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1984-04-24 第101回国会 参議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十四日(火曜日)    午前十時一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         斎藤栄三郎君     理 事                 降矢 敬義君                 森山 眞弓君                 高杉 廸忠君                 市川 正一君     委 員                 石井 一二君                 亀井 久興君                 佐藤栄佐久君                 杉元 恒雄君                 鈴木 省吾君                 松尾 官平君                 松岡満寿男君                 山本 富雄君                 梶原 敬義君                 対馬 孝且君                 福間 知之君                 田代富士男君                 伏見 康治君                 井上  計君                 木本平八郎君    衆議院議員        商工委員長    梶山 静六君        商工委員長代理  渡辺 秀央君    国務大臣        通商産業大臣  小此木彦三郎君    政府委員        公正取引委員会        事務局経済部長  佐藤徳太郎君        経済企画庁調整        局審議官     丸茂 明則君        通商産業政務次        官        大木  浩君        通商産業大臣官        房長       福川 伸次君        通商産業大臣官        房審議官     棚橋 祐治君        通商産業大臣官        房審議官     山田 勝久君        通商産業省産業        政策局長     小長 啓一君        中小企業庁長官  中澤 忠義君        中小企業庁次長  篠島 義明君        中小企業庁計画        部長       鈴木 直道君        中小企業庁指導        部長       粟屋  忠君        中小企業庁小規        模企業部長    藤咲 浩二君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        自治省税務局市        町村税課長    緒方勇一郎君     —————————————  本日の会議に付した案件 ○中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○割賦販売法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     —————————————
  2. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 私は、本法案審議に際しまして、近年、安定成長の定着、消費者需要多様化経営者世代交代など中小企業者組合を取り巻く経済的、社会的環境変化に伴い、その対応としての施策を初め、本法案についての質問と、これらに関連をして、この際、流通問題、流通政策などについて以下ただしたいと考えます。  まず、本法案について伺います。  今回の改正案はいずれも中小企業組合関係者が長年の間要請したものでありまして、その趣旨に反対すべき点は見当たりませんが、問題は改正の時期であります。通産省はもっと早い時期に改正案を作成をして国会に提出すべきであったと考えます。今日までずれ込んだ、おくれた理由というのは何があるのか、まず伺います。
  4. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 今回改正を御提案しております組合法団体法でございますが、それぞれ昭和二十四年、三十二年に制定されたものでございます。この二法につきまして、前回昭和五十五年に組合法法改正を行っておりますけれども、その当時におきましては、中小企業業界から要望の強かった項目のうちの中から、特に火災共済共済事業てん補範囲拡大につきまして改正を行いました。その他、役員の選出方法あるいは休眠組合整理問題等改正を行ったわけでございます。昭和五十五年の法改正時点におきましては、特に緊急とされましたそのような問題を改正したわけでございますけれども、さらに今回御提案申し上げます項目につきましては、事務的な検討が必要だということで、関係業界との意見調整を行ってきたわけでございます。昨年来、全国中小企業団体中央会あるいは中小企業事業団、商工組合中央金庫等のメンバーと鋭意検討を行ってまいりまして、この春に中小企業政策審議会組織小委員会におきまして具体的な改正案を取りまとめたわけでございます。そのような経緯がございまして、今回改正する項目につきましては、もろもろ観点から検討する期間が必要であったということでございまして、昭和五十五年以降検討してまいりましたものを今回改正案として提案しておるということでございまして、私どもとしてはこの検討につきまして精力的に行ってきたというふうに考えておるわけでございます。
  5. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 中小企業等協同組合の中には六種類の組合があります。休眠組合整理によりまして組合数の一時的な減少を除けば組合数は少しずつふえていると思います。組合自体はふえているのかもしれませんけれども、問題は組合構成員である組合員の増減であると考えます。  そこで、次の三点について伺いますが、第一に傾向として組合員となるものの伸び率、これはどのくらいか。第二に逆に脱退していく者もいると思いますが、それらの傾向はどのようになっているのか。第三にその際の問題、これは何か、以上の三点についてお伺いします。
  6. 粟屋忠

    政府委員粟屋忠君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、昭和五十五年の組合法改正に伴います休眠組合整理等によりまして、昭和五十六年度、五十七年度の組合員数は減少しておりますけれども、この両年度におきましても事業協同組合中心にいたしまして約千以上の組合が設立されておりまして、これらがこのような形で実際に活動している組合の数は増加していると考えるわけでございます。  それで、このような組合数増加に伴いまして、事業協同組合組合員中心にどの程度組合員 の数の増加が見られるかという点でございますが、実はこれにつきましては正確な統計はないわけでございますけれども、私ども推計によりますと、毎年約三万人の組合員増加しているというふうに見られているところでございます。  それから組合脱退する組合員はどの程度あるのかというお尋ねでございますけれども、実はこの脱退組合員数がどの程度かということにつきまして、私ども具体的の、統計的な実数は把握していないわけでございますけれども、過去に実態調査をしたところから推計いたしますと、総組合員に対する脱退者比率という観点から見た場合には、その脱退者比率というのは極めて限られた数値であるというふうに見られるわけでございまして、これもあくまでも推計でございますけれども、一〇%未満の数字ではないかというふうに推定しているところでございます。  それから、組合員脱退の主な理由につきましては、これも最近の確実なデータを把握しているわけではございませんが、過去の実態調査等に徴しますと自由脱退比率がかなり高いという報告もあるわけでございますけれども、その後、世代交代期に当たっておりますことや、あるいは経済的な環境変化等もありまして、いわゆる法定脱退——事業休廃止でございますとか事業の転換、あるいは組合員の方の死亡、あるいは解散とか倒産等、そのウエートもかなりふえているのではないかと見られるわけでございますが、いずれにいたしましても最近の明確なデータを持ち合わせておりませんので、この点についてお答えできませんので申しわけないと思っております。
  7. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 今、調査をされた、過去に一回あるという、それはいつなんですか。
  8. 粟屋忠

    政府委員粟屋忠君) 昭和五十年の時点全国中小企業団体中央会脱退実情等に関して調査したデータがございます。
  9. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、事業協同組合の小組合というのがありますね。五十七年度末までに全国で十九設立されていると聞いているんですが、これはおおむね常時使用する従業員の数が五人、商業またはサービス業では二人、これを超えない事業者のためにつくられた組合であると、こういうふうに考えますが、それにしても十九という数は他の組合の数に比べまして大変少ないように思うんですね。この小組合がふえない理由これは何ですか、伺います。
  10. 粟屋忠

    政府委員粟屋忠君) 御指摘事業協同小組合制度は、昭和三十二年の組合法改正によりまして、主として事業者自身の勤労によって事業を行っているような零細事業者組合員となる組合として創設されたものでございます。この零細事業者の定義は、ただいま御指摘のとおり、通常は五人、商業またはサービス業を主たる業種とする場合は二人ということになっているわけでございますが、この制度零細事業者事業協同組合におきまして、個々の事業者の立場からは必ずしも思い通りに組合事業を利用できないということも考えられますので、小組合を設立して、いわば団体加入者としてより大きな協同組合に加入して、その組合事業を利用しやすくする道を開いたものということでございます。  ただ、現在こういった事業協同組合における零細事業者共同施設利用等につきましては、その制定当時想定されましたようなそれほどの支障がないということもございまして、この小組合の設立はそういう事情もあって余り進んでないということも考えられますけれども、今後ともこういった零細事業者がこの制度趣旨を踏まえて、必要に応じて小組合を設立していくということは十分考えられるわけでございます。  なお、最近におきまして、小組合の数が非常に減少しておりますけれども、これは五十五年の法律改正に基づきまして、いわゆる休眠組合整理が行われた際に大きく減少したということによるものが多いわけでございます。
  11. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 ちょっと最後の方が聞き取れなかったからもう一度確認なんですけれども、十九という非常に少ない小組合ですね。だとすれば、今のような情勢や経済的社会的変化に伴って、そういう人たちも積極的に事業協同組合の中に吸収していくことがこれからの課題でもあるし、全国的にわずかに十九ですからね、もっと前向きにこの際検討されたらいいだろうと、こう思うんです。そういう時期じゃないかと、こういうふうに判断をいたしますけれどもどういうふうに考えますか。
  12. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 事業協同小組合制度を制定いたしました趣旨は、先ほど指導部長が御答弁いたしましたように、零細企業者企業者として加入するのがなかなか難しい。それを容認するためにまず小組合をつくって団体に共同加入するということを想定したのが主たる理由でございますけれども、御指摘のように、その結果が全国で現在十九組合であるということは、いかにも制度の活用が全体的に見ましておくれておるという印象はぬぐいがたいものがあるというふうに思われます。零細中小企業者も、やはり集団化共同化をいたしまして事業合理化に努めていくということが大切でございますので、私どもといたしましても、先生の御指摘もございますので、全国中央会等々とよく協議をいたしまして、この制度活性化につきまして検討してまいりたいと、かように考えます。
  13. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 今回の改正組合債務保証範囲拡大することにしていますが、この制度自体は結構なことだと思うのです。しかし、心配されるのは組合保証能力を高めるためにどのような措置をとるかということだと考えます。財務内容の悪い組合保証範囲拡大することができないだろう、こういうふうに考える。  そこで伺いますが、平均的に言って各種組合資産状況これはどのようになっているのか明らかにしていただきたいと思うのです。   〔委員長退席理事降矢敬義着席
  14. 粟屋忠

    政府委員粟屋忠君) お答えいたします。  今回の改正にかかわります債務保証事業実施することができますのは事業協同組合それから事業協同小組合それから商工組合でございますけれども、これらの組合資産状況を平均の出資総額で見ますと、事業協同組合の場合は千七百十二万円それから事業協同小組合の場合は三十三万円、商工組合につきましては七百七十三万円ということになっております。  これらの組合の多くは、ただいま申し上げましたような出資総額以外に準備金とかあるいは積立金等を保有しておりまして、実際の資産保有状況は、こういった出資総額を相当程度上回る組合が少なくないものと考えられるところでございます。
  15. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 資産状況についてのお答えがありましたが、通産省として各組合に対して財務内容を高めるために具体的にはどのような措置というものを考えておられるのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  16. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 組合運営あるいはその資産管理というものは、組合の性格上基本的には組合の自治に征していくということが原則でございます。したがいまして、今回の債務保証範囲拡大に伴うこの運営につきましても、基本的には組合規約によりましてこれを明確に定めていくということになるかと思いますけれども中小企業庁といたしましても、この資産内容健全化ということは非常に重要でございますので、その規約の中にこの債務保証を的確に行いますための基金でございますとか、あるいは積立金という制度を整備することによりまして、組合自体財務内容が強化されていくというような形で指導をしてまいりたいというふうに考えております。  その規約におきましては、また別途の配慮でございますけれども、不良な債務に対して組合保証を行うことによって不測の損害が及ばないというようなことも十分配慮する必要がございますので、債務保証を行うに当たりまして組合員当たりの引き受けの限度額を設定する、あるいは債務内容をチェックするための委員会と申しますか組織を設けるというようなことにつきましても指導し てまいりたいというふうに考えておりまして、基本的には組合能力を超えて保証あるいは債務保証を実行するということがないように十分配慮してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  17. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 次に、今回の改正案によりますと出資持ち口数の特例を認めております。組合員脱退した場合や組合員同士が合併しようとする場合などには、その限度を百分の三十五までに緩和することにしています。やむを得ない場合が多いだろうとは思いますけれども、緩和されることによって肥大した持ち分を持つ組合員が次第にボス化するおそれがあるように心配されるんですね。こうした事態が起きないための担保としてどういうことを考えておられるのか伺います。
  18. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 組合運営が民主的に行われる、あるいは組合目的自体相互扶助でございますから、この組合が事実上特定組合員に壟断されるというようなことがあってはこれは大変なことになるわけでございまして、そのようなことにならないようないろいろな配慮をしなければいかぬというふうに考えております。   〔理事降矢敬義退席委員長着席〕  今回の改正によりましても例外的な場合に出資持ち口数例外を設けるわけでございますけれども、この場合におきましてもその特定組合員につきまして出資例外を認めるかどうかということに際しましては組合の総会の特別議決事項というふうにすることにしておりまして、ほかの組合員意見が十分に反映されるというような仕組みをまず考えておるわけでございます。したがいまして、他の組合員の了解と申しますか、意向が無視されたような形でこの出資持ち口数例外がとられるということはないような制度上の仕組みになっております。  また、これは当然のことでございますけれども組合員議決権あるいは選挙権という一番基本的な権利の行使につきましては、組合原則に従いまして、一人一票制ということが確保されておるわけでございまして、口数が、あるいはシェアが増加したからということによって特定組合員組合の意思を決定する場合に大きな比重を持つということは制度上とり得ないことになっておりまして、いわゆる先生指摘特定組合員ボス化現象と申しますか、影響力が不当に大きくなるということは避け得るような仕組みになっておるというふうに考えております。
  19. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 今回の改正では、火災共済協同組合について共済契約対象者範囲拡大などしていますね。前回、五十五年の改正では事業範囲拡大を行ってきたと聞いています。  そこで次の二点について伺いますが、第一として、現在各地にある火災共済組合は五十五年の改正によってどのような影響を受けたのか、これが第一。  第二として、また今回の改正によってどの程度契約者がふえると予想しているのか、二点について伺います。
  20. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 先生がただいま御指摘になりましたように、昭和五十五年の改正でございますけれどもてん補範囲拡大が行われたわけでございます。その結果、従来から行われておりました共済契約に加えまして普通火災共済契約、それと総合火災共済契約が行われることになりまして、中小企業者にとりまして非常に利便が増大したという結果と申しますか、好ましい影響が出ております。  その結果を数字的に見てまいりますと、昭和五十七年度末現在におきます火災共済協同組合事業成績でございますけれども組合員数で申しまして約九十八万人でございまして、改正前と比較しまして一一%増、それから出資総額につきましても五十三億円増でございまして、同じく五七%増、それから総契約額につきましては約六兆六千億円ということで三六%増というような形で契約額増加が順調に伸びております。また、この収益につきましても順調な業績を上げておるわけでございます。  さらに、今回の改正結果によりましてどのような増加が図られるかということでございますけれども、これは必ずしも計数的に見込まれる、確たる見通しが得られるわけではございませんけれども、今回の改正によりまして、当面、中小企業関係者中心組合員以外の共済契約の締結を行い得るということになりましたわけでございますので、共済契約範囲と申しますか、適用範囲が広がるということによりまして火災共済協同組合経営の安定が非常に拡大すると申しますか、広がりが出るというふうに考えています。一つ試算といたしましては、今後三、四年の間に現在の組合員利用分量に対しまして少なくとも一割程度増加するのではないかというふうな試算が出ておりますけれども、これは今後の各組合努力にもよることでございますので、私どもといたしましては十分な指導をいたしまして、この火災共済組合制度が健全に発達するというふうに指導してまいりたいと考えております。
  21. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 今回の改正で、中小企業団体中央会事業として組合などに関する知識検定法律上の例示事項に追加しています。現在、団体中央会では、独自の試験を行って中小企業組合士認定を行っていますが、その称号を持つ人は現在千八百人以上に上ると聞いているんです。中小企業組合機能充実質的向上を図るため今回法律上明示することによって、具体的にはどのような措置というものをとるのか伺います。
  22. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 全国中央会が従来から中小企業知識を有する者に対しまして検定を行っておるということでございますけれども、現実の実効といたしましては、検定に合格した者に対しまして、組合において三年以上の実務経験を有してきた者に対しまして、中小企業組合士という認定をしてきておるわけでございます。  今回の改正を行うことによりまして、この検定法律上明示するということになるわけでございますけれども法律上の明示がされるということによりまして、この検定に合格した方々がその努力と申しますか、知識に対する評価が正当に行われまして、組合役職員の方、その中で検定を受けた方が評価されるということから検定を受けるインセンチブと申しますか、メリットが出てくるということを期待しておるわけでございます。  具体的な効果がどういうところにあるのかということでございますけれども中小企業組合士という資格を得た方に対しまして、中小企業庁といたしましては、各都道府県中央会指導いたしまして、その中央会がその組合情報連絡員、これは中小企業組合に対してもろもろの的確な情報をよく連絡して指導する資格を有する方でございますけれども、この情報連絡員を選定する場合におきまして、極力中小企業組合士の中から優先的に選定していただくというふうに指導しておりますし、また中小企業中央会におきましては各種調査研究事業を行っておりますけれども、この運営を行います運営委員の任命につきましても中小企業組合士を積極的に登用するというふうに指導しておるところでございます。そういうような形を通じまして、この検定試験を受けた方が中小企業組合活動の中で十分に活用される、それがひいては中小企業者の一般の知識のレベルアップに通ずるという効果をねらっておるわけでございます。
  23. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 今中小企業組合士のお話を伺いましたが、この登録人員を各県別に見てまいりますと、沖縄では何と一名なんですね。なぜこのようなことになるんですか。
  24. 粟屋忠

    政府委員粟屋忠君) 先生指摘のように、沖縄県の中小企業組合士は現在一人しかいないわけでございますが、その理由といたしましては、一つには沖縄県の組合数全国都道府県の中で最も少ない、現在三百十組合でございますが、このために検定を受けようとする組合役職員の方も数が少ないということが一つあるわけでございますが、同時にこういった沖縄県内での検定受験者が少ないこともありまして、この検定試験というのが全国各地ブロックごとに行われておるわ けでございますが、沖縄県内では検定実施がされてこなかったといった点が挙げられるかと思います。しかしながら、沖縄県におきましても当然のことながら、中小企業組織化を推進する必要は他の地域にも増して高いわけでございますので、この中小企業組合士制度の普及を図る必要性沖縄県についても高いということで、五十九年度の検定実施に当たりましては、この検定を担当いたします全国中央会に対しまして、県の中央会十分相談の上、沖縄県内においても検定実施することを検討するように指示しているところでございます。
  25. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 最近の傾向を見ますと、かなりの県で認定者がゼロという現象が生じているんですね。  そこで伺いますが、その原因、また理由これは何だと考えますか。一つ考えますことは、全国では組合士になろうという人が少ないだろう、少ないのかな、こういうことなんですね。それから二つ目に考えられることは、あるいはまた試験内容が非常に年々難しくなってきているのかな、こういうふうに考えるのですが、具体的にはこの理由どういうように把握されていますか。
  26. 粟屋忠

