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1984-03-31 第101回国会 参議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月三十一日(土曜日)    午前九時三十分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      服部 信吾君     中野  明君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         大木 正吾君     理 事                 長円 裕二君                 成相 善十君                 宮田  輝君                 片山 甚市君     委 員                 大木  浩君                 岡野  裕君                 沖  外夫君                 志村 愛子君                 西村 尚治君                 山内 一郎君                 大森  昭君                 中野  明君                 三木 忠雄君                 佐藤 昭夫君                 中村 鋭一君                 青島 幸男君                 田  英夫君    国務大臣        郵 政 大 臣  奥田 敬和君    政府委員        郵政大臣官房長  奥山 雄材君        郵政省貯金局長  澤田 茂生君        郵政省電波監理        局長       鴨 光一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        酒井 繁次君    参考人        日本放送協会経        営委員会委員長  吉武  信君        日本放送協会会        長        川原 正人君        日本放送協会副        会長       田中 武志君        日本放送協会技        師長       矢橋 幸一君        日本放送協会専        務理事      坂倉 孝一君        日本放送協会専        務理事      渡辺 伸一君        日本放送協会専        務理事      川口 幹夫君        日本放送協会理        事        荒井 治郎君        日本放送協会理        事        横井  昭君        日本放送協会理        事        林  乙也君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  3. 片山甚市

    片山甚市君 本日議題となりました昭和五十九年度NHK収支予算についての質問をさしていただきたいと存じます。  まず第一に、経営計画の問題について触れていきたいと思うんです。  昭和五十九年度収支予算及び同事業計画、これについては、受信料改定を伴うものでありまして、視聴者にとっては現在審議中の国家予算が非常に重税の感じが強いし、景気浮揚政策の欠如があります。医療費や、あるいは年金制度の改悪がなされておりまして、国民福祉の軽視が強められ、そして、行革の名のもとに公共サービスの後退が著しいものがあります。そういう意味で、国民生活を否定した超圧迫予算でありますために、この予算に対する関心は非常に大きいものがあると思います。また、一方では公共放送としての使命を果たすために、国民的合意のもとで受信料制度安定的発展が不可欠だと思いますが、放送事業が戦後NHK民放の二本立てでつくられましてから、マスコミの中核としての非常に大きい役割を果たしたと思います。そのうち特に民放広告収入による放送事業だけにスポンサーの意思が直接放送番組に反映し、視聴率を高めるためにすべてが集中するために、視聴者への文化生活に及ぼす影響NHKと比べても大きいものがあると思います。そういう意味で、今日の放送事業におけるニューメディアの志向は、国民が求めているものというよりも、商業、マスコミ主導型の色彩が強く、むしろ押しつけの観を感じます。このようなニューメディアの模索する時代に新たな対応を迫られているのがNHKとしての立場じゃないだろうか。不偏不党の公共放送に立脚した確信ある自主自立経営方針国民に示さなきゃならないと考えますが、経営環境現状についてどのように認識されているのか、大臣並びに会長の御所見を承りたいと思います。まず会長からお願いします。
  4. 川原正人

    参考人川原正人君) 現在私どもが置かれました経営環境は、御指摘のとおり非常に変化の激しい時代に置かれております。ニューメディアと言われる新しい技術革新の利用、活用の方途がいろいろ議論されておりますし、私どもとしてもこれにはもちろん無関心ではおられませんし、むしろ幾つかのニューメディアの中には我々自身技術開発先導的役割をいたしまして、今日までその開発を進めてきたものも幾つかございます。  我々としましては、ただ新しいメディアということだけでそれを実用に供しようということではなくて、そのメディアが本当に国民生活にどのように役立っていくかということを十分見きわめましてこれに対処してまいりたい。また、国民の側といいますか、視聴者の側の生活の態様も大きく変化しておりまして、価値観多元化といいますか、いろんな御要望がいろんな形で出ております。それに私どもとしては的確にこたえるよう、番組編成を初め、各種の事業全般にわたって努力を傾けてまいりたい。その意味では、これから先の経営はまさにこのような新しい国民各層の御要望にこたえるために、そして新しいメディアを十分に活用するための基盤整備であろうというふうに考えております。
  5. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今回の受信料値上げをお願いするに当たりまして、私も担当大臣として初めての仕事国民生活に大変な影響を与える値上げ問題ということで、正直なところ、先生の御指摘のとおり、強い抵抗を感じたことは事実でございます。  しかし他方、今御指摘のように、NHK民放と違って、報道に対する公共性、あるいは御指摘のように中立性、そういった面での報道ぶりを含めて公共性の高い報道機関であるということを考えるとき、まあほかとの例を引いてはだめですけれども、赤字の累積がそういった大事な使命が全うできなくなるという点も恐れて慎重に検討を行ったわけでございます。また、ニューメディア時代と言われるように、これが実用化に当たりましても国民は先導的な役割NHKに求めておることも事実でございます。他方負担量のこういったサテライトを飛ばす費用負担コストが大きいという面もあって、これからやっぱりこれが受信料にはね返るというような一方の懸念も考えられないわけではありません。  したがって、私がNHKに望みたいことは、こういったニューメディア実用化時代に入って、先導的な役割も果たしていただきたいと同時に、番組内容を一層充実させていただいて、公共機関としての本来の使命を立派に全うしていただきたい。そのためには、いたずらに外から見ておってNHKが肥大化する、ともかく効率化に欠く、サービスに欠くといったようなかりそめにも批判国民間に起こらないように経営労使間においても厳正に注意していただきたいというのが真意でございます。
  6. 片山甚市

    片山甚市君 今、大臣から決意が述べられましたが、会長はそれでよろしゅうございますね。
  7. 川原正人

    参考人川原正人君) はい、私もそのように考えております。
  8. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、経営計画について言えば新メディア対応することが非常に大きな柱でありますが、これ自身幅の広いものであり、これからどれだけの広がりがあるかわからない。そのためかどうか、新メディア実用化についてのプロセスが明確でありません。しかも、予算上、放送衛星打ち上げに要する費用などのウエートのみが高いのでありますが、そこで、新メディアの今後の展開見通しはどういうようにNHKとして立てられておりますか。
  9. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) NHKといたしましては、ニューメディアにつきましては、ただいま会長からも申し上げましたように、このニューメディア放送に対します視聴者の方々の多様な情報化社会に向けての要望を充足する一つの大きな有効な手段であるというふうに考えまして、現在やっております放送との有機的な関連性考えながら長期的な見通しの上に実用化計画的に進めようというふうに考えているわけでございます。  具体的に申し上げますと、この一月に打ち上げました放送衛星第二号、BS2でございますけれども、これは順調に進んでおりまして、五月には二チャンネルの放送が開始できるであろうというふうに予測されるわけでございますけれども、これによりまして今まで全国に散在して残っておりました難視聴が一挙に解消できるということになるわけでございます。テレビ放送が開始されましてから三十年たちまして、まだテレビという放送文化に浴さないというところがこれによって一挙に解消をできるというふうに考えるわけでございますけれども、そういう意味で難視聴解消中心とした現在地上でやっております放送テレビ放送が、同時放送ということが中心になるわけでございますけれども、やはりこの衛星放送普及促進という面でいろいろ編成上の工夫をいたしまして、この普及促進に寄与したいというふうに考えるわけでございます。  そのほか、この放送衛星の持ちます非常な将来に向かっての可能性はいろいろあるわけでございます。そういった点につきまして、技術的な開発実験というものも、この衛星二号を使ってやっていきたいというふうに考えるわけでございます。  そのほか、いろいろCATVを初め、放送関連する新しいそういうニューメディアといったような面もどんどん開発が進む状況にあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、NHKが今まで培ってまいりました蓄積と経験を生かしまして、そういったところも多面的な協調関係を保ちながらその番組情報提供といったようなことに寄与していきたいというふうに考えているわけでございます。
  10. 片山甚市

    片山甚市君 放送衛星については若干展望説明がありましたけれども、その他のニューメディアについてはまだ模索のときであるというふうに感じられます。経営計画を立てる場合に、私たちとしては新メディアに対する具体的な展望をより明確にしてもらいたいということを強く言います。  そこで、新メディアへの対応と同時に、NHK自主自立を支える財政上の問題はさらに受信料制度に大きくかかわっております。それにもかかわらず、この三年間の計画はその緻密さに欠けておると言わざるを得ません。いわゆる、新メディアに対する対応ということは財政の問題で、受信料制度に大きくかかわっておるんですが、その重要にもかかわらず、この三年計画についてはその緻密性に欠けておる。  私は、昨年、本委員会における五十八年度収支予算審議の際にも厳しく指摘したとおりですが、協会は、今おっしゃったように、難視聴解消放送衛星打ち上げによって一挙に解決するということでございました。放送衛星実用化することで視聴者に特別の負担がないこと、受信者相互間に不公平感のないことが前提であると思いますが、どうでしょうか。  今までの議論で必ずしもそのことが解明されていると思いません。難視聴解消についてはすべての問題点は克服されていると断言できますか、それとも難視聴解消した余り、余裕があるから新メディアについての仕事を始めたというようにNHK考えておりますか、お答え願いたいと思います。
  11. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) 今度の三カ年の経営計画の中では、先ほど会長が申し上げましたように、将来に向けての、高度情報化社会へ向けての基盤整備といったようなことが中心になるわけでございますけれども、この放送衛星によって難視聴が完全に解消できるということは、これは今まで地上施設では解消が困難であったところが多数あるわけで、これを今までのようなやり方でやってまいりますと、非常に膨大な経費と、それから時間的にも相当長期間を要するわけでございますけれども、これが一挙に解消するということでNHKの大きな全国普及放送をあまねく普及するという、その普及義務というものがこれによって一挙に図られるというわけでございまして、この難視聴解消ということにつきましては今までもNHKの大きな仕事としてこの受信料の中でやらしていただいてきたわけでございまして、そういう意味では経済性からいっても衛星放送め意味はあるというふうに考えるわけでございます。そういう意味で、確かにこの衛星放送というものは多額な経費を要しますけれども、先ほど申し上げましたような、将来に向けての可能性あるいはその経済性というものがこれによって一歩進むんではないかというふうに考えるわけでございます。
  12. 片山甚市

    片山甚市君 私が聞いたのは、放送衛星実用化することで視聴者に特別の負担がないこと、受信者相互間に不公平感のないことが前提だと思う。それでよろしゅうございますね。イエスかノーで。
  13. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) そういう特別な負担ということはございません。それから、不公平ということも、これは特にそれによって不公平が起こるというふうには考えておりません。
  14. 片山甚市

    片山甚市君 難視聴解消については、すべての問題点は克服されているかということについてはお答えがありませんが、克服されましたか。
  15. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) 全国普及という意味ではどこでも受信が可能になるという意味で克服をされているというふうに考えるわけでございます。
  16. 片山甚市

    片山甚市君 放送される方はよろしいが、受ける側がされるかどうかについては私は疑問がありますから、NHKの方としては難視聴解消をする電波を発射することができた、受け取る側についてはお金も要ることだし、大変な準備が要りますから、これ以上聞きません。  そこで、経営計画では業務体制見直しの一環として、地方局体制について業務要員の集約、再編成を行うとしておりますが、その内容は具体的にはどのようなものであり、またこれはローカル放送の充実に直結するものであるかどうか。特に局内における慎重な協議と対策を求められるべきと思うかどうか。  例えば、安易な業務外部委託などは単なる効率化の口実であり、必要な人件費などが適切に処理されず、名目上物件費として取り扱われ、不明朗な要因を内包していると言わざるを得ないと思うが、どうでしょう。
  17. 横井昭

    参考人横井昭君) ただいま御指摘地方放送局体制見直しにつきましては、我々効率化の中で三点ほど考えております。  その一つは、県内複数局内部業務体制見直しということであります。  二点目は、放送局における宿泊体制縮減ということです。  三点目は、放送局におけるローカル放送重点的強化に基づく要員の再配置と、この三つの点を考えておるわけでございます。  第一点の、県内複数局内部業務体制効率化と申しますのは、御承知のように、NHK放送局県庁所在地にございます放送局所在地以外にある放送局と、こういうふうにございまして、例えば青森県で申しますと、青森のほかに、弘前それから八戸、こういう県庁所在地外の局を県内複数局と、こういうふうに呼んでおりますが、これが全国で十三局ございます。これらの県内複数局については報道の上からは報道取材拠点とする。それから放送施設保守については保守拠点とする。それから、受信料の収納、契約業務、それから受信障害対策については保守拠点とすると、こういう機能を中心にコンパクトな体制にしようというのが県内複数局見直しでございます。これは五十八年度以来実施しておりまして、五十九年度も引き続きこの効率化をやっていきたい。  二番目に、宿泊体制縮減でございますけれども県庁所在局が三十四局ございますが、これまで技術が二名、放送が二名宿泊しておりますが、これも五十七年度以来実施に移してまいっておりますが、連絡設備の補完、それから緊急体制整備ということと関連しまして、技術一名、放送一名の宿泊体制縮減していこうと。これは五十九年度は甲信越三局と近畿管内中部管内の八局について行おうと、こういうことでございます。  第三点目のローカル重点的強化に伴う要員の再配置でございますけれども、それぞれローカル放送の特性に応じて広域ローカル放送、つまり二、三局を含めた広域ローカル放送を含めて多様なローカル編成をして強化を図っていきたい、こういうことでローカル放送局全体の要員体制見直し、それを再配置することによってローカル強化を図っていこう、こういうことで、以上三点の中でできるだけ画一的でない重点的な放送局のパワーアップを図っていきたい、こういうふうに考えております。
  18. 片山甚市

    片山甚市君 ローカル放送強化というものが、近年非常にこの委員会でも論議されてきましたところでありますから、要員効率化ということの中でより一層ローカル放送が充実できるように努力を願いたいと思いますが、要員効率化ということの場合、放送衛星など新メディアに対する、新サービスに即応し得る体制を確立し、充実させるものであると理解してよいでしょうか。人さえ減らせば要員効率化ということではないというように今の御答弁を聞いてよろしゅうございますか。
  19. 横井昭

    参考人横井昭君) 今後、放送衛星等対応をするために、どうしても国内の基盤整備を図らなければなりません。そういう意味から言っても、要員効率化を進めていきたいと、そういうふうに考えております。
  20. 片山甚市

    片山甚市君 そういうことなれば、そのことがなぜ純減を伴う要員計画となるのか。新規業務等による増員とは具体的にどのようになるのか、説明を願いたいと同時に、不明確な部分が多過ぎる段階で、今いたずらに労働不安や事業の将来性に疑問を抱かせるような計画であってはならないと思いますが、どうですか。経営者として事業発展を期待するならば、事業は人であるから人を大事にするということが放送事業としては大切であり、労使合意前提サービス事業が進められるように会長としてお考えでしょうか。
  21. 川原正人

    参考人川原正人君) もちろん私どもが新たに展開をしなければならない仕事に関しては、それなりの人員が必要なことは当然でございます。したがいまして、しばしばこの効率化という問題を議論しますときに、新たに必要なる要員がこの程度、それに対して、一方合理化効率化、すべき人員幾ら幾らというような考え方説明をする場合もあるわけでございます。  前回五十五年度のときには、我々そのような考え方説明を申し上げましたけれども、その説明ですと実際に減る人間が何人かということがよくわからぬという御批判を各方面からちょうだいしまして、私どもは、もちろんこの計画の背後には新しい事業に振り向ける人員がある程度当然要るという前提で、したがいまして合理化すべき人間はむしろ千五百人ではなくて、もっと多くなければならぬわけでございますが、ただトータルいたしまして、最終的な協会経営のあり方としては、現状よりは千五百人ぐらい減らして一万五千人体制でやるべきだ、そういう目標を立てて、今これからの仕事展開しようとしているところでございます。当然、新しい仕事、我々がやるべき仕事に対しては必要な人員は確保いたす考えでございます。
  22. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、収支見通しを含む経営計画では三カ年であるのに、要員効率化については六十五年度まで計画をされております、今会長おっしゃったように。それならば、経営計画において七カ年計画という中期見通しを示せると思いますが、いかがでしょうか。そこで、中長期見通しが示せるのであれば、その努力をすべきではないかと思います。それこそNHKに働く放送人に対する信頼をかち取る道だと思います。三カ年計画のもとに三年か四年周期の受信料値上げというパターンから脱却することと、長期展望に立った経営計画を策定することは、視聴者への安定的サービス提供あるいは信頼関係を確立するための意義は非常に大きいと思うが、どうでしょうか。
  23. 横井昭

    参考人横井昭君) 御指摘経営長期計画と申しますのは、協会がこれからやらんとする事業並びにその事業の運営について、長期的、計画的にどう展開していくかというプログラムだというふうに私は考えておるわけでございますけれども、現段階社会状況経済状況で予測しがたい要素がかなりあるわけでございまして、計数を伴った経営見通しということになりますと、三年を超えることはなかなかに困難でございます。そういう意味で、我々の経営計画は三年間ということで御審議をお願いしているわけでございますけれども、一方要員効率化というものは、現在の協会組織体制要員体制、それを見直すことでございまして、これは長期のスパンで総合的に検討をしていく必要がある。それからまた、項目によっては短期間ではなかなか実現しない、長期間かけてやらなければならない、こういうものもございます。  また一方、我々の方は六十歳定年延長を六十年から実施するように打ち出しておりますが、これが六十五年に完成するわけでございます。それとの関連も見ながら、要員効率化は七カ年とした。こういう関係で、五十五年からの効率化計画も五年で行ったわけでございますが、今回は千五百人純減という相当膨大な数でございます。そういう意味で七カ年の効率化計画にしたと、こういうわけでございます。
  24. 片山甚市

    片山甚市君 経営計画は三年しかできないけれども要員合理化だけは七年間、六年間かけてやれるということについては納得できません。納得できなければ、この承認案件について反対すればいいということかもわかりませんが、いわゆる先ほど申しますように、人については七年間かけて、六年間かけて千五百名減らします、こういうことの見通しは立ちますが仕事は先行きわかりませんというようなことでは納得できない。それなら中長期の七カ年間の経営計画案を出して、そしてその中に人もこうしますということならわかりますけれども、そういう意味で論争しても始まりませんから、これは訂正しないんでしょうから、納得しない生育っておきます。  次に、受信料についてですが、今回の改定は、昭和五十五年から五十七年度の三カ年で収支相償を図るため、昭和五十五年に平均二四%の受信料値上げをしてきました。これを一年間延長したNHK努力は多としますけれども昭和五十五年度からの三年間の経営実績と五十八年度の収支見通しについて、特徴的な問題点は何であるかについて、まずお答え願いたい。  昭和五十九年度に受信料改定を行うとして、初年度、昭和五十九年度は約一七・三%の増収となりますが、六十年、六十一年度には、お手元にあるように受信料収入伸びは一%台となるということである。反面、事業支出は三年間を通じて五%台の伸びは避けられないということでありますが、その前提条件はどういうものでありましょうか。
  25. 渡辺伸一

    参考人渡辺伸一君) お答えいたします。  前段の御質問の五十五年から五十七年、そしてまた五十八年とのかかわりを申し上げます。  五十五年から五十七年度、三年計画前回値上げをお認めいただいたわけでございますが、その三年間の計画実施関係で申しますと、事業収入につきましては受信料を初め副次的収入、あるいは老朽しました社宅の売却等収入を上げてまいりましたが、全体として三年間で八千四百二十五億ということになっておりまして、これは当初の計画かもしますと若干下回らざるを得なかった状況でございます。  一方、支出につきましては、この間の効率的な実施になお一層配慮いたしまして、それから物価の状況というものにも助けられまして、全体としましては、わずかではございますけれども、二百億ばかりの事業支出の残を残すことができたわけでございます。これをもちまして五十八年度の事業計画と接続をいたすわけでございますが、五十八年度は御存じのとおり計画期間外でございます。しかし、私どもとしては何としても受信料を据え置いてやりたいということでございまして、収支については極力圧縮を図るということにいたしました。五十八年度は受信料の増収につきましてはわずかに一%台でございますが、支出につきましては、やはり事業計画を継続いたしますと、物価その他でどうしても上がらざるを得ない。これを私どもは五十八年度の収入の範囲内で抑えるという努力をいたしました結果、五十八年度は収支においては百六億の赤字ではありますけれども、三年間の繰り越しをもって充足をする。しかし債務の償還に充当すべき収入不足は、やむなく外部資金に借りるという状況でございまして、五十七年度の決算結果が明らかになりました段階では百七十億の五十八年度の収支不足のうち、百四十五億を三年間の繰り越しをもって埋めることができたという結果になりましたので、実質二十五億円を借入金をもって充当するということになっております。ただいま、この二十五億につきましても極力詰めるべく、収入、支出両面から努力をしておるところでございます。  以上でございます。
  26. 片山甚市

    片山甚市君 先ほど申しましたように、昭和五十九年度について事業文出は三年間を通じて五%台の伸びを避けられないということになっておるんですが、その前提条件はどういうことですか。
  27. 渡辺伸一

    参考人渡辺伸一君) お答えいたします。  五十九年度から六十一年度までの三年間の計画の初年度として、五十九年度の計画を立てたわけでございますが、基本的には、できるだけ事業支出につきましては経常的な事業支出について、物価等の値上がりがありましても、これは効率化をもって全部充足をしてしまうという計画を立てまして、私どもやりますオリンピックでありますとか、ニューメディアに備えての必要欠くべからざるものに限って増加を図るということにいたしまして、最小限度に詰めました結果が五%ということになっているわけでございます。
  28. 片山甚市

    片山甚市君 この受信料改定の問題は、三年後を待たず、三年後にはまた値上げの問題を予約をしたものだというように受けとっておきます。――賛成というのではありませんよ。  五%のいわゆる支出の増があり、しかし収入は一%しか伸びないというんでありますから大変厳しいものだというように受けとっておきます。  そこで、受信料の問題で、非世帯契約の問題ですが、事業所、ホテル、旅館などについての実態について説明を願いたいと思います。  例えば、ホテル各室に備えつけるテレビなど有料のものも多いので、核家族化が進んでおるためにその新規契約はことしは四十三万だそうですが、非世帯契約は昭和五十九年度で百十一万にしておりますが、果たして妥当なのかどうか。私たちの調べによると二百二十万か二百四十月ぐらい非世帯契約がありそうに思いますが、それについての実態はどうでしょうか。
  29. 林乙也

    参考人(林乙也君) お答え申し上げます。  放送法におきましてNHK放送受信できる受信機を設置した者はNHKとの間に契約しなければならないということになっておるわけでございまして、この場合に契約の単位といたしましては、世帯につきましては世帯単位ごとに、世帯の中に二台以上のテレビがあった場合でも一の家庭一つの契約として契約をお願いしておりますが、事業所に関しましては設置場所ごとに契約をお願いするということにいたしておろわけでございます。そうして事業所の関係でございますけれども、いろいろ事業所統計等もございますけれども受信契約上におきましては、例えば個人営業の商店等の場合で住居と店舗が連檐しておるようなところにつきましては世帯契約というような形で契約をお願いしております関係もございまして、実際にテレビを設置しております事業所と考えられますものが全国で五十八年度におきまして約四十八万程度の事業所と考えられるわけでございます。これらの事業所におきましてテレビを設置しておる台数が現在百十八万程度ではなかろうか。その契約が百六万ということになっておるわけでございます。  もちろん、私どもといたしましては立入調査権があるわけでもございませんので、各事業所に訪問をいたしましてテレビの設置の有無を問い合わせる中で極力適切な契約をするようお願いしておるところでございまして、特に事業関係につきましては、営業所あるいは本部の管理職を事業関係の契約の担当に充てまして極力その適切な契約の増加を図っておるところでございます。  五十九年度から六十一年度までの三カ年計画におきましては、事業関係の契約の増加を各年度五万件というような形で計上いたしておるということでございます。
  30. 片山甚市

    片山甚市君 旅館、ホテル等は軒数で八万五千軒、部屋数で百二十万、病院、診療所など昭和五十一年で十二万九千所、喫茶、食堂、レストラン等では九十万二千、簡易宿泊所では二万九千、国民宿舎では千五百施設に対して部屋数三万、概数で二百二十六万程度のテレビがついておるはずだと見込まれます。今の部屋でテレビのないような部屋は大体ありませんから、部屋があれば大体ついておるということでありますから、受信契約ができるような状態に、やはり非世帯の契約についても努力をしてもらうことが受信料の公平な負担ということで要請してやみません。  そういっても、立入検査権がないんだからできませんと言えばそれまでですが、我々はそういう立入検査をしてくれと言っておりませんで、契約をお願いしてその実情を知らしてやってもらいたい。今の資料は厚生省の関係の資料から抜き出したものでありまして一般の町に出ているものではありません。ですから、十分にNHKは非世帯構成の受信者に対する督促をしていけるようにお願いをしたいと思います。  次に、三カ年間の収支見通しに原則として物価値上げ等による経費増を計上しておりませんが、これはそういうことでできるんでしょうか。  新メディア実用化等における経費用を見込んでおりますが、新ミディアの実用化に要する経費はどれだけでありますか。
  31. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) この三カ年の事業計画を立てるに当たりましては、これからの将来に向けての衛星放送などのニューメディア実用化に向けての経費であるとか、あるいはローカル放送というものの重要性からローカル放送の充実ということに重点を置きましたそういった施策、それと国際放送強化といった、そういった重要な項目、特別に重点を置いて増加をする項目、それと人的な関係経費を除きましては、もう事業運営費では――この物価が今後の上昇が三%程度が見込まれるという政府の経済見通し等があったわけでございますけれども、それはやはり内部での経費節減といいますか、効率化努力ということでもってそれは全部消化をして――消化といいますか計上しないで抑制に努力をしようという大きな原則を立てましてこのような事業計画の収支にいたしたわけでございまして、これからこの予算を各現場でもって執行していくには節減への努力が相当強く要請されるわけでございますけれども、私どもといたしましては、それはもう節約に努力をするということでこの物価の上昇分というものを見ないというふうにいたしたわけでございます。  それから、衛星についてのといいますか、ニューメディアについての経費でございますけれども、これは大体この三カ年で、この衛星放送実用化その他、新しい放送技術開発、研究といったような部分を含めまして約五百三十億をこの中に見込んでいるわけでございます。  そのうち、衛星放送につきましては四百三十億、それからあとそのほか、先ほどちょっと先生の御質問に返事が足りませんでしたけれどもテレビジョンの多重放送で文字多重とかあるいは音声多重放送、こういったものも順次段階的には拡充をしてまいりたいというふうに考えておりますので、そういったものに三十億、そういったようなものがこの内容であるわけでございます。
  32. 片山甚市

    片山甚市君 新メディア実用化に伴う経費が大変多くふえてくることが今説明されたんですが、それに対する経費のあり方、これはまた経営計画についてこれから大きな問題になるだろうと思いますが、十分に配慮してもらいたいと思います。  そこで、衛星放送開始で難視聴世帯は一挙に解消するということで大変結構でありますが、難視聴対策としての重複投資は一切これからないかどうか、これが一つ。  二つ目、都市における受信障害もなくなるのか、そのための経費負担NHKとしてはしないのかということについてお伺いします。
  33. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) お答えいたします。  衛星放送が五月から開始が予定されておりまして、今後は先ほどからも説明しておりますように中継局あるいは共同受信施設によります難視解消の施策を変更いたしまして、衛星放送普及によって難視の解消を効率的にやっていこうということに考えておるわけでございます。  ただ、今後の地上施策といたしまして、例えば大規模な宅地造成、そういった地域状況の変化あるいは外国電波の混信、そういうものに対しましては、地域の実情あるいは要望を勘案いたしまして、補完的な中継局の置局あるいは既設局の移転あるいは増力を引き続き実施していきたいというふうに考えております。  なお、都市難視、都市受信障害の問題でございますけれども、都市受信障害につきましては、五十八年度末現在六十四万世帯の受信障害世帯があるわけでございますけれども、都市の建物などによる受信障害につきましては、衛星受信によって解消する方法もございますけれども、都市でございますので、NHK以外のすべてのチャンネルにつきましも改善するという必要がございます。  BS2による衛星放送実用後も、受信者の立場から言いますと完全な解決ということは言いにくいという面がございます、したがって、NHKといたしましては、従来どおり受信相談あるいは技術指導の実施をするとかあるいはゴースト解消のための研究開発を積極的にやっていくということでやっていきたいと思います。  この都市難視、都市受信障害の解消につきましては、NHKといたしましては原因者の負担という原則に基づいてやっていきたいというふうに考えております。
  34. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、衛星放送が開始すると、難視聴は一挙に解決するということではなくて、いまおっしゃるように予算を見ると、辺地難視聴対策として十四億八千万円、今受信障害などを伴うものについては事業費として十二億五千万円予算を組んで対策をしていますから、私が申し上げるように重複投資かどうかは別でありますが、難視聴解消衛星を打ち上げたから解決するものではない、電波を発射すれば解決できるものではない、こういうことについてはもう一度申し上げておきます。  またつべこべ言うと時間がたって次の問題に入れませんから問題を進めておるのですが、あなたたちが言うように、三年間の経営計画、収支計画はできるけれども、人減らしの問題は六年間かけて千五百名なり二千名なり減らすという案は策定できる。三年を超えた経営計画はできない。今の放送衛星を打ち上げることによって一挙に難視聴解消はできたと言ってますけれども、難視聴解消はできていない、できない、こういうことについて私は強く言っておくんです。  そこで、新メディアに要する経費はその使途も視聴者の需要も今のところ不明確な段階であります。その比重が高いために、結果的に受信料値上げにはね返るという大問題になると思うんですがどうでしょう。  受信料値上げが不払いや契約拒否を増加させる結果となれば、それは値上げの根拠が視聴者の理解を十分に得ていないことになります。不払い者、契約拒否者の現状はどうでありますか。今後の見通しはどういうように考え受信料の問題を取り扱っていますか。
  35. 林乙也

