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1984-11-28 第101回国会 参議院 決算委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十一月二十八日(水曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員異動  十一月九日     辞任         補欠選任      斎藤 十朗君     仲川 幸男君      大森  昭君    目黒朝次郎君  十一月二十一日     辞任         補欠選任      井上  計君     栗林 卓司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 三吾君     理 事                 岩崎 純三君                 後藤 正夫君                 福田 宏一君                 松尾 官平君                目黒朝次郎君                 服部 信吾君     委 員                 石井 道子君                 大浜 方栄君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 曽根田郁夫君                 出口 廣光君                 仲川 幸男君                 夏目 忠雄君                 原 文兵衛君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 久保田真苗君                 菅野 久光君                 本岡 昭次君                 太田 淳夫君                 刈田 貞子君                 安武 洋子君                 栗林 卓司君                 三治 重信君                 木本平八郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  山下 徳夫君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        総務庁行政監察        局監察官     北村 圀夫君        北海道開発庁企        画室長      大串 国弘君        法務省刑事局刑        事課長      東條伸一郎君        大蔵省銀行局保        険部保険第二課        長        鏡味 徳房君        運輸大臣官房長  永光 洋一君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      棚橋  泰君        運輸省地域交通        局長       服部 経治君        運輸省航空局長  西村 康雄君        労働大臣官房審        議官       平賀 俊行君        自治省財政局指        導課長      平林 忠正君        会計検査院事務        総局次長     中村  清君        会計検査院事務        総局第三局長   小川 一哉君        会計検査院事務        総局第五局長   秋本 勝彦君        日本国有鉄道総        裁        仁杉  巖君        日本国有鉄道常        務理事      坂田 浩一君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君        日本国有鉄道常        務理事      太田 知行君        日本国有鉄道常        務理事      岩崎 雄一君        参  考  人        (日本国有鉄道        再建監理委員会        委員長)     亀井 正夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十七年度特別会計歳入歳出決算昭和五十七年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十七  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和五十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月九日、大森昭君及び斎藤十朗君が委員辞任され、その補欠として目黒朝次郎君及び仲川幸男君が選任されました。  また、去る十一月二十一日、井上計君が委員辞任され、その補欠として栗林卓司君が選任されました。     —————————————
  3. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事目黒朝次郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 昭和五十七年度決算外二件を議題といたします。  本日は、運輸省及び日本国有鉄道決算について審査を行います。     —————————————
  6. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  8. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) それでは、これより亀井参考人に対しまして集中的に質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 亀井委員長には大変御苦労さんでございます。  我々も運輸委員会において、運輸政策という点からいろいろ社会党も質問してまいりました。きょうは決算ですから、少し銭この方面から決算委員会として、亀井委員会としてどういう考えを持っていらっしゃるのか、集中的にお聞きしたいと思っております。  私は、亀井委員会欧州各国加藤先生などを派遣して、こういう一定の資料を入手していろいろ御検討されているということを、これは推測です、推測いたします。これを全部読ましていただきました。また今、国鉄問題について民営分割という格好が言われておりますから、いわゆる私鉄地方鉄道、あるいは東京圏などの都市圏鉄道、こういうのはどうなっているんだろうかと、こういうことなどについてもいろいろ我々は勉強してきたところであります。モータリゼーションその他の輸送手段多様化によって、いろいろ鉄道部門が衰退してきているという傾向については、私たちとしては現実問題として否定いたしません。しかしヨーロッパであるとか、この報告書などを読んでみますと、国全体として必要なネットワークは、やっぱりこれを保持している。そういう基本姿勢でいろんなことが行われておる。特にこのEECの規則などついてもそういう点がフランス、イギリス、イタリー、ドイツと、まあアメリカは私も行って見てきましたが、アメリカはちょっと私は対象外だと思っています。事日本国鉄問題を論ずるにはアメリカ鉄道というのはもう対象にならないと、こう思って私は割り切っていいと思うんであります。やはりEEC関係ヨーロッパ関係が一つのやっぱり教訓になると、いい面も悪い面も。こう私は思っておるわけでありますが、そういう点から見ると、一体今日の国鉄というのは、急速にある日突然今日の状態になったのではないと私は思います。私も現実に国鉄職員の一人として戦前、戦中、戦後、機関車運転なり輸送の第一線で苦労し、そして戦後の復旧、戦時中の輸送、あるいは中国大陸に対するいろんな輸送業務に、国の肩がわり国鉄が実際上はその任務を負っている。戦後もそうであったと思います。  田中角榮さんはいろんな面で言われますが、私は北海道でこういう演説を聞きました。戦前、戦後にあの国鉄が走っていなかったならば、日本戦時中の国民生活もないし、戦後の復興もあり得なかった。このことを忘れてモータリゼーションの問題だけ前面に出して、経済性だけ出して国鉄を論ずるのは間違いである。北海道においては特にそういう感を深くするという北海道知事選の応援に行った田中角榮さんの演説を私はこの耳で聞いております。なるほどやっぱり戦争に行って苦労した感覚は持っているなと、政治的立場は別にして私は感動を持っておるわけであります。  そういう点から考えますと、最近の国鉄に対しては国の運輸政策肩がわりという点を全部押しつけてきたのではなかろうか、あるいはEECのいろんな政策などについても導入するチャンス、機会、方法ということについても、社会党の我々が随分ここ十年間いろんな委員会で提案したにもかかわらず、運輸省自体は、政府側自体はこれを受け入れてくれなかった、こういう連続ではなかったのか、私はそう思っております。そして、赤字が出ると全部財投の借金借金ということでこれを充当していく。  そして今、民営民営と言われておりますが、民営の問題についてももう少し日鉄法を緩和して、国鉄自体が生きていける方法をやはり検討すべきではないかということも、私は勤労の委員長時代国会に来ても、私だけでなくて社会党の議員は随分その都度問題を提起したはずであります。ところが議事録を見れば、一貫して民営を圧迫する、こういうことで国鉄事業分野そのものを国の政策として抑えてきた、こういうずっとつながりが今日の国鉄の破綻を導いているんではなかろうか。私は、労使関係とかあるいは国鉄経営者経営能力という点も全然ないとは言いません。しかし、決算という角度から考えると、こういうことの連続が今日の国鉄になったんではなかろうか。したがって、ここに突然として民営分割というスローガンを持ち出した。この民営分割スローガンそれよりも、今私が申し上げた基本的な運輸政策あり方国鉄あり方公共性あり方財政あり方、そういうものを根本的にEECの例なども勉強しながらやっぱりきちっとすべきではなかったのか、こう思いますし、今後の国鉄再建もそういう視点でやつばり基本的に見直すべきではないかと、こう思うのでありますが、実際相当長い間勉強された亀井委員長として、まず基本的にこの辺あたりをどう考えていらっしゃるか、お考えを聞かせてもらいたい、こう思うのであります。
  10. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 亀井でございます。ただいまの目黒先生の御質問にお答え申し上げます。  まず最初に、このEECの例というのを、これは加藤委員が昨年の暮れに事務局のスタッフを連れまして英独仏、それからアメリカのアムトラック、コンレールも視察をしてまいりました。この報告を受けましたときに、やはりどの国も鉄道需要というものが低下現象にある、これに対して必死の対策をやっておりまして、やはり要員の合理化であるとか非採算路線整理であるとかあるいは設備投資の抑制であるとか、こういうことを必死の努力をしておられるということを伺いまして大変参考になったわけでございますが、ただいま自黒先生の御指摘で、はっきりは申されませんでしたけれども、やはり英、独、仏においては国の助成というものを年度決算で相当やっておるということも念頭に置いてのお話かと思うのでございますけれども、特にドイツにおいては、純然たる赤字が出ればそれは政府がその年に財政で埋めるというシステムをとっておったそうでございますけれども、ここ二、三年、ドイツ財政が悪くなってしまってそれができなくなったと。したがって、やはり日本と同じようにドイツ国鉄借金をしろ、それを負担しろというふうな語り方をしておるということも聞いておりまして、加藤先生行かれまして三国の国鉄総裁からはいろいろ実情を聞いた結果、結局日本鉄道というものの悪さにおいて一番の先進国である、したがって日本がどういうふうな名案でこれを処理されるかぜひ勉強したいのでひとつ待っておるということでございまして、そういう意味から、私どもは非常に責任を痛感しておるのでございます。  それから、国鉄赤字原因についても御指摘がございまして、これはやはり運輸政策というふうな問題もあろうかと思いますが、そういう観点から、結局鉄道モータリゼーション、航空機、そういうもので、ハイウエーをこしらえたときに鉄道にどういう需要の変化があるかとか、こういう検討というものがやはり政府において欠けておったという点も痛感しておる次第でございまして、そういうことをあわせ総合いたしましてこれから真剣に検討していきたいと、そういうふうに存じておる次第でございます。
  11. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ今入り口ですから……。  では、具体的にお伺いしますが、五十八年度決算を見ますと、欠損金が一兆六千六百四億円、政府助成が七千十八億円、合計二兆三千六百二十二億円、こうなっております。この中で、特に利子が一兆三千九百五十九億円、全体の六〇%、国鉄の年間の運輸収入三兆二千九百八十九億円の四二%、収入の四二%、これを、利息ですね、これだけ払っているんですよ。したがって、この利息の問題をどうするか、なぜ発生したのか、そういう発生の原因対応をやらなければ——東北新幹線つくったときにあんなに走って、三月十四日から二百四十キロ、東京開通二百六十キロ、それは乗務員にとっては大変なことですよ、現在線で二百六十キロで走るんですから。そういうどんなに乗務員が努力しても、あるいは車掌さんが努力しても、総収入の四二%は利息に持っていかれるというこの体質を、利息の問題を抜きにしては再建問題はたとえ民間にやろうにしても私は論ぜられない。したがって、この利息の問題を一体どうしようとするのか、来年の七月の答申に向けて監理委員会はどういう一体詰めをしているのか、どういう考えなのか、この問題についてまず冒頭お聞きしたいと思います。
  12. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 利息の問題が御指摘のように一兆三千億を超しておる、膨大なものでございますが、利息というのはこれは借金があるから利息を払うのでございまして、借金が既に御承知のように累積債務というのが二十兆になんなんとする金額、これは民間経営で言いますと、借金年商売上高の七倍というのはこれはもう完全な破産状態である、こういうことが言えるわけでありまして、これの抜本的解決なくしては国鉄解決はないというふうなことは存じますけれども、しかし、過去に先例がございまして、御承知のように五十一年と五十五年にやはり累積債務を棚上げをした。しかし、その後また悪くなってきた。したがって、この体質を変えるということをやらない限り、この借金処理というものについて国民の御納得なり、あるいは諸先生方の御納得も到底得られないものではないだろうかと、こう思うわけでございまして、やはり国鉄が新しい形になって、そして健全体質になる、したがって、過去のものはこういうふうな処理をすると、こういう路線で我々は考えたいと、そういうふうに思っております。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は五十一年の棚上げしたときの運輸委員会理事で、直接扱った者ですがね。私は、今委員長のことはそれなりに、あなたは第三者ですからわかります、そういう発言は。ただ、当時、やはり累積赤字を棚上げするしかなかろうと、したがって、まあ十年かかるか二十年かかるかわからないけれども、細々でもいいからずっとこの政策を続行していこうと、理事会我我のそういう申し合わせであったわけであります。ところが、国の財政全般が厳しくなったと、そういうあおりを受けて、もうああいう格好で五十一年度とか五十五年度とかいう単年度でぽっぽと切れてしまったと、こういう経過になっておるわけであります。ですから、我々当時扱った社会党理事から言わしてもらえば、やはり苦しくとも細くとも、五十年、百年じゃ余り極端になりますが、やっぱりこの問題の措置については継続した財政対応が必要だったと、こう私は思っておるわけでありますが、これを亀井委員長に言っても私は全然問題にならぬ。そういう経過があったということだけ当時の運輸理事として私は委員長にぜひ記憶をしておいてもらいたいということをお願いしておきます。  それから二番目の問題は、この減価償却関係だと思うんですよ。国鉄は三十九年以来赤字になりましてから減価償却の問題についてはどうするかという点で、これはこのときも大分議論しました。我々もやっぱり国鉄資本金というのは少ないから資本金をもう少しふやしてくれと、そういうものを含めて減価償却借金でやるというのはこれは邪道じゃないかと、そういう点で随分議論したことを覚えておるわけであります。  それで、計算してみますと、三十九年に赤字になってから、減価償却は帳簿上を見ると五兆六千三百三十八億円になっているわけですね。これは債務の中に入っているわけですよ。だから、私は、これはいろいろ見ようがありますが、減価償却、我々乗務員立場から見れば、これは運転保安にかかわる大事な私は資金だと、こう思っています。運転保安、橋梁の直し、あるいは機関車の借りかえ、線路の保守、トンネルの保存などなどを含めますと、非常に運転保安、乗客の生命にかかわる一番大事な問題だと、こういう認識からしますと、これは借金でなくて単年度できちっと処理をしておればよかったんではなかろうか、また今後も、今の六十年度予算の際にもこの問題についてやっぱり国が出資をすると、そういう形で減価償却の金はきちっと整理すべきじゃなかろうかと、こんなふうに私は考えておるわけでありますが、国鉄関係運輸省関係は後で聞きますが、亀井委員長としてこの減価償却借金で帳消しというやり方について、基本的に民間人としてどういうお考えを持っていらっしゃるのかお聞かせ願いたいと、こう思います。
  14. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 大変難しい問題でございますが、通常の企業においては減価償却というのは、先生おっしゃるように再生産をするためには当然やるべきことである。ただ、今まで先生の言外に含めておるのは、恐らく過剰設備投資というふうなものがあったのではないかというふうなお話かと思いますけれども、過去のいきさつからいろいろのことはあった、しかしこれを今すぐ財政で埋めるといいましても、財政がこういうふうな事情でございますし、また公社というものが独立採算制体制ということで、パブリックコーポレーションという体制に立っておる、こういうことで本来これを借金の形に肩がわりになるというのはおかしなものでございますけれども、まあ卑近な例で言えば、石川五右衛門がかまゆでになったときに、最初子供を支えておった、しかしもう熱くなってきたら子供を下へ置いたと、こういう状況かというふうに私は非常な同情的な見方で観察をしておりまして、これにつきましても全体やはり長期債務処理問題としまして抜本的解決が必要ではないか、こういうふうに存じておる次第でございます。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私も今回質問するに当たって五十七年度の会計検査院決算書もらいまして、一体資本金というのはどうなのかと調べてみました。これは参考までに、委員会でも調べていると思うんですが、国鉄は五十七年度末現在で四千五百六十億千六百八十二万円全額国庫出資、これは国鉄です。これも随分我々社会党が言ってふやした方ですよ、五十七年。ところが国鉄競合関係にある方々にどのくらい出ているのかと見たら、日本道路公団、一番競争相手道路公団は五千二百五十五億四千五百四万円全額国庫出資ですよ。国鉄より多いんですよ、これは。それからいわゆる競争相手の原点である石油公団、七千四百七十三億七千二百万全額国庫出資。それから、これはいきさつは今さら私は触れませんが、日本鉄道建設公団、上越新幹線やった、あるいは青函トンネル、これが何と四千八百九億八百五十六万円、国鉄より多いんですね。これは赤字国鉄が七百二十六億も鉄建公団出資をして、それで高い料金を払って今、上越新幹線は走っている。こういうおかしなからくり構造になっているわけですね、国鉄より多い。それから問題の成田空港、成田一カ所で千一億五千六百二十四万、成田一カ所で一千億出しているんですよ。国鉄は四千五百億。それからいわゆる宇宙開発、これが六千七百八十九億七千九百万円、これも宇宙だから宇宙わからないわけじゃありませんが。それから最も花形のが日本原子力研究所、これが四千三百七十二億四千九百六十一万円。全部国鉄より多いんですよ。これでは大蔵省並びに政府全体、運輸省ももちろんのこと、いかに国鉄というものを財政面から冷遇してきたかということを如実に物語っているんではありませんか。少なくともこれから見れば、競争相手道路とか石油とか空港とか、それと同等あるいは同等以上にやっぱりきちっと対応するのが国の政策じゃなかったのかと。そうすれば先ほど申し上げた減価償却の五兆何ぼということもそれなりにやっぱり過程において少しずつ解消されたのではないか。国の政策国鉄冷遇ですよ、これは何といったってこれ見ますと。こういうものを抜きにして国鉄労使だけとか、国鉄職員悪者論をマスコミを使ってやったって何にもならない。あなた方と一緒に仕事している住田委員そのものもこれに次々タッチしてきたんじゃありませんか、鉄監局長として、運輸次官として。国鉄行政責任者でしょう、住田次官は。議事録見ればありますよ、私も何回も質問しましたから。そういう国の政策の根本的なことを変えないで、あなたに全部国鉄の処方せんをやれというのは国全体としては無責任である。任せられた亀井委員長に私は心から同情申し上げるんですよ。ですから、国の政策財政あり方をやっぱり亀井委員長も中曽根さんに答申を出す際にはこの辺をきちっとして、それは労働者をいじめるのも結構ですよ。だけれども、最も大事なところを抜きにして経営者労働者だけいじめたって私は国鉄再建にならない、こう思っていますから、その辺をひとつ国の政策あり方について、資本金の例からいって委員長の見解など聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  16. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 御同情いただきまして本当にありがとうございます。資本金の御指摘がございましたけれども昭和二十四年の当時の四千五百億といったら相当なお金であったと思うんですね。その後できた公団とか比例的にあるいは修正すべきではなかったかとも思いますけれども、現在においてはもう資本金をどうこうするという段階ではなくなってきた やはりここで抜本的なことをやらなければこの問題は解決できないと、こういう私ども認識に立ちまして、現在鋭意研究、作業をしておるということでひとつ御理解をいただきたいと思います。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、委員長ね、昭和二十四年公企体に移行当時の金の価値という点にはそれなりに私も評価しないではありません。しかし、今言った減価償却運転保安などという際に、確かに赤字ということはあったにしても、本当に大事なときにもう少し国がいろんな全般的な問題はあるにしても、やはり全国ネットワーク国鉄の持つ公共性地域開発の問題を考えればもっと手厚い措置をすべきではなかったのかと、そういう政策の取り組みの姿勢の問題を強く要求するんですよ。だから、今回の問題だって赤字が出たから赤字国民が負担せい、あるいは職員私鉄並みにうんと減らせと、そこにだけ焦点を置いた攻め方は片手落ちじゃありませんかということを委員長にぜひ認識してもらいたいなあと、こういう気持ちで問いを出しているんでありますから、そういう政府の欠陥は欠陥として、まあ住田委員のことを言われるのもしゃくにさわるでしょうけれども、私はやっぱり住田委員だって社会党としては、行政官が自分でやってきた行政の問題に責任を負う立場の人が、それが悪かったからもう一回やり直すんだという民営分割論に肩がわりするというその姿勢そのものを、社会党は絶対に認めるわけにはまいりませんから反対しました。今でも住田委員については今までの二十何年かの国鉄をここまで追い込んだ行政の責任は免れない、むしろ潔く辞任すべきだというぐらいに私は思っております。社会党は断じてこの問題には同意しません。ですからそういうことでひとつ、住田委員も追及しますが、委員長としては国鉄問題の再建の際にやっぱり国の取り組み方と、中曽根さんが住田さんを指名したそのこともおかしいんですけれども、それは別問題として財政的に国鉄の再建についてやっぱり積極的な姿勢をとってほしいということを中曽根総理並びに政府側にきちっと言うべきは言ってほしい、そうしないと再建はなかなか難しいと、こういう視点から問題を提起しているんで、こういう点でひとつ委員長考え方をもう一度お聞かせ願いたいと、こう思います。
  18. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいまの目黒先生の意のあるところは十分私もわかるつもりでございます。今は国の財政政策あり方といいますか、鉄道に対するものについてのいろいろ御批判なり御指摘があったわけでございますが、私どもはもう少し広い場面から考えまして、鉄道というものも輸送手段の一つである。そうしますと、この全体の二十一世紀に向けての交通輸送体系の中での鉄道というものがどういう位置を占めるか。モータリゼーションの発達、航空機の発達、いろいろそういうものとしての総合的なことが必要ではないか。あわせまして労働対策というものも必要でございまして、私も中曽根総理には会うたびにこの三点、財政の面から、それから交通体系といいますか運輸政策の面から、そして労働対策の面から、これをひとつ内閣においても真剣に御検討いただきたい、私どもも案をつくりますと、こういうふうに申し上げておる次第でございます。
  19. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それからもう一つ、先ほど利子一兆四千億と言いましたけれども、毎年千五百億前後ふえているわけですね。それで、損益勘定における一般の人件費は現在の職員に払っている金は一兆二千億。一兆二千億、人件費が。利息が一兆四千億。今国鉄職員を全部首切って人件費ゼロにしても利子の方が多いわけですね、二千億。利子が一兆四千億、職員に払っている人件費が一兆二千億、今の職員全部首切っても二千億足りない。これだけの利子の膨大さというのはわかると思うんですがね。国鉄職員全部首切っても利子が払い切れない。これを毎日毎日繰り返しているわけですね。現に先生委員会で審査を経ながらやっている、今ここで質問している段階でも利息と人件費比べても人件費よりも利息の方が多い。何とか緊急に手を打たなければ、延々としてやったってこれはしようがないんじゃないか。例えば次の通常国会に利子補給なら利子補給、棚上げなら棚上げ、何らかの緊急の手を打たなければ、国鉄職員は何ぼ働いたって、利息を払うために働いているという現状は情けないと思うんですよ、働いている職員にとっては。これは総裁はどう、運輸大臣がどう考えるか知りませんが、後でやるとして。働けど働けど利子を払い切れない、この職員のせっぱ詰まった心情というのは、これは何とも言えない職場に暗い雰囲気を起こしている、暗い雰囲気を。だから当面緊急に、この元金もさることながら、民営分割もさることながら、この利子と人件費という問題について、次の通常国会あたりに緊急提案をして、この問題について当面抜本的な手を打つということが、とにかく職員に希望を持たせるという面からも私は必要じゃないかと、こんな気を、本当に深刻に考えておるところでありますが、もう北海道から九州まで回れば回るほど、職員並びに家族、OBの皆さんが、これは職制を問わずそういう深刻な気持ちでいることを私はこの肌で感じ、この目で見、この耳で聞いております。私くらい全国を回っている男はいないと思います、衆参両院で。ですから本当にこれは利子の問題は深刻だと、こうなっていますから、この辺の緊急な手当てを、第三次緊急提案か知りませんが、委員長にぜひ緊急に考えてもらいたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  20. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 先ほど人件費と利子の比較の問題ございましたけれども、私が監査委員会報告を分解してみますと、物件費の一兆四千億のうち、五千億はこれはやはり人件費なんでございますね、工場の修理とかいろいろなもの。したがいまして、やはり金利よりは人件費が多いという状態にあるということは御認識いただきたいと存じますけれども先生のおっしゃるように、働いてもみんな金利で取られてしまうというのは本当に働きがいかないことだと思いますけれども、前の運輸委員会でも申し上げましたけれども、そういうものの場合には、やはり借金を何かの形で負担を軽くする場合、このケースはいわゆる民間でいえば会社更生法にかける場合は、やはり新しい企業体質というものに変わって、そしてそれが健全体質になりますから過去のはこうしてください。それを今までの延長線上での解決というのは無理ではないか。したがいまして、私どもはやはり全国一元的運営という余りにも膨大な組織であり、また公社という仕組みというものに無理があるのではないかという認識を持って現在作業をしておるのでございます。  私も委員会といたしまして、全国各地いろいろ行きまして、管理職の方あるいは一線で働いている方、御意見を伺っておりますが、とにかく先に希望の持てるようなことにしてもらいたいという痛切な訴えは重々聞いておりますので、そういうものも組み込んで私どもは案をつくりたい、そういうふうに存じております。
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それ、強く要望しておきます。  それから、労働組合攻撃の一つの手段として、いろいろな合理化に国労、勤労とも協力しないとかなんとかというやつをいろいろおもしろおかしく、マスコミにどういうPRするか知りませんが、私、実際これ拾ってみました。昭和五十四年から五十八年まで五年間にいわゆる九万五千九百人、合理化、人減らしされているんですよ。ですからいろんな紆余曲折はあったにしても、政府機関で五年間に九万五千九百人、これは専売公社二つ半ですよ、今の。これはやつぱり国鉄経営者もさることながら、やっぱり組合も、一定の抵抗をしながら、労働条件を守りながらであっても、最終的には組合も協力したから九万五千九百人という方々が減っているんじゃありませんか。これは運輸省が認可した経営改善計画、これを上回っていますよ。だから、労働組合に対しておもしろおかしく攻撃することも結構でありますけれども、やはり労働組合を通して職員の皆さん、職員を通して労働組合の皆さん、あるいは経営者を通じて今日の緊急的な非常事態を認識をさせる、そして奮い立たせる、協力させる、そういう施策がやはりきちっと経営の中にある、労働も生産性上がる、こうなければ、単に攻撃し、誹謗し、対立関係を持つだけでは私は改善しない、こう思うのですよ。したがって、労働問題に対する問題について監理委員会は、九万五千九百人の合理化が改善計画以上に達成されているこの現実を、なまぬるいと見るのか、けしからぬと思うのか、よくやっているけれども、もっと協力してくれ、こういう姿勢であるのか。その点は基本的に、これは政府に対しても、運輸省に対しても、国鉄に対しても、監理委員会としてどういう認識を持っているかということをやっぱり責任を持ってはっきりしてもらいたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  22. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 五十四年から五年間で約九万五千人の合理化を遂行されたということは、国鉄当局並びに労働組合の協力で大変な合理化に貢献されたということは認めるわけであります。  ただ残念なことには、旅客輸送についてはお客が微減の現象にあり、貨物においては激減の現象にある。結局需要というものが減っていったのと人間の関係、これをどう考えるかということから言いますと、なお、さらに相当の合理化が必要な現在ではないか。それであれば、お客をもっとふやすとか、いろいろな工夫をやるか、どちらかしか選択はないのではないか、こういうふうに思っております。別に私どもは労働組合というものを敵視をするような立場でもございませんし、また、そういうものの宣伝も全然やっておりません。ただ、事実の認識をしていくという努力を続けておるということをひとつ御認識いただきたいと思います。
  23. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、事実の認識と言うと、よく監理委員長の談話とか、ほかの方々、加藤寛先生が私の住んでいる大田区の商工会の招きで経営コンサルタント的な御発言をいろいろなさっておるんですがね。私も傍聴にいきました。大先輩でありますから、加藤寛先生ね。そのところで頻々と出てくるのは、いわゆる国鉄私鉄並み私鉄並みと出てくるのですよ、私鉄並みというやつが。だから私は抽象的に私鉄並みという言葉で国鉄職員の働きの生産性を論ずることについては、いささか私は遺憾に思っております。私鉄並みと言うならば、いわゆる私鉄総連という一つの組合があるんだし、国鉄労働組合というあれもあるんだし、あるいは全交運という陸海空の民営あるいは公営、国鉄を含めて、いろいろなグループがあるわけでありますから、そういう諸君とやっぱり一回、今委員長がいみじくも事実認識を言っているんだところであるならば、事実認識を、そういう条件の違う諸君の組織があるわけでありますから、全交運という組織が。全交運という組織が、国鉄の勤務形態と私鉄の勤務形態——私鉄も大手と中と小がありますね。それから都営地下鉄、営団地下鉄、皆組織しているわけでありますから、そういう諸君にやっぱり問題を投げかけて、その点はこうすべきじゃないか、ああすべきじゃないかということを、具体的に中身を持って私は私鉄並みという問題から論じて国鉄を論ずるんならいいと思うんですよ。  私はこの前、レクチャーの際に事務局に言った。山手循環線を今国鉄がやっている、これを私鉄並みということはどういうふうにすることだと。それから経営係数がとんとん、ちょっと悪い上野から常磐線の岩沼まで、これを私鉄並みと言うならば、一体営業キロ、扱いキロ、要員、収入その他を含めて、私鉄並みとは常磐線をどういうふうに改善することだと。その具体的な青写真を示さないで、私鉄並み私鉄並みの生産性と言うことは、ちょっと国鉄を悪者にするための謀略だと私は厳しく言っているんだが、それで悪かったら具体的な数字を示せ。これはできますか、委員長。私はぜひ山手循環線で私鉄ならこう、常磐線はこう、あるいは新幹線ならこう、こういう二つか三つ、大中小、それをひとつぜひ、きょうは無理でも、早い機会に私鉄並みということを裏づけするネタを国会にぜひ提示してもらいたい。我々にも提示してもらって、いい点はとる、悪い点は是正する、それには協力しますよ。具体的なデータがなくて抽象論では遺憾ながら謀略だと言われても仕方がないではないかと、こう思うんですが、この具体的について委員長は後日我々に提示をする約束ができるかどうかお答え願いたい、こう思うんです。
  24. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいま手元に数字がございませんので、いろいろ検討した結果はお出しするつもりでございますけれども、その場合の指数になりますのはやはりキロ当たりに何人の従業員がかかっておるか、あるいは旅客数当たり何人の従業員がいるかとか、こういう係数から一つ割り出していくことが必要かと思いますが、一般に町の声を聞いた場合には、やはり国鉄の方が私鉄に比べると人が多いというのはもうこれは常識になっておると思うんであります。これは行政管理庁が去年指摘しておりますけれども、例えば阪神間の摂津本山駅と阪急の岡本駅、これで乗客数なり——夜行列車も国鉄の方は本山駅はとまりません。ところが、三倍の人間が本山駅にはおると、こういう指摘がございますし、前回の運輸委員会でも三陸鉄道の宮古駅の駅員と国鉄の山田線の宮古駅の駅員の数、十倍以上おる、こういうような数字、このサンプリングで見てもやはり常識的に多いんではないだろうか、こういうものをもっと係数的に詰めていくということを考えたいというふうに思っております。
  25. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、この前あなたが運輸委員会で我が党の安恒委員にいみじくも指摘されましたね。亀井委員長は関西のいいところだけを見ているからそういう先入観念があるんじゃありませんかと、じゃ地方のローカル線は一体どうなんですかと。  あなたが言った三陸鉄道、私も自分の地元ですから二回、三回行っています。あそこで運転している乗務員というのはほとんど勤労の元組合員です。ですから、三陸鉄道が景気がいい景気がいいと言うけれども、その実際ハンドルを握っている運転手の人件費の仕組みがどうなっているか。これなどは私はやっぱり国鉄のOBですから公開の席では言いません、遺憾ながら。言いませんが、そういうOBを土台とした人件費のあり方ということをあたかも当然のように、先入観で、それと国鉄職員の給料を比較して人件費が安いとか高いとか、あるいは営収がいいと。営収がいいんなら、亀井委員長、あなたは行ってみたんだから国鉄に直言しなさいよ。主要列車と接続するローカル列車、これはどんなに住民が不満を言っているか、朝夕の通勤通学列車、全然国鉄は本社権限という目で勤労が血みどろの提案をしてやっても、一つも国鉄側はこれを受けようとしないんですよ、来年の六〇予算でどう言うか知りませんが。ですから、三陸鉄道の人件費の構造は、まあごまかしとは言いませんが、そういう特殊事情、これは伏せましょう。しかし、営業のあり方についてあなたが非常に三陸鉄道がいいと言うならば、山田線、釜石線と東北本線の、新幹線の接続、こういう問題は現実にできる方法ですから、営業収入のために。そのために要員をどうするか、こういう問題でやはり私は系統的に具体的に、単発的にキロ当たり幾ら、キロ当たり幾らとそれだけ言わないで、全体的にどうなのかということをぜひ示してもらいたいと言うんですよ。いろんなキロ当たり幾らという数字はもらっています、隣にいる林さんから。それはわかっています。総体的にどうなのか、その私鉄並みということは。だから一番わかりやすい、東京の皆さんに山手循環線、あるいは大体中程度の常磐線、あるいはローカル線、盛線でも気仙沼線でもいいですよ、どこかのところをとって、やっぱり都市圏それから中都市圏それからローカル線、それをあなた方が言う私鉄並み生産性から考えるとこういう姿が監理委員会では望ましいと考えているというやつをやつぱり具体的に提示してほしいな、こう思うんですが、そうしないと我々は議論の対象になりません、遺憾ながら。ですから、しつこいようですが、線区別のモデルごとについてあなた方が個々に第二次提案で考えている問題について、あなたが国鉄総裁であったならばこうする、あるいは鉄道管理局長であったらこうするということを線区別にぜひ御提示願いたいんです。しつこいようですが、ひとつどうですか。
  26. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 三陸鉄道の例を申しましたが、私は人件費の問題をしておるのではなくって、お客当たりの従業員数がどれだけあるか、こういうことでの私鉄並みという例として申し上げたのでございます。  それから、今いろいろ山手線でどうかとかいろいろございますけれども、基盤は民鉄並みという場合には、私鉄の勤務労働時間なりハンドル時間と国鉄の間でどれだけの格差があるか、これも千差万別いろいろ差がございますけれども、やはり同規模なりいろいろで比較をしてこれは詳細な報告というものは最終答申にはこれは盛り込まねばならぬ、こういうふうに存じておる次第でございます。
  27. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 最終答申に逃げられちゃったけれども、結局裏を返せばなかなか自信がないということですよ。線区別に具体的に出せと言われると、人件費とかPRしているけれども、あなたが鉄道管理局長あるいは国鉄総裁になったという仮定で線区別に考えた場合に、なかなか具体性が出せないということはやっぱりまだどうかね。私から言わせると、おれが管理局長だったら出しますけれどもね。目黒おまえ、常磐線くれるからおまえやれと言われれば、はいそうですかと言ってやっぱり一定の経営計画を立てるのが当たり前じゃないですかね、これは目黒、常磐線くれるからやれと言われたら。ですから、やっぱり世間に問うためにはそういう具体性をぜひお願いしたいということを改めて私は要望しておきます、これ以上言ったってあなたはやらないでしょうから。  それから最後に、民営私鉄ですね、私鉄の問題について私たちも勉強してみました。私鉄は大手私鉄、営団地下鉄、中小事業、公営、こういうふうにありますが、これを機能別に見ますと大都市交通、地方旅客交通あるいは観光、貨物、こういうふうに見ますと、あなたが言う得意の輸送人キロで見ると、四十五年を一〇〇にして、これは五十五年のデータしかありませんですから五十五年のデータを拾ってみますと、大手は二二%、営団地下鉄は一三九%、中小民鉄は一〇〇、こうなっておりますが、旅客だけ見てみますと、やはり地方民鉄はどんどん減っているんですね。どんどん減っている。むしろ国鉄の二倍から三倍の運賃で国と地方団体の助成をもらって細々と地方民営鉄道は運営している。しかし東京周辺であるとか大阪周辺あるいは博多周辺、こういうところはもうどんどん需要が拡大して伸びている、こういう分布があるんですが、あなた方が考えている民営分割という点は、大都市圏はうちの山手線であったってもそれなりに営業係数はいいわけですね、山手線は。だから地方ローカル線、幹線がむしろ、貨物もありますが、貨物を除くとしても、赤字になっているわけですね。四国、九州しかり。それから断面交通量を見てみますと、もうこれは問題にならぬ、断面交通量は。中小私鉄が四千七百八十三、まあこれは辛うじて総平均です。北海道関係を見ますと、断面交通量は北海道は三千六十六、四国は五千五百四十一・二、九州は七千四百十二‘八、だから九州はまあ何とかやっていけるんじゃないかと、少し国の助成があれば。しかし四国と北海道は現在どんどん倒産していく地方私鉄よりも断面交通量が悪い、いわゆる需要がない、お客がいない、こういうことなんですね、これは。そうしますとやっぱり私は国の助成がなくてはたとえ民営分割という、民営という路線を引いてみたところで、先ほどの赤字もさることながら営業係数それ自体が国の助成、地方自治体の助成がなければやっていけないんではないかと。いわゆる民営分割を言ったってお金はかかるんですよということになるんではないかと。お金が、国民の税金の国の助成か地方住民の助成の地方自治体の助成かそれは別にして、お金がかからなければローカル線は、地方幹線は運営できない。そういうことを現在の私鉄も教えているんじゃないか、こう思うんですが、この辺に対する考え方を聞いてとりあえず終わります。
  28. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 今北海道あるいは四国の御指摘ございましたが、いろいろ私ども計算をしておりますが、需要関係とか。やはりしかし、それだからといって外すわけにはいかない。そうしますと、私どもは結局その赤字を減らすと、こういうことによって国民の方々の御理解を得てある期間は助成をしてやっていくと、こういうことも必要ではなかろうかというふうに存じておる次第でございます。
  29. 服部信吾