    政府委員粟屋忠君) 先生指摘のとおり、近年検定試験合格者が一人もいない県もあるわけでございます。で、その理由といたしましては、確かに県によりましては、これまでの検定制度についての十分な周知徹底が図られてこなかったということから、受験者数が近年極めて少数となっているということが挙げられるわけでございます。しかし、全国的な受験者数という点から見てみますと、昭和五十二年以降、大体三百人から四百人程度でほぼ横ばいで推移しておりまして、必ずしも全体として減少傾向をたどっているわけではないわけでございます。それから、全国ベースでの合格率という点につきましても、昭和五十三年と五十四年の両年には確かに二〇%台ということがあったわけでございますが、これはむしろ例外でございまして、それ以外の年におきましては、合格率は三〇%ないし四〇%台となっておりまして、したがいまして試験内容が近年に至って特に難しくなったということもないかと思われるわけでございます。  今後につきましては、このたびの改正によりまして検定法律上明示されることとなりました場合には、これを機会にこの制度周知徹底を十分行うことといたしまして、多くの組合役職員の方がこの試験を受験し、その資質の向上を目指すように十分な指導をしてまいりたいと考えているところでございます。
  27. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 先ほど長官から、情報連絡員あるいは各種研究調査、こういうような非常に重要な役割を持つというようなことを言われました。今、質疑を通じて明らかなように、最近非常に組合士の合格率も悪いし、ほとんどゼロという県もある、こういうようなことですから、これからせっかく本法案改正をして、組合の機能を充実強化していこう、こういうことでありますから、あわせまして、これらの趣旨に基づいて充実強化ができるように一段と改善をし、取り組んでいただきたい、これは要請をしておきます。  そこで次に、流通関係で、せっかく大臣がおいでですから、お伺いをいたしたいと思いますけれども、我が国の経済が、公共投資や民間設備投資に主導される経済の体質から個人消費に依存する体質に変化しつつある、こう考えるんです。また、産業構造も基礎産業主導型から消費財産業主導型に変わってきており、さらに消費支出に占めるサービス購入の増加が進んで、サービス経済化が進展しつつある、このように考えるんです。こうした経済情勢の変化のもとで、我が国の流通部門にも必然的に大きな質的転換がもたらされると考えます。大臣の御所見をまず伺います。
  28. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 高杉委員のおっしゃるように、我が国経済が成熟化してくる、あるいは情報化が進展する、そういう結果、ますます消費者ニーズというものが多様化してくることは、これは当然でございます。そういうことに的確に対応するために、消費者と生産者を結ぶ流通部門と申しますか流通産業、その役割が一層重要になることは必然的であると私どもは認識いたしておるわけでございます。  この流通産業をめぐる環境が極めて流動的ではございますけれども通産省といたしましては、我が国流通産業をめぐる情勢の変化を今後とも十分把握してまいりたいと考えておるところでございます。
  29. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 さらに大臣に伺いますが、昨年末に発表されました八〇年代流通ビジョンでの提言ですね、大臣はどのように受けとめますか、まず伺いたい。  さらに、心の豊かさを求める社会へと変革する情勢の中で、流通の比重が高まると思います。この点についても、あわせまして大臣の御見解を伺いたい、このように思います。
  30. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 先生指摘のように、昨年の十二月二十三日に、八〇年代の流通産業はいかにあるべきか、まあ私ども流通ビジョンと呼んでおりますものが発表されました。これは、産業構造審議会流通部会と中小企業政策審議会流通小委員会の合同部会でございまして、多数の委員の方々の御議論が一年二カ月行われまして、その結果の通産大臣への答申でございました。まさに今先生指摘のように、七〇年代以前の流通ビジョンというものは、どちらかといいますと大量生産、大量販売、大量消費というスケールメリットを求めて、それによって物価を安定させて量的な意味での個人生活を充足させよう、こういう趣旨に基づくものでございました。しかし、先生指摘のように変化をいたしてまいりました。時代の要請ということでございます。それに応じて、むしろ大量生産、大量販売という生産者側からアプローチするのではなくて、個人消費の現場である消費者のニーズというものからさかのぼって流通全体を眺めていこう、それに基づく政策を展開していこう、こういう趣旨で提言がなされております。  これを受けまして私ども流通政策をやってまいる所存でございます。
  31. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 大臣いかがですか。
  32. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 中小企業そのものの性格全体を眺めてまいりますと、そういう中には非常に零細過ぎるという場合もあると思うんです。あるいは多過ぎるがゆえに過当競争を招くということもございましょう。あるいは、近代化される以前からずっと残ってきた商売があるとすれば、そのために効率性が非常に低いという要素もございましょう。そういう中に中小企業というものがどうやって生きていくかということになりますれば、それはやはり時代のニーズに応じたあり方を確立するということは、やはりその中に、何と申しますか、いわゆる小回りのきく性格というものを活用するということに私はその特徴があると思うんです。そこに大企業と違った中小企業そのもののあり方というものを今後どうやって生き残るように指導していくか、それがやはり我々の大きな務めではないか、かようなことも考えておるわけでございます。
  33. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 大臣も御承知のとおりに、一九六〇年代の高度成長期における流通政策と低成長期の八〇年代における流通政策とでは、その内容に大きな差があると考えなければならないと思います。例えば、当時言われました流通近代化というのは、近代化と称して中小零細流通業者を切り捨てる、効率化を図ろう、こういうふうにするものであったと言わざるを得ないんです。高度成長期にあっては、パイ自体が大きくなっていますから、その弊害が目立たなかったと言えますけれども、低成長期の今日にあってはこうした中小零細企業者の切り捨ての政策というものは許されないところだと私は考えます。八〇年代における流通近代化とはしからば具体的にどのような内容を持つものか、この際明らかにしていただきたいと考えます。
  34. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) まさに高度成長期は経済全体が伸びておりますから、小売業あるいは その中における中小企業の販売額も、商店数も、また従業員数も大幅に伸びていったということでございます。八〇年代に入りましてこれが安定成長ということになりましたから、全体としてその伸び率というものは鈍化すると思います。最近における実績を見ましても、しかしながら小売の商店数、そしてその従業員が少ないいわゆる中小小売業というものの店舗の数もかなり今増加をいたしております。そういう意味では先ほど先生指摘の経済の消費中心あるいは生活中心、あるいはサービス化、そういったものと裏腹の関係にあるんだろうと思います。しかし、高度成長期と安定成長期という社会情勢、経済情勢が変わりましたものですから、流通政策なり流通ビジョンというものもまた変わってくるわけでございます。七〇年代以前の流通近代化と申しますのは、先ほど御説明いたしたしたように、効率化ということを中心にしてその合理化の成果を個人消費、生活あるいは物価というものに反映をさせるということでございました。しかし、八〇年代になりますと、いわゆるマスプロと申しますか、少品種を多量生産するパターンから消費者のニーズも個性化、多様化しまして、それに応じてメーカーあるいは販売流通という面も多品種少量生産型に転換をしなければならないと思います。  そういった観点でこの次の近代化ということはどういうことであろうかと申しますと、二、三の特色があろうかと思います。  一つは消費者のニーズが個性化、多様化して非常に複雑になりましたために、それにどうやって応じていくかという情報化、大臣先ほど御答弁になりましたように、情報化ということが一つ新しい流通近代化の方途ではないかと思います。中小企業という方々はまさに日本のマジョリティーを占めておりまして、これが実は活力ある多数というグループでございますので、この点高度情報技術ということになりますといささか立ちおくれるおそれなしとしませんので、政策として情報化という点での近代化、特に中小企業対策をきめ細かく行っていく所存でございます。  それから先ほど大臣も申し上げましたが、今後の消費者ニーズということに的確に対応するということは、地元密着性あるいは小回りのきく人の顔をした流通政策というんでしょうか、そういった心のある流通産業でなければ新しい消費者に対応できないんじゃないか。そういう意味でこれからの流通近代化は単なる物理的な意味での効率性だけではなくて、心の通う小売業でなければならぬ、そういうこともまた新しい近代化の内容ではないかと思います。そういう意味で町並みをつくっていく、大型店も中小小売店も共存共栄して町並みづくりをしていく、それもまた新しい近代化の意味ではなかろうかと思っております。
  35. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 お答えをいただきましたが、それじゃ端的に伺いますが、七〇年代の流通ビジョンと八〇年代の流通ビジョン、どこがどのように具体的に異なるのか、具体的に、できるだけ、今お答えいただきましたが、私は端的にひとつ伺いたいと思うんです。
  36. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 七〇年代の流通ビジョンをもう一回振り返ってみますと、まず第一に、やはり市場構造の高度化と申しますか、スケールメリットを追求するあるいはシステム化するという面が第一に指摘されていたのでございます。そのほか、有効競争の維持、あるいは消費者利益の増進等々、いろいろ掲げられておりまして、現在でもそういった点は続けなければならないと思います。しかし、力点の置き方という点を考えますと、第一のスケールメリット、システム化というところにあって、それを通じて効率化を進めて消費者にその利益を遷元する、こういった考え方であったかと思います。  それに対して、八〇年代の方は、やや先生のお言葉に甘えて端的に申しますと、その効率性ということは経済社会なり国民生活においてもやはり必要な概念ではございますが、もう一つ、町並みづくりとか、あるいは消費者の個性化、多様化というものに質的に対応するというか、そういった消費者利益ということと、それから町並みづくりということがもう一つ加わって、いわゆる経済の効率化、プラス、私どもの言葉でいいますと、流通の町並み化というちょっと新しい言葉がございますが、そういった複眼的な思考が八〇年代ビジョンであって、七〇年代ビジョンの要素もある程度受け継ぎます。しかし、それに加えて新しい要素を入れたということでございます。
  37. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 現在、我が国の商品流通から商業の介在、これをなるべく排除していこうという動きが進んでいると聞いているんですけれども、その理由とするところには、一つには、中間搾取を少なくして物価の上昇をできるだけ抑える、二つ目としては、必要のない分野にまで商業が介在しているのでこれをなくそう、こういうことだろうと考えられるんです。例えば、ある家電の社長の言によりますと、アメリカと日本とでは流通のコストが非常に違う、こう言っているんですね。日本国内の流通におけるメーカーサイドの負担が大き過ぎる、こういうふうなことも述べているんですね。日本では商慣習として仕切り価格とかキャッシュリベート、こういうものがあって、アメリカの方がはるかに商売がやりやすい、こういうことも述べているんですね。こういう声を聞いていますと、いわゆる大企業では商業排除、すなわち中小零細小売商の排除という方向で考えて、その方向へと進んでいるのではないか、こういうふうに想像するんですが、通産省の方ではどういうふうに認識をされ、またどういうふうにお考えになっているのか、この際伺います。
  38. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 流通小売というのはまさに各国のそれぞれの文化、伝統、歴史というものに深く根差した分野であろうかと思います。そういう意味で、アメリカも、ヨーロッパも、また我が国も、それぞれ共通する面もあると同時に、異なった面もあろうかと思います。  そこで、先生指摘の最初のポイントで、商業流通部門というものが経済社会の中で圧迫されているのではないかということでございますが、先ほどの個人消費の需要の方が個性化、多様化してくるということになりますと、その情報をキャッチするという機能はこれから非常に重要でございます。メーカーの方だけではそれがつかみ切れない。したがいまして、流通産業あるいは商業というものは、従来は生産者から消費者へ物を運ぶパイプ役をいたしてまいりました。これからももちろんそれは重要な役割ですが、もう一つ消費者需要の方の変化というものの情報をメーカーの方に流す、情報のまたパイプ役でなければならないかと思います。そういう意味でむしろ従来よりは流通というものの役割はふえるんではないかというふうに思っております。  それから、メーカーサイドから商業コストの低域ということでいろいろ要求があるということでございますが、流通産業の方も過大なコストを負担させるということではなくて、やはり合理化をするという面も必要でございます。しかし、それなりに流通段階というものの意義、役割というものがあるわけで、到底メーカーの段階では把握できない情報、あるいは販売網というものが機能していると思います。例えば、マーチャンダイジングといいますか、市場、需要者の声に合わせて商品化する、どういう品物をつくったらいいかということ、これはやはりひとつ流通産業の一つの重要な役割ではないか、これからもそれは変わらないと思っております。
  39. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 昭和四十三年の「流通近代化の展望と課題」、こう題して、中間答申の中で、我が国流通機構には、一つとして「取引の錯綜と複雑さ」、二つ目に、「大量取引体制の未成熟」、三つ目に、「不合理な取引慣行」、こういうことが問題として指摘されているんですね。この一について見れば、確かに我が国の流通経路というのは卸売業内部での流通段階が非常に多い。その結果、経路全体が細く長い、こういう特徴があると、こういうふうに言えると思うんです。例えば、我が国の卸売業の販売額の半分近く、これは同じ卸売内部での取引である。これに対してアメリカでは、そ の比率が約半分にすぎない、こう言われているんですね。  そこで伺いますが、我が国の流通部門の零細性、非効率性、過多性、これらについてはどのように考えておられますか。
  40. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 我が国の流通機構は一般的に先生指摘のように、人口当たりの小売商店数というものは外国に比べて多うございます。またこれもまさに先生指摘のように、卸売販売額と小売販売額との比率、これが諸外国に比べて高うございます。卸売の金額というものが幾つか、幾重にもなりますので多くなっているということでございます。こういう点、多段階性あるいは複雑性というものが外国との比較でよく言われているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、一国の流通機構は歴史とか文化とか伝統とかいうものを背景にいたしまして築き上げられているものでございます。また、このような指摘でございますけれども、やはり流通機構というものが変化をしておりますし、それからこれだけ卸売が多い、あるいは小売が多いということはそれだけ地元密着性、あるいは豊富な選択というようなこともございます。外国からのいろいろそういった過多性だとか非効率性とかいう御主張もございますけれども、我が国の消費者というのはなかなか厳しゅうございまして、外観の完全性とか、品質とか、機能とか、迅速な商品の入手とかいうものがございます。やはり消費者の要求というものがアメリカ人とちょっと違っておりまして、すぐオーダーすればもう直ちに、例えば家具などが買えるという我が国の様相、それとアメリカ人あたりになりますと、注文して一月ぐらい待つという習慣、そんなのから若干違っているんではないかと存じます。
  41. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それではさらに伺いますけれども、我が国と欧米の流通業とではどこに何が大きな違いがあるかについて、具体的に私は数字を挙げていただくと大変わかりやすいかなと思っておりますから、できれば数字を挙げていただいて、詳細についてはまだ資料もぜひ御提出いただきたい、お願いをしたいんですが、いかがでしょうか。
  42. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 詳細は資料として先生に御提出申し上げます。  ごくかいつまんで外国と比較をしてまいります。  まず第一に、小売業でございますけれども、日本の場合には、人口当たりの店舗密度が高うございます。例えば一万人当たり、日本ででは百四十店ございます。アメリカの場合には六十七店舗でございます。それから、店舗の規模でございますけれども、一店あたりの販売額、従業者数を見ますと、いずれもアメリカ、西ドイツのおおむね半分程度の規模でございます。それから、従業員の非常に零細なところがどうなっておるかということでございますが、一人、二大規模の従業者の商店数というものにつきますと、これはアメリカとフランスのちょうど中間にございます。それから、卸売業を見ますと、小売業ほどの変化はございませんで、大体我が国の卸売店舗の抱える小売店舗数、一軒の卸売屋さんが平均何店の小売屋さんを持っているかということでございますが、これがアメリカとフランスと同じ水準でございます。それから、店舗の規模も大体アメリカ、西ドイツと遜色のない姿になっております。それから、一人、二人の卸売業というものもあるわけですが、これは非常に日本の場合には少のうございますけれども、アメリカとかフランスの場合にはもうちょっと多い、こういうことでございます。卸売業においては余り変わりはない、小売においてはいささか規模において変わりがある、こういうことでございます。
  43. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 私は、我が国の流通業の特徴が即すべて短所に通ずるとは考えないんです。その点はこれからも明らかにしていきたいと思っておりますけれども、今の通産当局の報告について、この際大臣にちょっと、せっかくですから伺うのですが、今までお聞きしておりました欧米との比較等を含めてどの点を我が国としては改善をしていかなければならないと大臣はお考えになっていますか。
  44. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 事中小企業に関して申し上げれば、やはり我が国の中小企業はそれなりにいいところもございますけれども、日本社会全体が近代化した、近代化したといっても、やはりかなりの前近代性がそこに持っておることは事実だと思うんです。しかし、そういうような前近代性というものが残っているのが一番私は中小企業の分野じゃないかと思います。俗に言う眠り口銭というような言葉がございますけれども、そういうような流通の段階で眠り口銭的な性格のものが私はなしとは言えないと思うんです。そういうものを的確に排除していく、そういうことが流通の近代化、流通というものの合理性というものを高めていくことではないかと思うんです。眠り口銭という言葉はあるいは誤解を与えるとちょっと遺憾なことでございますが、私はそういう意味での努力を我々はなすべきではないかと考えるところであります。
  45. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 公正取引委員会。昨年四月に出された公正取引委員会の「輸入総代理店等の実態調査」その中でも、「各国の流通機構は、各時代のニーズを反映して発展してきたもので、我が国においても流通機構は、問屋を数段階経由するものがある一方、直営店方式、直卸等、新しいニーズに応じたものが発展しつつある。」こう指摘した上で、「我が国の流通経路が外国におけるものとたとえ異なるとしても、それが外国品の参入をはばんでいるとはいえない」こういうふうに結論づけているわけですね。また、流通経路の閉鎖性についても、国内流通機構が「輸入品を不当に差別したり、参入を拒否しているような例はみられなかった。」、こうしているんですね。  そこで伺いますが、それにもかかわらず、諸外国から我が国の流通に対して注文とかクレームとかが絶えないですね。これはどのような理由があるんですか、この際お聞かせをいただきたいと思います。
  46. 佐藤徳太郎

