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1984-05-11 第101回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査特別委員会高齢化社会検討小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十一日(金曜日)    午後一時三分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     小委員長        安永 英雄君     小委員                 大島 友治君                 坂野 重信君                 沢田 一精君                 内藤  健君                 松岡満寿男君                 森山 眞弓君                 太田 淳夫君                 橋本  敦君                 抜山 映子君                 青木  茂君    政府委員        経済企画庁国民        生活局長     及川 昭伍君        国土庁計画・調        整局長      小谷善四郎君        文部大臣官房審        議官       齊藤 尚夫君        兼内閣審議官        建設大臣官房総        務審議官     吉田 公二君    説明員        経済企画庁総合        計画局審議官   宇賀神治夫君        国土庁地方振興        局過疎対策室長  仁科 英麿君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○高齢化社会に関する件  (一九八〇年代経済社会展望指針、二〇〇  〇年の日本福祉社会への選択及び自主的社会  参加活動意義役割について)  (高齢化社会建設行政について)  (高齢化社会地域政策について)  (生涯教育について)     ―――――――――――――
  2. 安永英雄

    ○小委員長安永英雄君) ただいまから国民生活経済に関する調査特別委員会高齢化社会検討小委員会を開会いたします。  高齢化社会に関する件を議題とし、関係省庁から説明を聴取いたします。  まず、一九八〇年代経済社会展望指針、二〇〇〇年の日本福祉社会への選択及び自主的社会参加活動意義役割について、経済企画庁から説明を聴取いたします。及川国民生活局長
  3. 及川昭伍

    政府委員及川昭伍君) 及川でございます。経済企画庁からは、御指示によりまして、ただいまの四件を御説明申し上げたいと思います。  第一の「一九八〇年代経済社会展望指針」は、昭和五十四年に策定されました「新経済社会七カ年計画」の後を受けます経済計画でございまして、五十七年七月に経済審議会へ諮問し、昨年、五十八年の八月九日に答申を受け、八月十二日に五十八年度から昭和六十五年度までの期間における経済運営指針として閣議決定をいたしたものでございます。  第二番目の「二〇〇〇年の日本」は、二十一世紀に至る我が国経済社会変化方向展望問題点を指摘するために、経済審議会に設けられました長期展望委員会で五十七年六月にまとめられたものでございまして、長期展望委員会報告という性格を持っているものでございます。  第三番目の「福祉社会への選択」と「自主的社会参加活動意義役割」、この二件は、国民生活審議会総合政策部会において、過去四年間の間に審議いたしたものの部会報告としての取りまとめでございます。  私からは、後の二件について御説明申し上げ、先の二件については、担当の総合計画局から宇賀神審議官が参っておりますので、後ほど御説明を申し上げたいと思います。  そこで、「福祉社会への選択-一九八〇年代の国民生活シナリオ」でございますが、お手元に二枚紙の資料を差し上げていると思いますが、これは昭和五十六年九月に、国民生活審議会総合政策部会において部会報告として取りまとめられたものでございます。  このシナリオをつくりました趣旨でございますが、Iの「目的」のところに書いてございますように、一九八〇年代の日本は、人口高齢化国際社会への移行あるいは資源制約等非常に大きな変化が見込まれていたわけでありますが、欧米へのキャッチアップをほぼ達成した後において新しい国家目標あるいは社会目標というものがまだ明らかでないという問題意識から、福祉社会のあるべき姿を模索するために複数のシナリオを提示するということで、政策課題検討しようとしたものであります。シナリオ手法といいますのは、ある一定計画なり政策なりを明らかにするということよりは、予想される変化の限界をいろんな条件を示しながら定性的に示すという手法でございます。  シナリオの「概要」でございますが、シナリオ前提条件として、三つこの報告では共通前提を置けております。  第一が国際社会に統合されていく。  第二が人口増加率が低下して人口構成高齢化が進む。  第三が家族のきずなは緩むが、社会生活の核としての役割存続する。ということであります。  このシナリオの主たるテーマ二つございまして、一つ勤労と余暇との絡み合いのことでございます。仕事を通ずる満足感ということで、勤労生活日本的特質維持しながら、新しい価値観ないし社会的変化に即応した対応をどのようにしていくのかということが第一の主題であります。  第二の主題は、福祉社会をつくっていく上で、政府企業というようなフォーマル部門――この報告では、政府活動企業活動フォーマル部門と称しておりますが、フォーマル部門と、それ以外の地域だとか、家庭だとか、あるいは集団だとかというようなインフォーマル部門活動、両者を組み合わせることによって福祉政策能率向上を図ることが必要だという主題二つ持っているわけであります。  そしてシナリオとして四つをつくっておりますが、四つシナリオをつくるための要素組み合わせとして四つ要素を取り上げております。  第一が老人男性について、どういう傾向に進んでいくだろうか。依然として働くことに生きがいを求めるのか、あるいは引退をするだろうか。  あるいは女性について、女性職場に進出するのか、そうではなくて、地域家庭等インフォーマル部門活動価値を見出す方向に行くのか。  勤労者価値観につきましても、勤労生活生きがいを見出すのか、そのほかの生活により意義を持つようになるのか。  それから集団主義考え方集団主義存続するのか、個人主義が徹底していくのか。  この四つ要素組み合わせによっていろんなシナリオがつくられるわけでありますが、この報告では一定蓋然性を考えながら四つシナリオを設定したわけであります。  二枚目にシナリオA、B、C、Dとあります。  第一のシナリオは、このシナリオをつくりました五十六年あるいは五十五年当時の社会の状態が一九九〇年まで存続するというホットな社会存続型ということであります。  老人女性職場進出を果たし、高い成長が続く。②にありますように、高い成長労働力需要が多いから、老人女性が進出しても失業はそれほど多くはならない。しかし、③にありますように、女性職場進出家庭内福祉が外部化されて、マーケットで家庭機能が調達されるようになっていく。四番目に、対外経済関係は厳しさを増していく。言うなれば、「ホットな社会存続」で、働き者型集団主義社会が九〇年に存続していくというシナリオであります。  第二のシナリオは、「ネオ保守主義社会」といって、「のんびり型集団主義老人労働型」と名前をつけてありますが、老人職場にとどまるが、女性職場以外の分野で価値を見出すというシナリオであります。女性インフォーマル部門活動していくということであります。年齢が若くなるほど生活観が複線化していくというふうに考えますし、福祉サービスは、公的な部門よりはむしろインフォーマルな部門で供給されていくというようなシナリオであります。  第三のシナリオCは、「ネオ急進主義社会」という考え方でありますが、老人は早期に引退し、老人インフォーマル部門活動し、女性の方が職場に進出していくという考え方社会であります。老後生活のための社会環境は十分に整っていない、九〇年でも整っていないわけでありますが、自由時間を積極的に活用する老人がふえてくるという社会を想定しているわけであります。  シナリオDは、欧米型、「クールな社会への移行」というシナリオでありまして、職場では個人主義に基づく能力主義が優勢になる。能力的かつ男女平等の職場勤労倫理観は高いわけですけれども、労働移動が活発化し、摩擦的失業自発的失業も多くなる。福祉ニーズは多くなりますけれども、能力主義に基づいて職場へ進出していきます一方で、欧米のように公的負担について、これを社会的に受けとめる意識が高まっていくというような社会であります。  定性的にこれらのシナリオをつくりながら、その得失、必要な条件等検討しながら、どのような社会が望ましいかということを検討していく一つのたたき台として提示したものであります。  「各ケースの蓋然性得失及び必要な条件」は、(3)に書いてあるとおりでありますが、1のシナリオA蓋然性が高い、シナリオC移行するのも蓋然性が高いとこの報告では考えているわけでありますが、さらに、この報告を策定してから三年ほどたっておりますので、また別のシナリオも必要になってこようかと思っているわけであります。  第二番目に「自主的社会参加活動意義役割」というレポートについて御報告申し上げたいと思います。  これは、この「福祉社会選択」を受けました後に、フォーマル部門インフォーマル部門組み合わせが大事だという報告があったわけですが、その次の作業として、インフォーマル部門における活動をどのようにして活性化していくかということについての総合政策部会報告であります。これは五十八年十月に取りまとめられたものであります。  Iの「目的」に書いてありますように、経済社会活力維持して国民生活を向上させていくためには、政府市場部門企業産業活動活性化することが必要でありますけれども、それとあわせて、地域家庭グループサークル等々のいわゆるインフォーマルな社会部門においての活動活性化し、フォーマル部門と連携を保つことが必要だという考え方をとっておるわけでありまして、国民自主的社会参加活動意義役割を明らかにし、その活性化のための方策検討しているわけであります。  「自主的社会参加活動とは何か」といいますと、ここに書いてありますように、地域家庭グループサークル団体等インフォーマル部門において、人々が自主的に参加し、集団で行っている活動の総称を言っているわけであります。趣味・スポーツのサークルから、あるいはむらづくり運動商品共同購入等々、多様な活動があるわけでございます。  このような自主的社会参加活動の「開始の契機」としては、四つ契機が考えられるというふうにこのレポートでは言っております。個人発意あるいは既存の民間組織発意企業発意行政の誘導等々であります。  「参加の動機」として、活動欲求人間関係欲求二つがあり、「組織運営」、「場所」等々の現状の分析があるわけであります。  社会参加活動活性化するための背景として、二ページ目の第二章というところに、「社会環境変化」と「国民生活ニーズ変化」という二点を挙げております。  戦後の高度経済成長を経て三次産業増加し、都市化が進み、地域における人的なつながりが希薄化し、また他方で、核家族化ひとり暮らし老人がふえてきて、女性職場に進出して家庭機能が弱体化してきているわけでありますが、このような中で、これらを補うものとして自主的社会参加活動があらわれてきております。  また、「国民生活ニーズ変化」といたしまして、経済社会変化に伴いまして国民選択の幅が拡大し、多様な価値観、多様な生き方が広がってきているわけでありますが、従来のサービス供給の形では十分に満たされたものになっていないということで、みずからサービスグループで供給しようというような活動ニーズがあらわれてきているわけであります。  第三章で、このような「自主的社会参加活動意義」として二点挙げているわけであります。  第一が「精神的充実感の増大」であります。  三ページの一番上の行に書いてありますように、活動欲求充足人間関係欲求充足という二つの面で精神的充実感を高めるものになっているわけであります。婦人のカルチャーの活動や、老人のいろいろな地域活動等が、まず活動したいという、何かをやりたいという欲求と、それから、ひとりではなくて人と人とのつながりを求めたいという欲求とがあるわけでありますが、そのような欲求充足としての意義があるわけだと考えているわけであります。  第二に「創造的安定社会構築」という意義であります。  自主的な活動は、個性的、創造的な生き方を一般に涵養するわけでありまして、社会全体の創造性を増進させるというふうに考えているわけでありますし、第二に、人々の関心や価値観が多元化しながら、それに対応して、知り合い関係や人と人との連帯を形づくっていくことによって、「隣は何をする人ぞ」という社会ではなくて、隣人の顔が見え、安心で暮らしやすい安定社会形成にこれらの活動が寄与していくというふうに考えているわけであります。政府企業活動だけではなくて、地域やあるいは地域を越えたグループによってこのような自主的な活動が活発化することが、創造的安定社会構築社会活力維持するために役立つというふうに考えているわけであります。  第四章で、「自主的社会参加活動活性化のための諸方策」が幾つか提言されておりますが、行政はこのような活動に対しては直接介入は避けて、むしろ自主性を尊重しながら機会の均等を保障する見地、あるいは奨励的見地から基礎的条件整備に重点を置くべきだということになっております。  「活性化のための政策課題」として五点提言が出ております。  第一が、活動のための「時間・場所」の確保ということであります。自主的社会参加活動は自由時間に行われるものでありますから、週休二日制や年次有給休暇促進等、自由時間強化のための労働時間政策が一方で必要であろうかと思います。しかも、老後になってからだけ自由時間があるというのではなくて、若い世代の労働時間の短 縮によって、老後にも働き、若い時代にも自由時間があるというような、生涯時間配分政策ということが必要だということがここで提言されているわけであります。活動場所としては、いろんな場所を有効利用するような方策提言されております。  第二に「情報」につきましては、活動欲求がありましても、情報がないために活動契機をつかめないということが多いようでございまして、情報提供について行政府としては工夫する必要があるだろうという提言がなされております。  第三に、このような参加活動のための「人材」の確保でございますが、活動団体地域教育機関がその役割を果たすことが期待されており、人材バンク等社会システム整備を図る必要があるだろうというふうに提言されております。  第四に、「資金的助成」でありますが、国、都道府県、市町村等でいろいろな資金助成がいろんな形で行われているわけでありますが、このような活動地域コミュニティーにむしろ密着して展開されることが多いわけでありますから、実情に即しつつ市町村が中心となって援助は行うべきであり、援助の場合にも、間接的な助成という形で支援をすることが適当ではないかという報告であります。  「関連する制度整備」として、第一に情報提供合同イベント企画等の広域的な組織をつくること。あるいは民間公益活動についていろんな制度、税制や情報提供やあるいは公益信託活動等々について制度改善普及を図る必要がある。あるいは、活動に伴ういろいろな事故等対応するために「保険制度」等も整備する必要があるというような報告が出ているわけであります。  経済企画庁国民生活局あるいは国民生活審議会としては、このようなシナリオあるいはインフォーマル部門重要性の指摘等々の検討を踏まえて、二〇〇〇年に向けて新しい転換期を迎えつつある我が国の総合的な社会システムをいかにすべきかということを次の検討テーマとして、政策体系化を図りたいというふうに考えているところであります。  二点を私から御説明申し上げ、「一九八〇年代経済社会展望指針」及び「二〇〇〇年の日本」については、総合計画局宇賀神審議官から御説明申し上げます。
  4. 安永英雄

