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1984-02-03 第101回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年二月三日(金曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————    委員異動  二月二日     辞任         補欠選任      井上  計君     柄谷 道一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安恒 良一君     理 事                 林  ゆう君                 平井 卓志君                 福田 宏一君                 松尾 官平君                目黒朝次郎君                 服部 信吾君     委 員                 石本  茂君                 岩本 政光君                 大浜 方栄君                 河本嘉久蔵君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 曽根田郁夫君                 夏目 忠雄君                 原 文兵衛君                 矢野俊比古君                 久保田真苗君                 菅野 久光君                 太田 淳夫君                 佐藤 昭夫君                 柄谷 道一君                 木本平八郎君    国務大臣        法 務 大 臣  住  栄作君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    田川 誠一君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       勝見 嘉美君        最高裁判所事務        総局経理局長   川嵜 義徳君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        警察庁警備局長  山田 英雄君        法務省民事局長  枇杷田泰助君        法務省刑事局長  筧  榮一君        法務省保護局長  吉田 淳一君        法務省訟務局長  藤井 俊彦君        法務省入国管理        局長       田中 常雄君        外務大臣官房人        事課長      福田  博君        外務大臣官房領        事移住部旅券課        長        田中 祥策君        外務省アジア局        北東アジア課長  高島 有終君        大蔵省理財局地        方資金課長    竹内  透君        国税庁次長    岸田 俊輔君        文部大臣官房会        計課長      國分 正明君        農林水産大臣官        房経理課長    岩崎 充利君        農林水産省農蚕        園芸局企画課長  川合 淳二君        通商産業省立地        公害局長     石井 賢吾君        通商産業省立地        公害局石炭課長  宮副 信隆君        建設大臣官房会        計課長      牧野  徹君        自治大臣官房審        議官       津田  正君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局選        挙部長      岩田  脩君        自治省財政局長  石原 信雄君        自治省財政局調        整室長      前川 尚美君        自治省税務局長  関根 則之君        会計検査院事務        総局第一課長   西川 和行君        会計検査院事務        総局第二局長   竹尾  勉君        会計検査院事務        総局第四局長   磯田  晋君        会計検査院事務        総局第五局長   中村  清君    参考人        公営企業金融公        庫総裁      首藤  堯君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十六年度特別会計歳入歳出決算昭和五十六年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十六  年度政府関係機関決算書(第九十八回国会内閣  提出) ○昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第九十八回国会内閣提出) ○昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (第九十八回国会内閣提出)     —————————————
  2. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二日、井上計君が委員を辞任され、その補欠として柄谷道一君が選任されました。     —————————————
  3. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 昭和五十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、法務省自治省警察庁裁判所及び公営企業金融公庫決算について審査を行います。     —————————————
  4. 安恒良一

    委員長安恒良一君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 安恒良一

    委員長安恒良一君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、名古屋市における石油販売会社一光が、その子会社の不二通商、八晃の二社を通じて軽油引取税を四十五億円脱税し、重加算税延滞利子を含めますと今日の時点で六十八億の巨額脱税事件がありますが、この件について自治省警察庁国税庁法務省に聞きたいと思います。質問に当たりまして、第一に、この一光の例は軽油引取税徴収あり方をめぐり、業界全体として脱税を基礎とした営業基盤が存在していると、二つ目として、脱税もみ消しの手をかし、献金を受けた政治家政治姿勢と倫理の問題、三番目として、財源を得るために脱税という特別条件まで持ち出して自治体ぐるみ企業誘致をしている異常な実態の解明と、こういう問題についてぜひ聞きたいと存じます。  この件につきましては、五十七年の十月十日朝日新聞がこれを取り上げ、内部告発者として元一光専務丹羽氏が告発した事件に始まっておるわけであります。そうして現在津村外四人ですか、収賄罪として公判が続けられております。私はその収賄罪公判そのものを問題には、関連ありますが、もっと奥深いところについてひとつ関係大臣の率直な御意見を聞きたいと思いますから、いわゆる時間つぶしののらりくらり答弁ではなくて、少し真摯に質問に答えてもらいたいということをまず冒頭大臣要請をしておきます。  この組織的な大犯罪の最近の経過は、五十八年七月一二十日、不二通商、八晃が十七億円を現金、残りの二十八億については同年九月末までの手形で納めた。重加算税の十三億六千万、これはことしの、五十九年の四月までに納める、それから延滞金の九億円、これは五十九年の六月までに一括支払う、これはすべて一光保証つき関係滋賀県は、武村知事の減給を含めて十五人の処分が五十八年九月二十七日に行われ、一光の社長の矢野敬子氏は同年十月十七日退任。不二通商、八晃に対し滋賀県は九千万、両者の責任者に対しては、行為者に対しては二千七百万、合計一億一千七百万円の行政処分、いわゆる通告処分を現在行っておるわけであります。したがって、私はまず自治大臣に本件問題はこれで終了したと思っていらっしゃるのか、あるいは五十七年の十月十日の新聞発表によりますと、当時の自治省は事態を重視して徹底的に調査をするという自治省談話を発表しておるわけでありますが、このおととしの談話から見て、いま私が申し上げた行政処分ということで事足りると思っておるのかどうか、この事件に対する滋賀県と関係三省を含めてまず自治大臣の今日時点における見解を冒頭お聞きしたい、こう思います。
  8. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) このような脱税事件は、地方公務員地方税法に従って厳正に事務処理を行っていけばこういうようなことは起こらなかったと思いますし、長期間にわたるいろいろな惰性的な事務処理、こういうものが行われてきた結果であると私は当時事件を聞いたときから感じておるわけでございまして、自治省といたしましては、これからこういうようなことが起こらないようにするためには真相を究明していかなきゃならぬし、また他の地方団体におきましてもこういうことが起こらないように厳正にやっていかなければならないということを通告しているわけでございまして、私も就任したてでございますから詳しいことをまだよく存じておりませんので、事務当局からあと詳しいことを御説明さしていただきます。
  9. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣が着任してまだ日が浅くて十分説明も聞いていないということでありますからそれはそれなりに了解いたします。  しかし、大臣がやはり惰性という問題、真相の究明という問題、再発を防止すると、こういう三点を大臣の所見として言われたことについて私はまず確認をしておきたいと思います。  そういう前提で、いま大臣が言われたことを含めて、事務レベルで結構ですが、この問題の根本原因はやはり軽組引取税の運用のあり方に根本的な問題があるんじゃないかという気がいたします。それでひとつ自治省にこの軽油引取税目的というものについてはどういうことなのか、私も素人でありますからお教え願いたい、こう思います。
  10. 関根則之

    説明員関根則之君) 軽油引取税地方道路目的財源としての目的税でございまして、都道府県が自分の管理をいたします道路建設費なり維持費なり、そういったものに使う財源を調達いたしますために徴収をしているものでございます。
  11. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私もそうだと存じます。トラック軽油を使う、道路が壊れる、壊れた道路を補修する、同時に、あなたが言ったとおり、地方自治体の道路をさらに整備する、こういう財源に使われていると、こう思います。  それで、この軽油引取税というのは、私から言うまでもなく、最終的に出荷市場をなす事務所のある都道府県がいわゆる課税権を持っていると、こういうようなことは御存じのとおりだと存じます。それで事務所ですが、事務所最低要件はどうなのか。俗称言われるトンネル会社——電話一本と机一つ事務員がいたりいなかったり、そういう俗称トンネル会社があちこちあるわけでありますが、トンネル会社的な事務所は、いわゆるこの軽油引取税の言う事務所要件に当てはまるのか。私が聞くところでは、何か車の型まで届け出をする必要があるということを聞いておるわけでありますが、そういう事務所要件ということは法令か何かできちっと決められているんでしょうか。参考までに教えてもらいたいと、こう思うんです。
  12. 関根則之

    説明員関根則之君) お話のございましたように、軽油引取税課税いたしますときには、特約業者または元売り業者営業所の所在する都道府県におきまして、その営業所で行いました軽油引き取り行為に対して課税をするわけでございます。したがって、営業所で、そういう引き取り行為ができるような営業所でなければそもそも課税の対象となる原因の取引が行えないわけでございますから、特に法律上、たとえば建物、どの程度以上の建物がなければいかぬとか、人員をどの程度置かなければいかぬとか、そういう規制はございませんけれども、当然、販売契約に基づきまして引き渡しを行う軽油につきまして具体的な出荷指図を行う、すなわち出荷すべき数量なり、あるいは出荷先出荷年月日等の最終的な意思決定を行い得る、そういう能力を持った事務所というものがここに言う「営業所」に該当するものというふうに考えております。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ところで、この一光という場合は、私の調査では全国に百四十ぐらいのスタンドを持っておると。それで、愛知県の名古屋に大体五〇%、東京、大阪に一〇%ぐらい、それから東北、私の生まれ故郷の仙台を中心に東北、まあ一部北海道にもございますが、これが大体三〇%、このようにスタンドが分布していると。それで、一光が四九・五%を出荷しておる北日本石油、これは仙台に本社があるわけでありまして、月間四千から五千キロリッターを扱っておると。しかし、この滋賀県はスタンドは一カ所しかないと、こう間いておるわけですが、一カ所で巨額の税が落ちていると、こういう仕組みになっておるわけでありますが、この辺がどうもわれわれは腑に落ちないわけであります。たとえば、東京都などは再三にわたって一一〇%のスタンドを扱っていますから、一光に対して引取税を納めてくれということは東京都が再三一光の方に要請していると。こういう点は、先ほど言った引取税目的から言って私は東京都の要請なりは当然だと、こう思うんでありますが、この辺はいかがなものでしょうか、お教え願いたいと、こう思うんです。
  14. 関根則之

    説明員関根則之君) 軽油引取税都道府県徴収をいたしまして、その都道府県の中の道路の整備を行うそ財源にするということを目的とするわけでございます。ところが、軽油そのものは、たとえば、トラックに積みますと、長距離トラックなどはまさに本州を縦断して動いて歩くというようなこともございまして、必ずしも消費地課税都道府県とが完全にひたり一致すおと、そういうことが実際上の仕組みとしてできない性格のものでございます。しかし、全般的には、大体軽油引き取りを行います事務所の所在する県におきまして課税をすれば、その大部分のものは大体その都道府県内において消費せられるであろうという前提のもとに税が仕組まれているわけでございます。したがって、一光のような場合には、むしろ私は例外的な存在であるというふうに考えます。  御指摘がございましたように、一光全国で直営の給油所を百一カ所持っておりますけれども系列まで含めますと百四十カ所あるわけですが、そのうち滋賀県にはたった一カ所しか系列給油所がないと、こういう状況であるわけでございます。しかし、あくまでも、一光一光の名において、その責任において軽油引き取りを、給油業者といいますか——失礼いたしました、一光そのもの軽油特約業者としてやっているわけではございませんで、実は、一光軽油引き渡します八晃でありますとか不二通商でありますとか、この業者一光軽油引き渡しをしているということでございまして、八晃及び不二通商につきましては、一光に対しまして軽油引き渡しをいたしておりますので、その点に着目をして軽油引取税課税されておると、こういう形になっているわけでございます。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その半数、五〇%を扱っている愛知県からこの一光滋賀県に出ていったわけでありますが、この背景は何にあったのかということを私は私なりに調べてみました。五十八年の五月十六日の朝日新聞も一部この問題については愛知県の問題としてとらえております。  しかし、この問題ずっと洗っていきますと、一光というのは、わりあいに、伝票関係にコンピューターを使っておるとか、こういう面ではある程度まじめにやっておったようでありますが、しかし、隣近所の別なライバルのガソリンスタンドの皆さんが、いわゆる軽油灯油をまぜて売っていると。県の立入検査があるものですから昼間は軽油一本のやつを売っている、夜になってトラックの通過がどんどん多くなると、軽油灯油をまぜ込んだいわゆるブレンドを売っていると、こういうことが再三あったようであります。これは私も滋賀県あるいは名古屋へ行って関係者に聞きました。それで、一光としては、これではたまったものではないというので、このブレンド商品取り締まりということを県側に再三要請したけれども県側は取り上げてくれなかったと、こういう経過があるわけであります。まあ首をひねっていれば、うそであればうそであるように、何月何日検査をしたと、こう言えばいいんでありますが。  そういうことで、この一光側愛知県の東新税事務所にそのブレンド取り締まりを具体的に申し入れた。にもかかわらず取り締まってくれなかったという経過があるわけであります。そういう不満が積もり積もって、後で申し上げる滋賀県の方からいわゆる誘いの手が来たので滋賀県へと、こう流れていくわけでありますが、こういうブレンドをやっているということは法的に許されているのか、許されないのか、この点をひとつ自治省側にお伺いしたい、こう思います。  そして、このブレンド実態をあなた方が知っているのか知ってないのか。知っているとすれば、どういう手を打っているのか、この点について、もう愛知県の税務署にも申し入れてあるわけでありますから、その取り扱いについて、どうしたか、お教えを願いたい、こう思います。
  16. 関根則之

    説明員関根則之君) ブレンドそのものは、これはやっていけないというものではございません。通常ブレンドというのは、軽油灯油をまぜますとか、あるいは重油と灯油をまぜて軽油の代用をするとか、そういう仕組みをやるようでございます。私ども、そういう軽油が、軽油といいますか、軽油らしきものが存在することについては十分承知をしておりまして、そのための調査、対策も、都道府県税務当局に対してしっかりやるようにふだんから御指導申し上げているところでございます。都道府県におきましては路上取り締まり、路上の抜き取り検査等も実施をいたしまして極力その発見に努めておるわけでございますけれども、なかなか相手も多うございますし、動いて回るものでございますので、それの的確な把握というのは実際問題としてむずかしいという状況であろうと思います。ただ、ブレンドは実際問題としては余り大手の特約段階なり元売段階で行われるということはほとんどありませんで、むしろ末端の販売段階といいますか、その辺のところで行われることが多いというふうに聞いているわけでございます。具体的に愛知県におきましてお話のございました東新税事務所に対して云々という話につきましては必ずしも正確に聞いておりませんけれども、県に対しましては、常にそういう実情の把握というものにつきまして努めるように従来からも指導をしておるところでございますし、これからも指導をしていきたい。と思います。  なお、ブレンド軽油そのもの通常軽油ではございませんけれども、そのブレンドした段階軽油と同じような機能を発揮するわけでございますので、それに対しては別途税法軽油引取税と同じもの、すなわち軽油引取税課税すると、こういう仕組みになっておるわけでございます。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、この東新税事務所の件は具体的に把握してないといいますから、これはぜひ一回当たってもらいたい。  それから、いまあなたが言った各都道府県にそういうことに対する通達を出して摘発なり取り締まりするようにということを言っていますから、その指示文書参考までに後ほど出してもらいたい。  それから、ブレンドの問題については別途課税をしているということでありますから、この課税の基準なりを具体的に、いま問題になっている愛知県なりあるいは滋賀県で年収どのくらいの徴収の税金があるか、それを具体的に、今後の問題もありますから、提示を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  18. 関根則之

    説明員関根則之君) ただいまお話のございました事項につきましては、調査をいたしまして別途御報告申し上げます。
  19. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それからついでに、一光と同じ規模のスタンドを持っている企業ですね、われわれの推定では二十か二十五、大前後とこう思っておるわけでありますが、あくまでもわれわれこれ推定資料でありますから、一光に見合うような企業全国にどの程度あるか。これも後ほどで結構ですから文書資料提出願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  20. 関根則之

    説明員関根則之君) 私どもの方は各業者販売店数等につきましての正確な資料徴税当局として持っているわけではございませんが、業界調査したもの等がございますので、そういったものにつきまして御提出申し上げたいと思います。
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 お願いします。  それから、あと、われわれの調査ですがね、いまあなたが述べた組織構造ブレンドのやれない業者というのは、われわれの調べでは伊藤忠商事、三愛石油、これはブレンドをやってないということでありますが、その他の業界はほとんど大なり小なりこのブレンドをやっているというのが業界の話です。そして、このブレンドをやることによってどのくらいもうかっているのか——もうかっているのか脱税としますか、大体ごく厳密にやると年間千三百億程度、少しがめつくやれば二千億程度、このぐらいは業界でパーパーで動いているのではないかと、こういうことを私たちは調査段階でその道の専門家から話を聞いたわけでありますが、これもひとつ具体的に、どなたが何を根拠にこう言ったということについては、われわれも回を追って追及するにやぶさかではありませんが、こういう話を私がこの問題を調査中にお伺いしたので、自治省の方でもこの真意について、千三百億前後という問題についてひとつ御調査をしてもらいたい。これは国税庁も御協力を願って一度洗ってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。調査要請します。
  22. 関根則之

    説明員関根則之君) ブレンド軽油は何と何をブレンドして、たとえば灯油を混入いたしましたときに灯油分がどれだけ入りましたという申告は実はないわけでございます。灯油をまぜまして、でき上がりました全体として一つ軽油というものができ上がる。その総量が幾らだということで、それに対して引取税を定額で課税すると、こういう仕方でございますから、税当局がもともと軽油のものに対してどれだけの灯油なり何なりほかのものをブレンドしたか、そこのところの数量的な把握はちょっと私どもではできかねるという面がございます。ただ、せっかくのお話でございますから、実態がどの程度のものになっているのか、その辺につきましてはわれわれもできればある程度の概念的な把握をしたいというふうにも思っておりますので、さらに調べてみたいと考えております。
  23. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私も技術屋の端くれだからね、機関車や電車に油を使う際に、AとBを何割まぜればどういう力が出ると、何割まぜればどういう感じになる、粘着力はどう、摩擦力はどうと。それくらいあるでしょう。だから、国会答弁としてはあなたの答弁わからないわけじゃありませんがね。しかし、そこはやっぱり公然たる事実として、七、三とか五、五とか、こうなればこうなるということは、やっぱり業界の通であるのがあたりまえじゃないですか。私はそう思うんですよ。ですから、私はきょうはそれ以上追及いたしません。あなた方と国税庁が——国税庁来てますな。あなた方と国税庁協力をして、業界意見を聞きながら、こういう千三百億前後の脱税とかぼろもうけがあると言われているんですから、きょうの新聞じゃありませんが、何とかの歯医者さんがにせのあれを使って国税庁が摘発するとかありましたね、きょうの社会面に。どこのお医者さんがサウナを家の中につくっておって、二億五千万脱税して東京国税局が摘発したと。その一億、二億に目を光らせる税務署ですから、千三百億も脱税があるとなればね、それはあんた、この世の中でね、やはり目を光らせて、業界をもう一回洗ってみると。そして、やっぱり脱税経過があれば、それは正常のルートに乗せて税金を納めてもらうというのがやっぱり当然の仕事じゃないですか。私はきょうは問題提起をしたんですから、ぜひ調査をして、調査の結果を後日御報告願いたい。  これは大臣ね、このくらいいいでしょう。あなたが大臣やってる。大臣、どうでしょうか。いまの実態について、このブレンドの問題について国税庁協力して調査をすると、このことについて大臣のひとつ御見解を聞かせてもらいたいと、こう思います。
  24. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) お尋ねのことにつきましては、具体的な事例に即して判断をすべきことでございまして、もしこれが犯罪に該当するようなことであれば、これは当然取り締まっていかなければならないことでございます。厳正にこれからやっていくように検討を進めてまいりたいと思っております。
  25. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃあお願いします。  一光の問題に具体的に入るんですが、先ほど言ったような状況一光グループが滋賀県に移動すると。まあ滋賀県から見れば誘致をするといいますか、そういうことになるわけでありますが、私はこの問題は、先ほど言ったとおり、津村という当時の県の職員がゴルフの招待を受けたとか、百万とか二百万の賄賂をもらったとかいう贈収賄だけでは私はないではないかと。いわゆる県知事を頂点とした県ぐるみの事があったんではないか。いわゆる県ぐるみの脱税幇助、こういうことがあったんではないかと、こんなふうに、私はそういう視点から二、三問題をお伺いいたします。  五十八年の十月二十七日の新聞報道によりますと、いわゆる県側はこの一光の子会社である不二通商を受け入れるために制度の改正を行ったと、こう述べておるわけでありますが、この制度の改正を行った中身について自治省は掌握しているかどうかお答え願いたい、こう思います・
  26. 関根則之

    説明員関根則之君) 一光そのものは実は滋賀県へは移動していないわけでございますが……
  27. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 不二通と八晃だよ。
  28. 関根則之

    説明員関根則之君) 一光へ油を卸します不二通商、八晃が滋賀県へ誘致をされているわけでございます。その滋賀県への立地に当たりましていろいろな要望が業者側から出されまして、それに対しまして県も対応をいたしております。その中で制度的な改正といたしましては二点を改正をしているということでございまして、一つは特別徴収義務者に対しまして事務取扱交付金を交付をいたしておりますが、その際の特別加算金の交付率を従来よりも〇・五%引き上げるという措置を講じております。もう一つは、新たに立地をいたしまして企業が建設を要します営業所の開設補助金といたしまして補助金を支出していたわけでございますが、それ以前は五十万円でありましたものを最高限度を五百万円にまで引き上げて支出できるようにいたしております。その二点が制度といいますか、もちろん条例とか正式な規則ではございませんが、いわば執行段階での要綱といったような形で制度改正を図っておるということでございます。
  29. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、いま聞きますと、交付金加算を〇・五引き上げると、営業所開設の助成金五十万円を五百万円まで引き上げることができると。これは大変だね、五十万が五百万というのは、財政困難の折。いろいろとこれは妙味があるから一挙十倍にまで上げたんでしょうね。この辺がちょっと——まあしかし制度的に改正をやったと、こういう点はこの時点では確認しておきます。  それからもう一つやっていませんかね。これはわれわれの調査では地方税法第七百条の二十一第一項の軽油引取税納入期間の二カ月以内を三カ月に延長することを認めるため、滋賀県側が協議をしていなかったですかな。私はきのうも何か自治省の皆さんが新聞持ってないと言うから、私が一年半分持っていたやつを全部きのうおたくにレクチャー用にくれましたから、一晩で皆読めと言っても大変だと思うんですが、しかし一年半前に自治省は調べるということを言明していますから、私は当然調べているものと、こう思ってやっておるんですが、この地方税法のいま申し上げた七百条の改正で二カ月を三カ月にする、一カ月の延長に伴う延納金は免除措置をすると、こういうことを決めておりませんか。
  30. 関根則之

    説明員関根則之君) 三番目の猶予期間の問題でございますけれども、これは二カ月以内には払い込みなさいという規定があるわけでございます。そして、その制度のとおり地方税法に書いてあるわけですからそのとおり運用をしなさいという指導をわれわれの方はしているわけです。ところが、滋賀県の場合にはこの八晃、不二通商、この企業の誘致の前から、地方税法の規定の趣旨とはやや外れた運用をいたしておりまして、三カ月以内に納入すればそれでよろしいというような扱いをしていたわけでございます。したがって、そういうやや外れた運用をこの誘致をいたしました二つの企業に対しましても適用いたしますよと、そういう約束はしたということでございます。ただ、これはいわばその制度の改正ということではございませんで、改めてこの八晃、不二通商が来るためにそういう取り扱いを変えたということではないというふうに承知をいたしております。
  31. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ苦しい答弁のようだけれども、じゃ具体的にお願いします。  じゃそのあなたが言っておる自治省指導を若干曲げた——曲げたというと怒られますが、若干曲げたことをやっているということは、いわゆるいつからやっているのか。滋賀県はいつからやっているのか。いいですか。一つ、いつからやっているのかと。そのやるに当たって、県内ではどういう手続をして、それを自治省に届ける義務があるのかどうか知りませんが、自治省にいつそのことが文書として報告があって、あなた方がそれを黙認したのか、指導したけれども滋賀県側が言うことを聞かなかったのか、その辺の事実関係を証拠書類をもって提示をしてもらいたい。一つ。  二つ目には、あなたはいみじくも、この一光の子会社である不二通商が来る前からそういうことをやっておりまして、そうして不二通商にもそれを適用しましょうということを約束をしたといま答弁しましたね。しからば、この不二通商滋賀県に来るという話はどの時点から始まったのか。それをひとつ出してもらいたい。  私はこれをここ二、三回追及していますから、きょうは時間が忙しいから、この二点だけ証拠書類として私の方に出してもらいたい。いかがですか。
  32. 関根則之

    説明員関根則之君) そのような三カ月後でもよろしいという扱いをしているのは明確に何年からということはわかりませんが、おおむね昭和四十年当時からそういう扱いがなされてきたのじゃないかという報告を受けております。また、これは別に自治省に報告を要することではございませんし、また報告できるような性格のものではない。少なくも地方税法の規定に反する実際上の取り扱いでございます。したがってこのやり方は、表向き要綱だとか要領だとか正式な文書をもってそういう取り扱いをしますよということを部内に徹底していたものではないわけでございまして、実際上の取り扱いとしてそういう取り扱いをしていたということでございますから、その基本となる文書というものはないというふうに私どもは理解をしているところでございます。
  33. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私なりの調査によると、一カ月ずれただけで大体年間、一カ月ずれたことによって当時不二通商は二億円ずつずれていって、それでそれが積み重なって何億という脱税に、年間締めていくと脱税という額になってくると、そういう一カ月ずれ込んで、二億円ずつずれていってそれが脱税につながるということがわかっていながら、その取り扱いをする県の通達なり税務署指導要綱とかそういうものがないというのは、一体常識的に考えられますか。不二通商は毎月二億円ずつずれているのですよ、二億円ずつ、滋賀県に納める金が三億円ずつ積み重ねているやつを、いつごろやったというかわかりませんが、文書はありません。昭和四十年ころでありましょう。自治省には報告ありません。じゃ税務署にも証拠ないですか。  じゃ国税庁にお聞きしますが、一体この大津税務署はそういうものを税務調査をやる際にそういうことについて黙認しているのですか。国税庁、後で聞きますが、これはあなたの方もまあぼろ出したから聞きましょう。五十四年の一月十七日、不二通商、八晃に対して大津税務署は税務調査やっていますね。そのときいま言った自治省答弁については、徴税者としてそんな何も文書ありません。四十年からぼやっとしていました。二億円はぽっぽっぽっと脱税になっていますと。それを国税庁サイドは黙って見ているのですか、税務署、どう国税庁
  34. 岸田俊輔

    説明員(岸田俊輔君) お答えいたします。  税務調査におきましては、それぞれ証拠書類を確認をいたしましてやっておるはずでございますので、脱税を見逃すとかそういうことは決してないと思っております。
  35. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ちょっと国税庁次長、そんなそっけない答弁するなよ。二カ月のやつを三カ月に延ばして一カ月ずれていくと。確かに証拠物件は一カ月おくれましたと。そういう証拠物件はあるでしょう。でも徴収猶予を見ると二カ月以内に納めなさいとなっているやつがこうおくれてくると、そういうことについてこちらの方は何も証拠物件ありませんと、慣行というかもぐりというか、慣行がもぐりでやっておりまして文書はありませんと、こう言っているのですよ。税務署の方では、そういう慣行がもぐりで二カ月で当然納めるやつを今月までに納めなさいと。だけど来月にずれると結局手数料取られるでしょう、一般の税では、おくれたというんで。そういう意味の取り扱いについては国税庁関係ないんですかと。少し親切に答弁してくださいよ。
  36. 岸田俊輔

    説明員(岸田俊輔君) お答えいたします。  地方関係が適法に行われているかどうかという点は、私ども税務署は直接税——所得税、法人税関係調査を重点に置いておりますので、その点に思い至らない場合も多いのかと思いますが、事が国税に関係をする場合には確認をいたすことにいたしております。
  37. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ、あなたにはまた後で聞くから。その程度国税庁の熱意だということだけはわかりました。後で別途聞きます。  それでは、自治省お願いしますが、あなたがそういうことであるならば、参考までに昭和五十三年三月十日、滋賀県知事決裁の滋第八二号、この文書をぜひ滋賀県に照合して証拠物件として提出願いたい。いかがですか。
  38. 関根則之

