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1984-07-24 第101回国会 参議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月二十四日(火曜日)    午前十時五分開会     —————————————    委員異動  五月十一日     辞任         補欠選任      内藤  健君     佐藤栄佐久君  五月十四日     辞任         補欠選任      佐藤栄佐久君     徳永 正利君      木本平八郎君     青木  茂君  五月十五日     辞任         補欠選任      青木  茂君     木本平八郎君  五月十六日     辞任         補欠選任      徳永 正利君     佐藤栄佐久君      山本 富雄君     中村 太郎君  五月十七日     辞任         補欠選任      松岡満寿男君     宮島  滉君  五月十八日     辞任         補欠選任      中村 太郎君     山本 富雄君      宮島  滉君     松岡満寿男君  六月二十日     辞任         補欠選任      木本平八郎君     前島英三郎君  六月二十一日     辞任         補欠選任      前島英三郎君     木本平八郎君  六月二十六日     辞任         補欠選任      山本 富雄君     江島  淳君      佐藤栄佐久君     内藤  健君  六月二十七日     辞任         補欠選任      江島  淳君     山本 富雄君      内藤  健君     佐藤栄佐久君      木本平八郎君     前島英三郎君  六月二十九日     辞任         補欠選任      前島英三郎君     木本平八郎君  七月五日     辞任         補欠選任      梶原 敬義君     和田 静夫君  七月六日     辞任         補欠選任      和田 静夫君     梶原 敬義君  七月十一日     辞任         補欠選任      梶原 敬義君     村沢  牧君  七月十二日     辞任         補欠選任      村沢  牧君     梶原 敬義君  七月十七日     辞任         補欠選任      高杉 廸忠君     秋山 長造君  七月二十日     辞任         補欠選任      秋山 長造君     高杉 廸忠君  七月二十三日     辞任         補欠選任      福間 知之君     稲村 稔夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         斎藤栄三郎君     理 事                 降矢 敬義君                 森山 眞弓君                 高杉 廸忠君                 市川 正一君     委 員                 石井 一二君                 岩本 政光君                 亀井 久興君                 佐藤栄佐久君                 杉元 恒雄君                 鈴木 省吾君                 松尾 官平君                 松岡満寿男君                 山本 富雄君                 稲村 稔夫君                 梶原 敬義君                 対馬 孝且君                 田代富士男君                 伏見 康治君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        通商産業大臣  小此木彦三郎君        国務大臣        (経済企画庁長  河本 敏夫君        官)    政府委員        経済企画庁調整        局長       赤羽 隆夫君        経済企画庁調査        局長       横溝 雅夫君        通商産業大臣官        房審議官     矢橋 有彦君        通商産業省通商        政策局次長    鈴木 直道君        通商産業省貿易        局長       村岡 茂生君        通商産業省産業        政策局長     福川 伸次君        通商産業省立地        公害局長     平河喜美男君        通商産業省基礎        産業局長     野々内 隆君        通商産業省機械        情報産業局長   木下 博生君        資源エネルギー        庁長官      柴田 益男君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        松田  泰君        資源エネルギー        庁石油部長    松尾 邦彦君        資源エネルギー        庁石炭部長    檜山 博昭君        資源エネルギー        庁公益事業部長  小川 邦夫君        中小企業庁長官  石井 賢吾君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        警察庁刑事局捜        査第一課長    藤原  享君        科学技術庁原子        力局動力炉開発        課長       坂内富士男君        科学技術庁原子        力局核燃料課長  奥井 幸信君        大蔵用主計局調        査部長      浅見 敏彦君        文部省教育助成        局施設助成課長  吉田  茂君        文部省学術国際        局研究協力室長  西尾 理弘君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課長    小林 康彦君        自治省行政局公        務員部福利課長  秋本 敏文君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (リッカー株式会社和議申請に関する件)  (電源立地促進対策交付金に関する件)  (石炭政策に関する件)  (中小企業対策に関する件)  (基礎素材産業の再活性化に関する件)  (テクノポリスに関する件)  (核燃料の再処理問題に関する件)  (使用済み乾電池処理対策に関する件)  (貿易収支黒字対策に関する件)     —————————————
  2. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十三日、福間知之君が委員辞任され、その補欠として稲村稔夫君が選任されました。     —————————————
  3. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  高杉廸忠君が一時委員異動されたことに伴い理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事高杉廸忠君を指名いたします。     —————————————
  5. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 梶原敬義

    梶原敬義君 最初に、リッカー倒産にかかわる件で通産省に質問をいたします。  リッカー倒産については、負債総額が一説には八百五十億ぐらいから一千百億ぐらいの間とこう言われておりまして、大変大型な倒産がまた起こりました。本件に関しまして、前払いをしております一般債権者が約六十万人、負債総額約七十億円、このように毎日新聞では言われております。  これは大変まじめに前掛けをしてきた家庭にとっては大きな問題でありまして、本件に対して通産省としてはどのような行政指導をするのか。和議のようでありますから、和議でありましてもこういう掛金前払金というのはどうも法律上では一般債権と同じようにみなされるようになるようで大変難しい問題でありますが、何とか家庭で黙々と掛けてきた皆さんに安心できるように強い行政指導をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  7. 矢橋有彦

    政府委員矢橋有彦君) リッカー和議申請に伴います消費者保護の問題につきまして申し上げたいと思います。  まず現状でございますけれどもリッカー株式会社割販法第十一条に規定いたしますところの前払式割賦販売を行っております。そして、その子会社でございますところの株式会社リッカーファミリークレジットは同法の第二条に規定いたします前払式特定取引、いわゆる友の会というものを行っておるところでございます。  そして、五十九年三月末現在でございますが、前払式割賦販売にかかわる前受金残高は八億五百万円、約十一万八千口でございます。  また、前払式特定取引にかかります前受金残高は約六十三億五千六百万円、口数にいたしまして六十八万五千口となっております。そして前者がリッカー株式会社、後者がリッカーファミリークレジット、こういうことになっておるわけでございます。  この前受金につきましては、割賦販売法に基づきまして前受金保全措置というものが講ぜられておりまして、債務の約二分の一に関しまして日本割賦保証株式会社との間に供託委託契約が締結されておるところでございます。  以上が状況でございますけれども、今回和議の申し立てが行われましたことに伴いまして、私どもといたしましてはとりあえず次の措置をとっております。あるいは近くとろうと考えておるところでございます。  そのことにつきまして申し上げたいと思います。  まず、リッカー株式会社等関連企業に対する指導でございますけれども、昨晩、リッカー株式会社及び株式会社リッカーファミリークレジットを呼びまして次のような指導を行っております。  一つは、前払方式による顧客の新規募集停止でございます。これは、被害者拡大を防止するための当然の措置がと存じております。  それから二番目は、既存前払契約にかかわる前受金集金停止でございます。これは、前払式割賦と申しますのは、通常の割賦が、商品を先に受け取って、後から月々返していくというものであるのに対しまして、前受式と申しますのはその逆でございまして、あらかじめ消費者が金を月々積み立てまして、お金がたまったところで現物を引き取るというのが形態になっているわけでございますが、既存契約者につきましても、月々払ってまいりますと、その分の債権会社から見ますと債務が膨れ上がるという原因になるわけでございますので、この点はなかなか難しい問題かとは存じますけれども、極力既存前払契約にかかわる前受金集金停止してもらいたいと私どもとしては考えておるわけでございます。  それから三番目でございますが、前払契約を締結しております購入者のうち、希望者につきましては現物による代物弁済、場合によっては追加金を徴収をして現物を渡すと。例えば、六割方お金を積み立てていて、もうちょっとお金を足せば現物が引き取れるというような状態にありますときには現物によって決済をするということも一つの有力な解決策であると考えておるわけでございます。  ただ、この問題につきましては、公平を期するということが大事でございますし、いま一つ、何と申しますか、当該会社債権者全体に対する侵害行為とならないような状況で行うと。つまり、和議法の手続の範囲内で行う必要があろうかと考えております。  以上の指導に対しまして、両者はその私どもがいたしました指導内容を持ち帰り、社内で真剣に検討するということでございます。  それから、そのほか今後の問題でございますけれども、他のミシンメーカー等が、本件に関連いたしまして消費者保護のために協力してくださるということの可能性についても検討する必要があろうと考えております。  以上が会社関係でございますが、その割賦販売法に基づく措置の一環といたしまして、先ほど申し上げましたリッカー株式会社及び株式会社リッカーファミリークレジットとの間で供託委託契約を締結しております日本割賦保証に対しまして、これも昨晩でございますが、通産大臣から契約に基づく供託指示があった場合に備えて、供託所要資金、これは三十五億四千六百万円でございますが、これを準備するよう指示をいたしております。なお、法に基づく供託指示は、今後準備整い次第行うつもりでございます。  以上がとりあえずとりました対応策でございます。  いずれにいたしましても、条件の許す範囲内で、私どもといたしましては消費者保護に万全を期する所存でございます。
  8. 梶原敬義

    梶原敬義君 通産省におかれましては、早急な対策、大変御苦労と思います。  大体、今あらまし説明を聞いてわかったんですが、今言われましたような方策で、要するに前払いをしております方々の、合計でいきますと、債権確保というのは、めどとしては、一応どのくらいぐらいめどとして見ていいわけですか。
  9. 矢橋有彦

    政府委員矢橋有彦君) 確実なのは二分の一でございます。これはもう法律に基づく保証契約が 講ぜられております。  残りの二分の一につきましては、ちょっと現段階では不明でございます。
  10. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうしますと、結局は一般債権としてある一部はみなされると、こういうことにもなるわけですね。
  11. 矢橋有彦

    政府委員矢橋有彦君) 先ほど申し上げましたように、代物弁済の問題とか、例えば他のミシンメーカー協力によるスイッチの問題とか、そういったようなことで、極力、現時点ではあてになっていない二分の一の分をなるべくちょっとでも消費者から見て取れるような状態努力をすると、私どもといたしましても努力をするということは当然でございますけれども、正直申しましてめどはございません。
  12. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは事前に状況というのは、通産省の方としては把握してなかったんですか。
  13. 矢橋有彦

    政府委員矢橋有彦君) 法律の規定に基づきまして、毎期、決算期ごと経理内容を把握しております。  例えば純資産比率とか流動比率経常収支率負債倍率等々の指標を把握をしております。そして法律の二十条では、例えば純資産比率が九〇%未満になれば新規契約締結禁止命令をすることになっておりますけれども、その九〇%という基準に対しまして二三四%ということで相当余裕のある状態でクリアをしておりました。それは諸指標の中の一つでございますけれども決算期ごと経理は把握しております。ただ、今日の事態になることがわからなかったということでございます。
  14. 梶原敬義

    梶原敬義君 一般債権になりますと非常に弱いわけですね。抵当権を設定しております担保債権、こういうのが優先をします。恐らく担保債権をとっているのはほとんど銀行が中心だろうと思いますね。銀行リッカーというのはそれぞれ助け合われたり、お互い関係利審関係で結ばれておったわけでありますが、これはこういう全く善意の第三者、リッカー機械を買おうと思って黙々と積み立てていた人を保護するために、その担保債権者に対しても、これは国としてもこの分については確保するように措置はできないんですか、要請は。社会的な要請をすべきだと思うんですが、いかがですか。
  15. 矢橋有彦

    政府委員矢橋有彦君) ただいま先生の仰せのような消費者保護ということが非常に大切であるということから、現在の社会情勢をもとに法律で二分の一の保証だけは少なくとも確実にしようという措置が講ぜられておるわけでございます。  残りの二分の一につきましては法律上の措置はとられていないわけでございますが、先ほど申し上げましたようなことで、極力、少しでも助けるように努力をしていきたいと考えております。
  16. 梶原敬義

    梶原敬義君 通産大臣、答えていただきたいんですが、担保債権者、恐らく銀行とか、まあリッカーと非常にお互いに持ちつ持たれつの関係のそういう担保債権者に対しても、通産大臣の方から、通産省の方から、何とか、さっき言った方々についてはこれはやっぱり全額保証すべきだと、何にもまして最優先すべきだと、こういうような観点から、強く社会的に、道義上やはり大臣の方から申し入れをしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  17. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 法的による二分の一の還付ということ以上に、今政府委員が申し上げましたように、代物弁済等方法等も強力に指導してまいりますが、それ以上のことをいかにするか、今の段階では私は断定的に申し上げる方法を持っておりませんけれども、可能な限りの消費者保護ということを念頭に置いた対策を今後考えてみたいと存じます。
  18. 梶原敬義

    梶原敬義君 一般債権の中にも、商品販売したり、仕入れをしたり、仕入れ先であったりなんやらする場合と、これも大変大きな損害をこうむるわけですが、リッカーの製品を買うために早くから積み立てをしている皆さんとは内容が違うと思うんです。同時に、抵当権をとっております銀行あたりは、これは金を貸して利子をもらってお互いにやっぱり助け合われてきたわけでありますから、内容が違う。だから、今までの既存の物の考え方じゃなくて、問題が法律上はなかなか難しいとしても、社会道義上これはやっぱりもう少し協力すべきだと。リッカーと一緒に運命をともにして歩いてきた、抵当権、担保とっております金融業者に対しても、もうちょっと強く言って、二分の一はもうわかりましたよ、あとの部分について、残っている部分についてもやっぱり国の姿勢としてやるべきだと。通産大臣がそう言えば国の世論がそうなりますよ。なって、銀行やなんかに攻めていく、そして一般消費者掛金を掛けた皆さんを保護していく。こういう大きな、何といいますか運動みたいな流れができないと、なかなかそれは銀行というのは、はいそうですかと、こうはいかないですからね。ひとつその点についてはもう少し強い態度を表明していただきたいと思うんですが、いかがですか。
  19. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 梶原委員のおっしゃることは私十分理解できます。したがって、今政府委員の答弁したことについて、さらに一層きめ細かい温かい配慮というものを早急に私は考えてみたいと存じます。
  20. 梶原敬義

    梶原敬義君 リッカーの件につきましてはもうこれでやめますが、ぜひ適切な措置を早急にしていただきたいと思います。  次に、我が国経済運営に関してでありますが、政府景気は順調に回復過程にあるとこう言われておりますが、私どもは特に選挙区あたりに帰って物をつくっている中小企業皆さんやあるいは物を販売をしております小売店皆さんと話をしても、なかなか政府が言っているように景気回復の兆しというのは感じられないんです。どうもぴんとこないんです。厳しいですね、とこういう返事が今でも返ってきます、ごく最近私も幾つか当たったんですが。その中で今度のリッカー倒産がやっぱり出てきております。  一方では、中曽根総理大臣は口を開きますと第二臨調答申、これに従って財政は中立ていく、こういうことをずっと言っておるわけです。どうもいつも総理大臣が第二臨調、第二臨調と言うこと自体がもう私は耳ざわりでしょうがない。日本の最高の国権のその一番トップにおる人がやはり自分は一体どう考えるのか、日本財政経済財政に対して自分は一体どう考えるか、どういう対策を打つのか、手を打つのか、それがない。回復基調に向かったといっても、個人消費は本当に実質上は伸びておるのかどうなのか。それは暑いときには少し伸びます、寒いときにはまたこれはちょっと伸びる、そういうことはあると思いますが、ことしの春闘の賃上げの状況を見ても、もうごくわずかな上昇でありまして、実質賃金伸びというのはほとんどないに等しい。それに加えて減税については、五十八年度景気浮揚に役立つ大幅な減税を約束をしたにもかかわらず、非常に小幅な減税であるし、一方で増税をしておる。このような状況の中で内需拡大について、特に六〇%を占める個人消費拡大について一体どう考えて、どのようにしようとしているのか、経済企画庁長官のお考えを冒頭にお伺いいたします。
  21. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) マクロ指標で見ます限り、現在我が国経済拡大基調にあると言えます。  ただ、内容をつぶさに検討をいたしますと、その成長外需によって支えられた成長である。経常収支も大幅に伸びておりますし、また貿易収支も大幅に伸びておる、予想外伸びを示しております。牽引車貿易である、こういうことが言えると思います。  また、貿易の活況に支えられまして、最近は設備投資政府見通しをやや上回っておりまして、これが成長の第二の柱になっております。  しかし、今御指摘がございましたが、GNPの六割弱を占めます個人消費政府見通しを下回っておりまして、最近の民間の調査機関修正見通しを見ましても、いずれも年初の見通しを下回った水準に個人消費だけは動いておるようであります。これが国民経済の大部分を占めております ので、やはり今お話のような不況感が相当幅広く漂っておるのではないか、こういう感じがいたします。  概して申しますと、大勢としては回復の方向にありますけれども、いろいろ部門別ばらつきがございますので、やはりもう少し経済の力が強くなりますとこのばらつきがある程度解消されるのではないか、このように思います。  当面の課題地域別業種別ばらつきをどのように解決するかということがこれからの一つの大きな課題だと思います。  それから、今臨調お話がございましたが、臨調答申を見ますと、臨調を進めるのは二つの目標を実現するためだ、このように書いてあります。  その第一が、活力ある福祉社会をつくること、第二が、国際社会に積極的に貢献をする、この目的のために行革を進めるんだと、このように書いてありますから、その目的を実現するというその趣旨に沿って私は行政改革を進めていくということであれば、必ずしも現在の経済政策と矛盾するものではない、このように考えております。
  22. 梶原敬義

    梶原敬義君 マクロ的に見ますと拡大基調と、外需によって引っ張られてきたということ。いろいろ国会の総理大臣の答弁を聞いておりますと、我が国も何回か内需拡大あるいは景気をよくするために手を打ったと、こういうようなことを言われております。確かに二回ほどあるわけでありますが、一体今日の景気拡大基調の中で外需、特にアメリカの景気に引っ張られた部分と、日本政府がとった景気対策と、そのウエートを大体どのくらい、どっちがどのくらいでどのくらいとなかなか言えないと思うんですが、ひとつ勘でいいですから、大臣なりあるいは経済企画庁の方からお答えいただきたいと思います。
  23. 赤羽隆夫

    政府委員赤羽隆夫君) お答え申し上げます。  先ほど大臣からもお答えがございましたように、マクロ指標で見る限り、現在日本景気景気回復から景気拡大へと、こういう局面に移行しつつある段階であると認識をしております。  その際、外需依存割合でございますけれども、これはまだ統計が出ておりませんのでやや古くなりますが、ことしの一−三月期のGNP統計で見ますと、実質GNP成長率一・八%のうち〇・七%が外需の寄与、こういうふうになっております。実質GNP構成比で見ますと、七、八%の外需で全体のGNPが三分の一以上押し上げられている、こういうことから見ますと、外需に依存する度合いが大きいということがわかると思います。  それから、経済対策の寄与でございますけれども、これは昨年の四月にとりましたし、また昨年の秋にもとりましたけれども、いずれもその当時見られました景気回復の動向というものをさらに確実なものとして行ったもの、その成果が上がりつつあるものと考えておりますけれども、これを計量的に何分の一がその成果であり、それ以外の部分は何パーセントである、こういうことを数字的に申し上げることはできない、こう考えております。
  24. 梶原敬義

    梶原敬義君 数字的に言えないと思いますけれども、勘で言いますと、我が国の去年何回かとりました景気対策が、今度の景気回復に及ぼしている影響というのはもう非常に小さいんじゃないんですか。したがって、そういう意味では何といいますか、個々、臨調行革という話が出まして、あれから先の我が国の縮小均衡型の経済政策の結果、それは輸出関連の大企業はいいかもしれないけれども、中小零細やあるいは国民の生活というのは非常に厳しくなってきておるんですよ。それに対する政府の責任というか、辛抱もいいけれど、これはやっぱりアメリカが大幅な減税をやって、そして日本GNPで引きかえますと約十兆円に相当するような減税をやって日本経済を引っ張ってくれている、そういうような状況ですから我が国としては景気対策についてはずっと何もやってこなかったということです。ですから、この辺についてはもう少し積極的に反省をしていただいて、きょうは経済企画庁長官あるいは通産大臣も両方いらっしゃいますから、もう少しその辺について、難しいことを言わぬで素直に原点に返って反省して、これからのやはりやるべきことはやると、こういう点について、まず冒頭に両大臣の気持ちを聞かしていただいて、時間が余りないので先に行きますが、お願いをいたします。
  25. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) この春の予算委員会で何回か申し上げましたが、五十九年度の財政経済に対して中立であるということでありますので、経済成長に及ぼす影響はゼロである、こういうことであります。  したがって、今の経済成長は全部民需によって成長が達成されておると、こういう内容になっております。  そこで、昨日もアメリカ経済の実情が発表されましたが、第一・四半期は確報値で実質一〇・一%成長、第二・四半期は上方修正されまして七・五%成長、こういう数字が発表されておりますが、アメリカ経済の現実の力が物価安定の中でこれだけの成長をしておると、そういうことが背景にございまして円安ということが一段と進んでおるというのが今の現状だと思います。現在の円安は単に高金利だけの問題ではございませんで、アメリカ経済の実力と日本経済の現在の力の差が私は為替にあらわれておるのではないかと、こういう感じがいたします。  そこで、これからの経済成長でありますが、もう少し力強いものにすることができないかという問題が一つと、それから外需依存型の現在の成長をもう少し内需依存型の成長に変えることができないかと、こういう問題があろうかと思います。特に大幅な黒字が続いておりますので、個々の対策だけではやはり世界全体に大きな不満が残ります。我が国の大幅黒字が引き金になりまして世界全体に保護貿易的な傾向が出てまいりますと、これは日本が世界全体に大きな迷惑をかけることにもなりますので、やはりもう少し内需中心の経済成長に変えることができないかと、こういう大きな二つの私は課題があると考えておりますが、これらの二つの課題をめぐりまして、ことしの後半から来年にかけての経済政策をどうすべきかということがこれからの大きな議論の対象であり、同時にこれは私は大きな政治問題であろうと、このように考えております。
  26. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 実感として景気がよくなったという感じを持つに至るまでには確かにいってないと思います。しかし、実感として景気がよくなったなあという感じを持つに至る景気というのは相当好調な経済だと図うんです。しかし、これを数字的に見ますれば、我が国経済というものは最近輸出が増加を続けておりますし、あるいは設備投資中小企業を中心にして回復していることは御存じのとおりでございます。その他の国内需要も緩やかに増加をいたしておりまして、これを受けて鉱工業生産や輸入も増加しており、雇用情勢も確かによくなっていることは御承知のとおりでございますし、また五十七年十二月以来私どもが心を痛めておりました倒産の件数もこの六月に入ってかなり減ってきたと、今後このような形を改善して、大いに経済運営に努めていかなければならないと考えておる次第でございます。
  27. 梶原敬義

    梶原敬義君 もう答弁要りませんが、小此木大臣は木材関係の家業のお仕事をされておられるようでありまして、御存じだろうと思うんですが、今国民の所得が伸び悩んでおりまして、住宅を建てようったって、なかなか建てるような力がないんですね。私が帰ってある銀行の支店で話をしておりましたら、住宅金融公庫の申し込みがたった一件しかない。いつもだったら、いいときはもうくじ引いてやらなきゃならぬ。一件しかない。こういう状況なんですよ。私はやっぱり大体百二十何万の中で、中小企業設備投資がどこがどう進んでおるかなんか、全部回っておりますから、知っておりますがね。もう中小企業設備投資、どの業種がどういってるかというのも全部 頭に入っておりますが、これは大したことはないですよ。電子や電機関係が一都やっておる、こういう形でそう大きな設備投資が進んでおるような実際状況じゃないです。これは答弁要りませんが、そんなに本質的な、基本が変わったような、景気がよくなったような状況がどうか。個人消費がこんなに落ち込んでおりまして、実質所得が伸び悩んで、景気が言われるようにどんどんよくなるはずがないですよ。もう答弁要りません。  大蔵省にちょっとお伺いしますが、今やっておりますように緊縮型の財政政策を中心にして、まあ行革やるなということを言ってんじゃないんです。結論だけでいいですが、今のようなやり方で財政の本当に今の問題は解決できるのかどうか。縮小均衡型で解決できるかどうかですね。財政再建本当にできるかどうか。この点について、もう結論だけでいいですから、国民にわかりやすく言ってください。
  28. 浅見敏彦

    説明員(浅見敏彦君) 梶原先生十分御高承のことでございますけれども我が国の現在の財政というのは五十九年度末で国債残高が百二十二兆円になろうとしております。  また、五十九年度予算では国債の利払い費だけで実に約九兆円、これは社会保障費にも匹敵するような姿になってきているわけであります。  そういう状況でございますので、先生もおっしゃいますように財政がいろんな機能を今後果たしていく、まあ景気調整機能もその一つでございますが、資源の配分ですとか所得の再分配、そういったことを今後いたそうといたしましても極めて困難な状況になっておりますので、私どもはこうした財政の機能を果たすための対応力を回復するということが現下の最も重要な喫緊の課題である、こういう認識に立っているわけでございます。  それでは、果たして今のような経済運営財政再建できるのかという厳しい御指摘でございますけれども、確かに例えば公共事業をふやすとか減税をするという場合にはそれなりの経済拡大効果というものはございますが、こうした効果は実はやはり一時的なものでございまして、その効果とそれに要しました財源、これは例えば公債に依存をいたしますと六十年間その負担が続くわけでございますけれども、これを比較いたしますと、私どもはやはりその負担が極めて重く将来の国民にのしかかってくる、こういうことを極めて危惧するわけでございます。  その点、今日の経済状況は先ほど経済企画庁の方からも御答弁がございましたように、外需に依存する部分もございますが、しかし相対的には内需を中心に、国内民需を中心に自律的な拡大局面にある、こういうふうに考えておりますので、こういうときにこそ私どもといたしましては苦しいけれどもこの財政改革、行財政改革の歩を一歩でも二歩でも進めていくべきではないか、そうすることによりまして、極めて厳しい課題だとは認識しておりますが、六十五年度までに特例公債依存体質からの脱却を図り、さらには公債依存度の引き下げにも努めるという目標に向かって一歩でも二歩でも進めることができるのではないか、このように考えている次第でございます。
  29. 梶原敬義

    梶原敬義君 中曽根総理大臣が多分総理大臣になったときに八十兆円ちょっとの赤字国債だった。それが均衡緊縮型の政策をとりながら、あなたが今言われたような形で頑張ってきたんだけれども百二十兆円に赤字国債はならんとしているね。だから、そういうような経過から見て、私は今のようなやり方をずっと踏襲していって、六十五年に赤字財政から脱却が、出血がとまる、この今のようなやり方でとまるなんていうことは考えられないんだけれども、自信ありますか。
  30. 浅見敏彦

