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1984-04-06 第101回国会 参議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月六日(金曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員異動  四月六日     辞任         補欠選任      木本平八郎君     青木  茂君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         伊江 朝雄君     理 事                 岩崎 純三君                 大坪健一郎君                 藤井 孝男君                 竹田 四郎君                 塩出 啓典君     委 員                 梶木 又三君                 倉田 寛之君                 竹山  裕君                 中村 太郎君                 福岡日出麿君                 藤井 裕久君                 藤野 賢二君                 宮島  滉君                 矢野俊比古君                 吉川  博君                 穐山  篤君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 近藤 忠孝君                 栗林 卓司君                 青木  茂君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君    政府委員        大蔵政務次官   井上  裕君        大蔵大臣官房長  吉野 良彦君        大蔵大臣官房会        計課長      渡邊 敬之君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        小野 博義君        大蔵大臣官房審        議官       田中 泰助君        大蔵大臣官房審        議官       大山 綱明君        大蔵大臣官房審        議官       行天 豊雄君        大蔵省主計局次        長        的場 順三君        大蔵省主計局次        長        保田  博君        兼内閣審議官        大蔵省主税局長  梅澤 節男君        大蔵省理財局長  西垣  昭君        大蔵省理財局次        長        志賀 正典君        国税庁次長    岸田 俊輔君        国税庁税部長  渡辺 幸則君        国税庁間税部長  山本 昭市君        国税庁徴収部長  兼松  達君        国税庁調査査察        部長       冨尾 一郎君        資源エネルギー        庁次長      川崎  弘君        資源エネルギー        庁石油部長    松尾 邦彦君    事務局側        常任委員会専門        員        河内  裕君    説明員        厚生省環境衛生        局食品化学課長  市川 和孝君        農林水産省畜産        局畜産経営課長  香川 荘一君        建設省道路局日        本道路公団・本        州四国連絡橋公        団監理官     平戸  孝君        自治省税務学府        県税課長     湯浅 利夫君        日本専売公社総        裁        長岡  實君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、昭和五十九年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (大蔵省所管日本専売公社国民金融公庫、  日本開発銀行及び日本輸出入銀行) ○酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置  法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○物品税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○石油税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、木本平八郎君が委員を辞任され、その補欠として青木茂君が選任されました。     —————————————
  3. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 去る四月三日、予算委員会から、四月六日及び七日の二日間、昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、大蔵省所管日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  まず、大蔵大臣から説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣
  4. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 昭和五十九年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算につきまして御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入予算額は、五十兆六千二百七十二億千四百万円となっております。  このうち主な事項につきまして申し上げますと、租税及び印紙収入は三十四兆五千九百六十億円、専売納付金は一兆二百十六億八千百万円、雑収入は二兆二千二百二十四億千九百万円、公債金は十二兆六千八百億円となっております。  次に、当省所管一般会計歳出予算額は十兆三千八百三十八億二百万円となっております。  このうち主な事項につきまして申し上げますと、国債費は九兆千五百五十億七千三百万円、政府出資は二千百十億円、予備費は三千五百億円となっております。  次に、当省所管の各特別会計歳入歳出予算につきまして申し上げます。  造幣局特別会計におきましては、歳入歳出とも二百七億千三百万円となっております。  このほか、印刷局等の各特別会計歳入歳出予算につきましては、予算書等によりましてごらんいただきたいと存じます。  最後に、当省関係の各政府関係機関収入支出予算につきまして申し上げます。  日本専売公社におきましては、収入二兆九千四十三億八千九百万円、支出二兆九千三百九十九億三千三百万円、差し引き三百五十五億四千四百万円の支出超過となっております。  なお、専売納付金は、臨時国庫納付金三百億円を含め、一兆百五十五億三千四百万円を見込んでおります。  このほか、国民金融公庫等の各政府関係機関収入支出予算につきましては、予算書等によりましてごらんいただきたいと存じます。  以上、大蔵省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。  なお、時間の関係もございまして、お手元に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明にかえさせていただきたいと存じますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。
  5. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 以上で説明の聴取は終わりました。  なお、ただいま大蔵大臣から要望がありましたように、別途提出されております詳細な説明書は、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  7. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査中、必要に応じ、国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出中銀行の役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認めます。  なお、人選等はこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  10. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は、この委嘱審査期間中に、財務局の問題と国税局の問題についてお伺いをしたいと存じます。  まず、竹下大蔵大臣にお願いを申し上げます。財務局の問題でございますが、大変原則的な質問で恐縮に存じますが、現状財務局及び財務部財務行政について、地域社会地域経済との関係から見て、どのような評価をなさっているのか、見解をお尋ね申し上げたいと思います。
  12. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 財務局は、大蔵本省事務の中で、税に関するもの以外の事務を分掌する総合出先機関でございます。  各地域において、金融機関等監督検査国有財産管理処分等財政金融に関する事務処理に当たっておるわけであります。  また、現地性の強い事務を適切に処理いたしますために、財務局の下に原則として府県単位財務部が設置されております。  財務局・部が行っている財務行政は、大蔵省が各地域社会、各地域経済実態を踏まえまして適切に施策を遂行していくために欠くことのできない役割を果たしておるというふうに認識をいたしておるところであります。
  13. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は、いつも指摘を申し上げておるのでありますが、今、大臣見解表明とは裏腹のような関係にあると思うのであります。大蔵省行政改革ということになりますと、必ずこの財務問題が出てまいりまして、職員の意欲にも重大な変化と不安が現在出ていると思うのであります。私は五十六年のときにも質問申し上げたのでありますが、大蔵省が、昭和四十五年だったと思いますが、大蔵省設置法の一部改正ということで財務部廃止して財務事務所とするという問題が提起されたときからずっと今日までの実態を見守ってまいりましたが、合理化といっても財務部及び財務局仕事はもう限界にきているように思うんです。いつも答弁のときに、行政改革は人を減らすというんであれば、人に見合う仕事をしなくてもいいじゃないかというようなことがよく聞かれるのでありますが、財務行政は一体これでいいのかということを根本的に考えるのでありますが、御所見をもう一度伺いたいと存じます。
  14. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この財務局は、閣議決定されました定員削減計画、これに沿いまして四十三年以降五十九年までに約二五%の定員減、これを実施して合理化に努めておるところであります。  財務局大蔵省の、ただいま申しましたように、税を除く総合出先機関として業務を遂行する必要があると考えておるわけでございます。このためにも、貸金業法施行等新しい行政需要にも適切に対処できるような業務処理合理化を進めますとともに、所要人員の確保に努めていかなければならぬ。ああして貸金業法が施行されましてから、私どもも当初からそのことが気になっておりましたが、まさに法律に基づく新たなる、都道府県にお願いする部分もたくさんございますけれども、そういう問題がつけ加わったわけでございますので、それだけにこれに対応できる人的配置を万全にしなきゃならぬというふうに考えておるところであります。
  15. 鈴木和美

    鈴木和美君 先ほども申し上げましたが、昭和四十五年、大蔵省設置法の一部改正財務部廃止して財務事務所にするという提案がなされましたが、これは四十七年に私の記憶では廃案になっているんじゃないかと思うんです。そのとき大蔵省は、法改正に伴う具体的な内容といたしまして、五カ年計画というものを明らかにしました。その主なるものを拾ってみますと、小樽財務部廃止、それから財務部主計課融資課を統合する、出張所を四割廃止する、四つ目財務部出張所人員を約五百名本局に集中する、こういうものだったと思うんです。ところが、法案が廃案となったにもかかわらず、大蔵省は五十三年、小樽財務部廃止しまして、そして主計課融資課も統合し事務人員を局に集中しました。つまり、人員的に見ますと、法改正はなかったのでありますが、五カ年実施計画のほとんどすべてを実施してしまったと言っても過言ではありません。財務部定員は、昭和四十二年に二千六百三十七人、五十七年では千九百二十六人、七百十一人が減っちゃって、つまり二六・九%削減になっているんです。その結果、今、大臣お話しになりましたが、現在の財務部現地処理しなければならない現地性の強い事務のみが残されまして、必要最小限のものとなっているわけであります。現在、財務部では国有財産管理処分金融、証券、保険業指導監督資金運用部資金地方公共団体への貸し付けなど、このどれ一つとっても地方性の高いものだと思うんです。そこにさらに貸金業法が施行されるわけでありますから、二つの県にまたがるものを、登録の一生懸命仕事をしておるわけであります。  こう見てまいりますと、どう見ても、現状財務局なり財務部というものは、これ以上縮減ができないというように私は見ているのでありますが、そういう意味で先ほども合理化限界に来ているんじゃないのかということを大臣にお尋ねしたのであります。その点について見解をもう一度お伺いしたいと思います。
  16. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、経過に沿いながらの御発言でございましたが、詳細には事務当局からお答えすることをお許しいただきたいと思います。  最初、この問題が起こってまいりましたときに、現地性の高いものということでいろいろな議論をいたしたことがございます。  まず一つには、国有財産管理の問題がございますが、これにつきましては、歴史的にさかのぼってみますと、税務署がこれを行っておったではないかと、こういうような議論もやってみました。それから今申されましたような資金運用部資金市町村等に対してのそれぞれ貸し付け、いわゆる起債業務等が行われておる。都道府県市区町村で三千三百二十五ございますから三千三百二十五、それに一部事務組合等もございますでしょうから、そのうち東京二十三区を除きますが、三千三百台はその貸付先があるであろう。そういうことになれば、当然のこととして、各府県にその業務を見るためのいわゆる地域性の高い仕事が存在するというふうな議論もいたしてみたわけであります。  しかし、一方また、これはまことに比較するには必ずしも適切ではございませんけれども、例えば同じような資金量を保有しておる第一勧銀が、じゃ貸出先が幾らあるかといえば、それは三千三百より多いでございましょう。したがって、それらの店舗の数等からすれば、一県に一つの支店が必ずしも必要ではないではないか、こういうような議論もいたしてみたことがございますが、そのようなものはやはり現地性の高いものではないかということに結論からして到達したわけであります。  したがって、これからも私どもといたしましては、これらに対しましての適正な人員配置というものを念頭に置いて対応しなければならない問題であるという認識の上に立っておりますが、現下の情勢というものから見ますならば、私どもはこれはまさにある意味において限度きりぎりの状態ではないかという事実認識には立っておるつもりでございます。
  17. 鈴木和美

    鈴木和美君 今、大臣から、一番最後のところで、もうぎりぎりのところまで来ているという認識お話がございましたから、それ以上追及はいたしませんけれども、もう少し事務的にお尋ね申し上げます。  今回、ブロック機関のもとに設置されている府県単位機関廃止という臨調の答申に沿いまして、政府財務部廃止し、これにかわって現地的事務処理機関、つまり財務事務所を設置するというようなことが決定されたようでありますが、簡単で結構ですが、この内容と、これを具体的にどうスケジュール化して運んでいくのか、事務当局から御説明いただきたいと思うんです。
  18. 田中泰助

    政府委員田中泰助君) まず、内容でございますけれども財務部廃止に伴いまして、必要最小限現地的事務処理機関として配置されます財務事務所におきましては、現在の財務部事務のうち、国有財産管理処分事務、それから地方公共団体への融資事務、それから信用金庫監督事務等現地性の強い事務処理させることといたしておりまして、主計事務とか、あるいは信用金庫等検査事務、また資金運用部資金管理回収事務等の比較的現地性の薄い事務につきましては財務局に集中する予定でございます。  それからまた、定員につきましては、五十九年行革大綱に基づきまして、今申し上げましたような措置によりまして、六十三年度末までに約四百人を縮減することといたしております。  スケジュールでございますけれども、さきの臨時国会で成立いたしました総務庁設置法等の一部を改正する法律、これが本年十月一日から施行される予定でございますので、同日付で財務部にかえて財務事務所が設置されることとなるわけでございます。  また、事務の集中につきましては、五十九年度におきましては、現在の財務部事務のうち、主計事務、それから信用金庫検査事務等財務局本局でございますけれども、これに集中することを予定しておりまして、また定員につきましては、五十九年行革大綱に基づきまして、百人の縮減を五十九年度においては行う予定でございます。
  19. 鈴木和美

    鈴木和美君 今ある程度のスケジュールが示されたわけでありますが、私が聞いている話が間違いであるかどうか確かめたいんです。  今、財務局財務部を通しまして一年についておやめになる方が大体八十人ということをよく聞くんですが、その八十人ということを算術計算で考えますと、五年で約四百人ですね。その四百人というやめる数と、今のお話の、五十九年から六十三年まででしょうか、その中に四百人をやめさせるという計画であるというものとは、これは同一のものなんですか、ダブるんですか。
  20. 田中泰助

    政府委員田中泰助君) 簡単に申し上げますと、ダブるものではございません。  ちょっと詳しく申し上げますが、財務部整理合理化によります人員縮減は、先ほど御説明申し上げましたように、財務部廃止されて、財務事務所が配置されることに伴いまして事務財務局に、本局の方に集中されますので、それで所要人員本局に引き揚げるというようなことによりまして、現在の財務部定員に比べまして、六十二年度末までに約四百人を減ずるということでございます。  一方、財務局全体の定員削減、これは第六次の定則計画、これは五十七年度から六十一年度まで行われているものでございますけれども、これが今先生おっしゃいましたような約八十人ずつという数字でございますが、これは前に述べました財務部整理合理化に伴う縮減数といいますか、削減数は、その定則内数でございますから、ダブるものではございません。そういうことでございます。
  21. 鈴木和美

    鈴木和美君 事務所ができるということとの関係において、主計事務とか融資事務のうち資金管理事務信用金庫検査事務国有財産管理処分のうち債権者管理事務というようなものを局に集中するわけですね。そうですね。その局に集中するということは、財務部定員全体二千名というようなことに考えると、約二〇%の四百ですね。その事務を局に持っていくということと、それに従事している四百人ですね、それとが、仕事が行くときには人もついていくというんであれば私わかるんですよ。ところが、仕事はそっちに、事務所の方に移しながら人だけは減らしてしまうということになると、この仕事はだれがやるんですか。非常に矛盾が出てくるんじゃないでしょうか。
  22. 田中泰助

    政府委員田中泰助君) 財務部から仕事本局の方へ引き揚げられる。それとあわせまして事務合理化効率化ということが行われますので、財務局財務部を通じましての定員削減の中で、その財務部から本局人員が引き揚げられますけれども事務に必要な人員は確保されているというふうに私どもは考えております。
  23. 鈴木和美

    鈴木和美君 納得できません。後からでも結構ですから、私に納得するように説明をしていただけませんか、時間がございませんので。  そこで、大臣にちょっとお尋ねしますが、今回の財務部の問題というものは、考えてみれば、行政サービスというものをカットしちゃって、つまり利用者というか、そういう人たち財務局財務部のやっていた仕事部分を多少不便をかけるかもしらぬけれども、ぜひお願いしますよというような意味合いが行革というか、合理化というか、そういう中身の柱になっているように思うんですね。そうしますと、私のところ、福島県で考えますと、例えば今までお金を借りるとか何かというようなことで福島財務部、そこに行っていろんな話をしていたものが、今度そういう事務仙台に引き揚げられちゃいますね。引き揚げられるということになると、貸し付け福島でいろいろお話をしておったんだけれども、その後の相談とか、それから対策というのは今度仙台まで出かけていかなきゃならぬということになりますね。そういうような状況ということは、一体本当に財務部行政サービスという面から見ていいんだろうかということをつくづく考えるんですが、大臣見解いかがでしょう。
  24. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、鈴木先生は郡山、福島仙台、私の場合で言えば松江と広島と、こういうことになるわけでございます。いわゆる起債業務とか資金運用部資金問題等になりますと、私も考えてみますと、いわば貸し出し先とでも申しますか、そうすると大体市町村の数プラスほんのわずかのアルファということになりますと、それらが出張する距離が遠のいできますけれども、ある程度のものが局に移ることによって行政事務簡素化にはなるだろう。それだけに、福身なり松江なりで解決つく問題を遠くまで出かけねばならぬということは、いささか痛みを分かつということになるでございましょうが、それが両方行かなきゃいかぬという二重な行政事務が間々あったとすれば、その分はまた合理化されるだろうというような、私は、これもいささか大蔵大臣というよりも地元の関係者としてそんな認識をいたしておるところであります。
  25. 鈴木和美

    鈴木和美君 今の大臣お話は、実務の方から見ると、これからの示唆に富んだ話だとは思うんですよ。つまり、二重に行くということは、住民の側の方から見れば大変これは苦痛なことですね、痛みを分かち合うとは言うけれども。ですから、その解決の方法は、一つにしちゃうか、二つにしておいて人を置くか、全然やらないかですね、それしかないんですよ。だから、そのときに、その合理化痛みを分かち合うとは言いながらも、それは自然的に水は低きに流れるような格好でやらないと無理がいくと思うんですね。そういう面から見ると、今回の人員計画というもの、私非常に唐突過ぎると思うんですよ。  例えば、五十九年で、先ほど申し上げましたように、八十人ぐらいずつやめていくというものに見合いながら計画を進めようという考え方なんでございましょうが、五十九年度については、何か話に聞きますと、百名持っていきたいというんでしょう。五十九年度、共済事務共済組合の監査、主計事務補助金実態調査予算繰り越し事務、こういうものを局に吸い上げるわけですね。それとの見合いにおいて一年約八十人だと思うのが、この年だけは一挙に百人持っていくというんですね。そうすると、百人持っていくということは、その仕事をやっている者をぶった切って持っていくということになるわけですから、今の話から見ると非常に私は無理な計画だと思うんですよ。これは事務当局いかがですか。
  26. 田中泰助

    政府委員田中泰助君) 先ほど事務本局への引き揚げのところで御説明申し上げましたように、五十九年度は主計事務本局へ引き揚げるわけでございますけれども、現在財務部主計事務に従事している人数がかなりございます。そういうのを五十九年度に、まあ一挙にと申しますか、一度に引き揚げますものですから、五十九年度については若干人数が多くなっておる、百人になっておるということでございます。
  27. 鈴木和美

    鈴木和美君 どうもそこのところよくわかりませんので、後からまた説明をいただきます。  それから大臣にもう一つお尋ねしたいことは、先ほど限界であるという言葉の中でもう少し認識大臣として持っていただいて、誤差のないように対処していただきたいんですが、今度、税外収入ということで国有財産の売り払いというんでしょうか、そういう事務や対策が非常に多いわけでございますね。これが約二〇%ぐらい私はふえるんだと思うんです。そのほかに今度は貸金業の先ほどの登録の問題、現状どうなっているか聞かにゃわからぬのですが、そういう事務量が完全にふえてくるということはもう現にわかるわけですね。ところが、そのふえてくる業務の方は何らの手も打たれないまま、削減する方だけが先行するというような財務行政のあり方に対してはどうも私は納得できないんですよ。そういう意味で、限界じゃないかということを押さえながら、プラスされるところはプラスされるように手当てをしっかりすべきだという考え方で私はお尋ねをしたんでございますが、そのことに対する御見解はいかがでございましょう。
  28. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 素朴な感じといたしまして、私自身もサラ金規制事務の問題と、それから税外収入確保のための国有財産売却の事務がふえていくということは、私なりにも理解できるところであります。したがいまして、実際見てみましても、貸金業法施行、規制法施行によって、財務局においての貸金業者の登録指導、監督、立入検査、苦情処理事務を行っておりまして、三月末日現在の財務局における登録申請受け付け件数が七百件、うち登録済み件数が六百二十件。これからもその事務は増大しますし、また苦情処理でございますか、そういうものもふえていくということは私もそのとおりだと思っております。したがって、その事務処理合理化を図って、それらの所要人員の確保にはこれは努めていかなきゃならぬ問題だというふうに理解をしておるところでございます。  国有財産の方も、先ほどいささか冗談話のように申し上げましたが、これはちょうど私が大平内閣大蔵大臣のときにこの問題一番議論いたしましたのは、大平さんの時代にはまさに税務署がやっておったということでございますので、大平さんはその当時のことを想起しながら、ただ御案内のように給与体系が違うという問題もございますけれども、あるいはまた、荒っぽい議論をする人の中には、むしろ局においてちゃんとした方向さえ定めておれば、むしろ都道府県に委託した方がいいじゃないか、こういうふうな議論もいたしたわけでありますが、この問題は金目で見てみましても、土地売却収入として八百二億円、これは五十八年度予算は六百五十六億、だから二二・三%という大変な伸びでございます。したがって、これは国有財産は中央審議会で未利用地、国有地の買い受けの勧奨、一般競争入札を積極的に進めたり、それから昔の里道や水路や我々が考えても、それが国有地かというようなのもたくさんございますです。ああいう問題等についての処分も進めていくということでございます。したがって、それが職員の方に過大な負担とならないような方向でこれを行っていかなきゃならぬということになりますと、ただ、国有財産のそうした問題につきましては、いわば関係者、なかんずく地方団体が多いわけでございますけれども、それらの協力もいただける立場にもあるわけでございますので、それらの協力もいただきながら、これが円滑に進んでいくような配慮をしなきゃならぬというふうに考えておるところでございます。
  29. 鈴木和美

    鈴木和美君 私、いつもこの委員会で質問すると人のことばっかり言っているんですが、私は財務局の場合には、今、人をふやしてくれということを強調するよりも、むしろもう限度ですよということを大臣、私は強調したいんです。もうこれ以上どうにもなりませんよ。ところが、どうしても世間一般的にもそうだし、省内でもそうなんですが、何か行革とかということになると、この財務の問題がいつも矢面に立たされるという状況にあることに対して、本当に私は腹が立つんですわ。つまりそれは考えてみると、全国の財務局を所管するところが出先機関であるということで、大蔵行政の中で、この財務行政を所管するところが、省の中で地方課の皆さんがえらい苦労して世話役をやっているわけですね。そういう組織上にどうも一つ欠陥がありはせぬかと思うんです。地方課が所管するものですから、あってもなくてもいいみたいな感じに外からとられやすいというようなことを私は印象として持つんですが、そういう組織機構を含めて、この財務行政の位置づけというものをもう少し太く位置づけるという方法はできないものなんでしょうか、見解をお伺いしたいと思います。
  30. 田中泰助

    政府委員田中泰助君) 先生、財務局についていろいろ御心配をいただいて大変ありがたいわけでございますけれども大蔵省といたしましては、現在官房地方課で財務局についての元締めみたいなことをやっておりますが、現在の体制で財務行政を遂行していく上での体制は十分であるというふうに考えております。
  31. 鈴木和美

    鈴木和美君 そう答えなきゃならぬでしょうから、それは結構ですが、ぜひ大臣、私の言っている真意を胸に刻んでおいてほしいと思うんです。  そこで最後、この財務問題についての最後ですが、先般大臣からも、ある答弁が横の方からされたみたいな形なんですが、今私が述べてきたようなことの中で、財務行政というものの重要性を認識しながらも、実態がよくわからないという意味で、行革の中で国税の問題といつもラップされて議論される問題があるんです。財務から二千各国税に持っていけばいいじゃないか、国税は税徴収のために必要だ、財務は要らないじゃないかというような議論がまことしやかにされるわけでございますが、私はこの見解には絶対くみしないし、反対です。それはもう完全に、つまり論語読みの論語知らずみたいな格好で、本当に実態に合わないことだと思うんです。そういう意味大臣にもお願い申し上げたいんですが、そういうようなことは一切しないということをどうぞここで表明できれば、していただければ大変ありがたいと思いますが、大臣から見解をお尋ねしたいと思います。
  32. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いつか私が答弁いたしましたのは、率直に申しまして、この今度の財務部財務事務所になって、例えば私のところで言うならば松江から広島へ、先生のところで言えば福島から仙台へというような中の人で、どうしてもその県内を離れることができないという家庭環境にある人を特定して、しかもその人がたまたま従来の経験から税務行政に携わる素質がある場合、その人たちを念頭に置いて考えてみたらどうだといったようなことを勉強したことがあるという意味のことを申し上げたことがございます。私どもといたしましては、いわゆる固有、財務局が税務を除く大蔵省総合出先機関ということで仕事をしておりますので、その要員確保についてはそれはそれとして、税務を除く総合出先機関としての対象としてこれはその要員の確保に最大限の努力を今日まで払ってきたところでございます。  それから税務の問題は、執行体制の充実強化、これは重要であることは事実でございますし、定員事情の厳しいもとではありますが、これはまた国税職員ということを、事象を対象としての人員増にこれまでも努めてきたわけでございます。したがって、財務の人員を国税に回すという意見が全くないわけではございませんけれども財務局は先ほど述べましたような税務以外の総合機関としてのあり方を今日までも持続しておるわけでございますので、これに対しては、今後ともこれは極めて慎重に検討していかなきゃならぬ課題だというふうに理解しておるわけであります。したがいまして、私も、個々のケースで、実際問題、本当に小人数の人を対象として考えられた場合、先ほど私が申し上げましたような事例もあるいは皆無とは言えないでございましょうけれども、この問題はその仕事実態から見て、まさに慎重に検討していかなきゃならぬ課題だというふうに事実認識をいたしておるつもりでございます。
  33. 鈴木和美

    鈴木和美君 毎年毎年やっている話でございますので、私は今の大臣の答弁をこういうふうに受け取らさせていただきましたが、それでよろしゅうございましょうか。  まず、前段の方の財務行政が、それこそ合理化合理化というか、仕事をしないというようなことを考えるということはもう限界に来ている、もうこれでぎりぎりであるぞと、そういう認識大臣もおられる。つまりそのことを裏から見れば、それに必要な人間というものは確保しておかなきゃいかぬというように私は受け取らさせていただきましたし、定員削減というものはもう限界だぞというように私なりにとらさせていただきました。  二つ目の問題は、今、国有財産の問題と貸金業のことだけしか触れておりませんけれども、新しくプラスされるというようなものに対してはそれなりの人の手当ては必要であろう、こう受け取らさせていただきました。  最後に、財務局から税務署に持っていくというようなことについては、きょうの答弁は先回の答弁とちょっと違うんですが、慎重に扱わせてくれということだったんですが、先日の答弁のときにはそんなことは考えない、もうはなからそんなことは考えてないよ、しかし勉強の中に、税務署に転出するというか、たまたまそちらがいいというような人があれば、それはそのケースとして考えるけれども、はながら財務から国税に持っていくというようなことはもうしないよという話を先般承ったものですから、大体今の答弁はそういうニュアンスであるなというように受け取らさせていただいたのでございますが、解釈、説明は要りませんので、そうだと答えていただきたいと思います。
  34. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、鈴木さんおっしゃったのと認識に相違はないと思っております。  ただ、行政改革とか人員削減の問題、政府全体の課題としていろいろ議論することが今後とも皆無ではないと思いますので、それはそれとして、そういうことも皆無ではないという認識には立たざるを得ないと思っております。  それから財務局職員の心情把握の際に、国税庁への転出希望者がいらっしゃるかどうかというような問題は、ある程度それは心情把握の上では調査しておかなきゃならぬと思いますけれども、あくまでも税務行政を除く大蔵省総合出先機関、そういう認識にはきちんと立って対応すべきであるというふうに考えております。
  35. 鈴木和美

    鈴木和美君 それでは次に国税の問題に移らせていただきます。  まず、国税の問題で一番最初に聞きたいことは、これも何回か直税の議論のときにも出ておったのでありますが、法人税関係につきまして、この法人税の五十八年度でも五十七年でも結構ですから、申告件数と実調の件数、その割合、そして更正決定が何件あったか、そしてその更正決定が行われたことによって新しく申告漏れの所得というのがどのぐらい把握されたかということなどについて御説明をいただきたいと思います。
  36. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) お答えいたします。  ただいま昭和五十七事務年度の数字しかございません。これは昭和五十七年の七月一日から昭和五十八年の六月三十日までの間でございます。この間における法人税の調査状況につきまして、ただいま御質問の点を申し上げますと次のとおりでございます。  まず第一に、処理件数でございますが、百八十四万四千件でございます。次に、実地調査件数でございますが、二十万件ちょうどでございます。それから実地調査割合でございますが、一〇・九%でございます。更正決定等の件数は十六万二千件でございます。この更正決定等の割合は八一・〇%でございます。総額としましての申告漏れの所得金額は、一兆四百六十八億円でございます。これにかかります調査による追徴税額、これは加算税を含んでおりますが、三千四百九十六億円でございます。  なお、法人税の事務職員一人当たりの追徴税額、これも加算税を含んでおりますが、これは三千二百万円でございます。
  37. 鈴木和美

    鈴木和美君 三千二百万円というのは、現在法人税に関係しているという職員全体、一万何ほかで割った数字でございますね。ですから実際に実調に出かけていった人ということで割れば、ちょっと金額が違うと思うんですが、どのぐらいになりましょうかね。
  38. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) 御指摘のとおりでございます。ただいま申し上げました数字は、法人税の事務職員約一万人をベースにいたしまして、その一人当たりの追徴税額を申し上げたわけでございます。法人税の事務の中には、委員御指摘のように、申告書の審理とか整理とか、あるいは申告指導とか、内部事務が相当ございますので、調査事務量に見合う一人当たりの追徴税額は、委員御指摘のとおりかなり多額なものになるわけでございます。五十七事務年度で仮にこれを算定いたしてみますと、約四千四百万円程度になるわけでございます。
  39. 鈴木和美

    鈴木和美君 四千四百万から、私も試算してみて、約四千五百万、多く見積もる人は五千万というようなことを述べられております。これはいつでも議論になりますが、何も税務署の職員一人頭に割ってみて、四千万稼ぐんだから、人をふやしたからといってそれだけ上がるわけじゃないということは、一般論としてはそうでしょう。しかし、実際上、実調率を見て、十年に一遍というような格好を見て、必ず実調をすればこの金額が出てくるわけですね。まさにその実調の更正決定のパーセンテージが非常に高いですね。そういう面から見れば、必ず実調というものの重要性というものは私はここで明らかに出てくると思うんです。  そういう意味で、私はもう一つ実際のことを尋ねたいんですが、現在国税職員の中で、ここに書いてあるように、五十六年度と五十七年度の実調率を見てみますと、ちょっと上がっていますね。これは実調率が上がったということで、実調が行われているということよりも、中身を見ると、実調件数がふえたものだから、実調の時間が短いんだと思うんですよ。本当にこれをやったというだけの数字であって、真剣な実調が行われているかということになると、私は認識がちょっと違うんですが、この辺の実態はいかがですか。
  40. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) 確かに御指摘のような点はございまして、法人税に限らず、実調につきましては、通常の調査、それから特別でやや時間をかけて長くする調査、そのほかに短期的に処理をする調査がございます。私どもとしましては、納税者に対しましてある程度の接触を保たなければいけない。一方また事務職員の数は限られるということで、この三者をどのように組み合わせまして最適な調査を行うかということに常に心を砕いておるわけでございます。したがいまして、この実調率の数字というものも、委員が御指摘になりましたように、この短期の調査ないしは特別調査、そういうものへの事務量の配分によって年々多少変わってくるわけでございます。短期の調査は、だからといって私どもは効率が特に下がるというふうにも思っておらないわけでございますが、現在の調査体制のもとでは、この短期の調査はもう必要最小限のぎりぎりの時間で、職員にも相当の過重で働いていただいて成果を上げておるというような状況でございます。
  41. 鈴木和美

    鈴木和美君 言葉じりをつかまえるつもりはございませんけれども、実調の時間が短くても効率は上がるんですか。そういう認識ですか。
  42. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) これはもう一つの要素といたしまして、調査対象の選定能力ということが絡んでくるかと思うわけでございます。調査をいたしますときは、申告漏れの額の大きいもの、あるいは悪質なものというものから目星を、あるいは目安をつけまして行うわけでございます。そのときの目安のつけ方というものが、いわば甘くなればこれは能率は下がってくるわけでございます。またそこが非常に鋭いものがあれば、それだけ効果は上がるということでございます。その辺の調査の選定能力というものには、私ども大変いつも注意をいたしておりまして、実調の時間を縮めるという場合は対象の選定能力をふやすと、そういう前提のもとで考えておるわけでございます。現在、そういう点に配意をいたしまして最大限の努力を行っておるということでございます。
  43. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は、実調の時間が少なくなっているということは、今お話しのような面もありましょう、なしとはしません。しかし実態は、私は違うと思うんです。それはやっぱり頭数だと思うんです。  国税に働いている人たちが職場の中でこういう問題を指摘しているんですが、このことについて当たっているのか間違っているのか聞きたいんです。申告水準の向上、公平課税の確保を終局的な目標にするため、実調率維持方針がとられています。そのこと自体は、国民的要請にこたえる意味では大切なことであると認識しつつも、しょせん限られた人数の中でのやりくりであるところから、職場にいろいろな無理を強いられている現状にあります。今や、納税人口の増加と相まって、取引規模の広域化、複雑多様化など、過去一日でできた仕事がより以上の時間を必要とする要因が後を絶ちません。そのような中にあって、実調率どころか実調件数を維持することも大変であります。実調率維持、すなわち外部調査事務優先は、必然的に内部事務面へ影響をしてまいります。外部事務要員の増加は内部事務要員の縮小をもたらし、外部事務日数の先取りは内部事務日数の減少をもたらしています。これが実調にまた時間をかけられないということの真の実態だと私は思うんです。それを申告漏れの高いところからとか、悪質だというようなことだけで片づけられないんじゃないでしょうか。いかがですか。
  44. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) 大変重要な御指摘でございます。内部事務につきましては、私ども常々からその合理化ないしは省力化ということに配意をいたしておるわけでございます。  その前に実調率についてのお尋ねでございますが、これは納税者に対します調査による接触を極力維持するという観点から、ある程度のものはこれはどうしても必要でございますし、それは私どもとしていつも意を配っておるところでございます。しかしながら、御指摘のように、他方では内部事務ということもかなりのウエートを占めるわけでございます。したがいまして、電算化とか機械化とかいうことを推進したりいたしておりますし、また外部からアルバイト等を活用いたしましてこれを内部事務に充てる、ないしは事務処理手順をなるべく合理化する、報告なども極力少なくするというふうなことをいたしまして、調査事務量の確保に努めておるわけでございます。  しかしながら私ども、御指摘のように実調率一本やり、もう実調率だけ考えれば何でもいいんだと、そういうようなことでは考えておらないわけでございます。実調は、その他の税務行政、すなわち指導であるとか相談であるとか、ないしは広報であるとか、そういうものを一体化いたしまして総合的にいたしませんと効果が上がらないわけでございます。また逆に、実調の事務を随分下げましてこういう指導とか相談とか広報をやりましても、その結果は必ずしも実りが少ないわけでございます。したがいまして、こういう調査とそれからそれ以外の事務とは車の両輪みたいなものでございますので、周あるいは署の幹部という者は常に事務量をどういうふうに配分したらいいのか、税務職員をこういういろいろな機能にどのように張りつけたらいいのかということにつきまして日夜苦心をいたしておるわけでございます。  委員の御指摘、まことにごもっともな点もございますが、そういうことで、私どもは実調一本やりということでは考えておりませんが、他方、ある程度の実効のある実調を維持しなければ、総合的な戦力としての税務の運営ということもまたなかなかうまくいかないというのも実情でございます。この間、私どもも、幹部もまた職員もともどもに日夜非常に苦心をいたしておるところでございます。
  45. 鈴木和美

    鈴木和美君 持ち時間が少ないので、中身がもう少しあったんですが、述べられません。もう一つ重要なことをお尋ね申し上げます。  国税通則法の一部改正のところで記帳義務の問題が大変議論されて、税務職員の態度やモラルや、そういうものについての御指摘なども大変ありまして、それはそれなりに留意してかからなきゃならぬことだと私も思うんです。しかし、納税環境がすべて適正な納税を行うというような体制になっているかというと、大変問題がある面もなしとはしないと思うんです。  私、先般こういう本を読んでいてびっくりしちゃったんですが、これは、北條恒一さんと言われる方でございましょうか、「歪められた反税闘争を衝く!!「民商」の実態」というのが私の手元にあるんですが、この民商というか、民主商工会と言うんでしょうか、この団体に対して税務当局はどういう団体であると認識されていますか。
  46. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) お尋ねでございますが、私どもは、税法の適正な執行という見地からいたしますと、いつも同じような立場にある納税者は同じように扱うということが、これはいわゆる水平的公平という点からも必要であろうかと思っておるわけでございます。特定の団体に所属しているからということで納税者の取り扱いを異にする、これは私ども許されないことだと思うわけでございます。しかしながら、他面、特定の団体に所属しているから納税をしなくていいとか、あるいは納税を不当に低くしてよいとか、そういうこともまたあってはならないことだと思うわけでございます。そういう見地に立ちまして、納税につきまして非協力な方々、これには常に厳正に対処しなければいかぬ、こういうふうに思っているわけでございます。
  47. 鈴木和美

