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1984-05-12 第101回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十二日(土曜日)    午前九時一分開会     —————————————    委員異動  四月二十三日     辞任         補欠選任      喜屋武眞榮君     木本平八郎君  四月二十四日     辞任         補欠選任      柳川 覺治君     杉元 恒雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安恒 良一君     理 事                 林  ゆう君                 平井 卓志君                 福田 宏一君                目黒朝次郎君                 服部 信吾君     委 員                 石本  茂君                 岩本 政光君                 大浜 方栄君                 倉田 寛之君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 曽根田郁夫君                 出口 廣光君                 夏目 忠雄君                 原 文兵衛君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 久保田真苗君                 菅野 久光君                 太田 淳夫君                 刈田 貞子君                 佐藤 昭夫君                 安武 洋子君                 三治 重信君                 木本平八郎君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       河本 敏夫君         —————        会計検査院長   鎌田 英夫君         —————    政府委員        内閣参事官    中村  徹君        宮内庁次長    山本  悟君        皇室経済主管   勝山  亮君        経済企画庁長官        官房長      窪田  弘君        経済企画庁長官        官房会計課長   遠山 仁人君        経済企画庁国民        生活局長     及川 昭伍君        経済企画庁総合        計画局長     大竹 宏繁君        大蔵大臣官房会        計課長      渡邊 敬之君        大蔵大臣官房総        務審議官     吉田 正輝君        大蔵大臣官房審        議官       水野  勝君        大蔵省主計局次        長        的場 順三君        大蔵省理財局長  西垣  昭君        大蔵省証券局長  佐藤  徹君        大蔵省銀行局長  宮本 保孝君        大蔵省国際金融        局長       酒井 健三君        国税庁次長    岸田 俊輔君        国税庁税部長  渡辺 幸則君        国税庁調査査察        部長       冨尾 一郎君        郵政省貯金局長  澤田 茂生君    事務局側        事 務 総 長  指宿 清秀君        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事 務 局 長  西村 健一君    裁判官訴追委員会事務局側        事 務 局 長  青山  達君    国立国会図書館側        館     長  荒尾 正浩君    説明員        警察庁刑事局保        安部保安課長   加美山利弘君        法務省刑事局刑        事課長      北島 敬介君        運輸省自動車局        業務部旅客課長  豊田  実君        会計検査院事務        総局次長     佐藤 雅信君        会計検査院事務        総局第一局長   西川 和行君        会計検査院事務        総局第五局長   中村  清君        日本専売公社総        裁        長岡  實君        日本専売公社原        料本部部長    佐藤 友之君    参考人        国民金融公庫総        裁        田中  敬君        国民金融公庫副        総裁       渡部 周治君        日本開発銀行総        裁        吉瀬 維哉君        日本輸出入銀行        総裁       大倉 真隆君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十六年度特別会計歳入歳出決算昭和五十六年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十六  年度政府関係機関決算書(第九十八回国会内閣  提出) ○昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第九十八回国会内閣提出) ○昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (第九十八回国会内閣提出)     —————————————
  2. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十二日、喜屋武眞榮君が委員辞任され、その補欠として木本平八郎君が選任されました。  また、去る四月二十四日、柳川覺治君が委員辞任され、その補欠として杉元恒雄君が選任されました。     —————————————
  3. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 昭和五十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、皇室費国会会計検査院大蔵省経済企画庁日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算について審査を行います。     —————————————
  4. 安恒良一

    委員長安恒良一君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 安恒良一

    委員長安恒良一君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、まずサラ金の問題についてお伺いいたします。  サラ金二法が施行されてから、依然として毎日、新聞の社会面をにぎわしておるわけでありますが、警察庁の発表によりますと、施行後毎月平均百十人が自殺をしている、千五十六人が家出をしている。現職警察官現職弁護士公務員が相次いでこのサラ金による自己破産等を出しておるわけでありますが、民事事件の多発は、施行検挙状況月平均百八十件、人間にすれば六十人と、こういう大変な社会問題を醸し出しておるわけであります。  これらの問題は、私が昨年サラ金問題で指摘したとおり、大体年収三百万以下の方々、三十代から四十代の家庭の中堅の方、こういう方々が七〇%を占めている。それから我々労働金庫協会がまとめたあれを見てみますと、労働金庫は昨年の八月から十一月まで四カ月間で、被害状況約九千人、相談件数が三万六百三十二件、その三分の一が大体三百万から五百万を借りている。労働金庫協会が四カ月間に手当てをした金が百十三億円と、こういう莫大な金を出しておるわけで、いかに労働者である皆さんもこのサラ金にひっかかっておるか、こういうことが言えると存じます。  私の生まれ故郷の宮城労金だけでも、拾ってみますと半年間で千百二十九件、十二億二千八百万円。あんな田舎の労金でもこの程度の金を出しているというのがサラ金被害現状であります。  このような状態について、大蔵大臣並びに警察庁は、この社会問題についてどういう受けとめ方をしているか、まず冒頭お考えを聞かせてもらいたい、こう思います。
  8. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆるサラ金問題、なかんずくそれが及ぼす社会問題等々、今御指摘なすったとおりでありまして、昨日も閣議におきまして、労働大臣からいわゆる事前通告のあります一般議題以外の発言として、この問題が取り上げられたわけであります。  確かに私ども自身守備範囲から申しますならば、まさにいわゆる融資行為そのものからいたしますならば、さきに議員立法において成立いたしましたサラ金規制法というものが昨年十一月から施行され、政省令準備等各省、なかんずく今も御指摘ありました警察当局等との御協力をいただいて、この法律そのもののよって立つ趣旨が機能するようなことを精いっぱい今日やっておるというのが現状でございます。  しかし、確かに金融行政という立場だけからこれをとらえてみても、今御指摘ありましたような形の社会問題等々に対する影響は、それだけでもってそういう状態が取り締まられていく、あるいは現象が少なくなっていく問題ではなかろうと思います。しかしながら、私ども金融行政そのものの中でも、今日までいわゆる金融秩序の中で精いっぱいの行政指導等を行いますならば、それなりに効果はあらわれてくるではなかろうかという私の守備範囲内における問題としても受けとめながら、今後ともこれに対してはただ守備範囲のみでなく、総合的な立場から対応していかなければならない課題であるという事実認識をいたしておるところであります。
  9. 加美山利弘

    説明員加美山利弘君) お答えいたします。  ただいまサラ金苦をめぐる犯罪とか自殺家出等数字を挙げられましたが、その数字はいわゆるサラ金法施行後、昨年の十一月から十二月の二月間の平均数字でございますが、その後も犯罪あるいは自殺家出等事故等が続いている状況にございます。  警察庁といたしましても、依然としてこのようなことが大きな社会問題であると認識しておりまして、警察としましては自殺家出等原因となる高金利や強引な取り立てに絡む不法事案に重点を置きまして厳しく取り締まりを行っていることはもとよりでございますが、困り事相談あるいはサラ金一一〇番などの業務を推進するとともに、マスコミを通じ、あるいは派田所駐在所だよりなどのミニ広報紙ども活用しまして、広報活動を推進するなどしてやっておりますが、今後一層これらの取り締まり、それから相談業務広報活動等充実いたしまして、サラ金苦原因とする犯罪、あるいは自殺家出未然防止に努めてまいる所存でございます。
  10. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大蔵大臣警察庁、実は私は兵庫県警現職警官のこのサラ金問題の事故、これを具体的に解明すればこれは一番生きた教訓であると思っていろいろ検討したんですが、奥さんとか特に子供たちのことを考えますと公開の席で議論するには余り適当でないということで、今回は遠慮しました。遠慮しましたから取り上げません。ですが、やっぱり今警察庁がそういう答弁をしてみたり、あるいは大蔵大臣がそういう答弁してみたり、その最も典型的な問題が兵庫県警現職警官現職弁護士現職公務員、こういうのがやっぱりやっているんですから、きょうは言いませんから、それはそれなりにあなた方が当たってそれから教訓を引き出してもらいたいということを私は要望をしておきます。  それで、私は前回のワールドファイナンス俗称ローンズワールド、この問題で昨年、徳陽相互銀行と極めて関係が深い、こういうことを指摘しました。その後さらにこの問題を洗っていくうちに、サンオーシャン株式会社、これは本店が港区南青山二丁目八番二号、ここにある会社でありますが、定款が十一並んでおりますが、九番の金融業しかやってない。実態はうちの地所を調べたところ上野に小さなマンションを借りておる程度会社だと、こうあります。これは徳陽相互銀行サラ金会社仲介をしている金融会社だということが我々の調査でわかりました。サンオーシャン取締役田巻豪雄氏がいますが、この方は徳陽相互銀行東京事務所の副所長さんから出向して現在は徳陽相互銀行に帰ってきております。我々の調べではこの会社はいわゆるペーパーカンパニーだと、こういうふうに理解をするわけでありますが、行政指導上この問題についてどういう把握をしているか、銀行局長答弁をお願いします。
  11. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 今先生指摘の件につきましては個別金融機関個々取引内容ですので、こういう公開の席では答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもといたしましては、今御指摘のようなペーパーカンパニーを通ずるような、いわゆる迂回融資と言っておりますけれども、そういうふうな融資につきましてはやはり不明朗といいますか、融資のあり方といたしましては問題であるということで、昨年の五月でございましたか、銀行局長通達を出しまして、そういうサラ金業者とかあるいは銀行の子会社、そういうふうなところを通ずるような迂回的な融資についてもこれは厳に抑制するといいますか、そういうものはぜひやめてもらいたいというふうな通達を出しまして指導いたしているところでございます。
  12. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 このサンオーシャンはやっぱり迂回融資といいますか、あなたが出した通達に抵触するカンパニーだと、こういうふうに認めて結構ですか。
  13. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 個別の話でございますので具体的なお話はお答えできにくいんでございますけれども、今御指摘のような事実があるといたしますれば、これは迂回融資というふうに認められると思います。
  14. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは私はもっと突っ込みましょう。私は昨年、徳陽相互銀行の際に大蔵省担当者を呼んでやってみました。その際に私は、加藤正見さんという人が宮本銀行局長接触があるかといろいろ聞きましたところ、当時の私の質問にありませんという答えでしたから、それで打ち切りました。しかし、その後調べてみますと、宮本銀行局長あなた自身が某ジャーナリストのインタビューで加藤正見氏と接触をしていると。この方は徳陽相互銀行の方だということをある雑誌インタビューであなたが認めでおる記事を見たんですが、これは雑誌が勝手に書いたのか、あなたが接触したのか、どういう関係なのか、ひとつこの際明らかにしてもらいたい。  と同時に、徳陽相互銀行とあなたの関係はどうなっているのか。いわゆる正常な関係なのか、水面下関係があるのか、その点もあわせてこの際お聞かせ願いたいと、こう思います。
  15. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 加藤氏のお名前は知っておりますし、お会いしたこともございますけれども、そういうふうな雑誌に書かれるような事実は全くございません。  それから徳陽相互銀行との関係というものは、私ども銀行行政相互銀行を監督いたしているわけでございまして、そういう監督下にある金融機関であるということ以外はございません。
  16. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この雑誌インタビューはそういう業務上のインタビューに応じただけであると、あるいは加藤正見さん、徳陽相互銀行とはそういう銀行行政上のいわゆる業務上のつき合いだと、こういうことであるというふうに理解していいんですか。
  17. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) そのとおりでございます。
  18. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それからもう一つ徳陽相互銀行関係でお伺いしたいんですが、大蔵省野崎さん、野崎某というふうにしましょう、これは私が福島交通の問題をずっと洗っている間に野崎さんという方が出てきたんですが、この人はどういう方か私余り、また会ったことないんですが、近い将来政界転出の際は小針氏がすべて面倒を見てくれることになっている、すべては小針氏のもとへ駆け込めばいいんだというふうに大変立派な、豪語されていらっしゃる方だと、こういう方だそうでありますが、この方がたまたま徳陽相互銀行融資の際にいろいろかかわり合いを持っていると、こういうことを聞きました。具体的には徳陽相互銀行新宿支店から銀座第二ゴールデシビル和風割烹云々と、これは割烹のお名前とか金額は言いませんが、そういう徳陽相互銀行にもかかわり合いを持っているし、小針さんにもかかわりを持っていると。大変お偉い方のようでありますが、そういうことがこれは銀行行政上の問題はあったとしても、個人的に会っていいことか悪いことか。私はこの辺を銀行行政を指導する銀行局長から一応聞きたい。そして野崎さんという方がそういうかかわり合いを持っておる方かどうか、この際わかっておれば教えてもらいたい。わからなければ、わからないで結構です。
  19. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 今御指摘の件につきまして私全く承知いたしておりませんので、意見を申し述べる立場にございませんので、御了承いただきたいと思います。
  20. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 銀行局長はこの野崎さんとの関係は全然知らないと。徳陽相互銀行新宿支店との関係も知らないということだな。知らなければ知らないで結構です。  それからもう一つ、加藤正見さんという方は富士ファクタリング社社長として経営していらっしゃるわけでありますが、この会社はやっぱり徳陽相互と第一相互裏融資仲介人だということで我々はつかんだわけでありますが、この第一相互銀行昭和三十一年、当時の乱脈融資事件経営危機に陥って、大蔵省のてこ入れで現在大蔵省出身青山さんという方がこの社長をされております。ですから、これは銀行局とは相当親しい仲だと、こう思うんでありますが、この第一相互銀行徳陽相互銀行、それから第一相互銀行に絡む何か黒い霧といいますか、不祥事といいますか、そういうことが現在起こっているか起こっていないか。銀行行政上あなた方のアンテナに入っていることがあれば、この際教えてもらいたいと、こう思うんですが、いかがでしょう、第一相互銀行
  21. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 青山社長大蔵省出身であることは事実でございますが、そのことによりまして私どもと特別な関係があるというようなことは全くございません。  それから、今いろいろ御指摘ございました、何か第一相互に関する問題があるんじゃないかというふうな御指摘でございましたが、少なくとも私ども耳にいたしましているところでは、そういうようなことは耳にいたしておりません。ただ、一部報道の中でそういうふうなことが報道されているということは承知いたしておりますけれども、私ども行政上確かな筋として把握している点につきましては、そういう事実はないと思います。
  22. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、これは私あるペーパーを入手したんですがね、これは、こういうことは聞いていませんか。これは二枚のペーパーです。一枚は調査ポイントダミー企業云々から始まって、二十項目あります。この調査ポイントに従って調査した問題点がこのプリントになっています。この第一相互銀行についてと、これをこう読んでみますとね、まあ情報ですから、情報として受け取ってください。一、韓国ばくちツアーで穴をあけて、銀座にあるマンションに三億円を不正融資したと。これは不正融資ですよ。その三分の一を自分がポケットしたと、今捜査二課が動いていると、こういう情報です。だから、三億円の不正融資ということが言われているんですが、こういう問題についてもひとつ、これは情報ですから、当たってもらいたいなと、こう思うんです、どの程度真実かどうか。  それから、やっぱりこの加藤正見さんの問題については、債権買い取り富士ファクタリングの方で徳陽相互銀行と第一相互裏融資を担当していらっしゃると。この方の関係でもやっぱり焦げつきができて、捜査第四課が動いていると。そのほか七つばかりあるんですがね。もう他人の迷惑になるものもありますから、私はそのほかは青いません。  やはり、第一相互銀行不正融資関係と、それからやはり融資の個人流用しているという問題と焦げつきに直接関連していると。徳陽相互と第一相互裏融資担当者だと。担当者だというところぐらいは、やっぱり私は銀行行政かかわりがあると、こう思いますので、あなたは何も知りませんと、こう言っていましたから、私は情報としてあなたに提示しますから、ぜひ次の総括質問なりの段階までこの第一相互銀行のこの情報の問題について、ひとつ検討なり、あるいは調査をしてほしいと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  23. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 調査さしていただきますが、公開の席でお答えできるかどうかはそのときに判断さしていただきます。
  24. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それからもう一つは、この加藤正見さんの事務所があるTBRビルの同じフロアに、前の代表をしておった中尾宏さんが代表取締役になっている千葉相互ファクタリング株式会社、それからもう一つビッグ・エーという株式会社がありました。この二つもやっぱり第一とおかしいなと思って洗って、調査をしてみますと、千葉相互ファクタリングが、これは大阪市北区梅田一の十一の四の五〇〇号にありますが、看板は全然出しておりません。定款金融業と、こういうふうになってますが、電話をやっても電話が通じない。この会社は、ほとんど原資が大手サラ金レイクが出していると。大手サラ金レイクが出しているというふうなことを私がつかんだんですが、この実態についてわかっておれば、私が調査した実態そのとおりか、あるいはわからないか、いやいやこういうことだと、こういうふうになるのか、この問題についてわかっておればお知らせ願いたいと、こう思います。
  25. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 個別の個々企業等につきましては、大蔵省としては承知いたしておりません。
  26. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、銀行行政を指導する際に、その会社がどういう融資をしているか、あるいはあなたが先ほど言った迂回融資をしているか、そういうことについては遺憾ながら答えられないと。わかっておるけれども答えられないと、守秘義務で答えられないということなんですか。本当にわかってないんですか。どっちなんですか。
  27. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 今、先生指摘の点につきましては承知いたしておりませんので、調査さしていただきます。
  28. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、ビッグ・エーもまだわかりませんか。
  29. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 現時点では承知いたしておりません。
  30. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私の調査では、まあ財産に関することですから金額は言いません、千葉相互については、中尾さん、熊野さん、箭内さん、橋本さん、中山さん、阿部さん、寺田さんと、こういう方々発起人になって、おのおの金を出していることになっています。それからビッグの方は、やっぱり中尾さん、三橋さん、斉田さん、藤崎さん、相田さん、渡辺さん、こういう方々がやっぱり金を出して会社をつくったと、こういうふうには記述上はなっているんですが。ここにありますからね、会社の謄本。今の会社ね。千葉相互ビッグ・エー、全部とってきました。これは全部名前が挙がっているんです。  しかし、私がいろいろ聞いてみますと、この元金はレイクが出しておるんだと、そして実際は中尾さんという方がやっていらっしゃるんだと、こういうことになるんですが。それで、私も銀行のことはわかりませんから法務省にお伺いするんですが、名目上はこう皆各人が五百万、二千万と出したことになっているけれども、実際は特定の方々が金を一〇〇%出して、ただ会社の手続上だけ発起人になって、実際の金はその一カ所が出している、こういうような会社の設立をしてサラ金業をやると。こういう際には、これが本当だとすれば公正証書不実記載、何かそういう法的にひっかかるんじゃなかろうかなあと、素人で私は学がないですからそういうふうに思うんですが、そういうことについては、法務省、余り心配ないということなんですか。それは若干問題だなあと、こういうことなんですか。ひとつ法的な見解を教えてもらいたい、このように法務省お願いします。
  31. 北島敬介

    説明員(北島敬介君) ただいまお尋ねの事実関係が必ずしもわかりませんので、お答えはいたしかねるところでございますけれども、要するに公正証書原本不実記載、そういう虚偽の記載をしたという構成要件に当たれば、そういう犯罪が成立する可能性はあると言わざるを得ないかと思います。
  32. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、名目上は書類の形はまあだれそれさんが何百万、だれそれが何百万という書類の手続はあっても、裏を返せばそういうような本人が出したのではなくて、特定の会社が全部出したと。こういうことが本当だとすれば、そういう可能性はあるというふうに考えていいですか。しつこいようですが。具体的な名前を言わなんだら答えにくいと思うんですがね。
  33. 北島敬介

    説明員(北島敬介君) やはり、その今伺った限りでは、具体的な事実関係いかんによると言わざるを得ないと思います。
  34. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、具体的な事実関係は少し、他人の問題になりますから、今回は控えましょう。  しかし、銀行局長ね、こういうことと先ほど言ったサラ金大手のレイクがやはり絡んでいるというのが私の調査なんです。ですから、事実関係など言いますから、私はきょうは言いませんが、あなたの方でもこの千葉相互関係ビッグ・エーの問題とレイクの問題と、発起人たちが本当に金を出したのか出さないのか、名目だけの出資人かどうかということを含めて一度調査をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  35. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 銀行と直接のつながりがない問題でございますけれどもレイクとの関係におきましては調査をさしていただきます。
  36. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それからこのビッグ・エーレイクが全額出資した後増資を行いました。その増資の謄本を見てみますと、東海興業、佐川急便、野村証券、日本電気、清水建設、こういう方々が五百万から一千万を引き受けているというふうになっておるわけでありますが、ビッグ・エーというのはこの本を出しておる、これは出版会社ですよ、ビッグ・エーというのは。いろんなことが書いてあります。これは法務省どうなんですかね。この前商法の改正になった、無償供与に事実上該当するんじゃないかなと、こういうふうに思うんですが、こういう佐川急便とか野村証券とかという方々雑誌社への出資の問題については、商法改正に抵触するかどうか、法律的に教えてもらいたい、こう思うんですが、いかがですか。
  37. 北島敬介

