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1984-04-19 第101回国会 参議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十九日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  四月十七日     辞任         補欠選任      中野  明君     多田 省吾君  四月十九日     辞任         補欠選任      多田 省吾君     中野  明君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 岩上 二郎君                 真鍋 賢二君                 志苫  裕君                 三治 重信君     委 員                 井上  孝君                 加藤 武徳君                 上條 勝久君                 古賀雷四郎君                 出口 廣光君                 松浦  功君                 吉川 芳男君                 秋山 長造君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 中野  明君                 原田  立君                 神谷信之助君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    田川 誠一君    政府委員        警察庁長官官房        長        太田 壽郎君        警察庁刑事局保        安部長      鈴木 良一君        自治大臣官房長  矢野浩一郎君        自治大臣官房審        議官       田井 順之君        自治大臣官房審        議官       津田  正君        自治大臣官房審        議官       土田 栄作君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局公        務員部長     中島 忠能君        自治省行政局選        挙部長      岩田  脩君        自治省財政局長  石原 信雄君        自治省税務局長  関根 則之君        消防庁長官    砂子田 隆君        消防庁次長    坂  弘二君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        警察庁刑事局審        議官       於久 昭臣君        警察庁交通局審        議官       八島 幸彦君        防衛施設庁施設        部連絡調整官   大場  昭君        防衛施設庁施設        部施設取得第二        課長       小澤 健二君        環境庁自然保護        局企画調整課長  佐々木喜之君        厚生省公衆衛生        局精神衛生課長  野村  瞭君        厚生省保険局医        療課長      寺松  尚君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (地方行財政消防行政警察行政等基本施  策に関する件)     —————————————
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方行政改革に関する調査を議題といたします。  地方行財政消防行政警察行政等基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 小山一平

    小山一平君 神奈川県の三浦半島にあります池子米軍弾薬庫跡米軍用住宅建設をするという問題が大分計画は進んでいるようであるし、それに対する地域反対運動ども活発であるようでありますから、この問題について地方行政立場から若干お尋ねをしたいと思います。  現在、日本じゅう米軍用住宅の数はどのくらいありますか。
  4. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 提供施設整備によりまして計画した家族住宅は、昭和五十四年度から五十九年度まで、東京福生にございます横田飛行場ほか十施設でございまして、二千七百二十四戸でございます。
  5. 小山一平

    小山一平君 これは地位協定に基づいて施設庁が提供するわけですね。それで、米軍独自に建設したもの、これも相当あるわけですか。
  6. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 米軍建設した住宅というものは各提供施設には相当数ございまして、殊に青森県の三沢飛行場におきましては、米軍独自で建てました家族住宅が相当ございます。
  7. 小山一平

    小山一平君 そして、現在はすべて日本が責任を持つ、こういうことになっているわけですか。
  8. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 現在は、米軍提供施設におきまして家族住宅というものが相当不足しておりまして、逐次、個々米軍と調整いたしまして、予算の許す限り計画を立てておる次第でございます。
  9. 小山一平

    小山一平君 そうすると、米軍が独自に建設するものもあり、防衛施設庁建設するものもありと、こういうことですか。
  10. 小澤健二

    説明員小澤健二君) そのとおりでございます。
  11. 小山一平

    小山一平君 その割合はどんな数字になっておりますか。
  12. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 現在、米軍建設しております住宅というものを私ども詳細に把握しておりません。私ども建設いたしておりますのは、先ほど申し上げましたように五十四年度から五十九年度、これは、五十九年度は九百四十五戸計画しておりますが、五十八年度末までには一千七百七十九戸建設したということでございます。
  13. 小山一平

    小山一平君 それは、米軍がどのくらいつくって日本がどのくらいつくるというようなことは、やはり数字ぐらいは把握して、いろんな折衝もあるでしょうから、その基礎になることぐらいはきちっと確認しておかないと都合が悪いんじゃないですか。
  14. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 私ども計画を立てる段階におきましては、米軍施設というものを一応調査しておりまして、米軍個々の数量については一応私ども調査の結果つかまえておって、まあ具体的数字をこの席で今のところちょっと申し上げかねるので、控えさしていただいております。
  15. 小山一平

    小山一平君 いや、米軍基地があって、そしてそこに住宅が必要なのは当たり前だし、そして米軍がどのくらいの住宅建設をし、そして日本がどのくらいの住宅をつくる、こういうことをやるのに、アメリカのつくった住宅の数はここで言えないというのは、何もそんな軍事機密にかかわる大問題じゃないと思うんですが、どうしてそれ言えないんですか。
  16. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 私ども米軍にこれ照会いたしまして、米軍自体財産というものについては一応は承知しておるわけでございますが、具体的数字について、現在のところつまびらかなデータを持ってないということでございます。
  17. 小山一平

    小山一平君 皆さん調査して大体の数字をつかんでいるでしょう。そんなにきちっとしたものでないにしても、大体の数字がわかって、アメリカの方ではこういうことを国内で発表してもらっては困る、こんなことでも言われているんですか。
  18. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 米軍の方に照会しまして、発表して悪いという問題ではないと思います。
  19. 小山一平

    小山一平君 そうしたら、発表したらいいじゃないですか。
  20. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 現在、私の手元に、事米軍につきましての住宅というものの資料を持参しておりませんので、御報告ちょっとできないわけでございます。
  21. 小山一平

    小山一平君 じゃ、それ後ほど私の方へ出してくれますか。
  22. 小澤健二

    説明員小澤健二君) はい、また帰りまして、検討いたしまして、報告さしていただきたいと考えます。
  23. 小山一平

    小山一平君 それから、今皆さん計画している池子弾薬庫跡につくろうという住宅ですね、この場所は全部で二百九十ヘクタールという広大なものだそうでありますが、これは五十年前には池子村とか柏原村とか、大変平和で静かな山村であったと聞いておりますが、これが昭和十二年になって、旧帝国海軍によって火薬庫建設しようというので強制買収されたものですね。そして、それがそのまま米軍に接収されて弾薬庫として使用されてきたんですが、これは昭和五十三年で事実上弾薬庫としては使用されておらない、こういうふうに言われておりますが、そのとおりですか。
  24. 大場昭

    説明員大場昭君) そのとおりでございます。
  25. 小山一平

    小山一平君 その現地に立ち入って現場を確認されたことがございますか。
  26. 大場昭

    説明員大場昭君) 横浜防衛施設局を通じ、そのように聞いております。
  27. 小山一平

    小山一平君 現在は使われていないんですね。あいているわけですね。
  28. 大場昭

    説明員大場昭君) 米軍弾薬貯蔵を中止した後は、補給品置き場等として使用しているというふうに聞いております。
  29. 小山一平

    小山一平君 いや、聞いているんでなくて、現場へ入って確認したかと聞いたらば確認したと言うから、それじゃどういうふうになっているかと聞いているんですよ。
  30. 大場昭

    説明員大場昭君) 横浜防衛施設局を通じ、そのように聞いております。
  31. 小山一平

    小山一平君 今申し上げたように、五十年にわたってこの地区軍事基地として独占されてきたんですね。このことはその地域の人々にとっては大変不幸なことであったんですけれども、しかし今になってみると、皮肉なことに、その不幸が現在はそこがまれに見る貴重な緑と自然を残しているという幸いをもたらしている、こういうことだと思います。私は、こういう歴史的な経過というものを謙虚に見詰めて今後に適切な対応を考えるべきだと、こういうふうに思うのです。  そこで、環境庁お見えですか。じゃ、環境庁お尋ねしますが、この自然林といいますか、原生林と言うべきですか、この膨大な緑、自然と同時にたくさんの鳥類、それからさまざまな生物といったようなものがそこに生息をして、貴重な国民的財産として注目を集めていると思うんですけれども環境庁はこの池子地区の現状というものをどういうふうに評価されますか。
  32. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) 横浜市、逗子市、鎌倉市にかけましての丘陸地帯に大規模な森林があるわけでございまして、お尋ね池子弾薬庫の跡地もその一部ということになっております。  その内容でございますが、自然のまま、本当の自然のままというのはごく一部でございまして、大部分は一度人の手が入ったという自然であるわけでございますが、したがいまして、自然公園でございますとか自然環境保全というような制度に保っている地区ではございません。ただ、大都市周辺におきまして非常に面積的にも広い豊かな自然が残されている地域というふうに私どもは評価をしております。  大都市周辺におきましては自然が次第に失われていきますというような状況がございますので、こういう中におきましては事情が許す限り、できるだけこういう自然の保全ということを配慮していただいてよろしいのではないかというふうに考えております。
  33. 小山一平

    小山一平君 こういうような場合に、この環境行政を扱う環境庁として、みずから積極的にこの恵まれた自然環境というものを守り、そしてそれが国民に提供されるというか、恩恵に浴し得るように考えるとか、そういう積極的な何か取り組みあるいは指導といったようなことはおやりになる考えはありませんか。
  34. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) 私どもの所掌しております行政範囲におきまして、非常に国家的にすぐれました景観でありますとか、あるいは原始性豊かな自然というものは、自然公園制度あるいは自然環境保全制度によりまして保全をしております。  ただいまお尋ねのこの地区は、冒頭申し上げましたように、自然そのままが残されているという地区とはやや状況が異なっておりまして、むしろ大都市近郊におきますところの身近な地域における自然というような性格のものでございます。したがいまして、この提供地区であるということもございますし、特に現在のところ私どもの方でいろんな制度の網をかけるというようなことは考えておりません。
  35. 小山一平

    小山一平君 縦割り行政の中で環境庁ができる範囲というものも、これは限定されて難しいこともよく承知しておりますが、しかし、ひところ環境庁といえば環境保全公害対策等々で、どんな問題にも、環境庁という名前を聞いただけでも何かこう希望みたいなものを感じた時代があったわけですよ。  ですから、これは私の希望として申し上げておきますが、縦割り行政の中でいろいろ難しい事情はあるにもせよ、これはかけがえのない都市近郊の貴重な自然ですから、こういうようなものが破壊されたりしていかないようなために、環境庁が一役買うぐらいのやっぱり取り組みをこれからしてもらいたい。これは大臣にもよく、私もまた会えば言いますけれども、伝えて御検討をいただきたいと思います。これは私の希望です。環境庁はそれで結構でございます。  そこで、防衛施設庁お尋ねするんですが、これはあなたに聞いて答えられるのかどうか知らぬですけれども弾薬庫として使用してきた、それがもう五十三年以降はその任務が終わって、何か物を置いてあるとかなんとか言っていますが、大したものではないと思いますよ。そうであるとしたら、これは米軍当局に対して、返還をしてもらいたい、日本へ返してもらいたい、こういう積極的な折衝はされるのが当然だと思うんですが、こういう折衝をしてまいりましたか、今までに。
  36. 大場昭

    説明員大場昭君) 池子弾薬庫におきまして米軍弾薬貯蔵を中止した後、米側に対して返還可能性について聞いております。米側回答としては、弾薬貯蔵していないが補給品置き場として使用しているので返還はできないということでございました。
  37. 小山一平

    小山一平君 これは大臣、今お聞きのとおりでございまして、大臣は特にこの地域のことはよく 御存じだと思うのですけれども、これは地方行政という立場から見れば、都市計画をつくるにしても、あるいは長期構想などというものを策定するにいたしましても、軍事基地などというものがそこに存在するということは、これは障害になることはもうわかり切った話でございますが、しかしこれが現に欠くことのできない軍事基地として使用されているというならば、これは障害があってもそう短兵急にいろいろ言うことも、返還を求めるということも問題があろうと思いますけれども、今のような状況だとすれば、米軍にもいろんな工夫をしてもらったり協力してもらって、この地区のような場合は一日も早くこの返還の交渉を進めて、そしてそれを一日も早く地元住民地域社会で有効に活用できるような努力をすべきだと思うんです。いかがでしょうか。
  38. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 逗子池子弾薬庫返還運動は、市長初め党派を超越して一各政党協力して今日まで運動をやってきたことを私はよく承知しておりますし、私自身も数年前に逗子市長の親書を持ちましてアメリカの国防省に出向いた記憶がございます。そういうように逗子としては、あの池子弾薬庫の跡をできるだけ日本側に返してほしいという運動を随分続けてきております。
  39. 小山一平

    小山一平君 そこで、あの地域で市などが一生懸命やっているということは私も承知しているんですが、政府としてもどうでしょうか、これは強力に折衝をして、早い返還が実現し得るような積極的な取り組みをしていただきたいと思うんですよ。
  40. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 今私が申し上げましたことは、地元意向政府なりアメリカ当局にお伝えしておる、またそういう運動をしたということを申し上げたのでございますけれどもアメリカ当局返還する意思が現在のところない、こういうことを私は直接地元の代表として聞いております。必要がなくなればお返しするけれども現在のところお返しすることはできない、在日米軍にとって必要なものだという回答を私自身も個人的に聞いております。  そうなりますと、これは日本政府アメリカとの関係になります。恐らく、地元意向ばかりでなく、政府としてもアメリカと話し合いはしてないということはないと思うんです。非公式にアメリカと話し合ってはいるけれども、なかなかそうはいかない、日米安全保障条約関係からなかなか難しいという前提に立って池子弾薬庫の問題に対応しておる、このように私は見ております。
  41. 小山一平

    小山一平君 安保条約に基づくことですから、これはなかなか容易ならざることだというのはよくわかりますが、しかし田川さんも大臣というお立場ですから、ひとつ政府というものとしてもこれから、特に大臣はこの地域とのかかわりの深い方ですから、政府として早い返還が可能になるようなお取り組みをやっていただきたい、こういうことを強くお願いをしておきたいと思います。  それじゃ、具体的な点でお尋ねしますが、今防衛施設庁米軍要求によってこの池子地区建設しようとしている住宅戸数であるとか、そしてまたそれに使用しようとしている面積であるとか、こういうものがはっきりしていたらお示しいただきたいと思います。
  42. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 横須賀地区におきまして米海軍家族住宅不足というものが相当深刻な状況にございまして、これを早急に解消する必要があるということで、現在の横須賀海軍施設に通勤し得る範囲の既存の施設区域というもの、またあらゆる面について検討いたしまして、およそ千戸程度住宅がまとまって建設できるのはやはり池子弾薬庫しかなく、地形、地質等調査をいたしました結果、住宅の適地と判断しまして、現在、池子弾薬庫面積二百九十ヘクタールのうちの一部、約八十ヘクタールの区域住宅計画区域としたものでございます。戸数につきましては、現在九百二十戸を予定いたしております。
  43. 小山一平

    小山一平君 全国的に米軍から住宅建設要求がかなり多くあると聞いておりますが、一体全国でどのくらいの建設要求があるのであるか。それからその主な地区、その地区別に一体どんな数で要求されているのであるか。
  44. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 現在、整備計画によりまして、各米軍施設、これは北から申し上げますと、三沢飛行場におきましては五十九年度予定いたすものを含めまして五百十二戸、それから横田飛行場におきまして、これは東京福生市にございます横田飛行場におきましては二百八十一戸でございます。それから座間が八十四戸、厚木の施設でございますが、これが二百十戸でございます。それから岩国が三百戸でございます。沖縄嘉手納地区でございますが、これが百八十四戸、それからキャンプ・コートニーというキャンプがございますが、これが四百八戸、それからキャンプ・シールズというキャンプがございますが、これが三百五十三戸、嘉手納飛行場地区でございますが、これに二百五十六戸、それから那覇の近くにございます牧港の補給地区、これには百三十六戸でございます。
  45. 小山一平

    小山一平君 それは皆さんのこれから建設しようとしている数ですね。それは向こうの要求されている数ですか。
  46. 小澤健二

    説明員小澤健二君) これは、先ほどお話しさしていただきましたように、昭和五十四年度から計画したものでございます。建っておるものもございます。
  47. 小山一平

    小山一平君 私の聞いているのは、大分今米軍から要求されているわけでしょう。その要求に基づいてこの池子建設計画もできたんだと思うんですが、そこで現在米軍から全国でどのくらいの数の建設要求があるのかと、それに基づいてどれだけ具体的に建設しようとしているのかと、こういうことを聞いているわけですよ。
  48. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 米軍からの要請は、私ども、年度当初におきまして米軍と調整いたしまして、その年次の幾ら建てられるかというものを計画しておるわけでございまして、おおよそ米軍から現在申されておるのは、私ども五十四年度当初始めるときにつきましては、およそ一万戸ばかりの住宅不足しておるからという折衝がございます。
  49. 小山一平

    小山一平君 それで、住宅不足しているそうだけれども、じゃ、今どうやって住んでいるんですか。
  50. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 現在、具体的に申し上げますと、横須賀地区におきましては一部民間の住宅をお借りして、それに米軍が住んでおります。
  51. 小山一平

    小山一平君 それから、沖縄には新たに特殊部隊配備をされるとか、三沢にはF16配備が行われるとか、横須賀には第七艦隊の基地として今まで以上の艦艇が来るとか、こういうようなことに基づいて、住宅不足住宅建設要求ということとかかわってはいないんですか。あなたに聞いてわかるかどうか、ちょっとこれ問題だと思いますけれども
  52. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 私たち現場で担当しております者ではございますが、この決定につきましては一応、現在のところ、米軍の方も今までは徴兵制でございましたが、最近米軍日本と同じように志願制になりまして、家族帯同という要求が相当ふえてまいっております。それで、この決定につきましては外務省筋でもいろいろ検討されまして、住宅要求というものも出てきておるわけでございます。
  53. 小山一平

    小山一平君 米軍から要求されてつくる住宅というのは、これはもちろんアメリカにおける標準的規模内容というものであろうかと思いますけれども、したがってウサギ小屋だなどと言われる日本の実情とはかなりの開きがあるのは、これは当然だけれども、だれもそういうこと知らぬけれども、大変な違いがあるんだそうですね。例えば日本自衛隊将校であればせいぜい二DK。ところがアメリカ軍となれば下士官でも三LDKで、面積日本将校の二倍以上、金額なら三倍もの費用がかかるという、こういう格差があるというふうに聞いているんですけれども、これはもうアメリカ住宅事情日本事情というものの 差異の反映であると言えばそれまでだが、大変な格差があると、こういうことを聞いているわけです。その実態はどうなんでしょうか。
  54. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 現在、提供施設整備として実施しております家族住宅につきましては、これは米国国防総省基準に基づきまして建設しております。その基準は、米国人生活様式、体格などをもとにして作成されておるもので、今先生御指摘の、ぜいたく過ぎるという御指摘には当たらないんじゃないかと我々は判断しておるわけでございますが、現在、今自衛隊施設相当格差があるというお話でございますが、この一戸当たりの建設に当たりましては、家族数、それから階級というものでこの規模、タイプなどを検討いたしまして、現在のところ、平均的にはおよそ百二十平米あたりの住宅をつくっておるわけでございます。
  55. 小山一平

    小山一平君 いや、私が申し上げているのは、ぜいたく過ぎるとかなんとか言っているわけじゃないんですよ、アメリカ標準でやるというんですから。ただ、アメリカ標準というものと日本標準というものは、経済大国でもこんなに開きがあるものかということをこの事例によって私も思い知らされた感があるわけです。これは新聞にも出ていることです。こう書いてあるんですよ。軍曹クラスでも三LDKで百三十平米、土地抜きで一戸平均建設費が二千九百万円かかる。これに対して自衛隊将校クラスで三DKで、その面積は六十平米だと、一戸の平均建設費は九百万円だと、こう書いてある。こんなにもやっぱり住宅というものに、長い歴史の中で差ができているのかということを私も思い知った思いがするんですよ。我々議員の宿舎が二DKでぜいたく過ぎてけしからぬなんて、こう非難攻撃を浴びているのに引きかえて、アメリカでは軍曹程度下士官程度でも百三十平米、三LDKといったようなものに住むのが、これが常識であると、こう言うんですから、なるほどこれではウサギ小屋と言われるのも無理からぬことだという感がしないわけでもないんです。ただ、それがいいとか悪いとかでなしに、そういう実態というものを皆さんにも知ってもらいたいと思ってこのことをお聞きをしたわけです。今私が数字で申し上げたようなことが、大体そういったようなものだということでよろしいんですか。
  56. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 今先生のお話でございますが、これはたしか先週土曜日の夕刊にも報道されておったのではないかと私記憶しておりますが、今のお話、大体そのようなことでございます。
  57. 小山一平

    小山一平君 それで、これは実際にはどうだか知りませんけれども、何か日本米軍に対してちょっと甘いサービスをし過ぎているんではないかといったようなこと宣言われておりますよ。そんなことを聞けば、いやそんなことありませんと言うに決まっているから答弁は求めませんけれども、これは今後の問題として、余り国民感情を逆なでするようなことにならぬようによく米側とも折衝をして、やむを得ず建てさせられる住宅ではありますけれども、そういう取り組みをしてもらいたいというふうに希望を申し上げておきます。  それから昨年でしたか、逗子の市民運動反対運動をやっている女性の方々がアメリカへ行っていろいろ交渉をされたようですね。ワインバーガー長官に反対署名簿を渡すとか、長洲知事のメッセージを持っていくとかというようなことをやられた際に会見した国際安全保障局のアウワー日本課長という人がこういうことを言ったとこのごろ出た「世界」にちょっと載っておりましたけれども、それによると、この建設用地は弾薬庫の一〇%以下でも足りるのではないかと言ったというんですね。そしてまた、この住宅池子でなければならないと言っているわけではない、ほかでもかまわないんだというようなことも言ったと、こういうふうに書いてあります。このことは御承知ですか。
  58. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 今先生のお話については私、話は聞いております。ですが、御指摘のこの問題につきましては、いろいろな数字が上がっておりますが、当庁としましてこの問題について米軍に、在日米軍の方に照会いたしましたが、明確な回答は出ておりません。
  59. 小山一平

    小山一平君 皆さんは八十ヘクタールの用地が必要だと言うし、これは一〇%以下でいいといえば三十ヘクタール以下でいいということですから三分の一でしょう。だから、こういう可能性があるとしたら、皆さんもそういう点についてもう少し積極的に米側と接触をして、いろいろ検討されてしかるべきだと思うのです。そういう取り組みをやりますか。
  60. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 今の八%から一〇%ぐらいでできるんではないかというお話でございますが、これは私どもその点につきましていろいろ審議検討いたしました。これは、技術的に検討した結果、斜面につくる住宅ということではなかろうかと思いますが、現在、我々今八十ヘクタールのうちその中の四〇%も緑を残すということで計画しておるわけでございますが、この斜面の工法は、池子の現在の弾薬庫地区におきましては山が急峻でございまして、なかなかそのような工法は適当ではないのではなかろうかと考えております。
  61. 小山一平

    小山一平君 御承知のように、今もいろいろ議論したところですけれども地域の自治体においても、あるいはその住民においても熱心な反対運動やら、あるいはこの地区の今後の活用についての希望なり、そういうものがあるわけですね。そういう中で今防衛施設庁住宅建設を進めようとしているんですが、これは高圧的に、一方的にやることは適当でないと思うんですよ。地域の人々の合意を得て、どうしてもつくらなければならぬというものであるならば、円満裏にそれが実現できるような方途を講じるという努力が必要だと思うのです。反対やってもこれは安保条約に基づくものだから、とてもそんな了解など得るようななまぬるいことはやっておられない、こういう姿勢でやってはならぬ問題だと思うのです。これ今計画もかなり具体的になりつつあるようですが、そういう問題についてはどういうふうにこれからおやりになりますか。
  62. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 私ども、先ほどからお話がございますこのいわゆる環境、緑を残す問題、それから文化財の保護というようなものにつきましては十分認識しております。  それで、池子弾薬庫住宅建設につきましては先般来、地元逗子市長に対していろいろ御協力を要請してまいりまして、逗子市長は一応逗子市議会の方に諮問されまして、逗子市議会の方も一応市長の考え方というものに同意する、昨日は市民の協議会——市民協を申しておりますが、これは池子接収地返還促進市民協議会というところに市長が諮られまして、一応の賛同を得たというふうに昨日連絡を受けたところでございまして、当庁といたしましては、地元の要望については誠意を持って検討、それから関係機関との調整を含めまして、でき得る限りその実現に努めるよう考えておる所存でございます。
  63. 小山一平

    小山一平君 地元に、特に聞くところによると女性を中心にした市民運動だそうですが、こういう団体に対して皆さんも誠意ある話し合いというものを積極的にやってもらいたいと思うのですよ。行政だけで、どうも市長などという立場になればいろんなことがあるものだから、圧力がかかれば心ならずもやむを得ずというようなことになりかねない要素を持っています。だから、市長がいいと言ったからもうこれでいいんだというようなことでなしに、その底辺にある反対運動をしている多くの人々、こういう人々にも積極的に誠意のある対応をしてもらいたい、こういうことをお願いをしたいと思うのです。いいですね。
  64. 小澤健二

