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1984-04-06 第101回国会 参議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月六日(金曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      杉元 恒雄君     藤田 正明君      梶原 敬義君     久保田真苗君  四月二日    辞任          補欠選任      藤田 正明君     杉元 恒雄君      久保田真苗君     梶原 敬義君  四月四日    辞任          補欠選任      木本平八郎君     青木  茂君  四月六日    辞任          補欠選任      青木  茂君     木本平八郎君     ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長          斎藤栄三郎君    理 事                 降矢 敬義君                 森山 眞弓君                 高杉 廸忠君                 市川 正一君    委 員                 石井 一二君                 岩本 政光君                 亀井 久興君                 佐藤栄佐久君                 杉元 恒雄君                 鈴木 省吾君                 松尾 官平君                 松岡満寿男君                 山本 富雄君                 梶原 敬義君                 対馬 孝且君                 福間 知之君                 田代富士男君                 伏見 康治君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        通商産業大臣  小此木彦三郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長  河本 敏夫君        官)    政府委員        公正取引委員会        委員長      高橋  元君        公正取引委員会        事務局経済部長  佐藤徳太郎君        公正取引委員会        事務局取引部長  奥村 栄一君        公正取引委員会        事務局審査部長  伊従  寛君        経済企画庁調整        局長       谷村 昭一君        経済企画庁物価        局長       赤羽 隆夫君        経済企画庁物価        局審議官     佐藤 満秋君        経済企画庁総合        計画局長     大竹 宏繁君        経済企画庁調査        局長       廣江 運弘君        通商産業大臣官        房長       福川 伸次君        通商産業大臣官        房審議官     前田 典彦君        通商産業大臣官        房審議官     山田 勝久君        通商産業大臣官          房会計課長    山本 雅司君        通商産業省通商        政策局長     柴田 益男君        通商産業省貿易        局長       杉山  弘君        通商産業省立地        公害局長     石井 賢吾君        通商産業省基礎        産業局長     野々内 隆君        通商産業省機械        情報産業局長   志賀  学君        工業技術院長   川田 裕郎君        資源エネルギー        庁長官      豊島  格君        資源エネルギー        庁長官官房審議  松田  泰君        官        資源エネルギー        庁石油部長    松尾 邦彦君        資源エネルギー        庁公益事業部長  小川 邦夫君        中小企業庁長官  中澤 忠義君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        科学技術庁原子        力安全局原子力          安全調査室長   岡崎 俊雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、昭和五十九年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小  企業信用保険公庫) ○輸出保険法及び輸出保険特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  去る三日、予算委員会から、本日及び明七日の二日間、昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公正取引委員会経済企画庁通商産業省所管中小企業金融公庫中小企業信用保険公庫について審査の委嘱がありました。以上御報告申し上げます。     ―――――――――――――
  3. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 次に、審査日程について御報告申し上げます。  理事会で協議いたしました結果、本六日は通商産業省所管中小企業金融公庫中小企業信用保険公庫、明七日は総理府所管のうち公正取引委員会経済企画庁について審査を行うことに決定いたしました。     ―――――――――――――
  4. 斎藤栄三郎

  5. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 昭和五十九年度通商産業省関係予算案等商工委員会予算審査における御審議に先立ちまして、一言ごあいさつを申し上げます。  我が国をめぐる国際経済環境を見ますと、世界経済は二度にわたる石油危機による深刻な不況から脱し、ようやく回復に向かいつつあります。しかしながら、欧米諸国における保護主義の高まりが懸念され、発展途上国では多額の累積債務を抱えるなど、世界経済は依然困難な問題を抱えております。  他方国内的には、情報技術中心とする先端技術分野における飛躍的な技術革新は、我が国経済社会の各分野に大きな変革をもたらしつつあります。我が国民間活力を十分生かしつつ、このような変革の兆しを的確にとらえ、これに積極的かつ適切に対応して活力とゆとりのある社会を実現していかなければならないと考えております。  私は、以上のような内外諸情勢に対処し、世界経済活性化に積極的な貢献をしつつ、英知と創造力をもって我が国の繁栄の礎を築いていくため、次の五点を中心に全力を挙げて通商産業政策を展開してまいる所存であります。  第一に、内需中心経済運営創造的発展基盤形成に努めることであります。第二は、世界経済持続的発展への貢献と調和ある対外経済関係形成を図ることであります。第三は、長期的視点に立った資源エネルギー政策を着実に推進することであります。第四は、新時代に対応した中小企業政策を積極的に展開することであります。第五として、魅力ある地域経済社会形成と多様で質の高い国民生活基盤充実を図ることであります。なお、当然のことながらこれらの重点施策の遂行に当たっては行政の効率化合理化に十分留意してまいる所存であります。  昭和五十九年度の通商産業省関係予算案及び財政投融資計画の作成に当たっては、このような基本的方向に沿って、諸施策具体化を図ることとした次第であります。この結果、一般会計は、五十八年度に比べ百八十八億六千三百万円減の合計八千十五億三百円を計上しております。特別会計につきましては、通商産業省石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計等五つ特別会計を所管しておりますが、五十九年七月から特許特別会計を創設することとし、機械類信用保険業務中小企業信用保険公庫への移管に伴い十月から機械類信用保険特別会計を廃止することとしております。  また、財政投融資計画につきましては五兆八千六百八十六億円を計上しております。  通商産業省関係予算案等内容につきましては、お手元に資料がお配りしてありますが、委員各位のお許しを得て説明を省略させていただきたいと存じます。  何とぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  6. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 対馬孝且

    対馬孝且君 ただいま大臣から本日の予備審査に関するあいさつの所信がございました。特に私はこの問題につきまして、一に、まず長期エネルギー視点に立ってのエネルギー政策はどうあるべきかという問題につきましてまず質問に入りたい、それから、物価経済見通しをあわせてお伺いをしたいと、こう思っている次第です。  先般当委員会でも申し上げたことがあるのでありますが、この総合エネルギー調査会の五十七年四月の需給見通し、それから昨年の十一月の見直し、これを見ますとやっぱり二割方下方修正をされています。つまり私は率直に申し上げますのは、五十七年の石油に対する六十五年度目標は大体四九%。ところが、昨年十一月の見直しでいきますと石油依存率が五二%。これは三%逆に石油依存に変わっている。これはまさに。下方修正が、相変わらず政府の目先の、オイルが安くなればすぐ石油に飛びつくという安易な長期エネルギー政策の感なしとはしないと、こう私は思うわけであります。  そこで、私は、この問題につきまして、この前四九・一%、五十七年の当時の長期エネルギー。昨年は正確には五二・五%ですから、結果は三・四%ダウンしていますね。それとあわせて今も予算上の問題が出ましたけれども、結果的にはこれを見ますと、石油対策費前年度比は四十六億円、一・二%が増額となっております。ところが代替エネルギー予算は逆に約二十八億円これが減額になっております。つまり四・九%減である。石油の方は増で代替エネルギーは減と。これは如実に、昭和五十七年の長期エネルギー見通し基本政策を、需給見通しを踏まえますならば、政府の態度というのは、どうもやっぱり代替エネルギーを軽視する方向に立っての見通しであり、かつまた予算上もそうなっている。これはどういうことからそういう考え方に立っているのか、どうも私はこれは理解することができませんので、この点第一点、大臣のまず基本的な姿勢をひとつお伺いしたいと思います。
  8. 豊島格

    政府委員豊島格君) ただいま先生の御指摘になりましたように二つございまして、一つは昨年十一月に改定いたしました長期需給見通し石油依存度がむしろ高くなっているじゃないかと、これはどうも代替エネルギー導入というのを軽視して、やっぱり石油依存に戻ったんじゃないかと、こういう御指摘かと存じます。  御指摘のように確かに石油依存度自身前回四九%というのが今回五三%になったことは事実でございますが、実はその中身をごらんいただきますとよく御理解いただけるんだと思いますが、需要が減退しておるということで、全体の需要を二二%下方修正したということでございまして、その結果代替エネルギーの入ってくる余地がそれだけ少なくなったということが具体的な原因かと思います。したがいまして、石油消費量そのものは、五十七年に策定いたしましたときには二億九千万キロリッターぐらい六十五年要るというのが、実際は二億四千万キロリッターということでございまして、依然として伸びる需要のほとんど全部は代替エネルギーで賄う、石油には固定した需要があるわけでございまして、そんなことで石油消費量自身は相当低目に見ておるわけです。  若干敷衍して申し上げさせていただきますと、二千年にはどうかということで、先の話でございますが、大体需要は十年おくれになったわけでございまして、前回は六十五年すなわち一九九〇年に総需要原油換算で六億キロリッター弱と、それが大体二千年になる、こういうことですが、その段階で見ますとこれは四〇%を石油依存度は切るということで、実際問題として、数字の問題としてそういう依存度が見かけ上高くなっておりますが、実質的には石油依存度は非常に落ちておるといいますか、石油自身消費は非常に低く抑えているということを御理解いただきたいと思います。それから第二の点でございまして、五十九年度予算の中で石油対策の費用はふえておる、それに対して石油代替エネルギー対策予算は減っておると、これも事実でございます。ただ、石油対策といたしましては、御承知のように当面エネルギー最大供給源というのは依然として石油ということでございまして、この安定確保ということは、日本のエネルギー安定確保最大重要性を持っておるということで、特に最近の中東情勢等を見ましても備蓄は着実に進めていかなくちゃいけない、こういうことで、いわば当然増的なふえ方でございます。なお代替エネルギーはどうして減ったのかということでございますが、この主たる中身は、海外石炭の投資というのはここのところへ来まして非常にまあ、既に契約済みのものもカットせざるを得ないということでこれが大幅に減ったということが原因でございまして、決して政策中身をスローダウンしたということではございませんので、その点も御理解いただきたいと思います。
  9. 対馬孝且

    対馬孝且君 今お答えございましたけれども、私は大臣にひとつ基本姿勢を伺っているわけですから、今中身は変わってないと言ったって現実の問題は、需要が減退したと言ったって、流れとしては需要の減退は全体的に減退しているわけですから。しかし、これは私はこの前もちょっと申し上げましたけれども昭和五十五年にエネ特会石油代替エネルギー元年という最大限アピールした、十一月に私はこの委員会で質問している。そのときは逆ですよ、これはあなた。むしろ五十五年度は特別会計上代替エネルギーとしては千二百億からスタートして、五十六年度は千六百億、加えて必ずこれは増高傾向にいくのであって、マイナスになることは絶対あり得ない、こういう答弁なんですよ、これははっきり申し上げて。これは私が質問しておりますから。今の言うこと違うじゃないか。中身はどうだとかこうだとか言っているんじゃないんですよ。増高傾向に、代替特別エネルギー予算は五十五年度は代替エネルギー元年と位置づけたい、こう言って確信持って強調したんだよ。元年と位置づけて千二百億からスタートして上昇カーブを続けるけれどもマイナス、減少になることはない、これが当時の確信持った答弁でしょう、おたくの方が。これ理屈に合わないじゃないですか。それは中身は同じだとか、中身は確保されていると言ったって、僕はエネルギー方向性を言っているんだよ。代替エネルギー方向性は逆に量的にもマイナスになり、そして予算上もマイナスになっているではないか。これは当時代替エネルギー元年とあなた方が強調して、私もそうだと、そうあるべきだと、こういった当時の考えからいくとどうもこれは変わってきているんではないですかと、こういうふうにみんな心配して言っているわけですから、そこらあたり長官の言うことは、一応答弁としてはわかりますけれども大臣基本姿勢として、そういうことじゃないんならそういうことじゃないようにこれからいくと、現実予算上はあなたこれ減っているんだから、どう見たって。あなたも認めたように。これは現実に四・九%減っているわけでしょう。私も会議録を持っていますよ。この会議録からいくならばはっきり申し上げまして、当時の答弁は、おたくの方の長官答弁は、大臣答弁は、これはもう上昇傾向をたどっても下降になることはないと、こういう確信持った御答弁ですから、私五十五年に質問しているんですから。
  10. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 今中身数字のことにつきましては長官から答弁いたしましたけれども、基本的に私ども方向あるいは政策は変わりはございません。確かに石油そのものの量は横ばいあるいは下降線を多少たどっておるといたしましても、それよりふえた分については代替エネルギーを使用しているわけでございまして、根本において政策方向は私どもには変更はございません。
  11. 対馬孝且

    対馬孝且君 大臣から今変更はないと、こういうことですから、変更ないとすればこれは少なくとも明年度予算でこういうことが克服されていかなければならないんじゃないですか。その点どうですか。まあことしは出してしまった予算ですから、私は、代替エネルギー方向は質的に変えていくべきである、高めていくべきだと、大臣は変わってないと言うんですから、六十年度予算代替エネルギー予算というものを質においても前進さしてもらうと、そういう点はどうですか。これはひとつ確認の意味で、大臣どうです。
  12. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先生指摘のように、石油及び石油代替エネルギー勘定における代替エネルギー伸び率というのは確かに若干の減をいたしております。それは先ほど申しましたので省略いたしますが、特殊な事情もございまして石炭海外開発というのが今のところちょっとストップしておるということでございます。ただし代替エネルギーにつきましては、この石油特会のほかに電源開発促進税で賄っております多様化勘定というのがございまして、電力に関する代替エネルギー導入というのはこちらの方で行われておるわけでして、こちらの方は相当ふえておるわけでございまして、トータルとして考えれば代替エネルギー予算自身もふえておると、このように御理解いただきたいと思います。
  13. 対馬孝且

  14. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 今中身につきまして長官から説明申し上げましたけれども、先ほども申し上げましたように、それらを含めて私ども政策変更はございません。
  15. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで、石炭特別会計がこれは政府努力をして千三百億台に到達しておるわけですが、これは過去九年間ほとんど変わってないですね。物価は上昇して当然資材費は高騰しておる、保安対策費は上がっておるという傾向なんだけれども、相変わらず千三百億台というのはほとんど変わってない、九年間、私自身も十年国会でしゃべっていますから。そうなると、これはどうもそういう点が私は問題だと言うんだよ、確保した、確保したと言うけれども、あんた、物価は上昇している、資材は高騰している、コストは逆に上がっていると、こういうことでしょう。そうすると、千三百億つけたって中身は実質的に低下しているじゃないですか、低下してないと言うんですか、これどうなんです。
  16. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先生指摘のように予算横ばいということは事実でございます。ただ、石炭合理化安定対策等につきまして減っておることはございますが、これは自然減というのがございまして、例えば閉山交付金というようなものは、閉山が、最近はございましたけれども、大体終わっちゃっておるというようなことでございます。それから民間金融機関の債権の政府肩がわりということもだんだん必然的に減ってきておると、こういう自然減的な要素もございまして、決して中身として、もちろん先生のおっしゃるように十分であるかどうかということについては御議論があろうかと思いますけれども、そういうことではない、例えば急傾斜安定補給金の制度あるいはそういうところの保安上の問題、あるいは骨格構造その他、そういう中身的には来年度もこういう中で相当な充実をさしていただいておるということでございまして、それなりに我々としては精いっぱい努力しているということでございます。
  17. 対馬孝且

    対馬孝且君 内容的に額面としては千三百億を維持したということは私は多とする。ただ質的な内容にくると、急傾斜の一部あるいは安定補給金の一部は改善されましたけれども、相変わらず私は、現に大蔵官僚が、ことし予算折衝にあなた方も努力をしたけれどもあなた方の努力だけではこれはあれだと。私も大蔵省的場次長に会って、担当者責任者に会って、主計局長にもお会いしました。随分やりましたよ。ところが大蔵官僚自身の受けとめ方は、千三百億という金が石炭に消えたと、ここにおる先生方も大変なものじゃないかと。ところが、千三百億のふたをあけてみたら鉱害対策費、それから緊就開就でしょう、労務者対策。こういうものを、全体とすれば五百億や約六百億近いものが鉱害対策費緊就開就労務対策費でしょう。これ一般先生方国民も聞いたら、千三百億石炭政策に使ったら大変なものだと。項目で洗い直してみたら千三百億のうち六百億は労務者賃金鉱害ですよ。本当の前向きの予算というのは正確に言うなら三百八十億しかないんですよ。毎回僕は指摘しているんです。これは一回やっぱり見直しを、私は何も政府を責めることだけじゃなしに、一回全体的に見直してみる必要があるじゃないか。例えば緊就開就労務賃金だって、これは労働省予算として、私は言ったことがあるんだけれども、十年間ぐらいの計画を立てて漸次これを労働省所管に回していく。そうするとこれは石炭予算に前向きに使えるわけですよ。そういう方向大臣検討してもらわんと、千三百億のうちの鉱害労務者賃金だけで六百億も使って、それが、石炭に全部使っているから結構なことじゃないですかなんて大蔵官僚はそう言うんだよ。何言ってるんだ君と僕はやり合ったことあるんだけれども中身というのはそういうことでしょう。私はそういう点を、本当予算質的改善というものは必要ではないか。こういう意味での検討、政府全体の横の関係でこれやっぱり見直してみる必要があるんではないか。見直して削れと言っているんじゃないんですよ。予算の区分、配分というものをやっぱり明らかにしていく必要があもんじゃないか。そういう方向に変えないと、何か石炭だけが千三百億だ、千三百億だと二言目には言うんだけれども中身はそうじゃないと。この点ひとつ大臣、時間がありませんから、そういう見直し改善をしていくならいくということで結構ですから、私は細かいこと言いませんから。
  18. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 予算の上で質的改善ということはこれは毎年私どもが心がけていることでございまして、委員の意見をよく踏まえまして今後も勉強してまいりたいと思います。
  19. 対馬孝且

    対馬孝且君 ひとつ大臣、そういうことで、今言ったのは一例ですよ。これ時間がないから、私は全部細かくやれば何時間でもできるんだけれども、そういう意味の問題をぜひ昭和六十年度予算でひとつ質的改善努力をしてもらいたい。よろしゅうございますね。――そういうことでひとつよろしくお願いします。  次に、経済企画庁長官が時間もあるようでございますので、先にひとつ物価の動向を含めまして、これは通産省と重大な関係がございますし、電力料金あるいはガス料金等の問題を含めてちょっとお伺いをしたいと思います。  昭和五十三年に第二次石油ショックがあったわけでありますが、五十年度以降は徐々に物価は安定をしたと。河本経済企画庁長官はいつも強調しているわけでありますが、五十九年度の経済見通しは四・一%である。物価見通しは二・八である。これは間違いありませんね。そういう方針で一応組まれているわけでありますが、どうも私はことしのこの二・八という見通しは非常に楽観的ではないかという感を深くするんですが、いかがでしょう。
  20. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 現在は大体二%前後で推移しておりますが、最近はやや野菜が一時的に高くなったものですからその影響は出ておりますけれども、大勢としては私は二%前後だと、こう思っております。それを三%弱の二・八%という目標に置きましたのは、これは広い意味での公共料金が相当たくさんことしは集中的に出てまいりますので、大体そういうものを合わせますと一%前後物価を押し上げる要因があろうかと、こう思います。そこで二・八%という目標を設定したわけでありますが、ただ、いろんな経済政策を進めます場合に、物価が安定をしておりませんと他の政策はなかなか有効に進めにくいと、こういうこともございますので、この物価目標はぜひ達成をしたい、こう思っております。  そこで、予算編成の際も私と大蔵大臣と自由民主党の政務調査会長が集まりまして、物価対策が非常に大事であるから、予算に計上してある物価対策費で対応が仮に万一できなくなった場合には予備費から必要な資金を出して、そして必要にして十分な対応をしていこうと、こういう申し合わせもしておりまして、物価対策政府経済政策最大の課題でもございますので、以上のような目標が達成いたしますように工夫をし、努力をしてまいるつもりでございます。
  21. 対馬孝且

    対馬孝且君 かなり今大臣から確信ある、最悪の場合は予備費からもという重大な決意を申されました。  そこで、私はお伺いしたいんでありますが、物価が安定しているという観点は、私はやっぱり国民大衆の実質所得が目減りをしているからある意味では物価が安定していると、こういう現象面が大きな要素にもなっているんじゃないか。この点どういうふうにお考えになっていますか。  例えば具体的にちょっと申し上げたいんですが、これは総理府が出した実質賃金家計収入動向の勤労世帯にこれ出ているんですが、総理府調査の五十九年三月十五日付の統計表を見ますと、五十五年実収入はマイナス〇・六、五十六年が〇・一、それから五十七年が四・三ですか、五十八年が一・三と、ほとんど三、四年間見ますとマイナス横ばいと。結果的には買いたくても購買力がなく求めることができないと。つまり実質所得賃金の目減りがある意味では物価を安定さしていると、こういうふうに総理府統計局のこの調査動向から見るとそういう判断が出るわけでありますけれども、その点大臣どういうふうにお考えになっていますか。
  22. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 昭和五十八年度で政府経済見通しの中で大きく狂った項目の一つはやはり雇用者所得が政府見通しより大幅に減ったと。これは一つの違いであったと、こう思います。    〔委員長退席、理事森山眞弓君着席〕 そういうことで、所得の伸び悩み等から消費が伸びてはおりますけれどもその伸び方が非常に小さいと。これがやはり物価が上がらない、あるいは物価が鎮静しておる大きな背景であろうと思いますが、しかしそれだけではございませんで、そのほかに石油価格が下がったこととか、あるいはやや円高傾向がございますから、輸入物資が下がっておると、こういうこと等もございます。しかし、確かに所得の伸び悩みということも物価鎮静化の一つの原因であろうと、こう思います。
  23. 対馬孝且

    対馬孝且君 今大臣も実質所得の目減りということがやっぱり物価安定の一つの要素であるということをお認めになっていますから、私は総理府の統計の数字からいってもそういう結果が出る。もちろん、これがすべての要因ではありませんけれども、むしろこのことが大きいんではないかと、我々勤労者の実感としてそういうふうに申し上げたいと思うわけであります。  そこで大臣にお伺いしますが、私も毎年ここで随分通産大臣ともやりとりしましたように、予算委員会でもやりましたけれども、どうも一般物価の感じというのは、政府の指数と国民大衆の実感のずれというのが相当あるということはこれは事実です。  例えば私率直に申し上げます。これも総理府の国民生活動向調査によりますと、日常生活での不安、悩みは何が一番問題かといったら、物価が六三・八%、子供の教育が二八・一、老後の生活が三八・四、病気、交通事故による不安、こういう順序になっておりますね。実感というのを見ると、これは間違いであれば別ですけれども、これも総理府の調査だけれども、今日の昭和五十五年、六年、七年、物価が何%実際に上がっているかという感じは全部一〇%ですよ。これはこの数字が間違いでなければ、総理府の統計が誤りなら別ですけれども、私がここに持っている数字からいきますと、全部国民の実感というのは物価が安くなった、安定したという感じはまだ持っていません。何%ぐらい物価が上がったのが国民の実感かというと一〇%が、これここに私黄色いラインを引いて後で、――そちらの方おありだと思いますけれども、ほとんどこういう国民の実感ではないかと思うんですな。この点大臣どういうふうに、政府指数と国民の実感とはどういうふうに受けとめて御認識されているかということをちょっとお伺いしたい。
  24. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 所得から物価の値上がり分を引いたのが実質所得でありまして、それは確かに少しではありますけれどもふえておるわけでありますから、しかるにそういう状態であるのになぜ今おっしゃったような感じが出てくるかといいますと、これは毎年やはり国民生活がある程度向上しておるということあるいは複雑になっておるということ、それから家庭内の需要どもだんだんとふえておる、こういうことから一方で所得の伸びが小さいのでどうも家計のやりくり等が大変苦しい、むしろ苦しくなっておる、こういう感じから私は今おっしゃったような感じがあるのではないかと、こう思います。
  25. 対馬孝且

    対馬孝且君 大臣国民生活は向上してきているという今の言い方ですけれども、そういう面もあるでしょうが、調査の中に品目別に出ているんです。これは誤りですか。この調査から見ると国民生活向上したから、物価上昇の実感があるという数字になっていませんね。これははっきり申し上げましてここに、出ていますよ。    〔理事森山眞弓君退席、委員長着席〕 品目別に見ますと何が一番問題かといったらやっぱり生鮮食料品、それから教育費、それから家賃、それから交通費、こういう問題がかなりのウエートを占めていますよ。決して文化的な生活のために上昇になっておるという意味での指数は出ておりませんね。これはどうですか、実際問題として。
  26. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 物価が安定しているということとそれから国民物価に対する実感が乖離がある、この点につきましては大臣からただいまお答えしたとおりだと思いますけれども、果たして生活の水準が向上していることとそれから実質所得なり、実質消費がふえているということ、これには若干のギャップがある、こういうふうに理解をしております。  まず大臣のお答えを補足する意味でちょっと実感との乖離ということを補足させていただきたいと思いますけれども消費物価統計というのは全国五万二千カ所を調べておりまして客観的な数字でございますのに対しまして、実感というのはこれは心理的なものだと思います。心理とそれから客観的な数字のギャップが生じます一つの理由としては、消費物価統計というものは一年前と比べて全く同じ生活をしていればそれだけ余分にお金がかかりますと、こういうことを意味しておるわけでございます。ところが一般の御家庭の方すべて一年前と同じ生活をしていない、こういうことだと思います。  一年前には坊やが例えば中学校の生徒であった。こういうことでありますと義務教育でありますから授業料はかからない。そういうふうなことでありますけれども、一年たちますとこれが高校の生徒になります。こうしますと余分に費用がかかる。こういうことで実際には生活水準が必ずしも向上したわけではないけれども、実質的な支出水準はふえる、こういうことがあると思います。したがいまして、実質的な所得水準の向上、実質的な生活支出の増加と生活水準の向上というのは多少ずれがある、こういう問題ではないかと、こう理解しております。
  27. 対馬孝且

    対馬孝且君 それは、そういう答弁は成り立たないということを僕は言っているんだよ。それはこの国民生活動向調査から見る限りはそういう答弁は成り立たない。確かに文化的なものの方に実感がいっているんなら別だけども、相変わらず食生活でしょう、今私が言ったのは。ほとんど燃料とか食生活とかそういうものが高いウエートを占めている。こういうことを言っているんであって、これは今時間がないからやりとりする気持ちはないけれども、そういう認識だということを踏まえて物価に対応してもらいたい、こう私は申し上げたいんです。  端的に聞きますよ。今度の米価の値上げで茶わん一杯一食何円になりますか。
  28. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) ほぼ一円五十銭見当かと思います。
  29. 対馬孝且

    対馬孝且君 一円五十銭。茶わん一杯ね。わかりました。  ちょっとお伺いします。私は鈴木総理が農林大臣時代に予算委員会で質問したことがある。あのときの米の値段が、いまだに記憶ありますけれども、大体二八%ですね、あのときは。一杯何ほかと言ったら、農林省の役人が七円と言ったんだ、七円。あんたは今一円五十銭と言ったね、一円五十銭。
  30. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 今回の場合です。
  31. 対馬孝且

    対馬孝且君 一円五十銭だね。そうするとこれレストランへ行ったり食堂へ行って、一円五十銭でもいいわ、これ上がりませんか。そのとき一円五十銭という値段をつけますか。必ず茶わん一杯レストランなり食堂で上げる場合は、当時の鈴木農林大臣が私に、後に総理になりましたけれども、私に答えて七円だと言う。ところがそのときのレストラン、食堂は全部三十円。そうならないんですよ。そういうことを私はあなた方の言う統計数字国民の実感、波及効果というものは違うんだ、ここをあなた方認識しなければだめなんだよ。ただ言葉で一円五十銭ですと。後から公共料金聞きますよ、一円五十銭という値段を食堂でつけますか。つくわけないじゃないですか。最低でも上がるときは十円だよ、はっきり申し上げて。
  32. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 今回の政府の売り渡し価格の引き上げに関連いたしまして外食産業への影響というのを現在調査をしております。前回の調査についての結果を御報告いたしますと、手元に数字がありませんので余り正確ではありませんけれども、千数百カ所を調べました結果、値上げがありましたのは六十数カ店でございました。その六十数カ店の値上げがありましたものは確かにおっしゃるように平均で四十五円上がっております。しかしながら、それ以外の千数百の店におきましては値上げがなかった。こういうことで、平均をいたしますと一円程度の値上げにとどまっている、こういう結果が出ております。確かに消費者米価の引き上げを契機といたしまして値上げをする店があることは事実でございますけれども、その際に値上げをしない店の方が非常に多かったというのが前回の調査結果でございます。したがいまして、統計数字で言えばやはり一円何がししか上がらなかった、こういうことでございます。  私ども物価の調査をいたしますのは、むしろこれは調査をしてくださる方が消費者モニターあるいは物価モニターの方たちでございますので、一つの消費者教育の一環としてやっておる、したがいましてそういうふうな便乗と明らかに認められるようなお店はここでは食べないようにしよう、こういったような効果もねらっておる、こういうことでございます。
  33. 対馬孝且

    対馬孝且君 それはあなた方のそういう把握ですけれども、北海道でも消費者協会というのがございまして、これはこの前の米価が上がったときの調査を全部やっていますよ、やっぱりモニター調査。全部三十円で八七%上がっているんですよ、これ。だからそういうことはならないと言うんです。それはやっぱり官僚ペースで、官僚的な発想であって、私には大衆実感というのはやっぱり現に総理府の国民生活動向調査、なぜ私がこれを申し上げたかというと、国民生活動向調査の方が本当のことを言っているんであって、あなた方の数字が間違いなんだよ。そうでしょう。何も我我が出した数字じゃないんだから、総理府が出した数字なんだから。そういう実感を踏まえて、何もここであなたの責任を追及しようと私は思わぬけれども、そういう認識に立っての物価の対応ということを考えるべきである、このことを主張しているわけですから、そういう受けとめて大臣ひとつ対応してもらいたい、こういうことを申し上げておるんであって、その認識についてこれはけしからぬというんならこれ別だけれども、実態としてはそういう実態になっている。  それなら私お伺いしますけれども、公共料金は今度の二・八%に対する寄与度は何%ありますか、今度の公共料金。
  34. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 五十九年度の消費物価の上昇見通し二・八%に対する公共料金等の寄与度は一%強でございます。今、公共料金等と申し上げましたのは、酒税その他物品税の上昇が一〇〇%消費者価格に転嫁された場合、こういう前提のもとに計算をいたしまして、公共料金等ということで一%強と、こういう計算になります。
  35. 対馬孝且

    対馬孝且君 二・八%のあれに一%で、それは予算上の公共料金だけですか。予算外も含めているんですか。
  36. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) これは、予算上の公共料金は〇・三%弱、それに間接税等が〇・二%程度と、こういうことでございまして、この予算関連のもののほかに、いわゆる認可料金は、例えば私鉄でありますとか、タクシー、あるいはNHKの受信料、こういったものが含まれておりますし、さらに地方の公共料金、こういったようなものを推定をいたしまして加えますとそれぐらいの数字になります。
  37. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは地方の公共料金も入っていますか。
  38. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) 入ってございます。
  39. 対馬孝且

