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1984-10-23 第101回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十月二十三日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  八月八日     辞任         補欠選任      真鍋 賢二君     金丸 三郎君  八月九日     辞任         補欠選任      海江田鶴造君     上田  稔君  八月二十一日     辞任         補欠選任      鶴岡  洋君     三木 忠雄君     —————————————    委員長異動  八月八日大河原太一郎委員長辞任につき、そ  の補欠として金丸三郎君を議院において委員長  に選任した。     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 岩上 二郎君                 松浦  功君                 志苫  裕君                 三治 重信君     委 員                 井上  孝君                大河原太一郎君                 加藤 武徳君                 古賀雷四郎君                 出口 廣光君                 吉川 芳男君                 秋山 長造君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 原田  立君                 神谷信之助君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    田川 誠一君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        警察庁長官    鈴木 貞敏君        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        警察庁警備局長  柴田 善憲君        公安調査庁総務        部審理課長    堀内 國宏君        大蔵省主計局主        計企画官     藤井 誠人君        大蔵省主税総        務課長      伊藤 博行君        厚生大臣官房会        計課長      黒木 武弘君        厚生省薬務局安        全課長      小宮 宏宣君        厚生省社会局保        護課長      清水 康之君        運輸省航空局飛        行場部東京国        際空港課長    松浦 道夫君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局公        務員部長     中島 忠能君        自治省行政局選        挙部長      小笠原臣也君        自治省財政局長  花岡 圭三君        自治省税務局長  矢野浩一郎君        消防庁長官    関根 則之君     ————————————— 本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○地方行政改革に関する調査  (昭和六十年度予算概算要求における国庫補  助金削減問題等に関する件)  (自由民主党本部放火事件等に関する件)  (グリコ・森永事件に関する件)     —————————————    〔理事岩上二郎委員長席に着く〕
  2. 岩上二郎

    理事岩上二郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  金丸委員長が病気のため、私が委託を受けましたので、委員長職務を代行させていただきます。  大河原委員長から発言を求められておりますので、これを許します。大河原君。
  3. 大河原太一郎

    大河原太一郎君 一言ごあいさつ申し上げます。  本委員会委員長として、一年有余にわたりまして皆さん方の格別な御支援、御協力によりまして、その職務を務めさしていただきましたことを心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。  なお、本委員会委員として引き続きおりますので、何かとお世話になるかと思いますので、よろしくお願いします。(拍手)     —————————————
  4. 岩上二郎

    理事岩上二郎君) 次に、委員異動について御報告いたします。  去る八月八日、真鍋賢二君が、八月九日、海江田鶴造君が、また、八月二十一日、鶴岡洋君が委員辞任され、その補欠として金丸三郎君、上田稔君及び三木忠雄君が、それぞれ選任されました。     —————————————
  5. 岩上二郎

    理事岩上二郎君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岩上二郎

    理事岩上二郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事松浦功君を指名いたします。     —————————————
  7. 岩上二郎

    理事岩上二郎君) 次に、地方行政改革に関する調査議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 吉川芳男

    吉川芳男君 本日の議題の主なものは、さきに発表されました高率補助金の一律カットということと、自民党本部に対しての焼き討ち事件といいますか、放火事件というふうに聞いてまいったわけでございますが、私に与えられた時間はわずかに三十分なものですから、前段の問題について若干の質問を申し上げたいと思うのでございます。  まず、自治大臣皆さんおそろいでございますけれども、この一律カットの問題を浮き彫りにする意味におきまして、最初大蔵省に承りたいのでございます。  六十年度の予算編成に向けての考え方であることは論をまたないわけでございますし、また、予算編成権とでもいいますか、まとめ役大蔵省から、どうしてもこの予算編成につじつまを合わせるためにもこれはやらなきゃならぬということもわからぬでない気もいたしますけれども、しかしこれほど批判の多い、反対の多い政策といいますか、考え方は昨今珍しいと思うのです。もう全国的には、九月期以外はほぼ終わっておるわけでございますが、ほとんどの議会でこれに対して反対であるという意見表明決議意見書が出ていることはもう十分大蔵省も御存じだと思うのでございますが、ひとつ端的に我が新潟県での意見書ひな形をちょっと申し上げますと、新潟青海町議会では、   国は、明年度予算概算要求において、財政負担を軽減するため、各省庁を通じて国庫補助負担率を一律に引き下げ、一方的に地方財政しわ寄せしようとしている。   このような単なる地方への負担転嫁は、特に財政基盤の弱質な町村にとっては、極めて深刻な問題であるばかりでなく国・地方を通ずる行政改革に何ら寄与せず、明らかに財政秩序をみだし、国と地方との信頼関係を根底から覆すものである。   よって、明年度予算編成においては、絶対にこのような措置をとることのないよう地方自治法第九十九条第二項の規定によりこの意見書を提出する。  こういうふうにうたっているわけでございまして、御答弁を聞かないうちから私も意見を言うのもちょっとどうかと思いますけれども、時間がないので私は言いますが、これは当然臨調答申に基づいてやっている仕事だと、こういう答弁があろうと思うのですけれども臨調答申は確かに補助事業合理化について幾つか提言しております。例えば官民の機能分担見直しをせいとか、あるいは国、地方機能分担見直しをして本来地方自治自主性に任せるべきものは一般財源措置をしなさい、あるいは人件費補助については一般財源措置に移行するようにして節減合理化を図れ、奨励目的を失った補助金はもう廃止しなさいと言っていますし、その中の全額補助とか著しく高率補助金のものは引き下げなさいとかいうことも確かに言っていますけれども、この五つ六つ言っている中のたった一つだけつまみ食いして、これでやれというのは一体どういう考え方なのか。この考え方浮き彫りに出てきたいきさつとか、この考え方をひとつ大蔵省からまずお聞きしたいのでございます。
  9. 藤井誠人

    説明員藤井誠人君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、この考え方の背景の一つといたしましては、臨調答申があることはそのとおりでございます。しかも臨調答申の中においては、先生が先ほどおっしゃいましたように、単に高率補助引き下げだけじゃなくて、そのほか各種各般整理合理化努力をせよという形で御指摘をいただいておるわけでございますし、政府全体といたしましても、先般来の数次にわたる閣議決定におきまして、臨調答申等を最大限尊重するということで対処しておるわけでございます。  したがいまして、高率補助率引き下げということだけをいわばつまみ食い的に措置するというものではございませんで、私どもこれからあるいは今現在既に各省庁折衝段階に入っておるわけでございますが、その過程におきましても、やはり事務事業見直しあるいは国と地方機能分担及び費用負担あり方を見直すという過程を通じまして御理解をいただけるような形のものに仕上げたい、かように考えております。  それから一つ付言さしていただきますが、今般の措置が国の財政のいわば地方へのしわ寄せではないかというような先ほど町議会における御決議でもあったやに仄聞しておるわけでございますが、臨調答申あるいは行革審議会等におきましてはやはりその点についても意見等をいただいておりまして、「地方財政計画における総体的検討」ということで、「補助金等見直しに当たっての、地方財源の問題については、地方財政全体の過不足を計る土俵となる地方財政計画の上で総体的に検討する。」という一項が設けられております。  私どもとしましても、これからもちろん先ほど申し上げましたように関係省庁との協議を進めていくわけでございますが、地方財源の問題につきましても、この御意見等を踏まえまして今後対処していきたいと、かように考えております。  以上でございます。
  10. 吉川芳男

    吉川芳男君 今、一応の御答弁があったのですけれども、これに対しての反論や再質問をする時間がないので残念ですけれども、ぜひひとつそちらで聞いておいてもらいたいと思うのです。  次に、厚生省からもお出ましいただいたわけでございますが、と申しますことは、今回のこの高率補助引き下げに伴って影響するところは九省庁にまたがっているわけです。厚生省、環境庁、国土庁、外務省、文部省、農水省、通産省、運輸省、労働省となって、その総額は二千三百六十三億円に上る。一口に二千四百億と言ってもいいと思うのでございますが、そのうちの約九割、二千百七十七億円が厚生省にはね返っているというか、しわ寄せになっているというか、そういう現状になるそうでございます。その中でも、この厚生省の中でも一番大きな金額は生活保護費の一千二百九億円というふうに聞いておりまするけれども、何も憲法第二十五条を持ち出して大上段に物を言うわけではございませんけれども憲法二十五条にはどう書いてあるか。言うまでもなく「すべて国民は、健康で文化的な最低限度生活を営む権利を有する。」と、こういうふうにうたっておりますし、この条文から見ても、この事業は本来国のやるべき仕事だと思うのです。それをただ財政的に詰まっているからということで足切りをしてしまうということは、これは許されないと思うのでありますが、こういう予算編成に向けての考え方に対して厚生省は一体黙っているのか、いかなる措置考え方を持っているのか、厚生省の言い分があったらひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。
  11. 黒木武弘

    説明員黒木武弘君) お答えいたします。  先生指摘のように、厚生省、来年度概算要求におきまして二千百七十七億の高率補助金補助率引き下げに伴う措置ということでカットの額を計上いたしておるわけでございます。御指摘のように、生活保護その他社会福祉施設等々、国民生活にまさに密着したいずれも重要な予算でありますけれども、御案内のように厚生省は毎年、年金、医療費生活保護費等々、巨額な当然増経費が生じておるわけでございます。これに対しまして、概算要求を基準に置きまして、五十九年度は二千百億の増額が認められたわけではございますが、六十年度は三千四百二十億の増額をいただいたわけでございますけれども、これとて巨額な当然増に対して要調整額が出てまいります。したがって、これをどうするかということで苦慮いたしたわけでございますが、行革審路線、当然我々は守るべき方向だというふうに考えておりまして、この中で、先ほど大蔵省から御答弁ありましたように、著しく高率補助金引き下げ問題が指摘されておりまして、これを閣議了解でこの方針が了解をされたという経緯を踏まえまして、各省とも協議をいたしまして、二分の一を超える補助率を持っている著しく高い補助率についてはこれを一割程度引き下げよう、閣議了解をその形で具体化しようということにいたしまして今回の措置をいたしたわけでございます。したがいまして、生活保護費等は非常に重要な予算であることは承知いたしておりますけれども、国と地方分担をいたしております補助金の中で、この際臨調行革審意見を踏まえまして、負担区分の変更をするということはやむを得ないというふうに考えている次第でございます。
  12. 吉川芳男

    吉川芳男君 今、結論としてやむを得ないという言葉が出ているわけでございまして、私は非常に不満とするわけでございまして、生活保護費の中身が非常にルーズになっているとかそういうことであれば、これはそれなりにメスを入れるべきだと思うのですけれども、いわゆる一律削減というものははなはだ策のない話だということを言いたいわけでございます。  厚生省さんに対しましていろいろ申し上げても時間がありませんから、本論の自治大臣にひとつお伺いしたいわけでございますが、まとめて二点ほどお伺いします。  今回の概算要求各省とも一律補助金一割カット、五割以上の高額のものについて一律カットということが行われれば、これを地方財政で負担せざるを得ないということで、もう明らかに大きな影響があることは言うまでもございませんけれども、これが四十七都道府県で、そしてまた市におきまして、町村においてどのような影響が出るかということについては自治省試算をなさっているようでございますので、ひとつ試算の結果についてお聞かせ願いたいことが第一点と、それから冒頭私が申し上げましたように、こういうことは行革審意見には幾つかったっておるけれども、一律カットがこれは非常に上手であるか、私はこれは拙劣なやり方だと思うのですけれども自治大臣としてはこれに対してどういうような考え方を持っていられるかお聞かせ願いたいと思うのでございます。
  13. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 今御質問のいわゆる一律カット地方にどれだけ影響を及ぼすかということは、私の後に財政局長から具体的に御説明をさしていただきます。  一律カットに関する私の考え方最初に申し上げますが、補助金などの整理合理化に対する私どもの基本的な考え方というものは、地方制度調査会臨調答申あるいはまた衆参両院地方行政委員会のいろいろな御議論を踏まえまして、私たちは国、地方を通ずる行財政簡素合理化地方公共団体自主性及び自律性の尊重の観点から、事務事業の廃止、縮減を行うと同時に、本来地方自主性にゆだねるべきものは一般財源に移行することを基本として推進されるべきものと、こういうふうに考えておるわけでございます。  六十年度の概算要求で行われております社会保障関係費に係る国庫負担等につきましては、国と地方との間の機能分担あり方を見直さないで、そしてただ単に国庫補助負担割合を一律に引き下げるということとされておりますが、これは国の財政負担地方に転嫁するだけにすぎません。国、地方を通ずる行財政改革の基本的な理念にもとるものでありまして、私としてはまことに遺憾に思っております。  行政改革というのは、国、地方経費をできるだけ削減していこうということであります。今言われている一律削減というのは国の経費は減らすが地方の方はふえる、いわゆる公の経費はちっとも動かない、そしてただ単に負担する側だけが変わってくるということでございまして、こういうような一割カットには私どもは賛成することはできないというのが私ども考え方でございまして、こういうことを簡単に実施するようになりますれば地方に対する財政に大変な大きな影響を及ぼすことは当然でございます。これについては財政局長から影響について御説明をさしていただきます。
  14. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) 補助率カットによる影響額でございますが、先ほど来、トータルにつきましては先生の方から御指摘ございましたように、概算要求ベースにおきまして二千三百六十三億円でございます。うち県分が八百二十七億、市町村分が千五百三十六億円でございます。これを五十八年度の決算ベースによりまして、いわゆる交付税で言います標準団体、これを参考にとってみますと、都道府県百七十万人、市町村十万人の団体のところを探してみますと、県の段階では平均約十八億円、市町村では平均約二億円でございますが、この中でも鹿児島県のように三十億円にもわたるところがございますし、市町村でも飯塚のように五億円にもなるというふうなことがございまして、非常に大きな影響をこうむるということがわかるわけでございます。
  15. 吉川芳男

    吉川芳男君 このような一律カットに対しまして、自治省みずからもこれに対する対策とでもいいますか、案をおつくりになっているようでございますが、若干お聞かせ願ったものによりますと、いわゆる少額事業というものはもう地方に任せたらいいじゃないかということで、そういう小を積んで大となすとでもいいますか、あわせてやっぱり大蔵省の案のような二千四百億円ぐらいのものを地方に任せたらいいじゃないかということの素案ができておるようでございますけれども、そういう素案をつくっても財源を付与しなければ、行き着くところ、先ほど大臣のおっしゃるとおり、やったり取つりで、結局財源が付与されなければ地方負担になることはもう言うまでもないわけでございまして、そこらここらをどう理解したらいいのか、ひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  16. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) 私どもも、この国庫補助金整理合理化につきましては行財政改革の一環として今後とも進めていかなきゃならない問題であるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、私どもとしましては、先ほど大臣から答弁がありましたように、補助金の一律のカットということにつきましては納得できるものではございませんので、具体的な補助金整理推進方策として、これは地方団体の御意見を承りながら、これまでも地方制度調査会なりあるいは臨調答申でもありますように、また当委員会でも御議論がございますように、職員の設置に係る補助金あるいは既に地方に同化定着した事務事業に係る補助金、また、いわゆる集会所等箱物と言われる補助金と申しますか、こういったふうなものについて整理合理化すべきではないか。それぞれこれらにつきましてはこれまでもいろいろ見直しを行っておりますし、そういった観点から整理合理化していくべきものというふうなことを大蔵省にも申し入れたところでございます。  これにつきましての財源の問題、御指摘ございましたけれども、従来ですと、こういった補助金整理合理化に当たって地方に振りかえられる一般財源についてはすべて国の方で措置せよというふうなことを言っておったときもございますけれども、現段階でそういったことをこれからも主張するというのはなかなか難しい状況でもございます。いわゆる地方財政計画全体の中でこれを整理していかなきゃならぬというふうに考えておりますが、その際にも、やはり地方財政というものは非常に苦しいわけでございますので、この全額を、我々が申し上げておりますような総額、これを全部整理されたとした場合には全部を地方団体そのまま受け入れるというふうな財政状態にはないと考えておるわけでございまして、こういった点の将来の財源問題につきましては財政当局とも十分話し合ってまいりたいというふうに考えております。
  17. 吉川芳男

    吉川芳男君 財源裏づけのない事務事業の振りかえというものは、私はあってはならないものだと思うのでありまして、当然これは交付税で見るとか、はっきりしたやっぱり裏づけをすべきものだと思います。  大体もう時間がないから、私は最後に私の意見も交えて申しますが、最近、石原事務次官中曽根総理に呼ばれていろいろ話し合ったときに、この高額補助の一律カットの話が出た中で、地方権限を移譲すればいいじゃないかと、こういうことが新聞に一緒に出たものですから、大変頭のいい総理大臣にしては言っていることと願っていることと答えがちょっとちぐはぐじゃないのか、腹が痛いと言っているのに頭の痛い薬をよこすようなものじゃないかなと、こうも思ったのですけれども、よく聞いてみると、前日に知事会議があって、その両方が話に出て、そして一律カットはこれは研究すればいいじゃないか、それから地方権限移譲はひとつ進めればいいじゃないかと、こういうことのようでございまして、どうもちょっと私の少し早とちりもあったようでございますが、どうもちょっとぴったりした話じゃないなと思ったわけでございます。  大体、こういう考え方が今後だんだんこれが進んでくると公共事業にまで及んでくるのじゃないか。こうなればもう大変な影響が及んでくるわけでございまして、こういう点についても非常に私は心配するものでございます。  大体、意見書等でも言っていますように、これはやっぱり国と地方との信頼関係を損なうものでありまして、例え話でいいかどうかわかりませんが、親子で話し合って今度東京の大学へ出るから仕送りは十万円するぞと親と子が約束して出たところが、親の懐がぐあい悪くなったら、今度は勝手に一万円減らすぞという話で、後はまあというような話だということをある人と話したら、まあ最近子供もたちの悪い子もいるからやむを得ない場合もあるんじゃないかと、こういう話で、例え話としてはどうもぴんとこない、それならこういう話はどうだと。  これは大変今度は古い話になりますが、論語の中で孔子は、政治に一体何が大事かと、これは軍備食糧信頼だと。そのうちどれをもう一つカットしたらいいかと言ったら、それはまず軍備だろう。その次は何かと言ったら、これは食糧だ。そして最後にやっぱり残るのは信頼だ、信だと。信なくんば立たず、こういう話はどうだろう、それはちょっと古過ぎるではないかと、こうなるわけでございます。  しかしやっぱりもう少し、私はそんな例え話よりも財政に夢と——入るをはかって出るを制すという言葉がありますけれども、最近は出る方だけ抑えてさっぱり入る方に思いかない。私は何も田中派だからというのではないけれども田中総理がちゃんと新しい「NEXT」という雑誌に、どうも今の財政は憶病だ、例えば国債残高が百二十二兆あるけれども、これをどうしたら解決できるかという方策はないけれども、例えば電電公社一つ民営化にしたら百兆以上の金が入る、さらに住宅・都市整備公団の資産を売却すれば、これまたやっぱり百兆近いお金が生まれるはずだと、こういうこともひとつ知恵をかりたらどうですか。そういうようなひとつ考え方も持って、もう少しだんだん縮小再生産といいますか、均衡といいますかになるような財政から歯どめをかけるということは私は非常に大切なことだと思うのですが、そこらここら、ひとつ含めて御答弁がいただけたら、これで終わりにさしてもらいます。
  18. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 先ほど補助金の一律カットに対する私の考え方を申し上げましたが、私ども補助金の整理縮減、こういうことについては反対するものではない、むしろ積極的に推進して本当の意味の行政改革を推進していかなければならないと思っているわけでございます。そういうわけでありますが、いわゆる補助金の一律カットは、先ほど吉川さんもおっしゃったように、私どももこれに賛同することはできない、反対でございます。  どうやってこれからやっていくか、私どもは具体的な補助金整理の推進の方策としては、あくまで地方公共団体の御意見を承りながら、職員設置費に係る補助金等あるいは地方に同化定着した事務事業に係る補助金などにつきましては、これを廃止あるいはまた地方一般財源に移行すべきであるというようなことを大蔵省に対して申し入れをしているわけでございます。  これから六十年度の予算編成のいろいろな話し合いがございますが、私ども地方団体の納得が得られるような形で補助金の整理統合化が行われますように関係各省と十分協議をしながらやってまいる、このような方針でございます。
  19. 志苫裕

