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1984-07-31 第101回国会 参議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月三十一日(火曜日)    午後一時六分開会     ―――――――――――――    委員の異動  七月十二日     辞任         補欠選任     山田  勇君      中村 鋭一君  七月十三日     辞任         補欠選任      中村 鋭一君     山田  勇君  七月二十五日     辞任         補欠選任      安武 洋子君     宮本 顕治君  七月二十六日    辞任          補欠選任     志村 哲良君      園田 清充君     宮本 顕治君      安武 洋子君  七月二十七日    辞任          補欠選任     園田 清充君      志村 哲良君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         青木 薪次君     理 事                 堀内 俊夫君                 増岡 康治君                 増田  盛君                 村田 秀三君     委 員                 安孫子藤吉君                 井上 吉夫君                 植木 光教君                 工藤万砂美君                 志村 哲良君                 福田 宏一君                 二宮 文造君                 馬場  富君                 上田耕一郎君                 安武 洋子君                 山田  勇君     国務大臣        建 設 大 臣  水野  清君        国 務 大 臣        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君    政府委員        国土庁長官官房        長        永田 良雄君        国土庁長官官房        水資源部長    和気 三郎君        国土庁土地局長  鴻巣 健治君        国土庁地方振興        局長       田中  暁君        建設大臣官房長  豊蔵  一君        建設大臣官房総        務審議官     松原 青美君        建設省建設経済        局長       高橋  進君        建設省都市局長  梶原  拓君        建設省河川局長  井上 章平君        建設省道路局長  田中淳七郎君        建設省住宅局長  吉沢 奎介君    事務局側        常任委員会専門        員        田熊初太郎君    説明員        防衛庁防衛局運        用課長      大野 琢也君        防衛庁経理局施        設課長      大原 重信君        防衛庁経理局工        務課長      及川 康男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (昭和六十年度予算概算要求基準に関する件)  (建設事業における国際協力に関する件)  (水資源白書に関する件)  (硫黄島の振興開発に関する件)  (地価動向に関する件)     ―――――――――――――
  2. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 村田秀三

    村田秀三君 前回の本委員会におきまして、十二日でございましたが、東京都の下水道事業の一部を、サービス会社をつくって、これに委託をするという問題について私は質疑を行いました。  その後、当日要求をいたしました資料でございますが、実は出てまいりましたけれども、これを見ますると、私が要求をいたしました趣旨とはおよそかけ離れておるものでございました。確かに、これはワンクッションを置くことであり、自治体からのものでありますから、建設省としてもなかなか仕事を進めにくかったと思いますけれども、その点は御苦労さまでございましたと、こう言いたいのでありますが、全く不満であります。そして、きょうもまたその件について言及せざるを得ないという立場で、前回資料に基づく資料をまた要求いたしました。実はきょう届けられたのでありますけれども、これまたまさによいかげんと、こういう代物でございまして、とてもこれをもとにいたしまして私が申し上げたいとする質問はできにくい、こういうことであります。  そこで、既に会社は二十五日に設立総会を完了して八月一日に発足するということでありますが、その事業に着手いたしますのは十月などという言い方もされておりますけれども、まだ定かでないようであります。でありますから、その内容業務方法等についても、一応の案はあるにせよ、まだ固まっておらないというところが正直なようでございます。本来であれば、前回私が主張申し上げました、これはすぐれて公共事業である、しかも公権力を伴う一貫作業要求される事業である、こういう立場に立って考えてみますならば、事前に歯どめをかけなくちゃならぬというそういう考えもございますが、しかし議論はできません、率直に申し上げまして。でありますから、これが実際に事業に着手をいたしまして、決して会社を私は認めるものではございませんけれども、しかしながらその時点にまた改めてひとつ議論をしてみたい、こんなふうにも思っておるところであります。  そういたしましても、やはり残りますのは、建設省としての法律管理立場からその指導方針というのは極めて大切であろうと、こう思いますので、この間の議論の中でも、これは自治体の話でございましてということもしばしばございましたが、しかし少なくとも法律があって、その法律を正しく運用する立場にある建設省としては、やはり言うべきところは言わなくてはならぬと、こう私は思います。したがって、この種の問題の今後の扱いについては、下水道法の精神、条文等に基づいて、その維持管理は常に住民、国民責任を持つ行政が直接運営すべきであろう、こう私は考えておるのでありますけれども建設省としての指導方針を私はこの際問うておきます。
  4. 梶原拓

    政府委員梶原拓君) 御指摘のように、資料の調製にいたしましてもワンクッションございますので、十分御満足のいかない点につきましては御 了承賜りたいと思います。  御指摘のとおり、この下水道施設は、当然東京都が行政責任を果たすべき施設でございます。そういう意味合いにおきまして、東京都におきましても委託しました汚泥処理につきまして報告の聴取、定期的巡視等を行いまして、これに基づく委託業務指示指導を行うとともに、処理施設の運転及び保全作業についての実施計画の策定、補修改良工事等の立案、設計、監督及び水処理汚泥処理の連絡、指示等基本的な事項につきましては、都みずからが行うことによりまして汚泥処理施設運営責任体制確保するというふうに聞いておりますし、私どもといたしましても、そういった点を徹底いたしまして遺憾のないように指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  5. 村田秀三

    村田秀三君 別途、またひとつ議論をするつもりです。  次に、建設省としての六十年度の予算編成にかかわっていろいろ質問を申し上げたいと、こう思うのでありますが、国会も八日で終わりますかどうでございましょうか、いずれにいたしましても終わりに近づいておるわけでございまして、来年度の予算編成というのが、これ我々の仲間におきましても国民の耳目も集めておる、こういう段階であろうかと思います。そしてまた、本日閣議におきまして概算要求の基準なるものが定まったというような話も聞いておるわけでありますが、去る二十五日に臨時行政改革推進審議会、これが行革推進方策について意見総理大臣に提出をしたようであります。これを見ますと、公債は極力抑えなさい、こう言っておりますものにつけ加えて、建設公債にもこれは言及しておるところであります。その点を若干申し上げますると、赤字公債性格を異にするとは言いながら、その増発は厳に慎むべきと指摘しておるわけであります。  そこで、先般これに関して建設大臣の所信をお伺いいたしました際に、建設公債一般赤字公債とは性格を異にするものであるから、今日公共事業のおくれを取り戻すためには建設公債発行ということも考えねばならぬ、こうおっしゃっておりました。この行革推進審議会意見、そして大臣はこれに対して、あるいはきょうあたりの閣議で話が出たかどうか知りませんけれども、どう対応されますか、ちょっとお伺いしたいと、こう思います。
  6. 水野清

    国務大臣水野清君) 建設国債赤字国債の違いというようなことは先般おわかりだと思いますが、重ねて申し上げますと、既に公共事業関係経費は、この数年間はそのほとんどが特定財源、いわゆる道路財源と言われておりますが、などを中心とする特定財源建設国債で賄われているわけでございます。今後公共事業関係費拡大していくに当たりましては、基本的には特定財源、いわゆる道路財源オーバーフローした分を何とか建設省に取り返していくという形で予算確保していく、さらに一般財源公共事業充当努力をする必要がございますが、なかなか一般財源からの公共事業充当というのは現在の段階では難しいわけであります。今年度予算もそうでございますが、当面の対策としては建設国債増発によらざるを得ないのは私は当然だと思っております。これは、現に五十九年度予算もたしか四兆五千億ぐらいの建設国債発行によって公共事業費が賄われているわけでございますから。  ただ、前回委員会で申し上げましたのは、その枠をさらに増発したいということでありまして、建設国債の何といいますか、経済的な効果ということについては私はいささかも変わっているとは思っておりません。また、行革審の中で答申が出ましたけれども、その中で当初は大変建設国債に対してきついお申し渡してございましたけれども、これは私自身といいますよりはいろんな関係者が御説明をしまして、その表現につきましてもかなり御理解を得た表現を得たわけでございます。  これ以上、建設国債の価値その他についてはもう先生十分おわかりでございますから、以上で私の考え方を申し上げさしていただきます。
  7. 村田秀三

    村田秀三君 また、この意見書にこれかかわって物を申し上げるわけでありますが、公共事業の抑制であります。しかも、つけ加えて、「当面、公共事業拡大による景気刺激を特に必要とする状況とは考えられない。」と、断定的にこう言っておるわけであります。  そこで、公共事業を抑えようとするそのこと自体を私は問題視するわけでありますが、ここで多少言及いたしますると、なぜ臨調の中で公共事業景気刺激をまさに相関関係があるような物の言い方を断定的にしなくてはならないのかという点について疑問を持つわけであります。景気を浮揚するためには確かに公共事業をふやすことがそれだけ波及効果がある、こういうことは通常言われておりますけれども、しかしながら公共事業というのは、本来的に言えば治山治水道路あるいは下水道、水道、公園、つまりは国土の保全社会環境の美化、住生活の向上、そういうものがいわゆる公共事業であって、公共事業それ自体は、何も景気をよくするからそのために公共事業をやるなどと考えてやられているものではないと私は思うんですね。  だから、景気は今よくなっているんだから公共事業を減らしてもいいんだなどという逆さまな議論を吐くいわゆる行革推進などというものは、これは本当に私はおかしいと思う。罵倒的に物を言っても私はいいと思いますけれども、この際は御遠慮申し上げますが、しかし少し物事の考え方が逆さまである。ここをやはり自信を持って追及をいたしまして、そして今、今日社会資本のおくれというものは諸外国に比して確かにおくれておるわけでありますから、経済大国などと言われてみたり、防衛費なんというのはしょっぱなから七%ともう決めてかかっている。まことにこの考え方はおかしいと私は思うんですよ。したがって、自信を持ってこの考え方を是正していかねばならぬ、こう私は思うのでありますが、いかが考えますか。
  8. 水野清

    国務大臣水野清君) けさ閣議で了承されました臨時行政改革推進審議会の「当面の行政改革推進方策に関する意見」がございます。その公共事業の分でございますが、これは先生もお読みだと思いますが、今御指摘の点も含めまして申し上げますが、なかなか私ども意見も組み入れて、向こう側もかなり御苦心の文章を書いてくれたというふうに理解をしているわけでございます。  例えば「公共事業については、中長期的観点から社会資本整備水準を高めることは重要」だと、今先生のおっしゃったようなことも言っているわけであります。ただ、「現在の厳しい財政事情を考慮し、限られた事業費の重点的・効率的配分」をして使えと、こういうふうにも言っているわけでありますし、なお非常に文章としておもしろいのは、先般私がこの委員会で読み上げましたのは、これは行革審の小委員会そのものでなくて、新聞がスクープしたものを読んだわけでございまして、それもたしか大分文章がその後訂正されているようでありますけれども、あのときには少なくとも建設国債発行する公共事業というのは何ら景気関係はないというふうに決めつけた文章でありましたが、これを読みますと、例えば「我が国経済情勢は目下回復の過程にあり、地域間、業種間にばらつきはあるものの、当面、公共事業拡大による景気刺激を特に必要」としないという、しないということは、裏返せば公共事業景気刺激策にもなるということを言っているわけでありまして、実は私ども大変苦労したのでありますが、まあこの辺の文章で妥協していくしかない。実質はこれよりも予算編成でございますからということで、私ども十分満足はしておりませんが、またきょうは閣議で決定いたしましたし、私もこれは了承したわけでございますから余りこれに盾突くわけにもいかなくなってまいりましたので、この辺で妥協したいと、かように思っておるわけでございます。
  9. 村田秀三

    村田秀三君 それに関連した物の言い方をするわけでありますが、先日新聞を見ておりました ら、いわゆる建設省のそれぞれの事業計画進捗状況が報道されておりました。さまざまありますけれども、その一例を申し上げますると、ある地方下水道事業では、終末処理場は完成したけれども管渠が未整備で利用できない。その人口全国で二百万人に達するのではないか、こう報道しておるわけですね。だから、今申し上げましたそのことと関連するわけでありますけれども、いわゆる処理場には集中的に投資をしなくちゃならないと、こう思うのです。これができましたわ、遊んでおりましたわ、これではむだな投資であるわけでありますから、これをむしろ積極的に利用できるように投資をいたしまして速やかに完成することがむしろ経済効果を高めることになるわけであります。  そう考えてまいりますと、先ほどの建設国債の話あるいは今言うところのいわゆる公共事業景気刺激云々ということと関連いたしますれば、むしろ速やかに投資をいたしまして、そしてそれを利用するということの方が、使用料は上がる、そしてまた環境は美化される、住生活は安定する、こういうことでありますから、むしろこれは中途半端にしておかないで積極的に進めなさいというのが本来の行革の私はやるべき姿であろう、こう実は考えておるわけであります。  そういう観点に立って考えているわけでありますが、これに対する所管省としての所見をお伺いをいたします。
  10. 梶原拓

    政府委員梶原拓君) 先生おっしゃいますように、下水道終末処理場ができておりましても、それにつなぐ管渠ができていない、こういうことで全国三百三十市町村、対象人口で二百万人の方がお困りでございます。私どもといたしましては、最重点でこういった施設整備を急ぎたいというふうに思っておりますが、何せ予算の制約がございまして大変御迷惑をかけておるわけでございます。今後予算要求に当たりましては、予算の増額を要求いたしますと同時に、重点配分いたしまして、管渠事業費のシェアを高める等のいろいろ工夫をいたしまして、施設整備の促進を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 村田秀三

    村田秀三君 銭がない話ばかりされますからなかなかなんでございますが、五%マイナス、こう言いながらも内容的に言えばそれぞれ収支あるはずですから、下水道も五%マイナス、こういうことにはならぬはずでありますから、そこはひとつ適宜判断をいたしまして、そしてどこに今力点を置くべきかというのはおのずからこれは定まるわけでありますから、そういう意味ではよろしく対処してもらいたい、こう思います。  それから七月十四日の毎日新聞でありますが、新聞報道でございます。これは大蔵省考え方として出されたのでありますが、公共事業費や福祉について地方自治体に対する助成を一律二〇%カットする、こう報道されております。大蔵省に聞けばこれはよろしいのでありますが、しかしきょうは特に呼んではございませんが、この間の事情を承知であれば説明をいただきたい、こう思いますし、それでよろしいのかどうか、ひとまずひとつ御意見を伺っておきます。
  12. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) 大蔵省の方から、今までの私たちの事務的な折衝の中で、非公式でございますが、非常に財源が苦しいので補助率をある程度いじることはできないだろうかといったような御相談が内々にあったことは事実でございます。ただ、その際、一部の新聞報道にありますように二〇%とかそういったことではございません。何とか考えられないだろうかというような打診でございましたが、私どもといたしましては、公共団体財政負担ということもございますし、補助率というものは、やはり長い歴史の中からその事業性格あるいは緊急性公共団体負担能力等々を勘案いたしまして定められてきたものでございますので、単に事業費確保という観点からだけでこれに応ずるわけにはまいりませんので、強くお断りを申し上げております。現在のところ、そういう状況のままでございます。
  13. 水野清