    対馬孝且君 全部入っているんですか。
  40. 赤羽隆夫

    政府委員(赤羽隆夫君) これは、全部と申しましても、地方公共団体はたくさん数がございます。それぞれの地方公共団体におきまして改定の予定が異なっておりますので、東京都の例を参考にして計算をしております。それによりますと、大体〇・三%程度、あるいはこれを若干切るぐらいと、こういう数字で入ってございます。
  41. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは、地方の公共料金が入っていると言っているんですけれども、私は札幌の例をちょっと申し上げますけれども、今度上がった品目だけで十三品目ございます。これは公園等使用料、動物園、高等学校、体育施設、水道料、清掃、保育、老人ホーム、交通から始まって、国民健康保険、最後には墓場の料金まで上げるというんです。こういうのを全体に見渡した場合に、公共料金の一%に抑えられるということは到底不可能だと僕は申し上げたいと思いますね。こういうものを、東京都の場合を基準にしたと言うんですが、全国平均、どういうふうにそれを見ているんですか。十三品目ありますよ、札幌で。北海道だって、これは八品目から上げていますからね。  そういう意味で、私は、上げることはけしからぬと言っているんじゃなくて、そういう基礎的な数字に対して一%の寄与率で済むのかという問題に疑問を感じているわけです、率直に申し上げて。こういう点からいくと、二・八という物価指数はそうしますと難しくなってくるんじゃないか、こういう感じを持つんですが、これはむしろ大臣の方に。そういう点、例えば、現在酒もまだ法案を審議中ですから、せめてゴールデンウイークぐらい国民大衆に苦い酒を飲ませるべきじゃない、こう言って頑張っているんだけれども、どうも自民党さんはそうでないようで、どうしてもこれを上げてもらいたいということで今頑張っているわけですけれども。  それは別にして、いずれにしても、大臣、実施期日を延ばすとか、あるいは凍結をするとか――僕は、全部撤回せいとは言わぬけれども、せめて凍結あるいは実施期日を延期、繰り延べすると、こういう対応というのを大臣の段階で、賢明な物価専門家の河本経済企画庁長官ですから、そういう対応というものは今後考えていいんじゃないかと思うんですが、これは大臣、どういうふうにお考えになっていますか何
  42. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) やはり五十九年度の物価の中で一番気をつけなければならぬのは公共料金問題だと思います。過去数年間の物価上昇を見ておりますと、五十五年度に公共料金が非常に上がっております。それからその次に五十九年度と、こういうことになるんですが、五十五年度は電力料金が非常に上がって、それが一%物価を押し上げたと、こういうことがございますので、電力料金以外ですとほとんど五十九年度と変わりがない、こういうことで、非常に私どももこの点気をつけなければならぬと思っております。特に、御指摘のように、いろんなものがずっと引き続いて上がりますと、やはり便乗値上げ的傾向が出てまいりますので、これもよほど気をつけていかなければならぬと、こう思います。ただ、いろんな経過で、ことしに公共料金また準公共料金等が集中したものですから、厳しく査定をいたしまして、ある程度のものは認可をしなければならぬ、ある程度のものはおくらせる、こういうことをやっておりますけれども、十分注意をいたしまして、どうしても一%前後の公共料金値上げを含めて二・八%見当の消費物価に抑えたいと、こういうことを気をつけてやっていきたいと思います。
  43. 対馬孝且

    対馬孝且君 大臣がそう言うわけですから、これから値上げが予想されるものもございます。その問題等を含めて、あえて私は、二・八%が、一%の公共料金が非常に厳しいという判断の上で、これからもひとつ、政府側としてはそこのラインに抑えるために努力をされるという大臣のお答えですから、ぜひひとつ、公共料金を最低に抑えてもらいたい。私が言うとおり、実施期日繰り延べという、上げる場合でもそういう方程式を考えてもらいたい。これは強く要望しておきます。  そこで私が言いたいのは、上がるものばかりで、下げるということも物価対策ですから、そこらあたりを考えてもらわないと、公共料金を上げる上げると言って上げることじゃなくて、下げることをひとつこの際考えてもらいたい。  下げることを考えるならば、端的な話が、電力のオイルが五ドル下がった、円が円高傾向にあるということで、東洋経済予想の電気、ガス、九電力でありますと、五十八年三月の決算で利益が六千百四十一億出ていますね。それから五十九年度、ことしの三月見込みは八千九百九十億という数字が九電力で出ています。ガスでもガス六社の平均が出ていますが、これでいきますと千百四十七億。五十九年、ことしの三月見込みで千六百四十七億、相当なことになるわけです。忘れもしない、五十三年、東京電力が三千五百億の当時利益が出たときに二百五十円一世帯に還元をいたしました。これは御存じのとおりであります。ここらあたりをどういうふうに政府が受けとめているか。これは、オイルが五ドル下がって、しかも円高傾向で、きのうは二百二十三円、相当な高値で行っているわけでありますが、もうここまで来ると、これは当然値下げしていいんじゃないか、消費者に還元をすべきじゃないかと、こう思うんですが、その点の認識はどうでしょうか。
  44. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 確かに、電気、ガス料金等の値下げということが逆に国民生活を豊かにするということの御議論はわかります。しかしながら、やはりこのような料金は、国民生活を安定させるという意味で公共料金も長期安定させていくということが一番大事なことであると私はまず基本的に考えるのでございます。確かに油の値下がりがあった、値下がりがあったということも一つの大きな要因にはなりますけれども、逆に諸費用等のコスト増、さらには、日本が供給を求めているところの中東情勢の非常な不安、こういうことから考えれば、やはり長期に安定させていくという方策の方が私は賢明であるような気がするのでございます。加えて、為替レートというものの変動等も見きわめなければなりませんし、かような観点から、何よりも私どもは公共料金の長期安定ということを目指しているということを御理解願いたいのでございます。
  45. 対馬孝且

    対馬孝且君 これ長官ね、数字をまず確認したいんだけれども、どうなんですか、実際の九電力の五十九年三月予想をずっと踏まえていって、やっぱり六千五百億程度の純利益が出ませんか。
  46. 豊島格

    政府委員豊島格君) 今おっしゃいました六千億程度というのは、五十八年……
  47. 対馬孝且

    対馬孝且君 私の言うのは八年、九年を合わせて……。
  48. 豊島格

    政府委員豊島格君) 五十七年度が大体六千億ぐらいということでございます。それから五十八年度はまだ、今各社決算をいろいろやっておるところでございますが、およそれ千億程度といいますか、前後といいますか、八千億といいますか、そういうぐらいにはなろうかと思います。それは経常利益でございます。
  49. 対馬孝且

    対馬孝且君 その経常利益から税金を抜いたら何ぼになりますか。それじゃ、税金差し引いたのを。
  50. 豊島格

    政府委員豊島格君) これもよくわからないんですが、東洋経済予想値ということですと、大体四千億が当期利益になる、こういう報道でございました。当期利益の中身につきましては、あれでございますが、大体こんなものかと思います。
  51. 対馬孝且

    対馬孝且君 これだけの利益を、大臣、これだけですよ。今言った、現に四千二百億、私のあれでいけば、五十八年繰り越しを入れると六千五百億あるんだよ。長官、それちょっとあれだよ、数字違ってないかい。この間あなた衆議院で確認しているでしょう、六千五百億というのは。これは正確に言うと、五十九年度が四千二百六十億円、五十八年度繰り越しが二千三百二十九億円、トータル約六千五百億円と出ていますよ。これは確認した数字ですよ、あなた方の方で確認した数字だよ、はっきり言ってもらわなきゃ困るよ。ごまかしみたいなことを言わぬで。
  52. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 今の御指摘の六千五百億という数字は、仮に五十八年度の当期利益が例えば四千二百億前後、これは東洋経済予想値で言えばそんな数字だと言われておりますが、それに従来からの繰り越しが二千三百億程度ございますから、合わせますと、東洋経済数字を前提にすれば六千五百億という数字になることは御指摘のとおりだと理解いたします。
  53. 対馬孝且

    対馬孝且君 私の、日本生協連が出したあれでいきますと、一兆三千億なんですよ。これは五十九年度で見込まれるのは一兆三千億であります。これは数字ですから、これからの予測を言っているわけですから。そうすると、今確認しましたように、百歩譲っても六千五百億、大臣、出ているんですよ。私はなぜこれを言うかというと、五十三年十月一日から五十四年三月三十一日までの当時の、これは九電力じゃなくて八電力、北海道電力マイナスしてありましたから、これでトータルで出したのが平均割り当て単価が一円三十五銭、そうして平均世帯の電力の使用料、これで二百七十円返したわけですよ。ガスが二百九十円返した。このときの利益というのは三千八百八十三億円ですよ、これ。私はそこが問題だと言っているんだよ。この倍以上、今日の円高そしてオイルの利益が出ておって、当時三千八百億時点で一世帯当たり二百七十円返した。ガス料金では二百九十円返している。何で今日の段階で、これは生協連の、あなた、調査は一兆三千億だ、はっきり言うと、五十九年度の見込みは。それは別にして、百歩譲って、今六千五百億とあなた方が認めたんだから、認めた数字を見たとしても、私は、どうして今日、長期安定と大臣言うけれども、長期安定とは何ぞや。いつのいつまでそれじゃ長期安定なんだ。必ず歴代大臣同じことを言うんだよ。この問題出たときにはっきり物を言ったのは山中通産大臣だけですよ、下げるべきであると。――途中でおかしくなりましたけれども、結果的には。だけれども、下げるべきであるということを言ったのは事実で、下げる方向ということを打ち出したことは事実なんだよ。私は、国民は納得できないのは、なぜ大臣納得できないかといえば、今言ったことですよ。五十三年時点で四千億足らずで返したのに、六千五百億、私の計算でいけば、この東洋経済の見込みでいけば、八千――先ほど申したように約九千億である、こういうことを考えれば、返さないという理由にはならないのではないか。ただ長期安定でございますと――長期安定とは、結局私に言わせれば、定額を定率法に変えて、設備投資を多くにして、これはあなた、明らかに利益のごまかしだよ。利益の分散を東京電力やってますよ、現実の問題として。そういうことを私は指摘したいんですよ。だから、返さないとするならば、ただ長期安定のために設備投資をするよりないじゃないですか、その答えを言うなら。設備投資を大きく見せて利益を少なくする、こんなもの子供でもわかることなんだ。それよりももっとやっていることは、東京電力の定額方式を定率に変えて、そして大きく見せる、そして利益を少なくする、こういうやり方を現にしているじゃないですか。私は素人じゃないんだから、この問題十年間も国会でやっていますからね。そういう問題を考えた場合に、ただ長期安定ではだめだというんだ、大臣。せめて、百歩譲って、私に言わせるならば、母子家庭あるいは身体障害者、こういう方々に対してのやっぱり福祉料金としてこの際返してやる、一段階で国民全部が困難だとするならば、福祉料金ぐらいは返してやる。ただしそれは時限的でいい。当面、二年間なら二年間、三年なら三年の時限立法で、時限的な措置で、法律じゃなしに時限的措置でやるという方法だってあるじゃないですか、これ、やっぱり。この点を私はお伺いしたいと思いますね。
  54. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先生幾つか数字を御指摘になりましたけれども、確かに五十三年当時、円高差益が三千八百幾らということでございまして、二百七十円その他を還元したことは事実でございますが、これは、当時それだけの余分な利益が出たということで、半年に限りましてその七割を還元するということでございました。ただ、そのときは長期の料金安定ということは当然確保できるという前提でございましたけれども、結果的には、油の値上がりとかあるいは為替の下落ということもございまして、五十五年には五割近い値上げをせざるを得なかったというのが結末でございました。  それから、それに対して、現在、五十八年度四千億の利益を出し、従来からの別途積み立て等の繰越利益六千億あるじゃないか、これを返すべきじゃないかというのが第二の御指摘でございますが、四千億というのは、当期利益でございますけれども、この場合、電力におきましては、資金調達のために安定配当ということで一割をいたしておりますので、二千六百億以上のものが配当どうしてもせざるを得ない。それから、いろいろな積立金というのがございまして、新商法によりましていろいろと経費的なものでも積み立てるものがございます。ということで、実際には、配当をした後でこの四千億というものからさらに繰越利益がふえるというのは、若干ふえると思いますが、それほど大きなものではないということで、六千億が返せるということには決してならないわけでございまして、二千三百億の繰越利益がさらに若干ふえるかどうかということでございます。それから、当時と比べまして全体の電気の規模というのは、当時たしか六兆ぐらいあったのが今は十一兆と倍ぐらいになっておりまして、そういう意味からいうと、将来のコスト増高要因を考えますと、先ほど大臣が御答弁いたしましたように、安定のために資する、こういうことの方が大事じゃないか、こう感ずる次第でございます。  それから第三点、設備投資でございますが、設備投資をしたということで、これを、利益隠しになっているんじゃないかという御指摘でございますが、この前、景気対策で打ち出しましたものの中には、若干、修繕費的なもので経費に入るものもございますが、設備投資自身は経営設備の合理化等々でございまして、決してそれがそのままなるわけじゃなくて、実際には利益の減になるものではない、その後設備が稼働してからコストに入るということでございます。  それから第四の、一部の還元をしたらどうかということでございまして、これはもうしばしば御指摘のあるところでございますが、いわゆる電気料金につきまして、特定の者に対して差別してやるということになりますと、いろいろな要素が出てきまして、やはり、ある意味での公平性ということからいいましてなかなかそういうことも難しいということを御理解いただきたいと思います。
  55. 対馬孝且

    対馬孝且君 今、設備投資の問題が出ましたけれども、これは数字が出ているんで、それは長官、そんなことを言ったらだめだよ。ちゃんと具体的に数字が出ているんですよ。私、今もうこれ時間ないから言わぬけれども、これは全部持ってますよ、これ、ここに。これはあなた、エネルギーフォーラムの分析の中に全部出ておるじゃないですか。そんなうそを言ったってだめだよ。これは後で僕は出しますけれどもね。きょうは触れる時間ないからあれだけれども、これでいったって、それは理屈にならないですよ、今の答弁は。全然答弁になってないよ、僕に言わせれば。だから、結果的に、先を見越しての設備投資というのは、むしろ過剰投資の傾向があって、そういう傾向の流れはあるけれども、実際の問題ではないということを私はここで指摘しておかなきゃならぬ、これ具体的にやりたいけれども、時間がないから申し上げません刀  それでは私は河本経済企画庁長官物価担当大臣の立場でこれお伺いしたいんだけれども、それじゃ電電公社が片っ方ではどんどん設備投資したと言っておるでしょう。いやあんた方の論法を立てるならば、今の長官の論法で言うなら、設備投資したから、じゃその料金は下げられないんだという理屈で言うなら、電電公社の場合は、設備投資は情報化社会に向かって今やVANの問題でどんどんやっている。それでも電話料金下げりゃいいじゃないですか。下げようと思えば下げれるんだよ。こういう公社でさえやっているんだよ。民間の企業がどうしてこれができないの。その利益をどこかで隠す以外ないでしょう。内部留保でしょう、はっきり言えば。そういう問題が今日あるんじゃないですか、これ理屈になりませんよ。電電公社の場合は多額な設備投資をして、片っ方では電話料金下げた、こういう方程式をどうして民間じゃ採用できないかと私は言いたい。これもし物価担当大臣としてせめて、いま一遍答えを出せと私性急で言っているんじゃないが、やっぱり姿勢としてそういう方向で検討してみるという段階ぐらい政府は検討すべきじゃないですか。結果は、それは答えはどうなるかは別にしても、その値下げの方向で検討してみるということはこれは大臣必要じゃないですか。それがあえて公共料金の含まる二・八%、こういうふうな物価の長期安定の道につながる基礎的条件ではないか、こう考えるんですが、いかがでしょうか。
  56. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 先ほどエネルギー庁長官から昭和五十五年に電力料金を五割上げた、こういうお話がございましたが、実はあの五割値上げで昭和五十五年は物価が一斉に上がりまして、これはもう全産業に影響が出たものですから物価が一斉に上がって、あの年は消費物価が七・八%と急上昇をしたのでございます。ほかの公共料金と違いまして電力料金の値上げというものは非常に広範囲に大きく影響をいたします。そこで、物価を担当する私どもといたしましては、できるだけやはり電力料金というものは長期に安定をしてもらいたい、これを強く期待をしております。  実は五十三年当時は私通産大臣をしておりましたが、私は実は反対をしたんです。むしろそんなわずかな値下げをして各家庭に割り戻しをするよりも、特別会計にして、これは電力会社が乱すべきものではありません、特殊な事情によってそれだけの利益が出たわけでありますから、これを別の形で消費者には還元をする、需要家に還元をする、こういうことを考えてもらいたいということを強く要請をいたしました。  別の形とは何ぞやと言いますと、それは電力料金を長期に安定させるということが一つと、それからもう一つは、やはり常に電力の需給関係を安定させるということのための投資を十分してもらいたいということ、それからあるいは別会計にしておきまして、電柱などが大都会にずっと町に立っておりますが、こういうものを地下に埋めるとか、そういう社会資本投資、公共投資のために使うとか別の形で消費者に還元をする、そういうことを考える方がわずかな金を各家庭に還元するよりもはるかに有効ではないかということを主張したんですが、いろいろな経過がございまして、結局還元ということになりました。あのときの失敗を繰り返さないようにということで、今通産省はいろんな角度から御答弁されたんだと思います。私はやはり今の通産大臣やエネ庁の長官の御答弁を支持したい、このように思います。
  57. 対馬孝且

    対馬孝且君 それじゃ、長期安定とはいつまでを言うんですか、端的にお伺いします。
  58. 豊島格

    政府委員豊島格君) 今後の情勢、例えば油の値段がどうなるかということあるいは為替がどうなるかということも関係します。それからコスト要因との関係がございますが、我々としてはできるだけ長く現在の料金を維持するよう努力したい、こう考えておりまして、何年ということは特に今の段階で申し上げられません。
  59. 対馬孝且

    対馬孝且君 あと一問です、時間も参りましたので。  いずれにしましても、長期安定という言葉だけでは国民は納得しませんよ。はっきり当面五カ年なら五カ年を安定するとか、そういうものが出るなら別として、ただ円の状況だとかあるいはオイルの価格の趨勢とか、それは理屈にはならない。そういう面では政府は言葉では物価安定と言っているが、物価を安定する意思はない。その意味ではまさに電力会社やガス会社のもうけだけをどんどんふやしていっている。それだけのことであるというふうな理解をせざるを得ませんね。これもう一回改めて申し上げますけれども、ひとつ長期安定と言うなら具体的にいつの時点かを示してもらいたい。それが一つ。  それからせっかく公取委員長呼んでおりますので、二月二十四日の最高裁判決に対する石油カルテル行為の公取委員長の見解だけ、時間ありませんので簡単に一言見解を承っておきたい。それで終わります。
  60. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 昭和四十九年から十年間最高裁、高裁で御検討がありまして、先般最高裁で判決が出たわけでございます。  判決の内容について注目すべき点を申し上げれば多々あるわけでございますが、時間の都合でごく簡潔に結論だけ申し上げますと、司法府の最高判断として、本件のカルテルは刑罰に相当するものである、そういうことが確定したことは我が国の独禁政策にとって大きな意義を有するという考えを持っております。  公正取引委員会といたしましては、この判決によって自由経済の基本ルールである独禁法への理解がさらに深まることを期待いたしておりますとともに、違法なカルテルに対しては今後とも厳正な法の運用を図ってまいりたい、そういうふうな所存でございます。
  61. 福間知之

    ○福間知之君 今、我が国経済はことしどういう道行きをたどるのかということが官民挙げて大きな関心事であります。河本経企庁長官も昨日でしたか、予算委員会政府経済見通し実質四・一%が上方修正が可能になる状況が考えられます、こういうふうな御説明があったやに承知をしております。  ところで、私は日本の経済に最も大きな影響があるアメリカの経済について長官の御見解をまず伺いたいのです。  御案内のとおりに、四年前にレーガン政権が誕生いたしまして、いわゆるレーガノミックスをもってアメリカ経済の再建に当たる、こういう政策が打ち出され、以後展開されてきたところであります。このレーガノミックスは、簡単に言えば、一つは、インフレを抑制する、もう一つは、財政の再建を期すあるいはサプライサイド・エコノミックスによりまして供給の経済というものを力強く進めていく。さらに、これは日本でも今行政改革方針で追及がされているような、いわゆる政府規制の緩和、民間活力活性化最大限に図っていく、こういう四つが端的にレーガノミックスの中身だと思うんです。そのうちで特にインフレ抑制とか、政府規制の緩和というのはかってのカーター政権の時代におきましてもとられてきたところであって、それを継承したにすぎない。財政再建とサプライサイドのエコノミックス、この二つが目新しいレーガンさんの政策ではなかったか、こういうふうに言われているわけであります。インフレを抑制するということは、要するに企業家等の経済における期待成長率というものを下げるという結果をもたらすわけでありまして、そうなるとかなり不況が持続してしまう。したがってそれを中和する意味で企業の減税や所得税の減税というものを大幅に行う、そして企業の投資活動あるいは個人の貯蓄増加を図っていく、こういうふうなねらいがあったと言われているわけであります。しかし、過去四年間の経過を見てみますと、現実にはレーガンさんのこの政策は必ずしも貫徹し得なかった。大きなインフレーションがかなり続いた後、また不況がそれと同時並行で進行した中で、その後インフレが鎮静化した、そして物価が安定していく、こういう経過をたどってきたと思われるわけです。だとすれば、そういう面ではサプライサイド・エコノミックスというのはやはり破綻をした、こういうふうにも考えられるわけでございます。  また、財政再建目標を掲げておりますけれども、これは先ほども触れたようにカーター時代に引き継いだ赤字が約一千億ドルと記録されております。そして一九八三年度財政、昨年度の財政で二千百五十億ドルにこの赤字が拡大をしているわけであります。昨年十月から始まった八四年度財政では、この二千百五十億ドルの前年の赤字幅をほぼ一千八百億ドル程度に縮小をしよう、こういうことでありますけれども、カーター時代から比べればそれでもそれがある程度実現できたとしても八百億ドルからの赤字幅の増大になっておるわけであります。このように財政再建の面から見てもその進捗の状況は決して好ましい姿にはなっていない。こういうふうに考えてみますと、これからのアメリカの経済というものが非常に気がかりになるわけであります。当面は景気がいろんな指標から言って過熱ぎみではないのか、それは必ずしも永続するという見通しは持てないのではないか。大統領選挙が十一月初旬に行われるとすればそれまでは何とか無理をして過熱ぎみの景気を引きずっていくにしても、それ以降は果たしてどうなるのか、こういうふうな懸念が出てきているようでありますけれども我が国経済にとってこのことは極めて重要な影響を避け得ません。経企庁長官としてはどのような見通しといいますか、展望を持っておられるか、まずお伺いをしたいと思います。
  62. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) アメリカの好景気がいつまで続くかということは、これは世界経済全体にとってのみならず我が国経済にも大変な影響がございますので、私ども最大の課題だということで関心を持っておりますが、若干過去を振り返ってみますと、アメリカ経済は第一次石油危機でやはり大きな打撃を受けまして、昭和五十一年から立ち直っておりますが、約三年半五%台の成長が続いております。第二次石油危機が起こって昭和五十四年の後半からアメリカ経済は日本よりやや早目に悪くなっておりまして、その悪い状態が約三年半続いて、今お話のように昨年の春からようやく景気回復をしてきたと、景気回復の原因、経過等については今お話のとおりでございます。  ことしの初め、アメリカ政府はいろんな教書でこれからの経済の展望を明らかにしておりますし、それからアメリカ政府高官も日本にやってまいりまして、たびたびアメリカ経済の現状及び将来の展望について解説をしておりますが、少なくとも数年は続くと、こういう非常に強気の見通しをしております。  今お話のように、アメリカ経済にとって厳しい条件も幾つかございますが、しかしそれにまさるような強い有利な条件も幾つかございますので、そういう条件を総合的に考えて数年続くという判断をしておるんだと思います。私もアメリカ政府の見解に大体同じ意見を持っておるんですが、ただ前回の景気回復も第二次石油危機という突発事情によって一遍に悪くなったわけでございますので、仮に数年アメリカ景気が今後続くといたしましても、やはりもし第三次石油危機のようなことが仮に起こるといたしますならば、私は非常に大きな影響を受けて一遍にこの景気は悪くなるであろうと、こういうように思います、これはアメリカだけではなく世界全体がそういう影響を受けると思うんですが。  そこで、アメリカ国内の事情よりも第三次石油危機が起こる危険性があるかどうか、危険性があるとすればそれにどう準備し対応するか、こういうことの方がむしろ非常に大事ではないか、こういう感じを持っております。
  63. 福間知之

    ○福間知之君 第三次石油危機などが起こるということになりますと、これはアメリカのみならず全世界的にかなりの混乱が起こることになるわけでございますが、そのことはそのこととしまして、これはわかりません、ないことを望むわけですけれども。しかしアメリカ自体が抱えている経済的な、財政的な諸事情ということですね。例えば先ほど申したように、財政面での再理ということが果たしてどういう見通しになっているんだろうか、確かに一面レーガン政権が軍事費の削減というようなことも最近は考えているようであります。軍事費の削減は景気的に見れば必ずしもそれはプラスにならないという側面があります。そしてまた、経常収支面の改善というのが果たしてどこまで可能なんだろうかと、つまりことしの正月以降のニューヨークの株式市場を見ましてもやや軟調ぎみだと言われておりまして、これはインフレ再燃に対する懸念が出ているんじゃないかと、こういう見方が一つあるわけですけれども、果たしてそれはどうなのか。  また先ほど触れました大統領選挙による意図的な無理な施策をとっておるんじゃないかと、特にアメリカ、欧州とか、日本とか、いわゆる先進工業国の景気自身もそんなに強い状況にはない、いわんや第三世界の場合は累積債務たくさん抱えて金融危機に見舞われている、そういうふうな中でアメリカの通貨当局が果たしてインフレなき成長というものをアメリカ自体の力量で、経済的な、滞在的な力量で推し進めることが本当に可能なんだろうかという不安といいますか、懸念が出ているように聞くわけであります。そういう点で大統領選挙が終わればやはり高金利の是正とか、あるいはまた財政赤字の削減ということがかなりトラスチックに行われるかもしれないというふうな読みで来年以降の景気に一つの危惧が広がっている、大体それは平均的なアメリカのエコノミストの見方のように報じられているんですけれども、そんなことはないんですか。
  64. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) アメリカ経済で私はやはり一番注意しなければならぬのは物価の問題だと思います。レーガン政権がスタートした当時に二けたのインフレでありましたものがようやくおさまっておる。昨年の一番低い水準は三%そこそこでありましたが、現在は少し高くなりまして四%台だと思います。四、五%見当で推移すればこれは心配はないわけでありますが、アメリカ政府は四、五%で推移するとこういっておりますけれども、この点がやはり一番の問題点じゃないかと思いますが、今のところは物価はそんなに心配した水準ではない、このように思います。  それから、お話しの財政赤字と貿易赤字、これはいろんな背景からそういう赤字が出ておるわけですけれども、これは確かにアメリカ経済マイナスな点だと思います。ただしかし、アメリカへ世界各国から大量の資本が流入しておる、こういうプラスの面もございますし、それからアメリカでは思い切った大規模な所得減税をしておりますのと、それとやはり景気回復から非常な勢いで設備投資が拡大をしております。しかし、企業内部の蓄積はいろんな形で四千数百億ドル行われておる、このように言われておりますし、これなども非常に大きな私は力強い要因であろう、このように思います。それから、今回三年計画で千五百億ドルの財政削減をしていく、こういうことも決まったようです。ただ、まだ議会との関係はその削減の仕方が少ないということで最終の段階ではないようですけれども、少なくともアメリカ政府は一年五百億ドルずつ、三年で千五百億ドルの財政赤字の削減をする、そういうことを決めておるようでございますし、二つの大きな赤字という大きなマイナスの要因もございますけれども、しかし一方で非常に力強い他の要因もございますので、先ほど申し上げましたように、まず突発事情でも起こらない限りアメリカ経済の力強さはしばらく続くと見ていいのではないか、このように私どもは判断をいたしておるところでございます。
  65. 福間知之

    ○福間知之君 従来のアメリカの景気の循環パターンというもの、それに比べて今回の最気回復というのはある意味では緩慢だろう、こういうように言われてきたんですけれども、今指摘されたように、ある面でウイークポイントを持ちながらも、反面で力強い底力といいますか、アメリカの経済の懐の深さといいますか、そういう力強さというものがあることは理解できるわけです。で、現実に昨今の景気回復のテンポを見てみますと、過去における景気回復局面と非常に似通っている、こういうふうに言われています。そのスピードが決して遅くない。昨年八三年の実質成長率が恐らく三・四%ぐらいではないか、こういうふうに言われているんですけれども、年率で六%ぐらいいくんじゃないか、こういうふうにも見られております。鉱工業生産活動の面では日本よりもむしろ速いスピードで回復している。住宅の着工件数、民間設備投資、これも過去の局面と比べて全く遜色がない、こういうふうな数字が出ているようであります。要するにインフレが鎮静化したこと、あるいはそれに伴って実質所得の顕著な上昇、これは減税も大きく貢献しているでしょう。さらに、国防支出の有効需要の創出というものもかなり大きかった。これは日本と似ておりまして、アメリカの議会も国防支出というものの抑制を議論としてはかしましくやっているようですが、現実には着実に国防支出は伸びている。こういう背景のもとに急速な景気回復というものが実現したんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。問題は今後にあるわけですけれども、経企長官のそういう見通しが当を得ているとすればこれは心配はないかもしれないんですけれども経済のことでございますから何ともこれは必ずしも言えるわけじゃありません。願わくは、それとアメリカの景気ももちろん持続的に成長を維持してもらいたい。そのために次に日本がやはりそれに対してどのような役割を果たすべく対応していくのか、こういうことが次に問題になるわけでありますが、その前に一点、貿易収支あるいはまた赤字の改善というアメリカの政策が、日本の経済なり政策にどのような影響を及ぼしてくるか。今現実に農産物の、あるいは牛肉の輸入枠の大幅拡大、自由化ということで日米間で極めて厳しいつばぜり合いを展開しているわけでありますけれども、あるいはまたその他工業製品についても、あるいはまたVAN等新しい情報分野の事業におきましても、けさほどの新聞によりますと、昨日自民党、政府等で相談をなさってVANをめぐる国内的な政策の一致を何とか図ろうということに努力をしているこのぎりぎりの段階で、既にIBMは大型VANを日本で展開する、こういう意思のあることが表明された、こういうふうに言われていますけれども、そういうふうに経済の面ではまさに開放の、自由化の方向というものは押しとどめることがもうできないというふうな状況にあるわけですが、アメリカが貿易収支の改善、対日輸入超過の是正、こういうことを進めていく上でこれからますます今申し上げたような自由化圧力というものが各般にわたって高まってきますと思います。これに対して基本的に経企庁長官、通産大臣はどういう心構えで臨もうとされているのか。非常にこれは国民にとっても重大な問題だと思うんですけれども御所見を伺いたい。
  66. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 今のお話の、アメリカとの間には相当な個別案件が横たわっております。アメリカだけではございませんで、対ECあるいは発展途上国の間にも幾つかの案件がございますが、そこで政府はグローバルな立場に立って幾つかの諸懸案事項を解決をしたいということで今鋭意作業をしております。四月終わりにはある程度の目鼻を個別案件についてはつけたいというスケジュールを持っております。この作業はある程度進行すると思いますが、ただこの作業がある程度進行いたしましても、このことによって対米あるいは対EC等の大幅な赤字問題が解消するわけではございません。金額的には極めて微々たるものだと思います。しかも、アメリカの景気は非常に力強いものがございますから、最近の貿易動向見ますと昨年よりもはるかに大きな黒字になる可能性すらございます。そういうことで、個別案件が解決いたしましてもやはり日米間の経済摩擦というものは厳しく残るんではないか、こう思っておりまして、私どもが一番心配いたしますのは、そういう過程を通じて保護貿易的な傾向が出てくる、こういうことになりますと日本経済にとりまして大変人ごとでございますから、何としても保護貿易的な傾向が出てこないように、そういうために力いっぱい工夫をしなければならぬ、このように思っております。やはりそのためには余り大きな貿易の不均衡が出てまいりますと理屈抜きに先方はいろんなことを言いますので、やはりある程度大きな不均衡が是正されるように、そういう政策をやる必要があるのではないか。これはもう個別案件と別個に考えていく必要があろうと、このように、考えております。
  67. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 電気通信事業の法案は本日の閣議で決定されたことは事実でございます。通産省といたしましても、この枠組みの中でできるだけ民間の創意と工夫を生かして今後の情報化社会に対応するよう努力してまいりたいと思います。  委員指摘のIBMの問題につきましては、これは確かに検討は進めておることでございますけれども、新聞の報道そのままの事実はまだないようでございます。しかしながら、通産省といたしましては、このような外資に対しても自由化ということを推進してまいる立場でございますし、また日本の有力な企業の中には、向こうが自由であればこちらも自由である、向こうが規制すればこちらも規制されるということが今後の情報社会に対処していくためには日本の企業の利益にはならない。やはり情報というものを的確にとるためには、向こうも自由であれば我々も自由である方が好ましいということもあるわけでございまして、通産省はこのような考え方で対応してまいりたいと思っております。
  68. 福間知之

