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1984-04-07 第101回国会 参議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月七日(土曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  四月六日     辞任         補欠選任      竹山  裕君     河本嘉久蔵君      穐山  篤君     赤桐  操君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         伊江 朝雄君     理 事                 岩崎 純三君                 大坪健一郎君                 藤井 孝男君                 竹田 四郎君                 塩出 啓典君     委 員                 梶木 又三君                 倉田 寛之君                 中村 太郎君                 福岡日出麿君                 藤井 裕久君                 宮島  滉君                 矢野俊比古君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 近藤 忠孝君                 栗林 卓司君                 青木  茂君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君    政府委員        大蔵政務次官   井上  裕君        大蔵大臣官房会        計課長      渡邊 敬之君        大蔵省主計局次        長        平澤 貞昭君        大蔵省主税局長  梅澤 節男君        大蔵省理財局長  西垣  昭君        大蔵省証券局長  佐藤  徹君        大蔵省銀行局長  宮本 保孝君        国税庁次長    岸田 俊輔君        国税庁税部長  渡辺 幸則君        国税庁間税部長  山本 昭市君        国税庁調査査察        部長       冨尾 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        河内  裕君    説明員        国土庁土地局土        地利用調整課長  武智 敏夫君        厚生省環境衛生        局企画課長    岡光 序治君        厚生省年金局資        金課長      熊代 昭彦君        農林水産省構造        改善局農政部農        政課長      海野 研一君        通商産業省立地        公害局工業再配        置課長      小林  惇君        中小企業庁指導        部技術課長    兵頭  洋君        郵政省貯金局第        一業務課長    山口 憲美君    参考人        日本開発銀行総        裁        吉瀬 維哉君        日本輸出入銀行        総裁       大倉 真隆君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、昭和五十九年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (大蔵省所管日本専売公社国民金融公庫、  日本開発銀行及び日本輸出入銀行)     —————————————
  2. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、竹山裕君、穐山篤君が委員を辞任され、その補欠として河本嘉久蔵君、赤桐操君が選任されました。     —————————————
  3. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、大蔵省所管日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣に伺いたいと思いますけれども、最近の日本経済を見ておりますと、私は、貯蓄過剰状況というものが少し大き過ぎるんじゃないだろうかと、こういうふうに感じます。これは一つは、こうした状況がある程度日本経済の中に定着したのか、あるいは今日の景気低迷ということによって投資先がないということがそうした現象を起こしているのか、その辺についてはまだはっきりどうだということにはならないと、こういうふうに思うわけであります。  トヨタというのは自動車の工場であるんだけれども、最近はトヨタ銀行と、こういうふうに言われているように、固定資産投資よりもむしろ金融資産の方が多い。これは日立にいたしましても、あるいは松下にいたしましても、そうした金融資産を非常に多く持っているということになっておりまして、大きな企業資産構成というものが変わってきているというふうに言えるんではないだろうかと、こんなふうに思います。  それから個人の方も、確かにプラス貯蓄とマイナスの貯蓄というのがあるように私は思います。プラス貯蓄というのは、積極的に銀行預金をするとか、あるいはマル特国債を買うとかというような形での積極的な貯蓄もありますけれども、既にいろいろな住宅ローンとかあるいは保険料の支払いだとか、こういうふうなどちらかと言えば半強制的に後ろ向きに貯蓄をするというようなものもあると思います。可処分所得は確かに少なくはなってきておりますけれども、そうした意味貯蓄率というものはそれほど減ってないんじゃないだろうか、あるいは将来に対する一般的な不安というようなもの、こうしたものを感じまして、年金がどうなるだろうかとか、あるいは健康保険がどうなるだろうかとか、あるいは高齢化社会が一体どうなるだろうか、こういう不安といいますか、具体的な不安ではありませんけれども一般的な不安のために何か貯金を持っていなけりゃならない。こういうようなことがありまして、可処分所得がふえない割合には貯金というのは落ちていないということが言えると思います。そういう意味で、どうも貯蓄過剰の状況になっているんではないだろうかという気がするわけであります。  こういう過剰な金融資産なりあるいは貯蓄というものが多いために、具体的な投資先が足りないということのために、お金投機に走っているというのが現状ではないだろうか。金利差を求めて金利選好するということもそういうことであるだろうと思うわけでありますし、あるいは新しい金融商品が次から次へ出てきているというようなことも、そういうことの一つの証左ではないだろう か、こういうふうに思います。こういう貯蓄が過剰であるから、ある意味では国債発行も可能であるし、他方ではサラ金も花盛りと、こういうことにもなるんじゃないだろうか。こんなふうに思っておりますけれども、その辺は大蔵大臣はどう考えていらっしゃるのか。それに対する対応は、特に金融関係を扱っている大蔵責任者としては今の状態を一体どういうふうに認識してどういう対応を考えておられるのか、この際承っておきたいと思います。
  5. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私なりの分析を申し上げてみますと、竹田委員とあんまり違わない点が数ありますが、基本認識一つとしては、我が国経済があの敗戦の混乱の中から今日まで至ったというのは、いろんなことがございますけれども日本人の貯蓄性向の高さというものが大きな原因の一つであったと思います。いみじくもおっしゃいましたように、これだけの大量国債発行できたのも、あれは貯金があったからにほかなりません。  その意味においては、ちょっと横へそれるようでございますけれども、明治三十四年に千八百ありました銀行が、今相互銀行を入れて百五十七で、だんだんだんだん統合しながらサウンドバンキングというもの、要は投資家保護、被保険者保護、いや、さらに預金者保護という精神日本金融行政の中には非常に強かったために、銀行とは倒れないものであるということからして、日本勤倹貯蓄の思想のほかに、そういうものが貯蓄性向を高からしめておった一つのゆえんではないか。したがって、横道へそれて申しわけありませんが、外国金融界の方あるいは財務当局の方と議論するときに、むしろ日本銀行が一番健全じゃないかなどということを多少誇らましげに私ども議論することがございます。  しかしながら、結局、今日なお、恐らく可処分所得に対する貯蓄率は多少落ちているんじゃないかと思いますけれども数字はこの間ちょっと見てまだ忘れましたが、それにしても、貯蓄性向が依然として高いというのは、インフレが鎮静しているからということが大きな理由ではないかというふうに思っております。インフレが鎮静しておりましても、当然高齢化社会というようなものに対する幾らかの不安感もあるんだろうと思います。それがさらに貯蓄性向を刺激いたしまして、そうしてそこに、今投機心理とおっしゃいましたが、必ずしも投機心理であるかどうかは別として、いわゆる金利の高いところを求めて金が動いていく。私ども金融商品一つ一つ言ってみろと言われてもわからぬぐらいいっぱいできております。私のところの子供なんかも、時々、いやビッグがどうだの、ワイドがどうだのと言っていますと、大蔵大臣の方が聞かなきゃわからぬぐらい確かにいろんな商品が出てきております。  そのことは、今度は別の意味において、過保護だとか、あるいは護送船団で守られているとかいう意味から言えば、競争原理が働いておるということそのものは、私は決して悪いことではないというふうに思っておるところであります。したがって、あくまでも私は、この金融というものは、日本の長い伝統であります預金者保護という精神というものを貫きながらも、ここまでいろんな多種多様な金融商品が出回ってくるような昨今でございますので、預金者個々に対してもいわゆる自己責任主義というのを徹底させていかぬことには、だんだん自由化国際化というものは避けて通れない流れでございますから、その自己責任主義というものも徹底さしていかなきゃならぬ課題だ。  それからいま一つ保険機構の問題だと思います。今の保険機構というのは、考えてみると、その資金量から言えば、地銀の小さいところが仮に一つ倒れましても、中身はなくなるという程度のものでございましょうが、しかしここのところは兼ね合いの問題がありまして、余り保険機構充実充実ばかり言いますと、せっかく日本金融機関に対する信頼感金融機関健全経営というものが危ないから保険機構をどんどん拡充していくんじゃないか、そういうふうに預金者にとられるのはよくないことだと思いますけれども保険機構というものも実勢に応じて徐々にもっと拡大していかなきゃいかぬ課題ではないかというふうに思っておるところであります。したがって、基本的には預金者保護、それに伴う健全経営というものに絶えず指導をしながら、これからの自由化国際化というものに備えていかなければならない課題ではなかろうかなと、こういうふうに思っておるところでございます。  ただ、今、企業の場合、トヨタさんは金融資産が多いとか、これは一つ別考え方で、日本自動車産業が急速によくなったということももとよりでございますけれども、いわゆる割賦販売制度が非常に充実したということもいわゆる金融資産を多くしていくために役に立った一つ状況ではなかろうかなと、こういう感じが、自動車に関しては私は別の意味でそういう考え方も持っておるわけであります。だから、可処分所得に比して貯蓄がかくあるというものは、私は悪いことではないんじゃないかというふうな認識をいたしております。
  6. 竹田四郎

    竹田四郎君 その辺の認識が、私と大蔵大臣とどうも最後のところ、初めの方は大分似ているんですが、最後の方は私とちょっと違うんじゃないだろうか。トヨタ自動車を売るから金融資産が多くなっているというならば、トヨタとか日産だけだろうと思いますけれども、それはほかでも同じように金融資産というものが非常に多くなっているというのが、今日一般的だろうと思います。  今おっしゃられた預金者保護という点は、これは私そのとおりだと思いますけれども、しかし実際はどうなんですか、銀行局長。最近の証券銀行金融商品の争いといいますか、まことに著しいものがあると思うんですよね。ある意味では銀行経理そのものというのは、銀行は倒れないものだと。なるほど今まで倒れないものであったとは思うんですけれども、最近の銀行経費率などを見てみますとかなり上がってきている。かなり合理化はしているけれども上がってきている。銀行経営というものは昔に比べればかなり厳しくなってきていると、私はこんな感じもいたします。  それは一つは、どちらが本当に金融で、どちらが本当に証券なのか、この辺の境というものが最近は非常に明らかでなくなってきている。これは、垣根がある方がいいのか、ない方がいいのか、これからの問題であろう、こういうふうに思うんですけれども、そういう意味銀行局長は、今の証券銀行との業界の二つの混乱というのか、合併というのか、どっちと言っていいのかまだわからないと思うんですが、この辺は銀行局長はどんなふうにお考えでございますか。
  7. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 今御指摘のようなことでかなり銀行証券垣根が低くなっていることは確かでございます。ただ、これはちょうど今、日本の国におきましては、金利自由化がその過渡期にございまして、一方で大量国債発行、その大量国債残高がふえてまいりまして、そしてその後公社債市場で非常に流通するということで、自由金利商品が非常に出回りつつある。一方では、どうしても預金金利は今のところ、特に小口の預金金利についてはなかなか自由化ができないということで、自由金利商品規制金利商品が競合しているような状況でございます。  そこで、証券の方は自由な金利商品を扱えるわけでございまして、特に投資信託でいろんな多様化した商品が出てまいっておる。一方で、銀行の方は依然として預金が規制されているものでございますから、そこで銀行の方もそういう自由金利商品にできるだけ近づけるような商品をつくろう、取り扱いたいということで、CDであるとかあるいは自由金利商品じゃございませんけれども、先ほど来お話に出ておりますビッグとかワイドとか、期日指定定期とか、個人年金預金とか、あるいは最近国債窓販の開始後国債預金を組み合わせた国債定期口座というようなものをつくりつつある。さらに最近は、金融機関証券とが 業務提携いたしまして、預金中期国債ファンド、こういうものを結びつけた商品も出回るというようなことでございまして、いずれにいたしましても、そういう自由金利規制金利の併存の過程の中で、それぞれ証券会社なり金融機関なりが国民金利選好を中心としたいろんな金融へのニーズの高まりに一生懸命こたえようとしているような状況ではないかと思うわけでございまして、基本的には垣根は、銀行証券というものは、一方は確定利付商品、一方は元本が保証されないような商品を扱うというようなことで基本的に違うわけでございますから、その垣根はやはり守るべきじゃないかと思います。  しかし、今申し上げましたようなことで、金融証券、両業界が協調し提携し合いながら国民ニーズにこたえていくというのは非常に結構なことでございまして、ただお互いに、例えば銀行の場合には預金決済業務、それから証券の場合には株式とか一般証券業務という基本線は守るべきだと思いますけれども、その周辺のところではお互い相互乗り入れをしながら、あるいはその周辺のところではお互いに競争し合いながら、国民にいい金融サービスを提供していくというのが、これは基本的な考え方ではなかろうか、こう思っております。
  8. 竹田四郎

    竹田四郎君 そればかり議論しているわけにはまいりませんので、これは後で暇があるときにまたひとつ現状をいろいろとお示しをいただきたい、こう思うんです。  外国との関係、特に去年のレーガン大統領の来日以来、日本金融開国といいますか、金融自由化ということが非常に言われてきておりますけれども外国CDとかCPとかいうようなものは今後日本国内にかなり入ってくる。日本がそういうものを、海外証券債券を買うというような形で外国のものが日本にかなり入ってくるという可能性などはどうなのですか。どう見たらいいですか。
  9. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 日本の場合に経済金融国際化されておりまして、特に五十五年十二月の外国為替管理令改正後、内外資金交流が原則自由になっておりまして、したがいまして、外国からの資金の流入あるいはこちらからの流出、あるいはまた逆の流れ、こういうものは非常に活発になっておりまして、そのために経済金融というのは国際化されておるわけでございます。またそういうような状況のもとで、先ほど来御指摘のいろんな企業なりあるいは個人なりの手元がかなり豊かになってきているわけでございます。  そういうふうな状況を背景に金利選好というようなものも進んでいるわけでございますので、理屈から言いますと、そういう海外CPとかCDとか、あるいは海外発行されるようないろんな金融商品国民が目を向けるということはあり得るんじゃないかと思うわけでございますけれども、果たして今御指摘のこの四月から新しく取り扱われるようになりました海外CPCDがそんなに日本で買われるとか、あるいは日本に入ってくるかという点につきましては、私どもちょっと予測がつかないわけでございまして、現実問題本当に入ってくるのか入ってこないのかということも踏まえた上でいろいろ考えていかなきゃいけないわけでございます。今の御質問に対しましてはちょっと私お答えする自信がございません。
  10. 竹田四郎

    竹田四郎君 それじゃ、国内CD発行残高というのは一体どのぐらいになっているか。これは銀行局長にお尋ねしたいと思いますが、同時にこれは証券局長にお尋ねした方がいいのかどうかわかりませんけれども債券の現先ですね、これはどのくらいの売り買いが一体あるのか。CD発行と最近の債券の現先市場との関係というのはどんなふうになっているのか、ちょっとその辺の実情を二人から伺いたいと思います。
  11. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 国内CD発行額は二月末現在で六兆四千七百四十億円でございます。
  12. 佐藤徹

    政府委員佐藤徹君) 現先の分だけ取り上げますと、一年間に、五十八年中の数字でございますけれども売買高の総額が百三十七兆円になっております。公社債全体では四百二十兆円ということでございますが、このうち三三%程度が現先取引ということでございます。  ただ、この数字は、お断りしておきたいんですけれども統計上、公社債売買は往復を単純に足しておりますんで、現先の場合は一たん売ってまた後で買い戻す、そうしますと一回の取引が四倍に統計上出ておりますので、実質はこの四分の一にお考えいただいたらいいと思います。
  13. 竹田四郎