    国務大臣水野清君) ちょっと補足をさしていただきます。  実は昨夜来、本日の概算要求基準の設定に至るまで、大蔵大臣と私とで二度にわたって閣僚折衝をしたわけでありますが、その中で大蔵大臣から、いろんなやりとりがございますが、最終的に道路特定財源及び住宅金融公庫の補給金については、現段階で――現段階というのはきょう今日と、こういうふうに御理解いただいていいと思いますが、解決策を見出すことは困難であると、私どもはこれはちょっと別にしろと、別途にしろという話をしたわけでありますが、今ここでイエスともノーとも言わせないでほしいと、ただ、今後予算編成段階で別途検討するということにいたしたいと、こういう回答を得ております。また、さらにつけ加えまして、これらの特殊性十分理解をしておるので誠意を持って対処するつもりであると、こういうふうに言っておりますので、またさらに、その他の公共事業についても、これはもちろん先ほど御質問がありました下水道を含めての話でありますが、内外経済情勢を見きわめつつ適切に対処したい、非常に抽象的でありますが、その辺の話がありましたので、本日の概算要求基準を決める閣議において合意をしたわけでございます。  そこで建設省としましては、今後、まさに大蔵大臣の言葉のように、内外経済情勢を見きわめつつ六十年度予算編成に向けて公共事業費確保に最大の努力をしていこうと、このためには、大変恐縮でありますが、自由民主党の諸先生だけでなくて、各党の諸先生の御支援、御尽力もいただきながらいずれにしても事業費確保努力をしていくつもりでございますし、大体十二月の予算編成期までこの努力を続けていくつもりでございます。
  14. 村田秀三

    村田秀三君 ひとつぜひよろしくお願いしたいと思います。さなきだに地方自治体財政はここ二、三年来、本当にあれやこれやみんな切られてきておる。そういう事態の中でまたこのような措置がとられたら、地方はもう仕事できませんよ、率直に申し上げまして。そういうことでひとつ頑張っていただきたいと、こう思います。  ところで、それと関係するわけでありますが、七月の十三日に、自治省事務次官から各省庁事務次官あてに六十年度の地方財政措置についていろいろお願いをしたい、こういう公式文書が出ております。これは毎年こういう措置がとられておったのか。自治省もこういうさなかに随分思い切った物の言い方をするなと、こう思ったりもしているわけでありますが、この内容を見ますと大別して、各省庁にわたっておりますが、建設省にかかわる部分としては十一項目、それぞれの項目の中で二つか三つくらいずつ具体的な例が書かれておるわけでありますが、今これ時間もございませんから一々読み上げはいたしませんが、これに対して建設省としてはどう対応をされるのか。前段のお話もございます。あらあらの気持ちはわかるつもりでございますけれども、改めてその点についてひとつ方針を伺っておきたい、こう思います。
  15. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) 昭和六十年度の予算編成をめぐりまして自治省から各般にわたる御要請が参っておるわけでございますが、建設省といたしましては、私どもが担当しております公共事業効果的、効率的な執行ということを基本に据えまして、また一面、地方財政健全化ということも十分考えながら、今後の予算編成に当たりまして十分検討さしていただきたいと思っております。
  16. 村田秀三

    村田秀三君 十一項目ございますけれども基本とする考え方対応の仕方は今のお答えであろうかと思います。  具体的にこの際五点ばかりお伺いをしたいと、こう思うのでありますけれども下水道下水道と言って、私、特別下水道屋になったわけではございませんが、第一に「下水道整備事業に係る国庫負担制度改善等」について、そして「公共下水道管渠に係る国庫負担対象範囲適正化を図られたい」あるいは「終末処理場及び根幹的管渠等に係る国庫負担金分割交付制度については、 速やかに解消するとともに、既存の下水道事業債特別分に係る利子に対する国庫負担金については、所要額確保されたい」、こう言っておるわけであります。  第一番目にこれを持ってきたところに大きな意味があろうと思うのでありますが、私どももいろいろ聞いております。東京都の問題にかかわって申し上げましても、補助金は去年打ち切られた、将来どうするんだと、こういうようなことを実は私は東京都の管理者にもお会いをいたしましてその実情についてお伺いをいたしました。地方に参りますると、これは本当に年度がどんどんどんどんおくれておる。あっちこっちに工事はされておる。がしかし、いつまでたってもつながらないから、これは鉄道と同じでございまして、家なら半分できても、じゃ半分に入っているかなどということはできるのでありますけれども、これはできない。ということで、いわゆる自治体行政不信につながっておるという話もよく聞くわけでありまして、そういう意味では、まず着手した工事計画年度内にこれを仕上げるというやはりかたい決意と財政措置が私は必要であろう、こう思っておるわけでありますが、この第一項目についてその考え方をひとつお聞かせいただきたい、こう思います。
  17. 梶原拓

    政府委員梶原拓君) 御指摘のとおり、下水道整備につきましては、地方財政との関係もあり、国庫補助のいかんが大きな決め手でございます。したがいまして、この自治省からの要請の第一点、公共下水道管渠に係る国庫補助対象、その事業比率、ただいま指定都市が四五%、一般都市が七五%ということになっておりますが、従来からその改善に努めてきたところでございます。今後も、大変厳しい財政事情のもとではございますが、事業費確保という要請も考えながらさらに検討を加えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから自治省からの要請の第二点でございますが、国庫補助金の分割交付制度。これにつきましては、御案内のとおり昭和五十年度から公共下水道事業につきまして適用してまいりました。下水道事業の推進にそれなりの大きな役割を果たしてきたというふうに私ども認識しております。しかしながら、この制度は財政の緊急避難的な措置であるということで始めたわけでございまして、したがいまして昭和五十七年度からその発行額を逐次減少してまいりまして、昭和五十九年度におきましては二千億を割り、一千億台にまで抑制したわけでございます。さらに、今後とも財政状況等を勘案しながら努力してまいりたいというふうに考えております。  なお、関連します利子に対する国庫負担金所要額確保という要請もございます。この点につきましても同様にさらに検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  18. 村田秀三

    村田秀三君 次に、「治水事業に係る国庫負担制度改善等」、こういうことでございます。特に、「河川改良工事の施行等通常の維持管理を超える程度の管理を必要とする準用河川については、適用河川への指定を促進されたいこと。」と、こういう項目があるわけであります。この治水事業全般についてもそうでありますけれども、これについてひとつお答えをいただきたいと思います。
  19. 井上章平

    政府委員井上章平君) 準用河川につきましては、これは普通河川の中から市町村の指定によりまして準用河川になるわけでございますが、これらの河川はいずれも地域住民の日常生活と密接に関連する極めて地域的な小河川でございますので、その管理は、やはり私ども考え方といたしましては、市町村の手で行うことが最適であるというふうに考えておるわけでございます。  ところで、このような小河川におきましても、災害の発生等のたびに改修を必要とすることがあるわけでありますので、そのような場合につきましては、市町村の申請に応じて準用河川改修制度により補助事業として採択してきているところでございます。建設省といたしましては、準用河川改修の補助制度につきましては従来から最も力を入れているところでありまして、苦しい財政事情の中ではありますが、今後ともその促進に努めてまいる所存でございます。  現在、法適用河川、決河川の改修の進捗状況が御承知のように非常に低率にとどまっていることを考えますと、これら小河川を決河川に昇格いたしまして、これらの他の決河川の後ろについて改修事業予算を待つよりは、このまま準用河川の制度を利用いたしまして、ただいま進めておりますような準用河川改修で事業を進めてまいった方がより有利な場合も当然考えられるわけでございまして、その辺を勘案いたしますと、準用河川は準用河川のまま、いろんな管理面から考えましても進めていった方が適当ではないかというふうに考えている次第でございます。
  20. 村田秀三

    村田秀三君 次に、「宅地開発等に伴う関連公共公益施設整備に係る制度及び運用の改善」、こういう項目がございます。  これは、私ども地方へ出てまいりましてよく目にするのでありますけれども、民間の開発業者が一定区画の許可を受けた開発を行うという場合に、義務的に一定の空間に緑の地域を設定する、こういうことがあるようであります。これは、言ってみれば公団であれば公団が責任を持ってやる。もっともその経費は家賃やあるいは分譲価格に波及しておるのかもしれませんけれども、しかし民間の開発業者がいわゆる義務づけられる、全くこれ民間が独自でやるわけでありまして、それがまたそのままいわゆる住宅の購入費の中に恐らく加算されておるものと私は思います。  こういうようなことを考えてみますと、やはり公益的な施設であるならば、これは何らか公共的な一〇〇%の助成をして差し支えないのではないか、こんなふうにもかねがね思っておったのでありますが、そういう意味だと私は理解して申し上げているわけでありますけれども、これに対する考え方はいかがでございますか。
  21. 吉沢奎介

    政府委員(吉沢奎介君) お答えいたします。  住宅宅地関連公共施設整備促進事業というのがございます。この事業性格は、ただいま先生指摘ございましたように、新しく開発される宅地、団地等におきまして、公共的な施設はなるべく国、地方公共団体の負担において行い、民間に負担をかけさせないようにして、建物の価格その他に反映させないようにするという趣旨からこういう事業が行われているわけでございます。  なお、自治省の御指摘といいますか、自治省の要望は二つございまして、一つは、この促進事業の法的な位置づけを明らかにしてほしいというのが一点でございます。それからもう一点は、この事業を円滑に促進されるよう改善を図ってくれというのが二点目でございます。  私ども考え方でございますが、住宅宅地関連公共施設整備促進事業と申しますのは、昭和五十三年度から建設省が定めました制度要綱に基づいて実施しておるところでございまして、補助の形といたしましては、いわゆる予算補助でございます。その執行につきましては、道路、河川等各公共事業一般と同一の補助内容あるいは同一の手続によってなされているわけでございます。自治省におかれましても、この事業の必要性でありますとか重要性につきましてはっとに御理解をいただいているわけでございます。  ただ、この事業の法的な位置づけを明確にせよというのが第一点のお話でございますが、これらの事業によって、例えば道路に関連する事業によってでき上がります道路あるいは河川に関連する事業によってでき上がります河川というものにつきましては、それができ上がった後には道路法上の道路になり、河川法上の河川というようなことになりますところから、この事業性格というのは、やはり道路事業、河川事業に準じた事業であるというふうに考えているわけでございます。  この住宅宅地関連公共施設整備事業というのは、これを促進していく場合に、一般道路、河川、下水道というような事業につきましても、まずそれの導入を図っているわけでございまして、 導入を図った後、これを補完する形で機動的に実施するものでございます。したがいまして、あらかじめ法的な位置づけというものをもって計画的に実施する本来の道路事業、河川事業と全く同様に扱うというのはいささか難しい点があろうかと考えておりますが、こういう点につきまして、なお自治省の御了解を得たいというふうに考えております。  また、後段の点でございますが、住宅宅地関連公共施設整備促進事業は、昭和五十三年度以来逐次増額を図っておるところでございまして、また本年度は対象団地規模要件も緩和をいたしておるところでございます。今後とも住宅建設に伴う公共施設整備が円滑に促進されるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
  22. 村田秀三

    村田秀三君 次に、「法定外公共財産の法的位置づけ等」について、こういう要望の項目がございます。これなんかも地方自治体に参りまするといろいろなことも聞きますし、また私どもの周辺地域の中でもその帰属をめぐっていろいろ住民から意見が出される場合もあるわけでありまして、これに対するひとつ対応はどうなされるのか、伺ってみたいと思います。
  23. 高橋進

    政府委員(高橋進君) 御指摘の法定外公共財産の管理のあり方につきましては、その実態の把握に努めるように努力しておりますと同時に、法的措置の必要性につきまして、関係方面の御意見も十分に承りながらいろいろ慎重に検討しております。関係行政機関あるいは地方公共団体関係の方々等とも一緒になって検討を数年前からしておるのでございますが、現段階のところ、まだ法制定の問題につきましては結論が得られていないというのが現状でございます。  今後ともなお進めてまいりたいと思いますが、実際上の措置といたしましては、建設省といたしまして関係地方公共団体の協力を得まして、用途廃止及び引き継ぎの促進、それから二番目に市町村道の認定、都市下水路、準用河川への指定等、三番目としまして開発行為の実施等をとらえた代替施設の設置等による整備の促進、四番目としまして国有財産に関する事務の市町村長への再委任の促進というようなことを進めることによりまして、法定外公共財産の適正な管理に努めているところでございます。
  24. 村田秀三

    村田秀三君 次に、「地方公共団体道路目的財源の充実」、こういうことであります。「第九次道路整備五箇年計画の円滑な実施を促進するため、地方道路目的財源の充実を図られたいこと。  特に、地方の生活関連道路整備を促進するため、市町村の道路目的財源を充実されたいこと。」と、こういう項目でございます。特に、この後段などは私ども一番関心のあるところでございまして、ひとつこれについてどういう対応をなされますか、お答えをいただきます。
  25. 田中淳七郎

    政府委員田中淳七郎君) 地方の振興を図り、国土の均衡ある利用を実現することは道路整備の重要な課題でございます。このため、第九次道路整備五カ年計画の策定時におきましても、引き続き道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法等によりまして、地方道等に対する補助率のかさ上げを行い、地方道路整備の促進に努めてまいってきておるところでございます。また、地方道路整備特定財源であります軽油引取税等につきましても、引き続き特別暫定税率を延長することとしまして、その確保を図り、地方道路財源の充実に努めているところでございます。  御指摘の市町村道につきましては、御案内のように約百万キロございまして、建設省としましては、そのうち約二十万キロを幹線市町村道として毎年毎年整備を図っておるところでございます。  以上でございます。
  26. 村田秀三

    村田秀三君 なお、そのほかにもいろいろございますけれども、主としてはただいま特別に以上御質問申し上げたわけであります。課題によりましては議論をしてみたいと思うのもございますが、しかしきょうはお伺いしておく程度にいたします。  ずっと見てまいりますと、実は私どもの考えからしてちょっとこれはどうかなと思うのは二、三点ございますが、しかしなべてこれはなかなか自治省もいいことを言いおるわいと、こういうふうに実は思っておるわけでございまして、それの実現に向けては、これは一挙に十一項目すべてをということにはならぬかと思いますけれども、逐次実現の方向で努力をしていただきたい、こう思いますし、同時にまた、その中における幾つかの問題は、別途改めて細かな資料等もいただいたり、物を申し上げる機会も持たねばならぬ、こう思っておるわけでございまして、ひとつ建設省も頑張っていただきたい、このようにお願いを申し上げるわけであります。  次に、問題を変えますが、問題というよりも、これはことしの五月の委員会じゃないかと、こう思いました。新聞記事を見ての思いつきの質問のようにも思われるかもしれませんけれども、実は大臣が中国に行きまして日中道路会議を結成されてお帰りになったということについて、私は高く評価をしていろいろと御質問申し上げたわけであります。その後いろいろと新聞報道を見てまいりますると、これは七月二十八日の新聞でございますが、単に道路ばかりじゃなくて、これは水資源から住宅の話から、大分話が広がっておるようでございますけれども、私自身は結構だと、こう思っております。  そして、いろいろと問題点をということになりますると、外務省やあるいは国際協力事業団、ここがいろいろと物を申しておると、こう聞くのでありますけれども、私らの考えからするならば、屋上屋というよりもこれは一本化調整可能なことである。つまり技術の提携でありますから、相手が設計をいたしまして、そしてあとは施行の際には国際入札をすればよろしい、こういう段取りになるのではないかと私は思いますけれども、そしてまたどのようにこれ建設省や国土庁がお考えになっておるのかは存じませんけれども、「二十七日から両省庁間で協議を開始した。水野建設相と稻村国土庁長官の了承を得て、次期通常国会に、各改正法案を一括して提出をする予定だ。」と新聞は言っております。この内容についてひとつ承っておきたいと、こう思います。
  27. 高橋進

