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1984-09-26 第101回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年九月二十六日(水曜日)    午後一時五分開会     —————————————    委員異動  八月八日     辞任         補欠選任      赤桐  操君     松本 英一君      村田 秀三君     青木 薪次君  八月九日     辞任         補欠選任      粕谷 照美君     穐山  篤君  九月十九日     辞任         補欠選任      松本 英一君     村沢  牧君      下田 京子君     吉川 春子君  九月二十五日     辞任         補欠選任      浦田  勝君     松岡満寿男君      出口 廣光君     増岡 康治君      吉川 春子君     下田 京子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安永 英雄君     理 事                 鈴木 省吾君                 青木 薪次君                 原田  立君     委 員                 竹山  裕君                 増岡 康治君                 松岡満寿男君                 吉村 真事君                 村沢  牧君                 下田 京子君                 栗林 卓司君    国務大臣        建 設 大 臣  水野  清君        国 務 大 臣        (国土庁長官) 稻村佐四郎君    事務局側        常任委員会専門        員        田熊初太郎君    説明員        科学技術庁研究        調整局生活科学        技術課長     大橋 哲郎君        国土庁防災局長  杉岡  浩君        文部省学術国際        局学術課長    重藤 学二君        厚生省社会局施        設課長      荻生 和成君        農林水産大臣官        房審議官     吉國  隆君        林野庁長官    角道 謙一君        林野庁業務部業        務第一課長    塚本 隆久君        中小企業庁小規        模企業部参事官  小川 忠夫君        気象庁地震火山        部地震火山業務        課長       山川 宜男君        気象庁地震火山        部地震予知情報        課長       津村建四朗君        建設省河川局長  井上 章平君        建設省河川局開        発課長      志水 茂明君        建設省河川局防        災課長      帆足 建八君        建設省河川局砂        防部砂防課長   設楽 武久君        建設省住宅局民        間住宅課長    鹿島 尚武君        建設省住宅局建        築物防災対策室        長        梅野捷一郎君        建設省国土地理        院地殻調査部長  春山  仁君        自治大臣官房参        事官       木下 英敏君        消防庁長官    関根 則之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (昭和五十九年長野西部地震に関する件)     —————————————
  2. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  議事に先立ち、去る九月十四日に発生しました昭和五十九年長野西部地震により亡くなられた方々に対して御冥福をお祈りし、謹んで黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立を願います。黙祷をお願いします。    〔総員起立黙祷
  3. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 黙祷を終わります。着席してください。     —————————————
  4. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 委員異動について御報告いたします。  去る八月八日、赤桐操君及び村田秀三君が委員辞任され、その補欠として松本英一君及び青木薪次君が選任されました。  また、八月九日、粕谷照美君が委員辞任され、その補欠として穐山篤君が選任されました。  また、九月十九日、松本英一君が委員辞任され、その補欠として村沢牧君が選任されました。  また、昨二十五日、浦田勝君及び出口廣光君が委員辞任され、その補欠として松岡満寿男君及び増岡康治君が選任されました。     —————————————
  5. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  去る八月八日の委員会において、粕谷照美君の理事辞任に伴う補欠選任につきましては、後日指名することといたしておりましたが、この際、その補欠青木薪次君を指名いたします。     —————————————
  6. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般行いました委員派遣について、派遣委員報告を聴取いたします。原田立君。
  7. 原田立

    原田立君 報告に先立ち、今回の災害により犠牲になられました方々の御冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。  去る九月二十一日、安永委員長井上理事竹山委員村沢委員吉川委員栗林委員と私、原田の七名は、昭和五十九年長野西部地震による被害実情調査を行いました。  以下、派遣委員を代表して、調査概要について簡単に御報告いたします。  御承知のとおり、九月十四日八時四十八分ごろ、長野西部を震源とするマグニチュード六・九の地震発生し、諏訪飯田甲府、舞鶴で震度四となったほか、関東から中国地方まで広い範囲にわたって地震動がありました。この地震の後も余震が続き、十五日にはマグニチュード六・四の地震がありましたが、その後は次第に減少しております。  この地震によって、長野県を中心として被害をこうむったのでございますが、特に長野県木曽郡王滝村では、山崩れ、土石流によって甚大な被害発生したのであります。  長野県の報告によります九月二十一日現在の被害状況は、死者八名、行方不明者二十一名、負傷者八名と多くの人的被害を受けており、住家被害全壊十戸、半壊八十六戸 一部破損四百六十六戸となっております。その他、公共施設農林業等被害総額は約百五十四億円にも及んでおります。また、国有林被害も大きく、現在までに判明した被害額は約百九十億円に上っております。  こうした被害発生に対応して、長野県及び王滝村、三岳村ではそれぞれ災害対策本部設置し、災害防止救助活動等、諸対策を講じてきたところでございます。また、九月十四日十五時三十分には、王滝村に災害救助法が適用され、避難所設置被災者救出炊き出し等応急対策全力を注いだのであります。  我々調査団は、まず、被災者避難しております木曽福島町老人憩いの家を訪れました。ここには、被災直後には六十五名の方々避難され、二十一日現在で、なお三十四名が避難生活を続けており、不自由な生活と不安の日夜を過ごしておられました。一日も早く帰村できることが望まれます。  次いで、王滝村での被害状況等説明を聴取した後、今回最大の被害を受けました松越地区を視察いたしました。  この松越地区の大規模な崩落は大量の土砂を流出して、一瞬にして七名の死者と六名の行方不明者を出しております。下流では懸命の行方不明者捜索が続けられており、地震の惨状を目の当たりにしたのであります。また、県道御岳主滝黒沢線も二カ所で流出して通行不能となり、復旧見込みも立たない状況でございました。  この後、調査団は、上空より王滝川濁沢川沿いに、土石流発生箇所の実態を視察したのでございますが、村の中心地から約七キロ上流氷ケ瀬地区からさらに上流柳ケ瀬地区間の王滝川の流れは、大量の土砂や流木でせきとめられて、泥状の河床には、貯木場から流出した木材がマッチ棒をばらまいたように散乱していました。柳ケ瀬地区でせきとめられた王滝川黄土色のよどんだ水で、さながら泥のダムになっており、その泥流の中に、モミなどの木々が大量になぎ倒されていました。  一方、濁沢川に沿って土石流発生源となった御岳山頂上に向かって登りますと、尾根は削り取られ、切り立ったがけは赤茶の地層がむき出し、崩落した土砂は、森林を根こそぎえぐって、さらに、谷から尾根へと再びはい上がり、向こう側の谷へ走る様相はすさまじいものがありました。濁川温泉は跡形もなく流失しておりました。  この王滝川濁沢川沿いに起こった土砂崩れ土石流のため十五名の人が行方不明となり、捜索は困難をきわめ、今日に至っておるのであります。  次に、今回の現地視察地元要望等を踏まえまして、今後の対策等について申し上げます。  まず、今なお多数の行方不明者がおりますが、その捜索救出全力を挙げることであります。  その第二は、王滝川に押し出た土石流等による二次災害発生防止であります。現在のところそのおそれは少ないとのことですが、早急に水抜きのための川道の掘削等応急策を講ずべきであります。  第三は、復旧対策の促進と被災住民生活再建であります。公共土木施設農地農業用施設、及び林業関係等災害早期復旧について懸案事項が山積しておりますが、被災者生活再建へ向けて関係者の一層の努力を痛感するとともに、激甚災害早期指定と県、市町村に対する普通交付税の繰り上げ交付及び特別交付税による大幅な財源措置が強く望まれております。  第四は、地震観測体制強化でございます。  今回の地震で明らかになったのは地震観測体制の心もとなさであります。当地域特定観測地域となっておりますが、「特定」とは名のみの貧弱な観測体制であり、早急に観測網を充実強化する必要があります。これとともに、いわゆる直下型地震発生メカニズム予知技術研究を推進すべきであります。さらに、地元では御岳山一帯地域地震防災対策強化地域に加えるよう強い要望のあったことを申し添えます。  以上、調査概要等について述べてまいりましたが、最後に、被災地が一日も早く復興することを心から念願して、簡単ではございますが、報告を終わります。
  8. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 以上で派遣委員報告は終わりました。  次に、昭和五十九年長野西部地震による被害について、政府から報告を聴取いたします。杉岡国土庁防災局長
  9. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) お手元にお配りいたしました「昭和五十九年長野西部地震災害について」という資料に基づきまして被害状況の御報告を申し上げます。  まず一ページでございますが、一は九月十四日に発生いたしました地震の概況でございます。  マグニチュード六・九という地震でございまして、測候所のある甲府あるいは飯田諏訪等におきましては震度四を記録いたしております。それから、その後余震でございますが、翌十五日余震がございました。ここに書いてございますが、十五日の七時十四分、マグニチュード六・四という余震があったわけでございますが、その後も余震が続いておりますけれども、徐々に数は減ってきております。  二の被害状況について御説明申し上げます。  一般被害。これは二十五日現在でございますが、死者九名、それから行方不明二十名。それから、全壊・流出が十、それから半壊が八十六ということになっております。右側に道路損壊とございますが、二百二十カ所、それから橋梁被害十カ所等となっております。  おめくりいただきまして、施設被害を御説明申し上げます。  まず交通関係道路でございます。表がございますが、道路では、長野県で国道県道、それから町村道入れまして二百二十五カ所、現在の被害額は四十六億余になっております。それから山梨県も、一部県道及び町村道被害が出ております。  国道県道被害でございますが、国道十九号線あるいは三百六十一号線につきましては、地震被害がございましたが、早急に復旧いたしております。県道御岳主滝黒沢線、これが王滝村に入ってまいります主要な道路でございますが、これが今全面交通どめになっております。これは迂回路によって通っておるわけでございます。それからもう一つ、県道の越・木曾福島線、これも迂回路を通っております。以上のほか、県道等につきましては片側通行等々の復旧をいたしております。  それから国鉄でございますが、国鉄地震のあった日及び翌日の余震で一時不通になりましたが、それぞれ復旧をいたしております。  おめくりいただきまして、水道でございます。  水道関係は、王滝村あるいは開田村、それから三岳村等々周辺の町村におきまして一時断水があったわけでございますが、王滝村を除きまして復旧がなされております。王滝村におきましても、二十一日に簡易水道が一部復旧いたしまして、三百八十四戸につきまして、ろ水器を入れまして給水が可能になっております。残りの家につきましては、隣接町村からの給水車等による応援を受けまして、応急給水をいたしております。  それから電気でございますが、地震の当日は停電いたしたわけでございますが、その後復旧に努めまして、翌日十二時には復旧をいたしております。  それから電話でございますが、電話につきましては、王滝村に木曾福島の方から二つの市外電話ケーブルが入ってきておったわけでございますが、一ケーブルが切断をいたしましてふくそうをいたしたわけでございます。これに対しまして衛星通信車載局を持ち込みまして、それからさらに新しいケーブルを引きまして、現在は市外通話につきましては平常に戻っております。また各戸の電話につきましても、家屋が破損したというところを除きまして復旧をいたしております。  それから、その次が河川でございます。河川被害は、ここに書いてございますように、長野県で四十五億余の被害が出ております。山梨県にも一部出ております。特に三ページの一番下に書いてございますが、一級河川王滝川におきましては、濁沢川から土石流が流れ込みまして土砂が堆積をいたしたわけでございます。これに対しまして、現在、王滝川柳ケ瀬地区におきまして、水がダムのようになっておりますから、その水位を下げるため、または上昇を抑えるために河道をつくっております。それからその下流氷ケ瀬地区におきましては、右岸側河道をつくって水を流しております。それからさらに土砂のたまったところ、一番下流につきましては床止め工事を行うことにいたしております。  おめくりいただきまして、砂防と地すべりが出ております。一億二千五百万の被害が今のところ出ております。  それから、農林水産業関係被害でございますが、農地関係で百三十カ所、それからあと農作物あるいは林業関係王滝村は非常に国有林の多い村でございますが、その国有林に大きな被害が出ておりまして、トータルで二百五十四億四千百万円の被害が出ております。  それから学校関係でございますが、学校関係につきましては、王滝村を除きまして、小中学校が九月十七日から授業を再開しておりますが、王滝村は九月二十五日、きのうでございますが、授業を再開いたしております。  それから社会福祉施設、特に保育所でございますが、三岳村の保育所保育を再開をいたしております。それから王滝村の保育所につきましては、避難所あるいは仮診療所というふうなことで現在使用しておりますので、開園をいたしておりません。  それから、中小企業関係でございます。建物被害全壊が七件あるいは半壊十四件等々の被害が出ております。現在被害をいろいろと調査をしておりますが、現在のところ被害の件数が八十七件、七億四千七百万という被害額となっております。  以上が被害でございます。  おめくりいただきまして、この長野西部地震に対しまして政府のとった措置を簡単にここに記載しております。  地震のあった十四日に関係省庁連絡会議を開き、また十六日に関係省庁連絡会議を開くと同時に、非常災害対策本部設置いたしたわけでございます。九月十六日十三時十分、非常災害対策本部設置いたしております。関係省庁十八省庁から成る、国土庁長官本部長といたします非常災害対策本部でございます。  なお、長野県の県、村あるいは岐阜県等におきましても災害対策本部ができております。  この非常災害対策本部におきまして、早速二次災害発生防止あるいは被害状況把握あるいは行方不明者捜索等全力を尽くすということで決定をいたしました。そして、翌十七日に国土庁長官を団長といたします政府調査団現地派遣をいたしております。七ページにそのときの派遣者が出ております。そして、帰ってまいりまして、同日すぐに第二回の本部会議を開きまして、六ページの後半部分に出ております行方不明者捜索あるいは被害状況把握あるいは二次災害発生防止、それから被災者に対する救済対策あるいは道路復旧等々十二項目の当面の対策決定をいたしまして災害復旧等全力を傾けておるわけでございます。  なお、七ページに災害救助法が出ておりますが、災害のあった十四日に災害救助法の適用をいたしております。  八ページ以降につきましては、ただいま御説明申し上げましたことにつきまして若干詳しく書いておるわけでございます。  この中で主なものを御説明申し上げますと、まず災害救助等に、あるいは捜索等に当たりました実動部隊でございます。二番目にありますが、警察庁は二十五日現在までに延べ二千五百人の警察官を現地派遣をいたしております。  それから三番目の防衛庁のところをごらんいただきますと、十四日から二十四日まで延べ三千二百人の人員を現地派遣をいたしております。  それから融資関係で、八ページの終わりに大蔵省とございますが、国民金融公庫による災害貸付の発動をいたしております。  それからあと文部省は先ほど申しましたとおりでございます、学校関係は。  それから厚生省災害救助法あるいは水の関係、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。十ページにいきまして厚生省関係融資といたしまして環境衛生金融公庫、これの災害貸付を十八日に指示をいたしております。  それから農林水産省につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございます。  それから通商産業省の関係電気等につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。  十一ページにまいりまして中小企業関係が出ております。政府系中小企業金融三機関、これは中小企業金融公庫、それから国民金融公庫、それから商工中金でございますが、これに対しまして災害貸付を発動するよう九月十八日に指示をいたしております。  それから十二ページでございますが、建設省におきまして、住宅関係でございますが、災害復興住宅の資金の貸し付けの受け付けを九月十八日から開始をいたしております。一番最後のページになりますが、建設省関係道路、先ほどの道路につきまして特に県道御岳主滝黒沢線でございますが、これにつきまして、建設省に持っております応急組み立て橋貸し付けをいたしまして仮橋をつくる工事に着工いたしております。  それから自治省関係でございますが、自治省関係は今回の災害の甚大にかんがみまして、地方債の配分あるいは特別交付税措置によりまして適切な財源措置を講ずるよう対処していくことにしております。  それから最後消防庁でございますが、これも災害捜索等に当たりまして、延べ二千六百人の消防団員が出動をいたしておる現状でございます。  以上、非常に簡単ではございますが、長野西部地震被害状況等につきまして御報告申し上げました。
  10. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 以上で政府からの報告の聴取を終わります。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 村沢牧

    村沢牧君 私は質問に先立ち、今回の長野西部地震で不幸にして亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、被災された皆さんにお見舞いを申し上げ、行方不明者捜索緊急復興対策に連日活動されておられる皆さん敬意と感謝を申し上げます。  被災地現状についてはただいまの調査報告でも述べておりますが、私は地震発生の翌十五日の早朝現地へ駆けつけました。音を立てて流れる土石流は、山や道路を削り、建物をなぎ倒して、静かな山村は一瞬にして姿を変えており、時折強い雨の降る中で余震が続き、各地の土砂崩れ発生をし、交通通信も途絶え、犠牲者救出作業も難航して、住民は不安におののき、王滝村はまさに恐怖のどん底に陥っておりました。  あれから十三日目を迎えたきょうも、行方不明者の懸命な捜索が続いているけれども、見つかった遺体は九人だけ。残る二十人は依然として行方がわからない。ほとんどの民家が被害を受けておる。また、多くの老人は他村に避難をしている。道路不通箇所が多くて、観光林業の産業も全くのお手上げであります。村民の疲労も目立っており、一瞬にして発生した傷跡は余りにも大きなものがあります。      ,  去る二十一日、当委員会調査団に対して家高王滝村長は、無残な姿で発見された遺体に取りすがって泣き崩れる遺族の悲惨な様子を見るとき、また、全身傷だらけの我が村を見るとき、我が村の復興政府先生方にすがるほか方策はありません、と涙ながらに訴えたことが、私たちの脳裏に焼きついています。  稻村国土庁長官水野建設大臣も、政府調査団を伴って早速現地調査し、激励と適切な対策をとられていることに対しては敬意を表しますが、現地人たちの傷ついた心をいやすためにも、またヒノキの里、観光の村、過疎の村が一日も早く立ち直ることができるように、被災者激励と、当委員会を通じてバイブラントの方針を示してもらいたいというふうに思います。  そのことを要請をし、両大臣現地を視察した印象と復旧基本方針、再びこのような災害が起こらないための災害防止対策について質問いたします。
  12. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) まず最初に、亡くなられた方々の心からなる御冥福をお祈り申し上げます。また、被災者皆さん方にも心からお見舞いを申し上げたいと思うのであります。  今の、どういう心境であるかという御質問でございますが、十六日に政府対策本部設置をいたしました。十七日に、私は現地に赴きました。表現のしようがないくらいに、いかに地震というものが恐ろしいか、特にまた内陸直下型の地震であったというわけでございますので、恐ろしいの一言に私は尽きると思います。  対策の問題については先ほど防災局長から細かくお話があったのでありますが、ちょうど私も中国におりまして、十五日の晩、杉岡局長から直ちに帰ってもらいたいという通知を受けたわけであります。それから予定を変更いたしまして直行いたしたわけでありますが、先ほど来申し上げたように、大変な恐ろしい姿であった。  そこで一日も早く、これは理屈を抜きにして一日も早く正常な生活に返っていただく、平常な心に返っていただくというためには、政府といたしましては、特に災害対策本部といたしましては、できる限りという言葉でなく、これは絶対しなきゃいかぬということで対策を急いでおりまして、幸いにして地元のゼネコン等々も大変な協力をしていただいております。身近にトンネル工事等々を皆さんやっておられまして、そのトンネル工事も大事ながら、この災害は極めて大切な問題であるからと、建設省等とも連絡をとりながら皆さんにも御要請をちょうだいいたしまして、手際と言っては大変失礼かもしれませんが、私はいろいろな経験から考えてみて、大変手際よくやはりその処置が建設省その他の省庁が協力をし合ってなされておるものだと思います。  しかしながら、それは決して十分なものであるとは考えられません。きのうも長野県知事から詳細を承りまして、そこで再度長野県にその災害地視察の要請を受けました。そこで各省庁連絡をいたしまして、今度行くまでにはこれとこれとこれはいかなることがあっても解決をしてもらいたい、という至上命令というと大変大げさでありますが、一つの指示をいたしました。例えば道路にいたしましても、私が行くまでにできていなかったということになったら、これは私は許さぬということで、その日も大体決めまして、ほとんどの道路が切断されておるわけで、道路の問題あるいは水の問題、いろいろな問題がございますが、一つずつチェックをいたしまして、次に私がこの地震の現場を訪れるときまでには、ほとんどのものが計画どおりに見通しをつけなければならないし、つけるということが条件で私は来月の中旬ごろまでに現地に参る予定をつくっております。  この問題につきましては、大変な地震の生々しさということを、私は現地をヘリコプターによって上空からよく見さしていただき、または現地において大変なこういったことを受けとめまして、私は全力を注ぐということで、私の方は災害対策本部として各省庁激励いたしておるというのが現実であります。大変なことだと、恐ろしいなという一言に私は尽きるのではないかと思います。
  13. 水野清