    参考人(林乙也君) お答え申し上げます。  五十八年度上半期におきまして、いわゆる契約をいただきながらお支払いをいただけない滞納契約者が全国で九十八万九千という形になっております。五十年の当初から滞納契約者の増加が非常に懸念されまして、私どもも種々対策を講じてまいり、また基本的にはNHK放送等を通じまして視聴者の方々にNHKの意義というものを御理解いただく中で進めてまいっておるわけでございますけれども、この数年滞納契約者につきましては、ほぼ増加を抑止することができてまいっておりまして、年に若干ではございますけれども減少させることができてまいっておるわけでございます。  今回の料金改定に当たりましても、衛星放送の開始等を含む難視聴地域の対策、あるいはただいまお話もございましたような都市におきますところの受信サービス等々の施策も含めまして受信者の方々の御理解と御納得をいただく中で、御指摘の滞納契約者につきましても、その増加が見られないように万全を期してまいりたいというように考えておる次第でございます。
  36. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、受信料の拒否とか、あるいは不払いというような状態があることは、今九十九万ほどあるということについてお聞きしたんですが、受信料負担の公平を確保することは、同時に公共放送としての中立性、自主性、自立性を持つ経営を確立するためにも欠くことができません。  受信料制度の堅持はNHK当局としての努力は当然でありますが、値上げに対する拒絶反応があるということをいいことにして、従来一部分でありましたように、この際支払い義務化の法制をつくるようなことは大臣としてはお考えを持っておられないと思いますが、いかがでしょう。大臣からお答え願います。
  37. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 先生の御指摘は、恐らくこの支払い義務をもっと強化するような意思を持っておるのじゃないかということであろうかと思います。  御存じのように、九十一国会に提出して、受信料の支払い義務を明定化しようとした動きがあったことは事実でございます。しかし、今NHK側からの報告もございますように、この滞納者はNHK側の受信者に対する努力、働きかけによってわずかではございますけれども収納状況も比較的順調に推移しているということも言えるかと思います。  したがって、私といたしましては、経営努力と同時に、こういった受信者各位に対する不断の理解と信頼を得る努力が肝要であるという気持ちでおります。したがって、今後もこの線で引き続き推移を慎重に見守っていきたいと思っております。  ただ、そういったさきの国会における審議経過もございますので、余り滞納者がこういった拒否反応によって、しかも公共性中立性も含めて守れないという事態になったときは別といたしまして、現在の状況は非常に努力した成果が少しずつあらわれておるということですから、引き続きこの線で見守っていきたいということでございます。
  38. 片山甚市

    片山甚市君 大臣から、少し初めのうちは怪しくおっしゃいましたけれども、現在の段階でこういうものを法律化する意思はない、法的義務制をつくる意思はないとおっしゃったのですが、会長はそれを受けてNHK側としてどういうようなお考えでございますか。
  39. 川原正人

    参考人川原正人君) NHKとしましては、あくまでやはり私ども努力受信者の理解を深めていく、そして滞納とか未払いというものが少なくともふえないように、できればこれを少しでも減らしていく、その努力が私ども一番肝要だと思っております。法律の制度につきましてもいまの時点では私ども現行の法律が一番よろしいのではないかというふうに考えております。
  40. 片山甚市

    片山甚市君 大臣及び会長の御発言を受けてその方向でやはり中立性、不偏不党の立場から国民に依拠するようにこの放送を守ってもらいたい。  さて、先ほどから申しました放送衛星のことですが、BS2による衛星放送は五月から開始されるんですが、BS2打ち上げに至った経緯及びその目的を再確認しておきたいんですが、簡単に述べてもらいたいんです。
  41. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) お答えいたします。  BS2の打ち上げの経緯と目的につきましては、やはりNHKが今まで全国的な普及をずっとテレビジョン始まって以来やってきたわけですけれども、その後全国で六千九百の中継局あるいは一万以上の共同受信施設を運用して難視解消に努めてきたわけでございますけれども、その結果五十八年度末におきまして残存難視が全国で約四十二万でございます。その四十二万の難視世帯は山間辺地あるいは離島等にありまして、非常に微小化あるいは散在化しておる現状でございます。これらの散在する対象地区が全国で二万二千地区ほど。地上施設でこれを解消いたしますと多額な投資と大変長い時間がかかるわけでございますので、衛星によりましてこれを一挙に経済的に解消しようということで衛星を打ち上げたわけでございます。そのほか非常災害対策あるいは全国各地からの機動的な中継にも活用できますので、そういう面も含めまして放送衛星の打ち上げを計画を進めたわけでございます。
  42. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、今のお話から放送全国普及義務が課せられておるNHKとしては、その解消に当たっての対策として、今日受信者がお金を払ってやっておるんですから、全視聴者合意を得てやらなきゃならぬと思います。  そこで、二重投資とか過大な設備投資になっていないということについて、放送衛星の方が地上設備よりもどのぐらいコストが安くなったと計算をされましたか。簡単に言ってください。
  43. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 衛星が、BS2の場合を例に挙げて申し上げますと、難視解消に要する経費の比較でございますけれども放送衛星の場合には全体で年間の経費が大体百十億、それから地上施設でやった場合には百九十億というふうになっております。
  44. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、ローカル放送の充実について衛星放送の活用に当たってどのような対策をこれからやっていかれるつもりですか。
  45. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) ローカル放送というのは地域のためにやる放送でございます。この衛星でやりますことによってローカル放送ができないということがありますと大変困ります。したがって衛星の中でもローカル放送が何とかできる形をとりたい。一つは各地のローカル番組を集めまして衛星から出す方法でございます。それから、これからの技術開発によって、例えば文字多重放送を使ってローカル情報を送るとか、そのようなことも考えられる。ただ、私どもは、衛星放送によるものとそれから地上のローカル放送強化については、これは並行して進めるべきであるというふうに思っております。
  46. 片山甚市

    片山甚市君 BS3を打ち上げた場合は波がふえるので、それをどのように使われることによってローカル放送に反映されますか。
  47. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) ちょっと御趣旨が……。
  48. 片山甚市

    片山甚市君 BS3について波がふえますから、それをどのように使われることによってローカル放送強化になりますか。
  49. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) BS3段階におきましては、現在の地上のローカル放送強化とそれからBS3段階での衛星技術的な進歩というものとあわせてローカル放送強化をしていきたい、このように思っております。
  50. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、放送料との関係がありますが、ニューメディアにおけるところの費用は、放送衛星によるところの費用は一般の視聴料から取るんですか、新しい制度をつくるんですか。
  51. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) この衛星放送につきましては、現在打ち上げまして五月から放送を開始しようとしておりますこのBS2の段階におきましては、これは、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、難視聴解消ということが基本でございますし、それからそういう意味でも番組につきましても地上の放送ということが中心になるわけでございますし、それともう一つは、将来に向けての技術的な開発、実験といったような段階でございますので、この衛星放送によって衛星放送受信者の方々から新しい別の料金をいただこうというふうには考えていないわけでございます。ただ、将来に向けてはだんだんに放送サービス内容も充実をさしてまいらなければならないでしょうし、それから衛星放送普及状況というようなものも大部分の方々がこの衛星放送もごらんになれるというような段階ということも当然将来としては予測できるわけでございまして、私どもといたしましては、そういう衛星放送だけの放送が非常に受益感の強いというような段階、それからその普及状況といったような点などを考えまして、将来的には、今のカラー料金といったようなものもあるわけでございますけれども、この衛星料金といったようなものについても検討はしていかなければならないのではないかというふうに考えているわけでございます。
  52. 片山甚市

    片山甚市君 問題は、ニューメディアに対する受信料のあり方をきちんと決めてもらわないと、開発はしましたけれども最終的にそのお金を払う人がおらなくなる。BS2の次にBS3、BS4と出るとお金はたくさん払うと同時に、その運用をする費用もかかります。コストを吸収しなきゃならぬ。その受信をする人たちの受益者と支払う者との負担のあり方を決めなきゃならぬと思います。それがまだできておらぬうちに、もうすでにBS3がことしから予算というか、計画が進んでおる。放送衛星計画だけ進んで、いわゆる財政対策経営財政が確立できておらないということについては非常に残念でありますから、速やかに衛星放送に関する受信料のあり方を決めてもらいたい。そのことはニューメディア関係することであります。その意味で意見を述べておきます。  さて、最後に文字多重のことですが、現在のパターン方式による文字多重放送は実験段階でありますが、本格的な文字放送サービスについては混合方式のハイブリッド方式をとるということでありますが、その技術基準はいつごろ制定されるのか。これは郵政省にまずお聞きします。
  53. 鴨光一郎

    政府委員(鴨光一郎君) 先生御指摘テレビジョン文字多重放送のハイブリッド方式でございますが、現在電波技術審議会で審議が進められておりまして、おおむね一年後に答申が得られる見込みでございます。ただ、これを受けまして関係法令の整備が必要でございます。そして、その上で放送局側の機器の整備、それからまた受信をしていただくための受信機の製造といったような問題がございますので、実用化自体は昭和六十一年ごろになるのではないか、このように考えております。
  54. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、NHKに聞きますが、ハイブリッド方式の技術基準が決まったときには、当然現段階の地域限定の試行から全国への普及が図られることになると思いますが、その場合のNHKの具体的計画及び民放との間で対応はどのようになるのかということをまずお聞きしたいんです。それは、昨年十月から東京、大阪で聴力障害者向けの文字多重放送実施しておりますけれども、利用者数や利用状況からその反応、反響はどういうことかということについてもあわせて説明を願いたい。
  55. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) NHKは、昨年の秋にパターン方式で始めたわけでございますけれども、本年度はやはり新しい技術基準が決まりまして、ハイブリッド方式になりました段階におきましては、本放送としてこれの内容的な拡充も含めまして地域的にも全国的なところへもっていこうというふうに考えているわけでございます。  ただ、やはり現段階におきましては非常に文字多重放送は限られた方々に聞かれていて、そう大幅な普及というふうには至っていないわけでございますけれども、将来にこの新しい技術になりましたら、全国的な規模でもって広げていきたいというふうに考えますし、それと同時にもう一つは、この文字多重放送につきましては、いわゆる第三者法人という形でNHKの施設を使いまして、別の法人がこの文字多重をやるというふうな形に法律もなっておりますので、その点につきましても鋭意検討は進めているわけでございます。
  56. 片山甚市

    片山甚市君 現状について聞こうと思ったら答えませんから……。
  57. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) ハイブリッドの実施までの間というのはなかなか普及が困難でございます。したがって、今パターン方式でやっている限りでは一番好評なものはやはり字幕放送でございます。これについては聴力障害者の方から大変好評をいただいております。
  58. 片山甚市

    片山甚市君 東京、大阪でどういうふうに評判があるかと青うたら文字ということでありますからそれでよろしいけれども、最後に会長にお聞きするんですが、今度のやる予算については大変難しい。この予算案を承認しなければ大変不都合なことが起こるし、承認するとすれば値上げ法案ですから介入しなきゃならぬことがあるんです。それはどういうことかといったら、やはり日本放送協会に働く人々がこの予算が決まった後、これから六年間、七年間この方向に向けて協力できるように経営を担当する会長として決意を持っておられるかどうか。  私が言うのは、事業は人なり、先ほど非常に早口で言いましたけれども放送事業は特に一人一人の非情に高度な人格を持った、技術を持った、しかもハイセンスの者が必要なだけに、精神的にも環境的にも十分に社会に均衡のとれた保障がなけりゃならぬと思うんです。職場も明るい職場をつくらなければならぬと思っています。それは何といっても労使関係が明るい中で定着するようにしてもらいたい。本日は労働条件のことを言いませんでしたけれども会長よくそのことはお知りのはずであります。川原会長NHK生え抜きでありますから労働条件のことはよくわかると思いますから、そのことについて会長が、私が申し上げたところのいわゆる事業は人なりという立場から労使関係をしっかり安定さしてこの計画がよりベターに実行できるようにされるかどうか決意を聞き、そして、そのために大臣も御協力願えるかどうか、後で締めくくりの大臣のお言葉をいただきたいと思います。まず会長から言いただきたい。
  59. 川原正人

    参考人川原正人君) 御指摘のとおり、事業というものは人間によって生きるも死ぬも左右されると思います。特に私ども仕事はまさに機械で大量生産するという仕事ではなくて、一つ一つ人間の手づくりといいますか、熱意と努力によってつくられている番組でございます。その意味でも協会の場合は人間が何よりも大事でございます。とすれば、その協会で働く人間経営とが本当に一体となって活力を持って働ける状況をつくらなければならない。それが私の最大の仕事であると思っております。そのためには、御指摘のとおり労使関係というものが本当に信頼関係の上に打ち立てられるということが何よりも肝要だと思っております。そのためには今までも努力してまいったつもりでございますけれども、今後とも最大の力を用いて職員が気持ちよく働いていけるような方策をあらゆる面から最大の努力をしてまいりたいと考えております。
  60. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 御指摘のように、労使が本当にいい意味で一体となって職場環境も含めてひとつ頑張っていただきたい。常に国民の目がこの公共放送機関であるNHKに向けられておるということも十分留意して、いよいよ使命感をたぎらせていただいて、よい番組をつくっていただくように努力してほしい、心から願っております。
  61. 片山甚市

    片山甚市君 終わります。
  62. 大森昭

    ○大森昭君 先ほどからやりとりがありますように、公共放送を守りまして、財政基盤をしっかりさせて、そしてまた新しい時代にふさわしいことに対応しなければいけない、こういうことが言われております。  そこで、そういう大変な、今、時を迎えているわけでありますが、経営委員会の任務といいますか、今回のこの計画提案に当たりまして指導的役割ということについてはどのようになっているのか、まず初めに会長から御答弁いただきたいと思います。
  63. 川原正人

    参考人川原正人君) 経営委員会は私どもNHK経営の最高の方針を決める意思決定機関でございます。その意味では、私どもも執行部も十分に経営委員会の指導のもとに事業経営を行っております。具体的に今回の経常計画あるいは予算を作成するに当たりましても、早くから経営委員会と十分な御相談を申し上げております。  具体的に申し上げれば五十八年度の予算編成いたしますときに、既に当時経営計画としましては五十五年から五十七年までの三年の経営計画しかございませんで、五十八年度はその計画の外にある。しかも、一年以上前でございますが、当時の見通しとしましては五十八年度は実質的にはかなりの赤字にならざるを得ないという段階で、まず経常委員会に対しまして、そういう状況ではあるけれども、五十八年度はあらゆる努力を傾けて料金は据え置きのままで編成する。しかし、その先は、これは恐らく料金問題を検討せざるを得ないであろうということを、今からもう一年数カ月前でございます、その段階から経営委員会に御説明し、経営委員会のいろんな御意見をちょうだいしております。  さらに五十八年度予算の成立の後、いよいよ五十八年度の実際の仕事に入るに当たりまして、私ども執行部からは、やはり五十九年度以降の経営計画は早急に策定しなければいけないし、これは国会の決議もございましたし、それにこたえる意味でも早急に策定しなければならないので、恐らくその中では料金の問題も当然触れてくることになると思うが、まず何よりNHKのありようがどうあるべきかということを広く各界の意見も聞きたいということで経営計画審議会というのを設けまして、設けるに当たりましても経営委員会と十分御相談し、例えば委員の人選等についても経営委員会の御意見をちょうだいしながらこの審議会を設けて仕事に入りました。さらに、具体的な、今度は五十九年度以降の経営計画、数字を含めたものを作成する段階が昨年の夏の終わりから秋口にかけてあったわけでございますが、その段階でも経営委員会に対しまして私どもが用意しました数字を全部説明いたしまして、それに対し経営委員会のまた指示もいただいております。具体的に言えば、その当時出した数字に対しては、経営委員会から、もう少し経営努力を行ってさらに数字を詰めることができないかというような指示もちょうだいし、さらにこの経営計画審議会の答申を得た後、いろいろな各方面の状況説明する中で、最終的には二月の三日にその最終的な経営委員会を開いていただいて、五十九年度の予算と同時にその中での料金につきましても十分な御審議の上で決定していただいた、こういうことでございます。
  64. 大森昭

    ○大森昭君 当委員会でしばしば経営委員会の問題については多くの意見が出ているんですが、ほかの公団だとか公社と違いまして、この経営委員会放送法によりますと大変な権限を持っているわけでありますが、言論、報道機関としての立場からこういう特殊な経営委員会になっているんだろうと思うんでありますが、どうもこの経営委員会のあり方というのは、私どもに十分実は周知されておらないんですね、いま御答弁がありましたけれども。少なくとも経営委員会がそれぞれやるたびにどういう議論をしたということまで別に知ることもないんでありますが、しかし、こういう時期でありますから、やはり経営委員会の任務というのは私は最大の実は関心を持っております。そういう意味からいきますと、どうもこの経営委員会中立性、自主性、あるいは協会に対する指導的な役割ということについて、十分果たしているかどうかということが大変疑問なんであります。しかし、これは時間がありませんから、きょうはそれ以上のことを申し上げませんが、現在の経営委員会のメンバーというのは、官房長来ているからお答えがあるんだろうと思うんでありますが、経営委員のメンバーの方々はそれぞれの道といいますか、それぞれの人格といいますか、それぞれの専門分野といいますか、大変立派な方がたくさんおられるわけでありますが、しかし果たして、先ほどから質疑がありますように、財政基盤をきちっとしなきゃいけないし、新しい現在の問題に対応をするのには、今のような形で経営委員が選出をされたり、あるいは経営委員の方々がおられるということについては、何か問題意識というのを郵政省、持ちませんか。
  65. 奥山雄材

    政府委員(奥山雄材君) NHK経営委員会についてのお尋ねでございますが、先生がいみじくも御指摘になりましたように、NHK経営委員会は、他の例えば電電公社の経営委員会と名前は同じうしておりましても、NHK独自のやはり言論、報道機関としての公共放送機関の存立と運営を確保するために認められた独特の制度であることは申し上げるまでもございません。そのような見地から現行放送法も、NHKの「経営委員会は、協会経営方針その他その業務の運営に関する重要事項を決定する権限と責任を有する。」ということを明記いたしているところでございます。  そうした中におきまして、やはりNHK経営委員がその独自性、独立性、自主性というものを一番発揮しておりますのは、やはり業務執行の最高責任者であります会長経営委員会みずからが選任すること、あるいは国内番組基準、あるいは国際番組基準、あるいは放送番組の編集に関する基本事項といった公共放送機関としてのNHKを支える基本事項を議決する権限と責任を有していること、さらには収支予算等を議決しなければならないという権限をも付与されているという、こういったことがすべてNHK経営委員会を独自づけるゆえんだろうと思います。  したがいまして、経営委員会における委員の選任につきましても、御承知のとおり、これは両議院の同意によって内閣総理大臣が任命されるものではございますが、その過程におきまして本来の趣旨が没却されることのないよう、あるいは損なわれることのないよう、人選に当たりましては慎重な配慮をしているところでございます。
  66. 大森昭

    ○大森昭君 いつも郵政省の答弁はそういうことなんでしてね、現になられている方がいいか悪いかというのは、それは言いづらいからそういうことになるんだろうと思うんですが、先ほどから質疑を聞いてましても、正直言って質問者側は納得しませんよ、本当の話。経営計画も三年、そして今、放送衛星打ち上げの経費の問題、国際放送の問題、これも何回も当委員会で議論して、国費の割り振り分担の話からいろいろなことがあって、毎回毎回私も出ていますが、大体答弁は同じようなことで、これだけ難しい財政基盤、新メディア時代に入っていかにしなければいけないかということについて質疑してお一でも、十分ほんとに――時間がないからというのもあるんでしょうけれども、国会で委員会があって、それでもってある一定の時間質疑したら法案が通るなんということはいみじくも考えてはいないと思いますがね、私はどうもそういう感じがします。  とりわけことしの場合は、これは値上げですからね、もう少しこの委員会質疑を聞いて国民の皆さん方が、そうか、そういうことなら料金が上がってもひとつ協力しようじゃないかというやっぱり委員会じゃなければ、これは我々も国民を代表しておるわけですけれども、どうもほんとにすとんと落ちないんです、正直言って。  そこで、そういうことを言ってもしょうがないんでありますが、いずれにいたしましても経営委員会の問題のあり方については何回かもう議論が出ているわけですから、先ほども殊さら私はメンバー聞かなかったんでありますが、このメンバーの選出の仕方も、これは正直申し上げまして、例えばそういう新しい経営をどうするかとか、あるいはNHKの全体の運営についてどうあるべきかという視点の方も一いや、今もおられるんでしょうけれども、よりそういう新しい視点に立ってもらわなければ、今、官房長言っていますように、いろいろ配慮して国会の承認をいただいていますということだけでは納得できません。  そこで、この問題をいつまでやっていても時間がありませんが、とにかく郵政大臣、在任中に何人かの人の経営委員を選出することになりますので、いろんな、ひとつ従来からの実は経過も頭の中に入れていただきまして、今の置かれておるNHK現状の中で最もふさわしい人を選出してもらいたいと思うんですが、どうですか。
  67. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) これは私からお答えするまでもなく、このNHK経営委員は国会の御同意を得て内閣総理大臣が任命するわけですが、それだけ、いかに重要な責任と立場があるということの証明でもあるわけですが、私は、今、大森先生御指摘のように、八人が地方区と申しますか全国のブロック別代表、四人が全国区型の学識経験あるいは文化界代表等々ということになっておるわけですが、こういった形式論議は別として、恐らく先生の御指摘は、国民各層を代表する、しかも文化、科学、教育、産業、そういった分野にも精通して、しかも国民代表としてのふさわしい能力を持った方であると同時に、NHK経営に限りない情熱を注ぎ込むような人をしっかり選びなさいよということであろうかと思うんです。要するに形式的な人選に偏らないようにしなさいよという御指摘であろうかと受けとめております。とかくこうして全国区のメンバーを見ますと、ちょっとマスコミに集中しているような感もございます。そういったいろいろな面を踏まえて慎重に対応してまいりたいと思います。
  68. 大森昭

    ○大森昭君 大変明快な回答をいただきまして、その点ひとつ大臣努力をお願いいたします。  次に、先ほどもちょっと出ていましたけれども、前に三年計画でこうやりまして、四年になりましたですね。したがって、やりようによっては四年もできるし、もっとこれからの計画のありようにしては五年でもできると思うんですが、何か毎回毎回三年だから三年ということなのかどうかわかりませんが、なぜ、これ従来と同じようなことなんですけれども、三年、三年でいくということになるわけですか、これ。
  69. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) 先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、やはりNHKといたしましては、本当に収支見通しを確実に立てて、そして受信料改定をできるだけ絞った形でお願いをするということで、この見通しを立てるにはやはり今回も三年以上ということはなかなか困難であったというわけでございます。やはり内外の情勢、社会情勢あるいは特に今回の場合はニューメディアを迎える、そういった時期でざいまして、これがどういった形でもって普及をしていく、発展をしていくかといったような点につきましても見通しというものがやはりそう明確には出し得ないといったような状況であったわけでございます。  それから、従来もやはり収支見通しというものは、数字的には相当厳密な見通しをし得る三年間ということでやったわけでございますけれども、その間協会全体の節約というようなこと、それともう一つはやはり物価の鎮静――前回のときには相当、物価上昇見通しが六、七%といったような見通しの上に立ったわけでございますけれども、そういうことで非常に物価の鎮静化といったようなことがあって一年間さらに据え置いたということが可能になったわけでございますけれども、今回も三年間ということは、先ほど申し上げましたように物価上昇分も吸収をいたしました非常にぎりぎりの計画として提出いたしているわけでございます。
  70. 大森昭

    ○大森昭君 経済指標がないとか、ニューメディア時代のことであるしとか、いろんなことなんだと思うんですがね。  そこで、先ほどの片山先輩のお話じゃないんですけれども、そういう難しいことで三年しかできないと言っておりながら増減の要員計画が出ているでしょう。増減の要員計画が出るということは、ある程度協会のシステムがこうなる、こうなる、こうなるということが頭の中になきゃ増減計画というのは出ないんです。  例えば、さっきの横井さんの話だと、減をしたいというおおよその目標だということですから、ありますけれどもね、努力目標としては。しかし、増減を出すという限りは、ある一定の協会内部における姿というものが頭の中になきゃ増減出ませんよ。ですから、毎回それはいろんな御指摘があることは私も知っていますが、指摘があったから増減を出すというんなら、増減を出した根拠について少なくとも別紙なら別紙であるいは物の考え方を述べてもらわなければ、私は端的に言いますが、どうも最近のはやりでは、何かあるときはとにかく人を減らす、それから働いている人たちの賃金を抑制する、そういうことがこれは一般的な企業では一つの理論かもわかりませんが、少なくともNHKが今日置かれている状態の中で、一般のそういう風潮というと怒られるかもわかりませんが、何かそうしなきゃ値上げができないということに少し経営者側は凝り固まっているんじゃないかという気がするんですよね。ですから、職場に置かれている人たちは、何か減ることばかり国会に提案をして、賃金の問題も、何か、労使でこれは決めることなんですけれども予算を決められるとその枠の中で賃金が決まっていくんじゃないかと、こういうことになるわけでありますから、ですから私ども計画を出していただいて料金の決定をするわけですから、それはいろいろただしますが、しかし少なくとも人が動くあるいは人が減るあるいは賃金の確定をするということは、主としてこれは労使関係でありますから、さっき横井さんが言うように、効率化も目標である、賃金もおおよその想定であると。しかし、労使関係で労働条件に最大の影響がある問題ですから、効率化の問題も。ですから、労使関係をこれはとにかく優先をしてもらうという趣旨合いでこの予算はひとつ御審議していただきたいということなら――先ほどは片山先生は納得しないということだったんですけれども、そういう意味合いなら私は納得してもいいんですが、どういうことになりますかな。
  71. 横井昭

    参考人横井昭君) 御指摘の点でございますけれども、私どもは今日の企業の経営というものは、健全な労使関係労使の深い信頼関係の上に成り立つものであるというふうに基本的に認識しておるわけでございます。一方、経営効率化合理化というものは、我々が公共放送として視聴者から受信料をいただいている建前からいっても、その視聴者国民の理解と信頼を得るという点で必須の要件であり、またこれから衛星放送等の新しい時代対応する基盤整備をするためにもどうしてもやらなければならない、こういう課題だろうというふうに深く認識しておるわけでございます。  そういう点で、御指摘の三年間の長期計画と七年間の構想というところのずれはありますけれども、我々は効率化の問題は特に労使関係にとっては労使ともに重大で、かつ厳しい問題でございます。従来も誠心誠意話をしてきたつもりでございますけれども、今後もさらに一層誠意を持って組合と話をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  72. 大森昭

    ○大森昭君 いや、あなたの方は経営者ですから、やりたいという気持ちはわかりますが、しかしやりたいからできるという問題じゃないんですよ。いいですか。そこのところを、やりたいという気持ちと、それと職場の多くの働く人たちの意見を聞いて物事を処置していくということは別ですよ。そこのところをあなた方がしっかりしておりませんと――そうかといって、労使でもってやるんだからどうなるかわかりませんよというのは、これはまた無責任な語です。ですから、経営者としてこういう方針でやりたいということは理解しますが、しかしいずれにしたって経営者陣だけがNHK協会を運営しているんじゃないんですから、それこそ一万何千人の方が総力を挙げて、先ほどから議論がありますようにニューメディア時代にも対応しなければいけないし、公共放送も守らなければいけないし――そうでしょう。ですから、そういうことでやってもらいたいということを言っているわけです。  とりわけ、さっきもちょっと質疑がありましたけれども、とにかく新しいことをどんどんどんどん今やっているわけですね。そうなりますと、このNHK経営費というのは膨らむのが当たり前なんですね。そうでしょう。ですから、そういうところも一体これからどういう形で経営をしていくのかというところが視点じゃありませんと、そこに視点を求めなければ、賃金はあんまり上げたくない、人は減らしたいというだけじゃ、こんなあなた経営方針ではこれから対応できませんよ。ですから、そういうように運営経費が現在の状態じゃ物すごく膨張していくというふうに私は理解をいたしますが、この三年計画は三年計画として、一体これからの経営の方針について基本路線はどうあるべきかということについては何かお考えありますか、会長
  73. 川原正人

