運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-07-31 第101回国会 参議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月三十一日(火曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員異動  七月二十六日     辞任         補欠選任      小山 一平君     寺田 熊雄君  七月三十一日     辞任         補欠選任      寺田 熊雄君     久保田真苗君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 岩上 二郎君                 真鍋 賢二君                 志苫  裕君                 三治 重信君     委 員                 井上  孝君                 加藤 武徳君                 上條 勝久君                 古賀雷四郎君                 出口 廣光君                 松浦  功君                 吉川 芳男君                 久保田真苗君                 佐藤 三吾君                 高杉 廸忠君                 寺田 熊雄君                 刈田 貞子君                 原田  立君                 神谷信之助君    国務大臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    田川 誠一君    政府委員        警察庁長官    三井  脩君        警察庁長官官房        長        太田 壽郎君        警察庁刑事局保        安部長      鈴木 良一君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        警察庁刑事局保        安部防犯課長   古山  剛君        通商産業省産業        政策局物価対策        課長       綾部 正美君        通商産業省産業        政策局規模小        売店舗調整官   石黒 正大君        通商産業省機械        情報産業局産業        機械課長     田辺 俊彦君        通商産業省生活        産業局文化用品        課長       山浦 紘一君        資源エネルギー        庁公益事業部技        術課長      平田辰一郎君    参考人        弁  護  士  津田 玄児君        全国少年補導員        協議会会長    和田 謙寿君        新宿新宿保健        所衛生課長    土谷 尊宏君        日本キリスト教        婦人矯風会幹事  高橋喜久江君        弁  護  士  五百蔵洋一君        全国環境衛生同        業組合中央会専        務理事      井上 正行君        弁  護  士  井田 恵子君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る七月二十六日、小山一平君が委員辞任され、その補欠として寺田熊雄君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 先日に引き続き、主としてこれからは通産省との了解事項、それから厚生省との了解事項等々に関連をして、以下質疑を行いたいと思います。  まず、警察庁通産省との了解事項全体について伺います。  本改正案は、現行法を大幅に改変をして、その目的と規制対象を拡大をし、規制内容を強化しているだけではなく、政令や総理府令、それに国家公安委員会規則などへ全面的に委任する部分が非常に数多く見られる特徴があると思います。このことから大幅な裁量権のもとに風俗産業を管理していこうという色彩が強く浮かび上がってくるのでありますが、ここに警察庁通産省との間に取り交わしたと言われる了解事項なるものがあります。この了解事項をもとに通産関係事項についてただしたいと存じます。  まず、本改正案ほど委任されている部分が多いものでは、規則等の全容が示されない限り、改正案だけ国会に提出しても、本委員会では十分に意を尽くした審議が不可能に近いものであると言っても決して過言ではないと思うのですが、通産省にまず伺いますけれども、二十項目にわたっておりますこの了解事項、これが全部でありますかどうか。もっと詳細なものがあると思うのです。確認ですけれども通産省から伺います。
  5. 綾部正美

    説明員綾部正美君) お答えいたします。  既に委員会の方に提出しております了解事項の中に我々通産省警察庁との間に取り交わした了解事項内容は、趣旨においてすべて盛り込まれておると思っております。ただ、先生指摘のより詳細なもの、これの提出の点につきましては、現在警察庁が取りまとめていると承知しております。したがいまして、これにつきましては警察庁の方から御答弁いただきたいと存じます。
  6. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 通産省との関係につきまして、了解事項要旨の主なものは提出したところでございます。詳しいものにつきましては各省庁と引き続き協議中のところでございます。
  7. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 ちょっと聞こえないのだけれども、最後の方何ですか。
  8. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 了解事項の詳しいものにつきましては各省庁と引き続き協議中のところでございます。
  9. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 私がお尋ねしているのは、最初にいただいた二十項目、これで全部ですかと聞いているので、今のお話だと、協議中ということになるとこのほかにもあると、こういう理解をするのですが、そうした理解でよろしいのですか。
  10. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 提出いたしました要旨の主なものは趣旨において網羅しておるというふうに考えております。
  11. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 本法案についての詳細な事項について私どもはできるだけ審議をしていこうという姿勢の中で今取り組んでいるわけでありますから、あるならば全部出していただきたい。そして、やはり本委員会における審議が円滑にいくように私もしたいという、そういう立場でお尋ねをしているわけでありますから、あるならば全部出していただきたい。
  12. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) さらに引き続き各省庁と検討してまいりたいと思います。
  13. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それならば質疑を進めます。  八号営業の中にテレビゲーム機械を入れたことについて伺いますが、今回の改正で、風俗営業の中にいわゆる八号営業としてギャンブル性の強いスロットマシンと一緒にテレビゲーム機械対象に入れた、これはどういう理由なんですか。
  14. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 今回の改正では、スロットマシンテレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることのできるもの、これを設置する営業で一定の施設を有するものを本法対象としたわけでございますけれども、これの理由でございますが、一つは、ゲーム機の中でも定量的に遊技結果があらわれるものあるいは勝敗が決し得るものといった本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることのできるものは、やはり賭博に用いられる可能性がありますし、現に賭博に用いられておるという実例もあるということ、それから、賭博に用いられる可能性のある遊技機をそのゲーム内容によりまして賭博に用いられやすいものとそうでないものとを区別するというのは、実際には大変不可能なことであろうというふうに考えております。  したがいまして、これを無理に区分をいたしまして、一部の遊技機についてのみ規制対象といたしますと、法規制対象外遊技機を用いて賭博が行われるということが十分予想されるわけでございまして、それでは本法が意図するゲーム機賭博の防止の効果が期待されないということでございます。  それからまた、ゲーム内容変更といいますのがソフトウエアの変更によりまして簡単に行われるということもございますので、したがいましてゲーム内容によりましてゲーム機を区分するというのは実際上多くの脱法行為を誘発する結果になるというふうに考えてこういうふうにしたものでございます。
  15. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 そこで部長、具体的に伺いますが、テレビゲーム機には偶然性の高い、技術介入性のない賭博機、それと技術介入性の高い、言うならば健全なゲーム機とがある。このことは警察みずから調査し、いただいたその資料の中にも結果を明記しているわけですね。これは、資料をいただいた五十八年十二月の風俗環境特徴的傾向、この中にあるわけです。こうした調査は、対象物定義がなくては調査分析もできないはずだ、こういうふうに考えるのです。したがって、その定義対象物調査分析、こういうものをこの際明らかにしていただきたいと思うのです。どうですか。
  16. 古山剛

    説明員古山剛君) ただいま先生お話し資料でございますけれども、これは、特に検挙取り締まり観点から、主な事実関係を述べているものにすぎないわけでございまして、賭博に用いられるおそれのある遊技機についても、これは明確な定義があるわけではございません。警察におきましても、使用する場合によってその内容が異なっているわけでございまして、その使う場合によって変わってくるようなものでございます。さらにその範囲も、次々と新しい機械ソフト開発等によりまして、調査するときどきにおける社会実情を反映して変化するというようなこともございます。  もちろん、テレビゲーム機につきましても、賭博少年たまり場等の問題がございまして、全体としての数字も把握しているところでございますけれども、今申し上げたような事情から、先生指摘資料につきましては、賭博事件の多発しているゲーム機についての調査を出したものにすぎないわけでございまして、さらに、ゲーム内容を容易に変え得るということで脱法が行われるというような点を考慮して掲示をしているわけでもございません。  最近は、取り締まりの厳しさを逃れるために、一般のインベーダーとかあるいはスポーツ物を使用した賭博事犯の事例、あるいはゲーム内容変更して巧妙に発見されないように賭博に使用しているというものもかなり出てきているわけでございます。さらに、もしゲーム内容によって許可対象になるものとならないものとに分けるとしますと、ゲーム内容が簡単に変え得ることと相まって、ますます脱法的な営業が行われることが予想されるわけでございまして、行政的な規制としては、これらの実態見通しを踏まえた規制が必要であるというふうに考えているところでございます。
  17. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それじゃ、さらに伺いますけれども、どういう理由警察庁は毎年十月末にこういう調査をしているのか。その理由現実にこうした区別される遊技機を用いた賭博事犯が多いからではないか、こういうふうに考えるのです。それならば、どういう種類遊技機がこの種犯罪で押収されているのか、その中にいわゆる健全ゲーム機、これは具体的にどういうものが、何台あるのか、やっぱり具体的に示していただきたいと思うのです。どうですか。
  18. 古山剛

    説明員古山剛君) 確かに賭博事犯に用いられることが多いために調査を行っているところでございますが、明確にギャンブルマシン定義があるわけではございませんし、社会実情に応じて調査対象も変化してきているところでございます。しかも最近は、ゲーム内容を容易に変更するなどして取り締まりの目を逃れるものもありまして、区別が次第に難しくなってきているという状況にあるわけでございます。  もともと私どもは必ずしもゲーム内容によって健全かどうかを区別しているわけではございませんで、営業者姿勢次第だと考えております。ソフト変更も容易にできることでございますから、必ずしも区分できるものと考えていないわけでございますけれども、あえて今先生お話しインベーダーとかあるいはスポーツ物のようなゲーム機について見ますと、約三百台ぐらいが押収されているということでございます。  それから、さらにこの種のものについて押収をしないで指導にとどめた例もかなりございます。
  19. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 部長国会答弁等で、これは衆議院審議の過程の中でも言われたように、健全なゲーム機賭博犯として押収した例がある、こう言っているわけですね。したがって、健全な機械といえども規制対象から外すことはできない、こういうふうに答弁されているんです。しかし、この「五十七年中における風俗環境特徴的傾向」、このおたくからいただいた資料の十七ページ、ここに「と博事犯検挙状況」として、「押収したギャンブルマシンは六千五百五十八台で前年同期に比べ六・七倍となっている。」、こう言っているわけです。その内訳を見ますと、ポーカーなどテレビゲーム機が五千八百二十八台、スロットマシンが三百八十一台、電光点滅式機械が二百九十三台、それからルーレット及びピンボールなどが三十一台、こういう順になって説明しているんですね。ここで計算をしてみますと、区別が明確でない機械という種類のものは二十五台なんです。じゃ、この二十五台の中に健全な機械というものは何台あるのですか。
  20. 古山剛

    説明員古山剛君) 御指摘の二十五台でございますけれども、これは「五十七年中における風俗環境特徴的傾向」の中で書いてございますが、回転式というものでございまして、ロータリーゲームとかそういうようなものでございまして、いわゆる先生のおっしゃいますスポーツ物とかインベーダーとか、そういうものとは別のものでございます。
  21. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 課長、この二十五台の全体のパーセントを見ると〇・四%、わずかなものなんですね。このすべてが健全なゲーム機であったとしても、わずかに二十五台、これは問題にするものでもない、こういうふうに私は考えるのです、わずかに二十五台なんですから。どうですか。
  22. 古山剛

    説明員古山剛君) 先生のいわゆる健全とおっしゃいますスポーツ物とかインベーダーとか、そういうものはこれは別でございまして、二十五台というのは回転式という遊技機のことでございまして、スポーツ物とかインベーダーとか、そういうものとは別のものでございます。
  23. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 課長も知っていると思うのです。健全なゲーム機というのは全国に約五十万台ある、こう言われているのですね。この五十万台のうちの中のわずかに二十五台ですよ。今のような説明をあなたはしても、結局数字的には五十万台における二十五台、全くとるに足らない数だろうと私は思うし、こんなわずかなことで、ほかのものまで規制対象にするという理由が私にはどうもわからないのですよ。どうなんですか。
  24. 古山剛

    説明員古山剛君) 今、先生おっしゃいました二十五台というのは、これは違うものでございまして、先ほど先生のおっしゃいました健全なものというのはスポーツ物とかインベーダーとか、そういうものであるというふうに理解しますならば、私どもは五十七年中に約三百台押収しているというふうに申し上げているところでございます。
  25. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 今申し上げましたとおりに三百台と仮定をしても、五十万台のうちの三百台ですね。どうですか、比率からいったらどのぐらいになりますか。
  26. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 現実に使われているのが五十万台あるかどうかというのは定かではないわけでございますけれども現実に私どもがこういうふうな形で、ゲーム内容で健全と言われるものということで言っているのが大体三百台ある、こう申し上げたわけでございますが、そのゲーム機賭博のやり方というのがだんだん移り変わってくるわけでございます。最初は、取り締まりというものの初期段階では、いわゆる現金を入れて現金が出てくるようなものがあるわけでございます。そういうものが初期段階では非常に多い。しかし、そういうものをだんだん取り締まっていきますと、今度はそういうふうなものからさらに点数なり何なりであらわされるようなものを使ってのものに移ってくる、こういうような実態もあるわけでございます。  そういうことで、台数が多いか少ないかという問題はございますけれども、さらに問題は、今度は行政的に我々が対象をどう考えていこうかと、こういうことになりますと、これは先ほど言いました非常に分けにくいところでもって分ける、そうすると、悪質な業者は許可対象にならないということをいいことに、それを使って賭博を行う可能性というのは非常に多くなるわけです。  したがいまして問題は、先ほど言いましたように、実態一つあります。決して少なくない台数だと思いますし、現実に押収しないで指導している、注意しているという例もたくさんあるわけでございます。そういうふうなものと、そういう現実の上に、さらに先ほど言いましたように将来の見通しということを考えますと、分けにくいところでもって分けたことのために、逆にそういう手法を使って悪質な者がそれを利用して悪質な賭博をやっていくということがどうしても出てくるだろうということでございまして、したがいまして、こういう問題は実態とさらに行政的な見地を踏まえた見通しというものを踏まえて考えていかなければならない、かように考えております。
  27. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 実態によりますと、偶然性の高い、技術介入性のない遊技機、業界ではギャンブルマシンと、こう呼んでいるようでありますが、これを見ると、押収されたあるいは事犯を起こしたというのはそれの機械ばかりですね。しかも今、部長からもお話があったとおりに、直接現金を払い出す方法というのは今や主流ではない、こういうふうに言われているのですね。  そこで、遊技客の持ち点もしくはメダル等によって営業者現金を提供している、こういうふうに考えられるのです。それならばこの点が賭博機かどうかというもののメルクマールではないか、こういうふうに私は考えるのです。  そこで、賭博に使用されるおそれのある遊技機あるいは証拠品として押収したもののうちのピンボール、これはどういうことなのか、これが一つ。それから二つ目ビンゴという機種、これはどんな機種なんでしょうか。三つ目フリッパーという機種、これはどんな機種か。これはそれぞれが区別されていると思うのですけれども三つの点についてちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  28. 古山剛

    説明員古山剛君) ただいまピンボールピンゴフリッパー、これについてのお尋ねがあったわけでございますが、ピンゴとそれからフリッパーを合わせましたのがピンボールというふうに言うものと理解いたしております。  それで、ピンゴでございますけれども、これは一定数の遊技玉遊技盤の上の数字穴に入れまして、数字の組み合わせによって得点を得るものでございまして、詳しく申し上げますと、傾斜を持たせた遊技盤におきまして硬貨またはメダルを投入いたしますと五個の遊技玉が一個ずつ発射位置に出てくる。その遊技玉打球棒によって発射いたしまして、そして遊技盤数字表示穴に入れると、入った穴の番号が正面表示盤に示されまして、その数字配列、これは縦、横、斜めございますけれども、その数字配列によって得点表示盤に表示されるものでございます。  それからフリッパーでございますけれども、これは傾斜を持たせた遊技盤におきまして硬貨あるいはメダルを投入いたしますと遊技玉発射位置に出てまいります。遊技玉打球棒によって発射いたしまして、そして遊技盤上に設けられた数字の表示されているターゲットあるいはバンパーに当てまして、そしてそれに外れてずっとおりてくる遊技玉を、今度はまた遊技盤の手前の方に設けられましたひれ足を操作して打ち直して、再度ターゲット等に当てるということで何回も何回も打つ、そういうことによってその数字得点になって正面表示盤に表示されるということでございまして、両者は、得点を得る方法の違いあるいは構造面で、フリッパーには遊技玉を再度打ち直しをすることのできるひれ足がございますけれどもビンゴにはないというような、そういう点で区別されるということでございます。
  29. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 八号営業についてさらに伺いますけれども、一般的にはギャンブルマシンと言われているスロットマシンなどとともに、本来賭博性の全くない健全な娯楽機まで八号の「国家公安委員会規則で定めるもの」と。これでは健全な娯楽機を製造しているメーカーに対してその与える影響というのは決して少なくないと思うのです。  そこで伺いますが、通産省との了解事項によりますと、「二条一項八号の遊技設備遊技結果が定量的に表れるもの又は勝敗の決するものである。」、こうしてあるのですね。警察庁は具体的にはどのようなものを定めようと考えているのか。この「その他の遊技設備」をここで明示して、それらをなぜ規制対象とするのか、その根拠もあわせてひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。また、今申し上げました点について通産省としてはどういうふうに考えているのか、その見解もあわせて伺います。
  30. 古山剛

    説明員古山剛君) 第八号営業遊技設備は具体的に何かということでございますが、遊技の結果が定量的にあらわれまたは勝敗の決するようなスロットマシンその他のメダルゲーム機、それからテレビゲーム機フリッパーなどがこの遊技設備に当たるというふうに考えておりまして、これらの遊技結果が定量的にあらわれまたは勝敗の決まるような遊技設備は、先ほどからも申し上げておりますように、営業者姿勢では賭博に用いられる可能性があるということで許可対象とすることが適当であるというふうに考えているものでございます。
  31. 高杉廸忠

  32. 田辺俊彦

    説明員田辺俊彦君) 先生の御質問の最初の点、「その他の遊技設備」でございますが、ただいま警察庁から回答がございましたとおり、クレー射撃ルーレットフリッパービンゴ等各種のものがあろうかと思っております。これらがテレビゲーム機と同様に規制対象となることにつきましては、そのゲームの結果が定量的に明らかになるもの、勝敗の決するものという観点から、賭博に使用される可能性があるということで対象になろうかと考えております。
  33. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、当局がかねて説明してきています、いわゆる健全なゲーム機は簡単に不健全なゲーム機変更できると、特に部長、そういうふうに説明してきていましたね。そのことについて二、三ただしたいと思うのですが、まず第一に、去る二十六日、地方行政委員会終了後、参議院議員会館の地下一階会議室において展示されまして、我々に説明されたゲーム機地方行政委員先生方もごらんになった改造したあの機械ですね、その機械で具体的にお尋ねをしますが、電気的安全を確保するための電気用品取締法に基づく品質上の検査に合格するものと思うかどうか。これは大事な点でありますから、通産省警察庁それぞれからお答えをいただきたいと思うんです。
  34. 平田辰一郎

    説明員平田辰一郎君) 私、その改造に実際立ち合ったわけじゃございませんので、どういう改造が行われたか承知していないわけでございますけれども、そういうことではっきりお答えしかねるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、電気用品取締法に基づく申請を受けた後に電気用品取締法に基づく実際の安全試験を行ってみないと、合格するか否かということについては明確にはお答えできないわけでございます。
  35. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 電気用品取締法ゲーム機基板との交換の問題でございますけれども改造の程度というものによりまして、場合によって異なると思いますけれども、通常の場合にはこれはそういう問題は生じないというふうに考えております。
  36. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 せっかく地方行政の先生方にごらんにいただくのに、どうして通産省の方の今の点の確認もできないものを展示されるのですか。  委員長、ちょっとその辺きちっとしていただかないと大事な審議が進めないのです、通産省に連絡もとらないで一方的に展示されたものじゃ。  私が指摘しているのは電気用品取締法という法律に品質や何かすべて登録をされ、きちっとした認定を受けたそういう前提で展示されるべきものであるが、どうなんですか。今、通産省知らないというのなら、通産省何で見に行かないのですか、それならば。
  37. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 通産省の係官もおいでになっておりました。
  38. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 じゃ、その係官から聞きましょう。通産省、見ている人を呼んで来なさい、見ている人を。
  39. 綾部正美

    説明員綾部正美君) 当目そのような改造の実験といいますか、試験といいますか、あることは存じておりましたけれども、当方の方にそれを見ろあるいは出席しろといった要請が来ておりませんでしたものですから、担当の補佐以下が一応見学さしていただいたといった状況でございます。
  40. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記やめて。    〔速記中止〕
  41. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記起こして。
  42. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 佐藤三吾先生の御要望によりまして、委員長からのことで機械を展示をしたということでございますが、あります機械先生方に見ていただくという形で準備をしたわけでございます。  機械そのものは全部市販されているものでございまして、格別なものを準備したわけでも何でもないわけでございますから、こういうふうなものがどうかというのは、見る気になればどこへ行っても見られるということであるわけでございます。
  43. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 関連。  私が要求したのはやはりちゃんとしたもので、ヤミ屋の集まりを要求したわけじゃないですよ。あなたの方がおっしゃったように、いつでも健全なゲーム機とそれからギャンブル機は転換できるのだと、こういうお話であるから、それならそれをここへ持ってきて見せなさいと、こう言ったわけです。もちろんその前提は電気用品の取締法の基準に合致したものであることが前提ですよ。ところがそうじゃない。どうも私も現地見ておかしいなと思ったのは、ああいうふうにはならないのですよね。あそこでは一分か二分で変えることができるけれども、あのときに来ておったメーカーの人に、健全なゲーム機とそれからギャンブル機を根底から変えるのには所要の時間どのくらいかかりますかと言ったら、まあ最低五時間ぐらいかかりますということです。なぜこれが一分ぐらいで変わるのかと言ったが、もう変わるように仕立ててきておるような感じを受けたのです。きょうはそれも追及したいと思うのですけれども、そこら辺をひとつ通産省課長補佐が見たというのなら、あれはどういう機械なのか、ちゃんときちっとしてください。そういうにせの機械見せられたのじゃ、たまったものじゃない。
  44. 綾部正美

    説明員綾部正美君) 繰り返しになりますが、正式な連絡があって事務官等が見たわけではございませんので、係官は出席しておりますけれども、要するに電気用品取締法関係の担当官もいないといった状況でございますので、その辺はわかりかねます。
  45. 志苫裕

    志苫裕君 委員長
  46. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 関連ですな。志苫君。
  47. 志苫裕

    志苫裕君 通産省、確認しますが、見てないというからなにだけれども、いずれ状況であなたおわかりのように、画面にゲームがちゃがちゃか出ているのを、何かソケット抜いたりしますと別の画面にころっと変わるわけです上ね。そういう実験があったわけで、我々も見たわけです。その実験が行われたそのゲーム機械が、これは電取法でどういう種類、どういう位置づけですか、その機械は。
  48. 綾部正美

    説明員綾部正美君) 担当の者、事務官、見ておりますけれども、電取法の関係の方にこういった機械という連絡をとっておりませんので、電取法上の位置づけというのははっきりしておりません。
  49. 志苫裕

    志苫裕君 保安部長、先ほどの答弁、正確じゃないが、あの程度のものなら電取法上も問題はないと、こういう答弁ですね。電取法上問題ありませんか。
  50. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 私どももあそこでもって先生方と御一緒に見ましたのは、ああいうゲーム機というもののゲーム内容が簡単に変わるか変わらないかということを御一緒に見たということでございまして、電取法上どうなるかという問題を詳しく分析したわけではないわけでございます。しかし、通常の場合は基板を交換してのゲーム営業を行う行為というのは、電取法違反の問題は生じないものというふうに思っております。
  51. 志苫裕

    志苫裕君 私も素人だから、素人が聞いてまことに恐縮ですが、しかし電取法では一定の規格のいわば型式というのか、そういうものをいろいろチェックして、はいこれは合格と、こういう仕掛けになるのだと思いますね。それが見る見る、見ている前で変わるわけです。変わった品物というのは何なのか。変わった品物というのは電取法で合格をしたものじゃないでしょう。型式認定の外側でしょう。そういう位置づけになりはしませんかと聞いている。
  52. 平田辰一郎

    説明員平田辰一郎君) 電取法上、変更もしくは改造という行為を行った場合、変更の程度、即ち型式区分を超えるかどうかという問題、この辺が問題でございまして、その辺を詳細に検討してみないと、これが電取法上の型式区分の変更になるのかどうか定かにわからないということを申し上げたわけでございます。
  53. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 そうすると、今部長の方のお話では基板交換ですね。そうしますと、電源容量とブラウン管を変更しない限り差し支えないというふうにもとれるのです。  そこで、通産省、大事だから念を押すわけですが、電気配線、コントロールパネル、この変更まで業務用に使用することを前提に改造したもの、これは電気用品取締法に違反しないのですか、違反するのですか、具体的にはどうですか。
  54. 平田辰一郎

    説明員平田辰一郎君) 先生指摘の電気配線、コントロールパネルの変更電気用品取締法上違反しているか否かにつきましては、先ほど申し上げましたように、変更の程度、すなわち型式区分あるいはもう一つは、継続反復して行われるかどうか、すなわちその態様でございますが、これにもよりけりでございまして、一概に結諭づけるわけにはいかないわけでございます。
  55. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 そうすると、結論は出ないけれども、どうも違反の疑いがあるというふうにもとれるのですが、そういう理解でいいのですか。
  56. 平田辰一郎

    説明員平田辰一郎君) 繰り返して申し上げるわけでございますが、型式区分、すなわち変更の程度、それから継続反復、これは継続反復いたしませんと業になりませんから、これにもよりけりでございまして、これが違反というふうには直ちには申し上げるわけにはまいりません。
  57. 高杉廸忠

    高杉廸忠君  大事だから念を押している。じゃ、トランスを変えた場合はどうなんですか。
  58. 平田辰一郎

    説明員平田辰一郎君) トランスを変えましても、トランスが型式区分を変えるものでなければ、これは一概には違反になりませんし、またトランスにつきましても、継続反復してトランスを変えることでなければ業として行うわけではございませんので、違反にはならないという場合もございます。
  59. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それはあなた取締法の解釈を勝手に拡大しちゃいかぬよ。  私の聞いているのは、部長は基板だと言うんですが、基板だけじゃなくて電源から、そういう電圧から全部改造されたものは、これはトランスを変えれば電気用品取締法に違反するのじゃないの。厳格に見ていけばそういうことになるのですよ。そんな拡大解釈して、何も警察庁に迎合しなくてもいいよ。きちっとしないと、これはあなた大変なことですよ。どうなんですか、確認します。
  60. 平田辰一郎

    説明員平田辰一郎君) またまた繰り返して申し上げますが、型式区分という形で考えておりますから、型式区分が変更にならない場合について、型式区分、細かくいろいろ定めておりますけれども、仮にトランスを変更してもそのトランスが型式区分に合致しているものであれば、これは変更にはならないということであります。
  61. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 部長お話は基板交換だと、こう言っているわけですよ。基板交換だけじゃなくて、私が言っているのは電気の配線からコントロールパネルから、こういうものが全部業務用に改造されちゃうのですよ。だからそれは、その機種なるものは、やはり電気用品の取締法からすれば、厳格に言えば法違反になるのじゃないかという疑いがどうも強いのですよ。私はそれで念を押したわけです。  それではさらに進めますけれども、電気部品の広告が業界紙に大変田されているわけですね。この部品は電気用品の製造業者登録を受けた業者に限って使用を許されるべきものであるのですね。それは間違いないですね。それを今度は素人が購入をして改造する、このことは電気用品取締法の違反となるのですかならないのですか。それで、さらにこれを営業用として使用することが前提の場合ですから、営業用として、あなたがさっき言われた反復継続することですから、これはどうなんですか。
  62. 平田辰一郎

    説明員平田辰一郎君) 一素人がゲーム機の電気部品を購入いたしましてゲーム機改造するということは、改造が型式区分を超えるような改造であって、かっこれを事業として継続反復して行わない限り電気用品取締法違反とはなりません。  今先生が御指摘営業用という意味でございますが、これを改造する行為を営業として行うという意味でございまして、改造されたものを営業用に使用するかどうかを電気用品取締法は問うているわけではないわけでございます。
  63. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それじゃ、その機械が仮に改造されたものがどう使われるかは別の問題だと、こういうふうになるわけですね。そうすると、どうもこの間見た機械というのは、あれは改造された機械で、改造することを業としている方々は電気用品取締法の登録あるいは認定を受けた部品でなければならないと、そうですね。その辺を確認しますけれども、どうですか。
  64. 平田辰一郎