    服部信吾君 監理委員長にちょっと伺う前に、昨日千葉県で国会議員三名の家に放火され、また県知事宅に放火されたと、こういうような事故が起きているわけでありますけれども、場所が千葉と、こういうことで大臣としてはこの事件に対してどのようにお考えになっておりますか。
  30. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 運輸大臣でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  きのうの事件のことにつきましては、実は私も朝のテレビで拝見いたしまして、これは大変なことだなという何か緊迫感を感じた次第でございます。聞くところによりますと、過激派によっていろんな計画が今後あるように承っておりますが、それまでに相続いてああいった事件が起こるということは、これは法治国家においてひとつのアウトロー的な現象がますます拡大するという、何か私は、非常にオーバーな表現のようでございますけれども、何かそういう一つの思い詰めた気持ちを実はきのう持ったわけでございます。したがいまして、この問題につきましては警察当局とも緊密なる連絡をとりながら、拡大しないような方途を講じてまいりたいと思っております。
  31. 服部信吾

    服部信吾君 その中で昨日の新聞報道によりますと、これから施行しようとする成田二期工事に当たって、それに対する一つの警告的な犯罪だというような報道がなされているわけでありますけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
  32. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 私は関連があると存じております。
  33. 服部信吾

    服部信吾君 特にその中でちょっと具体的にひとつお伺いしておきたいんですけれども、来年度から着工と、そういう中で空港周辺の整備体制を強化するために四千八百人の警官隊が収容できるような宿泊施設、こういうものも予算を要求しているような形が出ておりますけれども一こういうようなことはかえってそのようなあれに対して挑発するような形になるんじゃないか、このように考えますけれども、この点はどうですか。
  34. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) ただいま御指摘の点も私はあるかとも存じますけれども、これは比較の問題でございまして、先ほど申し上げましたような、やっぱり国の安寧秩序を守るという大きな見地、同時にまた成田におきます今日の国際線を中心とした運航等の安全を期するという面から見まするならば、そういった構築物をつくって、そして十分の事前的な措置をつくることの方が私はやはり妥当であると、このように考えておる次第でございます。
  35. 服部信吾

    服部信吾君 まあその前に、それからこの二期工事着工の障害となっている反対農民に対する動きですね。こういうようなものは今どのように運輸省としては把握されておりますか。
  36. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) ちょっと今の私、大変失礼でございますけれども、理解しかねたんでございますけれども
  37. 服部信吾

    服部信吾君 要するに、いろいろこの二期工事を実施するに当たっていろいろ農民の間でも反対派と、いろいろあるようでありますけれども、そういうものに対して現在運輸省としてはそれをどのように掌握されているかということです。
  38. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) ただいまいろいろな反対のグループがあり、いろいろな手段をもって抵抗しておられることもおおよそ私は承知いたしております。これらに対しましては、力には力という私は段階ではないと思っております。つまり強制的な法の適用等は今の段階ではすべきではない。あくまでひとつできれば平和的に相手の御納得をいただきながら解決すべきであるという観点に立って、運輸省当局者が最善の努力を尽くしておる段階だと理解しております。
  39. 服部信吾

    服部信吾君 それで、先ほどの警官隊の四千八百人に対する宿泊施設、こういうものを来年ごろから着工してつくるということですけれども、これの本当の目的というのはどういうことなんですか。
  40. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど申し上げましたように、特に成田の航空に支障のないような安全体制を十分ひとつ考慮して、そういう事前の措置を講じておくということが大事であると思っております。
  41. 服部信吾

    服部信吾君 この問題最後ですけれども、我々としては、何かこれからいよいよ来年やるぞというときにあのような事件が起きたということは、非常にこれはもうシビアにとらえていかないと大変だと思います。大臣が言われたように、これはもう目的のために手段を選ばない、こういうようなことで、これは大変な事件だと思います。そういうことで、我々としてはこの二期工事の進捗に、これからやるに当たって非常に影響が出てくるんじゃないか、こういうことを非常に心配するわけでありますけれども、最後にこの点について大臣のお考えをお伺いしておきます。
  42. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどから申し上げましたように、ただいま先生がおっしゃっておることは私も十分わかっておりますけれども、何と申しましても何をやるかわからぬグループでございますから、あらゆる角度から十分なる安全措置をこの際講じておくという点で御了解をいただきたいと思います。
  43. 服部信吾

    服部信吾君 それでは再建問題についてちょっとお伺いしたいんですけれども、まず最初に大臣に、何か大臣が就任早々中曽根総理より、国鉄用地の有効利用について示唆され、いろいろな御指示があった、このように聞いておりますけれども、これはどのようなことを示唆され、またどのようなふうにその指示されたことに対して今進めておられるのか、この辺についてお伺いしておきます。
  44. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 総理から特に国鉄用地の有効利用に対してガイドライン的なものをつくってはどうかという御意見を私はちょうだいしたことも事実でございますし、そのことにつきまして運輸省の幹部ともいろいろと話し合いを進めておるわけでございますけれども運輸省におきましてもこの点はもう私が申し上げるまでもなく十分承知をいたしておりまして、国鉄当局とも既に十分話し合いを進めておるところでございます。要するに、膨大な土地を持っておりますので、これ、緊急やむを得ない、あるいはまたこれから、それを所有しておくことによって大きくまたプラスになる、いろいろな事業もまたやっていく面もたくさんございますので、そういうものは確保しながら、いわゆる遊休と申しましょうか、そういうものについては処分すべき一つの色分けをはっきりしておこう、こういうことでございます。
  45. 服部信吾

    服部信吾君 その有効利用のための何かガイドラインみたいなそういうものをつくって、そしてそれぞれのケースに当てはめていく、こういうことになろうかと思うんですけれども、こういう作業はもうなされているんですか。
  46. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) 本件に関しましては、既に再建監理委員会からも第二次緊急提言で御指摘があったところでございまして、国鉄が持っております膨大な用地を、真に事業に必要なものと事業に必ずしも必要でないというようなものに種分けをまずして、その事業に使わないものにつきましても、これは将来国鉄の経営形態についての変更を行う場合には非常に重要なる資産でございますので、そういう時点までそれを保有すべきもの、それからもう一方では、国鉄財政非常に厳しい現状におきまして必要な用地の処分をさせておりますので、そういうふうに当面処分すべきもの、さらには関連事業等に当面有効に活用すべきものというようなことで種分けをいたしまして、その上で用地の活用について考えていくべきである、こういうふうなことでございまして、現在そういう作業を、国鉄の方にその種分けの作業を急がせておる、こういう段階でございます。
  47. 服部信吾

    服部信吾君 大体それはいつごろまでにできるんですか。
  48. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) 監理委員会とのお話し合いでは、できるだけ早くということで、年内をめどに現在作業を急がせておるという段階でございます。
  49. 服部信吾

    服部信吾君 次に監理委員長にお伺いしたいんですけれども監理委員会設置では大変積極的ないろいろお仕事をされて敬意を表するものでございます。  第一次提言、第二次提言が出ておりまして、特に委員長が十月二十三日の参議院の運輸委員会ですか、この中で年度末か来年早々にも骨格的な今後の国鉄再建あり方についての考えを述べると、このように答弁をなされているわけでありますけれども、これはどうなんですか、第三次提言というようなふうに考えてもよろしいんですか。
  50. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいま先生から御指摘ございましたけれども、来年の七月に最終答申を出すということにしておりますので、その日程からいいますと、やはり来年早々ぐらいには分割民営化という路線の骨格が決まらないと、いろいろな御意見をお伺い批判もいただくこともできませんし、具体作業にも入れませんので、そういう腹組みだと申し上げたので、これは提言という形で出すつもりではございません、そういう腹組みで作業をしておりますと、こういうふうに申し上げたと御理解いただきたいと思います。
  51. 服部信吾

    服部信吾君 まあ、骨格的、そういうことじゃないと、第三次提言的なものでないということはよくわかりました。いずれにいたしましても来年の七月までには最終答申を出さなくちゃならぬ。そうなりますと、今まで一次、二次提言出ておりましたけれども、これからのスケジュール的に国会の場にももう一回第三次提言みたいなものをやはり早急に出すべきじゃないかと、もう少し煮詰めた議論もしていきたいと、こう思うわけなんですけれども、この点について最終答申を出すまでに、これから第三次、第四次、こういうものを出す予定なのかどうか、この点がありましたらお伺いしておきます。
  52. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) まあ第二次で分割民営化という基本線を一年かかって作業で結論出しまして、それの今具体的作業に入っておるわけでございまして、とても三次、四次という提言ではなくてやはり最終答申に全力を挙げて時間をかけて検討したいと、こういう腹組みでおる次第でございます。
  53. 服部信吾

    服部信吾君 そこでちょっとお伺いしたいんですけれども、これ運輸大臣並びに総裁になるんですけれども運輸省国鉄監理委員会に対してそれぞれ独自の国鉄再建のための意見を言ってきたわけであります。また先般、何か経団連との会合においても財界から早くそういう国鉄なり運輸省の方の再建に対する改革案なり意見を出せと、こういうこともあったようでありますけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
  54. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 御案内のとおり、臨調の答申を受けて再建監理委員会が発足して臨調の趣旨に沿って今作業をしていただいておるわけでございます。したがいまして、今委員長から御答弁がございましたように、この監理委員会答申が来年の七月というめどでございますから、その答申を待って私ども運輸省とすり合わせるということはいささか時期的に問題があるかと思いますので、適宜すり合わせをやりながら私どもも御協力申し上げていくという方針に変わりはございません。経団連からの御希望もよく承っておりますが、現段階におきましてはまず監理委員会が中心になってただいまお話しになったような線で御審議いただいておりますので、よく私どもも適宜連絡をとりながら速やかなる御決定に対して御協力を申し上げたいと、こういうことでございます。
  55. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 私ども国鉄運営の責任者と申しますか、実務者という立場でございます。そういう点から監理委員会の第一次、第二次提言あるいは行革の御提言等を踏まえましていろいろと目下作業をいたしております。これらにつきましてまだまとめておりませんけれども、なるべく早くまとめまして関係方面と折衝をしたいというふうに考えております。
  56. 服部信吾

    服部信吾君 そこで一つお伺いしたいんですけれども、まあ最終答申監理委員会から出た場合に運輸大臣や国鉄総裁はそれを尊重すると、このようにたびたび述べられているわけでありますけれども、例えば具体的に監理委員会国鉄に対して八分割と、こういうような方向を出した場合、運輸省国鉄としてはこれに従って実施する考えはないのか、あるいはその中から実行できるものについてだけつまみ食いといいますか、いいところだけをとる、そして具体化するのか。こういうようなことも当然これから想定されると思うんですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
  57. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 答申は内閣総理大臣に対してなされるわけでございまして、したがって、私ども運輸大臣といたしましては当然その趣旨は尊重しなければならぬと、このように理解しております。
  58. 服部信吾

    服部信吾君 次に、もう一つ大臣にお伺いしたいんですけれども、大臣が就任早々に、国鉄問題に関し国鉄幹部など十分に話し合いをすべきではないか、こういう問いに対して大臣が記者会見で、国鉄再建問題というのは社会保障的な意味を持って考えなくちゃならないと、このように述べているわけでありますけれども、この社会保障的な意味というものはどのようなことですか。
  59. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 私の記者会見は就任して一週間もたたないうちでございまして、やや舌足らずの点もあったかと思いますけれども、社会保障と申し上げたのは、国民の足を確保するということはこれは一つの社会保障という見地から私ども考えていかなくちゃならぬ。したがって、国鉄の再建もその一環であるという私の考え方でございます。したがって、どうしても国鉄の再建が社会保障と食い違う点があるとするならば、その部分については従来から御審議いただいている他の手段、例えば第三セクターとかバスとかいろいろあると思いますが、そこまで含めてやはり国民の足を確保するという意味における社会保障と、このように御理解をいただきたいと思います。
  60. 服部信吾

    服部信吾君 私はもう一つ、現在三十数万の国鉄職員の方々がたくさんいらっしゃいます。そういう中でこれからどうしてもある程度人員も削減しなくちゃならぬ。そういう面から言って、そういう方たちの就職のあっせんだとか、そういう面もするというそういう観点からの社会保障的な部分と、このように考えているんですが、この点はどうですか。
  61. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 私は、あの会見ではそういった一つの総論的なことだけを私の意見として申し上げたのであって、再就職の問題等につきましては監理委員会のこれからの作業をずっとやっていただくわけでございますから、その進捗をもうしばらく見てまいりたいと思っております。
  62. 服部信吾

    服部信吾君 監理委員長さんにお伺いしたいんですけれども、最終答申を出されるときに、今言われたような余剰人員対策、ある面から言えば国鉄内部ではもうやるだけのことはやってきたんじゃないかと、このようにも考えるわけです。その中で、今後政府部内に雇用対策本部、こういうものを設け、あるいは政府機関関係、地方自治体、民間企業への転出、こういうようなことを含めた一つのものをつくるべきではないかというような御提言を最終答申に盛り込むべきではないかと、そのように思います。  それからもう一つは、まあ大変雇用対策に対してはいろいろ問題が出てくると思いますけれども、あの黒いダイヤと言われたような石炭鉱業、一時は大変隆盛を誇っておった。それが大変、いろんな時代の流れによって不況になってきた。そういうことで炭鉱離職者臨時措置法、こういうものをつくられて、昭和三十四年ですか、そして雇用問題に対して対応したわけですけれども、今回この国鉄の問題に対してもやはり最終答申にこういうような何か法的措置を盛るべきではないか、このように思うんですけれども、この二点について委員長、どのようにお考えですか。
  63. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) ただいまの余剰人員問題でございますが、これについてまだ何人余るかという確定の数字は出ておりません。現在二万四千五百人の余剰人員があるということが出ておりますけれども、まあ仮に民鉄並みとすれば相当数の余剰というものが出てくるのではないだろうか。したがいまして、これは先ほど目黒先生がおっしゃいましたように、何十年間国民の足として努力した方が路頭に迷うということは絶対あってはならない。したがって、こういうものにつきましては第二次提言におきましても、これは国民的課題として真剣に取り上げ、政府部内においても強力な支援体制を求めると、こういうことを提言をしておるのでございますが、なお最終答申で具体の数字が出れば、これについてはもっと具体的な支援体制という要請をし、国会の先生方にもお願いをしたい、こういうふうに存じておる次第でございます。  それから、石炭のときに、あのときに三十数万の人間が十年間で二万人に減ったわけでございます。これは非常にスムーズにまいりました。これはやはり政府挙げての支援体制というものが物を言いましたのと、幸いにして高度経済成長期で人の吸収ができた、この二点あったと思うんでございますが、一つ私どもこれで悩んでおりますのは、石炭の場合には雇用保険をかけておった。その雇用保険がファンドとして使われた。ところが、国鉄の場合は、これは自家保険で、保険が掛けてないわけなんですね。そういう面は労働省あるいは関係部局といろいろ御意見も伺っておるのでございますが、そういうものについては何らかのあるいは特別立法というものをしなければできないかもしらぬ、こういうふうなことでございまして、いずれにいたしましてもこの労働問題というのは非常に重要な問題でございますので、これから真剣に具体的に取り上げていきたい、そういうふうに存じております。
  64. 服部信吾

    服部信吾君 それから、あと貨物の取り扱いについてですけれども、まあ第二次提言では、競争が非常に激しい物流業界にあっては、採算のとれる分野——コンテナ輸送とか物資別輸送等云々強化してやくことが必要である。あるいはこの五十九年二月のシステムチェンジ後の体制のままでは独立した事業として成り立つにはほど遠いと言っており、去る十五日の監理委員会では、旅客と貨物の分離がベターとの方向での検討が進められていると言われておりますけれども、この貨物のあり方について亀井委員長の率直な意見をお伺いしたいと思います。
  65. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 国鉄は現在貨物と人と運んでおるのでございますけれども、やはり輸送という面から物と人というのはおのずからそこに性格が違うと思いますね。先ほども申し上げましたように、足を確保するという問題と、物を動かすというのは、これは経済原則というものに立脚するという観点が要りますのでどういう形がいいか。そして、それかといって貨物を全廃というわけには、やはりどうしても鉄道輸送によって物を運ばなきゃいかぬという問題もあると思いますから、そういうものを経済原則にのっとってどういう形でどういうふうに効率的に残せばいいかということについて今検討中でございまして、まだ結論が残念ながら出ていない次第でございます。
  66. 服部信吾

    服部信吾君 貨物と旅客と分離をすると、またこれを民営化すると、分離した貨物をですね。そうした場合、これはやはり国鉄の分離、分割と民営化と全く同じような形態でやっていくのか。例えば国鉄の場合、分割した場合、例えばいろんな今あれが出ておりますけれども、幾つに割るとか、幾つに分割するとかありますけれども、そうなった場合、貨物の方もそれと同じように合わせて分割していくのか、この点について。
  67. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 私どもは分割民営化という方針を出したのでございますが、分割をした場合に貨物の取り扱いをどうするかと。貨物は全国的に輸送、つながっておるという面がありましたので、物と人とを分離した形態にするのか、あるいは貨物だけは別の形態で考えるのか、その辺も現在検討中でございまして、はっきりしたまだ方針というものが残念ながら申し上げられない次第でございます。
  68. 安武洋子

    ○安武洋子君 監理委員長にお伺いをいたします。  八月の十日に出されました緊急提言についてお伺いをいたしますが、国鉄が今日の経営破綻に陥った原因についてまずお聞きをしてまいります。  第二次提言では破綻原因といたしまして、自動車などの他の交通機関との競合の問題、それから公社形態のもとでの巨大組織と、こういうことに要因を求めておられます。しかし、現実の経過考えてみますと、今日の長期債務の七割、この七割までが設備投資による借金から生じていること、それから国鉄の採算を度外視した過剰な設備投資、これが基本的な要因ではないかというふうに思います。巨額な利払いが赤字体質をつくり出しまして、毎年のように運賃を引き上げるというふうなことが、結果的には国鉄離れを生み出してきたわけです。  この点で自民党の国鉄再建委員会の三塚議員も著書の中で、国鉄設備投資に向ける政財的余裕はなくなっているにもかかわらず、つい最近まで年一兆円を超える設備投資をしてきた。こうした帳じりが合わない設備投資を続けてきた国鉄経営陣も経営陣だが、すべて国鉄の負担にしわ寄せしてきた政治も政治であると言っておられます。上越、東北新幹線、これは私はその典型であろうというふうに思いますが、亀井委員長は、このような過度の設備投資こそ国鉄経営の破綻の基本的な原因だというふうにお考えでございましょうかどうか。これがまず第一点でございます。そしてまた、そのような過度の設備投資をさせてきた政府責任、これをどのようにお考えでございましょうか、お伺いいたします。
  69. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 国鉄赤字原因というのは、これはいろいろな理由の複合原因でございます。基盤にありますのは、やはり新しい交通手段の発達によって鉄道というものの需要というものが低減していったと。いわば私ども民間経営者でございますので、構造不況業種、需要が減っていった場合にこれにどう対処をするかと、この対処の仕方がおくれているのではないか、これが大きな原因であると思っておりますが、設備投資ももちろん、その利子負担というのが赤字原因になっております。これは三塚先生指摘されておりますけれども設備投資を普通の、これは国鉄独立採算制の企業体であれば、借金設備投資をしてもその金利を払ってペイするかどうかという判断に基づいて設備投資をやるべきではなかったかと。そういう意味においては、健全経営の観点から言いますと、上越新幹線あたりは明らかに過剰投資だとは思います。しかし、これは政治の責任というよりはやはりそのときの世論といいますか、国民の要望がやはり新しい新幹線をぜひとも欲しいという地方の声、国民の声があったと、そういうものが政治に向けられたので、今だれの責任とかというよりは、ここまで至った事態をどうこれから解決していくかということが私ども委員会の任務であろう、そういうふうに存じております。
  70. 安武洋子

    ○安武洋子君 物事を再建していくときに責任の所在というのをはっきりしないことには、私は方向というのは明確にならないと、そのことを申し上げます。  六三年までは黒字を続けてきた国鉄でございます。そのときに十年間に三兆七千億の設備投資ということを決めながら、十兆五千億というふうな工事費の決定をしていって、新幹線をどんどんつくっていったというふうなことで、政府は半額を持とうというふうなことを着工したら知らぬ顔をしてきたということで、政治新幹線の負担が赤字国鉄におっかぶさっていったということはこれはもうだれも知っている事実でございます。そして、これで潤っていったのは、あなたも財界人でございますから御存じでございましょうが、潤ったのは財界人と、こういうことでございますね。  私は、第二次提言では、経営形態につきましては分割民営、これだけが鮮明に打ち出されております。ところが、長期債務につきましては国民に負担を求めると、こういうふうに明言がされておりまして、一体その他の問題というのはこれは明確に触れておられないということで、従来この長期債務の問題と、それから経営形態というのは同時決着だというふうに言ってこられたわけでございます。ところが、経営形態だけは明確に打ち出してこられたと。そして、地方交通線とか貨物の切り捨てとか、それから人員の削減については早くやれという態度を打ち出しておられます。ところが、残された長期債務の問題、それから特定人件費の問題、年金の問題、これについては一体どうなさろうとするのでしょうか。明確にお答えをいただきとうございます。
  71. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 長期債務の問題でございますが、現在表面に出ておるのは二十兆弱という数字でございます。しかし、これからなお年々二兆ずつ赤字はふえていき、赤字即これは借金になる、こういう仕組みになっております。そのほかに青函トンネルあるいは本四架橋の資本費負担の問題もあり、あるいは年金、退職金というもの、膨大な長期債務が顕在、潜在合わせてあるわけでございます。これだけを軽くすれば国鉄はよくなるかというと、私は、先ほども申し上げたように前例これありで、そういうものではない。五十一年と五十五年度を合わせてあのときには五兆円の累積債務を軽くした。軽くしたけれども、その後、年に二兆ぐらいずつまた赤字がふえていった。この体質をよくしなければだめではないだろうかということで、私はそれをするのには分割民営化ということが先である。そして、それをしたら、これは通常、会社更生法の考え方のように、こちらが健全体質になるから今までの借金はみんなでこれは国鉄が荷を軽くなるようにしてやろうじゃないかということになるのであって、今この金を棚上げをしますと、そして国鉄は延長線でやりますといっても、恐らく国民大宗の御理解は得られないし、国会の先生方の御承認も得られない問題ではないか、そういうふうに考えておるものでございます。
  72. 安武洋子

    ○安武洋子君 他の問題をあいまいにしておきまして、なぜ分割民営で再建できるというふうになるのでしょうか。これはまず先に分割民営ありきという発想方法で私は物事が処理をされているというふうに思います。赤字体質赤字体質とおっしゃいますけれども、外国の例を引用するまでもなく、基礎設備の建設とか改良費とか、こういうものは国の出資で賄うとか、あるいは不採算路線を国が補償をするとか、あるいは赤字は累積させずにその年ごとに国の財政処理をするとかというふうなことをやっぱりやってこなかったというとがが出ているわけですね。それから、国鉄が大企業に直行するような引き込み線まで国鉄の負担で引いてやるとかというふうな、コストを無視して特別料金で荷物を運んでやるとかというふうな大企業奉仕、こういうところにしっかりと私はメスを入れないと、真の再建の方途も見つからないというふうに思います。  そこで、長期債務についてさらにお伺いいたしますけれども、五十八年度の二十二兆円、これは分割民営をするとあなたたちがおっしゃいます六十二年、これには三十数兆円にも上るというふうに言われております。この赤字は、国民に負担を求めるということをおっしゃっておられますけれども、一体どんな形で国民に負担をお求めになるんでしょうか。聞くところによりますと、この三十数兆円の長期債務というのを用地の処分で五兆円、それから新会社に負担を負わせるという形で五兆円、それで残り二十数兆円を国民に負担さすという、こういう報道もございますけれども、このようなことを検討なさっていらっしゃるんでしょうか、お伺いをいたします。
  73. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 分割民営化ばかりを前面に出しておるではないかという御意見でございますけれども、先ほど申し上げましたように五兆円棚上げをして、なお年々出てきた。この一番の原因はやはりこの公社というこの仕組み、それから全国一元的運営という弾力性を欠いた経営、こういうことに欠陥があるのでありまして、北は北海道から南は九州までを、三十数万人の人を一人が掌握するというのは恐らく経営としては不可能であり、また地域の人々の本当のニーズに適合するような運営をしてニーズを喚起する、そういう面においてはやはり私どもは分割民営という格好で、働いておる人もやる気を起こすという格好に持っていくことが本当の再生の道ではないかというふうに思っております。  しかし、その場合に、仮に分割の新形態が三十数兆を背負ったら、たちまち息切れして倒れてしまいますから、これは何かの荷を軽くする必要があるんではないか。先ほど具体的に土地を売って五兆とか申しましたが、あれは全くマスコミの憶測でありまして、文責記者にありというふうに御理解いただきたい。私どもは、方角としてはやはり国鉄が持っておる遊休の土地というものを売ってこれを埋めるということも一つの方法であろうと。それから第二は、新しい会社ができた場合には、その資産に見合う償却をするなら、それだけの借金をその会社が当然背負うべきではないか。そして、残りは、これは埋めようがないわけでありますから、やはり国有鉄道でありますから、日本国有鉄道というなら、日本国民の財産であると同時に借金はマイナスの財産であるとすれば、何らかの方法でこれは国民が負担せざるを得ないんではないか。それはしかし一挙にやろうとすると経済界に大混乱が起こりますから、そういうことのないようなソフトランディングの方法いかんということで、これは非常な難問でございますが、現在研究をしておるということでございます。
  74. 安武洋子

    ○安武洋子君 反論ございますが時間は限られておりますので、過剰人員、過員問題についてお伺いいたします。  分割民営化の出発とされております六十二年までに現在の三十万人体制、これをどこまで削減するかということがまだわからないんだというふうなことを先ほどおっしゃっておりましたけれども、この余剰人員と言われる人たちが現在二万五千人近くいるわけです。この何倍にもなるような人たちを過剰人員だというふうにしようとしていると、こういう報道がございます。一方で、駅の無人化とか、それから券売機導入による窓口の封鎖、あるいはホーム要員の削減、こういうサービスとか安全面、これは無理やりに切り捨てるということで、さらに民間委託ということになりますと経費の二重払いということになるわけですけれども、このようなことまでして余剰人員を無理やりにつくり出すというふうなことです。合理化とか効率化ということを盛んにおっしゃいますけれども合理化効率化というふうなことをおっしゃるなら、こういうことこそチェックいたしまして、いわゆるブラ勤状態というふうな状態に置かれている職員の方たちによって、この人たちを効率的に活用していくというのがこれが私は筋ではないかと思います。いかがでしょうか。
  75. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 確かに先生のおっしゃるように効率的に人を使うということが非常に大事であります。現在の二万四千五百人というのは貨物のシステムが変わったために定員がそれだけ減ったということで、表面に出た余剰人員であります。今も先生がおっしゃったように、やはりブラ勤という状態がある。こういうことはなくすべきで、人間というのはやっぱり本当の働きがい、生きがいのある仕事を与えるということが経営の基本であろうと思いますから、そういう路線に従って私どもは検討を続けていきたい、そういうふうに思っています。
  76. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、国民に一方的に犠牲を強いて、そうして労働者に犠牲を強いるような、私は無理やりに過剰人員、余剰人員を生み出すような券売機導入による窓口の閉鎖、あるいは駅の無人化、ホーム要員削減、それから民間委託とか、こういうことはおやめになるべきだということを申し上げます。  第一次提言では、収入確保の中に「運賃上の公共負担としての割引については、私鉄を超える負担部分について、政府において所要の措置を講ずべきである。」、こういうふうになっております。具体的にはこれは身障者の割引とか戦傷病者の割引のことを指していると思いますが、これらにつきまして政府が負担をするように一体なっておりますんでしょうか。
  77. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 国鉄の運賃上の公共負担につきましては、昭和五十四年の十二月の閣議了解に基づきましてその軽減対策を検討するために関係省庁でそれ以来討議を重ねて今日に至っておるわけでございます。この問題は長いいきさつ、そしてまた内容においては非常に複雑な問題もありますので、今慎重に検討を行う必要があると考えておりますが、昭和五十八年、昨年の八月には国鉄再建監理委員会からの提言も行われておりますので、これらの趣旨をも踏まえましてできるだけ早く適切な結論を得られるように努力してまいりたいと思っております。
  78. 安武洋子