    説明員関根則之君) いまお話しのございました文書につきましては、早速調べてみたいと思います。
  39. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは余り、失礼かもしれませんが、当時総務部長をしておった前川さんがいま自治省調整室長として自治省に勤めていらっしゃるんでありますが、あなたはこの五十三年三月十日、知事決裁滋第八二号の決裁に直接かかわりを持った事務レベルの最高責任者だと思うんでありますが、その中身はどういうことか、ここでわかりますか、前川さん。
  40. 前川尚美

    説明員(前川尚美君) いまお尋ねの文書でございますが、ちょっと私もいま手ぶらでは、記憶ございませんので御勘弁いただきたいと思います。
  41. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、い辛口治省が取り寄せて提出すると言っていますから、その文書をもらったら、自治省のいままでの答弁とその証拠物件を照合して、食い違いがあるかどうか改めて追及をします。ぜひもらいたい。  それから、前川さんもう一回、まことに申しわけないが、あなたせっかく来てもらったんですから。あなたは総務部長の専決決裁事項で、特別徴収事務取扱交付金還付率の要綱の一部改正ということを専決事項でやっているはずでありますが、これは先ほど答弁のあった交付金を〇・五上げると、このことであるかどうか、これは再確認の意味で御答弁願いたい、こう思います。これ以外か、このことか。
  42. 前川尚美

    説明員(前川尚美君) お尋ねのものと一致するかどうかわかりませんけれども、交付金率を上げるとすれば交付要綱の改正がございます。まあ、それは私の決裁事項になっていると思います。
  43. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、先ほど御答弁あったそのことであろうと、こういうふうに確認していいわけですな。一じゃ、そう確認します。  そうすると、私は警察庁にお伺いしますが、津村さんが逮捕されて、いま収賄罪公判中であるからなかなか微妙だと思うんでありますが、いま私が申し上げた二カ月を三カ月に繰り延べるとか、それで脱税のテクニックをやったとか、あるいは〇・五引き上げるとかということについては、何か新聞の報道によりますと、一部、検事調書か警察調書か知りませんが、検事調書か警察調書でそういう意味のことを津村さんが述べているという報道をされておるわけでありますが、この報道については事実確認できますか。あるいはどういう考えか警察の見解を、いまのやりとりを聞いて、いま公判中でありますが、津村供述について、あったかどうかお教え願いたい、こう思います。
  44. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) ただいまお話しありましたように、現在この事件につきましては公判係属中でございます。したがいまして新聞にいろいろと報道されておりますが、その内容を警察として確認をすると、こういったことについては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  45. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ、この前の三井有明じゃありませんが、公判中であるから云々と、こういうことがオウム返しに来ることはわかっていますが、私たちはこの中身については確実な証拠を持っているということだけはここで表明しておきたいと思います。したがって、公判の進展に従ってその津村供述調書がどんどんあらわれてくるでしょうから、まあ私が決算委員中であればその供述書を盾にもう一回聞きますし、決算委員をやめておれば何らかの機会にその供述調書の中身と、私がきょういま述べたことが合っていればやっぱり目黒はわかっておったんだなとわかるだろうし、わからなければ目黒のやろうチャランポランだったと、こうなりますから、私は必ず供述調書に出てくると確信を持っているということだけ表明しておいて、やっぱりこの問題については津村個人の問題もさることながら、やはり県ぐるみのにおいが多分にするということをどうしても私は捨て切れないと、こう思うのであります。  それで、これは五十七年の十一月に国税庁のもみ消しの関係で大津地検に関係者が告発していると、こういう情報を握っておるわけでありますが、告発されてなぜ調査しなかったのか、法務省に見解を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  46. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) お答え申し上げます。  いまお尋ねの五十七年十一月に京都の一市民から大津地検に告発がなされましたといいますか、告発状を持参されました。そこで、その書面につきまして大津地検で調べましたところが、内容の記載がきわめて抽象的であると、あるいは告発されておる者の氏名が定かでないというようなこと。さらにはその内容が地方税法違反ということで、御承知のとおり課税権者である県の告発がなければこれは起訴できないと、親告罪でございますので、そこらの点を当該市民の方に御説明をいたしましてその書面を受理いたしましたが、まだ立件はいたしておりませんでした。そして昭和五十八年になりましてこれを地方税法違反で立件をいたしまして、その間に県の方で通告処分がなされ、それを履行されましたので、親告罪の要件であります皆発がなされないということが明確になりましたので、親告罪の告発欠如ということで昨年の十一月十六日に不起訴処分にいたしております。
  47. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、いま自治省の方では本来は二カ月以内に納めるべきであると、それを何らかの事情で三カ月になっているということはよろしくない、よろしくないと。こういういま答弁がありました。法務省、いま説明ありましたが、自治省の方でやっぱり二カ月、法律的には二カ月以内に納めると、それを三カ月でやっていることは余りよろしくないことだと、こう答弁をしたね、自治省の方は。あなたは通告処分があったからいいんだということを言っておりますが、それは県側のやることであって、法務省として地方税法に二カ月以内に納めるとなっているやつを、三カ月に延ばして暗黙でやっているということは地方税法違反になりませんか、通告処分とかなんとかとは別問題として。あなたたちは法の番人でしょう、法の番人。法で二カ月のやつを三カ月にしてうやむやにやっているということは地方税法違反になりませんか。ぜひその点は調査をしてもらいたいと、こう思うんですが、いかがですか。
  48. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) いま御指摘のように地方税法七百条の二十一に二カ月の徴収猶予期間の定めがございます。これに違反しました場合にどうなるかということでございますが、この条文につきましてはその違反について地方税法上罰則規定がございません。したがってストレートにこれで地方税法違反という何らかの犯罪が成立するということはむずかしいかと思います。  なお、そのほかこれらをめぐって何らかの犯罪が成立するのではないかということも考えられますが、それにつきましてはちょっと具体的な事実関係が明らかでございませんので、ちょっと明確なお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  49. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 地方税法で二カ月、七百条の二十一の第一項で二カ月以内と決まっているけれども、それを破った者については罰則がないからうやむやで結構ですと、それが法務当局の正式見解ですか、もう一回確認します。これは今後のいろんな納税にも関係しますからね、二カ月に決まっているやつを、私も今度納めませんよ、目黒朝次郎は住民税を一月三十一日まで納めると決まっているものを、ああいうふうに法務省は言っているから一カ月ぐらいいいんだと、ほっぽらかせいと、これでもいいんなら、それは税の体系整備に、そういうあなたが正式見解と言うなら、これは大変なことになりませんかな。私は政治家ですからこれは大変なことになるなあと、こう思っているんですが、法の番人がそれでいいと言うんなら、何も二カ月以内なんて法律つくっておく必要ないんじゃないですか。そういう法の番人ですからね、あなたはね。法の番人としてそういうことでいいんですか、改めて確認します。
  50. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) お答えいたします。  私がいま申し上げましたのは、あくまで刑事上の犯罪になるかならないかという点でございまして、この二カ月の猶予期間を超えた場合に罰則がございませんので、これを刑事事件として刑事責任を問うということはできないと思っております。ただ、そういう場合にそれがいいか悪いかということは、またこれは私の直接の所管外でございますが、税法上におきまして私の知るところでも納入期限を超えた場合に延滞金というようなことで加重の金額を納めさせるというような、その面での制裁は規定されているというふうに承知いたしております。
  51. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなたの見解は見解として聞いておきましょう、またいつか問題やるときありますから。  じゃ時間がないから進みます。  それでいま言われたことずっとやりますと、五十二年の九月、津村さんが中に入って県知事や副知事、いま申し上げた総務部長の了解などを得ながらいま言った二カ月を三カ月に延ばす、これもまあ認めようと、認めると不二通商側は一カ月二億円の脱税でもうけをすると、それは一カ月二億円の脱税が積もり積もって四十五億の脱税になっているんですがな、ちょっとこの点はあれしてくださいよ。二億円に二億円が積み重なって四十五億円の脱税になっているんですよ。これは頭かしげていますが、四十五億の脱税の内容調べてくださいよ。そういう脱税を認める、一つ。  二つ目には何といってもいま言った一光事務所五十万円を五百万円に上げて五百万円の金を見ますと、これも条件だね。  三つ目については、いわゆる先ほど言った還付率を引き上げると、こういう条件でいったんですが、この内部告発者の話によりますと、この高田課長、当時の税務課長、税務課長と補佐の津村さんが県知事と副知事の了解を得て一光側には社長と取引したと。その際に私たちは調査でこういうことがわかっているんです。丹羽さんの方はそれは滋賀県のことはわかるけれども、国税局から調査されるとすぐわかる。国税局から調査されるとすぐわかる。その点どうしますかと言ったら、県側では絶対調査いたしませんという一札を丹羽専務に滋賀県が与えているんじゃありませんか。あなたが言うように合法的であるならば、なぜ調査を断るということを県が一札一光の専務に入れているんですか。何か悪いことが発生するから調査いたしませんよと、わざわざ県側一光側に一札を入れているんじゃありませんか。この辺の一札を入れているという問題、調査をしないという問題、この問題とあなた方がいま答弁した関係はどういう結びつきになるんでしょうかね。私は常識しかありませんから、調査をすればばれる、ばれるけれどもひとつ滋賀県に軽油引取税が入るんだからそこは県のために調査しませんよと、こういうことになっているんじゃないでしょうか。この私の推論は、私は探偵小説ではありませんが、この推論は間違っていますか。私は社会常識的に間違っていないと思うんですが、その点はなぜ調査はしませんということを滋賀県側が不二通商にお約束したんでしょうか。この事実をどうとらえますか。
  52. 関根則之

    説明員関根則之君) 県側が正式に調査をしないという一札を入れたという事実につきましては、私ども御報告を受けておりません。そういうことはないという報告を受けているところでございます。
  53. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 警察側も同じでしょうが、この津村の調書にそういうことは私は載っていると、こう確認しているんですが、まあ答弁答弁だと思いますが、警察庁いかがですか、いま言ったようなことについて。いわゆる丹羽専務と佐藤常務がおって、県側は高田課長、津村補佐、四者会談でやっておって、高田課長が説明をする。高田課長は余りわからないので電車の中で津村にレクチュアを受ける。レクチュアを受けてもなおわからないんで、高田は言わなくて、津村が説明して、それを課長が後で保証したと。会社側は丹羽専務、佐藤常務。それで、佐藤常務から、そんなことは知っているけれども調査されたらばれてしまうのじゃないかと佐藤常務が言ったと。そうしたら、課長と津村は、それはもう上層部の了解を得ているから絶対調査はいたしませんと、そういう答弁で、それは念書書きなさいと言われて約束したと、こう私の、目黒調書にはそうなっているのですよ。この目黒調書はストレートにいま公判中の津村の収賄罪の調書の中に出てくる。これは時間がたてば目黒調書はやっぱり津村調書と同じだったと、こうなると思うんですがね、これは時間の問題で。そういうことが正当化されれば、あなたが二カ月を三カ月に延ばすなんということは、裏を返せば正当性がないということになるじゃないですか。いわゆる脱税のテクニックだったということになりはしませんか。そうでしょう。
  54. 関根則之

    説明員関根則之君) 一光をめぐります脱税の具体的なやり方は、特約から元売の方に戻したというような架空の取引を用いまして軽油引取税課税を免れたと、こういうのが中心でございまして、先ほどからお話のあります二カ月の徴収猶予という法律上の制度があるにもかかわらずそれを三カ月まで事実上認めておったと、しかも一カ月延びました三カ月分につきましての延滞金を事実上徴収してなかったと。その問題は直接脱税額を積み重ねていく中心的なものにはなっていないと私どもは理解をしております。ただ問題は、法律の規定にないものを納税者側にとって有利なような形で黙認をしていたという事実は、私ども調査の結果明らかでございまして、これはとんでもないことであるわけでございまして、その間における実際の調査なり厳しい徴税上の税務調査というのができておらなかったということは、最初に大臣が申し上げましたように、特定の人に事務を任せてしまって、事務処理のマンネリ化といいますか厳しさが足りなかった、事務処理の適正を欠いたということにあるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  55. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょうは始まりだから、あなたはあなたでそういう見解を持っていればいいですから、私はそのずらしたことについてどういう約束があったかということを、一光側県側にどういう約束があったのかということは次回にちゃんと数字を示しますから、持っていますから、証拠を。それはきょうはあなたはあなたの答弁でいいでしょう。しかし、そういうやりとりがあったということだけこの際明らかにしておきます。  それからもう一つは、じゃこれはどう思いますかな。ある新聞が、朝日新聞だ、これは。五十七年の十月十日、この内部告発をすっぱ抜いた当日、武村知事は津村を知事室に呼んで、いま公判になっている津村を呼んで、これは大変だと、おまえ調査せよと、そのかわり不二通商と八晃は滋賀県から逃がすなよと、こういうことを知事が津村に言っているという。知事がですよ、県知事が。ところが、津村は、知事、調査したらパアになりますよと。そうしたら知事いわく、パアになったらあの手で新しいものを持ってくればいいじゃないか。あの手だ、あの手。このあの手は何でしょうか。このやりとりはこれも警察調書に出ているはずですよ。このやりとりは何を暗示するんですか。調査せよと、調査したらパアになるよと。パアになったらあの手で新しい会社持ってこいと。これが知事と津村のやりとりだと。ここまで言われれば知事をかばう気持ちはわかるけれども、やっぱりこの辺の問題は単に津村がかんでいるんじゃなくて、知事、副知事、当時の総務部長、いわゆる県の上層部がこの問題にかんでいるということを感触とれませんか。これはあなたに答弁してもらわなくても、今後のために警察庁、私はこの問題は、これもある筋からわれわれは確認しているんですが、現段階では答弁できないでしょうけれども、こういうことを目黒調査で握っているということなんですが、この問題についてはいかがでしょうか。
  56. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) お話のございましたいろんな事情、背景につきましては、警察といたしましてもいろいろと調査、捜査をいたしました。先ほど申しましたように、公判中の問題でございますので詳しい答弁については差し控えさしていただきたいと存じます。
  57. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、警察庁長官と法務省の方に、確かにいま収賄罪の問題は公判中ですからそれは私はそのとおりだと思います。しかし、私流に調べてみると、収賄罪収賄罪で結構ですけれども、どうも本件の背景にもっと大きな、やっぱり県の最高首脳、だれとは言いません。県の最高首脳のやっぱり判断とか指示とかいうのがあって、その判断と指示で、津村は単なる走り使い、高田課長も単なる走り使いと、こういうふうに私はとらえているんですよ。私も国鉄で四十年飯食っていますから、国鉄の一課長とか一駅長の権限と、国鉄収賄やるときの上の方の権限というのは、私も官僚の中で育っていますからね、いい悪いは別にして。そういうことを考えると、この二百万足らずの収賄罪でぽかっとちっこなアリをつかんでおって、大きい真っ黒い黒鬼を逃がしているんじゃありませんかと、こんな気がするんです。ですから、私のこの提起について、警察庁法務省は、やっぱり法の厳正のもとにひとつ調査をしてもらいたいと。その津村の収賄罪と別にやっぱり根本的な調査をしてもらいたい、こう思うんですが、警察庁法務省いかがでしょうか。
  58. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 警察といたしましては、証拠に基づいて、法律に触れる事実があると、こういうことになりますと、常に厳正に捜査を行いまして事件をまとめて検察庁に送致をすると、こういうことでこれまでもやってきておりますし、今後もそういった面で進めてまいりたいというふうに考えております。
  59. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) ただいまの事件、警察から送致を受けまして名古屋地検でいろいろ周辺まで詳細鋭意調査をいたしました結果、先生御承知のとおりの贈収賄の起訴となり、現在公判中でございます。いろいろな事件につきましてはその真実を徹底的に追及して刑事責任の所在を明らかにし、これを追及していくというのが検察従来の方針でございまして、今後もそのような方針でまいりたいと考えております。
  60. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは一国会議員の言うことだからなに大したことないと思って聞いているかもしれませんが、私だってやっぱり税金とか脱税とかというのは余りいいことじゃない。ですから、それをどういうふうに、一般庶民からはびりびり取る税金を、影で四十五億も大きな脱税して、これは内部告発があったからこそ四十五億ではれたんでしょう。一光内部の、どんな関係がそれは申しませんが、いろいろあったそうです。一光の何とかという女社長とぐずぐずあったらしいけれども、それは言いません。しかし、告発があったからこそ四十五億という脱税が公然となったんでしょう、それはそれになるだけの背景と動きがあったはずですよ。その背景と動きを探知しながら、なぜ警察も法務省も動かなかったのかということについて、私は非常に残念に思っている一人です。ですから、こういう問題を私が提起しているんですから、そういうことについては、通り一遍の答弁は結構ですが、少しはやっぱり誠意をもって——われわれ三日も四日も滋賀とか愛知へ行って寝るのを寝ないで資料を集めてきたんですから。こんなにありますよ、資料。だから、われわれはそれなりに集めているんですから、見せてくれと言うんなら全部やりますから警察に、少し誠意をもって調べてくださいよ。そうしないと庶民はたまったものじゃない。四十五億の脱税を告発でわかるなんて、告発がなければもぐり、そんなあなた不届き千万ありますか。  もう一つ聞きます。  国税庁、五十四年一月十七日、先ほど言った大津税務署が入ったんですが、さっき答弁ありました。しかし、われわれの調査では、原価一リットル当たり四十九・五円が出てこなければならないのに、一リットル四十五円しか出てこなかった。これは、国税庁、これだけでも五千万から六千万の異常状態があった。ある新聞には一億と出ています。私のあれでは五千万から六千万。金額は違っても、四十九・五が四十五ですから、これは大津税務署の税務調査でわかったんでしょう、いかがですか。
  61. 岸田俊輔

    説明員(岸田俊輔君) 不二通商、八晃につきまして大津税務署が税務調査をいたしましたことは、新聞報道でもございますし、否定をいたしません。相当の日数をかけて調査をいたしておりますが、国税に関しましてはそう大きな問題が発見。されなかったということを聞いております。ただ、個別問題でございますので、詳細についてはお許しいただきたいと思います。
  62. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 相当の時間とあなたが言ってますがね、われわれの調査では、当時の税務署では、税務署員から、調査官から不二通商の担当者が言われたのは、一時間半ぐらいしかかからなかった。一時間半ぐらいでもう異常が発見されて否定された。これは内部告発したその人が言ってるんだから。あれだったら、内部告発した本人、一光の専務だから、一光の専務を呼んできて、ここで参考人で聞きますか。一時間半もかからなかったという、異常を発見したのは。あなたは相当期間かけた、これは確認しますからね。われわれは、一時間半でわかってるという、税務官から会社が否定されているという。これは何ですか、これは。本来四十九円五十銭というのがなぜ四十五円になったんですか。これはどっかにやみがあるんじゃないですか。そんなことまで国会議員にごまかすんですか、あなた。どうですか。
  63. 岸田俊輔

    説明員(岸田俊輔君) 局の方からの報告によりますと、八晃及び不二通商につきまして大きな非違はなかったというふうに聞いております。
  64. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は納得いたしません。時間がありませんから、納得しないものは納得しないと言っていきます。  それからもう一つ、先ほど、この問題について私は調べたんですが、これは同僚の国会議員であるから余りいいことじゃないなとは思っておったんですが、あなたは異常なかったと言うけれども、われわれは異常があったと受けとめている。異常があったから内部告発者を含めて大変な大騒ぎになった。隠密に水面下で、これは表に出たら大変だといって、これをやっぱり表にしないように工作する必要があるといって工作が始まった。これは丹羽という告発者も含めて、県の役人も含めて、津村、これも調書に出ているのよ、警察の調書に。津村、丹羽。しかも場所は知事室。知事室に集まって相談した。そうすると、やっぱりこれが本当だという、われわれが調べたら。これ見てください。国会議員の名前も、余り言いたくありませんがね、一光から山下代議士へ献金、この献金は税務調査の異常をもみ消すためのもみ消し料だと。ところが、これを見ると、愛知県警は賄賂性認定困難と、こうなっているんですね。賄賂性認定困難ということは、やっぱり本件について愛知県警はタッチをしたと、タッチの度合いは深くやったか浅くやったかは別にして、愛知県警はタッチをしたことを裏づけしてるんです。タッチをしてみたらいわゆる余り悪質でないとか、愛知県警が調べたら、これは賄賂性についてはあるかもしれないけれども、時効にもなっているし、なかなかやり方が巧妙だし、わからないし、山下代議士も証言を拒否しているし、あっちこっちは皆黙して語らずと。しかし、税務署が異常を摘発してそれを県の方に話をしようといったその動きだけはぴたっととまったと、ぴたっととまったと。これはなかなか立証困難だけれども税務署が異常を発見して関係方面に通報しようとしたその動きだけはぴたっととまったと、これはりっぱなものだね。これを神様のお力で動かしたというわけにはならないと思うんですよ。国税局はそんなに甘く見られておるんじゃないと思いますがね。この事実はどう解明してくれるんですか。それで警察にお伺いしますが、この愛知県警で調査したというのは事実ですか。どの程度おたくの方に入ってるんですか。そして本人に愛知県警で接触したんでしょうか。これは私は言わないと思ったけれども、これ新聞が出してるもんですからね、これは新聞に出ていればしょうがないと、ぴたっととまったんだから、とまったことは。これはとまったことは、私は現地へ行って調べてわかりました、とまったことは。大津税務署から出たことが。この関係だけは。まず警察庁どうでしょうか、この関係
  65. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) お尋ねの件につきましては、警察といたしまして実態解明のために調査をいたしました。その結果、犯罪となるべき事実の把握に至らなかったと、こういう状況でございます。
  66. 岸田俊輔

    説明員(岸田俊輔君) 本件に関しまして、大津税務署に何らかの政治的圧力があったという報道がございますけれども、私どもそういうことはなかったというふうに聞いております。
  67. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 なかったと、もう一度確認します。そうしますと、大津税務署がその不二通商、八晃を税務調査やって、本当に異常なかったんですか。なかったらなかったというその証拠物件が何かありますか。われわれは異常があったと、こう確認してるんですが、あなたは異常がなかったと。あなたは非常に長い時間かけたと、私は一時間半でわかったと、大分違いますな。まあどっち違ってもいいや。異常があったのかなかったのか、この点についてはあなたは責任持ってお答えできますか。これは大事な問題です、今後の問題でも証拠になりますからね。わからなかったら調査中でもいいですよ。なかったのかあったのか、今後調査するのか、二者択一、どうぞ。
  68. 岸田俊輔

    説明員(岸田俊輔君) 両社につきまして調査の結果、大きな問題はなかったと聞いております。
  69. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大きな問題はないけれども、小さな問題はあったということですな。
  70. 岸田俊輔

    説明員(岸田俊輔君) 詳細にわたりますので控えたいと思いますが、それは税務調査でございますので、いろんな点で問題はございますけれども、これらに関係しての大きな問題は国税に関してはないということでお答えしたいと思います。
  71. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それなら、五十八年七月十三日県議会における武村知事答弁をもう一回かみしめて一きょうは返事要りません、あなたが自分で調べて、五十八年七月十三日本件問題に関する議会で知事が答弁していますから、この答弁をよく熟読玩味して、あなたの答弁と照合して、次回は真相を究明します。私、証拠物件持ってますから。あなた方は全部守秘義務でやったって、私は持っていますから。  それで最後に、もう一件あるんですが、それで自治大臣ね、あなたずうっとやりとりを聞いておったと思うんですが、私はこの事件が発覚した、内部告発された段階で、冒頭申し上げたとおり、自治省がこれは初めてのケースで、しかも軽油引取税の問題にそういう仮に穴があったら大変なことだと、したがって真相究明に全力投入するという決意を表明されて、私は期待を持っておりました。しかし、いまやってみるとごらんのとおり。しかも、大事なところへいくと警察を含めて公判中と、あるいは税務署の方は守秘義務という壁にぶつかるんですね、これは出てこないんですよ。したがって、きょうのこの攻防戦は、先ほど言った滋賀県の知事決裁の書類、これないわけですから、その知事決裁の書類を出してもらって、それから総務部長の専決事項の問題を出してもらって、でき得れば、あなたたちは見れるか見れないかしれませんが、警察などと連携をとりながら、私がこれこれを言ってるっていうことが、公判中であるから出せませんということに対する対応の仕方はおたくに任せますが、やっぱり私は本件問題はどうも滋賀県ぐるみで取り組んだ脱税案件ではないかと。単にいま公判に付されてる津村さん以下四名ですか、方々の二百万円程度収賄罪にかかわる問題が脱税を生んだんではないと、私はそう確信するんですよ。ですから、弱い者だけ収賄罪で罪の座につけて、陰におった人がぬくぬくとしてると。そして脱税がまかり通る。軽油税本来の趣旨が十分に達成されない。愛知県に五〇%持っていて、それでスタンド一カ所しかない滋賀県にごそっと軽油税が入っていくという仕組み東京にも同じ。こういう問題について事件真相解明と、そういう軽油税のあり方と、地方自治体の要望との関連をやっぱり私は見直す問題をこの事件が一面で抱えてると、こう私は思うんですよ。そういう視点からひとつ、国民の税金を預かる国務大臣としても、あるいは地方税を預かる自治大臣としても、この問題について、この委員会で終わりというものでは私はないと。私もまあこれだけやりましたから、今後大蔵は関係あるし、国税庁関係あるし、あるいは総括質問あるし、総理質問ありますから、もう絶対逃がさないでこの問題はしつこく私も証拠物件を突きつけてやりますから、あなたもやっぱり国民の負託にこたえるという立場から厳正な措置をしてもらいたいなあということを思うんですが、大臣にひとつそういう点での見解を聞きたいと、こう思うんです。
  72. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) いままでのお話をお伺いいたしまして、これまでの真相のある部分はわかったわけでございますが、私もこの話を聞きまして、こういうような問題を二度と起こさないようにするためには、よく真相を調べていかなきゃならぬと、こういうふうに思っております。きょうお伺いをした問題についてはなお検討をし、再び起こらない防止策ということを深く考えていかなきゃならぬと思っております。  また、国家公安委員長といたしまして申し上げますが、こういうような事件というものは厳正公正に、追及すべき点はあくまで追及していかなければならないと思っております。従来もそうした警察の態度を私は信じておるわけでございますが、今後も厳正にこのような問題は十分究明をしていかなければならない、このように思っております。
  73. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ぜひそれを、国会答弁用だけでなくて、実際にやってもらいたいと思うんです。  それから私はもう二、三だけ要望しておきますが、一つは、内部告発者に対するいわゆる圧力といいますか、それがやっぱり現に起こり始めている。私もヤクルト事件をやったときも、ヤクルト事件に対して私に資料提供した方に対するいわゆるいろんな意味での圧力がかかったということもこの委員会で何回か取り上げました。同じことが内部告発者に対する圧力がかかってると、こういうのが大臣、現状です。これは愛知県警のOBの方でありますから、この具体的な問題は、警察庁と話したらやっぱり公の場でやめてくれと、十分内部で指導するからということでありますから、それは私はきょうは申しません。ただ、内部告発者に不当な圧力をかけるということだけについては、あなたはやっぱり告発者の人権を守るという立場からきちっとその方を守ってほしいと、こう思います。  それから税務署ね、国税庁国税庁も大した答弁じゃないから、これ言ってやろうと思うんだけれども、まあ武士の情けでこれは言いません。武士の情けで言いませんが、あなた方も、守秘義務はわかります、しかし、守秘義務を税務署の威厳に悪用、転用するというようなことだけはやめてもらいたい。不二通商とか一光、それから八晃の税務調査で、あなたは発表できませんと言うけれども、ある弱点をつかんで、その弱点をてこに税務官僚がそこに入っていく、一光の方は驚いて、はっ、この税務署のおっさん来たら内部みんなばらされると、これまたある政治家を使って——きょうは言いません、ある政治家を使ってこの税務署の方に入るのをやめてくれやめてくれと話したら、これもぴたっととまったと。これは守秘義務の悪用ですよ。どこの何のたれべえとは言いません、これはわれわれ名前持っていますが、これもおたくの方のレクチュアでわかっているはずでありますから。国税庁の姿勢としてこういうことはやめてもらいたいなと、こう思います。これは警察と国税庁に言っておきます。  それからもう一つ。これは私どうしてもわからないのは、警察庁法務省に教えてもらいたいのは、ある事件を投書して税務署に警察が調査に入ったと、ところが、税務署の方は、職務上知り得た問題はこれは何人にも出せませんと言って警察の捜査に拒否権を発動したと。警察はそこで壁にぶつかったものだから、それ以上入れなかったと、そこから下がったと、こういう事件があって、この問題の真相解明を非常に混沌とさしている。したがって、公務員の守秘義務と、警察とか法務省が持っている捜査権と、これどっちが優先するんですかね。私は小学校出なものだから学がないんで。公務員の知り得た守秘義務と、疑惑を持ってやる警察の捜査権あるいは地検の告発に伴う捜査椎、これはやっぱり守秘義務が優先するのか、これはやっぱり突破していくのかだね。これは国税と検察、法務というのは、脱税事件の告発という大義名分を掲げていますがね、そのこともこの壁にぶつかってしまうとパアになっちゃうと。したがって、脱税と守秘義務と告発と捜査権というのはどんな優位関係にあるんですかね。私たちは、常識的に国民から考えればやっぱり捜査権が優先すると、こう思っているんですがね。その点、ひとつ明快なことを教えてもらえばこれはこの次の質問にうんと役立つんで。私は、捜査椎が優先すると思っているんですが、いかがでしょうか。
  74. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) 御質問につきまして一般論としてお答えいたしたいと思います。  証拠物の場合、その他いろいろございますが、仮に証拠物について申し上げますと、証拠物の押収ということが捜査の一環としてなされるわけでございます。その場合に公務員が保管、所持するものについて職務上の秘密に関するものであるということで捜査機関の押収を拒否するという場合がございます。それは法律上できるわけでございます。その場合には監督官庁の承諾がなければ押収をすることはできないとなっております。したがいまして、捜査機関においてどうしてもそれを押収をしたいという場合には、守秘義務で断られたものにつきまして当該公務員の監督官庁に承諾を求める、承諾を得れば押収はできるということになります。それで、この監督官庁の判断でございますが、監督官庁は国の重大な利益を害する場合を除いては承諾を拒むことはできないという規定になっております。したがいまして、監督官庁ではいろいろ検討しました結果、どうしてもこれは国の重大な利益に関するということでこれを断ることができます。その場合には、たとえば押収はできないということになるわけでございます。  ただ、その国の重大な利益がどういう場合であるかということは、ケース・バイ・ケースでございますので、慎重に判断されなければならないと思います。したがいまして、守秘義務と捜査権というものがどちらが優先するかということでございますが、一律に一方が優先するというような関係ではなくて、それぞれの場面に応じて法がその調整を図っている。その法の調整規定に従って捜査が行われるということになっておるかと思います。
  75. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大体わかりました。そのいまの一般論に今度の事件をどういうふうに組み立てていくかは、次回まで私なりに組み立ててあなたに見解を聞きましょう。一般論はわかりました。  それからもう一つ、さっきの政治献金問題をめぐって、これも国税庁に確認しておきますが——国税庁はないと言っているんですから、これは私の言いっ放してあります。われわれの調査では、大津税務署が国税調査に入った段階で、あの時点計算しますと不二通商とか八晃側に大体七億円程度脱税があったと。これは頭がしげるけれども、かしげてください。私の調査では七億円程度。大体これは政治の社会でもみ消し料というのは五%から一割だそうですよ。それが五%だと約四千万、一割というと七千万、平均五千万、あるいはその二分一で二千万。するとやっぱりこの新聞記事が当たってくるんだね、さっき見せた新聞記事。そういう背景で動いたという情報を——これはあくまで情報です、きょうの段階は情報。情報をわれわれは握っているということでありますから、これも税務署で現にそうだったのかどうか、あの時点で七億円の脱税があったのかどうか、ぜひ調べて次回に備えてもらいたい。これは確認してますか、してないですか、どうですか。
  76. 岸田俊輔