    説明員(北島敬介君) まことに恐縮でございますが、私刑事局でございますので、商法は民事局の所管でございますので、ちょっとお答えいたしかねます。
  38. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、質問聞いたことにして後で教えてください、結構ですから。じゃ、そっちの方は後で聞きます。  それから、ひとつ角度をかえて、銀行局長ね、ことしの二月九日、おたくの方で五十八年九月末現在の金融会社からの直接、間接融資の額を発表しましたが、直接融資は五千六億、それからサラ金業者の子会社、いわゆるダミーには大体五千二十六億、こういう数字を出しておるが、間違いありませんか。
  39. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) そのとおりでございます。
  40. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、私が昨年の十月三日、この問題を取り上げてお話しいたしました。それと比較してみますと、直接融資で七十一億、間接融資で八百九十二億、合計九百六十三億、これだけ融資が減ったということは、私は一面では銀行局長通達それなりに徐々にではあるけれども生かされて効果があらわれたのかなと、こういうふうに見るわけでありますが、しかし、依然として一兆円を超える融資サラ金になされていると。私は、悪い言葉でありますが、庶民の金を預かって安い金利でやりながら、大手サラ金に一兆円も融資をして、一兆円だったら約四千億だな、四千七百億。全く、そのうち一千億ぐらいどこにやってもいいという、本当に私は、一兆円の融資というのは確かに莫大な融資だと、こう思うんですが、この一兆円の融資の担保は一体何が担保になっているんでしょう。依然として小口ローンが担保なのか、特別の担保の改定をしたのか。この一兆円の融資と担保の関係について、銀行局長、赤裸々に教えてもらいたい。私は、この問題がきちっとしておれば兵庫県警のような事故もなかったではないかと、こう思うんですが、この融資と担保の関係をひとつどうなっているか教えてもらいたいと思います。
  41. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 昨年の九月時点での調査によりますと、金融機関のサラリーマン金融会社向け融資の担保につきまして調査いたしておるわけでございますが、そのうちで、まず貸付債権ですね、サラ金業者が個人に貸し付けているこの債権を担保にとっている場合が一番多うございまして、それが約四八%でございます。それからその次に多いのが保証でございます。これが約一四%でございます。それから次が不動産でございまして、約一二%、こういうようなところが目立ったところでございます。
  42. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、やっぱり依然として四八%、約半分ですね。半分が小口ローンが担保になっているという点は、やっぱり先ほど冒頭申し上げた、現職警官現職弁護士、そして三十代から四十代のサラリーマンがひっかかってしまうと。そういう関係で、やっぱりここにポイントがあるような気がします。しかし私は、もうちょっと突っ込んで考えますと、直接融資の割合を見ますと、在日外国銀行、これが二千四百三十二億、四七・九%、相互銀行が千五百六十一億、三一・二%、いわゆるまじめといっては語弊がありますが、一般の市中銀行は非常に自粛しておるという傾向が出てまいりました。でも在日外国銀行とか相互銀行が相当程度融資しているというのはこれはどんな関係があるんですかな、どうにもならないですか。
  43. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 現在かなり金融が緩和いたしておりまして、比較的その貸出先が見つけにくいというふうな状況も一方ではあるわけでございまして、そういう数字から見ますと、やはり外銀とか相互銀行のようなところはそういう傾向が一番強い業界なのかなという感じがいたしております。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 外国銀行はいろんな国際的な関係もあるでしょうが、この相互銀行についてはもう少し検討してしかるべきだなと、自分の身近な少額のものを集めてやっている銀行ですから。それからもう一つは、間接融資で生命保険会社、これは私の調べでは三千二十億、何と六二・一%が生命保険会社だと。これはもうこの前の去年の段階でもいろいろ話をしましたが、やっぱり依然として変わっていないです。あのとき、私は生命保険会社関係はどうなってるんですかと聞いたんですが、銀行局からお答えできませんでした。それで、私もあっちこっち探しているうちに、これはちょっと五十七年十二月三十日現在、去年の質問のときにわかれば一番よかったんですが、大手プロミスの資料を入手しました、ある方面から。これを見ますと、やっぱり私は、朝日生命から出発して安田火災海上まで見ましてなるほどなとびっくりしました。生命保険会社、これは参考までに読みますと、プロミスの本体、それからA&D、それからNCFというダミー会社、いわゆる子会社ですね、この二つに分かれているんですが、生命保険の方はほとんどプロミス本体ではなくて子会社融資をしていると。例えば朝日生命保険は三十億、住友生命保険は百十億、それから第一生命は八十五億、大同生命が五十億、第百生命が十億、太陽生命が二十億、東京生命が二十億、日産生命が十億、日本生命保険が九十億、日本団体生命保険が二十億、千代田生命が八十二億、三井生命が五十億、明治生命が五十五億、安田生命が四十五億、これだけダミー会社融資をしているという、生命保険が。それから火災海上はこれはダミーでなくてプロミス本体に融資している。住友海上が十億、第一火災が八億、大東京火災が五億、大正海上火災が三億五千万、東京海上が三億、日動火災が五億、日本火災が五億、安田火災が五億、合計で七百二十一億、これだけプロミスに融資をしている。ですから、大体この程度のやつを四大サラ金のところに融資をしていると見て私は間違いない。これは五十七年十二月三十一日現在ですから、五十八、五十九ですから多少先ほどの傾向で減ったとしても大体生命保険会社のあるいは火災保険会社融資現状という点は私はつかめると思うのであります。したがって、こういう問題について、銀行局長なりあるいは大蔵大臣としては、この傾向については、生命保険会社のあり方も含めて、あるいは大型サラ金等の関係も含めて、やっぱり極力銀行通達の精神をさらに一歩突っ込んだことをやらないとどうにもならなくなってしまうというようなことを私は非常に心配をするわけでありますが、この件について銀行行政上どういうふうに指導されるか、お願いしたいと、こう思います。
  45. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 御指摘のとおりでございまして、最初初私どもサら金融資実態を把握いたしましたときに、金融機関からの直接融資分だけを実は聴取しているようなことをやっておったわけでございますが、どうももう少し流れておるんじゃないかというようなこと、特に先生の御指摘等もございまして、生命保険の方からどうだというような話もございまして、そこで去年からは迂回融資についても調査をするということをいたしたわけでございますが、その結果今まさに御指摘のように、生命保険会社は迂回をしてサラ金融資をやっておったというような状況が判明したわけでございます。その実態等も踏まえまして、先ほども申し上げましたように、去年の五月に通達を出しまして、迂回融資も同じように自粛すべきだというふうな通達を出しましたわけでございますが、三月と九月の結果を調べてみますと、生命保険の方はまだ非常に高水準でございますけれども、二百四十億ほど生命保険会社の間接融資が減っておるわけでございまして、そういう点も含めまして、まさに今御指摘の点につきましてはサラ金融資のポイントの一つかと思いますので、十分目を配りながら指導してまいりたいと、こう思っております。
  46. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それで、大蔵大臣、今お聞きのような格好になっておるわけですよ。それで、私はやっぱり大蔵大臣として金融機関サラ金との関係ということは、もう一歩踏み込んだ形でこれらの指導を、今銀行局長の努力も多としますけれども、大臣としてやっぱり今一歩突っ込んでこれらの問題について明確にすべきじゃないかと。例えば、先ほどあった約五〇%が個人融資の担保になっているということは、やっぱりいろんな社会問題を起こす諸悪の根源がここにあると思うんですよ。ですから、例えば、私がこの前提案した半年ごとに、あるいは各四半期ごとに融資額をもとに戻す。そして、やっぱり最低の担保能力に見合う点は幾らかという基準を決めて、その基準を超えるような融資はしない、させないと、そして社会問題を起こさせないと。こういうことが、やっぱり私は大蔵大臣として努力できる具体的目標じゃなかろうか。そういうことをしないと、幾らやっても依然として社会悪の問題は起きてくると、こういうことを考えますので、この辺に対するひとつ大蔵大臣の見解をこの辺で聞かしてもらいたいなと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  47. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 御指摘のことは、ことごとく私ども傾聴すべきことであると思います。確かに今御指摘になりました外銀——外銀なんというのは、もとよりこれ内国民待遇を与えておるわけでございますけれども、どうしても能力的に言えばそう優良な融資先をなかなか見つけることは、それはお互い国内の金融機関が行うほど迅速、的確にできないであろうと。それ以上にいわば相互主義によって出てきた銀行の数が多いと。そうなりますと、どうしても安易な融資先というものにいささか傾斜がかかりがちでございます。したがって、これも内国民待遇という範囲内においてもとより我々の対応すべきことは、対応するのは当然のことでございましょう。が、今御指摘のありました相銀あるいは生保、それから損保、こういう問題、先ほど銀行局長からお答えいたしましたとおり、この直接融資というものに対していろいろな御指摘を受けながら、我々は非常に関心を持って指導の対象にしてきたと。しかし、やはり迂回融資というものに対して直接これに関心を持つべきであるということから、新たなる通達によって数字的に御報告できることは若干ずつ減ってきていると、こういう実績は上げておるわけであります。  そこへ出てきましたのがいわゆるサラ金規制法という法律、これが十一月から施行されて、本当にこれは我が大蔵省だけでなく、地方自治体、都道府県、警察あるいは消費者の立場から経済企画庁、随分いろいろな相談をしまして、一応の政府側としてのこれに対する対応の仕方というものはスタートしたわけでございますけれども、それが十分機能しておるかとおっしゃれば、私は出発早々でございますので、今御指摘なさっておる社会悪とかいう問題にまできちんきちんと対応できる体制が必ずしもできておるかと言われると、なお努力する点があろうかと思うわけであります。それでやはり元来あるべき姿というのは、これはそういう俗称サラ金というものは、歴史的に見れば、昔の質屋からいろんな社会的ニーズに対応してできたものでございますけれども、これが今日社会問題として大きく影響範囲が広がっておる昨今でございますだけに、本来あるべきやはり金融機関そのものがいわゆる個人融資に対しての努力をしていかなきゃならぬ。そのためにこれは末端のあるいは農協でございますとか、信用組合でございますとか、あるいは郵便局にも一部ございますゆうゆうローンでございますとか、そういうものが機能する、さらに普通銀行等もそれらの方向に対しての努力を行わなきゃならぬと。今ある意味においては金融が緩んでおりますから、そういう緩んでおるときにこそ、そういう個別、個人金融等に対するニーズに対応するある意味においては一つのチャンスかもしれません。そういう指導を行いつつ、なお宮本銀行局長のもとで、その成立させていただきましたサラ金法そのものの機能する問題はもとより、いろいろな社会的ニーズに対応してどういうことが本当にできるだろうかという点について、部内で今鋭意勉強しておることだけは事実でございます。
  48. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣の答弁それぞれ実を結ぶように要請いたしておきます。  国税庁にちょっとお伺いしますが、個別の金の流れの疑問点とか、架空名義の金の流れだとか、こういう問題については追跡調査をして、何らかの危険を事前にキャッチして対応すると、そういうようなことは国税庁の機能としてできないものだろうかどうか。とれもひとつ勉強のために教えてもらいたいなと思うんですが、国税庁よろしくお願いします。
  49. 岸田俊輔

    政府委員(岸田俊輔君) 国税庁といたしましては、サラ金業の問題のある企業につきましては的確に調査をいたしますし、かつ資金の流れについても確認はいたしております。ただ、私ども行政は税務上の行政でございますので、それが直ちにほかの行政に影響を及ぼす、ないしは連絡をとりつつということにはなかなかいかないのかというふうに考えております。
  50. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣ね、これだれに質問していいかわからないが、大臣として、国務大臣として、これは福島交通の問題のときもそうでしたが、あるいは滋賀県の汚職事件のときもそうでしたが、国税庁が税務調査その他でちょっとおかしいなというやつをある程度つかめると、つかんだと、そうしてそれを横の方に、政府一体の原則で横の方に連絡し合って、余り問題が大きくならないうちに指導するなり、あるいは是正するなり、そういうことをすれば、こんなに大きくならないのになと、そういうことをちょいちょい感ずるんですよ、私はこの仕事をやっていて。ところが、今国税庁答弁したとおり、我々は国税庁立場から言うと、調べてある程度の流れはわかるにしても、それを守秘義務といいますか企業秘密といいますか、それを横に広げてどうのこうのというところまで我々は許されておりません、だからできません、こういう答弁が返ってくるんですよ。ですから私はここでそういう政府一体の原則で、いろんな問題が起きそうだなというときには、緊急避難的にやはりそれを事前に活用しながら、なかなか難しい問題だと思うのでありますが、やはり政治の不信を招かないための緊急避難的な措置といいますか、それを政府全体、閣議なら閣議の段階でお互いにできないものだろうか。それは水面下の場合もあるでしょう。場合によっては水面上の場合もあるでしょう。そういう点についてひとつ私は、国税庁の機能をいい意味で政治の上に生かす意味で私は考えるべきポイントじゃないかなと、こう今の答弁も聞いて思うんですが、いかがでしょうか国務大臣として、大臣。
  51. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 国税庁というものの権限の中に、みずからいろいろな情報等を収集して税務上の調査等を行い、ある種の情報を確保する。しかし、それそのものはやはり守秘義務の範囲の中に私は含まれて、容易にその得た情報をもって、例えば会社なり業界の指導官庁に対して、このようなことの懸念があるからあなたの方で適切な指導をされたがいいじゃないかという問題を直接指摘することによって、いろいろな問題が大きく広がらない前に適切な指導官庁から措置を行っていったらいいじゃないか、こういうお話であろうと思うのであります。  私は、そういう個別問題ということになりますと、それは確かにそれぞれのよってもって立つ設置法等々の中において、なかんずく国税の場合は守秘義務の問題が恐らく大きくかぶるだろう。これは私も素人でございますから定かに、法的に整然と申し上げておるわけじゃもちろんございません。だが、出先は出先なりのそれぞれの意見交換の場等がございます。そのときに、個別問題として取り上げるかどうかは別として、全体的なその地域における産業、経済、あるいはもろもろの情報交換の中にそのような大きく地域に影響を与えるような問題が事前の情報連絡の中で事なきを得るということは、あり得る姿としては私も好ましい姿じゃないかなと。ただ、税務の角度からこれに対して中心的役割を果たせということになりますと、やはり私は守秘義務の問題が大きくかぶってくるとは思いますが、考え方としては私はあり得る考え方ではなかろうかというふうに感じます。
  52. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょうは時間がありませんから、検察庁の問題にしてもいろいろあることでありますから、ひとついい面ということを含めて、我々も考えますけれども、大臣の方でも考えてもらえばいいなということを要望しておきます。  それからもう一つだけサラ金関係でお伺いしますが、銀行局長、武富士、プロミス、アコム、レイク、大手四社の昨年の決算を見ますと、一年間の貸し倒れ償却額が七百七十八億、融資残高に対する償却比率は六・八%、これは昨年私が質問した当時に比べますと、あのときは一%強だったと思いますから大体六倍近く悪化している。貸付残高の、融資残高の伸びは三〇・九%、私が前回質問したときは対前年比一四三%、非常に鈍化している。こういう点では大手四社の方も相当これはきつくなってきているなと、こう今思うわけであります。さらに中小サラ金の場合は融資残高に対する償却比率は一〇%を超えている、こういうふうに私は資料で見たんですが、こういうサラ金業界も相当やっぱり厳しい選択を迫られてきているという現状について間違いないだろうか、これらに対する認識について私の認識で間違いあるかどうか確認をしたいと思いますが、いかがですか。
  53. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) サラ金二法が施行されてまだ半年でございますので、もう少し中長期的に事態の推移を見守りたいと思いますが、少なくとも短期的には今先生指摘のとおりでございます。私もそんな感じがいたします。  特に貸し倒れ償却の金額がここへ来て非常に大きくなったということは、やはり今までは比較的、その大手が取れなくなると中小の方から借りてこさせてそれで取り立てていたというような面がありまして、割と大手の償却が少なく出ていたのかなという、これはまあ推測でございまして確かなことではございませんけれども、そんな感じもいたしまして、その結果大手においても償却額が前に、表面に出てき始めたのじゃないかなと。したがって実態が少し表面に出てきつつあるのかなという感じがいたします。  また、貸出残高の伸びも鈍化しているというようなことでございまして、したがいましてそういうことを見ますと確かにサラ金の方の経営の実態が表面に出てまいりまして、そのことは逆に言いますとあるいはこの二法の効果が徐々に出てきているのかなというような感じもいたしておるわけでございます。
  54. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まだ施行してから時間が十分たっていませんから注意して見ていく必要があると思いますが、こういう傾向についてはひとつ行政の方でも手落ちのない先取りの対応をひとつ要請しておきます。  それから銀行局長通達の問題で、過剰貸し付け防止のための措置、これは誇大広告の禁止、取り立て行為の規制などがあります。しかしこの中で、私は新橋から通っているからちょいちょい電話ボックスへ入るとやっぱり依然として出ているんですよ、これ。銀行局長の方は、一件五十万以内もしくは年収の一〇%以内、こういう指導をしておるわけでありますが、これはまあ銀行局長通達が出る前につくった広告で、パアにするのがもったいないから使っているのかもしれませんが、電話ボックスに入るといっぱい入っていますな、これ。これを読むと、「他店での利用件数・借入総額は気にしないで下さい。」、これを繰り返すと兵庫県警のような事故になるわけだ、これを繰り返していくと。それから「身分を証明するもの一点で!」、身分を証明するものは一点だけあれば結構ですと、「他店借入返済でお困りの方。」、他の店の借入金の返済に困っている方はどうぞいらっしゃいと。これは自転車操業をどうぞやってくださいと、こういうことを奨励している広告なんですよ。これはほとんど同じです、これはワイド、これはオージーファイナンス。  ですからこういうものについても、やっぱり特に十代二十代の学生さんなどはついこれにつられちゃって学生証を持っていって借りてしまう、二店三店やっているうちにもう百万、二百万にふくれ上がってしまうと、そういうことになりかねない。ですからやっぱり、こういう広告も結構でありますが、やはり銀行局長通達のことを十分に頭に置いて、こういう広告なんかは電話ボックスへ入れておくようにというぐらいのやっぱりきめ細かいことを、銀行局長の方も大事でありますが、サラ金業者自体がいわゆる自主規制案というものをつくって大蔵省に出す、こういうふうになっていると思うんですよ。ですから、行政指導も必要でありますが、やっぱり業界も自主的に、そういう社会悪を発生するようなこと、あるいはサラ金業者サラ金のために倒れていく、これは共食いですわね、そんなことのないようにやっぱりきちっとやるべきじゃないか、両面からやるべきじゃないかと、こういうふうに今思うわけでありますが、こういうことの指導についてもう一度銀行局長から見解を聞きたいなと、こう思います。
  55. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) この点は御指摘のとおりでございまして、私ども通達を出せばそれで終わりということじゃございませんで、その通達の実効を期さなければいけないわけでございますから、そういう意味におきまして登録の例えば事務をいたしますときにも既に約二万一千件登録済みでございますが、登録拒否といいますか、登録を受け付けなかった分が約二百件もあるとか、あるいは立入検査を着々と実施いたしておりまして既に半年で五千業者を検査をいたすというようなこともやっております。  そういうことで行政的にも対応してまいりたいと思いますが、もう一つ指摘の協会を通じて指導すべきじゃないかというのもまさに今回の改正法のポイントでございまして、ただ現在、去年の十一月から一年間は登録においてもちょうど過渡期でございます。それから協会も今までの自主規制案の中の協会を今度新しい法律の協会にこれを切りかえていくというちょうどその切りかえ最中でございまして、依然としてまだ途中経過みたいな状況なんでございまして、いずれにいたしましてもできるだけ早くそういう協会なども切りかえをいたしまして、体制を整えまして、そして業界みずからがこれに真剣に対応するような姿勢を私どもといたしましても側面から指導してまいりたいと、こう思っております。
  56. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 サラ金の最後に、これは共同通信の調べからあったんですが、各地方の自治体が庶民金融業協会に補助金を出しているという、これは本来自治省を呼んで見解を聞くのが筋道だと思うんでありますが、一件だけでありますから、大臣なりあるいは銀行局長として、サラ金業界に地方自治体から補助金を出すということについて、広島とか千葉とか東京はそんなの問題外だ、出すべきじゃないと、こういう見解をとっている都府県もあるわけでありますが、大蔵省としてサラ金を育成していくという観点から、どういう見解を持っていらっしゃるか聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  57. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 都道府県がどう対応しているかの実態は承知いたしておりませんが、基本的には自治体自身が判断すべき問題だと思います。ただ、今御指摘のようなこともございますし、また貸金業法では協会を通ずる指導育成というようなことも非常に大きな機能の一つとして規定されているわけでございまして、健全なる協会というものができました暁において各自治体が御判断されて、そういうところに個々に対応されるという点につきましては私どもその判断を尊重してまいりたいと、こう思っております。
  58. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それから最後にお願いしますが、この前、去年の十月三日に出した中で、おたくから資料をもらうということになっておった件で、二、三件まだ資料が届いておりません。きょうは項目言いませんから、やっぱり約束したやつは議員から催促されなくともやっぱり資料をまとめて出してもらいたい、そうしないとここの委員会でお願いすることも空振りになりますから。ケースは言いません。ぜひサラ金に関する問題についてお願いしたい、要望しておきます。  次は福島交通問題でちょっと残りの時間やります。  福島交通問題は三月の二十三日、国会で取り上げられてから今日までいろいろな議論をされてまいりました。私は専らきょうは日債銀、銀行、きょう大蔵ですから日債銀関係を中心に政府側の見解なり取り扱いを聞いていきたいと、こう思います。  議事録は全部読ませていただきました。したがって、その議事録を中心に、一つ情報ですが、国税庁福島交通問題から手を引く、手を引いたと、こういう点が私の耳に入ってきたんですが、よもやそんなことはなかろうと、こう思うんでありますが、そういうことはやはり国会答弁したことを含めて必要な調査を続行中だと、そういうふうに信頼したいんですが、せっかくの機会ですから国税庁の見解を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  59. 岸田俊輔

    政府委員(岸田俊輔君) 福島交通及びその関連法人、個人の調査につきましては、国税庁といたしましては適宜調査、課税という処理を行ってきておりまして、最近時点では昨年に調査を終了いたしております。  今後の問題でございますけれども、私どもといたしましては一般的に申しまして、調査を始めます段階におきましてはあらゆる情報を収集し、かつそれを分析、検討、さらにそれに補足の資料を収集するというような段階を経て調査すべきかどうかを判断していきたいとまいっております。  福島交通につきまして具体的に調査をいつするか、その他につきましてはお答えは差し控えさしていただきたいと思います。
  60. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 銀行局長ね、福島交通が有価証券報告書の訂正をした、こういうことがあるわけでありますが、私は、この問題について公認会計士だとか日債銀から訂正の問題について事情を聞いたんでしょうか、この問題はその後どうなっているんですか。——証券が。
  61. 佐藤徹

    政府委員佐藤徹君) この問題につきましては当委員会でも御議論がありましたし、私ども意見差し控えという監査意見がついているある意味では異例の報告書でございますので、その後担当いたしました公認会計士あるいは会社、日本債券信用銀行、この三者から事情の聴取をいたしております。
  62. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これ三月二十九日、衆議院予算委員会において佐藤証券局長答弁として、公認会計士から意見聴取はおおむね終わったと、こう答弁しております。しかし、その後の四月十一日、衆議院法務委員会で中島企業財務課長は、公認会計士を通じて事実関係を確認したい、作業を進めています。——これはどっちが本当かね。四月十一日答弁が今調べている、三月二十九日は終わりました、これはどっちが、あなたは今まだ進めている。これ三人三様の答弁で、こんな国会でその場限りの答弁ありますか。どっちが、これ大臣どっちが本当ですか、三人三様。三月二十九日の衆議院予算委員会は終わった、四月十一日は今調べている、今の答弁も調べている。そうすると衆議院予算委員会の佐藤証券局長答弁はうそだった、こういうことになりますかね、この日は終わったと育っているんだから。局長が終わったと言っているのに、課長が今やっていますというのはどういうことだ、これは、どっちが本当なんだ。
  63. 佐藤徹

    政府委員佐藤徹君) 議事録をお読みになったとおり、三月二十九日でございますか、その時点でお答え申し上げましたのは、おおむね終わったということを申し上げております。それから、ただ事情聴取は公認会計士に対して一回だけやれば全部済むというわけではなくて、関係の当事者が公認会計士、会社銀行と三つございます。公認会計士の事情聴取をおおむね終わりまして、その後会社の事情聴取を行い、あるいは銀行の事情聴取を行いますと、その中で公認会計士に再度事情を聞かなければならない事柄が出てまいります。そういったことも含めて中島企業財務課長でございますか、御答弁を申し上げたんだと思います。  本日今お答え申し上げましたのは、事情聴取をやったのかという御質問でございますのでやりましたと、ところが、今やっておるということを言っておるわけではございませんで、もう終了いたしております。
  64. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 使い分けは御自由だけれども、結局終わったということですな、終わった。——じゃそれは確認します。  私は、この有価証券の問題についてはいろいろ議論されていますから省略しますが、これは終わったんですからね、国会で問題になって振替融資を認めないという文書をわざわざ日債銀からもらうというのは話が逆じゃないかと思うんですがな。私はこの問題は当然日債銀として国会で問題になる以前に当然の仕事として私はやるべき仕事だというのが筋道だと思うんでありますが、その点はいかがでしょうか。
  65. 佐藤徹

