ということになっております。
  118. 矢田部理

    ○矢田部理君 現に中止をしている路線に対する今までの投資総額はどのぐらいになりますか。
  119. 内田隆滋

    参考人(内田隆滋君) 千七百九十四億円に相なっております。
  120. 矢田部理

    ○矢田部理君 お話だけでも二千億近いお金が投資をしたけれどもむだになっておるという実態でしょう。  国鉄はどうです。例えば貨物の操車場、ヤード、これが四十年代に相当の投資をやって貨物輸送の近代化を図ると言ったわけでありますが、今回廃止をされるというような始末になっておる。これはどのくらい投資しているでしようか。
  121. 竹内哲夫

    説明員(竹内哲夫君) 必ずしも数字的には貨物に幾ら投資したのかということは明確ではございません、一部には通勤輸送のために一時的に貨物を何とかしなきゃいけないというような意味合いから投資したものもあるわけでございまして。しかし、先生指摘のとおり、貨物につきましては、特に昭和四十年代後半、国鉄がこの再建計画をつくりました段階で相当な伸びがあるであろうということを予測いたしまして、貨物輸送力の増強には相当力を入れた時期があるわけでございます。それらが残念ながら、ただいまの状況から見ますと、貨物輸送量の落ち込みから現在も使用効率が発揮できないでいるという部分が相当にあるということは事実でございます。
  122. 矢田部理

    ○矢田部理君 それらの事例を見るにつけても、計画がずさんなのか、見通しが甘いのか、それらについてどこでだれが責任を負うのか、大臣、ここが私は非常に疑問なんです。あわせて、いろんな面でこの点についての、運輸行政といいますか、国鉄問題等に対する国民の不信が高まっているのじゃないでしょうか。
  123. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 多少ゆっくり説明さしていただきたいと思います。  AB線というものについて今お話が出たようでございますが、鉄道の田舎の方の線を延ばすということ、これに対する投資というものは、もちろん政治的にこれは決まったものでございますけれども、なぜこれができたか。これは背後にそれぞれの地域住民の皆さん、国民の皆さんの強い要望があったということが政治に反映してできておると私は思います。なぜこれはそういうものが強く出るかというと、鉄道が国有国営であった時代、明治三十九年に鉄道国有法ができて国有国営の鉄道になったのですが、結局そのしっぽが公共 企業体になってから後までも依然として続いており、地方住民の皆さんは何とかして鉄道の地図に自分の町を載せたい、何とか鉄道を載せたいということが時間的にずれちゃったという感じなんでございますけれども、非常に強い。それが結局、鉄道新線がごく最近まで、今はほとんどAB線というものはやめておりますが、これが続いた原因であろうと思います。今はつくったものを外そうとまで言っておるわけでございます。  それから貨物につきましては、今国鉄から説明があったようですが、貨物の投資がかなりむだなものが特に今日になると目立ちますが、これは私は当時からの実情をよく知っておりまするけれども、エネルギーの問題についての見通しがどうであったかということなんです。鉄道貨物を運ぶ方が自動車で運ぶよりもエネルギー的には有利なんだ、こういうことで、ある程度石油ショックとかいろいろなこともございましたが、エネルギー問題から鉄道貨物というものは相当な分野を受け持たせるべきである、こういう考えがあったためにかなりな投資がなされた。ところが、これが実際はどんどん貨物数量が減っていって、ことしの二月にはああいった思い切った削減措置を講ぜざるを得なくなった、したがって投資がむだになった、こういうことではないかと思います。  それから、もう一つ大きな投資で残っておるのは新幹線です。これはみんな借金でやっているわけでございます。鉄道建設公団でつくっておるものも借り料を出すわけでございます。ですから、東北、上越を開業しただけで帳簿上二千五百億の赤字が出る。新幹線を通さないでおけるかといえば、工事費をかけたものをおくわけにはまいりません。ただ、これを開業するがために国有鉄道が一年間に二千五百億赤字が出るという格好になっているわけです。ですから、東海道新幹線程度のところまでは、これはあるいは客も多いし、ああいったような地域でございますから借金でやってもかなりな程度になったのでございましょうが、これを福岡まで延ばし、東北、上越新幹線を引いたということは、国民の皆さんからは喜ばれ、国の利益としては相当大きなものが上がっておるが、しわは全部国鉄に寄っておる、私はこういうふうに考えておるのでございます。  何とかならなかったかということについては、いろいろ私どもも反省もしなきゃならぬ点も多々あると思いますけれども、今はその後始末をどうするか、国鉄だけにしわ寄せをしておいてはいけない、こう思っているわけであります。
  124. 矢田部理

    ○矢田部理君 その延長線に青函トンネル問題があるわけです。成田新幹線の話は予算でやりましたからここではやりませんが、ついせんだって大臣あてに青函トンネル問題懇談会から報告が出されておりますが、この最初のところにも、「その計画、着工の段階で将来を十分に見通すことができなかった結果、現在に至ってその取扱いが問題となっていることは、誠に遺憾なことである。」。見通しが悪いということである。これだけ巨額の投資をして、現に今作業中でありますが、いまだにその取り扱い、利用の仕方すら決まっていない。この辺は、大臣どう考えますか。
  125. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 青函トンネルにつきましては、随分と議論があったことは間違いないんです。これをつけるべきか、あるいはこれはやはり北海道—本土間は船の交通分野であるべきかということについて、専門家の間では随分議論をしたものでございます。  ただ問題は、この青函トンネルができる一番大きなきっかけになったのは洞爺丸事故なんです。それで、北海道の皆さん方が、技術的に可能なものならば何とか陸続きにならないだろうか、こういう夢といいましょうか、希望といいましょうか、北海道の皆さん方の気持ちになってみれば無理からぬことだと思います。これが大きく青函トンネルというものを、いろいろ議論があってもとにかく技術的にやれるものならばやろうじゃないか、経営的に成り立つ成り立たないという問題じゃなくて、いわゆる国土開発的な考え方、北海道開発的な考え方、そういうものをあわせて青函トンネルというものはやられた、こういう格好だと思うのでございます。  そこへ貨物の問題も旅客の問題も、旅客については航空機の問題、貨物については全体として鉄道貨物の量が減ってきたということが来たものでございますから、そうでなくても当初から計算上はいかがであろうか、しかしこれをやろうということになっておりましたのが極端な形においてあらわれた、こういう格好をいたしておるというのが青函トンネルでございます。
  126. 矢田部理

    ○矢田部理君 今後の問題について伺いますが、鉄建公団の方にも追加投資が相当かかると言われているが、どのぐらいかかるのか、その是非、それから完成した場合の扱い、資本費の負担をどうするかなどについて、大臣と両方から御説明をいただきたいと思います。
  127. 内田隆滋

    参考人(内田隆滋君) 追加投資でございますが、本年度予算として五百二十億、後、六十年度、六十一年度で約千四百億、大体千九百億ぐらいということでございます。
  128. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 青函トンネル問題懇談会でいろいろ御検討願った結果は、やはり鉄道として使うべきである、一時は石油のタンクに使ったらどうかとかいろんな話もあったんですが、これは鉄道として使うべきであるという答申をいただきました。ただ、どのようなものにするかということについて、現在線を通すべきであるという考え方と、それから自動車、現在線では大型のトラックはちょうどカーフェリーで渡すように鉄道トンネルを渡すということができないので、特別な設備をして大型のトラックも通せるようにするということ、そのどちらか、大きく分ければ二つになるわけでございます。その大きいものを渡すための方法がもう一つ分かれておりますけれども、大きく言えば二つになるわけでございます。そこで、そのいずれにするかはそう遠くない時期に決心をしなければならない、こう思っております。  しかしながら、ここで言えることは、国有鉄道にこれをやらせるということは私はかなり困難があるのではないか。何しろ八百億という借料がかかりますから、さなきだに大変な赤字で苦しんでおる国有鉄道にこれをやれということを政府として言うことは非常に問題があるのではなかろうか。何らかの特別な経営形態を考える必要があるのではないか。こういうことが懇談会の皆さんのお考え方でもございますし、私どももさように考えておる次第でございます。
  129. 矢田部理

    ○矢田部理君 国鉄問題がきょうは中心的な議題では必ずしもないのでありますが、私がかく伺ってきましたのは、今までの運輸行政あり方が乗り物別、縦割りでやってきたから、総合交通政策というような立場から見るとばらばらに進んでしまう、国鉄のような破局を迎える、大変な交通戦争になる、いろんなところに矛盾が出る、ということとして受けとめ、今度は横割り政策課題ごとに組織もつくる、前提となる政策もつくるから大丈夫だ、よくなるのだということで今度の改革をやる趣旨なのかどうか、今までの縦割り行政に問題があったというふうに考えられるのかどうか、そこら辺をひとつ中間的なまとめとして大臣に伺っておきたいんですが、いかがでしょうか。
  130. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 先ほど来申し上げたように、一〇〇%交通に関することを全部運輸省がやっているわけじゃございません。その点はどうしても後日に譲らざるを得ないと思いますが、少なくとも現在運輸省が担当しております仕事の中におきましては、私は非常に統一性、合一性、そういうものが今回の機構改正によって保たれる、こういうふうに自信を持ってお答えできると考えております。
  131. 矢田部理

    ○矢田部理君 総合性統一性ということを強調されるわけですが、交通運輸関係の資本投資の仕方についても少しく問題がありはしないのか。例えば道路特会、港湾特会、空港特会、要するに特別会計制度を項目ごとに全部ばらばらにとっているわけです。本当に総合的な交通政策を進めていくとするならば、こういう特別会計制度あり方 も一回全般的に見直していく、何が重要であり、いずれが緊急であるかというような優先順位なども含めて総合的にこれを運用していく、特会制度そのものが場合によっては廃止していくというようなことも検討をしていきませんと、機構いじりだけでもいかがかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  132. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) まことにごもっともな意見だと思っております。私どもは、今やそれぞれの特会について考えなきゃならぬ、そういう時期が来ておるというふうに思っております。また、一時運輸省でそういうふうな考え方をとって予算要求をし、政策要求をしたこともございます。しかし、遺憾ながらなかなか実現が難しい、いろいろな事情で非常に困難があるということで思うに任せないというのが正直なところの実情であると考えております。しかしながら、方向としてはそうあるべきであるというふうに存じております。
  133. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう一つ問題点として感じておりますのは、許認可行政なんです。  運輸省は、従前に比べれば減っているとはいえ、まだ二千を超える許認可事務が残っているわけです。これにどう手をつけようとされているのか。特に、総合的な交通体系を地域の場で考えるような場合に、申請主義で、それに基づいて許認可が、トラックをやりたいといえば、これは許可ですか認可ですか知りませんが、大量にトラック業者が出てくる。これは職業選択の自由その他から見ていろいろな議論がありますけれども、その結果大変な過当競争になってきた。地域中央との仕分けについても、あるいは役割分担についても不明確というよりもほとんどが中央で取り上げてしまう。握っておって地方に渡さない。したがって、地域交通の整備などをやるに当たっては、分権という立場から見ても、もっともっと地方許認可権を分与してもいいのではないかというふうにも思われるわけでありますが、一連の運輸行政をめぐる許認可問題というのをどういうふうに考えておられるか、大臣にお聞きしたいと思います。
  134. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 非常に矛盾するような言い方かもしれませんけれども事業の新規参入といいますか、事業の免許というのは、運輸の公共性を維持するためになかなかこれは廃止するわけにはまいらない場合がほとんどであるというふうに思っております。しかし、それ以外の許可認可というものについては、これは相当省略するなり地方に任せてよろしいものがたくさんある、私はかように考えております。ですから、肝心なところのものを押さえて、相当思い切った整理をやらなければならないというふうに思っておる次第でございます。今小さいものがまだまだたくさん残っております。こういうものはどんどんやめていかなければならぬと思っております。
  135. 矢田部理

    ○矢田部理君 時間がなくなってきて、テーマは幾つかまだ持っているんですが、若干地元の問題について二、三お聞きしたいと思います。  東北新幹線の上野乗り入れというのは、見通し、時期などはどんなふうになっていますか。
  136. 岡田宏

    説明員岡田宏君) 東北新幹線の上野—大宮間の工事につきましては、現在の状況で、用地の取得率が九五%、工事の着工率が延長で申し上げますと九七%という状況に達しております。これは三月三十一日現在でございます。現在残されている用地の取得並びに工事の完成に全力を尽くしているところでございまして、開業の見通しにつきましては五十九年度内を予定いたしております。
  137. 矢田部理

    ○矢田部理君 来年、科学博が開かれるわけですが、科学博に間に合わせるという予定でございますか。
  138. 岡田宏

    説明員岡田宏君) それを目標にいたしまして、そのように全力を尽くしているところでございます。
  139. 矢田部理

    ○矢田部理君 土地問題が一部残っているということですが、見通しは大丈夫ですか。
  140. 岡田宏

    説明員岡田宏君) 今全力を挙げて用地問題の解決にも努力いたしておりまして、地権者の御理解も大変深まっておりまして、何とかその目標に向かって完成をいたしたいというふうに考えております。
  141. 矢田部理

    ○矢田部理君 この東北新幹線の上野乗り入れが本決まりになりますと、その結果、常磐線等に影響が出てくるのではないかということで心配をしている向きがあります。東北新幹線ができたからといって常磐線が余り冷たくあしらわれることは大変困ることでありまして、私の要求、考え方としては、その結果、常磐線の利用者に不便を与える、負担増になっては困る、このことを基本的に国鉄も上に立って考えてもらわなきゃ困るということでありますが、いかがでしょうか。
  142. 須田寛