    国務大臣水野清君) 私は、このたびの長野西部地震によりましてお亡くなりになられた方々にまず深く哀悼の意を表するものでございます。また、いろいろな被害をお受けになられました方々あるいは王滝村の当局に対して心からお見舞いを申し上げるわけでございます。  建設省といたしましては、いろいろな各種の措置を今対策を練っている最中でございますし、既に仮設橋でございますとか、あるいは現地に査定官をそのまま置きまして災害復旧に努めているわけでございますが、これと同時に私、王滝村の村長さんのお話が非常に印象的だったのでございますが、御承知のとおりの過疎の村でありまして、観光その他で非常に苦労しておられる。現地へ行きましたら、私どもの想像しなかったようなテニスコートがありまして、私はどこかの、関西電力かなんかのテニスコートかと思ったら、そうじゃなくて、観光のためにこうしていろんな人を誘致しておられる。それがちょうどヘリポートになっておりまして、そういうのを拝見しまして、それから、村営のスキー場をやっておられる。この冬にかけて早くスキー場への道路復旧してもらいたいとか、いろいろお話を聞きました。  その中で非常に過疎の村が何とかして……と、今まで運営を大変苦労しておられる。村長さんが非常に村のために——何か前に郵便局長をやっていらした方で、おやめになって村長になったんだそうですが、王滝村のために今まで一生懸命やってきたんだが、この災害でちょっといろんなことがだめになってしまったと、非常にがっかりしておられたんで、まあそういうこともありましょうが、ともかく建設省としましては災害復旧でできるだけのことをいたしますので、まあ道路なんか前よりよくして差し上げることができるかもしれない、復旧だけではなくて改良もしてあげられることができるかもしれぬから、元気を出していただきたいと。村長さん以下、村当局の皆さん方に、やっぱり村の再建には、皆さん方災害に負けずにひとつ頑張っていただくことだと。政府や県やそれぞれ、今国土庁長官が申されましたように、各省庁が力を合わせて復旧には御支援をするんだが、やっぱり復旧中心になるのは村当局であり村長さんであるので、ひとつ大いに頑張っていただきたいという激励のお話をいたしてまいりました。  建設省としてはそのつもりで、道路なり、あるいは砂防なり、あるいは河川の修復なりに全力で取り組んでいる次第でございます。  なお、災害の印象をどういうことかと申されましたが、これは御承知のとおりでありまして、私は国土庁長官が行かれました翌日行ったわけでありますが、既にテレビなどで朝から災害地の放送をしておりました。しかし、現地に行って私もヘリコプターで上空から見てまいりましたが、土石流というものの恐ろしさといいますか、地震で陥没をし、さらにそれが土石流となってあの峡谷を襲った恐ろしさというものは、私も筆舌に尽くせぬという言葉が当てはまると思います。私もああいう大変大きなものを、現場を見る経験は初めてでございますので、大変驚いた次第でございます。
  14. 村沢牧

    村沢牧君 それぞれ両大臣から前向きな力強い御答弁をいただきまして敬意を表しますが、建設大臣には富山県方面へ出張中ということでありましたが、当委員会で出席を要請いたしましたところ、すべての計画を取りやめて、当然のことでありますが、委員会へ出ていただいたことは敬意を表します。どうか両大臣、今お話がありましたように、一層の積極的な対策をお願いしておきたいというふうに思います。  消防庁長官も早速現地へ駆けつけられ、捜索活動の指導や消防団を激励してくれたことには敬意を表するところであります。  御承知のように、災害発生以来きょうまで不明者の捜索に出動した人員は八千百五十名。特に、うち消防団員、警察官は約四千七百名でありますが、特に消防団の出動は木曾地域三町七カ村の全村の応援を得ているわけであります。しかしまだ二十名の人たちが不明であり、今後も捜索が続きますが、消防団の疲労も大変目立っているわけなんです。そこで消防庁長官も、本委員会を通じてこれら捜索活動に努力している人たち激励をし、今後の捜索がどうあるべきかについての方針を示していただきたいというふうに思います。
  15. 関根則之

    説明員(関根則之君) お話がございましたように、災害発生以来、地元王滝村の消防団百二十人挙げまして、とりあえずともかく行方不明者を捜さなければならないということで、警察、防衛庁自衛隊の協力も得まして、日夜を分かたず出動いたしまして捜索活動を続けているわけでございます。お話ありましたように、近隣の木曾郡の十カ町村の消防団の応援も得まして、一日最大のときには四百人近い応援も得ているわけでございます。ただ、既にもう十三日たっているわけでございますから、少人数といいますか、もともと団員の数がそれほど多いところではございませんので大変疲れが見えてきております。私が参上いたしましたときも、消防団長は連日の疲労で声が出なくなってしまっておるというような状況でもあったわけでございます。  そこで、県とも相談をし、私自身先ほども木内消防協会長、これは長野県の協会長でございますが、連絡をとりつつございまして、木曾郡だけの消防団ではちょっと無理があるかもしれない、その際には、もちろん地元の御意向にもよるわけでございますけれども、もっと範囲を広げまして長野県の近隣の郡の消防団にも応援を要請する事態が来るかもしれない、そのときには長野県消防協会としても総力を挙げてこれに協力をしていっていただきたいということを申し上げました。長野県協会といたしましてもそういう態勢を要請があればとっていきたいというような返事もいただいておるところでございます。  今後捜索が相当範囲が広くなりますし、長期化する可能性がございます。松越地区につきましてはほぼ大体手が回ったかなという感じでございますけれども、氷ケ瀬の上の今回の山崩れの本体的な部分についてはほとんど本格的な捜索の手が及藤おりません。ここをこれからやらなければいけませんし、その上に、滝越の地区がこれもほとんど手がついておらぬわけでございます。ここの捜索を濃密にやってまいりますためには、大変な手間と人数と時間がかかるものというふうに考えておりますので、もちろん二次災害等の防止につきましては重要なことではございますが、行方不明者捜索というものを最優先にいたしまして、消防ないしは県、地元町村は取り組んでいかなきゃならぬ、それにたえ得るような陣容をひとつ再整備をいたしまして取り組んでいく必要があるというふうに私どもも認識し、地元も認識をいたしております。  もちろん警察及び自衛隊につきましては引き続き強力な御協力をお願いを申し上げている次第でございます。
  16. 村沢牧

    村沢牧君 ぜひ御答弁のあったような姿勢で一層の捜索活動をお願いいたします。  次は、激甚災害特別法の指定について伺います。  復旧について政府の熱意を示すには、まず激甚災害に指定することであります。指定のためには被害額把握や一定の手続を要することは私も承知をしていますが、王滝村の被害状況や財政状況から勘案して、少なくとも特別法の局地激甚災害に該当することは明らかであります。したがって、住民を安心させるとともに早期復旧を図るためにも早急に激甚災害指定をすべきでありますが、国土庁長官の判断を示してください。
  17. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 今の御質問ですが、局部災害ということでありますが、あの被害の状態からいってこれは当然激甚災害の指定になることは間違いありません。ただ問題として、一日も早くと、私もそういうふうに考えておりますが、恐らくされるとしても、年度末ということの激甚災害の指定になることは間違いありません。しかしながら、その時期というのはあくまでも年度末という、この時期に指定されるというふうに考えていただければいいのではないか、こういうふうに思います。
  18. 村沢牧

    村沢牧君 手続上、さらにまた今までの慣例というか、政令等の定めによって年度末になる、そのことはやむを得ないとしても、後ほど指摘しますように、中小企業等の関係もありますから、これらについては別途対応していただくようにまずお願いをしておきます。これは後ほどお伺いします。  次は、二次災害発生防止についてでありますが、まず建設省に伺います。  第一点は、御岳山八合日付近から約十キロに及ぶ土石流が山肌を大河に変えて王滝川に流れ込み、王滝川上流柳ケ瀬地区は大量の土砂に埋まって自然のダムのようになっていますが、二次災害の心配はないかどうか、また、このまま放置すれば大規模の土石流が再発するおそれがあるが、どのような対策を講ずるのか。  第二点、多くの犠牲者が出た大又川の松越地域復旧対策及びその上流砂防対策はどうするか。  第三点、その他、王滝川及びその支流河川には緊急に砂防、地すべり対策を講じなければならない箇所が多く発生しているが、どのように対処するのか。  以上三点について簡潔にひとつ答弁してください。
  19. 井上章平

    説明員井上章平君) 先生から御指摘ございましたように、王滝川本川につきましては、濁沢川からの土砂が柳ケ瀬−氷ケ瀬間に大量に堆積いたしておりますが、この土砂は、御岳出ろくの斜面からの崩落土砂がこの河川に堆積いたしたものでございます。こういうことは余り例がございませんので、私どもも二次災害については大変心配いたしたわけでございますが、次の三点検討をいたしまして、二次災害発生のおそれはないというふうに判断いたしたわけでございます。  第一点は、堆積土砂の粒子はかなり粗いれきを含んでおりまして、簡単には流出する状態にはないということであります。  第二点は、濁沢川王滝川の合流点に位置する柳ケ瀬地区より下流に二カ所ほど非常に狭窄された狭窄部がございます。したがいまして、ここを通り抜けてこの土砂が一度に大量に土石流となって流下していくということは考えられないわけでございます。  第三点は、土砂王滝川に幅広く堆積しておりまして、堆積土砂のせき上げ水位によっても、この土砂を押し流すような土石流発生するほどのエネルギーは持っていないであろうというようなことの理由によりまして、二次災害発生はないと考えておりますが、ただ、今後起こるでありましょう洪水あるいは余震等を考えますと、決して警戒を怠るわけにはまいらないわけでございます。  そういうことで、私どもといたしましては、とりあえずの応急復旧といたしまして、柳ケ瀬付近において堆積土砂の一部を掘削いたしまして、河道を設けて湛水位の上昇を抑えますとともに、氷ケ瀬付近では床止めを施工いたしまして——この氷ケ瀬というのは堆積土の最下流端でございますが、ここには床止めを施工いたしまして、土砂の流出を極力抑えようという考え方でただいま実施いたしておるところでございます。  それから、松越地区復旧対策、それからその上流大又川の砂防対策でございますが、松越地区につきましては、災害関連緊急地すべり対策事業を実施いたしますとともに、地すべり激甚災害対策特別緊急事業の実施も検討いたしております。また、大又川上流域につきましても、ただいま申し上げました災害関連緊急砂防事業を実施いたしますとともに、同じように砂防激甚災害対策特別緊急事業の実施を検討いたしておるところでございます。  それから、その他の支川についての砂防対策でございますが、大又川以外の支川におきましても、崩壊、土石流等による災害発生いたしておりますので、再度災害を防止するために、災害関連緊急砂防事業等の実施をただいま鋭意検討いたしておるところでございます。
  20. 村沢牧

    村沢牧君 基本的な方針はわかったわけでありますが、緊急激特事業等で対応する砂防あるいは地すべり事業は当面何カ所ぐらいで、いつごろから着工し、いつごろまでに完成をされる計画であるのか、あるいはこの緊急事業以外についての砂防、地すべり対策はどうするんですか。
  21. 設楽武久

    説明員(設楽武久君) お答え申し上げます。  ただいま現地で鋭意資料を収集し、あるいは調査を進めているところでございまして、来月の初旬中ぐらいには財政当局とこの実施について協議をいたしたいというふうに考えております。  なお、工事の箇所数等につきましては、現在現地での詳細な調査を待ちませんと具体的な数量がまだはっきりいたしておりませんけれども、それぞれの谷に、当面緊急事業等で早急に一基ずつ程度はまず着工したいというふうに考えております。
  22. 村沢牧

    村沢牧君 現地調査を待って、なるべく緊急事業、激特事業でもって対応をしていただく、そして通常防砂等には余り持ち込まない、そういう方針でぜひやってもらいたいと思いますが、どうですか。
  23. 設楽武久

    説明員(設楽武久君) お答えいたします。  ただいま、まず緊急事業で早急に対応するということでございますが、あとにつきましては激特事業をやるという前提で今調査を進めているわけでございます。
  24. 村沢牧

    村沢牧君 林野庁に伺います。  村の中心部の倉越山の上部にも亀裂が入っているというふうに言われますが、この山が崩落するような事態になれば中心部落は全滅してしまう。この倉越山を含めて危険箇所の緊急治山対策はどのようにするのか。また林道も各所で決壊しているが、その復旧対策について伺います。
  25. 角道謙一

    説明員角道謙一君) 御答弁の前に、農林水産省におきましても、今回の災害で亡くなられました方々に御冥福をお祈りいたしますとともに、被害者の方々に心からお見舞い申し上げる次第でございます。  災害復旧対策につきましては、私ども万全を期しますので、被害地の方々も一日も早いお立ち直りを希望いたしております。  今お尋ねのございました治山あるいは林道の問題でございますが、お尋ねの倉越山の下部にあります上島地区、ここには村の中心部の北方の山林に、長さが約六十メーター、幅三十センチぐらいのクラックが発生しております。これにつきましては、現在専門家によりまして詳細に対策等調査中でございますが、私どもとしましてはアンカー工、土どめ工等を防止対策として計画をしているところでございます。  また、全面的な被害状況につきましては、完全に私どもまだ把握をいたしておりませんし、現在担当官によりまして現地被害の実態あるいは対策等について調査を進めておりますが、当面、次期降雨等によりまして再度災害等が発生する可能性のあるところにつきましては、緊急に措置をする必要がございますので、二カ所、私どもとしては、清滝地区、ここには約三ヘクタール程度の土砂の崩壊がございます、また滝越地区につきましても約一・五ヘクタール程度の崩壊地がございますので、これらにつきましては、清滝地区につきましては治山ダム、滝越につきましては関係省とも協議の上、早急に復旧を図りたいというふうに考えております。  それから林道でございますが、林道につきましては、まず民有林関係でまいりますと、約六十キロの林道がございますが、林道が二次災害の防止あるいは救急活動あるいは日常生活等に非常に必要なものでございますので、私どもとしては、林道につきましては県当局と連携をとりながら早急に復旧対策を講じたいと考えております。  現在、私ども考えております路線は三つございます。一つは、現在孤立しております滝越地区につきまして、これとの連絡を確保するために、川沿いに従来王滝林道がございましたが、約六キロメートルにわたりましてこの箇所が埋没あるいは決壊をいたしております。したがいまして、この王滝林道の代替道路といたしまして、当面氷ケ瀬地区に仮橋を設け、国有林内を迂回をしまして滝越地区に至る林道を早急につくりたいというように考えております。  第二番目の、王滝村の中心部と上松地区方面との交通を確保する春山林道、あるいは黒石林道につきましては御岳湖畔から御岳高原に至る既設の林道がございますので、この既設の四林道につきまして復旧工事を急ぎまして、黒石林道の代替林道として早期に復旧させていきたい、この三本を重点に早期開通を図りたいというふうに考えております。
  26. 村沢牧

    村沢牧君 角道林野庁長官も、聞くところによると東北方面へきのうから出張中であったということでありますが、私の出席要求に応じて急速出張を取りやめてきて答弁をしてもらったことは敬意を表しますが、しかし、あれだけ大きな災害を受けているのに緊急治山が二カ所程度じゃ極めて少ない。しかも当年度発生した災害を当年度緊急にやることがこれは予算対策から見ると極めていいことだと思う。したがって、二カ所ぐらいな緊急対策でやっておってはいけないというふうに思いますから、これからさらに県の要望等を入れて林野庁としても積極的に取り組んで、なるべく多くの緊急治山ができるように取り組んでもらいたい。どうですか。
  27. 角道謙一

    説明員角道謙一君) 一番大きい崩壊地の濁川、鈴ケ沢地区がございますが、これにつきましては、土砂の渓流内での堆積が非常に多うございまして、現在まだ実態等も十分に把握しておりませんので、専門家の現地調査を今実施しておりますので、この結果を見まして早期復旧を図りたいというふうに考えておりまして、私どもといたしましても、予算の制約もございますけれども、予算を弾力的に使いまして、できるだけ早く重点的に復旧をしたいというように考えております。
  28. 村沢牧

    村沢牧君 私は、予算上の問題があるから、災害発生した当年度にもっとたくさんやれということなんですよ。私が言わなくても承知だと思いますけれども、ぜひもっと緊急治山を積極的に取り上げてください。  次は、道路復旧についてでありますが、御説明がありましたように、県道も村道も至るところで決壊をし、生活の不便を与えているだけではなくて、復旧工事にも大変支障を来しています。特に主要幹線道路である新大又橋一帯の県道復旧工事が最大の課題でありますけれども、この対策と、復旧可能時期の見通しはどうか。また、その他の箇所についても改良復旧を含めて早期復旧を図るべきでありますが、どのように対処されますか。
  29. 井上章平

    説明員井上章平君) 新大又橋の復旧につきましては、建設省が所有しております応急組み立て橋を仮橋といたしまして架設して交通の確保を図ることといたしております。現在、新大又橋前後の取りつけ道路土砂の排土を始めたところでありますが、この仮橋架設の工事につきましては、順調にいって約一カ月の工期を要するものと思われます。さらに、工事箇所が行方不明者捜索とも関連いたしますために、完了の期日についてはまだ未定でございます。  その他の道路につきましては、まず交通の確保を第一と考えまして、牧尾ダム右岸の村道一号線については、応急復旧工事を進めながら、生活物資、復旧資材等の輸送を確保いたしております。新大又橋を除く県道及び上島、松原、鈴ケ沢周辺の村道につきましては、十月中に応急復旧工事を完了させることといたしておりますが、その他の村道につきましては、現在被災箇所を調査中でございますので、実態を把握次第、応急工事を進めてまいりたいと考えております。
  30. 村沢牧

    村沢牧君 建設大臣に伺いますが、緊急を要するものについては応急対策を講ずることはもちろんでありますが、災害復旧には測量、設計、査定など一定の手続を経なければならないことがあるにいたしましても、雪が早く降る地域であるだけに、県や国の職員の応援によって段取りを早める、そして早期復旧ができるように建設省としても配慮すべきであるというふうに思います。さらにまた、最近の災害復旧の例に倣って、前倒し復旧によって初年度において大半の復旧ができるような取り組みをすべきであるというふうに思いますが、大臣の見解はどうですか。
  31. 水野清

    国務大臣水野清君) 災害復旧事業の緊急性は御指摘のとおりでございますが、査定をやるということは御承知のとおりであります。  そこで、普通一千万以上の災害復旧の場合は、御承知のとおり、県当局を通じて建設省に持ち込みまして査定をして、その復旧の可否を決めるわけでありますが、御承知のとおり、現在、査定官を現地に置きまして、一千万以上のものについてもなるべく即断をできるような体制をとっております。  それから、事前協議の取り扱いによって復旧工法の協議を行いまして、工事の施行ができることになっております。この制度の運用によって早期復旧に努めているところでございますが、また、前倒し執行によって、復旧については今回の災害復旧の緊急性も考えまして、早期復旧が図られるように適切に対処をしております。
  32. 村沢牧

    村沢牧君 災害復旧の慣例は三、五、二ということが以前言われておったわけでありますけれども、こういう地域であるだけに、そんな比率にとらわれずに、そういう作業が済んだならば、初年度、発生年度において大半のものは復旧させると、さっき国土庁長官からも決意が述べられたところでありますけれども、そういう姿勢で取り組んでもらいたいというふうに思いますが、どうですか。
  33. 水野清

    国務大臣水野清君) そういう問題につきましては、普通は初年度は三、次年度が五、最終年度が二という、三、五、二という比率で、普通は三カ年間で復旧をしているのが常識でございますが、今回の場合は弾力的に対処していきたいと、かように思っております。
  34. 村沢牧