    ○安武洋子君 この第一次提言の中で、今大臣もおっしゃいましたように、今のようなことが言われているわけです。ところが第二次提言では、地方線は切り捨てろとか、それから人員の削減の強化とか、こういうことはどんどん言っておられるわけなんです。ところが政府に対しまして講ずべき措置、これが進められていない点については全くお触れにならないというふうなことで、私は片手落ちであろうというふうに思います。今大臣から御答弁をいただきましたので、大臣せめてこういうことはおやりをいただきたいということで、もう一度御確認をさせていただきとうございますがよろしゅうございますでしょうか。
  79. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど申し上げたとおりでございますが、今確認ということにつきましてちょっと私もよく理解しかねるんでございますが、私の答弁でまだ不十分でございましょうか。
  80. 安武洋子

    ○安武洋子君 努力をして必ず検討して、それを実現したいということで、私はもう一度大臣の御決意をお伺いしたいということなんです。
  81. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど申し上げましたとおり、なるだけ早く適切なる結論を出すことができるように、さらに努力を重ねていきたいと思います。
  82. 安武洋子

    ○安武洋子君 時間でございますので、私最後に申し上げておきとうございます。  国鉄赤字が出てきたというのは、これは決して労働者責任ではございません。労働者は今まで国鉄を支えてきたわけでございます。国鉄の本来使命といたしましては、公共の福祉の増進、これが目的であって、今国鉄はその目的に沿って運営をされなければならないという使命がございます。ですから私は、こういう労働者あるいは安全面まで切り捨てる、サービス面まで切り捨てるというふうなことで、余剰人員をつくってそれが効率化だ、こういうふうな姿勢に立たれるということは全く本末転倒いたしているというふうなことを思います。  ですから私は、先に分割民営ありきということでなく、こういう方向で本当に真に国鉄が再建できるのかということについては、私はできないということを申し上げる。ですから私は、本当にこの赤字をつくり出してきた原因、ここにもう少ししっかりとメスを入れていただいて物事に処していただきたい、このことを希望いたしまして、時間が参りましたので私の質問を終わります。
  83. 三治重信

    ○三治重信君 亀井参考人には、きょうはお忙しいところどうも御苦労さまでございます。  民社党は、この監理委員会で出されました分割民営化に賛成です。それしか国鉄の現在の状態からいって赤字の解消策はないし、分割民営化やっても完全に赤字が解消するという保証はないんですけれども、現在のまま続けていけば毎年毎年二兆円ずつの赤字というものは、これは国民にとっても大変な負担であるし、国鉄経営そのものが破産をしている状態を放置するということは我々として無責任だと。国鉄の再建に役立つということはやはり分割民営しかないんじゃないかというのが我が党の結論でございますし、その線でおやりになることについて、我々としては賛成の意を表して対処していきたいと、かように思っております。  そこで、問題は、目黒委員の財務問題もありますし、それからいろいろありますけれども、私は過去に石炭の離職者対策を非常に責任持って労働省でやった経験からいきまして、あのときでも三井、三菱、住友という大財閥の会社がまず先に分割をするということについて非常に抵抗感を感じた、確かに。山を切り捨てていって、そしていいところの山だけを残して、そして生き残ろうとするというやり方については、非常に抵抗感を感じたけれども、それしか石炭の山が生きる道がないということが一つと、それからもう一つは、やはりこれはまあ国鉄も同じなんですけれども、やはり当時石油がめちゃくちゃに下がってきてエネルギー革命といわれるところと、今度は国鉄も同じように輸送革命といわれるのに対応できなかったところに大きな赤字が出てきた。こういうふうに認識すると、それぞれの経営者がどんなに努力しても環境の変化によって価格競争というものからいって、敗北するならば早く撤退するにしかずと。そしてスクラップ・アンド・ビルドで残るべきものは残していくという方策に早く転換すれば転換するほど、やはり国として、国家経済としても、また当該人員にとっても、大変な犠牲だけれどもやむを得ない環境の変化に対応する企業のあり方だと思うんです。  そこで、僕が一番心配になるのは、やはり石炭のときには通産省を中心にした石炭審議会で雇用対策、失業対策というものを非常に先行させてやったのに、国鉄はこういう分割民営化をやり、相当な人員削減というものははっきりわかっていながら、失業対策というものに対して全然発言がないし、その対策がとられてない。石炭のときにはわいわい言っても、そこの受け皿というものは民間の企業に対しては、私たち労働省で失業保険法をもって、また失業対策のいろいろの金も持って、そして対応していったわけなんです。そういうものに対して失業対策ということになれば、やはり国が国民の生活保障というものは最終的に責任を持つわけなんだから、これに対して政府が金を出すということはこれは当然のことなんだが、運輸省国鉄も、失業保険法の適用は国鉄に全然ないのに、どこから財源を出して失業対策をやるのか。ただ過剰人員の計算だけやっているというだけで、あとは余剰人員でございます、できるだけひとつ退職してください、雇用は自分たちだけで発見さしたやつだけは何とかします、できるだけするというだけでは、私はこれはもう分割民営ということは、言うべくして不可能な問題になってくるのじゃないかと思うんです。  やはり分割民営化していっても、そこに適正な雇用人員というものは、まあ財務もありますけれども、二画雇用規模というものが決定的な経営の健全経営という、健全経営というからには雇用の規模というものがやはり一番必要だと思うんです。  そういう意味において分割民営化する、殊にローカル線なんかのやつでやる場合の雇用の規模とか雇用をどうするかという問題については、やはり監理委員会は、国鉄運輸省政府とよく連絡をとって、ひとつ対策をしっかり書き上げてもらいたい。  殊に私はその中で、ローカル線の分割民営でやっていく場合に、本当に再建できるまでは新規採用を全部ストップして、やはり最初は退職者の再雇用でローカル線を分割民営化していくという基本的な態度が雇用安定の一つのいい方法じゃないかと思うんです。  それからやはり、国鉄民営化するときの最終的な雇用人員というものは、それぞれどれがいいかという目標数字というものをはっきり出していったらどうかと、こう思うんですが、いかがですか。
  84. 亀井正夫

    参考人亀井正夫君) 三治先生から労働問題が非常に大きな問題であるという御指摘は全くそのとおりでございまして、現在新しい形態に変わった場合に、いかほどの余剰人員が出るかということはいろいろ検討中でございまして、はっきりした数字は出ませんのですが、相当数出るに違いない。  先ほども申し上げたように、石炭のケースと違いまして、今雇用保険を使って、転換資金として使うファンドがない。したがって、これはやはり特別立法ででもやっていただいて対策を考えなきゃいかぬ。しかし、基盤に私どもが置きますのは、国鉄で長年働いた方々が路頭に迷うというようなことのないような対策を真剣に考えるべきではないだろうか。そういう面で新しい形態においての適正人員配置はもちろん考えますが、そのほかに民営化されれば国鉄よりも広い事業範囲の拡大ができるわけでございますから、そういうところに吸収できる人も相当できてくるのではないだろうか。  それから、そのほか政府あるいは各市町村においても、相当ローカルな交通というものについて具体的にこれから考えていただくとすれば、そういうところの要員というものも出てくるのではないだろうか。  それから、全国に散らばっておられますから、どれだけあるか知りませんけれども、半農半公とか、副業をやっておられる方というものはそれに専念するとか、そういうものをすべて総合いたしまして、決してこれによって不幸を来すことのないような対策ということを基本的に考えたい。  それで、そういう面におきまして、政府部内の、特に労働省、運輸省、あるいは関係各省とこれからも真剣に連絡を取りながら具体的な提言を申し上げたい、そういうふうに思っておる次第でございます。
  85. 三治重信

    ○三治重信君 そこで運輸大臣、国鉄にちょっとお聞きしたいんですが、私が去年ですか、九州の鹿児島の鉄道監理局なんかに行ったときに、全然監理局長なんかでも雇用対策というものは余剰人員に対する首切りというのは全然配慮してないわけです。みんな農家の子弟が来ていて、みんな傘持ちですから大丈夫ですなんというようなのんびりとした格好なんだね、九州ですら。これではやはり僕はいかぬと思う。やはりそれ相当の、これだけの人員、しかも貨物が急激に減って要らない、こうやって民鉄との比較でこれだけの経営改善上余剰人員だという数字を早く出していけば出していくだけそれに対する、何ですか、余剰人員の消化というものを早くしなくちゃいかぬし、そういうものに対する対策というものを労働省は雇用保険、保険料を国鉄から取ってないからどうしようもない、労働省でやるとする、運輸省でやっても国鉄でやるにしても、やはりそういうものに対しては僕は国鉄の経営の赤字の補助金よりか、失業対策の補助金の方がまだよっぽど役に立つし正当な要求ができると思うんですが、そういうものに対する予算措置考え方というものはどういうふうに対処していこうとする、現実にしておられるのか、その点ちょっと意向を。
  86. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) ただいま、同様趣旨の御質問に対して、亀井委員長から微に入り細にわたって御答弁がございまして、非常に監理委員会でこの問題について心を痛めておられるというふうに私は拝察いたしまして、ただただ敬意の念を持っておる次第でございますが、私は監理委員会がこの問題をおやりになるのは、もちろんそれは大変ありがたいことでございます。また、やっていただかなきゃなりませんが、やはりこれはみずからまず国鉄がその気になっていただかなきゃならぬということをまず申し上げておきたい。先ほどから今日の二十数兆になんなんとする赤字が累積しておる、これは複合原因ということを委員長もいみじくも指摘されました。私もそうだと思っておりますが、やはりその中には、率直に申し上げまして、親方日の丸的な、不沈艦的な甘えの構造というものがなかったかというと、私はあったのではないかというふうに思っております。それがそのまま今日なおこの余剰人員、つまり失業対策について他力本願的な点があるとするならば、私はまずその辺からしかと改めて国鉄自体でしっかりした覚悟でこの問題に対処していただかなきゃならぬ。しかる上において私は監理委員会が一つのステップとしてこれまたお考えいただくと、そしてまた、政府といたしましてもこれは容易なことじゃない、今日の国政で私も運輸大臣を拝命してまだ一月になりませんけれども、次期国会におけるいろいろな問題が出るだろう、その中でこの国鉄の問題より大きな問題があるだろうかというぐらい私はこれ真剣に受けとめておるわけでございます。そういう観点からしまするならば、この失業対策につきましてはひとり運輸省だけで私はできるとは決して思っておりません。これは総理の御指示を仰ぎ、各省こぞってこの問題に取り組んでいただく、そのようにまた私も強く強く各省に要請をしてまいりたい、かように思っております。
  87. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 余剰人員問題について御指摘がございましたが、私どももまだ法律化をした結果をどれだけということを申し上げるまで詰まっておりませんが、監理委員会の第二次提言にもございますように、かなりの数が出るということはもう間違いない事実でございます。それで、私どもも何もしてないというわけでもございませんので、まず第一に、いろいろ問題になっておりますが、余剰人員対策の三本柱というのを組合と提案し、鋭意実行に移すように努力をいたしております。これにはいろいろ問題がございますが、それは別におきまして、まずこれをやるということでございますが、私どもの基本的な立場といたしまして、今大臣からの御指摘がございましたが、まず国鉄として何をするかということが一番大事なことだということで、今鋭意三本柱に次ぐ問題についても検討はいたしております。まだまとまってはおりませんけれども、検討はしております。そうした上で数字が確定するというような、これは見込みになると思いますが、確定するというようなことになりますれば、これに対してまた運輸省政府関係者等にもお願いをいたしまして対策を立てる。しかし、あくまで前提は自助の、自分としての、国鉄自体としての努力をまずするということが前提であるというふうに考えていろいろ対策を練っているところでございます。
  88. 三治重信

    ○三治重信君 それぞれ三者から御意見を聞いたわけですが、私はやはりこの国鉄の自然退職を待って人員が正常化するというのでは、これはやはりとてもじゃないけどこの分割民営化というものが成功しないと思うんです。やはり石炭の場合を見ていても、やはりやるときにはスクラップ・アンド・ビルドを計画的に、短時間的にやらぬと、これは後の経営が僕は軌道に乗らないと思うんです。したがって、来年の七月ですか、最終答申出されるときにはやはりどれぐらいの人員にすべしと、そして何というのですか、各主要な会社ごとに目標の雇用人員とそれから全体としての過剰人員というものを出して、それに対する対策を政府に求める。これやはり一国鉄だけに求めても、私はやはり国鉄は失業対策をやるようにできてないからね、大体。それは運用するために人を雇っているが、過剰人員を再就職さしたり、配置するような作業というものは全然頭にないし、やる機能も能力もないわけなんで、これはやはり政府全体としてやる。服部さんも雇用対策本部というような提言もあったけれども、やはり僕は立法措置を求めるべきだと、監理委員会として。この国鉄の失業対策についてはやはり民間で今までも何回かやったやつもあるし、そういうような政府で現在民間に対しての雇用対策は労働省の方でたくさん、いろいろな手段、方策を持ってやっているわけなんで、そういうようなのも参考にして政府全体としてやはりこの失業対策に取り組んだ上で雇用対策に取り組むことが、分割民営を成功させるもとだというぐらいのはっきりした、一国鉄に任することなく、やはり政府全体として、それはやはり国の責任において取り組むべき、特別立法を持って取り組むべきだというふうな提言をはっきり入れていかぬことにはうまくいかぬじゃないかと、こういうふうなことを考えておって、きょう私のつたない意見が主になって申しわけないんですけれども、思っております。  したがって、私はやはり運輸大臣がおっしゃるように、単に行政改革という問題を通り越しちゃって、国鉄のこれらの処理の問題というものは、やはりそのままにしておけばどんどん毎年二兆円ずつの国民負担がふえていくわけなんだから、そこはやはり行政改革とか何とかというよりか、もう問題もさることながら、やはり不安定な状態にいつまでも置いておく、しかも国の動脈としてしっかり運営していかなくちゃならぬ問題というものはやはり何が何よりか先に処理さるべき問題だと、こういうふうに思っております。せいぜいひとつ奮闘努力をしてください。よろしくお願い申し上げます。以上でございます。
  89. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 以上で亀井参考人に対する質疑は終了いたしました。  亀井参考人には、大変お忙しい中を本委員会に御出席いただきましてありがとうございました。  午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      —————・—————   午後一時二分開会
  90. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  この際、御報告いたします。  去る八日の郵政省所管審査の際、菅野君の質疑に対する郵政省貯金局長の答弁に的確を欠く点がございましたので、その取り扱いにつきましては、理事会において協議しました結果、その補足答弁は本日の会議録の末尾に掲載することといたしました。御了承願います。
  91. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 休憩前に引き続き、昭和五十七年度決算外二件を議題とし、運輸省及び日本国有鉄道決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  92. 菅野久光

    ○菅野久光君 私は、まず最初鉄道工場の統廃合の関係についてお伺いをいたしたいと思います。  ことしの七月に、経費の節減あるいは作業能率の向上なんかについては全社的に取り組んでいるが、さらに監理委員会等の緊急提言においても再編、統廃合が鉄道工場については必要だと、こういったようなことで、輸送の重点化とか、あるいは減量化及び業務能率の向上等を柱とする経営改善計画の中で、この鉄道工場についての抜本的な検討を加えていくということで、工場の再編、統廃合の実施計画を発表されたわけでございますけれども、これについて、現状がどうなっているのか、またこの計画実施によってどの程度の経費を節減できるというふうに考えているのか、その辺について初めにお伺いいたしたいというふうに思います。
  93. 坂田浩一

    説明員(坂田浩一君) お答えします。  先生指摘のように、国鉄は現在厳しい情勢下にございます。特に、飛行場整備なり高速自動車道路の整備に伴いまして、客貨の輸送が非常に競争条件においておくれをとっておりまして、したがいまして、特に旅客につきましても需要が減っているという状況にございますし、また貨物につきましては激減ということでございまして、私どもとしましては、国鉄の経営再建という中で、やはり今後特性分野への施策を重点的に展開すると同時に、先ほど先生おっしゃられましたように、私鉄並みの効率化に鋭意努力しているわけであります。特に輸送量が減ってまいりますので、それに伴います車両数についても大幅に減っておるところでございまして、五十九年につくりました「経営改善計画の変更」の中でも、昭和六十年度時点に、全国で四千両の機関車が二千四百両に約四割減る、旅客車につきましては、微減で三千両程度、二万九千が二万六千程度に減るということでございますが、貨車につきましては、十万両おる貨車が三万両になるというようなことで、そういったことによって効率を上げていくということを前提に置いておるわけであります。したがいまして、当然これを整備します検修の業務量が両数に比例いたしまして大幅に減少をしているところでございます。また、一方効率化ということでございまして、検修に関係します全般検査とか要部検査というのがございますが、これの周期といいますかインターバルを延長するといったことも、今後の施策の中に織り込んでいる次第でございます。  したがいまして、そういった中で全国的に車両を、安全ないい車両を、しかも効率的に整備するにはどのようにしたらよいかということでいろいろ私どもとしまして検討してまいりました。そういった中で、現在は工場数が二十ございまして、それから工場から一度現業機関に、組織の簡素化した現業機関が八カ所ございますが、全体として二十八カ所のそういった部門につきまして、今回の計画では、工場としましては十四、それから現業機関としましては、工場からの簡素化というものを含めまして九つということで、全体として二十八が二十三、すなわち五工場並びに現業機関を廃止する計画に現在している次第でございます。したがって、そういったことで、ことしの三月に橋本車両センターを廃止いたしました。  今後の計画といたしまして、先般も発表いたしましたように六十年の三月に高砂工場、それから、今、先生が御指摘ございました昭和六十年の十月に旭川車両センター並びに若松車両センター、それからさらに来年の十二月を期して盛岡工場を廃止することを計画いたしております。一部の、四工場でございますが、これにつきましても、工場という機構から現業機関、いわゆる現場機関という組織の簡素化を行うことで現在進めてまいっている次第であります。何といいましても、そういう意味で、これによりまして効率的に運営するということで、要員の合理化あるいはそういったものを期待しておるところでございます。要員につきましては、大体これによりまして三百人ぐらいの合理化になると思います。
  94. 菅野久光

    ○菅野久光君 この廃止計画があるということを聞きつけて、関係の所在しているところで存置運動がそれぞれなされているのではないかというふうに私は思います。それは、やはり国鉄という公共機関の工場、そこに働く人ももちろんでありますけれども、それと関連するいろんな企業との関係、こういったようなこと等から、廃止される地域にとってはいわば大変な問題があるわけですね。そういうことでいろいろ運動がなされているんじゃないかというふうに思いますけれども、先ほどお答えになった中で、地方行政機関や経済界だとかあるいは住民等で存置のための組織をつくって何とか存置をしてもらいたいというふうな運動をしているところはどこどこでしょうか。
  95. 坂田浩一

    説明員(坂田浩一君) 私ども、この四月ごろから旭川市あるいは旭川の商工会議所あるいは北海道庁等いろいろ地元からの陳情も受けてまいっております。それで、その時点におきまして、国鉄の計画がまだ固まった時点ではございませんでしたけれども、一応先ほどの現状の推移を御説明いたしまして御理解を賜るようにしていろいろ御議論を賜ったわけであります。今後も、そういった意味で、国鉄としましては、やはり何といいましても、全体の、工場のあることによる地域に与える社会的な影響というのもわからないわけではないわけでありますけれども、何といいましても国鉄そのものがこれからどうしていくかという非常に厳しい中に置かれているわけでありますので、そういう意味で、この国鉄の効率化の中でやはりこれはやっていかざるを得ないという諸情勢にありまして、ぜひそういった国鉄全体の、あるいは北海道地区全体のことの中で、本来の輸送というもののネットワークの中で、やはり工場の保守部門というのはどうしてもこれは輸送の裏方的と言いますか、バックアップ的な業務でございますので、そういう中でやはり地域の皆さん方に御理解を賜りながらやってまいりたいというように考えております。また、工場を廃止して、一応今の計画では苗穂工場に集約することにしておりますが、これによりまして、例えば旭川センターが今持っておりますディーゼル気動車なり客車なりといったものの安全なりあるいはサービスなり、そういった車両としてのサービスの低下ということはしないように今後も考えてまいりたい、かように考えております。
  96. 菅野久光

    ○菅野久光君 存置運動、言えばその市挙げてやっているところは旭川だけだというふうに承知してよろしいでしょうか。
  97. 坂田浩一

    説明員(坂田浩一君) それは盛岡も挙げてやっております。それから、一部ではございますが、昨今に至りまして北九州市若松につきましてもそういう声が上がっております。
  98. 菅野久光

    ○菅野久光君 私北海道で旭川出身ということもありまして、地元におけるこの工場を廃止する、今車両センターになっておりますが、これを廃止するということの影響の大きさということを考えるわけで、確かに国鉄自体を見れば、これは大変な赤字を抱えていささかでもとにかく経営の減量化を図らなきゃならぬということはわかるわけです。しかし、公共的な役割を担っている国鉄ということからいって、国鉄のお家の事情だけということだけ、それだけでやられるということについては、非常に大きな問題があるということで、今まで何回かにわたって市長とかあるいは市議会の議長だとか、商工会議所の会頭だとか、あるいは住民の足を守る市民会議だとかというようなかかわりの方々で、国鉄あるいは運輸省あるいは北海道開発庁、こういったようなところに陳情していろいろ要請行動を行っているわけでありますが、この七月にこういったようなことが計画が発表されたということでありますが、今までの運動との関係を含めて、この廃止計画はいつ決めてどのような形で、言えば存置運動をやっている方々に連絡をしたのか。その辺についてひとつお伺いいたしたいと思います。
  99. 坂田浩一

    説明員(坂田浩一君) 先ほどもちょっと御説明いたしましたが、今年度当初に、まだ検討の段階で地元での御心配いろいろ陳情をいただきまして、その際にも工場を取り巻く厳しい状況、あるいは全国的な工場における効率化ということで、統廃合の必要性につきましても御説明して、御理解いただくようにいろいろお話し申し上げて知恵を絞ってまいったわけでありますけれども、やはりいろいろ私どもの中でもそういった御要望なり陳情の御趣旨を体しながら、いろいろ検討したわけでございますが、やはり北海道において四つ、現在四カ所に工場なりセンターなりというもので整備をやっているわけでありますけれども、やはり全国の、北海道地区の輸送ネットワークの中での車両運用等の問題、いろいろ考えまして、この七月十二日に発表したわけでございます。  発表に先立ちまして、当然でございますが旭川市あるいは市議会、商工会議所会頭あるいは北海道庁に北海道総局あるいは旭川の局長あるいは旭川センターは苗穂工場の現業機関になっておりますので苗穂工場なり、直接の旭川センター所長がそれぞれ御説明に上がってコンセンサスを得るよう努力してまいっているわけでございまして、結果的にはそのような現在のような形で進めておるわけであります。今後もこのような努力を、皆さんの理解を得るようにいろんな努力も払って続けてまいりたいというように考えているところでございます。
  100. 菅野久光

    ○菅野久光君 十二日に発表ということで、前日の七月十一日に関係のところへ苗穂工場長だとか、あるいは旭川鉄道管理局長、旭川車両センター所長らによってなされたということでありますが、これは公式にそういう計画でいるということをやられたのでしょうか。それとも、非公式だったのでしょうか。その辺について明らかにしていただきたいと思います。
  101. 坂田浩一

    説明員(坂田浩一君) 公式に御説明に上がったと。
  102. 菅野久光

    ○菅野久光君 公式ということは間違いないですね、念を押しておき亨が。
  103. 坂田浩一

    説明員(坂田浩一君) はい、そのとおりでございます。
  104. 菅野久光

    ○菅野久光君 これは私どもの方で確認をしたところでは、市議会の副議長が苗穂工場の工場長に確認をしたところでは、公式ではなくて非公式であるということを言ってるというふうに私は確認をしているんです。その辺はそちらの方とは全く違う対応というふうに私はとらざるを得ません。そして、しかもこの内容は記者会見の段取りを含めて一方的な通告であったということなんですが、その辺再度公式だということを間違いありませんか。もう一度確認をいたします。
  105. 坂田浩一

    説明員(坂田浩一君) 私も苗穂工場長から直接確認をいたしておりませんが、私が聞いてる範囲では本社と地方においてこういうことで——ただ実施につきましては来年の十月というふうに考えておりますし、本社においても各組合にも提案しておりますので、そういう意味で実施計画としては公式というふうにお考え願いたいと、こう思うわけでございます。
  106. 菅野久光

    ○菅野久光君 お考えを願いたいというのは、私は当事者でありませんから、旭川市の関係者は苗穂工場長の非公式であるということで、そのように受けとめているということだけは私はここで申し上げておきたいというふうに思います。それは本社と明らかに違う意図でなされたのではないかというふうに思いますし、発表の前日にということも、こういうこの種のものについてはやっぱり時間的な問題も含めて非常に不親切だというふうに思います。  今までの中で存置対策期成会の陳情の際に、工作局長が地元には事前に相談をするというようなお話もなさっていたり、あるいはこれは六月二十七日ですか、運輸省に要請に行った際には審議官が地元と国鉄が円満に解決できるように指導したいというようなお話もあった。五月十五日、ちょっと後先になりますけれども、十分地元の意向が入れられるよう前向きに検討したいというようなお話どもあった。ですから、当然正式に発表になる前に、確かに十二日の発表で十一日は前だと言ったら前ですけれども、しかしこれは余りにも、何というんですか、地元の人たちの期待といいますか、今までのそういう運動の経過から言って、余りにも時間のない中でのやり方ではないかと。しかも、一方的に記者会見の段取りなども含めてやってきたというようなことで、地元の人たちはやはり国鉄本社に陳情要請の行動の際の言葉、運輸省に行った際の言葉、そういったようなものを信じてやってきただけに、やっぱり裏切られたというそういう感はぬぐえない。そういうことが言ってみれば政治に対する不信といいますか、そういうものはやっぱり巻き起こしていく、そういうことにもやっぱりつながっていきますし、先ほど私が指摘いたしましたように、非公式、公式という問題も明らかに本社の意向とは違うような形でやっている。これはやっぱり大きな問題ではないかというふうに私は思うわけです。  そこで、これはやつぱり残された問題だというふうに思いますが、旭川の車両センターを廃止して札幌の苗穂工場に統合するといいますか、そういう計画になるわけですね、この計画は。
  107. 坂田浩一

    説明員(坂田浩一君) そうでございます。
  108. 菅野久光

    ○菅野久光君 そこで、開発庁にお伺いしたいわけでありますけれども国鉄のいわば赤字解消ということだけが先行して、このように札幌のような大都市にそういう機能を集中していく、こういうことになれば北海道の過疎過密、そして地方線の廃止に一層拍車をかけて北海道の経済とか地域の発展に重大な影響を与えるというふうに私は思うわけでありますが、こういったようないわば国鉄だけではなくてあらゆる総合的なそういったようなもので考えた場合に、こういうふうに一カ所に、しかも札幌という大都市にこのような機能を集中させるということが一体どうなのか、開発庁としての見解をここでお伺いいたしたいと思います。
  109. 大串国弘

    説明員(大串国弘君) お答えいたします。  旭川車両センターの統合問題につきましては、国鉄内部の合理化の問題ということでございますけれども、その実施に当たりましては地元の実情を踏まえて関係者の御理解、御協力をいただきながら対処してもらいたいというふうに考えております。  また、先生指摘の問題でございますが、これはセンター問題とは別にいたしまして一般的な問題としてお答えさしていただきますが、札幌への過度な集中という問題につきましては、これはやっぱり好ましくないというふうには考えております。ただ、北海道の均衡ある発展という立場から、我々は旭川につきましても地方の中核都市ということで重要な地域という認識がございます。そういうことで、開発行政につきましても旭川は重点的に施策を講じているところでございます。
  110. 菅野久光

    ○菅野久光君 ちょっと運輸省にお尋ねいたしたいと思いますが、先ほど来のように、運動の経過というものがある意味で言えば無視されたような形で、一方的に通告してやろうとしているこの国鉄当局のやり方について、運輸省としてはどのようにお考えでしょうか。
  111. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) 旭川の工場の問題につきましては、先生指摘のように、私どもも何回か地元の方の御陳情を受けておりまして、その席上でいろいろ御説明を申し上げております。基本的には、先ほど来坂田常務が御説明申し上げておりますように、国鉄の現状から見て、また貨車、車両、機関車等の現状から見てやはりこれは、工場の統廃合というものは進めなければいけない。これは再建監理委員会からも御指摘のあるところで、基本的には進めなければならないということだという御事情は私ども再三御説明を申し上げております。ただ、それを進めるに際しまして、まだ当時は全く計画の段階でございましたから、そういう計画の段階としか私ども承知していないので、委細については国鉄の方と十分話し合いをしていただきたい。その際に、私どもといたしましてもできる限り地元の方々とはよくお話し合いをしながら事態を解決していくというのが望ましいというふうに考えますので、そのように国鉄の方を指導いたします、かように申し上げたわけでございます。  経緯はそういうことでございますが、その後国鉄でいろいろ御検討の結果、計画どおり統廃合を進めたいと、こういうことでございまして、私どもも先ほど来申し上げておりますように、再建監理委員会等の線に沿いまして、むしろ私ども国鉄に工場の統廃合等を進めろと、こういうふうに指導をしている立場でございますので、十分お話し合いの上進めたことというふうに理解をして、計画どおり進めることについては現在のところ異存がないという立場に立っておるわけでございます。
  112. 菅野久光

    ○菅野久光君 先ほども言いましたけれども、いずれにしろ今までの運動の経過というものが全く何か無視をされたような形で、一方的な通告ということが非常に地元の人たちが行政に対するやっぱり不信といいますか、そういうものを募らせているというひとつ事実認識だけはきちっとしてもらいたいと思います。  それで、こういったようなことが発表されてから十一月十日までの間に、やっぱり存置を何としてもしてもらいたいという署名が十三万四千百八十二名、有権者が二十五万四千二百五十一人でございますから過半数ですね、率で言えば五三%集めたというようなことで、本当に旭川を含めた道北地域としてはこの車両センターの廃止ということがもう大きな社会問題になる。何か国鉄のこの計画では関連企業十社というふうに書いてありますが、関連企業という物の見方そのものがいろいろ見方によって多くもなったり少なくもなったりするということでありますが、取引業者などを含めれば約百社に近いというようなことなどもどもは聞いております。一般社会常識としても、九十年のこれは歴史的な経過を持っているこのセンターでありますから、これを閉鎖するということになれば当然のこととしてやっぱりもっと地元に対する理解、十分なコンセンサスを得て行うべきであるというふうに思うわけです。特に社会性、公共性の強い国鉄でありますから、一般私企業以上に地元や関係団体等に対して事前にコンセンサスを得る必要があるというふうに思うわけであります。全く一方的な通告、しかも先ほど確認をいたしましたように、本社の方は公式、地元に行ったときには非公式、その辺のずれもあるわけでありますから、関係者の方々の言葉を信じてきた期成会の人たちが今大きなショックを受けているわけでありますが、天下の国鉄が人を欺くなどということは考えてもいないというふうには思います。それで、信頼回復という意味も含めて再度地元と十分なコンセンサスを得るように努力をしてもらいたいし、運輸省も言っているように旭川市と国鉄が円満に何とか話し合いをしてこの問題の解決を図ることができるように一層の努力をすべきではないかというふうに思うわけですけれども、ひとつお考えを承りたいと思います。
  113. 坂田浩一