    説明員(浅見敏彦君) 私どもといたしましては、今申し上げましたように極めてその目標の達成が厳しいということについては認識をしているわけでございますが、今申し上げましたような点から考えて、毎年度平均すれば一兆数百億という数字になるわけでございますが、そのときどきの経済情勢その他を考慮しながらこの一兆円強の目標を着実に達成していくべく最大限の努力をしていく、このことが私どもの今日の財政に課せられた使命だというふうに考えているわけでございます。
  31. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、多く申し上げませんが、難しいという前提に立って、宮澤さんが資産倍増論でやっぱりやらなければいかぬのではないかとか、あるいは河本経済企画庁長官が大幅な減税やって内需拡大せにゃいかぬのじゃないかと、こういう意見も我々は新聞やマスコミで見ますが、賛成する部分も大分あるんですね。もう答弁要りませんが、ぜひ私どもの立場からしますと——立場ということはないが、考えてみますと、大幅な減税を次々にやって、所得税減税をやっていくべきではないか。そして、そのときにだれが得をする損をするかといって、結局国民が国家を形成していますからね、大幅減税を特に経済企画庁長官要請をして、本件については質問を終わります。  次に石炭の関係、三井三池・有明の関係でありますが、端的に答えていただきたいのですが、七月十八日のNHKの夜の現地からの報道でありましたが、エアハウスをつけたとか、あるいは誘導無線、COマスクの件が報道されておりましたが、エアハウスについては子供だましじゃないかと、中で働いている労働者がそう言っております。また、誘導無線も非常に不十分だ。それからCOマスクについては十分か二十分もっとしても、これはやっぱり根本的な問題にならないと。衆議院でも質問で出ておりましたが、西ドイツのJIS規格か何かでこれは問題になっているわけですね。しかも四年前にそういう状態日本はわからなかったということでありますが、この点について万々手落ちのないように三井三池・有明だけじゃなくて、全鉱山について、中の労働者がテレビでこれは不安だとこう言っているんですからね、ひとつこの点について要望しておきます。  それから関連しまして、もう一つは警察庁あるいは通産省ですが、今警察側と保安監督局と二つが捜査しておりますが、一月に起こった事故の捜査がまだまとまらぬ、これはこのままだんだんしておったらこれはもううやむやになってしまいますよ。もううやむやにするために私は事件の捜査を引き延ばしておるんじゃないかと、こう悪くとらざるを得ないのですがね。この二点について基本に触れる答弁をしていただければ結構ですが。
  32. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 最初の御質問のエアハウスでございますけれども、現在使っておりますエアハウスは既製品でございまして、他の炭鉱でも既に使用しております。適正に配置、使用されれば十分効果を発揮するという理解のもとに今回企業側において自主的に導入したものでございます。  なお、COマスクにつきましては、今度の事故の後にいろいろ私ども調べまして改良の余地がもしあるとすれば改良いたしたいと思いまして、諸外国の事情等をただいま研究しておる段階でございます。  それから、最後の捜査の進捗状況でございますけれども、原因究明につきましては、事故調査委員会で今発火メカニズム等に関する実験等も加えまして総合的に検討を行っているところでございます。  司法捜査につきましては、福団地方検察庁の指揮のもとに監督局におきまして鋭意捜査を実施中でございまして、本件につきましては今後とも厳正に対処してまいる所存でございます。なお、証拠固めのため、あるいは被疑者調書の作成等にある程度時間がかかっております状況でございます。
  33. 藤原享

    説明員(藤原享君) 福岡県警察におきます捜査でございますが、坑内における検証及び関係者の取り調べはほぼ終了しつつあります。  それで、今後は外部などに委嘱しております鑑定事項につきまして関係の諸先生方からその結果をいただきまして、それらを踏まえ関係者の刑事責任の所在など事件の取りまとめを速やかに進めてまいりたいというふうに考えております。
  34. 梶原敬義

    梶原敬義君 要するに私はおくれていると思う んです。常識的に、夕張がこれだけかかったから大牟田これだけでいいというようなことにはならぬと思うんです。実際やっぱり事件が起こって送検するまで本来ならできるだけ早くこれやるべきだと。何で一体こんなにおくれているんですか。
  35. 藤原享

    説明員(藤原享君) まあいろいろ原因はございますが、まず捜査的に見ますと、やはり坑内という特殊な場所であったということで検証が大変困難化したということも一つでございますが、さらに現在そういった検証とか関係者の取り調べにつきましては、先ほども御説明いたしましたように、一応ほぼ終了しつつございますが、そういった結果をさらに裏づける諸先生方の鑑定事項、そういったものについてさらに先生方の結果をいただくということが一つの前提になっておりますので、そういった点についてさらに諸先生方と接触いたしまして今後の捜査を進めてまいるということに考えておるわけでございます。
  36. 梶原敬義

    梶原敬義君 通産省の方に要望しておきますが、捜査との関係もあるようですから、やはり調査委員会の結論についても早く、できるだけ早くまとめてもらうように、今言われますというと、おくれているのは、その調査もおくれておると、それと関係あるからということなんですから、そこも早めていただきますように、いいですか。
  37. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 近く調査委員会も開くことになっております。鋭意努力いたしたいと思っております。
  38. 梶原敬義

    梶原敬義君 近く開くようになんて、いつも開きゃいいじゃないですか。開いてもらうように努力したらいいじゃないですか。相手が開くのを待ってじゃなくて、通産省の方から早くしてくださいと。——やる気ないんでしょう。これ、終わります。  次に、福島の原子力発電、問題になっておりましたが、どうしても私はちょっと腑に落ちないのは、原子力発電のコストが、原価が一体どのようになっておるのか。十二円五十銭と、こういう能書きは聞いておりますが、これの、石油、石炭、LNG火力の、やはり原価計算の中身まで一応わかるように。こうなっていると、大体の、非常に粗っぽい御指摘はいただいておりますが、資本費が何ぼと、燃料費が何ぼと、こういうような形。だからその資本費の中の内訳は一体どうなっているのか、小さくひとつ出していただくように、時間がありませんので、お願いをします。
  39. 柴田益男

    政府委員(柴田益男君) 各発電所のコストにつきましては、当省といたしまして五十八年度の運開ベースのモデル計算を行っておりますけれども、原子力発電につきましては、一キロワットアワー当たり十二円五十銭程度という計算をいたしておるわけでございまして、石油火力の十七円、あるいは石炭火力の十四円と比べては割安という計算が出ております。  その構成要素でございますけれども、発電原価試算におきましては、機器代、土地代等を含む建設費を算出いたしまして、この後、この建設費をもとに減価償却費、固定資産税等の資本費を算出いたし、運転に当たって必要となる燃料費等を含め、発電に必要な諸経費を算入しているところでございまして、個別の金額等につきましては、モデル計算とは申しながら各企業の原価計算上に触れる点も出てまいりますので、一応こういう要素で計算しておるということを答弁するにとどめさしていただきたいと思います。
  40. 梶原敬義

    梶原敬義君 やっぱり原価計算の中に最終処理費用、それから原子炉の廃炉費用等も入ってないようでありますね。もう時間ちょっとオーバーしましたので、後ほど詳しい中身をひとつ教えていただきたいと思います。  それから産構法ですね、特定産業構造改善臨時措置法、これの施行状況の説明、特にセメント業種が五月二日に指定されましたし、電線も近々そういう予定であるようでありますし、進捗状況が一体どうなっているのか、説明を後日でもいいですからしていただきたいと思います。  それから、立法の精神が本当に生かされているのか、特に第一条の「目的」の中にあります「雇用の安定及び関連中小企業者の経営の安定に配慮しつつ」云々と、こういう点で問題はないのか。後日でいいですから、時間が大分オーバーしておりますので、教えていただきたいと思います。
  41. 柴田益男

    政府委員(柴田益男君) 先生が最初の方で触れられました廃棄物の最終処分の費用及び廃炉に伴う費用については御指摘のとおり未算入でございまして、全体のコストの一割程度というふうに我々見ておりますが、この辺の詳細につきましてはできる範囲内で今後説明さしていただきたいと思います。
  42. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 特定産業構造改善臨時措置法につきましては、現在二十二業種が指定されておりまして、それぞれ過剰設備の廃棄あるいは事業の共同化、さらにはまた技術開発といったような点を鋭意進めておるところでございまして、私どもとしては、中にはまだ一部問題の業種もありますが、おおむね所期の目的を達しつつあると考えております。  具体的に御指摘のありましたセメントでございますが、今の予定では、八月一日に開催をいたします予定の産業構造審議会の住宅都市産業部会において構造改善基本計画の御審議をいただくという予定になっております。  そのほか、合成樹脂絶縁電力電線・ケーブル製造業等については、現在非鉄金属部会において、その特定産業としての指定の可否を含めまして、現在構造改善のあり方を検討をいたしておるところでございます。  なお、具体的な点についてなお先生御要望ございますれば、個別に可能な範囲で御説明さしていただきます。
  43. 梶原敬義

    梶原敬義君 これで終わります。
  44. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 ただいま梶原委員から、特に原発の発電のコスト等についての質問があったわけでありますが、私はこの原発関係のいわゆる電源立地促進対策交付金についてお伺いをしたいというふうに思っております。  実は質問の通告をしておりませんでしたし、時間もございませんので、私はこれに入ります前に一言だけ最初伺いたいと思いましたけれども、希望だけ申し上げておきたいと思うことがございます。  それは、これも先ほど梶原委員が触れられました、リッカー倒産問題でございますけれども、特に消費者サイドの保護についていろいろと質問をされておりましたが、私は特にこれの今度は下請関係について、金属産業は大変なまだ状況の中にございます。それだけに、下請にいろいろな形でしわ寄せがいきませんように、特にその、下請といってもかなり中小、零細の末端の下請というのが、こうした倒産騒ぎの中ではいわゆる債権者会議の中でも有利な立場に立てないで大変苦労をするという例が多いわけでありますので、特にそうした中小零細企業下請関係というものについての対策ということについても御留意をいろいろと賜りたい、このことを希望といたしまして最初にお願いを申し上げておきたいと思います。よろしくお願いをいたします。  そこで、本論に入らせていただきますが、最初に、この交付金につきましては都道府県が作成した整備計画に基づいて国が承認をするということになっておりまして、したがいまして、例えば学校建設なら学校建設については通産省——直接的には通産省がその権限なんでございましょうけれども、これに文部省も学校ということであれば参画をされる、こういうことでございましたので、最初に文部省にお伺いをしたいと思いますが、実は、この交付金の中で柏崎原発に伴いまして刈羽中学校の建設というのがございまして、これは地元から監査請求などが出てちょっと騒ぎを起こしたという経過があるわけでございますけれども、この刈羽中学校の建設費、私もこれ試算をしてみてちょっとびっくりしてるんでありますけれども、生徒数一人当たりにいたしますと、大体新潟県内の各地の学校の建設費を見てまいりますと、生徒一人頭大体二千五、六百円から三千五百円くらいのことになっているようでありますけれど も、これが刈羽中学校の場合には大体こうした普通の学校の三倍くらいの建設費に当たるわけでございますけれども、大変高価な学校を建てておられる、こういうことになるわけでありますが、この点について、文部省は承認に当たってタッチをされたと思うんでありますけれども、まず御感想を伺いたいと思います。
  45. 吉田茂

    説明員(吉田茂君) 先生御指摘のように、この場合につきましては整備計画が出されてくるわけでございますが、この整備計画の審査を文部省としていたしたわけでございます。私どもの試算では、今御指摘のような三倍までには至ってはおりませんが、比較的単価が高いということは事実でございます。  これにつきましては、私どもはこういった問題についてどういう観点から判断をするかと申しますと、例えば私どもの学校設計指針というような学校建設をする場合の設計指針がございますが、そういった指針等から見て、学校施設として適切であるかどうか、あるいは文部省が行っております国庫負担事業による施設建設と著しく均衡を失していないかどうか、そういった多角的な観点から判断をしているわけでございます。  この場合につきましては、単価が通常の場合より比較的高いということは事実でございますが、学校建設あるいは学校施設の内容から考えまして格別問題があるということは考えなかったわけでございます。
  46. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私は坪単価で伺ったんではないんですけれども、要するに生徒一人当たりにして約三倍になるということを申し上げたんです。  それで、私は大変結構なことだと思うんですけれども、そこでこれは交付金という特殊な費用でやられるわけでありますから、それでそういうことも結構だということになるのかもしれませんが、私はそのほかの自治体でも、例えば文部省の基準の中ではいろいろと認めていただけないけれども、積極的に教育効果を上げるためにいろいろな財政事情をにらみながら集中的にこれをやろうということで、例えば学校整備公社であるとか、学校建設公社であるとかというものを利用しながら、それこそ三倍までいかなくても、普通の文部省の御指定になる基準になる学校よりもすばらしい学校を建てるために二倍なりそれ以上の経費をかけるというようなことを積極的にそれぞれの自治体が工夫をされるということについては文部省の方もそれでは積極的にそういう点では御協力をいただけるということになりましょうか。
  47. 吉田茂

    説明員(吉田茂君) その前に、先ほど申し上げた点は、確かに先生がおっしゃるように、私どもは平米で単価を出しておりますので、その点の基準の違いはあろうかと思います。  ただいまの御指摘でございますが、私どもといたしましては、文部省が国庫補助事業として行っておりますものにつきましては、その限度で国庫負担をやっておるということでございまして、それ以上について事業を行うという自治体は御指摘のようにあるわけでございますが、それにつきましては、私どもとしては国庫補助の対象ではないので、その点は先ほど申し上げましたような学校建設設計指針等から見まして問題があるというようなことを除きますれば、各自治体の判断によって行われているというのが実情でございます。
  48. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 しかし、例えば学校建設に当たっては建設公社をつくっていろいろとやろうという自治体がかつて随分ございましたね。そのときにはかなり文部省も渋い反応をされていたんですけれども、そうすると、今後はそういう自治体の工夫でもっていろいろなことを進めていくということについては、文部省は積極的に対応していくというふうに、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  49. 吉田茂

    説明員(吉田茂君) 今先生御指摘の分は、いわゆる立てかえ施行でございまして、一度建てたものを地方自治体が取得して、それを後に国庫補助事業の対象にするということでございますので、結局国庫補助事業の対象になるということでいろいろ申し上げた点はあろうかと思いますが、全く各市町村独自で行われる事業につきましては、私ども格別こうしてほしいということは、先ほど申し上げましたような点を除けばないわけでございます。
  50. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 一たん先行取得をしておいて、後で補助金として穴埋めをしていっていただきたいと。その点について補助金の範囲については、それはいろいろと問題はあるかもしれません。だが、そうすると、その補助金にかかわる分を除けば、これは自治体の独自の判断ということでいろいろとやっていくことについては文部省はとやかくはないと、こういうことになりますか。
  51. 吉田茂

    説明員(吉田茂君) この点につきましては、例えば先ほど申し上げましたような学校設計指針等から考えてどうか、あるいは国庫補助対象事業に比べて著しく均衡を失していないかどうか、そういった点からの判断はもちろんありますし、そういう点からの指導というものはあるわけでございますが、学校施設として不適切ではないということでありますれば、格別問題がないということでありますれば、それは各自治体の判断によって事業が行われるということでございます。
  52. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 どうもちょっと私はよくわからぬのですけれどもね、電源開発関係の今の立地促進対策交付金というのは、言ってみれば、国家の金が支出をされる、こういうことになるわけでありまして、これは電気料として納めているものの中から納められた税金が特別会計を通じてという形になるわけでありますが、言ってみれば、これも国民の税金でということになるわけでございますね。だから、直接の補助金についてはかなり厳しいいろいろとあれがあります。しかし、そういう間接的ということになるのでしょうか、そういうことになると、何か極めておおように御対応になるというように受け取れるわけなんですがね。いずれにいたしましても、生徒の一人当たりどれだけの投資をされるかということについて考えたときに、これだけ大きな差があるということについて文部省はどういうふうにお考えになるか、こういうことを私は伺いたいんですよ。
  53. 吉田茂

    説明員(吉田茂君) これは私どもが試算いたしましたのは、平米当たりの単価について比較して申し上げたわけでございますが、生徒一人当たりと申しますか、基本はやはりクラスの数、学級の数というところが基本になるわけでございます。そういうわけで平米当たり単価、平米は基本的には学級の数がカウントの基本になってまいりますので、そういう意味では平米について比べるということで、格別支障はないと思うのでございますが、それで申し上げたのが先ほどの比較的単価は高い、こういうことでございます。  工事の中身を見ますと、例えば特別教室が多いとか、あるいは各学年に食堂があるとかというようなことで、いわゆる文部省の補助基準の内容よりも内容が上回っているということはもちろんあるわけでございますが、このことが学校教育上適切ではないということではないわけでございまして、この点について格別問題があるということは考えなかったわけでございます。
  54. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 もう私の時間は余りありませんので、いろいろとそこまで伺っていると時間がなくなってしまいます。  ただ、いずれにいたしましても、ほかの学校とのかかわりでいったら、約四億近く、三億七千幾らというもの、これはここで出している広報の中でもちゃんと除いている分が三億七千万幾らと書いてあるのがあるんですよ。そのくらいかなり余分に使っておられるということになるわけであります。ぜいたくであるかどうかということの議論や、こういう教育効果についての議論とすればいろいろとあるかもしれませんけれども、いずれにしましても今のように、言ってみれば税金と同じような金がこういうふうにして特定なところでたくさん使われていくということについて、私はいろいろと問題がある、こういうふうに思って文部省の方にお伺いをしたわけなんでありまして、この点につきましては、まだ明らかでないところがいっぱいありますから、場合によってはまた改め ていろいろと伺わなければならない、こんなことにもなろうかと思います。いずれにしても、学校の建設の基準というのについて、文部省は今のお話では、自分のところの金さえ使わなければ、あとは極端に言えばかなりのことを、基準を超えたものをつくられても結構ということになりそうな御答弁でありますから、改めてまた後ほど議論をしたいというふうに思っております。  そこで、時間もなくなりましたから通産省の方にお伺いをしたいのでありますが、この交付金につきましては、地元で監査請求が起こって、これに対して当然その監査の結果も報告をされたりしているわけでありますけれども、この監査請求が起こった時点から、この工事の内容について、いろいろと御調査になったんだろうと思いますけれども、その辺のところ、基本的なことで結構でございますから、検討されたことがあればお答えをいただきたいと思います。
  55. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 刈羽村中学校の工事につきましては、くい打ちの設計工法につきまして、御指摘ございましたように監査が行われたわけでございます。私どもといたしましても、当然交付金の対象としての工事でございますから、この点について調べたわけでございます。  これは刈羽村の方からこの設計工法の変更について、当省にも相談があったわけでございます。その変更の内容というものをよく吟味いたしますと、くい打ちのときの騒音、振動に対しまして、当初の計画ではうるさ過ぎるという周辺住民の苦情が出てまいりまして、それがございまして、やや技術的なことになりますが、当初の工法が士打ち工法ということでありましたが、これが非常に騒音、振動をもたらすということで、アースオーガー工法に変更した、こういうことでございます。  これにつきましても監査でいろいろ検討されたようでございますが、私どもも私どもなりに判断いたしますに、これはやはり周辺住民の要請にのっとっての変更であったということでございますので、やはりそういった住民の納得、理解のもとにこういったものを進めることが妥当だということでございますので、私どもといたしましてもこの設計変更については承認し、交付金交付に入ったわけでございます。  以上でございます。
  56. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 これはボーリング調査の結果は、四本のボーリング調査をやって、そのうちの二本は三十三メーター以内でも岩盤があるという、そういう資料になっています。もちろん四本のボーリング調査ですべてを推しはかることはできませんが、しかしそのときにここで現実にやられたくい打ちでは、百五十一本のくいが打たれて、そのうちの九十本が全部打ち込めないで最大七メーター程度のものですね、くいを切っているわけです。これは普通の学校建設等の文部省の指導でやられるときにこんな工事は多分行われないと思います。そういう面からいきましても、私はかなり安直に受けとめられて地元でもって工事をやられたのではないか、こういうふうに思わざるを得ません。  監査の結果についても、監査人に対しての答弁の中でも、いろいろと私どもにとっては不明な点も随分あります。例えば監査人が指摘したようなやり方でやったらうんと金がかかるというようなことも指摘しているようですけれども、監査人の指摘した工法でやった場合には、くいを一挙に七十本もふやしたり、それからくいの長さが全部四十五メーターあると計算をしたり、いろいろそういう計算のやり方までやって、そして言っているというところに、何かいろいろと政治絡みの臭さも感じないわけにはいきません。いずれにしても、大変な私は問題点をやっぱり持っているように思います。  私、ここで本日お聞きをしたいと思いますのは、少なくともこうした学校建設等にかかわって、それこそ通常に建てる場合に比べたら、大変ゆとりがあるというんでしょうか、そういうお金の使い方を積極的にされたという、そういうことについて、例えば法的な根拠がどうかということについては、まだいろいろと検討の余地があるんでありましょうけれども、少なくとも特に原発にかかわる交付金についてはいろいろと言われている部分があるわけであります。それだけにこういった電源立地促進対策交付金のあり方について、もちろん交付の仕方、法律に基づいてでありますけれども、それを実際に交付をしていく上でのあり方についていろいろと検討をする必要があるのではないか。特に人口とのかかわり、あるいはその他の立地条件等を加味をしていろいろな対応を考えていかなければならないものがあるのではないか。それがなければ、自治体の方が——こんなことを申し上げては大変今度は自治体の方にも申しわけないのでありますけれども、しかしやはり人間の集団がやることでありますから、十分なお金が来るということになれば、つい気も緩んで、そして大まかな粗っぽい仕事をやるということだってあり得る。それだけに、私は今財政がこれだけのことを言われている時期なんですから、そういう時期であればあるほど、私はこうしたことが行われるということにやっぱりいろいろと疑問があるわけであります。  そこで私は最後に、この交付金の交付の条件等について、法律はもちろんありますけれども、それに基づいてのあり方についていろいろと工夫をする、そういうお気持ちはないかどうか、そういうことの御検討を今後なされる気はないかということをお伺いをして質問を終わりたいと思います。
  57. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 電源立地促進対策交付金につきましては、計算上、当該市町村にとってトータル金額というものがまず計算されますと、それを県が市町村の意見を聞いて整備計画というものでメニューの中からいろいろな公共施設の整備について組み合わせを考えるわけでございますが、この場合にやはり地元の意見というものが個々の施設のうち一点に集中して立派なものをつくる、あるいは金額的に節約しながらいろんなものをやはり手をつけたいと。いろいろ地元の要望というものがございますから、一義的にはその地元の要望というものを踏まえるということが必要かと思います。  しかしながら、今御指摘ありましたように、それがいかに地元の要望であっても客観的に妥当なものでなければならないということは当然でございまして、今の仕組みにおきましても整備計画のチェックにおきましては、通産省だけが判断するということではなく、当該公共施設の事業所管省庁が十分審査をするという形をとっておりまして、学校の場合には文部省にその点を十分御所管の公共事業の並びにおいて検討していただいております。  もちろん、それが全く画一的に同じ単価で行われているというわけではございません。しかし、それぞれ現地の個性というものがございますので、その辺の金額のばらつきはあろうと思います。ただ、いずれにいたしましても私どもの運用態度といたしまして過度にぜいたくなものが交付金事業として出てこないように通産省といたしましても事業所管省庁とともに十分審査し、運用してまいる考えでございます。
  58. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 時間が大分ずれておりますので、ひとつ答弁も簡潔、明瞭に、私もまた要点を絞って申し上げますから。  きょうは、石炭政策と石炭予算の関係につきまして重点を絞ってお伺いをいたします。  まず第一に、私は第七次の石炭政策の認識と見直しの考え方につきまして、大臣にひとつお伺いをしたいと思います。  かねて五十六年十月の新夕張炭鉱災害以来、安倍通産大臣、山中通産大臣、そして宇野通産大臣を経由をいたしてまいりました。その際、はっきり確認しましたことは、第七次政策を堅持をする柱というのは、いわゆる二千万トン程度という需要を基本にしながら、現行の山を閉山をせしめない、つまり存置をする基本政策に立って、これから鋭意七次政策の確立のために全力を挙げてまい りたいと、こういうしばしば当委員会で私も申し上げているわけでありますが、そういう歴代の大臣の見解が表明されているわけであります。  そこで、私はこれから七次政策を基本にいたしまして、前提といたしまして、ひとつ小此木通産大臣に今置かれている石炭界の現況は言うまでもありません。これはOPECによる油は二十九ドルに低下をし、海外炭は低落の一途をたどり、今日の円安傾向はこれまた異常な状況になってまいりました。したがって、おのずから今日に置かれている石炭業界の事情というのはまさに極度に経営が悪化をしている、こういう認識を私自身も深めているわけでありますが、この認識を含めて第七次政策の柱をどのようにひとつこれから堅持をしていく考え方がおありかどうか、冒頭に大臣の所信をひとつお伺いをしたいと、こう思います。
  59. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 第七次答申は、貴重な国内資源である国内炭の安定供給の重要性を踏まえつつも、経済性についても十分配慮すべきであるとしておるわけでございます。  こうした考え方のもとに、まず石炭鉱業の自己努力政府の適切な指導と助成、需要業界の協力により石炭鉱業の自立を目指すことを基本としているところでございます。  さらに、この答申は、このような考え方のもとに我が国の石炭鉱業は、現存炭鉱においても答申作成時の生産水準、その生産水準程度の生産を維持することは可能である旨指摘しているところでございます。
  60. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこで、今大臣から七次の答申のそのまま伺ったわけでありますが、私はさらに今日の先ほど申しました業界の実態は、非常に最悪の、非常な悪化の状態にあると、この認識と、そういう意味での七次政策を見直す段階に来ているのではないかと、そのことを私は大臣に認識を聞きたいわけであります。  それは先ほど申しましたように、現実に新夕張炭鉱がああいう閉山の状態に今なっているわけでありますが、新夕張、その後の幌内、真谷地あるいは空知炭鉱を含めてこれは異常な今日の経営悪化に来ているわけであります。加えて、私言いたいのは、これから一つ一つ具体的に申し上げますけれども、炭価政策にしても、企業間格差の問題にしても、あるいは需給見通しの問題にしても、あるいは周辺炭量調査の問題にしても、後ほど試験炭鉱問題も出しますけれども、私は今日の石炭業界の悪化という認識を踏まえて、七次政策それ自体が端的に言うならば二千万トンが五十八年度はもう千六百七十万トンでしょう。これぐらい数量的にはダウンしているわけです。そういう問題を含めて、私は大臣の今七次政策の基本方針はそれなりに了とするんですけれども、今置かれている業界の段階を踏まえて、見直し対策が必要ではないかと、これを聞いているわけです。
  61. 檜山博昭