    政府委員佐藤徹君) 有価証券報告書に関する事情聴取につきましては、先ほども申し上げましたように、公認会計士の監査意見が意見差し控えという異例のものでございますから、仮に国会で御指摘を受けなくても、私どもの方としては当然公認会計士から事情を聴取し、さらに必要があれば、会社銀行から意見聴取をして、現在までとられましたのと同様の処理を進めたものであろうと考えております。
  66. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから、証券局長ね、そうなると、もともと大蔵省の監督行政というのは——ちょっと聞いてくださいよ、あなた方も有価証券を見ているわけですからね。そういうのに気がついたなら、やっぱりこれは少しまずいなということを気がつけば、やっぱりそれをきちっと受けとめながら福島交通に制裁措置なり、あるいは是正措置なりをやりながらきちっとしていくというのがやっぱり証券局の本来の仕事じゃなかったんですか。私はそこに大きな疑念を持ちます。  なぜそうなったんだろうかという問題について、これは、この問題に絡んでくると思うんですが、五十七年の十月に、当時の日債銀の安川七郎頭取がやめましたね。やめました。これは、なぜやめたかというと、我々の調査では、いわゆる安川頭取が福島交通の残高が非常に大きいので、やはりこれを、借金を取り立てると。借金を取らなければ大変なことになってしまうということを心配して、やはり頭取の権限で五十七年の九月、五十億を返済させたと、五十億。ところが、この五十億の返済をさせたことそれ自体について、日債銀の内部あるいは特定の政治家の皆さんなどなどからいろんな問題が起きて、結局福島交通に借金を返済させた安川頭取はけしからぬということで、おまえ首だと、やめると言われて詰め腹を切らされたと、こういうふうに我々は理解をしておるわけであります、そして、この詰め腹を切らせた後がまに小針担当重役の頴川さんが昇格して現在の日債銀の頭取になっていると。それが続いて今日の国会で問題になっている五百二十五億の融資の問題に発展していると、こういうふうに我々は理解をしておるわけですが、五十七年の九月にこの安川さんがとった態度を銀行局なり証券局としてこれは当然だと言って支援をしたのか、やむを得ないと言って見過ごしたのか、福島交通から金を取ることはけしからぬと言って別な方に加担したのか、あるいは銀行とか大蔵の枠を超えた別な政治家が働いて、それはおかしいということにしたのか、さかのぼっていってみると、今日の福島交通と日債銀、日債銀と銀行局大蔵省のくされ縁がどうもこの辺にあるような気がするわけでありますが、この辺について大蔵省はどの程度情報を収集したのか、どの程度タッチをしたのか、あるいは全然しませんでしたと、こういうことなのか、その辺のさわりを——これはだれに聞けばいいんですかな、やっぱり銀行局長だね、これは。銀行局長、その辺のさわりを、どういうさわりがあったんですか、教えてください。
  67. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 各金融機関の頭取、役員等の交代につきましては、それぞれの銀行の事情に基づきまして銀行自体が決めることでございますので、私どもから、その理由についてつまびらかにいたしているわけでもございませんし、またそれをこの席でお答え申し上げるというふうな事柄じゃないんじゃないかと思うわけでございますが、この安川さんの辞任につきましては、少なくともこの福島交通の問題につきまして責任をとっておやめになったということは聞いておりません。
  68. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、このころ小針社長福島交通をやめるとか、あるいは福島交通の計画倒産とかどか倒産処理計画だとかと、そういうことがしばしばこの辺の前後にささやかれたことを、私も地元ですから、そのささやきは耳にしたことがあります。そういうささやきについても全然銀行局情報網になかったと、こういうことですか。情報はあったけれども、日債銀なり福島交通の問題だから、中にはタッチしなかったと。情報は聞いたけれどもタッチしなかったのか、情報も何もなかったと、あるいは情報はあったけれども立場上タッチしなかったと、いろいろありますね。その辺はどうですか、さわりは。
  69. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 情報等につきましては、私ども検査をいたしましたり、あるいは財務局を通じまするいろんな情報が入ってくるわけでございますので、情報を知らないというふうなことじゃないと思います。特に、検査の場合に注目しておりましたのは、やはり福島交通に対する債権の回収がうまくいくかどうかという点については関心を持って対応しておったわけでございますが、そういう点につきまして、例えば福島交通の再建計画といいますか、日債銀から言いますと債権の回収計画でございますか、こういうものを福島交通との間で銀行がいろいろと一生懸命その計画を立てているというような情報は、私どもは当然知っておったところでございます。
  70. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 問題が問題だから、知っておっても、知っておったなんて言ったらこれは大変なことになるから、これは煙幕答弁をしていると思いますが、まあ煙幕答弁なら煙幕答弁で結構ですよ。  じゃ、もう一つお伺いします。この有価証券報告書の虚偽の株価の操作、この株価の操作についてお伺いします。  私は、昨年の五月、大蔵省に対して、有価証券報告書によると五十七年の四月から九月まで株価が五百円から五百六十円と全く同じであると、膨大な赤字の会社が、未上場にもかかわらず額面以上の株価で取引するのはおかしい、この株価形成の実態は一体どうなのかと、日債銀は何ぼ持っているのかと、こういうことを質問したところ、大蔵省の回答は、簡単に言いますが、御指摘を受けて調査したところ、有価証券報告書の株価の記載に誤りがある疑いが濃くなったので、福島交通に照会したところ、該当する気配相場はなく、株価を記載すべきではなかったことが判明したと、このため、福島交通株式会社は、有価証券報告書及び半期報告書の訂正報告書を提出した、なお、福島交通側は、不注意による記載上の誤りがあったことについて遺憾の意を表した、云々と、こうあるんですね。ですから、私が去年の五月、質問書を出して、ちょっと福島交通と日債銀の関係がおかしいじゃないかという問題を提起したときに、あなた方がもっと親切に、個別問題といって逃げないで、もう少し親切に手を入れれば、今日こんなに国会で問題になるようなことに発展しなかったと、こう思うんですが、この辺のくだりについて銀行局長、今日どう思いますか。そして、この気配相場ということについては、一体どういう意図を持って、福島交通ともあろうものがどういう意図を持ってこんな気配相場を出したのか。また、証券局がこの気配相場に気がつかないなんでいうのは、これまたおかしなことで、私はそういうふうに、どうもこの辺が、先ほどずっと、ありませんありませんなんて答えているから、じゃこの事実はどうですか、この気配相場の事実は。
  71. 佐藤徹

    政府委員佐藤徹君) 御質問の点につきましては、御指摘のとおりの事実関係でございまして、昨年五月、先生の御指摘を受けまして、会社に照会をしたところ、該当する気配相場はないにもかかわらず五百円ないし五百六十円という株価を記載をしているという事実が判明したわけであります。したがいまして、昨年の五月十九日付で、該当する報告書並びに半期報告書の訂正報告書が会社側から提出されたわけでありますが、その間財務局の方で事情をいろいろ聞きましたところ、かつて福島民報という新聞に気配相場が記載されていた期間があったわけでございます。当時五百円ないし五百六十円という株価が記載されておりまして、それを報告書の中の気配相場の欄に記載をしておったわけでありますが、ある時期から新聞の方が掲載をやめてしまった。したがって気配相場というものが存在しなくなった、この点についての若干不注意と思いますけれども、そういったことに起因をして御指摘のような事実が出てきたわけでございます。もちろん、有価証券報告書に記載するに当たりましては、当然そのときの新聞の気配相場を見るべきでありますから、それを見ないで記載をしたということについては不注意とはいえまことに遺憾なことでありまして、この点については会社側も非常に遺憾なことであったという意向を表明しております。
  72. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これはそういう経過があって私に質問されて初めてわかった、わかったはいいけれども、しかし公認会計士が七年間もこの有価証券報告は適正であるなんということをやった公認会計士の何といいますか、落ち度といいますか、これもまたお粗末な公認会計士だわね、七年間もそれを見逃しているなんということは。そうすると何を証拠に一体有価証券報告書を見ていいかわからないと、こういうふうになってしまいましょうが、これはまあ言いませんから、そういう公認会計士のあり方については私は問題を提起しますからきちっと指導方を大蔵省で考えてほしい、これは時間がありませんから要望だけにしておきます。  それから、日債銀と福島交通の過剰融資の問題について銀行局長にお伺いします。  あなたは、五十四年の十二月六日参議院大蔵委員会で公明党の鈴木先生、五十七年四月七日衆議院の大蔵委員会の共産党の正森先生からこの日債銀と福島交通の過剰融資、くされ縁の関係をもうこのときに追及されているんですよ。その際にあなたは前後がありましたが、結論はこう答えております。グレーがかった貸出金回収のために双方に厳重な警告をし、厳正な示達をいたしているところであります。こういうふうにあなたは答えておられましたな。ところが、今度のことしの四月九日参議院の予算委員会でこの問題について同じく質問されたところ、あなたは日債銀と福島交通の間の融資でそのこと自体問題意識を持っておりませんと、前の段階ではこのくされ縁については困ったもんだと、厳重に注意します、警告します、中身も改めさせますと、こういう答弁をしておって、今日はそれ自体には問題意識は持っておりませんと、ここもどっちの答弁が本当なんですかな、これは。この問題が始まってから七年間ですからもう五十一、二年から始まっているんですが、いまだに五百二十五億という金が、残金が残っているわけですね。これは銀行局長、どっちが本当ですか。
  73. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) この問題につきましては、私どもといたしましても重大な関心を持って対応してきているわけでございまして、昭和五十年代の初めぐらいからこの日債銀の福島交通への大口の融資——債権でございますね、これにつきましては回収に非常に懸念が生ずるようなことがあっては、これは銀行経営に大変影響があるわけでございますので、二、三年置きに検査をいたしまして、その検査の示達書というようなものを出すわけでございますけれども、その中でもこの債権の回収には万全を期するようにというようなことで示達をいたしておりまして、検査のたびにフォローアップしておるわけでございますので、この点につきましては私どもとしては重大な関心を持っておる。ただ、毎回同じような指摘をいたすんでございますが、なかなか、例えば回収の一番の方法といたしましては、その土地が売れるといいますか、流動化されることが一番大切なんでございますけれども、やはり景気の問題とか、あるいは低成長時代のこういう時代の背景もございまして、なかなかその土地の売却が進まないということで、その検査のたびごとに指摘いたし、かつ具体的な回答はもらうんでございますけれども、それの実現がなかなか進捗していないという点につきまして、私どもとしても大変遺憾に思うと同時に、懸念をいたしているところでございます。
  74. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから、過剰融資はあれは景気の関係だと言ったって、これは時間があればもっとやりたいんですが、五十二年当時から我が党の大出俊、衆議院予算委員会で五十二年三月三日、当時の大蔵大臣は坊大蔵大臣、このときから言われているわけですね。この際ももう二百億を超えていると、こういうこと。そして当時の坊大臣も何とかしますと。五十二年だから、今五十九年、七年、だからそこからのくされ縁があるんですよ、これ。当時調べると、これもどうですかね、銀行局長、当時、東亜相互企業に八億円の融資をしておるわけですな、福島交通が。随分おれも隣町だからそんな金貸すだけの力あったかなと思って当時調べてみると、福島交通の五十一年九月三十日の決算を見ると、年商売り上げ百九億、赤字欠損、これは運輸省からの補助金もらって補助金で埋めてもなお九億四千三百万の赤字、累積赤字が二十五億、借入金が何と四百五十一億円、それじゃ福島不動産がどうかと思って福島不動産を調べたら、五十二年三月三十一日財務内容、年商売り上げ三億六千万、当時欠損が十六億円、累積赤字が五十八億円、福島交通から借りている金が何と二百三十六億、この会社が何で八億円も東亜相互企業に融資したのかと調べてみると、全部日債銀の裏書の一種じゃなかったんですか。こういうくされ縁が五十二年に指摘されていながら、あなたたちがずっと日債銀と福島交通との関係を放置しておった、投げておったというのが今日の問題に発展してしまったやはり根源じゃないですか。ここはもう大蔵大臣だね、竹下大臣、これだけ七年間も同じ状態ほっておいたということは、やっぱり銀行行政では政府側にも一半の責任があるんじゃないかと、こう思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  75. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この個別の取引の問題、これについて言及をするわけにもまいりませんが、しかし日債銀と福島交通融資問題、これはその後承ってみますと、検査等を通じられていわゆる示達書というのが出るわけでございますけれども、その内容をかなり早くからこれを掌握して、それでその問題を示達書等でずっと指摘して、今、今日も銀行会社の間におけるこれが両者ともが公営企業とし、あるいは金融機関として、これがきちんとした、いわゆる経理上も、また将来にわたってもきちんとした決定が行われるよう種々交渉が行われておるというふうなことを、行政指導立場から見守っておるという現状であるやに承っております。
  76. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから現状はわかるんだけれども、これは福島交通の再建といいますか、こういう問題について、会社銀行関係だからおまえら適当にやれということだけでは私はこの問題は解決がおぼつかない。政治家が絡んだ絡まないとか、政治献金があったとかなかったとか、そういう問題については、私はもう余り追及しようとしません。だけど今日五百二十五億の借金を抱えながらああしている福島交通銀行関係をどういう形で正常な関係に戻し、どういう形で再建するのかということについても、やはり福島交通を指導する運輸省あるいは銀行を指導する大蔵省、この辺あたりで本当に親身になって再建問題だとか正常な関係をどうするかということを考えてやらないと、当事者間についてはもう末期的な現象で、当事者能力がないと言っても過言でないくらい非常に困難な情勢に追い詰められているんではなかろうかなと、私はもうこの問題を追及すれば追及するほどそういう感じをするんですがね、大臣。その点は、まあ銀行局長もわからないわけじゃありませんが、やっぱりここは行政の、政治の責任というところで私は検討をしてもらいたいなと、こう思うんですが、しつこいようですが、いかがですか。
  77. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 債権回収に手間取っておるということは、私はその五十二年当時の指摘からし、今日五十九年になるわけでございますから、そのまさに手間取っておる事実は、これはあるいはその後のこの不動産の流動化が順調に推移していないと、こういうことで原則的にはあろうと思うんでありますが、しかし、個別問題ではありますものの、私どもも政治家としてこの問題を見てみます場合に、いわゆる地方の交通という公営企業というものの存在と、いま一つは、日債銀、それはかなり大きな銀行ではございますものの、金融機関としての健全なあり方の問題と、両方、先ほど申しましたように、地方交通機関としてこれが健全な経営が続行し得るようなことをもとより念頭に置き、一方金融機関として、何分大きな金でございますから、この債権が順調に不動産等の売買等によってこれが進展していくことを期待し、そういうことを念頭に置いてもとより私は指導していくべき問題であるという事実認識は十分持っておるつもりでございます。
  78. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは銀行局長ね、日債銀に福島交通から実際お金返っているんですか。福島交通なり福島不動産から、日債銀に借りた借金は毎年どのくらい返還になっているんですか。全然返還になっていないんですか、あるいは利子だけでも払っているんですか。大体利子が払えないというのは、第三分類とか第四分類とかっていろいろ銀行の固有名詞があるらしいですがね、我々が入手している情報では、もうほとんど返してないんじゃないかと、大変な状態だということを聞いているから心配をして大臣に言っているんですよ。いや、目黒、そんなことを心配するなど、結構五十億なり六十億なり百億なりちゃんと返還能力あるんだよと。もしも能力ない場合には土地とか不動産があるから、不動産をあれにして肩がわり返済できるんだよと、そういう能力があればこれは私のまあ些事心配ということになりますが、そんな悠長なことは言ってられない現状じゃなかろうかなと事態認識をするがゆえに私はまあ心配するが、銀行局長、見ておって最近どのくらい金が返っておるんですか。あったら教えてくださいよ。
  79. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 毎年その土地の流動化によりまして返還額は実績としてあることは確かでございますが、その残高として顕著に減っているような状況ではございません。それからこの債権につきましては、再建計画といいますか、先ほど申しましたように、銀行福島交通との間で真剣なその計画を練っているわけでございますが、その中で例えば利息については当分棚上げをするとか、あるいはその再建計画の過程でしかるべき担保というようなものを設定しておくというようなことでございます。現実問題として確かに回収に懸念はあるけれども、私どもが検査した限りにおきましては、その担保の流動化について時間がかかることは見込められますけれども、最終的にこの債権の回収が行われないというようなことは全くないんじゃないかというように私どもは見ておるわけでございます。
  80. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間が来ますから、これ以上言いませんが、小針さんがやめて解決する問題でもなし、やはり福島交通という地域住民の大変な交通機関を運営している責任もあるんですから。加えて私の田舎の丸森線の阿武隈急行もまだ五一%引き受けてやると、そういう有望な形ですから。ただ、こういう日債銀と福島交通の膨大な借金がある中ではいろんな問題が出てくる。あるいは土地転がしの問題もいろいろ言われている。そういうことを含めますと、やっぱり地域交通を守るという点から心配なので、重ねて銀行の過剰融資の問題については一日も早く解消するような努力を指導してもらいたいということを要望しておきます。もうこれ以上言ったって出てこないのだから。  それからちょっと運輸省にお伺いしますが、私もう何も言うまいと思っていたのですが、きのうの新聞、福島交通、これ何ですか、バスの助成をもらういろんな手続があることについては、私も専門巌だから何も言いません、わかっていることですから。しかし、ある代議士に福島交通事務所を貸しておって、それを補助金申請の対象にして計算に入れるというようなことは、これはやっぱりこの新聞に書いてあることが本当だとすれば、これは運輸省の査定がもってのほかだと、こうなるんですがね、これは運輸省がもってのほかの前に、福島県、自治体そのものがそういう書類を選考する際に甘く見ていると。あるいは仙台陸運用がこれを見る際に、この新聞記事によりますと百五十件ほど誤りがあったなんということがありますが、国民の税金である補助金を出すにそんなずさんな計算などはあってはならないし、やってはならないと、こう思うんですが、この問題についてきょうわかるのならここで答弁してもらいたいし、わからなければ、やっぱり新聞にこれだけ出れば、その事実関係行政としてきちっと明らかにすると、正しく伝え直すということも必要だと、こう思うんですよ。この件について見解をきょう答弁できるか、できなければ後でも結構ですから、取り扱いについてお願いします。
  81. 豊田実

    説明員(豊田実君) 今お話にありました件でございますが、福島交通に対する補助金につきましては、従来から県を中心としまして厳重な審査をして交付をしてきておるところでございます。ただいまお話のありました件につきましても、私どもとしては再度県に対しまして調査をするよう指示しておるところでございます。
  82. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、それがわかったらひとつ教えてもらいたいです。  最後に、国鉄問題でちょっと運輸省と大蔵省にお願いしますが、大臣、この前の運輸委員会においても、運輸大臣と国鉄総裁は、国鉄の長期債務の問題については単に国鉄とか運輸省、そういうだけではもうどうにもならない問題を抱えていると、国全体としてこの問題をやる以外にないと、こういう見解を再三運輸委員会で表明しているんですが、これに対する大蔵大臣の見解をまず冒頭聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  83. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 国鉄が今日危機的状況になっておると、こういうことは私どもも十分認識をいたしております。したがって、それについてはいろいろな対策が講ぜられていかなければならない。基本的には、国鉄再建監理委員会においてその具体策について検討をされた問題につき、政府としてはそれに対して十分対応していかなきゃならぬ課題であるというふうに認識をいたしておるところでございます。今回私どもも説明を受けました新しい合理化案でございますが、それも個々の問題について見ますと、日暮れて道なお遠しという感じがしないではないにいたしましても、例えば三十五万人体制がより早くいわゆる現実の姿となって、それにさらに切り込んでいくという合理化を進めていかれる。これはいささか私見になりますけれども、昨年そういうふうな合理化が進めば進むほど、いわばリタイアされていく方にとってはまた将来の問題いろいろ考えられるところであろうと思います。それについてはまさに労働連帯という責任においてああして国家公務員等共済組合法というものによってあの統合ができたということは、一つのそういう方向に対応していくための環境整備のやっぱり一つであったな、これはたまたま国家公務員の共済を大蔵省が担当しておりますので、全体の統合法案の所管大臣が私でありましただけにそのような感じを持っておるわけであります。したがって、今後さらに再建監理委員会等において具体的な問題が議論されていく、これはまさに国民全体の課題として私どもも真剣に取り組まなければならない課題であるという事実認識を十分いたしておるつもりでございます。
  84. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それで大臣ね、大臣も国鉄共済組合も扱っておった関係もありますから、国鉄再建監理委員会のあり方について私なり社会党としては二つ問題あると思うんです。再建監理委員会は長期債務が、なぜ今日の債務ができたのか、それからこれを解消するにはどういう方法で解消するのか、まずこの問題を抜きにして国鉄の再建論争は論じられない、こう思っているんですが、この問題はなかなか我々の前に出てこない。それで北海道の独立とか四国の分離とか九州の分離とかこんな分割・民営論まで前に出てきて、肝心かなめの長期債務の原因と対策という点が全然出てこないというふうに非常に不満を持っておるものです。  それからもう一つは、再建委員会は運輸政策については運輸委員会、財政の問題については大蔵委員会、そこでどういう議論が今日まで行われ、どういう問題点があるのかという国民の代表としての国会の意思というものを十分にやっぱり組み入れた中で、再建監理委員会は運営しながら答申づくりをするのだと、これが最低の私は条件だと思うのでありますが、これが全然何を考えているのか知らぬけれども、亀井委員会は国会以上の力でもあるつもりでおるのかもしれませんが、全然この問題にかみ合わせようとしない、隠密裏に密室においてやろうとしかしていない。少なくともガラス張りでやるべきだ、こう我々は思うのでありますが一この監理委員会の問題について大臣は閣議その他でいろいろ議論されていると思うのでありますが、どんなふうに、私の言っていることが無理なのか、いや目黒君の言うことは本当だなとこう思っていらっしゃるか、この再建監理委員会の運営のあり方、取り組みについて国務大臣としての見解を聞かしてもらいたいなと、こう思うんです。
  85. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは私の口から申し上げるのは甚だ難しい問題であろうと思うんでございます。  五十七年の七月の臨調答申におきまして、いわばこの国鉄経営悪化の原因としては述べられておりますことは、急激なモータリゼーションを初めとする輸送構造の変化に対して、国鉄は鉄道特性を発揮できる分野に特化すべきであったが、現実には公共性の観点が強調され過ぎて対応が著しくおくれてきたと、あるいは国会及び政府の過度の関与とか地域住民の過大な要求、期待とか、管理限界を超えた巨大な企業規模とか国鉄自体の企業意識と責任感の喪失とか、いろんな指摘がなされております。親方日の丸といういわばそういう審議会等において普通言葉として比較的使われにくいような言葉も勇敢に使って、そういう指摘がなされておるわけであります。しかし、政治家として考えてみる場合に私は、ちょうど私どもあるいは目黒委員も多少の違いはございましても同じゼネレーションでございますことを考えてみますと、戦後ああして満鉄なりあるいは朝鮮鉄道、台湾鉄道等々、またお帰りになりました人の雇用の場ということだけでなく、その当時国鉄の果たしておった役割というのは我が国の産業復興というものに大きな役割があったと思います。  ちょうど私は、昭和三十九年十一月九日に佐藤内閣ができまして、そのときに内閣官房副長官、随分昔の話でございますけれども、命ぜられて、三十九年から赤字になりまして、これはまことに冗談の話でございますが、尊敬する佐藤先生に、鉄道出身の人が総理大臣になったら赤字になりましたね、こういうことを申し上げた記憶がございます。その後、やはりこれは私どもにも反省しなければならぬ点があろうかと思います。いわばお互いが地域、地域から投票によって選ばれて議席を持っておる者として、地域住民の期待にこたえたいということがある意味においては国会活動の中においても過度の要求ということにもつながっておったではないかと。一方、私は当時役目柄から、今日も組合の各位の方と接触いたしますと、お互い幾らかみずからを反省してみても若干、悪慣行の蔓延とはあえて申しませんけれども、何といいますか、我々自身にも相互にも厳しさが足りなかった点もありはしないかという感じもしないわけでもございません。しかし、それらの問題をすべて総合して国鉄再建監理委員会で今議論をなされておるという状態でございます。だから私どもはそれにお任せした限りにおいては、あらゆる角度から資料の提供やらあるいは求められる考え方をそこで述べることによって、立派な結論が出ていくことを今は期待しておるという感じがいたします。ただ私が感ずる限りにおいては、国鉄再建監理委員会の皆さん方、予想外にという表現はちょっと適切でございませんが、かなりいわゆる労使関係、なかんずく労働関係等に対しての配慮も行いながら議論を進めていらっしゃるように、これは外から見てそういう感じがいたしております。  したがって私どもといたしましては、財政問題、いわゆる長期債務の問題については関心があるかないかと言われれば、大変に関心のある問題でございますが、目下のところは私どもがいささかの予見も与えないように、国鉄再建監理委員会の先生方の御議論に、今はその推移を重大な関心を持って見詰めておるというのが素直な現状でございます。
  86. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間がありませんから、きょう運輸省を呼んだんですが、運輸省が国鉄の長期債務処理について大蔵省出身の津島政務次官をキャプテンとしたプロジェクトをつくるという報道がされているんですが、このプロジェクトと監理委員会の関係がどうなのかということを聞こうと思ったんですが、時間がありませんからもう言いません。この問題についてはよく連絡を密にしてそごのないようにしてもらいたいということを要望だけしておきます。  これで終わります。
  87. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは最初に、専売公社の方に御質問をさしていただきたいと思いますが、総裁はなかなかヘビースモーカーだとお聞きしていますが、大体何本ぐらい吸われるんですか、一日に。
  88. 長岡實