    説明員(坂田浩一君) 先生おっしゃる点、非常に至らぬ点があったことをおわびいたしますが、今後も今おっしゃられるように地元の皆さん方と十分お話しを申し上げて御理解賜るように最大の努力を払ってまいりたい、かように考えます。
  114. 菅野久光

    ○菅野久光君 じゃ車両センターの関係については以上で終わらさせていただきます。  あと一点だけひとつお聞きをしてお答えをいただきたいと思いますが、例の国鉄の地方交通線の廃止計画でありますが、第一次四十線区、第二次三十三線区、そのうち四線区が保留線区となっているわけですが、関係地方自治体も第一次が二十道県、第二次が十六道県と広範囲にわたっております。そのうち北海道は第二次の場合廃止対象線が十線区、保留が四線区と面積が広いこともあって際立って多くなっております。  そこで、まず運輸省国鉄、それから北海道開発庁にもお尋ねしたいわけでありますが、北海道でこれらの線区が廃止された場合に北海道の産業、経済、さらに道民生活にどのような影響が及ぶと考えているのか、その点について私はお伺いをいたしたいと思います。  特に、先ほど午前中の目黒委員の質問にもありましたが、田中角榮氏の日本列島改造論、これは公害をまき散らしたり地価を暴騰させたりして必ずしも評価できるものではありませんが、このように、「国土開発と地方線の再評価」というところで、「採算悪化の一因である地方の赤字線を撤去せよという議論がますます強まっている。しかし、単位会計でみて国鉄赤字であったとしても、国鉄は採算と別に大きな使命をもっている。明治四年にわずか九万人にすぎなかった北海道の人口が現在、五百二十万人と六十倍近くにふえたのは、鉄道のおかげである。すべての鉄道が完全にもうかるならば、民間企業にまかせればよい。私企業と同じ物差しで国鉄赤字を論じ、再建を語るべきではない。」、また、「北海道開拓の歴史が示したように鉄道地域開発に果す先導的な役割はきわめて大きい。赤字線の撤去によって地域の産業が衰え、人口が都市に流出すれば過密、過疎は一段と激しくなり、その鉄道赤字額をはるかに越える国家的な損失を招く恐れがある。」と、このように指摘をされておるわけですが、こういったようなことについての問題も含めて、先ほど申し上げましたように運輸省国鉄北海道開発庁にその影響等についてのお答えをいただきたい、このように思います。
  115. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) 御指摘のように、北海道の場合には第二次線の占める比重が非常に高うございますし、この廃止というのが北海道の地元に何らかの形で影響を与えるということにつきましては御指摘のとおりだというふうに考えております。ただ、御理解いただきたいのは、私ども地方交通線対策と申しますものは、ただ鉄道をやめるという考え方ではなくて、鉄道の中でいわゆる鉄道特性を失ったもの、御利用いただけなくなったものというものについて、これをもっとよりよい交通の方に円満に転換をしていただく、こういう考えで地方交通線対策を進めておるわけでございまして、そういう意味で、地元において協議会を開いてどういう交通体系がその地域に最もふさわしいかということを十分時間をかけて御協議をいただき、その際に地元に与える影響等も勘案しながら新しい交通体系に転換をしていただく、こういうふうな御協議を円満にお願いしたいと、こういうことが地方交通線対策の趣旨でございますので、そういう意味で御理解を賜りたいというふうに考えておるわけでございます。
  116. 岩崎雄一

    説明員岩崎雄一君) 今審議官からお話がありましたように、この地交線対策と申しますのは、国鉄の収支改善ということはもちろんございますけれども、それだけではなくて、その地域における公共輸送というものをいかに効率的に確保していくかという観点から考えておるものでございます。御承知のように、国鉄のような大きな資本を投下しておりますと、利用量が少ないということは極めて経済的でないと、少ない輸送量を分け合って国鉄もそして沿線のバスもお互いに赤字を出しているという状態はやはり解消しなければならないと、そういうような国民経済的な観点からもこれを進めなければならないというように考えておるわけでございまして、そういう意味で代替輸送の確保というのは再建法にもありますように極めてこの施策を進めるに当たっての重要な課題になっております。そのことを今後とも協議会等におきまして地元の意見も踏まえまして十分に検討しつつ、これによる影響をできるだけ地域にマイナスの影響が及ばないように努力してまいりたいと、このように考えております。
  117. 大串国弘

    説明員(大串国弘君) ただいま運輸省国鉄の方から御答弁ございましたけれども北海道開発庁の立場として一言御答弁申し上げます。  北海道内の特定地方交通線につきましては、各路線の利用実態とか地域活動に対する鉄道の役割など十分勘案していただきまして、今後とも地元協議会の場を通じて地域の発展に支障のないように対応していただきたいと、このように考えておるところでございます。
  118. 菅野久光

    ○菅野久光君 終わります。
  119. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、国鉄の余剰人員問題と部外委託の二点について若干の質問をいたします。  まず、国鉄の余剰人員問題について、雇用の安定と創出に携っている責任官庁である労働省に伺います。  国鉄では今日二万五千人という余剰人員問題を抱えています。二万五千人というと、この労働者の家族も含めますとこれは数万人を超える、一つの都市の総人口にも当たるわけです。国鉄の余剰人員問題はこのような膨大な人々の生活を脅かしていることになります。そしてその関係者は今不安と焦燥の日々を送り、国鉄の余剰人員問題は極めて深刻な社会問題化しつつあると私は見ています。加えて、五十九年八月の国鉄再建監理委員会の第二次提言では、余剰人員は現在の数倍にも達すると指摘をしています。これらの問題について労働省としてどのように対処しようとしているのか、まずお伺いをいたします。
  120. 平賀俊行

    説明員(平賀俊行君) お答えいたします。  先生指摘のように、要員問題というのが国鉄の再建、これは国民的課題になっておりますけれどもその国鉄の再建当たっ非常に重要な地位を占めていること、それからこれが国鉄職員の方々の生活あるいはその家族の方々の生活に深くかかわり合っている重要な問題であるということを認識しております。  一般論でございますけれども、やはりそういう日本労使関係といいますか、日本の企業などでも合理化をするときにできるだけ雇用の問題を考え対応していく、できるだけ離職者を出さないように対応していくというのが日本の企業なり日本労使の常識であろうかと思います。そういう意味からしまして私どもとしては、国鉄再建との調和を保ちつつ、やはりできるだけこういう問題について、雇用の問題を考えながら、調整策などについても適切な対応をしていくべきだと考えております。
  121. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 国鉄当局に伺います。  国鉄当局はこの余剰人員対策として、三項目と言われている内容ですね、これを組合にも提示し、それを現在実施をしておりますが、三項目の中身を簡単に説明してください。
  122. 太田知行

    説明員太田知行君) 退職制度の見通しと、それから職員の申し出による休職——依願休職という制度と、それから派遣制度、この三つを三本柱、三項目と言っているわけでございます。  以上でございます。
  123. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今説明のありました三項目問題について、関係する組合と随分長期にわたって交渉を重ねてこられました経緯は私もよく知っています。しかし、その中の最大の労働組合である国鉄労働組合との合意を待たず、一方的にこの三項目を実施をし、さらに雇用安定協定の破棄という異常事態まで引き起こしていることを問題にしたいと考えます。私はこのような状態は決して余剰人員問題というこの問題解決を前向きにする方向に進まず、ますますこれは泥沼化していくのではないかと心配をしています。  そこで労働省にお伺いしますが、労働組合法十七条との関係において、余剰人員対策問題における国鉄当局の国鉄労働組合に対する対応をどう見ていますか、どう考えていますか。
  124. 平賀俊行

    説明員(平賀俊行君) お答えいたします。  法律論を言いますといろいろございます。労組法の十七条は、やはり多数の労働者の組織する労働組合の締結した労働協約につきまして、労働条件の統一を図ることで労働協約の適用の普遍性といいますか、そういうものを確保するための規定であるし、一方労組法では、労働組合の設立をある程度自由に認めて、その組合との間でそれぞれ団体交渉をし協約をするという、そういう理念がございます。  そういう意味で、法律論はいろいろございますけれども、いずれにいたしましても国鉄の場合に、国鉄再建という大きな国民的課題を達成するために必要であり、そのために余剰人員あるいは要員問題というのは避けて通れない問題でございますし、こういう大事な問題でございますので、やはり労使の円滑な意思の疎通が不可欠でございまして、労働省としましてはやはり関係労使が良好な労使関係に向かって努力するということを要望しておる次第でございます。
  125. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 労使が円満な状態でそして円滑な交渉を行ってそして一定の妥協をしていく、こういうことでなければならないわけです。しかし、今の国鉄の中の一つの労使問題はそういう状態ではありません。  それでは具体的な問題として円満な状態のもとに円滑な団体交渉を行うにはどうしたらいいかということであります。それはただ一つでありまして、国鉄当局と国鉄労働組合との間に現在団交がない不正常な状態になっているわけでありますから、国鉄労働組合に組織されている職員には、やはり団交によって問題の解決するまで三項目の適用を一たん凍結して、そして改めて団交を開いて早急に労働組合と当局との間でその問題の処理に当たるという最初のスタートのところに戻る以外にないのではないかと私は考えます。もちろん当事者にしてみたらそんな問題でないとおっしゃるかもしれませんが、私が第三者として見る場合はそれしかないと思うが、労働省はどう思いますか。
  126. 平賀俊行

    説明員(平賀俊行君) 先ほどから申し上げておるところでございますが、やはりこの問題は非常に重要な問題でございますので、労使の間でやはり円滑な意思の疎通を図る必要があると存じます。私どもとしてもこの問題が非常に重要であるということでできるだけ状況の把握等に努めておりますけれども、労働省といたしましてはやはり基本的には労使の間で円満な話し合いが行われるということを期待しておるわけでございます。
  127. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 期待しているだげでは何の解決にもならないのでありまして、労働省がやはり雇用の安定という問題にかかわって、この問題に対して閣議の中においてもまたそのほかいろんな場において積極的に問題解決に乗り出すべきときであろう、私はそう考えます。しかし、あなたが今その問題についてどうこう言える立場でありませんので、労働省に対して強くそのことを要求しておきます。これは民間の労働組合にかかわる問題で、産業構造改善特別措置法という法律があります。産業構造改善という基本計画を出して、そしてそれぞれの企業が再編合理化する。そのときは企業が一つにまとまる、あるいは工場を閉鎖する、そういうことによって労働者の中の余剰人員というものが当然生じてくるわけで、それをどうするかということをくくった法律があります。この場合の法律なんかでも、きちっと労働省が雇用問題についてどうかかわるかということが一番重要な問題になっているわけなんですね。そういう意味においてこの国鉄における膨大な余剰人員問題が法律的な意味において、一方では民間の労働組合の問題のときにはきちっと労働省が雇用問題について労働組合と当事者の間のその問題についての話し合い、文書における協約、そういうものがなければそういうことはやってはならないというふうなものはきちっと押さえられながら、内部では一方的に破棄されていくという状態は本当に異常と言わざるを得ぬし、この異常を引き起こしているのは、やはり国鉄当局であるというふうに私は言わざるを得ません。そういう観点に立って国鉄総裁に伺います。  けさほどから国鉄再建という問題がいかに国民的な重要な課題かという問題はるると述べられました。私も聞かしていただきました。私は収入をふやすために運賃をどんどんと値上げしたり、あるいはまた歳出を抑えるために事業合理化によって要員削減というものを幾ら進めてみても、それのみで国鉄再建はできないと考えます。もちろん国鉄総裁もそう考えておられると思います。それは午前中にも随分目黒理事の方からも指摘がありましたが、旧来の政治的鉄道投資のツケが膨大な借入金残高となって国鉄経営を覆って、そしてそこから巨大な利子負担という問題に毎年悩まされているという問題であり、また一方では戦後の日本の雇用問題を国鉄が吸収した、そのときの特定人件費問題、つまり年金問題など構造的な諸問題について一体どうするのかという明確な対策がないからだと私は考えます。  その中で、国鉄当局は、私の見るところ、過員問題を国鉄再建のあたかも成否を左右する死活的重要問題というふうに認識されて、しゃにむに推し進められているという状態がどうしても理解ができないのであります。しかし、それが全く意味のないことだとは申しません。重要な中身を持っていると私も認識しています。しかし、この問題は労働者があり、労働組合があるわけでありますから、当事者である経営者と一方の労働者国鉄再建という問題に向かってこれから歩調を合わせて歩んでいける納得と信頼、そういうものが基盤になければとてもこの困難な問題の解決はできないんではないかというふうに考えます。そういう意味で総裁の考えをこの際伺っておきたい。
  128. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 今、本岡先生から御指摘がございましたが、国鉄の再建のためには決して効率化だけではございません。累積債務の問題、年金負担の問題、あるいは事業範囲の問題、その他いろいろな問題を抱えております。これらがいずれも過去のいろいろな事情から起こってきたということも事実でございまして、これらをこの機会に取り払って国鉄をきちっとしたレールの上に乗せるというのが再建計画というふうに理解をいたしております。  その中で、今御指摘がございましたが、効率化という問題はこれだけがすべてではございませんけれども、午前中にも御議論がございましたように、私鉄並みの効率化ということは監理委員会あるいは第二次臨調の提言等にもうたわれておるところでございまして、我々もこの線に沿っていろいろと努力をいたしておりますが、もちろん雇用の問題ということはこれは非常に大事な問題でございます。したがいまして、私どももただ効率化を進めるということだけではございませんので、その雇用の問題に対してどう対応していくかということ、余剰人員をどう解決していくかということにつきましても、午前中にも申し上げましたが、我々がまず第一に努力をするという前提に立って今努力を重ねているところでございます。その中の一つとして三本柱というような先ほど御説明いたしました提案をしたということが現状でございます。
  129. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 総裁として一番大きな組合である国鉄労働組合との間に団交がなく、そして一方的に雇用安定協定を破棄をせざるを得なくなったという、こうした異常な状態をこれはどのように認識されていますか。
  130. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) この問題の提起は実は六月の初めに各労働組合に概要説明をしたということでございますが、その後、七月十日に正式提案をしておるということでございまして、その後、十月十日に向けまして、三カ月にわたりまして非常に精力的な交渉を重ねたわけでございます。その中におきまして我々が説明いたしましたのは、これはすべてが希望で強制ではございません。まあある面から批判されますと非常に甘いと言われるのでございますが、この程度のことはとにかくまずやってほしい、これを守れれば雇用協定も守っていくからひとつぜひ納得してほしいというふうにいろいろと努力をし、交渉を重ねたわけでございますが、不幸にして十月九日いっぱいに国労及び全勤労とは妥結するに至らなかったということでございます。  私どもといたしましては、決して事を構えるという立場ではございませんけれども、希望で募るこの三本柱でもできないということになると、これはなかなか今後難しい問題を抱えて、いけないという、解決が難しいということで、十月九日の日にはメモを渡しまして、ぜひ我々の意のあるところを理解してほしいということをやったわけでございまして、それらを踏まえまして、ついに国労、全勤労とは妥結することができませんでした。したがいまして、今までの経過を踏まえまして、雇用安定協定につきましても、これはすぐということではございませんで、一年間余裕があるわけでございますが、そういう破棄の御提案をしたということでございます。  一方、今お話がございましたが、国労、全勤労との間に団交がないわけではございません。この三本柱、まあこれは実は二本柱に今なって——一本は既に当局が引き続き協議で、二本柱になっておりますが、その問題に関してのみそういうことを申しているわけでございまして、ほかの問題、例えば来年の三月に実施いたしますダイヤ改正等の問題につきましては精力的に両各組合と話をしているというような状態であるわけでございます。
  131. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今の問題はいま少し深めたいんですが、時間が限られておりますので次の問題に入っていきます。  そこで今おっしゃった三項目の問題ですが、二つの組合と合意をしないまま実施をしていったこの三項目の、それでは、実施状況の現状はどうなっていますか。一番最近の数字をここで示していただきたい。
  132. 太田知行

    説明員太田知行君) ちょっと一言だけ総裁のお話を補足さしていただいた上で数字を報告したいと思うんでありますが、三本柱と先ほど申し上げましたんですけれども、もっとより正確に申し上げますと、もう一つ特例がございまして、最初の第一項目が退職制度の見直しでございますけれども、その中に、五十六歳以上の職員、これは大体一万人命いるのでございますが、その人たちに対しては、本年度、五十九年度に限り年度末に退職をする意思表示をした場合には、本人の希望に基づく休職を適用すると。実は、今までは五十五までしかそれを適用してなかったんですが、こういう状態を少しでも解消しようということで、そういう特例を提案いたしました。公労委のお世話になったり、まあ相当いろいろ経緯がありましたが、全組合とこれは九月の中旬に妥結をいたしまして、この依願休職制度がスタートしております。それを除きまして、退職制度の見直しという三本柱と、こういうことになっております。  そこで、今の、わざわざ申し上げましたのは、数字の中に今のこの五十六歳以上の分も含めて御報告申し上げます。  それで、五十六歳以上の今の特例扱いは、一万人いる人たちに対しまして、十一月十日現在でございますが、五千二百八十人の応募がございます。半分以上でございます。  それから次は、同じ退職前提の休職でございますけれども、これは五十五歳までの、五十五歳未満の人たちを対象にするものでございまして、これは十一月一日現在で百四十四人。一日一日でとることにしてますんで、ちょっと古い数字なんですが百四十四人。それから復職前提の休職、これは若い人たちでありますが、戻ってくるということを前提にしました上での休職ですが、これは三十一人。  それから派遣、いわゆる出向でございますが、これは十一月十二日現在で十人と、こういうことでございます。  なお、ちなみにこの派遣、いわゆる出向につきましては、現在関連事業その他の協力を得まして、具体的に二千五百名分の受け皿を用意してございます。今募集をしているところでございまして、かなり煮詰まっておりますが、具体的に数字になったのは十人でございますが、これはかなりスピードを上げて進捗を図りたい、また図り得ると考えている次第でございます。
  133. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 派遣が、十一月十二日現在発令した人が十人、まあ目標は二千五百名ということでありますが、その十名はどういうところに現在派遣されているんですか。
  134. 太田知行

    説明員太田知行君) 大阪局で三名、水戸局で六名、東京北局で一名でございますが、中身は、大阪局の用地を活用いたしまして、劇団四季、新宿で好評だったそうでございますが、この関西公演、国鉄の用地の上を使ってやるんでありますが、それの輸送調整その他ということで三名行っております。それから水戸局の六人は、鹿島臨海鉄道が開業いたしますが、そちらに行っております。それから北局の一人は、駅にレンタカーを置く仕事をやっている会社がありますが、そちらへの出向と、こういうことでございます。
  135. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それで、今派遣の方だけは二千五百名という一応目標数が出たんですが、今出された退職前提の休職、復職前提の休職、特例の休職、まあ特例の休職は対象人員一万人と言われましたが、私のいただいた資料は一万二百十八人となっておりますので、まあ一万二百十八人だろうと考えます。  それで、退職前提の休職と復職前提の休職、これ、目標はそれぞれ何人に置いているんですか。
  136. 太田知行

    説明員太田知行君) 現在余剰人員が二万四千五百名、約二万五千名おります。そして、この年度末、三月になりますれば、これは推定でございますので多少の変動はあると思いますが、約三千ないし五千人上積みになるであろう。したがいまして、このままの状態で推移すれば二万八千名ないし三万人の余剰人員を想定せざるを得ない、こういう前提でいろいろな取り組みを考えているわけでございますけれども、まず内部の活用、例えば教育でございますとか増収施策に充当するといったような内部施策活用でもって、できれば一万人ぐらいはこれは活用してまいりたい。そうすれば、三万という前提で考えました場合には残り二万ということになるのでございますけれども、この特例の——さっき私が丸めて申し上げました、おっしゃるように一万二百十八名でございます——五十六歳以上の諸君については、後進に道を譲るという気持ちにぜひなっていただきたい。まあ一万人全部とはあえては申しませんが、それに近い数の希望者が出ることを期待しております。まあ一万人近い数をここで期待したいと。  それから、五十五歳でやめるという慣習——勧奨退職制度をずっと長いこと持っておりまして、年によりまして率は違うんでありますけれども、昨今やや下がりぎみでございましたので、本年度この五十五歳退職の人たちの率を上げることによって二千か三千の上積み効果を期待したいということで、非常にこの、推定でございますが、特例一万人近くということを前提に、ですから活用万人ということを前提にした場合に、残り一万の中から五十五歳退職の上積み二、三千というふうな想定をいたしますれば、残り六、七千あるいは七、八千という、その辺のオーダーで派遣でありますとか依願休職であるとか、特例以外の依願休職の応募が出るということを期待している次第でございます。
  137. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今のような三項目あるいは特例の形でもって余剰人員対策を進めていって、今最終的には二万八千から三万になるであろうと言われていますが、それだけの人数を確保できない場合、すなわちこの三項目による余剰人員対策が効果を上げないときですね、そのときは何ですか、日本国有鉄道法二十九条の四号というので整理の条項みたいなのがあると思うんですが、それを発動して、そして強硬に今言いました二万八千人から三万は、労働者の側から言えば首を切るということになるのか、あるいは本人の申し出ということでやって、最大限努力したら努力したところで終わるようになるのか、そこのところどうですか。
  138. 太田知行

    説明員太田知行君) 問題は二つあろうかと存じますが、まず三万人と申しましたのは本年度末の想定でございますが、余剰人員の問題、本年度限りということではないと想定せざるを得ないと存じますが、まず国鉄のやはり基本的には輸送量、業務量がどう推移するかという展望が大事でございます。昨今の情勢、他輸送機関との厳しい競争条件その他を考えますと決して楽観を許さない、むしろ輸送量は微減傾向をたどるであろうということを想定せざるを得ないと存じます。  それに対しまして私鉄並みの効率という前提で要員の配置を考えてまいりますれば、仕事を遂行するのに必要な人員、定員あるいは所要員と言っておるんでございますが、そちらはかなり急速度で縮小せざるを得ないというふうに考えます。対しまして現在在籍している職員は、さっき申しましたように慣行として五十五歳勧奨制度を持っておりますが、毎年その慣行に従いまして退職して、自然退職とこう呼ばしていただきますと自然退職が出ていくのでございますけれども、自然退職を上回る速度で効率化、減量化を進めざるを得ないというふうに想定しております。とすれば、毎年この三万人の上に上積みされまして、余剰人員は当分の間存在するというふうに考えなきゃいかぬと存じます。そういうただいまいろいろな想定をして作業をしておりますので、確たる数字を申し上げるわけにまいりませんで、傾向としてだけ御説明申し上げるんでありますが、そういう前提を考えてみた場合に、果たして今申し上げてますいわゆる三本柱だけで足りるのかという問題が一つございます。  それに対しましても、まず私どもは何といいましても三本柱の有効な推進を図るということを第一前提にしまして、その推移を見ながら、さらにそれにプラスした対策も場合によっては必要かなと、こういうように考えて、そちらも勉強している次第でございます。これは第一の今後に対する取り組み方でございます。  第二の点は、多分雇用安定協約とのかかわりで、日鉄法二十九条のことをおっしゃったのかと存じますけれども、これにつきましては先ほど総裁が申しましたように、この余剰人員対策、もうかなり長い経緯をもって労使の間で論議をし、交渉してまいったのでございます。やはりまず何はさておいても一番大事な労働条件であるところの雇用を守るためには、この余剰人員についての自助努力が基本である。それはむしろ雇用は自然に守られるんではなくて、自助努力、自分たちの努力によって守るんだという気迫で、かつ取り組みを示す必要があるということで議論をスタートしているわけでございます。雇用安定協約もそういう自助努力を前提にして維持、存続を図りたいという旨を述べているのでございます。その後の、三月以上の時間をかけ非常に密度の濃い交渉をやったのでございますが、遺憾ながら一致点に達しないということで、いわば入口においてこういう状態であれば雇用安定協約を守る基盤が揺らいだと判断せざるを得ないということで、破棄の予告をしたわけでございます。これは内部の手続でございまして、一年後でなければこれは実現しない仕組みになっております。あくまでも現時点では予告でございます。もちろんその破棄が目的でやっているわけじゃございません。あくまでも自分たちの努力で雇用を守るということでございます。既に先行して妥結している三組合との間で結んだ内容と変えるわけにまいりませんが、そこのところを未妥結の組合が理解をして、同じ内容で妥結することを望んでいるわけでございます。なるべく早い機会にそれが実現するならば、雇用安定協約の破棄手続を停止、ストップせしめ得る、こういうように考えておるわけでございまして、まず何はさておいても労使の間で早急に、若干期日はおくれていますが、同じ内容で妥結するように臨み、そのための努力をしているところでございます。
  139. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 時間が来ましたので、最後に一問だけ伺います。  総裁の先ほどの答弁、それから今の答弁の中で、結局長期にわたって自助努力によって余剰人員問題をやっていかなければならぬ、それは挙げて雇用の安定という問題とのかかわり合いで考えていくんだということであり、また、雇用安定協約の破棄の問題も、破棄することが目的じゃなくて、今は予告をし、そして話し合いというものが必要なんだという考えをのぞかせていただいたような気がするんですが、一方国鉄労働組合、私はその関係者じゃないから知りませんけれども、団体交渉による話し合い、その場がないということは、これは労働組合の命を失ったと同じことですから、当然労働組合側からも団体交渉による話し合い解決というものが国鉄当局にこれは申し入れられているはずだというふうに僕は思うんです。  そうしたことで、今後、これは総裁に最後にお尋ねしますが、積極的にやはり労働組合との関係をより改善して、この困難な問題に当たっていくということについてのひとつ決意も聞かせていただいて、私の質問は、あともう一問部外委託の問題を用意しておったのですが、もう時間がありませんので、関係者の方にはおわびをして、質問を終わりたいと思います。
  140. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 今申し上げましたように、今二本柱になっておりますが、この交渉が停止をしているということでございます。しかし、私どもといたしまして、別にいろいろ内容の説明その他いろんなお話し合いの場はあるわけでございますので、こういう場を通していろいろと、今、太田常務からも答弁いたしましたように、何とか他の組合と同じ条件で妥結するようにという努力を重ねてまいりたいと思います。また、全般的に申しまして、先生から御指摘がありましたように労使の協調ということも非常に大切なことでございますので、今後私といたしましても努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  141. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は最初、法務省、会計検査院の方が都合あるそうですから、順序を狂わせて、西明石の寝台列車事故について二、三関連その他を含めてお伺いします。  この西明石の寝台列車の事故については、私も乗務員の一人としてあるいはOBの仲間として社会に対しては責任の一端を感ずるわけでありますが、総裁の表明は、参議院の運輸委員会でその表明を聞いておりますから、ここでは時間の関係で省略いたしまして、ずばり法務省にお伺いしますが、この関係の調査はどの程度現在進展しているのか、状況だけでいいですからお聞かせ願いたい、こう思います。
  142. 東條伸一郎

    説明員東條伸一郎君) お答え申し上げます。  お尋ねの事件につきましては、所轄の明石警察署におきまして、本年十月二十日に事故列車の機関士を業務上過失傷害及び業務上過失往来妨害罪で通常逮捕いたしまして、担当の神戸地検におきまして二十一日に事件送致を受けました上、身柄を勾留して捜査を行っておりましたが、十一月十日に処分保留のまま釈放しております。そのほかに、同列車に同乗しておりました機関助士につきましても、明石警察署から神戸地検に対して同罪名で事件送致がございまして、現在あわせて今申し上げました二人の被疑者につきまして捜査中という状況でございます。
  143. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 会計検査院は毎年の決算報告書を、ことしも五十七年度決算報告書を読みますと、いろいろ国鉄の問題について特記事項あるいは提言という形で提起をしておるわけでありますが、会計検査院が検査をする際にいわゆる国鉄の安全保安、こういう点には視点を置いて当然いろんな報告書を書いていると思うんですが、今回のこの報告書を見ますと我々の動力車乗務員関係あるいは基地の関係あるいは車掌などの運用の関係について、午前中の質問じゃありませんが、まあ数字をべたべた並べて国鉄はけしからぬ、こういうことを導き出しておられるわけでありますが、運転保安あるいは旅客の安全という視点からは、こういう報告書を書く際には取り組んでいるのかどうか。ただ数字を出しまして、コンピューターを回して数字の計算を出して前年度対比と、こういうような数字のことだけやっているのか、会計検査院が国鉄の問題に取り組む際の基本的な姿勢運転保安等についてどういう考えを持っているかお聞かせ願いたい、このように考えます。
  144. 秋本勝彦

    説明員(秋本勝彦君) お答えいたします。  先生おっしゃいましたように、五十七年度決算検査報告におきまして「旅客営業の収支等について」という表題のもとに特記事項を掲記しているわけでございます。その中で列車乗務員基地、動力車乗務員基地、そういったところにおきます充当人員あるいは旅客経費、乗務キロ等々の数字を出しまして、現状と過去からの推移に基づきまして業務効率の分析などを行っているわけでございます。しかし、これは国鉄旅客部門の経営につきましていろいろなセクションから国鉄からの資料の提供をいただきまして、検査院としてそれなりに独自の分析を行ったものでございまして、これにより指摘した問題点、これを今後の経営改善の一助として役立てていただきたい、そういう趣旨のものでございます。したがいまして、今の先生お話にございましたような検査の視点といたしましては、特に保安とかあるいは運転とかいったような観点といったような立場から見ているわけではないわけでございます。今回の西明石の事故のようなものはあくまでも職場規律確保の問題であろうかと思いますが、しかし私どもが掲記いたしました特記事項の中で、分析した資料の中であるいは保安上の問題についても参考にしていただけるようなものがあるかもしれません。もしそういうものがあればぜひ活用していただきたい、そういう考えでございます。
  145. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 会計検査院と法務省、ちょっと忙しいようですから、緊急な問題として西明石問題がまだあと国鉄運輸省に要望がありますが、法務省と会計検査院にちょっと緊急な問題でお伺いしますが、十一月二十一日、日経新聞、これに見ますと十一月二十一日の大阪地裁で開かれた国立大学機器納入汚職事件の初公判が行われました。その初公判の検察側の冒頭陳述の中で「会計検査院の文部省担当局長が文部省会計課の田中被告と贈収賄業者を引き合わせ、高級料亭の接待に同席した」と、こういう冒頭陳述をやっているわけでありますが、今、西明石問題についても慎重に捜査中だという法務省の話がありましたが、この検察庁の冒頭陳述というのは、これは聞くのはやぼかもわかりませんが、相当綿密な捜査をし、一定の証拠物件をそろえて、それで検察陣の社会の公正をかけて冒頭陳述をやる、こういう点ではやはり法の正義を守るために行われる冒頭陳述である。したがって、検察側についてはこれは間違いない、こういうことで国民的に受け取って間違いない、こういう検察側の冒頭陳述認識は間違いありませんか。
  146. 東條伸一郎