    説明員(須田寛君) 今、先生おっしゃいましたように、明年の春、東北新幹線の開業時点に全国的なダイヤ改正を予定いたしておりますけれども、その際、常磐線につきましても当然ダイヤ改正を行うわけでございます。  これは考え方が三つばかりあるわけでございまして、一つはいわゆる科学博対策でございます。もう一つは通勤輸送の改善でございまして、これも両方関連いたしましてかなりの改善を予定いたしております。それからもう一つは、これに関連いたしますが、道路その他が非常に整備されてまいりまして、お客様のニーズも変わってまいると思いますので、常磐線の高速列車、つまり特急列車体系というものの整備をいたしましていろいろ改善をいたしたいと思っておるわけでございまして、決して地元の皆様に御不便になるようなことのないように、これは全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
  143. 矢田部理

    ○矢田部理君 本当はもう少し細かくいろいろ伺いたいんですが、もう一点、鹿島線の問題であります。  鹿島からの鉄道がこれまた来春に完成するわけでありますが、この運営についていろんな議論があります。第三セクター論が議論されておるわけでありますが、この状況はどんなふうになっておりますか。
  144. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 北鹿島と水戸間につきましては鉄建公団により建設が進められてきたわけでありますけれども、現在の国鉄の状況からいいまして新たな地方交通線の開業引き受けは困難だということで、国鉄にかわります運営主体による開業をかねてから茨城県にお願いしておりましたが、ことしの三月に県からも基本的な同意を得た次第でございます。  運営主体といたしましては鹿島臨海鉄道、これも第三セクターでございます。国鉄、茨城県、それから鹿島臨海の各企業が出資をしておりますが、そういうもので成り立ちます鹿島臨海鉄道に茨城県から要請を行いまして、この臨海鉄道がその運営を引き受けるという方向で近々正式に決定されるというように聞いております。したがいまして、来春の開業に向けまして国鉄としても関係箇所と十分に打ち合わせを進めてまいりたい、こういう状況でございます。
  145. 矢田部理

    ○矢田部理君 私ども国鉄自身がその責任において経営をやるべきだという考え方を持っておるのでありますが、特に今問題になっておりますのは、鉄建公団が第三セクター等に貸与をするに当たって有償なのか無償なのかということが一つあります。その点で、有償だということになると大変地元の負担が、場合によっては乗客も含めて多くなる。この点、運輸省として無償論ということをひとつ基本的に考えてほしいというのが第一点であります。  それからもう一つは、車両等を購入するに当たって、初期投資というのがたしか国の補助で行われるわけでありますが、この点もどういうふうに考えておられるのか。  それから、どうも運賃が国鉄経営の場合よりも高くなるのではないか。これはやっぱり住民として困る。あるいはまた、将来赤字が出たときの対策がないのではないかというようなこと、幾つか、そのほかも含めて論議がある。県議会などは賛成方向をとってはおりますが、注文なり要望もついていると思うのでありますが、これらを全 体としてどういうふうに受けとめておられるのか。国鉄、鉄建公団、それから運輸大臣に見解をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  146. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 国鉄関係のあるところから申し上げますが、有償か無償かということにつきましては、最終的に見込まれるこの線区の輸送量が基準になるわけでございまして、今最終の詰めをやっておりますが、最近の見通しから見まして、多分無償線区になるというように考えております。  それから初期投資の問題につきまして、これは運輸省からお答えになると思いますが、既に建設線部分の初期投資交付金につきましては三陸鉄道の先例がございますので、多分それに倣って措置されるものというように考えております。  それから運賃につきましては、これは会社の計画でございますので確定的なことは申し上げかねるんですけれども、大体、今回の国鉄運賃値上げ後、御承知のように地交線運賃を設定したわけですが、それに比べますと三割ちょっと高い運賃を設定して開業する、このように承っております。
  147. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 鹿島線につきましては、国鉄と県の方で、今国鉄の方からも申しましたような話が進んでおるように聞いておりまして、我々としても今後の方向としては一つの形として望ましい方向ではないかと思います。まだ、これにつきましてこういう同じ類型のものが、ぴったりしたものがございませんので、今後どういうような助成方式にするかということについてここで確定的には申し上げられませんが、方向として我々としても推進したいと思いますので、できるだけのことを我々もやりたいと思いますが、現段階におきまして、まず第一点としてこれは無償として要するに地方でお使いになっていただきたい、そう思います。  それから車両費の補助でございますが、これは先ほど話がありましたように、三陸鉄道が兄貴株でやっておりまして、車両の補助ということではありませんが、一応そういう何らかの新線のための初度開業費のようなものを今後財政当局等と話し合いを進めていきたい、こういうふうに思っております。  運賃につきましては、それは企業者が決めることでございますので、ある程度運営費の助成というようなものも将来問題になると思いますけれども、他の第三セクター等が国鉄の在来の運賃よりも若干高目の形で運営を行っているような向きもございますので、そのあたり若干高目のところでありますけれども利用者の利用を損なわない程度で決められるのではないか、こういうふうに考えております。
  148. 矢田部理

    ○矢田部理君 一言だけですけれども。  経営方式についても不安があると同時に、特に利用者にとっては運賃がどのぐらいになるのかということが一番関心が高いわけでありまして、国鉄がやるよりも高いということになると客も寄りつかないということなどもありますので、これはできるだけ低目に抑えるべきだ。やっぱり国鉄がもっと責任を負った対応を、そういうことでもともと鉄道をつくったわけでありますから、やってほしい。とりわけ、将来どういうふうな経営方式になるかというのはまだ多少問題は残るかと思うのでありますが、赤字などが出た場合に乗客に安易に転嫁をする、あるいは自治体の負担になるというようなことは困るのでありまして、そこら辺も十分指導しながら今後の運営その他について考えていただきたいということを要望して、終わりたいと思います。
  149. 小野明

    ○小野明君 私は、地方交通線の問題について国鉄にお尋ねいたしたいと思います。  地方交通線の問題についてお尋ねをするということになりますと、どうしても国鉄の再建という根本的な問題に突き当たらざるを得ない。午前中も若干質問がございましたが、その際に出ましたいわゆる長期債務の問題です。五十九年の国鉄の損益を見てみますと、繰越欠損金で十二兆三千六百七十四億、長期債務で二十二兆七百四十七億、こういう数字が見られるわけでございます。この大きな債務を処理することなくして国鉄の再建、いわば地方交通線の問題もこれは論ずるわけにはいかないという感じがいたします。  そこで大臣、午前中の答弁で、この長期債務の問題を解決しなければ経営形態の問題も論じられない、こういうふうに御答弁になりました。私も基本的な認識は同様でありますが、そのとおりに理解をしてよろしゅうございますか。    〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕
  150. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 全くそのとおりで結構だと思います。ということは、分割民営化をするといたしましても、二十二兆円、この債務を一体だれがどこで引き受けるかということが決まらなければ経営の見通しが立たない、こういうことになるわけでございます。したがって、私が先ほど答弁を申し上げましたが、とにかく一体に決めてもらわなければならない問題である、かように存じておる次第でございます。
  151. 小野明

    ○小野明君 第二臨調も御存じのような結論を出しております。そして、監理委員会も設けられておるわけです。しかし、大臣としてはやはり監理委員会に責任を負わせるのでなくて、政府全体でこの一番根幹である長期債務の問題を処理するという決断を持たなければ国鉄の再建はでき得ない、こう思いますが、よろしいですか。
  152. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 監理委員会というのは内閣に置かれておるわけでございます。なぜ監理委員会ができたかというと、国鉄の経営形態の問題とか長期債務の処理の問題とかというものは、監督官庁である一運輸省あるいはばらばらになっておる財務関係を見ておる大蔵省、こういうところだけではなかなかこれは決めることが困難な大きな問題である、こういうことから内閣が責任を持って決める、そのために第三条機関になるべく近い八条機関という、権限を持った八条機関である再建監理委員会をつくった、こういうことでございますから、お説のとおりであると申して差し支えないと思います。
  153. 小野明

    ○小野明君 三条に近い八条委員会なんというのは法律的に存在するかどうか、私もちょっと理解に苦しむわけですが、なるべく独立性を持たせたいという意味に理解をします。  そこで今日、ヨーロッパではイギリスと西ドイツ、フランス、ここで鉄道が国有化されて運営されていると思います。大臣は、先ほど企業性と公共性両方云々、こう言われましたが、この三国における損益の収支、それから国がどれほどの援助をしているか、これをひとつお示しいただきたい。
  154. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 今イギリスとドイツとフランスのお話がありましたが、ドイツの損益が約四千億ほどでございまして、イギリスが百六十五億、フランスが九百億でございますが、助成金がそれぞれの鉄道に大幅に入ってございまして、イギリスの場合が四千二百億ほどでございます。それからドイツの場合は、鉄道に入りますものと、さらに年金の補てんがございますので、直接、間接合わせましての助成が一応一兆二千億というほどになってございますし、フランスにおきましても、年金等の分担金を別途助成しておりまして、これを合わせますと約一兆ほどの助成が出ております。ちなみに、現在申し上げましたものは一九八一年度の内容でございます。
  155. 小野明

    ○小野明君 私の調べも、大体今数字を丸くして答弁をいただいたと思いますが、そういう実情であります。  ですから、大臣、これは日本だけの問題ではないわけです。先ほどは企業性と公共性両方フィフティー・フィフティーと見るような御意見を述べられたわけですが、それなら日本国有鉄道と何のためにそういう名前をつけておるのか。当然、これは公共性というものにウエートを置いて運営さるべきである。これらの国々においてもそのとおりである。これについて、大臣いかがですか。
  156. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 今日までそういうことでやってきたわけでございます。もともとは国有国営でやっておったわけでございます。昭和二十四年に、これは当時の進駐軍、マッカーサー司令 部からの命令があって公共企業体というものになった。それでもいわゆる国有国営ということでやってきたわけでございます。  今回、臨時行政調査会の考え方として分割民営化分割の問題は別にしますと、要するに民営化という方向が初めて打ち出された、こういうことなんでございまして、議論としては当然お説のような議論もあるということなんでございますが、ただいまは第二臨調が民営化という方向をとったということでございます。これについてはいろいろな意見があると思います。これまでも闘わされたところでございますが、今やそういう方向の答申が出ておりますので、政府はこれを尊重するという建前をとっておるわけでございます。    〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕
  157. 小野明

    ○小野明君 尊重するという建前をとっておられる。しかし、先ほど大臣は、長期債務の解決を政府がやることなくして経営形態の問題を論じられぬとまた逆のようなことをおっしゃられたわけですね。大臣就任のときは、私もあなたを昔から知っておるからテレビを見ておったが、相当分割民営については思い切った反論をされておったんですが、今のは大分違うようですが、いかがですか。
  158. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 違わないのでございます。多少、新聞の書き方等が問題があるわけです。分割民営化という方向と長期債務を国において何とかしなければ国有鉄道はやれるものじゃないんです。どういう形にするかは別として、国がというか、大きく言えば政治がこの問題を解決しなきゃならぬということは、これはだれが考えてもそれしか方法がないんです。国有鉄道が解決しろといってもできるわけはない、サラ金地獄に入っておるんですから。そういうことを申し上げておるわけでございまして、これは何も私ちっとも初めからしまいまで変わっておりませんし、今申し上げました分割民営化云々とか臨調の答申とかいうこともみんな一貫しておるわけでございます。問題は、長期債務をどういう形にするか、どういう形で政治が面倒を見るか、国が面倒を見るかということが残されておるというふうに御理解をいただけば結構だと思うのでございます。  それから分割民営化について異論があるかどうかということですが、これは少し長くなりますからやめますけれども、民営化というのは終始一貫して、民営化には賛成というよりも、私は臨調に出かけて私自身の意見を申し上げたときから民営化を言っておるんです。民営とは申しません。民営化を言っておるのでございます。つまり公共企業体でなくする、労働基本権も皆与える、そういうことにすべきであると言っておるのでございます。分割については、方法がいろいろあるということで、いろんな意見が私にあるということを申し上げたということは事実でございます。
  159. 小野明

    ○小野明君 至極あなたは矛盾されたことをおっしゃっている。分割民営化をして、それから長期債務を解決する、そういう方向のように聞こえるんですが、先ほどのあれは長期債務を解決することなくして分割民営、経営形態は論じられない、これはだれが考えても長期債務の解決ということが先だ、これが根幹であって、そうして初めて経営形態の問題が出てくる、こういうふうに受け取りますよ。午前中はあなた立派なことをおっしゃったから私は賛成しておったが、あなたが二枚舌みたいなことを言われて、がっかりするんだ。
  160. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 全然違います。違いますから、ちょっと言わせてください。  長期債務の処理ができなければ分割民営化はできない、かように申しておるわけでございまして、終始変わっておりません。
  161. 小野明

    ○小野明君 今おっしゃったことならわかる。長期債務の解決ということが先にあって、経営形態は後の問題だと……
  162. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 初めからしまいまでそう言っているんです。
  163. 小野明

    ○小野明君 そうじゃない。ひっくり返るからね。
  164. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 速記録を持ってきてください。
  165. 小野明