    説明員(長岡實君) おおむね六十本でございます。
  89. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 もちろん国産をお吸いになっていらっしゃるんだと思いますが、いかがですか。
  90. 長岡實

    説明員(長岡實君) 国産の「峰」というたばこを吸っております。
  91. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 お隣にお見えになる大蔵大臣も相当、先ほどから拝見していますとたくさん吸っておみえになるような感じですが、大臣はやはり国産をお吸いになっていらっしゃいますか。
  92. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 「ハイライト」を吸っておりますが、私はおよそ四十本ぐらいではないかと思っております。  いつも感じますのは、地方税合わせまして三千億円、一円値上げしたことによってちょうだいしたわけでございますから、ははあ三千億本がなと。そうすると、それを一億二千で割って、三百六十五で割りますと、大体七本ぐらいになりますから、たばこを吸っておる人の数を調べてみますとおおむね平均値じゃないかと、こういう感じがしております。
  93. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 お隣にお見えになります経済企画庁長官、河本大臣さんはちっともお吸いになっておみえになりませんけれども、もうおやめになったわけですか。何か事情がいろいろおありになりましたかな、失恋をしたとか——そんなことはないかな。
  94. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 私は、三十年ばかり前にたばこをやめました。
  95. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今いろいろとお聞きいたしましたけれども、五十九年二月の十五日に出されました日本専賣新聞、この新聞に出ておりましたのを拝見しましたら、全国の喫煙人口が五十八年一年だけで二百六万人減少したというんですね。それまでの十六年間に約百万人減という、そういう緩やかなテンポであったのが、五十八年一年だけで二百六万人になったと、これは非常に画期的な現象ではないかと思われるわけですけれども。これをいろいろと計算した人がいましたんですが、二百六万人の人ですが、これを三百六十五日で割りまして、また、起きている時間を一日十七時間としますと、それで割ると一時間当たり約五。五三人、ですから、十秒で一人の割合で禁煙をしているんじゃないかという数字があるわけです。そしてまた、昭和五十八年の成人男子の喫煙率は六六・一%、これは前年の七〇%に比べますと約四%低くなっているんですね。また、成人女子の喫煙率というものも前年に比べますとマイナス一・九%の一三・五と、こういうような数字が出ているようでございますね。そうなりますと、だんだんと日本の喫煙人口というものは、緩やかに減ってきたものが急激に減る現象を示したのか、あるいは五十八年度一年間の、先ほど大臣からもお話ありましたけれども、一本一円の値上げになった、それがやはり大きく影響しているんだろうか、その点どのように御判断されておりましょうか。
  96. 長岡實

    説明員(長岡實君) 御指摘のとおり、五十八年の調査によりますと、五十七年調査に比べまして大分喫煙者率が落ちております。その原因でございますが、ただいまお話がございました一つは、五十八年調査は六月でございまして値上げの直後であった。値上げの直後の調査の場合には、前例を見ましてもやはり落ち方が通常の場合より大きいことは事実でございます。しかしながら、それと関係なく、やはり喫煙者率がじわじわ落ちでいるという傾向もこれは否定できないと思います。いろいろの理由はあろうかと存じますが、喫煙と健康の問題等も影響しておろうかと存じます。  私どもとしては、将来の日本のたばこ産業のあり方を考えてまいります場合に、やはり消費がどんどん伸びていく分野ではないと。どの程度のカーブで今後推移していくかということはいろいろと検討をいたしておりますが、率直に申しまして、まあ強気と弱気と両方ございまして、まだはっきりとした数字でお答えを申し上げるだけの自信はございませんけれども、喫煙者が減るということと、それから喫煙本数全体が減るということの間には若干の乖離がございます。これは御承知だと思いますが、世界的な傾向として、ニコチンやタールの含有量の少ないたばこ、いわば軽いたばこが非常に好まれてまいります。そうしますと、一人当たりの本数は若干ふえるという傾向がございまして、喫煙人口の減る率に応じて本数が減っているわけではございません。  いずれにいたしましても、私ども将来の見通しとしては、相当厳しいものを考えながら今後のあり方を求めていかなければならないというふうに考えております。
  97. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そこで本題に入りますけれども、きょうは決算ということでございますので、最初に決算報告に基づきましてお尋ねするわけです。  五十七年度の決算検査報告におきまして、会計検査院が専売公社に対しまして、国内産の葉たばこについて過剰在庫を解消するよう意見を表示しておりますけれども、その趣旨を簡単に御説明願えますか。
  98. 中村清

    説明員中村清君) 葉たばこの過剰在庫の問題につきましては、昭和五十二年度の決算検査報告におきまして、標準在庫量が二十四カ月でございますが、これに対しまして、三十カ月分ということで六カ月分も過剰になっておりますし、また、その過剰在庫は下位等級に片寄っていると、そういうことで、その解決にはいろいろ困難な問題はあるにしても、ぜひ事態の改善を図ってほしいと、こういうことで特に掲記を要する事項として掲記したわけでございます。しかしながら、その後もこのような過剰在庫の状況は依然として解消されないのみか、逆に、五十七年度末の在庫量は三十七カ月分ということで十三カ月分も過剰な状況になってきております。  また、品質の劣ったもの、いわゆる用途区分葉と言っておりますが、この用途区分葉も逐年増加してきておりまして原料の効率的な使用を妨げていると、こういう状況でございます。今は、過剰在庫のため年間に固定することになる資金を計算いたしますと約二千八百四十億円にも上っているわけでございます。  このような事態を踏まえまして、種々困難な事情はあるにしましても、過剰在庫の解消を図るようにいろいろな対策を講じてほしいということで、五十八年の十一月に専売公社に対し意見を表示したものでございます。
  99. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ただいま会計検査院から御指摘がございましたけれども、この国内産葉たばこの過剰在庫の解消策として、葉たばこの生産調整の実施を行う必要があるんじゃないかと思いますが、公社はこれまでどのような対応を講じてこられましたでしょうか。
  100. 長岡實

    説明員(長岡實君) 過剰在庫が出てまいりました原因について簡単に申し上げたいと存じますが、実は昭和四十年代の後半のころには、我が国を含めまして世界全体の葉たばこの市場はいわば供給不足ぎみでございました。そのころ私どもは、このままであっては国内におけるたばこの供給が十分に行われないという不安感がございまして、ある程度国内において葉たばこの耕作面積を拡大の方向で指導していた時代があったわけでございます。ところが、大変皮肉なことでございますが、それができたころ、すなわち五十年代に入りましたときに、四十年代においては年率五、六%でたばこの消費が伸びておりましたのが、五十年代に入りました途端に一%台ぐらいにがたんと落ちたわけでございます、これも世界的な傾向でございますけれども。したがいまして、そこに国内産の葉たばこの需給のアンバランスが出てしまったというのが経緯でございますが、私どもといたしましては、そういう事態を認識いたしましてから、直ちに昭和五十三年以降在庫調整に努めまして、五十六年までの四年間で累計約五千五百ヘクタールの耕作面積の縮小を図ったわけでございます。ただ、その段階においては毎年毎年農家の事情によって自然の廃作、減作等がある程度出てまいります。その減った分をほかに回すというようなことをなるべくしないで減らしていくという措置をとってきたわけでございますが、なおかつ過剰在庫問題が解消しないということで、五十七年作につきましては五十六年八月のたばこ耕作審議会に諮りまして、その時点における単年度の使用量と生産量が見合う単年度需給均衡と申しておりますけれども、その水準まで面積を減らすということで、一挙に約五千ヘクタールという大幅な減反を農家にお願いをしたわけでございます。にもかかわりませず、検査院で意見表示をいただきましたように、なかなか問題が解決していないというのが実情でございます。私どもとしては今後とも、この問題は大変重要な問題であり、公社の経営にも影響がございますので、あらゆる知恵を絞って過剰在庫の解消を図りたいと考えておりますけれども一つには何とか国産葉の使用拡大を図っていきたい。例えば、昨年度開発をして市場に投入いたしましたキャスターというたばこなどは、これは国産葉の使用率が相当高いたばこでございますけれども、こういったようにものを何とか今後も開発していきたい。しかし、それには問題は消費者の皆様に吸っていただかなければいけませんので、それの使用に耐えるようないい葉たばこをつくる指導もやってまいりたいということを考えておりますし、それからこれは国産葉のたばこが高いものでございますから問題は抱えておりますが、でき得る限り輸出にも努めてまいりたいというふうに考えております。  最後に、ただそれだけすればこの問題が根本的な解決を見るかというと、なかなかそういうわけにはまいりませんので、今後の問題といたしまして、耕作農家に対しましても全体の生産量について、何と申しますか、応分の協力を要請せざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  101. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 会計検査院指摘によりますと、これまでの自然廃滅作政策による生産調整とか、あるいは五十七年度において臨時葉たばこ生産調整奨励金七十一億九千万円を交付するなどして、四千九百四十三ヘクタールの廃滅作を実施して耕作面積を五万四千七十七ヘクタールと、このようにしているわけですけれども、「この面積では年間の葉たばこ使用量に見合った生産量となるにとどまり、過剰在庫の減少には寄与しないものとなっている。」ばかりでなくて、この五万匹千七十七ヘクタールの「面積は五十九年まで固定させることになっているため、」に、これでは「過剰在庫の解消のための生産調整が期待できない状況となっている。」とあるんですが、この点公社はどのような具体的な策を講じようとされていますか。
  102. 長岡實

    説明員(長岡實君) ただいま申し上げましたように、五十六年の夏に審議会にお諮りしました減反は単年度需給均衡でございまして、過剰在庫を積極的に減らしていくという面積にはなっておりません。  それから、今日に至るまで五万四千七十七ヘクタールでございますか、この五万四千ヘクタールの面積を維持してまいりましたのは、五十六年の夏の大幅減反を決めました際に、やはり農民側の要望といたしまして、毎年こういう大幅減反を強いられたのではとても農業経営上不安で仕方がない、ですから少なくとも今後三年間ぐらいを見越した上での面積にしてほしい、三年間程度この面積を維持していくことが大体認められるのであれば、今までにほとんど例がないような大幅減反にも協力するという話があったわけでございまして、今日にまで推移したわけでございますが、実はこの来たる夏にまた面積、価格を決める審議会を開く時期が来ておるわけでございますけれども、このときには、私どもといたしましてはまだはっきりとした数字までめどはつけておりませんけれども、公社みずからも経営の合理化を図るということを示しながら、耕作農家にも面積の面で応分の協力を要請せざるを得ないのではないかというふうに考えている次第でございます。
  103. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今、経営の合理化というお話が出たわけでございますけれども、せんだっての報道をちらっと拝見しましたら、約一万人ぐらいの人員の合理化を図るようなことを計画されていると聞きましたが、そのとおりでしょうか。
  104. 長岡實

    説明員(長岡實君) あの新聞記事は実は私も読みまして、びっくりしたんでございますが、実は内容そのものは私どもの考えていることとそれほど隔たりはございません。ただ、数字につきましてはまだとてもどのくらいの人数が減らせるかとかいうようなところまでは至っておりません。
  105. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、過剰在庫の解消を困難にしている問題点としまして葉たばこの全量買い取り制度、これが一つの要因となっているんじゃないかと思うんですけれども、公社では耕作者の葉たばこを品質にかかわりなく原則としてこれを全量買い入れるということになってますけれども、この中には原料として使用する際に特別の処理を要するいわゆる品質の劣ったもの、これは何ですか、用途区分葉と言われているようですけれども、これが含まれている点があると思いますが、この会計検査院指摘によりますと、「この用途区分葉は、製造たばこの高級化、多様化、緩和化の傾向が強まってきて、この原料として使用することには制約があるため、正常葉と区分して買い入れているものであるが、」と、「五十二年度末在庫量の一万六千九百八十ドンはその後、更に増加して五十七年度末においては十万五千五百七十六トンとなり、国内産葉たばこ在庫量の二七・三%を占める状況」で、「その在庫量は五十八年度の使用計画からみると四十箇月分となっており、」「原料の効率的な使用を妨げる要因となっている。」と、このように述べているわけですけれども、このような用途区分葉の最大の発生原因というのはどこにあると考えられましょうか。また、公社は、気候あるいは土壌がそもそもたばこの耕作に適してない、そういう地域にも耕作を許可しているようなことはないんでしょうか。その点どうでしょうか。
  106. 佐藤友之

    説明員佐藤友之君) お答えします。  葉たばこは全量買い取りを行っておりますけれども、買い入れに際しましては、最下等級の品位に満たないものにつきましては廃棄扱いとして購入しておりません。一方、葉たばこは、栽培、乾燥技術の巧劣、土壌、気象条件あるいは気象災害、病虫等の被害程度によりまして品質に大変幅がございまして、現在特等から五等までの六つに区分して買い入れを行っておるわけでございますが、その中で、例えば同じ三等の葉たばこでも本来一等になるものが何らかの原因で二等級格落ちして三等になったものあるいは二等から一つ落ちたものと、いろんな性状のものがまざっております。従来これらの同一等級のものは同じものとして使用しておりましたけれども、最近製品の高級化、多様化、こういうものに対応して同一等級のものでも品質、性状によって細かく区分いたしまして、それぞれに応じた加工処理を施しやすくするため用途区分葉というものを設けているわけでございます。五十二年以降逐次この区分項目を増加したということ及び五十五年と五十六年が天候不順でございまして、いい作柄でございませんでした。こういったことがこの区分数量が増加した大きな原因でございますが、五十七年以降は乾燥あるいは栽培技術の一層の向上に加えまして、たまたま天候にも恵まれましたので、生産量が大幅に減少しております。さらに、五十八年度は加工処理技術の向上によって使用量が生産量を上回る段階に至りまして、用途区分葉の総在庫量は減少の方向になってきております。  以上、区分買い入れ葉は、農作物である以上はある程度生出は避けられないものでございますけれども、今後とも栽培乾燥面からの生出防止についての施策をさらに推進いたしますとともに、加工処理技術の向上を図りまして用途区分葉の在庫の減少に努めていく所存でございます。
  107. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 五十七年度末の葉たばこの在庫量は三十八万六千九百二十五トン、このようになっていて、標準在庫量二十四カ月分を十三カ月分上回る三十七カ月分になっているため、この過剰在庫となっている葉たばこにつきまして年間に固定することになる資金は先ほどおっしゃっておりました約二千八百四十億円、こういう莫大な金額になるわけですけれども、また保管寄託料ですか、その相当額は約三十億円に上っているとも、このように検査院も指摘しておるわけですけれども、そこでお尋ねいたしますけれども、葉たばこの五十八年度末在庫量、これはどのようになっておりますか。また、その過剰在庫量は何カ月分になっておりますか。その点最初にお答え願います。
  108. 佐藤友之

    説明員佐藤友之君) お答えいたします。  五十八年度分につきましては、まだ決算事務が完了しておりませんので確定しておりませんが、先ほど御指摘のありました数字は五十七年の数字でございまして、その後公社でも国内産葉を国産葉多様銘柄をつくることによってさらに使っていく、あるいは一部は輸出を図るといったようなことで在庫がふえることを防いでおりますが、現在の見込みでは五十八年度末の在庫月数もほぼこの五十七年度末と同じ約十三カ月、また数量もほぼ同じというふうに見ております。なお資金は、五十七年度今御指摘のございました二千八百四十億でございましたけれども、これも大体二千九百億程度と見込んでおります。なお、この保管寄託料につきましても、五十七年と同じような形で想定計算いたしますと、すなわち五十八年度末に過剰の分を五十八年度一年間まるまる保管寄託をいたしたという仮定で計算いたしますと、前年より増加いたしまして約三十五億ないし四十億というふうに見込んでおります。  以上でございます。
  109. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 相当な資金がやはり固定をせざるを得ないし、また寄託料というものも前年よりも上回るような状況にあるわけですね。  時間が来ましたので最後にあれですけれども、たばこ専売事業の運営につきましては、第二次臨調の第三次答申におきましても、一つは外国企業からの市場開放の要請、二番目は葉たばこの全量買い取り制度等による過剰在庫が生じ、効率的経常の阻害をしている、三番目は国産葉たばこは品質等を加味した価格が国際価格の三倍強で、たばこ製造原価を押し上げ、国際競争力に影響等の問題が指摘されているわけですね。基本的にはこれは民営とすべきことがこれで提言されているわけですけれども、公社としてはこれらにつきましてどのような構想を持っておられるのか、あるいはこれは現行の公社制度とどのように異なっているのか、その点御答弁願いたいと思います。
  110. 長岡實

    説明員(長岡實君) このたび制度改正、結論に到達いたしまして法案の御審議を煩わす段階に至ったわけでございますが、何と申しましても一番大きな制度改正は八十年に及ぶたばこの専売制度が廃止されるということでございます。たばこの専売制度を廃止した場合のたばこの事業主体のあり方につきましては、ただいまも御指摘ございました輸入自由化によって激しい国際競争の展開が予想されること、したがいまして外国たばこ企業との激しい競争の中で我が国のたばこ産業を維持発展させていくために、その中核にあります我が国のたばこ事業主体については事業箱胴を拡大するとかあるいは経営の自主世の発揮ができるようにするとか、そういうことができる経営形態を求めておったわけでございます。しかしながら、臨調でも指摘していらっしゃいます民営形態をとるということになりますと、確かにその事業範囲も拡大し、経営の自主性の発揮も十分にできることになるわけでございますけれども、我が国として抱えております葉たばこ問題の存在、これは過剰在庫の原因一つにもなっておりますけれども、国内葉たばこ生産へ重大な打撃が及ぶというような深刻な問題が生ずることは避けられないわけでございまして、こういう事態を回避するためには、製造独占を付与されました政府関係の特殊法人形態とする必要があろうかということでございます。そういうことから、特殊法人の中でなおかつ最も企業性の発揮が可能な形態である株式会社組織の特殊会社に改めることが必要であるという基本的な考え方で今日の改革に取り組んだわけでございます。  公社制度とどういう点がと主して違うのだという点でございますけれども、経営の執行の面で申しますと、事業の運営につきまして基本的な方針を決めます事業計画については大蔵大臣の認可を要することとなりますが、その他の諸点については監督大臣の監督の範囲というものは相当狭められる。いわば逆に経営主体の自主的な責任においてその経営をやっていくという範囲が広まるという点が一つでございます。細かい点でございますが、借入金や社債発行等資金調達や運用面での関与につきましても、新株発行にかかわるものなどは除きましてあとは撤廃されるということだろうと思います。いわば最大限会社の自主性が尊重され、経営の創意と責任にゆだねる措置がとられていると思います。また事業範囲につきましても、積極的な収益の増大、コストの節減を可能として国際競争に負けないようにやっていくために、ある程度事業範囲の拡大もお認めいただけるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  111. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今いろいろと総裁の方から御発言がごさいましたが、今回来年の四月一日から日本たばこ産業株式会社として発足をされるという法案が出ております。ここには、当事者能力を持たせて経営の効率化を図っていく等々ございますけれども、やはり政府が全額出資をしているという最初の特殊会社の方向でありますと、政府の発言権が非常に強いという乙とで、従来の親方日の丸的な経営がとれたけ変えられるか疑問視をされる向きもありますし、また臨調がせっかく決めました具体的な方策がこれほど変えられてしまったということで、その効率性等あるいは企業性の発揮に対していろいろな疑念が持たれているわけですが、総裁としてはそういうことに対して自信を持って専売公社の経営に当たられることができるでしょうかどうか、その点お聞きしたいと思います。
  112. 長岡實

    説明員(長岡實君) 理想論を申しますといろいろと考え得る別案があるわけでございますけれども、何も申しましても八十年の歴史に支えられて今日にまで参ったその実績と、それから耕作農家約十万あるいは葉たばこの小売店、販売店約二十六万といったようなものまで含めますと、大変な人間集団が関与しておる一つの産業でございますので、私どもといたしましては現実的な判断をしながら、なおかつ厳しい将来に対してどれだけ企業性を発揮しながら、しかも国際競争に負けないようにしながら日本のたばこ産業を維持していけるかという角度から答えを求めたわけでございまして、そういう点から申しますと、現在これから御審議をお願い申し上げるその制度改正の内容がまず現状において求められる最善のものであろうと存じますし、そのもとにおいて私どもといたしましては全力を尽くす決意でございます。
  113. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 まず会計検査院から指摘のありました点につきましてはこれからも努力をお願いしたいと思いますし、先ほど五十七年度の減反後三カ年たちますので、次の減反計画につきまして審議会にかけるということでございますけれども、そのときも減反耕作者に対しましては補償をされているわけですけれども、やはりある面ではこの葉たばこ耕作者の方々も国策的な面で政治的な絡みで今までそれに従事されている方もおられましたし、減反等によりまして犠牲者のないように十分な補償も考えていただきたいと思いますし、また内部の合理化の努力、これもされるということでございますけれども、その点におきましてもよく労使ともに話し合われて、いささかもその中に犠牲者の生じないようにしていただきたいと、このように思うんですが、その点はどうでしょうか。
  114. 長岡實