    鈴木和美君 私も別に、特定の団体に所属しているから差別をもって見るなんという、そんなけちな考えはありません。それは当然だと思うんです。  ただ、税務職員が適正な実調などを行うときに、この本で読んでみたり、ビラで、私もたくさん持っているんですが、私の知っている友達も名指しで書かれているのもあるんですが、そういう事件というか、調査妨害というか、そんなことがあっちゃいかぬと私は思うものですから、その点はどうぞこの団体に対しても、そういう問題があれば適正な話し合いができるような指導も十分にしてもらいたいと私は思っているんです。  それで、ここにたくさん本がありますけれども、昔と今とでは対応が大分違うんだという話も聞いているんですが、そういうことに対してはどんな現状でございましょう。
  48. 渡辺幸則

    政府委員(渡辺幸則君) いわゆる納税非協力者ということの調査に当たりましては、場合によってはいろいろなことがあるわけでございます。多数の会員とか事務局員に取り巻かれるというようなこともございますし、また相当きつい言葉をいただくこともある。また最近ではビラなどで個人攻撃、税務署員の個人攻撃をされるということもございます。最近でもまた物理的な暴力が振るわれるというような場合もないわけではございません。  そういうことで、調査の担当者はほかの事案の調査に比べまして精神的にも肉体的にもかなり、これは生身の人間でございますから、こたえておるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、私どもは一面におきまして、そういう場合におきましても毅然たる態度で対処をいたしておりますし、またそういった職員につきましては、これは常に士気の高揚を図るということに内部で十分配慮をいたしているわけでございます。
  49. 鈴木和美

    鈴木和美君 過度な対応をする必要もございませんけれども、人間と人間の関係ですから、どうそうまくやっていただきたいんです。  しかしまた、問題があれば、私も国税の労働者の推薦の鈴木和美でございますから、皆さんの仕事のこともやらなきゃいかぬと思っています。  さて、大蔵大臣最後にお尋ね申し上げますが、今税務労働者の職場での感じの世論調査があるんですが、このことと、それから今まで質問をしてまいりましたこととの関係を見ながら御質問いたします。  現在の仕事の状態は、人員仕事に追いつかないという者が五八・九%あるんです。仕事がきつくなっているという者が六一二二%ある。人事が不公平であるという者が二九・〇%、立場が不明確であると答えた者が二一・五%、職場環境や設備がよくないと答えた者が二〇・九%ございます。これが労働者が職場で感じている実態であります。  こういう一面と、先ほど実調の問題を取り上げまして、御質問して実態が明らかになってまいりました。そして算術計算ではじくわけじゃございませんけれども、一人当たり法人税は、実調やれば約四千五百万税収が上がっているという実態もまた明らかであります。  こう考えてまいりますと、私は国税職員の問題について各議員さんの理解によっていろんな附帯決議がつけられて、毎年毎年過ぎています。大臣の答弁によれば、皆さん方の御協力によってああいうことになったとか、附帯決議があったから縮小のやつがある歯どめができたというような御答弁でございます。しかし、それをもう一歩進めて、国の財政がこういう状態になっているときに適正な納税ということを指導し、またそのことをやらなきゃならぬということが本当に重要だとするんであれば、単なる附帯決議をつけたからとかつけないからというような問題だけにとどまらず、もう少し積極的な私は対策を方針的に、大綱的に、ただ人を少ないところから持ってくるとか、またちょっと削るところを上げたとかというような、そんなことじゃなくて、根本的な政策樹立というものが必要だと思いますが、その答弁をいただきまして私の質問を終わりたいと思います。
  50. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この示されておりますいわゆるアンケート調査、これは第一線で働く皆さん方がそういう感じを持っていらっしゃるということを素直に受けとめるための貴重な資料であると思っております。で、本委員会におきましてもいつも議論が行われるところでありますが、確かに私が申しておりますのは、まず隗より始めよとか、いろいろな議論の中に私どもが税務職員の増員、充実というものを図っていくためには、附帯決議とか、あるいはこの委員会等におけるいわば激励とも受けとめるべきその御質問というのが支えになっておるということを申し上げておりますが、とはいえ、その支えにのみすがってみずから積極性を欠くということではありません。私どもも本委員会においてたびたび議論されておりますような方向で実際問題検討していかなきゃならぬじゃないか。  本当に素直な気持ちから申し上げまして、従来、大蔵大臣といえば大体歳出のことを主として考えておればよかった。が、今やまさに歳入を絶えず念頭に置いて、いわば仕事の質的な変化というと少しオーバーになりますが、そんな感じすらする昨今でございますので、御要請の趣旨を体して、まさにまじめにこれは検討すべき課題だと思っております。
  51. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 大蔵当局のいろいろな資料であるとか、あるいは税調の答申であるとか、さらには行革に関するさまざまな資料を拝見をさしていただきますると、いわゆる第一次石油危機以後の十年間、この間に多額の公債が発行され、公債残高は、資料によりますると、五十九年度末には百二十二兆円程度にもなるだろう。しかもGNP比も対四割の水準を超えるであろう。でありますから、財政改革、財政再建というのは、やがて十五年余りしてやってくる二十一世紀の時代にツケを回さない、すなわち現世代に生きている者の責任において、食いつぶしの世代であったと過酷な評価を与えられないようにしなければならない、こういうことが今大きな問題としてあるわけであります。  ところが、数字的に百二十二兆円に上るであろうと言われても、一般の国民の皆様方は、私もそうでありますけれども、一体どういうような財政の状況になっているんであろうか。  ちなみに、最もわかりやすく昭和五十九年度、本年提案をされております一般会計の歳出予算から、仮に税金一万円のお金、このお金はどんなふうに予算でなっているのかというのをプログラムをしてみました。そういたしますと、数値的にはいささかのずれはあるでありましょうけれども、何と驚くべきことに一万円の使途は、二千十円というのは国債費支出をされる。これは言いかえれば、一万円のお金というのは、国家予算の中にあっては七千九百九十円にしか使われておらないのだなあということを実はつくづくと肌身に感じ、そぞろ恐しくなるわけであります。  そこで、昭和五十五年の十一月の税調の中期谷中、この中で次のようなことが実は述べられておるわけであります。「特例公債の償還が本格的に始まる昭和六十年度より前に、国税収入の歳出総額に占める割合を、昭和四十年代における我が国の水準や主要諸外国における現在の水準を参酌して、まず、八〇%程度にまで引き上げることができるならば、財政構造の健全化はかなりの進展が図られ、国民のニーズに応えつつ安定的な財政運営を維持することが可能となり、財政の対応力も相当程度回復されることとなろう。」、こういうふうに実は中期答申では述べておられるわけであります。翻って、現今を考えますると、残念ながら昭和五十九年度の予算では六八%程度を占めるのでありまして、目標水準にはほど遠いのであります。  そこで、この際お伺いをさしていただきますが、政府はこのような状況をどのように受けとめられ、また今後どのように対処をしていかれるおつもりか、まずお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  52. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 御説の計算は事実でございます。しかも、私どもいま一つ考えますのは、その一万円のうちの千数百円というものが、言ってみれば、富の再配分という形ではなしに、国債を現に所有していらっしゃる方に対する利子という形で資源配分がなされていくというところに国債政策の持つ基本的な問題点があると思っております。確かに、国債政策というものに踏み切りましたのはオリンピックの翌年、戦後最大の不況と言われましたときからでございます。しかしながら、そのときの国債政策というものは大変に短期的にその効果を上げて、まさに四十年代というのはそれなりに、少なくとも四十年代前半というものは私は好調に推移してきたと思います。四十年代後半になりまして、たしか四十八年が福祉元年と言われる時期でございます。そのときに同時に起こりましたのがいわゆる第一次石油ショックでございます。したがって、それからいわば公債依存度が高くなり、したがって租税収入等、国税収入等が歳出総額に占める割合が大変落ち込んで、その後からきているわけであります。  したがって、私どももまずは、今まで、今日まできたというのは、国際同時不況等もあったでございましょう。予見せざりしものが、あるいは一九七〇年代を不確実性の時代として受けとめるならば、およそ予測せざりしものが数々あって、それがそういう全体の国税収入の割合を大変落ち込ましていったということになるでございましょう。したがって、今回借りかえをお許しいただきたいというようなものも、言ってみれば、既発の公債というものは国民の貯蓄の中に、言ってみれば、その中に埋め込まれておる。したがって、まず第一段階に考えられるべきものは新発憤、すなわちこれからの国民の貯蓄の増加を当て込んだ財源措置というものをまず減らしていかなきゃならぬということが赤字公債の六十五年度を努力目標としての脱却であり、それを何とかなし遂げていって、そしてその後は全体のGNPに占めるところのこの公債依存度というものを下げて、当面国債費はずっと長らく続くわけでございますけれども、全体の水準を下げることによってこの国税収入の割合を比例して高めていこう。  さて、それがためにどうしたらいいかということになりますと、まさに国民の現在受けております。その水準を下げるのか、あるいは受益者も国民、また負担するのも国民でございますから、負担をお願いしていくのか、あるいはそれらの組み合わせでいくのかということが、国会の場での議論を通じて国民のコンセンサスがどこにあるかというものを見定めながら、本質的には国税収入の割合が徐々に高くなっていくという方向で健全な姿に回帰を求めていかなければならないというふうに考えておるところであります。
  53. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 次に、先へ進ましていただきまして、中期的な財政運営に関しまして御質問申し上げたいというふうに思うわけでございます。  当局の資料の「中期的な財政事情の仮定計算例」というのがございます。これによりますると、一般歳出の伸び率〇%、三%、五%、この三つのケースが示されておるわけでございます。そのいずれを見ましても、財政改革への道程というものは容易でないものがあろうというふうに思慮されるのであります。例えば特例公債の借りかえを発行しつつ、一般歳出について伸び率〇%で何年も据え置くといたしますと、六十五年度には要調整額は解消されますけれども行政サービスの水準が大きく低下するであろう、国民生活に甚大な影響を与えるのではないだろうか。また一方、一般歳出を毎年五%で伸ばしたと仮定をいたしますと、特例公債の借りかえを行いましても、昭和六十五年度には十兆円近くの要調整額が生じるようになってしまいます。どのようなケースに従って今後の財政運営を進めていくおつもりか、まずお伺いをいたしたいと存じます。  なおまた、その場合、どのような方途によって要調整額の解消をお図りになるのか、あわせてお伺いをさしていただきます。
  54. 保田博

    政府委員(保田博君) 先生御指摘の仮定計算例は、財政改革の進め方を考えるという際の御議論の参考にしていただくということから、五十九年度予算のいろんな計数を踏まえまして、一定の仮定のもとに、あるいは等率でございますとか、あるいは等差といった機械的な手法によりまして、昭和六十五年度に至る財政収支の状況を試算、試みに計算をいたしたものでございます。このような性質のものでございますから、仮定計算は前提の置き方によりましてまことに千差万別、幾通りも可能なのでございますが、先生がごらんをいただいておりますように、我々の方は一般歳出の伸び率につきまして三通りの計算をお出ししたわけでございます。機械的な試算でございますので、それぞれのケースについて我々として、この方法がいい、この伸び率によるべきだといったような特別の政策的意図を持っているわけではございません。単純な試算であると申し上げておきます。  で、一般歳出の〇%というものにつきましては、御承知おきのように、五十八年度、五十九年度の二カ年にわたりまして、国債費とか地方交付税といったものを除きます政策的な経費につきまして、二年間にわたりまして前年度対比で〇%あるいはマイナスといった予算を組んだわけですが、それを引き続き今後とも六十五年度まで続けるということは実際問題として私は非常に難しいと思います。御承知おきのように、高齢化社会を迎えまして、社会保障関係費なんかの趨勢的な伸びというものは、よほどのことでないと増勢をとめるというわけにはなかなかいかないと思いますし、この試算によりますと、この一般歳出の国民所得に対する比率も、五十九年度の一二・七から九・四に落ち込んでしまうといったようなことでございまして、なかなか現実的なものではないと思うわけでございます。  また、一般歳出の伸びがこの三つのケースのうち最も高い五%ということで試算をいたしますと、この国債費あるいは地方交付税の伸びも含めました全体の伸び率が国民総生産の伸び率の上限よりやや下回るといったようなことでございまして、臨調等の御指摘のラインに乗るわけでございますけれども、これは先ほど先生御指摘のように、非常に大きな要調整額が毎年度残ってしまうという問題があるわけでございます。  この三つのケースにつきましても、この試算は単純に毎年度同じ割合でやってありますけれども、このゼロはともかくとしまして、三%、五%の総体の伸びも前の方に前倒しをするか、後ろの方に倒していくかといったような選択も可能なわけでございまして、それらのどれをとるかということについては、毎年度の財政事情を勘案しながら考えていかなければならないと思うわけであります。いずれにしましても、先生御指摘のように、今後一般歳出を伸び率ゼロとして続けていった場合以外は、まず相当の巨額の要調整額が毎年度残るわけであります。  要調整額と申しますのは、歳出が歳入を上回る部分でございまして、結局これを縮めなければ予算は組めないわけでございます。歳出が歳入を上回る部分が要調整額であるといたしますと、これを解消する方策は、歳出をカットするか、歳入の増加を見込むか、あるいはその組み合わせの三つに頼る以外はないわけでございます。  我々といたしましては、まずもって歳出の節減合理化を図る必要があるというふうに考えておりまして、各種の制度・施策を根本から見直しまして、経済、社会の構造変化に即応した新しい時代の要請にこたえ得るような財政体質に変えるということがまず第一にとるべき基本的な態度であろうと思っておりますが、同時にまた、真に必要な政府の役割、これを果たすための財源、国民負担のあり方についても検討が必要であろうと思うわけであります。  ただ、流動的な国際経済情勢のもとで、我が国の経済運営につきましても、一義的な予測を立てることはなかなか困難でございます。財政もその経済部門の大きな部門でございますから、この財政運営について現在の段階で昭和六十五年度に至るまでの非常にリジッドな計画を立てるということは不可能な状況でございますが、我々といたしましては、毎年度の予算の編成に当たりまして、最大限国民の選択の赴くところ、いろんな御議論を参考にいたしながら要調整額の解消のための具体的な方策を検討していくというふうに考えております。
  55. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 関連してお伺いをいたしたいのですけれども、時間が余りありませんので先へ進ませていただきます。  次に、特例公債の借りかえ問題についてお尋ねをいたしておきたいと思います。  御案内のように、石油危機という予期しない事態の発生に伴いまして、経済成長率は大幅に低下をする、税収の伸びは、先ほど来申し上げておりますように、急激な鈍化をしてくる、我が国の経済、財政を取り巻く環境というものは極めてゆゆしい事態を招来しつつあるというふうに思うわけでございます。我が国経済の着実な発展あるいは国民生活の安定を図りながら財政改革をお進めになる、特例公債について借換債を発行することを検討することもやむを得ないと私は思うのであります。  ところで、特例公債についての借りかえを行うことにつきましては、特例公債償還の財源を調達する方法として借換債の発行を認めることを意味するものでございますが、公債の保有者たる国民の皆様に対しまして、現金による償還が保証されていることについては全く疑いを差し挟む余地はないと考えるのでありまするけれども、聞くところによりますると、世間一般には、借りかえを行うことになれば各人が保有をしている国債について現金による償還が受けられないのではないだろうか、身がわりの公債を強制的に割り当てられるのではないだろうか、こういった誤解や心配という向きを現実に私も耳にいたしておるところでございます。この際、個々の国債の保有者に対しまして、金額現金による償還を行うことには変わりない旨確認をいたしておきたいと思います。
  56. 保田博

    政府委員(保田博君) 先生のまさに御指摘のとおりでございます。国債の償還につきましては、それを所有する者に対して現金償還を確実に行うということは当然の約束事でございますし、我々としてこれを何とか回避しようといったようなことを考えるつもりは毛頭ないわけでございます。この点は、現在も行われております建設公債の借換債の発行の場合と特例公債の借換債の発行の場合とで選ぶところはないわけでございます。  で、先生御質問の中にございましたが、いわゆる特例公債の借りかえという問題も、特例公債の償還をするための財源として新たに借換債、別途、国債を発行することができるかどうかという問題でございまして、この問題と個々の国債を現に保有している者に対して満期時に償還するということとは全然別の話でございまして、現在の国債の保有者には必ず現金で償還をさせていただきます。このことは当然でございまして、この機会に改めて強調させておいていただきたいと思います。  で、そのような誤解が二、三年前に実はある新聞で、政府が特例公債の借りかえの方針を検討した、検討を始めたといったような報道がございまして、そのときには証券会社とか我が理財局等に問い合わせが殺到して混乱したようなことが現にございます。我々としましては、種々の機会をとらえましてそういう誤解が生じないように万全の対策をとりたいと思っております。
  57. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 借りかえ後の公債のすべては、国債整理基金特別会計法の第五条に基づいて発行されるわけであります。制度的には借りかえ後は特例公債と建設公債の区別がなくなるのではないかと私は思うのでありますが、この際言葉の表現は悪うございますけれども、飲み食いの費用を借金で賄うための特例公債と、いわゆる資産見合いで発行される建設公債では、基本的に性格が私は違うのではないだろうか。したがいまして、財政節度を維持するというそういう観点に立ちまして、借換債を含めた公債残高につきましては、特例公債にかかわる分、建設公債にかかわる分を区別して表示をすべきではないか、こういう考え方を持つものでありますけれども、その点についてお伺いをさしていただきます。
  58. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) ただいま御指摘がございましたように、特例公債の借りかえを行います場合におきましても、その根拠法は建設公債と同じように国債整理基金特別会計法第五条ということで、根拠法は全く同じでございます。それから投資家といたしましては、建設公債の借換債であろうと特例公債の借換債であろうと、有価証券としての国債としての性格が同じでございまして、それも変わりはございません。しかし、御指摘のように特例公債の残高がどうなっているかということは、財政改革を進めていく上に必要だということで、財政審の答申でも何らかの工夫をして特例公債の残高を明らかにするようにというふうな御指摘もございます。全く先生御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、六十年度に向けましてどういう方法でやったらいいかということを十分検討いたしまして準備を進めたいと、こういうふうに考えております。
  59. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 次に、補助金などの整理合理化についてお伺いをいたしたいと存じます。  歳出の節減合理化との関係でよく引き合いに出されるものに補助金などの整理合理化の問題がございます。補助金などが社会保障、文教、公共事業などの各種の行政分野の施策を推進する手段として重要な機能を果たしておりますることは論をまたないところでございます。したがいまして、補助金整理合理化に当たりましては、個々の施策・制度の基本に立ち返りまして見直しを行っていく必要があるのではないかというふうに私は思うのであります。つまり、一歩突っ込んでみるという意味でございます。  「五十九年度の補助金整理合理化状況」という二ページ目の表を見ますと、今、私が申し上げた社会保障、文教、公共事業等々だけで八〇%を実は占めているわけであります。ただ、この数値的なものでなくて、内容的なことへもその施策の推進という意味からも、この際、目を向けるべきではないだろうか、こういう意味でこの点についてお尋ねをいたしておきます。
  60. 保田博

    政府委員(保田博君) 補助金整理合理化という問題は、かねてから各方面から御指摘を受けておるわけでございまして、我々財政当局といたしましてもかねがねその方向で努力をしてまいったわけでございますが、補助金は先生御指摘のように、社会保障、文教それから公共事業というような国の基本的な諸施策を遂行するための政策手段として非常に大きな役割を果たしているものでもあるわけでございます。したがいまして、それぞれの政策目的と切り離して単に補助金であるからというそれだけのことでこれを整理するということは適当ではないと考えておるわけであります。  ただ、補助金はとかく既得権化しやすいといったような弊害もかねてから御指摘があるわけでございまして、このような弊害を除去いたしますとともに、財政資金の効率的な使用を図るといったことから整理合理化を絶えず行っていかなければならない、そういう精神でいかなければならないということは、先生御指摘のとおりでございまして、五十九年度予算におきましてもいろんな合理化方策を実際に予算でやっております。  具体的に申し上げますと、一割削減という措置をやりまして、削減目標額は千二百十三億でございましたが千八百五十一億円を削減する、それから医療保険制度の改革に伴いまして……
  61. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 もう一つ聞きたいから、ちょっと短くお願いします。
  62. 保田博

    政府委員(保田博君) それから水田の利用再編対策の転作奨励補助金縮減、それから保健所に対する補助金を交付金にかえるといった方策を講じまして、一面ではまことにやむを得ない増加要素もあるわけでございますけれども補助金の総額としまして、五十八年度当初予算に比べて四千三百五億円を削減するということにいたしたわけでございます。この削減というのは昭和三十四年以来ということでございまして、我々としては相当努力したつもりでございますが、今後ともなおその方向で努力さしていただきたいと思っております。
  63. 倉田寛之

    ○倉田寛之君 もう時間がなくなりましたけれども、地方財政のことでお尋ねします。  国の財政事情も大変な状況にあると同時に、いわゆる地方財政も大変財源不足が続いてきている。しかも昭和五十九年度、今年を経過いたしますと、恐らく五十四兆円ぐらいの巨額の借金を抱えるように実は地方はなるであろう。  そこで、端的にお伺いいたしますけれども、特に事業税、これについて外形課税という考え方で導入を図るお考えがあるかどうか。中間を省略しましたので端的な質問になりましたけれども、お伺いをいたします。
  64. 湯浅利夫

    説明員(湯浅利夫君) 事業税の外形標準課税の導入問題につきましては、かねてから長い議論があるわけでございますが、特にこの事業税というものが事業活動と地方団体の行政サービスとの間の受益関係に基づいて課税するという考え方で成り立っているものでございますし、それからまた法人なり事業をやっている方々が所得がなくて赤字になってしまいますと事業税を一銭も納めないというのは、今の事業税の考え方から申しましてもおかしいのではないかというような論議もございますし、また地方財政の現況から考えまして、安定的な税収を確保するためにも、所得に対して事業税を課税するというやり方は、これは改めるべきじゃないかという強い御議論がございまして、私どもといたしましては、できるだけ早い機会にこの方式を導入すべきだと思っております。  ただ、この問題につきましては、御案内のとおり、企業関係税の問題とか、あるいは間接税の問題とか、国、地方を通ずる税制全体の問題にも関連してまいりますので、この問題については引き続き検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  65. 多田省吾

    ○多田省吾君 まず、大臣にお尋ねいたしますが、政府は四月三日の閣議で、たばこ、塩専売制度等、専売公社の改革関連三法案を決定されたわけでございます。またこの次には、たばこ消費税法案など開運三法案を近く閣議で決定いたしまして国会に法案を提出するという予定になっているそうでございますが、私は、将来法案が来れば詳しくまた審議しなければなりませんので今回は簡単にお尋ねしておきますが、そのめどをまずお伺いしたいと思います。
  66. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 大変申しわけございません。  今の御質問の趣旨、そのめどとおっしゃったわけでございましょうか。
  67. 多田省吾

    ○多田省吾君 法案提出のめど。
  68. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 現在、先ほど先生がおっしゃいましたように、たばこ事業法案並びに日本たばこ産業株式会社法案、それから塩専売法案につきましては四月三日に閣議決定が終わったわけでございますけれども、これと御一緒に御審議をいただくべきたばこ消費税法案並びにその関連整備法につきましては、本体の方が固まりましてから事務的にいろいろと作業をする必要もございますので、現在鋭意検討中でございます。そういう関係で、遠からず閣議決定の運びにお願いいたしたいと思っておりますけれども、現段階でまだ確実にいつと申し上げるに至っておりません。
  69. 多田省吾

    ○多田省吾君 したがって、現行のたばこ専売法や日本専売公社法は廃止されて新しくなるわけでございますが、新しい制度の実施は来年四月一日からと聞いておりますが、具体的に大きく変わる点ほどの点が変わるのか。  それからもう一つは、来春から輸入、卸が登録制になると聞いておりますが、しかし小売の制度は今までと同じだと。その辺の関係はどうなっているのかお尋ねしたい。
  70. 小野博義

    政府委員(小野博義君) 今回の制度改正につきまして大きく変わる点は二つあろうかと思っております。  まず第一点は、開放経済体制に即応いたしまして、外国製造たばこの輸入の自由化を図ったということでございます。これに伴いまして、明治三十七年以来八十年にわたって続いてまいりました専売制度が廃止されるということは非常に大きな変化であろうというふうに考えております。  第二点は、そういう輸入の自由化に備えまして、日本専売公社を合理的企業経営が最大限可能な経営形態に改組するということで、商法の一般原則が適用されます——特別法に基づいて設立される特殊会社ではございますが、その他の部分については商法の一般原則が適用されます日本たばこ産業株式会社に改組する。これにつきましても、昭和二十四年に大蔵省専売局が日本専売公社に改組されて以来の大きな改革であろうというふうに考えております。  それから輸入、卸、小売の点についての御質問でございますけれども、輸入並びに卸業につきましては、登録制度はとるわけでございますが、原則として自由にいたします。  この場合の登録制度と申しますのは、一定の欠格条件、例えばたばこ事業法に違反した者であるとか、あるいは破産者であるとか、そういったいわば客観的な欠格条件のある者について登録拒否ということがあり得るわけでございますけれども、通常の方々に対してはいわば自動的に登録されるということになるわけでございます。これに対しまして、小売人につきましては、現在公社が指定するといういわゆる指定制をとっているわけでございますが、今後は大蔵大臣の許可ということで、実質的に指定制が維持されることになります。これにつきましては、現在の我が国たばこ市場の状況にかんがみまして、零細小売店とか、あるいは母子家庭、身体障害者等について特段の配慮をしているという現状にかんがみまして、激変緩和という意味から、当分の間これを維持しようというふうに考えておるわけでございます。
  71. 多田省吾

    ○多田省吾君 もう一点、葉たばこ栽培に関しまして聞いておきたいと思いますが、葉たばこの全量買い上げ制度はそのまま維持するという内容になっているようでありますけれども、現在たばこ耕作者の数はどのように推移しているのか。また今度葉たばこ審議会をつくって価格と面積について検討するようでありますが、従来のたばこ耕作審議会とどのように違うのか、委員の構成についても伺いたいと思います。  それから今後の減反の可能性があるのかないのか、その辺まとめて御報告いただきたいと思います。
  72. 長岡實

    説明員(長岡實君) たばこ耕作農家数の推移でございますが、昭和四十年ごろまでは、耕作農家の戸数が三十万戸をちょっと超えております。それが四十五年ごろに二十万戸になり、五十年ごろには十一万戸前後になっております。五十八年現在では九万三千戸でございます。非常に大きく耕作農家の戸数が減ってまいりましたのは、一つには日本農業全般の傾向といたしまして高度成長時代、昭和四十年代における高度成長の影響を受けまして、労働力の他産業への流出あるいは農地の転用等によって大きく減ってまいったわけでございますが、特にたばこ耕作農家につきましては、御承知のように、大変多くの労働を必要とします労働集約的な作物であるだけに、その影響が著しかったのであろうと考えております。  それから第二番目の制度改正後にできます葉たばこ耕作審議会、現在の審議会と性格は大変似ておる存在だと思いますが、制度改正の過程におきまして、その審議会の公正性といいますか、中立性といいますか、そういったような性格を強く持たせるべきであるという意見が出てまいりまして、現在と変わります点は、審議会の委員につきまして、委員を任命する場合には大蔵大臣の承認が要る。審議会は新しい会社に置かれるわけでございますが、委員の任命について大蔵大臣の承認を要するという点が変わるわけでございます。委員の構成はほぼ現在と変わらないとお考えいただいてよろしいのではないかと思います。  それから最後に、将来に向かっての減反の問題でございますが、私ども新しい制度に変わりましても、日本の葉たばこ耕作農業を維持させていくということについては責任を持って対処してまいりたいと考えておりますが、御承知のように、現在約一年分の過剰在庫を抱えております。しかも、たばこの需要そのものが、どちらかといえば、横ばいもしくは年によっては微減するような傾向でございまして、将来にわたりましても、この需要が大きく伸びるという想定はやや困難であろうかと存じますし、さらに監理官から御説明がありましたように、将来は輸入の自由化が図られる。そうなれば、当然のことながら外国からの輸入品の数もふえていくであろうということを考えますと、現状の耕作規模を維持することには大変困難が伴うのではないかと考えております。  私どもとしては、この問題を受けとめます場合に、耕作農家にだけしわ寄せをして減反を強いていくということは避けまして、私どもの新会社もでき得る限りの合理化を行って、輸入品にも対抗し、日本のたばこ産業を維持していくように努力したいと考えておりますが、率直に申しまして、耕作農業につきましても、ある程度の需給調整をお願いせざるを得ないのではないかというふうに考えている次第でございます。
  73. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、私は財政再建と赤字国債問題について若干お尋ねをしておきたいと思います。  今まで、過去の赤字国債脱却についての政府発表を見ますと、昭和五十一年の二月には五十五年度脱却と言い、五十三年の二月には、財政の収支試算ケースCによれば五十七年度脱却、五十四年の二月には、ケースBで五十九年度脱却、それから五十六年の一月には「財政の中期展望」を出しましたが、五十九年度脱却、翌年五十七年の二月に、同じく「財政の中期展望」で五十九年度脱却、また五十八年の一月の「財政の中期試算」では、ケースAにおいては六十一年度脱却、また本年の二月、「中期的な財政事情の仮定計算例」というものを見ますと六十五年度脱却と、赤字国債脱却の政府の発表は次々と繰り延べされているわけでございます。そして、私は、参考とか例とかいろいろ出しておられるわけでございますが、それでも財政当局においては数字と同じようにきちっと責任をとらなければならない問題だと、このように思うわけでございます。そして、今後、不公平税制の是正や歳出削減の明確な方向をはっきりと示すことが前提でなければならない、このように思いますが、昭和六十五年度赤字国債脱却について大蔵大臣の今後の御決意というものをお伺いしておきたいと思います。
  74. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、今多田さん御指摘になりましたように、そういうふうに計画、いわば目標が崩れ去ってまいりました。五十九年度目標は、まさにこれは不可能になったということで、今度改めて六十五年を努力目標にするということで御理解をいただきつつあるところであります。  で、私は考えてみますと、一応従来、終戦以来、一九四五年からずっと今日まで見てみますと、いわば大きな障害となる事件とでも申しましょうか、それが集中的に起こったのが一九七〇年代ではないか。七一年のいわゆるドルショックというもの、あるいはその後の第一次石油ショック、それから第二次石油ショック、これは予期せざる事象が起こったが、しかし避けて通ることのできない問題であったというふうに理解をしてみますならば、やむを得ざる措置として今日このような六十五年度を努力目標とすることに変更せざるを得なかったという感じがいたしておるところであります。  さて、こうなりますと、今も御指摘になりましたように、たびたび変更すれば、いわゆる国民の側からごらんになりましても政治不信というものも起こるでありましょう。あるいは自分の経済生活を営む上のめどとなるべき指針も容易につかみにくいという不便も起こるでありましょう。したがって、今度こそ国民の合意というものを得ながら、これを着実に進めていかなきゃならぬということで、いろいろな展望とか、あるいは一定の仮定に基づきます仮定計算とかいうものをお出しいたしまして、そのものについていろいろ国会等で議論をしていただきながら明確な方針に近づいていくための努力をしていこう。言ってみれば、五十九年脱却というものをギブアップいたしまして、六十五年度を努力目標と定めた初年度でございますので、これをこのような増収措置によって行いますとか、このような歳出削減に行いますとか、あるいはこのような組み合わせによって行いますとかいう手法を明確に御提示する今環境にはまだない。したがって、これからの議論というものが、まさに次の場合は六十年度予算編成の際でございましょうが、国民にとって、また政権をあずかる私どもにとってもより重要なことではなかろうかというふうに理解をいたしておるところであります。
  75. 多田省吾

    ○多田省吾君 これからちょっと一、二点具体的に質問いたしますが、五十九年度末には百二十二兆円の国債残高になるだろう、また赤字国債の借りかえ問題等も起こっております。財政の中期展望を見ましても、六十二年度をとれば、特例四条公債の発行計画は九兆四千五百億円もまだあるわけでございます。今後の国債消化策についても大変な問題が残っていると思います。それで、イギリスの場合にはどのような国債制度になっているのか御説明いただきたいと思います。
  76. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 御質問がやや突然の御質問でございまして、イギリスの国債全体についての資料を持ってきておりません。しかし、イギリスにおきましても、国債の円滑消化ということでいろいろと工夫をいたしておりまして、一つの大きな工夫といたしましていろんな形の貯蓄国債を持ち、いろんな種類の消化を図っている、国債の多様化に努めているということは言えるかと思います。
  77. 多田省吾

    ○多田省吾君 通告はしてあると思ったんですが、その中で非市場性の国債、売却不可能な非市場性の国債というものがイギリスでは発行されていると思いますが、いかがですか。
  78. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 御質問の御趣旨は、いろんな形での貯蓄国債をイギリスは持っている、こういう御趣旨かと思います。  私の手元に持ってまいりました資料によりましても、イギリスにおきましては貯蓄国債として五種類あるようでございます。大きなものから申し上げますと、国民貯蓄証券の中で利付債、それから物価スライド条項付の国債というふうなものがございます。そのほかに大きなものといたしまして、割り増し貯蓄債券というようなものがございまして、これは無利子でございますが、利子相当分プールして抽せんで当たった人のところへそれが全部行くというふうな変わった債券もあるようでございます。そういった形でいろんな工夫をしているということが言えるかと思います。
  79. 多田省吾

    ○多田省吾君 そのようにイギリスでは非市場性国債と申しますか、国民に貯蓄手段を与えて、その資金を国庫に吸収する目的で発行されているもの、また利子課税が免除されているというようなものも発行されているようでございますけれども、我が国の場合は財政事情から見まして、このようなイギリスの無税国債についてどういう考えをお持ちでございますか。
  80. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 我が国も英国と同じでございまして、大量の国債を円滑に発行、消化するということでいろいろと工夫をしてまいっております。その工夫の一つとして、国債の種類あるいは発行方式の多様化ということをいろいろやってまいりました。これからも新規国債につきましても、当分相当量の発行が続くと思いますし、六十年度からは大量の借換債の発行、消化という問題がございまして、私ども、市場のニーズに合い、投資家のニーズに合った多様化、必要な多様化を進めていくということでまいりたいと思っておりますが、イギリスにありますような無税国債につきましては、これは税制上の問題がございますし、金融市場に及ぼす影響もいろいろございますので、私どもといたしましては、慎重に検討すべき問題ではないか、さしあたっては無税国債のようなものの導入については私どもは考えていないという状況でございます。
  81. 多田省吾

    ○多田省吾君 ことしの夏までに、政府税調におきましても、グリーンカードにかわるようなものをつくらなければならないと言っておりますけれども、その点とも関連しますし、またある新聞報道によれば、大蔵省はアングラマネー吸収策として、あるいは所得隠し防止策として、無税国債のようなものの発行を検討しているというような報道がなされましたけれども、今さしあたりは考えていないということでございますが、全く念頭にないのか、こういう方法も含めて検討をしていくのか、その込もう一度お答えいただきたいと思います。
  82. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) ただいまお答え申し上げましたように、私どもはただいま考えておりません。
  83. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、私は、タックスヘーブン課税の効果と今後の方策についてお尋ねしておきたいと思います。  昭和五十三年に定められました内国法人に係る特定外国子会社等の留保金額の益金算入、いわゆるタックスヘーブン課税について、現在までの実行はどういう状況でございますか、まず御説明いただきたいと思います。
  84. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) タックスヘーブン国に所在する子会社に対する留保金の課税、先生のおっしゃいましたタックスヘーブン対策税制につきましては、子会社の決算年度と我が国の親会社の年度とが二カ月ずれておりますので、実質的には昭和五十四年の四月期以降の大会社の決算に反映されているわけでございますが、最近の私ども国税局の調査課が所管しております資本金一億円以上の法人の、五十七年四月決算から五十八年三月決算まで、一年間のタックスヘーブン対策税制の結果としての課税留保所得金額、これは百七十四億円でございまして、これを申告してきた親会社の法人数は四百二十五社、こういうことになっております。また、この制度の適正な実施を期するための国税局の調査状況を申し上げますと、昭和五十七事務年度、これは五十七年七月から五十八年六月まで最近の事業年度でございますが、ここでタックスヘーブン税制を調査項目として調査いたしました法人数は四百三十社、これを調査した結果、留保所得金額につきまして申告漏れがあったということで追加して課税した所得金額は五十一億円ということでございました。私どもとしては、今後、これにつきましても、重点的に引き続き調査をしてまいるつもりでございます。
  85. 多田省吾

    ○多田省吾君 我が国の企業の活動がいよいよ国際化してまいりますが、税務当局としてはこれに十分対応できているのかどうか、問題があるとすればどの点が問題になるのか、お答えいただきたい。
  86. 冨尾一郎