    竹田四郎君 私、最近の統計をずっと見ていると、CD発行が非常に多くなってきている、それから証券の現先の方は今おっしゃられたように四倍に評価されているわけでありますから、どっちかというとだんだん押されているような気が、CDに比べると、そんな気が私はするんです。現先の方には有価証券取引税があるし、CDの方にはない、こういう問題からCDの方がいいと、こういう形をとっているんではないだろうか。こういう気が私はするんです。  これは大蔵大臣にもひとつお伺いしたいんですが、現先もCDも実際上、経済的な関係というのはほとんど同じだと思うんですね。一方は預金だ、一方は有価証券だという、ただそれだけの性格づけといいますか、そういうことで、片方には有価証券取引税がかかるし、片方はなしで、今おっしゃられたように、最近の一カ月でも六兆というような大きな額が動いているわけですね。しかもCDなどというのは大体余裕資金で、企業がこういうものをやるというのが私は一般的だろうと思うんですね。こういうことで、どうも経済的な効果は同じだけど、片方には税金がかる、片方には税金がからない。こういうこと自体もう少し、大蔵大臣、その辺は何らか対処してもいいんではないだろうか。もちろんこれは一律にどうこうということではありませんけれども、その辺のものをやっていかないと、恐らく現先の方はかなり少なくなって、CDの方が多くなっていくというようなことにもなるでしょうし、これは税収もそうべらぼうに多いというわけじやありませんけれども、当然税収にもそれは影響をしていくということになれば、当然これからさらにこういうCDが多くなっていくという中で、ひとつ税金の立場からもその辺を少し考えていいんじゃないだろうか。その辺は野放しにしておいて、片方有価証券とのバランスを考えてみても現実にはおかしいんじゃないか。  前々からかなりそう思ってたんですけれども、そういうことを主張する機会がなかなかなかったわけでありますけれども大蔵大臣、その辺はどうなんですか、ただ法律的な規定が違うだけで片方はかける、片方はかけないということも、これは何かおかしいような気がするんですがね。  それから、これはただCDだけじゃないと思うんですよ。これからもっといろいろな形で金融商品というのは出てくると思うんですよね。で、物品税だとかお酒税金だとか、取りやすい方から取っているんだというきのうもお話があるんですが、この辺にもう少しメスを入れなければ、さっき私の主張している、少し金融資産が多過ぎる、貯蓄の過剰な経済という中にメスが入れられない。そしてやがてそういうお金投機的に日本国内を動いてしまっていくということは、将来の日本経済を考える上で、その辺も何か少しチェックする方式というものがいろいろあっていいと思うんです。税制というのも、私はそういう意味では、その辺にかかわるチェックの一つ考え方として税制があっていいじゃないだろうかと、こういうふうに思うんですが、どうですか、この辺の検討は。
  14. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、私もちょっと悩みを打ち明けて、あと専門家がお答えした方が適切だと思います。  これはいささかユーモラスな話でございますけれどもCDと現先という議論がありましたときに、CDと言えば恐らくCとDだろう、現先というのはどういうスペルかと、こう言って私にある人が問いかけたことがあります。これは冗談で問いかけたと思うんでありますが、現先というのは まさに日本語で、CDというのはあくまでもCとDでございます。事ほどさようにおもしろい議論が行われる。この問題について、昨年でございましたか、そういう議論があったことがございます。  結局、先ほど来お答えしておりますとおり、あくまでもCDというのは、譲渡性預金譲渡性があるとはいうものの指名債権だという概念で今きておるわけでございます。したがって、これをどうするかということについて、だんだんCDも五億から三億へとかいうふうに小口化してまいりますし、結局この問題につきましては——今まで国会でも、このCDと現先の権衡といいますか、という議論は一遍だけあったことがあるんです。私は素人っぽく、現先の方を特別に考えてCDの方へ近づける方法はないかと言ったら、これはとてもじゃないがあくまでも有価証券取引だからそういうわけにいかないじゃないかというような議論をしたことございます。その証券取引法における取り扱いと、それから流通の状況等を見きわめながら検討をしていくべきものだというので、そのとき、そのCD、現先という権衡論に対する軍配は上がっていないというのが現状でございますので、したがって、この流通の状況等を見きわめながら検討すべき課題で、なお今後の推移をもう少し見ようやというのが現状認識でございます。  ただ、かまびすしく議論をしたことがあるという事実と、私自身もそれに対して、証券取引法上の位置づけから見れば、これはどうにもしようがないなという感じも持ちながら、専門当局の方がもっと悩みが多いと思いますので、お答えをお聞きいただきたいと思います。
  15. 佐藤徹

    政府委員佐藤徹君) お尋ねはCDと現先取引についてでありますけれども、いずれも短期金融市場の商品であるわけでございまして、短期金融市場の中で俗にオープンマーケットと言われている部分だと思います。この部分につきましては、各国の短期金融市場でいろんな商品が扱われているわけでございますけれども、いずれも短期金融市場の商品そのものとして最初につくられたということではなくて、現実に例えばアメリカでありますとTBでありますとか、CDでありますとか、CPでありますとか、そういったほかの目的を持って出されているものを短期金融商品として工夫をしながら取引をしている、そういうものだと思います。我が国の場合、現先が非常にウエートが高かったわけでございますが、これは当時CDとかそういったものがございませんために、いろいろ工夫をして短期金融市場の商品にしていったという経過をたどっているわけでございます。  したがって、申し上げたいのは、短期金融市場の商品というのはそれだけが目的ではなくて、別の要素を持っているわけであります。今大臣お答えしましたように、CDというのは初めは、銀行の短期資金調達の手段として、日本の場合は、有価証券ではなくて、譲渡性預金証書としてつくられたわけでございます。ですから、短期金融市場の商品というのは、いずれも両面を持っておるわけでございまして、市場の機能という面から見ると、御質問のような議論も出てまいるわけでございますが、別途その商品の本質が持っている性格もあるわけでございまして、この辺を見ながら、今大臣の方からもお答えしたように、様子を見ながら考えていくべき問題ではないのだろうかというふうに考えております。
  16. 竹田四郎

    竹田四郎君 大分のんびりしたようなお二人の御答弁でありますけれども、私は恐らく、こういう短期的な金の動きというものは、税金を逃がれながら、なるべく安いコストを考えながらこれから物すごく動いていくんじゃないか、こういうふうに思いますね。  例えば今までの大蔵省で出されている短期証券だって、これからはこれは公募方式をかなり取り入れられると、こういうお話ですし、何か今度の財確法等が通ってまいりますと、今度は借りかえのための短期国債をますますたくさん出されるという話ですし、たくさん出していた国債も、もう二、三年先へ行けば払わなくちゃならぬということでの期近債というようなものの動きというものもかなり活発になってくる。  こういうふうに考えてみますと、これからの数年というのは、短期資金の市場というものが非常に大きく動いてくる。また、いろいろなそのための商品というのが工夫されてくる。それに外国からも、先ほど海外CPCDの問題というのは今のところどうかはっきりわからないというお話でありますけれども、これも入ってくる可能性がある。そうすると、日本の市場というのはそういう意味でいろんな形での短期資金の市場として動いてくる、こういうことが私は考えられると思うんですね。  それに対してどう対応していくのか。本当の意味で、そういう短期資金については一切税金をかけないという形で動いていくのか。こういう事情だから、片一方に有価証券取引税があるから、これを基礎にいろいろ考え直してみるとか、法律の構成もありますよ、もちろん。これだって考えなくちゃいけませんけれども、そういう意味では余りのんびりそういうことをやっていられない時期に来ているんじゃないかという気が私はするんですが、大蔵大臣、先ほどのお話では、一回しかこの問題が問題になっていないから随分のんびりされているような感じがするんですが、現実はそんなのんびりしているような実態じゃないでしょう。大蔵大臣みずからが出している蔵券にしても何にしても、一般公募で外へ出すんだと、こう言っているんですし、みずからが短期国債を出すと、こう言っているんですから、あなたにだって相当責任があるわけです。ほかの外国のせいだけでは私はないと思うんですがね。  その辺は早急に私はいろいろ検討しなくちゃならぬと思うし、これは主税局長もその辺は目を光らしてもらわないと、こっちは構わないという形では、いろいろな権衡が図れない、こう思うんですが、どうなんですか。こればっかり議論しているわけにはいきませんので、この辺でひとつ大蔵大臣の決定を出してもらわなくちゃならない時代にもう既に入っているんだというふうに思うんですが、どうですか。
  17. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 国会でのCDと現先の議論は、私がお答えに立った限りにおいては一度だけございましたが、本当は大分勉強しておりまして、この質問が出たら困るなという意味で本当はかなり勉強しておったわけでございます、率直に申しまして。  それで、今CDの問題は、先ほどちょっと申しましたように、あくまでも指名債権と観念されておるから、その譲渡による所得には所得税がかかるということに整理は一応いたしておるわけでありますが、この問題ももう少し推移を見なきゃならぬなと思っておることは事実でございます。  それから蔵券の問題は、これは時々出る議論でございますけれども、この辺の問題はいわば歳出のための緊急を要する財源として、より迅速に、確実にという意味において、今日までそれなりに位置づけをして、アメリカのTBとの性格の差を一応は固定さして御説明申し上げておるところでありますが、一方、今おっしゃいましたように、仮に借換債等においてその多様化の中に短期国債が出ていくということになると、これはまさに従来の蔵券にだんだん近づいていくんではないか。この議論もございます。これはもちろん部内で検討しておる課題でございます。  それから期近物。十年国債をこの間ちょっと調べてみますと、ちょうど発行したとき割にいい金利でございますから、今もう期近物というのは相当いい値がしております。間もなくまさに期近でございますから、したがってそういうものが大体、期近物は割に市場には流通しないで、皆抱えておるようです。買い受けた人から見れば、ちょうど条件のいいときに発行されたものでございますから。  そのほか今度はまた、この間も議論しておりますのは、さればこの前、私が大蔵大臣をしておりましたちょっと前ぐらいから、一番売れ行きの悪かったあの六・一国債、あれはもう少し先でござ いますけれども、あれが期近に来たらどうなるだろうかとか、そういうような議論は部内で種々いたしておるところでございます。  確かにそういう面のいわゆる多様化した現象、海外CDCPの問題もどうせ避けて通れぬ課題でございますし、出てまいりますので、それを今度は税の面でどう捕捉していくかというと、税の問題というのはユーロ円債の場合にも頭の痛い問題がございます。それらを総合してまさに新しい角度から早急に検討しなきゃいかぬ課題だというふうに私ども理解しておりますし、部内でそれこそ主税局長はいろいろ各局との話し合いの中で苦心しておるさなかにあるというふうに、私は事実認識をいたしておるつもりでございます。
  18. 竹田四郎

    竹田四郎君 そこで、あと簡単にお伺いしたいと思うんですが、そういう形で金融がかなり緩んでいるという中で、そういう方向にお金がずっと動いている。そこで政策金融といいますか、政府金融と市中銀行との関連というのは一体どうあるべきかという問題も、今日的な課題ではないだろうかというふうに思うわけです。余り政策金融というのが出張ってくると、今度は市中の金融との関係の摩擦あるいはシェア争いというような問題も出てくるでしょうし、金利自由化が進めば進むほど、その辺に同時にまた新しいひずみが出てくるように思うんです。そういう意味では現段階ではある程度政策金融——ここに開銀の総裁にも来ていただいたわけでありますけれども、そういう方面は、少し今までよりも方向を変えるなり、今までの形のものは幾らか締めていくなりするというような形だと思うんですが、その辺はどんなふうに大蔵大臣はお考えなんですか。
  19. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 政策金融というのは、そのよってもって立つ歴史的淵源から言えば、一番最初が復興金融金庫でございますか、そういう復興金融金庫ができてからずっと政策金融のそれぞれの公庫ができて、そしてそれはその時代に適応したそれなりの役割を果たしてきた。それが性格的に変化していくということはあり得ると私も思っております。先国会でございましたか、法律改正もお願いしたりしたこともございます。しかし政策金融は政策金融として依然としてその使命を私は果たしておると思います。よく言われますのは、いわば民間金融の分野に強引に政策金融の方がむしろ進出してくるんじゃないかというような批判を受けたことも事実ございますけれども、私はその都度、この世の中の推移に呼応して政策金融のあるべき姿はそれなりに機能しておるというふうに理解をいたしておるところであります。
  20. 竹田四郎

    竹田四郎君 時間がなくなって恐縮でありますけれども、開発銀行の項目等を見ておりますと、確かに電子関係のものというのは、十年前あるいは七、八年前のその当時はかなり私は重要だったと思うんです、政策金融のために。しかしもう最近になってくると、ここは余りそう重要なポイントではなくなってきているんではないだろうか。どんどん開発銀行も融資先、融資の重点というのを変えていくべきじゃないか。たとえば海運、これはかつての開発銀行の非常に大きな融資先だったことは間違いありませんけれども、例えばこういうものでも、今はLNG船を主な対象になさっているだろうと私は思うんですけれども、そういう形でタンカーとか一般貨物船というようなものはもう民間に任じておいてもいい問題ではないだろうか。あるいはLNG船だってもう民間に任じておいてもいい問題じゃないのか。こういう形でどんどん方向を変えていくべきじゃないだろうか。  あるいは開発銀行が融資先のリストというのを何か発表になっていますが、こういうのを見ましても、ホテルとかそういうようなもの、これは地域開発と関連しているのかどうなのかわかりませんが、こういうところに非常に大きいものが出されているというところなどは、むしろこんなものは民間の金融機関に任じておいていいんではないだろうか。何も開発銀行がそこまで乗り出していかなくてもほかにやることはもっとあるんじゃないだろうか、こういうふうに思います。逆に、今防災都市だとかいろんなことを言われているわけでありますけれども、そういう意味での都市開発、こういう面では最近は何か融資額が減っているような点もあるんですが、こういう点はもっとふやしていくべきじゃないだろうか。  それからどういうわけでありますか、最近私も知りましたのですが、サンシャインなどには開発銀行は大変なたくさんの金を貸しておられるらしいですけれども、返還の部分はもうごくわずかということでほとんど棚上げ状態になっているんですけれども、これも私はちょっとそういうところに余り金を貸し過ぎたという感じがするわけであります。そのほかのいろんな地域のプロジェクトなどというものもいろいろありますけれども、そういうところにも恐らくかなりお金を貸していらっしゃるだろうと思うんですけれども、そういう付近は一体どうなっているのか。その辺についてひとつ御解明を、私時間がありませんから、吉瀬さん、簡単で結構でございますから解明をいただきたいと思うんです。
  21. 吉瀬維哉

    参考人(吉瀬維哉君) まさに御指摘のとおりでございまして、開発銀行は先ほど大臣からも申し上げましたとおり、民間の資金の補完、誘導ということに徹するべきだと思います。したがいまして、私どもといたしましては、資金需要、ニーズの強いというものに対しまして重点的に融資を行っていこうと思っておるわけでございます。ニーズが強いということは一般的に市中銀行をもっては対応できないようなものというものが開発銀行に来るものではなかろうかと思っております。  今竹田委員指摘の都市開発などにつきましても、元来、御承知のとおり、あのプロジェクトは大変懐妊期間が長い、しかもいろいろな周辺施設に対する規制もございましてコストが高いというようなことで、開発銀行のような安定した、しかも長期、それでやや低利という資金が供給されまして、初めて御指摘の近代的な都市機能の整備に資するんじゃなかろうかと思います。こういう点につきましてはまさに工夫を凝らしていきたいと思っております。  また、電子産業等につきましては、確かにある程度卒業生も出てきております。ただ御承知のように、日進月歩でございまして、高度の電子技術の振興につきましては、私ども技術振興、通産省などとタイアップいたしまして、その特別の部分につきましてはこれから伸ばしていく必要があるんじゃないか。またテクノポリス構想等と結びつきまして、技術の地方への展開、こういうものを目指した新しい技術振興を考えております。  また、時間がございませんので簡単で恐縮でございますが、海運等につきましても、一時の膨大なる資金需要というようなものは今まさに若干鎮静しておりまして、こういうときには近代化の合理化船とか、あるいは御指摘のLNG胎とか、資金が非常に多額にかかるとか、あるいは新しい技術を取り入れて新しい海運体制にフィットするような船舶の建造というようなものに努めていっているわけでございます。  最後にホテルに触れさしていただきますけれども、一時ホテル関係融資というものは大変いろいろ開銀が目立つというような御批判もあったわけですけれども、現在ホテル関係融資は開銀の全残高の二%をちょっと超えたようなところで、しかもその大部分が都市の街区整備なり総合設計なり、そういう一種の都市機能の整備とあわせましてやるというようなことで努めておる次第でございます。  いずれにいたしましても、御指摘のような資金需要の変化とか、あるいは民間金融機関との協調、こういうものを十分配慮して今後もやっていきたいと、こう思っている次第でございます。
  22. 竹田四郎