    説明員東條伸一郎君) ただいまお尋ねの事件に関します冒頭陳述が、大体おおむねそのような内容の冒頭陳述が行われたようでございますが、先生承知のように検察官の冒頭陳述と申しますのは、刑事訴訟法の規定によりまして、証拠調べの初めに検察官が今後法廷で証拠により証明すべき事実を検察官の主張として明らかにしていくという手続でございますので、そのような手続の中でそのような主張がなされたということで御理解いただきたいと思います。
  147. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 今後裁判が進むにつれて今法務省の答弁のようにいろんな証拠物件、捜査の裏づけでこの冒頭陳述を証明していく、こういう作業が続けられると理解します。  そこで、会計検査院にお伺いしますが、この新聞によりますと、一つは、当時の局長さんであったAさんは、そういうことはしてない、ただ局長室で偶然に居合わせただけだ、こういう本人の談話が載っております。中村清会計検査院事務総局次長の談話で、少なくとも会計検査院たるものが、そういうことが事実とすれば会計検査院そのものの存在価値が問われる、あってはならないことだし、なかったと思う、そう信じたい、こういう意味の談話がありますが、我々決算委員会を預かる者として、会計検査院の局長ともある者がこういうことをやったなどとは、何を根拠に決算委員会決算の信用をするか、決算委員会の存在にも大変かかわる問題でありますが、この問題についてはもう会計検査院内部でこの事実について、この裁判の冒頭陳述についてどういう意思統一を現段階まで行われているのか。きょうは二十八日ですから一週間以上たちますし、次長の談話も出ていますから、現段階の会計検査院の態度についてやはりここで明らかにしてもらいたい、こう思うんです。
  148. 中村清

    説明員(中村清君) 裁判における検察庁の冒頭陳述の中で、会計検査院の職員に疑惑を持たれるような事態があったということにつきましてはまことに申しわけなく思っております。元局長が辻被告たちと同席したという事実はあったようでございますが、橋渡し役をするというような意図は全くなかったと本人も申しておりますし、私どももそれを信じておるところでございます。やはり会計検査院の職員といえども職員としての立場があると同時に一般の社会人としての生活もありまして、知人としての交際もあるわけでございますが、元局長も以前にOBから辻被告を紹介されましたので、立派な知人としてつき合ってきたものでございますが、本人もその見通しの甘さを反省しているところでございます。いずれにいたしましても、こういう問題があったということにつきましては、私ども職員厳粛に受けとめて今後とも自省してまいりたい、こう考えております。
  149. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 来月の十二日が文部省、十三日が大蔵省、会計検査院が決算委員会の主管業務になっておりますから、細部については文部省関係あるいは会計検査院の方に伺いますが、十分に今申された問題について調査なり対応の仕方を要望だけしておきます。これは要望です。  法務省と会計検査院結構です。どうも御苦労さんでした。  それで、西明石の問題に戻るんですが、私は、今法務省がまだ捜査中であるというから、それ以上はまだ追及しません。ただ、これは私は現場の職場を歩きますと、やっぱりこれだけの事故を起こして、確かに飲酒運転そのものには社会的な制裁を加えられるとありますけれども、やはり国鉄の管理体制自体としても、この問題に対する一体責任の所在はどこなのか、管理局長なのか機関区長なのか、あるいは本省の運転局長なのか。やはり一定のけじめをつけておく必要がある。私はそういう意見が職場に非常にあるということを表明しておきます。したがって、その時期、内容等については法務省の取り扱いがきちりとした段階で私たちも一定の見解を示したいと、こう思っておりますから、これは総裁に要望をしておきます。  それからもう一つ、私も乗務員経験ありますから、国鉄が職場点検やったりいろんなことをやることについてばそれなりに理解をします。しかし——ここから違う、しかし乗務員だって人間でありますから人間性を無視したような、人間性を超越したような、私は報復手段とは言いませんけれども、例えば現場で今歩きますと、来年六〇・三のダイヤ改正の深夜時間における乗務員の運行の取り扱い方、これはちょっとひどいじゃありませんか。私も今仙台市長がなくなって、市長選挙で十分に現場のA、B運行を点検する余裕はありません。しかし、五、六点聞いてみますと、夜中の二時、三時から五時、六時まで一睡もさせないでその乗務に締めつけておく、そういうB運行をおたくたちがつくっていると。こういうことはちょっと私は西明石事件に便乗した、乗務員を搾る方法だと。乗務員だって夜中になれば眠くなるんですから。乗務員が昼の間この騒音が激しい世の中で、十分に乗務員が昼間でも休養のとれる設備、住宅条件、そういうものがあるならばそれなりに私は考えます。私も満鉄におりました。戦前の満鉄の乗務員の休養室などは百点満点です、四平街とか長春とかハルビンとか。そういう経験をしている我々としては、西明石事件に便乗して深夜の乗務員運転時間をびりびり責めるというのはちょっと酷だと思います。きょうは抽象的に言っておきます。抽象的に言っておきますから、やはり西明石事件に便乗した乗務員を責めることだけは私はやめてもらいたい。乗務員も人間でありますから、人間的につき合ってもらいたい。こんなことをやっていたらどんどん乗務員希望者がなくなるか、あるいは国鉄から夜行列車を全廃する以外にないですよ、私鉄並み私鉄並みと言うんならば。何の苦労があって寝台列車を我々は動かしているんですか。そういうところをやっぱりけじめをきちっとして乗務員を人間らしく扱ってほしいと。乗務員だって悩みがあるんですからね。夫婦げんかした、息子とけんかした。しかし刻々刻々発車時間は迫っている。昼は眠れない。眠れないけれどももう夜中の十時、十一時来る。行かなくちゃいけない。頭の中はその問題でもやもやしたままハンドルを持つ。ソビエトの鉄道は、乗務の二時間前にいわゆる神経テストやるんですよ、脳波検査。脳波検査をやって、脳波が乱れておれば、あなたは乗務を控えて休みなさい、そして脳波がよくなったら次のダイヤに振りかえ乗務しなさいと。そのくらい乗務員の神経ということをやっぱりソビエトは考えていると。そこまでいかなくとも、乗務員を個別管理するんなら、きょうは夫婦げんかなかったか、借金の心配はなかったか、サラ金の心配はなかったかと。酒のにおいをかぐのもいいけれども、そういう家庭環境のことまでやっぱり管理者が乗務員立場になって安心してハンドルを持てる環境、家庭環境、社会環境をつくってやるのがいわゆる運転保安の大事なところじゃないかと、私は自分の経験からそう思うんですよ。ですから、六〇・三のダイヤ改正ではそういうことのないようにひとつ要望をしておきます。これは本来運輸委員会でやるべきですからきょうは要望しておきます。  それから次に、時間が来ましたから、新大臣御苦労さんです。まあ今から二、三年、国鉄問題のけりがっくまで、余り大臣ちょいちょいかわらないでやってもらいたいですね。中曽根さんにもそう言いたいね。せっかく議論していいところまで来ると、大臣ポロポロとかわってまた立派な新大臣がいらっしゃる。それで交通新聞にこういう談話を発表される。  この交通新聞の中身を私はずっと見ました。まあ編集者にもよるだろうし、大臣の真意を伝えているかどうかわかりませんが、この中で私はぴんときたのは一番最後、「国鉄再建問題に関しては、国鉄の幹部とも十分話し合っていきますか。」と、こういうインタビューに対して、運輸大臣、「もちろんです。そのために私自身が国鉄へ出向いていってもよいと考えています。国鉄再建問題というのは、社会保障的な意味」がなければ解決できませんと。現職大臣が「社会保障的な意味」がなければ国鉄解決できませんと言うのは、これは山下大臣、極めて私は広い視野からやっぱり見ている大臣だなといって大いに歓迎したいんです。この「社会保障的な意味」ということは何を言おうとしておったのか。私が午前中に言った国鉄に対する助成措置、あるいは赤字の問題の処理、あるいはローカル線の問題も、民営民営といったって私鉄自身がどんどん廃止されている。その傾向に国鉄が入ったって同じ道を歩むじゃありませんかと。いわゆる社会保障というのは、公共的な政策をより進めるという、私は交通の場合には返ってくると思うんですよ、健康保険じゃありませんからね。運輸政策の場合にはいわゆる公共交通を守る、そのために国が積極的に取り組む、そういうことが私が考える社会保障的と、こう私は思うんでありますが、大臣の社会保障的とはどういうことを言おうとしているのか、新大臣の抱負としてぜひこの一点だけは聞かしてもらいたい。あとは運輸委員会でやります。
  150. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 午前中にもお答えいたしましたように、私も運輸大臣を拝命いたしまして、国鉄の問題についていろいろと関係者から事情を聴取いたしまして、これはもう事は極めて重大であるとみずからにも言い聞かせ、これは相当覚悟を決めてこの問題については当たらなきゃならぬと思っております。特に、十二月一日から始まります通常国会においての重要法案、いろいろございましょうけれども、その中でもこれはもうAランク中のAランクに属する、国鉄問題は大変なことだと私は認識をいたしております。  そこで、その問題で一番今問題になっておりますのが地方線の廃止とか、そういった問題でございますが、そういう点から、今御指摘の記者会見については、私が就任いたしまして一週間足らずの時期でございますから、やや意を尽くさない面はその活字からは受けるかもしれませんが、まあ私が申し上げたいことは、問題は国民の足を確保するということは、これが私は社会福祉あるいは社会保障の一環であるというふうに、私全くそのように理解をいたしております。ただ、それが直ちに国鉄だけが社会保障という点については、私はそのように申し上げたつもりじゃないんでございますが、つまり、もしも国鉄再建によって国民の大切な足に影響を来し、足が奪われるとするならばこれは大変なことだから、他の方法においてでも社会保障としての国民の足はぜひとも確保しなきゃならぬ。それが第三セクターであるかバスであるか、いろいろ方法はあると思いますが、僻地に行けば行くほどいろいろ事情がありますので、これはやはりそういう社会保障的な観点から国民の足の確保ということについては格段と力を入れなきゃならぬ、こういう意味で申し上げたのでございます。
  151. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 わかりました。  時間が来ましたから、最後に地域交通局長、青森の見吉タクシーの解決大変御苦労様でした。何回も何回も御苦労かけまして、その御苦労かけている局長に申しわけないんですが、感謝しながらももう一つお願いするんですが、私はこの前十月の二十四日、佐世保に行ってまいりましてワゴン車による軽自動車の実態調査をしてまいりました。夕方の三時ころ着きまして業界からいろんな苦情をもらいました。時間がないから、長崎全体、九州全体で実車率四三、これに対して佐世保は五十三年からどんどん四〇%割って、現在三五、六、まあ実車率三五、六ではこれはハイヤー、タクシーのおやじなかなか経営に大変だと思うんでありますが、それに加えてこのワゴン車、佐世保が四十七台それから長崎が七台、田平が二台、平戸が一台、諫早が四台、こういうワゴン車のあれがあるということを受けました。  したがって、私も物好きではありませんが、夕方の七時半からずっと夜中の二十五日の一時五分までワゴン車の実態をじっと忍耐強く追跡調査をいたしまして、七台のワゴン車にお目にかかりました。番号も全部、り五五四とか、り五六六、り五六七、り五六七——同じもの二回もあります、り五五四、り五二一、り五六六、全部で七台。眠たい目をこすりながら、一杯飲みたいのも我慢しながらずっと追跡調査しました。この中で、飲み屋のおねえちゃんがハンドバッグを持っただけで乗車したのを現認したのが四台。これは完全にもうハイタク類似行為ですな。それから深夜の二十三時三十分、とまっておるり五二一、り五六六の乗務員の皆さんに心臓強く接近しました。そしたらそのおっさんがいわく、おまえらどこのスパイだと、こう言われました。まさか国会議員のスパイとは言えませんから、いや何か佐世保でワゴン車でうまいことやっておるんで、おれも金もうけをしようと思ってどういう方法がいいのかと思って皆さんのあれを見に来た、なかなかうまくやってるなと。おまえそんなこと言ってスパイだろう、こう言われたが、いやスパイじゃありません、こう言ってやってまいりましたがね。  この実態から見ると、もう公然としているんですよ。これがどんどん浸透すれば本命の方はどんどん実車率下がっていく、これは理の当然じゃありませんか。次の日、陸運局長に言ったら——警察の意見はどうも運輸省の方針がはっきりせぬと。運輸局長に聞くと、どうも本省のあなた、局長がはっきりせぬ、こういうことでみんな責任のなすり合い。これでは困りますから、警察でも何とかしなきゃならぬ、業界も労使を超越して何とかしなきゃならぬ。これは二種免許持ってないですからね、二種免許持ってないでしょう、二種免許持ってないで不特定多数のお客さんを輸送するんですから、交通事故でも起きたらこれだれの責任になるんですか、その賠償も含めて。これは大変な社会問題になりますよ。ですから、早急にこの実態をやって、警察が取り締まれるような条件整備を早急にやっぱりおたくの方でやってもらいたいと思うんです。  それからこの前、十四日、山口労働大臣に会いました。大新東、これは車両運行管理代行社、全国二十二カ所の設備を持っておってやっている、これはもう完全に代行運転に名をかりたハイタク類似行為ですよ。それでこれ、官庁までがこれにかんでいる。どこの官庁か言いませんが、官庁までかんでいる。官庁まで白タク類似行為の請負のお客さんになっておる、こんなこと正々堂々と。さすがの山口大臣もパカッと口あけて、答弁できませんでした。新自由クラブ出身だけれども、東京にそんな会社が横行しているのか、初めて聞きましたと、こう言っておりますから、この大新東、車両運行管理代行社も含めてひとつ早急に、私はもうきょうは時間がありませんから答弁要りません、ぜひこの問題についてこの前も申し上げましたから、早急にやってもらいたいことを要望します。  最後に一つ、二十五日、九州の運輸局に行ったときに奄美の皆さんが陳情に来ていました。これは目黒先生、あなたは何しに来たのと言われ、いやおれもワゴン車で来たんだと、ああそうですか。何だと言ったら、奄美はこうだそうです。軽自動車の営収が三十万、これも調べてください。それからタクシー、認可事業のタクシーの営収が十五万、十五万ですよ。軽貨物の方が三十万で本業が十五万、どんどん本業のハイタクが、聴聞会までやって認可されたハイタクがどんどん営収が少なくて倒産していく。それでやみの方がどんどん膨れ上がって、ほとんどある元気のいい団体の皆さんが運ちゃんですよ。ある団体ですよ、暴力団というと怒られますから。ある団体の元気のいいお兄ちゃんがやっている、こういうのが奄美大島の実態だそうです。これもぜひ救済の手を伸べないと運輸行政はどこにあるんだと、こう言われますよ。  ですから、佐世保、それから大新東、それから奄美、ぜひこの三つを国会で提起したということで御努力をお願いします。警察関係についても協同関係を行えるように、労働大臣も約束しましたから労働省の三者プレーでやってもらうことを要請しまして、以上です。
  152. 服部信吾

    服部信吾君 午前中に引き続きまして御質問をいたします。  初めに、航空行政について若干お伺いしたいと思います。  運輸省は六日の日に、航空三社の活動分野を定めたいわゆる航空憲法による規制を緩和し、早ければ六十二年度に競争促進を柱にした新しい航空行政を打ち出す方針を固めた、このように言っておりますけれども、この航空憲法がつくられました背景と、そしてこの航空憲法についてひとつ詳しく説明していただきたいと思います。
  153. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 航空憲法自体については既に御承知かと思いますので、現時点における問題点だけを私から申し上げたいと思います。  航空憲法は、御承知のとおり四五・四七の閣議了解と大臣通達でございますけれども、それから既に十数年たっておりまして、航空界の実態はかなり変わってきている。しかし、その間の経過の中に何かこれを盾にとったという面もないではございませんし、率直に申し上げて航空三社の一つの甘えの構造というのは私はあると思うんです。それぞれのエゴもございましょう。したがって、私どもはそういう面は今後十分配慮しながらこれに対処してまいらなきゃなりません。しからば、どのように配慮するかというと、あくまで私ども国民の利便という立場に立ってこの航空憲法をどうしていくかという、そういう観点から扱ってまいらなければならぬ、このように思っておる次第でございます。  そこで、今の御質問に対して今申し上げましたように、私としましてはそういう観点から航空憲法というものに対して対処していきたい、かように思っております。
  154. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) ただいま先生から航空憲法の制定の経緯というような点について御質問がございましたが、御承知のように今日航空憲法と言われておりますものは、昭和四十五年十一月の閣議了解、「航空企業の運営体制について」というものを基本的には指しているものでございまして、これをさらに具体化した昭和四十七年七月の「航空企業の運営体制について」という運輸大臣の通達がございます。通常はこの二つを四五・四七と合わせて呼びまして航空憲法としているわけでございますが、これは昭和四十一年に日本航空と国内航空、全日空と東亜航空というものを合併させて、非常にこの両——国内航空、東亜航空が非常に経営が不振で、こういった企業救済というものをしていかないといけないということでございまして、その後この方針に沿ってこの両社の合併をそれぞれ進めていこうとしていたのですが、国内航空と東亜はそれぞれが合併して第三の航空企業をつくるというようなことになってまいりました。ここで、この方針を受けまして、そのことを是としながら第三の航空会社をどうやって育成するかということになりまして、ここで航空企業の基本的な体制をどうしようかということを考えたわけで、そこでこの航空企業の運営体制では、航空企業内容の充実強化を図る、そして航空の安全性を確立する、それからさらに将来の発展のために航空機のジェット化、大型化を推進すると、こういうことを基本にしてつくられたわけでございます。その後、いわゆる航空憲法として、これらの日本航空、全日空、東亜国内航空という三社の体制の間の具体的な調整の方針をこの中でつくってきたわけで、今日に至っているわけですが、今日これらの航空企業の運営体制についての外部からのいろいろな御批判もございます。その御批判のポイントは、三社のシェアが固定化している、そのことによって企業の創意工夫、いろんな企業努力というものが一般の利用者にはね返ってこない、そういう点は何とかならないかというのが基本的な御批判だろうと思いますし、航空三社はそれぞれに自分たちの現状のシェアを何ほどかに広げたいということの御希望もある。そういうものが一緒になりまして、現在の体制は何とかならないだろうかという要望が出ているものだと理解しております。
  155. 服部信吾

    服部信吾君 ただいま大臣の御答弁によりまして、航空憲法を見直していくと、こういう御決意であると私も理解いたします。  そこで、それではどういう形で今後この航空憲法を見直していくか、こういうタイムスケジュール的なものもお伺いしたい。  それから、ことしの十一月ですか、航空行政政策研究会、こういうものを省内に設置したようでありますけれども、この航空行政政策研究会、これの目的と、これなんかもやっぱりこの航空憲法を変えていくための研究会と見ていいのか、この点についてお伺いしておきます。
  156. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 大臣からこれからの航空政策の検討の方向を申し上げたわけですが、具体的なスケジュールとなりますと、必ずしも今すぐはっきり申し上げるわけにはいかないんですが、ただ、一つのめどといたしまして、昭和六十七年度末までに関西国際空港の第一期工事を完成するということがございます。そしてそれより前に、六十三年には羽田の沖合展開の第一期工事ができます。羽田の沖合展開はそれに引き続きまして二期一三期と続けてまいりますので、大体六十七、八年ごろには関西も関東もかなり空港の容量がふえてくるということでございます。一般的には航空の企業の運営体制の見直しのやはり根幹は、できるだけ航空会社が創意工夫をし、いいサービスをできるように、利用者の要望にこたえられるようにということでございますから、何よりも飛行の便をふやすということ、ふやす可能性があるということが大前提になります。そうしますと、この時期まではなかなか航空企業のいろんな枠組みを緩めるというわけにはいかないんで、逆に申しますと、この時期を目指していろんな運営体制考えていくということになるわけでございます。そのための政府側の検討は審議会にもお諮りする必要がありますし、その前に政府側も十分勉強しておくということにもなろうかと思いますので、六十年代の遅くない時期までにそういった方向を出していくということになるわけでございます。  ところで、ただいまお話がありました航空行政政策研究会でございますが、航空行政政策研究会というのは航空局の中にこれを設けましたが、この研究会はこういった航空企業の運営体制あり方を研究することもございますが、それだけではなくて、現在の航空法という法律が航空のいろいろな諸規制を定めております。これは事業の運営に対してだけではない、飛行のいろいろなシステム、管制というようなものまで技術的な諸制度を含んでおりますが、こういったものの中で許認可その他検査、登録といった諸制度がございますが、こういったものもひとつ全面的に行政の能率化という見地から検討していきたいと考えておりますし、さらに最近のコミューターという問題が一つ出てまいります。コミューター航空という小型機を利用した新たな航空輸送というものの展開をも図っていきたい。こういったこともこれからの航空行政の課題でございます。さらには、六十一年度から第五次空港整備五カ年計画が始まりますが、その第五次空港整備五カ年計画にどのような方向で対処していくか、こういった問題も今から鋭意検討していく必要がございます。さらには長期の問題になりますが、乗員養成のあり方というようなことも問題になっておりますので、こういったこともあわせて研究し、長期の航空行政のいろいろな政策課題を検討していこうということで発足したもので、これらの問題ごとにワーキンググループを設けまして、部内で定期的にどんどん勉強するという制度、仕組みをとっております。
  157. 服部信吾

    服部信吾君 航空憲法の改正は、要するに羽田沖のそういう構想が、構想と申しますか、これがある程度はっきりして、遅くとも六十七年までと、こういうことでいいわけですね、この改正は。
  158. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) そういった空港の能力アップという状態を目指して、制度の勉強をしていきたいということであります。
  159. 服部信吾

    服部信吾君 ちょっと少し具体的にお伺いしたいんですけれども、例の航空行政の見直しというものの発端になったのが、要するに全日空のハワイチャーター便乗り入れ許可、これが非常にこの航空行政見直しの発端ということでありますけれども、今までは全日空はハワイチャーター便までは許可してなかったのを今回なぜ許可したのか、この点についてお伺いしておきます。
  160. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) この航空憲法の中には、全日空の事業分野として近距離のチャーター便ということが入っております。しからば一体近距離のカテゴリーというのはどういうことかというと、これは非常に難しい問題、議論が分かれるところだろうと思いますが、少なくとも従来ジャカルタまで全日空がチャーター便を飛ばしている。ジャカルタまでの距離が五千八百キロでございまして、今回のハワイは六千百キロでございますから、わずか三百キロの違いでございますから、この程度は近距離としていいのかなという、私どもはそういう解釈をいたして認可に踏み切ったと、こういうことでございます。
  161. 服部信吾

    服部信吾君 これが一つの何か見直しの発端だと、こういうことで、余り運輸省もこの航空三社のそういうものに巻き込まれたらまずいんじゃないかと思います。  そこでもう一つ、前の細田運輸大臣も御答弁をされているんですけれども成田空港について地元では、国内線として利用できない、こういう不満が大変出ておりまして、成田市議会では、この国内の空港を経由する国際線について、国内区間の空席が利用できるように意見書が採択されておる。細田前運輸大臣も成田の国内線拡充に積極的な発言をしているわけでありますけれども、これは運輸大臣も同じですか。
  162. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) いわゆるフィル・アップ・ライトの問題でございますけれども、現在日本航空としてなし得るフィルアップは、例えば成田利用においては、成田から大阪あるいは成田から福岡、さらに成田から札幌ということは現在いつでも可能でございます。しからば、今具体的におっしゃいましたから具体的に一つの例をとって申し上げますと、成田から鹿児島ということになりますと、国内と国際のこれは混乗でございます。これは香港に行く便だと思いますから。したがって、鹿児島の空港のいろんな検疫その他の整備の問題等もございますし、これはやはり慎重にかからなければならぬということが現状でございます。  同時にまた、ローカル線におきましてのフィルアップにつきましても、これはやはり例えば成田−鹿児島という問題になりますと、鹿児島は幹線というカテゴリーに入りませんので、直接これは航空憲法に触れてくるというようなことでございますから、これはやっぱり慎重に扱わなきゃならぬ、このように理解をいたしております。
  163. 服部信吾

    服部信吾君 何かそういう、例えば国際線を使って大阪まで行く、あるいは鹿児島まで行く、その間に空席がある、そういうときにそれを利用さしてもらいたい、こういうような要望でありますけれども、これについてはどうですか。
  164. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 今申し上げたとおりでございまして、混乗という、国際線と国内線のお客さんが一緒に乗るというところに問題があって、もう一つは、やっぱり従来からのその区間におげる一つの権利と申しましょうか、三社それぞれバランスをとりながら憲法には定められてあるわけでございますから、当然そこまであわせて今後審議していかなきゃならぬと思っております。
  165. 服部信吾

    服部信吾君 要するにこれは工夫の問題、混乗ということは例えば国際線に国内の方を一緒に乗っけた場合、その人は大阪でおりるとかあるいは鹿児島でおりる、その飛行機は香港へ行くとかどこかへ行く、だからこれ乗っけられない何か理由があるんですかね。それは何かもう少し工夫すれば、せっかくあいているんですから、その辺はどうでしょうか。
  166. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 理由につきましては大臣から申し上げたとおりなんですが、まず一つは、いろいろな成田−大阪あるいは成田−福岡、成田−札幌というようなところも幹線でございます。しかし、こういう緯線の場合でも国際客と国内の客が一緒に乗りますと、これは特に通関の関係で、国内の旅客に対して全部もう一回通関をやるというようなシステムをどうしてもとらざるを得なくなってくる。実際にそういうことが国内の利用客との関係でやれるかどうかというような問題があるわけでございます。そして、加えて先ほど申し上げましたように、成田−鹿児島というような問題になりますと、実際にこれは国内線の立場から見ますと、幹線以外を日本航空がやるということになりますので、これまでの問題と非常に厄介に絡んでくるということでございます。  まず、技術的に一体フィルアップというのがどのようにできるのか。これは成田−大阪とか、成田−福岡とか問題のない区間についてまず研究してみる必要があるんですが、実はまだ具体的にそういった路線についてフィルアップの申し入れというのはございませんし、具体的にどんなふうにすればそういうことが、一般の利用客にも御迷惑をおかけしないで、また国際線の、客にももう一度御迷惑をおかけする、国際線の客が二回通関するようなことになってもこれまた申しわけないんで、一体どうしたらいいかなと。最終の鹿児島で一回だけ通関するという方法もあるんですが、それでは結局その便全部鹿児島でおろして、じっくり時間かけて、また飛んでいくということで、これまた非常な御迷惑になる、いろんな難点がございまして、じゃ、どうやるかということについて結論が出ていない状況です。一見、非常に成田−鹿児島はもったいないというのもわかるんですが、そういう問題もございます。  加えて申し上げれば、やはり私ども成田という空港を千葉という地元のためにも活用したい、国際線の利用に支障のない範囲ではぜひそういう活用の方向で考えたいんですが、残念ながら今のところ各航空会社からは積極的な活用というアイデアが出てこないということなんで、フィル・アップ・ライトに限らない、もっと成田をひとつ地元のためにというようにも考えております。そこら辺はこれから航空業界と一緒に研究していきたいと考えております。
  167. 服部信吾

    服部信吾君 先ほど大臣からもお話がありましたけれども、どうかひとつ航空憲法改正に当たっては国民サイドに立ってやっていただきたい、このように要望しておきます。  次に総務庁の方からちょっとお伺いしたいんですけれども、「航空行政監察結果」が出たようでありますけれども、その点についてひとつ説明していただきたいと思います。
  168. 北村圀夫

    説明員(北村圀夫君) お答えします。  御承知のように我が国の航空につきましては、利用者数の増大等に伴いまして国民生活に密着した交通機関として重要な役割を果たしているのでありますが、空域使用、航空機の運航、空港の整備等について必ずしも安全で効率的になっておらない、あるいは利用者サービスの確保対策も十分なものとはなっていない面が見られるので、その改善に資するためにこの監察を実施したものでございます。  勧告の概要についてでございますが、大きく分けまして四つの柱がございます。  一つは「航空交通の安全確保の徹底」の問題であり、二つには「空港整備の効率化及び管制業務等の合理化」の問題、三つには「利用者サービスの改善」の問題、最後に日航の「業務運営の効率化」、以上大きい四つの項目について勧告いたしておるわけでございます。
  169. 服部信吾

    服部信吾君 これらの総務庁の指摘につきまして、運輸省としてはどのようにお考えですか。
  170. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 総務庁からの監察をいただきまして、運輸省として今監察をいただきました各事項について個別に一つ一つ検討しておりまして、この三月までにその結論をまとめまして、一応運輸省としてこんな措置をとりたいということを総務庁の方に御返事をするということにしております。
  171. 服部信吾

    服部信吾君 その指摘の中でひとつ具体的にお伺いしたいんですけれども、総務庁に、訓練空域以外の空域でも訓練実施をしていた こういうことが指摘をされておりますけれども、もう少しこれを詳しく御説明を願いたい。
  172. 北村圀夫

    説明員(北村圀夫君) お答えいたします。訓練空域は、御承知のように昭和四十六年の七月に発生いたしました定期旅客機と自衛隊機との空中衝突事故を契機といたしまして、航空交通の安全確保を図るため設定されているものでございます。現在、民間ジェット機が使用できる試験訓練空域は 那覇から三百キロメートル離れました下地島周辺に二カ所設定されております。  今回指摘いたしました事例は、定期航空機会社葉訓練議員の空域・具体鯉は覇の南東九十キロメートルの場所でございますが、におきまして訓練をしていることが当庁の調査の結果判明したものでございます。この空域の周辺には航空路が設定されているほか、米軍の訓練空域も設定されていることなどから、航空交通の安全を確保する上で問題があると思われますので、訓練飛行は原則として訓練空域で行うよう航空機会社に対する運輸省の指導を強めるように勧告したものであります。
  173. 服部信吾

    服部信吾君 この指摘に対しては運輸省としてはどのようにお考えですか。
  174. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 民間航空機の訓練試験の飛行につきましては、原則といたしまして民間航空機のための訓練空域というものを一応全国に設けております。ただ、沖縄方面につきましても訓練空域、特に下地島を中心にやっておるわけですが、その場合に、非常に今回御指摘を受けた空域を利用していた航空会社が基地から遠いということがありまして、勧告に盛られました空域で練習をしていたということなんですが、実はこの練習に当たりましては、嘉手納の管制所と十分連絡調整の上、そして嘉手納の管制所のレーダーの監視のもとに、この空域は航空路に挟まれておりますが、一般的にはいろんな飛行機が飛んでこないという空域なので、そういった監視のもとにやるということで練習をさせていたわけでございます。  ただ、実際に問題がありましたのは、若干このレーダーの監視空域からわきへ出てしまうということが、そういう例があったように聞いております。そういった点が現実のやはり問題にもなります。それから、基本的にはやはり訓練空域として 安全に設定できた空域で積極的にやるようにすべきですし、また現在の空域が航空路に近接している、あるいは将来またこの空域は航空路そのものの設定をいろいろと合理的に変えようとしている空域でもございます。したがいまして、そういったこれからの空域の設定の仕方との関連も考慮しながら、この空域でどんなふうな訓練が安全にできるか、ひとつ至急に検討して結論を出したいというように考えております。
  175. 服部信吾

    服部信吾君 ちょっと意味がよくわからないんですけれども、この訓練空域を設定したのはこれはいつごろ設定したんですか。それで、もしこの訓練を訓練空域以外で実際にやっていると、こういうことなんでしょう。この場合には何か運輸省の罰則規定とかそういうものがあるのか。何となく今のでいくと認めちゃったんじゃないのかという感じなんです。  それで、もう一つお伺いしたのは、運輸省としても、じゃ、この指定した訓練空域というのはこれはもう変えてもいいんだと、こういう考えですか。
  176. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 御説明が若干不十分だったので申しわけなかったんですが、訓練空域というのは、実際に航空路と調整をしながらこの空域なら一応安全だというものを考えて一応指定をしております。しかし、それは実際のやり方としますと、操縦訓練の計画を出して許可を求めてくるときに、会社の方でこの空域でやりたいということを言って会社の計画の中に入れてやってくるわけです。今回の訓練空域外の場合にもこの空域でやりたいということで運輸省側に許可を求めてきているわけで、その際に、それでは那覇の管制所のレーダーで見られる空域ですから、那覇の管制所の援助を受けながら、そして危険なものが入ってくれば直ちに練習をやめるというような安全性を担保するシステムをつくりながらやってきたわけでございます。  ただ、一般的には、先ほど申し上げましたように、そういうレーダーの援助を受けないでも安全にやれるような空域でやってもらいたいというのが基本でございます。そういう意味で、今後この付近の空域をまた整理し直す時期にも来ていますので、そういったことと関連づけながら安全な仕組みを考えたいと、こういうことでございます。
  177. 服部信吾