    政府委員(冨尾一郎君) 最近は経済取引が非常に国際化して、海外との取引がふえてまいっておりますので、私どもとしては、特に海外取引の多い大法人を中心にいたしまして、海外取引を種にした不正がないかということに重点を置いて調査を行っております。  このための対応策といたしましては、海外に支店とか子会社がある、それから海外と大規模な取引をしているといういわゆる大法人につきましては、毎年のようにこの調査を行っておりまして、一回に延べ数百日の事務量を投入するということで、徹底して海外取引を中心にした調査を行っております。また、これを行うスタッフといたしましては、国税庁に国税審議官というのを置きましたほかに、各国税局にも国際調査専門官、その他海外取引の研修を受けました専門家を配置するということを行っておりますほか、毎年、海外の事業所、特に子会社を中心にいたしまして十組ほどの調査官を現地に派遣をいたしまして調査をさせておるということでございますし、さらに現在三十二カ国との間で租税条約に基づく情報交換制度がございまして、これによりまして課税に関するいろんな情報を交換し合うということで、海外取引の適正な課税ということに今後とも努めるような体制を整備しております。  私どもとしては、こういう調査結果として、一番新しい年度でございますと大体昭和五十七年度でございますが、これにおきましては、一年間調査を行いました結果、大口の海外の不正取引としては三十件、四十四億円ほど解明をしておりますが、こういうふうに今後とも私どもとしては努力をしてまいる体制を整えながらやってまいりたいというふうに思っております。
  87. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に二点だけお尋ねをしておきたいと思います。  専門家の中には、不当留保された所得を問題にすると同時に、それ以前に不当留保が行われないように是正案を講ずべきであると、こういう意見もありますが、これに対してどうお考えですか。  それからもう一点は、報道によりますと、今度多国籍企業に移転価格税なるものを大蔵省として検討していると一部で報道されておりますが、この点についてどうお考えでございましょうか。この二点をお尋ねして終わりたいと思います。
  88. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) まず、後段の移転価格税制の問題でございますけれども、これは現在アメリカが比較的整備された法制を持っております。国際的にも大変関心を呼んでおりまして、OECDの作業委員会等でもいろいろ研究が続けられておるわけでございます。私どもの方も内部的に専門のチームをつくりまして現在鋭意検討をいたしておりますが、現時点で、いつの時点で我が国に移転価格税制を導入するかというようなことをまだ具体的に申し上げる日程にはなっていないわけでございます。  それから前段の方の御質疑は、あるいはタックスヘーブン税制の今後の行き方との関連での御指摘でありますとすれば、私ども五十三年にこの制度を立法府でお認め願いまして、当時、アメリカとか西ドイツの法制を参考にしながらこの制度をつくらせていただいたわけでございますけれども、先ほど来国税庁の御説明もございますように、逐年私どもはこのタックスヘーブン税制の効果が出始めておるというふうに私どもなりに考えておるわけでございます。ただ、これは当時租税特別措置でお願いいたしましたのは、国際取引はいろいろ進展してまいるわけでございますから、それにマッチしたような税制、恒久的な税制というものは、いましばらくこの制度の活用ぐあいを見ながらということで、当時租税特別措置でお願いしたような経緯もございますので、この税制の執行状況をいましばらく見まして、さらに適正な制度的な手当てを要する部面があれば今後とも検討してまいりたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  89. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      —————・—————    午後一時開会
  90. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案及び石油税法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  91. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 農水省来ておりますか。——実はこの間自動火災報知機の問題を御質問申し上げましたんですが、その後これについては措置をしていただいていると思いますんで御報告願いたいと思います。
  92. 香川荘一

    説明員(香川荘一君) お答えいたします。  先般御質問がございました後、私どもといたしまして、千平米以上の畜舎につきましては、消防法の規定に基づきまして火災報知機の設置が義務づけられておるわけでございますが、畜舎の位置とか構造の状況等によりましては、同法の施行令第三十二条の規定によりまして、地元消防機関の認定を受けた場合には火災報知機の設置義務が免除されるということがございますので、私どもこれを積極的に活用するということで、地元消防機関と協議しつつその免除措置を受けるようにということで指導徹底を図るということから、本年の三月五日付をもちまして県等に通達を出しております。
  93. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 二月の二十三日、本委員会で質問したのに対して、三月の五日にそれぞれ都道府県に連絡を出した。極めて対応が早いんで、実は私は、こういう問題も大蔵委員会でやるとすぐに反応があるんだなということで、農水省が素早く対応してくれたことに大変評価をすると同時に、あわせて本委員会というものは大したものだなということを痛感いたしました。なかなかこう早くはちょっと普通じゃいかないんです。  このときの質問の今度は記録の中に入ってあれしたいんですが、このとき農水省の説明員は、「消防法に規定がございまして、火災報知機を設置するという義務づけがございます。ただ、これは畜舎の大きさによりまして、千平米以上の畜舎についてそういう義務づけがなされているということで、そのために、補助事業とか、それらにかかわりませずつけるということになっておるわけでございます。」と。これを読みますと、後でこの記録を見たんですが、何か補助事業にかかわりなく自動火災報知機をつけている、こういうふうにとられるような答弁をしておるんです。これはそんなことはあり得ないんで、補助事業でつくった畜舎の中の火災報知機は同じに入札して同じ業者がつけるはずですし、配線から何から全部あるんだから、かかわりある——かかわりなしと言っておりません。かかわりがあってつけられておるんだと思うのですが、これはお間違いでないですか。
  94. 香川荘一

    説明員(香川荘一君) 御説明が不十分だったかと思いますが、私が申し上げましたのは、この千平米以上の畜舎につきまして義務づけられているということは、補助事業でつくったもの、あるいは補助事業でなくて、融資とかあるいは自己資金でつくった場合でも、千平米以上のものにつきましては、火災報知機の設置が義務づけられているという意味で申し上げたわけでございまして、補助事業でつくりました場合、火災報知機の設置が必要である場合には、当然その場合にはつけておるわけでございます。
  95. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そういうことなはずなんです。それで、平澤政府委員いらしていますか。
  96. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 平澤のかわりに的場が来ております。
  97. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 どちらも次長さんですね。これは答弁した御当人が出てきてくれていると一番いいんですがね。まあいいでしょう。  今度、大蔵の政府委員の方では、その答弁を受けて、今の農水省の答弁を私と同じように聞き取ったんだと思います。「この補助金そのものとは関係がないのではないか、そういうふうに考えております」と、こういうことですぱっと突っぱねられているんです。これは関係あるんですからね。このことについて改めてまた答弁のし直しをしていただきたいと思います。
  98. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 二月の二十三日の平澤次長の答弁は十分勉強しておりまして、農水省の御答弁を受けて、若王言葉が足らなかったんだと思いますが、ただいま農水省の香川説明員の方から答弁したとおりでございます。補助事業であると補助事業でないとにかかわらず設置をするという場合には設置が必要になる。しかし補助事業の場合は当然補助金の中にその部分は含まれるということでございます。
  99. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 これは補助金の中に含まれていると含まれてないとで意味が全く違ってくるんです。私は、実はこの委員会でも——これまたおいでになってないのかな、発言した方が。歳出に切り込むということは大変難しいし、評論家ならできるけれど、なかなかそう簡単でないと、こういう御発言がこの委員会ではありました。しかし、これは小さい例ですが一例です。これをつけないでもいいということになれば、その分だけ歳出は減りますわね。どうですか。
  100. 的場順三

    政府委員(的場順三君) ほかの要件に変わりがなければ、当然理論的には減ることになります。ただし、この場合の補助金の交付の仕方がどういう交付の仕方になっているかということで実態は変わってくると思いますが、ただ、御指摘を踏まえまして農水省の方で迅速に手を打たれたのだと思いますし、今後ともそういう点については、財政当局としては、こういう財政状況でございますから、できるだけ歳出の節減合理化に資するように執行面の方でもよく相談をしていきたいと思っております。
  101. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 この間、平澤主計局次長は、これは消防法で決まっているから、いいですか、つけなきゃならないから補助金を出したんだと、こう言っているんですよ。私はそんなことはないだろうというのに対して、いや、自動報知機というのは補助金関係ないからということで突っぱねた答弁をされたわけ。  それで申し上げるんですが、この分だけ歳出が減るんでないですか。そんな面倒なことは言わないでください。この事業はもう終わっているんですよ、これ。終わっている事業で、補助事業の一環としてこれをやっていたの。この分なければ面倒なこと要らないでしょう。この分だけは歳出減るでしょう、要らなかったとすれば。
  102. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 補助金の交付要綱がどういう形になっているか、定額制になっているか、あるいは定率制になっているか、そういうことで違ってくると思いますが、他の条件において変わりがないといたしますとおっしゃるとおりでございます。
  103. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 この種補助金で、これは定額制ですか。農水省、こんなところであれしたくなかったんですが、そういう御答弁をいただいたんで、これは定額か定率か。
  104. 香川荘一

    説明員(香川荘一君) この前御指摘のありましたケースにつきましては定率補助でございます。
  105. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 どっちかということないでしょう。どうなんです、補助金が減りますか、減らないですか。
  106. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 定率制でございましたら減ります。
  107. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 さっさと言ってくれれば余り絡まぬつもりだったんだけれども、過ち認めればそれでいいと思ったの。だけれども、あなたの今のようなそういう答弁。わかり切っているでしょう、補助金減ることは。こういう事業が定額であるはずないでしょう。主計局の方が、この種事業を定率だか定額だかというふうなその程度のこと、御記憶ないはずないと思うんですよ。それをそういう答弁される。  いいですか、主計局、予算の査定をするときに消防法の除外規定をちゃんと勉強していれば、これはおかしいじゃないかと、予算査定で歳出を切れたんですよ。どうなんですか。歳出を切れましたでしょう。
  108. 的場順三

    政府委員(的場順三君) おっしゃるとおりでございます。大変申しわけございません。私も農業担当の主計官を三年やっておりまして、その前に主査を二年やっておりましたので、本件はちゃんと覚えているはずでございますが、ただ最近、制度を見直しておりまして、現在はその農業補助金を担当していなかったものですから、もし間違ってはいかぬということで答弁が不手際になりまして、大変申しわけないと思っております。
  109. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それだから人がかわると困ると思うの。  というのは、的場さんが農業を担当していたころ、ややそのころの事案なんですよ。  大臣、歳出を切れないということないんです。ちょっと気をつければ、歳出を切れるところもあるんです。だから、減税するためには何でも増税だけしなきゃならぬということない。特に農業だけめつぼにとって歳出を切れというんじゃないですよ。こういうことはまだまだ予算の査定段階で至るところに、もう少し気を配ればあるんでないかという気もいたします。ですから、歳出はもうとても切れないんだ、そんなことを言うのは評論家だなんて思わないで、歳出についても査定段階からの目配り、こういうことは常に御留意をいただかなきゃならぬと思うんですが、一罰百戒の意味でこれを一つ出しましたので、御注意願いたいと思うんですが、いかがですか。
  110. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに査定という立場あるいは原局との予算を調整する立場とでも申しますか、制度・施策の根源にさかのぼってということのみでなく、具体的な問題の中になお一層努力しなければならない点はあろうかと思いますので、その精神で対応していきたいと思います。
  111. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 次に、昨日の質問の続きで厚生省にお尋ねいたします。  ワインに添加されている酸化防止剤やそれから防腐剤等について昨日お尋ねいたしましたときに、ソルビン酸の表示義務が、義務はあるけれども「当分の間」云々というのがあるのでやっていないんでないかという質問に対して、それはみんなやっていますという御答弁が、きのうは私は二回くらいそれを聞いたんですが、はっきりとそういう御答弁をきのうしております。  私の記憶に間違いがあったらと思って、ゆうべ調べました、そんなところを。そうしましたら、シャトーイケム——これはボルドーの酒です。これがソルビン酸が、後で調べてみますと、百五十でなくて、許容量が二百ミリグラムパーということになっておるのでございますけれども、オーバーしているということで、一遍だけ返されたという事実も実は昨日わかりました。これは税関の段階でオーバーがわかって返したんです。ソルビン酸の入っているワインというのはヨーロッパからたくさん入ってきております。しかし、私がきのうときょうと——ここへ本当は持ち込もうと思ったんですが、持ち込むためには買わなきゃならないので、調査だけしてやめましたけれども二つのデパートにある外国のワインは、ソルビン酸が必ず入っているはずだと思うメーカーのものもみんな表示していません。一体これはどういうことなんですか。
  112. 市川和孝

    説明員(市川和孝君) お答え申し上げます。  昨日、私が先生にお答え申し上げたわけでございますが、昨日のお答えに若干正確さを欠く点があったかと思いますが、ソルビン酸等につきましては、従来からソルビン酸または合成保存料という表示義務がかぶせられてきたわけでございます。それが、昨年の八月二十七日に規則が改正されまして、今後はこのソルビン酸につきましては、ソルビン酸という表示と、それから合成保存料という表示を両方するように規則を改正いたしました。しかしながら、この改正されました規則は、現在のところ、なお当分の間その施行を猶予するという形になっております関係上、現状、販売されておりますものにつきましては、ソルビン酸という表示が行われるか、または合成保存料という表示が行われるか、いずれかの表示があればよろしいということになっているわけでございます。  以上でございます。  正確さを欠きました点につきましてはおわび申し上げます。
  113. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私はきのう、当分の間というのはいつごろまでなんだと聞いたんですよ、最初。だから、間違っていたということでしょう。妙に持って回らないで、間違ってたら間違ってたと認めなさいよ。今のような持って回る答弁をされると、非常に僕は遺憾なんだな。私はきのう、この当分の間というのはいつまでかというのを最初に聞いた。そしたら、そんなことないと言ったでしょう、あなた、きのうは。全部表示してますと。僕は実際の表示だってほとんどしてませんと言ったら、いや、そんなこと絶対にございませんと。それで、私もゆうべからけさにかけて、きょう昼も調べたんです。それでますます驚くべきことがわかった。  当分の間どっちか表示するというふうに去年の八月に変わった。じゃ、今ワインでやっているのありますか。僕はここへ持ってこなかったけれども、ちゃんと表示義務どおりに表示してあるワインを見つけられなかったんです、きょう。どこどこの輸入している大手ありますよ。こういう場所ですから名前を言いませんが、大手の輸入業者の輸入しているワイン、全然してないです。どういうことになっているんですか。現にきょう十時から十二時までの間に調べたんですから、きょう現在だってやってませんよ。保存料もソルビン酸もどっちも書いてないでしょう。書いてた連中も、みんなやってないんだから、今度やめることにしましたという返事が返ってきました。どうなんです、あなたやっていると言うけれども
  114. 市川和孝

    説明員(市川和孝君) 初めに、当分の間ということでございますが、現在食品衛生法では六十八の添加物につきまして表示義務を課しているわけでございますが、今後この表示義務添加物の範囲をさらに拡大するために、厚生省に食品添加物の表示の関係の検討会を設けて、添加物表示の範囲を拡大することを検討しております。将来におきましては、食品に使用されました食品添加物は原則として個別の名称をもって表示するという方向で検討を進めているわけでございます。既に表示義務がかぶせられている食品添加物につきましても、同時に施行することが混乱が少なくて円滑にいくのではないかという観点から、現在これを猶予しているものでございます。  その次に、合成保存料あるいはソルビン酸をもし使っておるにもかかわらず合成保存料なり、あるいはソルビン酸なりの表示がないとすれば、これは明らかに表示の違反になるわけでございます。
  115. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 表示制度、去年十一品目を認めたときにいろいろわんわんと世論も上がってきたものだから、今度はもう少し細かくさらに七十八品目の表示義務をふやしていくという方向で、しかも従来よりもきめ細かい名称もきちっと入れていくと、こういう方向であることはわかりますよ。ただ、現在のそういう表示義務のあるのでさえも守られていない。なぜ守られていないか。一つは罰則ないでしょう、これ。それからもう一つ検査する機能が非常に悪い。ワインの場合のソルビン酸の問題なんか、輸入してきたときに、向こうから入るあれの中にはちゃんと書いてあるんです、ソルビン酸何ミリグラム入ってますというやつは。だから含有されていることはわかっているのにみんな表示していないんだよ。  それでも、あなた、まだ表示義務があるからやってますと言うんなら、きょうこれから一緒に歩いてみましょうか。どうします。やってないでしょう。それとも、まだやっていると言うの。みんな表示していないんだよ、そんなの、ソルビン酸も合成保存料も。何カ所も業界に電話できよう聞いてみた。みんなやってないと言うんだよ。輸入元がやってないと言うのに、あなた、どうしても頑張る、それでもまだやってると言って。
  116. 市川和孝

    説明員(市川和孝君) ソルビン酸の使用ということについて、もし使っているにもかかわらず、使用されているにもかかわらず、現実に表示がされていないということでございますれば、これは先ほど申し上げましたように法違反となるわけでございますから、私どもとしてもできるだけ速やかに実情を調べたいと存じます。
  117. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 向こうから結局、今税関での検査を非常に緩和しましたね、取り扱いを。輸出国で公の証明がついていればなるたけ認めるということになった。しかしその中にちゃんと入ってるんです、みんな。それをこっちへ輸入して表示してないわけよ。それは調べるというのなら調べてもらわなきゃならぬけれども、入っているということだけは言いなさんな、入ってないんだから。表示義務で中へ入れたらやっぱり商品イメージ悪くなるからね。よそもやってないからうちもやってませんと、私きょう電話がけたら、みんなそう言うんだよ。調べるも何もないの。というのは、そういう状態なんだよ。全部調べてみてください、書いてないんだから。デパート歩いたらわかりますよ、すぐ。ほとんど向こうの方から来るものは入っているものが、こちらでは輸入業界は表示していない。これが実態です、きょう現在の。  きのうのあなたの言ったことは間違いだ、それは。あなたはそれでしていると思っているかしらぬけれども、そういう検査機能もない。それは検査機能もないからやむを得ないと思いますよ。思いますけれども、間違いの答弁を国会でやっちゃいかぬよ。それでその日だけ終わればいいというふうな。すぐ後からこういうふうにわかっちゃうんだから。それはできないんですよ、今の検査体制の中では。別にできないからあなたたちがけしからぬというのじゃなくて、できないような状態にあるのだということを、僕は特にお酒の問題に関係のあるこの委員会の皆さんにはまず覚えてもらわなきゃならぬと思ったから、きのう質問したんだけれども、ある、あると言うものだから時間かかっちゃうんです。そこまでにしておきましょう。これだけやってたら日暮れちゃう。  結局、大蔵大臣は、先日の御答弁の中で、業界を中心にして表示義務をちゃんと進めるようにやらせておりますし、これからもやりますということを言っておるんですね。「酒類業組合法に基づく表示のほか」云々というところで、「適正な表示を指導しておるところでございます」と言っておるんです。ところが、これは、やっぱり適正な表示というのが、なかなか行われていない一例なんです。だから、業界にだけ任じておいたのでは、大臣のおっしゃるような方向には行かないんですよ。このことは一例としてこれも御理解いただけたと思うんですが、大臣いかがですか。
  118. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 問題の所在は、私なりに理解させていただいたような気がしております。
  119. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで、実は私は、この表示義務の問題、非常にうるさく言いましたが、一つにはまだワインやブランデーへの表示、これは業界で三年もかかっているけれどもまとまらないんです。  それで、大蔵省の方ではこれはなるたけ公正取引委員会と相談してやってもらうと。ここで特に私が御質問申し上げたいのは、その表示義務自体が非常に緩やかなものなんです、すべてにおいて。これは税をいただく側の大蔵省として、もう少し品質という面で表示義務の問題を考えていただかなきゃならぬ時期に来たんじゃなかろうかと、こういうふうに思うんです。例えばヨーロッパではワインというのはブドウなりその他のジュースを搾ったものです。ところが、今日本で表示しようという表示義務は、それに何%アルコールを入れたものまではワインとして認めるとか、アルコール添加ということも表示しないでも認めるというような論議なんですよ。だから、国民によりいいものをという形のような方向に行ってないんです。少しずつは行っていますけれどもなかなか行かない。これは既に表示をしておるところについても同じようなことなんで、業界に任じておいたんではなかなかいい方に行かないんで、これはいい方に行くようにしていただかなきゃならぬという点が一点。  それからもう一つ、外国と日本との違いの中でワイン、今問題にしておりますのを例にとってみましても、なぜ酸化防止剤プラス保存料を入れて日本にボトルワインを送らなきゃならぬか。赤道を通ってくるからなんです。腐ってしまいます。変質します。そういうことを防いで、安価に輸送コストを下げてこっちへ送り届けるためには、我々が日本国内で日本産のワインをつくるのの相当量多い合成保存料を使う。合成保存料は日本のワインはほとんど使ってないと思います、その必要ありませんから。それからまた酸化防止剤などにしても余計入れてこなきゃならない。味だって当然落ちるんです。その土地その土地で、ヨーロッパへ行って飲んだ同じ銘柄の同じ土地のワインと薬がたくさん入って来たものが味が同じであろうはずがないんです。ですから、私はそういう点で酒というのは、また文化論に戻りますけれども、それぞれの地域性、社会性、歴史性というふうなものの中から生まれてきたんで、一番おいしいのは、日本酒だって蔵で飲むものと言われている。こういう特性もあることをこれからの酒の問題の中では十分考えていただかなきゃならないんじゃないかと思います。  ところが、この表示の関係も非常に難しい。それと薬の入った酒しかいろんな形の中で飲むことができない。こういう状態にあるということをまず申し上げておきます。  ワインやブランデーの表示についてはどうなさるつもりですか。
  120. 山本昭市

    政府委員(山本昭市君) ただいまのワイン、ブランデー等につきましての表示の問題でございますが、酒類が財政物資でありますとともに国民の大事な飲料でございますので、十二分にそういった健康面の配慮が必要でございます。その点は十分に理解をいたしておるわけでございますが、酒類一般につきまして、そういった消費者保護の見地から公正取引規約、あるいはそこまで至りません場合には業界の自主基準という形でそういった表示が行われている場合がございます。例えばビール、ウイスキーにつきましては規約がございます。清酒につきましては自主基準があるわけでございます。そういった観点から、ブランデーあるいはワインにつきましても、私ども産業行政の立場から関係官庁と連絡いたしまして、そういう表示が実現する方向で十二分に努力をさしていただきたいと考えております。
  121. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 あと自家醸造と憲法十三条の問題、非常に大事な問題があるんですが、これに入っていくと時間をとりますので、その前に一つ。  税率の問題の中でしょうちゅうの甲、乙の関係ですね。これは特級、一級、二級と同じように、甲と乙という区別も非常に今問題だろう。何か甲といえばよくて乙の方が悪いんでないかというのが一般の世間の常識なんです。ところが実際にはこの場合には何も関係ありません。それとスピリッツの関係ですけれども、しょうちゅうとスピリッツとどう違うんですか。しょうちゅうと同じスピリッツもあるでしょう。
  122. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 今の酒税法におきましては、蒸留酒をしょうちゅう、スピリッツ類、ウイスキー類に分類いたしまして、それぞれ材料、製法を定義しておるわけでございますけれども、しょうちゅうとスピリッツの境界で問題になりますのは、ただいま委員が御指摘になりましたしょうちゅう甲類とスピリッツの境界をどこに置くかという問題でございます。  現在の酒税法では、これは三十七年の酒税法改正以前はそうではなかったわけでございますけれども、三十七年の改正のときに、しょうちゅう甲類につきましては、アルコール度数三十五度以下というところで境界が引かれたわけでございます。  その基本的な考え方と申しますのは、三十六度を超えますと、代表的なスピリッツとしてはウオツカに非常に似たような種類のものになってくる。それから製法も大した差がないという問題がございます。そういたしますと、スピリッツとしょうちゅうにそもそも酒類の質が違うということで種類を分け、税率を区分して税負担を求めるという酒税法の建前からいたしますと、似たようなものにそれぞれ種類が別であるとして異なった税率を適用するというのは、酒類全般に対する税負担のバランスという点で問題がある。  かたがた、そういうことは当然供給側と申しますか、生産者側でも、スピリッツのメーカー、しょうちゅう甲類のメーカーというのは、当然それぞれの業界分野を形成しているわけでございますので、そういった業界の分野調整という観点も考慮に入れまして、現在のような分け方を三十七年の酒税法改正で行ったという経緯でございます。
  123. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 結局、これは製法としては、連続式の蒸留機を使うか単発のを使うかによって甲と乙と分けていますわね。ところが、例えばバレイショならバレイショを原料にして連続式でとったしょうちゅう、実際は連続式でとったアルコールというのは七十度ないし八十度というふうな非常に度の高いやつですわね。これに例えば二十五度のウオツカという名前をつければスピリッツですわね。これに二十五度のしょうちゅうという名前をつければ、しょうちゅうになりませんか。
  124. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 今の例示でいきますと、ウオツカと称するためには、これは酒税法に定義があるわけでございますけれども、それは「しらかばの炭」でこすという製法がございますので、そこで区分されるということになると思います。
  125. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私の例のとり方が悪かったかもしらぬですが、ウオツカでなくてもいいんです。甲類しょうちゅうと同様のアルコールを使って度数を下げて別な名前をつけてもいいものたくさんありますでしょう。たくさんございますわね。それが三十七度以下で別な名前をつけた場合どうなんですか。それはリキュールになるんですか。
  126. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 連続式蒸留機で蒸留される限りにおきまして、三十五度未満ということになれば、しょうちゅう甲類になるわけでございます。  で、酒税法にいろいろな定義がございまして、先ほどのウオツカでございますと、「しらかばの炭」でこしたものとか、あるいは発芽させた穀類または果実を原料の一部としたものとか、いろいろ定義がございまして、そういったものに入りますと、しょうちゅうではなくてスピリッツになる、あるいはまた場合によってはウイスキー類になる場合もあるということでございます。
  127. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、リキュール類という場合としょうちゅうという場合には全く異質のものだというふうにお考えになっているんですか。
  128. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、今の酒税法の酒類の立て方といたしますと、まず連続式蒸留機で蒸留したものがございまして、それでまず何も手を加えないということにいたしますと、三十五度以下のものがしょうちゅう甲類、以上が乙類になるわけでございますが、そのほかに例えば「しらかばの炭」でこした場合にはウオツカになりますし、それからそのほかラムとかジンとか、いろいろそれに手を加えました場合にそれぞれスピリッツになるというふうになるわけでございます。
  129. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうしますと、この中の性状がウイスキー類似のもの、アルコール分三十七度というやつ、これはどういうものなんですか。
  130. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 連続式蒸留機で蒸留したもので三十五度を超え四十五度未満のものということで、これはスピリッツということでございます。
  131. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、結局しょうちゅうとスピリッツその他との違いというのは、三十五度未満か以上かという、それでは少し税額が違い過ぎませんか。大体度数で区別する程度のことなんですか、ウイスキーでも。
  132. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) これは先ほど申しましたように三十七年当時の酒税法改正で、当時の何と申しますか、酒類の商品市場なり業界の情勢、状況を見まして三十五度で一応線を引くということで、先ほど申しましたように一面、現在、業界の業務分野の調整と申しますか、そうした機能も働いておるわけでございます。現実に、御指摘のとおり、例えば三十五度の代表的なしょうちゅう甲の製品とスピリッツで見ますると、税額が大体倍ぐらいになっております。ただし、小売価格はほとんど変わりがないわけでございます。したがいまして、ある意味では現在の境界点というのはそれなりの業務分野、業界調整の役割を果たしておる。スピリッツの方が若干高うございますけれども、ほとんど三十五度物でございますと小売価格が同じであるという点でバランスがとれておるということでございます。
  133. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 もう少ししょうちゅうの問題も、例えば甲類、乙類の問題等含めて論議を深めたいんですが、いかんせん審議時間が短過ぎて、せっかく国民の負託にこたえてできるだけこういう機会に酒の問題を解明したいと思っても、飛び飛びにならざるを得ないのは非常に残念なんです。飛び飛びになって、もう時間がございませんので、実は品質の問題、それからお酒の原価の問題、さらにまた級別制度、いろいろ出ておりましたけれど、もう少し突っ込んでみたい問題、特に自家醸造——外国との比較で自家醸造を認めていない国はほとんどない、特に生産者に。こういう問題等もあります。  それから残念ながら今の酒類全体について言えることは、蔵元で地酒を飲むような仕組みにはいかない。そうすると、これは一番おいしい酒を我々が飲む機会を奪われておるわけです。そういう面から、一方でそういう一番おいしい、地元で自分の酒を火入れもしない、添加物もないものを飲めるような仕組みができていない中で、自家醸造を認めないというのは、明らかに憲法十三条の幸福追求の権利をそこで抑え込んでいるというふうな問題等も私はあるかと思います。それらの論議もそうでないという御意見もあるから、こういうところをできるだけ深めて、国民の幸福、そういうものを守るために論議をいたしたいと思っておるんですけれど、それらの問題等もできません。  それからまたビールの税金が高いと、確かに高いけれど、これらが原価からいって、寡占体制の中でこれだけの量があればこういうところに税収を求めなければならない。ある意味では大蔵省もお気の毒だと思うのです。こういうところへ求めなければ、大きく税収を上げられないというふうな現行の仕組みですから、払えないところから取るわけにいかない。寡占体制の中で大きな利益を上げているところには、各国と比較して高いと言われてもやはりそういうところに税収を求めなきゃならぬというふうな問題、こういう酒類別の課税の基準を変えざるを得ないというふうな問題、これはそういう酒税懇談会ですか、そういうところの中でも、産業保護政策的な立場と純粋な税の理論の立場とのかみ合わせの中で決めていかなければならない今の酒税法の持つ矛盾、悩み、いろいろ深く掘り下げなければならぬ問題がたくさんあります。  もう五時間でも十時間でも欲しいところなんですが、そういういろんな問題点を全く残しながら、ここで私は質問を終わらなきゃならないということを大変遺憾に思いながら、質問を終わります。
  134. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 答弁を求めていますか。
  135. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大蔵大臣から一言、遺憾に思っているんで。
  136. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 丸谷委員の心境を私も深く察知いたしております。
  137. 穐山篤

    ○穐山篤君 大蔵大臣にお伺いをしますが、きのう一日この三つの税金について議論がされたわけです。一言で言いますと、酒の場合にも酒類間の不公平というふうなものが代表的に指摘をされました。それから物品税につきましても、課税対象品目についての物差し、基準というものが必ずしも明確ではないということも明らかになりました。あるいは、石油税につきましても、税収展望について不確実といいますか、不安定さも指摘をされたわけです。もちろん、大蔵当局としては全面的にそれらを認めたわけではありませんが、部分的には我々と共鳴している部分もかなりあるわけです。  そこで、大蔵大臣に、これらの特に今回提案をされておりますものを取り上げてみましても、税率の面でも、あるいは水準、内容の面でも再検討しなければならぬ、こういうふうに委員会全体の雰囲気としてはなっていると私は認識をしているわけです。その点について、大臣どういうふうにお考えになって、これからどうなさるのか、その点をひとつお伺いをしておきます。
  138. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、現行酒税法についての御指摘、確かにそういう御指摘が最も多くあったことは事実でございます。これは課税方式あるいは級別制度等々、いわゆる消費者の方に大きな影響を与えるものでありまして、非常に慎重な配慮を要するものだけに、今回の改正までにきちんとした成案が得られなかったというようなものに対しても、率直に御指摘を受け、率直に認めたところでございます。  それから物品税というものも、これはいつの御審議の際にも指摘されることでございますが、物品の消費支出に着目して課税する間接消費税の一つでありますが、言ってみれば、奢侈品ないし比較的高価な便益品、趣味娯楽品、そういうことに絞られたものが、今日便益性等を加味されながら、一つの大きな性格が違ってきたではないか、こういう御指摘も私どももそのとおりに考えております。  石油税等につきましては、これは確かに御指摘のように、言ってみれば従価税でございますし、それからこれからの輸入量等によって差が出る問題でございます。それだけに、絶えず歳出そのものに対して、特定財源とはいえ、イージーにならないような配慮をしていかなければならない課題がそこに残っております。したがって、本委員会の審議を通じまして、結局、言ってみれば、答弁の中にも、税体系上非常に画一的でわかりやすいというようなことではなかったと私も理解をいたしております。  で、そこに公平感、不公平感というものが出てくるわけでございますので、昨年十一月ちょうだいいたしました税制調査会の中期答申においても、社会経済情勢の変化に対応して、税制をより公平かつ適正なものとするよう見直しを行うことがそれ自体として必要であるという御指摘を受けておるところでございますので、私どもといたしましては、できるだけこのような税が国民の中に不公平感をもたらさないような形で定着するための検討、これは抜本的検討とでも申しましょうか、それらのことを念頭に置きながら、絶えず検討を続けていかなければならない課題であるというふうに認識をいたしておるところであります。
  139. 穐山篤

    ○穐山篤君 時間の関係で簡単にお願いをしたいんですが、毎国会、自動車関係諸税の問題は議論がされて、衆参両院とも附帯決議が必ずついているわけですね。きのう私も石油税に関連して、この自動車関係諸税というものを取り上げたわけです。  目的税としての役割というのは、よく意味はわかりますけれども、財政再建中に政策的なものに相当今切り込んでいるわけです。そういうさなかにおきますこの自動車関係諸税というものは、体系の上でももう少し整理整とんをしてもらうということと、財政再建中におきますこれらの目的税のあり方の問題について、もはや再検討しなければならぬ時期にきていると思うんですが、その点はいかがでしょう。
  140. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは毎国会で話題となっておるとおっしゃいましたが、まさにそのとおりでございます。ただ、いわゆる石油諸税、なかんずく特定財源としての道路財源、こういうものが今日までの道路整備等、あるいは大きく言えば社会資本の整備等について、大きな役割を果たしたという事実もあろうかと思いますし、現状において私は、それはそれなりの目的税としての成果を上げておるではないかという認識に立ちつつも、本来、この目的税というものそのものは色のついた税金でございますから、そのときどきの国民のニーズに対応してバランスをとりながら富の再配分を行っていくという予算のあり方からすれば、必ずしも好ましいものではないにしても、今日は機能しておる目的税であるというふうに考えておるところであります。したがって、それと財政再建との結びつき等は、これはまさに重要なポイントとして検討さしていただかなきゃならぬ課題であるというふうに考えております。
  141. 穐山篤

    ○穐山篤君 それから税調報告の中で、広告に対する課税問題というのが毎回毎回、引き続き検討ということで記録が残されているわけですが、その報告書を見ますと、広告税といいますか、この課税問題が交際費課税と同次元で議論をされている。これは税の性格から考えてみまして、私は適当ではないというふうに思うんです。もちろん、広告の中にも、意見広告というものもあれば、告知のような性格の広告もあれば、あるいは営業を主体にした広告、いろんなものがあるわけですね。それらのことを考えてみれば、交際費課税と一緒に議論をすることは適当でない、別の角度から議論して結論を急ぐべきではないかというふうに考えるわけですが、その点いかがでしょう。
  142. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに、御指摘になりましたように、広告費課税ということになりますと、我が国の言論界あるいはマスコミ等々を対象にし、そしてそれがまま交際費課税という形、営業そのものの実績をより多くあらしめるための媒体としての認識からとらわれがちであることは事実でございます。  この問題については確かにいろいろ議論がなされておるところでございます。交際費課税とのバランス以外にもいわゆる過剰広告の抑制とか、中小企業対策、物価対策などの点からの指摘もございますし、その点につきましてはいつでも、だから穐山さんの御指摘の一つのあらわれとして、例えば今後の税制のあり方についての答申の中にも、交際費課税及び広告費課税、どうしてもそういう角度から取り上げられがちな問題でございます。したがって、これらは言論の自由との問題とかいろいろな議論もございますが、私どもといたしまして、そういう交際費とのバランスという問題のみでなく、別の論点でこの実施を検討すべき課題であるというふうに理解をさしていただいております。
  143. 穐山篤