    村沢牧君 弾力的なんという抽象的な言葉でなくて、従来、この二、三年の災害復旧は前倒し復旧をやっていますから、どうかそれと同じような形で、それ以上のペースでもって促進をしてもらいたい、そのことを重ねてお伺いしたい。
  35. 水野清

    国務大臣水野清君) 御趣旨はわかっておりますが、財政措置の問題がございますので、なるべく御趣旨に沿うように対処していきたい、かように思います。
  36. 村沢牧

    村沢牧君 国土庁長官、さっき非常に決意を述べられたんですが、建設省あるいは建設大臣から答弁を聞いていると、財政措置があって云々ですけれども、それでは国土庁長官の決意と相反することになりますが、災害ですから、財政は厳しいことはわかっているけれども、早期に復旧するということを政府として取り組まなきゃいけないんじゃないですか。
  37. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) これは建設省、まあ建設大臣としても今の答弁は全く当を得た答弁だというふうに考えますが、災害対策の責任者としては、これはやはりやってもらわなきゃ困るわけです。  それからもう一つ、これは設計、見積もりと、こういったことは極めて大事なことでありますが、そういうものは長年の建設省の技術者としての勘でもあるし、また技術者以外の、こういったことに大変関係の深い人たちの施工の技術等々もやはり考慮に入れて、後でもそんなものは計算できるんです。心配ないんです、そんなことは今までやってきているんですから。だからそういう意味で、財政当局にも国土庁官としては、災害対策本部長としてはよく働きかけますし、また建設省に対しても大変御協力を願っておるわけでございますが、特に災害というのは緊急を要する。特に今度の場合は地震ですからね。初めて見たんです、私。いかに地元人たちが不安に駆られておるか、こういったことを考えておるときに、財政等との問題がこれありということでは、これは世間が納得しない。そういう意味で私は新たに決意を申し上げますと、できるだけ建設省にも協力を願って早急にこれはやってもらわなきゃならぬというふうに考えております。
  38. 村沢牧

    村沢牧君 非常に力強い御答弁をいただいたんですが、ぜひそういう姿勢で進んでください。それから、これまた国土庁長官なり建設大臣要請しておきますが、県道なら県が対応するでしょうけれども、村道なんかの設計をする、測量するといったって、あの村の職員ではできないんですよ。ですから、それは当然のことであるけれども、県当局を指示して早く設計ができるような体制をひとつ政府の方からも働きかけをしてもらいたいと思いますが、どうですか。
  39. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 本当は、これは建設省道路局というか、建設大臣が答えればいいんですけれども、災害対策本部長という立場から一身に今度の問題が期待をかけられておる等との関係から申し上げますならば、今御指摘のとおりです。
  40. 村沢牧

    村沢牧君 次ですが、日本は地震列島とも災害列島とも言われている。特に長野県は毎年大きな被害発生しておりますけれども、災害発生しても被害を最小限度に食いとめる対策を国ももっと積極的に講ずべきであるというふうに思います。例えば長野県には、人家が五戸以上密集し、土石流被害の危険の高い約二千九百カ所を危険渓流地域に指定している。そのほかに急傾斜地崩落危険地域や地すべり防止対策が約七百五十カ所もある。ところが砂防ダム建設や防災工事の予算と実施箇所が極めて少なく、こんなペースでいけば今存在をする危険箇所をなくするために、もう二百年もかかるであろうという気の遠くなる話です。防災工事が促進をしないということは、国の予算が少な過ぎることが最大の原因であります。連年の大災害発生に照らして防災対策を見直して、予算も大幅にふやすべきであるというふうに思いますが、まず建設大臣国土庁長官の見解を求めます。
  41. 水野清

    国務大臣水野清君) 土砂災害を防止するために砂防関係事業を鋭意実施していることは御承知のとおりであります。その整備率は実は必ずしも高いものではないわけでございますが、危険箇所を重点に今後対策を講じていきたいと、かように思っております。  それから、土砂災害から人命、人家を保全すべく砂防関係事業を積極的に実施する所存でございまして、特に今回のように激甚な災害を受けたところにつきましては、災害復旧事業はもちろんでございますが、いわゆる激特事業、激甚災害対策特別緊急事業によりまして再度災害の防止に万全の措置を講じていきたいと、かように思っております。  なお、現下の極めて厳しい財政状態のもとでございますが、予算の大幅な増額もまた非常に困難な状況にあるわけでございますけれども、土砂災害の重要性にかんがみまして、今回の土石流災害というものの恐ろしさはいろいろ伝えられているとおりでございますので、鋭意努力をしていきたいと、かように思っております。
  42. 村沢牧

    村沢牧君 建設大臣の答弁は、今までやってきたことをおっしゃったにすぎない、別に目新しいことではないんです。  そこで国土庁長官、今申し上げましたように、政府も予算面であるいは施策面でやっておらないとは言わねけれども、しかし連年起きる災害に照らして非常に少な過ぎる。やっぱりこの際、毎年災害が起こっているんですから、防災対策事業等を見直して予算も大幅につけてやらなきゃいかぬ。中曽根内閣として取り組むべきではないか。この辺の見解について国土庁長官の答弁をお願いしたいと思う。
  43. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 昨年は物すごい災害が多い年でしたね。秋田の東部地震あるいは島根の水害、あるいはまた三宅島の噴火といった大変災害の多い年でありました。しかしながら、そのたびごとに政府の計画というものはきちっとなされて、災害対策復旧をなされてきたことはこの委員会皆さんよく御承知のとおりであります。  ことしは災害が大変少なかったのでございますが、どうした関係か、私が中国へ行っておったために地震が起きたのかどうしたのかわかりませんが、実際今度の災害だけが一番大きな災害であります。そういう意味から、災害の予算をふやすということもこれは大事でありますけど、当面はこの地震の問題について、私は激甚災害の指定をしながら万全を期すということが、当面の問題としていいのではないか等々、それを含めてやはり防災局も設置されたわけでございますから、やはり国民の期待というのは極めて私は大きいと思いますから、それには何はともあれやはりついて回るものは予算ということでもありますので、私も全力を挙げて各省庁に働きかけまして、やはり災害の予算、こういったものについて全力を注ぐということをお誓いを申し上げておきたいと思います。
  44. 村沢牧

    村沢牧君 次は、住宅及び中小企業対策についてであります。  王滝村では、約四百三十戸の村内の住宅の全部が全壊から一部破壊まで被害を受けています。また企業、旅館、民宿も大きな被害を受け、産業と観光に大打撃を与えているわけであります。こうした実情を考慮して、住宅及び中小企業に対し長期低利の融資対策を講ずべきであるというように思いますが、どういう対処をしているんですか。特に中小企業、旅館業等の融資については、激甚災害の指定を早急に行い、融資条件を優遇すべきであると思いますが、これについてはどういうふうに考えていますか。
  45. 鹿島尚武

    説明員(鹿島尚武君) 最初に、住宅復興融資のことを申し上げます。  住宅金融公庫は、今回の地震によります住宅被災者に対しまして、災害復興住宅資金の貸し付けを九月十八日から開始をいたしております。この制度は御案内のとおり、全壊半壊を受けられました住宅被災者に対しましては住宅の建設資金の貸し付けを、それからまた一部損壊の住宅被災者に対しましては住宅補修資金の貸し付けを行うこととなっております。この制度によりますと、一般の住宅貸し付けの場合と比べまして、貸し付けの限度額、利率、償還期間等の面におきまして格段に有利なものとなっておるわけでございます。  この地域に例をとって申し上げますと、木造住宅の建設資金の場合につきましては、一般の貸付限度額が四百八十万に対しまして八百万円に、さらにまた、一般にはございません整地費の二百五十万を限度といたします貸し付けあるいはまた他へ移転する場合の土地の取得費の貸し付け五百万というようなものがございます。利率につきましては、一般の貸し付けが十年間五・五%、その後十五年間につきましては七・二%という現在の貸し付け状況でございますが、この災害融資によりますと、木造の例でございますが、二十五年間通じまして五・〇五%というようなことになっております。
  46. 小川忠夫

    説明員(小川忠夫君) 今回の長野西部地震によります中小企業関係被害につきましては、長野県と十分連絡をとりながら現在鋭意調査中でございます。  現在までのところ、特に被害の著しかった王滝村につきましては、被害件数で八十七件、被害額はおよそ七億五千万にも上るという報告を受けております。  中小企業庁といたしましては、既に九月十八日付で政府系中小企業金融三機関に対しまして災害貸し付けの発動を指示しておるわけでございまして、一般貸し付けとは別枠の貸付限度額の設定とかあるいは担保徴求の弾力化とか、こういったような貸し付け条件の緩和、さらには個々の被災中小企業者の実情に応じまして既応の貸付金の償還猶予等、こういう措置を講じたところでございます。  中小企業関係被害額等につきましては、今申し上げましたように現在なお精査中でございますので、今回の災害激甚災害になるかどうかについては今の段階では、大変申しわけありませんが、明確に申し上げられませんが、王滝村におきましては民宿、旅館あるいは生コン会社等を中心に甚大な被害中小企業者が受けたという点につきましては、中小企業庁としても十分認識しておりまして、迅速に実態調査を進めまして、被害実態に応じて所要の措置を講じてまいる考えでございます。  仮に激甚災害に指定された場合には、御承知のように貸し付け条件等につきまして大幅な緩和がなされることになっておりまして、例えば特別被害を受けた特別被害者に対しましては、金利が三・〇%、その他の一般の被災中小企業者に対しましては六・〇五%の低利の特別貸し付けがなされる、あるいは信用保証の限度額の別枠設定がされる。こういう特別措置が講じられることになっておりますので、そういうことによって被災中小企業者が一日も早く再建されますように、私どもとしても全力を挙げたい、このように考えている次第でございます。
  47. 村沢牧

    村沢牧君 今、中小企業庁から答弁がありましたように、激甚災害になれば条件がうんと違ってくるわけですね。また、その条件がどうなるかということによって借り受け希望等もまた違ってくるわけなんです。  そこで、先ほど国土庁長官激甚災害の判断をお聞きをして、必ずなるというような決意もいただいたわけですが、中小企業庁はそういうふうに急いでいますから、その辺は国土庁なり中小企業庁よく相談をして、激甚災害が適用できるような形でひとつ指導してもらいたいと思いますが、どうですか。
  48. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) 中小企業関係激甚災害の指定につきましては、ただいま通商産業省の方から、現在調査中であるという報告でございます。我々の方も通産省の早期の調査を待ちまして、しかるべき方針を決めたいというように考えております。
  49. 村沢牧

    村沢牧君 ぜひ中小企業関係もそうした条件緩和できるように積極的な対応を要請しておきます。  次は、国有林ですけれども、王滝村の面積の八三%は国有林です。王滝営林署は木曽ヒノキを中心とする良質材の販売によって長野営林局唯一の黒字経営を保っているわけです。今回の地震によって林地、林道、立木、素材、機械、施設など、この営林署の二カ年分の販売額にも相当する百九十億円もの大被害を受けて壊滅的な状態になっているわけなんです。国有林の改善を図らなければならない大変なときにこのような被害を受けた。しかし、国有林を立て直しをするために、災害復旧はもちろんのこと、治山対策、これは積極的に講じなければいけませんが、今後の経営方針について林野庁長官の所信を伺います。
  50. 角道謙一

    説明員角道謙一君) 今、村沢先生御指摘のとおり、王滝営林署は木曽ヒノキの約半分近くを生産しております。長野局あるいは国有林全体を通じましても最優良の営林署の一つでございます。この営林署の事業が良質ヒノキの生産供給等を通じまして、地域の木材産業あるいは地域住民への就労の場の提供など、地域の経済社会に重要な役割を果たしているということは御指摘のとおりでございます。  私どもとしてはできるだけ早い時期に事業の再開を図りたいと思っておりますが、先ほど御説明申し上げましたように、緊急治山あるいは林道等の事業につきまして早急に着工するほか、事業場につきまして、現在、製品事業場あるいは宿舎等の施設が約十九棟埋没あるいは全壊しているというような状況でございますが、まだ現在のところ二次災害の危険がございますので、これがなくなった段階におきまして速急にこれらの事業場施設復旧をいたしまして、早期に事業再開を図りたいというように考えております。これによりまして、王滝営林署の早期立ち直り、また事業量の安定的な確保というものを今後早急に進めていきたいというふうに考えております。
  51. 村沢牧

    村沢牧君 営林署の職員が約三百人、下請も含めて約五百人の人が国有林によって生活を立てているだけに、事務系の一部を除いて現場の仕事が当分できなくなるということは、その人たち生活にとっても、またこの村にとっても深刻な問題であります。したがって、林野庁としてはこれらの人たちの就労の場を確保しなければならないが、どのように対応されますか。
  52. 角道謙一

    説明員角道謙一君) 御指摘のように、営林署の職員で現在就労しておりますのは定員内外含めまして約二百人、休暇をとっておりますのが約百人近くおります。これらにつきましては、私どもといたしましては、災害復旧事業への従事、あるいは事業実行箇所近くの営林署に振り向けるというようなことも考えまして、できるだけ営林署職員の就労は完全に確保したいというふうに考えております。また、営林署関係の請負につきましては、やはり製品事業等の実行箇所の変更であるとか公共土木事業等への雇用のあっせんをするということを通じまして、関係者の就労の確保につきましてもできるだけの努力をしたいと考えております。
  53. 村沢牧

    村沢牧君 そこで長官、国有林特別会計、国有林の財政が大変厳しいことは私も承知をしているけれども、この営林署の災害復旧、あるいは事業を軌道に乗せるためには、また雇用対策のためには、財政は苦しいけれども必要な資金は投じていく、そのことをぜひ確約してもらいたいと思いますが、どうですか。
  54. 角道謙一

    説明員角道謙一君) 私ども先ほど申し上げましたように、王滝営林署あるいは王滝地区におきます国有林の事業の重要性というものは十分認識をしております。予算の制約というのは確かにございますけれども、私どもできるだけこの実情等につきましては財政当局にも訴えまして、早急に復旧を図るように最大の努力をしていきたいというふうに考えております。
  55. 村沢牧

    村沢牧君 ぜひそのことをお願いいたします。  次は地震の情報システムについてでありますが、今回の地震災害情報を一刻も早く伝える防災無線システムの重要性を改めて浮き彫りにしております。強烈な震動と道路や土地の崩壊により、公社の電話や村の有線放送施設は全部使用不能になり、災害状況の的確な把握や救助対策にも大きな支障を来した中で、アマチュア無線や営林署の業務用無線が威力を発揮し、人命を守るためにも、避難のためにも大変大きな貢献をしております。したがって、こうした教訓に学んで、災害に備えて地域の防災無線システムを政府としても充実すべきではないか、このように考えますが、消防庁としてはどういうふうに考えていますか。
  56. 関根則之

    説明員(関根則之君) 防災無線につきましては、現在国から、と申しますのは、うちの消防庁から都道府県への防災無線は完備をいたしております。県から市町村への防災無線につきましては、六県ほどを除きまして全部でき上がっておるわけでございますが、まだ六県の整備が進んでない。市町村へ来ました情報が、実は今回の場合でも問題になりましたのは、市町村から末端の住民、集落への連絡が大切であるわけでございますが、その整備状況は全国で二八%程度しか進んでいないわけでございます。災害に当たりましての情報連絡というのが極めて被害を軽減させる上で重要でございますので、これの早急な整備を図っていく必要があるわけでございます。  現在私どもはそれらの整備を促進いたしますために国庫補助金を支出をいたしておるわけでございますが、御承知のような財政が大変厳しい中で、国の補助金の増額というのは実際問題として非常に難しいわけでございますが、私どもとしては特に来年度予算等におきましても重点的にこの分野を取り上げまして、予算の増額を財政当局にお願いをしていきたいというふうに考えておる次第でございます。  ただ、今回の王滝村の災害に当たりまして、確かに営林署の無線でありますとかアマチュア無線に大変協力をいただきました。ただ、防災無線そのものも全然機能しなかったわけではございませんで、それなりの機能をしたと。特に県から市町村までの段階では、災害の緊急時でございますから、大変通話がふくそういたしましてかかりにくくなったということはございますけれども、交換台に人を入れまして、交通整理をすることによって大体緊急な必要な通信はさばき得たというふうに考えております。役場から末端の住民への連絡というものが同報系の防災無線が備わっていなかったということが一つの問題点であったろうと思うわけでございまして、私どもといたしましては、村が今後の防災対策の推進上、同報系の防災無線の整備をするというような御要望が出てまいりました場合には、村の要望を踏まえまして積極的に対応していきたいというふうに考えております。
  57. 村沢牧

    村沢牧君 次は、今回の地震発生原因と予知観測体制について伺います。  長野西部地震は、常識破りの突発地震などとも言われておりますが、地震学者の中には関東地方を中心地震活動が活発化する時期に入っているのではないかと言っている人もおります。最近他の地方で起きている地震王滝地震以後房総沖、伊豆半島、けさも地震があったようでありますけれども、これらのその後の地震との関連性は一体どのように考えるのか。さらには、いつ起きても不思議でないと言われる東海地震との関連はどのように判断されますか。
  58. 春山仁

    説明員(春山仁君) 今回の地震、それから房総沖に起きました地震、そういったものとそれから東海地震との関係につきましては、地震予知連絡会では討議されておりません。しかし、専門家の方々の御意見を総合いたしますと、直接関係はないと、こういうふうに考えられます。
  59. 青木薪次

    青木薪次君 関連質問をいたしたいと思いますけれども、今も発言がございましたように、観測の予知体制、観測体制というものが全くなっていないということが言えると思うんです。私はかつて災害対策委員長もやったわけでありますけれども、大規模地震対策特別措置法で東海関係六県が指定されているわけでありますが、特にこの観測の強化地域にはこの地域はなっていない。  それから観測の関係では、観測体制のいわゆるコクのある観測体制ということになりますと、地震計があるでしょう。その地震計の中にも強震計、震度計とか微小地震計から海底地震計に至るまで地震計が備えられなければならない。あるいはまた、体積のひずみ計とかあるいはまた傾斜計とか天測儀とか、地下水を調べるとか、そしてマグマの状態を調べていくということでなければならぬわけでありますが、今回の長野県の西部地震は、今も村沢委員の発言ありましたように、空白地域になっているわけですから、いつ地震が起きてもこれは決して不思議でないというお話のとおりです。  十四日に長野県の西部地震が起こって、これがマグニチュード六・九、そして五日たった九月の十九日にこれがマグニチュード六・八、ほぼ同程度の地震があった。特に、長野西部地震は、この地域を挟んだいわゆるドーナツ現象の中における地震としては、有史以来最大規模だと言われているわけであります。この中での観測予知体制というものが、私は静岡県の出身でありますから非常に関心を持っておりますが、この地域は全く皆無といっていいくらい予知体制がなされていない。しかも、この王滝村はマグニチュード六・九で、震度四で、あの程度のあのような地震が起こるわけがないというように考えております。  よくマグニチュードとそれから震度が混合されて、そして情報に混乱が起きることが我が静岡県におきましてもあったわけでありますけれども、学者の話によれば震度六とか七とかということが言われている。このことが大衆の面前に出されてこないということになると、これは予知、予報の体制ということが皆無に等しいということであるわけでありますが、この地域の、王滝村のマグニチュードは幾らか、震度は幾らか、それから予知、予報の観測体制についてどうなさるのか。  それから、東海地震との関連において、直接関連はないんだということを言ってしまえばそれまででありますけれども、学者の意見にも、これはもう完全に、去年の八月にも神奈川県と山梨県の間にマグニチュード六が出ているわけであります。そういうようなことから考えてみましても、引き続いて起こる群発地震は、これはもうフィリピンのプレートと太平洋プレートとそれにユーラシア大陸プレートとがこの房総半島の東、東南地方においてぶつかり合ってこの現象が、特に今回は、長野西部はフィリピン海溝が、フィリピンのプレートが直接この方面にぶつかっているということの説が一番有力だとされておりますけれども、その点についてどう考えていらっしゃるか、関連質問をいたします。
  60. 山川宜男

