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1984-08-01 第101回国会 参議院 大蔵委員会,地方行政委員会,農林水産委員会,商工委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年八月一日(水曜日)    午後一時開会     —————————————   出席者は左のとおり。    大蔵委員会     委員長         伊江 朝雄君     理 事                 岩崎 純三君                 大坪健一郎君                 藤井 孝男君                 竹田 四郎君                 塩出 啓典君     委 員                 梶木 又三君                 河本嘉久蔵君                 倉田 寛之君                 福岡日出麿君                 藤井 裕久君                 藤野 賢二君                 宮島  滉君                 矢野俊比古君                 吉川  博君                 赤桐  操君                 鈴木 和美君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 近藤 忠孝君                 青木  茂君    地方行政委員会     委員長        大河原太一郎君     理 事                 岩上 二郎君                 真鍋 賢二君                 志苫  裕君                 三治 重信君     委 員                 古賀雷四郎君                 出口 廣光君                 佐藤 三吾君                 刈田 貞子君                 原田  立君                 神谷信之助君    農林水産委員会     委員長         谷川 寛三君     理 事                 北  修二君                 最上  進君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 浦田  勝君                 大城 眞順君                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 坂元 親男君                 竹山  裕君                 初村滝一郎君                 星  長治君                 水谷  力君                 森田 重郎君                 稲村 稔夫君                 上野 雄文君                 野田  哲君                 下田 京子君                 喜屋武眞榮君    商工委員会     委員長         斎藤栄三郎君     理 事                 降矢 敬義君                 森山 眞弓君                 高杉 廸忠君                 市川 正一君     委 員                 岩本 政光君                 亀井 久興君                 佐藤栄佐久君                 杉元 恒雄君                 松尾 官平君                 松岡満寿男君                 梶原 敬義君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君        農林水産大臣   山村新治郎君        自 治 大 臣  田川 誠一君    政府委員        大蔵政務次官   井上  裕君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        小野 博義君        大蔵大臣官房審        議官       角谷 正彦君        大蔵大臣官房審        議官       山崎 高司君        大蔵省主税局長  梅澤 節男君        農林水産省構造        改善局長     井上 喜一君        農林水産省農蚕        園芸局長     関谷 俊作君        中小企業庁長官  石井 賢吾君        自治省税務局長  矢野浩一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        河内  裕君        常任委員会専門        員        高池 忠和君        常任委員会専門        員        安達  正君        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        日本専売公社総        裁        長岡  實君        日本専売公社総        務理事      岡島 和男君        日本専売公社総務        理事       西村 忠弘君        日本専売公社総        務理事      森  宗作君        日本専売公社理        事        生平 幸立君        日本専売公社理        事        丹生 守夫君        日本専売公社理        事        友成  豊君        日本国有鉄道旅        客局サービス課        長        藤田 好一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○たばこ事業法案内閣提出衆議院送付) ○日本たばこ産業株式会社法案内閣提出、衆議  院送付) ○塩専売法案内閣提出衆議院送付) ○たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等  に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○たばこ消費税法案内閣提出衆議院送付)     —————————————    〔大蔵委員長伊江朝雄委員長席に着く〕
  2. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会地方行政委員会農林水産委員会商工委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして私が連合審査会会議を主宰いたします。  たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 本法案連合審査に際し、私は商工委員として関連する事項について以下数点にわたり質問をいたしたいと存じます。  まず、大蔵大臣に伺います。  本法案において日本たばこ産業株式会社は、「たばこ製造販売及び輸入事業」、これらの「事業に附帯する事業」に加えまして、「会社目的を達成するために必要な事業」も行える、こういうふうになっております。この「会社目的を達成するために必要な事業」とは具体的にどのような事業なのか、まず伺います。
  4. 竹下登

    国務大臣竹下登君) およそ考えられます附帯事業の点につきましては、具体的な問題でございますので、専売公社の方からまずお答えさした方が適当かと思っております。
  5. 長岡實

    説明員長岡實君) 今回の制度改正によります事業範囲の拡大、すなわち目的達成業務等のことを前提といたしまして、公社としては現在社内に事業開発委員会を設けて、公社が保有しております技術資産等の諸資源のうちから技術の輸出あるいは喫煙具類製造育種育苗技術活用たばこ有用成分総合利用土地建物高度利用等、将来事業化可能性があるシーズを探求しておりまして、その事業化に向けての方策を鋭意検討している段階でございまして、現在のところまだ具体的にどういう事業までお認めいただけるかというところまではいっておりません。
  6. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、現在世界にはビッグスリーと呼ばれるたばこ企業が存在していますが、これらの企業企業活動のうち、たばこに関する事業の比率はBATで五六%、フィリップ・モリスで六七%、R・J・レイノルズでは五一%で、約半分もたばこ事業以外の事業を行っているのが実態であります。そして、これらの企業は、たばこ事業以外の事業としてスーパー、食料品、お酒、飲料、海運業、石油、機械、不動産などあらゆる産業の分野に進出している現状であります。  そこで、我が国においても将来、日本たばこ産業株式会社がその巨大な資本力を持ってこれらの事業分野に進出した場合、そこに存在する中小企業は大きな打撃を受け、その生活の基盤も奪われてしまうことになることが予想されます。このような事態にならないためにも会社目的達成に必要な事業かどうかの認可を行う大蔵大臣は、この認可を行うに当たっては慎重な態度で臨むべきであると考えます。そこで大臣所見を伺います。  続きまして、立ったついでで恐縮でありますが、中小企業庁長官に伺います。  将来、仮に同会社がこれらの事業分野に進出してくるようになった場合、中小企業庁長官分野調整法大型店舗法等による調整を迫られることになるんですね。長官はこのような法律による調整以前の段階で問題の発生を未然に回避すべきである、こういうふうに考えるんです。そこで、長官、どのような方策を講じてこれを回避していくつもりなのか、あわせまして伺います。
  7. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この輸入品流通自由化に伴います国際競争力の激化、これに対処していくために、会社は保有しております技術等有効活用を通じまして経営効率化を図ることが必要でありましょう。そのためにも事業範囲を合理的な範囲内で可能な限り拡大いたしますとともに、新会社自主性を最大限尊重することが重要である。基本的にまさに国際競争力をつけるために専売公社をいわば商法と労働三法というものを基礎とする自主性を最大限認めていこうと、こういう議論がずっと今日まで行われてきたわけであります。  が、そのことが、今おっしゃいますように、目的達成事業の実施を仮に何でもかんでも自由に認めた場合には、いわゆる民業圧迫あるいは民間企業財務基盤弱化というようなことを引き起こす。そうなれば、まさに中小企業方等事業遂行のために支障を来すおそれがあってはならぬということが今、中小企業立場から言えば、最も懸念されておる点ではなかろうか、御意見を交えての御質問に対してそういうふうに私は理解をいたしました。  したがいまして、私どもとしては、今からいわゆる官公需問題等中小企業庁から具体的にお答えがあると思いますが、この目的達成事業認可に対しては、まさにそういう立場をも考えながら適切な対処をしていかなければならぬという基本認識だけは持っておりますことをまず申し上げておきます。
  8. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 御指摘のように、分野調整法等の問題になる前に問題を事前に防ぐということは肝要でございます。その意味で、今大蔵大臣の御答弁にございましたように、民業圧迫をしないようにということが目的達成業務認可する際の一つの大きなメルクマールというふうに伺いましたが、私ども民業圧迫、なかんずく中小企業への悪影響を防止するということにあるものと理解いたしまして、この適切な指導監督権限の運用によりまして事前防止、先生おっしゃったような事態を回避するということは必要かというふうに考えております。
  9. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 ぜひ大蔵大臣中小企業庁長官も、中小企業を守る立場でひとつ適切な御処置をお願いしたいと思います。  次に販売店について伺います。  たばこ販売店は五十八年度末で約二十六万店ありますが、一カ月のマージン額が約三十万を超える者がある反面、全販売店の四割以上が一カ月のマージン額が五万円以下という零細な販売店であると言われています。今回のたばこ事業法案では、たばこ販売店の開店について、現在行われている専売公社指定大蔵大臣許可とするものでありますが、この許可基準のいかんによってはたばこ販売店の乱立とか過当競争、これをもたらし、これら零細販売業者が著しく圧迫されるような事態考えられます。  そこで伺いますが、この許可基準の設定に当たっては零細販売業者の保護をどのように行っていくのか、また既存の店をどのように扱うのかもあわせ伺います。そしてさらに、現在行われております身体障害者福祉法母子及び寡婦福祉法に該当する者についての優遇措置、これは今後もぜひ続けていっていただきたい、またいくべきである、こういうふうに考えます。大蔵大臣、どのようにお考えになりますか。
  10. 小野博義

    政府委員小野博義君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘ございましたように、二十六万店のたばこ小売店の中には大変零細な方が多いわけでございます。そういう意味におきまして、専売制度を廃止するに伴いまして、小売人指定制を一挙に廃止しました場合には、流通秩序に少なからぬ影響を与え、零細小売人の共倒れであるとか、深刻な社会問題を引き起こす可能性が大きいというふうに考えまして、既存小売人実態にかんがみ、小売人への激変回避を図る見地から、当分の間小売販売業について許可制を採用するということにしているわけでございます。  したがいまして、小売販売業許可制許可基準につきましては、たばこ事業法二十三条に規定しているところでございますけれども距離基準売上高基準など従来の公社が行っておりました小売人指定基準が基本的に維持されたものとなっておるわけでございます。さらに、既存小売店につきましては、小売店激変回避という小売販売業許可制趣旨からいたしまして、たばこ事業法附則第十条の第一項の規定によりまして、新しい法律に基づき小売販売業許可を受けたものとみなすことによって、そのまま営業が継続されるということになるわけでございます。  それから第二点の、身体障害者福祉法並びに母子及び寡婦福祉法に該当する方々についてのお尋ねでございますけれども、現在御案内のように、これらの方々については小売店の開業の申請があつた場合に、専売公社指定基準のうち、既設販売店との距離及び取扱予定高の標準について、一般の方々に比べまして二割基準緩和して適用しているところでございます。  制度改革後、たばこ事業法小売販売業許可基準につきましては、現在の指定基準と同じく、先ほど申し上げましたように、距離基準及び取扱高基準を維持することとしているわけでございますけれども身体障害者福祉法適用を受ける身体障害者方々並びに母子及び寡婦福祉法に言う母子家庭の母の方、あるいは寡婦の方につきましては、専売法のもとにおける距離基準並びに取扱高基準緩和の果たしてきた役割にかんがみまして、これまでと同様、これらの基準緩和してまいろうというふうに考えておるわけでございます。で、その緩和基準といたしましては、現在と同様、二割程度のものを考えております。
  11. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に官公需受注について伺います。  この法律改正によって専売公社組織変更がなされるに伴い、同公社官公需についての中小企業者受注確保に関する法律で定める発注主体から外れることになる。その結果、毎年国が閣議決定しています国等契約の方針の内容額であります中小企業向け発注予定額専売公社実績分だけ少なくなる、これは明白であります。同公社の五十八年度中小企業向け発注実績は千二百四十八億円を上回っております。中小企業にとっては巨額の官公需と、こう言えると思うんです。  そこで、第一に、この巨額な金額官公需から脱落させないために、官公需法の第二条第二項で定める政令指定の対象に組織がえしました新会社、すなわち日本たばこ産業株式会社指定すべきだと、こう思うんです。これについてのお考えをまず第一にお聞きいたします。  第二に、ただ、これまで指定されている法人を見ますと、株式会社たる同会社指定は非常に難しいだろうという気もいたします。そこで、これを何とかクリアする方法を考えるべきだと思うんですね。そのお考えについて第二に伺います。  第三に、専売公社が新会社になった後の事業計画の規模、外注すべき仕事の量及び金額に大きな変化はないとすれば、五十八年度実績千二百億円の専売公社の対中小企業向け発注額程度の額が今後も中小企業向け発注されるよう配慮すべきであると考えます。したがって、大臣としてはどのような手段を考えていますか。  以上の三点について大蔵大臣の御所見を伺い、そしてまた中小企業庁長官の御所見を伺いまして、商工委員としての質問を終わります。
  12. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 御心配趣旨は、まず冒頭の質問からしてのその流れの一環として、私どもにも十分理解できるところでございます。御承知のとおり、現在、専売公社は国鉄、電電公社とともに公共企業体として、国と同様、官公需についての中小企業者受注確保に関する法律適用主体となっております。今度の改正におきましては、専売公社がいわゆる特殊会社に改組されと、官公需法律の中の「日本専売公社」という文言が消えてくるわけでございます。そこに心配が生ずるわけであります。  で、新会社について官公需法第二条第二項で定める政令指定法人指定して、引き続き官公需適用主体とすることにつきましては、たばこ輸入自由化のもとで外国たばこ企業との自由な競争を可能たらしめるために、公社合理的企業経営が最大限可能な特殊会社に改組するという今次改革趣旨、すなわち、すべてを自由にしてあげようという趣旨と、そこに幾ばくかの制限を加えるという趣旨との交錯した問題点、それをまさにおつきになっておるわけでございます。そうして、いま一つは、特殊会社というものは政令指定法人指定されたものではないと。そういう実情を踏まえて、この問題については今後慎重に検討すべき問題であるというふうに考えております、この問題は。  しかし、それの難しいということを確かに議論の中でもいたしておりますが、具体的に、少なくとも今御指摘なさいましたとおり、昭和五十四年が一千百九十億、ずっと大体一千二百億程度契約額があるわけでございますから、これは官公需施行上大きな役割を果たしてきておるという現実は踏まえていかなきゃならぬ。したがって、新会社の前身となります専売公社がこのような官公需施策上果たしてきた役割の大きさ等にかんがみますと、大蔵省としては、新会社についても中小企業者受注機会確保に相当の協力をしてくださいという方向でもとより指導してまいらなきゃならぬというふうに考えますし、また私ども聞いておりますところでは、それらの中小企業の方と専売公社の今日までの関係は、中小企業者の御努力もこれあり、私はそれが経営を大きくマイナスの方向に引っ張ってくるような形で今日きていないというようなことから考えても、これはやはりお願いして指導していくべき問題であるというふうに理解をいたしておるところであります。
  13. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 日本専売公社中小企業官公需におきますウエートでございますが、約三・五%程度ございます。非常に大きな役割をこれまで果たしてこられたわけでございまして、従来、専売公社として官公需法適用客体でございましたし、今申し上げました大きなウエートがございます。そういった経緯にかんがみまして、新会社にありましても相応の協力をいただけるように、これは大蔵省にそのような指導をお願いしたいということで今後とも要請をしてまいりたいというふうに思っております。
  14. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は地方財政の観点から二、三御質問を申し上げます。  専売公社が今度特殊会社に変わりまして、納付制度から国、地方たばこ税へ、こう変わってくるわけでございますが、今回の法案を見ますと、また自治、大蔵両省意見を聞いてみますと、現行制度と新しい改革になっても実際上は何も変わらないんだ、今までの場合もそうであったが、今度も二七・九五というフィフティー・フィフティーでいくんだ、こういう説明を受けるわけでございますが、いかがですか。
  15. 竹下登

    国務大臣竹下登君) このたばこ消費税をめぐります国と地方間の税源配分、これに当たりましては、全体として負担率現行納付金と同一の水準配分割合は国と地方で適切な均衡を保持するよう算定する。しかし具体的には、昭和五十七年度におきます専売納付金地方たばこ消費税の総額のたばこ販売金額に対する割合は五五・九%、これを基礎にいたしまして、地方分は二七・九五%、そのようにされておるところでございます。したがって、たばこ消費税制度移行後におきます国と地方たばこ消費税配分は同程度になるものと考えられるわけであります。今までは専売公社一手販売でございますから、製造独占だけでなく流通独占でございますから、地方税の徴税上の事務等は形態は変わってまいりますが、実態といたしましては、今申しましたような形のもので捕捉されるというふうに理解をいたしております。
  16. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 五月の二十九日のたしか日経じゃなかったかと思いますが、八四年度専売納付金が一兆六十六億、こう報じておるわけです。中身を見ますと、国の総販売代金ですか、定価代金ですか、これが三兆百五十六億、地方たばこ消費税が七千七百八十一億、専売納付金が一兆六十六億、このうち特例納付金が八百八十九億、こういう数字が挙がっておるわけです。これから地方と国との取り分を見ますと、地方が二五・八、国が三〇・四、特例納付金を加えますと三三・四、こういう数字になろうかと思うんですが、これが今大臣お答えのように五分五分というふうに変わってくる、こういうふうに理解していいのか、両大臣の見解を承っておきたいと思います。
  17. 梅澤節男

    政府委員梅澤節男君) ただいま御審議願っております国のたばこ消費税の税収あるいは税負担水準地方税たばこ消費税との配分考え方につきましては、先ほど大蔵大臣答弁があったとおりでございます。  ただいま御指摘のありました点でございます が、過去の実績を見ますると、その年に例えば定価改定がございますとそういう影響もございますので、その年度によりまして、従来のたばこ消費税専売納付金との配分割合年度によってかなりまちまちの推移をたどっております。ただいま御指摘になりました昭和五十八年度の計数は、委員が御指摘になりましたとおりでございます。  今回の配分考えるに当たりましては、そういった過去定価の引き上げがなかった年並びに五十四年度納付金法定化が行われたわけでございますが、そのときの経緯にかんがみまして、国と地方配分基準をバランスのとれたものにするということで、先ほど大蔵大臣答弁にもございましたように、今回の場合二七・九五という水準配分基準を設定したわけでございます。
  18. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 自治省側からお答え申し上げます。  基本的にはただいま大蔵省側からお答えのあったとおりでございますが、従来の納付金地方たばこ消費税割合は、定価改定等があること、それから現行たばこ消費税は御承知のように前年単価を用いて当該年度本数に乗ずる、こういう方式をとっております。したがって、定価改定等のあった場合には本数にいろいろ影響も出てまいりますので、したがいましてかなりまちまちになっておりますが、昭和五十七年度数字、これが最も両者の均衡をよくあらわしておると考えられますので、二七・九五という数字で今回の税率を仕組んだわけでございます。これによりまして一応、たばこの消費税は従来と同水準の税収は確保できるというぐあいに考えております。
  19. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 わかりました。  次に専売公社にお尋ねしておきたいと思うのですが、今たばこのケースに製造年月日を入れていますね。私はたばこをのむものですから、買ってみると大体早いので一カ月後ですね、これを国民が手に入れるのは。国会の売店でも一・半カ月ぐらいたったものしか入りません。早いのは駅の売店です。地方に行ってみると二カ月ぐらいになっていて、これは米でいうと古々米みたいな異臭を放っている。カビの生えたのが特に自動販売機に多いですね。こういったことは、たばこをのむなという意味なのかわかりませんけれども、私は国民の健康という観点から見ましても非常に問題があると思うので、この辺の理由はどうなっておるのか。同時に、できれば私は国民の皆さんが一カ月以内のたばこをのめるように、それ以上は回収して焼却するとか、そういう処理をすべきではないかと思うのですが、これは意見です。いかがですか。
  20. 長岡實