    ○福間知之君 通産大臣の今の方を先にちょっとお聞きしたいんですけれども、先般アメリカの方で昨今のコンピューターに関して、もうソフトとハードと切り離せないというふうな観点で、日本からのコンピューターの対米輸出に規制を加えるがごとき、課徴金等かけるがごとき動きがあるやに報道されましたけれども、そういうことがあるのかどうか。  それからもう一点は、今おっしゃったように、自由貿易という大原則を我々は推進していくという立場に立ては、我が方も受け入れるべきものを最大限開放して入れていく、こういう必要はあると思うんですけれども、私が先ほどIBMを例に出したのは、それほど素早く向こうは意思表明をするだけの準備をしているんだなあということに驚かされたわけであります。現にIBMは、もう随分古くから日本IBMを持ってかなりのシェアで日本国内で活動をしているわけですから、やろうとすれば十分考えられることであります。特にこのVANについては、国内でこれだけ通産、郵政の間でも問題があったごとく、いわんや一般市場がそんなに成熟しているわけじゃありません。そういう意味で、非常にこれは外資自由化と、外資参入自由という原則をとる場合に、現実には少なからず影響があるんじゃないかなという懸念もちょっと感じているもんですからお聞きをしたわけであります。  それから河本長官、個別の案件について四月末ぐらいまでにいろいろ詰めていく、これは結構なんですけれども、さらにそれ以上に大きな網を打たなきゃならぬ、考えなきゃならぬ、こういうふうにつけ加えられたんですけれども、具体的にはそれはどういうことを想定されているわけですか。
  69. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) このためには、やはり国内の購買力が拡大しないとこれはどうにもならぬのじゃないか。外国から物を買う力がない。したがって、内需の拡大ということが非常に大きな課題になると思います。それと、やはり為替問題が非常に大事だと思います。今の日本の円は必ずしも実力とおり評価されていないと思いますが、我々といたしましてはもう少し円高の方が望ましいと、こう思っておるんですけれども、そうなりますと輸入もしやすくなると、こういうことでございますので、この為替問題とそれからこの内需の拡大ということが非常に大きな課題になると思います。二、三日前にECからも八項目の日本に対しての要望事項が出てまいりましたが、その第一項目がマクロ経済についての対策ということでありますから、もう少しこれを具体的に言いますと日本はもう少し内需の拡大をやってくれないかということを別の表現にしておるんだと、このように思いますが、いずれにいたしましても、内需の拡大と為替問題をどのように考えていくかということが大きな問題でなかろうかと、こう思います。
  70. 福間知之

    ○福間知之君 今のお話で内需の拡大と為替問題、端的に言えばドル高円安を是正していくということが必要だという考え方が前提にあると思うんですけれども、私は内需の拡大ということはしばしばこの国会でもあらゆる場面で長官と議論が行われてきているわけですね。で、特に今現在は勤労者の今年度の賃上げの時期でもございます。非常にこれは私は不可解でたまらないのですけれども、どうも最近の勤労者の賃金問題、賃上げ問題をめぐるパターンといいますか、これがだれがいいとか悪いとかは別にしまして、非常に活力を欠いていると思います。政府から言わせれば民間の賃金というのはこれは民間の労使でネゴシエートして決めるべきものだ、こういうふうにおっしゃいますね、当然です。しかし、また人勧や仲裁というのは政府がかなり当局に対して当事者能力を抑圧している、こういうふうな傾向が最近は見られる。特に私どもの立場からすると問題があるわけであります。今回も一昨日政労交渉を実現しましたけれども、多分にそこへ持ち込むには政府あるいは我々政党との関係での実質交渉というものがあって初めて実現できたわけです。こういうふうにまあ個人消費の中核を担う勤労者胴の賃金条件というようなものは、どうも昨今は活気を持って決定に至るというふうなプロセスが欠けてしまったと、私は何も労働組合がストライキをやってどうのこうのいうことがいいという意味じゃないです。どうもオイルショック以降の低成長、安定成長という経済背景が影響しているんでしょうけれども、やはり賃金の交渉というものは、単に労働者個人の生活の安定のためにということだけじゃなくて、今日ではもう日本の経済に大きな影響を及ぼすファクターとして私は重要視しなきゃならぬと思うんです。その賃金の水準が経済の現状と今後の見通しに適切に見合っていかなければならぬ。そういうふうな気がするわけであります。そういう点で内需の拡大ということを考えても、ことしの賃金について日経連が正月先からいろいろな会合を開いて昨年並みあるいはそれ以下に抑えるべきだなどというふうなたわ言を言っておりますけれども政府としてはただ単に手をこまぬいておっていいものかどうか、特にこれは内需拡大を強調される私は河本長官にお伺いしたいし、また所得減税だってわずか一兆二千数百億円程度でそれを上回るほどの間接税の増税、公共料金の値上げというふうなものがあれば実質的な可処分所得というものはふえない。結果としてそれは最終個人消費の増大につながらない。果たしてそれで内需が拡大をすることを期待することができるんだろうか、非常に疑問に思うわけであります。  それから二番目のドル高円安を円高ドル安に修正をしていかなきゃならぬということについて年初来から若干の変化は出てまいりましたけれども、今の二百二十数円台というレート、これはこれからどういうふうに推移する見通してございましょうか。これは、ある程度進捗すれば確かに国内需要の増大とあわせて輸入をふやすということにつながることは期待できると思うんですが。
  71. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 内需の拡大に関連をいたしまして、緊急の課題として私どもが考えなければならぬことが幾つかあると思うんですが、その一つは本年度の社会資本投資、公共事業の執行の進め方でございますが、これは予算が通りました段階で政府部内で緊急に相談をしていかなけりゃならぬと考えております。  それから、民間の設備投資がことしどの見当出てくるか、民間の設備投資が進めやすいような環境をどうつくっていくか、こういうことだと思うんですが、そのためには大規模な投資減税が望ましいということを私は考えておりましたが、遺憾ながらことしは小規模に終わりました。  そこで、残された道は金融政策に今出番があるのかどうか、こういうような問題でございますが、非常に複雑な背景がございますので、なかなか日本銀行も御苦労しておられると思いますけれども、この問題はこれからの一つの大きな課題になろうか、こう思っております。  それから第三の問題が、今御指摘国民の所得が一体ごとしどれだけふえるのかということでございますが、とりあえず雇用者所得の増加につきましては、政府は一人当たりの雇用者所得がこれだけふえるであろう、あるいは全体としての雇用者所得がこれだけふえるであろうという見通し数字を挙げまして発表をいたしておりますが、五十八年度はこれが大幅に下回りました。それが経済に大きな影響を及ぼしておりますが、ことしはそれを上回るのか、あるいはほぼ見通しどおりいくのか、あるいは下回るのか、そこらあたりのことをもう少し見きわめないと何とも言えませんけれども、ただ国民の所得が伸びませんと経済に対してばいい影響は出てこない、これはもう当然のことでございます。そのうち民間のベースアップにつきましては、これは民間でお決めになることでありますから政府としてとやかく言うべき立場にはございませんが、人勧の問題につきましては、これは三年越しの問題でございますから、二、三日前もこれについての意見交換があったようでございますが、政府はとにかく力いっぱいこの人勧完全実施のために努力をしていきます、こういう答弁をいたしております。こういうことを背景として幾ら所得が伸びるかということが一つの大きな課題であろう、このように思います。  それから為替の問題につきましては、これは実は私どもはアメリカの金利がもう少し下がると大変この点はやりやすいとかねがね考えており、またアメリカ側に対してもこの趣旨を何回か言っておるわけでございますが、アメリカの政府部内にも意見が二つに分かれておりまして、一つはやはりアメリカの高金利が円安を招来しておるという考え方と、それからこのアメリカの高金利は何もそんな円に影響はないんだと、円安になっておるのはむしろ円の国際化をしないから円安になっておるんだ、こういう意見が二つありますが、私どもはやはりアメリカの高金利をもう少し是正してもらいませんと、どうしてもこの円安の傾向は直らない、このように思いまして、アメリカの現在の景気動向やそれから金利水準に非常に大きな関心を持っておるのが現状でございます。
  72. 福間知之

    ○福間知之君 そこでアメリカに対する我々の期待というものは、長官もおっしゃったように、私どもも余り変わらないのですけれども、要するにアメリカの高金利あるいは財政の赤字というのは、単にそれはもうアメリカだけの問題じゃなくて、特に日欧先進国に対して、あるいはまた第三世界に対しても、一種の経済的な負荷を、負担を転嫁していると、こういうふうな見方すらできるわけでして、今も御指摘あったように、貿易摩擦一つとっても、これは単に日本だけが一方的に悪いのじゃなくて、あるいはまた円が比較的安いということなどは特にアメリカの高金利政策というものが大きく災いしているのであって、アメリカ自身がみずからの政策の修正をやってもらわなければ、日本としても、ヨーロッパとしてもどうにもならない、こういうふうなことがそこにあるわけですから、これからもこれは国のレベルで率直にやはりそういう対話を進めて、相互に干渉じゃなくて、理解と協調を図っていく、そういう努力は私は必要だろうと、そういうふうに思うわけであります。  ところで、国内に目を翻ってみまして、河本長官にこれもひとつお聞きしたいんですけれども、昨今の財政事情は、日本も例外じゃなくて、かなり厳しいということから、予算編成に対してはゼロシーリング、あるいはマイナスシーリングの枠を設定しまして歳出を抑制するというふうな方向が常に強まってきているわけでありますけれども、果たして私はそれだけでいいんだろうかと思うんです。先ほどの御答弁にもありましたように、今日本が国内の需要を喚起して、先進国の中でもファンダメンタルズの一番良好な我が国世界経済の牽引車的な役割を果たすべきだというふうな自覚のもとに、河本長官のいわゆるダイナミズムがいろいろ議論されておるわけですけれども、私は方向としてぜひそうあってほしいなあと思っている一人なんですけれども、とすれば、財政が厳しいから何でも抑制だというのではその道は貫徹され得ないと思うんです。やはり選択的な拡大、ある部分においては選択的な縮小、そういうものは必要だと思うけれども、何でもかんでもマイナスシーリングだ、ゼロシーリングだては、私は活力のある経済というものは実現し得ないと思うんです。ましてや昨今、悪い、やや行き過ぎた風潮として、観念的に民間活力の創出だというふうなことが何かお題目になる場合が間々あるんですね。もちろんそれは民間活力活性化というものは非常に大事ですから、それを抜きにして日本経済は成り立ちません。しかしまだ公的な財政分野あるいは金融分野の果たす役割というものは私はまだまだあると思うんです。  その中で私は今指摘をしたいのは、例えば社会保障です。社会保障はこれから老齢化社会に向かっていく我が国で、これは絶対的にも相対的にもふえこそすれ減らしていくということは困難な分野ですね。この社会保障という分野における財政措置は、財政上での選択は、これは今のように例えば物価スライドにしても十分社会保障に加味しない、あるいはまた健康保険は本人負担を一割ふやす、三年先は二割ふやすと、それは何かある種の哲学によって、さも内助努力を高めることが重要だというふうなことだけでそれだけを強調する、その反面そういう財政削減をやっていく、それで果たしていいんだろうか。甚だこれは疑問に思うわけです。確かに医療なら医療問題一つとってみても、あるいはまた年金なら年金問題一つとってみても、過去三十数年間の慣習なり制度なりというものの見直しは将来にわたって必要だと、これはもう異を挟むものではない、あるいはまた医療の現状のあり方については根本的にメスを入れなければならぬ。そのためには、日本医師会に対してももっと厳格な対応を政府当局としてはやる。それがために必要な医療の将来的な改革のビジョンをやはり明確に打ち出していく、こういうことがなければならないと思うんです。しかし、目の先、何かこう社会保障費などを切り込んでいくというこの姿勢だけで果たしていいんだろうか。私は社会保障だけじゃないとは思うんですけれども、あえて軍事費とは言いませんけれども社会保障だけじゃないと思うんですけれども一般会計勘定から別の勘定にしていくべきじゃないか、こういうふうな考えを持つものでございますけれども、これは予算のあり方という観点からの問題提起かもしれませんが、経企庁長官の所見を伺いたい。
  73. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 高齢化社会が今急速に進んでおりますので、そういう面から、社会福祉の問題はますます大きな課題になると思います。そしてその金額もふえていくと思うんです。しかし、今直ちにこの分野だけを別会計にすると、別会計という意味は第二予算というふうな意味ではなかろうかと思いますが、そういう取り扱いにするという議論は今のところは政府部内には起こっておりません。将来そういうことが起こってくるかもわかりませんが、ただいまのところは議論の対象にはなっておりません。
  74. 福間知之

    ○福間知之君 経済の問題として最後に二、三点伺いますけれども、私は、要するに我が国のこれからの経済、それは財政の再建にもつながっていくという前提で、経済の拡大均衡を期していく上では、もう理屈抜きに、率直に言って世界的な交易数量の伸びを上回る我が国の輸出の増加というものがやはりなければならぬのじゃないかと思う。今日の昨年来の景気回復も、せんじ詰めて言えばアメリカの景気回復による輸出の増で果たされているというふうに極端に言えば言えると思うんです。今後といえども、世界の貿易量を上回る水準の貿易量というものを、特に輸出の面で日本は実現し得ないとすれば、これは経済の拡大は難しいという構造的な要因をはらんでいると思うんです。そういう意味において、世界各国における理解を何としても取りつけなければならぬ。もちろんその反面で、先ほど来の議論のように、我が国における輸入も積極的にふやしていくという施策を伴わなければならぬことは言うまでもありません。そのために、内需をどう拡大していくかということにそれこそ官民挙げて真剣にこれは取り組んでいかなければならぬ、そういうふうに思うわけでありまして、例えばこの六月に予定されていますロンドン・サミット、この間日米欧で委員会が開かれて日本に対する一定の要請もあるやに聞いていますが、OECDの閣僚会議あたりで準備が始まっていると思うんですけれども、特に日本に関してどういうふうなテーマが提起されるか、情報が入っておりましたらお教えをいただきたいと思うわけです。
  75. 柴田益男

    政府委員(柴田益男君) 今度行われますロンドン・サミットでの討議議題につきましては、まだ検討中でございまして明らかにされておりません。例年の例でまいりますと、従来から経済政策一般あるいは貿易問題、発展途上国問題、通貨問題等がその検討対象になるわけでございますけれども、具体的な内容については、今個人代表間でも討論が続けられているところでございます。先生今おっしゃいましたように、個別の国に対して、例えば日本に対して何かを注文するということは過去のサミットではございませんので、日本の貿易問題だけを取り上げるという形ではなくて、貿易における保護主義の抑圧というような一般問題での議論はあろうかと思います。
  76. 福間知之

    ○福間知之君 この間、今月の初旬ですね、ワシントンで日米欧委員会の総会というのが開かれたんじゃないんですか。これはまたロンドン・サミットに向けての下打ち合わせ的な性格もあるかと思うんですけれども、ここで何か日本に向けての要望が出されたように聞いていますが、そんなことないんですか。
  77. 柴田益男

    政府委員(柴田益男君) 先生今おっしゃいましたのは全く民間の会合でございますので、トライラテラル、日欧米の会合でございまして、いろいろ意見が出されているようでございますけれども政府としてはそれは特に要望として受け取っておりません。
  78. 福間知之

    ○福間知之君 通産大臣あるいは担当者にちょっとお聞きしたいんですけれども、いわゆるこのテクノポリス構想のその後の進捗状況、これは単に私十四都市が二月末に申請をしたとか、これからも申請するだろうとか、それを当局で判断して指定するんじゃないかとかいうようなことに関心があるんじゃなくて、むしろこのテクノポリス構想というものの持っている本当意味合いをどうこれから推し進めていくのかということの議論が今がしましいわけであります。かつての新産業都市指定とかいうふうなものとは時代も違うし条件も違うんですから、やはりこれからは、今これから日本の産業の中核を担うとも思われる先端技術の分野の事業が、いわゆるテクノポリス構想で、各地域、ローカルに根づいていかなきゃならぬと、こういう政策を積極的にやらにゃいかぬと。それにはことしの予算でも通産省の枠は非常に小さいし、そんなものでテクノポリス構想が活気を持って推進できるのかと、こう言いたいぐらいなんですけれども、テクノポリス構想の現状とこれからについてひとつお伺いしたいと思います。
  79. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 具体的な説明政府委員からいたさせますけれども、おっしゃるとおり確かに新産都市構想と違いまして、いわば新産都市の場合は基礎産業中心の工業開発ということでございまして、国が港湾であるとかあるいはインフラ部分の整備をいたしまして、そこに財政の特例相性も行われてこれをやらしたわけでございますが、テクノポリス構想というのは、基本的に地方がこれを主体的にあるいは自主的に開発していくということが根本でございます。そこに先端技術、これを導入いたしまして、本当意味の地方が先端技術を中心にしてこれを開発していくということでございまして、新たなる公共投資その他を考えていないわけでございます。こういう意味で、通産省といたしましても、先ごろ数カ所承認いたしまして、これを通産省の考え方に沿って推進してまいりたいと思います。  具体的な細かい説明政府委員よりいたさせます。
  80. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) テクノポリス構想を進めます中間的な手段と申しますか、これは先端技術産業を導入することが第一。第二は、地域産業、地域企業と先端技術の利用化と、利用化による振興という二つの施策を通じまして、それを支援する大学、研究機関等の育成ないし支援を受けまして、それによって快適な地域を形成していこうということであるわけでございます。したがいまして、具体的施策はその中間的な施策でございます二つ、一つは先端技術産業導入、第二は地域産業の高度技術利用化の推進とこの二つに施策の焦点が当たるわけでございますが、第一の先端技術産業導入に関して申し上げれば、これはこれまでそれぞれの地域が積み上げております工業用地及び工業用水、それを活用し得る道路網等産業基盤の整備、これはこれまで何らかの形でそれらのものが整備され、あるいは他の計画のもとに整備されようという状況にある地域についてテクノポリス地域に承認をいたしたわけでございますので、そういった今後のハード面での工業基盤あるいは企業を誘導し得る基盤の整備というものにつきましては、在来のものの最大限の活用と、最小限の新規追加ということ、この新規追加に関しましては公共投資等によって支援をしてまいるわけでございますが、これを計画的、効率的に推進しようということにいたしておるわけでございます。また自治体等につきましては、それぞれの先端技術産業が立地しやすいその立地因子に適合するようなハードの整備を行っておるわけでございます。  それから、第二の、地域産業の高度技術の利用化の推進といいますのは、これは具体的にはその地域にございますいろいろなシーズを利用しながら高度技術を取り込んでいこうということでございますが、それを推進する施策としましては、地域フロンティア技術開発制度あるいは重要技術研究補助金という地域版がございますが、これによる支援及び地域技術振興特利制度を今回拡充いたしたわけでございますが、こういうものによりまして支援の体制ができたわけでございます。これを実現するためにはテクノポリス開発機構等を通じまして、人材育成その他研究機関との連絡態勢等をとりましてこれを推し進めていくということで、それぞれの地域にその具体的な計画が記されておるわけでございますが、これを着実に実行に移していくことを我々は期待いたしておるわけでございます。
  81. 福間知之

    ○福間知之君 まあ時間が参りましたので、余りできないんですけれども、今、局長最後におっしゃったように、やっぱりエレクトロニクスとかバイオテクノロジーとかいう先端技術を中心にして地域に定着さしていくという場合、やはり人材なり、また地域における技術的な精神の旺盛さなんというようなものがなければなりません。人材が定着をできるような環境づくりを進めていかなければ、単に一時的に大企業から企業を誘致、会社、工場を誘致して技術者を派遣してもらう、一定の時期が来たら技術者はもうどこかへ帰ってしまう、これじゃさいの河原の石積みになると思うんですね。ここが一番難しいところだと思うんです。通産省だけの仕事で果たしてそれが可能かどうか私は疑問を感じますが、やはりこれは国を挙げた各般の施策を整合性を持って進めていかないとなかなか実現は難しい、そういう危険を感じますので、せっかくのひとつ御努力をお願いしておきたいと思います。  もう時間が来ましたので終わります。
  82. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  83. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  84. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 佐藤栄佐久でございます。  小規模企業、中小企業対策、あるいはテクノポリスについて御質問さしていただきたいと思います。  小規模企業、すなわち常時使用する従業者が二十人以下、サービス業にあっては五人以下の企業は、全事業所の約八〇%の五百万事業所を数え、従業者数もまた千五百万人と、全従業者の三三%に及んでおります。このような我が国経済社会で大きな地位を占めている小規模企業の経営の安定と振興は、我が国経済社会の安定のもとになっております。専業的経営の多い小規模企業は、もともと経営管理のおくれ、資金調達力や情報の不足、取引条件の不利など自由競争市場において劣勢な立場に置かれていますが、それに加えて、経済の低成長や成熟化に伴う産業、消費構造の変化、技術革新の急速な進展、サービス経済化など厳しい環境のもとに置かれております。  このような状況下にありまして、商工会議所や商工会の経営指導員が行うマンツーマンのきめ細かな相談指導事業は、小規模事業者の経営改善合理化を図るために必要不可欠なものとなっております。幸い五十九年度の小規模事業指導費補助金は、厳しい財政事情のもと中小企業対策予算全体が減る中でわずかながらふえております。ちなみに、五十七年度が三百六十五億円、五十八年度が三百七十九億円、五十九年度が三百九十四億円、四%の増加になっておりますが、しかし小規模事業者に対する施策重要性を考えればこの種の予算は今後一層充実させるべきだと考えますが、いかがなものでしょうか。
  85. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 御指摘のとおり、中小企業は我が旧経済の原動力でございまして、この中小企業に対する対策は通産省として極めて大事なものと認識して行っておるわけでございます。ことしの予算の中でも、非常に厳しい財政ではございますが、石油特会を除いた一般会計の中であとの残りの半分は中小企業対策費であるということが示すように、私たちはこれに万全を期しておるわけでございます。今後も中小企業の政策を私ども懸命になって努めてまいる所存でございます。
  86. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 国会に出てきまして第一番目の質問に小此木通産大臣に答えていただきまして、本当にありがとうございます。  二番目。景気は回復途上にありますが、企業倒産は相変わらず中小企業を中心に多発しております。昨年暮れは、十一月、十二月、危機ラインの千八百件を大幅に上回っておりますし、またことしに入りましても、千四百九十四件、千六百二十八件と大変多いわけでございます。このような現状下において景気回復を着実なものとするためには、中小企業に対する金融政策の機動的な運営は重要なことであります。  一方、金融機関における金利水準は低下傾向にあります。昨年の十月、全国銀行貸出約定平均金利が、十月が七・〇四%、十一月が六・九四%、十二月六・八〇%、一月六・七五%と低下傾向にあるわけでございます。中小企業向けの金利の引き下げを、しかしますます一段と促進すべきではないでしょうか。特に、中小企業の中でも極めて資金調達力が弱く、また景気回復の恩恵が極めて遅い小規模零細企業を対象としておるマル経資金につきましては、現行の金利を引き下げてほしいとの声が非常に強いわけでございます。しかし現実はそういう方向でない非常に厳しい状況にあるわけでございますが、少なくとも現行を維持し、財政事情がよくなればもっと引き下げていただきたいというのが小規模零細企業者の切なる願いでございますが、この件に関し大臣の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  87. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 我が国経済の状況が非常に緩やかなテンポではございますけれども回復の基調にあることはおっしゃるとおりでございます。しかしその反面、倒産の件数がもう空前のふえ方でございまして、このことに対しましては私ども非常に深刻に受けとめ、憂慮にたえないのでございます。そこで、中小企業対策といたしましてさまざまな政策を打ち出しておるわけでございますけれども、特におっしゃるとおり機動的な金融政策ということが最も大事なことであると存じます。さようなわけで、政府中小企業三機関におきましても、中小企業対策というものが一番大事であるというような考え方からこの金利の引き下げということを考えてきておるところでございます。  去る三月二十八日に長期プライムレートの引き下げが行われた、こういう意味で基準金利を〇・二%下げまして七・九%にしたわけでございますが、さらに下げよというようなこともございますけれども、しかしそれには中小企業金融機関の収支そのものも考えていかなければならず、このようなことを勘案しながら、中小企業の皆さんによりよき利便を与えることに一生懸命努力してまいりたいと存ずる次第でございます。
  88. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 今、大根からお話がありましたように、政府系の中小企業金融三機関につきましては、三月二十八日より長期プライムレートが〇・三%引き下げられ七・九%になることと連動いたしまして、中小企業金融公庫及び国民金融公庫の基準金利が八・一%から七・九%へ、商工中金の標準金利も〇・三%下がりましたが、中小企業にとりましては、これら政府系金融三機関におきましては金利がどちらかというと硬直化しておるというのが実感でございまして、利用しにくいという声も聞きます。市中金融機関と比べましてより弾力的な貸付金利の設定を望みたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
  89. 中澤忠義

    政府委員(中澤忠義君) 中小企業にとって安定的な質のいい資金の供給というのが非常に重要であるということは御指摘のとおりでございまして、政府中小企業金融機関におきましても極力基準金利を低利のものに据え置くという努力をしております。先ほどの大臣答弁にもございましたように、プライムレートの引き下げに連動いたしまして政府系金融機関の基準金利も引き下げたわけでございますけれども、その中でも特に政策的な意図の強い特利の金利につきましても、プライムレート及び基準金利の引き下げと同時に改定をいたしまして、中小企業の政策ニーズに応ずるという努力をしているわけでございます。また、今後とも貸出基準金利の設定につきましては、政府系の金融機関の収支の状況も考慮しながら、極力中小企業を取り巻く経済環境、金融環境に留意しながら対処する方針にしております。  中でも先ほど先生が触れられましたマル経資金でございますけれども、これが特に小規模零細企業にとって非常に重要な役割を果たしておりますし、また経営改善普及事業の裏打ちをする、実効性を保つという意味でも重要でございますので、現在の七・〇%という低金利の水準を維持しております。一部には財源のコストの関係からこれを引き上げてはいかがかという再検討の声もあったわけでございますけれども、五十九年度におきましてこの低金利の水準を据え置くと同時に、三百五十万円という貸し出しの限度を四百万円に引き上げまして小規模事業者のニーズにこたえるという配慮をしたわけでございます。
  90. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 それから大蔵省関係に対して質問というか、要望いたしておきたいと思うんですが、実は私三月の十六日に地元の喜多方というところにお邪魔しました。ちょうど青色申告の次の日だったものですから、中小企業、零細、商店関係から強い要望が出ました。それは、ことしは東京も大変な大雪でございまして二十数回も東京では雪が降ったという、その雪の大変さについては皆さんもう肌で感じたことと思いますが、ああいう雪による被害というものが毎年豪雪地帯においてはあるわけでありまして、ちなみに、ここに喜多方の商工会議所で雪害の状況調査報告書、これは五十五年度のものでございますがあるわけで、これによりますと、詳細については省略いたしますが、一事業所当たりのこの年の平均雪害の額が六十九万九千円になっておる。これらが申告のときに何らかの形で、雪害控除というふうな形で控除できないかという強い要望がございました。特に雪害による売り上げ減は別にいたしましても、こういう税制面での御配慮をいただければ大変ありがたいという要望をいたしておきたいと思います。  続きましてテクノポリスについて御質問いたしたいと思います。  昭和三十五年に、池田勇人総理大臣時代所得倍増計画が打ち出され、全国総合開発計画が策定され、その中で新産都市指定による産業、人口の地方分散を図ったわけでございますが、それは東海道メガロポリスに象徴されるような国土づくりになっております。そしてその後、新全総、三全総により人口、産業の地方分散を一層進めると同時に、基本的に過密都市、公害に対するアンチテーゼとして、人間の住環境も考慮に入れ、人間重視の計画に力点を置いたのは御承知のとおりでございます。そしてその後の現実は、一つは、やはり新幹線、高速道路を中心に地域開発が進んでいるということ。もう一つは、企業の進出と地域開発が密接不可分であるということであります。そういう意味で、今回、産業政策をつかさどる通産省の発想で二十一世紀を目指した産業と地域と人間をトータルした構想ができてきたことに心より敬意を表したいと思います。内容を見てみましても、決して道路をつくればよしとするハード面重視の考え方でなくて、地域の自主性を重視し、民間活力をどう引き出していくかという視点から出発している点に共感を覚えるわけであります。  さて私の質問は、最終的にどのような指定になっていき、国土づくりのバランス上どうなるかということでございます。今のところ十四カ所のうち、裏日本からも三カ所あります。九州から六カ所手を挙げていることは喜ばしい限りでございますが、東北、北海道を見ますと、今のところ手を挙げているのは三カ所だけてあります。そこで九地域については承認され、また開発計画改善策づくりを進めておる五地域については六月ごろ承認される見通しであるようですが、これら十四地域以外で現在テクノポリスに手を挙げている地域は幾つぐらいあるのか。また、どことどこが手を挙げているのかお伺いいたしたいと思います。
  91. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) テクノポリス開発構想をつくりました地域は十九地域でございますが、このうち五地域はまだ開発計画という形での具体化が行われておりませんで、現在その開発指針に従いました開発計画の策定に懸命の努力をしているというふうに聞いておるわけでございます。  このほかに、テクノポリス開発計画をつくるべく地域内のコンセンサスづくりをし、かつ具体的な計画づくりの検討に入っているということでお話をいただいている県は数県ございます。例えば東北では福島、山形、あるいは岩手でも勉強を開始するというお話を承っておりますし、あるいは長野県、山梨県あるいは愛媛県でも勉強したいということでございます。ただ、いずれにしましても現在の開発計画具体化するまでに、既存の地域につきましては基本構想を実現する具体的な開発構想をつくり、それを開発計画という形で取りまとめております。そういう意味では非常に地道な着実な研究を行っておりますので、そういった検討が他の地域でも行われるものというふうに期待いたしておるわけです。
  92. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 開発計画の申請はいつごろまでに行われなければならないかというような実質的な期限ですね。それから締め切りがあるのかどうか、その辺についてお答え願いたいと思います。
  93. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 開発計画の承認申請につきまして法律上の期限というのはございません。その意味では特段の時間的な制約はないわけでございますが、五十九年度の税制改正におきますテクノポリス地域の支援のための特別償却制度、これは三年間ということになっております。そういう意味においてできるだけその期間内にテクノポリス計画がスタートされることが期待されるわけでございます。
  94. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 承認される十四地域以外でも、テクノポリス指定に名のりを上げている地域で、その地域の要件に適合し、かつ開発の熟度が認められればいつでも指定すべきであると私は考えますが、そういう用意はあるのかどうかということと、また最終的なテクノポリス指定の数、考えているものがありましたらお伺いいたしたいと思います。
  95. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 十九地域以外でございましても、高度技術工業集積地域開発促進法に準拠いたします各種要件、開発計画の承認の要件がございますが、これを満たした場合には承認をするというのが基本的な姿勢でございます。したがいまして、開発計画具体化した段階においてそれぞれ主管四省庁で検討をいたしたいというふうに思っております。  それから、最終的に数は幾つになるかというお尋ねでございます。最初に先生指摘のように、国土の均衡ある発展という観点からも、できるだけ地域バランスヘの配慮ということは必要なことでございますが、基本的にテクノポリス構想の実現、計画の実現といいますものは地域の主体性によって推進されるわけでございまして、やはり地域が、例えば各県内においてどの地域をテクノポリス圏域と設定するかというコンセンサスを作成する。その圏域内にどういう産業を興すべきか、あるいはその圏域内における市町村の各役割の分担についてどういうふうに考えるか、そういったようなコンセンサスを背景にいたしまして具体的な計画を策定せねばならないわけでございますから、そういったものを主体的に作成し推進するという意欲のある地域でなければこのテクノポリス計画の成功というものは期待できませんので、そういった意欲ある地域と十分に相談しながらこれから取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  96. 佐藤栄佐久

