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1984-11-08 第101回国会 参議院 決算委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十一月八日(木曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————    委員異動  十一月七日     辞任         補欠選任      目黒朝次郎君    大森  昭君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 三吾君     理 事                 岩崎 純三君                 後藤 正夫君                 福田 宏一君                 松尾 官平君                 服部 信吾君     委 員                 倉田 寛之君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 曽根田郁夫君                 出口 廣光君                 夏目 忠雄君                 原 文兵衛君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 大森  昭君                 久保田真苗君                 菅野 久光君                 本岡 昭次君                 太田 淳夫君                 刈田 貞子君                 佐藤 昭夫君                 三治 重信君                 木本平八郎君    国務大臣        郵 政 大 臣  左藤  恵君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        法務省刑事局公        安課長      則定  衛君        法務省入国管理        局入国審査課長  秋本健志郎君        外務省アジア局        北東アジア課長  高島 有終君        大蔵大臣官房審        議官       大山 綱明君        大蔵省主計局主        計官       日高 壮平君        国税庁税部法        人税課長     加藤 泰彦君        通商産業省機械        情報産業局電子        政策課長     牧野  力君        運輸省運輸政策        局情報管理部情        報処理課長    高橋 克彦君        郵政大臣官房首        席監察官     陣野 龍志君        郵便大臣官房人        事部長      中村 泰三君        郵便大臣官房経        理部長      高橋 幸男君        郵政省郵務局長  塩谷  稔君        郵政省貯金局長  奥田 量三君        郵政省通信政策        局長       奥山 雄材君        郵政省電気通信        局長       澤田 茂生君        会計検査院事務        総局第二局長   竹尾  勉君        会計検査院事務        総局第五局長   秋本 勝彦君        日本電信電話公        社総裁      真藤  恒君        日本電信電話公        社副総裁     北原 安定君        日本電信電話公        社総務理事    寺島 角夫君        日本電信電話公        社総務理事    岩下  健君        日本電信電話公        社職員局長    外松 源司君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十七年度特別会計歳入歳出決算昭和五十七年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十七  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和五十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月七日、目黒朝次郎君が委員を辞任され、その補欠として大森昭君が選任されました。
  3. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 昭和五十七年度決算外二件を議題といたします。  本日は、郵政省及び日本電信電話公社決算について審査を行います。
  4. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  6. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 本岡昭次

    本岡昭次君 最初に、昭和五十七年度決算検査報告での郵政省に関する指摘について伺っておきます。  郵政省に関する検査報告での指摘は、相も変わらず職員による不正行為事件が多発していることが中心になっています。これは他省庁には見られない郵政省独特のものではないかと思います。昭和五十七年度決算検査報告指摘職員による不正行為については、私は去る一月十九日、当決算委員会でただし、郵政大臣等の対処を伺いました。このとき郵政大臣でありました奥田さんは、こうした犯罪の撲滅のため、監察官はもとより職員モラル高揚に全力を挙げる、こう答弁し、不正行為絶滅を約束をされました。また、五十六年度決算議決に際し当決算委員会は七月九日郵政省に対して職員不正行為絶滅せよという警告も発しております。しかし、十月二十日付の読売新聞ですか、それを見ますと、五十八年度も約四十件、損害総額四億に及ぶ郵政職員不正行為があったことを会計検査院調査で判明したというふうに報道をしております。これはまだ新聞報道段階であって、正式に検査報告として報告を受けていないものでありますが、これが事実であれば余り喜ばしいことではないわけであります。郵政省はどういう対策でもってこうした職員不正行為絶滅に取り組んでいるのか、やはり決算委員会としてはどうしても報告をしてもらわなければなりません。また、大臣就任早々でなんでありますが、こうした問題に対する決意もまず最初に承っておきたい、このように思います。
  8. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) このたびの内閣改造によりまして郵政大臣を拝命いたしました左藤でございます。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  それでは、本岡先生の御質問にお答えを申し上げたいと思います。  御指摘のように、職員によります不正行為が後を絶っていないということにつきましては、本当に申しわけないことであり遺憾であると、このように考えます。現金を取り扱う職員にはどうしてもこの不正行為への機会と誘惑が生じ得るということがあるわけでありますので、従来から職員による不正行為を防止するための防犯意識高揚とか、それを徹底しなければならない、綱紀の粛正に努力しなければならないと、このように考えておるわけでありますけれども、今お話しのような点もございますので、内部牽制措置の強化などさらに強力にこの点を実施してまいらなければならないと、このように考えております。そういったことで、今申しましたようなことを一層徹底して何とか絶滅しなければならない、このように考えておるところでございます。
  9. 本岡昭次

    本岡昭次君 今の大臣決意決意でいいんですが、十月二十日に報道された新聞中身ですが、これは事実なんですか。
  10. 陣野龍志

    説明員陣野龍志君) ここに掲載されております各事件につきましては、このような事件が発生しておることは事実でございます。
  11. 本岡昭次

    本岡昭次君 大臣大臣の今決意決意としていいんですが、新聞報道によるような中身が今度五十八年度決算検査報告として会計検査院から出るようなことがあれば、一生懸命頑張ってみたけれども不正撲滅のために努力したけれども、やはり件数として上回ったというふうなことになるわけで、この点について今の段階で、ひとつ私の方からも今後もっともっと十分な対応をするようにということを、ここで強く要求をしておきたいと思います。  それでは、次の質問に入ります。  まず、貯蓄非課税制度について伺います。  最近、郵便貯金などの非課税貯蓄見直し論増税対策として出されています。きょうはこの問題について論議をしてみたいと思います。  そこで、まず郵政大臣非課税貯蓄制度に対する基本的な考え方を聞かせていただきたい。
  12. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) まず、貯蓄というものは経済社会発展の基礎として、これはもう重要なものであるということは間違いのないところでありまして、個人にとりましても自助努力ということによって、これからますます高齢化社会が進んでまいりますが、これに対応していく上においてこの重要性が深まっていくんではないか、このように基本的に考えております。  特に郵便貯金につきましては、明治の初年の創業以来非課税ということでいっておるわけでありまして、このことは国民の間に深く定着して、いわば制度の根幹と申し上げていいんではないか、このように考えておるわけであります。そうしたことでこの郵便貯金資金が、また財政投融資の主要な原資になっておるという点から考えましても、国民生活の安定と向上に役立っておるということも考え合わせまして、非課税制度は今後とも堅持していかなきゃならない、このように考えております。のみならず、我々といたしましては限度額の引き上げとか、あるいはシルバー貯金の創設といった制度の拡充もお願いをいたしたい、このように考えておるところでございます。
  13. 本岡昭次

    本岡昭次君 郵便貯金など非課税貯蓄をめぐる最近の話題というのは、もともと不公平税制是正という観点から出てきたものであります。当初は利子配当所得を他の所得と分離して課税する源泉分離選択課税金持ち優遇だということで政府、税調が、他の所得と合わせて課税する総合課税に一本化すべきだと答申をしました。これを受けて政府は、架空名義によって非課税貯蓄制度の中にもぐり込む課税逃れ隠し所得をチェックするため、グリーンカード制を五十九年から実施することを決めました。ところが、自民党中心とするグリーンカードつぶしが始まって三年間凍結をされた、現在も凍結されている、こういう経過をたどっているのであります。この不公平税制是正の本質的な論議をほとんどなされないまま、ただ金融秩序を乱すといったような理由で凍結されていったように私は記憶しています。ここで改めて非課税貯蓄問題に入る前に、グリーンカード制度を創設しようとした目的、及びなぜグリーンカード制度が凍結されたのかという点について、郵政省は直接これにかかわる問題ではありませんが、政府の立場として郵政大臣にこの点について伺っておきたいと思います。
  14. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 担当者として、事務的な考え方をお答えさせていただきます。  グリーンカード制度につきましては、ただいま本岡委員指摘のとおり、利子配当所得につきまして、不公平税制是正のため、源泉分離選択課税制度を廃止して総合課税一本に移行することをねらいといたしまして、その実効を期するために課税及び非課税貯蓄両方合わせて本人確認を適正に行う、こういった目的で採用されることになったものと理解をしておりますが、諸般の情勢から、昨年の三月に租税特別措置法の一部改正により実施が三年間延期されることとなったと承知しているものでございます。なお、このようにグリーンカード制度非課税貯蓄の存続を前提に、課税貯蓄における税の不公平を是正することをねらいとしていたものと理解しておりますが、最近におけるこの問題の見直し論議につきましては、源泉分離選択貯蓄はそのままにして、非課税貯蓄制度を廃止あるいは縮減するという方向に変わってきているのではないかと思われるものもあるように感じられまして、私どもとしては、十年間も限度額三百万円に据え置かれ、実質的価値が半減しておりますところの非課税貯蓄について、かつて経験をしたことのないような制度の大変革を行わなければならないどういう状況の変化があったのかということについて、理解に苦しんでいるところでございます。
  15. 本岡昭次

    本岡昭次君 今も郵政省の方からありましたように、グリーンカード制を取り上げたというのは、利子配当課税そのもの不公平税制中身をやはり改善しよう、それは総合課税に一本化して源泉分離選択課税というものをなくしていこう、こういうところにあったわけで、それを別の言い方をすれば、源泉分離選択課税というものを認めて金持ち優遇税制になっているというところが、利子配当課税不公平税制の代表的なものだというふうに言われてきたところだと思うんです。ところが、今もありましたけれども、それがあたかも利子非課税制度そのものに何か不公平が存在をして、そしてそれを是正するために非課税制度を廃止すべきだという、まことに悪質な世論操作が今なされているというふうに私は見ています。その中の重要な問題として、五十九年二月末の参議院予算委員会大蔵省が提出した「利子非課税制度の最近五か年の利用状況」という資料がありますが、これは大蔵省自身悪意を持って出したのかこれを悪用した人が悪いのか知りませんが、とにかくこの中身が大変悪用されています。  ある新聞は、この資料をもとに、郵便貯金の場合三億五千万口座もあって国民一人当たりにすると三口座も持っているという非現実的な数字となっている、これは異常であり、匿名貯金の横行を裏づけているというふうに報道をしております。また、自民党の幹部の方の中にも、これと同様趣旨の発言によって非課税貯蓄を攻撃するというふうな事柄も見られます。私はこれをすなおに、三億五千万口座ということであればなんですが、まあ庶民貯蓄の仕方というのは五十万たまったから郵便局に持っていって五十万の定額貯金をして証書を一枚もらう、また二十万たまったからそれを持っていってもらう、こういうふうにして三百万の限度の中で、小銭をためてはそれを定額貯金証書にするわけで、一人当たり五枚持っていたから十枚持っていたからといって別にどうということはないわけで、まことにけしからぬ悪意に満ちたやり方だというふうに僕は思うんです。庶民だったらこんなことは、何をばかなことを言っているんだというふうに理解できるんですが、理解できない人がいるから問題なんですよ。金を持っている人は理解できない、こういうことは。  郵政省、この郵便貯金三億五千万口というこの問題の事実を、この場ではっきり解明をしておいていただきたいと思うんです。
  16. 奥田量三

    説明員奥田量三君) お答え申し上げます。  郵便貯金口座が三億あるいは三億五千万口座という問題につきましては、ただいま本岡委員指摘ございましたとおりでございまして、現在郵便貯金の持っております定額貯金件数、言いかえますと定額貯金証書枚数が約二億七千万枚ございまして、そのほかに通常貯金の通帳が約六千万枚ある。合わせまして三億数千万ということになるわけでございます。  この定額貯金証書につきましては、ただいま本岡委員指摘のとおり、郵便定額貯金は一口千円から預け入れが可能なものでございまして、現に月々そういった少額のお金を定額貯金に積み上げておられるという方も多数おられるわけでございまして、したがいまして、この三億云々というものはいわば口座ではございませんで、単に定額貯金証書枚数でございます。そういった意味からすれば、一人の郵便貯金利用者が何枚お持ちになっていても全然不思議はない、かように考えている次第でございます。
  17. 本岡昭次

    本岡昭次君 ここで大蔵省にやっぱり注意を私は促しておきたいと思うんです。この種の資料が、今も言ったように国民一人当たり口座以上持っている、そこに所得隠しがある、悪用されているというふうな、だから郵便貯金に問題があるという、こういう飛躍した論議が起こるのも、やはりこの資料をもっと正確に提出しなかったからだと思います。 今も郵政省が言ったように、通常郵便貯金六千三百四十六万口座積立郵便貯金千七十六万口座住宅貯金二十三万口座定額郵便貯金二億七千二百三十四万枚、こういうふうに書けばそうしたばかげた事柄は出てこないわけで、中傷というのですか、故意にこうした、国民がおかしいんではないかというふうに疑義を抱くような形の資料というふうなものには非常に問題がある、こういうふうに思います。これについて、別に大蔵省見解をきょう聞くのが本旨でありませんから、事実は今のように郵便貯金が非常に不当に使われているということでないということだけが明らかになればいいわけであります。  そこで、大蔵省に少しお聞きしてみたいんですが、不公平税制是正というのを言うならば、この少額郵便貯金などを目のかたきにせずに、いわゆるクロヨン不公平部分になぜもっと積極的に手をつけないのかということを私は言いたいんです。この税負担の不公平を象徴するクロヨンという言葉が使われ始めたのは昭和三十九年であると思います。今日ではクロヨンは、クシピンというんですか、九、四、 一。九、六、四が九、四、一と言われる率に変わっていると言われています。  去る十月四日、国税庁が発表した民間給与実態調査によると、五十八年一年間継続して民間企業に勤めた給与所得者は、パート主婦などを含め三千四百九十三万人、その給与、ボーナスなど合わせた給与総額は百十四兆九千八百三億円で、前年比三・〇%の伸びであった。このうち所得税を納めたのは三千百七十六万人で、所得税総額は六兆六千二百九十八億円というふうに調査はなっています。つまり、所得税を納めた人の割合を示す納税者割合は、九〇・九%となっております。これに比べて、自営業農業所得の方々の納税者割合は三九・五と一四・六というふうになるわけで、九、四、一というふうになって、今やクロヨンでなくクシピンというふうな実態になって、税の不公平が一層拡大し続けているということを証明しているんではないかというふうに私は見るわけです。大蔵省、この事実についての見解をひとつ承っておきたいと思います。
  18. 加藤泰彦

    説明員加藤泰彦君) お答えいたします。  国税庁といたしましては、大多数の納税者は誠実に申告をしているものと考えておりますが、クロヨン等と巷間言われているほどの所得種類間の所得捕捉率格差といいますか、そういうものがあるとは考えておりません。しかし、クロヨンという言葉に象徴されるように、一つの不満感といいますか、不公平感があるということや、税務調査実績等を見ますと、過小申告を行う不誠実な納税者がいるということも事実でございます。  このため国税当局といたしましては、適正かつ公平な課税を実現するために、従来からできる限りの努力を重ねてきておりますけれども、今後とも税務調査充実とか青色申告の普及など、執行面における環境整備地方税当局税理士会とか関係民間団体等との協力関係の確保、あるいは電算化による内部事務合理化とか研修の充実など、内部体制整備を図る等々、各般の対策を推進するように一層の努力を重ねて課税充実を期してまいりたいと思っております。
  19. 本岡昭次

    本岡昭次君 いや、私が尋ねたのは、今までクロヨンクロヨンと言われていたのがね、それはさっき言いましたように、納税者割合でしょう、給与所得者が何人いて、そしてそのうちの税金を納めた人が九〇・何ぼと。そうすると、自営業者が幾らいて、そのうちに税金を納めた人が幾ら、農業所得者があって、そのうちに税金を納めた人が何ぼと。その割合が九、六、四という割合であったのが最近では九、四、一というふうになっているということは、その格差が拡大しているということじゃありませんかということを尋ねているんですが、いかがですか。
  20. 加藤泰彦

    説明員加藤泰彦君) 納税者割合所得捕捉率を同列に論ずる傾向があるわけでございますけれども、一般的に申しまして、所得課税最低限以下の場合には納税者に該当しないということになるわけでございますので、あるグループの納税者割合が低いからといいまして所得捕捉率が低いというようなことには直ちにならないというふうに思いますが。
  21. 本岡昭次

    本岡昭次君 大蔵省はそう言うだろうけれども所得捕捉の仕方がサラリーマン源泉でするのと申告でするのと、そこに問題があるわけで、そのことをここで論議するわけじゃありませんから、一応それはそれでおいておきます。しかし、私は今のあなたの答弁で納得するわけではありません。  そういう考えで、結局、サラリーマンだけが過酷な税金のもとで呻吟しているという状態を、私はこのまま是認できない。しかし、今言いましたように、そのことをきょう論議するわけではありませんから、それはまた別の機会論議させていただきます。  さらに大蔵省にただしますけれども国税庁昭和五十八年度民間給与実態調査に基づいて、平均年収三百二十九万二千円を夫婦子供二人の標準世帯に当てはめると、所得税は八万八千二百円で、住民税社会保険料などを差し引いた可処分所得は二百九十九万三千円。これに対して本格減税が行われた昭和五十二年当時の平均年収二百四十五万七千円の標準世帯では、所得税は二万八千八百円で、可処分所得は二百二十七万八千円となっています。  つまり、五十二年から五十八年の六年間に平均給与標準世帯では所得税は三倍になっているのに比べ、可処分所得は名目で一一二・四%、七十一万円しかふえていない。しかも、この間に二七・五%の物価上昇があったということで、これを勘案すると、実質可処分所得はわずか三・〇五%、六万九千円しかふえていないということになるわけでありまして、先ほどクロヨン問題というのは、単に納税者割合の問題だけでは論じられないと言いましたけれども中身は実際このように給与所得者サラリーマンの中にどっしりと重くのしかかっているわけで、この問題を大蔵省として不公平税制の中の最大の問題としてどうするかということについて、もう少し積極的なものがなければならぬと思うんですが、この点いかがですか。
  22. 大山綱明

    説明員大山綱明君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘民間給与実態調査に基づきますところの計数は、仰せのとおりだと思います。  財政事情が大変厳しい状況のもとで、私ども数年間本格的な減税を実施いたせないでおりました。その結果、税負担がかなり上昇してきたという事実はあると思います。しかし、五十九年度におきまして、何年ぶりかでの本格的な減税をいたしました。一兆一千八百億円に上る減税をいたしたところでございまして、これによりまして中堅所得層負担が重いとか、あるいは多人数世帯負担がややきついといった世論にもおこたえをしたところでございます。財政事情との兼ね合いでどうしても御無理をお願いしなくちゃならない点は、財政事情ということで御理解をいただきたいのでありますが、ただ一点、ただいまの御指摘給与所得に関する計数でございましたけれども、この所得税制給与所得者だけでなく、すべての者に同じように適用されるわけでございますので、この点は所得間の格差が何かこれによってできたと、生じておるという事実はないものと私ども認識をいたしているところでございます。
  23. 本岡昭次

    本岡昭次君 私は、後ほどただす利子配当課税の見直し問題のときに今言っていることが問題になるんで、前段で大蔵省考えを聞かしてもらっているんです。  それでは、マル優を含む利子配当課税の問題に入ってまいりますが、先ほども郵政省の方にお伺いしたように、マル優を含む利子配当課税の見直しは、もともと不公平税制是正するという発想からスタートした。そしてその主眼は、三五%の税金を納めれば利子配当所得申告しなくてもよいという源泉分離選択課税の廃止にあったということであります。  ところが、五十八年十一月にまとめた中期税制答申で、政府税調が分離課税を残す現行制度もやむを得ないという方針に転換をして、不公平税制是正という点がこの点で大きく後退したというふうに思います。それにかわって出てきたのは、利子配当所得からできるだけ今度は税金を取るという増税の考え方でありますが、大蔵省、この非課税貯蓄改革案、いわゆるマル優改革の本当の理由はどこにあったのか、ここではっきりとその本心を伺っておきたいと思います。
  24. 大山綱明

    説明員大山綱明君) 利子配当課税の問題点ということで、一つは課税貯蓄に関する問題と非課税貯蓄に関する問題と二つございます。確かに委員指摘のように、グリーンカード制度の導入のときには課税貯蓄のあり方、つまり三五%の源泉分離選択課税を総合化するという点が一つのポイントでございましたし、あわせて非課税貯蓄制度における限度管理の適正化ということを期したわけでございますが、その当時の五十四年十二月の税制調査会の答申におきましても、今の限度額というのが果たして少額貯蓄の保護優遇という趣旨から見て妥当かどうか疑問であるという意見もある、指摘もあるというような御意見が記述されております。その後、ただいま委員指摘の五十八年度の税制調査会の答申におきましては、課税貯蓄のあり方と同時に非課税貯蓄のあり方につきましても、この制度貯蓄奨励という政策目的自体について貯蓄優遇税制のインセンティブ効果という観点から議論があってしかるべきであるとか、あるいは現在の非課税貯蓄の総枠は一世帯当たりの平均貯蓄額をはるかに上回る高い数字にあって、高額所得者をより優遇する結果をもたらしている面があるのではないか、そういった御指摘がございまして、非課税貯蓄制度についてもその見直しを検討し合理化を図っていくことが適当であるという御指摘をいただいているわけでございます。かように、課税貯蓄に関する問題の提起とあわせて非課税貯蓄につきましてもただいま申し上げましたような観点からの問題提起がなされまして、私どもその税制調査会の意見を、御答申を踏まえまして、非課税貯蓄制度のあり方についてもいろいろ内部的に検討いたしているところでございます。したがいまして、課税貯蓄だけでなく非課税貯蓄についても基本的な見直しということが、基本的な検討というのが必要なのではないかと考えておる次第でございます。
  25. 本岡昭次

    本岡昭次君 政府税調の中間報告中身についてもお聞きしたいんですが、もう時間の関係でそこは省きまして、端的に、非課税貯蓄制度の改革について七つの考え方政府税調の中間報告の中で提起されております。現行制度の改善、マル優カードの限度管理、対象者の限定、受取利子管理方式、世帯ごとに限度額を設定、低率課税の導入、非課税貯蓄制度の全廃、以上七つでありますが、大蔵省、この七つの問題について簡単に説明をしていただきたい。
  26. 大山綱明

    説明員大山綱明君) この七つの案と申しますか考え方でございますが、まず初めに挙がっておりますものは、これは現行制度の枠組みをそのままにいたしまして、そして今いろいろと問題を指摘されております限度管理をどうやって徹底していくか、それについての工夫を具体的に考えていくべきだというものが一方の端にございます。それから限度管理を今の枠組みの中で考えていくというのはなかなか言うべくして行われがたいのではないか、コストの点あるいは技術的な問題点などから言うべくして行われがたいのではないかというような観点からかと思われますが、そういった観点から、一たん税金源泉徴収なり何なりお取りしてそれをお返しする、そういうことをやることによりまして、個人個人の貯蓄差が自分の手元で管理が、限度管理とでも申しましょうか、に類するものができるようにする方策がいいのではないか。それが七つの中の真ん中ごろに出てまいります。それからさらに進みまして一番徹底した案というのは、非課税貯蓄制度というものをいろんな観点から見直して、やはり利子に対する課税のあり方は他の所得と同じでいいという見方もあるわけでございますが、そういう観点に立ちまして全部を総合課税、通常の所得税課税の原則に戻した総合課税というものに持っていくことはどうか。そういった場合にいろいろな別の角度からまた低所得者をどうするとかあるいは生活保護世帯をどうするとか、そういう別の面からの切り口は必要にしましても、そういったような総合課税にするという考え方もあろう。現状維持のものから全廃して原則総合課税にするという案に至るまでのその途中の段階の案等々が七つ並べてあるわけでございます。
  27. 本岡昭次

    本岡昭次君 その七案のうち五案に絞って大蔵省郵政省にこの改革を検討するようにということを提示したというふうに新聞等では私は聞いていますが、郵政省にお伺いします。その大蔵省から改革の五案が提示されたことに対して具体的にどのように今それに対応しようとしているかということをひとつここで説明してください。
  28. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 郵政省といたしましては、先ほど大臣も申しましたとおり、現在の非課税制度は今後とも堅持すべきであるという基本的な考え方に立っておりまして、この非課税制度の廃止もしくは縮減を前提とした見直し案は受け入れることができないと考えております。  ただいま御指摘大蔵省から示されました五案について簡単に付言をいたしますと、第一案は、現行の非課税制度の存続の中で限度額管理の適正化を図るというものでございまして、一口に申しまして、私ども限度額管理を厳正に行うことは当然のことと考えておりますが、郵政省といたしましては年来そのための努力を重ねており、また本年金国オンライン網が完成いたしましたことによって、その体制はより強化されたものと考えているわけでございます。第二案は、この限度額管理にカードを使用するという案でございまして、これにつきましてはいろいろな工夫によりまして、特に私どもといたしましては、これからのカード化社会において貯蓄利用者が貯蓄利用のためのカードをお持ちになる、これをひとつ工夫をして限度管理に活用するということの検討も一つのアイデアではないかと考えている次第でございます。次に、第三案の少額利子控除方式案につきましては、これは預金者にとりましても金融機関にとりましても手数や事務が大変煩雑になりますこと、また一時に課税をされることにこの制度ではなりますために長期商品が不利になるというふうに考えておりまして、これは受け入れることができないと考えているわけでございます。次に、第四案の低率分離課税案でございますが、私どもはこれについては特に問題があると考えておりまして、まずこの考え方では預金者にとりまして総合課税をとるか低率分離課税をとるかという選択につきまして、どちらが自分にとって有利であるかということの判断が大変難しく、金融機関の窓口で預金者から御相談を受けましても窓口での対応も大変困難であろうと考えております。また、所得の少ない人につきましては、所得の少ない人あるいは所得のない人はこの低率課税を選択するよりも還付請求で税金が返ってきますところの総合課税を選んだ方が有利になるという不合理さがあるというふうに考えます。この場合に源泉徴収を免除したといたしましても、するといたしましても、その源泉徴収免除対象者の特定方法について証明をどうするかというような問題がございますし、また総合課税を選択いたしますと、確定申告で税務署に還付請求をしなければならなくなるというような問題がありまして、いずれにしましても預金者に煩わしい手続を強いることになるのではなかろうかと考えております。なお、この場合に世帯主の配偶者控除、世帯主の方の配偶者控除、扶養控除、これが受けられないというようなケースが発生することも考えられまして、単に利子配当税制の見直しの範囲にとどまらない問題ではなかろうかというようなことから、実務的には対応が不可能に近い案であり到底受け入れかねると考えております。  最後に、第五案の総合課税移行、いわば利子配当非課税の全面廃止につきましては、冒頭申し上げましたような考え方から、到底受け入れることができないと考えているところでございます。
  29. 本岡昭次