    ○小野明君 そこで、とにかく長期債務、これを解決するということが基本的な認識、それから西独においてもフランスにおいてもイギリスにおいても国から多額の補助をしている、あながち日本だけの例ではない、こういうことが今答弁になっておるわけです。これを前提に置いて、私は地方交通線の問題を質問してまいりたいと思います。  この二十日から値上げをされた。これは特にまた地域別格差運賃、地方交通線だけ値上げをする。そして、いわゆる交通弱者、学生とか中高年とか、こういった所得の低い人たちが大変困っておる。値上げでそれじゃサービスよくなったか、よくなるわけじゃない。おまけに、この特定地方交通線は廃止が強引に進められつつある。こういうことでは公共性も何もあったものじゃない、住民サービスも何もあったものじゃない、こう私は申し上げざるを得ないと思う。  まず、特定地方交通線の現状を、一次、二次に分けられておりますが、第一次四十線、第二次三十二線ですから、簡潔にひとつ説明をしてもらいたい。
  166. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 一次につきましては、四十線が既に特定地交線として御承認を受けているわけでございますが、このうち現実バス輸送ないしは三陸鉄道のように第三セクターに転換いたしましたものが合計八線ございます。それから現在の段階で転換はいたしておりませんが、方向が決定いたしておりますものが七線でございます。四十線中合わせて十五線が一応具体的実施なり方向が決まった、こういう状況でございます。  二次線につきましては、二千百七十一キロ、三十三線について現在運輸省に承認申請中でございます。
  167. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 今話がありました第二次特定地方交通線につきましては、一昨年の十一月に国鉄から承認申請がなされておりまして、手続によりまして、すぐ都道府県関係の知事さんに意見照会をいたしました。いろいろ事情がございまして、なかなか意見がもらえなかったわけでございますが、現在の段階におきましては、関係十七県知事の中で十五知事から御意見をいただきまして、残り北海道と福岡からはまだ意見をいただいていないわけでございますが、一応我々としましては知事意見をもとにいろいろ調査をいたしまして承認の手続を進めたい、こういうふうに考えております。  まだ未提出県の二県につきましても、いろいろお話をして、ぜひ御意見をいただきたいということで現在お願いをいたしておりまして、近いうちに御意見がいただけるというふうに我々としては期待をいたしておるところであります。
  168. 小野明

    ○小野明君 第二次線については後ほど尋ねていきます。第一次線は、岩崎理事、これは十七線じゃないですか。十五線……。
  169. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 先ほど申し上げましたように、具体的に転換をしてしまったものが八線でございまして、この内訳は、バスに移りましたものが五線、それから第三セクターが三線でございます。それから、まだ転換はいたしておりませんが、方向が決まっておりますものが七線。そのうち、バスを予定いたしておりますものが三線、第三セクターによる鉄道が三線、それから私鉄が引き受けると申し出ておられるものが一線、計七線。両方合わせまして十五線でございます。
  170. 小野明

    ○小野明君 残りは、そうすると二十五線ですか。
  171. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 二十五線でございますが、そのうち三線は輸送密度が二千人を超えておりまして、現在協議を中断しておりますので、協議中のものが二十二線でございます。
  172. 小野明

    ○小野明君 これは大臣にお聞きしたいんですが、第一次線は今お聞きになったような現状ですが、年度からいえばこれは五十八年度になっておる。これは大臣、第一次線はどう取り扱いになりますか。
  173. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) どう取り扱うかというのは、協議会をやって二年たったらというのが条文にあるわけでございまして、それから後どうす るか、恐らくこういう意味でございましょうと思いますから、それでお話ししますが、法律によりますと、二年たつと、国鉄総裁は運輸大臣に対して話がまとまらない場合には線路を廃止することの認可を申請してまいる、こういうことになっておるのでございます。あわせて自動車の代替輸送を出してくる、こういう段取りに法律上なっておるということでございます。
  174. 小野明

    ○小野明君 それは法律上なっておることはよく承知をしておるんです。  そこで、二千人を超えたところが三線あります。岩崎理事、これは当然外されるわけですね。
  175. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) これは利用運動等によりまして、現実に輸送量がふえてまいりまして二千人を超えておるわけでありますが、一時的な増加では評価できませんので、その定着性を確認する意味で半年ごとに協議会を開きまして確認をいたしております。
  176. 小野明

    ○小野明君 それで大臣、あなたは十条三項のことを法律条文のとおりに言われたんですが、そういう粗い取り扱いでなくて、協議が調うまでこれを見切り発車すべきでないということを私は申し上げたいわけです。そのように取り扱ってもらえますか。
  177. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 見切り発車という言葉がございましたが、法律で決まっておりますので、法律に決まっておることをやらなければならぬというのは憲法の命ずるところであるわけなんでございます。しかしながら、だからといってしゃくし定規でいいかどうかということについては十分に考えなければならない、かように思っておるのでございます。それ以上のことを申しますとこれはちょっとおかしくなってまいりまするので、何とか二年の期限中に話し合いをつけていただきたい、かように強く念願をいたしておるということでございます。二年を二日過ぎた、五日過ぎた、一週間過ぎたから直ちにばっとやっちまえというような、そんなやぼなことを考えておるわけではございません。
  178. 小野明

    ○小野明君 これは、「協議が調わないことが明らかである」、この解釈になると思うんです。ですから、これはなかなか大臣の含みのある答弁でありますが、あくまでも地元の意見を尊重する、こういう立場に立って事を処理していきたいという意味に受け取ってよろしいですか。
  179. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) これは話し合いをつけていただきたい。話し合いがつくはずだと思います。私は、話し合いがついた方がこのローカル線は残す場合でもより便利なものになる、より地方住民の皆さんのためになるというふうに思っておりますので、話を打ち切ったりしてもらっては困るわけでございまして、これはやはり何とか解決のめどをつけていただきたい。若干の期限が多少あれでも、話が進んでここまで来ておるのにというようなことについては十分考えなけりゃならぬ、こう思っておりますが、協議も何もないのだという話になってまいりますと解決のめどが立ちませんので、これはどうも法律が決めておる方向に行かざるを得なくなるのではなかろうか。そういった意味で、あくまでも話し合ってもらうし、国鉄の側ももっと親切に話せば、私は詳しくは申しませんが、必ずこれは残すべきものは残してやっていけるような方法はあると考えておるわけでございます。
  180. 小野明

    ○小野明君 どうも、これは衣の下によろいがちらちらするような答弁ですが、例えば第二次の場合も知事の意見が提出されていないのが二県である。これは極めて深刻な実情を抱えているわけです。これは国鉄もあなたもよく知っておられると思う。ですから、無理に知事の意見を取り上げる、こういうことはやめてもらいたいと思う。いかがですか。
  181. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) これは知事から意見を出していただくことになっておりますから、知事さん意見は要りませんということを申し上げると私は法律を守らぬことになりますので、お出しをいただくようにお願いするのが当然だと思っておるのでございます。  小野委員はよく御承知だと思いますが、この法律案ができ上がるときに、社会党からこの法案に対して修正案が提出されたことなんでございます。その修正案が否決されて本案が可決されておりますので、この法律を破るということはできないということを私は申し上げておるわけでございます。  意見がいろいろあることはよく十二分に承知しております。また、知事さんがお出しになればそこから二年が始まるのだというようなことがあるのだということもよく承知しております。
  182. 小野明

    ○小野明君 やはりスムーズに運営するためには、地域の事情がいろいろあるわけですから、法律を盾にとって、そうして無理に、強引に出させる、圧力をかける、そういうことはひとつ大臣やめてもらいたいと思うんです。  これは四月十七日の新聞ですが、第二次ですが、「三十三線廃止一括承認へ」「特別な事情がない限り、来月中にも、三十三線の廃止申請を一括して」云々、こういうことはないんでしょうね。
  183. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) その新聞は私も見ましたですが、先ほど申しましたように、関係の十七県の中で十四県か十五県出てまいりましたときに、大部分が出たので恐らくそういうような方向に進むのではないかというようなことでこの新聞が取り上げたのだと思います。我々としては、今後協議会をつくって地元の交通をどうすべきかということを十分話し合いを進めていくわけでございますので、できるだけ円滑にこの事務は進めたいと思っておりますので、現在未提出の県に対しましても、ひとつ御協力をいただいて、先ほど大臣が申しましたように、意見につきましては、もちろんそれぞれの県の特殊性がございますので、それぞれの県の実情を十分吐露される意見で結構でございますので、御意見をいただいて、そして手続を進めたいということでございますので、現段階においては両県に対しまして他の県と同様な形でぜひ御意見をいただきたいということで期待をいたしておるわけでございます。
  184. 小野明

    ○小野明君 そうすると、この新聞のとおりには事を運びませんということですか。
  185. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 今両県といろいろ事務的に御相談いたしておりまして、おっしゃいますように、確かにそれぞれの地域の特殊性が両方にございまして地元との問題もありますけれども、両県とも地元を保護しながら、いろいろやはり一つ法律の型に手続として決まっているものです。運輸大臣としましても、照会をしまして一年半たつわけでございますので、いろいろ話し合いを進めておりますので、現段階におきまして何とか対応しようという形を我々としても酌み取っておりますので、どうしても意見を提出しないのだというような形でありますれば格別でございますが、現段階におきましては、話し合いを進め、ぜひその手続に従ってお願いしたいということでおるわけでございます。
  186. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 御意見が出ることを期待しておるわけでございますし、法律にもそう書いてあるわけでございますから、法律でやっていただきたいということであくまでもお願いを申し上げる、こういうことでございます。出ないものを勝手にやるというわけにはまいらないようにちゃんと法律ができておるわけです。
  187. 小野明

    ○小野明君 そこで、第一次の場合、三線が二千人を超えています。それで、北海道、福岡というのは、これは北海道開発とかあるいは産炭地の振興という大きな問題を抱えているわけですが、知事意見が出ないというのは、やっぱりそれだけ住民の反発がいかに強いかということが反映をされておる、それで苦慮されているわけです。それで、一方では北海道開発とか、産炭地の跡地の振興、こういう問題を抱えておるんですから、こういった第一次、第二次線の集中地域については特別な基準をつくって検討してもらってはどうか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  188. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) それぞれの地域の特殊性を各地域においては申されるわけでございますが、やはり両県と別の県におきましてもそれぞれ のいろいろな御意見がございます。我々としましては、再建法に基づきまして、国鉄の経営という観点から、あるいはまた鉄道特性を既に失った輸送密度というような観点から御考慮願うということで基準を定めておりまして、この点につきましてはやはり一応鉄道の特性が機能を失っておるという基準としましては、現段階における基準で一応お話を地元とし、そしてそこの中において地元で第三セクターを選択されるなり、あるいはバスを選択されるなりということで、それぞれの地域の実情に応じた形での転換をお願いしたい、こういうふうに考えております。
  189. 小野明

    ○小野明君 私は、この特定地方交通線が先ほど大臣に最初に質問したように、国鉄の将来展望がまだ明らかでない、監理委員会は六十年の半ばに答申を出す、こういうふうに言われておるわけです。それで、そういった段階で廃止をされたり、あるいは各県単位地域陸上交通計画の策定というものが全く考えられないままに廃止だけが進められるということに私は強く反対の意見を持っておるんです。  一体、このローカル線の廃止というのには、国鉄の今回の計画にはスクラップだけあってビルドがないんです。石炭でも、やるときはやっぱりスクラップの山とビルドの山と分けてやってきました。ところが、この国鉄の特定地方交通線の場合は、片っ端からスクラップばかり、そして全然将来展望を与えようとしない、地域経済に対してあるいは地域住民に対して。例えば福岡県なんかの場合も、油須原線を開通する、臼井—桂川間を結ぶ、あるいは勝田線と室木線を結ぶ、これによって環状線ができて私は相当利用者数がふえる、こういうふうに思うわけです。そういったビルドの計画なくしてスクラップばかり、これは私は大変むちゃくちゃな強引なやり方だ、こう言わざるを得ない。  大臣お戻りになりましたが、今度の特定地方交通線の場合はスクラップばかりでビルドがない、こういうことを私は申し上げておるんです。ビルドをやれば福岡県でも産炭地を中心に、東京で言えば国電のような周囲を回るというような構想ができるわけです。それらなくして、あるいは県内の総合交通計画なくしてスクラップばかりやる、全く能のない話だと思うんです。ですから、それらがないままに一次、二次の特定地方交通線をスクラップに強引に追いやるということはやめてもらいたいというのが私の意見です。
  190. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 非常にごもっともな点のある御意見でございまして、そういうことを協議会でひとつ御議論をいただきたい、法律もそういうふうにお願いしておるわけでございますし、私どももそうお願いしておるわけなんでございます。これは残せばいいじゃないか、これはもうちょっと金をかけてこうすればこのような状態になるじゃないか、そういう御相談があればそういう御相談をお願いしたい。あるいはこのままでももうちょっと使い方を変えたらもっと客もふえるじゃないか、赤字も少なくなるじゃないかというような御相談をぜひお願いしたい。これは二年では短か過ぎるよというお話があるかしれませんけれども、それを二年と法律で見たということなんでございまして、大変そういうことは結構なんでございます。そういう御意見をひとつ協議会の場で出していただきたいということなんでございます。
  191. 小野明

    ○小野明君 だから、十条三項を使って見切り発車をしませんというふうに大臣がおっしゃれば、あるいは協議も進むかもしれません。大臣、見切り発車しませんとここでひとつ御答弁してください。
  192. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 法律で決まっておりまして、そして国鉄総裁が出すというものを運輸大臣があらかじめ一括してそれはやらないという話をせよということは、これは御勘弁いただく以外はないのでございまして、先ほど来から私が苦労しながら答弁をいたしておるわけなんでございます、しゃくし定規なことはやりませんと。それ以上のことを言わせようとおっしゃると、これは憲法違反になるんです。そういうことでございます。
  193. 小野明