    政府委員(高橋進君) 今先生のお挙げになった新聞の記事を私も読んでおりますが、私の承知しておる限りでは、そういったことについて国土庁でも建設省でもそういう意味での具体的なことをつかまえて検討を進めているということを外部に発表したものではないというふうに承知しております。  ただ、そこで取り上げられている問題の一般的な問題としましては、先生もう御存じだと思いますけれども建設分野における国際協力という問題は、開発途上国において最も立ちおくれている経済社会基盤施設整備を進めるとともに、建設技術の移転等をもたらすなど、その国の経済社会の安定発展に大きく寄与するものであるという意味で大いに促進する必要があるだろうという基本方針を持っておりまして、そういった観点から、去年から国土庁と共同して検討しているところでございます。それのことにつきましては、学識経験者からいろいろ御意見を伺ったり、また関係行政機関とも去年からいろいろ協議しておるところでございますが、今後基本的にその政策、そういったことについて詰めてまいりたいと思っておるところでございますけれども、来年度法改正するとかそういったようなことも含めまして、今鋭意検討中というところが正直なところでございます。
  28. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 水野建設大臣、今のことについて答弁してください。
  29. 水野清

    国務大臣水野清君) 今、某紙の七月二十八日付の記事を読んだのでございますが、率直に申し上げますと、まだこの段階になっておりません。  ただ御承知のとおり、建設省、これは国土庁もさようだと思っておりますが、道路公団、水資源公団、住都整備公団などの公団、事業団がいろんな技術的な集積を持っておりますから、これを海外経済協力の点で大いに発揮していきたいという願 望を持っておることは御承知のとおりであります。  ただ御承知のとおり、今国際経済協力の問題は、外務省所管の国際協力事業団――JICAが一括してそれをやっているわけでありまして、その辺で若干各公団、事業団の技術者の方々がどうも隔靴掻痒の感があるということで、省内でいろんな議論をしているということは事実であります。しかし、次の国会に向けましてこういう公団法、事業団法を改正していくかどうかという問題については、もうひとつまだ省内で方針を固め切れないでいるということが一番今正しい現状でございますので、ちょっと新聞記事を書いた記者には気の毒でありますが、御了承いただきたいと思います。
  30. 村田秀三

    村田秀三君 国土庁長官がまだ来ていないようですね。あと一問だけ残っておるわけでありますが、後で来るそうでありますから、その際に時間を譲りまして、ここで中断をしておきます。
  31. 青木薪次

    委員長青木薪次君) では、国土庁長官の来たときに一問だけ村田委員に発言を許します。
  32. 馬場富

    ○馬場富君 質問に先立ちまして、先般の委員会質問いたしました名古屋環状二号線の推進につきましては、先般水野建設大臣並びに道路局長には大変御多忙の中をいち早く現場視察をいただきまして、地元愛知県、名古屋市も大変喜んでおりますし、地元の一人として心から厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  今後とも、ぜひこの推進につきましては強力にお願いしたいと思いますが、視察を終わりまして、大臣の御感想を一言だけ賜りたいと思います。
  33. 水野清

    国務大臣水野清君) 御承知のとおり、先般名古屋地域を視察さしていただきまして、特に名古屋市の周辺を取り巻く環状二号線の現状と、それから名古屋港の入り口にほぼ完成をしかけております西大橋の両所を主として拝見をさしていただきました。この西大橋は、御承知のとおり環状二号の一部になるわけでありますが、全部で約一兆一千億になる大事業でありまして、そのまた一部しか着手をしていないというような現状で、公共事業費、特に名古屋地区における道路予算の緊急度ということについて大変理解をさしていただいたわけでございます。  特に、名古屋におきましては、名古屋港が一種の物資の集積所でありまして、その集積をして海外へ輸出するものにしましても輸入するものにしましても、日本の産業道路である東名あるいは名神の高速道路にそういう何といいますか、産業生産物を載せていかなきゃならないのでありますが、そのコネクションが非常に悪いと、地元からも大変そういう強い要請を受けまして、それが名古屋経済にとって大きな障害になっていると、何とか早く二号環状だけでもいいから早期に完成をして、名古屋港という一種の物流の基地とそれをつなぐことによって名古屋経済を伸展させたいというような御要望もありましたし、私もそういうことをつくづく感じたわけでございます。今後とも、役所を挙げて地区の皆さん方の御要望にこたえていきたいというふうに思っております。
  34. 馬場富

    ○馬場富君 次に、住宅政策の諸課題について質問いたします。  五月八日の当委員会で住宅政策について若干質問いたしましたが、本日は、当面の住宅政策の諸課題について何点かお尋ねいたします。  まず、来年度予算編成概算要求枠の取り扱いが大きな政治問題となっておりますし、先ほども大臣からも説明がございましたが、住宅局にとって予算編成上の最大の課題は、何といってもやはり住宅金融公庫の利子補給金問題であると思います。昭和五十七年度の住宅金融公庫法の改正で、本来補給しなければならない補給金の一部を特別損失金として繰り延べることができることになったわけでございますが、今年度の繰り延べ額は千四十五億円に達しております。六十年度に新たにふえる補給金はどのくらいの予算になるか、まずお尋ねいたします。
  35. 吉沢奎介

    政府委員(吉沢奎介君) お答えいたします。  御指摘のように、住宅金融公庫の補給金が今度の予算編成の最大の問題になっております。六十年度どのくらいになるかというお尋ねでございます。いろいろ条件がございまして、条件を仮定した上で試算をしているわけでございますが、その結果によりますと、おおよそ四千六百億円ぐらいになるのではないかということでございます。
  36. 馬場富

    ○馬場富君 現行法では、さきの繰り延べは五十九年度までの措置と、三年間となっておるわけでございますが、六十年度に新たなやはりふえる約千七百億円の補給金はどう予算措置される考え方か、お聞かせ願いたいと思います。
  37. 吉沢奎介

    政府委員(吉沢奎介君) お答えいたします。  ただいまの段階で私ども結果としてどういうふうに措置するかということを申し上げる段階にないと思うわけでございますが、住宅対策の六十年度の概算要求につきましても、今般閣議決定されました概算要求基準に従いまして要求するということになるわけでございます。しかしながら、金融公庫の補給金関係で大幅な増高が、今御指摘ございましたように千七百億円程度の増高がございますところから、これをどのように措置するかということで、既存の住宅対策費の中でこれを措置いたしますことは事実上困難ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。これから年末の予算編成時までの間におきまして大蔵当局とも十分に詰めまして、その結果措置いたしたいというふうに考えております。
  38. 馬場富

    ○馬場富君 建設省は増加分については別枠にしたいようでありますけれども、先ほどもちょっとお話が出ておりましたが、やはり大蔵当局は、他の歳出を厳しく抑制するという関係上、公庫のみを聖域として認めるということは困難な状況だと我々も見ておりますが、この公庫法の特別損失規定のあとは再延長しか実は方策はないと考えるわけですが、ここらあたりの問題はどうでしょうか。
  39. 吉沢奎介

    政府委員(吉沢奎介君) 申し上げましたように、これから年末の予算編成までの間に十分詰めてまいりたいと思っております。大蔵当局におきましてもこの問題の深刻さというものは十分に理解をしていただいておりますので、これから編成時までの間になお十分な御理解をいただいて、何らかの財政上の適切な配慮が得られるように努力してまいりたいと思います。なお、その結果繰り延べというようなことが出ました場合は、これは金融公庫法の改正につながることもあり得るということでございます。
  40. 馬場富

    ○馬場富君 国の一般会計からの補給金はここ三年間で二千八百億円台に抑えられておりますが、今後も現行の無抽せん融資対象五千万戸の体制を維持しつつ、補給金を現在程度に抑え、これと本来必要な額との差を特別損失金として繰り延べていくとすると、将来の公庫支出は完全にパンクするという状況になるわけですが、ここらあたりのところについてはどうですか。
  41. 吉沢奎介

    政府委員(吉沢奎介君) 御指摘のございましたように、シーリングと申しますか、に、現在の二千八百六十三億という補給金の計上されております額を上回るものをすべて繰り延べしてまいりますと、金融公庫の負債といいますか、は、莫大なものになってまいります。そういたしますと、先生指摘のように金融公庫の健全な経営が破綻いたすということにもなりかねないわけでございまして、ぜひそういうことにならないように財政当局にお願いをしてまいりたいというふうに思っております。
  42. 馬場富

    ○馬場富君 ここで、この補給金問題が、額の増加とともに住宅金融公庫のこれからのあり方についてやはり方向性を大きく変えようとしておるという段階に来ておると思います。予算どこの住宅金融公庫の補給のあり方についての一つは限界が来ておるということを感じます。  過日も新聞等の報道に、公庫の財政状況の改善のために、財政当局は貸し付け金利の引き上げを含め、融資政策全般についての大幅な手直しを検討し、その旨を建設省要請したとの記事がございました。財政当局からの見直し要請は本当に来ているのかどうかという点と、また建設省として はこの補給金問題の解決をどのように今後考えていくかという点について御答弁願いたいと思います。
  43. 吉沢奎介

    政府委員(吉沢奎介君) 先生ただいまお話のございました、財政当局からの金利の引き上げでございますとかあるいは事業量を減らせというようなお話は、新聞では拝見いたしましたが、財政当局から私どもの方へ直接要請の形で参ってはおりません。  それで、私ども考え方でございますが、国民が良質な住宅を求めるという需要はなお旺盛なものがございます。現在の住宅建設の伸び悩みの主な原因は、国民の住宅を取得する能力とそれから住宅の取得価格、この間に乖離があるということが最大の原因であるというふうに言われております。公庫の低利の融資というものは、この国民の取得能力を向上させるために最も有力な手段であるというふうに考えているわけでございます。したがいまして、公庫の貸し付け金利につきましては、既に五十七年度において段階金利制を導入するというような抜本的な見直しも行ったところでございますし、今後とも融資の効率化に努めるといたしましても、現下の諸情勢から見まして、金利の逆ざや解消のために金利を引き上げるというようなことはなお慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。また、事業量の減少につきましても同様でございます。
  44. 馬場富

    ○馬場富君 ここで大臣にお尋ねいたしますが、公共事業を促進するに当たって来年度の公共事業予算の増額は重要な課題でございますが、先ほどもそこで御答弁がございましたが、特に住宅金融公庫の利子補給問題、それからさきの委員会で私が取り上げました道路財源道路事業の問題は最重要問題であると思いますが、建設大臣は昨日、大蔵大臣との概算要求基準をめぐっての折衝の中で最終的調整をされたようでございますけれども、それは先ほどの答弁にもございましたが、新しい別枠は一切認めないが、別枠要求の二項目については現段階で決めるのは困難なために予算編成で別途検討するというような報道等もありましたし、大臣もそのような意味を先ほどおっしゃいましたが、この点についてはどのように理解され、また今後年末の予算編成に向かってどのようなお考えで対処されるか、大臣考え方をお伺いいたしたいと思います。
  45. 水野清

    国務大臣水野清君) 先ほども申し上げましたが、昨夜の大蔵大臣と私との間の二度にわたった折衝におきまして、大蔵大臣から、道路特定財源及び住宅金融公庫補給金については、現段階解決策を見出すことは困難である、しかし今後予算編成段階で別途検討することとしたいと、これらの特殊性は――これらといいますのは道路特定財源と金融公庫の補給金でございますが、この二者の特殊性十分理解をしており、誠意を持って対処すると。誠意を持って対処するという言葉に対しまして、私どももその話を信頼して、十二月の予算編成までにこの問題を解決していきたいと、こう思っているわけでございます。  さらに、大蔵大臣の言葉はつけ加えまして、その他の公共事業についても内外経済情勢等を見きわめつつ適切に対処したいという旨の回答を得ているわけであります。  そこで私どもは、来年度予算編成の中で最大の問題でございました住宅金融公庫補給金がこの八月末の概算要求の中では浮かんでまいりませんが、その後において、御承知のとおり、これちょっと言いにくい話でありますが、自由民主党の政調会長と中曽根総理との間の、いわゆる予算編成に対しては自由民主党の政調の主導型で予算編成をするという話し合いもございますし、また各党からもいろんな御支援を得ておりますし、そういった背景のもとにこれだけのやわらかい態度が出てきたと、こう思っております。  ただ、本日決定をいたしました概算要求基準というものについては、これはやはり私どもも内閣の一員としまして、全体として行政改革・財政再建という一つの方向を内閣としては堅持したいわけでありますから、同時にそれは御協力を申し上げたと、こういうような事情でございます。
  46. 馬場富

    ○馬場富君 次に、建設事業の不況対策について質問いたします。  最近、建設業の倒産が急増しておりまして、五十八年度はついに過去最高を記録したのが現状です。また、建設工事にかかわる紛争も地方で目立ってふえてきております。建設省は最近の倒産、紛争の事情をどのように把握してみえるか、また地域的動向を含めて説明願いたいと思います。
  47. 高橋進

    政府委員(高橋進君) 御指摘のとおり、倒産件数が非常にふえております。昭和五十八年におきます倒産は五千五百九十七件でございますが、そのうち中小建設業は五千五百八十八件ということで、ほとんどもう中小建設業でございますが、負債総額が五千八百七十五億ということで、前年に比べまして件数で一六・五%、負債総額で三一%増加しております。  地域別に見ますと、全体に占める比率で見ました場合には、関東ブロック二三・五、九州ブロック一五・八、近畿ブロック一二・一と、絶対数ではそういうようなことでございますけれども、前年比での伸びで見ますと、近畿ブロックを除くすべての地域で増加しておりまして、特に北陸ブロックは五〇・三%の増、東北ブロックは三八・二%と非常に高くなっておるわけでございます。  これの原因につきましては、景気変動による販売不振等いわゆる不況型倒産、経営者の放漫経営とかそういったものではなくて、不況型の倒産の比率が六四・二%ということでございまして、五十五年ごろまでは五四、五%というものが、去年あたりでは非常に不況型の倒産が多くなっているというのが実情でございます。
  48. 馬場富

    ○馬場富君 建設産業というのはもともとやはり過当競争であったところに実は問題点があるわけですけれども、この五年間の公共事業費の据え置きやあるいは民間建設投資の伸び悩みが、非常に需要が減退して競争の激化という問題を引き起こし、ここから倒産や紛争が多発しているということはもう火を見るよりも明らかであるわけです。現に、倒産企業の六割以上が受注不振によるということも、今説明にありましたように不況型倒産であるわけですから、こういう点でこの悪循環を断ち切らなければならないが、建設省としては重点をどういう点に置いてこの対策を考えてみえるか、御説明願いたいと思います。
  49. 高橋進

