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1984-04-07 第101回国会 参議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月七日(土曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  四月六日     辞任         補欠選任      対馬 孝且君     浜本 万三君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         斎藤栄三郎君     理 事                 降矢 敬義君                 森山 眞弓君                 高杉 廸忠君                 市川 正一君     委 員                 岩本 政光君                 亀井 久興君                 杉元 恒雄君                 松尾 官平君                 松岡満寿男君                 山本 富雄君                 梶原 敬義君                 福間 知之君                 田代富士男君                 伏見 康治君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長  河本 敏夫君        官)    政府委員        公正取引委員会        委員長      高橋  元君        公正取引委員会        事務局経済部長  佐藤徳太郎君        公正取引委員会        事務局取引部長  奥村 栄一君        公正取引委員会        事務局審査部長  伊従  寛君        経済企画庁長官        官房長      窪田  弘君        経済企画庁長官        官房会計課長   遠山 仁人君        経済企画庁調整        局長       谷村 昭一君        経済企画庁国民        生活局長     及川 昭伍君        経済企画庁物価        局長       赤羽 隆夫君        経済企画庁調査        局長       廣江 運弘君        通商産業大臣官        房審議官     山田 勝久君        通商産業省立地        公害局長     石井 賢吾君        通商産業省生活        産業局長     黒田  真君        中小企業庁長官  中澤 忠義君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        外務省中近東ア        フリカ局アフリ        カ第一課長    宮本 吉範君        外務省経済協力        局外務参事官   木幡 昭七君        通商産業省生活        産業局紙業課長  榎元 宏明君        消防庁予防救急        課長       小坂紀一郎君        消防庁救急救助        室長       大山 昭夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、昭和五十九年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管公正取引委員会経済企画庁)  )     —————————————
  2. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  予算委員会から審査委嘱がありました昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち、公正取引委員会経済企画庁を議題といたします。  まず、経済企画庁長官から説明を求めます。河本経済企画庁長官
  3. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 昭和五十九年度の経済企画庁関係予算及び財政投融資計画につきましてその概要を御説明申し上げます。  総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁予算額は三百十九億八千八百万円となっており、これは前年度予算額に比べて二百四億五千四百万円の増額であります。  また、財政投融資計画につきましては、海外経済協力基金に係る分として、三千七百九十八億円を予定しております。  以下、重点事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。  第一に、経済協力積極的展開を図るために必要な経費として二百十億円を計上しております。  この内訳の主なものは海外経済協力基金交付金二百九億九百万円であります。  海外経済協力基金につきましては、経済協力の新中期目標のもとで政府開発援助の拡充に努めるため、事業規模として六千四百八十億円を予定しております。  この原資としては、前述の交付金のほか一般会計からの出資金が一千六百億円、資金運用部資金からの借入金が三千五百三十八億円、政府保証債が二百六十億円、自己資金等が八百七十三億円となっております。このうち一般会計からの出資金は大蔵省に計上しております。  第二に、物価政策推進に必要な経費として二十六億八千四百万円を計上しております。  この内訳の主なものは生活関連物資の需給、価格動向調査監視、その他各省庁の所管する物価対策を機動的に実施するための経費二十五億九千三百万円等であります。  第三に、国民生活政策推進に必要な経費として二十五億五千六百万円を計上しております。  この内訳の主なものは国民生活センター運営に要する経費十九億五千七百万円等であります。  これらのほか、経済動向調査分析内外経済対策推進、一九八〇年代経済社会展望指針に基づく諸政策推進等に必要な経費として十七億円を計上しております。  以上、五十九年度における経済企画庁関係予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。  何とぞ、御審議のほどよろしくお願いをいたします。
  4. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ありがとうございました。  次に、公正取引委員会委員長から説明を求めます。高橋公正取引委員会委員長
  5. 高橋元

    政府委員高橋元君) 昭和五十九年度の公正取引委員会関係予算につきましてその概要を御説明申し上げます。  総理府所管一般会計歳出予算のうち公正取引委員会予算額は二十八億円となっており、これは 前年度予算額に比べて一億三千三百万円の増額となっております。  以下、その内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、独占禁止法施行経費として一億八千二百万円を計上しております。  独占禁止法施行経費には、違反事件審査のための経費経済力乱用行為の実態を調査し規制するための経費中小企業に対する指導を推進するための経費などが含まれております。  第二に、流通問題総合対策経費として九百万円を計上しております。  流通分野における競争阻害要因を明らかにし所要の措置を講ずるための経費であります。  第三に、国際関係事務処理経費として千六百万円を計上しております。  我が国経済国際化、諸外国における独占禁止法の制定、強化に伴い、諸外国独占禁止法施行機関との連携の促進を図るための経費であります。  第四に、下請代金支払遅延等防止法施行経費として千九百万円を計上しております。  法運用強化啓蒙普及活動を積極的に行い、下請取引適正化推進するための経費であります。  第五に、不当景品類及び不当表示防止法施行経費として一億七千二百万円を計上しております。  公正競争を維持促進することにより、消費者の保護を図るため不当表示等に対する規制体制を整備し、景品表示行政を積極的に推進するための経費であります。  最後に、その他人件費等予算として二十四億二百万円を計上しております。  以上、昭和五十九年度における公正取引委員会予算について、その概要を御説明申し上げました。  何とぞ、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
  6. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ありがとうございました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 梶原敬義

    梶原敬義君 経済企画庁長官と、できれば通産省の方にも同時にお聞きしたいことでありますが、我が国経済は、私のこれは感じでありますが、八〇年の特に衆参同時選挙で自民党が圧倒的な勝利をした以降を見できますと、ずっと我が国経済あるいは国民生活が悪くなってきているような気がしてなりません。特に中曽根総理大臣行革三昧を言いながら、その経過を振り返ってみますと、何ら的確な国民生活あるいは国の経済を生き生きとするような政策が打たれてないような気がしてならないわけであります。  私、国会に去年の六月に出てまいりましたから、いわば一体国民が何を考えておるのか、そういう点では非常に多くの有権者の皆さんと接してまいりましたその実感からしてもそう感じてならないのであります。冒頭に経済企画庁長官からこの辺についての所感を率直にざっくばらんにお聞かせいただきたいと思うのであります。
  8. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 昭和五十五年から日本経済が悪くなったではないか、こういうお話でございますが、私もそのとおりだと思います。昭和五十四年の秋にイラン・イラク戦争が始まりまして、第二次石油危機が本格的なものになりましてから世界経済が大混乱に陥って、日本経済も大変大きな打撃を受けて経済成長が非常に低下をいたしまして不景気になったわけであります。それから昨年まで約四年間景気の悪い状態がずっと続いておりましたが、幸いに昨年春以降アメリカ経済が非常な勢いで立ち直ってまいりまして、それが起爆剤になって日本経済もやや明るい兆候を取り戻しておるというのが現在の段階であろうと思います。  ただしかし、まだその景気回復の力は非常に弱いということ、それから長い間の不況がずっと続いておりましたのでその後遺症がまだ相当残っておるということで、いわゆるばらつき地域、業種に今なお厳しく残っておるというのが現状であろう、このように思います。
  9. 梶原敬義

    梶原敬義君 実は衆議院商工委員会会議録も読ましていただきましたし、また参議院の予算委員会での長官答弁も聞きました。これから幾つかお伺いすることにつきましてはまたダブって大変恐縮な面もあると思いますが、できるだけ具体的な面で具体的な回答をひとつお願いしたい、こういう気持ちで以下御質問申し上げます。  確かに我が国経済は、長官が指摘をされますように、三年続きの、あるいは五年続き長期不況からようやく脱却しつつあるようでありますが、国民生活実感からはまだ好況感というのは出ていない、こういう気持ち国民はあると思います。特に中小企業経営者零細企業経営者、あるいはそこで働きます従業員、こういう人たちは本当に第一次オイルショック以降しわ寄せをされて、非常に厳しい状況が打ち続いておると思います。戦後最高と言われます企業倒産、特に中小企業に今集中をしております。また、雇用不安あるいは実質所得の低迷ですね。経済企画庁任意可処分所得というような表現もしておられますが、そういう点から見ますと非常に悪い状況が続いております。この点についての認識の仕方について長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  10. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私も大勢としては大体今お述べになったようなところでなかろうかと思います。第一次石油危機からようやく立ち直ってやれやれと思っておったやさきに第二次石油危機が起こって、厳しい状態がずっと続いておったと。よくなったとはいいながら、なおその力が弱い、ばらつきが残っておる。特に中小企業の大部分は非常に厳しい状態にございますし、国民全体の所得もそんなに大きく伸びてない。一方で、生活も複雑になっておる、経費は余計かかる、こういうことでございますから、今お述べになりましたようなところが大体率直なところではなかろうかと、私はこのように思います。
  11. 梶原敬義

    梶原敬義君 そこで、繰り返しますが、なかなかこれはこういう席では言えないと思いますが、エコノミストに長官のお考えも載っておりましたが、中曽根総理大臣答弁されている内容河本長官の言われている考え方とずいぶんニュアンスが違うんですが、私はもう正直言いまして、中曽根総理大臣が辛抱の哲学というかあるいは行革三昧というか、こういうことでずっと国を指導し国民を指導してきた。これは、アメリカ景気はどんどんよくなっている、よそはよくなっている、日本はなかなかよくならない、これはやっぱりそこに何か大きな政策の手落ちというものがあったんではないかと思うんですね。この点について、率直に御意見を聞かしていただきたいと思います。
  12. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 最近は行政改革についての誤解は私は大分解けたと思うんですけれども、一時は行政改革をやれば日本の抱えておる問題は全部解決する、景気もそれでよくなるんだ、こういう過大な評価が私はあったと思うんですが、しかし行政改革景気対策というものは全然別の問題でございまして、行政改革を進めるということは、日本の現在から考えましてこれはもう絶対に私どもも必要なことだと思いますが、しかし行政改革を進めたから日本の抱えておる問題がすべてそのまま自然に解決するんだという、そういう一時誤解がございましたが、それは最近なくなったと思います。だから必要なことは、行政改革を力強く進めながら、同時にやはり景気に対しては別のやっぱり対策を並行して進めていく、そして日本の持っておる潜在的な成長力というものが十分発揮できるような、そういう政策を進めていくということが大事でなかろうか。また、そのようにしませんと、財政再建も小規模な節約だけではとてもこれはできない、このように私は考えまして、機会あるたびにそういうことを説明し、同時にこの一月も政府与党連絡会議でそういう意見を述べまして、思い切った税制の抜本的な見直しというようなことももう一回やったらどうだという提案もしておるというのがこれまでの経過 でございます。
  13. 梶原敬義

    梶原敬義君 通産省通産大臣に対してお伺いしたいんですが、今、長官のおっしゃった内容については理解が私はできるんですが、同じ経済閣僚として実動部隊を預かっております通産省が一体こういう点についてはどうお考えになるのか、ちょっとその点について所見をお伺いしたい。
  14. 山田勝久

    政府委員山田勝久君) 経済の現況につきましての経済企画庁長官の御認識は私どもそのとおりだと思っております。政府といたしましても現在の回復過程、これを着実にするためにいろいろ民間活力最大限の活用とか、あるいは景気回復のための環境整備とかいうことをいたしておるわけでございます。  特に通産省関係について申し上げますと、エネルギーの利用の効率のための投資促進税制とか中小企業メカトロ税制とかいうことをやっておりまして、民間設備投資をまず喚起するということでございます。それから、各種規制緩和等によって公共的事業分野への民間活力の導入というものを促進したい、あるいは国際通貨情勢を注視しながら、金融政策を適切かつ機動的に運営するとかということだと思います。ちなみに、この設備投資減税関係で大体四千五百億円ぐらいの設備投資がプラスして増加するものと算定いたしております。  先般、経済企画庁中心になりまして経済運営基本的態度経済見通しを策定されましたが、その中で民間設備投資実質五・一%の増加を見込んでおりますけれども、そのうち一・一%は実はこの四千五百億円の減税効果によるものでございます。  こういったことをやっておりますが、長期的な問題につきましては、いろいろ貯蓄率の問題でございますとか、あるいは民間活力でございますとか、勤労意欲でございますとかいろんな面がございます。ちょうど過去三年間三%程度の経済成長率でございましたけれども、ことしはまさに四・一%と、四%台の成長に一つ駆け上がるわけでございます。こういった意味で長期的には潜在成長力を引き出すといううことでございますが、今年度について言いますと、まさに過去に比しまして一%増の四・一%を実現する、こういうことに最大限の努力を現在払っておるところでございます。
  15. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 中小企業問題にお触れになりましたので、中小企業庁としての……
  16. 梶原敬義

    梶原敬義君 中小企業問題はもう少し後でさしてくれませんか。——きょうは通産大臣はどうしていないんですか。
  17. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 昨日、通産省関係委嘱審査がございまして、きょうは企画庁の……
  18. 梶原敬義

    梶原敬義君 出ていただけないんですか。昨日は昨日ですよ。おられるんですか、きょうは。
  19. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) きょうは御通告をいただいてなかったと思います。
  20. 梶原敬義

    梶原敬義君 それでは通産大臣のお考えはまた後で聞きたいと思うんですが、河本長官が今おっしゃられました、一時行革をやれば経済も何もすべてが解決するというような考え方、風潮があったというようなお話でしたですね。こういう点について、ここのところについて一体通産省はどう考えるのか、ここをお聞きしたかったわけです。
  21. 山田勝久

    政府委員山田勝久君) 行革民間活力を活用すると、先ほど私が申し上げましたように、各種規制緩和等によっていろいろ民間活力を活用する、こういう点が一つ重要かと思います。しかし経済政策というものもまたこれは景気回復なり長期経済動向について重要でございます。ということで、行革ということを通じまして民間活力を発揮し、それがまた景気回復につながっていくという面もございますし、また公共投資等々との関連におきまして、景気との関連もいろいろございます。いろんな多様な要素が絡まってくるんではないかと思います。
  22. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういう答弁をされますとちょっと困るんですがね。じゃもう行革ばっかりやっておけばいいじゃないですか。何もやらなくても、景気よくなるんでしょう、どうですか。
  23. 山田勝久

    政府委員山田勝久君) もちろん行革は非常に重要な政府政策課題でございます。もちろん景気が回復し、安定した経済成長をもたらすということもまた重要な政府政策目標でございます。その間のバランスをとりながら政策が遂行されていくべきだと思います。
  24. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから私が聞いているのは、やっぱり行革昧行革三昧とこう言いながら、振り返ってみますと我が国国民生活やあるいは経済というのは、もう倒産件数で言うと一万九千は戦後最高、しかも実質所得は伸びない。それから、後で議論しますが、内需の問題、この拡大はなかなか難しい。こういう状況に現に中曽根さんを中心とした我が国経済運営の中でなっているじゃないですか。この点について通産省としては、やはりそのとおりやっていくというのか、河本長官が言ったように、もう少し行革行革でやるけれども、もっといろんなことをやらなければどうにもならない、こういうことを言うのか、そこを聞きたいのです。
  25. 山田勝久

    政府委員山田勝久君) 私、ただいま申し上げましたように、行革も重要であるし、また経済安定的発展というものも重要であり、両方遂行されるべきではないかと思います。
  26. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、答弁されるときもう長いこと言うことない、そういうことをはっきり一言言っていただければいいと思います。これからぜひお願いします。  企画庁長官、これはもういつもあっちこっちで大変質問が出ておりまして、また同じこと聞くかということになると思いますが、五十九年度経済成長見込みの四・一%、うち内需は三・六、外需が〇・五ということでありますが、私は本当に長い間、特に中小企業あるいはそこで働く従業員生活というのは、第一次オイルショック以降本当にもうよくなっていないんです。ですから、この際は四・一%をもっと思い切って引き上げる、五%台にやっぱりのせる、そういうダイナミックな政策をことしはやっぱりとってもらいたい、それが国民の声だと思うんです。この点について御意見を聞かしていただきたいと思いますし、決意をぜひ披瀝していただきたいと思うんです。
  27. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 御承知のように、最近のアメリカは五%台の実質成長を目指しておりましたが、それを上回って七%台の実質成長と大変な勢い景気が回復しておりますが、日本は残念ながら、まあ景気が回復したとは言いながら、昨年の十−十二月期はまだ年率に直しまして三・一%という低い成長でございます。アメリカ日本経済の基礎的な条件幾つかございますが、その幾つかの条件を全部対比いたしまして比較検討いたしましても、日本条件の方が全部はるかによろしい。そこで私どもは、経済の基礎的な条件がよい国が景気がよくならぬで、経済条件の悪い国が日本よりも景気がよくなるということはやはり問題でなかろうか。まあ幸いに、先ほども申し上げましたように、不況が四年経過して、五年ぶりでやや明るい展望も出てまいりましたし、それから、世界経済アメリカの好影響を受けまして、ヨーロッパもよくなりつつある、他の地域も一部を除いてよくなりつつある、こういうことでございますから、非常にいいチャンスでなかろうかと、このように思います。で、昨年の八月に政府の方で一九八〇年代の「展望指針」というものを発表いたしましたが、それによりますと、この八年間、昨年から昭和六十五年までの八年間、実質四%成長を続けると、こういうことを目標にしております。条件の悪いときにはせいぜい二%か三%成長しかできませんので、条件がよくなればこれは五%、六%成長を当然しなければならぬのではないか、そして、いいときと悪いときとの平均をとりまして四%と、こういうことになるんだと思うんです。四%成長といいましても、こういう激動期に毎年それが実現するわけではございませんので、いいときには思い切ったやはり工夫をして経済の力を発揮する、こういうことが必要でなかろうかと思いますし、私は、現在のような 世界経済条件のもとでは、平均以上のやはり成長を達成するということが当面の日本目標でなければならぬ、このように考えております。
  28. 梶原敬義