    ○小野明君 きょうは国鉄総裁に来てもらおうと思ったが、国鉄総裁が来られないので大変残念なんですが、国鉄当局もしゃくし定規に地方自治体に押しつけるというようなことはひとつやらないようにしてもらいたい。
  194. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 今までに会議を始めましてから二年を経過している線区が十八線ございますが、この中に既に転換したものも入っているわけでございまして、転換していないものについては、先ほど来話が出ておりますように、二年経過時点で近いうちに協議が調わないことが明らかであるとは認められない、ほぼ方向が決まっているとか、あるいはバス転換あるいは第三セクター転換について協議会で決定をしておる、こういうことで参っておるわけでございまして、現在までの時点で見切り発車云々という必要性は全く出ていないわけでございます。今後、七月あたりから二年に達するものが出てまいりますが、期限内に今後幾らやってもだめだというような状態にならないように協議を十分詰めてまいりたい、このように考えております。
  195. 小野明

    ○小野明君 何かしゃくし定規な答弁で、私の意が伝わっていない、酌んでいないと思うが、ひとつ強引なやり方というのは厳に慎んでもらいたい、これを要望しておきます。お答えいただきたい。
  196. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) よく御趣旨を体しまして、十分に協議をしてまいりたいと思っております。
  197. 小野明

    ○小野明君 終わります。
  198. 野田哲

    ○野田哲君 きょう、私は、最近また議論になっている有事法制の研究と運輸省の所管事項についてこれがどういうふうにかかわっているのか、こういう点について、防衛庁とそれから運輸省のそれぞれの政府委員並びに大臣に、現在の状況なり見解を承ってまいりたいと考えているわけです。  まず、防衛庁の方に先に伺いますが、防衛庁の方では有事法制について、最近の報道によりますと、栗原防衛庁長官は、自衛隊の有事即応態勢強化の一環として進めている有事法制研究のうち、道交法、電波法など、防衛庁を除く省庁が所管する法令に関する検討結果を今秋をめどに国会に中間報告をする、こういう意向を固めているということが報道されていますが、大体そういう方針で各省庁との間で協議検討を進めているということなんですか。
  199. 新田勇

    説明員(新田勇君) お答え申し上げます。  有事法制の研究は、先生も御案内のとおり、昭和五十二年の八月にスタートをいたし、基本的な見解につきましては五十三年の九月に公にいたしました。その後、研究を重ねまして、五十六年の四月に中間報告ということで報告申し上げた部分がございます。あそこで第一分類、第二分類、第三分類という三つの区分けをいたしたわけでございますが、第二分類について、その後第一分類の残りとあわせて引き続き検討するということといたしておりまして、目下この第二分類というものに力を注いでいるわけでございます。  第二分類というのは、防衛庁所管外の法令につきまして、有事に際して自衛隊が行動する場合に果たしてそれらの法令が自衛隊の行動について一つのネックになるというようなことはないかどうかというようなことで研究をするということで進んでいるわけでございます。その研究の成果は、各省庁の御協力を得て鋭意進めておるところでございまして、研究ができ次第速やかに御報告申し上げるというスタンスでおるわけでございます。
  200. 野田哲

    ○野田哲君 防衛庁以外の他の省庁の所管に関する事項、つまり第二分類についての検討をやっているということでありますが、これによりますと、約七十項目の検討事項をそれぞれの各省庁に提起している、こういうふうな状況が報告をされておりますが、運輸省の方はどういう法令を全部で何本あるいは何項目の検討の要請を受けているのか、運輸省の方でお答えいただきたいと思います。
  201. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 防衛庁からは、第二分類に属します問題につきまして、部隊の移動、輸送に関する法令、あるいは火薬類の輸送、貯蔵に関する法令という分類の中に属します十六項目について御照会をいただいております。
  202. 野田哲

    ○野田哲君 十六本というのは、具体的に項目別にどういう検討が行われ、どういう回答をしたのか、この点を示してもらいたいと思います。
  203. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 現在、防衛庁からの御照会に対しまして運輸省からは一応の回答をしているところでございますが、具体的な回答につきましては、御照会先の防衛庁側に協力しているということでございますので、防衛庁から御答弁いただくのが適当かと存じます。
  204. 野田哲

    ○野田哲君 それでは、防衛庁の方で示してもらいたいと思います。
  205. 新田勇

    説明員(新田勇君) 第二分類、大体区分けいたしまして八つぐらいの分類をいたしておるわけでございますが、そのうち、先ほど政府委員の方から申し上げましたように、部隊の移動あるいは物資の輸送という関連の法令を中心に十六項目御照会申し上げているわけでございます。私の方からお願いをいたし、また未調整という部分もありますので、私の方から申し上げることはいかがかと存じますけれども、ただいま運輸省の方からお許しがございましたので、ちょっとその点について申し述べさせていただきたいと思います。  一つは、防衛庁の持っています自衛隊機等に対します航空法の適用関係の解釈といったようなことがございます。それから同じく自衛艦隊に対しまして、これは海上衝突予防法であるとか、海上交通安全法、あるいは港則法といったようなものの適用関係の解釈といったようなことを例えばお願いいたしておるところでございます。何分にも、いろいろお答えもいただいておるわけでございますが、調整に至らないというところでございますので、内容についてはこの程度にさせていただければ幸いと存じます。
  206. 野田哲

    ○野田哲君 この程度にと言ったって、これは全く何にもないじゃないですか。航空関係と艦隊の関係でということで、この程度と言っても中身は何にも報告もないんですが、報告できないんですか。
  207. 新田勇

    説明員(新田勇君) それでは、件数で一言申し述べさせていただきますと、航空法で六件、それから海上関係で六件ということでお願いしておりますので、大体半分以上はここでカバーするということでございます。中身については御勘弁いただきたく存じます。
  208. 野田哲

    ○野田哲君 どうしてもそれ以上言えないということであれば、あなたをここで責めてもしようがないので、これは防衛庁長官以下、関係者そろったところで、なぜそれ以上のことが国会へ報告できないのかということを含めて、機会を改めてただしてまいりたいと思うわけですが、大体これは運輸省関係を含めて第二分類についてはいつごろまでにまとめるつもりでいるわけですか。
  209. 新田勇

    説明員(新田勇君) まず、最初のところでございますが、国会に報告しないというわけではございませんで、未調整部分がありますので、調整をした上で御報告させていただくということで、ずっと報告しないままでいくというわけではございません。  それから相手様のあることでございますので、各省庁に鋭意お願いいたしまして回答をいただいておりますが、回答をいただいても、その中身について私どもからさらにお伺いしたいというような点もございますので、できるだけ早くというふうには考えておりますが、いつ幾日ということを区切って申し上げるのは私ども事務をやっている者といたしまして困難だということでございますので、御理解いただきたいと存じます。
  210. 野田哲

    ○野田哲君 運輸省の方に伺いますが、航空関係で六件、それから海上関係で六件、こういう法令があと四件あると思うんですが、この運輸省所管の法令について改正をしようとすると、問題によっては、いろいろ運輸省が所管している審議会がありますが、こういうところの議を経ないでもこれはやれるのかどうか。これはやれないと思うんですけれども、そのような諮問機関への議をいつどういう形で処理をするつもりでおられるんですか。
  211. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 現在防衛庁からの御照会に応じて御回答申し上げている問題について法令の改正を直ちに必要とするかどうか、これからの問題でございますが、仮に今御質問のような点で改正が必要だとした場合に、今御照会をいただいている法令については審議会へ付議することは義務づけられていない法律ばかりでございます。
  212. 野田哲

    ○野田哲君 今検討中の法令については極めて抽象的に航空関係六件、それから海上関係六件という形で件数を示されただけで、これ以上中身を今議論しようがないんですが、そういたしますと、私はあわせて同じような観点から、既に防衛庁が決定をしている野外令に基づいて、この野外令の中の交通関係について運輸省はどのような協議を受け、どのように対処しようとしているのか、この点について引き続いて承ってまいりたいと思うんですが、私は今ここに五十三年の野外令というのを持っているんですが、これは当時運輸省に資料請求をして提示をされたんですが、最近はこの野外令というのは部外秘になっているということなんですけれども、私どもにも請求しても提示がない。これはいつからこういうふうになったんですか。
  213. 平林和男

    説明員(平林和男君) 野外令は教範でございまして、この教範は自衛隊の教育訓練の準拠を示すものでございまして、自衛隊員の職務上必要と認められるものを対象に作成されております部内資料でございまして、部外への公表をする、そういう性格のものではございません。御指摘のように、昔は確かに貸し出しをしておった時期もあるんですが、昭和五十五年度以降、当庁の方針といたしまして貸し出しをしないということにした次第でございます。
  214. 野田哲

    ○野田哲君 金丸防衛庁長官は、この内閣委員会で私に対して、野外令はちっとも隠すべきものでもない、堂々とお示しをしているのだからということで大見えを切っておられるんですが、この野外令は今全く示されないわけなんですけれども、私は五十三年のものについて提示を受けたんですが、この野外令第二部、第三編、第四章の「交通」という項、これは五十三年六月当時と現在との間では何か変更がありましたですか。五十三年六月当時と変わっておりませんか。
  215. 平林和男

    説明員(平林和男君) 当時と変更してございません。
  216. 野田哲

    ○野田哲君 では、野外令に具体的に入る前に、現在の自衛隊法の百三条について。  防衛庁の方の報告では、百三条についてもこれで十分かどうか検討する必要がある、こういうふうに言われているわけですが、この自衛隊法の百三条を実際発動するためには具体的な内容はすべて政令にゆだねられているわけですけれども、この政令についてはどのような検討がされているわけですか。
  217. 新田勇

    説明員(新田勇君) 御指摘のように、百三条を有効に働かせるためには政令を制定する必要があり、前の中間報告の際にも引き続いてこれを検討していくべきというふうにされておるわけでございますが、実際のところ、この第二分類の方に力がいっておりまして、百三条のこの政令関係については特段の検討をしていないというのが現状でございます。
  218. 野田哲

    ○野田哲君 この百三条の一項で、「輸送を業とする者に対してその取り扱う物資の保管を命じ、又はこれらの物資を収用することができる。」、それから二項で、「輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している医療、土木建築工事又は輸送の業務と同種の業務で長官又は政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができる。」、そして四項で、「輸送に従事する者の範囲は、政令で定める。」、こういうふうになっているわけですが、この「輸送に従事する者の範囲は、政令で定める。」というのは、災害救助法と同様に考えているのだ、こう いうふうに聞いているんですが、そういうことなんですか。
  219. 新田勇

    説明員(新田勇君) 五十六年の中間報告の際に、「別紙」ということで、「自衛隊法第一〇三条の政令に盛り込むべき内容について」というのがございます。そして、この三番目のところに、今仰せのとおり、「災害救助法施行令に規定するものとおおむね同様のものとする」というふうに書いてございまして、その後特に研究をいたしているわけではございませんが、考え方としては、あの当時、災害救助法施行令の規定とおおむね同様ということといたしておるわけでございます。  なお、その後に、この報告書を出しましたときにいろいろ御質疑があって、もう一つほど加えたのがございますが、これは五十六年四月に衆議院の内閣委員会政府委員の方から答弁させていただいておりますが、「災害救助法施行令にないもので、私どもとして必要になるのではないかと、いま頭の中に考えております」ということで「航空運送事業者」、そのほか幾つかございますが、運輸関係ではこういうものを挙げたことがございます。
  220. 野田哲

    ○野田哲君 「おおむね」というところに結局今お話にありましたものが加わる、こういうことになろうかと思うんです。そうすると、災害救助法施行令の十条によりますと、地方鉄道業者及びその従事者、それから軌道経営者及びその従事者、自動車運送業者及びその従事者、それから船舶運送業者及びその従事者、港湾運送業者及びその従事者、これが災害救助法施行令に定めている輸送に従事する者、こういう範囲ですね。これに航空関係の業者並びにその従事者、こういう者が加わる、こういう理解でいいわけですか。
  221. 新田勇

    説明員(新田勇君) 仰せのとおり、災害救助法十条六号以下をお読みになり、それに航空運送事業者をお加えになったのかと存じますが、実質的に見てまいりますと、このうちの七号の軌道の関係というものは自衛隊との関係では余り出てこないのじゃないかというようなことからこの辺は入ってこないのじゃないかというふうに考えておりますが、あとは先生のおっしゃるとおりだと思います。
  222. 野田哲

    ○野田哲君 運輸省の方は、自衛隊法百三条によって従事命令が出される輸送に従事する者、輸送業者、それからその従業者、こういう点について、今述べられたような防衛庁の考え方について、具体的にこれについてどのような協議を受けておりますか。
  223. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 防衛庁側がそのようなお考えを持っておられることは承知しておりますが、具体的にこれを政令内容として定めたいというような意味での協議を受けたことはこれまでございません。
  224. 野田哲

    ○野田哲君 もう一つ防衛庁の方に伺いたいのは、今の災害救助法と「おおむね同様」ということで、軌道の関係は外れて、この中に航空関係を含めた。輸送あるいは土木、医療、こういうものを含めて、災害救助法によりますと、この命令を拒んだ場合には罰則があるわけです。そこで、この自衛隊法百三条の検討の中でも、百二条に基づく従事命令を拒んだときの罰則についても検討課題になっているのだ、こういうふうに聞いているんですが、そういうことなんですか。災害救助法では六ケ月以下の懲役それから五万円以下の罰金が科せられることになっているんですが、この点はどうなんですか。
  225. 新田勇

