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1984-07-26 第101回国会 参議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月二十六日(木曜日)    午前十時五分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         伊江 朝雄君     理 事                 岩崎 純三君                 大坪健一郎君                 藤井 孝男君                 竹田 四郎君                 塩出 啓典君     委 員                 梶木 又三君                 河本嘉久蔵君                 倉田 寛之君                 中村 太郎君                 福岡日出麿君                 藤井 裕久君                 藤野 賢二君                 宮島  滉君                 矢野俊比古君                 吉川  博君                 赤桐  操君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 多田 省吾君                 近藤 忠孝君                 栗林 卓司君                 青木  茂君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君    政府委員        大蔵政務次官   井上  裕君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        小野 博義君        大蔵大臣官房審        議官       角谷 正彦君        大蔵省主計局次        長        平澤 貞昭君        大蔵省主税局長  梅澤 節男君        大蔵省理財局次        長        亀井 敬之君    事務局側        常任委員会専門        員        河内  裕君    説明員        自治省行政局選        挙部政治資金課        長        山崎宏一郎君        自治省税務学府        県税課長     前川 尚美君        会計検査院事務        総局第五局大蔵        事業検査課長   春田 正夫君        日本専売公社総        裁        長岡  實君        日本専売公社総        務理事      岡島 和男君        日本専売公社総        務理事      西村 忠弘君        日本専売公社総        務理事      森  宗作君        日本専売公社理        事        生平 幸立君        日本専売公社理        事        遠藤  泰君        日本専売公社理        事        丹生 守夫君        日本専売公社理        事        友成  豊君        日本専売公社原        料本部部長    佐藤 友之君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○たばこ事業法案内閣提出衆議院送付) ○日本たばこ産業株式会社法案内閣提出、衆議  院送付) ○塩専売法案内閣提出衆議院送付) ○たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等  に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○たばこ消費税法案内閣提出衆議院送付) ○連合審査会に関する件     ―――――――――――――
  2. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  前回に引き続き、たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は今日、私の先般の質問で残された葉たばこの問題を中心にして、限られた時間で御質問申し上げたいと存じます。  一昨日の皆さんお話を承っておりまして、私自身もいろいろ教えられる部分がたくさんあったのでございますが、今回のたばこ法案の改正に基づきまして、葉たばこ全量買い取り制度になった、このことについて多くの疑問の意見が述べられているのでありますが、私は、結論から言って、葉たばこ耕作現状日本農業実態などから見て、今回の全量買い取り制度は正しかったんじゃないか、つまり適切であったというように考えている一人であります。しかし何といっても、多くの国民に支持される適正な自助努力というものを重ねない限り、それは過保護のそしりを免れないと思うのであります。しかし、現状、これから私は幾つかの資料でお話し申し上げたいと思います。日本農業構造的実態、とりわけ葉たばこ耕作が持っている悩み、実態などについて申し上げますが、そういう実態から見て、コストの面もさることながら、日本農業を育成するというような立場に立って御協力いただければ大変ありがたいと思っている次第であります。そういう観点から専売公社にも幾つかの質問を申し上げます。  まず、私は、一番最初に皆さんに御理解を得たいと思っておりますのは、葉たばこというのが耕作されている実態でございますが、この実態は、私から申し上げるまでもなく、北海道それから東京、大阪、このところを除きますと、もう全県下至るところで葉たばこ栽培が行われているという実態がございます。とりわけ多いところは、異常低温に悩まされながらも東北各地や九州、山陰、山陽などにおいては、多くの葉たばこ耕作者が日夜努力していることが資料的にも明らかになっています。  また第二番目には、葉たばこ生産高、そういうものを見てみますと、俗称言われております耕種部門実績を見てみますと、これは昭和五十四年度の生産農業所得統計でございますが、第一位が米で第二位が葉たばこになっているわけです。第三位が繭、第四位がミカン、第五位がキュウリ、第六位がリンゴ、第七位が大根、これが耕種部門での葉たばこが占めている日本農業実態なわけでございます。  また、俗称言われる農産物全体で見てみますと、これは五位とか六位になっております。米、それから豚、それに牛乳、鶏卵、肉、ブロイラー、そういうのに続きまして葉たばこ現実に存在しています。特にこういうような問題の第二位の県をとってみますと九県あるわけです。福島県、岩手県、宮城県、鹿児島県、宮崎県、新潟県、香川県、沖縄、石川県、こういうところは耕種部門では第二位を占めている県でございます。第三位の県をとってみますと、栃木県、青森県、岡山県、大分県、秋田県、それに愛媛、鳥取、徳島、島根、山口、広島、富山というような県が葉たばこに対して大きな地域産業で寄与しているということが資料的にも明らかになっているところであります。  なお、ちなみにもう一つ申し上げたい。葉たばこ耕作農家一般農家との実際の仕事をやっている割合です。これも一九八〇年のたばこづくりセンサスや、または農水省が出しておりますセンサスなどを見て比較してみたのであります。たばこ耕作者と全農家専業農家割合を見てみますと、たばこ耕作者専業農家は三〇%であります。第一種が五五%、第二種兼業が一五%です。これに比較しまして、全農薬では好業は御案内のとおり一三%です。それに一種兼業が二二%、二種兼業が六五%です。これを見ても、一種専業を見ても、たばこづくりが相当大きい規模でいかに専業的な仕事をしているかということがわかります。  同時に、今度は農業収入状態を見てみますと、農業そのものに依存し、またそれを糧として生活している農家が、葉たばこ耕作者部分では農業収入が七一%です。農外収入が二九%、それに比較して全農の方は農業収入が三六%、農外収入が六四%です。  もう一つの問題は、雇用の状況を見てみますと、専業でやっているたばこ農家では雇用している率というのが五一%で、雇用しないでやっているというのが四九%。全農の方を見てみますと、雇用している人たちの方が一五%です。雇用しないで口分でやっているというのが八五%であります。  こういうふうに考えてまいりますと、今、日本農業状態葉たばこ耕作状態を見てみますと、単にコストだけでこの問題を語ることができるかということになりますと、私は日本農業全体の構造からいってなかなかコストだけじゃ語れないというような状況にあることを皆さんに訴えたいのでありますが、専売公社は私のこのような考え方に対してどのような見解をお持ちなのか、まずお伺いしたいと思います。
  4. 長岡實

    説明員長岡實君) 御指摘のとおり、我が国葉たばこ農薬は、まず生産高と申しますか、粗生産額につきまして、畜産物を除けば耕種農業で米に次ぐウエートを占めるということ、また葉たばこ耕作しておられる農家が大変に専業率が高い、二種兼業はわずか一五%しかないという事実、またさらに地域経済に占めるウエートの高さと申しますか、こういったような現実を踏まえて葉たばこ問題を考えていかなければならないと存じております。  ただ、一面におきまして、今後国際競争の激化が予想される製造たばこの分野におきましては、原料たる葉たばこコストが国際的に見て高いということも事実でございます。したがいまして、私どもは、新しい制度移行するに当たりまして、また移行後も当然でございますけれども、先ほど申し上げましたような葉たばこ農業日本農業に占める位置を十分に認識しながら、なおかつ一方においては、公社合理化努力と新会社合理化努力と合わせまして、耕作農業につきましてもでき得る限りの生産性の向上、その他の合理化努力を求めて、葉たばこ耕作部門を含めまして、日本たばこ産業全体が維持発展できるように考えていかなければならないというふうに考えておりまして、この考え方を新会社移行いたしました後も基本的な認識として持ち続けてまいりたいと考えております。
  5. 鈴木和美

    鈴木和美君 もう一つ専売公社にお尋ねしますが、葉たばこ栽培状況の中で、俗称平たん地と言われるようなたばこづくり産地と、葉たばこしかできない、転換ができない、そういうような地区もあると思うんですが、その割り振りというのでしょうか、それはどういう実態になっているか教えていただけませんか。――時間がございませんので私から述べます。  大体皆さん御存じのとおり、たばこ平たん地でつくることが、俗称適性産地とか、それから主産地形成とかという言葉代表されているんですが、約半分は高地というか坂道というか、たばこしかできない、たばこしかつくれない、そういうようなところが現実に存在いたしまして、専売公社が、今長岡総裁からお話があったように自助努力で頑張らなければならぬということは当然であります。  私も後ほど自助努力のことについて触れたいと思うんですが、御承知おきいただきたいことは、自助努力をしようと言っても、片方過剰在庫を抱えて減反をしなければならぬ、そういうような状況のとき生産性を向上させるための大型化をしなければならぬというような意見があるんでありますが、これは実態に即して進行していくときには緩やかなカーブでしか転換できないわけであります。したがって、新しい自由化体制に備えてこの導入をするということは大変なことでございまして、そういう部分についてもぜひ御承知おきいただきたいと思うんです。  さて、具体的な法案の中身に入りたいと思いますが、この全量買い上げ制度というものの本質についてもう一度専売公社からお聞きしたいと思うんです。
  6. 長岡實

    説明員長岡實君) 御承知のように、現在のたばこ専売制度のもとにおきましては、その原料たる葉たばこ全量購買制度になっております。新制度移行いたしました後におきましても、ただいま御審議いただいております法案の内客にございますとおり、日本たばこ産業につきまして製造独占を考えております。  理由はいろいろ考えられましょうけれども最大理由一つとして、国際競争が激化していく中で国際競争力を身につけるために、規模の利益が大変大きく働きますたばこ製造部門において、現在まで長い歴史を持って培ってまいりました三千億本という経営規模は、我が国最大競争相手と考えられますビッグスリーに比べまして遜色のない規模である、この規模を維持してまいらなければいけないということで、製造独占体制の新制度への移行をお願い申し上げておるわけでございますけれども、しかしその製造独占が許される大義名分と申しますか、その理由一つに、日本葉たばこ農業維持発展も考えていかなければならないという、いわゆる政策的な役割を負担することによって国策会社としての製造独占が認められるという関係にあろうかと存じます。  そういったようなことで、新制度移行いたしましても、専売制度下におけるいわば権力的関係法律に基づく契約関係には移りますけれども内容実態としては全量購買制度が維持されるというふうに理解いたしております。
  7. 鈴木和美

    鈴木和美君 私が全量買い上げというか買い取り制度本質をお尋ねしましたのは、農民の方の立場から言うと非常に格好いいんです、全量買い取り制度ということになると今と同じじゃないのかなと、みんなこう思うんです、よくやってくれたと。そういうふうにみんな思うんですが、実態をずっと見ますと、契約関係になるわけですから、今度は過剰とか要らないものは何も買い取らないわけですね。そうすると面積の面においても何の面においても、耕作者の方から言うと、全量買い取り制度ということは格好がいいんだけれども、裏を返せば、これは大きな買いたたき制度じゃないか、集団的買いたたき制度個別契約じゃなくて集団的な買い取り制度で安くとられる、こういうような意見を持っている人たちがいるんですが、その疑問にはどうお答えになりますか。
  8. 長岡實

    説明員長岡實君) その点につきましては、私は現行制度のもとにおいても、新制度移行した後においても変わりはないと考えております。  と申しますのは、現行制度のもとにおきましても、専売制度下における全量購買制でございますけれども葉たばこ需給関係を考えながら耕作者方々といろいろと御相談を申し上げて、耕作面積を決めさせていただいてきております。新制度移行後におきましても、その考え方は当然変わらないわけでございまして、需給関係の逼迫を考えますと、将来、どちらかと申しますれば、厳しい方向が予想されるわけではございますけれども、一方的な買いたたきということではなくて、葉たばこ審議会という新しい審議会も設置されることでございますし、そういった審議会の場で十分御議論をいただいた上で、農民方々の御理解を得た上で、耕作面積を決めていくということには変わりはなかろうかと存じております。
  9. 鈴木和美

    鈴木和美君 もう一つお尋ねしたいのは、現行制度と新会社になった場合で、農民の方から心配がもう一つあるのは標本ですね。つまり葉たばこの場合には、標本によって価格が決まるということでございまして、私の知っている限りでは、現行制度は、耕作者意見を聞いて専売公社が決める制度になっていると思うんですね。ですから、いずれにしても、専売公社農民意見を聞いてとにかく決める、そして諮問をするという形になりますね。新会社の場合には契約関係ですから、標本は一体どういう場で、どういうところで、どういう形で決められるのかということは大変心配なんですね。調べてみますと、今度は両方です。新会社の場合には新会社代表する者と耕作者代表する者と協議して決めるというようになっているようですが、私が聞きたいことは、協議して決まらなかった場合にはどういうことになるのか。そこのところを教えていただきたい。
  10. 生平幸立

    説明員生平幸立君) 現在は、今先生御指摘のように耕作者代表委員意見を聞いて決めるということで運用しているわけでございますが、新しい制度になりました場合には、現在と同じように耕作者代表する委員と協議して決める、こういうふうに考えているわけでございます。  意見が整わなかった場合はどうするかということでございますが、各品質ごと等級でございますけれども、これは長年やってまいりましたことで、一等、二等、三等、大体ある程度のルールができております。非常に純技術的な問題でございますので、必ず意見調整ができるものと考えております。ちなみに、最近の例を見ましても、そう意見の食い違いがなく、順調に標本の決定がなされている、そういう実態でございます。
  11. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は、今の制度の方が、新会社の今回のとられた制度から論理的に見ると、ちょっと権力的かなという感じもしないではないんですね、専売公社意見を聞いて定めるのですから。今度の場合には、相互の代表が協議して決める。だからある意味では民主的のように見えるかもしれないんです。しかし、協議して決めるということは、買う方の意見というのが非常に大きく今度作用するんですね。気に食わなければ、その標本はだめだ、こうしてくれということに、つまり経営財政状況などによりまして、そういうような問題が今度は必ず出てくる可能性があるんじゃないかという心配耕作者の中から出てくるわけですね。だから、まとまらないときはどうするんですかというと、ある人はこう言ったですな、買わなければいいんじゃないですか。まとまらなければ買わなければいいんじゃないですか。これがある面ではわからぬでもないんですよ。わからぬではないんだけれども、そういうことが実質的な運営の中で、形式的には民主的になっているかもしらぬけれども、実質的に権力的になりはせぬかというような心配がございますが、そういう点はないとは思いますが、もう一度、新会社になった場合に、会社代表何名、それから耕作代表何名、同数の形になるのか、どういうふうになるのか、そこのところを教えていただきたい。
  12. 長岡實

    説明員長岡實君) 標本の設定の場合には、ただいま担当理事から申し上げましたように、両者意見調整によって一つ結論に到達し得るものと私どもは考えております。  問題は、鈴木委員の御指摘のような事態が起きますのは、現実葉たばこ買い上げをいたします際に、その標本と比較いたしまして、買い取る側である新会社は余り高い等級にすることを好まない、一方、耕作者の方はできるだけ高い等級を望むといったようなことで、意見の不一致が出る場合がありはしないか、これが一番深刻な問題と申しますか、現実的には起こり得る問題だろうと思うのでございますが、現実に買い取る場合に、両者意見が、その標本に照らして品位、等級の格付をいたします場合に意見が合致しない場合には、その救済機関と申しますか、その措置がとられておるわけでございまして、これは両者代表から成ります苦情処理委員会のようなものを設けまして、そこに持ち込んで結論を出すという仕組みを考えております。
  13. 鈴木和美

    鈴木和美君 私はそれを聞いているんじゃないんですよ。そんなことわかっているんですよ。私が聞いているのは、外国たばことの競争になったときに、日本葉たばこというのは、時間がないから聞きませんけれども、一昨日のときには西村本部長からのお答えでは、何とか補充料として使っていく、使っていけるというお答えですね。しかし、品質がいつも問題になって、高いか安いかという外国との競争のときに、葉たばこの比較が必ず行われるんですよ。行われなければまたおかしいんですよ、それは価格問題なんですから。そのときに外国葉たばこ日本葉たばことを比較したときに、品質の面でこの葉たばことこの葉たばこは何等に属するんだろうということが必ず問題になってくると思うんですよ。総裁が述べられるように、価格をどこの等級に当てはめるかという実際問題どこれは別ですよ。私が言っているのは標本の問題なんですよ。だから、そういうことで標本の問題というのは今までとは違った苦労が出てくることはもう事実だと思うんですよ。そういう面で耕作者が不利にならないような標本作成のことについても努力してほしいということだけの要望を申し上げておきます。  それからもう一つお聞きしたいことは、よく適正在庫とか過剰在庫という言葉が出ますが、適正在庫とか過剰在庫というのは何を基準にしてどういう考え方で述べられるんでしょうか。
  14. 西村忠弘

    説明員西村忠弘君) 葉たばこ適正在庫につきましては、私たちもわかりやすく申し上げて二年分程度というふうに言っておりますが、もう少し詳しく申し上げますと、葉たばこ黄色種で言えば十二月の末ごろ、在来バーレーであれば二月の終わりから三月の初めごろまでに収納を終わるわけでありますが、一夏を越えて一年分の所要在庫を持つということになりますと、計算すれば十八カ月になります。それに輸送過程での流通上の手持ちと、それから年々需要には変動がございますので、その変動弾力性を持っていなきゃならぬという意味で六カ月加えまして、十八プラス六カ月、合計二十四カ月で二年分という考え方で運用をしております。
  15. 鈴木和美

    鈴木和美君 今のお話でまいりますと、大体物理的というか、そういう立場からの二十四カ月ということですね。  今度は、別の角度からいくと、二年置かなければ葉たばこ製造の技術の中に取り入れることができないという全く純科学的な根拠というのはあるんですか、二年でなければならないという。
  16. 西村忠弘

    説明員西村忠弘君) 純科学的というと多少オーバーかもしれませんが、私どもの長年の経験で、二年程度置いたものでなければ、辛みとか渋みとか、そういったものが完全に抜けていないという意味で、私どもはこの程度標準在庫は必要だと思っております。  ただ、バーレー種在来種黄色種によって内容成分が違いますのと、それからもう一つ、本葉と中葉の関係で多少の内容成分の違いによる熟成度の違いというのはございますが、平均的に申し上げれば、二年程度置いたものがよいということでございます。
  17. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は別な側面があったと思うんですよ、その二年という言葉の中には。それは財政とか経営の全体の資金繰りとか、いろんなそういう問題も私はあると思うんです。今、専売公社が新会社に切りかわるに当たって、在庫の適正、シガレットにつくる場合の原料熟成度合いとか、何カ月倉庫に置いといた方がよろしいかというような純科学的なことというのはないんじゃないかと思うんですね。私はそこのところを新会社になった場合にはもう少し追求すべきだと思うんですね。それを追求しなければ、過剰在庫という定義の中にただ何カ月とか何ぼか多いというんでは困るんですよね。新会社在庫を抱えていくと利子もかかるし、大変なことですね。だから、どのようなたばこがどういうふうに転換したときに一番つくりやすいんであるというようなことは、ぜひこれは検討していかなきゃならぬ課題であるし、そのことなくしては国民は納得しないですよ、今度は。そうでなくても過保護論片方ではあるんですから、そういうものにこたえるためにはきちっとしてほしいと思うんです。そして、後ほど大臣にもお尋ねしますけれども、私は、原料が値上がりすると、原料が占める割合が高くなれば高くなるほど、消費者が負担する部分というのは今度出てくると思うんですね。値上げで賄わなきゃならぬというふうなことだって当然出てくると思うんですよ。そのことは当然出るであろうということを予期してその在庫問題についても取り組んでほしいと思うんです。  さて、今そういう問題点はあるかもしらぬけれども専売公社が言う二十四カ月が適正在庫であるということを基準にすれば、現在はどの程度過剰在庫になっているんですか。
  18. 生平幸立

    説明員生平幸立君) 現在約一年分の過剰在庫でございます。
  19. 鈴木和美

    鈴木和美君 。一年分の過剰在庫ということで、大体十三万トンというふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  20. 生平幸立

    説明員生平幸立君) さようでございます。
  21. 鈴木和美

    鈴木和美君 十三万トン過剰ということは耕作面積で言うと何ヘクタールくらいになりますか、十三万トンというのは。
  22. 生平幸立

    説明員生平幸立君) 大体現在の耕作面積が五万四千ヘクタールですが、大体それに見合うような面積でございます。
  23. 鈴木和美

    鈴木和美君 ただいまお聞きしますと、これは大変な数ですね。長岡総裁が先ほどから述べられておりますが、この過剰在庫に対しての解消策というのが大変問題であるとのお話がありました。一昨日の議論の中では、その過剰在庫分は国が補てんしてそれで新会社にやらせたらどうかというような御意見もありました。しかし、私は今現状の中ではなかなかそれはとれないと思うんですね。そこで農民の急激な変化を伴わないでやっていくためにはどういうふうにしたらこの過剰在庫というものが解消されていくのか、その解消策の大きな枠組みについて聞かせていただけませんか。
  24. 長岡實

    説明員長岡實君) 鈴木委員は大変お詳しいんでこういうことを申し上げるのは蛇足がもしれませんけれども過剰在庫解消の問題につきましては、大分前から問題になっておりますが、公社側と耕作者側との間にやや感情的なしこりが残っております。耕作者側の立場からいたしますと、かつて公社の指導によって生産の規模をふやした、だからその後今度は過剰在庫を減らすというのはおかしいじゃないか、これはすべて公社の指導が誤っておるから公社の責任において処理すべきであるというお考えがあるのも、無理からぬ点もあるわけでございます。  ただ、公社サイドから言わせていただきますと、葉たばこ耕作面積の拡大をお願いした時点というのは、世界的に葉たばこの需給がタイトでございまして、このままでは我が国でのたばこの生産にも事欠くのではないか。一方、シガレットの消費の方は順調に伸びておった時代でございますから、そういうことである程度面積の拡大をお願いしたのも、当時としては無理からぬ面があったのでございますが、皮肉なことにある程度面積をふやしていただいた直後にオイルショックが起き、また世界的な喫煙と健康の問題等の関係もありまして、たばこの消費の伸びががたんととまった、その関係過剰在庫が出てきてしまったというのが現実であろうかと思うわけであります。  今のような感情的なしこりがあることを考えますと、まず公社の方が最大限の努力をして過剰在庫の解消をここまで図る、ここまで図るけれども、しかしどうにもそれだけでは過剰在庫は完全に解消はできないので農民にも御協力をいただきたいという呼びかけをしなければ、この問題の具体的な解決に到達できないのではないか、基本的には私どもそう考えております。ただ、一方においては、過剰在庫の量が膨大でございますから、これを非常に短期間に解消することはまず不可能でございます。したがいまして、私どもといたしましては、会社の経理の面からいえば、できるだけ早く解消したいわけでございますけれども現実的な判断とすれば、数年間をかけてあらゆる手だてを講じて過剰在庫の解消に努める。このあらゆる手だての中には国産のシガレット製造の場合の使い込みをふやしたり、あるいは赤字を覚悟で輸出をふやしたりというようなことまで含めて考えておるわけでございますけれども、そういった努力の積み重ねによって、何年間かかけて解消を図ってまいりたいというのが基本的な考え方でございます。  しかし、今私どもが試算をいたしまして、またこれは公式に耕作者方々にお示ししておりませんけれども、いろいろと考えておる段階では、今申し上げたような努力を積み重ねましても、大体今後五年ぐらいたってなおかつ現在の過剰在庫量の半分を消化できればまだいい方である、それすらも相当困難を伴うというふうな数字になっておりますのが現状でございます。
  25. 鈴木和美

    鈴木和美君 私も大変心配している一人なんですよ。それで農民の方の側からいえば、農民の生活に基盤を置いた主張がありましょう。ですけれども、私は、新会社移行するということですから、農民人たちにも率直にその実態を述べながら、自助努力に対して協力してもらうということは必要だと思うんです。八月に審議会が開かれるわけなんでしょうけれども、どうぞその場においても積極的に赤裸々に述べられたらいいと思うんですよ。そのことは余り過剰在庫を抱えて――米の過剰在庫とは違うんです。米ならまだしょうちゅうにでも何でもできますけれども葉たばこ在庫は何にも使いようがないでしょう、正直なところ。そういうようなところを国民もよく見ているわけですから、それはそれなりに農民にも率直に述べられたらいいと思うんです。  同時に、しかしそのことはすべて農民の負担にかかるということでは大変ですから、今総裁がおっしゃったみたいに一挙にはいかないでしょう、ある程度かかるかもしれませんけれども、それは経営の中でも負担する部分というものを十分に持ってやっていかなきゃいかぬことだと思うんです。それをやらなければ――例えば一つをやるということで、輸出だってこの前の話で出ておったんですけれども、損して輸出することもいいんじゃないですか。抱えておったって利子はかかるんですから、その部分は。そういう意味では積極的な施策をとることに私は賛成です。  もう一つお伺いしたいことは、この前開いたときに、私の試算によって六十年四月のときに外国たばこがどのぐらい伸びるんだろうという試算をして、約四%というように私がはじいてある財務諸表の問題を述べたんですが、この四%というものが仮に外国シェアに食われたとすれば、これによってもたらす今度は原料への影響というのはどのぐらいがその部分でかぶさってくるんですか。
  26. 生平幸立

    説明員生平幸立君) 外国シェアが何%なのかということは大変難しいわけでございますけれども、私どもの方の試算によりますと、いろんな前提を置くわけでございますが、今四%というお話がございましたけれども、五%ぐらいで千八百ヘクタールぐらいの影響が出るんではないかと思っておりますので、それより若干低くなる(「千二、三百だろうね」と呼ぶ者あり)というふうに想定しております。
  27. 鈴木和美

    鈴木和美君 千三百ヘクタールくらいになるということであれば、外国たばこが仮に四%以上に伸びるということになると、これはまた大変な農民に対するしわ寄せということが出てまいりますね。ですから、先ほどの過剰在庫の問題と、これから外国たばことのけんかの中でまた食われる部分は過剰とならざるを得ないわけですね。だから、先ほど言ったように、過剰の定義というのは非常に難しいぞというのはそこを言うんですが、どうぞ負けないように競争してほしいと思うんです。  そこで、今度もう一つ聞きたいことは、新しい会社になった場合と現在では葉たばこづくりの流れというものは別に変わるわけじゃないんですわね。しかし契約ですから今度は主に耕作組合が主体的にやられていくわけでしょう。その葉たばこ耕作者への指導ですね、日本専売公社に今までおった技術課とか生産課とか、ああいう指導の人たちは今後新会社になったときにはどういうような仕事になるんですか。
  28. 生平幸立

    説明員生平幸立君) 現在、葉たばこの生産指導といいますのは、できるだけ生産性を上げるということ、それから品質を向上するというようなことを中心にしてやっているわけでございますが、新会社移行した以後におきましても、基本的にはその指導というのをむしろ一層強めていかなければならないというふうに考えております。ただ、従来よりはもう少し効率性といいますか考えまして、特に主産地ウエートをかける、あるいは中核となるような優良な耕作者、そういう方方に中心を置きまして、そういう方々生産性品質向上、そういう努力がほかの耕作者に効果が波及していくようにウエートをかけてやっていきたいというふうに考えております。
  29. 鈴木和美