    政府委員(高橋進君) 当面のといいますか短期的な措置としましては、例えば昨年末に建設業保証会社等の協力を得まして、経営が不安定になっている中小建設業者等に対しまして緊急融資を行ったこと、あるいはことしの六月、中小企業信用保険法に基づきます倒産関連特例保証制度におきます不況業種というものがございますが、それの指定期間を延長するといったような措置をとっております。また、発注サイドの立場では、これは例年のことでもございますけれども工事発注等の官公需に関しまして、指名競争契約等におきまして中小企業の受注機会の増大を図るといったような指導をやっておるわけでございます。  なお、若干中長期的な対策としては、中小建設業の企業体質の改善強化を図るための中小企業近代化促進法等に基づきます業種別の近代化の推進とか、協同組合等の活用による中小企業者の共同化とか、そういった施策を推進しております。いずれにしましても、基本的な問題としましては、建設投資の中で公共投資の占める割合というものは非常に大きいものでございますから、それの必要な投資額の確保ということも必要であることは先生の御指摘のとおりでございます。
  50. 馬場富

    ○馬場富君 この問題につきましては、従来のような金融措置を中心とした対策、あるいは元請、下請関係の合理化や下請代金の支払いの適正化等についての一片の通達だとか指導では効果的な対策ということはできないと思うんです。そういう点で、公共事業費の抑制が中堅企業にまで大きな打撃を与えている現状を考えてみたときに、やはり基本に立ち返って公共事業費拡大を図ることが一つは先決である。その上に立って不況の深刻 な地域への事業費の重点配分、さらには中小企業への受注機会の拡大等を実施するということも私はできてくると思うんです。だから、量がなければこれもできない問題です。  そこで、倒産、紛争が多発している現状を踏まえて、あるいは前倒しとかあるいは重点配分等公共事業の執行についての、そういうやはり対策的なひとつ方針をお聞かせ願いたいと思います。
  51. 豊蔵一

    政府委員豊蔵一君) ただいまの中小企業対策でございますが、まず第一には、本年度の上半期におきますところの公共事業等の事業の執行につきましては、本年四月十七日の閣議決定によりまして、「内需の振興に資するような執行を行う」、また「景気の動向に応じて機動的・弾力的な施行を推進する」と、こういうふうに定められておりまして、私ども建設省関係事業につきましては、各公共団体意見をも十分踏まえまして、上半期におきまして相当の前倒し執行を行うことといたしております。  それからまた、これらの発注におきまして中小企業への発注比率を高めていくということにつきましては、去る七月二十四日であったかと思いますが、閣議決定によりまして、関係の官公庁におきますところの中小企業に対する発注比率を昨年度よりさらに一歩進めるという形で定められておりますので、私どももそれに従いまして今後の中小企業への発注を進めてまいりたいというふうに考えております。
  52. 馬場富

    ○馬場富君 ここで大臣に、最近この問題につきまして、公共事業費のシーリングについては積極財政路線と行政改革路線と、こういう問題についての議論閣議の中でもあるというように聞いておりますが、この問題について建設大臣はどのようにお考えか、それから先ほどの質問の前倒しとか予算の中の重点配分等についての公共事業の推進については、景気対策等についてもどのように考えてみえるか、お聞かせ願いたいと思います。
  53. 水野清

    国務大臣水野清君) 行財政改革が現下の重要な課題であるということは申すまでもございませんし、御理解をいただけることと思います。そして、社会資本計画的な整備をしかし同時にしなくてはならない、そのための公共事業費確保をして、安定的に年次を追って社会資本の蓄積をやっていかなきゃならないということでございますが、御承知のとおり、それが各種五カ年計画にも、いわゆる財政改革といいますか、財政再建の形で行われておりますマイナスシーリングがいろんな形で影響していることも事実でございます。  この間において私ども建設省は非常に苦慮をしているわけでございますが、今後の問題は、来年度予算編成に際しましては先ほど申し上げましたようにこれから十二月にかけて精いっぱい行うわけでございますが、本年度予算も先ほど申し上げましたように前倒しを行ったと、また重点的配分を行ってこの経済効果というものが生まれるようにということで配慮もしてきたわけでございますが、なお、ただいま御指摘のように地方経済におきましてばらつきがあり、その地域における零細建設業者の方々が非常に仕事がなくて困っておられると、下請とかあるいは金融とかいうようなことだけでもうカバーできないところへ来ているということも大変事実でございまして、これらに対しては私どももなかなか対処をしがたいわけでございますけれども、各地方自治体その他にも連絡をいたしまして、なるべくこういうものに対する政策を普及していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  54. 馬場富

    ○馬場富君 この不況対策の中でもう一つ考えられるのは、中小企業者の受注分野を確保するためにはやはり分野調整が必要だと、こう思うわけでございます。最近は建設業界内においても分野調整の必要性を主張する声も上がってきております。  そこで、政府が毎年設定しております中小企業者への発注比率の目標もある意味では分野調整であると、そのように思うわけでございますが、建設省建設業における大企業、中小企業間の分野調整についてはどのような考え方を持っているのか、また分野調整の方法としてはどのようなことを考えられているのか、建設省の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  55. 高橋進

    政府委員(高橋進君) 中小企業の分野調整という問題、先生の御質問の趣旨が必ずしもはっきりしませんが、おっしゃいますように、発注サイドでもって中小企業のシェアといいますか、契約目標というものが官公需法に基づきます措置として定められておるわけでございまして、毎年一定の率を目標に掲げ実施しておるところでございます。また、なおその場合に、いろいろ分割発注等といったようなことも実施いたしまして、その受注機会の確保を図るというような施策もとっておるわけでございます。なお、ジョイントベンチャーを活用するということもございまして、共同企業体によります施工が中小建設業者の施工能力の向上を図るというような観点から、その振興策として実施も指導しておるところでございます。  なお、大きな制度の問題といたしましては、大企業と中小企業の定義の問題、範囲を定める場合の定義の問題がございますけれども、これにつきましては、一般的な中小企業の定義のもとに分野を定めておるというのが実際のところでございます。
  56. 馬場富

    ○馬場富君 今の答弁にもありましたように、やはりその分野調整の一つの方法として、どうしても中小企業と大企業との間にジョイントベンチャー、そういう方法も考えられてくるわけでございますけれども、こういうものを見てみましても、明確な基準がないと大企業の進出が進んで中小企業の分野が侵害されるという結果になってしまうと思うんですね。この点についてはどのようにお考えですか。
  57. 高橋進

    政府委員(高橋進君) 現在の指導基準といたしましては、まあいろいろ言ってございますが、構成員はおおむね五社以内であるとか、あるいは工事の施工に当たって総合力が発揮でき、実質的な施工能力が増大するようなものであること、あるいは共同企業体の格付が構成員各個の格付よりも昇格するような組み合わせであることが望ましいと、そういうような基準を現在定めまして、このことによりまして、中小企業者が集まってやる場合に、単独よりもより大きな工事にも受注機会を得ることができると、こういう基準が定めてあります。  ただ、これ以上の基準をさらに細かく明確化することにつきましては、基本的にはこのジョイントベンチャーの結成につきましては各業者の自主性にゆだねられるべきものでございますので、より細かくすることがいいのかどうかという点につきましては疑問な点もございますので、現在の基準のところが妥当ではないかというふうに考えているところでございます。
  58. 馬場富

    ○馬場富君 ここで、建設省の中にもやはりこういう建設業者の対策の関係で構造改善を実施すべきであるという声があると聞いておりますけれども、高度成長期のような需要の伸びが今後とも期待できない状況でございますから、そうした環境変化に対応した構造に業界ぐるみで脱皮するという必要も私は考えなきゃならぬ時期が来ておるんじゃないか、こう思うわけです。この建設業の構造改善について建設省はどのようなお考えを持っているんですか。
  59. 高橋進

    政府委員(高橋進君) おっしゃいますように、今後公共投資確保ということに努力していくことにしましても、従来の高度成長のような伸びが確保できるかということについては非常に疑問点があろうかと思います。そういった将来の建設需要の全体の、民間も含めてでございますけれども投資の予測を踏まえた場合、今後どういった建設産業全体の産業構造であるべきかということが非常に問題になるわけでございまして、建設省といたしましても、来年度にかけまして、そういった中長期の観点からの需要予測に基づいて、またどういった姿がいいかということの中長期ビジョンといいますか、そういったものを勉強してまいりたい。その場合には、学識経験者ももちろ んでございますが、業界の人たちの意見も入れながら勉強して、その結果に基づきましてとるべき施策を打ち出してまいりたい、かように考えております。
  60. 馬場富

    ○馬場富君 次に、国土庁の関係質問いたします。先日発表されました水資源白書を中心にして、何点か質問いたします。  五十九年度水資源白書が二十五日に発表されましたが、この白書で特に強調される点は何か、まず御説明を願いたいと思います。
  61. 和気三郎

    政府委員(和気三郎君) お答えいたします。  本年の白書におきましては我が国の水需給の現況をまず取り上げておりまして、それによりますと、都市用水の一割近くを渇水時に取水することができない河川水に頼っている現状であります。今後の水需要の動向を踏まえて水需給の安定を図ることが必要であるということをうたっております。このためには、ダムの建設による水資源の確保、水利用の合理化、渇水時の節水等総合的な水資源対策を積極的に推進し、渇水に強い社会を形成することが必要でありますので、この点を特に強調しております。
  62. 馬場富

    ○馬場富君 その白書の中に、実は現在の水需要は、都市用水について見ると、五十年から七カ年間ほぼ横ばいの状況であるということが説明されております。産業構造あるいは生活様式、地域社会の構造等の変化、あるいは農業生産活動の変化等々を考慮すれば、今後の水需要はどのように推移するという見通しを立ててみえるか、お伺いいたします。それで、あわせまして、農業用水についても御説明願いたいと思います。
  63. 和気三郎

    政府委員(和気三郎君) 水需要の中で生活用水の使用量につきましては、昭和五十年以降年率約三%の伸び率で増加しておりまして、五十六年にはその使用量は取水量ベースで約百四十一億立方メートルとなっております。工業用水につきましては、淡水補給水量は四十九年度以降漸減しておりますが、五十六年には取水量ベースで百六十一億立方メートルとなっております。また農業用水につきましては、昭和五十六年には取水量ベースで約五百八十億立方メートルと推定されております。  今後の見通しといたしましては、生活用水、農業用水は今後とも増大するものと考えております。また、工業用水につきましても、回収率等がほぼ限界に達しております現状から考えまして、今後出荷額の増加に伴って水需要も増加する状況にあると考えております。  以上でございます。
  64. 馬場富

    ○馬場富君 そこで、新規の開発水量の実績は近年どのように推移しておるのか。また、今後の見通しはどういう状況にあるかを御説明願いたいと思います。
  65. 和気三郎

    政府委員(和気三郎君) お答えいたします。  都市用水はその約七〇%が河川から取水するようになっておりまして、その河川依存の傾向は次第に増大する傾向になっております。昭和五十六年度における都市用水の使用水量のうち約二百七億立方メートルが河川水に依存しておりまして、そのうちダム等によって開発されております水量は約百五十六億立方メートルで、これは河川水に依存する都市用水使用量の約七五%になっております。  今後の開発水量の見通してございますが、昭和五十八年度現在、本体工事中の水資源開発施設によりまして開発される水量は年間で約六十六億立方メートルとなっております。水資源開発は長期化する傾向にありますので、私どもとしては、水資源の長期的かつ地域的な動向を的確に把握しながら、計画的、先行的な水資源開発をしていかなきゃならないと考えております。
  66. 馬場富

    ○馬場富君 この白書の中で一つの点は、都市用水の一割近くが河川水が豊富にあるときだけ取水ができる、いわゆる不安定取水に依存しているということが言われておるわけでございますが、こうした状況を解消するにはどのような対策をお考えであるか、御説明願いたいと思います。
  67. 和気三郎

    政府委員(和気三郎君) お答えいたします。  この不安定取水は、先生指摘のとおり、水の需要が現在発生しておりながら河川水の水源が不安定なために取水が不安定であるということでございますが、これはダム等の水資源対策がおくれているということに起因するわけでございます。したがいまして、不安定取水の解消には、水源となるべきダム等の水資源開発施設建設を促進することが肝要と考えております。
  68. 馬場富

    ○馬場富君 特に、毎年これからの季節に起こる渇水が問題となるわけでございますが、本年の渇水の発生の見通しは現状ではどうか、また万が一渇水が発生した場合の対策は十分講じられておるかどうか、この点について御説明ください。
  69. 和気三郎

    政府委員(和気三郎君) お答えいたします。  ことしの渇水の状況でございますが、ことしの前半の降水量の状況から申しますと、平年の約六割ぐらいの地域がございまして、雨の少ない状況がございました。そのために、愛知県の愛知用水依存地域では一月から、また荒川水系の自流に依存している埼玉県の県営水道では六月から節水が実施される等の状況がございました。しかし、六月末になりましてから降雨がございまして、一部の地域を除きましてはこれが解除されております。  なおまた、愛媛県の一部島嶼地域におきましては、渇水のために断続的な給水制限が実施されているところでございますが、これも降水量が平年並みに戻りまして快方に向かっておるわけでございます。  全国的な主要なダムの貯水状況は、六月下旬からの降雨がございましたので、現在では東日本では大体ほぼ平年並み以上、それからまた西日本ではほぼ平年並みの現況でございます。  また、渇水の発生につきましては、いろいろと局部的また大規模な渇水も近年においてはあるわけでございますが、これの解消につきましては、恒久対策としては先ほど御説明申したとおり水源開発が肝要でございますが、また実際に渇水になりましたときには、水関係機関が協調いたしまして、水の運用あるいはまた公平な水の給水ができるような方法につきましていろいろと検討していきたいと思っております。
  70. 馬場富

    ○馬場富君 また、この白書の中には、工業用水は減少傾向にあるのに対しまして、生活用水は年々増加をしておるという状況が目立っております。一人一日当たりの生活水量も、五十年の二百六十八リッターから五十六年には二百八十五リッターと増加しておる状況でございます。この傾向は今後も続くと思われるわけでございますが、やはり水洗トイレとか、あるいはクーラー等の普及による影響ではあるということは、これはそれなりの意味がございますけれども、ここで私たちが考えなければならないのは、やはり水といっても有限で、大切な資源であるということですね。そういう点で、政府はこの水の使用の問題についての節水という問題についてはどのようにひとつ考えてみえるか、お聞かせ願いたいと思います。
  71. 和気三郎

    政府委員(和気三郎君) お答えいたします。  基本的には、先ほど申しましたとおり、渇水対策には、恒久対策として水源開発が必要でございますが、もちろん使う側の水の合理的な使用、また節水意識の高揚ということは非常に重要なことでございます。私どもといたしましても、大都市の地域における渇水対策についての耐力が非常に減少しつつある今日におきまして、やはり水の使用するサイドにおきましても、水に対する認識を新たにいたしまして、水の有限性あるいは貴重さというものを十分理解していただき、水の合理的な使用、また節水意識の高揚を図っていきたい。このために、私ども現在、水の日、水の週間というのを八月一日から一週間毎年さしていただいておりまして、これの理解と高揚、またその合理的な使用の促進ということに国民的なレベルで大いに御理解いただきたいと思って進めておるところでございます。
  72. 馬場富

    ○馬場富君 もう一つは、この白書に見られるように、最近の異常気象等による我が国の年間平均降雨量が一九六五年以降減少の傾向にあることが 指摘されておりますが、これは非常に重大なことであると思います。これに対する政府の考え方、対策についてお伺いいたします。
  73. 和気三郎