    説明員(新田勇君) 慎重に検討するという段階でございまして、直ちにそれが罰則をつけるべきかどうかということにまでは至っておりません。事柄の内容がなかなか罰則で担保するのも難しい面があるのを承知しておるつもりでございます。
  226. 野田哲

    ○野田哲君 野外令について伺いたいと思うんですが、野外令の中で第二部、この中に第三編の第四章で「交通」という項目があります。この野外令の二部で交通関係その他の医療とかいろいろ述べられているわけですが、きょうは交通に限って伺いたいと思うんですが、ここに「部外輸送力を組織的に利用する」という立場に立ってずっと各項目があるわけですが、ここにあるこの部外の輸送力を積極的に組織的に利用するということは、つまり自衛隊法百三条に基づく従事命令を出してこの部外の輸送力を使う、こういうことになるわけですか。
  227. 平林和男

    説明員(平林和男君) 野外令は、部外機関と関係のある分野につきましては、「関係部外機関の責任と権限を尊重し、諸法規に準拠して業務を遂行する。」というふうにしておりますし、また関係部外機関との連絡調整のもとに実施するというふうに記述をされておりまして、現在従事命令に関する政令が規定をされておらないわけでございますので、そういうことは前提にしないで記述をされておるということでございます。
  228. 野田哲

    ○野田哲君 前提にしないで記述されているといっても、私はこれは野外令という性格からして、あなたに聞くよりもこちらへ聞いた方が早いのかもわかりませんが、部外の輸送機関を組織的に使うということがずっと各所に記述されているのでありますから、私が聞いているのは、百三条に基づいて従事命令を出して部外の輸送機関を使うのですか、それともこれは契約によって委託するとか、そういう形のことを想定されているのか、このどちらかしかないでしょう。どうなんですか、その点は。
  229. 新田勇

    説明員(新田勇君) 先ほど一つ答弁を間違えましたので訂正さしていただきたいのでございますが、罰則の関係でございますが、罰則の関係は物資の保管命令のところについて検討いたしておるわけでございまして、従事命令のところはございません。そういうことでの検討ということではございません。  それから次に、今の野外令における部外機関との関係でございますが、これは現に自衛隊法八十六条あるいは百一条というところに、自衛隊以外のところとの言ってみれば協力関係を記述したものがございます。また、百三条などというものも将来形が整えばそういうものに入ってくるかと思いますけれども、現行の法規にもほかの機関と自衛隊との間の一応協力関係みたいなものが予定されておりますので、そういうことを頭に置いて部外の関係等は調整する、場合によっては民事的な関係であるということも多いかと思いますが、そういうことを前提にしてこの野外令ができている、かように考えるものでございます。
  230. 野田哲

    ○野田哲君 野外令というのは、自衛隊の有事の際の行動の基本を示しているものだと思うんです。だから、私は架空のものではないと思うんです。  その点だけのやりとりでは時間がかかりますからもう少し先に進めたいと思うんですが、これは直接、交通運輸にかかわることではないんですけれども、野外令の二部を見ておりますと、「交通」の部門のところでも、それから「防疫」という部門のところでも何カ所かに出てくる言葉ですが、こういうふうになっていますね。そのくだりだけを読みますと、  各種の交通手段をもって相互補完するように有機的な組織を構成し、これを適切に運用するとともに、交通路線の警戒・防護及び被害の復旧等について総合的に施策することが極めて重要である。この際、特殊武器の脅威についても、あらか  じめ考慮する。こういうくだりがあります。  それから「防疫」のところでも、   特殊武器の脅威が増大するにしたがい、これ  らの施策を強化することが重要である。  ほかの箇所にも「特殊武器」という言葉がちょいちょい出てくるんですが、防衛用語の辞典を見ても「特殊武器」という言葉はないんですが、防衛庁では「特殊武器」というのは概念としてどういうものを指して使っているんですか。
  231. 新田勇

    説明員(新田勇君) ここで考えておりますのは、俗に言いますCBRを考えておるわけでございます。
  232. 野田哲

    ○野田哲君 もう一回はっきり。
  233. 新田勇

    説明員(新田勇君) Cですから化学兵器、Bですから生物兵器、Rですから核兵器、こういうも のを特殊武器とここでは考えておるわけでございます。
  234. 野田哲

    ○野田哲君 ですから、今の化学兵器、それから生物兵器、核兵器の脅威についてもあらかじめ考慮して交通手段についても確保しろ、あるいは防護対策についても留意をしろ、こういう記述があるわけですが、これによりますと、今の化学兵器あるいは生物兵器、核兵器の被害のあるところにも民間の輸送力を組織的に利用する、こういうことになっているわけですが、これは本当にそういうことを考えておられるんですか。
  235. 平林和男

    説明員(平林和男君) 特殊武器に関する記述は、第四章の「交通」におけるところで見てみますと、先ほど先生がお読みになりましたように、「この際、特殊武器の脅威についても、あらかじめ考慮する。」というのと、それから「特殊武器の脅威が増大するに伴い、予備の交通路及び端末地の地域被害対策等についても考慮する。」という二カ所の記述があるかと思うのですが、これは特殊武器により攻撃を受ける可能性が絶無とは言いがたいために、特殊武器の脅威が増大する場合には、部隊及び補給品が一地点あるいは一地域に集中して壊滅的な被害を受けることがないようにあらかじめこれを分散するため、輸送に際しては端末地の選定であるとか、あるいは予備の交通路を確保するなど、あらかじめ考慮をしておくという、そういう必要性を述べたものでございます。
  236. 野田哲

    ○野田哲君 そこで、運輸省の方に伺いますが、運輸大臣は自衛隊、陸幕がつくった野外令というものの存在を御承知でございますか。
  237. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) よく承知いたしておりませんが、名前だけは知っております。
  238. 野田哲

    ○野田哲君 運輸省官房審議官は、この今の私が問題にしている野外令、特に第二部、第三編、第四章の「交通」というところの記述について読まれたことがございますか。
  239. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 野外令というものについては全く承知しておりません。
  240. 野田哲

    ○野田哲君 それでは以下、運輸省の各担当の局長に、逐次、野外令の記述についてどういうふうに見解をお持ちか、承ってまいりたいと思うんです。  まず、「概説」の「要旨」の中では、先ほど読み上げましたように、   各種の交通手段をもって相互補完するように有機的な組織を構成し、これを適切に運用するとともに、交通路線の警戒・防護及び被害の復旧等について総合的に施策することが極めて重要である。この際、特殊武器の脅威についても、あらか  じめ考慮する。  第五項では、   交通は、その大部を部外の交通基盤に依存する。したがって、交通業務においては、関係部外機関と緊密な連携を図るとともに、部外輸送力を  組織的に利用することが極めて重要である。こうなっているんですが、部外輸送力、行政を預かっている運輸省官房審議官は、この点について相談を受けていない、こういうことなんですか。
  241. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 何ら御協議等を受けておりません。
  242. 野田哲

    ○野田哲君 それでは、鉄道監督局長に伺います。  この「概説」のところの「交通手段」の第一項は「道路」になっているわけです。道路はこれは建設省なり警察庁の所管でありますから省いて、「鉄道」というところについて伺いたいと思うんです。  こういうふうになっています。  (1) 鉄道は、安定した大きな輸送力を持つとともに、長距離の移動に適した効率的な交通手段であり、後方の地域において重要な意義を持つ。  (2) 鉄道は、線路及び輪転材料に制約されて、移動の柔軟性を欠き、その施設特に橋、トンネル、操車場等は、敵の攻撃の目標となりやすく、またその建設及び修理には、高度の技術、多くの作業力・資材・時間を必要とする。  (3) 鉄道の利用に当たっては、その特性を考慮し、関係部外機関の積極的な協力を得て、計画的かつ最大限に活用する。この際、民需との節調を図るとともに、必要に応じ重要箇所の警戒・防護、応急復旧及び補助手段等の対策を講ず  る必要がある。こういうふうに記述され、以下ずっと各論があるわけですが、鉄道監督局長としてはこういう趣旨のことについて防衛庁から何か協議を受けておりますか。
  243. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 何も聞いておりません。
  244. 野田哲

    ○野田哲君 それでは、海運の方の局長いらっしゃいますか。——鉄道の次は水路のことが記述されております。  (1) 船舶輸送は、一般に長距離、大量の一括輸送に適するが、速度が比較的遅く、港湾の施設、荷役、局地輸送等の能力に制約される。また、気象の影響を受け、敵の各種の攻撃の目標となりやすい。  小型船艇によるものは、接岸運動性に富み、揚搭も比較的容易である。また、潜水艦、水中翼船等は、独特の性能を発揮することができる。  (2) 船舶輸送の利用に当たっては、その特性を考慮するとともに、輸送実施のための組織の複雑性及び準備に多くの日時を要することに留意  する必要がある。こういうことなんですが、何か相談を受けておりますか。
  245. 犬井圭介

    政府委員(犬井圭介君) 相談を受けたことはございません。
  246. 野田哲

    ○野田哲君 航空局長いらっしゃいますか。——空路のことについて伺いますが、先ほどは、災害救助法に基づく輸送業者に、災害の方は空は当然関係ないから入っていないんですが、空も含めて政令を検討するのだ、こういうふうなお答えがあったわけですが、空の問題についてこういうふうにこの野外令では述べておられる。  (1) 航空輸送は、高速で、経路の選定が自由であり、長距離及び応急的な輸送に適する。したがって、緊急輸送及び陸上・海上の交通路線が破壊又は遮断された場合の輸送に重要な価値を持つ。  (2) 航空輸送は、気象、飛行場及び敵機の行動により制約を受け、また重量・容積の大きい器材の輸送は、航空機の構造及び有効とう載量によって限定される。「概説」のところではこういうふうに述べておられるんですが、航空局長はこの件について具体的に相談を受けておられますか。
  247. 山本長

    政府委員(山本長君) 相談を受けたことはございません。
  248. 野田哲

    ○野田哲君 先ほど、自衛隊法の百三条に基づく輸送に従事する者の範囲について災害救助法施行令十条に基づく指定がされているんですが、それの中から軌道経営者とその従事者というのは必要ない、そのかわり航空関係の者を加えたものを百三条に基づく政令で指定する考え方を示されたわけですが、そのことについては航空局長は何か相談を受けられましたか。
  249. 山本長

    政府委員(山本長君) これまで御相談は受けておりません。
  250. 野田哲

    ○野田哲君 運輸省審議官に伺うわけですが、今私がこの野外令の記述についてそれぞれ審議官並びに各局長に伺ったわけですが、それぞれまだ具体的な協議を受けていない、こういうことでありますが、これらの交通手段を緊急に自衛隊が使う、こういうことに野外令では記述されているんですが、ここに述べているような形で交通手段を使う場合に、鉄道あるいは海上それから空路、これらをこの野外令に記述されているような趣旨で緊急に使おうとする場合に、これは現行法のままで可能なのかどうか、その判断はいかがですか。
  251. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 今お聞きした範囲では必ずしも十分に検討はできないので、この場でお答えすることは必ずしも適当でございませんが、 自衛隊法百二条二項での防衛出動の要件が、出動下における緊急の必要性等の要件が整っており、かつ先ほど防衛庁の方から諸手続が定められた場合には一般的には輸送従事命令を出すということは可能かと存じております。
  252. 野田哲

    ○野田哲君 私が聞きたいのは、百三条があるからそれに基づいて従事命令を出すということは私どもは問題があると思っておりますけれども、自衛隊法百三条がある以上はこれやられるのだろうと思うんですけれども、そうではなくて、私が聞きたいのは、それぞれの交通手段を民需との調整を図りながら組織的に利用する、こういうふうに言っているわけですから、例えば日本国有鉄道を使って自衛隊員なり、あるいは武器その他の物資を運ぶとか、あるいは火薬や弾薬を積んだものを陸上で運ぶとか、あるいは空の便を使おうとすれば当然ダイヤの調整とか、こういう問題も起こってくるわけでしょう。そういうことについてこれは現行法で可能なんですか、こういうふうに聞いているんです。
  253. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 国有鉄道につきましては、自衛隊法でも国有鉄道と緊密な連絡協力をするということをうたっておりますが、そのような連絡協調のもとに、自衛隊法に基づきまして、この百三条の要件に適合し、かつ必要な手続がとられておりますなら、これは輸送機関の方が必要なそのために生ずるいろいろな諸問題を克服し調整をしながらやっていくという対応をとり、そして可能な限りその他の利用の確保に努めるということをするようになるかと思います。
  254. 野田哲

    ○野田哲君 今あなたや各局長は、この野外令の記述について知っておりますか、知りません。協議を受けておりますか、協議を受けておりません。それでは法律的に野外令に記述されているようなことが可能なんですかと聞きますと、百三条の命令が出れば可能なんだというふうな簡単な答えをされたわけですが、私はそんな簡単なものではないのだろうと思うんです。  具体的に伺いますが、第二節で「移動所要の概定」という項になっているんです。それを見ると、   移動所要の概定は、上級部隊となるにしたがい、作戦構想の策定との関連において、その重要性が増大する。方面隊以上においては、作戦構想に応ずる部外輸送力及び部外建設力の確保を図るため、早期かつ的確に行うことが必要である。  そして、   自隊輸送力及び部外輸送力特にその期待度等とを総合的に考慮して、充足可能と予想される移動総量を概定する。 こういうふうになっているわけです。  そして、   移動所要の概定に当たっては、交通能力の整備、特に部外輸送力の確保の可能性を至当に考察して、移動可能量の限界を予測するとともに、これと作戦上の要求との節調を図ることが重要である。 こういうふうになっているわけです。  この記述からいくと、平時、平常の状態のときからあらかじめ各地域別、路線別に国鉄や、あるいは先ほど挙げられたような民間の輸送力というものを調査して、百三条に基づいて輸送業者に対する従事命令を、事前に十分各業者の能力というものをリストアップしておかなければ、とてもこれは可能ではないはずなんです。その点どう思われますか。
  255. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 多少舌足らずのお答えを申し上げたわけでございますが、私が最初申し上げたのは現在の制度的な枠組みのもとで可能かという意味お答えしたわけでございます。  ただ、現実にそのようなことが容易にできるのかという御趣旨であれば、現実の日常の輸送活動は国の諸経済活動の結果として出てきているものでございますし、また国民生活を維持するために行われているものでございますから、実際には自衛隊が必要とされる輸送需要に応じてそのような輸送力を割っていくということについては、現実の協議というものが十分になされないとかなり輸送機関が混乱するわけでございますので、そういう点では周到な用意というのがあることが望ましいことでございます。そういう意味では、今後自衛隊がどんなふうなお考え方かを聞いた上で、これが現実に必要ならばそのような体制をあらかじめ用意しておくということが望ましいやり方だと考えております。
  256. 野田哲