    説明員平田辰一郎君) その改造を業としている方がどういう方であるか、先ほど申し上げましたように反復継続して行っていられる方かどうか、その辺につきまして詳細に検討してみないとお答えを申しかねると思います。
  65. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それじゃ、大事な点でありますから、厳格にひとつ検討してください。これは要請します。  それから、警察庁の方に伺いますけれども、どうも健全なゲーム機械が瞬間にしてとあなた言われるように、我々から言うと不健全な賭博機機械変更になってしまうわけですね。これを追求していきますと、どうも新品の機械が直ちにそうなるとは考えられないのですよ、改造するわけですから。その機械はどういう機械なんですか、どういう位置づけなんですか。中古品なんですか。これはどういう機械なんですか。ちょっとそこら辺をはっきりしていただきたいと思います。
  66. 古山剛

    説明員古山剛君) この間ごらんいただいた機械についてのパンフレットがございますけれども、これはソフトを入れかえるだけで新しいゲームが楽しむことができますということで、カセットなども一緒に売っておるわけでございまして、新品か新品でないかちょっとあれでございますけれども、両方とも新品じゃないかという感じがいたします。
  67. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 我々も見て、どうも配線のぐあいなり基板を見ても粗悪なような感じを受けるのです。したがって、粗悪な電気用品についての危険とか障害の発生を防止するための電気用品取締法趣旨から見ると、どうもその目的から見ても、業として行っているものを、私どもはやっぱり厳格にしていかなければならないということを強く感じるのですよ。  そこで部長、そういうものを厳格に取り締まる方法というのはないのですか。
  68. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 電気用品取締法に当たるか当たらないかというものを構成要件として厳格に解釈をしていくということになろうと思います。
  69. 平田辰一郎

    説明員平田辰一郎君) お答え申し上げます。  粗悪な電気用品であるかどうかにつきましては、もちろん電気用品取締法によりまして厳格に監視しているところでございます。
  70. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 これまたさっきの要請と同じように、厳格にひとつ検討をして結論を出してください。お願いをします。  それから、時間の関係がありますから次に進みますが、八場営業遊技設備について伺いますけれども、二条一項の八号において、遊技機械の設置場所として、店舗、店舗に類する区画された施設、こうなっておりますが、一体これは何を指すのか、ちょっと明らかにしていただきたいと思うのです。
  71. 古山剛

    説明員古山剛君) まず店舗でございますけれどもゲームセンターとかゲーム喫茶などのように、ゲーム遊技設備を使用した遊技をさせるための独立した施設を店舗というふうに言うわけでございまして、それから「これに類する区画された施設」とは、例えば旅館業あるいは大規模小売店舗等の施設の中のゲームコーナーのように、三万が遮へい物で囲まれて外部から容易に見通せなかったり、シャッター等で外部と仕切ることができるような一定の区画があって、外に出せば店舗と言えるようなそういう施設を言うわけでございます。
  72. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 二条一項八号の政令の対象について伺いますけれども、この了解事項によりますと、大規模小売店等のゲームコーナーで、賭博少年非行の可能性の少ない営業形態のものについては、この八号の政令の対象とするとしておりますけれども、その対象とすべきものの実態調査してみないと政令の対象となるかどうかもわからない、こういうように思うのですね。実態調査をしているのかどうか、伺います。
  73. 古山剛

    説明員古山剛君) ゲームセンターなどにおきますゲーム機賭博あるいは少年のたまり場になっているかどうかというような、そういう点の調査につきましては、警察といたしましても善良の風俗等を保持する観点から、必要に応じて現在行っているところでございます。
  74. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 政令で規制を緩めたり強化することができるのは、私は問題があると思うのですね。  そこで通産省、どういうふうに考えますか。  それからまた警察の方からもちょっと通産の後で伺いたい。
  75. 石黒正大

    説明員(石黒正大君) お答えいたします。  本改正法の目的から、風俗営業として許可対象としてのゲームコーナーの範囲は、その営業形態から見て、少年のたまり場となりやすく、ゲーム機賭博の行われる蓋然性の高いものに限定されるべきであるというのが基本的考え方でございます。  翻って、大規模小売店舗と称されますショッピングセンター、チェーンストア、百貨店その他の関連業界からの事情聴取によりますと、大規模小売店舗内におけるゲームコーナー等につきましては、一般的に商品販売に付随する家族的サービスのための施設であるということでございまして、その営業時間あるいはその営業形態等から見まして、本改正法の適用対象とする必要がないものも含まれるのではないかというふうに考えておりまして、二条一項八号の政令に規定して適用除外にするということが基本的な考え方でございます。
  76. 古山剛

    説明員古山剛君) 政令で規制を緩めたり強めたりするのは問題ではないかということでございますけれども、ほかに本来の営業がありまして、ゲームそのものを営業にするわけではなくて、またゲーム機が付随的に設置されてそれ自体が目的でない施設というものという考え方が法律の中に示されておりまして、その考え方によって法から政令に具体的に委任されているものでございまして、政令で勝手にその範囲を拡大できるものではないというふうに考えております。  したがいまして、政令で定める除外の対象でございますけれどもゲーム機賭博少年のたまり場となる実態もない、また可能性もないというものを定めることを検討しているわけでございます。  その範囲はさほど変わるものではございませんけれども、施設は今後多種多様なものが出てくる可能性もございますので、法の趣旨に合うのであれば弾力的な対応が要請されるわけでございますし、細目的な事一項であるということから見まして、政令で定めることが適当というふうに考えているものでございます。この政令が法律の具体的な委任の範囲内であることは明らかであるというふうに考えておりまして、その制定あるいは改正社会実態を踏まえて慎重に行ってまいりたいというふうに考えております。
  77. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、パチンコ機あるいは遊技機の基準について伺いますけれども、マージャン屋やパチンコ屋については、当該営業に係る営業所に、著しく客の射幸心をそそるおそれがあるものとして国家公安委員会規則で定める基準に該当する遊技機を設置して営業してはならない、二十条一項、こういうふうにしているのですけれども、ここで言う国家公安委員会規則で定めるパチンコ機などの遊技機の基準とはいかなる内容のものですか。
  78. 古山剛

    説明員古山剛君) 四条三項の規則で言う遊技機の基準でございますけれども射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準は、その性能につきまして一般的な判断基準を定めることとしたいというふうに考えております。
  79. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 射幸心とは、了解事項によりますと、「遊技における技術介入性と偶然性が調和がとれていない等の定性的な基準を規定するに留まる。」、こうしているのですが、これについても大変わかりにくいですね。我々がなかなかわかりにくいと言ったら、ましてや一般国民には大変難解だと思うのです。もっとわかりやすく具体的にここで明らかにしていただきたいと思うのです。
  80. 古山剛

    説明員古山剛君) 例えば偶然性と技術性の調和がとれていない、そして技術公人の度合いが低いとか、あるいは一回当たりの出玉が著しく多かったり、あるいは発射速度が著しく速いといったことについて定めることとしたいと考えております。
  81. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 そういうものもできるだけわかりやすく、同氏の理解ができるようにしてほしい、これは要請であります。  それから、遊技機の基準の内容がたびたび変更されるようなことがありますと、その分業者の負担が増すというふうにもどうも考えられるのです。その辺通産省はどういうふうにお考えになりますか。
  82. 山浦紘一

    説明員(山浦紘一君) お答え申し上げます。  手続あるいは規定の変更等につきましては、当然それに対応する製造業者の対応というものがございますので、それ相当の期間を合理的に決めていただくということになろうかと思います。
  83. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 二十条三項の遊技機の型式に関する公安委員会の認定について必要な技術上の規格を国家公安委員会規則で定める、そういうことにしていますけれども、技術上の規格の検討に際しては、技術開発の遅滞を招くことのないように、第三者の意見を十分聴取することも必要である、こういうふうに思うのですけれども国家公安委員会の規則の制定に当たっての方針ですね、私は第三者の意見を十分聴取してほしいと思っているのですが、どうでしょう。
  84. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 型式の規格は、あくまでも射幸心をそそるおそれがあるか否かという観点から定めるものでございますから、技術革新と相反するものでないと考えておりますけれども遊技機の技術革新が大変著しいという現状にかんがみまして、私どもこういうものの技術上の規格を定めるに当たりましては第三者の意見を十分聴取して尊重してまいりたい、かように考えております。  規則の制定についてもお話がございましたけれども、この点も同じでございまして、遊技機の画一化を汚いたりあるいは技術開発を遅滞させることのないように、運用にも十分配慮してまいりたい、かように考えております。
  85. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 規格とか認定の統一化の方向について伺いますけれども、従来は都道府県にゆだねられていたものなんですね。改正案の二十条で、国家公安委員会が遊技機の規格を定めたり、遊技機の製造業者、輸入業者が遊技機の型式について公安委員会の検定を受けることができるようにした。こういうふうに今度の改正案でしたわけですね。その理由、これは何ですか。
  86. 古山剛

    説明員古山剛君) 委員長
  87. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) なるべく政府委員が答弁してください。
  88. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 現在の施行条例では、設備の基準といたしまして遊技機の基準が定められておるわけでございまして、ほとんどの都道府県では遊技機の入れかえのときに公安委員会の承認を要することとなっております。しかし、同一の機種が大量に流通いたしますパチンコの遊技機等につきましては、そういうことは入れかえの際に初めから一台ごとにチェックをするよりも、機種の型式につきまして認定を行いまして、そして認定を受けた型式にかかわる遊技機と同一かどうかということをチェックした方が合理的であろう、かように考えられるわけでございます。そういうことによりまして、営業者もあるいは遊技機の販売業者もあらかじめその遊技機が基準に適合しているか否かを知ることができるということでございまして、そういうことで大変便宜であるということもありまして、現在ほとんどすべての都道府県で事実上のサービス行為として型式認定を行っておるというような実態があるわけでございます。  しかも、最近のICの進歩というのは、大変激しいもの、著しいものがあるわけでございまして、そういうことから、機械営業所に入りましたときに認定をするというのはなかなか難しいという、そういう問題もあります。そういうことから、やっぱり判断をするには事前の認定が不可欠のものとなっておるという状況もございます。  それで、もう一つどもも問題と考えておりますのは、現在は遊技機の基準が全部都道府県にゆだねられておるということもございまして、一つの県で認定を受けた遊技機が他の県では認定を受けられないというような取り扱いの不斉一も若干見られるところでございます。そういうことから今回の改正案では、全国的に遊技機の基準を統一化して、遊技営業者の便宜のために、さっき言いましたように、営業所に入れかえをする等の際であるか否かを問わずに遊技機につきまして認定を受けることができることとする。これはあくまでも任意の制度でございまして、そういうふうな認定を受けることができることとする。  それからまた、現在、先ほど言いましたように不可欠な制度でありながら、サービス行為としてやっておるという型式認定、これを検定として整備する。これもまた任意の制度でございますが、そういうものを製造業者が受けるような形にして便宜を図っていきたいと、かように考えておるものでございます。
  89. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 その二十条の認定や検定、これは今部長からもお話があったように任意規定であるわけです。そうすると、法律上は認定や検定を受けなくてもパチンコなどの遊技機は問題なく使えるわけですね。どういう理由からこれらの規定を設けることにしたのか、私はちょっとまだ理解ができないのです。  それから、四条三項の許可基準があるため、ここで言う認定や検定を受ける受けない、この関係は余りなくなってくるのじゃないかと思うのですが、これは条文の解釈上どういうふうに理解したらいいのですか。
  90. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 認定や検定というのは、先ほど申しましたようにあくまでも任意上のものでございますけれども、製造業者あるいは営業者等の利便のためにそうした方が便宜であろうということで置いておるものでございます。ただ、こういうふうなものを任意の制度にしておるわけでございまして、実際の判断のメルクマールは四条三項でございます。先生指摘のとおりでございまして、したがいまして四条三項が定めております「遊技機が著しく客の射幸心をそそるおそれがあるものとして国家公安委員会規則で定める基準に該当するものであるときは、」の裏でございまして、結局そういう四条第三項の基準に該当していなければ、当然のことながらその機械は使っても差し支えないというところを残しておくということでございます。
  91. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、指定試験機関について伺いますけれども、二十条五項の指定試験機関、これは新たに設立される法人を考えているのかどうか、それとも既設の法人を考えているのか。既設の法人だとすると、具体的にはどこに、どういう法人に指定試験機関としてゆだねるのか。了解事項では、警察庁の方では「「指定試験機関」に対し遊技機製造業者の地理的利便を配慮するよう指導する。」、こういうふうにしているのですけれども、それならば全国に何カ所設けるのかというような計画があるのかどうか、あわせまして伺います。
  92. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) この法人の指定試験機関としての指定といいますのは、当然のことながらそういう能力なり技術がなければならないわけでございますから、そういう能力があるかどうかということをこれから検討をしなければならないということだと思います。これは現在警察所管の法人の中に、具体的に遊技機以外に既に一定の型式検定等を行っておる、あるいは相当の技術力を有しているという法人もございます。そういうふうな法人が幾つかあるわけでございますが、そういう法人の中でもございますでしょうし、あるいはほかに適当なものがあるかもしれません。そういうふうなものの中で、いわゆる技術と能力というものを十分兼ね備えたものがあるかどうか、この点はまだ指定までに時間的な余裕もありますので、そういうものの能力、技術というものをよく見定めてそうして決めてまいりたい。現在の段階では特にまだ決めてないということでございます。  したがいまして、何カ所全国に設けるかということでございますけれども、これまた法界の御意見も十分明いてみたいということでございまして、そういうふうな風俗営業者や製造業者にとりまして便宜な場所というものが複数必要だということであれば、そういう点を十分御意見を承りながら決めてまいりたいと、かように考えております。
  93. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 了解事項の十について次に伺いますけれども、この第四条第二項第一号において「営業所の構造又は設備が風俗営業の種別に応じて国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合しないとき。」とありますけれども了解事項の十によりますと、本項は善良の風俗等を害さないため、見通し、騒音、ポスターなどインテリアのみに限定されるように、こういうふうに私には読めるのですが、そういうふうな理解でよろしいのですか。
  94. 古山剛

    説明員古山剛君) 了解事項の十でございますけれども現金を入れて現金が出てくるような本来の賭博機は別といたしまして、遊技結果が定量的にあらわれたりあるいは勝敗が決し得るゲーム機であれば、ポーカーゲーム機であろうとインベーダー機であろうと射幸心をそそるおそれは同じでございます。したがいまして、ゲーム内容によって設置を認めるものと認めないものとの区別はしないことといたしまして、これについて基準を設けないことを確認したものにすぎないわけでございまして、それ以外の趣旨ではございません。
  95. 高杉廸忠

    高杉廸忠君  さらに伺いますが、それなら「技術上」というのは機械そのものの内容まで含むのではないですか。もし十のとおりゲーム内容についてまで定めるものではなく、インテリア関係に限定されるというならば、ゲームの性格上外部との隔離性を必要とするゲーム、例えばドライブゲームなどは個室に近い構造物の中で行っているわけですから、こういうものの取り扱いというのはどういうふうになるのですか。具体的にひとつ明らかにしていただきたい。
  96. 古山剛

    説明員古山剛君) 「技術上」という言葉で機械そのものを除いているというものではございませんで、了解事項十はゲーム内容についての基準は設けないということを確認したものにすぎないわけでございまして、機械については、例えば現金を入れて現金が出てくるような本来の賭博機は赴いてはならないという、そういう基準を設ける予定でございます。  それから、ドライブゲームお話がございましたけれどもゲームセンターなどにつきましては本来の賭博機を禁止する基準を設けるほか、パチンコ屋あるいはマージャン屋等と同じような基準を設ける予定でございまして、したがってこの基準に従って判断することになるわけでございますけれども、現在ゲームセンター等に一般に設置されておりますドライブゲーム等は見通しを妨げたりするほどのものではございませんので、これらのゲーム機を殊更に見通しを妨げるように配置するなどの場合は別といたしまして、通常は構造設備の基準を満たさないというようなことはないというふうに考えております。
  97. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 そこで通産省、さらにちょっと伺います。  じゃ今説明があったものを進めていくと、ゲーム内容がインテリア上の構造と不可分なゲームが開発された場合、その辺の区分があいまいですと、将来この種のゲーム機械の開発研究、ここに大きな障害になると考えるのですけれども通産省はどういうふうにお考えになりますか。
  98. 田辺俊彦

    説明員田辺俊彦君) 先生指摘いただきましたように、今後テレビスクリーンの大型化等に伴いまして、ゲーム機も非常に大型化していくことが予想されているところでございます。ドライブゲームなど、個室に近い構造物が出現することも考えられるところでございます。これらについて現在、御指摘の問題との関係でございますが、設置方法一つの制約が出るかと思います。しかしながら、例えば大型機と並べて壁をつくらない配慮をするというような形で、設置構造基準に抵触せずに新しいゲーム機の開発を考え得るということが可能であろうかと考えております。
  99. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それじゃ第四条二項一号において、「営業所の構造又は設備が風俗営業の種別に応じて国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合しないとき。」と、こうあるのですが、本了解事項の十によれば、善良の風俗、こういうものを害さない見通し、そういうことになって今のお答えになりますから、それをさらに進めていきますと、今度は法五条、そうして了解事項の十一、十三、これに関連するのです。  そうすると、法五条において風俗営業者の許可申請、この提出が義務づけられているわけですが、今回の改正においてはゲームセンターも対象に入ることになっているのですね。そうすると、一項四号の「営業所の構造及び設備の概要」ということはどのあたりまで言うことになるのですか。ここを具体的にちょっと明らかにしてもらいたいと思うのです。どちらなんですか。
  100. 古山剛

    説明員古山剛君) 「営業所の構造及び設備の概要」といたしましては、構造設備の基準を満たしているかどうかを確認するために必要な程度のものを言うわけでございまして、ゲームセンター等につきましては、具体的にはゲーム機の型あるいは防音装置の有無の概要、客室の面積、照明器具の概要、それから客室のレイアウトの概要、そういったものでございます。
  101. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 その営業所の構造及び設備の概要で「極力簡便」、こういうふうに言われているのですが、具体的にこの「極力簡便」ということはどういうことなんですか。
  102. 古山剛

    説明員古山剛君) これは構造設備の概要の記載事項をこのように必要最小隈のものにとどめるという趣旨でございます。
  103. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 この了解事項の十三で「遊技設備変更は、通常の場合、届出で足りる。」ということになっていますが、この「通常の場合」というのはどういうことなんですか。
  104. 古山剛

    説明員古山剛君) 了解事項の十三は、ゲーム機変更は通常の場合は届け出で足りるという旨を確認しているものでございますけれども先生お尋ねの「通常の場合」でございますが、営業所内の見通しとか防音装置の必要性などに影響を及ぼすような大規模な変更、例えばゲーム機を大量に増設するというような大規模な変更以外の場合を言うわけでございまして、ほとんどの遊技設備変更は「通常の場合」に該当するというふうに思っております。
  105. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それでは、進んで、十四について伺います。  パチンコ店、ゲームセンター等においては内部設置機械の入れかえというのは日常的なことであるのですね、御承知のとおりに。この点についても他の風俗営業と大きく異なっていると思うのです。このような設備の変更、これは事後一定期間にまとめて届け出を行えばよい、こういうことですけれども、第一にこの一定期間とはどのぐらいになるのですか。第二に、レイアウトに係るような大きな変更の場合、どのような手続が必要であるのか。それから三つ目は、もし承認事項となった場合、軽微な場合との区別、これを十分に周知徹底させる必要がある、こういうふうに考えるのですけれども、今の三つの点について具体的に明らかにしていただきたいと思います。
  106. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) ゲーム機の入れかえ等の届け出につきましては、業者の方の過度の負担にならないように、一カ月以上の一定期間にまとめて届け出ればよいということにしたい、こう考えております。具体的に何カ月にするかというのは、一つ実態の把握ができる程度の期間ということでなければいかぬと思います。それと業者の利便ということを兼ね合わせていかなきゃなりませんので、この点につきましてはさらに業者の御意見も聞いて定めてまいりたい、かように考えております。  それから、大変店のレイアウトに係る大きな変更ということに関しましては、これはあらかじめ公安委員会の承認を受けていただくということになるわけでございます。だから、先生指摘のように、その承認事項と届け出の関係を明確にしていかなければならないということは、私どもの方もそう受けとめておりまして、業者の御意見を十分聞きながら総理府令を明確に規定していきたい、また業者の方々にも周知徹底してまいりたい、そういう形で都道府県警察を十分指導してまいりたい、かように考えております。
  107. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 今までも論議をしてきましたように、ゲーム機器はソフトの入れかえだけで全く異なったゲーム機となる可能性がある、こう言われてきていますね。そこで、機械本体の入れかえについては届け出を行う、ソフトの入れかえについては届け出が必要でない。どうもその辺が首尾一貫しないと私は思うのですね。このゲームセンター内のレイアウトには大きな変更がない場合、事細かな届け出というものは不要だと思うのですよ。これらについてはどうなんですか、首尾一貫しない点もあるし、何か必要でないものをやるというようなことにも聞こえるし、その辺がちょっと整理をしていかなければならないと思いますが、具体的にひとつそれぞれ整理をしてお答えいただきたいと思います。
  108. 古山剛

    説明員古山剛君) 機械本体を入れかえた場合には、それが現金を入れて現金が出てくるような本来の賭博機ではないかとか、あるいは新たな防音設備を必要とするほど大きな音を出すものではないか、あるいは内部の見通しを妨げるものでないかなど、構造設備の基準を満たすものかどうか実態を把握する必要があるわけでございまして、このことはレイアウトを大きく変更するものかどうかにはかかわらないものでございまして、届けてもらう必要があるというふうに考えております。これに対しまして、ソフトの入れかえは今申し上げましたような把握を必要としないものでございまして、届け出は必要ないというふうに考えているわけでございます。
  109. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 さらに十五について伺います。  管理者について法二十四条で、風俗営業者は管理者を置く、このことが義務づけられているんですね。三項の「助言又は指導」とは、具体的にどういうことをいうのですか。
  110. 古山剛

    説明員古山剛君) 管理者がその業務として行います助言あるいは指導でございますけれども風俗営業者やその代理人あるいは使用人、それからその他の従業者が風営法やあるいは売春防止法、刑法などの規定を遵守して業務を行うのに必要な範囲のものをいろいろというわけでございまして、具体的には、これらの法令の内容というものを従業者に教養し、あるいはその遵守を促したり、これらの法令の趣旨を従業者の間に徹底させたり、あるいは法令違反にわたるような行為が行われるおそれがある場合には、これを未然に防止するために、営業者や従業者に対して注意を喚起したりするというようなことで、営業者に対しては助言をする、従業者に対しては指導を行う、そういうようなことをいうわけでございます。
  111. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に了解事項の十五、「管理者の業務の内容は、風俗営業の業務の適正化のため必要な範囲に限る。」と、こうしてあるのですけれども、「適正化」とは何についての適正化なんですか。この辺がちょっとあいまいであると思うのです。結局、すべてが適正化という範疇の中に入ってしまうと考えるのですか。具体的にはどこまでがどういうふうな適正化と考えるのですか。具体的にお答えをいただきたいと思います。
  112. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 業務の適正化と申しますのは、この風俗営業というものにつきまして、善良の風俗を保持する、それから清浄な風俗環境を保持する、また、少年の健全な育成を阻害する行為を防止するという、そういう本法の目的を達成する上で問題がないようにしょうと、こういうことでございまして、そういうことによって公共の福祉に適合するようにしていこうということでございます。したがいまして、いわゆる営業の振興という問題は含まないと、かように考えておるものでございます。
  113. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 衆議院審議の六月二十八日のところを見ますと、ゲームセンターが少年のたまり場とならないように、また賭博が行われないようにということで鈴木さんも答弁されていますが、営業者側が、客である青少年に強い指導を行い得るということは期待できるかどうか。結局だれか外部の人が、例えば言い方は悪いのですが、警察OBの方が幾つかのゲームセンターの管理者を兼務するという結果になるのじゃないかと思うのです。この点を含めまして管理者の性格、職務を明らかにしていただきたいと思います。
  114. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) この管理者の制度は、風俗営業の自主的な適正化を期待していこうと、こういう見地から現在も条例であるわけでございますが、これを営業所ごとに、当該営業所の業務を実際に統括管理する者の中から選任していこうと、こういうものでございます。そして、その者に業務の適正な実施を確保するための必要な業務を行っていただくということにしたものでございます。したがいまして、管理者はあくまでも営業者の使用人でございまして、そしてその業務を実際に統括管理し、営業所における業務の適正化を自主的に図っていこうということを考えておる、そういう立場の人でございます。  職務につきましては、営業者に対しましては助言をしていく、従業員に対しては必要な指導をしていくというようなこと、あるいは職務の内容といたしましては、構造設備を維持点検していくあるいは従業者名簿を適正に管理していくというようなことを行うことになると思うわけでございます。したがいまして、専ら営業所の内部の、対内的な関係におきまして、業務の適正な実施を確保していこうという活動を行うことを主眼としておるわけでございまして、青少年の客に対する注意等は、これは管理者特有の問題ではないわけでございまして、そういうことで、これは管理者としてもともとできる範囲で行っていただければよいということでございまして、格別にこれの専門の人間を置くとかというような必要性はないと、かように考えております。
  115. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それでは十七について伺います。  テレビゲーム業界は、ソフトウエアも含めまして、御承知のとおりに一千億円以上の売り上げを有する産業である、輸出も積極的に行われていると聞いているのです。このような発展を見る原因になったものは、喫茶店とか旅館、だれでも入れるような場所にゲーム機が設置されたりとかが大きな原因だと考えるのですけれども、今回の改正で旅館業は除外をされていますけれども、健全な喫茶店でもテレビゲーム機が設置してあるということで風営の対象となる。となれば、手続や規制が極めて煩わしいことになってゲーム機を外そうという結果にもなりかねないと思うのです。で、需要の減退を生ずることにもなると考えるのです。  健全なゲーム機がテーブル台数の全体に対して一定の比率の割合で設置されている、かつ十時ぐらいで終了する喫茶店、これは健全な喫茶店と言えると思いますから除外してもいいのじゃないかと、こう思うのです。それから、少なくとも立ち入りについては除外してもいいと私は考えるのですが、いかがですか。
  116. 古山剛