    本岡昭次君 よくわかりました。  それで、けさの新聞にまた、この種の問題連日新聞紙上をにぎわしてますが、けさの新聞を見ると、郵政省は今のような考え方に立って大蔵省に逆提案をした。そして郵政省は七日にこの見解をまとめたということが、この日経の朝刊に出ているんですが、このことは事実ですか。「郵政省は七日、大蔵省が示していた非課税貯蓄制度改革試案に対する見解をまとめ発表した。」ということ、ここで発表できるならしてください。
  30. 奥田量三

    説明員奥田量三君) ただいま申し上げております大蔵省からの提案に対しまして、近く政府税調等の審議も再開されるということを含めまして、この一カ月間の大蔵省と私どもの事務的な折衝をひとまず締めくくったわけでございます。その段階におきまして郵政省のこの問題に対する考え方を取りまとめて報道機関に説明をいたしたわけでございます。
  31. 本岡昭次

    本岡昭次君 ここでその概略をちょっと言ってください。
  32. 奥田量三

    説明員奥田量三君) その内容は、ただいま五案に対する郵政省考え方ということで本岡委員にお答えをいたしたものが大体骨子となっております。
  33. 本岡昭次

    本岡昭次君 この新聞の中には、「「仮に郵貯利息に課税するなら銀行預金とのバランス上、限度額を撤廃する必要がある」と大蔵省に逆提案している。郵貯への課税に絶対反対を唱えてきた郵政省が微妙な変化を見せたともみられるが、」というようなことを書かれているんですがね、これはどうなんですか。
  34. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 先ほど来申し上げておりますように、郵便貯金は従来から創業以来一貫して非課税でございます。これが郵便貯金制度の根幹となっているわけでございます。すなわち郵便貯金には預入限度額が設けられているが、その範囲内で別枠非課税ということになっておりまして、これによって預入限度のない民間預金と制度的に均衡を保っているというふうに考えておりまして、郵便貯金非課税を仮に廃止するということは、この郵貯は預入限度はあるが、別枠で非課税という郵便貯金制度を根本から覆すということになるものと考えるわけでございます。したがいまして、郵貯の限度額をそのままにして非課税が廃止されたら、預入限度額のない民間とバランスがとれなくなると申しますのは、そういった幅の広い問題につながる性格のものであるということをコメントしたわけでございまして、郵政省としては長年国民の間に定着し、制度の根幹となっている郵便貯金非課税制度は堅持すべきであるということから、御指摘のような税をかけて限度額をどうしてという考え方は私どもとしては持っておりません。郵貯の非課税制度は今後とも堅持すべきであり、むしろジルバー貯金の創設などの制度充実が必要であると考えているわけでございます。
  35. 本岡昭次

    本岡昭次君 そこで大蔵省にいま少しお伺いしますが、当初より論議しておりますように、このマル優問題、非課税貯蓄制度の問題は、不公平税制是正するということで、その対象が源泉の分離税を選択できるという問題を廃止して総合課税に一元化するというところにねらいがあって、そのことがいわゆる不公平税制是正であるというふうになっていたと私思いますし、そのことは間違いないわけであります。ところが、そうした不公平税制そのものを是正してその結果として税収がふえるという視点から、今度は七つ出された案のうちでどの案を採用したら一番多く税収を上げられるか、税の増収効果があるかという点にどんどん絞られていっているというふうに私は見ています。そういうことで大蔵省の今の考えからいった場合に、その五案ですね、それぞれ増収効果ですが、大蔵省としていろいろ持っておられると思うんですが、その五案をそれぞれ、郵政省に示した五案でいけば、どのような増収効果が具体的にあるのか。新聞紙上はいろいろ書かれておりますが、大蔵省からこの席で、この案であればこれだけの増収効果がある、この案であればこれだけの増収効果があるということをここで示していただけませんか。
  36. 大山綱明

    説明員大山綱明君) 私どもの検討いたしております非課税貯蓄に関する制度の改革は、基本的に非課税貯蓄のあり方というものは適正公平な課税という観点からどうあるべきかという観点からアプローチをいたしておりまして、決して増収効果がどうこうということに左右された議論ではないという点をまず申し上げたいと思います。  それから、それぞれの案で実際上どのぐらいの増収効果があるかという御質問でございますけれども、まだその中身に肉づけがなされていない非常に概括的なもの、それも検討の視点というような形でお示しと申しますか、提示しているものでございますものですから、その制度の細かな中身が決まりませんと数字ははじけるものではございませんので、私ども内部的にも一切そういうような計数を持っていないところでございます。例えば具体的には五類型の中の三番目に少額利子控除という類型を置いておりますけれども、例えばそれにつきましても、その少額利子という控除すべき利子の水準をどのぐらいにするかによって全く答えが違ってくるものでございます。その類型の場合に、その少額利子控除、控除すべき少額利子というのがどのぐらいであるかということも一つの検討の視点として御提起をいたしているところでございます。そういったことでございますので、内部的にも持っておりませんし、まだ中身の固まりようによって幾らでも違いが出てくる問題でございますので、ちょっとせっかくのお尋ねでございますが、お答えする材料を持ち合わしていないということを御理解いただきたいと存じます。
  37. 本岡昭次

    本岡昭次君 あってもここで言わぬということだろうと思うんですけれどもね。  それでは、新聞にこの点でいろいろ書かれているわけですね。大蔵省が試算してどれだけの税収になるかという、税金が増収になるかという問題と、もう一点国民の側から、それではそうした案が取り入れられるとどれだけの新しい税金を納めなければならぬかという観点と二つあります。最近の新聞で、大蔵省非課税貯蓄制度の改革の中の一律分離課税を一〇%とか五%とかというふうにあるわけですが、こうしたものを予想していろいろ報道をしていますが、この新聞資料については事前に大蔵省の方にも言っておきましたからもうここで改めて言いませんけれども、夫婦、子供二人のサラリーマン家庭で世帯主名義の預貯金額を五、六百万、年利六%と仮定して、年収五百万円で年間約二万円から約六万円、年収七百万円の人で年間三万円から約八万円の新しい税金負担しなければならぬ、利子課税によって負担しなければならぬということが出ています。私の知識で見ても大体この程度になるのではないかと思うんですが、この種の新聞報道の内容ですね、ほぼ間違いないと理解していいですか。
  38. 大山綱明

    説明員大山綱明君) ただいま先生指摘新聞は十月の下旬に毎日新聞に載りましたものかと存じます。先ほども申しましたように、これいろいろな仮定のもとでいろいろな計算ができるわけでございまして、この試算も毎日新聞独自の仮定のもとでの試算でございますので、私どもちょっとこれについてコメントをいたしようもないわけでございますが、確かに機械化によると申しますか、現行制度を前提にして限度管理を徹底するという案の場合、第一類型ないし第二類型でございますが、これは全く個人にとって貯蓄者にとっての負担関係は変わりない、これは新聞にもそのとおりゼロと出ておりますが、のに対しまして、五類型でありますところの非課税貯蓄全廃、私ども原則総合課税というような言葉で呼んでおりますが、そういうことになりますれば、今の非課税枠が取り払われまして全体が総合課税の対象になるということでございますので、これも例えば扶養親族をどうしますとか老年者に対する配慮をどうするとか、私どもはそういういろいろな角度からの問題の提起と申しますか、配慮の必要性があるやなしやというお問いかけをしているわけでございますが、そういったものを今ちょっとわきに置きますとすれば、例えば第五類型の原則総合課税になりますればある程度の税負担というのが生ずることは否定はできないと存じます。
  39. 本岡昭次

    本岡昭次君 それで大蔵省は、あすの税調に低率分離課税方式と現行制度限度額管理強化のこの二つに、七つの案を絞って検討を求める方針を最終的に固めたというふうにきのうきょうの新聞報道にあります。これは大体こういう方向でまとめ切ったというふうに考えていいんですか。
  40. 大山綱明

    説明員大山綱明君) 明日午後三時から税制調査会の利子配当特別部会を開催させていただくということでお願いをいたしております。そこには私どもといたしましては、五類型につきましての郵政当局及び民間金融機関の先ほど郵政当局からの御意見につきましては御披露がございましたけれども、そういったものを間違いなく盛りましてお示しをするつもりでございます。したがいまして、五類型につきましてのいろいろな評価、問題点というものを各方面からいただきましたものも含めまして、御提示をいたすつもりでございます。あわせまして、さらに議論を深めて検討をお願いしたいという部分がございますので、五つ全部につきましてそれに肉づけをした、この類型ですとこういう案になりますという作業をいたしますのは、必ずしもこれまでの議論の経過から必要はないのではないかと思っておりますので、五つではなくもう少し絞った形で税制調査会特別部会に御説明をいたしたいと、それをもとにさらに議論を深めていただきたいと、こう考えております。  ただいま新聞では二つが報道されているがどうかというお尋ねでございますが、何と申しましょうか、私ども新聞が全然見当違いであるというようなことを申すつもりは全くございませんが、何分にも明日税制調査会に私どもが御説明をさしていただく事柄、それの内容にわたることなものでございますから、今それを仰せのとおりですと申し上げるのは、あるいは肯定あるいは否定をいたしますということにつきましては、私どもの立場を御理解をいただければ幸いだと存じております。
  41. 本岡昭次

    本岡昭次君 いろいろ言い回しがありましたけれども、結局低率分離課税方式というものを大蔵省の案として提示をする、五%から一〇%程度の低率で一律分離課税する、これが大蔵省の本音だというふうに理解してもいい。あすは税調にそういう形で出されるというふうに今の話の中では理解できるわけですが、結局そういうことによって数千億円以上の来年度予算の中で税収増というものを期待しようということであるということがいよいよはっきりしてきたのであります。  そこで私は、ここで郵政大臣なり大蔵省に強く言いたいんですけれども非課税貯蓄制度を悪用することで税の不公正が生じている。だから、非課税貯蓄制度課税する必要があるというもっともらしい話は、裏では結局たくさんの税金をそこから取れるではないかという増税効果というものがその本当の考えであるということは見え見えなんでありますね。結局そのことは、一部のそうしたこの制度を悪用している不正利用者、その人たちはほとんどが高額預貯金者であると思うんです。その高額預貯金者の不正悪用を締め出さないかぬということで、他の多くの善良な低所得者がこつこつとためていく少額預貯金そのものに今度は課税をしていく、公正に正しくそのことを利用している人たちにも利子課税していくというやり方、私は全くこれは弱い者いじめの不公正な政治という以外の何物でもない、大きな憤りを感じるんですね。高額所得者が利子配当でもって生活をしたり、それをより有利に運用するためにどうすればいいかというそういう目的とは違って、少額の預貯金者の預金目的というのはこれはどの統計を見ても調査を見てもはっきりしているように、病気など不時の出費に備えるため、あるいは子供の教育費のため、老後の生活を支えるため、乏しい収入の中から身を削る思いでためている。言ってみれば、政府が将来のために備えておきなさいよと、自助努力をしなさいという事柄に関して、けなげにも条件整備をしている努力のあらわれではないかと思います。それで、一方で当然国がしなければならない老後の保障の問題とか教育の問題とか、あるいは福祉の問題、万一の場合の社会保障的なもの、そうしたものはどんどんと予算を削って後退をさせて、受益者負担の思想でもうて自分のことは自分でやりなさいというふうにやっていく。一方では、そのためにためる貯金には新しい税金をかけていく、こんな本当に踏んだりけったりのひどいやり方というのは私は許されぬと思うんですね。  郵政大臣、あなたも大臣就任の記者会見で随分はっきりとしたことをおっしゃっておりますけれども、どうしても私はこういう新しい税の負担庶民にかけるというやり方は許せぬわけです。私の今言っていることに、もし反論なり問題があるなら言っていただきたいし、大蔵省それから郵政大臣、それぞれこの問題についてのひとつ見解を承っておきたいと思います。
  42. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 今先生がお話しになりましたことは、私はそのとおりだと思います。したがって、この非課税貯蓄制度というものを悪用して税の不公平が生じているとかというふうな、いろんなことが言われておりますけれども限度額管理とか、そういった問題をきちっとやることによって、そして今出されたお話のような、それに課税することのないような方向で我々努力しなければならないと、このように考えております。
  43. 大山綱明

    説明員大山綱明君) 税制調査会の過日の、九月でございますが、九月の中間報告におきまして、非課税貯蓄制度についてもさらに一般の論議が深まることを期待するということで、幾つかの切り口と申しましょうか、を示しております。  具体的には、やはり教育とか住宅とかいうことから、貯蓄保有の必要性があるのではないかという御意見も並べてございますし、逆に所得水準の高い階層ほど今の非課税貯蓄制度利用状況を見ると有利になっておる、それからまたもちろん貯蓄重要性というのは否定しがたいにしても、一律的にばらまき的な状況で優遇をしていくのがよいのかどうか、あるいは零細所得者、低所得者という方々に対する福祉政策的な観点から見直す必要もあるのではないか等々、六つばかりここには挙がっておりますけれども、幾つかの問題検討の切り口を示していただいているところでございます。  今後、私ども税制調査会に複数の類型と申しますか、案を示すようにと、これは税制調査会の方からの御要請でございますので、複数の具体案に従って幅広く御議論をいただくものと考えておりますが、今御披露いたしましたような観点を、私どもとしても大蔵省としても十分に考慮をいたしながら、税制調査会の御答申を待ちつつ検討を進めてまいりたいと存じております。
  44. 本岡昭次

    本岡昭次君 ここに全逓信労働組合がことしの十月に行った「貯蓄目的等に関する世論調査」があります。これはマスコミ等でも取り上げられておりました。その中の一つに「利子非課税制度に関する意識」という項目があります。この利子非課税制度国民貯蓄の保護や奨励に役立っているかという問いに対し、役立っているというのが七割、役立っていないが一割ということで、この利子非課税制度国民貯蓄の保護や奨励に役立っているという点で、国民的コンセンサスが成立しているというふうに私は見てよいと思います。にもかかわらず、今大蔵省からありましたけれども利子非課税制度そのものを全体として見直す必要が出てきているというのが、一体どの立場からこれが出てきてるのか。全く税というのは取れるところから取ればいいんだという、そこに政治というものが全く不在であるというふうに思えて仕方がない。また、利子課税された場合の対応としてどうするかという問いに対しても、約五割が利回りのよい他の資産運用手段を探して移しかえると言っています。そのまま継続しますというのが、泣き寝入りして税をそのまま払いますというのが四割ということであります。しかし、問題は、貯蓄別に見てみると、五十万円、百万円、二百万円までは仕方がないから継続すると、こういうふうに言ってるんですよ、ほとんど。二百万円を超すに従って移しかえるというのがぐんぐんとふえていくんですね。つまり、資産移動の能力やその効果の乏しい低所得者、つまり小さな預貯金しか持っていない者はその資産を移しかえて、それによって別の利得を得るとか、あるいはもっと新しい効果を得ていくというふうな問題についての能力もないし、またやってもそれだけのメリットはない。ただ、そこで今まで利子に対する税金がかからなかったものを税金をかけられても郵便貯金を継続するしかない、こういうことになっています。一方、高額預貯金者はその郵便貯金をやめて他の有利な資産運用のところへ移しかえ、その課税による損失をどっかで補って、それに対する損失はほとんどないようにしていきますというふうな対応になっていくんですね。だから、先ほど大蔵省の方が非課税貯蓄制度というのは高額貯蓄者に多くの面で有利に働いていくからそれに税をかけるんだ、こう言っても、今言ったような形でそこから逃げていって、別のところでまた資産運用をやれば、あなた方が捕まえようとしても捕まえられないわけで、捕まえられるのは資産の移動もできないし、新しいところへ運用することもできないそういう低所得者層、少額の預貯金者のところに五%にしろ一〇%にしろ税金が新しくかかるという結果になるだけだ。結局、税制の不公正は一層助長されるということが目に見えてるんではないかということを、この全逓の調査結果から私は判断をしたわけでね、先ほども言いましたけれども、本当にこうした非課税制度を全廃して、そこに利子に対する課税を行うという新しい提起、絶対許されぬという気をますますこう強くするわけなんです。  郵政大臣、たびたび申しわけありませんがね、もう少しこうした世論調査の結果等に基づく国民考え方に対して、ここでそれを守っていくという立場で毅然とした決意も伺っておきたいと思うんですが、いかがですか。
  45. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 今お示しになりました世論調査の結果は、そのほかの世論調査を見ましてもやはり約四割が非課税貯蓄制度が廃止されたら、ほかの有利な運用手段を探してもそちらに移り変わりたい、こういうような結果も出ていることも承知いたしております。確かに今お話にございましたような、そうした過去ずっと伝統を持って国民の皆さんの中に定着してきた郵便貯金というものが、そうした一つの大きな嵐の中に今入らざるを得ないようなところに追い込まれてきておるということは、我々も考えるわけでありますが、しかし国民の皆さんに一つの信頼を得てそうしたことをやっておる立場から見ましても、この非課税制度というものは我々はもうどうしても守っていかなければならない。そして、その中で金融の環境が自由化していくということに対しての対応策をつくり出していかなければならない。それとこれとは私はまた別問題である。また、国民の皆さんに対しての一つの安心して貯蓄していただけるという、そういう大切な風習と申しますか、国民的な今日までの我々に対しましての信頼というものを裏切ることのないように努力をしていかなければならないと、このように考えております。
  46. 本岡昭次

    本岡昭次君 郵政大臣は、六日の閣議後の記者会見で、今論議していますこの問題について、郵便貯金に対する課税は全面的に反対だ。大蔵省はいろいろな課税案を考えているようだが、一つずづ撃破していかなければならないと語り、郵貯非課税制度の全面撤廃はもとより低率分離課税など部分的見直しにも反対する姿勢を重ねて強調した。私はこうなければならぬと、こう思います。今、郵政大臣がこのような毅然とした態度でもってこの問題に立ち向かってもらわなければ、それは国民の政治不信というものが大きく強まるというふうに私は思っております。  それにさらにつけ加えて言うならば、いわゆる今郵便貯金の伸びは鈍ってきているんでしょう。総務庁の「貯蓄動向調査報告」では、五十一年当時の対前年度増加率一八・九%であったものが逐次低下し、五十六年度まで何とか二けた台であったものが、五十七年度七・三%、五十八年度四・二%と急激な低下になっているんです。これはこの間庶民の、国民の生活が非常に厳しくなっているためだと思うんです。税金社会保険料を差し引いた可処分所得の実収入に占める割合が、五十年が九丁三%であるのに比べ、五十八年は八四・九%と実に六・四ポイントも低下していますし、可処分所得から住宅ローン返済、学校給食、家賃、地代等の強制的サービスを引いたいわゆる自由裁量所得といわれるものも、五十年の七九・八%に対し五十八年は六九・五%と、こちらの方は一〇・三ポイントも低下をしているわけで、従来貯蓄に回しておった金も回せないというふうな状況が一方にあって、それがさらにこれからも続くと思うんですね、そういう状況は、今の臨調行革の中では。その上にこの非課税貯蓄制度を廃止して、そこにまた低率といえども税をかける。こういう状態に追い込まれる国民の側にやはりしっかり立ってもらわなければ郵政大臣いかぬと思うんですよ。もう時間もありませんから、先ほどの郵政大臣決意でもって了としますけれども、この質問終わるに当たって、あすから税調のそうした諮問が行われるようでありますが、今後の問題についての郵政大臣の再度のひとつ決意をお聞きしてこの質問を終わりたいと思います。
  47. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) いろいろ深い御理解をいただいておりますことに対して感謝を申し上げたいと思います。  国民生活にとって貯蓄は不可欠であるということは改めて申し上げるまでもございません。高齢化社会の到来、国民自助努力を促すという見地からも、貯蓄というものが大切なことは従来以上にその重要性が高まっておるわけでありまして、非課税貯蓄制度はこの国民貯蓄奨励の重要な柱である、このように考えておりますので、今お示しのとおり、今後ともこれを堅持していくという決意で臨みたい、このように考えております。
  48. 本岡昭次

    本岡昭次君 あとは細かい問題を一点質問さしていただきまして、私の質問は終わりたいと思います。  郵政省にお伺いしますが、手紙や小包等の郵便物を取り扱う郵便局郵便物を配達する郵便区ですか、それはどのような基準に基づいて決定されるのか説明いただきたいと思います。
  49. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) お尋ねの件でございますが、現行の集配郵便局の受け持ち地域、これを郵便区と称しておりますが、多分に歴史的経緯もありますけれども、新たにこれを定めるに当たりましては、まず第一に行政区をもとにいたしましてできるだけこれを分割しないように設定することといたしております。ただ、道路あるいは交通それから仕事の量、業務量でございますが、その他の事由によってこれを分割することがかえって郵物の集配上便利な場合などには、行政区を分割して設定するという基本的な考え方に立ってやつております。
  50. 本岡昭次

    本岡昭次君 兵庫県の三田市に母子、永沢寺という地区があります。この地区は三田市でありなら、郵便物の集配は三田郵便局が行うのではなく、隣の郡であります篠山町の篠山郵便局が行っているのですが、これはどういう理由からですか。
  51. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) お申し出の地域につきましてでございますが、この母子、永沢寺地区は篠山郵便局からの方が距離的に近うございまして、住民の方々にとりましてもまた郵便の配達上からも大変便利であるということから、明治五年以来篠山郵便局の受け持ち地域となっているものであります。
  52. 本岡昭次

    本岡昭次君 ことしの六月十三日、三田市長が三田郵便局長にあてて、郵便物の集配業務を篠山局から三田局に移管してもらいたいという陳情を行っています。この陳情に対して、現在郵政省はどう対応されていますか。
  53. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) 本件につきましては、本年の六月に委員がおっしゃいましたとおりに三田市長から三田郵便局長あて要望がございました。それを受けましてこの地域を管轄しております近畿郵政局におきましていろいろ検討をさせていただきました。その結果につきまして、この八月七日に現地に出向きまして、組みかえといいますか、今やっております篠山から三田に郵便区の組みかえを行いましても実際のところ郵便利用上サービスの向上が図れず、かえって郵便局までの距離が増加して地域の皆様には御不便をおかけすることになる。現行どおりとする方が望ましいというふうに考えられますので、この旨御了承いただきたいというふうに回答を申し上げたところでございます。
  54. 本岡昭次

    本岡昭次君 それに対して三田市側の対応はどういうふうになっていますか。
  55. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) 私どもが承っている限りでは、その回答で一応終わっているということで、それに対応して三田市側が特段どういうことで近畿郵政局に対応されたのか、ちょっとその辺はまだ把握してございませんが。
  56. 本岡昭次

    本岡昭次君 問題は地元の住民の皆さんの意思にあると思うんですが、私も地元の住民の皆さんの意思をはっきり把握しておりませんので余り強いことは言えません。しかし、市長が局の移管を申し出たということは、やはりその地域住民の意思をこれは反映して申し出たんだと考えます。今おっしゃるように、三田郵便局から母子、永沢寺までは約二十一キロ、篠山郵便局からだったら六キロということで、距離にしまして篠山郵便局からであると三田からよりも約三分の一の距離ということで、非常に距離的には近い。このことはよくわかるんですが、まあしかし、先ほども行政区を分割する場合はどういう場合かということをお尋ねしたところ、道路とか交通とかいうものが非常に不便な場合というのがありました。しかし、最近ここは辺地総合整備事業によって道路の改修に努めて、五十九年の春、地元の新規バスの定期運行が初めて実現して、この母子、永沢寺地区が三田市という行政区域にありながら山の中で孤立していたという状態から解放されたのであります。この地域の中学生は、今までそういう地理的な条件から多紀郡の篠山町立篠山中学校へいわゆる郡を越えて越境入学のやむなきに至っていたが、これもそういうパスが開通したということで三田市の中学校に通学できるようになったと、三田市民として三田市の中学校へ通えるようになったと、こういう新しい事態がそこに起こったんですね。つまり非常に僻地、辺地であったからさまざまな地域の生活依存というものが隣の郡の篠山に依存しておったのが、交通の便がよくなり道路がよくなって、そしてやはり三田市民であるから三田市の行政の管轄にということで全部移行を今しつつあるわけなんですよ。そういう一つとして郵便物についても、今おっしゃるように三倍も遠いではないかと、十分なサービスができないかもしれぬという局側の考え方はあるにしても、地元の住民にしてみれば、三田市民だから三田市民として三田局の扱いを受けさせてもらえないかという要望は至極当然であろうと私は思います。そして、最初質問したように、行政区をできるだけ分割しないようにやるのが基本だというようにおっしゃったんですからね。今まで分割をしなければ仕方がないという条件が今緩和をされて改善をされてきた段階において、地元の住民の意思というものを尊重して局の移管というものをいま少し積極的に検討をしていいんではないかというふうに私は思うんですがね。そうした諸般の状況を見ても、やはり先ほどおっしゃったように、かえって地域の皆さんに迷惑をかけるからというふうなことでもってこれをお認めにならないのか。ちょっと私はおかしいんではないかと思うんですがね、そのこと。いかがですか。
  57. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) 先生おっしゃいますように、確かにその地域の住民の方々のお気持ち、行政区として一体となっていると、したがっていろいろ民生の面で行政の一体的なサービスを受けているから郵便サービスもという、そういうお気持ちでの御発言は確かにうなずけるものがあるわけでございます。反面、私どものサービスのいろいろな何といいますか、基準といいますか、めどといたしましては、やはりその地域にできるだけ速く郵便をお届けすると、それから郵便を御利用いただいている方々もできるだけ容易に郵便局の窓口サービスを受けていただくということもまた大切なことであります。こだわるようでございますけれども、例えば私ども配達をしに行ってその地域の方のお住まいが不在であったと、で郵便局にとどめ置いておりますので、また取りに来てくださいというような、いわゆる不在とめ置き郵便物の受領ということがございますけれども、そういった場合も、やはりこの場合は篠山の局へ来ていただいた方が近いということもあるわけでございます。ただおっしゃるように、そういった地域の状況の変化ということは、私ども郵便局と地域社会との結びつきというものをやはり重視して考えておりますので、地元の郵便局はもとより、管轄する郵政局も注目をして把握しておくようによく指導してまいりたいと思っております。
  58. 本岡昭次