    説明員(岸田俊輔君) 私どもは国税に関しましてあらゆる情報をキャッチいたしまして、それについて直ちに調査をいたしたいと思っておりますが、ただ、個別の案件でございます場合にはなかなか申し上げられない場合もございますので、お許しをいただきたいかと思います。
  77. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあきょうのお医者さんの二億五千万はぽっぽっと東京国税局が出てくるんですが、七億円も疑いがあるというやつはどうしてそうかばうのかね。かばうのか逃げるのか知りませんが。だがそういう証拠をわれわれはつかんでいると、だから調べてくださいということだけ要請しておきます。答弁要りません。  それから、時間がありませんから有明の問題ちょっと御質問します、この前の有明の問題で二つ三つ。  一つは、きょうの新聞にも、きのうですか、ちょっと載っておりましたが、電気係の本田政昭さんという生き残った方の証言によりますと、十三時五十分に火を見つけて、油が臭いというので上ってきて火を見つけて、地上のコントロールセンターに火事だという第一報の通報を入れておる。そして第一報の通報を入れて三人で協力して火を消した。火を消してそして向分が電気係なものだから停電の仕事に行ったら、その四十分か五十分の間にまた燃えちまった。だから第一報が入った時点で消火を確認して、そのことに従って退避命令を出せばこんな惨事は起きなかった。通報を受けながら消火を確認しないという会社側は何をやっておったのかと、こうなるんですがね。まず第一点はここなんですよ。したがってこれは確認して、間違いないかどうか。きょうの新聞見るとどうも警察の方もこれは確認したようですね。また、捜査本部が火災の第一発見者の同鉱電気係本田政昭さんから事情聴取した結果では、初期消火で一たんおさまった火災が再び燃えた、こういうことを確認した。だから火事だという一報が入った際に完全に確認と避難命令を出せば八十三名の犠牲者はなかった。完全に会社側の対応の、ミスと、こう私は断定せざるを得ないんですが、発火の場所はまだ密閉しておるそうですからまだわかりませんが、この件はいかがでしょうか。
  78. 石井賢吾

    説明員(石井賢吾君) お答えいたします。  最初の初期消火の段階におきまして、火災場所について、先ほど先生御指摘の方を含めて三名で消火に当たったようでございます。ただ、消火が完全に功を奏したかと申しますと、消火の途中でコンプレッサーにつながる電線ケーブルが切断されてしまったと、火災のために。それで水圧が低下をいたしまして十分な消火の効果が出なかったというような問題があったようでございます。それで、別の消火栓からさらにパイプをつなげまして消火に当たったわけでございますが、それまでに火勢を完全にとめるというような初期の対応の効果は十分出なかったというのは御指摘のとおりだというふうに思っております。  これに対しまして、いま御指摘の中央指令センターとの連絡及び連絡を受けました指令センターにおける坑内への指示、これにつきましては種々混乱があったという情報もございます。  私どもとしましては、こういった初期対応がこれだけの大きな重大な罹災を招いたわけでございますので、非常に重大な問題と受けとめまして、この辺については十分今後の事情聴取の中心課題としまして解明をしてまいりたい。できればその上に立ちまして今後の初期対応のあり方というものを検討してまいりたいというふうに思っております。
  79. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、重大な第一のミスがそこにあると思います。  それから第二のミスは、第十ベルトのベルト当番が当日は不在だった。それから、ベルトがこすれて異臭、変なにおい、異臭が発生したことが確認はあったと。それから、このベルトは昭和五十二年十一月十五日に設置したもので、非常に古いものであったと。これはまだ現場が密封されておりますからまだわかりませんが、こういう客観的な問題について会社側は認めている、こういうことだと思いますが、もしも認めておるとすれば、ここにも二番目のやっぱり保安管理のミスがあったんじゃないか、こういう気がするんですが、いかがでしょうか。
  80. 石井賢吾

    説明員(石井賢吾君) 私どもも会社側の事情説明によりましてその点については確認をいたしております。  会社側の説明ではベルト長で八百メーター当たりに一名大体当番をつけるというのが一般的な制度として実施をしていると。しかし、当日は少なくとも火災現場でありましたナンバー九及び一〇のベルトの地帯には当番はいなかったということをはっきり説明をいたしております。  ただいま先生御指摘のベルトの古さというのが、大体これまである一定の石炭を運搬しました——要するに時間の長さではなくて、運搬実績に応じてその耐用度を大体経験的にはかってきて更新をいたすわけでございますが、そういった五年超のベルトの古さというのが本当に今回の火災原因とどう結びつくのか。  それから、過去に異臭があったという会社側の説明がございますけれども、これもたとえば松岩等のこすれによって出た場合もあったようでございます。そういった過去のものが今回の火災原因とどう結びついたかということにつきましては、現在火災現場は密閉しておりまして、取り明けがまだできない状況でございます。早急にこれを取り明けまして、ただいま御指摘の問題点が本当に今回の火災原因とどうつながっているかということは、はっきりと確認をいたしたいというふうに思っております。
  81. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これはベルト当番がいなかった。特に私が重視しますのは、ベルトがこすれた、異臭があったということは、ちょっと私はこれは保安体制のやっぱり重大なミスだと思うんです。われわれの商売——仮に機関車に乗っておって、あの高速で走っておっても、ぷうんとにおいが来ればやっぱりとめて、これはおかしいと。ボックスが焼けているのか、絶縁線が切れているのか、あるいは他のパイプがどうなっているのか、やっぱりすぐとめて、異臭を確認して、異臭が発生する発生源を断ち切ってそれで運転を開始する。そのために列車がおくれてもしょうがないというのが、われわれ乗務員の異臭に対するやっぱり感度ですよ。あれだけの地下の工事、地下にもぐっておってやっている器具が異臭を放ったことがあったということを管理者がわかっておってその異臭に対応しなかったと、これはあけてみなくちゃわかりませんがね。そういう点でこれは重大なやっぱり保安上のミスと言われても仕方がない、こう私は思うんですよ。この点についてはいま局長が密閉をあけたら十分その点を配慮して対応するということでありますから、私はやっぱりそういう対応について強く要請をしておきたいと思います。まだ現物見ませんからね、これ以上質問したって封鎖されていますから、そういうことを強く指摘をしておきます。  第三番目は、事故発生後の対応の仕方にどうもやっぱり私は——新聞とかあれでは相当、炭鉱の排さんでは優秀な炭鉱だと言っておるわりあいには、事件発生後の対応の仕方にどうももたもたがあったんじゃないかと。この前申し上げた通報のおくれなどはもうその最大のものだと思いますがね、きょうはそれ言いません、この前言いましたから。  一つは、坑内には救急センターというのがあるらしいですね。これは、表現によりますと、坑内には十二カ所救急センターがあって、ガスとかそういうものが発生した場合には大体四十人から五十人程度入れると。そこに入れば新鮮な空気が流れてきてガス中毒は起こさない、起こさせないというために救急センターを坑内に設置するということになっていますが、この救急センターは現にやっぱり十二カ所あったのかどうか。それで、この救急センターがどう作動したのか。これを聞かせてもらいたいと、こう思うんですよ。
  82. 石井賢吾

    説明員(石井賢吾君) 三池の場合には、緊急センターという名前をつけておりますが、法令上「避難所」というものでございます。この避難所につきましては、有明鉱の場合におきましては風門のある坑道——両方が風門ございまして、入気と通気、両方とも押さえてある坑道でございますが、約三メーターぐらいの坑道の幅の中に相当長さの、七、八十メーターぐらい長い分野でございます。そこには風門のあるそういった目抜き坑道を利用いたしまして、その場所に連絡装置とかあるいは空気供給設備、こういったものを設置をすることになっておりまして、こういった機器は当然常備されていたものというふうにわれわれは理解いたしております。  ただいま御指摘のようにこれがほんとに役に立ってなかったのかと。問題——罹災者が多数発生いたしました個所には、ほぼ二カ所でございますが、これについて、結果としましては役に立ってなかったということは言えるわけでございます。  しからばこれがなぜ役に立たなかったのかということでございますが、これにつきましては、本当に風門の機能が発揮できなかったかどうか、あるいはそこへ到達する前に多数の罹災が出てしまったのかどうか。この辺につきましては、これから十分に調査をいたしまして、特に今度の事故調査委員会の中に通気の専門家に多数入っていただきまして、その辺についての究明をはっきりしてまいりたいというふうに思っております。
  83. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、二カ所あったと。近くに二つあった。二つがどういうふうに作動をしたのか、あるいはその機能を果たしたのかということについては、まだわからないということですか。どういうかっこうで、まあこれ組合側の皆さんに聞くと、もう全然通気坑——避難所に一人も入ってなかったですね、今回は。二カ所ありますね。二カ所に一人も入ってなかった。一人も入ってなかったということは、救急センターの場所がわからないわけじゃないと思うんですね。入坑する際には、どこには煙感知器ありますよ、どこにはこれこれありますよ、あそこにはガス感知器がありますよと、大体みんな入坑するとき場所はわかっているでしょう、鉱員の皆さんは。班長さんか何かおって、こうやっているでしょう。目の前の近くに二カ所もそれがあって、全然作動しない、たとえば二人でも三人でも入って助かったというのなら私は、まあ助かるべきだと思うんですがね、一名もそこに行けなかったというのは、煙の流れが激しかりたのか、たどりつくことができなかったのか、その点はちょっとまだわかりませんが、しかしこれは局長、出火場所のベルトの部屋は密閉しておるからわかりますが、救急センターのある場所と亡くなった人の場所と、それから作業しておった場所と風の流れの強さと、これらを分析すれば一定程度出てくるんじゃないですか。なぜ作動しなかったのか、その理由は、この点はまだわかりませんか。
  84. 石井賢吾

    説明員(石井賢吾君) これまでの会社側及び罹災者の方のお話でございますと、緊急センターの中の機器を使いまして自力で助かられた方が一名おられるだけで、本当の意味の効果というのは出てないということは先ほど申したとおりでございます。  それで、先ほど御指摘いただきました、初期段階におきます避難指示、これとの関係でこの緊急センターがうまく使えなかったのか、あるいは一方が入気で一方が排気でございますから、若干の圧力の差だけで風門が完全に密閉機能を果たすことができなくなる場合もございます。そういったことによって、緊急センターとしての機能が十分果たせなかったのか、この辺につきましてはまだ全貌がわかってない段階でございます。今後は、そういうものが本当にどうして役に立たなかったか、これを十分に詰めてまいりたいというふうに思っております。
  85. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これが三つ目の疑問点ですね。  それからもう一つは、目抜きのところに通気門があって、緊急ガス抜き装置というのが、どういう言葉か明確な専門語はわかりませんが、やっぱりこういう事故の際に、短絡してガスを早い機会に逃す、そういう装置がこの坑内には事故発生現場の前後に七つあったと、このガス抜き装置が。これも一人で操作すれば十分か十五分で操作できるものだと、そういう保安装置だと。ところが、このガス抜き装置も今回は一カ所も作動されていなかったと、こういう報告を受けているんですがね。これまたお粗末なことだと思うんですがね。これ、本当に、まず七カ所ぐらいあるのかどうか、あの近辺に。そして、なぜ作動させなかったのか。作動する際に短絡しなさいということを上のセンターから指示をするのか、もうそういう場合にはこれをこう引いて作動しなさいということを保安教育で坑員の皆さんに徹底しているのか。その辺がどうも、ガス抜き器が作動しなかったという点も、これまた問題だなという気がするんですが、この点いかがでしょうか。
  86. 石井賢吾

    説明員(石井賢吾君) 御指摘は通気の短絡のことかと思います。ただ、本件災害の場合におきましては、入気坑道における火災発生でございまして、新鮮な空気を本来切り羽まで送る坑道でございます。ここで起こりました火災について、これによってたとえば一酸化炭素が奥へ同時に流れてしまう、それをとめるために短絡をいたしまして、外気、外へ出すための排気坑へ短絡をするということにいたしました場合、これも一つの有効な対応策でございます。しかし同時に、そういった通気の短絡をいたしますと、そもそもの新鮮な空気自身も奥まで入らなくなってしまうわけでございます。そういう場合には、坑道内における罹災者といいますか、坑道内の従業員が一体どういう位置に現在おるのか、その通気短絡によって悪影響はないか、これを判断いたしませんと、坑内に取り残された方の人命にもかかわる問題でございます。そういう意味において、確かに混乱もあったかと思いますが、短絡というものの作業を行ったかどうかということについては、いまのところわれわれ十分話を聞いておりません。  これにつきましては一部で火勢が強かったからやらなかったとかいうようなお話もございますが、御指摘のように短絡の方法は幾らでもあるわけでございますので、それが行えませんのはやはり坑内事情の完全把握の上に立ちまして、一人でも坑員が残っておったら入気を送ることを遮断するわけにまいりませんから、そういった関係でとられなかったのではないか。これは推察でございまして、今後現実の対応としてどうしたかというのをこれから調査をしてまいりたいというふうに思っております。
  87. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 しかし、局長ね、われわれ常識的に考えると、たとえば六つとか七つある際にどういう条件でじゃ一番を切れと、どういう状態は四番を切れとか、どういう状態は七番を切れと、全部固有名詞があると思うんですよ、何番何番と。上の方に操縦ボタンがありまして、無線か有線で坑内電波——最初、冒頭言った火事だというときの対応がもたもたしているぐらいだから、もう情勢になってやって、いやガス抜きをこれやれ、救急センターでこれやれと、そういう指令といいますか、指令、指示といいますか、それが的確さを欠いておった段階でのことですからなかなか無理かもしれませんけれども、本来こういう保安装置をつければどういう条件のときには何をやれ、どういう条件のときには何をやれと、その場合にはだれがだれに指示をするということが、これは保安のイロハじゃないの。私は炭坑に入ったことないけれども、やっぱり私は保安のイロハだと思うんですよ。この前の夕張炭鉱の際にも私は行って見ていますがね、やっぱり同じことが言える。だからやっぱりこれはこういうガス抜き装置、いま局長の言ったことは当時の状況としてはわからないことじゃありませんが、それはそれなりに理解しますが、本来保安というのはそういうものじゃないでしょうか。私の言っていることが無理でしょうか。私は保安というのは問題、こういういろんな装置というのは常に事故を想定して、そのための避難訓練があるのだし、そのための想定訓練があるのですから、私はそういういま局長の言うことは状況としてはわかるけれども、本来的に保安の体制が欠けておったのじゃないかと、こう言われても私は釈明の余地がないのじゃないかと、こう思うのですが、私の考えが間違いでしょうか。
  88. 石井賢吾

    説明員(石井賢吾君) 先ほどお培え申し上げましたとおり、災害の発生状況及び坑内配置状況からいたしまして、場合によりましては通気短絡というのはきわめて有効な対応策でございます。ただ、確かに十分な状況把握ができておれば、もっとも火災を防ぐための一つの方法として考えられるかもしれませんが、今回の場合には目抜きの前の段階、斜坑におきまして火災が発生いたしておりまして、しかも坑内にはまだ人がおるであろうという想定のもとに救護隊の入坑等をさせておるわけでございますので、通気を遮断して奥へ送らないということはきわめて困難ではなかったのかというふうに一般的に想定されるわけでございますが、そのような状況判断が具体的にどう今回の事件で行われたかということについては、今後はっきりと確認をしてまいりたいというふうに思っております。
  89. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それから最後に、煙感知器の問題をこの前ちょっと佐藤先生から話があったのですが、どこにどう設定したかという問題についてはまだこの前質問、やりとりがありましたが、結果として今回の煙感知器がどこに設置されておったのか、この発生現場の近くにね。それが作動したのか、しなかったのか。作動しなかったとすればどういう原因で作動しなかったのか。この煙感知器の関係についてその後の調査についてお教え願いたいと、こう思うんです。
  90. 石井賢吾

    説明員(石井賢吾君) 当該火災発生現場でございますナンバー一〇ベルトには煙感知器はございません。その風上におきますナンバー一〇のベルトの駆動部分の上に煙感知器を置いてあったわけでございまして、火災現場からいたしますとこれは風上に当たります。その意味では作動はいたさないわけでございます。  基本的に煙感知器と申しますのは、まず人がいるところは人によって対応するということが一番基本でございまして、基本的には人がいないところを煙感知器で監視をするというのが基本ではないかと思っております。と申しますのは、実は坑道内におきまして防爆の問題がございますから、通常の煙感知器では役に立たないわけでございまして、そういった技術的な制約もございまして、人がいないところに煙感知器をつけるというのがこれまでの基本になっておるわけでございます。その意味においては今回の場所にはなかったというふうに会社側は言っておりますので、多分それが真実だというふうに思っております。
  91. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間が来ましたからやめますが、何といっても出火の処置、それからいろいろな保安装置がほとんど作動しなかった。いまの煙感知器はそれなりに風上にあったということはわかりますが、こういう点から見るとやっぱり相当人災事故という可能性が十分強い、こう思いますので、調査を早目にしてもらいたいと思います。  それから要望ですが、亡くなった方の中で正規の社員はそれなりの補償が会社側と労働協約に従ってあるようでありますが、請負の方はまだその点が非常に不十分だという現地報告ございますから、これは答弁要りませんが、請負の皆さんにも正社員と同じようにあらゆる面で補償とか対応のできるように、通産省としても最大の行政指導要請いたしまして、とりあえずこの時点における質問を終わります。答弁要りません。
  92. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      —————・—————    午後一時五分開会
  93. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、法務省自治省警察庁裁判所及び公営企業金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  94. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は国籍法改正の問題を取り上げたいと思います。  法制審議会で国籍法改正が検討されておりましたけれども、このたびその一部を改正する法律案要綱が出されました。このたびの要綱案では、婦人差別撤廃条約の要請を取り入れました形で、父母両系主義をとりまして、なお配偶者の帰化条件についても男女の不公平を解消するという措置が打ち出されておりますことを歓迎いたします。また、これに関連しまして戸籍法につきましても、国際化時代の必要に対応しまして、いろいろな改正の措置がとられましたこと、これを評価しておるところでございます。法務大臣はこの法律案の詰めをなさるお立場でございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  そこで、まだ法案になっておらないんですが、この際、三つ四つの疑問の点を伺っておきたいと、こう思います。  その第一は、国籍の留保の制度なんでございます。  要綱の第四にございますが、国籍の選択については子供の、本人の意思を尊重するということが最も大切なことではないかというふうに考えます。けれども、要綱第四では留保制度を存続させておりまして、しかも国外で生まれた重国籍を持つすべての子供にこれを拡大しております。つまり親が子供の出生のとき、日本国籍留保の意思を表示しないと、その子供は出生にさかのぼって日本国籍を失うと、こういうことになるわけでございます。これと別に要綱の第五で、すでに国籍の選択制度というものを設けておるわけでございますから、これは子供が二十二歳になってみずから国籍を選択できるときまで待ってやってはどうかと、こういうふうに思うわけです。そうでありませんと、子供が未成年のうちに日本国籍がなくなってしまって、むろん後から再取得という制度もございますけれども、これもまた未成年のうちに行われなければならないということになりまして、子供が二十歳に達した上は帰化しかないのではないかと、こう思います。  中間試案の時点ではA案とB案と二つございまして、A案は留保制度を存続させるという案、B案は留保制度をやめて、本人の選択制度一本にするという案であったかと思います。この二案があったということは、これに関連していろいろな疑問点といいますか、整理すべき問題が多くあったのではないかと、こう思うわけでございます。現行法では一部に留保制度をとっておりまして、これは選択制度をとっておらないところから当然かと思いますが、新たに選択を強制する制度を設ける以上は、同じ目的に役立つこの二重の制度を設けることは陸上歴ではないかと、こう思います。しかもこの陸上屋の制度は、国外で生まれた日本人の未成年の子供にとって不利益になっても利益にはならないわけでございます。やはり遠く故郷を離れて、必要以上に社会生活の不自由を感じながら暮らしている、活躍している、こういう方にあえてややこしい制度を二重に押しつけるというのは、いささか冷たい仕打ちではないかと、こう思います。したがいまして、この問題につきましては、選択制度で子供の意思に重点を置く、このこと一本にしぼってよろしいのではないかと私は思うのですが、この点いかがでございましょうか。
  95. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) お答え申し上げますが、その前に一つ前提として申し上げておきたいのは、法制審議会の国籍法部会におきまして、過日改正要綱案が決定をされましたけれども、まだ法制審議会としての答申には至っていないという状況でございます。したがいまして、私どももまだ法案を作成するという段階ではございませんので、これからお答えをいたしますことは、国籍法部会におきます議論を踏まえたお答えということになりますので、御了承いただきたいと思います。  留保の関係につきましては、ただいま御指摘のとおり、要綱案では留保制度を残すということをうたっておるわけでございますが、これもかなり議論があったところではございますけれども、一言、何といいますか、国籍を決定する要素といたしますと、血縁、血統的な問題と、それから地縁的な要素、その二つが国籍を決定する要素として各国で考えられているところでございます。したがいまして、外国で生まれるということにつきましては、一般的に地縁の問題が少し薄いということが言えるわけでございます。したがいまして、現在、過去の移民をされました方々の子孫の方々については、やはりその土地でもう永住して日本とは余り縁がないという方もかなりおられるという状況がございます。そういうふうな実態を考えますと、留保の意思表示というのがそれほどむずかしいことではございませんので、それを親、多くの場合には父及び母でございますけれども、そういう人がもう日本の国籍は特に置いておかなくてもいいんじゃないかというふうに考えるような場合については、日本の国籍を付与いたしましても実効性がない国籍となる可能性が多い。そこら辺で少し整理をしませんと、実効性がないといいますか、形式だけの日本国籍ということになりますと、いろんな問題で処理に困るというふうなことも出てまいりますので、ひとつその第一段階で留保の制度を置いておく必要があるのではないかということが部会での結論でございます。ただ、そうは申しましても、留保というのが余り短期間の間にしなければならないということでは不都合も生ずるであろうということから、その留保の届け出期間を現在の十四日を三カ月に延ばすというふうな措置もあわせてとるということにいたしております。  それからまた、中間試案の段階ではA案、B案ということで併記されておりましたけれども、それは国籍の選択制度を設けた場合に、その中間試案では二十二歳までに選択の宣言をしなければ当然喪失をするということを前提にして留保制度を考えておったわけでございますけれども、その選択の場合にこの要綱案におきましては当然にその期間とかで国籍を喪失するものではなくて、細目によってというふうなことに改めました結果、最初から血縁だけがあって、そして地縁の関係で薄いという場合で、しかも両親の方が特に子供のために日本の国籍を留保しておかなくてもいいじゃないかというふうに考えるような場合は実効性がない国籍ということになりましょうから、そこは整理をする方が後の混乱を防ぐ意味でもいいのではないかという結論に立ったものというふうに、私どもは了解をいたしておる次第でございます。
  96. 久保田真苗