    ○野田哲君 最初に返りますが、私が有事法制の検討課題の第二分類についていろいろただして、運輸省としては移動を中心にした十六項目について検討をお願いしているということを防衛庁の方からお答えがあったわけですが、結局この十六項目の検討課題というのは自衛隊員の移動を中心にしたものだということでありますから、この野外令に記述をされているようなことについては、これはやはり現行法では無理な面があるから法体系を整備しよう、こういうふうに考えておられるのではないんですか。今私が問題にしたこの野外令の記述とは全く無関係なことなんですか、どうなんですか。
  257. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 自衛隊の方からのお問い合わせは、自衛隊自身の自衛隊機あるいは自衛官等の移動に伴う問題が主でございます。そういう意味で、先ほどの輸送機関を利用するという面での輸送従事命令等にかかわる問題ではございません。
  258. 野田哲

    ○野田哲君 これは防衛庁の方、そういうことで自衛隊自身の移動にかかわる問題で、輸送を業とする者を、組織的に部外の輸送業者を利用するということについては全然これは法令にはかかわりなくやれる、こういうことなんですか。
  259. 新田勇

    説明員(新田勇君) 自衛隊の輸送といったようなものももちろん主にございますが、そのほかに物資の輸送というようなものもございます。それで、自衛隊の行動が能率的、効率的に行動するに当たって現行法制で何かひっかかるところはないかということの研究でございまして、立法云々というのはまた別の次元で検討すべきものという、あくまでも現行法令上何か問題はなかろうか、解釈はこれでよろしいのでしょうか、あるいは手続等について少しスピードアップしていただける余地ありましょうか、こういうようなことをお伺いしているところでございます。
  260. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私は、第一は機構改革の点につきまして、第二点は運輸収入の問題点につきまして、第三点は大臣の所信の中から、三点にわたりまして質問をさせていただきたいと思います。  いよいよ運輸省も本年の七月に中央及び地方組織改編あるいは縦割りから横割りということで大改革が行われるわけですが、この組織改革の構想は昨年の八月に大体決まったと聞いておりますが、そのとおりでしょうか。
  261. 松井和治

    政府委員松井和治君) 御指摘のとおり、昨年の予算要求の際に私どもの案を固めたということでございます。
  262. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは、おたくの方のいろいろな資料から拝見しますと、産業構造の高度化など社会、経済情勢の著しい変化に伴いまして、運輸行政を取り巻く環境も、国鉄のシェア後退等の輸送機関の間の分担関係の著しい変化、国際交通、貿易の急激な発展、資源エネルギーの制約の強まりなど大きく変化をしているということも理由として挙げられておりますけれども、ここに来まして政策官庁への脱皮を図るための組織の大改正が行われるわけでございますけれども、こういった今指摘しましたようなことは、これは今までも大きな流れとして起こっておるわけでございまして、ことしの七月から実施するということは多少遅いような感じもしているわけでございますが、最初に、運輸省組織改革及び概要について御説明願いたいと思います。
  263. 松井和治

    政府委員松井和治君) このたびの運輸省行政機構改革は、本省のみならず、地方組織にも改革のメスを入れようという大変大規模なものでございまして、現在ございます交通機関別のいわゆる縦割りの部局七局のうち五局を再編整備いたしまして、運輸政策局国際運輸観光局地域交通局貨物流通局海上技術安全局という五つの 新しい局を設置しようというのがまず第一点でございます。その見返りといたしまして、海運局自動車馬、鉄道監督局船舶局、船員局の五局を再編するわけでございます。  第二点が、国鉄問題に対応いたしますために、国有鉄道部を従来の鉄道監督局から官房に移管いたしまして、国有鉄道再建総括審議官という総括整理職を置こうというのが第二点でございます。  本省は以上の二点が中心でございますが、地方組織につきましては、現在御審議願っております運輸省設置法に明らかなとおり、海運局陸運局統合いたしまして地方運輸局を設置したいという改革案でございます。この地方運輸局には新たに企画部を設けて企画事務の充実強化を図りたいというふうに考えております。  さらに、外局につきましては、海上保安庁と気象庁の部を再編整備いたしまして気象庁に地震火山部を新たに設ける。  こういう改革が、今回の運輸省機構改革の概要でございます。
  264. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは第二臨調におきましていろいろ指摘を受けてみえるわけですけれども運輸省指摘を受けるまでもなく自己改新を今までにすべきではなかったか、このように思うわけですけれども、その点はどのようにお考えでしょうか。
  265. 松井和治

    政府委員松井和治君) 先ほど先生から運輸省機構改革は遅きに失したのではないかという御指摘をいただきましたが、運輸省といたしましては、この横割り部局の導入というのは非常に大きな課題でございまして、実を申しますと、三十年代の後半からこの話が出ておったわけでございます。昭和三十八年に計画局構想というのを初めて打ち出したわけでございますけれども、その当時は客観情勢いろいろ今と違う事情もございましたが、最終的には都市交通課と開発課というような課を官房に設けるというような非常に規模の小さい改革にとどまりました。その後も運輸省としては検討を続けまして、四十年代半ばにいわゆる企画部門の強化ということで官房政策計画官というものを八名置くという体制を整えましでいわゆる政策企画体制強化を図ったわけでございます。さらに、五十四年に、各局に置かれておりました審議官官房に集中するというようなことで、逐次官房の企画機能強化を図るという形で、いわば政策機能強化と申しますか、横割りの思想をだんだん取り入れてきたということでございまして、その計画局構想というようなものをさらに膨らまそうという気持ちを常に持って検討を加えてきたわけでございます。  ところで、五十六年に発足いたしました臨調で、各省庁の行政組織あり方につきまして、最近の情勢の変化への対応なり、総合性、整合性の確保等を図る観点から整備、再編合理化の必要性があるというような指摘をいただきまして、五十七年の第三次答申におきまして各省庁に具体案の検討を求めたというような事態に立ち至りました。私どもは、そういう臨調の御指摘ももちろん一つのきっかけではございますけれども、それまでに、先ほど来申し上げましたとおり、非常に古くからの横割り部局の導入という考え方をこの際実現する絶好の機会だということで、その方向で抜本的な改革を実施することになったということでございまして、確かに遅きに失したという御指摘はある程度当たっておるかもしれませんが、私どもといたしましては、臨調によるいわば押しつけられた改革ということではなしに、従来からの運輸省考え方をこの際実現に向けて昨年八月に正式に決定をした、こういうような経緯でございます。
  266. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど国有鉄道再建総括審議官を置くことになったということでお話がございましたが、今の運輸行政がやはり対応を迫られております課題一つには国鉄の再建問題がありまして、これは午前中からの審議の中にも何回か取り上げられてまいりました。最初お聞きするところによりますと、運輸省としましては、この問題に強力に取り組む方針を立てられて、そういう体制を確立することを目的に掲げられたということで、最初国有鉄道再建官を法律によって運輸省に設置される局長職として考えていたようですけれども、結局はこの総括審議官ということにこれがなってしまったということですね。それから派生しまして、最初考えておられました国有鉄道再建官と実際に今度設けられました再建総括審議官ですけれども、この間で機能上及び権限上に差はあるんでしょうか、ないんでしょうか。    〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕
  267. 松井和治

    政府委員松井和治君) ただいま御指摘のように、私ども予算要求時におきましては国有鉄道再建官という法律職の要求をいたしたわけでございますが、新しい法律職の設置は認められないという政府の方針のもとに、法律職たる国有鉄道再建官という職を設置することが認められませんでして、政令職たる国有鉄道再建総括審議官という形に落ちついたわけでございます。もちろん、国鉄問題の総括整理をするという仕事の面につきましてはこの両者の間には特別の相違があるわけではございませんけれども政令職であります以上、今回置かれます国有鉄道再建総括審議官官房に置かれるわけでございまして、運輸省に置かれる再建官とはその限りにおいて差があると言わざるを得ないわけでございますが、私どもといたしましては、各局にまたがる国鉄再建問題の中心的存在としてこの総括審議官を活用して監理委員会との連絡にも当たらせる、また国有鉄道部を指揮し、あるいは関係各局との調整を行うということで国有鉄道再建の大きな問題に取り組んでいかせよう、こういうふうに考えているわけでございます。
  268. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 また、国有鉄道部も今度大臣官房に移管したわけでございますが、その間の関係はどのようになるんでしょうか。
  269. 松井和治

    政府委員松井和治君) 今回の組織改正によりまして、いわゆる縦割りの部局は、航空局はある意味縦割り部局ということになろうかと思いますが、それを残してなくなるわけでございまして、しかるに国鉄の再建という問題は現在の運輸省にとりましては最大、緊急の課題でございまして、これに専門に取り組む職というものが必要であることは今以上に今後も強くなることがあっても弱くなることはないわけでございまして、私どもといたしましては、そういう観点から国有鉄道再建総括審議官という職を設けたわけでございますが、いわばその総括審議官のもとにありまして国有鉄道再建という大きな仕事を担当する部局、これと全省挙げてこの問題に取り組む、また各局との関係が生じますので、そういう各局との関係調整するというような意味合いから大臣官房に属さしめるのが最も適当である、こういう判断で官房に移管をした次第でございます。
  270. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 また、地方交通線対策とかあるいは貨物合理化対策につきましては、地域交通局及び貨物流通局、こういうものとの所掌事務に関係をしてくるわけですけれども、これと総括審議官との関係はどのようになるんでしょうか。
  271. 松井和治