    竹田四郎君 そのほかいろいろたくさん質問があるんですけれども大蔵大臣、こういうふうに片っ方のサンシャインの方なんかは非常に優遇をしている。磯崎さんがあそこの何かの長を務めているせいがあるのかどうかそれはわかりませんけれども。しかし国民金融公庫なんかは最近非常にうるさいことを言っておりますね。例えばこれは 国民金融公庫自体が信用保証をしながらお金を貸していくという、こういうものであろうと思っているんですけれども、金を借りたければ県の信用保証協会をつけてこいとか、市の信用保証協会をつけてこいなどというのは私は間違いだと思うんですよ。そういうことが現場じゃ行われているんですよ。また今のようにサンシャインならば、これはすぐお金がどんどん行くんだけれども、中小企業の場合金の払いが悪ければすぐ債権確保の訴訟を行うとか、私も二、三件そういうのに今ぶつかっております。そういう点で、どうも大きいところはほったらかしておいて、小さなところをぎゅうぎゅうやっている。こういうのは今日段階の政策金融の中でもどうも誤りではないだろうかと、こんなふうに考えるわけですが、もう私の時間が来ましたから、あと二、三ありましたけれども、それはまた他日に譲るなり、個人的に御見解を伺わしていただくということで終わりたいと思いますが、しかしその辺は金融ももう少し公平にやってもらいたい。これは大蔵大臣の御決意を聞いて終わりたいと思います。
  23. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まさに開銀等、いま総裁からもお答えがありましたように、昔は海運のシェアなんというものは物すごいもので、それがずっと小さくなって、大体変わらないのは私が田舎育ちだから言うんじゃありませんが、地域開発というのは大体同じぐらいのシェアで今日にきておる。やはりそれなりのいろいろな時のニーズに応じて政策金融のあるべき姿を確実に実現していくような方向で気をつけて運営すべきものであると考えます。  それから国民金融公庫の場合は、補給金が多い、補給金が多い、いろんなことを我々は予算のたびにそういう質問も別途受けることがございますが、これは安い金利で貸す限りにおいてはそういう措置は必要でございます。中小企業経営も厳しい折から、中には、返済猶予をしてくれとか期限の延長をしてくれとか、そういうことに対しては積極的に相談に乗るようにという指導をしておるところでございますので、今おっしゃった御指摘というようなものがないようにこれからも留意して対応しなければならぬというふうに考えております。
  24. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 初めに、参考人で輸銀の総裁に。最初、私が予算の総括でやりまして、それから暫定の総括のときにもお伺いした行政改革に絡みまして、日本輸出入銀行にお伺いしたいんです。再々にわたりまして資料の提供をいただきました。今回内閣官房からもらったんですが、日本輸出入銀行の場合、融資比率の引き下げの具体的状況とそれによる効果ということで、これは臨調から言われたことでございます。今御答弁をなさっていた日本開発銀行等は詳細に資料が出ていまして、健康増進センター等は三五%から三〇%に減らしたなんというような細かい数字が出ております。ところが、輸出入銀行の融資比率の見直し状況については、融資比率の引き下げを五十八、五十九年はやっていない。こういうことで輸入金融については、対外経済関係の現況から見て、輸入促進が緊急な政策課題だから融資比率の引き下げは妥当でない、輸出金融についても、同じように融資条件が国際的な取り決めにより全体的に規制されているから単独で引き下げることは適切じゃないということで、ともに大変冷たい返事がありました。「しかし、融資業務の運営に当たっては、民間で対応可能なものは極力民間活力を活用するとの観点から、融資対象とするプロジェクトを厳選する等の配慮を行い臨調答申の趣旨に沿うよう努めている」、こうあるんですね。こういうのをいただきました、官房から。  私は、総裁もよく御存じと思いますが、予算というものを審議するときの内容というのはあくまでも金額掛ける数量でございまして、予算というのはもうそういう数字ばかりでございます、それが予算そのものですからね。これだと何か文章だけのものでございます。今までの融資比率等は出ております、五十九年四月一日というのはいただきましたけれども、引き下げは妥当でないけれどもこういうふうに動いておりますとか、極力民間活力を活用するという観点からやっておりますというんなら、そっちの方へあっせんして回したのはこれだけでございますとか、こういうのを具体的に出していただかないと、大変不誠意な感じを受けたわけです。この点ひとつ恐縮でございますが、御答弁いただきたいんです。
  25. 大倉真隆

    参考人(大倉真隆君) ただいまおしかりを受けましたんですが、まず数字の方を申し上げますと、私どもは輸出、輸入、投資、直接貸し付けというふうな分類をいたしておりまして、輸入、投資金融につきましては現在の融資比率は六割または七割、直接貸し付けにつきましては五割五分または六割ということで運用をいたしております。輸出金融につきましては現在六割または七割、船舶につきましては四割五分という基準で運用をいたしております。最後に申し上げました輸出金融につきましては、これは実は五十七年度に、臨調で既にいろいろ御議論がありましたあの年に、従来の七割一本というのを案件の内容によっては六割で運用するということで引き下げたわけでございます。それから船舶輸出金融につきましてもほぼ同じ時期に、従来五割五分という融資比率を基準といたしましたものを四割五分というふうに引き下げたわけでございます。資料の提出の仕方が非常に不親切と申しますか、わかりにくいというおしかりを受けまして申しわけないと思っておりますが、現状は今申し上げたとおりでございます。  今後これをさらにどういう考え方で運用していくべきかということでございますが、私どもといたしましては、資源開発輸入を中心といたします輸入金融というのは、今後とも政府資金でこれを支援するということが必要ではなかろうか。非常に長い金になることが圧倒的に多うございますし、それを市中金融だけで安定的な金利でというわけにそう簡単にはまいらないと申しましょうか、そういう意味で、輸入金融につきましては、なお当分の間今の基準で運用するということが妥当ではなかろうかというふうに考えます、率直に申し上げまして。投資金融につきましても、現在日本が置かれております国際環境から申しますと、海外投資なり海外事業というものはもっともっと積極的にやってほしい。そういうときに、政府関係機関といたしましても、これを政策的に財政資金を使わしていただいて支援していくという考え方は大事なんじゃなかろうかというふうに私は考えております。  そこで、輸出金融でございますが、これは非常に大黒字でいろいろ問題が起こっておるときに、輸出に政府がサポートするのは何事かというような御意見を聞かないでもないんでございますけれども、私ども担当しております、輸出金融と私ども言っておりますのは、いわゆるプラント金融、プラント輸出でございまして、これは仕向け先は先進国というのはほとんどない。いわゆる発展途上国でございますから、相手方としてはそういうプラント輸出、向こうからいえばブラントを輸入する、延べ払いで建設するということは現地雇用にも役立ちますし、それぞれの国の経済開発にも役立ちますし、そのことによって直接にいわゆる先進国との経済摩擦が起こるという問題ではないわけでございまして、政策の一つの柱として、今後ともプラント輸出金融というのは私どもの大事な仕事の一つであるというふうに考えております。  ただ、先ほど申し上げましたように、一部基準融資比率を引き下げましたのは、それは国内金融情勢を見ながら、市中金融機関対応できる分まで、これはとにかく輸銀がここまで必ず貸すんだというふうなことで運用するのはそれはおかしいだろうと、そういう意味で一部引き下げました。現実の運用といたしましても、これは基準でございますから、現実に案件を見ましてよく聞きまして、市中で幾らでファイナンスできますかというのを聞きまして、それなら私どもは原則は七割ですけれども本件はまあ六割にいたしましょう と、四割は市中で調達してくださいというふうな運用を、私ども基準外と申しておりますが、これはかなりの件数で運用をいたしております。  今の私ども考え方は、以上、ちょっと時間がございませんので、大変はしょりましたが、そういう考え方で今後ともやらしていただきたいんだということ。  なお、蛇足でございますが、プラント輸出関係につきましては、現在のところ主たる受け入れ国側が非常にお金がなくなってまいりまして、これはかって鈴木委員も御指摘になった累積債務問題との絡みがあるわけでございますが、あるいは産油国で油の値段が下がったというふうな絡みがございまして、そういう意味で受け入れ側のマーケットが小さくなってきた。それで猛烈にアメリカ、ヨーロッパの企業からの売り込みがきつうございまして、これまた技術的でございますから名前だけ申し上げますが、先進国間に輸出信用のガイドラインというのがございますが、そのガイドラインをはるかに下回る金利で、そういう金融条件で出てくるということがかなりしばしばございます。その場合には、日本側としても向こうが下げてきたところまでは対応して下げると、そういう条件でファイナンスできるようにしてオファーをする。最終的に値段、中身、質、そういうものがもちろん絡みますけれども金融条件としては私どもが言うマッチングというのをやる。これは国際的にも認められておりますが、そういうマッチングをやりますときには、申し上げたように、市中金利よりもある程度下がったレベルが出てまいりますから、これを融資比率の方で下げる。仮に政府がやるとすればもうちょっと下げないとうまく合いませんですね、計算が。そういうような非常に厄介な新しい問題もございますので、その辺は国際的な環境の実情に合うように弾力的な運用をさしていただきたいということも考えているわけでございます。  くどくて恐縮でございましたが、いずれにしても国際的な環境をよく見て国際的な動きに対応できるように、しかし基本的な考え方として、市中金融でカバーできるものまで無理無理私どもが割り込むという考え方は持っておらない、そういう意味で運用さしていただきたいと思っております。
  26. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 基本的な考え方はよくわかりました。無理無理民間の方にこちらから介入していく、参入していくというようなことは考えない、当然のことだと思いますけれども、この中に「融資対象とするプロジェクトを厳選する等の配慮を行い」と、こういうふうに書いてあったわけですね。そうすると初めから輸銀の対象にしないということも出てくるわけでしょう。そういった傾向は今までのところあったかなかったか、ちょっと伺いたい。
  27. 大倉真隆

    参考人(大倉真隆君) これは個別企業の内容にわたりますので……
  28. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 数の問題で。
  29. 大倉真隆

    参考人(大倉真隆君) 差し控えさしていただきたいんですが、例えばこれは申し上げてもいいかもしれません。トヨタがアメリカで合弁事業をやる。通常ならば当然海外投資金融として私どもの仕事でございますが、トヨタさんは自分の手金を十分持っておられますから、別に輸銀のお金は要りませんよというお話、それはですからそれでいいわけです。海外事業である限り、海外投資である限り必ず輸銀がやりますよということではないわけです。  さらに個別の案件で、例えばこれはちょっと国は差し控えますが、ある国に輸出したと。そのときの条件で、これは自分がユーロで調達して輸出しますと。ですが、形の上は延べ払いじゃございませんというようなものは、現状においてはそれも一つの行き方だろうというふうに私どもとしても判断いたします。ですから、申し上げたように、延べ払いなら必ずうちへ来て必ずこれだけ借りなさいとか、海外投資なら必ず輸銀へ来て必ずこれだけ借りなさいとか、そういう運用はいたしておりません。
  30. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 輸銀の総裁、大変ありがとうございました。御苦労さんです。これで引き取って結構でございます。  その次に、私は資金運用部の問題でお伺いをしたいと思うんです。最近、資金運用部資金の中のいわゆる原資の方ですかね、短期債というものが、短期証券残高がぐっと減ってきております。これを見ていきますとその点がよくわかるんですけれども、一番多いときには五十三年度末に六兆九千六百六十九億円、そうしてそれが五十五年度末には三兆六千二百十七億、半分に減っております。五十七年度末には一兆千七百三億、さらに最近ではこれが二千億とか、一月では二千六百八十七億というふうに二千億円台にまで急減していますが、一体この原因は何か、伺いたいと思います。
  31. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 資金運用部資金につきましては、各特別会計等からの預託金あるいは資金の動きが一時的におくれるといったような場合に発生いたします余裕金、こういったものを政府短期証券に運用しているわけでございますが、最近はそういった余裕金の発生が減っておりますために、今御指摘がありましたように、二千億円程度ということで非常に減ってきているわけでございまして、これは全体の資金運用部の資金の〇・二%ぐらい、そういう実情でございます。
  32. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この原因は一体何だというふうにお考えでございますか。
  33. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) ただいま申しましたように、つまり一時的な余裕金が減っているわけでございまして、その余裕金の減少といたしましては、資金使用のずれとか、あるいは特別会計等の預託金が余りふえてない、こういった事情でございます。そういった意味で、手元の一時的な余裕金が随分減ってきているということでございます。  で、原資全体の事情がどうだというのは、また別にもし必要がございましたら御説明申し上げます。
  34. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 言ってください。
  35. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 五十九年度の原資に即して申し上げますと、五十九年度の原資の増加は約三千億ということで、一・二%の増加にとどまっておりますが、これは主として資金運用部資金——今申し上げましたのは財投全体の原資でございまして、資金運用部資金といたしましては、前年度に比べまして、増加額が二千三百億減っております。その減っております最大の理由は、郵貯の伸びが五十八年度は七兆九千億でございましたのが、五十九年度は六兆九千億ということで、一兆円減少いたしております。それから厚生年金国民年金資金が、五十八年度の四兆一千億の伸びに対しまして、五十九年度は三兆八千五百億ということで、二千五百億の減少になっております。したがいまして、回収金等につきましては約一兆二百億の増加でございますが、全体としての資金運用部資金の増加として見ますと、全体としては増加ではなくて、増加額につきましてはその増加が減りまして、増加額が二千三百億減ると、こういった状況でございます。
  36. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そういうことから短期証券残高まで影響してきているんだろうと思いますけれども資金運用部資金の原資として今答弁がありました、また財投計画の原資としても郵便貯金が大きな比重を占めている、これははっきりしております。確かに最近、郵便貯金の伸びが鈍化しているのは事実でありますけれども、この伸びの伸び悩みは基本的には家計収入が伸び悩んでいること。もう一つは家計の金利選好といいますか、民間金融機関のいわゆる有力商品、高利回り商品、そういう方へのシフトがかなり影響していると思いますけれども、郵政省の方はどういうふうに考えておりますか、分析していますか。
  37. 山口憲美

    説明員(山口憲美君) 御説明を申し上げます。  ただいまお話にございましたように、郵便貯金はここ数年非常に不振な状況にございます。ただいまお話にございましたように、五十九年度につきましては六兆九千億の預託を予定しているわけ でございますが、そのうちの五兆九千億というものはいわゆる将来の利子の支払いに充てるためにいわば積み立てをしている、私ども元加と言っておりますが、その分でございまして、いわゆる市中から入ってまいりますものとそれから払い戻しをされます。その差額につきましては、一兆円というふうな非常に小さな数字になっております。  これはちなみに過去の状況を見ますと、例えば五十二年度には五兆円程度ございましたものが、五十三年度には四兆七千億、あるいは五十四年度四兆一千億、五十五年度は例の郵便貯金金利天井観というふうなことで問題がございまして六兆円ほどありましたけれども、その後また三兆円、それから五十七年は三兆四千億、そして五十八年度は二兆七千億というふうな形で、五十二年度からずっと減少をしてきているというふうなことでございます。  で、その原因でございますけれども、ただいまお話ございましたように、一つはいわゆる個人の家計可処分所得というふうなものが非常に伸びが小さくなってきているというふうなこと、それからまたもう一つは、かなりローン志向型になってきているというふうなことから、返済の方に充てるものがかなりふえてきているというふうな状況、こういった一般的な、いわば環境の変化というものがございますが、それに加えまして、いわゆる規制金利商品と、それからいわば市場の実勢が反映されておりますようないわゆる自由金利型の商品というものとの関係が、かなり格差が出てきているというふうなことがございます。現にそういったビッグであるとかワイドであるとかというふうなものがかなり大きく伸びているというふうに聞いておりまして、そういったことも郵便貯金の不振の原因につながってきているのではないかというふうに見ているところでございます。
  38. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今後も経済成長は昔のような高度成長経済を望めないだろうと思いますし、しかも一方で金利自由化が進展する、これはもう避けられないことだと思います。そうなると、国債を組み込んだ新しい高利回りの金融商品というものも、これはもうどんどん開発されるだろう。そういうことを考慮しますと、郵便貯金の伸びは鈍化しても高い伸びは期待できないだろうと思うんですが、この点は郵政省としてどう考えていますか。
  39. 山口憲美

    説明員(山口憲美君) 御説明申し上げます。  郵便貯金の今後の見通しということでございますけれども一般的な環境の変化がない限り今のような状況に推移するのではないかと思われますが、ただいま御説明したものに加えまして、さらに最近はいわゆる期近債と言われる預金に競合するようなものが出てまいりますとか、あるいはさらに非常にエレクトロニクス化が進んできていろんな商品の開発の幅が広がってきているという、そういう環境の変化をさらに見通しますと、ますますこのままでは厳しい状況になるのではないかというふうに考えております。
  40. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大蔵大臣は郵便貯金がこれから伸びるというふうに思いますか。
  41. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはなかなか難しい問題でございますが、今の、何といいますか、金融環境あるいは今の郵貯の商品性等が変わらない限り、大変な変化が生じてくるとは私は思っておりません。
  42. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 どちらにしても伸びが期待できないということでございますから、そうするとこれは郵政省の方で、今、局として何かこういう事態に対処するための新しい措置というか、新種の預金等による郵貯の確保策とか、いろんなことがあるだろうと思いますが、何か考えておりますかどうか。
  43. 山口憲美