    本岡昭次君 いや、今おっしゃったようなときに篠山へ行く、三田へ行く。片一方は三倍の距離がある。しかし、それ行くのは地域の住民が行くわけでしてね。そうでしょう。だからそれは、地域の住民がどう納得するかという問題じゃないんですか。だから地域の住民の皆さんが、いやそれは篠山局でいいと言うんならそれでいいが、しかし市長を通して三田市民と同じような形で、今までとにかく市民の扱いをしてもらえなかった部分がたくさんあって、いろんなこだわりがあると思うんですよね。だから、三田市民の立場で遠くても三田局へ行きますからというふうに言う場合があれば、これは移管を考えてもいいんじゃないんですか。要するにその地域の住民が、あなたがおっしゃるように、サービスを受けるその受け方について納得できるかどうかということじゃないんですか。そういう局側が今のような形で一方的にこれは決める筋合いのものではないと私は思いますがね。どうですか。だから、もう時間ありませんから、こんなことで長くやりとりする気ありませんが、ひとつ住民の立場に立って、住民が求めるサービス、またそのサービスが今言ったように距離的に延びても住民が納得すれば、やっぱり住民の思う方にその局の郵便物の集配というものを移管するというのが私は筋じゃないか、こう思うんですがね。あくまで郵政省の立場で考えるのか、地域住民の立場に立って考えるのかという視点だと思うんですよ。  郵政大臣、細かいことですが、最後お答えいただいて終わりたいと思います。
  59. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 郵政省は住民のための郵便物の取り扱いをすべきだという立場から見れば、住民の総意というものが優先されなければならないと、私はこのように思います。ただ、今お話がございましたが、そういう距離の問題とか何かで住民の皆さんにどの程度郵便のサービスについて御理解いただいておるかという問題がございますので、十分御理解をいただいた上で住民の皆さんの御意思に沿うような形にしなければならない、このように考えます。
  60. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時三分開会
  61. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十七年度決算外二件を議題とし、郵政省及び日本電信電話公社決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  62. 菅野久光

    ○菅野久光君 初めに、会計検査院昭和五十七年度の決算検査報告によりますと、ここで指摘されている不当事項等、郵政が三十一件、支出に関するものが一件、電電公社は不当事項等四件ということで、郵政の場合には五十六年度とほぼ変わらない件数ということになっております。これは会計検査院指摘したものだけであって、そうでないもの、結局指摘されないで隠されて、隠されてというか、今の段階ではっきりしていないものもかなりあるのではないかというふうに思うんです。いずれにしろ国民に不信感を招くようなこういったようなことをなくすという、そういう努力はそれぞれなされているとは思いますけれども、この件についてはさらにチェック体制等含めて、ひとつ件数を減らす、全部なくすことが理想ではありますけれども、なかなかそうはいかないとしても、そういう努力をしてもらいたいということを初めにこれは申し上げて、個々の問題については申し上げませんけれども、そのことを私の方から指摘をしておきたいというふうに思います。  初めに、ことしの二月、すなわち五九・二国鉄のダイヤ改正、これに伴って鉄道郵便のありようが大きく変わりました。それによって配転だとかを含めて、働く者にとってはその勤務条件が大きく変わりました。また宅配便が急速に伸びて、言えば小包などが非常に押されてきているというようなこと等、最近の郵政事業の問題については大きな問題があります。宅配便の問題なんかは、もうかる地域は宅配便でやって、宅配便が受けたもののもうからない地域については郵便局を通じて送るというようなことなどもあるやに私は聞いております。そういうことで公共的な役割を持っている郵政事業というものが、ただ単なる経済性だとか効率化ということだけで、郵政事業が落ち込んでいるから、何というのですか、そこを縮小するだとかなんとかということは、私はやっぱり国民に対するサービスという観点からいっても間違いではないか、多少金がかかったにしろ何にしろ、国民の利便といいますか、そういう国民に対するサービスというものを落とさない、そういったようなことが大事なんでありますけれども、ともすればその数字だけを見て、これは例えば今の小包の問題一つとってみても、以前から見るとずっと個数が減っている、しかし一個当たりの何というのですか、経費は上がっていっている。そんなようなことがともすれば論議にされがちでありますが、私はそういう論議は今の段階やっぱり間違いではないか。あの国鉄のローカル線の廃止の問題なんかも私はそういう点が言えると思うわけでありますけれども、そんなことなどを含め本当に国民にサービスをしていく、そういう事業を行っている郵政の仕事でありますから、そういったようなこと等を含めて郵政事業の状況がどうなっているのかということを概括的にひとつ御報告をいただきたい、このように思います。
  63. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) ただいま郵政事業のうち郵便事業でございますが、厳しい現状ということについて御指摘があったわけでございます。事業の動向を占う一つのよすがといたしまして、最近の郵便の引き受け部数を見てみますと、本年四月から九月までについて見ますと、これが前年同期比二・三%の増加ということで、部数総体としては前の年の同じ時期、つまり前々年同期に比較して五・六%増というふうな数字になっておりまして、それに比べるとやや伸び悩みという状況でございます。その意味では厳しい状況にあるんではないかということでございまして、私ども気持ちを引き締めて事業運営に当たらなければいかぬというふうには考えております。  ただ、小包でございますが、前年度まで減少傾向にありましたけれども、私ども本年二月の郵便輸送システムの改善を初めといたしまして、料金の割引制度、これは十個以上出していただくと二〇%、百個以上ですと二五%という割引、それから重量区分の簡素化、段階別の料金のランクを簡素化して実質的に料金を下げている部分もあるわけでございます。こういった改善策の効果もありまして、本年度九月末現在は前年同期比三・二%の増加ということで、四月から九月までの累計としては小包郵便物が五十五年度以来四年ぶりに増加に転じているという、若干いいデータも得ているわけであります。  ただ、先生指摘のように、数字だけでこれ全体を推しはかってはならないわけでありまして、私どもこういう数字が今後とも維持できるように、さらにサービス改善に努めていかなければいかぬというふうに考えております。  いずれにいたしましても、郵便を将来とも国民の基本的な通信及び小型物件送達手段として維持発展させていくために、今後とも利用者のニーズに即応したサービスの改善に努めて、需要の拡大を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  64. 菅野久光

    ○菅野久光君 小包等も少し上向きになってきている。それだけに大変努力をされていることについては敬意を表したいというふうに思いますし、さらに一層国民のためのサービス向上ということを含めて、ひとつ努力をしていただきたいというふうに要望をいたします。  続きまして、十一月五日に発売されたお年玉つきの年賀はがき、これが三十一億五千万枚ということで、昨年よりさらに一億枚ふえて発売されたわけでありますが、この年賀はがきという言葉を私は聞きますと、年末年始の繁忙期における問題についての労使交渉、これがどうなっているのかなということを思い浮かべ心配するわけでありますが、お年玉つき年賀はがきだけでも三十一億五千万、それにお年玉つきでないやつも含まれば膨大な数になるわけで、そういう膨大な作業を順調に進めて国民にサービスするためには、何といっても労使の協力関係、こういうことがなければ難しいわけであります。したがって、この年末交渉の関係について現状どうなっているのか、またその見通しがどうなのか、その辺についてちょっとお伺いをいたしたいというふうに思います。
  65. 中村泰三

    説明員(中村泰三君) 年末繁忙対策中心にした労使交渉の現状についてのお尋ねでございますが、最近、郵政省の労使関係もだんだん安定化の傾向にありまして、関係の労働組合も現今の事業の厳しい状況に対して郵政省と共通の認識を深めておりまして、ここ数年来、年末の交渉は国民の皆様方に御迷惑をかけるような状況はなかったわけでございます。本年におきましても、年賀郵便の配送を中心にしました繁忙対策に対する労使交渉は、先週の末に、十一月二日に本省本部間で大綱妥結をいたしまして、現在下部で細目の話が行われているというようなことでございます。その他残された問題につきましても、近々のうちに円満に解決すべく現在努力中でございまして、関係の労働組合もこの年末に戦術等を構えて交渉をやるということはしない、話し合いを中心にして早期にかつ円満に解決をしたいということで進んでおるのが現状でございます。私どもも一日も早く労使交渉を円満に解決して、年末の業務運行にいささかの支障もないように努力をしてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  66. 菅野久光

    ○菅野久光君 今御答弁になったそういう方向でひとつ早期に解決をして、みんながこの業務について本当に何というんですか、わだかまりだとかそういうものを持たないで、いい仕事、国民にサービスができるようなそういう態勢がとられるように、特に郵政当局の方に私の方からもお願いをいたしたいというふうに思います。  続きまして、ちょっと昭和五十七年度の特別会計決算参照書に基づいての質問に入らせていただきたいと思いますが、郵便貯金の関係でありますが、きょうも午前中本岡委員の方からいろいろ非課税の問題についても質問がございましたし、また私ども郵便貯金庶民の金融機関でありますし、いわば全国津々浦々において利用できる国民にとって極めて便利な生活に密着したものであるわけで、それだけにこの郵便貯金そのものが財投に国に持っていかれていて、その財投のまた使われ方も私はいろいろ問題だというふうには思うわけでありますが、財投の使われ方がいわば大企業にそのほとんどが、九〇%ちょっとだと思いますが、行って、本当に国民の目に見えるところに財投が使われないというようなことなど、これは大蔵との関係もいろいろありますので、それはまた別な機会に私はやりたいというふうに思っておりますけれども郵便貯金が全く国民に密着したものであるだけに、その会計はわかりやすく、そして納得のいくような処理がなされなければならないというふうに思いますし、そのことが郵便貯金事業を発展させ守っていくことになるのではないかというふうに思って、そういう観点で幾つかの点についてお伺いをいたしたいというふうに思います。  昭和五十七年度の郵便貯金の特別会計の収支を見ますと、収納済み歳入額は五兆四千三百九十五億一千万、端数は切り捨てたり切り上げたりいたしますが、支出済み歳出額は五兆四千三百九十五億五百万円となっておって、歳入、歳出の差は約五百万の剰余を生じているわけであります。しかし、これを借入金、前年度剰余金を除いた本来の業務収入のみ、つまり損益計算書上における損益を見ますと、収入が五兆三千百九十四億円に対して、支出が五兆三千九百二十二億円となっております。そして、この結果七百二十八億円もの赤字を出している。累積赤字は、五十六年度の四百七十三億円を合わせますと、五十七年度で千二百一億円にもなっているのが実態ですね。  郵便貯金特別会計が五十六、五十七年度と連続して赤字を出したその原因は何なのかということについて、お答えをいただきたいと思います。
  67. 奥田量三

    説明員奥田量三君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のように、郵便貯金事業におきましては、昭和五十七年度に七百二十八億円の赤字を発生いたしました。さらにつけ加えて申し上げますと、五十八年度において二千三百二十二億円の赤字を発生いたしまして、五十八年度末における累積赤字は三千五百二十三億円という状況になっております。  このように、郵便貯金事業特別会計に赤字が生じます原因は、一口に基本的に申し上げますと、預託利率にあると私ども考えている次第でございます。すなわち郵便貯金利子と経費を合わせましたコスト、このコストにつきましては、郵便貯金は民間金融機関よりも低うございます。例えば最近七年間の平均で申し上げますと、郵便貯金が七・二一%、都市銀行が七・八四%、長期信用銀行においては八・〇一%というような状況でございまして、コスト面では問題はないわけでございますが、問題は郵便貯金にとっての収入でありますところの資金運用部から受け取る預託利子の利率、つまり預託利率が低かった。もう少し具体的に申し上げますと、最近七年間の平均預託利率は七・一五%ということでございまして、例えば同期間の国債の平均利回り七・六〇五%に比べてもかなり低いというような状況からいたしまして、先ほど申し上げましたような低い運営経費、低いコストも賄えないほど低位に決定をされていた、これが赤字の原因であろうと思います。特に御指摘昭和五十六年度以降赤字となった原因は、昭和五十五年度に預入をされました定額貯金の支払いの最高利率が八%でありましたに対し、預託利率が八・五%、つまりその差、利差がわずか〇・五%ということで、約〇・七%でありますところの事業費、経費も賄えないというところから出てきた結果と考えております。  ただ、現在におきましては、このような預託利率と郵便貯金の最高利率との関係は改善をされておりまして、その結果、明昭和六十年度におきましては、現在提出しております概算要求のベースで三千五百億円程度の黒字が生ずることを予定いたしておりますし、越えて明々昭和六十一年度にはこれまでの累積赤字も解消すると、かような見通しを持っております。
  68. 菅野久光

    ○菅野久光君 高利回りの八%の金利負担、そこのところがやっぱり赤字の大きな原因だと、それだけじゃないのかもしれませんが、そこが大きくあるんだということに尽きる、言えばそういうことで理解をしてよろしゅうございますか。
  69. 奥田量三

    説明員奥田量三君) ただいま御指摘のとおりに考えております。
  70. 菅野久光

    ○菅野久光君 五十六、五十七、五十八年、三カ年にわたってこういったような状況がどっと来るということは、五十六、七年ごろにはそうは思っておらなかったのではないかというような節があるんですけれども、その辺は五十六、五十七、五十八、三年間も赤字がそういうふうに累積するという想定、これはいつごろされたのでしょうか。
  71. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 郵便貯金の主力は、委員御承知のとおりいわゆる定額貯金でございまして、定額貯金は比較的長期にお客様がお預けになるわけでございます。そういった意味で、先ほど申し上げました昭和五十五年度に、定額貯金の最高利率が八%になり、そのとき預託利率決定の経緯において受け取りの方の預託利率が八・五%で抑えられたというこの関係は、定額貯金が次第に払い戻されていく過程において、数年間そういう状況が続くということでございまして、したがいまして五十五年度のそういった預金利率が最高率になったということからくる経営圧迫要因が五十六、五十七というふうに引き続いてきたというふうに考えているわけでございます。
  72. 菅野久光

    ○菅野久光君 今までの決算書の参照書をずっと見ていきますと、昭和五十四年度以降の郵便貯金の増加目標額と実増加額を比較すると、五十四年度と五十六年度は目標額を下回っているんですね。そして五十五年度、五十七年度は増加額が目標額を上回っています。しかし五十七年度をよく見ますと、目標額が七兆九千億円に対して増加額が八兆五千三百五十億円と、六千三百五十億円も上回っているんですね。にもかかわらず、単年度収支は先ほど述べたとおり七百二十八億円もの赤字を出している。逆に五十四年度は、増加額が目標額を下回っているにもかかわらず、単年度収支は九百十七億円もの黒字となっているんですね。こうした現象は、先ほどのようなそういう利子の、高額の利子といいますか、そういうことによるということに理解すればいいのか。まあ一般的には郵便貯金がふえれば預託金の利子収入もふえて、郵便貯金の特別会計の業務収入もふえるように思うんですけれども、その辺はどのように理解をしたらいいのか、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  73. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 基本的には先ほどお答え申し上げたとおりであると考えておりまして、ある年度に新たに数兆円の郵便貯金がふえますと、その郵便貯金につきましては、その時点での決められた金利が支払われるということになります。御承知のとおり、郵便貯金、現在今の時点では八十九兆円の預金を持っておりまして、一年度にふえます増加額というのは、先ほど御指摘のように五兆円、七兆円といったことになりますので、その年度の収支といたしましてはその年度に新しく受け入れました郵便貯金についての利差のほか、前からお預かりをしている、前年度、前々年度からお預かりをしている貯金についての支払い利子と預託利子との差というのが収支に響いてくるわけでございまして、したがいまして、当該年度の増加額だけで事業の収支が出てくるということにはならないということでございます。
  74. 菅野久光

    ○菅野久光君 昭和五十五年度に例の八%の利子がつくということで、一斉に何かそれに乗りかえた、約二十三兆円ですか、そのぐらいの預けがえといいますか、そういったようなことがあった。郵便貯金にとってはこの定額貯金が非常に郵便貯金事業の大きな、何というんですか、目玉商品といいますか、そういうことであったんだけれども、今や郵便貯金の特別会計にとってはこの定額貯金が重荷になりつつあるのではないかというふうに思うんですけれども、その辺についてのひとつ見解をお伺いしたいというふうに思います。
  75. 奥田量三

    説明員奥田量三君) ただいま御指摘のとおり、郵便貯金の主力は定額貯金でございまして、長年、郵便貯金の利用者の皆様に親しまれてきているわけでございまして、私どもはこの定額貯金そのものに問題があるとは考えておりません。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、国民にお支払いする預金の利率と資金運用部から受け取る預託利率との関係が、端的に申しますとしばしば政策的に決定をされるという事情があるわけでございまして、特に金利が高くなりました場合に預託利率が政策的に低目に抑制をされる、その逆もございますけれども、特にその預金利率、支払い利率が高くなったときに預託利率が低目に決定をされるというような事情が、このような収支の結果を生む主たる原因であるというふうに考えているわけでございまして、私どもとしては、今後検討すべきはそういった預託利率のあり方、これを例えば一般の長期金利との関係においてどう考えるか、そういった方向で検討、改善を図るべきものというふうに考えているわけでございます。
  76. 菅野久光

    ○菅野久光君 いずれにいたしましてもこの郵便貯金の特別会計が赤字だということは、一般国民にとっては何か心配なことになっていくのではないかと、国は日の丸だから心配ないんだといえばそれまでですけれども、そういうことで今財投との関係などを含めて国民に不安を与えないように、しっかりひとつやってもらいたいというふうに思うわけです。  次に、郵便貯金事業経費の問題に移りたいというふうに思います。  郵便局の業務は、郵便、為替振替、貯金、簡保、年金などと多岐にわたっておりますね。しかも、これら業務が一体となって行われているために各業務ごとの人件費、物件費を厳密に区分して掲示することは非常に難しいのではないかというふうに思いますが、それだけに私たち国民には予算書、決算書を見ても十分にはわからない面が多いわけであります。  郵政省に確認したいわけですけれども郵便貯金業務の経費は郵便貯金特別会計からは直接支出されないで、郵便貯金特別会計から事務取扱費、営繕費として郵政事業特別会計の損益勘定と建設勘定に繰り入れられた上で支出されるような仕組みになっている、このように理解しているのですが、間違いはございませんか。
  77. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) ただいま御指摘のとおり、歳出に当たりましては郵便貯金特別会計からストレートに歳出されるということじゃなしに、郵政事業特別会計の方に繰り入れられまして、そこから歳出するという形になっております。
  78. 菅野久光

    ○菅野久光君 そこで、郵政事業の特別会計の支出についてお伺いをいたします。  昭和五十七年度の特別会計決算参照書の中の郵政事業特別会計事業計画実績書、これの損益勘定の借方の業務費は総係費、それから郵便費、為替貯金費、保険年金費、電気通信費、他会計へ繰入、減価償却費となっていますが、この区分に間違い.はございませんね。
  79. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) そのとおりでございます。
  80. 菅野久光

    ○菅野久光君 今御答弁のありましたように、確かに郵政事業特別会計事業計画実績書の損益勘定の借方は、業務費が総係費、郵便費、為替貯金費、保険年金費、電気通信費、他会計へ繰入、減価償却費となっています、このうち郵便費、為替貯金費、保険年金費、電気通信費等四つの事業費ははっきりと区別されていますね。四事業のそれぞれに必要な経費はどのようになっているのか、その各事業に必要な経費は各事業が分担しているのか、この点についてひとつ御答弁をお願いしたい。
  81. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) 四事業に必要な経費はそれぞれの事業費として計上されているところでございます。ただ、例えば本省の私ども経理部でございますが、経理部、人事部、あるいは郵政局においてもそういうポストがあるわけでございますし、郵便局においても局長というふうなポストがあるわけでございます。さらに、研修所であるとかまた病院であるとかというふうな附属機関もあるわけでございまして、そういう経費につきましては、直接事業に必要な経費という形じゃなしに総係費ということで一括して計算しているというのが実態でございます。
  82. 菅野久光

    ○菅野久光君 それで、郵便とか為替貯金、保険年金、電気通信の四事業は郵政事業の特別会計においては一体となって運営されている。各事業に必要な経費はいわば各事業が分担しているような形ですね。この経費についての何か繰り入れ基準みたいなものはございますか。
  83. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) 郵政事業——郵便、貯金、保険また電通と四つの仕事があるわけでございますが、この四つの事業で郵政事業に必要な経費の全部を賄うということになっております。それで、郵便貯金あるいは簡易保険につきましても、それぞれ特別会計がございまして、先ほど御指摘のあったような形で郵政事業特別会計の方へ郵便貯金特別会計の方から必要経費を繰り入れるというふうな、保険においても同じでございますが、そういう仕組みになっております。まあしかし、この三事業ともそれぞれ独立採算ということを旨としておりますので、各事業の運営に必要な経費というものを私ども明確に区分をする必要があり、またそのところにより繰り入れをするというやり方をとっております。  具体的に申し上げますと、まず各事業の運営に直接必要とする経費、すなわち郵便費、為替貯金費また保険年金費等につきましては初めから事業別が明確でございます。したがいまして、それぞれの事業の分担として郵政事業特別会計の方に繰り入れていただく、この経費が大体全体の八〇%を占めております。  次に、先ほどちょっと触れましたが、本省、郵政局あるいは郵便局の間接費と申しますか、直接事業にタッチしていない部分の経費がございます。こういう経費の問題につきましては、大体経費の大部分が業務量の大きさによって変わってくるというふうなことでございますので、業務量というのは結局その業務に携わる人の数、これによって分類するのが適当であろうということで、取扱要員の数によってこれらの経費を分計いたしておりまして、各事業にそれぞれ割り当てるという形をとっております。  次に、例えばこの研修所の経費みたいなものにつきましては事業別の訓練人員の割合というのはわかります。例えば郵便事業で百人訓練したと、貯金事業で五十人訓練したというふうなことで、訓練の人員の割合で分計するのが適当であろうというふうなことで、こういうものについてはこの訓練の人員別による分計。また減価償却費等につきましては機器類等で事業別の明らかなものはそれぞれの事業別に、郵便局舎等、こういうものにつきましては三事業共通一体で使っておりますので、こういう場合には使用面積で、その割合で分計して、各事業の分担とするのが適当であろうというふうなやり方をとっております。また為替、貯金、保険、年金の各事業におきまして郵便を使うわけでございますが、これ、ただでございませんで、使用の実態に応じてそれぞれ通信費ということで貯金あるいは保険の必要経費として計上するというふうな形で、それぞれの事業に今申し上げたような方法により計算を行いまして、事業分担の額を決めているということでございます。
  84. 菅野久光

    ○菅野久光君 そうしますと、四事業については約八〇%、そして総係費については約二〇%というおおよその基準といいますか、そういったようなものでそれぞれの事業に配分をしているということだというふうに理解したわけですけれども、そういうことでよろしゅうございますね。
  85. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) ただいま御説明申し上げたとおりでございます。
  86. 菅野久光

    ○菅野久光君 今確認しました四事業のうちの貯金事業の経費負担について、ちょっと詳しくお伺いいたしたいと思いますが、昭和五十七年度の郵政事業特別会計決算書を見ますと、歳入のうちの「受託業務収入」、さらにこのうちの「他会計より受入」という目があります。この「他会計より受入」の予算額と決算額を比較いたしますと、約二百八十八億円の減となっている。この二百八十八億円の減となった理由は何なのかということをお伺いしたいと思います。
  87. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) 郵便、貯金、保険、年金事業の運営に必要な業務取扱費あるいは営繕費というものを、予算の定めるところによりまして、郵貯会計あるいは簡保会計からそれぞれ郵政事業特別会計の方へ繰り入れることとなっているわけでございますが、繰入額の算定に当たりましては、その業務量の変動等、あるいは予算編成後の事情の変化についても、これを取り込んだ形で適正に調整することといたしております。五十七年度におきまして、御指摘のこの二百八十八億という数字でございますが、これは郵便貯金だけでございませんで、郵便貯金と簡易保険及び郵便年金特別会計分、この両方合わせたものが二百八十八億という数字になっているかと存じます。この二百八十八億という数字につきましては郵政事業特別会計全体として五十七年度私ども各事業とも積極的に節減に努めまして、全体といたしまして五十七年度の予算規模二兆一千五百億の支出規模の約二%に相当する四百五十億の節減を図ることができたわけでございます。それで、この節減できました四百五十億をそれぞれ郵便の節約分、貯金、保険の節約分というふうなことで考えて分計いたしましたところ、そのうち貯金、保険事業にかかわる分といたしまして二百八十八億ということで減額して受け入れたという実態でございます。
  88. 菅野久光

    ○菅野久光君 この二百八十八億円の減の主たるもの、それが何かということをお聞きしているわけなんですが。
  89. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) これは人件費、物件費込みでの数字でございまして、主なものといたしましては、例えば超過勤務手当が予定より要らなかったとか、あるいはこれは郵便関係でございますが、集配運送費、これが予定よりまあ貯金部門に関係ございませんが、四百五十億の黒字の節減費の中にはそういうもの、また賃金が予算より少なくて済んだとか、そういういろいろ細々としたものを寄せ集めまして全体として四百五十億、貯金、保険関係といたしまして二百八十八億の節減という形になっているところでございます。
  90. 菅野久光

    ○菅野久光君 超勤だとかなんかいろいろな細々したものがありますけれども、大きく言ってみれば郵便貯金特別会計がいわば二百八十八億円の主たるその減の中身だということで理解をしてよろしいですね。
  91. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) そのとおり御理解いただいて結構かと思います。
  92. 菅野久光