    鈴木和美君 今まで私が聞いていることは、もう苗床から始まって、植えて、それからそれぞれ植えつけ検査をやって、今葉数査定というのがあるかどうか知りませんけれども、そういう量目の見込みをやって、今まで技術指導もやってきたわけでしょう。ところが、今度は耕作組合がある程度つくる方は担当するような格好ですわね。だから、もっと極端な話は、農薬の使い方一つを見たって、専売公社が今何とか協会ということでこの農薬を使っちゃいかぬ、これどうだという検査やっていますけれども、あんなこと今度なくなっちゃうんでしょう。耕作組合が全部この農薬を使いたいというんであれば、もうそこでつくってやるということになるんじゃないですか。違いますか。
  30. 佐藤友之

    説明員(佐藤友之君) お答えいたします。  ただいま一つの例として農薬の場合が出ましたけれども、現在農薬につきましては、これは一般作物と同じように、作物に対する薬効とかあるいは使用者の安全性あるいは残留毒性、そういったようなものを検定して農水大臣の登録を受けたもの、それをたばこにおいても使っているわけでございまして、これは従来と全く変わりません。ただ、たばこの場合にはこういった基準よりもさらに喫味に及ぼす微妙な影響がございますので、通常の作物に使われます農薬以上に大変厳しい使用基準を設けておりまして、こういったことは今後も生産者の方々にぜひ守っていただきたい、こういったことは生産者との間の契約事項の中に盛り込んでいきたいというふうに考えております。
  31. 鈴木和美

    鈴木和美君 それでは品質改善と、今度は農薬と言わんで肥料という言葉を使わしていただきますが、今のは農薬ですからわかりました。肥料の問題と品質改善の問題について、今生平本部長の話を聞くと、つまり主産地形成とか、それから適正なところで生産性を上げるようにしたいというお話ですね。そのときに、現行、適正な十アール当たりの収量がどのぐらいかということで、専売公社は約二百六十キロという数字を出してますね。十アール当たり二百六十キロというような適正な収穫の量に対して、あなたがおっしゃった、今度は生産性を向上していくということの十アール当たりの数字と品質はどういうふうに変わってきますか。
  32. 佐藤友之

    説明員(佐藤友之君) 葉たばこ品質たばこの収量と非常に関係がございまして、窒素肥料を余計にやれば現在よりもまだまだ収量は多くとれますけれども品質が極端に落ちますもので、いわゆる適正収量というものを地域の土質なりあるいは耕作者の技術水準に応じてきめ細かく設けておりまして、先ほどございました二百六十キロというのは、現在の全体的な品質レベルあるいは耕作者の技術水準、そういうものから二百六十キロが適正であるというふうに見ておるわけでございまして、かつて昭和二十年代はその数字は百八十キロ程度であったということもございます。  技術の進歩でそういうふうにして向上してきたわけでございますが、今後優秀な耕作者が中心的になってたばこをつくられるとなれば、当然こういった平均的な適正収量というものは上昇していくというふうに見ておりますが、これはその年ごとのそういった作柄の状況耕作者全体の技術水準、そういうものを見ながら、毎年適正量目、いわゆる目標量目と申しますか、そういうものを指導的に定めておりまして、今後もそういうふうにやっていきたいと思っております。
  33. 鈴木和美

    鈴木和美君 私が今そのことを指摘申し上げておりますのは、言葉では生産性の向上であるとか大変耳ざわりのいい言葉が出るわけですね。それはごまかす意味で言うんであればその方がいいんですよ。しかし、私はごまかしちゃいかぬという意味で言うんですがね。そのことは必要だと言うんです。必要だけれども、今あなたがいみじくも例をとられた昭和十八年と今日の五十九年では四十年の開き、そういう四十年間かかってそこまできているんです。  そこで私が言いたいことは、新会社になって耕作者自助努力してもらう、そのときに生産性の向上をしてもらうというてみたって、先ほども申し上げましたように、段々畑で転換作物のできないところはどうしようもないんですよ。それから主産地形成大型化しようというてみたって、片方で減反をしているときにそんなに大型化がすぐいきますか。だから、私はそんな簡単には時系列的にはいかないよと言うんだ。いかないことを踏まえた上で減量政策というものを考えないと、甘いことで考えちゃいかぬと言うんだ。大蔵省にすがっていればいいというのと違うんですから。今度はみずからの会社がみずからの立て直しをせにゃいかぬのですから、そういうことは計面的にもきちっとしてほしいという意味で申し上げています。  その次に、新しい会社になりますと、全国にある生産の試験場がございますね。この試験場の位置づけというのはどういうことになりますか。
  34. 丹生守夫

    説明員(丹生守夫君) 全国に磐田試験場以下五つばかりの試験場がございますけれども、この試験場の役割は、葉たばこ品質の開発なり改良、それから生産性の向上、こういうことに重点を置いて仕事をやっているわけでありますけれども、主な仕事と申しますれば、新しい品種の開発あるいは現在ある品種の改良、それから耕作技術の改良等でございます。そうして、これは日常いろいろと起こってまいります産地の問題に対する技術的な援助、こういう仕事を行っておるわけでございます。こういった機能というのは今後とも一層重要かと思われまして、この機能は今後とも維持していかなければならないというぐあいに考えます。
  35. 鈴木和美

    鈴木和美君 たくさんの試験場があるんですが、私は葉たばこに関しての試験場の位置づけだけを今取り上げているんですが、土壌とか病虫害とか基礎研究とかいろいろありますね。それが新会社がその試験場というものをずっと抱えていくのか、土壌とか病虫害なんというのはどこにでもあることなんだから、農水省なら農水省にやっちまったらいいじゃないかというふうな意見もありますが、それは新会社がずっと抱えてやっていくのですねということを聞いているんです。どうですか。
  36. 丹生守夫

    説明員(丹生守夫君) そのように考えております。
  37. 鈴木和美

    鈴木和美君 時間が参りましたので、大臣にお尋ね申し上げますが、今、私は私なりにこの原料問題を取り上げながら、大変過剰在庫を抱えながら、貿易の自由化という荒波に船出するわけでございますが、大変なことだと私は考えています。それから俗称言われる日本外国との葉たばこ価格の差というものについても、現実に、いい悪いはともかくとして、あるわけですね。しかし将来を見越したときに、ビッグスリーと言われる、もっと別な表現で言えばたばこ独占と言われているような会社は、全国の葉たばこを網羅して、どこで何年産がどのぐらいとれる、サプライヤーに聞いても何ぼくらいか全部知っていますね。そういうような状況が国際的な葉たばこの今状況だと思っているんです。だから、単純比較において安いから買い入れるというだけのことだけではないと思うんです。東南アジアの作柄においてだってみんなビッグスリーは押さえているんですから、そんな単純な現在のメカニズムではないように思うんです。だからこそ、国内のたばこ産業を守るとすれば、国内の葉たばこ耕作というものを守らにゃならぬということに、ここからイコールで結ばれるんです。日本産業の中で、総原価の六〇%を占めるんです、この原料費が。大変なことだと思うんです。  そこで、そういうような状況にあるときに、私は本会議で農政費用負担部分は国で面倒見たらどうかと、こうお尋ねしたら、大臣はそのとき、それはできぬというお答えのようでした。それは新会社に任せていったらいいじゃないかというお答えだったように記憶しているんです。しかし、農業を大切にする国はすべて葉たばこに関して政府の大きな保護政策がとられていることも事実だと思うんです。御案内のとおり、それはECという経済圏は違うかもしれませんけれども、ECの中には欧州農業指導保証基金というのがあって、それぞれが価格差においてお互いに全体で守り合おう、助け合おう、そういうような制度がありますね。それからアメリカを見ても支持価格制度、スタビリゼーションというような制度などがあって、全体に国が保護している関係になりますね。  私は、そう考えてまいりますと、国内を見ても、大豆などは不足払いで国が面倒を見ているんじゃないでしょうか、大豆などは。そういうものから見ると葉たばこ産業に対して――葉たばこ関係者というのが自助努力を一生懸命やるでしょう、またやってもらわにゃいかぬと思うんですが、自助努力をやったからすべてが解決するかというと私は解決しないと思うんです。そのときに、あくまでも政府がこれから、日本たばこ産業百万人ですから、消費者を合わせれば三千四百万人ですから、この人たちに対して、安定的に供給する意味でも、国が何らかの負担をしなければならぬというように私は考えているんですが、諸外国保護政策の例や国内の大豆の不足払いの例なども見ながら、今までの討論を通じての大臣の所信をお聞きしたいと思います。
  38. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 従来までも、いわゆる農作物として、最初御指摘がありました、米に次ぐ第二位の生産高を上げておるというような点からしまして、農林水産省が農政の面からこれをとらえた場合は、あるいは土地改良でございますとか、あるいは近代化、機械導入等々の際、そういう農政上の施策というものにそれなりに一生懸命対応していただいておるというふうに私は理解しております。一方、今度はたばこ葉というものを商品としてとらえた場合にも、従来の製造独占、販売独占の中で、公社におかれて、いろいろな災害補償制度でございますとか、ときには減反奨励金みたいなものでございましたか、正確に名前は記憶しておりませんが、そういういわば製造たばこ原料であるという立場と、そして農林水産省から言うところの農政上の工作物であるという立場から、それぞれ対応がなされてきておるというふうに私は理解をいたしておるところであります。  そこで、どこまでが農政部門が、どこまでが製造たばこ原料部門かということになりますと、定かに線を引っ張るというのは難しい問題もあろうかと思いますが、概念的に言うところのいわゆる農政の範疇の中に位置づけられてしかるべきものだ、このように私も思っております。  ただ、私どもが申しておりますのは、今この法律案を御審議いただいて、それぞれたばこ産業を支える大きな三つの集団の一つとして、ある意味においては日本たばこ産業株式会社原料部門を担当する一つとして位置づけてみました場合に、そういう環境を整備して、ここで競争力を得ようという努力の背景が整わんとしているときに、初めから財政支出がこれにはございますから、例えば心配ございませんとかという姿勢をもって臨むということは、相互の自助努力をある意味においてはスローモーション化すると申しますか、足を引っ張ることにもなりかねない。したがって私どもは、直接の財政上の措置ということはもとより考えておりません。そしてまたそういう環境を整備するときに初めからそのものが前提にあるべきではありません。こういうことを申し上げつつ、双方の内助努力の中で可能な限りの合理化が、そして競争力がついていくことがまず第一義ではないかというような意味で、私も言葉を整理しながら鈴木委員の御質問にもお答えを申し上げてきたわけであります。
  39. 鈴木和美

    鈴木和美君 最後でございますが、先ほども申し上げましたように、割高な葉たばこかもしれませんけれども、世界の葉たばこの現況などを見ると、安定したたばこ産業の発展ということは安定した原料の供給というものがない限り発展しないわけですから、そういう意味では、現在三三%と六七%ぐらいになっておる外国葉たばこ日本葉たばこの比率、これは私はどうしても維持してほしいと思っているんです。そうでない限りまた安定がとれない。  私は、フィリップ・モリス社を挙げて申しわけありませんけれども、あのうそつきフィリップ・モリスといつも私は言うんですが、なぜ言うかというと、皆さん御案内のとおり、小田原工場でマールボロというたばこをつくっているんですが、あのマールボロは、アンダーライセンスだったかクロスライセンスだったかわかりませんけれども、あれを始めた。そのときに、使用原料もみんな向こうから持ってくるということだったのが、国内の葉たばこに影響するからということで、三%三年間、国内の、日本のですよ、葉たばこを入れ込んでマールボロをつくります、そのくらい技術がありますと、そう言っておった。ジュネーブで吸っているマールボロもニューヨークで吸っているマールボロも東京で吸っているマールボロも同じにしますと、こう言ったです。現実はどうでしょう。一回吸ってみてください。ジュネーブのマールボロと東京のマールボロとの味が同じかどうか。  私は、そういうことから見ると、国内の産業はみずからの産業としてみずからが守らなきゃいかぬということがこの一例を見てもはっきりすると思うんです。だから、使用割合はきちっとしておいてほしい。  それで大臣にお願い申し上げたいんです。今大臣お答えもそうかもしれません、農政負担部分というのはそうかもしれません、非常にややっこしい問題です。ですが、そういう船出の中で税の制度で大変なことをしていただきました。資金運用部資金も三年間貸しましょう、です。しかし非常に荒波でございますから、それは法律改正なんかを伴うから今言いませんけれども、そういう時期なども見越しながら、農政負担のあり方というのはどういうふうにあるべきかということを真剣に、検討課題として常に念頭に置いてもらって、そして何か諮問機関でもつくって検討するぐらいの意気込みを持っていただくことをお願い申し上げまして、お答えをいただいて、私の質問を終わります。
  40. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 鈴木委員の長いみずからの体験からする、歴史をすべて昇華していただいての上の御質問でございますので、ただいまの問題は、私は、どこまでが農政部門なのか、どこまでが商品としての原料部門なのか足かな知識を持っておるわけではございませんが、総合的な理解の度合いは私もそう大差がないような気がしておりますので、御意見を体して十分これに対応さしていただく検討なり準備なりをしなきゃならぬという考え方でございます。
  41. 鈴木和美

    鈴木和美君 終わります。
  42. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 今度の新しい会社になっていくということについて、何でこういう新しい会社にせざるを得ないんだろうか。あるいは一昨日来の大蔵大臣の答弁を伺っておりますと、今度のこの措置は恒久的なものなんだと。臨調は、むしろこれを一つの中間段階のものとして、競争力がつき、経営が安定した場合にはさらにそれを発展させて民営化するんだ、あるいはいろんな措置もそれに連なって開放されていくんだと、こういうようなことが臨調の方針であったろうと思うんです。中曽根内閣はこの臨調の方針というのに従って行財政改革を進めていくんだということを常に強調しているわけでありますけれども、これを見ますと、どうもそれとは違うんだという感じがするわけであります。  で、臨調の言っていることも私はかなり矛盾に満ちたことを言っているような気がするわけですね。特に専売公社の第三次答申のところの「基本的な考え方」の(1)の①などということは、何を言っているかちょっと私よくわからぬわけでありますけれどもたばこの環境が変わって国内が停滞傾向にあるんだから開放体制に向かうんだと。こういうのは経済の原則から見ると何か逆なことを言っているような気がしてしょうがないわけであります。  そういう点はありますけれども、とにかくどういうことでこういう特殊会社の形態でこれを恒久的にしていくのか、臨調の方針のどこがどういうふうなぐあいに悪いのか、そしてなぜ特殊会社にするのか、公社制度のもとでは法律を変えてどうしてもやれないのか、こういう面についてどうも私十分わからない。今の公社制度の中でも相当競争というものはでき得るんだろう、あるいはいろんなお金に対しても、投資の拡大なども今のままでいったって相当できるだろうと、こう思うんですが、そういう意味で、何であえて特殊会社というものにするのか、この特殊会社というのは本当にどれだけ能率が上がるのか。今までもいろんな特殊会社というのはできておりますけれども、私は必ずしもそう能率が上がっているなどというふうには思いません。案外今までの官僚的な、上着だけかえて、おれは民間人になったんだ、おれは民間会社になったんだと、そんな感じじか与えていない。こんなふうに私は思うんですけれども、なぜこの特殊会社の形態にしなくちゃならないのか、今までの公社制度ではどこが具体的にどういうふうにぐあいが悪いのか、この辺をもう少し明確にしていただきたいと、こういうふうに思うんです。
  43. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) まず一つは、私は、臨調答申の問題というのは、いわゆる時期が明示されておるわけじゃございませんが、これを許した後においてはいわゆる分割・民営というような方向がにじみ出ておる答申ではないかとも受け取れると思うわけでございます。しかし、この問題を現実担当しております専売公社を中心として各方面との意見調整をいたしましたが、今日の状態でまず開放体制に即応するという前提をお認めいただいたといたしました場合に、そうすると輸入自由化というものには勢い踏み切らざるを得ない。そうなりますと、いわゆる独占が、製造独占と流通独占のうちの一つだけ、輸入独占だけなくなるわけでございます。そうすると、そこに当然のこととして競争原理が働く環境の整備がなされていかなければならぬ。そこで臨調は、これは専売公社というのみでなく、まず公社制度そのものからの分析からいろいろな御指摘をいただいておるわけでありますが、特殊会社にして最大限そういう環境を整え得るような当事者能力を持ってこれに対応していくにはどうしたらいいかということになると、やはり商法と労働三法というのが一つは基本となって、しかし製造独占だけは認めていかなければならぬということで、御審議いただいておる案ができたわけでございます。  そうして、また考えてみますと、ビッグスリーという言葉がたびたび使われますが、あるいはそれに今日の日本専売公社を加えてビッグフォーかもしらぬ。しかしながら、そういう国際的寡占状態とでも申しますか、そういう中では、国産葉たばこというものも抱えておる現状において、いわゆる分割・民営というのは、現実問題からすれば、革命的なバイオテクノロジーなんかで大変な葉たばこができるようになれば知りませんけれども現実の認識からすれば、製造独占を与えてビックフォーの一つとして競争場裏にさらされていく以外にないと、こう判断をいたしましたので、あくまでもこれは恒久的な措置でありますということを明確に申し上げることによって、また今日までたばこ産業を支えた三つの大きな集団と申しましょうか、原料提供の耕作者、そしてマネージメントをし製造をし、そしてある意味における流通の一部門を担当されますところの公社労使それ山体、そしてもう一つは二十六万軒の販売店、小売店ではございますが、そういう日本たばこ産業を支えてきた三つの集団というものの現実の姿を考えてみますと、将来あるいは分割・民営に行くかもしらぬというようなことはいたずらに不安を与えることであって、恒久的措置であるというはっきりした判断の上に立って位置づけなければならぬというふうに決断をいたした次第でございます。
  44. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どうもよくわからぬですが、要するに葉たばこ耕作農民がいる、公社という造製部門がある、二十六万戸の小売店がある、こういう三つの営業集団があるからこれは特殊会社という形にしなくちゃならぬ、一遍に民営にはならないんだと。臨調も一遍に民営にしろとは言ってないんですよね。中間段階としてとにかく特殊法人というのは臨調も認めておるわけですね。そうすると、今のお話ですと、この三つのグループ、このグループのために特殊法人というのを恒久化すると。この三つのグループは今からの発展状況は考えられない、進歩はないんだ、固定的に考えて特殊法人という形を恒久化する、こういうお話ですが、どうもその辺がよくわかりません。
  45. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 三つの偉大なる集団がある。それがビッグフォーとも言うべき一つの大きな国際的企業を支えてきた。しかも他のビッグスリーに対して競争力を持っていくためには、まずその三つの集団がその中で自助努力をしながら合理化も行い、ある意味におけるコストダウンも行っていかなきゃならぬ。したがって、まず分割というのは、一つ製造分割ということは、これはおよそ今日の国際たばこ産業競争状態から見ればあり得ない。だから、まずは製造独占、こういうところから出発するわけでございますから、その中においてはこの支える三つの集団に対して当然のこととしてマネージメントを行われ、製造を行われるこの現在の公社部門とでも申しましょうか、それがみずからも、そしてその原料部門も、これからお互いの理解と協力の中に合理化、効率化を行っていこうと。現状をすべて固定した中において競争場裏に耐え抜いていくという前提には立っておりません。
  46. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 せっかくの非常に真摯なお答えでありますけれどもどうもよくわからない。率直に私はそう思うんですが、先ほどの第一回のお答えの中でも競争原理を導入していくというお話があったんです。この辺は今の公社の官僚的な物の考え方、これを大きく脱皮するということの前提で競争原理ということをお述べになっているんだろうと、こう思うんですが、大蔵大臣がこれから監督者になり、大株主になって日本たばこ産業株式会社というのを監督され、株主としていろいろ関与されていくわけですが、その競争原理というのはどの辺まで言うんですか。具体的にどの辺までのことを競争原理に徹しろと、こういうふうにおっしゃるんですか、具体的に。
  47. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) この問題は、後ほど正確な分析を当局の方からしてもらおうと思いますが、私が概念的に考える競争原理というものは、世界じゅうにいろんなたばこがありますが、それが全部対象になり得るものでは理論的にはございますが、当面念頭にあるものはビッグスリーとの競争に耐え得る状態。その競争原理の上に立つというのは、まずは商法とそれからいま一つは労働三法、これが競争原理の基本にある、法律的にはその二つが基本にあるべきものではないか。したがって、全額出資でございますから、私はある意味において車の両輪であるとともに二重人格であるでございましょう、監督の立場といわば株式を全額保有しているオーナーの立場みたいな形と二つあるわけでございます、現状においては。しかし、その中で商法なり労働三法なりで最も合理化が進むように介入とか干渉とかというものは最小限度のものにしていかなければならぬという基本認識に立っておるわけであります。
  48. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 ビッグスリーという形に競争の相手方が絞られてきたような気がするんですけれども、では具体的にビッグスリーに対して――ビッグフォーの一つは我々でありますからこれは相手ではありませんね。大蔵大臣、ビッグスリーというのはどんな今まで競争をやってきているんですか。これは大蔵大臣に聞きたいのです。  大蔵大臣がこれから監督し指導していくという立場にあるわけですが、じゃビッグスリー、フィリップ・モリスなりレイノルズですね、こういうのは具体的にどんな競争をやってきたんですか。先ほど鈴木さんはあんなうそつきはないといってフィリップ・モリスのことをおっしゃっていたわけです。どうも特殊会社でそういうものに耐えられるようなそんな甘い競争ではないだろう、もっと激しい競争だろう。ビール会社の買収、それから国際的なシェアを拡大するあの早さ、あのカバレッジですかな、これなんか見たって私は大変なものだと思うんですね。特殊会社でどのくらいの競争に立ち向かうことが一体できるだろう。こんなことを大蔵大臣は考えたことありますか。それに対応してのこういう法案をお出しになってきたんだろうと思うんですけれども、それにしては大変甘いんじゃないのか、こう思うんですが、どうですか。
  49. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) ビッグスリーというものは、歴史的に見ますと、私も専門家ではもちろんございませんが、国際的寡占化が進められてそういう存在になっておると思うわけであります。ビッグフォーとあえて申しておりますのは、いわゆる三千億本生産するわけでございますから、そういう量産の規模とかいうことから言えば、我が専売公社も私はそれなりにはビッグフォーと名づけられると思うわけであります。今までの専売公社というのは、輸入とか、それも独占的輸入とかがございますにいたしましても、基本的には国際競争というよりもいわゆる国内の製造販売両面の独占の中に存在をしておったわけでございます。子供も入れる計算はおかしいのでございますけれども、一億二千万の市場というものも抱えております、実際は三千数百万の喫煙者でございましょうけれども。したがって、そういう一つの国内独占の中における存在として、財政に対する寄与の問題の評価は別といたしまして、存在しておった。これからは少なくとも輸入が自由化されます、この法案を通過成立せしめていただいたならば。もう一つは、輸出も先般輸出会社を許可したという状態にございますので、名実ともに国際競争場裏にさらされていくわけでございます。  したがって、今日まで国際たばこ市場の中において、ビッグスリーが寡占化した歴史の中にはライセンス生産もあったでございましょう。詳しくはわかりませんが、吸収もあったでございましょう。それから製造工場の規模も違ったでございましょう。それから附帯業務、たばこという形からの発想でない、会社としてのいろいろな事業分野もあるわけでございますから、これに対して競争していくというのは、それは容易でないという認識は私もございます。よく甘いじゃないかと言われることになるとフランスの例なんかが出てくる。私ども素人考えで、吸いつけているたばこというものは、嗜好品だからそう自由化したってシェアに大きな変化があるものじゃないなどという印象を時に持ちがちでございますが、それを物の見事に、敗北という表現は適切でないかもしれませんが、やられたのはフランスではなかったかと。だから、したがってフランスのような前車のわだちを踏んではならない。  技術革新とか、いろいろなものも含めて、そういうことをも総合しながら、製造本数の規模だけでは確かにフォーでございましょうが、おのずから国際競争の中で寡占化体制をとってきたスリーとは生い立ちがもちろん違いますけれども、その中へ入っていくわけでございますから、それはよほどの努力をしなければならない課題であるという自覚の上に立って、これから新会社は一生懸命やられますし、私ども監督官庁といたしましても、それに対応する可能な限りの、干渉ではなく、指導というようなものには心がけていかなければならない。  それからこれは規模の全然違う話でございますけれども、私が個人的に、競争場裏にさらされて厳しい競争ではあろうが最終的にはやり得るではないか、こういうことを時に思いましたのは、日本合成ゴムとか、そういうようなことを想起しながら、日本人の技術革新とか知恵とか、そういうものが基本的にあるから、競争場裏の中で必ずや対応力をつけていくであろうという、若干神がかりみたいなところが自分にもあるんじゃないかなあという感じは持っております。
  50. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 総裁としては、これから相手にしなくちゃならぬフィリップ・モリスとかレイノルズとかBATとか、こういう会社競争力というものと、これからスタートしようとするものの現在の競争力というものと比べて一体どういうふうにお考えなのか。この間も鈴木さんの御質問に対してお答えがあったと思うんですけれども製造部面で見ると、とんとんか若干まだこっちの方がおくれているけれども、水準的に言えば伍していけるんだ、こういうお話がありました。それから原料の面からいくと、これはかなりのマイナス、私はこう思います。  そのほかに、こういう会社が過去にやってきたことというのを見ますと、また現在日米で非常な問題になっているほかの会社のやり方なんかを見てみましても、私はかなり大変だろうと思うんですね。例えば現在の場合は、日米の航空協定なんかを見ましても、向こうはどんどんどんどん値段を下げてきているのが現状でしょう。日航だっても、こっちで切符を買えば高いけれども、向こうで切符を買ってくれば安いというところに日航は追いやられていることも事実だと思うんですね。  こういうことを考えてみると、一昨日来からお話しになっているような甘いもんじゃない、もっと手ごわい相手だ、こっちのこれに対して立ち向かう体制というものはもっとしっかりしなくちゃいかぬという気が私はしてならぬですけれどもね。専売公社から見たそうした相手というのは一体どんな相手なんですか。
  51. 長岡實