    ○穐山篤君 最後です。  私は前国会の大蔵委員会で、昭和五十年度以降大蔵省が提案をしました財政運営に関する法律案を全部整理整とんしまして、いうところの財政基盤強化のための法案は何かということを議論いたしましたが、結局、その長期的な意味の財政基盤強化の法案というのは何一つなかったわけです。その年の予算のつじつまを合わせるというものであったわけです。今回の酒税、物品税、石油税につきましても、その意味では全く同じ性格だというふうに言わなければなりませんし、かけやすいものに増税をしたと、こういうふうに見ても差し支えないと思うんです。  最後に決意だけ伺っておきますが、もうこれからは、個々の問題についても重要でありますけれども、財政基盤全体をどうやって構造的に強くしていくか、そういうものについてのきちっとした政策というものを提示するようにぜひ注文しておきたいと思う。金はないからつじつまを合わせるために増税をするというふうな単純な発想では財政再建はできない。私はそういうふうに思いますので、最後大蔵大臣の決意、認識を伺って終わりたいと思うんです。
  144. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 可能なことならば、非常に極言すれば、財政再建法というようなものを御審議いただいて、それを基盤にして、その年度ごとの国民のニーズに対応する歳入歳出両面から議論をいただいて対応していくことが私も好ましい一つの姿だと思います。しかしながら、歳入歳出の両面にわたってある種の枠組みをつくって、初めから国民の皆さん方にその中で議論していただくということについても、私どもまた別の観点から、そのときどきの経済情勢と国民全体のコンセンサスがどこにあるかということを見定めながら対応していくということについて、いささかスピード感とか、あるいはわかりにくいとか、そういう点があろうかと私どもも常日ごろ反省しておるところでございます。そして、単年度予算主義であります我が国において、その単年度の歳入歳出を考えますときに、決して既存の税目の中で増収措置を図るという傾向に走りがちなことも自戒をいたしておるところであります。  したがって、私どもは今日お示しいたしております財政改革の進め方についてという点については、もとより歳出削減も当然のことでございますが、歳入歳出両面にわたって幅広い検討をこの国会の論議等を通じながら見定めていかなければならぬ。いささか回り道のような感じがいたしますものの、国民のコンセンサスというものを見定めながらこれに対応していかなければならない課題ではなかろうか、このような考え方に立っておるところであります。
  145. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 物品税についてお伺いをしたいと思います。    〔委員長退席、理事藤井孝男君着席〕  物品税の我が国における始まりは、昭和十二年の八月十二日法律六十六号北支事件特別税法というこの法律から始まり、そうしてそれを入れて戦争中に八回の改正がされておりますけれども、明らかにいわゆる支那事変と言われる、現在で言えば日中戦争と言われる規模の大きな戦だということがわかってまいりましたが、その戦費調達が目的で輝石、貴金属製品など五品目を第一種の物品として小売課税をし、写真機、蓄音機など五品目を第二種として製造場移出課税として二〇%の税率で始まっております。課税品目から見ますと、奢侈性、娯楽性、それから有益性の強いものへの課税であったわけであります。今の御答弁等でも若干出ておりましたけれども、しかしこの十二年のときから後になりますと、今言った奢侈性とか、娯楽性とか、便益性というものからだんだん移ってきて、支那事変、第二次世界大戦へと大きくなる中で、ぜいたく品への重課税では税収が足りないということで、課税対象品目が非常に拡大されて、その中には果物から、愛玩用の動物から割りばしまでが入って、最高税率一二〇%というときもあります。こういうように戦時下で戦費調達の目的で物品税が創設をされた。  酒についての税金も同じでありますが、その酒の税金も物品税の中に入っていたわけですから、そういう奢侈品的な課税と消費課税というものと、これは意味が違うだろうというふうに私は思うんです。当時奢侈品から始まって消費課税にまで下がっていったということは、大変拡大されたということ、それがそのまま受け継がれたのでは大変でございますが、この点についての基本的な考え方をまず伺いたいと思います。
  146. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに、その歴史から見てまいりましても、物品税というものは、今度の改正の根幹はかつての考え方に基づいておりますが、時代の推移とともにその性格が異なってきた、いわば奢侈品から高度な便益性の方に担税力を求めるという傾向に移ってきておるということは、私も、性格的にはそういう方へ移行しておるように認識をいたしております。したがって、これからの問題というのは、今鈴木委員おっしゃいましたが、消費一般にかかる物品税、一般にかけて中からむしろこれとこれはやめていくというような抜き方というものも、一つの物品税のあり方としてかつて存在した考え方でございましょう。そうしてもう一つは、奢侈、嗜好というところから徐々にいわゆる便益性というものの中に移行しておる。したがって、私どもは、これからは消費一般にかかる税制の中で消化するというよりも、便益性の面においてかなり幅広く検討していく方向に移っていくではなかろうか、こういうような考え方を持っております。  これはいささか何と申しますか、素人論議のような認識であえてお答えしたわけでございます。
  147. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今の便益性の面で幅広くというお話がございました。戦前戦中ずっと通して、奢侈品とか娯楽品とか、こういうことは、国民生活を極度に強い耐乏生活に耐えさせようということから、もう一つは戦費調達という二つの立場からぜいたく品ということで最初は重税を考えたんだろうと思うんです。我々がさんざん子供のとき言われたのは、ぜいたくは敵であるとかいうことですから、当時の価値観からすれば、ぜいたくは敵ということから物品税法が創設された。それが何かその次に出てきた改正中に、消費は悪であるというふうに、物を消費することそれ自体が悪というふうになってきて日常生活までやってきた。そういうことで、何か二つの性格は、本来ぜいたくをするということと消費をするということとは別の性格のものですね。今の大臣お話だと、便益性の面でというと、若干消費的な、そして利便のあるということもございますから、    〔理事藤井孝男君退席、委員長着席〕 そういう面も考えられるんですけれども、この二つのぜいたくと消費、それから今の便益と、この三つの問題についてどう回っていくものなのか、その辺の考え方を聞かしていただきたいんです。
  148. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 物品税のこれまでの制度の変遷なり物の考え方は、先ほど来委員並びに大臣質疑応答の中で明らかにされたとおりであるわけでございますが、先ほど委員が御指摘になりましたように、現在の物品税法は、昭和十二年の時限法から昭和十五年の物品税法で現在の物品税のいわば基礎ができたわけでございますが、当時の法律制定の立法趣旨として説明されているところによりますと、奢侈的性質を有すると認められる物品のほかに、その消費が負担力を示す、担税力を示すと認められる物品に課税するという考え方が述べられておりまして、現実の運用といたしましては、戦費の調達なり当時の消費の抑制というふうな観点も加わりまして、戦争末期には最小限の生活必需品を除くほとんどの物品が課税の対象になったという歴史をたどったことは事実でございます。  奢侈品とそうでないものとの境界といいますか、頭の整理をどういうふうにするかということは、いろいろ議論のあるところでございますけれども、これまでの物品税の歴史等から見ましても、あるいは消費税一般に対する物の考え方からいたしましても、少なくとも基礎的な生活必需品と申しますか、生存を維持するに直接結びつくような基礎的な生活必需品という理論的な概念でございますけれども、そういう分野がまずございまして、それから奢侈品等に典型的に示されますように、そういう基礎的な消費から非常に距離の離れたところに、奢侈品なり、高価な、高級な便益品なり、あるいは趣味娯楽品なり装飾品なり身回り品なりといったものがございまして、恐らくその中間にいろんな物品が、その中間的な消費態様のものがあるというふうに一応区分けして考えました場合に、戦後の我が国の物品税、今日までの立法政策上の動きを見ますと、戦争末期のそういったものから、典型的には昭和二十五年のシャウプ勧告を境といたしまして、むしろ私が二番目に申しました基礎的なものから一番距離の離れたところへ漸次物品税の課税範囲を絞っていくという形で、これまで物品税の制度の変遷が戦後あったと考えるわけでございます。  今日の時点では、高度成長における所得水準の上昇なり所得の平準化を通じまして、消費の態様が非常に変わってまいっておるわけでございまして、これは先ほど大臣の答弁にもございましたし、昨年の十一月の政府税調の答申の今後における物品税に関する考え方の基本的な背景にありますものは、そういう消費態様の変化という今日の事態の中で物品税を考えた場合に、先ほど申しました基礎的な生活必需品と奢侈品に典型的にあらわれているような、そういう基礎的な生活消費から一番距離の離れたその中間的なところにあるいろんな新しい消費態様に対して今後どういうふうに消費税制を考えていくか。その中で物品税の課税範囲に対する物の考え方も、これまでの特に戦後の限られた、限定された考え方から少し枠組みを広げて検討すべきではないか。そういう局面にあるのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  149. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今の答弁である程度わかりました。確かに昭和二十四年、二十五年と、このシャウプ勧告で物品税のあり方が今言われたような日常生活物資というか、基礎的な消費物資から奢侈性、娯楽性、便益性、嗜好性という方に動いたことは、それはわかります。今言われた何かグレーゾーンみたいなやつですね、そうでないけれども、奢侈性があるようであってかかってないものがあったり、奢侈性というよりもむしろ基礎的な消費に非常に近いようなものについてかかってみたりという点で、何かはっきりしないような感じが私はするんです。  シャウプ勧告の主な趣旨は、言われたような日常生活物資等にはかけないという大きな趣旨だろうと思うんですが、そういうことを基礎に始まってきていますけれども、今言ったようなことから見ると、私は、もう少し奢侈性や娯楽性というようなものからかける物品課税、これも購入者の担税力というものを認めて課税するというふうでなければならないだろう。というのは、価値観が奢侈性でも便益性でも娯楽性でもぐるぐるぐるぐる変わってくるわけですね。時代とともにどんどんどんどん変化しできますから、今言った奢侈性ということについて政府はどう考えているか、それをどうつかまえているのか。これは奢侈品である、これはぜいたく品である、これはそうでないなんという区別をどの辺でなさっていらっしゃいますが。
  150. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) それはまさに問題になるところでございまして、現在の物品税の体系を見てみますると、一種物品と二種物品にまず分かれておりまして、概して言えることは、一種物品で掲名されているものがいわゆる奢侈品という範疇に属すると考えられるわけでございます。そのほか、二種物品の中にも貴金属の製品等がございまして、こういったものもあるいは奢侈品と言えるかもわからないわけでございます。  現在一種物品で課税対象になっております物品といたしまして貴石、それから半貴石並びに貴石の製品、半貴石の製品、それから真珠並びに真珠の製品、それから貴金属の製品、それからべっこう、さんご、こはく等、こういったたぐいの製品、毛皮製品、それからじゅうたん。  その奢侈性というものが客観的に基準があるかということでございますけれども、その一品の価格とか、あるいはその使用される態様によりまして、おのずから一つの基準が長年の間のうちにできてきたというふうに考えられるわけでございます。
  151. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今言われました物品税法では、第一種課税品目、第二種課税品目。第一種の方は、宝石とか今答弁のあった貴石、貴金属製品あるいは毛皮製品、じゅうたん、納税義務者は販売業者ということですけれども、第二種は自動車、電気製品、冷蔵庫や洗濯機やクーラー、ゴルフクラブ、製造者が納税義務者になっている。こういうことですが、第一種と第二種の縦分けの意義は一体何なんですか。何がもとで一種であり、何がもとで二種だと、こうなるんでしょう。
  152. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 第一種と第二種物品は、奢侈性であるか奢侈性の物品でないかという区分けで区別をしているわけでございませんで、たまたま第一種物品について奢侈性の物品が今課税対象になっておるということでございます。本来、消費税でございますので、なるべく消費に近いところで課税するという観点に立ちますと、これは小売課税という課税方式になると思うわけでございます。  一方もう一つ、これは租税原則の基本の議論になりまして恐縮でございますけれども、もう一つは課税の場合の最小徴税費の原則といいますか、執行の便利さあるいは執行が容易であるという観点が、もう一つ税制を、課税方式を考える場合に重要な要素になってくるわけでございまして、消費の段階、つまり小売の段階でかけるということは、それだけ納税義務者が多くなるという問題があるわけでございます。もとの蔵出しの段階で課税するということは、納税義務者がそれだけ非常に数が少なくなるということで、執行上も徴税コストの面でも非常に能率的であるという観点からむしろ我が国の物品税法は、現在そういう観点を入れまして製造者の蔵出し課税を原則にしておる、基本にしておると、むしろそういうふうに理解した方がいいのではないかと考えられるわけでございます。  ただ、第一種物品に現在掲名されておりますような物品は、かつて第二種で、製造者段階で課税されたような時期も物によってはあるわけでございますが、この種の物品は、その加工過程が非常に細分化されておる。一品ごとでき上がりました品物は非常に高価なものになるわけでございますけれども、物をつくり上げます過程におきましては、加工過程が非常に分散されておりますし、それに関与しておる業者が非常に零細であるということで執行上のトラブルが絶えないという問題もありますし、それからどの段階で製造と観念するかという、製造者消費税にまつわりつく非常に困難な問題があるわけでございます。  したがいまして、現在第一種物品として掲名されているようなものはたまたま奢侈的な物品で占められておるわけでございますけれども、これらが第一種物品とされたのは、今申しましたように、そういう執行上の便利等から考えますと、こういうものはデパートで売られたり、大きな小売店で売られたりということで、むしろ捕捉上も非常に便利であるというふうな観点で、実は第一種物品と第二種物品に分かれておるということでございます。
  153. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 なお今の答弁納得できませんね。例えば奢侈品というような宝石類がデパートとかそういうところだけで売られているわけじゃありませんので、町の時計屋でもいい物を売っているところもございますし、それから現在は、金の加工をやっておるような店を見ても、全部が全部きちっとした、粉一つでも大変な金額になりますから、厳重な管制をしいて、ちり一つ表へ出さないような状況でやっておるでしょう。だから、蔵出しとしてつかまえようと思えば十分私はできるような状況にあると思うんですよ。むしろ本来ならば、一種の方の製品業者が、小さいところが多いと言うけれども、できる限り、やるならば二種の方へ持っていくという。片っ方の方を見ると、ゴルフクラブの場合は、ゴルフのシャフトの場合もヘッドの場合も、別のところでつくっても別々にかけられるようになっているでしょう、ちゃんと。そういうことを見ると、これは私は何かちょっと解せない感じがするんですがね。これは将来は一つに持っていった方がいいんじゃないですか、一種を二種にしちゃうとか。
  154. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 先ほど私の説明でやや説明不足の点があったわけでございます。第一種物品の中でも、例えばじゅうたんとか、こういったたぐいのものは、例えばデパートで売られるということで捕捉がしやすいというものもございますけれども、今お挙げになりました貴石等の製品では、むしろ相対取引のようなものが行われて捕捉しがたいというようなものもございます。必ずしもデパートの店頭で飾られて売られるというものばかりではないわけでございます。  もう一つ言い落としましたのは、これは貴石等の製品というのは非常にマージン率が高いという問題があるわけでございます。つまり末端の段階になって非常に高価なものになるということでございます。したがいまして、同じ税収を上げますのに、末端の段階での税率と蔵出しの段階での税率を考えました場合に、同じ税収を上げるためには、こういう貴石類のようなものについては蔵出しの段階の税率を非常に高くしなければ税収の確保ができないという問題がございます。したがいまして、かつてこの種のものについては蔵出しの段階で非常に高い税率をかけておったものでございますから、しかもそれに関与されるのは非常に零細な業者であるということで、むしろ税の逋脱行為を誘発したという問題もございます。  そういった点も考えまして、結局この種のものを第一種物品に移したというふうな経緯もあるわけでございまして、一概に一種物品と二種物品の区分けにつきまして、先ほど私は徴税コストの点だけを申し上げたわけでございますけれども、その点のほかにただいま申し上げましたような事情もございまして、個別物品税の課税方式としては、つまり製造段階か小売段階が、いずれか単段階で捕促するという現在の物品税法の建前をとります以上は、現在第一種物品になっているような物品は、過去の執行上の経験とか制度の運用上の経験から見て、やはり第一種物品で落ちつくところへ落ちついておるということではないかと考えるわけでございます。
  155. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは疑問が出たんでちょっと伺いたいんですけれども、自動車とかああいうものは一体どこでかけているんですか。製造場というと製造工場のところなんですか、それともディーラーですか、サブディーラーなんですか。
  156. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 課税標準の算定そのものは、いろんな手法が税制上認められておるわけでございますけれども、基本的な考え方は製造場を移出する段階で課税されるのが二種物品税でございます。
  157. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私は自分が自動車の工場にいたから言うんじゃありませんけれども、つくっているところは一番もうからなくて、ディーラーの方は大変な率をかけて利益を上げていらっしゃる。そういう点から考えると、何か先ほどの話と矛盾して、一種の方をおつくりになっている感覚とちょっと矛盾しているような感じがしてならないわけです。非常に高率にさらに付加価値をくっつけて売っているからというお話だと、そんならディーラーもサフディーラーももっとだなと、ふっとこう思ったんです。その辺の矛盾がどうも感じられますが。
  158. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) これは先ほど申しましたのは、現在一種物品に掲名されているような物品につきましては、むしろ流通マージンが非常に高くなる性格の商品である。仰せのとおり、例えば自動車のような大メーカーの規格的な工業製品につきましては、おのずから流通マージンというのはある安定した配分になるのでございましょうけれども、こういった一品ごとの高価なものといいますのは、流通マージンが非常に高いというのが実情じゃないかと思うわけで、これは物品の種類によって異なってくるというふうに考えるべきではないかと考えられるわけでございます。
  159. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 まあ、いいです、整合性がちょっとないようだけれども。  施行令の方の別表に、具体的に品目が明示されております。課税最低限の金額として、「一個又は一組につき三七、五〇〇円」とある。これが課税最低限度ですけれども、それの設定の趣旨は何ですか。
  160. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 御指摘のように、施行令の別表におきまして、各課税物品ごとに課税最低限の金額と申しますか、いわゆる免税点を設定している物品があるわけでございます。今お引きになりました一個につき三万七千五百円というのは、貴石それから貴金属製品等の免税点であろうかと思うわけでございます。  ここで一般論でございますが、物品税における免税点と申しますのは、それぞれ課税物品を掲名しているわけでございますけれども、その課税物品すべてを課税対象とはしていないわけでございまして、一つは、そういった同じような課税物品として掲名されたものの中の価格体系の中で比較的値段の安いものにつきましては、課税されてない物品の消費とのバランスを考えまして、そういったものにつきましては、一定の課税最低限、免税点を設けている場合とか、あるいは物品税が担税力あり、その消費に担税力ありと想定している以外の使われ方をするような場合、例えば貴金属の製品のようなものでございましても、理化学用に使われるようなものにつきましては規格で非課税にしておる、いろんな手当がしてあるわけでございます。  そこで、ただいまの免税点につきましては、そういったことで、その物品の価格体系の中で比較的安いものでしかも課税されてない物品とのバランス上ここまで課税するのはいかがかということで、価格で線が引いてあるものがあるわけでございます。それが免税点でございまして、今おっしゃいました例えば三万七千五百円の貴金属類の免税点というのは、例えばいわば標準的な結婚指輪と申しますか、金のフォーマル指輪を非課税とするといったような考え方で設定するというふうにされておるわけでございます。  各種の免税点についても、それぞれの製品、物品に応じまして、例えばじゅうたんでございますと、平米当たり九千円が非課税ということになっておりますが、この考え方にありますものは、一般の家庭で使っているようなじゅうたんは課税物品にならない。例えばホテル等にあります豪華なふかふかしたようなじゅうたんを課税にするといったような考え方で免税点がしかれておるということでございます。  ちなみに、現在の免税点は、基本的には昭和四十九年の狂乱物価の段階で見直したものの水準でそのまま今日まできているわけでございます。部分的には手直ししたものもございますけれども昭和四十九年の時点の免税点で現在推移してきているということでございます。
  161. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それは別表にあるとおり貴石、半貴石、あるいは真珠、貴金属製品、べっこう、こういうところが三万七千五百円となっています。そうすると、今の話だと、三万七千五百円までは先ほどのからいくと、第一種は何かぜいたく品ということのようですから、それ以下はぜいたくではなくて、三万七千五百円を超えるものはぜいたくである。こういうことになるんですか。
  162. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) なかなか難しい御質問のされ方なんでございますけれども、免税点以下のものは課税になってない物品に対する消費とのバランスから見て課税するのは適当でないということでございまして、たまたまその物品、例えば貴金属製品は奢侈性ということに着目して担税力を認めておるということになりますれば、その免税点以下のものについては、奢侈性なしとしてあえて課税を認めないという考え方に立っておるというふうに説明することになるかと思います。
  163. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは聞く方が難しい変なことを聞いているのかもしれませんけれども、一組で三万五千円、これは買っても三万七千五百円の免税点だから一個でも税金がかからない。しかし、一個で七万円になるとこれは税金がかかってくる。三万五千円のものを二個買っても七万円だけれども税金はかからないで、七万円のものを一個買うとかかる。どうもよくわからないですね。これは奢侈品として値打ちは異なるんでしょうか。ルビーならルビーの指輪を三万七千五百円のを二個買っても税金はかからない。それじゃ一個七万円のを買ったら、これはかかってくる。二個分と一個分、一個分の方が奢侈であり、二個分の方が奢侈品でないみたいになるわけだ。よくわからないです、僕は。
  164. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 恐らく、今例示になったケースで考えますと、そういうことになるわけでございます。つまり、七万円のもので一個であれば課税になる、一つずつだと免税点以下でございますので課税にならない。  その場合に、この物品税法の背後にある考え方は、これは文字どおり物税でございまして、一個の商品に向けられる消費の背後に担税力を認めるということでございますので、あえて言いますと、一個三万五千円のものよりも一個七万円のものの方が上等である、こういうことになるわけでございますが、それでは二個買う人と一個買う人、つまり一個七万円のものを買う人の方が担税力があって、一個ずつばらして買う人が担税力がないのかということになりますと、その担税力という概念を非常に広くとりますと、そういうことを言うのは非常に危険なことになると思いますけれども、少なくともその物品の購買ということにあらわれている観点から言えば、そこに一個七万円の高価なものを買う人に担税力ありと想定しておるということになろうと思います。
  165. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、私は宝石好きですからいつもよく見るんですけれども、下がホワイトゴールドのものとプラチナのものでは、同じ石で値段が全然違うんですね。こういう点で何か非常な矛盾を感じてしようがないときがあります。これは将来、いろいろ価格の点、免税点等については、これは考えていく必要があるんじゃないかと思うんです。  いろんなものがありますが、もう一つ聞きたいんです。毛皮製品の課税最低限は、毛皮製の衣服類で一個または一組で二万五千円になっております。帽子、襟巻き等では一個につき一万七千円、繊維製の調度品でじゅうたん等のものでは一平米で九千円、こういうふうに施行令にございますし、どん帳の場合は一平方メートル二千円、こうなっておりますが、この課税最低限の金額の設定の根拠は何でしょうか。
  166. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) じゅうたんの場合は、先ほども申し上げたかと思いますけれども、考え方は、一般の家庭用に使われるようなじゅうたんは課税の対象にしない。少し上等のものということで、現在この免税点があるものでございますから、実際にじゅうたんで課税になっておりますものは、およそ全体の一割と言われております。  それから毛皮製品の免税点の場合の考え方は、これは襟巻き等が一万七千円、衣服類が二万五千円ということになっておりまして、この毛皮製品の課税の根拠というのは、奢侈品の一つの部類に入るかと思いますが、奢侈品と申しますか、むしろ装飾品という観点から課税を求めておるわけでございまして、その装飾性の低いもの、つまり着飾るためでないような毛皮製品は課税にしないという観点でこの免税点が認められておるわけでございます。したがいまして、これはじゅうたんの場合と違いまして、現在、毛皮製品というのは、ほとんどはある程度着飾るというために着用されるものが多うございますので、この免税点で非課税となっているものの数は、割合は割合に少ない。かえってそういう安いものは売れないという面もございまして、毛皮製品については、かなりのものが課税範囲の対象になっておるということでございます。
  167. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 毛皮製品の中でも、ウサギまたは羊の皮でつくったものは非課税扱いになっておりますね。これはどうしてですか。
  168. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) ただいま申しましたように、毛皮製品は装飾性ということで課税を求めておるわけでございますが、毛皮製品の中でも、仰せのとおり、ウサギまたは羊、その中でも「ペルシャ羊、アストラカン羊その他これらに類する羊を除く。」ということになっておるわけでございますが、こういった羊を除く普通の羊とウサギのも皮の製品は課税対象になっていない。  それは一つは、高価な装飾品というものが、ウサギとか普通の羊のも皮ではそういった製品ができないという観点が一つ。もう一つは、これはかって課税になっておったわけでございますが、昭和三十七年に現在のウサギまたは羊のも皮は非課税とされたわけでございますが、もう一つの背景といたしましては、日本の畜産農家の産業保護というような観点もございましてウサギと羊が外されたといった経緯がございます。
  169. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま一つは、毛皮の襟のついたコートでも襟の取り外しができれば課税をされて、襟が固定されていれば非課税である、そういう話があるんですが、それは本当ですか。
  170. 山本昭市

    政府委員(山本昭市君) 御指摘のように取り外せるものとそうでないものがございますが、毛皮をホック等によりまして取り外せます場合には、外した状態のものが課税をされるということになるわけでございます。
  171. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 何だかわけがわからぬです、私は。毛皮というのは大変ぜいたく品であるという御認識だったんですが、ついていればいいということになると、今度全部くっつけて取り外しができないようにすれば、これはコートにくっつけてもよろしいということで非課税になっていっちゃう。どうにも何かよくわからない面があります。  私が申し上げたいのは、第一種対象品目の課税率、じゅうたん、だん通、こういうものは一〇%以外一五%というふうに——それが一〇%になっていますか。あとは全部一五%ぐらいかかっていると思いましたが。だから、ぜいたく品購入者はそれだけ担税力があるということであれば、一律の課税というのはおかしいんじゃないですか。つまり一個四万円の宝石を買う人と一個何百万円の宝石を買う人と担税力は同じなんでしょうかね。私は異なると思うんです。今のような多くの矛盾が、何か聞いているだけでも笑い話になるような矛盾がありますので、それだけに何か担税力そのものを考えるとちょっとそういう点が考えられるんですが、いかがでございますか。
  172. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 物品の消費の背後にある担税力の議論は、これは先ほど委員がおっしゃいました免税点との絡みで、一個七万円のものを買う場合と一個三万五千円のものを二個買う場合と似たような話があるわけでございます。基本的には個別消費税でございますし、文字どおり物税でございますので、そのものの消費の背後にある担税力というのは、例えば同じ七万円を買う人の担税力は皆一緒であるというふうには言えないわけでございます。ただ、七万円のものを買う人に担税力を推定してそこに一定の税率で負担を求める以上、これは比例税率とならざるを得ないわけでございます。つまり担税力に応じた税負担を求めるということは、基本的には消費税の累進構造を持った税制ということに行きつくわけでございまして、個人の担税力が総合された段階でないとなかなか累進税率というのは難しい。したがいまして、委員がおっしゃいますような考え方として、学説で支出税という考え方がございます。つまりこの考え方は、個人なら個人の消費全体を全部つかまえまして、それに累進税をかけるという考え方でございます。それはそれとして一つ意味があるわけでございますが、個別消費税の一品一品となりますと、それに累進税率をかけるということはいかんせん個別消費税の体系としては無理があると考えざるを得ないということでございます。
  173. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次は、第二種での課税対象品目について、以前は娯楽性とか便益性、嗜好性、こういうことで高い品目に物品税を課税していた、こう考えられておりました。私はそう思っていたのですが、現在の品目を見ると、単に娯楽性、便益性、嗜好性という点ではなくて、国民の消費に対して課税するという消費税の性格が出ているんではないかというふうに思うんですが、どうですか。
  174. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 物品税の課税になっております対象物品は現在八十品目ございます。今回この法案をお認め願いますと、さらに五品目十八物品が追加するわけでございますが、奢侈品、趣味娯楽品、便益品、それから嗜好飲料、装飾品も含めました社交的身回り品といったふうに一応は大別できるわけでございまして、委員の御指摘の意味が、今言いましたような五つの区分からはみ出るようなものを課税対象としておるのではないかという御指摘であるとすれば、私どもは、現在の物品税の課税範囲というのは、ただいま申しました区分に一応分けられるというふうに考えておるわけでございます。
  175. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 例えばコーヒー、ココア、ウーロン茶、こういったものは、これは五%でしたか、かかっているだろうと思いました。こういうやつや炭酸飲料なんというものは、これは消費的な税金というふうに考えざるを得ないわけですね。私はそういうように思えてならないんですが、その点はどう思いますか。
  176. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 今おっしゃいましたようなものは、いわゆる嗜好品として課税の根拠としておるわけでございます。嗜好品課税といたしましては、現在御審議いただいております酒税のほかに、たばこがございますが、そのほかの嗜好品で課税の対象とするものはこの物品税に大体掲名されておるわけでございます。  で、ただいまおっしゃいましたようなものは、なるほど課税の対象にしておるわけでございますが、これもなかなか議論のあるところでございまして、例えば緑茶等は一時課税の対象にしておりましたけれども、今外れております。そういたしますと、現在の物品税法説明の仕方といたしましては、コーヒーとかココアは我が国の消費生活の中で緑茶よりは嗜好性が高いということに課税の根拠が求められるのであろうと考えるわけでございます。つまり、いわゆる主要食品と違いまして、生活必需品ではないという意味での嗜好性という意味で申し上げておるわけでございます。この辺のものになりますと、なかなかその課税の根拠なり議論のあるところでございまして、この辺の物品につきましては一番低い税率の五%が適用されておるわけでございます。
  177. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今の話で、例えば朝必ずトーストでコーヒーという人は、コーヒーは嗜好品であって、生活必需品の日常のお茶のように飲む物ではないというふうな議論のあるところだと言われれば本当にそのとおりですね、これは。私なんかどう考えたって、なぜかけるのかという理由についてはわからなくなってしまう、これは。これは幾ら御説明いただいても見当がつかないと思いますね。もういろいろ考え直しをするときに来ているのではないか。消費税的なものというのであれば、もっと本当に考えなければいけないでしょうし、今のような嗜好性とかあるいは便益性とか、いろいろなことで物を言うんであれば、そういうことだけに徹底していかなければならないだろうと思いますし、何か説明が難しい。戦争中に始まった物品税の残渣が残っているような感じがしてならないので、その点は要望でありますけれども、十分改めるというか、検討し直しをしていただきたいと思います。  次に、自動車類等の物品税対象品目は大変細かく規定して、内容によって税率が違い、品物によって非課税のものもありますね。どうしてこれほど細かく施行令でやらなきゃならないのか。これは製造業者の理由などもあると思うんですけれども、何か物品税を複雑にして税の体系を難しくするだけで、余り好ましいものじゃないんじゃないか。
  178. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 自動車につきましては、大型自動車、それから普通乗用車、それから小型乗用車、それから自動車の中でも貨客兼用のいわゆるライトバンと言われているもの、ライトバンと言われているものについても普通のライトバンと軽ライトバン、いろいろあるわけでございますが、それぞれの便益性なり価格等に着目をいたしまして、それぞれ税率を区分しておるということでございます。
  179. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その税率が異なる理由とか非課税にしてある理由についてどうなんですかということなんです。それを聞きたいわけです。なぜそうなるのか。
  180. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) まず、税率を異にしておりますのは、端的に申し上げますと便益性であろうと思います。大型車と小型車の場合、それから普通の乗用車と貨客兼用のライトバンというのは、おのずから便益性が違うわけでございまして、特に貨客兼用になりますと、貨物というものは通常はこれは業務用に使うものでございますので、一般の便益性といいますか、消費に担税力を求めるという観点からいいますと、この種のものにつきましては、通常の乗用車に課しております税率より低くするという考え方によるものでございます。  それから規格非課税についていろんなものが決められておるわけでございますが、例えば施行令の自動車用の冷房装置につきまして、これは車体のほかに自動車の冷房装置については別に掲名——掲名といいますか、政令で品目を挙げておるわけでございます。これにつきまして、いわゆる規格非課税として、毎時八千キロカロリー以上の冷房用装置は非課税となっておりますが、これは非常に大きいものでございまして、バスに取りづけられるような冷房装置でございます。バスにつきましては、これはもちろん大衆用の冷房装置ということ、大勢の人がバスに乗って利用するわけでございますので、この冷房装置はそういった観点から非課税にしておる。こういったものがそれぞれの品目について規格非課税として決められておるものがあるわけでございます。
  181. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 なぜ税率が違うのか大体の見当はついたんですけれども、もう少し詳しく本当は知りたいと思ったんですが、きょうはまあいいでしょう。  その次に、今オフィスレディーであるとか若いサラリーマン、収入はそうありません。そんな高額な所得者と思われない人であっても、税金のかかるような、物品税のかかる高額な物品を購入することができる。なぜできるかといえば、いわゆる割賦販売によって買うことができるわけでございますし、逆にいえば、金融システムがそれだけ発達してきておりますから、消費者金融、そういうことから買ってくるということになるわけです。そうすると、私は、それは年間通して何年も何年も二十回、三十六回払いということでようやく払える。担税力あるのかといえば、それほどの収入はないはずだ。担税力がないのに高いもので物品税を取られる。何かその辺がよくわからないような感じがするんです。高価なものだから当然物品税はかけなきゃならないだろうし、一方においてはそういうような割賦でやっておりますから、毎回は少ないけれども長い間にはかなりの金額になって、本人としては担税力がないのに担税力があるような扱いを事実上受ける。この点何か私も割り切れないような矛盾を感じるんですが、いかがお考えですか。
  182. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 消費者信用が非常に発達してまいりまして、割賦販売を利用する人が、即担税力がそれだけ減殺されておる人のあらわれであるというふうに言えるのかどうかという問題があろうかと思います。例えばテレビを割賦販売で買う人は現金で買う人に比べて担税力があるのかないのかというのは、一概に言えないというわけでございまして、物品税法の考え方といたしましては、テレビを購入することに担税力ありと想定をいたしまして、このテレビは二種物品でございますから当然のことでございますけれども、製造場から移出されるときに既にもう課税になっておりまして、メーカーは税金を納めておるわけでございますので、それから流通段階に入りました後、それがどういうふうな買われ方をするかということを現在の蔵出し課税の制度と直接結びつけて考えるというのはなかなか難しいし、むしろそういう割賦販売の観点と物品税法の現在の建前を結びつけて考えるのは、適当ではないのではないかというふうに私どもは考えるわけでございます。
  183. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 まあそうでしょう。ただ、実際消費者金融で借りるとなると、中には二五%、四〇%という年間の金利を払わなきゃやっていけないというふうになるわけでありますから、これは何かそういう点で両面私もこれ研究をしなきゃいけないことだと思いますが、担税力だけでは考えられないけれども、何か考えていかないと、金融システムそれ自体をちょっと改める必要があるんじゃないかという感じがします。  じゃその次に、個々の物品に課税する現行の物品税ですけれども、これは法律改正するたびに関係する業界、こういうところからいろいろ陳情があったり圧力があって、それで課税の見送りだとか税率の変更、こういうのがある。たんすで桐と漆塗りは免税になっておりますけれども、そういうのは業界振興ということからきているのかもしれませんが、たんすの方が何か高価なような気がするときがありますね、桐の方が。その辺がどうもわからない。  こういう点で、そういう点の圧力等で税率の変更やなんかがあると聞くんですが、いかがでございますか。
  184. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 現在の物品税は、二種物品を例にして申し上げますと、一五%の税率のところが軸になっておりまして、上に三段階、下に二段階、六段階の税率構造になっております。奢侈品については、ほとんどこれは一種物品が多いわけでございますが、二種物品の三〇%に該当するものが、大体一種物品は一五%ということでございますので、それぞれ奢侈品については、大体一種物品でございますと一五%、二種物品でございますと三〇%のところに張りつけてございますし、便益晶でございますと三〇%から最低五%まで、それぞれの物品の便益性というものにかんがみまして税率の張りつけが行われておるわけでございます。  したがいまして、一つの物品を課税対象として取り上げる場合に、今おっしゃるようなそういう物品税の考え方以外の圧力が働いて例えば税率が左右されるというふうな体系にもなっておりませんし、それは説明のつかない体系になるわけでございますから、私どもの実際の作業としてそういうことはないというふうに申し上げなければならないと思います。  それから具体的な例としてよく言われます、桐製とか漆塗りの家具が昭和四十一年に非課税になったわけでございますけれども、そのときの考え方というのは、これは一品一品が非常に職人芸で零細な業者がつくっておられるという背景が一つと、同時に伝統技術を保存するというふうな政策的観点も加味されて廃止されたわけでございます。
  185. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 最近、何というんですか、量産でなくて伝統技術と言われましたけれども、嫁入り衣装のたんすや何かを見ていきますと、すごい伝統的な感じのするようなものがいっぱいありますよ、手づくりのような感じのね。同じような品物でしかも材料が違うというだけのことで税金が変わってくるというのは、何か割り切れないものがありますよ。それは一方だってこれは手づくりでございますと宣伝していますよ。そういう点はどうお考えですか。
  186. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) これは個々の物品につきまして今課税範囲の対象に取り上げていくのかどうかということをお答えする用意が、率直に言ってないわけでございます。ただ、個別物品税の体系をとります以上は、その境界線のようなところでいろいろ問題が出てまいることは事実でございます。先ほど来の委員の御指摘もそういう点に関連をしているわけでございますが、一般論として申し上げますと、現在の個別物品税、個別消費税である物品税の課税範囲については、これを対象拡大の中で考えていかなければならない、その場合にも整合性を持ったものでなければならないということは当然のことでございますので、従来課税が廃止されたような物品でございましても、将来これを課税範囲に取り入れるべきものは積極的に取り入れるという観点からの検討が必要ではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  187. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今回の改正で、一つの例として挙げますけれども、当初はOA機器の課税が伝えられた。ところが政府改正案ではこれが除かれる。これは課税しろと私は言っているわけじゃありませんけれども、現在物品税の課税対象から除かれている物品を新たに加える場合は、どういう基準をもってやっていくんですか。
  188. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 五十九年度の物品税法改正作業に当たりまして、いわゆる汎用性の高い事務用機器について、物品税の課税対象に取り入れることについて具体的に検討をいたしましたことは事実でございます。今回その成案が得られませんでしたのは、一つは、所得税の減税財源ということで今回も物品税の見直しをお願いしておるわけでございますけれども、税負担の増加を伴いますようなものはなるべく範囲を縮減するという努力をしたということが一つ。  それから従来、事務用機器は、先ほど申し上げましたシャウプ以前は事務用機器で課税対象になっておったものでございますけれども、あれを境にいたしまして現在までのところ、事務用機器は物品税の課税対象になじまないということで長らく制度を運用してきたものでございますから、今これを踏み切ることについて相当の時間なり国民的な御理解も得なければならないという点もございました。  それからもう一つは、今回検討の対象にいたしましたものの中には、例えば電子機器関連のものが非常にございますが、こういったものは最近はシステム物が非常に多いわけでございます。ところが、一つの物品として掲名してその範囲がはっきりしませんと物品税の課税対象として取り入れられない、あるいは制度としてつくりましても執行上のいろいろトラブルが生じるというふうな、そういうシステムに対してどういうふうに今後考えていくかというふうな技術的な問題もございました。  したがいまして私どもは、こういったものについては、今後の検討課題として勉強させていただきまして、結論を得られるものについては早急に結論を得て対処しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  189. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私は本会議で、自動車関係諸税について諸外国と比較して大変高いということで指摘をいたしましたし、またこの委員会でも申し上げました。千六百ccの乗用車を小売価格百十六万八千円で購入したという場合、税負担が物品税、自動車取得税、自動車税、自動車重量税、この合計で二十三万七千七百円になります。燃料課税で年間六万四千五百六十円、合算すると、私が本会議で指摘しましたように、一年間十四万三千四百二十八円、六年間の減価償却を見て。アメリカが四万幾ら、四万二千二百三十六円というのから見ると大変高いわけです。アメリカの場合を見ると、小売売上税で十一万七百三十三円、それと登録税の三千九百四十四円だけです。そういう点、日本とアメリカでは異なる。道路事情も違うし、交通事情も違うからとおっしゃるかもわかりませんけれども、ちょっと余りにも高過ぎるような気がするんです。いかがですか。
  190. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) これはアメリカと比較いたしますと、まさにそういうことになるわけでございます。今おっしゃいましたように、アメリカはまず車体課税につきまして、もともと連邦税で一般的なあるいは個別的な消費税を持ってない国でございまして、州の小売売上税だけしかかからないということがございます。それから燃料課税はアメリカは非常に石油資源の豊富な国でございまして、石油課税の負担水準が我が国はもとよりヨーロッパ等と比べましても非常に低いということの結果といたしまして、車体課税とそれから燃料課税のトータルの間の税負担が我が国の大体三分の一以下の水準にあるわけでございます。  ただ、ヨーロッパの国と比較をいたしますと、いつかこの委員会でも御説明申し上げたわけでございますけれども、現在、改正後におきましても、イギリス、フランスよりは我が方の負担水準はやや下回ります。ドイツよりも若干上回るということでございます。  ただいま御審議をいただいております車体の部分の消費税、いわゆる物品税だけを比較いたしますと、今回の税率引き上げ後、小型の場合に小売価格に占める割合は一二%弱でございますので、これはヨーロッパの付加価値税等の水準よりはかなり下にあるということでございます。
  191. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私はこの辺で自動車に対する物品税というものは下げるべきじゃないか、この納税金額を見ましても、物品税の中での最高は常に自動車ですよ。そうでしょう。そういうところへもってきて、また引き上げるとかいろいろということになると、私はどうもその辺が納得ができない感じがします。いわゆる取得税課税というのは日本だけでございますし、重量税なんでいるのは日本だけでもありますし、それならそれで今までやっていたものをぼんとやめてしまえとは言えぬでしょうから、物品税だけでも私はこれは引き下げるべきじゃないかと言うんですが、どうですか。
  192. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 今回自動車について税率の引き上げをお願いしておるわけでございます。これは若干経緯を申し上げますと、昭和五十六年に一度物品税の引き上げをお願いいたしまして、小型乗用車で申しますと現行の税率が一七・五%でございます。今回それを一%の引き上げをお願いしておるわけでございますが、五十六年の改正以前は一五%でございました。そのときの基本的な考え方は、一五%の直近の上の税率のところ、つまり二〇%のところの物品で見ますると、例えば大型テレビとかあるいは大型冷蔵庫等の品物があるわけでございます。こういった物品の便益性なり一品の価格と小型乗用車の価格、便益性を比べてみた場合に、むしろ小型乗用車で申し上げますならば、この一五%という税負担の水準はむしろ二〇%に近い方向で税負担を求める方がバランスするのではないかという考えがございまして、結局、紆余曲折を経まして、五十六年の物品税法改正におきましては、一五%と二〇%のちょうど中間、現行の一七・五%というところにとりあえず負担の引き上げをお願いしたわけでございますが、今回もその考え方を踏襲いたしまして、さらに二〇%の方へ近づけていただくということで、今回はしかしその引き上げ幅は現在のような情勢でもございますので、なるべく極力縮小するという観点から一%の引き上げを最小限お願いしておるということでございます。
  193. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは大臣いかがですか。
  194. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 五十九年度税制改正に関する答申をちょうだいいたしましたときに、いわゆる中期答申におきましても、「物品税の課税対象については、現行の考え方のように狭い範囲に限定することなく、消費のもつ担税力に着目して課税するという物品税の基本的性格に立ち返り、」「消費の実態等を踏まえ、」「検討する必要がある。」というふうに言われ、課税物品相互間のバランスから見て負担の増加を求める余地があると認められる乗用車等については、若干の税率引き上げを行うことが適当である。これも長い議論をされて出た結論でございます。  で、私自身考えてみますと、いわゆる道路財源とする目的税、自動車重量税は厳密な意味における目的税ではございませんけれども、答弁の中で既に目的税という位置づけがされておるわけでありますが、そういう問題は別として、ちょうど私どもが国会へ出ましたときの自動車の生産台数が年間五万四千台、それから自動車の普及率が四十世帯に一台、今は一世帯に一台以上というようなところからすれば、私もどちらの方を判断をすべきものだろうか、それほど事ほどさように国民に担税力ができたと判断すべきか、あるいは便益性というよりも、まさに生活必需品の点からこれをとらえるべきか、にわかに私自身も判断するだけの自信がございません。したがって、これは今後の課題として検討さしていただくべき問題ではなかろうかな。業界の方々等からいろんな意見を聞くときにも、私自身画然たる判断を持ち得ないというのが現状でございます。
  195. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、石油税法の一部を改正する法律案について若干質問したいと思います。  今回の石油税の改正について、改正を必要とする理由と、その改正点を簡単にお述べ願いたい。あわせて、改正後における税収の見込みはどうなっているかお聞きしたい。
  196. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) お答えいたします。  日本のエネルギーの供給構造、これはエネルギー対策を含めて官民一致した努力で次第によくなってはおりますけれども、なお非常に脆弱だ、もろいというふうな状況にございます。一方において、エネルギーの関係の対策というのは相当リードタイムも必要とする、つまり中長期的な視点から今後とも計画的かつ着実に推進する必要がございます。  こうした状況にエネルギー対策はあるわけでございますが、一方、これの財源となっております石特会計、これは石油税収が昨年三月の原油価格の引き下げ等の理由によりまして大幅な減収が必至という状況にございます。したがって、こういう状況のままでは今後のエネルギー対策の推進上極めて深刻な事態に直面するおそれがございます。私どもといたしましては、安定的な財源を確保して、今後ともエネルギー対策を着実、計画的に推進するために歳出面におきます合理化あるいは節減、それから歳入面におきましては、石油税収の一般会計留保額の最大限の取り崩しをお願いするということを前提といたしまして、なおかつ不足いたします財源について必要最小限度の財源措置をお願いしたというところでございます。  財源措置内容といたしましては、エネルギー対策財源の望ましい受益者負担のあり方とか、あるいはエネルギー政策上の見地等を総合的に勘案いたしまして、現行の石油の税率を一・二%引き上げていただきますとともに、石油系エネルギーでございますLPG、LNGにつきまして課税の対象の追加をお願いした次第でございます。  どの程度の税収見込みになるかということでございますが、五十九年度の石油税収見積もりは、総額といたしまして三千七百三十億円、このうちの増収額は六百七十億円と相なっております。
  197. 多田省吾