    説明員(長岡實君) 自由化が行われますと、外国、なかんずくアメリカの巨大たばこ資本と対等に競争していかなきゃならないことになるわけでございますが、この競争は決して容易なものではございません。そういう意味におきまして、私どもたばこ産業全体が合理化を余儀なくされるということは覚悟いたしております。ただ、その場合におきましても、例えば農業なら農業というある分野にだけ非常に大きなしわを寄せるというようなことは避けるべきであろうと存じますし、また各方面合理化を必要とする分野につきましては十分にその話し合いをした上で措置をいたしてまいりたいというふうに考えます。
  115. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 どうも専売公社さん、御苦労様でした。  次は、それでは金融自由化のことが最近急速なテンポで進められつつあるように受け取っておりますが、日米円・ドル委員会第三回作業部会で、四月の十七、十八日の協議で一応の決着を見たのではないかと、こういうふうに思っているわけですけれども、大臣も御答弁されていましたけれども、五月の末の正式報告を待つばかりとなったと感じております。しかし、大場財務官は最大の歩み寄りと、こういう発言をされてますけれども、米側の考え方はそうではない、その間に幅広い差があったんじゃないかと思っておりましたところに、ブッシュ副大統領が来日をされて、いろいろと向こうからの強い要請があったと、このように受け取っているわけですけれども、ほぼこれにつきましては合意がなされたととってよろしいんですね。
  116. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ちょうどホノルルで六日、七日やりまして、それでやっぱり五月の二十一日にできたら最終の草案をまとめたいと、こういうことになりまして、そのまま米側の代表が東京へ一緒に帰ってきまして、それでおととい、きのう、きょうと今最終的な文案の突き合わせをやっておると。したがいまして、大筋は合意に達したというふうな理解の仕方で、まだきょうの報告ちょっと聞いておりませんけれども、昨晩までのところそのように私は理解をいたしておるところでございます。
  117. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろいろと各界の御意見もございますけれども、日本の金融界におきましてもこれまでの日米交渉の経過から見まして、余り急激な国際化は国内の金融市場を混乱させると。このように危惧を感じながら金融自由化の流れを変えることはできないということで、いろいろな対応策を講じていると伝えられているわけですけれども、せんだっての参議院の本会議におきましても、我が党の同僚委員から大臣にいろいろと御質疑さしていただきましたけれども、やはりその際も申し上げておりましたが、外圧による金融自由化ではなくて、日本は日本独自の金融体系、政策で今日まで至っているものであって、欧米とは異なるものがあるのですから、その差の理解を求めながら日本国内に混乱がないように対応を漸進的に進めるべきではないか、このようにそのときも述べているわけですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  118. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かにおっしゃいますとおり、今世界二番目の力を持っておって、経済の面でございますが。したがって金融面でも同じような力を持っていることになるわけであります。そういたしますと世界全体の金融市場というものが徐々に国際化、自由化してまいりますときに、日本だけが独自の考え方の中に閉じこもっておるわけにはもちろんまいりません。しかしながら今御指摘なさいましたとおり、日本のみならずそれぞれの国にやっぱりよってもって今日に至った歴史的経過というものがございますだけに、したがって今まさにおっしゃいました積極的な姿勢を持ちながらも、しかも主体的に、すなわち国内の歴史等を考えながら、しかもそれがもろもろの影響に対しては漸進的に、積極的に主体的に漸進的にと、こういうものですから一体英語で訳したらどういうことかと、こう言われていささかわかりにくいことが時にあるんじゃないかと思いますけれども、私はおっしゃる意味は素直にそのとおりに受けとめて、そういう方向で折衝しておるということは事実でございます。一例を申し上げてみましても本当に自由化、国際化するならば、この世界じゅうの銀行法が、あるいは世界じゅうの証券業法が一緒になればまことにこれは自由化、国際化でございましょう。しかし、例えば銀行一つとってみますとアメリカは一万四千五百ございますし、日本の場合は相互銀行以上で百五十六でございます。明治三十四年、すなわち一九〇一年には日本も千八百ぐらいあったことございますけれども、徐々に言ってみれば預金者保護、投資家保護、被保険者保護ということを根底に置いた考え方の中で日本の金融市場は成り立ってきたと。どっちかと言えばアメリカの場合は自己責任主義ということで、それが根底に成り立ってきたという生い立ちの違いもございますので、まさにおっしゃいますように主体的に、そしてやっぱり漸進的にやるべきものはやっていかなきゃならぬと、こういう考え方でございます。
  119. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 アメリカの一番求めているものはユーロ円市場の完全自由化ということでございますけれども、その点に完全な合意ができたんですか。
  120. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 非常に難しいお尋ねでございますが、いわゆるユーロ円市場における我が国の金融が国際化、自由化の方へ向かうべきだと、そのとおりだというところでは合意ができておるわけでございます。考え方の違いをこの際申し上げてみますと、言ってみれば米国は完全な自由なユーロ円取引の拡大を行うべきであるというスタンスに立っております、もともとが。我が国の方は通貨当局がコントロールできない通貨の拡大については国際的にも国内的にもいまだコンセンサスが得られていないから、完全自由なユーロ市場の拡大に踏み切ることには疑問があると、こういうことでございます。まあ強いて言いますならばアメリカの場合はドルはまさに基軸通貨でございます。日本の方は足かな定義があるわけではございませんけれども、ドイツ・マルクとかあるいはスイス・フランと同じように新準備通貨にはどこの国でもなっておりますけれども、一般的には我々の感覚からいたしましても世界基軸通貨ということにはなっていないわけですから、それの認識の差、すなわち、基軸通貨の中で育った方と、もう少し古く、仮に昭和四十六年、一九七一年に初めて固定レートの三百六十円がフロートした国、我が国の通貨というものは、少なくとも海を越えて香港ぐらいまで買い物に行ってみなきゃ通貨価値が買い物の中でお互いが認識できないというような、まだフロートしてからの歴史も十数年しかございませんし、アメリカの場合は基軸通貨のずうっと歴史の中に経済活動もあるいは私生活も行ってきておる、その環境の差等からの問題が私はやっぱり基本にはあるわけでございます。したがって、基軸通貨あるいは新準備通貨の段階でございますと、やっぱり通貨主権の問題も出てまいりますので、いわゆる完全自由化ということに一挙に踏み切るということはいささかの疑問があるわけでございます。したがって、国際金融資本市場の自由化を基本として、いわばユーロ円市場への拡大をこう逐次許容していく、こういう考え方で、ユーロ円問題というのは、基本的な議論の差はそこのところにあるわけでございます。
  121. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回の外圧による自由化に対しまして前川日銀総裁は、本来は国内の金融制度、市場の自由化が先決だと言われて、国内の自由化促進実行が緊要の課題だと、このようにおっしゃっていますし、また四月十九日の大蔵委員会で、緒方日銀理事は、「国内の金融市場が現在の世界の大勢また国内の必要上からも自由化が進んでいけば、その程度だけユーロ円の必要性はなくなる」、「一言で言えば国内の市場の自由化が先決である、ユーロ円の自由化はその後が、あるいは国内の自由化と平仄を合わせるべきではないか。」ユーロ円については、「自然体で臨みながら、まず国内の市場の自由化を進めて、それをユーロ円に及ぼす」、こういうことをお話しになっていらっしゃるんですが、特に、最近、大蔵省関係する政府短期証券の公募入札発行の実行とかあるいはTB売買市場の育成は率先してこれを実施すべきだと、こういう意見もあるわけですが、大蔵大臣どのようにお考えになりますか。
  122. 竹下登

    国務大臣竹下登君) おっしゃいますとおりに、やっぱり国内金融市場の自由化、これは大事なことであると思っております。したがって、国内金融市場の自由化といわば整合性を持ちながらユーロ円市場が自由化していく、こういうことが私も適当であると思っております。歴史的に見てみますと、多少ユーロ市場が、これは円のみならず、時に先行してそれにつられて自由化の速度が国内において高まってというような、幾らかそういう双方が刺激的要因を作用せしめたことも私はあろうかと思っておりますが、原則的にはやっぱり国内自由化と整合性を持った形でユーロ円市場というのは拡大されていくべきものであるというふうに考えております。そういう状態になりますと、今いわゆる大蔵証券、食糧証券、外為証券——蔵券、糧券、為券とこう申しますが、この問題についての意見が出てまいりました。すなわち、自由化の促進の観点から、そういうものも公募入札でやるというこの意見でございます。これは、我が国の財政、国庫制度とのかかわり合いの点では問題は確かに多いわけでございます。その主なる理由は、とにかく、蔵券というのは一応発行限度額を国会でお許しをいただいておいて、税収がまだ入っていない場合の、いわゆる歳出の財源を短期に調達するために、日銀からお金を借りて、そして、ある時期、税収が余計入った場合にはそれがまた日銀へ直ちに返されるという、いわば歳出の資金調達手段でございますので、我が国においてはこれは長い間定着しておるわけであります。したがって、その問題を、仮に民間でいわゆる公募入札しますと、民間の場合、時々の金利の問題の髪もございましょう。それと同時に、それが今度は大量に償還できる状態になった場合、すなわち政府に税収が入った場合、今度は、今の場合でしたらそのまま返せばよろしゅうございますが、一度民間にそういう債券が参りますと、それの繰り上げ償還をするというのは、これはなかなか現実問題として難しい、不可能な問題でございます。したがって利子負担も増大するじゃないかと、いろんな問題もございますから、やっぱり蔵券そのものの、アメリカの恐らくTB市場のことを念頭に置いての御発言でございますが、それと同じようにやるのは難しいんじゃないかな、実際問題が多過ぎる。ただ、議論がさらに出てまいるであろうと予測されますのは、例の借換債等が仮に本院で通過さしていただいたといたしますと、一時に借りかえが来る場合には、時に債券の多様化で短期債券、短期国債を発行したりするようなことがありますと、それと見合いでどう違うんだ、こういうような議論はまた新たなる議論としては出てくるんじゃないか。だから、原則的に、俗称TBを日本の今の場合、市場消化でやるということは問題が多いんじゃないか、こういう考えでございます。
  123. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国内の金融自由化を進めることをしないで、外圧によって仕方なく国内金融市場の自由化を図るというやり方をしてますと、金融市場の混乱や矛盾が発生をするんじゃないかというおそれを抱くわけですけれども、やはりある程度、その混乱や矛盾が生じないように、これからの外圧によって云々ばかりじゃなくて、国内でも相当の要望は出ておりますけれども、金融の自由化ということに対して進めざるを得ない。どういうようなスケジュールで具体的な項目の開放策を進めていくのか、やはりその点を明瞭にしていかれた方がよろしいんじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  124. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 国民の皆さん方にも理解がなかなかできにくい問題でございますが、自由化というのはまだしもとしまして、いささか冗談を言って申しわけないんでございますが、ユーロ円の問題がよく出ますと、ある人が私をからかいまして、大蔵大臣、おまえユーロ円というのはどんなお札か知っているか——それは何のことだいと言ったら、あの聖徳太子さんのところがキリストかモナリザになっているようだ、こういう話をいたしました。事ほどさように、ユーロ円なんていうのも、確かに国民全体から見れば非常にまだ耳になじまない言葉でございますので、あるいは国内円と国外円、こう言った方が簡単じゃないかな、ちょうど円高・円安議論がやかましく行われました昭和四十六年に、むしろ円強・円弱と言ったらわかりやすいじゃないか、こういう議論がありましたと同じように、ある意味においては、ある種の通貨革命というと少しオーバーですが、通貨改革というのが、あの固定レートがなくなったときと、そしてだんだん国際化した今日というふうに認識していた方がいいんじゃないかなと、これは私自身に言い聞かしておることでございます。したがって、自由化の問題というものになりますと、よしわかったといいましても、最終的には、これは御案内のように金利の自由化ということになりますから、その金利の自由化を進めるに至ってのスケジュールというのはやっぱり示さなきゃ国民自身の心構えもできないじゃないか、しかし、これこそ非常に、何月河口からやりますというふうな確定的なことを予測してスケジュールを申し上げるというのは困難な問題でございます。国際的にも国内的にも漸次それがなじんでいく中に、いわばソフトランディングとでも申しましょうか、軟着陸していく問題ではないかという考え方に立つわけでございます。したがいましてこの問題につきましては、やっぱり展望とでも申しましょうか、そういうものをやはり明らかにして、将来こういう方向へ行くんだなということは国民の皆様方が御議論なさるに至っての参考になるようなものまでは出さなきゃいかぬ。その展望を出すということにつきましては、私ども今日部内におきましてできるだけ早くこれをお示しするようにしようじゃないかと。ただ、手前勝手な話でございますけれども、一方アメリカとの円・ドル委員会やってるものですから、これと中には非常によく似たものが出てまいります。あの円・ドル委員会というのは、中曽根・レーガン会談で話が決まりまして、専門家が話し合ったものを私とリーガン財務長官に提出するという性格のものでありますだけに、それよりも余り早目に出るのもいかがかと。それの進みぐあいを眺めながら、少なくとも五月中には私は展望というようなものはお示ししなきゃならぬ課題だというふうに考えております。
  125. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 金利の自由化も、これは今がチャンスだという御意見等もございますけれども、これもある程度のプログラムというものを、順序というものをやはり示していくべきじゃないかと思うんですけれども、せんだっても、やはり四月十九日の大蔵委員会の参考人にお出になりました館龍一郎氏は、我が党の多田議員の質問に対しまして、混乱を生じない国内条件の整備が必要であると、こうおっしゃって、その具体的な策として、一つは預金保険制度の充実、二つは有担主義の基本原則の転換、三番目は複数の格付機関により正確な格付を行う制度の整備を挙げられたわけですけれども、これにつきましては最近の産業界からも相当強い注文出ているようですけれども大蔵省当局としてはどのように対応される所存でしょうか。
  126. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに自由化いたしますと、今日日本のいわゆる金融の保険機構を見ますと、全体の資金量は恐らく地方銀行の中では一番少ない富山銀行と同じぐらいな資金量でございます。    〔委員長退席、理事目黒朝次郎君着席〕だから極端なことを言う人は、富山銀行一つつぶれたら保険機構もうそれで機能しなくなるんじゃないか。ところが日本の場合、今日都市銀行や地銀が倒れるものであるという認識は国民にございません。したがって預金も余計集まると、こういうことにもなったわけでございまして、貯蓄性向の高い国民であるということにもなっておるわけでありますが、確かに預金者保護、投資家保護、被保険者保護が、やっぱり自由化ということになりますと、競争原理が働きますと、どうしても保険機構というものを充実していかなきゃならぬということは、これは仰せのとおりであるというふうに私も思います。  それから、いわゆるいろんな起債をいたしますときに有担、いわゆる担保をつけるということでございますが、これが無担保原則と有担保——有担原則というものがございますが、我が国の長い制度の中の有担制度というものをちゃんとこれも一つ見て、いま一方、第三番目におっしゃいました、適債基準といいまして大体格付をしていくということでございますが、日本の場合正規な権威ある格付機関というようなものはございませんので、それらの育成も私はしていかなきゃならぬ問題ではないか。そういうものの中に国民の理解と協力を得ながらだんだんやっていきますと、これは当然お考えになっておるように、やっぱり郵便貯金というところへ迫っていくわけでございますので、やっぱり大口から逐次ソフトランディングということを考えてやっていかなきゃならぬ課題だというふうな認識をいたしております。
  127. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 当然、大口投資家向けの自由化というのはぼつぼつと行われてきてるわけですけど、肝心の小口預金金利の自由化はソフトランディングというお話でございましたけども、そうなりますと、この預金金利の自由化という場合には、臨時金利調整法はどうされるのか、廃止されるのか、あるいは見直しをされるのか。あるいは、大口預金だけを自由化して、小口預貯金を従来どおりの規制金利のままで据え置きますと、そこにアンバランスを生じて、小口預金者ですね、大衆の利益が損なわれていくんじゃないか、そういう問題があるわけですが、その点はどうでしょうか。
  128. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この自由化をまあ今おっしゃいましたように大口から逐次進めてまいりますと、基本的には預金金利についての臨時金利調整法とかあるいは日銀のガイドラインとかの上の規制というものも逐次緩和されていくことになると思いますので、いわゆる金利調整法につきましてもその見直す時期はそれはあり得ようと思っております。今直ちにという意味ではございません。
  129. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 時間が残り少なくなりましたので次に移りますけれども、先ほど預貯金のことについてお触れになったわけですが、財投の原資が最近ちょっと質的に変化してるんじゃないかというような感じもするわけです。回収金がだんだんふえて、郵貯が減少を示してるということでございますが、今後この金融の自由化が進みまして、国際的な資金の流入が増大をしてくる、そして我が国国内の資本市場の拡大に伴いまして、市中金融機関は相当これは預金獲得競争が激しくなるんじゃないかと思うんですが、市中の高利回り商品がいろいろと設置されますのに対しまして、郵貯が現行の低利回りの資金運用部預託金利の範囲内にとどめられていますと、郵貯の伸びは急速にしぼんでしまう可能性が想定されるわけですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  130. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まあ郵貯は基本的には国民所得の伸びに応じまして一定の伸びを示すという大体傾向にあるものでございます。そうして、いろんな新商品が出たりして競合してきてと、これは事実でございますけれども、やっぱり独自の魅力、利便性を持っておることも事実でございます。何といったって全国でまあ二万一千でございますかの、この津々浦々にネットワークを持ちます大銀行、まあ大貯蓄機関でございますので、そういう便利さ、いわゆる身近な貯蓄手段の提供者という点と、それから国の信用というものによってこれが確立されておると、それから六カ月の据置期間後にいつでも引き出し可能であるとか、それから預入期間最長十年であるとかいうように、まあ魅力ある面が依然としてございますだけに、私はこれがにわかに財投原資として——国民全体の所得が大きく伸びておるかつてとは違いますので、かつての伸び率と同じようになるとは決して申しませんけれども、大きな変化をもたらすことはないではなかろうかと。しかし、十分関心を持つ課題であるという御指摘は、そのとおり承るべきものであると思います。
  131. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 金利の自由化の進行に伴いまして、市中金融機関の高利回り商品の開発に対しまして、郵貯としてはその商品の開発あるいは運用の改善などの対策、これを考えられておるんでしょうか。
  132. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 最近におきましても中国ファンドとか、あるいはビッグ、ワイドというような高利回り商品というものが相次いで開発をされておりますし、また、これから状況を見ましても、銀行においてディーリング業務を行うというようなこともございます。あるいは期近債というようなものが六十年度には三十兆近く出回るというような状況でございまして、こういったものが郵便貯金を含めて小口貯金との競合ということは当然考えられるわけでありまして、郵便貯金といたしましても、独自性というものは、ただいま大蔵大臣がお述べになったような点もございますけれども、これだけで対応できるのかどうかということは最近の情勢を眺めましても大変危惧をいたしておるところでございますが、いずれにいたしましても、商品開発ということにつきましてもいろいろな法律上の制約がございます。また新たなる高利回りな商品というようなものに対応するにいたしましても、郵便貯金の場合の運用利回りというのがかなり政策的に低く決められておるというような状況もございまして、その辺のところの仕組みというものも改めていかなければ十分な対応はできないんではなかろうかということでございまして、自由化というような大きな環境の変化、状況の変化に対応するために、商品開発の面あるいは運用の面も含めて積極的に改善策について検討を図っていかなければならないと、こういうふうに考えているところでございます。
  133. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これから高金利商品の多様化ということが考えられてまいりますと、郵貯だけでなくて財投の原資の調達コストも市場の実勢金利に近づいてくるわけです。そうした資金を貸し付ける場合に、民間の金融機関融資金と何ら差がない状態になれば、低利という政策金融の利点というのは余りなくなってしまう可能性がありますし、赤字の財投機関への融資も今までのようにできなくなると思います。またそういった借り手も、財投資金を借りるよりも自分で資金調達していこうじゃないかという方向に進む可能性も考えられるわけですけれども、政策金融として財投の役割は大きく今までございましたし、そういった役割というのは直ちに変えられないと思いますけれども、しかし、金融自由化に伴ってそういった高利な金融商品との競合、これに直面しています郵貯あるいは低利な政策資金を貸し付ける現在の財投のあり方というのは、いろんな面で再検討を要するんじゃないかと、このように思うわけですが、その点どうでしょうか。
  134. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 臨調の答申にもございますように、その趣旨を踏まえまして今後ともそのときどきの経済情勢や社会的要請に対応して重点的、効率的な資金配分を行うため、おっしゃいました財投対象機関の事業内容、融資対象等の見直しは絶えず進めていかなきゃならぬ課題であると思います。そして、おっしゃいましたように、資金調達コストの問題等につきましても、必ずそのときどきに応じて資金調達コストというのは一定しない変化のあるものではございますものの、そういう政策金融であった場合は、そういう政策金融でございますから、一般歳出の中で利子補給するとかそういう問題もございますだけに、この適正な負担のあり方等についての検討も私は必要な課題だというふうに認識をいたしております。
  135. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 せんだっての予算委員会でも同僚議員から大臣に御質問もしていろいろ御意見を承っておりますけれども、金利の連動するとともに、やはり郵貯の自主的な運用ということもこれは考えていかないと片手落ちになるんじゃないかということで意見を述べさせていただいたわけですが、その点の再検討も必要になるかと思いますが、その点どうでしょうか。
  136. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる国の信用を基礎にして徴収したものを国の責任において運用する場合、臨調答申等々一元化運用の原則はこれを堅持すべきであると、こういう考え方の上に立っておるわけでございます。しかし、その問題がもちろん安全であることは当然のことでありますが、より有利な運用というものには絶えず念頭に置かなければならない課題であるということは御指摘のとおりであろうと思っております。
  137. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 郵政省、どうですか。
  138. 澤田茂生