    説明員(山口憲美君) 現在のところ新たにこういうものをというふうなことを申し上げるものは、現在のところ何も持っておりません。いずれにいたしましても、先ほど御説明しておりますように、金利自由化といいますか、そういった絡みの規制金利外のものが伸びているというふうなことのようにも思いますので、そういった意味からいたしますと、私どもとしてはこの金利自由化という問題に対してもっと前向きに積極的に対応をしていかなければならない、そういうふうに考えているわけでございます。そういった意味で、私どもといたしましても、この自由化問題というものに対しまして前向きに取り組んでいこうということで、現在もいろいろ勉強さしていただいているというふうなことでございます。  ただ、若干幅の広がった議論になってしまうかもしれませんけれども、そういう研究の中で、そういう自由化を進めていく際には、現在の郵便貯金の運用問題等を含めた仕組みというものを変えていくというふうなことがないと、なかなかそう、いった自由化対応していくのが難しいんではないかなというふうなことを考えているというふうなことでございます。
  44. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今、運用の方も考えてということでないと金利自由化対応はしにくいという、そういう考えが出たんですけれども、これは大蔵大臣、郵貯の運用ということになるとそれはまた原資に響いてくるわけでございますからね。この点はどういうようにお考えでしょうか。
  45. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私ども従来主張しておりますのは、国の信用によって集めたものは、これは運用は一元化されるべきであり、そしてそれは有利であると同時に確実であらねばならぬと、こういう主張で今日まで——もう一つは、いま一方おっしゃいました第二の予算とも言える財投の原資という立場から、そういう方向で今日まで主張してきておりますし、いろいろ臨調等の答申もそのような考え方になっておるわけであります。  したがって私も、この郵便貯金というもののよってもって立つ歴史的淵源からさかのぼって議論をしなきゃならぬ時代にくるんじゃないかと、こういう感じがしますし、金利自由化に伴う郵貯のあり方という問題を考えた場合にはそんな感じがします。そうすると郵貯の方で自由化ということになれば、これを一つの国家銀行のような形で考えれば、いわゆる運用面というものに対する有利運用という考えも、それはそれなりの議論としては出てくると思うんであります。ただ、それを別個にやるか、一元化の中で有利運用に心がけていくかという問題は、またこれは別の問題でございましょう。したがって、これは従来の郵貯と銀行、時に利害相反していろいろな議論が行われておりますが、それとはまた別次元の問題として、国際化自由化対応するときの小口預金、なかんずく我が国のまさに特徴ある制度である郵貯という問題のあり方については、今勉強という言葉を使っておられましたが、本当に勉強してかからなきゃならぬ問題ではないか。  私どもがこの金利自由化問題で国際会議等で話し合いますと、郵貯というものの意識がほかの国の人にないわけでございますね。その点について我々が理解を求める場合も、向こうが理解をすぐ吸収する、そういう環境がございませんから、苦心しながら説明したりすることもございますが、これは大口の金利自由化からソフトランディングと申しますか、そういう形で進んでいく問題でございますけども日本の独特のこの問題については、本当にその根源にまでさかのぼりながらあるべき姿について、これは政府全体としても勉強していかなきゃならぬ重要な課題であるぞよという事実認識は十分しておるつもりでございます。
  46. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今の資金運用部資金余裕資金が急減した、これは資金繰りが極めて困難な状況になっているということを物語っているわけですけれども、今の答弁等から聞いていっても、郵貯の伸びも今後そう期待できないということになると、現在保有している長期国債を売却するということにならざるを得ないというふうになるんですが、こういうふうに理解してよろしいかどうかですね。この点、いかがでございますか。
  47. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 財投資金の運用に当たりましては、原資の事情がそのときそのときによってゆとりのあるときと厳しいときがございますが、その原資の事情だけではなくて、財投機関の 資金需要でございますとか、あるいはその金融市場の状況でございますとか、そういったものも勘案しながら、国債と財投、それから財投の中でも財投機関と地方、そういったものの配分をどうすべきかということで、その間の均衡をとりながら配分をしてきたわけでございまして、これからもそういったことでやっていくということでございます。  今の保有している国債を売るかどうかという問題につきましては、これは国債への配分の裏のような話でございますが、いずれにいたしましても、その三者のバランスをとりながらということで、そのときそのときの状況に応じて判断していく、こういうことだと思います。
  48. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはあり得るということで理解していいわけですね、今の答弁から見ると。  次に伺いたいのは、政府の方針ですと赤字国債について借換債ということになります。そのときに運用部保有のいわゆる赤字国債については全額乗りかえということなのかどうか、もし乗りかえるとすると支障はないのかどうかというこの両点を伺いたいんです。
  49. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 現在の運用といたしましては、資金運用部が保有している国債の償還期が参りました場合には、それは乗りかえるということでやっております。これは昭和五十五年度に国債借換問題懇談会でそういう方針を意見として出されまして、それにのってやっているわけでございます。  今先生御指摘の特例債についてどうするかというのは、まさに六十年度以降の借りかえの問題でございまして、六十年度以降の借りかえの問題につきましては、今また六十年度以降のための国債借換問題懇談会を開きまして、そこでいろいろと意見を出していただいておりますので、その中で検討していくというつもりでございます。
  50. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 借換懇で検討中だ、そういう答弁になるんじゃないかと私思って質問したんですけれども、本当に果たして支障がないかどうか、これは十分検討していただかなきゃならない。借換懇の方にだけ任じておかないで、部内においてもやらなきゃいけないんじゃないですかね。  資金運用部の国債引き受けが限界に来ている、こういうふうに僕は思うんですけれども、その点はどうですか。よろしゅうございますか。
  51. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) これも先ほど申したわけでございますが、今後の原資事情の推移、郵貯がどのような伸び方をするかにつきましても今はっきりした見通しがつくわけじゃありません。そういった意味で今後の原資事情の推移、それから臨調の答申もございましたので、財投機関につきましても見直しを進めておりますので、財投機関の資金需要の推移、それから国債発行量によりましては、市中で相当消化できるというふうなこともあり得るかと思います。そういった状況を見ながら資金運用部でどうするか。そのどうするかという場合の考え方の枠組みといたしましては、先ほど申しましたように、財投機関の資金需要、それから地方の資金需要、それから国債への配分の必要性、そういったことを見ながらバランスをとりながら決めていく。こういうことかと思います。
  52. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは大臣に伺いたいんですけれども資金運用部資金資金繰りが苦しくなってきたというのは、郵貯の伸び悩み、国債の引き受け増、そういうことが大きな原因だと思います。それ以外にも特別会計への貸付金、これが急上昇しているということがあるんではないかと思います。つまり特別会計の赤字補てんを一般会計からできない、そこで資金運用部に肩がわりした、こういう例がございます。そういうことの弊害が今回のこういうような余裕資金の急減にあらわれてきているんじゃないか。法の第一条によれば、安全確実かつ有利に運用しなきゃならないことになっているわけですけれども現状の結果を見ると、安全確実というよりも有利じゃないような感じがいたします。こういう点でこれはどうお考えになっていますか。
  53. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) やや技術的な問題でございますので、私からとりあえず御答弁申し上げますが、資金運用部資金法の趣旨は、資金運用部資金の運用に当たりましては、公共性と同時に安全確実かつ有利ということでございまして、私どもその基準に従いまして運用しているつもりでございます。  特別会計に対する貸し付けがふえているという御指摘でございますが、そういうものもございます。制度の建前といたしまして、特別会計等につきましては、余裕金がありますれば、原則として資金運用部に預託する。同時に、必要があれば資金運用部から貸し付けを受けられる。こういう仕組みになっておりまして、特別会計が必要とする場合には、資金運用部としてはそれにある程度おこたえしなくちゃならない。もちろん、安全確実かつ有利ということでございますので、安全確実ということを考えながらやっているわけでございますが、特別会計の事情によりましては直ちに返却できないということもございますので、そこのところは主計局ともよく相談をしながらいろいろと制度の改善をしていただきながら貸し付けを行っている、こういう状況でございます。
  54. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 特別会計の中で金利負担を、その金利分をまた資金運用部から融資をいたしまして、そうして孫利子分を主計がこれを利子補給するとかいうような、そういうものが存在しておることは事実でございます。したがって、その場合は、やっぱり安全確実、有利ということになりますと、条件はそれなりにきちんとしておりましても、安全確実の面においては、それの特別会計の再建計画あるいは将来への制度改正、そういうことを考えながらその都度部内の主計と理財との話し合いでやっておることは、これは事実でございます。特別会計というものが存在する限りにおいて、余裕金を預託していただく場合も、またそういうことをしなきゃならぬ場合もあると思っておりますが、部内での相談で安全確実ということが保たれながらその都度対応しておる、こういう現状でございます。
  55. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 苦しいことはよくわかるんですけれども、地方財政対策の制度改革は、これは従来財政投融資計画の枠外にあって、国会の議決の必要はなかった。そこで歯どめがないということになるわけですから、それが運用部資金から地方交付税特別会計の短期融資という形でだんだんだんだん借金がふえてしまって現在十一兆五千億。この問題点は前回ここで大川委員が追及をしていたことでございますけれども、今回の措置で一応の歯どめができた。この辺は私ども評価します。しかしそれは今までの借入金、既往の借入金を国と地方で折半して、その元本利子について今後返済するということでございます。地方の方は六十六年度以降償還計画が元本負担部分についても示されておりますが、国の元本部分については返済計画が示されていないのはおかしいんじゃないかと思うんです。ありましたら、資料として出していただきたいし、御答弁をいただきたいと思います。
  56. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) 国の部分につきましても、地方の部分と同様に返済計画を立てておりまして、今回国会に御審議をお願いしております法案の中にその表が入ってございます。
  57. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 実はあと還元融資の問題で伺いたいと思ったんですが、一点だけ伺っておきます。  年金福祉事業団へ、五十九年度の場合、還元融資の総額のうち、約半分に及ぶような七千七百八十二億円の融資がございます。しかしこの福祉事業団が行ってきた大規模年金保養基地事業が大きな明らかな失敗ということがはっきりしていて、そのために臨調からも大変厳しい提言があって、新設の保養基地は中止しろというのがございまして、現在累積欠損金が五十九年度末で約八十億円、年々十億円ずつふえてくるということになるわけでございます。還元融資として将来の年金支払いの基金になるべきものでございますが、そのものが基金の運営に充てなきゃならないということを考えますと、休止したものも必ず回収をして きちんとしなきゃならないんですが、これは年金保養基地からの回収が果たしてできるのかどうか大変不安でございます。この点についてお伺いをして、私の質問を終わりたいんです。
  58. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) 大規模年金保養基地についてお尋ねでございますが、大規模年金保養基地は、昭和四十七年に構想を出しまして、一カ所百万坪で、一カ所二百億円ぐらいを投下しておる。被保険者とそれからその家族、あるいは年金受給者のための、口幅ったく申し上げますと、国際的に見ても遜色のない立派なレクリエーション基地をつくるという構想で出発したわけでございます。  で、四十八年の経済情勢の変化等を踏まえまして、五十五年に見直しを行いまして、それ以降建設するものにつきましては、一カ所当たり四分の一、五十億円にする、それから地方公共団体等の創意工夫を生かすために地方公共団体からもいろいろの面で御協力をいただくというふうに方針を変更したわけでございます。で、その新しい方針下に現在やっておりまして、グリーンピア三木ということで、神戸の北の三木市に一カ所、それから北海道の大沼に一カ所開いてございますが、現在でも意義は十二分にあるのではないかというふうに考えております。  で、今後ますます余暇の活用問題ということ、しかも健康的で本当にレクリエーションになる余暇の活用問題ということは重要問題でございますので、これに立派にこたえられる道ではないかというふうに考えております。  それから先生御指摘の八十億円の累積赤字ということでございますが、これは年金福祉事業団全体の累積赤字として計上されているものでございまして、大規模年金保養基地、三木保養基地、大沼保養基地とは直接関係ないものでございます。  具体的には、これは年金福祉事業団の方は企業会計でやっておりまして、債務が発生したときにはその債務を計上するということにいたしております。国の方は、御承知のように、支出が見込まれる年度に金を出すということでございますので、その間のずれが三、四億ございます。  それから大規模年金保養基地の減価償却でございますが、これは大体年間七億円前後ございます。これが国の建物につきましては、御承知のように、減価償却費を積むという仕組にいたしておりませんが、企業会計上は積むということになっておりますので、その七億円が見かけ上の赤字と見えるということでございますので、その三億と七億を足したもの、その十億が年々の赤字として計上されておるものでございまして、実質上の赤字ではございませんので、この点御理解をいただきたいと思います。
  59. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは二、三お尋ねをしたいと思いますが、先般の新聞報道では、福島交通グループで使途不明金百億円があると、こういう報道がなされておりました。今、使途不明金というのが年々増加しておる、このように聞いておるわけですが、大体どういう状況なのか、簡単に。
  60. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) お答えをいたします。  使途不明金の状況につきましては、私どもの国税局の調査課で資本金一億円以上の法人を所管しておりますが、いわゆる大法人につきましての計数を私ども一応把握しておりますので、これに基づいてお話を申し上げたいと思います。  私どもでは、国税局の所管法人の中でも、毎年約四千社くらい、四千社強を調査しておりますが、この調査した法人について使途不明金がどの程度あったかということを取りまとめた数字を申し上げたいと思いますが、昭和五十五事務年度、これは五十五年七月から五十六年六月までの一年間に私どもが調査した結果でございますが、この五十五事務年度の使途不明金の総額が三百三十四億円、昭和五十六事務年度が三百八十七億円、昭和五十七事務年度が四百二十八億円、このような状況になっております。
  61. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは一億円以上の会社についての調査結果であると、このようなお話でございますが、大体業種別に言うとどういうところが多いんでしょうか。それと、一億円以上の会社でも大企業とか、その中でも大中小あると思うんですがね、大体どういうところに多いんでしょうか。
  62. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) ただいま申し上げましたように、私どもの調査は税務上問題があるんではないかという法人を調査しておりますので、業種別にというか、ばらばらにやっておりますので、しかもその年に調査した分だけの計数ということでございますので、調査課所管法人約二万社ございますが、これを全体の中の動きという形できちんと把握することは非常に難しゅうございます。したがって私どもとしては、一応調査をした結果の数字だけもう裸のままで申し上げているわけでございますので、業種別に一体どうなっているかということを的確にお示しすることは非常に難しゅうございますので、その辺が私ども分析はちょっと難しいということでやっておりませんので、その辺の数字等は御勘弁をいただきたいと思います。  ただ、私ども調査を行いましていろいろやっております状況の中から漠とした感じを申し上げさしていただきますと、建設業、それに製薬業の関連が多いのではないかというふうに推測しております。  また、税務署所管法人につきましてどのような状況かという御質問だと思いますが、これにつきましては、実は税務署所管法人につきましては、使途不明金の実態というのが多くは零細法人の場合には家事関連費と申しますか、私的経費を会社の経費につけ込むという形のものが多うございまして、非常に雑多といいますか、多種多様な否認項目の形でこの使途不明金があらわれるわけでございます。毎年約二十万社強を法人税課の方で、法人税の方で調査しておりますが、これの内容について計数を取りまとめることは非常に手数のかかることでもございますし、それぞれの法人にとりましては、調査課所管に比べて零細なという面もございまして、調査課所管法人以外の税務署の所管をしております法人につきましての使途不明金の計数は、私どもとしては取りまとめておりません。そういう状況でございます。
  63. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 もう時間がございませんので、最後大蔵大臣にお尋ねをして、残余の質問は次に譲りたいと思います。  一億円以上の会社で使途不明金が出る。しかも私の聞いているところでは、これは七七%は自己否認というか、言えないということでわざと隠しておるという。もちろんその使途不明金は損金不算入だそうで法人税を課税されているようですけれども、しかしそれをもらった方は課税されない、表に出ない、出せないお金じゃないか。これは一つの犯罪につながる危険もあるんじゃないかと思うんですが、こういうことを認めでいいのかどうか。私はそういうものについてはもっと厳格にしてもらいたい。場合によっては、ただ課税するだけじゃなしに、加算税的な要素を加えるとか、そういう点で検討すべきである。検討の余地があるのかどうか、その点をお伺いいたします。
  64. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる使途不明金はできるだけその使途を解明して、最終段階の支出先、所得の帰属するところ、これに適正な課税を行うというのが筋道であるというふうに私もそう思っております。  そこで、どうしてもその使途が不明の場合はこれを経費として認めないというので、今おっしゃいましたいわゆる全額課税と、それからそういう隠ぺい行為が伴う場合にはさらに重加算税と、こういうことになっておるわけでありますが、この法人税と税務当局からの立場としては、私はそれが限界であろうと思います。したがって、この問題は、商法上あるいは刑法上の分野でどういう取り扱いをするかということが検討されるべき問題で、税法というものにはおのずから限界がある、商法上、刑法上の問題としてこれは取り扱うことを検討すべき課題だというふうに私は認識いたしております。
  65. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 三月二十四日にテクノポリス九地域の計画が認可になりました。大蔵所管の関係で も、テクノポリス促進税制といたしまして、一定の工業用機械について三〇%、建物、附属設備について一五%の特別償却を認める、財投の関係でも新たな低利融資を行う、そのほかに地域フロンティア技術開発事業、工業再配置促進費補助金、さらには調査費などで合計約十五億円の予算がついております。  そこで大臣に総括的にお伺いしますが、国政上このテクノポリスをどう位置づけておられるのか、また財政上の位置づけはどうか、端的にお答えをいただきたいと思います。
  66. 竹下登

