○
参考人(
前川春雄君) 今
お話がございまして、大量の国債償還期を迎えるわけでございまするので、そういう
事態に対して
大蔵省でいろいろお考えの段階であろうと思います。私
ども、どういう構想が最終的にまとまりましたかまだ聞いておりませんので、具体的な構想自体に対する考えを申し述べるわけにはまいりませんのでございまするけれ
ども、一般論として申し上げたいと存じます。
第一の御質問で、直接並びに間接に日本銀行信用が供与されることは適当でないということを私も六月にこの
国会において御答弁申し上げた記憶がございます。日本銀行の信用供与、
財政面に対する信用供与は
法律でも限定的に書いてございまするので、それ以上に、現行認められている以上に日本銀行の信用を追加するということは私
ども全然考えてないわけでございます。
それで、直接並びに間接ということで、六月ごろ問題になりましたのは、私の記憶では、当時、資金運用部に新発債を引き受けてもらう、資金運用部の持っている国債を日本銀行が買う、そういうことも
一つの方法ではないかと考えられることで、それは日銀信用が間接的に供与されることになるのではないかという御趣旨であったと思います。それに対しまして私は、直接的に日本銀行の信用を供与することはもちろんいたしませんけれ
ども、間接的にそういう今申し上げたような形で
財政法の精神を逸脱するようなことは、私
どもはするつもりはないということをお答えした記憶がございます。
ただいまそれに関連いたしましての御質問で、
大蔵省証券を使ってやればそういうことがまたできるかもしれないという御趣旨ではなかったかと思います。
大蔵省証券、短期の
政府証券に対しまして私
ども引き受けを行っておることは事実でございまするけれ
ども、これは
財政法あるいはその他の
法律による
制度的な歯どめがあり、また
大蔵省証券については、一時的な資金繰りをつけるためということでお引き受けしておるわけでございます。それで、今の
お話のような償還資金というものにつきましてはそういう
制度的な歯どめが全然ないものでございまするから、そういう目的のために
大蔵省証券を引き受けるということは、日銀信用が安易に使われるということになるわけでございまして、私
どもは、そういうことは、償還財源であるか、あるいは一時的な資金繰りであるかということは、厳密に言うとなかなか区別することは難しい場合もあるわけでございまするけれ
ども、少なくとも実質的にそういうことになる、償還資金に使われる、日銀信用が使われるということがないようにしてまいらなければいけないと思います。私
どももそういう資金を、信用を供与するつもりはございません。
それから
政府短期証券、TBの問題でございます。TBマーケットと申しまするより、私
どもは短期の
金融市場というものの何かオープンのマーケットをどうしてもつくらなければいけないというふうに思っておるわけでございます。これは国債償還が非常に重なるということもございまするけれ
ども、一方、円の国際化と申しまするか、自由化に伴いまして海外からも大量の資金が入ってくる可能性がある。そういう
事態になってまいりましたので、金融政策をめぐる環境が非常に変わってきたということでございますが、そういう中でどうやって金融政策の効果を発揮さしていくか、金融政策の有効性を確保するかということがこれからの我々の一番大きな問題でございます。
基本的に申しますれば、金利機能というものを活用していくよりしようがない。統制あるいは規制に頼るわけにいきませんから、金利機能ということで対応していくわけでございまするが、金利機能が有効に発動されるためには金利の自由化が必要であるということと、もう
一つは金融政策の波及が直ちに行われるような環境の整備、短期の
金融市場というものを整備していく必要があるというふうに考えております。現にもう金融機関による手形市場その他の短期の
金融市場があるわけでございまするけれ
ども、現在もう既に企業あるいは証券あるいは外国の投資家が日本の国内の短期の
金融市場にいろいろ投資しておるわけでございます。現先とか中国ファンドとか、そういうものが専ら使われているわけでございまするけれ
ども、私
どもは、金融機関も、それからそういうふうな企業あるいは投資家も全部同じに取引ができるオープンなマーケットをつくることがどうしても必要であるというふうに考えておるわけでございます。
そのオープンなマーケットで取引される最も適当な
金融資産は
政府短期証券ではないかと思います。それ以外の例えばBAというものが使われることは当然でございまするけれ
ども、BAはそのときどきの取引に基づくものでございますから、金額がなかなかまとまらないということもある。
政府短期証券は最も信用もあり流適度も高いということでございまするので、一番適当な
金融資産は
政府短期証券ではないかというふうに考えておりまするので、そういう
意味でTBマーケットというものができることが望ましいというふうに考えておるわけでございます。
そういう
観点から私
どもが保有しておりまする
政府短期証券を市中に売却いたしまして、そういうマーケットの育成に目下努めておるわけでございます。必ずしもまだ私
どもが考えておるほど理想的にはいっておりません。しかし次第にそういうTBというものが市場になれてまいりましたし、そういう動きがさらに広まることが私
どもの金融政策の有効性を確保する上において一番必要であろうというふうに考えておる次第でございます。