    志苫裕君 本題に入る前に大臣の所見を二、三伺います。  田川さんなのか自治大臣なのかちょっとその辺の区分けはわかりませんが、百一国会終了以来、田中元首相の言動について再三発言をなさっております。発言に共鳴するところはもちろん多いのですが、また、このまま放置すれば民主主義の危機を招くという認識にも同感でありますが、まずはひとつ真意を伺いたい。
  20. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私が最近田中さんに対して自重自戒を求める発言をしておりますことは、私の一つの政治家として、また新自由クラブの政治姿勢として御質問に応じて発言をしているわけでございまして、私どもがいたしております発言というものは別に真意も何もない、私どもの考えていることを御質問に応じてそのまま申し上げていた、こういうことでございまして、何にも他意はない、こういうことでございます。
  21. 志苫裕

    志苫裕君 特に百一国会閉会直後の発言、さらに十月十二日のいわゆる田中判決一周年での発言、いろいろなことを言っておられるのですが、一々内容は問いませんが、あなたの特に、このまま放置するということは民主主義の危機を招くというその認識についてもう少し説明いただけませんか。
  22. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 志苫さん御承知のように、今自民党は総裁選挙が行われようとしている時期でございまして、そういう中で自民党と私どもが連立をしている内閣の一員として私がここで再びいろいろ申しますことは、やっぱり自民党の総裁選挙にどっちに有利とか不利とかということじゃなくて、かなり影響をされるおそれもございまするので、私がこういう場でいろいろ根掘り葉掘り申し上げるということは公正な総裁選挙が行われることに対して多少悪影響もあるのではないかということを考えておりますので、この委員会でただいまの時期に余り深い議論を申し上げますことはいかがなものかと思いますので、ひとつその点はどうぞ賢明な志苫さんにおかれましては周囲の事情を御了察いただきまして、次の機会にお願いをするかあるいは院外でひとつお話をいただくようにお願いできませんでございましょうか。
  23. 志苫裕

    志苫裕君 もちろん微妙な時期にあるということ、むしろあなたはそれをにらんで物を言っているのじゃないんですか。
  24. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) じゃない……
  25. 志苫裕

    志苫裕君 じゃ、そっちの方の話は、あなた影響が大きそうで余り聞かぬでほしいということですが、ただ私は、あなたがいろいろ述べておることについて、率直に言って共鳴するところが多いのですが、ただ同時に、あなたにことしの二月十日でしたか、本会議で私質問をいたしまして、選挙が終わって新自由クラブが連立に参加するに当たってのいわば所見をただしました。一口に言うと、中曽根首相の姿勢も変わり、田中問題の決まりもついたのでというのがいわば認識として述べられておるわけでして、その認識と最近の発言とは一体どういうかかわりを持つのか、この点はどうですか。
  26. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) その前に、私が今の時期をにらんでいろいろ発言しておられるように受け取られていることは大変残念でございまして、そうではないのです。にらんでいろいろと行動をされたり、にらんでいろいろ質問をされていらっしゃるから答えているわけでございまして、私は時期を選んで発言をしていることでは毛頭ございませんし、だれからも示唆をされて発言をしているものでもない、こういうことだけはひとつ御理解をしていただきたいのでございます。  それから、私どもが連立した条件がどのようになっているかという意味の御質問だと思いますけれども、政治倫理その他のことについては厳格に言えばなかなか見方が多うございますけれども、私が中曽根内閣の一員として政治を現在まで続けてきているということは、一〇〇%目的は達し得られないかもしれないけれども、ある程度の成果を得ながら今日まで来ているということで、私が閣内にあることは私どもとの約束がある程度進行しつつある、こういうふうな見方で今日まで来ているわけでございます。
  27. 志苫裕

    志苫裕君 どうもその辺になると言っていることと矛盾がするのですが、余り聞かぬでくれと言うのを聞くのもこれまたあれですが、冒頭にもありましたように、政治家田川として、あるいは新自由クラブの政治家として所信を述べておるということです。あなたのそういう政治信条に基づく勇気のある発言といいますか、信条を吐露した発言は、今の政治の枠組み、言いかえれば連立について並み並みならぬ決意を持っておるというふうに受けとめていいですか。
  28. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私ばかりでなく私の同志、我々新自由クラブとしてはこういう問題については相当の決意を持って現在政局を見ていると、こういうふうにお考えになってよろしいと思います。
  29. 志苫裕

    志苫裕君 もう一つお伺いしますが、定数是正問題です。  これもあなたの発言に、ちょうど百一国会終わりまして、いわゆる政治倫理問題と定数是正の目標が達成できなかったという自責の念を述べておるのですが、この衆議院の定数について、去年の総選挙をめぐるいわば定数訴訟、これは九月末に広島高裁、そして十月の十九日でしたか、東京高裁で明確な違憲判断を下しております。ただ、一票の重みそのものについては、広島高裁が二倍程度とか東京高裁の場合は三倍程度とか、いろいろばらつきはもちろんありますが、現行が違憲であるということについては変わりがないわけです。判決はもちろん選挙の効力までは踏み込んではいないのですが、やがてここのところだけに焦点を合わせた訴訟も展開をされるだろうということも十分に想像できるわけです。政府はというのですか、内閣はというのですか、解散権は縛られないということばっかり言っておって、官房長官の談話でそこばっかり強調はするが、じゃ一体この事態どうするのかということについてはまたトーンが落ちてしまうのですね。  まずこの問題について所管大臣はあなたのわけですが、まずどのような見解をお持ちですか。
  30. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) さきの広島高裁の判決あるいは東京高裁の判決は、いずれも選挙は無効とはしておりませんけれども、定数の配分規定は選挙当時憲法の選挙権平等の要求に反するものであったということが示されておるのでございまして、この判決につきましては厳粛にこれを受けとめておるわけでございます。  自治省としても、衆議院議員の定数是正は緊急かつ極めて重要な問題であると認識をしておりまして、これまでも一生懸命努力をしてまいったのでございます。しかし、事柄が各政党、各議員にとりまして大変重要な問題でございますので、今後とも各党との合意のもとに次の通常国会におきましては何としてもこの定数是正が実現するように最大限の努力をしなければならない、このような考えでおります。
  31. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、もう一度聞きますが、その答弁ずっと前々から出ているわけですね。事柄が政党の消長にも絡みますと、なかなか役所が法律所管しておるといっても、ちょこらちょっとでできるものじゃないというので、各党が話をして折り合いのついたところで事務的な作業を進める、面倒なものを持って出てつぶれてもいかぬだろうしというのは前々から言っているのですが、しかしこれがまた、なかなかそうこう言っているうちに一国会終わっちゃったわけでということなんですが。でも、この法律所管しているのは自治省という役所のわけですが、おたくが持っておる法律、それは違憲ですよというふうに判断を示されておる違憲の法律を持っておるわけでしょう。なかなか直すのは面倒だというようなことなんですが、例えば選挙制度審議会でしたかな、言うなれば第三者機関といいますかな、そういうところでもう一遍議論してもらおうかというような構想はありますか。
  32. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 志苫さん御承知のように大変微妙な問題であり、それからかつ非常に緊急を要することでございますから、これをやっていくには、まず各党各会派の合意を得られるということが一番大切でございます。第三者機関でやるということも一つの案でありまして、理想的にはむしろその方が一般国民には公平のように見られますけれども、やはり先ほど来申し上げますように、また志苫さんもおっしゃったように、とにかく政党にとっては政治生命にかかわる問題であり、議員にとっても同様の問題でございますから、仮に第三者機関でこれの結論を出しても国会でまたもう一回やり直すというようなことは多いわけでございます。ですから、仮に第三者機関でやるとすれば、国会が第三者機関に全権を委任する、オーソリティーを与えるようなことをしてくださらなければ、第三者機関でやっても同じことを繰り返すということになってしまうのじゃないかと思うのです。ですから、そういう意味で、やはり実質的には各党各会派でやっていただくということがまず先決ではないだろうかと、こういうふうに思っているわけでございます。
  33. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、念を押しますが、所管の大臣としては振る舞わないのですね。ずっと見ているのですか。
  34. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 国会の皆さんがとにかく自治省に全権を与えて、案をつくれ、最大限尊重するということでございますれば、私どもは積極的にやることはやぶさかでないわけです。  しかし、先ほど来申し上げましたように、やはり事柄が一般の法律と違う。立法府にとって最大の問題でありますから、自治省で幾ら案をつくりましてもこれは限度があるわけでございまして、そういう意味でまず国会の御意思を先にまとめていただく。それに対して自治省が最大限の御協力を申し上げる方が、そういうやり方の方がむしろ早くできるのではないかと思っているわけでございまして、決して責任逃れを申し上げているわけではないわけでございます。
  35. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。言うまでもなく我々も立法府の一員であって、今度の百二国会では極めて早い時期に国会としての決まりをつけなきゃならぬと、そういう決意は持っておるわけでありますが、自治大臣として何か所見があるかと思って聞いてみたわけでありまして、あなたの立場はわかりました。  そこで自治省、これは選挙部長になるのかな。詳しく覚えてないのですが、東京高裁の判決では、違憲判断の結果として内閣の解散権が事実上制約されることもあり得ると、文章はそうなっているか知りませんが、そういう判断を示しておるわけであります。自治省はどのような見解とっていますか。
  36. 小笠原臣也

    説明員小笠原臣也君) お答えを申し上げます。  ただいま御質問のありましたことは、確かに東京高裁の判決の中でそういう趣旨のことが示されておりますけれども、これはあくまでも司法府の判断でございますし、また、内閣の専管事項に関することでもございますので、私どもからこれについてとやかく申し上げる筋合いのものではないというふうに判断いたしております。
  37. 志苫裕

    志苫裕君 とやかく言ってくれというのじゃなくて、事実として、いわば解散権の行使の制限があり得る、あるいはまたそのこともやむを得ないということは、素直に読むと解散権の行使はやっぱり制限されるというふうに受け取るべきなのかということを聞いているので、ほかのことをとやかく言わなくたっていいんです。
  38. 小笠原臣也

    説明員小笠原臣也君) お答え申し上げます。  非常に微妙な内容にわたりますので、この判決の内容によりまして御説明をさせていただきます。  東京高裁の判決はこの点について本論で判示しておるわけではございませんで、被告でございます選挙管理委員会側が、昨年の選挙は無効であるという原告の主張に対して、いや、あくまでもこの選挙は有効である、なぜならば、昨年の総選挙というのは仮に憲法違反というような状態で行われたとしても、定数是正をやるいとまもなく、そういう論議の最中に急遽解散ということになって行われた選挙であるから、こういう状態のもとで行われた選挙というのはあくまでも有効とすべきであると、こういう主張をしたのに対して、東京高裁といたしましては、あくまでもこの違憲の状態で行われた選挙、しかも合理的な期間を経過した状態のもとに行われた選挙は違憲であると、こう言いまして、それにつけ加えて、選挙の効力については、それが内閣の解散権の行使によるものであっても、法律上他の事由に基づく、すなわち任期満了等に基づく選挙と異なった取り扱いをすべき理由はないと、こう断定をいたしまして、そしてつけ加えて、その結果として内閣の解散権が事実上——事実上という言葉を言っておるわけでございますが、事実上制約されることが起こり得るとしても、それは事柄の性質上やむを得ないことである、こういうふうに判示しておるわけでございます。
  39. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、したがってこの判決は解散権行使の是非に言及していないと、こういう理解ですね。
  40. 小笠原臣也

    説明員小笠原臣也君) そのように理解できるのではないかと思っております。
  41. 志苫裕

    志苫裕君 では、それはそのように伺っておきましょう。いずれまたこれは議論をさせてもらいます。  次に警察問題に入ります。  鈴木長官は新任であります。先ほども御紹介をいただきましたが、さまざまな問題を抱えて警察の対応が国民から注目をされておるときであります。期待もされ、注文もつけられておるのでしょう、もっともあなたはかつての同僚からも大変注目されておりますけれども。ひとつこういう時期に長官になられてさまざまな問題、これからおいおい尋ねていきますが、問題を抱えておるときでの就任でありますから、まず抱負をお伺いしましょうか。
  42. 鈴木貞敏

    説明員(鈴木貞敏君) 先月下旬に警察庁長官を拝命したわけでございますが、今先生のおっしゃったとおり、非常に治安事象といいますか、そういう面から見ますると、国際化の波あるいは科学技術の進歩、あるいは社会経済機構の非常な多様化その他科学技術の進歩、いずれの面から見ましても治安事象にそれがいろいろ反映いたしまして、特異な事件を初めとして犯罪もどんどんふえていく、こういうような一般的な潮流ではなかろうかと思います。  そういう中にありまして、やはり日本の治安はいいのだと、こう言われておりますけれども、子細に検討しますれば、やはり大変いろいろの悪い芽がたくさんある、こういうふうに思っておるわけでございます。  こういう中にありまして長官を拝命いたしまして、二十五万の警察職員が本当に心を一つにいたしまして国民の平穏な生活を守るという、こういう警察行政の基本点を踏まえて、警察の職務に対して大きな誇りを持ってひとつ国民のために身を粉にして働く、こういうことに徹していきたいというふうな気持ちでおるわけでございます。  簡単ではございますが、そういう決意でおるということをお答え申し上げます。
  43. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、まず自民党本部に対する焼き打ち事件というのですか放火事件というのですか、民主政治の根幹である政党に対する威圧あるいは暴力は断じて許せないところでありまして、志を同じゅうする者として、おくればせではありますが、お見舞いを申し上げたいと思います。  そこで、それから一カ月過ぎたのですが、捜査の状況はどうなってますか。
  44. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) お答え申し上げます。  最初にごく簡単に本件の概要をちょっと触れますが……
  45. 志苫裕

    志苫裕君 事件の概要はいいですよ、もう古いから。
  46. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) この事件につきましては大変悪質、重大な事件であるということで、即日警視庁に特捜本部を設けまして、目下この特捜本部を中心にいたしまして強力な捜査を行っているとごろでございます。  この事件を敢行いたしました犯人につきましては、特捜本部におきましては犯行声明あるいは「前進」への革命軍報の掲載、あるいは火災車の構造などから総合的に判断いたしまして、中核派の構成員による犯行であろうと見ておるところでございます。  これまでの捜査の過程の中で、事件発生の直前にこの自民党本部の北側に隣接いたします中華料理店の敷地から作業衣を着ました数人の者が逃走するのが目撃されておりますが、まずこの者たちが中核派の構成員である犯人たちではなかろうかということでございます。  その後の捜査で、犯行に使用されました車がいずれも盗難車であったといったこと、あるいはこの二台のうちの一台は前橋市内で盗まれた車でございましたけれども、この車に盗まれた当時載せてありました葬儀用の祭壇でございますが、これが同じ群馬県内で発見されたといったようなこと、こういうことが捜査の中で出てきております。また、九月十九日の事件発生当日の午後八時過ぎでございますが、事件は午後の七時半過ぎに起こっているわけでございますが、同じ日の八時過ぎに千代田区の六番町で車が一台炎上いたしておりますが、この炎上いたしました車両とそれからこの自民党本部に放火しました者たちとは非常に深い関係がある可能性が非常に高い、こういうことも捜査の結果わかっておりまして、さらに鋭意追及捜査中でございます。  いずれにいたしましても、警視庁は特捜本部を中心にいたしまして、この事件を必ず検挙する、必ず解決するというかたい決意のもとに現在までにおおむね付近の地取り捜査、これを終了いたしまして、現在は遺留品の諸捜査、それから犯行グループと目されます中核派に対しまする組織捜査に鋭意取り組んでおる、こういうのが捜査の現在の状況でございます。
  47. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると警察としては、今もお話ありました犯行を行った者が中核派の構成員であるというふうにほぼ断定をして、地取り捜査や組織捜査を行っておるというふうに承知していいのですね。
  48. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) そのとおりでございまして、本件につきましては中核派構成員の犯行とほぼ断定をいたしまして捜査をいたしております。中核派構成員ということになりますと、この種の犯行を行うグループといたしましては、同派に中核派軍事組織と申しましょうか、人民革命軍・武装遊撃隊というものをこの派が持っておりますが、この武装遊撃隊の構成員である者たちの犯行ではなかろうか、そんなような角度で犯人グループを見ておるところでございます。
  49. 志苫裕

    志苫裕君 彼らが自民党本部をねらった理由、犯行後の声明で幾つか成田の問題なども引き合いに出しまして述べておるようでありますが、この中核派あるいは人民革命軍・武装遊撃隊と言いましたか、そういうものは常時監視対象というとおかしいですが、常時どういう皆さんは監視対象というのかな、にしているのですか。
  50. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) 警察といたしましては、いかなる立場からでありましても、犯罪を行おうとする者につきましては、これは絶対に放置をしない。また、起こりまた犯罪につきましても絶対放置することはないという基本的立場で進めておるわけでございまして、これは極左であろうが何であろうが同じ立場でございます。そういう意味におきましては、犯罪を犯すおそれが大変高い者につきましては必要な情報の収集を行い、あるいは必要な視察を行うということはいたしておるわけでございます。  ただ問題は、ただいま御指摘の中核派の人民革命軍・武装遊撃隊につきましては、これは完全に地下に潜行しておる非公然の者たちでありまして、したがいまして、この者たちを見つけ出し、その動向を視察し、情報を収集するということは大変必要なことではあますが、非常に難しくなっておるというのが現状でございます。私どもといたしましては、この人民革命軍・武装遊撃隊の実態を浮き出させて、その動向を詳細に把握していくということが本件の捜査にも絶対必要でありますし、また今後の同種事犯の未然防圧にも大変必要であるという観点で、目下この人民革命軍なるものの実態掌握に鋭意努力中でございます。
  51. 志苫裕