    国務大臣竹下登君) テクノポリス構想というのは、まさに二十一世紀に向けて先端技術産業(産)、それから学術研究機能(学)、それから住環境(住)を有機的に結びつけた新しい町づくりを目指すものであるという考え方に基づいて、今までよく行ってまいりました新産都市にしても、いわゆる地域開発のような財政に多くを依存する方式をとらないで、その地域の主体性を発揮して民間活力の活用を図っていく、そういうことが特徴であるというふうに私どもはこれを理解しております。だから、従来の地域開発と異なりまして、道路とか港湾とか工業用地とか、そういうインフラでございますか、そういうものが整っていることというようなことでございますので、残念ながら私の島根県なんかはその対象にならぬと、こういうことではないかと理解しております。
  67. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私、全国の状況を概観して見ますと、テクノポリス地域指定、それからその開発計画の経過の中で、国の方は余り予算を出さぬですけれども、自治体の負担などで企業誘致のためのより有利な環境整備のための競争が大変行われておりまして、その状況を見ますと、進出企業の方はより取り見取りと、こういう状況になりつつあるような気がしてならないんです。  自治大臣官房企画室内の地方自治政策研究会のレポートの中でも、テクノポリスは地元が主体的に進める新しい地域開発であるという名のもとに地方公共団体に過大な負担がかかるおそれがある、こうも指摘されております。新産都市計画のときのように、自治体と住民の負担は残ったけれども計画は成功しなかったということが、あちこちに出てくるのじゃなかろうかというような気もするんですが、この論議は今後の課題にしたいと思います。答弁は求めません、時間の関係です。  で、このテクノポリスの「高度技術に立脚した工業開発に関する指針」、その中で、最後の方ですが、「地価等への配慮」、「法第五条の開発計画の実施に当たっては、土地の投機取引及び地価の高騰が生ずることのないよう留意するとともに、適正かつ合理的な土地利用が図られるよう適切な配慮を払うこと。」と、こうあります。  そこで、これは通産省に質問ですが、まずこういう規定をした理由を述べていただきたい。  それから、これはどこになるんでしょうか、テクノポリス計画がこういう利権あさりに利用されることのないように政府としては監視をし、チェックをすることが必要だと思うんです。そういうところがどこになるのかという点が一つ。  そして大臣にお伺いしたいのは、これは政治倫理の問題として政治家がこのテクノポリス計画に乗じて土地転がしなどの利権をあさってはならないと、こう思うんですが、それについての大臣の所見、これを順次伺いたいと思います。
  68. 小林惇

    説明員(小林惇君) ただいま先生から御指摘がございました高度技術に立脚した工業開発の目標を達成するための指針の中に、「地価等への配慮」を盛り込みました理由は、ここに記されたとおり、このテクノポリス建設というものが、当然のことでございますけれども、土地というものに対する需要を生む面がございますから、土地の投機取引あるいは地価の高騰が生ずることがないように留意してテクノポリス建設計画を着実に推進してほしいという意味で指針の中に盛り込んだものでございます。地価の問題そのものにつきましては、国土庁から御答弁申し上げたいと思います。
  69. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 簡単で結構ですから。
  70. 武智敏夫

    説明員(武智敏夫君) 御承知のとおり、土地取引につきましては、国土利用計画法がございまして、要は、投機取引が行われるおそれがあったり、あるいは地価が高騰するようなおそれがある場合には、規制区域というのをかけまして、すべての土地取引を許可制にできるようなシステムがございます。地価がかなり安定しておる関係もございまして、実際にはかけておりませんけれども、こういったようなテクノポリスといったようなことで大規模開発が行われますと、どうしても可能性として出てくるというようなこともございますので、十分に調査をかけておりまして、そういうことのないように取り扱っておるところでございます。
  71. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かにテクノポリス構想というのは、全国にある意味における夢を見せつけておるという印象を私も受けております。また今度予算をやってみますと、テクノという言葉が多くて、テクノポリスから、バイオテクノロジーから、ハイテクからえらいあるなと思っております。したがって割合、地方の盛り上がりは全国どこを歩いてみても旺盛であります。水もあります、港もあります、人もあります、何もあります。一体ここの水準はついていきますかということをよく私も言っておりますが、その夢が、私はテクノポリス構想で見ますと、いわゆる見込んだ土地転がしみたいなものは大体大規模地域開発と違って比較的少ないんじゃないか。もちろん政治倫理としてそういうことをしちゃいけないことは御指摘のとおりであります。
  72. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 少ないんではないかという大臣の認識とは別に、私は残念ながら、具体的にその大きな疑惑が現に進行しているということをこの場で指摘をしなきゃいけないんです。それは熊本テクノポリスでありますが、三月二十四日に計画が認可になったんですが、これに先立って、熊本県は熊本空港に隣接する益城町田原下面の平、この土地二十六ヘクタールを十一億五千万円、坪単価一万四千五百円で購入いたしました。この土地の上にはテクノポリス建設を具体的に進める上で中核になります熊本テクノポリス財団のまた主要な活動の場となるテクノポリスセンターが建設されます。  これは通産にお伺いしますが、この電子応用機械技術研究所に県の方から、全体で三億六千万円ばかりですが、そのうち国庫補助が一億二千二百万円になると思いますが、どうでしょうか。簡単でいいです。
  73. 兵頭洋

    説明員(兵頭洋君) おっしゃるとおり、一億二千二百万円でございます。
  74. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この土地の売り主である有限会社高遊原農園、これはこの土地を含む四十八・五ヘクタールを農民から買い受けるために昭和四十八年に設立された農業生産法人であります。この土地の隣接地は将来テクノポリス工業団地となるんではないかと、こう思いますが、これについてはどこか答弁できますか。
  75. 小林惇

    説明員(小林惇君) 熊本のテクノポリスの計画におきましては、昭和六十五年度までに四百ヘクタール程度の工業用地需要が新たに発生するであろうというふうに見積もっておるわけでございまして、そのやり方といたしましては、既に工場適地ということで選定が終わっております用地百二十ヘクタールと、それから今後新たに工場適地等の手続を進めてまいります。地二百六十ヘクタール等で構成するというふうに聞いてございます。  ただし、個別の地点ごとの用地がどこに求められるかということについてはそれ以上詳しくは伺っておりません。しかし工業用地の可能性のある土地が非常に多くある土地であるというふうに聞いてございます。
  76. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大臣、これをちょっと、図面をつくってきましたのでごらんいただきたいと思うんです。これは委員長の方へも見せていただきたいと思います。    〔資料配付〕
  77. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今、私がテクノポリスセンターへの用地というのは、これで見ますとピンクで囲ん だ部分ですね。その外に緑の線があります。下にもあります。これが高遊原農園が、昭和四十七年から八年にかけて、この付近の農民から買い取った土地です。空港がここにあるんですね。空港に一番近い、一番いい場所なんです。この土地がどういう状況で買われたかと申しますと、ここに全部色で囲んだ土地、約二百三十ヘクタールですが、これを熊本企業開発株式会社が全部農民からゴルフ場用地として買おうとしたんです。その会社は、代表取締役でその買収に主として当たったのが三浦富次郎さんという人で、元熊本電鉄の専務。熊本電鉄といえば、これは言うまでもなく、松野鶴平氏以来の松野一族の会社でありまして、現在、その社長、代表取締役は松野頼三氏であります。  全部買おうとしたんですが、問題がありまして——どこが問題かというと、ゴルフ場として農地を買ったんですが、農地をゴルフ場にするということは、これはもういけないというんで、一定の制限がありまして、全体の二〇%しかこれは農地にできない。そこで順次この辺の山林などを買い足したわけですが、それでも、何回申請出しても、その直前まで農林大臣を松野さんがやっておったんだけれども、やはり法の基準に反するというんで認められなかったんですね。最後にとうとうこの緑の部分を、要するに農園部分を除いて、農地部分を二六%にして、そしてやっと許可になったんです。二〇%しかいかぬというのがなぜ二六%になったか、疑惑が一つあります。しかしきょうはそれは問いません。  問題は、さらにそのあと、残った農民から買って二六%の農地で余っちゃった分ですね、それを高遊原農園、これも松野氏関係の会社ですが、急速農業生産法人を設立して、そしてこれは第三条許可で買った。ですから、ゴルフ場の目的で農民から買ったんですが、実際は、まず農地部分がはみ出します。これは高度利用、有効利用として使われたかというと決してそうじゃないんです。これはまた別の機会に問いたいと思うんです。  きょう、これから農水省にお伺いしたいのは、このゴルフ場として買った部分ですね、農地部分は二六%ということで買った部分、しかし実際は二十七ホールということで許可になったんですが、実際に使われているのは十八ホール、要するにこの青で囲んだ部分だけです。オレンジ色のところは全然使われてないんです。これは転用許可、五条の方で許可の違反ではないか、これが第一点です。違反であるとすれば、これは県なりこのゴルフ場を買った当事者、熊本企業開発に対してどういう指導をなしたのか。これをお答えいただきたいと思うんです。
  78. 海野研一

    説明員(海野研一君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、高遊原ゴルフ場にかかわる転用許可につきましては、二十七ホール分ということで百五十数ヘクタールの農地転用が行われまして、現在十八ホールの部分がゴルフ場として使われておりまして、九ホール分についてはまだゴルフ場として使われていないという事実がございます。これは私ども、近藤先生が地方農政局へおいでになって調査をするようにというお話がありましたので、地方農政局でいろいろその状況を調べてみたところ、当初は、資金面その他からまず十八ホールでスタートしたということだと聞いておりますが、現在では十八ホールのゴルフ場が非常な盛況でございまして、ゴルフ場の経営者に言わせますと、年間七万人の入場者があるというような状況で、九ホールは、本来なら今にもゴルフ場にしたいんだけれども、実は水道用の配水池にする計画があるというようなことがあって、配水池になってしまうんだとすると、すぐ工事をしてもというようなことで、現在ちょっとその計画の詰まりぐあいを見ているというようなところであるというふうに聞いておりますので、私ども、本来二十七ホールゴルフ場で許可したものでありますから、普通であれば、これは計画どおりに二十七ホールのゴルフ場をつくってもらわないといかぬわけでございます。  ただ、そういう水道用の計画ということになりますれば、私どもとしても、これをゴルフ場にそのままするのと、水道の貯水池にするのといずれがいいか。これは具体的な計画が出てきた段階で判断せざるを得ないと思います。
  79. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私が九州農政局へ行って聞いたときには、そのときの回答としては、ここのオレンジ部分の九ホール分、これは使ってないから違法状況である、条件違反である、どうするのかということについては、県の方からの御回答としては、ここはテクノ用地に考えている、こういう回答が現にあったんです、私に。そして、翌日またもう一度電話してみましたらば、私にその回答をした人は、その翌日、私にここはテクノ用地にしますと県が言っておったと答えたその翌日、県に問い合わせしたというんですね。これは不見識な態度ですよね。その回答があったというのは昨年の十月のことなんですが、それは私にも伝えたんです。ところが、私に答えた後またもう一度県に問い合わせた。そうしたら今の水道の話があったと、そういうことなんでしょう。
  80. 海野研一

    説明員(海野研一君) 今の件も地方農政局へ問い合わしてみました。その結果、先生が三月の二十六日地方農政局へお見えになった段階で、これは担当官が県に照会してということではなく、その場で、若干何か勘違いがあったようでございまして、この地域にテクノが来るということでテクノ用地の計画ありということを答えたそうでございます。ただ、どうもよく考えてみると、高遊原農園のところにつきましては、テクノ用地の計画というのは確かにあるけれども、九ホールの部分は水道用地の計画があったなあというのを思い出して、それでいいかげんな返事をしてもいけませんので県庁に確認をして、確かに水道用地の計画ありということを聞いて、それで翌日訂正申し上げたということだそうでございます。
  81. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 二重三重のうそになっていくんですね。私はこの高遊原農園についてはそのときまだ質問していなかったんです。私は、今言ったこのゴルフ場のオレンジ色の九ホール部分が使用してないことの農政局の監督責任を聞いたんですね。それに対して、この用地はこれはテクノ用地だと、そういうことです。翌日その水道の話がありました。私は早速調べてみました。これは熊本市水道局がこの付近に配水池を造成する目的で六万平方メーターを総額一億八千万円で取得した、そのことだと思うんですね。そのほかにないんだから、この場所以外にはね。ところが、よく調べてみますと、もう既に昭和五十六年にちょうどこの土地の西側に一億八千万円で取得しておるんですよ。地権者は県も含めて十八人。そのうちのごく一部、このあたりがゴルフ場の所有者が土地を提供した。もうこれは取引済んじゃったんですよ。取引は五十六年に済んでいるんですよ。にもかかわらず、私がつい最近、三月二十七日か、そのときにこんなもう買収の済んでしまったその土地をこの九ホールに使うなんていう、それは私が東京へ帰ってきて電話したときにね。しかも県に聞いて言う。こんな二重三重のうそじゃないですか。どうですか。
  82. 海野研一

    説明員(海野研一君) 配水池の場所と今のゴルフ場の場所との関係、今御指摘の点は詳しくお答えできませんけれども、もしゴルフ場用地につきましてそのような公共的な計画がないということでございますれば、当初計画どおりゴルフ場の建設ということを求めていくということになろうかと思います。
  83. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ですから、最初私に正直に答えておいて、要するにここがゴルフ場に使える、ゴルフ場がテクノ用地に使われる予定だと。もうそれはできているんです、県当事者と、それからこの所有者と、それから町長。町長は議会で堂々と、こちらのこの青の部分のゴルフ場もやめちゃってテクノ用地にしようじゃないかと。しかもこの所有者は松野さんの関係の会社だとちゃんと堂々と、議事録がありますが、ちゃんと言っておるんですよね。まさに客観的にそう進んでおるんです。  しかもこの高遊原農園、これは農業生産法人で ありますから農業以外はできませんよね。ところがこれまた大変な話なんです。これは三月十五日、私が行った少し前に登記変更しました。目的が、それまでは農業しかできなかった、それに関する附帯事業しかできなかったけれども、それにつけ加えて、土地及び建物の賃貸し並びに管理業、駐車場の経営及びその管理業、スポーツ用品及び日用品雑貨の販売、酒類——酒まで売るんです。そしてたばこ。もうめちゃくちゃですよ。食堂、喫茶の経営なんていうこんなことまでやる。全部ゴルフ場も含め、農園の残った部分も含め、まさにテクノ用地に提供する準備は万々進んでおるんですよ。  そこで、まず伺いますけれども、農業生産法人が、今私が述べたようなこういう目的、これは違法でしょう。どうですか。
  84. 海野研一