    梶原敬義君 ちょっと通産省の方にもお聞きしたいんですが、長官が今おっしゃった、まあ条件の悪い国の方はよくなって、あるいは世界経済もよくなって、条件のいい日本はやはりおくれてる、こういう認識通産大臣通産省の方は一致してできるわけですね。
  29. 山田勝久

    政府委員山田勝久君) 我が国は、財政という点ではいささかほかの国、アメリカもそうですが、厳しい状況にございますけれども成長力といいますか、貯蓄といいますか、あるいは勤労意欲とか、そういう面ではかなりほかの国に比べて条件はいいんではないかと、経済企画庁長官のお考えと私ども一致しております。
  30. 梶原敬義

    梶原敬義君 きょうはまあ大臣がいないですからね、ぜひ大臣にその辺についてはやっぱりよく理解できるように、皆さんから本当にその気持ちにさしていただきたいと思うんであります。  勤労国民、あるいは中小零細企業が先ほど言いました非常に厳しい状況だと、ここで何とか一息つかしてほしい、こういう点について私なりにちょっとデータをもらって調べてみたのであります。若干、私の地元の大分県の例で狭い話でありますが、できれば国全体の数字も教えていただきたいんですが、大分県の赤字法人率というのを県の商工労働部に出してもらったんです。これを見ますと、昭和五十一年に法人数が一万一千八百七十四、このうちに赤字法人率が五三・三六%なんですね。五十二年が一万二千七百八の法人数に対して五七・八七、上がっておるんです。五十三年、これは一万三千百九十二に対して五九・四五%、五十四年が一万三千八百八十五に対して八五・七〇%、五十五年が一万四千二百七十八に対して五八・八八、五十六年が一万四千七百八十二に対して六一・八三、五十七年が一万四千八百十八に対して六三・五八、これが赤字法人率の五十一年から五十七年までの推移である。ずっとふえ続けておる。これは大分県に本社のある企業ですから、大企業数は少ないですからね、もうほとんど中小企業と見てもらってもいいと思うんですが、もし国の関係でこの数字が一体どうなっているか、あれば教えていただきたいと思います。
  31. 廣江運弘

    政府委員廣江運弘君) 国税庁の会社標本調査結果によりまして申し上げます。  五十一年の欠損法人の割合は、大企業、中小企業含めまして申し上げますが四六・三でございます。年を追いまして申し上げますが、五十二年が四九・一、五十三年四八・八、五十四年四七・六、五十五年四八・二、五十六年四九・九、五十七年五三・○でございまして、今お示しいただきました大分県の数字は一部に全部上っておると言われましたのですが、若干景気変動を受けまして例えば五十四年当たり若干下がるというような傾向を全国の数字は示していると思います。
  32. 梶原敬義

    梶原敬義君 大体全国の数字はわかりました。  しかし、五十七年を見ますと五三・○に急に飛び上がっておりますね、今のお話では。しかし、大体傾向的には、これはまあ特に東京周辺というのはいいんでしょうが、田舎に行けば行くほど先ほど私が申し上げましたような、これは大分県は例外じゃないと思うんですが、そういう傾向になってきている。これに対して国民が、あるいは中小企業経営者が、そこで働いている、もう非常に厳しい仕事をしている人たちがどうかしてくれ、こういうことを言っておるわけであります。長官、この点について異論はないと思いますが、所感をお聞かせいただきたいと思います。
  33. 廣江運弘

    政府委員廣江運弘君) 先ほど申し上げましたのは全法人について申し上げましたので、若干ブレークダウンといいますか、少し中身を分類いたしまして、資本金一億円以下のものを中小企業の代理店というような形で申し上げますと、五十一年が四六・四でございますが、以下年を追いまして、四九・三、四九・○、五十四年が四七・八、五十五年四八・四、五十六年五〇・一、五十七年五三・三というふうになっておりまして、全法人の数字よりも中小企業法人の赤字割合が多いということが示されておると思います。  この理由につきましては、基本的には景気動向による、こう思いますが、若干テクニカルな点について申し上げますと、中小法人は同族法人の割合が非常に高い、こう一般的には考えられると思いますが、同族法人の場合経営者やその家族、従業員は法人から一定の報酬、給料を受け取って生活しておりますので、景気変動の影響を大法人よりもより直接的に受けるということがあろうと思います。そういうものが今の数字にあらわれていると思いますが、基本的には最初に申し上げましたように、景気動向を反映しているということでございまして、中小企業の振興についての要望が強く出ているということだと思います。
  34. 梶原敬義

    梶原敬義君 くどいようですが、大体こういう実態というのは、首都圏をもっと離れて過疎の地域に行きますと、こういう状況というのは第一次オイルショック以降非常に厳しくなってきている、こういう状況について本当に認識をしてこれから一体どうするか、こういう立場に立っていただきたいために申し上げたわけであります。  次に、私は財政欠陥、行革絡みですが、財政が悪い悪い、こう言っておりますが、それは特に財政にはいろんな問題があるでしょうが、法人税に占める中小法人の負担割合といいますか、この点について国税庁の方にちょっと調べてもらったんです。これを見てみましても同じようなことがずっと出ております。特に資本金が一億円未満の法人で見ますと、一例をとりますと昭和四十八年に四八・五%、それから大企業、資本金一億円以上の企業が五一・五%、こういう状況です。これが昭和五十四年になりますと四八・五%、中小企業が四〇・六、大企業は五九・四、五十五年が三八・七、大企業は六一・三、五十六年が三七・九、五、十七年が三七・○、こういうようにこれは非常に急いで作成していただきましたからちょっと端数はあるかと思いますが、大企業と中小零細企業が法人税をかけている率というのがバランスが初めは大体拮抗していたのがばらっと落ちておるわけですね。通産省は本当にいいこと書いていると思います。中小企業は国の基礎で、国を支えている。従業員が企業数で九〇何ぼで、従業員で八〇・何ぼとか、こう書いておりますが、こういう状況なんですね。  それからまたもう一つは、源泉所得税の関係で見ますと、大体サラリーマンが払っております源泉所得税の個人とあるいは個人企業の分と資本金一億円未満、これの負担というのは四五・五%なんですね。ですから数は、通産省の資料で書いてありますように、所信表明演説に書いてありますように、たくさんあるけれども、実態はなかなかそこが税金もかけられない、これはこの中に間接税はうんとかけていると思うんですけれども、だからこういうような状況になっているわけであります。こういう状況についてそれは財政問題絡みでやっぱり日本のダイナミックなここで経済の建て直しをして、中小企業経営者もそこで働いている従業員ももっと所得税をかけられる、そして酒やたばこも、あるいは間接税にかかる分もどんどん使えるように、やっぱりずっとこういう状況が長く続いておりますから、ここは一番そこのところに重点を置いた我が国経済運営というのはとられるべきではないか、こう思えてしようがないんですが、河本長官の所見を、決意をお伺いしたい。
  35. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 通産省から中小企業庁長官が来ておられますから、具体的な対策については長官からお述べになると思いますが、私はかねがね中小企業政策の根本とは何ぞやということを考えてみるんですけれども、やはりこれは景気を思い切ってよくして、中小企業の仕事がうんとふえる。そして仕事を、もう赤字でも何でもしようがなしにやるということではなくして、選別して実施をするような仕事の量が中小企業にも確保できるということが私はもう九五%まで中小企業対策ではなかろうかと。しかし、中小企業の分野ではなお大企業とは違いますから、いろいろ政府 の方も援助しなければなりませんので、その部分はごくわずかである。やはり中小企業の仕事の量を確保するということが一番肝心な点ではなかろうか、このように思います。仕事の量が確保できて採算が向上すれば当然税金ももっと納めるようになる、こういうことになるのではないか、こう思います。
  36. 梶原敬義

    梶原敬義君 私も全くそう思います。  実は、一々けちをつけるつもりはないんですが、通産省中小企業対策で、所信表明演説の中で前の方に内需拡大というのはうたっておりますが、いろいろこう書いておりますが、こんな本当に国民を惑わすようなことを言うんじゃなくて、河本長官が言われましたように、やはり中小企業内需を拡大して仕事を与えて、そしてそこで少しでも潤っていく。ここのところに大多数の経済運営政策中心が置かれないと、いつまでたってもこれはよくならない。ここのところをぼかしていろいろやるところに、どうも私は不満があってしようがないんですが、けちをつけるつもりはないんですが、通産省の方もこの点についてはぜひ率直に認めていただきたし、理解をしていただきたいと思います。
  37. 中澤忠義

    政府委員中澤忠義君) 中小企業の景況について大企業と比べても一段とこれが非常に厳しいという御指摘はそのとおりだと思います。特に中小企業の場合は、その需要が内需に依存しておるという面が非常に多うございます。建設業と小売業、特に地域経済を支えておりますこのような分野に中小企業は非常に展開しておりますので、公共事業、住宅あるいは個人消費というような内需が伸び悩んだ結果が、この長い不況の時期に中小企業が非常に苦しい状態に置かれているということだと思います。したがいまして、根本的にはやはり内需中心とした景気の拡大が中小企業の収益あるいは景況を支える根本的な政策であると考えておりますけれども政府といたしましてもそういう非常に厳しい状況におきます中小企業の経営に対しまして極力支援を行うという意味で、政府系金融機関あるいは信用補完という面で予算上あるいは財政投資の上で十分な対策を用意しておるわけでございます。特に仕事の面という点につきましては、政府あるいは国の機関におきまして、官公需を極力中小企業に向けて発注するように配慮するという意味で、官公需法に基づきまして、逐年中小企業向けの官公需の比率を引き上げるという努力を関係各省にもお願いいたしまして行っておるわけでございまして、最近の全般的な景況回復と並行いたしまして、中小企業設備投資もようやく明るさが出てきておりますので、五十九年度以降、中小企業につきましても緩やかながら景気の回復基調に乗るというふうに我々は見ておるわけでございます。
  38. 梶原敬義

    梶原敬義君 後のことは後のことであれですがね、ですから大臣皆さんが言っていることは、要するに内需の拡大がやっぱり問題だということにもう尽きると思うんですね。ぜひ通産大臣がやっぱり内需の拡大に対して積極的に取り組むようにひとつ皆さん方で努力していただきたいと思います。  きょうの日経を朝見ましたら、「個人消費もたつく 内需の足引っ張る 企画庁首脳 政府目標達成難しい」と、こういう記事が載っておりました。そこで最後に、内需の拡大に対しまして三・六%は国の国民に対する公約でありますが、これはもっと高くてもいいわけでありまして、この辺について経済企画庁長官の方でもう具体的に一体何がどうして、詰めた話を具体的にひとつ内需の拡大に向けてこれだけはやると、こういう具体策をひとつ示していただきたいと思うんです。
  39. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 内需の一番大きな柱といいますと、これはことしは民間設備投資考えております。そのために中小企業の投資に対して一部投資減税をしておるんですが、実際はこの投資減税の規模が非常に小さいものですからそう大きな効果は期待できない。やはり私は今の段階では日本の産業の設備は相当古くなっておりますし、それから新しい技術開発もどんどん進んでおる、新分野の産業も興りつつある、こういうことでありますから、この際は思い切ったやはり設備投資の更新、新設等をやりませんと、しばらくたちますと現在の日本経済の競争力も弱くなるんではないか、こういう感じがいたします。幸いに世界経済がよくなったものですから、中小企業などでもこの分ならばやれるだろうということで投資をやられる方も大分ふえてまいりましたけれども、やはり内需の一番大きな柱として、民間設備投資の拡大についてもう少し積極的なことを考えていく必要があると同時に、もう一つ大事な点は、やはり豊富でコストの安い資金をできるだけ提供していくということでございますが、そのために金融政策がもう少し機動的に運営できますと大変私は力強くなると思うんですけれども、今物価は世界で一番安定しておる、しかし金利水準は大変高い。内外に金融政策を機動的に運営できなくしておる幾つかの要因がございますから、なかなかやりにくい点もあるんだと思いますけれども金融政策がもう少し機動的に運営できるということになると大変力強さを増すのじゃないか、こういうことを痛感をいたしております。  それから内需の第二の大きな柱は、これはやはり国民所得がふえましてそれを背景として消費がふえるということでありますが、昭和五十八年度の経済政府の見通しがこの点で相当狂っております。年度当初は雇用者一人当たりの所得は五・一%ふえると想定をしておったのですが、どうもとてもそこまでは行きそうにございませんで、現在ではせいぜい三・五%見当でなかろうかと、こういう感じがいたします。五十八年度の経済の見込み違いはここに大きくあったと、このように思います。やはり国民全体の所得がふえませんと、また個人個人の所得がふえませんと消費はふえないということでございますから、この点に私どもは非常に大きな関心を持って今見守っておるところでございます。
  40. 梶原敬義

    梶原敬義君 設備投資減税、減価償却をやった何年間はその分は割り増し減価償却を認めるというようなやり方をやっている場合というのは、それはもうかっている会社というのは減価償却で経費で落とせますけれども、赤字会社というのは減価償却を余分にやれば赤字がもっと出てきますからなかなかこれは難しい問題で設備投資をやるいろんなやり方については私は具体的にやっぱり詰めて、計画的に年間どういうようにどう指導するかという具体性を、経済企画庁がそう言えば通産省が計画を立てていくとか、何かもっと連携プレイをやる必要があるんじゃないか、どうも言っているだけでもしやらないと、そうでなくても国内は今生産過剰の傾向でありますから、これは景気がよくならなければつくっても売れない、じゃこれは見合わせるかと、こうなれば計画が狂います。だから、もとは全体のやっぱり景気はよくなることがもとになるんでしょうが、その点が一つぜひ要望したいと思います。もう少し具体的に回答してもらいたい。  それから金融政策については、もっと何というか思ったことをさしてほしいというような意味でありますが、どうしてできないんですか。通産大臣やあるいは経済企画庁長官が力を合わせて、そして閣議でやはりこれはこうしたいと、こうしなけりゃいけないと、実態の認識国民の立場に立って実態を認識すればなぜそれがやれないのか。どうもいつも最後に金融政策のところにきますと、やりたいんだが、しかし、というのがついて、そこは力強さを感じません。  それから国民所得の問題について、ちょうど今ベースアップの時期でありますからね、赤字の会社にどんどん賃金を、所得をもっと上げるというとこれはなかなか無理な話でしょうけれども、出せるところは鉄鋼がやっぱり厳しいというんなら鉄鋼がそれなら電機とか自動車とかもうかっているところの足は引っ張らないと。だから政府は出せるところは出す、そうすれば回り回って鉄鋼にもいい時期が来ますからね。いいところはいろいろ気にせぬで出していく、こういうような指導がとれないのかどうなのか、それが一点。  それからもう一つは減税の問題、減税についてはやっぱり大幅減税、景気に役立つ減税をするということで二階堂幹事長と野党の書記長で話し合ったけれども、そこの中身はまた変わってきている。そういうだらだらだらだらしたことが続いてきておりますが、減税の問題についてももう少しびしっと国民にわかるように、やりたいんだがというんじゃなくて、やるんだと、こういうような方向を早急に打ち出してほしいと思う。総理大臣がかわったんじゃもうことしの暮れからそんなことを言い出したってこれは間に合わないと思うんですよ。だから、今からやらないと間に合わないと思うんですが、この二点についてもう一度長官の決意を聞かしてください。
  41. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 金融政策がやりにくい原因は幾つかあるんですが、一番大きな問題はやはりアメリカの高金利だと思うんです。アメリカ政府の一部には高金利と円のレートは関係ないと言っておりますけれども、現実にやはり非常に関係があるように私どもは思います。アメリカの金利と日本の金利が開きますと、資本がどんどん流れてきまして円安になる、ここが一番の問題点でございまして、それがないということであれば思い切ってやって一向差し支えないわけでございますが、そこがやはり一番の問題点だと思っております。しかし、それができたからといって全部の条件がそろうわけじゃございませんので、それで正しい決断ができるかどうかということは別問題といたしまして最大の難点はそこにある、このように考えます。  それから減税問題につきましては、昨年の九月の臨時国会で与党と野党との間で文書を交換しまして、五十八年から景気浮揚ができる規模の所得減税をやるということをお互いに合意をされたわけであります。五十八年度ではなくて五十八年から景気浮揚ができる規模の所得減税をやる、こういう合意ができたんですが、どういう経過でああいうことになったのか私はよく知りませんけれども、今回は所得税の規模は景気浮揚ができる規模ということではありませんし、それからさらに一方で増税等もございますので、景気には影響はなしとは言えません、若干の影響はあるんでしょう。まあしかし、とても当初の見込みのような数字にはなっておりませんし、所得税がやはり昭和五十二年から本格的な減税をしておりませんで、総額で二倍ぐらいにもなっておりますから、そこで私が先ほど申し上げましたように、やはりこの際、税制そのものを抜本的に検討して所得税を中心としてこれを減額していく、景気がよくなった段階で間接税をある程度増徴することをお願いする、こういうことを中心税制の改革を検討していただければどうでしょうかということを、大蔵大臣や自由民主党の政策責任者には提案をいたしまして今研究をしていただいておる、できるだけ早くやっていただくことが大切だということも申し述べておりますので、いろいろ研究をしていただくんだと、このように思います。
  42. 梶原敬義

    梶原敬義君 幹事長が約束しました五十八年度経済、非常に役立つ減税という約束を国民の前にちゃんとして、やっぱりやってないという問題等についても、その辺はいい悪いは別にして率直に反省するところは謙虚に反省する、そこに国民と国会、政治との信頼感が出てくると思うんですが、あいまいにしておりますから、この点についてはまだ別の機会に私どもも十分ただしていきたいと思います。  それから、社会資本の投資、いわば公共投資に関係する社会資本の投資、この問題について長官、きょうの新聞で見てもわかりますように、「内需の足引っ張る」と、「個人消費もたつく」と、こういうような状況ですから、この点についてやっぱり積極的なお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  43. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 先ほども申し上げましたように、景気はややいい方向に行っておるんですけれども地域によるばらつきが非常に厳しい、こういうことで予算が成立いたしました段階で、与党とそれから政府の間で社会資本投資の前倒し執行についてどうするかということについて相談をすることになっております。
  44. 梶原敬義