    説明員(山川宜男君) 御説明申し上げます。  まず、王滝村周辺の地震観測体制でございますけれども、一応気象庁の高倍率の地震観測網によりまして、今たくさん起こっております余震についてでございますけれども、震源地の現地の皆様方が有感とお感じになります地震の数にいたしまして三倍ぐらいの小さい地震まで気象庁で捕捉しているわけでございます。ただ、現在も御指摘のようなこともございます。私どもといたしましても、今後さらに地震活動の監視強化に向けまして大学、関係機関等の御協力も得まして、総合的な観測体制強化を図っていきたいと存じております。  それから次に、震度の問題でございますけれども、気象庁では一応気象官署におきまして気象庁職員が観測いたしました震度を発表しているわけでございますけれども、震源地付近ではそれよりも大きい震度になることも十分起こり得るわけでございます。  それで、気象庁では本震直後に直ちに現地に職員を派遣いたしまして、現地震度とただいま御指摘のマグニチュード、言ってみますと地震のエネルギーでございますけれども、地震のエネルギーとの関係につきまして調査を行いました。この調査に基づきましてその後続いて起こっております余震に関しまして、気象庁の観測網により決定しました地震のエネルギーから、現地震度と申しますか、揺れの強さを推定しておりまして、その推定値につきましては適正であることをその後も確認いたしております。  その次に、東海地震の関連につきましては、気象庁の地震予知情報課長が参っておりますので、そちらから御説明いたします。
  61. 津村建四朗

    説明員津村建四朗君) 先生御指摘の、周辺部の活動と東海地震の関連につきましてでございますが、これにつきましては、地震予知連絡会あるいは判定会の先生方の御意見も伺っておりますが、直接の関連性はないということは、こういう地震がありまして、それを引き金にしてすぐ東海地震発生するというようなおそれは少ないであろうという御見解であります。私どももそういうふうに考えております。  しかし、最近関東から中部地方にかけて地震活動のレベルが上がっていることは事実でございまして、こういう状態になった場合に、いわゆるドーナツパターンと先生御指摘のような現象も考えられるという学説がございます。それにつきましては一応私どもも心して監視を一層心がけているわけでございます。もともと東海地震の監視と申しますのは、いつ起きてもおかしくないという状態を想定して日夜監視しているものでございまして、こういうことがあったから監視を緩める、こういうことがあったから監視を強めるという性質のものでは本来ございませんが、より一層、いつ前兆現象が発生しても対応できるよう監視いたしております。  以上でございます。
  62. 村沢牧

    村沢牧君 この王滝村周辺は世界でも有数な活断層地帯であり、しかもそこには阿寺断層が走っている。またこの地域昭和五十一年から群発地震発生をしており、五十三年以降活発になって、さらに断続的に続いている。五十四年には御岳山の噴火もあった。したがって、この長野県の西部、特にこの地方は地震発生要警戒地域なんです。それなるがゆえに地震予知連は昭和五十三年にこの地域特定観測地域に指定した。特定観測地域は全国に八カ所あるけれども、このうちの一つなんです。  この観測を担当しているのは科学技術庁だというんですが、一体指定後どういう観測をしておったのですか。
  63. 大橋哲郎

    説明員(大橋哲郎君) 我が国における地震予知観測研究につきましては、内閣に設置されております……
  64. 村沢牧

    村沢牧君 時間がないから、そんなことはいいですから、どういう観測をしておるのか、簡潔に答えてください。
  65. 大橋哲郎

    説明員(大橋哲郎君) 先生御指摘のとおり、特定観測地域は全国で八カ所ございます。これは地震予知連絡会により指定されておるわけでございます。  長野西部地震発生いたしました長野王滝村は、特定観測地域長野西部・岐阜県東部地域内に位置しております。この地域及びその周辺におきましては気象庁におきます大中小地震の観測、それから国立防災科学技術センター及び国立大学によりまして微小地震及び地殻変動の観測等の研究、観測が行われておりますほか、国土地理院におきましては測地測量が実施されております。今後とも地震予知観測研究につきましては、地震予知推進本部中心といたしまして、関係機関との連絡、協力に基づきましてその推進を図っていきたいと考えております。
  66. 村沢牧

    村沢牧君 いろいろ答弁あったけれども、担当の科学技術庁としては何にも観測していないじゃないですか。観測していないから、特定観測地域といったって名前だけで、他の地区と何ら変わることはない。  先ほど気象庁の話も出たんですが、私は昭和五十四年御岳山が噴火した際、気象庁に対して、この地域は危険であるので気象庁も継続して観測を続けていくべきだということを当委員会で指摘をし、気象庁も了承していたけれども、五十六年三月にはこの器械を気象庁は撤去してしまった。また、地震マグニチュードが幾らだとか、震度が幾らだといったって、この地域には測定するものは何にもない。はるかに四十キロも五十キロも離れた飯田測候所や高山測候所で判定をしている。したがって、地域では、これだけ有感地震があるのに、肌に感ずるのに、気象庁の発表は有感地震ゼロなんて発表していますね。全く観測なんかやっていないじゃないですか。どういうふうにやっていたんですか。
  67. 大橋哲郎

    説明員(大橋哲郎君) 具体的なことにつきましては手元に資料もございませんけれども、先ほど申し上げましたように、その長野西部・岐阜県東部の特定観測地域及びその周辺におきまして、気象庁によります地震観測、あるいは国立防災科学技術センター及び大学におきます微小地震の観測、それから地殻変動の観測等を行っておるわけでございます。
  68. 村沢牧

    村沢牧君 気象庁に伺うけれども、やっていますか。地震観測やっていますか、王滝
  69. 山川宜男

    説明員(山川宜男君) 先ほど先生御指摘の地震計の件でございますけれども、昭和五十四年十月二十八日に御岳山が有史以来初めて噴火いたしました。その噴火の直後に火山活動を監視する目的で翌日に地震計を設置いたしまして、約一年半観測を続けていたわけでございますけれども、火山噴火予知連絡会の見解によりまして、一応御岳山の噴火活動は鎮静化したという御了解を得ましたので、地震計の観測をやめたわけでございます。ただ、先ほども御説明申し上げましたように、気象庁の高倍率地震観測網によりまして、現地の皆様方が有感と感じていらっしゃいます数に比しまして三倍程度の地震を捕捉しているわけでございます。  私どもといたしましても、今後さらに地震活動の監視強化のために、大学等関係機関の御協力も得まして総合的な地震観測体制強化に努めてまいりたいと思っているところでございます。
  70. 村沢牧

    村沢牧君 それじゃ、科学技術庁なり気象庁に伺うが、今回の地震に照らして、この地域地震計を設置をすると約束していただけますか。
  71. 大橋哲郎

    説明員(大橋哲郎君) 関係省庁ともよく協議をいたしたいと考えております。
  72. 村沢牧

    村沢牧君 国土庁長官にお伺いいたしますが、国土庁長官災害本部であると同時に全省庁を統括する立場でありますから、今、関係省庁等と打ち合わせして善処するという話でありますから、ぜひ前向きにひとつ取り組むように国土庁長官にもお願いをしておきます。  そこで、さらに重ねて国土庁長官にお伺いいたしますが、地震の予知観測体制建設省、科学技術庁、気象庁、文部省、国土庁と、非常に多くの省庁関係しておる。しかも個々ばらばらで縦割り行政なんです。したがって今のような形が出てくる。  そこで国土庁長官、この地震の予知観測に対して、もっと責任のある機関、これを明確にして、成果が上がるようなシステムにすべきだ。それと同時に、地震について日本で最もおくれている直下型地震発生のメカニズムの解明、予知技術研究を積極的に推進すべきだというふうに思いますが、長官はどういうふうに考えますか。
  73. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 各省庁、御指摘のとおり、またがっております。そんな意味から、各省庁は各省庁として専門的な知識を大いにひとつ出していただく。それを総合調整図ってまいることが私は現在の段階において極めて適当ではないか、こういうふうに考えております。
  74. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、この地域地震計の設置ですけれども、今までともかく観測強化地域に指定したけれども何にもやっていないんだから、ひとつこの際はやるんだ、その姿勢についても長官としてぜひ配慮してください。どうですか。
  75. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 予知とこれまた観測と、予知というのは、私もその後勉強させていただきましたが、なかなかあの地域においては難しい。そういう意味から、各省庁またがっておりますから、各省庁は専門的な意見を出し合って、それを総合調整をしていく。観測の体制については、これはやはり気象庁が核ではありますけれども、私といたしましても完全にやはり観測の体制はとるべきであると、こういうふうにして各省庁に呼びかけておるわけでありまして、あの地域におけるところの観測の体制も私は私なりに見まして、まあ、いいところいっているんじゃないかなあと。もう少し観測体制強化すべきであると。相当やってるんです、観測体制は相当強化していますよ。そこでもう一歩これは強化すべきであるという、こういう指示はいたしてあります。
  76. 村沢牧

    村沢牧君 国土庁長官は、先ほどは大変前向きな答弁いただいたんですがね。今あの地域観測体制が大体いいところへいっているなんて、そんな判断ではこれはだめなんですよ。もうちょっとやっぱり今度現地に行くときによく勉強してください。その前に、今私が申し上げたことも先ほど申し上げたように結論を出していくということになりますから、結論を出して、ぜひ来月には王滝村へ行っていただきますように要請しておきます。  最後にお伺いいたしますが、長野県は地震の巣だと言われていますが、特にこの西部地域は地形、地質から見ても危険地域であります。したがって、地震防災対策強化区域にぜひ加えてもらいたい、こういう要望が非常に強いわけなんですけれども、国土庁の見解を求めておきます。
  77. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) ただいま先生のおっしゃいました地震防災対策強化区域でございますが、これは大規模地震対策特別措置法に基づくものでございます。現在は、例えば数日、二、三日あるいは数時間というような短期予知ができる。東海地震が予知されまして、そしてそれに基づきまして警戒宣言が出た場合に、当該強化地域におきましてはあらかじめつくった計画に基づきまして地震防災応急対策をとる。例えば学校を休む、あるいは交通機関をとめる、あるいは大勢入ってくるようなスーパーとかデパート等は営業を停止するというようなのが現在の強化地域でございます。これは六県百七十市町村が現在指定されておるわけでございます。こういうことで、東海地震、すなわち二、三日ないしは数時間後に地震が起こるという予知ができる区域について震度が六以上というような地域を指定いたしたわけでございます。  この長野西部地震が非常に多うございますけれども、その短期の地震予知というのが非常に今の段階では困難ということで、そういう面におきます地震防災対策強化地域というのは非常に難しい問題があるというふうに考えております。  また、東海地震に関する地震があった場合の強化地域でございますが、現在は百七十市町村、ちょうど地域で言いますと飯田あるいは駒ケ根、あの辺までが東海地震地震防災対策強化地域になっておるわけでございまして、これもその専門の先生方に御判断いただきまして、東海地震が起こった場合の震度六以上の地域というのが地震防災対策強化地域になっておるわけでございます。したがいまして、この地域におきまして大規模地震対策特別措置法に言う強化地域というのはなかなか難しい問題であるというふうに考えております。
  78. 村沢牧

    村沢牧君 時間ですから終わります。
  79. 増岡康治

    増岡康治君 私もまず最初に二十九名の亡くなられた方及び行方不明の方に対しまして心から弔意を表するとともに、被災者皆さん方に心からお見舞い申し上げるわけでございます。  私も、そういう意味で稻村長官の一、二時間後に現地に入りましていろいろお見舞い申し上げ、かつ視察もさしていただいたわけでございます。  もう既に同僚議員からいろいろと御質問がございましたので、余り重なる点はできるだけ避けさしていただきますが、いずれにおきましても、長官も中国へ御旅行の途中、ショートカットしてこの災害に駆けつけていただいたことは村民あるいは長野県あるいは木曽郡、非常に心強く思われておりまして、非常に私ども厚く敬意を表する次第であるわけでございます。  ただいまの議論の中で国土庁もとにかく局部激甚災害を指定するんだと、この方向ではっきりしたお話をしておられます。どうかひとつ、これには相当な資料が要るんです。これは各省が協力しないと出てこないものでございます。ひとつ各省協力されて早く国土庁が激甚指定をする資料が集まるように思い切ってやってほしい。特にことしは防災局が新たにできた年でございます。そういう意味においても、こういう地震のときがほかの災害に比べて一番査定業務がといいますか、時間がかかるんです。非常に困難な、まだ未知なるところが随分やられているようでございますが、その困難をはねのけて、ひとつ早期指定に私どももお願いを申し上げたいと思っております。  なおかつ、またこれもお願いですけれども、既にお話しのように、これは王滝だけの問題じゃございません。この地区は観光と林産業でもっておるところでございまして、王滝村がだめならば木曽郡が全部全滅する、いわゆる生計が立たないというところでございます。そういう意味もございますし、また長野県におかれましても三年目の水害続きで、しかもことしこういう災害ということで、長野県も大変なこれは災害に見舞われたということで、一番お気の毒な立場でもございます。県も郡も市町村も本当にお気の毒と言う以外に何も表現がないようでございます。  国土庁にも地方振興局があるわけでございます。過疎問題の一環といたしまして、これは通産その他にも、自治省にも関連いたしますけれども、単なる災害復旧ではなくて、さらにどうして生きていくか、いわゆる林産業の問題もございましょう、あるいは観光問題もありましょう、そういうところまでどうかひとつリードされて、せっかくの、長官すぐおいでになったわけでございますので、そこまでずうっとフォローしていただきたいものだなあと心からお願いを申し上げるわけでございます。  まず長官、本当に今回御苦労さまでございましたけれども、非常に私自身も珍しいといいますか、過去に経験しない災害の様相でございました。先ほども長官の御感想をお聞きしたのでございますけれども、今私申し上げましたように、広い範囲で、単なる災害復旧でなしに広い意味でとらえてほしいということに対して、長官の視察を含めての御感想を、決意を伺いたいと思います。
  80. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 重ねて、災害で亡くなられた方々に対して御冥福をお祈りを申し上げなきゃならぬと思います。また、これにただいま被害を受けられた方々に心からお見舞いを申し上げたいと、こういうように思っております。  今の御指摘の問題ですが、先ほどお答えしたとおりでありまして、恐らく増岡さんも長い間の役人生活の中で、特に建設省ですから…。私も行って、大変これはすごいなあと、こういう感じを持ちました。そういう意味から、私としてもこれは一日も早く皆さん生活の安定というか、不安を取り除くことが極めて大事なことであろうと、こういうふうに考えて、災害対策本部長としては多少やり過ぎの点もありましたけれども激励をいたしまして、どうにかその緒に一これからですが、その緒についたものではなかろうかと私は思っております。  国土庁は、御承知のようにこの手狭な日本の国を均衡ある発展を願うということでございまして、私はあの部落に行って村長さん等々からお聞きをすると、大変ことしから観光客もふえて、またスキー客も相当ふえる予定である、こういうときに地震があって、それは恐らく皆無に——もちろん皆無に等しいと思います等々の問題で、今後、果たしてこの部落に住むということについて大変勇気の要ることになりました、等々のことを聞きまして、それについて過疎の対策としてどうあるべきか、ここは災害復旧の先決の問題でありまして、そういったことについてどうこうということをこの場で申し上げることは甚だ僭越かと思いますので申し上げない方がいいと思いますが、そういう意味で過疎に対する対策を、あの辺に定住できる、定着てきるということに対してどうしなければならぬかと、国土庁挙げて今考えさせていただいておるところであります。  激甚の問題については、増岡委員も御指摘のとおり、なかなか事務的には大変難しいと思いますけれども、大体激甚の指定というのは地震ばかりではなく、ほかの激甚の指定もありますから、各省庁はなれておりますから、なれないともう実は大変ですが、激甚災害の指定ということは各省庁なれておりますから、私はそういう事務的な問題で行き詰まることはないと、きょう現在において判断をいたしております。  公共については二月末と、これはいろいろな手続上の問題ですから、その他住宅の問題あるいは中小企業等々の問題については、これは激甚の指定を図るという形で、公共ということになりますから、中小企業庁とも連絡を取り合って進めてまいっておりますので、私はいささかも皆さんに、激甚の指定ということについては、またそれに伴う対策という問題については御迷惑をかけることはないのではないかと、こういうふうに思っております。  ただ、問題は、やはり何としても一日も早く災害復旧全力を尽くす。先ほど来いろいろ御指摘がありましたが、私も来月の中旬以降に、それまでに相当のあらましの見通しをつけさす、見通しをつけてもらうと、そういったことを条件として、私は来月の中旬ごろに知事の要請に基づき現地に参る予定でございますので、よろしくひとつ御協力をちょうだいしたいと同時に、また本当に早く党としても現地に参られましたことについて、いろいろ王滝村の方からも感謝の言葉が参っております。そういう意味で、各党挙げて、災害対策委員会を挙げて、また政府対策本部を挙げて、みんな全力を挙げて取り組むことこそが私は解決への大変早道になると、こういうふうに考えておりますので、よろしく御協力を賜りたいと、こういうふうに思っております。
  81. 増岡康治

    増岡康治君 今回参りまして、やはり地元の消防団の皆さん方、警察の皆さん方、それから自衛隊、本当に我々がとても想像できないような一番困難な作業に従事されまして、もう延べ一万人に近いんじゃないかと思いますが、本当に心から感謝をしてまいりました。  それにつけても、まだ行方不明の方が二十人ばかりおありになるんじゃないかと思いますが、なかなか大変だと思います、これは。先ほど消防庁長官のおっしゃったとおりで、これをどうするか。これをやりながら、やはり二次災害防止あるいは災害復旧もやらにゃいけないということで、現地では判断が非常に苦しいと思いますが、これはひとつ先ほど長官おっしゃったように、長野県の皆さん方地元で非常に一生懸命にやっていらっしゃいますので、ここらの判断を上手におやりになると思います。我々がとやかく申し上げる必要もないぐらい一生懸命おやりでございますが、そういう大変な捜索活動の中で災害復旧もあわせてやらにゃいけないという非常に困難なことでございまして、非常に御同情申し上げるわけですが、そういうこともこれあり、国としてはできるだけそういうことを頭に置きながらすべてに対して御援助申し上げにゃいけないという気でいっぱいであるわけでございます。  それで、各省に、気になったことを若干聞きます。  先ほども同僚委員から地震の話がございました。私どもは四年前に御岳山が噴火した問題をよく覚えております。結局はあれに関連があるかなと思ってみたり、東海地震の今群発しておりますあれに関連があるかと思っていろいろ勉強したり聞いたりすると皆関係がないと、非常に独立したいわゆる活火山断層的なものだということでございます。  要は、話の取っかかりが結局直下型地震とは何ぞや、こういうことだろうと思います。予知問題を含めて、日本に起こり得る直下型の地震とは何ぞやと。今も余震が続いておりますけれども、これが将来どうなるんであろうか、そういう点について、できるだけひとつわかりやすく専門の人に聞きたいと思います。気象庁ですか。
  82. 津村建四朗

    説明員津村建四朗君) 内陸部の地震で何らかの被害が生ずる程度のものを一般に直下型地震と呼んでおります。直下型地震では、震源の深さが浅い場合には、地震の全体的なエネルギー、つまりマグニチュードが比較的小さくても震源域では局地的に大きい被害を生じやすいという特徴がございます。直下型地震は内陸のいわゆる活断層の活動でございますが、これは表面に活断層が見える場合もございますし、小さい場合には見えないものもございます。それから、一つの活断層が活動する周期、繰り返し性は非常に長いわけでございまして、数百年とか、ある場合には数千年もかかるという点がいわゆる海溝型の大規模地震とはかなり違った性質を持っております。
  83. 増岡康治

    増岡康治君 そういうことで、直下型地震というのは内陸部に起こる、そういうものだというのはわかるのでございますけれども、要は六・九のピークから徐々に、現在も相当な余震がありますね、現地へ行っても。これが後どうなるのか、この辺がやはり地元復興計画に一番関係があるので、この点に触れてもらいたいと思います。
  84. 津村建四朗