    説明員小澤健二君) 先生の今のお話、十分私ども受けとめて対処してまいりたいと考えております。
  65. 小山一平

    小山一平君 そこで大臣、まだこの基地返還されたわけでもないのです。これから返還をしてもらって、そしてまた地域のいろんな要望、それから構想、こういうものに基づいてこれが活用さ れていくことを私ども望んでいるわけです。  大変頼もしいことに、昭和五十二年の予算委員会で大臣は大変気に入った内容質疑をされているわけですよ。この間の論議はちょっとその当時から少し後退したんじゃないかと感じるくらい、大変はっきりした御意見を述べられておりました。それは、こうしたような場合には、今のような返還された基地の利用の場合についての御意見だったと思いますけれども、これもやがてそういうことですけれども、やっぱり地方の自治権というものをもっとしっかりさせなくちゃいかぬと、地方分権的な考えでいかないと行政の効率化というものは期待できないんだと、こういうようなことをはっきり申されておりますし、基地返還されたような場合には、その跡地の利用に当たっては、とかく国が一方的な基準をつくったりして押しつけなどやるというのは中央集権的で非常に残念なことだと、こういうようなお考えを述べられております。  そこで、池子問題に対しましても恐らくそのお考えを貫いて対応してくださるものとは思いますけれども、最後に大臣のこのことに対するお考え、決意といったようなものをお聞きをさしていただきます。
  66. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 小山さんからそういう御質問があるということを聞いておりましたので、五十二年の私が予算委員会で福田総理大臣、坊大蔵大臣に質問した速記録をもう一度読み直しまして、我ながらよくいい質問をしたなと、もう一度確認をしたわけでございまして、これは、この気持ちは現在も毛頭変わっておりませんし、むしろ自治省を受け持つ立場として、もっと強く考えているつもりでございます。  ただ、先ほど来、池子の問題でいろいろ御心配をしていただく御質問を承りまして、あそこを日本側に返してもらうという運動はこれからも恐らくずっと続けられていくと思いますし、私も自分のふるさとでございますので、同じような気持ちでやってまいります。ただ、今回の池子住宅のあの地域には、市議会が今度同意をして、条件的に折衝をしてやっているということでございまして、この条件をできるだけ満たされるように、私も政府の一員として一生懸命やってまいる決意でございます。
  67. 小山一平

    小山一平君 それじゃ、次には住居表示について、大変小さな問題かもしれませんが、少しお尋ねをさしていただきたいと思います。  この問題は、昭和三十七年五月六日に成立をした住居表示に関する法律に基づくものでございますが、この今日までの実施された状況というものはどんなふうになっていますか。
  68. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 三十七年以来行ってまいりました住居表示の実施率、大体のところが、人口あるいは面積基準といたしまして六割ないし七割程度の進捗率と、こう考えております。
  69. 小山一平

    小山一平君 これは慣れなかったということもあるし、この法案策定に当たっての配慮の不足ということがあったと思うんですけれども、これが実施された当初、古い歴史的な町名、あるいはその地域の文化と深くかかわったような町の名前、こういうようなものが中央何丁目だとかといったふうに画一的に変えられて、これは大変なことだ、まずいんではないかという反省が出てきて、昭和四十二年にこの法律の一部改正が行われたわけですね。これでどうですか、六割ないし七割実施をされた中で、今私が申し上げたように、後になってみたらあの古い町名はなくすべきでなかったというようなところがたくさんあると思うんですが、そんな事例が今どのくらいと見ておりますか。
  70. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 町名、あるいは昔の名前で申しますと字名のことでございますが、非常に数が多うございます。したがいまして、今御質問の、今まで町名あるいは字名を変えたところの中でどのくらいもとの名前に戻したいという動きがあるかという数の点検については、私ども当たってはおりませんが、そういった御意見があちこちで出ておるということは承知しております。
  71. 小山一平

    小山一平君 この法律の実施に当たって自治省としていろいろ配慮が足らなかったと、そういう貴重な名前をむやみに変えて、後になってみてこれはまずかったというようなことになるには、なるだけのこれは欠陥があったわけですから、そういう反省をいたしておりますか。
  72. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 昭和三十七年当時、この住居表示、地番の整理、町名の変更、こういった動きが起こりましたのは、大変、御案内のように当時は地番が乱れておる、町名自身も非常に昔の字で読みにくいものがある、あるいは同じ町名でありながら飛び地がある、ウナギの寝床がある、とにかく郵便屋さんが困る、集金人が困る、警察の捜査が困る、消防の救急も困る。とにかくその当時は困る困るの連続で、関係者が寄り集まりまして、いろんな審議会で考えあぐねてこの法律ができた。したがいまして、その時点におきましては、どちらかと申しますと合理主義一点張りと、こういう空気の方が非常に強かったということだったろうと思います。そういったことで、やはり画一的、一律的に新しい町名にしたいという気持ちもその時点では多かったんだろうと思います。  ところが、御意見のように、だんだん日がたってみますと、少し画一的過ぎたかなと、こういう反省もあちこちから起きたことも事実でありまして、四十二年になりまして議員修正というような手続で、できるだけ町名を変えるときには昔の由緒ある名前は残すべしと、こういった手法に変わってまいったわけでありまして、それ以降は、私どもといたしましてもその改正の法律の趣旨に沿った指導をしてまいっておったつもりでございます。  ただ、それでもなおかつ新しい町名が、昔の歴史と余り関係のない新しい町名がつけられるという傾向がどうも絶えないという空気もまた最近ございますので、昨年、改めて由緒ある町名の保存についての指導通達を出しておるところであります。こういった町名自体、由緒ある歴史的な町名は保存する必要があるということも十分必要なんでありますけれども、結局その地域に住んでおられる地元の方々の意見が一番大切であろうと思います。したがいまして、町名を定める場合、地元の町に住んでおられる方々の意見なり異議なり、こういったものを十分に聞いた手続を踏んで現在のところは処理しておるところでございます。
  73. 小山一平

    小山一平君 そこで、後でこれはまずかったというふうな変更が行われてしまったという場合に、それをもとへ戻すにはどうやったらいいですか。
  74. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 現在の住居表示の法律と申しますのは、いわゆる街区方式に基づいて街路を基準としました町の立て直しと、こういった手続を経る場合の手続を住居表示に関する法律で規定しておりまして、その町名の変更自体の手続は、この住居表示の法律の手続ではなくて、地方自治法の第二百六十条というところで、市町村の区域内の町または字の区域なり名称の変更の手続が別途規定をされておるわけであります。したがいまして、今後もしもとの名前に戻すという場合には、その地方自治法二百六十条の手続を踏んで行われると、こういうことになります。
  75. 小山一平

    小山一平君 私がなぜこういうことをお聞きをしているかといいますと、実は私が市長を三期やっている間に、私が直接手を下したわけではないけれども、私のところで今のような問題の町名変更をやってしまったんです。城下町ですから、昔、馬場があったからそこは馬場町だとか、ここはかじ屋の多い町だったから鍛冶町だとか、鷹匠がいたから鷹匠町だとか、大変昔の長い三百年、四百年昔の歴史を受け継いできた町名だったんですね。それを、うっかりしているときにそれが中央何丁目なんというようなことになった。画一的なもので、また市民もわからないんですよ、中央何丁目は一体昔の町で言えば何町だと。喜んでいるのは郵便屋だけで、これは市民は全く新しい名前になじまないから、タクシーに乗っても昔の町 の名前を言わなければ目的地へ行かないというようなことになる。そうして、また歳月がたつに従って、市民の中から何で昔の歴史的な町名をわけのわからない変な名前に変えたんだと、こういうことがありまして、私はこれにはほとほと気がとがめているんです。私も市長の時代にはずいぶんいろんなことをやったけれども、今顧みてこれはまずかったということは一つもないぐらいうまくやったつもりなんだが、こればかりはどうも一代の失敗だったと思っております。この後ろめたさをあの世までしょっていくわけにはまいらない、私の生きている間にぜひ昔の町の名前にこれを戻して安心立命をしたいというのが私の気持ちなものですから、今この問題を聞いてみたんです。  多分私も、地方自治法の第二百六十条、これに基づいて手続をとれば町名変更ということがまた可能ではなかろうかというふうには思っておったんですが、もちろんそれをやるには市民の話し合い、市民の合意、こういうものが土台にならなければならぬから、そう一たんやったものを一朝一夕にできるとは思いませんけれども、ぜひそれをやりたい。そこで、今のような失敗をしても取り返しの方法はあるということを今自治省から確認をさせていただきましたので、ひとつそんなことでやってみたいと思っております。この問題は以上です。  今度は、ちょっと警察庁の方へお尋ねしたいと思うんですが、時間もたくさんありませんからごく簡単に言っていただきますが、きょうの新聞を見ますと、風俗営業等取締法の一部改正についてその骨子ができた、いよいよ国会へ提出する見通しができたといったようなふうに出ておりますが、そのまず状況をお願いします。
  76. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 最近の少年非行の深刻化に対しまして、警察としても一刻も猶予のできない緊急な課題であると考えておりまして、そういうことで風俗営業等取締法の改正案を今国会に提出すべく鋭意作業を進めてきたところでございます。ほぼ調整もついたところでございますので、近々閣議決定を得た上で御提案を申し上げたいというふうに考えております。
  77. 小山一平

    小山一平君 いずれ法案が出てくれば、そこで十分な論議が行われるわけでございますから、私は大体の概要というようなことだけをきょうはお聞きしておきたいと思うんですが、まずこの改正の最たる目的というものは何でしょうかね。
  78. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 先ほど申しましたように、少年非行が大変深刻化しておる、それからまた少年の福祉を害する犯罪も戦後最高を記録しておるという状況でございますので、これらの犯罪を防止することをまずねらいとしております。また、少年を取り巻く有害な環境を浄化してまいりたいということでございまして、内容といたしましては、特にストリップ劇場あるいは今はやりののぞき劇場、そういうふうな風俗の関連営業に対しまして営業時間なりあるいは営業の区域なりというものを制限し、あるいは年少者にこういう営業所に立ち入らせることをさせないようにする、規制をするというような形のものを中心に考えておるわけでございまして、あわせて風俗営業の適正化というものの促進を図ってまいりたい、かように考えておるわけであります。
  79. 小山一平

    小山一平君 私どもは話で聞いたり物で読んだりするだけで、こういう有害環境の中身というものをつぶさに知っておらぬわけです。探険に行ってみようかと思うけれども、どうもそういうわけにもいきませんので、そこでまことにざっくばらんで恐縮ですけれども、たとえばデートクラブだとかデート喫茶だ、愛人バンクだ、のぞき劇場だ、レンタルルーム、マントル、ホテトルなんて出ているけれども、これ字引を引いてみてもよくわからないんですよ。一体これは具体的にはどういうことをやっておって、そしてそれが青少年にどういう悪影響を与えることになっているのかということを、これだけのところですから、少し後学のために御説明を聞かしておいてもらいたいと思います。
  80. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 例えば今大変問題になっておりますのぞき劇場とか個室マッサージというのが花盛りなわけでございますけれども、のぞき劇場と申しますのは、真ん中の舞台に女性が入りまして、裸体に近い形でいろいろなしぐさをするわけでございます。それを周りで、個室みたいな形に仕切られているところでその真ん中の様子を見る。そうして、おかしな話でございますが、自分でちょっと自慰をするといいますか、そういうような形のものが、そういうような行為が初歩的なものでございます。そういうものがだんだんエスカレートしてまいりますと、逆に女性がサービスをしていく、男性に対してサービスをしていくというような行為に及んでいくという形でだんだんエスカレートしていくようなものがかなりあるわけでございます。  個室マッサージというようなものも、やはりそういうふうな個室がありまして、そういうところで女性が男性にサービスをするというふうな形のものが非常にはやっておるわけでございます。  それからレンタルルームと申しますのは、これは非常に、何といいますか、要するにああいう男女の行為をする場合に泊まる必要はないわけでございまして、場所を借りればいいということになるわけでございますから、したがいましてレンタルルームというのは、それぞれの部屋を区切りまして、時間で部屋を貸すと、こういう営業というふうにお考えをいただいたらよろしいかと思います。  マントルとかホテトルという、これも要するにマンショントルコとかホテルトルコとかという言葉の略称でございまして、要するにいわゆる売春的な行為をするのにマンションを使ったり、あるいはホテルに行ってそういう行為をしたりというのをマントルとかホテトルとかというような言葉で呼んでいる。  デート喫茶と申しますのも、これも喫茶店等を一つのそういうふうな待ち合いの場所にいたしまして、そこからさらに売春等のことで外に出ていってやるというような中身、まあ非常に千差万別の、いろんな名前はついておりますが、非常に千差万別のものでございまして、そういうふうなセックスに絡みますもろもろの行為がそこで行われておるというようなことでございます。
  81. 小山一平

    小山一平君 まあ百聞は一見にしかずと言いますが、どうも一見というわけにもいきませんから、今はこんな品の悪いことをお尋ねいたしたわけです。  そこで、こういう少年にとっての有害環境ということでいろいろ規制されるようでございますが、これは大人にとってはどうなんですか。大人にとっては差し支えのないものというふうにお考えになるんですか。
  82. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) その中身によりましてはやはり大人にとっても許されないものがあると存じますけれども、原則といたしましては、子供と隔離をするというのがやはり基本ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。そういうことで、そういう営業所に子供を立ち入らせたり、あるいは子供を従業させたりというようなことをさせてはならないということを基調に考えてまいりたいというふうに考えております。
  83. 小山一平

    小山一平君 それから、先月でしたか、有識者懇談会というのが開かれて、多くの方々からこのことについての意見を求められたそうですけれども、その意見をざっと整理をするとどういうことになりますか。
  84. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) いろいろな御意見が出ておりますので、ちょっと一口にはなかなか申しにくいところがございますけれども、やはり現在のセックス産業というのは目に余るものがある、やはり大人と子供というものを分離する形でやっていくべきではないかというのが基調であったように承りました。
  85. 小山一平

    小山一平君 いずれ法案が出てまいりましたらいろんな質疑が行われるわけでございますが、それにいたしましても、少年犯罪あるいは売春事犯、こういうものと暴力団というもののかかわり が私は非常に多いように思うんですが、こういう一連の問題と暴力団あるいは暴力団員というもののかかわりはどうでございますか。
  86. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 要するに少年をセックス産業で働かせるために自己の支配下に置きましたり、あるいは売り飛ばしたりするようないわゆる少年を食い物にする犯罪、これを福祉犯と私どもは呼んでおりますけれども、五十八年中に検挙いたしました被疑者は約一万五千人ございますけれども、その中に暴力団は約一〇%を占めておるという状況でございまして、その暴力団の比率は前年に比べてやはり一〇%ふえておるというような状況でございます。  この福祉犯というものにはいろいろございますけれども、特に有害な業務につかせるために少年を他人に引き渡す等のいわゆる人身売買みたいな非常に悪質なもの、こういうものの率が暴力団の場合は大変高いということが言えるわけでございまして、先ほど言いましたいわゆる人身売買では三三%、平均は一〇%でございますが、この人身売買では三三%を占めておる。それから、いわゆる中間搾取的なものでございますが、そういうようなものが一七%を占めておる。あるいは売春をさせる行為が一七%を占めておる。淫行をさせる行為が二七%を占めておるというようなことでございまして、暴力団の全体に占める比率は先ほど申しましたように一〇%でございますが、悪質な福祉犯は大変暴力団の比率が高いということが言えるところでございます。
  87. 小山一平

    小山一平君 国家公安委員長である大臣ね、この委員会でも随分暴力団問題の議論はありました、今までも。しかし、この暴力団のばっこというのはますますひどいように思うんです。今も御答弁がありましたし、このごろ大量なピストルの持ち込みとか、そこらでよく射殺事件だとか発砲事件だとかいうのが続出しておりますけれども、暴力団対策、取り締まりというようなものをもう少し徹底的にやるということは、これはできないものなんでしょうか。この暴力団対策というものをどういうふうにお考えになりますか。
  88. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 小山さんおっしゃるように、暴力団はいろいろな犯罪の温床のもとになっていると私も認識をしておりまして、警察当局もこの暴力団の取り締まりについてはかなり力を注いでいるということを聞いております。おっしゃるように、いろいろな犯罪の温床を断ち切っていくためには徹底して暴力団をなくしていくような努力をしていかなければならない。ただ、この暴力団の根絶を期するのはそう簡単なことではない。絶えず絶えずこの運動は続けていかなければならない。根気よく、また勇気を持って対処していかなきゃならない。このように認識をしております。
  89. 小山一平

    小山一平君 第一、暴力団なんという職業が存在するなんということが変な話で、ぜひこれは徹底的にひとつやっていただきたいというふうに思います。  それから、今度の法改正の中にも遊技場なんというのがいろいろ考えられているわけでしょう、いろいろな遊技場というもの。この遊技場に関連して、遊技場と警察というものが何か深いかかわり合いになりがちな関係にあるのかどうなのかという、私疑問を持ったのです。  この間も岐阜県の県警の留置管理官であられた大脇という警視さんが自殺をされましたね。新聞に出ておりました。これ、新聞で見ると遊技場からの寄附金が問題だというふうになっていました。それから五十七年には大阪府警で遊技場関係で百二十四名もの大量処分が出るというような事件がございました。このときにも犠牲者を出していますけれども、私は前途ある貴重な人材をこんなことで失うなんということはまことに遺憾のきわみだというふうに思うんです。そういうことを考えると、遊技場と警察というものが何かこう、かかわりを深めるような要因があるのかないのか、大変疑義を感じるわけです。そして、自殺をしなければならないなどということはよくよくのことであって、ただ単に、責任上まことに申しわけないなんということで、そう簡単にみずからの命を絶つなんということは、私ども図太いせいかどうか知らぬけれども、思うんですけれども、何かそういうことがあるんでしょうかね。
  90. 鈴木良一

    政府委員(鈴木良一君) 遊技場は一部許可対象になっておるわけでございまして、そういう形で、当然のことながら適正な指導をしていかなければならないという立場にあるわけで、また適正な取り締まりをしていかなければならないということにあるわけでございまして、そういう意味で、今後とも廉潔を保持していかなければならないというふうにみずからを戒めておるところでございます。  お話しの自殺という問題、まあいろいろあったわけでございますが、もちろんその自殺の原因が直接にこういうふうな不正に結びついているということでは決してないわけでございますが、やはり責任感というものが警察の場合には、人によって感じ方は違うかもしれませんのでございますけれども、強く感ずるという形で、そういう形で出てくるということがあろうと思います。こういう面では、やはり我々も仕事の面の廉潔性プラス人事管理の面で十分注意を払っていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  91. 小山一平