    説明員長岡實君) たばこ製造年月日は、全国にございます工場でその箱がつくられたその日ごとに毎日毎日製造年月日が入っているわけでございますが、こういう例は世界にございません。私どもといたしましては、できるだけ早くそれを出荷いたしまして、消費者の皆様の手に渡るように努力をいたしたいと存じますし、またできるだけの努力はしているつもりでございますずけれども、何分にも全国の工場ごとにつくっておる銘柄も違いますし、それをまとめて今度は配送を通じて小売店が必要とする銘柄ごとの数量を整えまして小売店にお届けする、それから消費者の手に入るという段取りを踏むものでございますから、相当急ぎましても一カ月以内のものが必ず消費者の方々の手に入るというようなわけにはいかないと存じます。ただ、私どもといたしましては、製造年月日を表示する以上、できるだけ新鮮なたばこと申しますか、製造年月日から余り歳月のたっていない商品をお届けするような努力は今後とも続けてまいりたいと存じます。  御参考までに申し上げますと、たばこという商品は、保存さえよろしければ、ある程度の歳月がたってもそれほど品質に変化はないと言われておりますが、ただいまお話がございましたような、非常に古くてしかも率直に言って吸うに耐えないような品物があった場合には、お取りかえをいたすことにいたしております。
  21. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これから今までのように外国たばこを規制するわけにいかないわけですから、私は愛煙家の一人として、いつまでも愛されるようなたばこを出すためには、カビの生えたたばこを売って非難を受けるようなことだけはやめた方がいいのではないかと思うので、ひとつぜひそこら辺をお願いしておきたいと思います。  時間がございませんから、最後に一つだけお伺いしますが、今度この四法案とともに出されました塩の専売、これを見ますと非課税措置が非常に多いわけです。これはどういうことなのか、それぞれ自治、大蔵関係の方で御説明いただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  22. 梅澤節男

    政府委員梅澤節男君) まず、国税関係について御説明申し上げます。  今回、公社形態から会社形態に移行するわけでございますが、そういたしますと、原則として、税法上は普通法人として新会社は各税の納税義務を負うという関係に立つわけでございますが、ただいま御指摘になりましたように、塩専売事業につきましては、事業を行いますのは新会社でございますけれども、公益専売という事業の性格そのものは公社で現在行っております事業の性格と何ら変わらないということでございまして、したがって、新会社に移りましても、たばこ事業と塩の専売事業は経理を区分しなければならないというふうになっておりますし、また塩専売事業で利益が生じました場合も、新会社はこれもただいま御審議いただいております塩専売法で価格安定準備金に繰り入れを強制されておるわけでございます。そういった特殊性に着目いたしまして、法人税法によります課税所得の計算上は、塩専売事業の利益から価格安定準備金に繰り入れる部分につきましては損金算入を認めるということにいたしておりますから、実質上法人税の課税はないということでございます。  もう一つ、先ほど申し上げました塩専売事業の特殊性にかんがみまして、登録免許税は非課税にする、こういった措置につきまして、塩専売法並びにただいま御審議いただいております関係法律の整備法でそれぞれ規定させていただいておるわけでございます。
  23. 矢野浩一郎

    政府委員矢野浩一郎君) 今回の経営形態の改革に当たりまして、塩につきましては従来どおり国に専属するものであり、この仕事を新しいたばこ産業株式会社に行わせるということになったわけでございますが、塩の専売という実態は変わらないわけでございます。  そういう点に着眼いたしまして、地方税の上でも、新会社が行いますところの塩専売事業につきましては、不動産取得税、固定資産税、特別土地保有税、事業所税及び都市計画税上必要な従来と変わらない特例措置を講ずるという形にしておるのでございます。
  24. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それはおかしいんですけれども、時間がありませんからやめます。
  25. 村沢牧

    ○村沢牧君 私は農水委員立場から質問いたします。  まず大蔵大臣にお伺いしますが、国内葉たばこ産業を保護育成するためにも、製造独占と、政府が株式の大半を保有する株式会社である日本葉たばこ産業株式会社を恒久的な組織として存続させる、分割・民営はしないということを保証されますか。
  26. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 我が国が開放経済体制に即応していく、これは大きな意味において一つの国の進むべき道でございましょう。しかし、これをたばこ産業に限ってみますと、たばこ産業というものを支えておるのは三つの大きないわば集団があると思います。一つ公社そのものの当事者あるいは労働者、それからいま一つは今先生御指摘なすった国産葉の耕作者、それからいま一つは先ほど来問題になっておりました二十六万軒の小売店、この三つのたばこ集団というものがたばこ産業を今日まで支えてきた。  そこで、いかに輸入自由化ということに踏み切ってみましても、実際問題として私どもは、国際競争力確保して健全な発展を遂げることを期するためには、特殊会社というものには改組するが、割高な国産葉を抱えた状況、たばこ集団の大きな一つの集団の原料提供とでも申しましょうか、その割高ということを考えますときには、製造独占権というものを付与する以外にない、いろいろ議論した結果、これは決断をいたしたわけであります。したがって、世に言われます民営・分割に対するワンステップというものではない、これはあくまでも恒久的な措置であるという事実認識で今日まで御議論をいただき、お答えをしてきているところであります。
  27. 村沢牧

    ○村沢牧君 農水大臣に伺いますが、葉たばこは我が国農作物の中でも主要な地位を占めている。今回の公社制度の改革を農水省としてはどのように受けとめておるのか。また我が国葉たばこ産業発展のために、新法の施行たばこ産業株式会社に対しいかなる期待、要望を持っているんですか。
  28. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 葉たばこは我が国の農業にとって極めて重要な作物でございます。農産物の順位から申しますと、米が一番でございますが、二番目が豚、三番目が生乳、四番目で鶏卵、五番目で食用牛そしてブロイラー、そしてその次にこの葉たばこということでございまして、畑作物では二番目の大きな作物でございますし、このたびのたばこ事業法案において新法人製造たばこ製造独占させることによりまして、葉たばこの全量買い取り制の維持、そしてまた耕作者を含めました葉たばこ審議会による葉たばこ耕作面積、買い入れ価格の審議等、葉たばこ耕作農家に対して慎重な配慮が加えられておるものと考えております。今後とも本法案の適切な運用によりまして、葉たばこ生産農家の経営の安定が図られることと期待しております。
  29. 村沢牧

    ○村沢牧君 農水大臣もこの法律施行によって適切な運営が図られることを期待しておるということでありますから、その国内の葉たばこ産業発展のためには農水省としても農政負担を高めなければならないというふうに思います。現在、農水省所管として、土地基盤整備事業、あるいは新農構山村振興事業、あるいはまた畑作総合振興事業等について補助政策をとっており、融資の面では近代化資金、公庫資金、改良資金等でもって措置をしているわけでありますが、公社のときもこういう措置をしておったのでありますから、ましてや会社組織になるんですから、こうした補助制度、いわゆる農政補助というのは後退させてはいけないし、むしろ拡充していかなければならないというのはどういうふうに考えていますか。
  30. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 農林水産省といたしましては、従来からこの葉たばこの生産性の向上を図るために、土地基盤整備、経営近代化施設設備等に対しまして助成措置を講じてきたところでございます。今後とも大蔵省そして新会社と十分連携をとりながら適切な対策を講じていきたいというぐあいに考えます。
  31. 村沢牧

    ○村沢牧君 民間の会社組織になるんですから、従来と同じということでなくて、さらに積極的な対策を立てていただくことを特に要請しておきます。  公社は葉たばこ生産対策助成金を交付してきましたが、従来の助成制度は期限切れになっておるので、六十年度から新発足をさせなければならないということを聞いております。会社組織になったからといって会社の都合によってこの助成金を削減したり、制度を後退するようなことがあってはならない。助成金の枠について、その内容について少なくとも現行水準を維持すべきであるが、新しい制度はどのように考えているんですか。
  32. 長岡實

    説明員長岡實君) 公社といたしましては、現在に至るまでに葉たばこの生産対策事業というものを実施して、補助金を交付いたしてきております。これは国内産葉たばこの生産性を高め、品質の向上を図るというねらいでございますけれども、この補助事業を実施する意味は、葉たばこ耕作農家のためだけではなくて、たばこをつくる場合の主原料でございますから、公社にとってもそれだけのことが必要であるという立場からこういう助成事業を行ってきております。この考え方は、新会社に変わりましても全く同じであると存じます。したがいまして、新会社移行後に、六十年度から新たな生産対策の補助事業を実施する場合にも、従来と同じような考え方を貫いていくべきであろうというふうに考えております。
  33. 村沢牧

    ○村沢牧君 新会社においてどのような補助対策を講じていくべきであるかという内容については新会社が検討することなんですか。それとあわせて、会社組織になれば、従来の公社のときとは違って新たな経費負担もふえてまいります。またかなりの企業努力をしなければ健全な経営はできないし、助成金の財源も生じてこないというふうに思います。こうした中にあっても必要な生産対策費は支出していく、こういう確約というか、そういう考え方をずっと新会社に引き継いでいく、こういうことをお約束できますか。
  34. 長岡實

    説明員長岡實君) 新会社移行後の生産対策の事業の内容は、新会社が決めて実施していくことでございますけれども、私ども現在、公社の責任者といたしまして、新会社移行後といえども、いわば株式会社組織になりましても、葉たばこの生産性の向上、品質の向上といったようなことは極めて重要な問題であり、かつ新会社の仕事としても重要な仕事であるということを考えますと、今までやってまいりましたことを、株式会社組織になったからといって、考え方を大きく変えるというようなごとはすべきではないというふうに考えておりますし、またその考え方は当然新会社に引き継ぐつもりでおります。
  35. 村沢牧

    ○村沢牧君 大蔵大臣、政府は大株主になるわけですけれども大蔵大臣としてもそのように措置をさせていくということを約束いただけますか。
  36. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今長岡総裁は、現在の公社の責任者として新会社ということを前提にしますと、答えにくいであろうと思う中で、きちんと言葉を整理して申し述べられたように私も承りました。私もそのとおりの方針を今後とも続けるべきだというふうに考えております。
  37. 村沢牧

    ○村沢牧君 この法律が成立すれば、明年四月から新会社が発足するわけですが、公社はその地ならしとして合理化計画を進めており、既に第一線事業所の再編成を示しておりますけれども、要員規模だとか葉たばこ耕作面積についてはどのような方針であり、かつまたその内容はいつごろ明らかにするんですか。
  38. 長岡實

    説明員長岡實君) 新会社に移行いたしますと、輸入自由化に伴いまして国際競争も激化するというようなことから、当然新会社を中心といたしまして、先ほど大臣もおっしゃいました我が国のたばこ産業集団全体が、でき得る限りの合理化努力を払って国際競争力を身につけていかなければならないと考えておるわけでございますが、現在まだ公社段階におきましても、当然合理化努力は惜しんではならないわけでございまして、現在、第一線事業所の統廃合等につきましてある程度の合理化案を考え関係集団との話し合いに入ったところでございます。ただ、要員計画として、それによって何人の人が浮いてくるかといったような問題は、まだ具体的に労働組合との間でも詰める段階には至っておりません。  それから葉たばこ耕作面積の問題でございますけれども、これは八月の末に本年産の葉たばこの価格と、それから来年の作付面積を決める耕作審議会が開かれるわけでございまして、そこで御議論をいただいた上で来年度の耕作面積が決定されるわけでございますが、現在のところ、まだどの程度の面積で御諮問申し上げるかという具体的な結論には到達いたしておりません。  ただ、将来の方向として、現在でも私から申し上げ得ると思いますのは、現在、葉たばこの需給関係は、率直に申しまして、供給過剰の状態にございまして、一年分の過剰在庫を抱えておる。この過剰在庫解消策に対しましては、あらゆる努力を講じてこの解消を図るつもりでございますし、現在も既に取り組んでおるわけでございますけれども、ただ私どもの努力だけで過剰在庫が簡単に解消できる段階ではない。しかも、たばこという商品の将来の需要の伸びというのが余り期待できない。これは世界的な傾向でございますけれども、余り伸びが期待できないということを考えますと、先ほど申し上げましたたばこ産業集団全体の合理化努力の中で、葉たばこ耕作者の方々にも御理解をいただいて、ある程度の面積調整をお願いせざるを得ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  39. 村沢牧

    ○村沢牧君 今話がありました第一線事業所の再編成については、例えば営業支所三百九十九あるのを二百六十九にする、原料調達支所百四十七あるのを七十八にする。私は長野県ですが、長野県の場合を見ても、今まで営業支所が十一あったのを六にする、原料調達支所が三つあったのを一つにする、こういう方針が既に示されておるわけです。  これは新しい会社に移行する前に再編成を示したのはこれだけなんですか。さらに新会社に移行する場合にもっと再編成の方針を示すのか。これ以外のものは新会社でもって再編成をしていくのか、その辺はどうなんですか。
  40. 長岡實

    説明員長岡實君) 新会社移行前に合理化の方向で具体的にいろいろ数字を挙げて詰めていかなければならないと思っておりますのは今の問題だけでございまして、さらに第二弾、第三弾といったような考えを現在のところ持っているわけではございません。これは新会社移行後になろうかと存じます。
  41. 村沢牧

    ○村沢牧君 公社は今日まで公社の運営をしてきて組織の再編成についてもいろいろ検討してこられたというふうに思うんですが、新会社に移行になったらどういう組織の再編成がいいだろう、そういうことはお考えになっていると思いますが、どうですか。
  42. 長岡實

    説明員長岡實君) 新会社移行後に具体的に詰めてまいらなければならない合理化問題といたしましては、本社組織、それから中間管理組織と申しましょうか中間組織、それからさらに非常に大きな問題でございますが、なかなか難しい問題を含んでおりますものとしては、製造段階の工場をどう合理化を図っていくかといったような問題があろうと存じます。
  43. 村沢牧

    ○村沢牧君 要員の問題についてはこれから当該組合と話をしていくということでありますが、私は極端なそのような組織の再編成や縮小あるいは要員削減には反対するものでありますが、こうした合理化によって、葉たばこ耕作者の指導あるいは原料集荷あるいは鑑定等についてはどのように変わっていくんですか。どういう影響を来してくるんですか。
  44. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) 第一線事業所の統廃合をすることによりまして、現地の指導がどういうふうになるかという御質問でございますが、現在徐々に進めておりますけれども、第一線の事業所におきまして、従来バイクなどでやっておりましたものを四輪の自動車に切りかえるというようなこと、あるいは指導用具につきましても、視聴覚の器材、そういうものを充実するというようなことによりまして、指導内容の効率化を図っているところでございますが、さらに今後はそれを一層推進してまいりたいというふうに考えております。  それから指導のやり方につきましても、従来、ややもすれば画一的な指導、どこでも同じようにというような指導に傾きがちであったわけでございますけれども、これからは耕作農家の自主的、創造的な活動をできるだけ促進する、そういうような観点から、産地の実態に即した指導内容、特にその重点は、技術の援助をするということを重点にいたしまして、さらに御援助する対象としましては、産地の中核的なリーダー、そういう方に重点を置いて今後の指導ということをやってまいりたいというふうに考えております。したがいまして、統廃合をやることによりまして、産地耕作者への援助活動、そういうものが手薄にならないように十分留意してまいりたいと考えております。
  45. 村沢牧

    ○村沢牧君 新会社になって事業をやるについても、一番大事なのは原料を供給する耕作者でありますから、新会社あるいはそれまでの公社が合理化することによって耕作者の指導等に後退をすることのないように、十分留意をしてもらいますことを要請しておきます。  そこで、減反面積についてでありますが、まだ煮詰まっておらないと言っておりますけれども、この夏の審議会といってもあと一カ月足らずではっきりすることなんですよ。ですから、この法律審議の際におおよその見通しは明らかにしなければならぬ。先日、公社の折居葉たばこ生産課長が私の部屋へ参りましてかなりの見通しを言っているんですよ。総裁は何で言えないんですか。
  46. 長岡實

    説明員長岡實君) 私どもの担当課長がどのような内容の御説明を申し上げたか私は報告を聞いておりませんけれども、いろいろの数字を持っておることは事実でございます。いろんな角度から試算をいたしますと、一体どの程度の減反の協力をお願いせざるを得ないかというようなことについて現在私どもが詰めていないと申し上げれば、それはもう誤りでございまして、八月末の審議会を控えておりますから、いろいろな程度から検討いたしておりますけれども、ただ、これは非常に重要な問題であり、耕作者に与える影響も大きいということになりますと、一体どういう結論を公社として出して審議会にお諮りするかという最終結論を私が出すのは、率直に申し上げまして、審議会に間に合うか間に合わないかのぎりぎりまで時間がかかるのではないかと考えておる次第でございます。
  47. 村沢牧

    ○村沢牧君 新会社になって今までと何ら変わることがない、不安がない、そういう保証を与えるためにも、本年度の減反をどうするのか、この面積の見通しぐらいははっきり言うべきだと思う。率直にお伺いしますが、五十七年減反面積を上回るのか下回るのか、はっきり答弁してください。
  48. 長岡實

    説明員長岡實君) 再三のお尋ねに対しまして大変申しわけございませんが、五十七年産の葉たばこの面積のときに行った減反を上回るか下回るかということにつきましても、現段階ではお答えを差し控えさしていただきたいと存じます。  しかし、相当量の面積の減反をお願いせざるを得ないのではないかというふうに考えておりまして、ただ五十七年の減反の際の経緯もございまして、将来の厳しい条件の中で競争に負けないようにしていくために、葉たばこ耕作農家にだけしわ寄せをしてそして国際競争力をつけるということは、到底耕作団体等の御理解は得られないものと考えておりますので、私どもが今回審議会にお諮りする減反の規模を決めます際には、その時点で申し上げられる範囲内で、我々公社としても一体どの程度の合理化の努力をするんだというような、産業集団全体の合理化のいわばアウトラインとでも申すべきものを御説明をしながら、御理解を求めていかなければならないというふうに考えておりまして、現在のところはまだ、その前回の減反面積を上回るか下回るかということにつきましても、できればお許しをいただきたいと存ずる次第でございます。
  49. 村沢牧

    ○村沢牧君 私は、大事な法律審議でありますし、しかもあと一カ月足らずでわかることなんですよ。だから、何千ヘクタールとはっきり言えと言うわけじゃない。そのことすら答弁できないとするならば、これ以上との問題について審議することはできない。答弁してください。
  50. 長岡實