    政府委員(檜山博昭君) 今先生御指摘のとおり、石炭鉱業審議会第七次答申は、答申作成当時の生産水準千八百万トン程度の生産を維持すると、これを基調といたしまして、国としてはこの答申を踏まえて、石炭鉱業の合理化及び安定を図るため各般の施策を講じてきたところでございます。  この結果、北炭夕張炭鉱の災害による閉山、こういう不幸な事態はありましたものの、国内炭の生産は深部化、奥部化と、こういった採掘条件の悪化にもかかわらず、昭和五十年度以降一昨年度まで千八百万トン内外で推移してまいっております。  また五十八年度、昨年度でございますが、昨年度につきましては、三井三池炭鉱有明区域の坑内火災、こういった影響から千六百六十九万トン、千七百万トンを割り込むというような状況になっておりますが、五十九年度におきましては再び千七百万トン台に回復する見通してございます。  能率につきましても近年着実に上昇しておりまして、石炭企業の合理化も進展しているというふうに私どもは見ております。今後とも石炭鉱業の合理化及び安定のために現行の各種施策の活用を図りまして、石炭鉱業の自立を支援していく所存でございまして、当面七次策の見直しという点は私どもは考えておりません。
  62. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 今部長からお答えございましたけれども大臣、私は認識を聞いているんであって、そんな見直しが必要あるんではないかということをなぜ言うかといいますと、これはもっと、ぴんとこないようでありますから、具体的にひとつ。  これは石炭鉱業、最近の最も新しいやつですがね、これ今協会の調べによりますと、五十一年度のトン当たりの欠損は二百八十九円、五十八年は九百五十円になっているんですよ。これはいいといったって、これ現実にあなたトン当たりのこれ当時の五十一年度、第七次政策というのは五十五年ですから、そうでしょう、五十五年の第七次政策を打ち出して五十六年からスタートしたんですが、これが六百三十六円です、トン当たり欠損は。それが今日九百五十円になっている。  逆に、炭鉱労働者が努力をして、当時の能率が六十九・五トンですよ。現実に今は八十七・九トンになっている。二六%のこれ、それだけの努力しているんですよ。そういう状態と、なおかつ炭鉱労働者の賃金というのは、ことしの春闘見たって、他の賃金が四・四%ぐらい行っていますけれども、炭鉱労働者の賃金はこの間妥結したのは三・四でしょう。マイナス一%ですよ。私の言っているのは、そういう条件下にありながら七次政策として今日来たけれども、その見直しが今日こういう状況の中でなおかつ悪いという状況を見直す段階に来ているんではないかと。端的に申し上げますならば、炭価の問題が去年金く凍結したわけですよ。そうでしょう。だからそういう状態を踏まえて、私は七次政策の中に炭価政策を含めて十三項目ある。この炭価政策それ自体を凍結をしたということは七次政策それ自体が守られていないではないか。そこを言っておるわけです。だから私はそういう意味で七次政策というものをもう一度見直す段階に来ているのではないか、現実に実行されていないのではないか、守られていないではないか、こういうことを申し上げているのであって、その認識が一致しているかしていないか、このことを私は聞いているわけですよ。
  63. 檜山博昭

    政府委員(檜山博昭君) 先生非常に石炭鉱業の経営状況が悪化しているというような御指摘でございますが、特に大手五社、石炭鉱業の経営状況を見ますと、私の方の資料によりますと必ずしも経営状況が悪化するという状況ではございませんで、むしろ問題は石炭鉱業の中で格差問題が出てきているという点がございまして、この辺が一つ現在の七次策の非常に重要なポイントじゃないかというふうに考えております。そういうことでこの七次策の中でこういった格差問題についての是正というのをどう進めていくかという点が私ども非常に関心のあるところでございます。
  64. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 格差問題は後でやるけれども、まず根本問題僕は言っているんだ。そのいいという認識はどこから石炭部長出るの、これ。しかし、現実にあなたトン当たり九百五十円の赤字になって、能率は上がっているが赤字である。それだったらどうして炭鉱労働者の賃金が、通産省自体があなた間接的に賃金抑えているでしょう、これ以上賃金上がってもらったら石炭業界悪くなるよなんてアドバイスしているじゃないですか、これ労使交渉の中だって、間接的には。そんなこと言うんだったら世間並みに春闘だってこれ上げるべきなんだよ。いかに悪いかと言ったから、結果的にマイナス一・一%に抑えているわけだから。現にいわば、幌内炭鉱は基準にならぬと言うけれども、幌内炭鉱は賃金凍結でしょう、はっきり言うけれども。びた一文上がってないんだよ、本当のことを言うけれども。ボーナス去年何ぼだったと思う、十万そこそこでしょう。そんな認識があるか、君。私が言っているのはそのことを言っているんじゃないんだよ。そういう本当の認識があるならどうしてそういう条件になるんだ、私に言わせれば。現実にあなたこの数字がそれじゃうそだということになる。私が言っているのはそういう認識があるではないかということを踏まえて、それじゃあなた方に聞くけれども、どうして去年は 炭価上げなかったんだ。これは七次答申から言うなら、第七次答申に書いているじゃないか、君。それじゃどうして炭価上げなかったんだ。現実に七次政策が守られてないじゃないか、これで言ったら。そういうことを言うから私は言いたくなるんだよ、これ。七次政策の中に立派に炭価は生産費所得方式と同じように、当時の物価上昇、賃金の上昇を勘案し炭価を上げるべきものとなっているでしょう、これ。通産大臣が基準を決めて炭価を上昇させるとなっているじゃないか。どうして答弁できなかったんだ、それじゃ。そんな認識があるか、本当に。
  65. 柴田益男

    政府委員(柴田益男君) 対馬先生御指摘のように、昨今のエネルギー情勢を見ますと、非常に国内炭に対する環境は厳しくなっていることは事実でございまして、昨年の三月のOPECの値下げの問題もございますし、海外の石炭の値段も非常に下がってきておりますし、需要業界もまた非常に不況で引き取り量を減らしているという、そういう環境の悪化がございます。確かに一人当たりの出炭トン数は非常に向上してまいりまして、かつて六十トン月当たりありましたのが昨年度八十トン台、ことしの目標では九十トン台というふうに非常に能率は上がってきている、努力をしているということは我々も十分認めているところでございますけれども、やはり端的にこういうものが集約されますところの炭価につきまして、昨年度は確かに凍結をされていることは事実でございます。この七次答申を見ますと、この石炭対策を進める一つの視点といたしまして、一つはエネルギーの安定供給という面ともう一つ経済性とのバランスということを言っておりますので、我々としましては先ほど申しましたように、石油価格が一般に下がってきている、海外炭も下がってきている、あるいは需要業界も非常に不況である、片方労働者の努力、こういうものを勘案し、それこれいろいろ考えまして、昨年度は凍結ということになったと思いますけれども、ことしにつきましては今炭価問題につきましては専門家でこれから協議中でございまして、その辺について今注意深く見守っているところでございます。
  66. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 エネルギー庁長官が今答弁したのではわかるんだよ。私最初に言ったでしょう、業界の実態が悪くなっているという認識はどの点とどの点だ、具体的に二十九ドルにOPECの油が下がった、海外炭が現実に下がってきている、国内炭は一般炭で六千カロリーでいって約二万円だ、海外炭で一万二千五百ぐらいで入ってきておる、これはカロリーが六千五百ですけれども。しかし、これは港渡しとかいろんなことを言えば差は縮まって大体千五百ぐらいの差になっていますけれども、それは別にして、そういう条件があるから私は業界認識としては悪いんだろう、情勢が悪いんだろうということを聞いているんだよ。今あなた長官はそう言ったじゃないか、現実にそういう状況がありますと。そういう答弁をすればいいんだよ、本当に。部長の答弁でいったら、それじゃ何のために私はさっき言ったように炭価を上げなかったのかということを言いたくなるんだよ。これはあなた方の責任になるんだよ、これははっきり言って、あなた。七次答申から言うなら、毎年の基準炭価を通産大臣が設定していきなさいと。それを実際やられてなかったじゃないですか、あなた。そういう問題を反省もしないで、いやどうにか業界はよくなってきておりますと。それだったら何のために首切って、何のために閉山したんだ、私に言わせれば。首は切るし、閉山はしたし、賃金は他産業以下の賃金に抑えられて、何がこれが炭鉱労働者が、炭鉱の業界がいいと言えるんだよ、君。そういうことを私は言っているんだよ。だから認識として今長官がそういうことを言われましたから、だからそういう認識の上に立って大臣にお伺いしたいことは、そういう認識であるということを大臣も御認識願って、そういう意味での第七次政策をこれからひとつ見直しに当たってもらいたい、こう私言っているわけですよ。この認識どうですか。
  67. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 石炭業界に関する御議論、対馬委員お話よくわかりますけれども、今長官の答えましたように石炭業界をめぐる環境というものは必ずしも七次答申を見直すということにはならないと思います。したがいまして、現状ではこの答申を見直さずにこれを当面やってまいりたいと考えておる次第でございます。
  68. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこで大臣、僕は具体的にそれじゃ聞きますけれども、炭価問題がことしはどうなるんですか。これは大臣のリーダーシップによって、通産大臣がこれは基準炭価を定めるということは第七次答申に明確に書いてあるわけです。しかもやり方まで具体的にここに書いていますね。先ほど私申しましたように生産費所得方式じゃないけれども、生産に見合うやっぱり経営安定の炭価を設定しなければならない。その場合は最近は特に深部に移行してきている。しかも物価の上昇あるいは賃金上昇などを期待される、こういう状況の中でどう基準炭価を定めていくべきか、こういうことが載っているわけですね、これは。ところが去年は見送ってしまった。ことしはそれではひとつ必ずリーダーシップを持ってこの炭価設定はする、こういうことをはっきりと言明してもらいたいんですよ。そのことがなければ、この七次政策というのは私にとってみれば絵にかいたもちではないかと思えるんだよ。七次政策を答申した中にあるんですよ。私の願望でしゃべっているわけではないんだ、これ。答申の十九ページに明確に載っているんだ、国内炭価の確保というやつが。だからその点についてそれじゃ具体的にことしの五十九年度炭価改正については責任を持って炭価の上昇をいたします、この方針に基づいて行いますということを、これはやろうというならば私は結構です。そのようにぜひひとつ私はそうしてもらいたいということを今申し上げるわけですが、これいかがでしょう。
  69. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 昭和五十九年度の基準炭価の決定に当たりましては、第七次答申の御指摘を基本といたしまして、石炭企業の賃金、採炭コストの状況、あるいは海外炭価格の動向を踏まえますとともに、昨年度基準炭価を据え置きとした事情等を十分に考慮いたしまして、石炭鉱業審議会の御意見も聞いた上で早期に適正な価格を決定したいと私どもは考えております。
  70. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それじゃ大臣、ことしはひとつ必ずこれ凍結しないでこれだけはひとつやってもらわないと、先ほど石炭部長のような認識を持っているとすれば大変なことなんでこれはひとつ私も言わなければならぬけれども、そういう認識で、今大臣から言明がございました。私もそれを了として、ぜひそういう方向で炭価の実現を期すように申し上げておきます。よろしゅうございますか。  それでは次の問題に、時間も大分経過しましたから、企業格差の問題が今石炭部長からございました。これは企業格差の問題というのは第六次の答申のときに出ているんです。七次で予算的に裏打ちをしたんです。どういう裏打ちをしたかというと、これは安定補給金でつまり政策的な傾斜配分をしたわけです。そのとおりですね。それは間違いありませんね、傾斜配分をした。しかし、傾斜配分をしたけれども、なおかつ今日格差が出てきておるわけです。もちろん、これは自然条件の問題もあるでしょう。保安上の問題もあり、山のそれはシステムの問題もありますけれども、ともあれ私は政策的な手だては二つよりないと。企業間格差については傾斜配分による政策的な手だてもう一つは、これは今まで赤字債務の肩がわりをやってまいりました。肩がわりを望むわけじゃないが、しかし、将来的にはやっぱりそこへいかざるを得ないんじゃないかと。つまり肩がわり政策というものをとらざるを得ないだろう。この二つの政策以外にないんじゃないかと、こういう認識を私は持っておるわけです、誤りなら指摘してもらって結構ですが。そういうことを考え合わせれば、これはきょうなぜ質問したかといいますと、八月に省議で骨格予算は確定するわけでしょう、政府としては、省として。その前に、大事なことは、これは今の場合ははっきり申し上げます けれども、安定補給金、経営改善資金あるいは保安補助金、坑内骨格補助金等で幾つか整備されてきているわけだ。中で大事なことは、安定補給金で去年やったわけですよ、去年ってことしだけれどもね。我々も大蔵省まで行った。的場次長まで行って、僕も随分やりましたよ、これ。それでまあとにかく千百五十円が急傾斜山については千四百まで一応安定補給金で手直しをしたと。ここらあたりを来年度予算で格差対策にどういう政府としては考え方をお持ちなのか。これを直さない限り、言葉で山を閉山しないと言ったって閉山になっちゃうんだよ、これまた、だから私はそれを言っているんで、具体的に格差対策についてどういうふうに具体政策をお持ちでありますかということをまず冒頭この具体的な問題でお伺いします。
  71. 檜山博昭

    政府委員(檜山博昭君) ただいま先生御指摘のように、炭鉱間格差、炭鉱間の自然条件等による格差というのは予想以上に厳しいものとなってきておりまして、このため、五十九年度、本年度予算でございますけれども、その予算におきましては、財源事情が厳しい中ではございますけれども、安定補給金の急傾斜炭鉱への重点配分、それからその他、先ほど先生おっしゃいました構造補助金の問題とかあるいは保安補助金、そういった助成強化のための措置を講じたところでございまして、今後につきましても、各炭鉱の合理化に向けての一層の自助努力、これを期待するとともに、政府といたしましても石炭鉱業の動向に即して必要な施策を講じていく考えでございます。  格差是正のための施策につきましては、御指摘のとおり五十九年度改善措置を講じたばかりでございますので、当面はその効果を見守っていきたいというふうに考えております。
  72. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 見守っていきたいったって、現実にこれあなた、賃金はダウンする一方で、ボーナスもなかなか上昇はしていかないという具体的な問題出ているんだから。それだけじゃなくて、まだ合理化、つい最近三井砂川、御存じのとおり、三井芦別鉱に百八十人、結果は百二十人になりましたけれども、配置転換をせざるを得ないということでしょう。だから、よくなったとかなんとかというのであればそういうことはしなくてもいいわけだから、だからあなた方の言っていることと実態が違っているから私は言っているんであって。それならば、今も、ことしやったばかりだから来年はなかなかそうはいかないという、見守っていきたいということだけれども、具体的に今ある制度の中で、つまりまあこぶをつけるって私端的に言うんだけれども、例えば炭価政策が、今、大臣のああいうお答えがありましたから、炭価が仮に上がったからといって格差はなくなるわけじゃないですよ。そこを間違ったらだめだよ、あなた、そうでしょう。炭価は炭価で、これは基準炭価の問題であって、炭価が上がったから格差が解消したというものじゃなくて、悪い山は悪い山、いい山はいい出なんだから、この差はいつまでいったってこれはつくのだよ。どうやってその格差を縮めるかということになれば、私は政策よりないと思う。もちろん自助努力はあるけれども、政策的な手だてが必要なんだ。  そこで私は、ことしは安定補給金をやれということをあなた方に言って、これは前進した。来年は見守っていきたいということで、ただ、安定補給金も直さないということだけで済むのかどうかという問題を僕は聞きたいわけですよ。  例えば安定補給金にかわる、炭労は価格差調整金制度を設けてくれと、こう言っているけれども、これは端的に私はいくと思わないが、もう一度安定補給金の問題を含めて、トン当たり大体、これはっきり申し上げて急傾斜山と、俗に言う三井三池、太平洋、池島、これを基準にした場合、トン当たり我々の試算でいくと八百五十円の格差があるというのだ、今。これはもちろん去年ですよ。去年の九月末を基準にした場合に八百五十円の格差がある。これは間違っては困るのは、サボってこれ八百五十円ついているんじゃないんだよ。自然条件の悪化と、それから急傾斜山、私も炭鉱マンだから言うけれども、急傾斜山である限り、これは自走枠を入れて、自走枠を入れるということは、普通のカッペ採炭や鉄柱採炭でできるわけじゃないですから、自走枠一台購入したって、これは御案内のとおり、何百万円のものを設備をしなければならぬわけですから、そういうことを考え合わせれば、いかに炭鉱労働者が努力しても——深く深く行ってしまえば、一汗二汗かきながらも苦労しなきゃならぬ。設備は強化しなきゃならぬ。悪い山にぶつかると、悪い山ほど炭鉱労働者は苦労しているんだよ、経営者ももちろん苦労しておるかもしらぬけれども。その山の格差を直すとすれば、やっぱりさっき言ったように結局政策的な手だてよりないのだ。その政策的手だてを何でやるかといったら、今ある現行制度を私は直ちに変えるとは言わぬけれども、例えば安定補給金をもう一回見直してみるということができないか。あるいは保安補助金をもう一回見直すことができないか。それから坑内骨格構造補助金、掘進に対するメーター当たりの補助、あるいは岩石と沿層掘進のつけ方ももちろん違うけれども、そういうものに対する手だてができないか。つまり、そういう現行制度の中でいわゆる格差を縮める対策というものを手だてとして考えていいのじゃないかと、こういう考え方を持っているんですが、いかがですか、この点は。
  73. 檜山博昭

    政府委員(檜山博昭君) 今先生の御指摘の急傾斜炭鉱の状況でございますけれども、平均で大体対策前でトン当たり三千円ぐらいの赤字でございます。それに対しまして、三池あるいは太平洋、池島、こういったような炭鉱では対策前で赤字が千五百円ぐらいでございまして、ちょうど千五百円ばかりトン当たり赤字が多くなっているわけでございます。対策費をこれに加えますと、急傾斜炭鉱、この四山でございますけれども、芦別、赤平、空知、それからもう一山砂川でございますけれども、そういった四山のトン当たりの赤字というのは対策後には千百九十五円ということで、先ほど申し上げました三千百九十二円からトン当たり二千円ほどの対策費が投入されている。これに対しましてこの三山、三池、池島、太平洋でございますけれども、千五百円の赤字が五百円ほどの赤字と、千円くらいの対策費の投入と、こういうことになっておりまして、なお格差はあるわけでございますけれども、少しこの経緯を見ますと、五十六年ぐらいには大体この四山でトン当たり四千六百円の赤字が、五十八年の段階では、先ほど申し上げましたように三千百円ということでございますので、かなり改善はされてきていると。こういうふうな状況も踏まえて、私どもは格差是正について当面見守りたいということを申し上げたんですが、なお、この格差是正につきましては、ほかに方法がないかどうかいろいろ勉強はしております。
  74. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いや、ずばっと言えば、私はこれは第四次肩がわりをやれとこう言っているのだよ、はっきり言ってしまえば。肩がわりで解消するのが一番解決の道は早いと、こう言っているのだよ。しかし、そんなことは今言ったってなかなか通らぬから、それは一山、二山で格差排除はできないでしょう、肩がわりは。やるなら、石炭全体の落ち込みの中でこういう月がわり政策というのをやってきているわけだから、まさか一山悪い、二山悪い、三山悪いというわけにはいかぬから、全体のことを言うから私は今これを出してないのだよ。だから肩がわりとは僕は言ってないのだよ、今。二つの方法はあるけれども、肩がわりは難しいだろうと。しかし、現行制度の中でやり得る方法はあるではないかと。それは今言ったことをもう一回、あなたは勉強したいということだけれども、これは勉強したいのじゃなくて、現在ある制度の中でやっぱりこの格差排除というものをひとつ近づける政策的な努力をしてもらいたいと私はこう言っているんですよ。それは勉強したいんじゃなくて、ひとつ早急にこれを検討してもらいたいということはどうですか、その点は。
  75. 檜山博昭

    政府委員(檜山博昭君) 当面は、今年度において格差是正の措置をとったばかりでございますので、もう少しその状況を見たいと思っておりまし て、ただ見守るだけではなくて、何かできないかどうか、これは少し私ども内部で勉強したいというふうに思っております。
  76. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 ぜひそういう、個々の現行制度を言っているんだから、何も新しい制度のことを僕はしゃべっているんじゃないんだから、現行制度の中で——こぶという言葉を使ったでしょう、私は。そこに何らかの保安補助金なり坑内骨格補助金というものにそういう手だてを加えながら格差をなくしていくという手だてを考えた方がいいんじゃないかと。これは時間はかかるけれども、我々一遍に解消したいんだけれども、そこまでは簡単にはいかぬだろうから、そういう段階を経てやることを考えてもらいたいんだ。そういう意味で言っているんです。これはどうですか。
  77. 檜山博昭