    説明員古山剛君) 先ほどからも申し上げておりますように、ゲーム内容が健全かどうかということについては、そのゲーム賭博に用いられるおそれがあるかどうかということとは別の観点から考えなければならない問題だというふうに思っているわけでございまして、私どもといたしましては、したがいまして定量的に遊技結果があらわれるものとかあるいは勝敗が決し得るゲーム機については、これを対象として考える必要があるというふうに思っているところでございます。  御指摘のような喫茶店でございますけれども、これが二条一項八号にございます「店舗その他これに類する区画された施設において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業」に当たるかどうかは、賭博の行われるおそれという観点から考えまして、遊技をさせる場所の同一フロア内に占める割合が一定以上であるかどうか、また密室性があるかどうかによって決まる問題というふうに考えております。
  117. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 先ほど私も具体的に申し上げました。除外してもいいのじゃないかという意見を申し上げたわけでありますから、これらについてもひとつ善処していただきたいと思うのです。  今回の改正は、性風俗の規制という主な目的に、従たる目的として青少年の非行化防止、こういう目的を結合させた。ゲームセンターにその矛盾が集約する結果になったのではないかと考えるのです。ゲームセンターは、その性格上、賭博性を有するゲームより、むしろ技術向上、そういう欲求を満足させることが可能なものや、機械を見ても、敏捷性や持久力を必要とするゲームが大半である、こういうふうに思うのです。これらのゲームは技術がほとんどの割合を占めるために、その性格上、他人とのコミュニケーションが絶たれるため、通常いわゆるたまり場、こういう概念とはほど遠いのじゃないかというふうに考えるのです。むしろ今のように暑い時期に縁台将棋の周辺に群がる観衆に近いものであって、私はむしろ健全なものである、こういうふうに思うのです。したがって、今申し上げました二つの目的の遂行のためには、むしろゲーム機を非コミュニケーション型すなわち賭博型、それからコミュニケーション型すなわちスポーツゲーム、こういうように区分して、前者に限定した方が実効も上げやすい、こういうふうに考えるのです。  そこで大臣、終始もうずっと一時間半以上お聞きになったと思うのです。今いろいろな問題がありました。そして、青少年の非行化防止もいろいろ指摘されました。しかし一方、健全なゲームとして、非常にそれは伸ばさなければならない一面もあると思うのです。大臣どういうふうにお考えになりますか、ちょっと所見を伺います。
  118. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) 青少年の健全な娯楽を少しでも、何といいますか、維持していくということは大切なことではないかと思います。しかしながら、今回のこのゲームセンターなどの一連の規制につきましては、大変周囲の環境が悪いところにこうしたものが置かれたり、あるいはそこが、先ほど来お話しのように、少年のたまり場になって、そこからいろいろな非行が生まれてくる、こういうようなことでございます。そういう意味で今回のような規制になったわけでございまして、決して青少年の健全な娯楽を抑制するとか、そういうような性質のものではないのでございまして、あくまで青少年の健全な育成をむしろ維持していく、そういうことのための措置の一環である。  もちろん、これまでしばしば申し上げましたように、それだけで青少年の健全育成を図ることはできないと思います。ただ、警察としても、その警察の立場から青少年の健全な育成の一翼を担っていかなきゃならぬ、その責任の一端を果たしていかなければならない、これが今回の改正でございますので、どうぞこの点は十分御理解をしていただきたいのでございます。
  119. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 大臣、私も具体的に今も提言をいたしました。機械としても非常に紛らわしいですから、二つにきちっと分けて、一方はやっぱり技術革新も含めて、どんどんテレビの普及あるいはME化に向けての社会情勢、そういうのに合わせたゲーム機というのは当然また開発されてくるわけですから、そういうふうにきちんと区別をして、わかりやすくして、そしてしかも産業が伸びることにも、青少年の健全育成の方にも向けていくというようなことは、私の具体的な提言ですから、尊重をしていただきたい、これは要請をするところです。  それから通産省、最後になりますが、「国家公安委員会規則の制定又は改廃のときは、必要に応じて通商産業省に通知し若しくは協議し、同省は意見を述べることとする。」、こういうふうに最後にあるのです。この「必要に応じて」ということは、これは警察庁と両方からお聞きをするわけですが、どのような場合なんですか。  それから特に警察庁に伺いますが、今まで申し上げました幾つかの問題点もあるし、機械上の電気用品取締法の問題もあるから、できるだけ通産省の意見というものを十分反映されるべきだと考えるのです。警察庁の見解も後で聞きます。
  120. 綾部正美

    説明員綾部正美君) 我々といたしましては、通産省所管と思われる事項につきまして、それに係る国家公安委員会規則の制定または改廃の動きがある場合については、当方に通知もしくは協議があるものと了解しております。
  121. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 今、通産省がお答えになったとおりでございまして、通産省の所管する事項と関連があると認められる場合を指すというふうに考えております。今、先生からまた御指摘がありました。通産省の意見を十分反映させるべきだ、こういうことでございますが、私どももできる限り通産省の御意見を十分聞いて尊重してまいりたい、かように考えております。
  122. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 国家公安委員長、要請であります。  今それぞれ通産省からも警察庁からもお話がありましたとおり、論議をしていまして、通産としても大変難しい問題を抱えていると思う。私も提言しました、機械の問題でも。大臣、通産省のいろんな意見を十分聞いて、今後の運営についても厳格にやっぱり対処していただきたい。通産に対する了解事項について大臣からひとつ、公安委員長でもありますから、コメントをいただきたい。
  123. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) これの運営を図っていくには各省といろいろな円満な運営をしていかなければできないと思います。そういう意味で、通産省を初め各省との了解事項は忠実に守っていく、このように指導をしてまいりたいと思っております。
  124. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 限られた時間でありますから、以上で通産関係了解事項については終わって、厚生省の関係で以下伺いたいと思うのです。  まず、地域規制の問題について伺いたいと思うのです。  現行法の第四条の四、「個室付浴場業の規制」、この第二項の規定によって、都道府県が条例により、地域を定めて、個室付浴場の営業を禁止することができるとあることに関連をして、新法の二十八条の二項の解釈として、全県的な営業禁止ができるかどうかという問題をめぐって、先般当委員会では、寺田委員警察当局との質疑が行われました際でも、寺田委員の方は、地域を定めてとこう言っているのですから全県の規制対象に禁止区域とするのには無理があるだろう、こう言っているのですね。ところが保安部長は、現在全県規制をしている県が七、八県ある、したがって新法の解釈として同じである、こう答弁しているのですね。対立のままなんですよ。そこが持ち越しになっているのです。もう少し、これは大事な点でありますから、基本的な点でありますから、政府の考えを、公安委員長でありますし自治大臣でもありますから、田川大臣の方からお聞きをするのです。  第一に、今回の改正案では、風俗関連営業として個室付浴場業、ストリップ劇場、ラブホテル、モーテル、類似モーテル、アダルトショップその他政令で定める性風俗に関する営業が含まれることになっていますけれども、政府はこれらすべてについて、二十八条二項の規定に基づいて、条例によって全県的な営業禁止区域の設定ができる、こういうふうにお考えですか。まずその辺を、基本的な問題でありますから大臣の方からもお答えをいただきます。
  125. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) まず先にちょっと。  二十八条の禁止地域でございますけれども、これは、こういう風俗関連営業が営まれることによりまして地域におきまして風俗上の問題を起こし、少年に悪影響を与えるおそれがあり得るので、ここに書いてございますように、「善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるとき」は、その必要がある地域において営業を禁止するものとしている地域になるわけでございます。そして、この必要性がある地域と申しますのは、都道府県の議会において判断をしていただくわけでございます。それがそういうふうに必要性を十分判断をされた上で、その結果として県下の全域に及ぶという場合にそれを許さない趣旨ではない、こういうふうに考えておるわけでございます。  また、個室付浴場業についてのお尋ねでございますけれども、この法律案はいろんな風俗関連営業対象に入れておるわけでございますから、そういうふうな風俗関連営業すべての対象について全県禁止になるということは予想されないのではないか、かように考えております。
  126. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) 地域規制を条例に委任している場合には、各都道府県の実情に応じて、合理的な事由が存在する範囲で規制をしていきまして、その結果が全県的に禁止となりましてもこれは違憲の問題にはならないと思っております。しかし、この規制についてはやはり慎重に対処していかなければならないと思っております。
  127. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 現行法では、個室付浴場は地域規制営業停止です。モーテルは地域規制をしているのにすぎないのです。また、ラブホテルなどには何ら規制がないのですね。ところが、今回の改正規定ではこれらをすべて含めて風俗関連営業として、地域規制のみならず客引きの行為の禁止、それから十八歳未満の者の立入禁止、それから広告、宣伝の規制、善良の風俗等を害するような行為を防止するための公安委員会による指示、これらに違反した場合の営業停止、停止処分に従わなかった者の罰則、従業員名簿の提出など、こういうものが規定されているのですね。つまり、現行法に比べて非常に厳しい規制が法律で定められようとしているわけです。  ところが、全県的な営業の禁止、これが条例によりできるということになると、どうもその法改正の規定が生かされないのじゃないかというふうに思うのです。法律以上の厳しい規制が条例でできるということになると思うのですね。その点どう考えても我々にはその関係が、これは大臣から今御答弁いただいたのだけれども、法律以上の規制が条例でできるのでしょう、各県で全県的に禁止できるのだから。そうすると、本改正法案というものとどういうふうに――条例の方が厳しくなってしまうじゃないか、全県的に禁止ですから。どういうふうな見解なんですか。
  128. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 改正法案では、地域の実情に応じまして条例で地域規制の範囲を定めることとしておるわけでございます。仮に都道府県が必要性を判断いたしまして全県禁止となりましても、届け出がありますと、既存の業者につきましてはその範囲で営業ができるということになっておるわけでございまして、ここで規制をしております規定の意味は当然あるというふうに考えられるわけでございます。  そもそも地域規制といいますものは、これは先ほども説明申しましたように、法律が条例に委任をしているものでございまして、条例が法律以上に厳しい規定をしているというのとは違うわけでございます。法律があくまでも条例に委任をしているその範囲内で条例が決めていくということになるわけでございまして、条例が法律以上に厳しくなるというふうには言えないと思います。
  129. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 ちょっと大事だから念を押すわけですけれども、法律による規制はその規制に従わなくてはならない、当然ですね。こういう営業の自由の制限が課せられるわけですね。ところがその反面、規制の範囲では営業の自由が保障される、こういうことだと考えるのです。ところが、それが条例で全く全部ため、こういうふうになるわけでしょう。どうもそこのところが私はどうしても納得いかぬのですよ。そうでしょう。大臣どうですか。
  130. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) 前提として、風俗関連営業に示されたいろいろな業種は、これは一般的には健全化に役に立たないというよりもむしろ認められない営業ではないかと思うのです、一般的にはですね。そういう中に認められるものもあるという、そういう前提でお考えになっていただかなければならないわけで、例えばトルコぶろを一つとりましても、証拠はないけれどもそれが売春をしておるというようなものが随分多いということでございまして、一般的には認められない、しかし営業の自由からいって、証拠も十分ないものをこれを認めないというわけにもいかない、そういう中で規制をしているということで御理解をしていただきたいのでございます。
  131. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 どうもわからないな。
  132. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 関連。  これは寺田質問でも議論になったのですけれども、例えば八県で全県規制やっています。ところが、これは二百メーターということになっています。恐らく吉原方式を是認する、公娼制度をね。こういう前提に私はなっていくのじゃないかと思うんですが、その八県の場合には、この条例と法律規制との問題が必ず私は出てくると思う。そこら辺について大臣はどういうふうな理解をしているのか、警察庁はどういう考えか。
  133. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 地域の規制は二十八条の一項と二項があるわけでございまして、一項は、佐藤先生指摘のように、二百メートル以内の区域において営んではならない、これはどういう地域であろうとそういうふうなことで二百メートル以内の区域ではやってはいけない、こういう規定がまず一つあるわけです。これはこれとしてありまして、さらにこういうふうな「都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、条例により、地域を定めて、風俗関連営業を営むことを禁止することができる。」ということで、今度はこれは二百メートルとか何とかということじゃなくて、もうこういう地域は禁止をいたしましょうということで、それが条例でもって決められる、こういうようなものであるわけでございまして、一項と二項の性格は違うということでございます。  そうして、先ほども説明申しましたように、その必要性、この二項のこういうふうな善良の風俗等を防止するため必要があるかどうか、そういう判断をして、そうして条例でそういう地域を定めていく、それが仮にそういう必要性を十分判断した上で全県的な規制になっていくということがありましても、それは問題がないと、かように申し上げておるところでございます。
  134. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 これは条例ではありませんが、例えば武蔵野市で要綱の問題が起こって、法律がそれを優先するということで裁判で負けましたね、地方行政側が。これは要綱の問題ですが、私は恐らく業者としては法律を盾にして、全県地域でも二百メートル範囲外はいいじゃないかと、こういう争いになってくると思うのですよ。そこら辺のことはやっぱり当然予測される内容の条文になっていると思うので、この問題についてやっぱり大臣としてきちっとしておかないと今後の問題が起こってくると思うのですが、いかがですか。
  135. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 今の法律と条例の関係、これは現行法改正案と特に違いはないわけで、違うところは、現行法は個室付浴場業に限定をしておるわけですが、今回の改正法案では風俗関連営業ということになっておる。その点が違っておるわけでありまして、条文そのものの解釈といたしましては現行法と変わりはないと、こういうことになります、対象が多少広くなったというところはもちろんあるわけですが。  そこで第一点の、法律の規定を超えて条例で規定をする、制限をするということになればもとよりこれは違法でございますけれども、この場合は地域を定めて条例で規定をする、決めるということで、現行の法律と全く変わりはないわけでございます。  そうすると、現行法の解釈いかんと、こういうことになると思うわけでありますけれども、地域を定めて制限をする必要があるかどうかということは、この場合は県の条例でございますから、専ら県で当該県における実情を見て決定をする、そのことが、さかのぼりますと憲法で言う営業の自由を公共の福祉で制限をするということに、憲法レベルの考え方としてはなるわけでございますから、何が営業の自由を制限できる公共の福祉であるかという判断を県の条例をつくる場合の県議会で考えると、こういうことになるわけでありまして、定めたその地域が一部の地域である場合と全部の地域である場合と両方を含むというような法律解釈になるわけでありますから、法律の字句上の解釈といたしましては、地域という意味は一部の地域並びに全部の地域を含むと、こういうふうになるわけでありまして、あと問題は、その決めることが合理性があれば公共の福祉の中に入りますけれども、合理性をはみ出してしまいますと公共の福祉から外れますから、営業の自由を制限することはできないと、こういうことになるわけでありまして、あとは専らその内容が合理性を持っておるかどうかということでありまして、それは県の実情とそれから規制をしておる内容と、両面から判断をしていくということで、ただいまのところでは、現行法では、全国八の府県でその必要ありという判断をされて全県禁止と、こういうことになっておるというように理解をしておるわけでございます。
  136. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと関連しますがね。  これはずっと議論しているのですが、二十八条の一項では、こういう施設は「障害を及ぼす行為を防止する必要のあるものとして」という表現なんです。したがって、こういう施設は障害を及ぼす行為を防止する必要のあるものというふうにもう認定している。だから、あなたがしばしば答弁されますように、この種の関連営業、トルコぶろとかそういうものは、もうできるなら全面禁止したいという立法政策があるわけでしょう。ここの第一項でははっきり言っているのです。こういうものが「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する必要のあるものとして」一これは防止する必要あるものとしちゃっている。そこでここはだめだぞと一項で言っていますね。ですから同じように当然、ここもだめ、あそこもだめと言われれば、これはみんなだめになるわけです。したがって、二項でその判断を県に任しているわけですね、条例に任しているわけでしょう。  ですから、ただ普通に読みますと、「地域を定めて」というのはどう見てもこの地域というふうに限定されるというのが普通の法律の読み方だ。しかし、こんなものできて喜ぶところはないのですから、いらっしゃいというところはないのですから、これはみんな断りますよ。断っていきますから、やっていけばどこでも禁止になりますよ。しかし、我々にどうしても疑念が残りますのは、法の趣旨の「地域を定めて」というのはある特定の地域のことで、地域の寄せ集まりが全部という解釈をするのは少し無理があるという意味で、今度この法律ができた後で、現行法もそうですが、全県規制をしたらどんどんと最後まで打っちゃって、一番天井の方で、その条例違法と、こう言われたのじゃ元も子もなくなるので、この規定で大丈夫か、この規定で嫌なものは全県禁止できるかということを念を押しているわけです。  皆さんの解釈は、長官は、いわゆる公共の福祉との兼ね合い、合理性の問題と言うんですが、第一項はこの施設から二百メートルの区域内は公共の福祉のために営業を全面規制するのですから、同じように、そういう必要性を地域の住民は全部感じますよ。何も学校の隣ばかりじゃなくて、おれの住んでいる隣は嫌だ、こう言うに決まっていますよ。ということになるとこれは全県になる。現にまたそういう政策をとっている自治体もある。自治体にはこの風営法とは別に、自治体固有の任務からいってそうする任務を持っておるというときの障害になりませんか、この二項は、ということを聞いているのですよ。もう一度……。
  137. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 一項の方は学校その他、これはいわば絶対的禁止、あとのところは、それ以外の地域はその県が県の実情等を十分勘案して御判断いただく、その余地を法律はここでは残してある。その判断の結果、一部地域だけ規制するという考えもあるでしょうし、あるいは本当は全部禁止したいのだけれども一部だけにしておきましょうというようなこともあるでしょうし、やっぱり全部禁止した方がいいというように自治体としての県がお考えになるという場合に、この法律はそれは違法としておるわけではなくて、それは県の御判断にお任せしましょうというのがこの法律の趣旨であるというように私たちは考えておるわけでございます。
  138. 志苫裕

    志苫裕君 それ、ちょっと念を押しておきますが、衆議院の記録、ここの記録、ずっと見ますと、実は鈴木さんの答弁が、地域を定めてとはやっぱり特定の地域、ここの一項で言う趣旨で言えば、二百メートル以内はだめ、五キロ以内はだめ、何々のそばはだめというふうなニュアンスで最初の御答弁がありました。しかし、現状は全部とめているよという話が出て、とめたら条例が法律違反になるかというふうなことまで出て、だんだん答弁なさっているうちに、一部の寄せ集まりは全部である一何か算術みたいな話だね、こういうふうになってきたので、これは危ないな、皆さんここで答弁していることは裁判へ行ったら自治体が負けやせぬかと心配になって聞いているのです。この点はもうちょっとはっきりさせてください。
  139. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 私がいろいろお答えをいたしておりますのは、「必要があるときは」というのを、やはり条例を県の議会が判断される場合にも慎重に判断をすべきであるということを申し上げておるわけでございます。そういうことで慎重に判断をする。「必要があるときは」という要件を慎重に判断するということを申し上げておるわけでございます。その結果として地域が広がってまいりまして、あるいは全県禁止という形になるということまでを法律は禁止をしていないということを申し上げておるわけでございまして、私の答え方は終始一貫しておる、こういうふうにお答えしておきたいと思います。
  140. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 まことに残念ですけれども、時間がなくなりましたから、これは厚生省との了解事項についてもっと具体的に、たくさんの問題抱えていますから、時間が許されるならば論議を深めたいと思いましたが、時間になりました。  そこで、最後ですから、公安委員長、それから長官にも私は一つの要請をも含めて申し上げます。  御承知のとおりに、我が国は昭和二十一年、長年にわたる公娼制度を廃止して、さらに三十一年五月には売春防止法、これが制定されたわけです。人間としての尊厳、これを害し、性道徳に反して社会の善良の風俗を乱すものとして禁止されたわけなんですが、売春は追放されるどころか多様化、潜在化、巧妙化をして、増加の傾向さえ示している。これが現状なんです。特にトルコぶろと言われる個室付浴場業については、厚生省の資料によりましても年々増加しているわけです。昭和五十七年十二月三十一日現在で千七百十三カ所、大変な数になっておりますし、業態は御承知のとおりに売春の温床と化して、そのほとんどがそこで役務を提供する女性に対して管理売春、人身の拘束、搾取が日常化しているのが実態である。憂慮すべき状態なんです。トルコぶろの存在を認めることは、先日も刈田先生からのお話がありました、あらゆる形態の婦人の売買及び婦人の売春からの搾取を禁止するすべての立法を含む適当な措置をとることを定めた、婦人に対する差別撤廃条約第六条に明確に違反をする国際的にも恥ずべきものであって、人間思想の歴史の流れにも明らかに反するものである。私はこういうふうに考えます。  そこで大臣、私どもはここで改めて申し上げるのですが、私ども野党が今回提案をいたしました公衆浴場法の一部改正案、これが成立することによって売春がなくなるための一歩前進になる、このように私どもは評価できるのです。ところが、なかなかこれが前進をしていないのがここ数年であります。大臣、どこにそのネックがあるか、そして今申し上げました趣旨として、やはりこの際国際的にも我が国が誇り得る、売春のないきれいな社会、明るい社会、こういう善良な風俗、清浄な環境、こういうものが社会環境として打ち出される、こういうことでなければならないし、そのための今回の法改正だろう、こういうふうに思うのです。  最後に、公安委員長であり自治大臣であります大臣からコメントをいただき、長官からもあわせ所見を伺って、大変残念ですけれども、次回十分なまた論議をしたいということもあわせ希望を申し上げ、私の質問を終わります。
  141. 田川誠一

    ○国務大臣(田川誠一君) 高杉さんが御指摘になりました売春が随分はびこっているというようなことは、私どもとしても大変恥ずかしいことでございます。特に婦人差別の撤廃が世界的に強調されるような時代に、日本にトルコぶろを中心としたこうした施設がいまだに残っているということは残念でございます。そういうようなことを少しでも何とか改善をしていかなければならないということが今回の風営法の一端でもございまして、私どもは今後もそうした点を十分わきまえて法の運営を果たしていきたいと思っております。  売春の防止を果たしていくにはどうしたらいいかというのはなかなか難しい問題でございますが、私はやっぱり男性が売春に応じないという、そういう世の中になればこういうようなものはなくなってくるわけでございまして、むしろ男性の責任ではないかと私は考えておるわけでございます。
  142. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 風俗営業関係はなかなか難しい問題を含んでおるわけでございまして、現行法を活用し、大いにその取り締まりに努力をしておるところでございますが、今日その改正の必要に迫られるというような実情に立ち至ったわけでございまして、私たちといたしましては、この改正法案に盛られましたところを踏まえまして、十分その運用に配意しながら、善良の風俗、そして青少年育成に害となる行為の排除等に努めてまいりたいと考えるわけでございます。
  143. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時七分休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会
  144. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として弁護士津田玄児君、全国少年補導員協議会会長和田謙寿君、新宿新宿保健所衛生課長土谷尊宏君、日本キリスト教婦人矯風会幹事高橋喜久江君、以上四名の方々の御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、皆様方には極めて御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。心から御礼を申し上げます。  本案につきまして、皆様からの忌憚のない御意見を拝聴し、本案の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  なお、議事の進行上、参考人の方々にはそれぞれ十分程度御意見を順次お述べ願い、陳述がすべて終わりました後に、各委員質疑にお答えを願いたいと存じます。  また、発言の際はその都度委員長の許可を受けることになっておりますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。  それでは、まず津田参考人にお願いを申し上げます。津田参考人
  145. 津田玄児

    参考人(津田玄児君) 御紹介いただきました津田でございます。  私の所属しております日本弁護士連合会では、きょうお手元に差し上げております「風俗営業等取締法の一部を改正する法律案に関する要望書」という要望書をつくりまして、衆議院段階からいろいろとこの法案につきましては人権上極めて大きな問題が残されているのではないか、その点について十分御審議をいただきたいということで要望をしてきたわけでございます。衆議院では十二項目にわたりまして附帯決議がなされている。かなりいろんな問題があるということの御指摘があるようでございますし、このことは私ども指摘をしております問題が決して私どもだけの考えではないということではないかというふうに考えております。  私は、きょうは主としてこの要望書を踏まえながら少年の育成の問題について意見を述べさせていただきたいと思います。  要望書の三ページの裏あたりに「目的規定の新設」というところがございますけれども、御存じのように、この法律は元来風俗営業取り締まりを目的としていたはずでございますけれども、今回の改正は、善良の風俗と並んで少年の健全育成に障害を及ぼす行為の防止を目的として掲げ、結局は非行対策に直結する法という位置づけを与えられたのではないか。そして、そのために少年を取り締まる警察活動の範囲を大きく広げる、こういうことになったのではないだろうかということを心配しているわけでございます。  少年につきましての補導といいますのは、少年の保護であって決して取り締まりではない、こういうふうに御説明いただいているわけでございますけれども、例えば現実に運用されております青少年保護育成条例というのが、ございますけれども、これは各都道府県にございます。これに「みだらな性行為」ということでの規制があるわけでございます。これは少年少女をこの「みだらな性行為」で取り締まるものではない、青少年の保護育成に資する条例だ、こういうふうに説明されているわけでございますけれども現実にはこの「みだらな性行為」ということで未成年の人たちが取り締まりを受け、それから取り締まりを受けない人も補導をされるという、こういう実態を伴っております。  これは男の側と女の側があるわけでございまして、子供の場合、相手となる男が未成年者であるという場合があるわけですけれども、この十八、十九歳の未成年者の男の場合は取り締まり対象とされておりますし、少女につきましても「みだらな性行為」があった場合には補導の対象になる。したがって、これは少年少女を保護するというよりも、むしろそういう補導歴という前歴を張りつけ、逃げ場のない場所に追い込んでいる、こういうふうになっていくのではないか、こういう指摘現実にあるわけでございます。したがいまして、少年に対する補導を広げていくからいいのだというだけでは実は安心できない。むしろ少年に対する補導を強化していくということを見てみますと、かえって少年だけが犠牲になるおそれが大きいのではないだろうかということを心配しているわけでございます。  要望書の第七ページあたりをごらんいただきますと、少年指導委員制度の問題を指摘してございます。ぜひ後でお読みいただきたいと思います。  この三十八条に書かれております少年指導委員の問題は大変大きな問題を抱えているのではないかというふうに私どもは考えております。法案では、公安委員会が委嘱をされ、補導その他国家公安委員会規則で定めることを行い、問題があれば解嘱をされる、こういうことになっているようでございます。非権力的な行為を行うボランティアだというふうに言われているわけでございますけれども、そういう非権力的な行為を行うボランティアであれば、なぜ法律で資格を定め、そこで任命をしたり解嘱をしたりということをしなければいけないのかという点が私どもは実はよくわからないわけでございます。  しかも、公安委員会から委嘱をされ活動されるということでございますから、当然警察を背景に活動をされることになるのではないかと思います。後から御意見をいただきます少年補導員の先生もいらっしゃるようでございますけれども、現在の少年補導の実態を見てみますと、やはり補導の現場、街頭補導等では警察官と行動をともにされるということが多いようでございます。また、現実に自分が手がけている少年につきまして、どうしても自分の手元では解決ができないということになると、これは現実の問題としては警察に引き継いでいく、こういうことになっているようでございます。  こういう点を考えてみますと、実際にはおやりになることが非権力的な行為しかないということでございましても、そういう権力行為につながっていく、そういう位置づけがあるのではないだろうか。したがいまして、本来のボランティアであれば少年との信頼関係で処理をするわけでございますけれども、権力関係に転嫁をされる、こういう問題を含んでおるのではないかというふうに思っています。指導委員に立派な人を、そして立法理由としては知名度、信頼度との関係でこの法制が必要なのだ、こういうふうに言われているわけでございますけれども、そのことによって、今ございます少年補導員それから自治体関係で委嘱をしておられます少年補導委員等との関係で、実際には法の根拠のあるもっと上の階級の人とそうでない人という、こういうような上下の関係がボランティア活動の中に持ち込まれてしまうのじゃないかと、こういうことも心配でございます。  なお、善意だと存じますけれども、現在の警察活動を見ておりますと、学警連などを通しまして高校の全生徒の名簿を顔写真とともに警察に提出させる、こういうようなことが現実にございました。そういう形で警察とつながっているということは、善意であればあるほど、熱心に活動すればするほどそういう問題につながっていく可能性が大きいのではないかということを心配するわけでございます。  したがいまして、私どもは、この警察活動につきましては大きな歯どめが必要であり、少年指導委員というのは現実にある現在の体制のもとで本当に必要かどうかということについては大変大きな疑問を抱いているわけでございます。また、この指導委員に対しまして認められております補導という問題につきましても、これは現実警察におきましても補導というのが行えるかどうかということは実は法律上根拠があいまいだというふうに従来言われているわけでございます。警察につながっている指導委員に補導を認めることによりまして、警察が行う補導について根拠づけができ、そして遠慮なく活動されるということになった場合に、現在補導という形で少年に対する人権侵害が幾つか起こっているという実情がもっと深刻にならないかということをさらに心配をしております。  一つだけ例を挙げておきますと、昭和五十七年の十一月三日、足立区のゲームセンター、これは規制されるようになっておりますゲームセンター帰りの少年を補導いたしました外勤の警察官と少年たちがいろいろと言い争いをしておりましたところ、その一人をいきなり警棒でなぐりつけ、三針を縫うけがをさせたという、こういう事件が現実に起こっております。その事件はその事件だけでございますけれども、そのことを少年たちが警察に抗議をし、警察官の職務が行き過ぎではないかということで訴えたところ、逆に少年が公務執行妨害罪だということで家庭裁判所へ送致をされるという、こういうことが現実に起こっております。この事件は本年三月五日にそういう非行行為、公務執行妨害行為はなかったということで家庭裁判所では不処分になっておりますけれども、こういうような実態を伴っている警察の補導活動を広げていくということは、少年そのものに対していろいろな形で不利益を課する事態につながっていくのではないかということを心配しているものでございます。  私どもは、少年非行につきましては、社会の教育力を回復し、社会の全員が自分で取り組むことを通してしか解決できない問題だというふうに考えております。現在の状況といいますのは、ただ上辺に起こっていることを抑えていけば済むというような、そんな生易しい問題ではないと思っております。また、そのことを取り締まりに当たる警察に任せておくだけで解決をする、こういうような問題でもないと思っております。警察にお任せをするべき場面もあると思いますけれども警察のみにお任せをするということになってまいりますと、自分たちの責任、自分たちがやらなければいけないという、こういう機運をつくっていくということがかえって後退をすることになりはしないか。現在の警察の対応の仕方を見ておりますと、そのことを現実に心配させるような状況あらわれているのではないかというふうに思っております。  昭和五十七年五月二十七日に警察庁少年非行総合対策要綱というのをおつくりになって、現在の少年活動をやっていらっしゃるわけでございますけれども、本来、警察は非行少年取り締まりに当たるということを任務にしておられたわけです。その取り締まりをするに当たって必要であるからということで、非行に当たらない不良行為少年についても事実上補導をやろうということで、昭和三十五年ごろから事実上の補導を開始しておりました。現在に至りますと、その補導だけでも足りないから、今度は一般少年についても規範意識を持たせるための指導をやる必要がある、それから国民についても国民運動を指導して育成をしていく必要がある、これが現在の警察活動の大きな基本にならなければいけないというように言われているわけでございます。  こういうような状況が進んでいくということになりますと、私どもが期待をしております社会の教育力を進めていくということではなくて、いろいろな問題は警察にお任せをして済ませていくということになり、かえって事態が深刻になっていくのではないだろうか。今回の改正案はそういう方向に大きく道を開いていくのではないだろうか、そういうことを心配しているということで、私の説明を終わらせていただきたいと思います。
  146. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  次に、和田参考人にお願いいたします。
  147. 和田謙寿