    ○多田省吾君 今、若干説明いただいたわけでございますが、改正の理由としては私は納得できないものが多々ございます。  この石油税というものは従価税体系をとっているわけでございます。これは原油の値上がりを想定した税体系であると思います。石油価格が低下した、あるいは円高基調にある、省エネルギーの推進がある程度成功している、また代替エネルギーの開発が進められている。そうすると、輸入量が少なくて済むようになっているわけです。これは歓迎すべき状況でありますけれども、この状況が税収を減らしているということで、増税をせざるを得ないと大変矛盾した姿になっております。国のエネルギー政策が好転したことによって、かえって増税の必要性が生じてきたということでございます。  これは税制の根本的な問題であると思うのでございます。ですから、私は、税体系としては原油の値下がりというような姿のときには、むしろ従量税の方が税体系として合うんじゃないかとも考えられますし、それを私は主張するつもりはありませんけれども、この従価税と従量税の問題、また原油の値下がりによって生じた今回の増税の問題、この辺の関係政府はどうとらえているのか。根本的な問題でございますので、はっきりとした御見解を伺いたいと思います。
  198. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 確かに、先生御指摘のとおり、現在の石油税というのは従価税の方式をとっております。従価税の方式というのは、石油の価格であるとか、あるいは為替レートであるとか、そういったものに影響を受けるということは否定できないところではございます。しかしながら、課税の適正な負担水準を求めるということになりますと、実はこの石油の場合には、現在日本国内に入っております石油の種類、これは七十種類ぐらいございまして、一番安いものはバレル当たり二十ドル、高いものは三十ドルというふうな幅を持っております。こういうふうな非常に品種が分かれているというふうなものにつきましては、適正な負担水準を求める、つまり高便益性のもの、これは油の中で申しますと非常に品質のいいものでございますが、これが高いという状況にございますが、そういうものに対しては比較的高い税をいただく、品質の悪いものには安い税というふうになりますと、やはり従価税の方が適当ではないかというふうに我々としては現在考えております。  それから原油の値下がりの問題でございますが、確かに現在石油の需給というのは緩和しておりますし、現行の基準以下のアラビアン・ライト二十九ドルという数字でございますが、これがしばらくは続いていくという見通しは一般的でございますが、しかしながら国標的ないろんな権威ある機関あるいは産油国の見通しあるいは主要な諸国の見通しによりましても、油の値段というものは中長期的には需給が逼迫して上がっていくだろうということがございます。それからもう一つは、中東情勢の不安定ということもございまして、我々といたしましては、できる限り石油への過度の依存を避けるような方向でエネルギー対策を今後とも着実かつ計画的に進めてまいりたい。その意味におきましての財源としての石油税の値上げ拡充をお願いしているところでございまして、ぜひともこのあたりを御理解いただきたいと存じます。
  199. 多田省吾

    ○多田省吾君 昭和五十三年施行以来、一般会計の留保分が昭和五十八年度補正後で四千三百二十億円もあるわけであります。この税の目的から考えましたならば、四千三百二十億円の留保分がなくなるまで増税の必要はないのではないか。このように考えられますけれども、いかがですか。
  200. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、エネルギー対策、これは相当なリードタイムを必要といたします。したがって、これの着実な推進を図っていくというためには、中長期的に安定的な財源の確保が不可欠だと我々は考えております。しかしながら、その財源でございます石油税収の方は大幅な減収が必至でございます。我々といたしましては、中長期的にも現在のエネルギー対策、これの最大限の効率化あるいは節減という努力をするつもりでございますけれども、さらに現在先生御指摘の四千三百二十億ございます石特会計繰り入れ未済額、これを全額取り崩したといたしましても、なお相当の財源不足が見込まれる状況にございます。そういうことになりますと、中長期的な見地から施策の円滑な推進が困難となっております。私どもといたしましては、一般会計の状況が非常に厳しい財政状況にあることは重々承知しておりますけれども、この石特会計の繰り入れ未済額の最大限の取り崩しを行っていただくということを前提といたしまして、必要最小限度の財源措置として今回の石油税の拡充をお願いしたものでございます。
  201. 多田省吾

    ○多田省吾君 それでは石石特会法第四条の二に照らしまして、多額の留保分を、条文に言っております「繰り入れないことができる」、この理由はどうなりますか。
  202. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 御指摘のとおり、石持繰り入れにつきましては、石特会計法第四条の二の規定によりまして、石油税の繰り入れ財源、過去の繰り入れ未済額と当該年度の石油税収の合計額でございますが、これについて当年度の石油及び石油代替エネルギー対策に要する費用に照らして、必要な額を石特会計に繰り入れる、必要でない額は繰り入れないことができる仕組みになっております。したがいまして、五十九年度予算におきましても、石特会計の歳出の見直しを行いつつ石油及び石油代替エネルギー対策に必要な財源はこれを石特会計に繰り入れることとしている次第でございます。
  203. 多田省吾

    ○多田省吾君 今お答えがありましたけれども、この石石特会法の第四条の二のただし書き以降にはっきりと、「当該年度においては、当該一部の金額につき繰り入れないことができる。」と、このようにあります。この「一部」がそのうち全部ということになるんじゃないですか。また今後の留保分の見通し、年度ごとの具体的な見通しというものを伺いたいと思います。
  204. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 当該年度の石油税収の全部を留保するというふうなことには現段階ではとてもならないのではないかと我々は考えております。  それからこの繰り入れ未済額を計画的に繰り入れていく、そのために各年度ごとの計画を示せと、こういう御指摘でございますが、まず第一点は、繰り入れ未済額は確かに五十八年度補正後で先ほどのとおり四千三百二十億ございます。それから五十九年度の税収が予定どおりということになりますと、五十九年度にも過去の繰り入れ未済額を六百七十億繰り入れております関係で三千六百五十億になるわけでございますが、これは計算上繰り入れ未済額があるというものでございまして、積立金とかあるいは現金という形で金が存在しているわけではございません。  それから今後の石特会計の歳出につきましては、全体の財政状況の中で歳入歳出全般にわたりまして厳しい見直しを行う、それから他の施策とのバランスを考えるという中で決めていくべき性格のものでございますので、特定の石持繰り入れだけについて長期的に計画的にこういうふうに返していくということを具体的にお示しすることは困難でございます。
  205. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほどお答えはありませんでしたけれども、今回の改正では、初年度で六百七十億円の増収、平年度では千三百四十億円の増収と聞いておりますが、そうしますと、平年度を見ますと、現在の税収の三割を超す額になるわけです。これでは一般会計の留保分をふやす一方で、これは単なる財源確保のみをねらったものと見られても仕方がない。石油税の目的とは関係なく、一般財源の確保のみをねらったものではないかと、このように言われても仕方ないじゃないですか。
  206. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 石特会計の歳出につきましては、先ほど資源エネルギー庁の方からもお答えがございましたように、最近のエネルギー需給の緩和の状況や厳しい財源事情等踏まえましてその見直しを行い、極力歳出削減に努めるとしても、今後の石油備蓄の必要性、あるいは代替エネルギーの対策の推進、もろもろのエネルギー対策の推進に伴いましてある程度着実な増加が要請されるものではないかというふうに考えております。したがいまして、今回の石油税の税率引き上げを行いますことは、石油税の大幅減収という事態を踏まえて、中長期的な観点に立ったエネルギー対策の着実な推進に必要な財源を確保するという観点から行っているものでございまして、御指摘のようなことを目的としているわけではございません。
  207. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうしますと、将来原油の値上がり等が急激に起こった場合、これはない方がいいわけでございますけれども、もし原油の値上げ等が大幅に行われたような場合、相当黒字分が多く出まして、一般会計に相当繰り入れられて、取られる一方になるわけです。そういうときには、税率を下げるとか、課税対象品目を減らすとか、そういうことは考えられるわけですか。
  208. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) ただいま先生御指摘のような事態が起こった場合にどうするかということでございますが、そのときのエネルギー情勢に応じましてエネルギー対策をどういうふうに進めていくか、あるいはエネルギーの分野におきます税の負担の状況がどうなっているか、そういったいろいろな要素を加味してその段階で適切に判断をすべき問題だろうと考えております。  一般論といたしましては、今申したほかにも、例えば為替レートの問題等の見通しなんかもございますので、現時点でどうするかお答えするのは甚だ困難だというふうに考えております。
  209. 多田省吾

    ○多田省吾君 これはそのときになってみなければわからないという逃げ口上でございまして、恐らく私は、残念ながら、税率を下げるとか課税対象品目を減らすというようなことはなくて、どんどん一般会計に繰り入れられて取られる一方ではないか、このように危惧するわけでございます。そして少しでも赤字傾向になりますと、税率を引き上げる、あるいは課税対象を広げる。こういうことでは国民もまた業界の方々も納得できない問題だ、このように思います。  この増税分というものが結局消費者の負担となって、ガソリン、灯油及びプロパンガスとか、いろいろな石油製品の値上げにつながることは目に見えております。この改正によってどの程度の物価上昇を考えているのか、この見通しと、消費者、国民の負担増になるという結果、これをどう考えているのか、あわせてお伺いしたい。
  210. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 今回の石油税の拡充の措置をとっていただきました場合に、実際にどの程度物価に影響を与えるかというのは、実は石油の各種製品等の需給の状況等の経済情勢に左右されますために、ここで一概に申し上げることは困難かと思います。ただ、これは大変大胆な仮説でございますけれども、増税分がそっくり製品価格に転嫁される、そういうことで一種の理論計算を行ってみますと、五十九年度におきましては、総合消費者物価指数で〇・〇一%弱程度上昇すると試算できます。そういう意味におきまして、物価に与える影響は軽微なものじゃないかというふうに判断いたしております。  したがって、消費者の方々に過大な負担を求めているものではないと考えておりますけれども、我々としては、今後のエネルギー対策の展開におきましては、施策の重点化、効率化を進めて、歳出をできる限り節減していく、そういうふうに努力をいたしたい。そうして御負担願うところを必要最小限度の範囲にとどめたいというふうに考えております。
  211. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、そんな御答弁のような簡単なものじゃないと思うんです。酒税の今回の引き上げによっても、一世帯当たり約八千六百円、消費者物価を〇・一八%以上押し上げるだろうということでございますし、そのほか今、同僚議員が質問しました物品税の問題でも相当の国民的な負担になります。また、このたびの石油税の増税あるいは対象品目の拡大等によって、私は全部合わせればこれは国民生活に相当影響を及ぼすだろう、このように言わざるを得ないのでございます。また今、御答弁があった以上の波及効果が及んで物価高につながるのではないか、こういう危惧を一層持たざるを得ないのでございます。  次に、私はコスト軽減の問題についてお伺いいたしますが、昨年十一月十六日の総合エネルギー調査会の中間報告、「長期エネルギー需給見通し」によりますと、エネルギーコストの低減の積極的な取り組みがうたわれておりますが、その趣旨はどのようなことかお伺いしたい。
  212. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 昨年十一月、総合エネルギー調査会で長期エネルギー需給見通しの御答申をちょうだいいたしました。その前に八月の段階でもこの総合エネ調からエネルギー政策の総点検ということで中間的な御答申をいただいておりますが、これは第二次石油危機以降エネルギーコストが非常に上昇いたしましたけれども、基礎素材産業を初めといたしまして、このエネルギーコストの上昇というのは非常に大きな影響を、また甚大な影響を及ぼしたということがございます。  そういうことで、今後のエネルギー政策を展開するに当たりましては、エネルギーコストを低減する、できるだけ低位安定させるという努力をする、これが国民経済上の大きな課題であるということで、今般の総合エネ調の答申の中では、もちろんエネルギーにおけるセキュリティーの確保、これは基本としつつも時代の要請であるエネルギーコストの低減にも配意して、両者のバランスのとれたエネルギー需給構造を実現するように努力しろ、そういうふうな提言をちょうだいいたしております。
  213. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうしますと、今回の石油税の改正というものが今の報告と大変矛盾することになると思います。特に石油ガスなどを課税対象に加えるということになりますと、エネルギーコストの上昇となりまして、これが商品に転嫁されますと、先ほど申しましたように、物価高につながると同時に国際競争力の低下にもつながるおそれが十分にあると思います。これはエネルギー政策という重要な問題でございますので、こういった政府の姿勢というものは一貫性がないと、このように言わざるを得ないのでありますが、これはいかがですか。
  214. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 先ほど申しましたような、エネルギーコストとセキュリティーのバランスをとった需給構造を実現するよう努力しろという御提言の中で私どもがいただいておりますのは、したがって、今後のエネルギーの供給シェアの中では経済性のすぐれたエネルギーをふやしていくように努力しろというふうに言われております。  そういう意味におきましては、例えば石炭であるとか原子力発電であるとか、そういったものに重点を置く。それから今後大いに努力すべき例えば太陽光発電であるとか、そういった新エネルギーの分野におきましても、中長期晦に見て経済性の高いものを選んで常に評価を加えつつ重点的に開発していけということを言われております。  今回のこの増税をお願いしておりますエネルギー対策財源は、こうした中長期的な観点に立脚いたしまして、エネルギーの価格的あるいは量的安定を目的として行うものでございます。したがって、中長期的にはエネルギーコストの低減に役立てる、そういう意味でエネルギー対策を推進してまいりたい。そのための貴重な財源として活用させていただきたいというふうに考えております。
  215. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に歳出の面から伺いたいと思います。  石石特会のうち石油及び石油代替エネルギー勘定にこの石油税収入は受け入れさせると思いますけれども、主な歳出はどうなっておりますか。
  216. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 石油対策と代エネ勘定、分けて御答弁させていただきたいと思いますが、石油対策の方は石油産業の構造改善、それから石油、石油ガス、つまりLPGでございますが、それの備蓄の推進、石油開発の推進、それから石油流通対策の充実、こういったところが主要項目になっておりまして、総額で三千九百六十一億円、前年度の予算に比べますと一・二%増となっております。  内訳で申しますと、今の四千億弱の金額の中で、石油開発関係が千三百八十五億円、これは前年度予算比丘%の減でございまして、この中で石油公団に対する探鉱投融資事業出資金千百四十億円、それから国内の天然ガスの基礎調査費八十六億円、それから天然ガス探鉱補助金三十三億円といったところがございます。  それから備蓄関係でございますが、総額二千三百九十一億円でございまして、前年度予算比丘・一%の増加となっております。主要な歳出項目は、国家備蓄の増強対策費千七百七十九億円、それから民間の石油備蓄あるいはLPG備蓄助成費が四百五十四億円ということになっております。  そのほか技術開発・流通対策関係では百八十五億円でございまして、主要な歳出項目は、重質油対策の技術研究、新燃料油の研究開発と、こういったところでございます。  一方の代替エネルギー対策でございますけれども、五十九年度の予算といたしましては、海外炭のプロジェクトの厳選等によりまして最大限の歳出削減努力を図りました。その結果、前年度化四・九%減の五百二十九億円となっております。主な歳出項目は、石炭資源開発、これはNEDOを通じて海外炭の探鉱融資、開発債務保証等やっておりますけれども、これは二九・六%減の四十四億にいたしております。  それから代替エネルギーの導入促進対策でございますが、これは石炭転換あるいはソーラーシステムの普及促進関係でございまして、前年度比三・三%減の百四十一二一億円、三番目が技術開発でございますが、石炭液化の技術開発につきまして褐炭液化を現在国際協力プロジェクトとしてオーストラリアでやっておりますが、これの本格化、それから歴青炭の液化につきましても、従来三万式ありましたのを一本化するということもございますが、合わせまして百七十九億円を計上いたしております。  そのほかエネルギーの関係の項目として我々が重視をしておりますのは、基礎素材産業におきまして代替エネルギーの導入とその活性化を図るということで、共通基盤型代エネ技術開発費補助、これは研究が本格化いたしますものですから、これは三十三・四億円というのを確保したいということで計上をいたしております。  以上でございます。
  217. 多田省吾

    ○多田省吾君 今最も歳出の多いのが備蓄事業費であろうと思います。現在石油備蓄の状況はどうなっておりましょうか。
  218. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 我が国の石油備蓄は、石油備蓄法に基づきまして義務づけられております民間の備蓄、これは九十日でございますが、九十日備蓄と、その上に上乗せして行われます国家備蓄の二本立てになっておりますが、五十九年二月末現在の備蓄水準は、民間備蓄が約九十五日、国家備蓄が約二十六日、百二十一日分となっておりまして、キロリッターで申しますと、製品換算で六千五百七十五万キロリッターということになっております。
  219. 多田省吾

    ○多田省吾君 そこでお伺いしますが、備蓄というのは前暦年の一日当たりの内需量を分母にして備蓄日数を算出されるわけでありますけれども、この一日当たりの内需量はどのように推移しておりますか。特に増加の傾向にあるのか減少の傾向にあるのか、その辺もあわせて御報告いただきたい。
  220. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) ただいま先生御指摘のとおり、備蓄基準は前暦年の一日当たりの内需量を基礎として計算しておりまして、この数字は最近の石油の消費の低下に伴いまして減少傾向にございます。ちなみに五十八年の数量は約五十四万キロリッターということになっております。
  221. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうしますと、今一日当たりの内需量というものは減少傾向にあるということでございますので、歳出面で一番大きい備蓄事業費というものが、もし備蓄目標が変わらなければコストの面で今後節約できるということになりますが、どうですか。それから備蓄目標の変更、改定の見通しはありますか。その点をお伺いしたい。
  222. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 先ほど減少傾向にあるということを申し上げましたけれども、五十八年の五十四万キロリッター以降どんどん減っていくかという点につきましては、昨年の十一月に総合エネルギー調査会で長期エネルギー需給見通しをつくっていただきましたが、この見通しによりますと、中長期的には石油事情は、現在の水準とほぼ同水準あるいは若干の増加傾向になると見込んでおります。つまり五十七年度水準の二億四千万キロリッター、これが六十五年度でも大体その程度の水準になるであろう、七十年度にはそれが二億五千万ぐらいになるんじゃないかというふうな見通しになっております。  それからもう一つは、この備蓄の目標なり水準の問題でございますけれども、確かに現在、石油の需給の情勢は緩和基調で推移しておりますけれども、我が国の石油の輸入、これは全体のエネルギーの需要の中でまだ六二%という高い石油依存度を占めております。それに加えまして、この石油の中の三分の二は中東から入っておりまして、その中東情勢が非常に不安であるということは御高承のとおりでございます。  こうした状況で、昨年のエネルギー調査会でも、一体この備蓄をどう考えるんだということで真剣な議論が行われたわけでございますが、先ほど申しましたようなエネルギー供給に占めます石油のウエートの大きさ、あるいは中東依存度の高さ、国際的に見ました備蓄の増加努力、その水準、こういったところを総合的に勘案されまして、引き続き現行の備蓄目標、これは国家備蓄三千万キロリッターでございますが、そちらは維持しろということを提言されたところでございます。したがって、我々といたしましては、現行の民間九十日備蓄を維持する、それとともに国家備蓄の方は三千万キロリッターというのを引き続き着実に維持達成してまいりたいというふうに考えております。  民間備蓄の九十日の方でございますが、これは確かに内需量が減りますと数量が減りますけれども、一方においては値段が上がっておりますので、そういった点においては資金的な面では増加要因が出ているということでございます。
  223. 多田省吾

    ○多田省吾君 昭和六十三年度で国家備蓄目標は達成されますか。
  224. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 国家備蓄につきましては、現在我々としてはできるだけ歳出削減、節減の努力をしたいということで、備蓄基地の建設そのものは後ろ倒しにいたしまして、六十五年度に完成したいというふうに考えておりますけれども、中身の、つまり備蓄の油自体はぜひとも六十三年度までに三千万キロリッターの目標を達成したいというふうに考えております。
  225. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうしますと、三千万キロリットル昭和六十三年度で達成できたとしたら、大体これは何日分になりますか。民間備蓄と合わせて大体備蓄は何日分になりますか。
  226. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 民間備蓄九十日と合計いたしますと、大体百四十三日ないし四日分ということに相なろうかと思います。
  227. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうしますと、昭和六十三年度で百四十三日ないし四日ぐらいの民間及び国家備蓄目標が達成できたとしたら、この備蓄事業費というものはますます少なくても済むといいますか、そんなに歳出面で大きく必要になるということはないんじゃないんですか。
  228. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) ただいま申し上げましたように、今後備蓄に要する費用といたしましては、ただいま申し上げました国家備蓄、これは毎年二百五十万ないし三百万キロリッター積み増ししていく必要がございますけれども、その積み増しの費用、それから国家備蓄基地の建設の進捗に伴いまして、その費用ということで増大する予測でございます。  一体どんなふうになるかという点は、これは具体的な進捗状況いかんによりまして所要資金は変動いたしますので、現時点で正確な見通しを申し上げることは困難でございますけれども、それではその六十三年度に国家備蓄三千万キロリッターが達成された場合にはその後は減るかという御質問だと思いますけれども、実は国家備蓄三千万キロリッター達成いたしましても、その中に入れておく油、これは現在市中から買い入れまして、それに対して金利を補給して基地の中に入れているわけでございますが、この借入金に関する金利、それから備蓄基地の利用料、これは減価償却費等でございますが、その利用料、こういったものが必要になってまいります。  ただ、建設資金の借り入れに関しましては、その借り入れに関する金利、これは少しずつ借入金の返済に応じまして減少していきますので、その段階になりますと備蓄費用は減少していくものと見込まれます。ただ、先ほど申し上げましたように、備蓄基地の完成が昭和六十五年度でございますので、今申しましたような備蓄費用が具体的に減っていくというのは相当先のことになるんじゃないかというふうに考えております。
  229. 多田省吾

    ○多田省吾君 大分予防線を張られているようでありますけれども昭和六十三年度の国家備蓄目標達成とか、六十五年度の基地建設達成とか、その後もお金がかかるようなことをおっしゃっておりますが、この石油税というものは、備蓄を中心にしてその財源として考えられたものでございます。今後この歳出がもし削減されていくようなことになりますと、この石油税というものが減税の方向に進むのか、あるいは石油代替エネルギー対策費なんかの方に重点配分されていくのか、その辺はちょっと将来のことではありますが、どうお考えですか、その見通しをお伺いします。
  230. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 確かに、この時点で今御質問のようなことを想定いたしますのは非常に難しいと思います。備蓄基地の建設自体が六十五年度というふうに予定をいたしておりますので、その先の石特会計の歳出入見通しを出すというのは大変難しいことでございますが、一般論として申し上げますと、その時点において、国際情勢を含めまして、エネルギーの状況がどういうことになっているだろうか、あるいは石油対策、代替エネルギー対策をどういうふうに進めるべきか、あるいはその必要性があるのか、それに対しての歳出の裏づけ、それから石油税収がどういうふうになっていくかという見通し、こういった要素を慎重に見きわめて対処することになるんではなかろうかというふうに考えております。
  231. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、石油代替エネルギー対策について簡明にお答えいただきたい。
  232. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 石油代替エネルギー対策、これは石油にかわります石炭、原子力、LNG、あるいは日本の国産のエネルギーでございます水力、地熱、それから石炭液化であるとか、太陽光であるとか、オイルシェールであるとか、そういった新エネルギー、こういった代替エネルギーの開発、導入を図ることによりまして、石油の過度の依存度を低下さして日本のエネルギー供給構造の体質強化を図る。これが我々の代替エネルギー対策の目標でございます。
  233. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうしますと、この石油税を納める方は、国産原油の採取者、あるいは原油、石油製品を保税地域から引き取る輸入業者、こういう方々が石油税を納めるわけです。それが石油にかわる代替エネルギーの開発、研究に今御答弁あったように使われるわけです。その結果、ますます石油が少なくて済むようになるわけです。当然税収は減ります。そうしますと、今回のようにまた増税しなければならないとなります。そうすると、この業者の方が税金を納めれば納めるだけますます増税になる、増税に拍車がかかる、そういう性質の石油税というものは税制自体がおかしいことになりませんか。
  234. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 確かに先生御指摘のとおり、この石特会計で講じられております対策、これは石油対策、それから石油代替エネルギー対策、全体として広くエネルギーの安定供給に役立っている、そういった施策に使われているものでございます。そういう意味では、本来その財源負担というのは、受益を受けるエネルギーの消費者の方々が広く負担していただくことが、あるいは究極的には望ましいあり方であるのかもわからないというふうに考えております。  そういう見地もございまして、今回の石油税の拡充の中には、石油と同様に便益性も高い、あるいは石油と精製、粗製とも非常によく似ているそういった石油系燃料でございますLNG,LPGを対象範囲に加えていただく、そういうふうなお願いをしておるということでございます。
  235. 多田省吾

    ○多田省吾君 後でも質問しますが、このLNG、LPGに一・二%対象品目として増税したということ自体がまた私は新たな問題になっているのではないか、このように思います。  それはそれとしまして、石油税のような従価税の場合は、価格が下がれば実質税負担率が下がる、だから税率を上げても増税にはつながらない、このように政府は考えておられるのかどうか、その辺はっきりした御答弁をお願いしたい。
  236. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 先ほど来御議論がありますように、石油税創設当時いろいろ御議論がございましたけれども、油種が非常に多いというふうなことにもかんがみまして従価税として構成されておるわけでございます。今回、税負担の引き上げをお願いしておるわけでございますけれども、それは石特会計を通じますエネルギー対策の財源確保という観点でございまして、私ども税率を引き上げるということは、形式的には税負担の引き上げというふうに観念すべきであろうと考えております。  ただ、実際問題といたしましては、従価税で、原油価格が下がっておりますから、今回の引き上げをお願いいたしました部分、五十七年当時のリッター当たりでもキロリッター当たりでもよろしゅうございますが、税額と、今回の税率引き上げを認めていただきました後の税額、若干実質上負担額が上がっております。ただ、小売価格全体、税込みの末端価格全体ということでは下がっておるわけでございますが、その実質的な税額部分だけ引き上がっております部分はやはり実質的な増税であると観念すべきであると思います。
  237. 多田省吾

    ○多田省吾君 このたび石油税に対する課税枠が拡大されたわけでございます。ガス状炭化水素への課税を図ろうとされているわけでございますが、このような課税対象の枠を広げることは、今後ますます広げられていくというおそれがありますけれども、そういうことは今後ないと確約できるのかどうか。
  238. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、現在の石特会計で講じられている対策の中身は、エネルギー全体の安定供給に寄与する、そういった施策に活用されているということから考えますと、その財源負担というのは本来受益を受けるエネルギーの消費者が広く負担することが究極的に望ましいものだというふうに、そういうふうにも考えられるんじゃなけかと思います。  こうした見地から考えますと、実は例えば石炭についてどうだろうかということがあるわけでございますが、この石炭につきましては、国内の石炭産業の現状あるいは海外の産炭国との関係、こういったところから見ますと、実際上現段階での課税というのは適当ではないんじゃなかろうかというふうに考えられます。あと電力関係等もいろいろございますけれども、ウラン等はこれは二次エネルギーで利用されておる、つまり電力として利用されておりまして、こちらの方は電源特会で対応が図られておりますので、むしろそちらの方にゆだねるべき問題ではなかろうか、こんなふうに考えております。
  239. 多田省吾

    ○多田省吾君 一昨年ですね、昭和五十七年四月二十一日ですか、「長期エネルギー需給見通し」というものが発表されました。しかしこの二年間でいろいろ問題があったと思います。この二年間の推移で、一昨年に発表されたこの「長期エネルギー需給見通し」で変更されなければならないような点があるのかどうか、その点をお伺いしたい。
  240. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 実は、五十七年の四月に「長期エネルギー需給見通し」を策定いたしまして、その後一年たった五十八年の十一月にまた「長期エネルギー需給見通し」というのが改定されたわけでございますけれども、そのわずか二年の中でなぜそこを変えなきゃいけなかったかということの理由は、五十七年の旧見通し、前回の見通しと現実との間の乖離が顕著になってまいったと、そういうことが最大の原因でございます。  で、これがなぜそうなったのかという点につきましては、先ほども申し上げましたように、第二次オイルショック以降のエネルギーコストの上昇というのが、単に産業界のみならず国民経済のいろんな分野において大きな影響をもたらした。それがエネルギーの需要の伸びに非常に響いたと、そういうことがございまして、今回の見通し改定に相なったわけでございます。したがって、今回の見通しの改定におきましての将来のエネルギー需給見通しの視角と申しますか視座と申しますか、そういった点が、先ほど申し上げましたような、もちろんエネルギーのセキュリティーの確保は重要であるけれども、それとともにエネルギーコストの低減に努めて両者のベストミックスを考えろというふうな、そういった形のエネルギーの需給構造をつくることを目標にしたということでございます。
  241. 多田省吾

    ○多田省吾君 これは詳しくお聞きしたいのでありますが、時間もありませんので、次に、ガス状炭化水素への課税について今回図られましたが、このLNG及びLPGなどガス状炭化水素を対象に入れた分だけの増収分は初年度と平年度でどうなりますか。
  242. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 五十九年度、これは初年度でございますが、初年度の石油税の増収分は六百七十億円、そのうちのガス状炭化水素にかかわる税収といたしましては約百四十億円、したがって平年度ではその倍の二百九十億ということになります。
  243. 多田省吾