    政府委員佐藤徳太郎君) 御説明申し上げます。  ただいまお話ございますように、昨年の四月、私どもといたしましては、輸入品の、特に消費財でございますが、取引で自由で公正な競争が不当に阻害されているようなことはないかどうかという、競争政策あるいは独禁法運用の観点から調査を行いましたわけでございます。調査した品目は、乗用車、オートバイ、電気かみそり、腕時計、ガラス器・陶磁器、ハンドバック、化粧品、チョコレート・ビスケット、スパゲティの九品目でございまして、流通経路につきましても調査をしましたところ、先ほど来先生がおっしゃいましたようなことでございまして、それぞれ消費の特質に応じて直卸でありますとか、あるいは旧来の問屋組織を通じる方法とかいろいろやっておるわけでございまして、私どもが調べた限りではその流通の中において輸入品に対して差別的な取り扱い、自由で公正な競争が阻害されているという事態は見分けられなかったわけでございまして、したがいまして、私どもとしては、今後ともこういう調査を行って、もしも独禁法上問題があるような場合には適正に対処する所存でございまして、そういうことで諸外国の誤解といいますか、問題に対処していきたいというぐあいに考えております。  なお、外国からいろいろまだ話があるのは承知しておりますので、その辺の外国の言い分につきましては、理由があるものについては私どもとして適切に対応したい。それから、誤解に基づくようなものも一部ございますので、その辺については私どもとして十分な説明を行いながら誤解を解いていくように努めていきたい、こういうぐあいに考えております。いろいろ多岐にわたる問題がございますのでいどういう理由でということはなかなか一概に申し上げられないという実態でございます。
  47. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 それじゃ続いて伺いますけれども商業統計速報ということで伺います。  昭和五十七年の商業統計速報によりますと、昭 和四十七年から五十一年までの商店数の伸びは高まる傾向であった、しかし五十四年以降は鈍化の傾向にある、このことを示しているわけです。しかし、卸売業では伸び率は高まりを見せており、鈍化が目立つのは小売業、飲食店であるということを指摘しているんですけれども、そこで伺うのですが、この事態をどのように通産省の方では分析をし、また今後どのように対応しようとするのか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思うんです。
  48. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) ただいま先生指摘商業統計というものを見てみますと、四十七年から五十一年の間には全体として年平均三・五%、毎年三・五%ずつ伸びております。かなりの伸びだと思います。その内訳を卸売業で見ますと、まさに御指摘のように七・〇%で伸びておる。それから小売業でも一・九%、飲食店は六・二%となっております。それが五十四年から五十七年のこの三年間になりますと商店数の伸び率は年平均で二・五%でございまして、その前の期間に比べまして一%ポイントだけ鈍化をいたしております。その内訳を見ますと、卸売業が五・二%でかなり伸びております。小売業は〇・九%とかなり鈍化をいたしております。また、飲食店が四・四%ということでございます。全体として伸びている、しかし最近は鈍化をしている、しかしその中で卸売業は比較的伸びが大きい、こういうパターンでございます。  では、どうしてこういったことになっているのかということでございますが、全体の伸び率が鈍化したということは、ある程度我が国経済が安定成長期に移行したという全体構造の中から生まれてくるものだと思います。しかし、卸売業というものが相対的にその中で高い伸び率を示しているというわけでございますが、その理由といたしまして、一企業一店舗という単独店というものの伸びということよりはむしろ既存店の支店の数がふえ、それによって卸売業店舗数がふえている、こういうことでございます。これは地方の時代と申しますか、経済が地方に展開をするその過程において支店をつくって、その地方地方の小売業に対して卸売業がきめの細かいサービスをしよう、こういう地方展開がその背景にあるのではないかと思っておりまして、これはこれなりにひとつ結構な方向ではないかと思っております。
  49. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 さらに伺いますが、六〇年代の我が国の商業の動きを見ますと、その特徴は卸売の伸びが小売をはるかに上回っていたと、こういうことが言えると思うんですね。商店数の伸びにおいても、従業者の伸びにおいてもこのことは言えると思うんですね。小売商の店数、従業員の伸びが卸売商を下回ったのは最終消費の伸びが生産力の発展に比して不均衡に低い水準にとどまってきたところにあると、こう言われると思うんです。この観点から昭和五十七年の商業統計調査を見ますと、過去の六〇年代の動きと非常に似ているのではないかと、こういうふうに思うんですね。  そこで伺うんですが、最近の物離れ、その傾向が小売店舗の数の伸び悩みにあらわれているんじゃないかと、こういうふうにも考えられるんですけれども、この物離れについてはどのように見ているのか、伺います。
  50. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 小売店舗数の増加の鈍化はやっぱり安定成長経済へ移行したということでございます。  もう一つは物離れあるいはサービス経済化ということが言われますけれども、私どもこの消費支出を物とサービスとに分けてみますと、なるほど名目金額ではサービス化の進展が非常に早うございますけれども、これをデフレートと申しますか、物、実物というものに換算をいたしますと余りサービス経済化という進展が急激ではございません。ということは、物離れということは少し若干誇張されている嫌いもあろうかと思います。しかし小売業の販売の内容というものは若干ずつ変わってきておりまして、生活必需品的なもののウエートからむしろ余暇、教養というものに変わっているんではないかと思います。特に小売業の消長を見てみますと、生活関連の雑貨小売業あるいは教養、余暇関連小売業、こういうものが、消費者ニーズが多様化、個性化するために専門店化しておりまして、この点が数が大きくなっているというふうに思います。それからサービス経済化ということはなるほどございます。それに伴いまして、実はスポーツ施設に附属してスポーツ用品需要が伸びているということがございますし、その他のサービス需要の増加に付随して新規の物の需要も伸びているということでございますから、必ずしも最近のいわゆる物離れというものが直ちに小売店舗の伸び悩みに結びついているということもないんではないかな、むしろサービス経済化ということを利用して物を販売していく、あるいは物を販売するに際してもサービスを同時に売り込むということがこれからの主として中小小売業の役割ではないかと思っております。
  51. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 さらに伺いますけれども、過去、産業構造の変化によって農業その他が排出をした労働力と新規労働力とを加えた四分の一以上を卸、小売部門で吸収してきたところにあると、こう言われていますね。この傾向は製造業の労働力の吸収力が低下するのに伴って一層強まってくるんじゃないかと、こういうふうに思われるんですね。  そこで、先ほども申し上げましたように商店数の伸びが低下してくるにつれて従業者の伸びも低下するのではないかと、こういうふうに考えるんですね。従業者の年平均増減率、これは現在どのようになっているのか、これが一つですね。  それから二つ目は、今後ほどのように予測をされているのか、あわせまして伺います。
  52. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) まず最初に、卸売業、小売業が全層用者数と申しますか全従業者数に占める割合を御紹介させていただきます。これによりますと、昭和四十五年、今から約十四年前でございますけれども、全体で小売、卸売が一五・六%を占めておりました、全体の従業員の中で一五・六%をこの流通で見ていたわけでございます。それが最近の五十七年というデータでは一八・八%になっておりまして、全体としてこの卸売、小売業が雇用を吸収してきたという姿でございます。  これからのお話でございますけれども、消費者ニーズが個性化する、多様化するに伴って趣味とか余暇とかそういう分野を中心に小売店舗数が専門店という格好で増加が予想されます。それから卸売も、先ほど申し上げましたが地方展開、あるいは小売の従業者数も、今後都市化ということが起こりますので、地方の都市において雇用吸収が増加するのではないかと私ども考える次第でございます。新業態の開発ということもございます。それから今後高度情報技術の活用という面もございますが、一方心の触れ合う小売という面でのニーズもございます。私どものこの流通ビジョンではこれをハイテクとハイタッチと言っておりますけれども、ハイテクノロジーが進めば進むほど人間的触れ合いという意味でのハイタッチも必要になる、これがやはり商業における雇用を吸収していく、あるいはサービスを提供する可能性、場があるということの背景ではないかと思っております。
  53. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 我が国の流通機構は伝統的に商品別あるいは業種別、縦割の構造を持っていたと思うんですね。しかし近年すべての業種で商品構成の多様化総合化が進んだ結果、特に商品別流通政策のような縦割的行政では対応し切れない面がふえてきているのではないか、こういうふうに考えるんですね。  また、そのほか、都市商業政策における通産省と建設省あるいは自治省、こういうような関係、また流通、物流における運輸省とかあるいは通産省とか、情報における問題についてはまだ郵政省、こういうように多岐にわたって縦割ではなくて横断的な行政というのが必要ではないか、あるいはもうそういう必要が増加しているのではないか、こういうふうに思うんですけれども、これはぜひ大臣、せっかくですから大臣から伺いたいんです が、縦割ではなくて横断的な行政、これからの八〇年代流通ビジョンの関係もありますから、そういうふうなことについて大臣はどういうふうにお考えになりますか、横断的な行政について。
  54. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 高杉委員のおっしゃることは私率直に言って理解できます。例えば建設省、運輸省等々関係あるということももっともな御議論でございまして、輸出輸入ということになりますれば当然これは港湾荷役の問題も絡んでくるでしょうし、あるいは倉庫等の問題等も絡んでまいりますし、当然それが広い意味での流通という段階の中に含まれてくると思います。そういう意味では検討する余地大いにございますけれども、しかし余りにも商品が多過ぎて、委員のおっしゃる考え方がどのようなものであるかちょっと私理解できませんけれども、今御質問を受けた段階で私は確かに検討の余地はあると思います。
  55. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) まさに大臣御答弁のように、実際いろいろこれから、横断的な面での連携プレーというものが必要だと思います。ごく最近のことでございますけれども、地域商業政策と都市政策というものとの関連につきまして私どもと建設省との間におきまして総合的に推進しようではないかということで合意を得ております。商店街整備事業と例えば市街地再開発事業ということがその一つの例示でございます。そういう方向で、大臣御答弁のように、具体的には関係省庁と十分連携をとりながら流通政策をやってまいりたいというふうに思います。
  56. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 ぜひその近代的な対応のためにも、行政も横断的な行政でいくように御努力をいただきたいと思っております。  さらに今民間では、直接間接に流通にかかわる法律が非常に多いと言うんですね、多過ぎると。それで各法律間で整合性を欠く、こういう場合があると、こういうふうに言われて、体系的な政策運営を行うためには、中小小売商業振興法あるいは大店法あるいは商調法、こういうものなどを全部包含して流通近代化法、こういうものをぜひ制定してほしい、こういう要請があるわけなんです。私はやっぱり国民の声だと思うんです。そこで大臣にぜひひとつ、流通近代化法については積極的に検討されて、できれば小此木通産大臣の在任中ぐらいにこれが実現されるように積極的に取り組んでいただきたい。これはさっきの横断的な問題も含めこれからの流通ビジョンにも含まれているわけですから、そういう方向でぜひひとつ大臣お考えになっていただきたいと思うんですが、どうでしょう。
  57. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 先生指摘の、今挙げられました大店舗法、いわゆる大店法、それから中小小売商業振興法、あるいは小売商業調整特別措置法、こういう法律等々によりましてその法目的を実現すべく実施をしているのが現在でございます。私ども、そういった現法律体系をもって流通行政というものが適正かつ円滑に行われていると存じております。  一部そういう近代化法というものがあってはいかがかなという声もあるやに存じておりますけれども、この流通近代化法をつくっていこうではないかという点につきましては、その盛り込むべき内容必要性につきましてまだコンセンサスができていないのではないかと思います。それから流通ビジョンでも述べられておりますが、小売商業をめぐるいろいろ環境、競争環境などの動向も今変動期、転換期にございます。  そういうこともございまして、いずれにしても当省としては今後とも流通行政に関する各般の法令の適正かつ円滑な実施ということを図ることといたしておりまして、これからの流通政策の基本というものに関しましては常にその客観情勢の動向を見守って対処をしてまいる所存でございます。
  58. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 政府委員指摘した個々の問題での法律は確かにそれなりに役割は果たしておりますけれども、流通近代化法というすべてを網羅した法律ということになれば、文字どおり先ほど委員のおっしゃった横断的な、例えば通産省、運輸省、建設省、郵政省、そこらを網羅した法律ということで膨大な法律になってくると思うんです。とても私の在任中にでき上がるような法律ではないと思いまして、御議論の筋はわかりますけれども、非常に難しい問題であると私は考えます。
  59. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 ぜひひとつ前向きで大臣お取り組みをいただきたい、お願いをします。  そこで、流通政策の体系化を図るために時代の要請にこたえなきゃならぬと思うんです。そこで、現行の関係審議会とか部会とか委員会、同じようなものが幾つもあるんですね。ですからまずこの際これらを吸収統合して、私はやっぱり総理大臣の諮問機関として流通審議会、こういうものを設置をすべきである、こういうふうに考えるんです。こうしたことこそ直ちに実行すべき具体的な行革だと思うんですね。むだを排除していく、時代の要請にこたえる、こういうふうに私は考えているんですが、この点についてはどういうふうなお考えを持っていますか。私はやっぱり流通審議会の設置は民間からも非常に強い要望もあり、提唱されているわけです。ですから、もう難しい行革はそっちのけてもいいから、こっちの方こそこんなにたくさん幾つもある、同じようなもので審議会を重ねているよりは、より具体的な行革なんですね。ですから、私は通産大臣の決断と実行にあると、こういうように思うんです。そのことも強く要請いたしますけれども、大臣いかがでしょう。
  60. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 私どもとしては、審議会におきまして流通政策検討をする、こういった点に当たりましてはいわゆる産業政策と中小企業政策、この連携プレーということが肝心だと考えております。そういう点から、私ども既存の産業構造審議会流通部会、それから中小企業政策審議会の流通小委員会、この合同部会でもってこの流通政策をやらしていただいている、あるいは諮問をしている、御答申をいただくということでございます。先ほど御審議いただきました、十二月に発表されました「八〇年代の流通ビジョン」もこの合同委員会が一年二カ月にわたりまして十二回、毎月一回三十九人の委員の方々がかなりの良好な御出席率でかなり長い時間議論した成果でございます。こういった経験から見ますと、この流通政策につきましては中小企業政策審議会と産業構造審議会のそれぞれの部会の合同会議ということで十分その実効を上げておりますし、またこれからも上げ得るんではないかと思っております。そういう点で、新たに流通審議会ということを設ける必要はないんではないかなと考える次第でございます。
  61. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 同じようなものが幾つかあるときには統合して、やっぱりそういうことが時代の要請なり、行革を唱えている今日ですから、具体的な実現にあるんではないかなというふうに私は考えますから、そういうこともあわせまして効率的に運用された方がいいんじゃないか、こういうように思います。  だんだん時間も迫りましたから、次にPOSの関係について伺いますけれども通産省のPOS、いわゆる販売時点情報管理ですね、このシステムに基づくデータベースの整備構想、これについて伺うのですが、報道によりますとPOSデータを吸収をし管理する公的機関と、収集されたデータ等分析、加工して利用者に提供する民間のデータサービスといいますか会社とに分化をさせるように聞いているんですけれども、その分化をする理由ですね、これは何でしょうか。それを伺いたいと思います。
  62. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) ただいまのPOSを中心にいたしまして流通データサービスをやっていかなければいかぬ、これは先般来の消費者ニーズの情報化ということでございます。と同時に消費者ニーズをまたフィードバックすることでもございます。こういった生産者から小売業に至る流通の各段階におきます需要動向をPOSというものによって入手し、それをデータサービスとしてできるようにするということは、これからの情報 化社会において非常に重要だと思います。しかし、この御検討というものは実は最近始めたところでございまして、昨年の九月に産業構造審議会の流通部会のもとに流通データ・サービス分科会というものがつくられまして、昨年の十月から検討を開始したところでございます。三年間かかるものでございますから、まだ研究の緒についたばかりでございます。ただいま先生指摘の点につきましても、これからの審議の過程で方向が出てまいると思います。まだそういう分化、どういう方向でやるか、まだ決まっていないのが現状でございます。
  63. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 我が国では民間の情報関連企業ですね、データベースの事業化をすでに計画しているところもあると、こう聞いているんですね。これらの企業にとってみれば、データの収集を公的機関に全面的にゆだねることについては若干反対もあるというふうに聞いているんですね。この構想が固まるのはいつごろなのか、またそれまでに私は十分民間の意見を、声を聞くべきだと、こういうふうに考えるんです。いかがでしょう。
  64. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 流通データサービスの研究は昨年十月に開始をされまして、五十八年度、五十九年度、六十年度の三年度にわたる研究でございます。したがいまして、六十年度にその研究成果と提言が出てまいるわけでございます。その間、先生指摘のように流通関係者意見を十分聴取いたしまして、この研究成果を実り多いものにいたしたいと思っております。
  65. 高杉廸忠