    志苫裕君 私がお伺いをした趣旨というのは、今お話ありましたように、常時監視という言葉がおかしければ、情報を収集をしたり、あるいはその組織の実態の解明に努めたりということをやっておるわけで、そうすればいろんな動きもそれなりにつかみ取ることになるわけですが、自民党の本部を襲撃をするというふうなことは情報網には全然ひっかかっていなかったのですね。
  52. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) この自民党本部の襲撃につきましては、先ほど御指摘がございましたように、本件の犯行の後でございますが、機関紙「前進」におきまして、自民党本部をねらった理由を述べておるわけでございます。その理由は、これも御案内のとおり、自民党本部こそ三里塚二期着工の総本山である云々というように機関紙には位置づけておるわけでございます。  ところで、それではあらかじめどうであったかという点につきましては、ただいまのは、先ほど申しましたように犯行後の理由づけでありまして、言うなれば犯行後に理由を考えたと言ってもいいような理由づけという面もあるのではないかと思うわけでございます。中核派が今回のゲリラ事件の前にいろいろ資料も出しております。また私どもも、これらの資料や情報を入手し、いろいろ検討いたしました限りでは、このいわゆる新東京国際空港絡みの攻撃対象としては、自民党本部が挙がっているということを示唆するような資料、情報等は、全く残念ながらなかったというのが真実でございます。
  53. 志苫裕

    志苫裕君 えてして今警察が断定をしておるような組織というのは、勢力を誇示したり、やったやったと、こう言うのですね。だから、本当にだれがやったのかわからぬけれども、悪いことをしていると思えばやったと言わないのだけれども、いいことをしていると思うから、おれがやったと、こう言うわけですが、ただ、それは犯行後自民党についていろいろなことを言っておるようですが、これは理由なんでしょう。  あの時期に自民党の本部を襲撃したねらいは何だと皆さんは見ていますか。
  54. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) 当時は、九月の二十五日から予定されておりましたけれども、折から新東京国際空港の周辺でいわゆる成田用水工事の着工が予定されておった時期でございました。これに対しまして極左暴力集団は、この用水工事の着工こそが二期工事の着工そのものになるのだ、こういう認識に立ちまして、成田現地におきまして十月の初めに大規模な現地闘争をやる、こういうことで準備を進めておった時期であったわけでございます。そこで私どもといたしましては、この種の大きな現地闘争がございますときには、その前段におきまして、各地で新東京国際空港絡みでゲリラ攻撃等が起こるという例が多いものですから、全国的にこの絡みで攻撃されるおそれがあるところにつきましてはピックアップをいたしまして、警戒を強化をいたしておりましたやさきでございました。成田新東京国際空港絡みの警戒ということで、新東京国際空港に密接な関係があるところはかなりの警戒がしかれておったわけでございます。  私どものこれは推理でございますけれども、そういう意味で大変警戒の厚いところは攻撃いたしますと捕まる懸念がございますので、成田の警戒の厚いところを避けて、比較的薄いところ、当時重点警らの対象にして警戒防護をいたしておりましたようなところ、そういうところはどこかということで、選んだ結果が自民党本部というものが攻撃のターゲットになったということなのではなかろうか。これは推理でございますけれども、そのように推理をいたしておる現状でございます。
  55. 志苫裕

    志苫裕君 それではちょっとねらいが私にわかりにくいので、どこかやろうと思ったらそこに自民党があったというのじゃ、ちょっとねらいの説明にもならぬような気がいたしますが、ともあれ最近の一部の動きなどでは、過激派あるいは極左暴力集団というのですか、それと今度は極右というのですか、右翼も政治結社をつくるなどいたしまして、最近動きがまた顕著であります。  局長ごらんになったかな。あれいつでしたか、きっとNHKじゃなかったかと思うのですが、十一時半ごろからの遅い番組で、記者が三カ月かの密着取材をした絵が出てまして、率直に言ってそこまで行っておるのかという思いを深くしたのですが、この右あるいは左、皆さんがそういう過激あるいは暴力集団あるいはそのおそれがあるというようなものとして把握をしておる左右のそういう集団の組織状況とか、あるいはその運動目標とか、あるいはその運動の状況というようなもの、済みませんが、後刻資料いただければいいけれども、ちょっとかいつまんで話をしてください。
  56. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) 極右、極左の組織状況、運動目標、運動状況等の概況をかいつまんでちょっと申し上げたいと思いますが、最初に極右、右翼でございますけれども、実は右翼というのは非常に定義が困難でございますけれども、これは一般的には国家主義とかあるいは民族主義といったようなものを標榜いたしまして、現在の政治、社会、経済などの諸問題で不合理と思う点を改めよう、こういうことをする運動を総称したそういう意味で申し上げたいと思うのでございますけれども、そういう意味で右翼というものをとらえてみますと、一応そういう範疇に入るものといたしましてはおおむね八百四十団体、十二万人ぐらいかと、このように見ておるところでございます。  運動はどんなことをやっておるかという点でございますが、現在一番熱心にやっておりますのは北方領土問題、国防、靖国神社、憲法、教育、これらの諸問題、さらには左翼諸勢力あるいは共産圏諸国の動向、こういうものをとらえまして、政財界や左翼勢力等に対しまして抗議、対決活動などを行っている、これが今の右翼のごくかいつまんだ現状でございます。  そこで、極左のこれまたごくかいつまんだ現状でございますけれども、極左暴力集団は御承知のとおり非常に細かく分派をいたしております。一説には五流二十二派などとも申しますが、大きなものとしては御案内のとおり中核派、革マル派、革労協あるいは第四インターあるいは戦旗といったようなセクトが存在することは御承知のとおりでございます。このほかにいわゆる黒ヘル集団ですとかいろんなものもございますが、おおむね全国では三万五千ぐらいではなかろうかというふうに私どもといたしましては掌握をいたしておるところでございます。  運動の目標でございますが、暴力によりまして日本を革命しよう、こういうことで時々の政治テーマをとらえまして、目下、中でも反基地闘争あるいは反原発闘争、こういうものに熱心に取り組んでおるところでございます。中でも極左暴力集団は、成田闘争が日本革命を遂行するための絶好の場であるということで、八〇年代の中期階級決戦を切り開く突破口になるのだ、こういう位置づけで最大の政治闘争として取り組んでおるというのが現在の極左のごく大まかな組織勢力、運動の状況でございます。
  57. 志苫裕

    志苫裕君 そういう団体の資金源というのは、どういうものだと見ているのですか、皆さんは。
  58. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) まず、極右関係の資金源でございますが、これは規約上は入会金あるいは会費等を徴収するということになっておりますが、実態といたしましては企業等からの寄附が相当の資金源になっておるものではないか。みずから行っております事業等の収入をそれに充てておる部分もあることはございます。  それから、極左の資金源でございますけれども、この方も規約上は党費ですとか同盟費ですとか機関紙代とかいうようなものからの収入というものが多いことになっておりますが、実態といたしましてはやはり組織構成員からのカンパと申しましょうか、寄附、これが一番多いように思われるわけでございます。特に、極左暴力集団の場合は、最近は学生部分が非常に減りまして労働者部分がふえてきておるわけでございます。つまり、みずからの収入がある部分が非常にふえてきておるわけでございますが、この労働者部分からの吸い上げがなかなかの額になっておる、月収のほとんどを吸い上げられておる、あるいはボーナスは丸々といったようなのもあるようでございますので相当のカンパ額になるものと、資金源につきましてはこのように観測をいたしておる次第でございます。
  59. 志苫裕

    志苫裕君 NHKだと思うのですが、報道で堂々とこう出ておるのですが、二千万とか三千万とかある企業者がやっていますよとかいうことも言っていますな。その辺で随分ぐるぐる回りますけれども、右左ともに資金源をたたくといいますか、一口で言って、そういうことは警察の方針としてはないわけですか。
  60. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) 御指摘のように、お金がなくては何もできないわけでございますので、資金源を枯渇させることができれば非常に有効な対応ということになろうかと思います。  先ほど申し上げましたように、極右関係につきましては多くを企業からの寄附に頼っているという面もあるわけでございますので、警察といたしましてはその資金活動に伴いまして違法行為があります場合には厳正に取り締まってきております。年間やはり十件以上のそういう検挙をいたしておりますけれども、今後ともそういう方針で対応してまいりたいと思っておるわけでございます。  ただ、極左暴力集団につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、自分で稼いだ金を自発的に組織に寄附している、こういう面が非常に多いわけでございまして、したがいまして、そこらにやはり自分らの金であるということで非常に大事に使うとか、いろんな意味でも極左の活動の把握を非常に困難にいたしておる面がここらにもあろうか、このように見ておる次第でございます。
  61. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、いろんなことを調べたり情報を持っておる割には犯人が捕まらぬでいらいらもするのですが、一体そういうものに対応する警察力はどうなっているのだという問題になるわけですが、私ども伺っておる、あるいは承知しているところでは、特に公安警察は戦後GHQに解体させられてゼロになった。警備隊は左翼勢力の伸長というふうなものあるいはその活動のエスカレートに比例するように拡大強化を重ねてきて、特に七〇年代のあの過激派の爆弾事件で、それに対応して急激にパワーアップをした。成田作戦では総合治安対策の主導権をとるほどにまでなった。こう言われておるわけで、また警察全体の構成を見ましても、公安警察は決して弱体などという筋合いのものじゃない。特に過激派の爆弾事件などに対処をして、俗にCR作戦などと言われる情報戦略なども確立をしたと言われているわけです。  機動隊の増員数なんかを単純にとってみても、極左暴力集団のいろんな事件というようなものと公安警察の増加というのは大体正比例をしてきているという実態があるものだから、過激派のおかげで公安は大きくなった、過激派の方には足を向けて寝られないというような比喩が出るぐらいで、そういうことをとらえて警察の泳がせ作戦だと、こういう悪口も出るわけですが、ともあれそうやって拡大強化をされておる。私らにとっては時に肥大化をしているのではないかと思うぐらいなのですが、さてこうなってみると、なかなかそういう犯人も捕まらない、乱暴なやつも捕まらない。何が問題、どこが欠陥というふうに皆さんの方では思っておられますか。
  62. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) 七〇年闘争の中での極左暴力集団の問題と申しますのは、主として街頭へたくさんの極左暴力集団が出てきまして違法状態を繰り返すという状態であったろうと思います。これが問題だったろうと思います。これに対しましては、街頭に集団として姿が見えているわけでございますので、対応の仕方もおのずからはっきりしていたと申しますか、対応しやすかったという一面があったという点もあろうかと思います。  その後、違法状態に対する警察の措置が有効であったといったようなこともあろうかと思いますが、極左の闘争の形態が次第に非公然化してきている、テロ化して、かつゲリラ化してきている、これが現在の極左の実態であろうと思う次第でございます。  したがいまして、これに対します対処は、先ほどちょっと申しましたように、相手の姿が見えないだけに非常に難しくなっておるという点があるように思う次第でございます。と同時に、極左暴力集団の方はターゲットを次々と変えながら姿を見せないで攻撃してくる、こういう状態になっておりますために、防御に大変エネルギーを割かれると申しますか、守るところを次々と広げながら、かつ守る態勢も強めながらという点がございまして、そういう意味では、街頭闘争が盛んであったころに比べますと警察の対応が非常に難しくもなってきておりますし、多数の手がかかる、こういう状態に現在あるように思うわけでございます。  警察といたしましては、したがいまして非常に難しくなってきておるという認識のもとに立ちながら、公安警察とか警備警察とかいうことではなしに、全警察力を挙げましてこれに対応していく必要がある。その中でさらに国民の皆様方の御理解と御協力を十分に得ながら、テロ化し、ゲリラ化していく趨勢にしっかりと歯どめをかけ、発生しておる事件につきましては必ず検挙し、この種事案の防止に当たってまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
  63. 志苫裕

    志苫裕君 先ほど、私らの理解では警備警察、公安警察は随分肥大化をしていると思うという私なりの認識を述べた。相対的に言えば、その割を食っているのは刑事警察であったり保安警察でないかと言われるぐらいですからね。それでグリコが捕まらぬのかどうかわからぬけれども、やっぱりどこかにそれは問題があるわけで、その問題点の洗い直しをしないでおいて、まだ足らぬまだ足らぬ、新しい法律でも何でも欲しいと、そういう発想がないわけでもないので、これは我々にとってはとても同意しがたいということだけは申し上げておきたいわけです。  と同時に、しかも非公然化しておるということの帰結として過激派は人民の海の中に住んでいるわけでありますから、当然過激派をあぶり出すには国民の暮らし全部をあぶり出さないといけないというまた論理にもなるわけで、これではまた国民は大迷惑なわけでありまして、そういう意味で、最近一時、焼き討ち事件の直後に、幾つかそういう法制面などでの論議があったようですが、この点は何か警察庁に所見があるのですか。
  64. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) 御指摘のように、極左暴力集団の非公然部分が地下に潜行しておると申しましても、厳密には地下におるわけじゃないわけです。現実には、御指摘のようにさりげない一市民という形で国民の間にあるいは都民の間に潜り込んで住まいながら異様に矯激な犯罪をたくらんでおる、これがこの種ゲリラ犯人の性格の実態であろうかと見ておるわけでございます。したがいまして、このゲリラグループを浮き出させていきますためには、やはりどうしても国民の皆様方の御理解と御協力なしにはなかなか有効な対応ができないということは事実であろうかと思います。しかしまた、今御指摘のように国民の皆様方全部を浮き出させるとかそういうことではなくて、ゲリラ犯人につきまして御協力をいただきたい、御理解をいただきたい、有効な情報をお寄せいただきたいということで今後とも皆様方の御協力を得てまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  65. 志苫裕

    志苫裕君 公安調査庁、おいでになっていますね。  法務大臣の何か法制面での発言があったようですが、どういうことになっているのですか。
  66. 堀内國宏

    説明員(堀内國宏君) 御説明いたします。  今御指摘の法務大臣発言と申しますのは、記者会見の席上で法務大臣が、中核派についてはさらに調査を進める必要がある、そのように発言されましたことが各紙の報道の中で今御指摘のような記事となってあらわれているものでございます。
  67. 志苫裕

    志苫裕君 それで、新聞の記事は誤解だということですか、一口に言うと。
  68. 堀内國宏

    説明員(堀内國宏君) そこで、私ども公安調査庁の現状を御説明申し上げますと、今回の事件を敢行したと思われる革共同中核派につきましては、もとよりかねてから調査の対象としておったものでございまして、さらに今回の事件につきましても、破壊活動防止法の定める諸条件について、先ほど来警察の方からも種々御説明がありますような困難な状況のもとで、全力を尽くして調査をしている段階でございます。
  69. 志苫裕

    志苫裕君 ともあれ犯人検挙が第一であって、あれこれのことを考えても意味がないことだと、この点をひとつ強く要望しておきます。  次に、グリコ・森永事件なんですが、この時期ですから私も質問をしないのもおかしいし、してもろくな答弁が出ぬだろうしと思ってはおるのですが、いずれにしましても、いろんな捜査の過程があって一部捜査の公開をなさいましたね。これはどういう判断からですか。
  70. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 捜査につきましては、これは原則としては穏密をもって行うというふうに考えております。と申しますのは、犯人との対決という面もありますし、また人権上のいろいろな配慮という面もありまして、捜査は原則として穏密をもって行うというふうに考えておりますけれども、個々の事件の状況に応じましては、早期に犯人を検挙しまして国民の非常な不安を除く、こういうような点に重点を置きますと、今回のように公開をして国民の広い御協力をいただく、こういうことを考えるわけでございます。  一つ考え方、公開についての基準的な物の考え方を申し上げますと、公開をいたします捜査についての情報が、これは国民の利益となる方が多いのか、また一方では犯人の利益となる方が多いのか、こういうことを考えましてどちらかに判断をしていくというのが一般的な考え方でございます。
  71. 志苫裕

    志苫裕君 それで局長、やっぱり国民も知りたいのですが、また、みんな知らせるわけにいかぬのですが、犯人の動機なりねらいについて、当初はグリコに対する怨恨説だとか銭取るのだとか、あるいは愉快犯だとか、いろんなことが言われておるのですが、皆さんの方で差し支えない範囲で犯人の動機なりねらいなり、犯人像といいますか、何か御説明できますか。
  72. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 現在捜査をやっておりますので、なかなか詳しいことについて申し上げるのは難しいわけでございますけれども、今までのところ私どもの方で考えております犯人像としましては、三十歳から四十歳台の男を含めた三人以上の複数のグループだというふうに考えております。  そのほか、動機につきましては、これはいろいろなことがあると思いますけれども、その中の主要な部分は現金の入手、金目当てということが主要な目的というふうに考えております。  いずれにしましても、余り明らかになっていない部分が現在段階では非常に多いわけでございますので、はっきりした犯人像、動機ということはなかなか今の段階で申し上げるのは難しいというふうに御理解をいただきたいと思います。
  73. 志苫裕

    志苫裕君 いずれにしましても、これほど物証もあるし目撃者もあるし、しかも一人じゃない、仲間になってやっているようです。テープなんかを電話をかけて聞きますと、子供が何か文章を棒読みしているような、子供なんというのは気楽に物を言うのじゃないかなと、そういうところを見るとまことに判断がつきにくいのですが、グリコと森永は同じメンバーだと見ているのですか。
  74. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 同じメンバーだと見ております。
  75. 志苫裕

    志苫裕君 詳しいことはもう要らぬです。  今警察が一番求めていることは何ですか、この事件について。
  76. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 現在では犯人そのものに直結する具体的な情報ということになると思います。
  77. 志苫裕

    志苫裕君 法務省結構です。  この点締めくくりしますが、いずれにしましても情報の公開をしまして、今度似顔絵か何か出すそうですが、いろいろやってきてあそこまで行っておるという意味では、皆さんは、それなりのいわばずっと積み上げてきて追い詰めた、間近いという判断ですか。
  78. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 三月の半ばに発生をしまして以来七カ月を経過しておるわけでございますけれども、その問いわゆる基礎捜査と申しますか、基本的な物の捜査、人の捜査、そういったものにつきましては着実に捜査を積み上げてまいっておるというふうに考えております。  そのほか、最近公表いたしましたテープ、ビデオにつきましては現在北海道から九州に至りますまで二千数百件の情報が入っておりますので、これにつきましても鋭意今整理をして、一つずつその情報の真偽を確かめておるわけでございますが、これまでの捜査経過に基づきまして、捜査は着実に進みつつある。ただ、犯人に到着いたします時期につきましては、これがいつかということはなかなかお答え申し上げにくいわけでございますけれども、着実に進んでおるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  79. 志苫裕

    志苫裕君 ビデオテープですね、あれ割合に特徴のある体格をしていますが、まるっきり近づいていないですか、あのビデオテープの公開によって進んだという判断ですか。
  80. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) ビデオテープで公開をいたしましたあの人物につきましては、現在、犯人と断定をしておるわけではございません。ビデオテープが撮影をされました場所、時間的な状況によりまして、非常に犯人そのものについて情報を知っておる人物である。したがって、この人物に警察の方に届け出をいただいて、いろいろと詳しい状況についてお聞かせをいただきたい、こういうふうな趣旨で現在呼びかけを行っておるわけでございますが、きょう現在に至るまで、まだあの人物本人からの届け出、申し出というものはございません。したがって、そういうような意味では、いろいろと考え方があるわけでございますけれども、今のところ、あの人物をそのものずばりということで断定したというわけではございません。
  81. 志苫裕

    志苫裕君 長官、自民党の焼き討ち、それからグリコ・森永、これは特に警察の威信がかかっていると思いますね。どこぞを少し脅迫しているとかなんとかじゃなくて、やっぱり食い物に、しかも子供が食う物に毒をまぜるとなったのじゃ、これはもうとても見逃すことはできませんし、これはやっぱり決意のほどは伺っておかぬといかぬ。どうですか。長官から伺います。
  82. 鈴木貞敏