    説明員長岡實君) 初めに数字ありきというわけにはまいりませんので、今ここで例えば前年の規模を上回るとか下回るとか申しましても、それは前年の約五千ヘクタールを中心として、それじゃ四千か六千かという議論になるわけでございますけれども、私ども減反というのは慎重に扱うべき問題であります。これは当然のことながら、雑作農家にとっては大変重要な問題で、深刻な問題でございますから、慎重に扱わざるを得ない。矛の場合には、新会社移行後における経営の見通し等も考えまして、何年間かの需給均衡面積を求めた上で結論を出さなきゃいけない。それがなかなかまだ今のところ詰まっていないという段階でございますので、再三のお質問ではございますが、相当程度の減反について協力をお願いせざるを得ないのではないかというお答えで、お許しいただきたいと存ずる次第でございます。
  51. 村沢牧

    ○村沢牧君 長岡総裁は、今日までの本法案審議の際、若干の面積減反について御協力をいただかざるを得ないではないかと考えている、こういう答弁をしている。しかし、だんだん突き詰めていくと、若干どころじゃない、かなりの面積だというふうに私は思うんです。公社は五十三年から五十六年に五千五百ヘクタールの減反を実施し、五十七年には五千ヘクタールの減反を押しつけた。今回はさらにこれを上回る、上回ると言っては失礼ですが、私は五十七年程度あるいはそれを上回るような減反を考えているのではないかと思うんです。法律審議の際には将来展望から見て若干の減反の御協力をお願いしたいと言っておって、この法律ができればあと一カ月足らずで大幅な減反で発表される。全くだまし討ちじゃないですか。ですから、法律審議の際にどのくらいは減反するということを明らかにして、そういう中でこの法律を審議するのが建前だと思うが、どうなんですか。
  52. 長岡實

    説明員長岡實君) 減反についての協力をお願いいたす場合には、私ども限りでできる問題ではございません。これは、御承知のように、耕作審議会に諮って、その耕作審議会には耕作者の代表の方も入っておられまして、そこで十分に議論を尽くした上で、御理解を得られた範囲内でしか減反はできないものと考えております。したがいまして、それは今の国会の審議中だから申し上げられない、国会が終わればすぐに具体的な数字を言うつもりではないかといったようなことではないということを御理解いただきたいと思う次第でございます。
  53. 村沢牧

    ○村沢牧君 この法律の建前が激変緩和だというふうに私は理解しているんです。ですから、こういう法律ができて新しい会社が発足する、その前に一定の地ならしをしていく、新会社ではなかなかできないからこの際思い切って減反していく、そのようなことがあってはならないと思うんです。ですから、私はこの際、いずれわかることであるけれども、今回大幅な減反はすべきでない、そのことを強く要請しておきます。  そこで、農水大臣に伺いますが、葉たばこは、大臣答弁のように、重要な畑作物である。山間地によっては、たばこと養蚕などを主とした畑作によって山村を支えているところが多いわけです。現在農水省の失政によって養蚕も縮小されている、加えて、たばこも減反をさしてくる。そうしたならば、そうした地域の農業は何を基盤として成り立っていくのか、たばこを減反さしたらそれにかわるものは何をすればいいのか。農水省サイドとしてはどういうふうに考えるんですか。
  54. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 御指摘のような地域につきましては、まず地域農業集団の話し合いを通じまして、限界地や低利用地の有効利用、裏作の導入、里山の開発等によりまして生産の複合化や規模の拡大を図ることといたしております。また各地におきまして零細な農地を十分に活用しまして、地域の特性を生かした作物づくりや、これを原料とした農産加工を進めることについても指導してまいりたいと思っております。  現在、地域の特性を生かした農産品づくりということで、長野県の例でございますが、川上村におきましてはプリーツレタス、奈川村では野沢菜、また白馬村では大豆みそ、そば、大鹿村ではブルーベリーというような特性を生かした農産物の指導、そのほかまた構造改善事業、山村振興対策事業の総合的助成の施策を活用しまして、小規模の圃場整備、農道、かんがい排水等の基盤整備を重点的に実施すると同時に、公共事業、非公共事業を通じまして、設計基準等につきましては、これを弾力的に運用してまいりたいと思っております。さらに、新農村地域定住促進対策事業等を通じまして農産加工、観光等地域資源を生かした安定就業機会の創設確保に努めております。  以上のような施策によりまして、御指摘のような条件に恵まれない地域の振興改善に努めてまいりたいというぐあいに考えます。
  55. 村沢牧

    ○村沢牧君 答弁を聞いておると、農水大臣、いろいろなことをやっていただいておるようでありますが、たばこが大幅減反されても農水省で引き受けるから大丈夫だ、そういうことなんですか。
  56. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 地域の実態に即した農政、これを推進してまいりたいと思っております。
  57. 村沢牧

    ○村沢牧君 そんなことを言ったって、たばこが減反されれば山村地域は困るんですよ。ですから、大幅な減反をしないように農水省だって公社なりあるいは新会社に働きかけをすべきだと思う。  それから農水省にさらに伺いますが、この農産物の減反政策というのは一定期間面積を固定化させる必要がある。ことし減反をし、新会社になって減反をする、絶えず狂っておることになったらば農業経営は成り立たない。農水省は水田利用再編対策三年間ごとに区切って面積を固定化しておる。これもことしのように減反し過ぎちゃって、米が足らなくなって韓国から輸入してくる。こういう失政をしているんですから、これはまた減反を緩和しなければならない。そういうことはあるけれども、一定の面積をある程度固定化しなければいけない。これが農政の基本だというふうに思いますが、農水大臣はどういうふうに考えますか。
  58. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 第三期対策、これにつきましては、確かにおっしゃられるとおりに、本年の作況等を見まして弾力的にこれを取り扱うということで考えておりますが、葉たばこの問題につきましては、葉たばこの審議会等でいろいろ御意見もございましょうし、そこでひとつ十分御審議をいただいてやっていただきたいというぐあいに考えます。
  59. 村沢牧

    ○村沢牧君 公社にお伺いいたしますが、五十七年に大幅減反をした、五十九年もする。新会社になったらまたやらないという保証はない。毎年毎年減反しておったら、たばこ産業は成り立っていかないじゃないですか。やっぱり一定の期間はこれを固定化していく、その方針がなくてはいけないが、どうですか。
  60. 長岡實

    説明員長岡實君) 御指摘のとおり、毎年面積を変更するのではとても農業として安定的に経営ができないというのは、そのとおりでございまして、したがいまして、五十七年産について減反の御協力をお願いいたしました際にも三年間は動かさないということで、五十七、八、九とそのお約束を守って今日に至っております。今回この八月の末ごろに開かれる予定の審議会にお諮りいたします面積につきましても、ここで何がしかの減反の御協力をお願いいたします場合には、これは六十年産の面積についてでございますけれども、その後数年間を見越してある程度の期間を通じてそれを動かさないで済むような面積を求めたいというふうに考えております。
  61. 村沢牧

    ○村沢牧君 大蔵大臣にさらにお伺いいたしますが、総裁はやがて発表する減反の面積はおっしゃらないけれども、お聞きしておってもかなりの減反をするんではないかという感じを受けるのは私一人ではないと思う。このように大面積の減反を押しつけて、第一線の営業所支所だとか原料調達支所の大幅な縮減をする、これでも足らない、さらに合理化をしていく、あるいは人員の削減をも図っていく。こうしたことは葉たばこ生産にとって決していいことではない。生産指導も後退してまいる。だからどれ一つとってみても今回の改革は国内の葉たばこ生産者にとって、これを発展さしていく、保護していくというそういう方向に向いておらない。したがって、今後の運営において国内たばこを守っていくという方向を指向させるべきだと思いますが、どうなんですか。
  62. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いろんな経過を経つつも開放体制に対応していこう、こういうことになりますと、たばこ産業を抱える三つの大集団、なかんずく葉たばこ耕作者の方というものが、今日までに日本たばこ産業、専売ではございましたものの、これに果たしてこられた役割というのは高く評価しなきゃならぬ。そして今日まで私は労使あるいは耕作者の方と当局自身の関係につきましては、私はどこへ行きましても、これは見事なという表現は必ずしも適切でございませんが、実に双方の立場理解しつつ協議が濃密な形で続けられてきておるというふうに私なりにこれを見ております。したがって、今度の総合的な合理化の中で耕作者団体の皆さん方も、みずからの合理化、そして日本たばこ産業全体に対する自分たちの役割というようなものを十分相互理解の中に認識して協議が重ねられていくものであろうという強い期待を私は持っておるところでございます。したがって、今までの信頼関係をより密にしながら、相互の理解立場に立って物は進んでいくであろう。そういうふうに本当に私なりには強い期待をいたしておるところでございますので、今のようないわば客観的に見たいろいろな心配等が国会等で論議されること、それもその議論の中に反映していってよりよき結論が出ていくものに違いない。こういう強い期待を私は持っておることを申し上げておきたいと思うわけであります。
  63. 村沢牧

    ○村沢牧君 次の問題に入りますが、国内の耕作者に犠牲を押しつけて大幅な減反をしたとしても、輸入を規制しなければ国内葉たばこの振興にはならないし、在庫の圧縮にもならない。国内葉たばこ製造は国産葉を主原料とする方針は当然のことである。それはそれとして、外葉の使用割合を少なくとも現行割合以上にふやさない、会社企業努力によって外国葉のシェア増加を食いとめていく、こういう方針を新会社になっても堅持していかなければいけないと思いますが、どうなんですか。
  64. 長岡實

    説明員長岡實君) 最近のたばこの傾向と申しますか、消費者の嗜好の傾向と申しますか、そういう点からまいりますと、ニコチン、タールの含有量が少なくて、いわば軽くてなおかつ喫味に満足感のある銘柄が非常に強く要請されておるのは、これは世界的な傾向でございまして、そういったような傾向から申しますと、ほうっておけば輸入葉の率が上がりがちになるわけでございます。しかしそれではいけないということで、私どもといたしましては、国産葉の使用の技術、加工処理技術の向上などによって国産葉をできるだけたくさん使った銘柄の開発等に努めてまいっておりまして、現在でもセブンスター、それから最大の銘柄であるマイルドセブン等は国産葉を多使用した銘柄でございますし、昨年の春以来発売して順調に伸びておりますキャスターといった製品も国産葉の使用は相当程度高いものでございまして、こういったような努力を積み重ねながら、近年においては外業率が大体三分の一程度に抑えられて今日に至っておるということでございます。  今後、非常に競争激化する中で新会社がどういう方向をとっていくかということにつきましては、ただいま申し上げましたようなあらゆる努力を今後とも一層傾注することによりまして極力現行の外葉率の上昇を抑制していかなければならない、それも新会社移行後も相当長期間にわたってそういう方針を維持していくべきであるというふうに考えております。
  65. 村沢牧

    ○村沢牧君 新会社に移行してからの業務運営なり成績なりは、私はこの機会よりほかになかなか論議する場所がないんで言うのですが、公社の方の意向が新会社に引き継いでいくわけですよ。今の外葉の使用割合は正確に言うと三三%でありますけれども、この水準は維持していく、その方針は貫いていく、そのことだけははっきり答弁してもらいたい。
  66. 長岡實

    説明員長岡實君) 新会社移行後といえども、その方針を貫いていくことになると存じます。
  67. 村沢牧

    ○村沢牧君 次は製品たばこでありますが、製品たばこのシェアは現在一・九%であるが、長岡総裁は、数年間のうちに五%ぐらいになることを覚悟しなければならない、こういうふうに国会で答弁しておるわけであります。輸入たばこが一%ふえると国内葉たばこの面積六百ヘクタールに影響する。数年のうちに三%ふえて五%になれば千八百ヘクタールに影響してくる。長野県の耕作面積が九百五十ヘクタールであるのでその倍ぐらいの面積、六千五百人以上の人がたばこ耕作をやめなければならないという事態にもなってくるわけであります。したがって、この法律制定によって製品たばこ公社の手から仮に離れたとしても、将来展望に立ってこの製品たばこのシェアを上げないような努力をしていかねばならないけれども、これはひとつ最初に農水大臣に伺います。  国内で生産可能な農産物は極力国内生産で賄う、このことが農産物に対する農水省の基本的な態度でもあるし、同時に政府の方針でもあるというふうに思いますが、どうですか。
  68. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) 農産物につきましては、これは国内生産ができるものはできるだけ国内生産をして、そしてその足らざるものを輸入するというのが農林水産省としての原則でございます。
  69. 村沢牧

    ○村沢牧君 大蔵大臣に伺いますが、今農水大臣答弁したように、国内の農業、農産物を守っていくために極力国内で生産を賄って自給率を高めていこう、そのために政府も努力しているわけなんです。したがって、国内産業を破壊することのないという立場で、自由化になったといえども、葉たばこについてもあるいは製品についても、国内産業を守るという立場で努力をしてもらわなければならない。そのためには、関税率を現行の二〇%以下にはしない、こういうことも含めて大蔵大臣として、国務大臣として、たばこ輸入問題についてはどういう見解をお持ちなんですか。
  70. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私はいつも感じますのは、農林水産大臣がおっしゃった自給率問題というのが、これが政府の統一した考えである、まずその前提に立って、いつも疑問に感じますのは、これをいわゆる安全保障というような角度から見たときに、たばこが安全保障物資かどうかと言われるときに、時に答弁にうんとちゅうちょすることが率直にございます。何もかもきょうは特に連合審査でございますから率直に申し上げますが、そういうことを時に感じつつも、あの農政の基本は、私もこれを守るべきだと思っております。  そこで、具体的な問題としての関税率の問題でございますが、私が五十四年、五十五年に大蔵大臣をしておりますときに九〇という関税率。それから今度なってみましたら三五になっておって、それをすぐまた二〇にしろと、こういう要請でありました。これについても各方面の理解を得て、やっとこ二〇というものにいたしまして、これはアメリカも今日二〇でございますから、私はまさに譲歩し得るぎりぎりのものという、国内的な立場に立てばそう言えるでありましょうし、またサミット等でも、個別の大蔵大臣会議のときに議論しますと、ぎりぎりのものと言わないで、これがまさに国際的に見ても正当なものではないか、こういう表現に対して、相手方もそれに対して何ら異を唱えないという状態でございますので、二〇%というものは国際的に見てもまさに正当そのものであると、こういう認識でこれからも対応していくべきであるというふうに考えております。
  71. 村沢牧

    ○村沢牧君 農水大臣大蔵大臣で農産物に対する考え方が若干違っておりますが、きょうは時間がありませんから、その問題はいずれ改めてどこかで論議いたしましょう。  そこで、葉たばこも、そうはいってもなかなか輸入がふえてくる、製品たばこもふえてくる、五%のシェアでとまるなんという保証はない。そうしてくると日本たばこ産業、葉たばこ産業というものの将来展望はどういうことになるのですか。どの程度までいく、どの程度は覚悟しなければならないという考えを総裁はお持ちなんですか。
  72. 長岡實

    説明員長岡實君) 村沢委員も御承知のように、現在の制度のもとにおきましても輸入たばこの国内市場に占めるシェアが徐々に上がってきております。五十七年度が一・五%、五十八年度が一・八%、本年度に入りましては大体二%ぐらい、年率に直しますと二割近い伸びで伸びてきております。これが来年の四月以降、すなわち輸入自由化が行われた以降どの程度の伸びになるのかということは、大変その推定が難しゅうございまして、私が衆議院の段階お答え申し上げましたのも、余りはっきりした数字ではございませんけれども、今までの輸入品のシェアの伸び、あるいは輸入自由化後に行われた例えばウイスキーの輸入の伸び等をいろいろ勘案いたしますと、新制度移行後数年後には五%ぐらいのシェアになることは、当然我々としても覚悟していなければならないのではないかというお答えを申し上げた次第でございます。  五%でとまるのか、とまらないのかという問題、これは御指摘のとおり、別に五%でとまる保証もございませんし、一体どの程度になるのかということは、当然新会社移行後も特に輸入自由化が行われました初年度の動向を見ながら長期的な展望を求めていかなければならないと考えておりますけれども、そういったような中で、何と申しましても、新会社は我が国においてたばこ製造独占を付与される会社でございますし、三千億本といったばこのマーケットというのは世界でも余りそう例がない大きな規模のマーケットでございますから、その中で輸入品の伸びに十分に我々も敏感に反応しながら、日本のたばこ産業が一団となって産業集団の維持発展を図る努力を積み重ねることによって厳しい環境を切り開いていけるというふうに考えておる次第でございます。
  73. 村沢牧

    ○村沢牧君 今公社は、たばこの一年分にも相当する過剰在庫を抱えており、この在庫解消のためにいろいろ今日まで取り組んできたけれども、なかなかこれは解消できない。今後何年間に解消するかと聞いてもはっきりした答弁もできない。解消に努力していることはわかるけれども、一番手っ取り早いやり方として国内葉の減反をしていく、そのことだけにしわ寄せをしてはいけない。企業努力をすることはわかっているけれども、ともかく国内の減反をして現在の過剰を解消していこうではないか、そういう考え方が先に立ってはいけないけれども、その辺については、国内産業を守るという立場からどういうふうに考えていますか。
  74. 長岡實

    説明員長岡實君) 過剰在庫の発生の原因を考えますと、四十年代と五十年代で、たばこ全体の需要の伸びが様変わりになってしまったということであろうと思いますが、現在約一年分の過剰在庫を抱えて、私どもは何とかして公社としての努力によって、この過剰在庫の解消に最大限努めてまいりたいという気持ちで取り組んでおります。新会社移行後も当然その方針は引き継がれるわけだと考えておりますけれども、いろいろのたばこをつくる技術の向上によってでき得る限り国産葉の使い込みを図るということ、それから実は、葉たばこの状態での輸出というのは、村沢委員も御承知のように、赤字を伴うわけでございますけれども、引き合いがある限りその引き合いを求め、また引き合いを開拓しながら輸出の数量もふやしておりまして、五十七年度にはわずか二百六十トンの輸出でありましたものが、五十八年度には十倍を超える二千七百トン近い輸出も実現したわけでございます。これは五十九年度以降も当然そういう努力を積み重ねていかなければならないと考えております。  したがいまして、過剰在庫の解消を耕作面積にだけしわ寄せして実施するというふうな考えは毛頭ございませんけれども、ただいま申し上げましたようなあらゆる努力を積み重ねましても、今私どもの計算しておるところでは、今後五年たって現在持っております一年分の過剰在庫の半分の解消ができればいい方ではないかなというぐらいの数字にしかならないというのが正直なお答えだと存じます。
  75. 村沢牧