    説明員津村建四朗君) 余震状況でございますが、長野西部地震余震活動は、本日までの観測結果では順調に減衰いたしております。しかし、なおしばらくの間は王滝村など現地では散発的に有感余震を感ずるものと考えております。  それから、大きめの地震でございますが、九月二十日に地震予知連絡会の特定部会がございまして、その見解といたしましては、これは可能性が高いということではございませんが、可能性として、なお震度三ないし四程度のものが発生する可能性が完全には否定できないという見解でございます。
  85. 増岡康治

    増岡康治君 今、何げなく震度三、四と申されました。この間公表されたのは四でしょう。私はちょうど関西へ建設委員会で出張しておったんです。四だから大丈夫だと思って東京へ帰ってきたんです。そうしたら、大変だったんですね。だから、震度三から四といったって、四というのは大変なものだな、我々が東京で感ずる四とは全然意味が違う、こういうことでそういう問題を聞きたかったわけでございます。震度三といっても、我々が東京で感ずる三と、いわゆる直下型で、現地王滝村の皆さんが感ずる三というのは、これは気象庁は飯田で観測するんでしょう。だからやはり相当な響きがある。もう学校も開校した、ライフラインも皆復活した、これからみんな村づくりをやろうというときに、まだまだ三や四がありますよと。四といったらまたすごいやつかなということがあるので、いわゆる減衰して、もう大丈夫なら大丈夫というぐらい言えないのかなと。この点、ひとつもう一度、しつこいようですけれども……。
  86. 津村建四朗

    説明員津村建四朗君) 誤解があるとまずいのでございますが、今申しました震度というのは気象官署で観測される震度ではございませんで、現地でございます。ですから、現地で四というのは、つまり五程度から被害の可能性が高くなるわけでございます。ですから、そういう意味で、本震のような大きい地震あるいは最大余震のような大きい地震ということではございません。現地でのことでございます。
  87. 増岡康治

    増岡康治君 気象庁にもう一問だけ。  結局、今度の御岳山周辺のこういうような地震が起こったわけです。そして、新しい型の岩屑流といいますか、新しい型の土石流が起こったわけですが、果たして日本でまだほかの各地で起こるんだろうかなという、我々、日本の断層地図を見ると、いっぱい傷のあるような地図をよく見せられるわけで、やはりほかの地区も注意をしておいた方がいいのかなと。いわゆる一般の水を含んだ土石流ではございませんで、地震によるいわゆる岩屑流といいますか、こういう現象というのはまだほかの地区にあるのかな、頭に置かにゃいけないかなという問題については全然わかりませんか、気象庁。
  88. 津村建四朗

    説明員津村建四朗君) 直下型地震というのは、現在のところどこで起こるか、いつ起こるかという予測が非常に困難でございますが、日本全国どこでも直下型地震被害が起こり得るものというふうに考えております。
  89. 増岡康治

    増岡康治君 そういうようなことで、今回の地震は単なる普通の地震と違いまして、新しい現象が起こったというような気がして、やはりそういう目でまた全国の国土を見直すことが必要かなという感じ、ぞこまで注意深くしなくてもいいというのかな、非常に私自身も実は悩んでおるわけでございますが、ひとつ専門の人たちに勉強していただく以外にどうも手がないな、こういう気がしておるわけでございます。  次に、農水省の林野庁にお聞きしたいと思います。  今回の災害は林野災害中心となる大規模なものでございまして、先ほど申し上げたとおりであるわけでございますが、一つ私は非常に感心したことがございました。いわゆる営林署の皆さん方二百五十三人が、山の中に入った方々が全員助かったという事実です。これは私はびっくりしました。何年か前に私は隠岐島へ行ったときに、実は、放牧された牛は全部助かって、部屋に、いわゆる飼いならされた牛は全部やられたことを目の前に見てきたんですが、非常にやはり営林署の皆さん方は山をよく御存じだなと。全員が助かっている、やはり危いところは一々とまって下山されているということには、これは陰に隠れた一つの教訓を得たような気がしておりまして、非常に私は、やはり専門の人は専門の人だなあという感じが実はしたわけでございます。そういう意味で、今後とも山の問題についてそういう専門の皆さん方がひとつ大いに活躍してほしいなという気がしたわけでございます。  それはそれといたしまして、先ほども御質問がありましたけれども、国有林と民有林が両方あるわけでございます。この中でいわゆる林業という立場からの被害というものがその地区に与えるダメージといいますか、また逆に、ひっくり返っていいますれば、王滝村を中心とする一つの営林局のドル箱と言われているんですね、現地では。今後にどういう影響を及ぼしていくか。また、これにぶら下がって木曾郡の皆さん生活されておるわけで、復旧されればまたもとに戻ると思いますけれども、その間どういう現象が起こってくるのかな。そういう林業中心としての損害の規模が今後に及ぼす後遺症ですね、この点について何かあれば教えていただきたい。
  90. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 先生御指摘のとおり、この地域、木曾ヒノキの供給を中心といたしまして林業に対する依存度が非常に高い地域でございます。  林業関係被害といたしましては、国有林関係が合計で約百九十二億円、それから民有林関係で五十九億円ということになっておりまして、内訳は、林地荒廃がいずれも大きいわけでございますが、林道被害、それから立木被害、それから国有林の事業所、宿舎等の関係、そういったものが含まれておるわけでございます。こういった国有林のウエートが高いわけでございますが、周辺地域を含めまして、木材関連産業なり、あるいは地域住民方々への就労の場という点で非常に大きな役割を果たしておるわけでございまして、国有林の下請と申しますか、国有林から請け負っての関連事業というものも、王滝村ばかりではございませんけれども、周辺町村含めまして相当な数に上っておるということから、非常に周辺町村含めて深い影響があるんではないかということを懸念をいたしておるわけでございます。  そういった意味で、今後の問題といたしましては、当面二次災害発生防止ということに最大の力点を置く必要があるというふうに考えておりますけれども、緊急性の高い事業用施設復旧とか、あるいは国有林その他林業関係方々の就労の場の確保なりといったようなことに最大限の努力をしていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  91. 増岡康治

    増岡康治君 そういう立場からも、この復旧は相当やはり周辺の生活関係があるということで、やはり林道の復旧というのは非常にこれは急ぐなという感じがいたしました。氷ケ瀬ですか、あの前の橋が流れて、皆さん方おいでになった方は御存じでしょうが、あの橋、あれはその奥にまた部落があるわけで、この林道がなければ生きていけない、林道兼村道みたいな感じがあります。こういうような非常に生活に直接関連がある、林業そのものでなしに、暮らしそのものに関連がある道路という理解を私どもしました。  そのような林道がいろいろあると思いますが、これは最優先してひとつ、先ほどのお話じゃないですが、着工して直ちにやってほしいなというような気がします。その付近の生活関連型の林道についての復旧に対する一つの決意を林野庁の方からお願いしたいと思います。
  92. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 生活関連林道につきまして、最も緊急に対応を開始したいということを考えておりまして、地元といろいろ御相談をしておるところでございます。  具体的に三本ほど地元の御要望の強い問題がございまして、一つは、今お話の滝越地区と氷ケ瀬地区とを結ぶ、これは国有林内の林道を迂回していただくことになるわけでございますが、そのために王滝川の氷ケ瀬地点での架橋の問題がございまして、河川管理御当局と御相談をしながら早急に工事に入りたいというふうに考えて、準備を進めておるところでございます。  それから、王滝川の護岸側から上松地区を結びます春山林道、これにつきましても、王滝村の中心部への交通路の代替路といたしまして重要であるという御要望でございますので、今月末には緊急査定を行って、早急に復旧に入りたいというふうに考えております。  それから、黒石林道でございますが、中心地松越地区から北方にございます御岳高原との間を結ぶものでございますが、この林道は非常に被害が激しくございまして、これまた、周辺の林道をつないで代替ルートを確保するという観点から、早急に復旧工事に入りたいというふうに考えておる次第でございます。
  93. 増岡康治

    増岡康治君 ひとつそういう方の順番を決めて、相当な林道の被害がございますので、優先順位を決めて早く仕上げてほしいと心からお願い申し上げるわけでございます。  次は、緊急治山問題ですが、これは村沢先生から数が少ないじゃないかというおしかり、議論を私聞いておりました。今回は広い範囲の問題がいろいろと出てくるようでございましょう。追加すべきものがあれば、恐れずにおやりになればいいわけでございますし、緊急治山事業と、それから建設省が所管して土石流対策でやるもの、あるいは緊急砂防でいろいろやるものがある、その辺の調整はどうなっておりますか。もう大体仕分けが出ておりますでしょうか、その辺のことをお願いします。
  94. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 先ほど林野庁長官から御答弁申し上げましたのは、最も緊急を要する代表的なものを申し上げたわけでございまして、現在調査中のものもございますので、緊急治山事業として取り上げるべき地区というものを決して二地区に限られておるというふうに思っておるわけではございません。砂防当局との調査についても御相談を進めておる段階でございますので、早急に調整を済ませて円滑な事業の実施に入りたいというふうに考えておる次第でございます。
  95. 増岡康治

    増岡康治君 これ、緊急を要する場合の各制度の使い方がいろいろあると思います。皆さんベテランだからそういうことに抜かりはないと思いますが、ことしは幸いに昨年あるいはおととしに比べて非常に災害が少ないんですよ。そんな金あります。金ありますと言っちゃ悪いですけれども、予備費あるはずですし、これは比べればわかる、だれでも想像して。そういう立場もありますものですから、どうかひとつそういう制度を生かしながら、新しい制度も要るのかなと思ったけど、大体今用い得る制度でいけるかなという、私も感じがしました。  したがって、今の応急、緊急の後は、先ほどのお話が出たように、激特制度は林野も建設も両方持っております、この制度。幸いに、この制度はおそれのあるものに対してできるという、一般の河川ではできないことができるようになっておりますから、いろんな災害のおそれのあるものまで広げ得てやれる激特制度もこれあり、ひとつ次年度からの対策についても林野庁の方も頑張ってほしいと思いますが、これは国有林の場合はどうなるんでしたかね、復旧は。お願いします。
  96. 塚本隆久

    説明員(塚本隆久君) 国有林の場合は特にそういう制度がございませんので、通常の予算の中で処置して行うと思います。
  97. 増岡康治

    増岡康治君 そういうことで国有林の場合の方が手当てをする場合には非常にやりにくい。これはみんなが応援しなきゃいけないという感じが私もしておりまして、いろいろ問題が出たら早く言挙げされておいた方がいいんではないかと実は思っておる次第でございます。  それから、自治省の方おいでいただいておりますか。  先ほどもお話が出ておりますけれども、地元からは、御承知のとおり普通交付税の繰り上げの交付をしてほしいだとか、あるいはまた災害対策に対して特別な交付税による財源措置をしてくれと、いろいろ御要望がございました。これについてはある程度の返事もあると思っておりますが、ここでもう一度自治省から、こういう自治省の立場でのこの問題について、地方債を含めて御返事をいただきたいと思います。
  98. 木下英敏

    説明員(木下英敏君) 地元に対する財政措置の問題でございます。  被災団体が行います災害復旧事業に要する経費につきましては、実情を十分調査いたしまして、被災状況なり地元の財政状況をよく勘案いたしまして、必要な地方債の配分あるいは特別交付税につきまして万全の措置を講じてまいりたいと思っております。  また、特に御指摘ございました普通交付税の繰り上げ交付でございますが、これにつきましてもぜひ繰り上げ交付をするということで現在準備を進めております。
  99. 増岡康治

    増岡康治君 はっきりした姿勢がうかがわれましたので非常に結構だと思うわけでございます。  それで、一番最後建設省でございます。  今回参りまして、やはり一番感じたのは村道が通っておったということです。いわゆる県道はやられても、村道一本あったおかげで村の中心部に行けたわけでございます。したがって、やはり一つ村道が残ったということがすべてのきっかけになった、こういう感じが非常にいたしました。両方がやられると、ちょっとああ簡単にはいかないな、こういう気がしたわけでございますが、そういう意味で、何も国道が大切、高速道路が大切というばかりではございませんで、いわゆる道というものが本当に災害のときには大きな役目を果たすな、そういう感じがいたしました。かけてある橋をみんな補強して、重量のものが通れるようにすぐやられておりました。応急対策は非当に手際よく行われておりました。非常になれたといいますか、もう一々査定がどうのこうの言わないで、必要なものからどんどん村道を直していくという姿を今回も見まして、だんだんと訓練されて、非常にいいことだという気がしたわけでございますが、それにいたしましても、先ほどのお話のように県道がやはり死命を制するな、こういう気がしております。  先ほどの話によりますと、もうこれはボーリングは終わって、応急復旧にかかったんですね、あの県道、例の松越のところは。大体応急復旧が終わって、とにかく通れるのはいつごろになるんでしょうか。松越地区が一番重要なポイントだと思いますので、それをちょっと聞きたいと思います。
  100. 帆足建八

    説明員(帆足建八君) お答えいたします。  松越地区の新大又橋の箇所でございますが、先生御指摘のように、既に取りつけ道路のところの工事をやってございます。現在、中部地建が所有しております応急組み立て橋を仮橋といたしまして架橋いたしまして、交通を確保することにしております。取りつけ道路関係並びに基礎関係、それに橋梁の組み立て、こういう段取りでやるわけでございますが、現在のところ約一カ月を予定してございます。しかしながら、ちょうどその場所に行方不明者が多数予測されるわけでございまして、先日もその取りつけ道路の箇所でお一人行方不明の方が見つかったというようなところでございまして、この辺の捜索との関連のために完了の時期については多少動くのではないか。実工期は約一カ月と見ております。  以上でございます。
  101. 増岡康治

    増岡康治君 この地区ができますと、またずっと上流へ行くと、また県道がずっと続いて、いわゆる観光客が行くようなところになるわけで、まだ序の口になるわけですね、ここの災害復旧は。行けども行けどもまだ山の奥がやられておるということで、大変なことと思います。そういうことで、早く重機械が入ればなあというのがみんなの気持ちでした。  早く何で自衛隊のヘリでブルドーザーでもなんでも持っていかないのかなという質問が随分、私こちらへ視察から帰って、テレビ見ながらおっしゃった方があるわけですが、その後、実は柳ケ瀬その他でブルドーザーが入っているんですね。いろいろなショベルですか、どうして運んだんだろうかなということも考えておりまして、いろいろこれを調べてもらいましたところが、民間のヘリで重機械を分解して運んだということでございます。これはもう既に発注者といいますか、工事を請け負った人が、民間が直ちに民間ヘリを使って、重機械をばらせば、なるほど運べるわけですね。こういう応用動作をされて、これを一番私どもが早く望んだわけです。私どもは最初から自衛隊のあの大型のやつでぽんとと持っていけないかなと思ったんですけれども、これは遺体捜索活動というのはそういうものでなしに、やはり丁寧に扱うのが筋論だろうと、こういうようないろんなお話を聞いて、すべて理解ができたわけでございますが、どうかひとつ早くそういうものを運んで、やはり近代的な施工法でどんどんどんどんやってほしいという気がするわけでございます。  それで、二次災害問題が先ほども出ましたけれども、私どももびっくりしました。土石流という言葉に惑わされました、現地へ入って。土石流であるから、これに水がたまれば流れるだろう、いわゆる柳ケ瀬から氷ケ瀬の間ですね。これはそういう代物ではなかった。いろいろマスコミの方々その他、いろんな方々が丁寧に現地をテレビで映された結果、ああ、こういうものだったかということで、先ほどの、これはそう簡単には崩れないなという感じで、ほっとしたわけで、若干上手に水が漏っているので、これで圧力が軽減されますので、ますます安定するなという気がいたしました。  こういうことで、もう一度伺いますが、結局この四百万か五百万か知りませんけれども、この間にたまったものを下流ダムへ流さないように、いわゆるせきとめながら、それで水路をつくろうということですか、結果的には。その水路は長さは幾らぐらいになるか。このいわゆる河川といいますかね、川の関係の二次災害対策というものを具体的にひとつお願いいたしたいと思います。
  102. 帆足建八

    説明員(帆足建八君) お答えいたします。  王滝川本川につきましては、濁沢川から岩屑流によりまして柳ケ瀬−氷ケ瀬の間に大量の土砂が堆積しておりまして、二次災害を防止するための応急対策といたしましては、十月末日までに濁沢川王滝川の合流点に位置する柳ケ瀬という地区につきまして水路を開削し、河道の安定を図りまして、あわせて貯留しています水位の低下を図ることにしております。  先ほど来先生お話しになりました重機械をヘリコプターで空輸いたしまして、現在バックホー、ブルドーザーが二台ずつ、クレーン一台、大体本日の正午から、組み立てを終わりまして河道開削に入っている予定でございます。  当初、約一キロぐらい応急暫定水路ということで開削する必要があるんではないかと、図面その他のない段階で航空写真より判断したのでございますが、昨日、縦横断測量図面が入りまして、それで判断する限りでは、最も急を要する水路延長はおおよそ二百メートル前後でよろしいんではないかと今のところ判断しております。  下流の氷ケ瀬の地域につきましては、現在、貯木場に流入している流れを右岸側に瀬がえをいたしまして、これ現在もうやっておりますが、その上流の狭窄部——トンネルの直上流か、ほぼ真横ぐらいになる箇所でございますが、床止め工を設けまして土砂の流出を抑える予定でございます。  なお、この工事工程につきましては、現地の土質の調査等十分まだ実はやってございません。それとこの地域行方不明の方が予測されるわけでございまして、この辺で多少の工程の変更もあることが予想されます。  また、支川におきます土石流対策でございますが、大又川、濁沢川等におきましては、災害関連緊急砂防事業、地すべり対策といたしましては、松越地区等において災害関連緊急地すべり対策事業を実施いたしまして、再度災害の防止に努めてまいりたいと思っております。
  103. 増岡康治

    増岡康治君 ようやくだんだん全貌が明らかになったわけです。それだけに現地でいろいろな話が飛び交うということが起こりまして、建設大臣も早く行かれたし、建設省あたりはもう地震が起きたらすぐ現地へ飛んだということも聞いておりますが、やはりこういうときにはとにかく正確な情報が欲しいなと思っておりました。私ども行ったときもすぐ裏の山が落ちるんじゃないかというような話も現地でありまして、いろんな諸先生も現地へ入られるわけで、やはりこの情報というのは大切なことだなと。現地における情報ですね、不安感を与えるような問題がときどき出るわけですが、おかげで今回すぐそういうものがすべて消えたということにつきまして非常に私ども喜んだわけでございます。安心していけるなあという気がしました。  それにつけても、私が一番恐ろしかったのは台風でございました。台風がまだ発生していないからいいものの、もう雨の多いところでどうなるだろうかというのが一番実は恐れたことでございました。きょうは台風の厄日でございます。幸いにことしは、今そういう兆候がないのでいいんですけれども。  それにいたしましても上流の三浦貯水池ですね、関電の三浦貯水池が今どういう状況なのか。とにかくこれは発電ストップして水を流さないということを決められたという情報、あるいはまた下流の牧尾ダム、これは有名な牧尾ダムですが、これが非常に水位が下がっております。そういうさなかでございますけれども、現地へ行きますと、あれが満杯しておったらダムが崩れたんじゃないかというような情報が村の幹部から出るわけで、私は幸いそういう立場の仕事をしておったので、絶対大丈夫と言ってきましたけれども、そういうようなこともありましたのでお聞きするんですけれども、三浦貯水池が上流にこれあり、これからどういうような放流をされるのか、その点について、開発課長ですか、ちょっとこの辺の状況についてひとつお聞きをしておきたいと思います。
  104. 志水茂明