    説明員(鈴木貞敏君) 仰せのとおりでございます。グリコ・森永事件という非常に長い道程がございますけれども、いずれにいたしましても日常口にする食品に毒物を入れるというふうな、まさに全国民を敵にするといいますか、そういう悪質な事犯でございます。国民の怒りも非常に燃え上がっている、こういうふうな情勢でございます。我々警察といたしましても、こういった国民の協力を得ながら組織的な全精力を傾けまして、とにかく早期に検挙するということで邁進したいと思います。
  83. 志苫裕

    志苫裕君 どこの世界にもいろんな問題があって、警察の世界の中でも縄張りとかそういうふうなものでぎくしゃくしておるという報道もないわけじゃないわけでありまして、それらを克服をして、一日も早く犯人検挙に全力を挙げてもらいたい。しかし、同時に私は、たまたま公開捜査の話もありましたし、警察当局は非常に慎重に、ビデオの男は情報を知っている男だという慎重な扱いをしていますが、過激派のあぶり出しにせよ今度のこのグリコの犯人あぶり出しにせよ、一方ではやっぱり普通の市民の人権というふうなものには、これは十分な配慮を求めておきたいと思います。  最後になりましたが、地方財政問題、大臣、七月の末にいわゆる行革審答申が出ました。その行革審答申は来年の予算の編成と地方行革についてなんですが、私はまたしてもこのことを言わなきゃならぬのですが、いわゆる臨調の発足当初における行管庁長官と自治大臣の確認事項というものがあって、地方の問題については、国と地方機能分担ということで、あくまでも国と地方との関係を改革課題に取り上げるのであって、地方行革そのものを直接の検討課題とするのではないということはしばしば答弁もいただいておるし、そういう確認もあった。臨調においてすら、いわば地方自主性、そういうものについては配慮を加えておったのですが、それを受けておる行革審地方行革のあの意見書、要望ですかで、もろに地方行革に切り込んでおるということについては、内容のよしあしは別としまして、自治のありようとしてどうも合点がいかない。その点どうですか。
  84. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 行革審意見を出すまでの間には、今、志苫さんの御指摘になりましたように、私どももかなり懸念をいたしておりまして、しかし意見を出すまでの間に自治省並びに地方関係の団体意見どもかなり取り入れていただいているようなこともございました関係で、行革審意見そのものは、多少問題とされるべきこともありますけれども、おおむね妥当なものではないかと、こういうふうに思っているわけでございます。  地方行革について地方公共団体が自主的に一層その推進に努力する必要があるというようなことも指摘をされておりまして、自治省といたしましては今後とも積極的に地方団体に対して指導をしていくつもりでございまして、あの行革審意見の中に、特に私ども指摘しておきたいのは、各省に対して地方行革、地方行革と言うけれども地方公共団体が行革を自主的にやろうとしても、いろいろな関与や施策によってむしろ地方行革を推進できないような問題があるじゃないか、そういうことをとにかく先にやることが大事であって、むしろ地方行財政の制度の改革をおくらしているのは各省庁ではないかというようなことも行革の意見の中にそれとなく指摘をされていると、こういうことを私どもはむしろ重視してやっていかなければならないと、こういうふうに見ているわけでございます。
  85. 志苫裕

    志苫裕君 私は内容に今触れていないのですが、政府の突然の申し入れによって地方行革についての推進小委員会を設けられて、随分自治体自身が自分の裁量で行うべき課題まで切り込んでおるというのは、私は地方自治のありようから見て出過ぎだという意見だけは述べておきまして、今までの大臣答弁は了承ができない。しかし、それをやっておったのじゃ時間がないので、大蔵と自治省の両方に聞きます。  簡潔でいいですが、いわゆる経済企画庁限りのレビューであって、政府の統一見解ではないという経済見通しの修正が出ましたが、大蔵はそれに納得していないようですけれども、ともあれ一番新しいところで八月が一番新しいでしょうか、その景気動向を反映をした税収の状況等はどうなっていますか。当初の見込みやあるいは計画と比べてどういう状況にあるか。言うまでもありませんが、帳じりがどうなるのか、来年の予算を見る上での一つの判断材料にしたいので、大蔵と自治省、双方答えてくれませんか。
  86. 伊藤博行

    説明員(伊藤博行君) お答え申し上げます。  ただいま五十九年度の税収につきまして現在判明しております実績は八月末の分まででございます。進捗率は予算に対しまして二七・六%になっております。ちなみに五十八年度のこの同じ時期での進捗率二七・六と全く同じペースで進んできております。  また、伸び率につきましては、八月末の累計で見てまいりまして七%、これは対実績でございます。この率は予算の伸び率、五十八年度の実績六・九とほぼ同じということで、現時点、全体の進捗割合は三割にも達しておりませんので、全体を云々するにはまだ時期として早うございますけれども、おおむね予算の線に乗って進んでおるというのが現状かと思います。
  87. 矢野浩一郎

    説明員矢野浩一郎君) 地方税収の方でございますが、本年度の地方税収の決算見込み、まだ年度半ばのことでございますので、正確な見通しを立てることは困難でございます。  都道府県税につきましては、御案内のとおり毎月月末におきまして実績をこれはとっておるわけでございますが、最新の実績といたしまして八月末、都道府県税全体では前年度の同月に対しまして九・二%の伸びということでございます。これも御承知のように、地財計画の上では六・八%、都道府県税が六・八%の伸びということでございますが、これに対しては現在のところ上回っております。その理由は、やはり法人事業税が景気の動向をある程度反映してきておるということであろうかと思います。ただ、五月、六月、七月、八月と見てまいりますと、それぞれの月末における対前年同月の伸びはだんだん低くなってきております。五月末一二・五、六月末一二・〇、七月末九・四、そして八月末は先ほど申し上げた九・二ということでございますので、なかなか今後の伸びがどういうことになるか、動向をやっぱりよく見きわめる必要があるのじゃないかと考えております。  一方、市町村税の方でございますが、これは各月ごとの統計がございませんので、これはよくわかりませんが、ただ御承知のように、住民税の減税の影響市町村税で都道府県税よりはるかに大きく出ますし、また景気を反映する法人関係税のウエートが低いわけでございますので、市町村税の方につきましては本年度の地方財政計画で計上した額を確保できるかどうか、必ずしも予断は許さないというような状況にあろうかと思うのでございます。  概要を御説明申し上げました。
  88. 志苫裕

    志苫裕君 両省から伺う限りにおいては、大蔵は去年の実績対比でいくと大体同じ推移だと。自治省は計画よりも少し上回っておるがだんだん鈍化しておると。まさか今の説明なりこの数字に思惑は入っておらぬだろうと思いますけれども、経済見通しの改定をめぐって、我々あの議論で大変不審に思いましたのは、やっぱり本当のところを言ってもらわぬと本当の正確な対応ができないわけです。思惑で数字を変えられたり、抑えたり隠されたりしたら困るわけです。  いずれにしても今の話をそのまま受け取っておきまして、そうしますと、来年度の財政がそう大きく改善をされるということにはならない。少なくとも当初の編成ではそれなりの財源不足が出るという想定を地方財政の場合我々はするのですが、この点は大蔵と自治省の見方は違っておるのですか。大蔵省は、来年度は地方財政財源不足どころか楽になると、こう見ているのですか。自治省はそれに対してどのように思っているのですか。
  89. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) 明年度地方財政の見通しにつきましては、まだ今後の経済見通しあるいは国の予算の動向等がはっきりいたしませんので、確たるものはできませんけれども、一応先ほどからの話のように、税収はそこそこに確保できるというふうに見た場合に、この国会に提出いたしました地方財政収支試算に盛りましたような財源不足額、こんな大きなものにはならぬのじゃなかろうか。と申しますのは、六十年度の国の概算要求基準が非常に厳しいものになっておりますので、これと同じ基調で地方財政を考えた場合には歳出はかなり抑制されるであろうというふうに考えておりますが、やはり財源不足はある程度出てくるものというふうに、ある程度と申しますか、こんなに大きくはないけれども、当然に財源不足は生ずるというふうに見ておるところでございます。
  90. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵省はどう見ておるのですか。
  91. 藤井誠人

    説明員藤井誠人君) 先ほど財政局長の御答弁ございましたけれども大蔵省の方といたしましても今後の経済情勢等を見ていく必要がございますので、現時点において財源不足がどうなるかということについては具体的にまだ申し上げられる状況にはございません。
  92. 志苫裕

    志苫裕君 時間も迫りましたから、私はちょっと意見最初に申し上げますが、いずれにしましても幾らか改善されるというニュアンスは財政局長からも話があったようですが、ただ、これから両省あるいは政府で詰めていく問題を聞いても余り意味がないと思うのですが、例えば不足のある場合に財対債をどうするのかとか、あるいはまた特例交付金、新しい制度になったわけでありますが、それの従来の覚書に基づく約束分を自治省予算要求の中では、例えば財対臨特の部分はペンディングにしているようです。あるいはまた、地域特例の六分の一カットというのは来年満期になるわけで、そうすれば当然そのような措置がとられるかと思うと、そいつはまだですね。ちゃんと法律があってもとへ戻ると言っておるのに、決まりがついていないとか幾つかの問題がありますが、自治体の置かれた状況からいけばとてもそう楽観できる状況ではないという意味で、せっかく地方財源の充実のためにひとつ奮闘願いたいんです。  この補助率引き下げ問題、先ほどから同僚委員からもありましたが、これ、生活保護を例にとりましょう。生活保護というのはだれの責任なんですか。国が出しておるお金というのは、あれは自治体に補助をしてやっているのですか、自治体が生活保護仕事をするについて国の方から面倒を見てやっておるということなんですか。それとも、これは社会保障の大事な仕事として国がすべての国民に対して責任を負うという性格を持っているものなんですか。  個々の基本的な性格は、補助金、負担金等によってそれぞれちょっとずつ違いがあります。そういうものを押しなべて、この補助金等の性格を一蓮托生にして一割カットというのは納得ができない。そもそも何で国が八割で、あと自治体が一、一であったのかということも余り根拠はないようだけれども、この点について補助率を切るというのは大蔵省が言っているわけだが、大蔵省に聞きますが、生活保護を例にとりますが、生活保護はどこがやる仕事ですか。責任の所在をまず聞かしてください。
  93. 藤井誠人

    説明員藤井誠人君) 生活保護につきましては、地方財政法の十条によりまして国と地方が利害関係と申しますか、ともに一緒にやるという事業についてはそれぞれ国が全部または一部の補助をするという考え方に立っておるわけでございまして、基本的にはこれは厚生省の方がお考えになることではございますけれども生活保護につきましては国の事業ということが言えようかと思います。  ただ、先生指摘補助率あり方ということになりますと、御承知のように、補助率は発足時の経緯もございますし、それからそのほか国と地方のそれぞれの関与のあり方、あるいは事業主体がどういうような形になっておるかとか、そのほか各種要因が絡んでおることは事実でございます。そういう議論を踏まえまして補助率が個別補助金について具体的に決められておるというように理解しております。
  94. 志苫裕

    志苫裕君 理解しておる割には切ると言うから聞いているわけですが、時間がないのでこれやめますが、いずれにしましても私がここで申し上げておきたいのは、いわゆる補助金等にも負担金があり、補助金があり、補助金にも奨励補助的なものもあったり、あるいはまた分担金、性格がいろいろありますね。これを高額補助率の面からだけ見るというのでは制度としての吟味が足らないという感じはやっぱりするのです。そういう意味では、そもそも何で例えば生活保護が国が八で、県が一で、市町村が一なのかというのもどういう理屈かわかりませんけれども、さしずめそうなっておったからそうなっておったのでしょう。  しかし、その辺のやっぱり理論的なありようというふうなものまでに深く入っていきませんと、ただ一まとめにして一割カットで一丁上がりというやり方は、国にとってはそれは安易過ぎますよ。自治省も、そういう仕事の性格によって、こういうものは切ってもいいわいというようなものがあるならあるでいいですよ。我々はもともと補助金なんかよう要らぬという立場を基本的にはとっておる方ですがね。ただし、あなたうなずいていますが、生活保護とかそんなものは切っちゃだめと言っているんですよ。そういうものはちゃんと十割で残して、あとの奨励補助的なような、道をつくったり橋直すというものは要らぬ、こう言っているんです、財源さえよこせば。そういう我々の基本的な主張はありますけれども、今この状況でそうしろと言うとみんな切っちゃうから余り言えませんけれども、これはひとつそういう点については我々基本的に反対の意思を表示しておきますが、同時にそういう補助金等の性格づけを洗い直すものなら洗い直して、財源配分に結びつけていくということをこの際には強く要望をしておきます。  時間が過ぎて済みませんが、最後大臣、一言でいいです。  今人事院勧告の実施をめぐっていろいろとそれぞれやりとりが行われていますが、これは聞くところによるとですけれども自治大臣は余り閣議で熱心でないそうですね。あなた、これは国際舞台まで出て、人事院勧告を実施しないという日本の政府の立場が悪くなっているときですよ。同時にこれは自治体の人事委員会の勧告、給与改定にストレートにつながっていくのだ、そこの予防線を張るようなつもりで消極的になってもらっては困るんですがね。これはやっぱりあくまでも所管大臣として完全実施を求める、また閣議でもあなたどんどんしゃべって、これをひとつ強く意思表示してください。どうですか。
  95. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 決して不熱心ではございませんで、私が発言すると違う方のことばかり新聞紙上に出てしまいまして、肝心のことがなかなか世間に出ませんで、本当に私も申しわけないと思っております。この間も関係閣僚会議で申し上げておきましたが、給与改定につきましては私は次のように今までも述べておるわけでございます。  五十九年度の公務員の給与改定につきましては、現在、人事院勧告の取り扱いについて、国並びに地方財政を勘案して考えていかなければならないということもございますけれども、我々は五十七年度、五十八年度、この両年度の特異な関係、そういうことを十分考えていかなければならない。人事院勧告の制度の趣旨とそれから国、地方財政に及ぼす影響とを総合的に勘案していかねばならないけれども、五十七年度、五十八年度両年度にわたって異例の処置が講じられてきたわけですから、そういうことを十分考えて、五十九年度の取り扱いについてはこの特異な例というものを十分考慮していかなきゃならぬ、そして公務員の諸君に希望を持たせるような、そういうような結論を出すべきであるということを私は申し上げているわけでございます。また、この取り扱いについてはできるだけ早く決定をすべきじゃないだろうかというようなことをこの前の閣議でも申し上げたわけでございまして、できるだけ前向きに結論が出るように配慮をしているわけでございます。
  96. 岩上二郎

    理事岩上二郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。   午後零時七分休憩      —————・—————    午後一時二分開会    〔理事岩上二郎委員長席に着く〕
  97. 岩上二郎

    理事岩上二郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行政改革に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  98. 原田立

    ○原田立君 午前中、二人の同僚委員から、自民党本部放火事件並びにグリコ・森永事件、また補助金の一律一割カットの問題が指摘されましたが、私もその問題について若干お伺いしたいと思うのであります。  先ほど志苫委員からも話がありましたけれども、同じ政党人として、その本部が襲撃された、放火されたなんというようなことは、やっぱり新聞論調等にもありますように、民主主義への攻撃であるというふうなとらえ方を私はしております。で、こういうふうなことが二度とないようにしていかなければならないと、こう強く念ずる次第であります。  ところで、先月十九日夜、自民党の本部が中核派によるゲリラ行動によって火炎放射を受けた。我々はこのような過激派によるゲリラ活動を断固許すわけにはまいりません。  それで、国家公安委員長としてどういうふうな御決意でこの問題を処理されるのか、あるいはまた警察庁長官も新しくおなりになった立場でございますし、どういう立場でこれを解決なさっていこうとなさるのか、お伺いします。
  99. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 自民党に対するゲリラの襲撃事件は、原田さん仰せのとおり、民主主義に対する重大な挑戦であると思います。特に、政党の拠点への襲撃は政党政治に対する一つの挑戦でもございますので、こうした犯人はあらゆる手段を講じて早く検挙をしなければなりません。今後も捜査を徹底して早期に犯人を検挙するように努力をいたしますとともに、こうした事件が再び起こらないように万全の処置を講じていかねばいかぬと、このように考えておる次第でございます。
  100. 鈴木貞敏

    説明員(鈴木貞敏君) ただいま田川国家公安委員会委員長のお答えのとおりでございます。私たちもひとつ警察の総力を挙げて、一日も早い検挙ということを目指して努力を傾注してまいりたいと、こう思っております。
  101. 原田立

    ○原田立君 この犯人逮捕の今後の見通しとか、あるいはもう発生して大分たっておりますし、非常に困難な状況だとすればどういう理由で困難なのか。あるいはまた、現に中核派が犯行声明まで堂々と出しているのにそれを捕らえられない。逮捕する材料が少ないということもあるんだろうと思うのでありますけれども、どこがネックになっているのか。
  102. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) お答え申し上げます。  この事件につきましては目下鋭意捜査中でございます。御指摘のように、この種事件の捜査は割合に時間がかかることが多いのは事実でございますけれども、その理由としてまず考えられますのは、犯人たちが非常に非公然化と申しますか、深く潜行をいたしておりますために、犯人が何者であるかということの特定がやはりまずなかなか難しいという点があろうかと思います。また、この種のグループは事前の調査を非常に綿密にやります。また、事後も証拠の隠滅を非常に入念にやりますので、なかなか証拠が集まらない。こういった点もこの種犯罪の捜査を難しくしておる理由ではなかろうかと思うわけでございます。  事件後に、中核派としては今回の犯行は自分らのセクトの犯行であるといった犯行自認の声明を発しておるのは事実なんでございますけれども、ただ、先生御承知のとおり、現行刑法では、自分がやったと言っておるわけではなくて自分たちの派がやったんだと言っております場合に、この犯行自認声明だけでは、直ちに声明を発表した人間あるいはその団体の責任者や指導者を犯人だということで検挙するわけにはいかぬというところが、これは現在の刑法の個人責任主義からいたしまして当然でございますが、そういった点もございます。  もちろん、犯行声明につきましては、これは中核派がやったと自認したわけでございますので、これらの犯行声明をも証拠といたしまして押収、捜索等には使わしていただいておりますが、そのまま直ちに犯人の逮捕というところへっなげるというわけにはまいらないという点がございます。  ということで、捜査がもう少し時間がかかるということは、この種事件としては間々ありがちではございますが、警察といたしましては、極めて凶悪重大な事件でもございますし、この種ゲリラ事件につきましては、今回の件を含めまして、必ずや犯人を逮捕するという覚悟で一生懸命捜査を継続いたしておるところでございます。
  103. 原田立

    ○原田立君 過激派によるゲリラ事件の状況、ずっとこう連続してございますけれども、特に中核派の犯行と見られる事件は一体どのぐらいあるのか、そしてまたこれらの事件に対してどれぐらい犯人が逮捕できているのか。この現状はどうですか。
  104. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) 極左暴力集団のゲリラ事件が非常にたくさん発生いたしましたのは昭和五十三年当時でございました。新東京国際空港が開港された年が昭和五十三年でございますが、このころに非常にたくさん発生しておりまして、その後は少しずつ減っておったのでございますが、ことしになりまして、新東京国際空港の二期工事がいよいよ始まるのではないかといった観点から、これに反対いたします極左暴力集団のゲリラ事件がまたふえ始めておるという状況にございます。  ことしになりまして、きょう現在で極左暴力集団のゲリラ事件は四十件起こっておりますが、このうち中核派が行ったものが十七件ございます。質的にもほとんどは放火事犯といったような格好で非常に悪質巧妙化をいたしておるということで、警察といたしましては、すべてのゲリラ事件を必ず検挙するということで一生懸命捜査をいたしておるところでございます。  なお、ゲリラ事件の検挙状況につきましては、過去三年間で見てみますと約三〇%強ぐらいの検挙率ということになっております。
  105. 原田立