    ○村沢牧君 公社制度が始まって八十年たつと言われていますが、専門的に皆さんがたばこのことに取り組んできて、過剰在庫を解消しようとして努力したけれども、なかなかできない。私に言わせるならば、新会社を発足して、新会社が健全な営業をしていくためには、公社のうちに在庫ぐらい解消して新会社に引き継ぐのが当然だと思う。それができなくて——この新会社の社長にだれがなるかは知らないけれども、在庫が解消できないから耕作者だけにしわ寄せをしていく、そのようなことは絶対してはならない。したがって、よくこの新会社の際にもそのことを心得ておいてもらいたいというように思うんです。  それで、法案に若干関連してお伺いいたしますけれども法案は、「原料の用に適さないものを除き、すべて買い入れるものとする。」となっているから、国内産葉の全量買い取り制は維持すると公社は言っておりますけれども、買い入れる範囲ですね、品質、これらについては従来と何ら異なることはありませんか。
  76. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) 現在の買い入れ制度におきましても、標本葉たばこをつくってやっているわけでございますが、今後の新しい制度に切りかえました場合にも、同様に耕作者の代表からなる標本委員会、そういうところで協議して標本を決めていくというふうに考えておりますので、実質的に新しい制度になりましても変わらないようになるというふうに考えております。
  77. 村沢牧

    ○村沢牧君 どういうものを買い入れるかは標本に照らして新会社でも決めるということになります。そこで大蔵省に尋ねますが、この標本の決定については耕作者代表と協議して決める、こうしたことを省令でもって明確にすべきだと思いますが、どうですか。
  78. 小野博義

    政府委員小野博義君) お答え申し上げます。  標本の決定及び鑑定の方法につきましては、先生ただいまおっしゃいましたように大蔵省令で定めることとしているわけでございますけれども、基本的には、会社並びに葉たばこ耕作者の双方にとって公平かつ客観的であって、円滑な買い入れが行われるということを旨とした内容であるという必要があると考えておるわけでございます。  それで、省令の内容につきましては、今後具体的に詰めていくことになるわけでございますけれども、現在のところでは、品質の鑑定の基準となる標本葉たばこの決定のための標本委員会、会社並びに耕作組合中央会から選ばれました中央、地方の代表の方同数の委員により構成される委員会を設置いたすことを考えておるわけでございます。  それで、その基準に基づく鑑定につきましては、従来どおり、会社に専門の鑑定員がおるわけでございますので、その会社の専門職員が行う。もしその鑑定に関して不服であるとか苦情が生じました場合には、これを処理するための協議機関を設置する、こういったことを内容として定める予定でございます。
  79. 村沢牧

    ○村沢牧君 内容はそういうことになろうと思いますが、特に私が指摘をしたいのは、標本の決定について耕作者代表と協議をして決定していく、この趣旨が省令の中で生かされますか。
  80. 小野博義

    政府委員小野博義君) ただいま申し上げましたように、その標本委員会でございますが、この委員会の構成メンバーというのは、会社と耕作組合中央会で選ばれた方同数の委員で構成されるわけでございます。したがいまして、耕作者の御意見は当然反映されるわけでございます。
  81. 村沢牧

    ○村沢牧君 次に葉たばこの買い取り価格についてでありますが、これまた生産費所得補償主義によって再生産を確保するように決めるから従来と質的な内容に変化はない、こういうふうに公社は言っているわけでありますが、米価やその他の農畜産物についてもそうでありますが、生産費所得補償方式といっても、生産費や物価よりもその他の経済事情、つまり需給関係、これらを重要視して、最初に結論を出しておいて数字はそれにくっつけてくる、そういう方式をとっているわけですね。新会社になれば、在庫の問題、需給関係、さらに新会社の財政状況等々が「その他の経済事情」として価格決定に大きなウエートを占めてくるというふうに思いますけれども、あくまで価格は生産費も所得も補償する、あるいは生産費や物価も考慮する、そういう立場に立って諮問すべきだと思うが、どうなんですか。
  82. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) 現在、収納価格につきましては、たばこ専売法に書いてございます。ほぼ同じような内容で新法においても書いているわけでございます。  その内容は、今先生おっしゃいましたように、葉たばこの生産費を初め、物価、労賃その他の経済事情を参酌して決めるというふうになっているわけでございます。その「経済事情」の中に私どもは葉たばこの需給事情、そういうものも当然入るべきであろうというふうに考えている次第でございます。  それで、そういう内容、そういう形で算定されたものにつきまして、現在では耕作審議会、新しい制度では葉たばこ審議会、そこで耕作者の代表者あるいは学識経験のある人たち十一名で構成される審議会で御議論いただきまして、答申をいただいて、それを尊重してやっていくというふうに予定されているわけでございます。したがいまして、実質的に、現在やっているやり方と新しい制度におきましても変わりがないというふうに考えている次第でございます。
  83. 村沢牧

    ○村沢牧君 私が指摘をしたことは、この生産費所得補償方式の中で、「その他の経済事情」ということだけ重要視して、需給事情だとか会社の財政状態だとか、あるいは在庫だとか、そんなことだけに大きなウエートを置いておいて、その答えを先に出して、逆算して数字を押しつける、そんなやり方をすべきでない、そういう考え方を持つべきでない、こういうふうに言っているんですが、どうなんですか。
  84. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) 葉たばこの価格を算定する基準は、今先生のおっしゃいましたように、生産費を基礎にしてやるというのが中心であろうと思いますが、法案趣旨に書いてありますところでは、物価、労賃その他の経済事情というふうに書いてございますので、その中では需給事情、そういうものを考慮に入れて総合的に価格の水準考えていくのが正しいんではないかというふうに考えているところでございます。
  85. 村沢牧

    ○村沢牧君 その問題は、やがて価格を決定する時期も来るでしょうから、そのときに論議をいたしましょう。  そこで、会社は、たばこ耕作組合中央会の意見を聞いて、たばこの種類別の耕作面積の地域的内訳を定めることになっていますが、地域別面積は何を基準にして配分するんですか。具体的に言うなれば傾斜配分をどのようにしていくかということなんです。
  86. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) 地域別面積の配分のやり方、基準ということでございますが、そこで生産される葉たばこの品質、生産性、それからその産地の安定性、こういう三つの大きな要素を基準にいたしまして、それに現地の耕作者の耕作規模等の現地の事情を考慮いたしまして配分の内容を決めているということでございます。具体的なやり方につきましては、現在でもたばこの耕作組合の意見を聞いてやっているわけでございますが、こうしたやり方につきましては、会社に移行した後でも同様に耕作組合中央会、中央では中央会の意見を聞きまして、現地の事情等も勘案して十分御理解をいただきながら円滑に実施するように努めてまいる考えでございます。
  87. 村沢牧

    ○村沢牧君 その場合、たばこの主産地形成を目指して傾斜配分をしていく、そういう考え方はお持ちですか。
  88. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) 結論から申し上げますと、そういう考え方を持って今後そういう主産地を形成するように推進していくことが国内葉たばこ生産の体質を強化する道であるというふうに考えている次第でございます。
  89. 村沢牧

    ○村沢牧君 そういう主産地形成を目指していく、今後会社の生産指導なり助成対策は主産地におのずから重点を置いてくる、こういうことになろうというふうに思いますが、どうなんですか。
  90. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) 先ほど産地の指導援助の体制につきましてもちょっと申し上げたわけでございますけれども、従来のような画一的な援助体制というよりは、そういう優良産地を育成していくという方針のもとにウエートを違えてやっていく必要があるんではないかというふうに考えておりますが、しかし、そうだからといって小さいところをおろそかにするということのないように、十分現地の実態に合ったように留意して指導をやっていく必要があるというふうに考えております。
  91. 村沢牧

    ○村沢牧君 公社は現在五段階の産地区分をしておりますが、それに基づいて面積配分やあるいは指導や助成を行う。しかし、こういう画一的なやり方はたばこ耕作の実態にそぐわない。なぜならば、主産地の対象にされておらない四級、五級地であっても大きな面積を耕作し生産性の高い耕作者がある。これらの農家は一体どういうふうに取り扱うのか。  また、日本の葉たばこ産業を今日まで維持してきたのは山間地の農家であり、山間部は品質的にもいいものを生産している。生産性向上の名のもとにこれらの葉たばこ耕作農家を切り捨てるということは山村の荒廃にもつながってくる。たとえ基盤整備や団地化ができないとしても、多少生産性は落ちたとしても、将来とも安定的に原料の供給ができるこうした産地は残すべきである、そのように思いますが、どうなんですか。
  92. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) ただいま御指摘いただきました、まず最初の産地の評価区分でございます。  私どもも先生今提起されましたような問題意識を持っている次第でございます。四級地、五級地の中にありましても大変成績のいい農家があるわけでございます。したがいまして、従来の等級区分、それも十分再検討をいたしまして、そういう中でも優秀な農家については決しておろそかにしないというふうな配慮を加えるように検討しているところでございます。  それから後段でお話しのありました農山村地でございますが、確かに二種兼業なんかは都会地の方にむしろ相対的には多いわけでございまして、農山村の方では専業あるいは一種兼業、そういうところが多いと考えられますが、そういうところにつきましても、先ほど来指導あるいは面積の配分でも申し上げましたけれども、そういうところを軽視することのないように十分産地の実態というものも考慮し、具体的には耕作組合とも十分協議して指導なり面積配分なりやってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  93. 村沢牧

    ○村沢牧君 そうした級地ランクは落ちる地域であっても、優秀な耕作者もあるし、その地域をたばこ生産地として安定していかなければならない、こういう地域もありますから、そのことを配慮して面積の配分なり指導の徹底を期するように要請をしておきます。  そこで、葉たばこ生産の国際競争力をつけるために規模拡大あるいは品質及び生産性の向上を図ることを公社は企画しておりますけれども、現在の耕作の実態から、個人の耕作面積あるいは団地化はどのような規模に誘導していこうとされるんですか。
  94. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) 規模の拡大を図っていくということは生産性向上をするためにも大変重要な課題だと考えているわけでございますが、そのための方法としましては、たばこ移植機その他のたばこ専用の機械、そういうものの導入を進めていく必要があるというふうに考えております。  こうした機械の効率的な利用を図るという観点から、一体どれだけの面積規模がそれではいいか、望ましいかということで試算してみたわけでございますが、在来種、バーレー種では二・五ヘクタール程度、黄色種につきましては五ヘクタール程度、こういうような規模がそういう機械を使うという観点から見れば望ましいというような数字が出ております。しかしながら、個人として日本でこの規模を実現するということは大変難しい事情があるわけでございます。土地条件、耕作規模が小さいとか、いろんな制約がございますので、私どもとしましては、この機械施設を共同で利用する、共同化を図っていく、あるいは共同の生産組織を育成していくということで規模の拡大あるいはそれによる生産性の向上を図るというふうに考えているところでございます。  具体的にどれくらいの目標にしたらいいかということは、現在いろいろ検討している段階でございまして、まだはっきり申し上げられるような目標というものはできていないわけでございますが、できるだけ規模の拡大を図っていって、将来、当面の目標としては、現在の規模の二倍程度にすれば大変生産性も上がってくるというようなことは議論している、そういう段階でございます。
  95. 村沢牧

    ○村沢牧君 今、机上計算から簡単に答弁しているけれども、なかなかたばこ耕作の現状からそんなにたやすくできるものじゃないんです。だから、よく現地の実態に合わして指導してください。  そこで、時間が参りましたから簡潔にあと二問だけ質問します。  たばこ産業は我が国農産物の生産額においても非常に高い、所得も高い。しかし一日当たりの労働報酬は他作物並みである。しかもまた労働時間が非常に多い。こういう現状の中から、これからたばこ産業を育成するためにどういう行程でどのような作業の仕組みで改善をしていかねばならないというふうに思うのか。収穫するまでは非常にいいけれども、収穫した後の手数が大変にかかり過ぎているように思うんですけれども、これらについてどういう改善策を持っておりますか。簡単に答弁してください。
  96. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) それでは結論的に申し上げますが、六十五年を目標にいたしまして、労働時間で四〇%、生産費で二〇%程度削減したいというふうに考えております。その中身の大きいところを申し上げますと、まず本畑作業でございますが、これに高能率の機械施設、そういうものを入れ共同利用を図っていくというようなことによりまして、現行でこの本畑作業につきまして百七十一時間——全体で三百六十時間ぐらいあるわけですが、その中の百七十一時間を百三十六時間程度に減らしてまいりたい。  もう一つ、大きな要素としましては選別作業でございます。一枚選別を今やっているわけですが、それをやめまして簡易選別に切りかえていくというふうに考えているわけですが、これによりまして現在九十九時間かかっているところを十二時間程度に低減してまいりたい。  これが一番大きな改善点でございますが、こういうようなことをやることによりまして、労働時間を六十五年には四〇%ぐらい低減したいと思っております。
  97. 村沢牧

    ○村沢牧君 あと一問だけ。  最後に、総裁にお伺いいたしますが、今後たばこ審議会や耕作組合中央会の意見を聞いて、またこの意見を尊重して面積や価格、地域別配分等を定めることは法律事項になっているわけですが、こうした法定機関ではないけれども、葉たばこ耕作者を代表する組織として、例えば全国葉たばこ対策共闘会議というような組織もある。こうした組織たばこ産業育成のために真剣に取り組んでいるわけでありますから、こうした組織にも必要なことは伝え、また必要によっては意見も聞いて会社の運営に資していく、こういう民主的な態度が必要だというふうに思いますが、どうなんですか。
  98. 長岡實

    説明員長岡實君) 面積、価格の決定等の場合におきましては、でき得る限りそういう方々の御意見を拝聴するように努力いたしたいと思います。
  99. 村沢牧

    ○村沢牧君 時間ですから終わります。
  100. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 たばこ事業法等関連の五法案に対します連合審査というものでございますが、私は農林水産といいますか、農業サイドから二、三の問題についてお伺いをしたいと思います。  総体的には今までの専売事業と大きな変更はないということで、大体今までの専売でやりましたものを継承するような形になっているようでございますが、しかしながら、国が携わって行うのと違って、またたばこ産業株式会社が携わって主体的にこれを行うということになりますと、現実問題としてはいろんなことが起きてくるんだろうと思います。特に葉たばこの価格、それから現在の消費の動向、在庫の問題、こういうことを考えますと、これは従来の専売事業のいろいろな制度を継承するとは言いながら、そのままこれをそうですかと受け取るわけにはまいりません。過日の参考人のいろいろな御意見もございましたが、大筋で開放経済下の中で進めなければならないということではやむを得ない処置ということでありまして、私ども公明党にとりましても、行政改革というのは時の声としてその方向というのを真剣に考えなければならないときであろう、こう思うんであります。しかしそれが零細な農民に大きな圧迫があったり、また零細な小売業者、それぞれの商工業者に大きな影響があってはならないと思うんであります。そういう点から二、三の問題についてお伺いをするわけでございます。  最初に、今同僚委員からもいろいろお話ございましたけれども、葉たばこに携わる農業従事者というのは九万三千、こういうふうに数の上では言われておりますが、これは非常に生産性が高いということで日本農業の中でも大きな位置を占めているのではないかと私は思うのであります。耕種部門においては米に次ぐ生産高を上げているとも言われておりますが、こういうことから直接的には農水省には関係がないのかもしれませんけれども、こういう生産高とか、また九万三千という多くの方々が携わっておるという現状から、農水省としては、農業全体の中で非常に大きなウエートを占めると私は思うんですけれども、農水省ではどのように認識していらっしゃるか、ちょっとその点をお伺いしておきたいと思います。
  101. 山村新治郎