  5. 宇賀神治夫

    説明員宇賀神治夫君) 宇賀神でございます。  私からは、ただいま生活局長からお話がございましたように、「一九八〇年代経済社会展望指針」と「二〇〇〇年の日本」における高齢化関連部分について御説明申し上げます。  説明の順序からいたしまして、「二〇〇〇年の日本」は、「展望指針」よりはより長期の視点から展望いたしておりますので、そういう意味で、「展望指針」のバックグラウンドをなす性格のものであるというふうに考えられます。したがいまして、これから先に御説明をさせていただきます。  お手元に三種類の資料をお配りしてあると思いますが、四枚つづりで「「二〇〇〇年の日本」における高齢化関連部分について」という資料がございますが、これについて御説明申し上げます。  「「二〇〇〇年の日本」の性格及び概要」については、先ほど国民生活局長から説明があったわけでございますが、若干補足をさせていただきますと、「二〇〇〇年の日本」は、経済審議会のもとに、大来佐武郎氏を委員長といたします長期展望委員会が設置されまして、五十六年の五月から一年余にわたりまして検討を行いました上、五十七年の六月に取りまとめられたものでございます。  その対象期間は、二十一世紀に至る二十年程度の期間検討対象といたしまして、長期的視野で今後の我が国経済社会変化方向展望し、その中で生じてくる問題点を指摘するとともに、将来どのような経済社会を実現していくべきかについて検討を行ったものでございますが、これは政府の諮問を受けて作成されたというような性格のものではございませんで、あくまでも長期展望委員会参加した各界の有識者が自由に意見を出し合いまして、討論を行い、その結果を集約し、報告書を作成したという性格のものでございます。  次に、その概要でございますが、まず初めに、これからの我が国には、人口の急速な高齢化と、二十一世紀初頭以降の人口安定化、さらには高度成長から中成長への転換、それから我が国国際的地位の上昇、そういったようないろいろの要因がございまして、今後二十年間は歴史的な転換期となるものと考えられるわけでございます。  さらに、具体的に二十一世紀に向けての我が国経済社会基本的展望といたしましては、国際経済においては日本、ヨーロッパ、アメリカというようなものを主軸とする多極化の進展、それから相互依存関係進展先進国活力の低下、不安定なエネルギー情勢食料情勢の継続、それから世界的な人口問題、環境問題の発生、こういったようなことが大きな方向あるいは問題点であるというふうに考えられるわけでございます。  国内的には、我が国経済社会国際化進展高齢化に伴う人口世帯・ライフサイクルの変化就業構造変化産業構造ソフト化技術革新進展生活面での意識変化地域構造変化、こういったような点が今後の大きな方向であるというふうに考えられるわけでございます。  それで、「二〇〇〇年の日本」においては、このような変化国際化高齢化成熟化、そういう三つ変化方向としてとらえて、それぞれについて次のような対応基本戦略を示しておるわけでございます。  第一に、国際化につきましては、活力に富む世界経済への貢献と安定的な相互依存関係形成が重要であり、世界経済の再活性化、開かれた経済社会形成、地球的諸問題への対応等基本戦略としていくということでございます。  第二に、高齢化については、日本型高齢社会、これは後ほど御説明保いたしますが、その実現が重要であり、インフレの防止を重視した経済運営高齢者社会参加確保、効率的で適切な福祉確保、住みよい社会環境形成等基本戦略としていくということでございます。  それから第三に、成熟化につきましては、経済社会活力維持が重要であり、豊かな創造性確保活力環境整備等基本戦略としていくということでございます。  そして、これら三つに共通する課題対応といたしまして、経済社会の安全の確保、これはエネルギー食料等安定供給確保でございますが、さらには良質な国土・居住空間形成公的部門役割対応明確化等が重要であるというふうに述べておるわけでございます。  さらに、次のページにまいりまして、それでは次に、「二〇〇〇年の日本」において、高齢化関連事項について具体的にどういうふうに記述されているかということについて御説明申し上げます。  まず、我が国人口の「高齢化展望」とそれをめぐる「諸問題」についてでございます。  第一に、我が国人口は、二十一世紀初頭にほぼ一億三千万人で頭打ちいたしまして、それ以降は出生と死亡がバランスをするというような人口安定期に入るというふうに予測されておるわけでございます。  左側グラフをごらんいただきますとおわかりいただけると思いますが、二十一世紀初頭までの間におきましては、我が国人口年齢構成は急速に高齢化いたしまして、現在約九%の水準にある六十五歳以上の人口比率が、二〇〇〇年には今日の西欧水準並みの一五%というふうになりまして、その後は西欧先進諸国を上回って高まっていくというふうに考えられるわけでございます。  それから第二に、世帯数の問題でございますが、これも二つ並んでおる左側の「世帯数変化」のグラフをごらんいただきますとおわかりのように、世帯数増加のテンポというものは今後鈍化するわけではございますが、二〇〇〇年には現在の約一・三倍になるものと見込まれまして、特に高齢者ひとり暮らし世帯が大幅に増加することが見込まれるわけでございます。この単身者世帯と申しますか、要するにひとり暮らし世帯の内訳について右側グラフで述べておりますが、これを見ていただきますと、その中でも特にひとり暮らし高齢女子、これは棒グラフで上から二段目の右側に当たる部分で、ちょっとおわかりにくいかと思いますが、その部分ひとり暮らし高齢者女子に当たるわけでございますが、そのひとり暮らし高齢女子比率は年々高まりまして、二〇〇〇年には二・五倍になるというふうに見込まれるわけでございます。  また、高齢化進展に伴いまして、寝たきり老人が急速に増加することとなり、高齢者健康維持寝たきり老人を抱える家庭への支援、将来の高齢社会を支える青少年の健全な育成等が重要となるものと考えられるわけでございます。  それから、次のページにお移りいただきまして、第三には生産年齢人口関係でございますが、生産年齢人口余り変化をしないわけでございまして、左側の上の表をごらんいただきますとお読み取りになれることと思いますが、現在の我が国生産年齢人口比率欧米諸国よりは若干高くなっておるわけでございますが、二〇〇〇年まではその水準維持できるものと見込まれておるわけでございます。したがいまして、生産年齢人口比率が比較的高い今後の二十年間は、来るべき高齢社会対応するための貴重な期間であるというふうに考えられます。  ただ、高齢化進展によりまして、左の下の方のグラフをごらんいただきたいと思いますが、高年労働力人口増加いたします。こうした人々就業のあり方が問題になるものと考えられるわけでございます。これまでの年齢別就業パターン変化を延長してみますと、五十五歳以上の高齢層では、労働力が供給過剰となりまして、労働力需要変化に円滑に対応できない場合、需給のミスマッチが生ずるおそれがあるなど、今後、労働市場にかなり大きな調整圧力がかかる可能性があるものと考えられます。  次に、第四に、高齢者社会保障の役割は今後一層重要なものとなるわけでございますが、現在の社会保障の仕組みは将来の高齢社会に十分対応できるものとはなっておりません。したがいまして、現状のまま推移いたすとすれば、社会保障移転、社会保障負担の国民所得に対する比率は急速に高まりまして、国民政府にとって大きな問題となるものと考えられるわけでございます。特に、現行の年金制度のままでは、一つには、現世代が将来世代に非常に大きな負担を残すこと、二つには、勤労世代と年金受給世代を比べますと前者にかなり不利なバランスとなること、三つには、活力ある経済社会を損なうおそれがあること等の問題が指摘されるわけでございます。  左側グラフをちょっとごらんいただきたいと思いますが、これは横軸に六十五歳以上の人口比率をとりまして、縦軸に国民所得に対する社会保障給付費の比率をとったものでございまして、先進諸国の年次別の推移をここにドットしたものでございます。これをごらんいただきますと、おおむね四十五度線の付近に分布しておるわけでございまして、したがって高齢化進展に伴いまして社会保障の規模が大きくなるということが読み取れるわけでございます。我が国は現在一番左の下の隅の方にございまして、高齢化も進んでおらず、社会保障の規模も小さいということになっておるわけでございますが、今後急速に高齢化が進んだ場合、西欧諸国の例にならってみた場合には、社会保障の規模が相当程度急速に大きくならざるを得ないというようなことが読み取れるわけでございます。  次の四ページに移っていただきたいと思いますが、「住みよい高齢化社会に向けての基本戦略」をどう考えていくかということについて御説明いたします。  まず、我々が留意しておくべきことは、今後高齢化の進行は不可避でございますが、高齢者が多いということは我が国が長寿国であるということのあらわれでございます。したがって、豊かな経験と知識を持った人々が多いということになるわけでございます。高齢社会のイメージは、どちらかといえば灰色のイメージでとらえる場合が多いわけでございますが、これは灰色のイメージでとらえるだけではなくて、積極的に評価していく態度が必要であるというように考えられるわけでございます。そして、西欧型福祉社会の経験を参考としながら、日本独自の社会条件を生かしまして、就業、年金、それから貯蓄、家庭等役割を適正に位置づけました創造的な日本型高齢社会を築くことが大切であるというふうに考えられるわけでございます。  このような日本型高齢社会構築するに当たりましては、高齢化進展する中で、国民全体にとって住みよい社会を実現するために、一つは、「個人の能力が自由に発揮でき、多様なニーズにこたえられる社会」、それから二つには、「バランスのとれた公正な社会」、それから三つには、「包容力のある社会」、それから四つには、「国際化進展対応できる社会」、というような四つの理念を基本とすることとしておるわけでございます。  それからさらに具体的には、このような理念を踏まえまして、次のような四つ基本戦略を進めることとしております。  第一は、何といっても「インフレの防止を重視した経済運営」を行うということでございます。高齢社会におけるインフレは、個人貯蓄の目減りを通じまして老後に備えた自助努力を困難にするばかりでなく、稼得手段を持たない高齢者世帯生活不安を高めますとともに、年金制度の安定的な運営も難しくするというような問題があるわけでございます。したがいまして、今後インフレ対策はより重要性を増していくというふうに考えられるわけでございます。  それから第二は、「高齢者社会参加確保」ということでございます。高齢者がその貴重な知識と経験を生かしまして経済社会活動参加できますよう、積極的に社会参加の場を確保していくことにあわせまして、高齢者労働力率が相対的に高いという現状を踏まえまして、働く意欲と能力のある人に就業の機会を開いていくことによりまして、勤労の持っている自己実現欲求充足、さらには社会的連帯感の確保といったような価値を積極的に生かしていくことが必要であるというふうに考えられます。また、高齢者地域活動参加できるような条件整備や、高齢者の多様な要求に合った生涯教育、余暇、文化活動の機会の拡大というようなことも必要であるというふうに考えられます。  それから第三は、「効率的で適切な福祉確保」という問題でございます。高齢化進展する中で、高齢者の所得保障、健康の維持といった福祉に対する需要が拡大するわけでございますが、急成長という条件のもとで経済社会活力維持していくためにも、国民の合意のもとに、適正な給付と負担の関係を明確にしながら、適切な福祉確保を図っていくことが必要でございます。特に年金の場合には、現実に問題が顕在化いたしますのは二十一世紀だといたしましても、早急に改革に着手すべきものであるというように考えられます。また、老人の健康の確保につきましても、早い時期からの健康教育、それから健康管理体制の確立を図るなど、国民の健康づくりを積極的に推進していくことが必要であります。  最後に、第四は、「高齢化の中での住みよい社会環境形成」ということでございます。これからの社会は、高齢者社会の一員として生活活動できる社会がノーマルな社会であるという理念を定着させますとともに、社会を構成する各人が安心して生活し得るような社会づくりを進めていく必要がございます。このため、大都市圏、地方圏のそれぞれの実情に応じまして高齢化対応した居住環境づくり、老後生活の安定や健康等高齢者福祉にとって重要な家庭の適切な位置づけ、さらには高齢社会に向けての国民の十分な理解の確立を進めることとしております。  以上、簡単でございますが、「二〇〇〇年の日本」についての関連部分の御説明を終わらしていただきます。  続きまして、「一九八〇年代経済社会展望指針」の関連部分説明をいたします。  お手元に三枚紙で、「展望指針」関連の資料をお配りしてございます。  まず、「「展望指針」の性格」でございますが、これは、我が国経済社会は大きな転換期に直面しておるわけでございまして、将来には流動的な要素も数多くございます。このため、この「展望指針」は、その内容を不確実性と事態の変化に弾力的に対応し得るようなものとしておるわけでございます。また、現在、長期的に取り組むべき多くの課題に直面しておりますことを踏まえまして、長期的な視野から一九八〇年代の経済社会展望政策運営の指針を示しておるわけでございます。  次に、「「展望指針」での経済の想定」について御説明申し上げます。  八〇年代の我が国経済につきましては、第一に、エレクトロニクスを中心とした技術革新進展が期待されますこと、第二に、家計貯蓄率は、次第に低下することが見込まれますが、他の先進諸国よりは相対的に高水準維持すること、それから第三に、労働力供給の増加率は七〇年代とほぼ同程度となることなどが見込まれますことから、先進国の中で良好なパフォーマンスを維持するだけの経済条件を備えているというふうに考えられるわけでございます。  また、対象期間中、これは昭和五十八年度から六十五年度までの八年間でございますが、対象期間中の経済の姿につきましては、適度な成長のもとで完全雇用、物価の安定、対外均衡の確保を実現していくことが重要でありまして、次のような経済の姿を想定しておるわけでございます。  第一に、経済成長率につきましては、世界経済の回復の想定、技術開発の進展民間活力の発揮等を前提といたしまして、経済成長率は実質年平均四%程度、名目で六%程度から七%程度と見込んでおるわけでございます。  第二に、雇用につきましては、適度な成長を通じた雇用の安定、労働力需給をめぐる構造変化対応した政策を推進いたしますことによりまして、昭和六十五年度における完全失業率は二%程度を目安としておるわけでございます。  第三に、物価につきましては、総需要の管理、競争の促進等諸般の政策をとることによりまして、消費者物価の上昇率は年平均三%程度を目安といたしております。また、卸売物価の上昇率につきましては年平均一%程度と見込んでおるわけでございます。  続いて、「展望指針」における高齢化関連事項についての御説明をいたします。  まず、「八〇年代の変化方向」でございますが、長期的視点で二十一世紀に至る我が国経済社会変化展望いたしますと、国際化成熟化とともに、高齢化といった大きな流れが認められるわけでございます。今後の我が国は、人口増加率が鈍化する中で人口高齢化が急速に進み、二十一世紀には世界有数の高齢社会になることが確実でございます。今後、二十一世紀に至る期間は、この来るべき高齢社会に備えて、経済社会の基盤を整備すべき重要な期間であるというふうに考えられます。  次のページに行っていただきたいと思いますが、次に、国民生活変化方向について見てまいりますと、国民のライフスタイルは、生活の時間、場、ニーズといった面でそれぞれ変化が進むものと考えられます。まず、生活時間につきましては、平均寿命の伸長、子供数の減少等を背景に、自由時間の増大、生涯学習への関心の高まり、それから就業形態、労働時間配分の多様化等が進むものと見込まれるわけでございます。それから、生活の場につきましては、家庭機能の見直し、社会参加の場の多様化等も見込まれるわけでございます。さらに、ニーズにつきましては、文化的豊かさを求めて生活の質的向上への志向が高まります一方、高齢化等の中での雇用・所得の確保、物価の安定、健康の維持・増進といったようなニーズは、安心して暮らせる基礎条件として、引き続き重要視されていくものと考えられます。  次に、「政策の基本方向」について御説明申し上げます。  第一に、国民生活に関する総合的な政策でございますが、これにつきましては、就業社会保障、資産形成等を通じまして、安定した生活の基盤が整備され、これを踏まえて、人々が、家庭地域職場などのさまざまな場におきましてゆとりを持ち、自己実現を図っていくことができるような人生八十年型ライフスタイルに対応しました新しいシステムづくりを進めていくこととしておるわけでございます。  第二に、就業関係につきましては、六十歳定年の一般化に努めますとともに、六十歳台の前半層に対しまして、雇用の延長の促進であるとか、転職、再就職の円滑化であるとか、さらには就業ニーズの多様化に応じた就業機会の確保というようなことについて努めてまいることとしておるわけでございます。また、高年齢者の職業能力の維持活用を図るため、生涯職業訓練、健康づくり体制等の促進を図ることとしております。  それから第三に、物価につきましては、かつての高度成長期のようには家計の名目所得の高い伸びが期待し得ない中でございますので、高齢化進展とも相まちまして、これまでにも増して物価の安定が重要な課題となってくるというように考えられるわけでございます。このため、物価の安定につきましては、不断の注意を払いながら、適切かつ機動的な総需要の管理、さらには競争の促進等諸般の政策を行うことによりまして、物価の一層の安定を図ることといたしておるわけでございます。  それから第四に、社会保障につきましては、施策の重点化、効率化、社会的公正を確保する見地からの制度間の不均衡の是正、給付と負担の適正化、こういったような点を基本原則といたしまして、整備、改革を進めていく必要があるわけでございます。  それで具体的には、年金部門につきましては、現行制度のまま推移いたしますと、多くの問題が顕在化することを認識いたしまして、制度全般のあり方について見直しを行いますとともに、計画的に改革を進めることとしておるわけでございます。また、年金のいろいろの制度がございますが、その各制度は給付面の統一化に合わせて負担面の制度間の調整を進めますとともに、昭和七十年を目途に制度全体の一元化を完了させるという方向に沿いまして検討を進めることといたしておるわけでございます。  次に、保険・医療部門につきましては、老人保健事業の計画的推進を図るなどライフサイクルを通じました国民の健康づくりを積極的に推進いたしますとともに、予防、リハビリテーションを含めました一貫性のある保健・医療サービスの供給システムの整備を図ることといたしております。また、医療費の伸びを適正な範囲にとどめるよう需給両面にわたりまして適正化対策を実施することといたしておるところであります。  次のページに移っていただきたいと思います。  社会福祉につきましては、高齢者、障害者もできる限り社会の一員として生活し行動できるよう、ノーマライゼーションの方向を、地域住民の積極的な参加、協力のもとに進めることといたしておるわけでございます。  第五番目といたしましては、教育・学術・文化の問題でございますが、教育・学術・文化の面では、人口高齢化女性社会進出、さらには産業就業構造変化情報化、国際化進展、こういったような多面的な経済社会環境の変化対応いたしまして、心の豊かさや、新たな創造力を生み出していく基盤の形成が求められているわけでございます。このため、社会教育におきましては、家庭教育に関する学習活動や婦人・青少年の社会参加を促進する活動機会の充実、それから高齢者教育人材の活用等に努めていくこととしておるわけでございます。  第六は、家庭についてでございます。家庭につきましては、人生八十年型ライフスタイルに対応していくためには、社会生活の基礎的単位であり、国民の幸せの基盤でもある家庭に期待される役割が極めて大きいものというように考えられます。このため、公的部門におきましては、家庭が自主的な対応を円滑に図っていけるよう家庭を取り巻く環境基盤の充実を進めますとともに、その努力を側面から支援していくこととしておるわけでございます。  最後に、第七といたしまして、住宅政策でございますが、住宅政策につきましては、三世代同居を可能とするような質の高い住宅の供給を進めますとともに、隣居であるとか、近隣別居であるとかという、それぞれの家族の実情に応じた多様な居住形態にきめ細かな政策上の配慮を加えることとしております。また、単身世帯、特に高齢単身世帯、さらには母子世帯、心身障害者世帯の居住改善にも一層の努力を払うということにしておるわけでございます。  以上、非常に駆け足ではございましたが、「展望指針」の高齢化関連事項についての御説明を終わらしていただきます。
  6. 安永英雄