    説明員長岡實君) ビッグスリーが大変手ごわい競争相手であるという認識は十分に持っております。最近の傾向を見ましても、世界のたばこ市場の中でビッグスリーは着々とそのシェアを高めております。昭和五十四年と五十七年の数字を持っておりますけれども、自由世界の統計上はっきりしたたばこ市場の中に占めるビッグスリーのシェアが、昭和五十四年に四三・二%であったものが五十七年には四九・五%と五割に近づいております。そういったような意味で、大変強力な相手であるという認識は十分に持っておるつもりでございます。  これらのビッグスリーが、どういう戦略と申しますか、いろんな手段をもって寡占化を進めておるかと申しますと、一つは輸出をふやしていくこと、それからもう一つは資本進出をしていくこと、その他にもございましょうけれども、大きく分ければその二つであろうと存じます。  輸出をふやしていく面におきましては、これは来年四月以降の輸入自由化によって、当然我が国たばこ市場におきましても、ビッグスリーを中心とする外国たばこのシェアは高まっていくとは存じますけれども、私どもが見ているところ、このビッグスリーの進出によって国内のマーケットをどんどん侵食されている胴というのは、ビッグスリーの製品に負けないだけの自国の製品の開発販売の努力に足りない点があったのではないか、したがって競争でどんどん負けていったのではないかということが一つございます。その点につきましては、竹田委員がおっしゃいましたように、製造コストの面において私ども葉たばこその他のハンディキャップは抱えておりますけれども、まあ自画自賛するわけではございませんが、製品の品質その他においてビッグスリーの製品に比べてそう遜色のない製品の開発を、今までもやってまいりましたし、今後とも努力することによって、他国の人名を挙げるのはいかがかと存じますけれども、フランスとかイタリーのようなわだちを踏まないでやっていけるのではないかという自信はある程度持っております。  それから資本進出の面におきましては、資本進出を率直に申しましてまだお認めいただかないような状態を続けてまいらなければならないのではないか。あらゆる面で自由化の進んでいる今の世界の趨勢ではございますけれども、どこの国でも農業のようなややハンディキャップを持った産業部門を抱えている国においては、その分野については資本進出の制限等もやっておる現状でございますから、この点について、日本葉たばこ農薬の実情等をよくお考えいただきまして、コントロールしていただけるのではないかというふうに考えております。  そういったようなことと二〇%の関税率をあわせ考えますと、大変なことではございますけれども、私どもとしては、ビッグスリーを相手にして競争していける自信がある程度ございます。  で、基本的に最大な問題は、先ほど資本進出あるいは輸出の増進によってビッグスリーがそのシェアを高めていったと申しましたけれども、もう一つ、資本進出の一種かもしれませんが、企業の買収の問題がございます。例えば公社を入れてビッグフォーと言っておりますが、ビッグファイブまで広げてみますと、イギリスにロスマンズという会社がございます。ビッグフォーがいずれも三千億本台くらいの規模に対しまして、五番目はがたんと落ちまして千億本をちょっと超える規模の企業でございますけれども、もう既にこのロスマンズの株の二割を超える部分をフィリップ・モリスが買収しているということを聞いております。  そういったようなことで、三千億本の製造規模製造独占をお認めいただくならば、製造面において規模の利益も相当程度強く働く産業分野でございますので、大変な相手を控えておるわけではございますけれども、それに敗退して日本たばこ産業がおかしくならないようにする努力を積み重ねることによってそれは可能ではないかというふうに考えている次第でございます。
  52. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうすると、その特殊会社というのは、こういう大きなフィリップ・モリスあたりに買収されない手段として特殊会社にして、民営にされて上場合社にしちゃうと買収されちゃうからそういうのを防ごうという予防的な措置だというふうにも、大蔵大臣、考えられるんですが、そういうこともお考えの中に入っているんですな。
  53. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 株式の場合は、分割・民営になりましたならば、民営になったら株式の占有シェアによりまして、会社が分割されたならばそれを買収して、そこで自分たちが営業の実質上の買収、会社買収というようなことが行われるわけでありますが、今は特殊会社で政府が一定の基準を持つわけでございますから、したがって、仮に将来株が同会の議決を経て市中に出回ったといたしましても、いわゆる会社、表現は悪いんですが、会社を乗っ取る形の買収というのはこの仕組みでは行われない。将来、仮定のこととして、分割・民営みたいなものがあった場合には、それは当然そういう行為も行われるでありましょうが、今の制度としては、そういう株の取得があっても、それがいわゆる経営権を脅かすという事態には、製造独占でございますから、やっぱり魅力がないではないか。  いささかちょっと素人的な答弁になりましたので、これは専売公社総裁からお答えした方が正確だと思います。
  54. 長岡實

    説明員長岡實君) 製造独占の問題と特殊会社の問題と分けて考えてまいらなければいけないと存じます。  製造独占の問題にっきましては、先ほど申し上げましたように、ビッグファイブに当たるナンバーファイブのロスマンズは、千百億本ぐらいの規模で既にフィリップ・モリス等が買収にかかっておるという現実がございます。そういったような点からいたしますと、仮に分割・民営になりますと、恐らく二社分割よりも三社分割の方が現実的ではなかろうか。例えば二社分割で地域独占といったようなことになることもあり得ますので、三社分割ぐらいを覚悟しなければならないと考えますけれども、これはちょうど三千億本の規模の三社分割でございますから、千億本ぐらいの規模の民間の会社が三つできるというのが一つの姿であろうと存じますけれども、そうなれば競争力あるいは企業の規模等からいってロスマンズのような傾向になる可能性が非常に強く出てくる。そういう意味で私ども製造独占をぜひお認めいただきたいということを申し上げたのが一つでございます。  それから特殊会社にすることの意味でございますけれども、これは一公社総裁お答え申し上げるよりは、あるいは政府のお答えの方が正しいのかもしれませんが、現在百を超える政府関係法人があります中で、今日に至るまでの歴史的な経過の中で三公社、それから公団、事業団、それから株式会社組織の特殊会社といったようなグループ別におのずから性格その他に位置づけが行われてきております。私の理解によれば、三公社は政府関係法人の中で最も政府に近い存在と理解いたしております。労使関係につきましても、公労法の適用を受けるといったような特殊な扱いを受けておるわけでございます。公団、事業団は、制度的には労働三法の適用の法人ではございますけれども、ある程度のコントロールを受けている現実でございます。同じ特殊法人の中でも株式会社組織の特殊会社につきましては、株式会社という仕組みになることによって、その法人の経営が企業的な経営に適する一つのルールなり入れ物なりがそこにでき上がる、また労使関係につきましても、私どもは労使双方が本当に当事者能力を持って企業の将来を相談し合い、議論し合っていく関係が現出されることを期待いたしておりますけれども、これも特殊法人の中で株式会社組織であれば株主としての立場からの国のコントロールも一応あり得るわけでございまして、株式会社組織についてのみと申し上げてもいいと思いますが、本当の意味での労使間の自主性も担保されるというふうに理解をいたしております。  そういったような意味におきまして、公社のもとにおいても最大限の努力を払うことによってビッグスリーを相手にしての国際競争力に負けないようにしなければならないわけでございますけれども、株式会社組織の特殊法人になった方が合理的な企業経営がやりやすいというふうに理解をいだしている次第でございます。
  55. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そこでちょっとお伺いするんです。    〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕 大蔵大臣の認可になるわけですが、小売定価ですね、この認可の基準というのはどういうふうになさるんですか。例えば今も恐らく外国輸入たばこについては幾ら幾らということをお決めになっていると思うんですけれども、この面での競争というのは具体的にどんなふうに起こるんですか。
  56. 小野博義

    政府委員(小野博義君) お答え申し上げます。  先ほど来御議論がございましたように、輸入の自由化によりまして、国内市場において国産品と輸入品との間で激しい競争が展開されるということが考えられるわけでございます。したがいまして、認可申請がされてまいりますその申請価格と申しますか、定価につきましては、当然競争市場において十分耐えられるような妥当な内容であるということが予想されるわけでございます。また、外国メーカーまたは輸入業者の意向を当該外国製造たばこ価格決定に十分反映させるということが輸入自由化の趣旨にかなうというようなこともございまして、個々の申請価格については原則としてそれを認可するという考え方が相当であろうかと思っております。  しかしながら、その認可にいたしました理由といたしましては、小売販売業者はその認可をされた小売定価でしか販売できないわけでございまして、それ以外の価格で販売したときにはそれなりの処分を受けることになるわけでございます。したがいまして、当該小売定価につきましては、万が一にも不当なものであってはならないということで、申請価格が不当な場合にはあらかじめこれを排除できるシステムを持っていなければならないというのがこの認可の趣旨でございます。  したがいまして、たばこ事業法におきましては、定価の認可申請があった場合には、大蔵大臣は原則として認可をしなければならないわけでございますけれども消費者の利益を不当に害すると認められる場合、これは市場の実態とか他の商品の例等に照らしまして不当に高いかどうかということを基準に判断することになろうかと思いますし、不当に高いたばこというのがそれほど売れるとも思えませんので、現実には余り出てこないとは思いますけれども、市場の状況によってそういう不当に高い定価申請が出てきたような場合には、それは認可しないことがあり得る。もう一つは、国産品の場合は蔵出し価格でございますけれども、また輸入品の場合には輸入価格、これに照らしまして不当に低い、これは例えばダンピングなどのような場合が当たると思いますけれども、そういう場合には例外的に認可しないことができるというのがたばこ事業法の三十四条の趣旨でございます。
  57. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どうも私は、最高価格を認可制にしたというその辺は製造独占という関係法律的な問題だけのような気がするんですね。具体的に問題になるのは、低い価格が問題になるだろう。どんなにダンピングをしてくるのか、どんなに安い値段で申請してくるか、私はむしろ問題はそっちの方だと思うんですね。むしろ最低価格というものをある程度決めるという考え方の方が、この競争に対して適当だし、国の管理、監督という点でもむしろそっちの方に問題が多いんじゃないかと、こういうふうに思うんです。  今のお話の中で妥当というような言葉がある、し、不当な場合は小売定価を修正させるというんですか、認可しないということもあり得るというんですが、不当に安いというのはどういうふうなことで不当に安いということを判断するんですか。  恐らく今の日米の鉄鋼の問題にしたってそうでしょう。日本は、不当に安くはないんだ、ダンピングしてはいないんだと言ったって、アメリカは、トリガー価格、ある一定の価格以下だともう日本がダンピングしているんだというふうにみなしているのと同じでしょう。たばこの場合だって、まさに日本がビッグスリーに対して、それがコストを割っているのかどうなのかということはどういうふうにして判断できるんですか。私は恐らくこれは不可能だと思うんですね。アメリカは日本の鉄鋼がダンピングであるかないかわからぬということと同じじゃないですか。  ですから、恐らくかなり安い値段で小売定価の申請をしてくる可能性があると思うんですよね。こういう場合には価格問題で負けてしまうんじゃないか。そうなってくると、日本の今度の新しいたばこ産業株式会社コスト、これと競争できる範囲でこれを認可するという形でないと、安い値段でぼんぼん売られてくる、こういう競争に突入していくという可能性はないですか。全然ないですか。あなたのお話ですと、申請者の意思も酌んでと、こういうことをおっしゃっております。向こうは競争しようと思えば安い値段でぎりぎりのところで出してくるかもしれません。あるいは総合的な計算で、あるものは高く、ある品種はぐっと安く、総合的には大体ペイする価格、こういうような申請もしてくる可能性が大いにあると私は思うんですね。平均的な価格でというわけではないと思うんです。品種によってはうんと片方は高くして、片方は安くする、販売政策の上でそういうことをする、あり得ると思うんですね。どうなんでしょうか、その辺。
  58. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 現在、先生御案内のように、外国製品の場合は、輸入価格をもとにいたしまして、一定の価格によって小売定価が算定されているわけでございますけれども、その場合、製造たばこの原価が幾らかということは企業にとって最大の企業秘密であろうかと思います。おっしゃいますように、その原価がどうであるかというのは私どもにとってなかなか判定しにくい問題ではあろうかと思っております。しかしながら、現在独禁法における不公正取引であるとか、あるいは関税定率法に相殺関税、ダンピング関税あるいは緊急関税というような制度が設けられておるわけでございますけれども、そのようなものが適用されるような場合においては、これは不当に低い価格と申しますか、ダンピング価格というふうに言ってよろしいのではないかと思っております。
  59. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうすると、これは専売公社がそれにかかわるだろうと思いますけれども、具体的には小売価格というのは、あんまりけた外れに安い価格には小売定価というものは恐らくできないだろうという感じはしますがね。だから、向こうがあえてやってくるならば、独禁法すれすれの線で安いところでやってくる可能性はあると思いますけれども、    〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕小売定価の点では目立つような競争というのは私はそんなにしてこないんではないだろうか、まあ大体横並びという価格になるんではないかと思うんですが、専売公社はその辺の価格競争はどう見ていますか。
  60. 長岡實

    説明員長岡實君) 今我が国に入っております主たる輸入品等につきましては、価格競争は今後行われるとは思いますけれども、販売政策の面でそれほど、何といいますか、非常に低い価格になってきて、私どもの方の価格との差がほとんどなくなってしまうといったような状態にはまずならないのではないか。これはしかし先方の営業戦略でございますから、はっきりしたことはお答えできませんけれども、私どもはある程度価格差は維持できるんじゃないか。私どもとしては、むしろ今後の私ども製造コストの上昇をできるだけ抑えて、できるだけ値上げの時期をおくらせるということの方に全力を傾けるべきだろうというふうに考えております。  ただ、これは大した数量ではございませんけれども、アメリカのたばこ市場においてもちらほら見えておりますのは、非常に安いたばこが出る可能性がないわけではない。何と申しますか、無銘柄たばこみたいなのがアメリカの市場で若干出てきております。そういったようなものが今後我が国の市場を目標にして進出してぐるのかどうかといったようなことについては、我々としてはある程度関心を持って見ていなければならないというふうに考えております。
  61. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 今専売公社が小売にやるマージンというのは大体一〇%ぐらい、外国たばこの場合にはちょっと落として八・何%ぐらいということになっていると思うんですけれども、今度はこの点、小売に対するマージンというのは、今は流通専売でありますから、公社が決めればそれによって決まるわけですが、今後はこれは決まらないわけですね。だから、国内の製造たばこについては、これは会社が卸売人を通じて小売店へ行くわけですから、これはある程度チェックできますね。輸入たばこについてはチェックができるんですか、できないんですか。
  62. 森宗作

    説明員(森宗作君) お答え申し上げます。  現在は、先生御質問のとおり、国内品につきましては本土では一〇%、輸入品につきましては八・五%というマージンになっております。今後制度改正を行いますと、このマージンにつきましては、契約ということになるわけでございますから、自由な話し合いということになるわけでございます。  ただ、このマージンにつきましては、実は昭和五十五年に日米協議を行いました際に、当時は輸入品は七%でございました。その際に将来状況に応じて一〇%に引き上げるというような日米の合意があったわけでございますが、当時七%を八・五%として今日まできております。その後このマージンにつきましては、販売店なり販売組合は国産品並みの一〇%ということについて大変強い要望がございました。ただ、その後外国メーカーのまた要望もございまして今日まで八・五%に据え置いてまいったわけでございます。ただ、本年の春になりまして、外国メーカーは小売店の要望も理解をいたしまして、このマージンにつきましては近い将来優先考慮すると、こういうようなことを表明いたしておりますが、現在の時点では、いつどの程度このマージンを上げるかということについて明確にいたしておりませんで、かなりここら辺につきましては、外国メーカーは慎重な態度をとっておるというふうに見ております。
  63. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 今までは公社が買い入れていたわけでありますから、これは当然マージンは幾ら幾らにしてくれとかいうことになると思いますがね。これからは、輸入した外国製造たばこの場合には、輸入業者と、それからその間に幾つか、場合によれば複数の卸というのが入ってくることもあり得ると思いますね。そうした卸売人については大蔵大臣の認可でしょうけれども、恐らくこれに対してそう文句つけようはない、こう思いますね。もちろんそのマージンについて、全体的なマージンということについては、向こうもそろばん勘定があるでしょうから、余りマージンを非常に多く小売人につけるということはできないにしても、ある地域的にひとつ自分のたばこをここで売り込んでいこうということになりますと、その卸売人というのは相当なマージンを小売人につけてくる。しかもそれは全体的じゃない。例えば外国たばこが比較的よく売れる地域、例えば東京で言えばこの中央の三つの区ぐらい、そこの小売人にはある一定期間にわたって小売マージンをうんとつけてやる。そうすれば、小売人は当然そっちの方を売ると思いますね、自分のそろばん勘定からいけば。あるいは何らかの形で景品を別個の形でつけて売る、そしてその地域の市場支配をやっていく、こういうことが私はあり得ると思うんですがね。  こういう私の考える想定はない、これは防ぐ手段があるんだと、こういうふうにお考えなのかどうなのが。私は恐らく相手が相手ですからね、このぐらいのことはやってくると思う。全体的な計算で見ますと守られている。余り売れないところではマージンをうんと引き下げる、売れるところではマージンをぐんと上げる。全体的には何も日本の全市場をカバーする必要はないわけであります。一番売れるところと一番もうかるところで市場を獲得すれば、彼らの役割は済むわけであります。そういう市場というのは日本たばこ産業株式会社にとっても大変な価値のある市場だと思うんですね。そういうところでの争いは、小売定価では余り激しい争いをしにくいんで、ここでの争いというのは目に見えません。小売人の方も自分のところだけうんともうけがあれば、こんなにたくさんマージンをもらっていますよと言ってほかへ宣伝することは恐らくないだろうと思うんです。そうなってまいりますと、ここでの競争というのは目に見えない熾烈な競争になる。そういうふうに有力な市場を支配する彼らの手というものは私はありそうな気がする。それに対して競争原理を新しい会社が一体どの程度持つのか、それと本当に太刀打ちできるだけの金を一体出せるのかどうか、私はその辺はこれからの大変な問題だろうと思いますね。  この間の鈴木委員質問に対して一本のコストが三円ぐらいというお話だったですかな、この三円の中に販売促進費というのを一体どのくらいこれから見込むんですか。外国のフィリップ・モリスの販売促進費と日本公社の今までの販売促進費というのを見てみますと、こんな大きな差があるんですね。恐らくたばこの売れ行きというのは、これは総裁も前におっしゃっていたことがあると思いますけれどもたばこ品質そのものの差というのがそんなにあるとは思わぬですよ。竹下大蔵大臣は何か銘柄で決めておられて、そっちからほかへは絶対動かないというお話ですから、こんないいお得意さんはないわけでありますけれども、普通だったら、ちょっと何かサービスが違ってくれば自分の吸っているたばこをどんどん変えていくと思うんですよ。ある意味では、たばこというのはイメージの商品でもあるでしょうし、あるいは前にたばこは動くアクセサリーという言葉をおたくの方でお使いになったように、生活必需品じゃなくて一種のアクセサリー的なものでもたばこというのはあり得ると私は思うんですね。そうなってまいりますと、ただ単なる味だけじゃない、その競争価格だけじゃない、そのほかの問題もこの販売の中には入ってくるということになりますと、きのうお話のあったような三円で済むのかどうか。  私は、これからこういうビッグスリーと立ち向かうなら、販売促進費というのを今の何倍かにするか、相当な倍率にしていかないといかないだろうと思いますね。これらのビッグスリー関係は販売促進費というのは三%から五%ぐらい恐らく使っていると思いますね。専売公社は現在のところは○・何%ぐらいにしかならないんじゃないだろうかと私は思うんです。そういう点では、販売促進に対する今までの小売のマージンあるいはどういう販売促進費というものを考えてみたら、今までの公社のあり方ではとても太刀打ちできないだろう、こう私は思うんですよ。その辺はどう思いますか。
  64. 長岡實

    説明員長岡實君) 詳細な点については、必要があれば担当理事からお答え申し上げますけれども、私から総括的なことを申し上げますと、まず地域によってマージンの差をつけるという問題につきましては、私どもも世界のたばこ市場の実態を十分把握しているとは申せませんけれども、私どもが今まで聞いている限りでは余りそういう例はないようでございます。マージンで差をつけるよりは、むしろ竹田委員が後でおっしゃいました販売促進活動の面において売り込みを強く図ってくる、こちらの方は十分にあり得ることでございます。したがいまして、私どもとしては、従来のような私どもの営業活動では強力な競争相手を迎え撃つ場合に十分だとは思ってはおりません。そういう意味で、営業活動全体についての強化と申しますか、そういったようなものは現在もいろいろと検討はいたしておりますけれども、輸入自由化を控えて強力な営業活動が行えるような体制をつくっていかなきゃいけない。また営業に当たっております職員全体についても、そういう気持ちになって小売店と接触してもらわなければならないという気持ちを強く持っております。  販売促進費につきましては、外国がどの程度のものを投入してくるかという点が未知数でございますけれども、私どもそう販売促進費をふやすわけにはまいらないと存じますが、外国企業の出方については十分に注意して、それに対する対応姿勢をとらなければならないかもしれないというふうに理解をいたしております。
  65. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は今までなかったからやらないというふうな考え方でいくと、やられてきたときに――全国的にやるかどらかわかりませんよ。私は全国的には恐らくやってこないだろうと思うんですね、地域的にやってくると思うんですよ、恐らく。日本全国でマージンをどうする、こうするというようなそんなすぐ裏がとれるようなやり方はやってこないだろう。恐らくかなりな地域に差別的にそういう形でやってくる可能性はあると思うんですね。特に日本たばこ産業というのがビックフォーの中に入るということになればなるほど、私はこの間の競争というのは激しいと思うんです。ですから、今までやってこなかったからこれからもやらないだろうなどと思っていると、僕はフランスみたいに結局なっちゃうと思う。その辺については大蔵大臣は監督の立場にあると思うんですがね。そういうことになったたらそれに立ち向かっていかなければならぬと思うんですよ。  ただ、そこで問題になるのは、特殊法人というのは私は非常に問題になると思いますですね。今度のたばこ会社がマージンをここはこんなに見て、ここは見ないじゃないかというようなときに、果たして競争原理というものがこの特殊法人で徹底的にできるのかどうか。その辺は監督者としての大蔵省は、そのくらいの競争に対して、不公平が出てくると思うそういうものを一体認めるのかどうなのか。それを認めるぐらいの立場であれば、私は競争に立ち向かっても対応ができると思うんですけれども、こっちから文句言われたから同じにしろなどというような干渉がましいものが大蔵省から出てくるということになると、私はもう負けたと思うんですがね。  それから販売促進費というのは、正確には言えないにしても、一体どのくらいふやさなくちゃならぬかというのは計算はできているんでしょう。そのくらいの頭づもりはしているんでしょう、今。それができていないようだったら、これはとてもこれからの商売に勝てるとは私は思いませんけれどもね。
  66. 森宗作

    説明員(森宗作君) それでは今お話ありました中で二つの点につきまして御説明を申し上げたいと思います。  一つは、これは繰り返しになりますが、マージンにつきましては、これは現在一割というのは、一律一割ということでやっております。したがいまして、この販売店の大小あるいは地方ということによっての差が現在はございません。今後国産につきましては、従来同様に一律一〇%というマージンを維持してまいりたいというふうに考えておるわけであります。  輸入品につきまして販売店なり販売組合がこれまで要望しておりますのも、いわば国産品並みの一律一〇%というようなことを外国メーカーに対して要望いたしておりまして、こういった状況の中でマージンにつきまして外国メーカーが差をつけるとなりますと、これは話し合いではございますけれども、かなり小売店間と申しますか、その団体の中でそういったことについて消極的な意向が強いわけでございますから、その辺のことを外国メーカーかどこまで考慮して考えてまいるかということを考えますと、一律というものを容易に変えてくるということは、なかなか想像いたしかねるような点がございます。  なお、広告宣伝といったような点につきましては、先ほど総裁からお話したとおりであります。現在新会社になりました後の広告宣伝費でございますが、これにつきましては、まだ具体的な計数を確定いたしておりませんですが、ただ、私どもは今後の新製品の発売計画なり、また国内のたばこ産業を守るという立場での国産品のシェアの維持というような点等につきまして、いろいろ検討を行いまして適切なものにいたしてまいりたい。ちなみに、この広告宣伝費につきまして、五十八年度の実績を申し上げますと、二十六億九千五百万円ということになっておるわけでございます。
  67. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 先ほどの小売マージンについてでございますけれども、現在その小売マージン率については、専売法施行規則十八条によりまして、公社総裁が定めているわけでございますが、新しい法律によりますれば、他の商品の場合と同様に新会社と小売販売業者あるいは卸売販売業者が介在する場合もあろうかと思いますけれども、契約によって自由に定められることになるわけでございます。したがいまして、監督大臣立場といたしまして、その小売マージンについて直接口を出すというようなことは考えておらないわけでございます。  それからもう一つ大蔵大臣といたしましては、その株主としての立場があるわけでございますけれども、新会社法におきまして、政府に二分の一もしくは三分の二以上の保有を義務づけておるわけでございますけれども、その株主権の行使と申しますものは、新会社経営の自主性を最大限に尊重しながら出資財産の保全を図る。商法に言う所有と経営の分離を旨とする趣旨に基づいて行われるわけでございます。したがいまして、小売マージンを幾らにするかというような問題は、まさに先生がおっしゃいましたように経営判断の問題でございまして、会社が自主的にみずからの責任において決められるべきものだと思っております。したがいまして、株主という立場からしても、これについて直接口を出すというようなことは考えておらないところでございます。
  68. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大蔵省がそういうところへあんまり口を出さない、新しい会社の自主的経営を認めてくれるということでありますから、その点は安心してそうしたマージン競争に対しても立ち向かうことができるという、そういう体制が今与えられたわけでありまして、あとは新しい会社がそういうものに対してその気持ちになるかどうか、そういう決意をするかどうかにかかっていると思うんです。  そこで、総裁にお伺いするんですが、総裁は今どんな車にお乗りになっておりますか。
  69. 長岡實

    説明員長岡實君) トヨタのセンチュリーだと思います。
  70. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 わかりました。  それはどういうふうな色でございますか。
  71. 長岡實