    ○菅野久光君 私も昭和五十七年度の予算書と決算書を照合してみましたが、昭和五十七年度予算で郵便貯金特別会計から郵政事業へ繰り入れる額は、事務取扱費が五千百五億円、営繕費が八十六億円の計五千百九十一億円となっておりますね。これに対して決算では、郵政事業へ繰り入れた額は、事務取扱費が四千八百五十六億円、営繕費が八十六億の計四千九百四十二億円であります。郵便貯金特別会計から郵政事業特別会計へ繰り入れた額の予算、決算の比較における差は二百四十九億円になっておるというふうに思うんですが、この数字に間違いございませんか。
  93. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) 予算、決算二百四十九億の違い、そのとおりでございます。
  94. 菅野久光

    ○菅野久光君 郵便貯金特別会計から郵政事業特別会計への繰入額の予算、決算における差、この二百四十九億円は、郵政事業特別会計歳入の他会計より受入額の予算、決算の差、この二百八十八億円の実に八六・五%を占めているわけであります。しかも、郵便貯金特別会計から郵政事業特別会計への繰入額の予算、決算の差、この二百四十九億円は、いわば先ほどからお話がありますようにすべて事務取扱費の予算、決算の差ではないかというふうに先ほどの説明で思うんですけれども、そういう理解でよろしいですね。
  95. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) 二百四十九億、貯金の方の調整をいたしたわけでございますが、業務費ということもさることでございますが、貯金の機器関係、建設勘定の問題でございますけれども、そちらの方の節減も相当入っているということをつけ加えさしていただきたいと思います。
  96. 菅野久光

    ○菅野久光君 終わりの方、ちょっと建設勘定の方もあるということですか。
  97. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) 業務費のほかに設備負担料というものがございます。その設備負担の中に単に建物だけじゃございませんので、単価二百万以上の機器類、これは建設勘定の方で賄うということになっておりまして、その設備負担の部分で郵貯特会から郵政事業特会に繰り入れたものもございますので、その関係でトータルとして繰入額を見た場合にその部分も入っているということを、念のため申し添えさせていただいたわけでございます。
  98. 菅野久光

    ○菅野久光君 それでは、二百四十九億円はすべて事務取扱費じゃなくて、今の言ったような設備負担の関係があるということであれば、それは二百四十九億のうちのどの程度でしょうか。
  99. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) ちょっと訂正をさしていただきます。  大変私勘違いいたしまして申し分けございません。五十七年の決算ということで、設備負担の問題は五十八年でございますので、この点訂正さしていただきたいと思います。申し分けございませんでした。  なお、貯金のこの二百四十九億というもの、取扱業務費というふうに理解していただいてよろしいかと思います。
  100. 菅野久光

    ○菅野久光君 じゃ、先ほど私が言ったほとんどと言っていいか、すべてと言っていいか、事務取扱費がその二百四十九億という減になったということでいいですね。  ところで、郵便貯金特別会計の事務取扱費が二百四十九億円減になったということで、これは予算執行上の措置として減額をしたわけですが、郵政事業特別会計の為替貯金費が予算額より少なくて済むようになった理由というのは一体何だったんでしょうか。
  101. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) 人件費——職員の諸手当の部分で百二十億程度、それから需品費——物を買ったりなんかするものでございますが、これで約百億弱というふうなものが大きなものでございます。
  102. 菅野久光

    ○菅野久光君 なぜ私の方からそういうことを言っているかといいますと、二百四十九億円という予算額と決算額の差、この発生根拠が私は問題だというふうに思っているわけです。郵便貯金の特別会計、これの科目別表では、郵政事業特別会計繰入額五千百九十一億円の予算から二百四十九億円を減額し、決算額が四千九百四十二億円となったというふうなことですね。では、この二百四十九億円は何に使用したのか。ここに支払い利子というのがあります。支払い利子の予算額四兆七千八百六十億円に対して、決算額は四兆八千七百九十九億円となっております。二百六十二億円増額されているわけですね。実はこの二百六十二億円の中に郵政事業特別会計へ繰り入れる額から減額した二百四十九億円が移用されているのではないか。つまり決算書から考えられることは、郵便貯金の預金者に支払う利子が足らなくなったために、本来郵政事業特別会計へ繰り入れる額を減額してこの二百四十九億円を使ったということではないかというふうに私は読み取るんですけれども、そこのところはいかがでしょうか。
  103. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) 郵便貯金特別会計の不足を補うために、郵政事業特別会計の方で繰り入れた繰入額を減額して郵便貯金特別会計の方へ逆に返戻するということはございません。あくまでも郵政事業特別会計におきましては、三事業に必要な経費を賄うという建前でございますので、そちらの方で計算いたしまして、先ほどの御指摘の二百四十九億というふうな額が出ますれば、それは貯金特別会計との調整を図るということでございますが、貯金特別会計の利子の支払いのためにというふうなことはございません。
  104. 菅野久光

    ○菅野久光君 数字の面からいくと移用したというふうに見ざるを得ないわけで、これは別に五十七年度だけではなくて、五十三年度以降五十七年度までの五カ年間を調べますと、郵政事業特別会計繰入額を減額して支払い利子を増額した年度は五十四、五十六、五十七年度と三回もあるわけですよ。五十四年度は百十五億円、五十六年度百八十七億円、そして五十七年度が二百四十九億円、これが私は移用された額だというふうに思うんですが、それは何というんですか、そういう私の理解は間違っているというふうに言っていいんでしょうか。
  105. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 先ほど来経理部長がお答え申し上げておりますとおり、郵便貯金特別会計から郵政事業特別会計への繰入額は、郵便貯金事業の経営に実際にどれだけの費用がかかったかということの決算から生ずることというふうに考えております。つまり御指摘のような繰り入れが減額されるということは、予算で見積もったよりも現実に貯金事業の運営経費がそれだけ少なくて済んだ。言いかえますれば、一つの節約と申しますか、そういうことからくる事務的な処理でございます。  一方、支払い利子の方は予算で一定の見積もりをいたしますけれども、現実の郵便貯金の預け入れ等の実際の変動の結果、自然に増減が生じてくるわけでございまして、その結果支払い利子が予算額よりも実際に上回る場合は、それはそれとして増額支出をするということでありまして、この二つのものは全然関係はないというふうに考えているわけでございまして、たまたま御指摘のように予算で見積もったよりも経費が少なくて済んだ、逆に予算で見積もったよりも支払い利子が多く支出されたというケースが発生しているにすぎないというふうに考えているわけでございます。
  106. 菅野久光

    ○菅野久光君 それでは逆に伺いますが、郵政事業特別会計の側からすれば、受け入れるべき額五千百五億円の事務取扱費が減額されたわけですから、六万六千七百十六人の業務運営に支障が出たというふうに考えられるのですけれども、その辺はどうなんでしょうか。二百四十九億円も減額されても、何ら支障がなかったというのでしょうか。
  107. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) 五十七年度の決算の結果二百四十九億という額が出てまいりましたので、それは、つまり貯金関係の仕事を必要かつ十分なことを行った上でなおかつそれだけ節減できたということでございます。
  108. 菅野久光

    ○菅野久光君 二百四十九億円という金は年収三百万円の人間八千三百人分ですよ。これでは余りにもちょっと私はひどいじゃないかと。実際にお金に別に書いてあるわけじゃありませんから、移用したのではないとかなんとかという答弁にはなるけれども、しかし総体のお金の動きを見ればそういうふうに思わざるを得ないし、二百四十九億円減額しても業務に支障はなかったということであれば、まさに事務取扱費等の積算が甘いのではないか、私はそう指摘せざるを得ないわけですよ。その辺はどうでしょうか。
  109. 高橋幸男

    説明員高橋幸男君) 先ほど貯金特別会計、保険年金特別会計からの繰り入れの基準について御説明申し上げたわけでございますが、予想される変動とか要素というものを私どもできる限り取り込んだ形で繰入額を決定しているところでございますが、年間の事業運営の実態の中からそのような業務量の変更あるいは施策の変更というふうなことによりまして差額が出てくるということ、これはある程度はやむを得ないということは御承知いただけるだろうと思うわけでございますが、今後につきましては、私どもこの繰入額につきましては厳正な分計によりまして適正な額で、繰り入れ調整額を少なくするべく今後も努力していきたいというふうに考えているところでございます。
  110. 菅野久光

    ○菅野久光君 今、最後に言われたようにもっと積算というものをやっぱり厳密にやって、こんな多額の金を減額するなんというようなことのないような、そういう業務の執行をなされるように私の方から特に要求をしておきます。  そのほかのオンラインだとかあるいは金利自由化の問題についても、一応お伺いしたがったわけでございますけれども、時間になりましたので私の質問、これで終わらさせていただきます。
  111. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、午前中に同僚の委員からも詳細にわたりましてマル優制度問題につきまして御質疑がございましたけれども、私どももこの問題につきましては無関心でおれませんので、若干重複する部分があろうかと思いますが、この際郵政省考えをお聞きしておきたいと思います。  最初大臣、各地方公共団体における議会でも、この非課税貯蓄の問題につきましては廃止に対して反対をするという決議を、各所で今やっているわけでございますが、日本全体、この問題につきましては議論が巻き起こって、関心も大きく呼んでいるんじゃないかと思いますが、大臣の認識を最初にお聞きしておきたいと思うんですが。
  112. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) けさほどもお答えを申し上げましたとおり、お話しのように郵便貯金というものはその創設の当時から国民の皆さんの御理解と信頼の上に立って今日までやってきたわけでございますので、特に今高齢化社会の到来とかいろいろそうした自助努力というもので貯蓄を促すというような政策を進めていかなければならない大切なときに、こうした問題が出てまいったわけでございまして、私は、今お話がございましたように、地方公共団体におきましてもほとんど九〇数%のところにおきまして、こうした御決議をいただいておるということは、我々にとっても非常に力強いことでもございますし、そして国民の皆さんの願いといいますか、そういうものがどこにあるかということの一つを我々にお示しいただいたものだと、このようにも考えますので、午前中も申し上げましたとおり、この非課税制度というものを我々は強く維持していかなければならない、このように考えております。
  113. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大臣のおっしゃるとおりではないかと思うんですが、私どももこのように考えているわけですけれども、日本は世界にも類例のない貯蓄率の高さを持ってきたわけですけれども、それは、日本経済の発展のために、郵貯を中心にしていろいろと大衆への優遇策もあったかもしれませんけれども、一つの産業振興政策としてとられてきた面もあろうかと思います。あるいは国民のお一人お一人の生活実感の中では、やはり貧弱な福祉政策の中で将来への期待感あるいは希望をつなぐためにも、何とか自分自身で努力しなければならないという思いもあったかもしれませんが、今高齢化社会を迎えようとしている中でやはり教育費の問題、あるいは進学あるいは医療費の問題、あるいは年金等の問題、そういうものを考えますと、ますます国民貯蓄へのニードというものは高まる一方ではないかと思うんですが、そういうときにこの非課税制度の見直しという動きが今出てきている。これは国民の感情を逆なでするような部分もあろうかと思いますし、貯蓄奨励の事業の柱である非課税制度は、私どもとしても何とか堅持をしていかなければならない、このように思っているわけですが、明日政府税調にもそういうような見直しについての報告が行われて、今後論議が重ねられてこようかと思うのでございますけれども、何としても国民に大きな不安をもたらすことのないように、この問題の論議を慎重に私たちはやっていただきたいと思いますが、郵政省としても政府税調に対してやはりいろいろな要望があろうかと思いますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  114. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 利子配当課税の問題、特に少額貯蓄非課税制度の問題に対しましては、私ども郵政省としては、ただいま大臣がお答え申し上げましたような基本姿勢に基づいて対処しているところでございまして、ただいま先生指摘になりました政府税制調査会との関係につきましては、この一カ月、大蔵省から示された案に関連いたしまして意見の交換、また我々の意見の表明をいたしてまいったところでございます。政府税制調査会に対しましてはひとまず大蔵当局が私ども考え方また民間金融機関の考え方等を取りまとめて報告をすることになっているというふうに承知をいたしております。
  115. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最近のいろいろな論議を見てみますと、午前中も論議があったと思いますけれども、グリーンカードというのは利子配当課税における不公平是正というのを最大の目的としていろいろと論議をされてきたんですが、最近の税調等の論議を見ますと、この不公平是正という部分が非常に後退をしているのではないかという感じがしてならないのですけれども、やはり非課税貯蓄の不正利用の根絶、これは当然これは努力をしなきゃならない点じゃないかと思いますけれども、何かグリーンカードのときいろいろと論議をされたことと違いまして、非課税貯蓄の見直しというのは何か財源確保のためにこれをやるような点が何となくうかがわれてならないんですけれども、最近の動きを見ていますと、不公平を温存したまま大衆の皆さんに課税する方向に来ているんじゃないかと思うんですが、その点についての大臣のお考えどうでしょうか。
  116. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 事務的な経緯を含めてひとまず私からお答え申し上げます。  ただいま先生指摘になりましたとおり、そもそもグリーンカードの制度と申しますのは、利子配当所得につきまして不公平税制是正するために源泉分離選択課税制度を廃止して総合課税一本に移行することをねらいといたしまして、その実効を期するために課税非課税貯蓄をあわせて本人確認を適正に行うと、こういう目的で採用されたものと理解をいたしております。この制度は諸般の情勢によりまして三年間実施が延期をされているところでございます。  ところで、最近におけるグリーンカード問題の論議につきましては、今申し上げましたように、グリーンカード制度は、本来非課税貯蓄の存続を前提として課税貯蓄における税の不公平の是正をねらいとしていたと理解するわけでございますが、最近の論議につきましては、源泉分離選択課税はそのままにいたしまして、非課税貯蓄制度そのものについて廃止あるいは縮減という方向に変わってきているのではないかと思われるものがあるわけでございます。私どもは、現在の限度額で申しますれば三百万円が十年間も据え置かれて、実質的に価値が半減しているというような非課税貯蓄について、しかもかつて経験のないような制度の大変革を行わなければならないどういう状況の変化があったのかということについて、はなはだ理解に苦しんでいるところでございます。
  117. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 きょうの日経新聞を見ますと、郵政省大蔵省に逆提案をしたというようなことが大きく報道されていますけれども、これはどういうお話ですか。
  118. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 先ほど大臣も申しましたとおり、郵便貯金は従来から一貫して非課税ということで、これが郵便貯金制度の根幹になっているわけでございます。すなわち、郵便貯金には預入限度額が設けられておりますが、その範囲内で別枠非課税ということになっておりまして、これで預入限度のない民間預金と制度的に均衡を保ってきたと考えております。この郵便貯金非課税を廃止することは、郵貯は預入限度があるが別枠非課税という郵便貯金制度を根本から覆すことになると考えるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、仮に郵貯の限度額をそのままにして非課税が廃止されるというようなことがあれば、預入限度のない民間とバランスがとれなくなるという、そういった幅広い問題につながる性格のものであるということを私コメントいたしたわけでございまして、一部報道されておりますような取引とか条件とかいうような考えは全くございません。冒頭、大臣が申しましたとおり、長年定着をしてまいりました郵便貯金非課税制度はあくまでも堅持すべきであり、むしろシルバー貯金など制度充実が必要であると考えているところでございます。
  119. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、こういう逆提案ではなくて、従来の線を守っていくんだということでございますが、大蔵省があしたの税調に提示をするらしいといういろんな案があるわけですけれども、それについての郵政省考え方も午前中あったと思いますけれども、何かいろいろと報道されているところによると、低率分離課税方式と現行制度限度額管理強化の二つにしぼった改革案を提示云々というような話もありますし、いろいろなところ見てみますと、低率分離課税方式というのは一番力を入れているんじゃないかと思われる節があるんですが、これについて郵政省考えはどうでしょうか。
  120. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 明日の税調にどのような担当省の見解が表明されるかということについては、私ども現時点でつまびらかにいたしておりませんが、ただいま太田委員指摘の、いわゆる第四案、低率分離課税案について申し上げますならば、見直し案の中でも私どもはこれが特に問題のある案ではなかろうかというふうに考えているところでございます。すなわちこの案を採用いたしますと、まず預金者にとって総合課税をとるか分離課税をとるかという選択をいたさなければなりません。その場合どちらが有利であるかということを判断することが大変難しゅうございまして、もし金融機関の窓口でお客様から御相談を受けましても、この辺の対応が非常に難しいことになるんじゃなかろうかというふうに考えられます。  第二に、所得の少ない人の方が低率分離課税よりも総合課税を選択した方が有利になる、後で還付請求をして税金を返してもらうという手続を要する総合課税を選んだ方が、所得の少ない人について有利になるという不合理が発生するのではないかと考えます。また第三に、この場合に仮に源泉徴収免除ということを考えるといたしましても、その免除対象者の特定方法について証明をどうするかといったような問題、また当然のことながら総合課税を選択いたしますと、確定申告で税務署に還付請求をしなければならないという問題が生じます。  いずれにいたしましても預金者にとって大変煩わしい手続を強いることになるだろうというふうに考えます。また、あわせてこの低率分離課税制度を選びました場合には、世帯主の配偶者控除、扶養控除、こういった控除が受けられないケースが出てまいりまして、単に利子配当の見直しの問題だけにとどまらないというおそれもあるというふうに考えられます。  以上のようなことからいたしまして、私どもとしてはこの低率分離課税制度というのは受け入れることができないものというふうに考えているわけでございます。
  121. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 確かに金融機関あるいは郵便局の窓口等の応対というのは非常にこれは困難になるんじゃないかという意見も現場で私たちも聞いておりますけれども、中にはもしかすると提案されるのじゃないかと思われる低率分離課税方式ですと現行の不正利用は防止される、そういうような評価をする向きもあるようですけれども、その点はどうでしょうか。やはり不正利用を防止するためには限度額管理を厳正にすることが一番大事じゃないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  122. 奥田量三

    説明員奥田量三君) ただいま太田委員指摘のとおり、この第四案、低率分離課税を採用いたしましても、制度といたしましては低率分離課税のほかに、従来からのいわゆる二〇%の総合課税あるいは三五%の源泉分離課税というものがあるわけでございますから、引き続いてこれまでと同様に限度額管理は必要となるわけでございまして、私どもはこの低率分離課税が、いわばこれまでの限度額管理の代替案というような機能を果たすわけにはまいらないと考えている次第でございます。
  123. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 午前中もいろんな論議がありましたので、この程度でやめておきたいと思いますけれども、やはりこの郵便貯金非課税制度を廃止したり、あるいは主張することは、国民生活に重大な影響を及ぼすばかりではございませんで、やはり郵貯の業務に従事されている、働く皆さん方の方にもいろんな影響を及ぼす問題じゃないかと思いますので、これから政府、税調等論議があろうかと思いますが、さらに郵政省としましては大蔵との協議あるいは政府、税調との協議では国民大衆の生活を守る立場でこれは臨んでいただきたい、このように思いますが大臣一言。
  124. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) お話のとおり、この郵便貯金というものが国民生活に重大な影響を及ぼすものであるという立場から、国民生活と申しますか国民の立場から考えて、我々は今お話がございましたような郵便貯金の持つ特性といいますか、また社会的な責任というものを十分果し得るように努力をしていかなければならないと、このように考えております。
  125. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、きょう参議院内閣委員会におきまして、有事法制の研究についての防衛庁長官の御発言がございましたが、それを見てみますと、第二分類までのいろんな検討につきましては終わったということでございます。特に、電気通信につきましては、有線電気通信法あるいは電波法等についての検討はされましたけれども、現行法令上必要な措置がなされていて、自衛隊の任務遂行に当たっては問題がない、こういうふうに述べられておりますけれども、問題点の整理はおおむね終了したと考えられるけれども、今後の問題点としまして述べられている中に、「電波の効果的な使用に関する措置など国民の生命財産の保護に直接関係し、」云々とございますけれども、電波の効果的な使用に関する措置ということがこれからいろいろと有事法制の研究をされてくることになるわけですけれども、そこで防衛庁の所見として「今後より広い立場において研究を進めることが必要である」、ここまで言及をしているわけでございますけれども、その「電波の効果的な使用」云々ということにつきましては、防衛庁の幹部の発言としては、発信されている電波を目指して飛んでくるミサイルも開発されているということで、有事における電波の使用の制限もあり得るのだというようなことも報道もされているわけですが、これから有事法制の研究が進んでまいりますと、国民の共有の財産である電波の問題についての立ち入った使用についてのいろんな統制というものがあらわれてきはしないか、そういう私たち心配をするわけですが、これは言論の自由、マスコミあるいは報道機関の活動の制限、そういうものにもつながるような大きな問題にもなってまいりますものですから、郵政省の基本的な考え方をきょうはお聞きしておきたいと思うんですけれども、その点どうでしょうか。
  126. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 有事法制に関する研究と申しますのは、総理大臣の了承のもとに検討が行われているというふうに承知をいたしているわけでありまして、郵政省といたしましても、他の省庁と同様に、政府の一員としてはこの要請があれば検討ということに協力をするという立場にあろうというふうに思っているわけでありまして、今先生のおっしゃられたような事柄についても、現時点において私どもは内容等、どういうものをどうするというようなことについて検討もいたしていないわけでありますけれども、必要があり要請があれば検討するということに協力はしていかなければならないかと、こういうふうに考えているところでございます。
  127. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは次にまいりますが、電電公社の関係について今法案審議が参議院で継続審議されておりますけれども、この問題について質問いたしたいと思いますけれども最初に取締役の選任についてちょっとお伺いしたいんですけれども、この法案が成立しますと、会社設立のために最初に行われる手続はどんな手続がございますか。
  128. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 会社の設立準備につきましては、一般の株式会社では商法の規定によりまして発起人が行うということになっているわけでありますけれども、特殊会社につきましては主務大臣が任命をします設立委員が行うというようなことの特例が設けられているのが多いわけでありまして、今度の三法が公布された場合におきましては、まず主務大臣郵政大臣が設立委員を任命をする。そして設立委員会において資本金とかあるいは役員の員数等検討の上定款が作成される。この定款については主務大臣の認可を要するということになるわけでありますけれども、次に創立総会というものが開催されまして、そこで取締役あるいは監査役、こういった役員の選任が行われて会社の成立を見る、こういうような段取りでございます。
  129. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最初の手続が今お話ありましたとおり設立委員を任命することにあると思うんですけれども、商法第百六十五条によりますと株式会社の設立には七人以上の発起人が必要であるとされていますんですが、国際電電のときには二十七人であったと考えますと、今回も同程度かあるいはそれ以上の数が予想されるわけですけれども、今お話しのように、定款の作成ということもこれは任務になるわけですけれども、そのほかにも設立委員会は取締役の選任の手続としてだれを取締役にするかという設立委員会による推薦も行うのかどうか、その点もお聞きしたいと思います。
  130. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 設立委員会におきまして行われる業務というものはいろいろございますけれども、発足時における取締役の選任ということにつきましては、設立委員会で、役員の選任等の創立総会の付議事項というような事務を設立委員の職務ということで行うということになるわけでありますので、新会社の取締役の候補者の推薦ということも設立委員の事務ということになろう、こういうふうに思います。
  131. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 取締役はそうすると設立委員会の推薦、そして創立総会において選出をされる、これが成規というか順当な手続だろうと思うんです。  そこで、郵政省に確認いたしますけれども、日本電信電話株式会社法案第四条では、政府は発行済み株式の三分の一以上保有していなければならないとなっているわけですけれども、しかし会社発足当初は全部の株を政府が持つことになると思うんですけれども、正式にはどういう形式になるのかあるいは法定上はどういう取り扱いになるのか、その点はどうでしょうか。
  132. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 新電電の株式は六十年四月一日、法案を予定どおり御承認いただければということでございますけれども、四月一日に電電公社の資産の現物出資の見返りに公社に割り当てられるということになるわけでありますけれども、同日付で公社は解散になるということでございまして、この解散に伴いまして政府に無償譲渡されるということになっているわけでありまして、したがいまして新会社の発足に際しましては政府が全株式を持つ、こういうことになるわけでございます。
  133. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと会社の株は普通財産として大蔵省が主務官庁としての責任を持つ、こういうことになるわけだと思うんですけれども、そうしますと会社の株主は大蔵省ということになるわけでしょうか。
  134. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 今、先生指摘のとおり、普通財産としての管理処分という観点から大蔵大臣が株主権を行使するということになろうと思います。
  135. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと会社の創立総会というのは、これ株主によって行われるのが常識ですけれども、創立総会というのは大蔵省一人ということになるんですね。
  136. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 創立総会におきましては株式引き受け人が出席をするということでございますけれども、新電電の場合は、今御説明申し上げましたように、株式引き受け人としての権利の行使というのは政府がこれを行うというふうに規定をされておりまして、政府の代表としての大蔵大臣またはその代理の者が出席をされることになろうかと、こういうふうに思っております。
  137. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 商法第百八十二条は取締役及び監査役の選任で、創立総会においては取締役を選任しなければならない、こう規定されておりますけれども、これを見ますと、株主総会は大蔵大臣一人または代理の者が出席をして取締役の選任を行うということになると思うんですが、これは間違いないでしょうか。そして、その大蔵大臣が選任した取締役を郵政大臣が認可すると、こういう手続になるわけですね。
  138. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 商法の規定によりますれば、創立総会の決議は、出席した株式引受人の議決権の三分の二以上かつ引受株式総数の過半数で決するということになっているわけでありますけれども、新会社の場合は、会社法案の規定に基づきまして株式引受人としての権利につきましては政府が行使するということでございまして、商法上は取締役の選任につきましては、政府が議決権を行使するということになるわけでありますけれども、他の特殊会社の例を見てみましても、設立委員会で推薦された取締役の候補者がそのまま取締役として選任されるというのが一般的な例であろうと、こういうふうに思うわけであります。  特殊会社の場合の株主権の行使ということにつきましては、大蔵大臣は、先ほど申しましたように、国庫大臣として国有財産を適切に管理し、保全するという立場から行使されるものでございまして、特殊会社の経営に関しましては、事柄の性質上先ほど申し上げたような形というのが通例であろうかと思うわけでありますが、特殊会社の場合は、その事業所管につきまして主務大臣というものが設けられておりまして、この新会社につきましては郵政大臣が主務大臣でございまして、同じ政府としての株主権の行使ということと監督権の行使ということの間にそこがないような形というものが必要であろうかと、こういうふうに思っております。
  139. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、この設立委員会における取締役の推薦をする場合におきましても、大蔵大臣郵政大臣と、それぞれがよく協議をしてこれは決定をしていくということですね、前もって。
  140. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 恐らくその大蔵大臣としての株主権の行使といいますのは、一般の例といたしまして、これは普通財産の管理処分という観点からの行使ということでございまして、そういったそこというものは起こらないであろうと、こういうふうに考えております。
  141. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、これも委員会等でいろいろと論議をされてきておりますけれども、新電電会社の株式についてお伺いしますけれども、この株式のことにつきましては、郵政当局は一般会計の赤字補てんのみならず電気通信事業に寄与する方向で活用したいと、こういうふうに常々述べてみえますし、一方大蔵省は、当然これは財政需要全般に充当させるのが妥当であると、こういう御意見で、食い違いを示しているようでございますが、伝えられるところによりますと、大蔵省は六十年度予算案に電電株の売却収入一千億円を計上するというようなことが報道もされておりましたけれども、その辺の事情はどのような事情でしょうか。
  142. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) 今回の電電公社の民営化につきましては、御承知のとおり、将来の高度情報社会に向けて、事業の公共性に留意しながら民間活力を導入すると、そういうことによって事業経営の一層の活性化を図るというのが今回の電電の民営化の目的だろうと思っております。このような観点から見ますと、政府がいつまでも株式を一〇〇%保有しているのはいかがなものかなと、そういう意味で、私どもとしてはできるだけ早く売却を進めた方がよろしいのではないかというふうに考えてはおりますが、具体的に六十年度にどうするかにつきましては、現在予算編成作業中でございますので、現段階で確たることを申し上げる段階ではないということでございます。
  143. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは衆議院の逓信委員会におきまして、委員質問の中でもその問題が扱われておりますけれども、この間の問題につきましては、大蔵省と監督官庁である郵政省と十分に連絡をとり、協議をしながらその取り扱いを取り運んでもらいたいという要望に対して、竹下大蔵大臣からは、そのとおりであるという答弁をされているわけですけれども報道だけ見ますと、大蔵省が勝手に先行しているような、そういう感じもするわけですけれどもね。ですから、こういったことはいまだ結論が出ている問題じゃないということなんですね。
  144. 日高壮平