    参考人(和田謙寿君) 私は全国少年補導員協議会の会長をいたしておりますとともに、私自身も東京都の少年補導員として日ごろ実際に少年の補導活動に従事している者であります。  少年補導員と申します者は、警察部長警察署長によって委嘱されているボランティアでありまして、地域において日常生活を通じて、街頭等で問題のありそうな少年に声をかけ、注意、助言をするとともに相談に応じ、または警察の方に協力をして非行防止の活動を行っている者であります。  私自身いつも気にかけている問題は、少年補導員と申します者は警察官の仕事に非常によく似ておりまして、これを悪用いたしますと、にせ警官というふうな立場をとれないこともないではないのであります。しかし、このような問題をやはり警察の方々も非常に気を配っておいでになりますし、私自身も行き過ぎのないように厳重に心の中で注意をしている者でございます。このような意味からいたしまして、私たちと警察との関係というものは決して先ほどのような話だけではなくして、やはり平等な立場というよりもむしろ行き過ぎない立場でいくようにというふうに心をいつも決めております。  私どもが日ごろ少年に接して感じますことは、最近少年非行がふえ続けているだけではなくて、非行に陥りやすいところの少年たちを食い物にしているところの大人の人たちがあるということなんです。  もう皆さん方、新宿の歌舞伎町につきましては非常に有名な場所でありますので、中にはおいでになった方々もあるだろうと思いますけれども、私たちも二回ばかり見学をさせていただきました。もっとも見学と申しますよりも、私たちは常に新宿とか各地の盛り場を歩いておりますので、このようなところがどういうところかということをほぼ知っております、この前のときにはたしか夜の九時前後からでした。これは年配の方々もおいでになるので遅いと大変だからだろうと思います。  しかし、新宿というところはとんでもないところでして、夜中の十二時、一時、二時ごろ、中学生と思われるところの少年たちがぞろぞろ歩いているのです。そして、私たちが見学をしたところというのはこれは良心的な業者のところだろうと思います。極端に悪いところというものは、これは我々に見せるのを嫌がって一般の方々に見させないのが常套だろうと思います。ですから、我々は割合よさそうなところを歩いたわけでありますけれども、それでもおいでになった方々はもう唖然としておいでになる状態でありました。私たちのなれている人たちにおいても、これではよくないなと常に思っているところであります。中には少女たちを軟派の目的で訪れてくる大人の方々も見受けられます。五十歳から六十歳級の方々まで時折見かけることもあります。  私たちの長い間の経験によりますと、このような少年をほっておきますとやがては本格的な非行に走る可能性がある。特に少女の場合には、暴力団等に甘い言葉で誘惑されて、売春へと走る可能性があるとも聞いております。  このようなわけで、私たちはそのような少年たちを見た場合にはこれは声をかけまして、早く家に帰るように諭すのが常であります。私たちが声をかけると申しますのは、世間では非常に誤解されておりますけれども、これは補導ではありません。すべての子供を持つ親であったならば、これは遅いからお帰りなさいと声をかけるのは当たり前だろうと思います。私たちはそのような行為をしているだけでありまして、何も外部からの申し出によってそのようなことをしているわけではありません。  最近の少年問題というものは非常に悪化の情勢をたどっておりまして、私たちが懸命な努力をしているにもかかわらず、ほとんど効果がないと言うのはおかしいですけれども、少ないような感じになっております。もちろん、少年の問題の根底にあるもの、これは家庭にあることは当然のことと思いますけれども、しかし家庭だけではない、現実に学校においても、しつけや道徳が十分に行われているとは考えられないのであります。このような点を私たちは少しでも補ってやろうと実は努力しているわけであります。  一般的に考えますと、我々が少年たちを考える場合、前のことを考えます、例えばこういう少年を指導する場合にはこうしたらいいと。けれども、最近の少年の非行化というもののテンポの速さ、これは物すごいのです。極端なことを言えば、きのうの説諭の方法てきよう説諭したところで当てはまらない場合が常にあるのです。このようなことを考えてまいりますときに、我々補導員は常に勉強をしていかないとおくれてしまう。つまり、我々が一生懸命勉強するということは、これはそのような陥りやすい少年との、ちょっと言葉が適切ではありませんけれども、まるで闘いだというふうな感じであります。  いずれにいたしましても、今回の風俗営業法の改正に当たりまして二回にわたり懇談会に出席させていただきましたが、全国少年補導員協議会といたしましてはたびたび警察庁にも意見を具申しております。その結果、国会に提案されました改正法案としては、御存じのようにトルコぶろ、のぞき劇場とかいうふうな有害施設は子供には立ち入らしてはならない、さらにはゲームセンター、飲食店も午後十時以降子供を立ち入らしてはならないとか、その他看板規制など、いろいろ入れさしていただきました。ただ、私の率直な感想をお述べしますと、実際に少年補導に従事して街頭を本当に夜遅くまで歩いております私たちといたしましては、まだまだ物足りない点がたくさんあります。これは決して子供たちを傷つけようとか責めようと言っているのではございません。一個の親といたしまして、やっぱりこの点は気をつけていただきたいなと思うところの本当の訴えてあります。  例えばゲームセンターなどに参りますと、ここでは子供たちが金銭を浪費します。また、誘惑もあります。御存じのように、子供たちというのは小遣いをもらいますと、あそこは危ない場所だから少し残して、そしてこれだけ持っていこうなんということはいたしません。もらった金は全部持ってまいります。いわんやおじさん、おばさんの多いところではお盆とかまたはお正月なんかにはお年玉みたいなものをもらいます。今大体千円や二千円じゃ喜びません。少なくとも五千円、一万円、子供のノートにはもらう表がついております。そうなってまいりますと、五万、六万持ってゲームセンターに行くのです。参りますと、それを知っている連中たちはそれを恐喝したりするのです。このような例は何回も知っております。  最後に私の心情を一言申しますけれども少年たちの人権というものはあくまでも守らなければなりません。だからといって、人権を守る立場の不手際によって、つまり人権という言葉にとらわれ過ぎまして、少年たちの真の姿、教育的根本理念より外れて少年を非行に導いてしまった場合は一層少年たちを不幸にする結果となります。このような意味で、人権は重んじなければならないけれども、人権に余りにとらわれて一人権の重要なことはよくわかっておりますけれども、それによって子供たちを不幸に導いてしまったということになったとしたら親の責任。子供に謝らなければなりません。このような意味で、十分な法的な御配慮をお願いして、私の報告とかえさせていただきます。
  148. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  次に、土谷参考人にお願いいたします。
  149. 土谷尊宏

    参考人(土谷尊宏君) 土谷でございます。  御存じのように、新宿区内には風俗営業あるいは風俗関連営業が多数営業されております。そこで、新宿区における実情お話申し上げ、御審議の御参考に供するとともに、速やかな法案の成立が新宿区、新宿区民の切なる願いであることをお訴え申し上げたいと存じます。  新宿区は面積十八・〇四平方キロ、人口三十二万七千を擁する特別区であります。区内を用途地域別に見ますと、住居地域、準工業地域あるいは近隣商業地域が七六%を占めており、新宿区というと繁華街という一般的イメージと異なり、その大部分が区民の日常生活の場なのであります。  そして一方、御存じのように歌舞伎町を中心とする繁華街を抱えておるのでございます。日本の下半身などと大変残念な呼び方でマスコミに喧伝されている歌舞伎町は、近年目まぐるしい変遷を遂げてまいりました。大学生死亡事件をきっかけに、町の人たちと警察署の協力によって暴力バーが姿を消した後は、ビニール本店があらわれ、ほぼ同時期の五十六年初めにノーパン喫茶が出現、その後現在に至るまで、あらゆる種類の性産業の出現を見ておる次第でございます。  この間の五十七年一月、区内で初めてののぞき劇場が二軒、いずれも区立小学校の至近距離の場所にほぼ同時に出店されたのであります。そのうち一店は高田馬場付近の小学校の前、もう一店は歌舞伎町の東側に位置します四谷第五小学校の至近距離に出店したのでございます。  申すまでもなく、PTAの父母の方を初め地元区民の方々の愁眉の的となり、熱烈な反対運動が展開されました。そして、千余名の署名を添えて区に陳情が寄せられました。また、区議会におきましても大きな問題となったのであります。幸い、こののぞき劇場のうち学校正面の一軒は廃業いたしましたが、このときの反ポルノ運動の機運は潮のような広がりと高まりを見せたのでございます。そして、五十七年四月に新宿区明るい地域環境づくり推進会議が結成され、本格的な環境浄化運動が展開されることとなったのであります。推進会議では、関係法令の改正に向けて十万人署名運動を開始、二カ月後には当初目標に倍する十九万八千六百名に及ぶ署名が集められ、新宿区民がいかにポルノ産業等による環境の悪化を憂い、その浄化を切望しているかが立証されたのであります。新宿区議会では、五十七年六月定例会において「新宿区環境浄化に関する宣言」を採択し、「新宿区の環境浄化に関する意見書」を内閣総理大臣を初め関係大臣に提出いたしました。また、特別区長会でも新宿区のこのような動向を背景に、風俗営業等取締法を初めとする関係法令の改正について、国及び都の関係機関に要望書を提出いたしました。申すまでもなく、推進会議でも二十万署名及びその写しを持って関係機関への要請行動を展開したのであります。  一方、区では五十七年七月、いわゆる営業三法と言われます興行場法、旅館業法、公衆浴場法に関する指導要綱を制定して行政指導の強化を図ってまいりました。そして、ついに五十七年十二月、新宿区をトルコぶろ新設禁止地域とする風俗営業等取締法施行条例の改正を見ることができたのであります。これはまさに二十万署名にあらわれた区民の願いの実現であり、理解ある都及び都議会の決定に、区民とともに私どもも感激の念を禁じ得ませんでした。  しかし、トルコぶろの新設は抑止できたものの、残念なことに繁華街の環境は悪化の一途をたどりました。のぞき部屋は歌舞伎町を中心に雨後のタケノコのようにでき、個室ヌード、個室マッサージなどの新手の性産業が続出するとともに、ラブホテルの新設の動きも後を絶たない状況でありました。のみならず、これらの施設は、場合によっては繁華街の周辺に拡散する可能性も常にはらんでおり、区民の願いとは裏腹の状態が進行していたのであります。卑わいな裸体写真等の看板が立ち並び、到底家族連れで訪れることなどできない町に歌舞伎町は変化していったのであります。  新宿ポルノ館と称する地下から全館ポルノ店のビルがあります。このビルの一階は庶民的なトンカツ屋でございましたが、上下からポルノ営業の挟み打ちに遭い、閉店を余儀なくされたと聞きます。これはまさに悪貨が良貨を駆逐する現象であります。  過日、歌舞伎町でも最も状況の悪い地域である桜通りの青年会の人たちの懇談会に出席する機会がありました。そのとき、ことし春初めて降った雪景色を撮ろうとカメラを持ち出したら、何人もの暴力団員風の者に囲まれた。これは客引きの証拠写真になるのを恐れてのことと思われます。あるいは、自分が生まれて育った町で何ゆえ小さくなって生きていかなければならないのかと思うとやり切れない、あるいはまた、小学生の女の子供がいるが、学校から帰ると一歩もうちから出せない、自分たちもできみことなら何でもやる気でいるが実際にはできる手だてがない、あるいはポルノがなくなって歌舞伎町が滅びるなら一緒に滅びてもよいなどの、まさに悲痛なまでの声を聞かされました。この声からも、都区民の健全な憩いの場であるべき繁華街が性産業にじゅうりんされ、これを資金源にする暴力団等の巣窟化しようとしている状況がうかがえるのであります。  このような状況は座視するにたえないものであります。特別区長会では五十八年七月にも再び風俗営業に関する法令改正を国に要望しておりますが、私どもはさらに実態を踏まえた、より具体的な法令整備の要請をすると同時に、区としても可能な方策を検討するための実態調査をことし一月二十四、二十六の両日、区内三保健所の職員を動員して実施いたしました。その結果、のぞき部屋二十六、個室マッサージ三十八、個室ヌード三十三、個室ビデオ七、ノーパン喫茶十という実態が明らかになりました。ちなみに新宿区内のその他の施設状況を御紹介しますと、トルコぶろ三十三、ストリップ劇場六、ポルノ映画館十、レンタルルーム二十八、ラブホテル二百十等の状況にあります。  御存じのように、私ども保健所衛生課で所管しておりますのは、公衆衛生行政のうち対人保健に対する環境保健の分野であります。したがって、その骨子となりますのは営業施設の衛生保持であります。若干の風紀上の規定はありますものの、営業三法につきましてもこの趣旨を中心に規定されていることはむしろ当然で、さきに調査で明らかになったような営業に、風俗環境保持の面でこれら衛生法規のみによって対応することにはおのずと限界があるのでございます。同時にまた、個室マッサージ、個室ヌード等のような衛生法規に全く該当しない営業が大部分を占めているのが現実であります。このように調査結果等から見ましても、風俗営業等取締法改正がまずもって欠かせないという思いを強くしておりましたところ、一月末の法改正の意向の発表に会い、正直に申し上げまして夢かと思ったわけであります。  風俗営業等取締法改正に私どもが最も期待しておりましたのは、まず第一に性産業を中心とする新たに風俗環境上問題となる営業規制対象に組み込むことでありました。第一に必要なのは、何といっても野放し状態を解消することであるという認識でございました。第二に、これら対象業種について禁止地域制度を設けることでありました。言うまでもなく年少者の従事、立ち入り制限の必要性も考えておりました。  改正法案によりますと、これらの規定が設けられるとともに、禁止地域における廃止命令の制度により将来的に実効が担保されており、大いに期待されるものと存じているところであります。  繰り返しになりますが、繁華街の風俗環境は悪化の歩を速めております。そして、その営業もいわば借家営業から家主に取ってかわる傾向にあります。この点でも悪貨が良貨を駆逐する現象にあるのであります。また、地区あるいは他府県にも類似の営業あらわれ、私どもが他の自治体からの問い合わせに接する機会も増加しております。これ以上風俗環境を悪化させないため、またそれにより大人の犠牲になったり非行に走る少年たちを生まないためにも、いっときも早い法案の成立と実施を三十三万区民とともに切望してやまない次第であります。  ありがとうございました。
  150. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  次に、高橋参考人にお願いいたします。
  151. 高橋喜久江

    参考人高橋喜久江君) 私は売買春問題に取り組む者の立場から、今回の風俗営業等取締法改正案についての意見を述べたいと思います。  先ほどの参考人新宿区民三十三万人がこぞってとおっしゃいましたが、私も新宿区民ですが、私は賛成の方ではなくて反対の立場で申し上げたいわけなんです。  売買春反対運動を私どもはしておりますけれども、その面から言えば、今回の法改正のうち、特にトルコぶろ、これは法律用語では個室付浴場業といいますけれども、これの取り扱いは納得できません。私たちはトルコぶろを現代の公娼制度と名づけて闘ってまいりました。それでも今までのトルコふろは風俗営業とみなされていたわけではなくて、四条の四に付録的につけられていたにすぎませんですけれども、今回の法改正では風俗関連営業と規定されて、堂々と届け出制の営業となっているわけです。いわば今まで日陰の身であったものが、公安委員会の認める公認の営業であり、格上げと私たちは考えております。まさに公娼制度となるわけでして、文明国において公娼制度がまかり通っていいものなのでしょうかというのが私どもの主張するところであります。  一九五六年に成立した売春防止法は先輩たちの長い廃娼運動の努力の結晶とも言うべきものですけれども、国家としての売春絶縁宣言であり、女性の人権を擁護した画期的な立法であったと思います。その売春防止法がありながら、政府は風俗営業法で、これは現行法でもそうですけれども、「浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業」を個室付浴場業と規定して、都道府県は条例によってトルコぶろを建ててもよい地域を定めたわけです。トルコふろは潜り売春、非公認売春ではなくて、法と行政の力によって保障された公認売春なのであります。典型的な例が滋賀県の雄琴でして、後ろに比叡山、前に琵琶湖を控えた風光明媚な鉱泉のある保養地が、滋賀県が個室付浴場業新設禁止除外地域としたがために現在のような紅灯のちまたに化しました。昔、赤線でもなかったところがトルコぶろ街になったところは滋賀県だけではなく、ほかにも幾つもあります。公娼制度を否定したはずの売春防止法がありながら、何という法体系の矛盾かと私どもは思っております。  私が事務局長を務めます売春問題と取り組む会、これは売春防止法を獲得した団体の後身でありますが、この取り組む会では現状を打破するために婦人議員懇談会にお願いして、公衆浴場法改正案を七十七国会以来提出していただいておりますけれども、まだ成立しないでおります。それなのに政府はトルコぶろの撲滅を図るのではなく、かえって現行法以上に格上げする形をとるということはどういうつもりなのか、私ども運動する側の者としては理解に苦しむわけです。  昨年、第三十八回国連総会は売春防止の決議をし、来年の第四十回国連総会に、経済社会理事会のこの問題に関しての報告を求めています。当然経済社会理事会は加盟国からの報告を求めるわけですけれども、日本政府はどのような回答をするつもりなのでしょうか。実質的な公娼制度の復活をどう表現なさるのですか。政府がどんな美文を作文されても、私たち民間でこの問題に取り組む者は納得できません。ジュネーブにある国連経済社会理事会人権委員会の担当部門――奴隷制作業部会といいますけれども、そこへ、この改正案がもし通過すれば私たちは報告するつもりでいます。そして、昨年経済社会理事会が発表した売春問題報告書によれば、日本政府は売春問題に熱心でないという方に入れられておりますけれども、これでは恥の上塗りになると言わなければならないと思います。  次に、営業所への警察職員の立ち入りについて申し述べます。  個室にまで警察職員を立ち入らせることが内閣提出案でも修正案でもできるわけですけれども、これには私どもは反対です。客が在室するところは除くとはうたっていますけれども、臨検にならないという保証があるのでしょうか。戦前の政策は貸し座敷という公娼制度を置いて、行政執行法による臨検を行って市民生活を脅かしました。程度の差こそあれ、今回の法改正は戦前のやり方と軌を一にするわけで、人権確立を目指す民主主義にもとる行政であると言わなければならないと思います。あるべき姿は、公娼制度をとらない、臨検はしてはならないでなくてはなりますまい。  次に、風俗環境浄化協会について意見を述べますと、国に一つ、各都道府県に一つずつ公益法人の団体が公安委員会から指定されてできるわけですけれども、公安委員会公認の業界組織は、浄化を願っての方向よりも、かえって業界そのものの権威づけに役立ち、社会的な容認度を高める結果になることを恐れます。トルコぶろ業者も風俗関連営業業者として加入できるとしたら、売春業者が警察お墨つきの団体のメンバーとして社会の公道を闊歩することになります。本来、売春業者はあってはならない存在です。それが社会の安全を確保するために大切な役割を果たすべき警察と親しい関係になるというのでは、社会正義は打ち立てられません。売春業者や風俗営業者が財力と権力を背景にのさばって、人権の確立を求め社会正義を目指す私たちが非力な存在として軽視されるというのでは、あべこべの状態だと思います。木の葉が沈んで石が浮かぶというのが今回の措置ではないのでしょうか。  長年廃娼運動をしてきた矯風会の先輩、久布白落實は、売春防止法が通った後行政がなかなか進まないのに若い私などはいら立ちましたけれども、そのときにこう言いました。まあ、そう言いなさんな、彼ら――彼らというのはお役人のことなんですけれども――彼らはかつては向こう岸の人間だったけれども、この法律で今はこちら側の人間になったではないかと。これは長い運動をしてきた人ならではの感想だったと思いますけれども、今回の法改正は、売春問題で言えばまさに逆コースであり、警察が向こう岸の人間になったことということです。売春防止法は女性の有権者たちの力の結晶です。売防法が通った後、私たち主権者たちの非力、無力の余りに、現状をもたらしたことは返す返すも残念でなりません。先輩たちの苦労は水泡に帰したのではないか、継承した私たちのきさやかな努力はどうなるのかと今思わざるを得ません。  国家としては公娼制度を認めてはなりません。今度の法改正は、トルコぶろの公娼制度化を強めるものです。主権者として断じて認められません。公娼制度を認めておいて、適正な営業がなされているかどうかを警官に店に立ち入らせる、そして女性に売春をさせてもうけている業者は公安委員会公認の組織の一員になる、これは本末転倒ですし、税金のむだ遣いだと思います。  少年対策にしても、少年指導委員の新設が効果が上がるのかどうか、私は疑問に思います。青少年の健全育成を真に目指すのならば、風俗環境を悪化する業態は国家として否定すべきです。大人はよろしい青少年はいけないでは説得力はありません。青少年を法律で摘発することにならないかと恐れます。子供たちを伸び伸びと自由にさせて、そして責任を持たせるのが私はよい社会だとうのですけれども、今回の改正案はそれを目指しているというよりも規制強化があるように思われます。  私はかねがね民間にいて、主権者として政治というのは何なのかということを思っていましたが、私の言葉で一言で言えば、政治とは社会正義を実現するものだと思います。売買春の問題も社会正義を樹立させる視点から取り組まれるべきでして、今回のように売春業者の権威づけに役立つ改正案には私は反対いたします。性が売買の対象となることを強く否定しました売春防止法の精神を生かした立法や行政がなされるべきであるという意見を私は強く主張するものであります。
  152. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  以上で各参考人の意見陳述は終了いたしました。     ―――――――――――――
  153. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、寺田熊雄君が委員辞任され、その補欠として久保田真苗君が選任されました。     ―――――――――――――
  154. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、質疑者は御答弁をお願いする参考人を明確にして質疑をお願いいたします。
  155. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 まず、津田参考人にお伺いいたしたいと思います。  元来、民主主義は自由なくしては存在しない、しかし民主主義を滅ぼすのも自由である。ところが、昨今のような現状を見ると、性の戒律から解放に向かってしまった今日、暴力あるいは賭博それぞれ連動して、社会の悪化を導いている現状であります。  そこで、今問題になっているいろんな御意見の中で、やはりこれは警察権が極度に介入することはどうかと、こういうふうな御批判でございますが、教育面でもっとしっかりやるべきではないかと、このようなお考えだけで果たして日本の社会秩序が守られるかどうか、このようなおそれもまた一面あるわけであります。したがいまして、そこらあたりの問題にやはり私は警察というものが、ある一部分として行政がタッチをするということは必要ではないだろうか、このように感じているところであります。特に、ゲームセンターあるいはセックス産業の中で少年をいかに保護していくかということに何らの規制もなくて、少女売春や賭博の問題をそれぞれ地域住民の自治体から法規制を強化してもらいたいと、このような御意見がある中において、この法改正をやめろというようなことは果たしていかがなものであろうかと、このように感ずるわけであります。第一点。  それから、和田さんですか、非常にいろいろと少年補導の関係で責任を持ってボランティア活動をおやりになっておりますけれども、その立場上非常に警察との関係も絡んでいるために、そういう取り締まりというか、そういうサイドには立たないで、できるだけ少年の補導に重点を置くというような考え方で努力をされておられるようでございますが、少年非行という問題はなかなか大変だろうと思います。その少年非行に追いやっている原因というものは、一体具体的に少年補導をされている実態から見て、どこにあるのだろうか、このような点について一、二御意見があれば承りたいと、このように思います。  それから、土谷さんの御意見、当面する日本での一番繁華街にある歌舞伎町を抱えているだけに、非常にいろいろとあらゆる角度から総合的に検討されて御要望の筋十分に承ったわけであります。幾ら規制をし、幾ら住民運動をやってみても思うようにいかない、こういうふうな悩みを持っておられると思いますが、どうしたらばいいのだろうかと、このような意見、考え方がもしあるとすれば、今まで御意見が出ましたけれども、さらに実態はこれでいいのだろうかという問題とあわせて、一、二御意見等いただければ幸いと思う次第でございます。  それから、高橋さんにちょっとお伺いいたしますが、高橋さんはキリスト教の婦人矯風会の幹事をされておられます。確かにいろいろと御意見の筋はわかりましたけれども、性の戒律から解放へ向かってしまった、特に第二次大戦後そういうふうな傾向のあることは、ひとり日本だけではなくて諸外国ほとんど同じような傾向にあると思います。  そういう中で妊娠中絶というものは殺人罪を構成するのかしないのかというような問題が、やはり今もって人命尊重の問題とあわせて非常に論議を呼んでいる現状であります。堕胎禁止という問題はキリスト教の一番基本的な一つの筋で、いわゆるキリスト教の人間観として基本であったと思うのですけれども、それがだんだんと最近の事情の中では、母性保護という立場から、母性を健康な状態に置くためにはどうしてもやはり優生保護法という一つの法律も必要であり、あるいは売春防止法も必要であるということで、次から次と法律ができたけれども、しかしこの問題の中で、売春防止法といってもこれは防止という法律でありまして、管理売春とかあるいは場所の提供というようなものについては法律が作動するわけでございますけれども、この女性の解放の時代においては、お互いに性行為を行う場合には何ら問題にならないという、そういうふうな現実もないわけではありません。  そういう一つのすき間風の中に出てきているのが現状の非常に悪化した非行化への道に走り込んでいく、そういうふうな風潮になってきたのではないだろうか、このように思いますので、性という問題あるいは人間尊重という問題の原点というものは一体何なのだろうかというものを改めて見直してみる必要があるのではないか、このように私は感ずるわけであります。  したがいまして、私はやはり今のような現実の中でセルフディフェンスというか、あるいは最近外国でも行き過ぎた非行の防止を何とかしようとするために、バック・ツー・スクールというか、そういう一つの反省の時期を迎えつつあるわけでありますけれども、この際やっぱりこういう法律というものが、いろいろと問題を抱えている中で目指している社会的ないい環境をつくり上げていくということのためには一つの方向ではないだろうかと、このように考えるわけでありますけれども、そこらの点もう一回、性の問題というものと関連して、キリスト教的な立場にお立ちになっておられる高橋さんでありますので、そこらあたりの御感覚をちょっと御披瀝いただければと、このように感ずるわけであります。
  156. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 津田参考人からお答えを願います。  時間の制約がございますので、簡潔にそれぞれお願いを申し上げます。
  157. 津田玄児