    高杉廸忠君 効率的に、時間も大分余っておりますが、たまには少しこれは早めてもいいだろうと思っておりますから、御協力をいたしまして、最後になりますが、本法案審議についても、最初申し上げましたとおりに幾つかの問題の提起をし、また要請も申し上げました。また、我が国の流通問題についても、「八〇年代の流通ビジョン」についてもできるだけ効率的に近代化を促進して、さらに消費者の立場に立つ流通というふうなこともあわせまして、通産省としても積極的にお取り組みをいただきたい、このように考えております。  最後にこれらの要請をいたしまして、あるいは本法案についての組合の機能を充実したり、強化をしたり、時代の要請にこたえる、こういうようなこともあわせまして幾つかの提言もいたしましたから、これら法案に関し、あるいは流通問題に関し幾つか申し上げましたことを踏まえまして、通産大臣の積極的な行政の推進をお願いしたい、このように思います。最後に大臣からこれらに対する御所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  66. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 時代の要求あるいは消費者のニーズにこたえて流通というものをどう改革していくか、どう近代化に対処していくかということが非常に重要な問題でございます。このことが諸外国とのいろいろな意味での経済の交流というものに役立ち、さらに日本国内の物価の安定に資するということになればなお重要なことでございまして、委員の指摘されました、これからの流通というものはもっと多角的にわたって横断的なことを考えていかなければならないと、いろいろ示唆に富む御意見を伺ったわけでございますが、私どもいろんな場合に備えて今後流通をどう前向きによりよき方向に改革していくか、大いにこのことに精進してまいりたいと考えます。
  67. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時二十八分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  68. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  69. 田代富士男

    田代富士男君 私は中小企業協同組合法及び中小企業団体組織に関する法律について御質問をしたいと思います。  今回改正しようとしておりますいわゆる組合法団体法は、中小企業集団化共同化を促進し、大企業と伍して事業活動を展開する中小企業のためのものでありますけれども、この法が制定されて以来中小企業の発展にどのように資してきたと評価していらっしゃるのか、これをまずお尋ねしたいと思います。通産省といたしましても、中小企業集団化共同化については努力されたけれども、その比率はまだまだという感があります。この点もどのように見ていらっしゃるのか。それから、中小企業庁で説明がされております中に、組合の機能に対する組合員の要求の多様化ということがされておりますけれども、多様な要求の内容もあわせて説明していただきたいと思います。
  70. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 今回改正が提案されております組合法団体法はそれぞれ昭和二十四年と昭和三十二年に制定されたわけでございまして、戦後の日本経済の発展を支える上で特に中小企業分野の成長発展を大きく支えてきたというふうに認識しております。中小企業がその小規模性を克服いたしまして、共回生産あるいは共同加工を通じまして共同経済事業を営みまして、大企業と伍して我が国経済の活力の源泉となってきたという評価は既に定着していると思います。  一つの指標で申し上げますと、昭和三十五年を起点といたしまして約二十年間の中小企業の成長ぶりを見ますと、昭和三十五年におきましては中小企業事業所数は三百三十五万事業所でございましたけれども、五十六年では六百二十三万事業所と約倍増になっております。全体の事業所数におきます中小企業比率も、七九%から八一%というふうに経済規模の中でも中小企業のウエートはふえておる。これは従業者の比率でございますけれども七九から八一と、雇用におきますウエートも増大しておるということでございます。中小企業組合がいわゆる共同事業を推進する上で、高度化事業に見られますように、大規模なスケールメリットの出ます近代化設備を入れていくというような形で中小企業の生産性の向上に寄与したことは万人が認めておるところでございます。また、最近におきましては異業種間交流という形で見られますように、中小企業同士が異業種間で相互に補完し合いまして、新しい経済環境に積極的に対応するという新しい役割も出てきておるわけでございまして、組合法団体法の意義というものはますます増大しておるというふうに考えております。  また、第二の御質問の組合の加入状況でございますけれども、全組合数で現在中小企業組合は約五万組合あるわけでございますけれども、その組織率を見てまいりますと、製造業におきましては事業協同組合におきまして約三割二九・五%という比率を占めておりまして、商工組合で約一割ということでございます。また卸売業で見ますと、事業協同組合で二七%、商工組合におきましては二三%という形になっておりますし、小売業の分野で見ますと、事業協同組合につきましては一九・二%、商工組合につきましては二九・四%というふうに二割ないし三割の中小企業者はこの組合に属しておるわけでございまして、現状におきましても組織化政策の中核といたしましてこの組合が果たしておる役割というのは非常に大きなものがあるというふうに認識しておるわけでございます。  また、今回の改正の動機となりました組合の機能に対します中小企業者の要望と申しますか、期待が多様化しておるということでございますが、その具体的内容につきまして触れてみますと、今回の改正案の中に取り込まれておりますように、一つ組合組合員に対する債務保証範囲拡大するということでございます。組合に属しております組合員が大企業と取引を競争する、取引条件の競争が激しくなっておるという事情を背景といたしまして、取引の安全性に対する顧客の要求というものがますます高まっておる。それを反映いたしまして、組合員の信用力を補完するという 意味で、組合が金銭債務保証に加えまして事業に対する債務保証をするという新しい機能に対する要望が出てきておるというのが第一に挙げられるわけでございます。  第二の問題といたしまして、組合員が周辺の地域住民に対して何らかの形で貢献をしていく、そういう要望が強いわけでございますけれども、個々の組合員がその地域住民にそういう社会的な要請にこたえるというのがなかなか難しいわけでございまして、それを補うために組合が所有しております公共的施設を地域住民に開放するという形を通じまして、組合員が近隣の地域住民に貢献する、こういう期待の声も高まっておるわけでございます。さらに申しますと、環境変化に応じまして、組合員世代交代あるいは脱退という問題が出てきておるわけでございますけれども、その間に組合事業組合員脱退によって維持することがなかなか困難であるという事情も出てきておるわけでございまして、員外利用の制限と我々呼んでおりますけれども、これを一定の場合に緩和することによりまして、組合員以外の者に組合の施設を提供する、その制限を緩和するということも組合員組合に対して要請をしておる一つの声になっています。そのようなもろもろの声を踏まえまして、今回の組合法あるいは団体法改正に盛り込んでおるというのが主要な骨子でございます。
  71. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま御説明いただいたとおりに、努力をしてきているけれども、新しい変化が生じてきていることは事実じゃないかと思うんですね。取引においても新しい要求、ただいま御説明がありましたとおりに、地域住民に対する貢献もしていかなくちゃならないし、また環境変化に応じてやっていかなくちゃならない、こういう背景を踏まえておるわけなんですが、そもそも本体の問題が大事じゃないかと思いまして、そういう意味から債務保証事業範囲拡大の問題について御質問したいと思います。  今回の改正案では、金融機関に対して負担する債務に加えて事業活動にかかわる債務についても保証を行われるようになっておりますけれども中小企業、特に小規模企業の経営の実態というのは、御承知のとおりに事業主の事業活動と個人の生活との間といいますか、そういう境界線というものがあるようでない、言うなれば公私のけじめのつかない場合が多い、これが実態ではないかと思うわけでございまして、こうした実情から考えてみますと、事業活動にかかわる債務を明確にしなければ組合内部にトラブルが起きるおそれもあるのではないかと思いまして、そういう立場からそのためにも中小企業庁として定款やあるいは規約についても具体的に指導していかなくてはならないじゃないかと思いますが、この債務保証事業範囲拡大についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  72. 粟屋忠

    政府委員粟屋忠君) 今回の改正におきまして組合が行い得ることとなります債務保証事業につきましては、組合員がその組合資格事業にかかわる事業に関しまして負担する債務に限定されるように措置しているわけでございますけれども、その債務保証実施に当たりましては御指摘のとおり十分な指導が必要であると考えている次第でございます。このために保証の対象となり得る債務はこれは定款に掲げることになるわけでございますけれども、その場合に単に組合員事業に関する債務保証といったような抽象的な表現ではなく、具体的な内容を記載させますとともに、その債務保証事業の方法等につきましてもこれを規約で定めるべき旨を定款に記載させるように指導をしてまいることといたしております。また、この規約におきましてはこのほか保証に際しての審査基準あるいは審査期間等につきましても明確に定めるよう指導することとしておりまして、御指摘のような組合員の私生活にかかわる債務につきまして保証が行われるといったような、いわば公私混交の事態が生ずることのないよう十分に注意させる等、その指導面で遺憾なきを期してまいりたい、かように考えているところでございます。
  73. 田代富士男

    田代富士男君 次に、今回の改正案では、出資持ち口数の制限が緩和されるようになっておりますけれども、この組合法団体法以外の団体ではどのようになっているのか簡単に御説明いただきたいと思います。
  74. 粟屋忠

    政府委員粟屋忠君) 組合法あるいは団体法で規定されております団体以外の団体におきます出資持ち口数の制限でございますが、これにつきましては次に申し上げるような規定になっております。  まず、百分の十と規定しているものといたしまして信用金庫の例がございます。それから百分の二十五と規定しておりますもの、これは組合法団体法等とほぼ同一の水準でございますが、消費生活協同組合、それから環境衛生同業組合、それから労働金庫等の事例がございます。それから百分の三十五としているものといたしましては塩業組合がございます。それから定款の定めるところによることとしておる立法例といたしましては、農業協同組合及び漁業協同組合の例がございます。  なお、この農業協内組合につきましては、農林水産省で作成いたしております模範定款例によりまして一組合員当たり五百口以下とするように指導されているところでございます。
  75. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま御説明いただきましたが、この法案におきましては出資の持ち口数の制限緩和につきまして当初は百分の五十であったと説明を聞いておりますけれども、それが最終的に検討されて百分の三十五までになった。今の御説明では塩業組合と同じ数字ではないかと思いますが、このように五〇%という主張が抑えられ、三五%になった理由は何であるかということをまずお尋ねしたいと思います。  それと同時に、現行法にもあるように組合員の数が三人以下の場合には適用除外になっております、御承知のとおりに。それはなぜかという理由もあわせて御説明いただきたいと思います。  ところで、この持ち口数の多いものの支配力を抑えて民主的な運営を図るためには持ち口数の多寡のほかに組合員の数も考慮させなければならないのではないかと私は思います。持ち口数の多い組合員の支配力はその他の組合員が少なければ強くなりますし、多ければ弱くなることは理の当然でありますけれども、今も私が質問いたしましたように四人以上については三五%以下に抑え、この三人以下につきましては、適用除外というのは論理的にも矛盾しているんではないかと思うわけで、この点が理解できないんですが、この点はどのように御説明いただくんでしょうか。
  76. 粟屋忠

    政府委員粟屋忠君) まず最初の出資持ち口数の制限緩和が百分の三十五までになった理由は何かというお尋ねでございますが、これにつきましては御指摘のとおり原案作成あるいはその前の段階におきまして関係の中小企業団体等から百分の五十という要望がありましたことは御指摘のとおりでございます。  ただ、出資口数の制限をどこまで緩和するかという問題につきましては、組合財産の維持充実の必要性という観点から見ました場合には、出資口数を引き受ける能力のある方にできるだけ多くの口数を引き受けていただくことが望ましいということになるわけでございますが、他方では一部の組合員の方に出資口数が集中することになりますと、議決権あるいはその選挙権の平等といういわば協用組合の基本的な原則がその実質面から崩されるおそれを生ずるわけでございます。  今回の改正に当まりましては、こういったいわば相異なる二つの要請を考え合わせますとともに、他の立法例、これは御指摘のとおり塩業組合の例等があるわけでございますが、そういった他の立法例との整合性をも勘案いたしまして、一組合員出資口数の制限を合理的な理由がある場合に限りまして、出資口数の四分の一から三分の一、すなわち三五%に緩和することといたしたものでございます。  その次の組合員数が三人以下となった場合等に論理的な矛盾があるのではないかといったお尋ね でございますが、組合員数が三人以下となった場合について、これは出資持ち口数の制限緩和の適用除外と、制限の適用除外といたしておりますのは、次のような理由によるものでございます。  一つは、組合員三人以下といういわば極めて例外的な事態におきましては、各組合員が平等に出資口数を保有するといたしましても、百分の二十五の制限を守ることはできないわけでございます。  それから第二に、組合員数が三人以下となりますのは、これは設立時の最低の組合員数を四人というふうに規定しております趣旨からいたしましても、あくまでも臨時異例な事態と考えられるわけでございまして、これは新規の組合員を新たに加入させて、さらに四人以上の組合員を確保するまでのいわば緊急避難的な措置であるということで、特にそのような場合の持ち口数の制限は設けなかったということでございます。で、私ども中小企業庁といたしましても、三人以下というような異例の事態になりました組合に対しましては、これまでも新規組合員の加入等によりまして組合員をふやすように指導してまいっております。その結果といたしまして、現在三人以下の組合の数は全体の一%以下という状況になっております。
  77. 田代富士男

    田代富士男君 今は、私の質問は、この矛盾点があると、この矛盾点をどうとらえて今後検討していかれるのかという私は質問をしたつもりですけれども、現状の説明をしてもらった、今の段階じゃないかと思うんですよ、今の答弁では。だから、三名というのは緊急的な処置であるという御答弁でありまして、そういうのには、最低発足時から四名というように、加入をしなさいと指導をしておりますと、こういうことですけれども、一方では民主的な運営を図るために云々という今お話がありましたから、ここらあたりに矛盾点があるんじゃないかと思いますから、今すぐはできないにしても、将来においてこれは検討する余地があるんじゃないかと私は思うんですけれども、この点もう一回どうでしょうか。現在のそういうような説明だけじゃなくして、今すぐやれということはできないにしても将来検討すると、このように民主的な運営をやるためにというのは当然じゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  78. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 確かに組合口数比率という観点で申しますと、四人以上の場合につきまして、今回のように三五%という比率例外的な場合にせよ認めることにしておるということと、四人を割り込みまして三人以下になりますとその制限がなくて、いわばフリーであるという点につきましては、組合口数の横並びという面から見ますと矛盾であるというふうに見られるわけでございます。  ただ、これは指導部長も御説明申し上げましたように、私どもが想定しておりますのは、あくまでも四人で発足した組合が少なくともそういう状況、組合員の数がふえることは望ましいことでございますけれども、四人を割って三人以下というのは例外的なケースであって、極力そういう期間は短かく、かつ四人以上の状態に復することを私どもとしては期待しているわけでございまして、三人以下になった場合を一つの常例として口数例外に合わせるということは、今回の組合法団体法改正がいわば基本的な原則を認めるという観点から行いましたことからとらなかったわけでございます。確かに三人以下の場合の口数比率のルールがないということについては好ましいことではないかと思われますので、今後の検討課題としたいと思いますけれども、現時点におきます私どもの姿勢といたしましては、そのような三人以下の少人数の組合が出た場合には、極力四人以上の原状に、理想的な形に復帰させるという形で指導に当たってまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  79. 田代富士男

    田代富士男君 まあこのことはこれ以上言っても恐らく煮詰まったあれは出ないかと思いますけれども、今後検討はやっていただきたい。これは私の要望でございます。  次に、これまで利用が制限されておりました組合所有の運動場、体育館、集会場等を地域住民に開放することはまことに結構なことではないかと思います。まあこういうような要求が出ておりまして、その要求にこたえていこうということは結構だと思いますが、そこで、これを利用しようとする地域住民が、公平にこれも民主的に利用できるようにするには、制限を解く前後における取り扱いが大事ではないかと思いますし、せっかく開放措置をうまくとりましても軌道に乗せることができなければ、何のために踏み切ったかわかりませんけれども、こういう点に対してどのように指導されるのか。
  80. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 今回の改正によります組合施設の地域住民に対する開放でございますが、これは先生がただいま御指摘になりましたように、地域社会に対する組合の積極的貢献という角度から改正に踏み切ったものでございまして、今回の改正が円満に組合と地域住民との間で運営されていくということが大事でございます。したがいまして、今回の組合施設の開放に当たりましては、公平性あるいは民主性という観点からこの施設の開放がフェアに行われるということが大事だと思っております。  そういう観点から、私どもといたしましても、その組合施設の開放時点におきまして、あらかじめ開放をいたします日時の問題、あるいは周辺の方がこの施設を申し込む場合の申し込み方法、あるいは利用料、それから利用の条件と、そういうもろもろの諸条件につきまして明確に定めまして、それを地域の住民の方々に十分周知徹底をするという形によりまして、この組合施設の利用が一部の住民に偏る、あるいはそれによりまして無用なトラブルが生ずるというようなことを極力避けてまいりたいというふうに考えております。このために必要な手続を経まして、十分組合指導してまいるというふうに考えております。
  81. 田代富士男

    田代富士男君 企業組合制度の改善については、従事割合、組合員割合を緩和いたしまして、そして員外監事制を導入しようというのが今回なされておりますけれども、これはまあ私考えましても後追いの感が免れません。そこでお伺いいたしますけれども、まず監事が員外となる場合の資格条件はどうなるのか、この点をお答えいただきたいと思いますし、また、せっかくの制度をもっと積極的に生かすことは考えていらっしゃるのかどうか。まあ今までも努力してきたとおっしゃるけれども、例えばこれは一つの例でありますけれども、大工さんのように腕に覚えのある職人さんといいますか、そういう人々はとかく商才は欠けているというような人が多いわけです。そういう人々にこの制度を教えて、うまく指導して組合化を図っていくならば、そういう人たちの仕事も発展し安定さすことができるのではないかと思います。そういう意味におきまして、この企業組合制度に限ったことではありませんけれども、この制度の周知を進めていくことが大事ではないかと思いますけれども、この企業組合制度の改善とあわせてお答えいただきたい。
  82. 粟屋忠

    政府委員粟屋忠君) この企業組合に関します今回の改正案は、これまで組合員にのみ認められておりました企業組合の監事につきまして、これを組合員以外の者についても認めることとしたものでございます。したがいまして、事業協同組合の場合と同じように、総会におきまして選挙または選任されれば、組合員以外の方でも監事になることができることになるわけでございます。  そこで、監事となる方の資格及び条件についてはどうかというお尋ねでございますが、この点につきましては基本的には組合自治に委ねることといたしておりまして、法律で特に定めることとはしておらないわけでございますけれども組合員以外の方に広く人材を求め得るようにした今回の法改正趣旨が十分に生かされますように、監事としての適任者が総会におきます選挙または選任を経て立派な適任者の方が選任されることを期待しているところでございます。  それから企業組合についてもっと周知徹底を図るべきではないかという御指摘でございますが、 これにつきましては私どもまことにごもっともな御指摘と考えているところでございます。  企業組合制度は個々の個人が簡便に事業活動を行い得るように考えられました協同組合原則に立脚した、対外的にはいわば会社に類似したような制度でございますが、これは御指摘のとおり従来余りこういった組織化になじみのなかったような中小企業の方々にも十分活用していただけるものと考えているところでございます。今回の改正を契機といたしまして、より一層この企業組合制度が普及されますように、都道府県あるいは全国中央会、その他の中小企業関係機関等を通じまして、この制度の一層の普及に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  83. 田代富士男