    説明員(志水茂明君) 今御指摘の三浦ダムでございますが、これは当時の大同電力によりまして、昭和十八年に完成しました重力式のコンクリートダムでございまして、発電を目的としておりまして、現在関西電力が管理をいたしております。  今回の地震におきまして、私どもも直ちに周辺のダムの、近傍のダムの臨時点検を行いまして、すべて構造上は異状がないという報告を受けております。特に下流の牧尾ダムにつきましては、堤体天端の下流側ののり肩などにクラックが一部発生をしたというような報告があったものですから、直ちにこれは土木研究所のダム部長を初め、建設省あるいは水資源開発公団の係官を派遣をいたしまして調査をいたしました結果、発生したクラックは、ダムの安全に対しましては影響を与えるものではございませんで、また漏水などの異状も認められないし、ダム本体の状況、それから周囲の状況等から見まして堤体は安全であると確認をいたしました。  今回の地震が非常に局地的な直下型で極めて大きい地震でありましたものでございますが、これらのダムが、牧尾ダムにいたしましても三浦ダムにいたしましても、現在私どもがダムを築造する場合に考えております河川管理施設等構造令、これは昭和五十一年に制定をいたしておりますが、これらに基づきましても——この構造令をつくります前にこれらのダムは築造されておるわけでございますが、地震に対します耐震設計の考え方というのは当時すでに現在と同じような考え方が採用されておりまして、今回のこれらのダム状況等から判断をいたしまして現在のダムの耐震設計の安全性というものが再確認されたと考えております。  それから、上流三浦ダムの現在の状況、牧尾ダム状況でございますが、現在牧尾ダムは、二十六日現在空き容量が約五千四百万立方メートル、それから上流三浦ダムの空き容量は約二千四百万立方メートルございまして、これを雨量に換算いたしますと、牧尾ダムの場合は大体流域に平均いたしまして百七十八ミリの雨が降りましてもため得る能力がある。それから三浦ダムにつきましては上流に三百四十六ミリの雨が降りましてもため得る能力があるということでございます。  現在では、牧尾ダムにつきましては水位上昇の制限をいたしておりまして、通常の常満の水位から約三十メートル下がっておりますが、このままの水位を維持するようにいたしておりまして、また上流の三浦ダムにつきましても放流を完全に停止いたしております。ただ、三浦ダムにつきましては自然の上流からの流入がございますので、完全に停止しておりますと徐々に水位が上がってまいります。ただ、現在の段階では二千四百万立方メートルという大きなまだ空き容量がございますから、今すぐどうというわけではございませんが、先ほどお話のありました下流災害後の復旧対策の進展とあわせましてこれらの貯水池の運用をどうしていくか、これにつきましては水資源開発公団、それから関西電力、長野県等と現在協議をいたしておるところでございます。
  105. 増岡康治

    増岡康治君 そういう下流工事のこともこれあり、ひとつ大いに協力を関電等に要望していただきたい、切に願うわけでございます。  それから、住宅関係は先ほども御質問いろいろございました。災害復興住宅資金についてはよく話を聞きました。  もう一つ、やはりがけ地近接等の危険住宅移転事業制度がありますわね、これ。ちょうど我々が見てきたがけのところの周辺はあれを適用したらいいんじゃないかなという、直観的に私はあったんでございますけれども、本省並びに、どういう動きがあるでしょうか、これについてひとつお願いしたいと思います。
  106. 梅野捷一郎

    説明員梅野捷一郎君) ただいま先生御指摘のがけ地近接等危険住宅移転事業でございますけれども、この事業は建築基準法の三十九条の規定に基づきまして公共団体が条例で災害危険区域というものを指定します。その区域の中、あるいは同じく基準法に基づきまして公共団体が条例で建築制限をしている区域の中の既存不的確建築物というもので、災害の危険のある住宅を移転あるいは除却をしていただく際に、それを促進するために移転に要します借入金の利息というようなものに補助をいたす、そういうことによって促進しようという、こういう制度でございます。  今般の被災地域につきましても、ただいま御指摘ございますように、危険住宅について移転を促進する必要のある場合も十分想定されますので、この事業の適用につきまして十分検討するように長野県に対してただいま指導しているところでございます。
  107. 増岡康治

    増岡康治君 この制度は非常にうまみのある制度だと私ども承知しております。よく地元を十分親切に御指導なさって、こういうものでいければまたこういうのも一つの手かなと、現地で見た実感はそういう感じがいたしますので、ひとつ皆さん方の御指導を心からお願い申し上げたいと思っております。  それから、今回建設省関係は緊急地すべり等でいろいろ対応されるんだそうですが、結局今まで我々が経験してきたのは、いわゆるがけ崩れ、土石流と、こういう形でいろんな問題を考えてきたわけですが、今回は、濁沢系はいわゆる岩屑流というもの、紛体流、いろいろな言葉があってまだ定義の言葉がないという、空気と固体の流れだと言われておりますが、こういう新しい災害が出たわけでございます。その隣の沢は、いわゆる土石流、普通の水と土石が行く土石流も皆カメラにおさまっておる。同じ周辺に同じような土石流という言葉が使われたものの、内容は全然違う。これを混同しますと大変なことが、今後とも対策上もいろんな問題が起こります。  したがって、ひとつこの問題を区別するようにまだ言葉がないんだそうでございます。皆さん方御専門の方がおられるようでございますが、岩屑と言った方がいいのか、要は新幹線並みですわね、秒速六十メーターで落ちてくるわけですから。非常に新しいタイプで、すべて物が吹っ飛ぶというやつですから、こういう問題に対しての勉強をしてほしいということと、区別してほしい。従来の土石流で固めて物を見ると、非常に対策上のエラーを犯すような気がします。まあその点専門のどなたさんでもいいですからこの点について感想をひとつ聞きたいんですが。
  108. 設楽武久

    説明員(設楽武久君) お答え申し上げます。  今先生がおっしゃいましたように、なかなか今回の濁沢川から出てまいりましたものは定説もないというような状況でございますが、私ども今回濁沢、これは主として伝上川の上流の山腹から出たものでございますが、これは土砂の移動現象というしか言いようがないというように考えております。大規模な崩壊土砂が一気に流れおりたという非常にまれな現象ではないかというふうにとらえております。この大規模な土砂移動の発生のメカニズムにつきましては、我が国での事例も非常にまれだということで、ほとんど解明されておりません。また、非常に巨大なエネルギーを持つ流れに対しまして有効な対応策というものにつきましても現在のところないというような状況かと思います。  したがいまして、先生おっしゃいますように、我々が今まで考えておりましたいわゆる雨、水による土石流とは根本的に違うという認識を持ちまして、こういった地震に伴う土砂災害防止という観点から、今回発生しました濁沢川の大規模な土砂移動現象を今後十分調査研究してまいりたいというふうに考えております。
  109. 増岡康治

    増岡康治君 もう時間がございませんのでこれでやめますが、どうかひとつ先ほどもお話が出たように、村には村の災害査定に入るためには相当準備が要ります。これは県が応援に出るでしょう。いろいろと県内おやりになっておるようですが、どうか災害査定が速やかに進んで、早く実際に動く姿が一番実は大切な民心安定だと思っておるわけでございます。そういう意味で、今回は各大臣お二人とも現地においでになり、参議院の委員長初め皆さん皆おいでになったそうでございまして、そういう面で非常に深くこの問題が議論されたということは、今後のために非常に私どもも強い関心を持って村を支えていきたいなと、こういうような気がしておるわけでございます。  そういうようなことで、長官、最後でございますけれども、とにかくお願いしたいのは、非常に手際よく現地は進んでおりますことは大臣がおっしゃったとおりでございます。その手際よさをさらに手際よくひとつ御指導いただきまして、いわゆる総合調整という一つの大きな機能を長官に発揮していただきたい、これを要請いたしまして質問を終わります。——答弁いただけますか。
  110. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 災害でありますから、特に地震災害でありますから、全く緊急を要する問題でございますから、手際よく各省庁に呼びかけましてひとつ万全の対策をとってまいりたいと、こう思っております。
  111. 増岡康治

    増岡康治君 ありがとうございました。
  112. 原田立

    原田立君 大臣、今回の長野西部地震はいわゆる内陸型の直下型の地震であると。今もいろいろと答弁がありましたけれども、直下型地震については余り研究がよくされていない、よくわからないんだと、こういう答弁が何回かなされている。日本は世界から見て有数な地震国なんですから、そんな直下型地震のメカニズムが一体どうなっているかなんということが今もってわからないのだなんという答弁を、この国会の当委員会でしゃあしゃあと述べるその神経が私は納得できない。いわゆる日本海溝の海溝型の方はいろいろと研究がなされているからある程度わかる、だけれども直下型地震の方はわからぬと。わからぬだけじゃ困るんですよ。これはわかるようにぜひしてもらわなきゃならぬ。そうじゃないと今回亡くなられた方々行方不明の方々等に対して非常に申しわけないと僕は思うんですが、この点について大臣いかがですか。
  113. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 私今聞いていなかったのですが、今御指摘があったわけですが、もうわからないという、そういう答弁はだれがしたかわかりませんが、私はおかしいと思います。した人はどなたであるかしらぬけれども、難しいということならこれは発言ができると思います。これは私もその後いろいろ調査をしたりいろいろまた研究をしたり、また専門家の指針等々お伺いしておるわけでありますが、大変内陸型の直下型、なかなか予知をするという場合においては難しいと、だめだというのじゃなくて難しいと。.  そこで、今後はこれはやはり研究を、あるいはまたいろんな経験を各省庁踏まえて、そしてやはり的確に予知できるという、そういう体制を一日も早くとる必要があるというふうに申し上げておりまして、わからないという、そういうことについては、どなたであるかしれぬけれども、おっしゃった人は大きく間違いである、こういうように私は思っております。
  114. 原田立

    原田立君 大臣ね、あなた途中で時々ちょっちよっと抜けておったからあれですけれども、気象庁の津村課長さんが言っているんですよ。そういう話はおかしいと思うんですよ。海溝地震もあれば直下型地震もあれば、いろんな地震の種類があるわけだ。それに対して津村さんも言っているし、あるいはまた予知連の会長さんあたりも何かそういうような意味の発言をして、そして日本には今回の長野西部地震のようなものは数百カ所起きる可能性のあるところがあるんだ、こういう発言もしている。となると、やはり災害対策の——地震だけが災害対策じゃないんだと言えばそれっきりなんだけれども、地震対策なんかにしても大きな課題なんですから。だからそれに対して何百カ所もあるんだとか、あるいは起きるのはもうしようがないんだとかいうような言い方では研究者としてまずいんじゃないか。これがまず一点指摘したいこと。  それから、それに対して行政上、それをどういうふうに対応していくのかという二つの点に分かれると思うんですね。御見解をお聞きしたい。
  115. 大橋哲郎

    説明員(大橋哲郎君) 内陸型地震の予知の現状につきまして、技術的な現状につきましてお答えをいたします。  現在の地震予知技術は、東海地震のようなマグニチュード八クラスの大規模な海溝型地震につきましては予知が可能と考えられる段階にあるわけでございますけれども、残念ながら先生御指摘の今回の長野西部地震のような内陸に発生する地震につきましては、発生の機構が十分に解明されておらないわけでございまして、このようなことから予知は極めて困難でございます。研究の積み重ねをいたしているのが現状でございます。  このため、科学技術庁の中に国立防災科学技術センターがございますけれども、このセンター、気象庁及び国立大学におきましては、直下型地震発生機構の解明のための観測及び研究、そしてまた前兆現象の解析などについていろいろと研究をいたしております。さらに科学技術庁には科学技術振興調整費というものがございまして、こういうものを活用いたしまして、関係研究機関の御協力のもとに、ただいま首都圏直下型地震予知技術の向上を図るための研究も進めておるところでございます。  今後とも地震予知観測研究につきましては、地震予知推進本部中心といたしまして、関係機関の連携、協力のもとにその推進を図ってまいりたい、このように考えております。
  116. 原田立

    原田立君 直下型地震これから研究しますでしょう。そんなおくれているんですか、研究状態は。
  117. 大橋哲郎

    説明員(大橋哲郎君) 御指摘のとおり、直下型地震につきましては、いわゆるマグニチュード八クラスの大規模な海溝型地震に比べますと予知の研究レベルはおくれておるというのが現実でございます。したがいまして私どもといたしましては、先ほども申しましたように、研究を積み重ねる、ただいまも鋭意その研究を進めておるところでございます。
  118. 原田立

    原田立君 新聞で見た情報ですけれども、気象庁津村建四朗課長は、王滝村には何も器材を設置していなかった、云々と。三日前の九月十一日にマグニチュード二・四の地震があったのも、これもいわゆる前兆というようなものとは思わなかった。それから直下型地震は周期が非常に長いのでなかなか研究しにくい。  あるいはまた浅田敏東海大教授は、沿岸地震としての関東地震は後百年は多分ないでしょう。しかし内陸の直下型地震はわからない。あるいはまた日本じゅうどこで突然活断層が揺れ動くか、これは運任せだと言うのです。新聞で見た。あなたが言ったというのじゃない。新聞で見たのだよ、運任せだと。こういう地震の起こる可能性のあるところは日本じゅう何百とある。同じく浅田敏東海大教授、地震予知連絡会の会長さんが言っているのです。実際そうかもしれないな、実際は。だけれども、これはちゃんと公器である新聞に出てくると、これは非常に人心に対する影響度というのはおっかないわけですよ。私九州ですけれども、宮崎県のえびのの群発地震あるいは大分市のあすこは直下型地震等があって、当時非常に周囲の人たちが心配したわけです。  今回の長野王滝村のいわゆる直下型地震、これなんかもそういうような、どこでも起きるような内容のものだなんていうことは、少しちょっと言葉が過ぎるんじゃないか。  それはそれとして、行政の立場でこれを一体どういうふうに今度予知していくか、予防していくか。普通に言えば予防ですけれども、予知して、こういうふうな被害がないようにしていくか。それはあなた行政の仕事でしょう。その点の方の進度、前進度、研究の深さ、これはどうなっておりますか。
  119. 大橋哲郎

    説明員(大橋哲郎君) ただいまの先生の御指摘の危険地域と申しますのは、多分私は地震予知連絡会が指定をしております観測強化地域あるいは特定観測地域のことではないかと思いますけれども、この地域につきましては御承知のとおり、昭和五十三年の八月に地震予知連絡会が二カ所の観測強化地域、これは南関東、東海地域でございますが、指定しておりますし、またさらに先ほど来御指摘ございますように、特定観測地域を八カ所、合計十カ所全国的に指定しておるわけでございます。関係機関の観測、研究は、これらの地域中心といたしまして実施してきておるわけであります。  御指摘のような危険地帯と言われる地域につきましては現在の時点で十カ所指定されておる、このように考えておるわけでございます。こういうところを中心といたしまして先ほど申し上げましたように、直下型地震につきましては研究を積み重ねる、このことが一番大事であると考えております。
  120. 原田立

    原田立君 大臣、お聞きするのですけれども、それで研究するというわけだね。だからまだ研究によって対策がきちんとこういうふうに講じられるという結論はないわけです。だから、これからもまだ直下型地震がまた起きる可能性もあるわけです。そこでそれじゃ起きないように予知するようにしていくのが行政の役目ですよね。  そこで問題になるのは、いわゆる御岳山のところあたりに群発地震があったときに、あすこいら辺を中心にして、王滝村も含めて測候所をつくった。ところが半年たって群発地震が大体おさまったんで撤去しちゃったということは事実なんですよね。これは行政の面からいって、余り早く撤去し過ぎたんじゃないかと、こういうふうに思うんですけれども、どうですか。
  121. 山川宜男

    説明員(山川宜男君) 御説明申し上げます。  ただいま先生が御指摘になりました王滝村に測候所をつくったというような事実はございません。御指摘の件は恐らく昭和五十四年十月二十八日に御岳山が有史以来初めて噴火いたしました。気象庁はその翌日に、火山活動を監視いたします目的で、地震計を御岳山に設置いたしまして、その後一年半余り観測を続けていたわけでございます。それにつきましては、火山噴火予知連絡会の方で御岳山は鎮静化しているという見解が出ましたので、火山観測用の地震計の観測をやめたわけでございます。
  122. 原田立

    原田立君 ちょっとあなた、そこへ座っていて。  家高村長さんは、王滝村の村長さんが言うのは、五年前に御岳山の噴火したときに、王滝村や御岳山の中腹などに観測所が設けられた。それが半年ぐらいで取り除かれたと。その後は特に地震対策という意味での観測などはなかったと。一度地震があったのだから再発することも十分にあるわけだから、これからは観測を常時行ってもらいたいものだと。ということは、あすこに、群発地震のときに設置した測候所、あなた観測所じゃないというふうに言ったけれども、機械でも何でもいいわ、それを村長さんは、あれをもう少し置いておいてもらって順次やってもらった方がよかったんじゃないか、こういう意見。  またあれでしょう、群発地震発生したようなところは大きな地震はもうないというようなことが、いわゆるあなた方学者の定説の一つ。ないしは大きい地震があるときには、マグニチュード七とか八とか大きな地震があるときには必ず前兆があるというこの二つの常識が今度は崩されて、何の前ぶれ的なものはなくて今度の大災害があった。というと、おさまったから外していいんじゃないかというようなこと、これはちょっと早計に過ぎるんじゃないか。村長さんが言うように、一度地震があったんだから再発することも十分に考えられるわけだから、ぜひ残しておいてもらいたかったなあという気持ちはわからないことはない。  そこで防災局長、あなた方の方も、気象庁の方もあと行政の対策ですよ。一体どうするんですか。ただ、わかりませんとか、これはどうしようもないんですとかというだけでは済まされないと思うんですよ。
  123. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) ただいま科学技術庁の方から御説明がございましたが、直下型、内陸型の地震の予知というのは、現在は残念ながら極めて困難であるということでございます、というふうに聞いております。今後、地震予知につきましても、やはりいろんな研究機関において、あるいは専門の先生方において、こういったものが研究されて、体制が整うことについて、それを期待しておるわけでございます。  防災対策におきましては、東海地震のように数日あるいは二、三日前あるいは数時間前に地震発生が予知されまして、そして警戒宣言が出まして、その応急対策がとれるというのが一番望ましい地震対策であるわけでございます。しかし、突発型の地震というのは、実は今回のように出るわけでございます。そういった観点から、我々といたしましては絶えず防災訓練等を通しまして防災知識の、あるいは防災思想の普及というのに努め、あるいはその訓練をする、あるいは防災体制を整備をするというような対策をとっておるわけでございます。また、大都市型の地震なんかの場合は、例えば食糧、水等の備蓄といったような地震対策も講じておるわけでございます。  そういった観点から、東海地震のような事前に予知できる地震、それから突発型の地震対策、我々といたしましてはあらゆる面から関係省庁と緊密な連絡をとって、その対策に万全を期しておるわけでございます。
  124. 山川宜男

    説明員(山川宜男君) 先生御指摘の地震計の件でございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、火山の噴火の翌日につけた地震計でございまして、火山の活動の監視用ということでございまして、噴火予知連絡会の鎮静化したという見解が出ましたので撤去したわけでございますけれども、あの周辺には一応気象庁の高倍率の地震計の観測網が配置されておりまして、例えば現在起こっております余震につきましても、現地の皆様方が有感とお感じになる地震の数にしまして三倍ぐらいの小さい地震までその高感度観測網によって捕捉しているわけでございます。ただ、先生御指摘のようなこともございますので、私どもとしましても今後さらに地震活動の監視強化に向けまして大学等、他機関の御協力も得まして、総合的な地震観測体制強化に努力してまいりたいと存じております。
  125. 原田立