    久保田真苗君 部会の結論だということはわかりました。  ところで、地縁の問題ですが、地縁が薄い移民とおっしゃるその移民型の海外在住者というものをそういうイメージでいることは、もはやちょっと現状に合わないんじゃないんでしょうか。いまいろんな形で海外に在住する方が多い、したがってそこでの賦際結婚もあり得る、こういう状態です。したがって、日本人が相当大量にかたまって存在し、日本からの情報を受けやすいという、そういう状態にない、孤立して家族で僻地で働いている技術者というようなものもいるんだと思います。そういう時代がいま始まって本格化しようとしているわけでございます。したがって、地縁ということは、これは必ずしも今後の大勢じゃないというふうに私は思うわけでございます。その上、まあ意思表示がむずかしくないということですけれども、私は法務省から様式を拝見さしていただいたんでございます。これによりますと、その様式は必ずしも親切な様式ではない。出生届けの中途あたりに「その他」という欄がございまして、「その他」という欄に「日本国籍を留保する」と書かなければ意思表示をしたことにならないんです。この「その他」というところへそのように自主的に書けるということは、相当の情報量がなきゃできないことだと思います。それに親が知らないということ、親の不注意であるということ、それから領事館、在外公館の窓口が必ずしも完備してないという、あるいは現地の方が現地語を交えて話されるということもあるでしょう。そういういろいろな状況を考えますと、これは親が意思表示をして国籍を留保しないというよりは、むしろミスチャンスによってその機会を失うというそのおそれの方を私は強く感じるわけでございます。そして、この様式にこういう穴があるということは、よくこの背景を考えてみますと、やはり移民時代の国外出生者は原則として向こうへ押しやると、そういう態度がまだ残っていて、ここに国籍選択制度を設けたにもかかわらず、それと並行して二重の手数が残存しているわけでございます。私は、このことが未成年者の場合は、本人が行為能力を備えるまで二重国籍を持っているということは利益になることでありまして、決して不利にならないことでありますから、日本政府の立場としましては、選択制度を設けた以上、これを留保制度というややっこしいことをして末々そこでチャンスを失った日本の子供は途中から日本国籍を取るとか、あるいは帰化によってそれを認められるというより、初めからすんなりと日本国民であったという、そういう状態にしておく方が気持ちの上でも非常にいい影響があるのではないかと、こういうふうに思うわけでございます。ですから、選択制度一木にすること、そして届けということを重視するのであれば、あえて留保の届けをしなくても、出生届そのことをもって、つまり海外で親が日本の子供の出生を日本の公館に届けるということは、それ自体子供を日本に縁を持たせておくというその意思表示だと、こういうふうに見ていいと思うのでございます。ですから、この穴のあいた措置はぜひ具体的につぶさに今後御検討いただくようにお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  97. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) ただいまのお話も理解できる面があるわけでございますが、私どもの考え方といたしますと、留保制度そのものをなくしてしまうということよりは、ただいま御指摘のあったような問題点の方を解消するということで処理をすべきではないかというようなことが、部会での考え方ではなかったかというふうに思うわけでございます。したがいまして、出生届の様式につきましては、ただいま御指摘のような点を十分踏まえまして疑問がないように、簡易にやれるようにいたしたいと思いますし、また実際の取り扱いといたしますと、出生届を出してこられた場合には、そのことも念を押して、むしろ事実上はただいま御指摘のあったように出生届を出す方については留保届の関係を説明をして一緒にやってもらうというふうなことで、窓口もうまくいくように外務省の方にもお願いをするということになろうかと考えておる次第でございます。
  98. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、窓口の指導にこれをゆだねるという、しかも遠く離れたところの窓口にこれをゆだねるというあやふやなことで解決するには、国籍の喪失ということは余りにも当人にとって大きい問題だと思うんです。でございますから、原則として向こうに遭いやるよりも、本人が選択をするまでは日本国民であり得るというふうに手を広げておくことの方が、私は今後の国際化時代、この方たちが海外で日本人として活躍されるということを期待する上でも、国の利益にかなっていると思うのでございます。ぜひよろしく御検討をお願いいたします。  次に、要綱第七の経過措置の問題でございます。  以前から沖縄の無国籍児等の問題もございまして、要綱第七で経過措置は新制度の適用を日本国民を母として過去に生まれた子供に及ぼす旨を定めております。結構なことでございます。ただし、この場合、未成年者に限られまして、子供が法施行時点で二十歳を過ぎておりますとこの経過措置の適用を受けられない、したがって帰化となると、こういう状況にございます。これへの救済措置は帰化ということになるんでございましょうけれども、これらの方の中には従来の日本の国籍法が男女不平等であって、母の子供を日本国籍にすることができなかったという事実と、たとえば出生主義をとる国の国籍法との間の狭間に落ち込んで、本人のとがでもなく母のとがでもなくして無国籍者という不利益を受けている、こういうケースがあるのでございます。  私は、沖縄を含む、このような母を日本国民として、しかも日本に居住しながら無国籍である人たちについては特別の救済があってよろしいんではないかと、こう思うわけでございます。たとえば、一定の経過措置の期間は未成年者に準ずるような、単にここに居住するというような条件だけで受け入れるということが望ましいのではないかと思います。この点いかがでしょうか。
  99. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) 経過措置につきましては、日本人母の子供につきまして法律改正時において未成年者である場合には、簡単に日本の国籍を取得できるということを設けるということが、要綱案で決まっておるわけでございますけれども、これもどれぐらいさかのぼってやったらいいかということは法律論としてはかなり問題でございます。通常経過措置的に考えますと、二十年というのはかなり大きな遡及ということになるわけでございますが、そこはなるべく広げようということで二十年という意見になったものと承知いたしておりますが、それ以上成年に達しておりますと、それまで日本国籍がないという状態で長年生活をしておるという実態がございますので、そういう方々は当然意思表示による取得ではなくて、個別の帰化で処理をするのが適当であろうと、一律にその線を引くならそういうことであろうということで、二十年の線が引かれたものでございますが、沖縄の例の無国籍児の問題につきましては、五十六年に私どもの方で調べました段階では、二十年を超える者はまあいないのではないかという調査結果になっております。ただ全部を網羅しておりませんので、もしあったとすればそのような方々については、帰化の関係ではいわばほとんどが無条件に帰化をするというつもりで私どもは臨んでおる次第でございますので、実際上そういうところで処理をするのが適当であろうと。余り沖縄のこういう問題についてはということまで個別に立法することは不可能でございますので、実際上こういう案を考える際にはそういうようなことも頭に入れて、結果的には不都合がないという考え方でこの要綱案になったものでございます。
  100. 久保田真苗

    久保田真苗君 数が多くないからということですけれども、無国籍者ですから、法務省でも実態把握に必ずしも自信はおありにならないと思います。数は少なくてもこれらの方は特別の不利益を長い間忍んだ方なんですから、その点ぜひ温かい対応をしていただきまして、いろいろな即応要件というようなことも一般の帰化にございますけれども、しかし、この方たちは日本が救済しないでどこの国が救済できるんでしょうか、そういうことも考えましてぜひそういった温かい対応をお願いしたいと思います。  それから次に、今度国籍法が改正されますと、外務公務員法の関係なんでございますけれども、外務公務員の配偶者の帰化の要件とこの新しい国籍法との間で、多分競合が生ずるんじゃないかと思います。これに対して外務公務員法では、外国籍を有する配偶者を持っている者は外務公務員にはなれないと。したがって、外国人と結婚した外務公務員は、一定の——現行では一年間の猶予期間の間に配偶者を帰化させないと当然失職すると、こういうことになっておるわけでございます。このために女子の外務公務員の場合でございますと、夫を帰化させるのに現行法で三年必要です。そして猶予期間は一年ということで、絶体絶命で結婚をとるか職業をとるか、どちらかという非常に非人道的な立場にあったもので、これが長年あったということは私どももともども申しわけないことだったと、こう思うわけでございます。しかし、今後の問題としまして男女平等の立場に立ち、なおかつこの間の間隙を埋めるために外務省にまずお伺いしますが、どのような措置をとられておりますでしょうか。
  101. 福田博

    説明員福田博君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、外務公務員法第七条で、採用に当たっては本人が日本国籍を持ってない者、あるいは外国人といいますか、日本国籍を持っていない者を配偶者としている本人は外務公務員になれません。また、外務公務員になった後でも配偶者が日本国籍を持っていない場合には職業を失うことになっております。その救済措置が政令で定められておるわけですが、今回国籍法が改正されるということになれば、私どもの一応の結論といたしましては、外務公務員法七条そのものは従前どおり維持できると考えておりますが、当然国籍法の改正が行われればそれに見合って政令を改正し、現実の外務公務員がその職業を維持していくということをできるだけ可能にしていくための改正を行おうと思って目下検討中でございます。
  102. 久保田真苗

    久保田真苗君 七条は維持できるということをおっしゃるんですけれども、この七条にかなり問題があると思うんです。  それは一つは、外務公務員の範囲が広過ぎるということなんですね。つまり、政府代表とか大公使あるいは外交官、こういう者のほかに、たとえば顧問とか随員まで入っています。その上一般の外務職員が入っていまして、この外務職員の解釈は——長くなりますから言いませんが、御存じのとおり行政職(二)の方たち、医療関係の方たち、こういう者まで含んでおるわけです。外交に直接関係のない方が、本人ならばともかく、配偶者が外国人であるということのために失職しなければならないという、この理屈がどうも私にはわからないんです。つまり、これは配偶者にとっては自分の国籍を失い、その保護を失い大変な犠牲を払うわけでございまして、少なくとも最小限度にとどめなければならないと、こう思うわけでございます。  時間がございませんから、私、法務大臣に最後に一つだけ伺わせていただきたいんでございます。  以上、気づいた点を述べました。それで、私の最も関心がありますところは、この国籍の留保制度というものが、今後海外で活躍するような日本人の子供に対して不利益を与えると、そして国の利益にも余りならないんじゃないかと、そして、しかもこれはただ理屈の上だけでなく、非常に具体的にその状況をお調べいただいた上で、ぜひ御結論をお願いしたいと、こういうふうに思うわけなんでございます。  それから、もう一つのお願いは、新制度については周知が非常に重要でございまして、特に世界の津々浦々までこれを周知するということになりますと、その方法は大変むずかしいと思いますけれども、何しろこれは人権にかかわる問題ですから、その周知方についてぜひよろしくお願いしたいと思うわけでございます。そして、この婦人条約を批准するためのこの法案は、ひとつこういった点を十分お考えの上、ぜひ今国会に御提出いただきたいと、こう思いますが、これらの点を含めまして、ひとつ大臣のお考えをお聞かせください。
  103. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 昭和五十五年に婦人の差別撤廃条約に署名をしておるわけでございますが、まだ批准をしていない。それから、最近のというか、各国の国籍法の立法傾向等を見ましても、父母両系主義をとりつつあると。こういうようなことから、現在の父系血統主義を改めて、父母両系主義の原則に基づいて国籍、帰化、そういうものを考えていこうということで、先ほど民事局長からお答えしましたように、いま鋭意各方面の意見を検討しておりまして、ぜひ今度の国会に御提案申し上げたいと考えて準備を進めておるところでございます。  そこで、いま幾つかの重大な御指摘がございました。まあ、この国籍法の改正については、私ども国際交流という観点から考えてみても、この改正が、直接と言っていいかどうかわかりませんけれども、大いに役に立つんじゃなかろうかな、こう思っております。それと同時に重国籍の問題、これも非常に大事な問題ですから、この処理も常に考えておかぬといかぬ。まあ、そういうことから留保の問題だとか、選択の問題というものをどう考えていくかと、こういうことになっておるわけでございまして、せっかくの国籍法の改正が、本当に皆さんに喜んでいただけるような方向で改正される、これはもうきわめて必要なことでございます。  いま、いろんな点を御指摘いただきましたが、そういうことを考えながら、慎重に、しかしできるだけ早く作業を進めていきたいと思っておるわけでございます。  それと同時に、幸いにしてこの法案が成立された場合の周知徹底についての御指摘もございましたけれども、これはもう全く御指摘、当然でございまして、そういうことも十分考えていきたいと思っておるわけでございます。
  104. 久保田真苗

    久保田真苗君 ありがとうございました。これで私の質問を終わります。
  105. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、最初に一月十四日の韓国釜山市の大亜観光ホテルで発生した火災での件で二、三御質問をいたしますが、この火災で焼死した人が他人のパスポートを持っていたことがわかったわけですけれども、その結果、パスポート替え玉の疑いが強いといわれているわけですが、パスポートがこのように簡単に他人がとれるものかどうか、最初にお伺いしたいと思うのです。
  106. 田中祥策

    説明員田中祥策君) お答えいたします。  現在、一般旅券の申請に際しましては、まず原則として御本人に都道府県庁への出頭を求めておりまして、その際に戸籍謄本あるいは抄本のほか、運転免許証あるいは健康保険証等、申請人の同一性確認のための文書の提示を求めております。  さらに、申請を受理いたしました後に、申請人の住民登録上の住所にあてまして郵便はがきを送りまして、あなたの申請は受理しておりますという郵便はがきを送っております。  旅券ができ上がりまして交付いたします際には、必ず御本人の出頭を求めまして、申請の際にお渡しいたしました旅券の申請受理票とともに、いま申しました郵便はがきを必ず持参していただくということになっておるわけでございます。したがいまして、このような仕組みから申しますと、通常、他人名義の旅券を取得し得ないという仕組みになっております。  また、戸籍謄本あるいは抄本につきましては、昭和五十一年に戸籍法の一部改正が行われまして、一定の範囲の親族等を除きましては、他人の戸籍謄本あるいは抄本は請求事由を明らかにいたしまして、かつ、その請求事由につきまして市町村長において不当な目的でないと判断される場合に限って出されるようになっているというふうに承知いたしております。  以上のようなことから申しまして、他人名義の旅券というのは、通常の場合であれば取得できない仕組みに現在なっておるというふうに申し上げられるんではないかと思っております。
  107. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回、実際にこういうことがあったわけでございまして、パスポートを使われた本人にとっては大変に迷惑なことであろうかと思うわけですけれども、外務省のいまの御答弁では、なかなかそういうことはあり得ないんじゃないかということですが、実際はこういう他人のパスポートを取得をして渡航しているという事件がいままでもあったんじゃないかと思うんですね。そういう点を考えますと、今後の防止策、あるいは入管の関係でこういうことはチェックできないのか。その点どのように対処されますか。
  108. 田中祥策

    説明員田中祥策君) いま御説明申し上げましたとおり、現行のシステムにおきましても、通常の場合であれば、他人名義の旅券の不正取得というものは防止できる仕組みになっておるわけでございます。ただ、たとえば同じ年配で、同じ男性あるいは女性の知人あるいは友人というものがおりまして、不注意で、あるいはその事情を知りながら戸籍謄本あるいは健康保険証のような身分立証書類の使用を認めるというような場合がありますと、必ずしも万全は期し得ないのではないかと思っております。  ただ、いずれにいたしましても、他人名義の旅券の取得と申しますのは、これは明白な犯罪行為でございますし、また事情を知って自分の名義を貸してやるということがあれば、これはまた共犯ということでございます。したがいまして、このような犯罪行為に対しましては、刑事罰をもってその発生を抑止するというのが一応のたてまえであろうというふうに思っておるわけでございます。旅券法の二十三条におきましても、このような事例に対しましては懲役三年以下あるいは十万円以下の罰金という罰則も規定されておるわけでございます。  もとより行政面におきましても、このような事例の再発を防止するために身元確認事務の一層の徹底を図るとともに、さらに実効的な対策としてどのようなものが可能であるかということにつきましては、今後も鋭意検討してまいりたいと存じております。
  109. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そして、この焼死された人はだれなのか、正式な確認はされたんでしょうか。
  110. 山田英雄

    説明員(山田英雄君) 一月十四日の釜山の大亜観光ホテルで焼死しましたお尋ねの人物は、本人の指紋照合を行いまして、福井市居住の文正吉、五十五歳という人物であることを確認いたしております。
  111. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 現在いろいろと捜査を進められていると思いますけれども、なぜこの人が他人のパスポートを取って渡航しなければならなかったのか、その目的は何なのか、あるいは新聞報道によりますと韓国側ではあるいはスパイの疑いもあるやというようなことも言われているわけでございますけれども、捜査段階の結果はどのようになっておりますか。
  112. 山田英雄

    説明員(山田英雄君) その背後関係、共犯関係につきましてただいま捜査中でございますので、どういう動機、意図に基づくものかは判明いたしておりません。  ただ、伝えられる諜報容疑、スパイ容疑という点につきまして、いろいろ捜索、差し押さえなど捜査を遂げましたところでは、そうした容疑は薄いのではないかと判断しております。
  113. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この事件の関連で、パスポートを使用された本人の方が昨年の暮れに福井県警に相談に出向いているということでございますけれども、その時点で県警の方で捜査を忠実に行っておれば、このにせのパスポートによる出国も防止できたんじゃないか、このように思うんですが、福井県警の対応に問題があったんじゃないかと、このように思いますが、その点どうでしょうか。
  114. 山田英雄

    説明員(山田英雄君) ただいまお尋ねのありましたとおり、いわば名前をかたられました前川亨という方がおられるわけですが、昨年八月二十六日に福井警察署においでになりまして、小学校時代の友人の文正吉という男が自分の名義の国民健康保険証と旅券を使ってサラ金から金を借りて、督促が自分のところに来て困っているという届け出があったわけでございます。  福井県警としましては早速サラ金関係を捜査いたしましたが、届けられたときには全部清算されておりまして、業者からの被害申し立てもなかったわけでございます。  その後、この前川氏の話も参考にしながら旅券法違反の容疑があるということで捜査を行っておったわけでございまして、その結果、五十七年の七月八日に前川氏名義の旅券が文正吉という人物によって、文正吉が交付を受けておるという事実は確認いたしました。  しかし、その日本人名義の旅券をどうして必要としたか、先ほどもお答えしましたとおり、動機、目的、大変非常に疑問がありまして、共犯関係、背後関係を慎重に捜査する必要があるということで、九月以降必要な内偵捜査を進めてきたところでございまして、そうした旅券によって、渡航事実も、若干韓国に渡航した事実もあるわけでございますが、そうしたことが判明しましたのは昨年の十一月ごろでございまして、さらに内債捜査を進めておったところ、一月十四日に釜山におけるいわば火災による焼死という事実が出たという経緯でございます。
  115. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 十一月に、そのわかった時点で警察の方と入管の方と連携をとれれば今回のような出国は防ぐことができたんじゃないでしょうか。その点、どうですか。
  116. 山田英雄

    説明員(山田英雄君) 内偵捜査に入っておったということをお答えいたしましたが、この種の事件は、やはりその共犯関係、背後関係を追及いたしますにはある程度の捜査期間を要することは通常の例でございまして、私ども十四日の焼死事件が起きてから事情を詳細福井県警から報告を受けたわけでございますが、決していたずらに手間取ったとか、遷延したということはないと考えております。
  117. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、法務省にお尋ねしますけれども法務省は五十九年度から刑務所に収容されております受刑者の方、この仮釈放を推進して、あわせて保護観察制度の充実強化を図る方針と聞きますけれども、その理由とメリットはどのようなことでしょうか。
  118. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) お答え申し上げます。  私どもで考えておりますのは、仮釈放、特にその中で仮出獄につきまして、必ずしも現状が刑事政策上十分なところまではいってない。仮出獄の制度は、御承知のように改悛の情ある者につきまして刑期の満了前に釈放して、それで犯罪者予防更生法によりまして保護観察に付すると、こういうことでございます。この保護観察に付することによりまして、再犯の防止に資したいと、そのことは本人の改善更生を図るばかりじゃなく、社会の防衛上の見地から言っても適切である、そういうところに着目いたしまして、この仮出獄につきましてもう少し現状をより積極化して考えでいいのではないか、そういう基本的な立場に立ちまして、その方針をいま進めているところでございます。
  119. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろいろなことが報道されてはおりましたけれども、刑務所の経費節減のために仮釈放を推進するんだということも大きく言われておりますけれども、この保護観察制度の充実と言うんですけれども、具体的にどのようなことを考えておるんでしょうか。
  120. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) この点につきましては、仮釈放、仮出獄をいたしまして、充実した保護観察に付するということが大変重要なことでございます。そのためには、現在の体制でやれるところは十分やる、そのほかに昭和五十九年度予算の案の中にも、その保護観察の充実強化に資するために所要の経費、特に保護司さんに対する実費弁償金の問題、あるいは更生保護会に対する諸経費等等につきまして、それなりの措置を講じさせていただいているということでございます。  私どもといたしましては、誤解のないように申し上げたいんでございますが、決して経費云々のためにこのようなことを考えているのではございません。私どもといたしましては、やはり現在の仮出獄につきまして保護当局としてなすべきことをもう少しやりたい、そういう見地からこの施策を考えておるわけでございます。
  121. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 五十八年四月で保護観察官が八百二名みえるし、地方保護委員会、これの方が八十四名ということですが、今回の措置で保護観察官が五名ぐらい増員をされるということで話は聞いているわけですけれども、これでは余り充実をしたということにはならないんじゃないかと思うんですが、いまいろいろとおっしゃいました社会復帰あるいは保護観察の件につきましても、これは国民としても十分それを望むことでございますけれども、いろんな面でかえって仮釈放が推進される、促進されることによっていろんな不安がまた社会に起こってはならないと、こう思いますし、あなたおっしゃるようなことが本当の意味での充実かどうかということを私たちも多少不安を持つわけですけれども、その仮釈放の本来の目的が損なわれないような運用をぜひとも望んでおきたいと思うんです。その点、もう一度お願いします。
  122. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) おっしゃるとおりでございます。  私どもとしましては、保護観察をできるだけ充実してまいりたい。この点につきましては、ただいま御指摘の人員の点でございますが、保護観察官につきましてはただいま五名と申されましたが、私どもといたしましては、部門間配置転換という問題がありますが、それらを含めまして合計二十一名の——計画削減のほかでございますけれども、そういう増員を得ているということでございます。これは、必ずしも仮釈放の問題ではなくて、保護観察官が処遇困難な事件について直接にこれを担当してやっていこうと、それがひいては、私どもといたしましてはこの仮釈放の積極化の一担当の職員にも負担その他につきましてそれだけの査定を得たということは、大変資するものがあるというふうに考えております。  それから、経費の面につきましても、必ずしも十分とは言えませんけれども、そのための諸経費も計上さしていただいているところでございます。  私どもといたしましては、この施策を推進するに当たりまして万一社会に不安を抱く方がいると、あるいはそういうような心配が実際に起きるということは、これはもうそ目的そのものに相抵触することになりますので、そのようなことがないよう保護観察の充実に努めて、保護司さんと十分連絡をとってやってまいりたいというふうに考えております。
  123. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 法務省、結構です。  それでは、自治省田川大臣にお尋ねいたしますが、今回の衆議院選挙におきまして一番国民から問われてきたのは一体何であったかということを考えてみますと、それはやはり政治倫理の問題あるいは田中問題ではなかったかと思うんですが、一政治家としての田川大臣の認識をまずお伺いしたいと思います。
  124. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 政治倫理に対する私の認識ということでございますが、われわれ国会議員は国民の模範として、国民の代表として政治を常にやっていかなければなりません。そういう意味から、法律に違反しなければ何をやってもいいということであってはならない、国民の模範として政治をやっていかなければならない。たまたま例外な問題が起こりましたので、われわれは政治倫理を正していかなければならないということを主張してきたつもりでございます。
  125. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次にお尋ねしますが、大臣は今回、連立中曽根内閣の一閣僚になられたわけでございますけれども、新自由クラブが自民党と連立を組むに当たりまして、政治倫理問題、田中問題を中から改革をしていく、そういう観点で田川代表は入閣をされた、そしてそのポストとしましては、当初、法務大臣を希望されたけれども、現在の自治大臣国家公安委員長というポストに落ちついたということが巷間伝えられているわけでございますけれども、この経緯はどうであったのかということと、現在のポストである自治大臣国家公安委員長は第二希望であったけれども大変やりがいがある、このようにも承っているわけですけれども、政治倫理あるいは田中問題との関連で、具体的にどのような抱負をお持ちでしょうか。
  126. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私どもは、連立を組むに当たりまして、どのポストを要求するというようなことを話した覚えはございませんで、連立を組む以上、われわれはわれわれの主張をできるだけ生かす、そういうことでやっていかなければならないということを申し上げて話をしたわけでございます。  われわれと自由民主党との二党間における政策合意というものがございまして、大きく分けますと、政治倫理の確立、教育改革、行政改革、平和外交の推進、こういうような政策合意をいたしたのでございまして、そうした点から、私どもは連立に入ってどの担当につきましても、国務大臣としてこのような問題を片づけていかなければならない、推進していかなければならない、このように思って連立内閣に入閣したわけでございます。
  127. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回、閣僚の資産公開ということがあったわけですけれども、政治倫理の確立を目指してみえる大臣としましては、この資産公開は非常に意義のあったことだ、こうお考えなんでしょうか、それとも第一歩としてはこの程度でもやむを得ないんじゃないか、そういうふうにお考えなのか、その点ちょっとお伺いしたいと思いますが。
  128. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 自由民主党との政策協定の最初に掲げた政治倫理の確立という条項がございまして、その三項目に、総理大臣及び国務大臣に資産公開を義務づけるという項目が明記されております。そういうところから申しますと、今回、閣僚の資産公開をやったということは一つの成果である、こういうふうに見ております。  御賞間のように、それが一〇〇%満足かという御質問になりますと、私どもは理想としてはいろいろの案を持っておりますが、とにかく初めてやる制度でございますから、最初からなかなか理想どおりにはいかない、このように考えて、今回政府が行った閣僚の資産公開というのはまず一つのスタートである、進歩である。  ただ、私どもは、閣僚の資産公開をしただけでいいという問題ではございませんで、資産公開は継続性があり、比較性がなければ意味がございませんから、今後これを継続してやっていく。これは総理もそのようなことを言っておりますので、そうした意味で一つの進歩である、前進である、こういうふうに考えております。
  129. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 二月一日に日本記者クラブで講演をされていますけれども、その中で、一審有罪判決を受けた国会議員を登院停止あるいは立候補を規制することによって、政治活動を制限する趣旨の発言があったようですけれども、具体的にはこれはどういう方法によってその実現を図ろうとされているのか、第一点です。  また、田中元首相にはすでに一審有罪判決が出されているわけですけれども、そうなりますと、法律不遡及の大原則があるわけですから、原則としては田中元首相に適用されないことになりはしないか、そういう点をわれわれも危惧するんですが、その点についてどうお考えになっているのか、その場合には何か別なことを考えておみえになるのか、その点あわせてお伺いしたいと思います。
  130. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) ただいまの御質問の問題も、先ほど資産公開で述べましたような自民党との政策合意のところに明記をされている部分でございまして、政治倫理確立の項の第二項に、憲法第五十八条で言うところの「院内の秩序をみたした議員を懲罰することができる。」との解釈の範囲内で国会法改正の処置を検討する、こういう項目がございまして、自民党との間に、一審有罪を受けた者がもし謹慎をしないで、全くなかったと同じような政治行動をとっていることは国民の代表としてふさわしくない、そういう意味から何らかの政治活動を制限する必要があるんじゃないか、こういう意味からこのような自民党との政策合意の一つに掲げたわけでございまして、自民党の中にでも、このまま一審有罪判決を受けた者が自由に何はばかることなく政治活動をやることは好ましくない、こういう意見がずいぶんございまして、こうした条項になったわけでございます。ただ、この問題は憲法とのかかわり合いがありまして、そう簡単にいくべき筋合いのものではございません。そういう意味から、この問題は一つの大きな宿題として検討をしていこうじゃないかということが、自民党との政策協定の中身でございまして、すでに第一回目の検討会も始めております。私が先日、日本記者クラブで講演をいたしましたのは、こういう問題に関連してほかにも公職選挙法の関係でやりようがあるかないか、こういうこともいま話し合いになっているということを申し上げたわけでございまして、とにかく選挙で選ばれて国会に出た者に、制度として何らかの拘束を加えるということはいろいろな面でやはり問題があるわけでございまして、そういう意味から、これは今後私ども、自民党との間で検討を続けていくつもりでございます。
  131. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 新自由クラブという一政党の方針の中で、政策協定されて大臣になられたわけでございますけれども、政治献金の問題あるいは政治倫理の問題、閣僚の問題、それから先ほどの問題ですね。内部から改革していこうということになりますと、非常にこれは大変な努力も必要かと思うんですが、もしもこれらの問題についての大臣等のいろいろ考えてみることがなかなか実現をできない、自民党によって妨害されて実現できないような場合には、やはり連立政権を御破算にして閣外に去るぐらいの気構えを出さなければできないような事態もあろうかと思うんですが、大臣のそれに臨む決意のほどをお伺いをしてみたいと思いますし、これから新自由クラブの方針として決まっていても、あるいは自民党の抵抗で実現できなかったという、そういう言い逃れができないような状況になっているんじゃないかと思いますが、その点の御感想のほどをお聞きしたいと思うんですが。
  132. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 内部から改革というお言葉でございますが、私どもは、平素考えていることあるいは基本的な政策、そういうものを実際に政治の上で実現をさしていかなければならない、こういうことが今回自民党と連立を組んだ一つの動機でございます。いまの御質問の中に、果たしてそれができるかできないか、これは今後ある程度の時日をおかりいたさなければなかなかこれは判断できないことでございますし、私はいま一カ月ちょっとたちましたけれども、先ほど例として一つ出しましたけれども、いまの時点で言わしていただければまずまず期待ができる、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、そうしたことを考えている時点でございますし、まだ発足して一月ちょっとでございますから、それができない場合にはどうかということを言われましても、いまここで申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。ただ、私どもは私どもの基本政策、基本姿勢というものを今後も一貫して変えていかない、こういうことはかたい決意を抱いているわけでございます。
  133. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それではちょっと問題をかえさしていただきますが、宝くじについて若干お伺いしたいと思うんですけれども、宝くじが発売される目的は何でしょうか。
  134. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 宝くじの発売目的は、当せん金附証票法の第一条の目的のところに書いてございますように、浮動購買力を吸収して、これを公共事業等、地方公共団体の施設の整備の資金に充てる、資金を調達する、こういったことが基本の目的と理解しております。
  135. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうすると、地方財政の強化に資することもこれ目的ですね。  ところで、大臣は宝くじをお買いになったことがございますか。
  136. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 十数年ぐらい前まではたまに貰っておりましたけれども、最近は買ったことがございません。
  137. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 なかなか当たらないんですけれども、もうできましてから三十数年になるわけですけれども、最近の売上高というのは年間どのぐらいになっておりますか。
  138. 津田正