    政府委員(澤田茂生君) 金利の自由化になりますれば、これは金利自体というのはそれぞれの企業が市場実勢というものを踏まえて合理的に、あるいは政策判断等も交えながら独自に決めていくということになろうかと思うわけでありまして、郵便貯金の金利につきましても同様そういうような情勢等を踏まえた形の商品という金利をつけた商品というものを提供していかなければならないわけであります。そういう意味で、出る方といいますか、預金金利の方は自由化をする必要がある。しかし入ってくる方、運用利回りの方は、これは市場金利と連動しないという形では、これは仕組みとして回らないわけでございますので、    〔理事目黒朝次郎満退席、委員長着席〕出口も入り口もという意味で、資金運用の面についても市場実勢というものが反映できるような仕組み、例えば、私どもは実は昨年度の予算要求の段階におきまして、郵貯資金による国債の一兆円保有というようなことを、仕組みをまずつくるという意味合いから御提案をした経緯もございますが、そういった仕組みというものはぜひ必要であろうと、こういうふうに考えているところでございます。
  139. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まず初めに古墳の問題で宮内庁に質問をいたします。  一昨日の十日、奈良県の高取町で橿原考古学研究所の手によって束明神古墳、ここから高松塚、マルコ山古墳を上回る超一級の規模の横口式石槨が発掘をされたと、こういうふうに発表されています。これは草壁皇子の基などの説もありましてなお一層の調査が必要でありますが、いずれにしても国としての積極的な対応が今日求められておると思います。  ところで、新聞報道によりますと、宮内庁は現在の陵墓を変更するつもりはないと、こう言われているわけでありますが、今後の調査いかんで真実がはっきりした場合、その真実に沿って陵墓を確定するというのが当然ではないかというふうに私は思いますが、どうですか。
  140. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 新聞報道によりまして、東明神古墳につきましていろいろの調査結果が発表されましたことは私どもよく存じております。最近いろいろと考古学の発達に伴いまして、またあるいは各地の開発の進展等々に伴いまして古墳の発掘調査が行われておりまして、これが地域によりましては、あるいは物によりましては天皇陵または皇族墓ではないかという学説がいろいろと出る場合があっているわけでございます。しかし、いずれの場合におきましても現在のところ確証という格好のものが得られているわけではございません。これはそれぞれ考古学者におきましてもいろいろな推定はなされておると思いますけれども、まあはっきりした話、例えば大安万侶の墓のように墓誌が出るというような意味におきますところの確証というものが得られているという段階ではもちろん現在はないわけであります。考古学というものも日進月歩非常にこのごろ学問といたしまして進歩をしてきていると存ずるわけでありますが、これからも学説や研究というのが非常に進むだろうと思います。宮内庁といたしましてもそれらの学説や研究に対しまして無関心なわけではもちろんないわけでございまして、大いに関心を持ちその調査結果というのもよく研究さしていただきたいというようには思っておりますが、今のところ、過去十数年、例えば高松塚、これは昭和四十七年であります。それからマルコ山古墳というようなことが問題にされましたのが五十三年でありますが、いずれにおきましても残念ながら確証というようなものに達しておるものじゃない。そういうような状況下におきまして、今直ちに宮内庁といたしまして祭祀の場といたしましております陵墓というものにつきましてこれをどうこうというようなことを申し上げるべき段階ではない、かような考え方に立っているわけでございまして、したがって今すぐさまにどうこうということは考えているわけではないわけでありますが、非常にはっきりした確証というようなことになりましたら、それはその際におきまして最も合理的な、かつ妥当なものを考えていく必要があろう、かように存じます。
  141. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私も何も今すぐどうせいということを言っておるわけじゃない。答弁長くおっしゃいましたけれども、一番最後に、今後の調査を通して今回発掘をされたこれが草壁皇子の墓だと、こういうことがはっきりした場合にはそれに沿った適切な対応をするという答弁をされておりますので、一部の新聞報道ですから不正確と思いますけれども、そのいかんにかかわらず、今まで設定してきていたこの陵墓というのは変更しないという、こういうかたくなな態度はとられないよう重ねてその点を主張しておきたいと思います。  それからもう一つでありますが、陵墓は皇室の祖先の霊を祭る場所だから、学術的調査とはいえ立入調査のようなことは御勘弁、お断りをしたいと、こういうのがかねがね言われているわけでありますけれども、この点についてはまあかねてから考古学会や歴史学会の研究者の皆さん方から、そういう学術上の調査活動に対しての宮内庁の協力が強く求められてきておることはもうよく御承知のところと思いますけれども、一般人の立ち入りはともかくとしても、そういう研究者の学術上の見地からの必要な調査活動には可能な限りひとつ協力をしていくと、こういう方向で宮内庁としても御相談を願いたいというふうに思いますが、どうですか。
  142. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 各考古学会の方におきまして、そういう今おっしゃいましたような趣旨の要望、意見というのが非常に強くあることはよく存じておるわけでありますが、やはりこの現在宮内庁で管理さしていただいております陵墓というのは皇室の御祖先の陵なり墓なりといたしましての祭祀の場であることは、それが基本になりまして現在皇室用財産として提供いただいていることは間違いなかろうと思います。また、途中経過におきまして、いろいろと陵なり墓なりというのが不明になっていて、徳川時代の中期以降いろいろ照査をされて指定をされ今日に至っているものが大部分でございますが、それにいたしましても、既に徳川末期から言いますと百二、三十年というものはまさに陵なり墓なりといたしまして祭祀の場として祭りは行われてきているわけでありますので、そういう意味におきますと、やはり祭祀の場としての陵なり墓なりというものを中心にして、その陵墓としての静安なりあるいは尊厳なりというものが侵されないようにというのを基本にして考えざるを得ないということは、私どもとしては常にさように思っておるわけであります。そういうような意味から現在のところでも陵墓の関係のいろいろな各種資料というもので私どもにありますもの、あるいはその後におきましてもわかりましたもの、こういうものは常に公開もし、学術をやる方、研究者の資料にも供しているわけでありますし、また修繕工事といったようなものが行われます際には、その工事の現場に研究者の学会の方の見学というのも一緒にやっておりますし、そういう意味では、できる限りの陵墓としての、祭りの塊としての立場を崩さない限りにおいては大いに協力をしてまいっているつもりでございます。  しかし、片っ方の方の御主張のように、科学的な学問というものと祭りの場としての陵墓というものとの意見、なかなか一致はしにくいわけでありますが、いろいろな御意見がある。またこのごろの新聞論調というものはもちろん私どももよく存じておるわけでありますけれども、やはり信仰の場、祭りの場としての陵墓というものを中心に置いて考えさしていただきたい。この点は私どもの考え方として申し上げておきたいと存じます。
  143. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ちょっと納得ができませんけれども、いずれにしましても、そういう学術上の見地からぜひこういう点も見たいという希望が出される場合に、その関係荷、関係団体とよく話し合うと、こういう態度はぜひとってもらいたいと思いますが、よろしいね。
  144. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 考古学会の方でもまとまった格好の団体でいろいろとお話し合いを書陵部の方ともいたしておるわけでありまして、その結果、やはり従来はやっていなかったような工事の際の立ち会いといいますか、実施場の見学といったようなこともだんだんと出てきていっているわけでありまして、ただいまのように、かたくなに学会の学者の方々を門前払いするというような気持ちでないことは申し上げておきたいと思います。
  145. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 この問題だけやっているわけにまいりませんので次に移りますが、日本プロジェクト産業協議会、いわゆるJAPIC、この団体が昭和五十九年三月、ことしの三月でありますが、「公社的事業分野への民間活力導入方策に関する提言」というのを、経企庁長官御存じのとおり、発表しております。本文書の「はしがき」で、昭和五十八年の五月、経企庁より委託があったと。「「公共的事業分野への民間活力導入方策」について検討、提言する」よう、その調査の委託があったというふうに経緯を触れているわけでありますが、長官、こうした政府への提言をやってもらいたいということで委託をしたんですか。
  146. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) そのとおりであります。
  147. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 提言まで委託をしたというそのこと自体、私はどうかと思うんでありますが、しかし、この提言というのは審議会の答申とは明らかに性格が異なるものだと思いますが、そのとおりですね。
  148. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) そのとおりです。
  149. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで、なぜJAPICという団体にこの委託をしたのか、こういう調査にJAPICがふさわしい組織なのかという問題でありますが、そもそもJAPICは何を目的として設立され、何をしている団体か、簡単に御説明ください。
  150. 大竹宏繁

    政府委員(大竹宏繁君) さまざまなプロジェクトの調査、資料の収集、あるいは提言の提出、そういうことでございます。
  151. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 さまざまなプロジェクト推進に向けてということでありますけれども、その構成団体を見れば明白なように、鉄とかセメントとか、そういう関係の大企業を中心にして政府に対していろいろ働きかけていこうとそういう、いわば別の言葉で言えば圧力団体、こういう性格じゃないかというふうに思うんでありますけれども、こういう団体に調査を委託などすれば、そこから出てくる報告というのは目に見えているんじゃないか。  事実、この報告書の三ページ、そこに出てまいりますけれども、「今回の調速報告の基本は、まず、臨調精神に基づき、官に対し市場原理の尊重、民間の行動原理に対する理解、省庁間にまたがる問題への機動的対処、等を強く要請することである。」と、まあいわば勝手にこの目的を政府への要請と、こういう形にすりかえているわけであります。  こういうことでありますから、結局、大企業が従来要求してきた都市再開発のための規制緩和、今後の成長産業である情報通信産業を新たなもうけ口にするために電電公社の民営化や規制緩和、こういう要求がずらりと出てくる。財界の立場から公共的事業分野を民間に任せるものを検討するということになれば、勢い採算性、すなわちもうかるかもうからぬか、ここが基準になって、公共性というようなものは打ち捨てられていく。もうかるところ、おいしいところを食いちぎっていく、こういう方向になってくるのは当然でありまして、まあいわばオオカミに羊の番をさせるようなものだというふうに私は言わざるを得ないわけでありますが、仮に民間活力導入策を検討をするにしても、大企業中心、財界代表中心のそういう検討の場ではなくて、国民の立場からの検討がなされるような、そういうあり方があってやられてしかるべきではないかと思うんでありますが、経企庁としては、国民の声はどうか、意見はどうかということについて何か別の委託研究調査やっているんですか。
  152. 大竹宏繁

    政府委員(大竹宏繁君) これは一つの御提言でございますので、さまざまな角度から改めてその御提案の中身の実施等については別に検討が必要であると考えております。
  153. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 一つの提言であるというふうに言われながら、あたかもこれが審議会の答申のように扱われて、経企庁の部内的なある団体から出た参考資料ということでありますが、各省庁にこれを配付しているじゃありませんか。一体これはどういうことですか。
  154. 大竹宏繁

    政府委員(大竹宏繁君) 関係の省庁には資料としてお配りをいたしております。
  155. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 資料としてお配りをしていると言いながら、実際はそういう形でやるということは事実上これを全省庁にまたがっての一つの指針、ガイドラインにしていこうというふうに思っているんじゃないかと言われたってしょうがないじゃないですか。  長官、このJAPICでいろいろ検討してきた三十人ほどの委員会、検討委員会をつくってやったと言うのでありますけれども、二十五人は財界の代表ですよ、全部ずらり。五人ほど大学の関係者おりますけれども、私、ずっと一人一人大学の研究者のお名前眺めてみましたけれども、いわゆる御用学者という方々。ほかのいろいろな審議会、各種諮問機関、政府がいろいろつくることありますけれども、労働組合の代表だとか消費者の代表だとか、こういう者は一人も入っていません、この検討委員会には。そういう形での検討委員会、そこから出てきたこのJAPICの提言、こういう形でこれがもしもこれからの政府の方策の一つのガイドライン的なそういうものになれば、これは重大だというふうに私は思うんでありますけれども、ひとつこんなものは白紙に戻して本当に国民的立場に立った検討を行うという方向に改めていただきたいというふうに思いますが、長官どうですか。
  156. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) これは大規模な公共的事業に民間資金を思い切って導入していこう、こういう計画で一つの参考資料としていろいろ検討してもらったのでありますが、と申しますのは、こういうことは初めてのことでございますし、まとまった資金をどう調達するかということにつきまして、その方面の関係者が多いというお話でございますが、そう言われれば確かにそうでありますけれども、この答申はそのままこれを実行するということではございませんで、一つの参考資料にするということでありますから、中にはそのまま採用されるものもありましょうし、中にはこれはよろしくないというものもあろうかと思います。それからまた、すぐに実行できるものとなかなか実行できない中期的にあるいは長期的に判断しなければならぬ問題もいろいろございます。だから、こういう参考意見を聞くということは私は一つの前進であろうと、このように思いますから、これを参考にしていきたい。ただこれだけで決定するというものではございません。
  157. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 これだけで決定するものではないというふうに言われますけれども、私はやっぱりこういうものは調査委託のやり方自体から間違っているということで白紙に戻して出直される、こういう方向でひとつ重ねて要求をしておきたいと思います。  それでは次の問題でありますが、特殊法人などへの天下り人事、高額給与の問題でありますが、この問題はロッキード事件やKDD、鉄建公団事件、公共事業をめぐる談合問題、そして昨今大きな議論を呼びました大量の使途不明金を出してその大半が政官界に流されたといういわゆる福島交通問題、こういった一連の汚職、腐敗、不正、乱脈事件の多くに天下り官僚が介在をして重要な役割を果たしてきたということは広く今日まで指摘をされてきたところでありまして、この天下り問題というのは今日でもなお依然として重要な社会問題、政治問題であります。中でも、特殊法人や認可法人など政府外郭団体への天下りは、これはマスコミでも官僚植民地とか天下り天国とか、こういう言葉が使われているように、その弊害には目に余るものがあるということで、私もその後の新しい数字等をもとにしながら改めてきょう政府の見解を問いたいというふうに思うわけであります。  まず大蔵省にお尋ねをいたしますが、三公社や輸銀、開銀の総裁の給与は一カ月百十四万二千円で、本省事務次官の九十一万八千円、政務次官の九十三万八千円をはるかに上回っている。国務大臣の百十五万円とほぼ肩を並べているんであります。これに加えて公社、輸銀、開銀の総裁の場合には九%の調整手当がつくという形で、事実上所管大臣を上回るという形になっている。  大蔵省は、この特殊法人を五ランクほどに分けて特殊法人役員の給与についての基準を定めていますけれども、もう全部言っていただくのあれですから、ひとつそれの総裁、理事長クラス、理事クラス、これについて五クラスそれぞれどういう給与の基準になっているか、調整手当はすべて九%がついていると思うんですけれども、その点を含めて御答弁ください。
  158. 的場順三

    政府委員(的場順三君) ただいまの御質問の中で、国務大臣との関係で調整手当の話が出ましたが、調整手当は特別職国家公務員も一般職国家公務員も九%ついておりますので、その点では上回るということはございません。その点はまず最初に申し上げておきたいと思います。  それから、先生指摘のとおり、特殊法人というのは国から独立した人格でございますけれども、公共性や特殊性の強い業務を機能的に実施していくということから、国と独立した機関にするとともに、広く各界の有識者を集める必要がございますので、民間給与であるとか、その企業の大きさ、事業の規模等を主体にして考えているところでございまして、一律に給与を決めているわけではございません。それは御承知のとおりでございます。  そこで、今御指摘の五ランクの総裁、理事長クラスと、それから理事の給与を申し上げますと、国鉄、電電等の総裁の給与は百十四万二千円でございますし、理事は八十一万九千円でございます。  それから、それよりも規模の小さな公庫等の総裁の給与は百六万二千円で、理事は七十二万九千円でございます。  それから、さらに規模の小さくなります中規模程度の公団あるいは大規模な事業団等の理事長は九十一万九千円でございますし、理事が七十万八千円でございます。  それ上りもさらに規模が小さくなりますと、理事長が八十四万円、理事が六十六万一下田でございます。  それから、ごく小規模なものにつきましては、理事長は七十二万九千円、理事が六十一万五千円でございます。
  159. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今説明があったような、そういう月額給与の基準になっているわけでありますが、どうでしょうか、こういった婆というのは、国民の生活実態や賃金水準、これに比べて高過ぎるというふうに思わないかどうか、是正をすべき問題と思わないかどうか、どうですか。
  160. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 先ほども申し上げましたように、その事業の特殊性、重要性、規模等から広く各界から有能な人材をお集りいただくために必要なものでございますから特別に高いというふうには考えておりません。民間給与の実態調査等もございますが、民間の役員クラスに比べましても必ずしも高いというふうにはなっておりませんし、それから最近は、国家公務員の給与の抑制等がございますが、そういったこととの関連で国家公務員の給与の引き上げを行う際にも比率を減らすとか、あるいはかなり抑制的に運用しておりますので、現時点で見ます限り、むしろやや抑制的に運用し過ぎているのではないかという感じもございます。それから公団等の内部で伺いますと、役員の下の方のクラスと、それから一般職の最高でございます部長等のクラスとの格差が非常に縮まってきて、その辺で問題が起こっているという点もございますので、総合的に考えまして、高過ぎるということにはならないのではないかというふうに思っております。
  161. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 とんでもないことを言い出すと思うんですが、民間に比べたらまだまだ低過ぎるぐらいじゃないかと。民間と比べている民間はどこと比べているのか、民間大企業でしょう。大部分を占めておるそういう民間会社社長取締役、そういうような人たちにしたって、そんなさっきの、例えば三公社二銀行総裁百十四万円、こういうクラスというのがもっともっと民間は高い姿だというのはそんな姿じゃないと思うんです。大蔵大臣どうでしょうか。  先ほど来あります五ランクに分けておりますけれども、こういった特殊法人役員の給与の姿、これは是正の必要ありと考えておられるのか、ないと考えておられるのか、大臣としてはどうでしょうか。
  162. 竹下登

    国務大臣竹下登君) このいわゆる最近の抑制基調を見ますと、確かに厳しい抑制の対象になっております。私は、これを高さに過ぎるという角度から是正の対象としてとらえるというものにはならぬだろうという認識でございます。
  163. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 さらにひどい甚しい例でありますが、認可法人である日銀、この役員給与であります。この一時金についても法外な額が出ているわけでありますが、大蔵大臣、さっきの三公社が一番トップクラスという形であったけれども、これよりももっと日銀の場合には高い、給与月額も一時金も高い、どれくらいかということを大臣すぐ頭にはっと浮かんできますか。
  164. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先日、私の手元に参っておりますので漠然とした数字はございますけれども、もし間違うと恥かきますので、正確なお答えは銀行局長の方が正確でございましょう。
  165. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 三公社の総裁が月額百十四万円、これでも高いんじゃないかということで私は提起をしているんですけれども、それの日銀総裁は倍ぐらいですよ、月額二百二十四万円と。当然これが基礎になって一時金も多い。一時金の大体計算方式が違いますからね、退職金も多いと、こういう姿になっておる。そうした点で、少し私調べた資料をつくりましたので、委員長のお手元へ行っています。大蔵大臣と経企庁長官にこれ差し上げます。    〔資料配付〕
  166. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 その資料の、大臣、一ページ目の資料(1)、そこに日銀総裁をトップに内閣総理大臣、国務大臣、三公社総裁……ずっとこう書いてあります。とにかく日銀総裁の給与月額は今直言いました二百二十四万円、副総裁百六十三万円、理事が百十二万円。一時金は総裁が下に資料(1)で計算例、計算方式、算式を書いておりますけれども、その一時金は総裁が年一千万を超える。こういう形で総裁の給与というのは国務大臣百十五万円の約二倍、最高裁長官や衆参両院議長、内閣総理大臣の百五十八万円の約一・四倍、年間の一時金は一般の国民が生涯勤め上げてやっともらう退職金金額に匹敵をする。こういうべらぼうな高額給与、高額一時金こういう姿になっているのでありますから、これもまあまあ妥当なところだ、別に是正する必要ないというふうに大蔵大臣おっしゃいますか。
  167. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 日銀総裁の場合、我々議論をいたします基本になるのは都銀関係の給与体系等から見てこの検討をするわけでございますが、また、他の国の中央銀行総裁とかそういうものから比ぶれば、日本は大体上が非常に抑えてありますから至当な体系であると思っております。
  168. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もうますますとんでもない答弁になっていくと思うんですけれども、日銀を都銀と比較をする。比較をする尺度は国民の生活水準、普通の勤労者の生活水準と比べてみて妥当かどうかというこの見地から判断をすべき問題じゃありませんか。そうして、繰り返し言うようでありますけれども、例えば日銀総裁の給与や一時金の額について見れば大蔵大臣の二倍だと。大蔵大臣よりも日銀総裁の方が二倍立派な仕事をしているというふうに、果たしてそういうふうに言えるのかというふうに私は思いますね。こういう姿というのをさっき言いました国民の生活水準——現に今働いている日本の勤労者の賃金水準、これと比べて、いやいやそれで結構だと、普通の人が一生働いてもらう退職金と同じぐらいの額を一年間の一時金でもらう、それくらいの値打ちのある仕事をそういう人たちはやっておると、こういう考え方ですか、大臣。
  169. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この問題は私がお答えするのが適切かどうかとも思いますが、今結局佐藤さんとの考え方の基本的な相違は、今非常に大ざっぱな話をしますと、仮にいわば公務員ということ、あるいは若干それに類似しております、若干高い点もありますが、そういう企業の大体初任給というものを月給にして十六・九倍掛けることは別として、十六・九倍掛けますと約二百万円ということになります、年額でございますけれども。たまたまそれは一人当たり国民所得——為替レートの影響によると多少の相違はございますが、と一緒でございます。それから見て、諸外国との給与差を見ますと、その上に累進税率構造がかぶさってまいりますから、大体相当な所得を持っていらっしゃるマネージメントのトップにある人が手取りでもって初任給の十倍というのはほとんど我が国には存在しないぐらいでございます。アメリカみたいに四十倍、五十倍というのは別といたしまして。だから努力と報酬の一致あるいは年功序列制度、能力給、総合した日本の給与体系の中ではまことに今至当なものじゃないか。生活給を基本としてそれを等しく平等であるという基本的考え方が相違しておりますので、議論はかみ合わないだろうと思います。
  170. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 全くかみ合いませんね。  退職金の問題に話を移していきましょう。  善通の国家公務員や地方公務員の退職金、これの計算方式は、勤続一年について俸給の一カ月強、こういう算式でありますけれども、法人の役員の退職金は勤続一カ月について給与の〇・三六カ月分。ですから、例えば三公社の総裁であれば、わずか八年勤めるだけで三千九百四十六万円。お渡しをしております資料の(3)、ここに出てきますけれども、約四千万円の退職金になる。こういう特殊法人ということに名をかりた法外な退職金の方式になっているわけでありますが、この日銀役員の場合にはこれがさらに極端になっている。さっき言いました特殊法人役員の場合には勤続一カ月について給与月額の〇・三六カ月分というこういう方式。これに対して日銀の役員は勤続一カ月について給与月額の〇・四六カ月分、こういうことになっているわけでありますが、なぜ日銀だけこういう特別扱いをするのか、これ大蔵省は認可をしてきているわけですけれどもね。いや、日銀がおやりになっていることだ、日銀の自由だということではないでしょう。お札をつくっているから何ぼでも自由に払ったらよろしいというわけではなかろうと思うんですが、なぜ日銀だけこういう特別算式を認めていくのか。他の認可法人がすべてこの方式になっておるというわけでもないでしょう。大臣どうでしょうか。
  171. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは確かに今おっしゃいますように、日銀総裁以下の給与については私もきちんと目を通しております。そのいわばお札をつくるのは私の方でございますけれども、発行される方はそれは日本銀行でございますが、それでやっているというわけじゃございませんが、それは私は諸外国に比べても日本の他の金融機関等に比べても至当なものだと思っておりますが、退職金の算定基礎については私は極めて事務的なことでわかりませんので、それについては銀行局長からお答えいたします。
  172. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 退職金につきましても、日本銀行の場合には大体民間の銀行との権衡をとった上で実は決めておるものでございまして、そういう意味におきましては給与を決める場合と変わりがないわけでございます。  一般的に大蔵省といたしましては、日銀は金融政策を担当しております中央銀行でございますし、その業務運営につきましては中立性とかあるいは自主性が要求されているわけでございます。また、銀行銀行としての機能を適切に発揮することも必要があるわけでございまして、日銀は厳密な意味での特殊法人ではございませんで、実態的にも政府出資こそあるものの補助金、補給金等は一切国から支給されておりません。むしろ毎期多額の国庫納付金を納めておるというふうなわけでございます。また、業務内容も市中銀行との金融取引が基本になっているわけでございまして、そういう意味におきまして従来から市中銀行との給与とかあるいは退職金等との権衡を考えながら実は決めておるというふうな状況でございます。  ただ、やはり日銀といたしましても純粋の民間機関じゃございませんわけでございますから、公共部門の一員であることは間違いございません。したがいまして、給与水準につきましても社会通念上、常識上おのずから節度のあるものであることは当然でございまして、今後とも各般の状況を勘案いたしまして適正な水準にいたしたい、こう考えております。
  173. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 社会的に見て良識のある適切な水。準と言えるかどうかということですね。  こういう姿でありますから、この資料(3)の一番末尾に、日銀総裁が二年勤めたとして一体どれだけのお金を受け取るかということをひとつ計算をしていますけれども、わずか二年勤めるだけで退職金が二千四百七十三万、この間に支給される一時金が二千百八万円、給与が二年したがって二十四カ月分でありますから五千三百七十六万、合計九千九百五十七万円、約一億円の金を二年間の間に日銀総裁は受け取る、こういうことになっておるという、これが社会的に見て妥当な節度のある水準でありますというふうには断じて言えないというふうに私は思うわけです。  大蔵大臣、いろいろ給与の、後から天下り人事の問題やりますけれども、とにかくもう一遍この問題についてよくひとつ検討をしてみるという気持ちにはなられませんか。
  174. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 日本銀行総裁の給与というのは今、他の金融機関等々と本当は比較いたしてみますと、大体専務クラスのちょっと上位ぐらいなところへ位置づけして従来もあるわけでございます。私は、そういう給与体系は安さに過ぎるという表現はいささか穏当を欠きますが、なお適切にこれで対応していただけるんだなと、こういう気持ちでサインしたことはもう素直にそのとおり申し上げた方が適当であろうと思います。
  175. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もう応答はしませんけれども、私はぜひひとつこれについては検討を加えてもらう必要があるということを重ねて主張をしておきます。  それで、もう大分時間が経過しましたけれども、天下り人事の問題でありますけれども、もう余り応答をやっていますと時間を食いますのであれですが、この点については御存じのとおり昭和五十二年の十二月に、特殊法人後貝の天下り大事について、天下りは半数以内に抑える、役員の長期留任を原則的に禁止をする、渡り鳥大事についても原則的禁止と、こういう方向を決めてきているわけでありますけれども、ところがこの方向がしっかり守られて進んでいないということであります。  衆議院の予算委員会に出されましたその数字をもとにして集計をいたしますと、特殊法人の全常勤役員のうち天下り七百四人中三百八十三人、五四・四%、特殊法人役員の中でそれだけ占めている。それから、閣議決定は半数以内にとどめるということでありますが、個々で見ればそれは全役員を天下りが独占をしても構わないという、こういう盲点があるわけでありますけれども、これも調べてみますと、資料の二ページ目(4)の真ん中あたり、天下り役員が一〇〇%の法人、これが十五法人、そこに列挙していますような公害防止事業以下いろいろある。全役員を天下り、これが独占している、こういう姿というのが一体まかり適っていいのかという問題であります。  それからさらに、禁止をするというふうにしてきている渡り鳥人事、それから長期留任制限、こういうのも予算委員会に出ております資料でいきますと、渡り鳥人事依然として十八人、五十九年、ことしの一月一日現在ある。長期留任、総裁、理事長で七人、理事、監事クラスで九人、一月一日現在である。こういうことでありますけれども、そこで、輸銀総裁おられますか。——あなたもいわゆる渡り鳥ですね。あなたの経歴をちょっと御説明ください。
  176. 大倉真隆