    原田立君 大臣ね、王滝村は千六百人ぐらいですか、人口は。非常に小さな村ですよね。役所も六十人ぐらいですかね、職員は。その中にいわゆる群発地震があったようなところだから、そういうような知識のある職員が例えば一人でもいれば、いろんな面で手が打てたんだろうと思うんだけれども、何かお話しによると、いないそうですね、専門的な知識を持っておられる方が。そういうことではしようがないじゃないかということを言いたいのがまず一つ。  それから、話があっちこっちになりますけれども、いわゆる二次災害の問題ですね。二次災害のときのあの問題も、建設省、国土庁、それから何か四省ぐらいで緊急に七名か八名向こうへ職員を送ってくれたことがありましたよね。ところが、その中にいわゆる通産省の関係の、地質関係のいわゆる専門家が、新聞で見ると二人の名前が載っているけれども、そういう専門家の人が入っていなかったと。だから、たまたま情報パニックで、山崩れがあるんじゃないか、公民館が危ないんじゃないかなんというようなことで右往左往した。もしそのときに専門家の人がたった一人でもいいから行っていれば、二次災害だなんいうような、そういう問題については的確な判断がなされて、そういうパニック状態なんか起こすことはなかったのじゃないか。だから総括して私言いたいのは、村の人たちも一生懸命やっていることはもう頭が下がる思いがするんですよ。だけれども、そういう体制の不備、これが一つ。これは何とかしてやらなきゃならぬじゃないか。それから、地震があった直後にすぐ直ちに行ったけれども、その堆積土が崩れるか崩れないかというような専門的な係官が行っていなかった点、これは国の方の側の責任になると思う。  いろいろなことをごちゃごちゃ言いましたけれども、結局は適切な処置というものが大変ちょっとなされていなかったのじゃないかという懸念を持っているんですけれども、いかがですか。
  126. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) 防災対策につきましては、常日ごろから防災体制を整備しておるということが非常に肝要であります。例えば当該村の地域防災計画、もちろん王滝村には地域防災計画はございます。そしてこの地域防災計画をまず住民に徹底し、またその地域防災計画に基づいて、例えば災害がある場合を想定をして訓練をするということが必要であろうかと思っております。そういった面から私たち消防庁等を通じまして地域防災計画の整備及び防災訓練の実施、それからまた住民方々に対する防災思想あるいは防災意識の高揚というようなことを呼びかけておるわけでございます。  王滝村におきましては防災計画も整備されておりますが、これをすぐに計画どおり実行するというのは緊急な場合なかなか難しいというのもただいま先生の御指摘のとおりでございます。ただ、あの地区におきましては、今回のような大きな地震発生したにもかかわらず火事が一件も起きておりません。住民方々にお聞きしますと、すぐにガスの元栓を締めたということでございます。やはり防災意識といいましょうか、あるいは防災知識の普及がテレビあるいはラジオ等を通じて、あるいは役場の広報等を通じてだんだんと普及をしているというふうに考えておりますが、我々といたしましてはさらに防災体制の整備あるいは防災知識の普及といったものを徹底していきたいというように考えております。
  127. 原田立

    原田立君 結論的に、要するに直下型地震に対して研究がまだ余りうまく前進していない、もっと研究をしっかりやりますという答弁で了解していいですね。それが一つと。  それから行政として対応するのに手おくれにならないように、予知的に、今も聞いたように、それは御岳山のところに置いたものは群発地震状況がどうなっているかを把握するために置いたんだろうとは思うけれども、だけれども、いわゆる常識破れで、そこがかサッとおっこちているわけだ。だから村長さんのそういう言葉が出ているわけです。  また、そういうような直下型地震は日本全国に何百カ所もあるんだというような話になったならば、これは、ただ単に学者がそう言ったとかなんとかということだけでは済まされない。それじゃそれに対して行政は一体どういうふうに対応するのかということが問題になる。地震予知連絡会ですか、ここで全国八カ所の観測地域を決めましたね。それから強化地域は二カ所決めましたね。強化地域の二カ所については、海溝型は東海地震関係で大分進んでいるだろうけれども、内陸型の方が全然できていないということは非常にまずい。これを総合的調整をする立場にある国土庁として、直下型地震、内陸型地震の解明をもっと速やかに行うという方向に進めることと、それから行政的な、置かなければならない、やらなければならないものはきちんとやるように努力する、こんなふうな御答弁をいただければ……。
  128. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 先ほど科学技術庁の方から話がありましたが、これは、地震関係する権威者と申しますか、学者が、ほとんどその粋を集めて努力しておられるわけであります。しかしながら難しい。先ほどの話を聞いておっても難しいというけれども、できるだけひとつ、これだけ科学技術にいたしましてもあらゆる問題が進歩しておる今日におきまして、一日も早く内陸型、直下型の地震の予知ができるように、ぜひ努力をしてもらわなきゃならぬ。努力ということよりも、一日も早くこの問題を解決すべく、国民に安心をしていただけるような状態をつくっていただきたいということを私の方からも強く再度申し入れたいと思います。  それで、行政としての立場でありますが、これは建設省現地に、ただ連絡だけじゃない、適時適所において指導もできる、また決裁もできる、決断もできる。国土庁を初め、建設省その他の省庁におきましても、ただ連絡員、電話連絡をよこせというだけでなくて、現場において、ここは危ない、ここは危険地帯である、ここはひとつ通行を禁止してくれ、あるいはこの工事はすぐやれ、この工事にはすぐ手をかけてもらいたいということで、国土庁を初め建設省、各省庁から二名以上の有力な人材が現地派遣をされておるわけであります。そういう意味で、行政上の手抜かりというか、行政上のそういった組織上の問題については、幾らやってもこれは切りのないことでございますけれども、今私が考えられる点においては、まず欠点の打ちどころがないというくらいのことを申し上げてもいささか過言ではない、私はこういうふうに考えておるわけであります。
  129. 原田立

    原田立君 後段の話はいただけない話で、私は了解しません、それは。  だけれども、ちょっと時間がありませんから次に進みますけれども、例の王滝川の柳ケ瀬−氷ケ瀬間にあるせきとめられた土石流ですか、いろいろな名称がありましたね、粉体流ですか、そういうものによって四百万立方メートルの土砂がせきとめられているとか、あるいはダムができて水深が二十メートル—三十メートルというふうな非常に深い、長さも一・二キロの湖ができている。先ほども増岡先生の方から質問があったけれども、実際いわゆる二次災害というようなそういう心配はないのかどうか、その点どうですか。
  130. 帆足建八

    説明員(帆足建八君) お答えいたします。  先ほど河川局長からお答えいたしましたように、三つの理由によりまして土石流発生することはないんではないかということです。  まず第一点は、堆積土砂の土粒子が非常に大きくて、写真でも、見ますとかなり大きいれきがあるわけでございます。私ども当初、非常に細粒子のもので泥流みたいな感じになっているんじゃないかということを心配したんですが、十七日、十八日、二日間にわたって私も現地を見ましたところ、かなり土粒子が大きいわけです。  二点目でございますが、その濁沢川王滝川の合流点以降の、要するに柳ケ瀬地域から氷ケ瀬の三・六キロメートルの間に——間にというよりむしろそれより下流部に二カ所の非常に狭窄された地域がございまして、ここを通り抜けて一挙に下流に大量の土石流が流下することはないんではないか。  三点目でございますが、要するにこの土砂は標高二千八百メートルのところから標高千メートル近いところまで滑落してきて、かなり巨大なエネルギーを持って滑落してきてそこでとまっておるわけでございます。したがいまして、この土石を再び動かすとすればそれに相当するエネルギーが必要ではないかと考えられるわけです。現在二十ないし三十メートルぐらい上流側で川をせきとめて水位をせき上げているわけでございますが、その程度のエネルギーでこの三・六キロ間に堆積している土石を一挙に動かすということはあり得ないんではなかろうかと、このように考えております。  しかしながら、非常に大きい降雨がございますと、その降雨によりましてかなりの洪水が出た場合、表面を洗いまして多少の土砂が出てくるというようなことも考えられますので、できるだけ水位を下げるべく現場水路の開削と、それから下流床止めをつくるべくもう既にブロックを牧尾ダムの途中までに百数十個運んでございます。村道の大岩橋という橋が非常に強度的に弱いものですから、これは五トンのブロックでございますので一台で一個しか運べないわけですが、それにつきましても運びまして、早急に床止めをその氷ケ瀬地点の上流側に設置したい、このように考えております。
  131. 原田立

    原田立君 いわゆる大雨が降って決壊って、長さは一・二キロですか、四百万立米のものが、それがだあっと流れるなんて、そんなあほなことを私言っているんじゃないんですよ。だけども、例えば大雨が降ると、雨量がたくさんあって、それでまた下流の方の出口の方がごそごそごそごそ決壊しやせぬかと、崩れるって下流住民が心配しやせぬかと、そこのところを言っているんですよ。そういうことはないということを断言できるんですか。だったら、ないという証明はどこでするんですか。どういうことをやって証明するんですか。
  132. 帆足建八

    説明員(帆足建八君) お答えいたします。  私は、土石流による二次災害発生のおそれはないと言っていますけれども、土砂の流出は多少はあると思います。そういうことで、先ほど来申し上げていますように、重機を分解いたしましてヘリコプターで空輸するというような緊急的な措置もとって、水位の低下を図るべく努力をしておるわけでございます。  それから、ブロック等につきましても、こういう非常事態でございますので、長野県下にあるブロックを、既にでき上がったブロックを手配して早急に床止めをしよう、そういう非常に緊急的な措置をとってそれらに対応しようというふうに考えております。  なお、上流側からの洪水の流入によってどういうふうになるかというあたり非常に御心配のようでございますが、現在の濁沢川からもある程度の流出はあるわけです。写真を見ますとわかります。それによって土砂の流出がどのようになっているかというのも私ども考察しておるわけでございます。そういう総合的な観点から、その辺は、非常に大きいものがあれば当然ある程度の警戒その他はしなければならないけれども、通常ベースでは現在の濁沢川から入っている流入、それから河川の洗掘状況等を考察しながら対応しておるつもりでございます。
  133. 原田立

    原田立君 もう時間ですからやめますけれども、今の説明じゃまだ了解しがたいんですよ。どうっと流れるようなことはないだろうと。それはそのとおり。だけれども、大雨が降った場合にまたちょろちょろっと崩れる場合があるでしょう、こういう心配があると。そこまではわかった。じゃそれを、だけれども流れるでしょうということがわかっただけでは困るんですよ。それを流れないようにしてもらわなければいけないわけですよ。そこら辺の検査とか、それはおやりになっているんですか、これからどういうふうなやり方するんですかと聞いているんです。
  134. 帆足建八

    説明員(帆足建八君) ただいまはさしあたってとるべき緊急的な措置を私申し上げたわけでございまして、先生御指摘の恒久対策等につきましては、詳細な測量、それから地質調査、土質の把握等行って抜本的な対策は講じようと、しかしながら緊急的なものとしては、現在あるブロックでとめるのが最も効果的で、工事的にも早いんではないかという技術的判断に基づいて工事を施行しておるわけでございます。
  135. 下田京子

    下田京子君 質問に先立ちまして、亡くなられた方々、御遺族の皆さん、そしてまた行方不明者、その他家族の皆さんのことを考えますと、大変胸が痛みます。改めてお見舞いを申し上げます。  大臣に、私まとめて三点について最初に御質問申し上げます。河川道路、山林その他公共土木施設復旧やあるいは二次災害を防ぐ、これは当然だと思います。  第一点目に聞きたいことは、激甚の指定、これは間違いなくやられますと言明されました。ただ、時期的にはかなりおくれる。そこで聞きたいことは、激甚指定を前提にして現地皆さん方にいろいろ対応をお進めされるかどうか。  二点目の問題なんですが、何といっても、援護資金や何やらございますけれども、実際に現金収入がなければ生活の道が開けません。先ほど林業労働者が二百人余りいるというお話ございましたけれども、就労の場の確保という問題が大事だろう。  それから三点目に、これはいろいろと本部長、長官先頭に対応されておるようなんですが、なかなか出てこないのが、現地のそれぞれの個々人に合った、例えば国保税の減免であるとか、あるいは授業料、保育料の減免であるとか、災害時に就学援助の制度が一定枠を拡大できる制度があるとか、御存じだと思いますが、自治省それぞれ文部省、他省庁に分かれます。今のような問題についても、関係省庁とよく協議をして万全の対策をおとりいただきたいということをまずお願い申し上げたいので御答弁ください。
  136. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 激甚災害の指定につきましては先ほど申し上げたとおりであります。そういう意味から、事務的には激甚災害指定がなされたものとして私の方でも各省庁連絡をとっておりますから、そういうような形で事務的に進めていただきたいと、こういうふうに思っております。  その他の等々の問題については……
  137. 下田京子

    下田京子君 いや、長官から、ちゃんとやるというだけでいいです、時間ないですから。
  138. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) それじゃ各省庁連絡とりまして、御指摘の点についてはできるだけ御期待に沿うように努力します。
  139. 下田京子

    下田京子君 努力したけれどもだめだったということでなくて、これは制度がちゃんともうあります。きちっとやっていただきたいと思います。  そこで厚生省、具体的なことで一点お尋ねします。  これ住宅問題なんです。建設省復旧住宅の資金等々やられておりますけれども、仮設住宅の問題、私も現地に参りましてお話聞きました。ちょうど二十四日の晩に四十人ほどお集まりになって、これから仮設住宅問題でお話を聞くということです。  現行制度では、二人、三人程度が七坪で九十二万一千円の範囲、四人世帯が九坪で百十五万円、それから五人以上が十坪で百二十五万円以上というふうな基準に、少しずつは改善されてきていることは承知しているんですけれども、今後もできるだけ現地の対応、現地要望を聞いて対応されていただきたいと思うんで、その点よろしくお願いしたい。
  140. 荻生和成

    説明員(荻生和成君) 今回の災害におきます応急仮設住宅設置につきましては、県が現在地元に行きまして調整をやっております。したがいまして、その辺の状況を踏まえまして可能な限り対処したいと思います。
  141. 下田京子

    下田京子君 次に、実は国土庁長官、今度防災局ができまして予算も若干つきましたね。災害対策基本法を出すまでもございませんけれども、「目的」の第一条には、国土並びに国民の命と身体と財産を守るための責任は国にあるんだと、こういうことになっております。そのために応急救助ということで、例えば五十条の中には、被災者の救難、救助、緊急の輸送の確保と、こういうこともうたっております。  私は、いろいろありますけれども、きょう取り上げたいのは、救援、救難用のヘリコプターの問題なんです。聞きますと、孤立した部落の人々がもう岐阜県側に歩いて逃がれているときに自衛隊のヘリコプターが見回って救助したという話聞きました。それから、アマチュア無線で連絡をとりまして、林野の労働者がこれも救助されたという話聞きました。いずれにしても、このヘリコプターというのが非常にこの災害時、とりわけ地震なんかありますと、もうあちこちがずたずたになりますから大事であるという御認識はお持ちだと思うんですけれども。
  142. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 今度の災害で、特にヘリコプターの必要性を身に感じました。それは今御指摘のように、食糧を輸送するとか、特にああいう大型の機械を解体をしてヘリコプターで運ぶと、そういう意味で災害から人命、財産を守る、政府としてこの基本的な姿勢でございますので、ヘリコプターの必要性はこれほど身に感じたことはありません。
  143. 下田京子

    下田京子君 そのヘリコプターの問題が、必要性をすごく感じたということなんですが、今防災ヘリコプターということでどうなのかといいますと、これは消防庁が管轄されておりまして、整備費補助金交付要綱というのもお出しになっている。これはあくまでも災害予防と災害応急対策を効率的にやるんだという専門のヘリだと思うんです。  この要綱に基づいて各都道府県の設置状況を見ますと、五十八年度末で九県十七機、こういう状態です。それから、県警がどのくらいお持ちになっているかということですが、五十九年度末で二十七県三十九機、五十八年度ではこれが三十七機だったと思います。それに海上保安庁所属のものが、五十九年度で三十五機、間違いないかと思うんですが、局長。
  144. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) うちの方で五十八年度のを把握しておりますけれども……
  145. 下田京子

    下田京子君 言ったとおりならとおりでいいんですよ、時間ないですから。
  146. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) 警察庁が三十七、それから消防士七、それから海上保安庁三十五機と、こう把握しております。
  147. 下田京子

    下田京子君 ところが、自衛隊はどうかということなんです。長野県警は今回一機しかなくて、ほとんど自衛隊におんぶしたわけですね。その自衛隊の災害派遣というのは一体どういうことなのか、改めて問題にしたいわけです。  自衛隊法の目的、三条の中には、これは私が指摘するまでもなく、何て書いてあるかというと、侵略から守ると、このためだと、それなんですね。災害派遣問題はどうなのかというと、これは八十.三条に一項、二項に分かれてありますけれども、事態やむを得ないときその部隊を救援するのが目的で派遣すると、こういうことなんです。さっき他党の委員がなかなか資材が来ぬなという話がありましたけれども、目的は災害派遣でも、どちらかといえばその派遣もいろんな関係のところから依頼があって、そして万やむを得ないと、代替輸送手段がないというときに、しかも、それは自衛隊員をまず守るということを主目的にしてやる、こういうことになっています。  重ねて言いたいんですけれども、「時の動き」という「政府の窓」、昭和五十七年の六月一日に出されております。総理府が出されている雑誌ですね。今、私が言ったようなことをきちっと述べているんですね。だから、理由言うともうあれなんですけれども、簡単に申し上げますと、第一に、災害派遣というのは防衛を主たる任務とする自衛隊の部隊を災害に際して守るんだと。それから災害の対象というのは、第一次的には各自治体あるいは国の関係機関の実施すべき責務なんだと、自衛隊は必要に応じて行うということになるけれどもと、当の自衛隊もそう言っている。  そこで、私は長官に言いたいことは、今回の場合見ますと、政府関係も長官含めて自衛隊で行きましたね。それから、当災害委員会も自衛隊のヘリコプターで行ったわけですね。それから、じゃ、予知連のメンバーなんかも含めまして専門家はどうだったかというと、民間のヘリやなんかに乗っかって行ったんですね。これが、もし気象庁なりあるいは国土庁でも、消防庁でもいいですよ、そこに責任ある防災のその所管省庁がきちっと主な学者等も含めて一挙に行ってみたならば、もっともっと対応が早くできたんじゃないでしょうか。そういう点で、私は五十七年の五月十二日に当委員会で民生用のヘリコプターを考えるべきだということを申し上げましたときに、当時の松野国土庁長官は、関係省庁とよく相談したい、こういうお話もございました。それから二年たちましたけれども、長官にあっては防災局設置という、そういう中にありまして、いよいよ今回の地震を契機にヘリの必要性というものを痛感したとおっしゃられております。責任あるこの国のところでこういうヘリの準備ということも今後検討していただきたいと思うわけです。
  148. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 御指摘の点ですが、なるほど私も自衛隊のヘリコプターで参りました。やっぱりこういうときには緊急を要しますから、どうしても各省庁の協力を得なければならぬわけであります。そういう意味で、やはり自衛隊のヘリコプターをお願いをしたということであります。まあ乗っておる中で、これは災害対策としていつ何どき起こるやも知れずということだから、一台というわけにはいかぬでしょう、予備ということですから二台ぐらいあるといいんだがなあと、その中でみんなと話をしておったんですが、買うはやすい、しかしながらその後の維持がこれは大変であると、こういうことのいろいろ話を聞かされまして、なるほどそうかなと。そうすれば、各省庁消防庁であるとか、自衛隊であるとか、その他ヘリコプターを持っておるというところとやはり協力をし合うということは悪いことではないと、私は大変いいことではないかと、こういうふうに考えております。
  149. 下田京子

    下田京子君 何度も申しましたけれども、自衛隊の災害派遣の目的が違うということをよく肝に銘じてください。  それから、防衛庁で自衛隊がヘリをどのくらい持っているか。昨年時点で五百二十機以上を超えているんです。同じ国民の予算を使って一体どこに主眼を置いて対応するかという姿勢の問題です。そのことを指摘して、これはぜひ必要だということを申し上げておきたいと思います。  そこで、科学技術庁おいでになっていると思います。  今度地震が起きた地域も、他の委員からもお話がございましたけれども、皆さんのところが五十一年十月二十九日の閣議決定によりまして地震予知の推進本部ということになっておるわけですね。この推進本部は測地学審議会の建議を具体的に実行に移すところでもまたあると思うんですね。その測地学審議会の建議によって今回起きた長野県の西部地域というのはどういうところかというと、特定観測地域に指定されておりますね。五十三年八月二十一日だったと思います。ところで、この特定観測地域、ここではどういう研究観測がなされるべきかという問題ですけれども、第二次建議の際に、八項目にわたりまして具体的な提起がございましたね。時間もございませんから詳しくは言いませんが、例えば測量ですと国土地理院が行いなさい、三等三角測量だとか、そしてそれを二年半周期でやりなさいだとかいうふうに、大変詳しくお述べになっていたと思います。  ところが、今回のあったところには、気象庁が高山と松本飯田と、三カ所の測候所に強震計を設置しただけであったと思いますし、それから名古屋大学が測候をやっていたというふうにとどめられておると思うんですが、こういうことを見た際に、今回の地震を教訓に、少なくともこの推進本部がすぐ会議を興しまして、それでもって具体的な見直しというか、そういうことは必要ではなかろうか。特に東京大学の地震研究所教授でもございます測地学審議会の地震予知特別委員長をしております笠原教授もいろいろお述べになっております。この地域に活断層があるのはわからなかったと、御岳山の火山灰等によって発見しにくかったと、いろいろお述べになっておりますが、こういった方々の意見も踏まえて即刻やっぱり会議を開くべきではないか、そして見直しが必要ではないか、こう思うんですが、簡単にお答えください。
  150. 大橋哲郎