    梶原敬義君 もう少し河本長官らしく思い切ったことを幾つかきょうは聞けるんじゃないか、こう思ったんです。若干具体性が欠けておりますが、ぜひ先ほど言いましたように、本当に私が感じている状況では特に外需依存のところとか、あるいは一部大手の企業そういうところは別として小さなところというのは非常に厳しいわけでありまして、特にそこで働いている従業員というのは大変でありますから、思い切った政策経済運営をとっていただきたいと思います。  それから、ちょっと公取の委員長、時間がないようでありますが、一つだけお願いをしたいし、お伺いしたいんです。  特定産業構造改善臨時措置法に関して、今適用業種が二十一、それにセメントを入れる、石油は石油業法で別ですが、考え方は全く同じで、設備が余っている、生産過剰だ、一部スクラップをしてそして企業を集約化していく、そして要らぬ競争は、何といいますか、それぞれの地方の体質を強めていくという、こういう考え方、ずっと通産省指導して進んできておりますが、どうもこれがあと五年あるいは十年先に行きますと、それぞれの産業ごとに、何といいますか、話し合いによって価格操作ができるようなところに進んでいくような気がしてなりません。恐らく経済法則からいきますとそういう方向に行くんじゃないかという気がするんですが、公取としては公正でかつ自由な競争の制限、こういうことで、そのときになっていろいろ言ったってもう遅いわけでありまして、この点について公取の決意をお伺いしたいと思います。
  45. 高橋元

    政府委員高橋元君) 昨年国会の御審議をいただきまして、現在ただいまお話のございました特定産業構造改善臨時措置法、これが昨年の七月から成立を見て施行されておるわけでございます。  その際の御審議の際にもたびたび申し上げておりましたけれども、この特定産業構造改善臨時措置法に基づく一つは設備廃棄、一つは構造改善、二つの分野を含んでおります。設備廃棄につきましては、いわゆる指示カルテルというものができる仕掛けになっておりますけれども、構造改善、事業提携という分野につきましては独占禁止法の枠の中でやっていただくということで法案ができております。ただし、産業政策と競争政策の調整を図るために、事業提携計画、構造改善計画をつくってまいります段階で産業所管省と私どもの間で密接な意見の交換をし、実態に即した独禁法の運用を図っていきたい、こういうことをお答えをしておったわけでございます。ただいまの二十一業種を中心といたします構造改善計画、その内容通産省がお決めになる構造改善計画または各企業から出てまいりますところの事業提携計画、いずれにつきましても前広に通産省その他の役所との間で連絡、意見の調整を図っております。  そこで、独禁法の枠の中でということでございますけれども、結局独禁法の枠の中でと申しますと、一言で申しますと競争の実質制限ということにわならない範囲でということになります。構造不況業種につきましては、合併等の特例と申しますか、特殊の事情を考慮した合併の基準を出しておりますけれども、一般的に申しまして、今もお話のございましたような競争の実質制限が行われ話し合いの体質がびまんするということが一切ないように、企業の活性化、産業の活性化と、それからその合理化、効率化の効果が一般消費者関連業者その他を初めとして国民経済全体に還元されるようにということを念頭に置いて、構造改善計画についての実施に当たって私ども意見を申し述べ、さように進めていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
  46. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういうことでありますが、これは山一証券経済研究所が出しております「證券月報」八四年三月、ここで詳しく「安定成長に向かう洋紙業界」というのが何ページかにわたってずっと分析をされておりますね。そこで、王子製紙が二百三十億ですか、何か大変な利益を今回計上 するということで、洋紙の関係について通産省の方の指導もあって洋紙の需給のバランス回復についての努力もされているようですが、その中で、これは山一証券が書いているのは、確かに業績がよくなったのは、石油の値下がりとか、あるいは輸入チップ、国内材の原燃料価格の下落等々という理由がこう幾つかあると。だが、やっぱりその中でも特に今まではそういうコストが下がる要因があれば価格も下がっておったと。しかし、各社の協調姿勢がようやく今回の復調期で結実し、価格の下がり幅が少なかったと、こういう分析をしているんですよ。  ですから、こういうような傾向というのは結局どこにいくかというと、国民がやっぱり高い物を買わされるということにこれはなってくるわけです。これはすべてこれから構造改善がどんどん進んでいく過程で、そういう傾向に私は必ず五年、十年先にこれは進む傾向がある。ここだけは公取としてはちゃんと目を光らしていただきますようにお願いをして、時間ですから御退席を願いたいと思いますが、どうもありがとうございました。
  47. 高橋元

    政府委員高橋元君) 今のお話のございました洋紙の構造改善でございますけれども、これにつきましては新聞用紙の製造業を除く業種ということになっておりまして、現在のところは法律の要件に合致して構造改善計画を私どもとしても認定していいというふうに考えておりますが、ただその後の産業をめぐる諸般の事情によりまして、今お話のような事態が生じ、それによって消費者なり関連事業者を害することのないように十分気をつけてまいりたいというふうに考えております。
  48. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 高橋委員長、どうぞ御退席ください。
  49. 梶原敬義

    梶原敬義君 通産省の方にちょっとお聞きしたいんですが、同じ構造改善臨時措置法ですが、先ほど言いましたように、どんどんどんどんそういう形で企業の集約化といいますか、これから各産業にわたって恐らく進めていくんだろうと思いますが、国民に対してそれが高い物を買わせないような方向でぜひ指導していただきたいと思います。  それからもう一つは、これが進む過程の中で、特に田舎に進出してきておりました企業の設備廃棄あるいは首切りですね、雇用問題に大変な問題が過去にも出てきた例があります。過去というか、特定不況業種の問題でも、あるいは造船の、これは通産直接関係ありませんが、私も造船問題で随分苦しい苦い経験もしたんですが、造船問題でもそういう傾向があった。これを進むる過程の中では地域経済が密着しておるそういう地場中小、そこに働く労働者の雇用問題、ここのところは十分気をつけるように指導を、本当に腹を決めて指導していただきたいと思うんであります。その点はいいですね。
  50. 山田勝久

    政府委員山田勝久君) まさに産構法は、構造的困難に陥っている基礎素材産業の現状をそのまま放置するとまさに先生おっしゃるような雇用あるいは地域関連中小企業の経営にも重大な影響が出てくる、こういうことでございますので、前向きな構造改善を計画的に推進するということでそういった雇用あるいは地域経済に対する影響を回避しよう、そしてなだらかな雇用調整をしていこうということでございます。まさにこの構造改善基本計画の策定に当たりましては、産構審等の関係審議会を通じまして労働組合の意見も聞いております。また、基本計画におきましても、雇用の安定とか、あるいは関連中小企業の経営の安定に十分配慮をすることにいたしております。そのように指導を続けてまいりたいと思います。  なお、産構法以外に特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法あるいは特定業種関連地域中小企業対策臨時措置法ということもございますので、産構法とこれらの各般の法体系、政策体系と相まちまして、先生おっしゃった雇用の安定と地域関連中小企業者の経営の安定ということにつきまして万遺漏なきを得、かつ指導を続けてまいりたいと考えます。
  51. 梶原敬義

    梶原敬義君 実は今私も新米でよくわからないまま、ちょっとこれ参考資料として鶴崎製紙問題についてお話したいので、これは参考資料として見ていただきたいんです。実は広島に大竹紙業というのがありまして、これがいろいろ放漫経営で倒産をしました。会社更正法の申請をして、会社更正手続開始を既にされておるんですが、全く下請の会社に鶴崎製紙というのが、今裁判で争っておるんですが、ある。実はこれは通産省も一枚かみまして、大竹紙業の会社更正手続開始に向かって、山陽国策パルプ、そして王子、十條、本州、神崎製紙、こういうところを一枚かまして、そして支援バックグラウンドをつくって、そして会社更正手続まではいった。鶴崎でつくっている紙というのは洋紙でありまして、デパートへ行って物を買ったときに包装しているあの包装紙、包む紙、これについて競争力がないとかいろんな理由で別会社だけ切り捨てる。今どうかといいますと、その親会社で山陽国策が中心になってやっておる大竹紙業は、三十数億円の金をかけて今度はコート紙の設備をもう少しよくする、コート紙をつけて構造改善といいますか、設備投資を今進めておる。これには山陽国策が完全に後ろについておる、その裏にはやっぱり王子の系統もある、こういうことがずうっと進んできておる。大分県知事以下県民は、自分のとこだけ生き延びて関連の小会社を抹殺するとは何かと言って随分通産省の方にもお願いし、当時は志賀局長でありましたが、お願いをして努力をしていただいたんですが、もう今どうにもならないで、五十名は何とか、これでは死に切れないということで今頑張っておるわけです。アルバイトしながら生活している。だから、こういうような状況がこれからやっぱりあっちこっちに出てくる。だから鶴崎の問題については、通産省の方ももっとやはり真剣に、一人の生活、一人の一生、一人の命というのは、もうこれだれも一緒なんですから、真剣に考えてこれから対応していただきたいと思います。御答弁はこれはもう要りません。  それから最後になりますが、通産省の方にお聞きしたいんですが、三池炭鉱の有明鉱の事故に関して、若干さわりの部分だけになりますが質問をさしていただきたいと思います。  先般、有明鉱の事故調査には、商工委員会の方から、私も一緒に現場に行かしていただきました。私は、感じからして、今度のこの大災害、大事故というのはまさにもう人災だと、こう見ておるんですが、これは現在調査委員会が調査中でありますので、この点についてはまだ後の集中審議の中で議論をさしていただきたい、質問させていただきたいと思います。ただ、商工委員会で、どうしてもこれだけは早く質問し、対応していただきたいという点について一、二点質問申し上げたいと思います。  第一点は、あそこに煙感知器がやっぱりあったんですが、煙が流れる方向と反対の方向にあったということで、現場の集中センターの副長もそのことをはっきり認めておりました。  私は、石炭に関する保安問題で、通産省は、私の試算では、石炭一トン当たり約四百円ぐらいの保安補助金を出しておる。これはまあ異例なことなんですね。業種、産業に保安補助金を出すというのは異例なことだ。しかし、トン当たり四百円相当の保安補助金はやっぱり出しておる。一体この保安補助金が本当に有効に作用しているのかどうなのか。夕張の事故でも、もう最近起こっている事故というのは皆大事故なんですね。だから、この点についてひとつ通産省の方から御答弁をお願いしたい。
  52. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 御指摘の鉱山保安確保事業費補助金でございますが、これは災害の発生及び拡大を防止するために、保安専用機器の整備、これは集中監視装置とかあるいはCOマスク、こういったものの、保安専用機器の整備拡充を図るために補助金を出すのが第一、第二が、出水、ガス突出、あるいは自然発火、こういった石炭鉱山特有の事故を防止するためのボーリング工事あるいは密閉工事、あるいは充てん工事、こういった保安工事に対しまして補助金を出しており まして、補助率は四分の三の補助率でございます。  これまでのこういった保安工事にかかわる補助事業の成果というものは、十分それなりの成果を上げてきておるわけでございますが、有明区域におきましても、保安専用機器として煙感知器をつけておるわけでございます。御指摘のように、今回の災害という観点からいたしますと、火災発生箇所がナンバー・テン・ベルトの坑底部分から発火しているという事故調査委員会の中間報告がございますが、確かに御指摘のように、煙感知器はナンバー・テン・ベルトの駆動部、したがって風上でございますが、駆動部の上に据えつけてあったわけでございます。発火する可能性が一番高いというのは駆動部分でございますので、その駆動部分にあったために有効に今回の火災を捕捉できなかったという意味におきましては、十分な効果が上がってなかったというのは御指摘のとおりでございます。当省としましても、こういった類似災害の防止という観点から、今回、事故調査委員会によります中間報告の提言を受けまして、今後の坑内火災防止対策というものの徹底を図ることといたしておりまして、その監督指導と裏腹に、この補助金の有効活用によって保安対策の充実を図ってまいりたいというふうに思っております。
  53. 梶原敬義

    梶原敬義君 御答弁はわかります。で、トン当たり四百円近い補助金を出しているということは、これは本当に国民が知ったら、何やそんなことか、それで何でそんな大きな事故が起きるのか、こういうことにやっぱりなると思う。だから、ぜひ、さらに、そこまで一歩踏み込んでおりますから、通産省の方でも事故の起こらないように指導を強めていただきたいと思います。  次に、会社の姿勢、三井鉱山の姿勢、あのときにとった姿勢、それから、保安監督局のとった、何といいますか、なまぬるさというか、監督局の問題についてはもうきょうは触れませんが、ぜひ一点対応を聞きたいと思う。一体、事故が起こったのは一時五十分ごろだ、こう言っておられますが、福岡保安監督局に三井の会社から事故の連絡があったのはいつなのか。鉱山保安法では、事故があったら速やかに鉱山保安監督局に連絡せよ、こうなっておるんですね。それが速やかにされているのかどうなのか、その点について御報告し、対応をお聞きしたいのが第一点。それから、私が調べた、若干時間のずれはあるかと思いますが、消防署に三井鉱山から連絡があったのが午後の八時二十七分ごろだった、これは瀬高消防署。その前にどうも一度会社から消防署の方に連絡があったようだ。消防署の方が逆に会社に聞いたら、どうもそんなことははっきりしない、誤報じゃないかというようなことを言ったという、これはマスコミの方のお話であります。そうして、正式に猿渡という副長から、十八人ぐらいがけがをしているという連絡があったのは八時二十七分、ここで救急の要請をしておる。そして、行ってみたら、もう会社の車でけがをした人を運んでおったようです。瀬高消防署は、私の調べたところでは、二十二時に非番を呼び出して、そして午前四時にやっと酸素吸入なんか全部入れてすべての救急体制が整った。警察には六時五十分にいっておる。だから、やっぱり問題なのは、事故が起こってそれが消防署に八時二十七分、しかも酸素吸入を入れたり、救急体制を組まなきゃならない。報告義務はないかもしれないけれども、これはやっぱり常識じゃないでしょうかね。  この点に対して消防庁の方がもしおられましたら、私が言った消防署に対する報告や経過について、一応調べた結果を消防庁の方からも教えていただきたいと思うんですが。
  54. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 第一点の鉱山保安監督局に対します通報の時期でございますが、事故発生から約二時間後、十五時五十分というふうに私ども承知いたしております。これは約二時間経過をいたしておるわけでございますが、このおくれに関しましては、我々としましてはまことに遺憾なことであるというふうに存じております。  会社側の方は、これは大牟田にございます鉱業本所から監督局へ連絡をする体制になっておりまして、鉱業本所の方が事故内容の確認のために手間取ったという説明を受けておるわけでございますが、いずれにいたしましても極めて遅いことであるというふうに思います。その意味におきまして、福岡鉱山監督局長から三池鉱業所長に対しまして、それから本省におきましては参事官から本社の担当常務に対しまして厳重に注意をいたしたところでございまして、会社側もこれを受けまして連絡体制の整備を図っております。すなわち、三月一日に保安技術管理者通達を出しまして、少なくとも状況不明の段階におきましても、事故については第一報を速やかに、直ちに鉱務監督官へ通報するということで社内の体制を整えております。  あわせまして、こういったことがないように、先ほど聞きました鉱山保安監督局部長会議におきまして、各管下の鉱山へ十分周知徹底するように今回指導を行ったところでございます。
  55. 梶原敬義

    梶原敬義君 ちょっと時間なくなりましたが、二時間おくれというのは速やかじゃないということは認識しているんですね。二時間おくれているというのは速やかじゃないですね、鉱山保安規則から見て。
  56. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 速やかというのは大体どの範疇かという問題がございますけれども、常識的に言えば速やかでないということは明らかでございますし、その間にとった会社側の措置がそれだけ時間を要したんだということであれば、ある程度理解ができるところかと思います。
  57. 梶原敬義

    梶原敬義君 あとはもう要りません。  それから消防庁おいでですか。実は時間の経過の事実だけちょっと。
  58. 大山昭夫

    説明員(大山昭夫君) お答えいたします。  会社側から地元消防本部へ正式に連絡が入ったのは一月十八日二十時十三分でございまして、これは大牟田消防本部に一一九番通報で入ってございます。続きまして瀬高町ほか二町消防組合消防本部の高田出張所に一般加入電話によりまして、先ほど先生がお話しになりました二十時二十七分に通報がございまして、その内容はいずれも救急車の出動要請でございまして、消防署といたしましては直ちに救急車を出動した、こういうことでございます。  以上でございます。
  59. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、この問題については、こういう事件についてはやっぱり救急体制の問題からいうと早くすべきじゃないかと私は思うんですが、どうなんですかね、事故と同時に。いつでもいいんですか。
  60. 小坂紀一郎

    説明員小坂紀一郎君) 消防法上は、このような炭鉱事故が起こった場合に消防機関に通知をするということについては特段の規定はございません。  ただ、消防法の二十四条に火災発見の通報というのがございますけれども、これは一般的な場合でございまして、炭鉱火災の場合には鉱山保安法の体系によってもっぱら対応するということになっておりますので、通報の実質的意味はないわけでございます。  ただ、炭鉱火災の場合に死傷者が生ずるというような、救護の必要があらかじめ予想される場合には、これは一刻も早く救急車が出動いたしまして応急手当を行い、あるいはできるだけ早く医療機関に搬送するという必要上から早期に消防機関に通報していただくということが望ましいと考えております。
  61. 梶原敬義