    ○小委員長安永英雄君) 次に、高齢化社会建設行政について、建設省から説明を聴取いたします。吉田官房総務審議官
  7. 吉田公二

    政府委員(吉田公二君) 建設省の吉田でございます。  お手元に建設省から「高齢化社会建設行政」という資料をお配りしてございますので、これに基づきまして御説明申し上げます。  先ほど企画庁の方から御説明がありましたところと、ある意味では重複いたすわけでございますが、総論的なところにつきましては簡略に御説明さしていただきます。  最初に、まず第一といたしまして「高齢化進展への対応」ということでございますが、先ほどの企画庁のお話のように、我が国人口は急速に高齢化しつつある。ここに書いてございます図も、先ほどの企画庁の資料と同じ資料でございます。日本の数字が非常に急角度で二〇〇〇年ころから各国を抜いていくという形になっているところでございます。したがいまして、こういうふうな急速なスピードで高齢化社会移行しているということに対応しまして、住宅でございますとか社会資本の整備に当たりましても、的確に対応していく必要があるわけでございますが、現在の我が国社会資本あるいは住宅、こういったもののレベルはまだまだ欧米のいわゆる先進諸国に比べますと非常に低い状態でございまして、非常にごく概略的に申しますと、例えば社会資本全般について言えば、大体二分の一ぐらいの水準にすぎないわけでございます。こういうものをこうした高齢化社会対応するように整備をしていくということが急がれるわけでございます。  その点で、次の下段のところに、生産年齢人口のことが触れでございますが、次の二ページの上のところに図をお示ししてございます。生産年齢人口の推移といたしまして、これはまだ、一九九〇年から二〇〇〇年あたりにかけましては現在よりも生産年齢人口はふえていく、二〇〇〇年を過ぎるあたりから次第に下がっていく、こういう形に現在はなっているわけでございます。  それから、ちょっとまたもとへ戻っていただきまして、貯蓄の問題でございますが、我が国の貯蓄率が非常に高いということは先ほども企画庁の方からも御説明があったわけでございますが、やはり高齢化対応いたしまして、高い貯蓄率といえどもじりじりと下がっていくという傾向にございます。  二ページの下の図のところでは、これは四十一から五十四年までの平均の数字でとっているわけでございますが、日本の貯蓄率は、この図の中では一番左のところに約一九%という非常に高い数字でございます。この数字では老齢化人口比率が一二%、これも日本が一番低い形でございまして、右の方に下がっていくような形で高齢化進展と並行して貯蓄率が下がっていく。こういうふうに傾向がなっているわけでございまして、我が国もだんだんそういう傾向をたどっているわけでございますが、まだ生産年齢の数がかなり高い、また高貯蓄率である。今後二十年の間に十分の備えをしておく必要がある。  建設省といたしましては、その点非常に強く意識をしているわけでございます。こういった期間に、住宅、社会資本投資、こういったものの長期的に効果を発揮する資産形成に高水準の貯蓄を活用して、積極的に資源を配分いたしまして、基盤を整備して将来に対処していきたいというふうに思っているわけでございます。  それで、建設省の所管の行政につきましては、全般についてそうしたことが言えるわけでございますが、三ページ以下につきまして、特にそのうちから道路と公園というものを取り出して挙げているわけでございます。我が国の道路の整備水準、これが表1、表2というところに挙げているわけでございますが、表1のところでは、「整備率からみた道路の整備水準」ということで挙げてございまして、一般国道、主要地方道、一般都道府県道、それから幹線市町村道、こういったものが日本の道路の根幹を構成しているわけでございますが、五十七年度末の数字で見ますと、全体の延長が三十七万キロでございますが、そのうち改良されている区間が二十一万キロにすぎず、特に改良された区間の中で混雑度が一以上というところ、混雑度というのは、いわゆる道路のキャパシティーとそれに対して実際に通っている交通量の比でございまして、一以上というのは混雑しているということでございますが、そういうものを引きまして整備率というものを見ますと、現状では、こういった根幹的な道路で四八%の整備率にすぎないというわけでございます。長期的に見事した場合には、九〇%ぐらいに上げなければならないというふうに思っているわけでございます。  また、表の2で、「バス路線の現状」をごらんいただきましても、まだまだ整備のおくれ、バスのずれ違えないところが五万二千キロでございまして、バスのすれ違い可能率というのは六三%にすぎないというような形でございます。  そのほか、この表の下に書いてございますように、歩道の整備でございますとか、こういった状態についてもまだまだ対応がおくれているという形でございます。  それから、こういった現状と将来の高齢化社会というものを考えた場合に、表の3のところで「免許保有状況」というものを挙げてございますが、六十五歳以上の高齢者の中で免許を保有するという者は現在ではまだ九%ほどでございますが、これが次第に、七十五年になるころには四〇%近い者が免許を保有する。こういった道路の利用につきましても、高齢者の利用というものが非常にふえていくということが見込まれてくるわけでございます。  こういう弱い立場にある人々にとりまして、十分な整備がされているとは必ずしも言えない状態でございますので、今後の道路整備考え方といたしまして、②のところに書いてございますように、まず一つ高齢化社会に備えまして、経済社会活力国民の日常生活を支えるという意味での、いわば一般論としての道路整備を先行的、計画的に行う必要があるわけでございますが、高齢者の自立と社会参加、こういったものを踏まえまして、安全、円滑な道路交通という意味から、こういったものに対応する整備をしていかなければならないと。この二つの基本方針を踏まえる必要があるわけでございまして、こういった高齢者、身障者など弱い立場にある人々にとっても安心して使える道路のあり方というようなことを考えているわけでございます。  そういった意味で、四ページのところに、「今後の道路整備の方針と具体的施策」ということでお示ししてございますが、この道路整備につきましては、高齢化社会の到来、地方定住と都市化進展産業構造の高度化、こういうものに対応するということで、特に高齢者等の交通弱者に配慮いたしまして、具体的なものといたしましては、市街地の中の安全性の確保のための歩道とか自転車 道の整備であるとか、交通手段の確保のための公共交通機関でございますとか、乗り継ぎ利便施設の整備。それから環境の保全のための道路網の整備でございますとか、あるいは植樹帯・遮音壁の設置。それから個々の施設といたしましては、歩道のいわゆる段の切り下げなどを行いまして、安全性を確保するというようなことを総合的に進めていこうというふうに考えているわけでございます。  公共施設の二番目といたしまして、都市公園を挙げたわけでございますが、都市公園は緑が豊かで良好な生活環境を形成するというわけでございますが、さらに災害時には避難地にもなるわけでございますし、またいろいろのレクリエーションの場にもなるわけでございまして、これからますます増加してまいります都市在住の老人にとりましても非常に不可欠な生活環境施設でございます。こういった施設を老人が有効に活用できるようにしてまいる必要があるわけでございます。  こういった高齢者の公園の利用の現況につきましては、次ページに表を挙げてございますが、表にごらんになりますように、高齢者の使う、占める割合というのは非常に増加傾向でございます。身近な公園では一〇%を超えるようになっているわけでございます。  それから公園に在園される時間につきましても、かなり長い時間高齢者が使われるという形になっているわけでございます。  それらの表の方は、ごらんいただきたいと思いますが、こうした高齢化社会対応いたしました公園整備ということでございまして、これの方針といたしまして、国民の各年齢層におきます公園需要というものに対応する施設の整備ということを行うわけでございまして、特に、近年高齢者層に要望の強い動的利用に対応するための、例えばゲートボールでございますとかジョギングコース、こういったものを設ける等の高齢者の公園利用に対応した整備を行っているわけでございますが、さらに今後本格的な高齢化社会の到来に対応いたしまして、都市公園の整備のあり方、高齢者の利用の増加対応する管理のあり方等の検討を行うこととしているわけでございます。  次に、五ページの下のところに「官庁施設」ということを挙げてございますが、これは官庁営繕を建設省で所管しているわけでございますが、官庁施設につきましては、いろいろの方が使われるわけでございまして、老人あるいは身体障害者、こういう方にとりまして安全で便利でなければならないわけでございますので、新設の施設につきましては、すべて、構内通路のスロープ化でございますとか、主な玄関の自動扉の設置、それから階段の寸法、手すり、こういったものについて配慮した設計を行うことにしておりまして、また既存施設につきましても、これは計画的に逐次こういった対応をしているところでございます。こういったことで、公共施設につきましては道路、公園というものを例示に挙げましたけれども、建設省は所管施設全体につきまして、やはり高齢化社会の到来というものに備えた整備を図っていくという責任を痛感しているところでございます。  次に、六ページに入りまして、その中で「住宅対策」でございます。  まず、「高齢者を取り巻く住宅事情」ということで、「世帯構成の変化の構造」、これを昭和五十五年の国勢調査というものをベースにいたしまして、過去と比較して考えてみますと、五十五年の国勢調査によりますと、普通世帯数――普通世帯と申しますのは、総世帯から準世帯としての、例えば寮とか下宿とかしているような人を除きましたいわゆる一般の世帯でございますが、普通世帯が約三千四百十一万あるわけでございます。  これの構成は下の表の右のところに、五十五年のものとして挙がっているわけでございますが、主なところで見ますと、夫婦と子供だけから成る世帯は四四・二%、これが構成比が一番高いわけでございますが、これが三十五年以来大体横ばいでございます。これに夫婦のみの世帯、それから片親と子供の世帯を含めましたいわゆる核家族世帯、これは全体の六三・三%でございます。これも過去大体安定的に推移してございます。三世代世帯、これは五十五年現在で五百二十二万世帯でございますが、これは、表の一番下のところから二つ目のところに三世代世帯の欄がございますが、数字といたしましては大体安定的に、若干増加してきておりますが、構成比は次第に減ってきております。三十五年のときには二五・四%ございましたが、五十五年には一五・三と、率は減ってきております。それから単独世帯、これは一人の世帯でございますが、これは過去二十年間に実数で五・九倍、構成比は約三・四倍と非常にふえております。単身者のうち、六十五歳以上というのが八十四万人というふうになっておりまして、近年の六十五歳以上の単身者の伸びというのが極めて著しいわけでございます。  以上が全体でございましたが、次に高齢者世帯というものについて見てみますと、普通世帯のうち六十五歳以上の親族のいる世帯、この高齢者世帯、六十五歳以上の親族のいる世帯についての表は次のページにございますけれども、主なところを申し上げますと、世帯数は五十五年で八百七万八千戸、構成比二三・七%でございまして、約四世帯に一世帯高齢者世帯である、高齢者を含む世帯でございます。近年、六十五歳以上の親族のいる世帯というのは対五十年比で一七・四%増という非常に伸びが大きいわけでございます。その累計を見ますと、三世代世帯が三百八十一万世帯、これが高齢者のいる世帯の四七・二%でございますが、これが一番多いわけでございまして、次いで夫婦のみの世帯、その他の世帯、単独世帯、こういう順番でございます。  七ページのところでごらんいただきますと、年次別で見ますと、三世代世帯は実数では若干増加しておりますが、構成比は減少しております。それで単独世帯と夫婦のみの世帯、これは実数、構成比とも非常に伸びておるわけでございまして、単独世帯のところが三十五年で二十万三千二百、これが八十三万五千一約四倍になっているわけでございます。それから、核家族のうちの夫婦のみというのが、これが五十五年で百二十七万余りでございまして、四百八十九倍ということでございます。三世代世帯は比較的、二百八十万が三百八十万ということで、三四%増というような形になっているわけでございます。  これは数字そのものをお示ししたわけでございますが、今度、それぞれ皆さんがどういうふうに考えているか、意向調査を見てみますと、総理府の世論調査によりますと、高齢者と子供の世帯との同居の意向というものでございますが、これが図の一のところにその表を挙げているわけでございますが、両親が夫婦とも健康である場合には大体三分の一強、三五%ぐらいの方が完全な同居、いわゆる台所もトイレも一緒にするという意向を持っておりますし、また、台所、トイレを別にした同居でありますとか、近隣同居というものを含めました広義の同居につきましては、七割以上の方がそうしたいという意向を持っているわけでございます。また、親の方の片方が亡くなったような場合、これは大体六割近い、五八%の方が完全同居をしたいと思っておりますし、また、広義の同居というものを含めますと、九割近い方が広義の同居を希望している、こういう意向を持っているわけでございます。  それから次のページ地域的な関係、あるいはまた年齢別、男女別というような意向についての資料、これは「老後生活への展望に関する調査」という、総理府で行われましたちょっと古い数字でございますが、これは「将来、あなたが年をとって、お子さんが結婚された後の生活は、どのようにするのがよいとお考えですか」という、そういう問いに対する答えでございまして、これによりますと、都市ほど一貫した同居というものについての同居志向というのは低い、弱いわけでございまして、条件つきの同居志向あるいは別居志向が強いわけでございます。  年齢別に見ますと、若い世代ほど一貫した同居志向が弱い、別居志向が強い、こういった数字が出ておりまして、「一貫した同居」というところでは、左から二つ目のところにございますように、首都圏・近畿圏では二五%余り、町村では五六%ということで、町村部におきましては「一貫した同居志向」が非常に強いわけでございますが、逆に、「やがて同居」するとか、「元気なら別居、やがて同居」、「一人になったら同居」というようなところは、町村部よりも都市部の方が高いわけでございまして、右から二つ目の「弱ったり、一人になっても別居」というのは、首都圏・近畿圏などが一三%余り、町村部では四・八%というような形になっているわけでございます。  こういうのは、いわゆる意向調査でございまして、現行の高齢者対策ということでは、人口高齢化対応いたしまして、住宅政策といたしましては、高齢者の心身機能上または社会生活上の変化、居住形態の多様性等に配慮しながら、次のページのような施策を行っているわけでございます。  九ページ、横書きになりますが、現在行っております住宅対策といたしましては、まず一番上の欄、「公営住宅」、これは公共団体が国の補助によりまして賃貸住宅を経営しているものでございますが、これが、老人世帯あるいは老人同居世帯――老人世帯というのは、いわゆる世帯主が老人であるわけでございます。老人同居世帯老人が同居しているという世帯でございますが、老人世帯向けの特定目的公営住宅、これは老人世帯向けの限定した募集をするものでございますが、六十歳以上の老人夫婦世帯老人と児童からなる世帯に対しまして優先入居を行う公営住宅、こういうものを行っております。それから単身者でございますが、六十歳以上の老人女子の場合は五十歳以上ということにしておりますが、こういう方に対しまして単身入居を認めております。  それから老人同居世帯につきましても、老人が同居する世帯に対しまして、規模、設備等の面で考慮した公営住宅を供給しております。それから規模制限、これは、一種住宅は八十平米、二種住宅七十五平米ということでございますが、老人を含みます六人以上の世帯、多家族世帯につきましては、それぞれ五平米引き上げまして、規模制限を緩めておるわけでございますが、こういうものを供給しているところでございます。  それから老人と子供夫婦の二世帯に対します対応といたしまして、いわゆるペア住宅、子供夫婦の住む住戸にくっついて老人室を設けているペア住宅というものの供給も可能としているわけでございます。  それから次に、住宅・都市整備公団の「公団住宅」でございますが、これは特に老人だけをというものはいたしておりませんが、入居に対しまして、老人を含む世帯に対しまして、当選率を一般の十倍とするというような優遇を行っております。また、入居住宅に対しまして、一階とかエレベーターの停止する階を割り当てるというようなこともしております。それから、住宅変更制度――老齢のために現在の住宅が居住が困難になった者についての変更を優先的に認めるとか、また、分譲住宅の最低一時金の減額、こういったものも行っております。  老人同居の世帯につきまして大体同じ形をとっておりまして、まあ大型住宅、三LDK以上でございますが、これは居住水準の向上という一般的な目的もあるわけでございますが、こういった老人同居等の対応も含めまして、こういったものの供給の促進を図っているところでございます。  次のページ、十ページは公庫融資でございます。老人世帯及び老人同居世帯、これは共通でございますが、貸付利率の優遇ということで、老人を含む世帯に対しまして、現在の公庫融資につきましては、百十平米以下のものが貸出利率が五・五%でございまして、百十平米から百三十五平米までについては六・五%、百三十五から百六十五平米につきましては七・二%と、こう金利が一般では上がっていくわけでございますが、老人世帯あるいは老人同居世帯につきましては百二十五まで五・五%、百二十五から百六十五につきましても六・五%ということで、貸出利率の優遇をいたしております。それから、割り増し貸し付けということで、これは六十五歳以上を含む世帯に対します割り増し貸し付けを行っているわけでございます。老人同居割り増しというのは、九十平米以上で七十万円、それから老人が同居する多家族の多人数の世帯、これも六人の世帯でございますが、この割り増しは百平米以上として百三十万円の割り増しをしているわけでございます。それから、単身者への貸し付けといたしましては、四十歳以上の単身者に対しまして貸し付けを行っているわけでございます。  それから老人と子供夫婦の二世帯に対する貸し付けでございますが、これは、二世帯住宅を建てます場合には、老人世帯あるいは老人同居世帯よりももう一つ――これも、二世帯住宅の融資といたしましては、同じように規模別の適用利率の優遇をしているわけでございます。割り増し貸し付けにつきまして老人世帯、同居世帯よりもより大きな額、百三十万、百九十万の割り増し貸し付けをやっているわけでございます。それから、老人と子供夫婦の二世帯につきましては、承継償還制度ということで、一定の親族を後継者として指定しまして、その者が返済するという、こういった、その者が返済を継続する場合には通常の償還方式を認めているわけでございます。  以上が現行の対応状況でございますが、最後のところに項目だけ挙げてございますが、「高齢化社会への今後の対応」ということで、大体私どもが現在考えておりますところといたしまして四点、「高齢化社会におけるライフサイクルに対応した安定した家庭基盤の形成」。「高齢者ニーズに配慮した住宅・住環境の整備」。それから「世帯選択を可能とする多様な住宅の供給」、これは「同居の条件整備」でございますとか、あるいは「単身高齢者世帯、核家族高齢者世帯急増への対応」というような意味におきましての多様な住宅の供給。それから四番目といたしまして「福祉施策との密接な連携」、これは特に単身高齢者世帯あるいは核家族高齢者世帯、こういったものが急増していくということに対応いたしまして、こういった福祉施策との密接な連携ということも不可避でございます。こういったものにつきまして総合的に考えながら対応していくというふうに考えているところでございます。  なお、個別の点につきまして後ほど御質問いただきます場合には、専門家をいろいろ一緒に来てもらっておりますので、お答え申し上げますので、よろしく……。
  8. 安永英雄