    小山一平君 じゃ、最後に大臣、貴重な若い人材が、ちょっとした事件なのか大した事件なのか知りませんが、何か事件にかかわって一命を絶つなんということは、これはあってはならぬ不幸な出来事だと思います。こういうことが今後起こらぬためには、やっぱり厳正な自律、綱紀の確立といったようなことが重要だと思いますので、そういうことについての大臣のお考えをお聞きをして私の質問を終わらせていただきます。
  92. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 先ほどの御指摘の警察官の自殺は、今保安部長が言いましたとおりでございますが、私もちょっと関心がありましてよく調べましたところが、不正の事実は全然ないんですね。ごく一部の、一つの新聞が物すごくそれを誇大に書いたことに対しての抗議の自殺で、何もこんなことで死ななくてもいいじゃないかというふうに私は思っているぐらいでございまして、非常に責任感の強い人だったということでございます。  しかし、警察の捜査には、虎穴に入らなければ何とかを得ずですか、なかなか情報を得る捜査をする、隠密にいろいろやることについてはいろんな人に接触しなきゃならぬという非常に疑われやすいこともやらなきゃならぬ、そういう意味で余計に身を引き締めてやっていかなければならない、こういうことについては特に厳格に身を処していくように、国家公安委員長としてもひとつ今後一層努力をして鞭撻をしてまいりたいと思っております。
  93. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 まず、お礼を申し上げておきたいと思うんですが、たしか去年の四月に私この委員会で取り上げました。それは山口の県会議員選挙で目の見えない人の一票が自治省の通達の無情さで無効になりまして、それが当落を分けたという事件がございました。私はその事件で、目の見えない人についても、せっかく投票の意思表示をして、しかもそれが点字でもってちゃんと個人の氏名を書いているにもかかわらず、それに受付で用紙に選管の印がなかったというそのことで無効にするのはけしからぬということで、この委員会で取り上げたわけです。その後、この問題の判決を調べてみますと、判決は全部それは有効だと、にもかかわらず約三十年近く自治省が通達を変えなかったゆえに無効になったという事件がありました。この問題は早急にということでございましたが、ついに総選挙まで間に合わずに、つい最近、四、五日前ですか、これが有効というような取り扱いの通達が出されたわけで、恐らく私は、目の見えない人、約三十万人の会員の皆さん大変喜んでいただけるんじゃないかと思うんです。その点は、通達自体おくれましたが、感謝申し上げておきたいと思います。  ただ問題は、この通達を見ますと、やはり活字 で書いて出しておりますから目の見えない人にとっては何にも見えないわけですね。ですから、率直に言って、これをどのようにしていわゆる肝心の方々に有効に生かさせるのか、その手段、方法、これをどういうふうに考えているのか、まずお伺いしたいと思うんです。  私が宮崎の目の見えない人たちの全国大会に参りましてこの問題を一番よくどこで知ったかということを聞きましたら、新聞社の点字新聞というのがあるんです。毎月一回は出していないんですが、三カ月に一遍ぐらい出しているんじゃないですか、ほとんどそれを見て私が国会で取り上げたという問題がわかったということで、大変感謝をいただいたんですが、そういう方法を含めてどういう伝達方法を考えられたのか、お聞きしたいと思います。
  94. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 点字投票の件で先般高裁から判決がおりまして、その判決が両当事者とも上告をしないということで確定をいたしましたのを機会に、先ほどおっしゃいましたような指導通達を出したわけでありますが、その指導通達は確かに漢字で書いてありますので、関係者の方々に周知徹底させることがまた必要になることは御意見のとおりであります。いろいろ各地方団体でそれぞれ、そういった盲人の方々、目の不自由な方々に対するいろいろな問題の周知については今まで適切に対処をしていただいておると思いますけれども、この問題については特に裁判の結果こういう手続の変更があったという非常に大切な問題でありますので、仰せの点を十分頭に置きまして、周知徹底につきましても指導を考えてまいりたいと思います。
  95. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 ぜひその徹底をひとつお願いしておきたいと思います。  そこで大臣、予算委員会でも随分あなたに対して、連合の意味と同時に、また一体、総裁声明の田中排除の影響はどうだという議論がございましたが、二階堂さんが今度は副総裁になるということで、あなたは予算委員会では他党のことだから云々ということで来ました。しかし、これ実現しましたですね。福田さんの、新聞での報道によりますと、夢想だにしてなかったと、こういう発言もあったようでございます。世間一般から見ると、これで総裁声明は大分薄められたというか、事実関係として徐々にまたもとに戻っていくと、こういう評価がいろいろされておるようでございますが、ひとつ大臣としてこれに、連合の当事者としてどういうふうに認識をして対応なさろうとしておるのか、お伺いしておきたいと思うんです。
  96. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 自民党の副総裁の人事の問題は、今佐藤さんおっしゃったように、私から見ますと他党の問題でありますからとやかく申し上げることではございませんが、何といいましても、中曽根総裁が出されたあの声明は単に自民党の中に向けられたものだけではない、世間一般に向けられたものと私どもは認識しておりますし、それから官民党の中にも、今御指摘のようにいろいろ議論のあるところでございまして、そういう意味からしますと私どもも無関心ではいられない、こういう問題でございます。  今回そのような人事が行われたことにつきまして、私は私の同志や、また、こういう問題に心配をしている政治家とこの問題について話し合いをいたしました。その結果、結論は、この副総裁の人事の問題ですぐ田中氏の影響力が政治に影響を及ぼすかどうかはわからない、おそれはあるかもしれない、その状態をしばらくは見て対処しようじゃないか、こういう結論に達したわけでございます。  私はこうした状態を見まして、私なりの判断がございますけれども、私の対応を決める場合には、私一人よりもなお強い力をもって、心配さるべき憂慮の状態に対抗していく必要があるではないか、こういうことで、私自体はしばらく様子を見るべきである、こういう態度で現在おるわけでございます。
  97. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 わかりました。きょうはこの問題、深追いするつもりはございませんから、私の方もひとつ大臣のその発言をどう発展させるか見守ってまいりたいと思いますが、いずれにしてもあれだけの問題ですから、私どもとしても国民皆さんにしても、やっぱりこの問題については注目しておると思うんですから、まあ予算委員会では、場合によれば腹を切るという決意もいただいたようでございますが、ひとつ十分そこらを含めて今後の推移を私も見守っていきたいと思っております。  そこで、本題に入りますが、きのう実は地方制度調査会がございました。ここでこれから二年間のいわゆる論議の柱ということについて、これをどうするかということでフリートーキングやりました。これは三月十六日ときのうと二回にわたって議論したわけでございますが、大臣はこの大事なときに姿が見えなかったですね。いかがしておったんですか。
  98. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方制度調査会には出席をいたしませんでした。——したかどうかということ……
  99. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 いや、してなかったんですが、何かあったんですか。
  100. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 欠席いたしました。
  101. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 いや、欠席の理由を聞いておるわけです。
  102. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 所用がございまして欠席いたしました。
  103. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 なぜ私がこれを言うかといいますと、御存じのとおりにきのうも、まあ十六日もそうだったらしいんです。これ、十六日、私も欠席したんですがね。きのうもやっぱり議論のあったのは、一番集中したのは何といっても例えば十七次の調査会答申。大平さんの「地方の時代」にこたえて総合的に出したけれども、ほとんどこれは無視されたわけです、答申は。そのときにも大平さん自身を呼んで、これは守りますか、尊重しますかということに対しては、尊重するということがあったにもかかわらず無視されたわけです。一番典型的なのは何かというと地方事務官問題。私は七、八回と言ったところが、高辻会長は、いや正確に言うと九回、十数年にわたってこの調査会で結論を出して、そして答申したのが一片の臨調答申で引っくり返ってしまった、百八十度。こういうことがやられればい自治省はそれに基づいて——大林局長来ておりましたが、そういうことになったからやむを得ませんので、そっちの百八十度違った方向で走っておりますというような答弁をなさっておりましたが、これは調査会の委員皆さんから見ると、これは何を今後議論してみても全くむだじゃないか。どんなに議論をして、そしてこうあるべきだということを含めて答申してみても、こういう事態が繰り返されたんでは全くむだだと、こういうことで強い意見が出されたわけです。そうしてこのままでは、私も主張しましたが、やっぱり論議をしても意味がない。やっぱりこの問題についてけじめをつけなきゃいかぬ、きちっと。そういうことで、けじめの内容については運営委員会に一任ということになった。そして、近くどういう方法でやるか副会長と相談して内閣総理大臣に——これは内閣総理大臣の諮問機関ですからね、しようということになったわけですが、大臣はこの問題についてどういうふうに認識しておるのか。  私は、今申し上げたように、そういう重要な意味で、二十次の地方制度調査会としてはかなり厳しい議論だったと思うんですよ。それに、どういう所用があったか知りませんが、欠席をしておるということから、私はさっき聞いたわけです。どういうふうに御認識いただいていますか。
  104. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 佐藤さんがきのうの地方制度調査会で御発言されたことは聞いておりまして、大変力強い御発言をされたということを聞いております。自治省の立場も、自治省が地方事務官問題で随分頑張ったというような話もよく承っております。私も、この地方制度調査会の過去の論議が十分反映されてない面もあるということを知っておりますし、また臨調の答申の中には 違った点が随分出てきている、そういう面にかんがみまして、私はこれから地方制度調査会で御議論をしていただく結論については、これはもうほとんど実行できるというような一つのこれからの方針といいますか、姿勢と申しますか、そういうことを私は確認をしておきたいと思っているわけでございます。  具体的にどうするか、これは中曽根総理大臣に、一体これまでの地方制度調査会の答申が十分生かされてない面がある、それから臨調の答申が優先されてきておりますけれども、今後臨調、行革審との違いがあったらこれどうするか、地方制度調査会の答申が生かされないようであっては、私ども担当の者としてはこれはやっていけないというようなことを中曽根総理大臣に私は言うつもりで現在いるわけでございます。
  105. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そこで私は大臣にお聞きしたいと思うのは、きのうも大林局長に、三月の十六日にこの問題でかなり議論になって意見が言われて、そして自治省としてはこの意を体して三月二十七日の法案を決定するまでに努力をしますということになっている、そうしてその努力の経過を聞いたわけです、きのう。そうしたら、ここに本人おりますから私が言ったのでもし間違いがあれば直していただきたいと思うんですが、労働省、厚生省、運輸省、それぞれ十六日の議論の意を体してやったけれども、結果的に各省は一月の閣議決定を盾に意見が一致できなかった、その結果、二十七日の法案決定では今出されておるような内容で、地方制度調査会の答申から見て百八十度ひっくり返ったような方向で法案が国会に提出された、こういう経過がある。そうしますと、この閣議決定、問題はそこが努力したけれどもできなかった一番大きな問題だと、こういうふうに私はきのう話を聞きながらそう思ったんですね。  しかし、これは今法案を出したんであって、これから国会の中で審議になるわけですから、私はやっぱり二十三日ですか、三月二十三日の一日行革審が大阪で開かれた際に、岸大阪府知事からこの問題で徹底的にやられて、そしてナンセンスとまでやられて、それに対して瀬島さんは答弁できなかった、この問題について。それで谷村さんが、何かわけがわからぬような、ぼかしたような、とにかくやってみるしかないみたいな回答にならぬ回答で終わっておるんですね。恐らく臨調の諸君も、この問題について第一次答申では住民の身近なものについては身近なところで処理するのが正しいと書きながら、そして最終答申でひっくり返ったんですから、ここに矛盾を持っているわけですし、きのうも御意見ございましたが、各委員の何か意見ありましたけれども、間違っておることは間違っておるわけだから、間違った答申が出たけれどもそれはやむを得ぬということでやるのではなくて、やっぱり正しくいかなきゃならぬ。  それは国会に期待するしかないという意見もありました。ですから国会で私もこれから議論しますけれども、やはりそこら辺は、あなたも閣議に参画した一員でもあるわけだから、間違っておる点は正して、原点に戻ってこの問題を国会の場でひとつ正していくという立場に立つべきだ、難しいようではあるけれども、そこはきちっとしなければならぬのじゃないかと、大林さんの経過を聞きながら私はそう思ったのですが、その点はいかがですか。
  106. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私は先ほど地方制度調査会の答申が生かされてない面が幾つかあるということを申し上げましたけれども、その中の一つとして地方事務官制度もあるわけで、たまたま地方事務官制度につきましては、いろいろ議論の宋、今日このようになったわけでございます。地方制度調査会の答申が全部一〇〇%生かされなきゃ、これはもうだめだということは、ちょっと私どももなかなか申し上げることはできない。広い立場から妥協しなければならない点も出てくるわけでございまして、これはひとつ御理解をしていただきたいのでございます。  今日まで見ますと、いろいろ地方議会の問題とか監査制度の問題とか、そういう国と地方との関係、こういう問題で御答申をいただいたにもかかわらず、また私どもが地方自治法改正を主としてやろうとしたところが、やはり各省の抵抗にあって実現できなかった、こういう問題を含めて我々がなかなか地方制度調査会の答申を実現することができなかったということに対して反省をし、また今後そういうことがあってはならぬというふうに申し上げたわけでございます。  地方事務官制度につきましては、私も最後は妥協をして閣議で了承をしたわけでございます。予算委員会で後藤田行管長官の答弁もお聞きになったと思いますが、当の後藤田君も個人的には自分は反対であったという意味のことをお話しになったことをお聞きになったと思いますけれども、最終的にはあのような結果になったわけでございまして、自治省も事務次官以下最後の最後まで頑張ったのでございますけれども、こうした結果になったわけでございます。この点は力が足りないといえば力が足りなかったということで反省せざるを得ないのでございます。  しかし、この地方事務官制度は、いずれは何らかの形で決着をしなければならない問題でございまして、臨調の最終答申があのような形になったということになりますと、これを最大限守っていかなければならないという苦しい立場にあって、まあ協力をしなければならなかった、こういう心境でございます。
  107. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 この問題、また法案審議の際に議論しますが、きのうの調査会の意見では、やっぱりこうなった以上、国会の審議に期待する声が非常に多うございます。都道府県の知事会の皆さんもこれでは、例えば労働局を設置されたら雇用の面から、福祉の面から関連して地方行政はできないということで、かなり反発が強いわけですし、国会でもこの問題は既に与野党超えて決議をやっておる経緯もあるわけですから、自民党の先生方もそこら辺は御記憶も新ただと思いますから、修正という手もありますし、何も誤った臨調答申を金科玉条のようにやる必要もないわけですから、大臣、今からそういうひとつ立場を踏まえて、何が一番住民の側にとって、国民の側にとって適切なのかという判断はひとつやって、間違いのない国会での法案成案をしていかなきゃならぬと思います。そういう意味で、ひとつさらに努力をしていただくということをお願いして次に移りたいと思います。  時間ございませんから一つだけお伺いしておきたいと思いますが、新聞報道によりますと、在外の同胞に対する選挙権付与の問題で、私はこれは余りこの国会じゃ問題にならぬのじゃないかというふうに思っておったんですが、二十日に提出するというふうな新聞報道もございますが、これは例えば西ドイツなどでは法律でもって他国の在外公館での投票は認めないという国もあるわけですね。こういう事例もあるんですが、この法案の扱いは最終的にどういうふうになって、そこら辺は一体どういうようになっているのか、もし、大臣でも結構ですし、そうでない局長さんの中で御理解あれば、これは通告してない問題ですけれども、お聞きしたいと思います。
  108. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) この在外邦人の問題は、この二年間ほどいろいろ外務省とも相談をしながら勉強をしてまいったんでありますけれども、御指摘の、要するに諸外国におきましては、その諸外国の国内で外国人が投票行為をすることを禁止をしておる国もあるやにその時点から聞いておりました。その禁止の程度がどの程度のものかということまで詳細に外務省としてもまだ把握はしてなかったのでありますけれども、そういう場合の取り扱いをどうするかということが議論をされましたときに、そういう投票ができない国もあるかもしれないけれども、とにかくこの在外投票制度をまず創設することが先決であって、投票できない国、どの程度の政治活動が禁止されるか、ニュアンスがそれぞれあるけれども、それは外務省としても今後準備期間中に十分他国と協議をして対処をいたしたい。その際に、どうしても投票行為が許されないという国につきましては、 これはやむを得ないだろう。ただ、やむを得ないにいたしましても、できれば距離の関係もあるかと思いますけれども、隣接の国に行って投票することも考えていこうではないかと、現在の段階はこういうことになっておるわけであります。
  109. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 もう時間が来ましたから午後にします。
  110. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会
  111. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行政改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  112. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 大臣が衆議院の方にとられているようですからちょっと後回しにして、二、三お尋ねします。  宇都宮の報徳会ですか、その件でちょっとお伺いしたいんですが、毎日、新聞報道では次々に新しい事実が出されておるんですが、暴力行為から無資格検査、それから営利優先、リンチ死事件とか、きのうは、今度は東大病院との癒着の問題が出されておるんですが、これについて厚生省、ちょっと経過を含めて現状と今後の対応をお願いしたいんですが、厚生省来ていますか。
  113. 野村瞭

    説明員(野村瞭君) お答えを申し上げます。  宇都宮病院に対しましては、栃木県が三月十四日以来、既に四回にわたる立入調査を行っておりまして、それらを通じまして現在までに判明しております事実についてまず申し上げたいと存じます。  医療従事者についてでございますが、四月十四日現在で医師が七名おります。内訳は、常勤が六名、非常勤が常勤換算いたしまして一名、計七名ということでございます。それから、資格を持っております看護従事者でございますが、同じく四月十四日現在で五十九名在籍をいたしておるわけでございます。  次に、入院患者さんの収容状況でございますが、四月十五日現在で七百五十三名の患者さんが収容をされております。  また、この病院の構造、設備につきまして調査をいたしたわけでございますが、その結果判明いたしました事実といたしまして、医療法上の知事の許可を得ずに病棟内を改造し使用していた事実が認められております。また、病棟管理の状況につきまして調査をいたしました結果でございますが、入院患者さんを許可されました病室外に収容しておった事実も判明をいたしております。  さらに、無資格者による医療行為についてでございますが、レントゲン照射、脳波検査等におきまして無資格者が操作をいたした疑いが持たれておるところでございます。  また、精神医療の場合、面会の自由というのが重要な問題になりますけれども、この点につきましては、閉鎖病棟において面会室が設けられておらず、看護室でそれが行われたという事実がございます。これについては問題があるという認識をいたしておるところでございます。  また、昭和五十六年一月から五十九年の三月二十一日までのこの病院における死亡者数を調査いたしましたところ、三年有余の期間に二百二十二名の死亡者が出ておったわけでございます。  また、入院患者さんの預かり金について疑惑が持たれたわけでございますが、これについて調査いたしました結果、患者さんの預かり金の管理台帳の残高と関係いたします預金通帳の残高が合わなかったという事実が判明いたしておるところでございます。  以上が調査結果の概要でございますが、私どもといたしましては、このような事実関係の究明に努めることはもちろん重要でございますが、同時に、入院されておられます患者さんの処遇に万全を期すということも必要でございまして、それに対しまして当面の措置といたしまして、患者さんあるいは家族の方に対する相談窓口の機能を県において強化をいたしておるところでございます。  また、この宇都宮病院におきます医療従事者の不足につきまして、病院側において自発的にその補充を図るよう、県が強力に指導をいたしておるところでございます。  また、入院患者さんに対しまして、入院の必要性があるかどうかにつきまして、第三者である精神衛生鑑定医による実地審査を四月十日以来行っておるところでございます。今後引き続きこの病院に対しまして強力な指導を行うとともに、今申し上げました実地審査後の患者さんの処遇につきましても家族または福祉事務所等と十分連携をとりまして、患者さんの処遇につきまして遺漏のないよう配慮するよう県に対して指導をいたしておるところでございます。  また、かかる問題が再度生じ狂いためにも、全国に対する措置といたしまして、今後私ども検討をいたさなければならないわけでございますけれども、なかんずく医療法に基づきます医療監視、また精神衛生法上の実地指導につきまして、内容的に強化をいたしたいと考えておるわけでございます。  それから、先ほど申し上げました第三者であります精神衛生鑑定医によります実地審査につきましても、積極的に各都道府県に行われるよう指導を強めてまいりたいと考えておるところでございます。
  114. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 これは今お聞きしただけでも、大変というんですか、死亡者の数から見ても異常ですし、しかも患者の預かり金を使い込んでおったり、これだけじゃなくて、東大病院の癒着の問題も出ている、これは文部省にかかわるでしょうが、いろいろな事件が出ておるのですね。こういう現象というのはどうなんですか。報徳会宇都宮病院の固有の現象ととらえておるんですか、それとも全国にある私立のこういう精神病院、こういうものとの共通性はどういうふうにつかんでいますか。
  115. 野村瞭

    説明員(野村瞭君) お尋ねの件でございますけれども、現在この宇都宮病院に関する事実関係に対しまして究明を急いでいるところでございまして、この病院が持っております問題点について十分に解明をした上で、今後の精神医療のあり方について検討をいたしていきたいと考えておるところでございます。
  116. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 いや、いたしたいところでございますはいいんですが、あなたは担当の課長さんでしょう、精神病院。宇都宮病院専任の課長じゃないんですよ。ですから、私が聞いているのは、全国にある精神病院との関係をとらえて、この問題から見てどういうふうにとらまえておるのか、そこを聞きたいんです。
  117. 野村瞭

    説明員(野村瞭君) この宇都宮病院につきましてはいろいろ新たな問題も指摘されておりますので、それらにつきましても現在、事案の究明を急いでおるわけでございます。  この宇都宮病院におきます問題は、やはり精神病院が持っておるいろいろな特質が背景にあろうかと思いますけれども、宇都宮病院の精神医療に対する姿勢がやはり問題ではなかったかと感じておるところでございます。
  118. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 私も、この問題だけに時間を費やすわけにいかないけれども、この問題が起こってからできるだけ精神病院に飛び込んでみて、いろいろ観察しておるつもりなんですが、率直に言って私は、精神病院の場合には大同小異に感ずるんですね、全国的に回って見ても。私が回った限りでは、第一、行ってみると、精神病院の院長さんは別にして、副院長さんというのは二十代ですね。非常に若い人が共通してなっていますね。そして、この中の患者さんというのは訴える能力を持ってない。逆に言えば、持っていても家族は信用しないわけですから、外に対する訴えの能力がないに等しいと思うんですね。  そこで、措置入院をさしたり、いろいろな形で 強制的にやられておるわけですから、私はやっぱり営利主義と絡んで、こういう現象は大同小異であるととらまえるべきじゃないか。少なくともそれを、そういうものであるかどうかを、これを契機に直ちにやっぱり全国的に調査をしてみて、そして実態をつかむべきじゃないか。そういうふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。
  119. 野村瞭

    説明員(野村瞭君) 先ほども申し上げましたけれども、私どもこの宇都宮病院の問題点につきまして十分究明をいたしますけれども、それと同時に、今後このような事態が生じないように全国の精神病院に対しまして実地指導の強化を図る等、その改善に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  120. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 今ちょっと最後聞こえなかったんですが、どういうことですか。やるんですか。
  121. 野村瞭

    説明員(野村瞭君) 全国の精神病院に対しまして、医療監視等を通じまして、その実態につきまして、これまで以上に問題点等を把握いたしたいと考えておるところでございます。
  122. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 これは自治省も関連してかかわる。各都道府県の指導に当たるべきじゃないかと思うんですが、どうですか。自治省はどういう対応をしていますか。
  123. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 突然のお尋ねでございますが、ただいま御質問になっておられます問題につきましては、私たちもそれなりに新聞その他を通じましてよく承知しておるわけでございます。  ただ、病院の監査とかあるいは指導とか、こういうことにつきましては厚生省がやはり主管でございますので、事が地方自治、まあ地方行政プロパーの問題に及ぶことがあるのかどうか。そういったことがあれば、これは自治省としてもそれなりの対応をしなきゃならないと、かように考えるわけでございますが、当面はまだそこまでの段階には行ってないのではなかろうかと、こう考えております。
  124. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 これは自治省、そんなにこにこ笑っておる場合じゃないんじゃないですか。やっぱり県の衛生部にも責任がありはしないですか。  そこら辺はまあいいとして、警察、来ていますか。——この問題、今の捜査の現況をちょっと知らせてください。
  125. 於久昭臣

    説明員(於久昭臣君) 現在の捜査状況でございますが、まず昨年の四月二十四日に発生いたしました傷害致死容疑事件と、同じく十二月三十日に発生いたしました傷害容疑事件につきまして、去る三月二十九日、関係被疑者五名を逮捕、それから無資格診療事案につきまして保健婦助産婦看護婦法違反容疑で、四月八日、九日に各一名、診療放射線技師及び診療エックス線技師法違反容疑で十一日に一名、それぞれ逮捕して、いずれも鋭意捜査を続行中でございます。  なお、本病院につきましては、このほかにも種々の問題が取りざたされております。警察といたしましては、幅広く情報の収集に努めておりまして、具体的な刑罰法令に触れる事実があれば厳正に対応してまいりたいと考えております。
  126. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 ひとつまた大臣が来てからこの問題ちょっと締めくくりを聞きますが、いずれにしても、厚生省、これはやっぱり私はさらに改善とかいうんじゃなくて、こういう事例が起こっておる現象はこの宇都宮病院だけの問題じゃない。直ちにやっぱり全国的な一斉調査を都道府県と協力してやるとか、こういった手はずを、ひとつ私は自治省と協議をして早急にやっていただきたいということだけお願いを兼ねてつけ加えておきたいと思います。よろしいですか。
  127. 野村瞭

    説明員(野村瞭君) 御指摘の点を十分踏まえまして、今後関係省庁との協議をしてまいりたいと考えております。
  128. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 ついでにお聞きしますが、にせの歯冠事件で警察の方で取り調べておりましたね。不正請求人億五千万の実態について警視庁は捜査を終えて、書類を厚生省の方に送った、その員数が千四十七名、こういう報道がなされておるんですが、これはどういう実態なんですか。
  129. 於久昭臣

    説明員(於久昭臣君) にせ歯冠の鋳造用金銀パラジウムを購入していた歯科医院は全国で千四十七医院を把握しておりまして、これを厚生省に通告したところであります。
  130. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 厚生省はこの通告を受けてどういう対応をしておるんですか。
  131. 寺松尚

    説明員寺松尚君) 今警察の方からお話がございましたように、昨日、私どもいろいろ資料をいただいたわけでございます。私どもは、この資料を受けまして、内容につきまして特に精査した上で、都道府県に対しましてその使用状況あるいは保険診療の請求状況というふうなものにつきまして調査を行わさせ、不正があれば厳正な処分を行いたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  ただ、私ども今の御報告をいただいて直ちに起こしたというわけではございませんで、これが新聞等で報道されました際に、私ども既に都道府県に対しましてはこういう事態があるということにつきまして事前通告をいたしておりまして、その準備をまずさせておるところでございますが、そのほか関係団体、特に歯科医師会でございますけれども、歯科医師会に対しましても、会員の指導方、特に適正に歯科保険診療をやるようにという指導を重ねて通告したわけでございます。  そのほか、この三月からでございますけれども、その合金のいわゆるJIS規格適合晶は保険診療で使ってもよかったわけでございますけれども、これを厳格に、いわゆるJISの規格を表示しておりますものに改めて、厳正を期したわけでございます。
  132. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 これは警察の取り調べた容疑の内容を新聞で見ると、業者は薬事法違反で、詐欺容疑で送検したんですか。医者の関係では何人、どういう罪名で措置をとったんですか。
  133. 於久昭臣

    説明員(於久昭臣君) 本件は、昨年の六月から警視庁が捜査をしていた事案でございまして、そのにせ歯冠鋳造用の金銀パラジウム合金を製造または販売しておりました業者等八人を、これは薬事法違反で、それから正規品を使用したように偽って医療報酬を受けておりました歯科医師一名、それから歯科医院事務員一名、これは詐欺容疑でそれぞれ逮捕し、送致をしております。
  134. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そうすると、千四十七名というのはどういう罪状になるんです。
  135. 於久昭臣

    説明員(於久昭臣君) ただいま申し上げておりますにせ合金を使用いたしました歯科医院、その数でございます。
  136. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 罪名。
  137. 於久昭臣

    説明員(於久昭臣君) 診療報酬の不正請求の疑いがある歯科医として、とりあえず厚生省に通告を申し上げたということでございます。
  138. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そういう疑いがあるというにとなんですが、厚生省はどう受けとめていますか、これは、千四十七名。
  139. 寺松尚

    説明員寺松尚君) 私どもがお聞きしておりますところによりますと、いわゆる今の事案の例を申し上げますと、全体的に、関係しておりました施設につきましてはそういうものを購入したというふうに聞いておりまして、私どもはそれにつきましては、にせ合金がどうかということを承知しておったかどうか、承知してまた保険診療上使ったかどうか、それからまた、それを保険診療として請求したかどうか、この辺が私どものサイドの話になるわけでございますので、そういう面につきましては、今後都道府県を通じまして調査を行ってまいりたい、このように思っております。
  140. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そうして、仮に薬事法違反ということになればどういう措置になるんですか。
  141. 寺松尚

    説明員寺松尚君) ちょっと私ども保険サイドの所管事項ではございませんが、業務局サイドの所管事項になります。したがいまして、これから事実関係につきまして、だれがそのにせ合金を依頼したか、どこで製造したか等につきまして私ども承知しておりませんので、ちょっと私どもの方から申し上げる立場にないと存じます。
  142. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 私は、警察が調べた結果、これは二万五千六百五十八箱というにせ合金を使って、 そして八億五千万の不正請求をやっているという事実をきちっと整理をしておるということは、これは今後厚生省の方で調査なさるんでしょうけれども、しかしもう明らかにこれはやっぱり薬事法違反にもかかわる問題じゃないかと思うんですが、こういった扱いが私はきちっとされていかないとこれは直らないと思うんですよ。そこら辺をひとつあいまいな措置をするんではなくて、きちっとした措置をひとつお願いしておきたいと思うんですが、いかがですか。
  143. 寺松尚