    国務大臣(山村新治郎君) おっしゃられるとおりに、葉たばこは農産物の中では畜産物を除きますと米に次ぐ地位を占めております。米、豚、生乳、それから鶏卵、食用牛、ブロイラー、たばこという順序でございまして、畑作物の中では二番目でございます。したがいまして、農林水産省といたしましては、従来からの土地基盤整備、経営近代化施設等の助成措置、これを講じてきたところでございますが、今後とも葉たばこ生産農家の経営の安定化を図る観点から、大蔵省、新会社とも十分連携をとりながら生産振興対策を講じてまいりたいというぐあいに考えております。
  102. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 しかも、葉たばこ生産者は、都市近郊とか、水田稲作農家とは違いまして、山間部、それから丘陵地帯、こういうところに多いわけでありますし、さらにまた専業度が高いということも言われておりますから、山村経済に及ぼす影響といいますか、こういうのは非常に高いのではないか、また農村経済においては今生産性が非常に高いということから中核的な存在であるというふうに私ども考えておりますが、大蔵大臣、どうでしょう。
  103. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 専業率が高い、そしてその地域において、今山村経済というお言葉をお使いになりましたが、そういう地域農業のまさに中核的存在であるという認識は同じくいたしております。
  104. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 また、専業度が高いということでありますが、それだけに今度の新しい制度になりましてどういうふうになるかということにつきましては、生産者としては非常に大きな不安といいますか、そういうものをお持ちになっていることは当然であります。ところが、今置かれております日本の葉たばこの在庫状況とか、それから今後の需要状況、たばこの消費動向、こういうものを見ますと、環境は楽観を許すような状況にはない。こういうことで、ここに求められるものは、より合理化とか生産性を上げるということになるんだろうと思います。  葉たばこ生産者、耕作者の現状としましては、収穫後の手数というもの、労働時間を非常に必要とする。こういうことで、そういうことに対しまして、より省力化とかいろんなことについては議論をされておりますし、また非常に改良が加えられつつあるんですけれども、そういうことと基盤整備ということでさらに生産性を上げる、こういう努力が必要でありましょう。開放経済下といいますか、市場開放のもとに、国際情勢のこういう状況の中で今度株式会社となるわけでありますから、それに即応した諸外国との比較対象の中でそれに沿った形に推移しなきゃならぬ。  こういうことを考えますと、耕作者の生産性を上げるための土地基盤、農地の基盤整備、こういうことに対しましては、それからまた施設の改善、より集約化、こういう生産性向上というのは非常に重要なことになると思うんでありますが、大蔵省でも今日までそういうことについてはいろんな施策をなさってきたと思うんですけれども、その辺のことについての今までの努力をしてまいりました施策、それから今後について考えておりますことについてちょっとお伺いしておきたいと思います。
  105. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今日まで我が国のたばこ産業は三つの巨大集団から成り立っておった。そうして今度国際競争場裏にさらされるわけであります。委員指摘のように、現在の技術水準あるいは三千億本という規模等々から言えば、ある意味においてアメリカのビッグスリーであるならば、ビッグフォーとは何ぞやと言えば、プラス日本たばこ産業、こういうふうに量的に言えば言われると思うわけであります。したがって、議論の焦点はどうしてもビッグスリーとの競争ということがいろんな比較対象になっていくわけであります。そのときに国産葉問題というものが議論の焦点になってくる。  したがって、今日までおやりになっております農政上の角度からすれば、農林水産省からお答えがありますように、あるいは土地基盤整備の問題でありますとか、あるいは施設の問題でありますとか、資金の提供の問題でありますとか、そういうことをかなり、私どもの方から申しますならば、手厚くたばこ耕作に対する農政上の施策として措置がなされてきておる。引き続き農政上の立場から農林水産省におかれてこのたばこ問題に対して対応してこられることは心から私どもも期待しておるところであります。一方、今日まで公社自体が対応してきたこと、農政上という角度からでなく、いわば専売公社の主原料たる日本の国産葉たばこ対策として、あるいは減反奨励金等をお出しになったことをも含めて、これはいろいろな対応策というものがなされてきておるわけでございます。  したがって、国際競争場裏にさらされればさらされるほど、この巨大なたばこ産業の一集団というものに対して、公社当局が相互理解の上に立ってそうした措置も含めて実施されていくものであるというふうに心から期待いたしておるところでありますし、また私どもも、可能な限り干渉を排していくという自主性のもととはいえ、それらの方向につきましては絶えず指導助言をもすべき課題であるという事実認識をいたしておるところであります。
  106. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大蔵大臣のお話を聞いているとまことにそのとおりなんですけれどもね。しかし、今国全体が財政的にも非常に逼迫しておるときでありますから、ことしの概算要求の大綱ですか、この考え方としまして、ここのところいろいろ議論がございました、大臣はその当事者であります。公共事業についても五%マイナスシーリングですか、今国内的には財政的に非常に逼迫した中で、いろいろ抑制しなきゃならぬという一つの命題があるわけで、課題があるわけでありますが、一方では、市場開放という、こういうことで迫られておる。十分に諸外国と競争のできる部門と、その競争がなかなか大きな格差があってすぐには太刀打ちのできないところとある。そういうことで、中曽根総理、中曽根内閣としましては行政改革に一生懸命取り組んでおる、その片りんを我々も認めないわけじゃありませんが、しかし太刀打ちできる部門とそうでないところについては、これはよく見定めていかねばならないのは当然であります。  きょうは、たばこを中心にしての問題ですから、そのことに限りますと、現在の葉たばこの生産費、価格面、それからたばこそのものの国際比較、こういうことからいきますと、十分な競争力があるとは言い得ないのが現状であります。たばこそのものでは、関税を引きますと一・七ですか、関税かけて一・二ぐらいということですから、もう少し努力すれば何とか近づくことができ得ない目標ではないだろうと言われておるようでありますが、しかし葉たばこにつきましては、諸外国それぞれまちまちでありますけれども、二倍とか三倍とかと言われておる。こういう環境の中で、日本の葉たばこ耕作者、現在考えております。そういう中で生産性を上げるといいましても、それはそれぞれ大変な努力をしておりますけれども、なかなか二倍三倍という数値を追い越すなんていうことは難しいことであります。日本は土地が高いのは御存じのとおり、そのほかの生産費も非常に高い、こういう中で生産性を上げるということは非常に難しい現状にある。  そこへ持ってきまして、公共事業が非常にスローペースになっておる。昨年からですか、第三次土地改良が始まっておるわけですけれども、昨年の状況、今年の予算状況を見ますと、こういうことでは、当初の目標三十二兆と言われておりますが、そういうものができるのかどうか。これは農林水産委員会におきましては、稲作を中心にしましてもいろいろな議論のあるところで、生産性を上げるといいましても、まず土地基盤の整備が最重大課題であるにもかかわらず、その一番大事な土地基盤整備が進まない。そういう中で価格面だけ国際競争力を持つようにとどんなに叫んでみても、それは現実性がない、そういうことで、今日まで、大蔵省としましても、葉たばこについてはいろんな施設面やいろんな予算補助制度、いろんな事業をしておるようでありますけれども、一番基本になります土地基盤整備ということは、現状の中でこういうテンポで進んでおりますと、言葉だけでは、生産性を上げるために合理化にいろいろ努力すると言いましても、基盤が確立されていないということですとなかなか思うように生産性が上がらないんではないか。  こういうことについて私は大蔵大臣に陳情するわけじゃないけれども、農業部門というのは他帝業と違って右から左に合理化事業というのはできるわけでは決してありませんから、そういう点では農業というのは基盤整備そのほかいろんな環境が整って生産性が向上になるんだろうと思う。そういうことから言いますと、大臣、今いろいろお話がございましたが、今日までやってまいりましたそれはそれとして私も認めるわけでありますけれども、しかし国際競争力という観点から見ますと、これはまだまだやらなきゃならない、そしてまたもっとこういう基本的なことについて努力をしなきゃならないことはたくさんあるのではないか、たくさんじゃない、こういう計画すらも十分に進んでいないのではないか。こういうことで非常に危惧しておるんです。大臣はこういうことについて全体的な予算ということに携わっていらっしゃる大蔵大臣ですから、これ一部門だけのことで云々するのは非常にあれですけれども、農業という他産業とは違う、非常にお金を投じて基盤整備そのほかの事業をしなきゃならない、それでもなかなか他産業に比するような生産性というのはなし得ない部門についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。また今後についても、こういう国際競争力を持たなきゃならない農業部門も数多くあるわけですけれども、そういうことについての今後の予算措置、また今後のこういう土地基盤整備、こういうことについてどのようにお考えになっていらっしゃるのかお聞きしておきたいと思うんであります。
  107. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 大変広範な角度からの御質問でございますが、私、具体的な問題については所管省からのお答えの方が正確であろうと思うわけでございますけれども、日本の国が貿易立国と申しましょうか、すなわちエネルギー源のほとんどを諸外国に依存しなければならぬという立場から、工業立国あるいは貿易立国としての立場を鮮明にした場合、開放経済への移行、保護貿易の台頭をいかにして抑制するかということが、一つの国是として存在すると思うのであります。およそ貿易自由化の原則とは何ぞやということになれば、地球上に生存する人類が安価にして良質なものを自由にどこからでも使用する環境、状況をつくることであろうと思います。しかしながら、それぞれの国々におきましておのずからその事情がございます。なかんずくその焦点は、農産品というものに対して最終的にはいわば保護施策というものが必然的に存在して今日まで来ておるというのは、特に日本のみならず世界的な傾向ではなかろうかというふうに思っております。  で、我が国に眼を移して見ますときに、たばこということになりますと、勢いアメリカの巨大産業、ビッグスリーというようなことを対象にしてまいりますと、アメリカの農業と日本の農業から見ますと、面積こそ二十六分の一でありますが、農用地面積にすれば六十分の一でありますから、人口が倍といたしまして、一人当たりおよそ三十倍の農地面積を所有するアメリカと日本において、生産性向上の立場から一つのハンディが背負わされてきておることは事実でございます。そういう中から少しでもそのハンディを縮めていこうというのが今日まで農政上でとられてきた農業基盤整備ということではなかったかなと、こういうふうに思います。そして、逐年農業基盤整備が進んでまいりまして、時にはいわゆる私有財産に対して国家資金、すなわち国民の税負担を投下することに対する異論というようなことも経過的には昔あったようでございますが、いずれにしても、土地基盤整備というものが農政上の柱として今日まで掲げられてきた。一昨昨年でございましたか、目標値のたしか九千億に達したときに、土地基盤整備に関心のある方々が万歳を叫んでおられた姿を私も覚えております。  それが、私が大蔵大臣に就任いたしましてからそれを五%カットのいわゆるシーリング、今日言うところの概算要求基準などを設けるということになりますと、みずからを振り返って、本当に大蔵大臣の希望者が少なくなるのもむべなるかなと、こういう感じを率直に受けたことも事実でございます。  そういう角度から、私どもといたしましても、今度の概算要求基準におきましても、五%削減とはいえ、全体の事業量が減りますところの省庁においては、その半分をいわばお返ししようと、正確な意味においてそれぞれが二・五%という意味ではございませんけれども、およそそのような措置でもって概算要求基準というのを昨日進めてきたところでございます。  したがって、そういう農産品を主原料といたしますところのこのたばこ産業でございますので、私は、本当に経過的に見ますと、いろんな問題がございましたけれどもたばこ産業について日本政府が今日までとってきた経過といえば、まず一つは関税というものによってこれを調整してきた、それもぎりぎりの二〇%になった。いま一つは外国の製品に対する販売の店舗数をふやしましょうということでこれに対応してきた。しかし、日本の今日置かれてくる立場からすれば、これで防ぎ切れるものではないというので、いわゆる輸入自由化というものに踏み切らざるを得なかったという状態でございます。  本当に考えてみますと、二十年前には自動車も何もかもいわゆる輸入不自由化の時代であったわけでございます。アメリカということを意識しますと、自動車は、アメリカを仮に意識すれば、日本から毎日五千台輸出されて、アメリカから入ってくるのは、この間見ますと、九・七台ぐらいでございます。そういう角度から見ると、あるいはこの産業ならば勝てるというつもりがいわゆるビッグスリーにはあるかもしらぬ。それに対応してこれから国際競争場裏の中で戦っていくわけでございますからよほどの覚悟が必要だ。そこで商法と労働三法というところで環境を整備し、そうして、頭と言っては失礼でございますが、知識水準、技能を含む労働生産性では絶対私は負けないと思っております。今日の専売公社の労使関係なんというのは、私は先般の国際会議でも申し上げましたが世界一だと、私自身が所管しておるからいささか手前びいきの感はあったけれども、そういうことを明言しておきました。だから、そういうことに対しては国際競争力にたえ得る。  そうすると、巨大なたばこ産業のこの三集団というものが、本当に協調して相互理解の中でそれぞれが合理化努力を行っていかなきゃならぬ。その一部門がいま御指摘になっておりますところの、国際的に見ても、どの国においてもそれぞれの問題を残す農業部門のうちの葉たばこ生産部門である。したがいまして、生産者団体の各位とも絶えず議論なり意見の交換をしながら、それに対して、あなた方だけがこの合理化の対象になるべきものでなく、総合した合理化によって国際競争力をつけていくために本当に相互理解でやっていきましょうという精神でこれに対応していかなきゃならぬではなかろうかというふうに考えるわけであります。  したがって、農政上の措置としても、農林水産省におかれ、今日まで以上のいろいろな措置が行われることを期待し、また新会社自身もそれに対応してのもろもろの措置を絶えず念頭に置きながら考えていかなければならぬではないか。  少し長くなりましたが、以上をもって決意表明を終わらしていただきます。
  108. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まあ陳情に対しての決意表明であります。私は、農林水産委員会のときは、いつも元気のいい農林水産大臣——元気はいいんだけれども、予算獲得はその元気でやってくださいといつも言っておるんです。  日本全体を考えますと、他国にすぐれた面もあるし、また日本のこの狭い国土ですからやや生産性が上がらないという部門もあり、しかしこういう開放経済といいますか、国際化といいますか、国際競争化というものは、これからもまた進むでありましょうし、日本の農業も伝統的にそれなりの力をつけ、そしてまた経験を積み、技術の開発もしてきているわけでありますから、農業の原則、先ほども議論ございましたように、国内で生産できるものは基本としては生産をしていくということからいいますと、それなりの、今大臣のお話ありましたように、ある部門では保護政策というのはとらなきゃならぬだろうと思いますが、今当面する葉たばこにつきましても、そんな大きな格差というより、一体になって新会社または耕作者が努力していくところにまた活路が見出されるんだろうと思います。  それにしましても、農業全体というのはどうしても他産業よりはテンポが遅いし、また技術的なことや土地基盤、そういうことで非常にお金のかかることと、それから時間のかかることでは他産業に比すべくもない状況にある。そういうことから一つ方向性といいますか、農業部門に対しましての計画というものを立てたら、その計画をできるだけ遂行する、そういう方向でいきませんと、生産性の上がらないことだけが強調されて、生産性を上げるためどういう施策をどのように積み上げてきたのかという経過というものが度外視される傾向にあるものですから、私はいろいろ今申し上げているわけでありますが、そういう点では、おれは農業のことをよく知っているという大蔵大臣、農業部門というのは加工部門とは違いまして、そういう一つのハンディを背負っておるということの認識の上に立ってぜひ今後の施策を見守っていっていただきたいものだと思うんです。  今まではこういう国会の場でいろいろ議論する場があるんですが、この前、耕作者の方といろいろお話ししましたら、言っておりましたことは、今度会社になりますと直接的に国会論議という場がない、会社というのは生産性ということを中心にして合理性、企業性を要求される、今たばこの値段が上がるということになりますと国会でいろいろ議論になり、それに伴いまして耕作者の立場に立ってのいろんな議論もあるわけですが、今度は会社になりますとそういうことが直接的にはなくなるということで、耕作者の声が届かなくなるのじゃないかと非常に危惧したお話がございました。審議会等があってそういうところでということなのかもしれませんけれども、ただ今まで今日までありましたこういう国がやっておりましたのが、民間会社特殊会社という形で運営するということになりますと、直接的なそういう議論がないだけに、耕作者との話し合いの審議会の場というのは非常に大事になるし、耕作者を代表して意見を述べる中央会の持つ重大性といいますか、重みを非常に増すのではないかと私は思うんです。こういうことから、審議会の運営というものは非常に重大な意味を持つと、こう思うんです。  総裁は先のことを考えていろいろお話しなさる立場なのだと思いますが、現在じゃなくて、これから新しい会社ができるとその会社がどうなるかということなんですけど、この審議会、その中での耕作組合中央会というのは非常に大きな意味を持つ。そういう中で、今までたばこを上げるについてもいろいろな議論があったが、これと同じように、いろんな立場意見を集約するという上で審議会の運営というものについては十分な配慮をしなければならないのではないか。さらにまた、中央会というものに対して、そういう一つの大きな力を持つ存在としての位置づけをしなきゃならないのじゃないか、このように思うんですが、どうでしょう。
  109. 長岡實

    説明員長岡實君) 制度改正によりまして現在のたばこ耕作審議会が葉たばこ審議会になるわけでございますが、基本的な性格は、新しい葉たばこ審議会も、当然のことながらたばこ耕作審議会と変わらないものとして運営されていかなければならないと考えております。とりわけ公社という事業主体に比べまして、政府関係法人ではございますけれども株式会社組織になるわけでございますから、そういった場合に葉たばこ審議会の委員の構成要素と申しますか、耕作農家にとって極めて重大な関係のございます面積や価格について御審議をいただく審議会でございますので、新しい法律におきましては、その審議会の委員につきましては、「耕作者を代表する者及び学識経験のある者のうちから大蔵大臣認可を受けて、会社の代表者が委嘱する。」ということになっておりまして、公的な立場から監督をなさる大蔵大臣がその審議会の委員の任命についても認可をするというような仕組みが新たに導入されております。こういったような制度の仕組みから考えましても、御指摘のとおり、この審議会の運営につきましては、新会社移行後は、従来と同様と申しますか、あるいは従来にも増してと申すべきであるかもしれませんが、公正な審議会の運営ということに心がけていかなければならないと考えております。
  110. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この葉たばこ審議会というのは、今までの審議会では十一名ですね。それで耕作者の方が五名ですか、いらっしゃったようですが、今までの名簿を見ますと、直接耕作者という立場、耕作者の組合とかなんかに携わっている方なのかもしれません。それから今度在来種と黄色種で、東と南と北ですか、地域性とか、こういうことがある。それから福島県なんぞは専業でやっている方が非常に多いですね。それからそういう専業でない五反歩か七反歩、いろいろな危険負担ということで農家では作物を決めるわけですけれどもね、そういうことでやっていらっしゃる方が多い。そういうことで階層別とか地域別とか、いろいろなことを集約してその意見が反映しないとならぬだろうと思うんですけれども、今までもそういう配慮というのはあったんだろうと思うんですけれども、そういうことは当然念頭に置いた上で、これは大臣認可というけれども、実際は会社でいろいろ事務的なことはなさるんだろうと思いますが、どうなんですか、そういう点はお考えになっていらっしゃるんですか。
  111. 長岡實

    説明員長岡實君) 現在のたばこ耕作審議会の委員の構成は、学識委員が六人、耕作者代表委員が五人でございまして、新しい制度に移行いたしましても、この構成は変わらないと存じます。耕作者代表につきましては、たばこ耕作組合中央会の推薦に基づき委嘱をしているわけでございますけれどもたばこ耕作組合という存在は、御承知のように、法律に基づく団体であり、かつ耕作者全員が加入しているという性格のものであり、かつその推薦に当たりましては、ただいまお触れになりました黄色、在来、バーレーといったような種類の産地別の意見が反映されるような顔ぶれが推薦されて今日に至っております。したがいまして、新しくできます葉たばこ審議会におきましても、当然そういったような配慮が行われた人選が行われるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  112. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それと、さっきちょっと申し上げたんですけれども、耕作組合中央会という役割がそういう点では非常に重要になるわけですね。ここで何かありましても、今までですと国会でいろいろ議論になるなんということもあったんですけれども、今度はそういう場がだんだんというか、ほとんどよほどのことがないとない。今までもこの耕作組合中央会に対しましてはいろいろな面の、法的な立場はもちろんですけれども、この中央会に対しまして予算的にも予算補助や何かでいろんなことをしておりましたですね。今後は耕作者の代表として意見を述べるということでは、今までの何倍も重要な位置にあるということで、この中央会というものはしっかりしなきゃならぬだろうというふうに思います。そういうことについてはこの前参考人の方もいろいろお話ししておりました。そういうことについてそういう代表と、これは会社そのものと直接関係はないかもしれませんけれども、そういう中での今後いろんな話し合いがなされる。しかし、会社としましては、もちろん耕作組合中央会の方々意見ということで、民主的ないろんな手だてをして公平な運営をやっていただきたい。  価格決定とか数量決定、八月に審議会がございますが、八月の審議会で決めることは本年の価格決定ですか。それから六十年、明年の四月から新しい会社が発足するわけですね。聞くところによりますと、明年四月からの新しい会社発足に当たりましては、品種とかいろんな価格体系というものについていろんな振りつけを検討するんじゃないか、再検討するんじゃないかというようなこともいろいろ聞いておるんですけれども、そういう点では、今度の八月の審議会よりも、十二月に行われる審議会でそれぞれの葉たばこの価格体系というものが決定される、それが非常に大きな意味を持つんだというような話もちょっと聞いておるんですけれども、その間のことはどうですか。
  113. 長岡實