    ○小委員長安永英雄君) 次に、高齢化社会地域政策について、国土庁から説明を聴取いたします。小谷計画調整局長
  9. 小谷善四郎

    政府委員小谷善四郎君) 国土庁計画調整局長の小谷でございます。  お手元に「高齢化社会地域政策」という表題の資料がおありになろうと思いますので、これに即しまして御説明申し上げます。  まず最初、一ページ目でございますけれども、我が国人口高齢化が進んでいるということは、先ほど企画庁あるいは建設省からも説明のあったところでございますが、それをさらに地域別に見てまいりますと、この一ページ左側の表のようになっておりまして、先ほども説明がございましたが、全国で見ますと老年人口比率、要するに六十五歳以上の人々比率でございますが、一九八〇年で九・一%、昨年の一九八三年で九・八%と、こうなっておりますが、地域別に見ますとかなりばらつきがございまして、三大都市圏で見ますと、これが一九八〇年度は七・六%になっている。それに対して、地方では一〇・三%ということで、三大都市圏に比べますとかなり高齢化が進んでいるということが一つ言えます。  また三大都市圏の中を中心部と周辺部とに分けてみますと、中心部におきましては、ここにありますように。一一・二%ということでございまして、地方圏全体の平均よりもさらに高齢化が進んでいる。これは御案内のように、中心部ではかなり青壮年層が住宅を求めて周辺部に出ていっている、その反映であろうというふうに見られるわけでございます。それから同じように地方圏を見ましても、過疎地域というところで拾ってみますと、これは過疎法によって指定された地域でございますけれども、過疎地域では一四・八%ということでございまして、先ほど説明のありました二〇〇〇年ごろの全国の老年人口比率一五・六%というふうに今現在推測されておりますけれども、それにほぼ近い水準にまで既に高齢化が進んでいるということでございます。さらにこれは過疎地域全体でございますが、一つ一つの町村で見ますと二〇%を超えるような町村もかなり見られるということでございます。  次に右側の地図でございますが、これは都道府県別に見たものでございますけれども、黒くなっているほど高齢化が進んでいるわけでございまして、ざっとごらんいただきますと、大都市地域、特に首都圏あるいは愛知県とかあるいは大阪府といったようなところは当然老年人口比率は低くなっておりまして、そのほか全国的に見ますと東側が低くて西側の方が高くなっているというような傾向がうかがわれるわけでございます。  一ページ繰っていただきまして、御承知のように第三次全国総合開発計画、三全総と言っておりますが、これが国土政策の基本計画でございますけれども、五十二年の十一月に決定いたしたわけでございますが、その後の情勢変化がいろいろとあるものでございますから、フォローアップ作業ということを行いました。そのフォローアップ作業の中で、高齢化社会への移行ということをかなり大きく取り上げております。一つ人口増勢の鈍化がかなり進んでおって、その結果として高齢化が急速に進んでいるということでございますが、これにつきましては先ほどの企画庁等の説明とも重複いたしますので省略させていただきます。  次に、三ページでございますけれども、高齢化がそういうことで進行しているということでございまして、これもこの図面あるいは表等も先ほどの説明と同じようなものでございます。  さらに先へ進めさせていただきまして、次に四ページをごらんいただきたいと思います。三全総を策定いたしまして、その後高齢化がかなり急速に進んできている、そういうような我が国人口高齢化とそれに伴う社会経済変化対応して、国土政策のあり方はどう考えるべきかというようなことを定住構想基本問題研究会というところで検討をいたしました。その検討結果を五十六年の一月に取りまとめたわけでございますけれども、それの要点だけをここに掲げてございます。  御説明させていただきますと、まず、そのような高齢化に伴う経済社会変化対応した国土政策のあり方として、まず一つ社会経済環境の整備についてどう考えていくかということがございますし、さらにまた地域別にどう考えていくか。一番先にごらんいただきましたように、高齢化の進行の度合いも地域によってかなり違うわけでございまして、地域別にどう考えていったらいいかというようなことを検討したわけでございます。  まず全体としての「社会経済環境の整備」ということでございますけれども、一つは「ゆとりある生活の確立」ということでございまして、週休二日制を定着させるとか、ホームヘルパー制度整備・充実を図るとか、老人ホームの受け入れの態勢を整備するとか、等々を通じましてコミュニティー活動に老齢者が、老人が積極的に参加する、あるいは趣味の向上に参加するといったことが図れるようなゆとりある生活の確立が必要であるということでございます。  二番目には、「魅力あるコミュニティーの形成」ということでございまして、コミュニティーが、高齢者生活の大半を過ごす場でもございますし、また相互扶助、高齢者ケアの基礎となる場でもございますから、そういう意味で、コミュニティーにおける若い層も含めた世代間の交流の活発化を図るとか、各種施設の整備を図るとかということを通じて魅力あるコミュニティーをつくり上げていくということが大切である、こういうことでございます。  三番目が「活力ある経済維持と物価の安定」ということでございまして、高齢者福祉の充実のためにも活力ある経済維持ということが大切でございますし、また、貯蓄とか年金への依存度の高い高齢者生活の安定を図るためには、物価の安定ということが大切である、こういうことでございます。  四番目に、「就業環境の整備」ということを言っておりまして、例えば再就職の円滑化を図るための体制の整備を図るとか、あるいは地域の特性に応じた新たな職場を開発するとか、あるいは転職のための訓練の強化を図るとかといったような就業環境の整備といったことが大切である、こういうことでございます。  五番目には「保健・医療体制の整備」ということでございまして、予防とか治療とかリハビリテーションを通じた保健・医療体制を整備していく、あるいはまた、ここに書いてございませんけれども、温泉資源といったものを高齢者向けの保健、療養、レクリエーションの場として積極的に活用していくといったようなことが必要ではないかと、こういう指摘でございます。  六番目には「地域福祉体制の整備」ということでございまして、リハビリ指導員とかホームヘルパー等の派遣体制を整備して、コミュニティーケアの充実を図っていくとか、あるいは老人福祉センターとか公民館等々を活用いたしまして、他世代間の交流を図りながら老人生活の場としての地域整備していく、このようなことが大切であると、こういうことでございます。  七番目に、「社会福祉関連人材確保」ということで、ホームヘルパーとかホームナースとか保健婦とか、いろいろな社会福祉関連の人材の育成強化を図る必要がございますし、またボランティアとしての地域住民の参加を促進していく、そういう形で社会福祉関連人材確保していくことが大切だと、こういうことでございます。  八番目に、「住宅の確保」ということがうたっておりますが、これは先ほど建設省からも御説明のありましたように、三世代向けの住宅とか、あるいは高齢者向きの小住宅の供給とか、あるいはまた高齢者ニーズ対応した良質な賃貸住宅の供給の促進といったような形で、住宅の確保を図っていく必要があるということでございます。  九番目に、「高齢者の利用に配慮した都市の整備」ということでございまして、今後の都市整備に当たっては、高齢者が利用しやすいということに十分配慮しながらやっていく必要があると、こういうことでございます。  次に、地域別にどうかということでございますが、大都市圏と地方圏に分けておりまして、さらに地方圏を都市部と農山村部に分けておりますけれども、まず大都市圏でございますけれども、これは先ほど一番最初にごらんいただきましたように、地方圏に比べるとまだ老年人口比率は低いということがございます。しかし、これまでのように若年層が大幅に流入してくるということは今後は余り見込まれないわけでございますから、そういう意味では、今後は高齢化の進行のテンポというものはかなり早まるのではないかということが一つございますし、また、先ほどごらんいただきましたように、青壮年層が住宅を求めて周辺部へ流出して、中心部とか中心部隣接地域、まあインナーエリアと言っておりますが、そういうところの老年人口比率が高いといったようなことが背景にございます。  そういうことを背景にして考えます場合に、まず一つは、高齢者の基礎的な生活空間であります日常の生活圏で、日常生活上必要なサービス機能整備していくということが一つ必要でございますし、さらにはまた、日常生活圏を越えて高次の都市機能に老齢者が結びついていく、そのための交通手段等のアクセシビリティーの確保といったことが大切であると、こういうことでございます。  それから二番目は、既にかなりの程度高齢化が進行しております都心部、まあインナーエリアにおける再開発等を行いまして、そういう地域での夜間人口の流出に歯どめをかける。それで、そういう都心部あるいは都心周辺部において適度な人口密度とか人口構成維持していくということがこれからも必要になってくるのではないかと、こういうことでございます。  三番目には、良質な住宅の供給と住環境の改善ということでございます。  四番目には、特に大都市の縁辺部で地域特性を考慮した高齢者向けの施設の整備といったことが必要ではないか。高齢者向けの医療施設でありますとか、特別養護老人ホームでございますとか、老人福祉センター等でございます。  次に地方圏でございますけれども、地方圏では、地方の中枢都市あるいは中核都市といったようなかなり規模の大きい都市では、比較的年齢構成は若いわけでございます。そういう地方都市におきまして、農山漁村と一体として地方都市を位置づけて、地方都市の整備を図っていくということが必要でございまして、「地方都市の整備」につきましては、ここにありますように、まず、「高齢者の日常生活に配慮した都市・農村の一体的施設整備」ということでございまして、広域的な生活の基本的な圏域であります定住圏といったものを単位にいたしまして、都市の人も農村の人も使えるようなそういう施設を、一体的に都市において整備していくことが必要であろう、こういうことでございます。  次に二番目には、都市・農村を一体とした定住圏の住民の便益を図るための定住圏の中心都市で、「高同次医療施設をはじめとする各種施設の整備」、かなり高次の施設を整備していく必要がある、こういうことでございます。  次に五ページに移らしていただきますが、三番目には「コミュニティーの場における日常生活に密着した施設整備」ということでございまして、定住圏の中心都市以外の地域、都市において、居住地の近くで各種の日常サービスの享受が可能となるような、そういうコミュニティーの場における施設整備というものが必要であろう。その際には、合理的な範囲で施設を小規模化し、多目的化していくといったようなことも留意してやっていく必要があるのではないか、こういうことでございます。  四番目に、「中心都市と周辺地域を結ぶ交通ネットワークの強化」ということでございまして、そのような中心都市での施設整備といったものを周辺地域が十分に活用できるように、交通ネットワークを強化していく必要があろう、こういうことでございます。  五番目には、地方都市の固有の文化とか歴史とかいったものがつくり出しております個性・魅力、そういうものを再発見して、それに基づいて地域整備とか活性化を図っていく必要があろう、こういう指摘でございます。  次に、農村地域でございますが、これが一番高齢化の進んでいる地域でございますけれども、農村地域整備に関しましては、まず「集落機能に配慮した生活関連施設の整備」ということで、要するに農村地域におきましても中心集落あるいはそれの周辺の散在する集落、いろいろな形で集落が形成されておりますので、そういう集落間の機能分担といったことも考えながら生活関連施設をその中に整備していくということが必要ではないか。その際公民館等の既存施設の活用といったことを十分留意して、集会あるいはレクリエーション、あるいは健康相談等々、複合的な機能を果たさせていくといったことが必要ではないか、こういう指摘でございます。  二番目に、「高齢者生きがいに結びつく複合的な地域農業の形成」、それから「地域特性を生かした生産活動の場の整備」ということでございまして、高齢者が、生きがい役割を持って生活できるような高齢者の出番があるような、そういう複合的な地域農業といったものを今後形成していく必要があるのではないか、あるいはそれぞれの地域の特性を生かした生産活動の場を整備していく必要がおるのではないか、このようなことでございます。  三番目には、「国土の管理・保全の担い手としての高齢者に着目した農村の整備、都市・農村の交流に配慮した地域づくりの促進」ということでございまして、国土の管理・保全の担い手として、高齢者というものは大きな役割を果たしているわけでございます。そういうものに着目して農村の整備等を図っていく必要があろう、こういう指摘でございます。  以上のような指摘がこの研究会の検討の結果出てまいったということでございます。  次に六ページをごらんいただきたいと思いますが、全国それぞれの地域高齢化社会対応したいろいろなプロジェクトといったものを構想したり実施したりする動きというものが近年高まってきております。  国土庁では、この一番下に書いてありますように「地域振興情報ライブラリー」という事業を行いました。これは全国三千三百余の自治体から、各種の地域開発プロジェクトに関する実施状況を全部調べまして、それをライブラリーという形で集約したものでございまして、全体で一万四千件余りのプロジェクトが上がってきております。そのライブラリーの中から、まあいろんなプロジェクトがございますけれども、高齢化社会への対応を主な目的とするプロジェクトの具体例を幾つか拾い出してみたものがこれでございます。これもまだほんの一例でございまして、もちろんすべてではございません。そういたしますと、このようなプロジェクトが出てまいっているということでございます。  これ全部説明しておりますと時間もございませんので、幾つか拾い上げて御説明したいと思いますけれども、まずこういう高齢化対応したプロジェクトの考え方として、一つ寝たきり老人等々への福祉の向上を図るといったようなプロジェクトがございます。例えば左の一番上にあります「信愛デイ・ケア・センター」という、これは東京都の清瀬市と周辺の四市、合わせて五市でやっておる事業でございますが、このようなものがございます。これは寝たきり老人をデイ・ケア・センターで短期に滞在サービスを供給するとか、入浴できない老人の入浴サービスをやるといったようなプロジェクトでございます。  それから一つ飛びまして、「老人のためのしあわせのまちづくり」といったもの、これは愛知県の尾張旭市で行われておりますけれども、これは老人の趣味の作業所とか作品展とか、老人スポーツ大会とか老人農園といったようなものを、老人だけでなくて多くの市民の参加のもとに実施していく、こういうプロジェクトでございます。  さらにその下の「教育福祉の複合施設建設」といったものも、同じように世代間の交流にかなり着目したプロジェクトでございまして、このように健康な老人対象にして、老人生きがいを多くの若い人も含めた市民の交流の中でつくり上げていこう、こういうようなプロジェクトが幾つか出てきている、こういうことでございます。  このようなことで、大都市圏におきます特徴は、どちらかといいますと老人の余暇活動に着目して、老人の参画する場を広げていこうといったようなプロジェクトが多いわけでございますけれども、右側に、地方圏のプロジェクトが幾つか載せてございます。例えば上から五番目に、「老人生きがいと創造の事業」という、新潟県の吉川町でやっております事業がございますけれども、これは、余った農産物とか山菜を加工するとか、あるいは伐採した雑木を利用して黒炭をつくるとか、薬草を採取したり栽培したりするとか、あるいは小中学校や保育所の庭の手入れに老人が奉仕するといったような形で、老人の長年の知識と経験を生かして、生活文化の伝承とか若い世代との交流を図ろうと、こんなような事業でございます。  その下の「高齢者和牛預託飼育事業」といったものは、その生産現場から引いた高齢者に、町が和牛の飼育を委託するといったような事業でございますし、このように、まあほかのやつも御説明すればそうなんですが、地方圏においては割と生産ということと老人とを結びつけたプロジェクトが多くなっております。  さらにまた、その二つ下に、「グレーパワーの町づくり」というのは、和歌山県新宮市でございますけれども、これは熊野三山を中心とする歴史的、精神的文化とか、あるいは気候が温暖であって自然景観がすぐれている、そういう地域の特色を生かして、全国の第一線からリタイアした人たちのための余生の総仕上げの町をつくろうという形のものでございまして、これは現在おる地域老人だけを対象にしたものではなくて、全国の老人対象にしたプロジェクトといったものでございます。このようなプロジェクトも現在進められている、こういうことでございます。  次に七ページに移らしていただきますが、「第四次全国総合開発計画の策定」という表題が出ておりますけれども、先生方御案内のように、三全総策定後かなり広範な分野で変化が生じてきておりますので、二十一世紀への国土づくりの指針を示すために、第四次の全国総合開発計画、四全総の策定に当たるということになっておりまして、現在勉強を始めているところでございます。  その四全総におきましても、(2)の①に「高齢化への対応」ということが書いてございますように、高齢化社会に進むということは確実なことでございまして、これに対して国土政策がどう対応していくかといったことが四全総の大きな課題一つになっております。  その際、高齢者を、社会が扶養すべき対象といったような視点だけではなくて、そういうことももちろん大切ではございますけれども、さらには老人の持っております長年の知識、経験を社会で生かして、地域文化を伝承し、成熟社会を支える主体に高齢者がなってもらうという角度で、どういうふうに国土政策を展開したらいいかということを考える必要があるのではないかというふうに私ども現在考えておりまして、いろいろと勉強を進めている段階でございます。  以上で私どもの説明を終わらしていただきます。
  10. 安永英雄

