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1984-04-16 第101回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十六日(月曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  二月三日     辞任         補欠選任      柄谷 道一君     井上  計君  二月十日     辞任         補欠選任      太田 淳夫君     塩出 啓典君  二月十四日     辞任         補欠選任      出口 廣光君     杉山 令肇君  二月二十三日     辞任         補欠選任      杉山 令肇君     出口 廣光君      塩出 啓典君     太田 淳夫君  二月二十四日     辞任         補欠選任      矢野俊比古君     増岡 康治君  二月二十五日     辞任         補欠選任      増岡 康治君     矢野俊比古君      出口 廣光君     杉山 令肇君  三月三日     辞任         補欠選任      杉山 令肇君     出口 廣光君  三月二十一日     辞任         補欠選任      杉元 恒雄君     成相 善十君  三月二十二日     辞任         補欠選任      安武 洋子君     吉川 春子君  三月二十三日     辞任         補欠選任      成相 善十君     杉元 恒雄君      吉川 春子君     安武 洋子君  三月二十四日     辞任         補欠選任      太田 淳夫君     鈴木 一弘君      三治 重信君     関  嘉彦君  三月二十六日     辞任         補欠選任      鈴木 一弘君     太田 淳夫君      関  嘉彦君     三治 重信君  三月二十七日     辞任         補欠選任      出口 廣光君     竹内  潔君      安武 洋子君     上田耕一郎君  三月二十八日     辞任         補欠選任      竹内  潔君     出口 廣光君      上田耕一郎君     安武 洋子君  三月二十九日     辞任         補欠選任      太田 淳夫君     塩出 啓典君      木本平八郎君     美濃部亮吉君  三月三十一日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     太田 淳夫君  四月二日     辞任         補欠選任      太田 淳夫君     塩出 啓典君  四月三日     辞任         補欠選任      出口 廣光君     田代由紀男君      塩出 啓典君     太田 淳夫君      安武 洋子君     下田 京子君  四月四日     辞任         補欠選任      田代由紀男君     出口 廣光君      刈田 貞子君     中西 珠子君      太田 淳夫君     塩出 啓典君      下田 京子君     安武 洋子君  四月五日     辞任         補欠選任      中西 珠子君     刈田 貞子君  四月六日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     太田 淳夫君  四月十日     辞任         補欠選任      出口 廣光君     真鍋 賢二君  四月十一日     辞任         補欠選任      真鍋 賢二君     出口 廣光君      美濃部亮吉君     木本平八郎君  四月十四日     辞任         補欠選任      井上  計君     関  嘉彦君      三治 重信君     柄谷 道一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安恒 良一君     理 事                 平井 卓志君                 福田 宏一君                 松尾 官平君                目黒今朝次郎君                 服部 信吾君     委 員                 石本  茂君                 岩本 政光君                 大浜 方栄君                 倉田 寛之君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 曽根田郁夫君                 出口 廣光君                 原 文兵衛君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 菅野 久光君                 本岡 昭次君                 太田 淳夫君                 刈田 貞子君                 佐藤 昭夫君                 安武 洋子君                 関  嘉彦君                 柄谷 道一君                 木本平八郎君    国務大臣        厚 生 大 臣  渡部 恒三君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       後藤田正晴君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上田  稔君    政府委員        内閣審議官    手塚 康夫君        総理府統計局長  時田 政之君        公害等調整委員        会事務局長    海老原義彦君        行政管理庁長官        官房総務審議官  古橋源六郎君        行政管理庁長官        官房審議官    佐々木晴夫君        御製管理庁長官        官房会計課長   前山  勇君        行政管理庁行政        監察局長     竹村  晟君        防衛庁参事官   古川  清君        防衛庁参事官   西廣 整輝君        防衛庁参事官   友藤 一隆君        防衛庁参事官   冨田  泉君        防衛庁長官官房        長        佐々 淳行君        防衛庁防衛局長  矢崎 新二君        防衛庁人事教育        局長       上野 隆史君        防衛庁衛生局長  島田  晋君        防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君        防衛庁装備局長  木下 博生君        防衛施設庁長官  塩田  章君        防衛施設庁次長  小谷  久君        防衛施設庁総務        部長       梅岡  弘君        防衛施設庁施設        部長       千秋  健君        防衛施設庁労務        部長       大内 雄二君        環境庁長官官房        長        加藤 睦美君        環境庁長官官房        審議官      大塩 敏樹君        環境庁長官官房        会計課長     廣重 博一君        環境庁企画調整        局長       正田 泰央君        環境庁大気保全        局長       林部  弘君        環境庁水質保全        局長       佐竹 五六君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   古賀 章介君        厚生大臣官房審        議官       新田 進治君        厚生大臣官房会        計課長      黒木 武弘君        厚生省公衆衛生        局長       大池 眞澄君        厚生省環境衛生        局長       竹中 浩治君        厚生省医務局長  吉崎 正義君        厚生省薬務局長  正木  馨君        厚生省社会局長  持永 和見君        厚生省保険局長  吉村  仁君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  棚橋  泰君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        警擦庁刑事局番        議官       於久 昭臣君        警察庁交通局交        通指導課長    山崎  毅君        警察庁交通局高        速道路課長    日下部登夫君        法務省刑事局刑        事課長      北島 敬介君        外務省北米局安        全保障課長    加藤 良三君        大蔵省証券局企        業財務課長    中島 公明君        国税庁直税部所        得税課長     岡本 吉司君        厚生省年金局数        理課長      田村 正雄君        運輸省自動者局        業務部長     櫻井  勇君        会計検査院事務        総局次長     佐藤 雅信君        会計検査院事務        総局第三局長   秋本 勝彦君        会計検査院事務        総局第四局長   磯田  晋君        会計検査院事務        総局第五局長   中村  清君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君        日本国有鉄道常        務理事      岩崎 雄一君    参考人        医療金融公庫総        裁        北川 力夫君        環境衛生金融公        庫理事長     加藤 威二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十六年度特別会計歳入歳出決算昭和五十六年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十六  年度政府関係機関決算書(第九十八回国会内閣  提出) ○昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第九十八回国会内閣提出) ○昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (第九十八回国会内閣提出) ○派遣委員報告に関する件     —————————————
  2. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二月三日、柄谷道一君が委員辞任され、その補欠として井上計君が選任されました。  また、四月十四日、三治重信吾及び井上計君が委員辞任され、その補欠として柄谷道一君及び関嘉彦君が選任されました。     —————————————
  3. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 昭和五十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、厚生省行政管理庁防衛庁環境庁医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。     —————————————
  4. 安恒良一

    委員長安恒良一君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 安恒良一

    委員長安恒良一君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 本岡昭次

    本岡昭次君 きょうは厚生省防衛庁質問をいたします。  まず初めに、厚生省宇都宮病院の問題について若干お伺いをしておきます。  宇都宮病院入院患者預かりの金についてであります。私が調査厚生省にお願いしましたその金額と土曜日の新聞に出ております地元の県議会において明らかになったその内容が相当違っているんですが、正確なこの患者の預かり金会計にかかわる問題を報告していただきたい。
  8. 持永和見

    政府委員持永和見君) お尋ね宇都宮病院生活保護におきます日用品費入院患者の預かり金の問題でございますが、先生御承知のとおり、栃木県が三月の二十二日から二十三日まで調査をいたしたわけでございますが、その結果の報告を申し上げたいと思います。  その結果の報告によりますと、五十八年の十一月三十日におきます管理台帳上の入院患者預かり金の残高でございますが、千九百二十八万八千八百三十六円ということで、うち生活保護の被保護者分が千八百六十一万四千七百五十三円ということになっております。この預かり金の中で既に残高のない入院患者支出立てかえが行われておりまして、その立てかえ分の支出額が千九百四十四万一千三百四十四円、そのうち生活保護の被保護者分が四百二十一万五千二百二十六円となっております。したがいまして、いわゆる自主的な意味でのそういった預かり金のない患者分支出立てかえを行っておりますので、実質的な意味でのあるべき預金残高、あるべき台帳残高は三千八百七十三万百八十円、そのうち被保護者の分が二千二百八十二万九千九百七十九円ということになっております。
  9. 本岡昭次

    本岡昭次君 私に対する報告では、その預かり金について不突合があったということを報告されておる。不突合という部分はどのくらいの金額ですか。
  10. 持永和見

    政府委員持永和見君) 今申し上げましたのはいわゆる帳簿上の預かり金の残高管理台帳上のあるべき残高でございます。実際に五十八年の十一月三十日におきます患者預かり金の預金通帳、具体的に預金しております通帳残高は五百五十万四千九百三十八円でございます。したがいまして、管理台帳上の入院患者預かり金の残高、先ほど申し上げました千九百二十八万八千八百三十六円に対しましては千三百七十八万三千八百九十八円、それから実質上残高のない人に対しても支出しておりますのでその分を本来あるべきということで申し上げますと、先ほど申し上げました三千八百七十三万百八十円に対しましては三千三百二十二万五千二百四十二円の差があるということが、これが不突合でございます。
  11. 本岡昭次

    本岡昭次君 その差はどういうところから生じたのか、現在はその差はどうなっているのか。
  12. 持永和見

    政府委員持永和見君) この差がどういうところからというお尋ねでございますけれども、恐らくこの差につきましては、不突合についてどうしてこういう不突合を生じたのかということで、栃木県の調査におきまして病院長にその理由を問いただしておりますが、その段階では病院で再点検をした上で差額を究明するという返事でございました。実際問題として、その後警察当局捜査が入りまして現在関係書類警察に押収されているというふうなこともございまして、現在のところ究明結果についての病院からの報告はまだないという状況でございますが、さらに私どもとしては事実関係究明についてできるだけ努めてまいりたいというふうに考えております。
  13. 本岡昭次

    本岡昭次君 精神病院では患者のそうした生活保護上に支出される日用品費が不正流用されている、流用というよりもそれば不正支出、ある意味では横領を私はやっているんじゃないかと、こう思うんです。どうですか、これ。こういうふうに入院患者の預かり金を勝手に使うというようなことは、ある意味では横領じゃないんですか。どうですか。
  14. 持永和見

    政府委員持永和見君) 先生お尋ね横領になるかどうか、これは司法当局の問題でございまして、そちらの方で現在宇都宮病院自体を捜索中と聞いておりますので、そういった関係究明されるというふうに考えておりますが、私どもの方の生活保護の立場から申し上げますならば、少なくともその病院長代理受領委任契約に基づいて、そういった日用品費福祉事務所から直接受けて患者の利益のためにそれを使うという責任があることは事実でございます。そういった意味で、実際問題として常に管理台帳残高とそれから預かり金の預金口座残高というのは、これは突合していなければならぬし、またそういった突合に不突合があるとするならば、これはいわゆるそういった民法上の代理受領委任契約に基づく事務管理についての責任が全うされてないということは申し上げられると思います。
  15. 本岡昭次

    本岡昭次君 警察はこの点調べておりますか。
  16. 於久昭臣

    説明員於久昭臣君) 本件につきましては、現在押収しております帳簿等から事案真相解明に努めております。なお、当然のことでございますが、具体的な刑罰法令に触れる事実があれば厳正に対処してまいる所存でございます。
  17. 本岡昭次

    本岡昭次君 不突合のその理由の中に、いろいろあるんですが、特に預かり金の支出内容について、厚生省の方の調べでは日用品費として該当しないというふうなものもここに出ております。私の方に報告が二つ出ておりますが、一つ患者希望によって使用した使い捨てディスポ注射器代、それから新設された病棟の冷暖房費というものが私から言えば不正支出された、こういうふうになっております。それで、この注射器とかあるいは冷暖房費等にどれだけの金を使っているんですか。
  18. 持永和見

    政府委員持永和見君) お尋ねのそういった日用品費として本来支出するかどうか問題のございますディスポ注射器でございますとか、あるいは冷暖房費などの関係金額でございますけれども、五十八年の十一月分につきまして栃木県が調査しました結果では、ディスポ注射器代が約十六万円でございます。そのうち、生活保護患者分が約七万円でございます。冷暖房費として患者から徴収いたしました金が約百五十万円、このうち、生活保護患者分は約十六万円と、こういうことになっております。
  19. 本岡昭次

    本岡昭次君 その注射器とは何に使うんですか。
  20. 持永和見

    政府委員持永和見君) ディスポ注射器と申しますのは使い捨ての、ディスポ注射器でございまして、血糖値検査とか肝機能検査等の採血時に使用するものでございます。
  21. 本岡昭次

    本岡昭次君 患者希望によって使用したと言いますが、これは患者希望してそういうものを購入するんですか。
  22. 持永和見

    政府委員持永和見君) 診療の場合には、一般的に使い捨てでない注射器が通豊かと思いますけれども使い捨て注射器というのがございまして、それは非常に簡便な使い方でできるというようなこともありますし、また、衛生上も使い捨てということでいろいろそういった面での利便もあるというようなことから、そういった使い捨て注射器が最近使われておるのは事実でございます。
  23. 本岡昭次

    本岡昭次君 こういうものが医療法上、医師以外がしてはならないことを患者に代行させておったというふうなことに関連するんじゃないですか。
  24. 吉崎正義

    政府委員吉崎正義君) ディスポ注射器といいますものは、ただいま社会局長からお答えいたしましたように、比較的広く使われておるものでございまして、患者希望によって使うものではないと考えます。ですから、患者がやるということとは関係は直接はないと存じます。
  25. 本岡昭次

    本岡昭次君 また、これは別のところでさらに詳しく尋ねていきます。  それでもう一点、社労委員会質問の中で、死亡数が五十六年以降二百二十二人あったと、この死亡数は非常に多いと、問題だと、しかも、その中にリンチによる死亡というもの、あるいはリンチ原因となって死亡したというものも相当あるんではないかということを尋ねましたが、そのときには数が明らかにならなかった。その後、その調査を依頼しておりましたが、不慮事故というふうなことで死亡した人数、その死亡の区分、こうしたものについて報告していただきたい。
  26. 大池眞澄

    政府委員大池眞澄君) お答えいたします。  宇都宮病院におきます入院患者死亡状況についての調査でございますが、栃木県の立入調査によって把握しておりますところによりますと、昭和五十六年から五十九年三月までの間に二百二十二名の死亡がございましたが、このうち、不慮事故による可能性があると思われる死亡者は十九名と掌握されております。なお、ここで不慮事故と申し上げましたのは、病死あるいは老衰等ではなくて、外的な要因が死亡関係したものと見られるものでございまして、例えば窒息、誤飲、それから嚥下性肺炎等でございます。
  27. 本岡昭次

    本岡昭次君 そのほか脳挫傷とか寒冷死疑い気管閉塞全身打撲縊死——首つりですか、そういうものがずっと並んで、全体で十九人になっていますね。警察の方の調べでは、五十六年、五十七、五十八、三年間に自殺者としては八人、それぞれ警察庁として検視に立ち合っているわけです 五十六年に三人、五十七年に三人、五十八年に一人、これ警察、間違いありませんね。
  28. 於久昭臣

    説明員於久昭臣君) そのとおりでございます。最近一カ年において八人の変死の届け出を受け、検視の結果、自殺と断定しております。
  29. 本岡昭次

    本岡昭次君 さらにその内訳として、首をつったという状態の人が六人、飛び降り自殺が二人、飛び降り自殺は五十六年に一人、五十八年に一人、こうなっているんですが、先ほどの厚生省の方からの調べの中では、そのいわゆる首をつったという状態は二人であり、こちらは六人、飛び降り自殺も二人ですが、こちらにはそういう種のものが出ていないということで、この十九人の不慮事故原因と考える死亡、このものをとっても、警察庁調べとそれから厚生省調べたものとの内容が一致しない面がたくさんある。しかも、脳挫傷窒息、誤飲、寒冷死疑い気管閉塞嚥下性肺炎全身打撲、いろいろあるけれども、果たしてそれが一つ一つそのとおりであったのかどうかという事実も疑わしいと私は考えます。したがって、この十九人の死亡原因を、本当は何であったのかということを、さらに警察あるいは厚生省で明確に死因究明するとともに、改めて、二百二十二人、異常に多いこの死亡者が本当はなぜ死んだのか、その本当の死因は何であったのかということをやはり究明する責任がある、こう思うんです。たった十九人でも警察厚生省調べではこう違うんです。事実が合わない。何が行われたのか、何があったのか、この問題をぜひ究明をしていただきたい、こう思うんですが、その点について厚生大臣なり、あるいは警察庁の方から責任ある答弁をいただいて、きょうはこの程度で終わりたいと思います。
  30. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 御指摘の問題について既に捜査当局によって着々とその真相が追及されておると承知いたしておりますが、厚生省としても、当然これらの真相究明することによって、将来の誤りない対策が立ってまいるのでありますから、栃木県と十分に連絡をとりながら、できるだけ皆さん方真相をわかっていただくようにその真相究明に努力してまいりたいと思います。
  31. 於久昭臣

    説明員於久昭臣君) 栃木警察におきましては、現在二件の傷害致死及び傷害事件について捜査を行っておりますほか、関連した情報の収集に努めております。このなかには当然関係機関からの情報ということも含んでおるわけでございます。そういった過程におきまして、その死亡が犯罪に起因する疑いのある事案を把握しますれば、真相を解明すべく所要の捜査を行う所存でございます。
  32. 本岡昭次

    本岡昭次君 きょうは時間がありませんので、あすの社労委員会の方で引き続いてまた厚生省の方に詳しく質問を続けていくことにします。  それでは次に、防衛庁関係について質問いたします。防衛庁の方には、非核三原則の問題にかかわって幾つかただしてみたいと思います。  一九八〇年代は、核弾頭、核運搬手段、そしてこれらに対する情報提供、命令伝達、施設の技術的進歩に伴って、例えば、戦略核を積載した原子力潜水艦が日本のシーレーン防衛海域からモスクワを攻撃することが可能になった、こう言われておりますし、また逆の場合もある。ソ連の原子力潜水艦がアメリカのワシントンを攻撃することも可能になっている、こういう状況がある。また、在日米軍施設の中にはこのようなアメリカの原潜SSBNの核攻撃に関する情報提供、命令伝達施設が存在することも指摘をされています。しかも、私のこの決算委員会におけるシーレーン防衛の問題についての質問の中にあって、日本有事の際は自衛隊がSSBNを護衛することも可能だということを政府は一つの見解として明らかにしました。こういう状況は、まさに一九六〇年代末に決められた非核三原則の精神を侵す点でまことに重大な疑義があると私は考えております。  そこで、今こうした新しい状況下に立って必要なことは、非核三原則そのものを八〇年代の新しい状況に対応した形で確立しなければならないと考えます。今掲げた例で言えば、在日米軍施設の対SSBN情報提供、命令伝達等々のこの施設の提供を行わないというこの問題、さらにはまた我が国近海配備のSSBNの護衛などを行わない、こうした問題をはっきりさせなければ、八〇年代の非核三原則としては具体的な内容が伴わないと私は考えております。そういう意味で、今までは核という問題は核弾頭ということであったと思いますが、今は核兵器システムそのものを問題にしなければ非核三原則という問題も正確に論議をできない、こういう私は観点に立ちたいんです。とすれば、核兵器システムでとらえていきますと、結局のところ核の製造に携わらない、あるいは核そのものの保持に携わらない、あるいはまた第三にアジア太平洋地域に非核地帯をつくる、こういう問題を含めて非核三原則というものを確立しなければ新しい状態に対応できない、こういう考え方に立って私は幾つかの点を政府にただしてみたい、このように思います。  まず初めに、今私が言いましたような状況をはっきりさせていくために、米ソ両国の最新時点における戦略核について、核兵器システムごとに核弾頭保有状況を説明をしていただきたいと思います。
  33. 古川清

    政府委員(古川清君) お答えを申し上げます。  核弾頭の数でございますけれども、これはおのずから米ソ両国とも最高機密に属する性格のデータでございまして、ソ連はもとよりでございますし、アメリカもこれを発表しておるということは現在までないわけでございます。しかしながら、私どもとしましてはいろんな資料をもとに考えておるわけでございますが、そういった資料の中で最も信頼し得るに足ると言われておる資料が、実は英国の国際戦略研究所から発行しておりますミリタリーバランスというデータがございます。これによりますと、最新版でございますが、一九八三、八四年版、これによりますと、アメリカにつきましては、先生質問のシステムごとに申し上げますと、ICBM、大陸間弾道弾、これについての弾頭数は二千百四十五発、それから潜水艦から撃ち出しますSLBM、これの弾頭数が五千百五十二発、合計で七千二百九十七発、これがアメリカでございます。  それから、ソ連につきましては、このミリタリーバランスによりますと、ICBMの弾頭数が五千六百五十四、SLBMの弾頭数が二千六百八十八、合計で八千三百四十二と、こういうふうな数字が出ておるわけでございます。  それから、戦略システムについては、最後に、ICBM、SLBMに加えまして戦略爆撃機という問題があるわけでございますが、この戦略爆撃機システムの核弾頭数、これについては実はいろんな資料によりましてもはっきりしていないというのが現状でございます。
  34. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは、今ありましたSSBNですね、これが日本周辺海域に米ソ両国何隻ぐらい配備されているというふうに見ておられます。
  35. 古川清

    政府委員(古川清君) 今申し上げましたSLBMと申し上げますのは、これはバリスティックミサイル、ミサイルそのものでございますが、先生ただいま御質問のSSBN、これは原子力推進力を持つ弾道ミサイル潜水艦ということでございますが、これにつきましてもいろいろはっきりしてない点といいますか、両国の機密に属するという点が多いわけでございますが、アメリカの方は実はかなりはっきりといたしておりまして、現在アメリカは三十四隻のSSBN、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦、これを持っておりますが、ソ連の方はこれに対しまして六十九隻のSSBNを持っているというふうに考えられているわけでございます。そのうちアメリカの方は、オハイオ級と申しまして、一万八千七百トンぐらいのかなり大きな潜水艦でございますが、このSSBNを三隻太平洋艦隊に配備をしておるというふうに私ども考えております。また、ソ連につきましては、はっきりはいたしておらないわけでございますが、私どもが把握しておると申し上げますか、あるいは推定をしておるところではデルタ級のSSBN、これは一万一千トンクラスの潜水艦でありますが、これが十五隻、それからヤンキークラス、これはもうちょっと一回り小さいタイプでございますが、このSSBNが九隻、合計二十四隻が太平洋艦隊に配備されているものというふうに考えておるわけでございます。
  36. 本岡昭次

    本岡昭次君 オハイオ級の戦略原潜なんですが、その三隻でもってソ連を攻撃するとすれば、その三隻の保有する弾道ミサイルの威力でもって壊滅的な打撃を与えることができるんではないか、私はこう思いますが、間違いありませんか。
  37. 古川清

    政府委員(古川清君) このオハイオ級と申しますのは、一隻当たりトライデシトーというタイプのSLBM、これが射程七千四百キロで、一つのミサイル当たりに八個の弾頭を持っておる、俗に言いますところのMIRVというタイプでございまして、一つのミサイル当たり八個の弾頭を持っておるものが、これが二十四個搭載をしておるということでございます。二十四掛ける八のいわば弾頭を持っておるということになりますが、これでもって壊滅的な打撃を例えばソ連に対して与えることができるかどうか。これはいろいろ私はやっぱり議論の余地があるところではないかというふうに考えますが、やはり相当な威力を与える、打撃を与えるということについてはもう間違いないと存じております。
  38. 本岡昭次

    本岡昭次君 一隻について百九十二個の弾頭を持って、その一つが広島型原爆の約七倍近い威力を持っているということですから、これは大変な状況です。一方、ソ連の原潜、デルタ型、ヤンキー型それぞれあるんですが、デルタ型というのは、これは距離がオハイオ級と同じような距離、すなわち七千キロ以上の距離を持ち、ヤンキー型の方は二千キロ程度ということで、それぞれ任務が違うと思うんですが、デルタ型は一体どこを目標にし、ヤンキー型はどこを目標にしてこれは配備されているんですか。
  39. 古川清

    政府委員(古川清君) デルタ型にもいろんなタイプがございますし、ヤンキー型もいろんなタイプがあるわけでございますが、この弾頭を、どこに目標を定めているかという御質問でございますが、これは高度の作戦運用に関する機密性のあるデータでございますので、私ども詳細には全く承知してないということでございます。
  40. 本岡昭次

    本岡昭次君 それじゃ、能力だけ言ってください。
  41. 古川清

    政府委員(古川清君) このデルタ型につきましては、タイプがいろいろございますけれども、タイプによりましてSSN8あるいはSSN18というタイプのミサイルを搭載できるわけでありますが、SSN8につきましては射程距離が七千八百キロ、一メガトンという極めて大きいものを搭載をしております。それからSSN18につきましては、これは射程が若干短くなりまして六千五百キロということになりますが、これはMIRV化されておりまして、これもタイプによって若干の差がありますが、一般的には二百キロトン、広島タイプの単純計算で十倍ぐらいの威力のあるものでございますが、これを七個ほど搭載をしておる、一つ当たり。これがデルタ級のミサイルの能力でございます。  それからヤンキークラスにつきましては、SSN6、これを十六個を背中にしょっておるわけでありますが、これは射程はぐっと短くなりまして三千キロ、一メガトンというふうな数字ではないかと思っております。
  42. 本岡昭次

    本岡昭次君 今ソ連の原潜の能力が説明されましたけれども、そうした能力の違いのある戦略原潜が日本の近海に配備されているということは、きょうのある新聞にも出ておりましたけれども一つはアメリカの本土もねらえる距離であり、もう一方のヤンキー型の方は、これは日本海に配備されておれば、これは日本を含めたアジアということに当然この性能から出てくるんですが、そのように推論しても余り大きな間違いはありませんか。
  43. 古川清

    政府委員(古川清君) 搭載しておりますミサイルの射程からおおむね先生の御指摘のようなことではないかと想定されます。
  44. 本岡昭次

    本岡昭次君 日本海周辺は今そのような非常に危険な戦略核の海域になっているというふうな状況を今明らかにできたと思います。  それでは次に、在日米軍の基地の問題について若干伺っておきます。  これは外務省、防衛庁両方にお伺いすることになると思いますが、現在我が国が負担している在日米軍全体の経費、それから数多くある在日米軍基地のうち、依佐美、上瀬谷、横田、嘉手納、三沢、それぞれの各基地別の経費を説明していただきたいと思います。
  45. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 最初に在日米軍全体の予算で防衛施設庁の担当している部分を申し上げますと、五十五年度からでよろしゅうございますか——五十五年度、借料で三百六十七億九千三百万、リロケーションが二百二十二億二百万、周辺対策が三百九十九億七千九百万、労務対策百七十億三千三百万、提供施設の整備二百二十六億九千九百万、その他百七十一億一千九百万で、合計千五百五十八億二千五百万。五十六年度は、借料が三百九十九億二千七百万、リロケーションが百五十一億六千六百万、周辺対策が四百五十九億九百万、労務対策が百八十一億六千百万、提供施設の整備が二百七十六億四千万、その他で百六十一億八千九百万、合計が千六百二十九億九千二百万。  五十七年度を申し上げますと、借料が四百三十七億三千百万、リロケーションが百三十億一千九百万、周辺対策が四百七十五億一千四百万、労務対策が百八十七億七千六百万、提供施設の整備が三百五十一億八千二百万、その他で二百三億六百万、合計千七百八十五億二千八百万でございます。  これを今御指摘のあった各施設について申し上げてみますと、依佐美通信所が五十五年度で——項目別でなしにトータルで申し上げますと、三億九千万、五十六年度が三億八千六百万、五十七年度が三億二千九百万。  次に上瀬谷でございますが、上瀬谷通信施設は五十五年度が三億百万、五十六年度が三億一千四百万、五十七年度が三億一千二百万でございます。  次に嘉手納の飛行場でございますが、五十五年度が二百七億四千七百万、五十六年度が二百四十九億八千七百万、五十七年度が三百三億五千七百万。  横田でございますが、五十五年度が百九十二億五千四百万、五十六年度が百五十九億三千七百万、五十七年度は百四十五億一千四百万。  次に三沢でございますが、五十五年度六十五億一千四百万、五十六年度七十八億一千万、五十七年度七十億九千四百万。  以上でございます。
  46. 本岡昭次

    本岡昭次君 外務省。
  47. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 防衛施設庁関係予算につきましてはただいま施設庁長官から御説明があったとおりでございます。あと、このほか、在日米軍のための関連経費といたしまして自治省等の予算がございます。それから、私どもの推計でございますけれども、五十五年度につきましては百七十三億一千二百万、五十六年度につきましては百七十六億六千八百万、五十七年度につきましては百八十六億九千八百万というような数字がございます。これらの関連省庁の在日米軍関連予算額を総計した経費というものは、五十五年度について一千七百七十九億六千三百万強、それから五十六年度につきましては一千八百三十七億四千万近く、そして五十七年度につきましては二千億強というふうになっていると承知いたしております。
  48. 本岡昭次

    本岡昭次君 今、それぞれのところから報告がありましたように、在日米軍全体の経費というのが二千億以上使われているという現状、五十七年度でですね。また、各基地別の経費もかなりなものがそれぞれ使われているんですが、この五つの各基地の機能についてどのように政府は承知していますか。今言いました五つで結構です、それぞれの基地の機能。
  49. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 先生が御指摘になられました基地のうち、三沢、横田、嘉手納の三飛行場は、これはいずれも米空軍によって使用運用されております施設区域でございまして、飛行場として使用されておりますほかに、通信施設もあわせ持っているというふうに承知いたしております。また上瀬谷と依佐美、この両通信施設は、これはいずれも米海軍によって運用されている通信施設であるというふうに承知いたしております。
  50. 本岡昭次

    本岡昭次君 その通信施設の依佐美についてもう少し詳しく教えていただけませんか。
  51. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 依佐美——所在地及び面積について申し上げますと、これは愛知県の刈谷市及び安城市にまたがって存在しておりまして、約百五十万平米ございます。その管理部隊は、これは横須賀の海軍施設本部となっております。それから、実際に使用しております部隊、これは在日米海軍の通信隊、これは横須賀に本拠を置くものでございますが、この在日米海軍通信隊が使用いたしております。用途ということにつきましては、これは通信施設でございますが、長波送信というものを行っているというふうに承知いたしております。
  52. 本岡昭次