    説明員寺松尚君) このにせ合金を販売いたしました業者につきましては、業務局より各都道府県の業務サイドの方に通知をいたしまして調査をすることになっております。  私が申し上げましたのは、私どもの保険サイドは保険サイドで、都道府県の保険課等を通じまして調査を行う、こういうことで、それに伴いまして不正等がありますれば厳正な処分を行いたい、こういうふうに考えております。
  144. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 業務サイドとか保険サイドとか、きょうは来ているのは厚生省、あなた一人来ているんでしょう。だからそこら辺はきちっと伝えてもらって徹底しておいてほしいということでお願いしておきますよ。  次に移りますが、警察にちょっとお聞きしますけど、先ほども質問出ましたが、岐阜県警の大脇警視が十五日に自殺をして、そして遊技機問題における処分に対して死をもって抗議したと、こういう報道がなされておりますね。この経緯は先ほど若干お聞きしました。これは大臣から聞いたんですね、警察じゃなく。あの大臣の発言には間違いないんでしょうね。ちょっと今度は聞きますが。
  145. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 大脇警視は、岐阜県の関警察署の次長として在職をいたしておりました昭和五十八年の七月、当時の同署の署長とともに、地元の遊技場組合から職員の福利厚生物資を購入するというようなことで現金五十万円の寄附を受けたところでございます。これは内規に違反して現金の寄附を受けたものでございまして、この規律違反に対しまして、本年四月十一日、大脇警視に対し減給百分の三(一カ月)という懲戒処分を行ったものでございます。
  146. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 私も、大阪の遊技機事件のときに、この委員会だったか決算だったかちょっと記憶ありませんが、やりまして、本会議でもこの問題の質問をしたんですが、そのときには岐阜に気づかなかった。で、今度岐阜でこういう事例が起こったわけですが、一体この遊技機問題で、あのときは警察学校の校長も自殺しましたね、杉原さんだったか、そういう事件がございますが、あのときに各県でどの程度の関連して処分がなされておるのか、ちょっとその数字をお聞きしたいのですが。
  147. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 昭和五十七年の暮れから五十八年の春にかけまして発覚いたしました大阪府警察、それから兵庫県警察にかかわる事案でございますが、この処分の状況は、大阪府警察の関係では規律違反者、これは四十四名。ただ、その中でいわゆる公務員法上の懲戒処分に当たる者は十三名でございます。それから、監督責任をとった者八十名。それから兵庫県警察の方の関係では規律違反者が十一名、これは諭旨免職五名を含んでおります。それから、監督責任をとった者十七名。計二十八名ということになっております。それから、愛媛県警で遊技業者と不明朗な交際をしていたという事案がありまして、これに対して、規律違反者一名、これは諭旨免職処分。監督責任をとった者三名。計四名の処分をいたしております。  以上でございます。
  148. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 それと岐阜ですか。
  149. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 岐阜は直接当時は出てなかったかと思いますけれども
  150. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 たしかこのときに、私は本会議で取り上げたので記憶しておるんですが、当時の秦野法務大臣がこの連合会の顧問か何かやって百万か何か報酬をもらっておったということで国会で問題になったことがあるのですが、これはどうですか、今現在で結構でございますが、こういう遊技機関係に関連する協会であるとか、もしくは個人の会社でも結構なんですが、警察関係のOBの天下りというのはどういう実態になっているんですか。
  151. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) パチンコ業者等のいわゆる遊技場の経営者で組織いたしております遊技場の協同組合というものが各府県単位に設けられておりますけれども、この上部の機関といたしまして全国遊技業協同組合というものがあるわけでございます。その組合というものは、組合員に対しまして、違法な営業を行わないようにといういわゆる営業の健全化と、協同組合法に基づくそういう指導を行っているところでございまして、この種の組合に全国で約三十名の元警察職員が、組合の事務局長クラスという、まあ事務を実際やるそういうようなクラスとして就職をしているという状況でございます。
  152. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 今たしか百二十と言ったんじゃないですか。
  153. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 約三十と申し上げたわけでございます。
  154. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そこに、さっき小山先生からも質問がありましたが、私は癒着があるんじゃないかというような感じがしてならぬのですね。癒着の結果、現職まで引っ張り込んでしまうという事例が大阪であり兵庫であり愛媛、岐阜と、こういうふうになっているんじゃないかと思うのですが、そこら辺はどういうふうにこの教訓を生かして対応しておるのか。どうですか。
  155. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) ただいま申し上げましたように、遊技場の協同組合というのはそれ自体、遊技場の健全な発展といいますか、そういうものを目標にしてつくられたものでございまして、そういう組織の中に警察のOBが一部入っているということは健全な営業というものを促進するという面で効果があるんではないかというふうにも考えている、そういう面もあるということでございますが、ただ、具体的に風俗営業を直にやっている、そういうところに就職をするというようなことになりますと、仕事がいわゆる警察の取り締まり対象業者自体でございますので、今お話のようないろいろな問題が出てくる可能性が非常に大きくなる、そういうことで、私どもといたしましては、そういう点については警察の現在の執行務というものについて一般府県民からいささかでも疑惑の目を持って見られるようなことのないようにということで、適切に指導しているところでございます。  ただ、御案内のように再就職の問題というのは個人の職業選択の自由というようなものとも密接なかかわり合いを持つものでございますが、そういう点を加味しながら今申し上げたような方向で指導をしているという状況でございます。
  156. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 私は、あなたが職業選択の自由とおっしゃるけれども、しかしこういう職のあっせんというのは警察がやるんでしょうが。天下りになっているんでしょう。本人が探し当ててつくというものじゃないと思うのですね。ですから、そこから私は癒着が生まれるんじゃないか。そして、たしか大阪の例もOBが一番先に誘っておるわけですね、あの事件の場合に。そして現職の署長がそれにはまり込んでいった、こういう事例だったわけですからね。こういう点について、しかもこれは許可権はおたくが持っているんでしょう、警察が。許可権の乱用にもなってくるんじゃないですか。この辺は、私はこの際やっぱりこの事件を契機に改めると、こういう態度でいくべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  157. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 私ども、再就職の問題というのは、単に退職者の今後の生活設計上のみならず、現職にいる者が安んじてその職責を全うできるというような観点もあるわけでございまして、非常に重視してその対策を講じているところでございます。  しかし、ただいま先生からお話ございましたように、さっきちょっと申し上げましたが、現在の 警察の執行務、厳正な執行務というものに一般の府県民の方から疑惑を受けるというか、そういう形での再就職のあっせんというものは極力避ける、そういうものはもちろん避けるという姿勢で臨んでいるところでございますが、さっき申し上げましたように、協同組合というようなものは、その組合員である個々の風俗営業者自体とはやはり目的も違いますし、法人格も違うというものでございます。むしろ風俗営業なりそういうものの健全な発達というものを促すためにはそれなりの役割を果たしておるわけでございまして、そういう分野に一部の者が入ってそういう健全な発達をさらに促していくということは、決して社会的に見て悪いことではないんではないかというふうに考えておるところでございます。
  158. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ちょっと速記をとめて。    [速記中止]
  159. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記を起こして。
  160. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 大臣、時間が非常に少ないので若干はしょって質問しますから、簡潔にひとつお答えいただきたいと思うんです。  先般の委員会で私は、地方債の許可問題で、自治の原則に立って、これは二百五十条の「当分の間」という中身は極めて限定的であって、これを乱用してはいかぬと。したがって、五十八年度を含めて私は指摘しました。そして同時にまた、今回の許可方針に給与条項を入れるという方向については、少なくとも交付税の審議や地方財政計画やこういった議論を経てやるべきじゃないか、こういう要請もしました。しかし、あなたの方は強行した。どういうことですか。
  161. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方債の許可方針といいますか、地方に対して指針ともいうべきものを出したわけですが、その中に、今佐藤さんおっしゃった給与の問題あるいは財政の問題、こうしたことに対して一定の基準を出したわけでございますが、これはこの前からの論議のように、決して制裁措置をとるとかということではなくて、地方団体の多くの団体がこの厳しい環境の中で職員も執行者も一生懸命努力をしてやっておりますが、ごく一部の団体の中にそれにそぐわないような団体がございますので、そうした団体に対してはこれは財政が豊かであるという判断に立たなければならない、こういうことで基準の中に挿入をしたわけでございまして、これまでもこうした指導はしておりましたから、本来ならこういうことを挿入する必要がないという御議論もあるわけでございます。  しかし、一生懸命やっている団体のことを思いますと、この程度のことは指針としてやっていきませんと、逆に一部の団体で非常に国家公務員よりも著しく給与を出してしまうというような団体も出てまいりますし、そういうことから、むしろ法律的にこういうことをきちんとやらなきゃいかぬじゃないかという議論さえも出てまいるわけでございます。そういう意味からこうした基準を挿入をしたわけでありまして、これは決して中央で権力をもって押しつけるというものではなくて、むしろまじめにやっている地方団体の側に立ってやらざるを得なかった、こういうことでひとつ御理解をしていただきたいのでございます。
  162. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 私はそこら辺のやりとりも先日やりました。そして、しかし私があえてあのときも申し上げましたように、この法とかこういう方針とかいうやつは、許可方針とか政令とかというやつは、その当時のつくった人の意図と違って今度はひとり歩きし始めるわけですね、過去の例が。だから、やってはならぬことについては、私はやっぱり絶対にやるべきじゃない。地方事務官問題にしてもそう、当分の間が二十八年にも三十年にもなってくるという経緯を見ればわかるでしょう。この問題だってそうでしょう。ですから、やっぱり原点はきちっと押さえてやっていかないと自治権にかかわる重大な問題になってくるんじゃないかということで私は強調したはずなんです。  ところがあのときは、まだ検討中でございます、さらにひとつ精査してとか、ところが十六日に出したときにもうこれをつくり上げでおったわけです。十六日のに一緒にこれも出ているわけです。これがこの中にちゃんと入っていますよ。だから、私と審議し合ったときにはもうでき上がっておったんですよ。そういうことでしょう。これは財政局長かどっちか。
  163. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 地方債の許可方針につきましては、例年国の予算が成立し、財投計画が国会で承認をされますと直ちにこれを決定して、その年度の地方債の審査に入っております。  五十九年度につきましても、御案内のように、なるべく早く事業を執行すべきである、こういった要請もありまして、私どもは地方債の許可事務を早く進めたいという気持ちで諸般の準備を進めておりました。許可方針についても種々検討を加えておったわけであります。  しかし、当院における予算の委嘱審査の場で、この許可方針の中で私どもが検討していました内容について種々御意見もありました。そこで、これらの論議を終わるまでは正式の決定は見合わせる、準備は進めておったわけでありますけれども、正式の決定は見合わせるということであの当時の推移を見ておったわけでありますが、しかし作業のタイムリミットもございますので、十六日には正式に大臣決定していただいたわけであります。  なお、印刷物等については、もちろんその大方針が変わればそれを変更するという覚悟でおったわけでありますけれども、諸般の準備としては、既に内容的には大臣に御相談申し上げて、印刷その他の準備は進めておったというのが実情でございます。
  164. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 だから、逆に言えば、私だけがここで随分やりましたわ。そのときには、腹の中では笑いおったんでしょう。そういうことになるじゃないですか。僕は、やっぱりこういう議会軽視をやっちゃいかぬと思うのですよ。そういうことをやるというなら、また僕らも考えなきゃならぬ。大臣はそのことも知った上であのときの議論をやったんですか。
  165. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) いろいろな議論があったということは私もよく承知しておりますけれども、最終的に決定をしたのはここで御審議をいただいた後でございまして、当時は、正式に決定したという段階ではございませんでした。
  166. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そういう説明は、僕は成り立たぬと思いますね。僕は、ここら辺はひとつ今後はきちっと議会軽視にならないようにやってもらわなければ、僕らもこんなことであなたたちを信頼して議論できませんよ。その点はひとつ強く要請しておきたいと思います。  そこで、私は、きのうの地方制度調査会の中でもいろいろ議論があったことはさっきお話ししました。この問題についても地方制度調査会はちゃんと答申しておるのですね。二十八年の十月十六日に、許可手続の簡素化とあわせて、将来特別起債等については自由発行とするよう答申をしておるわけです。そして、その後の三十九年の第一次臨調の中でも、これらの自治大臣の承認は単なる報告にとどめるようという答申もやっておるわけです。この二百五十条の問題について、こういったことを、自治省の主管というんですか地方制度調査会がやり、臨調がやったことでも、なおかつ皆さんはほほかぶりをしてやって強行しておる。  しかし、それは調べてみると、石原さん自身が書いた「現代地方財政運営論」、この中でもちゃんと書いておるんですよ。この許可方針の基本は適債事業厳選主義と経済速度による事業推進主義に置くべきであるということを書いている、石原さん、あなたが。みじんも給与条項など狭まる余地のない、そういう恣意によるようなことはすべきでないという前提に立った基本姿勢をあなたは書いていらっしゃる。そして、またそれを受けて、今申し上げたように、地方制度調査会も答申しておる。第一次臨調も答申しておる。  こういうことから見ると、今回のこの条項を挿入するということについては、極めて現実的に二百五十条の認知が妥当だということに立っても、 なおかつこの二百五十条の基本姿勢そのものをゆがめるようなことにはなりませんか。
  167. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 地方自治法二百五十条の規定は、地方自治法二百三十条に対する一つの、当分の間の規定として置かれておりますし、また戦後のシャウプ勧告あるいは地方制度調査会、第一次臨調と一貫して流れております考え方は、地方債の許可制度の運用は地方自治の強化の観点に立って行われるべきだということであろうと思います。  そういった意味で、許可の内容については、なるべく地方の自主性というものを尊重して、その抑制、チェックというものは必要最小限度であるべきだ、こういう基本的な考え方を私どもは常に持っております。この運用に当たる者としてそういう気持ちを持っております。  ただ、今回、地方債の制限要件の一つとして、給与の著しく高い団体で、かつその状態を改善する努力をしていない団体を加えましたのは、御案内のように、今日の財政状況が、率直に申しまして五十年度以前と比べて著しく厳しい状況になっております。そしてまた、財政全般が厳しくなりますと、その財政の執行の仕方、財政運営のあり方につきましても世論の目も非常に厳しくなってきております。そういった中で将来も展望しながら本当の意味での地方自治を守っていく、地方の自主性、地方の主体性を守っていくために地方債の運用制度、許可制度の運用がどうあるべきかということを私どももるる考えたわけでございます。  しかし、今日この時点におきましては、やはり先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、給与の問題について財政が関与するについては慎重であるべきだという考え方が根底に本来あると思いますけれども、しかし著しく高い水準、だれが考えてもこれはちょっとおかしいというような高い水準の団体があり、またその団体がなかなかその内容の改善に取り組んでいただけない、実効が上がらない、そのことが地方財政全体に対する国民の認識、判断というものに相当大きな影響を与える、地方自治の充実強化という面でマイナスに働いているということを私どもは考えざるを得ないわけであります。  そうして、このことは純粋に財政上の見地からいたしましても、そういう状態の団体については資金配分の上でその点を考慮しないことがむしろ不公平じゃないか。今日の異常に厳しい財政環境のもとではそのことを考慮しないことがむしろ問題ではないか。さらにまた、その団体が改善についていろいろ努力しておられれば、将来償還の面で償還能力が出てくるわけでありますから問題はないと思いますけれども、その改善の努力もないということになりますと、そういう団体が多額の負債を抱えるということは将来の住民に非常な負担を残すことになる、財政運営の健全性という意味からもやはり問題があるというようなことで、いろいろ御批判はあろうと思いますけれども、今日の地方財政の置かれている状況のもとでは、こういった著しく高い給与を支給し、かつそれを改善しない、こういうような団体について抑制措置を講ずることが、どうしてもこれは地方財政を守る、地方財源の充実強化を図り、地方自治を守っていくためにはこれが必要である、このように判断したところでございます。
  168. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 時間が来るから余り長くはできぬのですが、確かにこの許可方針というのは法令上明文ございませんわね。二十六年二月の閣議でもって方針を定めて、その都度毎年定めることになっていますから。しかし、それはあくまでも地方自治法二百五十条、二百三十条、こういうきちんとした方針なり、それから地財法ですか、そういった条文を踏み外さないことを基本に置いて、僕はやっぱり運営していかなきゃならぬと思うんです。  今あなたのおっしゃるのは三千三百の自治体の中でわずかに二十三とか百五十とかいうことでしょう。そこの問題のために三千三百を律する許可方針を誤っちゃいかぬと私は思うんですよ。そこを大事にしていかなきゃならぬし、しかも総体的な努力、地方住民のいろんな御意見等が高まって現実には、あなた方が出しておる地方財政白書見てみなさい、五十年から対比してみますと人件費はずうっと下がっているじゃないですか。今あなたが問題にする公債費比率を言うなら、経常収支の中ではむしろ公債費が上がっておって、借金が上がっておって、そこが問題になっておるんであって、人件費はどこまで落とすのかしらぬけれども、とことん落ちていってるじゃないですか。こういう現象の中であえて今度やらなきゃならなかった理由は、私は今あなたの説明聞く以外にないと思うんですよ。  これはこれから私もさらに追及していきますけれども、きょうは時間がありませんから聞きませんが、これはひとつ、そこまであなたがおっしゃるなら、ラスパイレスというのが基準でしょうからラスパイレスの全部のやつを出してください、この委員会に。ラスパイレスの以下のものについてどうして——千何百団体もあるんですよ、そうでしょうが。この団体に対して、あなたたちが今言うように、熱心にこれをラスパイレスの線まで引き上げなきゃならぬということがどこに書いてある。公務員部長もおるけれども、この点は全然指導してないじゃないですか。こういうことを、閣議決定の中における法令上の明文がないことを理由にして勝手に法の精神を曲げていく。その結果が地方自治を損なっておる一番大きな原因じゃないですか。私は、そこら辺、ぜひ田川大臣はひとつ反省というか認識をしていただいて、あなたもちゃんと言っておるように、私は地方自治権というのは大事だと、その精神に立ち戻って、この問題に対してもやっぱり対応していただきたいと思うんです。  そこで、ラスパイレスをここへ出すことをきちっと言ってください。きょうはもう時間ありませんから、これ以上質問しません。
  169. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) 佐藤先生の熱弁を聞いておりますと、そうかなという気がするんですけれども、落ちついてよく考えてみますと、やはり中央官庁にとっての給与問題というものは今何だろうかと。やはり非常に国民から批判され、あるいはまたいろんな方面から問題が指摘されている高給与団体の適正化じゃないかというふうに私たちはやはり思います。したがいまして、その線に沿って給与の現在指導をしておるわけでございまして、先生のおっしゃるように、やっぱりラスパイレス指数の低いところはどうだというような話でございますけれども、私たちはそういうところを見てみますと、そういう地域というのは、民間賃金の地域差指数というのもやはり相当低い、あるいはまた物価指数の地域差指数を見ても相当低い。そういうところを踏まえながらそれぞれの地方団体で給与を決定されておりますから、私たちはそんなに先生が目くじら立てて私たちを怒られるほど……
  170. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 イタチの盗人へはやらぬでもいいんだよ。とにかく出しなさいと言っておるんだよ。出すか出さぬか。余計なことは言わぬでもいい。
  171. 中島忠能

    政府委員(中島忠能君) ということでございます。  それで、ラスパイレス指数を出すか出さぬかという話でございますけれども、私たちは高いところにつきましては現在出しておりますけれども、それ以外のものにつきましては、それぞれの都道府県に市町村分について指導を任せておりますので、都道府県の方でどういうふうに取り扱われるかということについては、都道府県の判断に任せておるわけでございます。
  172. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 これでもうやめますけれども委員長要求しておきます。これはひとつぜひ出させてもらいたい。ここまでやるんならそれしかないです。  ですから、ラスパイレス全部出すように要求しておきます。
  173. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 後刻理事会等において取り扱いを御相談申し上げます。よろしゅうご さいますか。
  174. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 もう時間がないからしょうがない。次にします。
  175. 原田立

    ○原田立君 大臣の所信表明の中で、二ページから三ページにわたって言われていることでありますが、「地域社会の均衡ある発展に不可欠な地域経済の振興を図るため、広域的かつ総合的観点に立脚した地域経済活性化対策を一層推進」する、こういうふうにうたわれておりますけれども、具体的には一体どういうことをお考えになっておるんですか。
  176. 田井順之

    政府委員(田井順之君) 具体的には、自治省といたしましては、昭和五十六年度から五十八年度にかけまして地域経済振興対策というものを進めてまいったわけでございますけれども、これらの対策の成果とそれから問題点を踏まえまして、それ以上に広域的で、かつ総合的な観点に立脚しました地域経済活性化のための新しい対策を推進しようということにいたしております。  もう少し具体的に申しますと、五十九年度から全国四十四の地域にわたりましてこの地域経済活性化対策を進めるということにいたしまして、それぞれの地域の市町村が中心になりまして、その地域の人材なり技術なり、あるいは情報、資源と、こういったものを有効に効果的に活用いたしまして、創意に満ちた自発的な経済対策を進めていこうと、こういう考え方に立ちまして指導に当たることにいたしております。
  177. 原田立

    ○原田立君 そんな抽象的な答え方じゃだめなんですよ。ここに言われていること自身が非常に抽象的なんですから、今私がこの問題を取り上げているときには、もう少し具体性を持って言ってもらわなければ答弁にならない。
  178. 田井順之

    政府委員(田井順之君) 御案内のように、地域経済の振興というものは非常に幅広い角度から進めていかなければなりません。  自治省は、御案内のとおり本来いわゆる経済官庁ではございませんので、そういった意味では、従来直接的な経済対策につきましてはいささか不十分なところがあったという反省もいたしておりまして、そういう意味で、いろんな形でそれぞれの地域の特色というものを十分生かした経済振興策を進めていかざるを得ない。もちろん、その中心になりますのは地域の地方公共団体であり、また民間の活力であると、こういうふうな考え方に立っておりますので、それぞれの地域の特性を生かした政策というものをそれぞれの地域でつくっていただいて進めていく。これを自治省としましてはいろいろな角度から支援していくという考え方に立っておるわけでございます。したがいまして、具体的な政策というものは地域地域で非常に異なっております。  私どもも実は、四十四地域指定したと申し上げましたけれども、それぞれの地域で考えておられる計画というものを取りまとめてみますと大変特色がございまして、千差万別でございます。ですから、一つ一つを申し上げるわけにはまいりませんけれども、例えば地域の人材や技術を生かしたいわゆる地場産業を振興しようというようなことを中心に考えているところもございますれば、むしろ農林水産資源を生かして、付加価値を高くして、そのことを通じて地域経済を高めていこうと、こういうことを考えているところもございますし千差万別でございます。そういったものを有効に進めるためのいわばバックアップをしていこうという考え方に立って進めているわけでございます。
  179. 原田立

    ○原田立君 これは私は最初大臣に質問している。審議官に質問したのじゃないが、あなたが答えるのは具体的なことを答えるだろうと思ったから黙っておったのです。だけれども大臣の答えるのと同じような答弁の仕方をしている。意味ないんですよ。大臣ひとつ……。
  180. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 同じようなことを私は答弁しようと思いましたら先に積極的に答弁を田井審議官がしたわけでございまして、先ほど言いましたように、私どもは具体的には五十九年度より、全国四十四の地域経済活性化対策推進地域におきまして関係市町村が中心となって、地域における人材、技術、情報、資源等を効果的に活用した自発的、創造的な経済施策を広域かつ総合的に推進することによりまして地域経済の発展を期する、こういうことでございまして、私が少し遅かったものですから審議官が先に答弁をいたしたわけでございます。  御承知のように、地域地域それぞれ特徴がございますので、地域の熟成に応じてやっていくべきであると思っております。
  181. 原田立

    ○原田立君 そこで、地域経済の振興を図るために地域経済活性化対策を一層推進すると、こうなると、おのおのの都道府県で行うところの地方単独事業、こういうようなのが具体的には上がってくる問題だろうと思うんですが、やっぱり何かやろうとしてもお金が、資金がなければ何にもできやしない。そうなると、地方単独事業費というものを増額してやるとか、あるいはまた手当てを十分してやるとかというふうなことをしなければ、創意ある工夫とか地域経済活性化対策なんというのはなかなかできないんじゃないか。  いろいろと地方単独事業の、地方財政計画の面からいって、五十八年度から五十九年度見てみると二千八百億円マイナスになっている。政府がいつもこういう財政難の折からということを建前にして説明なさるけれども大臣はこういうふうに非常に強調して、地域経済活性化対策を一層推進するというならば、地方単独事業費は前年と同じようにするとか少しアップしてやるとかいうようなことをしなければ、そういう手だてをしなければやろうと思ってもできない、こうなりはしないかと思うんですが、どうですか。
  182. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 地方財政計画の策定に関連するお尋ねでございますので、私から若干計数的な面での説明をさしていただきますが、五十九年度の地方財政計画の策定に当たりまして、地方単独事業が計画上のトータルでは前年度よりも二千八百億減っていることはそのとおりでございます。  ただ、この内容といたしましては、過去にこれまでの地方財政計画と決算との間の乖離、これが非常に大きな額、単独事業について申しますと、計画の方が大きくて実態がずっと低くなっております。こういう状態が最近ずっと続いておりまして、地方財政計画の性格上、これは地方団体の財政状態をある程度示す意味もありますので、その計画の性格上、実態と乖離が余り大きいというのは、これは問題じゃないかという指摘がこれまでもたびたびなされております。  そこで、五十九年度の計画策定に当たりましては、過去の乖離の内容を分析しまして、臨時的な要因とかあるいは計画策定技術上の違いとか、こういったものを除外して、純粋に明らかに計画と決算との食い違いと考えられる額が約五千八百億円と、このように見込まれましたので、その額を規模是正という形で一応減額したわけです。厳密な意味では減額というよりも実態規模を合わした、規模を是正したということでございます。そうして、新たな見地に立ちまして、先ほど大臣や審議官から答弁申し上げましたように、地域活性化、その他、地方の単独事業を地方が主体になってやっていただくための財源的な裏打ちとして「まちづくり特別対策事業」というような考え方で三千億円を新たに追加したわけでございます。私どもは、したがいまして規模是正後の姿からしますと、前年対比で三千億円増額になっていると、このように考えております。  なお、参考までに申しますと、そうした場合、地方単独事業は前年対比で三・八%の伸びになります。ちなみに、これはそのまま対比さしていいかどうかいろいろ御議論あると思うんですけれども、五十九年度の都道府県の当初予算における地方単独事業の前年当初対比の伸び率は三・三%でございます。市町村の方はまだ把握しておりませんが、少なくとも都道府県に関する限りは、私ども規模是正したところから新たに追加した単独事業の額の伸び率とほぼ見合った額が現実に予算計上されていると、このように私どもは認識して おります。  いずれにいたしましても、規模を合わせるべきものは合わせる、是正すべきものは是正した上で必要な単独事業の増額を確保するための財源措置を講じているところでございます。
  183. 原田立