    参考人(津田玄児君) 今の御質問でございますけれども、私の申し上げていることをやや誤解をされたのではないかというふうに思っております。  私も、これはどうしても取り締まりをしなければいけない、そういう状況があればこれは取り締まりをしなければいけないだろう、こういうことは当然前提にしているわけでございます。ただ、現在の性風俗についての取り締まりが今こういう形で本当にやらなければいけないのかどうか、そこらあたりを本当に詰めた上でこの法案が出てきているのかどうか、これが大変疑問だということを申し上げているわけでございます。  経過からいいまして、私どもはこの問題を初めて知りましたのがことしの五月でございますけれども、この問題が提起されたのは三月ごろだというふうに伺っております。本来、私どもはこういう風俗の問題、少年の問題というのは、地域住民の世論を非常に大きく起こして、その上に立って初めて警察規制も意味を持ってくる、こういう性格のものだろうと考えてお方ます。それをそういう取り組みあるいは論議を尽くすという作業をしないで、いきなりまず警察規制から持ってくる、これはやはり本来の意味でのそういう問題を解決していく力をも損なっていくものではないだろうか。これを私どもは憂えているわけでございます。  現実取り締まりの問題につきましても、例えば先ほど土谷参考人から意見がございましたけれども新宿区内にのぞき劇場が二十数軒あると、こういうふうに言われております。東京都でこの間ちょっと伺った数字を調べてみますと、都内の興行場、これは特殊の興行場を全部内で二十数軒しか現在許可をしていないということなんですね。恐らく無許可での営業というのはかなりたくさんあるはずでございます。無許可の営業であれば、これは当然司法の取り締まりが可能なわけでございまして、そういう手段を果たして尽くしておられるのかどうか。これは現在の状況からいって私ども大変疑問ではないかというふうに考えております。そこを尽くしていないで、そしていきなり網をかけて、なるべく広く警察が行政的に掌握をして問題があれば抑えていくと、こういうやり方をされるというのは大変問題だということを言っているわけでございます。私どもそういうことがなおなされた上で必要であるということであれば、それは考えなければいけない、こういう意見でございます。
  158. 和田謙寿

    参考人(和田謙寿君) 少年を非行に追いやる原因ということだと思いますけれども、二つあると思います。  一つは、不可抗力的な問題、もう一つは我々が努力をすればどうにかできる問題。不可抵力の問題というのは、昨今の新聞にも載っておると思いますけれども、日本では一人っ子が多いという問題、これはもうどうこう言いましても別ですけれども、兄弟愛がなかったり、つきあいがだめだとかいろいろ問題が出てくるだろうと思います。二つには、国に、それから家に教育的な理念が乏しいということ、この二つだろうと思います。  それから、今度は別の問題から言えば学校教育の問題で、生活指導を本当にできる学校というのが非常に少ないということなんです。なぜ少ないかと申しますと、大学当局におきましても、例えば教育学なんかでも、ソクラテスとかアリストテレスとか教育史から見たらよいと思いますけれども、具体例としては時代に欠けている。これはそれ以上時間かかりますからやめます。  それからもう一つは、法規制の遅きということです。先ほど言いましたように、子供たちはどんどんとよいことも進めば悪いことも進んでいます。そうすると、法的なものができるというのは二年、三年、四年と、どんどんおくれていくのです。その間に子供たちの中にはどんどん犠牲になっている子供もいる。今ここでこうやっているときにも、日本国じゅうだったらいろんな問題が起こっているだろうと思います。これを早くやめるためにということは、実際にはその場でもって実際に補導してやること、それ以外にはないだろうと思います。ですから、補導というのは最後の手段じゃないと思いますけれども、早く声をかけてあげて、そして体制がすっかり整うまでの間に便宜的に我々がやってやる。しかし、これとても自由意思では、バックにいろいろな人たちがおりますので、邪魔をされてできない、こういうふうなところで今実は臨んでいるということなんです。  最後にもう一つです。非行の原因を方々で尋ねてみますと、みんながやるから私もやるというのが一番多いんです。だから、そこに行くべきところがあるからで、なければそういうことをやらないと思います。ですから、みんながやるから私もやるというので今軽々しくやりますから、こういうふうなことを言わせないように、そのような場所は少なくしていただきたいということなんです。それだけです。
  159. 土谷尊宏

    参考人(土谷尊宏君) 津田参考人の方から御指摘がありましたことから入りたいと思いますが、かなり許可を受けていない施設が営業しているのではないか。事実そうであります。そこで、先ほど御意見を申し上げましたように、公衆衛生の視点から定められている営業関係法規、これは興行場法もそうでございますけれども、興行場法は何を規定しているかと申しますと、端的に申しまして施設内の衛生ですから、空気とか湿気とか、それから便所とか、そういうものについて衛生を保持する規定になっております。したがって、その中で行われる行為あるいは演出される演技内容等については全く触れておりません。したがって、これを広く申しますと、営業三法によって現在の歌舞伎町が現状に至ったようなものを規制し得なかったという実情があるわけでございます。  したがって、我々が風営法の改正を待ち望んでいたのは、風営法による規制と同時に営業三法による規制、これが機能を分担して効果を発揮していく、同時にまたこれのみで私ども風俗環境がよくなるとは存じておりませんで、当然のことながら、自治体や住民やそして営業者あるいはビルオーナー、そういうものが相互に連携をとって、協力関係を持って町づくりに取り組んでいくという考え方が必要であろう、こういうふうに認識しておる次第でございます。
  160. 高橋喜久江

    参考人高橋喜久江君) 御質問が多岐にわたりますのできちんとしたお答えになるかどうかわかりませんが、私個人の考えをお問いになられたと承ってお答えしたいと思います。  私は、性の解放は否定するのではなくて肯定するわけです。それはその解放という言葉が誤解を招くかもしれませんけれども、私どもの団体は古い明治の人から、要するにお年寄りから若い人までいますけれども、その方たちがおっしゃったことで忘れられないことがあります。それは、男女共学を本当にいいわね、私たちは女学校だけでつまらなかったとおっしゃる。まさに男女七歳にして席を同じゅうせずを守ってこられた世代の人たちを見ていて、男性と女性が愛を基礎としてお互いの愛を確かめ合う、そのことを育てていくということが性の解放ならばそれはいい方向であって、昔の儒教にとらわれた形での世間体を気にしながらの、そして売春をはびこらせるような社会である形はよくないのだということで、私はそのことを性の解放と言うならば肯定するわけです。  問題は、性をどう考えるかにあると思います。私はそれを、性は人権であるととらえます。ところが日本では、それは特に人権ととらえる人は少ない。皆様お一人お一人どうお考えかは存じませんけれども、多くの人は好色心の対象として性を見ていると思います。これはもう日本社会の厳然たる事実でして、そのことを一つ一つ挙げていけば、短い時間で御注意が出そうなくらいにいっぱい例はありますけれども、特に私は、日本社会に男尊女卑の儒教道徳で毒された形は現在でも続いていて、そのことで性差別撤廃条約なども批准しなくてはならないと思うものです。  もう一つ、ほかの点から言いますと、中絶のことをおっしゃいましたけれども、私はそれにかわるものとして性教育をもっともっとみんなが力を込めてやらなくてはいけないと思い、矯風会自体はささやかながら実践しているものですけれども、例えば日本政府、文部省はどれだけ性教育に予算措置をしているでしょうか。私詳しいことは存じませんけれども、多分それほど大きな額ではない、昔調べたところでは本当に少ないものでした。  先日、日本テレビに私どもは番組内容について抗議しましたけれども、あれだけの社会公共の電波を特に深夜のポルノ番組に民放が使うということは、本当に性の分野では弱者である青少年をして、それこそ性の荒野に駆り立てているようなものですね。もっと愛をうたった番組ができないものかということを抗議いたしましたけれども、それは同じように文部省も性教育にどれだけ予算をとっていらっしゃるのか、民放がポルノを出すぐらいのエネルギーと予算等を文部省が少なくとも公立学校に予算措置をしたら、随分違う形で生徒たちにいい教育ができるはずだと私自身は思います。  私は、問題は一人一人の人間が大切にされる社会、そして愛を基調とした性の関係を一人一人が獲得する、確立させることが必要なのだと思うのです。そのスタートとして、国家は公娼制度を否定しなければならないはずだ。一番男性と女性との悪い関係としての売春を、しかもそれを国家が保障するようなあり方があってはならないというのが私の立場でございます。
  161. 志苫裕

    志苫裕君 社会党の志苫です。どうも御苦労さんです。  なかなかいろいろとお伺いをする時間も大変迫りますので、ほんの一、二点ずつだけお伺いしますが、最初に津田先生。  少年にかかわる法律では少年法あるいは児童福祉法等々ございますが、それとは別個というのでしょうか、警察少年警察活動を何の根拠かわかりませんが行って、それなりの実績を持っておるのですが、そこでいろいろこの委員会でもやりとりがあり、また先生方の御意見を伺っていますと、少年の非行その他現在の諸問題についてはみんなが頭を痛めておる。そこで何とかしなければならない。そこから先が実は分かれてくるわけでありまして、我々の場合は、もう少し総合的な少年の対策というものについて、今やっておる少年警察活動の検証も含めて、少年法や児童福祉法との絡みも含めて検討した上で、必要があれば総合的な立法というものもあり得るわけであって、そういうものについて実は議論が行われておるわけですが、少年警察活動とこの少年対策のありようといいますか、そういう問題についてできれば御意見を伺いたいということが一つです。  それから、和田先生からボランティアとしていろいろ御活躍をいただいていることをお伺いできましたが、お言葉の中にもございましたが、だれからも頼まれるわけでもなし、だれからも強制されてやるわけではないと、こういうお話ではありますが、しかし少年補導員は警察の委嘱でございます。そして、今この法案をめぐって委員会でも議論をいたしておりますのは、補導の概念も少し難しいのですが、その補導と言われる少年の保護なり育成の分野を警察がぬきんでてやる、ほかのところは相対的に足踏みをしておるという状況を実は問題にしておるわけでありますが、このボランティアに法律上の位置づけを与えたり、あるいは法律上の規制対象にするということについて、ボランティアをなさっておるあなた方はどのようにお考え口なっておるのか、これを伺いたいわけであります。  土谷さんから現場のいろいろ御苦労をお聞かせいただきました。お話を伺っておりますと、あなたは保健所で衛生三法を扱っておられるところですが、率直に今伺うところでは、公衆衛生上の観点から業務をしておる我々にとっては売春問題とセックス産業問題はお手上げに近いという、そういう印象を率直に言って受けました。衆参を通じて委員会警察当局とやりとりをしておる中では、事実厚生省の方は万歳、お手上げというニュアンスの答弁がございます。しかしこの法案も、御存じのように、そういう売春問題の建物の内側のことはどうぞ厚生省、保健所でおやりください、外側のことを私どもでいたしたいというのが実はこの法案の持っておる特色になるわけです。  そうなってまいりますと、一体それで、高橋さんからもいろいろ御指摘ありましたけれども、衛生三法ではいわゆる売春の規制はできないものかどうかです。実際できないものかどうか。警察の話は、売春の立件は非常に難しい。大っぴらにやっているんじゃないですから、どこかわけのわからぬところでごちょごちょやっておるわけでありますから、中へ入ってじいっと見てなきゃこれわからない話でありますから、わかっていても、それは合意であるとかということで、まるっきり立件は面倒だとか、もっぱら内側の出来事に属するわけですが、一体現実に、ふろとか旅館とか劇場とか、そういうところの許認可を持ったあなたのところでは、現行法では全くもう手が出ないのかどうか。こういう点についてお伺いをいたしたい。  それと、あなたの御意見で、とにかく問題のある営業を法律の枠に取り込むこと、今まで野放しなんだから取り込むこと、それから禁止区域を設けることというところに積極的な意義を認めて、ないものよりはあるものに向かって一歩でもという積極的な御提言になりましたが、ずばり聞けば、それで歌舞伎町はよくなるか。歌舞伎町にある現行の関連営業は届け出対象業種になりますが、既存の営業権は全部認められる仕掛けになっています。このことについての御見解を伺いたい。  それから高橋さん、いろいろとこの問題に取り組んでおられるお話をしていただきました。潜り売春が表に出てきて公娼制度の復活になる。同じ懸念を抱くものでありますが、今度の法案のつくりは、いわゆる従来許可制にかかわっておった風俗営業というのはこれは依然として許可制、今度新しく取り込んだ皆さんが一番問題にしておる届け出制というところが、我々としてもどうも何ともこれ理屈に合わぬなという感じはしておるのでありますが、この売春の禁止問題、トルコぶろの問題はここ約二十年にわたって議論をされておって、特別立法があるいは公衆浴場法の改正か、あるいはまた一部風俗営業法がという法律が幾つか量ってくるわけでありますが、皆さんの方では公衆浴場法の改正ということで、野党が一致をして、個室付浴場、トルコぶろそのものを禁止しちゃう、場所、入れ物をなくしちゃうという御提言なんですが、今度はトルコぶろだけではなくなりますね。いろいろ関連営業というのはわけのわからないのがいっぱい出てくるわけですが、そういうものについて特別立法という発想はないものかどうか、ちょっとこの辺の点をお伺いを申し上げたい、こう思うわけであります。  以上です。
  162. 津田玄児

    参考人(津田玄児君) 私は、少年の問題は、青少年が立派に大人になっていくということは、やはり自分の力で自分を変えていく、こういうことなんだろうと思うのです。それが基本に置かれるべきだろうと思うのです。ところが警察取り締まりといいますのは、これは御存じのように公共の秩序、社会安寧の維持、これが一応基本に置かれていまして、問題が起こらないということが、警察のレベルではこれは最終解決でなければいけないのですね。ところが少年の問題は、問題が起こらないということでは終わらないので、そこからその少年がどう変わっていくのかというのが一番大きな問題にならなければいけないのだろうというふうに私どもは考えているわけです。その意味で、それを支援していけるものというのはやはり警察であってはいけないのであって、本来少年を取り巻いている家庭であり、学校であり、地域社会であるべきであろう。そこらあたりに非常にもし問題があるのであれば、それを底支えをしてやる福祉であるとか、それから条件の整備であるとかということが極めて大切なのじゃないだろうか。  ところが、現在の青少年対策の問題を見てみますと、昭和五十七年に青少年問題審議会がお出しになりました答申等を拝見いたしましても、実は大変精神論が多いのですけれども現実にそういう条件を下支えしていくというあたりについては非常に具体的に触れておられない。むしろ避けておられるのじゃないだろうかという気がいたします。精神論だけをやっていくといたしますと、これは最終的にはやはり力で押さえつけるという警察に頼っていく、問題を起こさせないというところへ落ちついていかざるを得ないのです。そういうことをやっていきますと――数日前、法務省が非行少年と一般少年のアンケートをやったわけです。私は現物を見ておりませんのでよくわかりませんけれども、非行少年はむしろ活力があって一般少年は活力を欠いているという非常におもしろい調査結果が出ていたと思いますけれども、活力を持つ子供は問題少年であって、活力を持たないで猫をかぶっている子供がいい子供であるというような、もしそういうような社会になってしまうと、これは非常に大きな問題でありはしないかというふうに思っているわけです。  したがいまして、私どもは、基本的には子供の問題というのは、子供に信頼をかけ、その成長を見守ってやるという、こういう人たちが協力をしていかなければならないのであって、問題を起こさなければいいという対応では困る。  なぜそう言っておりますかといいますと、実は数年前まで警察には遊び型非行というのがございました。これはある意味では子供は成長過程で問題を起こすということであって、悪い方向へ行くかもしれないけれども、基本的にはもとの成長軸道へ戻ってくる非行だと、こういうとらえ方をしておられたのだろうと思うのです。それを最近では初発型非行というふうに言い直されている。これは、初発型非行といいますのは次の非行の段階へ発展していく、こういうとらえ方をしておられるのだろうと思うのです。そういうとらえ方一つを見ましても、実は警察のとらえ方と普通の家庭、学校、地域のとらえ方とでは大変違うのではないだろうか。私は基本には、やはり家庭、学校、地域社会におけるとらえ方をおいてこの問題は解決をしていかない、先ほどの法務省の調査が示しているように、大変問題の状況へ行ってしまうのではないかということを憂えているわけです。  日本弁護士連合会は、ことしの総会の決議でも、やはりこういう非行が大変である時代であればあるこそ、そういうときにはやっぱり家庭、学校、地域社会の力を強めていくという本筋に戻るべきだと。例えば家庭の問題について言うと、一番弱い母子家庭について児童福祉手当を削減しようというような御提案が現実に出ているわけでございますけれども、こういうような弱いところを攻撃していくというやり方をまずやめることが一番の対策ではないだろうか、こういうふうに私どもは考えております。
  163. 和田謙寿

    参考人(和田謙寿君) 補導員と一概に言っておいでになりますけれども、補導員の中には今私たちのしている補導員もあれば、都道府県の市長とか、それから県知事とかまたはPTAの教育委員長が任命している補導員もあります。それで、その二つを大分混同なさっている方もあると思いますけれども、本当ならばそのような地方の市長さんとか教育委員長が任命なさるような補導員に対しまして大体出向という形で、田舎と言っては失礼ですけど、田舎のところでは補導センターというのがありまして、警部補級ぐらいの方が出ておいでになります。本当ならばそういう方なんか出ない方がよろしいのでしょう、今おっしゃるような言葉だったら。けれども最近の喫茶店とかゲームセンターの経営者とか裏方は暴力団とか暴走族。それから、中には従業員の人たちがかばうんですね、中に入っている子供たちを。それで、この前は私とある私立高校の先生と入りましたら、これは渋谷でしたけれども、そうしたら自分の学校の生徒がいたのですよ。そして、その子に注意をしようと思ったら、従業員がすごいんです、かばうというか暴言をはいて。それで結局先生も人間ですもの、本当は退校にしたくなかったのですけれども、余り従業員が食ってかかるものですから、やっぱり我慢できなかったのだろうと思います。それで行状も悪かったのです。そんなふうなことで結局かわいそうな目に遭った子もいるのです。  こういうようなわけで、補導員だけでは到底対処できないというのが現在の世の中です。ですから、何にも御存じない方はいや、こういうところはこうやってこうやればいいだろうとおっしゃるでしょうけど、第一線の人というのは、極端なことを言えば死に物狂いでやっているのですよ。だから傷害保険を掛けて、いざというときはどうにかなるようにして今やっているのですね。こういうふうなことをよく承知して理解していただけたら結構だろうと思います。
  164. 土谷尊宏

    参考人(土谷尊宏君) まず、営業三法で売春防止などできないのかという御質問だと思いますが、一例を挙げまして、先ほど来問題になっておりますトルコぶろのことに関して触れますと、売春を防止する、予防するというようなねらいの規定が若干ございます。これは条例によって決めておりますが、例えば服装について規定しております。それから、個室の入り口に東京都の条例の場合は三十センチ四万の見通しのきく窓をつけよというふうな規定がございます。それから、かぎを施錠してはならないというふうな規定もございます。それから、不要な物を室内に置いて見通しのきかない状態にすることはならないというふうな規定が、ございます。いず丸もこれは、中において売春行為等が行われることを防止しようという趣旨だと思いますけれども、しかしこれを適用して売春行為が摘発あるいは完全に積極的な意味で防止できるかと申しますと、実態としては無理でございます。  私ども衛生法規を運用する側面から、実はトルコぶろの深夜監視をいたします。深夜監視をいたしまして、今一例に挙げましたような事項の違反事項がございますと一定期間の行政処分を行います。営業停止処分を行いますけれども、それをしも決定的な手段でないという限界がございます。したがって、風営法によって格上げというふうな御議論もございますけれども、より強い規制が必要になるというふうに私ども理解しております。  それからもう一つ、歌舞伎町はこれでよくなるのかという御質問でございますが、実は関連業の該当施設から二百メーターという禁止地域に歌舞伎町はほぼすっぽり入ってしまいます。小学校、それから病院、児童福祉施設等がございまして、これらが十分機能いたしますと、営業停止命令あるいはさらに廃止命令によって、遠からずかなり浄化されるであろうというふうに期待しております。同時にまた、地元としましても、あるいは我我衛生行政を担う立場といたしましても、風営法の成立施行の暁には、むしろある部分では自治体に問題が投げ返される部分もあるであろう。したがって、我々もそれを受けとめて積極的な風営法との機能分担を実現していくというふうな姿勢が必要であろうというふうに考えております。
  165. 高橋喜久江

    参考人高橋喜久江君) 私たちが公衆浴場法改正案としてまとめましたのは、あるいは風営法の改正案でもよかったわけですし、あるいは特別立法という形でもいいという意見は出ましたけれども、一番法律の名称だけからの抵抗が一番少ないのではないか、実質変わらないであろうということで公衆浴場法改正案としてまとめたわけでございます。ですから、その特別立法を考えないかとおっしゃった御質問に対しては、私どももまた考えたけれども、それではなかなか通り得ないであろうという判断だと御理解いただきたいと思います。  赤線を売春防止法の特別立法で駆逐したように、私はやはり悪い営業に対しては法律でそれを禁止する処置を国家としてとるべきだという意見でして、営業の自由の問題が警察あたりの御議論で出て、新聞などでも拝見しましたけれども、私は、泥棒に営業の自由がないように売春業者に営業の自由があるとは思いません。公共の福祉に反する営業には営業の自由は適用されないという法理論が確立されるべきだと思い、そのことは可能なはずだと思っております。  なお、もう一つこの機会に言わせていただきたいと思いますが、国会の仕組み、事情その他非常に暗いものですけれども、政府提案がいつでも先に国会に出まして、私ども議員立法でお願いしている法案がいつでも後回しになる、だから公衆浴場法もいまだかつて審議されたこともなく、一体主権在民はどこにあるのかと私ども民間団体では絶えず考えます。逆であるべきじゃないでしょうか。
  166. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 参考人の皆様、本日は御苦労さまでございます。私、時間もたくさんございませんので、簡単に伺わしていただきます。  まず、津田参考人にお伺いいたしますけれども、私が常に持っておりますテーマとして、先ほど高橋参考人の方からもちょっと出ましたけれども、子供たちが立ち入る地域をつくったりあるいは立ち入る時間を決めたりというようなことを考える以前に、子供たちにやはり正しい性の認識あるいは正しい生きざま、こういうものを教育していくことが非常に大切であろうということを常々思っておるものでございますので、そういう観点から見た場合、今日何が一番必要なのかということを伺わしていただきます。  それから、和田参考人にお伺いいたしますが、私は小さな地域の教育委員をいたしておりまして常々感じておりますことは、やはり補導という問題を大変大きな課題として持っておりまして、補導という行為が持つ教育的意味というものを考えるときに、これは非常に大変な課題があろうかというふうに思います。それでお伺いをいたしますが、一人の少年ないしは少女を補導した場合、後追いの課題としてこの子がどんな形になっていくのか、つまり補導という行為がどういう意味での教育的効果をもたらすのか、そのことをお伺いしたいと思います。  それから、土谷参考人には大変恐縮でございますが、私も教育行政にいささかかかわってきた者といたしまして、七月一日から七月三十一日まで例年行われますところの社明運動、法務省が行いますところの社会を明るくする運動というのがございますが、こういうふうな行事に、むしろ町ぐるみ、地域ぐるみでかかわっていくことは非常に大切なことであろうかと思うのですが、私は今社明運動というのが宙に浮いているというふうに思っておりますので、この辺の取り組みは御当地でどんなふうになっておられるのか、ちょっとお伺いいたします。  それから、高橋参考人にお伺いいたしますが、女性の立場といたしまして、先回、先生が先ほどおっしゃられた事柄の中身の幾分か似たようなことを私は発言いたしました。性とは女性の人権であり人格であるということを前提に私は話をいたしまして、そして現行の風営法でも改正法においても、女性の基本的人権あるいは人格、こういう問題に対して一行も事が触れられておらない、むしろ社会的法益だけが表に出た法律であるということに関して見解をいただいたわけでございますけれども、こういう問題について私も参考人と同じように疑問を持っているものでございます。  ところが、先ほど同僚委員の中からも話が出ましたように、性に関する社会的感覚が変わってきている、そして解放された性というものは今状況が違ってきている。言ってみれば、共存というような言葉を私はこの委員会に入らせていただきまして初めて聞きましたけれども、性は今共存をしているのだと、こういうことでございます。そして、行う者も受ける者も等価値を得るというような感覚になってまいりますと、参考人先生方が長いこと続けてこられた運動の意味というものも大分違っていくのではなかろうかということで、私は女性の立場に立って実は大変びっくりもいたしましたことでございますので、この辺の問題を一つ伺いたい。  それともう一つは、来年に控えた婦人差別撤廃条約の六条の問題でございますが、私が外務省にお尋ねをいたしましたところ、現存の売防法、そして関連する法律があるので、これは条文上きちっと整っておるから六条には抵触しないと、こういう回答をいただいたわけでございますけれども、私、大変異論がございます。それで、その点の御意見を伺います。
  167. 津田玄児

    参考人(津田玄児君) 今の御指摘でございますけれども、子供たちがなぜこういうところに立ち入り、どうしてこういうことへ興味を示していくのかというその基本がやっぱり一番問われなければならないと私どもは思います。  ある意味では、学校においてもお客様扱いにされてまともに扱われない、受験競争に置き去りにされてしまうという状況現実にございますし、学校で落ちこぼれてしまうとあとは家庭でも地域社会でもまともに取り合ってくれない、こういう状況現実にございます。そういう中で、子供たちが実際に通常の社会生活、家庭生活の中で自信を培い自分を育てていくということができない状況が蔓延をしているのではないだろうか。そこらあたりがきっかけとなって、実はこういうセックスゾーンがあるというようなことは、基本にそういう問題があって、それをむしろ拡大をしていく、そういう役割を果たしているのじゃないだろうかというふうに私は見ております。これはむしろ私の個人の考えになると思いますけれども。  ということであるとすれば、今の問題について言えば、やはり基本的には学校とか地域社会とか家庭がしっかりしなければいけないし、学校の中で、特に私どもが小さいころですと、できない子供というのは先生方は十分面倒を見てくださったという時代がございましたけれども、現在はできない子供は相手にされないという状況です。そこらあたりをむしろ改善をしてあげ、子供たち一人一人がどんなに学問ができなくてもほかにすぐれたところがあるということを認めてあげるということ、子供の一人一人を人間として大切にしてやるということ、こういう状況を地域、家庭、学校それぞれでつくり上げていく、これがやっぱり基本に置かれなければならないのだろうと思います。  さらに、大人の間にある性の問題の価値観の混乱、これもやはり子供に対して非常に大きな影響を与えるものではないだろうかというふうに思っております。家庭における夫婦の関係がしっかりしていればこういう問題は大部分解決するのではないだろうか、こういうふうに私は考えます。
  168. 和田謙寿

    参考人(和田謙寿君) 補導というものは非常に難しいものでして、街頭などを歩いておりますときが子供たちは気分的に一番最高のときなんです。例えば恋人と歩いて映画を見ようかとか、学校をサボっていっときが一番楽しいときだと思います。このようなときにどこのだれだかわからないおじさん、おばさんが来て、そこでもって、もじもじと声をかけるんです。そして、声をかけても一時間も話できませんから、大体三分前後でもって話を片づけないといけないのです。そして、今の子供たちはよいことと悪いことがわかりませんから、そこでよいことと悪いことを教えてあげて、別れるときの条件としては、おじさんありがとうというふうな笑顔をもって別れるのが本当なんです。しかし、それまでやるのは熟練でなければなかなかできません。しかし、我々はそういう人たちを養成できるように実は時々講習会をしているのです。  それとともに、保護観察を受けている少年たちの是正率、更生率は約三三%と言われております。あとはほとんどよくなりません。けれども、補導を受けてよくなってくるという少年は九四、五%だと言われています。それだけに、初期のうちに一声声をかけるという大きさ、私は補導というものに深い自負を持っております。  最後に、一般の方は頭のいい子は性格もいいとお考えになっている方があるのですけれども、これはとんでもない。知能と性格とは別だということなんです。ですから、こういうふうなわけで、あるクラスがあると、このクラスは優秀なクラスだがらいい子だと思っている方々がたくさんいる。そうではない。立派な先生だったら見破ります。ぼやっとしている先生はこのクラスはいいクラスだと申します。  こういうふうに、私たちは初期の補導というものは非常に効果があると思っております。
  169. 土谷尊宏

    参考人(土谷尊宏君) 社明運動についてのお尋ねですが、私、所管事項でございませんので詳しいことはちょっと申し上げかねますが、新宿区におきましても社明運動を毎年行っております。なお、新宿区におきましては、七月一日から三十一日のところを一カ月延長いたしまして、七月一日から八月末日までを新宿区における社明運動期間としております。  内容につきましては――内容と申しますより運営の仕方につきましては、区あるいは警察、消防、それから青少年対策委員会の組織、それから町会、自治会、これらが社明運動の実行委員会をつくりまして、それぞれの役割分担をいたしまして地区活動あるいは全区活動を展開しているということでございます。  なお、この間に、特に新宿区の場合、十一カ所の地区青対が組織されておりますが、地区青対がそれぞれの地区に在住している青少年を種々の行事等に参画させまして、明るい地域づくりの活動をしているということでございます。
  170. 高橋喜久江