    本岡昭次君 その長波送信、まあここに「防衛施設広報」というものがあるんですが、そこに依佐美通信所のことが「基地めぐり」の中に出ております。「現在、米海軍の超長波送信所として使用されています。」と書いてありますが、この超長波送信という機能はいかなるものなんですか。
  53. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 御指摘の長波送信と申しますのは、水中におります潜水艦に対して通信を送るために利用される通信方法というふうに私どもは理解をいたしております。
  54. 本岡昭次

    本岡昭次君 その水中にいるという潜水艦の問題なんですが、先ほど論議した戦略原潜がその対象であるというふうに考えてよろしいか。
  55. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 私がただいま申し上げましたのは、一般的にそういうふうに理解をしているということでございますが、現在の米軍の施設が果たして具体的にどういった艦と通信系を維持しているかということについては私どもは承知をいたしていないわけでございます。
  56. 本岡昭次

    本岡昭次君 承知していても承知していないとおっしゃるのでしょうが、潜水艦に対する通信情報あるいは統制、管制、いろんなことを行う施設であるということは間違いないようです。  それでは、次にもう少し状況を明らかにしてみたいんですが、最近米海軍施設への米艦船の寄港数が非常に増加しておりますが、特にこの原子力艦船の寄港状況は外務省の報告だけを見ましても大変な状況になっています。五十四年に九隻、五十五年に十三隻、五十六年に七隻、五十七年に二十一隻、五十八年に二十九隻、五十九年には現在で最新の情報で六隻というふうな状況があるようですが、この中で原子力潜水艦がそれではどれだけ寄港しているかということを念のために報告をしていただきたい。
  57. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 五十四年以降の原潜の年度別寄港状況について申し上げますと、五十四年が総数七隻、五十五年十隻、五十六年七隻、五十七年二十一隻、五十八年二十五隻、五十九年は四月現在五隻というふうになっております。
  58. 本岡昭次

    本岡昭次君 そのようにアメリカの攻撃型原子力潜水艦、SSNでありますが、この寄航がこのように増加している原因はどういうところにあると考えていますか。
  59. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 米国は、一般的に一九八四年度の国防報者等にも明らかにされておりますとおり、北西太平洋地域というものについて確固たるプレゼンスを確立して当該地域の安全保障に資したいという志向を有しているというふうに承知いたしております。
  60. 本岡昭次

    本岡昭次君 今明らかにしましたように、アメリカの攻撃型原子力潜水艦が日本の横須賀、佐世保、こうした米海軍基地に非常に多く寄港をしているという状況は、日本周辺が米ソ間において非常に緊張状態にあるということを示していると私は考えます。そしてまた、このアメリカの攻撃型原子力潜水艦がソ連の先ほど報告のあった戦略ミサイル原潜の哨戒に当たっているということもまた事実であろうと思います。有事の際に当然これを攻撃し、撃沈するという任務を負っていることも確かであろうと思います。こうした場合、その米海軍の施設を提供している日本が、アメリカの核戦略の一端を大きく担い、原子力潜水艦の持つ機能の一つのシステムの重要な部分を果たしていて、それが単に通常の形態でなく、米軍の核戦略というものの機能をいよいよ多く担っているという事実をここで認めざるを得ない、このように思うんですが、政府の認識を伺っておきたいと思います。
  61. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 我が国は、我が国の安全を日本の節度ある限られた自衛力とともに、日米安保体制に依存して確保するという基本方針をとっているわけでございます。その安保条約第五条のもとで有事の場合の我が国の防衛義務を負います米国がその体制というものをしっかりとしておくことは、やはり我が国の安全保障にとって有効な意味を持つということになるのだろうと思います。私どもはまた、米国の国防政策の基本は防衛的なものであり、あくまでも抑止を旨としたものである。そもそも有事の事態になることを未然に阻止するために、抑止力を積み重ねているのだというふうな基本認識を持っているわけでございます。こういう場合に、例えば我が国の施設区域というものについて、これがたまたま戦略的な意味での任務というものを持つことがあったとしても、そのこと自体はその地域におきまする米軍の抑止力というものの回上に資するという観点から、我々としては理解できるところであるというふうに考えてわるわけでございます。
  62. 本岡昭次

    本岡昭次君 核抑止力という言葉が出ましたけれども防衛庁、核抑止力とは具体的に現在ではどういうふうに考えたらいいんですか。
  63. 古川清

    政府委員(古川清君) 私どもといたしましては、現在の世界というものがアメリカとソ連とこの二つの国を軸といたしまする二大陣営に相分かれておるという点にまず着目するわけでございまして、一方におきましてソ連がGNPの一四%から五%というふうな大変な財政というものを軍備に振り分けて軍事力を増強しておる。これに対抗するためにアメリカが一貫してやっておりますことは、抑止力、特に戦略核の抑止力というものに信頼をいたしまして今日まで世界の平和を守ってきておる、こういうふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
  64. 本岡昭次

    本岡昭次君 核抑止力と日本が国是として持っている非核三原則の関係はどのように認識していますか。
  65. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 日米間で、基本的な防衛の考え方については従来から十分相互に理解をしてやってきているわけでございます。米国としましては、我が国の防衛の基本政策というものが非核三原則を堅持するという枠組みの中で成り立っているということにつきましては十分理解をした上で、核兵力であれ、通常兵力であれ、日本への武力攻撃があった場合には日本を防衛するということをかねてより確言をしているわけでございます。これはあくまでもそういった抑止の力をアメリカが十分に日本に対して与えるというようなことを彼らも考えておるわけでございます。この米国の核抑止力というものが、米国の核兵器が日本の防衛のために使用され得るというその可能性があるという事実自体に基づくものでございまして、こういった米国の核抑止力が働きます上で、米国の核兵器が日本の領域内に存在している必要は必ずしもないというふうに私どもは考えているわけでございます。米国は我が国の非核三原則を十分理解をした上で、そういった抑止力を日本に対しても提供する、こういう立場に立っていると理解をいたしております。
  66. 本岡昭次

    本岡昭次君 私は、今あなたがおっしゃったことをまさに問題にしているわけなんです。非核三原則の枠内あるいはまた領域内に核は存在していない、それはアメリカを信頼すればそういうことになると思います。しかし、今言いましたように、核抑止力というものは核積載艦あるいはそれが水上艦艇であれ原子力戦略潜水艦であれ、あるいはB52戦略爆撃機であれ、それがそのものだけでは機能しないという新しい現代的な核兵器のシステム化が今進んでいるという状況にあって、それでは日本にあるその依佐美の基地を抜きにして戦略原潜が核抑止力なるものを発揮できるのかどうか。あるいはまたB52の戦略爆撃機が持っている核の問題にしても、横田や嘉手納にあるジャイアント・トークという通信施設を抜きにして成り立ち得るのかどうか。これは上瀬谷の通信基地もP3C対潜哨戒機とのかかわりが、これも十分あるわけで、言ってみれば今あなたが領域内に存在していない、非核三原則の枠内でと言うけれども、しかし現に日本に存在している基地そのものは核システムの重要な部分をみんな握っていて、それを抜きにして核抑止力そのものが成り立たないという認識を持つ方が私は現実的ではないかと思うんですが、私のそういった考え、おかしいですか。
  67. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 先ほど防衛局長からの御答弁にございましたとおり、米国が有事の際に日本を必要とあればその状況に応じて核をももって守るんだと、こういう事実のあることが侵略を未然に阻止する、未然に抑止する有効な方途である。そして、そのことと日本が我が国の領域に核を持たず、つくらず、持ち込ませずという非核三原則を堅持するということとの間には、直接の関連性はないということであろうと思います。
  68. 本岡昭次

    本岡昭次君 直接の関係がないとおっしゃいましたが、そうすると何ですか、依佐美の基地というのは全く戦略核攻撃の問題と無関係だと。あるいは横田、嘉手納それぞれの基地も無関係だと、こういう認識に立っていいわけですね。
  69. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 政府が非核三原則を堅持してまいりますということは、我が国の領域に核を持ち込ませない。その持ち込ませない核は核弾頭、中長距離ミサイル及びそれらのための基地の建設だということは政府が従来から申し述べてきているところでございまして、核に対する我が国の国民の特別な感情と、核の惨禍に遭った被爆国としての日本の立場と、そこから発する我が国としての基本的立場というものはこのことをもって十分に守られていると。守られるべきものはこれによって確保されているというのが、政府の一貫して国会等で申し上げてきているところなんでございます。依佐美その他の通信施設というものが、現実に在日米軍あるいは米軍というものの枠組みの中において、どのような具体的な機能を果たしているかということは、私ども詳細を承知いたしません。しかしながらこれらば一般的な指揮、統制、通信機能を果たす通信施設であるというふうに私どもは説明を受けておるわけでございます。そしてたまたまそういう一般的な指揮、統制、通信機能の中に戦略任務を有する米軍の例えば艦船等との指揮、統制、通信機能とそれに関連する指揮、統制、通信機能というものが含まれていたといたしましても、これは米国が有効な核抑止力確保の観点からこのような機能を有すると、そういう必要があるということは私どもは理解できるところなんでございます。これはあくまでも抑止機能というものを万全にするという観点からなされているものだというふうに認識しております。
  70. 本岡昭次

    本岡昭次君 これはもう防衛庁長官にあとしばらくお伺いして終わりたいと思うんですが、どうですか、長官、今のやりとりを聞いておってどうお考えになったかということなんですが、しかしアメリカの国防情報センター報告というものによると、明らかに在日米軍の基地や港は米ソ戦争が始まればソ連の主要核攻撃の目標になることは間違いない。こう言っています。私も間違いないと思います。今言いましたように、日本海月辺にある戦略核の問題に全部日本の基地がかかわっているんですから、だから個別に原子力潜水艦を一々やっつけなくても通信施設を一発攻撃すれば、あるいはまた横須賀、佐世保といった海軍基地を、そこをたたけばそれで一つのシステムとしての核機能は麻痺するんですから、アメリカの国防情報センターの報告はそのことを明確に言っていますし、日本人も、非核三原則を堅持する日本が一たん有事に巻き込まれれば核攻撃を受ける目標に現になっている。何もこれはヨーロッパの問題じゃない。こういう認識を持つのが当然だと思うんですね。そういう意味で今の日本の状態というのは非核三原則というものから明らかに逸脱をしておるというように私は考えざるを得ないんですが、この非核三原則の立場から、米軍の基地、港が有事の際にソ連から攻撃を受けるという主要目標になる、攻撃の主要目標になるという問題に対して、私がそうなるであろうという問題に対して大臣としてどのような認識をお持ちですか、考えを聞きたい。
  71. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 今のいろいろお話承っでおりましたけれども、もし基地を核で攻撃をされると、そういうようなことになればアメリカがこれまた黙って見ていないと、そういう状況になりますからね。したがいまして先ほど来政府委員が申し上げましたとおり、我が国が核の攻撃を受けると、あるいは核でなくても通常兵器でも攻撃を受ける場合には、最終的にはアメリカが核の抑止力で日本を防衛してくれる。これが日米安保の基本的な考え方でございまするし、私どもが非核三原則をとっているところも、アメリカの核の抑止力というものに対する信頼といいますか、そこにあるわけでございます。また御案内のとおりソビエトの方からすると、アメリカの方が核の増強をしておると、こういうことを言いまするけれども、アメリカの方は、ソビエトの方の核戦力の増強、軍備の増強に対して抑止理論でやっていくと、こういうことでございますので、私どもといたしましてはその抑止の理論というものは現実的にこれはやむを得ざるものであると、私どもとしてはその抑止の理論に、アメリカの言う抑止理論の中で日本は日本としての責任を果たしていくと、こういうことでいくべきではないかと考えております。
  72. 本岡昭次

    本岡昭次君 核攻撃の対象になるということと非核三原則との関係を見れば、非核三原則というものを国是としてとる限りにおいて、日本自身が核攻撃の対象になってはならぬと、こう思うんですが、いかがですか。
  73. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) もちろんそのとおりです。そのためには核攻撃の対象にならぬように努力することは当然でございますが、核攻撃を受けるような場合にはアメリカが抑止をしてくれると、これが我々の基本的な認識でございます。
  74. 本岡昭次

    本岡昭次君 いや、核攻撃を受けるようになればアメリカが抑止してくれるじゃなくて、核攻撃を受けるようになればというふうな自体、それを想定すること自体が非核三原則という問題にもとるんではないか、違反するのではないかということを言っているんです。
  75. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私は必ずしもそういうふうには考えておりません。もちろん核戦争が起こるようなことを防止をしなきゃならぬということは基本的には私はそのとおりだと思うんです。そのためにこれは総理もあるいは外務大臣も申し上げているとおり、軍縮という問題について、世界の軍縮、特に米ソの軍縮という問題について我々としては本当に積極的にやってもらいたい、また我々も果たせる役割は果たしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  私自体も実動部隊を統括する防衛庁長官という立場からすると、国の安全のために現実に何をすべきかということ。もう一つ国務大臣といたしますれば世界の平和のために米ソの核競争というものをいかにしてこれはとどめていくか、緩めていくか——緩めていくといいますか、ダウンをさしていくかということについて真剣に考えなけりゃならぬ、こういうふうに考えております。
  76. 本岡昭次

    本岡昭次君 そういう立場を日本として具体的に進めていくために、私はこれ以上アメリカの核戦略の機能の中に組み込まれてはならない、こう思うんです。核を持ち込ませずというその問題について、核そのものを問題にしていたのではどうにもならぬという今の状況を私は明らかにしたつもりなんです。だから核の保持にかかわってはならないという問題が持ち込ませずの中になければ、次から次へと重要なアメリカの核戦略の目となり可となりするものが日本の基地の中に存在するとなれば、高度化すればするほどそこの持つ意味の重要性、基地の重要性というのは高まる。当然そこが一番最初の核攻撃の対象になるというのは、これはもう子供でもわかる理屈なんですよ。だから、日本として非核三原則を国是として絶対にそれを守り切ると、そのことを通して世界の軍縮、世界の平和にかかわっていくとするならば、日本がもうこれ以上アメリカの核戦略の目となり可となり手足になることをやはりやめていく、そこの問題をもっともっと防衛庁が積極的に対応していくということでなければ、国民は非核三原則の問題をただ核をつくらず、持たず、持ち込ませずというふうな事柄ではもう相済まぬものがあるということを私は申し上げているんですが、いかがですか。
  77. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 日本の国是としての非核三原則という問題は、これはもう政府で一貫している施策でございます。その中で現実に防衛庁として何をするかということになりますと、これはアメリカの核戦略の中に組み込まれるということでなくて、我が国は憲法の許容する範囲内で必要最小限度の自衛力の整備をする、そういうことでいくべきものと考えております。
  78. 本岡昭次

    本岡昭次君 そういうふうにおっしゃいますけれども、実際日本の防衛の中を見ても、あるいはまた日米のガイドラインの中を見ても、米軍と自衛隊のかかわりというものは、もうアメリカの核戦略のもとで不可分に私はかかわってしまっていると、こう思うんですよ。だから、この前も公海上で核積載艦が日本有事の際に攻撃を受けたら自衛隊が守るのか守らぬのかという問題も、核積載艦であろうとあるいは戦略原潜であろうと当然守らなければならないものは守るんだという立場をもう政府は既にとっておられて、そうなれば一体非核三原則というものは何なのかということになってきているんです。全くあなた方自身は具体的な想定されるべき諸行動の中でそれをも違反したことを堂々と口にし、そしてそのことを文章化し、現在国内においてもそうした非核三原則の枠をもう突き破ってしまっているという問題について私は警告を発しているわけです。  再度大臣に二言最後伺っておきたいんですが、非核三原則の問題を持ち込ませずというふうな形の中から、保持そのものに日本もあらゆるものを使ってかかわってはならないという問題について、今一度非核三原則の立場に立って検討すべきだと思いますが、いかがですか。
  79. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) いろいろ御意見を承りましたけれども、政府の今までの方針を変えるつもりはございません。
  80. 菅野久光

    ○菅野久光君 私は、食品添加物、残留農薬、そして輸入食品の検査等について厚生省お尋ねをいたしたいというふうに思います。  まず初めに、酸化防止剤BHAのことでございますけれども、昨年の二月一日から使用禁止のものを前日の一月三十一日に突如として使用延期にした。その後、四カ国でこのBHAの問題についてそれぞれ試験等を行い、ことしの四月に四カ国で会議を持って一転方向を出すやに聞いておるわけでございますけれども、このことについては日本としては既にこれらの一連の作業が終わったのかどうか、そして四カ国の会議の問題についてはどのようになっているのか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  81. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) BHAでございますが、一昨年、五十七年にBHAが発がん性があるということがわかりまして、その後、五十七年の暮れから五十八年の一月ぐらいにかけまして、日、米、英、加の四カ国の専門家の会議が行われてまいったわけでございます。この四カ国の専門家の会議では、BHAの人間に対する危険性ということにつきまして必ずしも四カ国の意見が、専門家の意見が一致をいたしませんで、五十八年の四月に開催が予定されておりましたFAO、WHOの合同専門家会議、ここは四カ国以上に各国から学者が集まって議論をするところでございますが、そこの、五十八年四月に開催されるその会議に持ち出そうということになったわけでございます。  このFAO、WHOの専門家会議におきましてなお実験を進める必要がある、つまりそのときにBHAの発がん性ということで実験結果がわかっておりましたのはラット——ネズミでございますが、ラットの前胃という、前の胃と書きまして前胃と読みますが、人間にはないネズミ特有の臓器でございます。この前胃に発がんが見られるということでございましたので、このFAO、WHOの昨年の会議におきまして、人への安全性を評価するためには前胃のない普通の動物、犬とか猿といったような普通の動物について実験を進める必要があるということになったわけでございます。これを受けまして、私どもの方では昨年の八月から国立衛生試験所におきまして犬を用いた実験を進めておるわけでございます。当初の予定より若干おくれてまいっておりますが、国立衛生試験所の実験の中間結果につきまして間もなく、あとまあ二、三カ月のうちには中間結果がまとめられるのではないかと考えております。  なお、この実験は我が国だけではございませんで、昨年以降、米国、カナダあるいはスウェーデン等でも実験が進められておるということでございまして、我が国の実験結果、それからそれらの国々の最終的な報告がまとめられますと、先ほど申し上げましたFAO、WHOの専門家会議で議論が行われ、私どもとしてはその結論を踏まえて今後の措置をとっていきたいと、このように考えておるわけでございます。
  82. 菅野久光

    ○菅野久光君 四月に行われる予定だったというふうに私は承知しておるわけでございますけれども、それではいつやられることになったのでしょうか。
  83. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 五十九年のFAO、WHOの専門家会議はことしの三月に行われております。ただ、この会議には各国の実験結果が間に合いませんでしたので、ことし行われたFAO、WHOの専門家会議ではBHAは議論をされておりません。通常FAO、WHOの食品添加物専門家会議は大体一年に一回、大体三月から四月にかけて行われておるというのが今までの慣例でございます。
  84. 菅野久光

    ○菅野久光君 それでは、あと二、三カ月ぐらいというお話もありましたけれども、ことし、この四カ国会議をやる予定といいますか、それはいつごろを予定していますか。
  85. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 四カ国会議は、先ほど御説明申し上げましたように、一応BHAについての四カ国会議は昨年の一月で一応区切りがついておりまして、場を今のFAO、WHOの方に移したということでございます。そこで、昨年の四月にやり、それからことしの三月はそういうようなことでBHAについては議論されませんでした。通常でいきますと、来年の三月ないしは四月に次のFAO、WHOの専門家会議が開かれるということでございます。
  86. 菅野久光

    ○菅野久光君 じゃ、次に、五十三年産の古米ですね、いわゆる超古米の安全性について食糧庁から厚生省の方にその検査を依頼されているわけでございますけれども、その後その検査がどのようになったか、その結果についてお聞きをいたしておきたいというふうに思います。
  87. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 五十三年の古米の検査でございますが、現在、私どものところで検査を実施中でございます。そんなに長い期間でなしに結果が出てまいると思っております。
  88. 菅野久光

    ○菅野久光君 そんなに長い期間でないというふうに今言われましたけれども、これ実は四月六日の農林水産委員会でこのことについてお尋ねをしております。さらに、四月十三日、農林水産委員会で同僚議員が質問をしております。そのときには、余り長くない時間、余り長くない時間ということの答弁でございますが、余り長くないというのは一体どの程度を余り長くないと言われるのでしょうか、その点をお伺いしたいと思います。
  89. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) あとこれから三週間ないし一カ月以内に検査の結果が出ると考えております。
  90. 菅野久光

    ○菅野久光君 大体この種のものはそのぐらいの期間がなければ結果が出ないというふうに承知をすればいいということでしょうか。
  91. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 大変大事な問題でございますので、十分検討の、検査の時間を、これは衛生試験所でやっておるわけでございますが、十分慎重にやってもらうということが必要だと思っております。こういう検査、私も、この種の検査が、あるいはこういった農薬の検査がどれくらいの期間でできるものか、非常にそう何カ月もかかるものではないということは承知をいたしておりますが、まあ数週間あるいは一、二カ月の期間はぜひおかしいただきたいと思っておるわけでございます。
  92. 菅野久光

    ○菅野久光君 それではちょっとお尋ねいたしますが、厚生省は何月何日にどこにこの検査を依頼したか、その日にちとそれから依頼したところ、それをひとつ明らかにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
  93. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 今回の検体は、ちょっと日はあれでございますが、四月初旬に国立衛生試験所に持ち込んでおります。
  94. 菅野久光

    ○菅野久光君 そうしますと、今、穀物の輸入にかかわって非常に問題になっております薫蒸剤のEDBについてでありますけれども、EDBは御承知のように発がん性そして遺伝毒性があるということで、アメリカでは本年の二月、貯蔵穀物と穀物加工用機械に使用を禁止した。そして、九月からはかんきつ類への使用も禁止することを決めたそうでありますが、アメリカからの輸入小麦について、輸入小麦の検査について、今日までEDBの検査をしたことがあるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  95. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) EDBにつきましては、従来、かんきつ類を中心にいろいろ議論をされてきたわけでございますが、今先生お話しのとおり、昨年の秋ごろから、小麦につきましても米国側が規制を始めるということでございます。小麦のEDBにつきましては、従来私ども、揮発性のあるものでございますのでまず心配はなかろうということで検査はいたしておりませんでしたが、今回問題になりましてから二十ほどの検体について至急検査をいたしまして、その結果では、最終製品にEDBが残っていないという結果を得ておりますが、なお引き続きもっと多くの検体について検査を、これも現在実施中でございます。
  96. 菅野久光

    ○菅野久光君 検体にEDBが残っていないということを確認したということの今答弁がありましたけれども、本当にそれは間違いないですね。
  97. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 今申し上げましたのは、最終製品についてないということでございまして、玄麦等につきましては、ごくわずかではございますが、EDBが検出されております。
  98. 菅野久光

    ○菅野久光君 やっぱりこう確かめていかないと、最終製品という言葉だけで、輸入された段階ではないというふうに我々は思ってしまうわけでありますけれども、やっぱり輸入された段階ではあるわけですね。
  99. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 玄麦等については、わずかではございますが検出をされております。
  100. 菅野久光

    ○菅野久光君 先ほどの超古米の問題でありますけれども、結論が出るまでに二カ月から三カ月かかる。今、町で売り出されてといいますか、食糧庁が放出をして——それをやらないとお米が足りないということでやっている、そのことについて非常に疑問があるということで、これは消費者団体からのあれですね、二、三カ月もたっているうちにみんな超古米はそれぞれの店に行って、そして国民の胃袋に入るわけですよ。本当にそんなにかかるんですか。その点をもう一回確認をしておきたいというふうに思いますが。
  101. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 古米の薫蒸に使われておりますのは臭化メチルでございますが、臭化メチルは、これも揮発性でございまして、割合短い、数日というふうな単位で消えていく。今問題になっておりますのは、むしろ臭素が残るかどうか、臭化メチルが分解いたしました残りの臭素が残るかどうかということが現在問題になっておるわけでございます。臭素につきましては、御承知のように、一般の食品にも臭素というのはあるわけでございますので、相当量、大量の臭素が残留しているかどうかがやっぱり問題になる。つまり、臭素が残っておりましても、許容量よりずっと下の量でございますれば問題はない。そんなのが現在の、今の五十三年産古米についての問題の所在かと心得ております。
  102. 菅野久光

    ○菅野久光君 本当にあの米に含まれているものをやる場合にそんなに何カ月もかかるということは、これは常識的にどうなんでしょうか。私は、実際にそれを試験するというような、そういうちょっと経験がないものですから、これは専門家の人に本当に聞かなければならないわけでありますけれども、どうも常識的に考えてみて、二カ月なり三カ月なり、そう何カ月もかかるという、そういうことについては私はどうも納得できないんですが、本当にそうかということを、再度疑い深いようですけれども、ひとつ確かめさせていただきたいと思います。
  103. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 大変申しわけございません。今月の初旬に衛生試験所に依頼を持ち込みをいたしまして、できれば今月中と思っておったわけでございますが、若干来月にかかるかもしれませんが、今から大体三週間ぐらいをめどに結果をもらえると。さらに、一層早く結果が出ますように衛生試験所の方、督励をさしていただきたいと思います。
  104. 菅野久光

    ○菅野久光君 どうしても急いでやっても三週間ぐらいというのであれば、これは急いでやって間違った結果を得るよりはいいのではないかというふうに思いますが、しかし本当に前から指摘をされ、しかも新聞にもそういうことが出ているわけですね、申し入れだということが。結果が出たら厚生省としてそういったような疑問について、何らかの形で国民に明確にするような、そういうことはお考えでしょうか。
  105. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) もちろん結果が判明をいたしましたらこれを公表いたしますし、またその結果に基づきまして対応措置をとらなきゃならぬという事態になりますれば、緊急に対応策を講じてまいりたいと考えております。
  106. 菅野久光

    ○菅野久光君 この超古米とそれから輸入小麦との間、問題がやや似たような問題ですが、小麦粉は、小麦の玄麦からEDBが検出された。最終製品ではそれはなかったということなんですけれども、しかしそれは検出された段階では、その輸入小麦そのものは、検体をとった輸入小麦そのものはどんな形になっているのでしょうか。
  107. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 実際に検査をいたしましたものは小麦粉でございますとか、あるいは玄麦そのものでございますとか、いろいろな段階のものを、これはごくわずかでございますが、合計で二十検体ほどを至急に検査をしたということでございます。
  108. 菅野久光

    ○菅野久光君 玄麦からEDBが検出されたということがわかったときには、既にその玄麦そのものはもう市場に出回っているというふうに理解してよろしいですね。
  109. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) そのとおりでございますが、先ほど申しましたように、ごくわずかと申しますのは、許容量といいますか、あるいは今回の米国側の規制基準等々から照らしてぐっと下の単位のもので、仰せのとおり検査したものは外へ出回ったと思いますけれども、心配はないと考えております。
  110. 菅野久光

    ○菅野久光君 この種のもので、私もいろいろ厚生省皆さん方とお話をすると、心配がない心配がないといつも言われるんですね。しかし本当に心配がない心配がないと言われたもので、何年かたったらそれが大変な薬害をもたらした、あるいは発がん症状をもたらすものであったというようなことがいろいろあるわけですよね。ですから、この問題は本当に大丈夫だということを私は断定できないと思うんですよ。それを断定されるので、私は非常に危険なものを感ずるわけです。今やっているから、大丈夫だから、だから安全なんだというふうに。もちろん自分のやっている仕事に一定の責任を持つということは大事ですけれども、今までの食品添加物だとか農薬だとか医薬だとか合成洗剤については、確かにその時点では一定の安全性らしきものがあったとしても、その後のいろんな状況の中でそれが安全でなかったという例がたくさんあるわけですね。そういうことで、私は慎重にこの問題については取り扱っていかなければならない問題だというふうに思うわけです。  先ほどから少量少量ということを言われておりましたが、農業新聞では十検体のうち九検体からEDBが検出されたというようなことが出ておりますが、その報道は誤りでしょうか、どうなんでしょうか。
  111. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) その農業新聞の報道はそのとおりだと思います。先ほど申しましたうち、米国産の十検体のうち九検体が検出をしたということでございます。玄麦でございます。
  112. 菅野久光

    ○菅野久光君 何かどうもこの安全性、食物の安全性の問題については、実態をはっきり国民の前にやっぱり出されていない面があるのではないかというふうに、これもまあ疑わざるを得ない。やっぱりそういったようなものについてはもっと敏感にやっていかなければならないんじゃないかと思いますし、いつも何かやっぱり消費者団体がやらなければ、言わなければそのことが表に出ていかないような、そういうことが実際にいろんな形である、私は非常に残念だと思います。  昨年の十月の二十四日付の読売で、「食品添加物の一日摂取量 近く令国一斉調査」という見出しでこれは出ておりますが、「食品添加物の大量認可をきっかけに、添加物の摂取量が問題になっているが、厚生省は近く、全国一斉に「食品添加物一日摂取量調査」を始める。」と、こう出ております。この調査についてはどんな状況になっているのでしょうか、お知らせいただきたいと思います。
  113. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 食品添加物の摂取量につきまして、まあ五十七年度から主な食品添加物について順次やっていこうということで作業を進めております。それ以外に、実は昭和五十九年度から使用状況調査、これはまあむしろ食品添加物のメーカー、それからさらに食品産業、食品加工業のメーカーのサイドから使用状況を把握しようということで、五十九年度に予算化をいたしております。
  114. 菅野久光

    ○菅野久光君 そうすると、ことし予算化をして、やって、大体およそいつごろこの結果を集約して発表できるようなことになるか、そのおおよそのめどをひとつお知らせいただきたいと思います。
  115. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) なかなか使用状況の実態の把握というのも相手方がたくさんございますので、まあ五十九年度から始めまして、何年かの計画で、一年ではできませんので、敬年間かけまして全体の状況を把握をいたしたいと考えております。
  116. 菅野久光