    佐藤栄佐久君 ありがとうございました。私の質問を終わります。
  97. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 私は地域経済の振興という観点から幾つかの点につきまして通産大臣並びに御当局の御見解を賜っておきたいと思います。  今回の景気の回復につきましては、五十三年度の景気回復の様態と大分変わっておるようでありまして、イノベーションによる緩やかな回復ということが言われておるわけであります。そういう中におきまして、特に特徴的なのは、やはり回復自体が地域差があるということ、それと業種によって、あるいは企業の規模によりましてかなり厳しい状況になってきておるということは御承知のとおりであります。特に地域の跛行性の中では従来公共投資に非常に頼っておった地域であるとか、あるいは本年の雪害に悩む地域、さらに過去の企業進出の中で基礎素材型産業が立地しておるところ、こういうところが非常に低い、回復がおくれておるわけであります、北海道、東北、中国地区という。さらにそういう中におきましてますます大都市と地方の県民格差というもの、所得の差が広がってきておる。大都市一人当たりの所得を一としますと〇・六九という数字もあるわけでありまするが、我が山口県もいつの間にか県民所得一人当たりは二十九位まで下がってきておるわけであります。そういう中におきまして、やはり地域社会あるいは地方の時代、それを確立していくためにも、やはりその基盤たる地域経済というものが安定的に成長していくということが福祉を推進していく場合につきましても、文化、教育、あらゆる面におきましてもこれが基本になるわけでありまして、そういう中におきまして非常に地域経済を振興していく、再活性化していくということが大変大きな私は国を挙げての課題だというふうに考えておるわけであります。そういう中におきまして、先ほど佐藤栄佐久先生も御質問いただきましたが、今回通産省において出されましたテクノポリス構想、これはやはり新産、工特以来二十年ぶりの地方から言いますると大型なプロジェクトであるということで大きな期待をいたしておるわけでございます。しかしながら、その内容はもちろん過去の新産、工特のハードな部分と今回のソフトな部分、もちろん前提として飛行場も道路もある程度整備された地域に指定をされておるということがあるわけでありますから、そういう問題はいろいろあるわけでございますけれども、こういうことによって地域がやはり若者のUターン現象、雇用の場を創造するとか、あるいは過去の新産、工特の一つのイメージも地域社会の中には厳然としてあるわけでありますから、そういう面についての非常に期待というものがあるわけであります。  今回、いずれにいたしましても通産省が過去やはり中小企業対策エネルギー問題等で地域に対するいろいろなかかわり合いを持っておられたわけでありますけれども政策省庁である通産省が地域に目を向けられて対応しておられるということは非常に私ども期待をいたしておりまするし、通産初め四省庁の主務省庁の御努力に心から敬意を表したいというふうに思っておるわけでございます。  三月二十四日に開発計画承認書が九地区に手渡されたわけでありまして、山口県も宇部の御指定をいただいたわけでございますので、まず心から厚く御礼を申し上げておきたいというふうに思うわけでございますけれども、これからこれをどうやって地域に根づかしていくかということが非常に大きな私は課題だというふうに考えておるわけでございます。そういう中におきまして、まずこれを成功させていくためには地元ではどのような取り組みをしてやってまいればいいのか、そういう点につきましての御見解、これをまず最初に承りたいというふうに思うわけでございます。
  98. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) テクノポリス構想は、高度産業技術を核といたしまして、新たな地域経済の自立の発展力を培養していこうという考え方でございますが、これを実現していくために二つの方策、一つは先端技術産業の導入を図ること、第二に地域企業の高度技術利用化の推進を図ること、この二つを中核として企業集積を推し進め、それによって地域形成を図ろうというものでございます。もちろん両者の関係においては当然先端技術産業が土地に来ただけでは意味ございませんで、地域企業との間の技術トランスファーを促進する、そういった形で技術を核としながら地域が自立的に発展できる体制をつくり上げていくというところが目標であるわけでございます。したがいまして、その実現のためにはどうしても地域が主体になってこれに取り組んでいくということが基本的に必要になるわけでございます。これは開発計画の承認に至るまでの間、四省庁及び他の関係省庁と十分協議をいたして結論を出したわけでございますが、一言で言えば計画に書かれております諸プロジェクト、これはハードの面、工業基盤整備の面、あるいはソフトの面、例えばテクノポリス開発機構を中核といたしました人材の養成、あるいは産学官の研究開発の連携体制の具体化、こういったことが着実に進められていくということが必要であるわけでございますが、そういった面においての地域の努力を私どもとしてはできるだけ支援をするということで取り組んでまいりたいと思っているわけでございます。
  99. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 このテクノポリスを推進していく場合の国の支援はどのようなものが期待できるのか、その点につきましての御見解を承っておきたいと思います。
  100. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 松岡委員指摘のように、日本の経済の発展のためには地域経済あるいは地方経済の交流もゆるがせにできないものでございます。そこで、テクノポリスの問題は地域の自主的努力にまってこれを進めていくということで行っているわけでございますけれども、そういう基盤をつくりながらも、やはり国の援助というものが欠かせないわけでございます。過去においても地域経済、中央経済の交流のために通産省はさまざまな施策も行ってきたわけでございますが、五十九年度の予算におきましても、テクノポリス構想ということにつきましては、今局長が示しましたように、新しい技術を導入する、先端技術を導入するということに関して御承知のような減税措置あるいは投資減税措置を行っていこうとするものでございまして、今後も関係省庁と協議して、この考え方を進めて、テクノポリス構想というものを成功に導く努力をいたす所存でございます。
  101. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 ぜひ大臣の御答弁のような御趣旨でひとつ御指導いただきたいというふうにお願いを申し上げるわけでありますけれども、特に地域の内主的な努力民間活力の活用ということでありますから、いろいろな面で新しい事業に対するリスクとか、そういうものもあるだろうというふうに思いまするし、また地域の市町村、こういう施策にはまだふなれな部分があるだろうと思います。そういう意味におきましては、地域行政とのさまざまな接点をこれから通産省におかれましても御努力をなさると思うんですけれども、財政的な面での対応というものがやはりまだ当初でありまするし、どのような要請が出てくるかわかりませんけれども、そういう地方との問題につきましては、財政的な配慮ということになりますると特に自治省の関係も出てくると思いますので、各省庁との十分な御連携のもとにひとつ御指導をいただきたいというふうに思います。また、先端技術産業につきましては非常に加速度的に進歩していくというようなものでもありますから、速やかなひとつ実現のために御指導をいただきたい、かようにお願いを申し上げる次第でございます。  それから次の質問でございますけれども、ベンチャービジネスに対する関心が非常に高まってきておるわけです。そのほとんどはもちろん中小企業であるわけでございますけれども、こういった新しいタイプの中小企業を、長官はどのように評価をしておられるのか、まずお伺いいたしたいと思います。
  102. 中澤忠義

    政府委員(中澤忠義君) ベンチャービジネスの台頭でございますけれども、新しい技術を担いまして、積極的な企業家精神を持って新分野を開拓していく、こういったタイプのビジネスにつきましては単にその企業の振興というだけではございませんで、日本の経済あるいは産業構造の高度化に資するという点、あるいは技術開発の基盤を強固なものにしていくというようなことを通じまして、何よりもこれからの日本経済活性化に導くという点で大いに期待もされ、また評価もしていかなきゃいかぬというふうに考えております。  ただ問題は、やはりベンチャービジネスがまだスタートした段階でございますので、これらに対する円滑な資金供給をどのような形で環境整備していくかという問題あるいは技術者の人材確保といった問題、いろいろこの振興には問題が横たわっておりまして、私どもといたしましては政府としてもベンチャービジネスの健全な振興を図るために環境の整備を図っていく必要があるというふうに考えております。
  103. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 このベンチャービジネス振興につきましては、五十九年度の施策でどのような政策を講じようとしておられるのかお伺いをいたしたいと思います。
  104. 中澤忠義

    政府委員(中澤忠義君) ベンチャービジネス振興のために現状におきましては研究開発型企業育成センターという財団法人におきまして債務保証事業を行っております。また、本年の一月から中小企業投資育成会社の投資基準を改正いたしましてベンチャービジネスに対する投資を積極的に行うということにしたわけでございます。また、五十九年度、新年度からでございますけれども、技術改善費補助金という従来の制度の中に研究開発型企業枠といういわゆるベンチャービジネス向けの特別枠を新設いたしまして、新しい技術開発の要件緩和をしたわけでございます。また、異業種間の連携をしていく組合、このような組合に対しましてはベンチャー事業への支援を行う、あるいは公設試験研究機関におきますベンチャービジネス向けの先端的試験設備、これも補助をしていくということにしております。また、融資面では政府系の中小企業金融機関におきまして、先端技術振興貸し付けという新しい貸付粋を設けましてベンチャービジネス振興を行っていく、この面での拡充強化を予定しております。
  105. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 既にテクノポリス地域が指定をされたわけでありまして、地方における先端技術振興政策もこれで軌道に乗っていくだろうというふうに考えられるわけでありますけれども、それをより着実にするためにはベンチャービジネスを振興していくことが、やはり今、長官がおっしゃいましたように大切なことだというふうに思います。そうした本格的な地域経済活性化の観点からもベンチャービジネスの振興にかかわる法律を制定すべきではないかというふうに考えるんですが、いかがでございましょう。
  106. 中澤忠義

    政府委員(中澤忠義君) ベンチャービジネス振興のために本格的な政策支援を行う、そういう観点から振興法の研究をしてはという御指摘でございます。この問題につきましては非常に幅広い問題が関係しておりますので、中小企業庁といたしましても昨年の十月からベンチャービジネス振興のための研究会を設けまして、いろいろな専門家の方に集まっていただいて検討しておるところでございます。ただいま御指摘の法制面を含めた施策のあり方につきまして、この研究会の検討結果を待って私どもとしても問題に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  107. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 次に、基礎素材産業の関係で御質問をいたしたいと思うんです。  それぞれ地域に立地しております基礎素材型産業が非常に厳しい構造不況の中でそれぞれ自助努力あるいは構造改善法等による再生の努力をいたしておることは御承知のとおりでありますけれども、アメリカのモトローラ社という電子産業企業があるわけですけれども、このガルビン会長という人がこういうことを言っているわけですね。情報化社会を支えるものは電子工業やコンピューター産業であり、それを支えるのは鉄鋼やアルミニウム、そして電気やエネルギーである。脱工業化社会とか非工薬化社会とかいった考え方には、危険な誇張がある。非工業化社会を強調するのはいすの足を一本切りとって三本で立てというようなものだ。我々が工業化社会に完全に別れを告げることはあり得ないと思う。社会の必要を満たす産業の種類が変わっていくだけのことだ。これはこういう電子産業企業の会長が言っている言葉だけに非常に意義深いことだと思うのです。いずれにいたしましても地域産業の振興という角度から見ますると、やはりこれからも地域に立地しているこういう基礎素材型産業、こういうものの再活性化、こういうものがやはり地域の中では一番大切なことだろうというふうに思うわけであります。  そういう中で昨年構造改善法が改正されまして、新しく再出発をしておるわけでありますけれども、このような基礎素材型産業はいずれにいたしましても我が国におきましては全産業の三割を占めておる。産業分野別の生産額で見ましても半導体あるいはIC関係は二兆円であるわけです。それにコンピューターとか工作機械あるいは医療機器をプラスしましたいわゆるハイテク産業全体でも二十兆円、それに比較しまして自動車、電気を除いた在来産業は百兆円という大きな規模があるわけでありますから、こういうものに対してそれぞれ自立自助あるいは適切なる保護、こういうものをやはり考えていくということが産業政策でも非常に大切なものだというふうに考えるわけであります。昨日の新聞にもちょっと出ておったのですけれども、宇部興産とセントラル硝子が燐酸生産で一緒に委託していくというようなことでありますけれども、そういう中におきましてこの構造改善法がそれぞれの業界に行われてきているわけでありますけれども、そういう従来のアルミ製練、石油化学、化学肥料、平電炉、紙パルプ、化学繊維、これに加えましてセメントが現在構造改善の中論をしておるようであります。これはやはり十五年間で価格はたった二・四倍しかなっていない。それに比べて原料であります重油は七・七倍という状況で非常に厳しい状況にあるわけでありますけれども、このセメント関係につきましての内容審査の状況、それに対する対応につきましてお伺いをいたしておきたいと思います。
  108. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) まさに先生指摘のとおり基礎素材産業は日本経済において非常に重要でございます。しかし、原材料、エネルギーコストの上外等によりまして構造的な困難に陥っている、これを産構法によりましていろいろな施策を講じているということでございます。現在二十一業種が指定されておりますが、二十二番目といたしまして御指摘のセメント製造業というものの構造改善が検討されてございます。本年の三月二十三日に産業構造審議会の住宅都市産業部会で答申が出ました。その結論とするところはセメント製造業の社会重要性にかんがみまして、中長期的に経済合理性を持った産業として活性化する、こういうことを目的に共同事業会社を核とするグループ化によりまして過剰設備を処理する、あるいは空虚、流通等の合理化内容とする構造改善を推進すべきであり、このために特定産業構造改善臨時措置法、いわゆる産戦法でございますが、の業種指定が必要である、こういう答申をいただいたところでございます。当利といたしましては四月中を目途にいたしまして、セメント業につきまして業種指定をすべく現在所要の手続を進めているというタイミングでございます。
  109. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 構造改善法による過剰設備の処理とか廃棄とかいうときに、やはり廃棄に当たった地域では非常に問題が出てまいりますので、その場合にやはり関連する企業もたくさんあるわけでありますから、そういう場合の対応策等についてひとつ今後十分に御検討いただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。  それから不公正輸入の問題であります。  もちろん我が国は自由貿易を基本としておるわけでありますけれども、外回からの不公正輸入についてはこれは当然一定の対応というものが必要だと思うんですが、まずノルウェーやフランス産のフェロシリコンにつきまして昨今問題になっておるようでありますけれども、これにつきましての、特殊関税調査委員会が設置されたようですけれども、対応についてお伺いいたしておきたいと思います。
  110. 柴田益男

    政府委員(柴田益男君) 先生がおっしゃいましたように補助金つきの輸出やあるいは不当廉売、いわゆるダンピングによる輸出によりまして、輸入国の産業が影響をこうむるという場合にはガットの六条の規定に基づきまして、輸入国におきまして相殺関税あるいは不当廉売関税を付加することが認められているわけでございます。通産省といたしましてもそのような不公正輸入につきましては関税定率法に基づきまして厳正に対処していく所存でございます。今フェロシリコンのお話が出ておりますけれども、本作につきましても現在提訴を受けておりまして、三月六日に受理しておりますけれども、省内のフェロシリコン特殊関税調査委員会におきましてこの提訴が十分な証拠を持っているかどうか、根拠があるかどうか今調査、吟味しておるところでございまして、その上で調査を開始するかどうか決定するというような段取りになっております。
  111. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 米国も自由貿易を唱えながらやはりそういうものに対してはそれぞれ商務省とかあるいはITC、そういう中で通商法とか関税法でぴしっとガードをするべきところはしておるわけなんです。我が国の場合今までどちらかというと輸出国ということでそちらの方に目が向いておったわけでありますけれども、昨今はブーメラン現象でいろいろと開発途上国から逆にいろんな形での攻勢が、国内では過当競争で悩み疲れ果て、そしていつの間にか開発途上国からの輸入攻勢でやられてしまう、こういうことにならないようにひとつぴしっとした対応をやはりお願いをいたしておきたいと思うんです。  昨今、鉄につきましても非常に厳しい状況に置かれておるようでありまして、この五年間ぐらいで大体十倍ぐらい輸入がふえておるわけです。韓国、台湾、ブラジル、ルーマニア、そういうところから主として厚中板、ホットコイル、こういうものが大量に入ってきておるわけなんです。この五年間で約十倍、ことしはこのままいきますと四百万トンを超すという状況であります。過去は年間二、三十万トン程度であったんですけれども、この際立った輸入増というもの、しかももう一つはやはり価格が一〇%、二〇%非常に安いというところに私は問題がありはしないかというふうに思うわけであります。当然通産御当局もこの状況につきましての把握はしておられると思いますけれども、その実情につきましてひとつ御報告をいただきたいと思います。
  112. 野々内隆

    政府委員(野々内隆君) 御指摘のように、我が国の鉄鋼の輸入は急速にふえておりまして、昭和五十三年では三十六万トンでございましたが、五十八年では四百四十四万トンと十二倍に達しております。このうち普通鋼鋼材につきましても五十三年の二十一万トンから五十六年には百三十四万トン、五十八年には二百六十一万トンというふうに、これも五年間で十二倍になっておりまして、特に普通鋼鋼材輸入の中でも今先生指摘の厚中板、それから熱延帯鋼、この二品目で九割を占めておりまして、ここに集中的に輸入が行われているというのが実情でございます。  御指摘のように日本の鉄鋼業はここ数年いわゆる鉄鋼不況ということで国内の需要が非常に落ちておりまして、大変苦しんでおりますが、それに加えましてこの輸入の増大によりましてこれが量的あるいは価格的に影響いたしまして大変苦しい状況に追い込まれております。  輸出国はいわゆる中進工業国と言われております韓国、ブラジル、台湾が中心でございまして、そのほか東欧圏、特にルーマニアからの輸入が最近ふえてきております。  ただ、こういうものをどう理解するかでございますが、基本的には我が国の鉄鋼業そのものが中長期的な観点に立って一層の合理化努力を行いまして競争力を維持独化していくという点が基本的なポイントかと考えております。  現在、この輸入そのものにつきまして不公正なものがあるかどうかということについてはまだ現在のところ業界からの提訴もございませんが、フェロシリコンのようにもしそういうような事実があって、業界から提訴がありました場合には当然私どもとしては法に照らしまして厳正な対処を行っていきたいと、かように考えております。
  113. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 このような外国からの攻勢というものが、やはり鉄鋼業はほとんど地方に立地しておるわけですから、現在局長指摘のようにいろんな合理化努力はいたしておるわけでありますけれども、そういうものがやはりもろに地域の雇用でありますとか、経済の地盤沈下というものにつながってまいるわけでありますので、そういう基礎素材型産業、いろいろ自助努力で苦しんでおるわけでありますけれども、それに追い打ちをかけるようなこういう問題に対してはやはり的確な対応、御指導をいただきたいというふうに思うんです。  やはり自由貿易主義を建前としておりましても、いわゆる先進諸国というのはそれなりのガードをやはりしておるということもあるわけでありますので、そろそろ我が国もそういう対応というものについては対処方をきちっとしていかなければいけない時期に来ておるんではないかなという感じがいたすんです。政府が介入するということについてはいろいろ問題があるだろうと思うんです。思いますけれども、そういう大きな影響があるものにつきましてはしかるべき対応をお願いをいたしたい、そういう点につきましてはこういう開発途上国との貿易摩擦まではいっていないわけですけれども、そういうものに対してもう少し関心を持って御対応いただきたいということを特にお願いを申し上げまして質問を終わりたいと思います。
  114. 石井一二

    石井一二君 石井でございます。  今回の第百一国会の中の商工委員会における審議に先立ってなされた通産大臣の所信表則の文面を見ておりますと、次のような文言があるわけでございます。「対外経済関係の諸懸案の解決のため全力を尽くすとともに、世界の自由貿易体制の維持発展を図るために、欧米諸国と協調しつつ最大限の努力を払ってまいる所存であります。」力強い言葉であるというべきでございます。このような御所見をもとにして展開されるであろう今後の通産行政の中でも、特に対外経済問題を中心に、以下若干の質問をさしていただきたい、そう思うわけでございます。  今、松岡議員より、特に開発途上国よりのブーメラン現象を中心とした我が国経済界に対する影響についての懸念なり問題の提起があったわけでございます。私は発展途上国だけではなしに、先進欧米諸国からの影響、すなわち我が国が今なさんとしておる産業協力推進がもたらす我が国産業への影響について若干聞いてみたい、そう思うわけでございます。  御承知のように、昨今新聞等を見ておりますと、自動車の工場進出等の話もたくさん出てくるわけでございます。我が国は御承知のとおり貿易立国でございます。本来輸出をどんどんして外貨を稼いでくれたであろう工場がよその国へ行ってしまうということによるマイナス的な影響、作用についても懸念をやはりすべきであろうと思うのでございます。  私は、このような中で本年の二月五日に日本経済新聞初め各紙に報道されたわけでございますが、日本開発銀行が果たしてこのような対先進国経済協力の影響が我が国に対してプラスであるかマイナスであるか、このような調査の予測結果というものも発表いたしておるわけでございます。先ほど私が申し上げた予測されるマイナス効果のほかに、現地生産向けの部品などの輸出がふえるとか、国内生産のための原材料の輸入が減るから国際収支の上ではマイナスはないとか、いろんな論議があるわけでございますが、まず通産大臣はどのようにその辺をお考えになっておるか、御所見を聞いてみたいと思います。
  115. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 産業協力というものの一つの場合をとらえてみる場合には、例えば石井委員指摘のようなマイナス部面も生じているかもしれません。しかし、対外経済全体というものをとらえてみた場合に、総合的にそれがプラスであるかマイナスであるかということは、やはり一つの現象以外の全体をとらえた場合に、私はプラスの面が出てくるということがよろしいことかと思うのでございます。例えば今の先進国に対する産業協力という問題が日本の場合マイナスではないかという議論があったところで、しかしその産業協力というマイナスの部面が全体をとらえた面でその国に対する経済的な総合的な評価としてプラスになればいいわけでございまして、産業協力そのものが摩擦の解消になるということであるならば全体的に私はプラスになる、かような判断を持っております。
  116. 石井一二

    石井一二君 対先進西欧諸国と申しましても、我々やはりアメリカに対して最も気を使うわけでございますが、昨今米国の対日強硬政策というものがいろいろとマスコミをにぎわし、我々も気にいたしておるところでございます。例えばローカルコンテント法案といった言葉もよく聞きますし、ワールドワイド・ユニタリータックスという言葉も聞きます。また、米上院におきましては対日防衛力増強要求決議案というものも既に決議をされておることも御承知のとおりでございます。私はこのような考え方は極めて近視眼的である、個人的にはそう考えておるわけでございます。なぜならば、このような考え方のもとに、防衛問題は別でございますが、日本の企業が米国への進出意欲をなくするであろう、現地の雇用の増というものに寄与できないのではなかろうか。このことはまた米国の労働者の所得増にもつながらない。私はそのような観点から、ただ単に向こうの国でいろんな法案が出たりしておるというだけではなしに、より大きな世界的視野に立って通産行政というものを試みてみる必要があるのではないか、常日ごろそう考えておるわけでございます。釈迦に説法のような話でございますが、御承知のごとくこのローカルコンテント法案というものは、米市場で販売される自動車につきその販売総量に応じた米国産化率を義務づけて、外国メーカーの対米工場進出に歯どめをかけようとするものでございます。八三年二月二日にオッディンジャー下院議員が法案を提出して、下院はすでに通過をいたしておる、上院がこれを留保しておるというのが現状でございます。このことに関連して、本年の二月二十八日に安倍外務大臣、マンスフィールド大使の会談というものがなされたわけでございます。次のような発言をマンスフィールド大使はいたしておるやに私は聞くのでございます。すなわち、ローカルコンテント法案上院公聴会が四、五月ごろ開催されるとの報道があるが、同法案が仮に議会を通過する場合にはレーガン大統領は拒否権を発動しようが、その場合、議会で逆転されないためには上院または下院の三分の一の支持が大統領として必要である。特に農業州出身議員の支持が不可欠であり、この点からも農産物問題の決着が重要であると述べておる。そのためかどうか、今、山村農水大臣が向こうへ行って御苦労されておる。日米農産物交渉の一つの駆け引きにもこの二つの法案というものが使われておるように感ずるわけでございます。私は今申したローカルコンテント法案も実に残念に思うわけでございますけれども、ユニタリータックスに至ってはもっと残念な気がいたすというよりも、非常にあの国は厚かましいのではないかという気すらいたすわけでございます。御承知のように、一つの州で事業所を持っておる我が国の仮に企業、そこが赤字であっても、全世界的な観点からその企業の総収益に対して税金をかける、このような厚かましいとも言える意見が堂々とアメリカ本土ではまかり通っておるように聞いておるわけでございます。もちろん、我が国の総理大臣である中曽根総理もこのことについてはレーガン大統領に昨年十一月直接その日重方を要望されたというように報道されておるわけでございます。そのときレーガン氏は、連邦政府は州の税制に直接関与はできない、そのような言葉で中曽根さんの要望を退けておるわけでございますが、その裏には、レーガン大統領が当時カリフォルニア州の知事であった時代にまず最初にこの法案を行ったのはカリフォルニア州である、そのような裏づけもあるわけでございます。私は以上のような前提のもとに、今後通産省としてただ単によその外国の法案だという手放してはなしに、現地の出先機関、在外公館もあるわけでございますし、どのようにお考えになっておるのか、大臣の御所信を承りたいと思います。
  117. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) アメリカがことしは選挙の年であるということで、保護主義の高まりがあることは事実でございます。そのほかに日米経済問題の中でさまざまな懸案の事項、解決しなければならないこともあることは事実でございます。例えば関税の問題であるとか、VANの問題であるとか、通信衛生の問題であるとか、投資の交流の問題であるとか、金融市場の開放の問題であるとか、当然その中にも農産物が含まれているわけでございます。しかし、これらのことに関してアメリカも言いたいことを言う、しかし日本も忌憚なく言いたいことを言うことが私はむしろ経済摩擦解消の一番よいことではないかと常々思っているわけでございます。  そこで、かなり古いことになりましたけれども、この正月に私は渡米した折にブッシュ副大統領であるとかあるいはボルドリッジ商務長官であるとか、アメリカの政府の高官と本当に歯にきぬ着せぬ議論をしたわけでございますが、結局そういうふうな言い方をすることが争いでなく自由に闊達な議論の交換をするということが今後の日米経済問題の摩擦の解消に一番役立つことではないかと思うのでございます。今石井委員のおっしゃった例えばローカルコンテント法案の成り行きにつきましても、これはレーガン大統領自身が反対している。通産省といたしましても、あらゆる機会にこのローカルコンテント法は日本のためにまずいよ、ならぬよということを口を酸っぱくするようにしてこれが成立しないような努力をいたしておるわけでございます。ユニタリータックスの問題にいたしましても、これは州の問題ではございますけれども、通産省といたしましても私を初めあらゆる機会にこの法律の不合理性というものを訴えているわけでございまして、さらには耕作機械あるいは鉄鋼の提訴の問題にいたしましても日本の立場を我々は強く訴えて、この事の成り行きに対して非常に関心を持っている、適切な処置が行われるようにしてもらいたいということは堂堂と私たちは言っているわけでございまして、今後もこの努力をさらに進めていく所存でございます。
  118. 石井一二

    石井一二君 この問題についてはさらに深く論議をしたいところでございますが、時間の制約もございますので、一たん先へ行ってもし時間が余ればもう一度この問題について触れたい、そうも思うのでございます。  次に具体的な問題として、シンガポールの石油化学プロジェクトの追加出資について若干伺っておきたいと思います。  御案内のごとく、この問題はシンガポール石油化学事業に対する政府の追加出資というものが昨年の九月二十一日に政府が日本側の追加出資分二百七十九億円のうちの一六・五%に相当する四十五億八千万円を負担することで最終的に決着された問題でございますけれども、操業はこの二月ごろと聞いておりましたけれども、現在どうなっておるか、またうまくいっておるのかどうか、ちょっと承っておきたいと思います。
  119. 柴田益男

    政府委員(柴田益男君) シンガポール石化プロジェクトにつきましては、昨年の九月に基金からの追加出資の決定等を受けまして今年の一月に資本金の払い込みを完了いたしました。二月十八日より操業を開始いたしまして現在順調に稼働しております。
  120. 石井一二

    石井一二君 順調に稼働いたしておりますと、そういうお答えでございますが、どうも私はこの問題を取り巻く世論と申しましょうか、マスコミ論調を見ておりますと、いろいろと問題点を指摘される節が多くあり過ぎるんではないか、そのような懸念がいたすわけでございます。例えば、私はここに二つの雑誌のコピーを持っておりますが、一つは「エコノミスト」八三年十一月八日号、「疑問残すシンガポール石化の決着」、毎日新聞経済部の柿崎紀男氏の論説でございます。もう一つは「世界週報」八三年八月十六日、「日本政府も重い腰上げる」「難問山積のシンガポール石化事業」山田信太郎、同誌経済部の記者がお書きになっておるものでございます。非常に順調にうまくいっておるものであれば、よく関係者に説明をされて、このような記事が余り出ないように心がけるべきではなかろうか、そのように思うわけでございますが、若干こういった論点からの注目すべき点をとってみますと、例えば一つの主張というものは、「当時、すでに一人当たり国民所得が一〇〇〇ドルを超える中進国・シンガポールに、本来発展途上国向けの海外経済協力基金を振り向けるのは妥当ではない」、こういった意見があるわけですが、通商政策局長はこれについてどのようにお考えになっておるか、お伺いしておきます。
  121. 柴田益男