    政府委員(和気三郎君) お答えいたします。  最近におきまして異常気象がいろいろ話題になっておりますが、その降雨につきましても、やはり一九六〇年代以降、どうも全国的に雨が少なくなっている現象が見受けられるようでございます。これに対しましては、私どもとしては、やはり水源開発を進めていくと同時に、またそういう異常渇水時に対する対応ということで、例えばそのための異常温水時に対応するダムの建設だとか、あるいはまた水の高度運用を図ることによりまして水の耐力をつけていくような施策だとか、いろいろあるかと思いますが、これにつきましては、関係省庁ともよく連絡をとりまして具体的な施策をこれから十分練っていきたいと考えております。
  74. 馬場富

    ○馬場富君 一時に、水源対策の中で、山の樹木の影響というのが非常に最近やかましく言われておるわけです。そして、中国なんかでも、あの増水や渇水は山に樹木がないからだということはもう決定的な問題でございますが、やはりこの日本におきましても水は非常に大切な資源です。そのために、山岳地帯の緑を守るということが非常に水資源の対策の中で大きい問題ではないかと思うんです。緑と砂漠は紙一重だと言われておりますが、そういう点で、やはり山に樹木があるから雲を呼び、雨が降るんだという、識者はこういうことを言います。そういう点では、やはりこれ、山岳地帯や水源地帯に緑の必要性が特にこれは重要でございますけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
  75. 和気三郎

    政府委員(和気三郎君) お答えいたします。  やはり山に緑があって保水能力が十分機能していただくことにつきましては、非常に私どもとしてはその機能を十分認識して考えていかなければならないと思っております。そこで、私どもといたしましても、山の森林の機能が水資源の保全涵養に具体的にどう効用を果たしているかということにつきましてもいろいろ調査をさしていただいておりまして、いろいろとこれにつきましては多くの方々の御意見があるところでございますので、十分意見をお聞かせいただき、また研究いたしまして、具体的ないろいろの課題につきましての問題の解決を図っていきたいと思っております。
  76. 馬場富

    ○馬場富君 ここで、長官がちょうどいらっしゃいますので、この水資源白書が示しておりますように、年々やはり生活用水が増加しておると、一人当たりの使用量もうんとふえてきておるというような現状の中で、またいま一面、異常気象によりまして年間平均降雨量が一九六五年以降年々減少しておるという、そういう日本を取り囲む水資源の状況には厳しいものがございます。  この中で、今担当者が御説明になりましたように、これは国土庁が中心となりまして、水資源の尊さに対する一つは節水問題の国民運動とあわして、やはりそういう水源地の緑化の確保の問題が、私は大きい一つはこれから恒久的な対策として考えていかなければならぬ重要問題だと思うんですね。この点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  77. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 今、水資源部長が細かく御答弁申し上げたとおりでありますが、まあ水というものは問題があったときに初めて考えることであって、平生何もないと余り考えないものだと私は思います。そういう意味から、余り甘く見てはならぬ。そういう意味で、これから干ばつあるいは日照り等々に耐え得るように、やはり水資源の確保というものに十分配慮をしなきゃならぬと。例えば、確保に配慮すると同時にやはり節水と、こういう問題についても十二分に注意を払わねばならぬと。特に緑化の問題ですが、やはり緑というのが水をつくる場合において大変な調節機能の役割を果たしますので、治山治水、こういったものについても十分な配慮をしていく必要があると、こういうふうに考えております。
  78. 馬場富

    ○馬場富君 次に、現在都市用水の――白書によりますと三割、地域によっては五割以上もが地下水に依存しておるという状況が示されておるわけでございますが、一方でやはり地盤沈下だとかあるいは地下水の塩水化等の問題が発生しておりますが、これらの障害を防止して地下水の保全を図るためにどのような対策が講ぜられておるか、御説明願いたい。また、現在の地下水に関しては、工業用水法あるいは建築物用地下水の採取の規制に関する法律、条例等々で別にこれが扱われておりますが、地下水の重要性を考えたときに、やはり地下水に関する法律につきましては統一的な法律を制定する必要があるのではないかと考えますが、大臣、この点はいかがでしょうか。
  79. 和気三郎

    政府委員(和気三郎君) お答えいたします。  地下水の利用につきましては、これは地下水のくみ上げ過剰等によりまして、そのためにいろいろ障害が起こっているところもございます。やはりそういう点では適正利用ということを図っていかなければならないわけでございますが、これにつきましての具体的な諸対策につきましては、地下水の利用状況とかあるいはまた地盤沈下の状況、地下水の依存限界等に関する調査、観測の推進などによりまして、地下水利用に関する現況の把握がまず重要であろうと考えております。それによりまして、適切な地下水採取規制と代替水の供給及び水使用の合理化等を行いまして進めていくわけでございますが、これにつきましては、関係省庁と協力して総合的な対策を推進する必要があると考えております。  そこで、今の経過でございますが、五十六年の十一月に地盤沈下防止等対策関係閣僚会議というのが開かれまして、地盤沈下とこれに伴う被害の特に著しい地域についての地域の実情に応じた総合的な対策を推進することになっております。これによりまして私どもとしては地盤沈下防止等対策要綱の策定を行っていきたいと考えておりますが、現在、これらの主要な地域につきましては、これの整備を進めているところでございます。  また、法制化すべきではないかというお話でございますが、私どもといたしましては、五十五年の五月以降、内閣官房も入りまして関係省庁の連絡協議によって調整が行われてきました経緯によりまして、まずは具体的に関係省庁の御協力をいただいて、各施策を総合した地域の対策要綱をつくっていく、それによってそれの沈下対策並びに地下水の適正利用を図っていきたいというのが現在の考えでございます。これに全力を傾注していく考えでございます。  以上でございます。
  80. 馬場富

    ○馬場富君 特に、水資源の開発については、やはり最終的にはダム建設というところに一つは焦点がくると思いますが、この点につきましても、用地の取得難とかあるいは建設の長期化という壁に突き当たっているところが随分あるわけでございます。  こういう問題に対処するためには、やはり水没関係者の生活再建あるいは地域の振興等の水源地対策ももちろん重要ではございますけれども、ダム建設に当たって利益を受ける下流地域の流域全体のレベルでこれをとらえた対策あるいは調整が私は必要となってきておると思います。そういう点について当局はどのようにお考えですか。
  81. 和気三郎

    政府委員(和気三郎君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、ダム建設を進めるにつきましては、水源地域の方々の御理解と協力を得なければなりません。また、下流で水を使う方々のそういう姿勢が必要かと思っております。そこで、ダム建設を進めるにつきまして不可欠な水源地域対策を円滑に進めていくというために、従来から、地域の基礎条件が著しく変化するようなダムの建設に当たりましては、水源地域対策特別措置法に基づく水源地域整備計画というものをつくりましてこれを推進しているわけでございますが、それには上下流の関係者の協力を得ながら、生活環境、生産基盤等に関する地域の整備を円滑に推進を図っております。また、それによりまし てダム建設の影響の緩和を図っているところであります。またさらに、関係地方公共団体で構成いたしておりますところの水源地域対策基金というのが全国で十数カ所できております。その活動によりまして、水没関係者の生活再建対策が円滑に進められておる現状でございまして、その結果、上下流の相互の理解と協力が深まりつつあると思っております。  私ども国土庁といたしましても、今後においても水特法の効果的な運用並びに水源地域対策基金の適切な運営によりまして、また、関係者の連帯感の高揚また相互理解の協力の発展を図りながら、水源地域対策の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
  82. 馬場富

    ○馬場富君 水資源の問題の最後として、水質の問題についてひとつお伺いしますが、水源地の開発については、やはり量の問題とともにいま一つ重要な問題としては水質の問題がございます。最近は琵琶湖などの特に水源地の汚染ということが随分問題になってきております。これについては、生活排水の流入等による富栄養化等あるいは水質悪化に対する技術が進んでおりますけれども、まだまだそういう点についてはカバーでき切れない状況があるわけですけれども、こういう河川の原水の水質保全のために浄化、改善の対策が必要なわけでございますけれども、この点についてはどのような対策が講ぜられておりますか。
  83. 和気三郎

    政府委員(和気三郎君) お答えいたします。  河川の水質、湖沼の水質につきましては、それを水源としております水資源といたしましてはやはり重大な関心を持っております。これにつきましては水質行政の中におきまして総合的ないろいろの施策が講ぜられていると考えておりますが、具体的には排水規制あるいはまた下水道整備等  によりまして進められているわけでございますが、私どもとしても十分これらに対して注視し、またそれぞれの総合的な対策が講ぜられるように関係各省にも働きかけ、進めてまいりたいと考えております。
  84. 馬場富

    ○馬場富君 最後に、地域問題として、建設省関係にお尋ねいたします。水資源にも関係がございますが、木曽川導水事業進捗状況について説明願いたいと思います。
  85. 井上章平

    政府委員井上章平君) 木曽川導水事業につきましては、これは木曽川と庄内川を連絡いたします延長二十二・四キロメーターの流況調整河川を建設するものでございまして、新川流域の洪水被害の防除、治川の内水被害の軽減、合瀬川、堀川等の流水の正常な機能の維持及び新規都市用水の開発と、別途木曽川上流で開発された都市用水の導水を行う目的で建設されるものでございます。  この事業につきましては、昭和五十八年度に建設に着手いたしまして、これまでに測量あるいは構造物の概略設計等の諸調査を実施いたしました。現在、事業基本計画をまとめるべく、愛知県、名古屋市等関係機関と調整中でございます。今後は、本事業の治水、利水上の重要性にかんがみ、関係機関の理解と協力を得て早急に事業基本計画をまとめ、用地買収及び水路工事に着手してまいりたいと思っております。
  86. 馬場富

    ○馬場富君 この導水問題につきましては、一つは、名古屋市内を流れる堀川というのがございますが、この堀川が大変汚染に苦しんでおるわけですが、この堀川の浄化ということも一つあわせての導入という目的があります。それからまた、先ほど説明がありましたように、新川を中心とした木曽水系の枝条河川が十七号台風等でゼロ地帯の大きな水害の原因となったわけです。そういうために、どうしても下部においての排水というのが難しいために上流においてこれをコントロールしようというのがこの導水の一つの大きいポイントでもあると思います。それからあわせまして、やはり木曽川から庄内川や堀川への導水も考えられて、利水あるいは治水になくてはならぬ事業になると思うんですね。  そういう点でやはりこれは強力な推進をお願いしたい。そして災害等の起きる前にこの問題を実施していただきたいと思うわけですが、この推進は大変おくれている現状でございますが、この点はどうでしょうか。
  87. 井上章平

    政府委員井上章平君) ただいま先生指摘がございましたように、この導水事業は新川水系の治水対策の重要な事業であり、また堀川の浄化用水としても十分機能するものと思って私どもも促進に努めておるところでございますが、ただいま申し上げましたように、ただいま基本計画の取りまとめを行っております。でき得べくんば本年度からでもまとまりましたら用地買収にかかって、大いに事業を進めてまいりたいという考え方でございます。
  88. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 先ほどの村田委員の補充質問を許します。村田君。
  89. 村田秀三

    村田秀三君 国土庁長官にお伺いいたします。  前々から半島振興、まあこれは抽象的に物を言うわけでありますけれども、その範囲で理解せざるを得ないわけでありますが、そういうお話も出ておりまして、具体的には衆議院段階建設委員会の中で各党それぞれ協議の段階に入ったと、こういうふうに聞いております。聞くところによりますると、与党もそれぞれ手続を経て法案を固めたと、こういう話も聞いております。その内容については私まだ拝見をいたしておりません。また、私どもといたしましても、やはりその案を用意いたしておるのでありますけれども、まあ案を用意するかしないかは別にいたしまして、議員立法でありますからそれぞれ合意に達しなければ出てこないと、こう思うのでありますが、聞くところによると、この半島振興法、与党の中におきましてもかなりの異論も出ておったと、こう聞くのでありますけれども、その内容についていかがでございましょうか。発表できるのかできないのかわかりませんが、これは新聞を見る限りでありますから、差し支えない範囲の中でひとつ御説明をいただきたい、こう思います。  また、この際でありますから、もう一括して質問いたしますが、長官自身これは能登半島を抱えておる出身でございますけれども、いずれこれ国土庁所管の法律になろうかと、こう思いますので、長官自身これをどのようにお考えになっておりますか、ひとつ存念をお聞かせいただきたいと、こう思います。
  90. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村佐近四郎君) 村田先生の、半島振興法の問題でありますが、大変半島は立ちおくれを来しておるということは、これは半島に住む者でなくても大体おわかりでないかと思います。そういう意味から、能登半島と言われたけれども、私は、国土庁長官として半島振興法を提起いたしておるわけであります。  そういう意味から、このままでいきますとだんだんだんだん差がついてまいりまして、私が考えておっても、もう出稼ぎが多いとか雇用の場がないとか、あるいはまた道路等々が他の地区から見れば目に見えて悪いとか、特に水資源の問題がございましたが、もちろん半島として残り得たのは、山が急であったから。あれ平たんなら何千年、何万年の歴史の中で恐らく埋没をしてしまったのじゃないかと思います。そういうような関係から、水不足である等々の関係から現在の法律の状態では救いようがないと。離島には離島振興法があり、もちろんそれは満足でないかもしれませんが、その離島振興法が大きく離島を支えておることは皆さん御承知のとおりであります。  そういう意味から私は、国土の均衡ある発展等々を考えて、この際半島振興法という法律によって日本全体の半島を支えるということが行政、政治の面においても極めて重要なことであると、こういうふうに考えまして、国民の各位に御理解をちょうだいするために半島振興法を提起いたしたのであります。  そういう意味から、いろいろ進めてまいるにつれて、行革、特に財政困難な折から、内閣提出というものはとてもじゃないが無理であるという、こういう判断を私はいたしました。そういう関係から、これが議員立法として全野党に協力を得るというような形から、議員立法という建前で今党が煮詰めておられるのであります。党の方として も大変な協力をされました。党としては半島振興委員会等々つくられて、また政府としても半島振興問題懇談会、学識経験者による懇談会を設置いたしたわけです。その中間報告でも、これは半島振興法はつくるべきである、こういう一つの答申がなされておることも御承知のとおりであります。  そういう意味から、党としても、再三再四ということよりか、むしろ連日連夜各省庁との煮詰めが終わりました。そして、これは党のことですから細かいことを申し上げるという必要はないと思いますが、まず、どの政党でもありますところの政審、党の政策審議会、ここの議を経たわけであります。それからまた総務会の議も経たわけであります。また、村田さんの党の方でも代案があるということでございますから、恐らくきょうからあすにかけての代案のすり合わせがなされるのではないかと、こういうふうに私は期待をしておるところであります。  そういう意味から、民主的なルールによって下から積み重ね、知事としては知事のそういった協議会があり、議会としても議会の協議会があり、そういったことで相当民主的に積み上がってきたものでございまして、あとは各党の皆さん方がどうこれを判断されるか、全くピラミッド型で、もう地元には地元としての大変な熱意があり、あるいは県民大会その他の形で相当練り上がってきた、言うなれば民主主義のそういう制度を重んじながら私はまとめられてきておると思いますので、あとは各党の皆さん方がどういう結論を出されるか、政府としてはその結論に従って鋭意努力をしてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  91. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、硫黄島問題と立川の飛行場の問題と吉祥寺の再開発問題、三つの問題について質問したいと思います。  まず、硫黄島問題ですが、小笠原振興の特別措置法が議題になりました三月三十一日にもこの問題を取り上げましたが、その後五月三十一日に小笠原諸島振興審議会の答申が出ました。一般住民の定住は困難で、同島は振興開発に適さないという非常に残念な結論が出ていますが、国土庁としてのこの答申に対しての対処方針をまずお答えいただきたいと思います。
  92. 田中暁