    服部信吾君 罰則規定は何かそういうことで、じゃ大体認めていたと、黙認していたと、こういうことですね。じゃ、そういうことで早急に直すということですか。
  178. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 黙認したというのではなくて、積極的にそれはレーダーでやるもよし安全な空域でやるもよしということで認めてきたわけで、黙認したということではございません。積極的に管制所が援助しながら練習をさせていたということでございます。ただ、そういうやり方で付近に航空路もあることですから、別の空域でやれればそれにこしたことはないということで申し上げたわけでございます。したがって、今後どのような安全な、さらに安全な措置がとれるかどうかもう少し検討したいという趣旨でございます。
  179. 服部信吾

    服部信吾君 ちょっと、どうなんですか、この訓練空域を指定されていて訓練空域以外で練習していたと、いろいろ嘉手納との連絡、レーダー云云言っておりますけれどもね、大体どのくらいあるんですか、この実態。これについてちょっと。
  180. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) どの程度の頻度でやっているかをちょっと今資料を持っておりませんが、こういった仕組みでレーダーの援助のもとに訓練をしているところはここだけでございます。しかも、先ほど監察局から言われましたうち二社ここで練習をしていたんですが、一社はもはややめております。あと一社だけが、そう機数の多くないところでございますが、やっているというところで、ほかにコンバートできるかどうか、そういうようなことも含めて検討している次第でございます。
  181. 服部信吾

    服部信吾君 何か全然やってないみたいなことを言っておりますけれども、これは五十八年度、ここに出ているとおりですわ。B航空としては二十回、C航空としては二百十四回、合計二百三十四回と、五十八年の訓練回数ですけれどもね。こういう形でやっているわけですけれども、じゃ運輸省としてはこの総務庁の指摘は認められますね。これは総務庁としては大変危険だからやめるべきだというような指摘だと思いますけれども、これは認めますか。
  182. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 一般的なレーダー監視でやるということがベストでないということはあるんですが、実際に総務庁で御指摘になったような危険度の問題については、これからもう少し検討さしていただきたいと考えております。現在、直ちに危険であるというふうには思っておりませんが、より安全な方法があるだろうということは十分考えていきたいと思っているわけです。
  183. 服部信吾

    服部信吾君 総務庁、今こういう御答弁ですけれども、どうですか。
  184. 北村圀夫

    説明員(北村圀夫君) 先ほどもお答えいたしましたように、原則として、設定されました訓練空域で訓練を行うべきものだと、その方がより安全性が担保されるものだろうと思います。ただ、今設定されております訓練空域あるいはまた訓練空域外でやっております場所等の、先ほども航空局長からお話ございましたように、その置かれております状況の中でより安全性を高めるための改善措置がとられることを期待しております。
  185. 服部信吾

    服部信吾君 いずれにしても、運輸省で決めた訓練空域というものがあって、そこで今言った経済的な理由でそんなに危険ではないと言いながらも、やはりやっているということは、これはやっぱり我々としても納得いかないと思います。そういうことで早急にこれは改善していただきたい、このように思いますけれども、どうですか。
  186. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) できるだけ安全な方法を速やかに検討してまいりたいと思います。
  187. 服部信吾

    服部信吾君 大臣、どう思いますか。
  188. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 局長から御答弁申し上げたとおりでございます。  問題は、やはり不安を与えるかどうかという認識だと思いますから、やはり不安を与えるようなことは避けてもらいたいと、このように思っております。
  189. 服部信吾

    服部信吾君 次に、関西新空港について若干お伺いいたします。  最初運輸大臣にお伺いしたいんですけれども、新会社の初仕事、これはいよいよ来年から始まるわけですけれども関係漁業者に対する補償問題、これは大変大きな問題であると思います。また、海上を埋め立てるわけですから、環境の問題あるいは前島構想問題等々いろいろありますけれども、大変国民もこの新空港の完成には期待をしておる、こう思いますので、大臣にひとつ関西新空港に取り臨む御決意をお伺いしておきます。
  190. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 当初、関西新空港の完成の予定は六十七年度末ということになっておりましたけれども、その後六十七年度の早い時期というふうに私ども認識を改めておりまして、そのように今関係方面に要望してまいりたいと思っております、会社等にも。これはやっぱりある意味においては新東京国際空港よりも重要な、また役割も持っている。それは二十四時間使えるという日本でただ一つの空港でございますから、これは私はやっぱり一日も早く使わしていただくような施設の建設が望ましいと、このように考えております。  そのためには、今御指摘がございましたように、まず前の段階でやらなきゃならぬことがたくさんございまして、アクセスの問題、漁業補償の問題等がございますから、これは会社等を、新しい関西空港株式会社等を督励いたしまして、また私どもでできることは十分御協力を申し上げて、これらの問題の速やかなる解決を望みたい。特にアクセスにつきましては、これはもう新東京国際空港等の例もございますので、そこらあたりのことも十分私ども承知いたしておりますから、これは早目早目に手を打ってまいりたいと思っております。
  191. 服部信吾

    服部信吾君 次に新会社の出資金等についてお伺いしたいんですけれども、関西国際空港株式会社の資本金が一千二百億と、国が八百億、残りの四百億を地元自治体と民間それぞれが二百億ずつ出資すると、このようになっているわけでありますけれども民間からいろいろ募集をしたところ大変、何というんですかね、希望があって、それをオーバーしたと、そういうことなんですけれども、オーバーしたことはオーバーしたで大変いいなということもあるし、それだけ関西新空港フィーバーがあるのかなと、このようにも思うわけですけれども、この辺についてちょっとひとつお伺いしておきます。
  192. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) おっしゃるとおりでございまして、千二百億に対して当初政府が八百億、それから民間が二百億と地方公共団体が二百億という割り振りでもって発足いたしたいというふうに一応原案をつくってやったわけでございますが、今お話しのとおり民間から非常な熱意がございまして八百五社、しかも四百八十億という当初の予定をもう二倍以上という非常な御熱意があるわけでございます。ただ問題は、やはり政府が半分以上持つという大前提がございますので、ここらあたりの調整をどうするか、ぎりぎりの、フィフティー・フィフティーのところまで政府が譲るべきかどうかという一つの問題。それからもう一つは、今度は先ほど申し上げました二百億、二百億という民間とそれから地方公共団体とのバランスの問題がございますので、そこらあたりをどうするか。あるいはまた払い込み方法によって地方公共団体が同様の、民間の熱意と同じようなレベルでもって——地方公共団体というのはいろいろと議会もございますし、いろいろまた手順もございますから、同じようにそこらあたりが運べるかどうかということも、これらの団体の方々に十分御意見を承った上でこれから調整していくべき問題であると。ただ、民間活力を導入するということについては、私どもも積極的に熱意をもってこれにこたえたいという気持ちは持っておるわけでございます。
  193. 服部信吾

    服部信吾君 大変そういうことで民間から希望があったと。そこで募集方法ですけれども、これはどういう形でなされたのか。それで全部で八百五社ですか、こういう形になってありますけれども、これ以上もっと希望はあったんですか、それともこれが全部で、希望したところ全部こういう形でやったのか、少しは切ったのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  194. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 八百五社という数字は、これは会社ができる前に関西国際空港出資促進委員会と関経連、大阪商工会議所あるいは経団連というような経済団体が寄り集まりましてこういった委員会をつくりましたんですが、そこが一般に呼びかけて、当初は二百億という民間の負担分もなかなか見込みがつかないんじゃないかといって危惧されていたところ、これだけの金額が出てきた、また応募の社数もこれだけに上ったということですが、実際にその調整の過程でどんなふうにされたかは、これは余り詳しくは聞いておりません。促進委員会がこういうふうにまとめたということでございます。ただ、そのほかに私どもがばらばらに、まだもっと出したいというような御希望があるということは個別には聞いております。ただ、促進委員会との関係でどんなふうにそこの関係がされたかはよくわかりませんが、促進委員会段階では各業界ごとにいろいろなとりまとめをなさったというふうに聞いておりますので、そこの段階でどんなふうになったかちょっとつまびらかにできないわけでございます。
  195. 服部信吾

    服部信吾君 それで、その応募された業界の中で、まあいろいろ建設業界だとかあるいは鉄鋼だ電線だベアリング、いろいろありますけれども、八百五社ですか、その中で一番多い業界というのはどんな業界なのか。それから、その中で出資金の一番多い業界はどこなのか。大体それは四百億の中でどのくらいか。この点について。
  196. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) まあ業界の分け方というのが非常にこれまた分類の仕方でいろいろ違うわけですが、一応八百五社のうち製造業が三百一社で、その出資希望額が百四十八億と、これが一番多いわけでございます。そうして、一社当たりの出資額で一番大きいのは五億というようになっております。
  197. 服部信吾

    服部信吾君 もう少し細かくできないの。これはちゃんとここに出ているよ、すごく細かいのが。鉄鋼だ、電線だ、産業工作機械、ベアリングだというようなことで全部出ておりまして、金額が幾らでどうなっている、ちゃんと全部出ているわけですよ。じゃあ、こちら挙げますとね、そちらにないはずがないと思いますけれども、例えば建設業界ですね、これが要するに八百五社の中でこれは百七社ですよ。これが一番多いんですね。二番目には商社とか卸売で五十五と、要するに業界の中でいろいろこうやっているところがですね。まあ建設業界の中でいろいろ割り当てを受けたとかなんとかということで 金額的には八十七億、これが出ているわけですね。四百数十億の中で八十七億。大変建設業界が多いと、こういうことなんです。これはどうですか。
  198. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 非常に業種を細目別にいたしますと、おっしゃるように、建設業界が百七社で八十七億という出資希望をされております。
  199. 服部信吾

    服部信吾君 それでいいんですよ。  それで、ここで見ますとね、それぞれの会社に割り当てているわけですね、これ。依頼先承諾何というんですか、それが中には備考と書いてあるんですね、これ。依頼額と備考と、これはどういうふうになっているんですか、これは。
  200. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) ちょっと備考と言われるのがどこを指しておられるのかよくわからないものですから、申しわけありません。
  201. 服部信吾

    服部信吾君 八ページのベアリング業界ですな、これは。
  202. 西村康雄

    説明員(西村康雄君) 関西の出資促進委員会がお取りまとめになったリストでございますので、ちょっと私どももそこまで精査しておりません。これは、このリストは促進委員会から新しい会社へ渡されたものでございます。
  203. 服部信吾

    服部信吾君 それは、やっぱり監督官庁として、そんなことで通るものじゃないと思いますけれどもね。これは早急に調べて、そうしてまあ説明をしていただきたい、このように思います。要望しておきます。  要するに一般国民が心配していることは、やっぱりこの建設業界が非常に多いと、これだけの大プロジェクトだと、そういうことでこの出資金の大きさによって、何というんですかね、受注の問題とか、そういう問題を大変心配したところがあるわけですよ。まあ中の従業員の方たち見てみましても大変民間が少ないとか、もうお役人とかほとんどそういう形になっていて、実際の民間人は一人しかいない。参議院とか衆議院の附帯決議では、民間の活力を導入しなさい、こういうようなことも非常に言われているわけですね。そういうことで、国民の中からも大変まあ期待と同時に、そういう問題を心配する面があるわけです。そういうことでちょっと細かいこと聞いてみたんですけれども、どうかひとつこれ先ほど言ったようなこと、まだ随分あるんですけれども、資料がないようですので私の方から質問しません。そういうことでできる限りこれについてはよく調べてみていただきたい、このように思います。  それから、次の質問ですけれども、地方公共団体からの土地及び建物の無償借り上げのこういうものがあって、この状況ですね。要するに運輸省がいろいろなところの地方公共団体に対してその土地を無償で借りている、こういうことが随分あるわけですけれども、これについて実態をちょっと述べていただきたい。
  204. 永光洋一

    説明員(永光洋一君) 地方公共団体から土地あるいは建物を無償で借り上げておる状況というお話であります。五十八年度末現在で三百三十六件ございます。一応この内訳としまして、最も多いものがいわゆる航路標識、灯台、気象観測所あるいは地震、火山観測所等のいわゆる観測施設等が二百七十九ございまして、その他が事務所、詰所、宿舎というようなものが残りでございます。
  205. 服部信吾

    服部信吾君 それで、普通我々例えば電柱だとか、電電公社が電柱をいろいろやるとか、地方公共団体に借りれば全部金を払っているわけですね。無償で借り上げているということについてはどのようにお考えですか。
  206. 永光洋一

    説明員(永光洋一君) 今申し上げましたように、無償で借り上げておりますものは、多くは今のような地元の安全の問題とか、あるいは災害防止に関するような施設というのが主なものなんでございますが、これいろいろ、最近はございませんですが、三十年来、四十年来のものが多うございます。恐らくそういう施設をつくりますときに地元と話し合い、あるいは地元の要請等もありという経緯もあったでしょうし、あるいはまた、例えば灯台なんかは岬の突端等でほとんど地価も評価できにくいというような経緯もあったと、いろいろあると思います。しかし、基本的に申せばそういう地元の要請なり話し合いがあったにしましても、我々としても今後はこういうものにつきましてはやはり慎重な、その場合、ケースに応じて対応すべきものではないかと、こういうふうに考えております。
  207. 服部信吾

    服部信吾君 それで、自治省来ていらっしゃると思いますけれども、この地方財政再建促進特別措置法、この第二十四条の一項、二項において、要するにこれは寄附行為に当たるということで、こういうことがあってはならぬと、こういう法律があると思うんですけれども、この法律からいって、要するに国が地方公共団体、そういうところから無償で借りる、借り上げることについてこの法律ではどのようにお考えですか。
  208. 平林忠正

    説明員(平林忠正君) ただいまお話しのとおり、地方財政再建促進特別措置法におきまして  「寄附金、法律又は政令の規定に基かない負担金その他これらに類するものを支出してはならない。」という規定があるわけでございます。土地の無償提供につきましては、明文で書かれてございませんけれども、実質におきましてやはり寄附的、な性格を持つものというふうに考えておりますので、したがって、そういうような形のものも無償で提供するということについては適切なものと言いがたいというふうに考えております。
  209. 服部信吾

    服部信吾君 ただいまの御指摘についてどのようにお考えですか。
  210. 永光洋一

    説明員(永光洋一君) 先ほど申しましたように、最近におきましての事例はないんでありますが、過去においてそういう経緯がありまして、先ほど申しましたような件数がございますが、やはり今後既設のものにつきましては、予算上の制約もありますけども、必要なものにつきましては逐次有償化に努力していくということにいたしたいと思っておりますし、五十六年度からの経緯を見ましても、余り立派な数字ではないかもしれませんが、五十六年度で三百六十一件ございましたんですが、逐年十件から十五件ほどずつ有償化なり返還をいたしまして、逐次減らしておりまして、今後とも逐次有償化に努力してまいりたいと、かように考えております。
  211. 服部信吾

    服部信吾君 一応国ということですから、これは一つの筋論としてやはりそういう形でひとつやっていただきたいと、このように思います。  総務庁、恐らくこういうのは、今運輸省だけで見ただけでも、小さい大きいはありますけれども三百三十六件、大変大きなあれがあるわけです。そういうことで全省庁においてもこういうのをひとつ調査をしていただいて、法的にはおかしいんですから、運輸省だけではなくて、よその省庁にもあると思いますけれども、その辺ひとつ調査していただけませんか。
  212. 北村圀夫

    説明員(北村圀夫君) ただいま先生指摘の土地や建物の地方公共団体からの無償借り上げにつきましては、先ほどもお話しございましたように、借り上げ当時におきます地元の要望等種々の事情があったものと考えております。その後、運輸省サイドにおきましても逐次有償化を進めるなどの対策がとられつつあるところから、当面はその推移につきまして注意してまいりたいと、このように存じます。
  213. 服部信吾

    服部信吾君 最後に大園にお伺いしたいんですけども、先ほどは関西新空港について何となくしり切れトンボみたいなんですけれども、先ほど言った件についてもう少し前向きの姿勢で取り組んでもらいたいと、このように思いますけれども、大臣のひとつ決意をお願いしまして、私の質問を終わります。
  214. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど申し上げましたように、関西空港は二十四時間使用できるという点においては、新東京国際空港よりも今申し上げた面において非常に意義を持っておるということから、これが完成には私は最大の努力を払ってまいりたい。これも先ほど申し上げましたとおり、当初六十七年度末とあったものを六十七年度中ということに修正されておりますのも、私どもその熱意を持ってこれに対処していく一つのあらわれであると、このように御理解をいただきたいと思います。  なお、先ほどからいろいろ御議論いただきました、何分一兆円近くの金を要する大事業でございますから、民間活力も十分ひとつ吸収しながらやっていきたい。先ほどから業種別にいろいろ御指摘ございましたけれども、これは関西経済連合会とか権威ある団体によっていろいろとお世話をいただいておる、したがって公正妥当な配分等によって行われておると私は信じておりますし、またこれがいろいろと造成の段階における事業につきましても、公正妥当な方法によって私は工事が発注されるものと期待をいたしておりますから、そこらあたりも十分意を払いながら一日も早い完成を私は祈念して、そのようにまた部下を督励し、私自身もまた努力をしてまいりたいと、かように思っておる次第でございます。
  215. 安武洋子

    ○安武洋子君 まず、大臣にお伺いをいたします。  大臣はこのたび新閣僚として抱負をあちらこちらで語っておられますが、その中で、私拝見いたしますと、大臣の言葉として、私自身が国鉄の分割民営化に反対していた立場なので頭の切りかえができないというのが実態ですというふうなことをおっしゃっておりますし、また、大臣に就任する日の朝だが、地元佐賀県の松浦線存続の決起集会で私はテーブルをたたいて賛成演説をしていたと、ところがその夜には一転して廃止を推進するポスト、戸惑っているし、正直言って自信も持てないと、このように率直にお話しになっていらっしゃいます。  そこで、大臣は従来から分割民営化については反対の立場、地方交通線の廃止についても反対の立場に立ってこられたということでございますが、私はこの従来の政治姿勢をぜひ大臣になられても貫いていただきたい、こう思いますが、いかがでございましょうか。
  216. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 分割民営に私が頭から反対したという記事をもしごらんになったとすれば、私はちょっとそんなことを言った記憶ないんでございますが、いずれにいたしましても今御指摘がございましたように、当日の朝、松浦線の問題について私は陳情する立場から反対の意見を申し上げたのはこれは事実でございます。私は、全国でたくさんの廃止路線が内定をいたしておりまして、それぞれよって立っている政治的な立場の方方もやはり地元の強い陳情に動かされて、無理だなと思いながらも要請という形においてそういう発言があることは、私はこれは当然かと思っております。ただ私は、大臣になりまして攻守ところを変えると申しましょうか、これはみずからの責任において対処するという立場に立ったときに、やはり国益ということを優先的に考えていくべきだなあと決意を新たに今いたした次第でございます。  基本的な考え方は、臨調の線に沿って、中曽根内閣というものはこの臨調の答申を尊重するという建前をとっておりますし、この臨調の答申の中にはこの民営分割というものがちゃんとうたってございますし、その線に沿って国鉄再建監理委員会というものが発足をし、作業を進めているわけでございますから、私どもといたしましては当然この線に沿って協力するという立場にあることは私はこれはもう当然であると、かように考え、そういう立場から今後これを見守ってまいりたいと思っております。
  217. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、大臣であろうとも一政治家という立場があろうと思います。政治家である限りは自分の信念を貫いていくということで、大田になられたからということでその立場上信念を変更するというふうなことはあってはならない、国民のやはり要求の立場に立って、地元民の立場に立って私はこの松浦線の反対でもテーブルをたたいてなさったんであろうと、国民の要求から離れた行政というものはあり得ないということで、私はやはり大臣としてもその初心を貫いていただきたいということを特に御要望申し上げておきます。  そして私は、それから続けて御質問を申し上げていきますけれども、十一月の十五日でございます、六〇・三のダイヤ改正に伴いまして業務体制の変更を柱といたしました一連の合理化案が提出をされております。六〇・三のダイヤ改正と合理化案の基本的な考え方についてお伺いをいたしたいわけでございますが、これはどういうことでこういうことを提案なさったんでしょうか、その基本的な考え方をお伺いいたします。
  218. 太田知行

    説明員太田知行君) 六〇・三ダイヤ改正に関連する合理化約一万五千名を計画しております。それはいわばダイヤ改正と申しますのは国鉄の生産システムを変えるわけでございますし、今回は新幹線を中心に画期的なシステムチェンジをやるわけでございますし、また貨物も五九・二ダィや改正に引き続きます見直し、手直しというのもあるわけでございます。相当広範囲でございまして、その際に、生産システムを変えるその機会に効率化、能率化もあわせて実施するというのが今一番現実的で実効性の高いことでございます心各般にわたりまして検討いたしまして、細かい作業を全部積み上げた結果として一万五千名の計画を立てている次第でございます。
  219. 安武洋子

    ○安武洋子君 人員を削減していくということだけが効率化、能率化ということなんでしょうか。内容的に見てみますと、乗客の利便、安全、こういうものが本当に犠牲にされております。無理に国鉄労働者からは仕事を奪い取るというふうなことで定員を削減するというふうな中身になっております。そして、それを余剰人員と称しているわけですけれども国民労働者を犠牲にしている、こういうひどい内容であるということなんです。一体この提示をなさっておられます国鉄全体として生み出そうとしている減員というのは今申されました一万五千名と、こういうことなんでしょうか。
  220. 太田知行

    説明員太田知行君) 一万五千名そのとおりでございますけれども、ちょっと合理化と実員の扱い方の関係につきまして御説明を申し上げたいと存ずるのでございますけれども、一万五千名と申しましたのは仕事をやるシステムの見直しでございます。つまり、国鉄全体の仕事をするにつきまして少なくとも今の体制よりは一万五千名減らした数でもって仕事をし得ると、また逆に言えばそういうシステムをつくり直すというのがダイヤ改正に伴うこの効率化の持っている意味でございまして、一方実員がいるわけでございますので、この実員の扱いにつきましてはこれとは別に退職制度がございましたり、まあ調整策があったりということで、一応仕事をやる体制とそれに配置している実際の人員の扱いというのは別のものとしてお考えいただきとうございます。
  221. 安武洋子

    ○安武洋子君 一万五千名の減員体制、それがどういうことをもたらすかということで、私は兵庫県下の調査をいたしました。そして六〇・三のダイヤ改正に伴いますこの業務体制の見直しの中で、国鉄はホーム業務の省略ということを提唱なさっていらっしゃいます。大鉄局管内、これを調べてみますと東海道線から山陽本線にかけまして彦根−上部間、これは六十八駅ございます。その六十八駅のうちの六十駅、六十八のうち六十でございますからこれは大部分なんです。これがホーム業務を省略するという対象に挙がっております。ホーム業務というのは乗客の何よりも安全そして利便、こういうところから私は絶対必要業務というふうに思いますけれども、このように一斉にホーム業務を省略されるというその理由は何でございますか。
  222. 須田寛

    説明員(須田寛君) ホーム業務の合理化を提案しておりますことは事実でございますが、今まで国鉄の駅のホームの仕事と申しますのは私鉄さんと非常に違った仕事の内容をいたしておりまして、それは汽車の時代からの名残であったわけでございますが、各駅で貨車のつけかえをいたしましたり、あるいは手信号を扱ったりいたします関係がございまして、ホームの係員というものがそういった運転業務を扱っておったという特殊事情がございます。ところが貨物駅が非常に集約されまして、そういった業務もなくなってまいりましたし、機械化の普及その他によりますバックアップが可能になってまいりましたので、そういった駅のホームの職員私鉄さんと同じように運転業務をしないでも済むという体制ができ上がってまいったわけでございます。したがって、今回大阪の管理局におきましても、来年の春のダイヤ改正におきまして、そういった駅のホームにおきます職員運転取り扱い業務の省略がかなりな程度可能になりましたので、ホームの扱い要員を減らすということを提案したような次第でございます。  ただ、今先生指摘のように、お客様の安全ということは非常に重要なことでございますので、今申し上げましたホームの要員を減らします箇所でも、ホームの要員がゼロにならない駅というのはかなりな程度ございます。それから、ラッシュだけパートで職員を置くような駅もございます。あるいは臨時に局から応援を、あるいは駐在運輸長というのがございますが、そういった機関から応援をさせまして職員を置くところもございます。いろいろそういった時間によりまして、お客様の様子によりましてホームの要員というものは考えてまいりたいと思っておりますので、お客様の安全には絶対に支障のないように、これだけは私ども非常に大切なことだと考えておりますので、安全には支障のないように十分留意をいたしながら、今のような駅の職員運転業務の変更に応じました対応をとってまいりたい、こういうふうな趣旨でございます。
  223. 安武洋子

    ○安武洋子君 今までも転落事故というのは起こっております。そしてホーム要員に救われたというふうなことも間々あります、報道されております。そして私はここに一つの報道を持ってきておりますけれども、この十一月の二十一日でございます。これは大阪の地下鉄の梅田駅で起こった事故ですけれども、目の不自由な女性がドアと連結部分、これを間違えましてそして線路に転落をいたしております。これは危うく発車するところをホームにいた七人の駅員、これが次々と大声で連絡をし合うというふうなことで間一髪で電車を停止させ女性を救出いたしております。「電車は発車寸前だったが、ホームでこれを目撃した乗客が、近くの駅員に「人が落ちた」と叫び、ホームにいた七人の駅員が次々、大声で「電車をとめろ、とめろ」とリレー式に連絡。一人の駅員が約六十メートルホームを走り、運転士に発車ストップを指示」し、間一髪というふうなことでございます。これはホーム要員がいなければどんなことになったかと、そして数も少なければどんなことになったか。しかもここは千五百人の乗客があふれているということで、国鉄の場合だってたくさんの乗客があふれるということがあるわけですから、ただ目が悪いからということだけでなくって、押されて落ちたという事故もあちらこちらで起こっているわけです。  こういう転落事故が起こっているというふうな過去の実例もある中で、私はパートなんということでおっしゃっておりますけれども、時間で区切るとかというふうなことでなくって、いっ事故が起こるかもわからないというふうなことですから、ホーム要員を削減していくなんというようなことは、私は国鉄の本来の使命、福祉の増進に努めなければならないということに全く逆行すると、人命軽視であるというふうに思いますが、いかがでございますか。
  224. 須田寛

    説明員(須田寛君) 今先生の御指摘がございました地下鉄の梅田駅というのは、大変乗降の多い駅でございます。もちろん私どもの方も、地下鉄の梅田駅のような乗降のございますところには当然、それなりのやはり地下鉄並みのと申しましょうか、要員の配置は今後もいたすわけでございまして、決して私どもの方の駅は一切人がなくなるというふうなことを考えているわけではございません。  ただ、先ほど申し上げましたように、国鉄の場合には私鉄さんならとても人を置かれないような、日中ほとんど乗降のないような駅でも私どもの方は運転業務があるということで人を置いておつた、そういうものをやめさせていただくとか、あるいは今まで三人いたものを、例えば工業用テレビで後ろがバックアップできるから二人にするとか、そういったようなことをかなり駅ごとにきめ細かく考え対応しておるような次第でございますので、先ほど来申し上げておりますように、安全ということはくれぐれも私どもの大前提として考えてまいったつもりでございますし、これからも考えてまいりたい、このように存じております。
  225. 安武洋子

    ○安武洋子君 私鉄私鉄と、私鉄並みとおっしゃいますけれども私鉄にホーム要員がいないということについては、私は運輸省としても私鉄はホーム要員を置くべきだと、何よりも大切なのが人命であると、そういう御指導をなさるべきなんです。そのいない私鉄に倣おうというところがそもそもおかしくて、しかも人がないわけでない、あなたたちは今人が余っているんだと、ブラ勤もよくないということを先ほどの亀井委員長がおっしゃっていましたけれども、そういう人がある中で、なぜ、こういう人命を尊重していかなければいけない、そういうホーム要員を削減していくんですか。全く人命軽視じゃありませんか。納得できません。
  226. 須田寛

    説明員(須田寛君) 私鉄並みと申し上げましたのは適切な面、ちょっと表現ではなかったかもわかりませんが、決して私鉄さんもホームの安全ということを無視しておられるわけではないと思います。やはり私鉄さんも国鉄も、交通機関といたしましてお客様の安全ということを第一に考えるべきだということは、先生指摘のとおり、当然でございます。私ども今もそうやってまいりましたし、これからいろいろ今申し上げましたような合理化をやらしていただきますけれども、やはり安全ということを無視したようなことをやるつもりはございませんし、例えばホームでもカーブをしておりまして非常に見通しの悪い駅だとか、そういうことにつきましてはそれなりにきめ細かく対応してまいりますので、安全だけは犠牲にしないで合理化を進めると、重ねて御説明申し上げておきたいと思います。
  227. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃ、こういう例はどうなんでしょうか。  朝夕のラッシュどきにいつ事故が起こるかわからないという状況のところはたくさんございます。例えば山陽本線の土山駅でございます。ここは今まで人口急増地で古い駅舎のままですから、何度も何度もここの改修を要求いたしております。ホーム跨線橋について改良を求めてきたわけです。しかし誠意をお示しにならないということで放置をされております。今回、ホーム業務の廃止の対象になっております。この駅というのは、跨線橋の部分はホームの幅はたった八十センチです。だから一人通るのがやっとなんです。またこの跨線橋といいますのも非常に幅が狭くて二人通るのが精いっぱいと、こういう状態でございます。これ、退勤どきに列車が着くということになりますと、ホームに人がいっぱいあふれます。一斉にその人たちが、奥の方から出てきているわけですから、人口急増地で、バスに殺到するわけですけれども、こんな状態ですから、先頭の人が出て、そして一番最後の、最後尾の人が出るまでに十分ぐらいは時間がかかろうかというふうな状態なんです。ところが、この跨線橋のところというのは、本当に人が一人しか通れないところに早く行こう早く行こうということで、いつ列車が発車するときに事故が起こるかわからない。今までは駅のホーム要員の方たちの制止、いろいろ誘導というふうなことで事故を起こさずに済んできております。しかし、このホームの改造はなおざり、ホーム要員は廃止をする、こういうことをあなたたちは当然だというふうに思われるんでしょうか。今の安全は絶対に優先をいたしますというお言葉にも合わないじゃございませんか。
  228. 須田寛

    説明員(須田寛君) 個々の駅にいろいろ先生が御指摘のような事情が確かにあると思います。土山駅も私、設備を見ておりますけれども、確かに設備が十分だとは思っておりません。ただ、やはり乗務員も、つまり車掌も乗っておるわけでございます。場合によりましたらば、その車掌が一列車に二人乗っております場合は、乗務位置を真ん中と後ろにするとか、いろいろなこともこの際考えてやってまいりますし、それから駅に例えば駅長、助役等の管理者がおります場合、ホーム要員としてはおりませんけれども、ラッシュだけはそういった人間がバックアップをするということもあり得ると思います。個々の駅ごとにやはりいろいろそういったケースを考えまして、安全に留意をするということでございますし、設備も未来永劫今のままということではなしに、いろいろまたこれからも改善をしていかなければいけない。いろいろな対策を講じまして安全を確保するというふうに申し上げたわけでございます。土山駅の問題だけじゃございませんけれども、全体といたしましてはそういう点につきまして十分留意をいたしまして、管理局が案をつくったものと存じますけれども、なお、そういった安全につきましては遺憾の点のないように十分に指導をしていきたい、こう思っております。
  229. 安武洋子

    ○安武洋子君 そうはおっしゃいますけれども、じゃ、この土山駅だって随分と何度も何度も交渉を重ねてきている。大鉄局の態度はよくないですよ。ちっとも誠意をお示しにならない。これどうするんですか。こういう問題で、ホーム要員だけは廃止をしていく、こういうふうなことをどうなさるんですか。
  230. 須田寛