    ○小委員長安永英雄君) 次に、生涯教育について文部省から説明を聴取いたします。齊藤官房審議官
  11. 齊藤尚夫

    政府委員(齊藤尚夫君) 文部省の官房審議官でございます。  お手元に「生涯教育について」という中央教育審議会の答申の冊子と、それから一枚刷りのその「概要」を用意してございます。  まず、中央教育審議会でございますが、中央教育審議会は、文部大臣の諮問に応じまして、教育、学術、文化に関する基本的な重要施策について調査審議し、及びこれらの事項に関しまして文部大臣に建議をする、文部省の所掌いたします事務全体について、その重要施策について審議していただく機関でございます。昭和二十七年の六月に設置されまして、今日まで広く文教の重要問題について答申をしていただきまして、昨年まで二十七の答申が出されておるわけでございます。文部省はこれを指針として文教施策を推進しているところでございます。  答申までの経緯につきましては冊子の方をごらんいただきたいと思います。この冊子がお手元に行っておると思います。八ページをごらんいただきたいと思います。  中央教育審議会は、五十二年の六月に文部大臣から「当面する文教の課題対応するための施策について」という諮問を受けまして、一つの総合的な課題として「生涯教育」に関することを取り上げたわけでございます。  この生涯教育の問題につきましては、既に、昭和四十六年の六月に出されました「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」、いわゆる中央教育審議会の四六答申と言われておるものでございますが、これは幼児期から高等教育までの学校教育を中心とします教育改革、そしてその拡充整備の基本的な方向を答申したものでございますが、その中で、生涯教育の観点から全教育体系を総合的に整備することについてさらに検討することが必要である、今後の課題であるという指摘がなされたわけでございます。その意味で、本審議会で五十二年にこの問題を取り上げたという経緯があるわけでございます。  この問題を取り上げました理由は、複雑に変化いたします社会環境のもとで、各世代の人々が各自の生活課題に応じて必要な学習を行い、それぞれの個性と能力を伸ばしていく、充実した生活を享受することができるようにするためには、生涯教育という考え方に立って社会の全体の教育機能を総合的に整備・充実することが今や緊急な課題だという認識に立つものでございます。  このことにつきましては、同審議会は、五十三年の九月に、この問題に関します小委員会を設けるなどいたしまして審議を重ねまして、九ページの最後に書いてございますように、昭和五十六年の六月十一日に、文部大臣に対してこの答申を行ったものでございます。  次に、答申の概要について簡単に御説明さしていただきます。  十九ページをごらんいただきたいと思います。  「我が国における生涯教育意義」ということでございますが、人間は、その自然的、社会的、文化的な環境、いわば生活環境全体でございますが、それとのかかわりの中で自己形成をしていくものでございます。そういう意味で、教育は、単に学校教育にとどまらないで、社会全体の生活環境そのものが教育環境であるということが言えるわけでございます。  現代の社会では、あらゆる年齢層にわたりまして、学校はもとより、家庭職場地域におきます種々の教育機能を通じて勉強をしていく、学習をしていくわけでございまして、自己の形成生活の向上に必要な事柄を学んでいくわけでございます。  したがいまして、今後の教育のあり方を検討する場合には、人々の生涯の各時期における人間形成上及び生活上の課題と、それから社会の各分野の多様な教育機能と、両方を考慮して考えていく必要があるということでございます。  「生涯教育」という言葉につきましては、いろいろ議論もございまして、なかなか統一した見解に至らないことがございました。この答申の一つのポイントは、これについて一つの明確な定義を行っているということでございます。  一つは、生涯学習という言葉でございます。今日、変化の激しい社会にありまして、人々は自己の充実や啓発、生活の向上のために、適切な、そして豊かな学習の機会を求めております。この学習は、各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とするものであり、必要に応じて自己に適した手段、方法、これを自分で選んで、生涯を通じて行っていく。したがいまして、この活動そのものが生涯学習というふうに呼ぶことがふさわしいという判断でございます。  これに対しまして、生涯教育というのは、生涯学習のためにみずから学習する意欲と能力を培い、社会のさまざまな教育機能を相互の関連性を考慮しつつ総合的に整備しようとする、そういう考え方だと。いわば学習の機会というような考え方に立っているわけでございます。  二十ページのところに書いてございますように、言いかえれば、生涯教育とは、国民の一人一人が充実した人生を送ることを目指して生涯にわたって行うべき学習を助けるために、教育制度全体がその上に立てられるべき基本的な理念だというふうに定義づけておるわけでございます。  この生涯教育考え方は、ユネスコが提唱したものでございまして、国際的な大きな流れとして、多数の国々において合意を得つつあるわけでございます。また、OECDは、いわゆる「リカレント教育」というものを提唱いたしました。これは義務教育終了後における就学の時期や方法を弾力的なものとして、生涯にわたって教育を受けることと、それから労働などの活動と交互に行えるようにするという考え方でございますが、これも生涯教育という考え方に立つものでございます。  最後のところに書いてございますが、我が国の場合には、学歴偏重という社会的風潮がございます。これは、個人が人生の比較的早い時期に得た学歴、それを社会がややもすれば過大に評価するということでございまして、そのために過度の受験競争をもたらす。教育だけではなくて、社会の諸分野に種々のひずみを生じているわけでございます。  このような傾向を改めていくためには、やはり社会全体が生涯教育考え方に立って、社会全体を学習社会方向を目指して人々が努力する、それを助けていく施策を進めていくことが必要だというふうに考えられるわけでございます。  次に、「生涯教育と現代社会」と書いてございますが、近年なぜ我が国においてこのように生涯教育が重視されるようになってきたか。その理由を以下四点ばかり説明してございます。  第一には、社会経済の急速な変化そのものが人々にさまざまな知識・技術等の習得を迫っている。日常生活や職業生活の中で目覚ましい科学技術の進歩が進められていく。それを履修していかなければならないということがあるわけでございまして、そういう社会経済の急速な変化そのものがこれを必要としているということが第一点でございます。  第二点は、二十一ページの上から四行目に書いてございますが、人々教育的、文化的な要求そのものが増大してきているという点でございます。このことにつきましては、もともと我が国教育に関する関心が高い国でございますし、学問を初め教養や趣味、技芸等を身につけることも盛んでございます。これに加えまして、いわゆる物質的な生活の豊かさというものが増し、また教育水準が向上するにつれまして、精神的な豊かさを要求するという動きが一層高まってきているわけでございます。それが第二点でございます。  それから第三点に、人々の多様な学習活動を可能にするような経済的、社会的な条件が整いつつあるということでございます。最近の経済発展の結果、国民の所得水準は向上してまいりまして、家計にもゆとりをもたらしてきているわけでございます。それによりまして種々の教育的、文化的な要求が増大する一方で、それを充足を可能ならしめる条件も整ってきているわけでございます。また一方、社会的な条件としていえば、家庭におきます子供の数の減少とか、家事労働の軽減とか、あるいは職場における労働時間の短縮あるいは寿命の延長ということに伴いまして、自由時間が増大している。このことも多様な学習を可能にしている理由の一つであるという判断でございます。  そして最後に、このように今まで述べてきましたようなことから、人々個人的な学習上の必要性、それからそういう可能性と並びまして、今後、我が国社会が生き生きとした社会維持していく、その一層の発展を図っていくという観点からも、この生涯教育の必要性、適切な社会対応が求められているという判断でございます。  次に、具体的な施策の方向について簡単に触れさせていただきます。  少し飛ばさせていただきまして、二十七ページをごらんいただきたいと思います。  先ほどのところに生活の各段階ごとに、そして社会のさまざまな教育機能について検討していく必要があるということでございますが、まず第一は、「成人するまでの教育」という問題でございます。成人に達するまでの教育は、人間形成の基礎を培うという観点で極めて重要な時期でございます。  真ん中辺に書いてございますように、「子供の成長過程に応じ、心身ともに豊かな発達を促し、生涯にわたり自己の形成を進めるための意欲と能力を育て、一人一人の子供が社会人として自立していくことを目指すことが、この時期の教育の眼目である。」という指摘でございます。しかし、現在では、ややもすれば社会家庭地域教育機能というのは低下する方向にあるわけでございまして、「これらの状況に対し、家庭や学校の努力はもとより社会全体が、生涯教育の観点に立って子供の健全な育成のために望ましい教育環境」を形成していくことが緊急の課題であるという指摘でございます。  二十八ページでございますが、その中でとりわけ家庭教育が重視されるわけでございます。  四行目のところに、「最近の傾向を見ると、社会都市化核家族化家庭における子供の数の減少などの状況の下で、」家庭の子供に対する、子供の成長に果たす役割が低下する傾向が指摘されておるわけでございます。  (2)で示しておりますように、乳児期から幼少年期にかけての家庭教育は、子供の基本的な性格形成する上で極めて重要でございます。この時期には、子供の知・徳・体の調和のとれた全人的な発達を促していくことが極めて大切でございます。そのため、子供がそれぞれ。の時期におきまして獲得していかなければならない発達課題――「発達課題」という言葉が用いられておりますが、それを確実に身につけていくことができるように、親が助けていかなければならないという指摘が行われているわけであります。  二十九ページ(3)でございますが、青年期につきましては、青年期の子供に対する家庭の影響力がやや減退していくわけでございますが、しかし、この時期におきましても、幾多の試練を経て、青年が自己を確立していく過程を家庭自身が愛情をもって見守って、励ましていくという配慮が大切だという指摘を行っているわけでございます。  下から七行目のところに、家庭教育性格について触れております。「家庭教育は、親の子供に対する私的な教育であり、親の自由に委ねられるものではあるが、同時に家庭それ自体は社会の基礎単位であり、また、社会的存在としての子供の社会性を伸ばしていくべき役割を担っている。」のだという指摘でございます。  家庭教育に対する援助あるいは支援の施策でございますが、そういう家庭教育性格から見て、家庭教育そのものに介入をしていくことは困難でございますけれども、可能な限りその施策を推進しているわけでございますが、三十ページの四行目のところに、行政の任務として家庭教育学級・講座などの親に対する学習の機会の拡充、その他の指摘がなされておるわけでございます。  それから次は、学校教育役割の問題でございますが、学校教育そのものも生涯教育の観点に立って見直しをしていく必要があるということにつきまして、四点ばかり具体的な指摘をしております。  その一つは、学習のための意欲と能力を涵養するというところに学校教育の中心点を据えるべきであるという指摘でございます。  その二は、三十一ページに書いてございますように、「生徒の個性に応じた教育内容・方法の多様化」ということでございます。  そして三番目に、下の方にございますが、「進路指導の充実」。  さらに三十二ページになりまして、学校教育社会教育の連携の強化についても触れているわけでございます。  時間もございませんので、少し飛ばさしていただきまして、成人期につきましては、成人へのいわばリカレント教育という観点から、その重要性の指摘を行っているわけでございますし、現在でも大学におきまして聴講生・研究生制度、別科・専攻科、夜間制・通信制、大学公開講座等、いろんな施策が講じられているわけでございますが、基本的にはまだまだ不十分であるという認識に立っておるわけでございます。  大学教育の成人への開放につきましては、三十五ページの下の方に書いてございますが、大学の正規の課程を成人に開放するための具体的な施策の必要性その他が指摘をされているわけでございます。  それから、三十六ページの下の方には、現在その実現が図られております放送大学につきまして、その重要性の指摘が述べられております。  以下三十七ページ、短期大学や高等専門学校の活用等の指摘がございます。  それから三十九ページでございますが、社会教育の振興という観点から、社会教育重要性について指摘を行っております。  四十ページの(2)をごらんいただきたいと思いますが、社会教育施設の整備・充実につきましては、公民館、図書館、博物館、これは美術館も含まれますが、文化会館、その他社会教育施設は、最近とみに充実をしてまいっておるわけでございます。その利用の状況も極めて急激に増加をいたしているわけでございます。これらが地域の生涯教育のセンターとして今後とも重要な役割を果たしていかなければならないという指摘を行っているわけでございます。  また社会教育を推進していくためには、何よりも指導者の養成が重要でございますので、その研修等につきまして四十一ページのところで指摘をしているわけでございます。  それから最後に、四十四ページをごらんいただきたいと思います。高齢期におきます生涯教育の問題でございます。高齢化社会の進行につきましては、先ほど来御説明がございました。上から六行目のところにございますが、我が国高齢者対策は、これまで主として福祉、医療の面などが中心であった。しかし、今後は、家庭社会が、単に高齢者の庇護に努めるだけではなくて、敬愛の念をもって接する、その経験や能力を社会的に正しく評価し、積極的な社会参加を期待し、支援をするということが極めて重要であるという指摘でございます。  そのために学習機会の充実という観点で、四十五ページにございますように、高齢者の学習要求を画一的な枠組みの中でとらえることなく、各人の能力や健康・体力等あるいは社会的経験の違いなども十分考慮して、選択可能な多様な学習の機会を用意することが大事であるという指摘を行っておるわけでございます。  また、学習内容や方法の工夫につきましても、工夫・改善もさらに一層進めていかなければならないという指摘を行っているわけでございます。  それから、四十六ページでございますが、とりわけその中で、スポーツ活動の必要性について指摘をしております。  そして最後に、高齢者が、自己の経験や知識・能力を生かして社会的に活動するということが、高齢者一つの大きな生きがいになるだろうという判断のもとで、社会参加の促進について触れているわけでございます。そして、高齢期の人々が今よりも容易に社会参加できるようなさまざまな場を広く用意する。他の世代とのかかわりや周囲の人々との積極的な交流が図られるように配慮することが重要であるという指摘を行っておるわけでございます。  以上、極めて簡単でございますが、取り急ぎ答申の内容につきまして御説明を申し上げました。
  12. 安永英雄

    ○小委員長安永英雄君) 以上で関係省庁からの説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は小委員長の許可を得て順次御発言を願います。
  13. 松岡滿壽男