    ○菅野久光君 できるだけひとつ早く結果を得られるように努力をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、昨年の三月十六日付の東京新聞でありますが、「米で深刻な食肉汚染 500種以上の有害物質発ガンや奇型も?」という見出しで報道されておりますが、このことについて御承知でしょうか。
  117. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 現在それの関係の資料をちょっと持ってまいっておりませんが、そういう記事が出たことは記憶をいたしております。
  118. 菅野久光

    ○菅野久光君 これは、こういうような記事が出て、厚生省としてどのような対応をされようとしているのか、そのことをお伺いしたいと思います。
  119. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) ちょっとうろ覚えで申しわけございませんが、その記事の中には抗生物質の残存の問題もたしかあったかと思います。私ども、まず米国での実情がどうかということ、それから食肉に残存をいたします抗生物質ということでございますと農林省等にも関係がございますので、そういった点の情報収集をいたしておるということでございます。
  120. 菅野久光

    ○菅野久光君 情報収集でありますけれども、どのような形で情報を収集されているのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたい。
  121. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 通常私ども、ワシントンにあります日本大使館の担当者を通じましてFDA、それから食肉の場合にしか農商務省の所管だと思いますが、農商務省等に事実関係についていろいろ聞くという、大体そういう方法でやっておるわけでございます。
  122. 菅野久光

    ○菅野久光君 日本は世界一の食糧輸入国だということ、そして輸入される食糧、食品の中に極めて危険な食品が入ってくる、そういう部分的、全体じゃありませんけれども、危険な食品が入ってくる、そういうような状況があるわけですね。したがって、食糧を日本の国に輸出する国のこれらの情報についてはどこの国よりも一番敏感にキャッチをしてそれに対応していかなければならない、それが今の日本にとっては大変大事なことだというふうに思っているんですけれども、本当にその辺の、食糧を我が国に輸出する国のそういったような情報、それを取る休制というものはきちんとなっているのでしょうかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  123. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 食品の輸入は膨大な量でもございますし、相手国もたくさんございますのでなかなかその辺難しい点があるのは事実でございます。最近特にアメリカとの関係におきましては日米で食品に関する定期的な協議、これは毎年日米どちらかでやるという仕掛けでございますが、そういうこともございますし、それからほかの問題もいろいろ錯綜いたしておりますので、特に私どもは、FDAとは実際に係官を派遣する、あるいはせんだってはFDAの食品部長が見えられるというようなこともございまして、そういった公式ルートでのできるだけの情報交換は努めておるわけでございます。ただ、まあお話のように大量でもございますし、向こうは必ずしもFDAだけではございません、所管の相手方がEPAの場合もありあるいは農商務省の場合もありというようなことで、必ずしも万全とは考えておりませんが、私どもとしてはFDAを中心にそういった情報連絡、これはお互いでございますが、できるだけ努めたいと思ってやっておるわけでございます。
  124. 菅野久光

    ○菅野久光君 特に食品を我が国に輸出する相手国のそういったような情報については、できるだけ適確に把握をして、それに対する対応策というものをしっかりひとつ打ち立てていただきたいということをこの機会に要望をしておきます。とりわけ、一番アメリカから日本の国は食糧を輸入しているわけでありますが、御承知だと思いますが、一九八二年の十二月の国連総会で、健康と環境に対して有害な製品の輸出についての防護措置、この決議についての投票が行われた際に、参加百四十七カ国中百四十六カ国が賛成をして、アメリカ一国だけが反対票を投じたと、国連でですね。また、アメリカのカーター政権が退陣する四日前に議会で成立させた、自国で有害とされている製品の輸出禁止に関する法律を、着任直後のレーガン大統領が取り消して、自国で有害とされている製品であっても相手国が承認した場合には輸出してもよいという法案を成立させている、こういう報告があります。それだけに私は、輸入食糧については十分なひとつ検疫の体制、検査体制というものをしいていかなければ大変なことになるなというふうに思います。アメリカと日本が友好国だということをこのことによって損なうことのないようにひとつ十分厚生省としても国民の健康を守る、そして、今は有害食品というのは発がん性の問題だけではなくて遺伝にも影響する、そういう民族にとって大変大事な問題だということで大変な任務を負っているわけでありますから、ひとつ懸命の努力をしていただきたいというふうに思います。  そこで大臣ちょっとお尋ねをいたしますが、国民の中からどうもこの食品は怪しい、健康にとって有害な添加物あるいは薬品を使っているのではないかと疑いを持ってその検査を厚生省に依頼したいという希望を持った、そのときに厚生省はどうすべきだというふうに思われるか。これは大臣としてではなくて一市民として、一国民として常識的にひとつお答えをいただきたいというふうに思います。
  125. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 数々の御意見がありましたけれども、私どもこれは、食べ物を食べてそれで健康が損なわれるというようなことはあってはならないのでありますから、我々の健康に危害を与えるというような疑いがあるものについてはできるだけ専門的に調査、検査してその安全性を確かめる努力はしていかなければならないと思います。
  126. 菅野久光

    ○菅野久光君 今のがまさに一般的なあれなんですけれども、いろんな今この食品の安全の問題についての団体があるわけですが、その団体で本当に危険だな、危険じゃないか、やっぱり権威のある厚生省に——国民がまだ厚生省を信頼しているというのは大したものだと私は思うんですけれども、そこに検査を依頼をしたけれども厚生省はどうも取り合ってくれそうもないというようなことがあったとしたら、一体どうなんでしょうか。大臣として、今度は。
  127. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 大臣がお答えになりましたようにできるだけ国民の御要望に沿って、できるものは検査を御要望に沿ってやってまいりたいとも思っておるわけでございますが、先生も御承知のように、最近問題になっておる物質というのは大変難しい物質ばかりでございます。検査につきましても相当の時間とまた相当の費用もかかるわけでございますので、まあできる範囲内ということでございますが、その中で私どもはやっぱりぜひ検査をしたいというものから優先をしましてやらしていただきたいと思っておるわけでございます。
  128. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今、政府委員からお話がありましたが、確かにこれは、国民の皆さんが心配だとこういうことで来られれば、できるだけ安心していただくように親切にしたいと思っておりますけれども、今お話のありましたように、今もってこの食品の安全性というもの、背ですとフグの中毒みたいな、食ってもう間違えばその日にすぐ死んでしまうとかなんとかですけれども、今のこの安全性の心配なのは、十体後とか十五年後とか二十年後に出てくるところまで疑わしきというものが拡大されてきておりますから、例えば私は一番週刊誌見るんですが、去年あたりなんか発がん性で危なかったものがことしはまた大丈夫だなんて書いてあるときがありますし、非常に多面的になっておりますから、厚生省の今抱えている人員とかそういうことでなかなか何もかもということにこたえられない場合、そこで専門的な知識で取捨選択してこれは調査しなくても心配ないんじゃないかというような場合はあり得ると思いますが、しかし、できるだけ食べ物の不安を国民の皆さんにおかけしないというような方向で努力してまいりたいと思います。
  129. 菅野久光

    ○菅野久光君 膨大な費用とそれから手数がかかる、そういったようなことについてはわかりますが、そういう要望があったときには可能な限りひとつ——どうも国民の側からいくとすげなく断られる、そういうことでそこからまた政治に対する不信感というものが出てくるんじゃないかというふうに思いますので、その辺はそういったようなことがあったときにもっと懇切丁寧に国民の側に立った立場でひとつお答えをするということで、親切をモットーにひとつやっていただきたいと思いますし、ただいま大臣お答えですけれども、ちょうど防衛庁長官もいらっしゃいますが、厚生大臣は、国民生活、国民健康防衛、そしてまた民族の将来にかかわる遺伝の問題、まさに、そういったような直接的な防衛にかかわっているわけです。防衛庁の予算だけは二兆八千億も九千億にも伸びますけれども、どうも、そういう国民の健康防衛、民族の将来に対する防衛の問題については、少し予算の取り方が足りないんじゃないかというふうに私は思わざるを得ないわけでありますが、その問題はまた後からちょっとやりますが、大臣は、日本弁護士連合会——日弁連が食品衛生行政の後退に反対して二年前に意見書を発表したわけでありますが、さらに、一連の食品衛生行政の後退から、再度この一月に厚生大臣あてに意見書を提出したそうでありますが、これは受け取っていらっしゃいますでしょうか。——受け取っていらっしゃいますね。その意見書について、大臣はどのように受けとめておられるか、ひとつ御所見を伺いたいと思います。
  130. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 大変に食品衛生法に関して、これからの国民の健康を守っていく非常に今まで御議論がありましたように、多様化し、多面化してくる国民の食べ物に対するニーズ、また非常に幅広くいろんな健康を心配される問題、そういうことで、法学者としての専門的な立場でわれわれに御進言をちょうだいいたしました。今すぐお話しのように、食品衛生法の改正を必要とするかどうか、現行法でどれだけやれるか、あるいはやれないところあるか、いろいろ私どもには私どもなりの考えがございますけれども、専門家のせっかくの御意見でございますので、これを十分に尊重してまいりたいと思います。
  131. 菅野久光

    ○菅野久光君 意見書の内容、多々、国民の立場に立って国民の健康を、そして民族の将来をということを憂えた私は内容だというふうに思っておりますので、これからも検討を加えて、今すぐということではないにしてもひとつ検討を加えていきたいということでありますが、先ほどから食品の問題について、極めて危険な食品が出回っている。その危険な食品を出回らせないようにするためにはどうすることが一番いいというふうに思われるのか、現時点で。ちょっとお考えを伺いたいと思いますが。
  132. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 食品の安全性の確保でございますが、私どもなりに一生懸命やっておるわけでございますが、御承知のように、国民の食生活が非常に急激に変化をいたしております。加工食品の増加というようなこともございます。そういったことがございますので、特に私どもといたしましては、食品監視の強化、それからもちろんでございますが、食品添加物簿の指定に当たりましての厳重な審査、同時に新しい形態の店舗あるいは新しい形態の食品等々もふえてまいっておりますので、そういったものにつきましては、必要に応じて各種の基準を定めていくといったようなことも重要であろうかと思っております。  一方でまた、先ほど来御質問ございました食品の輸入という問題も、輸入食品の量がやはり年々ふえてまいっておるというようなこともございますので、輸入食品の監視、検査等の強化といったようなこともやはり非常に重要な問題であろうかと思っております。
  133. 菅野久光

    ○菅野久光君 私は本当に、できれば輸入される食品の一つ一つが検査できることが一番いいことだと思いますが、それは物理的には不可能でありますから、しかし、今までよりも——今は輸入総体の大体六%ぐらいしか検査できてないんですね。そこがやはり問題だと。そこのところをもっとやっぱりできるようにしていかなくちゃいけないと思うんですよね。  それで、五十六年度なんでありますけれども、五十六年度の予算で検疫所予算額、これが三十九億八千八百万、そして決算では不用額九千二百万出しているんですね。この不用額の主たるものは何でしょうか。
  134. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 食品の輸入監視が検疫所に統合されましたのが五十七年の十月でございますので、今先生お話しの不用額につきましては、食品の輸入監視とは関係がない項目ではなかろうかと思いますが。
  135. 菅野久光

    ○菅野久光君 検疫所予算額の推移という資料で私は申し上げているんですけれども、それと関係ないということになれば、一体どこに関係があるのでしょうか。
  136. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 公衆衛生局の所管でございますが、恐らく従来からやっております検疫所の一般業務の関係での不用額ではなかろうかと思います。
  137. 菅野久光

    ○菅野久光君 なかろうかと思う、ではちょっと困るんですね、これは。五十七年度はさらに九千四百万の不用額ということでこれは出ているんですよ。
  138. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  139. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記を起こして。
  140. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 大変申しわけございません。至急調べまして御報告をさしていただきたいと思います。
  141. 菅野久光

    ○菅野久光君 これは調査室を通じて私はこの資料を出してもらっているわけですよ。それが、ちょっと調べてということはおかしいんじゃないかというふうに私は思うんですよ。ということは、もう先ほどから私が言っているように、今食品、特に検疫所の問題はこれは大変な仕事なんです。  大臣、先日、がんセンターでしたか、行かれたのは。
  142. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) はい。
  143. 菅野久光

    ○菅野久光君 まだ検疫所には行かれていないですね。
  144. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) まだ行っていません。
  145. 菅野久光

    ○菅野久光君 ぜひ行って見ていただきたいというふうに思うんです。私は過日、東京検疫所に行ってまいりました。合同庁舎ですよ。そして、狭いところでほんとに机を並べて、しかも検査をする部屋、これも十分なスペースがない。ある検査をする部屋に行きましたら、新しい機械を入れて、またこれは大変いいことだと思うんです。ところが、新しい機械をそこに据えるためには、今も使わなきゃならない機械をちょっと横の方にずらしてすぐ使えないようにしなきゃその機械を置けないんですよ。そういうような実態ですよ。そんなことでどうしてこの怒濤のように約二千三百万トンも一まあ国内全体ですけれども入ってくる、そういう中で、例えば東京検疫所でさえもそうですから、ほかの方は私もこれからいろいろ見て回りたいというふうに思っておりますけれども、どんなことになっているのか、およそ想像がつくのではないかというふうに思いますし、それから検査する機械にしても、多くの検疫所がある。そこにまあおおよそのものはあるのかもしれませんけれども、それも十分であるかどうかわからない。人員だって、東京検疫所でたった三人しか医師の資格を持っている人がいない。看護婦さんはたった一人で毎日何百人かの人に注射をする、休めないというんですね。どうしても休んだときには、所長さんが医学博士ですから、所長さんが注射をする、休みたくても休めない。お昼御飯を食べようと思っても、書類審査に追われてお昼御飯を食べるような暇がないような状況だというふうに思っています。しかし、あの方たちはなかなかそういうことは言いません。言いませんけれども、そういう中で、あの水際で守らなきゃならぬということで、真剣にやっているんですよ。そういうことを考えたときに、この九千二百万というこの不用額は一体何なんだと私は思わざるを得ないんです。もっとふやさなくちゃいけないんじゃないですか。私は、その辺に厚生省が本当に真剣に、この危険な食品に対する考え方があるのかどうかということを疑わざるを得ない、そのように思います。それで、あとの不用額の多くのものについては、ひとつ……。
  146. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  147. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記を起こしてください。
  148. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私は、きょうは福島交通をやろうと思っていたんですが、一、二点国鉄の問題について、緊急にお願いいたします。  まず、行管長官にお願いしたいんですが、行管は毎年国鉄問題について勧告を行っておるわけでありますが、今日の、五十九年でいえば十二兆三千億の累積赤字について、長官としてはどういう基本的な認識を持っているか、長官の考え方を簡単にお答え願いたいとこう思います。
  149. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 国鉄の運営の問題でございますが、五十五年と五十七年、二回にわたって監査をいたしまして、五十七年九月の閣議決定、これは御案内のような緊急十項目の問題でございます。これにこの監査の結果が反映をしておると、かように考えておるわけでございますが、政府といたしましては、この国鉄の経営改善について、ただいま申した緊急対策、これを推進をしていく、と同時に、国鉄の経営形態の根本にさかのぼっての改革ということは、先般の法律をおつくりをいただきまして、現在国鉄再建監理委員会、ここが鋭意現在、国鉄の根本的な改革案について立案調査をしておると、こういうさなかでございます。  そこで、御質問の債務の問題でございますが、国鉄の再建を考える場合に、一番重要な問題は、やはりこの長期債務の扱いの問題ではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございますが、これらも亀井委員長のもとで現在鋭意どうするかということの御勉強をしていただいておるさなかでございます。まあ、この長期債務がなぜこんなに累積して——毎年の赤字も一兆二、三千億になっておると思いますが——出てきておるのかと、こういうことでございますが、これはもう目黒さん御案内のように、やはり基本的には、国鉄輸送に対する需要構造がすっかり変わってきたということが、私は一つの大きな基本に横たわっている問題ではないかと、こう思いますが、我々の監査の結果は、やはり一つは非効率経営、これの中身はいろんな問題点があろうかと思いますが、その結果による累積赤字ということ。いま一つは、設備投資の負担が大変重くなってきておるということ、いま一つは、終戦直後外地から来られた方々がどんどん入ってきたといったような方の年齢構成、これが比較的年をとった人が多くなってきておるということ、そういった方がどんどん定年でおやめになる、その退職金あるいは退職年金、こういったいろんな問題が重なって、私は今日の国鉄の経営がどうにもならぬといったような状況になっておるのではなかろうかと、かように監査の結果は考えておるわけでございます。
  150. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 時間がありませんから、一つその問題の大きな問題として、私はローカル線問題があろうと思うのであります。  第一次ローカル四十線、現在まで消化可能が十二線。第二次ローカル線については、北海道知事あるいは福岡知事などを含めていまだに知事の意見書が提出されていない。住民が極めて今、長官の言うことなどは机の上ではわかるけれども、住民が根強くこのレールに愛着を持って反対闘争をしているというのが現状ではなかろうかと、こう思うのであります。特に四月の十二日、十一時から北海道の自民党議員から共産党議員に至るまで、県知事あるいは議会の議長、各市町村の村長さん、町長さん、市長さん、議会の議長さん約二百名を超す方々が東京の第一議員会館に集まって、北海道のローカル線撤廃絶対反対、北海道は新しい開拓途上にある、絶対反対と、こういうことを超党派で決議をしておるわけでありますが、今、長官が言った非能率という問題は労使関係で若干考えるとしても、あとのことを言った問題は、この北海道の超党派のローカル線撤廃絶対反対と、この点について一体、私は行政管理庁としても、中曽根内閣第一、第二次内閣としても、このローカル線の問題は、この問題を受けて根本的に見直す問題提起を自民党から共産党までしているのじゃなかろうかと、こう思うんでありますが、行管庁という立場でいかがでしょうか。
  151. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この北海道の問題を例に挙げての御質疑でございますが、自民党から共産党まで含めてああいったローカル線存置の御陳情をなさるということは、それだけやはりその背景は住民の意思がそこに反映しておると、これは政治をやる者としてはそれは考えなきゃならぬということは、これは当然だと思います。ただ、それらをやはり乗り越えて、今日の国鉄はとにもかくにも累積債務が二十兆円ある。それで国庫補助が七千億、それでしかも年間一兆一千億から一兆三千億の赤字を出しておる。これはやはり国民の負担になるわけでございますから、そこらはやはり考えて地元の方の存置、このお気持ちは十分尊重しながらも、それを背景にしながらそれじゃ今日のその国鉄にどのようなメスを入れて改革をしていくかと、これをやはりやらさしていただかぬと、これはこのまま放置するわけにはいかぬ。そこでそこを一番今緊急対策の中で十項目の中に、これはAB線の問題入っているわけでございますが、これはやはり閣議で決めておるとおり、私はやはり断行さしていただかなければならぬと、かように考えておるわけでございます。
  152. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それで、私はこの四月十四日、NHKの朝の七時の全国放送で報道された、私の出身組織である動力車北海道地方本部、北海道で言えば鬼の勤労と言われた勤労の中ではピカ一強い、しかも人数が多い、オール北海道の乗務員はほとんど握っているという組織でありますが、この北海道本部が約一年間この問題を議論してきた、その議論した結論として、もうここまでくれば、今長官の言うメスを入れる一つとして、我が身を切ってもやむを得ない、したがって列車というのは機関士と車掌が乗っているんですが、場合によったらワンマン化でもしょうがない、運転手が、車掌の切符も切りましょう、車内の清掃もやりましょう、技術を持っていますから簡単なディーゼルカーの検査、修繕もやりましょう、一人で何もかもやろうと。そして経費をも、コストをずっと下げて、そしてお祭りがあればお祭りで列車を増発する、お祭りがなければダイヤを若干減らす、そういう住民のニーズに応じてワンマン化でもしょうがない、レールが残ればやむを得ない、こういうことで緊急提案として、北海道の自民党から共産党までの、住民のニーズにこたえるために国鉄マンとしてやむを得ない、労働条件は文句言わない、とにかくレールを残す、住民のニーズにこたえる、こういう緊急提案をしています。  細田運輸大臣は国鉄マンでありますから、私は一回議論したことがあったんですが、それは目黒さんいい考えだなということを聞いたことがあるんです。  それで、これは専門的ですから、運輸省と国鉄に聞きます。今直ちに政令を手直しするとか何とかできないと思うんでありますが、レールを残すために、北海道の住民の要望に応じて国鉄職員が、勤労の組合員がみずから進んでやろう、こういう積極的な意見については私はこれを善意として吸い上げて、これは組合内部にもいろいろあるでしょう、車掌の問題と言えば国労からいろいろ議論もある、そういういろいろな問題がありますが、勤労の提案についてやはり積極的に私は取り上げて、どこでどうかみ合うかわかりませんが、前向きに検討してほしい。こういう問題について、これを扱っている鉄監局はどういう考えを持つか、ひとつ鉄監局側の御意向をここで表明してもらいたいと思います。
  153. 棚橋泰

    政府委員(棚橋泰君) 先生御指摘のように、北海道の地方交通線は、特定地方交通線の中で非常に大きなウエートを占めておりますし、北海道全道の鉄道の中でも非常に大きなパーセントを占めるわけでございまして、これの転換というのが道民の皆さんに大きな影響があるということにつきましては十分認識をいたしております。また、そういう中で、いまお話のございましたように、地元の勤労の方が従来の枠を破ってワンマン運転等に積極的に推進しようということを御検討になっているということにつきましては非常な御努力であるというふうに私どもも考えております。  全国の地方交通線問題というのは、先ほど行管長官からもお話のございましたように、国鉄の構造変化と同時に非効率性ということにも根差しておるわけでございますから、そういう方向で国鉄の職員の方が御検討いただきますということは、今後の方向としては非常に評価できるものだというふうに考えております。長官の御答弁にもございましたように、地方交通線問題は法令で定められておりますし、閣議決定等で方針が決められて、鉄道特性のないものを転換していくという方向でございますので、その意味では私どもは、法令、閣議決定の線に沿って今後も推進するという方向でございますが、そういう検討の中におきましてのいろいろな協議の段階におきまして、ただいまのような御提案についていろいろ評価し検討さしていただきたい、かように思っております。
  154. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 時間がありませんから具体的には運輸委員会でやりますが、時間的な問題もありますから、評価をして、具体的に取り組んでみたいと、ぜひ長官にお願いし、われわれも、また私自身もそういうために努力していきたいということを表明しておきます。  次に行きます。福島交通問題で、国鉄問題に入ったために若干前段は省略いたしますが、いろんな社会問題になっております。それで運輸省にもずばり、行管から本当は関連で質問をして、それから入るのが常道ですが、お許し願って運輸省にお伺いしますが、この前の四月六日の運輸委員会では、福島交通の会社の経営の実態についてはなかなか把握できなかったと、こういうことでありますが、一歩突っ込んで、運賃値上げなどの際には、福島交通のバスもレールも関連産業も、すべて経営内容についてはタッチできると私は理解するんですが、運賃値上げの際にも福島交通の実態についてはタッチできないんでしょうか、資産、借款を含めて。
  155. 櫻井勇

    説明員(櫻井勇君) お答え申し上げます。  私ども運輸省、運輸事業の所管官庁ということで、福島交通につきましては、具体的には乗り合いバス事業あるいは地方鉄道事業等の運輸事業の経営につきまして、道路運送法なり地方鉄道法に基づきまして必要な指導監督を行っているところでございます。  今、御質問のございました運賃の改定の申請の際に私ども審査をいたしますけれども、その場合にはやはり今申し上げましたような私どもの立場から、乗り合いバス事業でありますれば、乗り合いバス事業の収入なり、あるいは原価、その場合の原価につきましても、全体の経営の中で運輸事業の部門につきまして私ども原価を把握いたしまして審査をいたしておるということでございます。
  156. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ日本債券信用銀行で福島交通に融資したところの五百二十五億がそのまま福島交通不動産へ振りかえ融資されている点について、四月六日運輸委員会で私の質問に対して干野銀行課長は、日債銀に聞きましたところ、移管に同意していないと言っておりますが、これはいわば当事者の一方である銀行から聴取したもので、権限のある所管の部局が関係の会社からも十分これを確認をしなければならないと答えているのであります。これは議事録とりましたから、そのまま。有価証券報告書虚偽記載罪の可能性をめぐって、去る三月二十九日、衆議院予算委員会で佐藤証券局長は、「近日中に会社の当事者から事情聴取をする段取りでおります。」と言明しておるのであります。したがって、この二つの事実から大蔵省、福島交通及び日債銀のだれに、いつこの二つの点について確認をしたかお答え願いたい、大蔵省。
  157. 中島公明

    説明員(中島公明君) お答えいたします。  福島交通の五十八年九月期の有価証券報告書におきまして、福島交通が貸倒引当金約十八億円を取り崩しております。その取り崩した理由につきましては、有価証券報告書の脚注の部分におきまして、従来福島交通が福島交通不動産に貸し付けておりました約五百七十億の貸付金につきまして、金融機関から福島交通不動産への直接融資に振りかえるということについての同意が得られたということで、回収不能の可能性がなくなったということで取り崩したと、そういう記述があるわけでございます。これにつきまして、公認会計士の方では直接融資……
  158. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そんなことを聞いてるんじゃないよ。私の言うことを全然聞いてないよ。後藤証券局長の答弁を具体的にどういうふうに実施したかというんだよ、そんなこと議事録あるよ。
  159. 中島公明

    説明員(中島公明君) わかりました。お答えいたします。  ということで、公認会計士が意見を差し控えているわけでございます。公認会計士が不適正意見なり意見差し控えを行った場合には、私ども一般的な手続といたしまして、公認会計士なり会社の経理担当者から事情を聴取するということにいたしております。本件の場合につきましても、そういった一般的な手続に従って事情を聴取しているところでございます。
  160. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 時間がないんだから、今までの衆参両院の議事録など時間つぶしに読んでもらっては困る、くどくどと。私が言ったのは、佐藤証券局長が答弁しているけれども、いつだれに調べましたかということを聞いてるんです。いつ、だれに、調べないなら調べないで結構だ。
  161. 中島公明

    説明員(中島公明君) 私ども一般的にこういういろいろな意見聴取をいたすことがございますけれども、その場合に、いつどういう方からどういう点について事情を聴取したかというようなことは、答弁を差し控えさしていただくどいうことで従来からお許しいただいているわけでございます。  本件につきましては、先ほど申し上げましたように公認会計士、それから会社の経理担当者から事情を聴取するということが一般的な手続でございまして、それに基づきまして現在事情聴取を進めておるところでございます。
  162. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 時間つぶし、課長やめてくれよ。そんなだったら大蔵のときにびっしりやるから。そうすると、これは調べたか調べないか明らかにできないと。調べたけれども明らかにできないのか、調べないからできないのか、どちらですか。イエスかノーで。
  163. 中島公明

    説明員(中島公明君) 私ども現在事情聴取を進めているところでございますが、近日中には事実関係を明らかにできるものと思っております。
  164. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それさえ言えばいいんだよ。  年商売り上げ五十八年九月期で百三十一億七千万、これが福島交通の総売り上げであります。年間百三十一億の売り上げしかない福島交通が五百二十五億の金利を負担できる運転資金があるかないか、これは非常に我々疑問に思うんですが、こういう際に、大蔵省は銀行局を指導する際に、負担能力のないものに金を貸すということは認めているのかいないのか、これもいる、いない——結構でありますから、イエスかノーだけで答えてください、大蔵省。
  165. 中島公明

    説明員(中島公明君) 私、実は証券局から参っておりまして、有価証券報告書のディスクロージャーの点は担当いたしておりますが、そちらの方につきましてはちょっと直接の所管でないので、お答えできません。お許しいただきたいと思います。
  166. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 レクチャーしても大蔵省は来なかったということだけ確認しておきます。レクチャーしましたからね、この点は大蔵省いいですか。  それから、四月九日朝日新聞では、「政治家の存在で増え続けた融資が、回り回って政治家に渡る「政財癒着」の疑惑が一層濃くなった。」と新聞は報じております。それで、日債銀の元役員、小針社長の側近は福田元総理に、おかげでこうなったと証言しております。さらに、金丸、安倍両代議士は、それぞれ巨額な融資に対する強力な介入が記事となっている現段階で、これらの実力者の存在がクローズアップされてきておるわけであります。現実に、返済不能になった巨額融資にこれらの方々が口ききをして融資を編み出し、その結果として使途不明金がかなり現在問題になっているのではなかろうかと、このように私は可能性を追及せざるを得ないとこう思うのでありますが、この前の国会で使途不明金の追及をしておった国税庁は、これらの政治家の問題について調査をしておるのかしていないのか、現状について国税庁の見解をお聞かせ願いたい。
  167. 岡本吉司

    説明員(岡本吉司君) 今先生のお話にございましたような特定の者につきまして調査をしているとかしていないとか、あるいは今後するとかしないとかということは個別の問題にわたりますので、答弁は勘弁さしていただきたいと、こう思っております。ただ、これ大体国税庁がいつもお答え申し上げておりますが、一般論でございますけれども、我々といたしまして、やはり税務執行を担う者といたしまして、適正課税の実現ということを常日ごろから念頭に置いておるわけでございまして、あらゆる資料、情報等収集に努めまして、申告に誤りのある者につきましては調査などを行っているところでございます。
  168. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 一般論としてこの使途不明金については、その真相究明するというのが国税庁の任務であるというふうに受けとめまして、ぜひこういう問題についても究明をしてもらいたいということを要望をしておきます。次は検察庁にお伺いしますが、各委員会の問題でこういう問題で質問いたしますと、具体的な事実関係が明らかでないのでお答えできませんと、こういう言葉がしょっちゅう出てくるわけでありますが、私は今言った国税庁の一般論あるいは検察の一般論だけでなくて、こういう社会問題として田中角榮の疑獄問題ではありませんが、こういう福島交通の問題が政治家との癒着という問題に当たった際には、やはり法務省もそれなりに委員会とか新聞の情報だけを取るのではなくて、やはり検察の責任において私は法の正義のもとに調べると、国税庁と十分連携をとって調べるというのが当然だと思うのでありますが、これに対する検察の姿勢についてお答えを願いたい、こう思います。
  169. 北島敬介