    説明員(海野研一君) 農業生産法人は農業とこれに附帯する事業しか行うことができないことになっております。ほかの事業をやるということになりますれば農業生産法人の要件を欠くということになります。
  85. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ですから、ここでいう、あと農地部分で残っていることに対して、高遊原農園はこれを法人として所有できない状況になっているということ、これが一つですね。ですから、この点はしっかりひとつ監督指導をしてほしいと思うんです。  そして大臣、今までのお話をお聞きになってわかるとおり、今度は少ないだろう、あるいはないだろうと思ったけれども、現にあるんですね。空港がこの上の方にありまして、しかも県道が今もう、私も見てきたけれども、途中まで来ていまして、間もなくずうっと行って一番いいところを通って行きます。農民からこの土地をゴルフ場用地として買うときには県道ができることを隠しておって、松野系の県会議員さんは知っておってしかし農民には隠しておって、そしてこれを買収しちゃったんですよね。だから今、農民はかんかんですよ、だまされたと言って。今県は、ひた隠しに、この周辺のゴルフ場を含め、農園を含め、これをテクノ用地に利用するということをひた隠しに隠しています。  しかし既に県が買収したテクノセンター、まずここには一応テクノセンターができまして、その周りに民間の研究機関ができます。となれば、このほかの周辺は全部農地ですよ。しかも基盤整備が済んだばかりでなかなかこれは転用というのは難かしいでしょうね。ところが、このゴルフ場や高遊原の持っている農園、余りいっぱいに使っていません、しかも面積もちょうど手ごろですよね。これは残ったのが約百七十六ヘクタールぐらいです。坪千円から二千円で買った土地が、私が調べてみますと、大体三万から四万です、このあたり。それで県道が実際通れば、これは六万ぐらいになるでしょうね。そうなりますとこれはまさに大変な暴利です。で、私もここ周辺全部空港の高いところから見てみたけれども、ここに県道ができますと、しかも空港に直結すると、まさにテクノ工業団地としては最適です、いい場所ですね。まさに松野さんよいところへ目をつけたと思うんですよね。  しかし、さっき冒頭に大臣が言われた政治倫理として、県道が通ることも農民には隠して、だまして、そしてこういう使用の仕方をして、違法の状況で使ってきて、しかも今テクノができて、これはざっと計算しても三百億ぐらいの利益、もう既に売ったところで投資した額は、前に学校にも売っていますから、もう投資した額は金利も含めて全部これは回収しています。だから今私の申し上げたのは、金額的には約百六十億から二百十二億、低く見ても。道路ができればそれがさらに倍になる。これは信濃川河川敷にほぼ匹敵するどころか、もっと大きいです。こんなことが現に、今大臣が先ほど言われたような国の中心になっていく、そういう計画に便乗してやろうというこんなことを許せますか。  一つは、私は政治倫理の問題としてお聞きしたいのと同時に、こういうことに税法上の措置やあるいはいろいろな財政措置をされること、これは大変問題だと思うんですが、最後に大臣の答弁をお聞きして、時間が来ましたので、これは本当に残念で、委嘱の審査の時間が短いことは本当に残念ですし、まだ時間があればもっともっとたくさん大事なことがあるんですけれども、一応最後に大臣の所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  86. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今の問題、具体的には私もここで説明を初めて聞いたばかりでわかりません。が、一般論として、テクノであろうと何であろうと、国民の疑惑を招かないようにきちんとしていなきゃならぬことであるという認識は持っております。
  87. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私がこれからお尋ねするのは、現在不服審判で係争中の事件でありまして、係争中の事件を国会で取り上げるということについてはいささか問題なしとしませんけれども、問題の性格を考えますと、一度これを材料にして議論しておいた方がいいんではないかと思いますので取り上げたわけであります。不服審判係争中ですから固有名詞は外してお伺いをしたいと思います。  まず状況を申し上げますと、同族会社がございまして、その社長さんが、従業員参加ということなんでしょう、自分の株式を一部従業員に額面で分けてあげる。この株式というのは譲渡制限がついておりますし、もともと非公開ですから換金性はないんだけど、みんなで努力をしたら配当はちゃんと入ってくるし一緒に頑張ろうよというんで、二五%ぐらいの株式を従業員に分けて七五%は同族一族で持っている、そういう会社なんです。ところが、額面で分けるときに、お亡くなりになったりあるいは会社をやめる場合には、また額面で戻していただきたいという約束になっていまして、従来そうやってきたんだそうです。それが、昭和五十五年、六年、一人やめて一人お亡くなりになりました。そこで株式数が約三万四千、六千株戻ってくることになりました。取締役会で検討して、それは社長が持っていてくださいというんで額面で引き受けた、こういう事例なんです。  で、従業員に株を持たせて会社の一体感を持たせながらやっていこうじゃないか、これは大変結構なことでありますし、同族会社とはいえ、そういった経営が広がるということは私はいいことだと思います。そこで、当然従業員がやめるあるいはお亡くなりになった場合には、この株券というのは換金性がないわけですから、キャピタルゲインは全然期待できない。そうなってくると、当然やめた人もあるいはお亡くなりになった人も買い取ってもらいたいということをおっしゃるのが普通でしょうし、そうなれば会社の方も買い取りますということですから、ごく自然に流れていたわけです。  ところが、税務署の方がこれを見ますと、あの株は一体時価幾らなんだろうか。額面金額で引き受けた三万四千、六千株を見てみたら一株五百九十六円だという査定になりました。したがって、これはみなし譲渡所得である、無申告加算税含めてですけれども、一千七十万円の追徴金がかかってきたんで、今度は先方の会社がびっくりしちゃいました。そんな意思は全くない、しかもこれは市場性はない、従業員参加ということで分けてあげてそれが戻ってきただけだ、五十円、五十円でしか動いていないんです。それが何とまあ五百九十六円とはというんでびっくりしちゃった。それで今不服審判しているんですけれども、実際の経済の動きから見ますと五十円、五十円でしか動いていない、何の譲渡所得も出ていない、それなのに、——まことにもっともであります。  しかし、時価五百九十六円とすると五十円との差額についてはみなし譲渡所得が発生した、したがって課税する。この課税当局の態度ももっともであります。両方もっともで、しかもなおかつ問題が出るということはどこかに問題があるに違いないというのが今回質問として御提起した理由なんです。  まず額面五十円。繰り返しますと、これは上場 しておりませんから市場性はございません。また譲渡制限がついておりますから、その意味でも二重に市場性がない。ところが、課税当局は五百九十六円の価値があると認めた、時価五百九十六円。これはなぜだったんでしょうか。これは簡単に御説明いただきたいと思います。
  88. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) 非常に難しい、しかも興味のある事例でございます。中小企業、特にいまお尋ねになりましたような取引相場のない、あるいは譲渡制限のある株式の価額につきましては評価が非常に難しいわけでございます。しかしながら私どもは、相続税とか贈与税の課税に当たりまして何らかの評価をしなければいけないというつらい立場にあるわけでございます。そこでこの評価をいたしますに当たりまして基本となる点が二つあるわけでございます。  一つは、株式につきまして、大きな上場されております会社、それから今のような上場されておらないいわゆる中小企業、それからさらには株式会社ではございませんが個人の事業、それから全く事業もやっていないサラリーマンという方、こういう方がそれぞれ資産を持っておられますし、また株式も持っておられる。そういうところの評価の統一性と申しますか、調和を図らなければいけないわけでございます。  そこで大会社の株式からまず申し上げますと、若干ちょっと長くなりますので恐縮でございますが、これは時価でございますので、市場で成立した価額で評価する以外に私どもはないと思うわけでございます。また個人のサラリーマンの資産等につきましては、これはもう純資産価額方式ということで資産そのものを評価するということしかないわけでございます。中間をどういうふうにつなぐかということでございますが、そのつなぎ方につきましては、今類似業種比準方式ということで、これを純資産価額方式にミックスをいたしましてつなげておるわけでございます。その点が第一点でございます。  それから第二点は、株式の価額というものをどう見るか。これはその背後にあります会社の資産というものから全く切り離してこれを評価するということはできないであろうかと思うわけでございます。したがいまして、取引相場のない会社でございましても、その会社の資産に着目をいたしましてそれをまず評価する、そこでできました価額を評価の一つの要素にすると、そういうことが必要であろうかと思うわけでございます。  中小企業の場合は、おっしゃいますように、経営者の方が孜々営々として、給料も低いか余りお取りにならない、あるいは配当もおやりにならないということで内部留保が相当できるわけでございますが、そういう場合にそのものが純資産価額ということで反映をされてくる、そういう点は承知をいたしておるわけでございます。  しかしながら、今申し上げました二点の観点から、現行の基本通達に照らしまして評価の実情を見ますると、額面は五十円でございましても、特に業況のよろしい会社につきましては、どうしてもその評価額というのは高くならざるを得ない。そういう宿命にあるわけでございます。    〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕 これは我が国ばかりではございませんで、私ども外国の評価方式なども勉強いたしておりますが、そういう点はあろうかと思うわけでございます。
  89. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 百歩譲って五百九十六円という評価が正しいとしまして、この会社の社長さんとすると困っちゃったけれど、この三万何がしかの株は売ろうかと。売るったって、これはそう高くは売れないから、思い切って額面で整理をしようか、従業員にまた売ろうと、そうなったときに、五十円で売ったら五百九十六円との差額五百四十六円は譲渡損として立つわけですか。
  90. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) これは有価証券の譲渡ということになりますので、いわゆる一銘柄二十万株とか、そういう一定の制限がない場合には非課税ということでございますので、キャピタルロスというものは当然課税所得の計算上算入されないわけでございます。
  91. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そのとおりなんですね。ですから、もらった場合にはみなし譲渡所得が立って、売っならないんですね。しようがないから、じゃ、これ五百九十六円でもう処分しようかとなって処分できるか。お答えが入ると長くなるもんですから、言いますと、これは処分できないんです。じゃ一体この千七十万円の追徴金の金をどこから探してくるか。とても金がないんで、もう株券で納めてください、物納しますと言っても物納は認めないんです。これどこにも逃げ口がないんです。  そういったことを前提にしながら問題をもう少し整理してみたいんですけれども、まず三万四千、六千株、従業員がやめてあるいは亡くなって宙に浮いてしまった。それを従業員同士で分けてください。こうなった場合のみなし譲渡所得は全く五百九十六円で計算するんですか。
  92. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) 譲渡の場合と、それからお尋ねの場合には贈与も関係をしておるかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、個人から個人に対します有価証券の譲渡でございますと、これは先ほど申し上げましたとおり一定の場合以外は非課税でございます。そういうものではない場合で考えますと、これはいわゆるみなす譲渡のお尋ねでございますが、現在はそういうみなす譲渡の建前をとっておらないわけでございます。そのかわり、譲渡を受けた、譲り受けを受けた方、この方につきまして贈与税がかかるということになっておるわけでございます。この贈与税というのは所得税のみなす譲渡、譲渡所得税とは別の観念をされているわけでございます。
  93. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 みなし譲渡の場合でも時価ということが頭に立って課税されるわけですね。その時価は五百九十六円なんですかというお尋ねなんです。
  94. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) その場合の私どもの算定の基礎となる価額は、私どもの相続税の評価で用います価額でございます。これは贈与税にも同様に用いておりますのでそういうことになるわけでございます。
  95. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 もう少し言いますと、大会社の場合類似業種比準方式で時価を算定するわけですね。これが、いろいろ途中の経過を省きますと、五百九十六円の裏側にあることなんです。一般の同族以外の従業員に株を渡すということになりますと別のやり方になる、配当還元方式。配当還元方式というのは、配当率がもし一割だったら額面五十円の株価は五十円で評価する、そういったことですね。非常に低くなる。ですから、個人が受け取った場合と社長さんが受け取った場合と、同じ株でありながら評価額が違うということになるんじゃないか。では今度この会社がもうやめた、社長が受け取らないで会社が自己株を取得しようではないか、三万四千、六千株を会社が取得した。この場合今度は法人税になるんですが、その場合も法律では時価と書いてあるんだけれども、一体どんな決め方をするんですか。    〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕
  96. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) その場合には会社が時価で取得したものと見まして、その売買価額は例えば額面価額でございましても、その額面価額と、それからいわゆる時価でございますが、その差額は法人の受贈益ということで認定所得といたしまして課税をいたすわけでございます。
  97. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私の質問は、今三つ時価が出たわけです。同族会社、まあ大会社としましょう、大中小分かれておりますけれども。大会社の社長さんが受け取った場合の時価、一般従業員が受け取った場合の時価、法人が受け取った場合の時価、全部数字が違うんですよね、簡単に言うと。同じ株式なのに何で持っている人によって時価が違うのか。これがこの問題の一番根っこにあることですよね。これは上場していて流通していたらこの三つの株は全部同じ値段になるんです。個人が持っていようと、社長さんが持っていようと、会社が持っていようと同じ時価なんです。これは非上場ですから時価がない、したがって推定をする。 これはやむを得ないと思うんです。推定をしながら持っている人によってこの額面五十円の株は三種類に評価が分かれる。これはいかにもおかしいんじゃないですか。同じ株ですよ。持っている人によって株券の色が違うんじゃないんですよ。同じ株券なんです。社長が持っている場合、会社が自己取得した場合、あるいは一般の従業員の場合、みんな違う。具体的に言いますと、この会社の例でいうと、社長さんが持っている場合が五百九十六円、社員が持っている場合が還元方式でいきますと二百三十五円かな。とにかく違うんですね。
  98. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) 御指摘のとおりでございますが、これはそれぞれそれなりに理由があるわけでございます。まず、社長なりあるいは会社が取得をいたしました株式の価額、評価と、それから従業員が取得しました株式の価額と評価と違う。その理由から申し述べます。  これは何も従業員が取得したから評価額を低くしているとか、そういうことではないわけでございます。たまたま従業員が一つの要件に当たりましたためにこの評価額は低くなっているわけでございます。  その要件と申しますのは、同族会社の場合におきましては、同族支配株主、株式をたくさん所有していらっしゃいます経営者とか、そういう方の持っている株式と、それからそうでないいわば少数株主と申しますか、あるいは零細株主と申しますか、そういう方々の持っておられる株の評価との間に差を設けているわけでございます。  それはなぜかと申しますと、支配株主の場合には会社の資産というものに対して実権をお持ちになる。そこで、会社の運営あるいは将来の経営というものに対しまして発言力あるいは実質的な影響力をお持ちになるということでございます。しかしながら少数株主、零細株主の場合はそういうことはないわけでございます。  そこで、株式の内容は、どちらかと申しますと、配当だけを受領するいわば配当請求権が化体したような格好になっているわけでございます。株式でございますから、配当請求権そのものと申し上げませんが、いわゆる共益権的な部分がなくなりまして、受益権だけが残っているようなそういう格好になるわけでございます。したがいまして、この二つの株式を評価を同じにするということは、やはり実態に即さないわけでございますので、零細株主の場合には、おっしゃいましたように、配当還元方式ということで評価を軽減をいたしているわけでございます。  そこで、従業員持ち株制度を持ちました場合には従業員も株を取得するわけでございますが、これはもとより零細株主、少数株主でございます。したがいまして、少数株主の一種と観念をいたしまして、この配当還元方式を適用しておる、さようなわけでございます。  それから社長と会社の持っておる株式の評価の差異についてでございますが、社長が持っておる株式とおっしゃいましたが、この場合は従業員からいわば贈与とか譲渡とか、そういうことによって取得した株式でございます。これは贈与税の対象ということで先ほど申し上げました。贈与税というのは所得税と異なるわけでございます。そこで、その評価も相続税と共通して定められておるわけでございます。この評価額は、おっしゃいましたように、類似業種比準方式、あるいは純資産価額方式、あるいはその混合方式ということで定められておりますので、おのずから別の評価が出てくるわけでございます。この評価は大体の場合はいわゆる取引をされた場合の相場に比べまして低くなるだろうと思います。  それから最後に、会社が取得しました株式でございますが、これは法人税法上の計算になりますので、あくまで企業会計の原則にのっとって評価をいたさなければいけないわけでございます。企業会計の原則と申しますのは、当事者で取引をした価額、そういうものを時価で評価をいたしまして、それを計上いたすわけでございます。そういうところで若干の差異が出る。これは相続税の評価額と法人税の評価額の差でございます。そういうことで三種おのおのそれぞれの理由があって差ができておるわけでございます。
  99. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 以上のお答えなんですが、やっぱりわからないんです。同じ株券ですよ。今三種類と言われましたね。例えば従業員と支配的株主としましょうか。従業員が持っていた、それを支配的株主の方が、本人がやめるあるいは死亡したことによって受け取った。この行為そのものには、会社の支配力を強化しようとか、そのことによって支配力がどう変わるとかということもなければ何にもないわけです。同じ株券が動くんです。ところが、ここに来ると、支配的株主が持っていると評価が高くなる。出ていくとき安くなる。ということはどういったことかというと、同族会社の株というのは人に渡せないということになるんです。渡したら買い戻しできないんです。そのたびにみなし贈与で非常に巨額を課税される。  もともと株というのは流通させてほしい。これも株式会社ですよ、同族会社と言っていますが株式会社なんです。やがては上場するところにいくかもしれない。そうやって育ってくださいというのが片方で法律が期待している世界ですよね。ところが、今みたいに評価が違っちゃうともう流通ができなくなる。しかも三通りになる。どう考えてもこれはおかしいとしか言えないんです。どうお考になりますか。
  100. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) 評価の点につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。  同族会社の株式を譲り渡すことの難しさという点につきましては、個人の株主で中小企業の同族会社の株式を持っておられる方がこれを譲渡するということは、いわゆる営業譲渡的な場合というような場合を、一定の場合を除きまして、これも有価証券の譲渡でございますから、個人の株主に売り渡すということであれば、有価証券譲渡益の非課税というものが一般的には有効であろうかと思うわけでございます。そういう意味で、税法上はそういう譲渡につきまして、別段通常の場合は支障になるようなことは私どもはないのではないかと思うわけでございます。もしそれが法人から法人への株式の譲渡でございますれば、これは大会社、中会社、小会社を問わず、どの会社でも企業会計に即しました取引ということで、通常の法人税の課税をいたしていくということになりますので、その点につきまして差はないわけでございまして、いずれにいたしましても、中小同族会社の株式の譲渡が税法によって難しくなると、そういうことは私どもはないのではないかと思っておるわけでございます。  ただし、実際上中小会社の株式が売りにくいということはまことに御指摘のとおりでございまして、その点については私どもも同感でございます。
  101. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私が流通を阻害すると言っているのは、ほかの人に渡しますね、額面でも百円でも二百円でもいいですよ。買い戻そうとなったら今度は六百円に評価される。そんなおっかないことできるか。これでは支配的同族は株を絶対放さないよ。本来、株というのは多数の人が負担し合って資金を集めてというのが株式会社の本来の性格でしょう。にもかかわらず、同族会社について支配的株主が持っている株は赤色、従業員が持っている株は黄色、法人が持っていたら緑というような格好になっちゃうと流通しないじゃないですか。だから、だれが持っていようと株の時価というのは一つなんですと、これは常識ではないですか。  そこで、大臣、意見だけ私申し上げておきます。なぜこう三通りになるのか。法人税はどかしましょう。なぜ一般の従業員の場合と支配的同族の場合と評価が分かれるか。これは大臣ね、もともとは相続税から来ているんです。相続というのはある時点で時間が切れるんですね。その段階で整理をしよう。したがって、相続時点で株の流通というのは上場してあろうとなかろうとないんです。  そこで、その株をどう評価するか。上場してあ ったらその時価に従います、してなかったら、その株というのはまさに額面金額ではなくて、企業支配力の象徴なんです。だから特段の評価をせざるを得ない。相続財産だったら私はわかるんですよ。ところが、今基本通達というのは相続財産しかない。これを全部援用しているからこういったことになるんですよ。一つの株が三通りになっちゃう。だから、実体経済と合わせてこの時価というのは一体何なのか、特に株式なんかの場合。もともと山林とか土地とか、それだったら時価と言われたって多少見当はつくし、そんな高いこと言われたって、お金がありませんとなれば、切り売りをして税金を払えばいいんですよ。株の場合にはみなし贈与であります、言われる追徴金が高い。さあこの株は換金はできない、物納は認められていない。じゃ、家屋敷を売って税金を納めるしかないという不都合なことになるんです。  担当者に伺ったら、いや、あの会社はもうかっているから大丈夫ですよというようなお答えでしたけれども、私はそれは答えにならないんじゃないか。これは今係争中の事件ですから、これ以上のお答えを私は求めません。しかし、税務署がやっているのも、従来の法律、法令、通達に合わせてやっているんですよ。私ども不都合なことは何にもないと思う。といって、納税する側は、そんなばかあるかと。これはもっともなんだ。両方もっともで争っているというのは、どこかに問題があるんですということをぜひ御理解いただきたかったということであります。  終わります。
  102. 青木茂