    梶原敬義君 局長ね、今消防庁の方から話がありましたが、これから各鉱山に対して、事故が起こった場合はやっぱり救急体制の問題がありますね、酸素吸入もありますし、そちらで、速やかに規則はないが通知をせよと、こういう通達は出せないんですか。私は出してほしいんですがね、指導をしてください。
  62. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 今回の事故につきまして、後から振り返りますと幾つか当を得た措置が必ずしもとられてなかったかというふうに思える前もございます。坑口に医師を配備したわけでご ざいますから、当然その段階で救命あるいは救急車の出動要請があってしかるべきだったんではないのか。会社側に十分な救急車の体制が整っておればそれでよろしいわけですけれども、そうでなければ消防署にその出動を仰ぐべきではなかったかという見方が、後からいたしますとございます。そういう意味におきまして、緊急事態におきます体制を今後どうとるべきか十分検討いたしまして適切な手を打ってまいりたいというふうに思っております。
  63. 梶原敬義

    梶原敬義君 今後打つんじゃなくて今から、きょうあるかも、あすあるかもわからぬから、だから、そういう体制ができるまでは、検討結果できるまでは、やはり通産省の方からも、そういう事故が起こった場合は速やかに消防署にも連絡せよと、こういう指導をするのに何のちゅうちょが要るんですか、検討結果がまとまるまで。
  64. 石井賢吾

    政府委員(石井賢吾君) 先ほど申し上げましたように、極めて常識的な措置でございますので、当然そのように監督指導をしてまいりたいと思います。
  65. 梶原敬義

    梶原敬義君 これで終わります。
  66. 田代富士男

    田代富士男君 最初に河本長官にお尋ねをしたいと思いますが、今や我が国経済大国といたしまして御承知のとおりに世界第二位の地位にありまして、国際的な協調を図るために我が国の果たすべき役割というものを明確にしていかなくてはならないと思います、これはもう御承知のとおりだと思いますが。そこで私は、これは正式な政府に対する要請ではないと思いますけれども、ワシントンで開かれております民間の有力者の協議の場であります日米欧委員会におきます提言の内容を見てみますと、まず第一番目には、より高い経済成長ということが言われております。それから防衛力の増強、また対外援助の強化というようなことが提言されておるのでございますが、商工委員会でございますから防衛力云々の問題はともかくといたしまして、私は、より高い経済成長という問題、それから対外援助の強化の問題につきましてお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず、国際的にも要求の強いこの経済成長の問題です。より高い経済成長ということは一体可能であるかどうかという問題でございます。そういう要求にこたえることができるかということについては私は問題があるのではないかと思うのでございます。それというのも、本年度の予算を今検討されておりますが、振り返ってみますと、御承知のとおりに、一つには所得税の減税並びに住民税の減税が一応これは実行されると思いますが、それに反しまして酒税、それから物品税、間接税、またこういう法人税の増税が行われるようにもなっております。歳出面を見てみますと、御承知のとおりに、公共事業費は対前年度比でマイナス二%のほか、健康保険法の改正が間もなくこの国会で議題になりますけれども、この内容を見てみますと、国民負担の増大ということが明らかでございます。その他、国鉄などの公共料金の値上げというものが今予想されておるのでございますが、このように相対的に見できますと、景気に対する寄与というものは必ずしも大きくないのではないかと思われるのでございます。  そこで私は、河本長官が先日お述べになりました所信の中で、財政面では多くを期待し得ないと述べられておりますけれども、それでは具体的にどういうことを意味していらっしゃるのか、こういうこともお聞かせいただきたいと思います。またあわせて、今年度の予算の性格につきましては、内需主導の積極予算と言い得るのかどうか、これも内閣の副総理格とも言うべき、また日本経済の進路の責任を持っていらっしゃる河本長官から最初にお聞きしたいと思います。
  67. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) ことしの予算の性格はどうかということでございますが、ことしの予算は緊縮予算でございまして、経済成長に対しては中立型であるという、そういう政府説明をしておりますが、中立型であるということは経済成長に対して影響するものはないと、つまり経済成長に対する影響力はゼロである、こういうことだと思います。財政の力は弱くなっておりますから万やむを得ない面もありますけれども、こういうときにこそ財政がもう少し積極的な経済成長に対する貢献ができれば大変ありがたいと思うんですけれども、それがゼロであるということは万やむを得ないとはいいながら、大変私どもは残念だと、このように考えております。  なお、先ほどお述べになりました、日米欧委員会は民間の団体でございまして、まだ正式の報告はまとめておりません。今お述べになりましたのは、多分議論が始まる素案だと、このように思いますが、ただ、日米欧委員会は別といたしまして、最近ECなどからつい二、三日前も八項目の日本に対する要望が出てまいりましたが、その第一にマクロ政策ということを掲げております。マクロ政策という意味は、日本景気対策を今後はしっかりやってもらいたいと、こういうことだと思います。これはECなどから言われるまでもなく、現在経常収支も非常に大きな金額になっておりますし、貿易の黒字も非常に大きな金額になっております。このままほっておいたのではやはり日本が原因になりまして自由貿易体制にひびが入ると、こういう懸念もございますから、やはり日本といたしましては内需拡大に工夫と努力を重ねまして、そのことによって輸入を拡大をし、あわせて国際収支の均衡をある程度図っていくということが非常に大事でなかろうかと、このように思います。
  68. 田代富士男

    田代富士男君 今、長官もこういうときこそ財政面のこういうことで寄与できれば一番よいけれども、残念であるというような意味の御発言もされまして、期待し得ない財政にかわりまして、長官金融政策につきまして現在なお存在する種々の制約条件の改善を図り、その機動的な運営が確保されるよう云々と言われておりますけれども、これは何か具体的なことをお考えになっていらっしゃるのでございましょうか。今もおっしゃるとおりに、日本景気対策をしっかりやってもらいたいという要請が出されるし、このままいったら自由貿易体制にひびが入ると言われる今日の情勢でもありますから、そういうことで何か具体策を念頭に置いていらっしゃるのかどうかお聞かせいただきたいと思います。
  69. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 我が国の物価は世界一安定をしておりまして、今二%そこそこでございます。ところが、長期金利は幾らか下がりましたけれどもまだ七・九%、八%近いという水準でございまして、実質金利が非常に高くなっております。こういうときでありますから、もう少し物価に見合ったような程度に金利が下げられますと、経済に非常に大きな効果があるんですけれども、先ほどお話しのようにいろんな制約がございますので、なかなか金利も下げにくい、つまり機動的な運営がしにくいと、こういうことでございます。やはり一番の問題はアメリカの金利高であろうと思います。アメリカ政府の一部にはアメリカの金利高は日本の円レートには一切関係ないんだということを言う向きもございますが、現実はそういうことではありませんで、やはりアメリカの金利が高くなれば円に非常に大きな影響が出てまいります。一番金融政策がやりにくいというのはこの点でなかろうかと思います。国内的には、例えば昨年の十月に公定歩合を下げましたけれども、国内の預金の金利が下がるのは相当おくれて、年変わって一月になってからであると、こういうこともございまして、それにはいろんな経過がございましたが、そういうこともやはりこの金融政策をやりにくくしておる一つの原因でなかろうかと思いますが、一番大きな問題は、やはりアメリカの高金利にあると、このように考えております。
  70. 田代富士男

    田代富士男君 お話になりましたけれども、昨年度は、御承知のとおり外需に大きく依存する景気の回復が見られたわけでございますけれども、本年度におきましては、内需主導の景気の拡大ということをうたっていらっしゃるわけでございますが、そのためには従来の経済政策の何らかの転換を図らなくてはならないと思います、いろんな 制約だとか金利の問題等もありますけれども。そこで、今もお尋ねをいたしましたが、財政面では多くを期待することができない、金融面では制約があると言われている以上、内需主導型への切りかえのポイントというものはどこに置くのか、もう一度お尋ねしたいと思います。
  71. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 全体としましては、先ほど申し上げましたような内容予算でありますけれども、その運用の仕方では多少の工夫の余地があるんではないか、こう思います。例えば、今回予算審議の最終段階で野党の方から公共事業を一兆増加したらどうだと、こういう提案がございましたが、これはいずれまた再検討しなきゃならぬ課題だと思いますけれども、差し当たっては、この公共事業といいましても中央と地方の分を合わせますと二十二、三兆にもなりますから、この執行率を経済の実情に合ったように前倒しをしていく、こういうことなどはやはり大きな私は効果があるんではないか、このように思っておりますが、また事実、今一兆円の増加をしなくても、そのことによってそれにまさる成果が上がるようにも思えます。来週予算が成立をするようでございますので、成立をいたしましたならば、政府と与党との間でとりあえずこの問題について至急相談をすることにいたしております。
  72. 田代富士男

    田代富士男君 次に、もう一つの要求であります対外援助についてお尋ねをしたいと思います。  河本長官は、先日の所信におきまして、経済協力推進が肝要であると、こういう意味のことをお述べになったのでございます。そこで、政府開発援助、ODAの新中期目標につきまして、その概要とこれまでの達成状況、また今後の見通しにつきまして最初に御説明をいただきたいと思います。
  73. 谷村昭一

    政府委員(谷村昭一君) 政府開発援助の新中期目標でございますが、これは御承知のように、一九八〇年代の前半、昭和五十六年から六十年の政府開発援助の実績総額を一九七〇年代後半五年間の倍以上とするということなどを目標にいたしたものでございます。現在の実績でございますが、国際機関の出資、拠出の落ち込み、あるいは為替レートの変動というようなことがございましたために、政府開発援助は五十六年が対前年比で四%の減、五十七年が四・七%減と、こういう状況になっておるわけでございます。
  74. 田代富士男

    田代富士男君 今も説明がございましたが、ODA全体が低迷している原因というものは一体何であると考えていらっしゃるのか、これもお尋ねしたいし、このことは、御承知のとおりに、国際的にも日本の国が約束をした計画でありますし、その計画の達成が困難になっているこの事実というものは厳粛に受けとめていかねばならないと思いますけれども、これは河本長官いかがでございますか。
  75. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) これは、やはり政府がここずっと緊縮財政をとっておるからだと思います。ただ、この基本方針が決まりましてから、過去三年ばかりの間、我が国の総理大臣、外務大臣その他の関係閣僚が、国の内外で機会あるたびに、数十回にわたってこの公約を世界じゅうに何回か約束をいたしております。したがいまして、これはやはり、私は万難を排して実行しなければいかぬのではないか。世界で第二の経済大国であって、しかもその金額そのものはそんなに大きな金額でもございませんししますから、できないという言いわけばかりをしないで、私は万難を排してこれはやっぱり実行しないと、数十回にわたって国の内外で宣伝をしたことができないというふうなことでは、これは我が国の信用にもかかわると、このように思います。
  76. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま河本長官が、こういう結果になったのは、一つは国が緊縮財政をとってきたからだと、それと同時に、これは日本が約束したことであるし、総理を初め各大臣が海外へ行ったときに、その場において何回もこれは宣伝してきていることから、やらなくちゃならない、こういうようなことでございますが、達成がおくれていることに対しまして、発展途上国に対しまして、また先進国に対しまして、今河本長官が申された程度では、説明では納得できないと思いますけれども、実際発展途上国の国に対し、先進国に対してたったそれだけですか。もっと具体的に説明しなければこれは納得を得られないと思いますが、どうですか。
  77. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) まだ五カ年計画の途中ですから、ことし、来年が残っておるわけでありますから、新五カ年計画が三カ年経過したということでありますから、残る二年の間に私はこれを達成するのかしないのか、これは我が国の信用にとって非常に大事なことでございますから、政府としてはしかとこの対応を決めるべきだと、こう思います。私自身としては、これは世界に対する繰り返しての公約でございますから、あくまで残り二年の間に達成すべきである、このように考えております。
  78. 田代富士男

    田代富士男君 今、再度長官お話をお聞きいたしましたけれども、発展途上国あるいは先進国に理解が得られるかどうかということを、私自身もそれでは理解することができないと思います。達成はする達成はすると、五年間の今、中間地点であると、あと二年の間には何としてでもやるんだと、こういう意気込みでありますが、私もこの問題を調べた中で、特にそういうような、諸外国に対しまして言いわけというわけじゃありませんが、円ベースでの実態をあらゆる機会を通じてPRをしていらっしゃるようでございますが、こういうことでなくして、今、長官が残されたあと二年間でこれはやらなくちゃならないということでございますから、こそくな手段というよりも、より根本的な理解を得るためにやらなくちゃならないと思いますが、この根本的な解決というのは、やるんだという決意だけじゃなくて、具体的には何が必要であると長官考えでしょうか。
  79. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) それは、政府全体の決断だと思います。
  80. 田代富士男

    田代富士男君 もうちょっと詳しく言ってくださいよ、一言じゃなくして、そういう。
  81. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私は、今申し上げましたように、とにかく数十回にわたって、機会あるたびにこれは宣伝して回った公約でもありますから、緊縮財政をとっておるからもうやめたと、こういうわけにはいかぬと思うんです、国内の問題と違いますから。そして、絶対的な金額が何千億という数字じゃございませんで、約二〇%ばかりが予算上残っておるわけでございまして、その金額そのものはそんなに大きな金額ではないわけです。解決しようと思えば解決できるような金額でありまして、この二〇%というと大変なことのように思えますけれども、そんなに大きな数字ではないと私は思っております。
  82. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、具体的な問題でお尋ねをいたしますが、昨日の朝日新聞の天声人語にもアフリカの難民問題が取り上げられておりまして、このアフリカの難民問題に対しましても、最後の締めくくりで、「少ない額ではないが、情勢はさらに深刻なものになっている。日本が緊急援助の先頭に立つことを、世論は強く支持するはずだ。」と、こういうことで結ばれておりますし、けさの読売新聞では、ここにゼロックスしたものがありますが、「アフリカ難民を救おう」と、これだけの大きなスペースで掲載されておるのでございます。そこで私は、対外援助のうち特に対アフリカ援助についてお尋ねをしたいと思うのでございます。  「一九八〇年代経済社会展望指針」におけるアジア以外の諸国とは、例えば飢餓に苦しむアフリカなど当然に念頭に置いていらっしゃることだと思いますが、今も朝日新聞、読売新聞のことを申し上げましたけれども内容を読みますと、アフリカは二年連続の大干ばつで、昨年の降雨量が平年のわずか二割で牧草は全滅をいたしまして、百数十万人の人が飢餓に苦しんで、餓死者の数は相当数に上るだろうと言われておるわけでございます。しかも予想によるならば、ことしも干ばつが続きそうであると憂慮されております。  政府といたしまして、このアフリカの実情をと のように掌握をされておるのか、まずそれをお尋ねいたしまして、それと同時に我が国の対アフリカのODAのこれまでの推移を金額と全体に占める比率で説明をしていただきたいと思いますし、また諸外国と比較して日本の援助がどの程度になっておるのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  83. 宮本吉範

    説明員(宮本吉範君) お尋ねの最初の御質問に対してお答えいたします。  干ばつによりますアフリカの食糧不足の状況につきましては、国連食糧農業機関が発表しました報告あるいは本年一月末にリンネル国連食糧農業機関の特別代表が来日いたしましたときにアフリカの食糧事情について聴取したこと、あるいはアフリカにあります在外公館等の報告を通じまして十分に把握しているつもりでございます。FAOの報告によりますれば、特に食糧の不足に苦しんでいる国は二十四カ国でございまして、総計百三十万トンの追加援助が必要というふうに言われております。またことし二月、国連事務総長がアフリカを支援するために主宰しました会合で述べましたところによりますと、アフリカでは現在約一億五千万人の人が飢餓ないし栄養失調の危険にさらされているというふうに報告しております。  以上でございます。
  84. 田代富士男

    田代富士男君 今概略の説明でありますけれども、大変ひどい状態であるということはわかるわけでございます。  そこで、去る三月二十七日の閣議におきまして、無償資金協力につきまして決定されたようでありますが、そのうちアフリカに関する食糧関係の援助につきまして、外交上の問題もありましょうが、外交上支障のない範囲で説明をお願いしたいと思います。  また、現在日本はアジアヘの援助は熱心でありますけれども経済的な見返りが期待できないブラックアフリカ向けの人道的な無償協力には冷淡だというOECDの批判をまつまでもなく、今こそ対アフリカの食糧無償援助を強化すべきであると思いますが、政府の方針はどうであるかお尋ねをしたいと思います。
  85. 木幡昭七

    説明員(木幡昭七君) 第一点の御質問の三月二十七日の閣議決定でございますが、これは先ほどアフリカ課長から御説明申し上げましたアフリカの大変な食糧危機を勘案いたしまして、食糧援助を中心とする援助関係について閣議の御決定をいただいた次第でございます。  詳細の中身でございますが、実はこれから相手国と実際の交換公文の署名を行うという段取りを控えておりますので、その段階に至るまで実は個々の案件についての内容を御説明することは差し控えさしていただきたい次第でございます。  ただ、中身がどういうことかという点を簡単に申し上げますと、その大部分は食糧援助でございます。そのほかに食糧増産を援助するという部分も含まれております。そういうことでございます。  それから第二点の御質問の点でございますが、我が国の援助の約七割がアジアに行っているということは御案内のとおりかと存じます。ただ、私ども決してアフリカを軽視しているということではございませんで、過去十年間の推移を見てみますと、我が国のアフリカに対する援助は金額において五十四倍、我が国の援助の全体に占めるシェアの観点から見ますと、シェアの面で十倍になっている、こういうことでございます。我が国としましては、現在特に干ばつ等による危機に直面しているアフリカ諸国に対しまして食糧援助、食糧増産援助等を中心といたしましてできるだけ前向きに対処するという方針で鋭意努力しているところでございます。
  86. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、今から予定されている五月の日・EC閣僚会議、またOECD閣僚理事会、六月のロンドン・サミットなど一連の国際会議が続くわけでございますが、当然対アフリカ援助ということが議題にされると思いますが、その場合我が国として閣議決定された細かい内容は外交上の問題もありましょうけれども、今内容についてお聞きいたしましたけれども、こういう問題に対して政府としてどのように対応される決意でしょうか。
  87. 木幡昭七