    説明員(北島敬介君) お尋ねの福島交通に関連する種々の疑惑と申しますか、そういう報道がなされておるということは、これは検察当局としても十分承知しておると思っております。したがいまして、検察当局は必要と認めるときにはみずから犯罪捜査することができるということになっております。事態の推移に応じまして具体的事実関係が明らかになってくれば、そこに何らかの犯罪の嫌疑があるということでございますれば、その時点において適宜適切な対処をするものというふうに考えております。
  170. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 公正な検察を期待します。  時間がないので次は国鉄にお伺いします。  四月六日の運輸委員会で丸森線電化、いわゆる阿武隈急行に関する問題について、福島駅前の土地の問題についてお尋ねいたしました。その際の経過について、あるいはその後のレクチャーについては了解いたしますが、私は宮城県でありますからどう読んでも理解できないのは、小針さんが一月二十一日丸森線の五一%融資について合意をしながら、翌日の一月二十二日、あの問題はパアだよ、ということを小針社長から三塚さんに話があって、三塚さんがいろいろ聞いたところ、いろいろな条件があるけれども、昭化の問題、仙台−郡山間の営業権譲渡の問題、この問題はどうもやはりネックになったというふうになっております。  それでお伺いいたしますが、この東北本線の営業権の譲渡、これは私も昭和十二年から国鉄マンですが、国鉄の本線が営業権譲渡なんということを法的にも実際面も現実にもやられていない。そのことをこの小針さんが受け入れるための絶対条件だと言って三塚さんを通し、あるいは直接国鉄の最高幹部に、あるいは仙台鉄道管理局の方に再三にわたってこの問題についてオーケーのサインをくれということを迫ったということをいろいろ我々もきのうおととい情報を集めました。どうも迫られているようでありますが、こういう話があったのかどうか、ひとつ、国鉄側からあったけれども断ったということであるのか、そういう点について端的で結構ですから、この間の仙台−郡山間の営業権譲渡の件についてお答え願いたい、こう思います。
  171. 岩崎雄一

    説明員(岩崎雄一君) 第三セクターへの転換を決めました第三回の協議会で福島県当局から乗り入れの問題について話が出たということは聞いております。ただ、郡山−仙台間の営業権を設定しろというような話が出たかどうかは私は聞いておりません。仮に出ましても、今先生がおっしゃったように、法律上の問題もありますし、何といいましても東北本線でございますので極めて難しい問題かというように考えます。ただ、阿武隈急行として国鉄に乗り入れるという問題は、これは申し入れがあれば協議をすると、こういうことでございます。
  172. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私は営業権の譲渡というのは法的にも実際的にも現実論としてあり得ない、非常にごり押しをしておる。しかし、これが阿武隈急行の宮城県知事である山本社長がこれが絶対条件だと言って河北新報にうそぶいているのですが、愚弄も甚だしい。ぜひ国鉄はきちっとしてもらいたい。相互乗り入れについては例がありますから、我々も協力するあれがある。こういう見解だけ明らかにしておきます。  それからもう一つ土地の問題で、この前岡田常務から聞きました駅前の千三百平米、この問題についてはそれなりに経過がわかりました。しかし、この営業権の譲渡問題とセットにして、あの隣の、全体の五千平米全部を福島交通にくれることが阿武隈急行の絶対条件だと、こういうふうに開き直っていると。地元の新聞、河北新報によりますと、敵は本能寺にありと。本能寺とはいわゆる千三百じゃなくて、千三百を含めた五千平米だと。こうなりますと、新白河駅問題、郡山駅の地下道問題、いわゆる国鉄あるいは運輸関係とつるんで土地転がしの一翼を担っているなんていう誤解を私は国鉄が受けるべきではない。したがって、国鉄のためにも私はこの問題について、そういうことは絶対あり得ないということをきちっと国鉄側の見解として表明すべきだと、こう思うんです。千三百の方は別ですよ。あとの三千何百ですか、この問題について土地転がしの汚名に国鉄が一枚かんだということのないように、国鉄側の見解をきちっとここで表明をしておいてもらいたい、こう思うんですが、いかがですか。
  173. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) お答え申し上げます。  今先生からもお話がございましたように、千三百平米の再開発事業に直接関連する土地の譲渡の話は別といたしまして、それ以外の土地を丸森線の第三セクターに関連をいたしまして福島交通に譲渡するというような話については何もお伺いをいたしておりませんし、またそのようなことは普通では考えられないことだというふうに考えております。
  174. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 最後にお願いですが、そういうあっちこっちすれ違いがありますので、福島交通の問題について今後この委員長では、大蔵省関係あるいは総括質問あるいは総理質問、中曽根さんにも聞きたいことがあるんですが、そうありますから、その前に事実関係をやる意味でやはり決算委員会に福島交通の小針社長、日本債券信用銀行頭取の頴川さん、それから福島駅前の国鉄払い下げの問題に絡んで福島市長の河原田穣さん、この三人にどうしてもやっぱり国会に出てきてもらって、証人または参考人として出てきてもらって事実関係究明した上で、決算委員会における総括質問、大蔵大臣を中心とした総括質問あるいは中曽根総理に対する質問をやりたいと思いますので、ぜひ本委員会に証人あるいは参考人として、小針さんは証人、他の二人は参考人として出てもらうようひとつ提案して、後ほど理事会でお諮り願いたいということを提案して終わります。
  175. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいま目黒委員からの提案は、後刻理事会で協議したいと思います。  午前の審査はこの程度とし、十三階二十分まで休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      —————・—————    午後一時二十二分開会    〔理事目黒今朝次郎君委員長席に着く〕
  176. 目黒今朝次郎

    ○理事(目黒今朝次郎君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十六年度決算外二件を議題とし、厚生省行政管理庁防衛庁環境庁医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  177. 服部信吾

    ○服部信吾君 防衛庁長官にお伺いしますけれども、まず最初にお伺いしたいことは、このたび自衛隊を統一的に指揮するための中央指揮所というのが完成した、八十五億円をかけて。大変すばらしい施設でありますけれども、長官としてももう既に視察を終えたと、こういうことなんで、その感想をまず一言。
  178. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 中央指揮所ができまして、私も一応視察を終えました。感想から言いますと、今までいろいろ陸海空の自衛隊の統合的な運用について欠けるところがあるのではないか、統合運営が十分にでき、有事の際にお役に立てられるような体制をつくれと、こういうことからできたわけでございますが、正直言ってこの中央指揮所というものはなかなかこれは権威のあるものだなと。しかしこれはただ単に建物とか施設というものが充実をするというだけでは意味をなさぬと、この施設というものを十二分にこなせるような、そういう習熟ですね、これをしないといかぬ。もし習熟をすれば、この機能は有事の際のみならず、いろいろな場合にこれは大変利用価値が出てくるのではないかと、そういう意味合いで施設その他に対して習熟をする、このことをしっかりやらぬといかぬというのが私の率直な感想でございます。
  179. 服部信吾

    ○服部信吾君 長官が施設を視察されて大変立派なのができたと、そういうことで、これをいかにうまく運用するかということが今後の課題であると、このようにも伺いますけれども、ある新聞報道によりますと、あの中に入って何か大臣は日本を文配したような気持ちになると、このようなこともおっしゃられたようでありますけれども、その辺の感想、またこの施設の役割というものに対して国民が何となく大本営ができたというような、そういうふうに今考えられているような方々もいらっしゃる。そういうことでこの施設が大本営的なのかどうか、この点についてもちょっとお伺いしたいと思います。
  180. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 何といいますか、日本を支配するなどという、そういうおこがましい、不遜な考え方はありません。私が申し上げたのは、日本国がずしりと肩にかかるような、そういう重い感想であると、こういうことを申し上げたわけでございます。したがいまして、この点につきましてはどうか御理解を賜りたいと思います。具体的な運用等の問題につきましては政府委員から御答弁をさせます。
  181. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 中央指揮所の具体的な機能といいますか、これは防衛出動等の自衛隊の行動に関しまして防衛庁長官が情勢を把握いたしまして、適時所要の決定を行い、さらには部隊等に対して命令を下達するといったような一連の活動を、迅速かつ的確に実施し得る体制を整備すると、こういうことでつくってまいったわけでございます。  建物としては地上二階、地下三階の約延べ五千平米の建物でございます。中央指揮所の中には長官を中心に会議いたします防衛会議を中心といたしましていろんな作業室等が設けられておりますし、それからさらには中央指揮所と主要な部隊あるいは関係各省庁との間の通信連絡の手段というものを設けるというような形になっております。それからさらには航空自衛隊の自動警戒管制組織、いわゆるバッジシステムでございますが、そういうもの、あるいは海上自衛隊の自衛艦隊指揮支援システム、こういうものと連接をいたしまして、情報が自動的に表示されるような機能も持っておると、こういうことでございまして、防衛出動等の有事等の場合に、ここで長官の統制下にいろんな判断なり情報の伝達といったようなものが的確にできるための中枢機能を持ったものであるというふうに御理解をいただければよろしいかと思います。
  182. 服部信吾

    ○服部信吾君 国民サイドの立場から見ればこの中央指揮所の完成というものがいわゆる有事即応体制に向けていよいよ本格的に動き出したようにも考えられます。というのは、今回完成したこの中央指揮所、この施設がハード、これから今いろいろ問題になっておりますけれども有事法制がソフト、この両面が一緒になったように思われる。そこで、この中央指揮所の設立目的また機能についてもう少し辞しくお願いしたいと思います。
  183. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) この中央指揮システムの基本的な設置目的と出しますのは、若干繰り返しも入りますが、先ほども申し上げましたように、防衛出動等の自衛隊の行動に関しまして防衛庁長官が情勢を把握し、適時所要の決定を行い、部隊等に対し命令を下達するまでの一連の活動を迅速かつ的確に実施し得ることを目的として整備をしたものでございます。  対象となる事態はしからばどんなことがあり得るかという点につきましては、例えば防衛出動にかかわります事態もありますし、あるいは治安出動であるとか海上における警備行動とか、そういった自衛隊法上に予想しておりますいろんな事態もございますし、あるいは大規模災害派遣等のような自衛隊の行動を必要とする事態、そういったこともございます。いろんなそういう非常に重要な事態に際しましてこの中央指揮システムを活用していこうと、こういうことでございます。こういった事態が起こりますと、まず直ちに内局、統幕、各幕等の関係者が中央指揮所に参集をいたします。そうしまして、情勢の把握ですとか長官への報告、これを迅速に行っていくと、それからまた部隊の連絡あるいはその関係部局間の調整を緊密に行うといったようなことで、これは一堂に会するという、この機能が非常に効果があるように思うわけでございまして、要するに迅速かつ的確な初動対処と、これを的確に実施するということが基本ではないかというふうに考えておるわけであります。また、長官を初めといたします関係幹部は随時この中央指揮所におきまして集まりまして、そこで最新の情勢の把握をする、それから会議等を行いましていろいろな調整とか決定をそこでやっていくと、さらには部隊に対する命令の下達というものも中央指揮所から直接直ちにできるというようなことになるわけでございます。そういった中枢機能を果たすものが中央指揮システムであるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  184. 服部信吾

    ○服部信吾君 この中央指揮所、いろいろ今お伺いしましたけれども、特に各省庁間との連絡ということですが、これはどういうことをやるんですか。
  185. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 一つには、当然のことでもございますが、総理官邸との連絡のための通信手段、電話等を設置をいたしておりますし、それから、あるいは国防会議の事務局とも連絡、電話等をつないでおるわけでございますし、そのほか警察庁、外務省等とも連絡の手段をそこに設けるといったようなことで、関係省庁との連絡にも迅速、的確な対処ができるように配慮をしているわけでございます。
  186. 服部信吾

    ○服部信吾君 総理官邸とか、いろいろ外務省、警察庁、例えば建設省とか、そういうところはまた入るんですか、これ。
  187. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 建設省とは直接この中央指揮所からの専用のものというものはございません。ただ、一般の電話連絡というものは、当然のことながら、これは可能なことでございます。
  188. 服部信吾

    ○服部信吾君 これらの各省庁との連携ですね、いろいろなことがあろうかと思いますけれども、こういう一たん有事の際に各省庁のいろいろな問題でスムーズにしなくちゃいかぬと。そういう面から言うと、いろいろ今問題になっております。そういう有事立法と、こういうような関連性は全くないということでよろしいですか。
  189. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 有事法制の問題は、現行法制上の問題点を別途に検討をしておるわけでございますが、これは中央指揮システムの設置の問題とは別の分野のものとして、防衛庁として今月を入れているということでございます。
  190. 服部信吾

    ○服部信吾君 それでは次に、もう既に中央指揮所も三月三十一日から運用されておると、こういうことでございますけれども、その中で例えば既に中央指揮所の運営規則とか、あるいは内規とか、編成、要員の任務分担、指揮活動の手順等々が行われると思いますけれども、この点についてどのようにお考えですか。
  191. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 防衛庁の設置法なりあるいは自衛隊法上の各機関、つまり内局なり統合幕僚会議あるいは各幕僚幹部、これらの権限というものにつきましてはこれは特段の変更をしているわけではございません。現行法に基づきます長官の指揮なり監督といったようなものの作業をこういった非常事態等の場合に有効適切に遂行するためにこういった一つの場を設けたと、ここに関係者が随時集まってそこで一緒に協議をし、そこで迅速に的確な判断と協議、それから意思決定、さらには必要な決定の伝達と、こういうことができるようにしたわけでございますから、基本的な自衛隊の運営の体制というものには従来とは変更がないわけでございます。  ただ、三自衛隊を含めた全体としての運用の統合的見地からの把握という点が、この中央指揮システムの設置によりまして従来に比べてより一層有効になったというふうに理解をしているわけでございます。
  192. 服部信吾

    ○服部信吾君 この中央指揮所を管理運営する要員というものですね、これ。昨年防衛二法が成立したために三十四名が配置されたようであります。しかし、この施設の重要性から考えますとどうしても、これは二十四時間、言ってみれば一昼夜運用しなければならない、こういうことで三十四名で大丈夫かと、このようなことも言われておりますけれども、この点についてはどうでしょうか。
  193. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) この中央指揮所の機能を十分に発揮いたしますためには、夜間を含めましてこの中央指揮所が常時フルに動き得る体制にしておくということが必要だと思っております。その点は御指摘のとおりでありまして、そういった体制を無理なく維持するということのためには、やはり五十九年度の概算要求の際に防衛庁が増員要求をした中で、統合幕僚会議につきましても増員要求を三十五名ですか、いたしておりまして、こういったものを合わせて約七十名ぐらいの体制が必要だというふうに私どもは判断をいたしておるわけでございます。したがって、諸般の情勢から今年度の増員を断念をいたしました結果として、要員としては所要の約半分ぐらいというレベルになっているのは御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもとしては現在の定員の中でやりくりをするということでございますから、維持、管理体制も当面は限定的なものにならざるを得ないという面はございます。完全に二十四時間フルに稼働ができる体制ではまだございません。ただ、当面のところはこの施設そのものにまず、それぞれ関係の機関、内局にしても各幕僚幹部にいたしましても、それの習熟をするという段階でございます。大臣も先ほどお答えいたしましたように、そういうことがまず先決でございますから、そういう習熟のための作業を今中心としてやっておるわけでございます。  それからまた、もし万一緊急の事態が起こるというようなことがあれば、その際は当面臨時に各機関から応援をするというようなことも考えなきゃいけないかなというふうなことを考えておりまして、そういう措置によって即応体制を何とか確保したいというふうなことも考えているわけでございます。  しかしながら、いずれにしても今のままでは長期的に見れば問題があることはもう事実でございます。したがって、六十年度以降におきまして所要の増員を確保できるように一層の努力を払いたいというふうに考えておるわけでございます。
  194. 服部信吾

    ○服部信吾君 要員の習熟ということでございますので、ひとつ大いにやっていただきたいと思います。  次に、日米両国の関係についてちょっとお伺いしたいんですけれども、この中央指揮所において日米共同作戦研究とか、その他の事項においても従来から日米間における指揮の調整所、こういうような設置がいろいろと言われておったわけでありますけれども、今回中央指揮所ができたということで、この中央指揮所が日米指揮調整所、こういうふうにその一部を使うと、このように考えてもよろしいでしょうか。
  195. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) この中央指揮所は防衛庁、自衛隊の中央指揮所ということで整備をしたわけでございます。したがって、ただいま御指摘のような日米の共同の何といいますか、作戦調整所として整備をしたものではないわけでございます。確かにガイドラインにおきまして、日本の有事におきます日米の共同対処のあり方ということについていろいろと研究をすることになっております。日本の有事において何らかの調整機関というものが必要であるということは、もうかねてからガイドラインで指摘をしておるわけでございまして、これは日米間におきます今後の研究課題が幾つかありますけれども、その一つになっていることも事実でございます。ただ、それはそのガイドラインの研究の過程におきまして、今後どういうふうに運営していくかということが詰められていく話でございまして、この中央指揮所そのものがそういう調整機関になるというふうなことを予定してつくられたものではございません。
  196. 服部信吾

    ○服部信吾君 この中央指揮所と横田の在日米軍司令部とホットラインが引かれておりますか。またこれらの必要性から、米軍の連絡将校の常駐、こういうことも考えていらっしゃいますか。
  197. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 在日米軍司令部のあります横田とは、中央指揮所が何らかの通信手段を持っていることはこれは当然必要なことでございまして、私どもも電話等をそこでつなごうという計画を持っておりますが、これはまだできておりませんで、五十九年度の事業としてこれが行われるという予定になっておるわけであります。  それからもう一点の、米軍の兵士がその中央指揮所に常駐をすることがあるのかというお話でありますが、これはそういった米軍関係者を中央指揮所に常駐させるという計画はございません。
  198. 服部信吾

    ○服部信吾君 この中央指揮所、完成したわけでありますが、仏をつくって魂を入れず、こういうことのないように、ひとつ大いに活用、運用していただきたい、このように考えます。  次に有事法制について若干お伺いしたいと思います。  防衛庁は、昭和五十六年四月に防衛庁所管の関係法規についての第一分類の中間報告を国会に提出しました。そこで現在、他省庁における法規に対する第二分類について、関係各省に問い合わせあるいは回答を求めているようでありますけれども、その状況はどうなっておりますか。
  199. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お尋ねの第二分類についてお答え申し上げます。  第二分類の法令、すなわち他省庁の所管にかかわる法令につきましては、五十七年の七月ごろから約十の省庁に対しまして、約五十件の法令、問題点約七十項目をそれぞれ所管の法律によって有権解釈をしていただく。あるいは除外例、例外規定等があるかどうかのお調べをいただく等の御協力を依頼をいたしました。白米二年近くなったわけでございますが、現在までのところ八割方の回答が来ております。ただし、この回答はそれぞれの問題点が解決されたという意味ではございませんで、返事があったというのも含めましておおむね八〇%、まだ若干未回答の部分がございます。先般来、各省庁に対しましては事務レベルで、あるいは大臣の国会に対する御答弁の中におきましても官房長官の御協力を得て各省庁に御協力を呼びかけ、現在回答の促進方をお願いをしておるという状況でございます。
  200. 服部信吾

    ○服部信吾君 七十項目の中の八〇%と、こういうことでありますけれども、その中で全部お答えいただくのは大変でしょうけれども、その中で主なものがありましたらちょっと御答弁願えませんか。
  201. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  各省庁にお願いをいたしました段階で八つの項目に大別をしてお願いをしたわけでございます。部隊の移動、輸送に関する法令、これは当然道路交通法とか、こういうものが入ってまいりましょう。それから当然陣地の構築等がございますので、建造物構築に関する法令、これは建築基準法なんかが入ってまいると思います。  その他、八つの項目に分けてお願いをしてあるわけでございますが、実はこの八割の回答のうち、まだ、こちらからまたさらに意見を申し上げて調整をお願いするという点が多々ございます。そういうようなことで、実は先生御承知のように、各省庁間でいろいろな問題を協議いたします場合には、ある程度、両省庁の合意といいますか、調整が終わった段階で公表をする、こういうしきたりになっておりまして、まだ未調整の問題については、実は法制局に対する調整もまだ済んでおらない、こういう状況でございますので、もうしばらく時間をちょうだいをいたしまして、かねてから国会に対してはある程度まとまった段階で中間報告を第二分類についても申し上げるということを申し上げておりますので、しばらくお時間をちょうだいいたしたいと存じます。
  202. 服部信吾

    ○服部信吾君 この問題に対しては五十七年からずっと回答を求めているようでありますけれども、まだなかなか出てこないというのは、かなり各省庁の抵抗が強いと、こういうふうに考えられますが、この点はどうでしょうか。
  203. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  実は五十二年に、シビリアンコントロールのもと、当時の三原防衛庁長官の御指示によりまして、平時のうちから、自衛隊が万が一の場合に行動する際に関連する諸法令について、現行の法令で問題はないかどうか、不備がないかどうか、研究をしておこうと、こういうことで始まったわけでございます。  しかしながら、初期の段階におきまして、非常に不幸なことだったんでありますが、これは戒厳令だとか、徴兵制度の検討だとか、何かそういう恐ろしいことをやるんではないだろうかというような誤解が一部にございまして、その結果、国会に対しましてこの統一見解をお示しをしたような経緯もございます。当時、そういう思わざる反響が起こった時点におきましては、確かに先生御指摘のように、ちゅうちょされる関係方面もあったと思うんでございますが、その後、理解が深まりまして、各省庁におきましてはこの問題について前向きの御協力がちょうだいできるようになり、最近におきましてはかなり積極的にこういう問題を御理解をいただきまして御協力をいただいておると、こういう状況でございます。
  204. 服部信吾

    ○服部信吾君 防衛庁長官も参議院の予算委員会でいろいろ答弁されておりますけれども、藤波官房長官と相談して私の責任で決める、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、この第二分類の中間報告ですね、これは大体いつごろまでに出される予定でしょうか。
  205. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 第二分類につきましては、御案内のとおり、余り進んでいなかったわけでございますけれども、何が問題であるかと、問題点を明らかにしませんとこれはいかぬわけでございますから、各省庁にも早くその回答を寄せてもらいたいということで、官房長官にも話をいたしましたし、また、それに基づきまして過般の次官会議でも官房副長官の方から各省の方に、また防衛庁の次官の方からも各省に対して協力を要請したという格好でございます。したがいまして、私からいたしますると、いついつと言われると困りますけれども、決して私は何か引きずっていこうと、言葉でごまかしていこうという、そういう性格の男じゃございませんので、しかるべき時期に御報告申し上げたいと、こう思っておりますので、時期がいついつということはちょっと御勘弁いただきたいと思います。
  206. 服部信吾

    ○服部信吾君 「しかるべき時期」ですけれども、任期中と、このように考えてもよろしいでしょうか。  それから、中曽根総理もいわゆる第三分類、所管庁が明確でない事項の法令、この件につきましても内閣全体の問題を至急監督させると、できるだけ早く進めようと、どのように言っておりますけれども、この第三分類の検討項目、どのぐらいあるのか、その内容、さらに具体的な法令名をわかれば明らかにしてもらいたい。
  207. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  第三分類は、ただいま先生御指摘のように、どこの省庁の所管にも属さざる問題点ということで、例えば人道に関する国際条約、ジュネーブ条約等の国内法制化という問題、これは捕虜に対する人道的な取り扱いの問題とかいうのがございますけれども、こういう点については未制定でございます。また、有事に際しての国民の避難誘導、この辺なんかも例えば警察官職務執行法あるいは消防法等にそれぞれ避難誘導の関係法規はございますけれども、これは警察あるいは消防の職務執行上のものでございまして、ちょっと全体の国民の避難誘導というようなものになじまないので、この問題も検討をする必要があろうかと存じます。その他、いわゆる民間防衛と呼ばれるような諸問題等もこの第三分類に含まれると考えられますが、事務レベルといたしましては第二分類を整理をし、問題点の洗い出しを終わってから第三分類に入りたいと、かように考えておりますので、現在の時点におきましては、ただいま申し上げましたような例示的な問題点の提起にとどまっております。  なお、この問題につきましても、自衛隊が行動をいたします場合に第一分類、第二分類によりましてそれぞれ自衛隊法あるいは防衛庁設置法に定められました任務と職責を果たすわけでございますが、この第三分類につきましては防衛庁、自衛隊が発言をするあるいは勝手に決めるという性格のものでございませんので、内閣全体でお願いをいたしたいということでかねてからお願いをし、この第二分類がめどがつきました段階で、私ども御下命があれば防衛庁関係の問題点の勉強を始めたいと、かように考えておる段階でございます。申しわけございませんが、現時点においては未着手と、まだ十分研究をしていないという分野でございます。
  208. 服部信吾

    ○服部信吾君 そうすると、第三分類の検討項目数もわからないわけですか。
  209. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 先ほど申し上げましたような大まかな問題点というにとどまっておりまして、まだ問題点の整理等はできておりません。
  210. 服部信吾

    ○服部信吾君 先ほど私も質問したんですけれども、これらの第二分類にいたしましてもなかなか各省庁の回答が返ってこないと、こういうことを言ったわけであります。  そこで、具体的な例を挙げてちょっと尋ねてみたいと思うんですけれども、例えば建設省関係では有事の際に部隊で指揮所を構築しようと、建築基準法の申請、検査手続の簡素化がなかなかできないか、こういうような問題、これに対して建設省は自衛隊を特別扱いにする根拠が見当たらないと自衛隊優先に消極的な回答を寄せたと言われておりますけれども、この建設省の回答でもわかるように、回答を寄せても内容において防衛庁の思いどおりになっていないものがあるようです。そこで、回答を寄せた、先ほど八〇%と言いましたけれども、この建設省の回答で見られるようなものがたくさんあると思うんですけれども、この辺について御説明願いたいと思います。
  211. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  必ずしも否定的というか、反対という感じではございませんで、私どもの受けとめ方といたしましては、現在の法令上例外規定、除外規定があるかどうか、あるいは条文の解釈でもってこれができるかできないかという答えに対しまして消極という意見は来ております。  ただ、それぞれの問題につきまして再度調整、再調整をお願いをいたしたり何かをしておると、こういう段階でございます。  具体的な法令名それから具体的な回答の内容これにつきましては先ほど申しました事情でしばらく御猶予をいただきます。調整が済み次第、ある程度まとまった段階において国会に御報告いたしたいと考えております。
  212. 服部信吾

    ○服部信吾君 時間の制約からも余り詳しく質問できないんですけれども、最後にこの問題につきましては、現在防衛庁が進めている有事法制研究なるものは、国民に対する多くの権利の制約あるいは多くの問題が内在しているようでありますけれども、これら一連の研究、つまり中間報告を出した後、具体的な立法作業を進めるような気がしてならないわけでありますけれども、また国民はこのことを大変心配しておる、これについてどのようにお考えですか。
  213. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  この有事法制の研究は、五十三年に始まりました際に、統一見解の中でもお示しをいたしましたように、直ちに立法化するということではございませんで、現行の法令の解釈をこの際有権化しておき、問題点を洗い出そう、こういうことでございます。その問題点をどうするかということにつきましては、国会の御審議、あるいは国民世論の動向等を踏まえまして慎重に対処してまいるという所存でございます。私ども、行政事務レベルがやっておりますのは、問題点の洗い出しを行い、これを国会あるいは国民にお示しをして、これについての御議論を賜ると、こういうことでございますので、立法問題は別問題ということで考えさしていただいております。
  214. 服部信吾

    ○服部信吾君 じゃ、次の質問ですけれども、宇宙利用は平和目的に限ると、こういうことで従来から防衛庁はその方針を貫いてきたわけでありますけれども、けさの新聞報道によりますと、自衛隊による通信衛星、偵察衛星活用の道を開く、このように出ておりますけれども、この点はどうでしょう。
  215. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 御承知のように、通信衛星「さくら二号」が現在打ち上げられておりますが、それの関連で今年度の予算で硫黄島に電電公社の地上局を置いてもらうという予算、それの関係の回線使用料等の予算を御承認いただいたわけでございます。  自衛隊の衛星利用一般につきましては、従来から国会決議があり、また宇宙開発事業団法の目的があるというようなことで、「平和の目的に限り」という言葉が国会決議や宇宙開発事業団法等に入っておるわけでございますが、それに関連しまして、従来国会でそれが非軍事であるというような議論がなされていることは私どもも十分承知しておるわけでございますが、その非軍事であるということが具体的にいかなる意味を示すものかということについては、ほとんど議論がなされてない状況でございます。  先日、参議院の予算委員会におきまして、自衛隊の衛星利用につきまして、一般論としての御質問がありました際に、中曽根総理から検討課題としたいというような御答弁もあったというようなことでございますので、私どもは、防衛庁といたしましては、国会決議等にあります「平和の目的に限り」ということと、それから自衛隊の衛星利用との関係については、具体的事例に即して研究してみたいというふうに考えておるわけでございます。
  216. 服部信吾

    ○服部信吾君 かなり具体的に何か出ておりましたけれども昭和六十三年二月に宇宙開発事業団が打ち上げる予定になっているこの実用通信衛星CS3を利用するように検討しておる、こういうように出ておりますが、その点はどうですか。
  217. 木下博生

    政府委員(木下博生君) 科学技術庁、郵政省の方で六十三、四年ごろに「さくら衛星三号」を打ち上げられるというような計画があるということは伺っておりますけれども、その三号の利用計画については、私どもの方、具体的に何も伺っておりませんので、現在のところ、関心は持っておりますけれども検討はいたしておりません。
  218. 刈田貞子

    刈田貞子君 私は、きょうはドリンク剤についてお伺いしたいんですけれども、その前に、先ごろ食品添加物の規制緩和に対する反対運動が一千万署名運動と称して行われております。既に国会等にもこの請願がたくさん届いているわけでございますけれども、この一千万署名運動のうねりに対して大臣はどんな御所見をお持ちでしょうか、お伺いいたします。
  219. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 非常に多様化してくる食品に対するニーズの中で、国民の皆さんが食品の安全に対する関心が大変に強いと、私ども、この国民の声を尊重しなければならないということを痛感いたしました。
  220. 刈田貞子