    政府委員(柴田益男君) シンガポールは発展途上国でございまして、基金の出資の対象になる国と理解しておりまして、その点の法律上の問題はないというふうに理解をしております。
  122. 石井一二

    石井一二君 今の御答弁をそのままお受けしますと、マスコミのお書きになった方がそういうことを御存じなかったと、そういうような理解にもなりかねないわけでございますが、そう解釈すべきでございましょうか。
  123. 柴田益男

    政府委員(柴田益男君) シンガポールは発展途上国の中でもいわゆる中進国に属する割合に工業化の進んだ国でございまして、発展途上国の中では経済状態がいいということではございます。そういう意味におきまして経済協力のやり方につきましては十分慎重にやるべきだということではあろうと思いますけれども発展途上国であることは間違いございませんで、そういう意味では問題ないと、こういうふうに理解しております。
  124. 石井一二

    石井一二君 他にもナショナルプロジェクトと言われるもので、現在、今後の経営的な危機がうわさをされているものが幾つかございます。もちろん我が国は先進国であり、世界的な観点からこういった国の育成に努力をしなければならないわけでございますから、多少のことは無理をし、また彼らも一生懸命やってもらうし指導もしていく、そういう根本的な考えがあってしかるべきでございます。ただ、そこに一つのルールと慎重さがなければならない。そういう指摘もまた私は正しかろう。そのように思うものでございますが、そのような観点で具体的に今申したほかにもというものは例えばイラン・ジャパン石油化学、アマゾンのアルミ製錬、ウジミナス製鉄所、日伯紙パルプ資源開発等々もいろいろと今後の成り行きが注目されておるわけでございます。ここら辺についても十二分な御配慮をいただきたい。もし何か御意見があれば承っておきたい。余り細かなことは今は結構でございます。局長いかがですか。
  125. 柴田益男

    政府委員(柴田益男君) イラン石化につきましては、御案内のようにああいう戦争状態にございまして、今工事が中断しているわけでございますけれども、本件につきましてはイランと三井物産の間で話ができておりまして、今後の資金負担は一切イラン側でやるということで日本側は技術面の協力をするということになっておりまして、戦争がおさまれば工事の再開に着手すると、そういう状態になっているわけでございます。  それから今お話ございましたブラジルのウジミナスでございます。これは確かにおっしゃったように一九六二年に操業いたしまして途中は非常に配当したりしていいときもございましたけれども、現在は債務超過状態でございまして、最近におきましてはそのために追加増資の要請があるわけでございますけれども、日本側は既に失権しておりまして、そういう追加増資の要請に対しては現在は応じないという対応で進んでいるところでございます。  それからアマゾン・アルミにつきましては、これはまだ工事建設中でございまして、来年に操業することになるというふうに理解しております。ただ、このアマゾン・アルミにつきましても追加増資というような問題はまず出てこないだろうというふうに我々は現在予測しております。  それから日伯パルプでございますが、二つのプロジェクトございまして、一つはパルプの生産、もう一つは造林でございますが、パルプの生産の方は今利益を上げておりますが、造林の方は若干当初の計画を修正してこれから操業再開に向けて準備を進めるというふうに理解しております。
  126. 石井一二

    石井一二君 ここで一たん通産の方から公取委員長に若干の意見を申し上げて御所見を承りたい、そう思うものでございます。  先ほど来申し上げておりますように貿易摩擦問題との関連で我が国の市場が閉鎖的であるとの批判もなきにしもあらずでございます。このような批判を少しでも緩和するために公取委員会が独禁法の解釈並びに活用の面で積極的に取り組まれるべきである、私はこのように考えておるわけでございます。ここに一冊の小冊子がございます。「最近の審査業務の状況について」昭和五十九年二月二十一日、公正取引委員会事務局、こういうものでございまして、最近の活動状況、特に公取委がとられた法的処置の違反事件というものがいかに多岐にわたるかということが物語られておるわけでございます。すべてを御紹介するだけの時間的余裕もまたその必要性もないわけでございます。例えば「価格カルテル事件」、「受注予定者決定事件」――官公需の場合、民需の場合、「再販売価格拘束事件」、「自由業に関する事件」、「政府規制関連業種に関する事件」、そしてその他として、我我の記憶にも新しいソーダ灰の輸入カルテルの事件であるとか、三越の行った優位的地位乱用の事件等々がいろいろ書かれておるわけでございます。  私は、ゼロシーリングあるいはまた行政改革といったような予算、人員での削減の中で最大の効果を上げるということは、ただ単に今までと同じようなことの継続を、のほほんとやっておったのではなされない、そう思うわけでございます。特に最近我が国を取り巻く環境というものは、ソフト化、サービス化といったような構造的な変化、先ほど来申し上げておりますような国際化の進展、産業構造の高度化や技術革新、いろいろあるわけでございますが、本来の独禁法の目的である公正かつ自由な競争を維持、促進していくために、今後の取り組み方についての決意と具体的なお考えがあれば公取委員長の御所見を承りたい、そう思うんでございます。
  127. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 特に貿易摩擦問題との関連で、独禁法の運用を積極的に行うべきでないかというお示したというふうに伺いました。その点につきましては、私どももかねてから非常に関心を持っておりまして、大分前のことになりますけれども、五十七年に対外市場開放政策というものが出ましたときに、その中で輸入関連事件を重点的に審査をする、それから流通機構の調査をする、企業集団の調査をするというような項目を決めまして、それに従って仕事を進めてまいったわけでございます。その結果を昨年公表をいたしまして、その要旨はいろいろございますけれども、細かいことを省きますと、輸入関連の事件の重点的審査をやったものにつきましては排除措置を命じた。そのほかの調査をしてみました結果は、流通機構が閉鎖的状況にあるというふうに、独禁法の立場からはそういう事例が認められなかったということになるわけでございますけれども、そういう結果をかなり詳しく英文に訳しまして各国の政府にも送りましたし、必要な求めに応じて説明もしたわけでございます。  昨年の秋にアメリカ及びECの競争政策当局と私意見交換をしたわけでございますが、そのときにもこれらの対外市場開放対策というものについての競争政策上の取り扱いについてはかなりの満足というものが表明されております。今後とも、今お話のありましたように、非常に構造的な変化の兆しが出ております経済に適応しながら、殊に市場の開放のために独禁法の積極的な運用ということをやっていきたいというふうに存じます。
  128. 石井一二

    石井一二君 次に、LNG輸入に関連したエネルギー政策について再び通産の関連にお聞きしたいと思いますが、たまたま今ブルネイの国王もお越してございますが、我が国はかなりの量のLNGを輸入さしていただいております。貴重な我が国エネルギー源でございまして、特にインドネシアがその半分以上、五〇・九%という実績を上げておるようでございます。私は、このLNGの輸入というものが極めて長期的な契約である。エネルギーの少ない我が国にとってはありがたいことであるわけでございますが、その価格の決定方式と供給条件に対する硬直性という面でいろいろ論議があるようにかねてから仄聞をいたしておるわけでございます。  例えば、ここに「長期エネルギー需給見通しエネルギー政策の総点検について」の答申というものがある。昭和五十八年八月に、非常にこれは名前の長い団体でございますが、総合エネルギー調査会基本問題懇談会基本政策分科会というのが一つと、もう一つ総合エネルギー調査会需給部会と連名でなされておるわけでございます。そしてその指摘事項としてはっきりと書かれておることは、「石油代替エネルギーの資源開発のうち、天然ガス(LNG)については、供給条件の硬直性の緩和、価格の低廉化に努力すべきである。」ということが一つと、「今後の天然ガス(LNG)資源開発における基本的な課題は、石油と熱量等価で硬直的にスライドする価格決定方式の見直しと供給条件における硬直性(テイク・オア・ペイ条項)の緩和である。」、このように書かれておるわけでございます。私は先ほどたまたまブルネイがどうのこうのという言葉を申し上げましたけれども、この国を具体的に見てみますと、LNG輸出は我が国がすべて買い上げさしていただいておる。同国の天然ガス生産量のうち九七%を我が国がいただいておる、そういった状況でございます。俗っぽい商売的な青い方をするならば、我が国が買いたたこうと思えば買いたたける。決してそれはよいことではないと思います。なぜならば、基本的にこのように二十一世紀の初頭にはLNGの埋蔵が枯渇するであろうと言われておる国に対してもっともっと工業化を促進するためのお手伝いもしなければならぬ、そういった国際的な使命も我が国にあるわけでございます。だがしかし、反面公共事業、特に電気料金の代金という面でいろいろそういった物価政策の面からも必要以上に高くは買えない。そういったいろいろな観点がある中で、私は今後長期契約であり、同時に基本的な我が国エネルギー源であるこのLNGの価格について何らかの考察がなされるべきときがあってしかるべきだろうと思っておりますけれども、この辺に関する大臣あるいは担当局長の御所見を承りたい、そう思います。
  129. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) LNGの購入計画そのものは民間ベースのものでございますから、通産省がこれに指導をするということにはおのずから制約があるわけでございます。しかしながら、LNGがクリーンなエネルギーであるという点に着目しながら、昨年八月の総合エネルギー調査会において価格であるとか、あるいは契約条件の見直しをすべきという指摘があったわけでございますから、委員もおっしゃるような対策を今後進めていく所存でございます。
  130. 石井一二

    石井一二君 余り私の質問が大き過ぎて短い時間で十二分に答えられないと思いますし、またこうでなければならないといったような具体的な答えの決め方も難しいと思いますが、基本的に私が質問の中で申し上げた再考の必要性というものを加味して今後行政を推進していただきたい、御要望を申し上げます。  最後にもう一つだけ、若干自由民主党としての時間が余っておるようでございますので、もう一つだけお伺いをさしていただきたいと思います。  それは我が国のプラント輸出についてでございます。最近我が国のプラント輸出の実績が大幅に落ち込んでおる、このように聞くわけでございまして、その原因としてカントリーリスクが増大しておるとか、発展途上国の債務の増大があるためにむしろ売り控えるべきである、そのような意見もあるわけでございます。また事実通産省が管轄されております輸出保険特別会計の収支の状態も極めて悪いように考えておるわけでございますが、外国の政府のやっておる輸出保険でカバーできるが、我が国はできないといったようなまた特殊事情があるというのも、私は先進国日本としてはおかしいのではないか、そう思うわけでございます。ちなみにいろいろな文献等を見ておりますと、保険の付保、融資ができずに商談を断念した具体的な例として次のようなものが活字となってあらわれておるわけでございます。例えばスーダンの白ナイル石油化学公社からのユニティー油田の原油生産設備とポートスーダンまでのパイプライン約一千四百五十キロメートルの建設約六百億円、リビアの大型燃料プラント約一千億円、同じくリビアの淡水化発電商談約一千三百億円、コロンビアのメデリン都市交通プロジェクト約一千五十億円等々が具体的な名前として私がいろいろな関連書物、新聞を読んでおりますと挙がっておるわけでございますが、このプラント輸出の落ち込みと輸出保険との関連について若干の御説明を賜りたいと思います。
  131. 柴田益男

    政府委員(柴田益男君) 最近の我が国のプラント輸出実績につきましては、昭和四十年代には大体年平均四〇%強の高い伸びを示しておりましたものが、五十年代に入りましてこの伸びが鈍化してまいりまして、五十六年度の実績で百七十五億ドル、これがピークでございまして、その後五十七年では二二・八%減というふうに落ち込んでいるわけでございます。五十八年度に入りましてもさらに大きな減少を示している、こういう状態でございます。これは、今先生のお話ございましたように、発展途上国の債務累積問題等、あるいは産油国の開発計山の繰り延べ等の影響のためにこういうふうに輸出が落ち込んでいるということでございます。  今後の見通しにつきましては、依然として厳しい状況にあるというのが一言で言える状況かと思います。これに関連いたしまして輸出保険との関係でございますけれども、こういう状況のときにこそやっぱり輸出保険というものはその機能を発揮すべきだということはまことにごもっともだと思いますし、今輸出保険法の改正でその仕組みについて国会の方で議論いただくことになっておりますけれども、そういう法律改正を踏まえて、今後輸出保険の逆用につきましてはできるだけ弾力的、機動的にやってまいりたい、そういうことで今省内議論を進めているところでございます。
  132. 石井一二

    石井一二君 今国会に法律の改正案も提出しておる、そういうことでございますが、今国会に提出されておる法律改正については今後議論されるべき問題でございます。それはほんの一部しか、私が今申しておる、でき得ればもっともっと大きな改正の余地があるのではないかということをカバーしていない面もあるように私は感ずるわけでございます。私は、先ほどお伺いしましたように、我が国の輸出保険でカバーできなくてほかの国のではカバーできるという具体的な事実があるために商売を逃がしている面もあるというように理解をいたしておるわけでございます。その辺の説明をもう少し詳しくできればいただけないか、そう思うわけでございます。
  133. 柴田益男

    政府委員(柴田益男君) まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、単に法律の改正でカバーするだけではなくて、むしろ運用を非常に弾力的にやっていく面が非常に効果が大きいということも事実でございます。それで、今省内の勉強会におきましては、他の国でどういうふうに適用しているのか、日本が適用してない場合にはそれはなぜできないのか、その辺のところも今詰めておりまして、できるだけ他国並みの積極的な保険の適用ということで運用してまいりたいという努力をいたしておるところでございます。
  134. 石井一二

    石井一二君 では、局長の英断をおまちいたしております。  最後に、不公正な輸出について通告をしておったわけでございますが、先ほど松岡委員から質問もございました。大同小異でございますので、割愛をいたしまして、以上で私の質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。
  135. 伏見康治

    ○伏見康治君 私は、原子炉部品の輸出問題と、それからサンシャインというようなものを中心にする新しいエネルギーの研究開発に関することと、それから有明鉱のような産業に付随している安全の問題、この三つのことについて御質問申し上げたいと思います。  最初は、まず原子力機器の輸出に関してでございますが、私は三十年前に原子力の平和利用を守るための三原則というのを唱えさせていただきまして、ちょうど中曽根総理が原子力に対して関心をお持ちになって、その三原則を原子力基本法の中に盛り込んでいただいたという経緯がございまして、原子力の平和利用限定については非常に強い関心を持っておりますので、その立場から近ごろ中国に対して原子炉の圧力容器を輸出するということに関してお伺いいたしたいと思います。  よそへ原子力部品を輸出する際にはやはりちゃんとした原則を立ててそのもとにやりませんと、それが先へいってどう使われるかわからないという不安がございます。まず、どういう条件のもとに中国に圧力容器を輸出するようになったかという、その条件をひとつ御説明願いたいと思います。
  136. 豊島格

    政府委員豊島格君) 我が国が中国との関係、友好関係を保っていくために中国の原子力開発に協力すると、これは非常にいいことでございますが、先生指摘のように日本には原子力の平和利用という大原則がございまして、これを機器を輸出する場合にどうやって確保するかということでございます。このために私ども日中政府間で平和利用をどのように確保するかということで交渉を続けたわけでございますが、去る三月十六日にまず輸出される圧力容器が平和目的に限って使用されるということ。それから第二に、日本側関係者が中国の施設を訪問することができるということを内容とする政府間の関係の当局間の書簡の交換が行われたわけでございます。したがいまして、この書簡に基づきまして、まずその圧力容器が平和目的に限って使用されるということを中国側が約束するということ。それから第二に、中国側の施設へ日本側が要するに訪問をして、その圧力容器が輸出された、具体的には秦山発電所でございますが、そこに設置されてちゃんとそれでそこで利用されているということなどが確認されるということ。この二つで私どもとしては平和利用が確保されていると、このように考えておる次第でございます。
  137. 伏見康治

    ○伏見康治君 有名なNPT、ノン・プロリフェレーション・トリーティーというところで考えておりますものでは、原子力が悪い方に使われないように査察をするという制度ができて、相当多くの国々がその査察を受け入れていると思うんでございますが、中国がそういう査察というものをいわば拒否したというふうに伺っておるんでございますが、その辺のことはどういうふうになっているんでございましょうか。
  138. 豊島格

    政府委員豊島格君) ただいま先生の御指摘のように核不拡散条約といいますか、そういう観点から言いますと、これ以上核の兵器の広がりを防ぐということでございまして、中国もIEAに参加するということで正式に参加したわけでございます。ただ、その条約ないし考え方は、核保有国以外のところが新しく核を持つということを抑えるというのが基本でございまして、したがいまして、その査察というのも基本的には核保有国以外に適用されるというのが本来の条約の趣旨でございまして、したがって、もちろん中国としても自発的にその査察を受けるということは可能であるということで、そういうことをしておる国もあるわけでございますが、現在の中国の立場としては絶対必要でないものにまで、いわば主権の問題もありましょうし、そういうことでそれに応ずることはできないということを建前としてとったわけでございます。したがってそのこと自身はやむを得ないことかと思いますが、そういうことであれば、それにかわる方法でどのようにして平和利用が確保されるかということで、我々としていろいろ相互に協議して合意を得たのが先ほど申し上げたような中身でございます。
  139. 伏見康治

    ○伏見康治君 よその方がプライベートといって言われたことを引用するのは間違いかもしれないんですが、原子力委員のお一人である西堀さんが原子力新聞に書かれたところを見ますと、中国側がほかの国々と同じようなボランタリーサブミッションという立場をとるべきではないか、それがだめならばこの話を中断するのもやむを得ないのではないかというような意味のことを書かれていたと思うんでございますが、その点とうお思いになりますか。
  140. 豊島格

    政府委員豊島格君) 中国側としてはこの話ができる前の状態で、例えば西独とかフランスとかそういうところは必ずしもそういうことを要求してないということを言ったような事実はあったかと思いますが、それがないから、そういうことだから日本はそういうことを主張しては困るというようなことを言ったわけではないわけでございまして、中国の基本的な立場が先ほど申しましたようないわゆる主権との関係であるとか、まあボランタリーのもので受けてやるということは中国も政策としてとらないということが中心でございまして、そういう政策をとっておる国に対していかにして現実的に平和利用を確保するかということを我々として考えたわけでございまして、ただそういう日本が要求するとどうこうということが直接の原因ではないと私は思っております。
  141. 伏見康治

    ○伏見康治君 いろいろなことのバランスの上から出てきた配慮だろうと思うんでございますが、ただ相手が中因だけで済めばいいわけなんでしょうが、お隣の韓国であるとかその他のいろいろな国々がまた同じような商売の話し相手になってくるかもしれない。その場合に中国というのが一つのお手本になってしまって、その緩い立場というものがそのまま広がってしまうというようなことが起こりはしないかということをいささか心配するわけですが、この話は中国だけのことであるといったような例えば保証はあるんでしょうか。
  142. 豊島格

    政府委員豊島格君) 今後どのようなケースが起こるかということは今後の問題でございますが、IAEAに入っております国は、特に核保有国以外であれ、今御指摘のような国であれはすべてIAEAの査察を受けるということをいたしておりますので、中国のようなこういう特殊なものが前例となることはないと私どもは見ております。
  143. 伏見康治

    ○伏見康治君 なお一層原子力三原則を守るような立場で友好努力してくださることをお願いいたしたいと思います。  もう一つ、例えばアメリカから日本がいろいろなものを買う場合には、原子力協定という非常に包括的なまず協定がございまして、その中で個々の取引が行われていると思うんですが、中国とはまだそういう原子力協定というものは結ばれてないと承知しておりますが、近いうちにそういうものをおつくりになる準備はあるんでしょうか。
  144. 豊島格

    政府委員豊島格君) 今後日本と中国との間で原子力分野における協力を進めていくという場合においては協定というものがあった方がいいということは日中双方とも考えておりまして、どういう内容で、またどういうパターンのものをつくるかということについては数度協議をいたしております。したがいまして、そういう方向で現在進められておると御理解をいただいて結構かと存じます。
  145. 伏見康治

    ○伏見康治君 それでは次のサンシャイン、ムーンライト関係の話に移りたいと思います。  日本は資源も何にもないところでございますので、新エネルギーの研究開発というものは日本の将来のために絶えず心がけていなくちゃならない問題だと思うんでございますが、オイルショックということが起こりまして、日本がエネルギー需給においていかに不安定な状態に置かれているかということが国民全体によくわかったわけでございます。幸いにして通産省は非常な先見性を持ってサンシャイン計画というものをオイルショックが起こる以前から計画されておられまして、したがってサンシャイン、ムーンライト計画というものがオイルショックというものに対してある時宜を得た一つのプロジェクトになっているというふうに考えて、その点大いに評価いたしたいと思うんでございますが、しかしオイルショックも一応通過してしまった。通産省の御指導によるんでしょうけれども、日本の要するに工業界、産業界というものは、オイルショックに対していかに省エネルギーを実現するかといったような点で、大変世界中が目をみはるような見事な転換ぶりを示したわけでございますが、とにかくオイルショックの峠は過ぎてしまいました。したがってサンシャインやムーンライトというプロジェクトに対して国民が無条件にお金を出すというような時代ではなくなってまいりまして、ある意味では、いかにして一時のブーム的な新エネルギー研究開発をどう収束させるかということが問題になるような時代に入ってきたと思うんでございますが、通産大臣にそういう、収束と言うと言い過ぎかもしれませんが、多少ブームの時代に行き過ぎた面をいろいろ補正していかなくちゃならないということに対して、何か哲学と申しますか、方針のようなものをお持ちにならないとうまくいかないんではないかと思うんですが、そういうものについての御意見、御高説を承りたいと思います。
  146. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 我が国エネルギーというものは、非常に資源の乏しい我が国の立場から他国に供給を求めなければならない。要するに輸入依存度が非常に高い。特に石油そのものに対する依存度が非常に高いということは言うまでもないわけでございます。したがいまして、基本的な政策として石油の安定供給の確保ということはもとよりでございますけれども代替エネルギーの開発導入あるいは省資源の問題等々を行ってエネルギー政策というものを推進していかなければならないわけでございますが、こういう中において委員がおっしゃるような新エネルギーの技術開発ということが当然行われなければならず、このことのいわゆる供給の確保、あるいは多角的な供給源を求めるためにこれを行わなければならないということでございます。しかしながら世界的に石油の需給が緩和してきたと、緩んできたということによってこの計画を今後どうしていくかというような御意見でございますけれども、しかしやはりこれはこれとして我が国エネルギー政策というものを今までどおり進めていくということには基本的に変わりはないわけでございます。しかし、さりとはいって、やはり新エネルギーの開発に当たっては節目節目にいろいろな考え方を加えまして、重点的あるいは効率的にこれに対処していくことが私どもの方針でございます。
  147. 伏見康治

    ○伏見康治君 非常に大きく言えば、まさに大臣の言ったようなことでやっていただきたいと思うんでありますが、とにかく日本としては新エネルギー源を開発するということが非常に重要なことになっていると思いますので、その大きな事情を忘れない。しかし、予算の効率的利用といったような面でのいろいろな整備というのをやっていただきたいと思うわけですが、具体的にはサンシャイン計画の、例えば予算の推移はどういうふうになっているか、この数年間の経緯をちょっと教えていただきたい。
  148. 川田裕郎

    政府委員(川田裕郎君) サンシャイン関係について申し上げますと、現在進めております、四十九年度から発足いたしたものでございますが、重点項目といたしまして太陽エネルギーの開発、それから地熱エネルギー、それから石炭エネルギー、水素エネルギー、この四つの柱を中心にいたしまして進んできております。それでちょうど中間の成果が上がりつつある時点でございますが、ただいま大臣からもお答え申し上げましたように一応評価をいたしまして、重点的にこれから進めていく所存でございます。
  149. 伏見康治

    ○伏見康治君 五十八年度予算と五十九年度予算を比較させていただきますと、私の見るところでは今工業技術院長が言われました水素の項目と、それから太陽エネルギーとの関連で減っている要素があると思うんでございますが、それはどういう事情かを御説明を願いたいと思います。
  150. 川田裕郎

    政府委員(川田裕郎君) その時点で、ただいま申し上げましたようにいろいろ見直しをいたしまして、予算的にもいろいろ厳しゅうございますので、我々なりに重点的に絞りまして、ただし必要な技術開発については我々進めていく所存でございます。そういうことで重点的に絞ってやったということでございます。
  151. 伏見康治

    ○伏見康治君 その重点的におやりになる上で重点でないものが落とされたと思うんですが、そのまず第一で太陽熱発電、四国の仁尾町ですか、そこで行われている太陽熱発電の計画というものが今収束しつつあるように伺っておるんですが、この収束という意味には、つまり十分な成果が得られたからやめるという意味合いと、それから余り思わしくないからやめるというのといろんな意味合いのやめ方があると思うんですが、どういうことでこれをおやめになるかというそのことを一つ。
  152. 川田裕郎

    政府委員(川田裕郎君) 御指摘の点でございますが、御承知のように太陽エネルギー関係につきましては熱発電、それから光発電、いろいろ進めておりますが、この仁尾町でやりましたプラントにつきましては、私ども太陽熱を使って発電するということで進めてきておるものでございます。これはいろいろ技術的にも難しい問題がございまして、まず基礎的な研究は四十九年度から進めてきたわけでございますが、実際仁尾町につくりましたのはパイロットプラントで、いろいろ基礎的な技術を開発しようということで建設をして研究的段階を進めてきたわけでございます。それにつきまして、実用化上の技術的な問題とか、それから経済性、そんなようなことの要素研究を進めてまいりまして、一応それらの研究は昨年度で終わることになっております。それらをまとめまして、いろいろまた技術的な問題が残されておりますので、これは基礎的なところからもう一遍見直さないといけないと思っておりますので、そういう点については基礎研究としてまた別に進める予定になっております。
  153. 伏見康治

    ○伏見康治君 端的に申しまして、仁尾の太陽熱発電所というものは一つの失敗であったと私は思うんですが、院長としてはそういうふうにはなかなか言いがたいだろうと思いますが、私の見るところではそういうことではないかと思います。  それで、それは一つは太陽熱というものの根本的な性格に対する十分な理解が欠けていたんではないかという感じがするわけです。太陽というのはまんべんなく地上に降り注いでいるという、希薄に方々に散らばっている。集めれば大きなことになるんでございましょうけれども、部分部分に散らばっているというのがまず一つの大きな特徴でございますね。  それから第二の特徴は、そういう意味では大変結構な性質なんですけれども、しかし太陽というのは夜は照りませんし、雨が降ったり曇ったりすれば照らないという意味の非常に文字どおりお天気屋であって、そういう意味では頼りにならないエネルギー源である。そういう頼りにならないエネルギー源を使おうとするのにはそれなりの使い方があるはずだと思うんですが、太陽熱発電というのはそういう意味でまずい使い方ではなかろうかとまず第一に感ずるわけです。  その第一の観点、まず広がったエネルギーであるというものでございますが、例えば電気のようなものを私たちは各家庭で使っておりまして、つまり消費者は広がっているわけです。発電所というものが真ん中にありまして、一ところでつくったエネルギーを方々に分散して使っておるわけですが、太陽のエネルギーというものは初めから分散しているわけですから、分散したままでそれぞれのところで利用するというのが建前ではなかろうかと思います。その分散したものをまたわざわざ一ところに集めてきて、さらにまた針金を使って電気を分配するといったようなことは何か非常にまずい話ではなかろうかというのが第一。  それから第二番目のその頼りにならない、つまり昼夜があり、晴曇があるという状態での太陽エネルギーの利用にとっては、エネルギーを貯蓄するということが非常に重要な役目だと思います。つまり、太陽熱発電をやるのでしたら、気まぐれにやってくるエネルギーをちゃんと蓄えておいて必要なときに出すというそういう要素が非常に大事だと思うのですが、その辺のところはこの太陽熱、仁尾の太陽熱発電プラントの計画ではどういうふうに考えておやりになったかということを伺いたい。
  154. 川田裕郎

    政府委員(川田裕郎君) ただいま御指摘の点ごもっともでございます。太陽の光は非常にまんべんなく注いでおりますが、その部分部分においては先生おっしゃいましたように非常にエネルギーとしては薄いものでございますが、我々としては熱発電の場合にはそれをできるだけ集めて比較的大型、いわゆる本当の大型ということではなくて、比較的大型の熱を集めまして発電をするということで進めておるものでございます。既にこれなどはアメリカそれからフランスなどにおいても同じようなことが行われておりまして、我々としてはこの段階におきまして割合比較的技術開発が容易ではないかということで始めたものでございます。そういうことで薄いものを集めるという点問題がございますが、我々なりに検討をしまして、中規模的なものの基礎的な研究を進めたということでございます。その点については、先生おっしゃった点につきましては、また我々も今後十分検討して基礎研究の方に生かしていきたいと思っております。
  155. 伏見康治

    ○伏見康治君 何か新聞によりますと、わざわざ皇太子殿下に見学に来ていただいて、そのときにうまく発電ができなかったというお話がございますが、多分天気の気まぐれの犠牲になったんだろうと思うのですが、ということは先ほど申し上げた太陽のエネルギーの蓄熱といいますかね、熱ならば蓄熱、それ以外の蓄エネルギーというのがあると思いますが、そういうふうにためるということ、それに対して十分な考慮がなされていなかった一つの証拠になるのではないかと思いますが、どうお考えになりますか。
  156. 川田裕郎

    政府委員(川田裕郎君) その点につきましては、蓄熱については当初から一応我々なりに考慮をして進めておったわけでございます。これは太陽熱の場合には先生おっしゃいましたように曇ったりあるいは雨が降ったりということでございますので、常時熱を集めるということはできません。したがいまして、どうしても蓄熱という技術は必要になってまいります。ただし有効な熱を蓄熱して大量の熱を蓄熱するという方法につきましては、さらに基本的な技術から開発しなければならないという問題点は確かにございます。その点につきましては、我々今後の基礎研究として進めていく予定にいたしております。
  157. 伏見康治

    ○伏見康治君 この太陽熱発電で行われましたいわば部品と申しますか、個々の部分についての研究成果は、私は相当上がっていると思います。例えば太陽熱をよく吸収する選択吸収面といいますか、そういうものの開発であるとか、あるいは先ほど来問題になっている蓄熱の新しい物質を考えたとかいうような意味でいろいろないわゆるスピンオフ、あるプロジェクトをやりますというとそのプロジェクトが全体としては必ずしも満足することでなくても、その部分部分の研究でほかの場合にも利用されるようなものが出てくるというスピンオフという効果があると思いますが、その点で私は太陽熱発電のこのプロジェクトをアプリシエートしたいと思うのでございますが、ただ、プロジェクト全体としてはその目的を果たさなかったと私には考えられるわけで、こういうものを予算上お取り消しになってそれを収束させるということに対しては私は賛成いたしたいと思うわけですが、ただそういう失敗と私はあえて言いたいんですが、そういうものの教訓を次のプロジェクトに対して十分に生かしていっていただきたいというのが私のこういうことを申し上げる理由でございます。  それからもう一つの問題として、水素エネルギーの方の問題をお伺いいたしたいんですが、この方の予算がどかっと減ったように伺っておりますが、これはどういうプロジェクトを落としたんでしょうか。
  158. 川田裕郎