    参考人川原正人君) NHKとしましては、やはり新しい技術革新なり時代展開なり、あるいは視聴者の方のいろんな要望の変化には十分にこれは対応していかなければいけない。その意味では、新しい仕事はこれは次々と出てくることはもうやむを得ませんし、それに対しては積極的に私は取り組むべきだと考えております。  ただ、積極的に取り組むと言いましても、本当に視聴者の方が何を望んでおられるのか、あるいはニューメディアといろいろ言われておりますけれども、それらのメディアが本当に国民の精神生活文化生活を豊かにする上で本当にどれがどれだけ活用できるのかという点は、私どもまず第一に十分見きわめておきたいと。ただ流行語のようにニューメディアニューメディアと言っていたずらに新しいものを取り込むことは、それは十分に警戒しなければいけないと思います。しかし、それはあくまで歴史の進歩であり技術の革新でありますから、積極的に取り組んではいくと。  それからもう一つは、そういう時代の変革の中でNHK自身もやっぱり変わっていかなければいけないと。従来の仕事とその仕事のやり方の上にただ新しいものを上に継ぎ足していくというだけでは、これはやっぱりいたずらに経営規模が肥大化しますし、中の仕事もむだなものが結局残ってくるおそれがあります。その意味では、NHKがやってきました仕事なり仕事のやり方なり、まあ別の言い方で言えば体質なりというものをどんどん自己改革していかなければいけない、その中でやっぱり合理的な、できるだけ能率のいい経営をしていきたいと、これが基本の考えでございます。  しかし、そうは申しましても、それじゃ最終的に現在の受信料の規模の中で全部やれるかといったら、これは私やっぱりやれないと。それで合理的な経営、能率的な経営を極力やりますけれども、やっぱりやむを得ざるところは受信者の方に御負担をお願いしたいということで今回のような経営計画と来年度の予算になったわけでございます。ただ中身は、私繰り返して申し上げますけれども、十分そういった世の中の変革に対してみずからも変革をしてそれに対応していく経営体質でなければいけないというふうに考えております。
  74. 大森昭

    ○大森昭君 私はそんな抽象的なことを言っているんじゃないんですよ。例えば音声多重だとか文字多重というものを今やっているでしょう。衛星が上がるでしょう。大体ちょっと僕は郵政当局に聞きたいんですが、放送衛星を上げましたら直ちにみんな衛星からのやつで、地上のやつはみんな見ないとか、そういうわけにならないでしょう。空からの放送と地上の放送と二重でどのぐらいあなたこれかかると思います。少なくとも当分――当分という言葉はあれかなあ、まあちょっと予測できないですけれども、十年や十五年両方でもってやっていくんじゃないんですか、ずっと。違うんですか。
  75. 鴨光一郎

    政府委員(鴨光一郎君) BS2の役割でございますけれども、これまでの経緯からいたしまして、難視聴解消を主たる目的としていることは事実でございます。しかし一面では、将来の衛星放送普及に資するためのいろいろな技術的な実験等も行っていく、同時に具体的な普及を図るという意味ではいわゆる番組面での工夫もNHKサイドでしていただきまして、できるだけ多くの方が視聴できるようにしていただきたいと考えているわけでございますけれども、実際問題として、今先生当面とおっしゃいましたように、まさに当面の間におきましては地上と衛星番組的にダブる部分が多いことは事実でございます。
  76. 大森昭

    ○大森昭君 最初の計画は、今局長言われたように、難視聴対策ですけれど、今あなた、アンテナ売るんでしょう、これ。何か工事費含めて二十万から三十万かかるって、この間ちょっと行って勉強してきましたけれども。あなた、地上からのやつも衛星放送からも同じ番組だったら、だれがそんなものを買ってあれしますか。  だから、当初の目的は難視聴対策だったけれども、もうそんなんじゃないんですよねこれからは、そうでしょう。少なくとも地上から送るやっと放送衛星から送るやっと番組は異なるんでしょう。違うんですか。NHKは何を考えているかな。
  77. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) 先生御指摘のとおり、当初の目的、基本となる目的は難視聴解消ということであるわけでございますけれども、やはり難視聴解消という同時放送ということだけではなく――それは同時放送ということだけでございますと今の形では視聴できない四十二万世帯だけが対象というふうになるわけでございますけれども、やはりこの衛星の持つ将来性、可能性というものを開発するためには、当然この普及ということがやはり大事だということで、そのためには同時放送ということではなく、いろいろ編成上の工夫をしながら、普及を図る番組というものを徐々にふやしていきたいというふうに考えるわけでございます。
  78. 大森昭

    ○大森昭君 ですから、そういうようになってくると、普通からいくと仕事がどんどんふえるわけだから、人もふやしたいし、そういうことだって一般的には考えられるわけだけれども受信料をいただいているわけだから、なるたけいろいろな工夫をしなきゃいけないということでいろいろ工夫がされていると思うんですがね。ですから、普通我々こう考えますと、そういうようにもうサービスを従来よりも協会はより豊かというか豊富というか、放送サービスをするわけですね。そうでしょう。だから、いろいろ受信料も上がるんですよ、ということが主なんですね。しかし、それだけじゃいかぬからいろいろ効率化を進めるということだと私は理解しているわけなんですよ。  ですから、いろいろ私どもも、この値上げについて大臣も言われたけれども、どうもおれが大臣になってから一番初めに値上げというのにはちょっと抵抗もあったとお話がありましたけれども、私どもも、正直に申し上げまして、まあこの値上げというのはと思いましたけれども、しかしそれこそ今サービスをより豊富にしなきゃいけないし、そしてまた公共放送を守るという立場でいい番組を出すという協会考え方に賛成するがゆえに、いろいろ問題あるんですが、国民生活は余り豊かじゃないんでありますが、まあやむを得なかろうということなんでありまして、ですからどうかひとつそういう意味合いで、国民が期待しておるサービスをどういう格好で早い時期にやっていくかということを工夫していただきませんと、何のために値上がりしたんだかさっぱりわからないとおしかりを受けますから、そういうことでひとつ努力をしていただきたいし、やっていただきたいと思うんです。  私は何回かオリンピックの問題も放送権料の問題を指摘しているんですがね、どうもロサンゼルス・オリンピックの権料などについてはまだ妥結しているようですが、これどういうふうになってますか。
  79. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 当初回千万ドルを超す向こうの提示がありまして、民放NHK共同して交渉に当たりました。その結果、昨年の二月に妥結いたしまして、放送権料としては千六百五十万ドル、ほかに技術サービス料というのが二百万ドル、合計千八百五十万ドルで契約ができております。
  80. 大森昭

    ○大森昭君 アメリカの支払いあるいはEBUの支払い、ABUの支払い、こういうのをずっと見渡して、まあ大体日本のやつは妥当だと、こういう見解ですか。
  81. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 先生御指摘のように、今オリンピックの権料は非常に高騰しておりまして、例えば一つの例を申し上げますと、アメリカのABCという放送局は、モスクワのときの大体二・六倍、今回の妥結金額は二億二千五百万ドルという、巨額でございます。それからあと、EBU――ヨーロッパ放送連合でございますが、これが千九百八十万ドル、それからオーストラリアが千六十万ドルというぐあいに、放送機関に対する権料が非常に高騰しまして、これは私どもとしてもまことに苦慮しておるところでございます。  ただ、こうなりました理由もいろいろございまして、その中では今の千六百五十万ドルプラス二百万ドルというのはやむを得なかった、そういうふうな形でなければ妥結できなかったと、最大限の努力をしたというふうに考えております。
  82. 大森昭

    ○大森昭君 最大の努力をしたと言うのならしょうがないんですけれども、EBUでも、これヨーロッパ全体ですから、各国に割り当てれば安いんですよね。オストラリアだって、これちょっと高いけれども千六十万ドル、カナダになれば三百二十万ドルだから、どう考えても少し高いように感じるんですけれども、まあ妥結したことですからあれですけれども、いろいろ権料などについて、この前も私相撲のことをやって、どうも先生は相撲が嫌いのようですなんていうおしかりも受けましたけれども、相撲だとかプロ野球だとか、いろいろ権料の折衝をするんだと思いますが、ここで特段質疑いたしませんが、これもやはり高い権料を払いますと受信料が高くなるわけですから努力をしていただきたいと思うんです。  そこで大臣、この間、所信表明で、まあ歴代大臣は国際放送について大変理解あるお話を委員会では表明されるわけですが、五十九年度の国際放送関係交付金は二億五千万。国際放送は従来からいろんな問題が指摘されて、二億五千万ぐらいじゃちょっと大臣努力が少し足りなかったんじゃないですか。
  83. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 国際放送に関する認識は、先生に劣らぬくらい持っておるつもりです。特に私は、大臣に就任して一番先にこの問題に注目をいたしました。それで、別に細かいことを言うわけじゃありませんけれども、例えば日本の周辺諸国、韓国あるいは北朝鮮、中国――ソビエトは別格といたしましても、過当なりの放送時間一つとらえてみても、中国は日本の五倍くらい。ソビエトは八倍、これは世界一ですから。あるいは北朝鮮も日本の倍、韓国も日本よりも大きい形で国際放送時間に努力しておるということ等々から比べまして、本当に情けない。経済大国日本なんて威張っておっても、この情報戦争の時代情報小国のような形の体制はどうしても改めねばいかぬということで、特に今年度の予算折衝に当たりましても、最大の重点として取り組んだことは事実です。したがって最後まで、実は大臣折衝までもつれ込んで、しかもそれでも納得のいくわけにはいかぬということで、三役折衝にまでもつれ込んだというような経緯もございます。  そういうことで、今御指摘のように、二億五千万の増額はけしからぬじゃないか、少な過ぎるという御指摘も理解できますけれども、今日の国の財政状態から考えで、そしてまた、このことが新しい、中でも、各関係機関も含めて、国際放送の重要性というものを認識したと。そして、さらに来年度に大きな期待をつなぐという点から言うと、ことしの折衝でおまえ余り頑張らなかったじゃないかという御指摘は当たらぬじゃないかと思うわけでございます。精いっぱい努力して、今後も継続してまいります。
  84. 大森昭

    ○大森昭君 まあ、そういうことなら大臣、またひとつ頑張ってください。  口座の振替だとか、割引制度だとか、いろいろ新しいことも計画されておりますし、そういう意味合いでは、それが有効に活用されますようにお願いをしておきますし、それから、きょうは時間が実はありませんから、余り個別の賃金問題などについてはもう私質問いたしませんが、衆議院の逓信委員会でもいろいろな議論がされているようですし、もう同種産業から比べても低いわけですし、予算も窮屈ではあるでしょうけれども、とにかくもう最大の努力をしていただいて、とにかく職員全体が一生懸命お互いにやろうという基盤がなければこれはどうにもなりませんから、それをお願いをいたしまして、いずれにいたしましても組合の自主性を尊重してもらって、また経営者経営者としていろいろ言い分もあることも理解をしていただいて、とにかく円満にひとつ、予算通過後、実施をしていただくことをお願いをして、大変簡単でありますが私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  85. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私はNHK経営計画の問題、それからニューメディア開発に伴う料金の問題、さらに番組編成等の問題、国際放送等の問題について、何点か意見を交えて質疑を申し上げたいと思います。  まず最初に、今回受信料値上げが問題になっているわけでありますけれどもNHK財政基盤の確立ということは、非常に私は大事な問題だと、こう思うんです。三年単位の料金値上げ、いろいろこう行われてきているわけでありますけれどもニューメディア時代を迎えて、どういう体制長期計画を立てていくかということは、今後NHKにとっても非常に重要な問題ではないか。さらに技術開発等の問題を含めて、やはり経営基盤をしっかりしていかなければ十分な研究開発も行われないだろう、こういう観点から考えるわけでありますけれども、果たして受信料制度のみでこのNHK経営基盤が確立できるのかどうか、まず大臣にこの意見を聞いておきたいと思うんです。
  86. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 恐らく先生の御指摘は、今後多様多彩なニューメディア時代に突入すると。NHKはその先導的な役割を果たさなければいかぬという立場にあるということと、財政基盤経営基盤というものは、受信料制度のみに頼っている形ではとても賄い切れぬ状態というものが間近に来ているんじゃないかという形の御指摘であろうかと思うんです。私もそのとおりだと思います、実際は。国民がこれからの新しいメディア要望していく夢というのはまさに限りなく膨らんでいくと思いますし、それに対して手をこまねいておるというNHKでは、恐らく国民の皆さんも受信料を払うに値しないじゃないかという御批判も出てくるであろう、そういう悩みはあると思うんです。  他方受信料制度という形の中でこれからもやっていかなければいかぬというNHKの、そこは一つのやはり大きな悩みの点でもあろうかと思うんです。ですから私も、今回値上げで将来にわたるそういった点も踏まえての長期計画性という面においては、確かに御指摘の面、御批判の面も理解しながらも、今日のこういった受信料制度の定着を含めて、結局NHK側に要望することは、最小、少数精鋭と申しますか、そういった形の内部効率化努力をしながら、労使環境で、すばらしい、要するに働く職場環境も整備していただきながら、要求は多いわけです、あわせて番組もがっちり充実させなさいよ、そして今言う新技術開発にもひとつ力を注いで、国民の夢を裏切らぬように頑張ってくれと、要求は多く、そして今度は値上げの率はできるだけ低く切り込まにゃいかぬということですから、先ほど来御指摘あったように、三年間、四年間の本当に長期性のビジョンを欠いたような形というのは、この辺でもう一遍再考したらどうかという形も気持ちの上ではよく理解できるわけでございます。  しかし、現状点に立って、長年のこういった受信料制度の定着した上に立っておることでございますから、ひとつ今回の値上げは、そういった将来の課題を残しながらも、当面の問題対策でひとつぜひ国民の皆さんの御理解を得たいということでございます。
  87. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 当面の問題として、三年間は確かに受信料値上げでいけるかもしれない、しかしやはり要求が多い、あるいは要員合理化と言ったって限られている。こういう中に立って、やはりNHKの適正規模ですね、どういう程度が――これはなかなか難しい問題だと思うんですけれどもニューメディア、いろいろ開発されてくるでしょう、しかし公共放送としての役割あるいは使命という立場から考えた場合にどの程度が適正規模だ、これ言いづらい問題かもしれませんけれども、まず郵政大臣の見解を聞いておきたいと思います。
  88. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 非常に難しい御質問だと思うんです。全国あまねく公共放送の趣旨に従ってやらにゃいかぬという一つの義務課題がありますね。ですけれども、今現在、FMあるいはラジオ合わせて五波ですかね、テレビ一波、それにラジオ三波ですか、それに今度は新しくBS2の段階ではこれに二波が加わります。そうして、難視聴解消あるいは国際放送という多面的な問題も抱えながら随分大きくなっていくわけですが、今これで適正な規模というと、公共放送としての機能を果たす、そしてニューメディア時代対応するという形では、今これからの五月から出す二波も含めて私は必要だと思っております。現在の発展したこういった段階の中で、やはり公共放送使命を達成していくためにはこれは必要だろう。しかしまた、BS3以降全く膨らんでいく形の中での規模はどうかということになると、非常に問題が多いですけれども、私は、今の波は大体この程度がやはり適正規模の限界であろう、現在の段階では。先生の御指摘なさるように、これからの将来のそういった技術進歩なり、放送文化の進展等と絡めていくといろいろ言われますけれども、現在はこの波をいかに内容的に充実したものに持っていくか、そういうことで、現状一つのちょうどいいところじゃなかろうかという認識でおります。
  89. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この問題に対してNHK会長として大体どういうふうな方向が適正だと、こう考えていらっしゃいますかね。
  90. 川原正人

    参考人川原正人君) 現状については、今郵政大臣がお答えいただいたのと私もほぼ似たような考えを持っております。ただ、一つ事業経営の適正規模というのは、やっぱり社会の変化とか、あるいは技術革新とか、そういうものの変化の中で常に考えていかなければいけない問題ではないかというふうに思っております。  といいますのは、例えばNHK自身の企業の歴史を見ましても、六十年前に中波のラジオというものが初めて技術として可能であった、それをもとにスタートしたときの状況と、その後、テレビジョンというものが現実に放送の手段として利用が可能になり、それが国民の財産として活用できるという状況になったときには、当然またそれを含めての適正規模になったわけでございます。  また、今衛星放送というような新しい手段も出てきましたし、かつ、文字多重放送であるとか、あるいはこれはNHKがどこまでかかわるべきかという議論はありますけれども、CATVというようなこういうものが出てきた段階で、また国民の方々あるいは受信者の方々がどれだけ実際にそれの活用といいますか、利用を御要望になっているか、そういった社会的な需要も考えながら、私ども、適正規模を考えていかなきゃいけない。  ただし、その場合に、ただ需要があるから次々と技術の革新に応じて規模を膨らましていくというだけでは、やはり企業の責任は果たせない。そこにはやっぱり受信者の方の負担ということも考えながらサービス内容が変わっていく。あるいは先ほど申し上げましたけれども経営のありようというものも、時代の変革に応じてやっぱり変わっていくものであろうというふうに考えております。
  91. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、今回のこの受信料値上げ経営計画としては三年間の見通しを立てていたわけですね。  先ほど来からも質問がありましたけれども要員の適正等は一万五千人体制ですか、これを六十五年までに達成をする。それから、外部委託等あるいは副次収入等を上げていくと、こういう計画に、いろいろ計画を見てみると、なっているわけですね。果たしてこの要員適正規模が一万五千人に圧縮するというか、あるいは合理化するというか、それと料金値上げは三年間と、このタイムラグのいろいろ問題点、あるいは外部委託の問題がどういう形で展開されていくのか。それから、副次収入あるいは出資条項等に盛られている四項目に今回いろいろ出資をするわけですね。こういう問題等を含めた合理化計画、これはどういうふうな見通しを立てているわけですか。
  92. 横井昭

    参考人横井昭君) 御指摘外部委託の件でございますけれども、これまでも関連団体との機能的業務の分担を、やっぱり外部へ業務の委託をしております。  基本的な物の考え方は、やはりNHKとしてはNHKとしての公共放送としての主体性というものをまず確立しておかなければならぬ。二番目に、社会的分業の動向というのがありますし、それがどういうふうに進展しているのか、受け手の側の専門能力がどれくらい進展しているのか。第三点に、経済効率性がなければこれは委託にならないわけです。その三点を中心に、これまでも関連団体との機能的分担をやってきたし、いわゆる業務の委託をやってきました。この延長線上で今後も考えていきたい。  実際、これまで例えば関連団体に機能分担したものがどういうのがあるかと申しますと、例えて申しますと、ホールの管理であるとか、見学者案内の運営でありますとか、あるいは番組制作に関して言うならば、大道具、小道具の美術業務関連団体と機能分担しております。それから、外部業者に委託した業務では、例えて申しますと、電話とか、エレベーターの保守だとか、あるいは清掃業務とか、そういったものがこれまで外部へ委託してきた業務でございますけれども、今私が申し上げましたような考え方で、社会的分業がこれからどういうふうに進んでいくか。それから、先生が御指摘になりました出資条項の整備によって、協会としてどれぐらいの出資でどういう会社がつくれるかということと関連しながら、さっき申し上げた三点を中心に、やみくもにとにかく外へ出せばいいというものではないので、協会の自主性ということと経済効率性ということを考えながら、今後の効率化の中で年度ごとに具体的な実施計画を立てていきたい、こういうふうに思っております。
  93. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、合理化した要員ですね、それと出資条項のいろいろCATVだとか、いろんなことに出資しますね。ここらの、言葉が悪いけれども、天下りという言葉じゃないけれど、出向というかそういう方同との合理化計画はうまくかみ合っていくんですか。
  94. 横井昭

    参考人横井昭君) これまでも若干名の出向はございましたけれども、今後こういう形で出資条項に基づく会社の設立とか、あるいはその他で出向するケースがふえてくるだろうと。そこら辺も今後の課題として、行政職は行政職なり、一般職は組合との間の合意を得ながら、そういう問題を処理していきたい。今後のすべて課題にかかっている、こういうことであります。
  95. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 受信料NHK経営の主力でありますけれども副次的収入の増加ということについてはどういうふうな考え方に立っているんですか。
  96. 渡辺伸一

    参考人渡辺伸一君) お答えいたします。  現在NHKが行っております副次収入というのは一体どういうたぐいのものかをまず御説明いたします。  大きく分けまして、番組にかかわるものと、技術にかかわるものとがございますが、番組にかかわるものにつきましては、一回放送した番組を国内あるいは外国の放送機関においてまた利用してもらう、あるいはVTRにおさめて一般の利用に供する、こういうのがございます。そのほかにNHK放送のテキストを発行しておりますが、これにかかわっての編集手数料を収納する。  それから、技術関係で申しますと、技術協力あるいは特許の実施料という形で収納しているわけでございます。そのほかに、NHKの持っておりますNHKホールがございますけれども、これは本来放送のために使う施設でございます。この空いている時間につきましては極力外部にお貸しをするというふうなことをやってあげているわけでございます。さらには外部の方々から研修を受託するというようなことがございまして、これらによって上げてまいります副次収入は、五十七年度でまいりますと、約十八億になっております。しかし、この十八億は受信料との関係でまいりますと〇・六%でございます。かなり五十七年度は努力した年だという実感を持っておりますが、今申し上げましたように総体金額としてはそう大きなものではないということでございます。  さて、これが今後どういう展開をするかということでございますが、何よりも番組を利用しよう、技術をもう一度使おうというそういう意欲がわくものでなければなりませんので、番組はいいもの、技術はやはり非常に内容のいいものを開発していくということがまず先決だと思います。  そういたしましたら、今度は利用の面でございますが、利用の面の拡大を図っていく、そういう面ではNHKみずからもやりますが、関連団体がこの副次収入の八六%ぐらい上げている現実でございますので、なお国外、国内に向かってますますその利用の機会をふやしていくという面で、関連団体の活躍を大いに期待し、これと連絡を密にとってまいりたい、このように思っておるわけでございます。
  97. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは、NHK受信料の料金からいえば微々たるものだとは思うんですけれども、大体副次的な収入あるいは各関連放送を媒体とするいろんな出資をし、この経営効率を高めていくという立場から受信料以外の収入を大体どの程度に上げていけばいいと、こういう考え方に立っているんですか。
  98. 渡辺伸一

    参考人渡辺伸一君) 受信料はできるだけ少ない方がいいわけでございますけれどもNHKの存立の基盤がやはり受信料であるというところにございまして、それ以外の収入というのはできるだけ番組技術の二次的利用という範囲でございますので、これを先に幾ら上げればいいのかという問題は、なかなか設定しにくいところでございまして、今申し上げましたような方法を駆使してできる限り多く上げるという努力であろうかと思っております。
  99. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは、郵政省はそういう方向で副次的収入あるいは周辺の関連企業、関連団体からの収入はそんなに上げるというよりも、受信料主体のNHK経営と、こういう方向に考えていくわけですね。
  100. 鴨光一郎

    政府委員(鴨光一郎君) ただいまNHKの方からも答弁がございましたように、NHK自体が現在受信料収入基盤として経営が行われているという点、それから放送法にも「営利を目的としてはならない」ということが受信料制度との関連において盛り込まれております。そういう意味におきましては、その「営利」という観点からのみ副次収入考えるということにつきましては、いろいろな問題があるわけでございますが、しかしながら、現在のNHK経営状態等を考えました場合に、受信料収入を補完する一つの方策という意味で副次収入の増大を図るということはあってしかるべきであろうと一面では思うわけでございます。同時に、先ほどお話の出ております出資条項と申しますものは、NHK経営効率化を図るという観点から五十七年に国会の方で改正を認めていただいたわけでございます。こういった側面で受信料制度基盤にいたしますNHK経営体制効率化を図るということはまた考えていただきたいわけでございますし、同時に二次的な業務を、二次利用というふうな面で委託なら委託をいたしました相手の会社だけがいたずらに利益を上げるということでは、またNHKの持っておりますノウハウの利用という面でいかがかという面もございます。  したがいまして、出資先に対しましてNHKがノウハウ等を提供いたします場合の適正な対価というものは、結果として副次収入という形でNHKが回収されることはあってしかるべきであろうと、このように考えております。
  101. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは技術研究所長、ちょっと参考に伺っておきたいんですけれども、これからNHKのノウハウというのは、いろんな放送衛星等に向かっての技術開発、非常に世界で有数な放送技術を持っている、あるいはこれから開発をされていくわけです。こういう問題に対するノウハウ、特許料とかあるいは特許権という問題が相当発生してくるのじゃないかと、こう思うんですね。こういう問題点についての考え方は、技術研究所長の立場でひとつどうお考えになるか。
  102. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 私、技術研究所長じゃなくて技師長をやっております。  確かにNHKにとりまして、これからの将来の高度情報化社会というものに対応するとか、あるいはニューメディア開発、そういうものは協会にとって非常に重要になってくるということで、NHKの、協会経営にとっても一つの柱になっているわけなんですけれども、そういう意味で、私といたしましては、今後技術研究の成果を上げて、単に日本国内だけでなくて、海外に対しても日本の成果を活用していくということで、いま御指摘のありましたような技術研究の成果というものは、これからとにかくますますふえていくだろうというふうに思います。
  103. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それは後でニューメディアのところでちょっと伺いますけれども、この六十五年までに一万五千人体制にする。労使でいろいろ交渉されたのだと思いますけれども、賃金の問題ですね、ちょっとデータをいただいたんですけれども、確かに合理に伴う働いている人たちに対する条件改善というのはどういう形になってくるのか、そういう点が私も聞きたいところなんですけれども、この固定の年収比較表をちょっと見てみますと、三十歳、三十五歳、四十歳、日放労の、全国マスコミ文化労働組合のいろいろな資料によりますと、朝日新聞あるいは共同通信あるいは各マスコミテレビ会社等の待遇と比べてみますと、大分違いがあるわけですね。要員合理化するというこの条件の中にこういう賃金の問題についての検討を加えられたのかどうか、この点について。
  104. 横井昭

    参考人横井昭君) 御指摘協会職員の賃金水準でございますけれども、他企業との比較というのは、職能構成、それから業務内容というようなことがありまして、厳密に言いますと非常に難しい問題があります。だけれど、それはさておいて、我々放送局と同業であります民放先発VHF五十五社、それから千人以上の従業員を持つ新聞社、これの平均をとりますと大体二十八万円ぐらいでございます。私の方は二十五万八千円でございまして、約二万円の格差があるという現状でございます。  私ども放送機関でありますし、人がすべてを支配する、それだけ重要な放送機関であるし、特に公共放送としての使命というものを十分認識をし、能力があり責任感があり、しかも識見を持った人材を確保し育成しなければならぬと、こういうふうに考えているわけでございます。そういう点から言うならば、私どもとしては同業他社に遜色のない賃金をぜひとも望みたいと、こういうふうに考えるわけでございますが、片方でNHK公共放送として受信者の皆さん方から受信料をいただいていると、こういう性格から考えました場合に、社会的な納得と理解を得られるものでなければならないという制約もまた否定しがたいところかと思うんです。そういう意味で各年度の協会財政状況と同業他社の賃金水準の動向、それから一般企業の動向等、社会状況を勘案しながら総合的に検討して賃金を決めていると、こういう状況でございまして、御指摘の格差については私は効率化を進める中で短期間でやることは無理だと思いますけれども、ある期間を置きながらできるだけその格差を縮めるような努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
  105. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはNHK会長、今の答弁と同じような趣旨だろうと思いますけれども、やっぱり同業他社との格差の問題、先般の話題になった森本アナウンサーですか、やっぱり四十歳か四十四歳ぐらいで転向したいという、この限りでは個人的な事情はいろいろあったろうと思いますけれども、やはりいろいろな条件があるんじゃないかと、こういう点を察するわけですね。こういう問題等について森本さん個人の問題は私はどうこうしたくありませんけれども、こういうせっかくNHKは聞くところによると人材が豊富だからどこへでも輩出するというお考えかもしれませんけれども、こういう同業他社と比べてやっぱりそういう条件がいろいろな災いをしている点も一部あるのではないかと私は思うんですけれども、この点は会長どうお考えになりますか。
  106. 川原正人