    刈田貞子君 添加物についてもいろいろなことが研究され討議されていることと思いますけれども、私ども国民といたしまして、やっぱりこれはオープンにわかりやすくできるだけ審議の過程等を明らかにしていっていただきたい、こういうふうに希望いたします。  きょうは、添加物についてはいろいろ申し上げたいこともございますけれども、その中でアスパルテームについて一部お伺いをしていきたいというふうに思っております。既に、このアスパルテームについては、衆議院予算委員会で私ども公明党の斎藤委員がいろいろ細かくお伺いをいたしまして、意見がかみ合わないところの分、よく聞かされておりますので、きょうはこの中身については入りませんけれども、その沿岸についていささかお伺いをするわけでございますが、このアスパルテームがフェニルケトン尿症との関係においてどういう位置づけになるか、こういう問題でお伺いをいたします。  昭和五十八年八月二十七日付、児童家庭局母子衛生課長から都道府県母子衛生局長あてに出された書面、すなわち「食品衛生法施行規則等の一部改正に伴うフェニールケトン尿症患児の保健指導上の留意点について」、こういう通達が出ているわけですけれども、この書面を出された背景と理由についてお伺いをいたします。
  221. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) アスパルテームでございますが、アスパルテームは人体内に入りますとアスパラギン酸とフェニルアラニンに分解をいたすわけでございます。フェニルケトン尿症の子供さんにつきましては、フェニルアラニンを余りとってはいけないと、一定以上、できるだけ少ない食事をする必要があるということでございまして、そのためにフェニルケトン尿症の赤ちゃんにつきましては、例えば母乳あるいは粉ミルク等々につきましてもフェニルアラニンが相当含まれておるわけでございますので、そういったものもフェニルアラニンの少ない特別の粉ミルクをとるというようなことでございます。  アスパルテームでございますが、分解をいたしまして、普通の摂取量ではごくわずかの量でございますが、フェニルアラニンが分解してできてまいりますので、そういう特別のフェニルケトン尿症の赤ちゃんという特別の方については、この点、例えば母乳をとらないと同じような意味でこのアスパルテームについても十分気をつけていただきたい。そういうことで小児科学会にも御相談をいたしましたし、また、児童家庭局とも相談をいたしまして、今先生がお挙げになりました通知を出しまして関係者に対する周知徹底を図っておるところでございます。
  222. 刈田貞子

    刈田貞子君 その文章中で、「表示の有無を確認する習慣を身につける必要がある」、こういうことが書かれております。また、「含有量がわからない場合は、できるだけその摂取を避ける」ということが書かれているわけですけれども、この表示は徹底されておりますでしょうか。また、含有量についてきちっと表示がなされておりますか、お伺いします。
  223. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) アスパルテームにつきましては、この通知に書いてございますように、フェニルアラニン化合物を有しておるという表示をつけることを義務づけておりまして、これは履行されておるものと考えております。  ただ、現在、アスパルテームはほとんど卓上用の砂糖のかわりのものとして、人工甘味料として使われておるのが主体でございますが、それにつきましては含有量の表示をさせておるわけでございます。
  224. 刈田貞子

    刈田貞子君 ちょっと怪しげなところもありますけれども。  私が言いたいのは、この表示の問題なんでございますけれども、今、添加物の全面表示をするということで、一カ月に一度ずつこの問題に向けてどういう方向性を持っていけばいいか、こういうことで討議をされているというふうに私、聞いておりますが、例えばこのアスパルテームのようなものについてはどういう表示をしていこうというふうに話し合われているんでしょうか、お伺いします。
  225. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 食品添加物の表示につきましては、現在は一部の食品添加物につきまして用途表示か物質名表示、つまりアスパルテームの場合でございますと、用途は人工甘味量、それから物質名はアスパルテームでございますが、そのどちらかを表示すればいい、これまでそういう規制をしておったわけでございまして、従来はそういうことで大部分用途表示がなされておった。  今回考えておりますのは、物質名を必ず表示してもらう、そして大部分のものについては用途も表示をしてもらう、したがって大部分の食品添加物につきましては物質名と用途名を両方とも表示をしてもらうという方向で現在検討をしておる段階でございます。
  226. 刈田貞子

    刈田貞子君 私が伺いますところによりますと、今のフェニルケトン尿症の子供の問題があるので、アスパルテームについては警告表示をうたってこれを出す、警告表示、こういうふうな扱いにするという話を聞いているわけでございますけれども、この警告表示なるものをお使いになりますか。
  227. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) アスパルテームにつきましては、現在やっておりますようなLフェニルアラニン化合物を含むという表示を義務づける、そういう方向で考えておる——今もそういうことを実施をいたしておるわけでございますが、そういうふうに考えておるわけでございます。
  228. 刈田貞子

    刈田貞子君 少しかみ合わない部分があるようなんでございますけれども、私がこのフェニルケトン尿症の子供のこととアスパルテームについてこれを取り上げた理由は、結局今までの添加物行政において、添加物は万人に安全である、万人に大丈夫であるという観点で許可がなされていたはずなんでありますけれども、このフェニルケトン尿症の子供が、百万人に一人だというような言い方をなさる方もありますし、十万人にお一人だという言い方をなさる方もある。だけれども、とにかくこの子供さんにとってはアスパルテームは危ないんだ、こういうことになりますと、この添加物の許可の仕方が一部特例を設けたような形で許可されていっているのではなかろうかということで、今までの添加物行政のあり方を少し変更したのではないかというふうに思っているのでこのことをお伺いしているわけですが、いかがでございましょうか。
  229. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 添加物指定に当たりまして、従来から安全性、有用性が確認されたものに限って指定をするということで、その基本的な考え方に変わりはないわけでございます。  先ほども申し上げましたように、アスパルテームは普通の粉ミルクとか母乳と同じような、つまり普通のアミノ酸が分解してできてくる、そういう意味では、母乳とか、あるいは水もそうでございますし、粉ミルクもそうでございますから、そういうものと何ら変わりはない。ただ、母乳もフェニルケトン尿症の子供さんにはよくない、同じような意味でアスパルテームもよくないということでございますので、従来のそういう安全性、有効性とかいう観点から見て特段に変わったということではございません。このことは各国国際的にも同じような扱いでございまして、FAO、WHOの食品添加物の専門家会議におきましても、フェニルケトン尿症のことを配慮しつつ、安全性については問題ないという、いわゆるAランクにしておりますし、それから米国やヨーロッパにおきましても、ほぼ私どもと同じような表示を付した上で食品添加物として使用を許可しておるというような状況でございます。
  230. 刈田貞子

    刈田貞子君 それでは、決して特例を設けて許可をしたということではないというふうに了解をいたしまして、以降、添加物の認可、許可に当たっては慎重にしていっていただきたいことを希望いたしまして、時間がございませんので、次の問題に移りますが、先ほど申し上げましたドリンク剤のことでございます。  きょう私ここに幾つか持ってきておりますけれども、最近、このドリンク剤、正式に申しますとドリンク剤及びドリンク剤類似飲料水、こういうことになるんだそうでございますけれども、私どもは通称スタミナドリンクというふうに言っております。スタミナドリンク剤、この種のものは大変出回ってきている、非常に出回ってきている、地方メーカー分のものなんかも入れますと三百種以上は市場にあふれているであろう、こういうことでございます。市場規模が、医薬品分については十一億本、一千三百億円、食品系統では十八億本、千九百億円、合わせて三千二百億円の実績を持つ業界に発展してきているというふうに心得ておりますが、私どもがとりましたアンケートによりますと、第一回分のアンケートでは六四%の人が、そして第二回目のアンケートでは七九%の人がこのドリンク剤を飲んでいる、こういうことでございます、決して悪いことではございませんが。ところで、こうしたブームはどうして起きたのか、このところをどのようにお思いになりますか、厚生省にお伺いします。
  231. 正木馨

    政府委員(正木馨君) 先生のおっしゃいましたドリンク剤、これは医薬品たるドリンク剤と、それから先生もおっしゃいましたが、ドリンク剤類似ということで、いわゆる清涼飲料水、広い意味の健康食品として販売されているものもあると思います。  ドリンク剤、医薬品たるドリンク剤について申しますと、大体今のところは五百品目ぐらい、こう言われておりますが、大きく分類いたしますと、総合代謝性製剤、つまり総合滋養強壮剤というもの、それからもう一分類は混合ビタミン剤というのが多いわけでございます。この医薬品たるドリンク剤につきましては、もちろん医薬品の承認をとっていただいて、有効性、安全性というものももちろんチェックした上で医薬品として承認するわけでございますが、医薬品としてでなく、一般の清涼飲料水、これは成分あるいは広告の仕方等に違いがありますが、私の口からあれするのもあれですが、そういういわゆるドリンク製剤がどうしてこう伸びてきたのか、それはやはり国民の生活水準の向上、それから健康増進の機運の醸成といったようなものが根底にあるんじゃないかというふうに思うわけでございます。
  232. 刈田貞子

    刈田貞子君 ところで、私どもがアンケートの調査をいたしますと、この飲料水分の方です、いわゆる食品に当たる方の分でございますけれども、この飲料水についても飲む理由、飲用する理由として、疲労回復になると思うから、あるいは健康にいいと思うから、あるいはすっきりすると思うからというふうな答えが返ってまいりまして、これは薬効的効果を期待して飲んでいるということが非常にはっきりと鮮明に出てくるわけでございます。  私きょうここへ持ってまいりましたけれども、今際の先生にどれが薬で、どれが飲料水がわかるかと申し上げましたら、わからぬとこちらの先生はおっしゃるわけでございますけれども、よく見ると書いてはあります、確かに。これは飲料水、炭酸水、こっちが医薬品と、こう書いては確かにございますけれども、しかしそれにも増して、その薬効的効果をうたいつつこれを飲むということは、まず容器の形態からそういう問題が出てくるんじゃないかと私は思うわけですが、薬の瓶も、それから飲料水の瓶も形が全く同じであります。これあたりが何とか整理できないものか、一つ思います。  それからもう一つは、これを宣伝する広告、その文言の中に同じ意味を伝えるような言葉が入っております。これは、そちらの方の通達、四十二年でございましたか、その中で、この文言を整理するように出されておりますけれども、やはり際どいところで出ているわけですね。こういう問題について、どんなふうにお考えでしょうか。
  233. 正木馨

    政府委員(正木馨君) これは、ドリンク剤に限らず、医薬品と健康食品一般についても、しばしば御議論があるところでございます。  医薬品というのは、やはり有効性、安全性というものを十分チェックをして承認しておるわけでございます。したがって、その医薬品の承認をとらないのに、医薬品のふりをしてと言うと何ですが。医薬品に紛らわしい形で販売されるというの                    七は、国民に不測な心配を招くということになるわけでございます。  そこで、その医薬品の承認をとらないで、医薬品まがいの健康食品等については、取り締まりを行っておるわけでございますが、先生おっしゃいますように、これは五十七年に最高裁の判例がございまして、これは医薬品と見るか、見ないかという基準はどうするのかということで、この最高裁の判例では、先生のおっしゃいますように、形とか、それから名前とか、効能効果をうたっておるかどうか、あるいは販売方法がどうなっているか、そういう総合的に判断をして、これはやはり医薬品として国民の目から見て、一般通常の国民はそう見るぞということになれば、きちっと医薬品の承認をとらないで販売をすれば薬事法違反になるというのが最高裁の判例でございます。  したがって、具体的にこれはどうだ、これはどうだといってなかなか判断つきかねるものもありますが、やはり総合的に判断をして、これはきちっと国民の目から見て十分判断できるような形でやっていかなければならないというふうに思います。  それから第二点の、先生おっしゃいますように、広告の仕方というのも、これも非常に大事なポイントだと思います。  医薬品でないのに医薬品のような広告の仕方をするということは、これはもう当然薬事法違反になりますし、それから医薬品であるものを、逆にこれは一般の清涼飲料水と同じような広告宣伝をする。これは、たくさん飲めばいいのかなということで飲まれたら、これは危ない場合があるわけですから、医薬品は医薬品らしい広告の仕方、清涼飲料水は清涼飲料水らしい広告の仕方というものをやってもらうようにということを私どもは指導をしておるわけでございます。
  234. 刈田貞子

    刈田貞子君 済みません。時間がなくて大変残念ですけれども、公取さんにもきょうは来ていただいてありまして、テレビのコマーシャルについて、かなり際どい誇大広告をしているような部分があって、その辺のところもちょっとお伺いしたいと思ったんですけれども、私ちょっとそこまできょう立ち入る時間がなくなりましたので、これはカットさせていただきますけれども、いずれにいたしましても、このドリンク剤については、まだ私、内容成分として、ガラナエキスとかあるいはカフェインあるいは糖度、その他添加物、そういうものについていろいろお伺いしたいことがたくさんあるわけですけれども、次回に譲ることにいたしまして、きょうは一番問題にしております液中のアルコール分についてちょっとお尋ねをいたします。  ここにカストロマトグラフ使用の分析したデータがあるわけですけれども、このデータによりますと、このドリンク剤の中には、余り知られていないけれども、アルコール分が非常に多く含まれていること、このことをちょっと考えていかなければならないのではないかというふうに私は思いまして、きょうは御一緒にこれを考えていこう、こういうことで提起をいたしますわけでございますが、ちなみに、ある会社ではアルコール測定量が五・五〇、絶対アルコール量で一・六五、それからもっと高いのでは、測定量八・七%、そして絶対量で一・七四ミリリッターですね。最高にあるのは一一・六〇、パーセンテージで。そして、絶対アルコール量は二・三二ミリリッター、これは大変な量になります。一一・六%というアルコール濃度は、ピールのアルコールが四%ですから、大体それの三倍に近いアルコールを含んでいるというようなことになるわけでございますけれども、ところでこの瓶を見ますと、アルコールが含まれていることが表示されていないで入っているものがあるのですが、この扱いについてはどういうふうに考えたらよろしいでしょうか。
  235. 正木馨

    政府委員(正木馨君) 薬事法上は、直接の容器に記載する事項、それから使用上の注意として記載する事項、これが薬事法の五十条、五十二条に規定があるわけでございますが、直接の容器の記載事項としましては五十条に書いてございますが、その有効成分についてはその名称、それから分量というものを記載するようにと、その他副作用あるいは習慣性があるとかいったような表示をするようにという規定があるわけでございます。  ところで、先生のおっしゃいましたドリンク剤には確かにアルコール分が入っておるわけでございますが、これはそのドリンク剤の成分である生薬成分の抽出用、普通の水じゃなかなか溶けませんので、アルコールの中で生薬をずっと漬けておきまして、それで抽出をする、それからあるいはまた成分の溶解用に使われるということで、本来成分として使われておりませんために、表示は義務づけられておらないというのが現状でございます。
  236. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 医薬品であるドリンク剤につきましてはただいま業務局長が御答弁申し上げたとおりでございますが、いわゆる清涼飲料水、ドリンク剤類似の清涼飲料水につきまして、表示はどうなっておるかということでございますが、食品衛生法によりましてはアルコール分の表示は義務づけておりません。清涼飲料水につきまして、アルコール分を一%含んでおる場合には、これはアルコール飲料といたしまして酒税法の酒類に当たるわけでございますが、酒税法によりましてアルコール分の表示の義務が課されておるわけでございます。
  237. 刈田貞子

    刈田貞子君 ここにありますのが小児用ドリンク、子供が飲むドリンクというのができております。この小児用ドリンクにもアルコールが入っております。これいかがなものでございましょうか。
  238. 正木馨

    政府委員(正木馨君) 医薬品として承認されました小児用のドリンク剤にも、これは先ほど申しましたように生薬の抽出用ということで入るわけでございます。しかし、これはアルコール分をさらに加味いたしますと、何か飲んだあと気持ちがいいような感じがするというようなことで入れられますと、これは小児用の場合にはなかなか問題がございます。ですから、完全に一〇〇%アルコール分のないようにするということはなかなか難しい面があるかと思いますが、私どもの指導の仕方といたしましては、一般のドリンク剤についても、できるだけアルコール分は少なくするように、それから特になかんずく小児用については、アルコール分というものをできるだけなくするようにということを指導をしておるということでございます。
  239. 刈田貞子

    刈田貞子君 私は四年ほど前からこのドリンク剤を大変心にかけていろいろ見てきた者の一人でございますけれども、やっぱり一番気になるのがこのアルコール分でございました。ここに一つの実験データがありますので、それを御紹介いたします。  これは名古屋経済大学の浅井先生のデータを拝借しておりますけれども、アルコール一%含有、そういうふうに書いてあるものがあるわけでございますけれども、そのアルコール一%含有のドリンク剤を飲んで、そしてその飲んだ人のいわゆる動態視力、動きながら物を見る視力ですね、この動態視力をはかったデータがございます。先生は、このアルコール分が自動車の運転の際に最も大切な動態視力を低下させているのではないか、こういうことで御研究を長いこと続けてこられた方でございまして、先生のおっしゃるところによりますと、このドリンク剤一%含有のものを飲んで動態視力が一五%低下をする、こういうデータを研究しておつくりになられました。私はかってからこのアルコール分が非常に気になっていた者の一人といたしまして、これは大変なデータであるというふうに実は思ったわけでございます。  それからもう一つの実験は、この一%含有のドリンク剤を飲んだ二十分後に、その人のゼロであった血中濃度中のアルコールが三〇に上った。そして、これが六十分、一時間たってもまだゼロに戻らない、九である。これがゼロに戻るには二時間かかる。こういう実験なんです。  私はこれを見て大変に脅威に感じたわけですけれども、今度これ自動車の運転のことでございますので、警察のお方がお見えになっていてくださると思いますが、道路交通法で言うところのいわゆる血中のアルコール濃度というものにはほど遠いものだというふうに思いますけれども、なおかついわゆる動態視力がそれだけ下がっていくという、この問題についてどのようにお考えになられますか、ひとつ御意見を。
  240. 山崎毅

    説明員(山崎毅君) お答えを申し上げます。  道交法では、六十五条で酒気帯び運転を禁止いたしております。御指摘のように、身体に通常保有するアルコール分以上保有して車両等を運転することは、たとえ微量であっても運転に影響を及ぼすおそれがあるということから、好ましくないことであろうというぐあいに考えておるところでございます。
  241. 刈田貞子

    刈田貞子君 今私が申し上げましたデータは、一%アルコールを含んでいるものでやった実験です。先ほど申し上げましたように、一一・六%あるいは五・五%、八・七%、こういうアルコールを含んでいるドリンク剤がたくさんあるわけですね。そういたしますと、さっきの動態視力が一体どうなっていくのだろうか、こういう心配が多々出てくるのではないかというふうに私は思っております。  次に、もう一つの事実を御紹介いたします。これは五十七年十月十七日午後二時ごろ、名神高速道路彦根付近で起きました衝突事故でございます。このドライバーは即死と伺っておりますが、この遺体を解剖なさったのが京都府立医科大学の古村先生でございますが、法医学の大家でございます。この先生はこの解剖に立ち会って、体内から多量のアルコールが検出された、そして尿の中からも同様なものが検出された、こういうデータをお持ちでございます。ところが、このドライバーは、その後調査して判明したところによりますと、お酒は一滴も飲めない人であった、こういうことがわかりました。ただし食事の後に必ず二、三本のドリンク剤を常用していた、こういうことでございます。これからこれは推測になるんですけれども、彼は昼食をとった後一休みをした。そしてドリンク剤を二、三本飲んで運転開始、そして午後二時ごろ彦根付近に差しかかった際に事故が起きたというふうに考え、古村先生はこの事故がドリンク剤中のアルコールと何らかのかかわりがあるというふうにおっしゃっておられるわけでございますけれども、この点いかがでございましょう。
  242. 日下部登夫

    説明員日下部登夫君) お答えをいたします。  御質問の交通事故は、先生昭和五十七年とおっしゃいましたけれども昭和五十六年十月十七日午後二時二十二分ごろ、滋賀県の彦根市小野町地内の名神高速道路上り線、四百十二・六キロポスト付近で発生いたしました車両八台の多重追突事故で、二台が火災で焼失いたしましたほか、びわこ国体応援帰りの家族四名と追突車両の運転手一名の計五名が死亡いたしまして、十四名がさらに重軽傷を負ったという事故ではないかと思います。  この事故の被疑者の酒気帯び運転容疑につきましては、死因等の鑑定に当たりました、当時滋賀医大の古村先生から滋賀県警の捜査員の一部が、事件送致後、被疑者の体内から微量のアルコールが検出されたという話を聞いた人もおるようであります。ただ、事故原因は、もう一方の過労についての鑑定を行いました同じ滋賀医大の精神医学教室の山根先生の鑑定に基づきまして過労運転と判断いたしまして事件を送致したところでございます。  なお、このような被疑者の当時の過労状態から見て、やはりドリンクの常用者ではなかったのかというふうに考えているところでございます。
  243. 刈田貞子

    刈田貞子君 私もアルコール分について前から大変問題意識を持っておりましただけに、この浅井先生、古村先生のお話を伺いまして大変にショックを受けているわけでございますけれども、このドリンク剤中のアルコールがこんなことに災いをしていくのではないかというふうなことを考えたとき、厚生省ではどんなことをお考えになりますか。
  244. 正木馨

    政府委員(正木馨君) 先生おっしゃいますように、いわゆるドリンク剤には、生薬の抽出用等のためにアルコールが含有されておるわけでございますが、これはまあごく微量のものでございます。パーセンテージから言いますとかなり高いものもあるわけでございますが、量としましてはかなり少ないものでございます。例えて申しますと、アルコール濃度が仮に一〇%入っておるといたしましても一日の摂取量としては二・二ミリリットル、ビールの小さな缶で申しますと大体十五・八ミリリットルということで、量の面からは非常に違いがございます。しかし、これは個人差もあるわけでございますので、だれにとっても問題はないということにはならないと思います。  そういう意味で、現在のところその表示は義務づけられておりませんけれども、やはり一般の方から見てドリンク剤にアルコールが入っているということがわからない人も多いわけでございますので、そういう面からも今後その表示の面で考えて検討していかなければならないというふうに思っておるわけでございます。
  245. 刈田貞子

    刈田貞子君 春の交通安全週間が終わった直後でございますけれども、突然のあれでデータお持ちかどうかわかりませんが、この安全中の酒気帯び運転の量などおわかりになりますでしょうか。——わからない。そうですか。今、概して言えばこの酒気帯び運転というのは多いのか少ないのか、そのくらいおわかりになりますか。
  246. 山崎毅

    説明員(山崎毅君) お答えを申し上げます。  春の交通安全運動期間中のデータを持っておりませんので、最近五年間のデータで申し上げたいと思いますが、まず事故でございますけれども、最近五年間の人身事故のうち飲酒運転が原因で起こった事故は、五年前の五十四年が一番多うございまして九千四百十七件、以後わずかに減少いたしまして、昨年昭和五十八年は八千七百二十件でございました。また、そのうち死亡事故について見ますと、最近五年間では五十七年が最も多くて八百二十九件、昨年は若干減りまして七百九十五件でございます。この事故の発生の状況から見ますと若干減っておるということになります。  しかしながら、私どもが酒気帯び運転もしくは酔っぱらい運転といたしまして取り締まり検挙をしておる数につきましては、昨年が三十五万四千九百三十九件でございまして、五十四年を一〇〇といたしますと二〇一でございまして、この検挙の数は非常にふえておるということが言えるわけでございます。
  247. 刈田貞子

    刈田貞子君 その酒気帯び運転の場合は、例のこれで調べるんですか、酒気帯び運転の調べ方。
  248. 山崎毅

    説明員(山崎毅君) 酒気帯び運転の調べ方はいろいろございますが、一番典型的な調べ方は、先生先ほどお示しの検知管を用いて調べるのが一番典型的な調べ方でございます。
  249. 刈田貞子

    刈田貞子君 それによりますと先ほどドリンク剤の中に入っている程度のいわゆるアルコール度は出てこないんですか。
  250. 山崎毅

    説明員(山崎毅君) 私どもが検知をいたしますのは、道交法例に定めるとおり呼気または血中に含まれるアルコールの率ということで検査をするわけでございます。したがって、極めて微量なアルコール含有というものは私どもの検挙の対象になっていないわけでございます。
  251. 刈田貞子

    刈田貞子君 今私が使いました名古屋経済大学の浅井先生のこのデータというのは、四十四年ごろから先生が長い間積み重ねてつくってこられたデータでございまして、交通事故との因果関係を研究され、重ねてこられたものでございまして、私はこういう地味な研究にも耳を傾けていきたいというふうに思っているわけでございますが、このデータは昭和四十九年に埼玉県警の科学捜査研究室にも提出してあるのでありますけれども、そのときには取り上げられなかった、こういう経過があるんですけれども警察庁ではこの種のものはやっぱりデータにはならないんでしょうか、お伺いします。
  252. 山崎毅

    説明員(山崎毅君) ただいま埼玉県警のお話が出ましたが、警察庁ではちょっと承知をいたしておりませんけれども、この飲酒の問題につきましては、先ほど御報告しましたように道交法の六十五条で酒気帯び運転全体を禁止をするという形になっておりまして、そのうち罰則がついているものは先ほど申し上げたように呼気または血中のアルコール分の割合でもって決めておるのは御承知のとおりでございます。  ただ、そのほかアルコール分が運転行動にどういう影響を及ぼすかということにつきましてはいろんな角度で検討もいたしております。この資料、先生今お示しの資料は私どもまた拝見をしないとわかりませんけれども、そうした検討の一つの材料には十分なり得るものであろうかというぐあいに考えます。
  253. 刈田貞子

    刈田貞子君 私は、やっぱりこれを警察庁の方でもデータとしてひとつ検討していただきたいということを希望いたしますし、それから、あわせて厚生省の方でもこういう種類のことが起こり得るということを念頭に置いて、いわゆる溶解剤として使っていくアルコールの適正量というのがどこまで考えられるのかというふうな問題についても検討してみていただきたいというに思うわけですけれどもいかがなものでしょうか。
  254. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 大変刈田先生御勉強をいただいて、私どももこれチョコレートにウィスキーが入ってるのは食べたことありますけれども、ドリンク剤の方は——しかし、今お聞きしますと、これはアルコールが入っていると知らないで、ドリンク剤を飲んで酒に酔っぱらって運転事故を起こしたんでは大変でございますから、よく関係当局を指示しまして、やはりアルコールが入っているドリンク剤はきちっとアルコールが入っているということを表示するように指導をしまして、間違いの起こらないように努めてまいりたいと思います。
  255. 安武洋子

    安武洋子君 食品添加物の問題についてお伺いしたいと思っておりましたけれども、けさほど来論議もございましたので、重複を避けまして、私、飲料水の安全の問題についてお伺いをいたします。  兵庫県揖保郡の太子町でございますが、ここで水道用の地下水とかあるいは飲用に使っております井戸水から発がん性が指摘されておりますトリクロロエチレン、これが大変高濃度で検出をされております。中にはWHOの基準値の三百三十倍の一万ppbというふうな高濃度もございます。  大変住民が不安に陥ったわけでございますけれども環境庁、この汚染の経路と原因、この究明はどうなっておりますでしょうか。
  256. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) お答えいたします。  太子町におきましては、昨年の名水道水源の井戸からトリクロロエチレンが検出されましたことに端を発しまして、その後局町の調査によりまして汚染の分布等が明らかになっております。現在までのところ、一般用井戸については約三百本の井戸が調査されまして、うち約百本の井戸から水道水質基準〇・〇三ミリグラムパーリッターを超えるトリクロロエチレンが検出されているという報告を受けているところでございます。  これらの汚染の分布等から見まして、ほぼ汚染源が特定の工場に絞られている段階でございますが、どのような原因で汚染が生じたかを明らかにするにはまだ至っておりません。現在兵庫県簿の指導のもとにボーリング等の調査が行われておるところでございまして、高濃度の汚染土壌の存在が明らかになっております。現在その除去対策を進めるべく検討しているという報告を受けているところでございます。
  257. 安武洋子

    安武洋子君 特定の工場とはどこでしょう。それから、なぜその工場がまだ特定できないんでしょうか。先ほどそういうニュアンスの御発言がございました。そして、ボーリング中ということでございますが、ボーリングはもう済んでいると思いますがいかがですか。
  258. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 工場名は東芝太子工場でございます。  それから、ほぼ特定はできているわけでございますが、汚染のメカニズムがはっきりしないわけでございまして、現在ボーリングをいたしまして、その工場中の特定の部分の汚染濃度を調査している段階でございます。どうしてそこのところの土壌だけが特に汚染されているかというメカニズムはいまだ特定するに至っておらない、かような報告を受けておるわけでございます。
  259. 安武洋子

    安武洋子君 ここの工場では、過去大量にトリクロロエチレンが使われておりましたし、そしてこの敷地内に産業廃棄物としてここに埋められたのではなかろうか、それが検出をされたというふうに聞いているわけです。  いずれにしても、この工場を特定していただいて、私はこういう地下水汚染をやったという企業責任ですね、ここをやはりはっきりさせていただかないと町民も町も大変な負担でございます。こういう点の見通しいかがでございますか。
  260. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 兵庫県においてただいま先生が御指摘のように、汚染のメカニズムをはっきりさせるべく現在京都大学の平岡先生調査をお願いしておるところでございまして、間もなくすべての原因等が明確になるというふうに私どもは考えておりますし、また、そのように指導してまいりたいと思います。
  261. 安武洋子

    安武洋子君 この地図ごらんいただいて、小さいですが、これが工場ですね、東芝の。そして、この南に沿って、地下水に沿ってずっと汚染が進んでいるということで、この工場が原因一つであるということは、もうはっきりしているわけなんです。ですから、私はここは企業責任は免れないと、こういうふうに思います。すべての問題がいつごろはっきりするのか、その期日はいつごろなのか、そして企業責任がはっきりすれば、ここに対して住民なり町が負担をしたという、こういう損害についても十分に私は賠償責任があるというふうに思います。その点いかがでしょうか。
  262. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 時期につきましては、私どももまことに遺憾ながら、現在ただいま何月までというふうにはっきり申し上げるだけの材料は、知見は得ておりません。しかしながら、兵庫県においても可及的速やかにそれを明らかにするような方向で努力されているというふうに私ども報告を聞いているところでございます。  それからまた、汚染源及びそのメカニズムが特定された場合に、ただいま先生のおっしゃられました企業責任という問題でございますが、これは各種公害につきましては、発生原因者の責任というような原則が確立されているわけでございますので、具体的な事情に応じてその原則を適用して、妥当な解決がなされることを期待しておりますし、私どももそのように指導いたすつもりでおります。
  263. 安武洋子