    説明員(須田寛君) 今、列車が非常に混雑しておるという実態がまず頭にあると思います。今回のダイヤ改正でかなり列車の増発も考えておりますし、そういったふうな列車ごとのお客様の流れというものもかなりダイヤ改正の際に変わってまいります。そういうことも考えて、現地で判断をしたものと思いますが、なお先生の今のそういった安全についての御危惧の念というものは私どもも十分受けとめまして、現地の局を指導し、かつまた、よく連絡をとってまいりたいと思います。
  231. 安武洋子

    ○安武洋子君 これは何も今、私が申し上げていることではないわけです。こういうことをなおざりにしながら、ホーム要員だけは廃止をしていくということだけは明確に打ち出しているわけなんですよね。そして車掌に真ん中云々とかおっしゃいますけれども、あの大混雑の中でどうしてそういうことができますか。現実的にもっと私はきちっと対処をしていただきたいということを強く申しますし、こういうホーム要員を私は断固撤回すべきであると。国鉄の本来任務は何なんですか。今はまだ国鉄なんですよ。国鉄法の第一条に基づいて、その目的に従ってお仕事をなさらなければいけないのに、公共の福祉の増進ということをなげうって人命を軽視される、こんなものは断固反対であるということをしっかり申し上げておきます。  それから、十一月十五日に提示をされております合理化案の一つに百キロ圏の券売機、この導入がございます。これに伴う窓口の発売の廃止がございます。この百キロ以上の乗車券を買う人にとっては大変な不便ということになります。一体この券売機というのは五十九年度中に何機導入を全国的になさるんでしょうか。  それから一機、一体幾らするものなんでしょうか。  それから、この耐用年数というのは一体どれぐらいなんでございましょうか。それをお伺いいたします。
  232. 須田寛

    説明員(須田寛君) 五十九年度中に投入予定しております券売機の台数は約四百台でございます。  それから、現在計画いたしております投入券売機の価格、これは概算でございますが、約四百五十万円でございます。  それから耐用年数は経理上いろいろ規定がございますが、おおむね十五年ということを基準にいたしております。
  233. 安武洋子

    ○安武洋子君 改造台数もあるはずでございます。改造台数、それから大鉄局管内でこれを導入するのは一体何駅で、その中で窓口業務の廃止につながるのは何駅ですか。
  234. 須田寛

    説明員(須田寛君) 改造台数は別途百五十台でございますが、これは現在硬貨だけしか使えない、つまりコインだけしか使えない券売機を紙幣用に改造するものでございます。  それから、今の大鉄局管内の券売機の投入によりまして窓口発売のなくなります駅は十八駅ございます。
  235. 安武洋子

    ○安武洋子君 一機四百五十万円、それからこの改造の費用はどれぐらいかかるか、後でお答えいただきたいんですが、これは大体計算をいたしますと四百台掛ける四百五十万円、こういうことになるわけです。人が足りないならいざ知らず、今、過剰だ過剰だとこう言っているわけです。そして莫大な赤字を抱えているわけです。新設だけのこの計算を、たしましても 十八億円以上になろうかというわけです。ですから、その一つの駅に一台だけ入れるとかどうかということはわかりませんけれども、どちらにしても十八億以上、これに改造費を加えるということになります。こういう設備投資をする。しかもあなた方の案によりますと、二年か三年後には分割民営をするということで、これは新会社の財産になってしまうというふうなものでございます。これは私はどう考えてもこれ以上のむだ遣いはない、むだ遣いの最たるものだというふうに思います。  私は、ここで大臣にお伺いいたしとうございますけれども、私が今申し上げているように、いろいろ合理化だ何だとおっしゃる。人があるにもかかわらず新しい券売機を導入する、それで十八億以上のお金を使うというふうなこと、このむだ遣い、どうお考えでございましょう。
  236. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどから安全性の問題についていろいろ御指摘があっておりますが、私は、国鉄合理化の全体的な立場からどうするかということで国鉄で今御検討願っていると思いますし、その問題も含めて、いずれ監理委員会によって適当な結論が出されると思いますし、券売機も含めて合理化の中でそれらの問題が推進されていくだろうと思っております。
  237. 安武洋子

    ○安武洋子君 人が余っているのに券売機を導入して、十八億もお金を使うということ、こんなむだ、どこにあるでしょう。むだと思われないんですか。
  238. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 私は、やっぱり合理化という一つの目標に向かって、券売機もその一環としてなされているというふうに理解いたしております。
  239. 安武洋子

    ○安武洋子君 合理化というのは人を、けさの監理委員会亀井委員長もおっしゃいました、やはり有効に使わなければいけないんだと、そうして仕事をしてもらうことなんだと。人がないなら私は券売機の導入もそれは結構です。しかし人が余っている余っているとこう言いながら、なぜこういう十八億も投じて券売機を入れるんですか。むだじゃありませんか。それから合理化、能率的だと、こうおっしゃる。しかし定期券の発売、これまでなくすというふうな案を提示されております。  兵庫の例を引きますけれども、兵庫の西の最大のターミナル駅、これは姫路駅でございます。ここでは定期券の発売というのが民間に委託をされております。窓口では発売されていない。駅員さんがいないわけではないんです。ですからわざわざ委託料を払ってそして定期を、これは利用者も不便です、構内で売っていないわけですから。なぜ窓口で売らないんでしょう。こういうふうにすると私はむだがなくなる、こう思いますが、いかがですか。
  240. 須田寛

    説明員(須田寛君) 姫路駅の定期でございますが、これは旅行センターの中で旅行会社に売らせております。これは駅の中にはぼ近い、駅のすぐそばでございますので、お客様にそれほど御不便をおかけすることは私どもないと思って踏み切っておるような次第でございます。  先ほどの券売機の問題でございますが、私どもやはり合理化合理化として進めなければいけない。そして今私どもの券売機が、五十キロのところの券売機と百キロまでやっておりますところと二つございますけれども、百キロまでの近距離圏と申しますものが、キップの効力なりあるいはお客様からお買いいただきます際のわかりやすさという面からいたしましても、百キロまでを統一して券売機化したいということで、これまでずっと年次計画を追って進めてまいった経緯もございます。したがいまして、やはり合理化合理化で進めるということで、私どもは券売機の導入をいたしてまいるということでことしも提案をしておるような次第でございます。
  241. 安武洋子

    ○安武洋子君 合理化というのはむだなお金を使うことですか。人がいる、それに給料を払っている、その人たちを遊ばせている。そして券売機十八億以上も投じる。そして窓口で定期を発売しようと思えば十分できる。そういう人を持っておりながら民間委託でわざわざ委託料を払う、こういうむだがあなた方の言う合理化なんですか。
  242. 須田寛

    説明員(須田寛君) 確かに券売機で人が減るというところだけ着目いたしますと、先生指摘のような見方もあろうかと思いますが、もう少し総合的に、しかもやや中期的に私ども見たいというふうに思っているわけでございまして、実はやはりあの券売機は中に印刷機構を内蔵しておりますので、キップの印刷から乗車券の設備から、あるいはそういった後の後方業務の整理まで、全部機械がやれることになっております。したがって、やはり相当間接的にも大きな合理化効果があるということがございますのと、ある一定の地域を同じような考え方で合理化をしてやってしまいませんと、中途半端にとどめておきますと、いろんな面で不都合が生ずる面もございます。  それからもう一つ、かなり長い目で見てまいりました場合に、余剰人員がありますからといって合理化を抑えていくということはいかがなものか、こういう感じもいたします。同時に余剰人員の方はそれなりに有効な活用方法というものを、いろんな施策でまた考えてまいるわけでございますので、私どもやはり総合的に見ました場合には、今の券売機の合理化ということをお願いするということは間違っていない、かように思っております。
  243. 安武洋子

    ○安武洋子君 人を減らすことだけがあなたたちは合理化だ、合理化だ、効率的だとこうおっしゃる。そして、貴重な国費をむだ遣いすることについては何ともおっしゃらなくて当たり前だという立場に立たれる。  そこで、会計検査院に聞きますが、一方で余剰人員を抱えるというふうなことで高い券売機を購入する、あるいは委託料をわざわざ払ってまで、人がいないわけでない、定期券を発売してもらうというのを私はむだ以外の何物でもないと思いますが、このようなことについて会計検査院はどのようにお考えでございましょうか、御所見を伺います。
  244. 秋本勝彦

    説明員(秋本勝彦君) お答えいたします。  委託経費につきまして、その効率的あるいは経済的な支出につきましては、従来から重大な関心を持って検査してまいっております。  例えば、五十七年度決算検査報告におきましては、旅客営業の収支等につきまして、特記事項として掲記しておりますが、その中で余剰人員と委託経費の関係につきましては、国鉄が現在講じている種々の合理化施策の実施の過程の中において、所要員に対して現在員が大幅に上回る、そのために業務効率の低下をもたらしている、そういう事態がある、そして当分の間は人件費などの固定経費の削減はなかなか難しい、しかも委託経費が増加するという事態を招いていると、そういう問題提起の記述をいたしております。  また御指摘のように、国鉄では現在多くの余剰人員を抱えている状況にありますので、従来からこの委託費の検査には重点を置いてきております。本年も旅客の乗車券類の発売委託に関しまするところの委託経費などにつきまして、個別的あるいは具体的に、不経済な事態はないのか、経費節減の余地はないのかという観点から検査をしているところでございます。
  245. 安武洋子

    ○安武洋子君 先ほどから私が申し上げております券売機の導入、委託、これはどう考えましても国鉄がたとえどうおっしゃろうと、国民はこういうふうなものに対して納得をするわけはございません。これは明らかにむだ遣いであるということをしっかりと私は申し上げておきとうございますし、会計検査院についても今おっしゃったような立場でしっかりと私は会計監査の業務を扱っていただきたいということを御要望申し上げておきます。  ダイヤ改正で聞きます。  列車の接続の改善、これはもう大変要望が強い。乗れないように、乗れないようにしているんでなかろうかというのが大体の意向として出てくるわけです。  これは一つ申し上げますけれども、網干発という、これは播州の網干でございますが、八時一分発の播州赤穂行きの回送電車、これを私は客扱いにしてほしいと思います。これは、相生駅というところで本線の上り列車を利用してきた相生産業高校の生徒たち、これが一駅先の赤穂線の西相生駅に行くんですけれども、二十三分相生駅で待つわけです。その前を回送電車、空の電車が通っていくわけなんです。これに乗りますと学校が八時半から始業というふうな正常なカリキュラムが組めるわけです。しかし、この回送車を利用しない場合というのは八時四十分から授業を始めなければならないというふうなことで、非常に学校のカリキュラムの編成上からも困るという御要望が出ております。  それからさらに、土休、土曜と休日ですね、この運転の姫路の上り十時五十三分発の野洲行きとか、あるいは姫路下り十三時五十九分の播州赤穂、こういうのも私は平日に運転をしてほしいという要望をたくさん聞いております。こういう点、御考慮願えますでしょうか。
  246. 須田寛

    説明員(須田寛君) 前段お話のございました網干八時一分発の回送電車というのがございます。これは確かに回送で走っているわけでございますが、実は播州赤穂から特別快速を入れてほしいという御要望がございまして、特別快速に使います車を赤穂まで回送しておるものでございまして、  一般の通勤型の車ではなかったものでございますから、実は回送にしてきょうまでやってまいった経緯がございます。しかし、回送電車というのはどう考えましてもこれはコスト的にむだなものでございますし、それからやはりお客様のおられる前をそういうものが空で通るということは適切じゃございませんので、実はこの回送列車はやめることができないかということで、大阪の局でいろいろ車両運用等を今検討しておる状況でございます。ただ、今後も回送電車をやめずに長く続くようでございますれば、既設の列車の時刻の問題も含めまして、やはりそういった高校生の皆様に一番御利用いただきやすいダイヤにすべきでございますので、なおこの辺につきましては大阪の局で回送列車の存廃の問題を含めましてもう少し勉強、させたいと存じております。  それから、今のデータイムの、土曜、日曜だけ運転をいたしております列車の話でございますが、これにつきましては線路の実は補修をいたします時間をとりますために、データイムにこの電車を一時間ほど線路をあけますために運転休止をしておりまして、線路の補修作業をしない土曜と日曜だけ運転をしておるという電車が先生指摘のようにございます。ただ私ども、やはり何と申しましてもお客様第一でなければいけませんし、お客様の大変多い地域でございますので、いろいろ線路の補修の方法を検討いたしまして、明年三月からウイークデーの補修作業の日数を夜に回しまして、今土曜と休日だけ運転いたしておりますものを月水金だけ平日も運転をするように変更したいと思っております。できるだけ早く毎日運転の方に持ち込むべく考えておりますが、とりあえずそういうふうなことで改善をする予定を持っておりますことを御報告しておきます。
  247. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、ぜひ学校の授業そのもののカリキュラムが組めないというふうなことでなく、高校の要望に応じていただきたい、そのことを申し上げておきます。  それから、第三次地方交通線の廃止問題についてお伺いをいたします。監理委員会の第二次提言では、地方交通線のうち四千人未満の輸送密度の路線、これは第三次の廃止対象として可及的速やかに選定するようにと、こういうことで迫ってなさいます。全国で約五十路線ございますけれども、これは三千六百キロに及びます。その一つとして大変長い距離持っておりますのが姫新線でございます、百五十八キロ。これも入っているわけです。この姫新線といいますのは、兵庫、岡山の両県にまたがるというふうなことで内陸の重要な路線でございます。他の乗り物で代替できるというふうなところではございません。沿線の各自治体、住民こぞって反対しておりますし、それから強い不安を抱いておりますし、この沿線では兵庫県側でも龍野高校、龍野実業、佐用高校、新宮高校というのがございますけれども、この新宮高校というのはこれは全県的募集をする学校でございます。ですから、姫新線がもし廃止になるようなことになりますと廃校にもつながりかねない、こういう学校でございます。  私は国鉄運輸省にお聞きいたしますけれども、こういう路線がもし廃止ということになりますと、沿線各自治体の産業、経済活動、住民生活、こういうものが破壊されていくわけなんです。姫新線というのは、最も乗客の利用しやすいというふうな状況をつくり上げれば、私はここはもっともっと輸送密度が高まるところであるというふうに思います。例えば出ておりますのはこれはスピードアップなんです。とってもここはゆっくり走るということで、もっとスピードアップしてもらえないかということが一つあります。それから本線との接続の問題です。これが非常に不便であるという問題があります。それから、農村地帯、山間地ですから本線まで出てくるのにバイクとかあるいは車で来る、ところが駅に置くところがない、駅に置いて乗りたいというのが希望であります。ですから自分の駅になければ二つも三つも隣の駅まで行かなければならないというふうな人たちも出ております。ですから、こういう駐車場、駐輪場、こういう確保、こういうことが考えられれば私はもっともっと利用したいという希望者が出てくるというふうに思うわけです。ですから、私は乗れないように乗れないようにしているとしか思えないような、そういうやり方ではなくって、利用者をいかにふやすのかということにもっと腐心をしていただいて収益を上げるように努めていただきたい、これが当たり前ではないかというふうに思うんです。ですから、こういう観点に立ちまして四千人未満の地方交通線、これも私は廃止をするというのではなく、収益をいかに上げるか皆の要望にいかにこたえるか、こういう観点に立っていただきたい、こう思いますが、いかがでございますか。
  248. 岩崎雄一

    説明員岩崎雄一君) 先ほども申しましたように、今の地交線対策というのは再建法に基づいてやっておるわけでありますが、国鉄の収支改善だけではなくて、地方公共交通の効率化という観点から進めておるわけでございます。第三次特定地交線の選定につきましては、これは六十年度に行うということで現在はその事前調査をこれから始めようかという段階でございますので、姫新線についてどういう位置づけになるかということは、調査の結果を待ってまたお話を申し上げたいというように考えております。  それから、ローカル線について、今おっしゃいましたように、輸送改善をしないから、つまりダイヤのぐあいがよくないから利用できないんだというような声をよく聞くわけでありますが、ダイヤの設定はあくまでも輸送の実態に即して考えておるわけでございまして、残念ながら現在の姫新線の利用状況というのは年々これは落ちてきておる、そういう意味からいえば輸送力というのは必ずしもこれは不足しているというようには考えられないわけでございまして、今のダイヤの中でできるだけ接続改善等に努めサービスをよくしていくということはぜひ努めてまいりたいと思いますが、輸送の現況はそういうことかというように考えております。
  249. 安武洋子

    ○安武洋子君 考え方が違いますよ。この姫新線は三十七キロを五十キロにすることもなく延々と今まできたわけです。ですから、いかにスピードが遅いかというのが一つありますし、そしてこれがダイヤがもっとうまく組めておれば、あそこは大変混難いたしますので車で行くというふうなことは避けたいという人がたくさんいるわけなんです。しかしそういうふうになさらないからこそ車で職場まで行かなければならないという状況をつくり出しているわけなんです。ですからもっとサービスの向上に努める、もっと皆が乗れるように、駅に出てきたのに車どこに置いていくのかと、バイクどこに置くのかと、そういうことだって国鉄として配慮をするというふうな、今空き地のあるところもあるわけですから、そういう配慮がなされるというふうなことも十分考えて、もっと細かくサービス、これは私はお考えになるべきだと、何もフルムーンだけがサービスじゃないんですよ。こういう地方線に対してだってしっかりとサービスをするという観点に立たれるべきです。私は赤字原因については午前中に申し上げましたから、ここで論議は繰り返しませんけれども、この赤字をつくってきたのは国民でもなければそして労働者でもないんだと、これはやはり責任は私は政府に感じていただかなければならないし、国鉄の経営、こういうやり方についても考えていただかなければならない、その責任を何にも責任感じないような顔をして国民に転嫁をする、労働者に転嫁をする、そういうやり方ではなくって、どうしたらサービスが向上し皆に利用してもらえるかという観点に立って、この問題を考えるべきであるということを強く申し添えます。そして姫新線についても学校を廃校に追い込むとか地域の経済、産業、そういうものを破壊していく、地域の住民の心までも破壊していくというふうな、そういうことをおやりにならないように要望いたしまして、時間が参りましたので私の質問を終わります。
  250. 栗林卓司

    栗林卓司君 私は自賠責の問題についてお尋ねをしたいと思います。    〔資料配付〕
  251. 栗林卓司

    栗林卓司君 五十九年十一月五日に「自動車損害賠償責任保険の保険料率その他当面する諸問題についての検討の視点」という資料をおつくりになりまして、中を拝見すると「自警保険収支の状況」とありまして、(1)は、「自賠責保険の単年度収支は五十三年度契約分以降赤字となり、赤字幅は拡大傾向にある。これは、以下の要因によるものである。」とありまして、原因を三つに分けて書いてありまして、イとしまして「保険料率が四十四年十一月以来据え置かれていること」。ロとして「この間、賃金・物価水準の上昇や保険金の支払限度額及び支払基準の改定等により、給付内容が大幅に改善されてきたこと」。ハとして「近年、交通事故が増加傾向にあること」。この理由のうちで保険料率が四十四年十一月以降据え置かれてきたことは、これは事実でありまして、問題はロとハなんです。で、「給付内容が大幅に改善されてきたこと」、「交通事故が増加傾向にあること」、これが本当に最近の赤字原因なんだろうかということをまずお伺いするつもりなんですが、数字が入るのでどうしても質問しづらいものですから、実はお手元に差し上げた資料を出しただけでありまして、使っている数字は全部政府の公表数字、一部私がつくった数字もありますが、ほとんどが公表数字であります。並べ直しただけです。したがって、質問の参考としてこれは使わしていただきたい。もう一つの資料は、後ほどまた申し上げます。  まず「資料」と書いてあるものをごらんいただきたいんですが、「1、交通事故発生状況」、これは交通事故の件数ではなくて負傷者の数、死者の数でとりました。そちらの方がより保険には関係があるはずでありますから。したがって、死者の数を見ると、昭和五十四年と五十八年、一二%ふえております。なぜ五十四年と五十八年を比べたかといいますと、警察統計の最近は五十八年までしか出ておりません。五十四年というのは、実は前回の保険金限度額改定を行ったのが五十三年七月でありまして、五十四年というのは最初からもう改定後の支払いになっているわけですから、その意味で五十四年と五十八年を比べたという意味であります。死者の数が一二%ふえ、負傷者の数は  一〇%ふえております。まずこれが一つです。  もう一つ、五十三年七月に、では限度額をどう変えたか。死亡の場合は千五百万から二千万、三三%引き上げました。負傷の場合には百万から百二十万、二〇%引き上げをいたしました。後遺障害の場合、五十六万から千五百万というゾーンが七十五万から二千万になりました。これは三三%から三四%の増加であります。  そこで、3なんですけれども、こうやって限度額改定を行いましたが、この比率で保険金がふえているわけではないんです。当然それはいろんな事故の態様によって違いますから、死亡した場合でも三三%頭から上がるわけではない。したがって実際の支払い保険金の加重平均をした単価がどう動いているだろうか、こちらの方が保険金支払いには響くわけですね。そこで、平均支払い保険金を見ますと、五十四年度、死亡の場合が千六百十四万六千円。五十八年では千七百二十万七千円になって、七%ふえております。傷害の場合は同様に六%ふえている。後遺障害の場合には逆に五%下がっております。ところが、実際出た数字ですから、この七%、六%、五%の減というのが保険金の支払いに直接かかわりのある平均単価の動き、こうなりますね。  1と3がわかりますと五十四年度の数字からある理論計算をすることが可能なんです。そこでやってみたのが4なんです。五十四年度の実績を置きました。事故増減率一二%、一〇%、一〇%、これ掛けまして、さらに平均支払い保険金の増減率を掛けていく。掛けたものは当然事故率と支払い保険金の動きを加味した推計値になるわけです。そうしますと幾らになるかといいますと六千五百九十三億一千百万円という数字になるんです。  そこで、五番目を見てください。実際に五十八年というのは保険金は総額幾らであったか、推定計算をしますと六千五百九十四億、ところが実際に出たのは八千三百億、問題はこの差だと思うんです。  そこで、この推定値で考えてまいりますと、六番目、収入純保険料の方は六千二百三十七億、支払い保険金は六千五百九十五億としますと、実は三百五十八億の赤字でしかない。五十四年度はどうだったかといいますと、実は五百四十四億の赤だった。赤字が減っているんです。むしろ五十四年度と比べると百九十六億円だけ改善された姿になる。しかも三百五十八億という赤字だったとすると、これはいろんな諸対策で十分消すことが可能かもしれない額なんだ。ところが実際に幾ら出ているかといいますと、六番目、収入純保険料は六千二百三十七億、変わらず。支払い保険金は八千三百億、したがって当年度収支残が二千六十三億の赤字。この違いがなぜ出るんだろうか。後ほど伺うんですが、一応これまでのところで、いいですか、この推定計算というのは、交通事故死者数が一二%増、負傷者数が一〇%増、それを使ってあるんですよ。それから平均支払い保険金の増減率も加味してあるわけ。なおかつ収支はむしろ改善されている。となると、先ほど私が読み上げました五十九年十一月五日、原因として「給付内容が大幅に改善されてきたこと」、「近年、交通事故が増加傾向にあること」は理由としては挙げられないと私は思うんですが、一応ここまでのところで今申し上げてまいりました内容について何かおかしいことがあるかどうか、まず所見を求めます。
  252. 服部経治

    説明員服部経治君) この今先生がお示しになりました計算方法でございますけれども、一つの計算方法であるということは私わかります。ただ、この計算の結論をもって、したがって保険収支が悪化するわけはないという御結論に結びつけられるおつもりであるならば、この計算方式には若干問題があると申し上げざるを得ないわけであります。
  253. 栗林卓司

    栗林卓司君 そのような結論に結びつけるつもりは毛頭ありません。私は、ここで確認したいのは、「給付内容が大幅に改善されてきたこと」、「交通事故が増加傾向にあること」、これは赤字の主因ではないですねと。
  254. 服部経治

    説明員服部経治君) 具体的に申し上げますと、まず先生がこの計算の前提としてお使いになっておられます1の「交通事故発生状況」のところに掲げておられます数字でございますが、これは警察庁統計の事故数字でございます。したがいまして、自賠責保険の保険金の支払い面からとらえました事故件数とは数字が異なっておりますので、したがってその点が問題があるというふうに申し上げたいわけでございます。
  255. 栗林卓司

    栗林卓司君 そのことをこれから申し上げたいんです。そこに私は問題の中心があると思うのでずっと長々しい説明をしまして、交通事故増減というのが警察庁統計を基礎に物を考えているのだったらそれは理由にならない。それから限度額改善についても直接の主因になっているとは思えない。  では実際どうかといいますと、それが七番目の表なんです。七番目の表の数字が入っているところはちょっと省きまして、下の米印のところを見ていただきたい。交通事故発生状況は、死者は一二%、負傷者の方は一〇%、先ほど申し上げたとおり。保険事故の発生状況は、死者一二%。全く同じ数字。これはごく自然なんです。数字が合った方が普通なんです。ところが傷害は三七%、後遺障害は七〇%。警察庁統計では一〇%と言っているのが、この保険支払い対象になった事故件数で見ると傷害が三七%、後遺傷害が七〇%、なぜこんなにふえるんだろう。  大臣、ちょっと今度はお耳を傾けていただきたいんですが、ここに保険財政赤字になった主因があるんです。  そこで、八番目を見ていただきたい。交通事故者と保険の支払い件数を比べてみますと、昭和五十四年、交通事故は六十万四千七百四十八名、支払い件数は六十七万六千四百九十七件、その差というのは七万一千七百四十九、おおむね一割ぐらいなんです。一割ぐらいはあるかもしらぬなと思ってもいいのかもしれません。問題は五十八年。交通事故者は六十六万四千三百四十二名、保険の支払いは九十四万四千二百二十五、その差たるや二十七万九千八百八十三。五十四年はわずか一二%しか狂いがなかった。五十八年は四二%も狂っているんです。したがって、この差額だけを比べますと、この五年間で約四倍になっている。これがなぜ四倍になったのか。正確には三・九倍ですけれどね。これが明らかにされないと、なぜ赤字になったのか、だれにもわからない。  そこで、五十四年から五十八年、この五年間に一体何があったんだろう。何が原因でこんなに差が出たのか。四二%違うということは三人に一人ですよ。三人に一人が警察統計ではない保険事故を起こしている。この実態というのは一体何ですか。皆さんはいろんな資料をおつくりになって審議会にお出しになっているけれども最初に出した資料の最初の数字は警察統計ですよ。いいですか。この間やった、事故はどうして発生したかとやっている資料だって警察庁がつくった統計ですよ。これ幾らやったって赤字原因はわからないんですよ。問題は、この差がなぜ出たのか、具体的にわかるように説明していただかないと、自賠責の審議委員だって我々だって国民だって全然わからない。これが自賠責の料率アップ問題が持っている今の問題なんですよ。なぜこんなにふえたんですか、五年間で。
  256. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 今御説明がございまして、私もこれを見てなるほどなと思っているんでございますが、実は私自身全くこれ初めて拝見いたしまして、その理由、もちろん私もわかりません。要するに、今回のこの問題につきましては、特に今先生の御指摘のこれらの部分についてはかなり専門的な技術を要する問題でございまして、まことに恐縮でございますが、私も就任早々まだお答えできるだけの勉強をいたしておりません。したがいまして、まことに恐縮でございますが、担当局長から答弁をさせることにいたします。
  257. 鏡味徳房

    説明員鏡味徳房君) 先生のただいまの8に関します交通事故者と支払い件数の比較についての御質問でございますけれども、まず先生がお示しになられました交通事故者、これは警察統計でございまして、実績ベース、警察に事故の届け出があったものの件数の比較でございます。それから支払い件数の方は、これは昭和五十四年度とそれから五十八年度の比較でございまして、年と年度の比較の差がございますけれども、これはポリシー・イヤー・べーシスで、契約年度の比較でございます。したがいまして、交通事故というのは実際に発生した件数の比較でございますので、これに一番近似した形で見ますのには本来リトンベーシスと申しますか、実際の支払い請求があったものの件数の比較が一番適切ではなかろうかと思うわけでございます。それで、仮に五十八年の数字を申し上げますと——五十八年度でございますけれども、これは八十万強でございます。そうしますと、警察統計との差は二〇%程度になるわけでございます。  それで、二〇%程度の差がなぜ生じたかということを申し上げますと、これは警察統計の場合には人身事故だけを扱っておりますけれども、これ以外に物件——したがいまして、保険の場合には物損で警察に事故届が出ていたものが、後ほど物損でなくてけががあったということで、保険の方にけがということで請求があったものと、それから、警察の事故証明書は、例えば工場構内で事故が起きた場合には警察の事故証明は出ませんけれども、そういった事故証明書のない請求も合わせますと、最近は大体二〇%ぐらいありますので、その差が大体警察統計による交通事故者とそれから実際の請求ベース、リトンベーシスの支払い件数との差となっているものと考えております。
  258. 栗林卓司

    栗林卓司君 保険の話はこういう話になるんです。これでますますわからなくなる。  また素朴にお聞きをしますと、先ほどの十一月五日に出した中で、「自動車保険料率算定会の五十九年度検証によれば、五十九年度契約及び六十年度契約の損害率は単年度でみて各々約一三四%、一三七%であり、五十九年度契約分までの累積赤字は約四千八百億円に達する見込となっている。」、いかにもこれ信用しますよね。しかし、これは契約ベースで言っているんです。リトンベースというのは実際に発生した金額なんです。しかし、ここで言っているのは契約ベースで言っているのだから、しかも契約ベースで件数まで出ているわけですから。今のようなリトンベースと契約ベースの乖離というのは毎年あると思うんですよ。  そこで、具体的に年次をとらえて、五十四年だったら交通事故者と支払い件数の差が一二%あったと。八番目です。一二%ぐらいはあるでしょうねと言っている。もうその議論はやめたと。ところが、同じような格好で五十八年比べたら四二%もふえている。この差は一体何だという意味は、ここの「五十九年度契約分までの累積赤字は約四千八百億円に達する見込となっている。」、これは何だという質問と一緒ですよ。都合がいいときだけ契約ベース、困るとりトンベース。だから、契約ベースでいくんだったらいくなりに議論してくれなければ困るじゃないですか。そこで「近年、交通事故が増加傾向にある」と、だれが見たって警察統計と思いますよ、これは。思って当たり前なんだ。だから、この乖離が具体的にわかるように説明してもらわない限り、だれにもわからないと言っている。一体何が起こったんですか、これ。
  259. 服部経治

    説明員服部経治君) 警察統計と自賠責保険の側から見ました保険の支払いにかかわる事故件数との乖離の問題は、実は先生がおっしゃっている数字のとおりでございます。  ただ、これは今大蔵省の方からも御説明ございましたように、警察統計というのは、交通事故に交通警察官がかかわり合いまして、立ち会いまして事故を確認いたしましたものの件数でございます。それから、自賠責保険金の支払いという問題にかかわりまして出てまいります事故件数というのは、まさしく事故にかかわる保険金の支払いの請求があって支払ったという、その件数でございます。その乖離の理由というのは、今大蔵省から御説明申し上げましたとおり、これはりトンベースとか契約年度べースとかということを持ち出すまでもなく、要するに警察の側では物損事故として扱っていた事故につきまして、その事故にかかわり合った人から、そのときはけががないと思っていたけれども、後でどこそこが痛くなった、やっぱりむち打ち症があるというようなことで病院に参りまして、診断を受けて請求をしてくるというようなケースがございますのと、それから警察の事故証明のないケースもその三分の一ぐらいのウエートであるということのために、数字の乖離が生じてきておるわけでございます。  したがいまして、栗林先生のおっしゃろうとしていることは私よくわかるわけでございますけれども、問題は、そういった警察統計の事故件数と自賠責保険のサイドから見ました事故件数の乖離ということではなくて、むしろそれよりもなぜこういった後遺症を含む負傷件数が最近なぜこんな急激な伸びを示してきたかということの意味の方がより大きいというふうな感じで、先生の御質問を受けとめて聞いております。
  260. 栗林卓司