    ○多田省吾君 この新しくガス状炭化水素に対して課税されたということでいろいろな影響が考えられるわけです。  まず、LPGの主要な一つであるプロパンガスについて伺いますが、現在、我が国の全世帯のうち、このプロパンガスを使用している世帯はどのくらいあると推定されておりますか。あわせて、今後の需要の見通しをお伺いしたいと思います。
  244. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 我が国のLPGの使用世帯数でございますが、世帯員が二人以上の普通世帯、これでは約六割に相当いたします千八百万世帯、それから独身世帯のLPG使用世帯を合わせますと約二千万世帯、ちなみに総世帯数が三千八百万世帯でございます。三千八百万の中の約二千万ということでございます。  それから今後のLPGの見通してございますけれども、五十八年度の石油供給計画でございますが、その五十八年度の石油供給計画によりますと、昭和六十二年度の需要、これは千七百七十万トンと見込まれておりまして、そのうちの約三分の一の五百九十万トン、これが家庭、業務用でございます。
  245. 多田省吾

    ○多田省吾君 これだけ需要のあるものに新たに課税されるわけでありますけれども、これが民生用、業務用を問わず消費者に与える影響、特にプロパンガスを、単体だけでなくて、これを利用している飲食業等を通じて物価へのはね返りというものが相当あると考えられますけれども、国民生活を守るためにどのような対策をおとりになろうとしておりますか伺いたい。
  246. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 今回のこの石油税の課税によりますLPG価格への影響でございますが、現在の輸入価格を前提に試算いたしますと、おおむね十キログラム当たり八円程度でございます。また家庭用のLPGの小売価格、これに対する割合は〇・三%程度、こういうことに相なっております。  それからどういうことを重点に家庭用のエネルギーに対して対策を講ずるかという点でございますけれども、まず第一は何といいましてもLPGの備蓄の充実でございます。六十三年度まで五十日分というのを目途に現在LPGの備蓄の積み増しを進めておりますが、この計画を着実に進めるということが第一点でございます。それから第二点は、LPGはその大半が海外から輸入されておりますけれども、その輸入先というのが中東が中心でございまして、中東依存度が非常に高い。したがって、できるだけこの供給ソースを多角化する、これについても所要の支援を行ってまいりたいと考えております。それから第三点は、流通段階での近代化、これがLPGの安定供給の上で重要な要素でございますので、このための構造改善事業あるいは流通の合理化、近代化の推進、こういったところに今後の石油対策、石特会計各対策を活用いたしまして施策を展開してまいりたい、そういうふうに考えております。
  247. 多田省吾

    ○多田省吾君 それからLNGについては、輸入促進ということで関税暫定措置法で税率が二〇%の適用を免除されております。一方で免税、それで一方で新規課税では不合理ではないかと思いますが、その点どう考えておりますか。
  248. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 確かにエネルギーの多様化という見地では、LNGは原子力、石炭、そういったものと並んで石油代替の柱として今後とも推進を図っていくべきものではございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、石特会計の予算が広くエネルギーの安定供給のために活用されているという見地から、今回LNGにつきまして課税範囲に加えていただくようお願いしたわけでございますけれども、しかしながら、先ほど申しましたLNGの持っているそういった多様化のために推進すべきという性格にもかんがみまして、一つはLNGと従来の石油との間に税率の格差を設けたということがございますし、さらに今後このLNGの需要の推進拡大のために、この石特会計を活用いたしまして安定的なLNGの供給を図ってまいりたいというふうに考えております。
  249. 多田省吾

    ○多田省吾君 石油に関しても種々な税制がありますけれども、項目だけで結構ですから、石油に関する税制をちょっと列挙してみてください。
  250. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 内国消費税だけに限定して申し上げますと、ただいま御審議の対象になっております石油税のほかに、石油製品の一つでございます揮発油を課税対象にいたします揮発油税がございます。それから地方の道路財源として分与されます部分は地方道路税と別の税目になっておりますが、いずれにいたしましても、これは揮発油税を対象にしたものでございます。それから自動車用の石油ガスにつきまして石油ガス税。それから地方税でございますが、軽油を課税対象にいたしました軽油引取税、それから国税でございますが、航空機燃料を対象にいたしました航空機燃料税がございます。
  251. 多田省吾

    ○多田省吾君 このように石油関係諸税というものは大変複雑になっております。政府は今行政改革を進めておられますけれども、石油諸税についての税制改革をやる考えはありませんか。
  252. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) ただいま申し上げました石油諸税は、いずれもいわば特定財源と申しますか、受益者負担的な構成の税目でございます。それぞれの税の性格によりまして課税段階、引き取り段階、あるいは製造段階、流通段階、それから航空機への積み込みの段階といったふうに、それぞれの税の性格によりまして、それなりに整序された体系になっておるというふうに私どもは考えておるわけでございますけれども、これは当委員会でも従来から御議論がございますように、これらの税目は現在の特定財源という建前といいますか、受益者負担的な構成と密接不可分の関係にございます。  したがって、全体として今後どう考えるかという大きな問題でございますけれども、税制の面だけの整序という観点から見ますると、現在はそれなりの整った体系にはなっておるわけでございますが、将来これを全体としてどう考えるかというのは、より大きな課題として中長期的な検討の課題であるということは否定できないところでございます。
  253. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後大臣にお伺いしますけれども、今回の酒税、物品税、石油税の増税は租税負担率も引き上げますし、総理の増税はしないという公約にも反するわけです。せっかくの多少の所得税減税もそれで相殺されまして国民に負担がかかり、また景気回復にも大きな影を及ぼしております。こういった面で私どもは不公平税制の改正あるいは歳出削減を中心とすべきであって、このような国民に及ぼす増税はすべきではない、このように思います。こういう増税案はここで撤回すべきだ、このように思いますが、いかがでございますか。
  254. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに増減税チャラというような考え方からいたしましても、今回この御審議いただいている予算そのものからいたしましても、いわゆる実質経済の成長率に対してはその寄与度という面はゼロでございます。プラス・マイナス・ゼロということになっておるわけであります。しかしながら、それにいたしましても、一応見込んでおります四・一%という経済成長の下支えの役割は果たしておるではなかろうかということ、そうしてそのためには減税が行われ、それに見合う物品税、法人税等の引き上げというものがぎりぎりの御理解をいただくべき限界である、こういうようなことを承知いたしておるわけであります。また、御審議いただいた石油税の問題につきましては、よってもって立つ特定財源として将来にわたって安定的財源を得るという意味でこれまた御理解をいただかなければならないという立場からお願いをしたわけであります。  で、御意見として申し述べられたように、今後なお歳出削減ということにその制度・施策の根源にさかのぼって対応しなければならないと同時に、またいわゆる歳入歳出両面にわたっての合理的な見直しということに対しては絶えず検討を続けていかなければならぬ。そういう意味におきましてぎりぎりの選択をお願いしておる立場にございますので、今これを撤回するという考えについては、残念ながら見解を異にせざるを得ないという立場であります。
  255. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 きょう、私は石油問題を中心に質問いたしまして、もし時間が余れば酒税に関してきのうの続きを質問したい、こう思っております。ですから、石油に関して要領よく答えてもらえば酒まで行くということですので、よろしくお願いしたいと思います。  まず、大蔵大臣に総論的にお伺いします、  石油業界が国内国外とも極めて厳しい変化にさらされておるということは、御承知のとおりであります。そこで石油業界は生き残るための手段の模索の段階にある。メジャーにも、また我が国の独占と言われる石油大企業にも長期の展望は全くない。現状を見てみますと、これは、この後具体的に指摘いたしますが、盲目的な弱肉強食の原理が野方図に行われているというこういう状況で、その犠牲が弱小業者であるガソリンスタンドに負わされている、またしわ寄せが一般国民に向けられているという、こういう状況であります。  そこで大臣、お伺いしたいのは、今回の増税が、現在でもこういう弱者の大変な状況、そういう弱者の犠牲を一層拡大するんじゃないか。これは当然考えられますが、それについての大臣の所見を承りたいと思います。
  256. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 石油税そのものについて仮に申しますならば、いろいろ議論がございましたけれども、税率引き上げ幅は一・二%、その幅といたしましては小幅なものでありまして、増税後の石油税込み価格は、原油価格の低下前に比べてなお低い水準にあるということが言えると思うのであります。ただ、値上げ、いわゆる税率を上げなかったらとの比較ならば、当然幾らか低さの加減は違うという論理はまた存在するでございましょう。また、今回の改正が厳しい財政事情のもとでエネルギーの安定的な供給を確保するということと、そして、とかくこういうふうに石油事情が緩んでまいりますと、えてして民族の将来のために大事な代替エネルギー関係とか、そういうことに対して我々がイージーになりがちな点もございます。    〔委員長退席、理事大坪健一郎君着席〕 こういう問題を進めていくための財源を安定的に確保するという意味からすれば、私はやむを得ない措置であって、そしてそういう政策が着実に実行されることによって中長期的には国民生活に望ましい影響を与える基礎になるものではないか、こういうふうに私は考えておるものであります。
  257. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そんなやむを得ないと言っておれるかどうかについて具体的に判断してもらうために、私は具体的な事実を提示したいと思います。  そこでエネルギー庁にお伺いしますが、ガソリンの販売についてガソリンスタンドが扱っている割合、これは大体どれぐらいですか。
  258. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) ただいまお尋ねのガソリン販売をガソリンスタンド経由で売っているものの比率というものについて、極めて確たる統計数値がそろっているわけではございませんけれども、おおむねのところということで御了解賜りますと、大体スタンドを通さない部分というのはせいぜい一%前後です。したがいまして、ほとんど大半がスタンド経由ということになろうかと思います。
  259. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ですから、石油税を具体的に確保するという点では、これはきのうも問題にしまして、酒税確保の便宜、効率のための酒造、酒販の免許ということで議論しましたけれども、私はある意味では同じような問題があると思うんですよね。ここでしっかり売らなければ、またそこがつぶれたりなんかしておったらば、これは税収確保の面でいろんな問題が起きてくるんじゃないだろうか、こう思うんです。しかし、これもきのう問題にいたしました特に酒販業者あるいは酒造業者以上に大変深刻な状況にあることは、これはエネルギー庁からもらった資料でも明らかであります。  例えば営業利益率、あるいは経常利益率ともに、これは減少をずっと続けてまいりまして、五十七年の段階で黒字幅一%以下が二二・一、赤字は四四・〇。私はこれは実際はもっと多いんじゃないかと思うんです。これは大変深刻な状況で、この経営悪化の原因は一体何だとお考えでしょうか。
  260. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 確かに今先生も御指摘のとおり、ガソリンスタンド業界の経営は大変苦しいということでございますけれども、その背景を見ますと、末端におけるガソリンの販売価格も一昨年の秋ごろは百七十七円ぐらいで販売しておりましたのが、最近の時点で見ますと、百五十円ぐらいになっております。これはもちろん全国的に場所によりいろいろな販売条件の差があるかと思いますけれども、この間五ドルの原油価格の引き下げがございましたから、元売会社といたしましては、一昨年の秋の水準に比べまして十二円程度の仕切り価格の値下げを打ち出したということではございますけれども、それをはるかに上回る末端価格の下落が生じている。  その理由といたしましては、元売業界、それからスタンド業界のそれぞれの過当競争がもたらしたものではないかと存じているわけでございまして、そのような意味からも過当競争体質で経営体質をいたずらに脆弱化をさせておるというのが実情ではないかと思っております。
  261. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 その問題は次にお聞きしますが、大変深刻な状況で、ここ一年間にスタンドの数は減ってはおりませんけれども、業者で言うと三百三十社減少したと言われております。そして業界紙によりますと、七年先には給油所は淘汰されて一万箇所減るんじゃないかという予測もされておりますが、この辺は通産省はどう見ておりますか。
  262. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 我が国のガソリンスタンドの数は現在五万九千ほどございますけれども、私どもといたしましても、ガソリン需要の停滞の中で果たしてこれだけのスタンド業界が今後とも経営の安定を確保していけるかどうかということにつきましては、今私ども先行きについて大変気にいたしておるところでございます。先般も欧米に石油の流通産業の調査団を派遣いたしまして、海外の流通産業の実態について調査をいたしてまいったところでございますが、それによりますと、欧米諸国におきましてはかなりガソリンスタンドの数を減らしておる、あるいは残ったスタンドもいろいろ合理化、多角化を推進しておる。そのようなことで欧米におきます販売業界は厳しい対応をしつつあるわけでございます。  さて、私どもの我が国で果たしてそれではどのような方向に今後進むべきか、数は今先生仰せのとおり何軒減るのかというようなことにつきましては、私どもはとりあえず今答えを持っているわけではございません。この点につきましては、欧米の対応の仕方につきましても、それが果たして適切なものであったかどうかについては、なお評価に時間のかかる面もあるように現地の声を聞いたりしております。したがいまして、今後私どもといたしましては、関係各界の意見を十分参考にいたして今後のあるべき姿を考えてまいりたい。そのために石油審議会等で御議論いただいているところでございます。
  263. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 過当競争に原因があるということなんですが、実際は値崩れを起こしているところに問題があると思うんですね。それがガソリンスタンドの経営困難の原因だと思うんです。それは何も一部はみ出し業者の問題に矮小化してはいかぬのではないか、もっと根源的なところに問題があると思います。  また、念のために申しておきますと、私は何も石油の価格が下がることに異を唱えるものではなくて、石油の値段も下がって国民が安く買える、しかも一生懸命売っている零細業者がちゃんと経営していけるということ、両方成り立つことが一番望ましいと思うし、私はこれから申し上げるとおりその可能性はあると思うんです。  そこで、現在ガソリンスタンドの仕切りは大体百四十円ぐらいと聞いておりますが、そのとおりですか。
  264. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) ガソリンなど、これに限りませんが、石油製品の元売仕切り価格につきましては、申すまでもないことでございますが、企業ごとにあるいは取引の形態によりまして異なっているわけでございまして、私どもといたしましてこれを一義的に正確に把握しているわけではございません。ただ、例えば経済新聞の商品市況欄等によりますと、最近の特約店の卸価格は大体百三十六円五十銭というような数字が報道されておりますので、先生仰せのような水準も一つの目安になろうかと存じます。
  265. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは普通どの程度のマージンが保証されるなら大体やっていけるんでしょうか。
  266. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) その適正なマージンあるいは採算点、そういうことにつきましては、スタンドの経営の実態、量販店型でいくのかそうではないのか、いろいろな経営の実態によりましても相当異なっておろうかと思いますし、それぞれの販売業者がみずからの経営の中で本来判断すべき問題かと思いますので、政府といたしまして一概にこのぐらいだと申し上げることはなかなか難しいわけでございます。  ただ、ガソリンスタンドの経営におきますマージンの実態はどうなっているかということにつきましては、私どもの方で給油所の経営実態報告というのを徴しておりますので、これによって見てみますと、昨年三月時点でございますと、揮発油販売業者の平均でリットル当たり十三円程度のマージンを上げていたという報告になっております。その後、調査時点以降、先ほどお話に出ましたように、厳しい価格競争を行っているというような事情を背景として考えてみますと、先ほど申し上げたリットル当たり十三円というマージンよりもさらに厳しいものになっていることがうかがえるんじゃないかと思います。
  267. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、問題を正確に議論するためにちょっと前に戻りますが、昨年の十月段階で、そちらからもらった資料で、東京都区部の店頭現金売りの価格が大体百五十五円、そのころの仕切りが大体百四十円、大体そうだったと思うんですね。マージンは大体一〇%ぐらいみんな欲しいと、こう言っています。ところが問題は、昨年十月に店頭現金売り百五十五円のときに高速道路内の販売店が百五十三円にした、それが業界あるいは小さい業者にとっては大変ショックだったようであります。  そこで、建設省おいでになっていると思いますけれども、要するに道路施設協会が間に入ると思うんですが、高速道路における石油の購入とその販売、あるいは価格の決定の仕方、それはどうなっていましょうか。
  268. 平戸孝

    説明員(平戸孝君) 高速道路上でのガソリンスタンドは、現在、五十九年三月九日現在でございますが、百二十五カ所ございます。  それで、道路施設協会、これが高速道路の利用施設の占用を全部やっておりますので、施設協会が石油の元売業者十二社と入札で営業所を決めまして、それで元売業者はその系列の特約店に実務を代行させているということが現在のやり方でございます。  それから価格につきましては、施設協会は契約の条件といたしまして、価格は承認にかかわらしめる、それからその価格が適正でないときは協会が指示をして契約を変更すると、こういう条件で契約をしております。価格については以上のような決め方です。
  269. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これもあなた方の説明によると、最高価格で一応抑えているということですね。そして、その場合、まず道路施設協会は営業者から手数料、あなた方に言わせると営業料というんですね、これを徴収することになっていますが、これは大体何%ぐらいですか。
  270. 平戸孝

    説明員(平戸孝君) 営業料金につきましては、これはガソリンスタンドに限らず、レストラン等もやっておりますが、これは業者と協会との相互関係上、商売の機微に属するということで一切公表されておりませんので、私どもも存じておりません。
  271. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これはわからないはずないんで、言うと都合悪いから言わないだけの話なんですが、これは私の調査でも大体力%か一〇%、業界紙によっても大体力%ということなんですね。  まず、先ほど申し上げた販売価格、昨年十月段階で百五十三円から九%を引くんですね。ただ、その後また下がりまして百四十七円、それから九%を引きますとその営業料率が大体十三円二十二銭、ですからまず百三十三円七十七銭なんですね。しかし仕切り価格はもっと低いんです。さらに今度は業者の手数料、業者のいわばマージンがありますから、それが大体、これも調査してみますと、十円ぐらいになってます。そうすると大体百二十三円七十七銭が仕切り価格でありまして、となりますと一般特約店よりも大幅に大安売りということになるんですが、その辺の実情を御存じですか。
  272. 平戸孝

    説明員(平戸孝君) まず営業料でございますが、これは高速道路という特殊な状況の中でいわば独占的に営業するということが一つと、それからもう一つ、高速道路上のああいう利用施設につきましては施設協会が全部施設を設置します、それをただで使ってもらうと、こういう二つの特性があるわけです。この二つのことから出てくる超過利益を営業料として協会がいただくと、こういう形でございます。  それから仕切り価格でございますが、これは先ほど申し上げましたように、協会は元売業者と営業契約を締結しているわけでございまして、元売とそれから実務代行者との間の問題でございます仕切り価格につきましては、公団も施設協会もいずれも把握してないというふうに聞いております。
  273. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 だから、今言われたとおり営業料率をとっていることは間違いない。ただ、その率については言えないけれども、私が大体力%か一〇%と言った、それを否定する根拠はないんですよね。もっと低いんですか。大ざっぱでいいです。
  274. 平戸孝

    説明員(平戸孝君) 私の方に資料がありませんので、何とも申し上げようがありませんが、一けただということは聞いております。
  275. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 はい、よろしいです。要するに一けたの上の方なんですよね。これはもう業界紙にも出ているんだから間違いないことなんです。  そこで、エネルギー庁にお伺いしますが、こういう計算が出てきまして、百二十三円七十七銭、この仕切りは出血仕切りでしょうか。
  276. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 出血仕切りということのお言葉でございますけれども、出血とは何かという定義がなかなか難しいんじゃないかと存ずるわけでございます。と申しますのは、ガソリンを初めとする石油製品のコストというものにつきましては、先生も御高承のとおり、連産品ということの特性を持っているものですから、なかなか製品ごとのコストを一義的に決めることには困難なことがまずございます。    〔理事大坪健一郎君退席、委員長着席〕 加えて、本当に幾らで元売仕切りが高速道路向けに仕切っているか私どもわかりませんが、いずれにいたしましても、元売企業といたしましては、営業の形態、あるいは取引量その他いろいろな個々の取引の実情に応じて商業上の判断を加えて値段を決めているんだろうと考えられますので、それぞれの取引の特徴に応じた販売価格が形成されるということについては、石油製品だけではないと存じますけれども、石油製品につきましても当然あり得ることではないかというふうに考えております。
  277. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今の答弁は出血で仕切ることもあり得るということですか。それは重大なことじゃないですか。
  278. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 私、先ほど伸し上げました趣旨は、出血かどうかということにつきましての概念規定が、石油の場合には連産品であって非常に難しいということを申し上げる趣旨であったわけでございまして、後段に申し上げました趣旨は、価格の値決めの仕方が取引形態によって違うことがあるということを確認的に申し上げた趣旨でございます。
  279. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それから今申し上げた百二十二円七十七銭というのは、これは聞けばわかるわけですよね、業者から。その辺はまだ調べてないんですか、調べればわかるんじゃないでしょうか。
  280. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 私どもといたしましては、特別、現在、本件について業界から聴取はいたしておりませんが、先ほど申し上げましたように、取引の形態が通常のものとは量的な面におきましても、その他の面におきましても違う点がございますので、違った値決めが行われることがあるであろう、こういうふうに理解しているところでございます。
  281. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 要するに、大量に扱うから安くしているんだということで、決してこれは出血じゃないと思うんですね、赤字じゃないと思うんですね、赤字じゃないと思うんです。  そこで、通産省にお伺いしますが、通産省は大体幾らでガソリンは入れているんですか。通産省が入れている価格。
  282. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 通産省のガソリンの購入価格につきましては、担当部署によりますと、現在リットル当たり百三十九円で購入しているというふうに承知しております。
  283. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 もちろん、これは途中に業者がおって、元売から直接じゃないから、業者のマージンも含まれているんですよね。
  284. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 通産省の購入先は、おっしゃいますように、いわゆる特約店のようなところから購入しておりますので、特約店としましてのそれなりの経営判断の上で値決めをしているものと存じます。
  285. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大臣大蔵省は幾らでガソリンを入れているか御存じでしょうか。
  286. 渡邊敬之

    政府委員(渡邊敬之君) お答えいたします。  大蔵省では、ただいまリットル当たり百四十円七十銭でございます。
  287. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、各省庁全部調べてみたんです。参議院も調べてみたんですけれどもね。総理官邸と総理府が同じで、これは昨年の八月段階で百三十九円、それから建設省が百三十六円、運輸省は百三十七円六十二銭、それから参議院、参議院は一番大量にやっておるんですが、昨年の九月段階で百三十円です。随分安く仕入れているんで、私は感心だと思うんだけれども、ことしに入ってからで百三十三円九十銭、いずれもこれは途中のマージンも含まれておるんですね。官庁だから大量とはいえ、大体ずっとここであった仕切りが大体百四十円なんですね。それより安く仕切りができるという事実です。  そこで私は、国民のためにも、これはせっかく税金で買うんだから、安く買うことでれば私は褒めるべきだと思うんですね。そして、これは同時に自分のところだけ安く買うんじゃなくて、安く買えるんだから、一般の石油の販売のスタンドも同様に安く買えるように指導すべきだと思うし、そしてそれは原価が明らかになれば、これはできるんですよね。  そこで私は、先ほど申し上げた百二十三円七十七銭、これが赤字がどうか、出血かどうか、これはエネルギー庁としては大いにそこを明確にし、そして、それでも利益が私はあると思うんだが、そこに既に利益があり、利益があるからこそ大量に売っているんですね。かつ、その上に百二十三円で売れるというところを一般に百四十円で売っている。そこでまず二重の大もうけをしている。だからガソリンスタンドは苦しいんですよ。その中でまた過当競争があって、余計これは苦しくなっていくんですね。  そういう点では原価はわかっているんでしょう。一体、原価は幾らなんですか。
  288. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先ほどもちょっと申し上げたわけでございますけれども、石油会社におきます石油製品の原価計算というものにつきましては、それぞれ、当然のことでございますけれども、原油調達のコストあるいは精製コストなどが異なっておりますし、先ほど申し上げましたように石油製品がいわゆる連産品ということで、大変特殊な性格の製品である、またかつ、この連産品たる各石油製品を各石油会社がどのような製品構成で製造するか販売するかという点もまちまちでございまして、なかなか一律に論ずることは難しいわけでございます。  私どもといたしましては、製品価格の問題は、基本は市場メカニズムを通じて形成されることが基本だと考えているわけでございまして、各石油会社がそれぞれの経営状況、需給状況等を総合的に勘案して、みずからのコストを見きわめて、自主的な判断のもとに価格の形成を図るべきものと考えておりますので、特に製品の原価につきまして私どもで把握しているわけではございませんが、最近の石油精製元売会社の企業収益状況などを見ましても、大変厳しい状況が続いておることは御案内のとおりでございますが、例えば五十六年度におきましては、三千五百億弱の経常赤字を出しておりますし、五十七年度は二千億ほど黒字になりまして、その赤字の一部分を補ったわけではございますけれども、現在までにわかっております五十八年度の上期の段階ではさらにまた赤字を計上いたしておりまして、石油会社の収益状況は大変厳しいということからいたしまして、なかなか所要のコストを十分賄い切れていないというふうに理解されるわけでございます。
  289. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 経常利益についてはそういう赤字のところもありますが、例えばエッソ・モービルグループ、これはずっと利益を上げています。日石グループも利益を上げていますね。そういう点では確かに差があると思うんですが、私は原価がそんなリットル当たり十円も十五円も違うはずはなくて、せいぜいこれは二、三円の違いだと思うんです。  そこで、これ私も勉強いたしまして、ガソリン原価をひとつ出してみたんですね。私にできるのだから、エネルギー庁でできないはずないんです。まあ、今までの答弁でそういうことは明らかにしないというんだが、計算の仕方は答弁してもいいでしょう。  まず、計算の仕方として、私は計算の前提として、原油CIF価格一バレル二十九ドルから二十九・五ドル、それから円為替レートを一ドル二百二十六円から二百三十円ということを前提に計算をしてみました。そうしますと、まず計算の一つのAとして、原油CIF価格、これは四十一円二十二銭から四十二円六十七銭、一リットル当たり。そして精製コストなど、リットル当たり十二円二十銭。その計算の根拠は、これはキロリットル当たりの単位計算ですが、インタンク料二百円、精製コスト三千円、販売経費四千円、精製ロス二千五百円、備蓄防災コスト、これは保安管理も含めて千円、金利千五百円、金利まで考えているのだから、これはかなりその立場に立った考えで、小計一万二千二百円になります。今のは、精製コストはBとします。Cとして、バージあるいはローリーの運賃平均リットル当たり三円五十銭。Dとして、元売経費、これはリットル当たり十円。この元売経費というのは利潤なんです。まずここでもうリットル当たり十円見ているんです。そして、今申し上げたA足すB足すC足すDで六十六円九十二銭から六十八円三十七銭、それに石油課税五十三円八十銭。となりますと、これ百二十円七十二銭から百二十二円十七銭。ちょうど先ほど言った高速道路に卸している価格とぴったりするんです。  確かに高速道路、でかいし大量に仕入れるし強いから、そういう意味じゃ気の毒ですわ。元売各社本当にお気の毒だと思うんです、こんなに低く抑えられちゃってね。しかし、それだって今申し上げたリットル十円の利潤があるんですよ。私は申し上げたんです。先ほど申し上げた各官庁、税金を使っているというんで安く賢い入れている。これもできるんです。だとしたら、どうして今本当につぶれるかどうかというたくさんの零細業者、ガソリンスタンドにこの段階で百四十円なんということじゃなくて、もっともっと安くする。そうすればちゃんとマージンも保証され、かつ一般利用者に対してももっと安くこれは売れるんです。物価も下がるんですね。私は、まさにエネルギー庁というのはそういうためにあるんじゃないんでしょうか。それはできないんでしょうか。また、私の計算、これは間違っているんでしょうか。間違っていたら、どこが間違っているか言ってください。
  290. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 原価の計算の例をお示しになられまして、今数字を伺ったばかりでございますので、個々の費目の数字のよしあしについて、にわかに私どもの方で申し上げる準備はございませんけれども、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、石油製品は連産品としての制約があるわけでございますから、先ほどの計算が行われた全油種平均のコストではないかと理解いたしますけれども、全油種平均のコストをそれぞれの連産品たるガソリンから重油に至る各油種でどのようにコスト還元を図っていくかということになりますと、この点は個々の石油製品の需給、価格等々によって市場価格が形成されてまいりますので、全体としてコストを回収するというのは石油会社の経営の実情でもございますので、そういう意味では全体のコストを各石油製品にどのように割り掛けてコストの回収を図っていくか、これは企業の考え方では一義的に決められない、マーケットによって決まってくる面があるわけでございます。  いずれにいたしましても、そういうわけでなかなかガソリンのコストが幾らかということを的確に計算することは難しいわけでございますが、私どもといたしましては、もちろん国民には大事な基礎エネルギーでございますから、できるだけ低廉な価格で供給を図っていかなければならないという考え方においては先生の仰せのとおりではございますが、一方におきまして、大事な基礎エネルギーでございますがゆえをもって、安定的な供給が確保されるような供給基盤の構築もまた必要だろうと思います。そのためには、先ほど申し上げたような石油企業の収益動向を前提にいたしますと、なかなかその安定供給基盤の確保という一方の要請が満たされないという面があるわけでございます。そのようなことを考えまして、私どもといたしましては安定供給基盤を確保しつつ、しかしできるだけ安い価格で製品の供給ができるように、石油産業の構造改善に努めることを通じて、その目的の達成を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  291. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは前から言われているとおり、C重油など、これらをコスト割れで生産し、かつ売っている。その犠牲がガソリンや灯油に来ている。これはもう前から指摘されておるので、きょう私は繰り返しません。ただ、私のこの計算は、先ほどの高速道路に売っている仕切り価格と期せずして一致したんですね。しかも、そこにさらに十円の利潤があるということがわかったわけで、ひとつこれ、きょうは急だったから答弁無理だと思うんですが、私の計算がもし間違っていたら、どこが間違っているのか、そうならば私もう一度計算し直しますし、それは訂正もしますけれども、ひとつそういう議論をしてほしいと思うんですね。その辺は御回答いただけますか、きょう以外でいいですから。
  292. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先ほど申し上げましたように、私どもの立場といたしましては、石油の価格形成というのは、マーケットメカニズムを通じて形成されるのが基本であるべきだと考えております。そういう意味におきまして、私ども政府の立場で石油製品のコストはいかいかである、したがいまして価格はいかいかであるべきであるというようなことを示唆するようなことは慎みたいと考えているわけでございます。と申しますのは、過去に苦い経験もあるいはあったのではないかと存じますけれども、ある価格水準というものについて政府が、ここまでは当然コストがあるんだから、価格は維持されてしかるべきであるというようなことになりますと、かえって一種の市場に対するお墨つきを与えたという形になってしまうおそれもないわけではございません。そういう意味では、何と申しましても、「見えざる手」と申しますか、市場メカニズムが最も適正な価格形成を図っていく手だてではないかと考えているわけでございまして、コストは幾らであるがゆえをもって価格は幾らであるということを人為的にやることについては大変慎重であらねばならないと考えている次第であります。
  293. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 まあ官僚としてはそうでしょうけれども、これは閣僚として大臣、先ほど御紹介したとおり、大蔵省も結構安く買っているんですよね。それは褒めてあげてください。自分たちが安く買っている。それは大量に買っているということはあると思うんですよ。しかしガソリンスタンド業者が本当に苦しんでおるときに、もう少し政治として面倒が見られないものでしょうか。  それで、先ほどいろいろ石油全体の話があったんですが、日本の石油政策として、例えばC重油などはコスト以下、しかもそれはあの高度成長のときに大量につくりまくり、設備投資もして、まさにその犠牲がきているわけですね、今。その犠牲を今度また再び零細業者や国民に負わせるのは、これはちょっと政治としては好ましくないんじゃないか。そういう点では、この問題もうちょっと何か打開の道はないでしょうか。そうでないと、業界は本当にだめになっちゃうんですね。だから、官僚の答弁はよろしいんで、これは政治家たる、将来間もなく総理大臣になるかもしれない竹下さんのひとつ見解としてお聞きしたいです。
  294. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 大臣のお答えの前に、一言恐縮でございますけれども、私どもといたしましては、今後とも石油価格の動向については十分注意をもって見守りたいと存じますし、片や大事な基礎エネルギーを供給する石油産業の安定供給を確保さるべき国民経済的な要請についても十分満たされるよう配意してまいりたいと存じます。
  295. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、通産省、いい答弁されたなと思って感心しております。(笑声)
  296. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 最後に、お酒の問題一問だけ質問させてもらいたいと思います。  この「世界の酒事典」、これは大変権威のある本のようですが、そこにウイスキーの定義が書いてあるんですね。とにかくウイスキーというのは、「麦芽を糖化し、発酵させ、蒸留してつくられる蒸留酒」ということなわけです。そして「原料別分類」としましては、モルトウイスキーとグレーンウイスキー、そのほかにないんですよ。ところが、御承知のとおり、我が酒税法によりますと、イ、ロ、ハとありましてね、もう時間ないんで省略しますが、ロとハはこれ以外の酒なんです。それはもう御承知のとおりです。これもずっと先ほど来各議員が指摘しているとおり、国民に対してごまかしているんじゃないか、酒でないものをね。世界に通用するウイスキーというのはここに書いてあるとおりなんです。そういう点でその点の是正はすべきじゃなかろうか。  そこで、私が指摘をしたいのは、これもきのう指摘しましたけれども、清酒などの中小メーカーは、いい酒をつくろうということで大変な苦労をしておるんですが、ただ、なかなかそれがうまくいかない。きのう指摘した白ぬか糖化液問題などはその一例、足を引っ張る動きにつながっておるんです。しかし大メーカーの酒づくりは、現に幾つかの大メーカー、これは寡占ですが、そこが実際つくっているものを、むしろ法律が後追いして追認していることになりやしないか。だから、こんな世界の酒とは全然水準の違うものが堂々と酒税法のウイスキーの定義の中に入っているんではなかろうかと思うんです。私は、それは酒税確保がまず先にあって、要するに税金を取れりゃいいや、少し間違った酒であってもということで酒の質が犠牲にされている結果ではないか。こう思うんですが、大臣いかがですか。
  297. 山本昭市