    政府委員(川田裕郎君) これは水素製造プラントの中で高温高圧水電解水素製造プラントというものの実証プラントの前段階としての研究を行ったものでございます。これにつきましても、基本的な基礎実験を進めてまいったわけでございますが、実用化の段階におきまして、いわゆるステージアップ、それを容量を大きくするような開発段階にいくにはまだ技術的な問題が多いということで、一応ステージアップの計画を中止をいたしまして、これも基礎的な問題からの研究を続いて行うべきであるということで、基礎的な研究として引き続き行っていく予定にいたしております。
  159. 伏見康治

    ○伏見康治君 これは全く釈迦に説法ですが、ただこの席にはいわゆる専門家でない方々もおられますので申し上げておきたいんですが、水素エネルギーというと、それが実は二次エネルギーのことであることをとかく世の中の方は間違えて、つまり石油とか太陽とかいう一次エネルギーと混同なさってそういう新しい一次エネルギーが問題になっているというふうにお考えになる点が非常に多いと思うんですが、そういう誤解がないように水素エネルギー計画を進めていただきたいと思うんですが、まずほかの一次エネルギーをつくるということが研究の対象になる。それから、できた水素をどう貯蔵するかという、あるいはそれをどう輸送するかといったようなことが研究の対象になる。それから最後に、水素をどう使うかということが問題になるというそういう三段階で水素のエネルギーの研究が始まると思うんです。水素の大きな魅力というのは、管を通して流しますというと、途中のロスがなしに相当遠方までエネルギーを伝達することができるという点。それから、燃やしたときにただ水ができるだけですから完全に無公害な燃料であるといったようなところが非常に大きな特徴であろうと思います。一番初めの、水素を一次エネルギーからつくるというところで今おっしゃいましたのは、計画が途中で立ちやみになったというのは、電気を使って高温高圧の状態の水を電気分解して水素をつくるというお話だと思うんですが、電気そのものが既に二次エネルギーなわけですね。その二次エネルギーをまた別の二次エネルギーにかえるということに何か余り重要性がないように思うんですが、その点はいかがでございましょうか。
  160. 川田裕郎

    政府委員(川田裕郎君) 確かに先生のおっしゃったとおりでございますが、我々といたしましては、水素にかえておくということによってエネルギーの貯蔵ができるであろうというようなねらいもございまして、場合によりますれば余剰の電力ども使って水素にかえておいて、今先生がおっしゃいましたように確かにためるとかいろいろ技術的な問題がございますけれども、そういう点が解決されれば一応エネルギーの貯蔵という形で利用できるのではないかということで進めたわけでございます。
  161. 伏見康治

    ○伏見康治君 このプロジェクトがおしまいになるというのは一つの成果が得られたからおしまいにするというふうに理解したいと思うのでございますが、ところがフランスやアメリカでは同じようなプロジェクトが続いて研究されているようにも伺うわけですが、日本だけやめるというのは諸外国との比較においてはどういう考え方なのでしょうか。
  162. 川田裕郎

    政府委員(川田裕郎君) 基本的には中止をするということではございませんで、基礎的な問題を解決をしながら、もちろんそのエネルギー情勢などを見てそれで開発を進めていくということでございまして、我々としても全然やらないということではございません。
  163. 伏見康治

    ○伏見康治君 別の電気による水の分解法でSPE固体高分子電解というお話があるようでございますが、こういう面も研究されているわけでしょうか。
  164. 川田裕郎

    政府委員(川田裕郎君) おっしゃるとおり、非常にこれは基礎的な研究から開発しなければならない問題でございますので、我々の研究所サイドで基礎的なところから進める予定にいたしております。
  165. 伏見康治

    ○伏見康治君 そのほか熱化学法による水素の生成の研究とか、あるいは水素を取り扱う上での金属水素化合物の研究とか、基礎的にやるべきことはなお今後も非常にたくさんあると思いますので、そういうエネルギーシステムとしての水素のエネルギーを研究するのがやっぱり究極の目的だとは思うのですけれども、その手前の基礎的な研究を財政不如意の折から細かい基礎研究を続けてやっていただいて、やがてそれが十分自信が持てるような段階にシステムとしての水素エネルギーシステムの研究をやっていただきたいということを希望して、水素に関する御質問を終わりたいと思います。  そういうことを例題にして一つお伺いいたしたいのは、いろいろなプロジェクトを立てまして、それが何年かたってそして収束させるという、収束させるのに先ほど申し上げましたようないろんな意味合いでの収束の仕方があると思うのですが、それを何か具体的な問題一つ一つについて考えるというのももちろん大切ではございますが、ただ日本人の場合には、具体的な問題に即して考えますというと、人情極めて厚くなって、結局やり始めたものはやめられないといったようなことになりかねないという感じがいたします。  例えば仁尾の発電所のようなものをやめるということにいたしますというと、仁尾町の方々は大変迷惑なさる。それで、仁尾町のために続けてやりたくなったりするわけでございまして、日本人は人情極めて細やかなものですから、一度始めますというとなかなかやめられなくなるというわけですね。それで、やめるべきものをきちんとやめるということのためには、あまり現実の課題を目の前にしない前に、やめるということはどういうことであるのか、どういうときにやめるのかという、そういうクライデリオンと申しますか、物差しをつくっておくべきだと私は思うのでございますが、工業技術院長としてはどうお考えになりますでしょうか。
  166. 川田裕郎

    政府委員(川田裕郎君) 確かに先生のおっしゃること非常に重要なことでございまして、特に我我これから技術開発をする上においては、その点十分注意をしてやってまいりたいと思っております。特にエネルギーにつきましては、私どもいろいろ検討すべき評価基準というものを設けておりまして、これは数値的に云々ということではなくて、経済性とかあるいは技術的な可能性とか、もちろん技術開発におきましても基礎的な段階とそれからパイロットプラントの段階、あるいは実用化するためのモデルプラントの段階、それぞれの段階によって違ってまいりますが、その段階に応じまして、それぞれ研究会あるいは私ども審議会においていろいろ御検討いただきました評価の項目というものをつくっておきまして、それを順次つぶして、それでこれは続けるべきかあるいはステージアップを中止すべきか、そんなようなことを決めるということにいたしております。
  167. 伏見康治

    ○伏見康治君 ありがとうございました。  それでは、サンシャイン関係の話はその辺にいたしまして、次に産業関係の安全性の問題をお伺いいたしたいと思うのですが、大臣のごあいさつの中にも、本会議におけるごあいさつの中にもあったと思うのでございますが、三井有明鉱の惨事で何十人という方がお亡くなりになって、非常に大臣も残念の意を表されておりましたが、私たち全体として、政治家として、こういうことが起こらないように今後気をつけていかなければならないと思うわけでありますが、大臣も引用されておりました伊木東大名誉教授が中心になってつくられましたこの事故の調査の中間報告書というものを私も拝見いたしました。問題点が四つばかり掲げてございまして、それぞれコメントがついていたと思うんでございますが、その書かれておる限りにおいて非常にまじめにちゃんと書かれたものだと思うんでございますが、抜けている面が非常にたくさんあるのではないかという印象が禁じられないわけです。  まず、例えば火災の発生の原因が、ベルトコンベヤーがどっかでこすれて、そこからその付近に落ちていた石炭のくずに燃えついたといったような感じのすることが書いてございますが、ベルトコンベヤーが熱を出して、火災にならないまでもくすぶり始めたといったようなことは、恐らく相当頻繁に過去においてあったのではないかと思うんです。つまりこの有明鉱の中でそういう大事故に至らない小事故ですね、そういうようなものがどういうふうになっていたかといったようなことについての記録はあるんでしょうか。
  168. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) お尋ねのベルトコンベヤーの関係で、火災に至らない段階での何と申しますか、異臭の発生あるいは煙の発生があったということの鉱山保安監督局への通報は参っておりません。
  169. 伏見康治

    ○伏見康治君 それはお役所の方にそういう報告が届いていなかったということだけで、鉱山の当事者は知っていることなんでしょうか、それともそういう事故が絶対に、事故と言わない、事故の生まれる前の現象ですね、そういうものがあった、あったけれども報告されなかったというんでしょうか。どちらなんでしょうか。
  170. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) ベルトに関しましては、回十三年の平和炭鉱の火災事故以降、難燃性のベルトに切りかえを指導いたしまして、ただいまではほとんどが難燃性のベルトを使用いたしておるわけでございます。その意味におきましては、着火は非常にしにくいわけでございまして、その前の段階において、摩擦等によりまして、異臭の発生あるいは煙の発生等があることは当然考えられるわけでございますが、我々の方といたしましては、これまで例えば昨年一年で十回立入検査をいたしておりますが、その段階において捕捉ができたという状況にはなっておりません。
  171. 伏見康治

    ○伏見康治君 お役所の方々が熱心にいろいろと監督されていることは結構なんですが、恐らく、私の想像にすぎないことではありますけれども、その現場の方々というものはお役所にはいい顔を見せるということがあるのではないかと私はひそかに想像をするわけですけれども、そういうことに対してそういうことはあり得ることではあると思うんですが、そういうことはお役所としてはどういうふうに対処なすっているんでしょうか。
  172. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 例えば、鉱務監督官の立入検査、この場合には保安係員及び補佐員が大体、立会といいますか、立ち会ってまいるわけでございます。その構成のメンバーは、労働組合関係の方も保安委員会の一部として当然入るわけでございまして、そういった時期においていろいろ意見交換をしながら立入検査を実施しておるわけでございます。その意味において、十分な意思の疎通、要するに現場におきますいろいろな問題があれば挙げ得るチャンスはあるわけでございます。  それから、立入検査をいたしました報告書というのをまとめまして、会社側に提示いたします。これは改善事項を指摘し、必要なものについては報告をさせるというような改善事項を手渡すわけでございますが、その文書を労働者及び会社側から構成されます保安委員会というのが法律上の義務として設けられておりますが、そこへ提示するということを常に指示しておりまして、そういった鉱山保安委員会の中で十分議論されているんではないかというふうに思うわけでございます。したがいまして、チャンスとしてのいわば組織的な対応はできる状況でございますが、それら全般を完全に掌握しているかということになりますと、やはり限られた人員で対応してまいっておりますので、それについて確信を持ってお答えをするという立場にはございません。
  173. 伏見康治

    ○伏見康治君 この間の事故が起こる前に小さい事故が起こったかどうかというお話を申し上げたんですが、何か新聞によりますと、事故がおさまって再開した直後にまたぼやというか、ぼやに至る前かもしれませんが、その辺のことが起こったようなうわさがあるんですが、その点はいかがでしょうか。
  174. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 再開の前に、切り羽におきますベルトコンベヤーのパワーアップその他入れかえの作業を行ったわけでございます。そのテストの段階で何かトラブルがあったという報告でございますが、調べました限り、そのパワーアップの段階において試験運転中に異臭が発生して、それに対する対応措置をとったというふうに聞いております。
  175. 伏見康治

    ○伏見康治君 細かい点でいろいろ質問したいことがあるんですが、その全部をやると大変なことになりそうですから、二、三代表的なことだけをお伺いいたしたいと思います。  何かこれも新聞記事だかあるいはNHKの報道たかを拝見した限りでは、一酸化炭素を避けるためのマスクがある。そのマスクが一酸化炭素を酸化させるんでしょうから、当然熱が出てきて大変熱くなって、そのためにやけどしそうになって、肝心のマスクをいわばほうり出してしまうというようなケースがあったんだかなかったんだか知りませんが、とにかく非常に熱くなるということは事実のようなんですが、そういうことでは肝心の防護という役目を果たせないのではないかという感じがするんですが、その点どうですか。
  176. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 御承知のように、かつての酸素マスク、COマスクに関しましては、定置式といいますか、切り羽に置いておくことを義務づけておったわけでございますが、いろいろな事故の教訓で各自携帯式に改めるべきであるということで、坑内作業に邪魔にならない小型のものの開発を急いだわけでございます。当初の段階四十二年ぐらいまでの試験研究あるいは炭坑におきます実地試験、こういったものの開発過程におきましては、百度以上の高熱を発するという結果が得られたわけでございますが、それをもとにいたしまして、さらに四十六年から四十八年にかけまして研究開発をしたわけでございます。  その結果は、現段階におきましては、CO濃度一%の状況下におきまして、呼気三十七度という前提のもとに、吸気が六十五度以下に抑え得るというめどがついたわけでございますが、現段階におきましては実際上はほぼ五十八度ということになっておるようでございます。で、この呼気三十七度及び吸気六十五度以下といいますのは、現在COマスクを世界的に供給しております西独の基準とほとんど同じでございまして、今の段階で携帯に便利で、かつ作業に邪魔にならないという前提のもとにつくり上げていくという機器の水準といたしましては、一応世界的なレベルのものではないかというふうに考えております。  今回の事故の教訓でございますが、いろいろ救出者の意見を聞いてみました。救出者のほとんどはCOマスクを使用いたしております。ただ装着に手間取ったという事例もあったようでございますし、同時にやはり息苦しさを感じたという意見もございます。そういう意味で、今後何らかの技術開発というものを急がなければいけませんので、今後そういった点を十分検討してまいりたいというふうに思っております。
  177. 伏見康治

    ○伏見康治君 六十度以下の温度であるということですが、六十度というとおふろの温度ではないわけで、その意味で感じとしては非常に熱いと思うんですが、そういう熱いものになったときに、本能としてはやけどをしてはかなわぬと思ってほうり出すということは十分可能だと思うんですがね。しかしその際、やけどをしてもそれをつけていなけりゃならないんだということが、つけている方に十分教育されているのかどうかという点ですね。つまり、一酸化炭素の方がはるかに怖いんだという、抽象的にわかっていても具体的なところでは熱いものに反応してしまうということが起こりがちだと思うんですが、そういう意味の、機器が立派であるということも大事ですが、同時に機器の性質を、性格というものをよく使う人に徹底しておくということも大事だと思うんですが、その点はどうですか。
  178. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) その点は先生指摘のとおりでございます。確かに、COマスクの高熱化ということは現在の冷却器をつけましても六十度前後になるわけでございますので、その装着が決して愉快なはずがないわけでございます。ただもちろん、このCOマスクというのは短時間の使用を想定したものでございますので、そういった短時間の使用の注意事項というものを徹底しなければ意味がないわけでございます。今回の中間報告におきましても、COマスク等の救命器につきましてその性能を十分使用者に伝える、徹底すること、それからその使用方法の教育を徹底すること、これをぜひやるべきだという提言がございますので、これを受けまして着実にその徹底化を図ってまいりたいというふうに思っております。
  179. 伏見康治

    ○伏見康治君 そういう研究をぜひしていただきたいと思うんでございますが、要するにCOを取り扱う限り、特にそのCOの濃度が高くなりますと当然非常に温度は高くなるはずだと思いますね。今一%のときの数値を挙げられましたけれども、それが例えば一・五%になったときにはどうなるかといったようなことを考えますと、今のそのCOマスクというものが果たして十分満足すべきものであるかどうかという点は相当な疑問があると思います。それで根本的に方針を変えてしまって、例えばそういう際には酸素を供給するようなマスクをCOマスクのかわりにいわば与えるといったようなことも考えられると思うんですが、そういう意味のことはいかがでしょうか。
  180. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) おっしゃるとおり、現在石炭保安のための総合プランを計画をいたしまして災行しておりますが、その一つの大きなテーマに酸素マスクの改善ということでやっておりまして、それが成果が上がればそういった機能を十分期待できるというふうに思っております。
  181. 伏見康治

    ○伏見康治君 同じことは先ほどのベルトコンベヤーについても言えるかと思うんですが、つまり石炭を運ぶのにベルトコンベヤーというのは非常に簡便ないい道具だと思うんでありますけれども、全くの私は素人で、ただ耳学問で教えていただいたんですが、例えば水流の中に石炭を入れて運ぶといったようなことも、あるところでは考えられているということを伺っておりますが、時々火が出るかもしれないものよりは水を使うものの方が安全だろうとは思うんですけれども、そういうことはどういう対処の方針でしょうか。
  182. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 現在主要坑道のベルトに関しましては結節点に水を噴霧できるような状態、要するに霧状にして湿度を高める、もちろんこれは出炭いたします石炭の湿度によって仕様が変わってまいりますけれども、そういった装置が現在あるわけでございます。さらに、それを現在工業技術院の公害資源研究所、公害資でございますが、坑内火災防止という観点から水噴霧帯による火災拡大防止について現在試験研究を進めておりますが、そういったことを含めまして今後の技術開発のテーマだというふうに心得ております。
  183. 伏見康治

    ○伏見康治君 それはその線でやっていただきたいと思います。  もう一つ伺うところによりますと、誘導電話というものがあって坑内でいろいろな連絡に使われていた。ところが、それがどうも余り雑音ばかりでよく聞き取れなかったといったような新聞記事がございますが、その点はどうなんでしょうか。
  184. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 緊急時におきまして誘導電話の利用というのは殺到いたすわけでございまして、完全に機能を十分に果たし得ないという実態は確かにございます。そういった意味におきまして、今回、緊急電話開設の増加等によりまして、そういった現場と中央指令室との連絡体制を強化するというような施設の整備を進めるということにいたしております。
  185. 伏見康治

    ○伏見康治君 まあ誘導電話という機器の性格をよくするということも私は依然として大事だと思いますが、実際は今言われたように、通信が殺到してお互いに妨害し合ってしまったといったような結果になっているんだろうと思うんですが、要するにそれは事故が起こりましたときの連絡あるいは指令とか、あるいはいろいろな考えをお互いに連絡し合うという連絡システムといったようなものがうまくできていなかったということではないかと思うんですが、この炭鉱の事故のお話を承るごとに、まあ少数の方々がお亡くなりになるのは仕方がないとしても、何十人という大勢の方々がお亡くなりになるというのは多分にその事故にどう対応していいかわからない。そのために非常に事故が拡大されてしまって、要するに土の中ですから見通しがきかないわけですから、各人の判断というものがまちまちになってしまって非常に大きな事故に拡大するというのが姿であろうと思うんでございますが、そういう事故が起こったときのどういう対応をとるべきかということについての御研究はどういうふうになっておりますでしょうか。
  186. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 先ほど申し上げました公害資源研究所におきまして坑内連絡体制、これをUHFを利用した形で改善できないかという研究を現在進めておりますが、そういった形で、今後中央と現場との連絡指令の体制というものをハード面から充実をしていくということは当然必要でございます。と同時に、今御指摘のように避難訓練といいますか、こういうものの徹底を図ることがどうしても必要でございます。今回、極めて多数の犠牲者を出しましたのは、本来退避してまいります排気坑道の立て坑に近い部分から逆に煙が逆流してしまったという不幸がございまして、こういった大事故につながったわけでございまして、今後はこういうことのないように必ず避難訓練については坑口までの各種坑内災害を前提におきまして設定いたしまして、坑口までの避難訓練を徹底化するという形によって緊急時に間違いなく対応できるような状態をつくり上げていきたいというふうに思っております。
  187. 伏見康治

    ○伏見康治君 有明鉱というのは通産省のお役人の間では優良鉱ということになっていたそうで、北海道の夕張なんかに比べては大変設備がよくできている。それで優良鉱という免状が出ているんだそうですが、その全く素人でございますけれども、そういう優良鉱というレッテルがかえって災いをしているという面もあるいはあるのではないかと思うわけですね。と申しますのは、お役所の方から見て優良であるという、そういうレッテルを張っていただくためには、鉱山側がいろいろお役人に対してきれいなところを見せる、上等なところを見せるという努力が相当あったはずだと思うんですね、人情のしからしむるところで。つまり、まずいところは隠して見せられるところだけ見せるという面が確かにあったんじゃないかと私は思うんですが、そういう観点から申しますと、お役所という、殊に通産省というお役所で、石炭の増産を図らなくちゃならないというそういう推進のエージェントというものとそれからいろいろな事故を防がなくちゃならないといういわば規制する方のエージェントというものが同じお役所であるといったような場合には、今申したような危険性が特に多くなってくると思うんですが、原子力の方の例で申しますと、昔、原子力委員会というのは一つしかございませんでして、いわば推進と規制と両方やっていたんですが、それではぐあいが悪いということになりまして、原子力委員会と原子力安全委員会という二つのものに分かれまして、そしてお互いの間にいわば拮抗状態をつくり出すということによって安全性をよく守ろうという体制になったと思うんですが、通産省の中ではその点はどういう仕掛けになっておりましょうか。
  188. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 鉱山の保安と申しますのは鉱業権者の採掘計画と表裏一体でございます。そういう意味におきまして、生産行政の推進に当たりまして常に保安の立場からチェックすることが必要不可欠でございますし、特に地下採掘という鉱業の特殊性からいたしますと、そういった極めて特殊な環境下での作業だということで、事業全体にかかわります専門的な知識というものがどうしても必要でございます。そういう意味からいたしまして、保安行政と生産行政を有機的に連携させながらこれを進めていくというのが効率的ではなかろうかというふうに思うわけでございます。したがいまして、現在、保安行政と生産行政は通産省という中で一元的に行っておるわけでございますが、これを推進する実態から申しますと、鉱業法系統と鉱山保安法系統の行政でこれを処理いたしておるわけでございますが、鉱業法系統は資源エネルギー庁がこの業の所管として実行し、鉱山保安法系統につきまして立地公害局がこれを実施いたしておるわけでございます。また、地方におきましても同じく通産局及び鉱山保安監督局、部という形で、独立の形でチェック・アンド・バランスでその統括的な効率的な保安行政を推進しているところでございます。
  189. 伏見康治

    ○伏見康治君 一応そういう体制で推進と規制というものが分かれた立場でお互いにやっておられるということは大変結構だと思うんです。そうすると、例えば何か保安上非常にまずいことが起こりそうだということで生産を停止するといったようなことが、法律的には何かそういうことを言える立場だと伺っておりますが、そうなんでしょうか。
  190. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 施業案の認可等につきまして通産局が行うわけでございますが、それが保安上重大な問題があれば鉱山保安監督局、都がこれの認可を差しとめるというような形で現実的に対応いたしております。
  191. 伏見康治

    ○伏見康治君 残念ながら時間がなくなりましたのでこの辺で打ち切りたいと思いますが、一言申し上げておきたいのは、安全性を守るということのためには、やはり推進する立場というものとそれから規制する立場というものがはっきり分かれているということがあくまでも必要であって、それから法律、特にお役人の場合には法律というものに沿っていろいろなことをなすっているわけです。法律をおつくりになる場合にはつまりいろんなことをお考えになってもちろんおつくりになっているとは思うんでございますが、ある時代、ある観点から法律をおつくりになっているので、事情が変わりあるいは時間が変わるというとその法律が必ずしも適切でなくなるような場合があるわけですね。にもかかわらずお役人側としては法律に準拠していろんなお仕事をなさるということで実は具体的には適切な対応ができなかったということが間々あるように私は了解しているわけでございますので、そういうことをお考えになって、ひとつ安全性を守るための体制そのものをお考えくださるように大臣にもお願いいたしたいと存じます。  これで終わります。
  192. 市川正一

    ○市川正一君 小此木通産大臣とは本日が初めての顔合わせになります。今後ともいろいろとおつき合いをさしていただくことになるわけであります。いずれ、所信に対する質疑など改めてやらしていただくわけでありますが、本日も先ほど大臣から予算審査についての御発言がございました。  そこで、大臣の基本的な政治姿勢についてまず最初にお伺いすることをお許し願いたいと思います。  神奈川県の選挙管理委員会に届けられた政治団体の収支報告によりますと、神奈川県庶民経済政治連盟、これはサラ金業者の政治団体でありますが、昭和五十五年五月三十一日、小此木後援会に十万円を献金しておりますが、大臣これは御承知でしょうね。
  193. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 私知りませんでしたけれども、そういう質問をなさるという御親切な御通告がありましたから調べましたところ、十万円ではございません、二十万円もらっているそうであります。それについてのいろいろな手続等は全部済ませてあるという先ほど地元の事務所からの報告でございました。
  194. 市川正一

    ○市川正一君 二十万ですか。ますますこれはなんですが、私はこれは二つの大事な問題があると思うんです。  大臣、四月二日に警察庁が発表した「サラ金返済苦・実態調査」というのが出ております。去年七月から十二月までの半年間にサラ金絡みの自殺者が八百十三人、家出者は七千九百三十二人。サラ金問題で何と一日平均で四・四人が自殺している。新聞にもこれは報道されておりますが、大臣これを御存じでしょうか。そしてまた、どうお感じでございましょうか。
  195. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) サラ金そのものの存在、それによって起こるところの社会的ないろいろな問題、それにつきましては率直に言って非常に憂慮をいたしております。
  196. 市川正一

    ○市川正一君 憂慮なすっているわけだけれども、しかし例えば大手サラ金の武富士の秋葉社長がことしの一月に「驚くほど社会性、倫理性がない業界」という感想を残して、そしてやめました。そういう業界からの献金であるということが一つです。  もう一つは、この献金を受けられたとき、ちょうど国民からサラ金の規制要求が高まり、サラ金の立法化が問題になっていた真っ最中であります。そして五十五年五月三十一日というのは、衆参の同時選挙のときで、五月三十日、参院選が公示された次の日です。したがってこの献金は、サラ金業界への規制というよりも、法的に認められたそういう業界になるような立法化をねらった献金であったということは今日明らかです。私は、小此木通産大臣がこうした点について現在どうお考えかを再度確かめたいと思います。
  197. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 十万、二十万といったお金の多寡によって私の反省の態度は崩れるものではございませんけれども、秘書の報告によりますと、すぐ近所のそういうようなふだん懇意にしている会社の人が、私は直接関係はございませんけれども、いろいろな仕事を店の者がやっておりまして、その中に駐車場を経営している部門があるわけでございます。数年前からその会社の車を駐車さしているそうでございますが、私どもの商売というのは私が選挙に出ているものですから駐車場の料金も非常に安くしてあるようで、非常に便利に使っているもののようでございます。そこで、五十五年の選挙に十万、五十八年の選挙にということで、ふだん御厄介になっているからというような意味でもってそのような行為があったそうでございまして、そう言ってはなんでございますけれども、直接その問題に関してのことでなしに、平素の隣近所のつき合いでというような意味でそれがあったと私は承知しております。  もちろん、サラ金そのものの、社会的にいろいろ派生している事件そのものについては、先ほど申し上げたように私は憂慮をいたしておるということでございます。
  198. 市川正一

    ○市川正一君 一日に平均して四・四人が自殺する、いわばそういう庶民の膏血を搾り取った金です。十万二十万の金額でないというふうにおっしゃったけれども、そういう政治献金をお受け取りになっているという点では今後私は注目をいたしたいと思っております。  もう一点でありますけれども、三月十七日の予算委員会大臣は、「資産公開に反対だけれども公開したのは大臣になりたかったから」だということをお答えになった。そして、資産公開に反対であるということを述べられたが、現在もそうなんですか。
  199. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) それはひとつのあの雰囲気に合わせてあえて私はそういうことを言ったわけでございますが、資産公開については今でも私は反対でございます。  その理由は、あのときも申し上げたことでございますけれども、私は横浜で百年続く商人の三代目だと。その中にはいろいろな戦争があったし、震災もあったし、ついこの四十年ほど前には横浜の大空襲があった。そのような中で祖父や父がもうそれこそ辛酸を味わい尽くして築き上げた財産というものを私が簡単にそれを出すことによっていろいろな面での、何と申しますか、さらしものにされるあるいは興味の対象にされるということはいかがかと思う。  二番目は、資産公開ということは、あえて言えば閣僚だけでなしに、与野党共通した政治家が元来公開すべきものではないか。  三番目には、このようなプライバシーに関することの国会における質疑というものは、やはり法的な規制はないけれども、しかし、これについては限界があるんじゃないかという趣旨のことを申し上げ、資産公開には反対だし、またこれについていろいろな問題点があるということを、以上の三点申し上げたわけでございます。  ところが、その点についてやや誤解される向きもございましたので、二番目の点については多少取り消しとかあるいは申し開きを申し上げて、予算委員会においてはこれを了承してもらったということでございます。  しかし、反対したからといって、やっぱりこれは総理から閣僚は資産を公開すべしというような命令もございましたんで、これははっきりと基準に従って公表したということでございます。
  200. 市川正一

    ○市川正一君 私は、それぞれの個々の政治家がどういう資産形成をしているかという問題ですね、これはこれとしてやっぱり社会的、歴史的に明確にされるべきであって、したがって小此木通産大臣が資産をお持ちだからどうこうということが直ちに問題になるわけじゃないですが、問題は、今日汚職腐敗政治の再発防止の重要なポイントになっている、しかも通産大臣というポストは特に業界と深いかかわり合いがあるということから、私は大臣としてこの資産公開に対して積極的立場に立たれることをこの際私の方からも強く要望しておきたいと思います。  本論に入りますけれども、通産省の五十九年度一般会計予算、八千十五億三百万円でありますが、その五五%に当たる四千四百億円というのがエネルギー対策費として占めております。政府は、これまでも三回にわたって石油代替エネルギーの供給目標というのを決めてまいりました。その中で原子力だけが二一・八%、二二・五%、二七・一%とその構成比重を高めているんでありますが、その中で原子力発電所の安全性の問題はますます深刻、重大になっております。大臣も先日の所信表明の中で原発について、「安全性の確保に万全を期し」国民の理解を得たいという旨を述べられております。  そこで具体的に伺いたいんですが、中部電力浜岡原発の問題であります。この浜岡原発が東海大地震に襲われた場合に、地盤が液状化する危険性があるという問題について我が党議員がたびたび質問をしてきたところでありますが、まず、この第一号炉、二号炉の冷却系のパイプは砂地盤上に敷設されております。ところが、現在建設中の三号炉の冷却系パイプは砂地盤をはいで岩盤に直接支持させる設計をとっていると聞いておりますが、事実はどうでしょうか。
  201. 松田泰

    政府委員(松田泰君) お答えいたします。  現在建設中の浜岡三号炉は、今先生おっしゃいましたように、機器の冷却系配管について申し上げますと、岩盤に直接設置させるという工事を行っております。一号、二号炉につきましては必ずしも全部が岩盤には着いていないということになっておりますが……
  202. 市川正一

    ○市川正一君 いや、私聞いているのは三号炉の話だけですよ。
  203. 松田泰

    政府委員(松田泰君) それは事実でございます。
  204. 市川正一

    ○市川正一君 前提としてはっきりしておきたいと思うんですが、私どもは、今政府が進めている安全無視の原発促進には反対の態度をとっています。特にこの浜岡原発は、政府が大規模地震対策特別措置法まで制定してその対策に当たっている東海大地震の震源域の直上に位置している。大臣もお隣ですからよく御存じだと思うんですが、極めて危険なもので到底それを我々は容認するものではありません。しかし、浜岡三号炉の冷却系パイプを岩着したということに限って言えば、私はそれは安全サイドに立った措置だと思うんです。この措置は、先ほど紹介したように、我が党の一連の液状化問題の指摘、これを事実上中部電力自身が認めたことに相なると思うんでありますが、いかがでしょうか。
  205. 松田泰