    説明員(大橋哲郎君) 御指摘のように、地震予知推進本部は内閣に設置されておるわけでございますけれども、これは測地学審議会の建議の趣旨を具体化することが大きな要件の一つになっておるわけでございます。具体的に先生の御指摘のように、今後地震推進本部を開くかどうかということにつきましては関係各省ともよく協議をしたいと考えております。
  151. 下田京子

    下田京子君 建議の具体化が図れていたら、また違った対応があったかな、これは一つ指摘しておきます。  文部省、おいでになっていると思います。  測地学審議会を開催して、やっぱり今年度スタートしました第五次の地震予知計画、これ見直す必要があるんではなかろうかと思います。なぜかといいますと、名古屋大学なんかも今回観測されておりまして、中身を聞きましたら、近く学会等でも発表するということなんですが、今問題になっております活断層の問題ですね、活断層あるところに地震ありと、これは間違いないというふうなお話されておりますけれども、この活断層の問題につきましても、文部省予算一つとっても、活断層研究会、研究者四十人ぐらい集まりまして、こういう地図にしたり、あるいは研究成果をまとめられたりされていることは文部省は御存じだと思いますが、長官ごらんください。長官さっきもごらんになったと思います。ところが、その活断層が今回の地震が起きたところには入っていなかったんです。それから東京なんです、東京何にも入っていないんです。こういう点で見直し必要だなあと、こういう話も出ているんですね。そういうことですから、ぜひ測地学審議会を開催をする、それから第五次の地震予知計画の見直し、こういったものも必要ではなかろうかと思います。文部省。
  152. 重藤学二

    説明員(重藤学二君) 測地学審議会は、昨年に第五次の地震予知計画を建議いたしまして、ことしの四月から第五次の一年目が始まったわけでございます。  先生御指摘のようにいろいろな問題が起こりましたし、ちょうどこの十月に測地学審議会の地震火山予知の部会を開きまして、昨年第四次の最終年度と、それから第五次の一年目、今始まっておりますが、これらの研究活動につきましてレビューをするという予定を立てております。したがいまして、その部分におきましては、このレビューの際に見直しが必要かどうかということも含めて検討されるものと思います。
  153. 下田京子

    下田京子君 気象庁、大学の協力も得て総合的な対策を立てるということをさっきから何度もお答えになっております。ところが、それは必要なんです。必要なんだけれども実際に問題は体制と予算だと思うのです。ところが体制はどうかというと、王滝村に近い諏訪測候所どうですか、夜間測候所なくなっちゃったではありませんか。人減らしもされているじゃないでしょうか。私は気象関係者に聞いたんですが、あちこちから電話があるというのですね。予知もできないで一体何をやっているんだ気象庁はと、こういう話がある。しかし予知は学問的にも今できない、しかし研究は必要だ、その研究の必要性はもう大臣以下みんな言っているわけですね。  そういう中で気象庁に言いたいのは、予知連の皆さんは、とっても私たちは短期の観測は無理だ、短期のやつをやるのは常時観測体制をとっている気象庁がやるべきだ、こんな話も聞きました。いずれにしましても、今東海地域以外のところでは予知ができないということになれば、やはりやみくもにというのではないけれども、観測地域等に、最低でもひずみ計とか傾斜計とかいろいろあると思うのですが、そういうものを置いて、常時観測体制がとれるような方向というものは検討すべきじゃないか。簡単に答えてください。
  154. 山川宜男

    説明員(山川宜男君) お答え申し上げます。  気象庁も先ほどからたびたび御指摘のように、直下型地震の予知も大変大事なことだと思っておりますので、昭和五十八年度と五十九年度にかけまして、気象研究所の地震火山研究部に直下型地震の予知を目的といたします二つの研究室を増設いたしまして、埋め込み式ひずみ計、体積ひずみ計の重要性につきましても、その研究室で研究のテーマとして取り上げております。そういう成果が出まして、マグニチュード七クラスの予知にも有効だということになりました時点で、そういうものの設置も検討していきたいと思っております。
  155. 下田京子

    下田京子君 有効かどうかという研究が今必要なんですよ。それを言っているのですよ。その研究をどこでやるかということなんです。そのための予知の予算の問題なんです。  通産省、建設省おいでいただいていますが、時間がございませんで恐縮ですが省きます。  大臣最後に言います。この予知の予算一体どうなのかということなんです。五十七年に科学技術庁が所管しております地震予知関係予算の中身なんです。五十七年には六十六億四百万円でした。それがどんどん減りまして、来年度の概算要求で幾らかといいますと五十七億五千七百万円なんです。いいですか、第一に予算額そのものが少ないです。二つ目に、少ない予算がさらに削られています。三つ目に、そういう中で十分な対応をするということになれば見直しをしなければならないでしょう。ここのところを大臣にきちっと押さえていただきたい。  マスコミ等が一斉にこの問題を書いております。ずばり言ってうちの新聞も言っていますけれども、朝日新聞の天声人語なんかも言っていることは、なかなかそのとおりだと思ったのです。防衛庁が防衛白書でソ連の潜在的脅威を説くなら、気象庁などは地震白書をつくって、地震の顕在的脅威を叫ぶべきだし、防衛力増強キャンペーンに対して防災力の増強キャンペーンに乗り出すべきじゃないか。この五年間で防衛予算が四〇%もふえているのに、地震予知の予算はむしろ減っている。私が前に指摘したとおりなんですね。こういうような状況の中で万全の対応とか何か言われても、決してそれが可能になるものではございません。  しかも、戦後どのぐらい地震があって、何人ぐらいの方が亡くなって、どれだけの財産が失われているのかお聞きしたら、数字がないと言うんです。だけれども、亡くなられた方、行方不明者昭和二十一年の十二月十二日の南海地震以来、実に五千七百八十三人にもなっておりますよ。昨年の日本海中部だけであっても一千七百六十九億円もの財産が失われているんですよ。それなのに、予知の予算がわずか六十億にもならぬ。軍用機一機、百二十億円の半分にもならぬじゃないですか。本当にこれで国民の命と財産が守れるというふうにお考えか。  十九日の日に長官のところに参りました。防衛予算問題については別にしても、この地震関係問題の予算が少ないと思う、頑張りたいと、こうおっしゃいました。その決意を最後にお聞かせいただきたいと思います。
  156. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) 初めに、地震予知の予算でございますが、先生御指摘のとおりでございまして、五十七年度六十六億、それに対しまして五十八年度六十二億、それから五十九年度五十六億ということでございますが、これは東海地震に対する観測体制の整備等々の関係でこういったことになっております。来年度は本年度に対しまして二・四%増の五十七億を要求いたしておるわけでございます。我々といたしましては、今後も科学技術庁等と連絡を取りながらその地震予知の予算が確保されるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  157. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 御指摘の災害対策に対する、特に地震に対する予算でありますが、全力を挙げます。今度の問題について、私も今度の問題を自分の肌で感じまして、全力を挙げて災害対策の予算を考えるということを決意を申し上げます。
  158. 栗林卓司

    栗林卓司君 長官にお尋ねいたします。  私もこの委員の一人として不幸な被災地を見てまいりました。以来実は悩み抜いているんですけれどもね。そこで、全体として見ると、この災害に対する取り組みというのは確かに私は手際がよかったと思います。熱意についても率直に評価を申し上げたいと思います。  ただ、なぜ悩んでいるかといいますと、行きましたときに、行方不明者を捜すために棒を突っ込みながら、縦隊になって消防団、警察、自衛隊の諸君が苦労しておりましたけれども、なかなか見つからないんですね。村の陳情書を見ると、最初に書いてあるのが行方不明者捜索救出なんです。それで、これに全力を挙げるというお答えが返ってくるはずなんですね、普通は。しかし、今度の場合に、従来例がない被災でしょう。行方不明者捜索救出というのはどこまでやるのかということはこの災害対策の根本に触れる問題だと思うんです。  伺っている意味をもう少し申し上げますと、八合目、九合目あたりから、二千八百メートルあたりから千メートルまで、約二千メートルの落差で岩石、土砂がおっこってきたわけですね。最高三十メートルの深さでたまっているわけですね。あそこの中に十五人いるんです。遺体捜索を主にしますと、とても棒でつついてもわからないですからね、あれ全部ひっくり返すんだろう。ということは、今ダムになっちゃっている、ダムをせきとめているものを掘っくり返すという作業になりますね。もう片方の松越地区では五名が埋まっているわけです。こうしたものをどうしていくのか。大変聞きづらい質問なんですが、これからの災害対策の私は根幹だと思うんです。地元との交渉を含めて、どういった形で進めておいでになるのか、まずお伺いしたいと思います。
  159. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 現在判明というか、わかっておりますのは九名でありますから、あと行方不明が二十名と、こういう形でありますから、これは全力を挙げると。これは四つの重点事項として定めて対策本部としてやっているわけであります。この事実を見ましても、いかにその土石流災害の大きさと申しますか、これははかり知れないものが私はあると思います。  そこで、それをどうしてこれから捜すかと。第二次災害の防止策も大事でありますが、行方不明の方々らのやはり捜索ということも極めて大事なことでありますから、大変残酷なことだと思いますね。自衛隊あるいは消防署、あの周辺の方々に御協力をちょうだいしているわけですが、どうして捜すかというと、こういう残酷な形で捜さなきゃならぬということでありますから。それはいかなることがあっても、どういう形であっても、一日も早く、遺族のことを考えたならば、やはり行方不明の方々らの捜索全力を挙げる、これは今なおそういったことを私は言い続けております。  そういう意味で、いかにせん四百万立米、五百万立米と言われておるわけでありますから、恐らくその中であることは間違いないんですが、余りにもその広さが、例えば小さなところの狭いところに深くとか何かならいいんですが、あの幅の広い中に行方不明ということでありますから、どう考えても一それはいろんな形で、電波探知器がどうだとかいろんなことを言われますけれども、やはり大変なまぬるいようでありますけれども、これは人間の行方不明でありますから、手探りで全力を挙げるよりほかにないというふうに私も考えておるわけであります。  そういう意味で、特にその土石流対策については、私は建設省、まあ先ほど来から課長がいろいろ答えておりましたが、これは万全を期すべきである、特に私は、水を抜くことが大変大事でありますから、水も、川をつけ変えをしたりして大体順調に運んでおるわけでありますが、問題は今御指摘の行方不明の方々らの問題が大変頭が痛いわけであります。
  160. 栗林卓司

    栗林卓司君 それで私も悩んでいましてね、遺族もしくは関係者のお気持ちを察しますと、もうあれはとても無理だからあきらめなさい、後慰霊碑を建てて云々なんて、これはとても言えませんよね。といって、生きている者の二次災害被害防止をまず優先的に考えなきゃいかぬ。生活道路を含めていくといよいよ膨大な機械をあそこに持ち込むしかない。と、やっぱり時間の経過とともに納得をしていくんでしょうけれども、今、政府とすると、やはり行方不明になった方々の御不幸もさることながら、今残っている人のための施策をまず優先に考えていく、冷たいようだけどそうせざるを得ないというところに私は据わるべきだと思うんです。  これまでは行方不明の捜索と機械力を持ち込むというのが、やっぱり遺族の関係者の感情があってなかなか進んでこなかったけれども、もう日がたったし、現地の方もあるいは気持ちが落ちついてきたかもしらぬという意味では、大変一抹のつらさを秘めながら、後大胆に工事を進めていくしか私はないんではないか。こんなことないですよね、普通の土石流だったら、洪水だったら、遺体最後まで見つからぬなんてことはないですよ。そういった意味では本当に初めての、未経験の災害だったということをしみじみと感じていた次第であります。  問題は、この事態に対して事前の予知ができたんだろうかとだれしも思うんですが、今度この被害がありまして、にわか勉強して本を買ってみてびっくりしたんですけれども、これはNHKが出しているNHKブックスでしてね、「地震に関する学問は、いま飛躍的な発展の時期にある。」と書いてある。お書きになっている方は竹内均さん、これはもうこの方面の権威であります。この方が何と書いているか。地震の予知はできないと書いてある。なぜできないかというと、いろんな前兆があるというんですが、なるほどあるかもしらぬ。ところが、同じ前兆があって地震がなかった場合がたくさんある。地震が起こってみて、ああ、あれは前兆だったなと後で気がつくのがほとんどだ、後で気がついたら前兆予知もへったくれもないではないか。  普通地震がありますと、地盤が沈下していたのが隆起をするとか、ある変化がある、だけとこれはおおむね地震と同時なんです。もしくは百歩譲って考えてもせいぜい数時間前、ということは、実際問題としては地震の予知はできない。これは私は一つの見識だと思うんです。だから、何でもかんでもつぎ込めば地震の予知ができるような錯覚を与えてしまうのは私は間違いだと思うんです。  とはいうものの、今度はこの本を見ますとね、これは力武常次さんであります。この方もこの方面の権威です。この方は何とかなるんじゃないかと書いてあるわけです。これ読んでびっくりしたのは、大規模地震対策が東海地震中心にして観測体制をしいていますね。あれはマグニチュード八以上の地震に対してどうするかということを考えている組織であって、七以下については全く無能力なんです。ああいう大規模地震について常時観測をして何とか手がかりがっかめないかというのがあの体制であるわけです。七以下の地震については全く無力です。もしかして運がよくてつかまるかもしらぬけれども、まあだめでしょう。これが飛躍と発展の時期を迎えた現在の地震学でも、比べてみるとそんなところかもしれない。じゃ、しようがないですなというお立場にはとても長官立てませんよね。  そこで、力武さんが何と言うかというと、マグニチュード七以下についてもなるほどできるかもしれない、そのためには予算と人を十倍欲しい、そう書いてあるんです。いわんや直下型についてはお手上げた。調べてみても事実お手上げのようです、現状は。だけれども、そうやって全国を細かい目にしてひずみ計を入れていくと、あるいは予知ができるかもしらぬというのは、膨大な予算と人がかかるんですということだと思うんです、学問の進歩がありますしね。竹内さんはとても無理だというような見識ですが、それだけの人と金をかけていけばあるいは予知ができるのかしらぬ、学問も進歩しますしね。そうすると.それだけの金と人をつぎ込んでやる決意を我々が持つかどうか、これはとてもちょっとやそっとの努力じゃ間に合わないというのも事実だと思うんです。  今度災害地に行って痛感したのは、日本の国土のもろさだということです。こういった可能性があるところは全国至るところにあるでしょう。そうすると、国土庁とすると、それだけのお金と人をつぎ込みながら、そういう予知体制に向ってねじり鉢巻きで努力をするか。それとも竹内さんがおっしゃるように、やっぱり無理なんだ、だから地震の予知はできないから、地震が起きたときに災害が出ないような事前対策をするのが正解ではないか。どっちを選ぶかというのは、これはどっちでもいいということにはならないんですね。だから、本当はこの竹内説によりますと、例えば今度の例で言うと、濁川温泉なんというのはつくっちゃいけないんですよ。そんなところに人は住んではいけないのですというぐあいに、全国を検討しながら、人の住みかえ、建てかえをさせていくか、あるいは予知ができることを期待しながら金と人をつぎ込んでいくか、どっちかだと思うんです。  そこで、今後に対する方針としてどのようなお考えで臨んでおいでになりますか。
  161. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) これはなかなか難しいですね。やっぱり国民に不安を与えるような発言は私はしたくありませんしね。また、今、竹内さん、また権威者のその本の中身を聞かしていただきまして、権威者が、金と人をかけることによって予知ができる、今の十倍に予算と人をふやせばこうできると。これは、私は実際研究したことはありませんが、そういったことが必ず可能であるということならば、それは人の命と国民の財産はやはり金でかえるというわけには私はまいらぬと思います。  そういう意味で、現在としまして、地震の予知は、直下型以外の地震については、これは十二分とは申し上げるわけにはまいりませんが、予知をすることは私は完全にできるという判断をしております。ただ、直下型の問題については、これはなかなか難しいというふうには受けとめておりますけれども、今後なお一層直下型地震に対するところの予知ができないかどうか、こういったことをやはり探り続けていく必要が私はあると思います。  そこで、王滝村についてもいろいろなことがありました。しかしながら、やはり先祖伝来の土地を愛する、先祖伝来の土地に住みたいという、これは日本人の心としてそういったことが過去においてあったわけでもありますし、また今回においても、村長さんが本部長でありますが、私と話をして、この危険なところを、もちろん退避されていますけれども、早く何とかこれはならぬものか。例えば安全地帯に集団移転とかなんとかという、こういう制度というか、制度がなくても特別の制度としてやっぱり考えてもいかがなものでございましょうかと。それはわかるけれども、やはりここに住みなれた土地はどこよりもどこよりも皆やっぱり愛しておるというような関係から、それは稻村さん、大変無理な話であります。そうでしょうねと。それ以上私の方として勧めるわけにはまいりませんので、今御質問の点につきまして私は、予知の問題、今、竹内先生がおっしゃったように、具体的にそういった問題があろうとするならば、これはこの委員会にも御協力を願うし、あるいはまた衆議院の災害委員会にも御協力を願う、こういう形で納得のできるやはりこれに対する取り組み方が私は必要だと、こういうふうに思っています。
  162. 栗林卓司

    栗林卓司君 私も今の御答弁のとおりだと思うんです。現地に案内されまして、マイクロで行って、最初に案内されたところがお寺なんですよ。なるほどあのお寺にあそこの村の人たちの位牌もあれば全部ひっくり返っていましたけれどもね。帰ろうとすると、こっちにたくさん白木のひつぎが並べてありましてね、行方不明が見つかるのを今や遅しとして待ち構えている。そこに王滝村の人たちのあそこで暮らしている心があるんだなとつくづく思ったんです。  しかも、あの人たちから見ると、行方不明者捜索というのは事実不可能に近い。いわんや、今ダムになってせきとめているところは、五体が満足であるかどうかさえわからない。上空から見ますと、こんな木がぼきぼきになっているんですよ、ばらばらになっている。それを考えると、なかなかできないでしょう。しかし、やっぱりあそこに暮らしていきたい人の気持ちを大切にするとすると、やっぱり努力をすれば予知はできるんだ、そのために全力を尽くしますという方向をやはり我々はとらざるを得ないと思うんですね。たまたまあの十倍のマンパワーと金というのは、この先生がおっしゃったんですが、正しいかどうかはわかりません。ただ、相当の額をほうり込んででも、そうやって全国津々浦々でせつなく暮らしている国民にある安心感を与えるためには、僕は金を惜しんじゃいかぬと思いますよ。そういった意味で、今、じゃ何ぼにしますというようにはお答えになれぬでしょうけれども、ぜひこれまでの手際よさに加えて、その面についても十分な対策を私はお願いしたいと思います。
  163. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村佐四郎君) 大変適切な御指摘だろうと思います。先ほど来も下田先生がおっしゃったように、数字ことしは減っておるわけです。ただしそれは、減った理由はあるんですが、こういうところも数字でこう出てくるということは大変、一々説得はできませんからね。そういう意味で、数字合わせをするというわけじゃありませんが、こういったところもひとつ考え直してみたい。  きょうの委員会の発言等々見まして、これは当然私としてなさねばならぬことが数あるなという、こういう受けとめ方をいたしました。
  164. 栗林卓司

    栗林卓司君 終わります。
  165. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十分散会