    説明員(木幡昭七君) 日・EC関係あるいはOECD閣僚理事会、ロンドン・サミット等につきましては鋭意今準備が進められているところでございます。議題等につきましてまだ確たるものは出てきておりませんですが、もしアフリカに対する援助問題が取り上げられるということになりました場合には、先ほど申し上げましたような方針に従いましてできる限り前向きの対応をするということで考えている現状でございます。
  88. 田代富士男

    田代富士男君 これ以上お聞きしてもお答えは出ないと思います。  そこで、ODA予算の増加とともに、その資金が相手国のために有効に使われたかどうかということを十分に審査していくべきであると思いますけれども、私もこの問題を調べているときに聞いたところによりますと、経済協力開発基金のプロジェクトコスト審査の体制がどちらかというと資金の回収状況に力点が置かれておりまして、その目的とされました有効な運用という面がなおざりにされている嫌いがあるのではないかと、このように感じたわけでございますが、この点とうでございましょうか。
  89. 谷村昭一

    政府委員(谷村昭一君) 今の御指摘の点でございますが、我々といたしましてはそのようなことではないと考えておりまして、単なる資金の回収状況のみならず、その資金がいかに効果的に相手国に役立っておるかという点、いわゆる援助効果を含めまして十分把握するように基金に指導いたしておりますし、基金自体もそういう方向で努力されておると我々は思っておるわけでございます。
  90. 田代富士男

    田代富士男君 この問題の最後の質問になりますが、ともかくも残された約一年有余の期間中に国際的な公約を守っていかねばならないこの計画の実現に向かって最善の努力を払っていくのは当然だと思います。これは今さっきも河本長官が申されたことを実行していただきたいと思いますが、この厳しい財政事情のもとにともかくも我が国経済協力というものは、今も説明がありましたとおりに少しずつは増加をしておりますけれども、今後ともその拡大を図ることが自由世界第二位の経済国としての責務ではないかと思いますし、そういう意味におきまして、今度六十年でこれは切れるわけでございますが、現行の中期目標の次の目標をもうぼちぼち作成すべき時期に来ているのではないかと思いますし、この点についてもお答えいただきたいと思います。この問題の最後でございますから、河本長官にまとめて所信並びに決意をお聞かせいただきたいと思います。
  91. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いずれは一九八〇年代の後半のこの援助問題を議論しなければならぬと思いますが、しかし一番大事なことは、今の計画を確実に実行するということをやりませんと、新しい計画を立てましてもそれは国際的に信用されないということになりますから、まだ二年ばかりございますので、やはり今の段階は現在世界に公約したこれまでの約束を確実に守っていく、そしてその見通しを立てて次の計画に取りかかる、こういうことが必要でなかろうかと思います。
  92. 田代富士男

    田代富士男君 公正取引委員会の関係の問題を質問いたします。  二月の二十一日に公正取引委員会は、「公共工事に係る建設業における事業者団体の諸活動に関する独占禁止法上の指針」、いわゆる建設業団体の指針を発表されましたけれども、この指針に対しまして、御承知のとおりにいろいろな憶測を呼んでいるようでございます。この際伺っておきたいと思いますけれども、ここ数年にわたりまして独禁法の施行の実態というものをまず最初に御説明いただきたいと思います。
  93. 伊従寛

    政府委員伊従寛君) それでは、最初に最近の独禁法の施行状況について申し上げます。  独禁法違反事件としまして正式に勧告しました事件といいますのは、五十三年度が六件、五十四年度が十六件、五十五年度が十四件、五十六年度 が十一件、五十七年度が十九件、五十八年度が十一件となっております。それから、同様の形で正式な勧告はいたしませんけれども独禁法違反の疑いがあるということで警告しました事件は、最近三年間でいいますと五十六年度が九十一件、五十七年度が百五十一件、五十八年度が百十八件という形で処理しています。  最近の事件の傾向を見ますと、対象業種は製造業以外にも広がりまして、違反行為類型も多様化するといった特徴がございます。  まず、対象業種では、各種の製造業のほか、建設業、百貨店・スーパー等の大型小売業、医師、歯科医師等の自由業、結婚式場等のサービス業など多岐にわたっており、従来に比べますと、流通業、サービス業等の第三次産業における事件が多くなってきております。また、違反行為類型では、価格協定、入札における受注予定者の決定、販売先制限協定等のほか、大規模小売店の優越した地位の乱用行為、ボイコット、不当廉売、排他条件つき取引等、不公正な取引方法及び事業者団体による新規開業制限、会員の機能活動の制限等の事件がございます。  さらに、最近におきましては政府規制分野の問題、それから貿易関連分野等の事件につきましても法的措置をとっているところでございます。  それから、五十二年の法改正によりまして課徴金制度が導入されまして、五十三年度から課徴金につきましては、四十二の価格カルテル事件につきまして、七百五十四名の事業者に対し、総額八十八億七千七十八万円の納付を命じております。
  94. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま実態を説明していただきましたけれども、五十四年に発表された「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」、いわゆる事業者団体の指針が発表された以降も違反被疑事件というものは一向に減ってない。そういたしますと、何のために五十四年に指針が発表されたのかわからないわけでございますが、ともかくその理由は何であると受けとめていらっしゃるのかお答えをいただきたいと思います。
  95. 伊従寛

    政府委員伊従寛君) 御指摘のように五十四年八月に事業者団体のガイドラインを設定いたしまして、その後も違反事件数は減っておりません。五十二年度以降の傾向から見ますと減っておりません。その理由として考えられますのは、一つは、違反事件の中で不公正な取引方法の事件、例えば優越した地位の乱用関係の事件といった公正取引法関係の事件がふえているということもございますが、事業者団体についてもこれは減っているわけではございません。この五十四年八月の事業者団体のガイドラインを出しまして、事業者団体にとって独禁法違反になる行為が何であるか、違反にならないものは何であるか、それから違反のおそれのあるものは何であるかということを明確にしたわけでございます。これによりまして、事業者団体の方で違反を避ける、違反をしないようにするという一つの抑止効果があるわけでございますが、この点に関連しまして、先ほど触れました課徴金制度の導入によりまして違反事件に対する法律としての抑止力は著しく強化されていると、そういう面では違反行為が少なくなっているのではないかと思います。ところが、このガイドラインを発表いたしますと、何が違反であるかということがはっきりしますので、事業者団体の違反行為に関係します利害関係者が申告しやすくなる、こちらの方に苦情を持ち込みやすくなるということで、結果的にはやはり違反事件が減っていないということになっているのではないかと考えております。
  96. 田代富士男

    田代富士男君 二月の二十一日に建設業団体につきまして新指針が公表されたわけでございますが、そういたしますと、公取委の姿勢が後退したとかあるいは軟化したとかあるいは譲歩したと受け取られておる、こういう新聞記事等も出ておりますけれども、真相はどうであれ、そういう受け取られ方をすること自身が問題ではないかと思うんです。だから、公取委員長は御事情があって退席されましたけれども、これはやはり公取委自身としての問題ではないかと思いますが、ここらあたりのお考えをお聞かせいただきたい。
  97. 佐藤徳太郎

    政府委員佐藤徳太郎君) 今御指摘のガイドライン、公共工事ガイドラインと言っておりますが、出ました段階でお話しのようなことがありましたのは御指摘のとおりでございますが、これはいわゆる談合事件につきましてはかって予算委員会で先生から御質疑ございまして、私どもの前の委員長でございます橋口から御答弁しておりますが、受注予定者等決定事件につきましては厳しく対処するという趣旨の御答弁申し上げてあります。この考え方につきましては、私どもは現在も変わっておりませんし、これからも変わっておらないわけでございまして、今度の出しました公共工事ガイドラインもそういう考え方に立って建設業団体の情報提供活動でございますか、経営指導活動等について明らかにしておるわけでございます。私どもとしては、これから今後独禁法の考え方あるいは一般ガイドラインの考え方、建設工事ガイドラインの考え方について正しく理解されるように、業界団体その他の席で必要な説明を行いまして、独禁法違反事件の未然防止、建設業団体の活動の適正化ということに努めてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  98. 田代富士男

    田代富士男君 そこでお尋ねしますが、一般の事業者団体の指針とは別に、今回建設業団体のための指針がつくられたわけでございますが、このように建設業だけに特別の指針を必要とされた理由というものは何であるか、的確にお答えいただきたい。
  99. 佐藤徳太郎

    政府委員佐藤徳太郎君) これはもう御承知のように、建設業の談合問題が非常に取り上げられましたのは、五十六年の秋の静岡県下の建設業団体に対する違反事件が契機でございましたのですが、その後、私どもとしては建設業団体の方々の独禁法の認識が必ずしも十分でないんではないかということで、担当官を中央、地方の業者の集まり等に派遣しまして御説明したんですが、その中でいろいろ、もう少しはっきりした指針的なものを示していただきたいというような御要望もあったわけでございます。それで聞きまして、検討いたしましたところ、御存じのように建設業といいますものは単品受注請負型の産業でございまして、中小企業が多くて大変競争も激しい。あるいは、これは先生御専門でございますが、会計法の建前の中での競争入札制度ということで大枠が決められておる事業でございますので、そういうような実態からこの際新しく建設業のガイドラインを出す必要があるというぐあいに判断いたしまして、約一年間の検討結果を経まして、一般ガイドラインの内容を踏まえつつ、今度の建設業ガイドラインを出しましたような次第でございます。
  100. 田代富士男

    田代富士男君 今回の指針におきましては、違反の例示という形をとらずに、御承知のとおりに、合法となる行為としての指導や、あるいは情報提供の内容を示されたのでありますけれども、その延長線上に違反を誘発するおそれがあるのではないかと思うんですが、この点公取委としてどのようにお考えになっているかということをまずお尋ねしたいと思いますが、またその場合、違反があったとしても摘発ないしは立証しにくくなるのではないかと、このように思うわけでございますが、この点もお答えいただきたいと思います。で、今も御説明いただきましたとおりに、今回公取委は、建設業団体といえども五十四年指針のうち、価格、数量、顧客、販路、設備、技術など、情報や経営指導を除いた活動につきましては全く変わっていないということを強調すべきだと思うんです、最初にもお答えいただいたんですけれども。ところが、こういうところは強調されずにいたしまして、通称シロと言われる、シロのところだけを今回詳しく示したために、建設業に関しては五十四年の指針と五十九年の指針をそっくり差しかえたとマスコミや業界に思われたのではないかと推察をするわけでございます。私もその記事も読ましていただきましたけれども、そう受け取られても仕方がない記事になっております。しかし、こういうことがマスコミを通じても誤解された場合には、公取委としては困るわけです。そう いうことで公取の委員長は今はいらっしゃいませんけれども、公取といたしましても、委員長がこういうことを、新聞記事の中にも出ておりましたけれども、あえて引用させていただくならば、公取委員長が、全国五十万の建設業者のほとんどが中小でね、これでは独禁法の中身がわからない云々ということを言われております。で、独禁法というのは専門家でも難しい法律で、なかなかわからないわけなんです。それを、わからない人を相手に通称シロと言われる部分だけを説明したのでは、なおわからなくなるおそれがあるわけなんです。そういう意味で、片手落ちというか配慮が足らなかったと私はこのように指摘せざるを得ません。この点につきましてあわせてお答えいただきたいと思います。
  101. 佐藤徳太郎

    政府委員佐藤徳太郎君) たびたび同じことを申し上げて恐縮でございますが、このたび出しました公共事業ガイドラインにつきましては、一般ガイドラインのいわば特別法的な地位をもってつくりましたものでございます。したがいまして、一般ガイドラインにつきましては建設業につきましても適用になる部分がございまして、その部分につきましては、先ほど先生が詳しくお挙げになりました、構成事業者の最低販売価格を決めることとか、あるいは、受注の配分または受注予定者もしくは受注予定者の選定方法の決定を行うこととか、あるいは入札、見積もり合わせ等への参加を制限すること、こういうことはいかぬということは一般ガイドラインに書いてございますが、それはまあ適用になるわけでございまして、その辺の趣旨はこのたびの私どもの建設業のガイドラインの中でも、「競争入札において、一定のルールを定める等により受注予定者又は入札価格を決定したりするようなこととならない限り、独占禁止法に違反することとはならない。」のだから、逆に、受注予定者等を決定すれば違反になるんだということで明らかにしておるつもりでございます。したがいまして、まあ私ども役人の頭といたしましては、独禁法、一般ガイドライン、公共工事ガイドラインと、体系立っておるわけでございますが、公共工事ガイドラインだけを見られますとその辺が十分明らかでないというところはあるいはあろうかと思います。私どもとしても、業界団体等に求められましたときには、先ほども申し上げましたように、独禁法、一般ガイドライン、それから建設業ガイドライン、三者を体系づけて説明しておるつもりでございますが、今後とも機会がありました場合には、全体的な体系の中で正しく理解していただくように説明をし、事業者団体の適切な活動に資していきたいと、かように考えております。それから、まあそういうことで、事業者団体の違反の未然防止に努めるということでございますので、今後違反行為の摘発等については支障がないし、また、違反行為がありました場合には厳格に対処すると、そういう考え方でおるわけでございます。
  102. 田代富士男

    田代富士男君 最後の質問でございますが、不公正な取引方法や自由な競争の制限を禁止するという独禁法の規定が御承知のとおりに抽象的であることが、こうしたことを招く原因の一つではないかと私は思います。そのためにも、公取といたしまして独禁法の理解を広めるよう努力すべきであるということは、私は予算委員会におきましても、また当商工委員会におきましてもたびたび指摘をしてきたところでございますが、今後急速な時代の変化に伴いまして、技術革新の進展によるこのような産業構造の変化という、新しい経済分野の展開などが予測されるわけでございますが、こういう時代の流れにどう対応していくのか、公取委としての決意をお聞きいたしまして、最後の質問といたします。
  103. 佐藤徳太郎

    政府委員佐藤徳太郎君) 独占禁止法は御存じのように昭和二十二年の制定以来三十六年強を経過しておりまして、まあ私ども、その内容の普及に努めておりまして、かなり独禁法の理解については進みつつあるものと考えておりますけれども、しかし、まだ十分でない点がございますのは御指摘のとおりでございます。特に、今お話がありましたように、今後技術革新あるいは経済のソフト化とかサービス化とかいうことで日本経済も大きく変わりつつあるわけでございますので、その中で独禁法というのが正しく理解され、正しく守られますように、私どもとしても最善の努力を払っていきたい、かように考えております。
  104. 市川正一

    ○市川正一君 大臣を初め、昼飯抜きで御協力を賜っておりますこと、まことにありがたく思います。私も簡潔に質問いたしますので、ひとつまた要領よくお願いいたします。  経企長官の所信そのものへの質疑は後日の機会に譲るといたしましても、本日、予算審査に当たって若干長官の基本的な経済政策及び政治理念についてお伺いしたいと存じます。  長官は、五日の本院予算委員会での答弁で、本年度成長率の上方修正を示唆され、その理由として、民間設備の堅調、経常黒字の拡大などを挙げられました。しかし私は、当面の日本経済を見るときに、二つの点で重大な問題があると思うんです。一つは、長官も指摘されておるように、対外経済摩擦の深刻化であります。もう一つは、言うならば景気の二重構造あるいは二極化であります。  確かに、経済指標は上向きを示しておりますけれども、しかしそれは大企業の利益の急速な回復によるものです。その一方では、中小企業の倒産は史上最高、失業率も史上最高であります。この二重構造を解消しない限り、景気が本格的に回復したとは言えないと思うんでありますが、長官の御見解をまず伺いたい。
  105. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私が昭和五十九年度の政府経済見通し四・一%成長は上方に修正できる可能性もあるということを言ったことは事実であります。  その背景といたしまして、今お述べになりました二つを指摘したわけでありますが、ただ、経常収支の場合は、現在は政府の予想を超えて大きな数字が推移をしておりますけれども、ただ一方に、保護貿易的な傾向が出てくる危険性もございます。そういうことになりますと、これはもう非常に大きな数字の振れにもなってまいりますので、幾つかの前提条件がございまして、自由貿易体制が維持されるということはもう当然の前提でございます。それからまた、石油危機などが再び起こる、イラン・イラク戦争もまだ続いておりまして、非常に微妙でございますので、そういうことになれば、現在の景気回復も全部が御破算になる、こういうことでございますので、幾つかの前提条件がございますが、今の数字がそのまま動けば上方修正の可能性もないわけではない、こういう趣旨のことを言ったわけでございます。
  106. 市川正一

    ○市川正一君 私は、実際には下方修正にならざるを得ないと思うんでありますが、私がお聞きしたのは二重構造の問題なんですが、それには今お答えございませんでした。  そこで、続いてお伺いするんですが、二月末に政府が発表した家計調査報告では、去年一年間の個人消費支出は実質でわずか〇・六%しか伸びていません。特に一月に至っては、大雪の影響があったとはいえ、実に二十七年四カ月ぶりに名目でもマイナスであります。ところが、政府の見通しはどうだったでしょうか。先ほどもおっしゃいましたけれども民間消費支出は、五十八年度当初は実質で四%伸びるはずだったのが、わずかにその十分の一でした。民間消費というのは言うまでもなく、GNPの六割近くを占めております。したがって内需中心の拡大ということをおっしゃいますけれども、あるいは貿易摩擦の防止ということをおっしゃいますけれども、私はそこにこそ、言いかえれば個人消費の拡大にこそ重点を置くべきではないかと考えるんですが、この点いかがでしょう。
  107. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 個人消費がやはり景気回復経済成長の一番の大事な点だと思います。五十八年度につきましては、政府は雇用者所得の伸びを実はもう少し伸びるであろう、このように想定をしておりましたが、これは非常に大幅に減少いたしました。ここは政府見通しの一番の違い であった、このように見ております。そこで、おっしゃったように、消費は幾らか伸びておるんですけれども、その伸び方が弱い、これはもう御指摘のとおりでございます。
  108. 市川正一