    政府委員(松田泰君) 中部電力がなぜ三号炉の場合に岩着させたかということにつきまして、私どもが聞いております範囲では、別に液状化という観点からではなくて、たまたま岩盤の深さ等が三号炉の場合には比較的浅いところにあったという理由であるというふうに聞いておりますが、私どもといたしましては、特にその理由よりも、結果が安全であるかどうか、私ども考えております基準に合致するかどうかという観点から審査しているものでございまして、その理由につきましては先ほど申し上げましたように聞いておる次第でございます。
  206. 市川正一

    ○市川正一君 全く事実に反します。ここに持ってきたんですが、中部電力の立場は、三号炉の方が岩が露出または浅いと、こうおっしゃっている。ところが、ここに持ってきたのは申請書に添付されている地質調査関係の資料です。これを見ますと、一号炉、二号炉の冷却系パイプが通っている場所に一番近い地点のボーリング資料、ここでずっと見てみました。例えば一、二号炉関係の三四〇四地点です。ここはグラウンドレベルから七メーター下に岩盤があります。ところが盛り土を三・六メートルやっておるんですよ。ですから砂地盤は三・四メートルしかないんですよ。また三四〇三地点、ここです。これもグラウンドレベルから三メートル下に岩盤がありますけれども、しかし三メートルの盛り土をしておるんで岩盤はほとんど露出状態であります。これが一号、二号です。では一方三号炉はどうかというと、三三〇四地点、ここです。これを見るとグラウンドレベルから岩盤までは四・五メートル。三三〇七地点、ここは六・三メートル下に岩盤があるんです。盛り土は若干ありますけれども、六メートル掘らぬと岩盤に行き当たらぬのです。三六一二地点、これも同じように十二メートル掘らぬと岩盤出てこぬのです。要するに三号炉の方が深いんですよ。こういう状況であえて三号炉については冷却系パイプを岩着さしたというのは、これは結局液状化の危険性の指摘、これを中部電力が事実上認めて、三号炉の場合には一号、二号と違った設計に変更したというふうに考えざるを得ないんでありますが、いかがでしょう。
  207. 松田泰

    政府委員(松田泰君) ただいま先生具体的に御指摘なさいました地点につきましては、今ここに、手元に資料を持っておりませんので私どもでチェックすることはできませんが、私どもの方で調べております機器冷却水系配管の地盤につきましては、大体三号炉の場合は約五メートルぐらいの下に岩盤がある。一方、一、二号炉の場合は約二十メートルぐらい下に行かないと岩盤に出会わないというふうに資料持っておるわけでございまして、先生の具体的におっしゃっていました地点との照合はいずれやらしていただきたいと思いますけれども
  208. 市川正一

    ○市川正一君 いずれじゃないよ。それは重大ですよ。二十メートル掘らぬと岩盤に行き当たらぬ――いいかげんなことを言ってもらったら困ります。私はちゃんと正式の申請書の資料を調べて話してます。そしてまたあらかじめ言ってあります。それを二十メーター掘らぬとあかぬというのは、そんないいかげんなこと言ってもらったら困る。これは後できっちりしてもらいますからね。私はね、これは大臣もお聞きですし、豊島さんもいらっしゃいます。これははっきりしてもらいますからね。僕の時間もうないんで前へ進みますから、それはちょっときっちりしておいてほしい。委員長も聞いていらっしゃいますから。  そこで進めていきますと、話は、結局通産省は三号炉の安全審査に当たって液状化の評価を目的とした審査を初めしておらなかったんですよ。それは一九八一年の二月に衆議院で我が党の粟田議員がこの問題を質問しました。そのときに、エネルギー庁原子力発電安全審査課長の答弁、ここに会議録を私持ってきましたけれども、そのやりとりの中でも明白です。ところが、ダブルチェックのために原子力安全委員会審査に回った段階で、我が党のこういう指摘を受けて原子力安全委員会が独自に地盤の液状化の評価を行ったというのが事態の経過なんですよ。  そこで、私原子力安全委員会にお聞きしたい。八一年の十月十九日付の原子炉安全専門審査会の三号炉に関する審査報告書の八ページの記述、ここに私コピー持ってきましたけれども、これによると結局敷地前面砂丘だけを調査したというふうに見れるんですが、敷地については実施してなかったんですか、どうですか。その点ひとつお答え願いたい。
  209. 岡崎俊雄

    説明員(岡崎俊雄君) ただいま先生から御指摘のございました浜岡三号炉の発電所の設置に関しまして原子力安全委員会審査を行ったわけでございますが、その敷地の地盤の安全性につきましてはボーリング調査等におきます地質地盤に関する諸データに基づいて審査を行っております。特にその液状化につきましては、特に敷地前面の砂丘について諸般の事情から念のためその検討を行ったところであるわけでございますが、もちろん敷地全般につきましてこの地質地盤関係全体を調査しております。原子炉本体が置かれますところは相良層と言われます強固な地盤の上に設置されますので、もちろんそこは液状化の心配がないということで、この答申書におきましても「敷地前面砂丘の液状化について」ということで、敷地前面の砂丘について特に検討したということでございます。
  210. 市川正一

    ○市川正一君 委員長にちょっとお伺いしたいんですけれども、さっきの重大な答弁の食い違いが出ておるんですが、これをやりとりしていると僕の時間もうなくなるんで、通産側としてはちょっと調べられますか、今すぐ。
  211. 松田泰

    政府委員(松田泰君) 現在、手元に資料ございませんので、後日調べて御報告いたしたいと思います。
  212. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) それはこの商工委員会にお出しになりますか、それとも市川先生に直接お出しになりますか。
  213. 松田泰

    政府委員(松田泰君) 市川先生のところに御説明に参りたいと思います。
  214. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) それでよろしいですか。
  215. 市川正一

    ○市川正一君 ちょっと……。  要するに、問題はやっぱり委員会の場でやられていることですから、きっちりしておいてほしいと思います。私の方が間違いだったら、私ははっきりその点は間違いだったということを明白にいたしますから。
  216. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) じゃ松田審議官、この商工委員会に出してください。
  217. 市川正一

    ○市川正一君 前へ進みます。  そこで、今原子力安全委員会は砂丘のところだけが危ないからそこをやったと、こうおっしゃるけれども、「液状化危険図」を私持っております。砂丘だけが危なくて――その前のところですよ、敷地はどうもないという保証はあるんですか。
  218. 岡崎俊雄

    説明員(岡崎俊雄君) ただいま申し上げましたとおり、原子力安全委員会審査におきまして、具体的にはその下部機構でございます原子炉安全専門審査会というところで専門家の皆さん方の知恵を結集して実は審査をしているわけでございますので、この原子炉施設の安全性の観点から判断いたしまして敷地前面の砂丘についての液状化の審査を行った。その結果、原子炉施設への影響はないと、このように判断した次第でございます。
  219. 市川正一

    ○市川正一君 またいいかげんなことを言う。原子力安全委員会が敷地の砂地盤は問題ないと言っているんですな、あなた。ところが、当の中部電力は三号炉の冷却パイプを岩着しておるんです。それはさっき二十メーターとかいいかげんなことを言っておりましたけれども、そうじゃないんですよ。物すごくやっぱりもう露出しているところもあるんですよ、さっき言うたように。原子力安全委員会の液状化の安全評価を中部電力自身がそれを認めてないというまことに奇妙きてれつな現象が起こっておるんですよ。中部電力の方がむしろ安全性に対していろいろそういう措置をとっている、この限りにおいてはですよ。  ところで、今あなた専門家がどうのこうの言っておりましたけれども、その審査報告書によると、「最近の知見等に基づいて検討」したと、そのことをあなた言っているわけでしょう。その知見というのは専門委員会を構成するいわばエキスパート、専門家の知識、判断をということなんでしょう、まあわかるように言えば。しかし、この知見を発揮し、判断を行うためには当然中部電力からの調査結果、データの提出が不可欠の前提ですわね。そうでしょう。そこで、私はその審査報告書の根拠となった中部電力提出した液状化に関するデータや関連資料をここで提出していただきたい。どうですか。
  220. 岡崎俊雄

    説明員(岡崎俊雄君) 原子力安全委員会の行います安全審査はあくまでも行政庁でございます通産省が行いました安全審査についての妥当性についてチェックをする機関でございます。したがいまして、原子力安全委員会みずから中部電力からの資料を直接提供を求めてやる機能ではございません。あくまでも原子炉安全専門審査会の専門委員の知見、その知見を生かすために通産省からの説明等に基づいて審査を行っているわけでございます。
  221. 市川正一

    ○市川正一君 そうすると中部電力からは液状化に関するデータや資料は出ていないんですか出ているんですか、どっちですか。
  222. 岡崎俊雄

    説明員(岡崎俊雄君) 原子力安全委員会といたしまして中部電力から直接資料の提示を求めたことはございません。あくまでも通産省の説明に基づいて審査を行っているわけでございます。
  223. 市川正一

    ○市川正一君 あのね、原子力安全委員会、これは原子力の平和利用三原則の立場を堅持するということから見ても当然必要な資料は公開すべきですよ。自主、民主、公開、この立場から言っても当然じゃないですか。中部電力からはもらっていない、直接はもらっていない。そんなら通産省を通じてはもらっているんですか。
  224. 岡崎俊雄

    説明員(岡崎俊雄君) 通産省からの説明は受けております。
  225. 市川正一

    ○市川正一君 そうするとこういうことですか。通産省からは説明を受けておる、口答で何か話は聞いた、そしてそういうことをメモ程度で何かしたものはあるということなんですか、それともデータはあるけれどもそれは差しさわりがあるから出せぬというのか、どっちですか、はっきりしてくれ。
  226. 岡崎俊雄

    説明員(岡崎俊雄君) この審査は先ほど来申し上げていますとおり、原子炉安全専門審査会の専門の審査委員の方々がそれぞれの持っておられる最高の知見を結集し、それにあわせて通産省からの説明等をもとに審査をしているわけでございます。もちろんその審査の過程でいろいろな形のやりとりあるいは担当者のメモというような形はございますけれども、まとまった形で今御提示できるような形では残しておらないのが実情でございます。
  227. 市川正一

    ○市川正一君 残しておらぬということは証拠隠滅やないか、資料の。こんなばかなことがあるか、重大なそういう問題を。だから資料を出すとぐあい悪いから消してしもうたというふうに言われても仕方がないですよ。しかもあなた、知見知見というけれども、知見いうのはやっぱりちゃんとデータがあってそれで判断できるじゃないですか。そんな人から聞いたような話で、さよか、よっしゃというわけにいかぬじゃないですか、そうでしょう。それをやっぱりちゃんと出された資料とデータに基づいて知見というものは活用できるんじゃないですか。資料出しなさい。
  228. 岡崎俊雄

    説明員(岡崎俊雄君) 繰り返して大変恐縮でございますけれども、この原子力安全委員会の安全審査はあくまでも原子炉安全専門審査会でその道の専門家にお集まりいただきまして、その知見によりまして実は審査をしているわけでございます。もちろん先生がおっしゃいますとおり、その審査の過程におきましてはいろいろな先生方の持っておられるいろいろなデータであるとか、あるいは通産省からのいろいろな説明等をもとにして審査をしているわけでございますが、その途中経過はともかくその結果につきましては答申書の中にきちんとそれが原子炉施設に対する影響はないということで書いてございます。  また公開ヒアリングを行いました後の参酌状況報告書の中にもその旨記載してございます。
  229. 市川正一

    ○市川正一君 私の質問よう聞いていますか。これは乱やっぱり商工委員会としてはこれだけ重大な疑惑を持たれている問題について、原子力委員会が資料はあるのかないのかわからぬ、それで出せと言ったら何や知見がどないやこないやと、こんななめた話ないですよ。私は改めてこの資料を委員会として提出を要求するという問題について後刻理事会で御検討願いたいと思う。  進めます。結局、一番大事な問題についてはお茶を濁して、で安全や安全やいう結論だけを押しつけておる。  関連して私通産省に聞きたいんですけれども、三号炉の安全審査について通産省から事前に説明を聞きましたときに、現に運転中の一、二号炉の敷地についても念のため液状化の可能性について調査したと、こういうふうに私伺ったんですが、事実かどうか、そして事実ならばその結果と評価のデータを知らしていただきたい。
  230. 松田泰

    政府委員(松田泰君) 一、二号炉の地盤につきましても念のために中部電力に調査をさしてございます。私どもはその結果を開きまして安全を確認しているという状況にございます。そのデータにつきましてはこれも先ほど科技庁の方でも御説明ありましたが、私どもの方も現在皆様方に御提示できる形での資料としてはまとまっておりません。
  231. 市川正一

    ○市川正一君 通産省も公表せぬと言う。資料があるのかないのかそれもわからぬ。というようなことで私は安全審査にかかわる問題がいわば進められている。まことにずさんと言わざるを得ぬのであります。無責任と言わざるを得ぬのであります。  そこで、私大臣に御提言さしていただきたいんでありますが、今お聞き及びのようなことでありますので、今後は中論の際に、液状化の問題を地質、地盤の安全審査の項目に位置づけて厳しく審査するとともに、関連するデータも添付させるというように改善すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
  232. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 専門的、技術的な問題も含まれておりますので、私にはよくわからぬ点もございますが、検討さしていただきます。
  233. 市川正一

    ○市川正一君 時間がまいりましたので最後の質題でありますが、ぜひ積極的立場で御検討いただいて、またよき回答を期待しておりますが、私、以上、浜岡原発の特に液状化問題を軸に質問してまいりました。通産省も原子力安全委員会も結局根拠ある説明をなさらぬ、ということはますますこの問題について私いろいろの問題を感ずるのでありますが、それはそれとして引き続き追及するといたしましても、具体的に放置できぬ重大な問題としては、一号と二号の炉の冷却系パイプが液状化の危険のある砂地盤の上へ盛り土したところに敷設されておるんです。一部岩着ということをさっき言われましたけれども、それは本当のごく一部です。全体としては砂の上にびゃーとこうやってあります。大臣聞いとる……。それで私はこういうことで東海大地震時に地盤の液状化によって破断の危険にさらされていると言っても過言でないと思うんです。しかも中部電力は三号炉の冷却系パイプは岩着さしたということによって事実上その危険性を認める結果になっておると思うんです。ですから私は一号、二号の炉の冷却系パイプの安全対策はまことに緊急な課題だ、こう思うんであります。ですから政府はこの状態を放置せずに、しかるべき改修措置をとるべきであるということを私は最後に強く要請し、そしてこれに対する御見解を承って私の質問を終わりたいと思います。
  234. 松田泰

    政府委員(松田泰君) 一、二号炉の問題につきましては地盤の岩着がないからということですぐに安全でないという結論を出すのは私どもとしてはそういうふうには考えていない次第でございます。
  235. 市川正一

    ○市川正一君 じゃほうっておくんですか。
  236. 松田泰

    政府委員(松田泰君) 現在は一、二号炉の安全性は十分確保されているというふうに判断しておりますので、特に今すぐ点検というようなことには至らないと思います。いずれきょう御質問なさいました問題につきましては後で資料などそろえて御説明したいと思います。
  237. 井上計

    ○井上計君 ちょっと資料をコピーしたものを配らしていただきます。    〔資料配付〕
  238. 井上計

    ○井上計君 最初に公取委員長にお伺いをいたします。  今お手元に新聞のコピーをお配りをいたしました。もちろん、もう公取委員長はお読みでありましょうから必要ないかと思いますけれども、改めて御参考にと思ってお配りしたわけであります。  このコピーは、去る三月二十七日の東京新聞に掲載をされました天谷直弘さんの論文であります。見出しは「独禁政策批判」、サブタイトルとしては「なぜ食糧、金利の〝違憲〟黙認」と、こうなっております。翌日、三月二十八日、中日新聞にやはり同じ内容の論文が掲載をされました。この見出しは「独禁行政の現状を嘆く」、こういう見出しになっておるわけでありますが、これについて、当然お読みになっておると思いますけれども、公取委員長のひとつ御所見をお伺いをいたします。
  239. 高橋元

    政府委員(高橋元君) ただいまお話のございました天谷さんの論文でございますが、いろいろなことをお書きになっておられますけれども、要は、一番大きな論点は、食糧管理法、臨時金利調整法、そういう法律で第一次産業及び第三次産業について自由で公正な競争の分野がそれだけ狭くなっておって、政府規制がかぶっておるのは、いつまでもそういうことでよいのだろうかと、そういうものを置いておいて規制のない分野について独禁政策を進めていくことは片手落ちではないかという御所見が一番中心であろうかと思いますので、それについての考え方を申し上げたいと思います。  我が国のGNPの中で、政府規制と申しますか、参入、活動、料金、そのいずれかについて政府の監督が及ぶというものを広く勘定をしますと四〇%ぐらいの分野がございます。その中には農業あり、サービスあり、運輸あり、金融ありということでございます、そういうふうに広範な事業分野で参入、設備、数量、価格に関する事業活動が法令に基づいて政府によって規制されておって、その分野には独禁法の適用が及ばないというのが現実でございます。これは、あえて我が国だけではございませんで、アメリカでもイギリスでもECでもそういうことがかなり前から議論されておりまして、公正で自由な競争の維持、促進によって資源配分の適正を図る、経済の公正の向上を図るということをもう一度真剣に検討したらどうかということであります。  OECDでも相当深刻に議論をされたわけでございます。昭和五十四年にOECDの理事会の勧告で、政府規制の見直し、競争政策の拡張についての見直しということが勧告がありまして、そういうことも頭に置きながら、私どもの方では五十七年八月、一昨年の八月、大体十六業種について政府規制制度の見直しに取り組んだらどうだろうかという検討の結果を発表をいたしたわけでございます。それによりますと、政府規制制度を設けられた趣旨というものは、沿革において理解はできるけれども、その後情勢が変わって、もはや規制の必要がないのではないだろうか。仮に、公共政策上規制の必要があるとしても、その規制をもっと手薄にすることはできないか、できるだけ競争を導入することによって、経済の効率を高め、かつ、全体としての国民生活に対する寄与を向上さしたらどうだろうか、そういうことが中心でございます。  そういうことで、政府規制制度の緩和についての意見を発表いたしました後、例えば臨時行政調査会で、過般の御答申の中でも、八業種について政府規制制度を見直したらどうかという御提言がございました。行政管理庁でお進めになっておられる行政監察の中でも、たしか陸上運送、海上運送、トラックでございますか、そういう部門についてもっと簡素化ができるのではないかという行政監察の結果も発表されておるわけでございます。  この天谷さんの論文の中でも触れられております金融の問題につきましても、漸次世界の大勢に従って金利の自由化も進んできております。私どもといたしましては、できるだけ自由で公正な競争を通じて経済の効率を、たびたび繰り返すようでございますが、公正の向上を図る必要があるという観点から、今後とも政府規制制度についてその妥当性、有効性についての調査検討を続けていきたいというふうに思っております。  一言つけ加えさせていただきますと、天谷さんの論文の末尾にございますけれども、二次産業ばかり公取は審査をしておるんではないかというような御指摘があるように読まれるわけでございますが、近年、産業構造の変化に伴って非製造分野、サービスでございますとか政府規制分野も含まれるわけでございますが、そういった非製造分野経済に占めるウエートが高まってまいりましたので、その分野における競争制限的な行為、それからまた不公正な競争方法というものについても排除の措置というものを逐次とってきておるということを申し添えさしていただきたいと存じます。
  240. 井上計

    ○井上計君 私、きょうは時間もありませんから、これについてまた日を改めて公取委員長にいろいろとお伺いをしたり、また私自身の意見を申し上げたい、こう思っております。  そこで一つだけ、この末尾の方に、大谷さんが、「「公正な総合交通政策」を追求してやまない政策官庁なのか。」どうなのかと。言いかえますと、取り調べ官庁なのか監督官庁なのか、あるいは政策官庁なのかということについての一つ問いがあるわけですが、委員長はどうお考えでしょうか、この点だけ一つ。
  241. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 独占禁止法それから不当景品表示防止法、下請法と、この三つの法律の施行を所掌いたしますのが私どもの方の委員会の第一次的な職務でございます。ただ、その法の施行に当たりまして、産業構造なり国民のニーズなり、国際的な情勢の変化というものは当然頭に置いてやらなきゃならないわけでございますから、そういった経済の基礎的な与件の変動というものについて各所管官庁の意見も十分にくみ上げながら、競争の促進によって一番効率を高めていく分野というものを追求していくという意味で、ここにあります天谷さんの分類が必ずしも私にはのみ込めないのですけれども、「「交通巡査」なのか」「政策官庁なのか」――総合交通政策を念頭に置いて違反の取り締まり、それから事前の予防に努めるという立場にあるというふうに考えております。
  242. 井上計

    ○井上計君 いずれまた日を改めて、もっと時間をかけていろいろとまた委員長の御所見を承ったり、また私の意見も申し上げたりして質疑を行いたいと思いますが、きょうは時間がありませんから、以上御所見だけ承っておきます。  それでは、通産大臣の所信表明演説を先日承りました。いずれ後日、この所信表明演説についてはまだ質疑をいたしたいと思っておりますけれども、その中で大臣は、新時代に対応した中小企業政策の展開ということでお述べいただいておりますことは全く同感であります。ここにありますけれども、「我国の経済発展にとって中小企業はその原動力として極めて重要な役割を果たしてまいりました。それぞれの中小企業の地道な経営努力が今日の経済大国としての我が国の礎を築いたと言っても過言ではないと思われます。全事業所の九九%以上、全従業者の八一%を占める中小企業の健全な准展なくして我が国経済の真の発展はあり得ません。」、こういうふうにお述べいただいておりまして、全く意を強ういたしておるわけであります。ただしかし、現実には現在ほど中小企業が不安を持ち、またいろんな困難な問題点を抱えて苦慮いたしておるという時代は、実はある意味では戦後初めてではなかろうかと、こんなふうな感じも私は持っておるわけであります。  従来、中小企業の問題点というのは、物、金、人、この三つのバランスをとって経営をしておれば、あとはせいぜい心配するのは税金だけだ、こういうことであったわけでありますけれども、最近はこのほかに今申し上げた物、金、人それから税、その上にさらに変化に対応する情報の収集あるいは先見性というふうな、中小企業独自ではなかなか処理できないようなそういう問題点を多く抱えておる。ますますこれが多くなっていくであろうと、こう考えるわけであります。  したがって、これはお願いでありますけれども、さらにきめ細かい配慮、ただ単にこれは行政指導あるいは法律というふうな面だけでなくて、いわばきめ細かいひとつ配慮をしていただいて、中小企業者の活力をさらに呼び起こす、活性化をさらに大きくする、こういう面につきまして大臣に特にひとつ御努力いただくよう、冒頭これは要請でありますけれども大臣の御所見を伺います。
  243. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) おっしゃるとおりだと思います。物、金、人に対する不安だけではなしに、例えば技術の進歩、先端技術というような、それこそ時代の先頭を走る技術までいかないような今のそういう技術的変化、将来どうなっていくんだろうという不安が中小企業の主人公たちに大きな不安を与えている。技術の変化だけでも私は大変なことだと思うのでございます。そういう意味で、通産省といたしましては、きめ細かい配慮、温かい配慮を伴った中小企業政策というものを今後進めていかなければならないわけでございますが、物の面から言えば、やはり通産省としての予算の取り方は、中小企業対策として要求頼のほぼ満額近いもの、すなわち、通産省としての一番大きな予算石油関係のものでございますが、その残りの半分が中小企業対策費に回しているというような努力をしているということを御理解いただきたいと思いますし、また、新しい時代に対応するために中小企業関係の設備投資減税、これも、財政困難な折に熱意を持ってこれを行っていく所存でありますし、さまざまな新しい構想、あるいは下請対策の事業とか、そういう万般にわたって中小企業の経営基盤を固めるという政策も施した次第でございます。  さらに、長くなりますけれども政府系の中小企業金融機関の貸付規模の十分な確保等も一生懸命行ったつもりでございますが、しかし、これを支えるには行政の、そして中小企業対策の温かい心によるところの配慮でございまして、委員指摘のような政策を今後我々一生懸命やっていく所存でございます。
  244. 井上計

    ○井上計君 今大臣答弁いただきまして大いに期待をしております。また、今お話しいただきましたようなこと、その他のことにつきましては、また後日いろいろと意見を申し上げたり、あるいはまたさらに要請をしたり、あるいはまた御所見を承ったりと、このようなことをしたいと思いますので、きょうは若干具体的な問題についてひとつ一、二お伺いをいたします。  まず最初に、最近の大型倒産として大分問題になっておりますけれども、大沢商会及びその関連のマミヤ光機の倒産でありますが、それに関連して、債権者の数、そのうち中小企業者の債権者数、さらに倒産防止共済制度の加入者、現在の事業団の倒産防止共済制度の運用の状況等々についてひとつ長官からお伺いいたします。
  245. 中澤忠義

    政府委員(中澤忠義君) 大沢商会から今回の倒産に関係した報告を受けております。それによりますと、大沢商会本社に対する債権者総数は千五十九社でございまして、このうち中小企業者数は五百二十五社と聞いております。また、マミヤ光機からの報告でございますが、マミヤ光機本社に対する債権者総数が六百七十七社、このうち中小企業者数が五百九十二社でございます。中小企業者は合計いたしますと千百十七社が債権者として存在しております。  次に、このうち倒産共済にどの程度加入しておったかということでございますけれども中小企業事業団に対する加入者数としては、大沢商会関係で五十九社、マミヤ光機関係で三十四社、合計九十三社加入しておりまして、一社当たり平均いたしまして千三百万円という借り入れの可能額を持っておるということでございまして、相当な会社数がこれに入っておりまして、既に相当数、大沢で二十五社、マミヤ関係で十社、合計三十五社が貸付請求をしておるということでございます。  それから中小企業事業団によります倒産防止共済の運営状況でございますけれども、この制度は、先生御高承のとおり、昭和五十三年度に発足いたしましたけれども、既に加入者数で六万五千件加入しておりまして、貸し付けの方の累計は二万一千五百件ということで、貸付総額で九百十六億円と、相当多額の貸し付けを行っております。倒産が高水準の中で非常に大きくこの倒産共済が貢献したということが言えるかと思います。しかし、従来の長期の不況の結果といたしまして、貸付金の原資につきましては、掛金だけで貯えませんで、現在のところ市中銀行から不足資金を借り入れて貸し付けを行っておるという状況でございまして、五十九年度末の見込みとしては約二百二十二億円の借り入れが必要であるということでございます。これに対応するということで政府からの出資を行っておりますけれども、従来百九十九億円を出しておりますが、それに加えて五十九年度に二十億円の追加を行ったという状況になっております。
  246. 井上計

    ○井上計君 今伺って、やはり大沢商会あるいはマミヤの倒産についても、加入しておった人は大変これによって助かったであろうということは、これは言われております。ただ、数からいうと、先ほど長官おっしゃっていた千百十七社、中小企業の債権者、そのうち双方合わして九十二社でありますから、一〇%に満たないということであります。全体的に見ても、五十三年からこれが実施されておりますけれども、六万五千件の加入でありますから、中小企業の総数からいうとまことに微々たるものだということでありますから、まあ余り数がふえて、倒産がふえますと、これまた政府出資ももっともっとふやしてもらわなくちゃいけませんし、あるいは借入金も多く必要であるということが言えますけれども、今後私はかなりこういうふうな大型倒産が、技術革新あるいはニューメディア時代、いろいろ言われておりますけれども、急速な変化によって大型倒産がふえるんではなかろうか、こういう実は懸念というか、予感がするんですね。そのためには、やはり中小企業者がもっとこの倒産防止共済制度に入っていかなくてはいかぬであろう、また入るようにやはり指導しなくてはいかぬ、こう思っておるんですが、そこでひとつ、これは提案でありますけれども中小企業金融公庫国民金融公庫、商工中金の政府系三機関の融資の際にこの倒産防止共済制度に入ることを、これは義務づけるというわけにはいきませんが、ある程度これをひとつ、制度的なそういうふうな貸付条件をつくったらどうであろうか。住宅公庫から金を借りる場合には、当然指定している火災保険にこれはもう義務づけているわけですけれども、義務づけというわけにいきませんが、何かそんなふうなことも考えて、知らないから入らないという人も相当ありますが、まあそんなことはなかろうという人もありますが、ところが、入っていない人が、もっと何かで勧めてもらえば入ったんだと、実は倒産に遭ったときに、非常にそういうことを、ある程度勝手なことですけれども、言っておるのもおりますが、何かそんなふうなことを考えたらどうかと思うんですが、お考えありませんか。
  247. 中澤忠義

    政府委員(中澤忠義君) まさに御指摘のとおりでございまして、この倒産防止共済が活用されるということのためには、すそ野の広い中小企業者によくこの制度が浸透するということが運営上からも望まれるところでございます。実は、五十八年度、昨年度から、そのような意味で、窓口としての機関に民間金融機関を追加いたしまして、民間金融機関におきます融資の際に加入を紹介する、加入についての協力をしていただくということをいたしましたが、その結果、前年度の五十七年度に比べまして五割アップという非常に促進された結果が出ております。民間機関に加えて、中小公庫あるいは国民公庫、商工中金等におきましても、融資相談の際にこの加入についての協力は既にいただいておりますけれども、さらにその徹底を図っていきたい、かように考えております。また、この共済制度につきましては、昭和六十年度におきまして測度の見直しということを行うことになっておりまして、その一環としても、先生の御提案のような加入促進策につきまして十分に検討してまいりたい、かように考えております。
  248. 井上計

    ○井上計君 ぜひひとつ御検討をお願いいたします。  それで、お伺いしたいんですが、これはまあ大店法の問題と関連をする――あるいはしないかもしれません。実は、百貨店、大型店が十年ぐらい前から非常にシェア争いあるいは過当競争等激化をいたしまして、そこで起きました問題の一つに正月の二日ごろから実は初売り営業するという問題がかなり方々で、特に中小企業者に対して深刻な問題を与えているんです。それは正月の二日からそれらの大型店が開店をいたしますと、出入りの納入業者等ほとんどが中小企業でありますが、それらの人たちは、従業員は大みそかも元日も休めないんですね。何とか大型店あるいは百貨店は背のように、十数年以前のように正月の四日から、ひとつ営業ということにしてもらえぬであろうかという大変要望が強く来ているわけなんですよ。同時に、百貨店等の労働組合も一年を通じて家族団らんの日は正月の三日間しかない。したがって、ぜひそれらの人たちは労例省に対してもそういう要望をしておるようですが、労働省は企業の問題であるということでなかなか適切な指導をしていないようであります。私は、これは中小企業対策という意味合いから、通産省の方でそういうようなことについての指導を経営者側に対してしていただいたらどうであろうか、これは中小企業対策にもなると思うんですが、これは大変難しい問題でありますから、今すぐ御答弁いただくというわけにはまいらぬかしれませんが、いかがでしょうか、お考えがあればひとつよろしく。
  249. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 百貨店等の正月の営業開始日、今先生おっしゃいました初売りということでございますが、これは各地域地域の実情に応じて決められているわけでございます。お正月の二日から営業しているという例も多々ございますが、この場合には百貨店等のイニシアチブでそうなっている場合もございますし、また地元の商店街からそうしてほしいという要請がある地域もあるようでございます。お正月二日からの営業という問題につきましては、地域の消費者ニーズあるいは地元商店街からの要請に配慮をするとともに、今先生おっしゃいましたような周辺の中小企業への影響とかあるいは町並みの雰囲気づくり等の関連とかいろいろな観点から配慮されるべきものと考えます。いずれにいたしましても、具体的な営業開始日というものが問題がございますれば、それは私どもとして必要に応じまして関係当事者間での話し合いによりまして適切な解決が図られるように指導をしてまいる所存でございます。
  250. 井上計