    政府委員(檜山博昭君) 七次政策の線に沿って、現行制度の枠内の中で何ができるか検討したいと思っております。
  78. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それなら結構です。ぜひひとつ積極的にそういう方向で検討してもらいたいと思います。  時間もありませんので質問の順序を変えますけれども、過般、試験炭鉱の問題で四月十九日の当委員会で北大の磯部教授に来ていただきまして、ここで私も約一時間ぐらいやりました。  そこで、きょう時間もなくなってしまいましたので、掘り下げてやろうと思ったんですが、試験炭鉱問題については政府の考え方はもう十分知っております。この前、磯部教授が言っておったように、今日の日本の炭鉱というのはますます深部化していくと、同時に、深部化していくということは保安上非常に危ないと、同時に、経営コストがかかる、技術革新が必要である、こういう観点から、やっぱり試験炭鉱というのは必要だと。現に中国の撫順炭鉱、西ドイツあるいはポーランド、こういうところでは現実に試験炭鉱が行われている、そのために保安施設が最小限度に実はとどまっていると、こういうことが当委員会で磯部教授から言明がございました。  それで、日本もぜひこれを採用すべきであるというのが我々の考え方でございますけれども、私は、きょうここで——試験炭鉱の問題は二年前からずっとやっていますから、夕張炭鉱の再建にも、閉山をするならあの二坑部内を試験炭鉱にしたらどうだということも私ここで申し上げました。しかし、これは政府はやらないというわけですからやむを得なかったわけですが、結果は閉山になりましたけれどもね。  そこで、試験炭鉱を展望しながら、当面、山内で、例えば赤平なら赤平の山でガス抜き対策の一環として予備切り羽を使って試験的にやると。例えば、ガス抜き対策の切り羽を一つ設けて、政府なら政府が委託をしろと、つまり、将来試験炭鉱という、一つの山を試験炭鉱にするんじゃなくて、赤平炭鉱という一つ山の中に保安上の試験切り羽、私の言うのは試験切り羽、試験現場と言ってもいいですけれども、そういうものを設定したらどうだと。それには国がやっぱり委託をして、試験的な委託をさして、それには当然予算措置はやらなきゃならぬわけですから、それが一つ試験炭鉱を展望する一歩の近道じゃないかと、こう私は思っているわけです。磯部先生は、一つの山を設定してやるのが先決だと言っていますけれども、なかなかそう言ったって、政府は踏み切らぬわけですから。そうすると私は、きょう一番大事なことは、このことに時間かけようと思ったんだけれども、時間がなくなってしまいましたから。まず、試験炭鉱に対しては、当面山自体で試験切り羽、試験現場をつくってガス抜き対策あるいはガス検定、こういうものの対策一つ出したらどうかと、これは委託か何かで結構です。そういう手だてを積み重ねながら、将来的にはやっぱり磯部先生が目指し、我々が目指す試験炭鉱というものに一つの山を位置づける、こういう段階方式を経たらどうかと、当面前段として、第一弾これをやってみたらどうかと、こういう私は執念を現実に燃やしておるんですが、この点は後からひとつ事務方との質問のやりとりを聞きながら、大臣にぜひこれはお願いしたいと、こう思っておるんです。これがきょうの目玉なんですけれども、この点はどうですか。
  79. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 技術的な問題について、政府委員から答弁をさせます。
  80. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 先生の今御指摘のように、試験炭鉱議論は前からございますけれども日本の国内炭鉱は地質等の自然条件が非常に複雑でございまして、炭鉱ごとに異なっておりますので、今やっておりますのは、操業中の炭鉱を活用いたしまして、各炭鉱の現場特性に応じた実証試験を実施しております。  例えば、ガス突出対策につきましては、国の委託事業といたしまして、ガスの抜けにくい特性を持っております北海道の北空知の赤平炭鉱、ここで大口径ボーリングによります地圧の解放効果測定等の大規模な実証試験を実施しております。  また、ガスの抜けやすい特性を持っております北海道の夕張地区におきましてはガス突出対策の試験研究を予定しております。  今後とも、このような線に沿いまして条件に応じた試験研究をぜひやっていきたいと思っております。
  81. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 今公害局長から非常に前進した答弁がございましたから……。  今赤平それから夕張と言ったのは、大夕張でしょう、南夕でしょう、夕張地区の場合は。そうじゃありませんか。
  82. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) そうでございます。
  83. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 これは私なりに把握をして、事情を聞いておきます。  したがって、例えば、これ委託でやっていますね、委託という考え方は間違いありませんか、よろしゅうございますか。
  84. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) はい。
  85. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それをもうちょっと拡大ができないかというのが私の考え方なんです、非常にこれは前進した考え方ですから。  私は端的な例ですが、これからぜひ検討してもらいたいということを考えておりますのは、今、土砂川も三井砂川も水力採炭ですね。これは世界的にも水力採炭技術というのは珍しいんです。今むしろ、カナダあたりが三井砂川の水力採炭の技術をぜひ入れてもらいたいというのがあるわけであります。私はこの水力採炭の——これは炭業課長の安藤課長はよく知っているんですけれども、あすこに、三井砂川の文珠炭鉱というのがございましたね。あれは非常にガスが多くてやめた炭鉱なんです。私は何も別な鉱区を設定してと言っているんじゃないですよ。ここは間違っちゃ困る。現在、三井砂川が採掘している隣接のガスの多い山、一たんやめちゃったそういうものを、ある一定の試験切り羽と設定をしてやることも一つ方法ではないかと。これは突出ガスが出たところです。私はその場所を言っているんじゃないですよ。その隣接の現場を切り羽として設定をして、今赤平もやり大夕張もやっていますけれども、そういうものも拡大をしていくということをやりながら、将来を展望して試験炭鉱へ近づける、こういう考え方でぜひ対処してもらいたい、こう考えておるのであります。  大臣、やりとり聞いていておわかりだと思いますので、大臣からこの点ひとつ。私の言いたいのは、災害を撲滅し、そして技術改良、それから資源を確保すること、地域社会を守ること、雇用安定と、こういう五つの原則からいくならば、試験炭鉱というのは非常に重要であろうと。しかし、今一遍に試験炭鉱は困難であるから、当面はそういうことでひとつ全力を挙げてもらいたいと。これはいかがなものでしょう。
  86. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 今政府委員から答弁がございましたように、政府といたしましては、操業中の炭鉱を活用して、次の技術課題について、各炭鉱の現場特性に応じた実証試験等を実施いたしておることは御承知のとおりでございます。このようなやり方が実情に合った効果的、現実的な対応と判断もいたしておるわけでございます。  今後とも、鉱山保安の確保に万全を期すべく各種試験研究の推進に鋭意努めてまいる所存でございます。
  87. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 大臣から明快なお答えが出ましたので、ひとつぜひそういう方向で、今通産大臣からございました内容を具体的に検討していただきたい。私は何も、すぐこれはできるとは思いませんけれども、現実にその切り羽——今赤平と南大夕張でやっておりますけれども、それを山に全部展開をしていくと、そういう方向、特に急傾斜の空知四山の対策にもなるんです。  なぜ私がこれを出すかというと、空知四山の、先ほどの悪い山に対する対策の一環にもなると、そういう意味で、ぜひ私は今大臣からお答えございましたのでこれの実現を期してもらいたい、こういうことを申し上げておきます。  それでは、そういうお答えが出ましたので、次の問題で周辺鉱区開発の問題を、これも当委員会で私はしばしばしゃべってきたことです。これは二つの性格があります。基本調査日本の炭鉱の絶対量調査というのは通産省は十億トンと言うし我々は四十億トンと、こう言っているわけだ。これは理論炭量と実収炭量の違いございますけれども、私は何回も言うけれども、これは、日本の現在の炭量の十億トンという通産省の数字というのは、これはドイツのソフレミンという地質学者が日本調査をして以来、科学的調査を全然行っていません。ただ、推定として十億トンある。我々は、学者、経験者の、地層の分布、つまり夕張來炭層、美唄來炭層、新登川來炭層、空知炭田、石狩炭田あるいは筑豊炭田あるいは釧路炭田と、今日本の全分布を出して、その地層を見て大体出した数字が我々は約四十億トンある、こう言っているわけです。だから、これを掘っていけば、仮に千万ずつ掘っても四百年あることになるんですけれども、それは別にして、とにかく私が言いたいのは、去年は十八億円だね。たしか私の記憶では十八億円、ボーリング、基本調査につけていただきました。これは私は大事にしないと、おととし私西ドイツヘ行って西ドイツの炭鉱に私自身も二回入っていますけれども、やっぱり同じ自由主義国の西ドイツは非常にこれは炭量調査をよくやっていますね、はっきり言って。言うなれば、専門的に国が集中的な一社、あそこは一社経営ですけれどもやっていますけれどもね、私は非常にあれが参考になったんだけれども、何回もここで言っているのだけれども、なかなか政府はやり切らぬのだが、せめて当面五カ年計画なら五カ年計画を立てて、そして石狩炭田なら石狩炭田の分布に対して基本調査を完了する、あるいはそれから五カ年計画を立てて天北炭田の振興開発の基礎調査を完了する、次の五年間は釧路炭田を基礎調査をして完了する。これは西ドイツは全部やっているんですよ。私は何回も提案したのはそれを言っているわけなんですよ。ようやく去年十八億これつきましたからね、それなりに了としてるんだけれども。私はここらあたりもう少し年次計画を立てて、西ドイツ方式のような計画的な、日本の国内資源はこれよりないんですから、一体何年あって何ぼあるんだ、理論炭量は何ぼで、実収炭量は何ばだ、それに向かって計画生産をどう立てるべきだと、大臣、こういうふうに持っていった方が炭鉱労働者も希望を持つし、地域社会も守れるし、また日本の国内資源としても展望が立つのではないか、こう私考えるわけですよ。だから決して追及しようとか、そんなみみっちい考え方、私はございません。むしろ日本の国内資源を誤らないためにもそういう基本調査をぜひひとつプランを立ててもらいたい、当面これは基本調査ですから。  それから、私は第二の問題としては、私の山自身が、美唄ですけれども、もう閉山して二十年になります、当時あんた八十万トンとったのですから。閉山して二十年になるのですけれども、何で閉山したかといったら、端的な話が当時の採算合理性に合わなかった。今閉山した山を調べてみますと、ほとんど当時の生産コストに合わなくて閉山しておるのです、私の山だってそういうことですから。カロリーが低くて、当時四千五百カロリーを割ってしまった。とても油とは太刀打ちならぬ、こう言って閉山したわけですから。だから私は周辺鉱区の開発だってまだ掘れば相当あります、これははっきり言って。現に閉山した夕張新炭鉱、この間も、磯部教授に言わせれば、あそこは三千五百トン以下ではないと彼言っていたでしょう。実収炭量としては三千五百万トンまだあの炭鉱はある、こうはっきり言っているのだから、当初の推定では五千万トンもあった山だ、こう言っているわけですからね。だからそういう点を合わせますと、周辺鉱区の特に私がここで強調したいことは、幌内がやっぱりこれは将来の炭量としては石炭部長も知っているとおり、非常に厳しいあえて私はこういう言葉を使うのだけれども、将来暗たんとしたものであるとは思えません、私自身も合していますけれども。そうすると旧住友奔別、弥生あるいは朝日炭鉱のあった円盤の沢、ああいう周辺の鉱区のやっぱりボーリングをおろしていただいて、その周辺開発を、閉山した山の、休眠鉱区とも言っておりますけれども、それをもう一回開発計画にのせる。こうしていけば幌内炭鉱が仮に後三十年あるとしても、延命すれば五十年も六十年も延びていく、こういうことになるわけですから、ぜひ私はこの基本調査と周辺鉱区の開発、ボーリング調査をぜひやってもらいたい。この点いかがでしょうか。
  88. 檜山博昭

    政府委員(檜山博昭君) 先生御指摘の調査でございますが、二つございまして、資源開発の基礎調査というのと後ほど御指摘になりました周辺の地域についての調査というのがございまして、この基礎調査の方は未調査地域ですね、このうち石炭資源がかなり賦存していると推定される有望な地域につきまして、総合的な地質構造及び炭層賦存状況、こういった状況を把握することを目的としまして五十七年度から実施してまいっております。調査は、九州、北海道の海域及び北海道の陸域におきまして物理探査あるいは試錐によって実施しているところでございますけれども、今後ともその着実な実施に努めてまいる所存でございます。  それから、この基礎調査のほかに周辺地域の調査でございますが、これは当該鉱区との一体的な開発に資することを目的といたしまして、北海道におきましては、炭鉱周辺石炭資源開発調査、基礎調査とあわせてその着実な実施に努めてまいる所存でございます。今五十九年度の段階では、赤平炭鉱周辺それから砂川さらに南大夕張周辺、こういったところの試錐が計画されております。
  89. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 時間があれですから、大臣今お聞きのとおりでございまして、特に国内資源として第八次政策これから出すわけですけれども、その第八次政策に向けても私はやっぱり国内資源の拡大、雇用確保、またかつ現状山は閉山せしめない、地域社会を守る、国内資源の確保と雇用安定、こういう基本に立ってぜひ今の基本調査と周辺開発調査の促進方をひとつお願いしたい、このことを申し上げて質問終わります。大臣の一言をひとつ。
  90. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) ただいま石炭部長が申し上げましたとおり、調査と開発の問題、方針どおり実施させるようにいたしますし、私自身もこれを見守ってまいりたいと存じます。
  91. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 終わります。
  92. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時八分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  93. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  94. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 先ほど大臣お話の中にありましたように、景気回復しつつあるということであります。  しかし、それは私も、輸出主導型であって、特に内需に依存する度合いの高い中小企業者にとってはまだまだ経済情勢は厳しいものがあるというふうに考えております。  最近の企業の倒産件数が前年に比較しましてずっと増加を続けておるというのもその一つの証左ではないかと思います。こうした経済情勢下で中小企業対策の必要性が叫ばれておりますが、投資減税、金融対策もさることながら、極論すれば、私は中小企業を救うには適正な利潤の上がる仕事をつくり出すことに尽きると考えております。  さて、その仕事の量でありますが、下請企業動向調査によりますと、仕事の量自体は昨年と比して増加してはいるものの、受注単価については昨年を下回る傾向がうかがわれるわけでございます。  すなわち、中小企業は出血覚悟で仕事をしているという現状にあると思います。その原因は何かと考えますと、大きな原因の一つとしまして、利潤の上がる分野の仕事は大企業が内製化するとか、従来中小企業分野であった領域にまでも大企業が進出を始めたからではないかと思うわけであります。中小企業景気回復感がなかなか浸透しないのもこうしたところに原因があると考えるのですが、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  95. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 御指摘の今回の景気回復は輸出主導型でございます。また、それに誘発されまして設備投資が盛り上がってきておるわけでございますが、御指摘のように、中小企業と大企業を比較してみますと、輸出の生産誘発係数というのは大企業がはるかに高うございます。そういう意味では、中小企業景気回復というのは大企業より一歩おくれた形になっておりますが、最近は、その輸出、設備投資に加えまして個人消費が徐々に持ち直しをしてきております。余り力強いものとは言い切れませんが、一進一退という感じはございますものの、時間外労働手当の増大あるいは賞与の増大、こういったような事情から今後個人消費はさらに伸びるんではないかという期待がございます。  そういった意味からいたしますと、従来の輸出、設備投資に加えまして個人消費分野の増大が期待できますので、その意味からいたしますと、中小企業景気回復もやや緩慢ながら着実に回復をしていくんではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。  そこで、御指摘の例えば下請の単価等、まだ前年を下回っているということは事実でございますが、これも二月以降逐日回復感が示されてきております。対前年を下回るものの、下請動向調査等からいたしますと、単価も徐々に是正されている面がございます。そういったことが、先ほどの全体の最終需要の盛り上がりによりまして、中小企業の全般的な景気回復感へつながっていくということを期待いたしておるわけでございます。  それで、最近の経済動向と申しますか、所得水準が非常に高まりまして価値観が多様化してきた。その結果を受けまして、ニーズが多様化しておりますし、そのニーズ一つ一つが極めて短いライフサイクル、要するに非常に早く変わるものになってきております。これが最近の市場特性ではなかろうかと思っておりますが、そういったニーズの多様化それから短サイクル化と申しますか、そういったことはどちらかといいますと多品種少量生産方式を得意とする中小企業の分野に属する面が非常に強うございます。  そういう意味では、中小企業の事業活動の機会というのは、今後そういった市場の特性を受けまして拡大していくんではなかろうかというふうに期待いたしておるわけでございますが、ただ、それも多品種少量生産方式だから中小企業がやれるというだけでは意味がないわけでございまして、御指摘のように利益を上げて多品種少量生産方式をこなしていくということが必要でございます。  そういう意味からいたしますと、そういった多品種少量生産を例えば柔軟にこなすためには、ロボットの導入等の新たな技術革新を中小企業が導入し、そしゃくしまして、それを経営戦略に結びつけていくということが必要ではなかろうかと思っておりますので、今後の中小企業対策というのもそういった点を十分念頭に置きながら、重点をそういった方向に向けてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  96. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 過去においても、また今後とも中小企業と大企業の事業分野をめぐる紛争は後を絶たないであろうというふうに考えております。今後ますますシビアな紛争ということが各地で起こるんじゃないかと思っております。  小売菜に関しては、五十七年以降凍結されてきた大型店の出店を今後とも抑制し続けることで一応のけりがつきました。小売業に関する分野調整問題が古いものであることは、昭和十二年に旧百貨店法が制定されていることから見ても明らかであります。  一方、昭和三十八年に制定された中小企業基本法では、分野調整の必要性を「中小企業の事業活動の機会の適正な確保」という表現で認めましたが、なおその本格的な法律制定は昭和五十二年のいわゆる分野調整法まで待たなければならなかったのであります。  最近の低成長階代を迎えて分野調整法の出番がふえると予想しておりますけれども、過去の経験に照らして、本法にはもろもろの欠陥があることが明らかになってきているんではないかと思います。現時点でそろそろ見直しをする必要があるんではないかと思うわけでございますが、大臣としては在任中に分野調整法の検討を始めるおつもりはありますでしょうか。お答え願えればありがたいと思います。
  97. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 分野調整法に関しましては、五十二年制定されまして、五十六年の改正を経まして現在に至っておるわけでございますが、私どもとしましては、この現行の分野調整法、その法律そのものの存在効果と申しますか、抑止効果といいますか、そういったものを含めまして、一応機能を果たしているんではないかというふうに考えておるわけでございます。小売商業以外、特に最近サービス業分野におきます分野調整といいますか、大企業と中小企業の紛争といったものが増加していることは事実でございますが、例えば旅館業に関しまして申し上げれば、この五月に厚生省の環境衛生局長と私との連名で都道府県に、言うならば旅館業関係の商調協的な活動を強化するよう通達を発したわけでございますが、そういった通達に基づきました現実的な地域の実情に即した調整活動を今後とも、厚生省あるいは都道府県知事との連携において適切な運用を図っていくということで対応をいたしたいというふうに思っております。
  98. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 今旅館業の問題も出ましたが、基本的にこれは、私も存じ上げなかったんですが、厚生省の担当だそうでございますが、少々資料についてお話しいたしますと、旅館業の経営指標を、中小企業庁の中小企業の経営指標によって見ると、本業は、一番目に、装置産業であるため固定投資が多額となり、借入金依存度が高い。二番目、そのため支払い利息等が高くなり、利益率を低くしておる。三番目、従業員一人当たり年商売上高は、ホテル業と比較すると一割以上も低いなど特色を持っているわけでありまして、今仮に売上高対経常利益率をとってみると、全中小旅館業の場合五十四年度がマイナス二・一%でありましたけれども、五十七年度マイナス三・五%に落ちております。ほかの製造業と比べてみますと、製造業全体で五十四年度が二・八%、五十七年度が四・五%。また、小売業では五十四年度が一・〇%、五十七年度が一・〇%。ホテル業におきましては五十四年度一・九%、五十七年度〇・四%ということでありまして、旅館業に比べて比較的データの良好な小売業に対しては、大店法による出店抑制等の処置がとられて保護されておるわけであります。旅館業に対しては、設備近代化資金貸し付け対象業種となっているほかは目ぼしい対策が講じられておらないように思います。  また、日本観光協会の「観光の実態と志向」に よると、五十七年度の観光における利用宿泊施設のパーセンテージは、ホテル利用者が二八・六%、旅館に三九・一%、公的施設五・六%となっておりまして、これを時系列的に眺めてみますと、ホテル利用者は増加、旅館利用者は漸減、公的施設利用者はほぼ横ばいという傾向が読み取れます。  また大ざっぱにとらえると、年間稼働率についてホテルは八〇%に対して、旅館は一〇%という試算もございます。旅館が営業上劣勢に立たされる理由は、追加投資不足による設備水準の劣化及び価格競争力の低下だとされております。  一方公的宿泊施設は、設置主体が国、地方公共団体、特殊法人あるいは認可法人等であるため、固定資産税、不動産取得税等は課せられず、また法人税については、共済組合、公益法人の税率が現在二六%であるのに対し、中小法人の税率は四三・三%であります。  このように年々悪化する経常指標、経営条件の悪化、高い税率等によって旅館業関係者はホテル、公的施設に対し不満の声を非常に高めておるわけであります。昨年の臨調答申に基づく閣議決定で、公的宿泊施設の新設を抑制しただけでは不十分なのではないかと思うわけでございます。  また、もう一つ、現在福島の駅前で地方公務員共済組合の宿泊施設建設の動きがありまして、これに対して地元の旅館業関係者は反対しておりまして、調整中のようでございますが、その調整はどこが中心になって行うかをお聞かせ願いたいと思います。  そしてまた、この計画を承認する立場にある自治省は、今回の駅前の建物は、場所が違うが既存の宿泊施設の建てかえであり、新設ではないから臨調答申等には違反しないということを言っておるようでございますが、建て直しの態様によってはほとんど新築に近いと言える場合もあるのではないかと思うわけでございます。特に今回の事例に関しましては、山の上の保養地にある施設を福島の駅前につくるということで、全然性格が違うようになるわけでございまして、その点についてのお伺いをいたしたいと思います。これは担当が自治省になると思いますので、よろしく。
  99. 秋本敏文

    説明員(秋本敏文君) 今具体的にお尋ねのございました福島県市町村職員共済組合の施設についてお答えを申し上げます。  幾つかお尋ねがございましたけれども、共済組合の施設の新設につきましては、私ども従来から原則として新設はしないという考え方で対処してまいっておりますが、福島県の施設の場合、現在ございます高湯の保養所は施設が老朽化し、また、近年は利用率も低下をしてまいっておりまして、宿泊施設としての利用率が四割台に最近はなっているというような状況でございます。  共済組合としましては、組合員の福利厚生に寄与するという意味から、組合員の要請に応じた種々の事業をやっていく必要があるわけでございますが、この種の施設に対する要望につきましても、社会一般の変化とともに要請も変わっていく、そういったことに対処する必要もあるということから、今お話にございましたような施設の整備を計画をしておるわけでございますけれども、こういう場合に、さらに新たな施設を設置するということではなく、こういう機会には従来からございます保養所については廃止をする、いわばその代替的なものとして整備をするという考え方でやってきているわけでございます。  その過程におきまして、今お話がございましたような地元の旅館関係の方との間でいろいろお申し出もなされているということを私どもも伺いましたので、地元の県の地方課の方を通じましてそのことについて十分話し合いを行うようにということを申し上げたわけでございます。  地方公務員の共済組合の場合には、共済組合の責任者に市町村長あるいは都道府県知事というものがなっておるわけでございますし、また、市町村職員の共済組合の場合には、こういう施設の整備につきましては都道府県知事を経由して申請を出すという仕組みにもいたしております。したがいまして、先ほどお尋ねございました調整の中心はどこかということにつきましては、第一次的には共済組合と関係方々との間で十分話し合いを詰めていただくわけでございますけれども、そういったことが同時に、この申請につきましては県知事を経由して行われるといったようなことから、私どもとしては県の地方課に対しても十分話し合いについて協力するように話をしているわけでございます。
  100. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 特に、この施設についてはまだでき上がったわけではございませんで、これからの問題なわけですが、この内容等について私もちょっと調べてみますと、結婚式場とか会議場、男女別のサウナ、レストラン、もういわゆる職員の福祉の領域を超えている部分があるのではないかということが一つ。  それから、これからいわゆる地元の業者さんが一番心配しているのは、PR活動等を積極的にしてくるんではないかということでございます。それが二点。  それから第三番目に、これだけの規模ですと員外の方に利用していただかないと採算が合わないんではないか。そういう意味では、員外の方はとらないということは当然これは言ってくださると思うんですが、実際問題、経営的に員外の方をとらないで採算が合うのかどうかというような問題等々非常に現在地元の業者さんは心配している方が多いわけでございまして、この辺の指導に関して、特に全国的な公的施設の員外の利用状況等のお話も含めましてお答え願えればと思います。
  101. 秋本敏文

    説明員(秋本敏文君) 共済組合の施設としては、職員の福祉の範囲を超えるのではないかという点でございますけれども、先ほど申し上げましたように、共済組合が組合員の福祉向上に寄与するためにいろんな事業を行っていくわけですけれども、その場合に組合員の皆さん方の期待するところ、要請というものがだんだん変わってきているという傾向があるわけでございまして、例えば保養所型の施設が求められておったのが最近はだんだんいわゆる都市型の施設が求められる傾向にあるといったようなことから、その施設の内容につきましても、単に宿泊して保養するということだけじゃなくてその他の要素が加わったものを求められるという点がございます。そういうものを背景にしながら共済組合としては施設の整備を検討してきているという状況でございます。  また、PRの問題でございますけれども、共済組合の施設は、基本的には共済組合の組合員の利用に供するということが目的でございますから、そういう目的を妨げない範囲内で組合員以外の方に利用していただくということも考えられるわけでございます。  これまでの例から申し上げますと、共済組合の施設が行っておりますのは組合員あるいはその家族に対する周知を中心に行っておるのが一般でございます。福島の場合には、現在関係方々と共済組合の方とで話し合いが行われておりますので、それらの中におきましては今お話ございましたPRなんかも含めての話が恐らくあるんだろうというふうに思っております。そういう経過の中では、従来の共済組合の例も踏まえ、また施設が組合員の利用を基本的な目的としておるということを踏まえて適切に措置されるものだろうというふうに思っておりますが、そういう話し合いをこの福島の場合につきましては見守ってまいりたいというふうに思います。  また、共済組合の施設についての員外の利用についてでございますけれども、私どもの方で厳密にそのことのために資料を整備したというものはございませんので、正確な状況というのは直ちにお答えいたしかねますけれどもお話がございまして手元に現在取り寄せられるものを拾ってまいりますと、地方職員共済組合、それから市町村職員共済組合の施設について現在把握可能なもので見てまいりますと、員外の利用の方というのがおおよそ二割程度ではないかというふうに思います。ただ、その場合の員外と申しますのは、例えば国家公務員がその施設を利用した場合におきま しても員外という扱いになってまいりますので、そういう意味で公務員以外の全く一般の方ということになりますとさらにその数は少ないものになるというふうに思っております。
  102. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 公共体の事業というものは、民業を圧迫しないことが本来の建前であろうと思います。そういう意味では今お話しのように員外の利用の問題あるいはその他いろいろと難しい問題があろうかと思いますが、よろしくお願いした  特に私自身も中小企業を経営していた観点から申しますと、金利がこの公的施設の場合は大体五%台の金利を使う、一般の民間の場合は一割前後になるわけでありまして、それだけでももう勝負にならないわけです。いわゆる競争という点から考えますともう競争できない状況にあるわけであります。そのほか事業税の問題等々先ほどからお話ししていますように、公正な競争という意味からいくと、員外者が利用できるような状況になりますとこれはもう全然そういう状態でなくなるわけでありますので、よろしくまた御指導をお願いしたいと思うわけでございます。  なお、最後に大臣に質問したいと思うんですが、昭和五十七年の第九十七回国会において本委員会で採択された大資本のホテル建設が既存の旅館業の経営を圧迫しないよう中小企業分野調整法等の検討をされたい旨を内容とする請願が内閣に送付されているはずでございますが、通産省としてはどのような対処をこれまでなさってきたかお答え願えればありがたいと思います。
  103. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 大資本のホテルの建設に当たりましては、大部分中小企業者である既存の旅館業の経営を圧迫しないように各地において分野調整法等関係法規の効果的運用を図るなど、地域の実情に即した指導あるいは調整が行われているものと考えておるものでございます。  今後とも関係省庁、都道府県等の間で連絡を密にいたしまして逐次実態の把握に努めますとともに、適切な指導調整を行う等中小企業分野調整法の適切な運用に努めてまいりたいと存じます。  また、旅館業の健全な育成を図るためには、昭和五十五年度から旅館業を中小企業設備近代化資金貸付制度の対象といたしまして、その設備の近代化を推進しているところでございまして、今後とも引き続き旅館業の健全な育成に資することができるように努めてまいりたいと存じます。
  104. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 我が国は技術立国として世界に伍して進むべきものでありますが、先進諸国は技術革新の意義を強く認識して国を挙げて技術開発に取り組んでおります。  科学技術の研究開発は我が国にとっても今後の発展基盤を確保する上で極めて重要であります。産官学の連携はおのおのの役割分担がスムーズにいくことが必要であります。特に政府の研究開発に果たす役割は基礎研究であるだけに非常に重要であります。急速に進歩する科学技術の研究開発は、世界各国とも時を争う課題であります。通産大臣我が国の技術開発に対する御所見をお伺いいたしたいと思います。
  105. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 現在は情報、技術の進展に加えまして、新素材、またその技術、バイオテクノロジー等の新たな技術革新の胎動期であるということは言うまでもございません。資源小国である我が国といたしましては技術開発がその経済社会の発展の基盤でありまして、その果たす役割は極めて重要でございます。  さらにまた欧米諸国におきましては、現在先端技術分野を中心に政府が民間企業との緊密な連携のもとに積極的な技術開発政策を実施中でもございます。  このような状況を踏まえまして、我が国といたしましても来るべき二十一世紀に向けまして禍根を残すことのないような技術開発ということを推進してまいる所存でございます。
  106. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 ただいまの通産大臣の御見解のとおり、ひとつ来年度以降技術開発に向けまして強力なお取り組みをお願いいたしたいというふうに思います。  次に、企業活力の増強と内需拡大の問題であります。  民間活力、特に企業活力の増強が財政再建、我が国経済の再活性化の原動力でありますが、先進諸国はインフレ対策設備投資、研究開発促進等のさまざまな租税特別措置を講じ、政策的に企業減税を行っております。サンケイ新聞でも法人税というシリーズで取り上げており、昨日の日本経済新聞も報じておりますけれども実質税負担率は我が国は五一・五七%。ちなみに米国は三二・二八%。先進各国に比べまして我が国の法人の税負担は非常に大きくなってきておるわけであります。過去は新鋭設備を武器に世界進出を果たした我が国企業の設備老齢化が最近非常に顕著になってきておるということは御承知のとおりであります。十八日の通産省の世界の企業の経営分析によりますと、日本の設備年齢は八・三五年、米国は八・二年の見込みとなっておるようでありまして、初めて米国が日本を追い抜くような状況になってきておるわけであります。また、研究開発投資の比率も米企業が倍近く上回っておるわけでありまして、アメリカ企業の研究開発投資の意欲の強さを示しておるわけであります。  今後の国際競争力等を考えますと、民間活力を維持し、あるいは拡大していく、そして内需拡大していくためにも、設備投資誘導促進策として減価償却資産の耐用年数の見直しでありますとか、あるいは投資減税等積極的なやはり産業政策面からの対策というものも必要になってくるのではないかなあと。現在の事態が続くということは、今後の日本経済の発展につきまして非常に憂慮すべき事態だと思うわけでありまして、この点につきましての通産省の、できましたら大臣の御見解をお伺いをいたしたいというように思うわけでございます。
  107. 矢橋有彦