    説明員(日高壮平君) おっしゃられるとおり、現段階において私どもが何らかの結論を出しているということではございません。  それから、なおつけ加えて申し上げますと、株式を売却する場合には現在御審議をお願いいたしております電電会社法案におきましては、売却の限度数を予算総則に載せるということで、予算をもって国会の御承認をいただくというふうになっているわけでございますから、予算総則に株式の売却限度数を計上しなければいけないわけでございます。したがいまして、当然それは最終的には予算総則というものは閣議で決まるわけでございますから、私どもが一存でどうこうできるというわけのものではないということでございます。
  145. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 郵政省当局は六十年度予算の概算要求の中で、新電電株式会社の株式を管理運用するところの電気通信振興機構というものの設置構想を明らかにしていると思うんですが、その構想はどのような構想なんでしょうか。
  146. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 今先生指摘のように、郵政省といたしましては昭和六十年度予算要求の最重要事項といたしまして電気通信振興機構の設立というものを要求をいたしているところでございます。  この構想でございますが、二十一世紀に向けて我が国が目標とすべき高度情報社会の実現のためには、電気通信の振興というものが何よりも重要であろう、こういうふうに私どもは認識をいたしておりまして、競争原理の導入を基調とする新しい電気通信法体制というものを現在御審議をいただいているところでございますけれども、同時に、官民の役割分担というものを明確にした上で、国として果たすべき電気通信の振興策というものについては、積極的にその措置を講じていく必要があろうというふうに思うわけでありまして、とりわけ電気通信の基礎技術の研究とか、あるいは地域格差是正、こういったような観点からの地方情報通信振興というもの、あるいは国際社会の中における我が国の地位というものを勘案した国際社会への貢献ということから、国際協力等に対する充実というようなこと、こういう国として行わなければならない振興施策というようなものがポイントになろうかと考えているわけでありまして、こういった振興施策というものにつきましては、長期にわたりましてまた安定的な資金というものが必要になるわけでありまして、その財源といたしまして電電公社法の改正に伴い政府に無償譲渡される新電電会社の株式の売却益あるいは配当金、こういったものを充てるということが必要であろう、こういうふうに考えるわけでありまして、電電公社から政府が無償譲渡を受ける株式そのものの公社の資産形成の経過というようなものから見ましても、政府の出資金がこれは百八十八億ということで、他の約五兆円近いものというのは国民の拠出した資産であるというような観点からいたしましても、そういう今後の二十一世紀の高度情報通信社会形成のための電気通信振興に使うのが最も適当であろう、こういうふうに考えているわけでありまして、具体的には政府が新電電株式の一部を現物出資をすることによりまして、国の電気通信振興の中核的な推進機関としての電気通信振興機構——特別法に基づく法人でございますが、こういったものを設立いたしまして電気通信の振興を図ってまいりたいと考えているところでございまして、さきの百一国会における電電三法の御審議の中におきましても、電気通信振興のためにこういった売却益というようなものを活用した、充当した基金というようなものを設けるべきであるというような御提言等いろいろいただいているところでございまして、ぜひこの実現について努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  147. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私どもも電電公社発足のいろんな経過に照らしましても、そういった意味でも国民共通の財産としてのそういう部門の活用というのは非常に重要じゃないかと思います。今ちょっとお話をお聞きしていますと、相当に間口が広いような感じもするわけですけれども最初からいろいろと電気通信振興全般というふうに広げるんじゃなくて、当面は電気通信部門の中の技術開発、それも基礎的、先端的な分野にそのプロジェクトに焦点をあてた方がいいんじゃないか。その方が性格もはっきりするし存在理由も明確になるんじゃないかという、そういう論もありますけれども、その点はどのようにお考えでしょうか。
  148. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 私ども、電気通信振興全般について推進をするということ自体は、政府の必要な要件であろうかと思いますけれども、実際の振興機構を通じて財政的な観点からの助成を図っていくということになりますれば、ここにはおのずから限界があろうかと思うわけであります。したがいまして、研究分野ということになりますれば、応用研究というようなことですぐ商品化されるというようなものにつきましては、これは当然企業サイドで検討すべき事柄でありましょうし、したがって、国として検討しなければならないということになりますれば、非常に基礎的な研究分野というものについて将来を展望した研究開発、先端技術というようなものが中心になるべきであろうというふうに考えているところでございます。
  149. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 日高さんに聞いてもまだあれでしょうから、やめておきますわ。  それでは、ここで電電公社の総裁にお伺いしたいと思ったんですが、ちょっと急用でお休みだそうですので、一点郵政大臣にちょっとお尋ねしておきますが、郵政大臣としましては、就任されたばかりでございますけれども、いよいよ電電株式会社法案が成立しますと、資本金一兆円、従業員三十二万人という日本最大の株式会社がここに誕生するわけでございますけれども、こういう社長にはどういうような人がふさわしいと考えるか、またどのようなことが期待されるか、その点どうでしょうか。お考えがございますか。
  150. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 法律を通していただくことが先決でございますが、そうした段階で新しい会社ができるということにつきまして、今お話がありましたように、この会社は極めて公共性の高い電気通信事業の運営を担当しなければならないわけでありますから、そういう意味におきまして、非常に責任の重い会社になるということはもう申し上げるまでもございません。したがって、この新会社の経営については適正な適切な判断ができるような、事業に対する高い識見と経営手腕を持っていらっしゃる方が担当されるべきであるということはもう申し上げるまでもないと思います。会社法案、この現在御審議いただいております法律の第九条では、取締役の選任は郵政大臣の認可事項ということになっておりまして、代表取締役の選定は取締役会の自主的な選定ということになりますが、そういった見地で我々も判断しなければならない、このように考えております。
  151. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、電報業務のことについてお尋ねしておきたいんですが、これは五十七年度決算会計検査院が意見を表示をしているわけですけれども会計検査院は収支改善についてどのような要望をされておりますか。
  152. 秋本勝彦

    説明員秋本勝彦君) お答えいたします。簡単に要旨を申し上げてみたいと思います。  電報事業の運営につきましては、検査院といたしましても既に五十一年度の決算検査報告でも提起したところでございますが、その後も電報事業の収支の改善が行われないで毎年多額の損失を計上しているということでございますので、私どもといたしましては重ねて取り上げたわけでございます。公社でも三次にわたる業務運営形態の再編成をなさっていらっしゃいますし、あるいは郵政委託業務についても合理化を実施してきていたわけでございます。しかし、これらの合理化は必ずしも十分ではないというふうに考えられまして、公社の直営業務におきましては人手を要する作業が大変多うございます。夜間におきますところの取り扱い通数は少ないのでございますが、二十四時間対応というような体制をとっておりますこと、あるいは郵政の委託業務につきましては、取り扱い量に比べまして多額の委託費を支払っているという現状でございます。したがいまして、毎年多額の損失を計上してきているものでございます。このような事態を生じておりますのは、電報利用の内容の大きな変化、そういうものがあるわけでございますけれども、それにもかかわりませず直営業務の運用の合理化あるいは要員の配置の適正化あるいは郵政委託のあり方などについての検討がまだ十分行われていない点もあるのではなかろうかと、さらに十分な御検討をいただきたい。そういう意味合いのもので今回重ねてその改善方をお願いしている次第でございます。
  153. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 電電公社はどのようにこの問題について考えてみえますか。
  154. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) ただいま検査院の方から五十七年度の決算報告に関しまして電報事業の収支改善についてのさらに一層の努力をするようにという趣旨の御意見をいただいておることは、ただいまお話のあったとおりでございます。  そこで、電報事業の収支ということでまず申し上げますと、五十八年度の決算から出てまいります数字で申し上げますと、収入が三百八十七億、支出が千六百二十六億、差し引き千二百三十九億の赤字というのが五十八年度の決算状況でございまして、収支率から申しますと四二〇%という非常に大きなものになってございます。これを五十七年度と比較いたしますと、五十七年度は差し引き千二百億の赤字を計上いたしたわけでございますので、赤字の額は若干ふえております。ただ、収支率につきましては八%でございますけれども、これは若干の改善を見ておるというのが現状でございます。そこで、検査院からも御指摘がございましたように、いろんな形で合理化努力を今まで公社といたしまして続けてまいったわけでございます。過去のことをごく簡単に申し上げますと、ここ十年来いわゆる電話の受付局一一五番の受け付けをやっておるわけでございますけれども、この受付局が五百十三局ございましたのが五十八年度末では二百二十八局と半分以下に、あるいは配達業務を民間に委託いたしますのがゼロでございましたのが千三百二十九億に、あるいは郵便局にお願いをしております配達の局数につきましても、五千六十三局から三千百七十四局にというふうに、いろいろな合理化施策を講じてまいりましたけれども、現状は今申し上げましたような状況でございます。  それでさらに今後、現在私どもが手がけておりますのは、一つはこの老朽化しております電報の設備の近代化を図りまして、これによりまして改善を図りたいということで、これを六十年度から六十二年度にかけまして実施をいたしたいと、かように考えております。さらに先ほど申し上げました一一五番、いわゆる受付局の集約ということもさらに進めてまいりたいと、さらに大幅に進めたいと、かように考えておりますし、配達業務の民間委託につきましても、さらに今まで以上に努力をして推進をしていきたいと、かように考えております。  また、第二点目の郵政委託に関します見直しにつきましても、検査院の御指摘もございますし、そういったことで現在民間に委託しております、例えば配達で申し上げますと民間に委託しておりますのと同一条件でもってお願いをしたいということで、その他を含めまして現在郵政省との間でいろいろお話し合い、折衝を重ねておると、そういう努力を重ねておるという現状でございます。
  155. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 郵政省といろいろと話し合いを詰めてみえるということでございますが、なかなかこの話し合いが並行線をたどっているということも報道されておりますけれども、やはりこの郵政委託業務の改善につきましては、私どもとしても歴史的な経緯もあろうし、あるいは労働問題等もあろうかと思いますし、その早期の解決というのは困難な面もあろうかと思うんですけれども、電電公社もいよいよ民営化されるということになれば、これはやがてはいずれは解決をしなければならない問題ではないかと思うんですね。民営委託全面的にというような意見もあるようでございますけれども、今いろいろと電電公社からも意見を述べられていますが、郵政省としてもその話し合いはされているわけですけれども、どの辺までこれは行われているんでしょうか。
  156. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) 現在の電気通信受託業務の受託方式は、業務を運営するために必要な要員を定員で配置いたしまして、それに要する経費を公社から受け入れているということになっているわけであります。今般、今公社の方から話が出ましたように、公社の方は現在の定員方式による受託を全面的に見直しまして、民間に委託しているものと同様の方式——配達の場合は一通当たり、受付の場合は電話器一台当たりというこの手数料方式に改めるという合理化案を私どもに提案してきているところでありまして、私どももこれまで受託以来三十数年にわたって公社の数次にわたる合理化計画に協力をいたしまして、六万人を超える減員を行ってきた経緯もこれありまして、省といたしまして今般の公社提案についてもこれまでどおり電報受託業務の合理化に取り組むこととしておりまして、受託方式や委託料を公社提案どおり民間並みに切りかえて、すべての電通定員を減員する方向で今その具体策について話し合いを進めているところでございます。
  157. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろいろな報道もされているわけですけれども、電報の持つやはり一つの使命ということもございますが、両者の話し合いが難航していて、この郵政事業特別会計に関する六十年度予算概算要求の確定数字も出せないという異例の事態になっているということも憂慮されているわけですけれども、その点はどうでしょうか、きちっとなるんでしょうか。
  158. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) そういった支障のないように鋭意話し合いを詰めてまいりたいと思っております。
  159. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今後、郵政省には電子郵便というのが今ございますね、やっていますが、この電子郵便と電報との整合性の問題ですが、これはどのように郵政省としては考えてみえるか。公社が電報を今後も継続するとすれば、公社としての基本的な考え方はどうか、その辺ちょっとお聞きしたいと思うんですが。
  160. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) 前段のお尋ねについて私どもの方からお答え申し上げたいと思いますが、私ども電子郵便をついせんだって全国レベルでどこの郵便局の窓口でも引き受けをして配達をするというふうにサービスを拡大いたしまして、時代の趨勢に応じた郵便サービスというものを考えて実施してまいっているところでございます。電子郵便のよさというのはファクシミリで文書、記録されているものを届けるということで、図案とかそういったグラフィックなものが速く相手方に伝わるというよさがあるわけであります。電報は、従来どおり、伝統的な片仮名といいますか、文字で意味、内容を非常に速い速度で相手方に届けるというよさもあるわけでありまして、それぞれのメディアのよさが国民の利用者の皆様に選択されて、当面そういった両方のサービスが私考えますに続けられていくというふうに見ておるところでございます。
  161. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) ただいま郵政省の方からお答えがございましたように、電子郵便と電報というのは共通と申しますか、似ておる部分ももちろんあるわけでございますけれども、いろいろな意味でまた違うメディアとしての存在価値を持っておる通信手段であろうと、こういうふうに考えておるわけでございますし、かたがた電報の現状を考えてみますと、御案内のとおり、三十八年には九千五百万通程度もあった電報が逐年減少してまいったわけでございますけれども、この数年間というものはその減少傾向というのがとまりまして横ばいないし微増というふうな形にまいっておりまして、五十八年度におきまして四千五百万通弱というまだ大きな御利用があるわけでございます。もちろん慶弔電報がその中で八〇%近くを占めるというふうな構造的な変化はございますけれども、やはり国民の皆様方にこれだけ御利用いただいておるメディアでございますので、このメディアの持っております特性というものを、特に記録通信としての特性というものを生かしながら、何とかこれにいろいろな付加価値を加えることによりまして、一面収支の改善も図り、この電報が国民の皆様方にお役に立つメディアとしてさらに発展していくようにいろんな形で努力をしてまいりたいと、かように考えております。
  162. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、郵政省は、二十一世紀の高度情報化社会に向けて次期通常国会に電気通信の高度化を推進するため電気通信高度化のための基盤整備に関する法律案、この提出を検討しているようですけれども、その検討内容はどうですか。
  163. 奥山雄材

    説明員(奥山雄材君) ただいま国会において御審議をいただいておりますいわゆる電電改革三法案が成立いたしますと、電気通信事業の分野に多元的な競争体制が生まれます。こうした競争原理が有効かつ適切に働くための条件整備をやるのが、次の私どもの課題だというふうに考えております。あわせてまた二十一世紀に展望されます高度情報社会に向けて先導的ないし中核的役割を果たす電気通信というものの発展並びに振興を図っていくのも重要な政策課題になってまいっております。そうした観点から、ただいま委員が御指摘になりましたように、私どもといたしましては、次期通常国会に電気通信の高度化のための基盤整備に関する法律案を提出すべく目下準備中でございます。  その内容の詳細につきましては、現在部内におきまして鋭意検討中でございますが、大きな枠組みといたしましては、まずこれからの高度情報社会に向けて国がガイドラインを示して、国家全体として指し示すべき方向をお示しするというのが第一点でございまして、そのガイドラインに基づきまして電気通信技術の発展、振興、さらには電気通信の標準方式の確定、さらには地方における情報通信機能の強化、安全性、信頼性の確保の対策等といったようなものを主な柱に考えております。そのような大きな柱を踏まえて、最終的にこれらの電気通信の振興のための資金的な措置等についての手当てをしたいというのが大まかな骨格でございます。
  164. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 通産省もいろいろと高度情報化社会にスムーズに移行するための総合的な体制づくりを目指していろいろと考えてみえるようですが、これはどのような内容ですか。
  165. 牧野力

    説明員(牧野力君) 通産省といたしましては、従来から情報処理という点に焦点を合わせまして、各般の政策を十数年来講じてきたわけでございますが、こういった政策が今後高度情報化社会に移行するに当たりましてより有機的かつ総合的に展開をしていく必要があるんではないか、あるいは高度情報化社会に、国民のいろんな不安等もございますが、円滑にこれに移行していくためにそういったために必要ないろいろな基盤を整備する必要があるんではないか。そのために法的な措置が必要ではないかというようなことで現在検討をしているところでございます。  法案の内容等につきましては現在詰めている段階でございますけれども、法の運用の理念というふうに申しますか、そういったものにつきましては、例えばできるだけ規制ということではなくて民間の創意工夫を最大限に発揮できるようなそういった基盤を整備すると、あるいは当然のことでございますけれども、内外の差別をするということではなくて、内外無差別という原則を貫いていくと、あるいは標準化等いろいろな問題がございますが、国際機関との調和を十分に図っていくというようなことを基本的な理念といたしまして、法案を作成いたしたいというふうに考えているところでございます。具体的な内容がどうなるかということで、先ほど申し上げましたように現在検討中でございましてはっきり申し上げる段階にございませんが、例えば産業社会あるいは地域社会それから国民生活それぞれが、やはり違った形で情報化を——違った形と申しますかそれぞれ特性を持った形で情報化をしていくわけでございますが、そういった情報化の方針、ビジョンといいますか、そういったものを、例えば官民協調でいろいろ審議していく場を設定をいたしますとか、あるいはコンピューターセキュリティー、これにつきましては従来から行政指導等で数年来いろいろ施策を講じてきておりますけれども、こういったものの厚みを増してきちんと法的な根拠をつける必要があるんではないかということ、あるいは必要な税制でありますとか、あるいは金融上の措置によって産業の振興をする必要があればそういった措置を盛り込むということ、そういったようなことを骨格といたしまして、先ほど申し上げました理念に沿って法案の作成を現在検討をしているところでございます。  以上であります。
  166. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 報道されておるところによると、運輸省も情報化基盤整備法案というようなものを提出をする方針を固めたと言われておりますが、その点はどうですか。
  167. 高橋克彦

    説明員高橋克彦君) 運輸省では、運輸事業の高度情報化の促進及び適正化を図るため、その基盤整備について所要の規定を設けるべく目下検討中でございます。それで、関係省庁との調整も行いまして成案を得られれば次期通常国会に提出することを考えております。  以上でございます。
  168. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、今後三省それぞれが基盤整備に関する法案というものを国会に提出をするための準備を進められるということでございますけれども、ある部分では共通する部分もあろうかと思うんですが、今後対立する部分もあろうかと思いますが、郵政当局としてはどのような対応をされる所存であるのかお聞きしておきたいと思いますが。
  169. 奥山雄材

    説明員(奥山雄材君) 私どもが次期通常国会に提出を予定しております電気通信の高度化のための基盤整備に関する法律案につきましては、あくまでも電気通信行政を一元的に所管する権限と責任を有している立場から、この法案成文化を現在急いでいるところでございます。しかしながら委員指摘のように、政府部内におきましていろいろ調整を要する事項が出てまいりましたならば、政府案として国会にお出しする段階までに当然のことながら各省庁協調して調和を図り、政府としての意思統一を図った上で御提案申し上げることになろうかと存じます。
  170. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今、奥山局長からお話がありましたけれども、やはり各省それぞれが対立をしてまいりますと、行政側の所掌争というような見方も出てまいりますので、産業の問題あるいは国民生活に関する問題あるいは地域社会の発展の問題、いろんな問題につきまして利用者側あるいは国民の側から見ましてもプラスになるような取り組みをしていただきたいと思うんですが、やはりこれはどこかで調整をして一本化をする方向がよろしいんじゃないかと私ども思いますが、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
  171. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) お話しのとおり、この二十一世紀を目指しての高度情報化社会の基盤づくりというのが、今国民の皆さんのためにどうしてもやらなければならない大きな私は内閣の責任であろうと、このように思います。そういう意味におきまして各省庁がばらばらであってはならないわけでありまして、十分閣内においてそういった問題の調整をいたしまして、そして国会にこの電気通信の高度化のための基盤整備ということに関連します法律案を御提出申し上げたいと、このように考えます。
  172. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  173. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まず、新大臣の政治姿勢について質問をいたしますが、新聞などにも報道されているところでありますが、あなたはいわゆる田中派に属しておられるんでしょうか。     〔委員長退席、菅野久光君着席〕
  174. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) まあ新聞ではそういうふうに書かれておりますが、我々木曜クラブというふうな形で、政治的ないろんな考え方の同じ者が集まって勉強するというグループに所属していると考えております。
  175. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 その木曜会、いわゆる田中派から今回第二次中曽根内閣の閣僚の一人として入閣をされたわけでありますが、この組閣に当たって問題になっていることの一つに次の問題があります。すなわち、中曽根氏が昨年十二月の総選挙で自民党が大きく後退をしたその原因ともなりました国民的批判の焦点であった田中角榮問題、これにかかわって例の田中角榮の政治的影響力を排除するという声明を内外に表明をして、あの一年前内閣の一部改造を行って以来一年間が経過をしています。もちろんこの一年を振り返ってみても、声明は全く守られなかったと言うべき結果となっているのでありますが、今回の組閣に当たっては、中曽根氏がこの田中角榮の政治的影響力排除の言明さえ今回はしないということで、一層国民の批判が高まっているのであります。  そこであなたに、大臣に御質問をしたいのでありますが、今も述べました中曽根氏の国民世論に真っ向から挑戦をする政治姿勢、加えて従前から郵政行政の分野は田中角榮氏の影響が大きい分野だというふうに言われてきたこともあり、あえお尋ねをするわけでありますけれども、閣僚の一人としてあなたは田中角榮の政治支配排除のために頑張る決意はあるのかどうか、この点はどうでしょう。
  176. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 今お話しの田中元首相は、現在自由民主党には所属しておられないわけでありまして、私はそういう意味で政治介入はなされていないと、こういうふうに考えております。
  177. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 随分弁解をされる感が強いわけでありますけれども、今も言われました自由民主党を離脱をしている人物、しかも刑事被告人というこの人物、この田中角榮が日常的にも今回の総裁選出に当たっても大きな発言を行い影響力を発揮しているということは、これはもうどのマスコミも報じておる周知の問題じゃないでしょうか。そしてそのことをめぐって今や自民党内部からも批が生まれていると。にもかかわらず、私が申し上げた田中角榮の政治支配排除、これで頑張るのかどうかというこの点について、明言をされないというのはちと合点がいきませんけれども、この問題というのは一部の人が言っている問題じゃない、そういうもう周知の問題として出てきているのだけれども大臣の重ねての答弁を求めたいと思います。
  178. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 今も申しましたとおり、私はそういう意味でも今最初に申しましたとおり、木曜クラブというような形で今政治的なグループとして勉強をさしていただいておる、そういうところの問題として我々はこの中曽根内閣に入閣さしていただいたんだ、こういうふうに考えておりまして、田中元首相のことは今申しましたようなことで、そういう政治介入とかなんとかというような問題については関係がないのじゃないかと、このように私は考えております。
  179. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 先ほども触れましたように、昨年の総選挙後の組閣時には中曽根首相が田中角榮の政治的影響力排除というわざわざ声明まで発表してまあ何とか政権を維持すると。これと比べてみて今回の場合、まことにその点が国民世論に背くといいますか、あいまいのままということ、さっき申し上げたとおりでありますけれども、こうした中曽根首相の考え方がもしもあなたにも影響をしてきょうのような大変不鮮明な答弁に終始をしておるということであれば、私はなおさらあなたも含めた今後の中曽根内閣の未来が心配であります。こうした点で、幸い私は逓信委員でありますので今後大臣ともしばしば委員会の席上で議論をする機会もありましょうが、ぜひ私の意見重ねてそういうことで強調をいたしまして、大臣考え方をよく整理をし鮮明にしていただくように重ねて申し上げておきたいと思います。  次の問題でありますが、国際勝共連合に対する対処の問題であります。  まず大臣、あなたはことし十月一日の大阪城ホールでの勝共連合の全国決起大会、この代表世話人の一人として呼びかけを行っておられると思うのでありますが、間違いございませんね。
  180. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 私は代表世話人というお話ですが、私自身は承知いたしておりません。
  181. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私はこの、お回しをいたしますけれども、趣意書ということで、前文いろいろありますけれども、後段の結論部分に「十月一日(月)大阪城ホールにて、二万名・全国民勝共決起大会を開催させていただくことになりました。この大会の成功に向けて、」云々と、こうありまして、多くの方々にひとつこの運動の趣旨を御理解いただき御参加を願いたいということで、あと大阪府代表世話人、左藤恵さんだけではありません、何人かの衆議院議員の方が名前を連ねておられますけれども、その中の一人に、まだ大臣に就任される以前の時点だとは思いますけれども、こういうものがありますので、御記憶がないかどうか知らぬけれども、しかしこういう証拠がありますということでちょっと大臣に見せてください。(資料を示す)  ということで、御記憶がないというふうにおっしゃっても、こういう印刷物になったものがございますので、あなたがこの勝共連合の全国決起大会の大阪府代表世話人の一人としてそういう呼びかけをやられたということは間違いないことだと思います。  ところで、この国際勝共連合なるものについては、我が党は国会でも今まで何回となく指摘をしてきましたように、監禁だとか、果ては死に至らしめる薬事法違反、銃砲不法持ち込み、窃盗、公選法違反など違法行為の数々、限りがないわけでありますけれども、あなたはそのことをよく承知の上でこうした勝共連合の大会参加呼びかけのその世話役、これをなさってきたんでしょうか。
  182. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 私はこの会にもちろん出席もいたしておりませんし、今お見せいただきました印刷物を見るのも初めてでございます。全く私はそういうことについてよく存じておりません。この印刷物は今初めて見せていただいたようなことでございます。
  183. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 法務省にお尋ねをいたします。  今日まで国際勝共連今ないし統一協会関係者で有罪判決を受けている事件の内容を年代順に簡潔に御説明ください。
  184. 則定衛