    ○井上計君 時間がありませんからこれ以上詰めませんが、ただ山田審議官もお話しになりましたように、地域によりましては地元商店街がやはりお客を吸引をするという意味で、大型店に二日からの初売りを要請しているところもあります。しかし大部分、特に大都市ではそうじゃありませんで、百貨店等がまず三日からやる、あそこが三日ならうちは二口からやろうというような形で、競争によってだんだんだんだん早まった、こういうふうなことも聞いておりますので、一度ひとつまた御検討をいただきたい、こう思います。  時間か余りありませんが、そこでもう一つ、これは大臣に特に要望でありますけれども、アメリカとの貿易収支のインバランスが非常に多くなっておる、あるいはECもそうでありますが、貿易摩擦が大変大きな国際的な問題になっておりますけれども、アメリカあるいはECに比べましてもっともっと率からいうと高い貿易収支のインバランスというのは、実は台湾貿易があるわけであります。私は、台湾貿易について数年前から問題になっております、政府においてもいろいろと苦慮しておられる、特に台湾と現在我が国との国交という問題からしてなかなか難しい問題もある、あれこれ十二分に承知はいたしておりますけれども、しかしこのままで放置いたしますと、やはり台湾としても何らかの、一昨年いろんな規制措置をとりましたけれども、さらに規制を強化せざるを得ないというふうなそういうことも実は聞いておるわけですね。その場合に、台湾が日本からの輸入をさらに制限をした場合に、実はその影響をもろに受けるのは台湾相手の中小企業なんですね。したがって、これらについて何かひとつ考えていくべきではなかろうか、こう思っておりますが、それらの実情あるいはそれらの対応策等につきましてひとつお答えをいただきたいと思いますが。
  251. 柴田益男

    政府委員(柴田益男君) 日本と台湾との貿易は通関統計で見ますと、五十六年には日本側の出超が二十九億ドルになっておりますし、五十八年には日本側の出超が二十五億ドルというような状態になっております。そういうことでこの貿易アンバランスの解消のために、民間中心になりまして輸入促進のための使節団の派遣とかあるいは技術協力を進めているわけでございまして、そういうことで今後は少しずつ改善していくのではないかというふうに期待しているわけでございまして、当面先生おっしゃるようなすぐに輸入制限に踏み切るというような可能性は我々としては低いのじゃないか、またそうさせないように我々として努力すべきじゃないか、そういうふうに考えているところでございます。
  252. 井上計

    ○井上計君 この台湾の貿易問題についても私も若干の意見を持っております。これも時間がありません、また後日に譲りたいと思いますが、特に最近では向こう側から言わせますと観光収支も大変赤字になっておるわけです。あれやこれや考えますと何らかのやはり対応策をもっと積極的に、民間ベースで行われるわけでありますけれども、通産省としてもひとつお考えをいただきたい、これは要望しておきます。  最後に、冒頭申し上げました中小企業に対するきめ細かい配慮、温かい配慮というふうなことに関連をしてひとつこれは大臣にお願いでありますが、毎年春秋、中小企業の団体運営等について大変功労があった人に、対して叙勲あるいは国家褒章、栄誉を受けるわけでありますが、受けた人は本当に喜んでおります。長い間無報酬で、そうして多くの人のためにお役に立ったこと、それについてこういうふうな栄典に浴したと大変感激をしておるわけであります。ところが、ことしの春の叙勲の伝達式はたしか五月の十五日の火曜日だというふうに内示が出ておるわけであります。三年ほど前であったかと思いますが、たまたま伝達式の目に実は商工委員会がありました。私は大臣に――当時の大臣どなたでありましたか、河本大臣でしたかね、にぜひひとつ伝達式に出て大臣が直接それらの方々に勲章の伝達をお願いをしたい、こう申し上げたことがあるんですが、やはり何か大臣が出られませんで、政務次官が代理として伝達をされたということがありました。政務次官経験者もおられますから、私政務次官がだめだと言うわけじゃありませんけれども、やはりせっかく勲章あるいは褒章をいただく人が時の大臣から直接いただいたということと大臣が国会で忙しいから政務次官が代理だというんじゃ大分やはり受ける感じが違うであろう、こう思いますので、五月のことでありますが、たまたまもしこの当委員会等と伝達式が重複した場合、これはぜひひとつ大臣、これは皆さん全部御理解されると思いますから、伝達式の方に出ていただきたいという、これはお願いが一つ。  それからもう一つは、やはり叙勲、褒章との問題でありますが、最近は該当する人が非常にふえてまいりました。何しろ中小企業等協同組合できてからもう三十年たったわけでありますから当然でありますけれども、やはり二十年以上役員経歴という条件がある意味では大変厳しい面があるんですね。といいますのは、組合員数が千も二千も三千もあるいは五千というふうな大きな商工組合の場合なかなか二十年役員は事実上もうできません、また二十年とても活力が続きませんから。大体十年からせいぜい十五年ぐらいでみんな勇退をする。ところが石あるいは二、三百程度の協同組合になりますと大して組合事業やっておりませんから、創立以来ずっと理事長であるあるいは理事であるという人はたくさんいるんですね。まあ言えば名誉職的な役職になっていますから。ところが条件とすると今申し上げたように何もしないというと語弊がありますが、ほんの名前だけで理事長なり理事に座っている人が実は二十五年、三十年たっておるから対象になる。ところが、毎日のように自分の企業を事実上ほうり出して業界運営に奔走しておる、十年、十五年奔走した実は役員が全く該当しない、こういうケースが最近至るところ発生しておる。それがある意味では中小企業団体運営の実は活力を失いつつあるというそういう事実もあるわけですね。そういう不満が非常に高まっておるわけです。それらについて数年前私はこのことは当委員会でも提案をしてお願いをしたことがありますけれども、また改めてひとつ小此木大臣御検討をいただきたい、これまたお願いであります。  それとそれからやはり何といいましても中小企業の団体功労者に対する叙勲のランクが私は率直に申し上げて低い。叙勲のランクが上だからいいとかどうとかこうとか問題じゃありませんけれども、文部省等と比較をいたしますと大体ツーランクぐらい通産省は低いですよね、通産省から出ていきますと。だからこれらについてもぜひひとつ大臣のこれからの御検討を期待をしておりますので、これはお願いを申し上げておきます。御答弁いただければ大変ありがたいです。
  253. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 第一の問題はこれは最大限の努力をいたします。  二番目の問題は、確かに生存者叙勲という制度ができてから相当時間もたっておりますし、世の中のあり方そのものも非常に変わっているわけでございます。見直しというような時期があるいは来ているかもしれませんけれども、これは何分にも通産省だけでもって決められる問題ではございませんので、十分勉強さしていただきます。
  254. 井上計

    ○井上計君 終わります。
  255. 木本平八郎

    木本平八郎君 私はまずガソリンの問題について質問したいんですが、ガソリンというのは今や日本では必需品だと思うんです。ところが私の経験では世界で日本が一番ガソリンが高いんじゃないかという気がするわけです。これは石油の税金が高いということもありますけれども、どうもそれだけではないような気もします。  そこでまずガソリンの輸入問題について質問したいのですけれども、一応業法上石油製品の輸入は原則は自由だと、石油業法の第十二条に基づいて石油輸入業の届け出、それから石油輸入計画の届け出を通産大臣に行えばよいことになっている。しかしながら実際は消費地精製主義というのですか、この名前のもとに製品輸入の規制が行われているというふうに感じられるわけです。ついては製品輸入に対するエネルギー庁の基本的な方針についてお伺いしたいわけですけれども、重油とかナフサとかそういうんじゃなくてガソリンについてどういうふうにお考えになっているかちょっと御所見をお伺いしたいのです。
  256. 豊島格

    政府委員豊島格君) 今先生おっしゃいました石油製品の輸入についてでございますが、日本では連産品である各種製品というものの長期安定確保という観点から、いわゆる原油を主として持ってきて製油所で精製して供給するという消費地精製方式をとっておるわけでございまして、したがいまして石油製品の輸入については国内における生産というのを原則としてこれを補完するために輸入を実質上認めているということでございます。特に国際的に石油価格等の国際競争力といいますか、そういう観点からナフサについては実質的に自由に入るようにいたしております。これは原料ということで非常に製品コストに占める比率が高い。それから重油については御承知のようにローザルファというのをやっております。ただ、ガソリンにつきましては原則として現在のところ特別の場合を除いて輸入は実際上認めておらない。ただし、この点につきましても今後できるだけ国際化していくという観点から、現在いろいろと石油審議会の小委員会で今後どうするかということを検討しておる段階でございます。
  257. 木本平八郎

    木本平八郎君 その石油消費地精製主義ですね、これは昭和三十年代で日本の石油産業がまだ未発達の段階で必要だった、それが何となくずるずると残ってきたという感じがするわけですね。その辺はどうなんでしょう、簡単にお願いします。
  258. 豊島格

    政府委員豊島格君) 日本において石油というのは全部輸入しておる、ほとんど国産化しておりません。したがいまして、そういう国産原油というのはないわけでございますから、そういう段階で石油製品の安定供給ということを図るためにはその当時と実質的にそういう資源の供給ソースという点からいきますと余り事情は変わっておらないわけでございまして、しかしそうはいっても具体的には先ほどナフサの問題その他ございますように、今後はだんだんとそういう国際的な観点での配慮ということも必要になってきているということは認識しておる次第でございます。
  259. 木本平八郎

    木本平八郎君 いや、要するにそういうふうに日本の国内にリファイナリーが足らなかった時代から、もう今あり余っている時代になってきたわけです。それでしたがって石油審議石油部会小委員会ですか、これが昭和五十六年十二月に報告書を出して「今後の石油産業のあり方について」ということで、中期的には必要な条件の整備を図りつつ漸進的に極力国際化の方向を目指していくべきであると、こういっているわけです。これはもう五十六年じゃ遅いんで、もっと四十六年ぐらいにあってもよかったと思うんですがね、あのオイルショックの前でも、もう当然こういう事情があって、しかし十年おくれでこういうことを言い出した、ところがその後五十六年以降を見てみましても、通産省の行政のあり方というのはどうもいつまでも石油業界の保護に終始していて消費者の利益というのは余りお考えになっていただいていないんじゃないかという気がするわけです。  したがって、これはいろいろ過去には事情もあったと思いますけれども、今後の問題として改めてもうこの辺で石油産業の国際化をお考えいただいてもいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺いかがでしょう。
  260. 豊島格

    政府委員豊島格君) 石油消費地精製方式を採用しておること自身は精製の能力があるなしということではなくて、日本のような立場にあって産業及び家庭といいますか、国民生活にとって必要な石油製品の安定供給ということからいって、やはり原油を持ってきてつぶすのを基本とするのがいいということ、そういう状況はいまだに変わっておらないと思います。しかし、先ほど来繰り返して申し上げておりますけれども、その弾力化を図っていくということは必要であるということで、その弾力化の問題といいますか、国際化していくと、それをどの程度のスピードでどの程度の割合やっていくかということでございまして、例えば幾らでも自由化したという場合になりますといろいろな製品がございまして、国際的な需給がいろいろ変わってくる。しかも、日本の需要構成と世界の需要構成と違いますんで、そこは一定の幅で段階的といいますか、スピードをどうしてやるかと、そういうことを頭に置きつつできるだけ漸進的に国際化していく、その点では先生の御指摘のように進むのではないかと思います。
  261. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は通産関係に割合に関係の深い業界にずっとおったわけですが、それで大臣にお伺いしたいんですが、通産省というのは極めてほかの方では自由化の先端をいっているわけです。ところが、何か石油だけは極めて後ろ向きだという感じを昔から受けていたわけです。それで、私過去に事情はいろいろあったと思うんですけれども、通産省がこの石油業界を非常に過保護にしているためにかえってどんどんどんどん最近はリファイナリーが国際競争力を失ってきているという感じがするわけです。その辺大臣の感触をちょっとお伺いしたいんですが。
  262. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 必ずしも通産省が過保護であったかどうかは、私も去年の暮れに通産大臣に就任したばかりでございまして、余り専門的なあれもございませんけれども、そのようなことが考えられるとすれば、やはり日本という国が非常に資源に乏しい、石油に依存する度合いが非常に強いと、これが大きな原因ではないかという率直な感じがいたします。
  263. 木本平八郎

    木本平八郎君 そこで具体的なガソリンの輸入問題についてちょっとお伺いしたいんですけれども、新聞の情報なんですけれども、最近京都のさわらび石油ですか、これが何か初め百二十ぐらいの小売店が集まって石油自主輸入の会というのをつくったと、それでシンガポールからガソリンを輸入しようということが、これも一月ぐらいですか、相当前に新聞報道されたんですけれども、いまだに実現したということは聞いていないわけです。どうも一説によると、ほかの業界紙なんかによりますとやはり通産省から輸入の自粛要請があったというふうなことが言われているわけです。行政指導とまではいかなくても、事前相談の形か何かで相談受けて通産省がそういう要請されたのかどうか、その辺ちょっとお聞きしたいんですが。
  264. 豊島格

    政府委員豊島格君) ガソリン輸入につきましてさわらび石油が何社かと連合といいますか、一緒になって輸入したいということを希望していたことは事実でございます。ただ、そういうガソリンの輸入をいたしますにつきましても、実際問題としてそうなれば国内の石油業界の体制をどうするかという問題がございますし、それからそのガソリン自身がどの程度安定的に入るのか、あるいは製品の規格が日本のと合うかどうか、あるいは輸入するからにはその備蓄ということが義務づけられるわけでございますが、その辺等々のことにつきましていろいろ意見の交換を行ったわけでございますが、その結果、基本的にはしばらく、輸入ということではなくて、一応思いとどまるといいますか、当面としては輸入は考えないということに結果的にはなったんではないかと思います。
  265. 木本平八郎

    木本平八郎君 しかし、ガソリンの輸入は原則自由なんですね。
  266. 豊島格

    政府委員豊島格君) おっしゃるとおり、原則自由でございます。
  267. 木本平八郎

    木本平八郎君 そうすると、通産省がいろいろなことを相談なさったと、まあ言葉はいいんですけれども、行政指導をなさったということは原則自由に反するんじゃないですか。
  268. 豊島格

    政府委員豊島格君) 輸入は自由にいたしておりますが、その中で原則自由でなぜ入れたりあるいは入れないものがあったりするのがいいのかというそういう御指摘かと思いますが、それにつきましては、やはり安定したしかも経済的な石油の製品の供給を確保する観点からいろいろと計画を山さして検討をいたしておるわけでございまして、そういう意味で、いわゆる日本の国民経済といいますか、家庭あるいは産業に対する石油製品の供給を秩序立ててやる、あるいは安定してやる、そういう観点から行政をしておるということでございます。
  269. 木本平八郎

    木本平八郎君 それならもうはっきりと、こうこうこういう状況にあるから当面輸入はもうだめなんだと、禁止だとか制限するということを堂々とおっしゃってもいいんじゃないですか、国益のためであるから。
  270. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先生のおっしゃる御意見はわかるわけですが、いわゆる建前として自由になっておる。その中で関係者の十分な理解を得て進めるということでございまして、基本原則として消費地精製方式を建前とする、あるいは自由輸入等国際化については段階的にやっていくよういろいろと検討しておる、そういう基本的行政方針ははっきり申し上げておるわけでございますが、個々具体的なケースにつきましてはそれなりの御理解を得て進めるというのがいわゆる行政指導の建前かと、こう存ずる次第でございます。
  271. 木本平八郎

    木本平八郎君 もう非常に苦しい御答弁で、これ以上追及するのはやめます。  それで、全面的に自由化してどんどん石油を入れるというのは、私も常識的に考えてそれは乱暴だと思うんです。しかし、今一カ月三十万キロリッターですか何かガソリンの消費がありますね。そのうちで三万キロリッターとか、彼らが言っているのは五、六千キロリッターでしょう。そのくらいのものは入れて、それを入れることによって少し業界に刺激を与えて緊張味を持たして、そしてやはり国際競争の中にあるんだということをリファイナリーもみんなやらせるには私は非常にいいんじゃないかと思うんですけれども、その点いかがですか。
  272. 豊島格

    政府委員豊島格君) 先生のおっしゃるように、ある一定の限度ならいいんじゃないかということでございまして、確かにそういう考え方はあり得るということで、国際化をしていくということにつきまして今我々としては反対しているわけじゃない、むしろその方向で進めたいと思っているわけです。ただ、全体のバランスがございますので、そのタイミングとその程度でございますね、どの程度をどういうタイミングでやっていくのが一番いいのかということを鋭意石審の小委員会で検討していただいている、その結論が五月ごろになるかどうかわかりませんが、そういうことを待って――いろいろなやり方がございます。とりあえずやってから様子を見たらというやり方もあると思いますが、我々の今とっておりますのは、そういうことを具体的にどういうふうにしてやっていくかということを検討しまして、その検討結果に基づきまして進めていきたい、こう考えておる次第であります。
  273. 木本平八郎

    木本平八郎君 その五月の石審のなにを待つというのも一つだと思いますけれども、あるそこそこの限度でこれは大丈夫だと判断なさったら、やはりこれは石油輸入業及び石油輸入計画の届け出ですか、これを受理されるということの方が私はスムーズにいくんじゃないかという気がするわけです。その辺今言っている五、六千キロリッターですね、大した影響力があると思わないんですけれども、それについては届け出があれば受理される用意があるのかどうか。それとも石審の審議を待つとおっしゃるでしょうけれども、いかがですか。
  274. 豊島格

    政府委員豊島格君) 石審の検討結果を待つ以 前に、現実の問題として出てきたときどう処理するかということは問題としてあるわけでございます。したがって、さわらびにつきましては現にそういう相談があったということも事実でございます。しかし、それにつきましては、先ほど申しましたように、どの程度の供給の安定度があるのか、あるいは品質的にどうかと、あるいは石油業者といいますか、輸入する場合に輸入業者に課せられるべき備蓄というものができるか、それをどうするかというようなことを御相談をして、その結果として出てこなかった計画がといいますか、受理するに至らない、向こうから出てこなかった、こういうことでございまして、またそういう事態が起きた場合には以上のようなことをいろいろ相談した上で適切に処理したい、こう考えております。
  275. 木本平八郎

    木本平八郎君 こだわるようですけれども、それは届け出を出さなかったんじゃなくて、出させなかったというふうにやっぱり感じるわけです、我々は率直に言って。いろいろ言葉では説明されていますけれども国民の素朴な感情としてはやっぱり通産が抑えたんだというふうに感じているわけですね。  ちょっと皮肉っぽい質問をしたいんですけれども、ここに出ていますように、届け出というのと許可あるいは行政指導というのはどういうふうに違うのですか。届け出というのとそれから許認可あるいは行政指導というのとはどういうふうに違うんですか。
  276. 豊島格

    政府委員豊島格君) いろいろな場合があるので、私も全般的に言えるかどうかわかりませんが、許可というのは一つの法律によって許可を受けなければそういうことができないということでございます。したがいまして、許可をしなければ、それに反すれば罰則とか、あるいは効力が発生しない。罰則が一般だと思いますが、そういうことじゃないかと思います。  それから届け出につきましては、いわゆる一種の、何といいますか、事態に対する事実を届け出るということであろうかと思いますが、そういうことにつきまして一体許可と同じようなことをやっておるんじゃないかと、こういうことが御質問の趣旨かと思いますが、我々としてはそういうことを通じて事態を知るということが目的でございますが、実際、許可の申請あるいは届け出というものがある前にいろいろ業界と話し合って適切な方向に物事を進める。要するに届け出とか許可以前の問題として、仮に許可とか届け出ということがなくても業界とはコンセンサスを得てやるという行政もあるわけでございますが、我々のやっているのはそういうことと直接かかわりがあるかどうかといえば、ない場合にも行政指導はあり得ると、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  277. 木本平八郎

    木本平八郎君 さすが日本の官僚は世界一だなんという皮肉を言うつもりはないんですけれども。この問題はちょっとおきまして、次にガソリンスタンドの問題に移りたいんです。  ガソリンスタンドは揮発油販売業法ですかに基づいて指定地域以外、指定地域がありますね、それ以外なら通産大臣に登録すればいいということになっているわけです。それでここにまた登録が出てくるんです。ところが実際は行政指導で新規の給油所の建設については事前相談制度というのがあるんですね。事前相談制度が設けられておって、行政指導の規制を受けている、現実には。このように、ガソリンスタンドの設置に対する規制が非常に厳しい。このためにガソリンスタンドの利権が、権利が売買されているという事実もあるわけですね。それから、ガソリンスタンドの経営が苦しい苦しいと言いながら、スタンドの数は五十二年度の五万七千軒から五十七年度の五万九千軒と、全然数は減ってないわけですね、苦しい苦しいと言いながら。それはやっぱりどっかで権利で売れたりなんかするという状況、非常にゆがみが出ていると思うんですよね。  そこで、私は少し乱暴に、この際行政指導というのはもう全部やめて、それで完全に設置をフリーにして少し自然淘汰に任して、国際的にも力のある業界をつくったらどうだと。少々手術の痛みがあってもそれの方がやっぱり将来のためにいいんじゃないかと思うんですが、その辺いかがでしょう。
  278. 豊島格

    政府委員豊島格君) 確かに揮発油販売法に基づくいろいろな措置ということが、いわばスタンドが利権化するといいますか、権利化していると、したがって合理化ができてないという御指摘はいろいろのところから受けております。  それから、国際的に比べましても、日本の一スタンドの売り上げというのは月五十キロリットルぐらいと非常に低い。フランスあたりは割と低いんですが、もう最近ではそれより多くなった。それから、諸外国ではスタンドの数がどんどん減っていると、こういうことも事実でございます。したがいまして、これを自由化するということも一つの合理化の方法かと存じますが、現在六万軒のスタンド、三万四千のスタンド業者があるわけですが、そのスタンド業者の七割というのは、大体一業者一スタンドという非常に零細企業であるということでございまして、そういうことを考えますと、一概に自由化するということになりますと、いわゆる中小企業問題、零細企業問題として相当な混乱といいますか、大きな問題を同時に併発するということも覚悟しなくちゃいけない、こういうことでございます。  したがいまして、一方におきましては、どうしたら合理化が進むかということにつきまして、競争原理をどこまで入れていくかということは当然検討しなくちゃいけない。この課題につきましては目下いろいろと研究会等をつくりまして研究していただいておりますが、同時に中小企業問題として、いわゆる中小企業団体法に基づきます特定業種といいますか、構造改善ということを同時に並行して進めていく。そういうことの中においてガソリン販売業自身合理化とそれから中小企業問題の解決ということを並行していかにうまくやっていくかということを現在検討し、また進めておる、こういうことでございます。
  279. 木本平八郎

    木本平八郎君 今の御答弁の中に、相当な覚悟を要するとおっしゃったわけですね。この際ぜひ相当な覚悟をしていただきたいと思うわけです。  それで、元売の中にももうガソリンスタンドをフリーにした方がいいという意見もあるようですね。必ずしも彼らがスティックしているわけでもないと。今の事前相談制度というのはことしの五月三十一日にエクスパイアするわけですね。六月以降はどうされる予定なのか。先ほどのように思い切って覚悟をしていただけるのかどうか。その辺ちょっとお伺いしたいんですがね。
  280. 豊島格

    政府委員豊島格君) 新規給油所の建設について事前相談制度というのがあるわけですが、これは消防法とか建築基準法で、給油所を建設する場合にそういういわゆる行政上の許可、承認等を得なくちゃいけないということでございますが、そういうものを得たものが出てきて、実際登録できないということになればまた問題が起こるということで、そういうことのないよう、大体その登録ができるようなものについて、消防法とか建築基準法の手続をとるという方がいいんじゃないかと、こういうことで進めておるというのが実態でございます。  それで、先生指摘のように、五十九年五月、ことしの五月で一応切れることになっておるということで、これは大体一年ごとにそういうことを繰り返しておるわけでございまして、環境等いろいろな条件というのを考えて、その都度考えることになっておりますが、現在のところ、これを急にことしの六月でやめるというほど事態は変わっておらないといいますか、その辺のところは必ずしもここでやめちゃうということにはならないというのが現状の私どもの認識でございますが、いずれにしましてもその点につきましては五月までに検討を進めていくということではございます。
  281. 木本平八郎

    木本平八郎君 この事前相談制度というのはきのうきょう始まって五月の終わりで終わるというんじゃなくて、ずっと前からあるわけですね。工クスパイアするということがわかってるんだから、その後はどうするかというのはね、当然にお考えにならなきゃいかぬと思うんですよ。ところが、また役人の悪口言うわけじゃないんですけれども、お役人のやられることは何かなし崩しで、既成事実をつくっておいてね、そしてぎりぎりになったら、やむを得ないから延長するんだと。やむを得ないから延長するということばっかりなんですね。ぜひこの問題については、今回延長されるのはやむを得ないにしても、この次はもうやめるんだというふうなことを、今からそういう検討をぜひやっていただきたいと思うんです。  これまた皮肉っぽい質問しますと何ですから、私の方から申し上げますけれどもね、事前相談制度というのは、言葉はともあれ、事実上の許認可じゃないかという気がするわけですね。あるいは行政指導かもしれません。それで、むしろそれならこうこうこういう条件を備えてれば原則として許可しますということがあっていいはずなんですね。持って来いと、それじゃお前のところのこれが消防法に合ってるかどうかチェックしてね、そのときのさじかげんでOKするかしないか、合意するかしないかというふうなことになってると感じるわけですね。その辺は、これ御答弁していただいてもまたいろいろ言われるんで、もういいですけれども、要するにこういうごまかしをやらずに、もっと堂々と行政指導するならするんだと、国のためにこうだからやるんだとおっしゃっていただいた方が通産省らしくていいんじゃないかという気がするんですけれどもね。  それで最後に、小此木大臣、ちょっとお伺いというか、御所見伺いたいんですけれども、私見てまして、通産省傘下の日本の重工業というのは、高度成長のときから今もう五十年代に移って軒並み生産性上昇が頭打ちになってるという感じがするわけです。そのために原料や資材がちょっとでも値上がりすると、それが生産性の向上で吸収できずに、すぐコストアップにつながってしまうという感じがするわけですね。したがって、逆に燃料の値段をよほど抑えないと、そこに価格の下方硬直性みたいなのが起こってなかなか値段が下がらない、上がる一方だと。原料なんかそうですね。そういう状況が非常に出てきていて、商品片っ端から軒並み、例えば鉄でもそうですね。国際競争力をどんどんどんどん失っていってるという感じがするわけです。今のなにを具体的に申しますと、例えば原油の値段が上がるとセメントの値段が上がっちゃう、それで、セメントの値段が上がると今度生コンの値段がすぐ上がる、生コンが上がると建築費というか、それが上がっていくというふうに、その生産性の向上がないものだから、原料代が即どんどんどんどん上がっちゃうわけですね。これが連鎖反応を起こしてドミノ現象というんですか、これやって、日本経済全体が非常に活性化を失っていっているんじゃないかというのが私感じるわけです。これは要するに日本経済の体質がもう変わってきてる。例えば、昔は青年期だったのが壮年期になって、青年のときなら多少食べてもすぐ消化できたわけですね。消費できたわけです。ところが、壮年期になると、食ったらどんどんどんどん肥満になるというふうなことで、日本経済の体質が青年期から壮年期に特に重工業の場合変わっているのじゃないか、そういうふうに感じるわけです。したがって、そういうことに対して通産行政もやはり青年対策から今度壮年向きに変わっていかなきゃいけないんじゃないかという気かするわけですね。ちょっとこれについて大臣の御所見を伺って私の質問を終わります。
  282. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) おっしゃるとおり、重工業だけでなしに、今非常に華やかである自動車産業ですら、いわばそういう意味での成熟期に入っていることは確かだと思います。まあ幸いにして原油価格が下がり、それが安定している今の時代にありまして、現状ではそのような突発的な問題は起こる要素はございませんけれども、しかし委員のおっしゃるような反面、日本の重工業その他がそのような生産性の向上に努力して、例えば原油の値上げというようなことに対しても、それがすぐ製品そのものの値上げに派生していくということは、むしろそれぞれの産業、それぞれの工業によってそれほどの憂慮すべき状態というのは少ないんじゃないかと思います。しかし、これはそのような物価その他に派生するということは、一両国民生活に非常に圧迫を加えることでございますので、このような監視を怠ることなく努力を続けてまいりたいと思います。
  283. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  284. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 次に、輸出保険法及び輸出保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小此木通商産業大臣
  285. 小此木彦三郎

    国務大臣小此木彦三郎君) 輸出保険法及び輸出保険特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近、世界経済の停滞等を背策に、発展途上国等の累積債務が増大する等カントリーリスクが著しい高まりを見せております。とりわけ輸出代金の回収に伴うリスクの高まりはプラント輸出、中小企業の輸出等に悪影響を及ぼしております。  発展途上国等へのこれらの輸出は、我が国貿易構造の高度化及び中小企業の健全な発展のため極めて重要な役割を果たすとともに、我が国経済が対外取引を通じて世界経済の安定的発展に貢献すべきであるという観点から見ても、発展途上国等の経済発展へ寄与するものとして大いに推進すべき分野であります。  こうした状況の中で、これらの対外取引を円滑に進める上でリスク回避の主要な手段となっている輸出保険に対する利用者の期待はますます高まっており、政府としてもこの期待にこたえていく必要があります。  また、発展途上国等の中には、債務返済の繰り延べを実施する国が増加しており、我が国もそれらの国の経済再建に協力するとの立場からこれに応じてきておりますが、この結果、輸出保険特別会計において保険金支払いの急増、業務量の増大が顕著となってきております。  以上のような実情にかんがみ、カントリーリスクの増大に対応した輸出保険制度の機能充実を図ることが当面の急務となっており、所要の制度改正を行うために本法律案を提案した次第であります。  次に、改正案の内容を御説明申し上げます。  第一に、輸出代金保険及び輸出手形保険の付保率、てん補率の引き上げ等であります。  カントリーリスク増大によるプラント輸出、中小企業の輸出等への悪影響に対処するため、これらの輸出に関連の深い両保険について、外貨不足による支払い遅延等の非常危険に限り付保率及びてん補率の引き上げを行いこれらの輸出に伴う危険を軽減するものであります。  第二に、委託販売輸出保険及び海外広告保険の廃止であります。  最近において利用実績がほとんどない両保険を廃止しカントリーリスクの高まりにより増大している輸出保険業務の合理化を図るものであります。  第三に、輸出保険特別会計法の借入金規定の整備であります。  五十九年度以降において予想される資金不足に対処するため、当分の間の措置として、借入金に係る債務を弁済する場合に一定の範囲内において借入金ができるようにするものであります。  以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  286. 斎藤栄三郎

    委員長斎藤栄三郎君) 本案に対する質疑は後日に行うこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会      ―――――・―――――