    ○市川正一君 そこで伺いますが、先ほども同僚議員が引用いたしましたが、本日の日経は「個人消費もたつく」ということで、それが内需の足を引っ張る、そして外需依存型にまた拍車をかける、貿易摩擦がさらに激化する、これは不可避だということで経企庁の首脳も頭を痛めていると、こう報じております。まさに悪循環だ。  そこで、長官内需拡大というのは、先ほどの御答弁でも財政投資の拡大、こういうふうにおっしゃってたのですが、それは必ずしも個人消費の拡大にイコールつながらない。ですから個人消費の拡大、言いかえれば購買力の拡大というそのかぎの一つは、やっぱり大幅減税。それだけではありません。労働者の賃金を引き上げるとかいろいろありますけれども、ここで絞って言うならば、大幅減税もその一つだと思う。  長官は去年の暮れ、入閣されたときのインタビューをここに持ってきましたけれども、増税と減税の同時抱き合わせでは景気対策上意味がない、こう明言されております。とすると、財源をすべて増税に頼った今回のいわゆる一兆円減税なるものは、景気対策上の効果はほとんどないと見てよいと思うんですが、そういうことになりますね。
  109. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 全然ないというわけではございませんが、その効果は非常に小さいと、こういうことだと思います。
  110. 市川正一

    ○市川正一君 非常に率直にお答えいただいて、少ないとおっしゃいましたが、私も同感であります。  そこで、既に法案は成立してしまいましたけれども、例えば来年度に向けてあるいは年内にでも、もっと増税のない大型減税が今や必要ではないのかと思うのでありますが、率直にお聞かせ願いたい。
  111. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私も、この問題はこれからの経済運営にとって非常に大きな問題だと、こう思っております。それで、先ほどもお答えしたんですけれども、この一月の政府与党連絡会議で、増税、減税というようなことは余り効果がないから、やはりこの際税制を抜本的に見直す、そういう形で所得税の大幅な減税ということを考えたらどうだ。今の経済情勢ですと、所得税を大幅減税すれば、これは直ちに景気はよくなる、このように期待されますので、景気がよくなった段階で間接税の増徴をある程度お願いする、こういうことをすれば、それは賛成する人はいないかもわからぬが、反対もある程度薄らくのではないか、こういうことでそういう提案をしまして、大蔵大臣やそれから自民党の政調会の方で至急検討してください、そういうことを今お願いしておるところでございます。
  112. 市川正一

    ○市川正一君 その後の方の話はちょっと別として、確かに大事な発言だと思う。  次に私、長官の政治理念といいますか、政治姿勢についてお伺いしたいのでありますが、長官が第二次中曽根内閣に入閣なさったときに、これは十二月三十日の朝日新聞のインタビューでありますが、次のように述べられております。それは「二十三日の自民党最高顧問会議の決定とそれを受けての中曽根総理の声明を了解して入ったということです。政治倫理と公正な大事による挙党体制を確立するということで入閣したわけです。」と述べていらっしゃいますけれども、この立場、この姿勢は今も変わりないと思うんですが、いかがですか。
  113. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) そのとおりであります。
  114. 市川正一

    ○市川正一君 といたしますと、最近の中曽根総理の態度、特に長官の言われている自民党最高顧問会議の決定と、それを受けての中曽根総理の声明、その中にある「いわゆる田中氏の政治的影響を一切排除する。」という、いわば誓約に反するものが最近強まっていると私は思うのでありますが、いかがでしょうか。
  115. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) まだ具体的には出てないと思います。
  116. 市川正一

    ○市川正一君 そうしますと、じゃあ具体的に伺いますが、田中派の会長である二階堂氏を副総裁にする動きが具体化しております。この問題について言えば、一般新聞の世論も、例えばこれは日経の社説でありますが、「二階堂氏起用への疑問」、こういって、ロッキード事件の証人喚問を実現し、潔白であることが認められることが最小限のけじめである、こういう社説まで出ております。  私は、この問題は単なる党内人事の問題ではなしに、長官自身もおっしゃっているように、日本の政治のあり方の根本にかかわる問題だというふうに思いますが、このいわゆる副総裁問題についての長官のかねてからの政治理念、政治姿勢に照らして、率直な見解をこの際承りたい。
  117. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 副総裁の人事は、これはまあ総理がどのように判断をされますか、まだ総理は何もおっしゃっておられませんから、今の段階で私がとやかく言うべき問題ではないと、こう思っております。
  118. 市川正一

    ○市川正一君 そうすると、その段階で、先ほど来表明されておられる政治姿勢に照らして対処されると、こういうふうに確認さしていただきます。  それで、政策的各論に入っていきたいと思うんでありますが、長官は先日の所信表明の中でも、国民生活の安定と向上を図るために、消費者利益の擁護、増進のための所要の施策を進めると、こう述べられておる。私もまた経企庁にとって、マクロの経済運営とともに、こういう消費者向け行政は現下の重要課題の一つだと、こう考えます。ところが五十九年度予算を見ますと、消費者保護政策推進経費が削減され、消費者行政の、言うならば国レベルのセンターである国民生活センターへの出資がゼロになっている。そして、組織や業務の縮小も心配されております。私は、これでは消費者行政を後退させかねないというふうに思うんでありますが、長官の所信と照らして御所見を伺いたいと思います。
  119. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 消費者行政は非常に大事でございますので、私どももそのつもりで取り組んでおりますけれども、今お述べになりました予算の関係につきましては、政府委員から答弁をさせます。
  120. 及川昭伍

    政府委員(及川昭伍君) 国民生活センター予算のうち出資がゼロになりましたのは、実は商品テスト施設を、大規模なものをつくっておりましたけれども、これが完成いたしましたので出資の方はゼロになったわけでございますが、業務としては、そういう施設が完成したこともあって充実いたしております。  臨時行政調査会の答申や行政改革の決定もありまして、国民生活センターの業務につきましては、地方公共団体等との重複を避ける見地から、中核的機能に純化することといたしまして、むしろ中核的機能、例えば地方の消費生活センターとのオンライン・ネットワーク・システムをつくる等の機能はさらに充実強化して、消費者保護の一層の充実を地方、企業等と合わせながら進めてまいりたいと考えている次第でございます。
  121. 市川正一

    ○市川正一君 そうすると、組織や業務の縮小ということはありませんね。
  122. 及川昭伍

    政府委員(及川昭伍君) 業務については、先ほども申し上げましたように、地方との重複を避け効率化を図るという観点から、例えば一般苦情処理のような地方公共団体の地方消費生活センターで処理できるようなものは地方へ移譲いたしまして、中央でなければ処理できないものに重点を移すという意味で、整理合理化は行いますが、全般的縮小ということは、今のところ日程にのせてはおりません。
  123. 市川正一

    ○市川正一君 全般的縮小といったら、なくなることじゃないか。とんでもない。ええかげんなこと言うな。  そこでね、もう時間がないので具体的に聞きますが、この消費者信用の保護の問題なんです。去 年の七月五日に通産省消費者信国産業懇談会が報告書を出しました。また、ことしの三月には大蔵省の金融問題研究会が金融問題の側面から報告書を出しております。経企庁も、既に五十三年の九月に国民生活審議会の中間答申という形で、消費者信用取引の適正化について発表しております。こういう経過を踏まえて、通産、大蔵両省関連の二つの報告書を経企庁としてはどのように評価なさっておられますか。
  124. 及川昭伍

    政府委員(及川昭伍君) 消費者信用につきましては、五十七年度で既に住宅ローンを除きまして二十六兆円くらいの新規供与額があります。これを適正化することは、国民生活の安定のためにも消費者保護のためにも非常に大事だと思っておりまして、かねてから経済企画庁といたしましては国民生活審議会の場等でいろんな御検討をいただき、御提言もいただいているわけでございます。通産省審議会あるいは研究会の御報告あるいは大蔵省の金融問題研究会の御報告は、私どもがかねて検討し各省と御相談しておりました線におおむね沿うものと考えておりまして、これらの方向に従いまして総合的な立法の提案もございますけれども、総合的な立法が仮にできないといたしましても、着実に消費者信用に関する施策が充実されていくことが望ましいと考えております。
  125. 市川正一

    ○市川正一君 長官、私今の答弁を聞きまして、やっぱり消費者行政に責任を持っていらっしゃる経企庁の評価としてはいささか甘過ぎるように思うんです。実際、例えば通産の消費者信国産業懇談会の立場は、中身を見ますと主として販売信用になっているクレジット産業の発展について検討し、その限りにおいて消費者保護を問題にしているという、言うならば主客転倒しております。一方、大蔵省の金融問題研究会の立場は、従来都市銀行などの大きな銀行が企業の金融中心の活動をやっておった。ところが、消費者金融を軽視しておったんですが、最近のいわゆるサラ金問題など消費者金融の分野も大きな市場になってきておる。そこから新しい利益追求の分野にしていくために、その限りで消費者保護を問題にしているだけのことであります、極言するならば。  私は、社会生活の大きい変貌の中で、また通産や大蔵が所管争いをしておる中で、本当に消費者利益の確保を主要な観点として取り組む責任のある、そういう立場の経企庁がこの問題にもっと積極的に対応すべきだと思うんであります。例えば五十三年九月の中間報告では、包括的な消費者信用保護法の制定について検討すべきだ、こう述べておりますが、この検討はどうなっているのか、簡単にお答え願いたいと思う。
  126. 及川昭伍

    政府委員(及川昭伍君) 消費者信用保護法の総括的な法制の検討については、この部会の報告におきましても、方向としてその方向で検討するということで私どもは検討を続けているわけでございますが、しかし、当面社会的要請が緊急でありますサラリーマン金融等に対する対策であるとか、あるいは割賦販売におけるいわゆる抗弁権の切断の問題に関する対策であるとか等の検討を先行させておりまして、この国会にも既に割賦販売法についての改正案の御提案をしているところでございますけれども、そのように当面個別対策を先行させながら、包括的な法案についてはもう少し総合的な検討を進めなければならないと考えているところでございます。
  127. 市川正一

    ○市川正一君 もう少し総合的と言うんだけれども、その包括的な消費者信用保護法の制定については、御承知のように、昭和四十七年当時の割賦販売法改正の附帯決議の中でも消費者信用保護に関する基本法の速やかな検討を求めております。ですから、もう少しもう少しと言って、あれから十年たっているじゃないですか。十年たって、私は経企庁としてどういう検討をしているのか。私は大臣、一定の期間を設けてこれはやはり取り組むべきだと思うんですが、どうでしょう。
  128. 及川昭伍

    政府委員(及川昭伍君) 御存じのとおり、例えばサラリーマン金融、貸金業に対する規制の法案につきましても非常に長期の時間を要しまして、昨年議員立法として成立を見て現在昨年十一月から施行されているところでございますが、消費者信用保護に関する関係分野も非常に多うございますので検討にはなお日時を要するものと考えておりますが、消費者保護を担当しておる経済企画庁といたしましては、今後とも各省と精力的に協議を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  129. 市川正一

    ○市川正一君 長官、御在任中に少なくとも基本的なものが固まってくるというようなひとつ姿勢でお取り組みいただくわけにいきませんでしょうか。
  130. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 消費者行政というのは御指摘のように大変大事な課題でもございますし、経済企画庁の一番大きな仕事だと思っております。問題が解決いたしますように督励をいたしまして、努力をいたします。
  131. 市川正一

    ○市川正一君 先般消費構造研究会から「消費構造変化の実態と今後の展望」という報告もちょうだいいたしまして拝見いたしました。今日いろいろ国民生活における消費者活動が変貌を遂げつつあるときに、私はこういう将来を展望した消費者行政のあり方について今こそ検討すべき時期に来ている。十年たっても、局長さっき言いましたな、もう少しもう少しというんじゃなしに、長官は督励するとおっしゃいましたから、大いに督励を受けて、ひとつ日の目を見るように頑張っていただきたいと思います。  最後に、私、時間も参りましたので、新聞販売正常化問題について公取並びに通産に伺いたいのであります。  この問題については私幾たびか本委員会でも取り上げてまいりました。また、公取の取り組みもあって一定の前進も見られるところであります。しかし、この問題に取り組めば取り組むほど、発行本社の姿勢といいますか、その責任がますます浮き彫りになってくるのであります。つまり、新聞販売店が公正取引委員会の指導どおりやろうとしても、発行本社が拡販のための景品やあるいはいろんな物品を販売店に押しつける、買わせる、こういう実態が続く限り結局実効が伴わぬのですよ。  私、ここに持ってきたのは、朝日新聞がつくっている新聞販売店用の備品を提供する「朝日販売開発株式会社」というのがありますが、その事業部が販売店に出した請求書でありますが、この中に、五十八年十月十五日、「アイスアリーナ新松戸」数量三百、単価三十、金額九千円というのがここに請求書が出ております。この「アイスアリーナ新松戸」というのはスケート場で、ここにあるこれが招待券です。同様のものがずらっといわば押しつけられるわけですね。販売店としてはこれを一枚三十円で、あるいは一枚五十円で、あるいは物によっては一枚百円で何百枚と買わざるを得ぬのですよ。  それでここに持ってきたのは、毎日新聞の本社内にある「毎日キョウエイ株式会社」これが販売店に送っておる明細であります。この中にも、「ムリンニュービーズ」(M12)三万一千二百円、それから(L)六万五千五百円とありますが、これも同じようにやっぱり洗剤を拡販用に押しつけられておるんですね。  ですからこういうことが今でもやっぱり続いておるわけでありますが、正常化が軌道に乗りつつあるときに、公取委員会としてはこういう発行本社の姿勢をやはり抜本的に改めさせるという指導が必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  132. 奥村栄一

    政府委員(奥村栄一君) 御承知のとおり、新聞業界におきましては拡材の提供は禁止されておるわけでございまして、単に読者に対する拡材提供、換言しますと販売店の行う拡材提供行為だけではなくて、先生おっしゃいますのはその背景にあるものにもっとよく目を向けろと、こういう御趣旨だというふうに考えるわけでございます。この点につきましては、その事実関係の有無など、あるいは法律適用その他難しい面がございますのですが、先生の御意見は貴重な御意見といたしまして今後の取り組みに十分参考にさしていただい てその方向に考えてまいりたい、このように申し上げたいと思います。
  133. 市川正一

    ○市川正一君 意見として参考に聞いておくというんじゃなしに、やっぱり事実を私は指摘しているんだから、この事実に基づいてしかるべききちっとした対処をすると、こう言ってください。
  134. 奥村栄一

    政府委員(奥村栄一君) 先ほど申し上げましたのは先生のおっしゃいますような趣旨でございまして、単に参考として聞いておくということではなくて、もちろん先ほど申し上げましたように非常に難しい面もございますので十分検討して、私たちの今取り組んでおります正常化が前進するように努力をしてまいりたいと、そういうことでございます。
  135. 市川正一

    ○市川正一君 次に東京都の問題なんですけれども、東京新聞販売同業組合が三月定例会議を行いました。二十三日のことでありますが、そこで相沢さんという組合長さんがあいさつなすって、ここにその記事が詳細に出ておりますけれども、東京周辺地区の千葉、埼玉は完全ノー材に入る、もう拡材がノーになった、四月一日からは多摩、京浜、神奈川がそれに入るというんです。そこで東京もノー材でという話が聞こえてきたが、まだ本社や公取委員会から何も言われていない、しかし遠からず何がしの指示があるかもしれない、それまで現状でいきたい、こう言っておるんですね。三月二十七日の「新聞之新聞」、三月五日の「ジャーナリスト新聞」などでもこれは出ております。  このとおりであると、公取委員会が何らかの見解を表明すれば東京での新聞正常化も一歩前進することになると思うのでありますが、公取委員会としてもしかるべき指導をなさるのが至当であると思いますが、いかがでしょうか。
  136. 奥村栄一

    政府委員(奥村栄一君) 御指摘の点が事実かどうか的確には承知していないのでございますけれども、景品表示法に基づく告示、それから業界自身が設定いたしておりますルール、公正競争規約によりますと、新聞の勧誘に当たりまして景品類、いわゆる拡材を提供することは厳に禁止されているわけでございます。仮に御指摘のような声が業界内部にあるということでございますれば、これは甚だ遺憾なことであるというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。  新聞業界における拡材等の提供行為につきましては、違反行為者に対し排除命令及び警告などを行いまして、それから新聞公正取引協議委員会に対しましても自主規制強化の要請を行って、厳しく処置してまいったところでございます。当委員会といたしましては今後とも新聞販売の正常化という大局を見据えまして全般的な立場から指導監督に努めてまいる所存でございます。
  137. 市川正一

    ○市川正一君 そうしますと、時間が参りましたので、あと公取に一問、それから通産に一問簡単にやって終わりたいと思います。  公取に、新聞社の古紙回収問題ですね、これをちょっとお聞きしたいんですが、先般衆議院で瀬崎議員が、発行本社が新たな拡販の手段として古紙回収に乗り出しているという問題を取り上げましたが、そのときに公取委員会の鈴木課長は、景品表示法上問題があるかどうかということで今予備調査しておるというふうにおっしゃいましたが、あれから一月たちました。現在それがどうなっているかということと、それからこれは独禁法における不公正取引にかかわる問題だと思うんでありますが、この点について見解と調査結果とをお聞かせ願いたい。
  138. 奥村栄一