    参考人川原正人君) 私も、NHKの職員がこれだけの非常に文化的な、創造的な仕事をしておりますし、少なくとも同業他社と比べて賃金が少ないというのは非常に残念に思っていますし、何とか少なくとも世間並みの賃金には上げたいというふうに考えております。そのために努力は今後とも払わなければいけないと思っておりますが、ただ、今御指摘協会の職員が他社に移るケースは事実ございますけれども、もちろんその一つにはそういう賃金の問題もあるいはあろうかと思いますが、それだけではなくて、そのようなケースの場合多く考えられますのは、やっぱり一人の人間の人生の生き方といいますか、そこにやはり大きな事情もあるんではないだろうか。そのことについては、もちろんそういう一つの人生の生き方をする人間がなおNHKの中で十分に気持ちよく働ける方法がもしあればそれにこしたことはないわけですから、そのようなこともあわせて考えなければいけないというふうに考えております。  ただ、そこまで議論を部内でもいろいろしているわけでございますけれども、やっぱり終身雇用制という問題とこのようなテレビ事業の中におけるいろいろな仕事をする人の収入源の求め方、いわゆる契約制のようなものといろいろそこには難しい問題があるので、今にわかにすべてを満足させるような報奨の制度がNHKの中だけでできるかどうかと、これはもう少し研究をさせていただきたいと思います。
  107. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それではちょっと問題を変えまして、番組編成の問題で一、二伺っておきたいと思うんです。  いよいよあすから五十九年度の番組編成がいろいろな点で改善され、受信料値上げとともにNHKとしてのいろいろなサービス面があらわれてくるやに伺っているわけでありますけれども、端的に言って五十九年度から番組編成が変わるといういろいろな問題点について、どういう点があるか、NHKの強調しておきたい問題がございますればちょっと言っていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕
  108. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 新しい時刻表の改訂は四月二日の月曜日からいたしたいと思っております。  その中で私どもはいろいろな重点的な改訂をすることにしておりますけれども、その中で拾って申し上げますと、まず第一は、ラジオを大きく変えたい。ラジオは今テレビと並行してやっておりますけれども、その持つ意味というものは決して小さくないと思います。特に、ラジオが生対応ということで、今いかなることが起こってもすぐ対応できるような放送体系にしたいということで、大体朝の五時から夜十二時まで、ほとんど生放送にいたします。その中で三十分置きにニュースを伝えるとか、あるいは適切な話題について長時間の番組を組むとかいろいろな対応をしてまいりたい、これがまず一つの大きな点でございます。  それから、多角的な国際情報の充実ということで、番組としては大体ニュース番組が多いのでございますけれども、新しいトランスポンダーを借用いたしまして、これを使っての国際情報の交換、それからアジアのニュースの交換とか、そういった面で拡大充実を図りたいと思っております。  それから「二十一世紀は警告する」という番組がありますけれども、これは日本が当面しておりますこれから後二十一世紀を迎えでどのような問題が起ころうとしているのか、それに対して、それでは我々は何をすべきだろうか、そういう問題提起の番組もこれから始めたいと思っております。  それから、際立って強調してまいりたいのは青少年の問題でございます。特に、教育のあり方とか、それから青少年諸君にどのような形で伸びてもらいたいか、そういう番組については幾つかの枠を新しくしまして刷新、充実をしてまいりたい。  それからローカル放送でございますが、先ほどからの御指摘もありますように、我々はローカル放送というのは非常に大事なものだ、そういう認識をしておりますので、時間もふやすと同時に、中身についてもいろいろな形で工夫をしてまいりたいと思っております。  それから最後に、大森先生が先ほど御指摘になりましたオリンピック放送、それから来年の三月に始まります筑波科学博、こういう国家的な大きな行事に対しては積極的に放送してまいりたい。  以上のような点を通じてNHKとしては五十九年度は格段に努力をしてまいりたい、このように思っております。    〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕
  109. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ここで一つ見解を伺っておきたいんですけれども、先般も新聞で一部報道されておりましたけれども、「山河燃ゆ」の放送がロサンゼルス、アメリカで延期するとかあるいは禁止するとか、こういういろいろな報道がされておりますけれども、この放送番組をアメリカでどうこうすることについての厳しい批判とか何とかいう問題ではなしに、私は、いきさつがどういうぐあいになってどういう点でこの問題が話題になったか、あるいはまたこの問題に対する対応NHKとしてどうしているのか、この点について明確な答弁を伺っておきたいと思うんです。
  110. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 「山河燃ゆ」は、ことしの一月からこれまでの大河ドラマの路線を変えまして、近代あるいは現代に通ずる歴史ドラマというふうな観点でスタートしたものでございます。その第一作でございますので、私どもとしては、時代とともに動いた人間の歴史、人間のドラマというものをつくりたいということで始めたんでございますけれども放送が始まる前から、山崎豊子さんの原作、あるいはこのドラマをつくるというふうなことに対して、特に在米の日系のアメリカ人の方々の中から非常に大きな抵抗といいますか、拒否反応のようなものが出まして、そしてこの番組がいわゆる反米的な色彩でつくられないかとか、それからアメリカにいるそういう日系のアメリカ人たちの現在あるいは将来に対して非常に大きな影響を与えないかということでいろいろな論議が新聞に出たり、あるいは雑誌に出たり、それからNHKの方にもお手紙が参ったりというふうなことでございました。  私どもは、この番組はあくまでも、今言った、歴史の上に立った人間の姿というものをドラマであらわしたいということでございますけれども、そのようないわゆる何といいますか番組が与える政治的あるいは国際的影響というものについては極力回避をしたいというふうなことでございまして、二月の二十五日に予定しておりましたロサンゼルスでの放送は延期をして、そして説得をしようということでやったわけでございます。その後一カ月たちまして、先方の方から今の時期に放送するのは非常に大きな悪影響を及ぼすおそれがあるということで延期を再度申し入れてまいりまして、NHKもそれに同意をして、アメリカでの放送は延期をしたと、こういう結果でございます。
  111. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 NHK会長、こういう問題が起こったときの判断はどういうところで判断をしているのか。例えば放映中止の問題をやめるとかやるとか、あるいはこういう国際的なあるいは政治的な問題であるという判断、これは確かに当事者にしてみれば一生懸命努力をしていろいろな考え方でつくられたと思うんですね。しかし、国際的な問題あるいは政治的な問題が後でいろいろ反響が出てくると思うんです。これが時代的な問題あるいは大河ドラマ等についてはいろいろな問題が出てくると思うんですけれども、ここらのチェックするというような、言葉はいいか悪いかわかりませんけれども、起こったときの態勢をどういうふうに処理していくかというこれらの問題についてNHK自体としてどう考えているのか。
  112. 川原正人

    参考人川原正人君) それは当然に私なり私以下の経営の責任であり判断だと思っております。そもそも番組をいろいろつくっていく過程、番組の基本的な考えを決める段階においてももちろん現場からいろんな発想はございますけれども、それらを通じましてNHK番組編成のあり方として、あるいは個々の番組の制作の方法として妥当かどうかということは、これは必ずいろんなルートを通じまして経営の最終的な判断が出るわけです。もちろんその問題によりましてこれは番組審議会にお諮りすることも当然必要でございます。さらに番組の基本的な計画についてはこれは経営委員会まで上げてその議決を求めているわけでございます。  ただ、今話題になりましたような具体的な番組の問題であればこれは現場の当事者ももちろんいろんな対応をいたしますけれども、最終的には私なり経営の責任者が判断をいたします。何よりもその種の場合に私ども一番大事に考えておりますのは、もちろん国際的な影響等あれば、これはNHKとしても責任があるわけでございます。しかし、それらを通じましてやっぱりNHK番組の制作に対する私どもの自主性あるいは表現の自由という基本の問題のところはあくまで曲げないように、それはきちっと押さえて、その上で一番現実的な処理の方法を考えていくと、そういうのが基本の考え方でございます。
  113. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 余り時間がないんでほかの問題に移りますけれども、BS2の衛星放送ですか、これが五月からNHKで開始されると伺っているわけですね。そうしますと、先ほどからもいろいろ議論になっておりましたけれども、この衛星放送で独自の番組の時間帯というのはどのぐらいあるんですか。その点について。
  114. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 衛星第一テレビジョンで大体全体の五%程度、それから衛星第二テレビジョンでは二二、三%程度だと思います。
  115. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはこれからの料金制度、ニューメディア開発とともにいろいろ高品位テレビとかいろいろ出てくると思うんですけれども、この衛星放送の独自の番組をどの程度まで、何年はどの程度にするとかいうプログラムはできているんですか、スケジュールは。
  116. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) スケジュールは一応のいわゆる算定といいますか予定的なことはいろいろ組んでおりますけれども、現実問題としては、例えば衛星受信者がどの程度ふえるのか、あるいは視聴者要望というものがどのようになっていくのか、それから、それに対するいわゆる経費はどれくらいかかるのかというふうないろんな要素が加味されてまいりますので、非常に大ざっぱな検討しかまだしておりません。そのような細かいデータを積み重ねてまいりたいというふうに思っております。
  117. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはすぐに算定するということは、将来に向かっての問題ですから、技術開発等のいろんな問題点があろうと思いますけれども、こういう問題がどの程度需要といいますか、あるかどうかという判断あるいはこの問題が独自番組が多くなってくれば当然どういう料金制度になっていくか、どういうふうにすべきかという問題がいろいろ検討されてこなければならないと思うのです。総合受信料の中にワンパッケージでいいのか、あるいはどういう体制がいいのかということを、これはいろいろ検討しておかなければならない問題点になってくるんじゃないかと思うのですけれども、この点についてはいかがですか。
  118. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) 衛星放送の将来、どういった番組内容が充実されるかということについては、今申し上げたとおりでございますけれども、やはり当初の難視聴解消を基本とするという段階、それからそれに対する技術的な開発の実験といったような段階におきましては、当然あの総合料金の中で賄わしていただくという考え方でございますけれども、やはりこの普及が非常に進んだ段階、そして衛星放送だけでの相当な受益感が持ち得るような状態になった場合におきますこの料金というものにつきましては、やはり基本的にはNHKといたしましてはNHK事業をするための受信料という考え方から総合料金的な考え方中心になるわけでございますけれども、現在でもカラー料金といったような形があるわけでございまして、そういった形の衛星料金ということについても検討を進めていかなければいけないというふうに考えるわけでございます。
  119. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それじゃ、この機会に、郵政大臣ね、BS3の民間一チャンネルの割り当て問題がもう期限がそろそろ来ているんじゃないかと、こういうふうに考えるわけでありますけれども、これはどういうふうな調整が今行われているのかどうか、この点についてお伺いしたい。
  120. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 詳細にわたっては今政府委員からもお答えさせますけれども、これは急ぐ必要があります。開発経費負担しなければいかぬ問題がございますから、もうことしから大体開発にかからないと、ちょうど六十三年に飛ばすサテライトには間に合わぬということで、それで今現在十二社申請してきているわけですけれども、これを一本化、四月中にはどうしてもこれまとめなければいかぬという時間的な制約がございます。ですから先般、十日ほど前になるでしょうか、申請者の中からというわけじゃなくて、比較的公平にマスコミの集中度もできるだけ緩和させて公正な調整者になっていただこうということで稲山さん――経団連の会長さんですが、この方に調整を依頼してあるところでございます。もうちょっと詳しいことでしたら……
  121. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう余り時間がない、簡単に経緯だけ。
  122. 鴨光一郎

    政府委員(鴨光一郎君) 今大臣がお答えいたしましたとおりでございますが、その場合の考え方につきましては、昨年の十一月の十八日に郵政省としての考え方を固めております。この線に沿って調整をお願いをしたいということにいたしております。
  123. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 調整者が申請者になっていないだろうと思うのですけれども、皮肉な言葉でありますけれども、そこは公平にひとつやっていただきたいということを強く念願をいたしておきます。  きょうは時間がありませんので詳しい事情はまた別な機会があればいろいろやっていきたいと思うのですけれども、最後に、国際放送の問題、同僚議員から話がありましたので重複は避けたいと思っておりますけれども、郵政大臣、外務委員長等やっておりまして非常に外国関係に詳しかった関係で、国際放送の問題については非常に運動されたということは、予算編成段階で私もたびたび耳にしているわけでありますけれども、この二億五千万ですね、これはNHKに交付するわけでありますけれども、建物の建設に充てるんですか、あるいはどういう方向に使う金ですか。この点についてまず伺っておきます。
  124. 鴨光一郎

    政府委員(鴨光一郎君) 二億五千万円でございますが、これは従来NHKに交付をいたしておりました十億六百万円に、特に昭和五十九年度につきましては新たに二億五千万円を交付金として増額をするということで、五十九年度予算案の中に計上をさせていただいているというものでございます。それを受けまして、NHKの方ではKDDの協力を得まして、八俣にございますKDDの土地に四カ年間で百四十二億円の経費をもっての短波送信施設の整備をしてもらうわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど大臣答弁にもございましたように、これからも交付金の増額に努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  125. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはまあNHK負担がそのまま受信料にはね返ってくるわけですし、やはり、この国際放送に対する考え方を国としてきちっとしておくべきじゃないか。これはもう衆参の決議でいつも言われているわけでありますけれども、せっかく郵政大臣がここまで努力しているわけですから、もう一つしっかりしたルールをつくっておくべきじゃないかと思うんです。恐らくNHK、二億五千万もらった経費は建設費か何かに充てられるというような話も聞いておりますけれども、これはどういうふうなNHKの受け入れ方をするのか。
  126. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) NHKといたしましては、この八俣の送信所の整備が非常に急務を要するということでございますので、五十九年度からこれの整備を始めるということで、これには建設費といたしましては四カ年計画ではございますけれども、百四十二億の非常に多額の金がかかるわけでございますので、そういう設備を負担するための金として使っていこうというふうに考えているわけでございます。ただ、非常に将来もこれに対する交付金の増額というものを強くお願いをしている次第でございます。
  127. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう時間が来ましたので最後の質問をしたいと思いますけれども、この国際放送ですね、郵政大臣、やはりこの前も朝日新聞がどこかの新聞であったと思います。私も少し読んだんですけれども、投稿記事だったと思いますけれども、中国にいる日本の商社員が日本語放送等を聞きたいといっていろいろしておるけれども、なかなか電波が弱くて、電波小国日本というようなことで、見出しで出ておりましたけれども、やはりこういう国際化時代を迎えて、そういう電波――放送技術は世界超一流だけれども電波の小国だと言われるような状態で、なかなか日本語の放送が聞けないというような実態。こういう問題で、やはり施設等の問題については、海外の経済協力基金とか海外のいろんな経済援助でいろいろなことをやっているわけですが、こういう問題等についてやはり郵政大臣として努力をされて、そういう方向が、NHKは交付金ではなしにそういう施設の建設は別途の方向で考えていくようにルールづくりをすればいいんじゃないかと、こういうふうに考えるんですけれども、郵政大臣考えを伺って私の質問を終わりたいと思うんです。
  128. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 先生の御指摘のように、なかなかうまい形容だと思うんですが、電波小国日本と。先ほども申しましたように、別に金額の点とかあるいは放送時間だけで、量的な面だけを言うわけにはまいりませんけれども、まあ周辺の国々と比較して情報時代にこの面にかけている国の姿勢自体もほんとに弱いんじゃないかということが私の実感でございます。そのことを電波小国日本というような表現でなされたわけでございますが、私も、全くこの「ラジオ日本」の評判が各国でとてもいいんです。この問題は別にNHKを褒めるとかというんじゃなくて、いろいろなやっぱり反響というものが来ますから、まあああいったBBCなんかのような英国の、多額の時間と経費をかけて、まあこれはもう情報戦略の面で頑張っておられるわけですからあれですが、そこの皆さん方とお会いしたときも、彼らもなかなかよく調査していまして、日本語――日本放送ですね、「ラジオ日本」の報道内容が比較的各国の皆さんに、非常に中立的な報道であるということが東側、西側の国々からも評価されておるということを聞いて喜んでおります。  そういうこともございまして、いずれにしてもこれからの国際放送のあり方、充実を期するためには、NHKだけが聴視料、受信者の負担だけでいくというのは、放送法上の建前からいえばそういうことになっておるわけですが、これからの国際放送充実に向けて、交付金を増額させて、せっかく報道内容的、質的にも量的にも国がせっかく、先生方の御指摘を踏まえて応援をしていかなきゃいかぬと思っております。
  129. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時七分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  130. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  131. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 昨年の十月四日、当委員会で私は山室NHK解説委員長が外務大臣の諮問研究会の一人として自衛隊の海外出動を肯定する報告に名を連ねた問題を取り上げました。そして川原会長としては、NHKの役職員として公正中立たるべきNHKの本旨に照らしてその言動の非を表明をされたのであります。  ところが、それから日も浅い十一月の二十日、またも菅田敏解説委員が新潟での越山会総会に出席をして、旧内角榮擁護演説を派手にぶった、こういう報道があります。  まず、これは事実でしょうか。
  132. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 御指摘のようなことがありましたのは事実でございます。  私どもも事後にそのことを知りまして本人から事情を聴取いたしました。それによりますと、知人を通じて内輪の集まりで語をしてほしいという依頼を受けて、個人の判断で引き受けました。講演に際しましては、個人の資格であることを明らかにした上で、最近の政治情勢あるいはロッキード判決をめぐる動きなどを客観的に報告したつもりであり、新聞の報道とはニュアンスが異なっているが、いずれにせよ解説委員という肩書であるからは誤解を招く点があったと深く反省している、そのように申しまして協会に対しましては陳謝の意を表しました。  協会としては、菅田解説委員の行動は、選挙を控えた時期で、最も公正中立な立場を堅持すべき解説委係員がこのような行動を行ったこと自体非常に非常識なことであり、協会の不偏不党の立場に誤解を与えたものであるということで、私から厳しく叱責をいたしました。
  133. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 事の経緯の説明はあったわけでありますが、冒頭に私も昨年十月の山室さんのあの問題を引き合いに出したわけでありますけれどす、あのときも川原会長としてこういうことが起きないよう厳に戒めていくんだというふうに言われておったにもかかわらず続発をする、こういう事態について会長はどう思われるのか。  いずれにしても、こういうことが繰り返し起こらない、今後は二度と起こらない再発防止策、これをどのようにしっかり確立をしていくかという点についての会長の決意を伺いたいと思います。
  134. 川原正人

    参考人川原正人君) まことに申しわけないことだったと思います。山室君の場合にも直ちに解説委員だけでなくて、これはかねがね、そのような、部外等でいろいろ話、講演等を頼まれた場合、あるいはまた選挙のときの言動等、これはきちんと内部の定めもありますし、山室君のことが起きました直後にそのようなことのないように十分徹底をいたしたつもりでございますけれども、今川口専務理事からも申しましたように、本人がまことに不注意で、上司の許可もなくこのような言動をしてまことに申しわけないことで、重ねてその後さらに全協会的に厳しくそのようなことのないように通知を出しております。
  135. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それで、もちろん心構えとしてこういうことが二度と起きないような厳しい戒めを相互にしっかりしていくということも大事でしょう。それと同時にこういうことが二度と起こらないような、例えば役職員がどっか外部の集会へ出るとか、一定の研究会に参加をするとか、こういう場合、それを相互にチェックをし合う、そういう協会の仕組みといいますか、運営のあり方、私は再発防止策ということをそう言ったわけですけれども、そういう問題を今こそ真剣に考えていただく必要がないとまた続発をするんじゃないでしょうか、その点の会長の御所見を重ねて聞きたいと思います。
  136. 川原正人

    参考人川原正人君) 職員の場合にはこれは職員の就業規則の中に、もう何十年も前から、部外のそのような仕事を引き受ける場合には必ず上司の許可を受けよということが文書でもってきちんと書いてございます。それは普通の職員の場合でございますし、それからさらに上級職員といえども、もちろん職員である限りその上司がいるわけでございますが、さらに役員を含めましての問題につきましては、やはり引き受ける各種の委員会、協議会、これもございますけれども、それの性格によりまして重大なものについてはもう理事の間でも十分検討いたします。それから、それほどでないと思われるものでも、少なくとも副会長会長の手元で依頼のあった相手方の会合なりあるいは永続的な委員会、協議会等であればその委員会なり、協議会の性格を十分に検討した上で、それに参加すべきかどうか、お引き受けすべきかどうかを検討することにかねがねいたしております。今後ともそのルールをきちんと守って処理してまいりたいというふうに思います。
  137. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 予算質問に先立ちまして、NHKの基本姿勢にかかわるもう一つの問題をお尋ねいたしたいと思います。  NHK関連団体十六団体の一覧表を資料としていただいているわけでありますが、その中のNHKサービスセンター並びに日本放送出版協会、この二つの団体が政治献金を行っている事実であります。この問題は既に質問通告をしてきた問題でおりますので、五十六年から五十七年にかけての政治献金について献金の年月日、献金の額、献金の対象、その政治家の氏名、所属をする団体、政党、これを御説明いただきたい。
  138. 渡辺伸一

    参考人渡辺伸一君) お尋ねの件でございますが、個人的なつき合いの範囲は別といたしまして、今お挙げになりましたサービスセンター、出版協会、これからの今申し上げるような金額についての話は聞いておりません。
  139. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私は根拠なしにこのことを申し上げているわけではありませんので、既にもう三日ほど前からこの問題については通告をしてあります。NHKの職員の方が自治省に対する政治資金の届け出を調べられたはずです。そういう事実が全くないというようなそういうことで切り抜けようと思ったってそれはむだなことです。  私から事実を申し上げましょう。献金を行っている会社は、今言いましたNHKサービスセンター、これは郵政大臣の認可法人ですね。それからもう一つ、日本放送出版協会、これはNHKが出資をしている団体であります。出資額六百五十万円。こういう二つの会社が、年度の古いところからいきますと五十六年九月十七日、NHKサービスセンターが六万円。五十七作七月十日、日本放送出版協会十二万円。五十七年七月二十日、NHKサービスセンターが十二万円。献金の対象先は、団体の名称は二十一世紀新風会、そしてその団体の代表者は中沢啓吉という方で自治省に対する政治資金の届け出が出ています。こういう内容です。  ここまで申すのでありますから、会長、一遍正式に再度よく事実の調査をしてもらいたいと思うんですが、どうですか。
  140. 田中武志

    参考人(田中武志君) 今先生がお挙げになりましたような事柄につきましては個人的なおつき合いとしての献金だというふうに私ども聞いております。しかし、その際、向こう側に対する説明が大変不十分でこちら側の個人の献金であるという意図が徹底していなかったということで、もしあれがありますれば本当に遺憾なことだというふうに思います。  いずれにいたしましても、協会関連団体として誤解を招くことのないように、今後私ども十分にその点、指導を強めていきたいというふうに思っております。
  141. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 最初の答弁なさった方と今の答弁は大いに違うじゃないですか。個人的つき合いの範囲だと理解をするけれどもといっただし書きがついておりますけれども、私が指摘をしたその事実の関係については、そのことはもう否定し得ない事実として今の答弁で確認をなさっているわけですね。  そこで、さっきも言いましたけれどもNHKサービスセンターというのは郵政大臣の認可法人であります。そして、NHKがやる仕事のその一部を委託をしておる会社であります。その仕事内容は、いろいろな番組の二次使用料、あるいは催し物、視聴者の相談、あるいは放送センターの見学業務NHKホールの運用等々、こういうことをやっている団体だと。それから、もう一つの日本放送出版協会というのはもう説明するまでもない、出版を扱っている会社でありまして、これはNHKが出資をしていると。ですから、NHKが本来やる仕事を委託を受けて代行してやっているようなそういう仕事の会社、国民が支払っている受信料のその一部分が出資金という形で投入をされておる会社、この会社が個人的つき合いの範囲云々というそういう言い方でもって政治献金をするということが、そんなものは適当なものでないということは明瞭じゃありませんか。会長どうでしょう。
  142. 川原正人

    参考人川原正人君) 御指摘のとおり、このサービスセンターは財団法人で、しかも協会の委託業務を非常にたくさんやっております。それから、出版協会協会番組に必須のテキストの出版を委託してやっておるわけでございまして、会社として政治的な献金等をやることは、これは私はあってはならないし、絶対に困ると思っております。ただ、会社の役員がまた別の個人としていろいろな学校時代、あるいは協会、あるいは会社を通じてのおつき合いもあろうかと思います。その限りでの個人としてのおつき合いは、これはまた別なことだと思いますけれども、その辺のけじめはきちんとしてもらわなければ困る、少なくとも会社の名前でもってそういうことをされてはこれは大変困ると考えております。そのようなことが、もし誤解を招くようなことがあったとすれば、これは直ちにやめてもらうように指導いたします。
  143. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私も、何も個人献金を問題にしておるわけじゃない。会社の名前で政治家に対し、政治団体に対しての献金がやられている、このことを問題にしているわけですね。ですから、今も会長の言われるとおり、そういうことは好ましいことでは断じてないと。私が一例として挙げておりますようなこういうことが、全部で関連団体というのは十六団体あるわけでありますけれども、今後はこういうことが起きないよう、根絶をされるよう、会長として特段の努力をしてもらいたいというふうに思いますが、決意のほどどうですか。
  144. 川原正人

    参考人川原正人君) おっしゃるとおり、私どもが間違っても誤解を受けないように、これは厳しく通知をし指導をしてまいります。
  145. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう一つ、たまたま御説明の中の言葉の端にもありました個人的つき合い云々と。よくこれ調べていきますと、献金のあて先の中沢啓吉さんという方はNHKの元職員であります。そして片やサービスセンターや出版協会の役員というのはほとんどといっていい、これまたNHKの元幹部であります。いわゆる天下りという形でこの会社の役員に就任をしているというこういう姿、こういう構図が、実は額の多少にかかわらず、NHKの本旨に照らしてふさわしくない。こういう会社として献金をする、こういうものがはしなくも発生をする重要な要因の一つになっているということでありますので、したがって、ひとつこれを機会に、きのうも人事院が公務員の天下りの概況の報告がありましたけれどもNHKの役職員についても天下りを本当に自主的に自戒、規制をしていく、こういうことを会長としてもこれを機会に一遍よく検討してもらう必要があるんじゃないかということを思いますが、そういうことを検討に上せるという点についてどうですか。天下り規制について。
  146. 川原正人

    参考人川原正人君) 協会とこれら関連団体との仕事につきましては、これは単に親会社子会社ということではなくて、いろいろな団体によってその性格は異にいたしますけれども、例えば、その協会が本来協会みずからやっていたような仕事協会にかわって委託をしている、それを主とした団体もございますし、あるいはその業務の一部の委託をしてその会社がさらに多方面にわたってまた独自の事業展開している、そういう会社もございますし、一概にその団体を同じように見るわけにまいりませんが、いずれにしましても、協会仕事は大変密接に関係をしておりますので、天下りという御指摘でございましたけれども協会仕事を十分に責任を持ってやっていただく、あるいは協会が委託をし、かなりの金額を御指摘のように受信料から回しているとすれば、その仕事につきましては協会としても十分に連絡をとって業務を進めていきたい。そういう関連から、今までもそういう会社の仕事を担当する職員につきましては協会関係者を派遣をし、あるいはそこに再就職してもらっておりますので、その基本的な姿勢につきましては、やはり私は今後ともこれはある意味協会仕事を完全に果たすためにも必要な面があろうかと思います。しかし、いわゆる天下り的な要素は、なるべくそれはやっぱり避けた方がいいと思います。その点につきましては、今後とも慎重に考えてまいりたいというふうに思います。
  147. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それでは、予算事業計画の問題の質問に移っていきたいと思います。  五十九年度の予算事業計画とあわせて五十九年から六十一年の三カ年の事業計画が提示をされているわけでありまして、その計画の中で事業効率化の柱として要員の削減の問題が打ち出されている。午前中の同僚委員の御指摘にもあったところでありますが、七カ年計画で六十五年までに一万五千人体制に持っていくということを打ち出しているんですが、それは事業計画との裏打ちのない、すなわち人減らしだけが先行をする方針になっているということで、これは私も到底同意のできないものであります。いずれにしても、要員削減についていろいろ検討されている模様でありますけれども、この問題は本当に慎重に進めないと、労働条件の面にとどまらず、今後の放送内容にも重大な影響をもたらす問題になろうと思うんです。  そこで、質問をいたしますが、NHKとして、ローカル放送の充実ということを打ち出して、確かに五十九年度若干のローカル放送放送時間の延長も言われておるということでありますが、これが当面の値上げについての合意取りづけのための方策じゃなくて、今後とも中長期の方針としてローカル放送の充実を進めると、これがNHKの大方針だというふうに理解をしていいんですね。
  148. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) まさにそのとおりでございます。  私どもは、五十九年度の中でローカル放送の拡充をもちろん計画いたしましたけれども、その後、少なくとも六十一年までにはあと時間的にも内容的にも充実をしょうというふうなことを思っておりますし、先々の計画としても、ローカルについては十分重視をしてまいるつもりでございます。
  149. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、要員合理化要員の削減、これについては放送内容の量的後退は来さない、これはもちろんのこと、質的にもその放送内容の後退を来さぬよう慎重な検討をやってもらうということが必要だと思いますけれども、そこの考え方についてはどうですか。
  150. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) ローカル放送の充実ということについては三つの面があるかと思います。一つは量の問題で、一つ編成の問題、それからもう一つ内容の問題でございます。  量については、今申し上げました五十九年度十分、向こう三年で大体三十分程度は増加をしたいというふうに思います。  それから、編成につきましても、これは各ローカル放送局長の権限で、編成時間はローカルの実情に合わせて行うということをなるべく実施さしたいと思っております。  それから、内容につきましても、当面例えば制作費の増だとか、それから番組をつくるための機材の充実等については五十九年度の中にも相当その方向で策定をしておりまして、三つの部門が充実をすることを私どもは推進をしていきたいと思っております。
  151. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この事業効率化一つの柱として、要員合理化の柱として、関連事業の拡大、発注の拡大、事業の共同化、こういったことを考えているようでありますが、注意しなくちゃならぬ問題は、そうしたことの際の出向、配転、これについて重大な労働条件や権利の悪化を来さぬよう慎重に行う必要があるという問題であります。いわば、本人同意の原則と組合との事前協議、これを十分に行っていくということが欠かせない問題だと思いますけれども、この点での基本的態度を改めて確認をしておきたいと思います。
  152. 横井昭