    政府委員田中暁君) 硫黄島問題につきましては、先生指摘のように、小笠原諸島振興審議会の意見具申を受けまして、政府といたしましても、小笠原諸島の振興計画におきまして「一般住民の定住は困難であると考えざるを得ないことに鑑み、旧島民に報いるための措置及び集団移転事業に類する措置を講ずるものとする。」というように定めたところでございまして、これを受けまして、現在小笠原諸島振興審議会に専門委員会を設けまして、その具体策について検討中でございます。
  93. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 「旧島民の特別の心情に十分な理解を示すとともに、これに報いるための措置」とありますね。それから「集団移転事業に類する措置」、具体的にはどういうことを考えられますか。この前私は補償問題なども質問したんですが、どういうことを考えていますか。
  94. 田中暁

    政府委員田中暁君) 「旧島民に報いるための措置」という内容でございますが、具体的には今申し上げましたような硫黄島対策専門委員会において検討していただいて結論を出していただくと、こう思っておるわけでございますが、一般的に申し上げますならば、硫黄島に対しまして、父島、母島の住民の方々と比べましても事実上帰島が制限された。かつ、あのような結論によりまして実際上帰島が将来とも非常に難しくなるであろう、こういうことがございますので、これに対するための何らかの措置を指すものだと心得ております。
  95. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あそこの土地問題は非常に複雑なんですけれども、もう帰れないということになれば、土地の買い上げその他も含まれますか。
  96. 田中暁

    政府委員田中暁君) 土地の買い上げといいますか、土地の所有権に対する補償的な措置というのも当然その中に入るだろうと思います。
  97. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 とにかく非常に残念な事態だと思うんです。  五月三十一日に答申が出た後、六月二日から六日まで父島に行ってまいりまして、父島に居住しておられる硫黄島在住者などにもお会いしたんですけれども、父島に行ってみて改めて驚いたのは、あそこもなかなか大変です。局長、今度かわったばかりなのでよく勉強してほしいんですけれども、とにかく二十三年間空白があったわけですね。だから、父島の人口も戦前七千あったのにまだ千九百で、農業も漁業も本当に大変です。村自身も、小笠原の振興開発が今本当に壁にぶつかっているということで非常に悩んでおりますけれども、まして硫黄島に至っては、あそこでは二万名の玉砕それから米兵も六千七百名戦死と、非常に悲劇の島ですよね。  今度の答申は、理由としては火山活動の問題、それからコミュニティーがつくれない、産業上の困難があるのでということが理由になっておりますけれども、私この委員会でも何回も指摘しているように、その背景には、国土庁は何も言わないけれども、シーレーン防衛のかなめとしての硫黄島の基地化があるんですね。まさに要塞島になろうとしているという状況がありまして、だからあの悲劇の島が、また改めて新たにあれから約四十年近くたって再び軍事要塞になろうとしている。そのことのために島民の帰島も許されないという状況になっていると思うんですね。この点、非常に私は残念に思う。  それで、しかし旧島民の方々は非常に今度の答申に対しては怒りを表明しておられます。抗議文ももう既に出ていますが、この抗議文にも書いてありますけれども、「われわれは、あらゆる困難を克服して、財産権を正当に保障するため帰島の手段をとる。」と、六月一日の抗議文。六月三十日、各建設委員のところに配付された「帰島問題について」という帰島促進協議会会長赤間孝四郎さんの文書では、「自主帰島以外にはない結果となりました。」と、「疎開旧島民は、硫黄島で生れ育った経験から定住できる自信があります。」と、そう述べておられます。  ここに私が持ってきた写真は、先日の墓参団に赤旗の記者が一緒に行ってまいりまして撮ってきた写真なんですけれども、これを見ますと、人間が住めないなんというのは到底言えません。遠くて見えませんかもしれませんが、二階建ての建物がずらっとあります。これは自衛隊員の隊舎です。二百八十名今住んでいる。これが宿舎です。だから、火山活動がどうこう言っても、こういう立派なコンクリート二階建ての隊舎がずらりと並んでいて、二千六百五十メートルの日本で最大の飛行場がコンクリートででき上がっているというところなんですね。ですから、島民の方々が戦前千二百名住んでいたという事実、現に自衛隊員が二百八十名住んでいると。これが本当にF15またP3Cの作戦基地にでもなりますと、もっともっと住む。居住し、訓練し、演習する大変な基地になることは明白なんですね。  それで、政府としてはあそこに村づくりをするつもりはないということなんでしょうけれども、島民が自主帰島をすると、もう既に計画が練られているようなんですけれども。そういう際、私が前に質問したように、憲法上の居住の自由に従ってあそこに人々が住むわけで、それに対して政府としてどういう態度をとるのか。私は当然必要な措置を国土庁として先頭に立ってとるべきだと思いますけれども、どういう援助をそういう場合にされますか。
  98. 田中暁

    政府委員田中暁君) 旧島民の方々が自主帰島なさる、こういう動きが具体的に出てまいりました場合におきましては、我々としてとるべき方法といたしましては、小笠原諸島振興審議会の結論につきまして十分旧島民の方々に御説明を申し上げ、御理解をいただくということが一番大事なことであると思います。  また、小笠原諸島というものに対する愛着というものは我々としても十分理解しておるところで ございますので、せめて父島あるいは母島で定住をしていただくようにということで、そういう御希望がまとまりますれば条件整備を急いでまいりたいと考えておる次第でございます。
  99. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 集団移転事業に類する措置というものは、父島、母島にということなんでしょうけれども理解をしていただくというのは、ぜひ無理な帰島をしないでほしいということなんでしょうけれども、私が父島でお会いした旧硫黄島在住者の方も、私はどうしても島に戻るというかたい決意を私に表明されていた方もいらっしゃいました。  ですから、あなた方は理解していただくと言うんだが、本当に帰島された場合、あなた方の説得、やめろやめろという説得にもかかわらず帰島された場合、どういう援助をするおつもりですか。
  100. 田中暁

    政府委員田中暁君) このほどまとまりました計画でも、定住には不向きであるというのが公式の考え方でございます。我々国土庁といたしましては、あくまでも事前に御説明し、説得する、御納得をいただくということが唯一の方法であると考えております。
  101. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これ押し問答になりますのでやめますけれども、やっぱり国土庁が、これまでの経過からいっても、行政責任としてそういう際の措置を当然考えておくべきだということを一言申し上げておきたい。  それから防衛庁にお伺いします。  この答申には、最後のところで「今なお残存する遺骨をすみやかに収集し終えることはもちろんのこと、」と書いてある。防衛庁はあそこに飛行場のいわば新設ですね、昔の飛行場はアスファルトであったのに、今度はコンクリートで二千六百五十メートルの滑走路ができている。墓参団で現場を見た方々も、この滑走路をコンクリートでつくるときに遺骨は一体どうなったんだろうということを皆さんが当然のことながら言われていたと申しますけれども、あのコンクリートの分厚い滑走路をつくるときに遺骨その他の処理はどうされましたか。
  102. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 防衛庁いますかな、防衛庁。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  103. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 速記を起こして。
  104. 大原重信

    説明員(大原重信君) 失礼いたしました。お答え申し上げます。  防衛庁といたしましては、遺骨収集に関しまして地方公共団体及び国の関係機関、民間団体等が行うものにつきまして、直接間接的にただいままでできる限りの協力をさしていただいてまいったところでございます。  先生お尋ねの、滑走路を整備いたしますときにその下にあると思われる遺骨についてどうしたかというお尋ねでございますが、これは厚生省の所管でございますので、私どもちょっと承知しておりません。
  105. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 厚生省の所管で承知していない。前に川俣局長、私たちと帰島促進協議会の方とこの問題で交渉したときに、川俣局長はあの滑走路を壊してでも遺骨は集めるということを私の前で明言した。ところが、昔のアスファルトのころだったら壊すことも可能だったかもしれませんけれども、今度大変ですよ、あんな厚いやつを。どうですか、後任の田中局長ですか、田中さん。遺骨収集、滑走路を本当に壊してでも遺骨を集めるという前任者の川俣局長と同じ決意でお当たりになりますか。
  106. 田中暁

    政府委員田中暁君) 大変申しわけないのでございますが、実は前局長からそういった話を聞いておりませんで、きょう初めて聞いたような次第でございます。遺骨収集の今後の方法等につきましては、関係省庁とも十分協議いたしまして遺憾なきを期したいと考えております。
  107. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 防衛庁にお伺いします。  自衛隊というのは国民のための自衛隊というごとになっているわけですが、今二百八十名、新しい隊員を含めて海上自衛隊、航空自衛隊があそこに居住しているわけですね。ここにもし硫黄島民の方々が帰島した場合、前もって戦前から住んでいた方々がいらっしゃるわけだから、国民に愛される自衛隊というあなた方のスローガンから言えば、当然平和的に仲よくしなきゃならぬでしょう。  前にこの委員会で私が聞いたとき、電気並びに水、これなどは自衛隊として供給するかと。自衛隊として年間三千トンの水も余っている――余っているというか、多少余裕があるという答弁もありましたけれども、しかし、いざというとなかなか自衛隊として手いっぱいだというような冷たい答弁もあったんですけれども、防衛庁としては、この住民の帰島について理解する態度をとるんですか、それとも歓迎しないという態度をとるんですか。もし帰島した場合、日本人の帰島者に対して、この前の答弁では一時的あるいは臨時のときぐらいしか供給できないという答弁だったんですが、できる限りの供給措置をとる用意がありますか。
  108. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  硫黄島旧島民の方々の帰島問題につきましては、当庁の所管外の事項でございまして、コメントは差し控えさしていただきたいというふうに考えます。  それから二点目の水、電気の供給の問題でございますが、旧島民の帰島に係る問題につきまして、今申し上げましたように所管外のことでございますので、それが支給できるかどうかという問題についてはなかなかお答えしにくいところでございますが、仮に旧島民の方々が自主的に帰島されるといたしましても、その態様が明らかでないという現段階におきまして、この問題についてお答えすることは困難でございます。  ただ、一般論といたしまして申し上げるとすれば、部外からの要請に対して電気や水を自衛隊の施設から供給するということにつきましては、その要請が社会的にやむを得ないと認められ、かつ自衛隊の任務遂行に支障を及ぼさない限度において行うということは必ずしも禁じられていないというふうに考えております。しかしながら、自衛隊が有する水道、電気の施設は、自衛隊に供給することを前提とした規模のものでございますために、供給能力にもおのずから限度がございまして、この問題はなかなかに難しい問題ではないかと考えるわけでございます。
  109. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 必ずしも禁じられていないという答弁のところを記憶にとどめておきたいと思います。  次に、立川飛行場の問題です。  七月九日にC1ジェット機が離着陸したのですけれども、あの立川飛行場は正式名称はどうなっているんでしょうか。
  110. 及川康男

    説明員(及川康男君) 名称は立川飛行場でございます。
  111. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あの飛行場開設の告示はいつ、だれによってなされましたか。
  112. 及川康男

    説明員(及川康男君) 御説明いたします。  五十七年二月二十七日付で告示いたしまして、三月一日開港ということになっております。
  113. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 五十七年二月二十七日に告示ですか。使用告示をしたわけですか、開港と。  そうしますと、五十五年十一月十二日付、あの長官の告示、これは新立川飛行場としてつくると。名前は新立川飛行場になっていましたよね。五十六年十一月一日に使用開始予定日だということになっていましたよね。これは一体どうなったのですか。
  114. 及川康男

    説明員(及川康男君) 御説明いたします。  五十五年十一月十二日付で二百一号で告示しているわけでございますけれども、これは旧立川飛行場の滑走路を西北方――西方へ二百十メートル、北方へ約三百五十メートル移転するということが決定されたことに伴いまして新たに物件の制限をする必要が生じ、その物件制限のための予定告示を行ったものでございます。  その際の考え方といたしましては、旧飛行場を廃止して、新しくできる飛行場を新しく新立川飛 行場ということで計画した経緯がございます。その後、五十七年二月二十七日付で防衛庁告示を行ったときに、やはり新立川という名称よりも従来の立川飛行場と言うのがいいのではないかという話がありまして、いろいろ相談の結果、新立川飛行場という名称をやめて、従来の立川飛行場で告示するということに相なった次第でございます。
  115. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 極めて変なことだと思うのですね。とにかく二百十メートル左へ寄るんですよね。場所も変わっちゃうわけだ。それで三十分の一が五十分の一に下がるわけでしょう、制限がね。そうすると、建物制限なんかもはるかに厳しくなるわけだ。だから、防衛庁は旧立川飛行場は廃止して新立川飛行場にするということで一度告示をして、開始予定日まで出したわけですね。ところが、今度その考え方をやめて、一度廃止した旧立川飛行場の変更という形で五十七年二月に新たに告示をして、新立川飛行場の告示は取り消した。  極めておかしいと思うんです。なぜそういうことをやったのか。障害物ですね、問題になっているのは。この障害物は何カ所ありますか、進入表面の障害物。
  116. 及川康男

    説明員(及川康男君) 進入表面上に出る物件といたしましては、建物とかテレビアンテナとか、反戦鉄塔といいますか、そういう金属ポールの鉄塔と樹木、合わせて大体二十七カ所でございます。
  117. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 とにかく鉄塔、アンテナ、その他二十七カ所が障害物になっていて、その中で一番大変なのは富士見町のマンションです。避雷針を含む十・三メートル、これが勾配から上がってくるわけですな。ここに写真もありますけれども、六階建てのマンションで、この六階全部と、それからその上の塔屋と避雷針、これ全部を取り外さなければならないということになっているわけですね。  それで私は、ここでどうも防衛庁が新しい飛行場にするのをやめて、一度廃止した旧飛行場の変更という奇妙なやり方をとったのは、どうもここに関係があるんじゃないかと思うんですね。こういう障害物が現に二十七カ所もある、そういう飛行場を防衛庁の場合には使っていいんですか。
  118. 大野琢也

    説明員(大野琢也君) お答えいたします。  障害物件のある飛行場というのは、立川飛行場以外にも防衛庁の管轄している飛行場がございますけれども、必ずしも飛行してはいけないということにはなっておりません。
  119. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どんなところがどんなふうになっているんですか。
  120. 及川康男