    説明員(則定衛君) お答え申し上げます。  私どもの方では今お尋ねの国際勝共連合の関係者の事件をすべて把握しているわけではございませんで、そのうち特異あるいは重大というようなことで警察当局から報告を受けておる案件を何件か把握しておるにすぎないわけでございますが、そういう前提でお答え申し上げますと、昭和四十五年七月に大阪で発生いたしました監禁、保護責任者遺棄致死事件というのが一件ございます。それから四十八年十月に熊本の方で電柱に張り出されておりました政党のビラ掲出のためのベニヤ板を窃取したという窃盗事件が一件、それからさらに五十三年十二月に京都府下の亀岡市長選挙の候補者となろうとする者に対します名誉棄損事件というようなものを把握しておる状況でございます。
  185. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 有罪が確定した判決の判決文にはっきりと勝共連今ないし統一協会の関係者として明記されているものは今言われた三件だということであるにしても、問題はもっともっと広範囲に起こっていると思うんです。例えば昭和五十八年二月の二十三日、衆議院の法務委員会で前田刑事局長が答弁をしていますように、薬事法違反ということで昭和五十二年二月東京地検が処理をしている事件、あるいは五十三年十月には山口地検で受理をして五十七年二月最高裁で確定をした同じく薬事法違反事件、こういうものがありますね。
  186. 則定衛

    説明員(則定衛君) 今お尋ねの事件につきましては勝共連合関係者によるものであろうという疑いがあるわけでございますが、判決あるいは関係記録からそういう関係者自体による犯罪であるということは必ずしも明確にはなっておらないわけでございます。ただ、おっしゃいますように、何らかの関係があるのでなかろうかということは私どもの方としても承知しております。
  187. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 この事件の、今挙げました事件の被告は福岡市の株式会社世界のしあわせ、現在はハッピーワールドと名乗っているものでありますが、統一協会の関係であることはもう紛れもありません。警察庁によりますと、昭和五十六年だけでも三百九十六件の薬事法違反検挙、そのうち百六十七件、百七十六名を無許可販売であるとしており、この統一協会とは特定はしなかったけれども、事実上その関係であるということは明瞭であります。  さらに他の問題を指摘をしますならば、例えば一九七四年の一月、アメリカ移民帰化局、ここが統一協会関係者五百八十二名、そのうち日本人協会員二百七十九名、これを不法滞在で国外退去を命じておるわけでありますが、これらは例のお茶とかろうそくとかキャンディーとかつぼとか、こういうものを売り歩き押しつける、そういう不法行為をして、およそ伝道活動として滞在を認められるに値するというそういうものじゃないというふうな判定を受けたわけであります。  また、一九七一年から七六年にかけて、統一協会の関連企業であります統一産業、すなわちさっき挙げました現在のハッピーワールドでありますが、この会社が、団体がエアライフル二万一千六百三十六丁を韓国から輸入し社会問題となりました。ライフル射撃協会と紛争が起こって、競技会での使用禁止となるということとなったわけでありますが、また懲りることなく、一九六八年にも同様に散弾銃を輸入をして、このため十三件検挙が起こっています。  統一協会、さらにこれと一体の関係になる勝共連合、こういうものの実態についていろいろ申し上げたわけでありますけれども大臣、これだけの有罪判決を受けておる勝共連合なるものはそういう団体なんだということを御承知でしょうか、今日まで。
  188. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 一種の政治団体であるということだけは、そういうふうに考えておりましたけれども、詳細については全く承知いたしておりません。
  189. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まあ、今初めて知ったということかと思うんですけれども、外務省にお尋ねします。  この勝共連合と一体の関係にある統一協会の教祖が例の文鮮明という人物であることは周知でありますが、その彼が今アメリカで実刑判決を受けて入獄中であるというふうに承知をしているんですけれども、外務省としてはどのような認識でしょうか。
  190. 高島有終

    説明員(高島有終君) 私ども、米国におきます文鮮明の裁判、それから収監につきましては、事実関係として次のような事実を承知いたしております。  その第一は、一九八一年十月十五日に虚偽の所得申告のかどによりまして起訴され、翌一九八二年七月十六日、ニューヨーク南地区連邦地方裁判所によって懲役十八カ月、罰金ニ方五千ドルの有罪判決が下され、翌八三年九月十三日ニューヨーク連邦高等裁判所が文鮮明側の控訴を棄却し、その後文鮮明側が二度にわたりまして再審理を申し立てたにかかわらずいずれも却下され、本年二月二十六日の文鮮明側による連邦裁判所に対する事件移送命令の申し立てに対しましても、五月十四日連邦最高裁判所がこの申し立てを棄却し有罪判決が確定、ことしの七月二十日にコネチカット州ダンベリー連邦刑務所に収監されているというふうに承知いたしております。
  191. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ちょっと聞き漏らしたんですけれども、前置きどういうふうにおっしゃったんでしょうか。マスコミ等の情報によるととおっしゃったんですか。
  192. 高島有終

    説明員(高島有終君) そういうことは申し上げておりません。
  193. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ただいまの外務省の報告答弁でも明確でありますけれども、その文鮮明が十八カ月の実刑判決、入獄中だということであります。  そこで法務省、この文鮮明が日本への入国を希望しても、今は入獄中ですから当然でありますけれども、今後とも希望をしてもそれは入国はさせないというのが我が国の法の立場だということですね。
  194. 秋本健志郎

    説明員秋本健志郎君) 文鮮明氏の入国を許可するか否かについては、同人から入国申請もない現段階では何とも申し上げられない次第でございます。具体的に入国の申請がございました時点で、入国目的それから滞在期間その他の諸般の事情を考慮いたしまして決定をされることといたしたいと思っています。
  195. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 法律の立場を聞いているんですよ。ですからそれは、入国というのは当然希望の手続がとられた場合というのは当たり前のことなんで、そんなことを聞いているわけじゃない。今の出入国管理法の立場は、今後ともとにかく一年以上の懲役をそういう受けた、処せられたことのある人物ということで、これは入国を今後とも拒否をすると、受け入れないということは明瞭ですね、法律の立場は。
  196. 秋本健志郎

    説明員秋本健志郎君) 外国人が一年以上の懲役または禁錮に処せられて、その外国人から入国の申請がございました場合には、当然のことながら入管法のすべての関連規定を適用して審査が行われるということでございます。
  197. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 何か随分弁解がましいことをおっしゃっているんだけれども、繰り返し言いますけれども、この出入国管理法第五条一項の四号、これは、日本国または外国の法令に違反して、一年以上の懲役——あとまあいろいろありますが、それに相当するこういう刑罰に処せられたことのある者については、これは入国を認めない、これが出入国管理法の内容ですね。    〔委員長代理菅野久光君退席、理事後藤正夫    君着席〕
  198. 秋本健志郎

    説明員秋本健志郎君) 先ほどの私の答弁を敷衍いたしますと、入管法のすべての関連規定と申しましたが、そのような関連規定として主なものといたしましては、今先生の御指摘のありました上陸拒否に関する五条一項の規定のほか、法務大臣に対する異議の申し出に関する第十一条及び法務大臣の裁決の特例に関する十二条というような規定がございまして、その全体を見まして処理することになっております。
  199. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 とにかくもう、私が尋ねている点については否定できないということは明瞭なんですけれども、何か妙に、重大犯罪人であるこの文鮮明をどうやって道をあけてあげるかというふうに考えておるのかと言わざるを得ぬような、随分弁明をやるんですね。そういうことはもうやめてもらいたいと思うんです。とにかく、我が国のこの入管法の立場でいけば、こういう人物というのはこれはもう入れないということは明瞭であるわけです。  大臣、国際勝共連合と一体の関係にある統一教会のその教祖、これがこういう犯罪者としての断定を受けておる人物だということは御存じでしょうか。
  200. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 全く存じません。
  201. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで、話がもう一遍戻るわけでありますけれども、先ほど大臣にお回しをしました文書ですね。そこには、紛れもなく、左藤恵さんの衆議院議員という肩書もつけた、代表世話人の中の何人かのお一人に入っておられますね。大臣はそういう記憶がはっきりしないというふうにおっしゃっても、そういう文書が出ているんですから、私は紛れもないことだというふうに思うんですが、どうしてもここでははっきりしないというんですから、であるならば、あなたの地元大阪の事務所等でお調べになったらはっきりする問題でありますから、その世話人の一人に入っているという問題については明白にしていただきたいと思いますが、よろしいですか。
  202. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 今お話しのようなことは明白にしなければならない、このように思います。
  203. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで、私がいろいろ耳にしておるところでは、その呼びかけについてはそういうふうに言われますけれども、今までにもたびたび勝共連合の大会とか集会に電報を打たれたり出席をされたりと、こういうことがあったやに私は伺っているんです。ただそのときには、きょうもはっきりしましたように、勝共連合というのがどんなひどい団体かということをよく知らなかった、あるいはその統一教会の教祖の文鮮明という人物が今どういう姿にあるかということもよく知らなかったということであれば、それはそれといたしましょう。  そこで、さっきからはっきりしましたように、数々の違法行為、犯罪行為を重ねておる団体、そして重大犯罪人をキャップにいただいている、こういう団体だということが明瞭であるんですけれども、これから、大臣に就任をされましたあなたとしては、こういう団体とはやっぱりきっぱり手を切るという立場で対処をしていただきたいというふうに思うんでありますけれども、その点の決意のほど、どうでしょう。
  204. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 今お話しのような国際勝共連合というのがよくわからなかったわけですから、実態をよく調べて対処したいと思います。
  205. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 実態をよく調べてというのは、そういう犯罪団体であればそれにふさわしい当然適切な対処をするということですね。そんなものと深いつき合いはしないということですね。
  206. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) そのとおりでございます。
  207. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは、次の問題、電電公社の問題に移らせていただきます。  真藤総裁が急遽、何かお体のぐあいが悪くなってドクターストップがかかったということで、しかし、これから申し上げる問題、電電公社の運営にかかわるかなり重要な問題だ、こう思いますので副総裁に御出席を願っております。  そこで、電電公社における職員の思想差別、不当労働行為について幾つかお尋ねをいたしたいと思いますが、さきの百一国会において、私は、逓信委員会における電電三法案の審議にかかわって、二回にわたって公社の思想調査問題を取り上げてまいりました。まあ、いわば憲法を真っ向からじゅうりんをする、かかる不法行為が横行をしているならば、もしも民営に移行をしたというとき、国会の監視が外れるなら一層事は重大だ、重大化するであろうということとして、私は、徹底した真実の究明、当事者の責任追及、この思想調査による被害者の救済を強く要求をしてまいりました。そして真藤総裁からは、二回にわたって、慎重に対処をする、時間をかしてほしい、こういうふうに答えられてきたわけでありますが、百一国会が終わりまして既に三カ月です。その後の調査と検討の結果、まずお尋ねをします。
  208. 外松源司

    説明員(外松源司君) お答え申し上げます。  本件につきましては、その後事務的に御報告申し上げたかと思いますが、先生指摘の東京無線通信部管内の三十九のすべての現場機関につきまして厳重に調査いたしたわけでございますけれども、お示しいただいたような文書に該当するものはございませんでした。
  209. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私が逓信委員会では既に資料として配付をさせていただいてきておるんですが、決算委員会では初めての問題の提起になりますので、今私が言っております思想調査なるものの抜粋を参考資料として委員の方々に回覧をしていただいたらというふうに思いますけれども、私がこの思想調査の具体的実物を示して取り上げましたのは、今もあります、東京無線通信部、ここにおける、昭和五十五年度のものということでありますが、もっと長年にわたって、五十五年だけでなくもっと長年にわたって、もっと広い範囲にわたってこういうことがやられている疑いがあるということで、徹底した真実究明を要求をしてきたんですけれども、百一国会が終わってからどういう調査をやってこられましたか、今の私の言っている立場で。
  210. 外松源司

    説明員(外松源司君) ただいまお答え申し上げましたように、先般の百一国会の逓信委員会におきまして、先生から東京無線通信部の思想調査問題ということであったわけでございます。そしてまたその前段としまして、電電公社の思想調査問題に対する姿勢というようなこともお尋ねになられたわけでございますが、電電公社といたしましてはそのようなことはしておりませんし、そして具体的なそういった三十九の機関ということで御指摘がございましたものですから、それらについて調べましたところ、ただいまお答え申し上げたような結果であったということでございます。
  211. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 電電公社としてそのような思想調査をやっているはずがないから、しかし私が実物を示して提起をした東京無線通信部のこの関係については調べたと。しかしあるはずがないと言いながら、公社のどこにもそんなことをやっているはずがない、こう言いながら、無線通信部でやっているという実例を出したわけでしょう。そこで私が言っているのは、例えば昭和五十五年度だけでなく、何年から何年まで調べたのですか。  それから、電電公社の中にたくさんな部局が、局所があると思うんですけれども、どことどこを調べたんですか。
  212. 外松源司

    説明員(外松源司君) 電電公社といたしましては、この前からお答え申し上げておりますように、そういった思想、信条による職員の差別あるいは思想調査ということはいたしておらないわけでございまして、先般先生が文書をお示しになられて、御指摘になられましたものですから、東京無線通信部につきまして調査して、そしてそのようなものはないということでそのようにお答え申し上げておるところでございます。
  213. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 同僚委員の方々、お聞きになっておっても本当にきちんとした答弁になってないというふうに感じられると思うんです。そんなことやっているはずがないからと言いながら、やっているはずのないことがあるところでやっているということが発覚をした。だからもっとよそでもある心配がある。五十五年度だけじゃない、もっと長年にわたってやっている心配がある、そこを調べなさいと言っても、やっているはずがないから調べる必要がありません、こういうことで事の道理は通るのかということです。しかも総裁は慎重に対処しますと、時間をかしてほしいというふうに、百一国会の会期末の時点でしたから、そういうふうに時間をかしてほしいというふうにも言われてきたという経緯、もう局長は結構です、答弁は。  総裁の代理としてお願いいたしました副総裁、御報告は聞いておられることと思いますけれども、これでは時間をかしてほしい、こう言いながら、とにかく百一国会の会期末を逃げ切った。ある意味では国会に対する食言じゃないか、この態度は、というふうに思うんですが、副総裁、どうでしょうか。——あなたはいいですよ、三遍も同じことを言っているんですから、いいんです。委員長局長の答弁はいいんです。
  214. 北原安定

    説明員(北原安定君) お答え申し上げます。  ただいま私の方の職員局長がお答えしたとおりでございます。
  215. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 この問題は、健康回復の暁、総裁も出てこられますから、ここの国会の席上での発言との責任問題は引き続き問題にしていきましょう。  ところで、百一国会でも強調したことでありますが、この思想調査は単に調査だけにとどまってない。調査の中で特定思想グループとして挙げております共産党や社会主義協会派系の職員に対する思想差別として、具体的に被害が生まれているんじゃないかということを私は問題にしてきたんです。例えば超勤や休暇の扱いの問題があります。近年の賃金がなかなか上がらない、賃金が抑えられる、こういう施策のもとで超勤や休暇の買い上げ、すなわち配給、これはそれなりに収入問題として職員の関心事でありますが、同じ仕事をしていても、特定思想グループには超勤やあるいは配給をほとんど割り当てない、いわばそういう形で兵糧攻めといいますか、日干しといいますか、そういうやり方がとられているというふうに聞きます。一体これは副総裁、公社の方針として特定思想グループにはそういう超勤や配給はもう割り当てぬということをやっているんでしょうか、副総裁
  216. 外松源司

    説明員(外松源司君) お答え申し上げます。  御指摘のような思想、信条といったようなものによりまして超過勤務、人事任用というような問題につきまして、公社として差別を行ったことはございませんし、また行ってはならないというふうに考えておるところでございます。
  217. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 当然そのとおりでなくちゃならぬ問題だと思うんです。しかし現実は、苦情解決申請書や要請書の中にはそうした指摘があるということは、ごれはもうあなた方がよく御承知のことだと。そうすれば、そういうことはあってはならないし、あるはずない、こういうふうにおっしゃるのであれば、もしそういう特定の者にだけ割り当てをしないという、こういうことがあるとすれば、それはひとつ改善をするということで、公社として対処をしてもらえますね。
  218. 外松源司

    説明員(外松源司君) もし万が一先生が今御指摘になられたような思想、信条というようなもので差別をしておるというようなことがございますれば、改善をするつもりでございます。
  219. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 次の問題であります。  この特定思想グループに対して職場八分とも言うべき差別があります。公社主催の出張や見学、さらには親睦会、新旧職員の歓送迎会、職員旅行、サークル、こういうものに参加させない等々の形でありますが、我が党といたしましてはこれも今まで何回か国会で取り上げてまいりまして、そういうことは公社の方針でやっているわけじゃない、改善は努力をするというふうに言いながら、なお改まっていないわけであります。なお依然としてそういう問題が残っているわけであります。引き続き一層の改善努力に努めてもらいたいと思いますが、どうですか。
  220. 外松源司

    説明員(外松源司君) 以前の当国会の場におきましても、先生指摘のようなレクリエーションなどの場におけるいわゆる差別的な問題というようなことで御指摘をいただいたことは、私ども承知いたしております。もちろん私どもは、特にレクリエーションというのは、職員の融和を図るというようなことも一つの大きな目的でございますので、そういった趣旨に沿うべく十分下部を指導してまいっておるつもりでございますが、具体的にもしそういったようなことがございますれば、それは是正をするように指導するつもりでございます。
  221. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 さらにもう一つ重大な問題、局長のさっきの言葉の中にもありましたいわゆる昇任問題での差別問題であります。特定思想グループは役付職への任用はできるだけ除く、こういう方針があるわけじゃないでしょうね。
  222. 外松源司

    説明員(外松源司君) もちろんございません。電電公社の職員の任用の基本につきましては、先生も御承知のように、電電公社法二十九条に、「その者の受験成績、勤務成績又はその他の能力の実証に基づいて行う。」ということが任用の基準として決められておるわけでございまして、公社としてそれを基本に対処いたしておるところでございます。
  223. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 その電電公社の任用の暫定措置に関する協約、その別表として役付職任用最低資格基準というものが定められておりますね。そこで、最も普通のケースとして、一般通信、電話交換など、そういう職種について主任ないし係長に昇任をしていく最低資格勤続年数、これについて簡単にまず御説明ください。
  224. 外松源司

    説明員(外松源司君) ただいま御指摘の最低資格基準というものでございますが、これは個々の職員の任用に当たっての基準はないんでございますけれども、役付職に任用するに当たりまして、その職務の遂行に最低必要と思われる勤続年数というものについて、役付職任用最低資格基準ということで定めておるわけでございますが、    〔理事後藤正夫君退席、委員長着席〕 具体的には先ほども申し上げましたとおり、単に勤続年数で、これは最低を決めたということでございますので、勤続年数で画一的に行っておるというわけではございませんので、先ほど申しました公社法の任用の考え方に基づいてやっておりますので、この年数というのはその年数によって任用が行われているということではございません。
  225. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それはよくよく承知で聞いているわけですけれども、時間の関係もありますからあれですけれども、学歴別に、何年勤続をすればそういうところへ昇任をしていく道は開けますと、こういう最低資格基準表というものがあるということですよね。  そこで、今あなたも実際はそれとイコールではないというふうに言われるんでありますが、実際のしからば役付職に昇任をされている平均勤続年数、おおよそどれくらいかということで、なかなか全体について平均をとるというのは大変な作業だということでもありましょうし、私特に東京中電と川崎電報電話局、この関係で主任並びに係長に昇任をしていく、任用されていく平均勤続年数というものを一遍おおよそのところを出してもらいたいということで資料をお願いをしておきました。これによりますと、東京中電ですと五十一名中三十七名、主任について言えば、十年以上ないし十五年未満、こういうところで主任に上がっていくと。それから係長について言うと、十九名中十名が十五年以上ないし二十年未満という勤続年数で係長に上がっていくと。その他いろいろありますけれども、分布はしてますけれども、一番多い部分がそういうところだと。それから川崎電報電話局、これは昭和五十八年度の実態。主任については、これは件数が二つしかありませんから余りあれですが、係長について言うと五人中五人が十五年以上二十年未満、ここに五十八年度については五人中五人がそういう年数で係長になっているという実態になっているということですね。
  226. 外松源司

    説明員(外松源司君) 先生指摘の点はそのとおりでございますが、東京中央電報局などを見ましても、そのほか三十年以上で係長になっている者とか主任になっている者というようなのも何人かおりますけれども、大きな数字は今先生がおっしゃられたとおりでございます。
  227. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで、そういうふうに役付職に上がっていく実情、実態は、もちろん年度の違い、職場の違い、いろいろありましょうけれども、おおよそ一つの目安がこういう形で出ている。それに比べて余りにもひどい現実があるじゃないかということで、ひとつ資料を配らせていただきます。こういう資料を配ってください。     〔資料配布〕
  228. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ここに、さっきサンプルとして中電と川崎電報電話、この二つサンプルをとってほしいと言ったゆえんがここにもあるんですが、川崎電報電話局、ここでの大和田さんという人からの苦情処理が申請をされているわけですけれども、そこにもありますように、昭和二十六年採用で、以来三十三年間ずっと働いてきたと。それで、同期生ですね、右の表にありますように三十人おって、その中で既に退職している者が三人あると。それから労働組合の専従に出ている人が一人おると。その人をのければとにかく役付職についてないのは、だから三十人マイナス四、二十六人中役付職についてないのは大和田さんという人が一人だけだと、こういう姿になっているじゃありませんか。三十三年間働いてきたというんです。  さっき言いました川崎電報電話であれば、五十八年度のことではありますけれども、五人中五人が十五年ないし二十年で大体係長になっていると。ほかの例だけれども、東京中電であれば五十一人中三十七人が十年ないし十五年で主任に、そして十九人中十人が十五年ないし二十年で係長になっている。これと比べてみて、とにかく三十三年勤めておっても役付職には全然なれないというのがあるというのは余りにもひど過ぎると思いませんか。単純な話ですから、副総裁、これを見て感想を述べてください。
  229. 北原安定

    説明員(北原安定君) お答え申します。  佐藤委員のお話のありましたこの資料、私初めて拝見いたしましたので、後刻自分で検討してみたいと思います。
  230. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 なぜこういうことが起こっておるのか検討してみたいということでありますけれども、これは本当にどう考えてみたって道理の通る話ではないと思います。しかも、これはほんの一例にすぎなくて、こういう実態が随分あるということのお話を私はいろいろ関係者の方々から聞いているわけでありますけれども、ぜひ副総裁、どう見ても不合理なものですね、どう見ても不合理なものについては是正すると、こういう方向で検討を始めてほしいというふうに思いますが、どうでしょう。
  231. 北原安定

    説明員(北原安定君) 佐藤委員の御指摘のようなことがこの資料のとおりであるならば、それはそれなりに十分検討してみたいと思います。
  232. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もう余り時間がありませんが、問題変わりますが、最初に触れた思想調査の中で、公社側は特定思想グループの影響力を排除するため、労働組合の活動家の育成を再三にわたって触れています。  まずお聞きしますが、電電公社は労働組合の役員選挙問題について何か特別の対応をするんですか。
  233. 外松源司

    説明員(外松源司君) 電電公社が労働組合の役員選挙に関与するというようなことはございません。
  234. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もし公社の一定機関が、ある機関が労働組合の役員選挙に関してとった対処のよしあし、今後の対策、こういうものを文書にしてまとめているとすれば、これは明らかに不当労働行為とも言うべきものですね。
  235. 外松源司