    ○原田立君 地方単独事業の合計は、先ほど申し上げたように八兆二千七百二十六億円、五十八年度が八兆五千五百三十六億円ですから二千八百億円マイナス。  それで、今あなたのお話しになった「まちづくり特別対策事業費」が三千億円加えてある。これはもう皆増と書いてあるから、これは新しい施策であります。仮にもし「まちづくり特別対策事業費」三千億円を加えなかったならばもっとマイナスが激しくなるでしょう。これ、二千八百億円のマイナスも少し大き過ぎるんじゃないか、同等があるいは若干プラスにしてやるべきじゃないかと、私はこう言っているんです。あなたの答弁はちっともそれに答えてない。
  184. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 私が御答弁申し上げましたのは、この三千億を除きますと前年度対比では五千八百億円の減でございます。その五千八百億円というのは単独事業を減らすという意味じゃなくて、過去の決算と計画との乖離の中で、明らかにこれはもう食い違いがあるというものを是正したものでございまして、そこでスタートラインを合わして、そこから必要なものを積み上げた。ですから、数字はマイナスですから三角だと、減だと、こういう御指摘かもしれませんけれども、私どもの気持ちとしては、それは減じゃなくて規模是正である、計画と決算の乖離をここで一応是正した上で今後必要な増は増とすると、こういう考え方でございます。
  185. 原田立

    ○原田立君 了解しがたいですね。要するに単独事業費というものをもっとふやしてやるように、そういう基本的な考え方をすべきだと、これだけの指摘はしておきましょう。  それから、昭和五十年度以降、毎年大幅な財源不足を生じてきておりますが、この恒常化している財源不足からの脱却は一体いつごろになるのか。この見通しが、一生懸命努力しますだけでは理由納得しがたいのでありますけれども、今ここに五十年度から五十九年度までずっと財源不足額を見てみると、一五十四年が四兆一千億で一番多かったですね。去年が二兆九千九百億、ことしは一兆五千百億と、こうなっているけれども、一体恒常化している財源不足からの脱却はいつごろになるのか、その見通しあるいは根拠をお示し願いたい。
  186. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) この時点で地方財政が今後どうなるのか、財源不足の状態から脱却するのがいつになるのかという点について正確な御答弁を申し上げるのはかなり困難でございます、率直に申しまして。と申しますのが、地方財政の行方というものは国の財政の収支と大変密接な関係がございます。そして、国の財政収支につきましては、御案内のように、大蔵省の方から国の財政の中期試算として昭和六十二年度までの姿が資料として提出されております。  これによりますと、借換債を発行する場合としない場合、二つのケース、あるいは予備枠を設ける場合、設けない場合、いろいろケースによって違いますけれども、いずれにしても、国の財政については六十二年度までにはむしろ収支の状況は厳しくなっていくという姿が示されております。  そこで、地方財政についてもわからないわからないと言うだけではいけないということで、一応私どもとしては、国の財政中期試算と全く同じ前提要件を仮に当てはめた場合、歳入面では、国税と地方税の弾性値の違いなどがありますから、それは違うところは変えまして、一応歳入の将来予測を行う。あるいは地方交付税については、国の試算で将来の数字が出ておりますからこういったものを用いる。国庫支出金についても一応国の方で数字を示しておりますからそういったものに準拠すると、こういう前提。それから歳出について、これがまあ一番問題でありますけれども、歳出につきましては、公債償還費は一応現在の地方債の残高をベースにして将来の償還費を計算する。そうして、それ以外の一般歳出、これについて仮に国の一般歳出の伸び率と同じものを適用した場合にどうなるかと、こういうことについて参考のための計算をやってみました。これによりますと、予備枠を設ける場合と設けない場合で若干違いますけれども、いずれも六十年度、六十一年度は依然として財源不足が続く、しかし前提の置き方によっては六十二年度になると収支不足はなくなるという計算も出てまいっておりまして、いずれにしても、いずれのケースも財源不足額は次第に減っていくという傾向が示されております。  しかし、この試算というのはあくまで国の試算の方の前提要件にそのまま乗っかっているわけでありまして、国の試算の前提についても種々論議がありますから、これがそのまま地方財政の将来の姿であるというふうに断定するにはいささからゅうちょをせざるを得ないわけでありますが、いずれにいたしましても今後徹底した歳出の削減を行う、そして経済の状態が今の想定、具体的には「一九八〇年代経済社会の展望と指針」に示されているような経済状態が続くと、こういうような前提を置きますと、地方財政収支は傾向的には若干ずつ改善されていくんではないかと、このように見ているところでございます。
  187. 原田立

    ○原田立君 あなたの方で出している「地方財政参考試算」というのを持っているわけでありますけれども、六十年度で一兆九千七百億円の財源不足、六十一年は一兆六千四百億、六十二年は一兆七百億、あなたが今説明したとおりだけれども、六十二年になっても一兆七百億円という膨大な金額が財源不足になるわけだけれども、その脱却をするのはなかなか今の段階では言えないと、こういうお話だったけれども、ずっと毎年毎年一兆円台、それに近いものが財源不足になって続いていくんだというんでは、ちょっとやりにくい。なかなか大変。重ねてこの脱却の見通し、根拠をお話し願いたい。
  188. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) ただいま御答弁申し上げましたように、いろいろな将来の地方財政を規定する要件が不確定でございますから、この時点でいつどうなるということを的確に申し上げかねるわけでありますが、ただいま先生も御指摘になりましたように、先般私どもが仮の計算として行ったものによりますと、前提の置き方によっては六十二年度に財源不足がなくなるという計算もありますし、またいわゆる歳出についてある程度予備枠を想定いたしますと、六十二年度になってもなお一兆円を超える財源不足が残る。しかし、傾向的にはいずれのケースにおいても財源不足は次第に少なくなっていくという方向がこの試算では出ております。  私どもとしては、六十三年度以降はどうなるのか、そこまで計算しておりませんけれども、いずれにしても六十二年度までは、前提の置き方いかんによりますけれども、なお厳しい状況が続くということではないかと思っております。  それ以上さらに踏み込んだ御答弁がこの段階ではいたしかねる点を御理解いただきたいと思います。
  189. 原田立

    ○原田立君 そうすると、特例措置が当然講じられるはずだと思うんだけれども、その見通しはどうですか。
  190. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 特例措置につきましては現在御提案申し上げているところでございますが、これは地方財政収支の不足が生ずる限り、必ずこの特例措置で対応するというふうに考えております。
  191. 原田立

    ○原田立君 大臣、お伺いしますけれども、こういうふうな財政的に非常に厳しいときに地方交付税法の第六条の三の二項には、こういうふうなときに「地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」という、こういう項目があるわけです。要するに地方交付税三二%を三三にも三五にもする、こういう率の変更があり得るということがあるんですけれども、これを適用する、そういう段階に今はもう来ているのじゃないか、こう思うん ですが、どうですか。
  192. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 御指摘の、六条の三の二項が適用される状態かどうかということでございますが、まさに今の財政はそのとおりだと思います。ただ、国の財政の状態から見ますと、今、地方交付税の税率を引き上げるということは非常に難しい状況でございます。そういう意味から、制度の改正を行って特例措置を講ずる以外にはない、こういう考え方で今回の措置になったのでございます。
  193. 原田立

    ○原田立君 この法の適用ができないというふうに仰せになるけれども、そういう法の適用ができないような条文を、じゃ何でつくったのか、こういうことになってくる。大臣は国の方の問題ばかり言って、それで、地方団体のことに余り味方になっていないような発言だというふうに私には思える。いかがですか。
  194. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私の説明がまずかったためにちょっと誤解をされたようでございますが、今、御指摘の六条の三の二項が適用される状態に来ておるということを申し上げたのでございまして、その条項の中に、率を上げるかそれとも制度を改正してやるか、こういう規定がございますので、その後者の方をとらざるを得ない状態に来たということを申し上げたのでございます。
  195. 原田立

    ○原田立君 私も前々から当委員会で議論をやったことがあるのですけれども、もう二十年ぐらい前からも、三二%の確保ということは絶対やれ、こういうことを盛んに言っていました。それはずっと続いてきたわけなんですけれども、交付税特会の借り入れ、あるいは特例措置やなんかが続いて、実際は国税三税の三二%から一%とか二%、すなわち三三%とか三三・五%とかというふうに若干はプラスになっておったわけですが、根っこは特別会計の借り入れという形だったんですから、その借り入れだなんというのじゃなくて、本当からいえば、制度改革といっても、その前に借り入れという措置をなくして、貸してやっているのだという考えのものを三二%にプラスアルファで乗っけるようなことを考えてやるべきじゃなかったんでしょうか。  それをずばずばとちょん切ってしまって、結論的にはことしの不足一兆五千百億円のうち地方建設債一兆二千五十一億円、あと三千四十九億円は特例措置だ、こう言っているけれども、交付税会計で見るのは千二百八十九億円、あとの五十九年度以降に持ち越すのは千七百六十億円。償還の先送りだけしているわけですね。あくまでも借金は借金だということで残しているのだけれども、そうじゃなくて、そういうふうな制度改革じゃなくて、三二%が三三%にも三四%にも伸びるようなそういう方向に改正してもらいたかったなと、こう思うのです。どうですか。
  196. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 五十九年度の地方財源不足額に対する補てん措置のあり方についての御指摘でございますが、私どもも地方財政の将来を考えますと、この財源不足類はなるべく将来の地方団体の負担にならない形で、具体的には国からの財政措置で補てんしてほしいという気持ちで折衝に臨んだわけであります。しかしながら、大臣からも御答弁申し上げましたように、現実に国の財政が大変な危機的な状況にあるということが壁となりまして、私ども要求は実現しなかったわけであります。そうして、ぎりぎりの選択として建設地方債の活用をまず行う。しかし、建設地方債を活用しますが、五十八年度よりはその依存度を引き下げるといいましょうか、具体的な充当率を引き下げるという形でまず一兆二千億円余りが決まったわけであります。そうして、残余の三千四十九億円については交付税の特例措置で対応する。そして、そのうち償還方法の変更による分を除いて、千七百六十億円はいわゆる特例加算ということで対応することにいたした次第でございます。  もちろん、初めに申しましたように、地方自治体の側に立って、地方財政の立場からする望ましい姿としては、なるべく国の負担による特例措置、将来返還の必要のない特例措置をより多くすることが望ましいと考え、またそういった方向での折衝も行ったわけでありますけれども、残念ながら、今日の国の財政状況のもとで、今回御提案申し上げているような内容が私どもとしては精いっぱいの措置であった、このように御理解いただきたいところでございます。
  197. 原田立

    ○原田立君 交付税会計の借り入れについて、借り入れたものに対する利子ですね、これは当然国の方で負担するような方向であったのが、今度の法改正で地方が負担するというふうに変わったわけなんだけれども、これはもとへ戻す考えはありませんか。
  198. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 交付税特会の借入金の利子負担につきましては、五十八年度以来の私どもと国庫当局との間の最大の争点になったわけでございます。私どもは、本来、この交付税特会の借り入れは国が地方財源を保障するという責務を果たすために、交付税率を引き上げられないそれのいわばかわりの措置として特会借り入れが行われた、こういう経緯、背景を踏まえて、その利子は本来、全額国が持つべきものだということを五十八年度以来強く主張してまいったわけでありますけれども、残念ながら国の大変な財政危機のもとで我々の主張が入れられずに、交付税会計の借入元金のそれぞれの負担区分、国の負担分と地方の負担分は決まっておりますから、それぞれの負担分に見合って利子負担をそれぞれ負担するということで五十八年度決まったわけです。このときは私どもとしては非常に不本意であったものですから、その措置は五十八年度単年度の措置ということにいたしまして、五十九年度については改めてこの論議をしようということであったわけです。  そこで、五十九年度の地財対策におきましては、この問題が率直に申しまして地財折衝の最大の争点になり、大臣には最後まで大蔵大臣とこの件について折衝をお願いしたわけであります。しかし、今回御提案申し上げておりますように、交付税特会の借入金の残高のうち国庫が負担することになった分、臨時で毎年度国庫から入れていただくことになっておった分について国の一般会計の借入金として引き取っていただく、こういう地方にとっては大変望ましい抜本的な改正が今度行われることになったわけです。このような元本を国の一般会計が引き取ってきれいにする、こういう措置と関連しまして、利子については、この際それぞれの借入金についてはそれぞれが責任を負うという形で恒久化したわけです。したがいまして、利子負担については、我々としては年来の主張からすれば不本意な決着であったわけでありますけれども、元本についてこの際きれいに決着つける、こういうこととの関連において、利子についても、交付税特会に残る借入金の利子は交付税特会が負担するということにせざるを得なかった次第でございます。
  199. 原田立

    ○原田立君 大臣、今も財政局長から説明聞いたけれども、まあ御努力はなさったようでありますけれども、それは当然でしょう。だけれども、何か余りにもむなしい感じがする。田川大臣は中曽根内閣の一員ですから、国側の立場になっておやりになるのだろうとは思うけれども、やっぱり地方団体としては唯一の頼りになるところは自治省なんですから、自治大臣なんですから、そんなむなしい感じを地方団体に与えるようなことはやってもらいたくないわけですよ。御努力願ったと思いますけれども、なお今後のことについての御決心のほどを。
  200. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 大蔵省との折衝の中にいろいろ苦労もございましたし、主張すべき点は自治省としても主張してまいりました。私どもとしては、大蔵省も譲り、お互いに譲って妥結点を見たと思っておりますけれども、地方の側から見れば不満足の点も幾つかあったと思います。こういう予算の問題は夏を過ぎますと具体的に入ってまいりますので、当初からこうした地方に不満足のいかないように、これから一生懸命頑張ってまいりたいと思っております。
  201. 原田立

    ○原田立君 実は、先ほどの地方債の問題につい て佐藤委員の方から質問がありましたけれども大臣も所信表明の中で、「財源不足額一兆五千百億円につきましては、地方交付税の特例措置額と建設地方債の増発により完全に補てんすることといたしております。」と、「完全に補てんすることといたしております。」と、こう言っておりながら、先ほどの指摘にもあったように、ただ給与が、ベースアップが高かったということによって、その関係の団体はずばずばっと起債の申請を切るということは、この言葉と非常に矛盾していると思うのですけれども、どうですか。
  202. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 起債の申請をどんどん切っていくということではございませんで、これはひとつぜひとも誤解のないようにしていただきたいのでございます。給与その他財政支出の状況が著しく適正を欠き、そればかりじゃなくて、かつその是正のための必要な努力を払わないと、こういう地方団体に対しては財政が豊かであるから借金する必要ないじゃないかと、こういう考え方でございまして、何でもかんでもどんどん規制して切っちゃうと、こういうことではございません。  むしろ、これから適正化を図っていこうという努力をする地方団体には申請どおり起債の枠を認めていこうじゃないか。そういう努力を払っている団体には、仮に不適正な支出があったと、財政支出の状況が著しく高かったと、給与が著しく高かったとしても、ひとつ考えていこうじゃないかという姿勢が今回の起債の指針の中に含まれているということを御理解をしていただきたいのでございます。
  203. 原田立

    ○原田立君 それでは、交通安全対策問題について御質問いたします。  交通事故の発生状況を見ると、五十八年は、前年の五十七年と比べて総件数で約二万三千件ぐらいふえて、死者も約一万人台を突破しそうな勢いであるわけでありますけれども、非常に悲しいことだと思うんです。こんなに多くの人が戦争じゃあるまいし亡くなるなんということはとんでもない話だと思うのでありますが、こういうようにずっと多発していることに対する理由あるいは原因、どんなふうに考えておられますか。警察庁ですね。
  204. 八島幸彦

    説明員(八島幸彦君) お答えいたします。  御指摘のように、最近交通事故が増加傾向にありまして、昨年の交通事故の発生状況は、発生件数で五十二万六千三百六十二件、死者数が九千五百二十人、負傷者数が六十五万四千八百二十二人という状況になっております。  その原因についてのお尋ねでございますが、考えられますのは運転者及び車両の増加に伴う交通量の増大あるいは諸種の車両の異種交通による混合性の増大、あるいは運転者の多様化による交通の複合化といった交通事故の増加要因に対しまして、現下の厳しい財政事情のもとで交通事故防止対策が相対的に必ずしも十分ではないというふうに考えられるわけでございます。    〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕 一方、長期にわたりまして交通安全の水準が向上してまいったこともございまして、御承知のように、昭和五十四年まで九年連続、交通事故による死者数が減少してまいったということもございまして、国民の交通安全に対する切実感が往時よりも薄れてきているんではないかというようなことが一応原因と考えているところでございます。
  205. 原田立

    ○原田立君 とにかく事故発生件数で、五十七年度から見ると二万三千六百四十二件、ちょっとあと数字が違うようですね、これあなたの方からもらった表なんですけれども、二万三千六百四十二件ふえているし、死者は四百四十七人ふえているし、負傷者は二万七千四百二十八人ふえている。非常にひどい話ですよ、これ。  それで、「交通安全基本計画」というのを警察庁で出しているけれども、この中で「道路交通安全対策の今後の方向」として「特に死亡事故の防止には格段の意を注ぎ、交通事故死者数の着実な減少に努め、昭和六十年までに死者数を年間八千人以下とすることを目指す」と、こういうふうに仰せになっている。八千人だって多いんだけれども、これだけの人数、大変な地域ではそれも大きい努力目標だろうとは思うのでありますけれども、じや具体的にどういうふうにしてこの目標を達成なさるのですか。
  206. 八島幸彦

    説明員(八島幸彦君) 御指摘のとおり、昭和五十六年三月三十一日に中央交通安全対策会議で決定されました「交通安全基本計画」におきまして、昭和六十年までに死者数を年間八千人以下とするということが決められております。私どもといたしましては、厳しい財政状況のもとで極めてこの目標を達成することは厳しい課題であるというふうに受けとめておりますけれども国民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、今後、交通安全施設等の整備を重点とする道路交通環境の整備、運転者教育の充実あるいは効果的な交通指導、取り締まり活動の推進等によりまして、この目標を達成するよう最大限の努力を払ってまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  207. 原田立

    ○原田立君 大臣の所信表明の中にも「長期的な視点に立って新たな施策の検討についても積極的に取り組み、交通死亡事故抑止の実効を期してまいる所存であります。」、こうあるのですけれども、これは具体的にどういうことですか。
  208. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) そのことは、対象及び段階に応じた交通安全教育の充実、交通安全施設の高度化、交通事故による被害の軽減、交通違反に対する抑止力の強化、こういった新しい角度から諸施策を検討していくということでございますし、それからもう一つは、この交通事故を防止していくには広くボランティアの方々の御協力をいただくということも大事でありますし、それから単にこの交通事故の防止を取り締まり当局だけに任すことでなくて、自治体もこぞってこうした交通安全に対する対応措置をとってもらう、こういうことも必要であると思いますし、それからもう一つ、やはり取り締まられる側の取り締まる側を理解するということも必要なことではないかと思っております、    〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕  少し抽象的かもしれませんけれども、そうした多角的に交通事故の防止策をとっていきたい、こういうことでございます。
  209. 原田立

    ○原田立君 その取り締まりの強化と、それから各民間の力を加えていく、参加を得ていく、両方大事なことだと思うんですね。  まず、もうちょっと言いますけれども、交通反則金なんかが財源対策のためにばりばりやってるんだろうなんという悪い評判があるんですよ。実際はそうじゃないんでしょう、財源対策じゃないんでしょう、こう聞けば、そういうふうに返事なさるんですけれども、どうだかさっぱりわからない。今の大臣の話も抽象的でよくわからないんだけれども、それはそれで子としましょう。せっかく御努力願いたい、こういうことなんです。  ところで、ことしに入ってからの交通事故の発生件数を見ると、一月が三万四千件、二月が同じく三万四千件、三月に入ってこれが四万件にふえていますね。死者の場合にも、一月は六百六十九人、二月は五百三十二人、三月はぐっと伸びて六百八十八人、やっぱりぼかぼか暖かくなってくるとそういう事故が多発してくるんじゃないか。こういう数字が示しているわけでありますけれども、この四月、それから五月に今度はゴールデンウイークとなってくるわけですよ。ますます多くなりはせぬかという心配をするんですけれども、そういう心配がないかどうか、あるいはまた警察庁はどういうふうな対策をおとりになるのか。いかがですか。
  210. 八島幸彦

    説明員(八島幸彦君) 御指摘のように、暖かくなってまいりますと交通死亡事故も増加傾向をたどるのが例年の例でございます。また、これも御指摘のように四月の下旬からいわゆるゴールデンウイークを迎えるわけでございまして、私ども交通死亡事故の抑止を最重点といたしまして、交通死亡事故に結びつきやすいいわゆる無謀運転、著しい速度の超過とか酒酔い運転等でございます が、こういう違反に重点を絞った取り締まりをやりますとともに、何といいましても、交通事故の防止には国民皆さんの御協力が一番大切でございますので、先般、春の交通安全運動が行われましたが、運動が終わりましても、引き続き気を緩めることなく広報等に努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  211. 原田立

    ○原田立君 五十六年は死者が百八十八人、五十七年が二百二十五人、五十八年が二百二十七人、五十九年度は八人ふえて二百三十五人と、まただんだんふえつつあるんですね、この春の全国交通安全運動期間中に。年を追うごとにだんだん減っていくというなら私わかるのだけれども、ふえていくというのは非常に残念です。  もちろんドライバーのマナーの問題もあるだろうと思いますし、また、この発生件数なんかにしても、見てみると、歩行中に亡くなった人が、要するにひっかけられて亡くなった人が五十六年度で七十人、五十七年度で七十人、五十八年度で五十五人、これはぐっと減ったわけですね。自転車に乗っかっていて接触して倒れて亡くなった人が五十六年度は十五人、五十七年度は十六人、五十八年度は三十八人と、こうふえている。ここら辺、何か一つの目安というものが出るんじゃないだろうかというような感じがするわけです。  それと、私も朝自宅から駅まで行くのに、七時半から九時半までバスのラインがありますね、バス専用レーンが。そうすると、その方のあるところに二輪車あるいは原付の自転車がわあっと中へ入ってくるんですね。バスはこっちに入る、乗用車はこっちに入ってくる、その真ん中に入らなければオートバイは通れないわけですから、非常に危険な状態だなと思いながらバスの中からよく見るわけです。ここら辺なんかもよく注目しなければいけないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  212. 八島幸彦

    説明員(八島幸彦君) 最近の事故増加の大きな一つの理由になっておりますのは、御指摘のような二輪の事故がふえているということでございまして、この二輪のオートバイあるいはいわゆる原付と言っておりますミニバイク等の事故が、御指摘のような車の間を縫って通るというようなことに関連しまして事故を起こしております。  車の形態上、加害者というよりも被害者の立場に立つことが多いわけでありますけれども、警察といたしましても、二輸の交通事故の増加傾向にかんがみまして、ことしの先般行われました春の全国交通安全運動におきましても、重点の一つとして二輪の事故防止を設定した次第でございまして、今後ともそのような混合交通による事故を抑止する方向で最善の努力をいたしたい、かように考えておるところでございます。
  213. 原田立

    ○原田立君 時間がなくなってしまったので、あと、その他もろもろの質問をしたかったのだけれども、全部省いて、実は我が党で五十九年四月四日付で、増加する交通事故を抑制するために「交通安全教育・安全運動に関する提言」というものを世に問うてお出ししたわけなんでありますが、警察庁はお読みいただいたでしょうか。もしお読みいただいたとすれば、それについての所感をお聞きしたい。
  214. 八島幸彦