    松岡満寿男君 各省庁の皆さん方が、高齢化社会の問題につきまして、それぞれの分野からいろいろな角度で御検討いただいておるわけでありまして、その御努力には感謝を申し上げたいと思うんですが、やはり若干抽象的な問題点とかあるいは理論に走り過ぎている部分が多少ありはしないかなという危惧もするわけでありますけれども、現在の段階ではやむを得ない部分もあろうと思うんです。  まず、シナリオの問題でございますけれども、このシナリオそのものは、四つシナリオがこう出ておりますけれども、シナリオにもいいシナリオと悪いシナリオがあるだろうと思うんですが、そういう問題についての検討、このシナリオがいいんじゃないかという角度からの検討、それによるやはり政策的な指導というものが当然なければいけないんだろうと思うんですけれども、現状では、このまま行きますと、このシナリオC、やはり女性の、インフォーマルな部分じゃなくて、職場進出というものが、男女雇用平等法とかあるいは非常に高学歴化が進んできておりますから、そういう状態になっていくんじゃないかなという感じがするんですが、そういう問題と、ここで言われている老人というものは、一体何歳ぐらいから上の者を老人とこのシナリオの中では言っておられるのか、その点の問題。  それからこの年金問題について御指摘があったんですが、「一九八〇年代経済社会展望指針」、頂いた資料の二ページで、年金部門について「多くの問題が顕在化することを認識し」、この「多くの問題」というのは、その次に来ている制度の統一化の問題とか、それ以外にどういう問題点を考えておられるのか。過去におきまして年金問題については一定のレベルに達しておるという参考人の御意見の開陳もここで実はあったわけでありまして、そういう問題。  それから「高齢化社会地域政策」、国土庁の関係でありますけれども、この中で四ページに、「活力ある経済維持と物価の安定」、これは確かにこれからの高齢化社会福祉の問題、文化、教育あらゆる問題を考えていく場合に、経済の安定成長というものが基本的に大切であることはもう言うまでもないことだと思うんですけれども、そういう段階で現在の、かつての新産・工特というものから来ております各地域でのいわゆる基礎素材型産業というものが非常に厳しい状況に来ておるわけですね。そういう問題について、今後特に地域経済という観点から、そういうものの活性化とかそういうものについての施策が、地域経済の振興策というものが私は当然必要になってくるのだろうと思うんですけれども、そういう問題についてもひとつ御意見を伺っておきたいと思うんです。  この中で一番重要なことは、要するに、ここの一ページの図表を見ますると、山陰とか鹿児島とか四国の太平洋岸が黒くなっていますね。実際に現在すでにそれぞれの町村部では二〇%をはるかに超して、山口県の大島郡の東和町あたりは三四%という高齢化率になっているんですよ。現在はそういう形で、いわゆる過疎の地域がそうなってきている。しかし二、三十年たつと、ここで白くなっておる大都市部が真っ黒になってくるわけですね。  そうなったときに、これは日本じゅう大変な問題になるわけですけれども、ですから当面黒くなっている地域の、既に二〇%を超し三〇%に迫っておるそういう高齢化市町村に対して、やっぱり国の方での総合的な施策なり指導というものをやらないと、それぞれの町村長が一生懸命それなりに努力しておるわけですけれども、これからのそういうあるべき高齢化社会のあり方の一つのモデルケースとして、現実にそういうものが存在しておるわけですから、後からそれぞれの地域のモデル的な、例えば生活との関連においての取り組みが町村であるわけですけれども、その中でモデル的に取り上げて指導していくということが一点やはり必要じゃないか。  それからもう一つは、大都市圏の問題ですけれども、要するにお年寄りをどちらに住まわした方がいいのか。要するに大都市圏で高齢化を迎える人たちを地域に分散していった方がいいのか、あるいは現状あるべきままのシナリオのまま大都市で高齢化社会を集中的に迎えさせる、そうなると完全に三世代同居という形じゃなくなるわけですよね。アメリカのあそこはアリゾナ州ですか、サンシティーというのが、老人だけ、といっても五十歳以上であれば、大体四百坪ぐらいのものを十万ドルぐらいで買って夫婦で住んでいる。その中で一つの大きな老人の町をつくっちゃっているわけですね。その中から皆ボランティア活動で、かつて警察の経験のある人はその中でボランティアで警察をやっていくとか、そういう形のものがあるんですけれども、それはあくまでも大都市から離れて地方に集中的にお年寄りを分散させて一つのシティーをつくっているということです。  私は、今後の日本全体の問題を考えるときに、お年寄りをどこで高齢化社会を迎えさせるかという視点が一つやっぱり必要じゃないかなという感じがするんですよ。大都会でそのままやるのか、あるいは近郊で集中的にそういうシティーをつくっちゃうのか、あるいは地方分散という形をとって、三世代同居というものを実現していくのか。そういう問題点についての指摘がこの四ページにもあるわけですけれども、これは文章では、なるほど、「地方都市の整備」とかあるいは「農村地域整備」と、非常に我々地方出身から見るとすばらしいなと思うんですけれども、現実問題としてこういうことが行われ得るかというと、さまざまな障害があることはもう御承知のとおりなんですね。それだけにこの老人対策というのは非常に難しい問題があるだろうと思うんですけれども、そういう問題が一つ。  それから、欧米のいわゆる高齢化社会をモデルにしてこれからもいろいろ対応していこうという文章がこの中にもあるわけですけれども、長寿国ということになると、数年前に民間テレビで取材したのがありまして、世界三大長寿国で、南米のビルカバンバとか、それからフンザ共和国と、それからもう一つコーカサスかどっか三つあるんですね、百歳以上のお年寄りがたくさん住んでいるところが。それは先進国でも何でもない。それの共通の条件というのは、ある程度地勢的に高いところにあるということと、水がいいとか空気がいいとか、そしてお年寄りがよく働いておる、野菜を食べておるという条件があるんだけれども、結局なぜそういう国が長寿国であるかということを調べてみたら、それはもう大家族主義なんです。これがやはりお年寄りにとって一番精神的に安らぐ形態なんです。お年寄りに、家庭内でいろいろな問題があればすぐ相談を持ちかけて決裁を仰ぐ、そういう精神的な安らぎ。大家族主義の中からそういう百歳以上の長寿というものが出ているんだという取材があっていましたね。  そうすると、ここで出ておりますように、欧米を見習うと言いながら、しかし日本型の家族主義も大事にしているということは、今の大家族主義というものをやはり志向するのか。志向するんであれば、もっと本格的に今から地域集中とか、そこにまた経済を持っていって、新産・工特によっていろいろ立地した基礎素材型産業が非常に厳しい状況で、構造改善法の適用を受けながらやっていかなければいけない業種がある。そういうものの再活性化をそれじゃどうやっていくかとか、そういう視点が私はこれないといけないんじゃないかという感じがするんですけれども、若干総括的にということで話が広がり過ぎて恐縮であるわけですけれども、そういう問題につきましてちょっと御意見があれば伺いたいと思うんです。  それから最後に、生涯教育について文部省の方のお話いただいたんですけれども、これはあくまでも答申ということなんで、非常に理論的ではありますが、抽象的な部分も非常にあるわけですね。それじゃ、答申を受けて具体的な施策というものがどのような形で行われてきておるのか、我々どうもその辺がぴんとこない部分があるわけですね。特に、今年度の文部省の予算の中で生涯教育に関する予算というのはどういう形で計上されているのか、その点につきましてちょっとお伺いをいたしてみたいと思うんです。
  14. 及川昭伍

    政府委員及川昭伍君) まず、シナリオについて選択あるいは政策判断が必要ではないかというお話がございましたが、まさしく政策なり方針なりというのは選択をして判断する必要があろうかと思います。  ただ、冒頭にも御説明申し上げましたように、いわゆるシナリオ手法というのは、いろんな条件組み合わせによって限界を探るという手法にとどまっておりまして、この段階ではいろんな道筋も検討せずにエンドステートといいますか、最終の状況についてこのような組み合わせの想定があり得るという分析をやった段階にとどまっているわけであります。そして、このとき老人とは何歳を考えたかということですが、これは一応六十五歳以上を老人と考えておりますが、職場からの早期引退の場合には六十五歳前の引退等も含めてシナリオとしては想定しているわけであります。  そして、それでは政策として高齢化社会シナリオ選択して決定すべき段階ではないかという御意見かと思いますが、その点についてはまさにそのとおりだと思っております。そういう作業のために、「二〇〇〇年の日本」という作業やら「一九八〇年代経済社会展望指針」などの作業の中でも、人生八十年時代の新しい社会システムをつくる必要があるという指摘があるわけでございまして、経済企画庁としては、これから一九八〇年代の「展望指針」なども踏まえながら、人生八十年時代の新しい社会システムづくりの作業に取りかかりたいと思っております。  具体的に言いますと、例えば年金制度と雇用制度というものをどのように調整するか、その中で、所得保障的な金銭的社会給付から、雇用機会の均等な配分というシステムがつくれるかつくれないのか、あるいは生涯教育とそのような雇用なりあるいは年金保障のシステムと住宅とのシステムはどのようにつくっていくのか、住宅は当然地域社会との絡みにもなってまいりますし。それらを総合的なシステムとして設計し直す必要が今出てきているのではないかと思っておりまして、いろんな問題点の指摘が大体出そろってまいりましたので、その中からある幅を持って選択をする作業をこれからしたいというふうに思っているわけであります。
  15. 宇賀神治夫

    説明員宇賀神治夫君) 先生御指摘の点でございますが、いささか説明が舌足らずでございましたが、「一九八〇年代経済社会展望指針」は、御案内のとおり、昨年の八月の時点で閣議決定されたものでございまして、したがいまして、この時点での問題意識といたしましては、例えば年金の世代間における給付と負担のアンバランスの問題であるとか、あるいは制度間のアンバランスの問題であるとか、そういうような、要するに給付と負担のアンバランスの問題、それから制度の一元化の問題、さらには婦人年金権の確立の問題、そういうようなことを含めまして、問題点として指摘しておったわけでございまして、その後「展望指針」が閣議決定されました後におきまして、年金関連の法案の整備等も行われまして、種々検討が行われて今日に至っておるというふうに理解しておるわけでございます。  したがいまして、ここで言う種々の問題、いろいろな問題というのは、一番大きいのはやはり給付と負担のアンバランスの問題、このままこの制度が推移すると制度自体が維持できなくなるという問題を最大の問題として指摘しておったわけでございます。
  16. 小谷善四郎

    政府委員小谷善四郎君) 三点ほど御指摘をいただいたと思っておりますが、一つ活力ある経済維持ということを具体的にどう裏づけるのか、新産・工特等々が非常に厳しい状況にあるではないかと、こういう御指摘であろうかと思います。  それで、これに対しましては、先生も既に御承知のように、基本的には、国は工業の大都市圏への立地を抑制して地方の立地を促進する、工業の再配置を促進するという形でやってきておるわけでございますけれども、御承知のような産業構造の大幅な変化というものがございまして、なかなか当初予定したような形には工業の再配置が進んでいないというのが実態であろうというふうに見ております。  それで、これからの問題といたしましては、やはり産業構造変化していくということは、これは避けられないことでこざいましょうから、そういうものを前提に置きながら、どのような形で工業の地方分散ができるかということを、我々これから大いに知恵をしぼらなきゃいけないことではないのかなというふうに考えております。  それで、その際、今後の技術革新がどのように進展し、それが産業の立地にどのような影響を及ぼすかとか、あるいはそういうものと関連して、産業の構造がどこまで変化するかとかいったようなことを検討した上で進めなきゃいけないわけでございますけれども、しかし、基本的には、三全総のフォローアップ作業でも指摘されておるところでございますが、単に工場を外から誘致して工業化を図るという形では、とても対応し切れなくなってきているのではないかということでございまして、もちろん工場の誘致ということも必要ではございますし、その努力も大切でございますが、それとあわせて、それぞれの地域が自分の地域の持っております地場の産業でありますとか、あるいは地場の資源でありますとか、そういうものを活用して、みずからが地域産業を興していくという努力を一方ではぜひ進めていただく必要があるのではないか。  そういう意味で、交通、通信等のハードな産業基盤というものは、これは国がやはり今後とも鋭意整備を進めていかなきゃなりませんけれども、それと同時に、それぞれの地域で、地域の持っております。そういう技術とか企画の力とか、あるいは情報、通信のサービスでありますとか、あるいは医療、教育、文化といったような幅広い生活環境機能といったような、そういうソフトな産業基盤の整備といったことがこれからの工業誘致のためにも、あるいは工業化のためにも大切になってくるんじゃなかろうか、そんなことを考えておりまして、そういうためにどうやっていくべきかということを、全国の立場からは、その四全総の策定作業の中でもさらに十分勉強した上で明らかにしてまいりたいというふうに考えております。  それから二番目には、高齢化が、それぞれの町村別に見ますと、かなり高度に進んでいる地域がある。そういう地域に対する国の指導なり援助なり、あるいはモデル的にどこかを取り上げて十分に詰めてみる必要があるんではないかと、このような御指摘だったろうと私受けとめておりましたけれども、基本的には国、それから県、市町村といったような地方自治体、それから住民、それぞれがその役割を分担し合って、高齢化社会対応する環境整備対応策といったものを考えていく必要があるんじゃなかろうかというふうに考えております。  その際、国の方では、当然のことでございますが、全体としての政策方向なり何なりを明らかにしていくということが一つ必要でございましょうし、また、それぞれの地域が知恵を出したときにそれを支えるための基盤を整備していくということが必要でございましょうし、また、それぞれの地域が知恵を出すために、単に指導するというだけでなくて、各地域でのいろんな御努力の情報といったものをそれぞれの地域が活用できるように情報提供していくといったようなことも大切じゃなかろうかというふうに考えております。  先ほど幾つかの例を挙げました地域振興情報ライブラリーといったものも実はその一環でございまして、それぞれの地域、先ほど申し上げましたように一万四千件ほどのプロジェクトがあるわけでございまして、大きいものから小さいものまでいろいろでございますけれども、そういうものを、それぞれの地域が必要があればいつでも利用できるように県なり市町村なりとも連絡の体制をとっておりますけれども、そんなことも必要でございまして、そんなことを地道に積み上げていくことが一方ではどうしても必要ではなかろうかというふうに思っております。  それと同時に、過疎法に基づく過疎地域の振興でありますとか、あるいは山村振興法に基づく山村の振興、あるいは離島振興法に基づく離島の振興といったような、ハンディキャップを持っております地域に対する振興策といったものは、考えようによってはまだ不十分だという御非難も受けるかもしれませんけれども、できる限りの努力をしておるわけでございまして、そういうものを通じて高齢化への対応といったものを図っていく、あるいは国がそれに対して、指導と言うとちょっとおこがましいことになろうかと思いますけれども、何らかの計画等に対する支援をしていくといったようなことも必要じゃなかろうかということでやっているわけでございます。さらに過疎地域に対する具体的な施策につきましては、過疎対策室長が参っておりますので、引き続き御説明させていただきたいと思います。  それから、三点目に、高齢者を今後どこに住まわせるというふうに考えたらいいのだろうか、こういう御指摘だったろうと思いますが、非常に幅広いいろいろな例なども聞かせていただいて、私どもも大変参考にさせていただいているわけでございますけれども、高齢者がどこに住むかということも、これも基本的にはそれぞれの人々選択によらざるを得ないんだろうというふうに思います。しかし、同時に、それぞれの人が選択しても、その選択した道を選べない、実体的に不可能だというようなことがあるということが一方ではあるわけでございますから、そういうものに対する対応策ということはやはり国としても考えていく必要がある、あるいは地方の公共団体と協力しながら考えていく必要があろうかと思います。  例えばUターンというものがかなりこれからもう出てくるんじゃなかろうか。大都市に出てきて一度こうあれしたんですけれども、ふるさとにいる御両親が年をとって、それで大都市から自分の国へ帰っていくというような人たちもかなり出てきているわけでございますけれども、しかし、その場合に、ふるさとにそういう人たちの就業の場がなければ、Uターンしたくても経済的に不可能であるということになりますし、あるいは生活環境に対する欲求水準というものもかなり高くなってきておりますから、田舎だったら非常に貧しい生活環境で我慢できるかというと、必ずしもそうはいかないというようなこともございますので、そういう意味での総合的な環境といったものを、それぞれの地域の特性を生かしながら整備していくということがやはりどうしても必要になるわけでございまして、そういうものを通じてそれぞれの人が選択して、一番望ましい形での高齢の時期を送るという形にできるだけ近づけるということではないかなあというふうに、私どもは現在考えておるところでございます。  なお先ほど、例えばアリゾナの老人の町の例の御指摘もございましたけれども、そのような動きというのは、実は先ほどの例の中にも、新宮でもやっておるので一脈通ずるところがあると思いますけれども、そのようなプロジェクトをある地域が考えて、その地域の振興と兼ね合わせながらそういう人たちの場をつくっていこうというような動きもございまして、そういうものもやはり非常にこれからの高齢化社会においては有効なことではないのか、そういうものを国としてもできる限りのバックアップをしていくということは大切かもしれない、このように考えております。  いずれにいたしましても、総じていろいろと大きな変化がこれから生じてきておりますし、今後ますます大きく変化するというふうに考えられますので、それは単に高齢化だけの問題ではなくて、技術革新の問題にいたしましても、産業構造変化の問題にいたしましても、あるいは国際化といったような大きな動きにいたしましても、いろいろとあろうかと思いますので、そういうものを全体をとらえて、今後の人と国土のかかわり方はどういうふうにしたらいいかといったことを、私どもは真剣に勉強してこれから考えていきたいというふうに考えております。
  17. 仁科英麿