    説明員(津田正君) 五十五年以来から申し上げますと、五十五年度に二千三百七十四億円、五十六年度に二千五百八億円、五十七年度に二千四百六十九億円ということで、最近若干頭打ちの傾向が見られております。
  139. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最近は若干頭打ちだそうでございますが、それにしましても年間二千五百億円前後の売り上げがあるわけですね。  五十七年度の売上額の配分状況ですね、これはどうでしょうか。当せん金あるいは収益金あるいは売りさばき手数料、支払い手数料等がございますけれども、その金額と売り上げに対するパーセンテージ、おわかりになりますか。
  140. 津田正

    説明員(津田正君) 五十七年度は二千四百六十九億円発売されたわけでございますが、まず当せん金でございますが、これが四五・五%の千百二十四億円、地方団体の収益金九百八十七億円で約四〇%、売りさばき手数料が百七十五億円で約七%、支払い手数料が九億円でこれは〇・四%程度、普及宣伝費が約七十億円で三%弱、印刷その他の経費が荷四億円ということで四%の経費がかかっております。
  141. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、五十七年度の宝くじ売上額の中で地方公共団体の方に回されました額は、この収益金と理解してよろしいわけですか。
  142. 津田正

    説明員(津田正君) 収益金の九百八十七億円でございます。
  143. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、やはり地方財政の現状から見ましても、この収益金が多ければ多いほどよいということになろうと思うんですが、この三九・九六%——約四〇%の配分率というのはこれはもう固定されたもんでしょうか。それとも、これを配分率を上げることができないだろうか、あるいはそのためにどのような努力をされていますか。
  144. 津田正

    説明員(津田正君) 私ども、運営の方針といたしましては、三九%を下らないようなかっこうで原則的に運営しておるわけでございます。  この収益金の収益率につきましては、一方におきまして、いわゆる当せん金をふやして売り上げをふやすという方法と、当せん金あるいはその他の経費を削減して収益金をふやすと、まあいろいろな方法があるわけでございますが、私どもも経費等の節減も考えまして、五十年当時に比べましては若干収益金の率を改善しておるような状況でございます。今後におきましても、諸経費の増高の抑制に努め、かつ一方国民に愛されるように、当せん金の一定枠の確保ということを図りながら地方財政への寄与を考えてまいりたい、かように思います。
  145. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そこで、先ほど何か法律用語、非常にむずかしいことをおっしゃっていたわけですが、当せん金附証票法というんですか、宝くじはそれで規定をされているわけですけれども地方財政強化という観点からも、いろいろとやはり考えていかなきゃならない点があろうかと思うんですが、これはこれからだんだんと提案になってきますけれども、この証票法の第十四条はどういうような趣旨なのか、あるいは十八条の罰則規定もあわせて説明をしていただきたいと思うんです。
  146. 津田正

    説明員(津田正君) 法第十四条は、受託銀行の宝くじの発売等に関する経理を他の業務の勘定と区別しまして勘定を設定する、それでかつ当該宝くじの発売等に属する資金は貸し付けその他の通常業務に運用してはならない、こういうような規定でございまして、この規定によりまして宝くじの当せん者やあるいは地方団体への納付金の支払いを円滑、確実にしよう、このような趣旨の規定を設けておるわけでございます。  なお、この法十八条の方は、この十四条の規定に違反した者を初め、他の規定に違反した者に対する罰則を定めておるものでございます。
  147. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、この条文は、宝くじが売りさばかれて売上金が受託銀行に入ってくる、そしてまた一定期間後には出ていくわけですけれども、その間その受託銀行にどれだけ資金が滞留しても運用金利は発生しない、こういう趣旨と理解してよろしいですか。
  148. 津田正

    説明員(津田正君) そのとおりでございます。
  149. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私もいろいろと説明は聞いたんですけれども。  宝くじが販売されるんですけれども、そこでさまざまな業者が宝くじを売りさばいているわけですね。こうした売りさばき業者あるいは売りさばき人は、これはいつ銀行から宝くじを買い取るのか、あるいは買い取りの期間はどうなっているのか、その点お知らせ願いたいと思うんです。
  150. 津田正

    説明員(津田正君) 宝くじの売りさばき業者が受託銀行から引き取るのは、おおむね宝くじの発売日の四日前でございます。その際に、いわば保証金というようなことで発売額の中から売りさばき手数料を控除した一定の率のものを納付いたしまして、売りさばき業者が引き受けるわけでございます。また、発売期間が終わりますと、また精算をするというような仕組みになっております。
  151. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その際、受託銀行に業者から支払われます保証金というか前納金ですか、これはどのくらいの額になるのか、たとえば五十七年の四月でどの程度になるかわかりますか。
  152. 津田正

    説明員(津田正君) いまお尋ねの五十七年四月という時点のものはちょっと承知しておりませんが、たとえば全国通常くじの場合、先ほど申しましたように、発売日の四日前ぐらいに、宝くじの発売額、これ二百円とか百円とかいうものがございますが、それから売りさばき手数料を控除した額の半分程度を納めるというようなかっこうになっております。なお、売りさばき手数料は二石田の場合十六円でございます。
  153. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 手数料を引いた、ですか。もう一遍言ってください。
  154. 津田正

    説明員(津田正君) 券面額が二百円でございまして、それから十六円を差っ引きまして、ですから百八十四円、それの半分程度が大体保証金の額になっておるようでございます。
  155. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次にちょっとお尋ねしますけれども自治省がら提出をされました五十七年度月別、種類別の宝くじ発売実績ですか、これによりますと、五十七年四月には、三百円の券の発売はなかったわけですね、百円あるいは二百円の券だけで総売り上げが九十六億三千六百万円、こうなっておりますけれども、間違いありませんか。
  156. 津田正

    説明員(津田正君) 五十七年四月は九十六億九千万円でございます。
  157. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この九十六億の金が銀行やあるいは業者が売りさばいた宝くじの売上金になるわけですね。業者が銀行に保証金を積むというのは、これすべてキャッシュで納めているわけですか。
  158. 津田正

    説明員(津田正君) そこいらまで詳細には承知しておりませんが、大体銀行に口座等を設けて、そこで経理しておるようでございます。
  159. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 われわれもいろいろとお話は聞きながら調べてきたんですが、業者が銀行に出す保証金あるいは前納金に類するものが全体の三割ぐらいと推定しますと、約二十八億円の現金が宝くじの受託銀行に入る計算になるわけですね。これはちょっと多少違うかもしれませんが、それにしましても巨額のお金が入るわけですが、これが月ベースの金額ですから、保証金というのはその発売される宝くじの分でございますから、少なくとも発売日には銀行に入っていると思いますね。たまたまこの四月で私たちが類推して計算したのだけでも二十八億円という金額が出てくるわけですから、この金額は少ない方でありまして、たとえば同じ年の十一月の売上額から見ますと、約三〇%と推定しても約二百三十億円という金額がここに入ってくる。少なくとも月並みにいっても数十億円のオーダーの金が受託銀行に入ってくる、しかも現金で入ってくる、こういうことになろうかと思いますが、その点どうでしょうか。
  160. 津田正

    説明員(津田正君) 宝くじの発売は、御承知のとおりサマージャンボであるとか年末の大型くじとか、いろいろございまして、かなり波があるわけでございますが、五十七年度の場合でございますと、売り上げの一番多い月は八月でございまして、四百四十四億円、このような発売額になっております。四月の九十六億円に比しまして約四倍程度の売り上げの規模のある場合もございます。
  161. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 十一月の方が多いでしょう。
  162. 津田正

    説明員(津田正君) 失礼いたしました。十一月は七百八十二億円で、八月よりさらに多いということでございます。
  163. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま申し上げたように、保証金あるいは前納金の形でもって相当な現金が入っているということは認められるわけですね。
  164. 津田正

    説明員(津田正君) 宝くじの仕組みにつきましては、これはまあ古い法律のせいもあるかと思いますが、いわば本来白地で考えますと、地方団体が受託銀行に発売をさせる。その準備段階としての印刷費であるとか、そのほかの経費を地方団体が払い、売り上げがあれば地方団体に納めさせ、当せん金があればまた地方団体から受託銀行に渡してやるということが考えられるわけでございますが、現行の法律上は、発売をいたしますと、その下準備等は全部その受託銀行がやるというようなかっこうになっています。  それで、売れた中から必要経費あるいは地方団体への納付金を納め、さらに当せん金の支払いに充てる、こういうようないわば枠でくくったような経理になっておるような状況でございます。
  165. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 答弁がちょっとわからないんですけれども、ちょっと変わっていますね。  それでは、ちょっと見てみたいんですけれども東京都の百円のブロックくじですね、これをちょっと見てみたいんですけれども、おたくからいただきましたこの資料では、百円の東京都ブロックくじは年間二十八回行われているわけですよ。売り上げは百三十二億四千二百万円になっていますけれども、大体単純に一回当たり四億七千三百万円、こう売り上げがある、このように見てもよろしいでしょうか。
  166. 津田正

    説明員(津田正君) 東京都宝くじは、御指摘のとおり五十七年度二十八回発売されまして、百三十二億円でございます。
  167. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、大体一回当たり四億七千三百万円と、こうなるわけですけれども、平均してこの四億七千三百万円のお金のうち、売りさばき業者の方が受託銀行に現金で一応三〇%ぐらいの保証金を納めるとしますと、その金額だけで約一億六千万円になるんですね。この金は私たちの調査によりますと、通常二、三日前までに払い込まれるようになっていますので、もしその宝くじが四月の三日の発売でありますと、大体四月の一日ごろに銀行に入っている。そして、発売されて、四月十日が抽せん日になります。そして、さらにこの収益金が東京都に渡されるのが大体抽せん日の五日後ということになるんですね。結局、最初の一億六千万円というお金は、約十五日間、約半月銀行の金庫というか、そこに入っているということになるわけですけれども東京都のそのブロックくしというのは月に二回ないし三回ありますね。また、そのほか関東、中部、東北ブロックが三回ないし四回ありますし、近畿ブロックが三回から五回、西日本ブロックが三回から五回、その他僻地の宝くじが大体月一回、全国自治がやはり大体月一回、合計十三回から十七回、月に宝くじが発売されるということになるわけですけれども、そうなりますと、宝くじ売りさばき業者が現金で銀行に保証金を積まれ、あるいは前納する金額はどのぐらいになるのかというと、恐らくこれはもう数十億を超すような金額になるんじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。
  168. 津田正

    説明員(津田正君) 年間でそのような回数を出しております関係上資金の、要するにその勘定に残った金はやはり数十億円程度になると思います。
  169. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これに銀行が売りさばいた宝くじの金額を含めますと、もうさらに高額な額になろうと思うんです。それだけではなくて、一方においては時効当せん金というのがあるんですね。当たってもそれに気がつかれなかったかなんか、かえに来られない方があるんですが、過去三年間の時効になった当せん金はどの程度ありますか。
  170. 津田正

    説明員(津田正君) 時効当せん金は、五十五年度が百一億円、五十六年度が百三十三億円、五十七年度も百三十三億円程度でございます。この時効当せん金につきましては、私ども関係団体ともになるべく時効にならないようなPRもしておるわけでございまして、この近年若干比率が下がっておるような状況でございます。
  171. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 過去の例を見ますと、時効になった当せん金というのは昭和五十四年が宝くじ発売総額の六・二%、五十五年が五・六%、五十六年が五・三%と、大体総発売額の五%ぐらいが時効当せん金となるわけですね。このパーセンテージを五十七年度で単純に当てはめてみますと百二十三億円が時効当せん金となる、こういう計算になるわけですけれども、先ほどの法律ですね、当せん金附証票法の第十二条及び第十六条第二項はどうなっているか説明していただきたいと思うんです。
  172. 津田正

    説明員(津田正君) 当せん金附証票法の第十二条は「当せん金品の債権は、一年間これを行わないときは、時効に因って消滅する。」ということにしてございます。それから十六条でございますが、その三号におきまして「債権が時効に困り消滅したもの」については地方団体に納付するというような規定でございます。
  173. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、この時効当せん金というのは、発売額の大体五%強の金額ですけれども、これが法律によって一年間滞留するわけですけれども、その途中で気づかれた方が取りにおみえになる可能性もありましょうけれども、大体一年と二カ月ぐらいやはり銀行に滞留をしている。そのほかに年三回予約くじというのがありますね。これはジャンボくじですから相当金額は大きくなりますし、宝くじ発売にはいろんな諸経費がかかるとはいいましても銀行に滞留されるこの資金というのは相当な額になってくるのだと思いますが、そういう意味で証票法第十四条、これはもう大分前につくられたわけでございますし、先ほども話がありましたけれども、いつ当せん者があらわれても即座に対応することが必要なためにこれがあるというわけですけれども、先ほどから最初に種々の説明がありましたように、地方公共団体、地方財政のために、これに資するためにということでございますし、これだけのお金が無利子で銀行に滞留されているということは、これは非常にむだなことではないかと思うんですが、その点どのようにお考えになりましょうか。
  174. 津田正

    説明員(津田正君) 御指摘の売上金の滞留の問題でございますが、先ほども少し申し上げましたように現行の宝くじ制度の資金の流れと申しますのが、まず受託銀行に全部やらせておいて、それで売上金の中から経費を落とさすと、そういうような仕組みになっておりますこともあるかと思います。  それとまた、まさしく先生御指摘のとおり、当せん者がいつあらわれるかわからないというようなことで金を置いておかなければならないと。このようないわば確実を旨としたような規定になっております。  そういうような全体的な仕組みにも絡みます問題でございますが、御指摘の点につきましても今後私どもとしても研究してまいりたいと、かように考えております。
  175. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま研究をしてまいりたいというお話でございましたが、大臣、やはりいつでも当せん者があらわれても対応できるようにしておくことが必要だろうと思いますけれども、そんなわけならやはり普通預金でもこれはいいんじゃないかと思うんですね。そうすれば、こんな数十億ぐらいの金があればこれは利息だけでも何億という利息がつくわけになりますし、その分だけ地方公共団体にいろんな面でプラスになっていくんじゃないかと思うんですね。しかも資金も安全に管理されるということになりますし、また観点変えますと受託銀行にそれだけの金額を委託をしておきながら委託金を払わないということも、これはおかしなことがあるんじゃないかと。うがった見方をしますと、銀行側に何か隠れたメリットがあるんじゃないかというようなことも勘ぐられても仕方ないと思うんです。そういった点で、いままでこういった膨大な資金が銀行に滞留をしているということをお考えいただいて、今後やはりこの証票法ですか、できましてからもう三十年ぐらいになるわけでございますし、いま研究をされるということをおっしゃってますけれども、やはり改善のことを少しでもお考えいただきたい、このように思うわけですが、大臣いかがでしょうか。
  176. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 大臣から御答弁申し上げる前に、私からただいま先生の御指摘についてでございますが、確かにこの当せん金附証票法は終戦直後にできた法律でございまして、当時の戦災復興の資金をどうやって調達するか、また非常なインフレの中で浮動購買力をどのようにしてかき集めるか、吸収するか、こういう時代の背景のもとにできた法律であります。したがいまして法律全体の仕組みも今日の時点で見ますといろいろ検討を要する点が出てきております。  それから、ただいまの滞留金の扱いにいたしましても、これまでも確かに必要な経費とそれから滞留金を運用した場合における金利と、こういったものをバランスにかけた場合、どういうことになるのかいろいろと議論をしております。  それからさらに、この宝くじの収益金の使い道が公共事業に限定されております、戦災復興ということでできたものですから。しかし最近ではむしろこういった使い道についてはもっと広く、たとえば福祉関係の経費にも充てられるようにしたらどうかと、こういうような嵐児もあります。  それからまた、発売方法あるいは発売の倍率、こういったものについても世界的な宝くじの状況ども踏まえて、もっとこれからの時代に見合った改正をしてはどうかと、こういうような意見もございます。したがいまして私どもはそういった最近の情勢の変化を踏まえた宝くじ制度のあり方について、いまいろいろ研究会を持ちまして、専門家にも入っていただいて研究していただいております。そういう結論なども踏まえながら、ただいま先生の御指摘になった点も含めていま法律の改正等も具体的な検討事項としてこれから研究してまいりたい、検討してまいりたい、このように。考えております。
  177. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 太田委員から大変私どもも知らなかったことも御指摘をいただきまして大変参考になりまして、御指摘の点につきましては今後随時検討をしてまいりたい、このように思っております。
  178. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それからその次に五十七年度決算報告書のことで質問したいと思うのですが、この五十七年度の決算検査報告は十二月二十六日に国会に提出されましたけれども、なかなか、これを見ますと相変わらずの税金のむだ遣いが多いということですが、検査院もお見えになっていると思いますが、五十七年度決算検査した結果、特に検査院で取りまとめました検査報告の特徴とすべき点、この点について御報告願いたいと思うのです。
  179. 西川和行

    説明員(西川和行君) お答えいたします。  会計検査院では昭和五十八年中の検査におきましても、前年までの検査に引き続き特に予算の経済的、効率的執行に対する検査と事業目的の達成状況についての検査を重視して行ってまいりました。その結果、五十七年度決算検査報告の内容といたしましては、特徴の第一として、各省庁の行政運営について予算執行の効果の発現が十分とは認められず、今後改善を要する問題を指摘し、あるいは公社、公団の事業運営について多額の損失を生じている事態についてその内容を分析し、経営上の問題点を指摘していることが挙げられます。  特徴の第二は、補助事業の実施及び経理に関し不適切となっている事態が例年同様に数多く見受けられたことでございます。そしてこれらの内容も依然として補助の対象とならないもの、補助事業費の精算額が過大となっているもの、補助工事の設計、積算が適切でないもの、補助工事の施工が設計と相違しているものなどとなっております。  特徴の第三は、貸付金の経理に関し不適切となっている事態が本年は例年に比べ特に多く見受けられたことでございます。これらは各省や公庫等が実施しております貸付事業につきまして、貸付機関における審査、管理が適切でないなどのため、貸し付けが不適切となっていたというものでございます。  以上述べました点が昭和五十七年度決算検査報告の特徴でございます。
  180. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 特徴をいまお話しありましたけれども、この検査報告が提出をされるたびに、手口の悪質化あるいは投入資金が生かされない、技術の進歩に追いつけないために生ずるむだ、この三つがいつも指摘されるのですが、五十七年度になりますと、もっと深刻化してきたということが言えるんじゃないかと思うのですが、検査報告で別項で掲記されております長野県のある町の不正経理事件、これはどのような実態でしょうか。
  181. 西川和行

    説明員(西川和行君) 御説明いたします。  箕輪町に関しまして検査報告に掲記いたしました事項は、補助事業では箕輪町外七事業主体、貸し付けでは同町外一貸付先が四十七年度から五十七年度までにわたりまして関係書類を作為するなどして国庫補助金千二百七十万余円の交付を不当に受けていたり、貸付金一億七千六百二十一万余円を不当に受けていたという事態でございます。  補助事業に係るものの件数及び不当国庫補助金について所管別に申し上げますと、文部省所管分四件、二百二十二万余円、農林水産省所管分六件、九百五十八万余円、建設省所管分一件、七十七万余円、自治省所管分一件、十二万余日、計十二件、千二百七十万余円となっておりまして、これらの事態は、補助事業費を過大に精算していたり、事業の一部を実施していなかったり、補助の対象とは認められないものを対象としていたものでございます。  次に、貸し付けに係るものの件数及び不当貸付金額について所管別、団体別に申し上げますと、大蔵省所管分三件、一億千八百二十七万余円、郵政省所管分一件、四十四万余円、農林漁業金融公庫分四件、三百二十九万余円、公営企業金融公庫分一件、五千四百二十万余円、計九件、一億七千六百二十一万余円となっておりまして、これらの事態は、貸付対象事業の一部を実施していなかったり、貸付対象事業費より低額で事業を実施していたり、貸し付けの対象とならないものを貸付対象としていたりしていたものでございます。
  182. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その中で指摘されている中で、農林水産省所管で昭和四十八年度から五十七年度まで十年間にわたって不正に補助金を受け取っていたという事例がありますけれども、これはどういうことなんですか。
  183. 磯田晋

    説明員(磯田晋君) ただいま御指摘がございましたのは、水田利用再編対策事業の件であろうかと思いますが、これは町が水田を児童遊園地にしたわけでございますが、児童遊園地の賃借料を浮かすために農業者に奨励補助金を不正に受領させ、結果的に町の負担軽減を図ったという事例であると思います。
  184. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この検査報告を見ますと、「適正に転作等を実施したように作為させて、」と、こういうふうに響いてあるんですけれども、この文章を読みますと町が農業者に悪質な行為をさせたということに読めるんですけれども、この場合は農業者が町の指示で悪質なものであることを知っていながらこれをやったのか、あるいは町と農業者が共謀して不正に補助金を受け取っていたのか、あるいはこれは農薬者がもらったその補助金を町が取って歳入に入れていたのか、その点どうでしょうか。
  185. 磯田晋

    説明員(磯田晋君) 私ども調査した限りで申し上げますと、農業者は町から協力要請を受けまして児童遊園地として提供した土地の賃借料の一部を奨励補助金で受け取って、そのまま受領していたと。したがって、町は賃借料とそれから農業者が受け取った奨励補助金の差額を一般会計から農業者に渡していたと、そういうようなぐあいに経理されております。
  186. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最終的には、その補助金——補助金は当然農業者が手に、していたことは確かですね。
  187. 磯田晋

    説明員(磯田晋君) はい、そのとおりでございます。
  188. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この補助金の問題につきましては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というのがあるんですけれども、この箕輪町の補助金の不正取得はこの法律のどの点に反するんでしょうか。
  189. 磯田晋

    説明員(磯田晋君) 本件は、どの補助金でも同様でございますが、補助事業者である農業者がこの補助事業に関する補助金の交付の決定の内容またはこれに付した条件その他法令またはこれに基づく農林水産大臣処分に従いまして、善良な管理者の注意をもって補助事業を行わなければならないという義務に違反していたものでございます。したがいまして、農林水産大臣はいわゆる補助金適正化法第十七条第一項の規定により交付決定の取り消しをいたしまして、同法第十八条の規定により補助金の返還をさせております。
  190. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 農水省からお見えになっていますね。  この水田利用再編奨励補助金のことにつきましては、臨調あるいは行管からもいろいろと勧告をいま受けておりますね。今回の箕輪町のような事例によりますと、市町村段階でいろいろと不正をやろうと思いますと簡単にできるということじゃないかと思いますし、農林水産省としてはこの実態がなかなかわからない。いろいろと話を聞いてみて、そういうようなことになろうかと思うんですけれども、この水田利用再編奨励補助金のことにつきましては、各種補助金の中でも特にその支出自体に批判があることもいままで言われておりますし、あるいは確認事務等においても改善措置が必要であるということもいままで指摘もされています。その点からいろいろと検討も進められておると思いますが、今回のこの事件を通して、今後どのように対処されるおつもりですか。
  191. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) ただいまお話のございました水田利用再編対策は五十三年から実施している事業でございます。御承知のように、米の需給事情がかなり過剰基調にございます。それから、需要の動向に照らしますと、農産物の需給率等をごらんいただきますればおわかりいただけますように、なかなか需要の動向に適応した生産が行われていないというような問題がございます。そういう問題を受けまして、私ども農業生産構造の再編成ということも含めましてこの事業を実施しているわけでございますが、全国で水田を持っており、かつこの事業に協力している農家が約三百万農家でございます。水田の筆数でいたしますと一千万というような膨大なものでございます。したがいまして、この補助金の事務につきましては都道府県知事に委任しておりますが、具体的には市町村を経由いたしまして知事に交付申請を行う、市町村長はこの要件に適合した転作が実施されているかどうかということの書類確認及び現地確認を行うということ、それから知事は市町村から確認したということを受けまして交付決定を行うというような手続をやっているわけでございます。この確認のあり方につきまして、いまお話しのような御指摘がございますが、私どもといたしましてこれを国の直轄の事業としてやることは、いま申しましたように非常に膨大な水田でございますので、実際には困難であるということでこの方法をとっているわけでございます。非常に地域によりまして条件が異なりますし、それから非常に困難な中で転作をやっていただいているというようなこともございまして、私どもの感じといたしましてはほとんど大部分の市町村では非常に適切に、しかも御苦労をなさってやっていただいていると思っております。しかしながら、いま御指摘のような箕輪町の例もございまして、私どももこの点につきましては都道府県、それから市町村等ともよく協議をいたしまして一層の指導を強化をしてまいりたいと思っております。なお、来年度から第三期対策ということに入りますので、この第三期対策が発足するに当たりまして、改めてこの点につきましてもよく指導の徹底を図ってまいりたいと思っております。
  192. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 時間がありませんので、自治省地方自治行政について的をしぼってちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、この町で前町長が辞任をしました後、町財政の不正状態が明らかになりまして、五十三年に箕輪町民から町財政に関する監査請求が出されているんですが、自治省はこのことを知っていましたか。
  193. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 後で県から報告を受けておりまして、当時は了知しておりませんでした。
  194. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最初に監査請求が出ましたのが五十三年ですし、これは法律に照らしましても六十日以内に監査委員が勧告を出さなければならないし、そのためには五十三年ないし五十四年度内には勧告を出されておりますし、一方、検査報告によりますと、五十七年まで不正がこれは行われていたということですから、このことは町が勧告を受けながら勧告に従わず、不正を続けていたということになるわけですけれども、これは監査委員の勧告、あるいはこれに従おうとあるいは従うまいと、これは勧告を受けた者の自由裁量ということになっているんでしょうか。その点、地方自治法に言う監査請求制度の趣旨からどのようにお考えでしょうか。
  195. 大林勝臣