    説明員長岡實君) 最近は大体八月の末ごろに耕作審議会を開きまして、その年の葉たばこの買い入れ価格と翌年の耕作の面積を諮問申し上げて御議論いただいておるわけでございます。  ただ、制度の本則と申しますか、価格につきましては予示価格制度、要するに耕作者が耕作に入る前に価格を決めるというのが本筋ではなかろうかということになっておるわけでございますけれども、現在のところは予示価格制度をとらずに八月に決めていただいておるというのが実情でございます。この予示価格制度をとるとすれば、ただいまおっしゃいましたように、十二月ごろには審議会を開いて決めていただかざるを得ないわけでございます。  しからば、新制度移行を控えまして、ことし八月と、十二月にもう一度審議会を開いて来年の価格もそこであらかじめ決めるのかどうかという問題が残っておるわけでございますけれども、最近葉たばこに限らず各農作物の価格決定は大変いろいろ難しい要素をはらんでおりますし、なかなか簡単には予示価格に復帰し得るかどうかという点についての結論を出しかねておるのが現状でございます。したがいまして、現段階におきましては、十二月に必ずもう一度審議会を開いて次の年度の価格まで決めていただくという方針を決めておるわけではございません。
  114. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 しかし、決定はしてないけれども、この予示価格というものを導入するということになりますと、十二月には諮問するということになるんだろうと思います。それが新会社になったときの買い入れ価格ということになるわけですね。会社は実際には四月一日から発足するんでありますけれども、その価格体系といいますか、価格そのものについての審議とか、いろんな諮問をして答申を受けるその手だてというのは、この十二月やるかやらないか、これはこれからいろいろ検討するということで、この十二月にもしやるとすれば、価格体系に対して新会社が一体どういう考えを持っているか。そこで価格の答申が出ればそれは明示されるわけなんですけれども、そういうことで農民の方々は、十二月にもしあるとすれば、その十二月に非常に注目しておる。この価格決定に当たりましては、再生産を云々とか、経済情勢云々とか、先ほど同僚議員からもいろいろありましたけれども、こういう考え方というのは、法的には文章もちょっと違っている点もありますけれども、生産農家にとりましては、耕作者にとりましては、自分のつくった物が幾らで買ってもらえるかということに非常に重大な関心を持っているんで、今までの価格決定と大筋においては変わりがない、このように考えてよろしいですか。
  115. 長岡實

    説明員長岡實君) 価格決定の考え方についての法律上の表現には若干の違いはございますけれども、基本的な考え方は大筋において変わりがないと御理解いただいてよろしいかと存じます。
  116. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それから面積のことですが、先ほど同僚委員からいろいろございました。現段階で明年どうするかということについて、しかも新しく発足する会社のことについてここで明言せよとか、どう考えているんだとか、考えていないわけはないだろうということは非常に無理なことなのかもしれません。私は、新会社になるといろんな諸制度は継承するとなっているんですけれども、しかし株式会社ということになると、どうしても合理性、生産性という企業的な考えになり、じわじわ生産農家に、耕作者にしわ寄せが来るんじゃないかということを非常に危惧しておるんですね。そういう点について私どもお話を聞けば聞くほど、そしてまた新しい会社の発足に当たりましては、当然弾力的なそういう企業性というものがなければ新しい会社にした意味がないわけであります。そういうことからすると、生産者に今までと同じということじゃなくて、何らかのしわ寄せが来るんじゃないかという危惧を持たざるを得ない。耕作面積について、明年度については減反をしなきゃならない、生産抑制をしなければならないということについては、衆議院でも答弁もあったようですけれども、その間のことについて新聞では私どもは記事を見ているんですが、総裁の口から直接、現状の数量的な数字は出ないとしましても、考え方として、どういう考え方でそういう御発言があったのかというその辺をちょっとお伺いするんです。
  117. 長岡實

    説明員長岡實君) 藤原委員承知のように、五十七年に面積につきまして相当大幅な減反をお願い申し上げた経緯がございます。その際に、毎年毎年耕作面積が移動するということでは葉たばこ耕作農業の経営の安定が図れないということで、大体三年間を見越しまして、単年度需給均衡面積を求めてその面積まで減反について農家の方方の御協力を申し上げたわけでございます。  ところが、その後三年を過ぎて今日に至っておるわけでございまして、私どもの努力の至らない点もあろうかと存じますけれども、いろいろと努力いたしましても、約一年分の過剰在庫の解消がなかなかはかどらないということが一つございます。  それから世界的な傾向としてたばこの消費が頭打ちになっておる。これがどんどん伸びていってくれる段階でございますと、過剰在庫の解消その他の面も非常にやりやすいわけでございますけれども、これがなかなか伸びないということ。  それから第三番目に、これも世界的な傾向でございますけれども、軽いたばこを好むという傾向になりますと、たばこをつくる技術の上におきまして、一本当たりに使うたばこの原単位と申しますか、その量がむしろやや減るぐらいであって、これはなかなかふえてくれないという事情がございまして、そういったようなことをあわせ考えまして、率直に申しまして、現在は、葉たばこにつきましては、需給の面ではいわば供給超過の状態になっておると申し上げざるを得ないと存じます。  そこで、この八月の審議会にどういう面積についてお諮りするかということになるわけでございますが、先ほど村沢委員の再三の御質問に対しましても、私が具体的な数字を挙げる段階に至ってないというふうに申し上げてあるわけでございまして、その点については御理解をいただきたいと存じますが、基本線として、この八月の審議会には面積調整、端的に申しますれば、減反について耕作農家の方々に御協力をお願いせざるを得ないという現状だろうと認識いたしております。その場合には耕作農家にだけしわ寄せしないように、公社全体として、あるいはたばこ産業全体としての合理化の努力についても触れざるを得ないと存じますし、またお願いをいたしますとすれば、来年はまた新会社になってからというようなことではなくて、やや長期的な見通しまで立てた上でその面積をはじき出し、それについて議論をしていただきたいというのが現在における基本的な考え方でございます。
  118. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 三年にわたりまして面積調整をやってきたわけですね。    〔委員長退席、大蔵委員会理事岩崎純三君    着席〕 それで五十七年は五千ヘクタールですか。その前からずっと減っている。五十七年に三年計画でということで、三年計画で五千ヘクタール面積調整をして、それで在庫は一向に動かないんですか、現状としては。どうなんですか。
  119. 長岡實

    説明員長岡實君) その点が、先ほども申し上げましたように、全体の需要が伸びず輸入品のシェアが若干ずつではございますけれどもふえておるといったようなことと、それからたばこをつくる技術の面におきまして原単位がやや減少傾向にあるといったようなことから、率直に申しまして、三年前と今日と比べまして、過剰在庫の解消ははかどっておらないというのが現状でございます。
  120. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 先ほどお話ございましたように、軽いたばこの嗜好とか、喫煙者の嗜好の方向もだんだん変わってきているようでありますが、当然そういう消費者、喫煙者に即応した形のものにしていかなければ、消費というのは国内たばこがだんだん、国内たばこ離れといいますか、そういうことになるんだろうと思います。しかしながら、国内産たばこの消費ということもこれまた非常に大きな課題になるわけで、現在は聞くところによると、日本の国産たばこも国内葉たばこが大体八ですか、外国との比率が大体八対二ぐらいですか。
  121. 長岡實

    説明員長岡實君) 輸入が三分の一です。
  122. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 輸入が三分の一ですか。そういう現状の中で品種改良、品質改良といいますか、こういうものと、それから国内産のものをどう消費していくか。面積調整ということだけに重点を置きますとどうしても耕作者に大きなしわ寄せがいく。そのためのいろんな施策、これはお考えになっていらっしゃるんだと思います。農村に、耕作者に対する急激な影響のないように公社としてもいろんなお考えがあるんだろうと思いますし、公社も当然痛みを分けてというお話でしたが、現在考えておりますことについて、どういうことをやっていらっしゃるのか、これからまたしようとするのか、この辺ちょっとお伺いしておきたいと思うんです。
  123. 長岡實

    説明員長岡實君) 国際競争力という点から申しまして、率直に申しまして、私どもまだまだ合理化しないと輸入自由化後の厳しい競争に耐えていけないのではないかということで、公社といたしましても、当然新会社といたしましても、というふうに御理解いただいても結構でございますが、全社的な合理化努力を払っていかなければならないと考えているわけでございまして、具体的な内容につきましては、まだその緒についたばかりと申しますか、全体像が明らかになっておりませんので、御説明申し上げるのが大変あいまいとしておって恐縮でございますけれども組織を簡素化していく、定員についてもできるだけ少ない人数で能率を上げていくといったような通常考えられる合理化策が中心になろうかと存じます。そういった努力を払うことによりまして、また葉たばこ耕作農家にも日本のたばこ産業全体が置かれている立場を十分御理解いただいて御協力を賜っていくということを中心に、今後の耕作面積のあり方についても考えてまいりたいと思っております。  仮に、先ほど申し上げましたように、この八月末の審議会である程度の減反について御協力を申し上げる場合にも、それは決して国産葉の比率を低めまして安い輸入葉をどんどんふやしていくための減反ではないんだ、外葉の輸入率については先ほど三三%と申し上げましたが、これを今後ともできるだけ長い期間維持していくようにしたい、国産葉はあくまで私どもたばこをつくる場合の主原料として位置づけるつもりなんだということを、十分に農家の方々にも御説明申し上げて御理解を求めるようにしたいというふうに考えております。
  124. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 日本一たばこの生産の多いのは福島県ですね。福島県の方々といろんなお話をしました。公社公社としての今日までの経営努力、そういう中で今当面する問題をどう処理するかということでいろんな御検討をなさっていらっしゃることはよくわかりますけれども、耕作者は耕作者で、これは長い歴史の中で蓄積された技術といいますか、面積調整ということでこれだけにしてくれと言われましても、葉たばこに専念してきた方々にとりましては、ほかのものをつくる手だてといいますか、技術がない。我々は葉たばこをつくる技術者なんだということを言っておりまして、私もなるほどなと思いましたが、葉たばこをつくることについてはいろんな努力をし、そしてまたそういう技術を積み重ねてきた。福島あたりですと何代か前からやっておる。ほかのものをつくるということは、生計を維持するための農業としてほかのものを耕作するということは我々にはできないんだ。地域によりますと、大面積の中の何分の一か葉たばこだというところもあるのかもしれませんけれどもね。農業というのはそれぞれの植物、農作物によりまして技術が違います。かつて減反のときに、稲作の転換のときに、麦を植えたらいいじゃないか、麦を植えろと奨励しましたけれども、十年も十五年も麦を植えたことがない。それで麦を植えようと思っても技術がない。農作物すべてそれぞれの作物についての技術というのは長い歴史の中で農業者が蓄積されたものであると思います。    〔委員長代理岩崎純三君退席、委員長着席〕 そういう点で専業が多い、一種兼業が多い。およそ専業と一種を入れると八五%になるんじゃないかという、こういうことが言われているだけに、私はさっきからくどいように申し上げているわけであります。そういうことから言いますと、確かに公社としてのいろんな企業努力とか、いろんな現在置かれている窮状もありますが、一方また耕作者のそういうほかの農作物とは違って葉たばこウエートが非常に大きい、生産性が高い。こういう生産力が高いという中での面積調整ということは、収益性とかそれぞれの農家のいろんな立場というものを勘案してやらないといけません。それでなくても農家経済というのは非常に厳しい状況にあることは私が長々申し上げることでもないと思うんです。  専業、一種兼業からどんどん二種兼業に、二種兼業はもう七割を超すような現状になっている。こういう中で農業に何としても活路を見出そうとして努力していらっしゃる。そういう中では複合経営とか新しい芽も出ているわけでありますけれども、とりあえずこのたばこというのは、非常に手数がかかって、そしてそれをやろうという強い意思がなければ、あの刈り取り後の長時間労働を要するお仕事というのはでき得ないだろうと思うんですね。そういうことに携わっている方々は、お年寄り、長い間やっている方、そういう経験を積んでいる方、そういう方が多いんじゃないかと思うんですけれども、そういう面積調整については、いろんな状況の中での問題でありますから、これは今後の話し合いというのは非常に大事だと思うんです。そういう非常に厳しい状況の中で、そしてまた長い間技術を積み重ねてきた中での問題であるということで、ぜひひとついろんな問題を勘案していただいてこの面積調整については慎重を期していただきたいと私は思うんですが、どうでしょうか。
  125. 長岡實

    説明員長岡實君) 公社といたしましても、また新会社といたしましても、当然今おっしゃったような考え方で葉たばこ耕作農業の問題を考えていかなければならないと思うわけでございますが、会社になりますと公社のときど違って営利追求が非常に先に出まして、葉たばこ耕作農業の実情を無視したような施策をとるのではないかといったような不安が、この制度改正を通じて耕作農家の方々の中にあったことも事実でございまして、そういったようなことも考えまして、たばこ事業法案の中では、この新しくできます葉たばこ審議会につきまして、面積や価格を御審議いただくわけでございますけれども、「会社は、当該葉たばこ審議会の意見を尊重するものとする。」という規定が新たに入ったわけでございます。現行制度のもとにおきましては、審議会の議を経て決めるというだけの表現になっておりますところを、この新しい法律には「当該葉たばこ審議会の意見を尊重する」という文言が新たに挿入されておりますのも、そういった心配が起きないように葉たばこ耕作農家のあり方も十分考えた上で面積や価格が決定されるようにという御趣旨であろうと理解をいたしておりまして、そういった考え方でこの問題に取り組んでまいりたいと思います。
  126. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いろんなことがありますが、時間がありませんからあれですが、ほかの農作物と違って葉たばこの生産というのは非常に難しい、労働力を必要とするという特殊性があるわけですが、それだけにいろんな試験研究ですね、品質の面はもちろんとしまして、省力化、こういうことについて今日までもいろいろ御努力をなさってきたことは私どもそれなりに承知をいたしておりますが、葉たばこ自体は、これは暖かいところのもので、品種的にはもっと良質なものが出つつあるのか。それからまた、この省力化ということにつきましても、各地でそれぞれ試験場があっていろいろ細々とやっているんですけれども、しかしこういう国際競争力が問われる大事なときでありますから、それなりにまた努力をしなきゃならぬし、また早急にそういう問題についての解決の方途というものを見出さなきゃならないと思うんです。  品質、品種改良ということやまた省力化等、この試験研究機関というものの充実強化ということについては、これは公社としてもお考えになっていらっしゃると思うんですけれども、どうなんでしょうか。
  127. 丹生守夫

    説明員(丹生守夫君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、我が国は自然条件におきまして、例えば大変いい葉たばこができます大産地のアメリカなどに比べますと、かなりの制約があるわけでございまして、したがいまして、品種の改良ということ、品質の向上ということにつきましては、かなりの面で困難が伴うわけでございますけれども、私ども試験場では長年にわたりまして研究を続けてまいりまして品質の向上に役立つような技術の開発を進めているわけでございます。私ども研究機関で持っておりますもろもろの技術の中で葉たばこの改良ということに役立つような技術といたしまして、世界に先駆けまして開発をしているものといたしまして、半数体育種法とか、あるいは最近よく言われておりますバイオテクノロジーの一環といたしましての細胞融合技術、そういったようなものがございまして、これらの技術も駆使しながら今後より喫味のいい葉たばこ、あるいは耐病性の強い葉たばこ、あるいは産地の地域に適合したような新しい品種の開発というようなことについて努力してまいりたいというぐあいに考えております。そのほかまた地方の 増強でありますとか、土壌の管理の技術あるいは産地の土壌、気象条件に適した栽培技術といったようなものにつきましても開発に取り組んでいるところでございます。
  128. 下田京子

    ○下田京子君 今回提出されておりますたばこ事業法案の中心といいますのは、製造たばこ輸入自由化専売公社制度の廃止にあると思うんです。耕作農民あるいはまたその他の関係者も一番心配されているのは、今後製品たばこ輸入自由化で国内におけるそのシェアがどうなるんだろうかというところだと思うんです。今までの衆議院、参議院の両委員会の質問とそれに対する答弁をお聞きしておりますと、今後の見通しとして、現在二%程度だけれども、楽観的に見ても五%程度は覚悟しなければならないだろうと。さらには六十二年度に四−六%、そして六十七年度には一一から一五%程度というふうな公社側のある一定の見通しのものが出されていると思うんですけれども、その辺実際的にどんな見通しをお立てになっているんでしょうか。
  129. 長岡實

    説明員長岡實君) 新会社移行後と申しますか、輸入自由化後に輸入品のシェアがどういう推移をたどるかということは、私どもとしても大変な関心事でございまして、いろいろと研究というか検討はいたしておるんでございますけれども、何年後に何%になるという確たる見通しにまで到達いたしておりません。率直に申し上げまして、公社の内部での作業としてはいろいろな数字が出ておりますけれども、恐らくこれだろうというところに絞り切る段階まで至っておりません。私が衆議院の段階で申し上げましたのも、過去の経緯といったようなことから考えまして、輸入自由化が行われる前からここ二、三年大体年率二割近い伸びで輸入のシェアが伸びております。輸入品のシェアが伸びておるものでございますから、自由化後は数年の間に五%程度になることは覚悟しながら、その経営の方針といいますか、戦略と申しますか、そういうものを立てていかざるを得ないだろうということを申し上げただけでございまして、その延長線上で、例えばその後何年後には何%になるんだというところまでの見通しは率直に申しましてまだ立っておりません。
  130. 下田京子

    ○下田京子君 自由化というものが一体どういうものかというのは、今のお話をお伺いしていてもわかりますように予想がつかない、やってみなければわからない、ここに本質があると思うんですね。需要は伸びない。そこで輸入品のシェアが一体どうなるかということが今後の行方を大変左右すると思うんですね。  今までのお話を伺っていますと、一%輸入品のシェアがアップすると、葉たばこ耕作面積で約六百ヘクタール国内生産を減らさなければならないという計算になっておりますね。これが仮の数字であっても、六十二年度に五%のシェアになるということを想定いたしますと、現在に比べて三%アップですから、これはざっと一千八百ヘクタールの減反ということになります。さらに、仮にこれが一五%シェアを占めたということになりますと、何と七千八百ヘクタールも国内の葉たばこ耕作面積を減らしていかなければならない。これは、私が住んでおりますまさに全国一の葉たばこ生産県の福島県、これは五十八年度耕作面積が六千四百五十二ヘクタールですから、それをはるかに上回る大変なものだというふうに感ずるわけなんです。そういうことで、先般相当量の減反を頼むことになるだろうというお話がございましたが、まさにこの製品たばこの自由化ということは生産農民に大打撃を与えるというふうに私たちは感じなければなりませんが、いかがですか。
  131. 長岡實

    説明員長岡實君) 輸入品のシェアが、現在のたばこの消費が頭打ちといたしまして、一%伸びるごとに約六百ヘクタールの面積に響く、五%になれば千八百ヘクタールというのは御指摘のとおりでございます。それだけに私どもも、輸入品のシェアが今後どういうふうに推移するかということについては最大の関心を持って考えていかなければならないわけでございます。まず第一に私どもがやらなければならない仕事と申しますのは、輸入品に負けないような製品を開発して市場に投入して、現在まで持ち続けてまいりました国産品のシェアをできる限り維持する努力を当然考えていかなければならないと思っております。したがいまして、何年後に五%になり、それがその延長線上で例えば一〇%、一五%となるというようなことにはならないようにしたい、またそうしなければならないと考えておる次第でございます。
  132. 下田京子