    ○青木茂君 私は、環境衛生金融公庫につきまして御質問申し上げます。  所管が大蔵省でないものですから、当事者の方においでいただけないのは甚だ残念ですけれども、所管官庁の厚生省の方においでを願ったわけでございます。この環境衛生金融公庫の貸付対象を見ますと、飲食店関係、これが圧倒的に多い。その他いろいろありまして、興行場営業だとか、ホテル・旅館業だとか、簡易宿所営業だとか、いろいろございますけれども、我々の漠然とした感じでは何となく脱税率が高いというのか、しておるとは申しませんけれども、どうも税金の納め方が足りないんじゃないかという業種がずらっと並んでおるわけですね。  そこで、その中でも飲食店の関係、これが五十七年で構成比六三・三%ですから圧倒的に多いんですね。したがって、ここのところからもう少し突っ込んでお伺いをしたいと思うんですけれども、この飲食店関係という中にキャバレーは入ってますか。
  103. 岡光序治

    説明員岡光序治君) 観念的には飲食店ということに入っておりますが、この環境衛生金融公庫で貸し付けをするときには、料金等から見て大衆的でないと判断されるようなものとか、あるいは営業の実態等から見て社会的批判を受けるおそれのあるような営業であるとか、これは貸付対象から外しております。
  104. 青木茂

    ○青木茂君 それでは、過去においてキャバレー的なものに貸し付けをしたという例はないわけですね。
  105. 岡光序治

    説明員岡光序治君) 的なものとおっしゃるのがどこまで入るのかわかりませんが、今申し上げましたような貸付方針でやっておるところでございます。
  106. 青木茂

    ○青木茂君 バーはどうですか。
  107. 岡光序治

    説明員岡光序治君) それは貸付対象には入っておると考えられます。
  108. 青木茂

    ○青木茂君 バーは入っておるわけですね。バーが入っているということになれば、当然スタンドバーも入ってますね。
  109. 岡光序治

    説明員岡光序治君) 入っております。
  110. 青木茂

    ○青木茂君 バーだとかスタンドバーというのは、果たして国民税金から、間接的にせよ、融資をするに値する職業であろうかということになりますと、私は非常に疑問があるわけなんです。  もう一つスナックはいかがですか。
  111. 岡光序治

    説明員岡光序治君) 対象になっております。
  112. 青木茂

    ○青木茂君 スナック、バー、スタンドバー、確かに形式的に言えば料理飲食ということだろうかと思います。しかし裏ではかなり風俗営業的というのか、女性をはべらしてそこで何が行われるかということになりますと、これが私は政府機関の融資対象というものに値するとはどうも思えないわけなんですね。ですから、これは一回その内訳ですね、どういうところに実際どういうふうに貸し付けられているかということを一度我々は国会として調査すべきではないかと思うわけでございます。飲食店関係はそんなところ。  それから食肉販売とか理容とか美容、これらは余り問題ないにしても、その次に興行場営業というのがありますね。これは映画館でしょうか。
  113. 岡光序治

    説明員岡光序治君) さようでございます。
  114. 青木茂

    ○青木茂君 そういたしますと、映画館というのは、今何か雑誌の方ではかなりいろいろな問題が出て国会でも取り上げられておるようですけれども、今の映画館というものにこれまた国民税金から補助をする、仮に貸し付けといえども。そういうものに値する内容であるかどうかということも疑問なんです。映画館であればどこの映画館でもいいわけですね。
  115. 岡光序治

    説明員岡光序治君) さようでございます。
  116. 青木茂

    ○青木茂君 そうすると、いわゆるポルノ映画館というのか成人映画館というのか、そういうものまでも入ってしまうわけですね。そこら辺のところに非常に私どもも何となく釈然としないものがあるということ。  それから、その次にホテル・旅館業というのがありますわ。このホテル・旅館業というのはどこからどこまでがホテル・旅館業であるかということについてはいかがでしょうか。
  117. 岡光序治

    説明員岡光序治君) 旅館業法という法律がございますが、その法律の対象になっているものでございます。  なお、先ほど申し上げましたが、実際の貸付対象に当たりましては、営業の実態等から見て社会的批判を受けるようなおそれのあるものは外しておりますので、例えば、これは言葉があれですが、成人向け映画を専門に上映するような映画館であるとか、あるいは旅館の中でも社会的に批判を招くようなそういったぐいの営業をやっているもの、これは対象外にしているわけでございます。
  118. 青木茂

    ○青木茂君 それは環境衛生金融公庫スタートのときから対象外であったのか、いつごろから、これは批判が出てきていつごろから対象から外してしまったのか、ここら辺のところはいかがなんでしょうか。
  119. 岡光序治

    説明員岡光序治君) 当初からでございます。
  120. 青木茂

    ○青木茂君 わかりました。  その次に簡易宿泊営業というのがございますね。これの概念、定義、これはどういうことでございましょうか。
  121. 岡光序治

    説明員岡光序治君) 旅館業法で定義をしておりますが、具体的には一つは民宿のようなものでございまして、要するに多人数で共有する構造及び設備を主とする施設ということになっておりまして、何というんでしょうか、普通の旅館よりも少し共同利用部分が多いものというかっこうになっております。
  122. 青木茂

    ○青木茂君 いわゆるラブホテルというやつは入りますわね。とにかくラブホテルだって看板に、私のところはラブホテルでございますなんという看板、表示をするわけはないんですから、ホテルだとか旅館だとか簡易宿泊というような表の形をとって、実際はラブホテルであるというようなことも十分あり得るわけじゃございませんかね。
  123. 岡光序治

    説明員岡光序治君) いわゆるラブホテルというものはなかなか定義が難しゅうございまして、私どもいろいろ考えておるんでありますが、普通親子連れで泊まるようなそういう部屋を持っており、それからまた食事の時間にはちゃんと食事ができるようなそういう専門の食堂のようなものを持っておるとか、そういったたぐいのものはもう普通の旅館ではないだろうか。そこでどういったところで線引きをするかというのは非常に難しゅうございまして、いろいろと営業実態から考える と、一流旅館と考えられるようなところも実はいかがわしい部分もあるわけでございまして、その辺概念的な仕分けというのに実は苦しんでいるところでございます。
  124. 青木茂

    ○青木茂君 その次にいきます。  浴場業というのがございますけれども、これは普通の浴場ですね。
  125. 岡光序治

    説明員岡光序治君) いわゆる公衆浴場でございます。
  126. 青木茂

    ○青木茂君 わかりました。  それで貸付業務の実態ですけれども、これは環境衛生金融公庫が主体的にやるというより、これは銀行ですね、そうじゃないですか。
  127. 岡光序治

    説明員岡光序治君) 実際貸付業務を行っておりますのは国民金融公庫、それから銀行あるいは商工組合、こういったところにお願いしておりますが、東京なり神奈川で貸し付けの申し込み金額が三千万以上のものにつきましては環衛公庫が直接に扱っておる、そういう仕分けになっております。
  128. 青木茂

    ○青木茂君 仮に民間金融機関に委嘱するといたしまして、信用金庫まで入りますか、相互銀行、信用金庫まで。
  129. 岡光序治

    説明員岡光序治君) 入っております。
  130. 青木茂

    ○青木茂君 それでしたらこういう調査はできないでしょうか。例えばきょう現在で、四月七日現在で考えてみまして、どういうホテル、どういう映画館にどれぐらい貸し付けがあって、どれぐらい返済があって、現在どれくらいの残高であると。この膨大な件数を全部やるなんということは全く不可能ですから、例えば○○銀行新宿支店なら新宿支店に限定をいたしまして、つまり特定の地域について貸出先一覧表みたいなものができないかどうかということでございますけれども
  131. 岡光序治

    説明員岡光序治君) 先ほども申し上げましたように、実際業務の非常なウエートを占めておりますのが国民金融公庫でございますが、金融公庫において今先生の御指摘のような資料が用意できるかどうか、ちょっと検討さしていただきたいと思います。
  132. 青木茂

    ○青木茂君 私がぜひお願いを申し上げたいと思っておりますのは、基本というのは、とにかく我々の税金国民倫理から見て、社会倫理から見て、極めておかしいと思う方向にもし一銭たりとも流れておるとするならば、これは私は国会は国民に対して申しわけないと思うんですよ。だから、そこら辺のところの実態というものを全力を挙げて我々は明らかにして、国民の前に報告する義務があるんじゃないかと思いますものですから、ここのところをくどくも辛くもお願いしたわけなんでございます。そういう意味でぜひその実態がわかるような資料を、すぐでなくて結構でございますから、関係機関と協議の上つくって提出していただくということをお願いしたいんですけれども、さらにその点をちょっと念を押したいんですけれども、いかがでしょうか。
  133. 岡光序治

    説明員岡光序治君) わかりました。その点につきましてはよく検討さしていただきたいと思います。  なお、先ほども申し上げましたように、貸付対象は社会的な批判を招くようなものは避けておるわけでございますが、そもそも環衛業を行う場合に、一つは公衆衛生の見地から各種の衛生法規がございますが、この貸付対象にしております業種にはすべて法的な規制がかかっておるわけでございます。したがいまして、行政指導をいろいろやっているわけでございますが、その行政指導の一環としまして、一体的に政策金融というのは行っているつもりでございます。それから実際に貸し付けをする場合には、都道府県知事の推薦なんかも得ておりまして、地方団体における行政とも整合性を保つようにしようということで私ども仕事をしているつもりでございます。  先生御指摘の今の資料につきましては、関係機関ともよく諮りまして、検討さしていただきたいと思います。
  134. 青木茂

    ○青木茂君 検討さしていただきたいより、ぜひこれはつくっていただきたい。できる範囲においてで結構ですからつくっていただきたい。全体をやらなくてもいいから特定地域。これは住宅地をやったってしようがないんだから、歓楽街の多いところをやってもらわなければ私の目的は達せられないわけですから、できるだけそういうふうにお願いをしたいというふうに考えております。  もう少し大きな角度からこの問題であえて言うならば、大体これは今度合併になる医療関係の公庫でもそういうことが言えるんじゃないかと思いますけれども、こういうものは四十年代の高度成長期に資金需要が非常に多かった、だからこういう業種にはなかなか資金の枠が回ってこなかったものだから、どうしてもこういう特殊なものをつくってできるだけ援助をしなければならなかったということで生まれたものだと思うんですね。しかし、もう現在は低成長期に入りまして、資金需要がかなり減ってますし、だぶついているわけですね。だから、こういうものができたときの事情と現在の事情は非常に逆の形になっておる。そうしますと、今、現時点でこういうものを考えてみて、果たして一体存在理由というのか必要性というのか、そういうものがあるのかどうかということを私非常に疑問に思う。もう思い切って中小企業金融公庫なり国民金融公庫なりに合併させるというのか、一緒にしてしまうというのか、そういう時期に来ているのではないかと私は考えます。この点はひとつ大蔵大臣に御答弁お願いしたいんです。
  135. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは昭和四十二年にたしか国民金融公庫から分かれたんだね。それで、当時、要するに環衛業が国民生活と密接な関係にあって、それで特に近代化しなきゃならぬということと、それからそのとき議論がなされたものは、公衆衛生という観点からでございました。あの当時は小さな飲食店でも全部、ここは公衆衛生満点の店だとか、その表彰状がある店とない店とは格が違うとか、そういう公衆衛生の面が非常に多かったということ、それからもう一つは、今いかがわしいとかいういろんな言葉がございましたが、同業組合が割合にそれぞれ——あれ七団体でしたか、九団体でしたか忘れましたですが、それなりにセルフコントロールがきくというようなことで、この問題じゃなかったですが、かなりもめた国会のときでございました。——失礼しました、十六団体。結局、各団体の参考人さんが来ましたりして、国会を祝福されて通った法律なんです、これは。それからその後、今青木さんがおっしゃったような議論がないわけじゃございません。環衛業だけに対して融資を行うための機関を設ける必要はないではないかとかというような議論はございました。今度は臨調でも種々の意見がございましたけれども、この公庫は廃止すべきだというところまで踏み込んだ議論はございませんでした、最終的に。したがって、あり方は引き続き検討すべき課題だとは思いますが、臨調では環衛公庫については「環境衛生関係営業の近代化及び衛生水準の向上に配慮しつつ、利子補給金の抑制の見地から業務の効率化を図る。また、貸付計画額の策定に当たっては、適正を期する。」というような指摘にとどまっておるわけであります。一般会計からの補給金というのがおっしゃいますように間接的とは言え、国民税金から出ておる。こういうことになるわけでありますが、あの当時大議論が行われてできて、そしてそれなりに私は機能しておると思っております、これは。ただ、医療金融公庫の問題もございましたけれども、独立して弊害が起きておるとは思いません。国民金融公庫という大きな規模の中にありますと、数は大変に多い、十六団体にわたるものであるけれども、その場合の融資対象としては比較的生産活動を伴わないということからなじまないというので日陰にあった、それを主として公衆衛生というような角度から取り上げたというので、それなりの政策的意義は今日も続いているんじゃないかなと私は思っておりますが、今のような議論もあったことは事実ですから、いつも検討していなきゃならぬ課題だという事実認識は持っております。
  136. 青木茂

    ○青木茂君 もう時間参りましたから、お願いだけ申し上げて終わります。  行政官庁では非常にしっかりした法規なり内規をおつくりになりまして遺漏なくやっていらっしゃるから、それは問題ないんです。問題ないんだけれども、これが下へ流れていった場合、特に現在のように資金需要が緩んでいると、それで例えば民間金融機関は金貸したくてしようがないわけですわな。そういう形になると貸し出し競争が起こって、この金庫のお金が行政当局の縛りをはるかに超えて国民倫理から見ておかしなところに行ってしまう状況が、資金需要が緩んでいるだけにあるんではないか。そういう状況だから、監督当局としては今までよりより一層の目を光らしていただきたい。それでないと本当に、つまりそういう事実がもしあったとすれば、これは存在理由が疑われる議論が新たに出てくるかもしれない。今そういう事実が出てきてないから、大臣も存在理由はまだまだあるとおっしゃいましたけれども、変なところにだらだら流れておったという仮にレポートが出たとすれば、レーゾンデートルの議論を我々としてはもう一回やり直さなきゃならないんじゃないかと、そういうふうに思いますから、ひとつその基礎データはぜひよろしくお願いを申し上げたいと思うわけでございます。  質問終わります。
  137. 野末陳平