    説明員(八島幸彦君) 御提言は拝見いたしました。大変示唆に富んだものでございまして、今後各種施策の推進に当たりましては、十分参考にさせていただきたいと考えておるところでございます。  特に交通安全教育につきましては、幼稚園、小中学校あるいは地域の老人クラブにおける交通教室の講師として警察官等を派遣するなど、生涯にわたる交通安全教育の実現に努めておるところでございますが、日ごろ交通安全教育に接する機会の少ない主婦層などに対する教育等をさらに推進してまいりたいと考えております。  また、指定自動車教習所の指導員など、安全運転に関する専門的知識を有する者の養成のために、自動車安全運転センターが現在計画しております中央研修所の設置に努めますとともに、御提言にもございました初心運転者対策としての免許制度の検討も進めているところでございます。  さらに、交通安全運動の実施につきましても、御提言の趣旨を踏まえ、一層国民の自発的な運動としての展開が行われるよう、私どもとしても努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  215. 原田立

    ○原田立君 あと、赤字ローカル線の転換に伴う財政負担についてということでお聞きする予定だったんです。ちょっと時間がなくなってしまったので、大臣にひとつぜひ聞きたい。  というのは、第三セクターやなんかで赤字廃止路線が存続すると運賃も高くなってくる。当然地元で地方自治体もある程度参加しなきゃいけない、住民も参加しなきゃいけない、そうなると財政的には非常に困るわけです。だから大いにそこで自治体もしっかりと面倒見てやってしかるべきだと僕は思っておったのに、第三セクターに加わることについては慎重に対処しろという事務次官通達が去年の五月三十一日付で出ておる。こうなると、大事な足の確保ということで何とか知恵を絞ってやろうとしても、結局は自分たちだけでやらなきゃいけないということで、非常にその存立を危うくするというか、そんな状態になると僕は思う。これに対しては、もっとそういう第三セクターに対して欠損が生じた場合の負担を国も何かその一端を負うような、そういう施策を講じるべきではないだろうか。  今決まっておるのでは、欠損した分については、バス事業については十分の十で五年間やる。五年過ぎたらば後はどうするのか、これは決まってない。鉄道事業については十分の五は出すけれども、それも五年間だと。その後は何だかよくわからない、はっきりしてない。これじゃもう廃止の方向にだんだん進んでしまうというようなおそれを感じるわけです。もっと国としてそういう第三セクターやなんかになった場合の財政的な援助とか負担とかいうものを何か考えてやるべきではないか。そうでないと、そういう第三セクターで進んでいくという、いい方向だからこれでぜひ行こうというようなことの見本にはならないと思うのですね。悪例を残してはならないと思うのですが、大臣のお考えはいかがですか。
  216. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 御指摘の第三セクターによって地方の負担が過重になるというようなおそれもおっしゃるようにあると思いますので、従来からも自治省としては慎重にこの問題に対応するようにという指導をしております。といって、大事な足が奪われるということでございますし、なかなか国鉄ローカル線の問題は難しい問願でございますけれども、我々としては、よく地方自治体の考え方を聞いていただいて、このローカル線の問題に対処してもらうように関係省庁に働きかけをしておるわけでございます。  いずれにしても、こうした問題で地方が財政的にもいろんな面でしわ寄せを食わないように今後も努力してまいる所存でございます。
  217. 中野明

    中野明君 きょうは大臣の所信に対する質疑ということでございますので、最初に、最近私この委員会で審議に参加させていただいておって非常に痛感していることなんですが、大臣も新自由クラブとしての地方自治の政策をお持ちですし、かねがね大臣としての見識も、政治家として地方自治に対する質疑を通しての見識も私承知しておりますが、一体自治省という役所がどういう任務を持っているのかということについて、最近少し私疑問に感ずることが非常に多いんですが、一体自治省という役所はだれのために、何のためにあるのかということ、基本的な問題なんですが、けさほど来も議論になっておりますように、どうも政府の側に立って地方自治の本旨というものを充実拡大していくという方向とは逆の方向に作用しているのじゃないかというような気がしてならぬのですが、大臣として、もう自治大臣に就任されて数カ月たつわけです。今の自治省のあり方ということについて大臣の率直な感想を最初にお聞きしたいと思っております。
  218. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 自治省が一体どういう立場にあるかという御質問でございまして、なか なか難しい御質問でございますが、簡単に言いますれば、もう申し上げなくてもおわかりのように、地方自治の立場に立って、そうして地方分権を推進するその役目を受けた役所であるというふうに思っております。  ただ、御承知のように、それだけに地方自治体に対してどういう指導をしていくか、これが重要な問題でございまして、これまでもいろいろな御指摘がございましたけれども、地方自治を、また地方分権を推進していくには、地方だけの立場でこれを解決していくということはなかなか難しいので、国と地方とは車の両輪でございますから、国のことも考えていかなきゃならぬ。それから地方の言い分だけに耳を傾けていくこともこれもなかなか問題がある。  けさほど来いろいろ御指摘もございましたけれども、地方の分権を推進したいならば、それだけに地方にもその努力をしていってもらいたいということを指導しなければならないのです。よく家庭で、子供がかわいければかわいいほど厳しくしつけをするということがございますけれども、それと同じことじゃありませんけれども、地方自治を誤って考えていかれては困る、そういう意味から、自治省としても地方自治体で指摘をしなければならない点があれば厳しく指導をしていく、こういうことも自治省の役目ではないかと思います。高給与や財政支出の著しく適正を欠いているという自治体があればやはりこれを指導していくということも自治省の立場ではないか、こういうふうに思っております。そして、それをやらないと、だんだん地方自治に対して間違った考え方がはびこっていくんではないか。ちまたに地方財政余裕論というのが出てきております。そういう余裕論は本当にごく一部でありますけれども、こういう余裕論を消していくには自治体側にもひとつ自主自律の気持ちを持って対処していってもらいたい、こういうことを指導していくものと、このようにわきまえておるわけでございます。
  219. 中野明

    中野明君 大臣の今の答弁で非常に気になることがあるんですが、やはり御答弁を通して感じられることは、どうしても、現在国側が持っている地方不信といいますか、そういうことがやはり底流にあるんじゃないかという心配をするわけでして、今日、地方も議会がありますし、住民と身近であるだけに、そんなにべらぼうなことは考えられないというふうに私は理解をしております。  そこで、大臣の所信を読ましていただきましても、お述べになっているように「住民に最も身近な政府である地方公共団体の役割がますます重要なものとなっており、地域社会における人々の参加と連帯を進めつつ地方分権の推進を図っていくことが肝要であると確信しております。」、こうお述べになっております。そして、今私が疑問に思って、自治省というのは一体どういう任務を持っているかということで設置法を、私もこの委員会所属して間がないものですから、読ましていただきました。そうしますと、一応読んでみますと「自治省は、民主政治の基盤をなす地方自治及び公職選挙等に関する各種の制度の企画及び立案並びにその運営の指導に当るとともに、国と地方公共団体との連絡及び地方公共団体相互間の連絡協調を図り、もって、地方自治の本旨の実現と民主政治の確立に資すること」、このようになっております。  これは前提として地方自治の本旨の実現と民主政治の確立ということが目的でありまして、その一つの立場として、自治省という役所は国と地方公共団体の連絡あるいは地方公共団体相互間の連絡と協調を図るというのが一つの手だてというんですか、仕事の中に含まれているわけですが、どうも私が感じますのに、地方自治の本旨の実現という、あるいは民主政治の確立というこの目的に対する方法として国と地方公共団体の連絡なりあるいは地方公共団体相互間の連絡協調ということを図るということになっているんですが、このところが非常に私難しい問題だろうと思うんです。  それで、国と地方公共団体の連絡を図って、しかも地方公共団体同士の協調をしたら画一的なものになってしまって、地方自治の本旨というものが果たして実現できるかどうか。その辺を私は非常に疑問に思っているわけでして、この間うちから局長さんを初め各政府委員の答弁を聞いておりまして、何か地方自治体が努力をしてちょっと他と違ったことをしようと思ったら、それはいけません、それもおかしいですよど。給料だけじゃありません。給与の問題はある程度私はわかりますけれども、そういうふうにしてせっかく地方自治の本旨にのっとって民主政治が進もうとしているのを自治省が何か芽を摘んでいって、結局中央集権的な国の考え方の代行をしているんじゃないだろうか。それで結局、地方自治体は大体画一的な枠にはめられてしまって、これから余りはみ出ないような画一的なことになってしまうということになると、結論として中央集権になってしまうんじゃないだろうか。国との連絡をするということに重きを置いて車の両輪とおっしゃったんですが、どっち側に重点を置いて国との連絡調整に当たっておられるかというと、これは間違いかもしれませんが、私の感じでは、国側に主体を置いて、そして地方自治体との連携をとっておられるのが自治省じゃないだろうかなというふうな、そういう気持ちにまでなってきたものですから、一応、大臣が就任になって自治省の仕事を総括する立場にお立ちになられて、どう思っておられるんだろうかと、こういうふうに思ったものですからお聞きをしているわけです。  どうもここのところ非常に難しいと私も思います。地方自治の本旨の実現をさせるためには、そのための公共団体相互の横の連絡協調なり国との連絡ならば結構なんですが、国との連絡に重きを置いて、そして地方の指導に当たられるということになると地方自治の本旨がゆがめられてこないか、あるいはせっかく地方自治の本旨にのっとって努力しようとしている地方自治体の希望といいますか、やる気をそぐことにならぬか、こういう疑問を持ったものですからお尋ねしているわけで、いま一度大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  220. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私の先ほど申し上げたことに御懸念があったとすれば大変残念なことでございまして、私の趣旨とちょっと違ってとられたと思いますが、地方自治は民主主義の基盤でございますから、地方自治が損なわれるようなことになったらこれは大変でございまして、そうしたことについては、毫も私どもは中央集権的なことを考えているわけではございません。このことはひとつかたく申し上げておく次第でございます。  御指摘のように、なかなか自治省の立場というのは大変微妙な立場でございますけれども、先ほど申し上げましたように地方の立場に立って、そして国と地方との連絡調整や地方との相互間の協調がうまくいくように図っていかなければなりません。ただ、三千三首の自治体をどういうふうにして見ていくか、これは大変なことでございまして、一言で言えば、自治省が本来の機能を発揮していくには三千三百余の自治体をどうやって把握していくか、こういうことが一番大事だと思います。  もちろん全国の市町村まで実態を把握するということはそう簡単なことじゃございませんけれども、とにかく地方の自治体の実態をよく把握して、そうして適切に対応していく、処置をしていく、指導をし連絡調整を図っていく、こういうことに力を注いでいかなければならない、このように思っております。
  221. 中野明

    中野明君 それで、けさほど来議論がありましたように、指導の立場でやっておられたことで、今度の給与の問題にしても許可方針の中に入れられたり、事務官制度の問題も議論がありましたが、そういうことがやっぱり表に出てくると、私はさっき申し上げたように、当然これは今までやっておられることですから、幾らでもできることをあえてここで表に出されるということになりますと、一体これはどうなっているのかなという疑問を持ったものですから申し上げておるわけであります。  次に、過日私が本会議で大臣に御質問申し上げて、国の方ではいわゆる財政の中期展望というものを出しておるわけですから自治省もいわゆる地方財政の中期展望に当たるようなものをお出しになったらということで質問をしましたら、大臣も、審議の参考に出したいということで、衆議院では交付税の審議の参考にお出しになったようであります。いずれこの問題につきましては、地方交付税の審議のときに、質疑を通じていろいろ御意見もお伺いしたいんですが、やはりこういうものはいつ参議院にもお出しになる予定になっておるのか。なるだけ早く出していただいて、やはり次の交付税の審議のときにはすぐその場で見せていただいても勉強の期間がありませんので、いつお出しになるのか。まず最初にそれを伺いたい。
  222. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 地方財政の中期的な見通しについて参考のために試算した資料については、衆議院の方では交付税法の御審議に入っていただく直前に理事会の方で提出さしていただきました。当院につきましても、委員長の御指示があれば直ちに提出できるように準備しておりますので、御指示いただければ直ちにそのようにいたしたいと思います。
  223. 中野明

    中野明君 委員長、よろしくお願いいたします。なるだけ早くいただきたい。  ただ、きょうはこの問題については議論を深くしようと思いませんが、私もちらっと見せていただきました。衆議院の方が出ましたので、疑問に思っておりますことだけ申し上げておきますが、この試算というのは一体何のために、参考試算ですから何の参考に出されるのかということなんですが、今後財政事情がどうなっていくのか、住民の負担というものが一体どうなるのか、地方財政というのが本当にどうなっていくのかということについて、ある程度我々が審議をしていく上において、参考として議論の素材になるようなものでなければならないと私は思っておりますが、どうも見せていただいたところ、前回出た地方財政収支試算という五十五年に出ましたんですか、五十五年の二月に出たものと比べて非常に簡単で、何をこれから読み取ったらいいか、非常に払いまだにわからぬのですが、議論はそのときするといたしまして、せっかく参考試算をお出しになったんですから、何かそういう点で非常に不親切だなという感じだけは受けております。これだけ申し述べておきます。いずれこれは出てまいりましてから議論をさしていただきたいと思います。  次は補助金の問題でございますが、これまた行政改革ということで補助金の整理合理化ということが大問題になっておりますが、五十九年度は前年比四千三百五億円ですか、補助金の減というものが。しかしながら、地方自治体が求めておるのは、この補助金をとにかく単にぶった切るだけ、それでは困るのでありまして、補助金を切られたその後、それで地方自治体も仕事をしなければなりません。財源の対策というものをある程度考えていただいて切ってもらわないと困るんですが、第二臨調の答申でも、自治体に対する補助金等については、その機能を生かしながら地方の自主性、自律性の尊重の観点から見直すべきと、このように、具体的に申し上げれば廃止した補助金を一般財源化することが好ましいと、これが臨調の趣旨であるやに私は思います。その意味で、今回補助金が削減されたそれに対しての一般財源化の努力というのが足りぬのじゃないだろうかと、こういう懸念を持っているわけですが、どの程度一般財源化されたのかお教えをいただきたいんですが。
  224. 津田正

    政府委員(津田正君) 補助金の一般財源化につきましては、五十八年度におきまして土壌保全調査職員、農地調整職員等におきまして、事業費ベースで十三億八千五百万、地方負担分で六億六千二百万円を一般財源化しておるところでございます。これは御承知のとおり、農業改良普及職員等、また五十九年度におきましては保健所職員等、交付金化いたしましたが、それと並行いたしまして、先ほど述べた職員設置費につきましては一般財源化、交付金化よりも一歩進んだ一般財源化にした、こういうことでございます。
  225. 中野明

    中野明君 ちょっと具体的にお尋ねをしてみますが、五十九年度補助金整理合理化案の中で、地方公共団体の自治省所管で減ったところが新産業都市等建設事業債調整分利子補給金というのがありますね、これが七億八千七百万ですか、これが減ったということになっているんですが、この状況をちょっと説明していただけますか。
  226. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 新産業都市等の利子補給金でございますが、これは対象となります補助事業そのものが、事業費そのものが減少いたしまして、これに関連して新産業債が減っている。具体的に申しますと、五十九年度予算では既発行分の新産債等の利子補給金が二億四千九百万減っております。これは年度進行で減っていくわけです。それから新年度発行分についても、ただいま申しましたようにもとの補助事業がマイナスシーリングの影響で減ってまいりまして、その関係等もありまして五十九年度予算では前年対比五億三千八百万、合計して七億八千七百万減っております。これは、ただいま申しましたように、補助金を削ったというよりも、もとになります補助事業そのものの事業量が減少したことに伴うものでございます。
  227. 中野明

    中野明君 そうしてみますと、そういうのがかなりありまして、結局、余り補助金がぶった切られだというのは基本的にないのですか。
  228. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 自治省所管のものでは、消防庁所管のものなど若干減っておりますけれども、私の方の所管の公営企業関係とか新産関係は主としてもとの事業量が減っている。あるいは公営企業関係で申しますと、地下鉄関係の助成金について、前年度がその前の年度からの繰り越し分が入っておったというようなことで、五十八対五十九で減っておりますけれども実態的には減ってない、若干ふえているという状況でございます。  ただ、ほかの省庁の補助金を見ますというと、いわゆるマイナスシーリングの影響で補助金がかなり減少になっております。その補助金の減っている内容については私どもは、事務事業が残る、補助金はなくなったけれども仕事は残るというものについては当然その事務事業に必要な経費を地方財政計画上歳出に計上いたしまして、そうしてそれに対応する財源措置をする、一般財源で総額を確保する、こういうふうな措置を講じておりますが、ただ、率直に申しまして、そういういわゆる一般財源振替の補助金整理分というのは余り大きくございません。減っているものの最たるものは、事業量そのものをカットしているというものが大部分でございます。
  229. 中野明

    中野明君 心配しますのは、ちくちくそういうふうなことをやりながら、国が当然やらなければならぬことを地方に肩がわりしていって、結局最終的には地方が困って、基準財政需要額に算入しますといわれても、それは三二%なら三二%という頭打ちがあるわけですから、結局地方が苦しくなって何にも仕事ができないというようなことになったんでは行政改革の意味がないというふうに感じますので、あえて申し上げているわけでして、そうしますと、今のお話にありました消防関係、おいでになっていますか。ちょっと、消防関係の減ったというようなお話がありましたので、説明いただけますか。
  230. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 五十九年度の消防施設整備費の補助金が、御案内のとおり六・二%減っております。これは臨調の答申にありますような零細補助金を減額をしていって、それを地方制度の仕組みの中で少し措置をしていこうというのとは違っておりまして、臨調自身というより、国の財政自身が大変苦しいというので、一〇%削減をかけるということが前提になって減らしたものであります。そういう点で総体として六・二%減る結果となりました。  ただ、こういういろいろな最近の社会情勢を取り巻く現況を考えてみますと、災害というのが日本全国あちこちに起きておりまして、それに対応する住民の安全でありますとかそういうことを考 えますと、消防の費用というのはなるべく手をつけたくないというのが偽らざる心境であります。しかし、国のこういういろいろな問題がありますと、もうそこだけ完全に聖域化するというのは大変難しいことでもございましたので、一応政府の方針に従って一割というところを六・二%落としたというのが現況でございます。
  231. 中野明

    中野明君 大臣、お願いを申し上げておきますけれども行政改革というのは、もう大臣大変な見識を持っておられるから、私も理解しておりますが、ただ切るだけが行政改革ではないと私は思います。新しい時代の流れに対応してどうしても要るものは思い切ってつける。そのかわりに、もう不要不急とかあるいは役目の終わったものは思い切って切る、これが行政改革でして、今の消防庁長官のお話のように、大事なことを行政改革の名のもとに一律に切られたんでは、本当の意味でこれ行政改革じゃないと思いますので、そういう面は将来のこととして、十二分に御承知かと思いますが、心にとめていただいて、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、時間が限られておりますので、次に機関委任事務のことについてお尋ねをいたします。  これまた行政改革として、機関委任事務の整理合理化について、二年間に全体として少なくとも一割を整理合理化する。これを受けまして行政改革法が成立いたしました。その後の機関委任事務の整理合理化についてお尋ねをしたいわけですが、前もって前回の機関委任事務の整理合理化ということについては資料もいただいて、私も見せていただきましたが、これは当然地方の固有の仕事にも同化しているというものを、まずできやすいものから機関委任事務を外して団体委任にした、このように私は理解をしております。そこで、それでもってもう終わったんではこれたまりませんので、今後の整理合理化について臨調も一割と、こう言っているわけですが、今後の機関委任事務の整理合理化について具体的にどの程度進んでおるんですか。それをまずお聞きしたいんです。
  232. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 御案内のように、先般の国会におきまして、当面機関委任事務の一割整理ということで法律あるいはその後の推移に応じまして制度が改正されて、一応一割整理という段階は過ぎておるわけでありますが、我々といたしましても、この一割整理というもの自体で決してこれで済んでおるとは思っておりません。しかも、一割と申しましても、内容的には地方団体が本当に団体委任にしてほしいという種類のものがなかなか入ってこないという不満足感も残っております。  したがいまして、行革審といたしましても今後この一年間のうちに、審議会の中に小委員会を設けまして、小委員会で機関委任事務というもののあり方を今後根本的にどう考えていくかという議論をしてもらっております。現在、学者のヒアリング、あるいは各省庁から代表的な機関委任事務関係の法律をピックアップいたしまして、その内容、必要性、こういったものの説明を小委員会として聴取をしておるところでありまして、今後本格的に機関委任事務のあり方についての議論が始まるものと思われます。聞きますところによりますと、ことしの終わりまでには報告案をまとめる手順でいきたい、こういう段取りのように聞いておりまして、私どもはその結果を大変期待をしておるところであります。  ただ、それと並行いたしまして、先般、一割整理は一応一段落しましたけれども、その後の地方団体に関する新しい法律あるいは新しい政令、そういったものが各省で企画立案されました場合には、自治省に対して地方団体に関する限度において協議が参ります。その協議におきまして、都道府県知事あるいは市町村長に事務を課すというような表現をとっておる条文につきましては、これは機関委任事務ではないだろうな、団体事務であろうなというような念押しをするとともに、どうしてもこれは機関委任をせざるを得ないというものについては十分な理由づけをしてもらって、できるだけ新しい機関委任事務の増加については法律案上程の段階でチェックをしてまいっておる最中でございます。
  233. 中野明

    中野明君 ただ、私前にも申し上げておりますように、行政改革というのは実際に行政を担当しておられる人が発想、自分が考え出すというのが、これが一番の行政改革の基本でありまして、第三者からあれもおかしいじゃないか、これもこうしろというふうに言われるべき筋合いのものでは私はないと思っております。  しかしながら、なかなかこの行政改革というのは御承知のとおり大問題でありまして、前に進まぬものですから、臨調というようなものをつくって、そしてそこからの答申を受けて滑り出したわけですが、臨調の役目というのは、行政改革を滑り出すというんですか、そういう口火を切るという私は役目が大半であろう。それが理想だと思っております。しかし、なかなかそれがうまくいかないということで、後また監督するようなことで土光さんがまだ苦労しておられるということなんですが、本来は行政を担当している人が行政のどこをどう改革したらいいかということは一番よく御存じのはずであります。そこが積極的な気持ちで行政改革に乗り出さないと、今の御答弁、それなりに払お受けはいたしておりますが、何かどこか第三者の方から、行管庁とかどこかから示していただいたらそれでできると、それを心待ちしているとかそれを期待しているというような意味に私とれるものですから。そうじゃなしに、それはそれとして、自分たちの方はこことこことはやるべきだ、やった方がよろしいよというものをもうそろそろ具体的になさらないといかぬのじゃないか。  そうでないと、せっかく臨調が答申を出しましたといっても万能ではありませんから、臨調というのは行革の口火を切る役目じゃなかったかなと私は私なりに理解をしているものですから、あえて申し上げているわけでありまして、機関委任事務は、やはり地方としてはこれによって超過負担が出たりいろいろ問題がありますので、どうかひとつ詳細地方の意見を聞いていただいて、できるだけそういうことのないように、現状に合うたようにしていただきたい。これは要望しておきます。  もう一点だけ最後にお尋ねをしたい問題があります。それは、かねて北海道でも、今から何年前ですか、ここにいらっしゃいます志苫先生が委員長で、五十五年の決算委員会ですから、もう大分なりますね。そのときに問題提起がされまして、要するに選挙の投票率を上げるために選挙の投票率のよかったところに公金を使って報奨金というんですか、そういうものを出すというような悪弊があったように思います。それで大変議論がありました。ところが最近にまた、この昨年の国政選挙あるいは県知事選挙で投票率向上を図るために自治体の予算の中から投票率の高いところに対して地区単位に報奨金ですか、これが支払われたというケースが茨城県あたりに出てきておるわけですが、自治省はこれ承知しておりますか。
  234. 岩田脩

    政府委員(岩田脩君) 御指摘のとおり、選挙のときに投票率の向上を図るために選挙管理委員会はそれぞれにいろいろ工夫をしているわけでございますけれども、御指摘のような金を出すとか物をやるとかいうのはいかにも不適当であると思っておりまして、従来からもそういった線で指導をしてきたわけであります。今回のような事例がまだ残っておったということは、大変我々も残念に存じております。  御指摘のケースにつきましては、県の選挙管理委員会から事情を聞かせまして、内容は結局各地域の競争というよりは一定のスタンダードに達した者に対して報奨を出すという形であったようでございますけれども、県の選挙管理委員会を通じて事情を聴取させました。当該村におきましては、こういったようなことは今回限りで取りやめるということを申しておると承知しております。
  235. 中野明