    安武洋子君 トリクロロエチレン等の飲用水の規制値といいますのは、三月に厚生省が決められております。しかし、工場の排水基準が決まっていない、これは大変片手落ちではなかろうかというふうに思いますが、環境庁としては、排出規制、これを早急になさるべきだと思います。御答弁をいただきます。
  264. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 現在、水質汚濁防止法の体系によれば、先生も既に御承知かと思いますが、これらの物質については、規制の対象になっていないところでございます。  それからまた、これらの物質の使用実態等が必ずしも現在明確になっていない段階でございまして、例えば中小企業等の利用も非常に多いわけでございまして、これを直ちに規制するということにつきましては、私どもも非常に難しいわけでございますけれども、ただ、この種の物質について、現在のままで決していいというふうに判断しているわけではございませんで、現在その取り扱いについて検討中というところでございまして、暫時お時間をいただきたいというふうに考えております。
  265. 安武洋子

    安武洋子君 この水道水の規制値、これを決めても排出をそのまま野放しということには私はならないと思うんですよ。早急に結論を急いでいただいて、私はこういうことを規制していただきたい、排出規制をしていただきたいと強く要求をいたします。  それと、水道水の中に我が国では未解明の有機塩素化合物、これが検出をされまして、その中にアメリカなどの研究で溝性とか発がん性、これが指摘をされておりますものも含まれております。水道水への不安が今大変高まっているという状態でございます。  我が国の場合トリハロメタン類など数種を暫定値で規制されておりますけれども、水質基準が設けられていないものも大変多いわけです。飲料水の安全を確保するためにも、こういうものの汚染の原因究明あるいは毒性等の解明、こういうことで水質基準の規定が強く求められていると思いますので、この点厚生省環境庁の御見解をお伺いいたします。
  266. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) お話しのように、トリハロメタンにつきましては五十六年に、またトリクロロエチレン等につきましては本年二月に水質基準、暫定基準簿を定めたわけでございますが、今後も引き続き水源地等々の汚染の実態を把握しながら、また諸外国の規制の状況等も検討しながら、必要なものにつきましては順次検討を進め、暫定基準等の設定を進めてまいりたいと考えております。
  267. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) ただいま御指摘の水質環境基準の点についてでございますが、今後これら有機塩素系の化学物質による微量汚染が私どもの水質保全行政上の非常に大きな課題になってくるであろうということは御指摘のとおりでございまして、そのような見地から私ども昨年、それから本年度と地下水調査等行っているわけでございます。これら環境基準を決めるということになりますと、それぞれの物質のいわゆるクライテリア、判定基準等についての研究が必要になってくるわけでございまして、今後の課題としてこれらの有機塩素系の化学物質の水質基準の検討等やってまいりたいと、かように考えております。
  268. 安武洋子

    安武洋子君 毎日飲む水道水のことですから、私は皆が安心して飲める水ということで、極力努力をしていただきたい。そのことを申し添えまして防衛の問題に移らせていただきます。  空飛ぶ司令部と言われておりますE3A、この問題についてお伺いをいたします。  まず、今までE3Aの参加した自衛隊の訓練の回数、そして内容をお伺いいたします。
  269. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先生御案内のように、航空自衛隊と米空軍との間では、大体月一回ぐらいのペースで戦闘機戦闘訓練というものを五十五年度から行っておりますけれども、その中で米側のE3Aが出れるようなチャンスを選びまして現在までに八回、E3Aの参加した戦闘機戦闘訓練を行っております。  それじゃE3Aは何をするかと言いますと、主として戦闘機戦闘訓練でありますので、迎え撃つ側と攻める側と分かれて戦闘訓練をやるわけですが、その際の目標機の情報を提供する、あるいはまた演習の前後の航路等について最短距離等を計算をして、その種飛行経路についての情報を提供する、そういった役割を果たすわけであります。
  270. 安武洋子

    安武洋子君 では、このE3Aに自衛隊員が乗っておりますけれども、どのようなことを行っているんでしょうか。
  271. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 私、先ほどちょっと五十五年度と申し上げましたが、五十三年度の間違いなんで、訂正さしていただきます。  自衛隊員が一人だけ、要撃管制官が乗っておりますけれども、これは戦闘機戦闘訓練というのは、御承知のように大変危険な戦闘訓練でありますので、何か緊急事態が起きたといったようなときのために、安全のために、その際日本語で僚機といいますか、航空自衛隊側の戦闘機にいろいろな指示が行えるようにということで、一人要撃管制官を乗せております。
  272. 安武洋子

    安武洋子君 では、日米共同訓練のとき、この自衛官はE3Aに乗りまして、そして緊急事態が起こったときに日本語で言うということで、じゃ自衛隊の指揮管制、これは常にはだれが行っているんでしょうか。
  273. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 指揮系統はあくまで自衛隊は自衛隊、米軍は米軍ということでございますので、通常の要撃管制に関する指揮はレーダーサイトの要撃管制官が行う、それから編隊においては編隊長が指揮命令を行うということでございます。
  274. 安武洋子

    安武洋子君 では地上のレーダーサイトが敵襲で破壊された、こういう前提の訓練が行われているという報道がございます。こういうときに自衛隊の指揮管制というのはどういうことになるんでしょうか。
  275. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先ほど申し上げたように、米軍との関係は調整関係あるいは情報の提供ということでございますので、ある情報の提供を依頼するかしないかあるいは受けた情報を使うか使わないかという判断、決心は自衛隊は自衛隊独自の判断でやるわけでございますから、例えばE3Aに対してある情報の提供を求めるのは、編隊長なら編隊長の決心で求め、それを使うか使わないかは編隊長が決心をして、それを使うなら使うということで、隷下の部下の編隊機に命令をするという格好になるわけであります。
  276. 安武洋子

    安武洋子君 E3Aといいますのは、アメリカ軍に対してはどのようなことをやっているのですか。
  277. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) E3Aが米軍に対しては恐らく我が方のレーダーサイトと同じような役割を果たしておるのではないかというふうに私は考えております。
  278. 安武洋子

    安武洋子君 それでは日米共同訓練ですね、そのときにアメリカ軍に対してはE3Aは指揮管制をやる、そして我が方には指揮管制は自衛隊は自衛隊でやるのだからやらない、こういうふうにおっしゃいましたけれども、これはそういうことになるんですか、確認しておきます。
  279. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 戦闘機戦闘訓練に際しましての一般的な米軍に対する要撃管制その他の指揮は、現在戦闘機戦闘訓練をやる場合にレーダーサイトを一時的に米側に使用させることにしておりますので、米側のチームがレーダーサイトに来ておりまして、そこから指揮管制を行うということになっております。
  280. 安武洋子

    安武洋子君 ちょっとよくわからないのでもう一度聞きますけれども、アメリカはE3Aから情報を受けて、そして指揮管制、こういうことで動いているわけですね、日米共同訓練のとき、違うんですか。
  281. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) ちょっと違っておりまして、現在の戦闘機戦闘訓練におけるE3Aの役割は、日米相互に情報を提供するという役割をとっておりまして、それじゃ米軍機の要撃管制なり指揮管制をどこがやっているかと申しますと、日本側のレーダーサイトを戦闘機戦闘訓練期間中米側の一時使用を許可しておりますので、レーダーサイトに米側の管制官等の指揮のための陣容が来ておって、そこから指揮命令を発しておるということであります。
  282. 安武洋子

    安武洋子君 地上のレーダーサイトが敵襲で破壊されたという前提で訓練を行う、こういうときはどうなるんですか。
  283. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) そういう訓練は行っておりませんので、米側がどうするかということはわかりませんが、その際にはE3Aがあれば米側にとってはそういうことを使うこともありましょうし、別のレーダーサイトでそういう管制を行うということもあろうかと思います。
  284. 安武洋子

    安武洋子君 地上のレーダーサイトが敵襲で破壊をされたという前提で訓練をやったということが報道されておりますけれども、これはそうじゃないということになるんでしょうか、それが一点。  それから地上のレーダーサイトが敵襲で破壊されたというときにこそ、E3Aの任務というのはそういうものだと思うんです。それが、じゃ地上のレーダしサイトが敵襲で破壊されて使い物にならない、こういうときにはどういうふうにして自衛隊の指揮管制あるいはアメリカ軍の指揮管制、これがやられるという想定になっているのですか。
  285. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 我が方、現在まで陸上のレーダーサイトのほかに、E2Cという早期警戒機、管制のできる航空機を現在整備中でありますから、将来の問題とすればレーダーサイトが使えないあるいは最寄りのレーダーサイトも使えないということになれば、そういうE2Cといったような航空機も使われるでありましょうし、米側にとっては先生御指摘のように、E3Aが使われることも当然考えられると思います。
  286. 安武洋子

    安武洋子君 E2Cはこれ将来の問題、今現在使えないということになりますんでしょう。今現在やはり訓練をやっているということになりますんでしょう。あなたたちは早期警戒機の導入、このE2Cの導入についてのときの統一見解というのを出しておられますよね。これは「本来、戦術統合作戦の指揮統制用のものであり作戦司令部戦闘指揮所等の代替機能を含むものである」ということを明確に書いていらっしゃる。じゃ、今日米共同で訓練をしているときにE3Aが参加をしているのにわざわざと地上のレーダーサイトを使い、そして自衛隊も——自衛隊は地上のレーダーサイト、これが破壊されたときには——明確におっしゃいませんけれども、ということになれば、何もE3Aが参加をした訓練なんてやる必要ないんじゃございませんか。
  287. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) E3Aの特徴を申し上げますと、御承知のようにレーダーサイトと違って空中を飛んでおるわけですから、低空侵入してくるターゲットになる目標機が低空から入ってきても早く発見ができるということになりますですね。そうしますと、そういう発見をした情報というものを地上のレーダーサイトに通報する、つまり情報提供するといったような役割を果たし得るわけであります。さらに、レーダーサイトよりもターゲットと要撃側の航空機が会合する海域に近いところにおるとすれば、そこに向かってくる、要撃してくる航空機、これは航空自衛隊の場合も米側の場合もあろうと思いますが、それらに最も適切な経路というものについての情報を提供することができるというようなことになるわけです。かかるように、E3Aはいろいろな場合、場合によっては先生のおっしゃるようにレーダーサイトが破壊されている場合もあるかもしれませんが、その種の場合にさまざまなレーダーサイトにかわる情報を提供する能力を持っておるわけであります。そうしますと、我が方はその情報の提供を受けて、それを我が方なりにそしゃくをして、利用して戦闘訓練を行うということになるわけであります。
  288. 安武洋子

    安武洋子君 レーダーサイトにかわるというよりも、レーダーサイトでやれないことができるわけでしょう、E3Aというのは。非常に低空から侵入してくる、それも捕捉できるということで、地上のレーダーサイトではできないことができるというのが私はE3Aだというふうに思います。ですから、E3Aを使った訓練というのであれば、そこの地上のレーダーサイトでできないことをやれる、そういう訓練、こう考えるのが当たり前じゃありませんか。どうなんでしょう。
  289. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) おっしゃるとおり、E3Aは先ほど申したように、高空を飛んでおるわけですから低空侵入機を早期に発見をできるといったような利点を持っておるわけでありますから、E3Aが参加した訓練に際しては、そういうE3Aの特徴を生かした情報提供等行ってもらって行う要撃戦闘、戦闘機戦闘訓練を行えるというようなことができることになるわけであります。
  290. 安武洋子

    安武洋子君 情報情報とおっしゃいますが、情報もそうでしょう。しかし、ここにはっきりと「戦術統合作戦の指揮統制用のもの」だというふうに明確に言われているように、やはりそこから指揮統制がなされるものである。レーダーサイトが地上で破壊されても十分に機能できるように、そこが私はE3Aの特色であろうというふうに思うわけなんです。ですから、こういう指揮統制ももちろんやられるということが前提にされて訓練がなされているんじゃありませんか。
  291. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) E3Aが要撃管制なり指揮統制ができる機能を持っているということについて、私先ほどから否定をしておるわけじゃございませんで、そういう指揮関係というものがあくまで米軍と自衛隊とは別の指揮関係に立っておるということを私は先ほどから申し上げておるわけでありまして、したがって、米側に対してはE3Aはあるいは指揮統制を行うことがあるかもしれませんが、我が方に対してはあくまで情報の提供であり、我が方はその情報をどう利用するかというのは、我が方独自の判断で行えるという意味において指揮命令関係にはないということを申し上げているわけであります。
  292. 安武洋子

    安武洋子君 それではね、日米合同訓練ですから、米側はE3Aから情報提供を受け指揮管制を受けて整然とやると。片方は、日本は同じように訓練しているにもかかわらず、こちらの方から情報の提供だけしか受けないから、だからこの指揮管制も何もないと、地上のレーダーサイトが破壊されると、めちゃくちゃだと、これで訓練になるんですか、素人でもそんなこと考えられませんけれども
  293. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) その辺がまさに訓練のいいところでありまして、そういう情報を受けたところでそういう情報をもとにして指揮官、例えば編隊長が十分な戦闘行動を行えるようにするということが訓練の主たる目的の一つになるわけであります。
  294. 安武洋子

    安武洋子君 ではね、E3Aには戦闘情報指揮官、こういうのが乗っているんじゃありませんか。
  295. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 調べてみなきゃわかりませんが、私の方では米軍のE3Aの乗り組みの中の、どういう職員の者が乗っているかということについては承知いたしておりません。
  296. 安武洋子

    安武洋子君 合同訓練をやりながら、E3Aに自衛官が乗りながらわからないって、私はそんなでたらめな答弁をしていただいたら困ると思うんです。先ほどから指揮が一元化されていない、一元化されていないと盛んに言い逃れなさっておりますけれども、地上のレーダーサイトが破壊されてしまうと、そしてE3Aが日米合同訓練にアメリカの方だけ指揮管制をしていると、そんなことで訓練になるはずないというのはだれが考えても明白なわけです。何を言おうと狭い機内です。だから、国民の目も届かない、私どもにもわからないというふうなことで、私は事実上ここで指揮の一元化をするというふうなことで、まさにこれは私は集団的自衛権に踏み出している、あなたたちは。それをごまかしてなさるということにほかならないというふうに思うわけです。あなたたちが示されたこの統一見解にも合わないわけでしょう。  私は聞きますけれども、一体自衛隊は、じゃ何のためにこのE3Aに乗って訓練をしているわけですか。
  297. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先ほども申し上げたように、E3Aに一人管制富を乗せておりますが、それは訓練のために乗せておるんではないということを私申し上げて、E3Aで何かを訓練を受けているということではなくて、戦闘機戦闘訓練の最中に何か緊急事態でも起こったときに日本語でもって十分な管制なりそういったことができるような人間を積んでおるということでございます。
  298. 安武洋子

    安武洋子君 ではね、今そういう人を乗せている、緊急事態が起こるということも想定されている。そのときに自衛隊何かしなければ困るというふうなことであれば、じゃ有事の際、このときはE3Aに乗って共同でいろんなことをやるというふうなことは考えてなさるわけですか。
  299. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 御質問の共同で何かするという意味がよくわかりませんが、有事の際、日米は共同してその侵略に対して対応をして作戦行動を行ってあるわけでございますから、E3Aに限らずすべての点において日米間は共同関係にあるということが申し上げられると思うんです。その際、E3Aがどうなるかということについては、ちょっと個別の場合でございますので何とも申し上げられないし、有事の際に我が方からそういう安全確保のために米側のE3Aにだれかが乗り組むといったようなことは常識的には余り考えられないということだけ申し上げておきたいと思います。
  300. 安武洋子

    安武洋子君 E2CがあるのになぜE2Cを使わないで、E3Aのこういう合同訓練に行かれるんですか。それは後で答えていただいたらいいですが、私はここに新聞報道を持ってきております。これは「朝雲」です。これによりますと、八四年の二月の六日から九日までの四日間、四国沖で米軍機と自衛隊機が海上自衛隊の護衛艦「しらね」、「くらま」、これを標的として、E3Aが参加しておりますけれども、ここで共同訓練をしております。有事にE3Aからの管制指揮で米軍と共同作戦をする、この訓練ではないかと、こういうふうに思いますけれども、これは何のための訓練ですか。
  301. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先ほどから申し上げていますように、日米が共同訓練をするということは、私は否定もしませんし、有事の際、日米が常に共同して侵略に対応するということは申し上げているとおりであります。  ところで、ことしの二月の四国沖の訓練でございますが、これは通常行われております戦闘機戦闘訓練を行ったわけでございますが、その際に援護訓練——援護というのは、例えば今お話のあった航空機について、航空機が援護につく、CAPにつく。それに対して敵方がかかってくるという場合に行われる戦闘機戦闘訓練、そういう想定で行われたわけであります。したがいまして、通常の戦闘機戦闘訓練の中の一つの態様であるというように考えております。
  302. 安武洋子

    安武洋子君 ちょっとわからないので聞きますけれども、では自衛隊の方は「しらね」と「くらま」、これを援護して入ってくる。それに対してアメリカがそれを標的として攻撃する、こういうことですか。
  303. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 援護戦闘訓練というのは、ある航空機を援護しているものに対してかかってくる航空機、その間で戦闘機戦闘訓練を行うということでありますが……申し上げますが、米側と日本側で月に一回ぐらいのペースで行っております戦闘機戦闘訓練というのは、戦闘機同士の異機種訓練ということが目的であるわけです。その際いろいろな形がありまして、例えば、本土に向かって空襲といいますか、航空攻撃をかけてくる航空機、それが目標機であって、それに対して要撃訓練をするという場合に行われる戦闘機戦闘訓練というのが一つございますね。そういった場合もありますし、今申し上げたように、例えば、ある艦艇というものがあって、艦艇を守る側と攻める側がある。その際に行われる戦闘機戦闘訓練ということもあるわけです。そういうために艦艇というものが出たということでありまして、そのほか、これはわざわざ海上自衛隊に艦艇を出してもらいましたから、後ほど海上自衛隊の艦艇に対する攻撃訓練を別途行いましたけれども、これは戦闘機戦闘訓練とはまた別のものであります。
  304. 安武洋子

    安武洋子君 戦闘機戦闘訓練と言われるんですけれども、この場合は一体どういうふうになったんですか。アメリカがどうなって、それで自衛隊がどうなったかというのがちっともわからない。「くらま」と「しらね」はわかりますよ、標的にしたんだから。だからE3Aがいて、そして自衛隊機はどういう役割を果たして、それからアメリカの飛行機はどういう役割をして、どういう訓練のやり方をしたんですか、この場合。
  305. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 戦闘機戦闘訓練と申すのは、常に片方側がターゲット、攻める側になり、片方が守る側になるわけでございませんで、どちらか交代になることがあるものですから、米側は特有の、固有の役割があって、日本側は日本側の固有の役割があるということではございませんで、攻める側に回ったり守る側に回ったりということで戦闘機戦闘訓練は行われるわけであります。
  306. 安武洋子

    安武洋子君 やっぱりわからない。この一つの訓練がどうだったんですかといって聞いているのね。だったら、これは「くらま」と「しらね」を標的にしたと言っている。そうしたら、一緒に攻めていったんですか。それともアメリカが攻めた後で日本が攻めていったんですか。
  307. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) それじゃ一つの場面だけで申し上げますと敵、味方がはっきりするので申し上げますが、「しらね」と「くらま」という艦艇が二隻います。そこへ日本側がCAPというか、援護についておる。そこへ米側がかかってくる。その場合は、我が方が守る側ですから、向こう側が攻める側になる。その間で、攻める側と守る側の戦闘機同士が戦う訓練をしたというのが戦闘機戦闘訓練の一つの態様であります。
  308. 安武洋子

    安武洋子君 最初からそう言ってくださればいいのね。  それで、そのときにE3Aは何をしていたんですか。
  309. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) E3Aは、先ほど申したように、艦艇がかなり遠くにおります。そうするとそれはレーダーサイトから見えません。そうすると艦艇の近くに、例えば攻撃する側に対しては恐らく艦艇の上空に行く経路等の情報を提供するでありましょうし、守る方の側、我が庁が艦艇の上空にCAPする場合もまずそこにたどり着かなくちゃいけないわけです。そういうための最短経路等の情報を受ける。あるいは攻める側の米側が低空から近づいてくるというようなときに、そういう来たぞという情報を受ける。そういったような情報提供の役割をE3Aは果たしておるわけであります。
  310. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、守る方にも攻める方にもE3Aは一応情報を渡して、そうして訓練をしている。じゃ、アメリカの方は指揮管制もやる、こちらの方は情報だけと。こういうことで本当に訓練になるんですか。片方は整然として、攻めもし、指揮も管制もされる。こっちはばらばらで、情報だけ受けて、そうしてやると。こういうことが本来的にあり得るんですか。先ほどから私は何度も疑問を提出いたしておりますけれども、指揮はやはり一元化されておりますんでしょう。それでなければこういう訓練をやったってむだじゃありませんか。
  311. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 何度も申し上げるようですが、我が方は常に我が方で訓練を常日ごろから積み上げておるわけでありまして、たまたまある情報をある程度持っておるからといって指揮官でもない人が指揮をとることが一元的な指揮ができるということではありませんで、それよりも、情報なら情報をいろいろな面から手に入れて、それをその部隊の、戦闘機部隊なら戦闘機部隊の指揮官がそしゃくをして判断をして、それで指揮統制をする方がはるかにうまく作戦はできるというように考えておるわけであります。
  312. 安武洋子

    安武洋子君 実に四百機に対して整然と指揮管制ができるようなE3Aのもとにあって戦うものと、それから情報を受けてさあどうしようかというふうなことでやるものとが対等に訓練ができるなんということは考えられない。私は、やはりこの指揮の一元化を隠すためにそういうことを先ほどから何度もおっしゃっていると断定せざるを得ません。  そこで、自衛隊というのは将来E3A、これを買う予定でございますか。
  313. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 現在、防衛庁といたしましては、このE3Aを購入する計画は持っておりません。
  314. 安武洋子

    安武洋子君 現在でなくて、将来も買いませんね。
  315. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 私どもは、装備の購入につきましてはいろいろ検討をして、現在でいえば五六中業というようなものでやっておるわけでございますが、そういう防衛庁としての判断の中に、現在そういうE3Aというものがないということを申し上げておる次第でございます。
  316. 安武洋子

    安武洋子君 そこら辺が実にあいまいになってくるんですよね。  あなたたちは、E2C、これを買うときに、「E−3Aが適当でない理由」という統一見解をはっきり示されているんです。「本来、戦術統合作戦の指揮統制用のものであり作戦司令部戦闘指揮所等の代替機能を含むものであるため、低空侵入への対処という限定された運用要求をはるかに上回るものである。」、これがアですね。それから、飛行場がうんと要るとか、お金がうんとかかるとかというふうなこととか、性能とか、こういうことでE2Cは適当であり、E3Aは適当でない、こういうことを挙げられている。そうして今E2Cもまだ整備中だと、こうおっしゃっている。これがあるのにE3Aを将来的に買うかもわからない、こういうことはあり得るんですか。
  317. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) E2Cを導入いたしましたときには、その時点におきまして自衛隊の日本防衛のための必要な作戦構想というものを前提にいたしまして、現在のE2Cの機能というものでこれは足りるという判断をいたしておるわけでございまして、その意味で、現在我々といたしましてはこのE2Cを整備をしていくということが具体的な計画として実行中でございます。それ以上の計画は現在持っていないということで御理解を賜りたいと思います。
  318. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、E3Aの管制範囲、これは一体どれぐらいになるんでしょうか。
  319. 古川清

    政府委員(古川清君) 私どもが持っております資料によりますと、E3Aは、低空では三百七十キロメートル以上のカバレージができると。高空に上がりますとまたそれ以上のエリアをカバーすることができると、そういうふうに理解をしております。
  320. 安武洋子

    安武洋子君 自衛隊はいずれにしても訓練は続けるんですね。
  321. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今後とも米側との戦闘機戦闘訓練その他共同訓練は我が方の戦術技量の向上に非常に役立つというようなことで考えております。E3Aを使った訓練も引き続き行いたいというふうに考えております。
  322. 安武洋子

    安武洋子君 防衛大綱では、航空自衛隊のシーレーン防衛の洋上防空範囲、これは数百海里以内と、こういうふうに国会で御答弁なさっておりますけれども、これは変わっておりませんか。
  323. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) シーレーン防衛を実施していく場合に、いわゆる洋上防空という問題が一つの問題点であることは御指摘のとおりでございます。  これについては、基本的に海上艦艇の対空ミサイルの装備といったようなことももちろん進めておるわけでございますが、航空自衛隊の戦闘機のカバレージの範囲内におきましては、そういう機能を活用することも当然あり得るということは従来からも申し上げておるところでございます。
  324. 安武洋子

    安武洋子君 いや、私が言っていることにきちっと答えていただいたらいいの。これは変えていないわけでしょう。海上の防空範囲というのは数百海里以内、国会答弁で塩田、当時の局長が言ってなさるけれども、これは変わっていないですね、ということに、変わっていたら変わっている、変わっていないなら変わっていないとお答えください。
  325. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 塩田防衛局長等の従来からの御答弁というのは、先ほど私、申し上げましたように、航空自衛隊の戦闘機の性能の及ぶカバレージの範囲川では洋上防空に対する寄与も可能であると、そういう範囲ではそういうオペレーションも考えておりますということを申し上げていたものと理解をいたしております。
  326. 安武洋子

    安武洋子君 E3Aを使いますと、これは数百海里をはるかに超えて一千海里、ここまで管制範囲が及ぶと思います。そのような一千海里の管制と、こういうものはやりますか、やりませんか。
  327. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) E3Aについての私どもの考え方は先ほど申し上げたとおりであります。  それからまた、今度は戦闘機そのものの性能の点でもやはりそういった作戦運用上の性能上の限界というものがあるわけでありますから、そこを超えて行動するということは、これは難しい問題であるというふうに思います。
  328. 安武洋子

    安武洋子君 では、E3Aを使って一千海里管制をやらないということを確認したいと思います。  さらにお伺いいたしますけれども、五九中業で大綱、これは変更しないと、こういう答弁を国会でなさっておりますけれども、これも変更しておりませんね。
  329. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 五九中業をどういった内容のものとしてつくっていくかということは、これは今後の問題でございます。まだ作成の方針についての長官の御指示もいただいていないわけでございます。したがって、具体的な問題について申し上げられる状況ではございません。  いずれにいたしましても、現在のところ、我々といたしましては、大綱を見直すというふうな考え方は持っていないわけでございます。
  330. 安武洋子

    安武洋子君 これは、栗原防衛庁長官が、したがいまして今そういうことは考えていないということでございますと国会答弁されておりますので、よもやこれは変えておられるということにはならないと思います。  そこで伺いますが、五九中業というのは、これは一九九〇年までのことでございますか。
  331. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 五九中業は、御承知のとおり、防衛庁が概算要求なり業務計画を作成するための参考資料として防衛庁が作成をするという性格のものでございます。  御指摘の五九中業の対象とする範囲の期間でございますが、これは昭和六十一年度から六十五年度までの五カ年ということになる見込みでございます。
  332. 安武洋子

    安武洋子君 アメリカの国防報告では一九九〇年、六十五年までですね、日本がシーレーン防衛できるように求めてきております。一九九〇年までに大綱を変えないということは、一千海里洋上防衛、航空機による、これはやれないし、やらないと、こういうことで確認をしてよろしゅうございますね。
  333. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) シーレーン防衛と申しますのは、我が国が武力攻撃を受けた場合にいろいろな形での我が国の防衛行動をとるわけでございますが、その形態の一つといたしまして、日本の海上交通の安全に対する妨害というものがあり得るわけで、それらから日本の海上交通の安全を確保するというために、そういったオペレーションをやっていくということでございます。  また、そういう作戦を行っていくための海上防衛力というものを整備をすることが必要なわけでございまして、その点は防衛計画の大綱の中で海上自衛隊のいろんな態勢あるいは装備を整備する、そういう目標を設定をしておるわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、防衛計画の大綱で考えております水準の海上防衛力というものが整備されることになれば、これは現在に比べまして、そういったシーレーン防衛能力が相当に向上をされることになるというふうに考えておるわけでございます。  そういったシーレーン防衛能力というものの中にはいろんな作戦能力があるわけでございまして、港湾の防備、海峡の防備あるいは哨戒、護衛等々の作戦があるわけでございます。また、その中の細部のバリエーションとしましては経空脅威、空からの脅威に対します洋上防空という機能も当然含まれるわけでございまして、そういったものを含めましてできる限り質の高い海上防衛力を整備していくということが私どもの大綱における目標になっておるわけでございます。
  334. 安武洋子

    安武洋子君 明確に答えていただきたいんです。  先ほどは、五九中業というのは一九九〇年まで五年間だと、こういうふうに御答弁があった。五九中業の中で大綱は変更しないと、こういう国会答弁もあります。  先ほど私が御質問しました中で、E3A、これを使うと、はるか数百海里以内と言っている、これを超えてしまう一千海里、こういう管制、これはやらないということになっているわけです。ということになれば、航空機による洋上防空、これはできないということになるじゃありませんか。なぜそのことが明確にはっきりと明言おできにならないんですか。それでよろしゅうございますね、私の言っている、こういう理解でよろしゅうございますね。
  335. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 洋上防空という機能は、これはやはりいろんな装備によりまして確保していく問題であろうかと思っております。  先ほど申し上げましたように、我が国の艦艇に装備されます対空ミサイルを初めとする諸装備、これらも有効に活用されるわけでありますし、それからまた、航空自衛隊の持っております戦闘機、これもその行動のカバレージの範囲内におきましては、そういったシーレーン防衛のための洋上防空の一環として機能し得る範囲があるということは先ほども申し上げたわけでございまして、何にもしないということではないと思います。
  336. 安武洋子