    政府委員矢橋有彦君) ただいま先生の方から日米の製造業の設備年齢の問題につきましてお話がございましたけれども、確かに、例えば日本開発銀行の資料等によりまして比較いたしますと、米国では平均年齢が低下傾向にございまして、八二年には九・一年というところまで短くなっております。  これに対しまして、我が国ではここ数年の設備投資の停滞ということもございましてむしろ上昇の傾向となっております。八二年に八・二年ということになっておりまして次第に近づいている、こういう状況はただいま先生の御指摘のとおりでございます。そして、このような傾向は、将来の我が国の産業の活力維持という観点から懸念材料であると言えると思うわけでございます。したがいまして、今後とも設備投資の動向、あるいは設備年齢等につきまして注視をしていく必要があると考えておるわけでございます。  そこで、ただいま御指摘の新たな投資促進策ということにつきましては、現時点では我が国設備投資中小企業を中心に順調に回復しているという当面の事情がございます。その上、五十九年度の税制改正におきまして、エネルギー利用効率化等投資促進税制あるいは中小企業メカトロ税制といった設備投資促進税制の導入も行っておるところでございますので、今後の設備投資の動向やこれらの税制措置の効果あるいは産業の国際競争力の実態等見きわめながら検討していく必要があると考えております。
  108. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 当然その外国との税制面での比較等につきましては、通産省におかれましても十分に御研究いただいておるわけだと思うんですけれども、法定耐用年数の問題とかあるいは投資減税の問題、こういう問題はやはり諸外国と非常に大きな格差が出てきている。それがやはり今後の国際競争力あるいは民間活力を活用して行財政改革を乗り切っていこうという我が国一つの方針の中では大きなブレーキになってくる可能性がある。金の卵を生ませようとしながら鶏の首を絞めているというのが現状じゃないかという見方も出ておるのでございまして、この辺はやはり従来の税制との絡みもありましてなかなか難しい課題だと思うんですけれども、やはり経済的に内需を中 心に安定的な成長を遂げていくということが二十一世紀に向けての我が国の私は大きな課題だと思うんです。経済的な安定がなければ文化も教育も福祉もこれはあり得ないわけでありますから、そういう面につきまして誤りのないようにひとつ大蔵省当局に対しても、我々も国会議員の立場で大いに頑張りたいと思いますので、声を大にしてひとつやっていただきたい。必ずや将来これ禍根を残す問題が起きてこないかということを非常に憂慮しておるわけでありまして、その点につきましてのひとつ御決意のほどを伺いたいと思います。
  109. 矢橋有彦

    政府委員矢橋有彦君) ただいまの先生のお考え方、基本的にはもちろん同感でございまして、ただいま先生のお言葉それから先ほど私が御答弁申し上げましたいろんな状況、それらを検討材料にいたしまして今後検討を進めてまいりたいと、かように考えております。
  110. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 今回の景気回復過程を見ますと、けさも河本長官のお話もあったわけでありますけれども、企業別格差と地域別格差が非常に目立っておるわけであります。しかしながら我が国経済の発展を考えますと、地域経済の振興というものが不可欠な問題だというふうに思うわけであります。昨日ですか、新聞に出ておりましたけれども、国土庁が地域経済の基盤を沈下さしている既存基礎素材産業の不振の実態調査を現地で行って、今年度末までに第四次全国総合開発計画にこれの支援策を盛り込むこととしておるようであります。素材産業の不振が地域経済にどう影響しているのかを中心に工場の設備廃棄や人員削減の今後の動向あるいは地域の雇用や他の産業振興に果たした役割と今後の見通し等を調査することにしておるようであります。素材産業の再活性化のために通産省はどのような施策を講じようとしておられるのかお伺いをいたしたいと思います。
  111. 矢橋有彦

    政府委員矢橋有彦君) 基礎素材産業は、申すまでもないことでございますけれども、優秀な素材の安定供給ということを通じまして、我が国産業構造の高度化を支える重要な産業群であると考えておるわけでございます。同時に、地域経済の中核と直言うべき重要な産業であると私ども認識をしておるわけでございます。  こうした観点からこの基礎素材産業につきましては、現在特定産業構造改善臨時措置法に基づき構造的困難に陥っております基礎素材産業二十二業種につきまして構造改善を実施しているところでございます。  また、これらの基礎素材産業の再活性化のため、アルミニウムの溶鉱炉法新製錬技術等の技術開発に対する補助金、あるいは省原料等の基礎素材産業活性化に資する設備投資にかかわる設備についての特別償却、活性化設備投資に対する低利融資といった予算、税制、金融上の措置を講じているところでございます。私どもといたしましては、今後とも雇用あるいは関連中小企業、さらには地域経済への影響に十分配慮いたしまして、これら産業の構造改善及び再活性化に努めてまいる所存でございます。
  112. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 当然四全総の段階では通産省におかれましてもそういう地域産業の活性化という角度からいろいろな連携をとりながら、その策定に協力なさるんだろうと思うんですけれども、そういうスケジュールはきちっと決まっておるんでございましょうか。
  113. 矢橋有彦

    政府委員矢橋有彦君) まだ具体的ではございませんが、今後国土庁とよく詰めてまいりたいと思っております。
  114. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 ぜひそうお願いをいたしたいと思います。  最近のそして企業立地の動向でございますけれども、過去臨海工業地帯という言葉があったわけでありますけれども、昨今の企業立地の動向につきましてひとつ御説明を賜りたいと思います。
  115. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 私どもの方で毎年工場立地動向調査ということをやっておりますが、昭和五十四年以降最近までの全国の立地動向年間約千八百件から二千件程度で、大体横ばいで推移しております。五十八年度の立地件数につきましては千八百五十四件、立地面積にしまして二千二百三十二ヘクタールでございます。  今、先生の御指摘の従来の臨海工業型から内陸への移動の方向でございますけれども、御指摘のとおり、内陸の立地の割合が非常に高くなっておりまして、例えば五十八年度の内陸と臨海別の立地動向、件数で比較いたしまして、内陸が八八%強、臨海が残りの一一%弱と、こういうことになっております。
  116. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 今の御説明ですと、内陸化の傾向が非常に出てきているということのようであります。三月二十七日付の朝日新聞には、地方自治体の持つ売れ残りの工業用地が二万八千ヘクタール、今のお話ですと、一年間千八百ヘクタールぐらいでありますから、これで見ますると十数年分の在庫を抱えておるという状況になるわけであります。起債残高も一兆円を超す状況になっておりまして、地方財政を非常に圧迫をしておるんじゃないかということが憂慮されるわけであります。  そういう売れ残りの工業用団地の問題、これはそれぞれの地方自治体の責任において開発をしてまいっておるわけでありますけれども、特に臨海部におきましては、先ほどの御説明のように内陸の方に立地しているということになると取り残されてしまうということになると思います。同時に、内陸に集中するということになりますと、それは小規模的なものではあろうと思いますけれども、工業用水の問題が一体どうなんだと、そういう受け入れ関係についてはどういうふうになるんだろうという懸念もいたすわけでありまして、そういう問題につきましての通産省としてのお取り組みの姿勢をひとつお伺いいたしたいと思います。
  117. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 先生御指摘のとおり、遠隔地を中心にしまして相当量の売れ残りの団地があることは事実でございます。また、今お話ございましたように、基本的には事業主体である地方自治体、これが企業誘致を今後発力するというのが方向かと思いますけれども、私どもといたしましても今後の産業の発展と地域の開発というものに対してなるべく支援してまいりたいと思っておりまして、具体的には、現在私どもが進めております工業再配置の促進、あるいは企業に対する工場の適地情報の提供、あるいは工業開発指導員制度の活用、こういう手法を通しまして今後とも地方自治体の企業誘致活動に全幅の支援をしてまいりたいと思っております。  また、お話のございました内陸化に伴います工業用水の問題でございますけれども、昔の臨海地帯の工業用水と変わってまいりまして、工業用水の規模が小さくなってきております。まあああいうものは設備産業でございますから、工業用水のコストが大規模のときは安かったんですけれども、小さくなってくるとスケールメリットが働きにくくなりますので、従来よりも料金が高くなりがちでございます。  それから、こういう小規模の工業用水道になりますと、事業主体が従来の府県単位のものから市町村単位のものになる。そうしますと、この事業主体でございます市町村の財政能力の負担の問題が出てまいります。こういう情勢を踏まえまして私どもは、工業用水道の開発に従来以上に積極的に取り組んでまいりたいといろいろの検討を進めている段階でございます。
  118. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 地方自治体の抱えております工業用地につきましては、これはまあ非常に価格的にも千差万別であるわけでありまして、しかも非常に条件の悪いところについてはいつまで抱えておっても見通しが立たないものもあろうと思います。しかし、いや応なしに毎年七%以上の金利というものは加わっていくわけでありますから、土地の値上がり率より金利負担の方が多くなっていくわけですから、この辺については工業用地以外に転用するとかあるいは財政負担を軽減するとか、そういう施策もやはり今後の国土の有効利用という観点から見ましても必要になってくるんじゃないかと思うんですが、そういう点につきましてもひとつ十分な御指導をお願いをいたしておき たいと思います。  それから、鉄鋼業の問題であります。七月十一日にアメリカのITCが国内鉄鋼業界救済のために鉄鋼製品の輸入制限の勧告案を決定をしたようであります。二十四日といいますか、きょう、大統領に勧告するような段取りになっておるようです。これによりますと、薄板等四品目の五年間輸入割り当て制と半製品の関税引き上げ、これの二本立てのようであります。  これは世界の鉄鋼貿易に大きな影響を与えることであると思いまするし、ひいては米国の保護貿易主義をますます強めるものでもあるわけであります。ECや我が国は自主規制やあるいは政府間交渉によりまして安定的な輸出をしておる。むしろ米国の鉄鋼業界の被害というものは主に中進国、いわゆる第三国の輸出にあるというふうに思われるわけでありますけれども、大統領がこの勧告どおりに決定するということになりますると、六十日以内にその勧告に基づいて何らかの決定がなされるということでありますけれども、大変我が国にとりましても大きな問題だというふうに思うわけであります。この問題につきましての我が国としての対応はどのようなものを考えておられるのかお伺いいたしたい。
  119. 鈴木直道

    政府委員鈴木直道君) 先生が御指摘ございましたように、鉄鋼の米国の輸入につきまして、ITCは本日、決定を正式に下すということになっております。  かねてより米国のこのような保護主義的な動きにつきましては、私ども機会をとらえつつ我が国の懸念をアメリカ側に伝え、アメリカ側自身が自制的な行動をなさるように求めてきたわけでございます。先般、小此木大臣が西ドイツへ参りまして四極会議に出席いたしましたが、その機会をとらえましてブロック通商代表に対しましても私どもの方の懸念を表明いたしまして、米国政府の慎重なる対応というものを求めてまいったわけでございます。  本日決定以降二カ月以内にアメリカ政府はこれに対する最終的な決定を下すことになっておりますが、私どもは、従来大臣が伝えておりますアメリカ政府としての自制を重ねて要請いたしますと同時に、今後のアメリカ政府内部におきます動きを注意深く見守りまして、必要な措置を適切に打ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  120. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 この問題については、ECの方はどのような対応をしておるんでございましょうか。
  121. 鈴木直道

    政府委員鈴木直道君) ECは現在、アメリカとの間で鉄鋼の貿易協定を持っております。その協定に基づきまして現実に米国がECから輸入する鉄鋼の数量につきまして取り決めがあるわけでございますが、仮にその協定にもかかわらず米国政府が別途の手だてを講ずるとすれば、それはやはり協定に対する違反であるということで、現在EC委員会は、仮にそのような措置を講ずるとすれば、当然ながらそれに対する対抗措置をとらざるを得ない、こういうことをかねてから主張しているように聞いております。
  122. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 そうしますと、やはりこの問題は、日本にとりましても、ECにとりましても、結局第三国の輸出のとばっちりを受けたということになるんでしょうか。
  123. 鈴木直道

    政府委員鈴木直道君) お説のとおりという面が相当あると存じます。  アメリカが諸外国から輸入している鉄鋼の中で相当部分が、三分の一が我が国から、約三分の一がEC側から、約三分の一がそれ以外の国からということでございますが、現実にアメリカ国内の鉄鋼業に諸般の問題を生じしめている実態をつぶさに見ますと、御指摘のように、EC、日本以外の地域が相当それに対して影響を与えている、このような実情があると存じます。
  124. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 結局、八二年から八三年にかけて急速に第三国の輸出量が、いわゆるアメリカから見ますると輸入量がふえているわけですね、ブラジルが二倍、メキシコが六倍、それから韓国、アルゼンチンが七〇%増し、台湾が八割増。ですから、この問題につきましては、先ほどお答えをいただきましたような形でアメリカと折衝を続けていかれるということでございますから、そういう立場でひとつ頑張っていただきたいというふうに思うわけであります。  それで、四月に、私、本委員会で問題提起を実はいたしておったんですけれども、非常に、今お伺いしたことと一貫性がなくなる質問になるかと思うんですけれども、逆に我が国に対していわゆる中進国からブーメラン現象で鉄鋼の輸入が急増しておる。四月も三十九万三千トン、五月も三十九万七千トン、こういう形でいきますと、ことしはどうも五百万トンを超しそうな勢いになっているわけです。アメリカに対しては五百万トンぐらいの輸出をして、そしてそういう中進国から逆に五百万トン入ってくる。現在いろいろと通産の御指導もいただいて合理化を各製鉄所は努めておるわけですけれども、こういう状況の中で新たな対応をやはり迫られてきつつあるんではないかな、こういう鉄鋼輸入というものが、第三国のアメリカに対する急激な輸入増というものに、再度また我が国においてもこれが急激にふえてくる可能性があるのかどうなのか、そういう見通しと新たな対応を検討する必要があるんじゃないかと私は感じがいたしますので、その辺につきましての御見解を賜りたいというふうに存じます。
  125. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 御指摘の普通鋼鋼材の輸入につきましては、確かに最近非常に伸びておりまして、五十八年度では前年に比べまして七〇%増で三百二十四万トンというふうに相当な勢いで伸びてきております。  特に問題は、特定の鋼種に集中的にそれがあらわれているという点、どうもこの辺が問題でございまして、厚中板、それから熱延薄板類、これが相当な勢いで伸びておりまして、輸出国も韓国、台湾、ブラジル、このあたりが中心でございまして、特に最近ではルーマニアなどもふえておりまして、いわゆる中進製鉄国というものからの輸入がふえているわけでございます。  ことしに入りましても増勢が続いておりまして、特に三月では四十万トンという形で、月間では史上最高の輸入という形になっておりまして、この四十万トンだけ見ますと年四百八十万トンということで、普通鋼鋼材だけで五百万トン近い輸入になるわけでございますが、ただ、四、五と若干落ちついておりまして、四月で普通鋼鋼材を見ますと三十七万、五月で三十八万、六月は二十七万というふうに若干落ちついてきております。これは、輸入が非常に急速に伸びましたために、その輸入をした鋼材の国内に対する売りさばきが順調にいっていないということで、在庫が相当ふえておりまして、それから、国内の鉄鋼業も輸入品に対抗する品種、価格というものを需要家にオファーするという両方で輸入が若干緩んだという感じがいたしております。  今後輸入がどうなるか、これはなかなか難しい問題で、国内の景気、需要の問題もございますが、まあ、そう当面急速にはふえないんじゃないかなという感じもしております。ただ、この辺ちょっと国内の鉄鋼業の対応の仕方あるいは輸出国側のオファー、それから為替レートの関係、いろいろございますんで何とも言えませんが、若干落ちつきを示したかなという感じを実はいたしております。いずれにしても、当面輸入動向を十分注視していこうかと思っております。で、基本的にはやはり、一層の合理化努力によりまして国際競争力をつけるというのが基本かと思っておりますが、今後輸入の動向を見ながら業界とも御相談をしていきたいと思っております。  他方、当然のことながら、不公正な輸入というものがありましたら、これはもう関税定率法で厳正な対処をしていきたいと思っておりまして、フェロシリコンにつきまして提訴があって検討いたしましたが、幸い輸出国側において対応がございまして、価格もリーズナブルな線に戻ってまいりましたので、業界側から提訴の取り下げがございましてもとへ戻りましたが、こういう不公正な問 題につきましては厳正な対処をいたしたい、かように考えております。
  126. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 国民生活に直接影響を及ぼします無店舗販売等の問題点についてお伺いをいたしたいと思います。  シーボン化粧品が強引なキャッチセールス、これで検挙者を出したわけであります。  キャッチセールスにつきましては消費者センター等にも随分苦情が殺到をいたしておるようでありまして、この化粧品以外にも、買い物会員券、タレント養成教室への入会勧誘、映画演劇会員券、さらに英会話教材、印鑑、着物セット、旅行会員券などいろいろな分野があるわけでございます。このシーボン化粧品に代表されますこのようなキャッチセールス、そういう各般にわたるキャッチセールスの販売に起因する消費者トラブルが、非常に最近、次から次に新手が出てきて、当局の方も非常に困惑をされておられるんじゃないかと思うんですけれども、こういうものの実態がどのようなものであるのか。さらに、こういうキャッチセールスに対する被害防止策とでもいいましょうか、そういうものにはどういうものが考えられるのか。また、シーボン化粧品に限定いたしますと、同社に対する指導はその後具体的にどのようなものをなされておられるのか。こういうものにつきましてお伺いいたしたいと思います。
  127. 矢橋有彦

    政府委員矢橋有彦君) ただいま先生の三つの質問につきまして順次御答弁申し上げます。  まず第一の訪問販売をめぐるトラブルの状況でございますけれども、私ども通産省消費者相談室で消費者苦情あるいは消費者相談を受けておりますけれども、五十八年度におきましては、訪問販売にかかわるものが千六百二十件、これは全体の相談の約二割が訪問販売にかかわるものでございます。で、その訪問販売の中でもいろいろな形態があるわけでございますが、その販売形態別の内訳につきましては、これは社団法人日本訪問販売協会という業界団体がございますが、そこが調査をした結果によりますと、いわゆる家庭訪問販売の相談件数が七九・七%、それからキャッチセール、ただいま先生のお話にありましたキャッチセールによるものが五・一%、これは五十七年度の数字でございます。これが状況でございます。  それから、第二点のそういった消費者トラブルの防止策はどうなっているかということでございますが、やはり最も基本的な対策は訪問販売等に関する法律の厳正な運用であろうと考えておるわけでございます。  同法では、御承知のとおりでございますが、訪問販売員の氏名等の明示、契約内容を明らかにする書面の交付、それからクーリングオフ制度の実施といったものを規定しておるわけでございまして、今後私どもといたしましてはその厳正な運用に今後とも努める方針でございます。  それからもう一つ大切なことは、やはり業界全体として姿勢を正しながら業界の健全な発展を促すという点も大切でございまして、この点につきましては、社団法人日本訪問販売協会におきまして商業倫理確立のための倫理要綱を五十六年四月に制定をしております。また同協会では、セールスマンの資質向上のための訪問販売員登録制度を同じく五十六年四月から講じておりまして、今後これらの制度の一層の徹底を指導したいと考えております。  それから対策の第三でございますが、消費者啓発ということも大切でございます。私どもといたしましても、テレビ放映、パンフレット、リーフレットの配布等を今までもやってまいりましたが、今後とも積極的に行ってまいりたいと考えております。  それから、具体的にシーボン化粧品総合本舗に対する指導がどうなっているかという御質問でございますけれども一つは、今申し上げましたとおり、社団法人日本訪問販売協会及び業界団体でありますところの訪販化粧品工業協会というのがございまして、ともに倫理要綱というのをつくっておりまして、その中でいわゆるキャッチセールというやり方を禁止をしております。で、これの徹底を図りたいということが一つと、それから二番目には、特にシーボン化粧品に対しましては五十五年ごろから私どもといたしましては再三再四にわたりましてキャッチセールをやめるように指導をしてまいっております。  それで、最終的には五十九年三月になりまして、今年三月でございますが、同社においては今後は一切キャッチセールをやめるという営業方針を決めまして、かなり内部で同社としては徹底を図っているようでございます。ただ、その後も問題が絶滅しておりませんので、この方針をさらにすべてのセールスマンに徹底するように、今後はさらに指導をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  128. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 ありがとうございました。  終わります。
  129. 田代富士男

    田代富士男君 先日も商工委員会を通じましていろいろ論議をしてまいりました中の一つに、先端技術をてこに新都市づくりを目指すテクノポリス構想が出されたわけでございますが、この委員会の審議を経まして現在華々しく打ち出されましてから一年有余を経過をしております。各地域でも具体的な実施段階に突入した現状ではないかと思います。そこで、当初の目標どおりの二十一世紀の牽引力となれるかどうかの正念場を迎えているのでございまして、そこでまず私は、法律施行から現在に至るまでの経過を簡単に報告をしていただきたいと思います。
  130. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 昨年の七月十五日に法律が施行になっておりまして、その後、十月に政府の開発指針を策定、公表しております。これに基づきまして、十一月の二十一日以降大分県等十四地域から開発計画の申請が出てまいりました。また、本年五月に長崎県の開発計画の申請が出ております一この開発計画の申請につきまして通産省といたしましては、関係主務省庁四省庁、これに関係する政府機関、とういうところと慎重に相談しながら審査をしておりまして、その結果といたしまして三月の二十四日付で大分県等九地域、五月の二十一日付で秋田県等二地域、さらに七月十四日付で函館地域を承認いたしております。現在までに承認いたしましたのが十二地域でございます。残る申請の出ております地域につきましては引き続き現在内容を審査しているところでございます。
  131. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま御答弁いただきました、三月二十四日に大分県等の九地域、五月に秋田県等の二地域初め十二地域であると、このような各地域での計画作成というものはいかに行われてきたのか。私が心配するのは、中央のシンクタンクによりまして一律に作成されているのではないかという懸念がありまして、それでありましたならば、当委員会でもいろいろ議論してまいりました根本の問題というものから外れておりますし、真に地域の実情を知悉した計画であるかどうか心配でありますけれども、この点がどうであるのかお答えいただきたいと思います。  また、この計画策定の段階通産省がいかに関与しているのか、そこらもあわせてお答えいただきたいと思います。
  132. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 相当数の地域につきまして開発計画の最初の策定の段階に当たりまして中央のシンクタンクがデータづくり等で協力していることは事実でございます。しかしながら、最終的な計画の立案につきましては、道、県みずからが地域の実情を踏まえて関係市町村の意見等も聞きながら取りまとめを行っております。  また、地域の大学あるいは葉界等々の主要メンバーから成ります協議会組織というものをつくりまして、ここで審議を行っておりますので地域の意見が十分入っておるふうに理解しております。  また我が省といたしましては、計画の策定当初からいろいろ各地域の実情をお聞きしまして、これに対して意見を言うべきところは言うという形で最初から指導をし、これに参両しておりますので、各地の特性は十分反映されていると思っております。
  133. 田代富士男

    田代富士男君 今、地域の意見というものは協議会組織ができ上がってそういうものが出ているという、こういうことでございますけれども、今御答弁いただきました十二地域以外に、今後の地域指定につきましてはどんな考え方で臨むのか、また、テクノポリスの今後の見通しにつきまして、前回も大臣に御質問しましたけれども、改めてこの点をお答えいただきたいと思います。
  134. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 昭和五十六年以来テクノポリス構想調査に取り組んできた十九地域のうち、まだ承認申請を行っていない青森県等四地域で開発計画づくりが進められていることと私どもは承知いたしているわけでございます。  また、これら以外の地域でも今後テクノポリス建設に取り組もうとしている地域がございまして、現在これら地域ではその構想につきまして調査が始められていると承知いたしております。これらの地域から具体的な計画内容について相談があった時点で取り扱いについて検討してまいりたい、かように考えております。
  135. 田代富士男

    田代富士男君 この法案審議の際にも、このテクノポリスが従来と違う新しい技術を核としての創造的な新開発構想であることから、安易な地域指定を推進するよりも、開発のためのソフトの蓄積というものが重要ではないか、こういう点を私は一貫して指摘してきたのでございますけれども通産省に、地域指定はしますと、これは極端を言い方になるかわかりませんが、あとは地方で知恵を出し合っておやりなさい、こういうような姿勢があるとするならば、構想ばかりがありまして実体の伴わない、かつて通産省が華々しく打ち出されました新産、工特の二の舞になりかねないのではないかと思うのでございます。そういう立場からこのテクノポリス育成の確たる考え方をもう一度お尋ねしたいと思いますが、どうでしょう。
  136. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 先生御指摘のとおり、テクノポリスの構想は従来の新産、工特時代と異なっておりまして、例えば母都市を中心にいたしました既存のインフラストラクチャーを最大限に活用する、あるいは新しい基盤整備はハードのものでなくて、今御指摘のございましたように、いろいろソフトのものを含めまして、あるいはまたよそから工場を持ってくるだけでなくて地場産業の技術の高度化を図る、こういう地方の特性を生かした基盤整備をより重視しておるところでございます。  このため、各地域におきましてテクノポリスの開発計画を進めるに当たりましては、人材の育成、あるいは産学官の共同研究体制の整備等、ソフトの事業を非常に重視してきております。私どもといたしましても、この方向を積極的に支援するということで今後この計画を進めてまいりたいと思っております。
  137. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、さっきも御報告ありましたが、指定されました地域におきまして企業誘致というものがいかに進んでおるのか、まずこの状況を御説明いただきたいと思います。
  138. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 五月までに承認しております十一地域におきます法施行後一年間の立地件数について御報告いたします。  この間の立地面積は約二百六ヘクタール、件数にいたしまして百五件、件数は前年比三六%増、面積にしまして八九%増となっております。もちろんこのように増加いたしましたのは景気回復等々も原因かと思いますけれども、各地域におきましてテクノポリス建設への取り組みが極めて積極的であるということもこの原因の一つかと考えております。
  139. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま御答弁いただきました、この一年間では百五件、面積にいたしまして二百六ヘクタールである、件数では三六%増、面積では八九%増という、このような企業誘致はわずかながらも伸びてきているのではないかと思いますけれども、このような企業移転に際しまして重要なのが用地確保の問題ではないかと思うのでございます。現在この産業界ではコストの圧縮を期待して用地リースの関心が強まっているということを聞いております。私もいろいろ読ましていただきましたけれども、特にこのテクノポリスの中核となる先端産業では成長途上で資金も潤沢ではない、こういうことからなおさらそういうことになるのではないかと思うのでございますけれども、この用地等のリースに関する調査通産省としておやりになった、研究をおやりになったということを聞いておりますけれども、ここらあたりを御説明いただきたい。
  140. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 工業用地等のリース制度につきましては、五十八年度に当省の所管でございます財団法人農村地域工業導入促進センターにおいて調査検討を行っております。この報告書によりますと、最近工業用地のリース制度に対する企業のニーズが中小企業中心に高まってきております。また、地方自治体の間でも既に制度的に実施している県がございまして、千葉、愛媛、長崎各県等でございます。  私どもとしましては、その調査結果等も踏まえまして、今後なお一層企業の立地促進、特に地方への立地促進を図るためにどうしたらこの制度が有効に活用できるかということについてもう少し細かく勉強していきたいと思っております。
  141. 田代富士男