    説明員長岡實君) 黒でございます。
  72. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 わかりました。  私がこの間議面で立っておりましたら、ラークの車がだあっと通りましたね。あれは非常に大きな宣伝力があったと思うんですよ。これからどう輸入競争に対応するかというのは、もう公社幹部の意識革命にある。安い、安かろうということになれば悪かろうということにもなると思いますね。  私は、きのういい話を聞きました。かつての紫色のピースですね、あれは世界的にデザインがいいということで、私らなんかが外国に行ったときも、ピースは持ってないかということをよく言われました。デザインがよかった。あれは大変高いデザインの費用をかけたそうであります。何か今はあんまりかけてないそうですね。そういえば、世界的なデザインというのはどうも余りないような感じがしてしようがありません。  若者がよく紙のバッグを持って歩くのは、私は一つの判断になると思いますね。あれで見ると、ラークあたりのバッグというのを持って歩くというのが多い。日本たばこでもマイルドセブンとかあるいはキャビンのデザインのバッグを持っている者をときどき見ますけれども、これはときどきですよね。あんまり私ども会わないわけです。あれがそのままいいとは言えませんけれども、そのくらいに、宣伝の、何といいますか、フィーリングといいますかね、こういうものが非常に大事になってきていると私は思うんですよ。それがそのたばこの売れ行きも決定していくということであります。そういう意味でも販売促進のための費用というのが要るんですし、機会があれば私は販売促進という構えで公社の幹部はしてもらいたい。  だから、総裁が乗る車は、今度は社長になりますか会長になりますか知りませんけれども、とにかくああいう車におれは乗りたいんだ、そのくらいの塗りですね、センチュリーに乗られるのは結構だと思いますけれども、訴える力というものを出すようなつもりになっていただかないといけないんじゃないか。今の公社のいろんな車を見ても、たばこの宣伝をうんとやっているというような車は、あんまり私はお会いしたことがないわけです。せいぜいたばこの配送の車にたばこの宣伝がしてあるくらいで、そのほかの車にはあんまり感じないんです。私は自分が吸わないせいかもしれませんけれども、感じない。そういう意味で、公社自体の幹部の人が、率先してそういうイメージを売り込む、こういうことをしなければ、さっきのマージンの問題もあるでしょうし、それからコストの問題もあるでしょうし、それからそういうイメージを売り込むという問題もあるでしょうが、そういう点ではかなりしっかりしてやってもらわないと困る。私はこういうふうに思うわけであります。  最後に、私の質問はまだこれからも続けさしていただきたいと思うんですけれども大蔵大臣に伺います。  今、大蔵省は財源がないから、どこかにその財源はないか財源はないかといって探して歩きまして、たばこなんかもいい財政物資だということで主税局長なんかも考えているだろうと思うんですよね。またたばこに少し負担を求めようかというふうにしていると思うんです。そういう販促費もかかる、コストもかかる、それから競争も、今の公社の幹部の人をかなりおだてて私はいるつもりですが、余りうまくない。こういう中で考えてみますと、将来、公社財政物資として金の卵を産む鶏に育てなくちゃならぬと思うんです。それが育つ間というのは、三、四年というものは、大蔵省があんまりここから早く金の卵を産ませるように工作をするというふうなことはおやめになってしかるべきじゃないか。それであっても、今度はもうかれば配当が入ってきますわな。法人税も入ってきます。だから、もうかったらそのままというわけではないわけでありますからね。三十四銭ですか、臨時に取るというようなものも五十九年度までという話でありますから、そういうものもこの際私はもとへ返したらいいだろうと思うんですね。そうしてこの金の卵を産む鶏をここで大きく育てていく、このことが私は必要だと思うんですが、それは大蔵大臣どう考えますか。
  73. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) まず、競争場裏にさらされるわけでございますから、当然のこととして販売促進費なんかは今までより余計かかるのかなあと、これは私の素人考えでございます。  それからもう一つは、今おっしゃったような負担を求めたならば、いわば売れ行きにいささかのマイナスの要因が出るんじゃないか。だから、当面は可能な限り売れ行きにもマイナスが出ないで、そうして自主的に国際場裏に対応していかれる。そうすると、財政当局側から期待するものは、法人税と配当と消費税と、こういうことになろうかと思うんであります。したがいまして、あれは異例の措置でございますと、こう申し上げておりますので、私はまさに異例の措置であるという認識の上に立っていなきゃならぬ。そして消費税そのものということになりますと、一つは諸外国の消費税の動向等も、たばこに関しては、嗜好品でございますから、見詰めていかなきゃならぬ問題ではあろうかと思いますが、そのときどきのそういう状態を見ながら、まさに消費税は間接税の一つとして幅広い観点から議論すべき問題で、今船出するこの自由競争にさらされていくという状態の中では、販売等にマイナス要因になるようなことを念頭に置いて対応してはいけないというふうに私も思っておるところでございます。
  74. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ―――――・―――――    午後一時三分開会
  75. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  76. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは最初に、今回の外国たばこの輸入の自由化というものは臨調答申にも沿ったものとして評価ができると思いますが、今回の処置により、たばこ問題についての市場の開放要請というものは完全に鎮静化すると考えでいいのかどうか、今後の見通しはどうでしょうか。
  77. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 経過的に見てみますと、まず九〇%、それから三五%、それから二〇%というふうに関税率を下げて、そういう開放要請に対応してまいりました。いま一つの対応の仕方というのは、外国たばこを売る店舗をふやすというような形で対応してきたわけであります。しかし今日、輸入自由化というものに踏み切ったわけでございます。先般サミットに参りましたときにも、アメリカ当局等もその措置を評価し、そしてその法律案が可及的速やかに成立して、それの実行が行われるようになることを期待しておりますということを申しておりましたので、これを現段階において評価しておるという考え方からいたしますと、さらに一般論として存在します資本の自由化でございますとか、そういう問題が急速にトラブルとして出てくるという環境は大体ないではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  78. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この処置によりまして、先般来の委員会の答弁では、現在一・八%の外国たばこのシェアが五%ぐらいまでいくんではないかという、そういうようなお話でございましたが、大体アメリカは日本たばこの販売高のシェアをどの程度目指しているのか、どの程度までいけば満足するのか。あるいは余りはかばかしくないと、例えば関税率二〇%をさらに下げろというようなそういう要求をしてくる心配はないのかどうか。そのあたりはどうでしょうか。
  79. 長岡實

    説明員長岡實君) アメリカにおけるたばこ関係者の一部に、フランスやイタリーの実例、すなわち輸入自由化が行われた後で、フランスやイタリーの国内市場に占める輸入品のシェアが三割前後まで上ったという数字が全然念頭にないとは思いませんけれども、現在のところ、アメリカのたばこ関係者、なかんずくたばこ会社は何年後にどのくらいのシェアを目指すといったような具体的な目標を持っていないのではないかと私どもは推察いたしております。要は、制度的にいろいろと制約が多くて自分たちが思うような輸入ができないということに対する欲求不満があったわけでございまして、来年四月以降輸入自由化が行われれば、その新しい制度のもとにおいて販売促進の努力はいろいろいたすと思いますけれども、これはいわばフェアな競争関係が成立するわけでございまして、そのフェアな競争関係のもとにおいてシェアが何%になってもやむを得ないという気持ちになってくれるのではないかと考えている次第でございます。
  80. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、今のところは、二〇%を下げろというようなそういう要求をしてくる心配は今のところないと、またそういう要求をしてきてもそう軽々しく二〇%を下げるわけにはいかない、これは二〇%は最終リミットである、こういうような御答弁をいただいておるわけですが、そのように理解してよろしいわけですか。
  81. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) これはまさにぎりぎりの線でありますと同時に、私は国際的に見てもこれが正当である、こういうことを絶えず主張いたしておるところでございます。
  82. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 輸入たばこの比率が大体五%ぐらいであるという根拠はどういう点にあるのか。それと、先ほどお話がありましたように、フランスの場合は、約十年間の間に七、八%であったのが三分の一は輸入たばこで占めるようになっておるわけですが、こういうフランスの事情等はどういう理由によるものであるのか、その点はどうでしょうか。
  83. 長岡實

    説明員長岡實君) 輸入自由化が行われました後にどの程度のシェアになるかという点については、実は確たる見通しを立てかねておりますと申し上げるのが正直なお答えでございます。  五%云々の問題につきましても、私が申し上げましたのは、輸入自由化が行われる前、すなわち現在の制度のもとにおきましても、ここ二、三年間の趨勢を見ますと、我が国におけるたばこの消費全体がほぼ頭打ちの状態のもとにおいて、輸入品が年率二割近い伸びでふえてきておる。もちろん基本になる数字が非常に低い率でございますから、若干ふえてもすぐ年率とすれば二割近くになるという見方もあろうかと存じますけれども、その程度の勢いでふえてきておる。これが輸入の自由化が行われればさらに増加の傾向は大きくなるであろうということをまず考え、それからウイスキーその他の輸入の自由化が行われた後の輸入品のシェアの拡大の実績その他も考え合わせますと、輸入自由化に踏み切った後数年後に現在約二%のシェアが五%程度になることは、当然私どもとしては計算に入れた上で経営の計画を立てていかなければならないと思いますという趣旨でお答え申し上げた数字でございます。  ところで、フランス等では非常に国内市場に占める輸入品のシェアが高くなっておるけれども、そのようなことにはならないかという点でございますけれども外国のあり方をとやかく批判するのはいかがかと存じますけれども、フランスの例をとりますと、フランスの専売がつくっておりましたたばこというのは、国際的に見ましてもちょっと特色がございまして、黒たばこと称しておる種類のものでございますけれども、私どもが吸いますと何か非常に辛いような感じのたばこでございます。で、フランスの専売当局といたしましては、国民性と申しますか、国民の嗜好の傾向としてこういうたばこが好まれるんだということを非常に強く信じて、いわばアメリカ的な最近の傾向のたばこの開発をやや怠った面があったのではなかろうか。そういった状態のもとに輸入自由化が行われて、あれよあれよという間にアメリカタイプのたばこの消費がふえていったということではなかろうかと推察いたしております。  我が国におきましては、今我が国で一番吸っていただいております銘柄はマイルドセブンでございます。これは三千億本のうちの四二%前後を一つのブランドで占めておりますけれども、このマイルドセブンのように国民に愛していただいておる銘柄は、その性格といいますか、味なり香りなりいろいろな面においてアメリカたばこに非常に近い性格のものでございます。そういったような点から見ましても、私どもとしては、過去数年間にわたりまして、最近の消費者の好みに応じた新製品を次々と市場に投入してきておりますので、フランスのようなことにはならないのではないかというふうに考えております。
  84. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、今までは外国たばこ専売公社のそういう販売綱に乗って売っておったわけで、これがオープンというか自由になると、そういう点で非常に危惧をするわけであります。特に向こうは葉たばこ原料も非常に安いし、もちろん関税率二〇%という障壁はあるわけですが、日本人向けの好みに合った、あるいはかってマイルドセブンが新しく皆さんの人気を得たように、さらにそれの上をいくような品種を開発して日本で売れば、たばこなんというのは一たびマイルドセブンを吸うと決めれば余り理由もなくマイルドセブンを吸うわけで、同じように外国たばこに嗜好が移れば瞬く間に伸びてしまう。そういうような新商品を、しかも非常にいいデザインで、しかも非常に適当な値段で攻めてくる、こういうことにならないかと、こういう心配を実は私はこの委員会の審議を通して感じておるわけなんですが、そういう点はどのようにお考えですか。
  85. 長岡實

    説明員長岡實君) 御指摘のような点は私どもも当然念頭に置いて仕事に取り組んでいかなければならないと考えております。外国、なかんずくアメリカの大きなたばこ製造会社が一体日本向けにどのような商品の開発を考えておるかといったようなことについては、私ども当然のことながら敏感に反応せざるを得ませんし、またそういった情報の収集等につきましても最大限の努力をいたすつもりでございますけれども、私どもといたしましては、そういったような傾向に対処しますのに、外国品に負けないような新製品の開発と市場への投入ということを最大一つの営業政策のポイントにいたしまして、今後とも輸入品に対する競争条件を常に整えていくということを念頭に置いてやってまいりたいと考えております。
  86. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今、日本たばこは大体二百円、マイルドセブンとかセブンスター二百円前後が多いわけですけれども、例えば百五十円ぐらいのたばこを売り出してくる、こういうような心配はないのかどうか。もちろん値段を下げるということは、これはダンピングということで、そういう面の対応処置はあると思うんですけれども、そういう心配はないのかどうか。またそういうことがあった場合には、我が国としてはどういう対応処置がとれるのか、このあたりについてお伺いをいたします。
  87. 森宗作

    説明員(森宗作君) 現在、輸入品で主力製品は、御案内のとおり、二百八十円でございまして、私どもの方の主力製品は二百円でございますが、ただ先生御指摘のように、この二百八十円のような銘柄を一挙に百五十円程度価格を下げて輸出をするということはちょっと考えられないわけでございます。ただ、最近アメリカあたりで銘柄のないブランドと申しますか、ジェネリーというようなたばこが売られておりまして、これが若干安い価格で販売されておるというような傾向が一部に出ております。こういったもの、現在は輸出をいたしておりませんが、将来アメリカ側からこういうものについての輸出というものもあるいは考えられるというふうに思います。  ただ、私どもの場合はアメリカあたりと状況は違っておりまして、国産のたばこの中には価格差がかなり大きい体系になっております。現在、国産品では上は二百六十円から下は七十円というような、これは二十本当たりでございますが、こういう価格体系になっておりますので、比較的価格差の少ないようなアメリカ国内というようなものと比べますと、公社の場合はその点での競争力はかなり強いんじゃないかというふうに考えております。
  88. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 先般、竹田委員より販売促進費の点について質問がございましたが、いわゆる販売促進費とともに広告宣伝費ですね、三社は我が専売公社に比較して大変な金額の広告宣伝費を使っておる。しかも今、我が国のいろいろな品物の消費動向というものはテレビの影響が非常に大きいと思うんですね。しかし、我が国の場合は、今まで専売公社たばこの宣伝を余り過度にやるということについてはおのずからの制限というか、そういうものがあって、ほかの商品のようにどんどこPR、宣伝するわけにはいかないという、こういう問題があると思うんです。私は、そういう点において、外国たばこが自由化になってどんどん宣伝する、テレビにコマーシャルも出る、こういうようなことになっては非常に心配だと思うんですがね。したがって、国内においてテレビ等の広告費についてある種の制限を加える。これは日本専売公社と同じような何らかの規制であれば、私は対外的にも許されると思うんですがね。こういうような規制が必要ではないか。そういう点はどうなっているんでしょうか。
  89. 長岡實

    説明員長岡實君) 広告宣伝の問題につきましては、実は、今日に至るまでたばこが日米貿易摩擦の一つの中心的な存在になっておりましたときに、アメリカ的な考え方から申しますと、アメリカではテレビ、ラジオの広告宣伝は法律で禁止されているけれども、その他のものについては自由にやってよろしい、日本はそういうものが法律で禁止されていないのにいろいろとコントロールがあるのはけしからぬ、これはいわゆる差別待遇であるといったようないわば誤解があったわけでございますが、その点は今日に至るまでに十分に双方で話し合いまして、我が国はある分野について法律で制限されているということはないけれども、広告宣伝全般にわたって自主的な規制の措置をとっておるということが米国側にも理解を得られるようになりまして、最近時点では、この自主規制の範囲内でアメリカのたばこについても広告宣伝が行われておるというのが実情でございます。テレビにつきましても、決められた範囲の中でまた一定の割合を定めまして、その率を超えてはならないという制約も行っているわけでございます。  来年四月以降自由化が行われた後におきましても、このいわゆる自主規制措置の範囲内で、内外製品がともにその基準を守りながら広告宣伝に当たっていくという一つの節度ある広告宣伝のあり方についてはアメリカ側の理解も得られると考えておりますし、そういったような方針で進んでまいりたいというふうに考えております。
  90. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 専売公社からいただきました資料を見ますと、輸入品のシェアというものが場所によって非常に違いがある。北青山等は、数量では五〇・四%が輸入たばこである、金額では七三・二%という。概して言えば、東京の中心になればなるほどその比率が非常に高いように思うわけですが、大体東京の傾向が何年か後には地方へ行くという、こういう点から考えると非常に心配をしているわけですが、こういう地域における輸入品シェアが高いということはどういう理由によるのか。また、そういう傾向はその地の独特の傾向であって、これが将来日本全体に広まるという心配はないのかどうか。その点はどうでしょうか。
  91. 森宗作

    説明員(森宗作君) お答え申し上げます。  確かに、輸入品につきましては、大都会地、特に東京あたりは一番高い比率になっております。たばこにつきましては、いわゆる嗜好品でございますので、これに対しまして、輸入品をなぜ選択するかということについて私どもいろいろ調査したものがございますが、こういったところで見ますと、どちらかといえば年齢的には比較的若い層が多いわけでございまして、所得階層から見ますと、大体年間三百万程度のところに一つの山がございまして、さらに所得なしというところにもう一つの山がございます。いわゆる二極化現象を示しておりまして、この辺から考えまして、成年の学生がその主な対象になっているというふうな感じでございます。  また購入の動機につきましては、ほかにない、珍しいとか、あるいは格好がいいというようなことが動機の主な理由になっておりまして、こういうことになりますと、都会地というものにどうしてもこういったものが集中する、特に学生層が東京あたり大変多いわけでございます。  こういうことから大都会の方が比較的シェアが高い。これがさらに地方の方に同じような形で伸びてまいるかということになりますと、これは最終的には消費者方々の御意向によって決まるわけでございますが、そう早急には地方全体としてこれだけの率になるというふうには考えられないというようにも思っておるわけでございます。
  92. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今のお話では、特に若い層、学生さんが多いということでありますが、この北青山なんかは、これはそういうことのみならず、外国人がこのあたりは多い、そういうようなこともかなり影響しておるんではないでしょうか。
  93. 森宗作

    説明員(森宗作君) 確かに御指摘のように、このあたりは外国人が多いということもございます。また個別に見ますと銀座あたりも多いわけでありますが、こういったところは、何と申しますか、ホステスと申しますか、そういった方々も比較的外国たばこをのんでおられるような層でございますので、そういう影響もあるんではないかと思います。
  94. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、特に学生等の若い層が、格好いい、そういうようなことで外国たばこを吸い始めると、だんだんそういう人は年をとってきてもそういう傾向がふえてくる。これから新しく成年になった人たちがそういう外国たばこの嗜好が強いということは、将来のシェアにおいて国産品がだんだん押されていくという、こういう危険性は十分あると思うんですね。そうなりますと、販売店の方はいいにしても、たばこ耕作者あるいは三万数千のいわゆるたばこ産業に従事する人たちにとっては非常な大きな社会問題にもなっていくんではないかと私は思うわけであります。そういう意味で、そうならなければいいんですけれども、そうなることに備えて常に厳しい対応を、公社としてもまたこの新しい会社としても対応をとっていかなければならない、私はそのように心配するわけでありますが、総裁としてはそのあたりをどのようにお考えになっておるのか承っておきます。
  95. 長岡實

    説明員長岡實君) 基本的には、デザインも含めてでございますけれども、輸入品に負けないような新製品を開発して投入していく。またその中には、例えば若い層にはどういうものが受けるかといったようなことも当然念頭に置いて新しい製品の開発をしていかなければならないと考えております。  輸入品のシェアが若干ふえることを私ども覚悟の上で将来の経営の計画なり戦略なりを考えていかなければならないと存じますけれども、先ほど来申し上げておりますように、新製品の投入も着着と行ってきておりますし、これはごく一部の現象がもしれませんけれども、かっては外国旅行者がお土産に免税のたばこを持ってくる率が非常に高かったんでございますけれども、最近では羽田で旅行者が国内で吸っていらっしゃる我が社の製品を買って外国へいらっしゃるという傾向も出てきておるくらいでございまして、商品競争力の面においても私どもは相当程度自信を持って今後取り組んでいけるのではないかというふうに考えております。
  96. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 たばこ全体の需要は停滞の中にあるわけで、そういう中で新しい会社がスタートするわけでありますが、職員のモラルを低下させないようにするためにも、一つは積極的に海外市場の開拓にも努めなければいけないんではないか。こういう点はどのようにお考えであるか。  それともう一点は、これも専売公社からいただいた資料でございますが、いわゆる三大たばこ企業と言われるR・J・レイノルズあるいはフィリップ・モリス、こういう会社はかなり多角経営で、一九八二年でありますが、レイノルズはたばこが五一%、あと石油一〇%、海運一二%、食料品二四%。さらに同じ年、フィリップ・モリスも、たばこが国内・国外合わせて六七%で、あとビールが二五%、あるいは清涼飲料、機械、不動産までたばこ会社がやっておる。ある意味では、今回の法律改正によりまして、新しくできた会社は事業範囲が拡大され、目的達成事業というのができる、こういうことになっておるわけでありますが、新しい会社はただ守るだけではなしに、そういう新しい攻めの姿勢も必要ではないかと思うのでありますが、この点についてはどう考えておられますか。
  97. 長岡實

    説明員長岡實君) 御指摘のとおりでございまして、企業が先細りの傾向をたどるということでは職員の士気も阻喪いたしますし、モラルにも関係してくる問題でございます。したがいまして、私どもといたしましては、何とかして将来に夢を持ってもらえるような企業経営のあり方を求めていくことが最大の課題であろうと考えております。  輸出の面につきましても、御承知のように、この四月に輸出の会社を発足させたわけでございますが、この点についても関係者は一生懸命努力いたしておりますけれども、何分にもアメリカ、イギリス等の巨大資本に比べますとスタートがおくれておりますので、近い将来に非常に輸出の世を伸ばせるというふうに見るのはやや楽観的ではなかろうかというふうに考えております。  輸出に努力をいたすことも当然でございますけれども、ただいま塩出委員がおっしゃいましたように、今回の法律改正によりまして、新会社は目的達成業務ということで営業の範囲の拡大が図られることになろうかと存じます。当然大蔵大臣のお許しを得て、どの程度までの範囲の仕事に従事させていただけるかという問題が決まってくるわけでございますが、フィリップ・モリスやレイノルズのように純然たる民間企業と違いますので、私どもが私ども仕事と全く関係のない分野にまで範囲を広げるということは、まずできないと考えざるを得ないと思いますが、私ども仕事関係のある分野といたしましても、たばこ製造する機械の輸出とか、あるいは技術の輸出であるとか、それから葉たばこ原料にして一体どういうものができるかといったようなことまで含めますと、相当程度の新規事業分野の開拓が可能ではないかということで、現在公社の中に事業開発のための委員会を設けまして、鋭意その具体化に努力をしておる最中でございます。
  98. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 たばこ産業の場合は、工場で働く人たちとともに約十万に近い農家の方もいらっしゃる。これはかつては三十万以上もあったように先般お聞きしたわけですが、例えばそういう畑でいろんな薬草とか朝鮮ニンジンとか、そういうものをつくって、そうして専売公社が薬をつくる。こういうようなことをすれば、これは労働者と耕作者両方にメリットがあるわけでありますが、こういうものは現在の法律の目的達成業務の中には含まれないのかどうか、そういう可能性はあるのか、その点はどうなんでしょうかね。
  99. 長岡實

    説明員長岡實君) 葉たばこ原料といたしましても薬品ができる可能性はございまして、塩出議員も御承知だと思いますが、葉たばこの中からソラネソールという成分、これはユベキノンという心臓の薬になる原料でございますけれども、そういったようなものがとれるというようなことはもう明らかになっております。ただ、私どもも研究所その他でいろいろ研究はいたしておりますけれども、まだコスト的に引き合わないといったような面がございまして、簡単には事業化ができない状態でございますが、そういったようなことの研究、それから中央研究所でいろいろと扱っておりますバイオテクノロジーその他のいろいろの技術を駆使して、薬草類のようなものの栽培も営業範囲拡大の目標の一つには入り得ようと思うのでございますけれども、私が調べてもらったところでは、我が国においてあらゆる薬草類を全部集めて、現在の耕作面積が二千五百ヘクタールぐらいのようでございます。思ったよりも非常に少のうございまして、五万四千ヘクタールのたばこ耕作面積に比べれば非常に微々たるものである。  それから花たばこもつくってまいりたいと考えておりますけれども、これもその花のマーケットの中で、一つの品種でどのくらいのものが売りに出せるであろうかというのをいろいろと調べてもらいますと、花たばこを一斉に売り出したときに、それで生活が維持できるぐらいの農家ということで考えますと、たかだか百戸にもならないぐらいでそれだけのものが賄われてしまうというのがどうも実情のようでございます。  したがいまして、事業範囲の拡大と口で申しましても、なかなか具体化には厳しいものがあろうと存じますけれども、ただいまおっしゃいましたようなことまで含めて、とにかくできるものはどんどん取り組んでいくという姿勢で事業開発を考えてまいりたいと思っております。
  100. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ぜひそういう点に新しい分野を開拓して、しかも工場の労働者のみならず耕作者も含めたそういう道があれば一番いいんじゃないかと思うんですが、そういう点で今後の御努力を期待いたします。  そこで、葉たばこ問題を抱えた中で新しい会社国際競争力をいかにして確保するかということが、今回の専売改革の成否に係る大問題であります。臨調答申においても、この葉たばこ問題の改善、解決策については具体的にこうしろということは示されてはいないわけですが、たばこコストの六一%が原料費である、しかも我が国葉たばこ価格はアメリカの二倍、タイの四倍、こういうような状況の中で葉たばこコストを下げるということは、これは非常に大きな問題であると思います。公社としては、これから五年間第二次生産合理化対策、こういうものを考えてコストの切り下げに努力をされておるようでありますが、どの程度を目指しておるのか、またコストを切り下げる可能性はあるのかどうか。その点はどうでしょうか。
  101. 長岡實

    説明員長岡實君) 従来も国内葉たばこの生産につきましては、品質の改善と生産性の向上によるコストの引き下げに努力をしてきたところでございますけれども、まだまだ外国産葉に比べれば割高な現状にございます。その中には我が国の土地条件とか気象条件等、いわば宿命的なハンディキャップと申しますか、そういったような面もあるわけでございまして、なかなか難しい問題でございますけれども、現在私ども耕作農家と一丸となって、何とか国際競争に対抗し得るように今後一層生産性の向上を図っていくということで協議をしながら進めております。  当然のことながら、新会社移行後もこの努力は続けてまいらなければならないと存じますけれども、現在のところ私どもが考えております当面の目標と申しますか、そういったようなものを御披露申し上げますと、昭和六十五年を目途として労働時間で四割程度、それからコストで二割程度の節減を目標に取り組んでいるのが現状でございます。大変簡単なことではないと思いますけれども一つの目標を設定して公社耕作農家とが一九となってこの問題に取り組んでいるというのが実情でございます。
  102. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 葉たばこの全量買い取り制は今後も続けていくということでございますが、特に風水害、あるいは先般はいろいろひょうが降ったり、こういうような災害時には災害補償制度というものがあります。五十五年以降五十八年まで約二百十三億円が払われておるわけでありますが、本来であればこういう災害補償制度というものは農政の中で考えるべきであるという意見もあるわけですけれども、今後これが新しい会社に移っても、この災害補償制度というものはさらに各種の補助金制度を持つようでありますが、この新しくできた会社がそれを引き継いでやっていく、このように理解していいのかどうか。
  103. 長岡實

    説明員長岡實君) 災害補償制度、それから生産性向上をさせる施策としての補助金等につきましては、今後とも従来と同様に扱ってまいりたいと考えております。
  104. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから当委員会でも問題になりましたいわゆる在庫の問題でございますが、この在庫の問題については臨調でも指摘され、また会計検査院もこれを指摘しておるわけであります。  そこで、まず最初に会計検査院が指摘した趣旨がどういう点にあったのか、これを会計検査院から御報告をいただきたいと思います。
  105. 春田正夫

    説明員(春田正夫君) お答えいたします。  日本専売公社では、長年にわたる経験をもとに国内産葉たばこ標準在庫量を二十四カ月分と定めておりますが、昨年三月、五十七年度末における在庫量は三十七カ月分と過剰になっておりましたことなどから、この過剰在庫を解消するよう五十七年度の決算検査報告に意見を表示したものでございます。  公社では、この過剰在庫解消策として生産調整について奨励金を交付したりしてその解決の促進を図っておりますが、本院が調査したところ、この生産調整後の耕作面積では年間の葉たばこ使用量に見合った生産量となるにとどまりまして、過剰在庫の減少には寄与しないばかりでなく、全量を買い入れることになっておりますため、品質の劣っているものも含まれておりまして、五十七年度末における在庫量は標準在庫量に比べ十三カ月分過剰になっておりました。  このような事態は、約二千八百四十億円の公社資金を年間に固定することになり、また多額の経費も負担することになりますので、種々困難な事情はあるにしましても、この過剰在庫を解消するよう各般の対策を講ずる要があると考えられまして、五十八年十一月に専売公社に対しまして意見を表示したものであります。
  106. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 公社の資料によりますと、五十七年度末で十二万八千トン、五十八年度末は十三万二千トンということで、在庫がふえてきておるという状況で、会計検査院の指摘とは逆の方向に行っておるわけでありますが、しかしこれもまた耕作農家があることですから、余り急激な変化をしてはいけないと思うんです。ある程度長期的な計画を立てて徐々に適正な在庫に持っていく、二千八百四十億というお金を寝かしておけばその金利だけでもかなりな金額になるし、これは今後の新しい会社の大きな足かせになるおそれがあるわけです。この会計検査院の指摘を受けて今後どういう方向でこの問題を処理されようとされておるのか、これをお伺いいたします。
  107. 長岡實