    ○原田立君 過激派集団の逮捕には何といっても多くの国民の協力が必要と思うのでありますが、そのためにも警察が国民信頼を得ることがまず大切であろうと、こう思います。いろいろと申し上げたいと思ったのですが、それはまず横に置きまして、新警察庁長官としてのこのところの見解をお伺いしたい。  要するに、警察はもっと国民信頼を得なきゃならない。いろいろな不祥事件が起きていますけれども、その一々例を挙げて申し上げるのは差し控えるとして、こういう多くの国民の協力を得ていくためには、警察のそういう姿勢等もきちっと立て直していかなければいけないのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  106. 鈴木貞敏

    説明員(鈴木貞敏君) まことに仰せのとおりでございまして、やはり警察の捜査あるいは警察の行政の目的を達するためには、何といいましても国民信頼がなければなりません。これがすべての土台である、こう思っております。その信頼を得るためにはやはり信頼に値する警察でなくちゃならぬ。これは当然でございまして、私も就任の際に、国民信頼というものはこちらから求めるものじゃない、やはり我々の努力といいますか、姿勢と言いますか、そういうものによっておのずから相手から与えられるものである、こういうことで、信頼国民から自然に寄せられるようなことでひとつ頑張っていこうということを言ったわけでございますが、そういう気持ちでまいりたいということでおります。
  107. 原田立

    ○原田立君 先ほども質問がありましたけれども、今回の事件を契機として一部に警備強化を急ぐ声も出ているようでありますけれども、警察の心配も十分わかるわけでありますけれども、いわゆる過剰警備というふうにならないようにそこは配慮しなきゃいけないじゃないかと思うのですが、その点についての御見解をお聞きしたい。
  108. 鈴木貞敏

    説明員(鈴木貞敏君) 今仰せの過剰警備という問題でございますが、よく大きな規模の警備等があります際に、そういう声も今までもいろいろ聞くわけでございますが、私たちといたしましては、それぞれの事象事象に応じまして、それにふさわしい警備をやるということでございまして、そういう意味では、過去のいろいろのケースにおきましても過剰警備的な批判のあったケースもございますけれども、私たちとしてはそのケースについての最大限の漏れのない仕組みでやっていくということで心がけておるわけでございまして、そういう面につきまして幅広く国民の理解と協力を得る警備警察行政ということでなくちゃならぬということでその都度やっておるわけでございます。
  109. 原田立

    ○原田立君 先ほどもお話ありましたけれども、中核派が自民党本部を襲撃したその理由の一つに、運輸省が成田空港二期工事のための条件整備費として二十三億円を六十年度の予算概算要求に盛り込んだことから、無制限のゲリラ戦、対人攻撃へとゲリラ活動を激化させている、こういうふうに思うのでありますけれども、その点はいかがですか。
  110. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) 現在の成田の状況、極左暴力集団は第二期工事の事実上の着工であるというとらえ方をいたしておるわけでございます。そこで、これを絶対何としてでも阻止をしようということで、先ほど申し上げましたように、ことしになりましてちょっと減ってきておりましたゲリラがまたにわかにふえてくるという状況にあるわけでございます。この状況は当分続いていくものと思われますので、私どもといたしましては、新東京国際空港の警備につきましてさらに万全を期しまするとともに、続発いたしてくるでありましょうこの種不法越軌なゲリラ事件に対しましては、これの未然防圧と、発生いたしておりますものを必ず検挙するという捜査体制で臨んでまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  111. 原田立

    ○原田立君 運輸省来ていますか。  成田空港は工事開始から既に十四年、滑走路一本の片肺開港からでも既に六年経過しているわけですけれども、この完成のめど、目途、これは一体どういうふうに考えておりますか。
  112. 松浦道夫

    説明員松浦道夫君) お答え申し上げます。  新東京国際空港は、御承知のとおり利用者が昨年度で一千万人を数えるような状況になっておりますし、早急に当初の計画に従いまして、滑走路も三本にし、ターミナルにつきましても第二ターミナルをつくるという計画を早急にやらにゃいかぬという時期に来ていると思っておりますし、また、問題でありました地元関係につきましても、昨年からことしにかけまして、地元の議会から促進決議といいますか、そういう激励の声もいただいておりまして、地元の全面的な協力のもとに、残された工事に着手できる態勢が整いつつあるのではないかというふうに思っておるわけでございますけれども、ただ、現在まだ残されております問題といたしまして、用地を持っておられる農家の方、十二戸の方々がいらっしゃいますけれども、その方につきまして地元の市長さんのごあっせん等の協力を得ながら、話し合いで解決するということで現在やっている状況でございますので、このような状況でございますので、いつ着工できるかというのをここでちょっと申し上げるような状況ではございません。ただ、着工いたしましたらおおむね五年で完成できるというふうに考えております。
  113. 原田立

    ○原田立君 警察の方は御苦労さんだと思いますけれども、完成に五年かかるというようなめどのようです。その間は当然目が離せないということになるのだろうと思うのでありますけれども、成田空港を完全に破壊するのだということで自民党の本部の襲撃事件があった、こういうふうなつながりがあるようでありますので、どうかひとつこういうふうな事件が再発しないように、せっかくの御努力を願いたいと思います。  それから、三月の十八日に江崎グリコ社長の誘拐事件に端を発して、今回のグリコ・森永事件は、その後グリコ本社への連続放火あるいは同社製品への青酸混入予告、そして三カ月間の沈黙を破って今度は標的を森永に変えた。一挙に毒入り菓子の店頭配置等、この七カ月の間終始犯人たちに、何というか世間全体が振り回されているというふうな感じになって、非常に残念に思っておるわけでありますけれども、先週末から今週にかけて、やれやれなくてよかったなと思ったら、けさの新聞には、郵便受けのところに置いてあったなんというようなのがあって、非常に心配をしているわけでありますけれども、現在の捜査状況について、今捜査をやっている最中ですから、言える問題もあるあるだろうし言えない問題もあるだろうと思いますけれども、そこら辺はオープンのことで結構ですから、御説明願いたい。
  114. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) グリコ・森永事件の捜査の概況でございますが、今お話ありましたように、三月十八日に江崎グリコ社長を誘拐をするというところから始まったわけでございますが、その後一連の事件がグリコについて行われまして、警察庁といたしましては、この犯罪の各府県にまたがります広域性、重要性、こういったことにかんがみまして、警察庁指定事件ということで指定をいたしまして、大量の捜査員を動員をして捜査をやってまいったわけでございます。  その後九月に入りまして森永の方に脅迫が参りまして、十月に入りますと、ただいまお話しのように、七日になりまして大阪、兵庫、京都、愛知の各府県のスーパーなどで毒入りの森永製品が発見をされる、こういうことがありまして、また新たな展開を見ておるわけでございます。また、きのうは東京都内でも青酸入りの森永製品が発見をされました。東京都内にまで犯人の状態が及んでいるわけでございます。  私どもといたしましては、一つは青酸入りの製品がばらまかれるということでスーパー、デパート等の量販店に対します厳重警戒、これが一つの方法でございます。これは先週来ずっとやっております。  そのほか、捜査につきましては、これは始まった当初から各府県警を動員して捜査をやっておるわけですが、その中身としましては、各種違反容疑、いろいろな容疑者についての情報が上がってまいりますが、人に関する捜査、それから遺留品等、物に関するものが大分ありますので、その物に関する捜査、それと大阪、京都のあの地帯一帯にわたります特別巡回連絡、こういったことでこれまで捜査を実施しておるわけでございます。先般、国民の御協力をいただくということでテープ、ビデオを公開をいたしました。二千数百件の情報が現在寄せられておるということで、これにつきましても鋭意捜査を進めておる。こういう状況でございます。
  115. 原田立

    ○原田立君 金澤さんが読売の方と懇談している中に、「広域事件で警察の縄張り意識が捜査の支障になっているようなことはないか。」という質問に対して、「各警察本部ごとに競争意識はあるだろうが、それを良い意味で生かしつつ、解決に当たりたい」というふうな御答弁をなさっているようでありますが、理屈はそうだろうと思いますけれども、やっぱり縄張り意識があるなんというふうなことを言われることも余りいいことではないのじゃないか、こう思うのですがいかがですか。
  116. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 広域捜査でございますので、関係の各府県警察がそれぞれ協力して捜査をやっておるわけでございますが、これは御案内のとおり現在の警察制度は、警察法で都道府県警察ということで体制が組まれております。したがいまして、捜査の一つのまとまりといいますか、主体は都道府県が単位となって捜査をやるわけでございますけれども、こういう都道府県の枠をはみ出た犯罪につきましては、これは広域捜査という体制を組みまして、警察庁管区警察局が積極的な指導調整を行って、お互いに協力しながら捜査をやらせる。こういうことで、これは現在もそのことでやっておるわけでございます。  したがって、もとはそれぞれ都道府県警察という単位があるというのが原点にございますから、いろいろな意味で競争意識というのは、これは当然あるだろうと思います。しかし、事件の性質、こういう事件につきましては、そういう競争力、特に縄張り意識的なマイナスの競争力というものを踏み越えて事件の早期解決ということに邁進してもらわなきゃならぬということで指導をしておりますし、大阪、兵庫を初めとする各府県警察もそういった縄張り意識といいますか、そういうマイナスの競争意識を振り捨てて現在一生懸命取り組んでおると、こういう状況でございます。
  117. 原田立

    ○原田立君 せっかくそのような方向でやってもらいたいと思います。  今回、脅迫電話の録音テープ並びにビデオテープを公開したのですが、どういうお考えでおやりになったのですか。
  118. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) これまで基本捜査ということで、警察に入っておりますいろんな資料、これを警察として独自に捜査を進めてきたわけでございますが、この事件の性格が国民を次第に具体的危険の中に巻き込んできておる、こういう差し迫った状況がございますので、犯人をできるだけ早く検挙して国民の不安を除きたいという気持ちで、国民各層からの広く情報を得たい、こういうことで、現在持っております捜査情報の中で特にテープ、それから犯人についての情報を知っておると思われる人物が写っておりますビデオ、これを公開をしたわけでございます。
  119. 原田立

    ○原田立君 そのビデオに写った男性が第三者であるかあるいはそのものずばりであるのかということはまだ決定するわけにいかないわけです。ですから、公開に当たってはかなりの高い確率でいわゆる容疑者と推定できることが必要というような意見もあります。今回公開するに当たってそのような面でもお考えになっただろうと思いますが、いかがですか。
  120. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 今お話しの点につきましては十分に検討をし一その上でこのビデオの公開に踏み切ったわけでございます。この写っております人物につきましては、犯人または犯人グループの一員ということでの断定をしておるわけではございません。いろいろとこの場の、このスーパーマーケットのその当時の状況について警察としては事情をお伺いをしたいという非常に強い希望を持っておる、こうりり人物でございますので、その辺のところを詳しくコメントをした上で発表した、こういういきさつでございます。
  121. 原田立

    ○原田立君 グリコ・森永事件に便乗した同様な脅迫事件も二、三発生していると報道されておりますが、その方はたしか二件ぐらいは逮捕されているようなことがありますけれども。そういう便乗組の方の捜査もしっかりやらなきゃならぬと思いますが、いかがですか。
  122. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 三月のこの事件が発生をしまして以来、私どもの方で便乗組の事件を検挙しておりますのは十七件ございます。こういった事件につきましては、非常に模倣性の強い犯罪でございますので、検挙がおくれればおくれるほどそれを見習って犯行を犯すというのがふえてくるわけでございます。したがって、まさに検挙にまさる防犯なしということで、全国の各都道府県警察にこの種の模倣犯罪の検挙については十分に力を入れるようにという指導をしております。今の状況はそういうことでございます。
  123. 原田立

    ○原田立君 厚生省来てますか。  この森永製品に混入された青酸ソーダは工業用の物とのことでありますけれども、これらの毒物についての管理指導はどのように行われているのか、また青酸ソーダの盗難届け等は出ていなかったのかどうか、これがまず一つ。  それから、何か十八日にも埼玉県和光市の工場から青酸ソーダの粉末二百七十グラムが入った金庫が丸ごと盗まれるというような事件も起きているわけでありますが、管理指導体制等の見直しの必要があるのじゃないかというふうに思うのですが、その点いかがですか。
  124. 小宮宏宣

    説明員(小宮宏宣君) お答えいたします。  青酸ソーダ等の無機シアン化合物につきましては、毒物劇物取締法上、毒物に指定しておりまして、製造業者それから輸入業者、販売業者のみならず、そういう青酸ソーダを取り扱う電気メッキ業とかあるいは金属処理業者というような業務上取り扱う業者に対しても、そういう青酸ソーダ等の化合物について普通物と区別して、かぎのかかる設備で保管しろというような厳重な保管管理の規定を設けております。また、これらの業者につきましては、毒物劇物の在庫量の定期的な点検、それから種類ごとの使用量の把握等につきまして厳正な管理を行うように、各都道府県と協力して監視、指導を行ってきたところでございます。  今回、特にグリコ・森永の青酸ソーダ事件にかんがみまして、特に事件の中心になっております大阪、兵庫、京都に対しまして、関係業者における青酸ソーダの厳重な保管管理及びその責任体制の強化等につきまして、改めて徹底するように指示しておるところでございます。  この青酸ソーダ等の毒物劇物につきましては、今後とも厳重な保管管理が行われるよう管理を徹底させていきたいと思っておりまして、また事故や盗難が発生することのないよう都道府県と協力して行っていきたいと思っております。  今までの毒物劇物取締法上、そういう毒物劇物を営業しておる業者が毒物劇物等を盗まれたり紛失した場合には、毒物劇物取締法上、そういう届けを出す形になっておりまして、今までそういう業者からの届け出は五十八年に青酸ソーダで二件、五十九年にシアン化水銀で一件報告いただいております。  今回の埼玉の事件につきましても業務課の方からそういう届け出を一応受理したということを連絡いただいておりまして、厚生省の方でも埼玉県の業務課と連携を保ちながら必要な調査を行っております。
  125. 原田立

    ○原田立君 長官、今度の森永の青酸物の入っているこれは、どうも工業用のそういう青酸化合物の毒物を注入してあるようなことでございますけれども、致死量はもう〇・二グラムぐらいで亡くなるんです。それほどの猛烈な力があるわけでありますが、今も発生件数なんかを見てみると、届け出はあったけれども、じゃそれを逮捕したというようなどころまでまだ行ってないのもあるだろうし、森永事件がこんなルートでそういう犯人の手元に行っているのじゃないかというような心配もするわけですね。そういう断定はできないかもしれませんが、そういうようなことがないようにせっかく御努力願いたいと、こう申し上げておくのですが、いかがですか。
  126. 鈴木貞敏

    説明員(鈴木貞敏君) 今回の事件は、もう一般国民が口にする食品に毒物を混入するという本当に悪質な事件でございます。五十七年の九月でございますか、新聞紙上でもございましたように、アメリカでは解熱剤のカプセルにやはり毒物を入れて七人が犠牲になるというふうなことで、我々としてもアメリカでこういう事件があるかということで衝撃を大変受けた記憶があるわけでございますが、これは犯人が検挙になったようでございます。日本におきましても五十二年段階におきまして、品川でコーラにやはり毒物が入れられて二人が亡くなるというふうな事件もございました。それから、八重洲口でやはりグリコに青酸カリを注入したというような事件がございました。これは犯人が検挙になっておりません。当時も大変耳目を聳動させた事件でございます。今回の事件、これは本当に国民全部を敵にするまことに悪質な事件でございますので、朝来から申し上げておりまするように、国民の協力を得ながら、ひとつ総力を挙げて一日も早く検挙するということで、全警察官がほぞを固めて今努力しておる、こういうことでございます。
  127. 原田立

    ○原田立君 せっかく御努力願いたい。  次に、昭和六十年度概算要求が出そろったわけでありますが、それを見ると各省庁補助金削減されております。概算要求補助金削減の内容は一体どうなっているのか。自治省としてはどういうふうに対応するのか。要するに九省庁、四十一項目、二千四百億円ぐらいがカットになっておる。これは自治省はこういうような大蔵省のやり方を是認したのですか。是認したわけじゃないでしょう。要するに、臨調から二分の一以上の高率の補助に対しては一割カットしろというふうな答申が出たからというのではっばっと決めて、要するに大蔵省主導型の概算要求が出ている。これに対してはいろんないきさつ等、ある程度私は承知はしておりますけれども大蔵省が一体どうしてこういうふうなことを言ったのか。あるいはまた、自治省としては今交渉している真っ最中ですから、まだ確定的なことはなかろうと思いますが、自治省としては自治大臣としてはどういうようなお考えで対処するのか。
  128. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 来年度の概算要求が行われている中で、社会保障費関係にかかります国庫負担等につきまして、国、地方との間の機能分担あり方見直しをしないで、今御指摘のような国庫補助の負担割合を一律に引き下げよう、こういうことでございます。これは国の財政の負担をただ単に地方に転嫁するだけにすぎませんで、国、地方を通ずる行財政改革の基本的な理念に反するものである、こういう考え方から、私どもはまことに遺憾なことであると思っているわけでございます。  国庫補助金などの整理合理化に対する基本的な私ども考え方は、先ほどもちょっと触れましたように、地方制度調査会とかあるいは臨調答申でありますとか、また国会で皆さん方からいろいろ出されました御意見を踏まえて、国、地方を通ずる行財政の簡素化、合理化地方公共団体自主性及び自律性の尊重の観点から事務事業の廃止縮減を行う、そして本来地方自主性に任すべきものは一般財源に移行することを基本として推進さるべきものである、こういうふうに考えているのでございます。  今申し上げましたような考え方に立ちまして、七月三十一日の昭和六十年度概算要求閣議了解あるいはまた九月十一日の概算要求の閣議報告、これらの機会に私の方から繰り返し自治省考え方を申し述べておきました。同時に、具体的な補助金の整理の推進の仕方につきましては、地方団体の御意見も承りながら大蔵省に対しまして申し入れを行っているのでございます。  六十年度の予算編成に当たりましては、地方団体の納得できるような形で補助金整理合理化が行われるように関係省庁とも十分に協議、調整を進めてまいりたいと考えているのでございます。
  129. 藤井誠人