    田代富士男君 次に、協業組合制度についてお尋ねをいたしますけれども、これには御承知のとおりに組合員の後継者が現在の組合員の生前において持ち分を譲り受けまして、組合員の地位を継承できるように改正することになっておりますけれども、推定相続人に限られているわけでございます。しかし、現実はどうであるかといいますと、中小企業の実態というものは御存じのように推定相続人が必ずしもその後継者になるとは限っておりません。御承知のとおりに長男が跡取りをせずに銀行や商社へ勤めているというような場合もあり得るわけでございますから、そうした場合、今回の改正においてそこで配慮がなされてないわけなんです。従業員が後継者となって組合員として方途を開くように研究をすべきではないでしょうか。長男坊が銀行や商社へ行っている。そこではその会社の創立からその会社とともに運命共同体として働いてきた生え抜きの人がおるわけなんです。その人に任すならば後は引き継いでいかれるわけなんですが、こういう道が開かれてない。こういう問題に対して道を開くべきではないかということですが、どうでしょう。
  84. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 先生が御指摘になりましたように、今回の改正組合員たる地位を生前に配偶者または子孫に引き継ぐということで、実質的に推定相続人に一定の場合に限って組合員資格を与えるということに限定しております。これは組合員たる御本人が老齢になられまして、心身が健康でなくなられる、そのために自分自身が組合員として活動するよりも、生存中に後継者と申しますか推定相続人にこれを引き継ぐ必要が出ている、そういう強い要請と申しますか、事実上の要望がございまして、この規定を設けたわけでございますが、率直に申しまして先生が今御指摘になられましたような、こういう推定相続人以外の方、組合で実際上活動に従事していらっしゃる方が組合員になられるという道を開くべきである、あるいはそういう方に引き継ぐべきであるという要望が強くあったことも事実でございます。これにつきましては私どもも原案の段階で、そういう面につきましても何とか改正内容に盛り込めないかということをいろいろ検討したわけでございますけれども、御承知のように協業組合の性格がそもそも事業者たる方が集まりまして、その事業者の方が協業して組合をつくるという、本来事業者による組合であるという性格から発足しておるものでございますから、事業者でない方、すなわち通常の事業を行っていない組合員の方にその組合員資格を与えるというのは、協業組合の本来の性格から見て適切でないという法制上のネガティブな面が出てまいりまして、結論としては今回は通常の従事者たる組合員にその資格を与えるということは見送られたわけでございます。  このいわゆる従業員に対する組合員資格の付与というのはそういう形で取り入れられておりませんけれども、私どもとしては員外役員制度という制度がございまして、従業者の方につきましては組合員にはなれませんけれども組合の役員に登用されるという道が開かれております。したがいまして、むしろ組合の役員になられまして、その能力を十分に発揮されて、組合の業務執行それ自体に力を出していただくという形で組合事業に貢献していただくということで、今回の改正一つの限定がございますけれども、そういう道が開かれておるということで何とかそういう方の生きがいと申しますか、組合に対して今後功績を伸ばしていただきたいという気持ちを持っております。  ただ、先生が御指摘になりましたように、通常の従事者たる方の組合員資格の取得ということにつきましても非常に強い要望の声がございますので、私どもとしては今回の推定相続人に対する組合員資格拡大に踏み切るわけでございますが、その効果を見きわめながら今後従事者でございます方の組合員資格の取得という道につきまして法改正の可能性が求められるのかどうかと、引き続き今後の検討課題として残してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  85. 田代富士男

    田代富士男君 今も長官がお答えになりましたとおりに、事業者が協業して組合をつくる性格から出発している、これはもう私もわかっておりますけれども、そういうわけで、本来の性格から見て、こういうところは法制上の問題もあるしというようなことでございますけれども、今さっき多様な要求が出ているという、その要求の一つ環境変化に応じて対策をしていく姿勢があるというお答えもいただいておりますし、そういうところからこの推定相続人の範囲拡大して、そしてこの対策を見て従事者の皆さん方に対する道を開いていくことは今後の検討課題であるということでございます。これはぜひともそういう道を開いていくことがこの中小企業事業活動に活力を与えていくことになるんではないかと思うんです。そのための今回の組合法及び団体法改正ではないかと思いますし、この改正法の運用いかんによりまして今後の中小企業の発展が決まるわけでございますから、制度周知徹底を初めそういうように法制上でできないとか、そういう面はあるかと思いますけれども、そういうところを環境変化多様化されたこの要求にこたえていくところに一方活性化を取り戻す道もあるんですからここらあたりひとつ大臣の立場としてこれは切り開いていくべきだと、私は決意をお聞きしたいと思いますが小此木通産大臣いかがですか。
  86. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) この点は非常に難しい問題も含んでおりますので今後検討さしていただきたいと思います。
  87. 田代富士男

    田代富士男君 検討というのは全般的な検討ですか、何の検討ですか、主語がない。
  88. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 委員のおっしゃる制度のことについて検討ということであります。
  89. 田代富士男

    田代富士男君 じゃよろしくお願いを申し上げます。  関連して御質問いたしますけれども、最近の我が国の経済は御承知のとおりになだらかな回復過程をたどりつつあることは御承知のとおりでございますけれども、まだまだ外需に依存した景気回復であります。また、この業種、地域、企業間に大きな跛行性が存在していることは御承知のとおりかと思いますけれども、さらに経常収支の大幅黒字から対外摩擦の激化ということも懸念されております。このためにも、今後は安定基調の物価を基礎にいたしまして、着実な消費の回復や設備投資の伸長などによりまして内需主導の景気回復を定着さしていかなければならないのではないかと思います。  そういう立場から、経企庁見えておりますね。経企庁より、現在の景気回復の流れは持続性があるのかどうか、また実質どの程度の成長を求めるのか、内需の動向はどうなるのか、まずここらあたりから見通しをお答えいただきたいと思います。
  90. 丸茂明則

    政府委員(丸茂明則君) お尋ねの件でございますが、今御指摘もございましたように、結論から申しますと、国内需要の回復テンポが徐々に早まってきておりまして、今後は従来に比べまして内需を中心とする、また従来過去二、三年よりはかなり高い経済成長が見込めるのではなかいかというふうに考えております。御承知のように昨年の初めごろはアメリカの景気回復に伴います輸出の増加というのが生産増大の大きな要因になっておりましたが、昨年の秋ぐらいから企業収益の改 善、これには石油価格の下落が大きく貢献していると思いますが、国内の収益状況の改善というものも重なりまして国内需要の伸びが徐々に高まってきております。例えば昨年の七—九月期、十−十二月期になりますと、それまではGNP成長率の中でいわゆる外需の寄与度の方が大きかったのでございますが、逆転をいたしまして、十−十二月期には〇・八%の前期比の伸びのうち〇・六%強が内需になるというような状況になっております。需要項目別に申しましても、消費は緩やかな拡大をしておりますし、設備投資にも、特に中小企業関係は久しく停滞しておりましたのが動意が見られるというようなこともございますので、今年度は昨年度の実績見込み三・四%を上回りまして、四%を若干上回る四・一%程度の成長を、しかも外需への依存度を昨年よりかなり減らしながら達成することができるのではないかというふうに考えております。
  91. 田代富士男

    田代富士男君 内需主導の景気回復という課題を克服するためにも、国民生活に密接する分野で活躍をしております中小企業への期待というものは大きなものがあるわけでございまして、この全体的な回復基調の中で、今後しばらく今も御説明がありましたとおりに続くと予想される輸出の増加、また設備投資を初め一部内需にも持ち直しの動きが見られるなど、中小企業の動向というものが今注目されているわけでございますけれども、全体的にどう見るかということでございますが、従来から見られていることは、中小企業の設備投資というものは大企業に一歩先行して動いてきたわけでございますが、今後内需喚起にどう波及していくとこれを見ていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。  それと同時に、この景気回復の中で問題として残るのは何であるかといえば、御承知のとおりに跛行性の問題ではないかと思います。そこで、中小公庫の動向調査を見ましても、加工組み立て型業種を中心に、サービス業、また商業などは堅調に推移しているのに比べまして、木材であるとか窯業であるとか、土石あるいは船舶、建設業などは依然として低調でございますけれども、この跛行性の問題をいかに分析していらっしゃるのかあわせて簡単にお答えいただきたいと思います。
  92. 丸茂明則

    政府委員(丸茂明則君) 最初の中小企業の設備投資の関連でございますが、先ほどもちょっと申しましたように、収益状況が改善しているということもございまして、中小企業の設備投資に動意が見られるところでございます。例えばごく最近発表になりました商工中央金庫の調べによりますと、昨年の末ぐらいまでは前年同期比でマイナスの状況にございましたものが、ことしの一−三月、それから四−六月、これは予測でございますけれども、二けたの伸びを示すということになっております。それ以外指標はいろいろございますが、通観大観して申しますと、昨年後半あるいは少なくとも末ぐらいから民間設備投資、中小企業の投資にも動意が見られる。先生指摘のように、従来景気循環の好況局面におきましては中小企業の方が大企業に比べまして先行して増加をするという動きが見られました。今回もそのとおりになるかどうかということはまだ定かではございませんが、少なくとも現在、今申しましたような指標で見ますと大企業の設備投資にも上方修正の機運が見られますが、それ以上に中小企業の方の伸びが最近は高まりつつあるというふうに考えております。  次に、業種間の跛行性の問題でございますが、これにつきましても確かにおっしゃるとおり大きな跛行性がございますが、最近、昨年末ぐらいからはそれまでに比べましてやや、例えば鉄鋼関係等々には、従来は非常に悪い方といいますか、跛行性のおくれた方でございましたけれども、やや改善する気配が出てきております。  ただ、先生指摘のような業種、産業においてなお業況が厳しいということは事実でございます。この点につきましては、一つは景気全体が先ほど申しましたように徐々に回復テンポが高まっておりますので、それが次第に波及をしていくということが期待をされます。と同時に、公共投資の執行等におきましても、特にそういう業種あるいはそういう業種が多く存在するような地域に重点を置いて執行していただくように各省にもお願いしているところでございます。
  93. 田代富士男

    田代富士男君 増加をしておりますこの設備投資の目的の中で、販売能力拡大と比べまして補修、更新の伸びが著しいという、こういう実態が見え始めておるわけでございますが、これは第二次石油ショック以来の景気低迷の続く中、この設備の古くなってきた面もあるわけでございますけれども、これを好機ととらえまして、また発展途上国の後追いに悩んでいる中小企業の産業構造というものをメカトロ化などによりましてより弾力的に転換を図る必要があるのではないかと私は思います。そういう面で、この補修、更新の伸びが著しいという面も理解しているわけでございますけれども、今年の中小企業白書の中では、経済のサービス化、あるいはソフト化、またエレクトロニクスを核とする技術革新、高度情報化など、新しい流れに積極的な対応を図れば、限られた市場をめぐる競争は激しくとも、中小企業事業機会は拡大すると見られるわけでございますが、この経済のソフト化、サービス化に対しまして、具体的に近代化のための施策をどのように展開していくのか、また一方ではこの高度化、近代化への対応が困難な中小企業に対して振興策をいかに考えていかれるのか、これをお聞かせいただきたいことと、それとあわせまして、中小企業の中でもとりわけ一番大変な状態にあるのは小規模の企業の景況感の回復がおくれていることではないかと私は思います。これは皆さん方も同じ意見じゃないかと思います。そういう立場から、国民金融公庫の小企業動向調査の景況判断調査によりますと、製造業小規模のほぼ半数が景況は悪いと答えております。これは皆さんも御承知のとおりだと思うんです。この理由として、下請企業の受注単価の低迷などに見られるように、しわ寄せがより弱い方へと振り向けられているのではないかと思うのでございます。これと同時に、中小公庫の調査を見てみますと、経営上の問題として、製品安、取引先の値下げ要請が問題とするものが上位を占めていることにあらわれておりまして、こうした状況下における弱小な下請あるいはそのもう一つ孫請企業の採算の改善についてどのようにこれは対処していかれるのか、これあわせてお答えいただきたいと思います。
  94. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 御質問の第一の、経済のソフト化あるいはサービス化に対する中小企業への対応施策でございますけれども先生が触れられました新技術体化投資促進税制、この導入によりまして中小企業自体がいわば電子技術あるいはコンピューター技術を取り入れた技術の更新が行いやすいように、新しい税制措置を講じております。また、中小企業がコンピューターの導入をいたしますに際しましては、コンピューター技術あるいはコンピューターを使える人材をいかに養成するかということが基本でございますので、中小企業情報センター、これは中小企業事業団が行っております一つのコンピューター関連のセンターでございますが、OAセンター——オフィスオートメーションセンター、これも充実するという形で、いわばソフトのノーハウを中小企業にも植えつけるように力を入れておるわけでございます。  また、中小企業大学校で先端技術あるいはコンピューター技術の専門コースをスタートいたしまして、中小企業がコンピューターなり情報化の技術を取り込みやすいように特段の努力をしております。  また、コンピューターを使うことができないような小規模零細企業に対する対応策でございますが、これは一部の場合には外部のコンピューター機関に対しまして外注することによってコンピューターの情報化に対応するということも道でございますけれども、それ以前の零細企業に対しましては国民金融公庫のマル経資金、これも本年度から大幅な改善をしておりますけれども、これが使 いやすいようにするというような、いわば従来からの小規模政策も充実をするという形で補ってまいりたいと思っております。  確かに国民金融公庫の調査をまつまでもなく、小規模零細の分野につきましては、今回の景気回復の余波はまだ及んでおりませんで、倒産の高水準が示しますように、小規模政策につきましては特段の意を用いる必要があるというふうに考えております。  また、その一環で下請の業態でございますけれども、最近の調査によりますと、下請企業につきましても先行きの景況感というのは大分回復してきておるわけでございますけれども、なおその取引条件、特に単価の面につきましては非常に厳しい状況になっておりまして、ことしの二月の段階でも対前年同期に比べまして一・七%減というような形で、足踏み状態ということになっております。  私どもといたしましては、親企業と下請企業の取引条件が適正に確保されるということは非常に重要な中小企業政策の課題でございますので、下請代金支払遅延等防止法の適切な運用ということに力を入れておりまして、本年度からは親事業者事業者に対しまして悉皆調査をするということに踏み切っておるわけでございますし、方々、振興策という面では下請企業振興協会を通じます下請取引のあっせん、これは広域あっせんも含めまして親企業のあっせんをするというようなことによりまして下請企業の経営の改善というものに特段の力を入れてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  95. 田代富士男

    田代富士男君 次に、連鎖倒産防止のためにつくられました中小企業倒産防止共済制度についてお尋ねをいたします。  この制度についてどのような基本方針のもとで運営に当たり、これまでどのような実績が推移してきたのか、また発足当時の見通しから見てどうなっているのか、これをお答えいただきたいと同時に、この共済制度はその他の共済制度と異なりまして、景況によりまして財政の内容が左右されやすいわけでございまして、まだまだ本格的な景気回復を期待できない現状にありまして、現状程度の政府出資のもとで、しかも中小企業加入者の負担もこれ以上重くない範囲でこれまで以上に中小企業に役立つようにするためには、いろいろ改良すべき点があるんではないかと思うわけでございまして、まず共済制度のPRについて申し上げたいんですが、この加入者がふえれば共済制度の体質というものは強化されると思うかどうか。もし中小企業庁として強化されると考えるならば、先ほどから御説明いただきました中小企業の問題もこれ加味いたしまして、こういうような組合員の加入見込みから考えましても、現在の加入者数は少ないのではなかろうかと私は思いますし、そういうことから考えますと政府のPR不足ではないかと、このように思うんですが、あわせてお答えいただきたいと思います。私の質問時間が余りありませんものですからまとめた質問になっておりますけれども、まとめてお答えいただきたいと思います。
  96. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 中小企業倒産共済の制度でございますが、五十三年に発足いたしましてから今日まで既に加入案件は六万九千件という形になっております。貸付金額も一千億円を超えまして一千八億円ということで、総体として見ますと相当な実績を上げたということが言えるかと思います。  ただ、先生が触れられましたように、当初見込んでおった加入件数あるいは収益という点から見ますと、加入件数が必ずしも目標どおり伸びなかった、あるいは収益もむしろ貸し付けの方が多いために借り入れに頼らざるを得ないという状況になっております。現状におきましては市中銀行からの借り入れが五十八年度末で百四十五億円という形になっておりまして、これを補うという意味もありまして政府からの出資総額が百九十九億円ございます。これに本年度二十億円を加えて二百十九億円という出資になるわけでございます。ただ幸いなことに、最近の加入実績を見ますと、五十八年度は前年度に比べまして五割強の加入になっておるということもございまして、最近の加入状況から見ますと、さらに五十九年度につきましては幅広い加入実績が出てくるということが期待できる状況でございます。  先生が触れられましたように、PRを十分徹底して加入者の幅を広げるということが、連鎖倒産の防止という意味から申しましてもあるいは倒産共済制度の収支の改善という面から申しましても必須条件でございまして、特に五十八年度以降はこのPR対策に力を入れておるわけでございます。テレビのコマーシャルと申しますか、テレビのスポットによりますPRも五十八年度から進めておりますし、また各都道府県と連携いたしまして特定地域におきましてこの加入運動も実施しております。また、特に市中銀行、この御協力をいただきまして、各銀行の窓口によります加入あっせんということもお願いしておるわけでございます。そういうPRに力を入れていくということが一つと、もう一つは、やはりこの加入条件の改善と申しますか、貸付金額の拡大という問題も含めまして倒産共済制度の見直しということが課題になっております。昭和六十年度は、この法律に基づきまして五年目の見直しの時期になっておりますので、私ども事務的には現状の分析を含めまして改正点をどのような形にするかという検討に既に入っておるわけでございますけれども中小企業の倒産が非常に高水準である、これを、連鎖倒産を防止しなきゃいけないという声も非常に強いわけでございますので、連鎖倒産の共済制度の改善につきましては、なるべく幅広くかつ前向きな姿勢で検討いたしまして、次の国会には倒産防止共済法の改正を御提案申し上げたい、かように考えておる次第でございます。
  97. 田代富士男