    説明員(仁科英麿君) 過疎対策室長でございます。  先ほど、過疎地域の施策について補足するようにということでございましたので、過疎地域における高齢者対策について若干の説明を申し上げたいと思います。  まず、過疎地域の現況でございますけれども、昭和五十五年現在で、六十五歳以上人口が一四・八%になっておりまして、全国九・一%に対して相当上回っております。一四・八%といいますと、ちょうど全国の二十年先取りをしたような格好になっているわけでございます。  この過疎地域の振興施策につきましては、御承知のとおり、新過疎法によりまして過疎地域振興方針及び振興計画をつくって、総合的に施策を実施するということになっているわけでございまして、現在昭和五十五年から六十年までの前期五カ年計画を実施中というところでございます。  その中で高齢者対策といたしまして――過疎地域振興計画の体系といたしましては、全体の振興の基本方針、さらに交通通信体系、教育、医療、福祉というふうに並んでくるわけでございますが、福祉等の一環として、老人福祉その他高齢者対策も記入をするようにという指導をしているわけでございまして、その中で、老人福祉対策、それから老人医療等も含めての福祉対策、そういうことが具体的に記述されております。あわせまして、単にそういう老人福祉対策ということだけではなくて、老人がこういう地域の共同体の中で重要な比率を占め、役割も占めていかなければならない、生産、生活両面にわたって重要な役割を占めるということを念頭に置いて、全体の施策を進めるようにという指導をしているわけでございます。  そういう中で、具体的にどんな施策を現在やっているかということを申し上げますと、やはり老人福祉対策としての老人福祉施設の設置運営、あるいは老人向け住宅の建設、それからちょっと内容がはっきりしない点がございますが、老人生きがい対策としていろんなことをやっております。例えば敬老金や年金を出すとか、あるいはゲートボール場をつくるとか、そういったようなことをやっているのとあわせまして、老人の足を確保するための交通確保対策――交通確保対策といった場合には、車を使う方は大体今、過疎地域においては自家用車に変わってきておりますけれども、そういった老人、子供等を含めた弱者対策という意味で、バスの確保をしていかなければならないというような対策があるわけでございます。そういったような施策を総合的に進めていっているという現況になっているわけでございます。  国土庁の具体的な施策といたしましては、高齢者コミュニティーセンター建設事業費補助金という補助金を持っております。これは過疎地域高齢者の利用に適した施設ということで、内容はメニュー的になっておりまして、老人福祉施設でも結構ですし、集会施設あるいは教養施設、それから生産関連施設――そこで例えば一定の技術を身につけて新しく内職的に仕事をしていくというような、そういうものを勉強する施設、そういったものも含めてコミュニティーセンターと、こう言っているわけですけれども、そういったものに対して補助を出すということで進めておりまして、昭和五十五年からこれは始まったものですけれども、五十八年までの四カ年で百八カ所補助いたしております。  以上でございます。
  18. 安永英雄

    ○小委員長安永英雄君) それじゃ小委員長の方からお願いをいたしますが、せっかく熱心に答弁していただいておりますけれども、時間が限られておりまして、またたくさんの方になるべく質問をしていただこうと思いますので、内容を簡単にひとつ報告してください。
  19. 齊藤尚夫

    政府委員(齊藤尚夫君) 先生からのお尋ねは、答申に盛られた事項について文部省はどのような施策を実施しておるのか。とりわけ五十九年度の予算でどのような措置をとっておるかということであったと思います。  この答申に盛られております事項は、家庭教育、学校教育、学校教育も高等教育まで含めまして非常に広範な施策についての提言でございますので、それぞれについて具体の説明を申し上げるのはちょっと時間がないわけでございますが、高齢者教育の問題に絞って簡単にお話を申し上げたいと思います。  これは、やはり社会教育の分野の中での成人教育施策の一環として行われておるわけでございます。成人教育といたしましては、文部省として三つの柱を立て、一つは施設設備の充実に対します助成の措置でございます。それからもう一つは、指導者の養成、確保という観点からの研修等の実施でございます。それからもう一つは各種事業に対する助成。この三本の柱で社会教育の仕事を進めておるわけでございますが、高齢者につきましてもそのような施策の一貫として一般的には行われておるわけでございますし、年々充実の方向にあるというふうに考えております。  本年度でございますが、特に事業費につきまして、これまで高齢者につきまして、講座であるとか、あるいは人材活用事業であるとか、市町村が行っております事業のうち、モデル的なものに対する助成措置を行ってきたわけでございますが、それを取りまとめまして新規に「高齢者生きがい促進総合事業」というものを行うことといたしたわけでございます。  その事業の具体的な中身といたしましては、高齢者教育促進会議というものを各地域で設けていただく、総合調整を図っていただくということが一つ。それから高齢者の学習の機会の提供といたしまして、高齢者教室の開設であるとか、あるいはボランティアの養成講座の開設であるとか、そういうものを計画していただくこと。それから高齢者人材活用の事業を実施していただくこと。それから高齢者が若い世代との交流を図っていく、相互理解を深めていくために世代間交流事業を実施していただく。それから高齢者のための相談事業を実施していただく。このような事業を総合的にやっていただく市町村に対しまして、一定の額の助成をしてモデル的にそれを推進していこうという新規の予算を計上したところでございます。
  20. 橋本敦

    ○橋本敦君 経企庁の方にまずお伺いしたいと思うんですが、「展望指針」で、将来展望として人生八十年型ライフサイクル、このニーズにどう対応するかということで、文化的豊かさを求めて生活の質的向上への志向が非常に高まるだろうという、こういう予測をした上で、「高齢化等の中で、雇用・所得の確保、物価の安定、健康の維持・増進」、こういうニーズにこたえながら、安心して暮らせる基礎条件、これを引き続き重視していくと、こういうことが書かれているわけですね。でも私は、これは非常に大事なことだし、それ自体やらなくちゃならぬことだと、こう思うんですね。  そこで、この「展望指針」について私が気になっております第一点は、これをやるためには一体どれだけの社会保障財源なり、あるいは今後二〇〇〇年を展望しても、社会的富の集積を国民に還元するシステムをどうやってつくっていくか、ここの上ころを打ち出さなければ、下手をすれば絵にかいたもちになりはしないか。そこで、この「展望指針」については、かねてから数字のない経済計画ではないかという厳しい批判があったことは、これは私が言うまでもないわけですけれども、こういう「展望」の中でいろんなケースが想定されてはいるけれども、基本的にこういったニーズにこたえた、八十年型ライフサイクルにこたえた基盤形成のために、どれだけの財源と投資が要るのかという展望はどうなんでしょうか。これがまず第一ですね。  私はまず、これについて言うなら、社会資本の現状からいっても、日本は先進資本主義国の半分ぐらいの程度だというお話もさきにありましたが、まさに地域政策や住宅政策も含めてかなりの投資が要るだろう。ところが一方、今日の財政というのは無理やり行革をやらなければならぬという、そういう状況であり、「展望指針」でも、そこのところを踏まえた高齢化社会への対応として、福祉の適正あるいは整合性、こういったことも打ち出さざるを得ない、こうなっていくわけですね。したがって、この高齢化社会への対応の将来展望としては、いろんな矛盾が絡み合っておるんだが、一番大事な大もとになる、私が指摘した今後のこういった方向への投資財源、これをどこからどれくらい持ってくるかという、ここのところの展望がないということが、一つは非常に大きな問題になっているように思いますが、この点についてはどうお考えだろうかというのがまず基本的な質問であります。  そこでその次に、具体的な問題として、「展望指針」では、将来の租税負担率あるいは社会保障負担、これを合わした全体の国民の負担は、「ヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低い水準にとどめることが望ましい。」と、こう書いてある。私も、それはそれなりに結構ですが、それが具体的には、パーセントで言えばどれくらいの程度として想定をされておられるのだろうか。この数字も明らかでないわけですが、これはどれくらいというようにお考えになっているのか、これを一つは明らかにしていただきたいと、こう思うわけです。  それと関連をして、六十五年度からいわゆる特例公債依存体質の脱却ということも片方で展望しなければならぬという財政的必要があるわけですね。ところが、大蔵省の「中期的な財政事情の仮定計算例」によりますと、この六十五年度で要調整額が十四兆五千百億という数字が大蔵省から出ているわけですね。だから、こういう数字が大蔵省から出ているということとも関連をして、この「展望指針」を貫いていくとすれば、これをどうやってカバーしていくかということも含めて、先ほど私がお聞きしたかった租税負担率、社会保障負担率がどれくらいかということとも関連しますけれども、具体的に六十五年度で、この「展望指針」の踏まえている数字としては、社会保障負担率はどれくらいか。私は、一三%、租税負担率は二七%ぐらいと見ていらっしゃるんじゃないかというこの日経の報道もあるんですが、そのぐらいだろうと思うんですけれども、こういう数字を明らかにして具体的な中身としてひとつお述べいただきたいというのが第二の問題であります。  それからもう一つは、老人の問題について言えば、私は住環境だけじゃなくて、老人ホーム対策というのが非常に大事になってくると思うんですが、最近の新聞の広告を見ますと、ケアホームですか、大体三千万から四千万ですね。しかもそれは、言ってみれば終身使用料ということで、財産形成ということにもならない。そういうことで、快適な老後の安定した生活を非常に強く国民が切望しているときに、そういうニーズにこたえて民間のそういうケアつきのマンション構想が出てくるわけですが、これはやっぱり私は今の社会から見て、三千万、四千万のお金が出せるというのは一般庶民からはほど遠いと思う。だから、こういうことがずうっと社会ニーズとして出ていることに対応して、おくれずに積極的に国民のための対応をしていくということになれば、福祉の充実の一環としての公的な老人ホーム体制を思い切って進めるということが一つ。  それから、建設省に伺いたいんですけれども、住宅環境の整備ということでおっしゃっていることで、将来構想としては「世帯選択を可能とする多様な住宅の供給」を目指されて、まず第一に「同居の条件整備」、二番目に「単身高齢者世帯、核家族高齢者世帯急増への対応」ということが出されておりますが、これはまさに必要ですが、実際、これを建設省はどうやって実現をしていくという方向を模索していらっしゃるか、もう少し具体的に聞きたいのであります。  例えば、単身世帯がずっとふえて、近年の統計によっても四倍近くになっているというお話もございました。まさにそのとおりだと思うんですね。私がちょっと調べたところでも単身者世帯が非常にふえているんですが、その人たちがどこで今生活しているかを調べますと、東京都の例によりますと、民間の木造アパート、ここに入っている方が圧倒的に多いんですね。かえって公営住宅なんかには入っている人が非常に少ないわけですね。それを数字で示しますと、公団、公営住宅に入っているのが、率で言いますと一〇・二%程度。それに対してアパート、民間賃貸、ここに入っていらっしゃるのが四七・九%と、こういう数字も出ているんですね。  だからしたがって、薄暗い木造のアパートでひとり暮らしという、こういう実態が一般化しておるんだという実態を踏まえていくならば、建設省が展望でお持ちになっていらっしゃるこういう望まれる方向がどうやって建設で可能になるか。予算その他で見ると、年々住宅建設は一般的には減っていくという傾向にもあるわけですから、矛盾している今の状況があるんですね。これをどこでどう展開していくかという将来展望をひとつ聞かしていただきたいということです。  それから最後に、国土政策との関係で伺いたいんですが、民間活力の導入論との関係なんです。民間活力の導入論が言われてから、いろんな開発規制が緩められる傾向が出てきている。そして民間デベロッパーがそれで非常に喜んでいるという状況があるということは一面ではあるんですね。  ところがしかし、実際に地方の実情を見てみますと、そういうことで、先ほどもおっしゃったような老人福祉を主体とした地域づくりということがそれで済むかというと、これは国の指導と、それから一定助成、それからやっぱり国が基本方針なしに民間活力でやるんだということだけでは、かえってそれが民間デベロッパーの恣意的な利益追求の中で崩されていくという傾向が強まっているように私は見ているんですね。だから、そこらあたりをどうチェックをして、今後どのように地域政策高齢化対応をやっていかれるか。しかも、その民間活力の活用ということとの関係で、どう修正もしくはやっていく方向を模索されるか、ここらあたりを聞かしていただきたい。  大体以上でございます。
  21. 宇賀神治夫

    説明員宇賀神治夫君) 先生の初めの御指摘でございますが、御案内のとおり、我が国経済社会技術革新進展労働市場等における構造の変化というようなものが見られますし、また、国際化成熟化高齢化といったような長期的な流れの変化が見られるというように、大きな転換期に直面しておるわけでございまして、そういう意味で、八〇年代の我が国経済社会は、国際環境、経済国民生活の各面で多重的に変化していくものというふうに考えておるわけでございます。  こうした中で、世界経済を初めといたしまして、我が国経済社会を取り巻く内外の情勢には極めて流動的な要素が多いわけでございます。また、経済に大きく影響いたします行財政の改革につきましても、諸事情の変化等に応じながらその具体化が図られているところでございます。  以上申し上げましたような状況の中で、「展望指針」は長期的な課題にいかに対応していくかということになるわけでございますので、ここにおきましては、まず八年という長い期間対象といたしまして、その中で一九八〇年代の位置づけというものをまず行いまして、それから基本的な経済社会展望政策運営の指針というような形で大きな方向づけを行うということにいたしておりまして、どちらかといえば定量的なものよりも定性的なものにするというような考え方で策定したわけでございます。  したがいまして、経済の数字の展望等につきましても、成長、物価、雇用というような大まかな数字を示すにとどめておりまして、先生が御指摘なされましたような投資であるとか、あるいは社会基盤整備のためのそういう関連の予算措置であるとかという問題については、今回はそこまで踏み込んだ内容にはなっておらないということでございます。  それから、第二番目の負担率、社会保障の負担率等の問題でございますが、これも以上申し上げましたようなことでございますので、具体的な負担率が一九八〇年の終わりに、九〇年において幾らになるかというようなことは計数的には一切示しておりませんが、考え方といたしましては、今後、高齢化進展によりまして、租税負担であるとか、あるいは社会保障の負担であるとか、それを両者を合わせたような形での国民の負担率でございますが、そういうものは現状よりも上昇することにならざるを得ないというふうに考えられるわけでございます。  しかし、国民の負担率が無制限に上昇するということになりますと、これは適当ではございませんので、先進諸国の例等から見ますれば、ヨーロッパの水準よりはかなり低いところにとどめることが望ましいというように考えておるわけでございます。
  22. 橋本敦

    ○橋本敦君 いや、それはわかりますが、数字で出ているかということです。
  23. 宇賀神治夫

    説明員宇賀神治夫君) ちなみに、ヨーロッパの水準は、国民の負担率は五〇%以上、国によって六〇%台の国もございますが、相当幅はございますが、五〇%以上になっているというのが実情でございます。
  24. 橋本敦

    ○橋本敦君 いや、それはわかっています。  日本のかなり低いところにとどめたいという、それはパーセントで言えばどのくらいかという質問なんです。
  25. 宇賀神治夫

    説明員宇賀神治夫君) 御指摘でございますが、「展望指針」にはそういう具体的な水準は示しておらないわけでございますので、御了解いただきたいと思います。
  26. 橋本敦