    説明員藤井誠人君) 御質問にお答えいたします。  先ほどお話がございましたように、補助金、特に高率補助引き下げにつきましては、基本的な考え方といたしましては、臨調答申あるいは行革審意見というものに立脚しておるわけでございますが、なかんずく七月三十一日に六十年度の概算要求、これの閣議了解をいただいたわけでございますが、その中で別紙といたしまして「補助金等整理合理化」ということにつきましてあわせて閣議了解をいただいておるわけでございます。  その内容といたしましては、冒頭に行革審の七月二十五日に出ました意見というものをこれは閣議決定で最大限尊重するという取り決めをしておるわけでございますが、それに基づきまして、これは各省庁「所管補助金等を徹底的に見直し、次の基準により昭和六十年度の概算要求に織り込むものとする。」ということでございます。その「次の基準」というものの中に具体的に幾つか掲げてあるわけでございますが、その一つ補助金整理合理化ということで、具体的には、著しく高率の補助、人件費補助等の見直し、統合メニュー化、緊要性の乏しいものについての一時停止、終期の設定等の合理化を図ることとするということが明文上明らかにされておるわけでございます。したがいまして、各省庁におかれまして、この閣議了解を受けてそれぞれの所管する補助金につきまして整理合理化の趣旨をさらに徹底するということで御要求をいただいておるわけでございます。  結果といたしまして、高率補助引き下げだけでなくて、その他の整理合理化方策、例えば補助金等につきましては、いわゆる人件費補助等につきましての交付金化措置というものが従来からも努力がなされておるわけでございますが、そういうものも既に要求の段階で織り込まれておるというものもございます。  さらには、補助金等のかわりにあるいは融資措置等へ移行したらどうかというような意見も従来臨調答申等でもいただいておるわけですが、既に要求段階においてそういうものを先取りした形で盛り込まれておる、そういうものの一環として高率補助引き下げというものがなされておるというように私どもは理解しております。
  130. 原田立

    ○原田立君 臨調の最終答申において、全額補助高率補助引き下げ、かさ上げ等の見直しということについて「各種補助率間の整合性確保等のため、全額補助や著しく高率の補助の引下げ、特例的補助率のかさ上げの見直しを含め、補助率の総合的見直しを行う。」という答申が出ているわけでありますけれども、そうすると今回の大蔵省がリードしていることはこの答申に沿ったいわゆる総合的な見直しと、こういうことが言えるのか、あるいは単なる補助率の切り下げとするのか。もしそうなると、国と地方の負担関係を混乱させるもとになると思うのでありますけれども、その点はいかがですか。
  131. 藤井誠人

    説明員藤井誠人君) 考え方といたしましては、先ほど申し上げましたように、行革審意見というものは先ほど先生が御紹介されましたとおりでございます。したがいまして、全額補助や著しく高率の補助の引き下げ、特例的補助率かさ上げの見直しを含め、補助率の総合的見直しを行うということで、今後各省庁との折衝を進めさせていただきたいというように考えております。
  132. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) 臨調答申は、補助金等整理合理化という課題は国と地方が共同して行っている行政施策そのものについて整理合理化を検討することである、また、国と地方との費用分担あり方を検討することにほかならない、こういうことを言っておりますので、私どもといたしましては、閣議了解にございます高率補助見直しというようなことも、これは本来、事務事業をまず見直してからこの費用負担あり方を見直すべきものであるというふうに考えておる次第でございます。  また、第三次答申におきましても、補助金等整理合理化方策につきまして、行財政簡素合理化及び地方自主性自律性の尊重の観点から見直すべきであることを提言しておるわけでございますが、こういったことから、私ども臨調のこういった答申を踏まえまして、今後とも積極的に補助金整理合理化を推進すべきであるとは考えておりますけれども、今回の概算要求におきます国庫補助負担金の一律カットという方式は国、地方を通ずる行政改革の基本理念には合致しないものというふうに考えております。
  133. 原田立

    ○原田立君 全国知事会や地方団体反対を押し切ってまで補助金一割削減を強行して地方自治体に負担を転嫁させようとしている、こういうことですよね。田川自治大臣は、そういうふうなことではなしに、地方団体の味方としてこういうふうなことは是認しがたいということでおやりになっているのだろうと思いますけれども、仮にこれが強行されて地方にどっと二千四百億もの負担がかぶさってきたのでは地方財政またパンクしてしまう、そういう心配があるのですけれども、いかがですか。
  134. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) 今回行われておりますような社会保障関係費等の国庫補助負担金、これが一律にカットされるということになりますと、地方団体に与える影響というものは、先生指摘のように二千四百億にも上るわけでございます。各団体別に見ましても、こういった経費のウエートの高いところというのは相当大きな打撃を受けるというふうに考えております。
  135. 原田立

    ○原田立君 三次答申で、「地方公共団体に対する補助金等については、その機能を生かしつつ、行財政簡素合理化及び地方自主性自律性の尊重の観点から見直すべきである。」、こういうふうに答申しておるのですけれども地方自主性自律性の尊重の観点からこういうふうな一割カットというのは出たのですか。
  136. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) 先ほど申し上げましたように、地方公共団体自主性自律性を尊重する観点からは、こういった一律カットということは出てこないというふうに認識しております。
  137. 原田立

    ○原田立君 国は国家財政と比べて地方財政の方がまだ余裕があると思っているようなのでありますけれども、決してそんなことはないと思うのです。  昭和五十七年七月現在で、国家公務員給与を一〇〇としたラスパイレス指数一一〇以上の団体は三百七十一であり、全国の三千三百二十五の地方自治体を同一視することは危険であると思うのであります。ラスパレイスについてはそういうのがあったにしても、いろいろこれは行政においてはみんなどこも同じことをやるわけでありますから、この指数で給与の比較をすることは職員の人事構成の違いなどから現実に合っていないのではないか、別の指数を考えるべきではないかと思いますが、どうですか。
  138. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 地方公務員の給与水準というものを国家公務員の給与水準と比較します場合にいろいろな議論があるだろうというふうに思います。私たちもそういう議論はいろんな方から聞かせていただいておりますけれども、現在、国と地方の給与水準を比較する場合に一番権威があるといいますか、一番皆さんの間で認められておるのがラスパイレス指数だというふうに私たちは考えております。もしもそれ以上にいい方法があるという御意見の方がいらっしゃいましたら、私たちはいつでもそれを聞かしていただいて、これからの仕事の参考にさせていただくというふうには考えておりますが、現在、人事院の方でもそういう方式でもって官民の給与比較もされておりますし、そういう方法以外に今のところないのじゃないかというふうに考えております。
  139. 原田立

    ○原田立君 補助率削減影響都道府県別に見ると、福岡県が二百三億二千二百万で一番多い。その次が東京で百九十六億七千二百万、その次は大阪で百九十億七千九百万、北海道が百六十九億、こういうふうに多いわけでありますけれども、こんな多額のものが今回の措置カットされるようなことになると地方財政は非常に混乱するわけでありますけれども、これに対してどういうふうにお考えですか。
  140. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) 御指摘のように、今度の補助率カットにつきまして影響を受ける団体というのは、特に大きな団体あるいは産炭地等こういった生活保護者の多い団体、こういったところが影響を大きく受けるわけでございます。もとより地方財政の現在の状況は非常に大きな借入金を持っておりますし、到底こういったことを受け入れる状況にはないわけでございます。現在、地方団体は公債費負担比率が相当高くなってきております。こういったことから見ましても、私どもとしましては、現在一番緊要なことは地方債への依存体質からの脱却というふうな観点から財政の立て直しを図っていく、こういうことではなかろうかと考えておるところでございます。
  141. 原田立

    ○原田立君 東京は、五十七年度決算額で見ますと、歳入規模は三兆二千七百七十七億、大阪は一兆三千四百三十三億、福岡は八千四百十二億円、こうなっているわけでありますけれども、収入はぐっと少ないのに削減される額が全国で一番高くなっているわけでありますが、こういうように、ある特定の県にだけ負担が、しわ寄せが大きくなるというのは問題なんじゃないでしょうか。  事実、御承知のとおり福岡県の場合は、昔は産炭地域があっていわゆる黒いダイヤの石炭が出たところですけれども、今は大体もうめちゃめちゃになっているのが現状です。だから、したがって失対事業も多いし、あるいはまた生活保護世帯も多い。これは他の県と比べて特異な存在なんです。だから、収入の度合いからいけば東京、大阪などに比べてぐっと少ないのに、今度はカットされる金額においては二百三億と一番多い。これはちょっと全体観に欠けた物の見方ではないか、こう思うのですが、どうですか。
  142. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) 今回の一律カットにつきまして大きな影響を受けますのは福岡県、御指摘のように県で六十九億円、市町村分で百三十四億円、合わせて二百三億円となっておるわけでございます。これは申し上げるまでもなく産炭地域ということで非常に失業率も多いというところでございますので、こういったところの影響が非常に大きく上ってくる。産炭地を抱えます現在の福岡県及び県下の市町村の状況を勘案いたしますと、これらの財源、いわゆる生活保護とか失対に要する経費、これだけでも多額に上っておるわけでございますが、さらにこれが補助率カットされるということになりますと、各団体財政運営は非常に苦しくなる、大変なことであろうと私どもも存じております。
  143. 原田立

    ○原田立君 それはカットされれば苦しくなるわけでしょう。だから、自治省は一体どうするのですか。
  144. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) したがいまして、先ほど申し上げましたように、私どもはこうした一律カットということはやるべきではない、これは行政改革の理念に反するものであるということで大蔵省にも申し入れをいたしておりますし、また我々の考え方といたしまして、いわゆる人件費補助金とかあるいは既に地方団体に同化定着したような事務事業、これにかかる補助金とかあるいは集会所というふうなものにかかる補助金、こういったかつて地方制度調査会の御指摘があり、あるいは臨調でもそういった精神を述べておられますものですから、こういうふうな考え方に従って補助率の整理を行っていただきたいというふうな申し入れをしているところでございます。
  145. 原田立

    ○原田立君 生活保護や福祉施設運営などが削減の対象に含まれたことで市へのしわ寄せが最も大きいわけでありますが、福岡県の山田市では標準財政規模に占める削減額の割合が九・一%なんです。これはもう他の府県にない一番高率じゃないかと思うのです。幾ら節約の努力をしても現実に金のない市ではカット分を補えない。国も一律カットではなく、各自治体の実情を考えるべきであると、こう思うのですけれどもどうですか。  それで、自治大臣田川さん、こうやって生活保護十分の八が今度は十分の八掛ける九ですから十分の七・二ですね、補助金の出るのが。そうすると〇・八少なくなるわけだ。〇・八少なくなっても、生活保護を受ける人たちにはこれは関係ないでしょう。関係ないというふうにしてもらわないとこれは困る。そこら辺のところ、自治省厚生省とお考えをお聞きしたい。
  146. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) 山田市につきましては、この生活保護カット額が標準財政規模の九・一%を占めているわけでございますが、こういった実情を考えることが必要じゃないかという御指摘でございます。私どもは、こういった実情を考えます前に一律カットということがおかしいではないかというふうに考えておるわけでございまして、特にこの生活保護費のようないわゆる国と地方とが相携えて負担をしていこうというふうな生活保障の基幹的な制度でございますから、こういったものについて一律カット削減をするべきではないというふうな観点で申し上げておるわけでございます。
  147. 黒木武弘

    説明員黒木武弘君) お答えいたします。  福岡県の山田市の例を引かれまして御質問でございますが、御指摘のとおり、社会福祉行政は福祉事務所を設置する市を中心に実施しておる関係上、市に大きな影響が今回の措置に伴って出ることは承知いたしております。生活保護その他措置費等につきましては、地方財政法上、財政需要額に算定される経費でございますから、私どもは当然今回の措置に伴います負担増については交付税上手当てされるものと思っておるわけでございますが、それは予算編成過程におきまして、行革審でも意見として出されておりますように、地方財政計画を総体的に検討する中で適切な検討が行われ、結論が出されるものと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、御指摘にございましたように、私ども予算編成の基本といたしまして、社会保障の水準を下げないという前提で予算を編成いたしておるわけでございます。したがって、生活保護措置費等につきましてもできるだけ事業見直しまして、その実施の効率化等々、適正化等々は十分毎年度毎年度行っておるわけでございますけれども、保護費をカットするとか、あるいは措置費についてカットするとかいうことで、実際受益者と申しますか、受け取る人たちの額は減らないように配慮しているつもりでございます。
  148. 藤井誠人

    説明員藤井誠人君) 財源の問題に関連いたしますので、先生御承知のことかと思いますが、一言だけ申し上げます。  補助金等見直しに当たっての地方財政の問題につきましては、行革審意見に既に指摘いただいておりますように、地方財政全体の過不足をはかる土俵となる地方財政計画の上で総体的に検討するということで、これによりまして適切に対処し得るものであるというように考えております。  したがいまして、補動率の引き下げが行われました場合においても、地方財政計画の策定を通じまして、地方公共団体がひとしくその行うべき義務を遂行するために必要な財源につきましては、補助率引き下げによる影響額を織り込んだ上でマクロ的に保障するという形で対処するものと基本的に考えておる次第でございます。
  149. 原田立

    ○原田立君 財源の問題と裏腹なのがいわゆる行政権限、事務配分の問題でありますけれども、従来から言われているように、補助金権限で国に締めつけられてきたのが地方自治体であったわけでありますが、そういうような意味からも、地方自治体に早急に権限の移譲というものがあってしかるべきではないかと思います。  また最近、地方団体の席上で非常にこの問題について、要するに一割カットの問題について反対が非常に強い。それゆえに中曽根首相がその翌日、石原事務次官を呼んで権限移譲の特別立法をしたらばどうかと、こういうふうに言ったというようなことでありますけれども、そういうような面と、要するに問題が行政権限の移譲、事務配分の問題と、それからこの一割カットの問題と、こう含めてどうなさるのか御答弁いただきたい。
  150. 大林勝臣

    説明員(大林勝臣君) 御質問のように、先般総理から、国の権限移譲あるいは国の関与の問題につきまして自治省において具体案を検討してほしい、そういう御指示もございました。私どもとしましては、年来の地方団体側の要望でもございましたし、あるいは累次にわたる地方制度調査会答申あるいは臨時行政調査会の答申、こういったものの中に権限移譲あるいは国の関与の整理の問題が累積されてきたわけであります。現在その点検集積の作業をやっておる最中でありますが、補助率の問題は、これはやはり地方財政の問題というふうに私どもは理解をいたしておりまして、権限移譲の問題は権限移譲の問題として独自に処理する考えでございます。
  151. 原田立

    ○原田立君 もう時間が来ましたからここで終わりにしたいと思うのでありますけれども、どうかひとつ、ただ単に補助率が二分の一以上だから高率一割カットだなんていうようなことは、そういうような乱暴な手段は講じてもらいたくないということを最後に申し上げたいのでありますけれども田川大臣の御所見をお伺いして私の質問を終わります。
  152. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 行政改革というのは行政を簡素化して、そして国民の皆さんに負担をできるだけかけないように努力していくということ、それから行政能率を上げていかなきゃならぬ、こういうことにあると思うのです。これまで原田さんがおっしゃったような、御心配をされているような補助金の一律カットというものは、単に国の負担を地方にかぶせるということだけであって、公費、公の費用というのは減らないのですね。これは行政改革にならない。ですから、そういうようなものは私ども反対せざるを得ない、これは行政改革の趣旨に反することである、こういう考え方で今日まで来ております。  問題は、制度そのものをどうやって見直していくかというのが本当の行政改革じゃないでしょうか。これからもそういうことを各省庁ともお話し合いをして、そして本当の意味の行政改革を推進する、補助金を縮減する、整理するということに私ども反対するものじゃないのです。むしろ不要になったものあるいは細々したもの、こういうものは整理縮減していかなきゃならぬ。しかし、先ほど来申し上げましたように、行政改革の本当の趣旨を間違えて、国から地方にただ負担を転嫁するだけで片づけようという姿勢には、これは賛成することができない、こういう考え方で今後も進んでまいるつもりでございます。
  153. 神谷信之助

    神谷信之助君 まず、警察に対する質問をしたいと思います。  右翼団体であろうと、にせ左翼暴力集団であろうと、我々は断じて暴力行為を容認することができない。それは当然であります。今回の自民党本部に対する放火事件、これはまさに民主主義に対する重大な挑戦であり、攻撃であり、認めるわけにいかないことは明らかだと思いますし、指摘をしていましたように、いわゆる中核派とか革マル派などのにせ左翼暴力集団というのが非人道的な殺人者集団だということを今回の事件は実証していると思うのです。  ただ、きょうは今まで同僚議員からこの問題、それからグリコ・森永事件等について繰り返し質問されていますので、重複を避けて二点だけお尋ねをしておきたいと思います。  先ほどの警備局長の答弁で、この自民党本部放火事件についての捜査について、地取り調査は大体完了して、あと遺留品調査、それから組織調査を進めているという、そういう趣旨の答弁があったと思いますが、そして同時にこの犯人逮捕に決意の表明もあったわけですが、犯人逮捕の確信はおありですか、どうですか。
  154. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) この種事件は、御案内のとおりかなり捜査に時間がかかることが多いのは事実でございますが、警察といたしましては必ずやこの犯人を検挙する、このような覚悟で捜査を鋭意継続をいたしておるところでございます。
  155. 神谷信之助

    神谷信之助君 同僚議員も指摘をいたしましたけれども、公安警備関係の人数も、また装備も相当強化をされてきているわけで、しかも世界でも評価をされる強力な警察力を持っているわけです。しかし、衆議院の地方行政委員会で三浦議員が指摘をしましたが、この種事件の検挙率というのがほかの刑事事犯の検挙率に比べて低いのは事実です。きょうはもうそれを繰り返しませんが、その低い原因は、先ほどの答弁でありましたけれども、いわゆる街頭行動といいますか、街頭闘争というのか、目に見える行為ならばこれは現認もできるし、いろんなことで逮捕もしやすい。まあ最近のようにゲリラ化し、テロ化してくると、非公然活動が強化されてくるということになると非常に困難だということをおっしゃっています。確かにそうだという面は否定をいたしません。  しかし同時に、私はこれももう時間の関係もありますから繰り返しませんが、衆議院の三浦議員が言いましたように、自民党の政治家の中でも、福田元総理あるいは中曽根総理のかつての発言のように、泳がしておいた方が共産党対策としては便利がいいというような発言もあるという、そういう状況もあることは事実です。あるいは今度の事件で住法務大臣が、報道によると、マッチポンプだと言って浜田さんに殴られたという事件もあったようですけれども、いずれにしてもそういう見方も一面では行われるような、そういう状況というのは一般的にあるというように思うのです。したがって、断固として確信を持って逮捕してもらわなければ、それこそその非難が当たっていたということになり、警察の威信にもかかわる問題だということを申し上げておきたいと思います。  同時に、先日の十八日ですが、我が党の八王子の地区委員会も何者かによって破壊をされたり、あるいは前衆議院議員の岩佐さんの事務所も襲撃されたり、あるいはこの十月に入ってからで言いますと、我が党の神奈川県委員会もパチンコみたいなもので投石をされて、事務所の破壊損傷をされるとか、そのほか昨年の一月からことしの九月にかけても、まだ検挙はれていない事件が起こっています。これらは白昼の例えば宣伝活動に対する妨害行為なんかは、これは現場ですから、一定の時間かかっても逮捕されて、検挙されていますけれども、そういう現認できない夜間の破壊活動、これもやっぱり同じように検挙されてない事件が相当数まだ残っています。  ですから、こういった暴力行為を野放しにしないということが民主主義政治の維持をする上でも極めて重要だというように思いますので、この点についての直接の責任者である警備局長の御意見と、そしてまた長官の御意見を伺ってこの問題の質問は終わりたいというふうに思います。
  156. 柴田善憲