    説明員(大林勝臣君) 制度的には、監査委員からの監査の結果には地方団体は姿勢を正す、事務の訂正をする、こういうことになっております。
  196. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この監査請求は五十三年度を初めとして数回出されておりますし、監査委員の報告も出されているわけでございますので、当然これはその内容がいずれにしても公表をされているわけでございますから、自治省は知らなかったということは私はあり得ないと思うんですが、その点どうでしょうか。
  197. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 現在、市町村の財政運営については第一義的に都道府県知事に指導をしていただいております。したがいまして、この監査請求でありますとかその他いろいろな案件が出た場合に、それぞれの都道府県知事が適切な指導をしていただいているものと考えております。なお、非常に案件が重大であるとか法律上の解釈を要するとか、そういう問題があります場合には私どもの方に報告が参りまして、必要な指導を求めてまいります。相談があります。こういったときには適切な指導に努めておりますし、またそのために、制度的には私どもの局に財務調査官という者がおりまして、各地域を分担してそれぞれの個具体体の案件についての相談に乗っている状況でございます。今回、箕輪町の問題につきましても、当初の段階は長野県当局で対応されておったわけですが、その事件の起こった当座は私どもの方に報告がなかったというようなことで、その段階では了知しなかった次第でございます。
  198. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 五十四年四月に箕輪町議会に百条委員会が設置されたのですが、このことを知ったのはいつですか。
  199. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) この箕輪町に百条委員会が設置されたのが先生御指摘のように五十四年四月でございますが、この結果につきましては五十五年三月に出されまして、その後報告が来ております。
  200. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そのことにつきまして、やはりこの町の不正事件につきましては町民が監査請求をするような事態でもありますし、あるいは百条委員会が設けられた事態でございますし、いろいろな面で報道もされるでしょうから、自治省が五十四年四月にできた事態についても五十五年三月まで知らなかったという御答弁ですけれども、やはりそれはちょっと私どもは腑に落ちない点だと思うんです。長野県に対してやはり監査請求があった時点、その後の状況についても当然これは事情聴取がされ続けてきたんじゃないかと思うんですが、その点の責任をどうお感じですか。
  201. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 私どもはこの種の案件についての報告を受けた場合には、もちろん一般的に都道府県知事が法令の規定に従って適切な指導をするように要請いたしております。それからまた、その内容に応じて、たとえば補助金の返還の問題でありますとか、関連して地方債の許可の取り消しとか、さらに波及して地方交付税の計算上の錯誤措置とか、こういった具体の措置を要するものにつきましてはそれぞれできるだけ早く対応するようにしてきております。箕輪町の件につきましても、それぞれ法令の規定に基づいて措置すべき事柄につきましては、その後内容の確定を待って必要な措置を講じてきております。
  202. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 自治省は、国と地方自治体との関係というのは、国は地方自治体の自主独立あるいは地方自治の確立を尊重するということで、地方自治体の行政には関与しないという立場をとってみえるんですけれども、これは私ども地方自治の尊重のためには結構だと思うんですけれども、しかし、こういうような不正事件には逆に自治省指導監督など大いに関与して地方財政の健全化、また不正経理の防止に努力すべきじゃないかと思うんです。  地方自治法第二百四十六条の条文はどういうことを定めておりますか。
  203. 大林勝臣

    説明員(大林勝臣君) 二百四十六条には自治大臣または都道府県知事の財務監視権というものがうたわれております。国あるいは都道府県は、常に、地方団体の行財政運営が適切に公正に合理的に行われることにつきまして指導助言をする立場にございますので、そういう立場を貫徹いたしますために、特に、財務に関して必要な報告でありますとか、書類帳簿の提出、あるいは実地の視察等につきまして監視をする権限を与えたものが趣旨でございます。
  204. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 皆さん方の答弁を聞いておりますと「自治大臣又は都道府県知事」と書いてあると、大体都道府県知事が責任を持ってやるんだという答弁をいままでされるわけです。この条文というのは、やはりいまおっしゃったように、抜き打ち出納検査というのは一般的な方法ではないけれども、特に不正経理事項の存否を確認する等、緊急を要する場合には差し支えない、こういうふうに解釈されているわけですけれども、やはり地方自治行政を預かる自治省としましては、この条文のもとに、地方自治体の財政が破産状態にあって、しかも住民から監査請求が出されているような事態があればこの条文を適用すべきだ、このように私たちも思うわけでございますし、長年にわたってこの不正経理というものが見過ごされてきた責任というものは非常に大きいのじゃないかと思うのですね。その点、大臣にどのような見解を持っておられるのか、最後にお尋ねして私の質問を終わりたいと思います。これは一罰百戒で、このようなことが繰り返されるとは思いませんけれども地方自治体それぞれまじめに取り組んでいるところもあるわけですけれども、中にこういうところがあった。しかしこういう事件があって報道されたときはそれぞれ戒めるけれども、また時がたつと忘れてしまうようなことになりかねませんし、どうか、会計検査院の指摘にもありましたように、地方自治を統轄される大臣としてこの点にどのように今後臨まれるか、お答え願いたいと思います。
  205. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 今度の事件地方団体の信用にかかわる非常に残念な事件でございまして、こういうことが起こらないように、今回のこの事件を契機にいたしまして議会や監査委員などの自律機能をより一層十分果たせるように強い指導をしてまいるつもりでございますし、また都道府県による財政運営指導をさらに適切にやっていくように今後指導してまいる決意でございます。
  206. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まず初めに、三池有明鉱災害の問題で通産省に一言申しておきたいと思います。  一月二十五日の当委員会での私の質問に対する通産省の答弁拒否とも言うべき態度は全く不当でありまして、そのため審議が中断し、委員長からも強く叱責をされたところでありますが、一昨日、二月の一日、当局もその非を反省をして、私の質問に対する一定の回答を寄せられるに至ったわけでありますけれども、これは全く当然のことであります。今後も政府として国会の審議権に積極的に協力をして、原因の徹底究明と再発防止策の確立のために全力を尽くされるよう重ねて要望するものでありますが、その決意を伺います。
  207. 石井賢吾

    説明員(石井賢吾君) 前回の当委員会の審議に際しまして私どもの対応に適切さを欠きましたこと、及び委員長初め委員の皆様方に大変な御迷惑をおかけしたことについておわびを申し上げたいと思います。今後は、調査の進捗を踏まえまして、本件審議に際しまして的確に対応してまいる所存でございます。  御指摘の事故調査の徹底究明という観点につきましては、一月の三十、三十一の両日、事故調査委員会が現地に参りましたが、さらに密閉個所の取り明け等を待ちまして再度現地調査を行い、徹底的な原因究明につとめてまいり、かつそれを踏まえまして適切な対応策を検討して、かかる種類の事故が再発をしないように全力を挙げてまいる所存でございます。
  208. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 事実関係の問題でなお尋ねたい点もありますが、当決算委員会としても次回通産省所管の審査を行う予定でもありますので、大臣出席のもとで徹底した質疑を行うこととしまして、本日はこれでとどめます。どうぞお引き取りください。  それでは、続いて自治大臣の基本姿勢について幾つかお尋ねをいたします。  あなたはつい先日まで中曽根内閣や自民党を激しく批判をされてまいりました。たとえばさきの総選挙、十二月三日の第一声では、田中問題は田中さん一人の問題ではない。田中的な金権体質、力と数とそしてお金があれば何でもやれるという思想が政権を取っている政党にこびりついていると批判をされておりますし、また昨年二月十九日の新自由クラブ第六回全国代議員大会では、中曽根政治の危険性を、一言で言えば金権腐敗の利権構造を擁護し、その温存を図りつつ田中軍団の政治支配力に乗る形で憲法改正、軍事拡張の路線を推し進めようとしている点にあると指摘をされておるわけで、これはいろいろ新聞報道を引用さしていただいたわけでありますけれども、この考え方はいまでも正しいと考えておられるのか、それとも考えは変わっているのか、どうでしょうか。
  209. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私どもの基本姿勢というものは少しも変わっておりません。ただ、中曽根内閣の姿勢が従来どおりとは見ていないのでございまして、われわれ自身の基本姿勢、基本政策というものは少しも変わっておりません。
  210. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、あなたは入閣をされるに当たりましてあの中曽根さんの声明、田中排除を評価するとか、相当のただいまも反省が見られるとか言われるわけでありますが、具体的にはどのようなことを指してそのように考えられるんでしょうか。
  211. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 中曽根自民党総裁の声明が私どもの連立内閣を組む大きな原因になったのではございませんで、先ほど太田委員からの質問にお答えいたしましたが、私どもは公党として自由民主党と何項目かの政策協定を行ったのでございまして、この政策合意に基づいて連立を決意したわけでございます。  繰り返しますけれども、大きな柱を申しますれば、政治倫理の確立を推進していく、教育改革を図っていく、それから行政改革を推進する、平和外交を進めると、まあ大きく申しますとこのような政策合意を書面をもちまして両党の最高責任者が取り交わしてこの連立内閣をつくることに合意をしたと、こういう経緯でございます。
  212. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 幾つかの評価点を挙げられたわけでありますけれども、その中の一つ、政治倫理問題ということをとらえてみましても、中曽根さんがあの声明で田中排除ということを打ち出された、それが重要な中身の一つになっておるということは、いろいろ新聞も報道をするところだと思います。ところが、しからば実際にそれがどういう姿であらわれたかといえば、たとえば閣僚の中にいわゆる田中派と言われる方が依然として六人も入っているとか、あるいは田中派が自民党三役の一角を固めているとか、これはあの直後の新聞報道、その後の国民の世論を見ても、相変わらず田中色が濃厚だという批判があるということは大臣もよくよく御承知のことじゃないかと思いますが、こういった形で果たして田中色が排除をされているのか。あるいは資産公開の問題にいたしましても、あなたが当初強調されておった家族の資産も含めてのそういう公開に進めるという方向で必ずしも進んでいないと。こういった点から考えてみて、一体あなたの現時点での所見はどうでしょうか。
  213. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 私どもの連立に踏み切りました大きな理由は先ほど申し上げたとおりでございまして、それではいま御指摘のような状態で田中勢力が排除できたかどうかというような御質問でございますけれども、私どものような政党が先ほど申し上げましたような四項目の合意を得て連立をした事態というものが、すでに自民党の姿勢の中に変化があらわれてきた。この変化は何によってあらわれたかといえば、国民の審判によってあらわれてきたわけです。ですから、中曽根総裁声明というものがそういうところにもあらわれてきたわけでございます。個々の田中派の閣僚が何名とかという問題は、まあ私どもにとってはそれほど重要な問題ではなくて、これから自民党がどれだけ反省をしてやっていくか、また中曽根内閣がどういう政治倫理の姿勢をとっていくかというところに問題があるのでございます。もし連立政権ができなかったとすれば、閣僚の資産公開でさえもやれなかったではないかというふうに私は見ているのでございます。  それから、いま御指摘の、当初私が考えていた資産公開が実現できなかったではないかと言われましたが、私どもと自由民主党との連立に関する政策合意の中には、総理大臣並びに閣僚の資産公開ということでございまして、具体的には夫人の、妻の資産公開まで含んではおりませんでした。ただ、私が妻と本人とは一体であるということを申し上げましたのは、これは一つの過程の中で私の個人的な考えを申したわけでございます。これも私自身もよく考えてみますと、いま妻の立場というものが非常に重視されるようになっておりまして、そういうことから見ると必ずしもこれが一緒でいいかどうかということは一つ議論の分かれるところでございまして、まあ閣僚の資産公開が一歩踏み出したというようなことは私ども一つの前進であると、こういうふうに見ているのでございます。
  214. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いろいろ御説明がありましたけれども冒頭にも触れましたように、かつてあなたがいわゆる田中問題についてかなり強いトーンで批判をされてきた。あれに比べて、今回の組閣後、いわゆる田中排除という問題をどう見るかということについていまおっしゃっていることと、かなり違いがあるというふうに私は見ますね。  まあここはいろいろ引き続き議論を呼ぶところでありますので、もう一つ別の問題でお尋ねをいたしますが、新自由クラブがさきの総選挙政策において、この冊子ですね、「総選挙政策大綱」、この冊子の三十一ページでありますが、こういうことを公約として打ち出されております。「新自由クラブは、立党以来一貫して全ての増税に反対してきましたが、今後ともこの方針は貫いていきます。」と。ところが、あなたは自治大臣に就任をされるや、増税もやむなしとしてみずから所管をされる地方税の関係といいますか、法人住民税均等割あるいは自動車関係税の大幅増などを積極的に推進をする一翼を果たされている。これは明らかに選挙のときの公約に照らしてみて国民への背信行為になるのではないかというふうに私は思うんですけれども、いかがなものでしょうか。
  215. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) その前に、先ほどの御質問に少し言葉が足りませんでしたから補足をいたしますが、選挙中にあるいは選挙前に自民党を批判した、これは間違いございません。しかし、私どもは御見も、貴党も批判をいたしましたし、その他の野党の政党も批判をしてまいりました。政党が存立する以上、他党との違いを鮮明にするということは議会政治、民主政治で許された行為であると私は思っております。ですから、ヨーロッパでも選挙が終了したと同時に、お互いにしのぎを削り論戦をした政党同士が、ある政策合意をして連立政権をつくる、複数の政党が政権を担当するというようなことはしばしば見られることでありまして、私どもはこれが選挙民に、国民への裏切りとか公約違反とかいうことを言われる筋合いのものではないと、このように思っておりますし、一審有罪判決を受けた田中元首相が、もし再び堂々と政治活動をするということであれば、私どもは従来と同様な立場をとっていく、こういうことをここで申し上げて、つけ加えさしていただきたいと思っております。  それから、私どもの政策が減税を主張し、増税は避けたいということは現在も同様でございます。今回政府が行った減税につきましても、私どもはできるだけ推進するように野党の一部の方々とまだ連立をする前に共同してこれを推進してきたのでございます。  私が自治省を担当いたしましてから地方税制の中で多少の改正がございましたが、まあこれも、一体住民税を減税する財源をどうやって捻出するか。これは地方自治体が住民に十分なサービスをするようにするには財源を探さなければできないのでございまして、そういう意味で私どもはできるだけ国民の、大衆の皆さんに負担をかけないようにして財源をつくっていかなければならないということで、若干の地方税の手直しをしたということでありまして、私が自治大臣になりましてから増税役の推進をしたというようなことは毛頭ございませんことをここで申し上げておきたいと思います。
  216. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 税の問題でお答えあったわけでありますけれども、私は、この住民税均等割の問題にしても自動車税の問題にしても大衆に負担を転嫁するものであることは紛れもないというふうに思いますので、重ねてその点は強調しておきたいというふうに思います。  それでは、続きまして法務大臣の基本姿勢についてお尋ねをいたしますが、まず、昨年の十月十二日、田中角榮に対して懲役四年の実刑判決が下されまして、現在控訴して争っているわけでありますが、控訴審の第一回公判期日はいつごろになるんでしょうか。
  217. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) お答えいたします。  まだ定まっておらないというふうに承知いたしております。
  218. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私は、まだ期日も決まってないというのは、これは裁判の迅速のためにも一体どうしたことかというふうに思わざるを得ぬのですが、それはさておきまして、検察官を指揮監督する立場にある法務大臣として、今後の控訴審についてどのような心構えで事に臨んでいかれるのか、所感をお尋ねをいたします。
  219. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 田中裁判、一審の判決がございまして、控訴審の段階に入っておるわけでございますが、私は一審あるいはその後におきましても、検察官が大変努力をされて公訴の維持そして判決まで持ってこられたんだろうと、こういうように理解をしておるわけでございまして、その継続としての控訴審でございますので、私は検察側が従来の態度で厳正な立場で臨んでくれる、こういうように期待をいたしておるわけでございます。
  220. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、念のためにお尋ねをするわけでありますけれども、さきの法務大臣、先任者であります秦野氏は、委員会でもたびたび指揮権は発動をしない旨の言質を求める質問に対して、それには答えようとされなかったと、御存じのところでありますけれども。住法務大臣としてはこの点についてはどうですか、指揮椎発動をめぐる問題。
  221. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 私は、秦野前法務大臣が国会でどうおっしゃったかつまびらかにいたしておりません。ただ、先生も御承知のとおり、法務大臣の指揮権、これは検察庁法にきちっと明記されておるわけでございまして、それは制度として存在するわけでございます。ただ、具体的に、具体的な事件についてどうするこうするということについては、私はその取り扱いというのは事柄の性質上きわめて慎重でなければならない、こういうように考えておるわけでございます。
  222. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 慎重にとは言われておるわけでありますけれども大臣が就任をされまして国会として法務大臣に公式に質問をするのは初めての場になるんじゃないかと思うんですけれども、そうした点で、慎重にとはおっしゃるんですけれども、指揮権発動をすることもあり得るという意味でいまのようなことをおっしゃったんでしょうか、そういうことは具体的にはしないと、法文上に書かれているその問題はともかく、具体的にはそういうことは新大臣としてはしないということでしょうか、どっちなんでしょうか。
  223. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 私は、一般論としてそういう制度があるということと、具体的な事件についてそれをどうするかこうするかという議論とですね、これはもう分けて考えておるわけでございます。とにかく私もまだ勉強中でございますけれども、具体的な事件についていわゆるあの法の発動というのは、過去一回ぐらいあったかどうかということでございまして、そういう意味であの条文の発動というものは、私はきわめて慎重でなければならぬということを申し上げておるんでございまして、それじゃ絶対にしないのかするのかというようなことにつきましては、それは今後どういう事件が起きてくるかわかりません。わかりませんけれども……
  224. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 田中裁判です。
  225. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 田中裁判ということについてはですね、これは具体的な問題でございますので、そして先ほど申し上げましたように、私はすでに二審にも行っておりますし、検察官はきちっとした公訴の維持をやってくれるものだと確信をいたしておるということを申し上げたわけでございまして、そういうようなことで御理解いただければありがたいと思っております。
  226. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 どうも歯切れの悪い感じでありますけれども、この点については引き続きこれから国会の中でも議論をされていく問題でありましょう。私はまだ十分な納得できません。  問題を変えますが、次に、大臣の資産公開の問題についてお尋ねをしたいと思います。  あなたは昨年の十二月十六日、高級マンション「パレロワイヤル六番町」の一室と土地の持ち分全部を御夫人に贈呈をされているわけでありますが、そしてこの一月の二十日、東京法務局に豊記をされています。これは近くの不動産業者によりますと、約七千七百万円ぐらいの資産になるんじゃないかという話でありますけれども、一月二十四日の全閣僚の資産公開を前にした資産隠しとして、政治倫理確立に模範を示すべき法務大臣としていかがなものかということで、国民の批判が集まっているんじゃないかと思いますが、こういうことをなさったのは何か理由があるんですか。
  227. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 御指摘の件につきましては事実そのとおりでございます。そういうことについていろいろ御意見、御批判をいただいておるということも十分承知をいたしております。私はあの資産公開という問題については、いわゆる政治倫理という観点からも適当な措置だと、こういうように考えておるわけでございまして、そういうことに私のことで影機を及ぼしたこともあるということについては大変遺憾に思っておるわけでございます。いまさら弁解するつもりは毛頭ございませんけれども、過去のいろんな私の考え方でやってきておったのが、ちょうど選挙中の十二月十六日でございますけれども、そういうような時期になったと、そして登記もしておかぬということもかえってまた問題じゃなかろうかなというようなことも考えまして、結果としてそういう時期になったと、それはまたいろんな批判を生むと、こういうことでございました。私は弁解するつもりは毛頭ないんでございまして、大変申しわけないと遺憾に思っておるわけでございます。
  228. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう一つですが、あなたは富山市清水栄町一の十一、ここに住居を構えておられまして、これは日本住宅地図の八二年版にも記載をされているわけでありますけれども、先ほどの資産公開に当たりましてこれが含まれてないのはなぜでしょうか。
  229. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) これは含むか含まないかというのは、私はその解釈はよくわかりません。わかりませんけれども、これは借家でございまして富山に行ったとき家がないものですから、人から私がこの世界に入って以来お借りしておる家でございますので、それは負債に計上するのかどうか、そこらあたりまで気が回らなかったのでございますけれども、そういうことでございます。
  230. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 一応御答弁は伺いました。  なお、いろいろお尋ねしたいこともありますけれども、時間の関係がありますので、今後おいおいお尋ねをいたしたいと思います。  ところで、選挙の問題でありますが、選挙の公正さが著しく侵されている問題が近年多々起こっています。こうした点で、まず福島県の平田村、ここにおける投票改ざん事件、この問題について質問をいたします。  この事件の内容については質問通告の際にその概略を当局にはもう説明をしているところでありますが、要するに昭和五十四年の四月の平田村村長選挙で不在者投票の改ざん、偽造が行われたということであります。そこで候補者二人の争い、その一方の高橋候補が敗北をしたので投票の改ざん、したがって選挙無効の申し立てをした。ところが六月、町の選挙管理委員会はこれを棄却をする、さらに福島県選挙管理委員会も棄却をする。そこで八月に公選法違反、公文書偽造等で警察に告発をしたわけでありますが、五十五年の十二月福島地検は不起訴にする、片一方裁判所にも持ち込みまして、仙台高裁、ここが五十六年の二月に高裁の検証、鑑定、これをやりまして不在者投票二百九十一票のうち実に二百四十六票、これが無効という判断を仙台高裁が下して、五十七年の十月二十九日選挙無効の判決が下ったのであります。そこで、これに驚いたのか県選管は最高裁に上告をしたのですけれども、最高裁も五十八年の四月一日この上告棄却。いわば仙台高裁判決が支持されるという最高裁の結論になったわけであります。  ところで高橋陣営の方は五十六年の九月二回目の告発をする。これも五十七年の十二月不起訴処分。さらに五十八年の二月三回目の告発をする。これも五十八年十二月不起訴処分。こういうふうに、いわば仙台高裁、最高裁、ここでもはっきり明白な判決が下っているのに、検察の方は不起訴決定を繰り返す、こういうことが続いてきた。そして四年がめぐりまして昨年の四月の村長選挙、ここでも依然この不在者投票をめぐっての、たとえば二十票ほど束になって出てくるとか、そういう不審な点が多いということで村民千数百名の署名を添えて本年の一月の二十日に最高裁の決着もついているわけでありますから、そのことに基づいて票の改ざんを行った者たちに対して刑事処分を求める四回目の告訴が行われ、いま結果が注目をされている、こういう段階であります。  そこで、まず検察庁にお尋ねをします。  この公文書偽造の疑いについて、仙台高裁、ここに——御存じと思いますけれども大臣なんかは聞き初めかと思いますので(資料を示す)ここにこんなふうに印鑑がダブって二重写しのように出ている。というのは、投票用紙を、不在者投票を入れる外封筒、あれを後からめくって改ざんをしているから、このようなことが出てくる。これは一つのわかりやすい一例でありますけれども、これについて仙台高裁では、専門家による筆跡鑑定をやるとか、消しゴムで消した跡、これは赤外線による調査をすればすぐわかるということで、そういう科学的な方法を使ってこの文書偽造等の確認をはっきり下したわけでありますけれども、しかし、さっき言いましたように、検察は証拠不十分ということで、仙台高裁、最高裁の決着がついてもなお不起訴処分を繰り返す。こういうことになっているのは一体どうしたことかということで、まことに何人も信じがたいそういう姿になっている、理解ができない姿。そこで、検察としては一体どういう捜査をやってきたのか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  231. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) 四次にわたります告発の経過については、いま先生おっしゃったとおりの経過をたどっております。  なお、若干つけ加えさせていただきますと、第一次の告発に対する不起訴処分につきましては、郡山検察審査会に申し立てがありまして、これは不起訴相当という処置がなされております。第二回の不起訴処分につきましても、同様、検察審査会に申し立てられまして、これにつきましては不起訴不相当という処分が最近なされております。第三次についてはまだそれはございません。そういう検審の関係もございます。  それで、四回にわたって告発がなされておりまして、その内容につきましては、いま先生御紹介のとおり、外封筒と申しますか、不在者投票用紙の外封筒についての公文書偽造あるいはその他の罪名で告発がなされております。三回にわたります不起訴処分、事実は大体重複しておる場面が多いわけでございますが、捜査はもちろん関係者等多数取り調べまして、その供述を見、あるいは、もちろんその間に仙台高裁等の行政事件の判決がございますので、それも参考にして捜査を遂げたわけでございますが、その結論といたしましては、被告発人らの弁解を覆すに足る資料が不十分であるというのが結論でございます。申し上げるまでもございませんが、仙台高裁の判決は行政判決でございまして、主たる点は立会人と代理記載人との差とか、あるいは選挙管理事務の補助者と立会人が同一であったというような点が無効の原因となった判決でございます。それに付随して偽造その他についても触れておるわけでございますが、御承知のように、刑事事件におきましては、それとは別に個々の事実を確定して責任を追及するということが原則でございます。その観点から申し上げますと、関係者一同と言いますか、多数を取り調べましても被疑者の弁解を覆すに足るだけの証拠がないというのが、最終の三次にわたります告発事件についての判断でございます。
  232. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いろいろと取り調べをやったけれども証拠不十分で不起訴にしたんだと、こういうことを言っておられるわけですけれども、もうよく御存じと思うけれども仙台高裁がさっき言いましたようなそういう結論を出すその経過には、やっぱり三十人ほどの証人を呼んでそうしてそこの証言もきちっと踏まえた上の結論になっておると。特にそういうふうに言われるならば私聞きたいのは、この仙台高裁で行われたような専門家による筆跡鑑定、さっき赤外線による消しゴムで消した跡の調査、確認、こういうようなこと、科学的な方法によって果たしてどうだったんだということを検察における調査、捜査、この段階でやったんですか。やっていないでしょう。どうですか、やったんですか。
  233. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) 検察庁において独自の鑑定をなしたかどうかまではいま承知しておりませんが、仙台高裁におきましていま御指摘のような鑑定が行われ、これはだれの筆跡であるということが確定されたわけでございます。もちろんそれを前提として事実の確定にといいますか捜査を行ったわけでございますから、そのことは前提として判断のもとになっておるわけでございます。
  234. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そのような現にどういう鑑定を行ったか、そのことについてはいまつまびらかではない。つまびらかでないというのはやったというふうには言えないわけでしょう。やってないんですよ。これ何だったら大臣席の方へ回してみてくださいよ。君もう紛れもない明らかなこういう偽造、なにを行った証拠がこういう形で歴然として出ているじやありませんか。  そこで、私は尋ねたいわけでありますけれども、この平田村では文盲の人や出稼ぎで村を出る人が多い、不在者投票をする人が相当あるわけですけれども、これはもう言うまでもなく不在者投票というのは民主主義的選挙制度の一つとして今日確立をされてきておる制度でありますけれども、これを、投票を偽造をするとか、そういうことに悪用をされるというのはもう全く言語道断の犯罪と言わなくちゃならぬ。そういう点で、とにかくいま四回目の告発が出たんでありますから、検察当局、ひとつ厳正かつ迅速な再捜査をやる、仙台高裁、最高裁としてももうここまでの決着がついているんですから、そういう過去に妙なメンツにこだわるんじゃなくて、本当にそういう民主主義的な権利、人権を守る、そういう立場から厳正なひとつ再捜査を速やかにやってもらいたい、そのことを求めますが、どうですか、まず検察当局。
  235. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) 最近第四次の告発を福島地検で受理、立件いたしております。したがいまして、お話の高裁の判決等も改めてしんしゃくいたしまして厳正な捜査が行われるものと確信いたしております。
  236. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、お聞きになっていた両大臣に所見をお尋ねをいたします。  法務大臣自治大臣、本当に起こってはならぬようなことが起こっているわけですね。裁判所としても決着がついておる、こういうことで選挙の公正を守るためにそれぞれの両大臣の所見を求めます。
  237. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 私も詳しい内容はいまお伺いしたところでございますけれども、お伺いした限りにおいては大変重大な問題だと考えております。刑事局長答弁申し上げたように、厳正公正に判断をしてもらえるんじゃないか、こういうように考えておるわけでございます。
  238. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 警察としては、証拠に基づきまして犯罪と認められるものについては今後も厳正に対処してまいることを申し上げておきます。
  239. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 問題の事例を変えます。  昨年の総選挙で鹿児島奄美群島選挙区、ここにおけるいわゆる賭博選挙などの問題の異常とも言うべき様相、違法行為はマスコミでも報道され、全国民の批判を集めたところであります。  そこで、まず警察庁お尋ねをしますが、警察として今日までの捜査の状況、逮捕者の人数と容疑の内容、罪名ですね、これを御説明を願いたいと思います。    〔委員長退席、理事目黒朝次郎君着席〕
  240. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 奄美群島区におきます選挙違反の取り締まり状況でありますが、公選法違反で検挙いたしましたのは二十五件、二十九名でございます。そのほかに公選法違反ではありませんけれども、選挙に絡みました賭博事件ということで二十一名を検挙して現在解明中でございます。
  241. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 買収容疑で逮捕している人数をお答え願います。
  242. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 買収で逮捕しましたのは二十四件、二十六名の検挙でございます。
  243. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 賭博の関係につきましても、いわゆる吉元グループの究明の問題とか、それから胴元十人集というようなことで云々されています徳之島、単に奄美だけじゃなく徳之島についても十分メスが入ってないんじゃないかと、こういう批判が現地ではあるわけでありますけれども、一層徹底した、賭博選挙自体についても捜査をもっともっと徹底してやっていく必要があるというふうに思いますが、警察の方針はどういうことですか。
  244. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 賭博につきましては、いまお答えいたしましたように二つのグループで合計二十一名、かけた金額が約七千万ということで現在検挙してやっておりますが、こういったことにつきましては、今後も厳しく取り締まっていきたいというふうに考えております。
  245. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 またその現地では、警察の対処が、賭博の問題はもう余りにも明々白々、そうしたことで一定の捜査が進んではおるけれども、賭博にだけ問題が矮小化されているんじゃないかと、こういう危惧も生まれています。さっき買収で二十六人すでに逮捕しておるという御報告でありましたけれども、買収行為はもちろんのこと、事前運動、地位利用あるいは利害誘導、こういった公選法違反行為すべてにわたって、そして選挙区の全域にわたって今後とも徹底した捜査が行われる必要があると思いますが、警察の方針をお尋ねしたいと思います。
  246. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 奄美群島区の選挙だけにかかわりませず、警察の選挙違反につきましての考え方といたしましては、警察の方で入手いたしました情報につきまして必要な捜査を行いまして、証拠上法律違反と公選法違反という事実がつかめました段階で厳しく対処していくと、こういう方針でこれからもやっていきたいと思います。
  247. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 警察の今日までの御説明では、賭博についてはすでに昭和五十五年、五十七年逮捕者を含む対処をやってきたということでありますが、しかし、それが十分実効を発揮してないというか、事態は正常化ところかますますエスカレートしているということがさきの、昨年の総選挙で露呈をしたということだと思います。しかも、この賭博選挙というのが、現に公共事業の登録をする業者が、その推す候補者が落選したら次の選挙までは一切指名がなくなる、こういうことで企業ぐるみでまさに死活をかけた買収へと突き進んでいるということやら、あるいは物陰に隠れて次にやってくる通行人が男か女かで金かけると、こういうことが子供の中で広がっている、まさに教育上もゆゆしい悪影響が広がっているということを聞きます。こうした点で、田川自治大臣国家公安委員長として、今度こそこうした異常な事態を根絶をするために、ひとつ新大臣として全力を尽くしていただきたいというふうに思いますが、その決意のほどどうでしょうか。
  248. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 警察は、選挙違反取り締まりを通じまして選挙の公正確保に寄与するという責務を持っております。そうした立場から、選挙においても不偏不党の立場を堅持して、厳しい取り締まりを今後もやっていくように努力をしてまいります。私も、国家公安委員長に就任をした際に、幹部の皆さんにそのようなことを強く申した次第でございます。
  249. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 しつこくお聞きするようですけれども、そういう不偏不党で違反行為は厳しくひとつ対処をしていくという一般論じゃなくて、賭博選挙、それが軸になって買収から子供の教育にまで悪影響が広がるというこういう事態で、今度こそ、全国にも例を見ないようなこの賭博選挙、これを根絶をするというこの決意のほどをお聞きをしておるんで、再度答弁を求めます。
  250. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 当然のことでございまして、青少年の非行化まで汚染をするようなそうした問題は断固として根絶をしていかなければならないと、このような決意を抱いております。
  251. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 自治省選挙部ですか、このただいまの大臣の決意表明に基づいてひとつ選挙部長、事態の全貌を徹底して調査集約をして、その内容を一遍この国会に報告をしていただきたいというふうに思いますが、やってもらえますか。
  252. 岩田脩