    参考人(大倉真隆君) 私は、大蔵省に三十二年勤めさしていただきました。大蔵省を退職さしていただきましてから約一年たちまして、国民金融公庫総裁に任命されました。それから約二年半たちましたところで輸出入銀行総裁に任命されまして、現在に至っております。
  177. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 とにかく、もう時間がありませんのでずっと議論をはしょっているわけでありますけれども大蔵大臣、政府として、閣議としてこういうことはひとつなくしようというふうに決めてきた事柄、しかし依然として天下りがたくさんある。渡り鳥もある。長期留任、天下りもある。こういう姿になっているわけでありまして、この点は、私ども共産党としては全体には批判は持っているわけですけれども、臨調でも警告をしている問題でもあるわけですね。こうした点で、大臣、この問題こそは何としてもひとつもう一遍メスを入れるということで、みずから閣議で決めてきたあの方向が全うされていくように、大いに国務大臣の一人としてやってもらう必要があると思うんですけれども大蔵大臣と河本長官のそれぞれその点についての決意のほどをお尋ねをして、残念ながら時間でありますので、私は終わります。
  178. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 特殊法人の役員の問題につきましては、国会でいろんな御指摘をいただき、政府で一定の基準を決めまして、内閣官房においてその都度厳しいチェックがなされております。そうして、その例外とかいう問題につきましては、そのとき、余人をもってかえがたいとかいうものがもちろん皆無であるとは申しません、絶えず本院等においても指摘を受けておるとおりでありますが、現行の基準の中で厳正に対処していくという精神はこれからも持ち続けていかなければならぬ課題であるというふうに考えております。
  179. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 大蔵大臣と同意見でございます。
  180. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 終わります。
  181. 三治重信

    ○三治重信君 決算委員会でございますので、五十六年度の予算そのものは動かすこともどうもすることもできないわけなんですが、ひとつ、経済政策とそれから財政再建との関連を反省する一つの場としてお聞きを願いたいと思うんですけれども、五十四年度以降経済社会計画が行われたわけなんですが、それによって予算も組まれている。ところが、五十六年、七年になってえらい歳入欠陥になっておるわけなんですが、これは社会経済計画と、それから同じ経済計画のもとで行われた予算、決算でいながら、五十六年、五十七年で物すごい欠陥が出た大きな理由といいますか、これは経済見通しが誤ったと言えばそれまでなんですけれども、今から考えてみて、その一番大きな原因は何だったと思うか、それから入っていきたいと思うんです。
  182. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は五十四年は、たまたま決算大蔵大臣をしておりましたが、要するに、税収の方で見ますと増収の方に大きな、予測以上の増収が出た。それで、五十五年がしたがってその余勢を受けてほどほどの増収、そして予算の中においては剰余金、こういう形になったと思うんであります。したがって、やっぱり一番、今も御指摘になりましたように、大きな税収不足をもたらしたのは五十六年、五十七年、こういうことであろうと思うんであります。これは、結局はやっぱり第二次石油ショックから世界全体が脱却できなくて、その中では日本が一番先に脱却したという御指摘もありますけれども、やはり世界同時不況の中でこの税収見積もり等にあれだけ大きな問題が出た。やっぱりポイントは何かと言われれば、第二次石油ショック、こういうことではないかな、こういうふうに常日ごろ考えております。  そこで、今度は五十七年の補正後から見ますと、これは決して基準が決まっているわけじゃございませんが、見積もりでございますから当然若干の相違はございますけれども、私どもどの程度意識しておればいいかなとよく考えますが、私はそのときに、また再び大蔵大臣に就任しましたときには、やっぱり一%は誤差のうちというぐらいの中へ入るのが一番理想的じゃないか。それはなかなか難しい問題でございますけれども、どこでその基準が決まっているという問題じゃございませんが、念頭に置くべき数字だなと思いながら今日までに至っている、こういう感じでございます。
  183. 三治重信

    ○三治重信君 石油ショックの後の世界不況の問題もあるんですが、これは、非常に大きな歳入欠陥になったのはやはり五十六年度の、何と申しますか、増税が非常に影響しているんじゃないかと思うんですが、その点についてはどうなんですか。
  184. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 五十六年度は、ただいま大臣からも申し上げましたように、かなりな歳入不足を生じておるわけでございまして、その大きな要因は、やはり第二次オイルショックの影響であろうかと思うわけでございます。その点はちょうど昭和五十年度におきましてもかなり大幅な歳入不足が生じておるわけでございまして、これが第一次オイルショックの影響であったわけでございます。五十年度におきましては、当初予算に対しましては二〇・七%の不足を生じたわけでございますが、五十六年度も一〇・三%という不足でございました。こういうふうにそれぞれ第一次ショック、第二次ショックの一、二年後はどうしても猛烈なデフレ的影響が出るわけでございま、して、その点は私どもとしても鋭意厳密な見積もりをするようには努力はいたしておるわけでございますが、経済活動自体が予測を上回って低調になることもございまして、税収も大きく落ち込むわけでございます。五十六年度の税制改正におきましては、五十年代に入りましての大幅な特例公債発行を中心とした財政体質の悪化に対処いたしまして、できれば税収の構成を一般会計歳出の八割ぐらいには持っていくのが適当ではないかという税制調査会の中期答申の指摘を受けまして、一兆数千億の増収措置を講じたわけでございますが、その点はこれが全体の税収規模の中ではそれほど大きなものとも言えないわけでございまして、この増収措置が逆にこうした不足を生じたものだというふうには私どもも考えてはいないわけでございます。
  185. 三治重信

    ○三治重信君 ちょうどたまたまいわゆる第二次石油ショックの後のリアクションで経済成長が非常に鈍ったところへ、そこへ増税をさらに追っかぶせるためにさらに景気がおかしくなった。増税の機会が、非常に時を誤ったということも言えるかと思うんですけれども、そういうところからいって、財政再建というのは景気の変動等が非常に影響するということなんですが、この財政見積もりは、それは大臣がおっしゃっておる一%以内というのは神わざだろうと思うんですがね。実際に変動すると歳入欠陥も生じたり黒字が出るのも、これについてとやかく言うことではないんだが、後から反省をしてみて、どういう原因でどれくらいの欠陥ができたか、こういう過去の経験から、やはり歳入見積もり、歳出を決める場合に、将来予測に過去の事例を参考にして決めて、できるだけ歳入欠陥を少なくしていくということで、これは戦後の日本の財政が非常に健全であった主な理由は、財政欠陥の年をほとんど生じなかった、こういうところに財政が非常に健全だった大きな理由があると思うんですよね。見積もったやつが歳入欠陥にならないで決算ができるためにむしろ余剰ができた。それが積み重なって戦後ずっときたために非常に健全財政が進んだ。石油ショックで非常に国内景気が悪くなると、財政でいわゆるケインズ政策を大胆にやったための赤字公債というものは、これはある程度国会の承認のもとで赤字財政をやったわけですからこれはいいわけなんだが、しかし、その過程において、その上にさらに歳入不足を来して二重に財政を悪化さす、こういうことは常に反省しなくちゃならぬと思うんです。  殊に、五十六年度というのは財政再建期に入ってきたときなんですね。しかも、五十六年度と五十七年度と。この五十六年度、五十七年度は、ただ第二次石油ショックを受けたためにやむを得なかったんだということばかりでなくて、やはり世界経済の動きその他を見ながら、歳入の伸びというものを相当控え目に見た財政再建計画をやらなくちゃならぬというのがここから出た一つの教諭だろうと思うんです。  ところが、現実の五十九年度の予算にしても、どっちかというと、財政が苦しいために目いっぱい歳入見積もりを組む。雑収入を目いっぱい組むのはいいんですが、税収まで目いっぱい組んで、歳入欠陥が出れば出てきたときだと。こういうことが再び起こらないためにも、この五十六年、五十七年の歳入欠陥というものはひとつ大いに反省材料にする必要があろうかと思うわけなんです。  だから、二度と再び、今後この財政再建をやっていく限りにおいて、この当初の歳入見積もりというものが歳入欠陥にならぬような心構えが非常に必要ではないかと、こういうふうに思うわけなんですが、その中で殊に財政収入がふえることについて大蔵省は非常に熱心なわけなんですが、こういう問題で、ひとつ非常に財政収入をふやすためには、中期財政の答申なんかでもいわゆる経済成長率が一%ふえれば一兆円近くふえるということになってくると、いわゆる経済政策との関係も非常にあるわけなんですけれども、そういう増収の関係との見方というものを今後——前はこの七カ年計画というのは、五%程度とかいうような一つの具体的な目安があるわけなんだが、今はそれを取っ払って、六十五年度までの指針と方針ということで、ただ六十五年度までに赤字国債を減らすというだけの枠しかもらってない。経済成長率もおおむね四%というような格好になってくると、歳入見積もりも非常に自由にされていると、こういうことではないかと思うんですが、そういう経済成長の見積もりというものと財政収入との関係をどういうふうに今後対処していこうと思っておられるのですか。
  186. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 租税収入が全体としての経済活動水準に大きく影響されることは確かでございますが、御承知のように、租税弾性値という数値があるわけでございまして、これは経済の成長率と税収の伸び率との割合を事後的に算出したものですが、これは高いときには二に近い数字になったり、場合によっては逆に、極端な場合にはマイナスになったりするということもございますので、単純に経済活動水準そのものをずばり税収に連動さして見積もるということはなかなか難しいわけでございます。しかし、おおむね経済活動の一環でございますので、租税収入もそれには大きくは連動し動いてはおるわけでございます。そうした適切な経済見通しを前提にいたしまして、私どもむ極力誤りのない租税収入見積もりを行いたいと思うわけでございます。  先ほど大臣から申し上げましたように、一%は誤差のうちでございまして、極力誤差は一%程度の中におさまるようにいたしたいと思うわけでございます。  先ほどの繰り返してございますけれども、第一次ショックのときは二〇%狂ったわけでございます。そうしたオイルショックの経験は十分に第二次ショックのときにも生かすべきでございましたが、やはり結果的には一〇%、誤差の幅としては半分にはなっているわけでございますが、やはり大きな不足を生じたわけでございまして、こうした点につきましては、重々反省もいたしまして、今後こうしたことのないように、またありましても一%程度のものになるように極力いろいろ工夫、研究もいたしまして、そういった適切な見積もりにいたすように努力をいたしたいと思うわけでございます。
  187. 三治重信

    ○三治重信君 そういう非常に財政の苦しい中で、税収をできるだけ図ろうという中で、一つここでお伺いしておきたいのは、いわゆる不公平税制の是正の中で一般論は避けまして、グリーンカード制度というものを延長したんですが、それが今年再検討されようとしているんですが、グリーンカード制度をつくろうとしたときのいわゆる何と言うのですか、グリーンカードセンター、名前はどういうぐあいに、なっているんですか、きちんと、それの建設状態はどういうふうになっているんですか。
  188. 岸田俊輔

    政府委員(岸田俊輔君) グリーンカード用に建設をいたしましたセンターの建物でございますけれども、これは建物自体は五十七年十二月に完成をいたしております。ただ、私どもといたしましては、今の国税事務につきましてコンピューター化を促進するということで、全園的規模でその拡大を図っておりまして、この建物自体はこの総合オンラインシステムの計算センターとして現在活動をいたしております。
  189. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、グリーンカードをやるためのセンターをつくって、これが五十七年の十二月に完成して、現在は何に使っておられるということですか。
  190. 岸田俊輔

    政府委員(岸田俊輔君) 現在は国税庁の事務管理センターという形でございまして、各税務署のコンピューターの総合オンライン化を進めております。現在、国税庁の全体の五百十一の税務署のうち、まだコンピューター化しておりませんでしたのが二百九十八ございましたんですが、五十八年度で百二十署、それから五十九年度予算では八十署が増加になりまして、それがすべてが総合オンラインでセンターにつながるような形になっております。この計算センターとしてこの建物を使っているということでございます。
  191. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、今度、何というんですか、またグリーンカードにかわる預金の、この何というんですか、利子の徴収のやり方いかんにはってはこのセンターは使えぬようなことになるわけですか。
  192. 岸田俊輔

    政府委員(岸田俊輔君) 既に事務管理センターは稼働をいたしておりまして、コンピューター化のあれは推進をいたしておりますんで、もしもグリーンカードその他の問題が、別の問題ができましたら、そのためには別の予算を、手当てをいただかなければならないかと思っております。
  193. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、何というんですか、グリーンカードセンター変じて事務管理センターになって、    〔委員長退席、理事目黒朝次郎君着席〕 今度グリーンカード制度は延ばして、また今度はグリーンカード制度にかわる、いわゆるカードシステムなり預金の利子の税金の受け払いには、また改めてそういう計算センターが必要だと、こういうことになるんですか。
  194. 岸田俊輔

    政府委員(岸田俊輔君) グリーンカードにかわります制度がどうなりますかは今後の御検討にまつわけでございますが、その制度のあり方によってさらに検討していきたいと考えております。
  195. 三治重信

    ○三治重信君 国税の事務量の増加を、もしもグリーンカードセンターがなかったら事務の合理化が非常におくれたと、たまたまそれがやまったばっかしに事務管理センターとして利用することによって、国税全般の事務管理の能率化に非清に貢献をしたと、こういうふうに解釈していいわけですか。
  196. 岸田俊輔

    政府委員(岸田俊輔君) そのとおりだと思います。
  197. 三治重信

    ○三治重信君 一つのことをやって計画したりすると、いろいろのことがあっても、それがむだにならなかったというのは非常に結構なことなんだと思うんですが、そこでまず歳入増加をするのに、我々も結局新たな租税を課したりなんかするということについては反対なんだけれども、不公平税制の是正についての増収策ということについては理解を示す態度でいるわけなんですが、それについての何といいますか、財政制度審議会の、来年度の予算の伸長度、いわゆるそういう歳入の検討、税制の検討についてのスケジュールはどういうふうになって……というのは、今ごろ非常にグリーンカードがどうだこうだと新聞によく出るでしょう。    〔理事目黒朝次郎君退席、委員長着席〕 結局それは大蔵省が来年度の財政制度審議会についていろいろかける準備をしたり資料をつくっているから出るんだろうと思うのですが。
  198. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 税制改正の例年の大体のスケジュールから申しますと、翌年度の税制改正につきましての作業は夏ごろ各省、各団体、いろんなところからの御要望をお聞きいたしておりまして、秋ごろから年末にかけましてその年度、その翌年度の歳入状況等があらかた予測がつく段階になりまして、そういった財政状況を勘案いたしまして全体としての税制改正の方向をたたき台をつくりまして、税制調査会に御相談をするというのが普通の年の段取りでございます。  ただことしから来年にかけましては、御指摘のグリーンカード問題があるわけでございます。先ほどからのお話のように、利下配当課税につきましては、五十五年度改正でグリーンカード制度を御決定いただいて御議決いただいているわけでございますが、五十八年度税制改正でこれが三年間延期されておるわけでございます。延期されておりますが、法律としては現在仕組まれておるわけでございまして、現在の状態のままでございますと、六十一年の一月からはグリーンカード制度が動き出すと、こういうことになっておるわけでございます。六十一年一月と申しますと六十年度のことでございまして、先ほどお話の出ました予算の問題、それから税制改正の作業自体もまた六十年度の問題になるわけでございます。先ほどお話しの予算の問題になりますと、六十年度の予算に関連する問題でございますので、六十年度の予算の概算要求に関係してくる。そういったことからいたしますと、できればことしの夏ごろまでにどういった方向が出るのか、グリーンカード、現在法律としては制度化されております。そのものを実施するのか、それにかわるものをいたすのか、それによりまして概算要求自体も変わってくる。そういたしますと、できれば八月ごろまでにその方向が固まっていることが望ましいわけでございますが、遅くなってもことし暮れまでの、六十年度予算の編成される段階までにはあらかたの方角が必要なわけでございます。そういうタイミングからいたしますと、ことし利子配当問題については割合早くから着手して検討に入らなきゃいけない、そういうタイミングと申しますか、環境にございますので、いろいろ利子配当の問題が現在この時点から議論やいろいろ御意見が出されていると、そういうことでございます。
  199. 三治重信

    ○三治重信君 利子配当課税は、日本が恐らく世界で一番課税上では優遇されているんじゃないかと思うのですが、それは表と裏と両方あって、実質は分離課税ということで金持ちが優遇されているという点もあるし、また一般の預金者にとっては、マル優制度が非常にルーズなために幾ら貯金しても利子はマル優でということで、金融機関を別にしたり郵便局を渡り歩けば利子課税なくして貯金ができると、こういうことで大蔵省は見て見ぬふりをしていると、こういうことだろうと思うのですけれども、それでこの始末をどういうふうに決着をつけるかというのは、一つは不公平税制から見てこれがいつまででもこのままでいていいはずはないという社会正義的な見方が一つあると思うのですよね。  それから一つ大蔵省としても非常に頭が痛い問題は、やはり金利の自由化の問題だと思うのです。自由化の問題というのは国際間の金融の自由化、金融の自由化はすなわちまた金融機関の自由化ばかりじゃなくて、利子の自由化になってくる。利子の自由化になってくると、これは国際間の資本の移動に連動してくると。そういうふうになってくると、あれがいいかこれがいいかと言って大蔵省の各局の中でけんかになったり、自分のところがかわいいということになって、船頭が山に登ると、こういうふうなことが心配されるわけなんですね。大蔵大臣、どうですか、どうしてもここでひとつやはりグリーンカード制度の問題は、利子の自由化の問題あるけれども、やはり国民から見て何といいますか、非常に不公平税制の最たるものですよね。これをほっといてほかの増税にかかるというのはおかしな問題だと思うんですが、どうしてもことしじゅうに解決する決心がございますかどうか。
  200. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私も一番絶えず矛盾を感じますのは、たまたま五十四年から五十五年大蔵大臣しておりましたときに、総合課税への移行というような形でグリーンカード制度というものをこれは大蔵大臣竹下登が提案したわけであります。共産党を除いて皆賛成してもらいまして、それで今度就任しましたら、それをやめる大臣、要するに暫時凍結するその法律をまた大蔵大臣竹下登で提案をいたしまして、今凍結していただいておる。それで、やっぱりこれは何が何でも六十年度予算編成までには結論を出さなきゃいかぬ問題だというふうに自覚をしております。どういうふうにするかということについて税制調査会でも最初の答申を読んでみますと、何分にも国民の多数の者、そして多数の金融機関に影響するものだから、極めて慎重に検討すべきだという答申で、がしかし、グリーンカードの問題が来るから夏ごろまでには結論を出さなきゃいかぬじゃないかと、こういう答申になっているわけですね、答申そのものが。それでこの間、先月の二十七日に税調べ、この問題を含む今国会等で議論された問題を全部整理しまして一応御報告を申し上げたと。それで、では本格的にこれから審議をしようかと、こういうことになっておるわけであります。現実、不公平税制というのは、これは人それぞれによって、その主観によって大変な相違がございますけれども、少なくともいろいろな調査等において、例えば三治登という預金があったり、竹下それこそ重信という預金があるのはこれは確かに好ましくないことでございますから、そういうことをどのような手法で解決するかということは、今まさにこれからと、こういうときでございますから、いろんな予見を持ってお答えするわけにいきませんけれども、したがって、新聞紙上においてもいろんな角度から取材したものがいろんな形で毎度散見されるところでございますけれども、これだけは何とか、今、水野審議官が申しましたように、できる限り夏ごろまでにと、しかし、いずれにしても六十年度予算には間に合う形で対応しなきゃならぬ重大かつ緊急課題であるという事実認識に立って対応しておることは事実でございます。
  201. 三治重信