    栗林卓司君 数字で申し上げますと、リトンベーシスですと五十八年度の場合六千八百二十二億、契約年度だとそれが八千三百億、二割も違う。したがってこれは全然水と油で、これが絡んでくると議論にならないから、しかもこの累積四千八百億というのは、これは契約べースで言っているんでしょう、この数字は、そうでしょう。だからこれをみんなに見せてやっているんだから、契約べースで議論しようということなんです。  そこで、警察統計と保険事故の統計が違う。あなたの言ったとおりなの。その議論は後でしますよ。問題はそれが何で四倍にも広がったんだと。四倍にも広がったことを説明しないと、累積債務四千八百億ということは四倍に広がったものを中に宿しているわけだよね、数字として。なぜ広がったんだと。だから五十四年度で一二%差があるのはこの際しようがないと一応しておこうと言っているんです。何でこれが三・九倍になったんだと。それについてわかる説明がなかったらだれにもわかりませんよ。  そこで伺いますけれども、ではこの辺についてわかるような資料をこれまで審議会にお出しになったことありますか。
  261. 鏡味徳房

    説明員鏡味徳房君) 今、先生おっしゃいましたポリシー・イヤー・べシス、契約年度べスの数字の事故の件数、事故率、それから平均支払い保険金額、それから支払い総額、そういった資料を御提出しておりますので、その観点からは十分その事故の現状とそれから契約年度における支払いの状況は審議会にお示ししているつもりでございます。  ただ、先生が今警察統計の交通事故の件数とそれから契約年度の金額とを掛け合わせて数字をおつくりになっておられますけれども、実際に交通事故が発生しましても、これは実際に何年に契約された方の単が起こした事故であるかどうかという分析をさらに突っ込んでやる必要があるわけでございまして、警察統計はそういった契約年度にわたる事故の実態を示しているものではなくて、ただその年に起きた警察が関与した事故の件数を示しているにすぎないわけでございます。したがいまして、契約年度の支払い金額掛ける警察統計の事故の伸びという形で契約年度の数字を推計するというのは、まあ一つの方法ではありますけれども必ずしも精緻ではないと考えております。
  262. 栗林卓司

    栗林卓司君 精緻華麗な計算をしているつもりは毛頭ないですよ。ないけれども、この警察統計でいったら死者の数がこの五年間で一二%ふえたと言っている。いいことじゃないですよ。不幸なことだけれども、とにかく数字としては一二%ふえた、負傷者は一〇%ふえた。これが契約年度べスになるとわからないからこの数字を使っちゃだめだということは、契約年度ベースというのは将来にかかわることですよ。それは一二%なんてもんじゃないのかもしらぬと言っているのと同じですよね、いいですか。一二%、一〇%を使ったのが精緻華麗じゃないというんだったら、これからはもっと事故がふえるかもしらぬということを言っているのと同じでしょう。そっちの方が意味は重いんだと。わかりますか。だから大ざっぱな推計したって、しかもこれは皆さんが審議会に出した数字使っているんですよ。並べ直してみたらやっぱり保険事故と交通災害事故者の開きが余りにもひどく見える。  問題は、人身事故以外のものは自賠責も払わないですよね。ところが、人身事故の証明がなくても払うんですね。それは一体どうなのかという議論は後でします。ただ、これも証明不可能なことなんでお出ししていいかどうか自信がないんだけれども、もう一枚の紙をごらんいただきたいんです。  その前に申し上げておきたいことは、大臣ね、警察官が入った場合には人身事故と認定がなされれば人身事故の証明書が出るわけ、公的機関の証明ですよ。それがつかないと、つかないけれども、どうも後になったらぐあいが悪い。そこで、人身事故の証明がなくても保険金が支払われるもの、これが一体具体的に何%なのか、どこに聞いてもわからない。何となく現場の勘では二割ですと、こう言っているわけ。じゃ、二割うのみにしましょうか。二つに分かれましてね、一五%は物損の事故統計、物損ですよ。ところが、気がついてみたら人も壊れていたというんで請求してくるのが残り五%、何にもないの、という格好で保険金の支払いは起きるわけ。そこに間違いがあると私は言おうとして言っているんじゃない。  今度はリトンベース、実際に発生した状況で見てみますと、「交通事故証明書交付状況」の右の欄にずっと。パーセントが入った数字が並んでいます。三角は何かといいますと、これはりトンベースですから、リトンベースでいって赤字になっている府県が三角なんです。何にもついてないのは黒字なんです。そうしますと、全国一様に赤だったら多少それは加入者の方も納得するでしょうけれども、例えていうと、東京は黒字なんです。大阪と京都は赤字なの。そのときに東京の加入者の人たちに、おい悪いけれども、大阪、京都が赤字だから負担してくれや。これ言うとしたら、今の警察庁の事故証明と保険事故の間の乖離についてもっと具体的な説明がなきゃだれも納得しませんよ。  ちなみに申し上げますと、この五年間で何が一番変わったか。一番変わったのは交通事故証明書の発行数がえらいふえたの。これは五十三年と五十八年しか見ておりませんからその数字で申し上げます。人身事故百十七万四千件が五十三年、五十八年は百五十万七千件、これは一件の事故に対して何枚も請求する場合がありますから、当然数字は膨らんでます。問題は物件なの。五十三年二十五万六千、五十八年百二十二万三千、まさに四・八倍。こうやって物件の交通事故証明書がふえているから、したがってとつなげて私は言いません。いいですか、言わないけれども、ここの五十三年、五十八年の伸び率、ちょっとごらんいただきたい。その右にある三角と並べながら見ていくと、直接の相関関係なんかあるはずはない資料なんだけれども、何となくうっすらと浮かんでくるんですよ。  大臣、これが自賠責の料率引き上げをめぐって外から心配して眺めている国民の声なんですよ。極力わかるようにさせなかったらだめだと思いますし、もしかすると西の方ばっかり赤なんで東北の人は純朴なんだろう。東京の人は存外しっかりしていて余り悪いことをしてないんだろう。それじゃつまらないからおいらもやろうか、こうなっていったら、いいですか、関係ないんですよ、これ、関係ないんだけれども、いかにも関係ありげに見えるでしょう、それがそうなっていったら、自賠責なんて制度はもちやせぬですよ、これは。もともと昭和三十年につくったいろんな問題抱えた法律なんです。したがって、今度の料率引き上げに当たっては、さっきの私が申し上げた乖離、中学生の算術で出るんだもの、精緻華麗なわけはないですよ。ないけれども、差がなぜあんなに広がつたような計算になっちゃうんだ。別な言葉で言いましょうか。別な言葉で言いますと、五十九年契約及び六十年契約の損害率は単年度で見ておのおの約二二四%なんだろうか、一三七%なんだろうか、一体この赤字というのが当てになるのか、いいですか、これ契約年度というのは推計値なんだもの。推計値をもとにして四九%料率アップという議論が進んでいる。推計値の議論なんだから、中学生の算術から出てきたこの数字だって同様に推計値ですよ。どっかに問題がなきやおかしい。  そこで申し上げるんですが、いいですか、警察統計と保険事故の統計が食い違っていると認めたとしましょう。その保険事故、要するに保険の支払いというのは向こう側に被害があるわけです。その被害が本当にふえていたら運輸省とするとほうっておくんだろうか。ほうっておけるんだろうか。そういう意味で、ある意味では一番重要な関心を持って見ていなきゃいかぬわけでしょう。ではこの辺の推移というのは実際はどうなっていますか。
  263. 服部経治

    説明員服部経治君) ただいま、最前から先生が御指摘の事故件数の問題でございますが、こういった近年におきます事故件数、これは保険側から見た事故件数という意味で申し上げているつもりでございますが、その大きな伸びの一番主因というふうに目されますものは軽度の神経障害、大部分がむち打ち症というふうに考えられます軽度の神経障害を後遺症として残すそういったたぐいの事故の伸びであるというふうに認識をいたしております。  この一両年、そういった軽度の神経障害の件数が年々二〇%を上回る勢いで伸びてきておりますことにつきましては、私ども当然のことながら極めて重大な関心を持って見ておるわけでございます。  一方におきましては、御承知のように車にヘッドレストというようなものの装着を義務づけてまいりまして、むち打ち症の防止にも懸命に努めてきているところではございますけれども、他方でこういったむち打ち症を中心とした軽度の神経障害症というものが急増してきている現実を、私どもは本当に厳しく受けとめざるを得ないというふうに考えておるところでございます。
  264. 栗林卓司

    栗林卓司君 時間がなくなってまいりましたのでほかの聞きたい問題が聞けなくなりました。大臣、また申し上げたいんですけれどもね、今、局長さんが言われたことは軽度の神経障害がばかにふえていると、確かにリトンベーシスでいきますと倍近くふえているんですよ。確かにそこに問題があるんだけれども、外から見たんじゃわからないんですよ。外から見たんじゃわからないということは、本人がおれはぐあいが悪いと言ったことをうのみにするしかない。うのみにしたとして果たして交通事故とこれ相関関係があったんだろうか。それを、言うことをうのみにするしかない。しかもそうしたものが倍近くふえている。しかも、運輸省の方はヘッドレストの装着を大分前から義務づけて、社会問題としてもむち打ちがばかにふえたという話を私は聞いたことがない。にもかかわらず保険事故はふえているんです。  ですから、こうした問題を一体どうしていくのか。医療費のところまでとても入れませんから申し上げませんが、冒頭申しましたように、交通事故を仮に警察統計と正当にも理解したとしますと、交通事故が増加傾向にあることは事実だけれども、それが赤字の主因とはとても思えません。限度額は確かに上げましたが、しかしそれが赤字の主因とも思えません。何かと言ったら警察統計と保険事故の乖離が広がってきたこと。そうでなきやある日突然一三四%、一三七%なんてありっこないですよ。リトンベースでは現在約六百億円ぐらいの赤なんです。契約ベースでは二千億を超えているというんです。この辺のところを、とにかくまあ専門家がつくったことだからこの数字を信用しろや、したがって料率上げろと言われたってそれは通らないでしょう。  そこでお願いがあるんですが、一体この乖離が具体的に何が原因なのか。一体本当に現場はどうなっているのか。それについて、いずれ料率改定の御提案をなさるんでしょうけれども、その前に当委員会に資料をつくって出していただきたい。お取り計らいをぜひお願いして、終わります。
  265. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 後刻、理事会で検討いたします。
  266. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は深夜バスとタクシーですね、それの問題についてお聞きしたいんですが、これはまあ、私自身も最近しょっちゅう経験するんですけれども、雨なんかが降っていると一時間ぐらい夜タクシーを待たされるわけですね。私の友だちが電車を降りてタクシー争って走っていって階段から落っこって手を折っちゃったというケースが出ているわけですね。  この問題はサラリーマンにとって非常に深刻なんですね。これはサラリーマン以外の人もそういう影響を受けているでしょうけれども、深夜というのは非常にサラリーマンが影響を受けやすいということで、私自身経験してみて本当にこれは困ったということで実はきょう質問したわけですが、六月の十二日に行政管理庁が行政監察の結果を運輸省に勧告してますね。これにその後運輸省としてはどういう改善の手を打っておられるかということを、まず終バスの延長状況だとか十時以降のバスの運行はどういうふうになっている、あるいは深夜バスがこういうふうにふえているとか、それから乗り合いタクシーの導入状況、それから管理庁の勧告の中には深夜時間帯に地元のタクシーを駅の構内に乗り入れさせよとか、それから小型タクシーをもっとどんどん導入したらどうだとか、あるいはタクシー事業の区域の広域化、あるいは個人タクシーの免許地域の拡大というふうなことをいろいろ勧告されてますね。そのうちでどういうふうに具体的に実施されているかということをまずお伺いしたいわけですがね。
  267. 服部経治

    説明員服部経治君) 総務庁から前回御指摘をいただきました点はかなり多岐にわたるわけでございますが、そのほとんどの事項につきましては私どもも従来からそういう方向で取り組んでまいったし、また今後も取り組んでいこうと思っている事項についての御指摘でございました。  例えば、終バスと申しますか、深夜におきます郊外駅とその郊外駅の周辺にございます大規模団地との間の足の確保の問題でございますが、これはもう従前からそういうことをしなければならぬということでやってまいってきておりますが、改めまして実態をできるだけ正確に把握して善処したいというふうな考え方に基づきまして先般実態調査を改めてやり直しておりまして、現在その結果を取りまとめつつある段階でございます。  少し長くなりますがよろしいですか。——今手元にございますのは、その中で首都圏につきまして関東運輸局が行いました実態調査の結果を概略申し上げてみたいというふうに思うわけでございますが、これは首都圏、いわゆる東京を中心にしました五十キロ圏内の地域につきまして代表的な八十七駅——百四十五の団地にかかわります八十七駅につきまして調査を実施いたしました。  終バスの時刻でございますが、八十七駅中七十八駅が二十二時以降に終バスの時間を持っているといいますか、延長している実態をつかみ得ております。  それから、そういう駅につきまして、終バスが終わった後皆さんタクシーをお待ちになるわけでございますが、どういうタクシー待ちの状況があるかということも調べておりますが、八十七駅のうち最大の待ち時間が三十分以上にわたりました駅が八駅ございました。それから二十分以上にわたりました駅が十五駅ございました。残りの六十四駅につきましては最大の方でも二十分以内でタクシーをつかまえておられました。そういう実態調査の結果になっております。
  268. 木本平八郎

    木本平八郎君 どういうふうに調査されたか知りませんけれども、私の感じでは去年から余り楽になっていないですね、私の利用している範囲では。したがって、私はそういう調査で今後やっていかれると思うんですが、ところが、これ勧告が出たのが六月ですよね。それでもうそろそろ半年になるわけですね。調査に半年かかるということはちょっと私なんかの感覚からすれば長過ぎるんじゃないかという気がするんですね。もうはや具体的に手が打たれていてもいいんじゃないかという気がするわけですよ。こういう勧告が出されているのに余り違わないという感じなんですね。その辺はどうでしょう。実際に局長がつかんでおられるかどうか知りませんけれども、この六月の勧告出されて、その後運輸省が手を打たれた、あるいは業者にいろいろ注意された、特別に待ち時間の多い駅に対しては関係者にいろいろ勧告されたというふうな具体例があれば教えていただきたいんですがね。
  269. 服部経治

    説明員服部経治君) 終バスの延長、それから終バス終了後におきます深夜バスの運行の問題、それからさらに別の手当てとしましての乗り合いタクシーを認めるという話、こういうことにつきまして従来から私どもは各運輸局を督励いたしまして的確な対応を図るように指導してまいってきておりますが、前回総務庁の御指摘もありましたので、改めて今申し上げましたような実態調査をやりまして、その結果も踏まえながら、各問題のあると思われました箇所につきまして各事業者からヒアリングを行って、今後の的確な対応を図りたいというふうに考えておるところでございまして、六月以来今日までにどこどこの駅についてどうこうしたというところまで御報告申し上げられないのは大変遺憾だと思っております。
  270. 木本平八郎

    木本平八郎君 そういうことを突っ込んでも水かけ論になりますので、次に進みますけれども、私の感覚では、深夜ゐ運行をやればバ久会社も——タクシーはちょっと別ですけれども、バス会社の場合コスト割れになると思うんですよ。例えば深夜の残業をつけますと、深夜の残業というのは倍ぐらいになりますね。それから運転手だけではなくて運行管理者ですか、それから例えば整備士だとか、あるいはその事務所だとか、非常にコストがかかるわけですね。そういう人たちがそれだけ夜遅くまで働くと帰れなくなるから宿泊設備も置かなきゃいかぬというふうなことで、バス会社にとってはこれ非常に採算が悪くなると思うんですよ。私は民間におりましたからよくわかるんですけれども、これ運行しろと言われても、いやとてもじゃないコスト割れになる。それで余りお客さんおらないということでやりたがらないというのが実態じゃないかと思うんですね。こういう実態があるわけですね。それを無視して幾ら行政の方でやれといっても、もうからぬのはやらない。だから深夜バスに特別料金を認めてくれというのはありますけれども運輸省が認めておられるような料金の程度ではちょっとやっぱり採算が合わないということで結局やらなくなってしまうと思うんですよ。そういう点を少し発想を変えて考え方を転換しないとこの問題は解決しないと思うんですが、いかがですか。
  271. 服部経治

    説明員服部経治君) 私どもといたしましては、こういった郊外駅におきます深夜の足の確保の問題につきましては、ただいま先生指摘のとおり終バスの延長ということにつきましては採算上の厳しい問題はあるわけでございますが、可能な限り終バスの延長という格好対応するようにまず指導いたしております。そういうものが不可能な場合には、料金が二倍程度にはなりますけれども、終バス期間を過ぎましてから後の深夜バスというものの運行も奨励しておるわけでございまして、現在東京都及び近県——五都県におきまして約四十駅について約八十の系統の深夜バスの運行が行われているところでございます。  それから、深夜バスを走らせるほどの需要はないけれども、やはりタクシー、このタクシーに一人一人がつかまえてお乗りになるとというのは非常に非効率的であるし、待つ身になっても大変だということでございますので、特別に乗り合いタクシー制度を場所を限り時間を限って認めて対応している。これがざっと三十駅、約六十系統ほどあるわけでございますが、私どもとしてはこれで御満足いただいておるとは決して申し上げませんけれども、当面はそういった方向で対処いたしたいというふうに思っているところでございます。
  272. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで次に進みますけれども、私のアイデアは、要するに、もうからないものをやれといっても結果的にはやらないし、やっても申しわけ程度に一時間に一本ぐらいしか出さない、そうするとユーザーの方は結局バスは当てにならない、やはりタクシーとかマイカーとかいろいろな手を打たなければいかぬ。そこで私は、例えば八時半なり、九時なら九時でもいいですけれども、バスというのは会社組織ですね、法人だからいろいろな間接コストがかかるし、深夜になればうんとそのコストが高くなっていくので、むしろ九時以降は営業を一応ギブアップして個人バスですね、これはマイクロバスでやるか大型でやるか知りませんけれども、そういう人でやりたいという人に免許を与える。これは経験が必要とか何とかあるでしょうけれども、それは幾らでも要員はいると思うんです。そういう人がマイクロバスをその路線のところを走らせるということをやれば、あるいはもう少なくとも二十分に一本とかやれば、私は個人だったら採算はとれるんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがですかね。
  273. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) 個人の深夜バスの問題、発想としては大変おもしろい、と言っては失礼ですが、結構だと思います。ただ、これは会社でやれば欠損だけれども、個人でやればもうかるという理屈になるのか、まず第一に採算の問題。もう一つはバスには運行管理者と整備管理者を置かなければなりません。この双方を一人で兼ねるということが果たして妥当であるかといったような、そういった問題があるかと思いますので、十分研究はさせていただきたいと思います。
  274. 木本平八郎

    木本平八郎君 法律とかいろいろそういう規則とかいうのは、これはそれがあるからだめだといんじゃなくて、やはり実態に即して変えるものは変えていかないといけないので、ぜひこれは前向きに検討していただきたいと思います。これをやれば相当手を挙げる人が多いと思いますし、それから長い間バスの運転をやっておられて定年退職されたような方なんかも非常にいいんじゃないかという気もするんですね。  その次の問題はタクシーですけれども、このタクシーというのはみんな駅の構内営業というか、それの許可を持っていますね。そのために非常に制限されているということでうんと待たされるわけですね。確かに私鉄系統なんかは自分の系列のタクシーしか入れないというところがあるわけです。しかし、これはやつぱり資本主義であり、自由競争というかだから、これはある程度しようがないと思うんですよね、利益オリエンテッドになるのは。しかし、ユーザーはやつぱりこれで困るわけです。それで、ちょっとひがみっぽい言い方ですけれども、私なんかの感じでは、彼らは自分のタクシーをもうけさせるために非常に制限して、お客をうんと待たしているという感じさえするわけですね。したがって、私は駅はもうしようがないと、これは管理する都合もありますからね。しかし、駅の構内を離れた向こうの道だとか、これは国道とか県道とか市道とかありますけれどもね、そこにタクシー乗り場を置いて、そこはもう個人であろうが一般でもどんどん入れるというふうなことが行われていいと思うんですけれども、どうしてそういう簡単なことが今まで行われてないんでしょうね。
  275. 服部経治

    説明員服部経治君) ただいまの先生お話はまことにごもっともでございまして、私どもも従来から基本的にはそういう考え方でおりました。現に、例えば京王線の調布駅の南口のところでありますとか、あるいは南武線の溝ノ口の駅でございますとか、今先生がおっしゃられましたとおりの方向で道路管理者と話し合いをいたしまして、公道にそういったタクシー乗り場というもののスペースを確保していただくようにやってきております。ただし、これには若干附帯的と申しますか、若干の条件があるわけでございまして、本当に道路のスペースがある場所というのを探さなきゃいけない。そういう道路の側の制約がないところでは、今後とも私ども先生が今御指摘になったとおりの方向で努力してまいりたいというふうに考えております。
  276. 木本平八郎

    木本平八郎君 そのスペースの問題ですけれども、私の経験では、深夜になると交通量も少なくなるし、駅の構内だってがらがらにあいているんですよね、昼間はいっぱいバスだとかなんとか入りますけれどもね。そういうことなので、昼間と同じ状況を深夜も想定してやっているからがらがらになると。道の方もそういうことで実態をちゃんと調べれば、十分にその余裕はあると思うんですよ。したがって、ぜひ運輸省にお願いしたいのは、管理監督されるんじゃなくて、やっぱり全体の一つのユーザーの足というものを考えていただいて、それで多少は建設省——国道は建設省ですね、それから県だとか市で多少渋るところはあると思うんですよ。それからまた、あるいは交通事故だとかなんとかということでごたごた言うケースもあるかもしれませんけれども、ぜひこの際前向きに、ユーザーのためを考えて手を打っていただきたいと思うんですよね。  それで、私はひとつ、まあこれはユーザーの立場として、どうもバスの問題といいタクシーの問題といい、業界保護が先に出過ぎているんじゃないかという感覚が国民としてはあるんですよ。これはバスの問題いろいろ、汚職だとかなんとかいろいろありますよね、バス会社というのは。タクシーもそういうことがあるし、私まあ不明にして知らないんですけれども先進国でタクシーが法人だというのは日本だけじゃないかという気がするんですね。ほかにあれば教えていただきたいんですがね。アメリカのイエローキャブなんというのは、あれは個人の集まりですからね。その辺いかがですかね。
  277. 服部経治

    説明員服部経治君) たまたま私どもことしの一月に幾つかの町を選びまして、今先生指摘のような実態に興味といいますか、関心があったものですから、調査に参っておるわけでございますが、その調査の結果でございますと、例えば西独のフランクフルトでございますが、この町では一〇〇%すべて法人経営でございます。それからニューヨークでございますが、ニューヨークは五八%が法人タクシーでございまして、台数比例、台数比でございますが、個人タクシーは四二%でございます。それからパリでございますが、パリはちょうど四〇%が法人、六〇%が個人。それからロンドンでございますが、法人が三七%、個人が六三%といったようなウエートになっております。  それから、ただいま御質問の冒頭におっしゃられました運輸省が事業者サイドに立って物を考えているという御指摘はまことに残念でございまして、私どもそういうもし印象を先生がお持ちであるとすれば本当に大いに反省しなきゃならぬと思いますけれども、本当に私どもは、私どもの仕事というのは、大勢の国民が必要としているそういうきめ細かな、何といいますか、公共交通機関のサービスというものをどうやって継続的に提供していくかということに、日夜腐心しておるというのが実態でございますので、ひとつ今後とも御叱正を賜りたいというふうに思います。
  278. 木本平八郎

    木本平八郎君 法人タクシーの件は私よく知らなかったんですけれども、自分が乗ってみた実感では、どうも外国では個人が多いんじゃないかという気がしていたわけです。そこまであるとはちょっと意外だったんですけれども、まあ非常に勉強になりました。ただ、日本の場合には法人が八〇%ぐらいですよね、タクシーの場合、全国平均で。二十五万台のうち二十万台ぐらいが法人で、個人が四万七、八千ぐらいでしょう。それは数字は少しなにがありますけれどもね。やっぱりこういうタクシーなんというのは極めて労働集約的なんですね。労働集約的な仕事というのはどんどんこれやっぱり個人の営業にしていかないと、採算が合わなくなって競争できなくなるんですね。これいわゆる何というんですか、資本集約的だとか、そういう機械化できるとか、そういうものはやっぱり法人で資本を投入して労働装備率を上げるとか、そういうふうにやっていけばどんどん効率上がるんですけれども、こういう労働集約的なものは法人組織でやるとどうしても効率が悪くなっていくという私は解釈しているわけです。したがって、先ほどのバスなんかでもそうですけれども、これ個人だったら残業料も何も要りませんから、どんどんこれやるわけですね。もうかればやるわけです。ところが法人だとそういう制約が出てくると。それで、タクシーもやはり法人組織にしているためにどうしても私に言わせれば不必要な利益を確保しなきゃいかぬようになってしまうという感じがするわけです。これは率直な感じだけの問題ですけれどもね。そういう点で、私はもうぜひ発想の転換ということで極めて乱暴なことを申し上げたいんですが、これは検討ですけれどもね、今運輸行政で交通、バス、タクシー関係の許認可を全部フリーにしたらどうなるかと、全部フリーにしたらどうなるかという点から一度検討していただきたい。できればコンピューターを使ってシミュレーションやっていただきたい。そうして、どうしても必要な、逆に言えば、もうそんなことしたら人身事故が起こって大変だとかえらいことになるという最小限度のところだけをもう一度改めて許認可とか抑えるとか、法で抑えてもいいですし許認可で抑えてもいいんですけれども、そういう根本的に発想を変えて検討していただきたいという感じがするんです。もう現状のまま、アズ・イズで、このまま幾ら改善策を考えて業者を指導すると言われても、私はもう限度があるしという気がするんですがね。そういう検討の仕方についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  279. 服部経治

    説明員服部経治君) ただいまの先生の御質問の中には幾つかの御指摘なり御提案なりが含まれておったというふうに思いますが、三つぐらいにちょっと分けてお答え申し上げますが、個人タクシーのウエートは、全国的に言えば確かに先生おっしゃるとおり、全国二十五万台のタクシーのうち五万台弱が個人タクシーということでございますが、個人タクシーというものの経営が可能な地域というのはどうしても限られてまいります。流し営業が成立しない場所では個人タクシーというのは営業できません。営業成り立ちませんのでおのずから大都市地域に限定されると。例えば東京で申し上げれば、個人タクシーのウエートが四七%というようなことでございます。  それから、法人が経営的に苦しくて個人が楽でというお話もございましたが、そのこととは別に、個人タクシーには個人タクシーのよいところ、またしかし悪いところというのがあるわけでございまして、例えば個人タクシーばかりになっちゃったらどうなるんだろうという話でございますが、例えばこういった東京都におきましては、法人タクシーの方は各会社が協会でもって話し合いをしまして、A勤務から八段階ぐらいの勤務に分けまして、その当該車が勤務すべき時間帯を一時間置きにずらしまして、あらゆる時間帯にそれなりの台数が町を走っておるというような状況をつくり出しておりまして、そういう格好でいろんな需要対応しておりますが、個人タクシーの方はそういうことが非常に難しゅうございます。皆さん自分の、まあ言葉は悪いかもしれませんが、御都合で、自分の生活のリズムに合わせてお仕事をなさるということがございますので、そういったまんべんない輸送力の提供という面では非常に問題のあるものでございます。  それから、すべての規制を白紙に戻したらどうなるかというところから議論を始めてはどうかという御指摘でございましたけれども、これはまことに当を得た御指摘だろうと思います。私ども現在いろいろな許認可事務の整理合理化の問題に既に取り組んでおりますけれども、その一環といたしまして、先生まさにおっしゃったような角度からの勉強も今手がけて、始めております。
  280. 木本平八郎

    木本平八郎君 大臣。
  281. 山下徳夫

    ○国務大臣(山下徳夫君) いろいろと御意見、私も拝聴をいたしておりました。  運輸省は他の省庁に比べますと非常に許認可の多いところでございまして、今回この組織の改正をやりましたのも許認可官庁から政策官庁へということで、一つ一つこれらの許認可についてチェックをいたしているところでございます。特に自動車は多うございますが、この根源をたどってみますと、やっぱり社会の秩序を維持する目的でそれぞれ許認可が発足をしている。先ほど来、例えば駅前における深夜のタクシーの駐車等のお話がございました。私は、基本的には日本みたいにほとんどガソリンを外国から買っているのに流すこと自体に非常に、とにかく私は頭をかしげることがあるんです。実車率が五割とか六割とか、本当にむだだなと。アメリカだってそんなこと私は拝見いたしません。そういう点からも駅前の有効利用あるいは道路の有効利用必要でございますが、第一に、大都市における道路の保有率というのは日本は非常に最低であるということ、アメリカ等に比べて。そうした限られた条件もございますし、最近私は不幸にして電車で遅くおりて、駅前でタクシーを拾うことはありませんけれども、これも限られたスペースにお行儀よくタクシーが並んでお客さんを待つということは、そこにやっぱり一つの秩序を守らせるために規制は当然だと思います。だれでもこういつてたらやっぱりホームスチールみたいにもうちょろちょろやって、これは限られた駅前が私は混乱に陥るんじゃないかと思います。そこらあたりもよく検討しながら、御趣旨はもう私どもよくわかります。したがって、すべてが今ディレギュレーションの時代でございますから、御意見十分拝聴いたしましたので、検討さしていただきたいと思います。
  282. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、最後になるんですけれども、最近やっぱり駅に自転車だとかバイクがもうあふれていますね。あの問題について運輸省はどういうふうにお考えになっているか。あるいは警察の問題だと思われているかもしれませんけれども、私の事実聞いたのでも、やはりバスが不便だと、本数がないと、それから夜になったら早くなくなってしまうと、したがってバイクで来る、それからあるいは自転車で来るという人が非常に多いわけですね。逆に言えば、そういう人がふえるから、今度はバス会社としてはお客が少なくなると。お客が少なくなるから運行回数を減らすと。運行回数を減らすと、今度はまた不便になってきて、それでまた値段も上げなきゃいかぬと。値段が上がると余計利用者が減るというふうな悪循環を起こしていると思うんですね。先ほど同僚議員から列車の問題がありましたけれども、スピードが遅くなると。それで、もうもうからないから余りそこに投資しないと。そうすると、どんどん減ると。減るとまたという悪循環を起こしているわけですね。そういうことがどうもこれ、なんですけれども、お役人の悪口言うわけだけれども、あなた方の発想では、どうしてももうからなくなったら値段を上げるとか、もうからなくなったら間引くとか、これはバス会社が決してそういう発想を持っているわけじゃなくて、こういう許認可でがんじがらめにされて、お役人のコントロール下にあるからそういうふうになるんだと。したがって、私、フリーにしたらどうだというのは、やっぱり本当にコマーシャルベースで考えたらもっともっといい知恵が出てくると思うんですよ。先ほどの自転車置き場の問題も、皆さん方はそういうふうになにされてないけれども、我々から見りゃこれはもうまさにバス行政の欠陥がこれ出てきていると私は感じるわけですね。  そういうことで、時間がなくなりましたので、最後に申し上げたいのは、要するにこの問題についてはサラリーマンが一番しわ寄せを受けているわけですよ。これがしかもきのう、きょう始まった問題じゃないでしょう。もう十年、二十年の問題ですよね、深夜タクシーの問題なんかは。そういうものをずっとやってこられて全然解決されないと。私なんかもずっとそういう目に遭ってきたわけですよ。今現在も遭っているわけですね。これはやっぱり行政の怠慢だと思うわけですね。もうぜひこの点は早急に改善に着手していただきたいということをお願いして、私の質問を終わりたいと思うんですがね。
  283. 服部経治

    説明員服部経治君) ただいまの先生の御指摘につきましては、若干細部にわたりましては意見を異にする部分もございますけれども、大筋におきましては先生の御指摘、甘受しなきゃいかぬというふうに思っております。いろいろな難しい要素が絡み合った事象ではございますけれども、私ども今後ともこの問題につきましても鋭意前向きに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  284. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 他に御発言もないようですから、運輸省及び日本国有鉄道決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は十二月十二日午前十時に開会することとして、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会      —————・—————