    参考人横井昭君) 御指摘協会職員の関連事業等に対する出向問題でございますけれども、出向による休職という就業規則上の条項は既にございます。組合との労働協約の中でも同様の条項がございます。問題は、これからできてくる事業等に対する一般職の出向につきましては、これまでは一般職はほとんど出向がございません。今後の効率化計画の中で、関連企業への出資条項の整備とともに関連企業の設置ということもありましょうし、一般職の出向も当然考えなければならないと。これらについては労働組合とも十分に話し合いをした上、出向についての解決を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  153. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 次の問題として、事業計画の重要な部分を占めております衛星放送との関係で、難視対策の問題にかかわって幾つかお尋ねをしたいと思いますが、これももう午前中からいろいろ同僚委員が尋ねてこられている問題でありますけれどもNHKとしては現在難視地域世帯数どれくらいという、まずこの点から。
  154. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 五十八年度末におきまして残存難視は四十二万でございます。
  155. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 郵政省にお尋ねしますが、民放テレビの難視世帯、これがどれくらいか、各県別、地域別の数字、これは把握していますか。
  156. 鴨光一郎

    政府委員(鴨光一郎君) 民放の辺地難視聴世帯数の総数は百十八万世帯でございます。  申しわけございませんが、県別にはちょっと今資料持ち合わせておりません。
  157. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 衛星放送NHKはとりあえず全国に波が届く。国民には、皆さん方にはパラボラアンテナとかチューナー、こういうもので三十万円ぐらい負担がかかるわけだけれども、そういう負担を覚悟していただければ一応テレビが見えると、こういう宣伝をやってきているわけでありますけれども、しかし、依然として民放は見えないわけですね。依然として難視地域はそのまま残る。五年先のBS3になってもどういう形になるのか、それはともかくとしまして、結局一波だけ、波は一つだけ、民放関係では。こういうことでありますから、依然として民放の難視問題というのは未解決のまま相当数が残る。こういう点から考えてみて、郵政省としての独自の努力、当然今後とも必要になってくるでしょう。こうした点で、民放の難視解消のために郵政省としてどういう指導を強めていくのか、どういう方策を考えておるのか、本年度の民放の置局計画によって何世帯ぐらい本年度解消されるというふうに踏んでいるのか。こんな点で、一つ現状の認識と今後の方策について郵政省の方からお答えを願いたいと思います。
  158. 鴨光一郎

    政府委員(鴨光一郎君) 先ほどお答えいたしましたように、民放の辺地難視聴は百十八万世帯でございます。この百十八万は五十七年度末でございますが、これに対しましてNHKのこの当時の難視聴山帯数は四十三万世帯、その差が約七十五万ございますが、これはNHKの方が地上におきます中継局あるいは共聴施設等の努力によりまして現在辺地難視聴がこういう状態になっている。一方、民放が百十八万ということで、その間に格差がございますわけでございますけれども、この格差につきましては、引き続いて民放側における地上の中継局等によって解消をしてもらいたいということで、私どもとしては機会をとらえてはこの中継局増設について指導をしてまいっているところでございます。
  159. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 重ねて郵政省に尋ねますが、陸の孤島とも言われ、テレビも映らない地域、そして一定の世帯が集中をしているというこういう地域、こういうところに対しても改めて難視解消対策というものを講ずる必要があるわけですね。で、衛星から今後電波が降ってくるから受ける人は多少お金がかかるけれども受けてくれと、こういう態度じゃなくて、今挙げましたようなそういう地域、世帯、ここに向けての積極的施策をどういうふうに講じていくのかという問題でありますが、こうした点でこれは拝見をしているんでありますが、五十三年四月段階で、郵政省電波監理局によって辺地におけるテレビジョン放送の難視聴実態調査報告書というものが出されて、これ以降こういった実態をまとめた出版物は出てないように思うんでありますけれども、こうした点で、改めて今日時点でそういう難視地域の実態調査、これをぜひやってもらって、それは施策を講ずる基礎になるわけでありますから、まず実態を明確にするというふうにぜひしてもらいたいというふうに思いますが、どうですか。
  160. 鴨光一郎

    政府委員(鴨光一郎君) 御指摘のように、昭和五十三年度に調査をいたしました以降年限が経過いたしているところでございますので、実は五十九年度予算案の中に、私どもといたしましてはこれからの検討に資するためということで、先生御指摘の辺地難視聴――これは都市の難視聴も含めてでございますけれども、辺地の難視聴につきましても視聴の実態を調査することにしたいというふうに考えているところでございます。
  161. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 五十九年度。ですか。
  162. 鴨光一郎

    政府委員(鴨光一郎君) 五十九年度予算案に計上いたしてございます。
  163. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 大臣にお尋ねをします。  いろいろ難視聴対策の問題でお尋ねをしたわけでありますけれども、特にNHKの独自の努力もありますけれども、これはこれで一層強めていただく必要あるわけでありますけれども民放も含めた難視対策をどう講ずるかという問題が依然としてもう一つの重大問題としてあるわけですね。こうした点についてはやはり郵政省の側からの援助、指導こういうものが必要になってくるんでありますけれども、郵政大臣のひとつこの点での見解、決意のほどをお聞きしたい。
  164. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今御指摘のように、難視解消という形はNHKにとってみると、放送法に照らしても、全国あまねくという一つの目標がございますから、今度は非常にサテライトを飛ばすことによって一応受信可能な地域には電波が届くわけでございますけれども民放の難視解消に関しましても従来どおり指導も行って地上局設置等々で補助も行っておるわけですが、まあ自助努力も含めて大変なスピードで解消はほぼいい線に来ておるんじゃなかろうかと私自身は思っております。ただ、何せ今度の放送衛星を飛ばしましたとはいうものの、これはもう個人当たりの費用負担も大変でございますし、また離島関係においては、NHKも今度は地上局をつくって、それを受けて普通のVHF方式ですか、こういう方式で流すというような方途も講じておることでございますが、今先生御指摘のように難視解消はまさに政治的な責任問題でもございますし、あまねく差別なくそういった恩恵に浴するように今後とも引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
  165. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 別の問題で、この際、NHK財政基盤の確立といいますか経営効率化といいますか、そういう一環としての振り込み手数料の問題でちょっと質問をいたしますが、郵便貯金のオンライン化がことしで全国的に完成すると言われております。ところで郵政省は、NHKの委託業務収入も得ていることもありますし、いわゆるNHK受信料についての振り込みをする場合の手数料、これを銀行並みに引き下げたらどうかというふうに私は思うんです。せっかくオンライン化もできた時期でもありますし、できるわけでもありますし、この自動振り込みを広げていく、そういうためにも銀行並みにこれ引き下げるということはNHK側の財政にとっても一つの助けになるというふうに思いますので、この点についての郵政大臣の決意があればできることかと思いますけれども、どうですか。
  166. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 口座払い込みなどの手数料につきましては、その取り扱いにかかった経費を参酌いたしまして料金を決めるというのが基本でございます。自動払い込みのように取り扱い件数が大量である、また取り扱いの時期が定期的であるというようなものにつきましては、そういった取り扱いの実態というようなものを考えまして料金を引き下げるというようなことをいたしているわけであります。  なお、NHK受信料というようなものの公共性というようなものを考えまして、一般の振り込み料というものが二十五円でございますけれどもNHKの場合はそういう点を考えまして十円というようなことにいたしているわけであります。  ただいま先生の方から銀行並みにというお話もございました。銀行の方の手数料といいますのはそれぞれの銀行がお決めになっておるようでございまして、いろいろな銀行とその企業の取引関係というようなものも踏まえて個々にお決めになっているというようなことでもあるようでございますので、私どもの料金と直ちにこれを比較するということはなじまないのかと思うわけであります。  ただ、先生お話ございましたように、おかげをもちましてこの三月二十六日に郵便貯金のオンラインネットワークが完成をいたしました。こういったことを踏まえて今自動払い込み、あるいは自動受け取りというようなオンライン商品というものの普及というものに私どもも努めているところでございますが、料金の点につきましては今申し上げたようなことでございますので御了解いただきたいと思います。
  167. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 局長の方がお答えになるとそういう答えになろうかとは思うんですけれども、手数料が郵便貯金の場合には十円、銀行の場合さまざまだとおっしゃいますけれども、おおむね五円ということで銀行の方が安い。こういう一つは現実も踏まえて、確かに郵政省は郵政省の方でいろいろ財政的にも問題を抱えてないとは言わないわけですけれども、今回こうした、大臣もみずから、大臣としての初仕事NHK料金の値上げを決めなくちゃならぬということで、大変抵抗を感じたとか心を痛めたとか言うごとく、NHK財政経営が非常に重大なところへ来ている。そしてしかも、今後放送衛星が本格化をしていけばさらに大きな国民負担が加わってくるのではないかといういろんな危惧。しかし、そんなことは断じてやめてもらいたい、国民負担のこれ以上の増大は避けてもらいたいというのが、私もそういう意見と。  こういう状況のもとで、NHK経営に何らかの助けをしていく、こういった点で大臣として、郵政省として、私が提起をしているこの問題を検討に上せるということを、ひとつせっかく郵政大臣になられた仕事としてやっていただけぬか、こう思うんですが、どうですか。
  168. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今貯金局長も言いましたように、オンラインネットがこの二十六日で完成をいたしました。今後、全国一万九千の店舗数と言ったらちょっと語弊ありますけれども、郵便局のネットでございますから、これは全国でも最大の一つのラインができたわけでございます。したがって、これからは民営の競争にも十分耐えてサービスができるということになります。  したがって、先生の今御指摘のように、私が今ここですぐ――私も実は銀行より安いと思っていたんですよ、郵便局は何でも安いと、こう思っているイメージがあるものですから。今、先生は郵便局の方が高いと言われて、これはという、まあ不勉強をさらけ出すようですけれども、実態はそうです、率直に申しますと。ですけれども、これは限りなく民間に負けないように近づけて、このことがNHKのそういった経営改善に役立つならば、また、国民負担軽減にも役立つならば、そういった形の中で努力をいたします。  ただ、すぐ今ここで安くする、検討しようと言うと、あしたから民間の金融機関の人たちががあっと私のところに来まして、民業圧迫けしからぬという形でおしかりも受けることにもなるかと思いますけれども、しかしそのことは別として、郵政省本来はそういった預金者に対するサービスというのが至上課題でございますから、貯金局長と早速この問題を検討課題にのせて努力いたしたいということでございます。
  169. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 大臣の決意をしかと承りましたから、ひとつ検討を願いたいと思います。  それでは最後に、今回の受信料値上げに至る、また、今後の民主的手続の問題で幾つかお尋ねをいたしますが、経営委員会として当初千五十円値上げを打ち出したこの経営委員会の日取り、それから、これを千四十円に圧縮して郵政大臣に提出をしたその日取り並びにそれぞれの会議での委員の出席の状況はどうですか。
  170. 川原正人

    参考人川原正人君) 経営委員会の中身は後ほど経営委員長からあれしまして、千五十円と千四十円のところは、経営委員会で議決をいただいた金額は最終的な千四十円でございまして、千五十円という金額は、それ以前に私以下の執行部が各方面の御意向を聞く段階において、一つの原案として持っていた数字でございます。この数字があったことは事実でございます。それは私ども検討している途中の数字でございまして、経営委員会に千五十円という議決を求めたことはございません。それだけあらかじめちょっとお断り申し上げておきます。
  171. 吉武信

    参考人(吉武信君) 経営委員会は、具体的な数字をその都度聞いてこれを議決する、あるいは審議するというようなことは形の上では余りやっておりません。これは、経営委員会の事務当局はどこかとなりますと、やはり協会でございます。経営委員会自体には事務局もございませんし、非常勤でございますから、具体的な数字を自分たちで検討して云々するということに重点をかけるという能力はなかなかむずかしいことでございます。したがって、それは今会長から御報告いたしたとおりでございまして、私どもは千四十円という数字を最終的に議決したというようなことでございます。  いつ開いて、何回やったかということなんですが、大体一年以上前から値上げというものを頭に置いて経営委員会では審議を進めてまいりました。常にそうかということではございませんけれども、部外の有識者を集めて審議会を会長がやりたいということを経営委員会に御報告になりまして、経営委員会で、それもいいでしょうということを決めたのがたしか昨年の三月と思いますから、二月三日の議決まで十四回、日数にすれば十七日やっておりますが、そのうちの相当部分に、常に予算あるいは受信料値上げということは含みとして審議を進めてまいったことと思うことでございます。  その間」の出席は、一日平均十二名のうちで十名――十・六名の出席をしておりますから、まあまあと私ども思っております。  どういう審議をしたかということは、経営委員だけの審議もしまして、非常に真剣に責任と権限というものを十分自分たちで考えた上で議決いたしております。  以上でございます。
  172. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 重ねてお聞きをしますが、いわゆる決定をしたという意味では千四十円を決めたこの経営委員会だと、これが二月の三日ですね。この重大な重みを持つ二月三日の経営委員会の出席の状況はどうなんですか。
  173. 吉武信

    参考人(吉武信君) 二月三日は臨時に開きました。したがって、経営委員の方々はもう地方では非常な名士の、忙しい方が多いんでございますから、急に招集する場合には出席が思うに任せぬことがございます。事実上これはやむを得ないことと思っております。委員会受信料値上げというものを議決して決意したのは、その二月三日の前の一月下旬の経営委員会、一月二十二日でございまして、このとき経営委員だけの会議を開きまして、この問題に関しての各皆さん方の意見をお聞きしました。委員全部が必ずそういう重大なときには、ふだんは会長、副会長一緒でございますが、経営委員だけで集まって、そして全員発言していただくという運営をしておりますが、これが実質上経営委員会が議決というものを考えてそれに踏み切った日でございます。そのときの出席の方は十名でございます。  そのときに、各委員の方が全員、この際、いろいろな注文をしてきたけれども、ある程度の受信料値上げはやむを得ない。したがって、協会が今一生懸命やって五十八年度の二十五億も消すと言っている。そういう努力をしているから、協会が持ってくる原案というものに幾らかの注文はいつも付しておりますが、原則として議決をしようということを全会一致で決めたのが一月二十三日でございます。その後、二月三日に臨時経営委員会を開いて形式的な、形の上の議決をいたしましたが、そのときは実は十二名中八名でございました。御欠席の方には私から、前の委員会で皆さん方の御意向によって議決に賛成であるという御意向を皆いただきましたからこういう結果が出ましたということを欠席の方には私から電話で御了承を得ました。そういういきさつでございます。
  174. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 随分回りくどい御説明があったんですけれども、決定をしたという意味でのその重みを持つ二月三日の経営委員会、それが十二名中八名の出席だったということについては私はちょっといかがなものかというふうに、そういう感想を持ちますね。  そこで、そういう経緯をたどってきているわけですけれども、ここに至る間、NHKとして自民党初め各党に値上げ案を提示をされて説明をしてこられたわけでありますけれども、肝心の視聴者自身の意見をどうくみ上げるかというここがどうだったのかと。NHKとして視聴者会議とか視聴者懇談会とか、そういう組織を持っておられるんですけれども、こういうものは結局開かなかったわけですね。どうですか。
  175. 荒井治郎

    参考人(荒井治郎君) 視聴者の意見を伺うということにつきましては、NHKの場合には当然、受信料で成り立っている事業体でもございますので、視聴者信頼と理解を得るのはこれ当然であります。したがって、日常的に視聴者の意向を十分私どもとしては受けとめまして、その事業運営だとか放送に反映するように努力してくるのと同時に、この経営につきましても日ごろから視聴者の御理解をいただくように努力してきたわけでございます。  この料額改定を含む五十九年度の事業計画につきましても、これを十分御理解をいただくように、私どもといたしましては日常的に、二月三日の前後からいろいろと、あるいは広報印刷物とかあるいは放送を通じまして、それから先ほど先生のお話になりました全国五十三カ所に設けてございます視聴者会議でもこの案をお諮りいたしまして、対話活動を通じまして理解をいただくように努めてまいってきたわけでございます。
  176. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 今回やったんですか。
  177. 荒井治郎

    参考人(荒井治郎君) はい。
  178. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう時間が超えておりますので、もう一言だけにとどめます。  いろいろお尋ねをしたんですが、我が党としては今回の値上げはいろいろ問題を含んでおる、そういう点で何よりも国民合意の上で結論を出すことが必要だと。こうした点で、当分の間値上げを延期したらどうかという意見の表明もしてきたわけでありますけれども、そういう点でいろいろまあお聞きをしたわけでありますが、依然として疑問は氷解をされておりません。こうした点で、しかも三月三十一日という極めて局限をされた、こういう状況のもとでの審議を行っているわけでありますけれども、このままでは私は本案に賛成するまでに至らない、棄権せざるを得ないというふうに思うわけでありますけれども、今後ともこの料金の問題も含めて事業計画内容についてNHKとして視聴者に周知をし納得を得るための特段のひとつ努力、手だてを講じていただきたいということを特に要望をして、以上で私の質問を終わります。
  179. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 初めに一つ確認をさしていただきますが、去る二十二日の衆議院の逓信委員会で、我々の会派の西村章三委員が、現実に口座振り込みがふえて非常に合理化をされているにかかわらず集金人の数もまたふえているというのはおかしい、こういう質問をいたしまして、それに対してNHK当局の御説明は、向こう三年間に五百万件口座振り込みの数をふやし、百三十人集金人の数を減らしたい、このように御答弁をされた、議事録ではそのように承知しておりますが、これ間違いございませんか。
  180. 林乙也

    参考人(林乙也君) ただいまお話がございましたとおりでございます。  その際にもお話申し上げたわけでございますが、それ以外に、現在、滞納などの契約者に対しまして、いろいろ御理解をいただくために対策をとっております特別営業対策員が全国に百九十名おりますけれども、その百九十名の方々につきましても、五十九年の九月末をもちまして、その事務を一般の外務職員と受託者の体制の中に組み込むこととし、廃止することにいたしたいということもあわせて御答弁を申し上げた次第でございます。  以上でございます。
  181. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 それは千五百人純減の中に含まれる百三十人ですか。
  182. 林乙也