    説明員長岡實君) 過剰在庫の問題は確かに公社経営あるいは新会社経営にとって一つの負担になるわけでございまして、何とかしてこの解消を図りたいということでいろいろと努力をいたしておりますけれども、現在までのところは余りはかばかしい結果にはなっておりません。現在、私どもといたしましては、こういったような問題は一挙に解決できるものではございませんので、ある程度年限をかけながら、着実に過剰在庫減らしを図っていくということしかないと考えましていろいろ案を練っております。  大きく分けて申しますと、シガレットの製造の技術の向上等と相まちまして、国産葉をたくさん使い込んで、そして過剰在庫減らしの一助とする。ただし、これもコストの問題もございますので、おのずから限界があるわけでございます。  それから製品の開発の段階で最近私どもがやってまいっておりますのは、一つの銘柄を開発いたします場合に、できるだけ国産葉多使用の銘柄の開発を図っていく。例えば、去年の四月でございますか、売り出しましたキャスターなどはそういったような製品でございます。  それから輸出の問題も考えております。ただ、輸出はコスト的に、率直に申しまして、引き合いませんこともございまして、はかばかしくございませんけれども、それでも五十七年度には二百六十トンしかなかった輸出を五十八年度には十倍、二千八百トン近くまで拡大するといったようなこともやっております。しかし、これも輸出の量をふやせばふやすほど赤字がふえるという関係にございまして、簡単にはいかない問題でございますが、そういったようなあらゆる努力を積み重ねまして、でき得る限り公社の努力において過剰在庫の解消に努めてまいりたいと考えておりますけれども現状における私どもの見通しでは、今後五年間ぐらいかけてあらゆる努力を傾けましても、現在の過剰在庫を半分程度減らすのがやっとではないか、それも相当難しい状況にあるというのが現状でございます。
  108. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると五年間かけて半分減らす。それは減反ではなしに、公社のいろいろな努力でできる。できるというか、難しいけれども、やろうとしておる。そうすると、あとの半分はこれはどうされるんですか。ずっともう永久に半分でいくのかどうか。その点とうなんでしょうか。
  109. 長岡實

    説明員長岡實君) 公社の努力によりまして、過剰在庫の半分程度の解消が図られた場合に、まだ当然あと半分ぐらい残っておるわけでございますけれども、この問題だけを切り離さずに、私どもといたしましては、将来の葉たばこの需給の見通しをあわせ考えまして、将来における耕作面積のあり方いかんといったようなものにつきまして、この夏の八月の末に開かれます耕作審議会に向けて現在検討いたしておる段階でございます。  公社みずからもいろいろの面で努力しながら、耕作農家につきましても、減反その他の面につきまして、ある程度の御協力をお願いしなければ、いつまでも過剰在庫問題も解消しない、需給のアンバランスも解消しないといったようなことで推移するのではないかと深刻に考えておりまして、そういったような点につきましては、まだ具体的な数値にまでは到達いたしておりませんが、来るべき夏の審議会に向けまして、私どもが案を準備して耕作農家の御理解を得るように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  110. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 耕作農家人たちは、あるときはどんどんつくってくれ、またすぐ今度はつくるのをやめてくれ、こういうように専売公社はくるくる変わると、こういうことを言っておるわけですが、もうちょっと長い見通しに立つ必要がある。余り急につくれとか、つくるなとか、こういうのは農家にとっては困ると思うんです。ある程度長期的な見通しをはっきり出して、徐々にソフトランディングというか、こういうものを示して協力を得る必要があるんではないだろうか。こういう点はどうでしょうか。
  111. 長岡實

    説明員長岡實君) 御指摘のとおりでありまして、実はこの過剰問題につきましても、先ほどもお答えを申しておりますけれども、過去において増反を行った、その後需給のバランスが完全に覆ってしまったといったような点もありまして、耕作農家側に公社に対する不信感があったことは事実でございます。そういうような点につきましては、私どももそういった不信感を解消して、お互いに理解し合ってこの問題に取り組んでいかなければならないと考えておりますが、昭和五十六年の夏の審議会で五十七年産の葉たばこの作付の面積を決める際に、約五千ヘクタール、当時の規模で一割近い大幅減反をお願いしたわけでございますが、そのときにも、当然のことながら、耕作者側から、毎年毎年方針が変わるのでは耕作の安定が望めないということで、三年間を見越しまして、単年度の需給均衡としての量を一応想定して、需給の状況を推定をいたしまして、五千ヘクタールの減反の御協力をお願いしたような経緯がございます。したがいまして、その三年がことしで切れまして、この夏の審議会では改めて適正な面積規模について御議論いただくわけでございますが、その場合にも、来年なら来年だけの見通しということではなくて、相当長期にわたった需給の見通しを立てた上で議論をしていただくつもりでございます。
  112. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 公社としては、たばこ耕作農家は非常に大型のいわゆる専業農家を目指しておるのか、あるいは瀬戸内海等であれば海岸の方はたばこと野菜とか、あるいは山地の方であればお米とたばことか、こういうような兼業、同じ農作物をいろいろ兼業するそういう農家を目指しておるのか、これはどうなんですかね。
  113. 生平幸立

    説明員生平幸立君) 今後、日本葉たばこ生産につきましては、品質の向上、それから生産性の向上を図っていく必要があるわけでございます。現在のところ、五十八年の実績で一戸当たりのたばこ面積が五十八アール、平均でございますが、そういう実情になっております。今後できるだけ高能率の機械あるいは施設を導入していくというようなことを考えますと、できるだけ一戸当たりのたばこ面積の拡大を図りまして、生産性の向上を図っていく必要があろうかと思っております。そういう意味ではできるだけ面積の拡大、一戸当たりの面積の拡大あるいは主産地の形成ということに努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  114. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、新規にたばこをつくりたいというのは余り拡大しないで、今やっておる耕作者方々規模をふやす、そういう方向で努力しておると、こう理解をしていいわけですね。
  115. 生平幸立

    説明員生平幸立君) 全体としまして面積調整しなければならないという、そういう基調のもとにあるわけでございますが、耕作審議会で出されました数字、それを地方に配分いたします場合に、できるだけ優良な農家あるいは地域と目されるようなところにウエートをかけた配分をしていくというようなことによりまして、一戸当たりの耕作規模をできるだけ拡大していくというふうにやってまいりたいと考えております。
  116. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 次に、経営形態あるいは経営の自主性の問題についてお伺いをしますが、これは大蔵大臣にお尋ねをしたいと思います。  臨調答申は、経営形態は基本的には民営でやる、特殊会社はそのための経過措置と位置づけていたわけでありますが、今回出された法律は経過措置ではなしに、この特殊会社が恒久的な措置である。そういう意味では臨調の答申といささか異なっておるわけでありますが、どのようにお考えですか。
  117. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 確かに、私ども各方面の意見を聞きながら、今御審議いただいております法律案の大綱をまとめました当時、新聞論調等におきましても、臨調答申の趣旨からすれば後退ではないかということを含めた評価をいただいたことも事実でございます。基本的には私ども開放体制に対してまずは輸入の自由化を認めるということ、それから二番目には競争力をより強化する環境を整備するために当事者能力等を可能な限り認めた政府出資の特殊会社たる株式会社にする。すなわち商法の適用と労働三法の適用、こういう大筋だけはこの臨調の答申の趣旨を生かしたものであるという認識に立っておるわけでございます。  そこで、具体的にお尋ねのございました、いわば恒久的措置としたこと自身はこの臨調の答申の趣旨からは離れておるではないか、こういう御質疑でございます。そういう評価もいただいたことは事実でございます。しかしながら、臨調もいつどうしろと必ずしも指摘されておったわけでもございません。が、何といたしましても、割高な国産葉を抱えた状況のもとでたばこの輸入自由化を行いながら、なお我が国たばこ産業国際競争力を確保して健全な発展を遂げることを期するためには、専売公社を政府出資の特殊会社に改組しながらこれに製造独占を与える、こういうことしか現状認識の上に立った場合はないという判断に達したわけでございます。したがって、この特殊会社という経営形態、製造独占というものは、今たばこ産業を抱えますところのいわば主体そのものであり、耕作、営業、製造等を担当されるところの従来の公社、そして原料を支給され、しかもそれが地域産業等に大いに関係のある耕作者の方、そして二十六万に及ぶ販売者の方、この三つの日本たばこ産業を支えます三大集団というものの現状を認識した場合、より効率的に合理化される環境はつくるものの、製造独占ということを認めて、これをいわば分割・民営へのワンステップとしては位置づけない、こういう判断に最終的に到達した次第でございます。
  118. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで、専売公社が新しい会社移行することに伴いまして、新会社は法人税、事業税、あるいは固定資産税等を納めなければならないわけであります。そうして今まで公社が納得してきた専売納付金と地方たばこ消費税というものも今度形は変わるわけであります。大体税金の負担は私は余り差はないと理解しているわけでありますが、そういう点総合的に見て、特殊法人になるためのいわゆる諸税、もろもろの税金負担というものがどの程度になるのか、公社経営面にはどうなのか。先ほどお話がありましたように、全体として需要が停滞している中で新しい分野を切り開いていくためには、それ相応の研究費というか、そういうものも必要だと思うわけでありますが、そういう観点からどういう状況であるのか。
  119. 長岡實

    説明員長岡實君) 新会社移行に伴いまして、課税法人になりますために、会社は民間企業と同様に、新たに印紙税、固定資産税といった諸税のほか、利益課税として税引き前利益の約六割近い法人税、事業等を負担することになるわけでございます。  これらの税の納付額につきましては、会社の事業の見通し等がまだ非常に不確定要因が多うございまして、現時点において新年度とのくらいの負担になるかという算定は極めて困難でございます。  そこで、一つの仮の数字といたしまして、五十八年度の公社の決算、これはまだ決まったばかりでございますけれども、五十八年度の決算を用いて大まかに推計いたしてみますと、五十八年度のたばこ事業決算の上での利益は八百七十億円ございます。これに対しまして会社化に伴います印紙税、固定資産税等の増が約八十億円、それから法定福利費の負担増が約二十億円、それから専売納付金が消費税にかわる、これは負担としてほぼ変わりないという御指摘どおりだと思いますが、この制度改正によりまして納税時期の繰り上げ等がございまして、支払い利子の負担増が伴われるわけでございますが、これが約百億円、今までのものを合わせまして合計二百億円が利益から差し引かれます。そうしますと税引き前の利益が六百七十億円になるわけでございます。これに対して法人税と事業税がかかるわけでございますが、大体約三百七十億円、先ほど申し上げました八十億円の印紙税や固定資産税と合わせますと、税の負担は両方合わせて四百五十億円になるわけでございます。税引き後の利益が三百億円になるということになるわけでございます。  利益が出ますと、資本金額が確定すればこの中から配当もするわけでございまして、そういったような意味では純利益の幅は減りますけれども、私どもといたしましては、他企業の利益率あるいは類似産業の利益率等とも比べながら判断をいたしてまいらなければなりませんけれども、あらゆる努力を傾けて、でき得る限り諸税負担後におきましてもほどほどの利益を上げながら、企業の体質を強める方向で努力してまいりたいと思いますし、それは可能であるというふうに考えております。
  120. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今度特殊法人になりますと、今言われた配当をしなくちゃいけない。当分の間は国が株主でございますが、国はいろんな税金を取り、法人税を取り、その上配当も取る、こういうことになるようですが、配当等はどのようにお考えでございますか、これはどうやって決めるんですか。
  121. 長岡實

    説明員長岡實君) 具体的な配当の水準につきましては、会社化が行われましたときのその資本金の規模または利益水準、財務の状況などを総合的に勘案の上で決定されるものであろうと思います。したがいまして、現在のところ何%の配当率を維持すべきであるといったような考えが固まっているわけではございませんけれども、一般論として言えることは、類似産業あるいは類似の規模等を持つ企業等と比べまして、それに遜色がないと申しますか、その程度の配当が可能となるように経営努力を傾けるべきであろうというふうに考えております。
  122. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、今までこういう財政の厳しい折から、専売公社から専売納付金、地方たばこ消費税以外にも臨時にいろいろ協力もお願いしてきたわけでありますし、また五十八年度においては、五十八、五十九事業年度に限り、値上げ部分一本一円につき専売公社の増収分と認められる三四%も国庫に納入していただくと、こういうような処置をとったわけであります。今までは専売公社であったからそういうこともできたわけですが、今後は、正規に決められた税金を引き上げるとか、そういうようなことは外国たばこにも適用されるわけですから、そういうことは絶対ない、絶対しないと、このように理解していいのか、どうでしょうか。
  123. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 私どもが期待いたしますのは、当然のこととして、たばこ消費税、それから法人税、それから配当と、こういうことに期待する、こういうことになるわけでございますので、昨年もお答えいたしましているように、従来の措置というのはまさに異例中の異例であって、そういうことを軽々しくとるべきでないというふうに考えておるところであります。事実問題として考えましても、今度は専売公社じゃないわけですから、だから法律的にもなかなか難しい問題なのかな、仮にあり得たとしても。だから、むしろ税法の中からとらえていけばあり得るかもしれませんけれども、そういうことは異例の措置であるという前提の上に立って、軽々に考えるべきでないということで我々一応思想統一をいたしておるところでございます。  また外国たばことの問題は、国内においては、いろんな意味においてはすべて同じ国内法の範疇の中で措置されるわけであります。
  124. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから会社がスタートするわけでありますが、新しい会社の役員が大蔵大臣の認可で決まり、その中から社長も選ばれていくと、こういうことでございますが、スタートのときには、大体今の専売公社の役員の体制が移行するものと理解していいのかどうか。それと、将来いわゆる民間からの導入というか、今は余り民間からはいらっしゃっていないようで、公社出身の方と大蔵省の関係の方が役員を占めておられるわけでありますが、今後は企業の活性化という意味で、民間の活力導入という立場から、そういうような人を加えることも必要ではないかなという気がするわけですけれども、そういう点はどうでしょうか。
  125. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) これは今度法律を通していただきました後で、いわゆる発起人会に当たる設立委員会でございますか、それが一つできるわけでございます。それから株主総会で取締役を選任して、それで大臣の認可と。ところが、株主総会は、極端に言うと私一人が株主でございますから、したがって出発の時点においては確かに設立委員会があり、株主総会があり、そこで選ばれた者を認可するといっても、一般的な概念で考える株主総会という感じはもちろんございません。したがいまして、当然のこととして、そういう経緯の中で役員の方を選任し、そして大蔵大臣の認可にかからしめるわけでございますが、まさに本たばこ産業が出発するに当たってのふさわしい方々が選ばれなければならない問題だと、こういうふうに思っておりますし、今塩出委員のおっしゃいましたような考え方は、当然その段階において大いに意義あることとして考えられる課題であろうというふうに考えておるところでございます。
  126. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今回の法律改正においても、たばこ小売販売業については、内容的には今までの指定制というその精神は保たれるわけであります。そこで、一つは、専売納付金にかわってたばこ消費税が導入されることに伴い、たばこ販売業者に対して記帳が新たに義務づけられることになっております。全国の小売店の中には、身障者福祉法に基づいて身障者の方々たばこ店をやっている方も約二・五%、六千六百九十五店あるわけでありますが、こういう身障者の方々や母子家庭等においてこういう記帳義務が新たにつくということは、これは非常に負担になると思うんでありますが、この点はどうなのか。できるだけ余り複雑にならないようにした方がいいのじゃないか。この点はどのようにお考えですか。
  127. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) ただいま御指摘がございましたように、御審議を願っておりますたばこ消費税法案の二十五条で、販売業者の方に新しく記帳義務をお願いすることにいたしておるわけでございます。これは今回納付金がたばこ消費税という、文字どおり消費税に純化するものでございますから、他の間接国税と同様に、検査、取り締まり上の必要性という観点から、製造たばこの販売薬者に対して記帳義務をお願いするということでございます。ただ、販売業者の方はたばこ消費税の直接の納税義務者でもございませんので、記帳の内容につきましては、なるべく必要最小限度の範囲にとどめるという考え方に立っております。  この二十五条で具体的な記帳の内容等につきましては政令にゆだねることにいたしております。具体的には現在酒税の販売業者にお願いしておりますような程度のものを政令で、もし法律が成立いたしましたら決めさせていただくということにいたしておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、販売業者自身は納税義務者でもないわけでございますし、ただいま御指摘にありましたように、販売業者の中には非常に零細な規模の方もいらっしゃるわけでございますから、政令を決めました暁には、国税当局とも十分連絡をとりまして、余り販売業者の方の負担にならないように、例えば記帳等につきましても、毎日毎日記帳するのではなくて一月まとめて記帳をするとか、なるべく実態に即した運用をするようにやってまいりたいと考えております。
  128. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この点はぜひ負担にならないようによろしくお願いをいたします。  それと、小売店の皆さんは、許可の基準が今回の法律改正によって今後どう変わっていくのかということを非常に心配しているわけであります。これはもちろん、消費者の側から見れば、もっともっと店が多ければという希望もあるかもしれません。しかしまた今回まで長年にわたって小売店として頑張ってきたそういう経過も考えていかなければならない。そういう点から考えて、小売店の許可基準等は余り変えない方がいいんじゃないか。この点はどうお考えですか。  それと、小売店の例えば連合会等が、いわゆる特定卸売業というんですか、たばこを輸入して輸入たばこを販売する、こういうことをやろうというような希望の人もいらっしゃるようでありますが、こういう点は、もしメーカーの方があなたのところに頼みますよと言えば、これは差し支えないのかどうか。その点はどうでしょうか。
  129. 小野博義

    政府委員(小野博義君) お答え申し上げます。  まず第一点、小売店の許可基準の件でございますけれども、先生既に御案内のように、今回小売店の指定制を、公社の指定であったものを大蔵大臣の許可制に改めました趣旨は、まさに零細小売店が大変多いという現在の小売店の実情にかんがみまして、激変を回避するというところにあったわけでございます。そういう意味におきまして、許可基準についても基本的に同じ方向で考えていきたいというふうに思っております。  それから第二点の特定販売業あるいは卸売業の小売店との兼業の件でございますけれども、小売店を営むにつきましては、ただいま申しましたように大蔵大臣の許可が要るわけでございますけれども、特定販売業あるいは卸売業については登録でよろしいわけでございます。したがいまして、その特定販売業なり卸売業なりの登録をされれば、それは兼業することが可能でございます。
  130. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから今回輸入の自由化ということで、今回のたばこ消費税の中で特に地方税が問題ですね。国税の場合は、納税義務者は、たばこ製造業者と保税地域からの引き取り者となっておるわけで、国産の場合は日本たばこ産業株式会社、輸入たばこの場合は輸入業者であり、比較的数も少ないからそう問題はないんじゃないか。ところが、地方税の場合は、納税義務者が、小売人に製造たばこを売り渡した特定販売業者または卸売販売業者となっておるわけであります。そういう点で、今後は数多くの販売ルートがあるわけでありますが、そういう点で適正な申告と納税が行われることの監視等は十分いけるのかどうか、その点心配はないのかどうか。  それともう一つは、たばこを保税地域からもらって、ちょっと品種が間違っていたということで返す、それでほかのとかえてもらう。こういうようなのに非常に手続が複雑である。今度は地方税の何か還付手続をしなければならない。こういう点を非常に心配している人もいるわけですが、これは自治省の方、この点について御答弁を願います。
  131. 前川尚美

    説明員(前川尚美君) 地方たばこ消費税についてでございますけれども、今回の改正によりまして、地方たばこ消費税につきましては、基本的には、現行制度と同様納税義務者の申告納付によるということにいたしておるわけでございますが、御指摘のとおり、今後特定販売業背あるいは卸売販売業者が参入してくることが予想されるわけでございます。地方税の面におきましては、卸売販売業背等に対しまして製造たばこの貯蔵あるいは販売等に関する事実を帳簿に記載していただく、あるいはまた卸売販売業者等が本店所在地の都道府県知事に提出する申告書に製造たばこの購入、販売に関する事実を記載した書類を添付していただくというようなことによって、たばこの流通過程における取引の実態を把握する仕組みを考えているわけでございまして、私どもといたしましては、このような形によって税の捕捉は確実に行われるということになると考えております。  それから第二点の、たばこを一たん売り渡し等を受けた後また戻した場合の扱いということでございますが、これは課税免除の手続によることになるわけでございますけれども、還付につきましては、申告の際に同時にあわせてやっていただくということになっております。七十四条の十四に規定があるわけでございますが、この時期につきましても、消滅時効にかかりますまでの間行えるということでございまして、そういう点で納税義務者の御理解もいただけるのではないかというふうに考えております。
  132. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは先ほどの記帳義務の問題と同じように地方税の方も余りややこしくない――お酒の場合も余りにも複雑じゃないかという意見もあったわけで、できるだけ負担にならないようにしていただきたい、このことを要望しておきます。  最後に塩の問題でございますが、今回の新しい会社は、日本たばこ産業株式会社ということで、名称に塩という字が入っていないわけであります。塩というのは人間の生命維持になくてはならない重要な物質でありまして、余りにもとり過ぎるとまた体にも悪いようですけれども、そういう意味日本たばこ・塩産業株式会社、このようにすべきだと思うんですが、この点はどうでしょうか。
  133. 小野博義

    政府委員(小野博義君) この会社の名称をどうするかにつきましては、法案作成の段階でいろいろ各方面から御議論があったところでございますし、私どももいろいろ知恵を絞ったわけでございますけれども日本たばこ産業、つまり葉たばこ耕作製造、販売、それを総合しまして、たばこ産業の中核として、我が国たばこ産業の健全な発展を図っていくための会社として、日本たばこ産業株式会社という名称が一番ふさわしいかというふうに考えたわけでございます。先生おっしゃいましたように、確かに改革後におきましても塩専売事業はこの新会社が行うわけでございますし、さらには将来のことでございますけれども、目的達成業務ということでたばこ事業以外の事業もいろいろ営む可能性があるわけでございます。そういうことはあるわけでございますけれども、この会社の一番中核と申しますか、本体となるものはあくまでもたばこ事業である。そういう意味からすれば、やはりたばこ産業株式会社というのが一番ふさわしい名前ではないかというふうに考えた次第でございます。
  134. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、塩の問題につきましては、もう時間もございませんのでまとめて二、三お尋ねしたいと思います。  今後、塩のコストダウンにはどのように努力されるのか。特に画一的な規模の拡大、コストダウンということで現在あるのを合併するとか、こういうような点を非常に憂慮しておる、そうなっては本当のコストダウンになるとは限らない、こういう企業の実態を無視したコストダウンは非常に困る、こういうような意見があるわけでありますが、こういう点は公社としてはどのようにお考えになっておるのか。  それからもう一点は、塩専売事業連営委員会の構成について、これはどういうメンバーを考えておるのか。そういう意味で、塩の生産流通の分野等においてすぐれた経験と識見を有するそういう者も加えるべきである、このような意見があるわけですけれども、そういう点はどう考えておるのか。  この二点をお尋ねして終わります。
  135. 友成豊

    説明員(友成豊君) 先生お尋ねの第一点目のコストダウンに向かってどういう努力をしていくのかという問題でございます。  現在、塩業審議会の答申を得まして、各社とも合理化に向かって最大限の努力をやっているところでございますけれども、その内容の概略を申し上げますと、四十六年に塩業整備をいたしまして、塩田製塩から現在のイオン交換膜製塩に切りかわりました。そのイオン交換膜の膜の性能がこの十年間に大変な技術改新が行われまして、いわゆる膜の性能においてかん水の濃度が約二〇%前後、それから使用電力量も二〇%前後の省力といいますか、そういう状況の新しい膜が開発されたわけでございます。したがいまして、この膜を最大限に活用するという点が一つございます。  それからいわゆる第二次オイルショックによりまして最も影響を受けましたのがエネルギーでございます。四十六年にイオン交換膜が始まった当座では製塩コストの約二〇%前後がエネルギー費であったわけでございますが、第二次オイルショックを受けました直後におきましては、製塩コストの約半分がエネルギーコストということでございまして、いわゆるエネルギー転換といいますか、重油から石炭への転換といったようなことも織り込みまして、現在各社がこの二つを中心に合理化を進めてまいっているわけでございます。ただ単に膜のこういう技術開発が今申し上げましたような単純ないわゆる省エネに結びつくということではなくて、一つはかん水の濃度が上がったといったようなことがございまして、そういったものを現行の煎熬設備と採かん(鹹)とのバランスといったものを最大限に利用いたしていきますと、どうしても三十万トンといいますか、現行大体十七、八万トンの規模でございますけれども、それが二十七、八万トンという規模に至るということでございます。そういったような最大限の努力をすることによりまして何とかコスト面において国際競争力を持ち得るのではないか。そういう展望がございましたので、各社がそれに向かって現在最大限の努力をいたしているという現状でございます。  そういうことで、先生御指摘規模アップを無理にという御感触のようでございますけれども、こういう新しい技術を最大限に努力して、最もコストを安く、しかも国際競争力をつけさしていくということになりますと、必然的にそういう状態が出てくるというのが実態でございます。それに伴ういろんな問題が出てくるわけでございますが、その処理についてはこれからいろいろと業界とも話し合いを進めながら何とか円滑に進めてまいりたい、こういう状況でございます。
  136. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 塩専売事業運営委員会の構成メンバーについてのお尋ねでございますけれども、塩専売事業運営委員会と申しますのは、会社に塩専売事業を実施させるに当たりまして、特殊会社といえども株式会社でございますので、公益専売である塩専売事業を行わせるということにつきまして公共性、公益性を担保しなければならないという観点から、塩専売事業の運営に関しまして、第一に事業計画、予算及び資金計画、第二に弁済期限が一年を超える資金の借り入れ、第三に重要財産の譲渡及び担保への提供、第四に業務方法書、この点についてこれらの重要事項を決定する機関として設けるわけでございます。  したがいまして、運営委員になられる方といたしましては、これは事業運営に関する知識を有するとともに、第三者から見まして塩専売事業という公益事業をゆだねるにふさわしい公正な方、そういう意味での信頼感を持ち得る方を選任するということが必要であろうかと思っております。したがいまして、今後経済界と各方面にわたりまして幅広く人材を求めることとすべきであろうかと考えております。ただその場合、先ほど申し上げましたような本運営委員会を設けた趣旨からいたしまして、塩事業と直接の利害関係を有する方々委員に選ぶということは必ずしも適当ではないかと考えております。その場合におきましても、業界の御意見を反映させる道はいろいろあろうかと思いますし、もとよりそういうことは必要であろうというふうに考えておる次第でございます。
  137. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この法案の審議の中で新会社が大変手ごわい相手の大変な競争がこれから始まるということで、あらゆる分野にわたっての合理化が必要であるということが論じられてまいりました。そこで私は一昨日の本委員会で、具体的に特殊会社移行に伴う実施が予定される合理化計画、その中身について質問をしたんですが、しかしなかなか具体的にお答えいただいておりません。例えば第一線事業所の再編成や、経理部門の合理化に伴う余剰人員について、こちらで具体的に数値も申し上げたんですが、それについての総裁などの答弁は、その余剰人員については決まっておらず、労働組合にもまだ提示してないということだったんですが、実際そのとおりなんですか。
  138. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 第一線の合理化の問題につきまして、私どもいろいろ内部的に議論を進めてまいりまして、案を固めてきたわけでございます。案がまとまった段階になりましたものですから、労働組合及び販売組合、それから耕作組合等の関係団体に話し合いを始めたと、こういうことでございます。
  139. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 前回は、労働組合にはまだ提示してないと、こういう答弁だったじゃないですか。すると前回の答弁は訂正なさいますか。
  140. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 話し合いを開始したと、こういうことでございます。
  141. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 話し合いを開始したなら、数字はちゃんと提示したんじゃないですか。一昨日はその数字も提示していないと。私は具体的に営業員経理部門で千三百名、一般職全体で二千三百名の余剰人員が出るんじゃないか、こういう数字を挙げて質問したんですが、全然お答えにならずに、しかも提示してないと、こういう答弁だったでしょう。
  142. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 人員の問題については労働組合に提示をいたしておりません。私どもが話し合いを進めたのは、全体の事務所の統廃合の計画について話を始めたということでございまして、人員については提示をいたしてございません。
  143. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは労働組合の中で配付されている資料ですが、それによりますと、今回の提案内容では全体で二千三百五十名の余剰人員が生ずるとしております。そして第一線職場で千三百名の余剰人員が生じるとしているというんですから、これを公社の方で提示せずしてどうして労働組合でこれがわかるんですか。実際は提示したんじゃないですか。
  144. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 私どもがいろいろな合理化計画を進めます際に、全体が固まる前に、いろんな基本的な考え方みたいなものを前広にあるいは事前に労働組合と話し合うことがございます。そういう際に、私どもが内部の検討過程であるいはその持っている数字というものが組合の方に伝わったということはあるかもしれませんけれども、それは前広に、事前に話し合うということでございまして、正式の提示ではないと、こういうふうに私どもは考えております。
  145. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 数字は示したけれども、それは正式ではないと。しかし正式でないったって、今までずっと公社が合理化を本当にやっていこうというんで、やっぱりそれは詰めに詰めた数字だと思うんですよ。また実際上、計算上出てくる数字ですよね。公式でないけれど、提示した数字がそんなかけ離れた数字であるはずはないんだと思うんです。  私はこの国会で、どういう合理化が実際なされていくのか、実際そして本当に国際競争力に耐え得るのかどうか、十分ここで審議する必要があると思うんです。それがいろいろ差しさわりがあるというので出されない。私はそれは大変困ると思うんです。  今の数字は一応正式でないけれども、示したというんですから、それを前提に話を進めますが、例えば工場部門の見直しを見ましても、現在全国で三十四カ所の工場があります。これは年間一工場当たり九十億本程度です。ですから、外国の一工場五百億本に比べれば小さ過ぎるんで、これも競争していこうとなれば、この辺の合理化、統廃合が当然必要なんでしょうね。一工場当たり平均三百億本ぐらいにしなきゃならないだろうし、約十工場程度にこれは集約せざるを得ないんじゃないか、そういう相当大規模な統廃合を考えているんだと思うんです。私たちに伝わってくるところによれば実際そうだと思うんですね。その辺はやっぱりそうなんでしょう。私はそういうところも示して、それで国会の審議を経ていくべきだと思うんですが、いかがですか。
  146. 西村忠弘