    安武洋子君 機能し得る範囲はわかります。それが一千海里を超えることはないと、こういうことですね。
  337. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 一千海里との関連で申し上げますと、要するに航空自衛隊の航空機の性能というものがおのずからカバレージが限界ございまして、それほど遠くのところまで飛んでいくだけの力を現在は持っていないわけでございますから、そういう限度でお考えいただいていいと思います。  それから、基本的にシーレーン防衛の考え方と申しますのは、これは前々申し上げておりますように、周辺数百海里、航路帯を設ける場合は主に一千海里程度の海域において海上交通の安全を確保し得るという能力を持つことを目標に防衛力の整備を実施しているわけでございますから、そういう意味におきまして、実際のオペレーションにおいてもおのずからそういった能力上の制約が、限界があるというふうに御理解いただいて結構だと思います。
  338. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、能力上の制限があるということで、これは今アメリカの方からワインバーガー発言がありますし、それから国防報告もあります。しかし、アメリカは要求してきてもこれは受け入れられないということで承知して次に進ませていただきます。
  339. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) この質問の最後に私にあると思っておったから、これは区切りのようですから申し上げます。  五九中業についてはまだ私の長官指示を出していない、そういう今までの過程の中で五九中業で防衛計画の大綱を見直すかと、こういう問いでございますからまだ長官指示を出していない、したがって、今のところ防衛計画の大綱を見直すつもりはない、こういうふうに申し上げたというふうに御理解いただきたい。
  340. 安武洋子

    安武洋子君 極東有事の研究についてお伺いをいたします。  ガイドラインの極東有事の際に防衛庁長官、自衛隊の現行法上では、私が今から申し上げることですけれども、これはできないと思うんです。一つ、米軍の物資の輸送、それから二番目には米軍の救助、それから三番目には米軍の武器の修理、四番目には米軍の負傷者の治療、それから五番目には弾薬の提供、こういうことを研究の対象にすることを認め、許可をなさったりはしないと思いますけれどもいかがでしょうか。
  341. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) まあガイドラインの研究と申しますのは、これは極東有事に際しましての日本政府としてアメリカに行い得る便宜供与のあり方、これを研究をしておくということでやっておるものでございます。これは外務省が中心になって五十七年の一月以来開始をしているわけでございます。しかしながら、この研究の中においてどういったことを具体的にやっていくかということにつきましては、これは日米安保体制の効果的な運用という意味から支障を来すことともなりかねませんので、その内容については公表しないいというふうに日米間で合意をしているわけでございます。そういう意味で、具体的な点につきましては外務省も従来から申し上げられないということで言っておられるわけでございまして、私の方からこの内容を具体的に申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  342. 安武洋子

    安武洋子君 防衛庁長官と私が言いましたときにお答えいただきたい。ですから私は、この極東有事の際に防衛庁長官としては日本が有事でないと、極東有事だと、そして現行法上自衛隊法上防衛庁の設置法上許されない研究を、米軍と日本の自衛隊の制服がやるというふうなことを防衛庁長官が許可をなさいますかと、防衛庁長官にお伺いしているので、この点にお答えくださいませ。
  343. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 政府委員の答弁のとおりでございます。
  344. 安武洋子

    安武洋子君 そういう答弁にはなっていないんです。今、防衛庁長官として許可されるかどうか、だから政府委員は答えられない、私が今お伺いしたのはこれは五十六年七月二十八日と五十六年十月十五日の二度にわたりまして、私に対して内閣委員会で当時の塩田防衛局長が、現行法では自衛隊の役務提供はできない、現行法規上できないことは研究しない、明確に答弁をされているわけです。ですから私はこの塩田、当時の防衛局長の御答弁の上に立って防衛庁長官にお伺いしておりますのでお答えいただきたい。というのは、長官としてですね、このガイドラインの極東有事の際の研究で自衛隊の現行法上できない研究について、一制服が防衛庁長官にこの許可を求めてきたときに、あなたはこういうことを許可されますかどうですかということをお伺いいたしております。
  345. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) それは現行法上できないことについて私がよろしいなどと言うわけはない。
  346. 安武洋子

    安武洋子君 それは当然で、防衛庁長官がその立場にお立ちをいただかないといけないわけなんです。ですから、私は防衛庁の設置法とか、それから自衛隊法、これで許されない研究を長官として許可をされるというふうなことがあってはいけない。このことを強く申し添えます。私がその当時塩田防衛局長に御質問した中身というのは米軍の物資の輸送、米軍の救助、米軍の武器の修理、米軍の負場者の治療、弾薬提供などを研究の対象とすることをやるのかということで塩田局長の御答弁をいただいておりますので、今の防衛庁長官の私は御答弁をいただいて、時間がきっちりまいりましたので、これで私の質問を終わらせていただきたいと思いますが……手を挙げてなさるのなら質問終わりません。
  347. 目黒今朝次郎

    ○理事(目黒今朝次郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  348. 目黒今朝次郎

    ○理事(目黒今朝次郎君) 速記を起こしてください。
  349. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私は塩田局長質疑応答について十分承知しておりません。ただ、今日本の法令で許されないことを持ってきた場合に許すのかと言うから、そういうことはない、できないことをやれなんていうことは言えない、そういうことでございます。
  350. 安武洋子

    安武洋子君 それで結構です。
  351. 柄谷道一

    柄谷道一君 防衛問題につきましては、私は内閣委員会にも属しておりますので、本日は環境、厚生、行管の三大臣に御質問いたしたいと思います。  まず環境庁長官にお伺いいたしますが、豊かで便利な生活をするために経済の発展や開発が必要であることは今さら言うまでもございません。しかし、それは環境保全に十分留意されたものでなければならないこともまた当然でございます。この両者の調和を図ることが環境庁としての最大の責務であると私は思うものでございます。  そこで、公審対策につきましては、過去対症療法、いわば事後処理対策に追われてまいりましたが、近来予防措置、環境汚染の未然防止を図ることが環境政策の最重要問題として浮かび上がってまいりました。このために環境アセスメントを確実に実施する上で環境影響評価法制定の必要性がしばしば国会で取り上げられてきたことは長官も御承知のところであろうと思います。しかし、この法案はまだ国会に提出されておりません。そこで、現状と今後の見通し、さらにこの法案提出がおくれている背景について、まず環境庁にお伺いいたしたい。
  352. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答え申し上げます。  ただいま柄谷先生がお話しのとおり、御意見のとおり、環境アセスメント法案、これが非常に重要なものと考えておるのでございます。非常に不幸なことでございますが、前国会におきましてこれが廃案と相なったのでございますけれども環境庁といたしましては、これはもうどうしても出していただかなくちゃいけないと、目下国会に再提出するべく各方面と調整をとりながら全力を尽くしておるところでございます。いましばらくかかるかと存じます。
  353. 柄谷道一

    柄谷道一君 見通しとしては今国会に再提出されますか。
  354. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 今国会に提出する覚悟でございます。
  355. 柄谷道一

    柄谷道一君 問題を転じますが、公害等調整委員会が昨年十二月に五十七年度の公審苦情件数調査報告を発表されております。これは膨大なものですが、これを私なりに要約いたしますと、一つは、公害苦情件数は昭和四十七年度をピークとして減少し続けているが、依然として六万三千台の苦情がある。第二には、そしてその内容は、製造事業所に関する苦情が大幅に減少し、逆に商店、飲食店、家庭生活などに関する苦情、いわば都市生活型苦情が増大するという質的な大きな変化がある。これがこの報告書を通ずる一つの特徴ではないかと私は読み取っております。  調整委員会はいわゆる都市生活型公害の動向について、基本的にどのように把握しておられますか、お伺いします。
  356. 海老原義彦

    政府委員海老原義彦君) お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がありましたとおり、最近の公害苦情の傾向といたしましては、製造事業所を発生源とする苦情が減少し、商店、飲食店あるいは家庭生活といったものを発生源とする苦情が増加しているという傾向が見られるのは先生御指摘のとおりでございます。しかしながら、苦情件数の絶対数そのもので見ますと、製造事業所に対する苦情というのもまだまだ非常にたくさんございます。全体の苦情の中で二六%を占めておりまして、商店、飲食店と家庭生活を合わせたものよりも多い、大分減少してきたけれどもまだまだ非常に多いということは一つ言えるわけでございます。なお、御指摘の都市生活型公害というものにつきましては、いろいろなとらえ方もございますけれども、商店、飲食店あるいは家庭生活の二つの発生源について、最近五年間に、先生御指摘のとおり商店、飲食店については著しくふえている、家庭生活についてもかなりふえておるということが言えるわけでございます。
  357. 柄谷道一

    柄谷道一君 本日はその都市生活型公害についてさらにお伺いいたしたいと思うんでございますが、中曽根総理もよく二十一世紀、厚生大臣も二十一世紀を好んで使われるわけでございますが、二十一世紀に向かっての人口の都市定着傾向というのはこれ一層増加する。とすれば、これに伴ってますます都市生活型公害が増大するということが当然のこととして予測されるわけでございます。ところが、五十二年につくりました環境保全長期計画に対しまして、昨年七月一日、中央公害対策審議会の企画部会が次のような指摘を行っております。公害原因の複雑化や都市型生活様式の地方への拡大に対する対応が十分でなかったと、これがフォローアップ作業結果の結論でございます。環境庁長官はこの指摘に対してどのように対応していこうとしておられるんですか。
  358. 上田稔

    国務大臣上田稔君) 先生御指摘のとおり、都市への人口であるとかあるいは事業所、その活動が集中をしてきておりまして、都市的生活様式の普及と、また背景といたしましていろんな公害、騒音で申しますと自動車騒音であるとか近隣騒音であるとか、また水質の汚濁でございますが、事業所であるとか事務所であるとか、あるいはまた工場であるとか、あるいは家庭などからの排水でございますが、それによる都市の中の中小河川などの水質汚濁、またポイ捨てという空き缶などの散乱、いわゆる都市生活型公害が大きな問題となっておるのでございますが、こういうような都市生活型公害に対しまして、発生源規制とあわせまして広く土地利用、経済活動、生活のあり方を含めました総合的、多角的対応が必要な状況となっておると考えておるのでございます。したがいまして、ただいま長期構想のお話が出ておりましたが、この長期構想を考えていかなければいけない、まあ二十一世紀に向けまして環境保全のために新たな指針となるべき長期構想を考えていかなければならない、その策定に当たりましては都市生活型の公害に対する取り組み方の方向につきまして十分検討をさしていただきたいと考えております。
  359. 柄谷道一

    柄谷道一君 今、長官申されましたように、新しい環境保全長期構想が検討中だと私も承知をしておりますけれども、それでは確認をいたしますが、新しいその長期構想の中身は、都市生活型公害に対する長期的な方向づけ、そしてこれを実行に移していくための地道なプロセスというものが盛り込まれるのかどうか、そしてその長期構想は大体いつごろ決定されるのかお伺いします。
  360. 正田泰央

    政府委員(正田泰央君) ただいま先生の御指摘のような構想を組み立てて長期構想が立案されるような方向で現在中公審の企画部会が近々スタートすると考えております。  また、第二点の時期でございますが、おおむね昭和六十年を目途に答申をいただきたい、こういうふうに考えております。
  361. 柄谷道一

    柄谷道一君 それでは、若干各論についてお伺いしたいと思いますが、交通公害、特に道路近傍での騒音環境基準の達成率というのはよくなる方向に向かっているんですか悪くなる方向に向かっているんですか。
  362. 林部弘

    政府委員(林部弘君) 道路に面する地域につきましては、騒音にかかわる環境基準が定められておりまして、時間帯で申しますと、朝、昼間、夕方及び夜間の四つの時間帯について見ておるわけでございますが、直近のデータでは昭和五十七年におきまして測定されました全国の三千八百余の測定点のうち、先ほど申しました四つの時間帯のすべてについて環境基準を達している測定点というのはわずか一五・二%という状況でございます。経年的に推移を見ますというと、昭和五十四年から五十七年までの四年間に同一の測定点で計測されております約四百近い測定点での推移を見ますと、環境基準の達成率は、多少変動はございますけれども、おおむね横ばいの傾向というふうに申し上げてよいかと思います。
  363. 柄谷道一

    柄谷道一君 そういう分析に対して、昨年四月二十一日、中央公害審が「今後の交通公害対策のあり方について」ということで答申をいたしておりますね。それによると、交通公害が我が国の社会経済活動や国土利用のあり方と密接に関連する問題であるにもかかわらず、根本的な原因にメスを入れた多面的対策が進められてきたとは認めがたい、非常に手厳しい指摘を行っているわけですね。したがって、今、検討中の長期構想の中には、従来と視点を新たにした新たな対応というものが盛り込まれると期待していいわけですか。
  364. 林部弘

    政府委員(林部弘君) 先生、今御指摘の昨年の四月いただきました答申の中でも、従来から講じられております発生源対策等はもちろん充実強化しなければいけないという御指摘でございますが、それに加えまして、特にポイントになるものを一、二申し上げますと、一つは国土利用のあり方あるいは社会経済活動というものを踏まえて総合的な対策を進めるという上で御提言がございます。その一つは、できるだけ公害の少ない低公害走行ルートと言われるようなものを整備をいたしまして、大型トラック輸送のようなものはできるだけそれに集約したらどうだろうかというような御提言が一つございます。  それからもう一つは、交通施設そのものの構造についてやはり質的な向上を図る必要があるのではないか、また交通施設周辺の土地利用の適正化等につきましても考えていかなければいけないと、こういう御提言がございまして、そのことにつきましての具体的な取り組みについて若干申し上げますと、御答申をいただきましてまだ一年未満でございまして、それほど大きなものとは申せないんでございますけれども一つは交通公害の地域的な特性というものを踏まえまして、地方公共団体が交通公害の防止計画を策定する際に必要であろうというような意味でのマニュアルのようなものをつくるということで、それの具体化をひとつ進めているという点がございます。  それからもう一つは、道路交通公害の現状につきましては、やはり全国的な視点からとらえる必要があるということで、私ども俗に全国沿道騒音マップと申しておりますが、昭和五十九年度の予算の中でそのための調査費を若干お願いいたしておりまして、その全国沿道騒音マップを完成をしながらどのようなところから手をつけていったらよいかというようなことで対策の具体化に着手しつつあるところでございます。
  365. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、湖沼等の閉鎖性水域の汚濁、この中で生活排水というものが非常に大きな影響を与えていることが近来指摘されております。そこで、これは全国全部と言いますと膨大になりますので、例えば琵琶湖、霞ケ浦、諏訪湖の三つを例にとりまして、原因割合といいますかね、寄与割合といいますか、生活排水の湖沼の汚染に対して与えておる影響についてお示しをいただきたいと思います。
  366. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 湖沼等閉鎖性水域の水質については先生ただいま御指摘のとおり、非常に問題がいろいろ出ておりまして、その要因たる物質は主として窒素及び燐でございます。この窒素、燐につきまして生活系排水の要因を見ますと、まず琵琶湖について見ますと、五十年度において窒素が生活系に由来するもの三三%、同じく燐が四八%。それから霞ケ浦につきましては、五十五年度において窒素が三一%、燐が二七%。それから諏訪湖につきましては、五十六年度において窒素が二六%、燐が四二%。それぞれ生活系の排水に由来しているわけでございまして、    〔理事目黒今朝次郎君退席、理事平井卓志    君着席〕 生活系の排水の対策というものが非常に重要になってくるわけでございます。
  367. 柄谷道一

    柄谷道一君 寄与率が非常に高くなった、またこれからますます高くなっていくだろう、こういうことだろうと思うんですが、そこで環境庁長官、生活雑排水からの汚染負荷を低減せしめる、そのためにはやはり基本は下水道の整備ということであろうと思うんですが、これは時間もかかりますし、金もかかる問題でございます。それ以外にどのような技術的な方法というものが考えられのか、また環境庁としてはどのような組み合わせでこの対応をしていこうとされているのか。
  368. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 一応事務的に私から御説明いたしまして、もし必要があればさらに大臣から御答弁いただくことにいたします。  生活排水処理対策の基本は、先生ただいま御指摘のとおり、下水道の整備でございますが、下水道の整備は従来、都市計画区域の市街化区域を中心に進められてきたわけでございまして、今後市街化調整区域、さらに都市計画区域以外にもこの生活系排水の処理が必要になってくるわけでございまして、これらにつきましては、関係省庁におきましてそれぞれ関係省庁の施策目的との関連で対策を講じているところでございます。具体的に申し上げますと、    〔理事平井卓志君退席、理事目黒今朝次郎君着席〕 厚生省におかれましては、地域し尿処理施設の整備、それからさらに新しく生活雑排水、し尿を除きました生活雑排水だけの単独処理施設の整備等が予算措置されているわけでございます。また農林水産省におかれましては、農村集落排水の施設の整備、このようなことがやはり対策として講ぜられているわけでございまして、技術的に申し上げますと、主として従来の下水道の整備は活性汚泥処理法が用いられてきたわけでございますが、今後必要になります地域は、まさに地方中小都市あるいは農山村でございまして、人口密度が非常に薄くなります。したがいまして、やはり技術的にも汚濁の負荷の条件が異なったり、あるいは維持管理に高度の技術者を確保することが難しい、あるいはその反面、施設の用地の制約が少ないというような特色がございまして、それにふさわしい技術といたしまして、接触曝気法、回転円板法、回転板接触法、あるいはオキシデーションディッチ法というような技術が用いられているところでございまして、これはそれぞれの地域に応じましてこれらの技術を地域の特性に即した技術を用いて生活排水対策の処理を進めることになろうかというふうに判断しているわけでございます。
  369. 柄谷道一

    柄谷道一君 今申されました対策を推進していくために、今、国会に提案されております湖沼法案は、湖沼の周辺地域での生活雑排水の対策推進にどのような効果を生むんですか。
  370. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) ただいま申し上げましたように、湖沼周辺の生活排水対策は各省で予算措置が講ぜられているわけでございまして、これを総合的、計画的に推進することが必要になるわけでございます。したがいまして、現在私どもが御提案しております湖沼法では、内閣総理大臣が指定いたします湖沼につきまして都道府県知事が湖沼水質保全計画を定めることになります。この湖沼水質保全計画の内容といたしましては、水質汚濁防止法では不足しておりますきめの細かい規制措置と並んで、生活雑排水対策として、生活排水対策として各種事業をきめ細かく組み合わせ、そのことを計画内容として織り込むことになっておるわけでございます。これが都道府県知事が策定いたしまして内閣総理大臣の同意をとることとなっておりまして、内閣総理大臣が同意する際には、関係各省に対して協議がなされるわけでございまして、いわば国及び地方公共団体、それから国のレベルで言えば閣係各省間に、この湖沼の汚濁の主要な原因である生活排水対策についてのコンセンサスが生まれるわけでございます。このコンセンサスに基づきまして事業を進めるわけでございまして、湖沼の特性に即したきめ細かい対策が各省整合性のとれた形で進められることになるであろう、かような意味で私どもは湖沼法の成立をできるだけ早くお願いいたしたいと、かように考えている次第でございます。
  371. 柄谷道一

    柄谷道一君 厚生省環境庁にちょっとお伺いいたしますが、まず環境庁ですが、公害対策基本法第三条の二項には「事業首は、物の製造、加工等に際して、その製造、加工等に係る製品が使用されることによる公害の発生の防止」に努めると、こうされております。最近各種消費財の中に、例えば洗剤中の燐、乾電池の水銀というように環境汚染の原因となる物質を含むものがあるということで問題が出ておるわけでございます。環境庁は、環境を守るという立場から消費財が廃棄されたときの影響を考慮して生産者に積極的に働きかける役割を持っているんではないか、こう思うんですが、今後の生産者に対する環境庁の役割についてお伺いをいたしたい。  それから厚生省は、産業公害対策や産業廃棄物の処理につきましては汚染者負担という原則がございます。それから、一般家庭のごみの回収処理につきましては市町村の行政サービスとしてこれを行うというのが原則でございます。このような原則で今日まで推進してまいりましたけれども、近来合申しました一般廃棄物の有害化傾向というものが出てまいりますと、今日までの原則では対応をするといいますか機能し得ない面が今出てきておる、こう思うわけでございます。こういう点から、今後の廃棄物対策のあり方についていま一度見直す必要があるんではないだろうか、こう私は思うんですが、御所見をお伺いしたい。
  372. 佐竹五六

    政府委員(佐竹五六君) 私どもも生活系の排水の主要な原因である燐につきましては、合成洗剤のうちの含まれます性能向上剤としての燐酸塩が非常に大きな作用を営んでいるというふうに認識いたしまして、昭和五十五年に富栄養化対策の一環といたしましてこの無燐化の推進につきまして、通産省を含め関係各省に対して御協力方を要請したところでございます。また業界に対しましても口頭で直接これに協力するようお願いしたところでございまして、その要請を受けまして関係業界におかれても事柄の重大性をよく理解していただきまして、現在この要請をいたしました当時五十六年度は、無燐化の合成洗剤の割合は家庭用の衣料用では三七%であったわけでございますが、現在は九一%までこれが向上しているわけでございます。  さらに、御指摘の水銀乾電池につきましては、これは厚生省、通産省におかれまして事柄の重大性にかんがみ、ただいまの公害基本法三条二項、あるいは廃棄物処理法の趣旨を受けまして厚生省、通産省において行政指導され、それに従って業界から必要な対策を打ち出されてきているところでございまして、環境庁といたしましては先生今御指摘のような趣旨を受けまして今後とも環境影響を及ぼす諸製品につきまして、要すれば関係業界等への協力をそれぞれの所管省を通じてやってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  373. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 廃棄物の処理でございますが、先生お話しのように現在は産業廃棄物については事業者の責任で、また一般廃棄物については原則として市町村の責任で処理をするという体系になっておるわけでございますけれども、一般廃棄物の中にも有害物質、乾電池の水銀等々の有害物質を含む廃棄物が出てまいるわけでございます。  この点について、実は昨年の十一月に生活環境審議会から答申をいただいておりまして、こういった有害物質を含む廃棄物の処理については、処理技術システムの開発を推進するとともに、今後処理困難性の評価、関係者の役割分担の明確化等を図り、その処理のあり方を検討すべきであるという御答申をいただいておるわけでございまして、まさに先生のお話のとおりに、こういったものを従来のままでいいのか、もう少し処理のあり方について基本的に考え直すべきなのかというちょうどその時期に当たっていると考えております。  それからまた、先ほどちょっと環境庁からも御紹介がございましたが、水銀乾電池の問題につきまして、当面の一つの方策といたしまして本年の一月から通産省と御相談をいたしまして、日本電池器具工業会に対しまして自主的な回収をするということを要請をいたしまして、現在実施されておる段階でございます。
  374. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、まだこの問題で多く質問点を残しておりますが、ここでちょっと御要望を申し上げておきたいと思うのですね。これからだんだん都市生活型公害というのが増大する、これに対処していくには環境庁が中心となるのは当然でございますけれども、これは農林水産省、建設省、厚生省、通産省、運輸省など関連する省庁は非常に多いわけですね。これが縦型にそれぞれ問題を推進していったのではこの問題の解決にはおぼつかない。よって、環境庁長官として積極的に各省庁を総合して、ときとしては関係省庁の関係者のプロジェクトでも組んで問題を総合的に推進していくという対応が必要になってくる。そういう目でひとつ環境庁長官も御対処願いたい。厚生大臣としても、今私が一例申し上げましたように、従来までの廃棄物処理の原則だけでは処理し得ない幾つかの問題。私は電池の問題を申し上げましたけれども、空き缶散乱の問題もそうでございます。一体どこが責任を持ってどういう役割分担でこの問題に対応していくのか、新たな問題が提起されていると思いますので、厚生省としてもそのような目で大臣として指揮を願いたい。私の要望に対する簡潔でございますが両大臣の御決意をお伺いいたしたい。
  375. 上田稔

    国務大臣上田稔君) お答え申し上げます。  環境庁は調整官庁でございますので、関係の各省庁とまた地方公共団体とも十分に密接な連絡をとりまして、そして総合的な視点に立って所要の施策の推進に当たっていきたいと決意をいたしております。
  376. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 都市型生活が地方に普及していって、今御指摘のような産業廃棄物とかこういうもので環境を守るための施策がますます積極的に必要になってくることはお話のとおりでございますので、私どももできるだけ環境庁に協力してまいりたいと思います。
  377. 柄谷道一

    柄谷道一君 問題を次に移します。  昭和五十八年十月の「事業月報」を見てみますと、従来総合保険として機能してまいりました船員保険は、船舶所有者の減少等の理由によりまして、疾病年金部門の被保険者は現在二十万人を割って十九万七千人程度に減少しておる。失業部門の被保険者は十五万五千六百人程度にこれまた減少しておる。しかも今回政府の法案提出によって年金部門が厚生年金に統合されることになる。これは非常に大きな変化なんですね。そうなりますと、今日まで船員の特異性にかんがみて、総合保険として存在し機能してきたこの制度が一体どうなるのかという今選択を迫られている暗期に来ているんではないかと、こう思うのです。大臣は、今後船員保険制度をどのようにしていこうとお考えなんですか。
  378. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 御指摘のように時代の変化の中にタンカーなんか何万トンのタンカーに今は乗組員が何十人というようなことで、先生の御心配になる点があろうかと思いますが、しかし総合保険制度である船員保険については、この沿革あるいはいきさつあるいは船員労働の特殊性、こういうようなことからこれでき上がったものでありまして、今回年金が厚生年金に入ってもその重要性には変わりはないのでありますから、総合保険の形式を維持しながらこれを守っていかなければならない、こういうふうに考えているわけであります
  379. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、原則は今大臣の言われたとおりであろうと思うんです。しかし、保険というものになるとこれはある程度の数を備えなければならぬということでしょう。総合年金のうちで非常に大きなウエートを占めておった年金が切り離されるということですから、従来の総合保険制度とは変質をしておることはこれもう否定しがたい現実ですね。今きょうここでどうせい、こうせいという議論をするにはちょっと問題はあると思いますけれども、これは十分当該該当者とも大臣心を開いて意見交換をしていただいて、海上労働者というものの立場を勘案しつつ、しかも保険制度の健全性を維持していくためには何が必要かと、このことについては十分の討議をしていただきたい、このことだけを要望しておきますが、いかがです。
  380. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 大変大事なことなんで、関係皆さん方の御意見を十分聞いて将来に不安を残さないように対処してまいります。
  381. 柄谷道一

    柄谷道一君 厚生大臣に医療費問題について御質問したいと思いますが、私はこの健保問題は大分予算委員会でも質問したんですけれども、これは横へ置きまして、国民医療費推計結果によると、五十六年、今これ審査されている年度の国民医療費は五十五年から七・四%増加しまして十二兆八千七百九億円、これは国民一人当たり十万九千二百円、GNP対比は五・〇七%、これは厚生省が発表した数字でございますから間違いはないと思うんですね。しかも、これに予算ベースの推定を加えていきますと、五十七年度は七・八%アップの十二兆八千七百六十一億円、五十八年度は四・七%アップの十四兆五千三百億円、大体毎年一兆円ベースで医療費が増大してきておる。この増高に対して適正な施策を確立しなければならぬということについては、これはもう国民の合意であろうと思うんです。問題はハウツーなんですね。今、厚生大臣は、保険料の値上げか患者負担の増加か、国庫負担の増額、いわゆるこれ増税か、医療費の質、量への影響も覚悟した上での医療費の圧縮が、この四つの選択肢を示されて、今回は自己負担の増加により医療費を抑制する、こういう道を選択したと。これが、私は今回厚生省が今とっておられる方針を簡潔に私なりに解説すればそのようになると思うんですね。しかし、これは私はちょっと短絡的に過ぎはしないか、こう思うんです。  そこで、お伺いいたしますが、厚生省は昨年九月二十六日、五十七年度の指導監査実施状況をまとめておられます。その概要を簡単でいいですから御説明願いたい。
  382. 吉村仁

    政府委員(吉村仁君) 五十七年度における保険医療機関等に対する指導監査の実施状況でございますが、個別指導といたしまして保険医療機関に六千七百九十三件、保険医個人に対しまして八千四百七十九件の個別指導を行いました。また監査でございますが、保険医療機関百三十四件、保険医百六十七件に監査を実施いたしました。その結果、不正請求ということで返還金額を命じましたものが十億一千九百三十三万円でございます。こういう監査をいたしまして取り消しにいたしました保険医療機関は五十件、保険医の登録取り消しをいたしました件数五十五件でございます。
  383. 柄谷道一

    柄谷道一君 国税庁にお伺いいたしますが、来ておられますか。国税庁でも一昨年六百人の開業医を対象に税務調査をしまして約二十七億円の不正請求を発見したと新聞に報道されておりますが、その概況はどうでございますか。
  384. 岡本吉司

    説明員(岡本吉司君) 医師とか歯医者さんの社会保険診療報酬につきましては、租税特別措置法二十六条によりまして必要経費の特例が認められておるわけでございまして、この不正請求につきましてはこの特例は認められないと、こういうことで、国税庁におきましては昭和五十六年八月以降、五十五年分の所得税の事後調査の一環といたしましていわゆる不正請求の調査をいたしたわけでございます。その結果につきましては、不正請求を行っている疑いが濃厚な者を選びまして五百九十五件を調査いたしたわけでございますが、その結果その六二%に当たります三百六十六件につきまして不正請求が認められまして、調査前年分の不正請求額といたしましては二十七億円、一件当たり七百二十六万円の不正請求があったと、こういう状況でございます。
  385. 柄谷道一

    柄谷道一君 全国の保険医療機関は十五万三千と私は記憶しております。保険医は三十二万人でございます。これに対して厚生省が個別指導を行われましたのは六千七百九十二機関、八千四百七十九人の保険医に対してでございます。大蔵省が行いましたのは約六百人の開業医に対する税務調査でございます。もちろん疑いの濃いところから手をつけられたんだろうとは思いますが、全体の機関、全体の保険医からすれば、これは氷山の一角と言うべきであろうと思うのですね。もちろん私はこの対応の基本は医師社会のモラルを高めて自浄機能を持つようにすることが前提であると思うんですけれども、それとともに手薄な監視体制を強化することもまた忘れてはならないと、こう思います。ところが、五十五年に発足しました医療Gメンと言われる医療指導監査官、これは現在九名でしょう。都道府県に籍を置く指導医療官、これは定員百七名に対して七十六名しかいませんね。しかも、愛媛、山梨、栃木、高知、宮崎県等は専任官がまだおりません。さらに医療事務指導官は五十八年度で九十一名でございます。決してお医者さんを悪者扱いにせよというふうには考えませんけれども、余りにも行政の監視体制としては弱いものがあるんではないかと、こう思うんですが、大臣はこれを強化するお考えはお持ちじゃございませんか。
  386. 吉村仁