    参考人(林乙也君) ただいま申し上げましたのは集金取扱者の受託者であります者と特別営業対策員の部分でございまして、職員の点につきましては、先ほど来から御説明を申し上げておりますように、職員全体の効率化計画の中で、その一環の中でやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  183. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 わかりました。  次に、この間NHKは新しい犯罪報道の方針を発表なさいました。  それによりますと、人権尊重と音声というテレビの特性を考慮して、犯罪報道の際に、逮捕、公判段階では原則として呼び捨てにしないことにする。報道局内に報道と人権に関する委員会を常設するということなんですね。その中で、例えば「衆人環視の中で多数の人を殺すなど凶悪な犯罪で逮捕されたようなケースでは市民感情も考慮して呼び捨てにする場合もある。」このように報じられておりますが、この辺もう少し具体的に検討の過程も含めて御説明をお願いいたします。
  184. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 犯罪者の呼称の問題につきましては、これは非常に長い歴史がございまして、国内番組基準の中に、一番初めに書かれているのが「人権を守り、人格を尊重する。」二番目に、「個人や団体の名誉を傷つけたり、信用をそこなうような放送はしない。」というのがございます。それに加えて、犯罪の多様化、それからいわゆる活字メディアと違って放送メディアが持っている特殊性ということから、個人的な人権の尊重ということをベースにして、何とか犯罪呼称については変えなければいけないんじゃないかということを討議してきたわけです。実際上の検討を始めて丸一年たちますけれども、成案ができましたのでこの四月から踏み切ろうということにしたわけでございます。  今先生がおっしゃいました、それでもなおかつ非常に凶悪な犯罪が起こったとか、それから例えば誘拐事件のようなだれも許すことができない犯罪が起こった場合の犯罪者をどう呼ぶかという問題につきましては、これは場合によっては呼び捨てもあり得るだろう。そうしなければいわゆる市民感情というものが許さないというふうなことに対しては放送もまた同じ基準に従うこともあろう。ただし、やっぱり人間すべて人権は尊重されねばいけないというふうな立場に立つことは変わりません。そのように考えております。
  185. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 おっしゃるように、人権それからテレビの画面、音声というような事情を考慮して今回このような御方針をお決めになったとすれば、じゃ逆に、昭和二十年八月十五日以来我が民主社会において、刑事訴訟法も当然ながら犯人と目される者の人権を擁護する立場において過去犯罪報道というものはなされてきたし、公判を維持する場合もそういう方針で貫かれてきたと思うんですが、何で三十何年たってから急にNHKはそのようにお考えになったんですか。これまでなぜおやりにならなかったんですか。
  186. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 基本的には人権の尊重というのは、前から申し上げているように国内番組基準できちっと決められております。放送としてもそうすべきであろう。ただし、放送の実際的な運用につきましては、これまで例えば犯罪者は悪いのだというふうな一種の感情の中で、呼び捨てにすることを当然のように、例えば活字メディアと基調を合わせてしてきたような傾向がございます。まさに近年でございますけれども、人権尊重の高まりというふうなムードの中で、私どもはやはりこの際一つの形を決めた方がよろしいというふうに判断したわけでございます。
  187. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ですから、それは見解の相違とおっしゃられればそうですけれども、近年人権の尊重が高まってきたからそういうふうに検討を開始したというロジックは私はおかしいということを申し上げているわけですね。我が日本が民主国家になったのはまさに昭和二十年の八月十五日以来でございますから、当然今それを問題にするのであればNHKは数十年以前からそのようにすべきであった、こういうことを私は指摘している次第でございますが、これは水かけ論になりますからやめます。  で、今おっしゃいました中で、例えば非常に凶悪極まる犯罪、例えば誘拐ということをおっしゃいましたね。そういう場合は呼び捨てにする場合もあるということなんですが、それはちょっと矛盾しやしませんか。そうですね。いわばNHKの基本的な方針としては、最高裁判所で刑が最終的に確定をするまでは原則としては呼称をつけて呼ぶ。呼び捨てにはしないということですね。じゃ、どんな凶悪な犯罪でも、それが衆人環視の目の前で、数百人の証言者のいる目の前で例えば大量殺人が行われた、現行犯逮捕をされた、この場合はそれはわかりますけれども、そうでない場合は、例えば誘拐にしたってそのほかの犯罪にしたって、ままにあなたそのために裁判をやるわけでございますから、その基準というのは非常にあいまいであって確定しがたいと私は思うんですが、だから呼び捨てにする場合もあるというその基準、その認定は具体的にはどのようにおやりになるのか、委員会ではどういう討論をなさったんですか。
  188. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 誘拐ということでちょっと誤解を与えたのではないだろうかと私は今反省しております。例えば誘拐でも、子供を殺してしまった、そのことで逮捕をされた、そのことがはっきりしている場合ですね、そのような場合のことを指しておるのでございます。今言った基本的人権の擁護ということを建前にすれば、容疑者というふうな呼び方の方が先行するということはもう当然でございます。そういうふうな場合のいわゆる判断ということがなかなか難しゅうございます。その判断をどこできちんとつけるか、何百条こしらえても、またその例外に当たるものが出てくる可能性もございます。  したがって、私どもが今考えておりますのは、四月二日からこういうふうな形にいたしますけれども、絶えず報道局内に委員会を設けて、その委員会が二十四時間指導し得るというふうな体制をとっておきまして、問題点のあることは可及的速やかにそこで解決をしていくというふうに考えております。
  189. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 人ごとながら、最終的にはその判断はその衝にあるべき最高責任者がすることになると思いますけれども、後になって何で肩書をつけなかったのか、逆にまた何であの場合なら呼び捨てにしなかったのかと、そういう論議を呼ぶことのないように十分に市民感情と人権尊重との兼ね合いにおいて対処されることを私委員の一人として要望をしておきたいと思います。  次に、先般来からいわゆるロサンゼルス事件ですね、「疑惑の銃弾」として報じられましたけれども、この三浦和義氏にまつわる報道につきましては顕著な特色がございました。それは、テレビにおきましては民間放送は終始執拗に、場合によっては少し煩雑にわたるぐらいに朝も夜もこの事件を報道しておりましたけれどもNHKについて言えば、このいわゆるロサンゼルス事件についての報道量は民放に比較して極端に少なかったと思いますね。それはどういう見解でこのいわゆるロサンゼルス事件についての報道民放と比較して少なかったんでしょうか。
  190. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 三浦さんの報道につきましては、確かに疑われるようなことがあったとか、それから疑惑の存在するような面があるんではないかというふうなことで、NHKの方でも取材はしております。ただし、警察の捜査の段階とか、それからあるいは具体的な事実が上がったとかいうふうなことがない限りは、そういう確実な裏づけがない限りはこれを放送には取り上げないということを原則にしております。  したがって、これまで三浦報道でやりましたのは、ロサンゼルスで女性の死体らしきものが上がったというふうなことと、それから今回の歯型のことで恐らく本人に間違いあるまいというふうな確証を警察が発表した、そのところで放送いたしました。それ以外は確実な裏づけがないということで見送っております。
  191. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ということはあれですか、三浦和義さん自身の人権というものを考えて、確たる証拠もないのにさような報道はできないと、端的に言えばそういうことで報道を差し控えておられたわけですか。
  192. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 国内番組基準の中の「報道番組」というところの二項目に、「ニュースは、事実を客観的に取り扱い、ゆがめたり、隠したり、また、せん動的な表現はしない。」と、こういう項もございます。こういう、先ほどの基本的人権の尊重、人格の尊重というふうなこととあわせて、ニュースについてはきちんとした態度があるべきであるというふうな見解でございます。
  193. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ということは、できればお答え願いたいんですが、これまでのいわゆるロサンゼルス事件についての民間放送報道内容並びにその量については、NHKとしては批判的なわけですか。
  194. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 報道機関としてはそれぞれが独立しております。自立の精神でやっておりますので、民放のことを評価できるという立場ではございませんけれども、少なくとも私どものそういう姿勢からいえば、おっしゃるようなことが言えるかと思います。
  195. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私、NHK番組について感じることなんですけれど、非常に今おっしゃったような御方針は結構です。難点をつけるわけにはまいりません。けれども、それが場合によれば、悪く表現すれば、保守的であり、退嬰的であり、事なかれであり、八方美人であり、さわらぬ神にたたりなしたと。後から人から突っ込まれるようなことだけはおまえたちやめてくれよと幹部の皆さんが放送記者の皆さんに常々ブレーキをかけるような傾向になりはしないか、そのことを私は恐れるんですけれども。やっぱり私、放送記者の皆さん、現場の皆さんにしてみれば、例えば今回の事件についても他社があれだけやっていれば自分たちだって特だねをつかみたいし、それはテレビで放映したいでしょうし、表現したいでしょう。それからまた、視聴者の立場からしたら、当然ながら好奇心があります。それはやがて知る権利につながっていくわけですね。だから、いわゆる視聴者のニーズというものがあって知る権利があれば、私はいい意味におけるセンセーショナリズムというものはNHKとしても大胆にこれを採用さるべき時期に来ているんじゃないか、こう思うんですよ。私の言うセンセーショナリズムを誤解されちゃ困るんですけれども、知る権利と視聴者の好奇心にこたえるためにも、そして副次的にはNHK視聴率を上げるためにも、そういう方針を大胆に採用されるべき時期に来ているんじゃないかと思いますが、当該最高責任者としてのあなたの御意見をひとつ個人的にでも伺わせていただきたいです。
  196. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 報道につきましては、徹底的に取材をし、そして確証があったら大胆にそれを報道するという精神はいささかも失っておりません。今度のロサンゼルス報道におきましても、一番初めに被害者が失踪中の女性であるらしいという、歯型の問題を九十何%の確率があるといって特だね的につかんだのはNHKでございます。
  197. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私が今指摘したことが杞憂であれば結構でございますけれども、例えば今度の呼称の問題にしても、このロサンゼルス事件にしても、私はどうもNHKが少し事と次第によっては及び腰。繰り返しますけれども保守的で引っ込み思案で事ながれで、そういうことであってはいけないと思いますので、現場の放送記者の皆さんがいつもおれたちが一生懸命取材をしてそれを表現したいと思ったときには、NHKの幹部も十分にそれにこたえてくれる、そういう職場であってもらいたいと思うから申し上げた次第でございます。  先日、江崎グリコの社長が誘拐されましたね。そのときに大新聞は、たしか翌日の朝刊でしたか夕刊でしたかちょっとそれは失念しましたけれども、一面、社会面全部つぶして、特に私は大阪ですけれども、これは実に大阪では大々的に報道をいたしました。その報道をして、もう朝刊か夕刊だかの早版が刷り終わってから、警察当局がらいわゆる自主規制の申し入れがありまして、ぴたっとその後の報道がとまったわけですけれども、これは従来から誘拐報道につきましては報道をするのが是か非か、これは私が放送局におりまして報道のデスクしておりましたころから、常に古くて新しい取材者の悩みの種であったわけですけれども、現在NHK報道当局としては、この誘拐報道についてどのような御見解をお持ちか、お尋ねをいたします。
  198. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 江崎事件の報道につきましては、今おっしゃられたとおりでございまして、あの夜の段階では単なる拉致事件ということでニュース報道をしたわけでございます。その後、午前四時四十五分に、兵庫県警と報道機関との間に協定が成立をしまして、それで以後の報道を差し控えたと。したがって、朝刊版はその前に出てしまったというふうなことがございますので、今おっしゃったようなことが起こりました。  私ども、今先生が言われたように、こういうふうなものの報道等どこでそれを差し控えるのか、これはいわゆる言論の自由と生命の保護との関係でなかなか難しい問題があるというふうに思っております。ただ、協定して報道が自主規制をするということは、あくまでも人命尊重の見地から報道と警察が相互の信頼と協力のもとに結ばなきゃいかぬというふうに思っております。例えば警察側が単なる捜査のテクニック上、恣意的に協定しようじゃないかというふうなことを言ってきてもこれはだめですよというふうなことがあります。ですから、協定はあくまでも双方が信頼をし、協定を結ぶという精神に立脚をしたいと存じます。ただし、一たん報道協定を結んだら、あくまでもそれを誠実に遵守していくということは、これは当然の務めでございますから、その辺のところがきちんとお互いに信頼をし合っていくような形にもっていきたい、このように思っております。
  199. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今度の江崎グリコ事件について言いますと、あの社長が監禁をされておりました小屋ですね、淀川沿いの水防小屋ですが、あの七キロばかり離れたところで、実は前日に別件の誘拐事件があって、誘拐されていた青年が保護されるということがありまして、ですから、その前日にヘリコプターなんかが上空を多数旋回したと。それからパトカーとかそういうものが多数出動したために、江崎グリコの社長を監禁していたところの犯人が、これは自分の方に手が回ったんじゃないかといって、前夜もうだれもいなくなっていたわけですね。それで、あのグリコの社長が逃げ出して国鉄に助けを求めた。  したがって、大阪の記者の間では、ほかの事件にたくさんの報道陣や警察が出張ってきたので、それでグリコの社長は助かったんじゃないかと、こういう推測もされているわけなんですね。こういうことからすれば、協定を結んで一切誘拐報道をしないということが人命尊重につながるのか、あるいはもう手のうちを全部さらけ出して、逐一その報道をすることがむしろ犯人を追い詰めて、結果的には誘拐された人の人命を助けることにつながっていくんじゃないか、こういう議論が昔からあるわけですよね。そのことについてNHKはどのような論議をしておられますか。
  200. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 当然論議もいたしましたし、それから今度起こったような問題につきましても、実際上の問題としてまた論議を積み重ねるところでございます。  ただ、その報道をした方がいいのか悪いのかというのは、過去のいわゆる警察当局の考え方というふうなものの中に非常に強く出ておりますのは、放送そのもの、例えばラジオで聞いたりテレビで見たりすることによって、刻々捜査の状況がわかってしまう。それは犯人側に対して非常に大きな利益を与えるというふうな考え方が伏線になっております。今先生がおっしゃったようなことがあるかもしれませんけれども、これは私ども不断に研究をしていく課題であろうかと存じます。
  201. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 次に、大河ドラマについてお尋ねをいたします。  この前の逓信委員会で、私はいわゆる大河ドラマはコペルニクス的転回をすべき時期ではないかということを申し上げました。そしたら、あなたもまさにコペルニクス的転回をして、従来のいわゆる時代劇路線を放てきして、今度は現代物に取り組むんだと、こうおっしゃいました。私も大いに賛意を表しまして頑張っていただきたい、こう申し上げたんです。大いに私も期待をして拝見をしたんですけれども、これは個人的な意見ですけれども、余り期待したほどにはおもしろくないと私は思います。  従来、二十年以上になりますけれども、大河ドラマを展開してこられましたね、時代劇。その平均的な視聴率と、今回ここまでのこの「山河燃ゆ」の視聴率とはどういうふうな比較ができますか。
  202. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) まず、前の年の逓信委員会で先生から励まされたことを思い出し心から感謝申し上げます。  私どもも一生懸命やっているんですけれども、今までの視聴率的なことを言いますと、いわゆる時代物をやったケースの中では、例えば「おんな太閤記」とか「徳川家康」は平均視聴率が三十数%ございます。そのほかでは「獅子の時代」というのが二二・二%、これは平均でございます。それから「峠の群像」が二六・六%で、現在までのところ「山河燃ゆ」は第一回から十一回の平均が二五・二でございますから、それほど視聴率的には落ちてないということが言えるかと思います。
  203. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 視聴率が二五%あるということは、私も今初めて伺って大変結構だと思いますけども、私も含めて今回、例えば先ほど三木委員質問されていましたけれども、舞台が日本とアメリカにわたるという、それからまた、現代物であるということ等々から問題も出てきているし、それから、話が少し錯綜してわかりにくいというような批判があることもまた事実だと、こう思うんですよね。だから、これから後の「山河燃ゆ」の展開に大いに期待をしておりますので、やっぱりおもしろくひとつしていただきたい。  それから、来年の大河ドラマはどのような御方針かお伺いをしたいと思いますが。
  204. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 番組内容の評価につきましては、私どもは謙虚に皆様方の御意見をいただいて、それで今後の参考にさしていただきたいと思います。番組としてももちろん、今海外での問題というのがなくなりましたので、これから気持ちを引き締めてまいりたいと思っておるところでございます。  それから、来年はやはり現代シリーズというふうなことの中で、「春の波涛」という題でございますが、川上音二郎と、それから福沢桃介という二人の男、それに貞奴という有名な女優さんがおります。あの三人、それに福沢桃介の妻というのが主人公になって明治から大正にかけてのロマンを展開したいというふうに思っております。
  205. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 大いに期待をしておりますので、これも私の個人的な見解ですけど、私が今度の「山河燃ゆ」見ておりまして、こうなんですよ、アメリカで生まれ育った人が話す英語は、例えばそれが広島県からセットラーとして行かれた方でありましても独特の味のある英語なんですね。これはハワイに行かれてハワイの二世、三世と話をされたらわかると思いますけども、独特の、また日系人そのもののしゃべる英語なわけですね。それが、あの「山河燃ゆ」では、どうも聞くにたえぬといいますか、わけのわからぬ英語を俳優さんがしゃべっておられる。そういうことだけでも視聴者というのは何かおもしろくなくなるわけなんですよね。私は大阪人ですけども、東京のタレントさんが大阪弁の芝居されまして変なアクセントの大阪弁おやりになりますと、それだけで番組が信憑性が乏しいような気がして非常に不快な印象を受けるんですけども、同じようなことが今度の番組にもあったように思いますが、今度は舞台が日本に移るそうですから、その点につきましては安心をしておきたいと思います。  次に、先日、NHKの森本アナウンサーがおやめになりまして民放へいわば転出をされましたね。それに関連して朝日の紙面に特集記事が出ました。その中で、あの森本さんがおやめになる前夜にNHKの若手のアナウンサーが森本さんのお宅へ行って涙を流しながら訴えたという記事が出ておりましたね。これね、やっぱり私はそういうふうに感じている若手のアナウンサーがたくさんいらっしゃることは事実だと思います。そういうふうに感じているというのは、このままではわれわれアナウンサーは、NHKの中でどうなっていくんだろうというような前途に対する不安感ですね、それはやはり専門職としてのアナウンサーの仕事がどんどんどんどん狭められていくというようなことについての不安感ではないか、こう思うんですけども、その点についてどのようにNHKはお考えでございますか。
  206. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 森本アナウンサーは私のところに参りまして、この際NHKをやめたいと。理由は、私は――彼の言葉です、私はアナウンスだけで、つまり、しゃべる商売だけでいくんじゃなくて、物も書きたいし、それからそのほかいろいろなことをやって自分の可能性を広げたいと。ちょうど局に入って二十年になります。四十五歳というのが一つの区切りであるので、この際「ニュースワイド」の担当が終わることをきっかけにしてやめたいというようなことを申し出てまいりました。私も本人にいろいろ聞きましたけども、その本心はまさにそのとおりであったと思います。したがって、これは当然彼の立場を考えて、あるいは彼の意思を尊重してやめることに同意をしたわけでございます。  ただ、今おっしゃるように、そのことがアナウンサー自体の例えば職務の否定だとかというふうなことにつながってはこれは大変でございますから、あの朝日新聞の記事が出た後、私は直ちに全国に総局長の談話ということで発表いたしまして、それでアナウンサーのあり方について次のようなことを言っておきました。アナウンサーは、一つには、日本語の正しい継承者、それから二つには放送文化創造の一翼を担う職務である、それから三つ目には、NHKというステーションイメージの象徴だというふうなことで、当然のようにアナウンサーの職務については協会自体がそのような考え方をしているんで、例えば職員として採用しないとかいうふうなことは今のところ全く考えていないというふうなことを申し上げたわけでございます。ただし、この技術革新時代、それからメディアが多様化する中でアナウンサーが何をしなければいけないかということは当然変わってくるわけでございます。その辺のことについては当然みずから幅を広げていく努力ということを要請しますけども、アナウンサーの職務がなくなるとかあるいは軽んずるとかいうふうなことは毫もあり得ないというふうに思っております。
  207. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 川口さんのただいまの御発言、私も大変心強うございます。私も同業でございまして、昭和二十六年に民放の第一期のアナウンサーとして入社をいたしまして、二十六年間アナウンス職にございました。その当時からだんだん、いわゆるタレントさんという方やまた放送記者の方が従来アナウンサーのやるべき仕事であったところへ参加をしてこられまして、事実アナウンサーがいわゆるリーディングマシン、ただ読むだけの機械というふうに自分自身で、これは被害者意識かもわかりませんけれど、心理的に追い込まれていっていることもまた事実であると思うんですよね。ですから、今の川口さんが全国のアナウンサーに対して通達をお出しになりました内容をお伺いして、全く私が日ごろ考えているのと同じことをアナウンサー諸君にお伝えいただいたということで私も非常に心強く感じた次第でございますので、そのことは大変感謝を申し上げたいと私も同じ職業にあった者の一人として申し上げたいんです。  ただ、総局長がそう思われても、一方同じ朝日新聞には磯村報道局長が再三会長に対してもうNHKはアナウンサーの採用やめたらどうなんだという申し入れをしたと、このように報じられておりましたがね、会長、そのような申し入れは磯村さんからあったんでございますか。
  208. 川原正人

    参考人川原正人君) 全然ございません。
  209. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 では、なぜ朝日新聞にはあのように出たんでしょうね。これは朝日新聞の誤報でございますかね。
  210. 川原正人

    参考人川原正人君) 何かの間違いだったと思います。
  211. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 しかし、天下の朝日新聞が、磯村報道局長ともあろう人がNHKの最高責任者である会長のところへですよ、もうこれからは放送記者の時代なんだから、アナウンサーの採用はやめたらどうですかという進言をしている。数百万人の読者に対して特集記事の中で明らかに書いていることでございますから、まあ会長は明快にありませんとおっしゃいますけれど、そのような考え方報道局長がなさっているということはあるんじゃないんでしょうかね。これは川口さんどのようにお考えでございますか。
  212. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) あの記事に関しましては、磯村報道局長報道局の新年度の番組、あるいはそれを持っていく体制について取材を受けたときに、将来のあり方というふうなコメントをつけて、放送の転換期ですから、その放送に携わる者がこれから検討しなければいけない数々の課題を全体的に言及をした。そのときに、おっしゃったようなことは全く発言をしておらぬと本人は言っておりますけれども、その趣旨の中でそういうふうに受け取られてしまったということなのかと思います。本人はそのような発言はしておりませんと言っておりますので、私はこれを信用したいと思います。
  213. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 NHKには昔から名アナウンサーが数々おいでになりまして、当委員会にもいらっしゃいます宮田輝委員、また高橋圭三先生、さらには往年の松内則三、また和田信賢そして志村正順アナウンサー。私なんかは、まあ個人的なことですけれども、志村正順アナウンサーにあこがれてスポーツアナウンサーの道を歩んだと申し上げてもいいぐらいでございます。それからまた、朗読なんかでも高橋博さん、舞台中継をやらせてはこの人の右に出る人はない。あるいは朗読なんか聞いておりますと、この人の今しゃべっているこの言葉こそが日本語なんだということをしみじみと痛感させられるような、そういう存在でございました。だからNHKも、私はアナウンサーの皆さん、そういう被害者意識を持つことは何にも必要ないんで、どんどんこれからもそれぞれの分野ですばらしいアナウンサーであり続けることができるわけでございますから、さらに一段とNHKのアナウンサーの皆さんが、まさに川口さんおっしゃいましたような日本語の正しい伝承者であり、NHKの顔なんだという自信を持って仕事を頑張ってくださるようにお願いを申し上げておきたいと思います。  ただ一方では、現実に放送記者の皆さんが、このごろはテレビにお出になりましてどんどんルポなんかをなさることも事実でございますね。ですから、そういうふうに、従来ならばアナウンサーが出ていって実況中継やっていたところを放送記者の方がおやりになる。また、しゃべれる放送記者というのもこれまた大切なことだろうと思いますけれども、その辺の兼ね合いといいますか、ジャンルの特定といいますか、そういう点についてひとつお聞かせをしていただきたいと思います。
  214. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) こういう言葉がございます。放送記者という言葉が新聞の記者からきているわけでございますけれども、恐らく放送記者は新聞の記者とは相当違わなければいけないんじゃないか。例えば放送話者みたいな役目も持っているんではなかろうかというふうなことがよく言われます。私は、これからの放送のあり方の中で、報道者は、よき取材者は、よき表現者でやっぱりあってほしい。そうなる方が望ましいと思います。  ただ、現在やっていることが果たしてそういう形になっているか、それはもう拳拳みずからを反省したいと思いますけれども、そういう方向に持っていきたいと思っておるのは事実でございます。それと同時に、話すことをみずからの職種としておる専門家のアナウンサーというものが、単に人に書いてもらった原稿を読むだけではなくて、みずから例えば取材をするとか、あるいは何らかの意味で今までの範疇を広げていって、そしてアナウンサーとしてのあり方の幅を広げていく。これまた、ほかの職種の中に入り込んでいって、そして来るべき時代に備えてのアナウンサー像というものを拡大するというふうな方向に行っていいんじゃないか、そういう両方からのまじり合いが放送の未来を形づくっていくんじゃないだろうか、そういう理想を持っております。
  215. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 言うはやすく、なかなか行うにかたいことですけれども、いわゆる従来の放送記者、報道記者とアナウンサーとがお互いに切磋琢磨して、すばらしいNHKをこれからも守り育ててくださることを期待しておきたいと思います。  次に、今若い人の間ではもうテレビを見るのは余りナウいことじゃないんで、テレビというのは、例えば大学生なんかはこのごろ、いわゆる視聴者参加番組に出まして、自分もタレントの一人として参加をいたしまして一緒にわあわあ楽しく騒いで、そしてできれば賞品もらって、賞金もらって、それがテレビで、聞くのはラジオだというふうに言われていると私も聞いたことがあるんですよ。よく言われるんですけれども、このごろの学生は家で勉強するときも必ず深夜放送なんかを聞きながら勉強している。だからもう、非常にラジオというのは、実は若者の間では重要な媒体である、こう言われているんですけれど、NHKはどうなんですか。ラジオ放送というものについて、テレビと比較してやはり比重は軽いんですか。率直にお伺いいたします。余り力は入れておられないんですか。
  216. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 大いに力を入れております。先ほども三木先生の御質問にお答えしてだったと思いますが、五十九年度の編成の大きなポイントの第一がラジオの改革でございまして、第一放送をほとんど生化いたしました。その中で、できる限り、今刻々と動いている情報をなるべく早くお伝えしたい、正確にお伝えしたいというようなことをやりますし、それから幾つかのテーマをとらえまして、例えば一日ほとんどその問題を集中的に討議をするとか、連続してやってしまうとかいうふうなことをいろいろ企画をしております。  それから、当然でございますけれども、ラジオ第二放送の活用、これも教育放送オンリーで固めてきましたので利用者が非常に少なくなっております。これに対しては、できるだけ利用の拡大を図るような工夫をしておりますし、それから来年度は、六十年度に今度はFMを大改定しまして、若い人が特に注目しておりますFMについては、もっと魅力のある、もっと聞いてためになり、かつおもしろいというふうな番組をやりたいと思っておりまして、ラジオについては決して軽視をしているつもりはございません。    〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕
  217. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これも我田引水で申しわけないんですが、私、ABCにいたんですけれども、ABCの頭文字とりまして、創業のときに、Aはアキュレートインフォメーション、Bはビューティフルエクスプレッション、Cはチアフルプログラム、これでいこうじゃないか。正確な報道、美しい表現、楽しい番組NHKのラジオは――東京は知りませんよ、大阪で年に二回、ラジオの聴取調査をやりますけれども、これは何回も私、この委員会指摘しておりますけれども、本当にNHKのラジオの聴取率、低いですね。もう本当に失速寸前の低迷ですよ、大阪では。ですから今、力を入れているとおっしゃっても、聞かれないラジオじゃしょうがないので、もっともっとひとつ楽しい番組を多く提供してください。せっかく生化していらっしゃるわけですからね。  その上でお尋ねをいたしますが、今どうなんですか、NHKの把握しておられるラジオの受信台数、それからカーラジオの数、これは何台ぐらいと見ておられますか。
  218. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) ラジオの台数でございますけれども、これは先生御承知のように、非常にラジオ聴取がパーソナル化いたしておりまして、    〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕 非常に簡易なものから、ステレオセットに組み込まれていたり、あるいはテープレコーダーにくっついていたりいたしまして、非常にラジオ全般の普及状況というものを的確な形であらわした資料が、今経済企画庁等の調査機関も含めましてないわけでございます。私どもといたしましては、もうほとんどすべての御家庭にラジオは何台がお持ちであるというふうに推測はいたしているわけでございます。  それから、カーラジオの方でございますけれども、これも乗用車それからトラックには大体皆さんおつけになっているんじゃないかと思いますので、これは今、乗用車の数が二千五百万台、トラックが千五百万台ということになりますと、四千万台ぐらいの乗用車、トラックがあるというようなところから、やはり大部分そういったところについているのではないかというふうに推測はいたしているわけでございます。
  219. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうなんですね。ですから私は、全国のいわゆるラジオ受信機を製造しております会社の蔵出しのラジオの数、それから車には一台残らず――今カーラジオをつけていない車というのは実際ないです――というふうに見てくると、車は登録台数イコールカーラジオの数、それから一世帯はどうでしょうね、全国の世帯数掛ける二ぐらいの割でラジオ受信機は普及していると、そう理解してもあながちオーバーな数字とは私は思いませんね。どこの御家庭だって、ラジオの四台や五台は本当にあると思いますよ。  とすれば、NHK昭和四十三年度の受信料改定で五十円だったラジオの受信料を廃止されたわけですが、これだけの数のラジオから全く受信料収入がないというのは、ここにきて――現にきょうは受信料値上げ審議しているわけでございます――もったいないような気がするんですがね。会長、何でおやめになったんですかね。
  220. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) これは、四十三年に受信料改定さしていただく際に廃止をいたしたわけでございますけれどもテレビが非常に普及をいたしてまいりましてテレビとラジオを両方お持ちになるということが一般化をしてまいりまして、ラジオの聴取者のほとんどがテレビを設置するという状況になったわけでございます。その時点でございまして、受信料収入の中に占めるラジオの割合も一%を切ったというような状況でございまして、それから先ほど申し上げましたように、使用形態が非常にパーソナル化いたしてまいって、潜在的なそういう契約対象につきまして的確にこれを把握するということもだんだん困難になってくる。それから、一件当たりのラジオの受信料を設置いたしましても、その収納コストといったようなことから考えますとそれほどの大きなものにはならないというようなことで廃止をいたしたと。テレビとラジオがほとんど併有状況になったというのが一番大きな理由でございます。
  221. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 大臣、これは、私なりに推測をいたしますと、この昭和四十三年度でとにかくNHKとしては受信料値上げがしたかった、だから大きなパンを一つもらうためにとりあえずあめを一つしゃぶらせて――ラジオをやめてテレビ一本でいきますということじゃなかったかとも、これは私の勝手な推測ですけれども、感じるんですね。  しかし、現実に、今申し上げたように、例えば若者の間にはこんな大きなカセットデッキで非常に広範囲にわたってラジオを聞くという、一口で言えばラジオがもう一遍見直されてきている状況であり、しかも今申し上げたような普及状況でありますから、どうでしょうか、ひとつここで思い切って、次のしかるべき機会にラジオ受信料をユーザーの皆さんからちょうだいをするというような方向について検討をするというお考えはございませんか。
  222. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) ちょっと今、即答はできません。検討課題には絶えずしていかにゃいかぬと思いますが、今言ったように、もう本当に先生御指摘のように、自動車には全部あるんだし、うちにも子供のおもちゃみたいなラジオから入れると大抵二、三台その辺に転がっているというような実態でございますけれども、しかし必ずしもそれを聞いておるかというと、むしろ子供たちからちょうど受験期の――先生方がよく、もう関西の方でもみんなたくさんの人がファンで聞かれたという、そういった形は聞いておりますけれども、私自身、車の中でちょっと聞くときがあっても一過性でわずかな時間ですから、聴取料を取らなくても、これだけ値上げをお願いして――テレビのあるうちには全部ラジオもあるわけですから、そういうことで、ひとつこれはなかなか慎重な問題だと思いますので、慎重にやらなきゃいかぬ問題だと思いますので、NHKの方でも十分検討しておると思います。
  223. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 NHK会長
  224. 川原正人

    参考人川原正人君) ラジオがたくさん普及しているということはもう御指摘のとおりなわけです。  それで、四十三年のときも、別に大きいパンをもらうためにということじゃなくて、それまでの経緯の中で結局、当初テレビの方がまだ普及段階ですから、ラジオはあるけれどもテレビのないおうちというのは相当あったわけです。そのときは別に料金をちょうだいしていたわけです。ほとんどのおうちにテレビが入ってしまった段階で、テレビとラジオと別々に料金を設定して、例えばテレビが六百円です、ラジオは五十円ですから合わせて六百五十円というなら、じゃ合わせて一緒でいいじゃないかということが結局世の中の大方の御判断になりまして、現実問題として、両方取りに来たというんだったら、テレビを払っているからいいじゃないかということが大勢ともなってまいりました。また事実、料金の額からいいましても、ほんのわずかなものになってきたものですから、今大臣も言われましたとおり、まずテレビのあるうちにはラジオもある、それから今になるとラジオだけでテレビがないというおうちもこれまた――恐らくそういう方もあると思いますけれども、ごくわずかになってくるならば、結局受信者の負担というのは同じでございますから、要するにテレビ、ラジオ含めて幾らという決め方を今さしているわけでございます。  考え得るとすれば、あとカーラジオがこれは別じゃないかということは考えられますけれども、そんな多額の料金を取るわけにまいりませんし、これも恐らく予想される金額と徴収の手間とコストを考えますと、一体採算に乗るかどうか。理屈としては、例えば車検のときに何らかの方法でまとめてちょうだいできるというようなことがあれば私どもとしては大変ありがたいんですけれども、恐らくそれはやっぱり受信料の性格からいって、そういう形で、どこかの公権力をかりて料金をちょうだいするというのもいかがかと思いますし、ちょっと今にわかにこれは実施は難しいかと思っております。
  225. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 時間ですので……。
  226. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これからいよいよNHKの赤字解消経営の根幹に触れる質問をいたそうと思ったんですが、時間が参りました。まことに残念でございます。答弁は御用意いただいたと思いますけれども、以後の質問は次回に譲らしていただきまして、これで質問を終わります。ありがとうございました。
  227. 青島幸男

    ○青島幸男君 事業計画予算のお話に入る前に、まず、他の委員から経営委員のありよう、人選の問題などについて幾つかお話がありましたので、日ごろ私が考えておりますことをひとつ大臣にもお聞き取りいただきたいということで申し上げるんですけれども、郵政当局の御答弁では、いつも経営委員になっていただくにふさわしいような方で、しかもそれは人格高潔、識見豊かで、不偏不党の精神の持ち主で、そういう方にお願いをしたい、そういう方を日ごろから心がけておいて、欠員ができたときにそういう方に御依頼申し上げて、両院の了承を得て就任していただくというようなことなんですね。両院の承認をいただくんだから、直接聴視者の皆さんからは何ら発言あるいは要望がいかないにしても、通常の選挙もしくは国会議員の選挙の際にその権限もあるいはその意識も含めて付託しているんだから、そこで任されているんだからいいじゃないかというような見解なんですね。ところが私は必ずしもそうだとは思わないんですよ。  例えば、経営委員会というのはNHKの最高の意思決定機関であるということは再三お答えいただいているんですけれども、必ずしも一般の聴視者がNHKの成り立ちというのはどういうふうになっているのか、まあ聴視料によって成り立っているぐらいのことは薄々お感じになっていらっしゃるけれども経営委員会というのがあって、そこで国会の承認を得た人が並んで決断をしていただいているんだというところまでは理解している人は少ないと思うんですよね。それが料金の値上げなどに関しても、聴視者としては何となくお上が勝手に決めて勝手にどんどんやってしまう、我々の意向を差し挟む余地はないという不満が何となく心の中にわだかまって、NHK批判の言葉になって出てくる部分もあるんじゃないかと思うんですね。  ですから、私のかねがねの持論としましては、聴視料の支払いの領収をもって一票の権利として、経営委員のメンバーを公選にしたらどうだろうかということを大臣がかわられるたびに再三申し上げているんですけれども、青島君の話はわかるけれども、現行のやり方については、これはなじまないだろうと。一考の余地があるという御発言すらないんですよね。実際に我々が聴視料を払ってNHK経営を支え、参画するという意識が聴視者の中にあれば、もっとNHKを身近なものとしてとらえていくに違いないという観点から、少なくともそれに近い制度あるいはそういう形でもいい、一般の聴視者の方々の意向をより明確に吸い上げるような方途はないものだろうか、その一例として申し上げてきたわけですけれども、その辺でとても歯がゆい思いを今までしてきているんですけれども、この見解はいかがお感じでしょう。
  228. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 僕は、先生の今の御提言は非常にユニークな提案だと思いますよ。やはり、NHK国民のものである、あまねく自分らの身近な生活関係ある一つ放送機関であるという点に立つと、今言われたNHKの最高機関としての機能というものを国民の皆さんが身近に感ずるときには、今の経営委員の――こうなると、こっちは行政の主管庁の立場ですからあれですけれども、ちょっと脱線して、横におる連中は嫌なこと言ってくれるなと思うかもしれませんが、しかしやっぱり公選論までは、一票の権利でやれといってもこれは大変なことになりますから、ただでさえ赤字のNHKがそれで今度は経営危機に陥るような……。でも、公選というまでは行かなくても、要するに経営委員にもっとユニークな、国民が平生、自分らの話し相手、相談相手、あるいはあれとして身近に感ずる、そういった人たちが大勢いらっしゃいますね、これ作家であれ、産業界の方であれ、まあ国民の皆さん方が比較的身近に感ずるようなタレントに近い要素を持った学識経験の人でも、あるいは芸能人でも。まあ言っては悪いですけれども、そういった身近な人たちが経営委員に参画されて、しかもその人たちがしょっちゅうテレビからこういった実態を訴えられるというような形の機会があればもっといいんだなとも思っているんです。  ただ、ここに一つ嫌なことがあるんです。十二人の経営委員のうち八人が地方選出なんですよ。地方のブロック選出という形の中で、地方から出てくる代表としてはふさわしい有能な立派な方々ばかりですから、今ここで経営委員のメンバーがいいとか悪いとかと言うと、これは大変な問題になりますけれども、そういった形の選出方法も含めて国会で御検討していただいて、それをNHKと最も身近な形のパイプ役になっていくという形になったら、私は本当に公共放送としてもおもしろい行き方に、もっと国民に身近なものになってくるんじゃなかろうか、そういう感じがします。
  229. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうなんですね。私の申し上げてきたことも、あながち一人勝手ばかり申し上げてきたつもりはないんですけれども、今のように好意的に解釈してくださると私も大変心強いんですけれども、だからすぐそうしろと私も申しません。しかし、そういう方向で考えることが一番NHKと聴視者の間をストレートに結びつけて、聴視者の方々も、自分たちの見解あるいは考え方が反映できる道筋が少しでもあれば聴視料払うことにやぶさかでないという気持ちにおなりになってくださるだろうと思うんですよね。それを勝手に経営委員会というのは雲上人のごとく存在して、全く我々と無関係に事がとり行われているということになりますと、やっぱり反発したくなる気持ちをお持ちになる方も中にはおいでになる。ですから、その辺のところがないように、NHKも今後ともその方向で御検討なさるようにしていただきたいと思うんです。これは制度がそうなっておりますから、NHKにお願いしてそうなる筋合いのものじゃないので、私はNHKには殊さらにそのことを申し上げるつもりはございませんけれども、行政の立場としてはそういう方向でお考えいただくという趣旨の御発言がありましたので、私はその点については心強く思いました。  さて、もう一つ衛星放送の問題ですけれども、先日も私この問題を取り上げまして、大変奇異に感じたんですけれども、元来、放送衛星は難視聴解消のためを主たる目的として打ち上げるわけですね。しかし、それに全く違った編成内容番組を、よりおもしろい番組を流すようにしなければ、パラボラアンテナその他の設備を買って受けてくれないんじゃないか。別途違った放送を一個設けた方がいいというふうにNHKはお考えだとすれば、それは、総合放送と教育放送と今二波ありますね、その上に全く別波の衛星放送というものを確立なすってしまうんじゃないか。その編成権とか編集権とか、そういうものは放送法の建前からいってもどういうふうにかかわり合ってくるのか大変に疑問に思いますし、また先ほどの御発言では、カラー料金と白黒の料金があるという格差もあるんだから、もし衛星放送が別個の充実した内容の興味ある放送を送るようになれば、それの対価として別途料金を徴収することもあり得るというような御発言を伺ったんですけれども、これはちょっとNHKさん行き過ぎじゃないかなという気がするんですね。全く別の一波を作成して勝手に運営するということがもしあれば、それは郵政省としてはどういうふうにお考えになって了解をするおつもりか、その辺の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  230. 鴨光一郎