    説明員西村忠弘君) 先生おっしゃいますとおり、これからの合理化の方向といたしましては、なるべく工場の単位規模としては大きく、数も今の数でいいということではないと思っております。ただ、この計画を樹立するに当たりましては、全体の需給でありますとか、退職人員の見込みでありますとか、あるいは機械の入れかえでありますとか、もろもろの事情等、そこから出てくる余剰労働力をどういうふうにするかということもあわせて、慎重に検討を要する問題でございまして、現在私どもいろいろ検討は行っておりますけれども公社としてこれからこれでやるんだという成案を得ている段階ではありません。
  147. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 まあ完全な成案でなくても、それは一定の成案があり、かつ労働組合と協議し、労働組合がそれを納得しなきゃこれは進まない話です。しかし、そういうものの全体像を明らかにしないで進めることには問題があると思うんです。  で、いま一つの問題として、既にこれは鈴木委員質問された中で出てきていますが、生首は飛ばさないというのが一方ありますね。しかし、一方で徹底した合理化が必要だと。今もお答えのように、工場は統廃合していかなきゃいかぬと。なれば全体像はおのずと出てくるものです。しかし問題は、生首を飛ばさずしてそういった徹底した合理化ができるんだろうか、その辺が問題なんです。今職場では、それは本当にそういくんだろうか、大変な不安があるし、それからもう一つ、実際どこがどう統廃合されるんだ、こういう不安も実際あるわけですね。  ただ、そいつがなかなか出てこないのは、これも組合の中で配付されている文書によりますと、労働組合とのやりとりの中で、労働組合の側は全体像を示せと、こう要求しています。それに対して公社側の答弁はこうですね。組合は全体像を示せと言われるが、公社としては全体像を露骨に――この辺がちょっと露骨な言葉なんですが、全体像を露骨にあらわにすることは雇用されている者にむやみに不安を与えるだけであると考えていると。だから私は、今公社が考えている全体像というのは、もしそれを明らかにしたらば、ここに言うとおり露骨に明らかにしたらば、それこそ全公社職員挙げてもう大反対が起こるような、そういう中身、それほど厳しい合理化を考えているんでないかということを想像せざるを得ないんです、お答えないから。その点どうなんですか。
  148. 長岡實

    説明員長岡實君) 詳細な点は担当理事からお答え申し上げますけれども、一方においては、相当思い切った合理化をしなければ国際競争に負けるという現実がございます。しかし、一方において、非現実的な合理化案を安易に出しまして職員の不安、動揺を来すことは絶対に避けなければならないわけでございます。したがいまして、先ほどお読み上げになった資料の中に露骨にという表現があったのは私、初耳でございますけれども、要するに、相当思い切った合理化をしてもなおかつ、例えば生首を飛ばさないとか、職員に要らざる不安、動揺を与えないような裏づけを持ったときに初めて具体的な案の御説明ができるんだろう、まだそこまでは至っていないというふうに御理解いただきたいと存じます。
  149. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 生首を飛ばさないでどういうふうに合理化ができるか、こういう御質問でございました。これは先々のことではなくて、むしろこの二、三年来の話のことで御説明申し上げればよろしいかと存じますけれども、私ども公社におきましては、最近数年間、あるいは今後数年間も大体同じでございますけれども、毎年度の退職人員が千六百人とか、千七百人とか、千八百人とか、そういうような数字になっております。こういう退職人員の後補充というものを、高性能機械の導入とか事務改善等によりまして、一部不補充ということで対応することによって、結果として全体の人員の削減が行われてきておりますし、今後まだ具体的な人数を決めておるわけではございませんけれども、そういうことが起こりました場合にはそういうことで対応できるんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほどちょっと私の説明が不十分であったかもしれないので、もう少し敷衍させていただきますけれども、先ほど近藤議員がお読み上げになりました余剰人員の表でございますが、これは私どもといたしまして、いろいろ内部的な試算をしたことはございますけれども、その数字といえども組合に提示したことはないということで御説明を申し上げさせていただきたいと思います。
  150. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それは公式にという意味だと思うんですね。  それから、先ほど総裁いみじくも言われました、安易な合理化計画ではかえって不安と混乱を与えるということ、それは実際そうだと思うんですよ。ですから、私が今心配するのは、現段階、これだけの法案が出て、参議院にまで来ておる段階でも、まだ組合にそういう完全なものを示し得ないということは、合理化問題について話がまだまだ詰められていない、そういう状況ではないかということを私は心配するんです。これは心配まで申し上げておきます。  そこで問題は、なかなか資料が出されていないことについて私は大変不満を感ずるんですが、例えば先ほど指摘しました「第一線事業所の業務遂行体制整備等の概要」について、これで資料を要求しましたところ、これが本物なんですけれども、これをお持ちにならないで、その中の恐らく項目ぐらい書いた程度のこれ一枚しか持ってこないんですね。実際そうなんですよ。これを総務課長がこの間説明に来ました。  ところが、私どもが調べたところによりますと、今申し上げた「第一線の概要」は、実は最初は衆議院を法案が通過した段階で発表する予定だった。ところが、公社の態度が変わって、法案が参議院成立後これを発表することに変更した、このように聞いております。  それから、先ほど非公式にというお話がありましたけれども、ただ、販売組合、耕作組合の役員には営業所の統廃合の内容について非公式に説明しておる。それからもう一つ、各政党の議員に対しても非公式に説明しておる。問題が起こってはいかぬので内々にして説明しておる、こういうことなんです。その点いかがですか。
  151. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 第一線事業所の整備計画につきましては、公社内部において検討を重ねてきたわけでございます。このたび公社としての案を固めるに至ったということでございますが、六十年四月以降の実施ということを考えますと、早急に協議を進めなきゃならないということで話し合いを進めたわけでございますが、計画の基本的な考え方を事前に説明するということも必要かと思いまして、所定の方々に極めて非公式に話をしたという事実はございます。
  152. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私はそれはいいことだと思うのですね。説明して、納得を得て、そして進めていくということで、販売組合、耕作組合の役員の皆さんに説明なさった。それから労働組合にも各ブロックごとにこれを発表しているというんですが、それはそれで結構だと思います。また、各政党の議員さんに対しても非公式に説明なさった、これも結構だと思うのですよ。ただ、私のところへは全然来ていないのですよ。このあたり問題だと思うのです。各政党と申しますから、もちろん与党にこれは示したでしょうね。それから野党第一党の社会党さんにも示したことは私は間違いないと思うのです。そのほかの政党にも恐らくお示しになったんではないか。(「ない」と呼ぶ者あり)民社党さん、ありませんか。そうですか。うちとこのあたりが来ないのかもしれませんね。  じゃ民社党もないというので、恐らく参の会もないと思うのですが、共産党以下にお示しにならなかった理由は何ですか。
  153. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 私どもの第一線事業整備計画につきましては、公社内部で固めたものを、所定の方々と申しますか、私どもが御説明することが必要というふうに考えた方々に御説明を申し上げたわけでございまして、どの政党がどうということよりも、私どもがこの計画を円滑に進めますのに、何と申しますか、御説明をした方がいい方ということでお話を申し上げたわけでございまして、非常に答弁になっていないような答弁で大変恐縮でございますけれども、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  154. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうすると、共産党以下に説明すると、これは大変差しさわりが出てくると聞こえるのですが、どうなんでしょうか。
  155. 岡島和男

    説明員(岡島和男君) 例えば政党によりまして専売に関する特別委員会というような組織を持っておられる党がございまして、そういう方々は特別に今まで私どももいろんな計画につきまして御説明を申し上げだというような実績もございますし、そういうことを勘案してお話を申し上げたということでございます。
  156. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 わかりました。  要するに、これから大変な合理化に耐えていく、競争に耐えていく、そのための合理化ですよね。一方、その合理化が実際どういうぐあいに末端に響いていくのか、これは大変な不安なんです。ですから、それは国会で堂々と発表される。しかし労働組合が納得しなきゃ進まぬ、それはまた次の交渉の問題ですよ。しかし、そいつは全体像を明らかにし、そして我々もそういうものかということで十分賛否を決め得るような、そういうものにしていただく必要があると思うのです。  で、委員長にまた申しますけれども、ごらんのように我が党以下にはどうもこれを示されてないんですね。しかし中身は示したって大したものじゃない、ある程度詰まったものもありますよ。しかし、そういうものを国会に示さずして、そして合理化が大変だ、競争が大変だという。これじゃ審議は十分できませんよ。私はこの点の質問を留保します。  それから、前回の質問とまた違った段階になりますので、いろいろ資料の扱いについては理事会で御協議いただいておるようでありますけれども、また改めてこの扱いについては御協議いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  157. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  158. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 速記を起こして。
  159. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この資料、これだけ合理化の中身についてかなり詰まったものが実際にありながら、それが示されないまま国会の質疑が進んでいくということは、私はこれは大変遺憾だと思うのです。今聞いたところ、各党ともこれはもらっていないということだから、各党で要求しましょう。そういうことでその扱いを理事会で御協議いただきたいと思うんです。
  160. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 理事会で協議します。
  161. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 じゃ、次に進みたいと思います。  次に原料葉たばこ問題で、これは調達業務遂行体制整備についてであります。  これもこの資料によりますと、主産地形成に向けた面積配分、技術援助等の諸施策を推進するとしております。そこで、この主産地形成の方針というのは、現在ある点在産地、すなわち葉たばこ生産の主産地形成に適さない、あるいはこれからはみ出した農家を切り捨てたんじゃないか、こういう心配があるんですね。  そこでまずお伺いしますけれども、ここで言っておる中核的耕作農家とは何を指すのか。これは専業農家のことなんですか。
  162. 生平幸立

    説明員生平幸立君) お答え申し上げます。  中核的耕作農家でございますが、平均程度以上の収量、品質葉たばこを安定的に生産している大規模な、大規模といいますのは産地の平均の面積の二倍程度以上ぐらいを考えておりますけれども、そういう農家を考えております。それからまたその可能性のある耕作農家ということも書いてあるわけでございますが、収量、品質耕作面積がおおむね平均程度以上の農家、そういうふうに考えている次第でございます。
  163. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そこで、現在のたばこ耕作農家耕作面積状況ですが、これはこちらで言ってしまいますが、そのとおりかどうかで結構です。五十アール以下の人が四万八千三百七十六戸、五二%、三十アール以下が二万二千七百二十七戸、二四%、十アール以下が七百五十九戸、こういう状況だと思いますが、いかがですか。
  164. 生平幸立

    説明員生平幸立君) さようでございます。
  165. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そこで、この十アール以下の耕作農家に対しては廃転作奨励を行うとしておるんですね。そうすると結局、この十アール以下はまず切り捨てる、こういうことになりませんか。
  166. 生平幸立

    説明員生平幸立君) 今後の国内葉たばこ生産につきましては、生産性の向上というのが非常に大事な課題と考えているわけでございます。そういうことで公社、新制度に変わりましてからは会社におきましても、引き続きそういう施策を推進していかなければいけないというふうに考えているわけでありますが、実際に耕作をするのは耕作農家でございます。したがいまして、公社、あるいは将来変わった場合の会社、これだけでそういうことができるというものではございませんので、現在耕作組合、そういう団体側ともいろいろお話をしておりまして、耕作団体の方でも、今後そういう自主的な努力というものをやっていかなければいけないという認識になってきております。したがいまして、今後、公社側それから耕作団体、一層意思疎通を図りまして、共通の目標を掲げて、これの達成のために努力してまいりたい、かように考えております。
  167. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 時間がないので厚生省は結構です。  専業農家それから第一種兼業農家、第二種兼業農家、それぞれこういう各農家がありますが、このうち、主産地形成化と特殊会社による援助活動の対象となることが見込まれているのがありますけれども、それはそのうちどの程度が入るのか、特に兼業農家が実際どうなのか。この点いかがですか。
  168. 生平幸立

    説明員生平幸立君) この関係、必ずしも密接に結びついているかどうかという問題がございますが、たばこ耕作農家につきましては、専業農家が三〇%、第一種兼業農家五五%、一種専業合わせまして八五%という、非常に高い比率を示しているわけでございます。これを全農家の構成比と比べてみますと、専業が一三%、第一種兼業が二二%、こういうようなわけでございます。現在の耕作農家の一戸当たり五十八アールでございますが、小さいところを切り捨てるということではなくて、耕作組合あるいは産地の事情、こういうことに十分配慮しながら協議を尽くしてできるだけ円滑に主産地形成規模拡大というものを図ってまいりたいと、かように考えております。
  169. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうはおっしゃるんですが、先ほどの答弁の中で、一戸当たりの面積の拡大とそれから主産地の形成ということが基本的な方針のようですので、兼業農家が期待されない耕作農家として、一種、二種合わせて大体全体の七〇%ですからね、この辺が切り捨てられる可能性があるんじゃないかと、こう思います。  もう一つの問題は、現在盛岡試験場やあるいは鹿児島試験場で耕作段階のいろいろの実験を行っておる新耕作技術体系について伺います。中身はちょっと時間がないのでお答えいただいている余地はありませんけれども、いろいろな機械化体系の導入を目指したりしていますね。これによりますと、この新耕作技術体系は、経営耕作面積規模でいくと大体何ヘクタール以上の面積が必要なんでしょうか。
  170. 丹生守夫

    説明員(丹生守夫君) 御質問の新耕作体系の試験研究として課題を持ちまして現在推進しているわけでございますが、試験の規模としては一ヘクタールということでやっておりますけれども、これを具体的に産地に導入する際にどういう経営規模にしたらよろしいかというあたりにつきましては、これは相当時間をかけまして検討をこの中でやっていくわけでございます。例えば作業の機械を使いますからそういうものの能力でありますとか、それから省力化の程度がどれくらいになるか、それから立地条件、投資額、そういったものを総合的に勘案してモデルを考えていこうということでございまして、現在の段階ではまだ見通しを得ておりません。
  171. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは公社の技術者から聞きますと、大体三ヘクタール以上でないと経済効率が発揮できない、こう言われているんですが、今、完璧な細かな数字が出ないにしましても、おおよその幅としては大体その辺じゃないんでしょうか。
  172. 丹生守夫

    説明員(丹生守夫君) 机の上でのいろいろな計算としては三ヘクタールというような数字があろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、大体六年ぐらいの計画でこれは研究を終えようということでございますので、具体的には三年ないし四年ぐらい先にその辺の数字を固めるということになるわけであります。
  173. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そういうお答えですが、これは私どもの調査では少なくとも二ヘクタール以下が切り捨てられていく可能性があるんではないか。そうしますと、実際残るのは、先ほど来述べてきた中核的耕作農家の問題も含めて大半の兼業農家が転落してしまうんではないかということで、中核的耕作農家として育成されるのはごく一部ではないか、こう思わざるを得ないんであります。  そこで、自治省にお伺いしますが、全国たばこ耕作者政治連盟から与党の議員さんにいろいろ政治献金が行われておりますが、一九八二年度の政治資金収支報告書の状況はいかがでしょうか。
  174. 山崎宏一郎

    説明員山崎宏一郎君) 昭和五十七年分の政治資金収支報告書でございますが、全国たばこ耕作者政治連盟から自治省に対しまして提出された書類によりますと、政治献金という項目はございませんが、交際費の欄に、国会議員に関する支出といたしまして、次のものが計上されております。  内訳を申し上げますと、香典二件十五万円、出版記念会等のパーティー会費七件六十七万円、せんべつ三件三十万円、政治団体への会費五件二百五十八万円、合計十七件三百七十万円でございます。また、これ以外に国民政治協会に対しまして寄附交付金といたしまして三十万円が計上されております。
  175. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 もうちょっと別な角度から聞きますが、この場合は衆議院議員十名に対して百七十四万円、参議院議員三人に対して合計百九十六万円と、そのほかに国民政治協会に対して三十万円ということですが、いかがですか。
  176. 山崎宏一郎

    説明員山崎宏一郎君) これをまた整理いたしますと、衆議院関係十四件百七十四万円、参議院関係三件百九十六万円、合わせまして十七件三百七十万円、そのほか国民政治協会三十万円ということでございます。
  177. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 時間もあれですから、最後に大臣に、今のやりとりとその前のずっと聞いておった耕作関係ですね。  私は、これから本当に合理化を進めていくとなると、先ほど指摘したようなことにならざるを得ないと思うんですよ。本当に残るのはわずかの人人だと思うんです。ところが、たばこ耕作者政治連盟、たくさんの人が入っておりますが、そこから集められた献金ですね。私、中身は決して違法とかなんとか申しませんが、せっかく皆さん集めながら、先行きは本当になかなか見通しがつかないんですね。こういう状況は一体大臣としてどうお考えなのか。余りにも農家皆さん気の毒じゃなかろうか。これだけ金を出したけれども、これは恐らく一端だと思うんですがね、いろいろ努力をされたんだと思うんだけれども、結局は見通しがない。先ほどの工場の中の労働者の問題と合わせまして、合理化そして国際競争力に耐えていくということは、そういう被害をあちこちに及ぼすんじゃないかということを指摘せざるを得ないんですが、大臣の御所見をお伺いしておきます。
  178. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) いずれにしても、日本たばこ産業を支える三つの集団とでも申しましょうか、その中の大きな一つたばこ耕作者方々であります。これに対して激変が及んではいかぬ、こういうことから今度の法律におきましても、いわゆる契約制度でありますが、全量買い取り、それから審議会等々をつくっておるわけでございます。今日まで原料提供者として大変な御協力を賜ったわけであります。したがって、たばこ耕作者の方も、これからも一層の生産性の向上、経営の効率化にお努めいただかなければならぬ。新会社耕作者理解と納得ということを前提にしてこれから双方が協力し合っていこう、こういう考え方で、たばこ耕作者集団にのみしわを寄せるとか、そういうような基本的な考え方であってはならぬ。たばこ産業を担う三つの大きな集団だと、そして今日まで果たしてきた、しかし国際競争力に対応していかなければならぬという中に、理解と納得と良識の中に、私は問題は推移していかなければならない課題だというふうに考えております。
  179. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 時間が来ましたので終わります。
  180. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私は、一番の問題というのは、割高な国産の葉たばこを抱えて、果たして新会社がやっていけるかどうかという問題だと思うんです。    〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕  そこで、まず公社にお尋ねしますけれども製造原価の中を大きく分けまして、葉たばこ、すなわち原料代が大体六割、人件費が一割、その他のものがもろもろで三割、おおむねこういう区分に分かれると思うんですが、まずその点そう考えてよろしいかどうか。
  181. 長岡實

    説明員長岡實君) 大体そのようにお考えいただいて結構だと存じます。
  182. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 今原料代六割と申し上げたのですが、中は輸入葉たばこと国産葉たばことあるわけでありまして、これもごく大ざっぱに申し上げて、三分の一が輸入葉たばこ、三分の二が国産葉たばこ。こうなりますと、今申し上げた六割というのは、四割が国産葉たばこ、二割が輸入葉たばこ、一割が人件費、そしてその他が三割、こうなると思うんです。  では、葉たばこがどうなっているかといいますと、一応アメリカの葉っぱを対象に考えますと、五十七年でキログラム当たりどうかといいますと、アメリカの葉っぱが三ドル九十四セント、日本の葉っぱが六ドル八十五セント。五十六年度がどうかというと、アメリカの葉っぱが三ドル六十六セント、日本が七ドル七十六セント。ごく大ざっぱに言って海外の倍でありますと、こう理解しても間違いないと思いますが、よろしいですか。
  183. 長岡實

    説明員長岡實君) 大体おっしゃるとおりだろうと存じます。
  184. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そこで、これは大蔵大臣もぜひお聞き願いたいんですが、国産葉たばこが四割、今、私、数字を丸めて申し上げていますけれども、これは案外正確な数字なんです。国産葉たばこが四割、輸入が二割、人件費一割、その他三割。国産の四割の部分は、値段が日本は倍ですから、したがってアメリカが一〇〇とすると、日本の場合幾らか。いわば国産葉たばこに相当する部分が倍になるわけですから、アメリカが一〇〇とすると、日本は一四〇、すなわち四割原価高ということに計算上なるんです。この数字も今大ざっぱに申し上げていますが、そんなに違った数字ではないんです。そこで言えることは、国産葉たばこを使っているために新会社たばこは四割原価高になっておる。  そこで大臣にお尋ねしたいんです。本来、こうした原価筒というのは、守るんだったら関税で守るんです。では現在の関税で四割原価高が守れますでしょうか。
  185. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 現在の関税率は従価換算で約二〇%でございます。原価が一四〇ということでございますと、二〇%だけがカバーしているということになるだろうと思います。    〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕
  186. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 原価が四割増し、四〇%アップですよね。関税の方は二〇%ですから、残り二〇%は全然救済されない。この重みをずっとしょっていけということになるんだろうか。今後国内で国際競争が行われるわけですけれども、そのときの最大強敵というのはレイノルズとフィリップ・モリスですよね。二つはアメリカの上位メーカーです。最近の資料によりますと、それぞれアメリカのシェアは三三%ずつ、合わせて六六%、あとその他の三四%を数社で分け合っているわけですね。平均しますと、一社当たりのシェアは八%そこそこ。ところが八%そこそこの会社がそこそこにやっているということは、上位二社に相当の超過利潤がある。別な言い方をすると体力がある。そう見なければいけませんね。その会社と戦う我が新会社は二〇%の関税でもまだ二割守られていない。一体どうやってやっていったらいいんでしょうか。  一番私困るのは、質問する人がいないんですよ。新会者の責任者がいまだ決まってない。したがって新会社を担保するのは大蔵大臣しかいない。ですから、これは総裁にお尋ねしても――今のは形式論ですからいいんですが、総裁にお尋ねしてもお答えはわかると思うんです。とにかく頑張りますとおっしゃるだけなんです。だけれども、関税で守れない二割というのはどういった意味かというと、人件費が一割なんですよ。全部首切ったってだめですよ。この二割をどうするんですか。
  187. 長岡實