    ○野末陳平君 不公平税制の象徴のように言われておりました医師優遇税制ですけれども、以前手をつけてからかなりの年数がたったわけで、さてその後あの改善がどういう効果を上げてきたかということをちょっと振り返って、今後の七二%について検討したいと思うんですね。  まずお聞きしますけれども、あの社保の特例の適用者はどういうふうに増減していきましたですか、ここ数年間。
  138. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 社会保険診療報酬課税の議論が政府税調で行われましたのが昭和四十八年でございます。実際の制度改正をお願いいたしましたのが昭和五十四年でございますが、この辺の時間的な推移で申し上げますと、四十八年当時社会保険診療報酬課税の特例の適用を受けておる、と言いますよりは、実額課税をしておった人の数で申し上げますと、当時お医者さんの四割が青色申告をしておりまして、実額で申告をしておったのがその三割でございます。したがって、お医者さん全体の一二%が実額の申告をしておったという事態でございますが、五十七年にその数字をとりますと大体三倍になっております、実額の申告をしておられる方が。  それからもう一つの観点といたしまして、五十四年の税制改正で現在の七二%から五二%までの五段階の控除率にしていただいたわけでございますけれども、そのときの議論の背景といたしまして、その五二%というのが全診療科目の平均のお医者さんの実際の経費率であるという目安がございました。その五二%を超える開業医の数でございますが、これは五千万円超がその五二%ということになっておるわけでございますが、四十八年当時全体のお医者さんの開業医の一割ぐらいが五千万円超ということでございましたが、五十七年当時では既にこれが開業医全体の四割に達しておるということでございまして、こういったことの背景として、特例適用から漸次実額の申告の方に移ってきておる。したがいまして、この制度自身は、私どもは、現在の五段階の控除率を据え置くということによりまして年々効果を発揮してきておるというふうに一応の評価はできると考えております。
  139. 野末陳平

    ○野末陳平君 その点は、この改正案を審議していた当時からもある程度、これから社保診療報酬が上がってくればこういう効果が出るだろうと見込まれていたところでしたね。  現時点では、じゃ白を選択している開業医さんと、そして青の中でこの七二%適用を受けている人、この辺は大体全体のどれぐらいになりますか。
  140. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 先ほども申し上げましたように、現時点では、白の申告をしている人と青の申告で特例適用の制度を選択している人を合計いたしますと、お医者さん全体の約七割ということに相なります。
  141. 野末陳平

    ○野末陳平君 このままほっといたとしてもだんだん卒業していく、七二%から上へ行くだろうということは考えられるものの、この七二%という数字を残しておくことがいいのかどうかという問題と、もう一つは五二までの段階を、これをこのままでいいのかと、二つあると思いますね。この七二%についてですけれども、確かに今の説明で、このまま将来とも効果を上げていけばだんだんこの適用者が減っていくわけですが、しかしほかの職業では、最近の税務調査などでも、いわゆる経費というものを非常に重視するわけで、経費率というものを厳しくチェックしていくという方向がもう当たり前になってきておりますね。そういう背景を踏まえますと、やはりこの七二%を残したままでおくというのは、これはおかしいと思うんですね。ですから、これが二千五百万円以下だというようなことを説明しても、この七二という数字が今法定経費率として認められているというこの事態をそろそろ再検討して、近い機会に改めるべきではないかと思うんですが、これはいかがですか。
  142. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) その点については私ども基本的には御指摘のとおりだと考えておるわけでございます。それで、昨年の十一月の中期答申におきましても、今後この特例の制度は廃止の方向で検討すべきであるという指摘もされております。ただ、五十九年の税制の改正におきましてこの五十四年の改正後の控除率の見直しを行わなかったわけでございますけれども税制調査会としてもそれなりの五十四年の効果というものを評価しつつ、とりあえず当面は他の諸税の取り扱いと諸般の状況の推移を勘案しながら対処していくのが適当だろうということで、五十九年の税制改正では具体的にこの問題に対処しなかったわけでございます。  社会保険診療報酬課税の問題につきましては、もう一つ地方税の取り扱いの問題があるわけでございまして、税制調査会ではむしろ緊急の問題としてはまずそこから手をつけるべきであるということもございまして、国税につきましては、五十九年度とりあえずこういった答申をいただいたわけでございます。  いずれにいたしましても、私どもこの制度は基本的には廃止する方向で検討すべき制度であるとは考えておるわけでございます。
  143. 野末陳平

    ○野末陳平君 それは当然だと思いまして、もう検討よりも早い時期に全廃という方向を打ち出さないと。当時我々が改正案を審議したときよりもさらに経費についての考え方は厳しくなっておりますからね。  そこで大臣、主税局でもそういうお答えなんですが、今出ました地方税における特例、これが見直されて当然今回きちっと出てくるかと思いましたところ、何かだめだったですね。これについて、これは担当は違いますけれども、これについてはちょっとおかしいと思うんですがね、大臣。何でこれをほっといたんでしょうかね。
  144. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) これは地方税の問題でございますので、大蔵大臣なり税制当局が直接お答えするのに必ずしも適しないわけでございますけれども、五十九年の税制改正の中で、各局面でこの議論を自治省当局がいたしておったことは、私どもそばで見ておったわけでございますけれども、五十九年度——これは長く定着した制度でもございますので、この地方税におきましては、社会保険診療報酬課税のほかに各種の特例があるわけでございます、医療業種だけでなくって。したがいまして、その全体の中の議論の中で五十九年度の税制改正の際にまだ廃止するという成案を得るに至らなかったというのが率直な実情ではなかったかと思います。
  145. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわば検討課題として当然これが問題になって、いろいろ議論された結果、この五十九年度改正はそこまで手がつかなかったという印象でした、総合的に判断して。だか ら、何がゆえにということよりも、議論の過程において総合的にそこまで手がつかなかったというような感じで、私は人ごとじゃございませんので受けとめておりました。
  146. 野末陳平

    ○野末陳平君 なぜ大臣にそれについてお聞きしたかというと、政府の税調にははっきりそれが打ち出されて、答申にですね、おりながら、自民党の税調になるともう全くこれが触れられていないんで、そこでどうなっちゃったのかということをお聞きしたわけですがね。これは地方税における特例をまず改めなきゃいかぬのが先ですが、同時にこの七二%を残しておくということも、これはもう全く今後において不公平ということを引きずりますので、この全廃の方向を少しでも早く打ち出してほしいと重ねて大臣に言っておいて、次に移りたいと思うんですがね。
  147. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今聞いておりまして、たしか二十九年、七二プロ議論というのは、いろいろあの当時お医者さんなんかと議論がありまして、一体何で七二プロか、逆に言えば何で二八プロかと。結局、私どもこれは腰だめじゃないかというような感じを持って受けとめておりましたが、長い間それがずっと来まして、しかし方向はおっしゃる方向だと思います。二十九年というのはいわゆる必要経費率というものに対する基礎的な議論ばっかりしておったような感じがするんです。医師の白い診療服はどうだとか、そんなような議論ばっかりしておったような時期だったと思いますので、私自身は、個人的にあの当時受けとめたのは、これは腰だめみたいなものだなあという感じで受けとめましたが、その後必要経費率という議論がずっと集約されて今日に来ておりまして、当然私はそういう考え方に立つべきだと思います。
  148. 野末陳平

    ○野末陳平君 ほかの職業などは経費率をどんどん引き下げる方向で申告を指導されているようだから、これはもう当然であるという今の方向を打ち出してほしいと思いますがね。  次へいきます。今度は、今回成立しましたけれども個人年金にかかわる部分が五千円ばかり所得控除拡大しました。これについて、これは保険会社にとっては今後セールスの武器になって喜んでいるのはわかりますがね、この際ひとつ注意してほしいのは、勧誘の仕方がともすれば自分の方の個人年金を売り込みたい余り、公的年金を否定するという方向が末端では当たり前なんですね。これは言葉のはずみとも思えるんだけれども、要するに公的年金はつぶれるかもしれないし、将来不安だからだめですよ、うちの個人年金の方はちゃんと死んでももらえるし、国民年金の場合は死亡一時金で非常に損だというふうに大衆が誤解していますけれども個人年金はそういうことはないんだというような今まで進め方していたわけですよ。中には極端な場合、国民年金をやめさせてまで、それプラスアルファでもって自分のところの掛金を捻出させるというような勧誘がかなり行われていたわけです。  さて、今回個人年金がこういう優遇を受けるということになりますと、ますますこれは生保各社は個人年金に力を入れると思います。入れるのはいいんですが、しかしその場合に公的年金を、だめなんだ、あれは頼りにならないからというようなことを勧誘の口実にされては非常にまずいですね。それが現実にありますので、その辺をひとつ。今後この優遇措置が逆になっちゃう。まあ無知だとは言いませんけれども年金について不安を抱いている人たちにかえって損害を与えることにもなりかねない。そんな意味で、どうなんでしょうかね、監督官庁として、勧誘の仕方について少しここのところで指導をきっちりする必要があるんじゃないでしょうか。
  149. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、ああして個人年金競合商品として今度は郵便局がやり出しまして、それで公的年金を補完するものとしてそれはいいことだ。今度五千円ということではございますが、ひとつ踏み切ろうということで踏み切られた。これは事ほどさように税制の上でも優遇されておるということは、勧誘の場合の一つの武器になるだろうと私も思います。  ただ、勧誘の方々があたかも公的年金が不安だかのごとき印象を与えることは、厳にこれは慎まなきゃならぬから、そういう指導はしていかなきゃならぬ。同時に、今度年金問題について国会でいろいろ議論をしていただきますので、これが国民の皆さん方に対しての、年金に対する不安感を除去する一つの機会じゃなかろうか。この前から若干継続しておりますけれども、そういうふうにも受けとめておるところでございます。  私の田舎なんか、五千人の人口で千人以上の年金、年寄りばかりおりますから、だからおいおいそんな議論が中に出てきまして、帰りますと、先生、わしらの時代には年金はもうなくなるそうですが本当ですかというような素朴な質問があるぐらいでございますので、この前の国会から今度の国会へと通ずる一連の年金議論国民にもだんだん理解されるし、同時に公的年金を補完するこういうものに対するそのような勧誘の仕方は、これは指導していかなきゃいかぬことだと思っております。
  150. 野末陳平

    ○野末陳平君 本来は、公的年金の一元化のめどがきっちり立って、こういうふうに将来なるということが決まった上で、それを補完するための個人年金というのが順序だから、これはちょっと早過ぎると思いますよね。だけれども、現実には成立しているわけですから、これはこれで将来の自助努力のために商品勧誘をしてもいいとは思うんです。思うんですが、今の話は、要するに、末端の外務員はコピーでもってはっきり、国民年金をやめてこっちが得だというような打ち出し方をしているわけですよ。だからそれが非常にまずい。だから今、将来の年金に不安を持っている人がとっても多いところへもってきて、それがいきますからね。これは勧誘の仕方がフェアじゃありませんね。しかし余裕がある人が個人年金に、じゃというんならいいんですが、国民年金も上がるよ、いずれ一万円だと。そうすると、今三カ用納める方式をとっていますから、一回に三万円も国民年金に取られるんじゃ大変だね。そう思っているところへつけ込んで、死んだら、あなたは二万何千円しかもらえないよと。そんなことね。これは事実だからしようがないけれども、それは制度の欠陥というべきか、それとも弱点というべきか、そこのみを拡大してうちの商品をって。これが末端で事実あるんだからね。見せませんけれどもコピーでやる。これはもう絶対に厳しい指導と同時に、今大臣もおっしゃった、あくまでこの個人年金を優遇したのは公的年金が第一で、それを補完するために余裕があればこれをやると。こういうような勧誘の仕方をしなければいけないというところまでうるさく干渉してもいいんじゃないか。そこまで思うんですがね。  保険の担当の方いらっしゃらないの、きょうは。だめだな。ちゃんとお願いしておいたんだけれどな。じゃ大臣からひとつ厳しく。これはお願いしておきますよ。  さて、次に移りますが——全然来ておられない。
  151. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  152. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 速記を起こして。  野末君、続けてください。
  153. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃ、あとで個人的にいろいろと注文をつけたりしますから。  次は、いろいろな人的控除がありまして、いつも、この額が出てきた根拠その他について、あるいは同一でいいのかとか議論が出ているわけですが、今回も一つちょっと気になってきたのは、時代とともに見直さなければいけないという立場から言いますと、勤労学生控除ですね。僕は十年、二十年前は当然これがあるべきだと思っておりましたし、それから若いサラリーマンとか、あるいは勤労学生などを優遇する必要があると思っていたんですが、時代もかなり変わってきました。  さてそこで、現在勤労学生控除というのはどういうふうに機能しているものか、それが知りたいのですけれども、これはデータということじゃあ りませんが、どういう人たちがこの恩典を受けて、現実に彼らはそれがプラスになっているんでしょうか。
  154. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) 勤労学生控除の適用対象という点で申し上げますが、私ども勤労学生の方々全部を把握しているわけではございませんが、国税庁の五十七年分民間給与の実態調査によりますと、勤労学生控除を受けておられる方は二万七千七百六十二人でございます。この中で、給与の収入が百万円以下という方が二万五千四百五十八人、それから百五十万円以下の方が二千三百五人でございます。ただ、これは年末調整を行った一年を通じて勤務した給与所得者でございますので、このほかにもあるいはあるのかもしれませんが、それについてはちょっと把握をしておらないわけでございます。
  155. 野末陳平

    ○野末陳平君 その数だけにしても、昼間働いて夜学ぶという学生がおりますからね、これはこれで意味があることかと思うものの、しかし勤労学生控除というものをずっとこのまま今回も引き上げになりましたけれども、残しておいていいのかな。つまり、これは税でやるべき必要性が果たしてあるのか。このままでずっといれば、恐らくいつも引き上げの対象になっていくと思うんですが、これはもっと文教政策の方で、勤労学生に対して育英資金の問題とか充実すべき面があると思うんですね。だから、税における優遇をこのままずっと続けておいてもいいのかどうか。それはあるにこしたことではないけれども、そういう点で大臣の御所見を聞きたいんです。
  156. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは税調も、世界に例のない制度だから見直していいじゃないかと、こういう御答申、御意見があったと思っております。既存の制度ですから、なくすということになると抵抗を感じますけれども、私どもは、今の原則として、教育問題というのは助成政策の中で、税制よりも助成政策が文教政策の基本だという立場に立って考えたときは、やっぱり見直す方向で検討していい課題だというふうに理解しております。
  157. 野末陳平

    ○野末陳平君 これからの課題だろうと思うんですね。  同時に、これは非常に世論と逆行するかもしれませんけれども、老人の扶養控除の問題なんです。今、同居と別居と分けて考えておりますがね、これも分けて考える必要があるのかどうか、なかなか難しいところなんですけれども、これから五年、十年先を考えますと、むしろ同居していた方が、つまり年寄りを家に置いておいて扶養の形態をとっていた方が、その若い夫婦にとっては、あるいはその家族にとってはむしろ有利になっていくんじゃないかという気もするんですね。それは年金制度の改正とあわせて考えなきゃいけないことですけれども、従来の常識は、年寄りを抱えているといろんな点でお金がかかるから、だからこの分扶養控除というのがあって、しかも同居と別居と違っていたわけですね。これからは、かなりの年収があり、同時に扶養家族にもあるいは扶養控除の対象にもなるという、そういう年寄りが相当ふえてくるわけですね。そういう五年、十年先の事情を考えて、同居、別居にこれだけの差をつけていくというのが果たして実情に合っているかどうか。こんなことも、取り越し苦労かもしれませんが、考えているんです。  ですから、こんなことを言うと嫌がられるかもしれないんですが、これはやはり同じでいいんじゃないかな。いずれはそういう方向にしても決して迷惑はかけないんだろう。こういう気がしまして、同居老人それから別居の場合、この扶養控除額、この差というものを今後どういうふうにしていくというお考えか、主税局に聞いておきたいと思います。
  158. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 今の問題も昨年の十一月の中期答申には触れられておるわけでありまして、老人配偶者それから老人扶養親族、それから同居の場合の割り増し制度のあり方の問題でございます。特に同居の場合の割り増しというのは、特別障害者の同居の場合の在宅福祉よりも先行して、むしろ奨励的な政策税制として設けられたという経緯があるわけでございますけれども、率直に申しまして、税制調査会の答申あるいは審議の過程にも照らし合わせまして、この問題、老人をめぐる各種の税制の問題は、今後、年金課税のあり方、特に、年金が現在給与所得として位置づけられ、また老齢年金者の特別控除のような制度もございますので、恐らく年金制度のあり方全体の中で、老人の税制の中の位置づけという関連で議論をされるべき問題であろうというふうに考えておるわけでございます。
  159. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃ最後に。  要するに、これからまさに年金問題との絡みでなければこの人的控除については結論が出ないんですが、障害者、特別障害者というようなところはさらに充実してもだれも文句言わないだろう。しかし、ただ、年寄りを扶養してると言いながら、その年寄りが年金でかなりの収入がある。むしろそれを当てにする家族ですよ、今はね。そういうときに、この辺のことを、同居しているからといって余分に認めるというのはおかしいんじゃないかと思ってたんですね。これはお願いになりますけれども、障害者、特別障害者である特殊な事情にのみ優遇を考えて、あと、一般的なケースは余り考えなくてもいいだろう、少なくも同額でよかろう、こういうふうに思ってますから、それを個人的意見としてつけ加えておきます。
  160. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) これをもって、昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、大蔵省所管日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  162. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) この際、委員長より発言をさしていただきますが、出席要求、それから質疑の通告を受けた部局の政府委員は、出席について疎漏のないように御注意を申し上げておきますから、そのおつもりで配慮していただきたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十八分散会      —————・—————