    政府委員(吉村仁君) おっしゃる数字よりも若干はその後整備をしておるんでありますが、大体の大筋は先生おっしゃるとおりでございます。ただ、私どもとしては、まあ与えられた人員と予算の中で一生懸命努力をして精いっぱいの成績を上げておるというように思っております。ただ、いろいろ今後指導監査の体制というのは、これは着々強化をしていくという方針は私ども持っておりますし、その方針に従って努力をして、年々充実を図っておるところでございますが、やはり国税庁のような形の査察体制を保険医療の中で持つというのは、これはなかなか現実問題として難しかろうというように考えております。  私ども、もちろん努力をいたしますが、やはり医師の指導監査ができるに十分な体制というと相当膨大な人員並びに予算を持ってないとできないということでございますので、そういう監査指導体制というものを強化をするという方向をとりながら、やはり限られた人員と予算の中で精いっぱいの努力をしていくというのが私どもの現在とっている方針でございます。
  387. 柄谷道一

    柄谷道一君 吉村局長からするとそれ以上答弁はできないと思うんだけれども、大臣がもっとこれは考えてもらわぬといかぬと思うんですよ。同時に、今、医療機関が作成しておりますレセプト、これは私の承知しておるところでは、五十六年度で年間八億二千万件ですよ。膨大なレセプトですね。しかもその後、年間大体四%くらいずつこのレセプトは増加し続けておるわけです。これらの審査は今、支払基金職員の懸命な努力でチェックが行われているんですけれども、これも限界があるんですね。厚生省の直接の監視体制とあわせて、支払基金の審査機能を抜本的に強化するために支払基金法の改正が必要だということで、私は、ここ数年来この問題を具体的に提起しておるんですけれども、基金法の改正になかなか手がつかない。このことに対する大臣の御所見をお伺いいたしますと同時に、厚生省はレインボー・システムという名のもとに今後十年間でレセプトの作成、審査、データ管理を電算化する、そして全国的な統一システムをつくる計画を持っている、こう聞くんですが、その内容はそのとおりですか。
  388. 吉村仁

    政府委員(吉村仁君) まず、レインボー・システムの方についてお答えをいたします。  この計画は、現在診療報酬の請求、支払いの事務は紙によるレセプトで処理をしておるわけでございますが、だんだん医療の世界にもコンピューターが入ってまいりまして、磁気媒体によることができる部門が次第にふえてまいっております。例えば、医療機関の中の約一〇%は電算機を持っておる、そして現在、レセプトの件数の二〇%ぐらいはコンピューターで打ち出すことができる能力を持っておる、そうでありながら現在は、紙によるレセプトで請求をし、審査をし、支払いをしておる、こういうことでございますので、私どもは、この請求、支払いの世界の中にコンピューターを持ち込みまして、全体的な事務の合理化、あるいは整合性のある請求、審査、支払い等を確保したい、こういうことで考えておるわけでございます。  このシステムにつきましては、本年度を初年度として条件整備が整った都道府県から逐次実施することにしております。いろいろ医療機関側の事情もございますので、大体十年程度の期間を頭に描いてこの構想を実現したい、こういうように考えておるわけでございます。
  389. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今政府委員からこれ答弁がそれぞれございましたが、支払基金の職員の皆さん、国民の立場、患者の立場に立って非滝に医療費の適正化に熱意を持っておられまして、私は日ごろから敬意を表しておるのでございます。せっかくあれだけの熱意を持っておられる支払基金の皆さん方に、もっともっとこれ有効に働いていただきたいということでいつも考えておるのでありますけれども、ただ医師という特性がございますから、医療費の今のレセプトの審査の問題にしましても、武見さんの時代からお医者さんは、診療については素人の者がわかるはずないと、保険官僚などわかるか、今日まで息巻いてきたわけでありまして、これを私どもは、国民の立場、患者の立場に立って思い切って審査体制を強化し、今日まで頑張ってきておるのでありますが、皆さんも御承知のように、先般濃厚診療というような問題が出て、国民の大変な御批判を買っておりますが、これまたお医者さんの方から言えば、すぐにこれ制限診療であるとか、あるいは保険官僚の統制だとか出てくるので、非常にこれは私は難しい問題があるなということを痛感しておるのであります。  柄谷先生御指摘のように、これはできるだけむだな医療をなくするということを、これは今の医療の質を落とさないで、むだな今の言ったような濃厚診療とか、不正請求とか、こういうものは絶対に許しちゃいけませんから、思い切って今後も積極的にこれは進めてまいりたいと思いますが、仰せ、今局長からも話がありましたように、レセプト一枚の審査に七秒間でやらなければならないというような現在の体制ですが、かといって、これをお医者さん一人ずつに監督つけるようなわけにも、ここに行管庁長官がぐっとにらんでおりまして今容易でないと、やっぱり現行出来高払い制度の中で、今国民の皆さん方の期待にこたえていくのは、今のようなことも非常に大事ですが、第一にはやっぱり医師の良識に訴える、お医者さんに立派にやっていただく。それからもう一つは、やっぱり患者の皆さんに医療費というものを知っていただいて医療費というものに対する関心を高めてもらう。これにはやはり患者の皆さんには一部、定率一割ぐらいはこの医療費を負担していただくと、先生の御趣旨がうんと進んでいくんだと今考えておるところでございます。
  390. 柄谷道一

    柄谷道一君 そこまで言われるとこっち直言わなきゃならないわけでして、健保法はまだそのとき法律のときに十分やり合いましょう。  ただ、大臣、もう基金法がつくられて四十年近く経過しておるわけですね、三十数年。やはり基金法というのは見直すべきだと僕は思うんですよ。これは大臣もひとつ深く念頭に置いて御検討を願いたい。  それから、医療費の適正化問題については、やはり基本の前提問題に対する中期展望を踏まえた抜本的年次計画の策定と不正請求を根絶するための対応、この二つが並行して進まないと、これを横に置いて患者に負担だけしてくれという選択肢を選べというのはちょっと無理ですよということを、これは意見として言いまして、これは改めて言いましょう。  もう時間がなくなりましたので、行管庁長官に最後にちょっとお伺いしたいんです。  統計問題ですね。これは統計の製表部門の独立分離という問題は、あの行革法案のときに、これで統計業務に支障がないかということで相当深く議論されたわけでございます。  政府は今後企画調整、製表部門とも連携を図って効率的な業務遂行に努めます、職員の方々が従来同様職務に精励できるよう、その処遇についても十分配慮をいたします、こういう答弁で終わっているわけですね。まだ依然として懸念が残っておりますので、これはやはり三年ぐらいたったら、もし重大な問題が提起されればこれは見直していただきたい、こう思うんですが、その用意があるかどうかお伺いします。
  391. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 総務庁設置の際にいろいろ問題になった点でございます。  しかし、内局の局ということになりますと、これはやはり統計のいわゆる行政、それの各省の総合調整といったようなことであるし、作業をしているところは、やはりこれは作業官庁らしくしなきゃならぬということで、ああいうおさめ方をしたわけですが、今柄谷さんおっしゃるような心配を職員の組合関係が持っておるということは承知しておりますが、今回の改正が根づくようにやっていきたい。御心配をかけないようにやっていくつもりでございます。
  392. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間が参りましたので、二点行管庁長官にお伺いして、質問を終わりたいと思います。  一つは、組織及び事務事業の見直しについて、調整官庁を設けて共通的な見直し基準についてここでチェックし調整しなさい、これが臨調答申の一つの柱ですね。それからもう一つは、総合企画会議を設置して、いわゆる従来の縦割行政の欠陥を是正しなさい、こういう二つが臨調答申の中に含まれておりますが、臨調の答申を受けてこの二つについて現在どうしようとし、今後またどうされるおつもりか、これをお伺いしまして質問を終わります。
  393. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) おっしゃるような臨調からの答申がございます。行政の組織というのは絶えざる自己改革が必要でございますから、各省それぞれの立場でこれは見直していただかなきゃならぬ。特に中央の行政機構それから地方の支分部局は、これはそれぞれの具体的な計画を立てて今推進中でございます。ただ附属機関、これが従来からやや行政改革の立場から見るとそのままになっておったんではなかろうか、こう思います。  それについては、今回私どもとしても基準は、これは行管庁で各省へもお示しをしてございます。それによって各省で改革をやっていただく、こういうことにいたしておるわけでございます。それで、本年度は十八省庁、四十機関についての見直しを行うつもりでございます。  それから第二番目の方の総合調整機能の点ですね。  これは最近、国会でも時々御答弁申し上げておるんですが、総務庁設置の際に無任所大臣を置いたということは、これはやはり総合調整機能という意味でございます。今たちまちは対外関係が非常に厄介な問題が、これは各省にまたがりましていずれも大蔵省とかあるいは経企庁とか農水省、通産省、もう年じゅうがたがたやるもんですから、そこらでああいう制度を設けた。これは総合調整機能の一環である、かように御理解をしていただきたいと思います。  しかし、日本の制度全体を見た場合に、やはり私はこれは具体的に政府が今どうするという考え方はありませんけれども、これは私の意見だと、それだけで理解しておいていただきたい点の一つは、やはり危機管理についての私は政府全体としての構えに非常な欠陥がある、これが一つですね。  それからもう一点は、政府全体の政策の総合性を確保する、そして同時にそれによって仕事をする場合に各省にみんなまたがりますから、そのときの総合調整機能が大変不足をしておる。ここはやはり日本の行政制度を考える場合にいろいろ検討しなければならない。その面については、今言った無任所大臣制度も一つでございますけれども、総理府をできるだけスリムにしちゃって、そして行管庁と一緒にして一総務庁設置というのはまさにその一つなんですね。現在あるのは財政による総合調整だけなんですよ。金だけで締め上げておる。これは私はやはりかたわだと思いますね。だから、定員管理であるとか、あるいは組織、機構、そういった面についての総合調整というのを発揮しようと、これが総務庁設置ですね。  それで、もう一点は、計画による、企画による総合調整がなければならない。そこで第二臨調等でもそれをどうするかということでして、経済企画であるとか、あるいは国土の開発であるとかといったようなことで一つの役所をつくったらどうだという御意見が内部的には出たんです。しかし、今回の御答申では、そこまでいくのは無理であろうといったようなことで、現状のままに置かれましたけれども、しかしやはり総合調整ということは必要だから、そこで今いろんな審議機関等がございますから、その審議機関の長で連絡調整をして、そこでそれらの方の懇談会を設けなさいということに御答申がなっておりますから、そういう点についてはこれは政府としてもさしあたりの調整のやり方としてやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  394. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は、厚生年金のことについてお聞きしたいんですけれども、実は厚生年金が破綻するというふうなうわさがありまして、私自身将来は厚生年金で食っていかなきゃいかぬという立場にあるものですから非常に心配してまして、たまたま今回厚生省の方で国民年金の何か一部法改正を出されるというふうなことで、これに関連していろいろ勉強さしていただいたんですけれども、どうも年金というのは全然わからない、どういう仕組みになっているかさっぱりわからぬ。きょう現在、まだなおかつなまっかじりで、とても質問できるような状況じゃないんですけれども、ただ少し厚生年金の問題は非常に今ちまたで変なルーマーが流れておりますし、何しろ百兆円からの規模がある問題ですから、この際、私のわかっている範囲ではっきりさしていただきたいと思うわけです。  まず卑近な例から、私の場合民間会社に三十二年間おりまして、平均年収幾らかよくわかりませんけれども、仮に五百万円ぐらいとして、六十五歳になったときに一本どのくらい、もらえる年金はいいんですけれども、現行の制度でいった場合と今度新しく変わった場合ですね。どういうふうに変わるのか、試算をお願いをしているんで、ちょっとわかっている範囲で発表していただきたいんですが。
  395. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) 今回の改正におきましては、厚生年金保険の老齢年金を受けられる方の平均的な加入期間の伸びに対応いたしまして、標準的な受給者世帯におきましては、おおむね現行程度の水準が確保されるように将来に向かって年金水準の適正化を図るということにいたしておるわけでございます。  したがいまして、改正法の施行されます昭和六十一年四月一日におきまして、六十歳以上の方は全く現行どおりの年金額計算方式によることにいたしております。また、中高年齢の方につきましては、急激な水準の低下が生じないように、二十年かけまして次第に年金水準の適正化を図ることにいたしておるわけであります。  そこで、先生と同じ年齢層の方について申し上げますと、新制度におきまして年金額を算定する際の単価、乗率ともに——これはちょっと専門的と申しますか、技術的な年金制度上の用語でございますけれども、単価、乗率とも現行と同じとする経過措置を講じておりますので、先生の場合には今度の改正によって、総支給年金額は現行制度のもとで計算したものと全く同じ額になると、改正によっては影響を受けない、こういうことでございます。
  396. 木本平八郎

    木本平八郎君 それでは将来の人はどのくらい違ってくるんでしょう、私クラスで。
  397. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) これは今度の年金改正と申しますのは、このままほうっておきますと、すなわち現行制度のままでまいりますと給付水準が現在の平均賃金の八三%にも達するという事態が確実に予測されるわけでございます。それとともに、現役の保険料負担というものが現在の一〇・六%がこれが四〇%近い三八・八%というようなことになるわけでございます。したがって、そういう給付が高くなり過ぎる、それに伴いまして現役の負担が過大になり過ぎる。こういう事態を回避するために適正給付、適正負担ということを行うのが今度の改正の大きな眼目でございます。    〔理事目黒今朝次郎君退席、委員長着席〕 したがって、保険料から申しますると、今度の改正案では三割弱、二八・九%程度にとどめることができる、こういうことでございます。
  398. 木本平八郎

    木本平八郎君 実は、厚生省が今出されたこのパンフレット、これの中に厚生年金はこのままいけば、まあ破綻するとは書いてないけれども行き詰まるというふうに説明されているわけですね。これにつきまして、昭和八十五年時点を一応想定して私なりに計算してみたわけです。それで、この計算には一応五%の名目賃金の上昇が見込まれているということなんですけれども、私、実質、ネット年に二%ベースアップするという一応仮定で計算しますと、大体二%といいましてもこれどんどん複利でふえていきますから、昭和八十五年には現在の一・六七倍の給与ベースになるわけですね。そうすると、今これでいきますと二十五万四千円ですか、それが大体私の計算では四十二万四千円になるわけですね、昭和八十五年には。そのときに現行法どおりで計算しますと定額分が二千五十円で、これは三十五年で頭打ちですね。そうすると七万一千七百五十円だと。それで報酬比例部分が四十二万四千円で一%ですね。それに四十年分掛けるということになりますと十六万九千六百円になると。そして、今現行どおり配偶者付加給付が一万五千円あるとすると合計して二十五万六千何がしになるわけですね。これがそのときの平均給与の約六〇%になるんです。六〇・五%になるんですね。そうすると、現行どおりでやっても仮に実質賃金が二%ずつ上がっていけば十分にやっていけるじゃないかと、決して破綻しないじゃないかということになるんですけれども、この計算についてはいかがでしょう。
  399. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) 先ほどの御答弁でちょっと漏らしましたのは、現行制度のままでまいりますと平均賃金の八三%になる、現在野にもう六八%に達しておりますので、それを横ばいで現状を維持していくということでございます。したがって、四十年加入が一般化します二、三十年後、先におきましても六九%の水準を維持するというのが今度の改正の趣旨でございます。  先生の今お挙げになりました数々の数字でございますけれども、やはりそこにあります基本的な考え方というのは実質賃金の伸びというものを見ていないのではないか、その実質賃金の伸びというものを二%見るならば決してそういうような保険料負担にならないし、また水準というものもそう高くならないと、こういうような御指摘かと思うのでございます。しかし、この実質賃金の伸びというのは実は私ども収支計算をいたします際にはこれを織り込んでおるのでございます。それはこういうことでございます。  一応収支計算をいたします場合には、物価でありますとか、それから賃金の上昇率、それから運用利回りというようなものを幾つか仮定をいたしまして、それで収支見通しなり、保険料負担なり、それから給付水準というものの将来見通しをやるわけでございますけれども、その二%というのは、私どもはその二%ではなくて五%という実質賃金の上昇を見込んでおるわけです。それは年金の額の方にも反映させておりますので、五十九年度価格というものを基準として考えます場合には、将来の伸びというものをすべて実質賃金の五%で割り戻して五十九年度価格というものに置きかえて計算をする、こういうことでございます。したがって、六十一年時点の平均賃金も二十五万四千円である、それから二十五年後も平均賃金が二十五万四千円であるというふうにそのパンフレットでなっておりますけれども、それはおかしいではないかというような御指摘かと思いますけれども、それは実質賃金の上昇率ですべて割り戻して五十九年度価格で置きかえてあるからそういうことになるわけでありまして、決して実質賃金の上昇を将来の収支計算の際に見込んでないということではないということでございます。
  400. 木本平八郎

    木本平八郎君 事務局からも再三その御説明受けまして、私も議員になってからどうも頭悪くなったようで全然理解できないんですけれどもね。今おっしゃった五%というのは厚生省にいただいたこれにちゃんとあるわけですね。五%、Bの五とかなんとかありまして、これが名目賃金なんですね。実質賃金のアップじゃないわけですよ。名目の場合には両方とも保険料も給与のベースも上がりますけれども、給付の方も上げていくという発想ですよね。したがって、それはいいんですけれども、私の計算がどうもよく、何回お聞きしても教えてもらえないんで、それでこれはあとで申し上げようと思うんですけれども、もう少し議員にもわかるような方式でいろいろ御説明いただきたいと思うんですけれどもね。  それで、ちょっと時間も余りないですから次に進みますけれども、それで次の何は決算委員会ですから、五十六年度の決算の数字についてちょっと教えていただきたいんですが、この「年金と財政」、これの五十六年度を見ますと、百八ページに、これ五十五年度でも六年度でもいいんですけれども、五十六年度の給付の合計が三兆七千九百四十二億円あるわけですね。百十二ページ、何ページでもいいんですけれども、百十二ページの支出が四兆四千五百九十八億円あるわけですね。支出と給付との差ですね、これは何なのかということだけちょっとお聞きしたいんですが。
  401. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) 先生の今御引用になりました数字の後の方の四兆四千五百九十八億、これはスライドが含まれておる、スライド分が含まれておる。それからその前の三兆七千九百四十二億はスライドが見込まれていない、それを織り込んでいない数字であるということでございます。
  402. 木本平八郎

    木本平八郎君 そのスライドというのはよくわからないんですけれどね、これのどこに説明があるか、ちょっと事務局の説明員の方教えてください。
  403. 田村正雄

    説明員(田村正雄君) 御説明いたします。  百十二ページの表をお持ちだと思うんでございますけれども、その下に(注)がございます。(注)の1、2、3と書いてございますけれども、その中に(注)の一のところに、「標準報酬の上昇率は七%とし」と書いてありまして、年金額は今回の改正で設定された給付水準が維持されているものと仮定してあると。この中に含まれているというふうに御了解いただきたいんでございます。
  404. 木本平八郎

    木本平八郎君 じゃあ、それがスライドですか。
  405. 田村正雄

    説明員(田村正雄君) 先ほど審議官から御説明を申し上げましたように、私ども、年金制度は実質価値を維持していくということで、賃金上昇と同じベースで給付改定をしていくと、それが長期的な方向でございます。それと同じベースでこの計算がなされているという意味でございます。
  406. 木本平八郎

    木本平八郎君 まあいろいろ非常に難しくて、これまた何回聞いてもよくわからないわけです。また、これ改めてお聞きしたいと思うんですけれどもね。これ、この際やっぱり勉強しておきませんとね。もう厚生年金は、これ命にかかわる問題ですからね。私も一生懸命今後勉強したいと思いますんで、よろしくお願いしたいんですが。  そこで、今回の改正でも一応物価スライドといいますか、将来の生活水準に合わして年金額を支給していきたいという基本的に考えていただいているというのは非常にいいと思うんですけれども、やはりこの場合に、まあもちろん考えていただいていると思うんですけど、ただ単に消費者物価とかなんとかといいますとね、日本の物価構造というのは、極めてある意味じゃエンゲル係数というんですか、生活必需物資とか基本的な公共料金、サービス料金が非常に高いわけですね。例えば、電卓だとかVTRとか、老人におよそ余り関係のないようなものが非常に安いと。自動車なんか幾ら安くったってまあ老人余り買わないわけですね。したがって、米、みそ、そういうものの物価ですね、これを中心にぜひこの老人の生活費を考えていただきたいと思うんですがね。ここら辺大臣いかがでございましょうか。
  407. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) 現在五年ごとに財政再計算をいたしまして、その間の年は物価スライドを行うと、こういう仕組みになっておりますが、今度の改正案におきましても、これは変えないということでございます。結果的には実質賃金の上昇率というものが年金額に反映されると、こういうことになっておりまして、実質的価値というものが下がらないように、そして老後の所得保障に中心的な役割を果たすことができるように将来とも持っていくと、こういうことでそれらの財政再計算なり物価スライドの仕組みというものが現在もあるし、今後もそれが続けられていくと、こういうことでございます。
  408. 木本平八郎

    木本平八郎君 それはぜひお願いしたいと思うんですがね。  それで、それからもう一つ。これは極めて私のアイデアの域を出ないんですけれども、現在も国民年金の場合には、何か繰り下げとか、繰り上げはないんですか——まあ何かそういうふうにして、それで少し余計もらえるとか、初め先取りすると給付率が少なくなるというふうな制度をおとりのようですね。それで、何か今回の改正でも、やはり六十五歳支給にして、それ以降、一年辞退したら少しずつパーセンテージを上げていくというふうな構想もお持ちのようなんですけれども。まあ私のこのアイデアとしては、例えば六十五歳を過ぎても相当収入のある人があるわけですね。もらえるからといってもらうということじゃなくて、今は八割ですか、それをそういうことじゃなくて、もしも一年間辞退したら、仮に翌年からいけば一割アップになると。こうずうっといくと、十年辞退していれば、十年後には倍もらえるというふうにするわけですね。六十五歳だと、まあ十年後に七十五歳ですね。そのときにまあ不幸にして受給開始した途端にお亡くなりになるという非常に不運な方もおられるかもしれませんけれども、これはやはり年金というのは生活の保障ですから、やっぱり収入のあるときはそんなにもらわなくてもいいけども、いざとなったときにたくさん残しておきたいというのが人情だと思うんですね。  まあ大体お役人がお考えになると、大体こうけちなパーセンテージで、三%とか四%やると思うんですけどもね、思い切って一割ぐらいぼんとこうやって、十年で倍になると。そうすれば、まあ年金財政としても割合にこういけるんじゃないかと思うんですけれども、余りこれ以上ちょっとこう不謹慎になりますから言えませんけどね、その辺はいかがでしょう。
  409. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) 今度の改正案におきましては、六十五歳になりますと被保険者資格を喪失をする、すなわち保険料を納めることがないし、また所得の多い少ないにかかわらず年金を受給することができると、こういうことになっております。しかしながら、今先生御指摘になりましたように、六十五歳過ぎましてもある程度の所得があると、今直ちに年金は自分は要らないと、こういうことを希望される方があろうかと思います。その繰り下げるからにはやはりまあ割り増しと申しますか、そういうような六十五歳からもらうよりは割り増しの年金をもらえるような仕組みは考えられないかというようなことでございまして、今度の改正案にはそれを盛り込んでございます。繰り下げ請求制度というものが今度の改正案には入っておるわけでございます。ただ、その割合をどのくらいのものにするかということにつきましては、これは政令で決めることになっておりますので、法律が成立しました後でこれは決めると、こういうことでございます。
  410. 木本平八郎

    木本平八郎君 ぜひその政令をお決めになるときに思い切った額でばんと国民を喜ばせるようにやっていただきたいと、ぜひお願いいたします。  それから、欧米ではですね、その年金、まあ保険料と年金ですね、これを賦課方式で単年度ごとに、一年ごとに収支を合わして決済していっているということで、積立金というのはやってないようなんですね。日本の場合には、今保険を払っている人ともらっている人のアンバランスがあるんで、今相当荒っぽく積み立てていっているわけですね。これを私はたとえば昭和八十年のまあ保険料が上がっていって一九・六%ですか、二〇%近くなったときに、何かこう賦課方式に切りかえられたら積立金というのはなくなるんじゃないかと思うんですけどね、この辺の見通しというのはどうでしょうね。二十年以上だと、今後何人生まれてくるかわからないからちょっと計算できないというふうなことかもしれませんけどね。
  411. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) 現在はまだ成熟をしている段階の途上にあると申しますか、まだ欧米諸国のように成熟した段階にない、その途中にあるわけでございます。したがって、積立方式から現在修正積立方式に移行し、さらにはやがては成熟化した段階では賦課方式に移行するということになろうかと思います。その途中でまだ成熟化の段階が十分でないときに賦課方式になりますと、確かに保険料負担というものは低くて済みますけれども、それが成熟化したときには非常に大きな保険料負担となって、それはそのときの現役の被保険者に過大な負担になっていくということでございますから、積立金というものはある程度保有しながら、保険料の増大を急激にふやさないように緩和をしていくと、まあこういうような配慮をしておるわけでございます。
  412. 木本平八郎

    木本平八郎君 まあこれ最後になると思いますけど、これ大臣にお聞きしたいんですけどね、実は私がこの問題を持ち出した一番の原因は、生命保険会社なんかが無知な家庭の主婦だとかなんとかに、公的年金は破綻すると、したがって個人年金に入りなさいと、どんどん勧誘しているわけですね。何か二兆円ぐらいずつふえていって、三十年後には百五十兆円になるという話もあるんですけれどもね、どうもこういうルーマーが出てきた根本は、端的に言って私厚生省の対応の仕方が悪かったんじゃないかという気がするんですね。先ほども申し上げましたように、我々議員が聞いてもなかなか説明がうまく来ない。難しいから説明しにくいということもあると思うんですけれどもね。どうもこう新聞や雑誌に厚生省の方が発表されているのを読みましても、そういう誤解を受けても仕方がないような書き方が非常に多いんですね。これ、厚生省が特にそういう感じを私は受けたわけです。それで、こういうふうな政治全体が非常に曲がり角に来ているような状況のときですから、余り国民に知らしむべからず寄らしむべしという調子でやっていくと、どんどん政治離れしちゃうんじゃないかという気がするわけですね。いいところも悪いところもやっぱり国民にはっきり知らして、そして協力を頼むと、それでみんなで痛みを分けてくれという対応の方がいいんじゃないかという気がするわけですね。この厚生年金の問題も、もっと、何かこういいことずくめで、これなんかそっちの方の都合のいいことだけしか書いてないと。それで、どうもおかしいおかしいと思っていろいろ聞いても、何とかかんとかうまく説明されちゃうと。これは私はいいですよ、ここだから。しかし、国民が全部こういうふうになってくると、やはり先ほどのように、だれかが、いやもう厚生年金破綻するんだと、こう言えば、ああそうだそうだと言ってわっとこう行っちゃうという怖さがあると思うんですね。その辺やはり、もう少し更改された方がいいんじゃないかと思うんですよね。  最後に大臣の御所見を承って、私の質問を終わります。
  413. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 大変きょうは、私どもこれから年金改革をやるために示唆に富んだ御意見承ったんですけれども、私も厚生大臣になりまして年金の説明を聞いて、先生と同じような疑問を持ったんです。一つは、本当は公的年金がどんどん進めば、むしろ私的な年金というのは衰えていかなくちゃならないのに、かえってどんどん進んできておる。これは二つの点があると思うんですね。これは、私は地方出身なんですが、私なんかも自分の郷里の者と会って話して一番困るのは、国の年金は、若くして死ぬと掛金だけ納めてもらえないから損じちゃうと、私的な年金に入ると、若いとき死んでも掛けただけは、これはもらえると。私は、いや年金というものは老後生活困らないためにこれはあるんだから、若いうち死ねばもうそれは要らなくなっちゃうんだからという説明幾らしましても、これはやっぱり農家の人なんか納得してくれませんね。非常にこの年金というものを国民の皆さん方に本当に理解していただくにはこれは大変なもう難しいものがあるんですが、これはやっぱり老後の生活を不安なからしめるための年金というものの本来の性質をやはり国民すべてに知っていただくような、これは努力をしなければならないと思っています。  それから、もう一つは私ども、私もどこへ行っても今言っているわけですが、現在六・八人の働き手が一人の先輩を支えていると。それからいずれ極めて近いうちに高齢化社会がやってきて四人の人で一人の老人を支えなければならないと。そうすれば今までの制度をそのままにしておったんでは将来年金が払えない時期が来る。あるいは今でもこれは社会保障負担が一一%、租税負担が二五%、二六%の国民の皆さんの負担になっているんですが、これはいずれ今のままではこれは年金の社会保障負担というのがこれは大変なものになると、ここまでいっているわけですね。それがある意味では、将来の年金の不安に対する拍車をかけることになって非常に皆さんに御不安かけているんですが、しかし、その後がつくんで、今度我々が国会に提出しておるこの年金改革法を通過させていただくなら、もう二十一世紀まで揺るぎない心配のない高齢化社会の年金制度ができるということでありますから、一日も早くこの法案を通していただきますと、そういう御不安がなくなるのでどうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
  414. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 他に御発言もないようですから、厚生省行政管理庁防衛庁環境庁医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算についての審査はこの程度といたします。     —————————————
  415. 安恒良一

    委員長安恒良一君) この際、派遣委員報告に関する件についてお諮りいたします。  先般、当委員会が行いました国家財政の経理及び国有財産の管理に関する実情を調査し、もって昭和五十六年度決算外二件の審査に資するための委員派遣につきましては、その報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  416. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 御異議ないと認め、さように取り計らいます。  次回の委員会は四月二十三日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五分散会      —————・—————