    政府委員(奥村栄一君) 古紙回収の問題につきましては、具体的な事件でございますので、この場で詳細に申し上げることは差し控えさしていただきたいんでございますが、せっかく先生御指摘でございますので申し上げますと、予備調査の結果私どもが承知していますところでは、販売業者の方で若干便宜を図っているという面はございますけれども、新聞購読者に対して景品を提供しているというふうな事実関係ではどうもないようでございます。そういった意味では、景品表示法の問題としてはちょっと問題にはなりにくいのではないかと思われるわけでございます。  先生御指摘のような独占禁止法の問題につきましては、いろいろとまた難しい問題もございますので、現在検討中ということでひとつ御了承をお願いいたしたいというふうに考えております。
  139. 市川正一

    ○市川正一君 あれからもう一月たちましたし、それからきょうはもう時間がありませんが、検討中だということならば引き続きまた我々も追及いたします。  最後でありますが、通産省にこの問題でお聞きしたいんですが、通産省は、かねてから紙パルプの原料資源確保の観点から、五億円以上も補助金を出して古紙再生促進センターを設けて、地域の自治会、老人会、子供会などによる集団回収システムづくりを指導してこられました。またこれらの組織は古紙回収による代金を運営費に充てて活動してきたところであります。しかし、発行本社によるこういうやり方、倍以上で回収するわけでありますから、こういうやり方は通産省の行政方針にも逆行し、子供会などの運営も困難にさせると。いわんや古紙回収業者は廃業に追い込まれようとしております。瀬崎議員の質問に対して状況把握に努めているとおっしゃいましたけれども、その後の状況把握の結果と通産省としての対処について責任ある御回答を求めて私の質問を終わります。
  140. 榎元宏明

    説明員(榎元宏明君) 新聞回収と集団回収の関係の問題でございます。私どもこの問題につきましては、昨年末来資源回収評議会の方々ほか関係の方々から御意見なりお考えを伺ってまいりました。御指摘のように幾つかの問題がこの中にあるようでございます。そしてまた地域の中ではトラブルが起きているといったところもございます。私ども、このようなトラブルが今後続発していくといったようなことあるいは拡大していくといったようなことは、大事な紙パルプの資源でございますから、古紙の安定供給という観点からは望ましいことではないというふうに思っている次第でございます。  しかしながら、回収業者と回収業者といいますか、そういったある意味で古紙業界の中での問題という側面があるわけでございます。そういったことでまず一義的には、関係当事者間で十分に話し合ってこの問題を解決してもらいたいというふうに考えているわけでございます。しかしながら、例えば問答無用であるとかあるいは実力行使であるとか、そういったようなことはこれまた非常に問題が多うございます。私ども先ほど申しましたように古紙の安定供給という観点から、先ほど御指摘ございましたけれども、古紙回収センターにさらに一層の具体的な実態調査をお願いするとか、あるいは関係者間の話し合いを求めるとか、そういったきっかけをつくるとかいったようなことで必要な指導等を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  なお第二点目と申しますか、集団回収との関係でございますが、これにつきましては、先生も御存じだと思いますけれども、関東古紙回収協議会だとか、もう一つの団体ございますが、そういった団体で新聞回収の運営が行われているわけでございます。そこの中に規約がございまして、集団回収との関係につきましては集団回収を優先尊重すると、あるいは集団回収を支援、PRするということがうたわれているわけでございます。ということは、新聞回収側も集団回収の意義だとか重要性、そういうものは十分理解しているというふうに考えることができると思っております。しかしながら、具体的な問題でそのようになっていないということが起きますと、これはまた相困ることになるわけでございますので、実情に応じまして調査を行う等、さらには引き続いて関係者の適切な指導を行うというようなことで対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  141. 井上計

    ○井上計君 時間が随分と延びております。私ども委員よりも大臣初め政府側の出席の方が多いわけでありますから、できるだけ簡潔に私もお尋ねをしたいと、かように思います。  先ほど市川委員から河本長官に対していろいろ と御質問がありました。私の考えておりますこととかなり重複をいたしますので、一部を省略をいたしますが、ただ、市川委員の質問にお答えがありましたように、五十九年度の経済の見通しについては、長官は先日の予算委員会におきましても、また先ほども上方修正の可能性ありというふうに御答弁あったわけでありますが、ただ、景気対策として長官かねて、長官のこれは御持論であると思いますけれども、大幅減税、一兆円程度ではだめだというふうなことをおっしゃっておられたこともあろうかと思います。さらには公共事業投資の拡大拡充、これを言っておられたわけでありますが、現時点でもこのようなお考えをお持ちでありますかどうか、若干先ほどの市川委員の質問と重複いたしますけれどもそれをお尋ねをいたします。と申しますのは、私もやはり現状ではなかなか内需の拡大ということによっての景気の回復の見通しは困難である。共産党さんと私どもとは余り意見が一致しない方でありますけれども、この問題については実は意見が一致をしておる、こういうことでありますが、これにつきまして長官のまずお答えをひとつお願いいたします。
  142. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 減税問題につきましては、私はかねて今回の減税程度では極めて不十分であると、私はこう思っております。そこで大規模な所得税減税を含む税制の根本改革をできるだけ早く再検討するということが必要だと思いましてたびたび申し上げましたが、自由民主党と政府との連絡会議というのがございますが、そこで検討をしていただくことを提案をいたしまして、大蔵大臣と自民党の政策責任者に至急に作業してみてくださいということを今お願いしておるというのが現状でございます。  それから第二点につきましては、我が国は根本的に考えますと社会資本投資がやはり欧米の先進諸国におくれておると思います。二、三年前までは相当大規模にこれが拡大されたのでありますけれども、最近はずっと停滞をしております。そこで、やはりできるだけ社会資本投資の拡大をもう少し積極的に図るということが非常に大事だと思いますが、この問題に結論を出すためには若干の時間がかかりますので、今すぐというわけにはまいりません、予算もまだ審議中のことでもございますから。そこで来週予算が通るということになりますと、とりあえず今回の予算の中で盛られております公共事業、一般会計、特別会計、それから地方の補助事業、単独事業、いろいろございまして、二十兆を超えております。二十二、三兆になっておるんではないかと思いますが、これをできるだけ前倒しをする。さしあたりこれを実行していく、後々のこととして考えていく、こういうことを中心に至急に関係者との間で相談をしたいと、このように思っております。
  143. 井上計

    ○井上計君 今長官予算が来週成立した以降の問題でありますけれども、やはり公共事業の前倒しをお考えになっておられるということであろうと思いますが、当然前倒しをし、またさらに、秋になりましたら拡充、拡張という意味でのフォローが必要であろう、こう考えます。  ところが、けさの朝日新聞の社説に——先ほどから、どうも新聞の引用が多いのでありますが、「公共事業の前倒しは必要ない」という社説が実は載っておるんですね。抑制政策の中で公共事業の前倒しは必要ないし、また、公共事業をそれほどこれ以上拡大をしなくても内需中心景気が上向きつつある、財政面からのてこ入れをする必要はない、こういうふうな社説でありますが、お忙しいからお読みになっておるかどうか知りませんけれども、これらのいわば論説に対しての御感想はいかがでありましょうか。
  144. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) そういう意見があることは事実であります。しかし私は、そういう意見の方は現在の日本経済のことを本当に真剣に考えておられるんだろうかということに対して大変な疑問を持っております。というのは、最近の貿易の事情などを見ますと、大変な勢い政府見通しをはるかに上回って黒字が拡大をいたしております。今、対外摩擦を解消するために個々の問題についていろいろ作業を進めておりますから、これはいずれある程度前進すると思います。しかし、これが前進したからといって直ちに出てくる効果は極めて小さいものでございまして、金額的にはそんなに数字としてあらわれてはまいりません。ある程度この巨大な貿易インバランスを修正するためには、やはり内需はもう少し思い切って強くならなければなりませんし、円の問題もございますが、よほど真剣にこのことを考えませんと、もし、保護貿易的な傾向が世界に出てくる、特にアメリカに出てくるということになりますと、これはもう大変なことになりますから、私は、もう少し広い意味でこの経済というものを考えていただければ、当然別の結論が出るであろうと、このように考えております。
  145. 井上計

    ○井上計君 今長官のお答えを聞きまして、私も全くそのように考えるわけでありまして、特にきょう朝日新聞が社説にこんなことを書いたものでありますから、大変私も実は注目をして、きょう再度、念のために長官にお伺いをいたしたいと、かように考えたわけであります。  そこで、今後の財政再建の見通しあるいはそれについての方策、長期的に考えますときには、私どもは、いわば現状のような程度の経済成長では大変なことになるんではなかろうかというやはり危惧感を持っておるわけであります。このことについては、先ほど予算委員会の総括質問で我が党の田渕委員からも質問をいたしました。これについて長官からかなり明確なお答えをいただいておるわけでありますが、すなわち、今後長期的に、平均名目が六%以上程度なければ平均として実質四%程度の成長は維持できないし、また、その程度のものが維持できなければ財政再建は不可能であると、大変粗っぽい言い方でありますが、そういう結論になろうかと、こう思います。  ただしかしその場合に、果たして現在のような状況実質四%平均成長がこれから十数年、もっと極端に言えば三十年ばかり維持できなければ、特例公債がゼロにならぬという形になろうと思いますけれども、そんなのが維持できるのであろうか。事実、またそれが維持できたとしても、幸いにして財政再建はほぼ目的を達しますけれども、実は、五十九年度と同じ程度の緊縮予算をずうっと、これからまた続けざるを得ない、こんなふうなことになろうかと、こう思うんです。時間がありませんから、大変粗っぽい言い方になりますけれども、そこで私は、この際五十九年度は、今見込まれておりますところの四・一%あるいは名目五・九%程度の維持をするだけでも容易ではない、だからもっと積極的な政策をとるべきであろうというふうに考えます。  そこで、既に言われておりますけれども、五十九年度予算に計上されておりますが、例の租税特別措置法によるところの投資減税、まだまだ十分でなかろうと、こう思います。あの程度ではなかなか民間設備の促進というものは、大企業はともかくも、中小企業にはなかなかあれではまだまだ容易なことではなかろうと、こう思います。さらに加えて、機械等設備の耐用年数が我が国は非常に欧米先進諸国に比べて長いわけでありますから、これらの短縮等もやっていかなければ、当面の民間設備投資促進、さらには中長期的に見て国際競争力の保持、あるいは経済の発展ということに非常に支障があるんではなかろうかと、こう考えておりますが、いかがでありましょうか。
  146. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 五年ぶりで経済がせっかく上向いてまいりましたから、こういうときには、政府目標としております平均成長率よりもやはり高目の成長をするということが大事だと、こう思います。情勢の悪いときには平均以下になるわけでありますから、情勢のいいときには平均以上の成長をいたしまして潜在成長力ができるだけ力いっぱい発揮されるということが必要ではなかろうかと、このように思います。  そういうことでございますから、特に対外的な対応を考えますと、ECからもマクロ経済政策についての要望も出ておりますし、それからアメリカ政府も、先般リーガン財務長官がやってまいり ましたが、日本は、マクロ的に景気回復を一体どのように進めるのか、経済対策をどのように進めるかということについて非常に強い関心も持っておるようでございました。  そういうことでございますから、先ほど申し上げましたような巨額の黒字を念頭に入れまして、自由貿易体制を守っていくんだという、そういう観点から積極的な対応をしていくことが必要だと、こう思います。具体的にはいろんなやり方があると思いますけれども、いずれにいたしましても、予算が成立いたしました段階で政府と党の間で十分相談をしていきたい、このように思います。  この間、おたくの政党から衆議院予算段階で一つの提案をいただいておりますが、これなどは私は非常に参考になると、こう思っております。
  147. 井上計

    ○井上計君 次回また長官に対していろいろとお尋ねすることがありますので、そのときにまたそれらの問題等についてはさらに詳しくお尋ねをいたしたいと、かように考えております。  そこで、これからお伺いすることは、大変これまた推定の推定というか、粗っぽい議論になるわけでありますが、御了承いただきたいのであります。  昨年は御承知のように選挙選挙の連続でございました。統一地方選挙と参議院選挙、これが十二年に一遍重なるわけでありますが、それに加えまして衆議院の選挙が行われました。これは、昭和二十四年には選挙法等が大幅に改正されましてから実は初めて、三十六年ぶりであったろうと、こう思います。  そこで昨年は、したがいまして、それらの選挙のために使われたといいますか、選挙のためのかなりの資金が内需を相当潤しておる、こういうふうに実は私は判断をしておるわけであります。これが、去年の五十八年度の実績がもう大体出ておると思いますけれども実質三・四%、名目四・五%程度であるとすると、その中にどれぐらい盛られているかわかりませんけれども、実はかなりの影響があったんではなかろうか、こう思うわけであります。  そこで、私が自治省等から聞いて調べた数字でありますが、まず候補者の数であります。我々を含めまして衆議院の候補者が八百五十人、それから参議院が四百三十人、さらには各都道府県会議員が四千五百五十五人、首長が、知事、指定都市等含めますと千四百十五人、それから市町村会議員、指定都市を含めてでありますが、三万九千五百四十七人、東京の特別区会議員が千二百九十人、合わせて四万八千八十七人という実は立候補者の数があったわけであります。これらの人たちがどれぐらいの実は資金を使ったであろうか、全くわかりません。ただ、公営費用として衆議院で八十七億、参議院で七十五億、百六十二億円使われております。それから、先ほど申し上げました衆議院と参議院の候補者の届け出による法定の選挙費用が、衆議院が百三十二億、参議院が五十七億であります。これだけで三百五十一億円であります。このほかに各政党が使った金があります。各地方自治体が使った金があります。それからさらにもっと大きいのは、私を含めてでありますけれども、候補者が政治活動という名前の後援会で使った金、これは恐らくこれのウン十倍あるんではなかろうか、こう考えますと、大変な金が少なくとも去年一年あるいはおととしの秋ごろからかなり動いておるんではなかろうか、こういう実は私は推測をしておるわけであります。  私は、実は印刷関係の出身でありますが、印刷業界にどれぐらいのものが選挙によって、いわば選挙特需と、こう言っておりますけれども、あったであろうかということを先般試算をいたしました。これまた粗っぽい試算でありますからわかりませんけれども、大体推定をいたしますと二千億円前後、この一年半ぐらいの間でございますがあったんではなかろうか。もし一年間で二千億としますと、去年の印刷産業の総出荷額が四兆二千億程度でありますから四・五%ぐらいあったということになるわけでありますから、印刷業界は名目成長率、去年の伸びは実は大体選挙特需を引けば全く伸びていないと、こういう数字が出るわけでありますが、全般的によくわかりませんけれども、これはかなり私は去年の民間需要を実はかなり底上げをしておると、こういう判断しておるんですね。この実績、これを含めたものが実績、その実績をベースにしたものが五十九年度の四・一%の実質成長あるいは五・九%の名目成長となっておるとすると、私はこの五十九年度かなり危険ではなかろうか。上方修正どころか、逆に、後半になってみなければわかりませんけれども、下方修正ということがまた起き得るんではなかろうか、こういう感じがするんです。これはあくまでも推定の推定でありますから根拠のない数字と思われるかもしれませんけれども、そんな感じがいたしますけれども、これは長官あるいは経企庁としてはどういうふうにこの点についてはお考えでありましょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  148. 谷村昭一

    政府委員(谷村昭一君) お話しの点は、五十八年度に影響があったことは御指摘のとおりだと思います。現に出版、印刷業は、前年に比べまして、五十八年一−三がマイナス六・六、四−六が八五・五、七—九が一・一、十−十二が四二・二のアップになっておりまして、相当大幅に伸びておることも否定できないと思います。もちろん選挙だけではなくて、雑誌のいろんな創刊号が非常に出たとか、いろんな面が総合されておるわけでございますが、非常に伸びておる。それが五十八年度の成長率に影響を与えていることは否定できませんが、しかし全体から眺めますとそれほど大きなウエートがあると、今二千億とおっしゃいましたが、全体から眺めるとそれほど大きなウエートがあるとは私ども考えておりません。
  149. 井上計

    ○井上計君 二千億と申し上げたのは私のこれはあくまでも粗っぽい推定ですが、大体印刷、紙関係の影響だけですね。ただ、先ほど申し上げましたように、法定選挙費用と、それから衆議院、参議院の公営による費用だけで三百五十億円なんですね。このほかに、さっき申し上げましたように四万八千人の候補者が政治活動という名目で後援会として使った金が実は恐らく大変な額だと思うのですね。それから各政党、各地方自治体、これらを含めますと、仮にさっき申した三百五十億、十倍としても三千五百億円あるわけです。恐らく十倍できかないのではなかろうか、こういう実は感じがするわけであります。だからこれはどの程度かわかりませんけれども、かなりあるんではなかろうか。先ほど私は印刷のことを申し上げましたが、私どもが感じておりますのは、かなりお互い選挙前、選挙中相当なアルバイト、学生を特に使うわけであります。その学生たちに一体このアルバイトで稼いだ金とうするのだと聞きますと、全部旅行、レジャー、そうしていろんなものを買うわけですね。あるいは車、オートバイあるいはいろんなことを言っております。だからそれらのものを考えると、かなり去年一年間、こういう選挙による支出、選挙需要によるところの間接的なそういう内需というものがあったんではなかろうか、こう考えておるんですが、これは全然もう根拠がありませんから、ただ推定でありますから、推測でありますから根拠はありませんけれども、しかしこれらのものを考えた中で五十九年度の経済見通しというものをお考えいただく必要があるんではなかろうか、こういう提言であります。  以上で質問終わりますけれども、ぜひひとつこれらのことをお考えいただきながら今後の経済見通しもひとつお立ていただくことが必要ではなかろうか、このように考えます。  私の質問はこれで終わります。
  150. 木本平八郎