    田代富士男君 今も、今後ともどうしたら有効に活用できるか勉強していきたいということでございますけれども、企業のニーズから考えまして、工業用地のリース制が標準化されるならば、企業の地方分散の活発化が期待されることは間違いないのではないかと思います。  しかし、一方ではこのリース制度が売買価格の高いところ、特に急騰しているところほどメリットがあることから、リース制というものが安易に運用されると、逆にこの一番心配されます地価の高騰というものを生じ、またかえって都市部への集中を招くおそれがあるのではないかと心配しているところでございます。したがって、私は工場分散促進地域にはこのリース制の導入を制限し、かつ企業の地方立地にメリットのある用地リースの制度化を検討したらどうだろうかと思いますけれども、どうしたら有効に活用できるか勉強するということでございますから、今私申し上げたことにつきまして御意向を聞かしていただきたいと思います。
  142. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 先生御指摘のとおり、私どもとしましても、今後の工場立地に際しましてはなるべく誘導地域を中心にした地方の方へ誘導したいと思っておりますので、この制度をもしある程度きちんとした制度化というものにつなげたいという場合には、十分御指摘の点を踏まえて検討してまいりたいと思っております。
  143. 田代富士男

    田代富士男君 ではひとつ生かしていただきたいことを再度お願いを申し上げておきます。  そこで企業誘致がいかに促進されても、このテクノポリスにおいてはその企業がさまざまに結びつき新産業群を形成するかどうかということが一番問題ではないかと思うのでございまして、目的一つでありました産業コンプレックスの形成についてどう見ていらっしゃるのか、まずお尋ねいたします。
  144. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 御指摘のとおり、テクノポリスにおきます工業開発の目的は、高度技術企業の地域への導入と並びまして地域企業の技術高度化というものを図ることが重要な目的となっております。  このために、私どもとしましてはいろいろな地域開発政策を活用いたしまして、いかにしたら地域企業の技術高度化を積極的に図れるかというのを検討している段階でございます。  これらの施策によりまして導入した企業と、それから地域関連企業の技術水準が向上して、それが一体となって一つの高度技術産業群が形成されるというのが理想的だと思っております。
  145. 田代富士男

    田代富士男君 私が今申し上げたものと、もう一つその際重要になってくるのは何であるかと言えば、情報ではないかと思うんです。現在の先端技術部門におきましては予想外の産業間での複合が進展しておりまして、計画したからといってそのとおりにできるものではないことは私も承知い たしておりますが、いかに早く正確な情報をつかむかによりまして新しい分野、成長分野というものが開けていけるのではないかと思うのでございます。その重要な情報が中央に集中し過ぎているように思いますけれども、この点あわせてどうでしょうか。
  146. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 高度技術にかかわります工業開発を進めるために、これに関します技術情報等機能の充実が重要であるという認識は御指摘のとおりでございます。また、現在こういう情報に関連しましてはやはり大都市に集中しているということも事実でございます。  私どもとしましては、テクノポリス計画を進めるに当たりまして、このように大都市に集中しております技術関係情報をなるべく地方の方へ積極的に流していく、こういうことについて具体的な政策を考えていきたいと思っております。  このため、例えば各地域に設立されておりますテクノポリスの開発機構というものがございますけれども、ここでは中央の情報をオンライン化で地方へ流すような情報提供機能の整備を進めております。また、私どもとしましても、これに対して支援するために大都市と地方との技術情報格差の是正を促進し、また地域における技術基盤の形成を促進するための方策につきまして具体的に新しい政策を種々検討しているところでございます。
  147. 田代富士男

    田代富士男君 こういうことがございまして、もうお聞きになっていらっしゃるかと思いますけれども、ある企業で新製品の開発をしている最中に、たまたまアメリカの企業が同種の開発を進めているという情報を知ることを得たわけなんです。そこでその企業では開発を進めると同時に、アメリカの情報会社より詳細な情報を買ったところ、アメリカの企業の方が開発が進んでいることが明らかになった、そこで開発を中止いたしまして、その情報を入手するために億単位の金がかかったわけでございますけれども、その後の投資を考えてみるならばこのような損失ははるかに少なくて済んだということがあるわけでございます。このように損失を未然に防止する意味でも情報は重要であるわけでございます。  したがって、このテクノポリス推進のためにも情報サービスの制度または機構を確立するのが急務であるのではないかと思いますし、その際、中央とのオンライン化いたしますこのことについてはただいまも答弁をいただいたわけなんですが、さらに地方との格差をなくすためにも中央と地方とのオンライン化、こういうものを配慮して、テクノポリス形成にとってはこの点は極めて弱い立場でありますから重点を置いていかなくちゃならないし、こういう面の新しい政策をやってもらいたいと思います。今も一部お答えいただいておりましたけれども、再度この点につきまして御答弁いただきたいと思います。
  148. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 最近の情報化時代の中におきましてコンピューターを利用したいろんな情報の流し方、ハード面で非常に進歩しておりまして、ニューメディア構想であるとかいろんな構想が出ております。  ただ、技術情報に関しましては個別、具体的な情報をかなり的確に流す必要がございますので、そのためには人の面で中央と地方との連携がよくなくてはいかぬというふうに考えておりまして、そういう面も含めまして私ども新しい支援体制を考えたいと思っております。
  149. 田代富士男

    田代富士男君 次に、テクノポリスの産学住の三本柱の一つであります学術研究部門の整備状況はどうなっているのか、また中核となる大学に求められる役割がいまひとつ明確でないように思うのでございますし、この点につきまして通産省、文部省はどのような協議を進め、どのように取り組んでおるのか、両省からお答えいただきたいと思います。
  150. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 御指摘のとおりテクノポリスの建設のためには研究開発機能の強化が極めて重要でございます。  このために国公立の試験所の活用あるいは大学との共同研究等が必要になろうかと思います。例えば公立の試験研究所等につきましては、秋田県の工業技術センターの建設あるいは各地域の公設試験研究所の整備拡充等が進められております。  また、大分、熊本、静岡等におきましては第三セクター形式の新しい共同研究所が建設されるなど、研究開発関係の機関の整備が着実に進められております。  また、その地域におきます学問の中核となります大学に対しましても、産学共同研究の推進あるいは高度技術に対応できます人材の育成、こういうことに関しまして非常に役割を期待しているところでございまして、この点につきましては、文部省とも十分協議して計画を進めております。
  151. 西尾理弘

    説明員(西尾理弘君) 大学の本来の役割と申しますのは、研究者が自由な発想によって独創的、先駆的な研究成果を上げていく、それとともにすぐれた人材、研究者を養成していくということにあろうかと思うわけでございます。  テクノポリスにおける大学の役割もこうした大学の本来の使命、役割を果たしていくということとともに、大学の主体性のもとに当該地域の企業等から寄せられる具体的な研究諸課題の解決等のために協力していくということ、これが大学に課せられているテクノポリスにおける役割ではなかろうかと思っておるわけでございます。こういうことによって大学自体の研究の刺激になれば、こういうふうに思っているわけでございます。  具体的な役割を推進する場合の協力の形態といたしましては、大学の先生が中心となって行うところの民間企業との共同研究であるとかあるいは企業等からの受託研究の受け入れとかあるいは受託研修生の受け入れとが考えられるわけでございます。  以上のような大学の役割を踏まえまして、通産省等ともこのテクノポリス地域における大学と関連企業等との連携協力が円滑、適切に行われるよう協議してまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  152. 田代富士男

    田代富士男君 文部省としては既存の制度を活用し、そうして協力できるものはしていくというお考えでありますし、今御答弁がございましたこの受託研究制度のことでございますけれども、いま少しこの受託研究制度並びに企業との共同研究の制度について、仕組みについてちょっと御説明をしていただけませんですか。
  153. 西尾理弘

    説明員(西尾理弘君) 受託研究につきましては、国立大学等において従来から受け入れているものでございますが、これは大学に外部の機関から寄せられる特定の研究課題の委託要請を受けまして大学が公務として研究協力を行うというものでございまして、研究経費は相手側委託機関が負担する。そうして成果は相手側委託機関に提供するという仕組みになっております。  また、特許、この受託研究によって出てくる特許につきましては、通常国の所有ということになるわけでございますが、本年五月から、この受託研究から出てくる特許につきまして、委託機関に七年間の優先的実施を認めるというようにして、受諾研究制度の改善を図っておるわけでございます。  次に、民間等との共同研究の制度でございますが、それは国立大学の教官が民間企業等の研究者と共通の課題について共同で研究する道を開くため、昭和五十八年度から発足されたものでございます。これは先生方あるいは大学がその主体性のもとに特定の研究課題を民間等の研究者と協議して設定していただきまして、それで民間企業等からも研究者及び研究経費を大学に入れて大学の場を中心として共同で研究する、また必要に応じては相手方、民間企業等の研究施設にも赴いて一緒にそこでも研究できるようにしておるということでございます。  成果として出てくる特許についてでございますが、相手側と大学側の研究者が共同で開発したものについては共同所有の特許を認めるということにして、この共同研究制度によって実のある研究成果が上がるよう期待しておるわけでございます。  以上でございます。
  154. 田代富士男

    田代富士男君 今御説明をいただきましたけれども、この受託研究につきましては先ごろ慶應大学理工学部あるいは東工大と相次いで不明朗な事件が明らかになったことは御承知のとおりだと思いますけれども、この先端技術開発の激しい競争のため予想外に進展する産学協同の中で受託費、寄附金等の管理、そういう面がずさんになっているのではないか。今二つの例を挙げましたけれども、この点についてはいかにお考えでしょうか。
  155. 西尾理弘

    説明員(西尾理弘君) まず慶應大学の問題は、当該の先生が委託研究費を研究上必要な経費以外の経費に流用したという事実があって問題化したものであります。  また東京工業大学の場合は、財団法人工業振興会が外部から大学の研究助成金として受け入れた経費を大学に直接渡さないで先生に直接渡してこれを管理していたというところに問題があったわけでございます。  私らの方では、国立大学につきましては、東京工業大学のような場合には奨学寄附金の制度で受け入れていただくということとか、あるいは中身によっては受託研究の制度によって経費を大学に入れていただくということで対応していかざるを得ないじゃないかと思っておりますし、大学当局に対しましても、これだけ国立大学については制度化されているルートがあるんだから、そういうルートに乗って財団から経費を受け入れるように指導したところでございます。  慶應大学という私立大学におかれましても、やはりそれは大学の主体性のもとで適切な手続、方法によって外部経費を受け入れられて管理されることが適当じゃなかろうかと思っておりますし、今後とも大学当局ともこの方向で連絡してまいりたいと思っておるわけでございます。  その他全般的に言いまして、大学と外部、民間企業との連携、協力につきましては、とかく社会的に疑惑を招くことのないよう、我々の方で打ち出しましたいろいろな研究経費の受け入れのルートに従って適切に管理していただくよう必要に応じて指導助言してまいりたいと考えておるわけでございます。
  156. 田代富士男

    田代富士男君 時間が参ったようでございますから最後の質問でございますが、文部省に対しては、この学問の不偏性、独立性というのは当然堅持すべきでありますけれども、一方では共同研究などを通じましてお互いに啓発し合い研究を進展させることもこのテクノポリスに限らず社会に貢献するために重要なことではないかと思います。  そこで、今回のようなこのような不祥事を繰り返さないためにも最低限のルールづくりに文部省あるいは通産省で協議していくことが必要ではないかと思います。これは文部省にお尋ねしたいと思います。  また、今度は通産大臣に、最後でございますから、このテクノポリスの問題につきましては種々討議を重ねてまいりましたが、今後このテクノポリスの実施主体が中央中心になるとはいえ、今後とも着実な進展を示すまではその推移を見守っていかねばならないのが通産省ではないかと思います。そういう意味も含めまして、時期を選んで地方への波及効果等の調査を実施して、報告をしていただきたいと思いますけれども、この点について御質問して質問を終わります。
  157. 西尾理弘

    説明員(西尾理弘君) 大学が産業界等社会の各方面から研究上の要請を受けて、それに適切に協力をしていくことは大学の学術研究上の刺激ともなり、有意義なことであると我々は認識しておるわけでございます。  その場合、肝心なことは、やはり大学が本来の教育研究上の使命を踏まえて大学の主体性のもとに対応していくことではなかろうかと思っておるわけでございます。  大学がこのような考え方にのっとり、外部の諸要請協力していく場合には、また所定の手続、方法によって社会的要請協力していくということが重要でなかろうかと思っておるわけでございます。  文部省では、こうした大学の性格、目的を踏まえた社会的協力、連携の推進につきましては通産省関係当局の理解と協力を得べく努力していきたいと思っておるわけでございます。  以上でございます。
  158. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 各地域の計画の進捗状況につきましては、今後適宜フォローアップを行いまして、その実態について十分調査して把握してまいる所存でございます。
  159. 伏見康治

    ○伏見康治君 去る四月の六日にこの当商工委員会で有明炭鉱災害について御質問申し上げたんでございますが、その際、COマスクの問題もその質問の一項目でございましたんですが、それが欠陥があると言われているが、どういうことであるかという質問に対しまして、御答弁ではちゃんとやっているという意味の御答弁があり、特に西独の規格というようなものも引用されて、そういうものにサポートされたしっかりしたものであるという趣旨の御返答をいただいたと思うんでございますが、その後何か事情が実は違っていたというようなことを伺っております。ほかの委員会、衆議院での委員会でも私の同僚が同じことを質問したと思います。私としてはこの席で、前にいただいた御答弁が間違っていたら間違ったという点を教えていただきたいと思うわけでございます。
  160. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) この前、先生の御質問にお答えいたしましたときの西独のCOマスクの指針の内容につきましては、昭和五十五年九月より前のものでございまして、これに基づいて答弁を行っております。その後の情報によりますと、五十五年の十月以後に向こうの指針が改正されておりますので、この点、情報把握の面で不十分な点があったと認識しております。
  161. 伏見康治

    ○伏見康治君 そういうことでございますと、例えばそのとき言われた数字があったと思うんですが、CO濃度が一%のときに何度になるとかいうような数字があったんですが、そういうことはどういうふうに変わるんでございますか。
  162. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) いろいろな点で当時私どもが承知しておりました古い基準と西独の新しい基準については差がございます。例えば温度測定の方法につきまして西独では熱電対を用いるピーク温度の説定をその後取り入れております。またCOの濃度等についても一・五%というふうに、日本の一%と違った基準になっております。
  163. 伏見康治

    ○伏見康治君 それで私が伺いたいのは、そういうデータの差というのもあるんでしょうけれども、そのよりどころにしておられた西独のいろいろな基準が実はその後改変されているということに気づかれたといたしますというと、その気づかれた時点で何かお役所としてのやり方に変化が起こるはずだと思うんですが、今後どういうふうにそれは変わっていくというふうに考えたらよろしいんですか。
  164. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 私どもとしましては他国の基準等も調査いたしまして、よいものがあれば積極的に取り入れていきたいと思っております。で、具外的には西独等の詳細な事情をまず把握するために専門家を派遣して調査をいたしたいと川心っております。  また、私どもの方にございます公害資源研究所におきましていろんなマスクの比較試験等も行ってまいりたいと思っております。  なお、ただいまCOマスクの基準につきましてJISで定めておりますので、必要に応じましてJISの見直しもやろうかと思っております。  また、COマスクのみならず今後問題になってこようかと思いますけれども、酸素マスクを開発したらどうかという御意見もございますので、この研究開発も推進してまいりたいと思っております。
  165. 伏見康治

    ○伏見康治君 過ちを正すのにやぶさかでないという態度は大変結構だと思うんですが、有明の炭鉱でもそのCOマスクを恐らくぶら下げて働いている方が現におられるんだと思うんですが、何か今からいろんな基礎研究からお始めになるとなると、それが本当に改善されるのは相当何か先になるような感じがいたしますんですが、どのくらい の年度をめどにしてそういういろいろな改善策をおやりになるつもりなんでしょうか。
  166. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 調査団は、向こうの夏休みが終わる時点、九月に派遣したいと思っております。  それから、比較試験等につきましては、大体年内ぐらいを目標にやりたいと思っております。  新しい酸素マスクの研究開発等につきましては、ここ二、三年のうちに一つめどを得たいと、かように考えております。
  167. 伏見康治

    ○伏見康治君 全く素人で余計なことを言うのに近いんですけれども、温度が六十何度とか九十何度とかというのを聞きますと、第一印象に大変高温だという感じを受けるわけですが、実際は相手が気体なものですから、それが皮膚に触れてもそれほど実はやけどすることにはならないと思うんです。しかしお話を伺っておりますと、専ら熱電対を使うとかなんとかという物理的な温度測定だけをやっておられるようで、人間のような、あるいは動物のようなそういう生き物に対して、そういう温度の高温の気体がどういう作用をするかという、むしろそういう生理的なテストをなさるということの方が大事ではないかというふうに私は素人考えとして思うんですが、そういう点はいかがですか。
  168. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 人間が吸いました場合に、熱い気体の場合はどうなるかということについて生物的な試験を必ずしもやっておりませんけれども、外国で試験した例等見ましても百度くらいであっても乾燥した空気であれば肺等に支障はないというデータも出ております。また、私どもがサウナ等に入りました場合にもかなり空気としては熱くなっておりますけれども、ほとんど支障がないと、こういうふうに理解しております。
  169. 伏見康治

    ○伏見康治君 そういういろいろな御経験で大体の目安を持っておられること自身はいいと思うんですが、私はやはり生物的な、生理学的なテストをなさるべきだというふうに確信いたしますので、何か公害資源研究所ですか、そういうようなところでの試験研究の中にそういう項目を入れていただけたらよいなと私は考えております。  この種のマスクは、何も炭鉱ばかりではございませんでして、消防さんとかなんとか、そういうようなものでも恐らく採用されているんではないかと思うんですが、そういう広い面でもお考えになっているかどうか。
  170. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 私どもの方としましては、担当しておりますのが鉱山保安の関係でございますので、一応それに限定して研究を進めております。
  171. 伏見康治

    ○伏見康治君 責任分担はそうだと思うんですが、その消防の方の関係との技術的な連携というものは当然あるべきだと思うんですが、いかがですか。
  172. 平河喜美男

    政府委員平河喜美男君) 防毒マスク等が消防等で使われているようでございますけれども、かなり性能等が違いますので、私どもとは別でございます。
  173. 伏見康治

    ○伏見康治君 今後一層そういう方面との連絡を十分にとられながらやっていかれることを私は希望いたしたいと思います。  それでCOマスクに関する御質問は終わらせていただきまして、あとは原子力問題、特に核燃料再処理の問題についてお伺いいたしたいと思うんですが、一番最初にちょっと戸惑いますのは、私は科学技術特別委員会にも属しておりまして、原子力の問題はそちらでも伺うべきかなとも思うし、こちらでもいいのかとも思うのですが、それについて思い出しましたのは、何年か前に三木総理大臣の時代に原子力行政懇談会というのができまして、要するに「むつ」のいざこざを受けて、原子力行政をもう少し改善しようではないかという意味の三木首相の私的懇談会というのができたわけですが、そこに私は参加させていただきまして、そして例えばそれまでただ一つでありました原子力委員会を二つに分けていただいて、原子力委員会と原子力安全委員会に分けていただくといったようなことを勧告させていただいたわけです。  そのときに、原子力発電所におけるいろいろな事故を見るお役所が科学技術庁とそれから通産省と二つの省にまたがっている。初めのうちは科学技術庁がいろいろな安全審査をやっておりまして、物ができるころになってからは通産の方に移っていって、要するにその受け渡しがうまくいかないために余計なトラブルが起こっているのではないかということで、原子力発電所というものは終始一貫して一つのお役所、つまり通産省の監督のもとにつくられていくという、そういう組織に変えていただいたわけでございます。  それでそれがそういう改善の方法が果たしてよかったかどうかというのはいささか責任がありますので、その後も科学技術庁と、それから通産省と、原子力の問題については要するに仕事の割り振りがうまくいっている、その連絡がうまくいっているといったようなことが本当にそうなのかどうかという点をちょっと御説明願いたいと思います。
  174. 柴田益男

    政府委員(柴田益男君) 今伏見先生からお話ございましたように、原子力行政懇の答申に基づきまして、現在発電用の原子炉につきましては、原子炉規制法上の権限も科学技術庁から通産省の方に移しかえていただきまして、今通産省が発電用原子炉につきましては一貫して責任を持って審査しているところでございまして数年たつわけでございますが、おかげさまで非常に行政も順調にいっておりますし、まあその結果かもしれませんけれども、原子力発電所の稼働率も非常に上がってまいりまして、七割を超えているというようなことでございまして、今科技庁との関係では非常にスムーズにいっている現状にございます。
  175. 伏見康治

    ○伏見康治君 大変スムーズにいっていれば大変結構だと思うので、そういうふうにしていただきたいと思うんですが、それできょう原子力に関して御質問申し上げたいと思いましたのは、七月二日付で総合エネルギー調査会原子力部会が報告書を出されまして、「自主的核燃料サイクルの確立に向けて」という報告書を出されました。それからそれを受けたかのごとくに、七月十八日には九電力の社長会で、サイクル基地をむつ小川原地区につくるといったようなことをお決めになったようでございますが、したがって日本における核燃料の処理問題というものが具体的に取り上げられる段階になったと思います。久しい間、日本の原子力というものは便所のないマンションみたいなものだという悪口を言われていたわけでございますので、そういうふうにちゃんとした便所ができるようになったということを私は非常に歓迎したいと思うんです。  そういう際にもう一つ問題になるのは、民間というもの、つまり電力会社さんというものとそれからお役所というものが非常に緊密にやっておられるようにお見受けはするんですけれども、その辺のところもうまくいっているのかどうか。先ほどの二つの役所間の連携がうまくいっているというようなお話と同様に、民間の実際のことをやる方と、それをいわば監督指導するお役所との間の関係というものはどういうふうになっているのかという点をお伺いいたしたいと思います。
  176. 松田泰

    政府委員(松田泰君) 核燃料サイクル関係、再処理を中心にしてお答えいたしますと、再処理を実際に事業としてやります会社は既に規制法を改正いたしましてつくられているわけでございます。しかしその実態は電力会社が中心になっておりまして、今回の青森県に対するいろいろなアプローチも、電気事業連合会が中心になりましてその中にそういう組織をつくりまして、日本の電気事業者を中心としました民間のコンセンサスをもとに事業を進めようとしている状況にございます。  私ども通産省で、電気事業全体の監督といいますか育成あるいは規制、そういった行政の中の一環といたしまして、あるいは原子力行政の一環といたしましてもちろんこの問題も非常に重要視しておりまして、それを進めるに当たりましては緊密な連絡をとりながら進めるようにいたしております。  もちろん立地問題のように非常に民間が主体的にやらなくちゃいけない問題につきまして私どもは民間の意思を尊重する立場にはおりますけれども、その進展に合わせまして必要な国の規制なりあるいは助成の制度をつくっていくというようなこと、あるいは総合的な観点から指導していくというようなことを進めてまいる所存でございまして、現実はその方向で非常にうまく進んでおるというふうに判断しております。  もちろんこれは通産省以外のいろいろな、例えばもちろん科学技術庁、あるいは国土庁、あるいは運輸省等の関係する官庁に対しましても電気事業者の方は緊密な連絡をとっていると承知しておりますし、私どもも実態的には担当者の間では十分な連絡をとって進めております。
  177. 伏見康治

    ○伏見康治君 非常によくやっておられるようにお話を承りましたが、一番心配になりますのは、すぐお近くの大湊港では「むつ」が立ち往生しておりまして、地元と原子力施設との間の問題というものは生やさしいことではないと思いますので、あくまでもひとつ官民緊密に協力をなすって、余計なトラブルが起こらないように、特に地元対策の面においてそうであるようにお願いを申し上げたいと思います。  ところで、私はもう一つ実は心配がございます。それは、これは直接にはこちらの省の問題でなくて科技庁の方の問題になるんだと思うのですが、動燃事業団の方で東海で再処理工場を試験的になんでしょうかやっておられますが、それが故障して大分長い間とまったままになっているように新聞紙上で伺っているわけですが、これは一体今どういう状態になっているか、その改善の見通しは、あるいは修復の見通しはどうなっているのかというようなことをまず伺いたいと思います。
  178. 坂内富士男

    説明員坂内富士男君) お答えいたします。  東海再処理工場につきましては、先生今おっしゃいましたとおり今のところ工場を停止させましていろいろな修復作業を行っております。  経緯から申しますと、昭和五十七年四月及び昭和五十八年二月に溶解槽に故障が生じまして操業の一時中断ということを行い、遠隔補修技術の開発を進めまして昨年の秋に補修を一応終了しております。  その後有効性を確認するために若干の試験操業を行っておりますところですけれども、現在までにそういったことで、トータル、五十八年末という時点をとらえまして、使用済み燃料約百七十四トンの再処理を行っておるところでございます。  一方、これまでの溶解槽にかかわるトラブルの経験を踏まえまして、溶接箇所の少ない新型溶解槽といったものの開発を行ってきておりまして、現在この新型溶解槽の据えつけ工事を実施中でございます。  現状としましてはこういった状況でございまして、今のところ昭和六十年、来年の初めころにはそういったものがすべて終了するであろうという見通してございまして、この終了に伴いまして新しい溶解槽も含めた形での東海再処理工場の操業が可能になる見通してございます。それ以降は漸次再処理量を増加させて操業を行えるものというふうに私どもは思っております。  以上でございます。
  179. 伏見康治