    説明員(及川康男君) 現在、自衛隊が有している飛行場は大体三十二カ所ございますけれども、そのうち二十五カ所につきまして何らかのそういう物件があります。
  121. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 水平表面については、多少のことがあっても飛行に差し支えなければいいということに民間の飛行場でもなっておるようであります。ただ、進入表面については、十メートルも飛び出している障害物があってそのまま飛行を許可しているということはあり得ないんじゃないかと思うんですが、私はこれは自衛隊の飛行場及び航空保安施設の設置及び管理の基準に関する訓令の違反じゃないかと思うんです。この第三条に「飛行場の周辺にある建造物」その他「支障があると認められるものがないこと」ということがはっきりと書かれています。それから第四条では、進入表面、水平表面、転移表面、ちゃんと別表第一で決めることになっておる。この告示にもはっきり書いてある。しかも航空法に基づくこういう基準は国際条約に基づくものなので、自衛隊の場合には何があったって構わぬということであるはずはないんですが、私はどうもこの立川飛行場、この告示、使用開始のやり方の奇妙な変更、これは十メートルも超えているマンションがあるのにそのまま許しているという点で違法の疑いが極めて強いと思うんですね。どうですか。
  122. 大野琢也

    説明員(大野琢也君) お答えいたします。  安全飛行に関しましては、立川飛行場を使用する場合に気象条件のいいときを訓練の日に選ぶとか、あるいは具体的にただいま先生指摘の、進入表面あるいは転移表面の上に出ている物件等につきましては十分その辺を考慮して安全飛行に配慮して飛ぶ。具体的に申しますと、立川飛行場の進入表面というのは進入角度が五十分の一ということで告示をされているわけでございますが、現在あそこでローアプローチ等の訓練飛行をやっておりますC1は、通常大体進入角度二十分の一、約三度の角度で進入をいたしますために、運航上危険はないものというふうに判断しております。  ちなみに、現在進入表面の上に出ております障害物件でございますが、一番高いと言われておりますマンションにつきましても、進入角度でいいますと三十度といいますか、三十分の一を超えてその上に出るというものではないので危険はないというふうに我々は判断しているわけでございます。
  123. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私の質問に答えていない。違法の疑いがあるんじゃないか、国際条約、航空法、それから訓令等々。この問題はさらに追及したいと思います。  それでは次に、吉祥寺の北口の再開発問題について質問したいと思います。  都市再開発はいよいよ本格化しておりまして、建設省でも都市局長の諮問機関、都市再開発エキスパート会議も設置するということになっております。再開発問題というのは、私も再開発法の改正問題のときにここで議論しましたけれども、住民本位の再開発か大企業本位のものかということがどこでも一番の問題になりますし、あの国会の答弁でも、これまで全国二十カ所の駅前再開発で、結局そのまま住んでいる人は四五%だと、五五%は外に出ている、転出しているという答弁があったぐらい、再開発をされると中小の店舗の方々あるいは間借り人、アパート居住の方々などは半分以上追い出されているというのが現実なんですね。  四月六日に二宮委員が大阪駅前の再開発問題、梅田ビルの問題を取り上げました。アリ地獄という大変なそういう事情があったわけですね。私がきょう取り上げたいのは、東京の武蔵野市吉祥寺の北口再開発の問題です。これは都市再開発法が施行される前に都市計画決定されたものですけれども、都市再開発法の法案策定のモデルだと当時言われたぐらいあそこのF・Fビルなどはもてはやされたケースなんですね。  昭和三十九年に都市計画決定、四十一年に事業認可、四十二年に事業着手です。計画決定からほぼ二十年たっているんだが、当初は大変モデルだといってもてはやされたのに、今や再開発の一番もめているワーストケースとして有名になって、新聞紙上でも取り上げられている。既に二十年たって四回も期間の延長が行われました。ことしの三月、四回目の延長で、武蔵野新市長の土屋さんは、昭和六十二年、あと三年間で完成しようというふうに言われているんですけれども建設省としては、なぜ困難に陥っているのか、どう認識しておられますか。
  124. 梶原拓

    政府委員梶原拓君) 御質問のいわゆる吉祥寺駅北口再開発事業でございますが、制度的には私ども所管の都市計画道路、吉祥寺駅北口線の附属広場として事業を施行しておるわけでございます。権利変換手続等を伴ういわゆる再開発事業じゃないわけでございますが、駅前で御案内のとおり商店を経営されている方が非常に多かったわけでございますが、この事業箇所は、調べてみますとほとんどがお寺と申しますか、月窓寺、光専寺、蓮乗寺と、三つのお寺の所有地でございまして、それぞれ商店の方は借地で営業をなさっておられるわけでございます。  そこで、駅前広場の設置に当たりまして、代替地をしかるべきところに欲しいというようなこととか、それから借地権の境界が必ずしも明確でない等々いろいろな問題がございまして、御指摘のとおり、権利調整等に時間を要したために二十年近く今日まで至っておるわけでございます。
  125. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 確かに建設省の所管は駅前広場並びに都市計画道路なんですけれども、あそこはもう一つF・Fビルというような問題がありましてね、これは武蔵野市の単独事業です。単独事業だけれども、実際上この都市再開発と非常に関係があるのです。というのは、駅前広場をつくるためにあの駅前の一等地で商売をしてきた方々を募集して、積極的に協力しようと、不安を持ちながら。その方々が七十数店F・FビルのA棟に入ったのですね。B棟の方は伊勢丹になった。ところが二十年たって、協力して一等地からF・Fビルに進んで参加した方々が、ちょうど大阪の梅田で問題になったような大変ひどい状況に陥っております。  例えば、七十三店当初入った方々が今半分以下の三十二店になったという状況があります。中には滞納がたまりまして、開発公社からかなりおどかされて、少し気の小さい方で、おすし屋さんが首つり自殺までするという悲惨な例まで出ておりますね。今このF・Fビル問題が伊勢丹の進出と絡んで非常に大問題になっているんだけれども、当初、だから協力した業者と、それからやっぱり頑張った方と分かれたわけですね。頑張った方はいまだに駅前で、一等地で商売をされている。ところが協力した方々は、入ってから十数年たって半分にはなる、しかもさらに追い出しをかけられるということ、売り上げも少ない、減るということで、物すごい格差ができたわけですね。そうすると、再開発に協力して権利変換やったら区分所有になって、移ったところがこれはだめだと。むしろ頑張った方が何とか生活はできるしというので格差がこんなにできているでしょう。そうすると、駅前広場を六百平米のをつくろうとしているんだけれども、それを進めるためにも、みんなF・Fビルの二の舞をしたくないというので協力しないわけですよ。  そういう点では、武蔵野市の単独事業ではあるけれども、あそこの建設省責任を持っている街路事業、駅前広場をつくる事業にとって実際上深い関係があるんですね。だから、あの地域では再開発といえばまずF・Fビル問題と、そういうふうにみんなが見ているわけですね。そこの点の関係をひとつよく御理解をまずいただきたいと思うんです。  それで私、建設省建設行政として三つの問題があるんじゃないかと思うんですね、考えなければならぬ点で。  一つは、当初の約束が守られないということです。これはちょうど梅田と同じですね。当初の約束が守られない。F・Fビルに入居している業者の方々にお聞きしますと、まず第一に、百九十号という区画街路をビルの前から駅前まで通す、地下道もつくる。それから地下フロア等々は味の店として本当に区分所有者だけでやる等々、まだ伊勢丹との関係いろいろありますけれども、そういう約束だったわけですよ。やっぱり市をみんな信じたと言いますな。本当に信じて、約束が守られると思って、不安は持ちながらも胸を躍らせて入居されたというんです。ところがそれから、あれは四十八年ですから、十年ちょっとたっていますよね。たってみると先ほど申しましたような状況で、売り上げは減る、店もつぶれるし、出ていった人もいる。駅前の人々と物すごい格差ができてしまったわけですね。経済状況の変化もあるかもしれないけれども、約束したのは市並びに開発公社ですからね。事業主体の自治体の約束が守られていない、被害は全部協力した業者にかぶせられてしまった、こういう大きな問題がまず第一にある。  それから二番目に考えるべき問題は、大型店の進出問題です。大型店問題は、建設省も通産省といろいろ協議をしておられるし、大体しばらく抑制しようということになっているわけですね。ところが、伊勢丹大型店問題が一番かんできた。伊勢丹が店を開いたのは昭和四十六年です。ところが、三年後の四十九年に近くに近鉄と東急がオープンした。これは売り場面積が伊勢丹よりはるかに大きいんですな。お客をどっと取られたわけですね。五十五年にはパルコがオープンした。  今、吉祥寺は非常に有名で、商圏人口百五十万と言われ、一日乗降客四十六万人、ヤングの町として有名なんだけれども、そういう中で最初に進出した伊勢丹がアウトになってきて、伊勢丹が約三千平米の増床計画を立てるわけですね。それでA棟、大体これは行政ビルであって、結婚式場だとかそれから市民の集会場だとかいろいろあって、それで協力した方々を入れたビルでしょう。そこに進出してくるわけですね。それに問題は、開発公社、自治体が伊勢丹の進出計画に賛成して、意図的にショッピングセンターという管理会社ができているんだけれども、そこを使って業者の方々の追い出しを系統的にやってきたという問題がある。だから、大型店の進出問題に対して地元の業者を守るべき自治体が、自分の責任行政ビルを建てたわけだから、そこの自治体が一体どうすべきかという非常に大きな問題がここにあるんですね。  これについては証言もあります。四月四日、開発公社の臼井理事長は、五年前から伊勢丹を進出させるために空きフロアづくりをしてきたということをはっきり言っているんです。つまり商売がうまくいかなくなった店が出るでしょう。そうすると、その店から開発公社が買い取ったり賃貸させるわけですよ。そして伊勢丹のフロアを進出させるわけです。もう既に一、二階は伊勢丹になっていて、地下一階にも伊勢丹が進出してきていますね。  こうなってくると、例えば伊勢丹のシャッターが七時におりちゃう。それから九時にはさらに全体のシャッターがおりる。飲食店だから十一時までやっている店もあります。深代さんという有名な歌声喫茶の「ともしび」なんか十一時までやっていますからね。そうすると、シャッターは閉まっちゃうんで、あそこはお化け屋敷という名前までついているというような状況で、しかもそういう業者に対しては地上には看板を出させないということまで行われて、看板を出させるだけに四年かかったというのですけれどもね。大型店の進出と地元の業者との共存共栄というか、本当に民主主義的にどういうふうにすべきかという問題が第二の問題としてあると思うんです。  一つ一つ本当はお聞きしたいんですけれども、時間もありませんので、ちょっと問題点だけ言ってしまいます。  三つ目は区分所有問題。これは都市再開発をやって業者の方々が権利変換をやり、ビルを建てる場合に区分所有、分譲方式で行われるケースが多いわけですね。これは「週刊住宅」という新聞のことしの四月五日号に、建設省の都市開発課の、名前は書いてありませんけれども、談話がかぎつきで載っています。この都市開発課の談話は「代替地が賃貸方式だと、役所仕事の面と民間サイドの営業面とがしっくりゆかないきらいがあり、その点吉祥寺の場合は分譲方式で、自分たちの財産を運営するのは、自らの事業努力の問題だということで、むしろはっきりしていいんですがね」と、そう思うということを都市開発課の方は述べている。ところが、開発公社の方は伊勢丹を伸ばそうというわけだから邪魔になっているわけですな、区分所有の方々が。それで臼井理事長は、区分所有にしたのが間違いだったと、区分所有者は邪魔だということまで述べているので、非常に問題になっていますね。  以上、私は最初の自治体の約束が守られなかった問題、それから大型店の進出に自治体側が非常に協力した問題、三番目に区分所有という方式が邪魔者だということで、買い取った者が全部空きフロアにしちゃうんですね。空きフロアにしてそのままになっているという状況で、私は最近現場に行って皆さんのこともお聞きし、資料も全部読んだんですが、市議会でも去年の九月に建設委員会で満場一致の請願が通過し、それから本会議では賛成多数で請願も通っていますけれども、どうも自治体の姿勢としては問題があるんじゃないか。  そういう点で、単独事業のケースではあるけれ ども、あの吉祥寺駅北口の再開発問題の今後の進行、さらには武蔵境の再開発も新しく問題になっておりますし、地元も望んでおりますし、そういうところにも響くわけですね。みんな吉祥寺の二の舞は御免だという声でにっちもさっちもいかない状況になっている。その点で建設省としての適切な行政指導、これが必要ではないかと思っておりますが、御答弁いただきたいと思います。
  126. 梶原拓

    政府委員梶原拓君) 昨晩先生からいただいた「週刊住宅」を拝見いたしまして、いろんな問題があるということを承知したわけでございますが、この事業は御案内のとおり都市計画道路事業でございまして、移転先のビルの計画まで補助事業事業計画に入ってないという点で、なかなか私ども中央省庁として関与していく限界もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、武蔵野市といたしましても、駅前広場の設置のために円滑にお立ち退きいただくためにいろいろ配慮してとった措置であろうかと思います。  いろいろ思惑違いその他ございまして種々の問題が出ておるようでございますけれども、やはり立ち退いていただいた方々のアフターケアが十分なされていくということは、御指摘のとおり街路事業の推進にも非常にプラスになるわけでございまして、地元自治体である武蔵野市の総合行政の中で、いろんな御指摘の点が円滑にいきますように私どもできるだけ協力をしていきたいというふうに思っております。
  127. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 単独事業ではあるけれども、今の都市局長の答弁でできるだけ、限界はあるだろうけれども、調べて指導していきたいという答弁があって、私もぜひ積極的にやっていただきたいと思います。私の方も局長の方にきのういろいろ資料を届けたりなんかして、建設省側としても急いで調べられたんだと思うんですね。私どもも、やっぱりこの問題は市民全体の問題でもあるし、ぜひ建設省としても具体的に事実をよくお調べになって対応していただきたいと思います。  その点でもう一つ、ちょっとこれも僕もどうかと思うので、もう一つこの過程で起きている区分所有にかかわる問題で、これは請願にも出ているのでちょっとお聞きいただきたいんですが、つまり入居するときの条件、いろいろあるわけですね、契約で。十年条項というのがあって、十年間はその区分所有権は動かせないということになっているわけですよ。十年たったら動かせるということになっているわけですね。  それで、私がお会いしたケースは、この地下フロアにある和食店の「万両」という方のケースで、その「万両」の今お仕事を、営業なさっている方は赤尾昌信さんという方、赤尾昌信さん。名義人は篠田志げさんという御婦人なんです。今七十五歳。当初入居したときは六十五歳ですね。この篠田志げさんと赤尾昌信さんは、二十三年間、駅前で、それから今ここのF・Fビルヘ行って商売なさっているわけですね。それで、篠田さんは病身でもあるので、今赤尾さんが御主人で一切おやりになっている。名義人は篠田さんだったわけですね。十年だったと。十年だったから名義変更したい。赤尾さんは、私もお会いしましたけれども、篠田さんと遺言も交わし、代理人になっている。十年たって名義変更する、これは当然のことだと思うんですけれども、公社はこれを、入居するときに本人が営業してないのに本人であるかのように言った等々の理由で虚偽の申し立てたということで、契約違反だというので、この契約解除の裁判を起こしたわけですよ、去年の七月二十八日に、八王子地裁に。もう既に裁判が四回行われている。  それで、本当にもう僕は驚くべきことだと思うんですね。公社が約束してどんどん入れて、だって武蔵野市だから、「万両」さんというのがだれが営業していて、赤尾さんかどういう主人で、名義人の篠田さんとどういう関係だというのは、それはすぐわかりますよ。その人が十年たって、それは十年たって権利ができたから名義変更しようと、それを裁判で契約取り消しと。これは本当にちょっと、僕も公社側の言い分はまだよく聞いてないけれども、訴状その他を見る限り、やっぱり追い出したとしか思えないですね、こういうことをやるというのは。それで、こういうケースが喫茶店「むぎ」という、これは一階ですけれども、そういうケースがありますし、やっぱり次々続いているんですね。  だから私は、これはやっぱり非常に重大問題で、市議会を通過した請願書でも、「一階フロアで営業していた喫茶「むぎ」の問題や地下フロア「万両」に対する契約解除、問題はF&Fビルに入居している区分所有者、営業者が自分の財産を自由に活用することも、処分することもできない状態に置かれているという、きわめて重大な問題を示しています。」と書いてある。この請願は建設委員会で満場一致で通過したんです。だから、議会としてもこれらの問題は重要な問題だということを各党一致して認めたものです。  ですから、今私が申し述べたことは、被害者の側からの一方的な話じゃなくて、議会でも審議した上でいわゆる客観的な正当さも示されている問題だと思うんですけれども、やっぱりこの一事を見ても、かなりこの十年間の問題というのは問題があると思うんです。それは客観情勢の変化もあるでしょう。あって、非常にどんどん発展するけれども、その中で伊勢丹が被害者になったと。何も一伊勢丹のためにこういうことをする必要もないんじゃないかというように思うので、ぜひよくお調べいただきたい。  それから最後に、もう時間が参りましたので、建設大臣、この再開発問題というのは全国的にも問題でありますし、首都東京にとっても大きな問題だし、今の吉祥寺の問題ですね、これは最初都市再開発法が生まれるときにモデルとさえ言われたものなので、ぜひ今局長言われたとおり、建設省としてよく実情を調査して、問題の前向きの解決に御努力をいただきたいとつくづく思いますが、御答弁いただきたいと思います。
  128. 水野清