    参考人高橋喜久江君) 確かにお尋ねのように性意識は変化したと思います。しかし、女性が妊娠という機能を持つからにはどうしても被害者になりやすいということは、私は慈愛寮という要保護女子の、母子施設になっております施設の関係者ですけれども、あそこでは本当に女性が被害者ですね。  ですから、一般的には共存という形もありますでしょうけれども、その本質を割っていけば、まだまだ日本の女性は社会的に弱者ですから、それが対等とか共存という形ではない、一部の表面的な、しかも若い少女たちの表面的な言動でもって判断されては困るということはおわかりいただけると思います。  先ほど私自分の陳述のときに言えませんでしたけれども、申し上げますと、日本ではまだまだ女性が社会的に弱者であるということの一つの例にさせていただきますと、日本においてはまだ少女を買う者に対しての条例としてはありますけれども、法律としての罰則がありませんですね。それを私どもは、少なくとも児童福祉法は改正されるべきではないかという意見をかねがね持っておりますけれども、法律だけではなくて、例えば新聞記事、これは東京新聞ですが、いつでも言わせていただくのですけれども、小学生が売春をした記事をどう見出しをつけたかといいますと、「性の暴走どこまで 小学生が売春」とつけました。私たちはそれに腹を立てまして、「性の横暴どこまで 小学生を買春」と見出しをつけるべきではないか。これが私どもの言う社会正義ではないかという主張をしているものであります。  それから、外務省のお答えはいつでも性差別撤廃条約に対してそうなのですが、私どもが反論させていただくのは、現行の売春防止法第一条には、「性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び保護更生の措置を講ずることによって、売春の防止を図る」云々、これが売春防止法の目的でして、売春防止法は女性を対象としての法律なわけです。ですから、性差別撤廃条約六条に抵触しないのではなくて、大いにこの売春防止法は、性差別撤廃条約の二条及び六条からもう一度、もう二十何年もたっているのですから、見直されるべきなんです。今は女性にのみしわ寄せが来ている法律的な状態だと言わなければならないと思います。  なるほど第五条には女子とは書いてありませんけれども、第一条に女子と書いてあるのです。これを性差別撤廃条約に抵触しないというのは私は詭弁だと思います。本来、性の関係は男性と女性とは対等であるべきなのが、最も不平等な形がこの売春という行為であるということをぜひ性差別撤廃条約批准の折には皆様御審議いただきたいと思います。
  171. 神谷信之助

    神谷信之助君 参考人の皆さん御苦労さんでございます。  共産党の神谷ですが、まず津田参考人にお伺いしますが、先ほどから出ています少年警察活動について、これは少年法で言っている犯罪少年あるいは触法少年、虞犯少年、これ以上に健全な少年を含めて全体に及ぼす活動だ、いわゆる非行を起こすおそれのある少年に対する当然の警察の活動だ、それは警察法第二条の「犯罪の予防」に当たるのだと、こういう答弁が三井長官からありました。これは戦前の警察と戦後の警察、大きく転換をして、行政警察権限というのが極めて限定されていますから、ほとんど一掃されるという状況に変わってきているのが、私は新たなそういう復活になってきているのじゃないか。そういう点で、津田参考人は八〇年代の警察についていろんな危惧を持っておられるので、その点をひとつお聞かせいただきたいという点が一つです。  それから、和田参考人にお伺いしたいのは、先ほどおっしゃいましたように、総務庁青少年対策本部の所管になっている、都道府県あるいは市町村長の委嘱する、あるいは教育委員会が委嘱する少年補導委員制度というのがありますね。和田参考人は補導員だけれども、補導委員制度、これとの実際上の違いを、当委員会でも私いろいろ両方から聞きましたが、身分も権限も違わないし、相互の連絡もあるし、それから問題が起これば学校なり警察にも連絡をどちらもやるしと、そういうようにおっしゃっているのですが、実際にやっておられて、その違いというのはどういうようにお考えになっておるかという点、この点ひとつお伺いしたいと思います。  それから、土屋参考人は、今まで野放しの風俗関連産業が一応規制をされることになる、したがって仮に既存の業者はそのまま残っていても取り締まり規定を強化をして、それでびしびしやってもらえればきれいになるというそういう期待を持っておられるのですけれども、先ほど志苫委員も言いましたように、今までの風俗営業その他の場合でも、あるいは深夜飲食業の場合でも、暴力団が乗り出して、実際は営業権を取り上げて、そして売春行為をやっているという事態も余計出てきている。しかし、それがなかなか取り締まりはできるけれども、できない状態が現に残っておりますね。だから、構造上の規制とか、それからいろんな規制を仮にやってみても、そのことをちゃんと一定の期間までにすれば、その営業自身は残っていくという状況が続くわけですね。だから、売春行為なり、そういった風規紊乱の行為を規制をする決定的なものにならないところに私は危惧を持つのです。心配を持つのですが、これは当然地域のいろいろな運動の中でそういうのを規制をしていくということもあるのだけれども、逆にそういう面の警察権限の行使の弱さといいますか、というのを我々感ずるだけに、非常に危惧を持っておるのですが、この点はいかがでしょう。  それから、高橋参考人の御意見に私は全く賛成で、そういう点で今まで努力をしてきております。ただ時間の関係がありまして、答弁を含めて私の質問時間は十分間ですから、ちょっと割愛をさせていただきますので、お許しをいただきたいと思います。
  172. 津田玄児

    参考人(津田玄児君) 御質問の趣旨ですけれども、まずお手元にお配りしてございます「風営法改正ここが問題だ―東京弁護士会―」という冊子がございます。私の書いておりますのは四ページ以下でございますけれども、それの六ページにちょっと触れておいたわけですけれども警察のあり方といいますのは、戦前と戦後ではこれはかなり違ったのではないかというふうに私どもは考えております。  戦前の警察といいますのは、ここにも警察制度をつくりました川路さんの発言を引いてございますけれども、「一国ハ一家也。政府ハ父母也。人民ハ子也。警察ハ其保傅也。我国ノ如キ開化未ダ恰ネカラザルノ民ハ最モ幼者ト看做サザルヲ得ズ。此幼者ヲ生育スルハ保傅ノ看護ニ依ラザル可ラズ」、こうなっているわけです。つまり、国民が未熟であり、何にもできないから警察が面倒を見てやるのだと、これが基本に置かれていたわけです。だから、犯罪の取り締まりだけではなくて、いろいろ日常活動についても警察が面倒を見てやる。つまり、例えば先ほど高橋さん言っておられるような風俗の問題についても、これは警察が面倒を見ると、こういうのが戦前の社会だったのだろうと思います。そのことを基本にしまして自由とか権利とかというのが非常に軽視をされ、警察の言いなりにならなければいけないという状況が戦前にはあった。  戦後は、私ども警察というのはそうではなくて、国民の権利なり財産なりを守ってくれる。社会の秩序といっても、これは究極的には国民のそういう安全を守っていく、これが警察の役割であり、基本的には犯罪を取り締まる、これに絞られるべきであるというのが戦後の考え方だったと思います。  ところが、最近の特に少年警察のあり方ですけれども、どうも警察は、ほかのところがやるところがないので、警察が面倒を見なければいけないというお考えにだんだん変わってきたのではないだろうか。少年警察について言いますと、実は昭和三十年代初めごろの警察の御意見では、少年法、児童福祉法に言われている捜査活動、それから虞犯少年についての調査活動、そういう非行少年についての取り扱い等を除くと、警察というのは原則としてできないのだという見解が基本だったと思います。ただ、その周辺に不良行為少年についてのいろいろな補導活動があるのは、これは非行少年だといっても、つまり犯罪を犯した少年だといってもすぐは見つからない。だから、町をうろうろしている子供とかたばこを吸っている子供とか、こういうのに声をかけてみて、その背景に犯罪があるかないかということを探っているそういう入口として必要だったと、こういう御説明だったわけです。ところが、現在の警察の御説明ではそういうところにとどまっておりません。そういう少年たちは犯罪を犯すおそれのある少年であって、そういう少年についても指導をしていかなければいけない、これが現在の警察のお考えのようです。  それから、先ほど指摘しました少年警察活動要綱では、さらに子供たちは規範意識が足りないのだから、それを植えつけていくことも警察の仕事であると、こういうふうに最近は言い切っておられるように私どもは受けとめております。そういうことになってきますと、子供をしつけていくというようなことは、これはそれぞれの家庭の責任でございますから、端的に言えば戦前と同じように、家庭とかそういうところは力を持っていないから警察がやってやるのだと、こういうところまで来ているのではないだろうか。そういうことになると、私どもはこれは大変な事態につながるのではないだろうかというふうなことを恐れているという、そういう状況でございます。  詳細は、私以外の方も書いておりますけれども、これをごらんいただければと思います。
  173. 和田謙寿

    参考人(和田謙寿君) でき得れば警察の方の手をかりないで、教育的にやっていければよいという考え方もあると思います。けれども、最近の少年非行というものは、先ほどから何回も言っておりますけれども、バックにいろいろな強いものが絡んでおります。この強いものに対しては少年補導員が犠牲にこそなりますけれども、なかなか補導ということはやりにくいのです。  それで、今都道府県には、青少年対策本部ですか、その系統を受けた補導委員というものがあるのだということを申されましたけれども、今の状態がだんだんと続いていけば、このような補導というものは小学校のPTAとか中学のPTAが認定される程度のもので、実際には活躍ができなくなると思います。ですからこそ先ほどお話ししたように、地方のセンターには警察から出向してなさっているということなんです。けれども、このような法律が通りまして、そして世の中がだんだんと明るくなって、非行をする少年たちがはびこることができなくなったならば、恐らくこういうふうなものは僕はもっと緩和されて、今の質問者のおっしゃったような立場にいくのだろうと思いますけれども、今までの歴史から見まして、三十年、四十年というものが五年、十年で元へ戻るとはあらゆる問題で考えられないが、そういうようなことになると我々は大きな希望と明るみを持ちまして、そしてこのような立場を考えていきたいと希望しております。  なお、先ほどの話で補導員が学校のようなところへ連絡をなさるということをおっしゃいましたけれども、これは大勢の中には、または地方の都道府県の首長とかそういう方が任命なさった補導員だったならば、そういうことをなさるかもしれませんけれども、我々の少年補導員というのは、これは我々は警察的なところを通して、少年の係を通さなければしてはいけないというような原則ができております。ですけれども、大勢の補導員の中ですから、それが破られることがあるかもしれませんので、それがあった場合には私は申しわけないと申しますけれども、条件はあくまでも、それによって首になる学生、特に私立なんかではすぐに首にする可能性もありますので、だから原則はそのようになっているということなんです。  あと東京都の補導員の場合には、公立の中学の先生方、高校の先生方は補導員に任命しておりませんけれども、埼玉県とか方々に参りますと、三分の一ぐらいは補導員に任命なさっているようです。本当は先生と一般の方の両方があった方が便利なんですけれども、やっぱりお金の出どころとか、私よく知りませんけれども、いろいろな状態によって地方公務員はそういうことができないというふうなことがあるらしいです。細かいことは知りません。
  174. 土谷尊宏

    参考人(土谷尊宏君) しり抜けになって決定的なものにならないのではないかというふうな御質問だと思いますが、風俗関連営業に関する規定がおおむねその定義について政令に委任されております。これは一方では批判される面もあるようでございますけれども、私ども現場で、殊に風俗関連営業が目まぐるしく変化をするという実態を見ておりまして、できればその変化に対応する制度が欲しいということでかねてからお願いもしてきたわけですけれども、一方で逆に非常に決定的という考え方をとりますと、非常に広範な規制になるであろうと思われますので、政令に委任され、適正な定義がなされ、しかも状況の変化に迅速に対応するという余地が残されるということで、かなり問題は解決できるのではないかという期待を持っております。
  175. 三治重信

    ○三治重信君 民社党の三治ですが、時間が余りないですから簡単に。  津田参考人にお伺いしますが、今度の風俗営業等取締法改正は、主に各都道府県で条例でやっていることを全国的に統一するためにやる、それから風俗関連営業について若干規制を強化する、非常に性産業の繁茂に対して少し規制をするということが主なので、どうも弁護士会で問題だ問題だと言うのは、確かに見方によっては幾らでも問題になるのだけれども現実社会の動きに対してやはり善良の風俗を維持するというふうな規制というものを認めていかないと、個人さえ自由を確保すればいいということからいくと、もう少し弁護士さんの仕事も僕は弁護士会も考えてもらいたいと思うのですが、そういうことについて御意見をお伺いしたい。  今度の風俗営業法の改正は、主に現行の各都道府県の条例でやっている重要な主要なことだけ法律にしてやっている、性産業と風俗関連営業について少し厳しくやっている、こういうことなんですが、いかがでございましょうか。  それから、和田先生お話はほかの質問で非常によくわかりましたから、和田先生には屋上屋を架しません。  それから土谷さんも同じことなんですが、今度の風俗営業法というのは大体において各都道府県の条例でやっていることを法律化したことなんだ、新宿の歌舞伎町は大変だと、こうおっしゃるけれども、そういうふうなことは東京都の条例で警視庁がやるべきことを怠っていたのではないかと思うのですけれども、ほかのところでは非常に厳しくやっているところがある。そういうふうなことをやっていると、今度は風俗営業法を改正してみたところで警視庁がやる気にならぬ、東京都の条例があいまいでは警視庁の取り締まりが従来どおりだと、そうおたくたち皆さんが期待されるようなことにならぬと思うのだけれども、それはどうか。  それから、高橋さんのトルコぶろの禁止のお話はよくわかりました。ところが、風俗関連営業としてトルコぶろに準ずるような、のぞきだとかヌード個室だとか個室マッサージだとか、ありとあらゆるそういう性産業が出てきているのですが、こういうふうなものはみんな禁止されるべきだというふうにお考えなのかどうか。  以上であります。
  176. 津田玄児

    参考人(津田玄児君) 今お隣の土谷参考人に対する御質問で、現実に今の条例等でも規制できるじゃないか、そこらあたりを怠っているのじゃないかという御指摘があったと思うのです。私どもが気にしておりますのは、どうも現在あるものでかなりの程度のものができるはずではないだろうか、そこらあたりが何かずつ飛んでしまってこういう改正案が出てきているのじゃないだろうかという点が大変心配なんですね。  例えば青少年保護育成条例では、広告に対する規制というのはどこの都道府県でもございます。東京都もその規制の中には、これは警察は一方的にやるということではなくて、審議会の意見を聞いて、それから自主的な規制団体があったら自主的な規制団体の意見を聞いて禁止をする、指導をする、こういう規定がございます。そういうようなものが果たして完全に生かされてきているのだろうか。それをやらないでおいて何重にも網をかけている。つまり手っ取り早い方でやっていく。これは実は解決するようで、今先生指摘のように、本当は解決しないことになりはしないだろうか。何かどんなにそこを規制をしたとしても、本当にやる気がなければ解決していかないのじゃないか。だから、むしろ私は手持ちのものでまずやれることは十分やるべきではないだろうかと考えますし、かなりのことはできるはずだ。  先生もおっしゃるように、条例を移しただけであれば、そうでない部分もあると思いますけれども、移しただけであれば、実はかなりのことはできるはずなんですね。そこらあたりを私どもは、ねらいがどうも違っていはしないかという、これは私ども勘ぐり過ぎになるかもしれませんけれども、そういう懸念を持っているということでございます。
  177. 土谷尊宏

    参考人(土谷尊宏君) 各種の条例によって既に規制されている面が多いではないかということなんですけれども、私どもがかねがね最も問題にしておりましたのは、今度の改正法案で関連業に位置づけられている業種でございます。各地の風営法施行条例は現行風営法の都道府県条例の委任条項によって制定されておりますので、もつぱら現行風営法に規定されている業種について定められているということが言えると思うのですけれども、私ども、繰り返しになりますが、非常に望んでおりましたのは関連業についてであると。  それから、各自治体の警察の方がしっかりやらないとだめではないかということですけれども、この改正法案を受けて都道府県条例に委任される部分については、さらに私ども地元としまして、そういう問題営業の蝟集します地元としまして、やはり要望ができる機会がありますと御要望申し上げてまいりたいというふうに思っております。
  178. 高橋喜久江

    参考人高橋喜久江君) ほかのセックス産業をトルコぶろと同様に規制すべきかどうかという御質問だと思いますが、私の答えもまたある意味で割れるのですけれども、仮にトルコぶろを単独立法で廃止するときに関連営業も含める方がいいという意見が多くなれば、私もまたそれに同調したいという気持ちはございます。でも、もう一つ私の基本的な考え方を申しますと、トルコふろは現在もう法律と行政で守られているから、現代の公娼制度になっているから、それを打破するためには法律の力が必要だという主張なわけですね。  ほかの関連営業に関してはどうかといいますと、私先ほど新宿区民だけれども私は除いてくださいというふうに申し上げましたけれども、私は新宿区方式、現在の方式そのことを評価するものなんです。きょう区長はいらっしゃいませんけれども、区長のあれは英断であってよくぞやってくださった。要するに彼個人の意思でもってあの裁判闘争まで駆り立てて、それが新宿区独自の基準、規制の方針までもおつくりになったわけですけれども、私は、警察権力ではなくて行政でポルノ産業その他は駆逐されるべきであるし、市民運動や判例がそれを支えていかなくちゃならないのだ、警察権力で規制するという形は本来は望ましくないということです。いわば状況がどうなるかわからないので、ここで決定的にどっちであるべきだというふうな形になりませんし、繰り返しになりますけれども、法律で規制しようという声がトルコぶろとともに高まるのだったら、それもまた一つの法治国のあり方だなとは思いますけれども、私個人の考え方は後者の考え方でございます。
  179. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には、長時間にわたり本委員会に御出席願い、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。重ねて厚く御礼を申し上げます。  速記を中止して。    〔速記中止〕
  180. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記を起こして。  続いて、本案審査のため、参考人として弁護士五百蔵洋一君、全国環境衛生業組合中央会専務理事井上正行君、弁護士井田恵子君、以上三名の方々の御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言一あいさつを申し上げます。  本日は、皆様方には極めて御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございました。心から御礼を申し上げます。  本案につきまして皆様からの忌憚のない御意見を拝聴し、本案の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  なお、議事の進行上、参考人の方々にはそれぞれ十分程度御意見を順次お述べ願い、陳述がすべて終わりました後に、各委員質疑にお答えを願いたいと存じます。  また、発言の際はその都度委員長の許可を受けることになっておりますので、あらかじめ御了承を、お願いいたします。  それでは、まず五百蔵参考人にお願いを申し上げます。五百蔵参考人
  181. 五百蔵洋一

    参考人五百蔵洋一君) 私は弁護士で大変難しい名前ですけれども、五石蔵と申します。  私どもは五十九年の六月二十日付で、「風俗営業取締法改正に対する意見」というのをまとめてございます。本日、用意いたしましたので、お読みいただければ大変ありがたいと考えております。  本法案については問題点が数多くあり、しかも多岐にわたっていると、このように考えております。しかし、きょうは時間の制約もあり、また、ほかの参考人がお述べになる点もあると思いますので、次の諸点に絞りまして意見を述べさせていただきます。  それでは最初に、各条文の問題点ということに関して陳述をいたします。  改正案三十七条の「報告及び立入り」について、まず述べたいと思います。  内閣の提出案につきましては衆議院で修正されましたが、現在なお問題があるというように考えております。警察時報社という会社がありますが、そこで出しております「条解実務権限集」、この三百九ページから三百十二ページにかけて現行風営法六条の「立入」について記載をしております。その中ではこのように書かれております。「警察官が立ち入った後に何ができるかについては、本項は特に規定していないが、その目的からみて、立入りをした警察官は、本法及び本法の施行条例の実施のために必要な限度で検査をし、又は関係者に質問することができるものと解される。」、このように述べているのであります。  翻って、今回の衆議院での修正後の三十七条一項を見ますと、報告ですとか資料提出というものがつけられております。これはやはり現行法を超えるものと言わざるを得ません。警察時報社の内容というのは、恐らく警察の実質的には内部的な公式意見を述べているものだと思いますけれども、どうもそういうものからも逸脱をしているように思います。  それで、修正案の一項で報告や資料の提出については、「この法律の施行に必要な限度」という制限はついておりますけれども、これは大変抽象的でして、何とも法律家としては答えようのない、これは抽象的過ぎるというふうに考えております。衆議院の附帯決議の中で、これについて十項の一から四ですか、いろいろ述べております。しかしながら、これは乱用の危険があるということを心配してつけていただいたものだと思いますけれども、仮に現行法の六条を改正するなら、この附帯決議についてはどうしても本法の中に取り込む必要があると、このように考えられます。  それでは続いて、改正案二十五条ほかの「指示」についても一言述べさせていただきます。  改正案は、現行法四条の「必要な処分」ということを「指示」という形に改めたというように説明をされています。しかしながら、指示というのは、処分という言葉と同義語とはちょっと思えません。法律上は、処分というのは、法律家としては大変明確な言葉だというふうに考えるのですけれども、それに比べれば非常にあいまいになったという感じを受けております。そして、このあいまいな「指示」という概念で何らかのまさに指示ということが行われるわけですけれども、果たしてそれに対して取り消し訴訟をできるのかということについては法学上かなり疑問があると思います。やはり、指示違反という形で営業停止の聴聞会が行われる、せいぜいその聴聞会に至って初めて問題にできるものではないかというような疑念があるように考えております。やはりこの「指示」というものについても、もっと明確に具体的にすべきだというふうに考えられます。  それでは続きまして、風俗環境浄化協会についても意見を述べたいと思います。  改正案を見る限り、この法律というものは、風俗営業や風俗関連営業のいわば企業種を対象としていると、このように考えられます。しかしながら、非常に多種多様な業種でして、こういうものを一つに包括するということはいかがかというように考えられます。また、一つに包括するといいましても、各業界それぞれの利害関係が大変錯綜して、どう考えても一つにまとまるのは難しいのではないかというように考えられます。  ちなみに厚生省の管轄いたしておられます環境衛生同業組合一きょう参考人の方もお見えだと思いますが、この法律を見る限り、各業種ごとに団体をつくるというようになっておりまして、やはり体裁は相当違っているように思います。やはりこういう協会をつくるとしても各業種ごとにつくるのが自然な姿ではないかというように考えられます。それを無理に一つにまとめても大変難しい問題が起こってきます。やはりそれを一つにまとめるためには、実は警察が各業者に対して非常に強力な指示、指導監督というものをするという前提ではないかと考えられます。やはり警察主導型の協会というふうにその性格はならざるを得ないというように考えられます。  この協会の行う事業として三十九条の二項にいろいろ述べられております一号から六号の事業、特に五号や六号の事業を手がけることによりまして、結局のところ浄化協会は風俗営業の許可手続、これを代行する機関あるいは下請の機関という役割を果たすことになろうと思います。また、二十条の五項ですか、これでいわゆる遊技機の認定、検定も浄化協会が行うことになると考えられます。  衆議院段階政府委員の方の御答弁を議事録によって拝見いたしましたけれども、その中では、まだ決まっていないというように述べておられますが、常識的に考えて、この協会をそのように育てていくというのが警察の意思であろうというように考えられます。そうなれば、浄化協会というものはますます公安委員会警察の行う行政事務の代行機関、外郭団体という性格を強めるように思います。  それで、このような業務からは次のような問題点が生ずるというように考えております。一つは、本来公安委員会警察という大変公的で、また厳格な機関が行うべき仕事を民間に代行させるというのは好ましくないのではないかということ。二つ、その協会の性格から、率直に申しまして警察官の天下り機関と言われるようなものになること。これはパチンコ屋さんの業界などにもどうも実例があるようでございます。それから三つ目、浄化協会の仕事の主要なものということは、今述べましたように、要するに同業者組合的なもの、こういったものだというふうに一面判断されます。  そうしますと、どうも既存の防犯協会を活用するということは無理ではないかと考えられます。防犯協会の性格とこういったような業者団体的な性格というものが相入れるとは大変考えられません。こういうように環境浄化協会というものは矛盾した性格を持っておりまして、それを衆議院の附帯決議のように防犯協会の活用という方向に生かすことは難しいのではないかというように考えております。  それから、ゲーム機械の規制についてでありますけれども、今回初めて風営法に取り入られるわけですけれども、どうもここまで拡大すべきかどうかは大変疑問なように思います。その規制の仕方も、例えば二条一項八号に見るように政令に大変ゆだねられております。また、青少年の非行対策を理由にしながら、成人についても十三条で、これは他の業種も同様ですが、営業時間を午前零時までという形での一律の制限がなされております。しかしながら、例えばトラックの運転手さんが深夜働くという例は今の業界ではざらにあります。そういう人がどこか深夜のレストランに寄って、ちょっとゲームをやって息抜きをするというようなことまでできないことになってしまっては、どうも片手落ちではないか。どうも夜働く方に対する配慮というものもやはり足りないような気もします。  結局のところ、ゲーム規制は一部の悪い業者といいましょうか、そういうものを規制するために今回設けられたものだというように考えられますけれども、その結果、普通のゲーム機械の営業に対してもやはり不要と思われるような制限を課しているというように考えざるを得ません。  それでは、このような各論の検討を踏まえて総論的な意見を幾つか述べさしていただきます。  まず第一に、政令ですとか国家公安委員会規則等への委任が大変多過ぎるというように考えております。特に二条四項五号などは法律に入れるべきであるというように考えられます。また、営業時間の規制あるいは地域規制、こういったものは条例にストレートにゆだねていくという方向でよいのではないかと考えられます。  それから、政令事項あるいは国家公安委員会規則事項というものも、現在までのところこのようなものを定めるという形での文書を私も拝見させていただいておりますけれども、さらに具体的な条項が明らかになって初めてこれはいいとか、これはまずいとかいったようなことがもっと言えるのではないかと思います。今のままではやはりまだ抽象的に過ぎるというように考えられます。  あと、法案の提出の手順にも大きな問題があるように思います。  この法律は国民の権利に大きな影響を与えるというものですけれども、新聞で見た限りでは、たしか三月五日ごろだと思うのですが、有識者懇談会というものを警察庁がお開きになったというように聞いております。どうもそれも一回ではないかと思うのですけれども、これはやはり利用者あるいは弁護士会といったようなところの意見も聞くべきではなかったかというふうに考えられます。例えば少年非行の問題ですとか売春の問題については日弁連は大変長い間の研究を続けております。こういったようなところの意見が今回聞かれていないという点にも問題があります。結局こういう下位法令への大幅委任とか提出の手順の問題、これは留置施設法案と大変そっくりであるというように考えております。どうもそういう点に共通の問題があるというように私としては考えざるを得ません。  それから、時間もないようですので最後に、この法案というものは規制対象業種あるいは規制対象行為というものを大幅に拡大しております。しかしながら、やはり良識のある業者にとっては、立ち入り権の拡大であるとかあるいは指示、浄化協会を使ってのさまざまな規制というものが大変しんどいものであるというように考えられます。ところが、いわゆる悪い業者といいましょうか、今回の改正によって本当に摘発しようとする業者にとっては、例えばダミーを立てたり早期の転廃業を繰り返すといったような形で、結局逃れていくのではないかというように私としては考えざるを得ません。どうも本当に実効性のある改正かどうかについては疑わしいというように私としては考えております。これらの不良業種や業者を締め出すためには、その武器というものは売春防止法であるとか児童福祉法、あるいは賭博罪といったもののもっと積極的な活用によって生かされるものであって、風俗営業法の強化では余り効果はないというように考えております。  少なくとも、この法案には副作用が多過ぎるといいましょうか、行政警察権の拡大が多過ぎると、こういったような問題点を最後に指摘をさせていただきたいと思います。  時間の関係もあると思いますので、これで終わります。
  182. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  次に、井上参考人にお願いいたします。
  183. 井上正行