    田代富士男君 この防止法は、御承知のとおりに、自由主義社会において我が国が初めて試みたものでございまして、先進国の注目を集めている法律でございますから、力を注いでいただきたいと思いますが、現在、共済金の貸し付けを受けるまでには、日数が私の調べでは二週間くらいかかるというようなことを聞いておりますけれども、連鎖倒産防止という緊急性から考えますと、これをOA化の促進や、将来においてはVANを利用するなどの種々の努力によりましてやったならば相当短縮できるんじゃないかと思いますけれども、この点に対するお考えどうであるのか、また、ただいま長官からもお話がありましたとおりに、来年は五年目の見直しの年であるわけでございますから、これはいろいろ対応するとおっしゃったけれども、その対応の中に、例えば据置期間の延長の問題、また掛金総額の十倍という基本線を守りつつ最高の貸付額の引き上げを図る、こういうような、言葉で申し上げますとメニューの多様化を図ってはどうかと思いますけれども、この点いかがでございましょう。
  98. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) まず、審査期間の問題でございますけれども、確かに平均いたしますと十四日間ぐらいかかっておるのが現状でございます。連鎖倒産防止のための貸付制度でございますので、この期間は極力短縮すべきものだというふうに考えております。ただ、ミニマムの審査期間あるいは貸し付けのための銀行等に対する送付期間というような必要最小限の期間がかかりますために二週間程度の期間になっておりますけれども、私どもといたしましては、この期間の短縮のために、中小企業事業団あるいは商工会議所等の委託団体をなお一層指導いたしまして極力この短縮化を図ってまいりたいと思います。  さらには、次回の制度の見直しのケースにおきまして、メニュー化を図っていろいろバラエティーのある制度として改正を考えたらいかがだという御指摘でございました。私どもといたしましても、従来の実績を踏まえまして、据置期間なりあるいは掛金総額という問題も十分踏まえまして総合的に検討をしてまいりたいと思います。先生の御指摘でございますので、検討の一環といたしまして、そのような要素につきましても今後の検討 項目として十分配慮してまいりたい、かように考えております。
  99. 田代富士男

    田代富士男君 最後の質問です。  もう時間が参りましたから最後の質問でございますが、上昇機運にありますこの設備投資動向に加えまして投資減税によります誘発効果が連動するならば、よりはずみがつくのではないかと思いますし、内需を押し上げることもできるし、多大な力になることは間違いないと思うわけでございますが、去る十七日に、経企庁の経済研究所が企業の設備投資に対する減税の効果について研究発表をされておりますけれども、この内容についても時間があればお尋ねしたいと思ってたんですけれども、この説明によりますと、民間設備投資促進には法人税減税の約四分の一の投資減税で同じ効果を引き出すことが可能であるというようなことが示されておるわけなんですが、これについて税調答申も、その政策効果を勘案して十分に吟味する必要があるとして、決して否定的ではないわけでございます。そういう意味で、最後に、通産大臣は、この中小企業の投資促進税制の強化を含めまして、投資減税の実現を強く財政当局に対して訴えていくべきではないかと思いますし、その決意をあわせてお聞かせいただきたいと思います。  私の質問を終わります。
  100. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) この点、私は就任当初最も意を用いたところでございまして、昭和五十九年度税制改正におきましても、民間活力を大いに促すという観点から、例えばエネルギー投資減税、あるいは中小企業新技術体化投資促進減税、さらにはテクノポリス促進の投資減税等を創設いたしたわけでございますが、これらのことは、財政非常に困難なときではございますが、これによって我が国経済の活力をたくましくあおっていくということによりまして、今後この政策を推進することによって我が国経済の活性化に寄与することができればと大いに期待いたしておるところでございます。
  101. 市川正一

    ○市川正一君 法案審議に関連いたしまして、たまたま去る二十日に中小企業白書が発表されまして、それで、中小企業をめぐる経営環境についてまずお聞きしたいんでありますが、中小企業の倒産は依然として高水準を維持しております。三月の企業倒産は千九百二十五件で危機ラインと言われておる千八百件を大きく上回っております。この倒産件数が月間として史上最大ということを申すならば、さらに五十八年度の年間倒産件数もまた一万九千九百五十九件で史上最高であります。今回のこの白書を拝見しますと、この点について、「大きな経済変動局面における構造的な変化もあり、長期の不況から体力を消耗して倒産するというものが多かったといえる。倒産原因をみても、「販売不振」、「累積赤字」、「売掛金回収難」という「不況型倒産」が六割を占めており、個人消費、住宅投資が前年に比べ低い伸びにとどまったことを反映した息切れ倒産が目立った。」こういうふうに解明をいたしております。  また、白書と同じ日に発表された四月の月例経済報告を見ましても、個人消費の伸び悩みで景気の回復がもたついている、この指摘しております。中小企業の倒産対策として、景気回復のため、また個人消費拡大という課題に対して政府はどういう対策をとってきたのか。私、通産大臣に、今御紹介いたしましたこの白書や、また月例経済報告、こういうものを踏まえてまずその御見解を求めたいと思うんであります。
  102. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 個人消費を拡大するためには、我が国の景気の回復を着実なものとするために、家計の実質可処分所得を増大することが基本的なことだと考えるのでございます。このような観点から、政府といたしましては、これまでにも各般の対策を講じてきたところでございますが、今後とも経済の動向を注意深く見守りながら、機動的かつ適切な経済運営をやってまいりたいと考えておるところでございます。
  103. 市川正一

    ○市川正一君 数々の措置、適切な経済運営、そういういわば言葉ではなしに、私がお聞きしているのは、白書もあるいは月例経済報告も、今こういう倒産の原因として、個人消費が低迷をしてきているんですね。ですから、個人消費をどういうふうに拡大するかということについて、いわばお尋ねしているわけです。数々の措置とか適切な経済運営では困るんです。  実は、先日のこの委員会で、予算の委嘱審査を行いました。景気回復のために、あるいはまたそういう個人消費拡大のために、増税と抱き合わせでない大幅な所得減税が必要であるという点では、河本経企長官とは意見が一致したんです。それは、後のまた続きがありますけれども、その点では完全に一致した。私は、景気回復のために、また個人消費の拡大のために、その一つとして増税なしの大幅減税がどうしても必要だと思うんです。そうでなければ、この白書の分析も画餅になってしまうと思う。重ねて小此木通産大臣の所見を承りたい。——いや大臣、私と大体見解が一致するのかどうだか、それだけ聞かしてください。
  104. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) そう簡単に減税といいましても、減税はこの間やったばかりでございまして、そう簡単な問題ではないと思いますが、具体的に政府委員から答弁いたさせます。
  105. 市川正一

    ○市川正一君 私、大臣レベルで申し上げているつもりですから。  河本経企長官は、そうしないとだめだということを申されました。今大臣は、なかなか減税といっても難しいと、こうおっしゃって、難しさをお聞きしているんじゃなしに、そういうことが今求められているんじゃないかということを私聞いているんですけれども、まあ前に進みます。  具体的にお伺いしたいんですけれども、そういう中小企業対策の一つに官公需の問題があるんです。我が党はこれまでも官公需の五〇%以上は中小企業に発注するように主張もしてまいりました。また、政府もそれに向けて努力すると、こうおっしゃってまいりました。ことしは、どの水準まで引き上げるおつもりなのか、これをお聞きしたいと思います。
  106. 鈴木直道

    政府委員鈴木直道君) 官公需につきまして、中小企業の受注機会を増大する、こういう施策は中小企業施策の中におきましても大変重点を置いておりまして、従来から最大限の努力を図ってまいっておるわけでございますが、御存じのとおり、五十八年度におきましては、契約目標をこれ過去最高でございますが三七・三%というふうに設定いたしまして、現在各省とともに努力中でございます。五十九年度、本年度につきましても、一応七月ごろを目標にいたしまして、官公需の契約の方針というものを各省と決めることにしております。  四月の初めでございましたが、各省庁集まりまして官公需確保対策推進協議会というものを開催しまして、おっしゃるような基本的な考え方、すなわち官公需の中小企業機会を確保するという点につきまして、各省の協力を求めまして、今後七月に向かって作業を進めるという段階でございまして、それにつきましても当庁といたしまして最大限の努力をするつもりでございます。
  107. 市川正一

    ○市川正一君 そうしますと、去年が三七・三%だった、それを上回って、まあ私どもは五〇%と言っているんですが、それに近づくというふうに理解して間違いございませんか。
  108. 鈴木直道

    政府委員鈴木直道君) 過去の歴史を申し上げますと、実際私どもが初めて官公需の中小企業向けの目標を二〇%台からスタートいたしまして、徐々に毎年その改善に努力したわけでございます。過去五年間にわたりましても三五%台から三七%台と徐々に改善の方向に向かっているということで、基本的考え方はなるべく受注機会を確保したいということでございます。
  109. 市川正一

    ○市川正一君 これはやる気になればやれることです。ですから、私は、少なくとも当面五〇%実現していくために一層の御努力を大臣を先頭にして賜りたい、こう期待しているところです。  もう一つ、実は金融の問題が深刻です。政府は今年度の予算で中小公庫と国金に対する補給金を増額いたしました。その限りではまことに結構な ことでありますが、しかし重要なことは両公庫への出資が少なかったので利子付の財投資金に頼らざるを得ない。金融費用がかさんで赤字になって補給金が必要になった。したがって、一般会計からの出資をもっとふやして経費が賄えるようにすることが望まれております。そうすれば中小企業への金利も引き下げる展望も出てくると、こう思うのでありますが、同時にまた中小企業の信用保険公庫の出資金もふやすべきであるという要望が強いと思うんですが、この二点についてどのようにお考えでございましょうか。
  110. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 政府系の中小企業金融機関、いわゆる三機関に対します政府出資は過去においてもその増額を努力しておりまして、現在累積で申しますと商工中金に対しまして一千六十九億円、中小公庫に対しましては三百十二億円、国民金融公庫に関しましては二百六十億円という政府出資を行っておるところでございます。先生指摘のように、財投金利、このコストが必ずしも低いレベルでないということもございまして、中小公庫、国民金融公庫につきましてはそのほかに補給金も支出しておるところでございます。その結果といたしまして、現状におきましては、いわゆる民間の優良企業に対します最優遇金利、プライムレート、これに相当する金利によりまして三機関によります中小企業向けの金融が確保されておりまして、最近までは八・一%という金融でございましたけれども、せんだっての一般長期プライムレートの引き下げに伴いまして、さらにこれを〇・二%引き下げまして七・九%という安定的な水準に引き下げたわけでございます。私どもとしては、この中小企業向けの金利レベル、これを低位に安定するための最大限の努力を払っておるということでございます。  なお、金融の裏腹をなしております信用補完の面でございますけれども中小企業信用保証協会に対しまして信用保険公庫を通じましていわゆる融資基金の貸し付けとそれから保険支払いのための保険準備金出資と、この二つの面におきまして、保険の面につきましては予算化しておるわけでございますけれども、最近の経済事情、長期の不況を反映いたしまして、この保険金あるいは融資金につきましても需要が強いわけでございますけれども、五十九年度につきましてもそれぞれ保険準備支払い基金と融資基金につきまして五十九年度中の必要な信用保証協会の資金需要に相当いたします資金を確保いたしまして、信用保証業務が円滑に行われ得るような十分な手当てをしたというふうに考えております。
  111. 市川正一

    ○市川正一君 一応お伺いしておきます。  前に進みます。大臣、この白書、いろいろ重大なことを提起しているんですね。  もう一つお聞きしたいのは、高度情報化の進展に対応する対策をこの白書が出していることなんです。実はその問題、非常に大きな関心を呼んでおりまして、例えば朝日新聞の四月二十一日付の社説は、「コンピューター導入企業のオンライン化は、大企業では五一%、中小企業は八%にすぎない。大企業の企業間ネットワーク構想の急進展に中小企業は取り残されるのではないか。」こう述べております。白書も大企業と中心企業との間で新たな経営格差が生じる危険性を指摘しています。こういう問題提起に対して、通産省では今何か具体的な対策をお考えなのかどうか、この点ちょっとお聞きしたい。
  112. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 本年発表いたしました中小企業白書のテーマの中でも、情報化の問題ということを大きく取り上げております。確かに、今後の中小企業経営にとりまして、コンピューター化あるいは情報化、あるいはさらに進んで通信業務とジョイントいたしましたところのオンライン化のコンピューター化というのが非常に重要な課題であるということでございます。  政策面でどのような支援を行っているかということでございますけれども、五十九年度、本年度におきまして、電子計算機あるいは電子機器と機械とがジョイントいたしましたメカトロ機器、この導入を促進することが最大の急務であるということから、中小企業新技術体化投資促進税制、これを新規の政策として導入したわけでございます。またその設備投資と並びまして、これを使いこなすノーハウというものが必要でございますので、中小企業のオフィス・オートメーション・システムセンターによりますコンピューターを導入するための相談、指導というソフトの面での指導も行っております。さらに、こういうノーハウを税制の制度によりまして、具体的にこの設備を入れるためには資金が必要でございますので、その資金的な面から申しますと、中小企業におきます情報処理システムのオンライン化を促進するための特別貸付制度という形で、中小企業金融公庫と国民金融公庫におきまして特貸しの新しい貸付制度を創設するという形によりまして、税制、金融あるいは人材育成等の各般の面から五十九年度の情報化対策ということを進めていくというふうにしておるわけでございます。
  113. 市川正一

    ○市川正一君 そんな甘いもんじゃないと私は思うんです。ネットワーク化の問題もあるんです。白書もこう書いています。「大企業の急速な情報化の進展にともない、大企業の要請によりネットワーク化している中小企業は多く見られる。」、こう言っております。ですから、大企業中心の企業間ネットワークに中小企業が組み込まれて再編成が進む可能性はもう必至です。公取委見えていますかしら——お伺いするんですが、これは四月十四日の日経新聞に報じていることなんですが、例えば医療用医薬品ですね、そのメーカーが卸売業者に対してどこの病院へどの薬を幾らで何個売ったかまでチェックしている、これは独禁法上も問題があるとして公取委が警告したと伝えておりますけれども、これは事実ですか、どうでしょうか。
  114. 佐藤徳太郎

    政府委員佐藤徳太郎君) ただいまの話は二つ問題がございまして、一つは現在はまだオンライン化はしておらないわけでございます。現在、医薬品の流通に関しましては、いろいろリベートの問題でありますとか値引き補償の問題でありますとか、今お話が出ました販売伝票の提出義務づけの問題でございますとか、いろいろ取引上問題がありますので、厚生省、主務官庁とも連絡しながらその辺の是正方についていろいろ指導をしてお願いしているという段階でございまして、それにあわせまして、現在の取引体系をオンライン化したいというようなお話も出てきておって、私どもは承知しておるわけでございますが、オンライン化の話はまだ進んでおりませんけれども、取引実態の方との関係もありますので、十分慎重に検討する方がよろしいのではないかという立場で、これもまた主務官庁と連絡しながら検討をしている、こういう段階でございます。
  115. 市川正一

    ○市川正一君 これもきのうの日経のコピーですが、それによりますと、公取委が「企業間の情報、通信システムの普及が企業間格差の拡大や寡占化を助長するおそれがあるとして、今後監視を強めていく方針を決めた。」と、こう報じております。お読みになりましたか。私は具体的なことをいろいろお聞きしたいんですけれども、しかし公取委員会としては、今の時点では、お答えがあったようにいろいろ関係方面と連絡をとりながら研究していると。企業間、データ交換のネットワークシステムの実態調査をなすったというふうに聞いておるんですが、その結果どうであって、そこから出てくる問題点にはどう対応されようとしているのか、現時点でわかっている範囲でお聞かせ願えれば幸いです。
  116. 佐藤徳太郎

    政府委員佐藤徳太郎君) お話にもございましたように、これから特に企業間のネットワークといいますか、情報ネットワークがこれから大いに進展する話ではないかというぐあいに考えておりまして、そのようなものがこれから広まりますと、やはり企業間の関係あるいは競争上の問題にもいろいろ影響してくるところもあると予想されましたところから、百一社の、これは主としてこのようなネットワークをつくっている会社を対象にアンケート調査等から今実態を調査中でございます。最終の取りまとめの段階でございまして、近く最終結論を出して公表できると思いますが、 まだ公表はいたしておりません。  そういうわけで、決定的な話はまだ結論は出ておらないわけでございますが、私どもが見ました感じでは、やはりこの情報ネットワークというのは企業の効率化あるいは企業間の競争を活発化するという側面も非常に強いというぐあいに考えておりますが、半面、使い方によっては企業のグループ化の問題等もあり得るというぐあいに考えておりますので、ただ、先ほどもお話ししましたようにVANはまだ始まったばかりでございまして、これからその実態を見ながら対策等もし必要であれば考えていくというような段階でございます。
  117. 市川正一