    政府委員(山本昭市君) 制度にかかわる御質問でございますが、実態を御説明申し上げますことが御理解を深めると思いまして、国税庁の方からまず実態につきまして御説明申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、酒税法三条九号にウイスキー原酒の定義がございまして、その九号のイ、これが発芽させた穀類、すなわちモルトを一〇〇%使ったものでございまして、これをモルトウイスキー原酒と申しております。これはイの前段でございます。それからイの後段につきまして、そういったモルトと穀類を加えまして、これで一〇〇%のウイスキー、これをグレンウイスキー原酒というふうに申しております。  この九号のイがそれぞれそういったことで非常にわかりやすい原酒でございますが、ただいま先生お尋ねのロが内容がいかがかという御疑問があるようでございます。  確かに、ロの定義によりますと、「発芽させた穀類を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したもの。」という規定でございますから、本来的なものが非常に少ないのではないかというような御懸念かと思うわけでございますが、実態を申し上げますと、まず、制度的にこのモルトの量は二〇%以上必要だということでございます。ただ、留出時のアルコール分が九十四度未満であります場合には、ウイスキー成分が出ておりますので二〇%なくてもいいと、こういう規定になってございます。  実は、現実にどのようなものがつくられているかということでございますけれども、このモルトのほかに使われていますのは、主としてトウモロコシでございまして、イの後段とほんとど全く変わりないわけであります。ただ、ロのものにつきましては、一%未満の酵素剤を使いまして糖化を促進するということでウイスキーをつくるわけでございますが、そういったことで、このロにつきましてもウイスキー原酒というふうに申しておるわけでございます。実態は、したがいまして、イの後段のグレンウイスキー原酒とロのグレンウイキー原酒につきましては、ほとんどモルトの中身は同じでございまして、実際、ロとイの後段はほとんど同じものであるというふうな御理解を賜ってよろしいかと思うのでございます。  なお、全体として見まして、我が国におきましては、大部分がこのイでございまして、ロというのは非常にまれでございます。  なお、そういうことによりましてつくられましたこのウイスキー原酒を一定の割合、例えば三〇%以上混和いたしましたものがウイスキーというごとでございして、現実には、特級は平均的に申し上げまして、このウイスキー原酒が九〇%以上混和されているわけでございます。実態は、先生のただいまの御疑問よりははるかに質的にも充実した内容のウイスキーが出ているというふうに御理解賜わりたいと思います。
  298. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は酒の定義のことを言ったわけですね。  もう一つだけ指摘して、私は答弁要りませんが、質問を終わりたいと思うんですが、この権威ある事典によりますと、「スコットランドにおける規定」で一般的にウイスキーの定義がなされておるんですが、それによりますと、これは一九一五年には強制熟成期間を二年、翌年には三年に延長すると、こういうぐあいに法律自身できちっと決めているということは大変大事だと思うので、私は定義の問題として申し上げました。答弁要りません。
  299. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 これは既に出た議論かもしれません。重複したらお許しをいただきたいんですが、きのうの酒税の質問に続いて、きょうは大臣の御見解を承りたいと思うんです。  現在、日本酒の場合、特級、一級、二級とありまして、言葉からいいますと上、中、下、特級というのは最も良質な日本酒の質が保存されているものと、こう理解するところなんですが、現在は、特級は特級にして特級ならず、二級は二級にして二級にあらず、等級別格付と実態が非常に乖離してきている。  その理由は何かといいますと、一つは最近の我々日本人が味に対して鈍感になったということもあるいはあるかもしれません。もう一つの有力な理由が、酒税の税率構造、そしてたび重なる増税にあったこともこれも否定はできません。  そこで、等級別格付と実態が乖離していく、しかもどんどん進んでいくということを見過ごしていいか。これは見過ごしていい問題ではございません。そうなりますと、酒税の問題、特に清酒としてとらえてみると、ここはひとつ立ちどまりながら、一体どういう税率構造の酒税を考えたらいいんであろうか。抜本的な見直しをするのは実は今の問題である。既に問題があることに気がついている今の酒税をそのままにして、しかも等級別格付に沿った税率構造のまままた増税をするということは、かえって混乱を倍加させないか。そう考えてまいりますと、財政物資なるがゆえの悲哀を今清酒はかこっているわけですけれども、今度の増税というのは、果たして本当に清酒の立場に立ってみてよかったんだろうか。もし、これを今度あえて増税をされるということになりますと、等級別格付と実態の乖離はさらに進むものと見なければいけないわけですけれども、その場合にどういう対策を引き続いてお考えになる御予定ですか。まず、この点伺います。
  300. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) これは昨日も同じ御指摘があったわけでございます。級別制度、特に現在の清酒の級別制度については、既に五十六年にできました酒税問題懇談会でも問題が指摘されております。そこでの問題は、級別制度の見直しの場合に、一つは級別制度のあり方の基本にまでさかのぼりまして、もし級別を存続するとするならば、今のような級別の区分でいいのかどうか、これを明確化するという問題がございましょうし、それを段階的に三段階がいいのか、二段階がいいのか、あるいは級別の存廃そのものまで議論の対象になるであろうということでございますし、客観的基準を設けるということになりますと、いろんなアルコールの添加の割合とか、あるいは精白の度合いとか、いろいろな考え方があるわけでございます。こういった問題も含めまして、まず紋別制度を一体どうするのかということと、それとの関連で、現在の級別間の税負担の格差がいかにも大きいという問題もございますし、それから税負担格差の問題等の関連におきまして、現在は、清酒につきましては特級だけに従価税が適用されておるわけでございますけれども、清酒全体につきまして従量税なり従価税の組み合わせをどういうふうに考えていくのかといったようないろんな問題があるわけでございます。  五十九年度の今回の酒税法改正に当たりまして、そういった問題についてきちんとした結論、成案が得られないままに税負担の引き上げを現在御審議を願っておるということは事実でございますが、その場合におきましても、今回税負担の引き上げに当たりまして清酒の特殊事情を勘案いたしますと同時に、今回の引き上げ幅、特級の引き上げ幅が一番大きいわけではございますけれども、特級、一級、二級の引き上げ幅につきましては、従来の改正時のような手法に比べますと、この引き上げ幅も縮小しておりますし、それからまた基準アルコール分につきましても、これを十五度に統一するというふうなところで、私どもが清酒の現在の級別なり税負担のあり方についての将来に向かっての問題意識を持ちながら、現時点でできる限りでの改正の努力を続けまして、現在御提案申し上げているわけでございます。  ただ、御指摘になっております点につきましては、今後早急にそのあり方について基本的な検討を要する問題であるということは、私どももそのように考えておるわけでございます。
  301. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 大蔵大臣、御答弁ありますか。
  302. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この問題は、今清酒の場合、官能審査でやっております。そこで、級別格差というものがもう四十年も続いておりますので、ある程度世間に定着しておるということから、端的に言うと、なかなか名案が出なかったということになろうかと思います。若干の手直しは今御説明のとおりありましたけれども。したがってこれはもう一遍、今までの経過をも踏まえながら改めて議論をして引き続き検討しなければならない課題だ。  私自身がささやかな酒造業者でございますので、たとえ官能審査で一級になりましても、私のうちの酒なんか二級でしか売れません、実際に。その辺いつも矛盾を感じながらも、なかなか米の精選の度合いとか、そういうことでも実際きちんとした級別格差というのを判定するのは難しゅうございますので、本当に引き続き勉強していくしかこれはないという感じがしております。
  303. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 では物品税について伺います。  従来よく政府は、既存税制の枠組みの中で見直しを行い増収を図るという言い方をなさいますけれども、物品税の枠組みの中で見直しと置きかえて言いますと、物品税ですから物品に課税すること、これは間違いない。ではどこに課税するのかといいますと別表に掲げたとおり。別表は幾らでも追加できるわけです。物品税の枠組みの中で見直しを図り、増収を図るというのは意味をなさないんです。あらゆる個別新税の集積が物品税なんです。そう考えてみますと、本当は厳密に言うと、今度新しく課税対象に追加をされた個別物品に関する物品税適用も新しい税金をつくったと、そう見た方が本当は正確かもしれない。として考えてまいりますと、別表に掲げたものというのはどこまで広がっていくんだろうか。シャウプ勧告のころは奢侈品的ということが一つの概念になって物品税のあの枠組みをつくってきた、そうみんな理解してきた。最近になると、それは薄れてきてよくわからなくなってきちゃった。さて、それで物品税の別表というのはどこまで広がっていけるんだろうか、今の物品税の枠組みというのはどう考えたらいいんだろうかという点をまずお尋ねします。
  304. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 現行の物品税の基礎ができましたのは戦前の昭和十五年でございます。そのときの立法の趣旨は、奢侈的な消費のほかに担税力を求めることのできる消費、かなり広い概念でこの物品税ができておることは事実でございますし、現実に戦争直後までそういったことでかなり課税範囲も広がっておったわけでございます。ただいまお触れになりました戦後のシャウプの勧告、それに伴います二十五年の税制以降、あの辺を境にいたしまして奢侈的な消費に担税力を求める、あるいは高級な便益品に担税力を求めるという格好で、いわば物品税の課税の負担を軽減するという方向で四十年代までたどってまいったわけでございます。  そこで、物品税の基本的な性格は一体何かということは、これは法律そのものに明文で書いてあるわけではございません。したがいまして、今、栗林委員のおっしゃいましたような問題提起はそれなりの意味はあるというふうに私ども考えます。ただ、そういった物品税の経緯なり、従来からのこの制度をめぐりますいろんな沿革なり変遷等をたどりまして、少なくともこれが個別消費税であるということは、実定法の背後にあります基本的な考え方と申しますか、理念としてあるわけでございます。昨年十一月の政府の税制調査会の答申では、その点につきまして従来のような奢侈品とか高級便益品という狭い範囲に限らずに、広く消費に担税力を求めるという物品税本来の考え方に立ち返るんだというふうな答申の文章がございます。が、それは恐らくその辺の事情を考えての物の考え方があらわれているわけでございます。  私ども、そういうふうに考えておるわけでございまして、そこで、物品税の課税範囲として、現行の個別消費税としての物品税の課税範囲として一体どういう考え方を具体的に枠組みとして持つのか、課税範囲が広がっていく場合どこで一線が画されるのかということでございますが、少なくとも申し上げられることは二つあると思うんでございます。  一つは、これは消費税一般の考え方でございますから、少なくとも生活必需品、厳密な意味での生活必需品は、少なくとも幾ら課税範囲の拡大を考える場合においても、今の個別消費税の考え方からすれば、そこまで広がるということは一つ問題があろうか。これは立法政策上の運用の限界だと思います。それから制度本来の考え方といたしましては、これはあくまで消費税でございますので、例えば生産段階そのものにかかってくるようなもの、例えば端的に言えば原料課税のようなものでございますが、そういったものを対象として掲名するということは、現在の物品税法では問題があるだろうということでございます。  ただ、今後、税制調査会の答申でも述べられておりますように、今後の消費の態様に即応して課税対象のあるいは拡大を図っていく場合に、従来課税対象になっておったものを、一たん廃止されたものを拾い上げてくるといったもののほかに、新たに新規で課税をお願いするといったようなものもあるいは出てくるかもわからないわけでございますけれども、それを新税というふうに観念するかどうか、これは新税の言葉の使い方の問題でございますけれども、私どもとしては、物品税の性格を変えるというものでない限り、あるいは性格を変えるようなものは、個別掲名といえども、先ほどの原料課税のようなものはできないと私どもは考えますから、物品税法の現在の枠内で個別掲名が許される範囲におきましては、新税というよりは課税範囲の拡大というふうな観念で御理解を賜りたいというふうに考えるわけでございます。
  305. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 先ほどの奢侈性、娯楽性にかわって個別消費税なんだという概念がはっきり出ますと、それはそれで一つの枠組みに私はなると思います。ただ、生活必需品に課税するのはまずかろうというお話は、もう少し正確に言いますと、ベーシック・ヒューマン・ニーズというみたいなあそこまで課税するのはまずいだろうという意味であって、電気洗濯機は生活必需品なんだけれども、それに対する課税は辞するものではないというのは、正確な意味ですよね。そうすると、どこまで広がっていくのか。  議論は、今の課税最低限というのはあの水準でいいんだろうかという問題にも本当は触れてくるんですね。従来は、奢侈品、高額品、したがってここまでは課税最低限と言ってきた、個別消費税です、ベーシック・ヒューマン・ニーズというところまでは課税しないけれども、相当思い切ったところまで負担を求めても個別消費税の性格をゆがめるものではない。すると、課税最低限だって見直しの対象になる。  税率はどうか。税率になりますと、一五%を基準にして上位幾つか持っておられますけれども、これが奢侈品ということで考えますと、奢侈性が強いものは税率が高い、反対側が低い。これくらいの整理をするんだけれども、個別消費税ということになると、そういう奢侈性、娯楽性、あるいは装飾性という概念だけであの税率が説明できるんだろうか、またあの税率でいいんだろうかという議論も当然生まれてまいりますよね。したがって、なし崩しに個別消費税の方向にいくというのは私は一番いかぬと思うんですよ。物品税の性格を変えるのだったら、こう変えます、したがって税率も課税最低限も、課税対象についても、こういった概念でいきますということはきちんと議論してから取りかかっていただかないと、なし崩しにこられますと、わけのわからない物品税になる。その意味で私は、物品税にとっても今必要なのは立ちどまって考え直す時期ではないか。その点について大臣の御所見はいかがですか。
  306. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私はその考えを否定する気持ちは毛頭ございません。総理も恐らく概念的に自分の頭の中で整理されたと思います。いわゆる大型間接税とは何ぞやと。それから投網をかけるように消費一般に対してかけて、かけないものをむしろそこから抜き出していって、それが多段階だと。こういう概念的にはわかりますが、それと今の栗林さんの一つの正確な角度からの議論とで整理するというのは、私は大変難しい問題だと思っております。  したがって、今度の物品税というものの位置づけを、私どももこれを勉強する段階に考えてみましたが、いわゆる奢侈品のという基盤はまだ持っておると思うんです、今度の改正は。しかしながら当初と性格はかなり変化しておる。この奢侈性とか便益性とかというものをどう調和さしていくかというと、とことん議論すると、今度はいわゆる消費の段階に担税力を求めるか、所得の段階に担税力を求めるかという議論になると、論理性の中では一般消費税の方がより公平じゃないか、こういう議論も出てまいります。その中で今、総理の概念的にあるものから、また一方、税調の中でこの課税ベースの拡大とでも申しましょうか、個別消費税の、そういうことから、両者からせめぎ合いをやった場合にその限界というのが一体どこだろうかということなど、本式にこれは勉強しなきゃいかぬことだな。あるいは、仮にもしある機会に物品税というものが本格議論される場合、かつての奢侈、嗜好というところからのベースが変わってくる場合とであり得るんじゃないか、こういう感じもいたしますので、これこそ引き続き今度のこれを契機に検討を続けていかなきゃならぬ課題だという理解を私もしております。  それから奢侈性についての税率というようなものも、結局、考えようによれば比較対照しかないんじゃないか、現状における比較対照。それと今おっしゃったベーシック・ヒューマン・ニーズというのは、これまた大変変化してまいりますし、それらのことを考えると本当に、学問的にももちろんでございますが、それと実態とをどう調和さすかというのは大変な議論のあるところだと。勉強は、引き続き検討をすべき課題だというふうに理解をしております。
  307. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 税率の点で引き続いてお尋ねしたいんですけれども、一五%を基準にして、二〇%の方は多少奢侈性が高いというような趣旨の御答弁が先ほどの同僚議員の質問に際してございました。で、こういった見方というのは間違っているんでしょうか。奢侈性というのは一体何なんだろう。たくさんの人が持ってないもの、そう読みかえますと、普及度の低いもの。それは高くていいものというような前提条件がありますけれども、普及度の低いものについて、もし仮に所得水準が上がって普及度が高まってきたら、それをみんな奢侈品と言うだろうか。言わないんです。それはもう国民の生活必需品だとみんな言うんです。  例えば大型冷蔵庫を私、取り上げて言いますと、大型冷蔵庫は税率二〇%なんですよ。だけど、もしこの大型冷蔵庫がやがて普及度が高まって五割、六割となってきた場合には、二〇%ではなくて基準の一五%に落とすのが本当ではないんだろうか。高額商品はどうか。高額商品は税額はたくさん納めるんです。税率は関係ないんです。  そこで、自動車を考えてみますと、自動車の今の普及度合いから見て、基本税率は一五なんだろうか二〇なんだろうか。今やこれは間違いなく生活必需品。しかも小型乗用車に関してはむしろ便益性に託して課税すると説明するしかないような状態。とはいうものの高いことは高い。どの辺がいいんだろうか。従来は一五と二〇の真ん中の一七・五だった。それをあえて一%あるいは〇・五%積む理由が一体どこにあったのか。一五に近づけるのがこれから個別消費税を目指すんでしたら本当の態度ではなかったんだろうか。この点いかがですか。
  308. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) この点も大変議論のあるところでございまして、難しい問題を含んでおるわけでございますが、現在の物品税の税率構造を眺めまして、その考え方なるものを摘出いたしてみますと、一番高い税率のところが二種物品で三〇%でございます。これは一種物品の最高税率である一五%に対応するというふうに従来説明されておるわけでございますが、この中に入ってきます物品はいわゆる奢侈品ということで、大部分が第一種物品でございますけれども、貴石とか貴金属製品、毛皮製品等が入っているわけでございます。しかしこの三〇%の一番最高税率のところは奢侈品だけではございませんで、従来の区分で申しますと、高級な趣味娯楽品、例えば具体的な品名で申し上げますと、大型のモーターボートとか大型のヨット、それからゴルフ用品、こういったものが格付されておるわけでございます。  その次の下の、今御議論になりました二〇%のところで見ますと、同じく趣味娯楽品ではございますけれども、先ほどの三〇%にランクづけられております大型モーターボートとかヨットとの関係で見ますると、二〇%のところには、趣味娯楽晶でございますと、ゴルフに対応するものとして例えばスロットマシンとかボウリングの用具というふうなものが格付されております。それから便益品がここの段階から入ってくるわけでございまして、大型テレビとか大型冷蔵庫、ルームクーラーのたぐいでございます。  その下の段階が実は一五%の段階で、先ほど申しました趣味娯楽品で言いますと中型モーターボート、それから大型テレビに対応いたします小型テレビというのが一五%のところに入っておる。  自動車の方は、実は五十六年の改正まではこの一五%でございましたけれども、私どもの考え方としては、むしろ物品の価格とか便益性からいえば、栗林委員の発想とは全く逆の発想でございまして、二〇%の方に近い物品であってしかるべきではないかということで、五十六年度に半ランク上げていただいている。今度さらに一%上げていただくということになっているわけでございます。  この個別消費税、特に物品税のような体系で、しかも税率が六段階というふうなことになりますと、同じような種類のものでより奢侈性が高いとか、より趣味性が高い、より便益性が高いということは、かなり相対的な議論になるということは否定できないところでございます。  それともう一つ、私どもが今回の作業なり昨年十一月からの税制調査会の作業を通じて率直に痛感しておりますことは、これだけ所得水準が上がり所得が平準化し、したがって生活水準も上がる、消費の態様も非常に変わってきているという段階で、ある消費を奢侈性とか、同じ便益性でもより高級であるとかというその色分けが実は難しくなってきておるというのがむしろ実態だろうと思うわけでございます。  そういう局面の中でこういう議論をするものでございますから、議論が盾の両面のような感じにいつもなるわけでございますけれども、その意味で今後の物品税の課税対象なり税率体系をどうするかとか、それから先ほど委員が触れられました免税点をどうするかとか、非常にいろいろな問題をはらんでおると思います。  基本的に解決するためには、個別消費税の体系の枠組みを変えるというのが税制上のオーソドックスな行き方かもわかりませんけれども、これは一租税政策だけの問題ではございませんので、もう少し大きな政治的問題もございますので、私どもこれ以上答弁の範囲を超える問題でございますけれども、税制プロパーの議論としても、この個別消費税、物品税の体系は課税範囲の対象とか税率体系、免税点も含めて、非常に難しい局面に来ておることは事実でございます。事実ではございますけれども、現時点におきましては、私ども自動車の税率の位置づけというのは、いまの物品税の税率体系から見ますると、その二〇%により近づけていただくということはそれなりの根拠があるし、財源事情もあるわけでございますが、何とぞ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  309. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 その議論で奢侈性、どの品物が奢侈性があるのかという議論が最近しづらくなってきたというのは全く同感なんです。何となく感じで物を言っている部分があるんですね。自動車についても、なぜ二〇%かというと、明快な説明は案外あるようでないんです。あんな高いものだからと、これが一言で言うと説明なんです。しかし、高いというのは、税額が多くなる、税率を上げるという説明にはならないんです。したがって、便益性という面でどの程度の普及率になっているのか、それが大体全世帯一台あるいはそれを上回るというようなことになってくると、それは一五でいいじゃないか。税率というのは奢侈品課税の残滓を今でも引きずっている痛みたいな気がするんです。  そこで、今この法案でまた一%もしくは〇・五%増しになったんですけれども、いずれまた来年、どうせ厳しい財政事情の中でまた議論をしなきゃいけないんでしょうけれども、二〇%に近づけるということを前提にして自動車の課税を考えるというのは、私は間違いだと思うんです。一五%に座わっていたときの方が本当ではなかったんだろうか。この点について、大臣の御所見は、私も迷っておりますということですから、今お尋ねはいたしません。これは私の主張だけにいたします。  次に、石油税に移りたいんですが、通産だけで結構ですから、大臣衆議院の方においでになって結構です。  石油税について一つお尋ねをしたいのは、石油価格が当初の見込みに比べて下落、横ばい安定という格好になりましたね。これがひところのような代替エネルギーに対する開発意欲をそいできた、あるいはいろんなプロジェクトが取りやめになったという外国の報道を聞くんですが、日本では代替エネルギーへの取り組みというのは、現在の石油価格を前提にしながらどう変化してきましたか。それとも変化をしないで既存の目標に従ってやっておられますか。これを伺いたいと思います。
  310. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) お尋ねの点でございますけれども、少し詳しく申し上げますと、代替エネルギーと申しました場合に、いわゆる在来型の代替エネルギー、これは原子力とか石炭とかLNGというふうな分野と、もう一つは新しいエネルギー、これは太陽の光であるとか、あるいは石炭のガス化、液化、それからそれ以外の分野といたして考えられますいろんな海洋のエネルギー、バイオのエネルギー、こういったものがあるわけでございます。  それで、まず在来型のエネルギーについての導入の問題でございますけれども、こちらの方は、確かに石油の需給が緩和して石油価格も下がったということもございまして、開発導入の意欲に若干の陰りが見えているんじゃないかという気がいたします。ただこれは、もう一つ考えなきゃいけませんことは、全体としてのエネルギーの需要の伸びが低まったということもございまして、そういった意味で今回の長期的なエネルギー需給見通しでも二二%の需要の下方修正というのがあったわけでございます。しかしながら、あのエネルギー見通しの中でも書いてございますが、我々としては、その過度の石油依存度のもたらす供給面における不安定性ということを考えますと、代替エネルギー対策は今後とも着実に推進していきたいというふうに考えております。  もう一つの新エネルギーの方でございますが、こちらの方は、今のところ、例えば科学技術庁あるいは私どもの工業技術院では、サンシャイン計画であるとか、あるいはムーンライト計画といったようなことで、国がかなり関与して進めております。こちらの方はそういう意味でむしろ一つ計画を持って進めているということで、この油の値下がりなり需給の緩和というところが直ちに影響を及ぼしておりませんけれども、ただ、こういった情勢自体は、逆に言えば、そのプロジェクトの経済性、将来における経済性というものの厳しさを増しているものですから、そういった経済性の見地というものに十分配慮を払いつつ、新しいエネルギーの開発というものに努めてまいりたいと、そういうふうに考えております。
  311. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 今、大変苦しい財政事情の中に置かれているわけですけれども、代替エネルギーあるいは新エネルギーの開発というのは、そういった中にあって予算措置というのは十二分に組まれておると、そう理解してよろしいですか。
  312. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 具体的に代替エネルギーの開発導入、これに関しての予算でございますが、先ほど申しましたように、どういうふうに進めていくかという点につきましては、在来型のエネルギーといたしましての石炭、原子力、それからLNG、これを主要の三本柱といたしておりますが、それ以外に日本で唯一といいますか、石炭もございますけれども、国産エネルギーであります水力、地熱、それから先ほど触れました新エネルギー、これによって補って多様な安定したエネルギー供給構造を構築していこうというのがエネルギー対策の具体的な中身になっております。  ただ、先生御指摘のように、財政事情が非常に厳しいということがございますので、この開発導入につきましては、その政策の重点化、効率化ということには今回の予算でも努力いたしたつもりでございますし、今後ともそういった努力は続けたいと思います。  例えば新エネルギーで申しますと、実は水素エネルギーの研究開発につきましては、これは五十九年度予算において運転研究を打ち切ったということもございます。それから我々が重点を置いております石炭の液化、これは従来三万式を走らせておりました。それを今度は一方式で、新しい方式でNEDOLという方式に集約いたしまして重点的に進めようというふうに考えております。そういうことで厳しい予算でございますけれども、項目を絞り込んで、しかもそういった段階段階では厳密な評価を下しつつ、効率的な資金の活用というのを図って所期の目的を達成いたしたいというふうに考えております。
  313. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 研究開発の管理というのは非常に難しいんですよ、これはね。だからよくわかるのですが、今の財政事情の中で必ずしも予算の伸び芳しくないということが士気を阻喪している面もあるようでありますので、十分御戒心の上御努力いただきたいと思います。  以上で終わります。
  314. 青木茂

    青木茂君 私は、間接税であるとか物品税であるとか、こういう議論をずっと拝聴しておりまして、どうも基本的なところがよくわからないんですね。つまり固有名詞だと思って聞いておったら、突如として普通名詞になったり、普通名詞だと思って聞いておりましたら、固有名詞になってみたり、そこら辺のところがどうもはっきりしない。例えば総理が、大型間接税は中曽根内閣が続く限りはやらないと。これで大変すっきりしたなと思ったら、内容的に伺ってみると実は何を否定なさったか大変よくわからない点がある。  そこで、きょうはもう時間も遅くなってますから、私高等学校の生徒になったつもりで伺いますから、ひとつ御答弁の方は教師が生徒を教えるようなつもりでひとつかんで含めるようにお教え願いたいんですけれども、非常に初歩的なことを伺います。  第一に、間接税というのは一体何なんですか。
  315. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) これは大変難しい御質問でございまして、現在大蔵省主税局におきまして各種の直接税、間接税等を分ける場面が非常に多うございますので、まずその実態から申し上げますと、国税で直接税で扱っておりますのは法人税、所得税、それから相続税でございます。その他の税目は一切合財間接税等という扱いをいたしております。  この中をさらに消費税と流通税に分けることがございますけれども、そういった分け方をいたしております。  それから御参考までに新SNAの国民所得計算では、直接税はただいま申しました所得税、法人税のほかに、日銀の納付金が入っております。それからもう一つ特徴的なことは、自動車重量税の二分の一を直接税で扱っております。その考え方は、結局、個人の家計が保有する資産に対して家計から負担を求めるという意味で、あと二分の一は別の観点が入っているだろうということで、恐らくそういう処理をしておられるんでしょうが、自動車重量税は二分の一ということでございます。  いま非常に難しいと申し上げましたのは、これはむしろ青木委員の方が専門の学者でいらっしゃいますからあれでございますが、教科書を見てもいろいろな定義がございますし、学者の議論もいろいろあるわけでございますが、少なくとも税制上の議論としてごく一般に使われておりますのは、その転嫁を予定されておる税であるかないかというのが一つの区別になっておるだろうと思います。  さらに、それに補完して言いますれば、それと関連があるわけでございますけれども、その税の課税物件が担税力を直截にあらわすものであるか、担税力を推定させるものであるか、間接的に。そういう区別でございまして、先ほど申しました所得税、法人税、相続税、それ以外のものというのは、ただいま申し上げました転嫁が予定されている税であるかどうか、かつ課税物件が担税力を直截に捕捉しているか、あるいは間接的に捕捉しているかという物差しに大体合うということで、私どもはそういう使い方をいたしておるわけでございます。
  316. 青木茂

    青木茂君 女性とは何か、人間マイナス男である。ちょっとわからないんだけれども、きょうは余り議論はいたしません。  その次に、「大型」とは何が大型なんですか。大型間接税の大型ですね。どこが大型なのですか。そこのところですね。
  317. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 実は、その大型間接税という言葉は、私ども税制当局の内部で議論する場合にも使ったことはございませんし、税制調査会の議論でも大型間接税という言葉は一度も使われたことはございません。これは新聞に活字として出てきた言葉でございますので、これは総理なり大蔵大臣がこの国会におきましても、御質問が出ました場合に、大型間接税の概念、定義そのものは非常に難しいということをお断りされつつお答えになっておりますので、大型とは何かという御質問に対して、私どもは、その大型間接税ということを言い出した方に大型とは何ですかと聞きたいということでございます。
  318. 青木茂

    青木茂君 しかし、一国の総理が明確に、大型間接税は我が内閣が続く限り導入しないとおっしゃっているわけですから、私は行政レベルでは大型とは何かという定義はお詰めにならないと国民はわからないと思うわけですね。  そうしたら、もう少し具体的にじゃお伺いいたしますけれども、課税ベースが広い、つまりそれを大型というのか、税率が高いというのを大型というのか、あるいは間接税を取る段階の数が多いのを大型というのか。ここら辺に分けて考えてみたらどれにはまるでしょう。
  319. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 先ほど申し上げましたように、大型間接税という言葉は新聞の活字として出てきたのがそもそもでございますので、人によってそれで合意しているものはいろいろな使われ方があるわけでございます。これは総理の御答弁でも、非常にこのことは注意深く断っておられまして、大型を何を目して大型というかということも非常に難しい話だということを前提にされて、総理がおっしゃっております大型間接税のイメージというのは、各流通段階にわたって投網をかけるような間接税だというふうに言っていらっしゃいますが、その場合も極めて漠然とした、イメージとして言っているんだということもまた注意深くおっしゃっておるわけでございます。  したがいまして、ただいま青木委員がおっしゃいましたように、総理のそういうイメージということで考えますと、恐らく多段階型の物の考え方があるいはあるのかなということは言えるかと思いますけれども、総理はそのほかに税率の話とかいうことは一切言及されておりませんので、どうもこの大型はどういうことかというのは、結局この言葉を使う人がめいめい自分で定義をされてお使いになるということになるんではないかと思います。
  320. 青木茂

    青木茂君 私が使ったり、行政当局が使ったりするのは、これはある意味においては無責任と言うより、簡単に使ったって影響はないと思います。しかし一国の総理がお使いになったわけですから、定義があいまいでは困るんですね。注意深く逃げ道ばっかりつくっておったんでは、どういう政策にこれから展開するのかさっぱりわからない。そういう不安ですね、不安を私どもは感じておるということだけ申し上げて次に移ります。  その次は消費税というのですね。これが一番広い概念ですか。
  321. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 何に比べて広い概念……
  322. 青木茂

    青木茂君 間接税です。一番最初に御答弁のあった直接税を除いたものですね。
  323. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 失礼いたしました。  直接税を除きましたものを間接税と仮に規定いたしまして、まあいささか教科書風の整理になって恐縮でございますけれども、それが即消費税ということにはならないわけでございまして、これはたとえば典型的には流通税と言われる税がございますですね。こういったものは従来のフーティングとしては消費税と区分して流通税があり、流通税は間接税の一つであるということになるのではないかと思います。
  324. 青木茂

    青木茂君 かつて言われました、あるいは国会で否定されました「一般消費税」の二股」というのはどういう意味だったんですか。
  325. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) この一般消費税というのは実は私どもは固有名詞と現在は考えておるわけでございます。と申しますのは、五十四年の政府の税制調査会が一般消費税大綱というものをおまとめになりましたあの具体的な骨組みを持った税が一般消費税(仮称)であるということでございます。  ただ、税制調査会が一般消費税という言葉を、当時あの税について名前をつけられました経緯は推測できるわけでございまして、それは個別消費税と対置される意味での学問的な意味での一般消費税という言葉でございます。ただ、当時はそういう経緯を経て一般消費税ということで、あの五十四年の大綱はまとめられたわけでございますが、したがってこの一般消費税という言葉自身も、五十四年のときに議論されたあの一般消費税という場合と、学問的な意味で個別消費税と対置される意味での一般消費税——これは現存するタイプとしてはEC型付加価値税も一般消費税、その意味では一般消費税に入りましょうし、多段階型の取引高税も場合によっては一般消費税と言えるものであるかもしれないし、それからかなり広範囲の課税範囲を持つ小売売上税のようなものでも、学問的分類としては一般消費税と言えるかもわからないと、そういうふうな関係にあると思います。
  326. 青木茂

    青木茂君 そういたしますと、その固有名詞としての一般消費税ですね、一般消費税は付加価値税の一種と考えでいいですか。
  327. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 付加価値税というのも、これもくどいことを申し上げて恐縮でございますが、課税標準が付加価値どおおむね合致するという意味では付加価値税でございましょうし、EC型の付加価値税と異なる点はもちろんございます。インボイスがある、ないということと、それからかなり広範に零細業者を非課税対象といいますか、免税対象といたしておりますので、そういった違いもございますが、課税標準がおおむね付加価値に合致するといえば付加価値税でございます。これは念のために申し上げますと、付加価値税にもいろんなタイプがございます。いわゆる所得型といいますか、加算型の付加価値税もございます。  したがいまして、課税標準で物を考えるか、あるいは転嫁で物を考えるか、いろんな角度から議論をいたしませんと、言葉だけがひとり歩きいたしますと、税の議論というのはえてして混乱するという場合もございますので、ちょっとくどい御説明でございましたけれどもお答え申し上げたわけでございます。
  328. 青木茂

    青木茂君 定義論争はそこら辺にしておきまして、物品税の問題に話を移していきたいと思います。  物品税というのは、先ほど来からお話を伺っておりますと、これは個別消費税ですね。そういう御答弁ございましたね。ただ問題は、物品税そのものが、先ほど来からのお話に出ましたように、非常に無理のある税金だ。だから、これはあれでしょう、日本国有のものであって料飲税的なものは外国にあるにしても、物品税というのはまさに日本的な税金ではないかという気がするんですけれども、その点どうなんでしょう、実情は。
  329. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 日本的であるかどうかということは別にいたしまして、今日先進諸国の間接税体系で個別消費税を持っている国があるわけでございます。例えば典型的なものは酒税でございますが、酒税のようなものは一般消費税体系を持っている国でもそれぞれ持っております。そういう意味で、割合日本に特徴的な個別消費税であるというふうに言えば、そういったことも言えるかもしれないと思います。
  330. 青木茂

    青木茂君 そうすると、奢侈性、便益性、娯楽性はともかくとして、そういうところに担税力を求めでいろいろな物品、電化製品なり耐久消費財、そういうようなものに税金を積み上げているというのは諸外国に例があるかないかと、こういうことなんですがね。
  331. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 諸外国——先進諸国に限定して議論させていただきたいわけでございますけれども、総じて言えますことは、西欧諸国は今日既に付加価値税という一般消費税を持っておりますので、そういう個別のものに課税するという形での個別消費税の体系はないということでございます。ただ、個別消費税が全然ないかといいますと、そうではございませんで、いわゆる我が国における目的税的なものとして、例えば石油関係の諸税等は個別消費税として持っているわけでございます。強いて先進諸国の中でそれに近いものがあるとすれば、カナダの製造者消費税がございますが、これは個別掲名の税ではございませんので、ちょっと我が国の物品税と趣を異にする点がございます。
  332. 青木茂

    青木茂君 そうすると、この物品税というものが出てまいりましたルーツは、たしか昭和十二年という話があったんですけれども、これはマッチか何かにかかってきて、貴重品であるけれどもこれからどんどん使われていくだろうというようなところからスタートしたという記憶があるんですけれども、そうするとどうなんですか、今の物品税というものの性格の中には、物品税がスタートしたときにあった所得税の補完、そういう性格はもう既になくなってしまった。つまり所得税の補完であるならば、生活必需品等への大衆課税ですね、そういうものはねらわないはずですね。所得税の補完という意味は既に現在の物品税の考え方にはなくなってしまっているということでしょうか。
  333. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 物品税の一番最初の姿は、昭和十二年の北支事件特別税の時限立法として制定されたわけでございますが、恒久法としてできましたのは、たびたび申し上げておりますように、昭和十五年の物品税法でございます。このときの提案理由には、物品税は主として奢侈的性質を有すと認められる物品、またはその消費が担税力を示すと認められた物品に課税する趣旨と説明されておりまして、これは所得税の補完というよりも、担税力を捕捉する一つの手段として物品税が構想されておるわけでございます。したがいまして、その後、戦後を経まして、これも申し上げておりますように奢侈的なもの、あるいは高級便益品に逐次その範囲を絞ってまいった経緯は沿革としてあるわけでございますけれども、物品税制度本来の考え方としては、奢侈品だけに限定することなく、広くと申しますか、消費に担税力を見出すという趣旨の間接税であるという性格は、当初から現在に至るまで性格としてはそういうものを内に持っておるということは言えるのではないかと思います。
  334. 青木茂