    政府委員(鴨光一郎君) 先生御指摘のように、BS2につきましては、これまでの経緯の中からNHKの難視聴解消を主たる目的とするということでまいっておりますが、同時に、御指摘のように、普及という側面も考えていきませんと、これから将来に向けての衛星放送発展にもかかわってくるということでございますので、郵政省といたしましても、衛星放送NHKに対します予備免許の際にも、一面では現在の受信料体系の中で番組編成あるいは運営をしていただくという大枠があるわけでございますけれども、そういう中で可能な限り番組上の工夫をしていただくという余地は、いわゆる番組上の条件緩和という形でさせていただいたわけでございます。  一面、もう一つ普及の面では、そのほかに、これは五十九年度予算案の中でございますけれども、いわゆる受信のためのチューナーの物品税の減税措置といったようなことも考えているところでございますけれども、大枠といたしましては、先ほどからNHKの方からも答弁がございますように、現在の受信料体系の枠の中での番組の工夫というふうに私どもも理解をしているところでございます。
  231. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 先生の御指摘の点は、今はもう、要するに難視聴解消という形で星を飛ばした、しかし飛ばしたは、番組をやっぱり興味あるものにしなければ見てくれない。見る人は相当な負担もかけて受信できるという形の中で、将来NHKが難視解消を目的にして、モアチャンネルと申しますか、新しい波を今度はとって、そしてそれを今度は将来において別建て料金で衛星放送受信料金を別途でまたやるというその前段の構えじゃないかと、これはけしからぬということが本旨じゃなかろうかと思うんです。これは、私らはお互いに政治家同士ですから、率直に話し合った方がいいんで、――それは今のBS2の段階ではそういう意図はないわけです、正直な話。これはもう全く主目的、そのとおり難視聴解消。しかし、多目的な使い方をしなかったら、これだけの星の負担をかけて、これはもう料金にも全部はね返っておる負担でも一部ありますから、ですから、新技術開発をこの難視聴解消放送と同時に、NHKさんにも努力して、できるだけ一波ではあるけれども魅力のある番組として今までこのテレビの恩恵にあずからなかった人たちも含めて、やっぱり頑張った番組をつくってほしいと思います。  BS3の段階になると、これは民間と競合していく段階がいよいよ来るわけです、これからは。もうそのBS3以降の星ということになると、これは恐らく現実に日本に八チャンネルの八つの波を持っているわけですから、このころになったときにまで果たして民間もあるいはこれ受信料取るような、あるいはそういった動きも、今度のBS3の一波に関しては権限も与えるようですから、そういうことになっていった場合のBS3以降のNHK、宇宙放送のあり方ということになると、これはまた先生方と御相談申し上げた上で、新しい制度体制ということになっていくわけですから、今ここで簡単にお答えできる問題ではないと思います。
  232. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうです。簡単に答えられないほどこれ重大な問題だと思うんですね。あくまでもこれは今まで見られなかった人に見えるようにするという補完的な役割であって、これが主たるものではないということがまず大前提でなきゃいけないし、これが大きな可能性を持っているということと経済効果があるということで、できるんだから何でもやっちまえということとは基本的に話が違いますね。やるならやるで、今も大臣がお話になったように、BS3になったときに果たして民放が一波持つかもしれない。そのときには改めて法的な処置も講じ、改めて合議の上でそれはどういうふうな使われ方をするかという英知を集めて、どういうやり方が一番リーズナブルに視聴者に喜んでいただけるか、あるいはこの公器をどう有益に使うかというそのコンセンサスを得てからすべきですよね。  それが、今の状態ですと、このままBS3までずるずると移行していったら、より魅力ある番組にしなければ見てもらえない。見てもらえなければ需要がふえない。そうすると、生産台数が上がらないから一個一個の単価がちっとも安くならない。ですから、少しでも魅力あるものをつくって、パラボラアンテナの単価を安くして、それが相乗効果で大勢の人に見てもらったらいい番組がつくれるようになるだろう、そうなった暁には、それじゃ仕方がないから別途料金を徴収しようじゃないかというような話になってね。すると、大前提とすべき、明確にすべき契約ですね、国民と郵政省とNHKとの間の明確な契約の精神があいまいなままに事がとり行われてしまうというのが、従来もあったケースですけれども、一番納得のいかないことに結びついてしまう気がするんです。  ですから、その辺のところを明確にお考えいただきたいと思いますし、NHKもその姿勢をひとつ明確にしていただきたいと。これは会長、先ほどの答弁ですと、もしそういうことがあれば別途料金をいただくこともあるかもしれないというNHK側の御回答が明確にあって、私も聞きましたから、そのことをひとつこの際明確にお諮りいただきたいと思います。ですから、大臣会長に重ねて御答弁をお願いします。
  233. 川原正人

    参考人川原正人君) 私ども放送衛星に対する考え方は、先ほど来申し上げているとおりで、さしあたりいま難視聴解消を主たる目的として打ち上げて利用することにしておりますけれども、この先々の利用につきましては、これはもう先生も御指摘のように十分いろんな可能性を秘めておりますから、それは国民の財産として十分に私は活用し、その利益は視聴者の方に還元していきたいと。その料金の問題も、私どもとしては、やはりそれをすべて現行の受信料衛星をごらんにならない受信者の方の御負担でさしあたりはその難視聴解消ということでスタートしますけれども、いつまでもそういう形でやっていいのかどうか。私どもとしては、やはりある段階まで来れば受益者の負担による料金制度というものは当然考えていいんじゃないかというふうには思っております。  ただしかし、これはやはり料金の制度からいえば全く新しいことでございます。それから、恐らくはそういう一つの新しい放送の体系の中での新しい制度としてかなり広い範囲にわたる御議論と合意もなければ簡単にはできないことかもしれないと思っております。その点は今後慎重に考えてまいりたいと思っております。
  234. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 有限であり貴重な電波資源であって、これはもう国民共有の一つの形の波を受けて、今度も実験段階的な形でやるわけですけれども、これからBS3以降のこの問題に関しては、やっぱり新しい時代に入ると思うんですよ。今までの僕たちの既成のあの形じゃなくて、新しい宇宙放送時代というものがどういう形で定着していくか、これもいまやっていただいた結果を見なきゃわからぬことですけれども、やっぱり政治家としては、これはNHKだけの問題じゃありませんし、貴重、有限なそういった電波資源、公共放送の宇宙放送時代のあり方にも関係してくる非常に大きな政治課題の問題ですから、これはもう先生方、国会の論議、承認をまって、活発にこれからの実用化時代に向けての論議をまった上で、行政的にも処断していかにゃいかぬと、慎重に考えております。
  235. 青島幸男

    ○青島幸男君 慎重の上にも慎重に御配慮いただきたいと思います。  と申しますのは、これはまた新たな差別を生む結果にもなりますね。あそこの家はパラボラアンテナというものがあっておもしろい番組が見られるんだって、うちはどうしてないのお母さん、ということを子供に突きつけられてくると思うんですね。そうなると別途あそこの家はお金を払っているし、別に買ったのよということになりますね。そうすると、これはNHK放送法によって定められた使命とも相反することになってこやしないか。そうなりますと、ただ経済効果とかそういうことだけで論じてけりのつく問題じゃないと思いますね。ですから、それは本当に慎重にやっていただきたいと思います。  それで、BS2にしましても3にしましても、上げる費用も莫大にかかりますし、上げたら上げっ放しで何年でも使えるというものじゃありませんし、無論耐用年数もありますし、割合高くつきますね、これ、正直に申し上げて。それで、特に空港周辺とか新幹線の線路の周辺などは、衛星放送よりもむしろ同軸ケーブルの方が障害が少ないかもしれませんね。ですから、そういう個別のとにかく電波を一回上からさっと流すと。よくこういう表現使いますけれども、雨の水と水道の水と違うんだと。VHFで流しているのは雨の水みたいで、どこからでも手出せば受けられるし、ぬれるのだと。しかし、パラボラ持たなきゃ受けられないというのは、こうもり持っているのと同じですね。いみじくもパラボラというのはこうもりみたいな格好していますけれども。そういう特別また違った格好の形態になりますから、特別の配慮が要ることは必要だと思うんです。  それで、難視聴解消のみだったら同軸ケーブルで百億だかかかるというふうに先ほども御発言がありましたけれども、例えば衛星は耐用年数が五年で三百五十億かかるのだとしたら年間七十億かかるわけですね。そうすると、一年間の差額の三十億ぐらいどうってことないんじゃないかという気さえするんですね。確かに離島とかそういうところは衛星からの放送にまさるのはないと思います。しかし、放送法をたてまえにしてごく少数の方の御便宜を安直にあがなうために、もっと大きなものをゆがめてしまうというようなことがあれば、これはもう大変なことだと思うんですけれども、その辺のところを本当に心して、会長かかわり合っていただきたいというふうに重ねて申し上げますが、いかがでしょうか。
  236. 川原正人

    参考人川原正人君) 確かにその経費の問題は、私どもも安直に考えているわけではございません。十分に慎重に考えてまいりたいと思います。ただ、先ほど先生のおっしゃった新しいサービスが始まって、それを新しいアンテナを持たないと受からない、それが一つの差別になりはしないかという、そういうこともあり得るかと思うんですが、ただ放送の歴史を少し長い目で見た場合、やっぱりラジオの時代からテレビに移ったときには、そのテレビというのは非常にお金持ちの家にまず入って、その種のものはあったと思います。ですから、料金の取り方はなかなかデリケートでございましたけれども、やはりテレビがある段階に来ましたときには、それなりのやっぱり負担をしていただくべきであろうというのが大方の御意見であったと思うし、同じように今度はカラーテレビというのが始まった段階も似たようなやっぱり経過をたどったと思うんです。  その意味でいきますと、この衛星放送もそういう角度から見れば、一つ放送の多様化といいますか、ラジオの時代テレビが始まり、あるいはカラーテレビが始まってきたように、当初の段階にいろんな御議論があるかもしれませんけれども、私どもとしてはある段階からかなり速い速度でこれは多くの聴視者にごらんいただけるんではないか。その過渡期の段階に、先ほど来申しておりますように、衛星の料金というのは別に考え得るのではないだろうか。もし逆に全世帯に普及すれば、またこれは一本化の議論がやっぱりそのとき同じように出てくるんではないか。私は、少し長いレンジで考えればそういう側面もあるんじゃないか。ただ、だからといって今すぐそれでいいんだというふうに割り切っているわけではございません。これは、いろいろまた、これからの技術の進歩と、それからアンテナを含めての受像機のコストの――必ず下がると思います。その下がりぐあいと、そういうもの全体を見て私ども決心しなければいけないと思っております。
  237. 青島幸男

    ○青島幸男君 確かに、おっしゃられるとおりあすのことは私にもわかりませんし、どんな大発明があす起こって、大した金額もかからずに皆さんがその発明の恩恵に浴することができる日もあるかもしれません。しかし、ここで一つだけ明確にしておきたいのは、いかにどう考えても、これは難視聴対策のための補完的なことなんであって、新たに何でもできる一波を獲得したというようなお考えをお持ちにならないように、念のためにくどいようですが、つけ加えさしていただきたいと思います。この問題はこれで終わります。慎重にお構えいただきたいと思います。  それから、NHKは映像作品の保存についても日ごろかなり御苦労なすっているように私も聞いておりますし、かなりNHKの中にある倉庫にはビデオがもう山積みになっておって、場所ふさぎで困るという苦情が出るくらい作品の保存には心していらっしゃると伺いましたけれども、保存につきましてはどういう御配慮があるわけですか。
  238. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 番組の保存ということは、実は私はテレビのスタートのときからのプロデューサーでございますけれども、当時は生放送時代でございまして、当然のようにまだ技術が進歩しておりませんので、保存のための器材も十分でございませんでした。現在のように歴史を経てまいりますと、テレビの作品に伝統が持っておる文化的な価値というものが出てまいります。したがって、私どもはこのことについて今非常に熱心に保存の形を考えております。  現在、三年前から、NHKの中ではございませんが、NHKサービスセンターの中にNHK番組ライブラリーというのをつくりまして、そこに毎年保存価値のあるものを保存していると。それが今一万六千数本ございます。そのほかに、これは文化庁のいわゆる放送文化財というふうなものに指定される形で、ライブラリーあるいは博物館というところに保存しているものが大体四千本ぐらいございます。こういうふうなものをいかにして保存し、それをどう活用するかというのが今後の一番大きな問題になってきやしないかというふうに思って、現在いろんな形を検討中でございます。
  239. 青島幸男

    ○青島幸男君 これ単にNHKの作品、番組についてのみではなくて、民放各局なんかでも残しておきたいと、後の人が見たらこれは大変に参考になるんじゃないかなと、この時点の人間がこういうことを考えて、こういう態度で番組を制作していたという一つの生きた記録に残るはずでございまして、それが番組のよしあしとか、そういう基準で物をとらえるのはむしろ間違いで、何でもかんでも保存しておいてむだになるものはないと私は思うんですけれども、これは郵政省のみじゃなくて、ほかの省庁とも、あるいは文部省だの何だの話し合いをつけて予算も組まなきゃならないことだと思うんですけれども大臣、昔のように、ビデオといってこんな幅の広い、こんな大きなもので、たった六時間ぐらいしか入らないという時代じゃございませんでね、ふだん我々の使っておりますLPくらいのかさのもので、それこそ六時間、八時間という記録もコンパクトにできてしまうという時代でもありますしね。ですから、そんなにかさばるものにはならない。後で貴重な資料になる可能性はかなりありますしね。例えば、国会図書館には、たしかあらゆる我が国の出版物は二部納めなきゃいけないことになっているんですね。ですから、各社の新聞も、それから雑誌、単行本に限らず二部ずつ一応の数がそろったものはあそこへ納めているはずですね。ですから、民放番組のすべて朝から晩まで、再放送はやめにしても新番組は全部届けるとは申しませんけれども幾つかのその時代を象徴する、あるいはその時代の息吹を感じさせるようなものは少なくとも記録にとどめて、いつでも聴取できるという格好にできればすばらしいことだと思いますので、先々の話になるかもしれませんけれども、そういうことがあれば番組を制作する人間にとってもかなり励みになると思いますしね、確かに後でテレビ史なんかを編さんしようなんという――この間もNHKさん、何十周年か記念番組をおつくりのようでしたけれども、かなり昔の資料を集めるのに苦労しておいでのようでした。かなり勉強してつくられておられたように私も拝見しましたけれども、あんなようなことが、四十年、五十年という放送記念番組のときに、きっとそのときの実情を如実に感じさせるものとして、再現してみれば貴重なものがかなりあると思うんで、そういう格好で保存できるような方途を何とかお考えいただきたいというのは、これは要望なんですけれども、その辺については大臣、いかがお考えでしょう。
  240. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 先生が御指摘されるとおりに、私は、まあ一過性の形であった放送文化が――テレビ文化と申しますか、間違っているかもしれませんけれども、これはやっぱり今貴重な文化史料そのものですよね。今まではブック――本のような形になったものが、むしろ文化的な史料だと思ったやつが、逆にこれからの時代はまさにその時代に入っているわけですし、何か聞いてみますと、まあちょっとすばらしい名優がそろった作品が、もうそれもそう遠い昔じゃない、二十年ほど前にあったやつが、捜したらもうなくなっておったというような、そういったことも聞いて、何とお粗末な保存状況なんだろうと。これはやっぱり観念が違うんですね。これは文化資産そのものだという考え方でなく来ておったために、そういった形の取り返しのつかぬことになったんじゃないかと思いますけれども、私は、確かに今御提案のようなライブラリーセンターのようなものは各省の共管の事項でもございますけれどもNHKも含めてそういった方向は、もうまさに焦眉の問題として検討に値するだろうと、そういう方向でひとつ御意見を承りながら努力したいと思っております。
  241. 青島幸男

    ○青島幸男君 残余の問題は重複しますので、この程度で質問を終わります。
  242. 田英夫

    ○田英夫君 大変、冒頭からとっぴな質問をするんでありますが、川原会長は、NHKというのは報道機関だというふうにお思いでしょうか。
  243. 川原正人

    参考人川原正人君) 報道機関的性格を非常に濃く持っておりますけれども、私どもは単なる報道機関だけとは思っておりません。もっと幅の広い、放送メディアというものは、幅の広い文化の創造といいますか、時には教育のメディアとしても有効であるし、私どもそういう仕事をしております。しかし、その中核をなすものはやはり国民にとって必要な情報提供する、そういう報道機関的要素を色濃く持っているという理解をしております。
  244. 田英夫

    ○田英夫君 私も全く同感なんでありますが、私の認識では、報道機関というものは民主主義の社会においてはあらゆる権力から独立をしていなければならない、政治権力からはもちろんのこと、経済、金の力によって左右されるというようなことがあってはならないということです。川原会長もたしかNHK放送記者第一期生ということで、そこにいらっしゃる皆さんも、私もかつて一緒に仕事をさしていただいた。横井さんにしても坂倉さんにしてもジャーナリスト出身でありますし、田中副会長もそうですし、郵政大臣もジャーナリスト出身でありますから、そういう皆さんの前でこういう議論をするのは大変言いにくいことでありますけれども、釈迦に説法でありますけれども、まさに民主主義の社会ではあらゆる権力から独立していなければならない、NHKの場合は特にその意味で厳しくなければならないというふうに思うわけです。この問題はNHKに限りませんけれども、私はその意味から電波法第四条というものが大変民主主義の物差しがらして問題だとかねてから思っているわけであります。  つまり、御本人を前にして申しわけありませんが、郵政大臣電波を割り当てる免許権を持っていらっしゃるという、このことであります。これは、電波はまさに民主主義社会では国民の共有物であり、大切な財産であると。それを、郵政大臣はまさに政治の権力でありますから、その政治の権力が電波の免許権を持っているということは、民主主義の尺度に照らしていささか――いささかどころか私は根本的に誤っているというふうに思っているわけです。この点郵政大臣はどういうふうにお感じになっていますか。
  245. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 私は、今の電波のそういった形の行政責任を委託されておる立場でございますけれども、これは今先生言われましたように、有限貴重な国民の財産であるという形までは一緒でございます。ただ、それを一行政機関が握るというのはけしからぬと言われることじゃなかろうかと思うんです。これをやるにはもっと行政から独立した分野でむしろ管理、監督、指導という形をすべきじゃなかろうかということであろうかと思うんです。アメリカなんかはそういった方向になっておりますね、FCCというか連邦の通信委員会。日本もかつてはそういう時期があって、それからなぜ郵政省が所管するようになったかという時代的経緯は、また細かく御質疑があればその過程の中で担当の政府委員からお答えしますけれども、ただ、行政の形の中で責任分野を明確にしようという形で郵政省所管になったのかと思います。しかし、これは非常に難しい問題で、先生の言われることを聞くと、そうがな、そうだなというような感じにもなりますけれども、しかしまあ電波の利用国としてはここまで発達した国でございますし、それがいたずらに行政権をもって今の民放あるいはNHKに対して公権力介入でがちゃがちゃやっておるかというと、こんなこと言っちゃいけませんけれども、一番報道の自由、表現の自由、そういった形は私はほかの国に比べてどこよりも比較的フリーハンドで皆さん闊達にやっておられることはお認めになっていただけると思います。行政の公権力介入も国民の皆さんから指弾を受けられるような形にはなっていない。そういうことを心して、今後も電波利用に関しては私なりにそういった点をよくわきまえた上でやってまいりたいと思っております。
  246. 田英夫

    ○田英夫君 今大臣おっしゃったとおり、かつては日本もアメリカのFCCと同じような形を戦争直後はとっていたわけでありますが、昭和二十六年に現在の電波法に、時の郵政大臣は佐藤榮作さんだったと思いますが、改められたという経緯があることを私も存じております。しかし、今の大臣の御料弁とは実は現実には随分違う状況が発生をしている。NHKに限りません、民放を含めてですね。この第四条があるために日本で言論の自由が侵されているという事実があるんでありますが、これはきょうの主題ではありませんからいずれ改めて機会がありましたら議論をしてみたいと思います。  現実にNHKの場合にはそれに加えて放送法というものによって規制をされているといいましょうか、放送法というのはもともとNHK設置法のような性格が非常に強いわけでありますが、その結果として、私は時の政府・与党の影響を非常に受けやすい性格になっているということを危惧をするのであります。  先ほども同僚の委員からの御質問の中へ出てまいりましたが、今回の値上げの数字も、自民党の皆さんとの間の話し合いの中で数字が変わったという経緯があるということを報道されております。この点について事実かどうかNHKのどなたかにお答えをいただきたいと思います。
  247. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) NHKといたしましては、今度の経営計画をつくるに当たりまして慎重に長い時間をかけて検討いたしてまいりまして、先ほども指摘ございましたけれども、去年の秒あたりに経営計画に関する審議会に今後の見通しを出した段階での数字というものはございましたけれども、そういった審議会での視聴者負担をさらに少なくするよう努力しろといったような御提言、あるいは経営委員会でのいろいろ経営努力をしろといったような御指示をいただきまして、執行部といたしましてはさらにそれを最終的な形でもって現在御提出しているような経営計画にまとめたものでございまして、これがそういった今先生御指摘のようなことで数字が変わってきたという事実はございません。
  248. 田英夫

    ○田英夫君 繰り返して申し上げますけれども、今の電波法、特に四条、そして放送法という規定の中で、NHKは時の政府・与党というまさに政治の権力の影響を非常に受けやすい体質につくられているということを私は危惧をしている。しかし、NHKの皆さんの非常な御努力によってNHKの独自性というものが一生懸命で守られていると、そういう姿を実は私は十分承知しております。このことを特に私は郵政省の皆さんは十分、大臣初め御配慮をいただきたいと。報道機関的な性格を強く帯びているNHKがいかなる政治権力にも干渉を受けてはならないんでありまして、機会を改めまして実際に放送における政治権力の介入という実態をお話をする機会を持ちたいと思いますので、このことはきょうはこの程度にしておきます。  次に、これは大変NHKの皆さんに言いにくいことでありますが、国鉄、日航、NHKと、こういう言葉を吐く評論家の人がおります。私も実はなるほどと思ったんでありますが、国鉄対私鉄、そして日航対全日空、東亜国内航空、そしてNHKに対して民放、まあ冗談半分にこれにジャイアンツを加えた人がおりまして、これは冗談でありますけれども、どこが共通しているんだといいますと、常に王者でなければならない、あるいは時代の先頭に立っていなければならない、こういう感覚を持っているという意味で国鉄、日航、NHK、ジャイアンツなんだという話をした人がいるんでありますが、私はこれはいささか冗談が過ぎるというふうに思いますが、前の三つを並べた限りではややその心配を私はしないではない。国鉄の運命をたどってはならない。今率直に言って、日航はやや国鉄の運命をたどるのではあるまいかということを既に危惧され始めております。NHKの場合は、今回の値上げがあらわすように、そういう意味経営という意味で、ひょっとするとということが言えるかもしれない状況が今起こってきているんじゃないか。  そこで、本論に入りますけれども、今回の衛星BS2の打ち上げによって、先ほどから皆さんも触れておられましたけれども、新たに二波が加わると、青島さんがおっしゃった点も私も全く同感なんでありますけれども、ラジオそしてテレビの地上二波、これに加えて衛星二波と極めて巨大な電波機構というものにNHKはますますなっていくということなんですね。これがますます王者でなければならないということが言われるような方向に行ってしまうんじゃないだろうか。そういう心配をするわけです。  さっきの会長のお答えにもありましたけれども、やはり私もそれは同感なんで、衛星二波というものは決して難視聴解消だけで終わるもんじゃない。特にBS3になればそれも独立した番組を流すものになるんだという大臣のお話もありましたし、私もそのとおりだと思います。そうしますと、NHKというものは極めて巨大な電波媒体になるわけであります。そういう中で、先ほどの一種の批判めいた言葉と並べて考えたときに、ひとつ大臣会長からこの辺のところのお気持ちを、NHKというものはそういう方向に行くんじゃないかということについての私の危惧に対してのお答えをいただきたいと思います。
  249. 川原正人

    参考人川原正人君) NHKは、時代の変化のいつも先頭というか、その時代の変化を先に把握して積極的にそれに対応していかなければならない、その意味では御指摘の一部は私どもむしろそれを責任とさえ感じていることがございます。  ただ、いつも王者でなければならない、あるいはすべてのメディアを私どもが持っていなければならないというふうには必ずしも考えておりません。私どもにとって一番必要なことは、やはり私ども受信料を払っていただいている全国視聴者にとって私ども情報報道機関としてなくてはならない存在であると、そうあらねばならない、これはいつもそう思っております。そのために新しいメディアというものが、もしそれが国民の役に立つものであるならば、やはり私どもは積極的にそれを視聴者のために国民のために役立てるように積極的に取り組んでまいりたい。しかし、同時にそのことが視聴率に過大な負担をお願いするようなことがあれば、これはまた視聴者から強い御批判を招く結果にもなりますので、その点は経営のありようとしては十分に効率的な経営をして、かついたずらな巨大化を招かないように、最も必要なもの、そういうメディア中心として国民に対して必要な情報提供をしていく、そういう報道機関でありたいと思っております。
  250. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 今回の値上げをお願いするに当たりましても、私は意見書を先生方にきょう御審議願っている立場でございますが、一番思いましたことは、これは国鉄を例に挙げるのは、先生が今御質問の中で挙げられましたからそれをとらしていただくわけですが、端的に言って第二の国鉄の道をたどってはならないということが念頭にあったことは事実です。ですから、国民にこうした負担増をお願いするのは本当につらい立場ではございましたけれども、そういった道をかりそめにもたどらない形の中で、ひとつ謙虚に、絶えずスリム化に――国民はどうしても肥大化していくNHKに、やっぱりいろいろな大きな批判等、こういった値上げに際しては特に不満も出てくるわけですから、その点は会長以下執行部の皆さんにも絶えず、内部のスリム化と申しますか、効率化には努力してほしい、労使のそういったいい職場慣行の中でひとついい番組をつくってほしい、国民の期待もそこにあるのだという気持ちで、実は今回の値上げ案に関してもやむを得ずという形で御意見を差し上げておるところでございます。民放が一方において対峙されましたから、民放は活力があるし、あるいは血のにじむような経営努力という点においてはどちらがいいとか悪いとかという比較することはまだ論議を醸し出しますが、しかし概して品のよい番組をつくって、常に平均的な、優等生というのは味がないかもしれませんけれども、しかしNHKはこれまでそれなりに公共放送としての役割も果たしてきてくれておる。それをさらに充実してやってほしい。しかも第二の国鉄化にならないように、今日の段階では早くスリム化するところはして努力してほしいということでお願いをいたしております。
  251. 田英夫