    木本平八郎君 河本長官、何かアポイントがおありのようなので一番最後にお願いしようと思ったのですけれども、ちょっと順番を変えまして先に質問さしていただきます。  まず先ほどからいろいろ問題になっています国内内不況の問題ですね。景気が回復しないとか国内需要が余り伸びないとかというふうなことで私はちょっと違った考えを持っていますので、ぜひ この際長官にエコノミストとして御意見をお伺いしたいなと思うわけです。  それはまず許認可の問題ですね。それは許認可とそれから実質上の許認可に等しい行政指導の問題、私は極言すれば世界で一番すごい統制国家の一つじゃないかと思っておるぐらいなんです。非常に自由国家でありながら許認可が多いということで、そしてこういう許認可というのは高度成長時代には非常にうまく機能していた面があった。例えば外国のインフレを輸入されるのを防いだとか、そういった高度成長時代には日本株式会社的にうまく機能してきたと思うのですけれども、低成長になってからどうもこれがマイナスに働いているんじゃないか。例えば、円高になって当然輸入がふえ、値段が下がらなきゃいけない。特に今の円高というのは日本の円が強くてなっているわけじゃなくて、ドルが安いために円高になっているというケースが多いわけですね。ところが、許認可ががっちりあるために全然円高になってもそういう経済的な効果が発揮されないという感じがするわけです。したがって、どうもその辺で日本経済の弾力性、そういう外部からの刺激に対して敏感に反応するいわば人間で言えば神経が麻痺しちゃっていて、そのために非常に経済自身が不活性化して活性化しないというふうに私は感じているわけです。この辺で私は、結論的には許認可をやっぱり臨調が言っておりますように相当思い切ってなくして完全に自由化するということがまず日本経済立て直しの一番の根本じゃないかと思うのですがね。この辺の御意見だけ承って長官に対する質問は終わりたいと思うのです。
  151. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) ここは私は非常に大事な点だと思いますが、といいますのは、アメリカ経済は今度大変よくなりましたが、それには大減税もやりましたし、インフレ対策もやりましたが、もう一つアメリカ政府のやりましたのは、許認可、政府介入、規則等をできるだけ少なくする。そして民間経済が自由に活動できるようなそういう背景というものをつくり上げた。そこが私は非常に大事な点でなかったか、こう思います。やはり民間活力が十分発揮できるということのためには、規則はできるだけ少なくする、政府の介入あるいは行政指導等はできるだけやめていく、こういうことは私は経済政策の上で非常に大事でなかろうか。今回の行政改革の一環として取り上げられておりますけれども経済政策としてもそれは非常に大事な点だと、このように考えております。
  152. 木本平八郎

    木本平八郎君 どうもありがとうございました。どうぞ御退席ください。  それで、ちょっと話をきのうのガソリンの問題に戻しまして公取の方にお聞きしたいわけですけれども、それで昨年一たん暮れぐらいにずっとガソリンが非常に下がりましたね。それで百三十六円ぐらいまで下がったわけです。それがことしになってから二月ごろにはずっと上がってきて、今百四十八円ぐらいまでに戻っているわけです。ところが、どうも非常に巧妙裏に上げてきているという感じがするわけです。ということは前回の九月のときは一斉に上げた。ところが、一斉に上げるとまた公取ににらまれるというふうなことを感じたのだろうと思いますけれども、その二足の地域ごとに、あるいは街道筋ごとに百四十八円にさっと上げると。また時間をずらしてほかのところが上げるというふうに極めて巧妙に上げてきているわけです。  それからまた一方で、従来ガソリンスタンドというのは、例えば百四十八円なら百四十八円というのは、これが一番安い値段ですよと、安くしましたという意味で百四十八円というのは上げていたわけです。ところが、百四十八円のところだけが上げてて、それよりも安いところは看板を出していないわけです、隣でやっていても。こういう極めてきめが細かいというか、小細工というか、うまくやりつつあるわけです。こういうふうに極めて巧妙になってきているということになると、公取もこれを追っかけるのに大変だと思いますけれども、こういう現象についてどういうふうにお考えになるか、公取の意見を聞きたいんですが。
  153. 伊従寛

    政府委員伊従寛君) 一般的な独禁法の解釈といいますか、考え方として申し上げます。  独禁法で価格カルテルについて規定しておりますのは、独禁法の第三条と第八条で禁止しているわけでございますが、そこで違反になります要件で一番重要なのは、競争者間に合意があるかどうか、共同行為があるかどうかということでございます。ですから、値上げについて言いますと、値上げについての共同行為があるかどうかでございます。仮に、今先生御指摘の時間をずらして上げる、それからあるいは高値をだれかが表示してそれに従うと、そういうことにつきまして、やはり競争者間で合意があればこれは独禁法上違反になるということでございます。  反対に、今度は共同行為といいますか、合意がない限り、時間がずらされて上げたとしても、あるいは全く合意なしに高値にほかのものが追随するという現象がありましても、これは独禁法の価格カルテルには該当しないということです。あくまで違反になるかどうかは競争者間に値上げ、時間差を含めましてあるいは追随ということを含めまして、そのことについての合意があるかどうかが一番重要な点でございます。
  154. 木本平八郎

    木本平八郎君 そのとおりだと思います。それで、ただこれは、後でも申し上げますけれども、当然話し合いが行われているという、そういうふうな疑いが国民の側にあるわけです。それで百四十八円なんですけれども、今回は百四十八円なんです。ところが、前回の九月には百五十五円だったわけです。    〔委員長退席、理事森山眞弓君着席〕 それの理由として通産省が事後調整をなくするように指導したからだと、こうおっしゃっているわけです。元売から後でコンペンが来ないからもう今回は百四十八円だというわけです。コンペンが来ないと百四十八円ということは、前回百五十五円、七円上だったということです。これはどうも解釈できないわけです。その間に国際的な原油価格が下がったとか、為替が下がったということも、まだ今二百二十何円ですけれども、そんなに影響してないと思うんです、この二月時点では。そういう状況でありながらかつては七円も高かった。これはやはり人為的に何か操作があったんじゃないかという気がするわけです。これもこういうものをやるというのは、やっぱり相当な力でもってやらないと、全国一斉にそこまで押し上げるというのは大変なんですけれども、前回の九月の一斉値上げについて公取がいろいろとお調べになっていると思うんですけれども、中間的ななにでも結構ですけれども、どうだったんでしょう。
  155. 伊従寛

    政府委員伊従寛君) 先生御指摘のように、事後調整の問題を別にしますと、この前、九月にほぼ一斉に全国的にガソリンの価格が百五十五円に上がるということは、私たちの方としましてもこれは不自然な面があるというふうに考えたわけでございます。先生御指摘のように、原油の値段が上がったわけではない、あるいはまた特別に需要が強くなったわけでもないときにほぼ一斉に上がるということは、これは事後調整の廃止という問題があったわけでございますが、それを別にしますと我々の方としては不自然であると考えまして、当時これは国会での御質問のときには我々の方としましてはこれは不自然な面があるということで、鋭意、その当時情報の収集、分析に努めたわけでございます。先生御指摘のように、ガソリンの価格の問題は国民生活に非常に重要でございますし、それから過去に何回か違反の事件を経ておりますのでかなりいろいろ考えていると思いますので、私たちの方もガソリンの問題につきましては絶えずこれは新しい方法でカルテルが行われないかということで十分注意しているところでございますが、今後とも厳重に監視していきたいと思っております。
  156. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、確かに公取としては強制調査権だとか捜査力なんか余り強くないと。まあ与えられておるんでしょうけれども十分与えられていないと思うので、こういうふうに怪しいな と思ってもなかなか突っ込んでいけない。それで相手側も巧妙にガードしていますから、それは当然なかなかやりたくてもやれないという点はあると思うのです。    〔理事森山眞弓君退席、委員長着席〕 この辺は今後ともしっかりやっていただきたいと、我々も応援しますからということを申し上げるしかないんですけれどもね。  そこで、ところがやっぱり国民はもう素朴にこういうやみカルテルがあるとか談合があるということを感じているわけですね。これはほかの機会でも私言っているのですけれども日本国民というのはばかじゃないからみんな見通しているわけですね。見透かしているのだけれども、しかし見て見ぬふりをするというか、目をつぶっているというふうなおおようなところがあるわけですね。ところが、そういう見透かしているということで政治不信につながっている面もないとは言えないわけですね。言ったってだめだとか、また政府はどうせだめだろうとか、そういうふうに不信につながっているので、何とかこれを正常な形にした方がいいんじゃないかという気がするわけです。  そこで私の提案なんですけれども、むしろ時限的にどんどん公取が積極的にカルテルの結成を認めていったらどうだろうかという感じがするわけです。それでここに要求資料の三ページです、ここにセメント業界の何かやみカルテルの問題が摘発されていますね。それから八ページですか、そこにも、「昭和五十七年度以降認可した不況カルテルの現状」というところにセメント業界も入っているわけです。私これ思うのですけれども、ところがこの八ページのこのカルテルの期間がわずか五カ月なんですね。八月三日から十二月三十一日ですか、五カ月なんですね。それで五カ月では業界の構造的な改善なんかできないのだろうと思うのです。これをむしろ、非常に乱暴な言い方ですけれども、二、三年認めて、二、三年間いいと、カルテルをよろしいと、再販価格維持も認めましょうと、ただしその間に業界が徹底的に体質を改善して三年後はもう完全にフリーにしなさいと。それで国際競争力どんどん——まあセメントの輸入があるかどうか知りませんけれども、そういうふうに認めちゃうということですね。それでガソリンも、きのうも言ったんですけれども、今いわゆるリファイナリーが非常につらいのなら二年なら二年認めましょうと。その間に業界で徹底的に合併するなり統廃合して国際競争力をつけて、そのかわりもう二年後には完全に競争フリーにしますよということで積極的にカルテルを認めて、その間に体質強化をやった方がいいんじゃないかと思うのですけれども、その辺いかがでしょうか。
  157. 伊従寛

    政府委員伊従寛君) 不況カルテルにつきましては、これは独占禁示法、それから中小企業団体法で規定がございまして、要件に合致するものについては一定期間認める形になっております。公正取引委員会としましても、これは不況要件に該当するものについては認めていこうという態度で運用してきているわけでございますが、問題はその不況カルテルを認める場合にもやはり価格カルテルを認めるということは影響が大きいということで、原則として生産制限カルテル、数量カルテルの方を認めまして、それでどうしてもできないという場合に価格カルテルを認めるという形になっております。で、公正取引委員会の運用が非常に、不況カルテルについて短期しか認めてないんではないかという御指摘でございますが、やはりカルテルをつくりますと、事業者の場合には、お互いに競争していますときには非常に弱いといいますか、弱いわけですが、カルテルを認めますとやはり団結しまして非常に強くなりますので、これは原則として私たちは短期間で、ただし更新を認める、繰り返してやることを認めるという形で運用しております。その点で先生の御提案とちょっと違うわけでございますが、ただ、本当に構造不況になった業種につきましては、別に昨年構造改善法ができまして、そちらの方でかなりの期間、設備についての制限ができる仕組みになっております。
  158. 木本平八郎

    木本平八郎君 確かにその通りだと思います。ただ、私がなにするのは、対症療法で鎮痛剤を打って延ばしていくというんじゃなくて、やはり一つの産業の体質改善ということを考えてやった方がいいんじゃないか、そういう一寸刻みでやっていましても、結果的にはずるずるずるずるこういっちゃうということが非常に多いようなので、せめて公取委ぐらいはそういうふうに思い切った手を打って、考えていただきたいと思うわけです。これについては御答弁いただかなくて結構です。  最後に一つだけ経企庁にお願いして、それで私の質問を終わりたいと思うんですけれども、きのうからもありましたように、実は物価の上昇率その他の問題なんですけれども、ここに、これ一々なにすることもないんですけれども、こういう資料の中にも消費者物価だとか物価対策を相当重視しておられるようですね。ぜひ今後ともこの点は基本的にやっていただきたいと思うんですけれども、我々というか、サラリーマンとしては税金もさることながら、やはり生活費の問題というのは非常に深刻ですから、ぜひこの点の監視及び抑制に努力していただきたいと思うわけです。ただ、きのうも同僚議員から質問が出ましたように、政府の発表では消費者物価が去年は二%ですか、ことしは二・八%だと、こういうわけですね。どうも国民実感としては一割以上上がってるんじゃないかという気がするわけです。これについてはきのうも説明がありましたけれども、いろいろ事情があるし、国民考えている生活費の範囲と、経企庁がマクロ的に国民全体、国民生活全体で押さえられている項目七の他とのずれがあることは確かなんです。確かなんですけれども、やはり経企庁としては何もわからない国民に納得させる説明というのは必要なんじゃないかという気がするわけですね。だから、おまえらわからないやつはばかだという——まさか思っておられないと思いますけれども、どうして国民皆さんにそういう実際の指数、値上がりと実感とにこれだけのずれがあるのかということを、もっと懇切丁寧に、あらゆる機会に説明していただきたいと思うわけです。ここに予算を出されて、何かこう白書だとか、いろいろおつくりになっているようですけれども、そういう資料もぜひつくっていただく必要があるんじゃないかという気がするわけです。それが一点と、それからもう一つは、今は卸売物価指数と消費者物価指数なんですけれども国民としては生活必需物資の、例えば基本生活物価指数というふうなもので、いわゆるなきゃないで済むものがあるわけですね。例えばテレビなんというのは、必需品かもしれませんけれども、何とかなければないで済む、こういうものと、米、みそみたいなものとはやっぱりカテゴリーが違うと思うんです。だから、それだけの基本生活物価は去年に比べてどのぐらい上がっていってるんだというふうなことも必要なんじゃないか。私はいつも言うんですけれども日本の物価というのは世界的な水準から見て、基本的な生活物価というのは非常に高いという感じがするんです。世界と逆なんです。それだけにやはりエンゲル係数的な要素が非常に強いんで、その辺をお考えいただく必要があるんじゃないかと思うんですが、この二つお答えいただいて、私の質問を終わります。
  159. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) お答え申し上げます。  まず、第一点でございますけれども、私ども、物価を安定させるには、それぞれの当事者がお互いに協力をしなければいけない、こういうふうに考えております。当事者と申しますのは当然、供給を担当いたしております生産者、それからまた消費者が合理的な賢明な消費行動で対応していただく、こういう点がございます。さらに、もう一つ、物価政策というものが適時適切に行われなければいけない、こういうふうに考えております。例えて申しますと、いわば紙なり布なりというものははさみでもって真っすぐ切ると、こういうことが物価対策を進める上での例えになるんじゃないかと思います。と申しますのは、一方の刃が生産者でございますし、もう一方の刃が消費者であ る、それからかなめの部分に当たりますのが物価政策である、こういうふうに考えております。一方の刃が研ぎ澄まされておりましても、他方の刃がこれがぺらぺらであるというようなことでは、うまく布は切れない、また、かなめの部分がしっかりとはまっておりませんとこれまた紙はよく切れない、こういうことだと承知をしております。そういう意味もございまして消費者啓発、消費者に対するいろいろな御理解をいただくための努力をこれまでいろいろ続けてまいりました。先生今御指摘のようなことで、予算においても乏しいながら認めていただいております、その範囲内でやっておりますことを申し上げますと、まず、いろいろなパンフレットを出しておりますし、さらには「物価レポート」といったようなものも出しております。さらに、ことしからは物価の分析をしたような、分析白書みたいなものも考えてみたいと、こういうことで考えておる次第でございます。そういったような形で消費者に対してぜひ御理解をいただく、その上に立って消費者の合理的、賢明な行動に支えられて物価安定というのが図られるようにしたい、こういうことを考えておりますけれども、今後ともその方向で努力をしたい、こう考えております。  それから、第二点でございますけれども実感とそれから統計のギャップの一つの要因として御指摘になりました点につきまして、すなわち、基礎的、必需的な品物の値段が高いのではないか、したがいまして、基礎的、必需的なものと選択的、任意的な費目というのを分けて物価指数というものを考えてみたらどうか、こういう御提案だと思いますけれども、実は、こういうふうな区別によりますところの消費者物価指数というのはもう現につくられております。総理府の統計局で発表しておりますものがございまして、それによりますと五十八年、これは暦年でございますが、全体の物価の上昇率、これが一・九%、これ、暦年の数字。これに対しまして、そのうちの基礎的な支出の項目につきましては一・六%、これに対して選択的な支出の伸びは二・六%、こうなっておりまして、この前の年も、平均の二・七に対しまして基礎的な部分が二・五、選択的な部分が二・七、このところ選択的な項目の物価の上昇率がやや高くなっていると、こういう状況でございます。ただし、この基礎的なものか選択的なものかということで各品目を分類する基準が、消費支出全体の中でウエートを高めでるかウエートを低めてるかと、こういう基準でとっておりますものですから、やや問題があると思います。と申しますのは、具体的に申しまして、例えば教育関係の費用でございますが、公立高校の授業料というのは基礎的な支出になっているのに対しまして、私立の高校の授業料とか私立大学の授業料などは選択的な項目と、こうなっておりますので、やや統計上の問題があろうかと思います。  もう一つ御質問の中に含まれておりました点は、物価の水準が高いのではないか、こういうことでございますけれども、物価の水準比較というのは物価指数統計の上ではなかなか難しいと、技術的な問題点があるということでございます。私どもといたしましても、ジェトロなどの機関を通じまして、主要な生活物資につきまして主要先進国なりあるいは発展途上国なりの主要都市におきますところのその価格の調査をしております。そういったようなものも資料にまとめまして御利用いただけると、こういうことになっておりますけれども、これは専門家の立場から言いますといろいろな技術上の問題がございまして、必ずしも客観的な結論を出し得る資料ではないという、こういう問題点があろうと思っております。いずれにいたしましても、消費者の御理解をいただくような消費者啓発事業、それから物価並びに国民生活の現状分析に必要ないろいろな各種資料につきましては、今後ともさらに拡充をした分析をしていきたい、こういうふうに考えております。
  160. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 以上をもちまして、昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち、公正取引委員会経済企画庁、通商産業省所管、中小企業金融公庫、中小企業信用保険公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十一分散会