    ○伏見康治君 非常によくやっておられると思いますが、しかし昨年の二月に故障が見つかったものがもう一年以上たっていてまだまともに動いていないというのは、いかに困難な問題を抱えておられるかという証拠になってしまうような感じがいたします。しかし同時にそういう難しい故障に対応するいろいろな技術を新たに開発しておられるようにも伺っておりますので、私は近い将来にはうまく動くようになるのだとは思うのですけれども、しかしまた似たような事故が将来もまた出てくるのではないかという、そういう気配を感ずるわけです。  こういう状態になっておられる一つの原因というものは、そっくり何かフランスから技術を導入されたというようなお話を承っておるわけですが、そういうことが原因の一つだというふうに考えてよろしいのですか。つまり、国産化といったようなものを進めればそういう面はなくなっていくというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  180. 坂内富士男

    説明員坂内富士男君) 今先生御指摘のとおり、東海再処理工場では五十二年以降いろいろのトラブルを経験しておるところでございますが、現在そういったトラブルに対して徹底的な原因究明というものを行ってきておるところでして、工場の操業に非常に大きな影響を与えるような酸回収蒸発缶であるとか、酸回収精留塔であるとか、あるいはまた溶解槽であるとか、そういったものについてのトラブルの原因ということが究明されております。  簡単に申しますと、いわゆる原因としましては、高温部において硝酸による腐食等の化学反応が顕著であるとか、あるいはまた溶接等の熱加工によって材料が腐食しやすくなっている、そういったことが原因であるということが解明されております。  そういった原因の解明に基づきましていろいろの改良工事、つまり溶接剤あるいは溶接施工法の改良、不純物が少なく耐食性にすぐれたニオブ添加高クロムニッケル鋼の使用等々いろいろの措置を講じておりまして、今後こういった同種のトラブルは十分に克服していけるものというふうに考えております。  なお、先生御指摘のとおり東海再処理工場はフランスからの技術導入によって建設されたものではございますが、今申し述べましたような技術開発及び改良措置、こういったものはみずからの運転経験を積み上げてすぐれた国産技術を十分活用するということによって初めて実施可能となったというふうに言えるものでございまして、昭和六十年初めに予定しております同工場の再開に関しましては、今後とも相当操業率の向上ということに寄与することができるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  181. 伏見康治

    ○伏見康治君 動燃事業団の長年の御苦労なり技術の蓄積の上に六ケ所村の方がつくられていくのだと承知しておりますが、その六ケ所村の方の再処理工場が大分先になってできるのだとは思いますけれども、それまでに果たしてその方の技術が十分成熟して本当にルーチン的に働くような工場ができるのかどうか、その点の見通しを伺いたいと思います。
  182. 奥井幸信

    説明員(奥井幸信君) 申し上げます。  先生御指摘の六ケ所村の工場ということでございますので、ただいま原燃サービス株式会社が計画いたしております民間再処理工場のことと承りました。  この工場につきましては、ただいま開発課長も申し上げましたように、我が国におきましては現在動燃事業団の東海村で運転を続けております再処理工場、これらの経験を十分生かしまして、さらに我が国のそのすぐれた工業力、工業界の力を結集することによりまして、しっかりした工場をつくっていくことは可能であると考えております。  スケジュールの面につきましても、やはり自主技術というものを十分考えさしていただきながら現在工場計画を進めていると聞いております。
  183. 松田泰

    政府委員(松田泰君) 通産省の方からちょっと補足さしていただきますが、今科技庁から答弁いたしましたように、我々も、先ほど先生が取り上げました原子力部会の報告書の中でも、外国の技術のみならず国産、現在もいろいろな委託研究なりやっておりますが、そういった技術を総合的に勘案いたしまして、一番最良の技術的な体系をつくり上げていきたいということを明確に指導方針として進んでおります。  もちろん先生御指摘のように、過去の動燃の経験あるいは軽水炉での経験、すべて導入技術が主体でございましたが、そういう過去の経験を十分頭に置きまして今後の計画を進めてまいる所存でございます。
  184. 伏見康治

    ○伏見康治君 元科学者というような意味から一つつけ加えさしていただきたいのは、大体原子力というものを始めたのは、工学部でいえば電気屋 さん、理学部でいえば物理屋が始めたものでございまして、原子力発電所の技術者というと大体そういう系統の方が多いわけですね、いわば物理系の技術者が多いわけなんですが。しかし、こういう核燃料再処理のようなところは、もちろんこれはケミストの問題でございまして、技術者としてはケミストをちゃんと原子力技術界の中にたくさん入れるということから始めないと本当はよくないと思うんですね、まあ、それは一科学者としての余計なことになるかもしれませんが。  時間が参りましたので、最後に大臣に、一番初めに申し上げましたように、便所のないマンションと言われていたところにちゃんとした便所をつくっていただくということ、つまり日本の原子力発電を中核とする原子力の仕事というものにいわば締めくくりをつけるということは非常に大事なことでございまして、それが円滑に無事にできて日本核燃料サイクルというものが確立されるようになるということを私は切に願うものでございますが、大臣の御決意のほどを伺いたいと思います。
  185. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 核燃料サイクルの事業化は、我が国における原子力利用の一層の推進でございます。これは、ひいては我が国のエネルギー政策の根幹であるエネルギーの安定的供給の確保のためにも極めて重要なことでございます。  通産省といたしましては、このような見地から、総合エネルギー調査会原子力部会報告の趣旨を踏まえまして、この事業の適正な推進のために指導と助成を行ってまいる所存でございます。  特に、事業の助成につきましては、電源三法交付金や財政投融資等の支援措置に万全を期することとし、現在事務当局に検討を急がしているところでございます。
  186. 市川正一

    ○市川正一君 四月七日の本委員会において、私は河本経企庁長官経済見通しの問題及び政治の基本的なあり方などについて議論を行いましたが、引き続きその発展としてお伺いいたします。  長官は二十日、中曽根総理の経済運営を批判して、我が国では国民生活を豊かにするという政治の原点がなおざりにされ、それ以外の枝葉末節のことに終始している感があると述べたと報ぜられておりますが、この見解は今もお変わりございませんか。
  187. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 言葉は違いますが、大体そういう趣旨のことは言いました。
  188. 市川正一

    ○市川正一君 ところで、臨調路線に基づく過去三年間の財政運営を見てみますと、軍事費はこの三年間に二二・三%も急増しております。その反面、国民生活に直接かかわる社会保障費は五・五%増、文教費は二・〇%増にとどめられ、中小企業対策費に至っては、逆に八・二%の減となっております。この現状は、中曽根総理の臨調行革路線が国民生活を切り詰め、圧迫しているということ、私、明白であると思うんですが、長官のおっしゃる国民生活を豊かにするという政治の原点から見て、この現状をどうお考えでございましょうか。
  189. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私が国民生活を豊かにするということが政治の原点であるということを言いました背景は、最近、御案内のように我が国経済は若干よくなりつつありますけれども個人消費伸び悩んでおります。政府見通しを下回っておるという状態でございまして、これには二つ理由がございますが、一つは所得が思うように伸びない、実質所得が思うように伸びないということが一つと、それからもう一つは、所得税が非常に重いと、こういうことであります。  そこで、所得税の問題につきましては、昨年の九月に与党と野党が国会の場で合意をいたしまして、五十八年から景気浮揚ができる規模の所得減税をすると、こういう合意ができましたが、先般は一兆円の減税ができましたけれども、一方で増税等も行われておりまして、昨年九月の合意内容には達していないと、こういうこともあるものですから、そういうことを背景にいたしまして、もう少し国民生活を豊かにすると、こういう基本問題についていろんな角度から積極的に考えていくということが必要ではないか、こういう趣旨のことを言ったわけでございます。
  190. 市川正一

    ○市川正一君 今、長官もおっしゃったように、確かに景気回復の兆しがあるというふうに申しますけれども、依然として個人消費伸びない。また、中小企業倒産も負債額も史上最高を更新することは確実と見られております。  ところが、他方、大企業は膨大な経常利益をふやしており、特に三月期決算の特徴を見ますと、それが正常な経済活動によるんではなしに、言うならばサラ金まがいの利ざや稼ぎによる金融収益を大幅にふやしております。  御承知のエコノミスト六月十二日号は、ここにコピー持ってまいりましたが、「練金術師化する大企業経営」としてその実態を紹介しておりますけれども、スイス市場で転換社債を発行し、国内のCDあるいは現先で運用すれば五%程度の利ざやを稼げると、こういう方法で、例えば、日立製作所は三月期決算で百八十億の金融利益を上げ、シャープは経常利益の三分の一に当たる百七十億を金融収益で上げております。長官は、こういう金融収益を稼ぐというやり方が産業界における正常な経済活動、国民生活を豊かにしていくという、そういうものとどういうかかわり合いがあるか、御見解を承りたい。
  191. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) これは私からお答えするのが適当かどうかわかりませんが、御質問でございますからお答えをいたします。  金融資産の運用で企業が利益を上げるということは、これは私は一向に差し支えないと、こう思います。本来の業務プラス金融資産の運用と、こういうことでありますから、そのこと自体は別に国民生活と直接の関係はないと、このように思います。
  192. 市川正一

    ○市川正一君 私は、こういうやり方は為替投機に動く、そういう懸念を持つものです。単に懸念だけでなしに、最近の急速な円相場の上昇あるいは暴落、それにはこういう大企業の余剰金が投機的に投入されているという疑いを私は持つものでありますが、問題なのは、政府がこういう企業に先端産業の育成だとか民間活力の発揮、そういう名目で補助金を出しております。例えば今申しました日立の場合でありますが、昨年通産省の所管分だけで六十億円を超える助成を出しております。一方では、倒産件数がふえ続ける中小企業には予算が減らされる。そして利ざや稼ぎのこういう錬金術、エコノミストがいみじくも評しました錬金術で利益をふやしている大企業にはたっぷり補助金を回す。私は、国民の暮らしを豊かにするのが政治の原点であるとするならば、大企業への一連のこういう補助金、こういうものをこの際洗い直すべきであると思いますが、長官、いかがでしょう。
  193. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 今、科学技術が大変な勢いであらゆる分野で革命的な変化、進歩を遂げておることは御案内のとおりであります。もしこの変化に我が国経済がついていけないということになりますと、数年後には我が国経済の競争力は失われると、こういうことにもなりまして、これは大変な事態だと思います。でありますから、そういう分野にある程度の補助金がしばらくの間出ていくということは、私は万やむを得ないことだと思いますが、それらの出し方については関係の各省において厳密な審査、計画の上で出されておるんだと思います。
  194. 市川正一

    ○市川正一君 私は、長官があえて問題を避けておられると言わざるを得ぬのです。私は、大企業の今の経営スタイルが、言うならば高利貸し化しているという状況のもとで、大型プロジェクトを中心に財政支出を拡大して設備投資を刺激するという従来型の景気対策が効果を発揮し得ないことは明らかであり、それがまた国民生活に何らプラスにならないということを指摘したいと思います。またこの問題については引き続き長官との論議の機会をぜひ得たいと思いますが、きょうは時間がございませんので、先の問題に進めさしていただきたいと思います。長官、お引き取りいただ いて結構であります。  きょう私は引き続いて、今、生活環境への水銀汚染の懸念から、使用済みの乾電池対策が大きな社会問題になっております。この問題についてお伺いしたいと思うのであります。  今、多くの地方自治体、例えば、私は東京都かの国分寺市に住んでおりますが、この国分寺を含む多摩地区三十二の市町村もそうでありますが、住民の生活環境を守るために使用済み乾電池の分別回収あるいは一時保管などの対策をとっております。去る七月十八日には、全国都道府県議会議長会が「使用済乾電池の適正処理の推進について」要望しております。それに先立って、六月の十二、十四日の全国市長会でも、「乾電池等水銀含有廃棄物に関する決議」を国に提起しております。政府はこういう動きをどう受けとめているのか、またこれにどうこたえようとしているのか、具体的にお聞きしたい。
  195. 木下博生

    政府委員木下博生君) 乾電池に含まれております水銀につきまして、乾電池を使用済み後放置したことに伴う公害が起こるんではないかというようなおそれで、地方自治体の方でいろいろと対策を講じられているということは十分私どもも承知しております。  現在までのところ、具体的に使用済み乾電池から公害が起こったという事例はございませんけれども、ただ、現実に水銀が含まれておりますものが捨てられたことによって将来そういう可能性があるということで懸念が起こっているのは当然のことでございまして、そういう将来起こるかもしれない公害を未然に防止するために、私どもとしても十分な対策を講じる必要があるというふうに考えておりまして、通産省といたしましては、厚生省とも十分協議の上、業界に対し種々の対策をするよう要請したわけでございます。その結果、業界といたしましては、水銀電池の新しい用途への使用の抑制、それから使用済み水銀電池の回収強化、それからアルカリ、マンガン電池の水銀の量を減らす研究、それから水銀を使用しない乾電池等の代替製品の開発、研究、それから使用済みアルカリ、マンガン電池を埋め立てることによる土壌への影響の調査というようなものを関係業界としてもやるというふうに聞いておりまして、そういう形で対策を講じていきたいと考えております。
  196. 市川正一

    ○市川正一君 今の業界からの五項目の回答については、これは後でお伺いします。私が聞いたのは、政府としてはどうなのかということなんですが、これはまた引き続いてやります。工業会のことを代弁してもらっても困るんです。  次に伺うのですが、東京の町田市では、六月の七日に「市民の良好な生活環境をまもるため、」に日本電池・器具工業会に対して「使用済乾電池の回収及び処理を貴会が自主的に、かつ、すみやかに行うよう要望」いたしました。これに対して同工業会は、要約すれば、「要望には沿いかねる」「現在の回収処理方法を超えた分別処理は必要ない」こうにべもなく断っておりますが、これについて政府はどう評価しているのか伺いたい。
  197. 木下博生

    政府委員木下博生君) 町田市の方から日本電池・器具工業会に対して質問状が出され、それに対して六月二十日に工業会の方から町田市長に対して回答がなされておりますが、その内容は私どもとしても十分承知しております。それで業界としては——私どもは業界の立場を代弁するわけじゃ全くございませんが、業界の方がやっております措置については、先ほど御答弁申し上げたようなことでございまして、現在便われております電池の中の水銀電池についてはできるだけ消費者が捨てないで店頭に返すようにさせる、そのための回収箱を店に置くと。  それからアルカリ電池の方につきましては、その中に含まれる水銀量を減らすことによって全体として廃棄される量を減らすという形で対策をとっているわけでございまして、そういう方向で進めることにより水銀汚染対策というのは一応十分に講じられるというふうに考えているわけでございます。業界の回答もそういう線に沿ってなされたものと私どもは承知しております。
  198. 市川正一

    ○市川正一君 業界の回答をよく熟知されているという前提で今おっしゃったわけですから、私はその主要点について触れたいんです。  まず私は、議論の前提として明確にしておきたいのは、水銀の微量汚染の影響について総括的、系統的な研究はまだ仕上がっていないということなんです。研究があるのは個々別々の事例についての研究があるだけであって、したがって乾電池から出る程度の微量の水銀では被害がないとして、これ以上の対策をとろうとしていない工業会の態度は、これは私は問題を残していると思う。同時にまた、それを事実上容認している政府の態度は、あわせて私はここはやっぱりきわめる必要があると思う。  まず工業会の回答の第二項ですね、今おっしゃいましたけれども。ここで「我が国は水銀が非箱に多い国」であるということから奈良県の宇陀地域の河川の例を挙げています。この地域では、「水銀による健康被害は皆無である」というふうに述べているんですね。その例証として、水銀鉱山のあった奈良県の宇陀地域を工業会があえて選んだことに極めて意図的なものを感ずるんですが、しかし「日本公衆衛生雑誌」第二十六巻第五号所載の奈良県衛生研究所がまとめた「水銀鉱床による奈良県の環境汚染」を、ごらんになっているかどうか知りませんが、御紹介しておきますと、水銀汚染といっても「水俣湾や阿賀野川の状況と奈良県のそれとでは量的・質的に異な」るということで食生活の違いを挙げ、またそこでアユ以外は食用に供していないと。そのアユも総水銀値が一けた以下であるということなどを挙げて報告をいたしております。また「金属水銀は吸収されないので毒性はない」と、こういうふうに工業会は町田市に回答しておりますけれども、この点も蒸気化すれば強い毒性を持っていることはこれは公知のところであります。  さらに、回答の三をごらんになっていただきたいんでありますが、ここで十億分の幾つという検出は困難だと、こう言っております。しかし、水銀化合物の排水基準は五PPb、すなわち十億分の五です。また総水銀の環境基準は〇・五ppb、それぞれ法令で決められておりまして、したがって検国技術は確立されているのであります。  さらに回答の四、五、メチル水銀の問題を見ましても、自然界で無機水銀から有機水銀、逆に有機水銀から無機水銀にと相互に転換することはこれもよく知られているところであります。こういうことを理由に乾電池が原因でないというふうに言い切ってしまう、そういう工業会の主張は私は問題を残していると思うんです。また「閾値」の範囲ですね、言葉として正確な表現ではありませんが、卑俗に言えばいわば許容の範囲というふうに言っていいと思うんですが、ならば安全だという考え方も、水銀の場合には個人差などがあって一般的な数値を決めることは難しいとされております。さらに遅発性の水俣病の事例も指摘されておりまして、「その曝露が減少すると蓄積量が急速に減少する」として、このまま放置しても問題がないとする工業会の主張も私は絶対的に正しいと言えないと思う。  最後に回答書は、「ソーダと塩素」誌、その中に、これは八〇年の一号の喜田村教授の論文ですね、これを引用しましてそして締めくくっております。ところが、この喜田村教授の論文の実はその前段で、「かけがえのない国土、広くは地球を守るためにも人体への影響問題とは別に、人為的な環境汚染は極力減少させるべきであることは言うまでもない」と述べて論じているのでありますが、そこはいわば外している。つまり、私いろいろ申しましたけれども、工業会のこれ以上の対策は必要ないという論拠は、種々の研究論文のうちから自分の都合のいい部分だけを抜き出している、そういう点では決してまじめなものとは言えないと思うんですね。再度申しますけれども、水銀の微量汚染による影響についてはその知見は確立されていない。私もしたがって結論的にこうだという立場から物を言っているものじゃないことは御 理解いただけると思うんです。  したがって、工業会のように一方的に安全だという考え方は、決して国民の命と暮らしを守る上で私は誠実な態度でないと思うんです。ですから、私は今時間がございませんので一連の問題点を指摘いたしましたが、その一つ一つについて個々にこうだという回答を承りたいという意味でなしに、総体として工業会の回答に対して政府はどういう立場で臨まれようとしているのかを、これをお伺いしたいと思うんです。
  199. 木下博生

    政府委員木下博生君) 今先生から御指摘がありました個々の点につきましては、私も専門家ではございませんのでそれについてコメントを申し上げ得る立場にはございません。  ただ、今先生がおっしゃいましたように、水銀の問題につきましては、いろいろな学者の方々の御意見もあるということでございまして、人体に及ぼす影響につきましては厚生省及び環境庁の方でいろいろと今まででも御検討をいただいてきておるわけでございます。  御承知のように、使用済みの乾電池は家庭内から排出される廃棄物として捨てられておるわけでございまして、それに関連する家庭内からの廃棄物の処理は一応地方自治体の方がおやりになるということで、そのおやりになる過程の一つとして分別処理等もなさっていると承知しているわけでございます。その場合、私先ほどから申し上げましたように、業界の方で言っておりますのは、現在出ております水銀の全体の量を考えました上で、その全体の量を乾電池に使われております約半量ぐらいがいわゆるボタン型の水銀電池でございますのでそれは全量を回収するように店先で回収箱を置いて減らしていこうと。それから残りの半量がアルカリ電池でございますので、そのアルカリ電池の半畳の中の水銀量を三分の一ぐらいに減らしていこうと。そうすると乾電池全体で使用されております水銀の量がもしその目標どおりに達成できるとすれば現在の量の六分の一ぐらいになるわけでございます。  現在捨てております乾電池につきましても、それを処分することが直ちに公害上問題とはならないというような環境庁等の御意見もあるわけでございますが、ただ水銀につきましては国民感情等もございますので、私どもとしてはできるだけその量を減らすように指導するということでこの問題は一応解決できるものだというふうに考えておるわけでございます。
  200. 市川正一

    ○市川正一君 それでは聞きますけれども、先ほどあなたも触れられた工業会の五項目の対策ですね、その五項目の回答が出てから半年たちました。じゃ、その実施状況はどうなんですか。どれくらいの効果があったんですか。お伺いしたい。
  201. 木下博生

    政府委員木下博生君) ボタン型の水銀電池の回収につきましては、二十三万個ぐらいの箱を各府や都道府県の関係のところに置くことによりまして、消費者にPRをして消費者協力を求めて回収に努めておりますが、今のところ具体的にどのくらいの回収がなされたかという統計はまだ出てきておりません。しかし、業界としてはできるだけ多数のものが返ってくるということを期待し、いろいろのPRを行っているわけでございます。  それからもう一つの方のアルカリ電池の方は今後技術開発によって全体の使用量を落としていくということでございますので、これはまだ具体的な成果としては出ておりませんが、研究組合を業界としてはつくりまして至急に開発をしていこうという体制になっております。
  202. 市川正一

    ○市川正一君 統計はない、期待している、ほんまにあなた無責任な話じゃないですか。  私の方から言いましょう。業界の対策それ自身、これでは国民の期待にこたえられないんです。不安にこたえられないんです。  例えば第一項の「水銀電池の新しい用途への使用の抑制」という、これはもう既に一九七三年から補聴器や旧型のカメラ以外には広げないということで実施していることです。決して新しい措置じゃないんです。もう十年前からやっておるじゃないですか。  また第二項の「使用済み水銀電池の回収強化」というのも、従来工業会は自主的に回収は実施してきたけれども、今回それを強化するということで、今おっしゃったように店の前に二十数万個の箱を置いていると言うんだけれども、業界の話によると、従来の回収では水銀電池の二〇%ぐらい、悪いときは一〇%ぐらいしか回収できなかったというふうに言っていますね。あなたも御承知です。また、回収箱の設置も電器屋の店先ではごみ箱と一緒で、決して気持ちよう置いているわけやないんですよ。全店に設置されているわけでもないんです。  また、第三項目の「アルカリ・マンガン電池」ですね、これがその現物です。持ってきました。これの水銀減量の研究でありますが、三年後には三分の一に減らすと言うとる。ところが、新聞報道では技術的に困難だという報道もあれば、来年早々水銀を半分にした乾電池が出るんやというふうにも言うとる。実際これも海のものとも山のものともよくわからぬのです。  第五項目の「アルカリ・マンガン電池の埋立てによる土岐への影響の研究」をやるというんだ。これも従来やっておった。マンガン電池、これです。マンガン電池に加えてこれを調査するということになったんですが、問題なのは、これは水銀を回収することを目的としたのではなしに、これを使用済みのやつをそのままごみとして捨てることを前提にした研究じゃないですか。  私は時間がありませんから、この工業会の五項目の対策は、従来から工業会がコストダウンのために実施してきたことを改めて文書にしただけのことです。もちろんその研究も大いにやってほしい、大いに進めてほしいんです。しかし、当両国民が不安に思っているのは現実の水銀量を減らすための対策であります。そういうことから言うと、結局工業会の政府に回答した五項目の中で、現実に水銀の排出を規制できるのは第二項目の回収強化だけです。そして、その対策でボタン形電池、大臣見てください。あんたも知ってはると思いますが、これがボタン形電池です。これを、対策もこれだけであって、相対的に多量の水銀を含んでおる筒形のアルカリ乾電池は回収の対象外になっておるんです。これそうなんです。つまり工業会のねらいというのは、町田市への回答でも明らかなように、水銀電池などこういうボタン形の電池、これだけは対象にするが、これは回収が容易やし、また再資源化が技術的に簡単なんです。企業の負担も少ない、そういう立場であるということを言わざるを得ぬのであります。  そうすると、結局今あなたもおっしゃったように、使用済みの乾電池の処理は、事実上地方自治体に全部責任をおっかぶせるということにならざるを得ぬのでありますが、そういうことを引き続き放置するつもりなのかどうか。この点をしかと伺いたいんです。
  203. 木下博生

    政府委員木下博生君) 先ほども申し上げましたように、家庭から出されます廃棄物の処理は、一般的に地方自治体の方で行うことになっておるわけでございます。現に、消費者はそういうごみの中の一部に乾電池も含めて捨てておるわけでございまして、それに対しまして、自治体の中にはそれを分別して回収して処分するというところも出てきているのは確かでございます。ただ、そういうのは現実でございまして、しかし水銀電池につきましてはその一つ一つに含まれる水銀の量が多いと。それから全体として見ても、先ほど申し上げましたように、乾電池用の水銀の約半量に近いものを使っているということもありまして、従来カメラ店だけでやっておりました回収を広げて、全電器店で回収を行うようにしてきているということでございまして、店に行けば回収箱が置いてあるのは容易に気がつくところでございます。  それから、アルカリ電池につきましては、現実に消費者の人たちがそれを廃棄しているという現状を考えますと、むしろその中に含まれる水銀量を減らすということで、これは防食用に使ってお るわけでございますから、亜鉛の粒を小さくするというような対策を講じれば現在の量の三分の一ぐらいに減らすことは技術的に可能だというようなことで、業界として急ぎ対策をとっておるということでございます。
  204. 市川正一

    ○市川正一君 大臣にぜひお願いもし、お伺いもしたいんでありますが、今お聞きのようなことで、また御承知のようなことで、この乾電池対策で各地方自治体が非常にもう苦労しております。そういう点で廃棄物処理法の第三条の事業者の責任を私あえて引用するつもりはございませんが、この地方自治体の処理対策に業界がもっと全面的に協力するように政府として指導に当たられるべきと思うんですが、この点大臣いかがでしょうか。
  205. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 通産省といたしましては、乾電池に使用された水銀による公害の発生という事例は承知しておりませんけれども、乾電池の需要が増加傾向にあるところから、先般、将来の環境汚染の未然防止のための対応策の検討を業界に厚生省とともに要請したところでございます。これに対しまして業界は三年を目途に水銀使用量の大幅な削減のための研究を行うとともに、構造上水銀の減量化が困難と考えられる水銀電池等ボタン電池について、メーカー負担により自主回収を行うこと等の措置を講ずることを決定して、現在実施中でございます。これらの措置によりまして水銀が環境に与える影響は大幅に減少されると考えております。
  206. 市川正一