    説明員(柴田善憲君) 極左暴力集団の行っております事件の捜査が非常に難しいという点につきましては、ただいま議員の御指摘にもありましたような諸点がございまして、目に見えなくなっておるということに対する難しさという点が多々あるわけでございます。  ただ、もう一面御指摘がございましたような極左暴力集団を泳がせておるといったような点は、これは私どもとしましては絶対ないわけでございます。これは御案内のとおり、この極左暴力集団によりまして警察官の殉職者が十一名も出ておるわけでございます。また、極左暴力集団が跳梁ばっこいたし始めましてからの警察官の負傷者というものが二万四千名にも及んでおるわけでございます。その中には今日なお後遺症に悩み、病床に伏しているという者もあるわけでございまして、そういう意味で、私ども警察の責務を厳正に果たしていくという観点から、絶対に極左暴力集団を泳がせておるといったようなことはないということはぜひ御理解いただきたいところでございます。  ただいま御指摘の、何者かが日本共産党の事務所等にいろいろ違法行為を働くといったような事件が散発しておるということは承知をいたしております。いずれも、お話がございましたように、夜間ひそかに、人がいないときに突然といったような形の犯行でございますが、残されました微細な証拠をよく収集し、また犯行容疑者の情報収集、視察等も十分いたしまして、すべての事件につきまして必ずや犯人の逮捕までこぎつけたいということで目下鋭意捜査中でございますので、いましばらくお時間をおかしいただきたいと、このように考えておる次第でございます。
  157. 鈴木貞敏

    説明員(鈴木貞敏君) 厳正な法秩序を維持するということがとりもなおさず国家、社会の発展なり、あるいは国民生活の平穏を守るというためにも基礎的なものであろう、こういうふうに私は考えておるわけでございますが、そういう意味合いからも、法秩序を破壊するあるいはこれに挑戦するというこの種の犯罪につきましては、断固たる決意、そしてまた鋭意努力を重ねまして、一つ一つ解決していくということでありたいと、こう思っております。
  158. 神谷信之助

    神谷信之助君 泳がせているかどうかは事実の経過と結果が証明するわけで、犯人逮捕にひとつ全力を挙げてもらいたいというようにお願いします。では警察の方、結構です。  次は地方財政問題に移ります。  補助金の一割カット問題については、同様に同僚議員から議論がされています。大臣の見解も明らかにされています。私は、国民からいただいている税金を国の方が七割徴収し、地方は三割、しかし実際の仕事地方の方が七割から八割仕事をやっている、その財源は国税三税の三二%が交付税になり、あるいは各省からの補助金あるいはその他で賄うという状況になっている、だから一たん国民から税金は国の方が徴収をしながら、必要な財源は国からいただくという形で地方仕事をしている、だから三割自治とか二割自治とかいう状況になっているわけで、自治とはいっても実際上は財政であるいは財源でコントロールされるという、そういう地方自治行政が現実の姿だというように思うのです。  したがって、この補助金補助率カットというのは、これはその仕事をしなくてもいいということと裏腹で出てこないと、仕事はそのままで金だけは減らされるというこのことでは、これはなかなか自治体の方が納得できる問題ではないというように思うのですが、この辺の大臣のお考えはいかがですか。
  159. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 先ほどもちょっと触れましたように、行政改革というのはもう国民に負担をできるだけかけないために行政を簡素化、合理化していくということが目的でございまして、その一つの中に補助金の縮減整理というものがあるわけでございます。そういう中で、今御心配になっておられますように、一律にカットをしていく、本来はもう制度そのものをどういうふうに適切に運営していったらいいかということを見直していくことが大事なことで、その大事なことを忘れて、負担だけを国から地方に移動する、こういうようなやり方にはどうしても賛成ができない、そういう見方をとっておるわけでございます。
  160. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、第二臨調の方針なりあるいは行革審答申なり読ませていただいていますけれども財政をまず頭に置いて、財政をどう減らしていくか、金のかからないようにどうするかというところが第一義的になっている。いや、そうじゃなしに、むだなお金は使う必要はない、むだなことはやめなさい、そうして仕事の能率といいますか、効率化を図っていこう、結果として財源は少なくて済むというのが筋ではないのかと思うのです。  だから、例えば今問題になっている一割カットされる事業は、もうこれはせぬでいいもの、むだな仕事なんだと、むだなことをやっているという判断でカットするあるいはもっと縮小しなさいということでカットするなら、それは当否は別にして、議論はあるかもしれないが、それはそれなりの理屈があるというふうに思うけれども、ただ頭から一割カットというのは、今大臣もおっしゃったように、これでは筋も何もあったものじゃないというように思うのです。  したがって、そういうことになってくると、事務再配分といいますか、国が権限を持っておるものを地方に移譲するという問題も含めて財政問題を考えないで、財政問題は財政問題として、先ほどの行政局長の答弁ですと、権限移譲の問題は別の問題とこう切り離してしまえば、なかなか実際には自治体の方では消化しにくい、そういう内容になってくる。だから、権限の移譲は別で、財政第一主義といいますか、財政至上主義でいけばベストではないけれどもベターだといって一割カットというようなことが案としては出てこざるを得ない。そこに一つちょっと問題を私は感ずるのですが、この辺はいかがでしょうか。行政局長か財政局長か、どちらでも結構です。
  161. 大林勝臣

    説明員(大林勝臣君) 先ほど、権限移譲の問題と補助率カットの問題との関連についての御質問がございましたときにお答え申し上げました趣旨は、権限移譲の問題は国、地方を通ずる行革の重要な一環としまして、歴年にわたりまして、私どもももちろん、地方団体側も要望してまいったところでございます。ところが、今回一つの事案になっております補助率の一割カットの問題は、先ほど来財政局長からるる御答弁を申し上げましたように、私どもの立場から申しますと、国、地方を通ずる行政改革に沿ったものとはとても考えられない、こういう意味で、行革に沿う権限移譲の問題は権限移譲の問題として推進してまいりたい、こういう趣旨でお答え申し上げたわけでございます。
  162. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこでちょっとお尋ねしますが、先ほども出ていましたが、総理の方から石原次官らが呼ばれて、権限移譲問題について特別の指示を受けたというのですが、その内容と、対応していく自治省の方針、また、現段階といいますか、どういう段階に来ているのか、この辺についてちょっと報告してもらいたいと思います。
  163. 大林勝臣

    説明員(大林勝臣君) これは長年の間、地方制度調査会なり知事会を初めといたします地方側の御意見あるいは臨時行政調査会等からも御意見が出たものが累積をしております。現在、その後の法律改正あるいは現在の諸情勢のもとで点検すべきものは再点検をし、集積作業をやっておる最中でございまして、この作業を急ぎまして、成案ができました暁におきまして総務庁等関係方面と折衝に入ると、こういう段取りを考えております。
  164. 神谷信之助

    神谷信之助君 今お話しのように、これは地方制度調査会でも何回も答申をしている問題でありながら、今まで具体的には俎上に上らなかった。今度総理が特別にそういう指示をしたというのはどういう背景があるというようにお考えですか。
  165. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) 総理から次官に対しまして、権限の移譲をやるようにという指示があったわけでございますが、これはちょうど総理から次官が呼ばれました前の日、全国知事会議がございました。それで、各知事さん方から補助率の一律カットというものは非常に問題があるという御指摘がるる述べられたわけでございます。そういったやりとりを総理がみずからなさったわけでございますので、いわゆる補助金問題というものも、やはり権限の移譲というものがないことには地方団体としては得るものがないのではないかというふうな判断をされたやに承っておる次第でございます。
  166. 神谷信之助

    神谷信之助君 とすると、これは自治大臣の考えと若干総理の考えとが違うような気もするのです。金を削るだけじゃなしに権限も一緒に渡してしまえば金を削ったことにならぬ、自治体の方もそれで納得するのかという発想のようにとれる。しかし大臣の方は、権限はどう動こうと、金は国の方で使うのか自治体で使うのか、ちっとも総額としては減らぬじゃないかと、こういう発想ですわね。だから、その辺ちょっと違うような感じもするのだけれども、いかがですか。
  167. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) 総理のお考えと私どもの考えが違うのではないかというお話でございますが、これは見方にもよるかと思います。  私ども考えておりますこの権限移譲とそれから補助金の整理の問題、先ほど行政局長からお答え申し上げましたように、権限移譲の問題はかねてから主張しておった問題である。で、財政の、例の補助率カットという問題は、今回の概算要求段階で新たに起こった問題である。そこで本来、臨調答申からいきました場合に、補助金の整理の前提といたしまして、いわゆる国と地方との機能分担見直し事務事業見直しというものがなければならないわけでございます。  したがいまして、総理もそういった事務事業見直しということをやった上で補助金の整理というふうなことを考えられたのではなかろうか。そういう点においては私ども考え方は同じでございますけれども、たまたまこのたびの補助金の整理ということにつきましては一律のカットということになっております。この点がいわゆる各省概算要求で出しておるものと、それから総理のお考えとにちょっと食い違いが出る原因ではなかろうかと思うわけでございまして、この一律カットというものは、先ほど来申し上げておりますように国、地方を通ずる行政改革の理念には合致しないというふうに私ども認識しておるものでございますから、その辺での意見の、見方の分かれるところがあるかもしれませんけれども、もともと発想の基本といたしまして、事務事業見直しをやって費用負担を見直すべきであるという点については特に変わりはないものではないかというふうに思っております。
  168. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、大蔵省の方は一律カットで来た。しかし総理は、知事会議に出ていろいろ話を聞いている中で、一律カットではなしに、事務事業見直しとそれから財源をどちらに回していくか、財源の主体ですね、これと同時進行で行こう、いわゆる一律カット方式ではない、そういう発想から石原次官の方に作業を指示した、こういうように受け取っていいわけですか。
  169. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) 私どもはそのように理解いたしております。
  170. 神谷信之助

    神谷信之助君 大蔵省来ていますか。  大蔵省は今のやりとりを聞いておられて、大蔵省としてはそうはとっていないわけですか。
  171. 藤井誠人

    説明員藤井誠人君) 概算要求段階では、まさに今結果として高率補助引き下げが九省庁から出されておるわけでございますが、基本的な考え方は私どもも、行革審意見で再三触れられておりますとおり、総理のお考えあるいは先ほど自治大臣等がお答えになりました考え方と特に意を異にするわけではございません。
  172. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、大蔵省概算要求段階の一割カットというのは、とりあえずショック療法を与えて、そして後は実際にそのうち、一割カットじゃなしに、カットしない部分もあればする部分もあるということになるであろうということになるわけですか。
  173. 藤井誠人

    説明員藤井誠人君) 現在、関係省庁と折衝を進めておるわけでございますので、どういう形になるかということについては何とも申し上げようがございませんけれども考え方といたしましては、いわゆる高率の補助の見直しということは行革審意見に沿いまして今後作業を進めていく。その結果どういう形になりますかという点につきましては、いましばらく時間をおかしいただきたいと思います。
  174. 神谷信之助

    神谷信之助君 とりあえず高率補助については一割カットを出させて、そしてショックを与えて、後、各省との交渉での結果によるのだということになるようですね。鬼面人を驚かすようなやり方だというように思います。しかし事は重大なんです。  時間が限られていますから、私は生活保護関係の問題だけでひとつなにしたいんです。  まず自治省に聞きますが、この生活保護制度についての今度の一割カットというもの、これはどういうように自治省としてはお考えですか。
  175. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) 概算要求におきます国庫補助率補助金の一律カットということは、先ほども申し上げましたように、国と地方の責任分担あり方を見直すことなく国の財政事情によって国の負担を地方へ転嫁するということでございますから、これは行革の基本的な理念に合致しない。特に生活保護制度というものは社会保障制度の根幹をなすものでございますから、これを含めて一律にカットをするということにつきましてはまことに遺憾なことであるというふうに考えております。
  176. 神谷信之助

    神谷信之助君 厚生省見えていますか。  厚生省、今、自治省財政局長の方からは社会保障制度の根幹をなす生活保護制度についての一律一割カットというものについて理解に苦しむというか、遺憾の意を表されておりますが、社会保障制度そのものを担当している厚生省がそういう批判を受けるような一割カットをなぜ概算要求でやったのかという点はいかがですか。
  177. 黒木武弘

    説明員黒木武弘君) 社会保障を担当する厚生省がなぜ一割カットをやったのかという御質問でございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、主たる理由は行革審意見、それを踏まえまして閣議でこの方針が了解をされたということでございます。もとより私ども行革審意見に補助対象事業の廃止、縮小等を含めた見直し等々が明記されていることも承知いたしております。しかし片一方、高率補助についても見直せと、こういう指摘でございます。  生活保護あるいは措置費等を含めまして非常に社会保障の基本になる制度でございますけれども、したがってまたこの事業を廃止したり縮小したりすることは国民生活に全く甚大な影響を及ぼすので、廃止、縮小はできない事業だと心得ているわけでございます。しかしながら、これら事業についてはできるだけ効率的な実施あるいは適正化の見直しはやっておるわけでございますけれども、廃止、縮小等はできない事業である。  しかし、高率なるがゆえにそれをまた引き下げ見直しをしろというのも行革審意見でございまして、したがってそれを含めまして高率補助率を一割下げようではないかということで概算要求に盛り込んだわけでございますが、これが社会保障についての影響が心配されるわけでございますが、これにつきましては、行革審でも補助金見直しに伴う負担増については地方財政計画で総体的に検討を行うということになっておりますとともに、生活保護等重要な経費につきましては地方財政法で明確に財政需要額に算入をするということでございますので、全体の大蔵、自治省予算編成過程において、折衝におきまして今回の措置に伴う負担増については財源的な配慮がなされるものというふうに考えまして、社会保障の後退にはつながらないであろうということで私どもは今回の措置に踏み切ったわけでございます。
  178. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、大蔵省に聞きますが、先ほど同僚議員の質問に対しても、大蔵省地方財政計画上、総体的に検討するという趣旨のことをおっしゃっている。  六十年度の地方財政計画がどんな状況になってくるのかというのは、まだ税収見込みその他確定していませんからわかりませんけれども、仮に現状のままとして、二千四百億ほど自治体の方の財政負担ができる、そのまま簡単にして、ほかのは全部捨象して。そうしたら、その分は交付税にプラスして財源を認めますということも考慮に入れた上でお考えになっているわけですか。
  179. 藤井誠人

    説明員藤井誠人君) 具体的な数字についてどういうふうに対処するかということにつきましては、今後さらに自治省と相談をしながら進めさしていただきたいと考えております。
  180. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、将来のことはまだわかりませんわな。だから、いろいろな条件を全部今言ったように現状にそのまま固定させちゃって、一割分二千四百億、それだけ国から地方へ負担は回る。そうしたら基準財政需要額にそれだけ算入をする。そのとき、交付税全体からいったら、枠から出るのだから、出た場合には——具体的に実際上は出るか出ぬかわからぬが、しかし出た場合にはちゃんと補てんをするという腹づもりでやっているのですか。
  181. 藤井誠人

    説明員藤井誠人君) 先ほど申し上げましたように、全体の財源不足額がどうなるか、あるいは全体の地方財政計画がどうなるかという観点で、全体の議論を進めていく過程で本件もあわせて検討さしていただくということでございますので、その時点で御相談申し上げたいと考えております。
  182. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、それはまだ現在の段階ではどうにもならぬわけですよ。だから、それは実際上やるときは、この経費はもっと減らせとかということを言って、二千四百億円どこからかひねり出そうということを大蔵省は考えるだろうし、自治省がそんなことはできませんという話になるだろうし、それは話はわかりません。だから、そんなことは全部そのままにして、二千四百億足らぬようになったらちゃんと見るのだなと言っておる。それは当然でしょう。これは交付税法からも明確になっておるのだ。
  183. 藤井誠人

    説明員藤井誠人君) 財源不足額の処理につきましては、御承知のように地方交付税及び地方債——現実に対象がどういう形になるかということは、現時点では例えば全体の高率補助の対象がどういう形になるかということについてはまだ十分煮詰まっておりません。これから作業を進めていく過程でございますので、そういうものの結果といたしまして、交付税あるいは地方措置というものの全体の中で対応を進めさしていただきたいというように考えております。
  184. 神谷信之助

    神谷信之助君 大蔵省の腹はそれだけ分を削ればよろしいという腹を持っておられるということは大体わかる。  そこで、今度は厚生省ですが、生活保護法のこれは第一条に「この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」というように明記をされていますね。だから生活保護制度は、先ほども自治省財政局長が社会保障制度の根幹だとおっしゃったけれども憲法二十五条に基づく最低生活の保障というこの原則を具体化した法律であるということは間違いないというように思うのだけれども、いかがですか。
  185. 清水康之

    説明員(清水康之君) 御指摘のとおりでございます。
  186. 神谷信之助

    神谷信之助君 それはこの第一条にあるように、国が行うのだということもはっきりしていますね。
  187. 清水康之

    説明員(清水康之君) 先生御案内のとおり、生活保護につきましては、その事務の性格であるとか、あるいは社会経済状況であるとか、あるいはそのときの国、地方団体財政事情だとか国民世論の動向だとか、いろいろな要素を総合的に勘案して負担割合というものは本来決まるべきものであるというふうに考えておりますが、事実といたしましては、御案内のとおり現行の生活保護法はもとよりのこと、昭和二十一年に旧保護法が制定された当時以来一貫しまして、国と地方公共団体相互の利害に関係のある事務という位置づけがなされているわけでございまして、一貫して地方公共団体にも負担をしていただいてきているわけでございます。  この点は地方財政法上も明確になっているわけでございまして、今回の補助率見直しそのものは高率国庫補助金の問題について各省が足並みをそろえて行っているものの一環ということでありますので、生活保護費についても例外扱いにはなっていないわけでございますが、私どもは諸条件が整えば当然一括法で処理されるというふうに理解をしております。したがって、生活保護法第一条の改正だとかあるいは第一条に書いてある考え方と今回の負担割合の見直しが矛盾するとか抵触するとか、そういうふうには考えておりません。
  188. 神谷信之助

    神谷信之助君 それは大分牽強付会だね。確かに地方財政法の第十条で、国と地方公共団体相互の利害に関係のある事務を行うために要する経費は国と地方公共団体がこれを負担をするという中に生活保護に関する経費というのがあります。だから、それに基づいて自治体の方が二割の負担をしているわけですね。  しかし、生活保護法のあなたのところの逐条解説を見ますと、「保護を国が直接その責任において行うこととしたのは、地方公共団体の責任において保護を行わせ、国は単にその費用について財政援助をするという制度では生活保障の目的が達せられないからである。」という解説をなさっている。それは単に労働力の有無だけではなしに、すべての生活の困窮者という建前だから、そのときどきの、その地域、地域による経済事情の変化というものがあるので、したがって市町村とか都道府県という区域をはるかに越えた広域を単位として考えなきゃならぬ。だから、経済変動のまにまに発生をするこの生活保障を国が責任を負って行うというのをはっきりさせている。、これは先ほど同僚議員が言いますように、炭鉱離職者の多い福岡とか、あるいはドヤ街とかそういう生活困窮者の多い東京、大阪あるいは北海道——これは炭鉱もありますけれども、そういったところで現在は生活保護の対象者が多いという状況を示しているわけですね。だから、市町村単位でうんとでこぼこがある。だから、そういうものについてひとつやろう、しかも憲法で規定をしている最低生活保障の原則ですから、それを市町村の経済力いかんによってこれが左右されてはならないというのも理由に挙げておられるわけでしょう。  だから、こういう観点からいうと、国が八割持って、そして自治体が二割持つと、そういうことで、全国的規模でどのような経済情勢の変化にも対応してこの憲法の規定を具体化をする、そういう責任を明記をしてつくられているのが生活保護法ではないかと、私はそういうように思うのですね。だから、これは例えば今一割カットですよ。さらに財政が厳しいともう一割カットせい、また厳しくなったらもう一割カットせいと、こういうふうになりかねない、こういうふうに思うのですけれども、この辺はいかがですか。
  189. 清水康之