    説明員(外松源司君) 御指摘のでは余りよくわからない点があるわけでございますが、労働組合は私どもの当然公社を業務運営していく上のパートナーでございますから、大きな関心を持つということはこれは当然公社側としてもあり得ると思っておりますけれども、役員選挙に関与するというようなことはあってはならぬと考えております。
  236. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、本日の段階ではどこの局所がつくっているかということはあえて申しません。申しませんけれども、東京のある局所が昭和五十七年八月という段階で「全国大会代議員等選挙結果について」という、そういう文書をまとめまして、いろいろ書いてあるんですが、これはどうしたことかというふうに思いますのは、選挙の結果と分析というパラグラフの終わりの方で、今回の各種代議員選挙では、若干であるがここ数年上昇していた反主流派の支持率が下降したことは、日常から労担課長会議等において各部相互の情報交換を積極的に行い、各部とも部議等で周知徹底を図ったことと、労働講座等においては、管理監督者層に現状を十分認識させたことも反主流派の得票減につながった一要因と思われるという形で、とにかくこうした対応をやってきたということをみずから述べておるわけです。今後の対策というパラグラフで、今回の各種代議員選挙で、反主流派への投票には支部に対する批判票も多く含まれてはいるが、各部とも依然として高い得票を示しているので今後とも十分注意する必要がある。当局は圧倒的に女性職員の多い職場であることから、そのときどきの状況によって極めて大きく変動するという危険を潜んでおり、今後とも労担課長会議等を通じて日常の労務管理の徹底を図り、万全の対策を講じていくこととしたいという、今後とるべき対策について文章化しているわけであります。  私が入手しましたのは東京のある局所についてのこの一つでありますけれども、しかし、これはたまたまここだけの問題じゃないんじゃないかという心配を大いに持っているわけであります。こうした点でぜひ私の提起しましたこの問題について、真実の究明、徹底した調査、これをやってもらいたいということを申しますが、どうですか、公社側。
  237. 外松源司

    説明員(外松源司君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のような事実があるかどうか、公社としましても調査をしてみたいと考えております。
  238. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 本日はこれで終わります。
  239. 三治重信

    ○三治重信君 郵便貯金のことから質問に入りたいのですが、郵便貯金の伸びが最近鈍化されたと言われているんですが、その郵便貯金の実額の推移というものがどういうふうになっているかということから始めてみたいと思うんですが、よろしくひとつ。
  240. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 最近の郵便貯金の窓口における増加状況でございますが、昭和五十五年度はいわゆる金利の天井感によって一時増加をいたしましたが、この年を除き、昭和五十三年度以降伸び悩みの状況にあるわけでございます。  最近における数字を申し上げますと、昭和五十八年度の純増実績額、つまり全預入額から全払い戻し額を引いた数字でございますが、二兆七千三百五十億でございまして、前年度の実績を二一%、約七千四百億円下回る状況になっておりますし、本年度、昭和五十九年度につきましても十月末現在、四月から十月までの純増実績額は九千三百十一億円でありまして、前年同期実績を四三%下回る、つまり前年比五七%の約六千九百十七億円という状況になっております。
  241. 三治重信

    ○三治重信君 それはどうなんですか、一般の民間の預貯金額とのシェアの割合からいくというと、郵便貯金の方が絶対額では減ってきたのだということなんだが、全体の貯金もそういうふうに同じように減ってきているのか。やはり郵便貯金が減って、民間の方がふえているのか。
  242. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 恐縮でございますが、ただいま民間と比較した細かい数字を持っておりませんけれども、ただいま申し上げましたのはいわば郵便貯金の活動の結果としての窓口における増加状況を申し上げました。御承知のとおり、郵便貯金にはこのほかに、これまでにお預かりをしました貯金にいわば自動的に加わる元加利子というものがございまして、それを加えました増加状況ということになりますと、過去にお預かりしている金額が大きいことから、そちらの方は年々ある程度伸びております。それを含めました郵便貯金の増加の状況と民間金融機関、特に銀行との比較ということになりますと、端的に申しまして郵便貯金も銀行預金も近年においては若干伸び悩みの状況を示している。もちろん増加はいたしておりますものの、伸び悩みの状況を示しているということが言えようかと存ずるところでございます。
  243. 三治重信

    ○三治重信君 今おっしゃった元加利子というのは、これは金融機関——民間の銀行でもこういうふうな預金の考え方を持っているのですか。これは郵便貯金に特有なやつなのか。民間の何というか、銀行や信用金庫でも預金の、定期預金なんかについてはそれの利子分まで預金高に含めるような観念を持っているのかどうか。もちろん大蔵省でないから知らぬと言えばそれまでかもしれぬけれども、同じ金融機関として元加利子というような考え方、貸出資金考え方というのが金融界一般にあるのかどうか。
  244. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 民間の預金につきまして、すべてがそうであるかどうか断定的に申し上げるのはちょっとお許しをいただきたいと思うんでございますが、例えば民間の場合でも、最近におきましては複利でふえていく期日指定の定期預金というようなものがございます。それらについては郵便貯金とあるいは似たような仕組みになっているのかとも存じますが、一般的に申しますと、郵便貯金定額貯金のように一定期間の利子をまた元本に加えていくという方式ではなく、定期預金利子の場合などは、年々これは支払い利子という計算をいたしまして元本に加えていくというやり方はとられていないのではなかろうかと存じます。
  245. 三治重信

    ○三治重信君 そうだろうと思うんで、だから郵便貯金だけ、何というんですか、十年間という長い預かり期間の貯全体系を、これは何年からつくったのか知らぬけれども、そのとき、つくったときからこういうような考え方を持っているのか、郵便貯金はずっと明治から、始まったときからこの定額貯金やなんかにもこういうような考え方を持っているのか、この定額貯金を始めてからこういうような考え方を持ってきているのか、どうなんですか。
  246. 奥田量三

    説明員奥田量三君) ただいま郵便局で取り扱っております定額貯金制度は、昭和十年代の中ごろに創設されたものというふうに承知をいたしております。
  247. 三治重信

    ○三治重信君 それができてからこの元加利子という概念ができてきたのか、元加利子という概念は、前の定額貯金のあったときから郵便貯金の中の計算としてそういう元加利子は貸付資金の原資として加えるというような観念があったのかどうか。
  248. 奥田量三

    説明員奥田量三君) ただいまのような一定期間の利子がいわゆる元加されて元本に組み入れられていくという方式は、定額貯金の創始と同時に始められたものでございます。
  249. 三治重信

    ○三治重信君 そういうことだろうと思うんですが、そうすると、この元加利子利子の出し方が、これがどうもよくわからぬ。何というんですか、零年から十年まであって、しかもそれも半年後は自由に出せる。その中に、一定の定額貯金でも一年以内は一しかも半年後複利になっていくと、半年ごとに預けられている段階的な利子やなんかの計算が複雑だと、こう言えば複雑かもしれぬけれども、それはどういう積算の根拠、積み上げでやっているのか。実際の定額貯金の、毎年一定の、一年なら一年の間に定額貯金の払い戻しのときの元本に対する利子割合として、経験的に元加利子という概念で実績上こういうようなもので出しているのか。それは支払いの上に原簿の管理があって、それをきちんと積み上げて正確に計算しているのか、どちらなんですか。
  250. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 定額貯金利子の元加の方式は半年ごとにこれを行うことになっているわけでございまして、したがいまして、四月にお預かりした定額貯金については九月、また翌年の三月、それから五月に最初にお預かりした定額貯金については十月、それから四月でございますか、というふうに計算をするわけでございまして、概算とか何とかいうことではございませんで、それぞれ最初にお預かりした月に対応したものについて六カ月ごとに利子計算して元本に加えていく、こういうやり方をいたしております。
  251. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、九年から九年六カ月間、また九年半から十年のやつも全部六カ月期間に、預金の経過期間ごとに積み上げて計算をして元加利子が出ている、こういうふうに考えていいわけですか。
  252. 奥田量三

    説明員奥田量三君) ただいまおっしゃいまし  たとおりでございます。
  253. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、積み上げたときちんと定額貯金についてはそれだけの利子を払わないと、原資として持ってないと郵便貯金の財政が賄えない。そうすると、その主な元加利子は結局財政投融資からもらう利子から優先的に保留して、その後を運営費にやる、こういう計算になるわけですか。
  254. 奥田量三

    説明員奥田量三君) ただいまおっしゃいましたとおりでございまして、現実の計算とかの手続はいろいろあろうかと思いますので、私も必ずしも細かく知っているわけではございませんけれども、これはいわゆる預貯金のお預かりとそれの運用という一般の原則どおりでございまして、資金運用部から受け取る預託利子、その中から先ほど申し上げましたように、六カ月ごとに郵便貯金の利用者にお払いしなければいけない利子計算をして元本に組みかえていく、その余の部分で事業運営費を賄う、こういうやり方になっているわけでございます。
  255. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、この郵便貯金特別会計の収支で、郵便貯金の当年分の赤字が四十九年から五十三年、それから五十四年、五十五年だけはちょっと単年度で黒字で、五十六年からまた赤字になっている。累計になると、これは五十一年から五十四年までは累計で赤字で、五十五年だけ累計の赤字が消えて六百四十三億円の黒字になり、五十六年からまた赤字が出てきた。ことに五十八年、五十九年で非常に当年分の赤字も累計の赤字も多くなっているのは、それはどういう理由なんですか。
  256. 奥田量三

    説明員奥田量三君) ただいま御指摘のとおり、郵便貯金特別会計の収支につきましては、昭和五十六年度に約一千百億円、昭和五十七年度は七百三十億円、昭和五十八年度は二千三百億円といった赤字が発生をいたしておりまして、昭和五十八年度末では総計三千五百二十二億円の累積赤字になっております。  この赤字が生ずる原因は、基本的には預託利率の問題にあると考えているわけでございまして、利子と先ほど申し上げましたお客様にお支払いする、あるいは元本に加えていく利子、それから運営経費を合わせたコストにつきましては、郵便貯金の場合は民間金融機関に比べて低くなっております。最近七年間の数字で申しますと、郵便貯金は七・二一%、都銀が七・八四%、長期信用銀行が八・〇一%というような状況で、経費の面は低いわけでございますけれども、したがって、経費面の問題はないと考えておりますが、資金運用部から受け取る預託利率の方が、これまでいわば政策的な決定によって低かった。具体的に申しますと、最近七年間の預託利率は平均で七・一五%でございまして、その期間の国債の利回りが平均七・六%になっているというようなことからいたしましても低くなっておりまして、そういうことから受け取る預託利子郵便貯金の先ほど申し上げました低い運営経費すら賄えないというような状況になってきたことが赤字の原因であると考えております。特に、先ほど三治委員指摘昭和五十六年度以降の赤字につきましては、これは昭和五十五年度に預入された定額貯金の最高利率が八%でございます。一方その時点での預託利率は八・五%でございました。利差がわずかの〇・五%というようなことから経費が賄えない、その結果赤字が生ずるというようなことになったわけでございます。なお、現在預託利率と支払い利率との関係が改善をされておりまして、明六十年度の概算要求では黒字が発生する、なお引き続いて六十一年度にはこれまでの累積赤字も解消すると、このような見込みを持っております。
  257. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、預託利率というのは郵政省大蔵省資金運用部との毎年の交渉によって決まるのか、何かこの預託利率の決まり方はどういう決定の仕方をするんですか。
  258. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 預託利率はこれは大蔵省が決めることになっております。これまでの扱い方といたしましては、支払い利率——預貯金金利が変わりました時点で預託利率をどうするかということが検討をされるわけでございますが、もちろん郵政省としての意見を申しますけれども、これの決定権は大蔵省にあるという状況になっております。
  259. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、赤字にするのも黒字にするのも大蔵省の預金部の態度次第と、こういうふうに理解していいんですか。
  260. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 私どもはその辺にかねてから一つの問題意識を持っているわけでございまして、預託利率の決定につきましてはただいま申し上げたように預貯金利子が変動されたときに、先ほども申し上げましたように時の財政政策等との関係もあるんでございましょうか、政策的に決定されているわけですけれども、果たしてそれでよいのか、むしろ預託利率の決定については、一般の長期金利の動き方との関連において合理的な決め方を検討する必要があるのではないかというふうに考えてまいっているわけでございます。
  261. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると結局、一部の金利の一元化という問題があっておたくの方と大蔵省とよく新聞をにぎわすけんかをしているわけなんだけれども、特別会計そのものから見れば、預金の利子が上がっても下がっても、預託利率で操作すればそこは経営についてはできるわけなんで、まあ預金を下げればその預金の集め方は難しくなる、しかしこれも預貯金金利の一元化というんだから、民間も下がれば郵貯も下がる、民間1ほかのも上がれば郵貯も上がるということになれば競争条件としては同じになる。そういうようなことを考えると、大蔵省が言う金利の一元化におたくの方が余り応じられないという理屈はどこから出てくるのか。それは財政収支じゃなくって、預金の利子と預ける利率、その相関関係ではなくて、何が預金金利の一元化を皆さん方が拒否されるというのか。それは郵便貯金の金利は別だと、こう主張されるのか。大蔵省が預金金利、預託率を決めるということになれば、その点は預貯金の金利の一元化というのが金融政策上、まあ私は国政上必要だと思うんだが、それを拒否する理由というのはどういうところにあるんですか。
  262. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 郵便貯金利子につきましては、郵便貯金法で預金者、郵便貯金利用者の福祉、利益とあわせて一般民間金融機関の金利等を考慮して郵政大臣が定めるということになっておりまして、この法律の規定に基づきまして、郵政大臣が郵政審議会に諮問した上で決定をしているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この法律の精神に従いまして、郵貯利用者の利益とそして民間金利との関係を考慮しながら、妥当な金利を決定しお払いをしていくというのが、法律上の務めであるというふうに考えているわけでございまして、その際に預託利率の方が、先ほど申し上げましたように、必ずしもそうして決定された預貯金金利との関係において、常に妥当な線で預託利率が定められるかどうかというところに、問題があるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  263. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、それは法律制度として郵政省がこの郵便貯金制度をやるんだから、法律としてそういうぐあいに書いてあるのは当然だろうと思うんだけれども政府全体としての運用における、財政金融政策におけるその中の金融政策で、殊に預金利子の自由化というものをやっていこうと、それから開放体制で外国との金融の自由化をやっていこうというときに、郵政省だけが郵便貯金法によって独自に決めるように法律に書いてあるんだと、だからそういうふうに金融の自由化や預金利子の自由化といえども郵政省は法律の施行をやる責任があるんだから、それとはまた別に考えさしてもらうという態度というのは、まあ大蔵省も金融の自由化がおくれ、国際先進国になっていながら、大蔵省は頑迷固随で何事も僕は制度的に金融においても何でもおくれていると思うんですがね、余り独占というのか権力の上にあぐらをかいて、一般の民間産業のことを思えば、あらゆる点において日本の非常な高度化、富裕化に対処して、大蔵省の所管する金融制度というものも非常におくれておると。そのために、自由化でアメリカから一番農業とともに指弾される。まあ農業はやはりたくさんの人口を抱えているからやむを得ぬけれども、金融なんていうのは最も、何というのかな、先進国であれば先進国のほかの国の自由化と合わして、物の自由貿易をやっていけば金融の自由化というものは当然こう入ってくることなんだろうと思うね。  それを、大蔵省が為替の自由化だけはある程度順応するけれども、資本の自由化や金融の自由化についてはサボっておって非常におくれて、指摘されてやっと腰を上げてきた。そこに郵貯もひっかかってぐると、こういうことなんだけれどもね。そこはやはり日本の国際自由化、殊に貿易の黒字を大変に抱えていくと、そういうことになつてくると資本の輸出をしなくちゃならぬ。資本の輸出をするということは、やはり金利の国際比較で日本が安くて向こうが高い。だから資本が出ていくと。まあこういう貿易自由化と資本の自由化というのは物の裏取引で、物で黒字ならば資本取引で赤字を持って、そこで国際収支なり世界全体の経済が円滑に動くというところに意味があるだろうと思うんだな。そこで、この郵便貯金がまだ庶民の金融機関としてささやかなときならいいけれども、いかなる金融機関よりか膨大な資金量を持ち、一説によれば世界一の金融機関、預金量は世界一と言われる郵便貯金郵便貯金法という法律をひとつ盾にとってそういう自由化に対処して、事ごとに大蔵省に異を唱えてやるということについてはいささかどうかなと、もう少しオープンに開けぬかなと、こういうふうに思うわけなんですが、そういう、いわゆる金融の自由化と、郵便貯金を、少額貯金を預かるおたくとして単に大衆の福祉のため、大衆の零細貯金を預かるためという特殊性だけを主張していかれるのか、それとも体制順応にやっていきますと、こういうふうな態度をとられるのか、どちらですか。
  264. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 金融の自由化の問題につきましては、私どもも基本的にただいま三治委員から御指摘のありました方向とほぼ同じ考え方で対処していきたいと考えているわけでございます。すなわち、最近の国債の大量発行あるいは金融の国際化、またエレクトロニクスの進展というようなことからいたしまして、金融の自由化はもう世界的な潮流でございまして、我が国としてもこれは避けて通れない。したがって、郵便貯金もこの自由化の流れにおくれないように対応していかなければならないというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、郵政省としても、利用者の立場に立つという観点を基本に据えて、積極的に自由化を進めることに対応してまいりたいと考えているわけでございます。特に、この自由化の問題の中でいわゆる大口、小口という問題がございますが、現在大口を先に進め小口の自由化を最後に検討するという考え方があるわけでございますけれども、そのような考え方では小口預貯金者の利益が必ずしも十分に守られるかどうかという疑いもございますし、またそういうふうに小口を切り離して後回しにするということは、金融機関の資金調達の面から見てもあるいは実際には不可能なのではなかろうかというふうにも考えているわけでありまして、そういった意味から大口、小口を含めて積極的に自由化を進めてまいらなければならないと私ども考えています。  ただ、こうした自由化に対応して郵便貯金が十分自由化時代にふさわしい体質を持つためには、単に金利の問題だけでなく、資金の運用面を含めた総合的な対応をしていかなければならないというふうに考えておりまして、そういった意味合いにおきましても私どもは六十年度の予算要求でも提起をしております郵貯資金による国債の保有というふうなことをぜひとも実現をしていかなければならないと考えております。  特に、御指摘のありました預貯金金利の決定の問題につきましては、従来は先ほど申し上げたような考え方で預貯金、郵貯の利子決定に当たってまいりましたけれども、金融自由化が実現をいたしましたならば、進展いたしましたならば、金利というものはそれぞれの金融機関が市場の実勢を反映しながらその金利を合理的に自主的に定めていくというのが本来の姿であろうというふうに考えるわけでございまして、そういう状況の中におきましては、いわゆるこれまで議論をしてこられましたような、議論がありましたような、いわゆる金利の一元化という議論はむしろ逆なのではないか、そういう金融自由化の時代の中では郵便貯金も、先ほど申し上げましたように市場実勢を反映するような体制のもとで、金利自由化の中の一機関として市場実勢を合理的に反映した金利を定めていくという方向に進むのが筋道であろうというふうに考えているわけでございます。
  265. 三治重信

    ○三治重信君 わかりました。いずれも金融の自由化については積極的に対応する姿勢だということで、まあその点は非常に僕も賛成なんですが、そういうことからいくと一番問題になっているマル優関係との関連で、郵便貯金にしてみればえらい迷惑な話だと思うんだけれども郵便貯金のいわゆる三百万円限度額非課税、マル優の非課税郵便貯金非課税の貯金とが、これがいわゆる高額金融の隠れ場所として郵便貯金が使われていると、こういう疑いから非常に問題になっているわけなんだけれども、確かに定額貯金という非常に有利な、しかも相当資金の出し入れが自由な貯金ということからいくというと、隠れ預金には非常に便利なことになってとんでもないハプニングになっているわけなんだと思う。しかし、これは僕はやはり税金逃避のための隠れみのとして郵便貯金が使われている事実というのは、これは何といっても裏経済というんですか、いやこれは実際を見て僕は逃れられない問題だと思うんですよね。そうすると、結局一般庶民を保護するという三百万円の非課税というものを守るということからいくというと、私はそういうまあブラックマーケット的に、いわゆる税金逃れに入ってくる預金をどうして防圧するかということをやはり本気になってやらぬと、郵政省郵便貯金庶民の金融だという建前ばかりやってて、実際の運用上の問題についても人々の指摘について何らこたえることがないということは、私は何というかな、税の負担の公平という立場からいっても、面倒だけれどもそれは本気になって考えてもらわなきゃいかぬと、こう思う。そうすると、今オンラインだから預金者管理がいわゆるコンピューターによって全国的に預金管理ができていって、名寄せなんかができると、こう言うけれども、問題は全国どこからでも預けられるし、どんな名前も使うことができるし、だから口数が実際の一人の人間があらゆる手を使って別々の人間に構成できるということが、一番問題だろうと思うわけなんですがね。そういうものを防ぐいい手だてがあるのかどうか、またそういう問題についてどういう防止対策をとろうとしているのか。これが僕は三百万円、五百万円に上げろというのは別として、おたくの要求は別として、非課税貯金のいわゆる管理として、そういう税金逃れの預金をどうして防圧するかということを、僕は本気になって考えて、またそれに対してそれを世間に発表するというのか、そういう態度をとるということが非常に必要。郵便貯金が全国ネットワークで全部コンピューターで管理できればできるほど、それは裏があるような気がしてしようがない。口座は幾らでも、全国どこでもつくれるということになってくると、僕は非常にそういう問題は解決しないんじゃないかと思うわけなんで、そういう問題についてどういうふうにお考えですか。
  266. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 限度額管理を適正にやる、あるいは郵便貯金の利用者の本人確認をきちっとやるということは、当然やらなきゃいけないことでございまして、また郵便貯金については税の問題のほか郵便貯金法で限度額そのものが定められているということもありまして、これも郵政省の責任であるということで、多年いろいろな工夫を重ね努力をしてまいっているところでございます。  特に、貯金をお預かりするときの本人確認というふうなことにつきましては、細かい手続を定めておりまして、郵便貯金をお預かりするときに、いわばいつものお得意様ではっきりわかっている人、それから身分証明書とか健康保険証とか証明資料を出していただいた人、そういうふうなチェックを貯金をお預かりするときに一々やることにいたしております。そしてお預かりしました郵便貯金についてはこれを名寄せをいたしまして、限度額を超えるものについては払い戻していただくということをやっているわけでございまして、昨年度に限度額オーバーで払い戻していただいた郵便貯金は八百億円を超えている状況になっております。また、特にこの名寄せにつきましては、ことしの春に郵便貯金の全国のオンラインネットワークが完成をいたしまして、全国的な名寄せ、例えば東京にお住まいの方が広島で郵便貯金をされても、それはラインを伝わって東京のセンターで名寄せができるというふうな仕組みになっておりまして、こういった限度額管理の方法は随分効率化されてきているというふうに考えるところでございます。今後もこのネットワークを使いまして、一層きちっとやってまいりたいというふうに私ども考えているわけでございます。
  267. 三治重信

    ○三治重信君 一つ簡単な例を申し上げますと、例えば三治重信というのが福岡の住所で貯金をする、東京の住所で貯金をする、名古屋の住所で貯金をする。幾ら名寄せをしても住所が違っていれば、それはそこで三人の三治重信が同一人だという確認はどうして今のところとれるんですか。
  268. 奥田量三

    説明員奥田量三君) その点につきましてはただいま申し上げましたように、例えば三治先生が福岡の郵便局においでになって、福岡の住所でというふうなときに、初めてお見えになったお客様でありますれば、失礼ですが身分証明書とか何か、そういった資料を拝見させていただくということでやらせていただいているわけでございます。
  269. 三治重信

    ○三治重信君 今から大蔵省のマル優制度課税非課税の問題を論議をされると思うんですが、これは非常に一面においては大衆に迷惑をかけんでマル優制度郵便貯金制度非課税制度は残しておきたい。しかし、一面こういうふうな非常に財政不如意で赤字財政のときに、大量の資金利子非課税の方へ侵入して、そこで課税を免がれるということを結果として黙認していかざるを得ないというところのジレンマを、僕は徴税機構は持っていると思うんだがね。だからこれについて、本当にやはり一面は大衆に迷惑をかけぬようにしなきゃならぬし、一面はそういう大衆の利益を保護しなくちゃならぬ。しかしそうかといって、負担の公平をやろうと思うとやはりある程度の規制はやむを得ぬ。こういうところの、だれが考えてもこちらをとればこちらが不便になるし、こちらをとればこちらが不便になるという、常識的に考えていくといろいろ利益、不利益、便宜、不便宜があると思うわけなんですがね。どっちかというと、ある程度貯金の利子にやはり不公平税制の大きな一つの山があるとにらんでいるからこそグリーンカード制度、みんな一遍は国会においても賛成して通したわけだね。通したけれども大蔵省グリーンカード制度をやってみるというと、これは余り個人のプライバシーのポケットまで手を入れられることになって、とんでもない悪影響が出る可能性があるということから、また再検討になったわけなんで、しかしそこに不公平税制の根源の山があるということだけは大蔵省も認めて、グリーンカード制度もやりなんかしているわけなんだが、そこに、郵便貯金もその山の中へ、とにかく非課税のやつが入り込んでいるということはこれは否めない事実だと思うわけなんで、これについての検討というものは私は本気になってやってもらうか、それが十分いかぬとなればどういうふうになるか、これは今からの推移を見て、自分ひとりのああでもないこうでもないという知恵を披瀝してもしようがないと思うんでやめますが、私はそこをひとつ本気になって、やはり不公平税制の山がとにかく郵貯の中へ潜り込んでいるという事実というものは否定しないで見て、それを実質上排除していくのはどうしたらいいか、こういうことは本気になって考えてもらいたいと思います。これは答弁はいいです、正面切ってそういうのが入っているということはなかなか言いづらいだろうと思う。  そこで、この郵便貯金の利用者のサービスについていろいろ書いているわけなんですが、この貯金の、今度始められた郵便貯金共用カードの取り扱い開始、これはどういう目的でこういうことをやられたのか。これは信販会社や一般の販売関係のカード会社なんかと、一面はおたくと連携とればそれは利益になるかもしれぬけれども、何かどうもそういうことについて十分な理解と納得がいかないうちに始められたような気がするんだけれども、まずこの実績からひとつ聞かせてもらって、それから始められるときに信販会社やそういうカード会社、カード業界というのかな、よく知らぬけれども、そういうものとの事前の打ち合わせとか、そういう了解というようなものについてはどういうふうな手段、方策をとられたのか、その点、お願いしておきます。
  270. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 共用カードについてのお尋ねでございますが、先ほど来カードの話も出ておりましたが、エレクトロニクスの技術の進展、あるいは携帯上の利便性というようなことから、いろいろなプラスチックカードが多数発行されている状況でございまして、現在国内のカード発行枚数は全部で一億五千万枚にも及ぶと言われております。こういったカードの増加に伴いまして、利用者は複数のカードを所持して用途に応じてこれを使い分ける必要がある。こういったカード管理の煩雑化というような現象も生じてき始めているのではないかと考えられるわけでございます。  そこで、郵政省といたしましては、業務の遂行に支障のない範囲で預金者の提出されるプラスチックカードに所要の磁気記録等を行い、そのカードによって貯金の払い戻しとそれから提携共用をいたします相手先のカード機能とを一枚のカードにおさめまして、こういうことによって預金者のカード利用の利便性向上に資することにしたい、こういう考え方から、去る七月以降この制度を始めたわけでございます。  なお、ただいまのところ共用の相手先は信販会社一社と化粧品会社一社でございますが、先ほど申し上げましたように受け付け開始後わずか二、三カ月という状況でございまして、件数は現在のところ、わずかでございます。
  271. 三治重信