    ○三治重信君 そこで、あのときのグリーンカードの廃止、延期のやつのときも、僕も大蔵委員質問したこともあり、我が党の大ボスが廃止にえらい運動したので非常に質問のしにくかった思い出があるわけなんですけれども、そのときにも僕なんかも非常に大蔵省に言ったんですが、結局あれで延期に追い込まれたのは、やはり中小企業者や金持ちが無記名預金とかほかのところでやっているのまで大蔵省が全部財源を追及しようとしたところに大きな反対があったと思うんですよね。だから金持ちは自分の利子が税金を取られるとかなんとかいう部分については、これは正規の金融機関で利子はどれだけ払うというやつがわかるわけだから、それについてどれだけ天引きされるかというやつはこれはあきらめるのは早いけれども、預けた金がどこから出てきたんだということにおったり、自分の息子や孫の名前でやっていたやつが、それはどうしてこんな金を孫がもうけたんだというのを税務署の職員に追及されるのが非常に怖いわけです。怖いというよりか人間的に嫌なわけですよね。自分のものを人にそんなとやかく、どうしてそれが所有になったんだと、自分のものになったんだと、いかにもちょっと罪人扱いになるということが非常に嫌だから、そういうことはやめなさいということを随分言ったんだけれども、いや不公平になるとかなんとか言って全然言うこときかなかったのが延期になった大きな原因だと思うんですがね、そこをひとつ考えて、とにかく銭を持っているやつはその金がどこから来たかということを言われるのが非常に嫌だということですね。だから税金を取るのは、現実の利子の払われている状態の中でどれだけうまいとこ取り上げるかということを考えればいいことなんで、その元の元本をどこからせしめてきたか、だれの名前で、孫の名前でやっているの、愛人の名前でやっているの、そんなのはあんまりとっちめないでいくことが、一つ全部を網かぶせるということになってくると、一つ物すごく暴れたりなんかするともうみんな逃げちゃうようなことになっちゃうわけなんだから、税収目的ということならば税収の不公平税制の是正という一つだけをまずつかまえてやってもらいたい。それを僕なんかこの前のときには随分グリーンカードのやつ、ひとつきのうかおとといになって本当のマル優カードだけ、いわゆるもう利子を免除してもらうだけのカードにすると、こうすれば、この前僕なんかが非常に主張したところなんだが、そうすればその人に利子を免除してもらうために住民票を持ってこい、そうしてその住民票のもとにおいてカードをある金融機関が出せば、そのカードによってどの金融機関も使えるということになれば、やはり利子を課税なくするために、預金をするときにそのカードを提示して預金をするということについての負担というものは非常にだれも嫌がらぬだろうと思うんですがね、そして隠れ預金やいろいろ隠している預金なんかというやつは、それは天引き四〇%が多ければ三五%を取って、そしてあとは返してもらいたい人は総合課税の申告をしなさいと、そうすれば返しますと、こういうぐあいにすればいいんですが、これもまたあんまり多くなると、先ほどじゃないが、金利の自由化でアメリカへ行けば、日本の都ですら六、七%の預金が向こうへ行けば一〇%も一二%ももらえるということになると、もうみんなその金が出ていっちゃうということになって、元が出ていっちゃえば、幾ら利子を余計税率を上げでつくっても、元が少なくなれば全体の税収は少なくなってしまうと、こういうことになろうかと思うんですが、これは皆さん方の方が専門だろうと思うんだけれども、そういう意味において金利の自由化というものと国際金融の自由化というものとでいわゆるアングラマネーというものがいいのか、またそうでなくても正規の預貯金でもどこでも自由だと。先日もある金融機関の何かが言ったのは、日本の中小企業でももう日本で金を借りるよりかスイスの銀行で幾らでも金貸してくれますよと、我々みたいな全然世界に知れてない中小企業でも、また日本の銀行だと大蔵省の監視が厳しくて、監査が厳しくて、六カ月ぐらい金借りるのにかかるんだけれども、スイスの銀行なんかだったらもう一、二カ月で貸してくれると。僕は本当にびっくりしたと、借りた者がびっくりしているんですよね。ちょっかいかけて、言われると思ってやって、スイスの銀行から金を借りるようにしたら、そうしたら幾らでもどうぞといって、もうその一、二カ月で貸してくれると、こういうことも事例としてあって、日本の国内の企業でもそういう国際金融の自由化に対して非常に鋭敏になっている。借りる方は安く借りる方がいい、預ける方は高く金を預けた方がいいと、こういうことである中で実施されるわけですから非常に難しい問題だと思うんですけれども、そこをひとつ十分勘案されて、私は結論を言うと、マル優、とにかく法律がうまいとこ国民に信頼されて利用されなければ我々も立法して法律つくる意味もないし、それから役人も施行されない法律をやったって自分自身で不信感持ってやる気はないだろうし、だから実際やる法律というものは決めたからには実行されるような法律であってほしいと思うんですよね、立法機関にしても。だからそうなってくるとグリーンカードで失敗した、だからその目的は何かというと、マル優で税金を逃れるのを最小限度にしようということの、税収を確保するための一手段だろうと思うんですよね。そうしたら、免除するやつなら免除するやつだけでもいいじゃないかと、それだけをきちんとやれば、それはもう限度額できちんとそれが運用される、それ以外のやつは制度としては動かさぬで、今の分離課税制度なら分離課税制度でいって、金融の自由化をもっと見て、その上でまた第二次的な対処をすると。この前のグリーンカードみたいに、預ける金を全部、大蔵の税務当局が預金を全部つかまえるという体制だけはやめてもらいたいと思うんですが、その点はどうですか。
  202. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 大変いろいろ貴重な御指摘をいただいているわけでございます。  特に、前回グリーンカード制度を検討いたしました際と比べまして現在、御指摘のように、金融の自由化と申しますか、国際化と申しますか、こういった点は格段に飛躍的に進展してきているわけでございまして、単に国内だけの税制としてつかまえ、対処できない面も出てきているわけでございますので、かつての検討した段階よりもさらに難しい問題になってきているという点は御指摘のとおりでございまして、そういった点も含めまして今後勉強をしていきたいと思うわけでございます。  それから、具体的な御提案、御指摘のグリーンカード制度を非課税貯蓄的なものに限って活用する、あとの課税貯蓄については大体現行制度のような考え方を残していくという方向も一つの考え方であろうかと思うわけでございます。ただ、御指摘、お話にございましたように、グリーンカード制度がいろいろの波紋を、影響を生んだという中には、お金持ちの方がいろいろその資金の出所等につきまして心配されたという面もありますが、やはり非常にたくさんの普通に預金をしておられる方、恐らくは非課税貯蓄を利用しておられる方ではございます、そういった人たちも何かグリーンカードというものにつきまして非常ないろいろなニュアンスを持って受け取られて、そういった点からなかなか世の中になじみにくかったという面も、お金持ちの方々の貯蓄をする際の行動だけでなくて、全体としてのまたいろいろな波紋もあったんではないかという御指摘もあるわけでございますので、具体的に御提案のようなものが今後一つの検討の方向であるということは私どもも考えておるわけでございますが、それが適当な方向であるかどうかという点も含めまして今後勉強をさしていただきたいと思うわけでございます。
  203. 三治重信

    ○三治重信君 最後に一つ、臨調の答申で、大蔵省が殊に所管している輸出入銀行とか開発銀行を中心として、もう政策金融としての守備範囲を相当終えてきたじゃないかと、そういうふうなことについてどういうふうに考え、また対処されておられるのか。殊に、片方で民間の金融機関と競合するような貸し出しを一方でやり、一生懸命財政投融資で使っていながら、片方では民間の金融機関に国債をどんどん買え買えと、こう言っておるのは何か矛盾のような感じがして、そこの整理を一段と進めてほしいと思うんですが、その答弁聞きまして終わります。
  204. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) ただいま先生指摘になりましたように、財投計画につきましては臨調からも厳しい見直しをするようにと、財投機関の中で特に政策金融機関につきましては、民間金融を補完するという原点に戻りまして見直しをするようにというような指摘もございましたので、五十九年度の財投計画の編成に当たりましては、その線に沿いまして厳しい見直しをしたつもりでございます。そういった結果といたしまして、民間の資金需要も非常に沈滞していたということもございますが、財投の政策金融機関の中で私ども財投からの融資額をふやしましたものは、わずか三機関でございまして、あとのものはいずれも減少すると。それから増加させました三機関につきましても、従来の増加額よりも低く抑えるというふうな見直しをいたしております。今後につきましても厳しい見直しというものを続けまして、むだな運用はしないようにという観点に立ちまして財投計画の編成をしていきたいと、かように考えております。
  205. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は、サラ金関係についてちょっといろいろとお聞きしたいんですけれども、まず最初に、去年の十一月にサラ金規制法施行されましたけれども、その後まだ半年もたってないわけです。しかしながら、状況は、私の受けとめている範囲では非常に深刻な状況があるというふうに考えられますんで、まずその後の状況どう変わったかと。  警察庁にお聞きしたいんですけれどもサラ金苦ゆえの家出自殺がどういう傾向にあるかということをまずお伺いしたいわけです。これは五十八年の下期は自殺が八百十三人で、家出が七千九百三十二人ということになっていますけれども、一月から三月、あるいは四月ごろまでの数字があれば教えていただきたいんですが。
  206. 加美山利弘

    説明員加美山利弘君) お答えいたします。  サラ金苦にかかわる家出自殺実態ということで、本年の一月から三月までの実態を申し上げますと、自殺が三百六十八人、家出が三千二百五十一人でございます。
  207. 木本平八郎

    木本平八郎君 この数字は、ちょっとこれ年に換算する時間がないんですけれども、感触としてはどうなんですか。非常に、異常にふえているという感じなんですか、それともまあまあ予想したとおりだということなんですかね。
  208. 加美山利弘

    説明員加美山利弘君) お答えいたします。  サラ金二法が施行されましてから、本年三月までの状況を見ますと、まあ犯罪では八百七十四件、二百四十七人を検挙しておりまして、それから自殺では五百八十八人、家出は五千三百六十三人という数字になるわけでございます。保二  それで、新法施行前四カ月のデータがございまして、それをもとに新法施行前と施行後と分けて、まあ月平均で見ますと、犯罪の場合は新法施行月平均二百二十件、七十五人だったものが、新法施行後は百七十件、五十人、それから自殺につきましては新法施行月平均百五十人だったものが、施行後は月平均百二十人、家出は同じく千五百人だったものが千七十人と、新法施行前と施行後では、施行後の方は若干数字は減っている状況にございます。
  209. 木本平八郎

    木本平八郎君 そういう傾向なら非常に好ましいので、ぜひとも今後ともそういう傾向になるように指導していただきたいと思うんですが。  その次に、それじゃサラ金業者の転廃業の状況、この辺をお聞きしたいんですが、十二月末までに何か七十社ぐらいは転廃業したというふうなことも新聞で聞いたわけですけれども、その後どういうふうな状況にあるか。数字がなければ結構ですが、あればある範囲でお願いします。
  210. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 従来、出資法に基づきます届け出制になっていたわけでございますが、その場合に転廃業届け出は十分に正確に把握されていなかったのでございますが、今度は貸金業規制法の施行に伴いまして登録制度が導入されたわけでございますから、今後は正確に把握できるんじゃないかというふうに考えております。ただ現在までのところ、施行された後の登録状況が進んでいる状況でございまして、登録されたものが今後どうなるかということは今後わかりますけれども、今までの分がどうなってしまったのかという点については把握いたしかねております。  ただ従来ございました、庶民金融業協会というのがございました。これの会員に限ってみますと、昨年の十一月一日から本年三月末までに協会を退会したものが四百七十業者あるわけでございますが、これらの大半は多分貸金業規制法の施行後に転廃業したんじゃないかというふうに考えられるわけでございます。
  211. 木本平八郎

    木本平八郎君 そういうふうに正当な形でどんどん淘汰されていくというのは非常に好ましいと思うんですね。非常に群小の弱い、あるいは悪質と言われるような業者が非常に多い業界だと認識していますので、今後ともそういうふうに正当な方法で減っていくということは大歓迎なんですけれども、今の四百何ぼというのは多いか少ないかちょっとわからないんですけれども、ちょっとこれ、私余り時間がないものですから、私の調べた範囲でまずお聞きしますので、もしもこの私の認識が間違っていたら指摘していただきたいんですが、私の調べた範囲では、いわゆる債権を二、三割の値段で仲間に売って、そして転廃業しているというのが続出しているというか、どんどん出てきている。要するにもう取り立てが非常に難しくなったのでそういう形で転廃業していっているとか、業者の中には示談屋とか解決屋とかコーチ屋というんですか、私も内容はよくわからないんですけれども、いわゆる悪知恵を働かしてそしていわゆるアングラ金融も伴ってというふうな非常にたちの悪い方向に、あるいは地下に潜るような形でどんどん業者が転廃業していっているというふうな話も聞くわけですね。それで業者の正式の処分の方は何か夜の九時から明くる日の八時までは取り立てしちゃいかぬということがあったので、大分世の中静かになったようですけれども、ところがそれを違反してついこの間、豊島かどこかの業者が一人、業務停止処分か何か食らっていますね。ところが東京都ではこれは初めてだと、全国でも三番目だというのでいかにも少ないという感じはするわけです。それでその辺、今後はどういう方向に推移していくんだろうということなんですけれども大蔵省の方としては、将来の予測ですからちょっと難しいかもしれませんけれども、どういうふうにお考えになっているか、ちょっとお聞きしたいんですけれどもね。
  212. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 実は大変大ざっぱな数字で恐縮なんでございますが、従来の出資法のもとでは約二十万件の届け出があったということでございます。去年の十一月から一年間かかりまして登録に切りかえているわけでございますけれども、現在までのところ二万三千業者の申請が出されておりまして、登録が完了いたしましたのが二万一千業者ぐらいでございます。これが最終的にどのくらいになるのかなという感じでございますが、まあ五、六万はいくのかなという感じでおるわけでございますけれども、その二十万の届け出られた業者がどういう形でどうなってしまうのかということは、ちょっと私ども推測しかねるのでございますけれども、今度は正式に登録される業者が五、六万ぐらいになるのじゃないかという感じがいたしております。
  213. 木本平八郎

    木本平八郎君 その次に貸し出しの金利ですね。金利が今まで百何%だったのが七十何%ということになったんですが、それが低下している傾向にあるのかどうかですね。わかっている範囲で結構ですが。
  214. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) これにつきましても正確には実はまだ把握できないのでございますが、ただ私ども半年ごとに金利の状況を調べておりまして、今度調べておりますのは三月末で今調べておりまして、現在集計が開始されつつある段階でございますので、去年の九月末に比べまして三月末にどの程度下がってくるのかというのは、もうしばらくすると出てまいると思うのでございますが、したがいまして総体的な計数は今つかめておりませんが、サラ金の大手四社に限ってヒアリングしてみますと、五十八年度の決算におきまして五十七年度の決算に比べますとわずかでございますが〇・七%低下と。これは水準が平均金利が四二・三%でございまして、そのうち〇・七%低下しているという数字は出ております。
  215. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで次は、業界が健全に運営されているのかどうかという点なんですが、これについては私の方が調べた範囲をちょっと申し上げますと、要するに業界が非常に締めつけられているということで、業者が物販だとかいわゆる割賦、クレジットカードとか、そういった方面に犯罪的に流れていっているというふうな傾向があるんじゃないか。要するにショッピングカードというのは案外そういう詐欺みたいなものに弱いので、商品がありますので商品さえ押さえておけば大丈夫だという錯覚というか、安心感みたいなものがあるわけですね。そこにつけ込まれている。これはおとといの割賦販売法の商工委員会の席でも私もいろいろ勉強したんですけれども、そういうケースがあるのじゃないか。それから、中には生命保険をつけて、死んだら債権チャラになるからなんということで、そういう方向で契約が変わりつつあるとか、それから業者側も、私は業者に会ったわけじゃないのですけれども、新聞なんかで見ますとたらい回しをやめると貸し金は九割一遍に下がってしまうという、要するに自転車操業をやっていたわけですね。それをストップされるともう一割しか残らないというふうな見方をしている業者もおるし、それから大手の中ではもう来客が三分の一に減ってしまったとか、それから中には今まで銀行から九十日とか百八十日の手形で借りていたのを、それで借りかえ、借りかえでジャンプしていったのを、それを一たん一遍払えと言われて、そこで非常に資金に詰まっているとか、そういう状況があるということで、これは業界の雑誌なんかを見ますと昭和三十年代の月賦屋さんと同じで、ほとんどが、あれで丸井ぐらいしか残らなかったわけですが、そういう状況になって軒並みにもうだめになるんじゃないかというふうなことも言われているわけですね。それで業界の中には何か六十年パニック説も今出ているというふうなことなんで、案外思いのほか業界の中が混乱しているのじゃないかと思うのですが、その辺はどういうふうにお考えになっていますか。
  216. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 私どもといたしましても、法律をお出しいただいたわけでございまして、それが適正に運用されるように政省令を準備し、通達も準備いたしまして、例えば取り立て行為などにつきましても具体的にこういうケースはあってはならないということでお示ししたわけでございますけれども、今おっしゃいましたようなケースというのは実は当初なかなか予想できなかったことでございまして、最近そういうような、先生指摘のようなケースにつきましても徐々に情報として入ってくるような状況でございます。つきましては、必要があれば通達の改正をするなり、あるいは今、庶民金融業協会というのが先ほども出ましたが、貸金業協会に今切りかえ中でございまして、その貸金業協会の中でまた具体的に自主規制案みたいなものもつくってもらうことも考えられるわけでございますから、そういうようなものの中でそういう新しいケースについての規制みたいなものを何とか実効あるものにしてまいりたいと思っております。  今御指摘の信販会社とかクレジット会社とかの方にいろいろしわが寄っていっているんじゃないかという点につきましては、情報としてそういうことは耳にいたしますけれども、具体的にそれがどういう姿でもってあらわれているのかにつきましては詳しくは把握いたしておりません。
  217. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、私はサラ金の肩を持つわけじゃないんですけれどもサラ金の業界自身が極めて大きな影響を受けているということなんですね。ある程度の影響は受けてもらわなきゃ困るわけですけれども、それであんまりこれが行き過ぎますとかえって業界自身が混乱を起こすんじゃないかという心配があるわけですね。それでサラ金業者、悪徳のサラ金業者は排除しなきゃいかぬけれども、業界自身をつぶしたんじゃこれはもう大変ですから、これはある程度何か歯どめを考えなきゃいけないんじゃないかという気がするわけですね。特に先ほどもありましたように、外銀が、彼らドライですからね、もうだめだと思ったらさあっと資金引き揚げるわけですね。それから、アングラの金が案外逃げ足が早くてどんどん引き揚げてしまっているというふうなことで、逆に一兆円からあるという普通の銀行のものだけが残っちゃうというふうな心配もあるわけですね。担保なんかも大分インチキな担保を入れている業者もあるらしいんですね。その辺で正常な金融機関までそういうことが及んでくると、これもえらいことになるんじゃないかという心配もあるわけです。  ちょっと時間がないんでどんどん進みますけれども、次に、これは裁判所の方にお聞きしなければいけないんでわかっていればお答えいただきたいんですが、自己破産とかの申し立て状況、これは今私が申し上げたいのは、実は悪徳弁護士が出てきてスポーツ紙やビラなんかでどんどん免責になると、だから自己破産やんなさいということをどんどん勧めている。これは後で少し問題にしたいんですけれども、それで、中には着手金だけもらってドロンしちゃうとか、そういうのが出てきたり、総会屋だとかやくざ崩れが資金源に使ってきたり、非常に悪質化してきているというふうな傾向もあるようなんですがね、この自己破産の申し立て状況というのは何か資料があれば教えていただきたいんですが、なければ結構ですけれども。——大蔵省の方で。
  218. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 私どもはちょっと把握できない立場でございます。
  219. 木本平八郎

    木本平八郎君 それじゃ結構です。  それでは次に、銀行局長通達で、去年金融機関に対して消費者金融を積極的にやれというふうに通達出されましたね。新聞では何か第一歓銀が子会社をつくって七月からそういう消費者金融に乗り出すと、それで何か二八%かなんかの金利でやっていこうと、これは自分の取引先の社員とかあるいはゴルフの会員権を担保にするとか、そういう非常に制限があって必ずしも満足すべき線までは行ってないんですけれども、これはスタートとして非常にいいと思うんですね。ほかにも、ほかの銀行もこういうようなのをつくる傾向がどんどん出てきているのかどうか、その辺いかがでしょうか。
  220. 宮本保孝

    政府委員宮本保孝君) 御指摘のとおり、サラ金が非常に急成長いたしたという一つの理由といたしまして、この間の金融問題研究会の御報告にもあったんでございますけれども、やはり一般の民間金融機関が消費者信用に熱を入れてこなかったという点が一つの理由になっているんじゃないかということで、昨年の五月には一般の金融機関が消費者金融に精励するようにということを伝えたわけでございます。  それを受けまして、最近非常に消費者金融業務を銀行の主要業務として位置づけていこうというふうな機運が出てまいりまして、今御指摘のような子会社をつくると。従来は金融機関サラ金会社をつくるのが好ましくないというスタンスだったんでございますけれども金融機関が健全なサラ金業者を育成して健全なサラ金業務をやるという点については前向きでもいいんじゃないかということで、今後は子会社として消費者金融会社の設立は認めたわけでございます。それにつきまして、都市銀行筋を初めとしてぼつぼつそういう子会社をつくっていこうという機運は実は出てきております。  それから、各銀行ごとに見ましても、最近はいろんな商品を多様化いたしまして、消費者金融について魅力のある商品を各銀行が考え出し始めておりまして、徐々に銀行自体が消費者金融を積極化する機運にはあるようでございます。
  221. 木本平八郎

    木本平八郎君 まだいろいろお聞きしたいことあるんですけれども、ちょっと時間がなくなっちゃったものですから、最後の一番肝心な問題に入りたいと思うんですが。  私は、結論から言いまして、このサラ金業界、サラ金のこの問題というのは、業界の問題とか消費者の問題とかいうことだけじゃなくて、特別の何か機関をつくって、いわゆる問題の軟着陸を図るということが非常に大事なんじゃないかという気がするわけです。各個ばらばらの対策ではうまくいかないんじゃないかという非常に心配があるわけです。これはちょっと私の意見から先に全部述べてしまいますと、要するに銀行が消費者金融できないのは、個人の信用情報がないということが一つ原因だと思うんですね。これをやっぱり早く整備して、銀行でもそれがないと危なくて貸せないということがあるわけですね。そういうものを統合して銀行に提供していくということも必要なんじゃないかと。  それから、先ほどのように信販と物販の何というか統一性、整合性というんですか、これが必要だと思うんです。割賦の方でも問題になったんですけれども銀行のクレジットだけ外されている、大蔵省と通産省の何か力関係らしいんですけどね。そういうことではやっぱり先ほどのように悪用されちゃうから、対策としては統合する必要があるんじゃないかということ。  それから、まず業者の教育もしなきゃいかぬのじゃないかということ。業者の第一線の支店長とか何とかいったって、みんな二十四、五の若い連中ばかりだと。こういう連中というのは、例えば生活費にはこういうローン貸さないんだというふうな貸し出し哲学みたいなものもないわけですね。そういうことで、このままほっておくと、私もいろいろ業界の経験がありますけれども、一番似ているのはゲームマシンの時代で、業界が業界自身をつぶしちゃって、自殺行為に向かっているという感じがするわけですね、集団自殺の方向に。そういうことの教育問題があると。  それから、今まで、過去終戦後の、これは一々例を挙げませんけれども、金融のいろいろな問題がありますと、必ずこれのきっかけになるのは国税が出てきたときなんですね。サラ金業界にも私ども多分ごとしは国税庁が乗り出すと思うんですよ。これがきっかけになって大問題になる、大問題にしてもらいたいわけです。大問題にしてもらいたいんですけれども、大問題になるということを十分に承知の上で初めからやっていただきたいということですね。国税庁だけじゃなくて、やっぱり大蔵省全体、政府全体として、そういう可能性もあるということを考えて突っ込んでいっていただきたいと。  例えば、今サラ金の問題については、損金算入は認めないけれども資金の流出は認めるという態度ですね、今国税庁の態度は。ところがもうこの次の段階は、そういう生ぬるいことでは済まなくなるんじゃないかと思うんですね。こういうことが六十年パニックになるんじゃないかという一つ原因でもあるわけです。  それから、自己破産と免責の節度ですね。これは、何ですけれども、ミンク着てダイヤの指輪した人が自己破産の相談にきているというケースも何かあるようなんですね。こういう行き過ぎみたいなこと、便乗が出てきているんじゃないかという心配があるわけです。それで、何でもかんでも破産申し立てて、それで免責になろうというふうな、非常にそういう悪徳な消費者保護になっちゃ困るんで、その辺の対応も必要なんじゃないかと。  それから、先ほどの悪徳弁護士対策ですね。それから、やはり行政側で低金利の供給というのをやらなきゃいけないんじゃないかという気がするわけです。その辺の問題。  それから、相談窓口。今、弁護士会の窓口は二カ月ぐらい待たされるということなんで、非常に困っているわけですね。サラリーマン新党に相談にこられている方もありますけれどもね。  それから、裁判所側にどんどん自己破産の申し立てをされると、もう裁判所側が受け入れできないんじゃないかという心配があるわけですね。  それから、いわゆるローンやクレジットに対する先取りということについては、日本の国民というのは歴史もないし経験もないわけです。こういうものに対するやっぱり教育しておかないと、今後五十兆円ぐらいに伸びると言われているわけですから、こういう問題を抱えながら業界が膨れていった場合に、非常に大きな問題を起こすんじゃないかという心配があるわけですね。  それから、やはり私はもう諸悪の根源というか、この問題の非常に大きな部分にアングラマネーがあると思うんですよ。このアングラマネーというのは、これだけじゃないですけれども、今世界的にもう一割、二割と言われていまして、日本でも二十兆円、二十五兆円と言われているわけですから、こういうものが動きますと、午前中の話じゃないですけれども、ユーロダラーとかユーロ円ところじゃないというふうなことがあるわけですね。こういうものを個々の省庁が対応されるんではやっぱりちょっと問題があるんじゃないか。したがって、これは大臣にお聞きしたいんですが、政府ベースでぜひ総合的に検討して対策をとっていただく必要があるんじゃないかと考えるわけです。大臣の御答弁をいただきまして、私の質問を終わります。
  222. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今の御議論、各般にわたる御議論でございます。  我が方、プロパーの問題で見れば、消費者金融、そしてそれは当然それに伴う信用法とかあるいは保護的な立場で商法、民法等に関連する部分もあろうかと思います。  確かにああして通していただきましたサラ金法というものが、新たなる事態を惹起しまして、それは必要以上の混乱を与えた面も確かに、私も新聞紙上程度の知識でございますが、あります。今出てきた現象、予期せざる現象まで出てきているわけですから、それを総合して整理してみて、どういうところの角度からこれを構えてまいりますか、私は十分検討すべき対象であるという認識はひとしくしております。
  223. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 他に御発言もないようですから、皇室費国会会計検査院大蔵省経済企画庁日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十二分散会      ——————————