    ○橋本敦君 内部的に腹づもりはあるでしょう。
  27. 宇賀神治夫

    説明員宇賀神治夫君) いえ、腹づもりもございません。
  28. 橋本敦

    ○橋本敦君 腹づもりなしには言えないでしょう。先ほど私が言った六十五年度での租税負担率、社会保障負担率ぐらいは、これはわかるんじゃないですか、踏まえている数字。
  29. 宇賀神治夫

    説明員宇賀神治夫君) これも全体のデザインができませんと出てこない問題でございますので、個別にそれだけを出すというわけにはまいらないと思います。
  30. 橋本敦

    ○橋本敦君 はい。まあきょうは批判する会じゃありませんから……。
  31. 吉田公二

    政府委員(吉田公二君) 御指摘の住宅の対応でございますが、ここで「世帯選択を可能とする多様な住宅の供給」、いずれにいたしましても高齢者が実情に応じて希望する住み方をできるだけ選択していけるようにという考え方でございまして、御指摘のように、先ほど私ども御説明申し上げた資料におきましても、最近の傾向としては単身者あるいは老齢者の核世帯――老夫婦というようなところに非常にウエートがふえておりますけれども、意向調査をしていきますと、意向調査では三世代同居という方向についての意向がかなり強いわけでございます。でございますから、現実の姿とその間にはある程度ギャップがあって、三世代同居がなかなか可能にならない要因もあるし、また選択もあるかと思います。  そういう意味で、同居を可能にするためには、私どものやっております施策的な立場で申しますと、公団とか公営住宅、こういうものについての内容を、多家族に向く、そうした老人同居に向くようなハードな面で考えていき、それをまたできるだけ活用できるような方策をさらに――先生先ほどの御指摘では非常に低いではないかということでございますが、なるべく高めていくというような形で進めていく。また、例えば公庫融資というものの活用をさらに考えて、三世代の同居が可能になるという希望を達し得る条件整備するためにさらに努力をしていかなければならないと思っているわけでございます。  またさらに、単身として残る形のものが木賃等に多いではないかという点について、私も実態としてそういう傾向が強いというふうに思っております。  これにつきましては、御指摘のように、木賃住宅そのものが非常に居住水準の低いものが多いということも事実でございまして、この前の住宅統計調査等によりましても、空き家率が非常に高いわけでございますけれども、空き家率の中に、やはり非常に水準の低い木賃住宅的なもののウエートも非常に高くなっておる、そういった意味ではだんだん選択が行われているわけでございますが、こういった木賃住宅から、最近ではそれを建て直していくという傾向も出ております。私どもの事業といたしましても、低質の木造賃貸住宅が集中している地区におきます住環境の改善、木造賃貸住宅の建てかえというような仕組みの仕事についても今後力を入れていきたいというふうに思っておりますし、また民間が行います木賃住宅の建てかえ、あるいは賃貸住宅の建設、こういうものに対します助成制度の拡充等についてもさらに力を入れていくべきだと思っております。  ただ、全体といたしまして、そういう事情がありながら、予算的にはどうだという御指摘でございまして、この点私ども非常に残念に思っておりますけれども、全体の財政事情の中でやむを得ない面もあると思っておりますけれども、なお今後とも努力をしていかなければならないと思っている次第でございます。
  32. 小谷善四郎

    政府委員小谷善四郎君) 民間活力の導入ということが言われておりまして、いろいろな開発規制が緩められる、その結果としてかえって老人福祉を主体とした地域づくり等についても障害になるのではないか、このような御指摘と思いますが、民間活力の活用ということを私どもが言っておりますのは、そういう民間を、公、民の役割分担を明らかにした上で民間が十分に活用できるところで活用を図ろう、こういうことでございまして、さらにその規制の緩和につきましても、経済社会情勢の変化に伴いまして、過去につくられたいろいろな制度なり規制などの見直しを行ったときに、公共的、公益的観点から見ても緩和していいものもあるのではないか、そういうものについて見直しをしていこう、こういうことでございまして、決して公共、公益的観点を投げ捨てるという意味での規制の見直しではないというふうに私ども理解しております。そういう観点から、それぞれの所管省において十分制度、規制を検討の上で規制の緩和ということが進められているのではないか、このように思うわけでございます。  それから、老人福祉等、社会サービス分野での民間活力の活用といったことを考えます場合には、私どもはやはり公共部門役割というものは大切でございまして、公共部門対応すべき基礎的な財・サービスといったものについては当然公共部門が責任を持ってやっていくべきだろう。しかしそれを超えた非常に高い、高次の財とかサービスといったものを負担能力のある人が求めるというようなものに対しては、民間が出ていって、それに対して対応するということがいいのではないか、このような観点で進めるべきだろうと思いまして、そういう意味では、公共部門役割はこれからも重要でございますし、またそういう地域づくりという上での地方公共団体あるいは国といったものの役割というものが今後もやはり引き続き重要であろう。そういう観点から全体の観点を十分踏まえながら、個別の、それぞれのプロジェクトが円滑に推進されていくように進めたい、このように考えております。
  33. 抜山映子

    ○抜山映子君 途中から入ってまいりましたので、もし触れられておったらお許しください。  私は、高齢化社会への対策というのは、六十五歳以上とか、そういうような見方に局限すると大変危険がある、むしろ若年者を含めて高齢化社会への対応というものを把握しなくちゃいけないんじゃないか。  例えば教育がしかりでございますし、ボランティア活動意義社会的に広めるということもそうでございますし、それから現在、山陰地方なんかでは大変に若者が戻ってこない。そうなりますと、どうやって引き戻すか、それの就職先と、それから大学をそういう地方にも持っていかなくちゃいけないんじゃないかとか、あるいは三世帯同居といっても、建築の入れ物だけを考えるのではなくて、例えば今の均分相続でいいんだろうか。もっとも、数年前に、両親の営業を手伝って相続財産の形成に寄与して、しかも面倒を見たという子供については、寄与分というものを認めるようになりましたけれども、この営業を手伝ったということだけでなくて、老人と同居して最後まで面倒見た者について寄与分を認めるとか、そういうような、むしろ若年者を踏まえて、税制からすべてを踏まえての対策ということを考えなくちゃいけないのではないか、そういう点についてのシナリオをひとつ考えていただきたい。そういう点、これは希望でございますが、申し上げておきます。  それから、老人対策と申しましても、先ほどどなたでしたか、老人とは幾つからだという質問が出ましたように、前期老人、後期老人、本格老人とアメリカなんかでは分類しておるようでございますが、特に対策が、前期老人になりますと雇用の創設ということが大変に大事になると思うのでございます。農村部につきましては、かなり雇用の創設については力を入れて考えておられるようでございますが、都会の雇用の創設についてどのようにこれから考えていかれるか、それについて御回答をいただきたいと思うのでございます。
  34. 及川昭伍

    政府委員及川昭伍君) 高齢化社会への対応は、高齢者だけではなくて、おっしゃるように若者も含めた社会全体の対応策として考えなければいけないと思いますし、シナリオもそのようなものでつくりたいと考えております。  そのときに、私どもが今非常に大きな枠組みとして大事だと思っておるのは、一つは生涯の生活時間という視点だと思っております。人生八十年になりますと、生涯七十万時間くらい暮らすことになるわけですが、十年寿命が延びると約九万時間でありますが、その九万時間がすべて自由時間になる、余暇になるという形では、やはり生きがいの面からも非常に問題になるわけでございます。  ただそれを、それでは生涯の労働時間をふやすかということになりますと、経済全体のフレームからいって雇用の機会は全体として生じなくなるかもしれません。ということは、片方で若い人たちの雇用の時間を短縮して、自由時間を若い時代からふやしていって、高齢者にも雇用の機会と自由時間とを持つような、そういう社会に仕組みを変えていくことがあるいは必要かもしれませんし、雇用の総量ということと、自由時間の総量ということと、経済社会の総労働時間というものと、総生産量といったようなものを設計し直す必要があろうかと思います。  それから、第二の大きな枠組みとして考えておりますのは、お金の枠組みであります。今でしたら、五十五歳定年とか六十歳定年ということで、そこで働いて、後は年金を働く人からもらうという仕組みになっておりますが、そういう仕組みがいいのか、そうではなくて、もっと高齢時代にも所得を得るというような形にした方がいいのか、それも先ほどとの絡みで仕組みの問題になろうかと思います。  いずれにしても、高齢者の問題は、高齢者だけではなくて、生涯の設計と社会全体の設計というような形で、時間のフレーム、お金のフレーム、そしてさらに居住やその他の空間のフレーム、そのとき、家族やその他ということを含めた、あるいは教育も含めたソフトシステムのフレーム、全体を統合するような形で新しい設計が必要だというふうに考えておりまして、おっしゃるとおりだと思います。  老人対策の中で、特に前期老人、それを私どもは向老期、老人に向かう時期とかという言い方もしておりますが、前期、六十五歳まであたりの前期老人については雇用が一番重要でございまして、そういう意味では、今も国会で御審議いただいております例えば年金制度なども、一体どのように設計し直したらいいのか、非常に重要な課題が出てくると思いますが、それは国政の上でも、社会全体の上でも非常に重要な課題になってまいりますので、時間をかけて検討しなければいけないテーマだと思っております。
  35. 青木茂

    ○青木茂君 私のは、御質問というよりむしろ感想、それからそれに伴うお願いみたいなものですけれども、それぞれ伺いまして、各省庁非常に精密な目標をお立ていただいておるわけなんだけれども、伺っていまして、それぞれ縦に切ってみると、一つ一つは物すごく立派なんだけれども、幸福な老後というものの立体像がどうも出てこない感じがあるわけなんですね。だから各省庁の御計画を横に結ぶプロジェクトみたいなものがどうしても必要なんじゃないか。そういう立体像をつくっておいて、現実はどうなってるんだと、その現実から理想的な立体像へそれじゃどうステップ・バイ・ステップで進むのだという視点がこの委員会では必要なんじゃないかと思うんですよ。  だから、高齢化の問題だって、子供をあやすという言葉があるけれども、老人をあやすという施策ではこれ全然意味がないわけなんですね。そうすると、それぞれの国民が、それぞれの家庭で、幸福な老後にどういう自助努力をしているんであろうか。その自助努力に対して国はどうバックアップすべきであろうかというような視点がどうしても必要なんじゃないかと私は思うわけなんですね。  幸福な老後の自助努力としては、よく言われますよね。三つのEと三つのHが必要だと。三つのEというのは、一つはこれはエコノミーですわな、経済的な基盤ですね。生活設計の経済基盤がなければ幸福も何もあったもんじゃないんだから。これはやっぱり老後生活設計のシナリオというものは、これは企画庁あたりでお考えをいただきたいことだと思います。  それからもう一つは、エンプロイメントですね、Eは。財政と年金の絡みで、そう年金制度これからもう飛躍的に充実ということも言えそうもないんだから、そうすると雇用を確保してもらわなきゃこれはどうしょうもないことなんで、これはやっぱり労働省がその視点でお考えをいただきたいと思いますよ。  それから、三つのEのもう一つは、エデュケーションですわな。これは子供の教育と自分の教育という意味で、これはやっぱり文部省の仕事だろうと思うわけなんですよ。  三つのHですね。一つのHは、当然入れ物ですわな。これハウスと考えていいのか、ホームと考えていいのかは、ちょっと迷っていますけれども、とにかく入れ物の問題。これは建設省の仕事だと思います。  それから第二のHは、これはきょう余り問題出なかったんですけれども、やはり老後ということになるとヘルスですよ。ヘルスも体だけの健康じゃなしに、心の健康も含めた心身の健康。これはやっぱり厚生省が考えていただかなければいけない。  それからもう一つ老後ですから、私はもう一つのHとしてはホビーというやつが要ると思います。やりがいのある仕事というか、熱中できる仕事。これはまあどこで考えるか、政府全体が考える仕事だと思いますけれども、老人一人一人にホビーを持たせる、熱中できる仕事を持たせるということが必要だと思いますよ。  そういうこの三つのHと三つのEというものが私は老後生活の立体像だと思うんです。これを個人個人努力してつくり上げようとしていますね。していますけれども、国が、それぞれの省庁が、これに対してどう援助していくのかという視点が必要だと思います。  それから一番最初に、企画庁の方でシナリオをお示しいただいたんですけれども、非常にバラ色のシナリオなんで、現実に即して言えば、もう少し僕は灰色のシナリオというのかな、現実はかなり厳しいんだから、非常にみんな不安がっているんだから、灰色のシナリオももう一つ示す必要があるんじゃないかという感じがいたしました。感想なんです。それぞれのあれでこんな方向に持っていくという、まさに各省庁も御感想をいただければ結構です。
  36. 及川昭伍

    政府委員及川昭伍君) 今、委員がお示しになったことが、ほぼ今私どもも考えていきたいというような立体像あるいはシナリオとほぼ一致しておりまして、そういうものを個人という単位あるいは家庭という単位でつくるときに、それが地域社会や国家経済とどういうつながりになって、国民経済なり産業社会なりがつくられていくのか。それと整合させながら、ミクロとマクロを調和したシナリオをつくってみたいと思っております。  その前提として、おっしゃるように、私としては、制度やその他を固定して、現状のまま推移すれば相当大変なシナリオが描かれることになろうかと思いますが、それもやはり一方で作業して示しながら、どういう選択をするかということを国民と一緒に考えるという態度で進めていきたいなと思っております。
  37. 小谷善四郎

    政府委員小谷善四郎君) 今、先生が三つのEと三つのHということでお示しいただいたわけでございますけれども、私ども地域政策という立場に立ったときに、まさしく先生のおっしゃるこの三E、三Hというものを満足させるような地域というものを、どうやってつくっていったらいいかということを考える一つの大きな目標であろうというふうに、私お話を承りながら考えておりました。  それから、老人の自助努力に対して国がどうバックアップすべきかということでございますが、そういうこともありましょうが、しかし同時に、老人が、ある意味では自助努力でございますが、地域の中でみずからが努力していく、コミュニティーの中で努力していくというようなものに対して、国がどんな形でのバックアップがあり得るのか。それは三つのE、三つのHのそれぞれに行政的には分かれていくのだと思いますけれども、そういうものとしてこれからの高齢化社会ということを考える場合には大切になってくるのかなというふうに私は感じました。
  38. 吉田公二

    政府委員(吉田公二君) 三つのHのうちのホームでございますか、ハウス――私どもの立場ですとむしろハウスの傾向が強いと思いますが、おっしゃるとおり、特に住宅という問題については、老後になってからの議論というよりは、むしろライフサイクル全体を通じた住宅のあり方、その自助努力の問題、それに対します公的な援助の仕方、それがシステマチックに行われなければならないわけでございまして、現在政府関係、例えば建設省関係の施策がカバーしております住宅が、公庫融資まで含めますと、全体で建つ戸数の半分以上を今施策がカバーしておるわけでございます。  自助努力に対します援助といたしまして、公庫のウエートは非常に高いと思いますが、そのほかに自分で入れない、そういった力がない人に対します公的賃貸住宅あるいは分譲住宅、こういうものの拡充でございますとか、あるいは土地持ちの人が、円滑に自分の土地を使って有効な賃貸住宅を供給する仕組み、こういうものもかなり最近伸びてきておりますが、総体的にできるだけライフサイクルに適合するように、今後とも努力していかなければならないと思っておる次第でございます。
  39. 齊藤尚夫

    政府委員(齊藤尚夫君) 三つのEのうちの教育の問題と、それからHのうちのホビーかどうかはよくわかりませんけれども、老人生きがいの問題については、文部省も大変関心のある問題でございます。やはり高齢者生きがいを発揮する場というのは、自分で学習するということももちろん大事なことでございますけれども、一つには社会的な役割を果たすというところに大変な生きがいを持っているように見受けられるわけでございます。全国の子供会の役員会、老人ばかりの子供会なんですけれども。あるいはボーイスカウトでもそういうことでございますが、大変生きがいを持って対応していただいておる。  そういうことを考えまして、先ほど御説明しました生きがい対策の総合事業では、高齢者人材活用という観点で社会的な役割を果たせるような道を開く。それから世代間の交流、特に子供の問題に老人がかかわっていくということについて、やはり重点的な施策、今後そういう目で各地域が広がっていかないかということをねらいとしてこの問題に取り組んでおるわけでございます。  大変貴重な御意見をちょうだいいたしたという感想を持っております。
  40. 安永英雄

    ○小委員長安永英雄君) 本日は大変御苦労さまでございました。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十一分散会