    ○市川正一君 これが最後です。  大臣、それはずうっと今までやってきた私のやりとりの、あなた、中身じゃないですか。それではあかぬから、もうちょっと対策を立てるということを私は今お聞きしたんで、その前のやりとりのやつでは困るんです。  最後に、そうだとすれば、廃棄物処理法の第四条第三項で国は地方自治体に対して「技術的及び財政的援助を与えることに努めなければならない。」こうなっております。したがって、この使用済み乾電池対策に国が具体的援助が私必要やと思うんです。ですから、今私業界に対する指導についてお伺いしました。今度はその地方自治体に国としてしかるべき援助をぜひ大臣、ほかのこれは厚生省やあるいはその他に関連してはいます。しかし、私この点で大臣がぜひ積極的な立場で取り組まれることを最後に御答弁をお願いして私の質問を終わります。  厚生省からおっしゃっていただいて結構ですけれども、後で大臣から聞きますから。
  207. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 乾電池の廃棄物の処理に当たりましては、いろいろ問題を生じてきたところでございますが、現在業界で自主的にとられました措置で環境への水銀の負担を大幅に減ずることが期待されております。  一部の市町村におきまして、地域の実情によりまして独自に分別収集にかかっておるところがございますが、これらに対しましては適切な技術的な指導をしていくことにしております。  それから、中長期の課題といたしまして、廃棄物処理の立場から使用済み乾田池対策の基本的あり方に関する検討を生活環境審議会の中で進められておりますし、将来の処理の具体的なあり方につきまして五十九年度から調査に着手しておりまして、その中で検討し、その成果が出ましたら、地方公共団体に対しても技術的援助の一環として出していきたいというふうに考えております。
  208. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 先ほども議論のやりとりを総括的に私まとめて御答弁をいたしたところでございますが、関係各省庁と十分協議いたしまして現在の施策を推進してまいりたいと存じます。
  209. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は、まず最初に、貿易黒字の問題についてお聞きしたいんです。  これはもう皆さん御存じのように、昭和五十八年度には三百五十億ドルの貿易黒字があった。それがことしは四百五十億ドルぐらいになるんじゃないかと言われているわけですね。経常収支でも昭和五十八年度は二百四十三億ドルになって、これがことしは三百五十億ドルぐらいになりそうだということで、それでこれは一般的に言われていることですけれども、黒字幅がGNPの二%を超えると貿易摩擦の発生する危機ラインだと言われているわけですね。ところが、もう現実に二・七%になっているということで、そろそろ、先ほど同僚議員からもありましたけれども、アメリカのITCなんかが鉄鋼の輸入規制をしようというふうなことを言い出しているわけですね。こういうふうな、アメリカの対日赤字は去年は二百十億ドルですか、ことしが大体三百億ドルぐらいになりそうだというふうなことなわけですね。で、こういうふうになってきますと、この鉄鋼以外にも繊維だとか通信機だとか履物だとか金属食器だとかあるいは乗用車の輸入規制を来年度も続けるんだというふうなことが言われているわけですね。  そこで、実は経企庁にお伺いしたいんですが、赤羽さんが七月の十四日に毎日新聞に書かれているわけですけれども、経企庁としてはこういう黒字対策として内需拡大する、これはいつも長官もおっしゃっていることなんですけれども、そのために社会資本を充実したいということと、これはいいわけです。道路工事その他ですから、これは構わないんですけれども、これじゃなくって、この中に、設備投資減税をやって、そして貿易黒字を減らすとおっしゃっているわけですね。  そこでお伺いしたいんですけれども、こういう設備投資をやる場合、いわゆる経済成長が高まるわけですね。経済成長が一%上がるのにこの設備投資減税減税額にして、目の子で結構ですけれども、大体のラウンドの数字で結構なんですけれども、何億ぐらい減税する必要あるでしょうね。
  210. 赤羽隆夫

    政府委員赤羽隆夫君) ただいま委員から御指摘のございましたこの記事は、自民党の総務会で私が説明したことを報じたものでございます。設備投資減税の必要性ということをその場でこういう言葉で御説明申し上げました。  最近、先進諸国を中心に先端技術分野で激しい国際的な開発競争が起こっている。先端分野というのはこれからの日本経済の牽引力になる、競争力の根幹になるものである。これにおくれをとるということは、やはり日本経済の将来にとって大変なことである。そういう意味で、先端技術の分野におきます開発技術を促進するような、そういうふうな方策を考える必要がある。こうした観点からは、アメリカ経済の最近の設備投資が非常に力強く伸びております。それが参考になるでしょう。アメリカ経済におきましては、設備投資減税あるいは耐用年数の短縮、こういう形で新しく先端技術分野を中心に技術革新が進んでおる。こういうものを具体的な設備投資に結びつけることに成功したんですと、こういったようなことを申し上げました。それが新聞に報道されているような形で伝えられたわけでございますけれども、御質問の具体的にどの程度の設備投資減税をすればそれが一%のGNPを押し上げるのか、これはなかなか計数的に申し上げることは難しい、こういうふうに考えております。
  211. 木本平八郎

    木本平八郎君 エコノミストですからね、そういうことを発言される、特に自民党のそういう場で発言されるからには、頭の隅っこに大体このぐらい減税すれば一%ぐらい上がるだろう、あるいは五%上げるにはこのぐらいの設備投資減税が必要だというなにがあると思うんですけれども、もしもなければないで結構ですけれども、もう一度お聞きしたいんですが。
  212. 赤羽隆夫

    政府委員赤羽隆夫君) これは委員会の場でございますので個人的な見解というのは述べる場ではない、こういうふうに承知をしております。そういうことで個人的な見解を述べるのは差し控えさしていただきたいと思いますけれども設備投資を促進するための措置、こういうものには一般論として考えますところ、二つの行き方があると思います。具体的にはこの二つを組み合わして実施することがよろしい。  一つは、例えでございますけれども、馬を走らせるのに、ニンジンを与えて走らせる場合とむち でひっぱたいて走らせる場合と、こういうことがあると思います。特別な設備投資をした場合に減税をする、これはいわばニンジンを与える、こういうことだと思います。  もう一つの立場というのは何かと言えば、競争を激しくする、いろいろな規制を解除をして競争の冷たい風に当てて、それによって生き残りのために懸命に努力をする、こういうことだと思います。  現在行政改革を進めております一つの意味は、やはりこの規制の緩和、こういったようなことがあると思います。ですからこうした二つの行き方を組み合わせて実施をすることがよろしいのではないか。それを設備投資減税だけでこれは何%、幾らの設備投資減税をすれば何%プラスアルファの成長が実現される、こういったようなものではない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  213. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで仮に一%経済成長が上がったとして、日本の現在輸入の弾性値ですか、これが大体〇・九伸びるというわけですね。そうすると、現在の日本の総輸入というのは大体年間千三百億ドルぐらいですね。千三百億ドルの〇・九%ということになりますと年間十二億ドルなんですね。これは三百五十億ドル全部というわけじゃないですけれども、もちろんありますけれども、そうしますと単純に言ってもこれ三〇%上げなければいけないわけですね。もちろん成長が上がると輸出の方がダウンしますから、そういうことのなにがありますけれどもね。今ミックスしてやるとおっしゃったので、私もそれしかない、それが必要だと思いますけれども設備投資減税でこの新聞によるといかにももっともらしいのですけれども、私は到底この黒字対策には及ばないのじゃないかという気がするわけですね。その辺長官のこういう内需拡大策という点から一言お教えいただきたいと思うのですが。
  214. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) やはり日本といたしましては一番基本的に考えなければならぬ課題は、自由貿易体制を堅持する、保護貿易的な傾向を抑える、これが私は一番基本政策でなければならぬと思いますが、やはり巨額の黒字がずっと続きますと、それが引き金になりまして保護貿易を誘発する危険性が多分に出てまいります。そこでいろんな角度から努力をする必要があると思いますが、一つは市場開放措置でございます。それにつきましては、四月、五月に相当進めたと思います。  それからもう一つは、やはり円レートの問題だと思います。円安が余りひどい状態になりますとなかなか外国から物を買うことができない。やはり適当な水準の円レートが必要である、このように考えておりますが、御承知のような状態でこれもなかなか思うような評価を得にくい、こういう問題が一つございます。  それからやはり内需全般の拡大ということがあろうと思うのです。やはり国内の購買力が高まりませんと外国から物を買いにくい、こういうことにもなろうと思います。  それから弾性値の問題でございますが、これも私は円レートと密接な関係があると思います。円安の場合には弾性値は非常に低いと思いますし、円高の場合には弾性値は相当高くなる、このように思います。したがいまして、いろんな対策を組み合わせましてそしてあらゆる努力を重ねまして、そして日本が保護貿易の引き金にならないようにそういう努力を絶えず続けておるということが必要ではないか、こういう角度からその一環として先般総務会で今局長が答弁いたしましたような説明をしたんだと、こう思います。
  215. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで次に同じ問題で通産省にお聞きしたいんですが、ことしの通商白書ではいわゆる黒字肯定論で、全然ある意味じゃ経企庁と違う立場をとっておられるわけですね。世界的に要するに貯蓄が不足していて資本が不足していると、これに対して日本はその黒字によって貯蓄過剰になっている、余剰ができている。したがってこれを世界に資本供給すべきであるというふうにおっしゃっているわけですね。  そこでこの議論自身は何というんですか、抽象論としては非常にいいと思うんですけれども、現実に資本輸出する場合に、これ民間がやるわけですけれども、リスクがあるわけですね。その場合、リスクに対する保険というか、カバーをどういうふうにお考えになっているか。ただ単にやるべきだということはわかるんですけれども、実際にそれじゃ民間の企業が動き出すにはやはりリスク回避の問題があると思うんですけれども、その辺はどういうふうにお考えになっているのかお聞きしたいんです。
  216. 鈴木直道

    政府委員鈴木直道君) 先生お話ございましたように、今回の通商白書では資本の輸出の問題を積極的に取り上げておりますが、これはかねてから我が国経済の規模に対応いたしました国際的な責務を果たす一環としての説明でございまして、先ほど企画庁から話の出ました内需拡大とかあるいは市場開放、それと同様のレベルで申し上げているわけで、それだけを特に重点的に申し上げたわけではないわけでございます。それを前提といたしまして資本の輸出を今後考える場合に、おっしゃいますように発展途上国との関係経済協力等々ございますが、その一環として民間資金の活用も非常に重要でございます。  そのための環境をいかにつくるかということが非常に重要でございますが、おっしゃったリスクをいかに回避するかという点につきましては、例えば情報収集活動を非常に強化いたしまして、カントリーリスクの把握に努めるというようなことがございましょうし、また税制上の活用という点で海外投資等の損失準備金制度を充実させていく、あるいはまた二国間の投資保護協定をさらに充実させる等々におきまして、民間の方々が積極的に海外に投資し得るような環境を整備するということが非常に重要だと思っております。  また先進国間におきましても、いわゆる従来産業協力という点を申し上げておりますが、この点につきましても例えば日米間におきましては投資委員会というものを設けておりますし、あるいはまたヨーロッパの主要国との関係におきましても、産業協力協議という場を通じまして積極的な情報協力、交流ということをしながら環境整備に努めておる次第でございます。
  217. 木本平八郎

    木本平八郎君 要するに、そういういろいろの手をやっぱり総合的に打っていかなきゃいかぬと思うんです、この問題については。ただ、これ答弁結構なんですけど、一つだけ申し上げたいのは、やはりこういう事態になってくると、ただ単に一般論じゃなくて、本気になって目の色を変えて取り組んでいただかないとこの問題は私、後で時間があれば申し上げますけれども、これは日本一つの輸出の構造的な問題で、これはもう簡単にはこの黒字問題というのは解消しないと思うので、ぜひ政府の方でこれは一致して取り組んでいただきたいと思うわけです。  次にプラント輸出の問題に移りたいんですけれども、これも御存じのように昭和五十六年に史上最高といいますか、ピークの百七十五億ドルの輸出が行われた。それに対して去年は実に八十三億ドルですね、半分以下ですね、物すごい落ち込みなわけです。これについては通産省でここにこういうなにを出されておって、この中に書いてあることはもう答弁していただかなくても結構ですからね。これはもう結構ですけれども、私は先ほどの貿易黒字の問題を見ていて思うんですけれども、先ほどの貿易黒字の一番大きな問題は、例えば自動車とか、家電とか、鉄鋼、電子部品、自動車部品、それから事務機器あるいは繊維とか洋食器とかありますね、こういうものは全部フリーなんですね。何の政府の統制もないんですよ。こういうものはぼんぼん輸出できていくわけですね。  ところが、プラントのようにがんじがらめに政府が規制しているものは半減しちゃうんですね。これやはり政府の統制があるからもう国際競争力を失っているんじゃないかという感じがするわけです。感じがするんじゃなくて私の過去の経験もそうなんですね。むしろ政府はもうできるだけ統 制をおやめになった方がプラント輸出は伸びるんじゃないかと思うのですが、その辺いかがでしょうか。
  218. 木下博生

    政府委員木下博生君) おっしゃるように、プラント輸出はほかの品目と違いまして激減しているわけでございますが、その原因はむしろ輸入国側における景気の停滞等の原因によってそういうものに対する需要が落ちたということが一番多いかと思います。  それからもう一つは、そういう需要が落ちた段階でございますので、世界でプラント輸出をする各国間での競争が非常に激しくなったということももう一つの原因であろうかと思います。そういうことが基本的な原因でございまして、政府のいろいろな関与があるからプラント輸出が落ちたということは必ずしも私ども考えておりませんで、プラント輸出を進めるためには輸出入銀行の融資等、それから輸出保険というような制度がどうしても必要なわけでございまして、そういう意味からむしろそれをプラント輸出しやすい方向で政府が関与しているというふうにお考えをいただいた方がよろしいかと思います。
  219. 木本平八郎

    木本平八郎君 そういう原因はもちろんあると思うのですね。あると思うのですけれども、実際、実務上を見てみますと、例えば輸出保険にしてもリスクが生じてきたら閉めちゃうと。要するに、これはもう初めから、前にも申し上げましたように、安全なものだけやるんじゃ保険じゃないわけですよね。殊に公的保険というのはそういう性格があると思うのです。  それから、例えばマッチングにしても、競争者がこういうふうにやっているからそれにマッチングすると、それで時間がかかってしまう。例えばODAもそうですね。要請ベースだとか何とかやっているともうタイミングを失っちゃうとか、こういう要素が相当あるのじゃないかと思うのです。だから、今御答弁がありましたような、ここに書かれていることはこれはもっともだと思うのです。こういう原因はもちろんあります。しかし、この際、謙虚に通産行政のあり方、この貿易行政のあり方をやはり反省していただかないと、これは一時的なものだと、こういうふうに解釈されると、やっぱりどこか根本的に誤りが生じるんじゃないかと思うわけですね。  そこで、例えば今非常に問題になってきているのは、今まで円建ての輸出が五〇%から七〇%あったわけですね。それが去年なんかは三七%ですか、何か物すごく減っちゃっている。それでドル建てになるわけですね。ドル建てになると、今度は為替リスクが問題があるわけですね。したがって、よほど為替リスクを背負うと少々の利益じゃすっ飛んじゃう。といって、それを簡単に予約もできないというふうな状況なんですけれども、これは大蔵省その他の関係もあると思いますけれども通産省としてどういうふうにお考えになっているか聞きたいんですけれども、いわゆる外貨貸しとか輸銀のドル建て融資ですね、こういうものについて積極的に今度のいわゆるプラント輸出をリカバーするためにそれをやっていこうというお考えがあるかどうかお伺いしたいのです。
  220. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) 為替リスクの問題については、先生御指摘のとおり、非常に大きな問題の要素となっております。基本的には私ども、円レートというものが安定していただく、そのために介入であるとか、その他国際金融メカニズムにおきまして所要の措置をとるということが非常に重要なことだと思います。  先生御指摘の輸銀のドル建て融資でございますが、過日、非公式な会合を輸銀総裁等と持ちまして、ぜひ検討をお願いしたいということを申し入れでございます。  輸銀の方におかれましても、輸銀の損益に直に響くものでございますから、おいそれとそう簡単にできるものではないということは私どもも重々承知しているわけでございますが、ぜひ御検討いただくようにお願いしてございます。
  221. 木本平八郎

    木本平八郎君 それじゃマッチングの問題について非常に機敏に対応できるために、例えばマッチングファンドみたいなものを持っていて、その範囲で輸出許可のときにやっていくとか、そういう考えについてはどうでしょうか。
  222. 木下博生

    政府委員木下博生君) マッチングに応じていくためには、確かに日本政府部内において対応が迅速に行われる必要があろうかと思います。そういう意味で、まず政府部内での協議を機動的に行うということが必要かと思いますが、マッチングファンドを設けてやる場合に、それがうまく機能するかどうかということも含めまして、私どもとしてはもう少し検討を続けていきたいと思っております。
  223. 木本平八郎

    木本平八郎君 それじゃちょっと先へ急ぎまして、現在、御存じのように発展途上国では対外債務がどんどんふえていると。何か八千百億ドルぐらいですか、去年の末で、そのくらいふえてきて、日本も十五カ国ぐらいに対してリスケジュールを行っているというふうなことなんですね。これに対して私は一つ提案があるんですけれども、こういう国に対して輸出保険を閉めたり、輸出を抑えたりということもいいんですけれども、やはり彼らの経済回復さして、そしてその返済能力をつけてやるということが必要なんじゃないかと。今のままでいけば利払いだってできないという状況ですよね、そういうことではやっぱり困るんで、この際日本としても、OECDに呼びかけるか呼びかけないかちょっと別にして、ぜひこういう国に、特別に、プラントですね、例えば赤字減らしになるプラントだとか、外貨を節約——輸入代替産業になるとか、こういうものに対して、先ほどの特別の条件で輸出保険もつけてやると、それから例えば、民間に対しては外貨で融資もしてやるというふうな、それからあるいはODAをつけるとか、あるいは低利子とか、そういうふうなことを組み合わして、積極的に国として援助してやると。それで彼らに稼がして——悪い言葉ですけれども、稼がしてその債権を回収するというふうなことを積極的に日本がやってみたらどうかと思うんですが、その辺はいかがでしょう。
  224. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) 債務累積問題というのは非常に深刻な問題でございます。これらの諸国、基本的には債務を返済する能力をいかにしてつけてあげるかということが最大の課題かと思います。一番重要なことは、長期的には輸出で稼げる体質をつくるということかと思います。短期的には現在のリスケジュール等の事態を踏まえまして、いかにして支払いを継続できるかというようなことでございます。  また、同時に金利の引き下げということも重要な要素でございまして、私ども最後の点に関しましては、OECDの輸出信用アレンジメントなどで従来からしDC向けの金利引き下げを事あるごとに主張してまいっております。また同時に、債務累積国の諸問題につきましては、例えば通産大臣御出席の四極貿易大臣会合などでいろいろ議論を進めているところでございます。先生御指摘の方向に沿って今後とも努力を続けたいと思っております。
  225. 木本平八郎

    木本平八郎君 やはりあれだけ、そういうふうに非常に苦しんでいるところから金利を取るんじゃなくて、むしろ金利を免除してやるというふうな方向にいくべきだと思うんですね。ぜひ今後、OECDとも打ち合わしていただいて、そういう方向に進んでいただきたいと思うわけです。  それで、先ほどの貿易黒字の問題に関して、私は一番怖いのは——というか、ごく最近に発生するだろうと思うのは、日米間のやっぱり通商摩擦だろうと思うんですね。で、これには、相手からいろいろ提起されて対応するんじゃなくて、むしろ日本から積極的に何か手を打てないだろうかと、少なくとも秋の大統領選挙までは彼らが文句を言ってこないように抑えられないかということで、これも一つの提案なんですけれども、現在アメリカは御存じのように世界で一番大きなプラントの輸出国ですね。ところが日本は、伏見先生おられますけれども、原子力発電については、二次系は非常にいいんですね。ところが一次系とか、あるいはウランの供給の問題があるんで、どうしても 輸出ができないと。これも相当将来の重要な輸出品目になると思うんですね、例えば一件三千億円ですか、こういう高額ですしね。こういうことで、むしろ私はアメリカとコンソーシアムを組んで、日本が輸出保険だとか、それからファイナンスを引き受けてやるということで、アメリカに申し入れるということですね。そうするとアメリカとしては、これ、一番得意の分野で、現在フランスにやられっぱなしなわけですね。そういうことで日本と組んで、それでやれるんなら、あるいは貿易黒字の問題、対策ということを表面に掲げまして申し入れるというのも一つの手じゃないかと思うんですけれども、その辺はどうでしょう。
  226. 木下博生

    政府委員木下博生君) プラント輸出を行います場合に、それぞれの得意分野がありますので、欧米諸国とコンソーシアムを組んで行う場合も多いわけでございます。で、今、先生御指摘の原子力発電プラントにつきましても、例えば中国向けの原子力発電プラントにつきましては、アメリカと協力して、我が国の得意な分野についてその一部を供給するというような形でやっておりますが、今後そういうような形態で、原子力発電の関係でも各国への協力を進められるようにしていきたいというふうに考えております。
  227. 木本平八郎

    木本平八郎君 今貿易摩擦の問題が発生しそうな折ですからね、ぜひ早急にやるという姿勢で検討していただきたいと思うわけです。  それで、次に、先ほどのLDCの問題ですけれどね、非常に累積債務がふえている国があって、カントリーリスクがどんどんふえてきてると、それで民間のエクスポートとしても非常にリスクが怖いわけです。ところが、通産省の方も、保険を預かってる立場として、余り危ないところは貸せないということはもうわかるわけです。しかしながら、そういうことでどんどん閉めていってると、世界的にどんどんどんどん市場が小さくなってくるわけですね。そこで、これも一つの提案なんですけれども、現実に欧米なんかは、例えばメキシコとかリビアとかナイジェリア、フィリピンなんかに対してやっぱり輸出保険開いてきてるわけですね、どんどん——どんどんでもないかもしれぬけど、相当積極的にやってきてると。それに対して日本の方はまだ、まあ最近開いてますけどね、開き方が非常に狭いという感じがするわけですね。そこで、私、まあ役所の立場としては確かに国民の、国のまあその保険を預かってるわけですから、そうリスクをとれないと、損をしたら大変だという気持ちはわかりますけれども、そこでひとつ、これは通産大臣の諮問機関として、まあ例えば輸出保険引受審査委員会というんですか、カントリーリスク審査委員会のようなものをつくって、そこで個々の国を審査して、まあここなら少し、短期はもういいんじゃないかとか、これはもう少し長期までやってやろうとか、パリ・クラブで合意したんだからいいじゃないかとか、あるいは二国間合意ができたからいいじゃないかとかいうことで、そこで審査して、それでやるべきだという結論が出たら、もう保険の側としては黙って引き受けるというか、それで、できればここで融資条件も、先ほどの言ったようなODAとか何とかの組み合わせということもやっていただくと、こういう委員会をつくるという構想についてはどうでしょうね。
  228. 村岡茂生

    政府委員(村岡茂生君) 非常にカントリーリスクが増大しております折から、輸出保険制度というものの重要性は非常に増してると、先生御指摘のとおりでございます。しかし、これは政府の行う輸出振興措置あるいは補助金的措置ではございませんで、保険制度という形で運用しております。そのために、おのずからその保険としての運用できる限度というのがございます。例えば独立採算原則等々でございます。この辺を踏まえながら、かつ同時に長期的観点を見ながら、カントリーリスクを的確に把握するということによりまして、先生おっしゃるような弾力的な引き受けというものを志向してまいりたいと私ども念願しております。  現時点におきましては、短期の保険につきましては、現在リスケジュール国十六カ国あるわけでございますが、ついこの前九カ国につきまして開き出したわけでございます。大体引き受けられそうな国は開いたと自負しておるわけでございます。問題は中長期の保険をどうするかということでございます。これにつきましても逐次具体的案件に即しながら弾力的な運用をやってまいりたいと思います。  先生御指摘の、輸出保険引き受けの審査会を導入したらどうかと、こういう御提案でございます。理解できる点も多々あるのでございますが、その奥には、役人が少しなまぬるいというか、勇気がないという点を御指摘になったのだろうと理解いたします。しかしながら、保険の引き受けというのは非常に秘密性、個々のコマーシャルシークレットが多い、あるいはリスケ国とかその相手の国を秘密を担保しなくちゃいかぬということが多い、あるいは審議会と申しましても、個別の企業の利害にかかわることでございますので非常にやりにくいというような、いろいろ難点がございまして、当面の間、私ども勇気を持って、保険引き受けの再開ということを努力させていただきたいと思っております。
  229. 木本平八郎

    木本平八郎君 ぜひ蛮勇と言わないですけれども、相当な勇気を持って取り組んでいただきたいと思うんです。もうこれは世界的なこういうプラント輸出の非常に厳しい時期ですからぜひお願いしたいんです。  最後に、これはやはりプラント輸出しますと、私も建設現場の第一線に行きましたけれども、ついこの間ペナンで竹中工務店の出張員が射殺されましたね。ああいう事故があるわけですね。それで、民間としてもできるだけのことを対応しなきゃいかぬわけですけれども、なかなかそれだけの補償ができない。家族にとっては非常に不安があるわけですね。殊に、日本がこういうふうに優雅になってきますとなかなか海外に行きたがらない。現実にああいうところで生活していますと、非常に不安もあるわけですね。それからビールス性肝炎とかマラリアなんかで一生背負わなきゃいかぬ病気になるというケースもあるわけですね。こういうことで、これはプラント振興の立場から、私はこういうものに対して、何か生命保険のようなものをやはり国家として考えていただけないかという感じがするんですけれども、それのお答えをいただいて私の質問を終わります。
  230. 木下博生

    政府委員木下博生君) プラント建設工事につきましては、今御指摘のように海外で行います場合にはいろいろなリスクが高いということは確かだと思います。そういうような条件もございますので、現在労災法では労災保険の域外事業に従事する者に対する特別加入制度というものがございますので、そのような制度の活用を図るというようなことで、そういう方々の危険からの保護ということをやる体制を進めていきたいということで、関係各省庁とも十分検討していきたいと考えております。
  231. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 他に御発言もなければ本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十二分散会      —————・—————