○内藤功君 次に、問題変わりますが、四月の十三日に政府・与党の方で靖国神社公式参拝について合憲とする見解をまとめまして、この報告を中曽根
内閣総理大臣に報告をされて、総理の方では、新聞の報道によれば、
内閣法制局で検討させ、できるだけ早く結論を出すように指示をすると、こういうふうに答えられたと聞いております。しかし一方、政府は、
昭和五十五年の十一月に、
内閣統一見解として、「違憲ではないかとの疑いをなお否定できない」、こういうことで結ぶ統一見解を示しておられるわけですね。私は、昨日、この問題について
内閣官房
長官に当
委員会での
質疑通告をいたしましたけれども、きょう記者会見という
理由で官房
長官に御出席いただけない。私は、記者会見も大事だが、
国会は大事だと思いますね。非常に遺憾であります。遺憾でありますが、担当大臣である官房
長官はいない、しかし
総務長官おられるので、あなたのお答えすることができる
範囲で私は質問したいと思うのであります。
私は、率直に言いまして、
昭和五十二年の七月十三日に最高裁が判決を
出したという問題も含めて、
国務大臣の靖国公式参拝についてはこういうふうに
指摘をしておきたいので、
総務長官、よく聞いていただいて、私の見解についての御反論なり御答弁があれば承りたい。
一つは、総理大臣を含めた
国務大臣が靖国神社に公式参拝するというのは、これは私は憲法の宗教上の信条告白ということで宗教的
活動だという見解を持っておるのでございます。それから、
国務大臣の公式参拝というものによって靖国神社という一つの宗教法人、宗教団体に
一定の権威を与えることになる、これは二十条一項の特権を
受けてはならない、ここにも抵触をしてくる。もう一つ、玉ぐし料等の問題は、国費から
支出されることになれば、これは明確な憲法八十九条の
公金を宗教上の組織または団体の
使用、便益、維持のために支
出してはならぬという、ここに抵触をしておる。こういう見解を持っておるわけです。
五十二年の七月十三日の最高裁の判決は、この宗教的
活動とか、
公金の
支出とか、こういう
範囲
を狭く解釈するという、こういう手法をとったのであります。今、合憲の見解をとる方々はこれをよりどころにしておるんですが、私は、この判決は地鎮祭という世の中で非常に世俗的に行われている行事についての判決だというふうに見なくちゃいかぬと思うんです。この地鎮祭の判決と同一線上に、靖国神社に対する総理以下
国務大臣のその資格における公式参拝というものをずっと論理的につなげていくことは、私はこれは大きな間違いを犯すものだというふうに思います。ですから、津地鎮祭判決の最高裁の理論から推していっても、靖国の公式参拝というのはこの観点に立っても違憲だという結論に私はなると思うんですね。
特に、津地鎮祭判決、最高裁の判決は目的と効果というところで限定解釈をしている。つまり目的が宗教的意義を持つ行為、それから効果においてはある
特定の宗教に援助、助長、促進、あるいは逆に圧迫、干渉を加える行為が憲法で禁止している宗教的
活動、宗教的行為だと、こう言っているわけです。これで見ますと、やはり靖国の公式参拝というのは、靖国神社あるいは神道というものに対して非常なやっぱり援助を与える、ほかの宗教には圧迫を与えるという性質の行為ではなかろうか。これが一つ。
それから玉ぐし料の国費負担につきましても、財政援助的な行為ならばこれは憲法違反だ、これが最高裁の
考え方ですが、まさにこれは財政援助、間接的な財政援助ですね、
経費をそれでもって償うことによって財政援助をするというところに私はなると思うんです。ですから、
昭和五十二年のこの最高裁判所の判決の出たことによって靖国公式参拝が合憲の根拠に使われるということは私は軽率に断定できない、むしろ逆の結論になると思うのでございます。
私の見解だけを述べましたけれども、
総務長官、これらの点について今どんなふうに考えていらっしゃるか。お考えの点がありましたらば、また私に対する御反論がございましたら御教示をいただきたい。