    中野明君 この全国版にも出ましたし、地方版 ではかなりこれ大々的に中央の新聞、朝日新聞とかいろいろの新聞が報じておるんですが、ひどいようですね、これで見ますと。ですから、こういうことがどうなんでしょうか。大臣、非常に問題なんです、こんなことをはっきりしておかないと。ただ注意をした、いけませんよそういうことはという程度では、またほかでも同じことが起こるんじゃないだろうかと、そういう気がするんですが、これは基本的にどうなんでしょう。法律に違反してないのかどうかということはまだはっきりしてないようなんですが、後藤田さんが前の大臣のときには、ちょっと議事録を見ますと、違法ではないけれども好ましくないというような答弁でございまして、こういうことでほっといていいものだろうかという疑問が持てるのですが、新聞なんか見てみますとすごいらしいですよ。何百万円も成績に応じてお金を配ったり、あるいはカラーテレビを配ったりというようなことでどんどんエスカレートしてきているようですね。大臣、この点どうなんでしょう。何とかこれはっきりしたことをできないものでしょうか。
  236. 岩田脩

    政府委員(岩田脩君) お話にございましたように、細かい話が出ましたから少し内容を申し上げますと、大体三つのランクぐらいに分けて、第一ランクに達した者については調理台相当として二十万円ほど、第二ランクに達した者に対しては十万円、第三ランクに達した者については二万円ぐらいの報奨費を計上したそうです。初めのうちは物を渡すという形だったそうですけれども、何回かやっているうちに同じ地区が同じ物を引き当てるというようなことが起こったために、いつの間にかその物に相当するお金を差し上げるというスタイルに変わってきたそうであります。  ただいまお話がございましたように、これは我々としてはもう例外中の例外、こういったものが残っておること自身大変残念に存じております。今までも、これは公選法第何条違反ということでないにしても、これは適当でない。選挙について物を上げるから投票に行け、金を出すからというのは大変そぐわない考え方でありますから、これはいかぬということで指導してまいりました。今後ともいろんな機会を通じてその趣旨の徹底を図っていきたい、万が一にもこういうものが残らないようにいたしたいと存じております。
  237. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 御指摘のことは、本当に私も話を聞きましてびっくりいたしました。趣旨は恐らく投票率を上げたいという趣旨でそういうことをやったんだろうと思うんです。こういう自由の意思で投票するのを人為的に、しかも物を贈ったりお金を出したりというようなことはとんでもないことでございまして、恐らく私は特異な例だと思うんですよ。そんなにたくさんある例じゃないと思いますが、しかし、たとえ一つでも、一カ所でありましてもこういうことがあってはいけませんので、これは厳重に指導をしていかなければならない大きな問題であるというふうに考えております。
  238. 中野明

    中野明君 結局選挙民をばかにしたことにもなるでしょうし、怖いのは金をもらわないと投票に行かないと、こういう習慣が出てくるおそれができるわけですね。そうすると、それは結局買収選挙の土壌をこしらえていることにもなるわけです。ですから、これは特異な例だからといってこのままで何にもしないでほっておいたら、もうほかがやっても、構わないじゃないか、違法じゃないんだ、ただ、違法じゃないけれども、好ましくないという程度で済まされるんだったらというようなことで、非常に選挙に金が絡むということが今非常に問題になっているときですから、部落にでも何でもいい、金をもらわないとおれは投票に行かないんだと、ただでは行く必要がないんだというようなことになってくるとこれは大変なことですし、買収を受ける土壌をこしらえているんじゃないかという、そういう心配、それでまた、田舎の方に行きますと、私たちも四国の田舎ですけれども、やはり立会人の人が部落で顔見知りの人で顔役であると、そういう人が結局だれだれは来ぬからというようににらまれると村八分にもなってしまうというような、そういうおそれが出てくるということになると、これは自由意思という選挙の公正ということにも影響しますので、この辺、何かこく特殊と言っても五年前に北海道でもあったんでしょう。それで問題になったわけです。今度また去年の選挙で大問題になって、新聞でも全国版にも載るというようなことで、そうするとほかのところへも波及するおそれが多分にあります。ですから、そういう点について何かきちっとしたけじめをつけて、全国の選管へでも通達を出されるとか何とか、そういう手を打たれないといかぬのじゃないかと思うのですが、この点どうでしょう。
  239. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 先ほども申し上げましたように、一つであっても特異な例であっても、こういうことは大変いかぬことでございまして、民主主義の上から非常に重大なことでございますので、御指摘のことが起こらないように強力な指導をしてまいるつもりでございます。  私がちょっとおっかないなと思うのは、逆のことで、中野さんがおっしゃったように、また別の意味で怖いと思っているんです。それは投票率さえ上げればいいんだという考え方の方が怖いと思うんですよ。そういう考え方、私はむしろ率を上げたい方が中心になってしまって、重点になってしまって、そしてそれが成績だという考え方で今御指摘のような行為に出たと、これは非常に怖いことである。通達でできることか、どうやったらいいか、いろいろ方法があると思いますけれども、いずれにしてもこんなことが間違って考えられてはこれは大変でございますから、このようなことのないようにいろいろ方法を考えて、いずれにしても厳重に、こういうことが起こらないようにひとつ理解を図っていきたいと思っております。
  240. 中野明

    中野明君 今大臣がおっしゃいましたのと、もう一つは、知事とかあるいは町村長が投票率が高くて自分が当選したら、中央に陳情に行っても何にしてもそれが背景になって有利なんだというそういう錯覚、そういうことをまことしやかに住民に流すといいますか、それで金が絡んでいると、こうなりますと、非常に私は選挙の不明朗さというものが感じられますし、それから、やはり選挙民の主権者の自由意思で投票するというのが民主政治の基本ですから、こういう点について非常に私自身もいろいろのことを考えてみて、これはこのままでほうっておいてはいかぬと。これが初めてならばここまで私も思いませんでしたが、五年前にもう北海道でもそういうことがあって大変問題になって、その当時の大臣も答弁をしている。それがその当時からずっと続いておったみたいなですね、ここも。まだほかにも厳格に言うたらまた出てくるかもしれません。ですから、早急にこれは何らかの処置をしていただきたいことを重ねてお願いをして、以上で終わります。
  241. 神谷信之助

    神谷信之助君 まず政治姿勢の問題、お伺いをしたいというように思います。  大臣が昨年の八月に発行されました「ドキュメント自民脱党」ですか、読ましていただきました。そのはしがきの部分に「いま、自民党を割って出た七年前のことを振りかえってみると、あの当時と現在の政治情勢を比べて、現在の自民党は当時より、一層堕落していると言わざるを得ない。」こういうように断定されているわけです。その当時、昨年の八月発行ですから、その当時から約半年余りしかまだたってないんですけれども、現在の自民党はそれじゃますます堕落をしていっているのか、いや、もう堕落の方向へ行くのはとまってよくなりつつあるのか、こういう点ほどのように認識をされておりますか。
  242. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私は今でも新自由クラブの代表でありまして、他党のことについて批判がましいことは余りこういう公式の席では申し上げたくないんです。これは貴党に対しても同じでございまして、しかしこういう委員会の場でどうしても答弁しろということをおっしゃられれば答弁もしなきゃなりませんが、私は、自由民主党に対する考え方は、昨年の暮れの選挙前と現在とは 違っておりまして、昨年の選挙以前については先ほどお読みになりましたような考え方で自由民主党という政党を見ておりました。しかし、あの選挙の敗戦の結果、自民党も相当の反省をされるようになってきている。そして、これから政権政党として、保守政党としてかなり脱皮していくんではないかというような期待感を抱いている次第でございます。
  243. 神谷信之助

    神谷信之助君 これの一番最後のところで——これは大臣大臣自身の著書ですから、世に問うておられるんですから、それでお伺いをしているわけです。それでいきますと、「私たちが七年前飛び出した当時より、はるかに汚濁の進んでいる政権政党、自民党。多くの国民はそんな自民党から、再び勇気をもって漕ぎ出す人たちを待っている。小さな舟でもいい。その勇気を待っている国民は、その小さな船出を待っている。」と、名調子で政治の浄化、それから金権政治を批判する勢力の人たち、自民党の皆さんに決起を呼びかけられているわけです。  しかし今お話を聞いていると、選挙後は期待できる、国民の批判に対して反省をし、期待できるというようにお考えのようですけれども、金権政治をなくしていくという大臣自身の政治目標ですね、これは選挙後で言えば一番象徴的なものが中曽根総裁の声明だろうと思うのですけれども、あの一片の総裁声明で解消するということになるんだろうか、それほど根の浅いものなのか、もっともっと、これをお読みして思いましたが、脱党に至る間、非常にいろんな努力をし、そしていろんな苦悩を経、そしてなお時期尚早という意見もあるが、いろんな意見が錯綜する中で決意をされると。これは思い詰めていられるし、その根の深さ、自民党の中のそういう体質の根の深さというもの、中ではそれを変えることができないということでいろいろ苦悩をしながら脱党の決意をされた。そして昨年の八月、七年前を振り返りさらに自民党の皆さんに呼びかけをされる、そういう状態が去年の総選挙の結果、そしてそれが象徴的に凝集されたものとして中曽根総裁の声明、これで解消されるような根の浅いものであったのかどうかというように危惧するんですけども、その辺はいかがですか。
  244. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 余り地方行政関係ないことで時間を費やしていいのかどうかわかりませんけれども、御質問でございますからお答えをいたしますが、我々が立党——自民党を離れたときの理由が解消されればもう復党しているんですよ。復党してなくて、私どもは、先ほど申し上げましたように、新自由クラブとして現在も連立、共同会派はつくりましたけれども、復党してないという状態を見ていただければ、私どもの考え方がおよそおわかりになっていただけるんではないか、こういうふうに思っております。
  245. 神谷信之助

    神谷信之助君 その点は理解できますね。今おっしゃった大臣の今の発言は理解ができます、それは。確かにあの総裁声明に対して当時大臣は、今までより一歩踏み出したという一応評価をされておりますから、したがって、そういうところから統一会派に踏み切り、そして入閣もなさったんだろうというように思います。しかし先ほど同僚議員からも質問がありましたように、田中軍団の木曜クラブの会長である二階堂さん、それからまたいわゆる灰色高官として裁判所も事実認定を行った二階堂さんが、自民党内の人事とはいえ政権党の副総裁になられる。先ほど大臣も、あの声明は単に党内だけではなしに世間に示されたものだということで重大な関心を寄せていると、しかし同志その他関係者と相談をして静観をしばらくすると、結論だけ言うとそういうことにしたんだという御表明がありましたが、しかし田中氏の政治的影響力の排除、そしてその中身といえば、金権体質をなくそう金権政治をなくそうということだし、そのお気持ちはこの著書の中にもあちこちに散らばってくみ取ることができるわけです。だから、そういう点からいうと、これは声明との関係でこの問題をどういうふうにお考えになっているんだろうか、静観をしているというようなことで済むのか済まないのか、この辺は一体どうなんだろうかという、いわゆる灰色高官であるという、五百万円のロッキード社の金を受け取ったという認定もあるわけですから。だから、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  246. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 余り個人的なことを自治大臣として私はここでお答えをするというのはいかがなものかと思うんです。おたくの党でも、ある代議士がサラ金からお金を借りて、そして指弾をされたという例がごく最近あるはずでございます。そういう方がこれは刑事事件にはならないと、そういうことで現に国会議員としておられるということを私は聞いておりますが、やっぱり余り個人的なことをこういう地方行政委員会の場でやられるとちょっと困るんです。総裁声明がどうかこうかということならわかりますけれども、余り個人的なことを言われますと、ちょっと私はお答えしにくいのでございまして、どうぞその点はひとつお許しをいただきたい。  ただ、総裁声明というものは、単に自民党の内部だけではなくて、やっぱり国民皆さんに発せられるものと私は認識をしております。  それから、だれがどういう地位についたかということは、それだけで判断できないんです。これはおたくの党でも同じだと思うんです。それが、人事がこうなったために一体どれだけの政治的ないろいろな行動に移されたかというところが問題であって、ただ田中さんの関係の人が地位についたからいけないということであれば、二階堂さんがもう幹事長になっていたときに私どもは統一会派をつくって連立をしたわけですからね。それから、今の中曽根さんの内閣だって、数名の人が、田中さんの派と言われる人から閣僚になっているわけですから、ですからその辺のことをごしんしゃくしていただきまして、御理解をしていただきたいのでございます。
  247. 神谷信之助

    神谷信之助君 今、大臣ちょっとおっしゃった中で、私は理解できないことがありますがね。だれのことをおっしゃっているんですか、具体的に挙げてください。
  248. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) ですから、そういう個人的なことはこういう場で申し上げることはできないんです。
  249. 神谷信之助

    神谷信之助君 個人的なことじゃないじゃないですか。二階堂さんは政権与党の副総裁になられた大きな政治手腕を持った政治家でしょう。そのことが、国民が総裁声明を本当に実行されるかどうかという関心を持ち、そして見守っていたわけです。それが就任をされておる。これは極めて政治的には重大な関心事であることは間違いない。そのことについて田川大臣の政治家としての信条からいってどうなのか、これを聞くのがどうしていけないのか。単なる個人の問題ではない。あなたの御家庭の問題とか御家族の問題とかいう問題を言っているんじゃないんです。日本の政治を動かす中心の役割を果たされるその立場に立っておられるから聞いているんです。  それから、私のところの党の問題で、国会議員の、国会議員ですか、サラ金から借りたんですか、もらったんですか、どうもはっきりしないが、どういうことなんですか。
  250. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) これも個人的なことになりますので、私は新聞その他資料を持っておりますけれども、こういうところで申し上げる筋合いのことではないのです。ただ、いろいろ政治をやっておりますと、風評や新聞に書かれて、いろいろ疑惑を受けるという人は何も自民党ばかりじゃない、各党にもこういう人はいるということで申し上げたのでございまして、そうしたことを私は今、個人的に人の方のお名前をここで申し上げることは遠慮させていただきまして、後で終わりましたら、こういうことがあるということを申し上げておきます。
  251. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、それならば今の大臣の発言を取り消してください。議事録に残ってね、具体的には後で話しますと疑惑ありげな印象だけ与えて言われては我が党は迷惑です。確かに我が党もたくさんの党員がいます。その中には不祥事を 起こした党員もおれば、地方議員も知っています。それはそれぞれ処分をする。措置をする。そして、そのことを再び起こさないために、有権者の皆さんにも我が党の意思というものを明らかにする。けじめをつけている。自民党はけじめをつけていないから我々は問題にしているんですよ。国会の決議をどうしているんだと、政治的、道義的責任の追及をどうしているんだと、こう言っているんです。だからそれは、先ほどの発言をそれじゃ取り消してください。
  252. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 取り消しません。それはそういう方がいて現に議員になっておられますから、そういうことを一々、個人のことでこの人はこうしたということは、私はこういう席では申されないということを申し上げているわけでございまして、いろいろ疑惑を受けたり、あるいは軽率だったと言って謝っていらっしゃる方がいるわけですよ。ですから、そういうことを申し上げたわけでございまして、取り消すわけにはまいらない。
  253. 神谷信之助

    神谷信之助君 この公式の場で名前室言わない、中身も言わない。だから、サラ金から金を借りたというのか、金をもらったというのか、私寡聞にしてまだ聞いたことがないのでね、国会議員の中にそういう人がおるということは。だから、それを明らかにして、そして私ども事実なら事実ではっきりさせますよ、それが事実ならば。ひきょうですよ。
  254. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) ひきょうではありませんで、おたくの新聞も、私がサラ金から、献金をしたとかいう、赤旗で書いていらっしゃるじゃありませんか。そういうような例がたくさんあるわけですよ。一般の新聞にも、あなたの党の議員がサラ金から献金を受けたとか、そういうような記事があるわけです。そのことを申し上げたわけでございまして、まあこれ以上個人の名前をここで出してどうこうということじゃないんです。お互いに政治家なんですから、もう少し大きな立場で物事を論議していただかないと困るんです。
  255. 神谷信之助

    神谷信之助君 ああいうひきょうな発言は私は許すことができません。これは理事会で協議をして、速記を取り寄せて、必要なら削除するなりの措置をお願いしたいと思います。
  256. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 理事会で相談を申し上げます。  質問を続けてください。
  257. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、二階堂氏についていわゆる灰色高官だというようにお考えでしょうか。
  258. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) いろいろ灰色高官の定義というのはあるのかどうか私はよくわかりませんけれども、ロッキード事件の裁判の判決文の中に、何がしかのお金をもらったということが書かれております。しかし、それは起訴はされなかった。刑事事件にはならなかった。御本人はそういうことはないとおっしゃっております。しかし、一般通念からいって、新聞が灰色高官というふうに書いておられますから、そういうふうに灰色高官ということであれば灰色高官でもあると思います。
  259. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは御本人は否定されていますからね。それで、衆議院議長に出された口上書で天地神明に誓って受け取っていないという、そういう趣旨の意思表示をなさっています。  しかし片一方では、当時の衆議院のロッキードの特別委員会で法務省当局は、いわゆる灰色高官として五百万円の金品の授受があったということで秘密会で報告した後、それは議事録に載せられた。その法務省当局の判断が東京地裁で認定をされているわけですから、これは真実は一つだけれども、違うわけですね。だから、これはやっぱり明らかにしなければならない問題だ。真相解明とそれから政治的、道義的責任の追及を明確にするということは、これは国会の両院の決議でもあるわけですから、そういう点からいうと、私は、これを明らかにするためには、我が党が衆参の予算委員会でも要求しましたように証人喚問を行って、そうして真実を追及する以外にない。裁判所の認定は反対尋問してませんから、それをそのまま法的にも確定をするということにはならない。疑惑は残っていることは事実だというように思って証人喚問の要求をしているんですけれども大臣の方は、本会議の質問に対して、例の田中さんの辞職勧告決議案について、上程をされれば、それぞれの議員は自由だけれども新自由クラブとしては賛成をするということにしてるということがありましたけれども、この証人喚問要求が具体的に出てきたら、そういう決議案と同じように、どういう態度をおとりになりますか。
  260. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) だれの証人喚問ですか。
  261. 神谷信之助

    神谷信之助君 二階堂さんの証人喚問要求。結局、証人喚問して事実を聞かなきゃわからないでしょう、そういう意味で、
  262. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 証人喚問は実際にそのときになってみないと、そこの証人喚問のことはまだ相談しておりませんから、どうこう今私の方で申し上げかねます。決議案についてはもう話しておりますから、はっきりしております。
  263. 神谷信之助

    神谷信之助君 それではその次の問題ですけれども、今度連合をやられた点で、いわゆる政策協定をやったことが大きな理由の一つにされていますね。  そこで、田川さんが昨年の暮れの総選挙の第一声でこういうようにおっしゃってるんですがね。「中曽根さんのおっしゃっている戦後の総決算は、まず日本の平和憲法の改正だ。そうして軍備増強路線、いままでの日本の政策、外交政策や防衛政策が右に右にと傾いていく。日本を不沈空母にするなんていうことを堂々と外国でおっしゃるようになってきている。危険ですね。こういうような考え方をそのまま許していたら日本は軍事大国になります」ということを第一声でやられておられます。  去年の三月の新自由クラブの全国代議員大会ですか、これで政界再編についての原則といいますか、そのことをお述べになっている中で、「新しい政治勢力の結集」は「われわれの主体性のもとに推進されなければならない」、その第一に「平和憲法の理念を順守し、非核、軍縮など外交、防衛上の基本原則について合意すること」、これを、第一の問題という点を強調されておりますし、そして暮れの十二月二十一日の朝日では、報道ですが、田川さんみずから「だれが、どう言おうと軍備拡張論者」というように中曽根さんを批判をなさっている。個々の政策問題での一定の協定というのはわかるけれども、このように中曽根さんの進めている中心路線について異なる見解を持ち、しかも新自由クラブの政治勢力の結集の問題では、第一にこれだ、こういうようにおっしゃっているのと、この連合の政界再編の原則という点からいくとどういうようになるんでしょう。
  264. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) これも、これまで本会議や予算委員会で随分同じことを答弁したはずでございますが、政党の基本政策とかそういう問題については、我々は自民党にいたのですから、特に新自由クラブの中心になっている三人は自民党に十数年いたのですから、政策その他はそう大きく変わらないんですね。  問題は、先ほど来御指摘のように、政治の腐敗が出たときの対応の仕方が私どもはどうも不満であった。それから、それは不満というよりもむしろこういうことでは保守政党の危機になる、こういう意味から保守政党を維持したいということで、少数で自民党を離党したわけでございまして、以来今日まで八年。しかし昨年の暮れの総選挙におきまして与野党伯仲になった。与野党が伯仲状態になったときに自民党からお話がありまして、連立あるいは統一会派という話があったわけでございます。  私どもはいろいろ考えまして、条件を幾つか出した中で、我々の基本になる政治倫理の確立あるいは行政改革、教育改革あるいは平和問題、こういうようなことについて、おおむね私どもの主張を自民党の首脳の方々が了解されたので、その政策合意に従って統一会派を組み、連立をとったわ けでございます。  当初、与野党せっかく伯仲になったのに、新自由クラブが野党勢力から抜けたためにせっかくつくった与野党伯仲状態が壊されたではないかという御意見もございました。確かに数の上では、私どもが連立を組んだ、統一会派を組んで与党になったために、与野党の数だけは均衡が破れました。  しかし、実態はあなたがよく御存じのように、野党がそれでは一体になっていらっしゃるかどうかということを考えますと、神谷さんの党は独自の行動をいつもおとりになっていらっしゃるし、それから民社党と社会党とはかなり隔たりがあるということで、数の上では与野党は均衡になっておりますけれども実態的にはなかなかまとまりにくいというような状態の中で我々が選択する道は、むしろ自民党と統一会派をつくり、連立をした上で我々の政策をもっと反映させることができるじゃないかという選択の方に傾いたわけであって、これが最もいい選択とは私ども思っていないんです。しかし、合意の結果そのような選択をとったというのが今度の連合、連立の目的でございました。
  265. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、そういうことで次善の策ということで統一会派をおつくりになったんだということですが、そこで今度入閣して自治大臣におなりになったわけです。  だけど私は、これも前回同僚議員からも出ておりましたけれども、新自由クラブの政策で見ますと、「行政分野の見直しは、財源の再配分が伴わねばなりません。地方税を地域の実情に応じた裁量範囲の広い税に変え、自主財源を強化し、起債についても自己責任の原則により、許可制を廃止します。」と、こういう政策のようですね。我々もこの部分は一致するわけです。だから、幸いそういう点では、起債の許可制の問題ですが、廃止をしますということでやっているんですから、自治大臣に就任をされたわけですから、これに向かって努力をされたらいかがかと思いますが、その点はどうですか。
  266. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 地方起債が地方の自主性にゆだねられるべきであるということは、私どもも理想としてそうあるべきであるということで、私どもの政策の一項目の中にあることは間違いございません。  しかし、現実問題として、今そういうことができるかどうかということを考えてみますと、なかなかこれは資金需要の問題、あるいは限られた資金をどうやって公平に配分していくかというようなこと、あるいは地方公共団体の強弱、そういうことを見ると、やはり調整していくのが現段階で必要ではないか、こういうふうに思っておりますので、今私は起債の許可権を全部なくすということを考えてはおらないのでございます。  ただ、もう昨今、枠配分とか一件一件の審査はかなり緩められてきているような状態でございまして、先ほど最初に申し上げましたように、地方自治の建前から、なるべく中央が許可権を持たないようなことがやっぱり理想的な姿であるというようなことは、私どもも頭の中に入れております。
  267. 神谷信之助

    神谷信之助君 大体、だから起債の許可制度を持っているということは、そういう意味では地方自治を踏みにじっていると、あるいは地方自治を阻害をしておるというようにお考えだということでお聞きしていいんですか、今の点は。
  268. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 阻害をしているということではありませんで、国、地方を通ずる環境が今許可権を廃止する段階に至っていないということでございまして、何から何まで全部自由にするという状態に行っていない、こういうことでございます。
  269. 神谷信之助

    神谷信之助君 何から何まで自由にと言って、極端に言われますと、それはまたいろいろあるわけですよ。それは何から何まで自由にというわけにもいかない側面もあります、一定の限度で。しかし問題は、本来は自由にすべきだと、こうおっしゃった。しかし今は情勢が情勢だから許可制もやむを得ないと。だから許可制をやむを得ないと言って許可制度をやっているということ自身が地方自治の本旨からいってそぐわないというか、まあ僕はそれは阻害していると、あるいは踏みにじっているというちょっときつい言い方をしていますけれども。だからない方が地方自治の本旨に沿う方なんだと。だからあるということは地方自治の本旨にはそぐわない、あるいは阻害をしているということになるということじゃないのですかと聞いてるのです。
  270. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 共産主義の最終目標がやっぱりあると思うのですよ。しかし、今の現状として共産主義というものもある程度妥協していかなきゃならぬ、それと同じことなんでございまして、そう理想論から何から、理想論でもって今すぐこうやれと言ったってなかなかそれはできないことなんで、そのことをよくおわかりになって御質問していらっしゃると思いますから、例を出したのでございまして、やはり政治というものは、現実を見て一歩一歩理想に近づけていかなければなかなかできないんじゃないですか。あなたの党だってそうですよ。あなたの方の党の理想を言えば、今議会でこうやってやっていらっしゃることが私はちょっとおかしいのじゃないかと、私の乏しい知識から言えばちょっとどうかと思う。しかし、やはり現実を見ればこうしたことでおやりになっている、それと同じことだと私は思います。
  271. 神谷信之助