    政府委員松井和治君) まさしく御指摘のとおり、地方交通線問題につきましては地域交通局に関連がございますし、貨物合理化問題は貨物流通局との関係が出てくるわけでございます。これはもちろん国鉄再建という観点から取り上げるべき問題でございますので、先ほど申し上げましたような総括審議官国有鉄道部を指揮してその仕事に当たるわけでございますが、関係の部局たる地域交通局なり貨物流通局とは十分に協議をしながら仕事を進めていくというような関係になろうかと思います。
  272. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次は、地方のことについてお聞きいたしますけれども地方では陸運局及び海運局統合しまして新たに地方運輸局を設けて、その中に企画部を置く計画と聞いていますけれども、そうでしょうか。
  273. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) このたび陸運局海運局統合して、その結果総合的な地方行政をやろうということでございますが、そのいわば総合的な行政を担当するのが企画部でございます。企画 部では、具体的には地域交通計画等、地域交通の維持整備の問題、そういうものを計画的に処理するということ、あるいは地域物流システムを構築していこうというようなこと、あるいは地域の産業の振興に寄与するというような諸点を中心地域における運輸行政を効率的に実施しようという中核的な部として位置づけております。    〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕
  274. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それに関連しまして、現在各陸運局ごとに地方陸上交通審議会が設けられていて、今年度からはその中に各県単位の部会を設ける、そういうふうに伝えられているわけです。そして、従来管内の県ごとに公共交通機関の維持整備に関する計画、この答申を順次行ってきましたものを、この部会でその内容を掘り下げ、その具体的な問題について協議していく予定、このように私たち聞いているわけですけれども、この構想はどういうような構想なのか、あるいは企画部との関係、それから企画部地域交通の維持整備に果たす役割についてどのようにお考えになっていますか。
  275. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 地域交通の維持整備のための施策は、現在地域交通整備に関します要綱に基づきまして、地方陸運局でこれを地方陸上交通審議会の中で各県ごとに部会を設けまして処理しているところでございますが、地方運輸局ができました暁はこの審議会の事務は企画部が所掌いたしまして、企画部中心になって地域交通の整備の計画をつくっていく、そして都道府県と密接に協力しながら地域交通の整備を図っていくという方針でございます。
  276. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いよいよこの組織改正によりまして、従来の許認可官庁から政策官庁へ大きく脱皮をしていくということですけれども、今回のこの横割り組織理念の導入に際しまして運輸省説明を見ますと、許認可手法中心とした行政の運営から事業経営の効率化とサービスの高度化の行政目的に即した政策の樹立と多様な行政手法の確立、これを方針として唱えているようですけども、三十五年という長い期間にわたりまして行政との間でいろいろと生まれてきました折衝、慣行などがそう急に変わるとも思われないわけです。このためにはかなりの期間が必要と考えられるわけでございますけれども事業規制の緩和など臨調が出されておりました課題にこたえながら、その事業法規等の法体系の整備まで考えますと、極めて長い期間にわたってこの改革は進められることになろうかと思うんですけれども運輸省としてその機構改革のスケジュールをお持ちなのか、その点についてお聞きしたいと思います。
  277. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 今御指摘のように、私ども新しいいろいろな政策展開していくにつきまして、現在行われております事業規制あり方が現行のままでいいかどうか、これは大いに見直しをし、必要なものは修正をしていくということでございます。  ただ、運輸省におきましては、これまで輸送力の安定的な供給と、国民あるいは日本の経済が必要とする輸送力というものを常に良好な状態で提供していくということを政策の基本としておりまして、そういうことに対しまして、現在の免許制中心とします諸事業規制というのは安定的なサービスの提供という点で非常に役に立ってきたわけでございますし、そういう点につきましては、今後とも基本的にはその必要な手法というものは踏襲していかざるを得ない部分はかなりあるということでございます。しかし他方、臨調のいろいろな御指摘もありましたし、また新しい時代に即応して新しいサービスを提供するということが可能なように、そしてまた民間の活力がどんどん出てくるように、そういう意味では事業規制を全般的に見直して必要最小限度のものにするという努力も当然でございます。  ただ、先生が今言われましたように、いろいろな面に配慮し、かつ、これまでやってまいりましたいろいろな慣行というものもございますし、現在の事業者全体が新しい体制へ移っていくということについて、できるだけみんながそういう方向に向くように誘導していくことも必要でございます。そういう点では、現在まだいつを期してどうするということは直ちに言えないわけでございますが、内容としますと、かなり法令全般についても見直すということが必要でございますし、実際の改革になりますと、横割り的な手法法律改正に実際に着手するということも必要でございます。そういう点ではかなり長期の問題になるので、今どんなふうにやればいいか、研究中のところでございます。
  278. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その研究のために新政策研究会というのがあるんですね。西村審議官中心として各界にヒアリングを行っているということを聞いておりますけれども、七月一日から機構改革が行われるんですけれども、夏ごろまでにはいろんな考えがまとまって、出されるような状態があるんでしようか。
  279. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 今私どもがやっております新政策研究会というのは、どちらかと申しますと、この新しい機構改革に従いまして七月から新組織が発足する、そのための準備作業という性格がむしろ強いわけでございます。もちろん、政策理念があり、政策体系があって、組織要求をし、そして組織改正をすることにしたわけでございますが、これが今概念的な組織論というだけでなくて、やや政策をさらに具体化し、体系化した上で新しい機構へ移していく、担当者が全部かわります。そういう意味では、この時点で政策理念を、全体として、また局ごとに確立をしておくということが必要なわけで、そういうための作業をしているわけでございます。したがって、今後具体的な政策展開は、新しい局が七月から発足いたしますので、その局において、今申し上げたような新政策研究会で準備したような政策体系を下敷きにして新たな政策をさらに推進するというような段取りになろうかと思います。
  280. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、第二点の運賃の収入の疑問点についてお尋ねいたしますけれども、五十九年度の運輸収入が三兆百六十九億円の予定ですけれども、その中で運賃改定による増収はおよそ一千八百億円になっていますけれども利用者負担の増加を図る一方で、政府の助成金が前年対比で五百四十二億円削減されているわけです。かつ赤字、これは純損失ですけれども、二百四十八億円ふえているわけです。これは国民の側から見ますと、運賃改定を行えば赤字は減ると考えるのが常識的な点だろうと思うんですけれども、この千八百億円の運賃改定による増収を決めた根拠はどのようになっておりますでしょうか。
  281. 須田寛

    説明員(須田寛君) 昨年、予算の要求をさせていただきます際に、いろいろ運賃改定につきまして議論をいたしました。また、いろいろ御指導をいただいたわけでございますが、その際、やはり何といたしましても、借入金の増を余りふやさないでいけないか、今、先生指摘がございましたように、何とか欠損の額をこれ以上ふやさないようにいけないか、こういった観点につきましていろいろ論議をしたところでございます。その中で、国鉄にいたしましてもいろいろ経費の節減に努力をいたしましたし、また増収努力もいたしたわけでございますが、どうしても今のような格好で予算が組めなくなってまいりまして、ある程度のものを運賃改定でお願いせざるを得ない、こういったような結論で昨年要求の際に運賃改定千八百億ということでお願いしたわけでございます。  千八百億にいたしました私ども一つ考え方でございますけれども、やはりお客様に御理解をいただく、御利用の方々に御理解をいただくためには一定の限度があろうかと思います。その中でいろいろ考えましたのは、名目改定率、つまりお客様からちょうだいいたします運賃の改定率を平均的には何とか一けた台におさめたい、つまり一〇%を超えないようにしたいという気持ちがまずございました。それから地方交通線から特別運賃をちょうだいすることにいたしましたわけでございますが、その際、地方交通線の運賃を割り増し分を入れましても何とか一〇%台にこちらの方は平均改定率をおさめたいという気持ちがございま した。そういったところから逆算してまいりますと、法定限度といたしましてはもう少し大きい二千数百億の枠といいますか、その範囲内なら御認可で運賃ができるというのがあったわけでございますけれども、御理解をいただきやすいということでしたがために、平均改定率を何とか一けた台におさめたいということで、今、先生がおっしゃいましたような千八百億というような運賃改定をお願いするに至った、こういうふうな経緯でございます。
  282. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今運賃改定の千八百億円の増収の根拠についてお話がありましたけれども、運賃改定のこの千八百億円の増収というのは、先ほどちょっと申し上げましたけれども政府の助成金が減らなければもっと少なくて済んだのじゃないかと思うんです。従来、国鉄経営の再建には、一つには税金、これは政府助成です。二番目は運賃改定、これは利用者の負担になるわけです。三点目は内部努力。この三本柱で行われてきたと思うんです。五十九年度の場合は、政府の助成が削減されまして運賃改定が行われているわけですけれども、これは従来政府がとってきました基本方針を大きく変更するもので私たちは了承できない、このように思うわけですけれども大臣いかがお考えでございましょうか。
  283. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 既に御案内のように、五十九年度については一〇%マイナスシーリングといったような予算を組んだわけでございまして、これは一にかかって緊縮予算の関係からどうしても増加ができない、こういうことになったのでございまして、我々としては国有鉄道の財政の立場から見ると大変遺憾なことであると存じております。
  284. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 五十七年度の運賃改定では、実績を見ますと、千五百億円の増収を予定しながら実際は千六十億円の増収にとどまっているわけですね。ここ数年の運輸収入の見通しと実績を対比しますと、実績は常に下回っているわけです。ですから、旅客、貨物の輸送見通しにつきましても同様に過大の見通しを繰り返してきているのじゃないかと思うんですが、五十九年度の運輸収入の積算根拠と、それから達成見通しについて説明をしていただきたいと思うんです。
  285. 須田寛

    説明員(須田寛君) 五十九年度予算におきまして運輸収入三兆百六十九億というものを予定いたしておりますが、この算定をいたしましたのは、五十七年度までの、これまでの国鉄の収入の推移からまず計算をいたしました。それから五十九年の二月、つまりこの春にダイヤ改正をいたしましたので、それの収入へのはね返りも計算をいたしておりますし、さらに先ほど来お話がございます四月にお願いをいたしました運賃改定につきましても算定をいたしまして、今のような数字を算定したものでございます。  それで達成見込みでございますけれども、幾らか景気が上向いてまいったというふうな好条件もございますが、この二月に実施をいたしましたダイヤ改正のいろんな目玉がございます。例えば貨物でございますとコンテナ列車の強化でございますとか、旅客で申し上げますと地方都市圏輸送の強化、大都市圏輸送の強化、そういったようないろいろな目玉がございますので、そういったものを極力収入に結びつけることがこれから必要だと思っておりまして、それはやはり活発な営業活動、営業施策というものによって裏づけられるというふうに考えております。したがって、そのような私どもの営業努力というものが前提に当然なるわけではございますけれども、私どもはこの収入目標は達成できると考えておりますし、またそうしなければいけない、かように存じております。
  286. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 もちろん、先ほど申し上げましたように、企業努力も大事でございますが、今景気が回復基調にあるために今回は予定しているような実績も上げられるというお話もございましたけれども、消費が回復をしますと運賃収入が上がるというような相関関係をおっしゃる方もお見えになるわけですけれども、ここ数年それほど賃金も上がっていませんし、公務員の皆さん方も凍結等あったりなんかしてそれほど上がっていませんし、社会保障の支出がふえたりしまして、個人の可処分所得というものはそうふえていないと思うんです。ですから、景気の回復即国鉄離れが食いとめられたり、運賃収入の回復につながってくるかどうか、私は非常に疑問に思っているわけです。今お話もありましたので、再度そういった点から、やはりどうしてもこれは見通しをつけましたら、それに達するような実績も上げていかなければなりませんし、運輸収入あるいは輸送収入についての見通しについて御答弁いただきたいと思いますが。
  287. 須田寛

    説明員(須田寛君) 先生指摘のように、確かに最近いろんな経済指標が冷え込んでおったことは事実でございますが、今年度は政府の見通しを拝見いたしましても、昨年度よりは民間消費支出でございますとか鉱工業生産指数、どれを拝見いたしましてもやや大きい数字を見通されておるようでございます。したがって、そういうふうなものはもちろん経済指標としてあるわけでございますが、それを私どもが収入に結びつけますためには、先ほど申し上げましたような営業活動というのがここになければどうしても無理なわけでございます。したがいまして、私どもも運賃改定もお願いいたしましたし、ダイヤ改正でいろんな商品体制も整いましたので、やはりことし一年、もちろん来年にわたってということでございますけれども、渾身の努力でもう一度増収努力を原点に立ち返ってやってまいりたい。  例えば、貨物でございますればコンテナ輸送の増送、貨物につきましても増送キャンペーンを展開したいというふうにも思っておりますが、そういったこと。旅客につきましても、いろんな企画商品のもっときめの細かい設定でございますとか、あるいは増収のキャンペーンでございますとか、職員を打って一丸といたしております我々の部内的な増収のいろんな運動でございますとか、そういったものを総合的に、かつまた逐次展開をいたしまして、今年度を何とかこの収入目標達成に向けての重要な年として位置づけまして努力を重ねてまいりたい、こんなふうに考えております。
  288. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろいろとお話は今お聞きしたわけですけれども、今お話にあったような甘い見通しにはならないのじゃないかという私は心配をしているわけですけれども、そういう運賃収入の見通しの甘さというものがありますと、結局はまた赤字を拡大して次年度以降の運賃改定の幅を大きくしていく、またそれが利用者国民のツケに回ってくるということであってはだめだと思いますが、いろいろと営業努力もされるということをお聞きしておりますので、さらに努力をしていただきたいと思います。  先ほど大臣もちょっとお話ありましたけれども、今回のこの改定につきましてはシーリングの結果ということもお話がありましたが、やはり公共料金というのは、原価をもとにして、そして効率性を判断して決定されなければならないと思うんです。ですから、営業努力以外の財政当局の圧力によって決められてしまうということは、私たちも納得できないわけです。公共料金は家計にとりましては税金と同じような性格の経費でありますし、運輸収入の正しい算定というものが何よりも重要になってくると思うんです。その点、そういう財政当局の圧力というものによって決められることのない正確な運賃算定の基礎をつくっていただきたい、こう思いますけれども国鉄あるいは運輸大臣の御意見を伺いたいと思います。
  289. 須田寛