    説明員長岡實君) 私がお答えする立場にあるかどうか疑問でございますけれども、先ほど栗林委員がお示しになりましたその一つの数字につきまして、大筋においてそのとおりであろうという趣旨のことを申し上げましたけれども、非常に厳密に原価計算してまいりますと違う要素は幾つかございます。ただ、原価というのは企業秘密の最たるものでございまして、各原価要素別に一つ一つの比較を申し上げることはお許しいただきたいと存じますし、またアメリカの実態についても、私ども推定の域を出ておりませんので、的確なお答えにはならないと存じますが、私の立場で現在申し上げられることは、関税が製品関税であって、それと葉たばことの比較でございますから、比較としては直接的な比較にはならないかもしれませんが、現在関税でカバーされている部分は、先ほどの日米の差が四割とすれば大体その半分程度であろうと。これはいろんな計算をいたしますと、例えば我が方の主力銘柄であるマイルドセブンが二百円である。それから輸入品の主力銘柄のラークが二百八十円である。現在、御承知のように、輸入品に対しての計算の一つのフォーミュラが決まっておりますので、そのフォーミュラの中に関税ゼロであった場合にどうするか。で、二百円を基礎にしてやってまいりますと、大体二百四十円ちょっとぐらいになると思います。したがいまして、二百八十円と二百円との差の半分ぐらいまでは関税でカバーできるという計算もできるんだろうと存じます。  ただ、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、ほかの原価要素の中で私どもがまだまだ克服しなければならない分野がございます。これが完全に解消されれば、四割の格差、おおむね四割の格差がカバーできるわけでございますけれども、完全には解消できないにいたしましても、数年間の私どもが現在考えております合理化計画では、少なくとも関税でカバーされる二割程度の範囲内までは、これは葉たばこ合理化努力まで含めまして、その辺まではもっていけるんじゃないかというふうに考えて、将来計画を練っておる段階でございます。
  188. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 おとといの御答弁で、労働生産性につきましても、上位二社に比べると実はまだ率直に言って劣っておりますという御答弁でしたから、それぞれについて御努力いただくのは当然だと思うんです。ところが、四割のうち半分だけ関税で吸収できるというのは、ちょっと冗談事じゃない数字でして、ですから私は人件費全部ゼロにしたってと言った。人件費そのものが一割ですからね、細かく言えば一一%です。  そこで、大蔵大臣になぜお尋ねしているかっていいますと、新会社の発足は、私は大賛成なんです。その新会社にこの重荷をしょわせるんですか。一番簡単な方法は、だれでも思いつくのは、結構です、国産の葉たばこを三分の一お使いなさい、三分の二は輸入の葉っぱで結構ですと。こうなれば二〇%の関税で十分守れる、そういったことを言ってあげないと新会社はどうしようもないですよ。  それからもう一つ申し上げます、葉たばこ過剰在庫が今十二万九千トンあります。金額に直しますと、二千九百億円です、現在、一年分としましてね。そうすると、この十二万九千トンはどこかにしまってあるわけです。数字はこちらで申し上げます。よろしいですか。十二万九千トンはどこかの倉庫にしまわなきゃいかぬわけですね。そうすると保管料あるいは保険、さまざまな徴用がかかってまいります。この過剰在庫分の費用というのは年間一体幾らかかるか。年間四十億円です。この四十億円の数字というのは、新会社の想定税引き後利益三百億円とおっしゃいましたそれに比べて、四十億円というのは大きいですよ。しかもこの二千九百億円、多分にこれは理論計算ではありますけれども、こういった場合には理論計算が許されるんで申し上げてまいりますけれども、この二千九百億円の資金の金利というのは一体幾らかかるか。二百億円ですよ。大ざっぱに足してまいりますと二百四十億円、そして新会社の税引き後利益がわずかに三百億円。  そうなったら、当然しなければいけないのは、この過剰在庫を新会社が発足するためにどうするんだ。普通はこの過剰在庫は、国が引き取るといったって使い道ないですから、じゃ、しようがないから三年なり五年かけてゼロにしよう、その分は余計に減反をさせてよろしい。ここまで言わなかったら減りませんよ。それを今回の処置というのは現段階における恒久処置だと、そうおっしゃってしまうと、この場はいいですよ、そうですかで過ぎてしまいます。しかし四月一日からは発足するんですよ。そして輸入自由化が始まるんです。一体この新会社がやっていけるとお考えになりますか。この点は大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  189. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 私ども常識的に考えてみましても、一つ製造たばこの原価の国際比較の問題、それから今お話のありましたいわゆる過剰在庫の問題、それから次が販売競争等に要するマージン以外のものとでも申しましょうか、そういうものが、新会社が今日まで製造、販売、両方の独占権を持ってきたときと大きに違って、重圧になるという事実認識はございます。  したがって、まずは第一番目の問題につきましては、私は恒久措置と申しましたが、そこには契約という行為があって、それに基づく全量買い上げである。したがって、双方の理解と認識の上に立って、たばこ産業全体、自分のエゴイズムだけでなく、調和のとれた解決が将来にわたってなされていかなければならない課題だという考え方はもちろんございます。  それから二番目の過剰在庫の問題でございますが、これは今までも専売公社として大変な重圧を感じておった。そこで、ある意味においては、現実の事態からすれば、損をして輸出に向けるとか、いろんな工夫をなさっておりますが、ある意味における年次計画の中で、年次計画とでも申しましょうか、そういうものの中で消化されていかなければならないし、そういう努力を期待しなければならない問題である。これに対する金利、倉敷の問題も御案内のとおりのことでございます。  それからマージン以外の広告宣伝等々でございましょう。これはたばこと健康の問題もありまして、自主規制の問題等々もありますので、私もにわかにどうなるかなあということを、説明聞いた段階で、本当は必ずしも明確な私なりの理解はできませんでしたが、いずれにしても競争場裏にさらされるわけでございますから、それらの負担は覚悟しておかなきゃならぬ問題であろうというような事実の認識は私にもございます。  それらは結局、今日までたばこ産業を支えた三大集団というものの相互理解と信頼の中に、可能な限りの当事者能力を与えた中で、お互いのそれぞれの集団の進んでいく立場というものが、自分だけが被害者だとかいう考えなしにいくように、新しい会社のそれこそ指導陣営に期待をかけておるところであります。その都度、恐らく私どもに対しましても、場合によっては、干渉という意味ではなく、いろいろな御相談もあるでございましょう。その間には、完全な自由化というものを前提とした形のものでないことは事実でございますから、その事実認識の上に立って協議を重ねて、いかに苦しい道であろうと進めていかなければならない課題ではないかというふうに、私も考えておるところでございます。
  190. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 製品の輸入自由化というのは当然とるべき道だったと思います。したがって、もし私なら、おれがおれがと言いますけれども、関税四〇%で製品自由化、せめてそれぐらいの配慮は政府としてあった方がよかった。しかし今さら二〇%を四〇%に戻せるか、とても戻せません。だから、二〇%に下げるときに、いずれこれは製品自由化になる、そのときに耐え得るだろうかという御検討を本当は大蔵部内で真剣に私は御議論なさるべきだったと思うんです。今はそう言っても始まりません。ただ、なぜこれを言うかといいますと、過剰在庫について、年次計画とは言わないけれども、長い年月かけて解消していただきたいと思います。解消するためには体力がなきゃだめなんですよ。四割コスト高、関税で守られているのは半分だけ、そこの中で体力が蓄積されますか。  そこで、じゃ今の専売公社の体力はどのぐらいかということを今お触れになりました広告宣伝費のことでお尋ねしたいと思うんです。大体どこの国でもいろんな広告宣伝費には規制がかかっているんですが、アメリカの例を見ますと、レイノルズについては一九八二年かかった広告宣伝費が四百四十七億、新会社の利益よりはるかに多いんです。問題なのは売上高に対する比率が四・〇%。フィリップ・モリスがどうかといいますと、かかった広告宣伝費が一九八二年で四百九十一億ドル、売上高に対して四・五%。ところが、ほかのアメリカのたばこ会社を見ますと、小さいのがごちょごちょあるんですが、ブラウン・アンド・ウィリアムソンが四・三%、リゲット・グループが四・〇%、その他二・二、一・一というのもあることはあります。しかし、大体において売上高に対して三、四%の広告宣伝費を使うというのは、どうやらアメリカでは当たり前となっているようでありますし、恐らく国際的に見てもそうだと思うんです。嗜好品というものの価値は大変主観的なものでありまして、幾ら軽くてマイルドだなんといったって、そう本人が思わなきゃだめなんでありまして、したがって、そう思わせるような広告宣伝が決定的に必要になるのは、これはもう今さら御説明申し上げるまでもないんです。  そこで、現在日本では専売でありましたから売ることにほとんど苦労がなかった。異常に日本は広告宣伝費が低いんです。やがて四月一日から製品自由化になる。当然今までの日本に合わせてやってくださいといって国際的に通用するだろうか非常に疑問です。しかも向こうのやっているたばこの広告というのはみんなきれいですよ。秋の女がちゃらちゃらしているものは一つもないです。見てきれいですよ。こういったものが日本の週刊誌に載ったって国民は決して違和感を持たない。しかもあるところでは、たばこの吸い過ぎに気をつけなさいよと書いてある。恐らく日本でもたばこの宣伝というのはテレビを使わないで立て看板であるとかあるいは雑誌であるとかいう格好になっていくことは想像にかたくないんです。しかもつらいのは、新会社は何とかして生きるために輸出をすると思うんです。では輸出先で広告宣伝しないのか。しないわけにいかぬですよ。そこでやっておいて日本ではだめだ、この理屈は通らない。そうすると、日本でもこういう本当にマイルドな広告だったらだれも変に思わないですから、こういったものができるような新会社でなければいけない。  そこで、頭から売上高に対する比率が仮に四%としましょうか。そこで公社にお尋ねしたいんですが、先ほどお述べになりました税引き後利益三百億円、これは売上高利益率に直すと一体何%ですか。
  191. 長岡實

    説明員長岡實君) 大体今の売上高が三兆円でございますから、一%から一・一%ぐらいのところというふうに考えております。
  192. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 済みません、今質問が不親切でした。  アメリカの資料というのは州税が入ってない。売上高に対する比率を出しているものですから、売上高に州税が入ってないんです、連邦税だけ。日本の場合には全部税金かぶった格好で理論計算していますから低く出過ぎるんですが、私の方から大ざっぱな推定値を申し上げますと大体三%。いいところでしょう。
  193. 遠藤泰

    説明員(遠藤泰君) 税を控除いたしました売上高ということで今の数字を見てみますと、先生御指摘のように三・二%程度になろうかと思います。
  194. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そこで、せめてレイノルズ、フィリップ・モリス並みに大いに頑張ろうといったって、四%の広告宣伝費を出すだけの力がないんですよ、利益そのものが三%なんですから。思ったよりも新会社というのは体力のない企業体なんです。その企業体に関税では半分だけの保護、しかも窓は開けなければならない、海外に向かって。そうすると大臣たばこ三集団とおっしゃいますけれども、この状態をどう解決するかといったら、だれが考えたって、これはもう合理化しなきやいかぬ。合理化のプライオリティーのナンバーワンは葉たばこですよ。そのことをはっきり今言わないと――今言ったらこの法案吹っ飛んでしまうかしれませんよ。したがってお答えづらいのはよくわかる。わかるけれども、せめて新会社総裁候補者には耳打ちぐらいしておかなかったら経営できないですよ。本当に配当どころじゃないですよ。この段階で大臣、御所見ございますか。
  195. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 確かに今おっしゃいますように、この三集団の中で販売、小売店の問題は、今日いわゆる輸入までが自由化で、その他資本あるいは販売網等が自由化したわけではございませんから、しばらく置くといたしますならば、おっしゃいますように、この葉たばこ問題というのは、これは確かに合理化のプライオリティーの大きな部門であるということは十分私どもも認識をいたしております。それだけに、それらの集団の方とでも申しますか、とは十分議論も重ねてまいりました。集団の方にも将来にわたっての自分たちの置かれた立場の厳しさと一層の合理化努力が要請されるであろうという基本認識は私はいただけるものというか、既にいただいておる問題であろうというふうに考えておるわけであります。したがって、そのプライオリティーから見て大きなウエートを持つということの認識は私も承知いたしております。
  196. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 今公社に一番必要なのは徹底した意識改革だと思うんです。  そこで、とにかく今まで輸入自由化を避けてきたことがある意味では公社の体力を弱めてきたんですね。だから積極的に輸入自由化には受けて立つべきだし、大体世界ナンバーフォーの一つが今だに窓をあけられませんというんじゃ、世界にとても通用するはずがございません。  そこで意識改革の一環として最後に一つ私は申し上げておきたいのは、前回の質問でも述べた点ですけれども、フランスでアメリカたばこの進出で国産メーカーががたがたということに相なりました。そこでなぜそうなったんだろうか。これはいただいた資料のその部分を読んでみますと、「膨大な資金に支えられた巧妙な外国メーカーの広告宣伝、販売促進活動」。その次なんですよ。「国営企業のSEITAのハンディキャップ(資金制約、自制的ビヘイビア、大蔵省の関与)」。これだけのつらい仕事に乗り出すわけでありますから、なるべく手足を自由にさせてあげなければとてもできないですよ。したがってこの法律にはいろんな規制がかかっています。おっしゃったように現段階における恒久措置、来年の契約量をどうするかだってなかなか思う一存に任せない法律の仕組みになっているんです。なっているんだけれども、一応これはこれとして目をつぶるとしても、運用面に当たっては来年から抜本的に見直しをしてやっていかぬと私はいけないと思うんです。ですから、せめて見直し条項をつけろということを衆参にわたって言ってまいりました。なかなかお聞き入れではありません。だけれども、内実としては大至急見直しをすべきだと私は思いますが、御所見いかがですか。
  197. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) これは今までのお答えの中にもいわゆる見直し条項を入れるかどうかという議論は随分出てまいりました。私どもは一般論として、いかなる制度の改正施策も一応スタートした限りにおいては絶えず見直していくという姿勢をもってこれに対応しなければならぬというのが、言ってみれば、答弁のある意味における調和した最終的なコンセンサスであったかもしらぬなということをみずからも自意識しながら、そういうお答えをして今日に至っておるわけであります。したがって、厳しい状態にあるという事実認識の上に立って見直していくという物の考え方というのは、これはいつでも持ち続けていかなきゃならぬ課題であろうというふうに考えております。
  198. 青木茂

    ○青木茂君 冒頭、本筋とちょっと違いますけれども、七月の二十日でございますか、与党の政調会長が軽井沢でおっしゃいましたことについてちょっとお伺いをしたいんです。    〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕  本筋と違うといっても、衆議院の議事録を見ますと、たばこの審議に三光汽船の経営状態まで入っていますから、そう違ったものじゃない。特にこれは大蔵委員会がやったことに対する評価ということに対して、根っこの部分では今度の法案にもかなり関係のあることだというふうに思いますから、お伺いいたします。  前回までいわゆる財源確保法案で我々は非常に長時間をかけて審議をいたしました。立場の違いがあれ、賛否の違いはあっても、委員会委員全員が国債の価値をどうやって守るかというコンセンサスがあったから熱心にやってたんだろうと思うんです。それが幾ら国会外の夏におけるセミナーの発言とはいえ、我々みたいないわゆる陣がさではなしに、政権党の政調会長という責任者の方が、国債の利息は半分にするんだとか、ゼロにしてもいいんだとか、国民も横着であってはいけないとか言われてしまいますと、国債の価値というものに対して国民は非常に動揺いたします。安全有利だ、買え買えと今まで言ってきたわけなんだから、非常に動揺して、私どものところにもそういう問い合わせが来ております。だから、この委員会といたしましても、あるいは大臣といたしましても、当局といたしましても、これには明確な答えをオフィシャルの場でしておかないと、本当に国債をめぐる集団が動揺を繰り返すと思うわけでございますね。そういう意味において、まず当局の御見解を伺いたいんです。
  199. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 確かに財源確保法案で国債借りかえを許容していただいた。その中の集中した議論というものは、いわゆる国債の持つ信認性というのはいかにして確保するか、こういう議論が中心に行われたわけであります。したがって、私どもといたしましては、国債に対する一般の信用を喪失させるというような問題があってはならぬというふうにまず基本認識を持っております。  で、利子棚上げ論の詳細を承知しておるわけじゃございませんが、私もそのセミナーに二日目でございましたか参りましたが、要するに、今日国債残高が百二十二兆にいずれなるだろう。百二十二兆に利子をつけて計算して、六十年にしてみますと三百九十兆、後代の納税者に負担を求めることになる。それで昭和六十五年に今目標を定めております赤字公債の発行がゼロになって、そのとき建設国債が仮に横ばいでいってという仮定のもとに計算しますとおおむね百六十六兆になります。百六十六兆を、これを詳細に返還計画してみますと約五百十兆になるわけでございますから、事ほどさように公債政策の持つものは後世の世代の納税者に負担をかけることだ。しかしながら昭和三十九年までは発行していないわけでございます。四十年からの問題については、それなりのドルショック、そして第一次石油ショック、第二次石油ショックをしのいできた。だから国民全体が、経済界も個人も全体がそれに対して対応していかなきゃならぬ気構えというようなことでそういう声が出てもいいではないかというような御発言があったという程度に私は承知をいたしております。
  200. 青木茂

    ○青木茂君 あの発言が新聞報道なされましてから国民は非常に動揺しておるわけなんですよ。ですから、これは下手をしますと、かつて昭和恐慌の引き金を引いた昭和初期当時の大蔵大臣の失言問題になりかねないのだ。だから、そうならぬ間に、少なくとも国債を主管する大蔵大臣といたしましては、国民の動揺を抑えるために、ここで明確にネガティブな御答弁をいただきたいわけなんです。
  201. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 国債の利子を棚上げするというような形で国債に対する一般の信用を喪失させるようなことは考えておりませんと、こうお答えすべきだと思います。
  202. 青木茂

    ○青木茂君 平澤さんの顔を見るとまた絶対という言葉を使いたいんですけれども、とにかくそういうことがあったら、本当に今まで何とかかんとか維持してきた国債の信用というものが一挙に崩壊するんだから、これはもう絶対にそういうことはございませんですな。大臣よろしゅうございますな。
  203. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 結構でございます。
  204. 青木茂

    ○青木茂君 わかりました。  本筋の質問に移らしていただきます。  この前、全量買い取り制の問題に絡みまして、私は公社の方に、新会社が発足をいたしまして、過剰在庫の処理ということに新会社の第一義の目標を置くのか、コストダウンということに対してアクセントをつけるのかという御質問をしまして、それは過剰在庫ということをまず考えなければならないと、こういうお答えでしたね。  そうすると、伺いたいことは、過剰在庫の処理という第一義目標に対して、今度の公社から株式会社へという経営形態の変更は役に立つんでしょうか。効果があるんでしょうか。
  205. 長岡實

    説明員長岡實君) 過剰在庫が……
  206. 青木茂

    ○青木茂君 過剰在庫の処理という目標に対して経営形態の変更というものは直接何か役に立つ内容を含むかどうかです。
  207. 長岡實

    説明員長岡實君) 直接的な関係はないと存じます。公社のままでありましても、過剰在庫の解消ということに全力を挙げなければならないというふうに考えております。
  208. 青木茂

    ○青木茂君 そうすると問題は、どうしても全量買い取り制へ移っていくんですけれども、結局、高いたばこを全量買い取らなきゃならないという手かせ足かせというものがはめられているわけですから、過剰在庫というのは永久になくならないのじゃないか。このテーマがこの委員会でもきょういろいろ出たわけですけれども、こうやって過剰在庫をなくすんだといういわゆる抽象的、哲学的なお答えは出ました。経営学の教科書の総論に書いてあるようなお答えは出ましたけれども、具体的にこれで行くんだということについてはどうもはっきりしなかったのじゃないかと思いますけれども、何か具体的なプロセスというものを内に秘めたものがございますかどうか、ここをもう一回確認させていただきたいと思います。
  209. 長岡實

    説明員長岡實君) 過剰在庫の解消策につきまして、その手段別と申しますか、項目別にすべて数字を挙げて御説明申し上げれば御理解がいただけるんだろうと思いますけれども、実はまだ、率直に申し上げて、各項目別に明確な数字をお示しする段階にまで至っておりません。もちろん私どもの内部においては計算はいたしております。  その項目として何があるかと申しますれば、先刻来お答え申し上げておりますように、いろいろの技術的な制約もございますけれども、そういった制約を克服しながら、その国産の葉たばこの使用を拡大していく、これによって要するに使い込みをふやしていくというのが一つございます。  それから直接的にもう一つ言えることは輸出でございまして、これは五十七年度に比べれば五十八年度は十倍の量の輸出に成功した。五十九年度以降の見通しはなかなか難しゅうございますけれども、そういった努力は今後とも、当然のことながら五十八年度水準を維持する、あるいはそれ以上の輸出を図るといった努力はし続けてまいりたいと考えております。  そういったものを幾つか数え合わせまして、私どもが今部内で計算している方式によりましても、五年間ぐらいを考えた場合に、現在の約十三万トンの過剰在庫の半分が解消されればいい方だろうというふうに申し上げたわけでございます。
  210. 青木茂

    ○青木茂君 そうでしょう。いろんな方法を組み合わしても五年間という長期の期間をかけて半分減らすのがやっとである、あとの半分はどうにも見込みが立たないということでございますから、これは私は過剰在庫はなくならないというふうに考えても同じことだと思うわけなんですね。  そうすると、どうしてもここのところで全量買い取り制というものにある程度踏み込まないと、本当に新会社というのはもうスタートのときからやっていけないんじゃないかと、前の栗林先生の御質問とほぼ同じことになるんです。そうすると、今のところ奇抜な案はないわけなんですね、これで行くんだというのはちょっと見当たらないわけですね。
  211. 長岡實

    説明員長岡實君) 全量買い取り制につきましては、現行制度のもとにおきましては、専売制度でございますから、これは当然といえば当然であろうと存じます。新制度移行後は契約に移行いたしますけれども製造独占でございますし、農家はほかにつくった葉たばこを売ることもできない。これは理論的にといいますか、観念的にはみずからが輸出するとか、そういったような余地はないわけではございませんけれども現実論としてはそういう余地はなかなかないだろうと思います。  そこで考えられますことは、将来の葉たばこの需給状況について十分に私どもが勉強いたしましたところを農業団体の方々に御説明をして、御理解を求めて、そして将来、会社経営上、その葉たばこを使いこなせる範囲の面積にしていただいて、そしてその面積からできた葉たばこ全量買い上げる、これが一番理想的な姿だろうと存じます。    〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕  ただ、農家にはいろいろのお考えもございましょう、お立場もございましょう、それから将来の厳しい事情を全部葉たばこ農家にしわ寄せするのかという感情論もございましょう。そういったようなことを考えますと、私ども自身もあらゆる限りの余力を絞って合理化をしながら、農家にも御理解を求める最大限の努力を、新会社への移行を待たずに、この夏の八月の末に予定されております審議会に向けて私どもは準備をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  212. 青木茂

    ○青木茂君 それでは、今の御回答は、極めてソフトな形ではあるけれども、これからも、新会社移行後も減反政策に踏み込んでいくということですね。
  213. 長岡實

    説明員長岡實君) 減反ということは、程度の問題はございますけれども、避けて通れない道だと考えております。
  214. 青木茂

    ○青木茂君 わかりました、今の問題は。  その次は、外国の葉っぱに比べて二倍ないし三倍高く、割高解消ということもどうしても並行してやっていかないと新会社経営は成り立たないわけですから、この割高解消ということについて、こうやったらいいんだという一つの方策というものをお持ちかどうかということでございます。
  215. 生平幸立

    説明員生平幸立君) 生産性の向上を図るということになるわけでありますが、日本の立地条件あるいは気象条件からいたしまして大変困難が多い問題でございます。しかし、できるだけ主産地を形成するとか、あるいは優良な耕作農家面積をできるだけウエートをかけて配分するというようなことを、今までもやってきているわけでありますが、今後ともそういうふうな施策をとる、あるいは一方では、できるだけ高能率の機械あるいは施設、そういうものを導入するというようなことをやりまして、現在、六十五年を目標にいたしまして、労働時間で四〇%減らす、それから生産費で二〇%低減を図るという目標を立てまして、現在耕作団体の方にも説明いたしまして、一緒に協議しながら取り組んでいこう、こういうような態勢になっております。
  216. 青木茂

    ○青木茂君 それも実は経常学の総論のところの御回答のようで、どうも具体論はびしんとこないんですけれども、これは聞く方が無理かもしれませんからやめておきます。  もう一つは、例えば審議会あるいは標本を決める委員会がございますね、それの中に、いわゆる中央会の代表というのは入るんですね。
  217. 生平幸立

    説明員生平幸立君) 現在中央会の代表という委員が二名入っておりますが、これは全体の耕作者代表ということで入っているわけでございます。もちろんそのほかに、地方のそれぞれの産地代表というのが三十四名おりまして、全体として、それぞれの地区の葉たばこ標本をつくる場合に、代表である委員意見を聞いて現在定めております。新制度になりましてもほぼ同じような形でやっていきたいというふうに考えております。
  218. 青木茂

    ○青木茂君 全量買い取り制というのは、つくったものは全部売れるということですから、品質向上の努力というものはどうしても甘くなるんじゃないか。そうなりますと、審議会というか、この標本委員会というのが、最低等級を決める委員会というものの、これからの任務は非常に高くなるんじゃないかと思うわけなんです。民営なんだから、民営の場合は、何をどれだけ、幾らで仕入れるかというのは僕は会社側の自由だと思うんですね。それでなきゃ民営にならない。そういう意味において、仕入れ側の代表を入れて果たして効率のいい仕入れ対策というものがこの民営会社において立てられるかどうかということが私は甚だ疑問なんですよ。  例えば私どものもとの商売で言えば、学生の及落判定会議のときに、学生代表を入れちゃって判定会議になるかどうか。そんなことを実施している大学はないわけなんで、それと同じ形になってどんどんどんどん、いわゆるエゴイズムと言うと語弊があるけれども、利益要求ということがどんどんどんどん新会社にプレッシャーになってきて、果たして本当の意味の最低等級を決めるというのか、標本を決めるということができるかどうか。私は、民営だから会社内部でやればいいんじやないかという気がいたしますけれども
  219. 生平幸立

    説明員生平幸立君) 会社の方が葉たばこの買い手でございまして、生産者が売り手ということになるわけでございます。今度の新しい制度で、その間に売買の契約をしてこれからやっていくということになるわけであります。  標本をどういうふうに決めるかということは、売り手の立場としましても大変重要な問題でございまして、したがいまして、現在でも耕作代表委員を委嘱いたしましてその意見を聞いて決めているわけでありますが、会社になりまして売買契約を結んでやっていくということになりますと、さらに対等の立場ということになるわけでありますから、そういう売り手側の代表と協議して決めていくと、そういうふうにするのがいいのではないかと考えているわけでございます。
  220. 青木茂

    ○青木茂君 僕は逆だと思うんですね。専売公社の場合は、耕作農家専売公社は対等だと思うんですよ。しかし、民営ということになったら、いかにして原価の安いものを実は高く売るかというのが民営の原則なんだから、そういう意味において、コストを決めるときに仕入れ先と対等というのはおかしいと思うんですよ。意見を聞くのはいいですよ、もちろん。意見を聞くのはいいけれども、対等だという形になっていったら、本当にもう会議が今の米価審議会みたいにしっちゃかめっちゃかになっちゃって、本当の民営会社経営合理化努力というものがそこでチェックされざるを得ないんじゃないかという気がするんですけれどもね。
  221. 長岡實

    説明員長岡實君) 今回の制度改正で専売公社が新会社になるわけでございますが、青木委員のお言葉ではございますけれども、純然たる民営ではない、これは政府関係特殊法人としての株式会社であると。そこに新法人に一つの政策的な目的に奉仕するという役割があるわけでございます。ただ、そんなことを言っていたんでは割高な葉たばこをいつまでも抱えて果たして競争していけるのか。これはもう当然の御疑問であろうかと存じますけれども、私どもの現在の気持ちとしては、会社が厳しい環境の中で国際競争に打ちかたなければならない、負けてしまえば会社もつぶれるかわりに、葉たばこ耕作農家も共倒れであるということは、農業に携わる方も十分に理解していただけるのではないか。そういったようなことから、会社の合理化の内容等とあわせて、将来に対する見通しを率直に御説明申し上げることによって耕作者の御理解も得られるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  222. 青木茂

    ○青木茂君 耕作者の御理解を今までの経過から見ていただけるかどうか、私は大変疑問だと思います。  それから純然たる民営ではない。純然たる民営でないものが恒久化する。これは臨調答申との関係がどうだという問題が起きますけれども、それはきょうはやめておきます。  私が一つどうしても疑問なのは、全量買い取り制というものが依然として維持されるのは、耕作農民に動揺を与えない、不安を与えないという趣旨からきているわけですね。ここをちょっと確認しておきたいんです。
  223. 長岡實

    説明員長岡實君) そういった趣旨もございますけれども製造独占の仕組みになっておるものでございますから、製造たばこの材料にする葉たばこは結局、新会社が全部買い取らざるを得ないということになってしまうわけでございます。
  224. 青木茂