    参考人井上正行君) 私ども環衛業界にとりまして極めて関係の深い風営法改正案の御審議に当たりまして、業界の考え方を述べる機会をいただきまして、ありがとうございました。  初めに環衛業界として現行の風営法についてどのような問題を考えておるかということを簡単に申し上げたいと思います。  第一に、現行の取締法という名称に対して非常に不快感を持っております。業界の大多数を占める善良にして健全な営業者は、関係公衆衛生立法により許可を受けております。その生業を営む者としては大変誇りを傷つけられているというふうな印象を受けております。これが一つであります。  次に、飲食店営業について現行風営法の接待の定義でありますけれども、あえて建前としての解釈と申し上げますけれども、およそ社会環境の変化とかけ離れたもので、極端に言わしていただくならば、戦時中の国民酒場があるいは戦後間もない食糧難時代の外食券食堂的業態以外はほとんど風営法の対象業種になるのではなかろうかというふうに思われます。お客さんの多種多様な利用実態にこたえ、さまざまな営業形態の飲食店が次々にあらわれております。今や六本木ビジネスとまで言われております深夜飲食店の現状を思いますときに、結局正直者がばかを見るというような矛盾と不公平が現実に数多く存在しているのが実態でございます。  次に、風俗営業の許可手続に当たって、構造基準等その指導要綱等が必要以上に厳し過ぎるのではないか、行き過ぎているのではないかということであります。例えば、全部の都道府県ではございませんですけれども、建築基準法による確認申請等に使用されます建築図面、これは風営法では認めません。風営法の方では図面のはかり方、面積の出し方が違うのであります。建築基準法は心心ではかりますが、風営法は内のりである。心々と内のりのほかり方から生ずるわずかな面積の差が、風営法がその目的とする法益を守るためにどれだけの理由があるのだろうかと、業界としては理解に苦しんでいるのが実態でございます。そのために、別途専門家に作成してもらうと大変な経費が必要であります。また、営業の相続は事実上新規の開業と同じような扱いになっておりますために、何代も続いていたしにせでも、後からできた学校でありますとか病院等周辺の特別施設の承諾が必要であるというふうなことがあったわけでございます。  次に、風俗営業許可業者であるがゆえに金融、税制関係において差別を受けているのであります。これら金融、税制関係の公的な制度の大部分は、その適用につきまして、ただし風俗営業者を除く式のものがたくさんございます。たとえどんなに健全な営業を営んでおりましても、風営業であるということだけで差別を受けているということは大変業界の中で不満の声が高いということであります。残念ながら風俗営業の中には、そのごく一部に好ましからざる業態と申しましょうか、営業をやっている者もあることは承知いたしております。しかし、大多数の者は、まじめに額に汗して働いている者であります。健全な風俗営業者であるならば、他の業と同様に金融、税制制度の対象にしていただきたいという声が切実に業界の中にございます。  以上申し上げました事項のうち、原案において改正していただいた分もございますが、業界として多年問題となっている主な事項について申し述べました。  次に、風営法改正案についての意見と御要望を申し上げたいと思います。  前述のように、現行風営法に対し業界として長い間問題としていた事柄等を中心に、関係業界からかねて風営法の改正について関係方面に要望いたしてきたところでございます。しかしながら、当初警察庁案として提示された改正案では、環衛十六業種のうち十業種、施設数にしまして約百六十万に上る営業所が風営法の対象となる、何らかの形で規制されるというものであったわけでございます。  その後、御案内のとおり、関係会議員の先生及び厚生省初め関係省庁の方々の御理解をいただきまして、おかげさまをもちまして、国会に提出された改正案は、大筋といたしましては環衛業の要望を取り入れていただいております。また、衆議院における審議の過程において、業界が不安であったり懸念を持っておりました幾つかの事項についても解明をしていただきました。さらに、法案第三十七条、ただいま先生がおっしゃいました警察職員の立ち入り等についても修正をしていただいて、重ねてまた附帯決議等、御理解のある決議をいただいて、これらについては幾分かはほっといたしている状態でございます。  しかしながら、この法案の内容が百五十万に及びます環衛業の関係に大きな影響を持っております。しかも、圧倒的に多数の零細飲食店の死活問題にかかってございます罰則等も強化されていることもございまして、業界組織の第一線を世話している役員から、だんだんと内容がわかるにつれていろんな心配が出てまいっております。それらの点につきまして主なものについてお願いを申し上げたいと思います。  まず国会審議の過程においても諾先生から御指摘がございましたように、国家公安委員会規則等に委任されている事項が八十に近い、もちろん多種多様な業種業態のすべてについて法律の中で明確にすることは困難であることはよくわかりますけれども、例えば二十万円という罰金つきの届け出飲食店だけではなくて、深夜飲食店のすべてに適用される従業者名簿の作成内容等もすべて国家公安委員会規則に譲られている、これら非常に不安の種がいっぱいあるわけでございます。  そこで、これら公安委員会規則等のうち、直接営業者にかかわる規制内容とするものについてはできるだけ関係各省と十分な御協議をいただきたい。と同時に、関係業界等の意見等も可能な限り聴取していただく、また先ほどの先生お話にございましたが、利用者の意見等も十分お聞きいただいて、風営法がその改正趣旨に沿って真に適切かつ有効に施行されるような御配慮をお願い申し上げたいと思います。その意味で、衆議院における議決に当たり附帯決議されました研究会等の設置についてはぜひ実現をお願い申し上げたいと思います。  次に、接待の定義の解釈の問題であります。  国会審議の過程におきましても、しばしば先生方警察御当局との間で議論がなされておりますけれども、議事録で拝見している限りでは、前述の国民酒場、外食券食堂的業態以外のほとんどが風営法の対象になるのではないかという懸念がまだ残ります。申すまでもなくこの接待の定義、解釈は、個々の営業者の経営方法に極めて大きい影響を持っております。多くの零細な飲食業にとってはまさに生活のかかっている解釈、定義の問題でございます。余りにも、国会答弁でお聞きする限り、今日の多様化した国民の生活意識あるいは生活行動、私はこれは広い意味での風俗慣習と言ってもいいのではないかと思うのでありますが、いささか現実離れし過ぎるではないか、そのことが生活のかかった業なればこそ、当局の影におびえながらも、あえて時間外営業をやらざるを得ない、これが実情であろうかと思うのであります。そこに不公平が生じ、かえって飲食店という看板を悪用した悪質な店を生む原因にもなっているのではないかというふうに私どもは考えております。  人間の生活構造の変化、ニーズに的確に適合していかなければ、大企業の進出でございますとか、とにかくますます競争の激化しております零細飲食業の場合には生き残れないわけであります。善良なそして社会的、経済的弱者が圧倒的に多い飲食業の方々が納得して守ることができるような定義をぜひお願いを申し上げたいと、この機会に御配慮を強くお願い申し上げておきます。  次に、接待の定義とも関連することでありますが、現行の主として酒類を提供する飲食店と、それから改正案の届け出を必要とする酒類提供飲食店との関係であります。もちろん接待行為を伴わないことを前提としてお願い申し上げたいのでありますが、今日、飲食店の中で特殊な例外を別といたしまして、いわゆる純喫茶以外は大なり小なり酒類を提供いたしてございます。政府案においては、社会実態の変化に応じ、十二時以降でも静かに酒を飲ませるなら朝まで営業してよろしいということでございます。これは大変私ども評価いたしてございます。しかし、この場合に法案第三十三条により届け出を必要とする酒類提供飲食店の範囲は、現行の主として酒類を提供する飲食店よりもその対象となる飲食店が広げられるように感じられるわけでございまして、現行の主として酒類を提供する飲食店についての運営上の解釈は、酒類の売り上げが六〇%以上とひそかに聞いております。この辺のことが目安になりますか、大変心配がありますので、ぜひこの辺を慎重に御審議を賜りたい、かように考えております。  終わりに、風営法改正案がその主たる目的としております少年の健全な保護育成及び善良な風俗の保持については業界組織の全力を挙げて協力を申し上げる所存であります。そのことが国民の日常生活に最もかかわりの深い環衛業の安定と発展につながるものと信じております。その見地から改正案内容、運用についても、関係営業者が真にその社会的役割を自覚し積極的に協力できるようなものとしていただきますように、慎重に御審議をお願い申し上げまして、終わります。
  184. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  次に、井田参考人、お願いいたします。
  185. 井田恵子

    参考人(井田恵子君) 今回の風営法の改正につきましては、日本弁護士連合会は行政警察権が著しく拡大強化され、国民の基本的人権が侵害される多くの問題点があるので、ぜひ慎重に御審議をいただきたいと要望いたしてまいっております。  そのうち、法案の性格、警察権の拡大の問題あるいは少年の人権の問題等につきましては既に他の弁護士から意見を述べられておりますので、私は主として規制対象の拡大の問題につきまして意見を申し述べたいと存じます。  改正法案は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するために規制対象を大幅に拡張しているわけでございます。  即ち、風俗営業、許可営業でございますが、これにスロットマシンテレビゲーム機等の遊技場を加えるとともに、これまで地域等についてのみ規制されておりました個室付浴場業、いわゆるトルコぶろ、モーテル営業に加えましてストリップ劇場、のぞき劇場、個室ヌード、ラブホテル、アダルトショップ、個室マッサージその他善良の風俗、清浄な風俗環境少年の健全育成に与える影響の著しい営業として政令で定めるものを風俗関連営業として新たに届け出を義務づけ、また、バーとか酒場等の酒類提供飲食店営業を深夜において営む場合にも届け出を義務づけております。  改正法案は目的規定を初めとしまして、営業内容につきましても、「善良の風俗」、「清浄な風俗環境」あるいは「少年の健全な育成」という用語が随所に出ておりまして、これらが今回の法案の保護法益とされているわけでありますけれども、何が善良の風俗であり、何が清浄な風俗環境であるかということは大変漠然とした問題、あいまいとしたことでございまして、その定義内容も極めて不明確でございますし、国民の意識も多様に変化しております。例えば、わいせつについてもそのとおりでございますけれども、時代によって大変変わっていくものでございます。したがいまして、これを国の権力的な判断で律せられるべき筋合いのものではないと思うのでございます。あくまでもその内容の決定というのは、その時代の国民、市民の良識で決められていくべき事柄であろうかと存じます。  ところで、今度の改正法案の中に風俗関連営業に入れられております個室付浴場業につきましては、日弁連は調査検討を加えてまいりました結果、五十一年と五十五年にトルコふろは売春防止法が最も厳しく罰している管理売春を常態としている営業であり、その抜本的解決のためには公衆浴場法を改正して営業自体を廃止すべきであり、これを風営法の中に取り入れて警察官の立ち入り権を認めるという、そういう方向は過去の臨検制度へつながっていくおそれがあるので絶対に行わないようにという提言並びに要望をいたしてまいりました。  御存じのように、トルコふろは昭和四十一年に風営法におきまして地域規制が行われましたけれども、それ以来、建設禁止除外地域にトルコぶろが密集いたしまして、また営業所数も年々増加の一途をたどっている状況でありまして、公娼制度の復活であると言われても決して過言ではない状況でございます。  このことから見ましても明らかのように、届け出制ではあれ、国がこの個室付浴場業をまずは正常な営業として認めている限りは、トルコぶろをなくしていくことは到底できないことであろうと考えます。  現在、我が国はこの性産業に関しまして、売春防止や少年の保護などのために売春防止法がありますし、児童福祉法、労働基準法、職業安定法、刑法があり、また青少年保護育成条例などの取り締まり法規を有しております。したがいまして、性産業を取り締まるというのであれば、まずはこれらの法規の適正な活用を行うべきであろうと存じます。この運用を十分にしないで、あえて早急に風営法を改正して規制を強化する必要性はないものと思われます。さきに述べましたトルコぶろの調査によりましても、警察での摘発の状況というのは非常に少ない状況でございます。また、性産業の規制の必要性を全く否定するものではございませんけれども、いかなる方法で臨むべきかについては、広く国民の論議を待つべきであろうと存じます。性産業がはびこるにはそれなりの社会的、教育的背景があります。その原因に根ざすものがあるわけでありますから、これを警察規制だけで問題を解消しようとすることは、角を矯めて牛を殺すの論ではなかろうかと存じます。  今回拡大されました性産業について見ますならば、個々の営業についての構成要件が極めて不明確であります。これはたびたび御審議もいただいているところでございますが、スロットマシンとかテレビゲーム機等の遊技設備の問題につきましても要件があいまいでございます。  また、接待の定義につきましても、何度も御審議いただいているようでございますけれども、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」というのも本当にあいまいなことでございまして、なかなかその場でいろいろ変わり得る状況の中で、それが犯罪につながっていくということになりますと、これまた大変な問題でございます。  また、刑法の概念より広がるものもございます。また、改正法案は風俗営業と関連営業との区別の根拠の妥当性といいますか、合理性にも問題がございます。改正法案にはたくさん検討しなければならない問題点があると存じます。特に、改正法案は、先ほども五百蔵弁護士が述べられたところでございますけれども規制対象の範囲を大幅に政令、国家公安委員会規則にゆだねている。特に二条四項五号は白紙委任にも等しい規定でございまして、範囲の不明確性は極めて問題でございます。法律によらないで営業の自由を制限していくということになりかねない。これは憲法上も大問題でございます。営業の自由の警察規制は必要かつ合理的な場合に限られるべきでありまして、この見地からの個々的検討が必要だと思います。  規制対象が拡大すれば、警察職員の立ち入り権等が及ぶ範囲が必然的に広がることでございますので、それは国民の人権に大きく影響を及ぼしてまいります。営業所に警察官が入りますと、犯罪捜査のためではないといっても、現実には取り締まりに通じていくということは当然考えられるところでありまして、行政目的の行使ということで、事実上憲法の令状主義や不利益供述を強要されない保障が侵されていくという危険があります。客には質問権が及ばないといっても、十八歳かどうかということがわからない場合は質問は及ぶでしょうし、ラブホテルに入っていた男女のプライバシーを侵すことも出てまいります。少年についても、拡大された営業所の近辺にいただけで補導されるといった事態がふえるでありましょうし、それによって少年の人生の第一歩で補導のマークが付されるといった事態の発生が起きてくるのでございます。規制対象の拡大は、このようにいろんな基本的人権につながっていく問題であります。  附帯決議では、第二項で、本法の運用に当たっては基本的人権を侵さないよう慎重に配慮すると書かれてございますが、そのとおり、まことに本改正案それ自体に危険性が十分に存在しております。また、附帯決議の九項では、政令等の制定や本法の運用に当たりましては、研究会等を設置し、各界の意見を聞くようにと、こうございますけれども、これは本来は本法案が制定される以前に行われることが最も大事なことだと思うのでございます。  人権にこれほど影響の及ぶ問題点のある法案につきましては、国民各層の意見を十分に聞いていただきまして、盛り場の減少にのみ問題を当てるのではなく、拙速に法案を制定されたならば、我が国の将来に大きな禍根を残しかねないのではないかと存じます。問題点の多い法案でございますので、日弁連といたしましてもまだまだ検討し足りないところがいっぱいございますが、どうかより多くの方々の御意見を十分お聞きくださいまして、慎重の上にも慎重なる御審議をお願い申し上げまして終わらせていただきます。
  186. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  以上で各参考人の意見陳述は終了いたしました。  これより質疑を行うわけでございますが、参考人の皆様にお願いを申し上げるのは、質疑者の持ち時間が限られておりますので、御答弁につきましてはなるべく重点的にと御協力をお願いしたいと思うわけでございます。  質疑ある方は順次御発言を願います。
  187. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 お忙しいところわざわざ御出席いただきまして恐縮でございます。  五百蔵さんに対して一、二御質問申し上げたいと思いますが、憲法十九条、二十一条、二十三条ですか、自由と公共の福祉との関係というものがあるわけですが、自由というもの、いわゆる営業の自由なり表現の自由というふうなものが戦後非常に拡大されてきていることは結構なんですけれども、あわせて公共の福祉問題というのがとかく平衡感覚を失った形で存在している、    〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕 こういうところに社会のいろいろな環境のひずみというものが出てきているわけではないか、このように思うのです。  そこで、環境の浄化に対する協会をつくってやろうという警察側の提起があるわけでございますが、これはやっぱりいろんな問題があるという御指摘がございました。特に警察権の拡大とかいろんなおそれ、そういうふうなものから来る一つの考え方であろうと思いますが、しかしこれらの問題につきましては、警察並びに政府としては全体として十分に各界の意見を聞きながら具体的にある組織とも連動し、より内容を高めていこうという考え方を持っているわけであります。だとすれば、この環境浄化協会というふうなものが必要であるかないか、いろいろ問題があるとしても必要であるかないか、そこらあたりの御意見を拝聴いたしたいと思います。  それから、井上さんに御質問したいと思います。  環境衛生組合で最初からこういう法案についてはいろいろな面で御不満もあって、いろいろな話し合いの中で具体化されて、こういう現実の中ではやむを得ない、しかし問題がないわけではない、こういうふうな御意見でございますが、やはりこの環境浄化協会というようなものに積極的に御協力をいただくような、そういうお考えをお持ちになっておられるかどうか、この点についてひとつ御質問申し上げたいと思います。  それから、井田さんの御意見、いろいろな角度から非常に疑問点を提起をされたわけであります。しかし、それにもかかわらず現行法令による取り締まりでは極めて不十分であると、こういう認識に立っておりまして、またそれぞれ問題が新しく次から次と出てきている中でもうほうっておけない、そういうふうな現実に立っている社会現象もあるわけでございまして、そういう現実的な、何というか、サインの問題というか、あるべき一つの具体的な事象というものに対してこれをほうっておくことはできないような状態になりつつあるということから、この風俗営業並びに関連営業というこの二つに分けて具体化して、包括的に問題をとらえたところにいろいろと疑問点が投げかけられていることも承知いたしたわけであります。特に関連営業問題については非常にいろいろと問題がないわけじゃございませんが、やはり井田さんの御意見にいろんな疑問点持っておりますが、    〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕 だとすれば、現状の認識の中である一つの解決の方向というものは一体何だろうか、こういう点について御意見があれば承っておきたいものと、このように考える次第でございます。  以上でございます。
  188. 五百蔵洋一

    参考人五百蔵洋一君) 今先生の御意見のうちの自由と公共の福祉の関係、これは大変微妙な問題で、常に私としても難しい問題であるというように考えているところは全く同意見でございます。  先生の、風俗という中でいわゆる環境浄化協会が必要かどうか、こういう御意見でしたけれども、風俗は文化である、私はそういうふうに考えております。一つの時代の反映でありまして、それが歴史となったときにはその時代のそれこそ風俗というものが写真あるいはその他の形で生き生きとして残されるものであります。ましてや庶民のつくる文化というように広く言えば言えるかと思います。そういうような文化であるということからいきますと、やはり規制には大変慎重でなければいけないというのが私の考え方でございます。  そうしますと、そういった広い意味での文化というものを、警察が協会をつくって規制をしていくということについてはやはり相当慎重でなければならないと思います。あるべき理想的なものというものがもし見出せるのであれば、そういう協会といったようなものも結構かと思います。しかしながら、今回つくけれようとしておりますのは、先ほども申し上げましたように、大変複雑な構造を持っているように思われるのです。一つは、いわゆる防犯であるとか取り締まりといったようなものを警察と一体となって行うような機関であるというように考えられます。一方では業界の、いわゆる業界団体といいましょうか、同業者の集まりと、こういったようなもの、そしてまた警察の行政事務といったようなものを代行するような、そういう性格を持っているように思います。  また、これが都道府県ごとに一つということになりますと、あらゆる業界、これが関連営業も含むということであれば、それこそトルコぶろの人から、あるいはアダルトショップの人からバー、料亭まで、こういったものが一つに寄せ集められるというのはいかがかと、こういうように考えております。  ですから、もし純化した形であれば必要であるというようにも考えられますけれども、今回の法案についてはやっぱりおかしいのではないか、つくるべきではないというように考えられます。  以上のとおりです。
  189. 井上正行

    参考人井上正行君) 浄化協会の構成でありますとか、それから警察、それから営業者との関係、それから委任を受けた行政事務の代行の仕組み等についてはまだつまびらかではございませんので、その辺のところはまだ私どもも研究いたしておりません。  しかしながら、風営法の運営が、関係する業界でありますとか、あるいは地域関係でございますとか、その他関係者の意見が十分反映する場としてこの環同組合等と十分な事務連携を保つ、あるいは部会制度というふうなことでそれが実効を上げられるならば私どもも協力をしていきたいと、かように考えております。
  190. 井田恵子

    参考人(井田恵子君) ばっこする性産業に現実的にどう対応したらいいかという御質問だったと存じます。  日本弁護士趣全会では、性産業の中でも最も本家本元だったといいましょうか、トルコぶろにつきましては検討いたしまして、抜本的解決のために公衆浴場法の改正によって廃止すべきだというふうに考えております。それまでの間は、売春防止法の十二条とか十三条を適正に運用して取り締まるべきだという提言もつけ加えております。しかし、現状におきましては、雄琴のトルコぶろの調査などをいたしましても、巨額な融資が行われながら、金融機関等が処罰された例というのはまずはないわけでございます。ですから、まずそれをすることが大事であろうと存ずるわけであります。  それから、他の性産業につきましても、現行の取り締まり法規、先ほど申しました売防法あり職安法あり、そして児童福祉法等々があるわけでございますから、これらをまず適用する。そうした上で、それでもなお足りないのかどうか、そうしてさらに立法をする場合であれば、その合理的範囲を決めなきゃいけないし、また立法をしたがために大きな副作用が及んでしまっては大変でありますから、それらも含めて大いに検討すべきではなかろうかと思うのであります。  それから、立法形式におきましても、単に法律ということではなく、条例で行うという形も考えなければならないわけでございますし、諸外国もこういう性産業にどういうふうに対処するか、いろいろ立法例を検討しなければならないことだと思うわけでございます。  今回のような形では副作用が多過ぎるというふうに考えております。
  191. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 五百蔵さんにちょっとお伺いしますが、警察というものに対する認識、戦後、民主警察になったわけですけれども、この警察に対する認識をどうお持ちになっておられるか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  192. 五百蔵洋一

    参考人五百蔵洋一君) 大変抽象的な御質問だったものですから、こういう形で述べてみたいと思うのですけれども警察のやはり本来の任務というものは違法行為といったようなものを未然に防ぎ、あるいは違法なことが行われた場合に犯罪を摘発するという作用であると思います。そういう意味では大変司法と密接な関係を持つ、あるいは司法の一番先端にいる部分というふうに考えていいかと思うのです。ところが、今回問題になっているのは要するに行政機関といいましょうか、それこそ監督官庁、通産省であるとかあるいは厚生省であるとか、そういったのと何様な役割を果たす部分だと思うのです。実は警察というものは常に今申し上げたような司法権の先端部分という、あるいは逮捕などをする権限といいましょうか、こういうものを持っているわけですから、こういう行政事務については極めて慎重な配慮が必要ではないかと、後ろに強大な権限をみずから持っているために必要とされる配慮が必要なのじゃないかと、このように考えております。
  193. 久保田真苗

    久保田真苗君 どうも参考人の皆様、きょうは貴重な御意見をありがとうございます。  初めに五百蔵参考人にお伺いしたいのですが、大変貴重な意見書をいただきまして、勉強さしていただきました。今陳述された御意見の中に、日弁連がこういった意見善などをたびたび出されまして、法改正について常にこれを正しい方向へ持っていくような努力をしておいでになるのですけれども、このたびそういった意見を立法に当たって聞かれる機会がなかったというふうな御陳述があったと思うのですけれども、それはそういう御協議なり意見を聞く場が全くなかったのかどうか、それから他の行政機関の場合にそのような陳述の機会というものがあるのが普通なのかどうか、それをお伺いしたいと思います。  それから、井上参考人にも同様のことをお伺いしたいのですが、環境衛生同業組合は最も大きい関連団体なんですが、御陳述の中には、非常に零細な業者を含めていろいろな懸念、不安というものがあるというふうにお伺いしたのでございます。それで、この風営法の立案に当たってどのような意見の陳述の機会が同業組合にあったのかなかったのか、そのことをお伺いしたいのと、もう一つ浄化協会でございますね、浄化協会が防犯協会と今後関連が出てくるということなんでございますけれども井上さんの組合あるいは個人となさいまして、この防犯協会に加入していらっしゃるのか、あるいは会員となっていらっしゃるのか、その場合、会費等はお幾らぐらいなのか、また寄附船などを防犯協会の方にしていらっしゃるのか、お差し支えなかったら金額も含めてお教え願いたいのでございます。  それから、井田さんには、ちょうどトルコのお話が出まして、私も大変関心があるのでございますけれども、この風俗関連営業につきまして、現行法ではトルコについて地域的な禁止等をしているだけなんで、そのあり方は法がトルコを容認した体裁にはなっていないのですね。それをわざわざ新法で届け出制をする、こういうことになっておりまして、非常に気持ちが悪いと申しますのか、営業を容認したような形になるというのはちょっとおかしいのじゃないかと、こう思うわけです。  そこで、このあり方はどう見てもこれは改悪なのじゃないか、少なくともそういう認識なり実態なりを助長する結果になるのじゃないか、そのことを心配しておるわけです。それについての井田先生の御意見と、それからもう一つ、けさほど高杉委員から国際連合の条約を引用して質疑が行われたものですから、これについて井田先生の御意見を伺っておきたいのですが、国際連合一九五〇年の人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約というのがございます。かなり長いものでございますけれども、そのうち、特に今の届け出制と関連いたしまして、第六条にこういう決まりがあるわけです。「この条約の各締約国は、売春を行う者又は売春を行う疑のある者が特別の登録を行い、特別の書類を所持し、又は取締若しくは通告に関する特別の要件に服する旨を規定しているいかなる現行の法令又は行政規定をも無効にし、又は廃止するため必要なすべての措置を執ることに同意する。」と、こういうことはやってはいけないと、こういう条約でして、これを日本は批准しているわけでございます。それが今度こういう届け出制という形ではありますけれども警察の手のひらの上にトルコぶろを乗せまして、今後そういう認識実態を助長していく、このことについての御意見をお伺いしたいと、こう思うわけでございます。よろしくお願いします。
  194. 五百蔵洋一

    参考人五百蔵洋一君) ただいまの御質問ですけれども、私も弁護士ですので弁護士会のこと以外はわかりませんけれども、日弁連に対してそのような協議を申し入れられたというようなことは一度もないと聞いております。この点については後で井田先生にもお聞きいただきたいと思います。  それから、行政機関で協議をするような機会があるのかということですけれども、これは典型的な例といたしましては法務省との関係がございます。いわゆる拘禁二法、これは刑事施設法と留置施設法でございますが、これについて、刑事施設法については現在日達弁と法務省との間で意見交換会を続けております。また、刑法については法案はまだ出ておりません。出ていない段階で事前の意見交換会をほぼ三年ぐらいやったのでしょうか、二十数回やって、しかも中断のような形になっている。また法案の成案ができたときには意見を聞くこともあるという形で終了しております。そういったような形から見ますと、法務省との間では協議を続けているようです。ただ、留置施設法については全く協議なりあるいは意見交換がなされていないというような関係がございます。どうもそこら辺は弁護士会と警察との距離、あるいは法務省との距離が違うのかもしれません。
  195. 井上正行

    参考人井上正行君) 先ほど申し上げましたように、風営法の改正につきましては、関係の業界が相当前から警察にお願いをしておったことはございました。これは社交でありますとか料理でありますとか、そういう関係の業界からは。しかし、今回の大改正内容を私どもが承知しましたのは、三月初めに厚生省から知ったということでございます。それで、中央会といたしましてはこれを受けまして、中央会の場で関係者と協議をして、驚天動地の作業をしましたのが三月の中旬でございます。その後警察庁とは陳情等の形で二、三交渉がございましたけれども、私どもは主として厚生省を通じまして、そしてその業界の要望事項をお願い申し上げてきたというのが実情でございます。  それから、協会のことにつきましては、防犯協会に私ども環衛関係も相当数入っていると思うのであります。私、事務屋でございまして、自分ではよくわからないのでございます。申しわけないのでございますが、幾ら会費を払っているかは、ちょっと私は承知しておりませんので勘弁していただきたいと思います。
  196. 井田恵子