    説明員(岩田脩君) ただいま大臣から御答弁がありましたとおりでありまして、われわれもできるだけの努力をいたしたいと思います。もっとも、事態の究明とか取り調べとかいうのはわれわれの分担コースでございませんので、われわれはそんなことよりも、いままでの状況を踏まえまして、奄美大島地区における選挙がそれぞれの有権者の素直な気持ちで行われるよう、そういった違反が根絶されるよう、ひとつ県選挙管理委員会などと一緒になって努力をさしていただきたいと思っております。
  253. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それでは、第三の事例として実は質問を予定をしておったのは、昨年の総選挙で、新聞等にもほとんど共通して報道されました群馬三区におけるいわゆる中曽根レストラン、福田料亭というトップ争いを目指して供応合戦というこの問題で質問をしたいと思っておったんですけれども、ちょっともう時間がきわめて切迫をしてまいりました。とにかく、公選法が厳しく禁じておる飲食物提供、これが大々的にやられておるという、警察が現総理あるいは元総理の選挙事務所に警告をするというのは異例のことじゃないかと、こうした点で質問をしたかったんですけれども、ちょっとこのことは、まことにけしからぬことが起こっているということを強調をしておきまして、また次の機会に質問をいたします。  そこで、残っております時間、最後、法務大臣です。  法務局の職員定数の是正の問題でお尋ねをいたしますが、現在法務局では、職員一人当たりの扱っておる登記案件の件数です。全法務労働組合のお話を聞きましたが、昭和四十六年で二万七百件、一人当たり一年に。それが年々増加をして、昭和五十七年度は一五〇%にそれがふえて三万五千五百件ぐらいになっている、こういう状況で、私も先日京都の法務局を訪問をしましたけれども、この問題が一番切実な問題として労働組合も当局も訴えておられると、こういう状況でありました。こういう労働強化のために、たとえば東大阪支局、ここでは十八人中十二人が病気持ちということで事態の改善がもう本当に迫られているわけでありますけれども、こうした点で、新大臣として登記所の実由を視察をするなど、増員のためにひとつ先頭に立って努力をしていただきたいと思いますがどうですか。
  254. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 私もことしになりまして都内の登記所を見てまいりました。    〔理事目黒朝次郎君退席、委員長着席〕かねてから、国の事務の中で登記所の繁忙というものは私も承知しておったわけでございますが、とにかく厳しい行政改革の中でどうして要員を確保するか、これは実は私にとっても、今度の予算編成に当たりまして一番重点を置いたところでございます。結果、必ずしもそれは十分でない点があったと思うのでございますが、厳しい中でも最善を尽くしてそれなりの要員を確保したつもりでございますが、今後ともこの点につきましては要員の確保の問題あるいは能率の向上の問題その他、本当にこれは努力をしていかなければならないと考えておるわけでございます。
  255. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 定員増に努力をしているということでありますが、五十八年度十二人でしょう。五十九年度予算案では増員十一人、こういう姿でありますから、二年連続をしてふえないというところがずいぶんあるわけです。京都なんかもそうらしいですけれどもね。ですから、抜本的な増員を図る必要がある。一例で対比すれば、自衛官の数は五十八年度千九百七十八人ふえているんですから、大いにひとつ大臣としてがんばってもらわなくちゃならぬと思います。  あと一つだけ、もう一つお尋ねをしておきますが、いま全国各地の登記所の閲覧所、ここにはぐるっと回転をする鏡がついている。これは登記簿の盗難防止ということでありますけれども、現場の人の話ではこれは役に立たぬ、無用の長物だ。一台六万五千円、全国三百五十三カ所、合計二千三百万円ということだけれども、これはむだ金だという意見が強いのです。そこで、こういうむだ金はやめなくちゃならぬ。今後の問題についても、一体何が最も効果的な盗難防止策がということについて、現場の職員の衆知を集めて、効果的な対策をやっていくというふうによく検討してもらいたいと思いますがどうですか。  これで終わります。
  256. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) ただいま御指摘の監視用のミラーがどの程度効果があるかということにつきましては、必ずしもはっきりした数字的な説明はできないわけでございますけれども、心理的な効果としては何がしかの効果は上がっていようかと思います。ただ、もちろんそれだけで十分というわけではございませんので、ただいま御指摘のように、職場職場で状況に合わせたいい体制をつくるように皆と協議して具体的に多とする方策を見つけ出していきたいと考えております。
  257. 柄谷道一

    柄谷道一君 当初質問の予定はいたしておりませんでしたが、他の委員が三池有明鉱災害問題に触れられておりますので、私も冒頭若干の質問をいたしたいと思います。  私は、災害発生後の一月二十日、党の調査団、そして二月一日には参議院の商工、エネルギー対策特別委員会の調査団の一員といたしまして二回にわたり現地を訪れ、通産、労働の当局、会社、組合及び地方自治体から多くの事情聴取をいたしました。  その結果、私のいま得ております感触としては、通常炭鉱災害の発生原因というものはガス突出、炭じん爆発、炭層の自然発火、落盤、湧水等が戦後の主たる炭鉱災害でございますが、今回の場合はベルトコンベヤーの摩擦による発火火災という点であったこと。また、犠牲者を多く出しました現場が稼働中の地下二百二十メートル第二上層西十五卸、または本属東十卸という三つの採炭現場ではなくて、三百二十メートルの開発準備中の採掘準備坑道との間に多くの犠牲者が出ておるということ。これらからいたしまして、たとえばこうした災害原因やまた開発準備中の個所における保安体制が、これは一例でございますが、発火地点より風下に煙感知器がなく、かつ今後三月を予定にその設置が準備されていたことなど、発生原因及び開発準備坑道における保安体制が万全でなかった。  第二には、十三時五十分に指令センターに誘導無線で連絡を受けた後、センターと坑内との情報連絡が混乱をいたしまして、十四時五分に退避命令、二十五分後の十四時二十七分にこれを籠居命令に変更するなど、災害の発生現場の現状に適した的確な避難誘導という点で問題があったこと。これらが現段階で被害を大きくした要因ではないかと推論するわけでございます。  しかし、現在は推論によって論議すべき段階ではなくて、通産省の事故調査委員会や鉱山保安監督局、警察等の公式調査の結果を待って、厳正な災害原因を突きとめ、かつこれに基づく再発防止対策に万全を期すべきではないかとこう思いますので、きょうはこれらの問題につきましてはあえて質問をすることを避けたいと思います。  ただ、この対応に長期間を要しますと、たとえば炭層の風化による新しい火災発生等の災害発生を招くおそれがあること、ないしは雇用不安を招くこと、さらには地域経済に深刻な影響を与えること、さらに地方財政にも大きな影響を与えること、また筑豊地域を中心といたしております公害補償の支払いにも問題が生ずるなど、多くの問題に波及することが予測されるわけでございます。  そこで、まず通産省にお伺いいたしますが、労働組合の申し入れにより自主的に操業を停止いたしております今回の災害とはかかわりのなかった四山、三川両鉱の対応についてどう考えておられるのか、有明鉱への調査の対応について、期間的にどのようなめどを持って対応しておられるのか、この二点をお伺いいたします。
  258. 宮副信隆

    説明員(宮副信隆君) 二点の御質問でございますが、まず二番目の事故調査の件でございます。  先生御指摘のとおり、現段階で最も重要なことの一つは、災害原因をはっきり早期に究明することであると考えておりまして、御承知のように三池炭鉱坑内火災事故調査委員会を通産大臣の私的諮問機関として設置し、すでに発足させていただいているわけでございます。  この調査委員会には伊木東京大学名誉教授を初め、坑内通気それから坑内運搬それから安全工学等非常に広範囲の専門家、学識経験者の方にお入りいただきまして、もうこの委員会はすでに一月の三十日、三十一日、現地に行っていただきまして、ただ火災の現場は三百メートルほど密閉、一部分水没しておりましてその中には入れませんでしたが、周辺を調査していただきました。まさしく一刻も早くこの原因を究明することが現段階で必要だと私ども考えておりまして、その火災現場の取り明けが済み次第直ちに、再び委員会の先生方には行っていただくように、すでにあらかじめお願いをしております。  いずれにいたしましても、通産省といたしまして原因の一刻も早い徹底的な究明をお願いすると同時に、通産省としても司法捜査等の中で実施していきたいと思っております。  それから、三川、四山の再開問題についてでございますが、基本的には区域が、災害が起こりました有明区域と離れておりますので、この点につきまして聞きますところ、労使一体となって坑内の保安状況について再点検され、何度かのディスカッションの後、労使間でこれでは安全であるという申し出が監督局の方に昨日来たということに聞いておりまして、監督局としては、その坑内点検を鉱務監督官として行いまして安全が確認されれば再開という形になるのではないかと考えておりますが、その時期については鉱務監督官の検査によろうかと思っております。
  259. 柄谷道一

    柄谷道一君 自治省にお伺いいたしますが、今回の影響は福岡、熊本の二県、及び大牟田、荒尾二市、及び数町にまたがっているわけでございます。現地の自治体では、保安体制の総点検と確立ということを前提といたしまして、速やかな生産再開を求めますと同時に、鉱産税の減収、被災者等に対する市民税や教育諸費その他の減免、生活救済などによって相当の財政負担を生じておるが、国としての特段の配慮を求めたいということを強く求めております。これらに対しまして、まだ具体的には決定されていないと思うんですが、どういう基本姿勢でこれらの地方自治体に対応するお考えか、お伺いします。
  260. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 今回の炭鉱災害に関連いたしまして関係地方公共団体にどのような影響が出るか、考えられますことは、ただいま御指摘のとおり、一番大きなものは鉱産税の減収であろうと思います。そのほか住民税などの税について減収が出てまいります。  鉱産税の減収につきましては、現在の交付税の算定の仕組みの中で減収縮が補てんされ得るようになっておりますのでその方法をとりたいと思いますが、それ以外の税の減収、あるいは災害に関連して今後出てまいります財政支出、これらにつきましては、私どもも早急に実態把握したい。現在、五十八年度分の特別交付税の配分の算定作業を行っておりますから、もしこれに間に合えば三月分の決定に反映させたい、このように考えております。
  261. 柄谷道一

    柄谷道一君 死亡者及び入院患者等に対する補償問題につきましては、きょうの直接の問題ではございませんので改めての別の委員会で発言いたしたいと思いますが、たださきに目黒委員の御発言の中に、社員については付加給付等で相当のものが見られておるが、組員、臨時工に対しては手薄いというような御指摘がございましたが、私の承知する限り、また現地で調査団として確認しました範囲内におきましては、世帯者千九百万円、単身者千四百二十五万円という付加給付は組員及び臨時工に対しても平等に同じように取り扱われた、今後労働組合はさらに上積み交渉を行う予定と承知しておりますが、その要求内容についても組員、臨時工に同様の態勢をとるべきであるということを要求中であるというふうに承知いたしておりますので、この点は申すだけにいたしておきます。  次に、長野県箕輪町の補助金等の不正事件について御質問をいたします。さきに太田委員も触れられたわけでございますが、長野県箕輪町における不当補助金、不当貸付金問題は五十八年六月十五日及び十八日にマスコミによって「町ぐるみ補助金不正」、「まるで“補助金泥棒”」の印とこう報道されまして以来、ずさんな補助金行政というものが全国民の怒りを招いていることは避けられないと思います。また十二月二十一日に公表されました会計検査院の五十七年度決算報告書で改めて国民は、相も変わらぬ官庁のずさんさについてあいた口がふさがらないというのが率直な実感であろうとこう思うのでございます。  そこで、まず検査院にお伺いいたしますが、この町、農協、その他八事業主体が国庫補助金千二百七十万円、不当貸付金一億七千六百二十一万円、合わして二億円近い金が十年間にわたって会計検査院で発見することができなかったということについて、検査院の機能及び配置されている人員等から見て、今回の問題は検査院としても教えられるところが多かったのではなかろうかとこう思うわけでございますが、検査院としての率直な所感をまずお伺いいたします。
  262. 西川和行

    説明員(西川和行君) お答えいたします。  箕輪町につきましては、過去に五十四年度の決算検査報告で二件、文部省関係と建設省関係で補助金の不当事項について指摘いたしておりますが、それ以外の事態について今回指摘するまでに時間がかかりましたのは、これは何分にも町当局におきまして関係帳簿、書類のすべてにわたって巧妙なつじつま合わせが行われておりまして、このような場合通常の会計検査ではなかなか発見しにくいということも御理解いただきたいと思うわけでございます。会計検査院といたしましては、この箕輪町の事件は長年にわたり、かつ広範囲に町長以下共謀して不当に補助金等の交付を受けていたということで著しく不当な事態であると考えておりまして、特に箕輪町に関して一項目を設けて検査報告に一括掲記したところでございます。
  263. 柄谷道一

    柄谷道一君 これは国民の貴重な金でございますから、行政改革のさなかではございますけれどもこうした事件の発生、しかも十年にわたって発見できなかったということが行政不信というものを招くとするならば、検査院としても、現在の検査体制、人員等についてやはり万全を期す要求というものを内閣に行ってこの裏づけをとるべきではないか、勇気ある今後の行動を期待いたしておきたいと思います。  そこで自治大臣にお伺いいたしますが、不正補助金千二百七十万円、不当貸付金一億七千六百二十一万円、これ二億円というのは一つの町としては驚くべき金額でございます。全国で二百十三件の不正事件が今回検査院によって摘発されているわけでございますが、国民の立場からすればこれは補助金行政のずさんさを示す一露頭ではないか、このような印象を持っていることは否めないと思うのでございます。地方自治体の高給与問題、高い退職金問題というもので自治体のあり方に対する批判というものが国民の中で高まっている中で、今回のこの事件というものはそれに拍車をかける、そして地方分権推進という問題についても大きな障害をもたらすという結果になったきわめて遺憾な事件であると私は認識するのでございます。大臣のまず御認識を率直にお伺いいたしたい。
  264. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 今回のこの事件はもう柄谷委員おっしゃったとおりで、私もおっしゃったとおりに認識しておりまして、地方自治体に対する信用をこれほど失墜した問題はないというふうに認識をしております。私これを聞いた後事務当局に聞きましたが、それ相当の地方起債の取り消しとか財政処置をきっぱりととったようでございますけれども、こうした問題を今後どうして防いでいくか。中にはもうまじめにやっている自治体もずいぶんたくさんあるわけでございますから、そういう自治体に対してまでも、いま柄谷委員がおっしゃったように、地方財政と言えばゆとりがあるんだとか適当なことをやってるんだというイメージを与えてしまった事件でございます。これを再びこういうふうに起こさないようにするにはどうしたらいいか、まあ監査を強化するとかいろいろ問題はありましょうけれども、やはり自治体の中で議会や監査制度というものをもっと自律能力を発揮できるように自治体の中にこれを植えつけていく、そういう指導自治省としてもっと強力にやっていかなければならない、こういう感じを私は受けております。
  265. 柄谷道一

    柄谷道一君 今回の不正事件は、文部、農水、建設、自治、大蔵、郵政という六省、農林漁業金融公庫、公営企業金融公庫の二公庫、いわゆる八つの事業主体に影響しておるわけでございますね。  そこで、今回のこうした問題を見るにつけ、各自治体への補助金配分、貸付金等をするに当たって、各省庁や公庫というものがどういう査定をしておるのか、また今回の事件のようなことが可能になる体制上の欠陥があるのではないか、こういう疑問が生まれることは当然であろうと思います。関係する八つの事業主体全部から意見を求めるべきではございますけれども、与えられました質問時間が短いものですから、文部、農水、建設、大蔵、この四省より簡潔に今回の問題に対する私のただいまの問題提起に対する御所見をお伺いいたしたい。
  266. 國分正明

    説明員(國分正明君) お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘ございましたように、文部省関係で五十七年度の会計検査院の検査報告におきまして四件、金額にいたしまして二百二十二万一千円の不当金額という指摘を受けたわけでございます。大変遺憾に存じておるわけでございます。  文部省の審査体制でございますが、私ども補助金の交付に当たりましては、申請者から適化法の規定に基づきます諸般の書類を求めるわけでございますが、その書類に基づきまして補助事業の目的、内容等が適正であるかどうか、法令に抵触はないかどうかという事前の厳正な審査をして交付決定をするという手続をとっております。  もう一つ、金額の確定の段階におきまして実績報告書をとりまして、それには契約苦の写してございますとか図面でございますとかあるいはまた現場の写真等によって事業遂行の確認等をいたしているわけでございますが、本件につきましては最終的な額の確定に至りましても工事請負契約書、工事内訳明細書、写真あるいは領収書等につきまして一応形式的な書類を整えて出してきたということで、大変遺憾なことではございますが、最終的な額の確定の段階におきましても発見できなかったという経過でございます。
  267. 岩崎充利

    説明員(岩崎充利君) 当省におきましてもかねてから補助金の適正執行につきましてはかねがね努力してきたところでありますが、補助金の交付に当たりましては、ただいま文部省の方からもお話がありましたように、都道府県の担当者から事前に事業実施計画のヒヤリング等々も行い、また提出された申請書の内容等につきましても厳正な審査を行いまして交付決定を行っているということでありますが、このような御指摘にありましたような事態が生じたことにつきましては、まことに遺憾に存じております。これにつきましては補助金の返還等厳正な措置を講じますとともに、これからもこういうことが起こらないような形で都道府県に対し指導の徹底、その他のことを行ってまいりたい、このように存じております。
  268. 牧野徹

    説明員(牧野徹君) 建設省におきましてもかねてから所管事業の執行に当たりまして遺憾なきを期しておるところでございますが、今回会計検査院から指摘を受けてまことに残念に思っております。  補助金の審査のやり方につきましては、いま文部、農水両省からお答えございましたのと同じでございまして、交付決定段階ないしは物ができた成果の報告を受けた段階、それぞれ同じようにやっております。ただ、私どもの場合には市町村に対する補助金の場合には非常に件数も多うございますし、それからより現地に密着しておわかりになる利点もございますので、市町村工事につきましては審査事務は都道府県知事に御委任申し上げている次第でございます。  それで、御指摘のあったこの箕輪町の事件でございますが、もちろん報告が県に上がりました際に書類審査、現地等も調べたわけでございますが、この今回の事件の内容は公営住宅をつくる際にその現場監督の業務をコンサルタントに依頼するというところを、実際は町の職員の方がみずから行った、こういう過程のものでございまして、残念ながらコンサルタントとの契約書等もすべて整っておりまして、書類審査等によっては残念ながら発見できなかった、そういう経緯でございます。  ただ、何といたしましてもこういう問題が発生したことはまことに申しわけなく思っておりますので、今後とも十分指導をしてまいりたいと考えております。
  269. 竹内透

    説明員(竹内透君) お答えいたします。  私どもが所管しております資金運用部資金の自治体への貸し付けに当たりましては、自治省より協議がございましたものにつきまして、許可したものについて、その事業の完成を待って実際に貸し付けを行っているわけでございますが、この融資の審査に当たりましては事業の支出の状況とか、それから事業の実施の状況を調べる書類等を徴しておるわけでございますが、融資であるという性格もございまして、従来から極力この借り入れ団体の事務負担の軽減といった観点から、こういった書類の簡素化等も行ってまいりまして、そういった努力をしてまいったわけでございますが、本件のような事態の発生いたしましたことはまことに、遺憾に存じております。  ただ、今回の箕輪町の事例は入札書だとか契約書等の関係書類を作為いたしまして、架空事業費を計上したりするといったきわめて著しく不当な、きわめて異例なものでございまして、私どもも運用上の特異なケースであろうと考えておりますが、むろんこの運用部にかかわる不当な借り入れ一億一千万円余につきましては、今月の二月二十日に繰り上げ償還をしてもらうことといたしております。  今後の問題でございますが、町自身においても再発防止に努めるとしておられますが、資金運用部におきましても、地方公共団体の借り入れ事務の負担が過重になるというようなことは配慮しなければいけませんが、本件のような不当な事態が起こるということがないように、必要に応じまして事業の実態をより的確に把握できるような、運用面における所要の措置を講ずることといたしておる次第でございます。
  270. 柄谷道一

    柄谷道一君 書類審査上は不正が発見できなかったという一語に尽きるようでございますが、警察にお伺いいたします。  今回の事件は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に抵触するということは疑問の余地がないと思うわけでございます。しかも、この法律は、第六章第二十九条、三十条、三十一条と、それぞれ刑事罰を科す罰則規定をあわせ持っております。そして、その三十三条には、「国又は地方公共団体において第二十九条から第三十一条までの違反行為があったときは、その行為をした各省各庁の長その他の職員又は地方公共団体の長その他の職員に対し、各本条の刑を科する。」と、こう明記されているわけでございますから、その実態調査に基づき、当然この罰則規定が適用されるんではないかと、こう思います。  警察当局として、これらの刑事責任についてどのような捜査が今日まで行われているのか。また、その捜査の結果、どのような措置をとろうとしておるのか、明らかにしていただきたい。
  271. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) ただいまお尋ねの件でございますが、補助金適正化法に違反するという点につきましては、お話のとおりでございます。  長野県警察といたしまして、この事件を認知いたしましたのは去年の六月の時点でございますが、その時点におきましては、補助金の関係につきましてはほとんどが時効成立という段階でございました。したがいまして、その関係での箕輪町の責任者の刑事責任の追及ということにつきましては非常に困難だという点がございまして、捜査の過程で出てまいりました箕輪町の助役によります公金の詐欺事件、この事件を検挙いたしまして、検察庁の方に立件送致をした、こういうことでございます。
  272. 柄谷道一

    柄谷道一君 検査院の機能が十分機能していなかったために、明らかに法律に違反し、その罰則が適用されるべきものが時効によって何ら罰せられることはない。果たして国の監査制度がそれでいいのかどうか、ここにもまた一つの大きな疑問を生ずるわけでございます。  こういう意味から私は、検査院の機能強化とあわせて、各省庁がただ書類による審査をうのみにするのではなくて、住民の監査請求がなければわからないという問題ではなくて、さらに行政各省庁の厳正な指導というものが求められるんではないかと、こういう点だけをこの際指摘をいたしておきます。  そこで自治大臣、お伺いいたしますが、大臣の御答弁の中で監査機構の問題に触れられました。私は、今回のような事件が起きたということは、監査委員地方自治法に定める的確な監査をされていなかったということに尽きるわけですね。または監査委員の職務がそのために機能していなかったということになると思うわけでございます。  そこで、この問題につきましては、第十八次地方制度調査会が具体的に第三者機関の創設と外部監査制度についてこれを実施するという方向で検討すべきではないか。また、監査委員の監査対象、職務権限の拡大、監査委員の専門性と独立性の確保、監査委員事務局の整備等実施体制の充実。現在、市は任意であり、町村は設置しなくてもいいことになっているんですね。こういう現在の監査制度全般につきまして、積極的な献策を地方制度調査会が十八次答申で行っているわけです。これは今回の問題を契機として、やはり答申というものを早期に完全実施するということが、この種問題の再発を防ぐためにきわめて重大な要件になってきたということではないかと、こう思うんですが、大臣いかがでしょう。
  273. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 監査制度は自治体によって大変うまくこれを運営しているところもずいぶんあるわけで、必ずしも自律作用が全部行われてないということは言えないと思うんです。非常にうまくこれを生かしてやっているところもあるように私、聞いております。  しかし、いま御指摘のように、地方制度調査会でいろいろな答申もされておりますことでございますし、もう少し幅広くこういう問題を契機に検討していく必要があるんではないか、こういうふうに思っておりますが、なお関係局長から補足して答申をさせます。
  274. 大林勝臣