    ○下田京子君 覚悟のほどはわかるんですけれども、実際に輸入品が今後国内にどういう格好で入ってくるかという点で、先進国のたばこ市場の動きというか特徴というか、その辺をはっきりつかんでおかなければならないと思うんです。一つは、需要が停滞する中で激烈なシェア争いと積極的な海外への進出ということがあると思うんですね。二つ目には、国際的規模で寡占化が、しかもどんどん進行してきているというところに大きな問題があると思うんです。  さっき大蔵大臣もお述べになっておりましたけれども、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、それにフィリップ・モリス、それからレイノルズ、この巨大三メジャーといいますかビッグスリー、これが世界のたばこ販売量のシェアをどのぐらい占めているかというと、年々寡占率が高まっているんですね。一九七四年に四一・九%、一九八〇年、四六・一%、最近一九八二年の資料で四九・五%、こういう状況でございますから、これだけ急激に進出してきている。そういうビッグスリーと相争っていくということは大変なことだと思うんですね。その辺の御認識、大蔵大臣、どうお考えでしょう。
  133. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今一九八二年で四九・五%のシェアを持っている、それも歴年寡占化が進みまして、買収あるいは資本の取得等々からいたしましてそういう傾向になっておることは事実であります。  日本専売公社は二二・五%、その限りにおいては量的には確かにビッグフォア、こういうことが言えると思っております。それから技術研究の方から言えばまさにビッグフォアと言えるでございましょう。しかしこれが、いずれにいたしましても、輸入自由化でございますから何らかの影響を受けるというのは、これは当然そういう認識の上に立って対応していかなきゃならぬ問題だと。  そこで、さようしからばというので、商法、労働三法等を基本といたしまして、可能な限り当事者能力を発揮してこれに対応するところの環境をつくろうというのが、このたび御審議いただいておる関連法案であるというように御理解を賜りたい。その中で、ただ、このたばこ産業を支える三つの集団というような言葉を使いましたが、一つだげがこの合理化の影響を受ける、こういう考え方ではなく、総合的に相互理解の中でこの国際競争力に対応していく厳しい自助努力というものを続けていかなければならない。そういう環境の中にさらされ、またそれに耐え得るだけの環境整備をしていくというのが、すなわちこの特殊会社ということに相なったというふうに御理解を賜りたいのであります。
  134. 下田京子

    ○下田京子君 何らかの影響は覚悟せねばならない、関係者がすべて大きな犠牲を払うことは覚悟してかかっている、こういうことなんですが、特に今世界三大メジャーの中でフィリップ・モリスがどういう動きをしているかということなんでございます。  このフィリップ・モリスの今までの状況を見てみますと、シェアでかつて一九七四年に一一・六%だったのが八二年に一七・四%ということで、まさにBATに続いて世界第二位というふうにの上がってきているわけなんですね。このフィリップ・モリスが実は一九七八年にアメリカのリゲットの海外部門を買収してラークの商標権を取得したと思います。この主な目的が何かというと、このラークによる日本市場攻略がその主なる目的なんだというふうに聞いていますが、そうでございますか。
  135. 長岡實

    説明員長岡實君) 大体そのように御理解いただいてよろしいかと存じます。
  136. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、このフィリップ・モリスの代理店の問題なんですけれども、日本で外国たばこ販売量第一位の銘柄がまさにラークなんですね。今このラークを扱っている代理店の商社がどこかというと、東日本は三井物産、西日本が日商岩井ですね。そして五十八年の輸入たばこ販売実績を見てみますと、第一位が三井物産で二十四億本、さらに第二位が日商岩井で二十億本でしょう。この二社だけで輸入製品たばこの約八割を取り扱っている。さらに第三位にレイノルズと結んだ三菱商事が控えておりますね。  こういうことで、際立っているフィリップーモリスにいたしましても、輸入代理店を引き受けているのが大手の商社、商事会社でしょう。今度は自由にどんどん自分の販売ルートでシェアを伸ばしていくことができる。こういうことになりますと、これは五%程度、楽観的に見て、輸入製品たばこが国内でシェアを占めることは、あり得るだろう程度では済まないと思うんですね。相当程度のシェアが占められていく結果になるのじゃないか。その点はどのように御判断されますか。
  137. 長岡實

    説明員長岡實君) 確かにフィリップ・モリスその他世界の三大たばこ資本と申しますか、そういったようなものが相当強力なものであり、かつ国内において輸入自由化後に大手の商社を使っていろいろと販売の拡大を図っていくということは相当程度覚悟しなきゃならないとは存じますけれども、私どもといたしましては、私どもたばこの製品についてある程度の自信は持っておるつもりでございまして、これはその輸入自由化云々という制度的な問題を別にいたしましても、専売公社が今日にまで開発し、市場に投入してまいりましたたばこの商品は、嗜好品として国民の喫煙者の皆様方に相当程度根強く浸透しておるというふうに考えております。こういった製品と、なおかつ将来に向かって消費者の方々が新しい傾向としてどういう嗜好を持たれるかということも敏感に反映して新しい製品を市場に投入する。また販売の面につきましても、最大限の努力を一丸となって払うことによりまして、私どもとしては対等に競争していけるものというふうに考えている次第でございます。
  138. 下田京子

    ○下田京子君 対等に競争できるというふうな覚悟を話されておりますけれども、これは国際的に見まして、過去の経緯を見ても、日本の専売公社はビッグフォーだと言いましたが、かつて上位だったんですね。それがどんどん世界の三大メジャーにそのシェアを奪われてきたというのが現実でありますし、先ほど大蔵大臣から、そういう国際企業と相争っていくために相当程度犠牲を覚悟しなければならないとのお話がございました。こういう巨大たばこ資本とコスト競争ということで、たばこ関係者、たばこ関係労働者、あるいは葉たばこ耕作農民、あるいは小売人に犠牲を押しつけるようなことがあってはならないと思うんですよ。  そこで、具体的にそのコスト問題でお尋ねしたいんです。これは公社からいただきましたことで具体的にお尋ねしますけれども、今一番我が国で販売量が多いのがマイルドセブンですね。この定価が二百円。内訳、小売店のマージンが一〇%で二十円です。税金が五九・九%で百十九円八十銭です。残り約三〇%の六十円二十銭のうち利益が三、四%と聞いております。とすれば、二百円の定価のうち製造コストというのは二六、七%で、金額にいたしますと五十二円から五十四円程度になると思うんですね。この五十二円から五十四円の製造コストの中で、葉たばこ代金あるいは保管経費の占めるのがどの程度かというと、約六割と、こういうふうに聞いております。つまりコスト軽減ということは、相当原料葉の引き下げを図るということにならざるを得ないと思うんですが、そういうことでしょうか。
  139. 丹生守夫

    説明員(丹生守夫君) 私どものコストの詳細につきまして御発表するのは多少控えさせていただきたいと存じますけれども、微妙な問題もございますが、確かに葉たばこがコストの中で占める割合というのは大変大きゅうございます。したがいまして、コストダウンの努力となりますというと、葉たばこだけじゃございません、そのほか全体につきまして行っているわけでございますけれどもウエートとして葉たばこが大分大きい、原料費の削減ということが大変大きいということは事実でございます。
  140. 下田京子

    ○下田京子君 原料葉たばこのコスト問題で、具体的に公社が六十五年を目途に十アール当たり投下労働時間を約四割低減したい、それから第二次生産費で二割程度軽減していきたいというふうな目標をお立てになっていると思うんですが、まず私はここで御指摘申し上げたいんです。コストダウンは確かに投下労働時間の短縮ということもあるでしょうけれども、それのみによってなされるものではないと思うんです。考えなければならないのは、農業資材の引き下げについて努力すべきだと思いますよ。五十七年度の生産費でも、肥料費が一〇%、農機具が九・九%、これだけで第二次生産費の約二割を占めているんですね。どうでしょう。
  141. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) そのとおりでございます。
  142. 下田京子

    ○下田京子君 農業資材の引き下げに努力をするということなんですけれども、これはそのとおりで済ませないで、具体的に実効ある対応が今後必要だと思います。  次に投下労働時間の短縮の問題なんですが、これもいろいろお話ございましたけれども、葉たばこ生産の場合には、乾燥と選別、これが全体の約半分を占めていると思うんです。特に選別なんですけれども、先ほども他の委員に御答弁ございましたが、今後は省力化して、一本一本選別ではなくって機械化していくんだというお話だったんですが、今でさえ、例えば色、形、厚さなど見まして、紅、青があっちゃいけないということでやっているんでしょう。ベルトコンベヤー等に乗せて、省力化といってもどの程度一体これが可能なのかということなんですが、簡単に御答弁ください。
  143. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) 現在は、なるべく等級別の葉たばこの品質をそろえるということで一枚よりをしているわけでございますが、今後省略した場合には、むしろその中で非常に悪い、目立つものを取り除く、そういう形で買い入れをする、そういうふうに考えております。
  144. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、今度新しい基準考えるというふうに理解してよろしいんでしょうか。  それからまた生産農家の方々は、葉分けをどれだけやるかということが値段とリンクしていくんですね、相当程度。しかも、そういうことを考えていけば、価格の等級間格差ですか、これをもっともっと縮小させていくということとあわせてやらないと問題だと思うんですが、そこまで考えていますか。
  145. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) 等級間の価格の格差につきましては、現状程度で大体いいところに落ちついているというふうに考えております。といいますのは、こういう価格差をつけることによりまして品質の向上を誘導していくというような観点でございます。  それから、一枚よりをしているのを、今後もっと省略いたしまして、悪いのをちょっと取り除くというような形で今後葉たばこの納付をしていただくというふうに申し上げたわけでありますが、そういうような考え方を取り入れた内容というのが、新しい標本体系といいますか、そういうことになるわけであります。これは現在その内容につきましてはいろいろ検討している段階でございます。
  146. 下田京子

    ○下田京子君 時間がないから、私は問題指摘だけしておきます。  そうすると、等級間格差の問題は今程度だ、標本をそこで今度変えるんだと。すると、どこのランクで押さえるかというところが大変問題になってくるんですね。ですから、軽々にこれはやれない問題なんですね。いいたばこをつくっていい値段で納めたいというのは、農民は生活がかかって いるんですから当然だと思うんですよ。そこの中で簡単に労働時間の短縮なんていうことを言ってもなかなかできるものでないと思うんです。そうなると、勢い、経営規模の問題が出てくると思うんです。小規模農家の切り捨てというふうなことにならぬように、これを私は特に申し上げたいんです。  これも実際に今後どういうふうにするかということで規模面積の目標をお立てになっているようですね。在来種では二・五ヘクタールで、黄色種で五ヘクタール程度だと、こういうことでいきますと、どんどん山間地帯では切り捨てられていくというふうなことになって重大な問題だと思うんです。もう時間がないから本当に残念なんですけれども、現在の葉たばこ生産の規模別構成がどうなっているかというのは、私が言うまでもなく御承知だと思うんですけれども、今ニヘクタール以上の農家というのはわずかに八百二十三戸でしょう。全体のシェアにして〇・九%なんですからね、とんでもないことだと思うんです。  で、農水省に聞きたいと思うんですけれども、農家の経営を守る、農村の経済を守っていく、そういう点で非常に重要なのがこの葉たばこ生産なんですね。特に、御承知だと思いますけれども、反当労働時間が多いんです。ですから、したがって十アール当たりの所得もお米の四倍から五倍ですね。あるいは畑作物の特に麦や大豆に比べたら十倍なんです。そういうことで、つまり集約農業で施設園芸と同様な位置にあるんですね。そういう位置づけにあるたばこを規模別で切り捨てる、そういうことがないように対応いただきたいと思いますけれども、担当の局長の御意見だけ簡単にお聞かせくださいませ。
  147. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) たばこは、お尋ねのございましたように、十アール当たりの収入が大変多いわけですが、労働時間が多いために、いわゆる家族労働報酬がほかの作物並みということになっていまして、この場合のコスト低減の方法でございますが、先ほど公社からもお話ございましたような管理作業の面でもいろいろ機械化を進めるということになりますと、我々の考えておりますこととしては、土地基盤整備が必要であろう。それからまた機械化については、これは規模拡大ということになるわけでございますが、現在のこういうことを進めます第一の着手としては、共同化あるいは組織化、そういうことを通じましてその作業規模、生産規模を大きくしていく、これが一つの当面とるべき手段ではなかろうかと、かように考えております。
  148. 下田京子

    ○下田京子君 当面その機械化、共同化というふうなことなんですが、これは零細農家を切り捨てていって、ゴールなき規模拡大による多額の負債、そして自殺まで追いやられる、これはもう畜産、酪農云々でも立証済みなんですね。そういう方向に、大蔵大臣ね、たとえ所管大臣でないといっても、やるということが果たして日本経済全体にとってもどうなのかということをしかと考えていただきたいという点が一点です。  時間がありませんから、もう一点。実は審議会の議を経て価格なんかも今まで即決まるということをとってきましたし、今度は審議会の意見を尊重して価格を決める——細かいことも聞きたいんですが、時間がございません。要するに、審議会制度というのは、耕作農民の代表が五人で、そして学識経験者六人で構成するということなんですが、私がぜひお願いしたいのは、耕作組合の中で決めるわけですけれども、その葉たばこ耕作代表者に婦人をぜひ入れるようにしてほしい。どんなに婦人労働が今たばこ生産にとって欠かせないかということが大きな問題になってきているんです。  こういう二点について御答弁いただいて、私の質問を終わります。
  149. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 最初の点、しかと承りました。  それから二番目の点、まだ人選等別に私の念頭にあるわけではございませんが、テークノートさせていただきます。
  150. 下田京子

    ○下田京子君 一言だけ。  今まで申し上げてきましたけれども、消費者にとっては健康問題がいろいろと論議されますし、耕作農民にとっても、それからまた労働者にとっても、小売店にとっても、この自由化ということが本当にどうなんだろうか、大きな犠牲をかけることにしかならない、結局は大企業、大商社の利益にしかならないんじゃないか、そのことを指摘して終わります。  以上です。
  151. 井上計

    井上計君 私は商工委員立場で具体的な問題等についてお伺いいたしますので、主として専売公社にお伺いいたします。ただ、専売公社の御答弁等からあるいは大蔵大臣にもお伺いすることがあろうかと思いますので、よろしくお願いをいたします。  専売公社が現在保有しておられる機械等の設備は膨大なものであろう、こう考えておりますが、その機械等の設備の償却等について、年数あるいは更新等については現在どのようにされておりますか、まずお伺いいたします。
  152. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) お答えいたします。  機械設備につきましては、現在定率法によって償却を行っておるわけでございます。その私どもの定率法を行うための枠組みといたしましては、私どもは会計規程基本事項という大蔵大臣認可を得た基本的な制度がございまして、その中で七年ないし二十年というふうに定められておるわけでございます。その範囲内で機械設備の種類に応じて耐用年数を定めておると、こういう状況でございます。  言うまでもなく、たばこ事業は専売事業でございまして、そこに使用されている機械設備の耐用年数につきまして、一般的な基準と申しますか、民間との比較は非常に難しいわけでございまして、耐用年数につきましては、御存じのように減価償却資産の耐用年数等に関する省令という大蔵省令がございますけれども、その中に私どもの機械は入っていないわけでございます。したがいまして、その耐用年数等に関する省令の中から類似のものを選び出しまして、それによって決めておるということでございまして、そのとり方が、いろいろ担当者苦労したようでございますけれども、もう一遍私ども見直してみますと、民間の耐用年数と比べまして全体的に見て大きな差異はないと、こういうふうに考えておるという状況でございます。
  153. 井上計

    井上計君 伺いました。  そこで、たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の中に租税特別措置についてこれが関係法として出ておりますけれども、とすると、ここにありますように租税特別措置法、すなわちこの中で中小企業者の機械等の特別償却を準用する、あるいはそれらのものを適用すると、こういうふうな理解をしてもよろしいんですか、今、今後の問題はということでありましたが。
  154. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) その前に、私ども経営形態が変更されましたときに、特殊会社になるわけでございますけれども、まず大蔵省にお願いいたしまして、先ほど申しました減価償却資産の耐用年数等に関する省令の中に私どもの機械を入れていただかなければならない、こうなるわけでございます。今御指摘の点につきましては、私どもまだ十分検討いたしておりませんけれども、その耐用年数等に関する省令に入れました後でまた少し検討さしていただきたい。現在のところ、まだその点につきまして検討の詰めが終わっていないと、こういう状況でございます。
  155. 井上計

    井上計君 もう一問伺いますが、現在七年ないし二十年という大変幅のある償却をしておられるということでありますけれども、現実に機械の更新はもっと早くしておられるというふうな、そんなふうなことはないんですか、実際問題として。物によっては五年ぐらいで更新されておるという設備がかなりあるんではないんですか。
  156. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) 私どもが使っております機械及び設備につきましては、ワンシフトで使っ ているものについては十年、ツーシフトの場合には八年という基準でやっておりまして、それ未満で廃棄するということはございません。
  157. 井上計

    井上計君 わかりました。  ただ、私がこれをお伺いしたのは、今後民営化された場合に、たばこは専売でありますから、他に類似のものといってはまずないわけでありますけれども専売公社が保有しておられる他の民間企業と同一の設備が、民営化された後の償却等において違ってくると、そこに民間事業とのスタートの違いがある、こういう懸念をしておりますので伺ったということであります。  そこで、先ほど来同僚議員からも、民営化された場合の事業目的について広範な事業目的を掲げておられますから、したがって民間企業との競合、民間企業圧迫、新しい分野への進出等々についての懸念があると同僚議員から御質問がありました。私も全く同感であります。  そこで、若干それらに関連をして伺うのでありますが、現在専売公社が使用しておられる包カ用紙あるいは紙器等々の外注比率はどの程度になっておりますか。
  158. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) お答えいたします。  お尋ねの印刷加工につきましての外注比率については約七〇%強でございます。
  159. 井上計

    井上計君 印刷だけお答えいただきましたが、ほかにもあるようであります。それはそれで伺います。  民営化された後、先ほど来コストの問題あるいは経営努力いろいろと言われておりますが、民営化された後この外注比率についてはあるいは変えられるような方針がおありかどうか、それをお伺いいたします。
  160. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) 私ども事業を営んでまいりますのに、たばこの商品としての印刷、包装面での開発の必要性と、それから大変古くから日本の印刷技術というものが諸外国に比べて劣っていたということもありまして、明治以来印刷工場を一つ持って今日まで運営してきております。それがただいま申し上げた約三〇%の印刷加工を自前でやっているということになっているわけでございますが、常に民間の印刷加工と私どもの印刷加工との品質及びコスト上の競争という面で努力をしておりまして、そういう面で現在の三〇%程度の自主製造というものは今後も続けていくつもりでございますが、今の外注比率をこの際変えていくというつもりは今のところございません。
  161. 井上計