    ○市川正一君 この問題については、やはり資金力や人材に乏しい中小企業が、システム導入のおくれからますます格差が広がっていく、そして完全に競争力を失ってしまうということが大いにやっぱり懸念されるので、私は、中澤中小企業庁長官が先ほどおっしゃいましたけれども、一層中小企業に対する対策強化という見地から通産省としてもこの問題に取り組んでいただくことを重ねて要望をいたして、本日はこの問題はこの程度にさせていただきたいと思います。  さて、今度の法の改正案はちょうど二十七年ぶりの大幅改正だと承知しております。最近の組合数の推移を見ると、休眠組合整理どもあってここ数年大幅に減少している事実を私ども注目いたしております。今回の改正必要性について中小企業庁は、組合を取り巻く経済、社会環境が大きく変化するのに伴い、組合の機能に対する組合員の要求の多様化云々ということを述べていらっしゃいます。確かに経済、社会環境の大きな変化について言えば、先ほど論議いたしました消費不況による倒産増大の問題があります。しかし、組合機能に対する組合員の要求の多様化という点で言いますと、私は率直に言って組合へのメリット不足を感じての脱退あるいは解散という問願もやはり無視できないと思うんです。  種類別組合数の推移を見ますと、昭和五十四年度を一〇〇といたしまして、去年の三月末の事業協同組合は八八・五%、企業組合は五八・六%になっています。すなわち企業組合が極めて大幅に減っているんでありますが、これについて中小企業庁はどのように見ていらっしゃるのか、まずお伺いしたいと思います。
  118. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 先生もお触れになりましたように、休眠組合整理という大幅な制度改善を前回改正に絡めましていたしました。前回昭和五十五年度であったわけでございますけれども。そのために、表面上登録、登記組合が減少しておるという形になっております。企業組合もその例外ではございません。しかし組合の実際の設立の傾向を見てまいりますと、組合の数のレベルだけでとりましても毎年約千組合、これは企業協同組合中心でございますけれども、千組合を超える新設組合が設立されておりまして、中身を詳細に見てまいりますと、やはり組合を通じます中小企業活動ということで活発な組合活動が継続して行われておるというふうに私どもは見ておるわけでございます。
  119. 市川正一

    ○市川正一君 具体的にお伺いしてなんなんですが、例えば私が見るところによれば、企業組合のメリット不足の一つに、法人税が株式会社並みになっているという点があると思うんです。私は、これを協同組合並みに引き下げることによって相当やはり魅力といいますか、メリットが浮上すると思うんですが、中小企業庁としてはこの問願あるいはこの要望に対してどう対応されていますか。
  120. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 企業組合の法人税上の取り扱いは、御指摘になりましたように通常の株式会社と同様でございます。もちろん中小企業者扱いがされておるわけでございますけれども、企業協同組合の場合にはいわゆる普通法人という形で企業組合の性格上から法人税率の軽減につきまして特別の措置が行われておらないわけでございます。ただ中小企業庁といたしましては、従来から企業組合につきましても中小企業者の近代化あるいは合理化を促進する上で有効な組織だというふうに考えておりまして、法人税率の軽減につきまして税制上の事業協同組合並みの扱いを要望しておるところでございます。ただ、これにつきましては、やはり近来、最近の財政事情等もございまして、なかなかこれが実現するということに至っておらないわけでございます。また先ほどのような組合の性格論というものもあることは事実でございます。今後ともこの問題は継続的に検討課題としてまいりたいというふうに考えております。
  121. 市川正一

    ○市川正一君 大臣、さっき減税のことでちょっと少しやりとりしましたが、今の問題ですね、これは多分大蔵省相手の話だと思うんですが、大臣じかに一遍大蔵大臣にこの問題かけおうてくれませんか。どうですか。
  122. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) もちろん検討課題として取り組む所存でございますが、しかし大蔵大臣とかけ合うことが必要とあらばいつでも大蔵大臣と話し合いたいと存じます。
  123. 市川正一

    ○市川正一君 必要なんでひとつやってくださ  それで私は、企業組合は、もうここで繰り返しませんが、個々の零細業者がそれぞれの事業を、組合事業として統合した形をとっているものです。しかしその実態を見ると、実際にはそれぞれの事業を独立してやっているのが、いい悪いは別ですよ、実態であると思うんですが、その点岐阜その他の実態にお詳しい中澤中小企業庁長官、いかがでしょう。実態ですよ。
  124. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 企業組合には確かに二つのタイプが現在ではございまして、事実上その事業主体が一カ所に集まって一つの企業形態として運営されているものと、岐阜あるいは奈良におきますように数カ所あるいは数事業所が一つの企業組合を形成しておるいわゆる分散型の企業組合があることは事実でございます。恐らくこれは歴史的な、あるいは地理的な、地域的な背景がありまして、そのような二つの形態が現在存在しておるというふうに考えております。
  125. 市川正一

    ○市川正一君 私が指摘したような実態があると。私は今、かくあるべき、言うならばゾルレンではなしに、実際にある、サインの問題を言っておるんです。そうすると京都その他の各地の実態を調べたんですが、そういう独立した経営単位として運営されているところから、企業組合組合員個々が設備近代化資金の貸付制度を利用したい、あるいはまた中小企業倒産防止共済に加入したい、こういうことを強く望んでいる。そういう要望があるということも御承知だと思うんですが、いかがですか。
  126. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) そのような御要望があることは十分承知しております。
  127. 市川正一

    ○市川正一君 私は繰り返すようですが、性格論を言っておるんじゃないですよ。そういう実態があり、そういう要望がある。しかも、それは企業組合関係者に——二つのタイプをおっしゃったけれども、やっぱり相当普遍的にあるんです。そうすると、そういう実態に即し、実態に法律の運用を近づけていく。言うならば一定の過渡的措置として、企業組合の個々の組合員にも設備近代化資金の利用あるいは倒産防止共済への加入、それに門戸を開くということも検討してもいいと思うのですが、どうですか。
  128. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 企業組合組合員、これは先生も触れられましたように、いわば従業員と申しますか、従事者と申しますか、組合員がその企業組合の中の構成員として一つの従事者となっておるということで、企業組合自身が一個の企業体というふうな形で運営されるという性格を有しております。したがいまして、ただいまの設備近代化資金にいたしましても、倒産共済に対する加入にいたしましても、いわば従事者の方が、会社の従事者の方が直接入れないと同じような意味におきまして、企業組合構成員たる組合員が加入できないという法制上の制約と申しますか、制限が、従来検討はしてまいりましたけれども一つの壁となりまして実現に至っておらないわけで ございます。  私どもといたしましては、従来の考えで申しますと、例えば資金需要でございますと中小企業事業団の高度化資金をこの企業組合を通じましてその構成員に渡っていくということ、あるいは貸し付けにつきましても商工中金の貸し付けは当然企業組合には貸し付けが行われるわけでございますから、その企業組合を通じてその構成員にメリットが及ぶというようなことでございまして、倒産共済につきましてもその企業組合という単位で入っていただくということが現状におきましては残されたと申しますか、一つの方途であるということでございます。これにつきましては、実は従来も御要望が各界にございましたのでいろいろ検討したわけでございますけれども、現在、現状におきましてはこの法制上の解釈と申しますか、制度上の制約から実現ができない、運用ができないという状況になっておるわけでございまして、この点を御理解いただきたいと思います。
  129. 市川正一

    ○市川正一君 私、時間がもう参りましたのですが、ちょっと大事な問題なので、あと二問お許し願いたいと思うんですが、今おっしゃったんだけれどもね、しかしやっぱり生きた政治なんですから。例えば労働省関係の労働保険の手続あるいは保険料の徴収も、企業組合の労働保険事務組合を通じて個々の組合員事業単位でやっているんですよ。  それから、自治省はお見えになっていると思うんですが、自治省に伺いたいんですけれども、地方税法七百一条の四十三には企業組合等に係る免税点の特例があると承知しておりますが、簡単にお教え願いたい。
  130. 緒方勇一郎

    説明員緒方勇一郎君) 事業所税におきましては、中小零細業者の負担を勘案しまして免税点制度を設けております。資産割につきましては各事業所の床面積の合計が一千平米以下の場合、従業者割につきましては従業者数の合計が百人以下であるときには課さないことにいたしておるわけです。中小企業者が企業組合なりに加入いたした場合につきましては、免税点を判定する特例を設けております。すなわち、これらの事業所などのうち、企業組合組合員となった際、既にその事業の用に供されており、かつ、その者がその後引き続き当該事業所後において行われる事業の主宰者として企業組合等の事業に従事している場合における事務所などにつきましては、それぞれの個々の事業所ごとに免税点を判定するような仕組みになっております。
  131. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 時間です。
  132. 市川正一

    ○市川正一君 もう一問。自治省さん、その特例は関係省庁と十分協議して決められたと思うんですが、どうでしょうか。
  133. 緒方勇一郎

    説明員緒方勇一郎君) これは昭和五十年に事業所税を初めて創設したときから設けられた制度でございます。法案の作成過程におきまして各省庁と協議してつくったものでございます。
  134. 市川正一

    ○市川正一君 私、いわばきょう決着をこの場でつけようとは思いません。しかし、今労働省の話や、自治省のお話もありましたけれども、私ああいう、例えば地方税法のいわば特例措置通産省中小企業庁もよく承知しておるんですよ。ですから、私はやっぱり企業組合の法人税を協同組合並みに下げることについては、大蔵省との関係もそれはあるでしょう。まあ大臣、今度また大蔵大臣とやっていただくわけですけれども、しかし企業組合の個々の組合員が設備近代化資金の貸付制度を利用するとか、あるいは中小企業倒産防止共済に入るということは、これは通産省がその気になればできることですよ。ですから、私はそういう点でやはり血も涙もある通産行政をやってほしいんですよ。大臣は材木業者と自分でそうおっしゃっている、おたくはそれは大企業やけれども、やっぱりこういう業者の切実な要望に耳を傾けて、ぜひひとつ前向きに検討をお願いしたい。きょうここですぐにどうしろこうしろということを私は今求めませんけれども、ひとつそういういわば声に耳を傾けて、前向きにひとつ検討するということを大臣からお聞かせ願って、私の質問を終わらせていただきたいと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  135. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) せっかくの御要望でございますから、十分考えてみたいと思います。
  136. 市川正一

    ○市川正一君 どうも、ひとつ考えてください。ありがとうございました。
  137. 井上計

    ○井上計君 午前から同僚議員の大変御熱心な質疑、また政府側のお答えで問題点の解明はほとんどできたようでございます。私はしたがって、一、二要望だけ申し上げます。  きょう審議しております組合二法の改正につきましては、長年にわたって中小企業団体が要望しておったことでありますが、皆さん方の大変な御苦労で改正に至りますこと、これについては敬意を表します。ただ、まだまだ協同組合法にいたしましても、あるいはまた企業組合法にいたしましても、あるいは団体法にいたしましても、改正の要望点がまだ幾つか残っておりますが、これらのことにつきましても、今後とも十分御努力をいただきたい。特にこれはもうお答えは要りません。  そこで次の要望でありますが、協同組合を設立をする場合に他省との共管の必要のある協同組合というのがたくさんあります。例えて言いますと、運輸関係の協同組合なら地方では陸運局、あるいは食品等の関係では地方では農政局、あるいは建設関係は建設局というように共管のものがたくさんあるわけでありますが、共管の場合に非常に時間がかかっておるんですね。通産局では簡単に協同組合設立についての大体審査が終わって、ほぼよろしいということになるんですが、それが他の省庁へ参りますのに大変時間がかかっておる、こういう面で協同組合の設立がなかなか思うように進まないというふうな事実も幾つかありますが、それらについて十分その点を大臣なり中小企業庁長官は他省庁に向かって大いにひとつPRをしていただきたい、これが要望の第一点。  それから第二点は、同じようなケースでありますが、他省庁に中小企業協同組合等について全く無知な人が実はいるんで驚いているわけなんです。名前は言いませんけれども、ある省のある局の総務課長に、ことしになってでありますけれども、ある中小企業団体の役員を長く務めた人、その人の叙勲の申請をその団体が幾らやっても実はおりません、条件が合わないというのとで。そこで私が、なぜ条件が合わないんだといって直接その課長に聞きましたところ、この人は中小企業協同組合の役員でありますから資格がありません、なぜ資格がないのかと聞きましたら、営利法人の役員は資格がありません、公益法人でなければ資格がありませんということを堂々と言うわけです。あなた、よほどそれは認識不足だと、中小企業協同組合はなぜ営利法人なのかと言ったら、いや、中小企業協同組合の役員の叙勲の受理をした例がございませんと、まあ極端なこと、こういう言い方をするんですね。私は実はあきれ果ててしまったんですが、これがどの省とは言いませんけれども、そういうのが案外多いんですね。ですから、ぜひひとつ大臣、それから中小企業庁長官は、他省庁に、中小企業等協同組合あるいは団体法による商工組合等々が営利法人ではなくて、いわば公益法人に全く準ずるような、そういう中小企業団体であるということをぜひPRをしていただきまして、そういう面で中小企業団体役員、中小企業団体がひとつ不利益をこうむらないように、こういう御努力をぜひお願いをいたしたい、これはひとつ要望しておきます。  以上で終わります。
  138. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 今回改正を御審議いただいております協同組合法あるいは団体法は、当然のことでございますが、中小企業者がそれぞれいずれかの業種に属しておるわけでございまして、その業種を所管する官庁と、この法律を統轄しております通産省との共管になっておるということでございます。具体的には、通産省、大蔵省、建設、農水、運輸、厚生、この六省で共管しておるわけでございまして、この二法の円滑な運用というものは各省間で十分協議を重ねながら進めて いかなければならないと考えております。  御指摘の認可をする際の認可所管省の問題でございますが、運輸省と大蔵省につきましては認可権限が残っておりまして、ほかの各省の業種につきましては都道府県知事限りで認可ができる形になっております。私ども先生がただいま御指摘になりましたような、認可についてとかく時間がかかり過ぎるというような問題につきましては、連絡会を設けておりますので、その都度審議の促進を要望しておりますし、また個別の問題がございますれば、私どもさらに各省に審議促進の、あるいは認可手続の促進の呼びかけを行ってまいりたいと思います。  また、この制度のPRでございますが、各所管省が十分各組合事業の意義につきまして認識をしていただくということは当然必要なことでございまして、私どもはこの共管省との間で四半期ごとに連絡会議を行っておるわけでございますけれども、今回の改正も含めまして、今後ともこれまで以上に十分組合制度の意義あるいは実態の普及徹底を図ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  139. 木本平八郎

    木本平八郎君 まず、今度の法律案改正の主眼点といいますか、その中に債務保証事業拡大ということがあるわけですね。それは私の聞いている範囲では、組合実施事業のうち一番大きいウエートを占めているのは組合員に対する資金の貸し付けだというふうに了解しているわけですけれども、ところが実際は、組合員が金融機関から融資を受けようとして、それで組合保証を得ようとすると、金融機関は、まあこれは当然だと思うんですけれども、役員の個人の連帯保証を求めるということで途端にぎくしゃくしちゃうというケースが非常に多いようなんですね。これはやはり組合自身が信用がないんで、それで役員の個人保証を求められるというふうに解釈していいわけですか。
  140. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 確かに組合保証ではなくて、組合役員が個人的に組合員の借り入れにつきまして連帯保証しておるという例があると承知しております。ただ、現状におきましても、私どもの調べたところによりますと、金融機関に対する金銭保証に際しまして組合保証しておるという割合が二〇%に達しておりまして、相当数の組合組合によって保証するという実績を上げておるわけでございます。私ども、今回の改正はこの金銭債務保証ではなくて、いわば事業の業務保証になるわけでございますけれども、今回の改正を機会にいたしまして組合員自体に準備基金あるいは基金というものを積ませるという指導をすることによりまして組合自体債務保証能力を高めるということにも資したいと思っておるわけでございまして、組合組合によって債務保証ができると、あるいはし得る能力を高めるという方向で組合に対する期待にこたえていくような実績を上げてまいりたいというふうに考えております。
  141. 木本平八郎

    木本平八郎君 ぜひそういうふうに事業保証の方に力を入れてもらいたいと思うんですけれども、実はきょうの質問がありますので、私何を質問しようかと思って一生懸命一週間ぐらい考えておったわけですけれども、それで土曜日にたまたまジョギングしていまして、それで私の家の周りをジョギングしていましたら、そこに小さい、千平米ぐらいの空き地がありまして、そこに順番に家が建っていっているわけです。六軒目ぐらいですかね、最後のなにが建っていまして、大工さんがおったんで、休憩かたがた入っていって、それでいろいろ大工さんに聞いたわけですね。そこにいわゆる柏土木というところの社長も来ていまして、何かそれ造成したらしいんですね。土地を。そこでいろいろ中小企業の問題、実際の話を聞いたわけです。そのときの話では、要するにミニ開発、そういう小さいのは、そういう仕事はたくさんあるんだと。しかしながら、なかなか施主との関係で話が成立しないと。ちょっと大きくなってくるとすぐ大手が出てきて、ゼネコンが押さえて、それで我々が半値ぐらいで下請させられると。もしもこれを直接受けることができれば、半値とはいかなくても六割ぐらいの値段で十分にやれるんだということなんですね。私たちサラリーマン、私も建て売り住宅ですけれども、何もあんな大手の開発した高いものを買う必要はないんですけれども、一番心配なのは信用ができるかどうかということですね。近所の工務店に頼めばもう半値でできるだろうと思っても、やはり信用の問題があるからそれを大手に頼むわけですね。その点で私は、大きな開発事業というのはもうどんどんなくなってきているんで、やっぱりミニ開発がふえていくわけですね。ところが、ミニ開発をやるためにはどうしてもそういう信用問題あるいは金の問題もちろんありますけれども、そういうものがネックになっているんじゃないかという気がしたわけです。  そこで、一つ御提案なんですけれども、こういうユーザーの方にしてみたら、例えば私が千平米ぐらいの土地を持っていて、それを開発する、建て売りをつくって仮に売るというふうに考えた場合、あるいは自分の家をつくる場合、工務店に頼みたいんだけれども、相手に信用がないと、そういうときに組合なんかが中に入ってちゃんと立ち会い保証してくれる、それで工務店の方がきちっと工事をやって引き渡してくれて、後の保守、それから手直し、そういったものも全部やってくれる。それから、工務店の方にすれば、この施主さんは金を払ってくれるかどうか心配があるわけですね。そのときは組合が入って、まあこれ実際どうやるかわかりませんけれども、担保に取って土地を押さえてとかいうこと、まあいろいろあると思うんです。そういうことがやれれば、要するに長々と申し上げているのは、中小企業が非常に競争上弱いのは、あるいはビジネスのチャンスが非常に難しいのは金と信用がないからだと私は決めつけているわけです。これを、今回の改正でぜひそれをやっていただきたい。そうすると相当なミニ開発がどんどん出てくるだろうし、景気の回復にも役に立つんじゃないかという気がするんですがね。この辺いかがでしょう。
  142. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 中小企業者がその事業の零細性のゆえになかなか仕事が取りにくいというハンディキャップと申しますか負担があるということは御指摘のとおりでございます。私どもも、例えば官公需の実行ということに際しましては官公需適格組合というような組合を認知いたしまして、その能力をある程度公認することによって官公需が受けやすいようにするという制度も既にしておるわけでございますけれども、これは逐年立派な成果を上げております。今回の改正につきましても、仕事に対する保証組合ができるようにするということが大きな一つの眼目でございまして、そういう意味では組合債務保証の中に仕事の実績なり成果を担保するということになりまして組合員の仕事がとりやすいようにするということが大きな実績になると思っております。  先生が御指摘のような建築工事等につきましても、営繕組合というような形態によりまして、そういう仕事の内容に対して一定の担保をするという実績もあるようでございますので、私ども今回の改正の運用面につきまして、御指摘のような面も含めましてよくPR、指導をしてまいりたいと、かように考えております。
  143. 木本平八郎