    国務大臣水野清君) 吉祥寺駅北口再開発事業につきまして私も余り詳しいことを知らないので、今のお話を聞いておったのですが、上田委員のお話しのような事実だとすればなかなかお気の毒な方々もいるようでありますが、よく事実を調べさせまして、また善処させたいと思います。
  129. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  130. 山田勇

    山田勇君 まず、国土庁にお尋ねをいたします。最近の地価の動向についてお尋ねをしたいと思います。  昭和五十九年の地価公示によりますと、全国、全用途平均は昭和五十五年には対前年上昇率が一〇%であったのが、年々降下の方向で、五十八年四・七%、五十九年には三%と鈍化をしていますが、用途別に見ますと、商業地の上昇率が全国平均で三・五%、三大都市圏四・五%、うち東京圏は五・五%と他用途に比べ高い上昇率を示していますが、この現象をどのように分析をしておられますか。商業地の上昇が宅地などに影響してくるのではないかという不安があります。今後も地価は安定した推移をたどるのかどうか、見通しをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  131. 鴻巣健治

    政府委員(鴻巣健治君) 最近土地取引が低調に推移いたしまして、それを反映いたしまして、全体的に見ますと、今おっしゃったように地価の上昇は大変安定して、鈍化傾向を強めておることはおっしゃるとおりであります。  ただ、その中で都心部等の高度商業地域につきましては、今御指摘のように価格の上昇が目立っております。これを五十九年度の地価公示の調査結果で見ますと、東京の都心部の高度商業地帯では前の年に比べて二二%、大阪で言いましても前の年に比べて七・五%、大阪の中心部でも地価が上がっているということは見られるわけでございます。  このような地価の上昇がどうして起こったのかといいますと、やはり東京とか大阪というように全国を商圏とするとか、あるいは西日本を商圏とするというような大都市の一部の商業地で、容積率が高いとか、あるいは前面の道路の幅が広いといったために、ビルの用地として大変利用しやす いところに限られまして、そういうところだけで商業用あるいはつまり第三次産業とか、あるいは都心の中枢管理機能的なものがそこに集積をしているために地価が高いという状況が起こっております。  ただ、これはそういう商業とかあるいは第三次産業に独特なものでございまして、一般の住宅地につきましては大変落ちついた動きをいたしております。住宅地についての需要と供給の関係は、やっぱり商業地とは全く別でございますので、商業地そのものとは別に、住宅地については今後も落ちついた動きをしていくというように考えております。
  132. 山田勇

    山田勇君 全世帯の四割が現在の住居に不満を持っているという建設省調査結果でも明らかなように、良質な住宅や住環境を求める膨大な住宅需要があります。これに関連して、住宅地に対する需要も根深いものがあると思いますが、今後の景気の回復などにより住宅取得能力の安定的向上が図られて、需要の顕在化が進み、再び地価をつり上げるということも考えられます。現在は住宅地価格の高値安定と、低成長による経済の中で、所得の伸び率が低いため、住宅価格と住宅取得能力に隔たりがあります。需要が潜在化していると思いますが、地価の安定を継続させながら国民の宅地需要に対応していくためには、宅地供給の促進を柱とする抜本的な、また総合的な土地対策を確立しなければならないと考えますが、その点国土庁のお考えはいかがでしょうか。
  133. 鴻巣健治

    政府委員(鴻巣健治君) ただいまの地価の安定の傾向というのは、一つは人口なり世帯数のふえ方が大変鈍化をしているということにあろうと思っております。人口の伸び方を見ましても、最近ですと、前の年に比べまして人口の増加率は〇・七%でございまして、十年ほど前の四十八年が人口の増加率が二・二%、これが最高の時期で、前後では最高でございましたが、二・二%ぐらいあったのに対して現在は〇・七%。それから世帯数のふえ方も、最近、これも五十六年でございますが、一年間に約一・四%でございますが、やはり最盛期の四十八年には三・四%、かなり人口も世帯数もふえていたわけでございます。それが最近は非常に落ちついてきている。  それから二つ目には人口の移動、すなわち大都市へ人口が入ってくる。そういう入ってくる人口の数も非常に鈍化をいたしまして、昔は、出ていく人と入ってくる人と差し引き見ますと、相当入ってきまして、三十六年ごろ、つまり今から二十三年ぐらい前ですと、出ていく人と入ってくる人、差し引き六十六万人ぐらいうんと入ってきたという時期がございますが、現在はもうほとんどわずかでございまして、五十七年の統計では、入ってくる人と出ていく人、差し引き五万人ぐらいしかふえていないという状況で、大都市への人口の流入もほとんど鈍化をしてきているというのが第二の原因にあります。  それから三つ目には住宅の戸数、まあ質的にはいろいろありますが、戸数の面ではかなり充足されておりまして、空き家の数も三百三十一万戸も出てきているというような形になってきておりますので、住宅事情の点でも大分落ちついた点が出てきている。  そういったような中長期的な要因が今日の地価の安定をもたらしてきているという事情があると思います。そのほかに、私どもの国土庁の方で運用いたしてまいります国土利用計画法での土地取引についての届け出制とか、あるいは土地税制とか、そういう制度面の効果も発揮されまして今日の地価の安定が醸し出されているといいますか、成立していると思っております。したがいまして、これからもそういう経済の運用面についても十分の注意をいたしながら、一方で、私ども今言いました国土利用計画法、その他の一連の土地対策というものを的確に運用していくことによって一層の地価の安定を期していきたいと考えております。
  134. 山田勇

    山田勇君 次に建設省に移りますが、先般私が質問いたしました関西新空港の周辺の道路下水道などの関連整備事業についての建設大臣の積極的な前向きの御答弁が各マスコミにも報道され、地元でも大変話題になっており、今後とも一層の御尽力をお願いしたいと思います。  それで、六十年度予算におきまして公共事業費をふやすか削るか、今後の大きな政治課題となっておりますが、きょう、三十一日の閣議で、六十年度予算概算要求基準に関する大蔵省方針を了解する前に、昨夜大蔵大臣水野建設大臣折衝があり、新聞報道では、「竹下蔵相が住宅金融公庫と道路財源の取り扱いを別途予算編成段階で検討するとの方針を示すとともに「内外経済情勢などを見きわめ公共事業の総事業費確保に努めるなど適切に対応していきたい」と表明、水野建設相がこれを受け入れた。この決着は、大蔵省マイナス五%の原則を貫くという名を取り、建設省は九月以降、年末までの段階予算増額の実を取るという形である。」と報じられております。  この七月の二十五日に出された六十年度予算編成に向けての臨時行政改革推進審議会意見書は、「政府は、昭和六十年度予算において引き続き大胆な改革姿勢を堅持して行財政の改革に取り組む必要がある。」として、公共事業についても、その「拡大による景気刺激を特に必要とする状況とは考えられない。」「公共事業関係費の総額は、前年度に引き続き厳しく抑制する。」とされており、中曽根総理もこれを最大限に尊重すると言われておりますが、公共事業はその波及効果が高いので、建設国債増発し、公共事業拡大させ、内需を盛り上げ、景気回復を促進し、これに伴う税の自然増によって財政再建につなげると、こういった積極的な構想でありますが、水野大臣はどのようにお考えになっておられますか。
  135. 水野清

    国務大臣水野清君) 御指摘のとおり、公共事業拡大は、GNPを拡大させ、税増収をもたらし、必ずしも財政の健全性を損なうものではないと考えていることは事実でございます。しかし、御承知のとおり、本日の閣議で決定されました概算要求基準の中では、やはり日本の財政が非常に、年度末に百二十兆を超えるぐらいの公債残高になるということで、これを何とか回復しなければならない、その中でやはり財政再建を貫かなきゃならぬ、こういうような建前で終始していることも事実であります。  先ほども申し上げましたが、その中で建設省としては二、三の大きな課題を抱えておりまして、これから予算編成に向けての努力が必要なわけでございますが、簡単に申し上げますと、大蔵大臣から、道路特定財源と住宅金融公庫の補給金については、その特殊性十分理解して別途検討する、誠意を持って対処すると、こういうお話をいただいております。そのほかの、また公共事業についても、これは内外経済情勢を見きわめつつということでございますが、適切に対処をしてやろうと、こういう回答を得ておりますので、きょうのところは、ともかく内閣全体としての財政再建の方針に従い、私どもは十二月の予算編成までの間において、先ほどの大蔵大臣との話し合いの中のいろんな諸項目について次々と大蔵省との間で話し合いをしながら解決をつけていきたいと、かように思っておるわけでございます。
  136. 山田勇

    山田勇君 建設省が六月の八日に発表をした公共工事着工統計によりますと、昨年度の公共工事着工総額は十兆九千六百六十六億で、前年度対比六二二%の減で、これは五十五年度から始まった公共事業費の四年ゼロシーリングによって公共事業量が底をついた証明でもあり、公共事業費マイナスとなった今年度は一層悪化することは明らかであります。このまま公共投資の抑制を続けていけば、社会資本整備充実どころか、維持補修も難しくなり、国民生活に重要な影響を与え、さらに内需を中心とする日本経済発展の足かせとなり、ひいては貿易摩擦は増大し、また建設労働者の雇用不安を招く結果にもなるという訴えもありますが、大臣の率直なお考えをぜひお聞かせをください。
  137. 水野清

    国務大臣水野清君) 公共投資は、個人消費、住宅投資及び企業設備投資とともに内需の柱に なっているわけであります。政府が主導的に、しかも動かし得る重要な経済政策の手段であるわけでございます。公共投資の適正規模の拡大は、社会資本整備充実を進めるとともに、内需拡大を通じまして日本の経済の安定成長を実現し、ひいては国際的な経済摩擦の解消にも貢献するというふうに思っております。
  138. 山田勇

    山田勇君 日本は先進工業国の中で最も社会資本整備のおくれた国であると言われておりますが、このことは、当然経済成長に見合った社会資本が拡充されなければならず、また来るべき高齢化社会への対応としてもこの充実が急務であります。  ところが、公共投資は御承知のように昭和五十四年以来減少を続け、五十九年度は対前年度比名目二%のマイナスとなり、今後の建設業、各企業の業績不安はもとより、この産業で働く五百数十万人の雇用にも多大な不安をもたらすことになります。こういった面からも公共投資に十分な配慮が必要であると考えます。  しかしながら、最近の積極財政論の主張には、ともあれ行革つぶしの色合いを十分にはらんでおり、これは警戒しなければなりません。積極経済政策は、あくまで徹底的な行革と同時に並行的に推進されなければならないと考えております。これは別に答弁をいただかなくても結構でございます。  次に、道路特定財源に関連してちょっとお尋ねをいたします。  公共事業の中で大きなウエートを占める道路建設につきましても、その整備については西欧先進国に比べてまだまだおくれているということで、道路関係の諸団体の陳情、請願などがこのところ相次いております。道路整備計画的、効率的に推進するために行われてきた道路特定財源制度についても、このところ自動車重量税のオーバーフローということが昭和五十七年度以来問題となっていますが、これは五十五年以来歳出予算の抑制に伴い道路整備予算も抑制またはマイナス状況にあるため、道路特定財源の歳入予算額が道路整備歳出予算額を上回り、自動車重量税、これは国費分の八割ですが、についてはその一部しか充当されていないという状況が続いており、その充当されていない分、すなわちオーバーフローは五十七年から五十九年の三年間に約四千百億に達しているということでありますが、自動車重量税は法定の特定財源ではないが、これを道路整備充当するという理解のもとに創設され、また税率引き上げも行われてきたのであります。道路利用者は高負担に耐えてきたと思うのであります。今のような税の転用が続けば、納税者の立場からすれば税率の引き下げの声が出てきても当然だと思いますが、この点いかがでしょうか。  一方、この四千百億円について、五十九年度中に補正予算編成道路整備費に充当せよという要望もあるんですが、大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。  これを最後に私の質疑を終わらしていただきます。
  139. 水野清

    国務大臣水野清君) 道路特定財源のオーバーフローのお話を今御指摘なさいましたが、これはお話のように、昭和五十七年度千四百十二億、五十八年度千六百億、五十九年度、これは千九十六億の見込みで、およそ四千百八億のオーバーフローがたまっていると、こういうことは事実でございます。  これにつきましては、私どもは今年度の予算編成の際に、非常に御指摘のような重大な問題でございますので、大蔵大臣と私との間で了解事項、覚書を取り交わしております。その内容を申し上げますと、自動車重量税については、制度の創設の趣旨、経緯から、今後とも道路特定財源としての原則に従って運用を行うものとする。五十九年度当初予算において自動車重量税の国費分の八割に相当する額のうち、道路整備費以外に充てるものについては経済、財政状況に応じて年度内に道路整備費に充当するものとする。五十七年度及び五十八年度における同趣旨のものについても可及的速やかに道路整備費に充当するものとする。昭和六十年度の予算編成においては、自動車重量税にかかわる道路特定財源は全額道路整備費に充当するものとし、その方策について検討するものとすると、こういう了解事項を取り交わしているわけでございます。  この話が実は昨日大蔵大臣との話し合いの中でも生きてきているわけでありまして、御指摘のように、こういう一種の目的税でありますから、納税者の信頼に反しないようにこれをひとつ返してもらいたいというお話をしたわけでありますが、現在の予算編成方針の中ではそこまで踏み込んだお約束はできないと、しかし、この重大性については十分理解をしているから誠意を持って対処をたい、こういうお話をいただいて、私どもはそれについて年末の予算編成へ向けてそういう心構えでひとつ大蔵省とかけ合っていこう、こういう話し合いになったわけでございます。
  140. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十六分散会      ―――――・―――――