    説明員(清水康之君) 生活保護について行われております補助金が、性格としてそれはいわゆる補助金ではなくて負担金であるという点については全く同感でございます。また、あるいは国家責任が相当重いものであるという点についても全く異論はございません。しかし、この国家責任が重いものだから国が十割を負担してやらなきゃいかぬものなのか、あるいは八割ぐらいが妥当なのか、あるいはその他の割合が妥当なのかということについては、十分その当時の国と地方財政事情なり、いろんな国民世論の動向なり、そういうものを総合勘案して決めていくべきものでありまして、したがって、先ほど申し上げましたとおり昭和二十一年以来、一貫して地方が負担をしてきておるわけでございますから、私どもはこの負担割合が見直しの対象になることが生活保護法あるいは憲法で保障されている問題に抵触するとかあるいは矛盾すると、そういう問題ではないと、こういうふうに理解しておるわけでございます。
  190. 神谷信之助

    神谷信之助君 昭和二十九年に生活保護の国の負担を減らす動きがあったのは知っておられるかな。
  191. 清水康之

    説明員(清水康之君) よく承知しております。五割負担という大蔵省からの提案がありまして、それを厚生省、自治庁あるいは地方団体反対をして、最終的には撤回をしていただいた、こういう経過になっております。
  192. 神谷信之助

    神谷信之助君 吉田内閣のときで二十九年の一月早々でしたね。四日か五日ぐらいだったかな。そういうのが国が五割負担で都道府県が三割だったか、市町村二割か、ごぼっと変えるという案が突如出てきて、厚生省は緊急にそれに対する反駁書を出したんですね。それを見ますと、三つの理由を挙げて反駁している、当時の出縣厚生大臣。  第一の理由は、防衛費を二百億もふやして社会保障費だけ大幅に削減するとはけしからぬ、だから反対だ。これが第一点です。  それから第二点は、減らした分は交付税で——あのときは平衡交付金制度でしたが、平衡交付金でちゃんと見るからいいじゃないか、こう言うけれども冗談じゃない、あれは使途は自由で、必ず生活保護費に補てんをされるとは限らぬではないか。これが第二点。  第三点は、この制度は憲法の最低生活保障のこの原則によるものであって、財政の引き締めというだけで削減できるものではない。  以上三点が当時の厚生省の反論の中心です。ちょうど現在とまたよう似ておるわけですよ。軍事費だけが突出をする、増加をする。それで、この間の国会では健保の改悪、国共法の改悪、当然やられておる。今度は一番社会的弱者と言われる生活保護者を対象にした生活保護を国の責任を一層不明確にして、金だけは、ツケだけは自治体の方に一割回す、こういうことだと思うのです。先ほど、それは地方財政計画上でやるのだと、あるいは当然基準財政需要額に計算をされるはずだと。ということは、逆に言うとその分は交付税で補てんをするということになるじゃないかとおっしゃるのだけれども、私はこれはそうはならないと思うんですよ。交付税財源は自治体の自主財源であって、その使い道をいかに政府といえども左右することはできないのが交付税制度の根幹ですから、人の懐を当てにして、そして自分のところの出すべき分は減らしてしまうというのは言語道断だというように思うのだけれども、いかがですか。これは厚生省どうお考えになりますか。
  193. 清水康之

    説明員(清水康之君) 私が答弁するのが適当かどうかよくわかりませんけれども、私の理解しております交付税についての考え方から言いますと、おっしゃるとおりひもつきでないことは事実でございますけれども、いかなる地方団体においても標準的な行政が可能になるような保障をしているわけでございますから、私どもはこの地方財政計画を通しての交付税措置によって生活保護行政に極めて重大な影響が出てくるというふうなことはないであろうというふうに考えているわけでございます。  また、先ほど来会計課長からも御説明しておりますとおり、財政上の理由でいわゆる生活保護行政の引き締めなどが行われることのないよう、要保護者である国民に対して大きな影響が及ばないようにいろいろ苦労をして今回の措置になっているわけでございまして、その点は御心配をいただく必要はないのではないかというふうに思っております。
  194. 神谷信之助

    神谷信之助君 生活保護の受給者に対して大きな影響が出ないように対処する一どんな対処をするのか。一割金やらぬのだから、市町村長が対象者を減らしたり一割削ったりしたって構わぬじゃないか、欲しかったら厚生省もう少し大蔵省へ行って持ってこいと言ってもいいのだから、どんな補てんをしているのか。
  195. 清水康之

    説明員(清水康之君) 御案内のとおり、今回の措置におきましては、最低生活の保障である保護基準の切り下げであるとか据え置きであるとか、あるいは予算上の保護対象人員の圧縮であるとか、むしろそういう直接的に要保護者に大変な影響を与えるような問題を避けながら、再三御説明がありましたとおり、国と地方との役割分担などの議論も行いながら全体として、現代の五十年代あるいは将来の六十年代にふさわしいような負担のあり方議論をしていこう、こういう面もあるわけでございますので、私は今回の措置によって直接的に保護水準の切り下げになるようなことは、当然担当の課長としてこれを防いでいかなければならないというふうに決意しております。
  196. 神谷信之助

    神谷信之助君 大体、交付税の計算は、あなたおっしゃるように財政需要額を計算をし、財政収入額を計算をされておりますよ。だけども、その計算どおり市町村が使うというふうなことは拘束されてない。市町村によっては道路に力点を置く場合もあれば、人口急増地域では学校建設に金を使う場合もあるし、だからそれぞれの市町村長が自分で判断をして、生活保護に回すべき交付税であろうとよそへ回すのは自由なんだ。事実、消防庁はいつもここで答弁して泣いている。基準財政需要額でちゃんと消防職員の人数は全部計算をしたけれども、そんな職員はちっとも充足されてないわけだ。だから、消防力の基準になかなか到達しませんというのも現にあるわけだ。だから、計算はされるから必ずそのために支出をしてもらえるという、そんな断定というのは交付税制度を知らない者だというように思うのであります。  そこで大臣、私はこの問題非常に重要だと思うのですが、一割カットして市町村にその金を負担をさしたらそれで済むという問題だけではとどまらぬ。いわゆる財政上の問題あるいは財政上の技術的な問題にとどまらないので、先ほど財政局長答弁したように社会保障制度の根幹になっているこの生活保護制度をむだな事業と見るのかどうか。むだならなくしたらいい、あるいはその事業をやっている中にむだがあるならばそのむだをなくすということは重要です。しかし、その事業そのものが必要であるならば、それは憲法なり憲法に基づく法律、制度、このものをやっぱりちゃんと守っていくということが非常に大事だと思うのですね。  だから、補助対象事業でもいろいろありますね。いわゆる奨励の意味の補助事業もあれば、このように憲法の規定に基づく国の責任としてやっている仕事市町村に担当させる方がより実際的だということで機関委任事務をし、したがってその場合には財政負担を国が大幅に持つ、いわゆる高率補助制度でその責任を明らかにしていくと、こういうシステムもある。補助事業にはいろいろな種類があるわけです。だから、今取り上げたこの生活保護事業のように憲法にかかわるようなそういう事業までも一律カットの対象にするというのは、私は断じて容認することができない。  それでこの点ではさらにもっと検討をし、先ほどの行政局長の話じゃないけれども、そういう機関委任事務を洗い直し、権限移譲見直しをやりながら、その中での移譲のできるものできないもの、いろいろあると思うので、こういったものとやっぱり相まって財源配分というものを考えるというのが当然ではないかということを思うのですが、この点についての大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。
  197. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 国、地方の行政の根幹にかかわる社会保障制度につきましては、国、地方機能分担あり方を見直すことをしないで、単なる国の財政事情によって負担割合を変更すべきことではないと思うのです。こういう問題につきましては非常に重要でございますから、厚生省の方でも話がありましたように、自治省厚生省大蔵省、関係各省で十分話し合いを今後していくべきではないかと、こういうふうに思っております。
  198. 神谷信之助

    神谷信之助君 この問題では最後になりますが、財政局長、先ほど言いました前の二十九年のときは厚生省が先頭に立って反対し、自治省地方団体がみんな反対してつぶしたわけですね、幸い。今度は、厚生省の方から一割カットを強引にあなた押しつけられてしまって、ちょっと大変だと思う。しかし今も言ったように、これは財政技術上の問題ではなしに、やっぱり憲法に規定をされた国の責任にかかわる事業ですから、こういった点はひとつ十分考慮して、こういう暴挙は許さないように、きょうは一番大きい生活保護問題だけを取り上げましたけれども、その他それぞれの理由、根拠の強弱があると思いますけれども、この辺は十分踏まえてやっていただきたい。  特に先ほど大蔵省あたり、地方財政計画上、総体的に検討してとかどうとかおっしゃっているのだけれども交付税財源でこれが賄える、補てんができるという筋合いのものではないことは、これはちょっと今簡略に言いますけれども、先ほどから言っているように思うのだけれども、この辺は間違いないですね、財政局長
  199. 花岡圭三

    説明員花岡圭三君) 私どもも、生活保護というのは国の責任で行われるものであるということが基本と考えております。したがいまして、国と地方機能分担が定められておる現在の負担率を変えないという前提ですべてのことを解決すべきであるというふうに考えております。
  200. 神谷信之助

    神谷信之助君 じゃ、この問題は終わりますから、大蔵省厚生省結構です。  次に、簡単な問題なんだけれども、来年、科学万博、筑波博が開催されます。これは地方税法の一部改正で、都道府県は期間中外国人の宿泊及び飲食に対し料理飲食等消費税を課税してはいけないというようになって、来年の三月一日から九月三十日まで七カ月間外国人に対する非課税措置がとられるということになります。  ところが、京都府にとっては、これは大変なことになってくる。五十八年度、昨年の京都市内における外人の宿泊客というのが延べ二十万人、そのうち三月から九月だけ見ますと十二万六千人ですね。だから、比較的集中している時期に当たるわけです。これはまあいい。そのときの消費したものが三十三億円で、基礎控除分を引いて料飲税が二億九千八百万、約三億円入っているわけです。これは五十八年度の料飲税の百四億円の約三%に当たるわけですが、これは筑波博が開催されると当然五十八年よりも外人客はふえてくるでしょう。こういうことで国の施策による税の減収が起こるわけですね。  それで、従来こういった問題については、国の施策によるところの減収の補てんというのは当然国が責任を持つという建前であったと思うんです。したがって、そういう点を貫いて何らかの措置をひとつ検討してもらいたい。  ただ、聞くと、万博のとき、それから沖縄の海洋博、このときも同様にやられて結局は交付税計算だけだった。交付税計算は特別措置したことにはならぬ、税収が減ってきたら、当然それだけ交付税がふえてくるのは決まっているのだから。逆に、交付税措置だけですと二割分は実質上の減収になりますから、だからそういう点をひとつ考えてもらいたいというように思うのです。結論としては、何らかの措置を検討してもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  201. 矢野浩一郎

    説明員矢野浩一郎君) 国際科学技術博覧会の開催に伴いまして、今御指摘のように、来年の三月一日から九月三十日までの間の外国人のお客さんの宿泊とこれに伴う飲食費、これにつきましては非課税とすると、こういうことにいたしておるわけでございます。  これは、筑波の科学技術博覧会開催を機会に、できるだけ多くの外国の方々に我が国の文化、社会、経済の実情、実態を知っていただいて国際友好も深めたいと、こういうことは極めて意義の高いことだと、こういうことから非課税の措置がとられたわけでございます。  御指摘のように、東京オリンピックあるいは大阪の万国博、沖縄の海洋博、いずれも全く同様の措置をとってきたわけでございます。  確かに地方財政大変厳しい状況でございます。私ども十分承知をいたしておりますが、今回の博覧会の開催に際しましては、そういった科学博の意義というものを地方公共団体においても十分御理解いただいて御協力をいただきたいと、そういう必要があろうということからこのような措置をしたわけでございます。  御指摘のように確かに減収になるわけでございますが、これも御質問の中で既にもうおっしゃられたところでございますけれども、減収分は、少なくとも基準税率相当分、これは交付税においてはね返ってくるわけでございますから、そのこと自身が京都府等の財政にとって極めて大きな影響をもたらすことにはならないのじゃないかということを考えているというぐあいに考えるわけでございます。  また、減収額全体、約三十二億ぐらいと全国で推計いたしておりますけれども、これはそういった減収等を全部見込んで昭和六十年度の地方財政対策講じられるところでございますので、その範囲内で交付税で実質的に補てんをされていく。二割の部分について、その分は未措置で残るではないかと、こういう御指摘をあわせていただきましたが、確かにそういった点は残るわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、そういった部分が京都府の財政に決定的な影響を与えるとはちょっと考えられませんし、その二割相当分ぐらいはひとつ京都府においても御協力と申しますか、御配慮をいただきたいと、こういうぐあいに考えておるところでございます。
  202. 神谷信之助

    神谷信之助君 前にもその種の問題、ちょっと今思い出せないのですけれども、起債なりあるいは特交で何か面倒見たこともあるし、起債で一定の措置をするとかいう措置もあったように私は記憶があるのですけれども、ひとつそれは検討してもらいたいというふうに思いますが、お願いをしておきます。  それから次、消防庁見えてますか。  年金問題なんですが、御存じだと思いますが、五十四年改正で一般職員が年金の支給開始年齢が七十五年から六十歳ということになった。消防職員と警察職員がそのときに特例措置で五十五歳ということになったわけですね。この特例措置をとってもらったために財源率で千分の九ですか、だから本人負担で千分の四・五余計掛金を払ってこの五年間きた。今回、基礎年金導入に関連する年金法の改正に当たって、この特例廃止の動きが出てきておるという問題なんです。  消防職員で、これは私の京都のところの市町村の消防で見ると、月一人当たり千円ぐらい余計に出して、全国でいくと七十八億円ぐらい余計に出した分が積み立ててやられている。もちろん、その間に退職して年金に出ている人もありますけれども、そういう計算になるわけですが、これの賛否といいますかですね。  御承知のように警察職員も消防職員も団結権が認められていない。したがって、個々の人たちはほとんとこれは知らないんですね。八月の十日に消防長会の何といいますか、幹部の連絡会議が開催をされて、大半が反対あるいは疑問を出している。特例廃止に賛成だというのは二人だけだったらしいのですけれども、結局その会議では消防長会の会長と人事教育委員会、これは京都市の消防局長ですけれども、これに一任をされて終わって、結局九月十日付で今度は消防長会の会長名で特例措置廃止、一般職員と同様に六十一年から経過措置をとってもらいたい、第二項は掛金率を今の千分の四・五じゃ多いですから、これを五十九年の十二月からできたら減らしてくれ、遅くても来年の四月からはそうしてくれということで各単位消防長の方に了承を求めておるわけです。それに応じて京都の府下の消防長会議もやられ、意見の集約なんかがやられているわけですけれども、これについて、やっぱりそれはぐあい悪い、あるいは経過措置がどうなるのか、そういうこともひとつはっきりしてくれ、今まで余計出してきた分は一体どういうように権利を保障されるのかと、この事実を知った職場では議論になるわけです。ところが、どの消防署も全部知っているかといったら、そうではないわけね。知っている消防署の方が少ないわけなんです。  これは警察職員も含めて同じことですけれども、それより個々の職員の、あるいは労働者の権利にかかわる問題、あるいは利害得失にかかわる問題ですよね。それを十分に理解をさせ、そしてその上で了承されるならいいけれども、消防長段階で、自治省が言っているし、警察も大体乗りそうやし、消防だけが逆立ちしてもあかんらしいしということで右へ倣えになってしまう、こういう傾向が出てきているのですね。  私は、これは団結権が保障されていない警察職員や消防職員の権利にかかわる問題だし、民主主義の問題からいっても重大問題だと思う。こういった問題はやっぱり十分に納得さして、もう決まってしまったのだという押しつけだけじゃなしに、そういう点についても意見も聞きやっていくことが実際には団結を強め、それで実際の仕事に精励する基礎になると、こういうように思うのだけれども、この趣旨徹底と、そしてそういう意見の収集、こういう方法について民主主義を貫くような指導というものをやってもらいたいと思うのだけれども、まずこの点いかがですか。
  203. 関根則之

    説明員(関根則之君) お話のございましたように、現在、消防職員に関連いたします共済制度のあり方についての検討がなされておるわけでございます。これは公的年金制度の一元化という大きな課題があるわけでございますから、そういったものとの展望を踏まえていろいろ基本的な見直しをやっているわけですが、それの一つの問題点として、今御指摘の特例制度の問題が起こってきているわけでございます。私どもは、職員の現場における人事管理というものにも非常に大きな影響を及ぼす問題でございますから、それらとの兼ね合いを含めて、人事管理の現場での責任を持っておる消防長さんたち意見を現在求めているところでございます。  全国の消防長が集まって組織しております全国消防長会議があるわけでございますが、その中でいろいろな経緯があってやりとりがありながら、現在なお最終的な結論には至ってないというふうに聞いております。  いずれにいたしましても、職員の管理をいたします消防長というのは、職員がどういうふうな物の考え方をしているのか、職員の意向というのは当然常に把握をした上で人事管理をやっていかなければいけないわけでございますし、そういう指導も私どもとしてはいたしているわけでございまして、そういった一般的な人事管理の中で消防長が職員の意向というものを十分踏まえた上で全体の消防長会の意見というものをまとめてくるように現在お願いをしているところでございますので、できるだけそういう一般の職員にもよく問題の所在というものを理解をしていただきまして、公正な結論が得られるようにしていくように指導していきたいと思っております。
  204. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、これで最後にします、時間が来ましたから。  特に警察の方にお願いしておきますが、自治省に聞くと、やっぱり警察の方が大きいですから、警察が特例廃止と言って決まると、消防署の方は反対だと言っても、もうこれどうにもならぬと。だから、この問題のかぎは警察が握っている。ただ、警察の方の職員の皆さんがどういう意見を持っておられるのかというのは我々の耳になかなか入ってきません、ベールに包まれていますから。消防職員の方はまだ民主的だから、ちょこちょこういうふうに入ってきます。だからそれだけに、私はこれは今消防職員の問題言いましたけれども、警察職員も含めて十分その点は徹底してもらいたい。こういう点がやっぱり十分に知らされない、それから十分に意見がくみ上げられない、これがやっぱりいろんな不祥事件の発生の一つの原因になっていることは事実なんです。だから、この点特に警察の方が消防が決まるのに先駆けて先に行ってしまわぬように、消防とも十分連絡をとってもらって、独走しないことを特に要望しておきます。  もう時間がありませんから、それで結構です。
  205. 岩上二郎

    理事岩上二郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時十分散会