    参考人(井田恵子君) 最初の御質問でございますけれども、トルコぶろに関しまして今度の法案は届け出制であれ容認したことになるのではなかろうかと、こういう御質問でございましたが、日弁連といたしましても同様の考えをいたしております。これは衆議院における御審議の際の議事録を拝見しますと、ホテトルとかマントルは、これは即売春なので違法なんだから許可でもないし、もちろん届け出もさせない、取り締まるのだと、こういうふうにおっしゃっておられたと思います。しかし、トルコぶろというのはその本家本元でございまして、それと区別して、届け出制であれ営業としてやっぱり認めているということは、これはやはり事実上脱法的なと申しますか、偽装をしている売春業を国が公衆浴場法でも許可しており、それから今度また届け出でやるという二重の形で営業として認めているということであろうというふうに思います。ですから、これを根本的に解決していきますには、売春など根絶やしはなかなか困難なことではございますけれども、国家がやはり営業として偽装的な形態のものを営業として公衆浴場法で許可するというようなこと、届け出制であれやっぱり正常なものに近いものとして認めるということは、これは非常に問題ではなかろうかと思うわけでございます。  そもそもこういう問題につきましては地域規制があった結果、集娼化した傾向があるわけでございますけれども、国が売春防止法がありながら、この売春に対する対策を根本的にどう考えるのかという、そういう基本的な問題があろうと思います。必要悪として集娼化していくというのかどうか、その辺のところは大変な大問題で、御論議をいただかなければならないことだろうと存じます。  それから、もう一つ条約の御質問がございました。人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約、これを日本は売防法の全面施行の年だったと思いますが、批准しておりまして、そこにはやはり売春宿の経営とか資金提供とかは罰しなさいということが書かれ、さらに今久保田先生の御質問にあったような条項がたしかございました。我が国は売防法の中で管理売春を禁止する規定があったり、十三条で資金等の提供者を罰する規定はございますけれども、しかし反面では、先ほど申しましたように、公衆浴場法で偽装形態であるトルコぶろを許可しているわけです。正常な営業として許可しているわけです。今度また届け出るということでございますから、今の条約の何といいますか、実質的な趣旨に合わして抵触する疑問があると存じます。この点につきましては、日弁連の方でまだそういう見解発表いたしておりませんけれども、しかしそういう抵触する疑問もあると存じますので、これは日弁連でなおよく検討をいたしたいと存じます。
  197. 久保田真苗

    久保田真苗君 もう一つ井田参考人にお伺いしてみたいのは、もし今のこの人身売買及び他人の売春からの搾取に関する条約の中で、もう一つ第二条というのがあるのですが、こういうふうに言っているわけです。「この条約の締約国は、さらに、次のことを行ういかなる者をも処罰することに同意する。」、その一つ目が「売春宿を経営し、若しくは管理し、又は情を知って、。これに融資し、若しくはその融資に関与すること。」、二つ目が「他の者の売春のために、情を知って、建物その他の場所又はその一部を貸与し、又は賃貸すること。」と、こういうふうになっております。  そういたしますと、日本はこの条約を批准して、確かに売防法をもって規制をしているわけなんですけれども、その偽装形態のトルコぶろという形において実はこの二条に違反する実態が非常に拡大していくのじゃないかと、こう思います。この際、井田先生に、今までお調べになった実情について伺わしていただければありがたいのでございます。
  198. 井田恵子

    参考人(井田恵子君) ただいまの御質問は、売春宿の経営とかあるいは資金等の提供に関して日弁連は調査したことがあるか、あるとすればどういう実態だったかということと理解してよろしゅうございましょうか。
  199. 久保田真苗

    久保田真苗君 はい。
  200. 井田恵子

    参考人(井田恵子君) 日弁連の方では、先ほど申しましたように、トルコぶろの調査をいたしてまいりました。主にトルコの有名になりました雄琴地区でございましたけれども、その資金等の問題を調査いたしました。その期間は、昭和四十四年から五十四年までの間についてでございますけれども、大変巨額な資金が金融業者によって貸し付けられているという実態を把握いたしました。最初のうちは、これは昭和四十四年ですけれども、わずか一億円。それがだんだん隆盛になるに従いまして飛躍いたしまして、昭和五十四年の時点では五十二億からの巨額なお金が貸し付けられておりました。そして、その融資をいたしました金融機関でございますけれども、信用組合が一番多うございましたけれども、信用金庫あるいは一般の銀行も多うございました。一流の市中銀行まで含めまして企業がトルコぶろに資金を融資していたということが明らかになっております。これは雄琴だけのことでございますので、日本全体では莫大な金額が動いていると申しますか、貸し付けられていることになるだろうというふうに思います。
  201. 原田立

    ○原田立君 二、三お伺いしたいのでありますが、五百蔵参考人にお伺いするのですが、先ほど三十九条の都道府県風俗環境浄化協会、これは公安委員会の外郭団体じゃないか、同業者組合的なものと見られるが、防犯協会と一緒にするのは無理があるのじゃないか、こういうようなお話がありました。この点についてもう少し掘り下げてお願いしたいと思います。  それから、問題点として委任の点が非常に多い。事実七十七項目あります。井上参考人の方の意見の中に、従業者名簿なんかのことについても、委任の多い問題について決めるのに、ぜひ研究会等をつくってくれと、そういうふうにして内容を詰めるようにしてほしいという、これは衆議院の附帯決議にも出ておりますけれども、そういう意見がありました。どのようなお考えがお伺いしたいと思います。   それから、井上参考人にお聞きするのですが、接待の定義については、今の考え方でいうと、昔のもんぺをはいている昔のやり方だけ、そういうふうな頭で物が考えられているというふうな非常に辛らつなお話があったのだけれども、今回「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」というような、事実あいまいですね、正直言って。じゃ、どういうふうにしたらいいのか、そこら辺をお聞きしたい。それから、酒類を売る店、これが「主として」というのが外れているというふうなことで、大変御心配の向きがありましたけれども、それはどういうふうなことか。その二点をお願いします。  井田参考人にお伺いしたいのでありますが、スロットマシンテレビゲーム機などの規定が入っているけれども、中身が非常にあいまいであるというようなお話がございました。しからば一体どういうふうにすればいいのかというような点についてのお話がなかったのでありますが、その点について御意見があったらお伺いしたい。  あとトルコぶろのことをお聞きしようと思いましたけれども、他の委員が全部質問しましたからこれは割愛します。
  202. 五百蔵洋一

    参考人五百蔵洋一君) 最初の御質問ですけれども、三十九条、これは全容がまだ明らかになったとは言えないだろうと思います。そこで、私の回答というものも当然こうなるであろうという一種の理詰めの話と申しましょうか、そういった点があることを最初に申し上げておかなければいけないと思うのです。  同業組合的な内容、これはもう当然のことですけれども、各業界団体あるいは各業界団体が入られるのか、それとももっと細かい単位の業者団体で入られるのかよくわかりませんけれども、いずれにしてもそういう業者の人たちが集まるところです。そこで行われることも要するに業者に対する訓練あるいはいろんなサービスといいましょうか、こういうことを今度やりますとか、いろんなサービスというものが行われると思いますし、それから許認可事務の下請というと言葉は悪いのかもしれませんけれども、それについて警察と一体となってあるいは協力をすると、こういったような団体であるというように推察をしております。  その点に関しましては、実はちょっと申し上げたいと思うのですが、各陸運事務所ごとに設立をされている自動車会議所というのがございます。これは数カ月前ですか、読売新聞でもちょっと問題になったのですけれども、この自動車会議所のふうな性格のことをやるのではないかと考えられます。ちょっと参考までに読ませていただきますと、「車検場に隣接した事務所で、車検の予約受け付け、印紙販売、申請書類の代書、ナンバープレート交付など陸運事務所の委託業務を主な仕事にし、人件費など運営費は原則として委託業務の手数料などで賄うことになっている。」と、こういったものでございます。  これは恐らくこの浄化協会も当然のこととしてそういったようなことをやられるのだろうと思います。一方でそういうことをやりながら、要するに違法行為の取り締まりということを防犯協会などを活用してといいましょうか、やる。そうしますと、各業者の賄ったお金で各業者が例えば摘発をされていくとか、あるいは厳しい規制を受けていくといったようなことになると、やっぱりそこにはちょっと問題があるのではないかというように考えられます。一面では、果たしてきちんとした違法行為を防ぐようなことができるのだろうかというようなことも考えられますし、また業者の皆さんからすれば大きな不満にもなるといったようなことがあると思うのです。そういった点がやはり問題ではないかと、このように考えております。  それからもう一つの問題点ですが、委任の多いという点、これは実は私どもは、衆議院での下位法令の規定見込事項というものと、それから最近参議院での下位法令の規定見込事項というもの、二つをいただきました。その二つを見ますと、やっぱり参議院の方がより具体的になっております。これは御審議の結果、いろんなる問題点を指摘されて、また警察でもそれを真剣に受けとめられた結果だというように考えております。ただ、参議院のでもまだ規定見込事項ということであって、いわゆる政令要綱というものとでも言いましょうか、そういったものまでなっていないわけです。やはりまだ大変抽象的でわからない。  法案というのは、どうも私どもが聞いている限りでは、やっぱりこうしたいというものと、実際に法文としてあらわすそれこそ文章技術上の問題もあると思いますが、法文としてあらわすものというのは大変違ってくるということもあるというように聞いております。そういった形で、現在のところ委任事項が多くて、そういう中で、先ほど申し上げたように、法律の中に入れた方がいいと思われるものあるいは条例に戻した方がいいというものもあります。さらに、今申し上げたような政令であってももっとはっきりした形で示した後で御審議先生方にいただきたいと、このような事項もございます。  以上のとおりです。
  203. 原田立

    ○原田立君 研究会のことどうですか。
  204. 五百蔵洋一

    参考人五百蔵洋一君) 当然研究会というのは大変結構な話だと思います。そういう点はぜひ法律の専門家も入れていただいて、あるいは、きょうは弁護士が大変多くて弁護士の意見が強く反映されるかもしれませんが、もちろん弁護士と全く別の立場でいろんな地道な活動を続けておられる方がたくさんおられるわけですから、そういう方の御意見もぜひお聞きいただきたい、このように考えております。
  205. 井上正行

    参考人井上正行君) 接待の定義の問題でございますが、私どもは、人間の生活環境の変化と申しましょうか、非常に、いわば生活空間としての酒宴社会というふうなものの中には意外と明るい健康的な遊びというものが私は多分にあると思うのであります。でありますから、ごく一部の飲食店の行為によって全体を今のような接待の定義規制することは大変危険がある。したがいまして、先ほど来御指摘を賜っておりますような研究会等におきまして、十分ひとつ業界の意見等もお聞きいただいて、その接待の基準、これは業界側、営業者にとりましても明らかに明確であるような基準をおつくりいただくようにお願いを申し上げたいと思います。  それから次の「主として酒類」の問題でありますが、先ほど申し上げましたように、今回の改正案でこの種の店が届け出の対象になったということは風営類似営業行為を行うことを防止することが目的であろうと思うのであります。したがいまして、深夜飲食店の中でも、接待の定義とのかかわり合いでございますけれども、現在、主として酒類を提供する店というのは、先ほど申し上げましたように、大体酒の売り上げが六〇%以上ぐらいのものがこれに該当するというふうに聞いております。深夜飲食店の中には、くし焼きとか茶わんむしとか雑炊とかいうようなものを夫婦二人でささやかにやっている店がたくさんございます。そういう店でもやはりお酒を売っておりますので、今回の法律改正案の中に、常態として通常主食と認められるものを出しているものを除くというふうな括弧書きもございますので、その辺十分ひとつ実態に合わせて、先ほど来申し上げておりますように、本当に守れるような内容にしていただきたい、こういうことのお願いでございます。
  206. 井田恵子

    参考人(井田恵子君) ゲーム機の定めがあいまいであると、こう申したわけなんですけれども、それについて、じゃどうしたらいいのか、こういう御質問でございましたが、日弁連ではこれについて定義をこのように規定すべきとか、そういうことは現段階では詰めておりません。しかし、先ほど申しましたように大変わかりづらいということと、結局は白紙委任に等しいような格好になっているということ、それから五百蔵弁護士が申されましたように、健全なものも不健全なものも一緒くたになっちゃっているというような点がありますので、もっとやはり子細な検討をすべきではないかというふうに存じております。
  207. 神谷信之助

    神谷信之助君 参考人の皆さん御苦労さまでございます。  共産党の神谷ですが、まず五百蔵参考人にお伺いしたいんですが、浄化協会は原則として防犯協会を指定すると、こうなっている。防犯協会も当委員会の議論を通じて明らかになってきたのは、立派な一億五千万からの財政予算を組んでいる東京都の場合もあれば、二百万ぐらいの岩手その他の県もある、そういう状況だというのですね。これができて、その防犯協会が業務遂行能力を持つようになればそこを浄化協会に指定しますよと、そういう答弁なんです。そうすると、これは風俗営業、風俗関連営業も含めて防犯協会にどんどん加入する、そして指定をしてもらえるようなそういう遂行能力を持つということで、取り締まりは一方できつくなるわけですから、警察との協力関係というのを強めるといいますか、そういう状況が起こってくる予想ができるのです。だから、ある意味で言うたら、警察の外郭団体を強化する、こういう側面が非常に強くなってきているという感じがする、そういう点についての御意見をひとつお聞きしたいのと、もう一点は管理者制度です。  今後つくられるこれは、罰則、二十万円以下の罰金までつくられて強制をするということについて、何でそんな必要があるのか、どういうねらいを持っているのか、あるいは何を意味するのかという点が非常に我々疑問に思うのです。この点についての御見解を聞きたいと思います。  それから井上参考人にお聞きしたいのは、私は京都ですが、京都にも零細な料飲業者がたくさんおって、そうして立入検査をしょっちゅうやられて、そして接待行為をやったということで、無許可営業をやっておるということでいろいろ罰金食らったり、営業停止処分を食らったりしているわけです。それで、この接待というのも、接待をするかせぬかで料飲業者と風俗営業とを区別をする、こういう仕組み自身が、この法律ができた二十三年当時、アメリカの占領軍が来てアメリカの風俗が入ってきて風紀が紊乱をした、そういう状態と今日とは根本的に変わってきている。この接待をしたかせぬかで風俗営業か料飲業がと区別すること自身がもう合わない。ところが法律がある。そして、警察がしょっちゅう来て弱い者いじめしておるような、重箱の隅をほじくるようなことをやっておる。それだったら、売春行為をもっと取り締まったらいいじゃないかというように思ったりするのです。特に料飲業者というのは零細な業者が多いわけですから、この点については一体どういうようにお考えか。接待なんかを基準とするのはおかしいのじゃないかというように思うのですが、御意見を聞きたいと思うのです。  この点はひとつ井田参考人にも、現行法それから提案されておる法案でも、接待というもので区別をするということが、実際に現状から見て適切かどうか。風俗営業は接待はよろしいが、料飲業は接待をしたら処分しますよ、こういうやり方が現状に適するかどうかという点が一つ。  もう一つは、少年指導委員制度を今度警察部長なり署長が委嘱をするというのですが、現に都道府県なり市町村で、あるいは教育委員会で委嘱する少年補導委員制度というのがあります。そして警察が委嘱をする少年補導員というのもある。少年の非行対策を刑罰的対策ではなしに、教育なりあるいはまた成長過程を健全に育成をするという観点からいうならば、この指導委員制度が必要とすれば、それは都道府県なり市町村に置くという方が適切ではないのかというように私は思うのですが、この点についての御見解をお聞きしたい、こう思います。
  208. 五百蔵洋一

    参考人五百蔵洋一君) ただいまの防犯協会と浄化協会の関係ですが、先ほどもちょっと申し上げたのですが、私は衆議院での議事録を拝見しているという段階で、参議院での議事録はまだ私の手元にありませんので、その点は御容赦いただきたいと思うのです。  防犯協会、これはやはり取り締まりということが中心になると思うのです。業界団体という性格はまず持っていないというふうに私は考えております。そうしますと、今度各業者が入ってくるということによってその防犯協会自体の性格も相当変質してしまうのではないか、そういった問題点があるように感じられます。また、そういう取り締まりを熱心にやっておられる方と風俗関連営業の業者の人というのが一緒にやっていけるというのは、ちょっとどうしても私には納得がいきません。そういった点での大きな問題がありまして、これらの警察の下請機関――これは下請機関であることはもう事実だと思います。それがどのように運用されていくのか、これはよくわからないのが実情ではございますけれども、大きな問題を含んでいるというように考えております。  それから管理者制度、これは本当に私もどうもぴんとこないようなところがたくさんございます。どうして経営者のほかに管理者というものを置いて、その管理者について非常に強大な権限を与えたりあるいは警察との関係で密接な関係を持たせようというのか、ちょっと理解に苦しむところがあるのです。言葉はちょっと悪いのですが、それこそ中間管理職の非哀とでもいいましょうか、経営者と警察との板挟みになるような場面というものが非常に予想されるような気がいたします。やはりこれについてもさらに詰めといいましょうか、検討が必要であるというように考えております。
  209. 井上正行

    参考人井上正行君) 先生指摘ございましたように、私どもは、本来飲食店等におきましてはかっての外食券食堂的飢えを満たすとか、おなかがすいたから食堂を利用するというふうな利用は、現実には今相当ウエートとして下がってまいりまして、どちらかというと遊びの要素的なものが多うございますから、本来的にサービス業であれば接待を当然伴うのが、私は当り前だと思っております。それを大変厳しく規制されますと、ほとんどが風俗営業者になってしまう。そのために十二時でもう終わり、そうすると、生活がかかっておりますから、やむを得ずおびえながら時間外営業するという実態が出る。  本来の風俗営業で目的とするところは、飲む打つ買うという、人間のいわば恥部的なものを防止するために風俗営業というとらえ方をして、その中で危険があるから警察がそれを取り締まっていこうというふうな趣旨ではなかろうかと思うのであります。そういう意味においては、確かに悪質な業者もいることは私どもも承知しております。したがいまして、本当に必要最小限度の基準を設けていただいて、そしてそれらに対しては警察できちんと規制をしていただくことがむしろ健全な営業者にとっては助かるわけであります。  先ほどの新宿の方のお話聞いておりましたけれども、同じビルの中に本当にまじめな営業者がいましても周りに変なのがおりますと、まじめな営業のところへお客は入ってこないのであります。でありますから、そういうところはひとつ大いに規制をしていただいて、まじめな者が本当に一生懸命営業できるような仕組みをぜひお考えをいただきたい。お願いでございます。
  210. 井田恵子

    参考人(井田恵子君) 最初の御質問でございますけれども風俗営業の接待と、それから深夜における飲食店営業の規定の中におけるそういう遊興の問題、これはアンバランスではないかというふうな御趣旨に受けとれたわけでございますけれども、確かにそういう問題点があろうかと存じます。  それから、第二番目の少年指導委員制度でございますけれども、日弁連では少年指導委員制度というのは大変問題であると、これは津田参考人が述べられたと思いますけれども、こういう規定を新設すべきではないというふうに考えておるわけでございますが、警察主導のもとで行うそういう補導というのは、子供の健全育成にプラスになるよりも、かえって子供たちにマイナスの影響を与えていく。これから育っていく子供たちによくないのではないかというのは、これは補導の実態などからそう考えているわけでございまして、特にこういう教育上の問題を警察の手で主導的に行うというそこのところが大変一番問題のように思っております。ですから、仮にするとしたならば都道府県に置くべきではないかという御質問に対しましては、日弁連は、まずは置かない、この制度は新設すべきじゃないという見解に立っておりますので、そこのところはお答えできないわけでございますけれども、とにかく民間の力で、一般の市民の力でやっぱりやっていくべきで、警察の権力でここをやっていくというところが一番の問題だというふうに考えております。
  211. 三治重信

    ○三治重信君 民社党の三治でございますが、本日はどうも御苦労さまでございます。弁護士さんが多いわけなんですが、弁護士さんのお話聞いていると、何といいますか、新しい風俗営業の進化、青少年の悪化についての対策というものについては、どうも否定的な考え方が非常に強い、現状維持的なところが多い。これは市民を擁護するという立場からいけば、新しい取り締まりや何かが出てくるのは極力反対するのが原則かもわかりませんけれども、それでは現実の都会の風俗の悪化、青少年の非行に対して日弁連としてどう対処すればいいと思われるのか。今度の風俗営業法の改正は本当にそういうことに対して一つもプラスにならぬのかどうかという疑問を持つわけなんです。  現実の何といいますか、善良な風俗の維持、青少年の育成を考える部面の方からいくというと、ぜひ風俗営業法を改正して、また風俗営業取り締まりの範囲も広げて、また繁華街を健全な繁華街に戻してもらいたいと、こういうような要望も非常に強いわけなんですね。それを人権擁護する弁護士会の方から、現実の繁華街の風俗の悪化や現実の青少年の非行というものに対する防止対策、それは教育でやればいい、家庭でやればいいということだけで終わるのかどうかということについて疑問を持つものですけれども、そういう問題についてどういうふうにお考えになっているか。  それから、井上さんの御意見について、これは風俗営業と直接関係があるのかないのか、ちょっと要望の前におっしゃいましたね。建築基準法と風俗営業法との関係で、営業の施設の間取りのほかり方や何かが建築基準法と警察風俗営業法と違うとかいうようなおっしゃり方なんですが、そんなことが今でも行われているのか。いわゆる間取りとか、それから施設の規模の見取り図の書き方とかいうものがそんなに違うのはおかしいのです。建物の見取り回とか何かというものは建築基準法が正であって、そのほかのが勝手な規定をしているのはおかしいと思うのですが、その点、同じ届け出するのに、一々取り締まる法が違うことによってはかる方法や図面が違うなんというのは、僕は初めて聞いたわけなんですが、その点ひとつ。  それから、ちょっとこれは僕は聞き間違いじゃないかと思うのだけれども、環境衛生の方の金融、税制について差別を受けているというようなことも風俗営業にあるということなんですけれども、何かこれは僕の印象では、そのために政府として環境衛生金融公庫という特別公庫までつくってやっているはずだと思うのです。僕は、これがこういうような特別の業界ごとの金融公庫を幾つでもつくらなきゃならぬというのは間尺に合わぬのだが、特別そういう環境衛生金融公庫なんかつくったのは、恐らくおたくの方が差別受けているということから自民党の方でつくるようになったのだろうと思うのだけれども、これつくっても同じように差別を受けているとお考えになっているのかどうかひとつ。  それから、業界の中で風俗営業対象となる業種と対象とならぬ業種とがあって、境目の問題で非常に中央会としてはお困りのところがあろうかと思うのですが、そういう問題については、ひとつどうなんですか。やはり厚生省を通じて話し合った方がいいのか、これから警察と直接話し合った方がいいのか。やはり環境衛生組合とすれば厚生省の飲食関係で指導を受けているから、警察の方も厚生省を通じて間接にやってくれると非常に都合がいいのだがというふうなお考えなのか。同じ協議でも、さっきのお話だと、専ら厚生省を通じていろいろ情報を得ていたというようなお話もあったのですが、その点を率直にお話を伺いたい。
  212. 五百蔵洋一

    参考人五百蔵洋一君) 今の大変弁護士に対する厳しい御意見がありまして、私どもとしても十分考えなければいけない事柄だと思います。  私は日弁連の一会員にすぎませんので、日弁連を代表するような意見はもちろん申し上げることはできません。私の個人的な意見ということで申しますと、都会の風俗の悪化、これは一面ではそのとおりだと思います。特に少年少女といったような者が性の産業にかなり進出をしているといいましょうか、こんなものがテレビや週刊誌などでかなり出ているということは本当に言えるだろうと思います。  ただ、それについて、それではそういう少年や少女が働いていたりそういうところへ出ているのを取り締まる本当の法規は何だろうかということになると、それはやっぱり風俗営業法ではなくて、先ほど申し上げたような売春防止法であるとかあるいは児童福祉法、要するに少年や少女を使っている、こういったことの摘発ではないかと思うのです。今までのところ、そういう摘発が十分になされているということはないだろうと思います。だからこそそういう少年や少女が働いているわけです。そうしますと、それがもし不十分であるならば、なぜそういう法律の改正の方に向かわなかったのだろうかということなんです。  今回の風営法は、そういう悪い者ももちろん摘発する目的を持っているわけですけれども、しかし悪い者にだけ適用されるわけではなくて、一般の良識のあるといいましょうか、業者にも当然のことですけれども、平等に一律に適用されるわけです。そうしますと、やはり角を矯めて牛を殺す結果になるような部分があるのじゃないかというふうに考えられるんです。例えば関連営業についてですけれども、届け出制をするわけですが、先ほどから言われておりますように、届け出をしてそういうものが規制が大きくなされる、あるいはなくなるというようなことはどうもないような感じがいたします。  私は、先ほど申し上げましたように、衆議院の議事録しか読んでおりませんけれども衆議院での政府委員の御答弁などを聞いても、トルコ風呂で売春が多く行われているだろうけれども、すべてが売春だというふうに決めつけるわけにはいかないのだと、こんなようなお話もありました。やはり撲滅ということは、どうも少なくとも政府側も考えておられないような気がいたします。そういう意味でも、今度の法案はその点でもちょっと問題があるといいましょうか、どうも悪い者をやっつけるにはちょっと弱いような、あるいは逆にいい者も一緒に巻き込んでやっつけてしまうといいましょうか、そんなような危険があるような気がします。  それから、例えば青少年の問題で言えば、立入調査の問題がありますが、青少年が働いているかどうか、あるいはお客でいるかどうかということを摘発するには、これは当然働いている現場といいましょうか、要するにお客のいるところへ警察官が臨場しなければ十分な調査はできないだろうと思うのです。それはやっぱりちょっと非常に問題があるのではないかというように考えられます。  それから、浄化協会が青少年対策などを行うとしましても、防犯協会を活用するということでありますから、なぜ今の防犯協会で不十分なんだろかというような点もやはり指摘ができるのではないか、こういうように考えられます。  そういう点から、確かに先生がおっしゃる点はまことに弁護士としても常に言われる批判といいましょうか、厳しい御批判だと思いますけれども、今回の法案については、どうも先生の御指摘されるような効果は上げないのじゃないかなというような気がいたします。
  213. 井上正行

    参考人井上正行君) 構造設備の問題につきましては、冒頭に申し上げましたように、全国全部ではないのであります。都道府県の条例等で、一部ではありますけれども申し上げたような事実が現在でもございます。でありますから、今回は法律に引き上げてくる部分になろうかと思いますので、恐らく警察庁からはこういった面についての是正はなされることを私どもは期待しております、現実には今それはございます。  それから二番目の、融資等の問題でございますが、まことに残念でございますが、例えば環衛公庫法におきましても、のれん分け等について、ただし風俗営業を除くと書いてございます。それから、中小企業関係でございます租特法等におきましても、特別償却等はいろいろ御案内の恩典がございます。ただし風俗営業を除くというのは各所にございます。それから中小企業の信用保証協会ですね、これも風営業者は原則として保証の対象になっておりません。それから、料飲税の免税点につきましても、括弧書きで、遊興を伴うものを除くと書いてございます。これも実質的には風俗業者が大部分でございます。これはやはり風俗営業という一つのジャンルに全部押し込んで、そして私どもは健全なものであっても、先ほど来御議論のございます、いわゆる同業者としては許すべからざる悪質者と同じ扱いにされていることに対して、健全な業者の方々が不満があるということを申し上げたのでございます。  三番目に、これから研究会等でもっていろいろ業界の意見を聞く、その仕方としては直接やった方がいいのか、厚生省を通した方がいいのかという御指摘でございますが、従来、厚生省の行政と密接不離の関係に環境諸団体はございますので、今回の風営法の関係につきましても、警察と直接交渉をした内容等がすぐにまた厚生省の行政にはね返ってまいりますので、できるだけ私は厚生省を通し、あるいは厚生省の中に入れていただいて、そして警察庁と交渉をしていく方針でやりたいと思っております。
  214. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。参考人の方々には、長時間にわたり本委員会に御出席を願い、貴重な御意見を述べていただきましてまことにありがとうございました。重ねて厚く御礼を申し上げます。  本日の審議はこの程度にとどめ、次回の委員会を八月二日午前十時に開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会      ―――――・―――――