    木本平八郎君 まあ、ぜひそういうふうに進めていただきたいと思うんです。  それで、特に宅地造成なんかの小規模の造成ですね、そういうことについてはなかなか土木業者に信用がないんで、今何か県に頼んで立ち会ってもらったりなんかするということでやっているようですけれども、ぜひ今回の改正を機会に進めてもらいたいと思うわけです。  それで、先ほどの組合の規模の問題ですけれども、資料で拝見しますと、何か四万幾つあって極めて零細な組合がわんさとあるわけですね。何か聞きますと、組合員数ですか、百六十八名だと。多いところで火災協同組合なんというのは、これは二万二千人ぐらい入っているらしいですけれども、少ないところは協業組合なんか十人だと。それで、平均出資額も信用組合なんかは何か三億円 ぐらいですか、平均。ところが事業協同組合になるとか何か千七百万円だとか、企業組合になると三百七十万円と、極めて資金力もないし零細で、これを信用しろといったってまず無理だと思うんですよね。  そこで、これは非常に難しい面もあると思うんですけれども、こんなに四万幾つもあるのを何とか集約して合併して大型化して信用をつけていくということが非常に先決じゃないかと思うんですけれども、その辺いかがでしょうね。
  144. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) この五万近い組合の数をどういうふうに判断するかというのはいろいろの角度があると思います。確かに組合の信用力の拡大という面から見ますと、合併等を進めるというのも一つの考え方かもしれないと思いますけれども、ただ、組合は御承知のように、その発生の段階におきまして、あるいは組織の段階におきましていろいろな背景がございまして、地域的あるいは業種的な立場を背景に設立されております。したがいまして、これを単純に合併を至上目的として促進するということが中小企業政策として好ましいものかどうか、いろいろ考えてみる余地があると思うわけでございます。  先生が御指摘になりますような、組合保証能力あるいは事業能力拡大というような面で考えますと、例えば例でございますけれども協同組合連合会というような形で、それぞれの組合は残しながら連合会を組織いたしまして、その連合会が共同して債務保証をさらに行うというような形で組合間の信用力を増加させるということも一つの今後の方法ではないかというふうに考えております。
  145. 木本平八郎

    木本平八郎君 まあ、ぜひそういう方向で指導していただきたいと思うわけです。  それで、やはりこの組合法ができたのは、私よく勉強してないんですけれども、二十数年前のはずですね。その時分の日本経済あるいはそこにおける中小企業の立場と今の立場とうんと変わってきているわけです。ところが、非常に失礼なことを申し上げると、どうもお役人の頭の中がかたくて、もう二十数年前のそのままを思い込んじゃって、これを何とかしなければというふうにお考えになっているケースが多いのではないか。やはり時代も環境も変わってきているわけですから、その中で中小企業がよりよくうまく生きていくためにはどうすればいいかという観点から、あるいは発生のいろいろ事情はあるでしょうけれども、やはり合併を進めるとか強くしていくとか連合会をつくるとかいうふうにやっていただいた方がいいんではないかという気がするわけです。そこで今しかし、といってもこれは将来の問題ですから現実には非常に小さい組合があるわけです。それも保証していかなきゃいかぬ。ところが余り信用がないということで、一つのこれ私のアイデアなんですけれども、例えば中小企業団体中央会ですか、これは実際どういう機能を果たしているか知りませんけれども、こういったところがその再保証、これは何も顧客に対する信用の問題じゃなくて内部のリスクテーキング、リスク分散の問題ですけれども、そういうところが再保証をしていくというふうな、例えば小さい組合で金が千七百万円しかない。ところがこれ五千万円の保証しなければいかぬ、一億の保証しなければいかぬという場合のリスクの分散上そういう中央会のようなところが再保証していくというのはどうなんでしょう。実情全然わからないんですが。
  146. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 確かに零細な組合がそれぞれ単独で債務保証をするということは、能力から見て乏しいと申しますか、なかなか難しいケースがあるかと思います。先生が例示として挙げられました中小企業団体中央会、これは都道府県単位でもございますし全国単位でもございますけれども、この中小企業団体中央会自体は組合に対します指導、連絡といういわばソフトな業務を任務としておりますので、中央会自体が再保証するということには団体の性格からして困難があると思います。したがいまして、先ほど一つの案として申し上げました連合会方式によります再保証ということが一つの解決手段だと思われますし、またもう一つの方法としては組合が行いました保証を民間の保険会社が保証を行う場合の、仮にその保証を実行する場合には再保険をしておきまして、民間の保険会社によって組合の業務を保証すると申しますか保険をするということが考えられる方途でございます。これにつきましては、一部の民間会社が既に検討に入っておるわけでございますが、当然こういう保険を制度として行うためには新種保険の認可と申しますかアプルーバルが必要でございまして、これは関係省にもわたることでございますので、そういう新しい保険制度の問題につきましては中小企業庁といたしましてもこの組合保証制度の実効を担保するという角度から十分検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  147. 木本平八郎

    木本平八郎君 いや、この質問のフルテキストは渡しであったので、私が次に質問しようと思っていることを先に答えられたんですが、質問が省けて結構なんですけれども、それでぜひ民間の、これは大蔵省がいろいろ文句言うでしょうけれども、しかしぜひ民間の保険会社起用というのを考えてもらいたいわけです。というのは、これは組合といってもその仕事には詳しくても保証とか金融とかという問題にはやっぱり素人だと思うんです。そういう素人さんがいろいろやりますと、いろいろトラブルを起こす、ところがその保険会社なんかが再保証をするとなれば、彼らはやっぱり自分でひっかかりたくないものだから一生懸命組合指導するわけです。そういう専門家の知識をこれはただで導入できるという方式なので、ぜひ民間会社の地位を利用するという点でもこの点は積極的に考えていただきたいと思うわけです。これはもうお答えをいただいちゃったものだから次に移ります。  これは最後になるんですが、実は極めて突拍子もない話から入りたいのですけれども、今現在世界の生物学でダーウィンの進化論というのはもう遅くなって、いわゆる京都大学の今西錦司さんが唱えられた今西進化論というのがあって、世界の進化の主流になっているわけですね。これはどういうことかといいますと、一口で言うと、いわゆるダーウィンの進化論というのは生存競争を前提にして、それで自然淘汰だとか適者生存ということで、いわゆる争いというか競争という中の生き残りということを前提に、そして優秀なやつが生き残っていくという理論だったわけです。それに対して今西進化論は、要するに生物というのはちゃんとすみ分けているのだ、例えば全然種類の違う、カゲロウなら、今もう川で幼虫が出てきておりますけれども、こういう違う種類もちゃんとすみ分けている。それで日本アルプスに行きまして、モミの木だとかシラビソが、いろいろな種類が縦にうまくすみ分けている。それで生物界というのは実に賢いので、きちっと共存共栄、それこそ共存共栄やっているわけですね。人間の世界だけが何か争いばかりやっているという、余分なことですけれども、そういう状況なわけです。  そこで、今までの、私が見て前から感じていたのですけれども、私、大企業におったからというわけじゃないですけれども、日本の中小企業政策というのがどうも弱者保護というか敗者救済というか、そういうものに非常に偏っている。それで一生懸命中小企業の競争力をつけると、それは、それ自体は悪いことじゃないと思うのです。悪いことじゃないのです。あるいは、それは大企業の競争力を抑制する。例えば大店法なんかそうですね。百貨店なんか。小売店を圧迫しないように売り場面積を制限したりなんかやっていますね。そういうふうにして確かに共存共栄を図ってこられた。それ自体決して間違ってはないのですけれども、私から見ると、やはりこれはダーウィンの進化論、ダーウィニズムだという感じがするわけです。それを何とか今西進化論の考え方に変えていただけないかということなんです。  ちょっと例を申し上げます。例えば食器類を、プラスチックの食器を小売店で売ろうと思っても隣でスーパーがあれば絶対にこれは競争にならな いわけですね。むしろ小売店の方では本当のいい——何がいいかよくわかりませんが、瀬戸物の本当にいいものだけを売っているとか、何かやっぱりそういうすみ分けを考えなければいけないと思うのです。何でもかんでもプラスチックで勝負しようとして幾らこれはやってみても、例えばちょっと違いますけれども下請代金支払遅延等防止法ですか、それから連鎖倒産の防止法だとか、いろいろな法律で幾ら保護してみても、そういうきちっとしたすみ分け理論にのっとってない限り、やっぱりやられてしまうんじゃないかという気がするわけですね。  先ほどの宅地の開発の問題もそうなんですけれども、大企業が大きなデベロップをやれば小さい方は小さい方でやれるように持っていく。やはりそこにきちっとすみ分けをやるということが大企業のためにもいいんじゃないかという気がするわけです。そういう点で少しやはりすみ分け論というふうな考え方で、今後やっぱりこの中小企業政策というのはお考えになっていただきたいと。しつこいようですけれども、要するに大企業との競争ということを前提にやるとコストがかかってくる、したがって性悪説から性善説に転換しなきゃいけないのじゃないかと思うのです。これ答弁してくれと言ってもちょっと難しいかもしれませんけれども、抽象的でも結構ですから大臣なり長官なりの、ちょっとお聞きしたいんですが。
  148. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 今木本委員のお話でございますが、これを私の立場でストレートにそうですねと言いますと、これは政策論あるいは政治家としての私の立場、通産大臣としての立場、私の立場からするといささかぐあいが悪いことだと思うのです。しかし、何と申しますか随筆的、随想的な考え方で申し上げれば、今の考え方は私はある程度うなずけることだと思うのです。なぜならば、やはりそのようなことは恐らく伝統工芸とか、そういうような、その人でなければならないというような、中小企業に通ずることであろうかと思うのです。必ずしも伝統工芸だけではなしに、例えば呉服であるとか洋品であるとか、たびたび材木のことを申し上げて恐縮でございますが、材木屋でいえば銘木屋であるとか、そういうようなものはそれだけの自分の才能、自分の腕だけで生きることのできる商売でございますから、当然大きいよりはむしろ小さい方がいいかもしれません。しかし反面、そういうものの弊害というのは、やはり結集する力を頼らない、組合の中に入らない、あるいはそういうために他からの援助が得られない、そういうような弊害もないとは言えない。まあ木本委員のお考えは十分考えてみるに足りることではございますけれども、反面弊害が多いのではないかと。一般的な政策論的な中小企業というものの中にそれを入れていくということは多少難しいことではないかと私は考えます。
  149. 木本平八郎

    木本平八郎君 まさに大臣の今おっしゃったとおりだと思うんです。  それで、ただ外国の中小企業を見てますと、みんなやはりおのおのそういうまあ分をわきまえていると言ったらおかしいですけれども、非常に専門家で、しかも極めて優秀でそれなりに自信を持って生きているわけですね。それで、これもう一つつけ加えますと、私は中小企業が大きくなる必要はない、なっちゃいけないと思うんです。大きくなると必ずそこで破綻を来すという感じがするわけです。したがって、やはり一番効率のいい生き方をしていくということが必要であり、またそういうふうに指導していただいた方がいいんじゃないかと思うんです。  この問題につきまして、まだ時間はあるんですけれども、もうなんですから、これ最後に長官のちょっと御感想を伺って私の質問を終わります。
  150. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 中小企業の新しい動向というのが新しい時代に対応するものでなければいけないということは先生の御指摘のとおりでございまして、高度成長期におきます中小企業の課題というのは、やはり大量生産によりますスケールメリットを追求するということに主眼点があったのは事実でございます。ただ、環境変化によりまして消費者のニーズも多様化してまいりまして、しかもそのニーズの内容というのが高級化し、あるいはファッション化するというようなことで、非常に中小企業の持ちます多様性と申しますか、個性的なメリットが生かせる環境が出てきたのも事実でございます。また一方で、先ほど大臣の引例にもございましたように、伝統工芸品あるいは地域におきます地場産業、これを新しいニーズに即応する形で新製品を生み出していくということも地域の時代にふさわしい中小企業の生き方になっておるわけでございまして、私どもといたしましては、従来のスケールメリットを追求してまいりましたような発想に加えまして、新しい技術でございますとか、あるいは情報、あるいは人材開発というようなソフトな経営資源を充実させるという点に中小企業施策の大きな新しい方向づけをいたしながら、中小企業がそれぞれ本来の持ち場と申しますか、メリットを生かしていくという意味で、新しい中小企業の活躍の時代を築き上げていくということが中小企業施策の新しい任務であるというふうに認識しておりまして、そういう意味で、私ども従来にも増して中小企業施策の充実に力を尽くしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  151. 木本平八郎

    木本平八郎君 終わります。
  152. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  154. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  156. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 速記を起こして。     —————————————
  157. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 次に、割賦販売法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず政府から趣旨説明を聴取いたします。小此木通商産業大臣
  158. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年、割賦販売等に係る取引が急速に多様化拡大を示しております。こうした取引は、代金の分割払いにより、高額な商品の購入を可能とするものであり、今後一層その利用が国民の消費活動に浸透し、より豊かな国民生活の実現に貢献していくものと考えられます。  しかしながら、割賦販売等に係る取引の拡大に伴い消費者とのトラブルも増大してきております。特に現在、購入者保護のための法による措置がとられていない割賦購入あっせんについては、割賦購入あっせん業者が購入者と販売業者との間に介在する複雑な形態の取引であることからトラブルが多発しております。  このような状況からは、割賦販売等に係る取引につき、一層の購入者保護を図ることにより、国民が安心してこれらの取引を利用し得るよう法による措置を充実することが急務となっております。  このため所要の法改正を行うべく本法律案を提案した次第であります。  次に、改正案内容を御説明申し上げます。  第一に、現在、割賦販売に適用されている購入者保護規定を割賦購入あっせんに同様に及ぼすことであります。  すなわち、割賦購入あっせんに対して取引条件の表示、書面の交付、いわゆるクーリングオフ、契約の解除の制限等の規定を所要の改正を加えつつ適用するものであります。  第二に、割賦購入あっせんを利用した購入者が販売業者に対して主張できる事由をもって、割賦購入あっせん業者からの代金の支払い請求に対抗することができるものとすることであります。  すなわち、商品の引き渡しがない場合や引き渡された商品に瑕疵がある場合等には、購入者は割賦購入あっせん業者からの代金の支払い請求を拒むことができるものとすることにより、購入者保護の徹底を図るものであります。  第三に、支払い能力を超える購入の防止及び信用情報の適正な利用等を図ることであります。  すなわち、割賦販売業者等は、購入者がその支払い能力を超えて商品の購入を行うことがないよう正確な信用情報に基づき販売活動を行うべきこと、また、信用情報機関及び割賦販売業者等は、信用情報を購入者の支払い能力調査以外の目的に使用してはならないこと等を規定したものであります。  第四に、指定商品の対象として消耗品を加え得ることとし、また、いわゆるリボルビング方式による割賦販売等も法の対象に加えたことであります。  すなわち、近年、割賦販売等に係る取引が増加している消耗品をも本法の適用対象とするため指定商品の定義を改正し、また、割賦販売等に係る取引の代金支払いの一形態として近年増加しているリボルビング方式につきましても明示的に定義規定に追加したものであります。  以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  159. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 次に、本案につきましては、衆議院において修正議決されておりますので、この際、衆議院における修正部分について衆議院商工委員長梶山静六君から説明を聴取いたします。梶山君。
  160. 梶山静六

    衆議院議員(梶山静六君) 割賦販売法の一部を改正する法律案の衆議院における修正につきまして御説明申し上げます。  修正の趣旨は、割賦販売等におけるクーリングオフ制度の充実を図り、消費者保護を徹底させようとするものでありまして、その内容は、第一に、割賦販売について、申込者等が契約の申し込みの撤回等ができるクーリングオフの期間を四日から七日に改めるとともに、ローン提携販売、割賦購入あっせんについても同様に定めることであります。  第二に、経過措置として、いわゆる総合方式、個別方式の割賦販売、ローン提携販売について、この法律の施行前に、契約が締結された場合、契約の申し込みが行われた場合及び法律施行前に契約の申し込みが行われ、法律施行後に契約が締結された場合には、従前の例によるものとすることであります。  第三に、訪問販売におけるクーリングオフの期間及び経過措置について、割賦販売の場合と同様に定めることであります。  以上であります。
  161. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は連休明けの五月十日に行うこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十分散会      —————・—————