    ○田英夫君 これはNHKとちょっと形が違うようですが、西独の国営放送の責任者が言った言葉で、我々はニューメディア時代のバスに一番後から乗っていけばいいんだという一言があるそうでありますけれどもNHKの皆さんの意欲に水をかけるつもりはありませんけれども、先ほどのそういう巨大化――私も王者と思いませんが、そういう批判を持ちたい人もいる中で、やはりこれからのニューメディア時代に、ひょっとするとバスの一番後から乗るどころかバスの運転手になっちゃうというようなことになってはいけないのではないか。意欲を持って新しい時代に取り組んでいく、特にNHKというものの性格からすればそれは必要なことかと思いますけれども、その辺は郵政大臣、郵政省の皆さんとの適切な連携の中で民放も含めて、あるいはその他民間のいわゆるハードの方のメーカーの皆さんとか技術者とか、そういうことを含めてみんなで一緒にこのバスに乗っていくんだということの配慮が必要じゃないだろうか。ややもするとNHKに対する批判がこういう値上げの問題のとき出てくるときに、先ほど言いましたような王者だとか肥大化だとかというところにひっかけて不必要な批判が出てくることを、もうこれも釈迦に説法でしょうが御配慮いただきたい。  やや技術的なことになるのでありますが、放送衛星の打ち上げの結果、繰り返しませんが、必ず難視聴解消というだけじゃなくて、いわゆる高品位テレビの研究というようなことを経て、やがてそれが一つの独立したチャンネルになっていくという時代が近い将来来るんじゃないだろうか。そうすると、そこでローカル放送の問題、これは私はNHKの非常に重要な役割一つだと思います。にもかかわらず、衛星放送が主流的になっていくとローカル放送はどうしてもやりにくくなってくる、力が落ちてくる。現在でさえ既にNHKローカルでの取材力というものは一時期に比べれば総体的に民放と比べて落ちているというふうに言われておりますね。現に、視聴率ども比べてみるとそういうことがあらわれていると言わざるを得ないし、この辺のところをどういうふうに将来に向かって考えておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  252. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) ローカル放送につきましては、私どもはこれを将来に向かって伸ばしていく方向でいきたいというふうに思っております。先生が今ローカルNHK民放ローカル局に比べて力が落ちる、あるいは視聴率も低下しているとおっしゃいましたけれども、最近の、ここ一、二年の間のNHKローカル局の仕事は非常に認められている、勢いも非常に盛んになってきたというふうに私は判断しております。それというのも、衛星時代になりますと、一方ではやっぱりローカル放送、つまり地域のサービスというものが非常に重大なものになってまいります。したがって、今からそのことについてはきちんとした力のつけ方に配慮しなければいけないというふうなことで、私以下担当の者すべてがローカル放送の充実ということについて力を尽くそうと努力をしてきたつもりでございます。その結果が、この一、二年で、例えば名古屋とか、あるいは大阪のような大都会を初め、北海道あるいは九州でもローカル放送の成果について注目をされるようになってきた、これは大変うれしいことだというふうに思っております。
  253. 田英夫

    ○田英夫君 次の問題ですが、NHKはCATVの問題をどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。私の認識では、かつて日本ケーブルテレビジョンができた当時はCATVについて必ずしも積極的にお考えになっておられなかったように思っていたんですけれども、最近はどうもそうではないんじゃないかというふうに伺っております。これは衛星放送が始まれば、また衛星放送がこれから先発展をしていくということのためには、やはりCATVというものがもっともっとふえて発達をしていくということになれば、一般の視聴者の皆さんの負担も軽減をされるし、あわせていい絵がよく見られるということにもつながるしと私は思うんですが、CATVに対する考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  254. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) CATVにつきましては、特に最近各地でこの事業化が進められておりますこの多チャンネルのCATVにつきましては、これはNHKとしてはこれがいろいろ放送と競合する面もないではないかもしれませんけれども、そういう形でこれを見ていくのではなくて、やはり相互に相償って共存関係発展さしていきたいというふうに考えているわけでございます。同時に、このCATVによりまして、このNHK番組が逆にそういうところが流れないということであっては視聴者の方々への問題もございますので、再送信を確保していく、そしてさらに受信料制度との結びつきにおきましてもそういった収納の確保といったようなことに御協力をお願いしていくということで、さらにこういった問題につきましては制度面でも配慮をしていってほしいというふうに願っているわけでございます。
  255. 田英夫

    ○田英夫君 今再送信のお話がありまして、これは当然CATVに対してNHKとしておやりいただけることと思いますが、放送法との関係があってなかなか微妙かもしれませんが、NHKがたくさん持っていらっしゃる今までのいわゆるストックの番組、こうしたものを何らかの形でCATVに提供していくということが将来考えられていいんじゃないか。しかも、それはまさに放送法との関係で問題があるでしょうけれどもNHK経営の改善の一助になるようなことを含めて考えられないものだろうかというふうに思いますが、この点はどういうふうになっていますか。
  256. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) 今先生御指摘のとおり、NHKがこれまで蓄えてまいりました番組なりあるいは情報なりというようなものは、これはでき得る限りそういったことで視聴者の方々、国民の方々へ還元していくのが基本であろうというふうに考えているわけでございます。
  257. 田英夫

    ○田英夫君 技術的な問題の一つの別の問題として、ラジオとテレビの重要度の問題といいましょうか、さっきも中村さんでしたか、青島さんでしたか、お話しになっておりましたけれども、実際に放送に携わっている者、その経験、私自身の経験からしても、ラジオというものはテレビのようにいろいろ約束事が繁雑にありませんから、特に今回生放送で一日を第一チャンネルの方は通されるということになれば、非常にフレキシブルに問題に対応できるということを含めて、ラジオ放送見直しと言うとしかられるかもしれません。既にちゃんとやっていると言われるかもしれませんけれども電波媒体の中でラジオというものの存在が改めて見直されていいんじゃないだろうかということを私は非常に感じます。テレビというものはやはり視覚に訴えますから、よほど注意をしないと、場合によってはどぎつくなる。それはいろんな意味でどぎつくなるということがありますが、ラジオの場合はそうした配慮を余りしないで、しかも生々しく非常に速力を持って報道を伝えることができるという利点もありますし、ラジオについての御計画を、生で通すということをさっきおっしゃいましたが、もう少し聞かしていただきたいと思います。
  258. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) ラジオ放送を見直さなければいけないということは私どもこのところずっと考えておりまして、今度の五十九年度の編成の中で、ラジオについてはおおむね三つぐらいの重点的なことを考えております。一つは、先生がおっしゃいましたように、機動的にすぐ対応できる、フレキシビリティーを持ってそれが、例えば突発した事故がどのようにつながっていくのか徹底的に追っかけていくとか、そういったことも自由にといいますか、非常に機敏にやれる、そういう体制をつくりたいというふうに思っております。  それからもう一つは、アクセスといいますか、視聴者の声というものを取り入れるにはむしろテレビよりかラジオの方がいいんじゃないかというふうな感じがしております。それはこの前も、「日本語とあなた」という長時間の討論番組をラジオでやったんですけれども、ラジオの中でのそういういわゆるアクセス番組視聴者の声を取り入れてそれをまた現実に視聴者の方に送って反響をいただくとか、そういうふうな往復の中で議論が次第に高まっていくというふうなものは、ラジオ番組の最も得意とするところじゃないか。これを生かしたい。  三番目は、青少年が特にラジオというものに対して大変注目をしている、あるいは音の世界というものを非常に愛好しているという現象がございます。したがって、ラジオ番組でそういう青少年に向かっての有効な番組というものをつくっていくことは非常に意味があるんじゃないか。そのような形でもって五十九年度以降ラジオ番組については一段の努力を続けていきたいというふうに思っております。
  259. 田英夫

    ○田英夫君 本当に、実は私ごとですけれども、もう随分前ですが、NHKのラジオ番組の「今日の科学」という番組の担当を仰せつかりまして三年ほどやらしていただいたことがあります。ほぼ同じ時期に、テレビの草創期に近いころでありますが、三チャンネルの中学生向けの社会科の番組を二年ぐらい担当したことがあります。ちょうど同じ時期に二つ並んで同じような硬派のかたい番組をやっておりまして、先ほど申し上げたようなことを痛感をしたんですね。それが最近になりましたら、今三番目におっしゃった青少年、若い人たちのラジオ志向という問題も加わってきましたので、ぜひラジオの特性というものを大いに生かしていただきたい。ニューメディア時代にこういうことを言うのは逆行のように一般に思われるかもしれませんが、決してそうでなくて、このことをひとつぜひ重視をしていただきたいと思います。  これも皆さんには釈迦に説法でありますが、活字媒体と電波媒体と両方経験した者として申し上げたいんでありますが、活字で皆さんがお読みになる、つまり報道で言えば新聞ですね、新聞の場合は自分の速力で読むことができるという、よくあいつは頭の回転が速いというような表現があるように、人によって物事を理解する速力というものは個人差がある。ところが活字媒体の場合は自分の速力で読むことができるというのが、一つの大きな利点なんだろうと思います。ところが電波媒体の場合は、特にテレビの場合はどんどんどんどん問題は先に進んでいってしまう。頭の回転の鈍い人はついていけなくなるということが、これはドラマにしても娯楽番組でもそうだと思いますが、特に報道番組はそうしたことが起こりがちであります。これは中村さんがさっき言われたこととちょっと逆行するのでありますが、NHKで磯村さんがNC9を担当されたということの中で非常に好評を博したのは、磯村さんというパーソナリティーもあるでありましょうけれども、磯村さんが専門のしゃべり手ではなかったということが私はあるように思っています。つまり、磯村さんは原稿を右から左へ立て板に水のように読む勉強というか、経験はない。したがって、原稿があるにしろ、オートプロンプターでしゃべっておられたかもしれませんが、いずれにしても自分の頭の回転でしゃべっておられたと思います。これが見ていた人に対して、見ている人も同じぐらいの速力で見ることができるという、それは私は決してアナウンサー無用論を言っているんじゃないんでありまして、そういう配慮をしないと電波媒体の場合は一般の皆さんの速力に合わなくなるおそれがある。スマートに遠ければいいというものじゃないんだということなんですね。こういう配慮をぜひしていただきたい。これは質問ではありませんけれども、そういうことをこの機会に申し上げておきたいと思います。  最後に、いまNHKテレビでドキュメンタリー番組と言えるようなものがどのくらいの割合あるか、ちょっとこれは数字で正確には出ないでしょうけれども、どのくらいの感じで結構ですが、どうなっておりますか。
  260. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) ドキュメンタリーといいますと非常に幅が広うございますので、どの程度のものをドキュメンタリーと言い、そうでないと言うのか、定義が難しいのですが、少なくとも今NHK特集という名前でやっております、年間に大体西本ぐらいございます。この番組の過半数はドキュメンタリーと称していいかと思います。それからもう一つ、「ルポルタージュにっぽん」という番組がございます。これが大体年間に四十本ぐらいございますので、合わせると百二十本ぐらいは恐らくドキュメンタリーと称していいものが出ているというふうに思っております。
  261. 田英夫

    ○田英夫君 これも釈迦に説法ですが、ドキュメンタリーというのはまさにテレビ媒体でなければできないというものだと思うんですけれども、にもかかわらず特に民放では顕著でありますが、一時期に比べて、テレビがむしろ始まったころに比べて全体の比率の中でドキュメンタリーというものが少なくなってきている傾向があると私は感じております。ドキュメンタリーこそ、活字あるいはラジオに比べてテレビの持っている特性を最も生かすことのできるものだと私は思っています。実は、今おっしゃったようなものを含めて、私がNHKテレビを見る中で一番興味を持ち常に見ているのはそういうものなんでありますが、そうしたテレビの特性を生かすという意味からも、もっと強化をしていただいていいんじゃないだろうか。おっしゃったとおり、ドキュメンタリーというのはちょっと定義が難しいですけれども、例えば海外特派員の皆さんの報告も含め、あるいは自然を、一種のディズニーのようなああいうものも含め、あるいは動物のものとかそういうことも含めて、私はもっとNHKならではと思いますし、そうしたものをふやしていただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  262. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 昨年度、五十八年度に「NHK特集」でやったものをちょっと調べてみました。そうしましたら歴史とか文化、自然関係が二十本ございます。合計はドキュメンタリーと称するべきものが八十七本ございますけれども、その中で二十本が歴史、文化、自然、それから政治経済、国際問題を扱ったものが二十三本、それから災害、事件関係、社会問題といったものに材をとったものが十七本、それから医療問題、福祉問題が八本、教育問題が四本、それからスポーツの問題を扱ったのが三本、それにシルクロード第二部が十二本と、こうなっております。  今、私ども考えておりますのは、五十九年の新しい編成では「NHK特集」をさらに一枠ふやしまして、日曜日の午後九時から五十分間の番組をやります。したがって、現在百本足らずでございますけれども、さらにこれを三分の一ふやすということになります百五十本に近いNHK特集が出ます。それからドキュメンタリーの方も十時台にドキュメンタリー人間列島というような題をつけまして社会性のあるものとか人間生活を追うような番組をつくっていきたい。ドキュメンタリーは、まさにおっしゃるとおりテレビの特性を遺憾なく発揮できる番組のジャンルだというふうに思っておりますので、むしろそちらの方の充実の方に力を入れるつもりでございます。
  263. 田英夫

    ○田英夫君 最後に、会長初めNHKの皆さんにお願いをしておきたいんでありますが、今回の値上げということに対しては、視聴者の皆さんから、もちろんお金が上がることでありますから、必ずしも歓迎されることではないと思います。私もそういう意味では大変残念なことだと思いますが、こういうことを申し上げるとしかられるかもしれませんが、今新聞代というのは大きいところで月大体二千六百円だと思いますね。それに比べて今度NHKは千円ちょっとという、そういう比較が一つあると思います。しかし、一昔前、大体NHKの聴視料が四百円ぐらいのころには新聞代とほぼそう違わなかったということから考えますと、必ずしも我々一般国民情報源としてのジャーナリズム代といいますか、情報収集費ということからすれば、NHKの今度の値上げによってもなおかつ決して高いものではないという言い方もできるわけであります。ただ問題は、先ほどから申し上げているように、NHKの肥大化とか王者であるというようなことが言われないようにぜひしていただきたいし、それはもう姿勢で十分お示しいただけることだと思いますので、このことでむしろ放送の質が下がってしまうということになりましたらこれはもう大変なことでありますから、人員削減の問題も私はそこに非情に危惧を感じております。むしろその辺は、ある意味では勇気を持って堂々と、値上げをするんだからどうも世間様に対して小さくなっていなければならぬというようなことではなくて、質を落とさないということをぜひ重点にしてお考えをいただきたいと、このことを最後にお願いをして質問を終わります。     ―――――――――――――
  264. 大木正吾

    委員長大木正吾君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、服部信吾君が委員を辞任され、その補欠として中野明君が選任されました。     ―――――――――――――
  265. 中野明

    中野明君 けさほど来各同僚委員の方から、多方面にわたりまして詳細な議論がなされておりますが、私はテレビの難視聴問題に絞ってお尋ねをしていきたいと思います。  御承知のとおり、テレビ文化とも言われますし、今やもうテレビというのは国民文化、教養、娯楽に欠かせない非常に大変な役目を持っているわけですが、NHK放送法のもとでテレビ、ラジオの難視聴対策に年来力を入れてこられました。その使命を達成するために努力を払ってこられたことについて、私どもは非常に日ごろから敬意を払っているわけですが――お尋ねをしたいんですが、現在NHK努力にもかかわらずテレビの難視、見えないという世帯数、これが幾らほどになっておりますか、ちょっとお答えいただきたい。
  266. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) お答えいたします。  五十八年度末で四十二万世帯でございます。
  267. 中野明

    中野明君 それはNHKで、民放の方は郵政省の方わかりますか、民放を含めた難視ということ。
  268. 鴨光一郎

    政府委員(鴨光一郎君) 辺地難視ということで申し上げますと、民間放送の辺地難視聴世帯数は百十八万でございます。
  269. 中野明

    中野明君 従来、難視聴対策というのは、NHK中心になりましてサテ局なりミニサテなり置局をするとともに、共同受信施設というそういう施設で難視をカバーしてきたわけですが、現在までの共同受信施設で処理している施設の数と、それから共同受信でカバーされている世帯、これおわかりになりますか。
  270. 鴨光一郎

    政府委員(鴨光一郎君) ただいま申し上げますお答えも辺地難視聴ということに限定して申し上げますが、昭和五十八年度末現在の数字で国庫補助によります共同受信施設が八百九十二、約九百でございます。それから、NHKが設置されました共同受信施設が一万七百八十七施設、このほかに辺地共同受信施設といたしまして、これは数字が、申しわけございませんが五十七年度末でございますが、五千九百五十五施設、約六千に近い施設がございます。
  271. 中野明

    中野明君 そこで郵政大臣、今回いよいよ放送衛星時代に入りまして、大臣の所信の中にも、あるいはこの趣旨説明の中にも、今回の衛星放送によって、主たる目的は難視解消ということなんですが、この星が上がったことによって、郵政大臣としてNHKに課せられたいわゆるテレビ難視をなくするというこういう大きな役目というものを一応果たしたと、このように理解をされるんですか、どうですか、その辺。
  272. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) もう難視ということだけをもって考えると、今お示しいただいたような数字でございます。とりわけ辺地難視、都市難視等々の目的のために上げたということでございますけれども、これで、では難視対策がいいのかというとそういうわけにはまいらぬと思うんです。今言われるように、なかなか個人あたりでこの恩恵に浴するためにはコストもかかります。共同で地上局をつくってそして今度VHF方式で流すとかいろいろなことも考えておられるようですけれども、とりあえず波を全国至るところに降らすことができるようになった。しかし、これから共同施設なりあるいは個人施設なりでこの難視が現実に解消されるという形に至るには、まだ相当の努力とお互いに私たち自身そういった形で努力を重ねなければならぬと思っております。解決したとは思っておりません。
  273. 中野明

    中野明君 それで、NHKにお尋ねするんですが、現在全然見えないという四十二万ですか、この四十二万の人たちがこの星が上がったことによってどの程度まで解消が進むと見ておられるんですか、その辺の見通しはどうでしょうか。
  274. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) この衛星放送を聴取することによりまして、先ほど技師長が申し上げましたような今まで地上施策では解消が困難であった辺地、離島も含めまして、日本全土でテレビジョン放送受信は可能になったというふうに考えるわけでございます。
  275. 中野明

    中野明君 私がお尋ねしているのは、この四十二万世帯現在全然見えておりませんね。それが星が上がったことによって、そのうち近々に――皆テレビを見たいという気持ちは強いんですが、経費のかかることですから、どの程度の人たちがこの星が上がることによって難視が解消の方向に進むのかという見通しですね、どの程度の見通しを持っておられるかということなんです。
  276. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) これはいろいろ御指摘ございますように、パラボラアンテナとかあるいは受信の装置といったような金額の問題もあるわけでございますけれども、私どもとしてはこの普及の予測とした難視だけの問題ということではございませんけれども、一般に衛星放送受信される方がBS2の段階では五十万世帯ぐらいはごらんいただけるのではないかという一応の予測は立てているわけでございます。当初すぐにというわけではございませんけれども
  277. 中野明

    中野明君 その五十万の中で現在全然見えていない四十二万世帯とさっきおっしゃったですね。その四十二万世帯がどれぐらい解消されると見ておられるかということなんです。
  278. 川原正人

    参考人川原正人君) 正直者いまして、そこの数字は私どもではなかなか難しくて、幾らぐらいだったろうということを責任持って残念ながら申し上げられないというのが実際のところでございます。と言いますのは、この四十二万世帯に私ども電波が届いていないんですけれども、ただ、大変四十二万世帯の方々が何とかしてテレビを見たいということで、非常に離れたところにアンテナを山の上に立てて線を引っ張るとか、受信者の方の御努力によって実はその四十万のかなりの方が現実にはある程度、余りきれいに映らない絵をごらんになっているという実態もございます。そこに今度は衛星でもってきれいな絵が届くはずでございますから、いわゆるパラボラアンテナを立てて受けていただければずっと今までよりきれいな絵が映る。その意味では、私どもは、十分に難視解消の私どもの側からする責任は果たせると思っているんでございます。ただ、何分そのアンテナの経費が、今のところ、まだ大量生産にいきませんのでかなりコストがかかるということで、実際には今非常に不便な方法でごらんになっている方法を続けられる世帯も相当あるんじゃないか。したがって、四十二万の中でどのくらいの方がそのパラボラアンテナを買っていただけるか、非常にそれは推定も難しくて、四十二万のうち幾らかという御質問には的確に答えかねるというのが正直なところでございます。
  279. 中野明

    中野明君 私の申し上げるのは、結局、難視解消ということを主目的にして星を上げられたんですから、いろいろそれは経費がかかるという隆路もあります。しかしながら、離れ島があったりして、全然見えないところも現在現実にあるわけですから、それを見てもらうような、見られるような何かの方策を積極的にとっていかれないと、この星を上げるという一つの大きな目的に難視解消と言われているんですから、上げました、そして電波は届くようにしましたぞ、後は皆さん方御希望によってというのでは、ちょっと私は消極的なような気がするんで、現在四十二万の中で、今、会長さんがおっしゃったように、ある程度児えているところもあるかしれませんが、全然届いていないところもあるわけですから、そういうところを含めて、電波を届かせるじゃなしに、現実に見てもらうという積極的な努力というものをやはり期待したいものですから、こういう質問をしているわけですが、お答えいただけますか。
  280. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 確かに衛星電波は届きますけれども、実際受信する方ではいろんな受信の仕方があるんですけれども、例えばグループで、向こう三軒両隣で見れば経費が安くなるとか、いろいろな受信技術上の問題がございまして、この点は、NHKの方としても、今の受信の難視地域の実態をよく調べまして、実情に合った対策受信技術指導という形でやっていきたいと思っております。
  281. 中野明

    中野明君 郵政大臣、国の方も難視対策として予算を組んで、そして積極的に施策を講じているわけですから、そういう立場からも、全然今届いていない、空からしか届かない、そういう地域の方々には、やはり難視対策として、国の方としても現在予算をある程度とっているわけでしょうから、そういうことの中から対策考えるということはないんですか。
  282. 鴨光一郎

    政府委員(鴨光一郎君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、BS2によりまして全国的に放送波が降る状態になっております。  ただ、その中で、先ほどからお話が出ておりますように、受信の仕方の問題として、パラボラアンテナ、チューナーといった設備が新しく必要であるという問題がございます。この点に関しましては、五十九年度におきまして、この受信用チューナーに対する物品税の減免措置ということで、具体的には六十二年度まで非課税にしていただきたいということで、私ども考え方を固めているところでございます。あわせまして、これも五十九年度でございますけれども、日本開発銀行の融資によりまして、衛星放送用の受信機の普及促進のための融資を十五億円、財投の方から充てていただくような計画を持っているところでございます。  なを、五十九年度におきましては、先ほどの会長からのお答えとも関連いたしますけれども、五十三年度に調査をいたしましてからその後実態調査もいたしておりませんので、辺地それから都市もあわせてでございますが、具体的な難視聴の実態調査もいたすべく、五十九年度予算案に所要の経費を計上さしていただいているということでございます。
  283. 中野明

    中野明君 難視対策にかなり国費もつぎ込んで今までもやっておられるし、NHKもその面では努力してこられたわけですから、新しい星が上がって、全然今まで届かなかったところに届くような状況になったんだから、そこを一歩踏み込んで、積極的にやはり見やすいようなそういう努力をしてへただきたいということを要望しておきます。  それで、きょうは私、どうしてもお聞きしておきたかったのは、現在NHKの方でやっておられる共同受信施設、これが一万施設、約七十五万世帯ぐらいが共同受信によって辺地でテレビを見ているわけです。この人たちが直ちに、この星が上がったからといって星にかわるというようなことはちょっと私も考えられないと思っておりますので、従前はこの共同受信施設が老朽化してくると新しくやりかえなきゃならぬ、そのときにはそれなりの協力もしていただいておったように思いますが、この共同受信施設の今後の対応といいますか、それについて従前どおりの考え方でやっていただけるかどうかということなんです。というのは、共同受信で見ている人たちというのは、私はそういう面では、受信料にしても代表者がまとめて契約をして納入するというふうに、非常に積極的に、テレビが見えなかったのが見えるようになったということで喜んで協力している人たちですし、特にそういう面で、一部の人は、星が上がったからもう星で見てくれと言われるんじゃないかという不安を持っている人もおるわけです。その辺のNHK考え方をお示しいただきたいです。
  284. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) NHKの辺地共同受信施設につきましては、耐用年数といいますか、古くなりますと取りかえる時期が来ると思いますけれどもNHKの共同受信施設につきましては、補修とそれから老朽化に伴う更新があると思いますけれども、それにつきましては、更新の時期に当たりましては既に新しい技術を導入しまして、経費の軽減を図りながら、当面は現行どおり進める考えでございます。その意味で、五十九年度には三百二十施設、十三億円の更新経費を見ております。
  285. 中野明

    中野明君 それで了解します。  それから、これは最後に一点だけ、郵政大臣のお考えも聞いておきたいんですが、NHKも国際放送に非常に力を入れられてやっておられますが、最近は日本のことが知りたいというような地域が非常にたくさんありまして、ヨーロッパ、特に西ドイツなんかではテレビの、いわゆるビデオで自分の国をPRするというんですか、紹介するというんですか、それが非常に効果を上げているようでございます。もちろんラジオ放送もそれなりの大きな役割はしていると思うんですが、日本の国をもっと知りたいということで、現地で非常にそういう強い要望があるようです。国際放送、国際親善の一環として、やはりNHKも今まで優秀なビデオも残っているでしょうし、あるいはまた新しく海外協力というようなところの観点からも、そういうビデオで、テレビで、結局目で見て日本の国をわからせる、こういうことが必要じゃないかと私たちは痛切に感じておるわけなんですが、これは郵政大臣として、将来のこととして御意見をお聞きしておきたいと思うんです。
  286. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 午前中からの本委員会質疑の御過程の中でも、この問題に関しては適切な御意見をお伺いいたしたところでございます。特に、国際放送の充実ということが今年度予算編成の大きな目玉でもございました。したがって、厳しい財政下ではございましたけれどもNHKに対する、国際放送に対するそういった交付金も二億五千万ふやしたという経緯もございます。「ラジオ日本」に関する海外の評判は比較的公正中立の報道を流しておるということもございまして、非常に評判がよろしいことは事実でございます。これはむしろラジオの分野でございますけれども、今後ともそういう方向で努力したい。今先生の御提案は、むしろ日本の放送テレビ技術を駆使して、NHKにもたくさん海外に紹介する立派な番組があるけれども、これを各国に協力して送ってやって、今日の日本というものの実態をPRしたらいかがかという御提議でもあったように思うんです。  確かにそのことはとても大事なことでございます。先ほど来も質疑の過程の中で、電波小国日本あるいは情報小国日本というような表現で御批判をいただいたところでございますけれども、そういった面についても、NHKの方もまた政府側としても、これはまあ所管が外務省なりそれぞれの関係各省もございますけれども、ひとつせっかく御提案の趣旨を生かして、その方向で我が国の正しいPRということも含めて努力いたしたいと思います。
  287. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 他に御発言もなければ質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  288. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  289. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  この際、片山君から発言を求められておりますので、これを許します。片山君。
  290. 片山甚市

    片山甚市君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一、放送の不偏不党を堅持し、放送による表現の自由を確保すること。  一、国際放送については、一層、交付金の増額に努めるとともに、送信施設の早急な整備拡充による受信改善など充実強化の施策を推進すること。  一、協会は、ニューメディア時代放送対応するため、視聴者ニーズに留意して、その基盤整備を図るとともに、業務の刷新、組織の活性化をさらに推進し、効率的な経営体制の確立に努めること。  一、協会は、衛星放送実施にあたり、その普及促進と効果的なローカル放送に配意するほか、新しい放送サービスのあり方及び将来の受信料について検討すること。   右決議する。  以上でありますが、この決議案は、本委員会における審議の経過を踏まえて作成したものであります。したがいまして、その趣旨につきましては、改めて説明するまでもないと存じますので、省略させていただきます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。  以上であります。
  291. 大木正吾

    委員長大木正吾君) ただいま片山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  292. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 全会一致と認めます。よって、片山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、奥田郵政大臣並びに川原日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。奥田郵政大臣
  293. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 日本放送協会昭和五十九年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認をいただきまして厚く御礼を申し上げます。  これまでの御審議に当たりまして、各委員から提起されました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきまして、今後の放送行政を進めるに当たりまして、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  ありがとうございました。
  294. 大木正吾

  295. 川原正人

    参考人川原正人君) 日本放送協会昭和五十九年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認いただきまして、まことにありがたく、厚く御礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程でいろいろ御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣の意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、十分に遵守いたしまして執行の万全を期したいと考えている次第でございます。  まことにありがとうございました。
  296. 大木正吾

    委員長大木正吾君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  297. 大木正吾

    委員長大木正吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十七分散会      ―――――・―――――