    神谷信之助君 どうも大臣は若いころ少しはお読みになったのかどうか知りませんが、今日の日本共産党はそんなのじゃありません。現実から出発するのが科学的社会主義の立場なんですね。終局目標というのは、おっしゃるように共産主義社会を目指すことである、それに至る道というのにはいろんな段階がある、それを明確にしていますからね。  それで、私が言うのはそんな難しいことを言っているのじゃないんですよ。だから、地方自治の本旨という点から言うたら、本来は起債の制限はない方がいいんだと、許可制はない方がいいと、こうおっしゃっておるのだから、あるということは地方自治の本旨にはそぐわないんでしょうと言っているんです。現実はそぐわないということがやむを得ぬとおっしゃるということは、そぐわないということはわかっておるけれどもやむを得ぬのだとおっしゃるわけでしょうから、現実はそぐわないということじゃないですかと言っておるんですね。大体これは間違いないだろうと思うんですけれども、そういうことで、先ほどもあったけれども、本来ない方がいいのに、ここでまた新しく給与条項を許可基準にお加えになった。ますます地方自治の本旨にそぐわないあるいはもとることをなさっているではないかというように思うのですが、これは先ほどお聞きしましたから……。  それで、具体的に少し許可方針の中身をちょっと聞いておきたいと思うんですけれども、「給与その他財政支出の状況が著しく適正を欠き、かつその是正のために必要な努力を払わないもの」とあるんですけれども、これは給与は具体的にわかります。「その他財政支出の状況が著しく適正を欠き」という「財政支出の状況」ということは非常に全般的になりますから、これは何を、どういう現実あるいは具体的事実があるのかないのか、あるいはどういうことを想定をされておるのか、これはいかがですか。
  272. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 不適切な財政支出という大きなくくりの中で、その経費の性格上、財政に与える影響の最も大きい給与というものを例示で出したわけですが、「その他の財政支出が著しく適正を欠き」という場合の「その他の財政支出」といって、今具体的にどういうものということを決めているわけではございません。この条項の運用につきましては、これから各方面の意見を聞きながら具体化を図っていきたいと考えております。
  273. 神谷信之助

    神谷信之助君 例えば福田内閣時代ですか、福祉元年ということで、福祉を充実させるというこ とで国の制度自身も大きく変えると。それに対して、それ以前から自治体ではいろいろ福祉について独自措置をずっとやってきている。そして、それが国としても認められ、そして進み出した。ところが、御承知のような財政困難にぶつかってきて、今度はいろいろ、福祉を上乗せあるいはばらまき福祉はいかぬとかというようなことを言っておる。それで、上乗せ福祉、例えば老人の医療費なんかは独自措置をしたらいかぬと、こういうようなことになってきた。だから、そういうように国の言っている政策に従わない財政支出というのはこれに入るわけですか。
  274. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 具体的な内容を今の段階で決めているわけではございませんが、ただ一般的に、私どもが例えば特別交付税の配分の際に、財政の状態を判定する要素として期末・勤勉手当等の状況を使っているわけでございますが、あのときにも御論議があったと思いますけれども、やはり経費の内容によって扱いは慎重でなきゃならない。といいますのは、そもそも地方公共団体の存立の目的は地域住民の福祉を高めるためにあるわけでありますから、そういった方向での経費が対象になるということは、一般的には私はあり得ないと思っております。
  275. 神谷信之助

    神谷信之助君 あり得ないと思っておられるのに老人医療費の独自措置を、六十五歳から七十歳までの間の独自措置をすると、そうするとそれに対しては厚生省がそれはいかぬ、けしからぬ、調整交付金ですか、それをやらぬぞとか、あるいはいろいろなことが起こったりしましたよね。当時の自治大臣は、厚生省のその方針にできるだけ従ってもらいたいということを、当時山本さんでしたか、前におっしゃっていましたね。  そうすると、この福祉政策をやるのは、福祉を進めるのは自治体の仕事なんだからそういうことはやりませんと言いながら、しかし実際には、厚生省はそういうことをやるし自治省はそれを認めてしまう。こういうことになったら、これ今はそういうふうに考えているわけでしょうが、情勢が変わってくると、財政支出ですから、だから給与は国の基準より高いところはけしからぬよと、その他の財政支出も国の基準を上回るようなことを勝手にやっているんだったらけしからぬよということになっていくでしょう、これは。中身はまだ考えていないとおっしゃるんだけれども、この言葉だけですとどうにでもできるのだ、そういうことになるでしょう。この点はいかがですか。
  276. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 老人医療費の単独支出について、医療保険財政の見地から厚生省の方でいろいろ指導をされております。それについては、私ども政府一体の原則からその方向については理解をしたわけでありますが、これはほかの行政でもそれぞれの所管行政立場から、いろいろ本来の行政目的を達成するために指導その他の措置がなされることはあると思います。  ただ、今申し上げましたように、一般的に私どもは、交付税制度や地方債制度の運用に当たりましては、地方公共団体の存立の目的に沿ったそういう経費については前向きに評価するというのが基本ではないかということを申し上げたわけであります。もちろん財政支出という言葉は財政万般にわたるわけでありますから、字句としては非常に広く読めるわけです。しかし、その具体の運用に当たっては今申し上げましたような考え方で当たるべきではないかと、そういう意味で、この範囲については私ども各方面の意見を承りながら具体的に決めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  277. 神谷信之助

    神谷信之助君 その次は、給与が「著しく適正を欠き」という点で、これは具体的にラスパイレス幾ら以上というように考えているわけですか。
  278. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) これまた今の時点で、具体的にどういうものをどこの線から上が「著しく」かということを決めているわけではございませんが、例えば五十八年度の地方債の配分の最終段階で一部の団体について抑制措置を講じたわけでありますが、これらの団体は御案内のようにいわゆる給与適正化計画を御提出いただいている団体、これは具体的にはラスパイレス指数一一五程度を上回る団体について計画を提出していただいておりますから、これらの団体はここに言う「著しく」という概念に該当するんではないかと考えております。
  279. 神谷信之助

    神谷信之助君  「かつその是正のために必要な努力を払わないもの」というのは、具体的に号俸の切り下げとか、いろいろな具体的な措置をとらないということを言うんですか。
  280. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) これまた内容をこれから御意見を承りながら具体化していきたいと思っておりますが、五十八年度の例で申しますと、先ほど申し上げましたいわゆる計画的に給与の適正化を図っていただくように御指導を申し上げている団体が、昭和五十六年でございますか、適正化のための計画を提出していただいております。例えば初任給の引き下げでありますとか昇給の延伸でありますとか、わたりの廃止でありますとか、こういった計画を提出していただいておりますが、そういった計画に盛り込まれたような内容計画的に実施していただいている団体はこれに該当しない、そういったことがなされない団体は「是正のために必要な努力を払わない」団体と、このように考えられると思います。
  281. 神谷信之助

    神谷信之助君 この問題はいずれまた機会を改めて、具体的なことで議論をしたいと思うんですよ。例えば今、六十歳定年制移行のちょうど過渡期でしょう。そうすると、上が詰まっている状態が起こってきている。この間も聞いたら、京都市の人事異動を二、三日前にやりましたけれども、ことし係長に昇級できた者は五十人くらいしかいないんですね。上が詰まっていますから、頭打ちがずっとふえてくるし、人事管理上も、ちょうど今過渡期ですから非常に困っている話を聞きました。だから、こういった問題がありますから、給与の是正、適正化というものの中身の問題についてはいずれまた機会を見てやりますが、そのときにこれは具体的にはもう少し詰めてみたいと思うんです。  きょうは問題は、やっぱり自治法の二百五十条で「当分の間」という言葉が二十二年の十二月以来、四十年近くになっているわけです。考えてみると、明治二十一年に府県制、市制、町村制ができて以来ずっと続いているわけですね。起債が自由になった時期は、日本の自治制度ができて以来まだ一回もないという状況ですね。ですから、昭和二十二年の四月に地方自治法が最初にできたときには、当該行政官庁の許可を得なきゃならぬという戦前の例がそのまま維持されていたわけでしょう。    〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕  その後、五月に憲法が施行になって、それで第八章九十二条の「地方自治の本旨」ということがあって、これがGHQからも指摘されて、そうして二十二年の十月、その年の十月から十二月にかけて国会で審議になり、十二月に「当分の間」という現行体制ができた。だからあのときは、この間も同僚議員が言っていましたように、当時の木村国務大臣の趣旨説明では、いわゆる起債自由の原則を認めるんだ、ただ現下の情勢にかんがみ当分の間従来の制度を存続する、建前としては財政自主権をさらに強化をし、その保障を厚くしたいんだ、そういう方向へ進んでいきたいんだということを説明をされている。しかし、実際にはそれからずっと四十年近く、いまだに続いてきているんですね。  だから、こういう状況は、これは先ほど大臣もお述べになったし、今までの財政局長の答弁も、従来から二百三十条で起債の自由を決め、二百五十条で「当分の間」の特例措置を決めているんで、本来は「当分の間」は外さなければならない、それが本来の姿なんだということは確認をされているのです。だから、これはいつになったら、どんな状況になったらこの「当分の間」はとれるということになるのですか。これまで四十年近く来ているわけでしょう。それで、今の情勢は悪いとおっしゃるが、どういう条件が整ったときにこの「当分の間」はなくすことができるのか、この 辺はどうですか。
  282. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 先ほど大臣からも、地方自治の本旨に沿った理想の姿としては、地方債はその団体の判断で発行できるようにするのが望ましいという御答弁がありました。私どもも基本的な考え方は同様に思っております。  ただ、現在の地方財政を取り巻く環境がこれを許さない。現状におきましては、許可制度を廃止することによって多くの団体が実質的に財政運営の自主性をむしろ損なわれてしまう、財源的な理由その他で損なわれてしまうというおそれすらある。    〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕 そのためにこの制度が現在も維持されなきゃならない状況にあると思います。  しからば、それをいつどういう状況になったらその理想の姿になり得るのかということですが、私なりの理解の仕方としましては、やはりその地方の自主財源、地方税を中心とする自主財源がその団体の財政需要に比べて十分確保される、そして本当に国からの財源交付に依存することなく、みずからの判断で住民のための財政需要が賄い得るような状態になれば、恐らく地方債の発行というのは極めて例外的になりましょうし、またその償還についてとやかく国の方で心配する必要がないと思いますので、要はその団体の財政需要に対して十分な自主財源が確保されるような状態になったときと、このように理解しております。
  283. 神谷信之助

    神谷信之助君 自主財源が十分保障されるという状態ということだろうと思います。  それで、自治省の出している「地方債」ですか、本がありますね。それには二つ理由があって、同じようなことですが、地方団体の必要とする資金が十分かつ安定的に確保できる。かつそれが民間資金のクラウディングアウトを惹起せしめない体制が確立されること。二つ目は、地財制度全般を通じて地方債が他の財源と補完的関係を離れて運用されることが可能な制度が確立されるとありますから、中心は地方税税収がもっとふえ、そして交付税財源も十分あり、あと国庫補助がそのかわりうんと減るでしょうけれども、国庫支出金が一定部分あれば、そう今日のように地方債に頼らなければ財源が獲得できないという状況がなくなればいいのです。今国が借金ばかりしましたけれども、国債を発行しないでやってきたあの時期のような状況が地方団体でもできるような、そういう地方財政制度というのが確立をすればいい、こういうことになるのだろうと思うんですね。しかし、これはなかなかでしょうが。それで四十年近くを来ているわけです。なかなかそういう状態は起こらない。そして、地方財政制度そのもののそういう方向へ向けての抜本的な改革というのは、四十六年以降、我々も当委員会でも何遍も言っておるけれども、四十九年、五十年にかけてのあの地方財政危機を迎えでいるそのときにも、こう薬張りというのじゃなしに、早いとこそこへ進まなきゃならぬのではないかということを歴代の自治大臣にも口がすっぱくなるほど言っている。ただ、なかなかやらない。国がどうにもならぬから。だから、これでは「当分の間」というのは意味がない状況になっておると思うんですよ。  そこで、今度は別の角度から聞くんですけれども、本来は地方自治の本旨から言うと、起債の自由化、もちろん野方図な自由化ということにならぬと思いますけれども、一定の条件のもとでの自由化というものがあっていいはずだ。それが今許可制度をつくってやっている。その許可制度で来ていることの地方自治との観点からいう弊害というのはどのようにお考えになりますか。
  284. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 先ほど御答弁申し上げましたように、地方財政を取り巻く今の環境のもとでは、私は許可制度はむしろ多くの地方団体の財政運営の健全性を守る手段、守る役割を果たしている、このように考えております。  で、どういうデメリットがあるのか、マイナス面があるのか、こういう御指摘でございますが、その団体にとってみますというと、自分のところで発行したいと考えておった額が許可制度を通じて制約されることがあるということは否定できません。そのことがその団体の財政の自主性を制約する、阻害すると、このように感ずることがあると思います。デメリットといえばそういうことであろうと思います。  ただ、繰り返し申しますように、今の地方財政を取り巻く環境、すなわち地方債に割り当て得る資金の総量あるいは地方団体の財政状態といいましょうか、償還能力とか、こういういろんなものを総合勘案いたしますと、私は、多くの非常に力のある団体もありましょうけれども、やはり全体として眺める場合には、許可制度の存在によってすべての地方団体がひとしく健全な財政運営ができるようになっていると、このように認識いたしております。
  285. 神谷信之助

    神谷信之助君 物事にはやっぱりいい面があれば必ず片方の反対面が起こっているのですね。  それで、例えば自治法の二百五十条で「当分の間」を決められて、それで「政令の定めるところにより、」とか、その政令は施行令の百七十四条で、自治大臣、大蔵大臣の定めるところによる、具体的中身何もないわけです、法令の方ではね。それが結局具体的になったのは二十六年の二月の閣議決定ででしょう。これに基づいて毎年協議をして許可方針を決める、こうなるわけですね。自治大臣、大蔵大臣、あるいは厚生大臣等も含めてやる場合もある、こういうことになっていますね。だから結局、毎年毎年許可方針が定められ、そしてそれに基づいて地方債計画ができ、許可方針ができ、そしてそれに基づく運用のやつができ、それからさらに通達で具体的中身までできる。だから、そこでは何といいますか、事業の優先順位まで含めて財源調達可能な事業内容、これを指示するだけではなしに、さらに事業別起債可能金額まで規定をする。その年々の国の重点政策に基づいて優先順位も決まっていくいこうなってくるわけでしょう。だから結局それに基づいて自治体の方は申請をする。その場合、申請する前に充当率その他に基づいて起債の許可予定額が決まってくる。それに基づいてやる。だからいや応なしに、借金をして自分たちの仕事をやろうと思うとこの方針に基づいてやらざるを得ない。だから、国の方向にもう右へならえということになってくるのが実際で、一体どこに地方自治の姿があるのか、どこに自主性、自律性というのがあるのか、現在の起債の許可制度というものが。こういうふうに思わざるを得ねのですが、この点はどうですか。
  286. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 確かに、事業ごとの起債の充当率でありますとか採択の優先順位などについて、許可方針及びその運用方針において示しております。で、特に一般公共事業等につきましては、これから御審議いただきます交付税法の改正内容と裏表の関係にありまして、一部は交付税で、一部は地方債で財政措置を講じ、その償還費用を再び交付税で措置するという方法をとらざるを得ないようなものがありますから、そういう地方団体に対する標準的な財政需要の付与の方式として地方債が利用されている面については、これは起債の充当率、充当の仕方等を決めていかざるを得ないと思うのであります。各団体の自由というわけにはいかない。共有財源たる交付税の配分の一遇を担うわけでありますから、そうならざるを得ないと思います。  ただ、単独事業でありますとか、あるいは公営企業系統の地方債につきましては、財政健全化の見地あるいは資金総量との調整という意味で、充当率その他、あるいは充当の金額の限度というようなものは書いておりますけれども、ただそれを利用するかしないか、単独事業を実施するかしないか、公営企業を実施するかどうか、広げるか狭めるか、これはすべてその団体の判断に任されております。ですから何といいましょうか、枠組みといいましょうか、発行の仕方などについてはガイドラインをきちっと決めておりますけれども、その事業を採択するかしないか、実行するかしないかというのはあくまでその団体の選択の問題として浅されております。  そういう意味では、今の地方債の許可制度で各地方団体の財政運営の自主性というものをがんじがらめにしているということはない、このように考えております。
  287. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、ちょうどお釈迦さんの上を孫悟空が走っていたみたいなものですね。手のひらの上での自由はあります。こういうことなんだよ。  自治体の歳入を見ますと、地方税、譲与税、それから交付税、それから国庫支出金、地方債その他、大体大まかに言ってそうでしょう。そうすると、これよく考えてみますと、地方税は、これはもうこの間地方税法案の審議のときにも言いましたけれども、もうほとんど細かく国が決めるわけだ、国会で決める。それに右へ倣え。若干の超過課税ができる部分があるわけだ。だから、本当に自治体の自主財源というならば、地方税の対象としての税目なりあるいは課税対象なり標準税率なり決めて、あとはそれぞれで決めなさいというなら、自分のところで地方税をこれは議会で決めて、そして財源を自主的につくり出すことができると思うんですよ。それから交付税もそうでしょう。これも三二%と自治体が決めたわけじゃない。これも国の法律で決まった枠の中で、あとはあてがいぶちで分けてもらう、こうなるわけだ。それから国庫支出金、これはもうもちろん国の方で決めてやる。欲しいか欲しくないかは選択が自由ですよと言ったって、その以上はもらえない。地方債もそうだ。全部これ枠が決まっています。あと選択、どれを選ぶかはあなた方の自由ですよ。だから制限された自由、憲法で言う地方自治の本旨という点からいうと、その目指している地方自治の本旨からいうとどこに一体地方自治があるのか。制限をされた中での自由でしかありませんよ。それが地方自治と言えるのかどうか、こういうように思うんだが、どうですか。
  288. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 国民経済の中で公的部門がどの程度のシェアを持つべきか、そうした中で租税負担の上限をどの程度に置くかといういろんな前提要件があるわけですけれども、しかし、およそ今日の国家の中で、租税負担にしても、それからさらには公的部門のシェアにしても、やはり一定の枠というのはどうしても必要になってくると思うんです。全く枠のない、自由自在に公共団体が行政範囲行政の対象も選択できるし租税制度も選択できるということは、これは理想論としてはあり得るでしょうけれども、現実にはこれは不可能だと思います。税制についてある程度の枠をはめるというのは、これはやむを得ないと思っています。それは問題は程度の問題であって、現在のような税制なりその他の枠組みが地方自治の本旨からいって十分であるかどうか、この点はいろいろ御議論があるかと思いますけれども、全く一切の制約なしに自由に選択できる、租税制度も自由に組み立てられる、仕事も自由に選択できる、これは現実論としては無理ではないかと思います。  要は、我が国の現状が地方自治の本旨という見地から見て十分であるかどうかということではないかと思います。率直に申しまして、今日の地方財政を取り巻く財政環境というのは、むしろ理想の姿からしますと厳しくなってきている、昭和五十年度以来むしろ厳しくなってきているということを率直に認めざるを得ないと思います。しかし、そうした制約条件の中で、やはり最小限度地方公共団体がみずからの意思で事業を、施策を選択できるというように我々は努力しなければなりませんし、今はそういった厳しい環境の中で精いっぱいの努力をしているというふうに私どもは考えております。理想の姿から見て現状が十分であるということではないと思います。  私どもも、地方団体がもっともっと住民のためにやりたい仕事はあると思います。それが財源上、金融上の制約から一定のところでとどまらざるを得ない状況にあるということは、これは率直に言って認めざるを得ないと思います。しかしそれは、その大もとの国、地方を通ずる今の我が国の財政環境、経済環境、こういったものからきている、非常に根が深いということも、また率直に言って認識せざるを得ないんじゃないかと、このように考えます。
  289. 神谷信之助

    神谷信之助君 大臣、私は地方税のなにを野放しでよろしいと、そんなこと言っているんじゃないんですね。地方税はこれとこれ、これこれの税ですよと。だから、実際問題としては国税の相当部分の税は地方税に回してもらわなければいかぬだろうというように思いますけれども、いずれにしてもこういう税ですよと。それで、その場合税をかけるのは、課税対象というのはこれですよと。それで、どういうような基準でかけなさい、税率も標準税率はこれで、上下これくらいの幅はよろしいよというようにすれば、これは自分たちの議会でここまでやるかどうかという余地はある。それで、現実に超過課税できるところはしている部分もありますよ。だが、今はそれがほとんどもう選択ができる余地はない。これが地方税の問題なんです。  それから、地方債の方でも、私は現実には客観的な基準、許可をしないあるいは削減をする基準というのはつくっておられるわけですよ。公債比率が何%だとか起債の枠が歳計規模に対してどれだけというように、いろいろつくっておられる基準はありますね、今度も。これはこれで、そういう客観的な基準というのは一定程度必要はあるが、それは、今の自治、大蔵の両大臣の合意によって年々変わるんじゃなしに、法律なり政令なりできちっとするというようにしてやればいいというような方法もあり得るんではないかということを考えるんですね。  それで、全体の資金枠の問題があるでしょう。それについては、それは今度は本来金融政策でコントロールするべきものですね。財政政策なりあるいはオペレーションなりいろいろなことをやる。そこでやっていくものであって、そこでやればいいんじゃないか。  あるいは、弱小の自治体がそれでは借金したくても借りられぬじゃないかといえば、それこそそこに政府資金を投入してやる。ただ、その政府資金の枠というのは一定だけれども、それは、その政府資金の枠を使えるところはどういう条件のところですよということで、そういう財政力の弱いところは考えてやらなければいかぬ。財政力の弱いところは、借金のお世話しますよというよりは高率の補助制度をするなり、交付税制度を運用して財源を付与するということをやるのが本来なんであって、財政力の弱いところに借金をお世話しますよというのは、要するに利子は少ないですけれども、小さな財政力が強くなるわけではないんで、それとは違うと思いますがね。  だから、そういうようなことを総合的に根本的に考えていかないと、私は、いつまでたっても「当分の間」というのは消えない、百年河清を待つようなものじゃないかというように思うんですが、この辺はいかがですか。
  290. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 地方債の許可制度の運用の改善を図る大前提が地方税源の充実を初め地方財源の充実強化にあると、これはもう御指摘のとおりであろうと思います。
  291. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、御指摘のとおりならばいいんだけれども、具体的にそれを進めなければいかぬのですよ。  それで大臣は、自治大臣として就任されてから当委員会でもいろいろ議論をお聞きしていると、やっぱり何かをやらなければいかぬと、どれに白羽の矢を当てるか勉強していらっしゃるような感じを受けておるんです。だから、これはそう簡単にはできないんだけれども、ひとつその辺、地方財政の特に自主財源の確立といいますか、それを目指した何らかの前進——今僕は地方税の問題、地方債の問題を言いました、補助金の問題はきょうはもう時間がありませんから言いませんけれども、そういった問題に地方の自主財源を確保していくという観点からの研究調査から始めてもいいし、やっていってもいい。あるいは今まで地方制度調査会はそれに関していろいろ提言もしてきているが、その種の問題がちっとも進まないところ に問題があるし、しかも最近は大体一年ごとに大臣かわりますから、実際問題としてそういう問題が進まない。これがやっぱり地方団体の大きな不満であるし住民のまた不安であると、こういうように思うんですが、いかがですか。
  292. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 先ほど来、二階堂副総裁問題を除いては、大変地方自治に対してのうんちくを傾けた御意見、よく拝聴いたしました。また、神谷さんが地方自治に対して非常に情熱を持っておっしゃっていらっしゃることを私も敬意を表する次第でございます。地方自治を確立していくには幾つかのハードルを越えなければならない。その一つがやはり起債の問題でもあると思います。  私は、短い期間でありましても、できるだけ地方の財政基盤を強化するにはどういうふうにしてやったらいいかということを、ひとつ事務当局とも今考えながら、できるだけ一つ一つ解決を図っていくように努力をしてまいるつもりでございます。
  293. 神谷信之助

    神谷信之助君 あと、ことし新しく給与条項を入れられた問題についてやろうと思いましたが、もう時間が今度は不足していますから、これは具体的な問題を含めてまたの機会にするということで、きょうは私はこれで終わります。
  294. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十三分散会      —————・—————