    青木茂君 そうすると、物品税というものはスタート時点、出生のときは奢侈品課税、これをルーツにしながら逐次必需品課税へ拡大されていったと、こういう歴史があるわけですね。だからその歴史の中で多分に便宜主義的なところがある。そういう歴史を持っているものだから非常に便宜主義的なところがあるのではないか。  例えば奢侈品だけ例にとってみましても、奢侈品のすべてが含まれているということでは必ずしもないわけですね。何かちょっと場当たり主義的なところがあるわけなんですよ。例えば毛皮のコートには課税されるんだけれども、友禅の振りそではかからないとか、同じたんすでも桐だんすにはかからないとか、毛皮の襟つきのコートには、取り外しができれば課税されて、固定されていれば非課税だと。ちょっと何となくよくわからないことがかつてあった。現在もあるかもしれません、あるわけですね。そうすると、奢侈品課税でありながら奢侈品のすべてにかかっているわけじゃない。それから必需品課税といったって、例えば電化製品なんか見てみると、価格も高く、まだ一般的に普及していない、つまりぜいたく品の段階においては実は課税されずに、非常に大衆的に普及されたときにぱっと課税されるというようなこと。  僕は物品税というのはそういう意味においては非常に無理があると思うんですよ。それから新しいものが今みたいにどんどんどんどん出てきますと、物品税は後追い課税になっちゃうんですね。例えばかつて、これはかつての話だけれども、ルームクーラーですね、壁にひっつけるやつ、ウインド型というんですか、それに課税されていたときに、新しい製品としてセパレート型が出てきた場合、そのセパレート型にも課税されるには年数というのか、タイムラグがありますね。そういうわけで非常に後追い課税であるということ。  それともう一つ、さっきからもお話が出ましたように、税率の問題でも、あるものは一五%、あるものは三〇%、あるいは二〇%で真ん中をとれというような話もあるし、それから物品税の中に何を品目的に選ぶかということにおいても統一性がない。  私はこの物品税というものが非常に無理があると思う、税の中においてですね。無理があって、これを拡大していこうとすれば、財政の都合上、多段階が否定されたとするならば単段階。個別消費税をこう横にだあっと広げていくということになると、財政の都合でもって日本の税体系、税理論、つまり一番理論的でなければならない税法自体が、何かしっちゃかめっちゃかに狂ってきてしまうという危険性、そういう不安というものを私は常に感じておるわけなんです。  そういう意味で、物品税というものは、できるだけ狭い範囲に閉じ込めておいて、これを拡大するというのは、何か外堀埋めて内堀へ行って、天守閣まで攻略してしまう、無限に理論をおっ外して拡大していく。これは国民レベルにおいてはちょっと納得されないんじゃないか。物品税は出生以来そういう性格を基本的に持っているんだということ。だから私は、物品税の無限の拡大というものに対しては不安いっぱいなんですけれども、そこら辺の御見解をお述べいただきたいと思います。
  335. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 個別消費税の持っている問題はいろいろあるわけでございますが、私ども政策立案の立場におります者が一番気をつけなければいけませんことは、個別消費税というのはあくまで個別の物品を掲名して税負担をお願いするものでございますから、その市場に対して中立的であるということを絶えず念頭に置いていたしませんと、税制上、税制が経済なり市場産業に不測の影響を与えるという危険をはらんでおるわけでございます。その関連から言われますと、ただいま言われましたように個別物品税、個別消費税の場合はどうしても商品が市場に出てきた場合に後追いになると、この傾向は否定できないわけでございます。  しかし、そうはいっても、私どもが今回提案しておりますものでも、余り市場でまだ成熟していない物品につきましては、今回個別掲名をさせていただきながら実際の課税をお願いするのは二年後である、そういうふうな措置を講ぜざるを得ないし、講ずべきであろうと思います。これは個別消費税の持っております宿命と申しますか、基本的な問題であるというふうに考えております。  それからいろいろな御指摘があったわけでございますけれども、奢侈品についてこれも非常に恣意的ではないかという御指摘でございます。これもいろいろ各方面でこういう議論があるわけでございますが、よく例に引かれます高級の織物にいたしましても、それからかつて課税が行われながら廃止されました桐製の家具の問題とか、あるいは書画骨とうのたぐいの問題にいたしましても、それぞれそれなりの政策上の要請なりあるいは税務執行上の問題等を考えまして、それなりの経緯を経て現在課税対象から外れておるということでございまして、そこは恣意的に現在までの制度が沿革上そういうことで運用されてきたというふうに私どもは必ずしも考えていないわけでございますが、個別掲名主義であります以上そういう議論を呼びがちであるということは、これは避けられないと思います。  それからもう一言、所感を述べろということでございますのでお許しをいただきますと、もう一つ個別消費税の場合によく言われますのは、その普及率がかなり高くなった物品はむしろ物品税の課税対象から外すべきではないかという御議論がございます。現実に昭和三十年代で見ますると、例えばテレビとか電気洗濯機、掃除機、このたぐいの普及率が三〇%から四〇%ぐらいでございますが、現在既に一〇〇%近くになっているわけでございます。そういたしますと、普及率が九九%とか一〇〇%になったものは、もう今や生活必需品だから物品税の課税対象から外すべきであるという議論があるわけでございますけれども、この生活必需品という言葉自身をかなり厳密にこれから使い分けていきませんと、現在の消費社会と申しますか、生活水準が非常に上がった社会ではなかなかそぐわないわけでございます。  したがいまして、私どもが常々申し上げておりますのは、個別消費税、物品税の課税対象として、最小限課税対象から外すということが適当であるもの、望ましいものという意味での生活必需品というのは、むしろそういう普及率という観点からのものではなくて、文字どおり生存を維持するための基礎的な物資、物品、そういうものに限定すべきである。したがいまして、普及率が高いから必需品であるというふうな観点から、この課税対象の適否を論ずるということはなかなか問題があるということで古ございます。
  336. 青木茂

    青木茂君 ありがとうございました。  だから私は、物品税というのは宿命的に非常に矛盾をはらんだ税種目であるから、これはなるべく狭い範囲に閉じ込めておいて、これは財政上の必要があることは当然なんだから、それにかわる何かないかということなんですよ。特に、今はもうなくなってしまいましたけれども、遊興飲食税という言葉がかつてございましたね。この遊興部分に対してかなり高い税率のものが、地方税だ国税だという問題抜きにして、仮に遊興税みたいなものが登場してこないか。  例えば、これは余り言いますと、おまえ経験があるだろうって勘ぐられるから困りますが、人に聞いた話ですからね、これは念を押しておきます。新宿に行きますと、行って表で料金取られますわな。これすらろくに課税されておらないで、裏でちょっと取られるらしいんですよ。これなんか全然密室の中でわかりゃへんですわ。しかしわからないで済ましてしまってはアングラマネーがふえるだけの話になってしまいますね。だから、そういう意味におきましては、遊興税だとか、それから風俗ですね、一口に言えばセックス産業ですか、そういうものに対して何かひとつ工夫を凝らしていただいて、ここから徹底的に高率の税金を取って物品税を広げるのはやめにするというようなあれはできないのでしょうかね。
  337. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 今おっしゃいましたように現在地方税に遊興飲食税があるわけでございます。ただ、それが今委員が例示なさいましたようなちまたのものに的確に課税になるのか、あるいは本来課税対象になってないものが恐らく私はあると思いますけれども、今御指摘になった点は、現在の消費の中で、物の消費ではなくて、むしろサービスの消費に着目した観点が必要なのではないかという御指摘も含んでいると思うわけでございます。この点については、昨年の十一月の税制調査会の答申、これも繰り返し申し上げているわけでございますが、今後消費課税を考える場合に、物品と並んでサービスの消費に関心を持たなければならないという御指摘があるわけでございます。  この場合も全く個別物品税と申しますか、消費税と同じ問題があるわけでございまして、これも個別サービス税のようなもので考えていくのか、あるいはそうじゃなくてサービス一般のようなものを考えた課税を考えていくのか。個別サービス税ということになりますと、これは今委員がおっしゃっていましたようなサービスの局面に限定した課税というのはなかなか制度上直ちに今思い浮かべられないわけでございます。したがいまして、結局のところは、物品一般、サービス一般に対する消費に対して税制上どういうふうな対応を考えたらいいのか、中長期的な、しかも税制プロパーの議論としてはそういった点が問題になるということは、これは税制調査会の答申にも触れられているとおりでございます。
  338. 青木茂

    青木茂君 確かにおっしゃるとおり、経済のサービス化というのが一つの傾向になっているんだから、サービスにいかにして課税対象を広げていくかというのは私は一つの方法だと思います。その中でまず奢侈サービス、サービス中の奢侈サービスですね、いわゆる遊興税、そこら辺に課税対象を広げる、これは国民のコンセンサスを得られると思うんです。非常に難しい問題だと思いますよ、密室であるだけに。しかしながら、これはちょっと考えていかないと、そこら辺のところがアングラに野放しにされておって、ほかの生活必需品から税金取ろうといったって、それはちょっとコンセンサスは得られないと私は考えるわけなんですね。まあ、それはそれとして。  それからもう一つの問題でございますけれども、財政事情が非常に窮迫をいたしまして、難しい局面にあるということはこれはよく私どももわかっております。何とかしなきゃならない。ただ、何とかしなきゃならないことのスケジュールとプログラムだけは、もう政府が出していただかなきゃ国民が困るじゃないかというのは再三申し上げておるとおりです。総理は大型間接税は否定なさった。それならば本当に長い先の、中長期どころじゃない、来年のこと、来年二兆円だとか三兆円だとか言われる歳入欠陥ですね、これをどういう形でお埋めになるかということぐらいは示していただかないと、大体今年度予算の審議すら前提条件が欠けてできないんじゃないか。  特に私が心配するのは——大型間接税を否定なさるのは結構ですよ、結構だけれども、じゃどうするのかと、こういう問題。それと何か困難先送り現象というのは困るわけなんですよ。今は余り人から文句言われぬように否定すべきものは否定し、じわじわやっていこう、難しい問題は次の次の内閣竹下内閣のときに担当させりゃいいんだというような、政治というのが今やらなきゃならぬことを勇断を持ってやらずに、適当にリップサービスやっておいて、そうすると難しい問題は全部先送りになりますね。その先送りになったもの、構わぬじゃないかという態度では僕は困る。これはどうなんですかね、大蔵大臣
  339. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そこのところはなかなか難しい問題でありまして、二十一世紀を展望してという言葉がよくございますが、例えば年金とか医療とか、二十一世紀を展望すれば、今から中長期的な施策に手をつけなきゃならぬ。こういうことでいわゆる制度・施策の根源にさかのぼった問題が国会で今度議論をしていただくと、こういうことになっておるわけであります。  そうすると、今度は、歳出面での角度からそういうものが行われてきた。しかし全体的に見て、いわば急速度な高齢化社会ということは好むと好まざるとにかかわらずやってまいりますし、そういうことを考えた場合、財政再建、財政改革、そこに持ってくるための手法等をできるだけ早く国民の皆さん方にお示しして、そして理解と協力を求めるべきだ。予算は単年度主義とはいいながら、毎年毎年つじつま合わせだけしておってはならぬ。こういう御批判はよく私にも理解できる問題であります。  ただ、結局、かつての経済社会七カ年計画でございますか、あのときにいろいろ議論されて租税負担率を一応二六カニ分の一にしよう、あるいは公共投資は二百四十兆円をめどとしようというようなものがありまして、それがその後の世界同時不況の中でぽしゃってしまった、大変な下方修正せざるを得なかった。したがって、その二六カ二分の一というものの下敷きの中にはいわゆる一般消費税(仮称)というものが見込まれておったと私は思います。  そうすると、世界一知識水準の高い国民でもあり、この際国民の側に問いかけて、そこで国会の議論等を通じながらコンセンサスがどこにあるかというものを求めていこうと、こういう手法に今変わっているわけですね。したがって、今少しでもその素材になればと思って展望やあるいは仮定計算をお出ししてこういう議論をしておる。したがって、青木先生がおっしゃるような形で、例えばもう議論を通じて国民が、まさに直間比率というような問題、なかんずく物品税などは本当に補完するわずかなシェアの中に閉じ込めて、それこそ基幹税たる所得税中心の方向で進むべきだというのがコンセンサスであるというふうに理解するまでの今日まだ段階に至っていないんじゃないか。  なお、中には、物品税の議論をすると、むしろ物品税というののある種の公平性を求めるならば、むしろ消費一般にかかる中から必要に応じて抜いていった方がむしろ公正ではないかと、こういう議論も出てまいりますので、そのような議論を繰り返しながらコンセンサスを得ていくだけの、これは自由民主党とか、中曽根内閣とかいう問題じゃなく、日本国民全体の中にそれだけのものを消化する能力があるという前提で期待し、問いかけておると、こういうことじゃないでございましょうか。
  340. 青木茂

    青木茂君 最後に、私どものように固有名詞としての一般消費税にも反対し、それからいわゆる大型間接税にも反対してきた者の心境ですね、それでありながら、財政の苦しさということについては十分わかるわけですね。そこで最後に、提案を含めて御見解を伺いたいんですけれども、ずばり申し上げまして、一般消費税にしても、大型間接税にしても、時限立法にならないかどうかということです。つまり、赤字国債の新規発行ゼロになるまでの時限立法として構成することができるかできないかです。ということを最後にお伺いして私の質問を終わります。
  341. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは理論的に言いますと、その提案に魅力を感じて傾斜をかけて検討するという意味じゃございませんが、理論的に言えば時限立法ということはそれは可能な仕組みだと思います。
  342. 青木茂

    青木茂君 終わります。
  343. 野末陳平

    ○野末陳平君 最後になりましたので、要点だけ質問さしてもらいますから、お答えを簡単にしていただくと持ち時間は半分ぐらいで済むと思いますから、協力をお願いしておきます。  大臣、酒が財政物質だということはこの委員会でも常々出てきておるわけですが、しかし今までの経緯を見てみますと、三年ぐらいたちますと上がってきますね。この場合に、これからもこの調子でずっと上がるなんということが初めからわかっていると、もう実に賛否にかかわりなく無意味に思えできます。どうなんでしょう、この特殊な性格上、酒とかたばこのようなものは、負担率が落ちてくると、あるいは財源が必要になってくると、スケジュール的にこういう機会がまた来る、こういうような宿命にあるんですかね。
  344. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 必ずしも宿命には私はなかろうと思います。財政事情が大変好転した場合、あるいは国民の皆さん方が受忍するという環境ができた場合、その必然性を持ったものではない。が、非常に着目されやすい課税対象であるとは言えると思います。
  345. 野末陳平

    ○野末陳平君 この間の大臣のお答えなんぞでも、今回減税、一兆円規模の減税がなくても酒税の引き上げがあった、やむを得なかったようなことをお答えになりましたね。私個人は、今回の減税の財源として酒税のアップもやむを得ない、ぎりぎりしようがない、こういうふうには思っておりますけれども、しかし何か安易に、金なくなればこっちだというような扱われ方をしていると思うのですよ、酒もたばこもここのところ。ですからこういう安易な引き上げというものを認めたくはないんですね。その点であえてもう一度お聞きするんですがね。
  346. 竹下登

    国務大臣竹下登君) それも同感でございます。安易な引き上げの対象として絶えず念頭に置くべきものではない。ただ、私どもがいわゆる財政改革の第一歩を踏み出したと評価さしていただいたとして第二年度を考えたときに、どれだけ歳出が削れるか、どれだけ公債を減額できるかというようなときに、過去の例からするこの酒税というもののある種の周期というものが私も念頭にないわけではございませんでした。が、結果としては、その減税財源に対応することになったわけですけれども、ある種の関心がなかったとは私も正直に言えないと思います。
  347. 野末陳平

    ○野末陳平君 車なども結果的にはこれと似たような扱いを受けて、また安易に徐々に徐々に引き上げということになりかねないので、この点を念を押しておきたいと思いますね。  それから物品税ですが、今までも何回かごの改正案を審議いたしましたけれども、この場合も時代の変化とともに物品税の対象にする品目を拡大することはかりが結果的に改正の中身になっているのですね。むしろ今まで非課税であったというような既得権を持ったものに対しての見直しというものがほとんどないように思うんですね。先ほどからの質疑にも出ておりましたけれども、例えば桐だんすなども伝統工芸とかいろんな名目はつくものの、一千万からの総桐のたんすなども現実にあり、それを買う人はもう当然それだけの税を負担できる能力もあるわけですから、こういうものをいつまでも伝統工芸という名目でほうっておいていいのかとか、あるいは宝石や毛皮などももうちょっと税率を上げて、これが奢侈品とするならば、当然ゴルフやヨットなんかの三〇%に近づけることがあってもいいじゃないか、小売段階と製造段階は違いますけれども。何かそういう手直しというのが全く考えられてないように思うのですが、これは検討の結果今のような改正案になっているんでしょうか。
  348. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) かつて課税の対象になっていながら廃止されたものといたしましては、各種のものがあるわけでございまして、桐製の家具とか漆塗りの家具の問題、それなりの経緯と沿革があるわけでございます。ただ、今後の問題といたしましては、こういったものに限りませず、私どもとしては今後の物品税の課税範囲を適正なものとしていかなければならない。しかもそれも現下の財政事情を考えました場合に、むしろ拡大する方向で考えさせていただかなくてはならないという背景もございますので、従来廃止になったものといえども、各種の観点から今後とも検討していかなければならないというふうに考えております。  現実に五十九年度の税制改正に当たりましても、スキーあるいはテニスのラケット、釣り用具、この種のものもかつて課税対象になっておりました。これが廃止されたわけでございますが、今回これを課税対象としてまた取り上げるということについても具体的に検討させていただいたわけでございますが、これは先般の委員会で野末委員の御質問にもお答えいたしましたように、今回の場合、これを課税範囲として取り入れるまでの結論を得るに至りませんでしたのは、これはスキー、テニスラケット、釣り用具等も含めまして、現在課税対象になっております趣味娯楽品と比べてみますと、例えばスキーでは雪国の生活用具であったり、また小中学生からこれをスポーツ等で使う用具ということを見ますと、例えばゴルフなんかのいわゆるレジャースポーツの用具と比べて、趣味娯楽性という今の物品税法の考え方からいきますと、にわかに課税対象に取り入れることの結論を得なかったという問題もございます。今後とも委員の御指摘の点も含めまして課税範囲の適正なあり方について検討してまいりたいと考えております。
  349. 野末陳平

    ○野末陳平君 その検討の一つに、例えば文化的、芸術的な価値を認められて書画骨とうの類が非課税になっておりますが、これも大分また事情が変わってきていると思うのですね。今やかなり装飾品化しておるし、それから本当に芸術性の高い超高価なものはともかくとして、ほどほどの値段の書画骨とうというか、書画ですね、主に。そういうものがたくさんありますね。そうすると、これなどももしほかに似たようなものが物品税の対象になっていると、ここら辺も時代の変化とともに課税対象にせざるを得ない。何も何でも税の対象を見つけて歩くわけじゃありませんけれども、そういうアンバランスなところもあって、時代とともに物品税の範囲というものを研究するとなると、こんなものも対象にせざるを得ないんじゃないかと思うのですがね。どうですか。
  350. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 書画骨とうのたぐいもかつて課税の対象となっておったものが廃止された経緯がございます。これもいつか御答弁申し上げましたように、この種のものは相対取引で行われるものでございますから捕捉が非常に困難である。その意味でかえって捕捉される場合とされない場合とで負担の不公平が、実質的な不公平が生じる。それから執行当局の手数も非常にかかるという問題のほかに、これは野末委員の御専門の方でございますか、芸術に課税するのはいかがかといったような政策論的な議論もございます。この辺の点につきましては、究極的には国民のコンセンサスと申しますか、そういったものも課税対象としてやむを得ないというふうな考え方で、物品税全体に対して御理解をいただけるかどうかという点にもかかっておるかと思いますが、これらの点につきましても引き続き検討させていただきたいと思います。
  351. 野末陳平

    ○野末陳平君 文化とか芸術とかいう名前と、それを営利事業化しているような面と、かなり難しいところがありますからね、やはり検討はすべきではないかなと思ったりするんです、今後物品税の問題でもし改正案など出るときには。  それから与野党の合意で、パートの奥さんたちに関する減税なんです。この間の法案の成立て今八十八万ですか、これをさらに上積みして九十何万というような話になっているわけですが、これはパートで働く奥さん、それから彼女らを雇う中小企業にとっては非常に感謝されると思うんです、歓迎されるといいますかね。しかし今度は、大臣も何回か答弁の中で触れられておりましたけれども、内職なぞを中心とした事業をやっている主婦との間で配偶者控除が受けられる限度額というものがここでまた差がつく。ただでさえ、これはもう絶対素人にはわからない理屈なんですね。片やパートの奥さんは八十八万円だ。こういうと、もうどんな奥さんもみんな自分たちアルバイトのつもりですから、給与所得だの事業収入だのという感覚はありませんから、そうすると全員主婦の副業はもう八十八万あるいは九十何万と、こういう認識を持ちますね。しかし現実にはそうじゃないんだと。実際上、真っ正直に内職の申告をきちっとして経費を出しているというケースがそうあるとも思えませんけれども、しかしちょっとした忙しい事業になりますと、当然この問題は出てきますね。そうすると、経費を引いて今度三十三万円と。片やパートは、経費がかかる、かからないにかかわらず給与所得控除が効いてきまして八十八万円と、この差はほっといてはおかしい。働き方、雇われ方でこんな大きな差があるというのは、幾ら説明してもこれはわかってもらえないんですね。  ですから、この差をどうやって埋めるか。あるいは、これを全く同一にしなければおかしいというのが本来ですけれども、そうもいきませんからね、税法上。そうするとこの差をどうやって埋めていくおつもりですかね。それとも、これはもうやむを得ないんだ、事業と給与所得で違うんだからというところで突っ張っちゃうのか。これからどういうふうにしたらいいですか。
  352. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この問題、多年の議論でございますが、実際問題として、この対象になるパートの方々と内職あるいは婦人外交員、どうしても税法の中で割り切ることは非常に困難であります。したがって、そもそもこの組み合わせが、パートに対する組み合わせができたこと自体もうかなり議論があって、かつては給与所得控除、七十九万にしたその前はまだ差があったわけでございますけども、いろいろな角度から理論づけして七十九万にして、今度またこう上がっていくわけでございますけれども、したがって、与野党の話し合いの中でも、私どもが一番主張しましたのはその点であったわけであります。  で、今度各党の専門家の皆さん方で御協議いただけるに際しては、そのものはそれとして当然のことだが、これらの問題についても、我々も知恵を出しますが、各党の専門家の皆さん方も知恵を出してもらいたいということを申し上げてありますし、これは我が方の今日までの扱いといたしましても、それこそ給与の源泉徴収票とか支払い明細書の提出をお願いしたり、あるいはこの三割程度の概算経費控除を可能な限り認めるようにしたりというようなことを行ってきておりますが、我が方も現行のままで考えても知恵を絞らなきゃいかぬし、各党の専門家の話し合いでもこの問題はぜひ議論してもらわなきゃいかぬ課題だというふうに私も理解をしております。
  353. 野末陳平

    ○野末陳平君 これは経費ということを考えたら、家で内職なんかしている奥さんは経費なんかありませんしね。  ですから、結論から言いまして、最後にお聞きするんですが、主婦というふうに特定できないところが難しいんですけれども、こういういわゆる副業的な事業収入には一定額までは申告不要というようなことまで大胆に踏み切れるのかどうか、そこはわからないんです、難しいと思うんですが。そういうようにして給与所得てもらっている主婦も、事業で収入を得ている主婦も、平等ということにしないと、結果的にはこれはどうにもならぬと思うんです。しかもそれほどの額じゃありませんからね。ですからどうでしょう、数からいっても少ないかもしれませんが、この働き方の違い、これから来る不公平というか、差別というのは特に奥さんたちには全くわかってもらえない。これをそのまま放置するわけにはいかないとなると、いま私ちょっと言いましたように、どうでしょうか、ある程度の収入までは申告不要だというところに研究していけるかどうか、それを研究してほしい。なかなかいい案がなかったので、たまたまちょっと触れたんですが、お答えいただいて終わりにしましょう。
  354. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 非常に大きな政策的な問題でございますので、政策的にそういうことを考えるべきかどうかという議論は別にいたしまして、税制の技術上の問題としても、ただいま御提案のようなものは対象者を特定するという意味では非常に難しい問題があるということは予想されるわけでございます。しかし、各種の御議論が、内職の主婦の方の、特に事業所得なり雑所得になる方の課税問題が給与所得課税になる方とのバランス上議論が起こっておることは、私ども十分今国会の議論等を通じて承知をいたしておるわけでございます。ただいま大臣からの御答弁もあったわけでございますけれども、むしろ実態に即した執行体制でどういうふうなところまで対処し得るのか。国税庁とも今後さらに寄り寄り相談をいたしまして、適切な可能な限りの対応をしてまいりたいと考えます。
  355. 野末陳平

    ○野末陳平君 終わります。
  356. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。  酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び物品税法の一部を改正する法律案の修正について、岩崎君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。岩崎純三君。
  357. 岩崎純三

    ○岩崎純三君 私は、ただいま議題となっております三案のうち、酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び物品税法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。  これよりその趣旨について御説明申し上げます。  これら二法律案によりますと、ともに施行期日が「昭和五十九年四月一日」となっておりますが、同日は既に経過しておりますので、これをそれぞれ「公布の日」に改めるとともに、これに伴う所要の規定の修正を行うものであります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  358. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 以上で修正案の趣旨説明は終わりました。  これより三案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  359. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私は、日本社会党を代表し、酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案及び石油税法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。  政府はさきの総選挙において、増税なき財政再建を国民に約束したにもかかわらず、所得税減税の財源と称し、酒、物品、石油三税の増税法案を提案してまいりました。今回の審議を通じ、いかに説明しようとも、この三法律案は明らかな増税法案であり、サギをカラスと言いくるめようとしても、国民はこの法案を増税としか受けとめないのであります。かかる政府の公約違反に対し、私たちは断じて賛成できません。  特に、今回の増税三法案はそれぞれ国民生活に密着した大衆課税であります。酒税につきましては、酒が歴史的、文化的所産であることへの認識に欠け、単なる課税対象としてのみ受けとめ、紋別制度、表示規定等、矛盾に満ちた現行酒税法の抜本的見直しには手をつけず、ひたすら税額確保にのみ専念しております。ビール、しょうちゅう等の大衆酒に対する増税、消費下降の清酒や、陰りの見え始めたウイスキー特級、その他の酒類の抱える多種多様な問題をすべて先送りし、増税だけが先行するのはもってのほかであります。  さらに、大型間接税への指向に何らの歯どめの措置を行わないまま、無原則な物品税の税率及び品目の増加を図ることは許しがたい暴挙であります。  また、原油価格の値下がりを理由に安易な石油税の税率の見直しも断じて承服できません。旧態依然たるエネルギー政策に対する反省こそ必要であります。清酒製造業の安定対策に対しても、何らの経綸なきまま、いたずらに新制度の創立は政府の無為無策のあらわれと言って過言でありません。  以上三法案とともに自民党提出の修正案に対し強く反対の意を表明し、討論を終わります。
  360. 大坪健一郎

    大坪健一郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となっております酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案外二法律案並びに岩崎純三君提出の二修正案につきまして、それぞれ賛成する立場から討論を行うものであります。  ここで改めて申し上げるまでもなく、今年度の税制改正の最大の眼目は、近年において国民的要請ともなっておりました所得税及び住民税の本格的な大幅減税の実現を見たことであります。  しかしながら、我が国財政は、特例債を含む大量の公債に依存せざるを得ないという深刻な状況にあり、財政の改革は、財政の本来的機能を回復し、我が国経済の着実な発展と国民生活の安定向上を図るため、緊急の課題とされているところであります。  したがいまして、所得税減税の財源は、原則として他の税目、すなわち、現行税制の枠内においてこれを求めざるを得ないのでありまして、酒税、物品税などについて、社会経済情勢や消費構造の多様化に即応して見直しを行い、それによる増収措置を講ずることは、やむを得ない措置と言わざるを得ません。  まず、酒税法改正案は、酒税の従量税率を引き上げることにしておりますが、その税率引き上げについて、酒類間及び紋別間の税負担格差縮小に配意しておりますことは、近年の所得水準の平準化等を背景とした酒類消費の多様化、均質化に適合したものと考えます。  加えて、清酒については、原料事情等を勘案し、その税率引き上げ幅を小幅にとどめるというきめ細かい配慮がなされているほか、清酒製造業の第四次近代化計画を実効あらしめるよう所要措置が施されておりますことは、業界の経営基盤安定に資するための適切な内容と考えます。  次に、物品税法改正案は、産業経済に及ぼす影響等に十分配意しつつ、最近における消費の実態やその便益性等から見て、税負担を求めるべき物品を課税対象に取り入れるほか、課税物品相互間のバランスから見て負担の増加を求める余地があると認められる乗用車等について若干の税率引き上げを求めることは、現下の厳しい財政状況をこれ以上悪化させないためにも許容し得るものと考えます。  最後石油税法改正案であります。石油税は御承知のように従価税率であり、その税収は、石油及び石油代替エネルギー対策の財源となるものでありますが、昨年三月の原油価格低下等に伴い、その税収が大幅な減収を来しております。  したがいまして、このまま税率等現行制度を維持したままでは、石油及び石油代替エネルギー対策の着実な推進に支障が生ずることにもなりかねません。  そこで、本案は、石油にかかる税負担状況等に配意しつつ、石油税の税率を若干引き上げるとともに、その課税対象の拡大を行おうとするもので、エネルギーの安定供給を確保するという見地から見て、必要かつ妥当な措置と考えます。  なお、岩崎君提出の二修正案は、施行期日を修正するものであって当然の措置であります。  以上をもって二修正案及び修正部分を除く三原案に対する私の賛成の討論といたしますが、政府におかれては、財政改革が急務の課題となっていることにかんがみ、従前にも増して歳出歳入両面にわたる抜本的な見直しにより、財政収支の改善に努力され、税、財政に対する国民の信頼の維持確保に努められんことを切望して、私の討論を終わります。
  361. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました間接税関係三法案並びに岩崎君提案の修正案に対し反対の討論を行います。  反対理由の第一は、中曽根内閣の公約違反の増税であるという点であります。昨年三月の臨調最終答申は、増税なき財政再建について、「何よりもまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべきであり、全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない、ということを意味している。」と定義づけております。この臨調答申の精神を尊重すると強調してきた中曽根内閣が今回の増税法案を提出したことは、重大な約束違反と言わなければなりません。  反対理由の第二は、所得税減税財源として逆進性のある間接税を増税し、低所得者により重い税金負担を押しつけるからであります。所得税減税の財源に間接税を増税することは、低所得者ほど、減税の恩恵以上に間接税が増税されることになり、特に課税最低限以下の人たちは、減税の恩恵はなく、間接税の増税のみを受けることになります。かかる低所得者に配慮を欠いた増税案に反対します。  反対理由の第三は、間接税の中でも特に逆進性の強い酒税を増税し、取りやすいところから取るという安易な姿勢であります。酒税は、たばこ消費税に次いで最も逆進性の高い税であります。しかも、我が国の酒税は、先進国の中でも飛び抜けて最高の税率であります。税制調査会が指摘するごとく、社会経済情勢の変化を踏まえ、間接税体系の合理化を図り、バランスのとれた税制を目指すべきであります。このような努力を怠り、世界的にも高い我が国酒税にさらに税負担を求める安易な姿勢は許せません。  反対理由の第四は、一世帯につき平均一・一四台保有している自動車の物品税を上げ、大衆課税を増強しようとしているからであります。税の不公平是正が叫ばれながら、書画骨とう等の高額品、奢侈品に税金がかからず、グリーンカード制実施もうやむやになり、一方高所得者の脱税事件が後を絶たず、まじめな納税者の税の不公平感は増大するばかりです。こういう中で世界的にも高い我が国の自動車関係の税金をさらに高くすることは弱い者いじめの大衆増税であり、賛成できません。  反対理由の第五は、石油税の引き上げが余りにも安易であるという点であります。日本の将来を考えるとき、エネルギー対策の重要性は認めるにやぶさかではありません。しかし、限られた国家資金の使途については、むだを省き、より効率的に使われなければなりません。石油備蓄においてコストの高いタンカー備蓄が行われているなど、節約、効率化の余地は多く残されております。このような使途のあり方に十分なメスを入れることなく、原油輸入量の減少、原油価格の低下を理由とする安易な増税には強く反対します。  以上、終わります。
  362. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、酒税法物品税法石油税法の一部を改正する法律案並びに自民党提出の修正案に対し、反対の討論を行います。  今回の酒税、物品税、石油税の増税は、法人税などの増税とともに、昭和五十九年度所得税減税八千七百億円の財源を確保するためのいわば見返り増税であります。このような大衆課税の強化は減税財源の最も安易な調達方法であり、公共料金の一斉引き上げとともに、国民生活への圧迫の強化以外の何ものでもありません。  酒税につきましては、第一に、今回の増税によりビール大瓶、ウイスキー特級、清酒特級などは飲んだ酒の半分は税金に取られることになり、たとえ酒が特殊な嗜好品であり、かつ財政物資であるとしても、その税負担は限界に来ていると言わざるを得ないのであります。  第二に、今回の酒税の増税は、酒類別、紋別に見ると、しょうちゅうやウイスキーのような大衆向きの低価格酒ほど大きい増税率となっており、大衆負担を一層強めるものであります。総理府の家計調査報告によりますと、低所得者層ほどしょうちゅうや二級酒など低価格酒の消費割合が大きくなっております。  消費者の嗜好がこのように変化してきている原因は、大手メーカーによるアルコールや糖の過大な添加等による品質の低下傾向に対して、消費者がブランドや紋別にこだわらず品質志向を強めつつあること、また酒税の相次ぐ引き上げや小売価格の値上げに対する生活防衛として低価格酒への需要が高まっていることなどによるものであります。今回の増税が大衆酒ほど増税率を大きくしたことは、税の逆進性を一層顕著にするものとして容認しがたいのであります。  第三に、清酒業安定特別措置法改正による酒税組合中央会による転廃給付金事業の再開は、多数の零細清酒製造業者を切り捨てるものであります。過去二度にわたって行われた転廃給付金事業は中小企業近代化促進法に基づく第二次、第三次構造改善事業と一体となって、この十五年間に約一千者近い零細酒造業者を廃業に追い込んでおります。今回の中央会による転廃給付金事業の再開は、今年から中小企業近代化促進法に基づく第四次構造改善事業が開始されることに伴って向こう六年間に約四百者程度の酒造業者を整理しようとするもので断じて認めるわけにはいきません。  物品税の増税につきましては、第一に、自動車の税率の引き上げ、スポーツ用品、電気製品への課税対象拡大が若者を初め消費者に負担を強制するものであります。第二に、電気洗濯機など生活必需品へと課税範囲を拡大することは、奢侈品、趣味娯楽品、比較的高価な便益品の消費に示される担税力に着目して課税するという従来の物品税の性格を変えることとなり、課税ベースの広い間接税として大型間接税導入に道を開くものであります。我が党はこれを断じて認めるわけにはまいりません。  石油税の増税につきましては、最終的には消費者の負担となるだけでなく、これを財源として成功払いの石油探鉱・開発や石油備蓄などアメリカ系メジャーや日本の石油企業のための石油政策が行われることになり、反対であります。  以上の理由により、間接税三法の一部改正案及び二法案に対する自民党修正案に対し、いずれも反対の態度を表明して、討論を終わります。
  363. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました間接税三法案並びに自民党提出の二修正案に対し、反対の討論を行います。  まず、酒税について申し上げます。  現在最も緊急の課題は、清酒における税率構造を支えている等級格付の抜本的見直してあります。今日、既に特級は特級でなく、二級は二級の実体を備えておりません。等級格付と実体との乖離を招き、かつ促進した有力な原因は、過去数次にわたる酒税の引き上げでありました。この現実は政府とても否定し得ないところであります。したがって、もし酒税の引き上げを行うとしても、そのためには等級格付の妥当性、現実性について抜本的な見直しを行うことが大前提でなければなりません。  今回のように、旧来の格付に沿って増税が行われることは、生産者にとっても国民にとっても迷惑しごくであり、実体との乖離はさらに促進されるでありましょう。  一方、最近数年間におけるウイスキー特級の低迷は、関税と内国税によって押し上げられた今の価格水準がようやく消費者の我慢の限界を超えつつあることを示しております。  この間にあって、果実酒は顕著に市場を拡大しつつありますが、これはワインの関税問題を含めて日本市場に対するECの関心を高め、将来に問題をはらむものと言わなければなりません。求められている業界の近代化とは単に清酒のみに限ったことではありません。  次に、物品税について申し上げます。  まず、物品税とは個別物品課税の総称であります。新たに課税物品に加えられるものが出た場合、それはあくまでも新しい税であります。既存税制の見直しによる増収という言い回しで新たな課税物品の追加による新税をごまかしてしまうことには問題があります。問題は課税物品の範囲がどこまで拡大されるかであります。  今日、物品税はかつての奢侈品課税の思想から個別消費税、すなわち国民の生活必需品への課税へとその性格を大きく変えつつあります。しかし、その場合、税率は現行税率の水準でいいのか、あるいは課税最低限は現状のままでいいのか、余りにも問題が多いと言わなければなりません。基本的見直しをせずに、なし崩しに個別消費税化を進めることには絶対に賛成できません。  次に、石油税について申し上げます。  エネルギーの安定供給、省エネルギーあるいは新エネルギー、代替エネルギーの開発財源の確保という観点から、石油に負担を求めることは間違った政策とは考えておりません。また税率はある程度腰だめで決めざるを得ない問題であり、にわかに適否を論ずることはできません。この意味で石油税の一部改正については賛成してもよい法案かもしれません。しかし、肝心の税率の決定及び徴収税額の使用について、我々野党は当然のことながら決定段階に参画する立場にありません。参画なき増税には反対せざるを得ないのであります。  以上で討論を終わります。
  364. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより順次三案の採決に入ります。  まず、酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。  まず、岩崎君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  365. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、岩崎君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  366. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、物品税法の一部を改正する法律案について採決を行います。  まず、岩崎君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  367. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、岩崎君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  368. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、石油税法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  369. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、竹田君から発言を求められておりますので、これを許します。竹田四郎君。
  370. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は、ただいま可決されました酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案及び石油税法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、参議院の会、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。  酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案及び石油税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について配意すべきである。  一、酒類の消費の実態等を踏まえ、酒類間の税負担のあり方、級別制度等、酒税制度に係る問題について引き続き検討し、あわせて酒質の一層の向上を図るための方策を検討すること。  二、酒税法改正に伴い、財政物資としての酒類の特性に配意し、その正常な取引を確保するため、必要に応じ所要措置を講ずるよう努めること。  三、清酒が伝統ある民族酒であることにかんがみ、清酒製造業、とくに中小製造業に対し、原料米価格の安定を含め、指導・育成に努めるとともに、その基本的振興。対策について引き続き検討すること。  四、物品税の基本的性格及び最近における消費の実態等を踏まえ、課税範囲、税率のバランス等に配意し、その課税のあり方についてさらに検討すること。  五、石油関係の税制が複雑になっているので、そのあり方について社会経済情勢等の推移に即応しつつ、使途を含め幅広い観点から検討すること。  六、わが国経済・国民生活にとってエネルギーコスト低減が重要な政策目標であることに十分配意すること。  右決議する。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いをいたします。
  371. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) ただいま竹田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  372. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 全会一致と認めます。よって、竹田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹下大蔵大臣
  373. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
  374. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  375. 伊江朝雄

    委員長伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時四分散会      —————・—————