    説明員(須田寛君) 今、先生も御指摘ございましたように、非常に国の財政の厳しい中から財政当局にも御理解をいただいて、今も依然として六千四百八十八億という大変な財政援助をちょうだいしているわけでございます。したがいまして、それは確かに前年に比べて先生の御指摘のように減ってはおりますけれども、やはり今の国の財政の中で与えられた条件といたしましては、このお金を最大限度に活用さしていただく、そして私ど ももこれから経費の節減にも努める、あるいは増収努力もやってまいる、こういうふうに私どもいろいろな努力をバランスをさせまして、決してお客様に運賃改定だけで御負担をいただくというようなことでなしに、あらゆる努力を総合的にやってまいりたいと思っておりますし、また政府にもいろいろお願いをしてまいる。こういうふうなことでことし一年やってまいりたい、こんなふうに考えております。よろしくお願い申し上げます。
  290. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 御指摘がございましたように、予算を組むときに収入を少しふやす傾向があるんです、それはどうしても予算をつくらなくちゃいかぬということですから。国鉄としては、もっとよりかたく見たい、そして実績が予算よりも上がるという形にしたいという希望を最初持っているんですが、予算を最終的につくる段階でどこから幾ら出す、どこから幾ら出すということになりまして、結局ある程度過大見積りみたいなものになる可能性が多い。ことしなどは私は地道に組んである方だと思っておりますが、これまで往々にしてそういう傾向があったことは御指摘になったとおりだというふうに思います。  なお、公共料金の値上げについてはよほど考えていかなくちゃならぬことは事実なんでございますが、ベースアップは、国有鉄道はこの赤字財政の中でもやっております。ベースアップについては、電電、専売は非常に財政の状態はよろしいわけですが、電電、専売と横並びのベースアップをやっております。それからお考えをいただきたいのは、ことしは二年ローテーションの値上げにしております。要するに、運賃を法定制から外しましてから五十七年度までは五年間毎年毎年やっておったわけでございます。それを五十八年度はやらないということにしましたので、二年のローテーションにしたということがございまして、しかも一〇%よりも内の値上げでございますので、いろいろな点を考えた値上げにいたしておるということでございます。  なお、今御指摘がございました営業活動の件は、私も特に国有鉄道の総裁初め皆さんに、これの増収努力について、国有鉄道の営業関係の者だけでなくて全員挙げてとにかく全力を傾注してもらいたい。また、いろいろ創意工夫を凝らしてもらいたい。要するに、マーケティングあるいは販売活動というようなものは一般の産業では非常な力を入れてやっておることでございまして、とても国鉄の今の状態は民間のそういうものから見ますと劣るわけでございますから、さらに力を入れるべきである、こういう指導を実はいたしておる次第でございます。
  291. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 時間がないので次に進みますが、大臣は所信表明の中で、「経済構造がソフト化し、輸送サービスの質的向上への要請が強まる」、こういうふうにおっしゃっているわけですけれども、ソフトノミックスなんというのは大蔵省が財政赤字を弁解するための言葉かと思ったら、運輸省さんも早速取り入れられているわけでございますけれども、具体的にはどういう変化があってどういう対応が輸送機関や行政の面で必要とされるのか、具体的にお話しいただきたいと思います。
  292. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 経済のソフト化という問題は、これは各省の行政にそれぞれ重大なインパクトを与えているわけでございます。特に、運輸行政につきましては、経済構造、産業構造の変化に伴いまして、まず二次産業の部門で素材産業が急速に生産量を落としているということ、あるいは加工部門でも製品が非常に加工度の高い、そして多品種少量化したというような傾向があります。これがいわゆる物離れの第一でございますが、第二の物離れは、いわゆる知識産業あるいはその他情報産業と言われるような文化面での諸産業が発達し、そして第三次のサービス産業がふえてくる。国の全体の付加価値の構造から申しますと三次のウエートが大きくなるということで、そういう経済の体質から申しますと、輸送の方でも、具体的に輸送量の総量が減ってきたということの変化のほかに、実際に輸送側からするサービス内容、それは各企業が自分たちの製品の在庫を減らしたい、あるいは計画的な生産をしたい、流通を迅速化したいという要望があるわけで、そういうのに合った輸送のシステムをつくるということが非常に強く要請されてくるわけでございます。  また、生産から最終消費に至るまで物が動くということは、同時に、それは情報が伝わってそういうものが促進されるわけですが、そのときにも新しい情報技術を使いながら物流を効率化する、そして物流の面から全体の経費をミニマイズしていくということが要請されるわけで、そういうことに奉仕するようなトータル物流業というようなものも出てまいります。また、先ほどのような輸送に対する需要が変わりますと、航空だとか自動車だとか、そういう機関に対する要請が強まってまいりますが、全体としての効率的な輸送機関の組み合わせということが常に必要となるわけで、そういう輸送を選択していくための総合物流業というようなものもまた必要になってくるわけでございます。  そういういろいろな新しい需要というものが出てくるわけでございますが、そういうことを念頭に、今後の貨物流通行政というのは、そういうシステム化が可能な基盤をつくっていくということが一つでございますし、また新しいサービスをどんどん生み出す一方では競争の外にある、あるいは二次産業の素材産業と特につき合ってきた輸送部門というものが非常に不況になっていくというような面もございますので、そういう経営の安定化ということもこういう大きな構造変化の中で出てくるわけでございます。そういう分野、あるいは全体として新しくまたハードの面でもいろんな革新をしていくということも必要でございますし、諸物流施設等を計画的に配備するというようなことでも全体の効率化を推進していくという必要もあるわけでございます。  そういうことが、先ほど大臣が所信表明で申しました輸送サービスの質的要請ということ、及びそれに対応する運輸省の問題でございます。
  293. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、大臣も効率化が必要だと繰り返しおっしゃっているわけですけれども国鉄貨物のヤード経由を廃止しまして直行体制としましたけれども、そういう国鉄貨物の縮小化の方向、これもそのソフト化に伴う輸送サービスの質的変化への一つの対応、こういうふうに言えるわけでしょうか。
  294. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 国鉄貨物というのは、全般として中量あるいは中長距離輸送というのがやはりその特性でございます。そういう意味では、経済全体の多品種少量化輸送の要請の強まる中で、国鉄というものが全部の今までのカバーしている分野に対応できるかというと非常に困難な部分が出てきたということで、国鉄としてできるだけ対応しやすい、現在の環境の中では拠点間直行というような形で国鉄が他の交通機関に競争していくということが現在の大きな物流を取り巻く状況変化に対する国鉄の対応だと思います。
  295. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、そのソフト化に対応する輸送サービスの点では、この陸上交通の面では現行鉄道輸送のシェアはトンキロベースで七%、これを一段と低下させながら、トラックこれはトンキロベースで四五%ですけれども、この輸送のシェアを無限に高めていく、このように理解してよろしいんでしょうか。そのことは、そうなりますと、五十六年七月の運輸政策審議会の答申がありますけれども、その長期予測でいきますと、六十五年度に向けてトラックシェアが、これが五十四年度の三九・一%から三三%あるいは三五%へ低下する、こういうふうな答申の方向なんですけれども、この総合的な交通政策方向と逆の方向政策が向いてくる、このように思われるのですけれども、その点どのようにお考えでしょうか。
  296. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) おっしゃるように、運政審の答申では、貨物自動車のシェアがトンキロベースで申しまして三三%ないし三五%程度に落ちてくるということを予測しております。しかし、このことが直ちに自動車を利用しない方向政策運営をするかというと、この場合、運政審の場合には海運の輸送のシェアが非常に高まるという予測をしております。しかし、こういう予測をした前提は、経済の成長率がまず一応高いということが一つ、それから石油の逼迫によりまして石油価格が著しく上昇するということを前提にしてこういう数字をその当時の状況においてはじいたわけでございます。  その当時の石油の状況は、CIFで二十三ドル程度の価格が当時は数倍になるというような石油の上昇を考えていたわけでございますが、現在の状況におきましては倍以下のアップ率ということで、思ったような石油の逼迫はなかったということで、それで自動車の利用というのが非常にコスト的には安い、そしてまた現在の輸送の需要に応ずるということで非常に自動車のシェアというのはふえてきているわけでございますが、今後ともある程度はこの状況は一般的な方向としてはあり得るだろう。ただ、国鉄の合理化、拠点間直行輸送等国鉄貨物がどれだけ今後のシェアを維持できるか、そしてまた海運におきましても、素材の輸送のほか、新しい海運の定期便というようなものをいろいろな意味で工夫をして多角的な輸送ということがどこまでやれるかということで、一にこれらの関係競争企業の工夫ということがこれからのシェアを決めていく課題だと思います。
  297. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これからますます経済構造のソフト化が進みまして、いわゆる軽薄短小化と申しますか、そういうことによりまして貨物量の増加テンポというのが鈍化してくるのじゃないかという心配をするわけですけれども、その中でどちらかといえばトラック輸送あるいは航空機輸送というものが選択されるニーズが高まってくる。  そうなりますとトラック輸送等のシェアが高まってくるのかなというような感じを私も持っているわけでございますけれども、先ほど来、大臣もおっしゃっておりましたけれども、そうなりますと、やはり私たちの国内におきましての基本的な課題は、どうしても国土というのは狭小過密でございますし、人口というのは三大都市圏に集中をしているということでございますので、これからの総合交通体系と申しますか、政策と申しますか、トラック輸送にどれだけのものがこれから依存をしていくのか、あるいは鉄道役割というのはどういう立場にあるべきか、こういうことも積極的に今回の組織改革の中でこれから運輸省は真剣に考え、誘導していきませんと、そういった面でのかえって交通混雑だけが深まっていくような感じも持たれるわけでございますし、せっかく大臣が所信表明の中でソフト化への対応ということをおっしゃっておりますので、その点の十分な研究をお願いしたいと思うんですが、その点どうでしょうか。
  298. 西村康雄

    政府委員西村康雄君) 今お話しのように、私どももこれから輸送の動向がどうなるか、需要がどの面について多くなっていくか、また輸送供給側がどういうやり方が可能なのかを考えながら、そしてまた、おっしゃいましたような輸送の混雑、特にトラック輸送が増大してきた場合の道路混雑というものを一体どういうふうに回避できるのかということがまた重要な課題でございます。  そういう意味では輸送全般の効率化ということがこれから特に強く要請されるわけで、私どもも、いろんな諸矛盾の中で一番合理的な各交通機関の特性に応じた、そして総体としてコストの安い、あるいは産業、経済が必要とするような供給がどうやって可能かということをさらによく研究し、関係のところによくそういう方向を示しながら、我々が円滑な輸送体制をつくっていくということに努力してまいりたいと思います。
  299. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) ちょっと今の話につけ加えまして。  非常に大事なポイントの一つだと思うんですが、トラックによる長距離輸送というものをなるべくならば減らしていきたい、こう思うのでございます。国鉄は、この二月からいわゆる拠点間直行輸送体制で、ヤード方式をやめるということをやったわけでございますが、一方でコンテナ化をやる、それから一方でトラック業者、通運業者、こういう方面の協力を得れば相当長距離のものについては鉄道にまだ移し得る可能性が十分あるというふうに私は考えております。今後そういうことをやってまいりませんと、道路の混雑等の問題もございますし、自動車の公害等の問題もございます。鉄道は長距離のものについては力をまだ持っておるわけでございますから、私はどうしても重点を陸上交通についてはそういう方向へ持っていきたい、特にコンテナ化ということは非常に大切な要素になると考えております。  つけ加えてちょっと申し上げておきます。
  300. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国鉄さんもしっかり頑張っていただきたいと思います。  時間もなくなりましたので、地元の問題でまことに申しわけございませんけれども、ちょっと国鉄さんに状況をお聞きしたいと思うんですが、よろしいですか。東海道新幹線ですけれども、新駅のいろんな要望が出ていると思いますが、今はどの程度出ておりましょうか。
  301. 須田寛

    説明員(須田寛君) 東海道新幹線におきましては相当各地で新駅の御要望がございまして、非常に有力なものだけで今五カ所ぐらいあると申し上げた方がよろしいと思います。したがいまして、今いろいろとそのそれぞれにつきまして検討はいたしておりますが、幾つかの制約があるわけでございます。  一つは、まず今新幹線を運行しております運行管理システムという、コンピューターが中心になりましたそういうシステムがあるわけでございますが、これの取りかえ工事が進んでおりまして、大体六十二年ぐらいにこれが終了いたしますので、その時点以降でないと駅の新設というのは大変難しいという時間的な問題がございます。  それからもう一つは、御案内のように、大変多くの列車を東海道新幹線は運転いたしておりますので、それらのダイヤの調整上の問題といたしまして果たして東京—大阪間に幾つ駅がつくれるか、五つは正直申し上げて大変困難だと思うのでございますが、そういうふうなことで一定の数に絞らなければいけないということがございまして、それらの点からいろいろ制約がございます。  したがいまして、今地元から御要望の強く出ております箇所につきまして、それぞれ営業的な見地あるいは技術的な見地で目下検討いたしておる状況でございますので、その検討経過を見ましてどのようにするかを検討しよう、こんなふうに今考えている段階でございます。
  302. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 愛知県では、今、愛知県東部の方で地元等も地域の決定等をしていろいろと陳情に行っていると思いますけれども、その点の見通しはどうでしようか。
  303. 須田寛

    説明員(須田寛君) 今、先生指摘のように、最近、県の御当局の方で新幹線の設置候補地を絞ったので、そこで検討してもらいたいというお話を承っております。今までは愛知県におきましては確かに御要望は強かったのでございますが、候補地が絞られていなかったわけでございまして、検討のしようがなかったわけでございますが、検討が可能になったという意味では一歩前進でございます。ただし、東京—大阪間の今申し上げましたようないろんなダイヤの制約条件等がございますので、必ずしもまだ可能かどうかというところまでの成案は得ておりませんで、これから検討を慎重にいたしたい、こういう状況でございますので、目下のところは検討中、またこれから鋭意検討さしていただきますという状況でございます。
  304. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 もう一点は「ひかり」の停車の問題ですが、現在「こだま」は停車するが「ひかり」は停車しないという駅がございますけれども、特に岐阜の羽島駅というのは大野伴睦さんがいろいろと誘致をしてできた駅だそうでございますけども、何分にも中心地から離れておりますので、多少の不便はあるんですが、最近は非常に利用者がふえてまいりました。また、岐阜県の特性上、大体九州の方面から見えている方が非常に多いわけです。そういった点で、羽島駅等の「ひかり」停車を今までも何回か陳情いたしておりますけれど も、秋のダイヤ改正ぐらいまでには間に合うのでしょうか、どうでしょうか。
  305. 須田寛

    説明員(須田寛君) 今、岐阜羽島には名古屋始発の博多行きの列車「ひかり」でございますが、停車させているのがございますが、それ以外は通過になっているわけでございます。実は、東海道新幹線の「こだま」だけしかとまっておりません駅が全駅、どの駅もすべて「ひかり」をとめてくれという御要望が参っておりまして、今調整に苦慮いたしておるところでございます。  ただし、明年春に予定をいたしております私どものダイヤ改正におきましては、東海道新幹線は相当ダイヤのモデルチェンジを予定しておりまして、今までのようなワンパターンのダイヤでなしに、もう少しいろいろきめの細かいダイヤをつくることを考えておりまして、実は今「こだま」だけしかとまっておりません駅に「ひかり」をかなりとめよう、あるいは増停車をさせようということは検討いたしております。  岐阜羽島がどうなるかというところまでまだ検討が進んでおりませんのですけれども、そういう方向で検討しておることは事実でございますので、これからも十分地元の御要望等を吸収いたしまして、できるだけ御利用いただきやすいダイヤにするように勉強を進めてまいりたい、こんなふうに考えております。
  306. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  307. 高平公友

    委員長高平公友君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十八分散会      —————・—————