    ○青木茂君 製造独占だって、外国の葉っぱを買っても少しも差し支えないわけですから、そういう意味において、何も国内葉を全部買わなきゃならぬ、製造独占だから買わなきゃならないということには私はならないんじゃないかと思いますけれども、これはいろいろな事情があるということも伺ってはいますから深追いはいたしません。いたしませんけれども、一方において耕作農家の要求である全量買い取りを維持しながら、他方においては新会社内部の合理化計画というものが、内容はともかくとして、ある。そういうことになりますと、農業に従事している者の不安というものは全面的にカバーするけれども公社の中に働いているサラリーマンの不安、動揺は一体どうなるのか。ここら辺のところが私は矛盾を含んでいると思いますね。耕作農家に対する不安をなくするこの全量買い取り制、同じぐらいのウエートでもって、今度新会社移行するサラリーマンの不安というもの、これをどうやってはっきりとカバーしてくれる、解消してくれるのかということです。
  225. 長岡實

    説明員長岡實君) 将来の厳しい環境に向かって合理化不可避ということでございますけれども葉たばこ耕作農業については現状維持、公社の職員についてのみ合理化のしわ寄せをするということは、これは実際問題として不可能と申しますか、やるべきでもございませんし、できないことだと思います。  で、私どもが今考えておりますのは、公社自体もあらゆる努力を振り絞って合理化の道を進まなければならないと存じますし、職員の協力も得たいと考えておりますが、葉たばこ耕作農業についても、全量買い取りという制度は残っておりますけれども、合理化はやはり相当程度お願いせざるを得ない。これは生産費の引き下げの問題もございましょうし、それから面積の面でも、先ほど来申し上げておりますように、程度の問題はまだ具体的に申し上げる段階ではございませんけれども、現在の面積を将来にわたってずっと維持するということではなくて、長期的な需給の展望の上に立った面積を想定してしかるべき減反についても御協力をお願いせざるを得ないということで、いわばたばこ産業集団が総ぐるみで合理化に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。
  226. 青木茂

    ○青木茂君 そのたばこ産業集団の中で、耕作農民については全量買い取りというものが法文ではっきりうたわれておるわけですわ。それで私は不安、動揺は緩和されていると思いますね。しかしながら、今度は逆に、たばこ産業に従事するところの給与生活者の不安、動揺は何ら法文にはうたわれておらぬわけですね。だから合理化ということは口には出ます。出ますけれども、いつ何がやられるかわからぬというあれはありますよ。だから、そこら辺のところ。一方はもう法文にうたわれているんだから、これはかなり安心ですわ。安心ですけれどもたばこに勤める給与生活者、すなわちサラリーマン、これは非常に動揺しているし、そういう手紙が来ています、私どものところへも。これに対してもっと明確な御返事をいただきたいんです。こういうことはやりませんということですね。
  227. 長岡實

    説明員長岡實君) 今回の法律のもとにおきまして、専売公社から新会社移行する場合に、職員の身分はそのまま引き継がれるという保障の規定がございます。それは職員がそのまま新会社移行しても、一体どういう合理化が行われるかということによって不安を感じられる向きもあろうかと思いますけれども、私どもは合理化の具体策を示す場合には、先ほど近藤委員の御質問にもお答えしましたように、職員の不安を解消するような具体策を一方において固めながら労働組合と話を詰めていかなきゃいけないというふうに考えておりまして、その中で例えば人員を減らしていくとすれば、基本的には生首は飛ばさないというお約束とか、あるいは配置転換その他が必要になる場合には、一体どういった新しい業務内容によってどれだけの雇用が吸収できるかといったようなことまで検討しながら、全体として職員の諸君に動揺を与えないようなことをまず念頭に置きながら合理化計画を進めていこうというふうに考えております。
  228. 青木茂

    ○青木茂君 そこのところは、総裁が社長になられるか会長になられるかわかりませんけれども、とにかく引き継がれることありとするならば、くどくも辛くもひとつ念を押さしていただきたい。  ただ、そこで一つ問題になりますのは、二、三倍高い原料を全部お使いなさい、あるいは消費税を納めた後法人税を出しなさいと。何をやるにしても外部というのか耕作者代表意見を聞かなきゃ何にもできないこういう会社が、果たして株式会社としてやっていけるかどうかという疑問は依然として残るんですよ。やっていけないということになった場合、今総裁の非常に強い御決意にもかかわらず犠牲になるのはサラリーマンじゃないかという疑問もまた依然として残る。やっていけますか。
  229. 長岡實

    説明員長岡實君) やっていかなければならないというかたい決意を持っております。
  230. 青木茂

    ○青木茂君 やっていけますかという御質問と今のやっていかなければならない――それはしようがない、立場としては。僕はヒューマニストだからそれで納得しちゃうからいけないんだけれども、まあとにかくこの条件の中でやっていけるとしたら、僕は、専売公社総裁をおやめになったら国鉄の総裁に行っていただきたいなあ。そしたら国鉄は一挙に行政改革ができますな。これはぜひお願いをしたい。  それで、時間も来てしまったんですけれども、依然として私が疑問に思うのは、この全量買い取りというものを中心とした耕作農家に対する措置というものは、これは農政問題として見るならば過保護であると言わざるを得ない。そうなってまいりますと、我々が次に検討しなければならないものは、耕作農家というものが果たしてこれだけの援助をしなければならないほど貧困であるかどうかという問題、これは全農家耕作農家を比較したらどうなるかという問題。それからもう一つは、全農家が都市サラリーマンに比べてそれほど貧困であるか。こういう問題が依然として私のまだ疑問として残るわけです。しかし、これは時間が来てしまいましたから、この次ここから質問さしていただくということで、質問を終わります。
  231. 野末陳平

    ○野末陳平君 これまでの質疑でほぼ問題点も出たように思うんですが、聞けば聞くほど新会社は大変だなあという気がしますね。しかし、これは先のことですからね、まだ会社はできてないんですから激励するしかないわけですけれども、輸入たばことの競争が一番問題だろうと思うんです。その根本には、さっきから出ております国内の葉たばこですね、それが根っこにあるわけですが、この輸入たばこが自由化とともに来年どういう売り方をしてくるだろうというふうにそちらは予測しておられますかね。価格の面とか宣伝とか販売促進とか、いろいろありますけれど、どこに一番力を入れて攻めてくるでしょうかね。
  232. 長岡實

    説明員長岡實君) 輸入たばこが販売でどの辺に力を入れてくるかという点は、私どもも有力な競争相手でございますからいろいろ研究しなければならないところでございますけれども一つは大都市中心にその販売網に相当食い込む努力をするだろうと思います。価格の問題につきましては、率直に申しまして、コスト競争力から言えば、輸入品はまだもう少し内外の価格差を縮める潜在力を持っておろうかと存じますけれども制度改正の直後にそういったような動きをするのではなくて、むしろ新しい製品の中にもう少し例えば価格の安いようなものをどう投入してくるかといったようなことが、一つ考えておかなきゃならない問題ではないかというふうに考えております。
  233. 野末陳平

    ○野末陳平君 大体彼らのやることはかなり荒っぽいですからね、過去の洗剤とか、歯磨きとかいろいろありますけれども、シェア拡大のためにはかなり知恵を絞ってくるわけですね。  それで、今総裁価格の点ではすぐには下げるなんていうことはないだろうという話ですが、一方、消費者の方から言いますと、広告代理店がどっちみちつきますから、かなり思い切った宣伝をするようにも思いますけれども、広告代理店の調査で、今のいわゆる洋もくですね、輸入たばこが今の値段から一割ぐらい下がってくると吸ってもいいというのもいるんですね、かなり。だから、そういうデータなんぞをもとにすれば価格を下げるということもあると思うんですね、あくまでも可能性です。  そこで今、相手が二百八十円として、こちらが二百円としますと八十円の差があるでしょう。その八十円の差の中で関税部分は幾らになるんですか。
  234. 長岡實

    説明員長岡實君) 大体四十円ぐらいと考えております。
  235. 野末陳平

    ○野末陳平君 ちょっと待ってください。二百八十円のうちの関税が四十円ですか、関税二〇%でしょう。
  236. 長岡實

    説明員長岡實君) 輸入品の価格の算定方式というのは、輸入のコストに関税がかかり、その他の諸掛かりを掛けた上に消費税がかかるわけでございますね。ですから、根っこの方にかかるものでございますから、その分だけをとれば大体四十円ぐらいということだろうと存じます。
  237. 野末陳平

    ○野末陳平君 それで、そこの部分ですが、関税率はさっき栗林さんの質問にもありましたけれども、あれが上がれば一番いいわけでしょうが、それを上げるということは、大蔵大臣できないでしょうね。しかし今後関税を引き下げなければならぬという事態も考えられるんですか。あるいはそれだけは絶対しないと。その辺はいかがなんですか。
  238. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 九〇から三五、二〇ということにしまして、そしてアメリカが二〇でございますから、私どもとしての合意は国際的に見ても適正なものであると、こういう合意をしておりますので、私どもとしてはぎりぎりのことでもございますし、これ以上下げるという要因は今のところはないというふうに理解しております。
  239. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで、そうすると関税はこのままでいく、それから消費税に関しては国産も輸入も同じです。となると、あと残りの格差ですね、これをどのくらい縮めてくるか、それはわかりませんけれども、考えられる線として、今の二百八十円という値段はどこまで下げてこれるのでしょうかね、相手は。つまりどこまでを想定してこれから新会社は戦略を立てていくのか。その辺は。
  240. 長岡實

    説明員長岡實君) その辺は大変難しい問題でございまして、的確にお答え申し上げる自信はございませんけれども、ただ将来どうあるであろうかということの前に、今日に至るまでの経緯を御説明申し上げますと、今日に至るまでの主としてアメリカの製品でございますけれども、現在の制度では、私ども専売公社が一応輸入して売るという仕組みになっておりますが、その時点ではもっと高く買ってほしい、しかし国内で売るのは安くしてほしいという、ちょっと言い方としては余り品がございませんけれども、そういったようなことの繰り返しがございまして、そうして今日に至っているわけでございます。  もっと高く買ってほしいという主張としては、アメリカの国内においてたばこ製造コストも上がっているんだというようなことも聞いております。競争力はあろうかと存じますけれども、そういったようなことでそんなに大きな幅ではないだろうという感じがいたしておりますし、また一方においては、小売店のマージンが国産品は一割、輸入品は八・五%でございまして、早晩国産品に並んで輸入品も一割まで上がるとすれば、これは価格押し上げ要因になるわけでございますから、そういったようなことを考えますと、私どもは現在考えて、仮に外国会社が値下げを考えるにいたしましても、まあそれほど大きな幅ではないんじゃないかという程度お答えしか、今のところはいたしかねる状態でございます。
  241. 野末陳平

    ○野末陳平君 まあこれは最悪の予測というか、いろんなことを考えなきゃ新会社はやっていけないでしょう。大蔵大臣大蔵大臣の認可制になるわけですから、値段は。輸入たばこが数十円下げてくるとちょっと新会社にきついな。こういうふうなことになってきた場合、これは認可できないとか、ある程度のその辺の判断というのは当然出てくるんですか。それとも自由化になった以上はそれはもう仕方がないことですか。どっちなんですか。
  242. 小野博義

    政府委員(小野博義君) たばこの小売定価の認可につきましては、認可基準といたしまして、消費者の利益を不当に害するということが一つ、それからもう一つは蔵出し価格あるいは輸入価格に比較いたしまして不当に低い場合、この二つの場合を除いては、大蔵大臣としては認可しなければいけないわけでございます。  で、問題は非常に低い場合でございますけれども、これにつきましては、私ども現在例えば独禁法で言う不公正取引に当たる場合であるとか、あるいは関税定率法に言う緊急関税、ダンピング関税とか、そういったようなものがかかるような場合を考えておるわけでございまして、おっしゃいますように、何十円とか下げた場合がそれに当たるかどうかというのは、今の時点で的確に申し上げるわけにはまいりませんけれども、ある程度の合理的な幅の引き下げであれば、これは輸入価格が下がります限りにおいてはやむを得ないことではないかと思っております。
  243. 野末陳平

    ○野末陳平君 僕はたばこ吸わないからわからないけれども、吸う人から言わせれば今の答えはおかしいんで、下がった方がいいんですから、不当に低いとか言われるよりも、低くて何が悪い、それは認可してもらわなきゃ困るということになるんじゃないですかね。どうしてもそこでもって、じゃここまでだという線、今は言えないというけれども、二百八十円と二百円といえばはっきり八十円差があるんですから、どこまでいったら不当に低いからこれはだめだとか、ここまでなら認可の許容限度だとか、それはどこにあるんですか。値段言わなくてもいいから。
  244. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 具体的な数字はケース・バイ・ケースの話だと考えますけれども消費者立場からいたしますれば、確かにおっしゃるように低ければ低いほどいいということはあり得ようかと思いますけれども、現在の取引の市場の常識と申しますか、いわゆるダンピングというようなものは必ずしも好ましいことではないということで、例えば独禁法等においてもそれなりの規制が行われているわけでございます。そういう意味において、具体的にある特定の銘柄についてどういう価格であれば関税定率法におけるそういうセーフガード条項が発動されるかという問題はケース・バイ・ケースであろうかと思いますけれども、そういう場合には認可してはならないというふうな規定になっておるわけでございます。
  245. 野末陳平

    ○野末陳平君 いずれにしても先のことであるし、相手方の出方なんてわかりませんけれども、いろいろと予測しながら戦略を立てなきゃならないでしょうね。その場合、相当大胆にやってくるんじゃないかなという気がするんですがね、これを機会に。  で、シェアの問題になりますけれども、当然シェア拡大はやむを得ない。今でこそ低いけれども、しかしこのシェアはどういうふうに拡大されていくであろうか。裏返せば新会社はどのくらい食われるかということになるんでしょうが、どうでしょう総裁、ここ数年、ここっていって来年からですよ、来年から数年先ぐらいまででシェアがどういうふうに変化していくというふうな予測を立てて戦略を練るんですか。
  246. 長岡實

    説明員長岡實君) この点は、輸入自由化が行われました初年度である来年度が一体どの程度になるかということの見通しがなかなか困難でございまして、そういった意味で何年後に何%になるだろうという的確なお答えはいたしかねますけれども現行制度のもとにおきましても、過去三年ぐらいをとりますと、輸入品は二割近い年率で伸びてきております。これが制度改正が行われるわけでございますから、もう少し伸び率が高まるんではないか、これは当然予想せざるを得ないと思っております。  で、輸入品のシェアの方は、五十七年度が一・五%、五十八年度が一・八%でございまして、五十九年度に入って、この四、五、六あたりの状況を見ますと大体二%ぐらいのシェアになっているわけでございます。ウイスキーの輸入自由化後の輸入品シェアの増加その他も考えてみますと、大体その数年後というのが何年かというお答えがなかなかいたしかねますけれども、そう遠い将来でない数年後にはまず五%ぐらいになるという見当は私どもとしては十分に持ちながら、今後の経営の戦略を考えていかなければいけないというふうに思っております。
  247. 野末陳平

    ○野末陳平君 五%になると、もうあっちこっちにかなりの影響が出るわけでしょうが、その場合に対して新会社はどういう対策を具体的に今から考えるんですか。さっきから合理化というようなことをいろいろ言っていますが、具体的に一番のポイントは何ですか。
  248. 長岡實

    説明員長岡實君) 現在の国内のたばこの総消費が頭打ちの段階で五%にまでシェアが伸びますと、たしか輸入品の増加が百億本、そうしますと国産品の方がそれだけ減るということになりますし、私どもの方の製造計画にも影響がございます。それから葉たばこに換算いたしますと、耕作面積で千八百ヘクタールぐらいの面積に相当する分が国内の方は減るわけでございますね。そういったようなことを考えて将来の対策を練らなければいけないわけでございますけれども葉たばこにつきましては、将来の需給事情を十分に今後詰めまして、そして数年間の見通しの上で需給均衡面積はこの程度であろうということをお示しして御理解を得なければならないというふうに考えております。ただ、その段階におきましては、私どもといたしましても、輸出努力その他とあわせまして、でき得る限り国内品の製造規模の圧縮を防ぐような努力はいたさなければならないというふうに考えております。
  249. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、その努力の中で、減反も先ほど避けて通れないという答えでしたけれども、どの程度の減反までは覚悟しなきゃならないんですか。
  250. 長岡實

    説明員長岡實君) その点につきましては、過剰在庫解消策の問題とあわせまして、せんじ詰めてまいりますと、将来にわたっての耕作面積がどの程度面積であれば需給が均衡し、また新しい会社としても葉たばこを主原料として使いながらたばこ製造、販売に携わっていけるかという見通しにかかわる問題でございまして、現在鋭意詰めておりますけれども、何とかこの夏の八月末に予想される審議会に間に合うように詰めたい、新会社の発足を待たずにできるだけそういったような数字を詰めて御議論いただきたいというふうに考えておりますが、現在ではまだ何ヘクタールというところまでお答えできる状態ではございません。
  251. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますと、いずれ五%ぐらいを覚悟しなきゃならないと。そのためにいろいろ努力があるけれども、その一つに減反もあれば、多分その中で耕作者の落ちこぼれということも仕方がないわけですね。それも覚悟して戦略を練るわけですか。
  252. 長岡實

    説明員長岡實君) 現在の耕作面積なり、現在耕作に従事しておられる農家方々現状どおりに維持できるのであれば、それにこしたことはございませんけれども、率直に申し上げまして、厳しい将来を見通しましたときには、面積も、あるいは従事される農家戸数についてもある程度縮小の方向にいかざるを得ない。また、それはしかし地域農業に及ぼす影響その他大変微妙な問題がございますので、耕作団体の方々とは十分に腹を割って御相談しながら、その理解の上に将来のあり方を求めてまいりたいと考えております。
  253. 野末陳平

    ○野末陳平君 ですから、その相談ですが、これからも当然しなきゃならないんでしょうけれどもね。  私、今度で一番気になるのは、耕作者の方も甘えがあるんですよ。これは一般に過保護とかいろいろ言われておりますけれども、何といったって、今までは全量買い取りで、高くて品質がやや劣っても商売になっているという構造の上に立ってきているでしょう。そうすると今度公社から、半官半民ですけれども、一応株式会社になる。こういうふうに変わってきたという点では、非常なる意識革命をしていかないと、これはえらいことになりますね。ある程度の覚悟はしているんでしょうが、新会社をつくる方がそれだけのことを耕作者に説得し、啓蒙しといいますか、きちっとやってきた上でこうなっているのかどうか。その辺がどうも心配なんですが、その辺のことは抜かりなくやっておられるでしょうが、本当に耕作者人たちはもう覚悟しているんでしょうかね。
  254. 長岡實

    説明員長岡實君) これは私の個人的な理解かも存じませんけれども制度改正の結論に到達しますまでの間には、関係筋とは十分に時間をかけて議論すべき点はまた議論を尽くしたつもりでございます。その中において、耕作者側におきましても、我が国たばこ産業の置かれている現状なり将来の厳しさなりは十分理解され、また全量買い取り制という制度が維持されておりますけれども、しかし、しょせんは日本たばこ産業の中の一種原料部川でございますから、原料部門だけが生き残ってその他の部門が倒れてしまうということはあり得ないわけなんでございまして、そういう点についての総合的な認識と申しますか、それは持っていただいておるのではないかと理解いたしております。
  255. 野末陳平

    ○野末陳平君 まさか共倒れなんということはないと思いますけれども、それにしたって落ちこぼれが出たりするのは好ましくない。その辺のことを最初にしっかりと両者がコンセンサスを得ていないと難しいと思うんですが、しかしそれにも増して先ほどから出ております高い原料費ですね。これが新会社経営の足を引っ張りかねないというか、輸入たばことの競争力を、臨調答申を見るまでもなく、かなり弱めているわけでしょう。だから、その辺を考えると、先行きが非常に大変だというよりも心配でしようがないんですね。  大蔵大臣に聞きますが、臨調答申は、全量買い取り制度の廃止でしょう。素人考えですけれども、廃止すれば確かにこの会社は楽といいますか、かなり思い切った競争がやっていけると思うんですけれども、どうもこれが足かせになるとなかなか思うようにいかないんじゃないか。そこで臨調答申の廃止から、今度の専売改革法案では買い取り制維持になっていますね。ここは後退と言われていますけれども、さて今までと来年からはどこが根本的に違うんですか。ほとんど同じ、あるいは全く同じような気がしているんですけれども、どこが違うんでしょう、それをちょっと。なかなかわかりにくい。
  256. 小野博義

    政府委員(小野博義君) まず、新会社原料調達システムとそれから小売公社原料調達の方法にっきまして、一つ法律的な問題でございますけれども、現在たばこ耕作たばこ専売法によって一般的に禁止されておりまして、俗称葉たばこ専売と申しておりますけれども公社による耕作許可がなければ耕作ができないわけでございます。また耕作者は収穫した葉たばこを全量公社に納付する、同時にその裏返しといたしまして、公社は全量を収納するという形になっておるわけでございます。これは葉たばこ専売というものを確保するための一つの方法であろうかと思っております。  新制度におきましては、たばこ耕作は原則として自由なわけでございます。また新会社原料調達は耕作者との契約によるわけでございますけれども、契約制に移行したといたしましても、なお製造独占を与えられておる会社でございますので、たばこ耕作者の方に急激な変化が生ずることがないようにいろいろ配慮を加えて、全量買い取り制の維持であるとか、面積価格について審議する機関の設置、あるいはその価格についての審議基準の明定というような措置を講じておるわけでございます。  ところで、全数買い取り制を維持した理由でございますけれども、先ほど来いろいろ総裁の方からも御説則がございましたように、昔は葉たばこについて、たしか昭和四十年代までだったと思いますけれども、国産葉たばこが相応の価格で相当量輸出されていた時代がございます。その後オイルショック等によりまして国産葉たばこ価格が国際価格に比べて非常に高くなったものでございますから、現在は輸出という道は事実上閉ざされているわけでございます。また昭和三十年代ぐらいまでは、例えば農薬、主として殺虫剤のようなものだろうと思いますけれども農薬原料などに使われていたわけでございますが、現在ではこれもまたコスト面で化学薬品には到底対抗し得ないというようなことで、現在、国産葉たばこにつきましては、製造たばこ原料としての用途しか持っておりません。  一方、我が国でただ一つ製造たばこ製造が許されておりますのは新会社だけでございます。したがいまして、農家にとりましては、葉たばこをつくりましても、新会社に売るしかほかに用途がないわけでございます。こういったものにつきまして、数最で契約するのか面積で契約するのかという考え方があろうかと思いますけれども、ほかに全く用途がないというような場合には、面積べ-スで契約するのが適当であろうかというふうに考えられるわけでございます。  例えば民間の例におきましても、ビールのホップの例がございますけれども、これはビール会社のほかに買ってくれるところがないわけでございますが、これについては面積契約でやっておるわけでございます。面積で契約した以上は、製造たばこ原料に適さないものを除きまして、収穫された葉たばこを全量買い取りすることになる。この場合、数量契約と面積契約との違いというのは、通常平年作が二百五十キロか二百六十キロであろうかと思いますけれども、天候等に非常に恵まれまして豊作であったときに、数量契約であればとれ過ぎた分というのは農家で処分するしかない。しかしながら、処分すると申しましても、現実には廃棄するしかないわけでございますけれども、この場合個々の農家というのは非常に零細なわけでございますし、個々の農家に比べれば新会社は非常に巨大な力を持っておるわけでございますから、そういう豊作の負担というのは新会社に負担させる方が妥当であろう。これが面積ベースで契約し、全量買い取りをするということの趣旨でございます。
  257. 野末陳平

    ○野末陳平君 随分長い説明をしてもらいましたけれども、要するに今までとどこが根本的に違うのかとお聞きしたわけですよ。そうしたら、耕作者としては全部買ってもらえるわけですね。会社としては、仮にそれが少々高くて品質が劣っても買い取ってあげなければならない。これは政治ですから、それはいいと思うのですよ。また当然そうなくてはこの案はとても成り立たないと思うのですが、ただ大臣ね、そういう全量買い取りを廃止するならば、この新会社というのは成功するような気がするし、しかしこれを残しておくと、結果的にはあくまでこれは公社的で民間流じゃないでしょう。だから中途半端になっちゃって、非常にきつい経営を強いるような荒っぽい改革案だという気がするんですけれども、そういうことは大臣は考えないですかね。何か大変じゃないかというので同情しているぐらいなんですがね。
  258. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) もとより今次の改革案をつくるに当たりましては、それは大変厳しいものになるなという前提を置いて私どももこれに取りかかったことは事実でございます。それはまさに製造独占をして、しかもそれを政府がとりあえず全額出資のいわゆる特殊法人にして、あり方をできるだけ自主的というので商法と労働三法というものを背景に置いておるわけでございますが、完全に商法だけのものとは違うがゆえにこそ特殊会社と、こういうことになっておるわけでございます。その範囲内においての今後の努力でございますから、それは物すごい厳しい努力を強いられるということは覚悟の上で対応していかなきゃならぬ課題だというふうに私は考えております。  ただし、私ども今日までのいろいろな関係を見てみますと、これは対応し得るいわば能力そのものはあるという事実認識に立ったからこそ、こうして改革案をお願いするに至ったというわけでございます。
  259. 野末陳平

    ○野末陳平君 それはできるだけいろいろな形で応援できればしたいという気はあります。  ただ、一番肝心の葉っぱですけれども、これどうなんでしょうかね、公社にお聞きしますけれども、例えば果物にしろ野菜にしろ、このごろは品種改良がどんどんできているときでしょう。なぜ、どうしても国産の葉たばこ外国に劣ってしまうのか。これがもう少し品質のいい、しかも安く上がるような、そういう葉たばこというのは今後どういうふうにしたらばできるんですかね。そういう可能性がないんですか。ないというわけにいかないでしょうね。ですから、それさえやればかなり問題が解決できるんでしょうけれども、素人ですから一番初歩的な疑問をお聞きするんですが、もうこれはだめなんですかね。日本の風土ではいい葉っぱできないんですか。
  260. 長岡實

    説明員長岡實君) 専門的な面はあるいは担当理事から御説明申し上げた方がよろしいと存じますけれども、私どもも試験研究機関も持っておりますし、相当長期にわたっていろいろと研究をした結果、品種の改良その他を含めまして、いいものができるようにはなってきております。  ただ、葉たばこという農作物につきましては、一つは湿気を嫌うという性格がございまして、それは日本の気象条件から考えますと一つのハンディキャップであろうと存じます。そのハンディキャップが例えばアメリカの黄色葉等と日本の黄色葉と比べたときに、たばこの味、香りのエキスのようなものを出す点において、なかなかそういったところまでいかないというのが現状だろうと思います。ですから、将来のことを考えますと、一層そういった意味での研究を積み重ねまして、もっともっといい品種をつくるということ、それから生産コストを下げていく面におきましては、これも我が国農業の宿命と申しますか、一戸当たりの耕作面積がなかなか大きくならないという問題もございましてハンディキャップを負っておりますけれども、この点につきましても、今後ともその主産地を形成し、かつその中で大規模農家を育てていくという方向でコストの引き下げも図っていきたいというふうに考えております。
  261. 野末陳平

    ○野末陳平君 時間が来ましたね。じゃ、きょうの問題もう一つ、これから一番大変だと思うのは消費税の問題なんですけれども、消費税の地方に分ける部分が今後どうなっていくか、きょうはやめまして次回にします。
  262. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 五法案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  263. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案について、農林水産委員会及び地方行政委員会からそれぞれ連合審査会開会の申し入れがございますので、これを受諾することとし、さらに他の関係委員会から連合審査会開会の申し入れがある場合には、これを受諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会