    ○三治重信君 ちょっともう一遍、実際の契約したところを言ってください。
  272. 奥田量三

    説明員奥田量三君) 一つは日本信販のクレジットカードでございます。それからいま一つは、これは実際の取り扱いは来月からになりますが、約束をいたしておりますのが資生堂花椿のクレジットカードでございます。
  273. 三治重信

    ○三治重信君 まあ何というんですか、何とも言えぬですが、キャッシュカードは、土曜休日で窓口時間が少なくなるとキャッシュカードを提供するということによって預貯金の預け入れ、払い出しが便利になるということで非常に役立つだろうと思うんですけれども、こういうことによって預金がどれだけふえるか、こういう郵便貯金共用カードをやっていわゆる貯金がどれぐらいふえる効用があるか、こういう問題もひとつよく検討されて、新しい仕事を何でもやりゃいいということでなくて、やはり民間でやっていることを余り後から加えていって、それほどでないのに非常に民間の何というか、信販会社そのものも余りもうからんで、回りがつぶれそうでくだくだ言っているのもあるのに、そこへ郵便貯金みたいのが、しっかりした、どんとしたのがふっとつまみ食いして入っていくということになってくると、一般の民間会社の中で非常にさらに優劣がはっきりしたり、市場撹乱的な要因がなきにしもあらず。これはまあわからぬよ、わからぬけれども、そういうふうに言って我々のところに来るわけです、民間の会社の人が。だから、そこはひとつ、やってもやらぬでも余り大して預金量がふえるわけじゃないならば、余り積極的にやるというようなことは、やはりつまらぬ心配を起こさぬようにやってもらいたいと思うんです。  貯金のやつについては一通りそういうことでお話ししたんですが、電電のやつについて、今電電が十二月で法案が通るという約束事みたいになっているわけなんだが、それから電電の民営化は四月からということなんだが、それとともに第二電電の話なんかがでていたようなんですが、そういう電電の民営化とともに、第二電電なりそういう何というんですか、民間の競争的な会社ができるようなのが相当数あるのかどうか、そういうような問題についてひとつごく概略を、民間のいわゆる電電事業に出てくる空気というのか、いわゆる中曽根さんが言う民営化、ディレギュレーションによって、電電の独占化を解くことによって民間の活力がほうはいとして出てくるんだと、こういうことなんだが、それは本当にそういうことでどの程度民間の活力的な、第二電電を初め新しい会社がもくろまれているのかどうかということについてひとつ御説明を願います。
  274. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) ただいまお話がございましたように、現在継続審議中の電電改革三法におきましては、まず今までの電気通信事業について、電電公社あるいは国際電電の独占的体制というものを改めまして、民間活力の導入ということで競争原理を導入していこう、そして活性化した電気通信の振興を図ってまいりたいということをねらいに改革をしているところでございまして、この法案が早期に御審議、御可決をいただきますれば、来年の四月からはそういう、今まで電電やあるいはKDD以外が手が出せなかった電気通信事業というものに、民間企業がいろいろな知恵と創意工夫をもって参入することができるということになるわけでありまして、現在いろいろ取りざたをされておる新規参入事業者というものについても若干申し上げてみますと、一つは経団連の関係でございますが、通信事業企業化問題調査委員会というようなものを設置をいたしまして、現在そういったことについての調査検討をしているという動きがございます。いま一つは、京セラを中心にいたしました第二電電企画株式会社という会社が設立をされて活動をいたしておる。なお、国鉄を中心にいたしました日本テレコム株式会社というものの計画もございます。なお、建設省あるいは道路公団というようなところが中心になりまして準備をいたしております日本高速通信株式会社、こういうような動きがございますし、そのほか地域における新規参入構想というようなものもいろいろ検討されているというようなことを私どもも承知をいたしておりますが、これらの構想は、いずれにいたしましても、まだいろいろ予備的な調査段階というようなことでございまして、次第に具体的な、現実的なものになっていくであろうということを私ども考えているわけでありますが、三法改正の趣旨というものを踏まえまして、私どもも競争原理の導入に見合う新規参入というものがありまして、活力ある電気通信事業の振興というものが図られればということを期待をいたしておるところでございます。
  275. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は電報事業について質問したいんですけれども、先ほど太田委員から非常に突っ込んだ質問がありまして、それを引き継いだ形で少し補充的にお聞きしたいと思うんです。  まず最初に、去年の電報事業というのは、これは先ほど説明がありましたように、収入が三百八十七億円に対して支出が千六百二十六億円で、差し引き赤字が千二百三十九億円だったと。この支出の中に郵政委託費というのがございますね。これは四百十三億円ですか、昭和五十八年度。これの内訳を説明していただきたいわけです。
  276. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) 御指摘のとおり、電報事業に関します郵政委託費の五十八年度におきます総額は四百十三億円でございます。この内訳ということでございますけれども中心になりますのは、郵便局の窓口で電報の受け付けをお願いをいたしております。これに要する費用が百三十二億円でございます。それからまた、郵便局におきまして電報の配達を委託いたしてございます。この配達に要する経費が百三十一億円、この二つが主なものでございまして、そのほかに郵政省におきます減員に伴います減員補償費が百二十五億円ございます。あとちょっと細々したものございますけれども、主なものはこういうところでございます。
  277. 木本平八郎

    木本平八郎君 そのいわゆる減員に伴う補償ですね、これはどういう費目なのか、どういう性格のものなのかということを、もう少し詳しく説明していただけませんか。
  278. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) 現在、郵政省に電報の配達をお願いをしておるわけでございますけれども、この配達の局数が先ほどもお答えを申し上げましたように年々減ってきておるわけでございます。といたしますと、当然に郵便局におきまして人間を減らさなければいけないという事態が生ずるわけでございますけれども、大体今電報の配達を郵政省にお願いをしておりますのは山間僻地といったようなところがほとんどでございますので、人員の配転その他いわゆる過員の解消という問題が大変厳しい状況にございますので、これに対しまして一定期間補償する、こういう性質でお支払いをしておるわけでございます。
  279. 木本平八郎

    木本平八郎君 減ってきていることは確かなんですね。これはもう今さら統計ひっくり返すまでもなく、ずっと昭和三十八年の九千五百万通ですか、それから先ほどの答弁にありましたようにずっと減ってきているわけですね。減り続けているということがわかっているわけですね。わかっているのにどうして郵便局の人員対策というのは事前にできないんですか。もうこれは二十年、三十年の問題でしょう。この辺郵政省の方なのか電電公社の方か知りませんけれども、来年また減るということはわかっているわけですね。今、三千三百人ですか。そういうのがわかってどうして手が打てないんですか。
  280. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) 電報の通数が総体として減っていることは事実でございますが、郵便局の受付あるいは配達の体制といたしましては、やはり数少なくてもそれに対応する体制というのはとっていかなきゃいかぬわけでありまして、そのための要員を配置しておく必要がある、そういった事情から現在に至っているわけでございます。
  281. 木本平八郎

    木本平八郎君 真藤総裁がおられたらぜひお聞きしたいと思ったのはそこなんですけれども、これ民間の企業なら当然つぶれちゃうでしょう。そんなばかなことはもう絶対にできないわけですよ、これはもう減っていくのはわかっているんですから。手を打ってどんどん先に合理化していく。その辺が官業の場合にはそれがやっぱりできないんですかね。
  282. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) 官業という言葉でございますけれども、電報が一つの公共的なコミュニケーションの手段ということで、仮に農山村地域におきましても、やはり現在基本的な通信手段として、例えばまあいわゆる近親者の不幸を告げる「チチキトク」的な電報の必要性というのはまだまだあるわけでございまして、そういった公共的なぎりぎりミニマムの要請にこたえる、そういう体制というものはやはり一つの公共的な通信機関として持続していくべきではないかというふうに考えております。
  283. 木本平八郎

    木本平八郎君 その公共の問題は後で少し議論さしていただきたいんですけれども、「チチキトク」というのは、緊急電報というのは八万七千通でしょう。年間に〇・二%ですよね。たったの〇・二%でしょう。そのためにこれだけ膨大な設備、人員を抱えておくというのは、民間の発想じゃもう到底考えられないわけですよ。もっとほかに何か知恵を絞ってそのサービスを満たすということを考えるはずなんです。この議論後でやりますから。  それで、先ほどの百五十億円の中で百二十五億円が余剰人員の補償だとおっしゃいましたね。そのあと残った約二十五億円、厳密には二十二億円ぐらいだと思いますけれども、この金額は一体どういう性格のものか御説明お願いしたいと思います。
  284. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) 主なものは、俗に整理資源と呼ばれております支出でございます。
  285. 木本平八郎

    木本平八郎君 その整理資源というのは、よくわからないのでみんなにわかるように具体的に説明していただきたいんです。——それじゃ私の方から説明します。いいですか。  これは、かつて郵政省でこの電報事業に携わって既に退職された方ですね、その方に対する年金。当然これは郵政省負担して払わなきゃいけない、退職者の年金ですね。年金分原資として、資源として電電公社が負担しているということじゃないんですか。
  286. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) 整理資源というのは一体どういうものかということを申し上げますと、ただいまも御指摘ございましたように、恩給公務員期間あるいは旧長期組合員適用期間を有する積立金の不足額あるいは年金の改定、ベースアップ等によります追加の費用等が生じてまいります。こういった長期年金の支払いに要する積立金の不足を補てんをするという趣旨のものでございまして、電話交換、電報等電気通信業務に従事いたしておりました職員への支払いの部分、これを公社が負担をして支払っておる、こういう状況でございます。
  287. 木本平八郎

    木本平八郎君 これもやっぱり民間的な発想ではどうも理解できないわけですね。これ郵政省職員だったわけでしょう。その方が、在職中には先ほどの余剰人員補償とか、いわゆる委託費とかいろいろなものをもらっているわけですね。郵政省としては当然それもらったと。それ自分の職員でしょう。これが退職したら当然郵政省がこの年金の面倒なんかを見るべきであって、それを電電公社、子会社の関係か力関係か知りませんけれども、これ民間で言えば接待費のツケ回しみたいなもんで非常に子会社にたかっているような感じを受けるんですがね、その辺どうなんでしょうね。
  288. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) 郵政省職員でございますが、委託業務にその間従事していたということで、仕事は電気通信業務をやっていたわけでありますので、当然その機関で働いたことに伴う共済組合関係資金、これについては公社からいただくということになっていると思っております。
  289. 木本平八郎

    木本平八郎君 いや、いいですか、それはね、電電公社から業務委託費として取っておられるんでしょう、別に。それ取っていれば、その業務委託費の中に厳密に言えば年金分も含まれているはずでしょう、いかがですか。
  290. 塩谷稔

    説明員(塩谷稔君) 業務委託費というのは日常の電通業務を処理する事務を処理するに当たっての経費というふうに理解しております。
  291. 木本平八郎

    木本平八郎君 それはもうこれ以上なにしてもお気の毒だから結構です。  それで、次の問題に移りますけれども、電報の公共サービスということなんですけれども、これ先般も質問申し上げたんですけれども、私は、もう電報というのは通信、コミュニケーションの手段としてはほとんど機能を果たしてないというよりも終わってしまったんじゃないかという気がするわけですね。  例えば、慶弔電報が七五・四%ですか、それから先ほどの緊急電報が〇・二だと、それで何かサラ金の督促が八%ぐらいあるということで、それで私は、例えば今「チチキトク」というのもほとんど過疎地帯、山村地帯も電話で済んじゃうわけですね、ほとんどが。だから電話がないところに電報サービスが必要だというケース、これパーセンテージでお聞きしてもちょっとおわかりにならないかもしれませんが、わかっていればちょっと教えてください。わかりませんか。
  292. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) ただいまのお尋ねの件につきましては、ちょっと数字をわかりかねますので御容赦いただきたいと思います。
  293. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、私はもうここまで電話が普及してきたら電報というのはセレモニーの手段だと、いわゆる慶弔電報で「トウセンオメデトウゴザイマス」というのは電話だけではしようがないから、あるいは結婚披露宴のときに「オメデトウゴザイマス」という電報が来ておりますとか、告別式のときに弔電を読むというセレモニーの商品になっていると思うんですよね。  そうしますと、もうあとはこれも先般申し上げましたけれども、要するにこの事業をいかに効率化するかということをお考えになっていただかなきゃいかぬわけですね。しかも、これはもう昭和二十八年から、私の持っている統計はそれ以前ないんですけれども、三十年間赤字でしょう、ずっと。そうすると、それでどんどん赤字になっているということはもう目に見えているわけですよ。そうしたらどうして合理化ということをお考えにならなかったんだろうという気がするんですが、その辺はいかがですか。
  294. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) 御指摘ございましたように、収支から申しますとずっと黒を計上したことのない事業でございまして、そういう意味で、電報の収支改善というのは大変に大きな命題の一つとして私どもも取り組んできたと、かように考えておるわけでございますけれども、ただいま先生からもお話ございましたように、一体電報というものは今までのような線の延長線上で考えていいんだろうか、その点が非常に大きな問題でございまして、御案内だと思いますけれども、そういう角度から、実は本年の初めから有識者の先生方にお願いをいたしまして、公衆記録通信サービス研究会というのを開催をしていただきまして、この電報の現状、そしてこれを今後通信メディアとして一体どういうふうに考えていくのかということについて、大変貴重な御論議をいただいたわけでございます。その報告と申しますか、「電報事業の新しい展開について」という表題のつきました御報告を五月にいただいたわけでございます。  その中心になりますのは、ただいまもお話ございましたように、電報というのはやはり我々も含めまして、電話がない家庭と申しますか、電話がない場合の一番優先的な緊急通信手段であるというところが大変強く意識をされておったと思うわけでございます。そういった電報の性質と申しますか、役割と申しますか、そういうものは完全に否定することはできないと思いますけれども、それだけではないわけでございまして、慶弔電報が八割に達しておるというふうな構造的変化等も考え合わせますと、しかも、現在なお四千五百万通近くの通数があるという状況等もあわせ考えますと、この電報というものを、その持っております特に記録性、そしてそれが配達をされるこういった特性、むしろそれを積極的に評価をいたしまして、そういった特性をさらに何か生かすことによってそういったメディアとしての特性を伸ばすことによって、単なる緊急信だけではない電報の効用、そしてまた世の中での御利用の仕方というものが期待されるんではないか。そういうことによりまして電報の収支の改善ということもまた図り得るのではないかという御指摘をいただきまして、私どもも全くそのとおりだと思うわけでございますので、そういった方向でこれからの電報事業のあり方というものについて真剣に取り組んでいっている、現状こういうことでございます。
  295. 木本平八郎

    木本平八郎君 その問題の前にちょっと、先ほどの要するに年金分だとか、余剰人員の補償の問題ですね。これ新聞によると、四年分一千億払うというふうな話ですね。ところが郵政省はそれは困ると言っているわけですね。電電公社を分離して今度民営化するわけでしょう。そのときにこういうマイナスの持参金ですね——娘に持参金つけるというのはわかりますけれども、これ幾ら電電公社裕福だといったって、それにこういうマイナスの持参金つけるというのは私はちょっと理解できないと思うんですね。やはり、これは分離するときには、郵政省としてぜひこの分は親の方が負担してやると、いいと、もうこれはこういうようなマイナスを持っていかさないということをぜひ考えていただきたいんです。  今の問題ですけれども、要するに、私結論的に言って、電報事業を何とか民間に払い下げるということを考えたらどうかと思うんですがね。ということは、今総務理事おっしゃいましたけれども、電電公社の体質では——真藤さんなら別でしょうけれども、まずそういう電報を使って、これを黒字にするような知恵出てこないと思うんです、はっきり申し上げて。私は、この前も言ったんですけれども、慶弔電報に例えば香典を一万円なら一万円かわりに払ってあげますと、それはこっちで振り込んでくださいと、手数料幾ら取るか別ですよ、そういうサービスなんかちょっとすぐ我々思いつくわけですよ。何十年間もそういうことを思いつかれないというのではやはり僕はだめだと思うので、したがって、これを何とか民間に払い下げる。それこそ持参金をつけて、千二百億円ぐらいつけてもいいと思うんですよ、一年分の赤字ぐらい。千二百億の持参金をもらえば民間で引き受けるところがあると思うんですがね。今電電公社の資産が、私うろ覚えですけれども、大体受け付けの装置だとか固有分のようなものが八十億円ぐらいですね。共用の施設である土地、建物、これは共用の施設というのは郵便局との共用ですか、どなたかおわかりになったら。
  296. 岩下健

    説明員(岩下健君) 今お尋ねの共用の施設は恐らく電話事業あるいはデータ通信事業、こういったものの電電公社の中の電報以外の事業との共用施設だと思います。
  297. 木本平八郎

    木本平八郎君 そうすると、これは電報事業を仮に切り離しても、十分にこの共用施設四百五十億円分は電電公社として電話とか残ったいわゆるデータ通信とかで使えるわけですね。
  298. 岩下健

    説明員(岩下健君) 共用というのは、具体的に申し上げますと、例えばマンホールがございますが、マンホールの中には電話のケーブルも入っておりますし、また、電信のケーブルもある。さらにまた、一本のケーブルの中に電話用の回線もありますし、また、電報用の回線もある。そういうかなり複雑な形の共用をしているわけです。また、そういう共用することによりまして全体としての設備の効率を上げておるというのが実態でございます。
  299. 木本平八郎

    木本平八郎君 そういうものも含めて全部で五百三十億円ですね、五百三十億円民間にこれはただでやる。共用の部分は使わしてやるということになるかもしれません。それであと七百億円ぐらいつけて千二百何十億円か、千二百三十億円ですか、これだけ持参金をやる。したがって、民間でだれか電報事業を引き受けてくれることがないかという入札をやってみたらどうかと思うんです。それをやれば先ほど言ったように千二百億円というのは一年分の赤字ですから、一年間我慢したらあと全部終わってしまうわけですね。そういうふうにやれば今度は民間としてはいろいろなことを工夫していくと思うんです。例えば英国がやっているように、翌日電報を配達できなければ料金をお返しします、ということがあるわけですね、そういう条件でもやれる。それからもっと言えば、過疎地にどうしてもきょうじゅうにということになれば、これは民間なら料金を十倍もらっていいわけです。今電電公社だからできないわけですね。過疎地とかそういう条件がやれると思うんですけれども、それから、例えば夜間配達はうんと割り増しをもらうとか、あるいはそのときには電話であらかじめ通知しておいて翌日配達いたしますとか、そういうことができると思うんですけれども、その辺の何について何か支障がありそうですか。
  300. 寺島角夫

    説明員(寺島角夫君) 先生の電報民営論と申しますか、そういうお話はかねがね伺っておるところでございますが、御指摘のありましたように、いろいろな付加価値を電報の上につけることによって、何とかこの電報の再生というものを図りたいというのが現在の我々の立場でございまして、さらに若干政策的な見地から申し上げますと、御案内のとおり現在御審議いただいておりますいわゆる電電三法におきましては、国内の電報につきましては新電電が当分の間独占でやるというふうに法律が提案をされておりますので、私どもの立場といたしましては、その中でできる限りの努力をしていくということで、その努力の一つ、あるいは方向の中にはただいま先生から御指摘がございましたいろいろな点につきまして、私どももさらに知恵を絞って対処していきたいとこういうふうに考えております。
  301. 木本平八郎

    木本平八郎君 先ほどの新商品開発というか、新分野開発ということの前に、例えば今現在受け付けている——先ほど郵便局で受け付けているというけれども、これはわずか二割じゃないですか、いや、もっと少ないでしょうね、一三%ぐらいですか。それで八割ぐらいは電話の受け付けですね。それから、夜間の配達というのも九時から夜の十二時までというのは一%ぐらいですね。それから、十二時以降翌朝までというのが〇・一%でしょう。こういうものはもっと何か工夫ができると思うんですよ。こういう工夫さえ今までできていないのに、僕は新商品というのはちょっと無理じゃないかという気がするんですよね。したがって、これはぜひお考えいただきたいのは、電報は公共事業であるという思い込みですね。もうその機能が変わってしまっているんだという点をひとつフランクに、まあ頭の切りかえを、発想の転換をして考えていただかなきゃいかぬと思うんですよ。それで、これをどうしても残さなきゃいかぬとか、そういうかたくなな考え方じゃなくて、もう少し柔軟にやっていただいたらいいんじゃないかと思うわけです。  それで、今度の新電電、電信電話公社の改革で、この電報事業というのは自由化されるんでしょうかね、いわゆる第二電電並みに。その辺はどうなんでしょう。
  302. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 電報事業につきましては、結論から申し上げますと、電電公社がやっている電報事業をそのまま独占的な形態で新電電が引き継ぐと、こういうことにいたしております。と申し上げますのは、今先生お話ございましたように、電報事業につきましてはいろいろな問題点を抱えているということは私どもも承知をいたしております。そして、この新改革法下におきまして電報事業というものを、これを自由参入という形のものにいたしますとどうなるかということになりますと、これはクリームスキミングというようなことで、ただでさえ今大きな赤字を抱えている分野でございますからそういう形ではとてももたない、全国ネットワーク自体がもたないという問題がございます。したがいまして、ある意味では現状では競争導入というものになじまない分野であろう、こういうふうに思っているわけであります。ただ、だからそのままで未来永劫新電電に引き継いでしまっていいかということについては問題があることは十分私どもも承知いたしております。したがいまして、当分の間そういう形で引き継いでもらおうということで、その間いろいろな今までに御議論もございました。検討するというようなことでいろいろなテーマが出たと思います。そういったようなことも含めまして、本当に利用者にとっても新会社にとっても、あるいは新規参入者にとってもプラスになるような方法での電報のあり方というようなものを検討していこうということで、「当分の間」という字句をもってそういう気持ちをあらわしているということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  303. 木本平八郎

    木本平八郎君 それちょっと念のためにお確めしたいんですけれども、もしも民間の会社で電報事業を払い下げてくれという要求、希望があった場合に、まあその条件はいろいろありますけれども、その場合は喜んでというか、どういう姿勢で対応されるのか、その辺ちょっと。これは具体的にならないとわからないという答弁じゃなくて、先ほどから私が言っているように、民営化ということをやかましく言っているわけですね。民間からこれを払い下げてくれという要求があった場合にどういう姿勢で対応されるか、その辺ちょっとお伺いしたいんです。
  304. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 当分の間ということで、私どもが電報事業に対処をする基本的な姿勢と申しますのは、ただいま申し上げたわけでありますが、これを第三者が、今私どもがやはりある程度は今日的な意味合いということでの公共性ということ、そして現実的な利用というようなもの、慶弔というようなものが単なる儀礼的だという見方もありましょうし、あるいはそこにはそれ以上の意味合いというものが含まれているというような解釈もあろうかと思いますけれども、そういったことを超えまして今直ちに電報事業というものをなくしてしまうということにはなかなか踏ん切れないわけでありますが、全国的な形で、しかもやはりミニマムの電気通信需要というものを確保するという形で引き受けるという会社があるとすれば、これはむしろそういったノーハウこそ新会社、新電電が自分で開発する、あるいは教えてもらって、そういった形でやっていけば立派にできていけるんではなかろうかというふうに思いますので、なお一層新会社になってからもその創意工夫というものに期待をいたしたいと思っておるわけでございます。
  305. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、最後に大臣にお聞きしたいわけですけれども、今度電電公社が民営化されるわけですね。その際にこの電報の問題も非常に浮かんできて、今電電関係、先ほどのように郵政の業務委託費とか、人件費の補償とか、あるいは年金の問題とかあるわけですね。それから人員の合理化の問題もちろんあるわけです。ところが、私これがやっぱり行政改革の基本じゃないかと思うんですよね。こういう一つのイベントがあって、ここで切り離すと、そのために郵政省としてどうしても合理化やらざるを得ないと、これが非常に行政改革の考え方の基本だと思うんですけれども、その辺いかがでしょう。その御意見承って私の質問を終わります。
  306. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 今お話しのように、電報事業は大変人力依存度が高くて採算性の低い事業でありますし、今お話のありましたこれを全国的に責任を持ってやるということになりますと、なかなかこれは今後も、新電電に引き継ぎましても非常に問題の多い仕事であろうと思います。問題は、電報を廃止するかどうかというようなことにつきまして、将来どういうふうにしてやっていったらいいかというあり方の問題につきましては、国民の私はコンセンサスを得ないことにはこれはいけない問題だと思いますので、そういう国民の皆さんの御理解を十分得た上で結論を出してやつていくべきだと、このように考えております。
  307. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 他に御発言もないようですから、郵政省及び日本電信電話公社決算についての審査はこの程度といたします。
  308. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十七年度決算外二件の審査のため、次回の委員会に参考人として日本国有鉄道再建監理委員委員長亀井正夫君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  309. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回の委員会は二十八日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十七分散会      —————・—————