    井上計君 それを伺って、この面についての懸念はやや薄らぎますが、ただ今京都の伏見工場ですか、印刷部は、三〇%程度の直接生産ということでありますが、率直に申し上げて、民間の技術の方が常に先行しておることは確かだと思います。したがって、むしろある意味ではコストを低減するためにも外注の比率をもっとおふやしになる方が、少なくとも包カ用紙等についてはこの方がよろしいのではなかろうか。これは提言をしておきます。  それからもう一つ、この包カ用紙でありますが、外注をしておられます包カ用紙についての検品検査が大変厳しいようであります。これは商品に直接関係がないと言うと適当かどうかわかりませんけれども、紙幣に準ずるような検品が行われておると聞いておるんですが、その理由は何ですか。
  162. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) 今先生のお話に、紙幣に準ずるようなというお話がございましたけれども、これは大変表現としては現状と違っているように思いますけれども、確かに公社のものは民需品に比べて検品検査がきついという御指摘は印刷会社の方からはしばしばお聞きしております。私ども実は政府企業で仕事をしているということもありまして、大変欠陥のない商品ということに今まで力を入れてきた面もありまして、この御指摘はあるいは民間と比べて当たっているのかもしれません。私ども今後も一層コストダウンをやっていかなきゃなりませんので、じゃ検査を緩くすればいいのかという問題はあるわけでございますが、いろいろそういう御指摘を受けて我々で検討をいたしましたけれども、実はその検査にかけている費用と、それから実際に工場で起こってきます不良品をいろいろ追求をして選別をしたりあるいは回収をしたりということにかかるトータルコストを考えますと、結局は余り得にならないという面もありますし、それからもう一点は、品質を悪くしてもいいということではなしに、これは手間をかけていいものを出すということではなしに、工程管理をしっかりやって品質をよくするということをやれば、そうコストの高くなるものではないというふうに思っております。
  163. 井上計

    井上計君 わかりました。  ただ私が、数年前でありますけれども、この包カ用紙を印刷している工場をたまたま見たときに、実は検品でロスになったものを見まして、この程度のものでも検品を通らないとすると、というちょっと意外な感じを受けたことがありますのであえてお伺いをした。私どもが見てこの程度と思うものであれば、これが包カ用紙として使われておっても何ら差し支えがないんではないか、こういう印象を当時持っておりましたのでお伺いをしたということであります。  そこで、これは沖縄のたばこ生産、販売についてひとつお伺いしたいと思うんです。現在あります沖縄のたばこ工場、民営工場、官の移管でありますけれども、これが周辺との問題、あるいは建物、設備等の老朽化等々から拡張あるいは移転というふうな計画がおありであるようなことをちょっと現地で聞いたんですが、これはいかがなんですか。
  164. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) 現在の段階で私どもは沖縄工場を移転あるいは拡張というような計画を持っておりません。  ただ、これは沖縄工場ということではなしに、私どもは沖縄を含めて全部で三十五工場ありますけれども、今後競争力を高めていくために新しい設備投資でありますとか近代化、改善というような面を実行してまいります過程で現在の工場の数のままでいいとは思っておりませんので、沖縄を含めまして全工場のこれからの合理化をどうするのかという点では今後いろいろ検討して実行してまいらなきゃならぬと思っております。
  165. 井上計

    井上計君 今後は従来以上に民営化されてたばこの輸出についてのいろいろと計画がおありだということも聞いております。輸出についての力をかなり入れていかれるんだと思いますけれども、特に東南アジア等に向けてのたばこの輸出については現状ではどのような計画あるいは方針をお持ちでありますか。
  166. 森宗作

    説明員(森宗作君) お答えいたします。  輸出につきましては、最近の販売動向の停滞状況、輸入品の増加傾向という中にありまして大変大事な業務になっております。  こういったことから、私どもはこの四月から輸出会社を設立いたしまして、この会社と密接な連携をとりながら今後輸出業務に努めてまいるということにいたしております。ただいま御質問のございました東南アジア関係でございますが、私どもは輸出を行うに当たりまして、この地方は日本人旅行者なり日本人の駐在員というのも多いわけでありまして、そういった意味で重点市場の一つということで輸出に力を入れてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  167. 井上計

    井上計君 実は、沖縄の振興、産業開発等について私は、これはむしろ要請でありますけれども、今後の特に東南アジア向けの輸出たばこがふえる、ふやしていこうというふうな考えの中で、沖縄の地理的な条件を考え、沖縄の産業振興等々を考える場合に、先ほど総務理事の御答弁ありましたが、今後ともさらに工場等の増設、拡張というふうな中で特に重点的に沖縄に工場増設等をして輸出たばこのいわば基地というふうなことに沖縄を利用願いたい、これは私のむしろ要請といいますか、願いでありますけれども、いかがでありましょうか。
  168. 西村忠弘

    説明員(西村忠弘君) 沖縄並びに九州が比較的東南アジア等にも近いということで、今先生がおっしゃるような御意見も私どもの耳にも入っております。  ただ、現在外国に輸出されている量、製品の輸出されている量というのは大変少のうございまして、どのくらい輸出されるのかという数量等が見えてまいりません状態で、今先生がおっしゃるようなことについてお答えするのは非常に難しいと思います。  それともう一つは、外国に輸出する銘柄につきましては、包装形態なりサイズなり、いろいろな面で千変万化の対応をしなきゃならぬということで小規模工場では非常に難しいという点がありまして、現在東京と小田原の非常に限られた多銘柄輸出用集中生産工場で生産をしている実情でございまして、そういうことで、数量が若干ふえてまいりましても、沖縄でというのは非常に難しいんではないかと思っております。
  169. 井上計

    井上計君 現状では難しいということもわかります。ただ、今後の民営化された以降の発展の中での課題として、これはただ単に難しいということだけでなしに、それらを通り越して沖縄の産業開発という意味で特にお考えをいただきたい、こう思います。  そこで、もう一つ沖縄の問題で関連でありますが、沖縄復帰後、沖縄振興開発の特例によって今四銘柄沖縄だけの安いたばこが売られていますね。これについては今後どのように取り扱いをされる方針でありますか。
  170. 長岡實

    説明員長岡實君) 沖縄復帰後十年以上経過いたしまして、沖縄の喫煙者の方々の好みも大分変わってきておるようでございますけれども、制度が改正されたからといって、今までの沖縄独特の銘柄の製造をやめてしまうとか、そういったような考えは持っておりません。
  171. 井上計

    井上計君 総裁、現状ではそうですが、これは今後しばらくの間、あるいは当分の間というふうなことについての決定した方針と、このように理解してよろしいんですか。
  172. 長岡實

    説明員長岡實君) そう御理解いただいて結構でございます。
  173. 井上計

    井上計君 国鉄にお願いいたします。商工委員という立場でありません。むしろヘビースモーカーという立場での私の国鉄へのお願いとそれから提言であります。  大蔵大臣も大分お吸いになるようですが、委員長も大分お吸いになる。私も大体一日五、六十本のヘビースモーカーであります。最近は嫌煙権が非常に強くなってまいりまして、我々ヘビースモーカーは大変肩身が狭くなってまいりました。特に気を使うのは新幹線と国鉄へ乗っているときでありまして、隣にたばこを吸わない方が座っておると、つい遠慮して三本が一本ぐらいに実は減ってしまう。これは売り上げの面で大変影響もあるのではなかろうかと思います。たばこの売り上げが減ることは、ある面では喜ばしいという方もありますし、あるいはまたたばこの売り上げが減るとこれまた困るという方もあるわけでありますが、それはともかくとして、そこで提言でありますけれども、現在、新幹線の禁煙車両が、従来一両が、最近二両になりましたね。ことしの予算委員会で私どもの党の山田議員からもこのことを提案したようであります。今喫煙人口がたしか三千五百万人ですか。とすると、大体国民の総人口の約三〇%弱ということになるわけです。たばこを吸う人の方が旅行客に多いから、必ずしもその率でいかぬでしょうけれども、しかしバランスから言うと半分は禁煙車両があっていいんではないか。しかも、今新幹線というのは両端の方に禁煙車両がありますから、女、子供、お年寄りは大変困っておるようですね。例えて言うと、一両置き、奇数車両は禁煙車両であるとかというふうなことになってくると、私どもヘビースモーカーも大変実は気兼ねなくたばこが吸えますし、またたばこを吸わない人は快適な旅行ができるのではないか。こう考えておるんですが、国鉄さん、いかがでしょうか。
  174. 藤田好一

    説明員(藤田好一君) お答えいたします。  ただいま御指摘ございましたように、禁煙車につきましては、徐々に国鉄といたしましては拡大をしてきておりまして、新幹線につきまして、ことしの七月から自由席について一両を二両にいたしました。  それで、今後とも吸う方と吸われない方の調和を図りながら徐々に拡大していかなければならないと考えておりまして、その一つのメルクマールといたしまして、今度は拡大いたしました禁煙車につきましてどの程度御利用いただいているかということを非常に関心を持って見てまいったわけでございますが、禁煙車の利用率が喫煙車よりも一割程度乗車効率が悪くなっておりまして、それは御指摘のとおり一番端っこの方にあるという点もございますけれども、これから来年の三月になりますと、ちょうど真ん中の辺につけてあります指定席も禁煙車にいたします。それからグリーン車につきましても禁煙コーナーを設けることにいたしておりまして、それらの位置的にも良好なところの禁煙車がどの程度御利用いただけるか。それがまた非常に人気があってはかの車両よりも込むということでございますと、さらにまた広げていくというようなことで、そういうことで徐々に拡大してまいるという方針でおりますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
  175. 井上計

    井上計君 既に検討中だそうでありまして、大いに期待をしております。今徐々にということでありますが、禁煙車両の余り乗車率がよくないというのは両端にあって、しかも自由席であると。これが指定席になって、一両置きになれば、むしろ禁煙車の方が利用率がいいんではないかと、こんなふうにも実は感じます。さらに期待をして質問を終わります。
  176. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は単刀直入にお尋ねいたしたいと思います、時間がわずかでありますので。  今回の専売改革は、八十年の歴史を重ねておる我が国の専売制度が一大転換をするとしますと、たばこ業者や関係産業に従事していた人々にとっては一体どう変わるのか、そして自分にとってどうなるであろうかという不安をいっぱい持っておると思います。私もその一人であります。  そこで、お尋ねいたしたいんです、大蔵大臣に。制度改革のねらいはどこにあるんでしょうか。
  177. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いろいろな経過を経ましたが、いずれにせよ、開放経済体制下に即応するということになりますと、製造独占というものは維持しつつも、国際競争力に対応するためには現在の専売公社を、いわゆる特殊会社とはいえ、株式会社に変えることによりまして、労使双方の商法上の地位、そしてまた労働三法等でより効率的な自助努力が行われる環境を整備する、こういうことに一口で言えばなろうかと思うわけであります。
  178. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そこで、農水省にお尋ねしたいんですが、葉たばこ耕作に対する農政上の位置づけと申しますか、その点をお聞きいたしたいと思います。
  179. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) たばこはいわゆる耕種作物の中では米に次ぐ二番目、これは全国ベースでの粗生産額で見ますとそうなっておりますが、これを地域的に見ますと、御承知のように、その地域ではたばこが一番であるという地域がかなり多いわけでございます。そういう意味たばこ自身は、農業全体から見ましても、またさらに地域的に見ますと、大変大事な作物でございますが、ただ作物として見ますと非常に特徴がございまして、十アール当たりという面積当たりで見ますと、収入額がずば抜けて大きい土地利用上大変有利な作物ですが、反面、労働も、これまたずば抜けて労働時間を食いますので、時間当たりに見ますと労働報酬が非常に少ない。これが問題であるわけでございまして、そういう重要な作物、またそういう特殊性に応じまして、先ほど来いろいろ御質問ございましたような、特に労働時間の短縮、省力化ということをこれから、それぞれの地域での作業の組織化とか、あるいは共同部な施設の設置ということを通じまして進めてまいりたいと、かように考えております。
  180. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大蔵大臣と今の農水省のお話をお聞きしまして、次のことを私は気にしておるわけです。  たばこ輸入自由化によって我が国の市場で輸入たばこのシェアの拡大が十分予想されます。それから会社が現在ストックしておる約十三カ月分、十二万九千トンと聞いておりますが、この両面からどうしても、時の早い遅いはあると思いますが、減反に踏み切るときが必ず来るのではないか、こう心配するわけですが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  181. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この面積の減反の問題でございますが、従来もその年々によって話し合いの中で御協力いただいておるわけでございますが、いずれにしましても、たばこ産業を支える三つの柱の一つの大きな集団としての耕作者の皆さん方に減反のお願いをしなければならないということになるであろうという事実認識はいたしております。
  182. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 加速度的に来るのではないか、この自由化によって。例えば現在の市場シェアが二%と聞いておりますが、それが四%内外までは十分予想されるということもお聞きしております。そういうこと等にらみ合わせてみますというと、どうしても減反が加速度的に早く来るのではないか、こう思うわけなんです。そうなった場合に、先ほど井上議員からも沖縄の葉たばこの問題が取り上げられましたが、私は特に沖縄の葉たばこ立場心配して次にお尋ねしたいんです。沖縄の葉たばこの現状、大蔵省にお尋ねしたいと思いますが、どうなっておりますか。
  183. 生平幸立

    説明員(生平幸立君) お答え申し上げます。  五十八年度で申し上げますと、耕作面積が八百七十三ヘクタール、耕作者の人数が六百九十八名でございます。ただ、昨年は水害がございまして、耕作地の面積あるいは耕作者の数というのがちょっと減っておりますが、ことしは耕作面積が九百七十一ヘクタールになっております。それから昨年度たばこの買い入れ代金、これは先ほど申し上げましたとおり水害があったわけでちょっと少なくなっておりますが、約二十一億円でございます。災害補償を五億円ほど支払っております。そういう状況でございます。
  184. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間も迫ってまいりましたので急ぎたいと思います。  お聞きしましたのは、沖縄のたばこは日本の葉たばこの中で一番質がいいと聞いております。これは熱帯植物というためもあるでしょう。それからニコチンの含有量が最も少なくて軽い。それで非常に喜ばれておるということを聞いております。そういった特徴からも、ぜひ比較的良質でニコチンの含有量も少ない沖縄の葉たばこを、たとえ減反の時期が来るといたしましても、特別に沖縄の葉たばこを守り育てなければいかぬじゃないか。いろんな立場から要望したいんですが、十分大蔵大臣もお察したと思いますので、その点について特別の配慮をしてもらえるかどうか、そういった点御見解をお聞きしたいと思います。
  185. 長岡實

    説明員長岡實君) 沖縄産の黄色種は、御指摘のとおりニコチンの含有量が相対的に低い種類でございまして、いわゆる緩和補充料と申しておりますが、そういう原料としては適しておるわけでございます。  ただ、沖縄の持ちます地理的条件あるいは気候風土の条件と申しますか、その収量や品質が比較的不安定であるという問題もございます。先ほど申し上げましたように昨年産で申しますと、水害等の関係で収量が非常に減ってしまったといったようなこともございまして、耕作方法の改善等についてはまだまだ努力しなければならない余地があるのじゃないかと存じておりますが、そういったようなことを考え、また沖縄における葉たばこ農業の置かれている事情等も考えまして、将来の面積を求めます場合には、私どもとしては沖縄の特殊性も考えながら慎重に検討してまいりたいというふうに存じます。
  186. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 たばこについて結びたいと思うのですが、特に沖縄の場合、市場のシェアの侵食の状況からも、沖縄の特殊事情、基地が戦後あったということでアメリカたばこを初め海外のたばこになじんでおる、こういうことからも自由化の波が押し寄せてくることが考えられる。それから減反に遭った場合に、沖縄の場合転作ということが困難であるわけであります。そういった特殊事情からも配慮されたい。それから第二次振計の農業生産の振興という面からも、葉たばこ、養蚕その他大変重要な作目に位置づけておるわけでありますので、そういったもろもろの立場を配慮していただきたいということを今申し上げておきたいと思います。  それから最後に塩の問題について申し上げて終わりたいと思います。  塩の問題については、従来の塩田方式から昭和四十七年には全面的にイオン交換膜法に転換しておる。ところが沖縄の場合には許可を受けて自然塩を製造しておるわけでありますが、この自然塩の特徴が防腐性においてはるかにまさっておる。こういうことからこの真価が発揮されて、特に漁業に従事しておる漁夫やあるいは家庭を持っている主婦の立場から非常に歓迎されておる実情であります。そこで、国内塩の需給体制が求められておる中で、需要も拡大する方向にあって、しかも良質の塩が製造されるということは国策の上からも大変望ましいことである、こう思います。それで新会社となったとしましても、この沖縄の自然塩の拡張、拡大をぜひ受け入れてもらいたい、こういう要望を込めて見解を大蔵大臣専売公社にお伺いいたして、私の質問を終わりたいと思います。
  187. 友成豊

    説明員(友成豊君) ただいま先生おっしゃられました沖縄の塩というのは、シママースとか、あるいはとみしろ塩とか、あるいはヨネマース、こういった塩を売っております三社の塩のことだろうと思います。  専売公社といたしましては、現在、基本的な塩種につきまして全国的な需給の安定を図るということでやっております。ただ、先生おっしゃられますように、いろんな塩を求めている需要者がございます。そういう特定の需要者に供給するというようなことで、公社から売り渡された塩を買いまして、それを再製して売っているというのが先生おっしゃる塩でございます。この制度につきましては、現在は塩専売法で委託を受けた者でなければならないということで、公社の委託ということで現在行っております。  今度の新しい改正法では、これをいわゆる事務簡素化と申しますか、そういったようなことで届け出で実行できるという形に切りかえております。そういうことでございますので、今後ともこういう塩を売っていくということについては現在と全く変わりない。むしろ手続的には委託から届け出に変わるという程度でございます。  なお、切りかえに当たりましては、委託から届け出ということでございますので、公社といたしましては、全体の需給という関係もこれございますので、一応供給計画といいますか、そういったような数量等についての報告はとっておきたいというふうに思っています。  いずれにいたしましても、この種の、私どもは特殊用塩と申しておりますけれども、特殊用塩は現在と変わりなくやっていきたいというふうに考えております。
  188. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 実は、私も塩のことはよくわかりませんで、昨日も自然塩と他の塩の味の点に言及されて、私の答弁の能力の限界を超しておりましたが、今専門家の友成理事からお答えいたしました以上の、私にそれ以上の御答弁を申し上げる能力はございませんが、先生のおっしゃった意味は私なりに理解できるところであります。
  189. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後四時五十三分散会