    説明員(大林勝臣君) 監査の強化につきましては、御指摘のように地方制度調査会からもいろいろな提言をいただいております。  外部監査につきましても、今後の問題として一つの検討課題として挙げられておりますが、当面の問題として、まず監査委員の資格の問題つまり人選に関連するわけでありますが、資格を具体的に明記するように検討すべきではないかとか、あるいはその職務の独立性を確保するためには、往往にしてやはり最近地方団体の事務につきましてもきわめて複雑化、専門化しておりますので、ややもすれば学識経験者の中から選ばれる監査委員がOBに集中しがちであるというところから、なかなかおざなりな監査が行われる可能性も出てくるということで、地方団体を退職しまして一定期間たたなければ学識経験者の監査委員としては選ばれないというような要件をつくるべきであるとか、あるいは先ほどおっしゃいました事務処理体制の整備についても提言をいただいておるわけでありまして、現在、私どもにおきましても、これを具体的に検討しておるところでございます。
  275. 柄谷道一

    柄谷道一君 問題が出てから、後で縄をなうというのは賛同な策ではないわけですが、大臣、せっかく調査会が国民の地方自治というものに対する信頼を高めるためにこれは真剣に検討しなさいよと、当面これだけはやりなさいよという項目を出しているわけですから、ひとつ大臣の強力な指揮でこの調査会答申というものがやはり早急に実現できる、そのことによって失われた地方自治への信頼を回復する、このために大臣ひとつ立ち上がっていただきたい、こう思いますが、よろしゅうございますか。
  276. 田川誠一

    国務大臣田川誠一君) 御指摘の点につきましては、ひとつ積極的にこういう問題に取り組んでまいりたい、このように思っております。
  277. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、外国人登録法、指紋押捺制度について質問をいたします。  外国人登録法第十四条の制度としての指紋押捺の義務づけと、第十三条の登録証明書の常時携行と提示義務及び第十八条の罰則につきましては、在日韓国居留民団を中心に廃止の声が高まっておることは法務大臣も御承知のところであろうと思います。しかもこれは多くの学者、知識人によって支持されました。議員が自主的につくっております日韓議連におきましても廃止を求める意思を確認いたしております。私は、法務省の今日までのこの問題に対する見解を調べてみますと、指紋押捺制度というのは不正を防ぎ、登録の信頼性を維持するために必要である、そして内外人平等に反するものではなく、人権侵害に結びつくものではない、これが一貫した法務省の姿勢であると、こう受けとめているわけです。しかし、この問題については、昨年八月末ジュネーブで開かれました国連人権小委員会で国際人権法グループのヤング代表から、指紋強制は在日韓旧人への差別である、こういう指摘が行われ、同月末に外務省で開かれました第十二回日韓定期閣僚会議で韓国の李範錫外務大臣——これはビルマで爆死された外務大臣でございますが、その方からの要請に対して、安倍外務大臣も建設的な話し合いを続けたい、こういう答弁をされ、懸案事項になっておる。また、本年二月開催が予定されております国連人権委員会でもこれが取り上げられることは必至ではないか、こう言われております。  そこで、従来の法務省の主張は主張として、大臣、これ政治家として人権擁護の立場からこれを廃止、縮減または代替するという方向で再考するお考えはお持ちでないのかどうか、ひとつ政治家としての答弁をお願いいたします。
  278. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 指紋押捺制度につきましては同一性の認識、このためには非常に貴重な証拠と申しますか、資料であると、こういうように私は承知いたしておるわけでございます。そういうようなところから、一年ちょっと前でございましたでしょうか、外国人登録法の改正の際の御審議においても、この指紋制度を含めましていろいろ慎重な議論がされて指紋制度というのは残っておると。それから、いま御指摘のような国内外の事情のお話ございましたが、私はその当時と比べまして特にこの際変更する必要も必ずしもないんじゃないか、こう思っておるわけでございます。いろいろしかし議論されておることは事実でございますから、私はそれにかたくなに耳をふさぐつもりはございませんけれども、そういうこと等も考えながら対処していかぬといかぬと思うんでございますが、いま直ちに廃止しろと、こういうことには必ずしもならないと考えておるわけでございます。
  279. 柄谷道一

    柄谷道一君 法務省が五十七年九月現在で調べた資料でございますが、指紋押捺制度を採用している国は二十一カ国、部分的に採用している国は五カ国、合わせて二十六カ国。最近の調査ではちょっとふえておるようでございますが、それにしても三十前後ですね。これは逆に読めば、世界の百六十数カ国の中で採用している国は三十カ国程度にしかすぎないということに逆に言えばなるわけですね。しかも、その大半は東南アジア、中南米諸国などの開発途上国でございます。先進国でこの制度を採用いたしております国はアメリカでございますが、これも相互主義をとっておって、実際には機能していないと私は承知いたしております。また先進国のヨーロッパの制度の例を見ますと、一般外風人に対しては押捺義務はない。外国人法違反の罪を犯した者、有効なパスポートを持たない者、密入国者、政治亡命や難民を主張する者などの特殊な外国人に限定されているというのが例であると、私はそう理解をいたしておるわけです。しかも、これ大臣ちょっと私わからないんですがね、同一人であることを確認するために指紋が必要だと、これは確かにそうでしょう。しかし、そうであるとすれば運転免許証は写真で済ましております。そうですね。実印というものはこれは社会生活できわめて重要なものでございますけれども、印鑑登録制度には指紋はおろか写真すら要求されません。私は、この行政的信頼性というものが追求すべきただ一つの価値であるとするならば、運転免許証や実印登録の制度についても同一人であることを立証するための指紋制度がなければならぬということに結びつくわけですね。なぜそれではこうした問題に指紋制度が採用されていないのかというと、これは行政的信頼性が多少低下しても他にも守るべき大切な価値がある。すなわち自己の意思に反して指紋をとられないという人格権、個人の尊厳があるということとのこのバランスにおいて、運転免許や実印登録制度にはこれが採用されていない。政治とはそういうバランス感覚というものがきわめて重要だと思うんですね。私は、この指紋の問題というのは行政的信頼性の問題であると同時に、社会の一員として国民と同じように税金を納め社会的負担を負っている。しかも日韓基本条約の締結に基づいて法的地位が確認され、そのもとに平和な社会生活を送っているというこの実態を考えるならば、日本の貿易摩擦同様、閉鎖性というものが問われる一つの問題であるとすら思えるわけでございます。同氏に対しては人格権、行政の信頼性の追求、これをバランスさせて指紋制度を採用していないのに、どうして外国人だけは信頼性の追求だけをただ一つの価値とされているんですか。これは差別じゃないですか。
  280. 田中常雄

    説明員田中常雄君) お答えいたします。  委員が御指摘のまず外国の事例でございますけれども法務省といたしましては約五十カ国について調査をいたしまして、現在のところ二十四カ国において指紋を全面的に実施している、それから九カ国において部分的に実施しているということでございます。また自国民に対しての旅券を発給するとき指紋を押しているものが十カ国、それから自国民がみずからの国において登録するときに指紋を押すケースがやはり十カ国ほどございますが、これらの国においてこれが人権違反だという声は今日まで起こっておるとは聞いておらないのでございます。  また委員の御指摘のアメリカにおいてはリシプロシティーの原則が働いているではないかということでございますけれども、実はアメリカにおいてはこの指紋制度を採用するに当たって確かにいわゆる指紋押捺制度を行っていない国に対してはリシプロシティーをもって米国において指紋押捺する必要はないとなっておりますが、その対象者は非永住者でございまして、永住者については全員指紋押捺制度を確実に行っている次第でございます。各国ともいろいろその国の政治的、経済的、歴史的な経緯がございまして、それぞれいろいろ独自の制度を用いておるわけでございますが、わが国においては登録人が要するに確実に登録させると。それから、すでに登録された人とそれから現在窓口に来ている人の間に同一人性を確認するという意味において指紋制度を採用しているわけでございます。  委員の御指摘のとおり、やはり行政を行うに当たっては、バランス感覚というものは僕は非常に必要なことだと思います。人によっては、指紋制度によって人権が侵されていると受けとめる方がいることも私聞いておりますけれど、この人権が侵されているが侵されていないかというのは、いろいろ人によってパーセプションが違うと考えております。そうすると、それを判断するための何らかのメルクマールがあるかということになりますと、やはりわれわれ一つの判断のメルクマールとしたいのは、市民的権利、政治的権利に関する条約でございます、通称、いわゆる人権規約と称されているあれでございますが、人権規約の第七条を見ますと、そこにはいわゆる非人道的かつ人の品位を傷つけるような行為は行ってはいかぬというようなことが一言で申しますと書いてございますけれど、この規定は、第二次大戦中におけるナチのコンセントレーションキャンプにおける生体実験を前提とした条項でございまして、やはりこの条項があるからということで直ちにいわゆる指紋押捺制度というものがいわゆる人権違反ということにはこれは結びつかないと考えております。  それで、われわれといたしましては……
  281. 柄谷道一

    柄谷道一君 簡潔に言ってください。
  282. 田中常雄

    説明員田中常雄君) 指紋というものをとり、そして外国人のいわゆる登録の確実性を増すということは、やはりこの外国人の登録制度というのは非常に、広範な面にこれは使用されておりまして、年金、生活保護、それから児童手当、その他各種の社会保障の基礎資料として使われておりますもので、いわゆる多面的に行政面でこれが使われる以上、その正確性は一層高めることが必要であると考えておる次第でございます。
  283. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、政治として信頼性の追求というものの価値がないということは一言も言ってないわけですよ、それは重要だと。しかし、国民に対してはだれでも指紋を押せっていうことは愉快なことじゃないですよ。だから、そういったバランス感覚に立って実印の手続すら、運転免許すら指紋制度は採用してないわけです。それはまさに政治のバランス感覚だと、大臣、私は思うんですよ。しかも、この制度が採用されましたのは一九五五年ですね。戦後十年、政府の機構は未整備、写真技術も劣っておったわけですね。ところが、その後住民登録、外国人登録制度は整備されました。写真技術も飛躍的な進歩を遂げております。  そこで、元法務省入国管理局参事官竹内昭太郎さんは、こうしたバランス感覚というものを考えるならば、たとえば当面新規登録者の原簿に自動車運転免許証のように、張りかえのきかない刷り込み印刷が利用できれば指紋は不要ではないか、このために全国三千余の市町村に写真刷り込みの装置を予算化するには、一台四百万円として百三十億円必要だということになるが、その金がもしないとすれば、次に下がって指紋を登録原簿に一回押すだけでも十分な効果がある、また替え玉の疑いが出た人物には指紋を任意で提出させるということもできるのではないか、このように代替という方法によって、正確度も維持しながらかつ人権問題にも十分に配慮を与えるという道が不可能ではないと、こういう具体的意見を、朝日新聞の十月二十一日の論壇でございますが、これ発表しているんですね。  私は、お役人に聞いたらいまの答え以外に一歩も出ないと思うんですよ。ここは、法務大臣、われわれお互い政治家ですから、この問題についてかたくなにただ一つの価値だけを守り通して外国からの批判を受ける、しかも、在日外国人の八三%は基本条約に基づく地位協定によって在住している人々でしょう。こういう特例を考えれば、安倍外務大臣のように建設的に検討する。それもできないというのなら、安倍外務大臣は韓国に対してうそを言ったんですか。法務大臣、いかがでしょう。大臣に聞いている。
  284. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 先ほども申したとおりでございますが、まあ指紋が唯一絶対のものであるかどうかということについては、いろいろ御議論があるかと思います。まあこういう制度をできるだけ改善していくと、そういうようなことからも、たとえは年齢についてもあるいはまた書きかえ期間についても、年齢を引き上げたりあるいは期間を長くしたり、まあそれなりの改善もやってきておるわけでございます。私は、まあ今後どうなっていくかということは別問題として、さしあたってそれをほかの方法で変えると、こういう御指摘でございますが、それはまあ方法論としては十分理解できるわけでございますが、それじゃあ早急にそういう改革ができるかどうかという現実論になりますと、これもなかなかいろんな面で検討しなければならないのでございまして、いま直ちにこの指紋制度をどうするこうするということについては、自信を持って前向きに検討するとかしないとか、こういうことは申し上げられないということでございます。
  285. 柄谷道一

    柄谷道一君 どうも大臣になられますと、ふだん歯切れのいい住さんがきわめて口が重くなる。大臣とはそんなものかなとつくづく御同情申し上げますが、外務省に最後に一点お伺いしたいと思うんですが、何しろ大臣は建設的に話し合いを今後定例閣僚会議で続けたいと、こう言われたわけですね。そこで、たとえばですよ、六五年の日韓基本条約及び在日韓国人の法的地位協定をつくったときに、出入国管理特別法をつくられましたね。と同じように、外国人登録特別法を制定するということもまた一つの方法ではないかと私は思うんですよ。外務大臣、建設的に話し合いを進めるというのは、どんなお考えでこれは答弁されたんですか。
  286. 高島有終

    説明員(高島有終君) 昨年の八月の日韓閣僚会議の際に、両国の外務大臣の間で在日韓国人の待遇問題も取り上げられまして、韓国側からこの問題について真剣に検討してほしいという要望が出されました。これに対しまして安倍外務大臣の方から、これまで日本側がすでにとった措置についても評価してほしいということを述べるとともに、この在日韓国人の待遇問題については今後とも建設的に話し合いを続けていきたいという趣旨を発言されたのは御指摘のとおりでございます。いま御説明いたしましたように、建設的な話し合いを続けていきたいというその対象は必ずしもスペシフィックにこの指紋押捺の問題ということだけではございませんで、もう少し広く在日韓国人の待遇改善に関する問題全般と、こういうことであったと了解いたしております。  それから、法的地位の協定に関連して、外国人登録に関する特例の規定を設けたらいかがかという点につきましては、外務省といたしましては基本的に指紋押捺に関連する問題自身は私どもの所掌ではございませんで、法務大臣が所掌されている問題でございますので、その扱いをどうするかということをまず所掌されている官庁の方で検討していただくことが先決であろうと、このように考えている次第でございます。
  287. 柄谷道一

    柄谷道一君 この問題はまだ議論が尽きませんが、与えられました質問時間が参りましたので、また別の機会にもっと深く掘り下げて議論をいたしたいと思います。  なお、地方自治体職員の定年制問題など多くの通告をいたしておりましたが、時間が参りましたので、これらの問題はまた別途御質問いたしたい。  法務大臣、最後に、この問題はかたくなにならずに頭を柔軟にして検討してもらいたい、これだけを望みまして質問を終わります。
  288. 木本平八郎

    木本平八郎君 何か大臣、五時から閣議だそうなので、一つだけまとめまして大臣の御所見をお伺いしたいと思うんです。  それで私、死刑廃止制度について質問通告のときにこういうなにを全部お渡しておりますので、この内容を踏まえた上で、死刑廃止について大臣の総合的な御所見を一言承りたいと思います。
  289. 住栄作

    国務大臣(住栄作君) 先生のいろいろの観点からの御意見、実は拝聴をいたしております。死刑の存廃をめぐりまして、これはもういろんな意見がいろんな立場から言われておるというのは御承知のとおりだと思うんです。結局、非常にむずかしい問題だと思っておりますし、それは刑罰の目的とか本質とかあるいは国民の規範意識とかさらには犯罪情勢、現在あるいは将来の問題、こういうことも十分検討してから結論を出さなければならない。いずれにいたしましても、人の命を絶つということでございますから、それだけにむずかしい問題だと私は思っておるわけでございます。と同時に、現行法の中において死刑制度というのは残されておるし、そしてまた法制審議会から答申をいただいております刑法改正案の中にも、非常に範囲は限定されておりますけれども、死刑制度というものは存置するという方向でできておるわけでございまして、これはもう法務行政を取り扱っている責任者として、私はいろいろ問題はあるということは承知しておりますが、そういう現行制度との関係、そういうところから考えましても、死刑制度存置というのは現在の段階においては容認できるところじゃないかと、こういうように考えておるわけでございます。
  290. 木本平八郎

    木本平八郎君 時代とともに状況がどんどん変わってまいりますので、かつて答申案だとかそういった雑議会でこういう結論が出たということにこだわらずに、ひとつ今後とも論議を深めていただきたいと思います。  どうぞお引き取りください。  それで、政府委員の方にお伺いしたいんですけれども、死刑囚に対する再審機能が働き出しまして、そして最近免田さんが無罪になったわけですね。これで裁判もいわゆる人間がやるんだから間違いも起こり得るということが出て、私は逆に法の権威が、いわゆる国民の法感情が混乱してきているんじゃないかというふうに考えるわけです。それから永山則夫の二審判決が無期懲役になったりして、同氏の量刑感覚とは大分ずれてきているんじゃないかと。それから平沢貞通の死刑が執行されないというふうなことで、法に対する不公平感みたいなものができてきているんじゃないかと。こういう司法制度自身のゆがみだとか、こういうものが刑全体が寛刑化に向いていきますから、当然こういうふうな法の調和の混乱が起こるということはもうやむを得ないと思うんですけれども、これはただ単に裁判所側だけでこれ対応しろといっても非常にむずかしい問題があるんじゃないか。いま申し上げましたように、社会の実態と法体系のずれができてきているということがあるので、私としては、むしろこの際そういう混乱を避けるためにも死刑は廃止した方がいいんじゃないかと考えているわけです。免田さんのケースも、押さんが言っているように、もしもあれが法のとおり執行されていたらどういうことになったろうという戦慄を感じるわけですね。こういう死刑というのはもう回復不可能だということはみんなが承知しているわけですから、この際もう一度これを見山すという点はどうなんでしょうか。
  291. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) 死刑の問題につきましては、ただいま大臣の御答弁にありましたように、きわめて何といいますか、深刻、厳粛な問題でございます。そういう観点から従来死刑の廃止あるいは存置と両論がいろいろな理由で論議されていることは御承知のとおりでございます。その過程におきましてただいまお話しの免田被告の再審、無罪の判決あるいは永山則夫の二審判決、いろいろな判決があったわけでございますが、免田事件関係につきましては誤判があるから死刑は廃止すべきだという意見のあることも十分承知いたしております。しかし、死刑に対しましては捜査あるいは公判、適用の場面から慎重に慎重を重ねておりますし、それからさらに、死刑確定に至るまでには三客で十分審理がなされ、いずれもやむを得ないという結論に達した、達せなければ死刑確定しないわけでございます。またさらに、死刑が確定いたしましてもそれに対し再審あるいは恩赦というようなことで法制上の救済措置も規定されておるところでございます。現実の執行の面につきましても慎重に検討いたして実施に当たっておるわけでございまして、死刑に対しましてはあらゆる面で慎重な配慮といいますか、そういう考えで行われているわけでございます。それにもかかわらずなお死刑を存置せざるを得ないと考えますのは、一つにはやはり犯罪情勢と申しますか、最近の統計等をとってみましても強盗殺人等の凶悪な犯罪は減少はいたしておりませんで、増加というまでにはいきませんが、ほぼ横ばいの状況でございます。そして片や、それに対しまして最近各種の世論調査と申しますか、国民の意見調査等を見ましても国民のやはり大多数は、凶悪、きわめて凶悪な犯罪に対しては死刑を科するのもやむを得ないと、そのためにも存置はまことにやむを得ないというのが国民大多数の意識であるというふうに理解いたしておるわけでございます。裁判の面でも古く昭和二十何年以来死刑存置やむなしという最高裁の判例はたくさんございますが、最近でもただいま木本先生御指摘の永山の判決、これは一審が死刑になったわけでございます。四人を連続的にピストルで射殺した連続射殺魔と言われる事件でございますが、これが第二審で永山が無期懲役に減刑されまして、それに対しまして上告がなされまして、最高裁におきましてはこれを破棄して東京高裁に差し戻しております。まだ現在高裁係属中でございますので余り内容に立ち入ることは差し控えたいと思いますが、その最高裁の破棄したその判決の中でも、やはりいろいろ死刑の適用をめぐって多くの事例を掲げまして、犯罪の罪質とか動機、その他遺族の感情、被害者の数、社会的影響、残虐性とか前科とかその他多くの事例を挙げこれこれの多数の各般の情状をあわせ考察すると、そうした場合に刑罰の均衡の見地からも、あるいは一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合には死刑の選択も許されるものと言わなければならないという判示をいたしておるわけでございます。死刑の選択については慎重にも慎重を重ねるべきであるという前提のもとにこのような最高裁の判示が昨年なされておるところでございまして、先生御指摘のようにこの時期にもう死刑を廃止すべきだという意見があることは十分承知いたしておりますが、いろいろ考えますと現時点でやはり死刑存置はやむを得ないというふうに考えております。
  292. 木本平八郎

    木本平八郎君 事前によく打ち合わせていますので、いま長々と説明していただいたことはもう承知しているんですよ。だから、私の質問している趣旨にお答えいただきたいんです。  それで、いまの死刑存置派の、いまの内容にいろいろ反発があるんですけれどもそれはもう別にして、死刑存置派の論拠としては国民感情だの凶悪犯の防止だとか永遠に凶悪犯を葬るんだとか、被害者の被害感情だとか社会秩序の維持のためと、こういういろいろな何が出ていますね。こういう事情はヨーロッパなんかで死刑を廃止している国も同じ問題を抱えていると思うんですよ。彼らはそれにもかかわらず廃止していると。ところが日本だけは、アメリカもソ連も南アもそうですけれども、おのおの事情はあるんですけれども、ヨーロッパに比べて日本だけが存置しなきゃいけない特殊な事情というのは何かあるんですか。あるかないかでお答えいただきたいんですが。
  293. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) 特にそういうふうにあるかないかと言われますというとお答えに窮するわけでございますが、日本の現状を見ました場合に、先ほど申し上げました犯罪情勢あるいは国民の大多数の意識ということを考慮いたしますと、やはり現情では存置はやむを得ないということでございます。
  294. 木本平八郎

    木本平八郎君 日本の国民感情というのは特殊だとは私は思わないんですけどね。ただ、情報は国民の方に行ってないから、やはり世論調査してもそれはどうしても判断がつかない。したがって、東京弁護士会なんかのアンケートではやはり死刑を廃止すべきだという意見が多くなってくるわけですね。その辺のやっぱり啓蒙の問題があると思うんですよ。  ちょっと次に移りますけれども、私も海外におりまして、やはり西洋人が日本人に対して非常に不可解だと言う中にいろいろの条件があるんですけれども、たとえば日本人は宗教を持っていないとか、切腹だとか特攻隊でもう死を全然恐れないとか、あるいは文明国のくせに死刑をいまだに置いているとかというふうに、こう言われるわけですね。一方、死刑廃止というのは世界的な傾向でもあり、日本でもどんどん凶悪犯罪というのは激減しているわけですね。先ほど凶悪犯罪減ってないとおっしゃったけれども、私の調べて事前にお打ち合わせしたところではもう極端に減っているわけですよ。それで二十一世紀になったらもう死刑は安楽死するだろうと、死刑自身が、というふうな議論もあるわけですね。そういうふうに考えてくると、いまのような社会が安定して経済が繁栄している、それから治安が良好だ、犯罪が激減している、こういう時代に死刑廃止に踏み切るというのは一番チャンスじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょう。
  295. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) 確かにここ数年死刑の判決自体は減少傾向にあることは事実でございます。凶悪犯が減少しておるか横ばいかという点はちょっと私の理解しているところと違うわけでございますが、私どもはやはり凶悪犯罪は減少傾向にはないという現状を考えますと、この時期に死刑廃止に踏み切るのはどうかというふうに考えております。
  296. 木本平八郎

    木本平八郎君 そういういろいろ御判断があると思うんですけれども、それでまず死刑を存置しなきゃいかぬというところに遺族の被害感情という問題があるわけですね。これが昭和二十年から五十五年までの間に殺人で起訴されたのが八万六千九百六十八人ですか、そのうち死刑を宣告された者が二百九人と〇・二四%だと。それから、強盗殺人犯の場合でも五千七百十人に対して五百九十九人で一〇・五%にすぎないと。こういうふうに、殺人では九九・七%、強盗殺人でも八九・五%の被害者が応報感情を満足させられていないと。したがって、被害者感情の問題というのはもう微微たるものじゃないかという気がするんですが、これはいかがでしょう。
  297. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) 被害者の被害感情というのが何といいますか、死刑適用の場合にも一つの情状と考えられていますことは先ほど申し上げたとおりでございます。しかし死刑存置につきまして遺族の被害感情というのがそれほど強いものかどうか、それはいろんな人の判断で異なるのではないかと思います。被害感情云々というのももちろん中にはございますけれども、それよりもさらに増して私先ほど申し上げましたように凶悪犯罪がなお後を絶たない、多発しておるということと、その応報感情等も含めました前提とした国民感情の推移というものを前提に考えたいと考えております。
  298. 木本平八郎

    木本平八郎君 その国民の応報感情というのはやはり教育の問題だろうと思うんですよ。それでやはり教育面で相当かなり緩和できるんじゃないかという気がするわけですね。それで私が現在とこう申し上げているのは、要するに日本はいま現在平和であり自由であり人権が尊重あるいは生命が尊重されていると、経済的にも繁栄されて失業率も低いと、福祉もどんどん充実されていると、それで教育が普及して文盲率はゼロだと、高学歴化というふうな世界最高の経済的社会的条件のもとで、死刑制度がなければ社会の安寧だとか治安が保てないという状況ではないと私は思うわけですね。その辺はどうでしょう。
  299. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) 確かに教育の問題、社会福祉の問題、これが充実いたしますれば、そこらを原因といたします凶悪犯罪、まあ全部が原因ではございません。その一因であります教育あるいは社会福祉の発展によって凶悪犯罪の防止といいますか、減少に役立つということは確かにそのとおりだろうと思います。しかし現状において死刑存置すべきかどうかということになりますと、先ほど来申し上げておりますような現状を見ますと、やはり現状では存置やむを得ないということになろうかと思います。
  300. 木本平八郎

    木本平八郎君 それから一つの存置論の大きななにで威嚇力というのがありますね。この威嚇力も小木貞孝氏ですかの調査では、殺人犯が犯行の前か犯行中にこの殺人を行ったら自分が死刑になるかもしれないというふうなことを考えたのはもう一人もいないと。それで彼らがみんな死刑のあるということは知っているはずですね。ところが、それにもかかわらず抑止力になっていないと。また同氏の調査では計画的な犯行が四七・八%、段階的殺人ですね、見つかったら殺すとか、そういうのが一三・一%で両方合わせて六一%なんですね。あと残りの四割は衝動的偶発的な殺人でもう殺人までやっていると。それからまた動機としては物をとりたい、金が欲しいという利欲が八一・二%だと、こういうことで犯行前後の興奮や感情的な爆発の中でもう自分、われを忘れて正常な判断力や殺人の結果による死刑なと思い至らないと、こういう調査が出ているわけですね。こういうふうにそういう面から、威嚇力という面からは死刑はもはや威嚇力になっていないんじゃないかという気がするんですがね、いかがでしょう。
  301. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) ただいま先生の御指摘の点、その点確かにおっしゃる点もっともな点だと私も思うわけでございます。ただ、威嚇力があるかないかということはどうも科学的に証明できにくい。確かに殺人を犯した者について死刑を考えなかったかという調査はできますけれども、逆に考えたがために殺人を犯さなかった者もあるわけだろうと思います。そういたしますと、威嚇力果たしてあるものか、現実にはどの程度作用しておるかということはなかなか科学的に確定することはむずかしいと。結局各人の理解もそこで若干違ってくるんではないかと思うんでございますが、やはり威嚇力はあるというふうに思いますし、それがまた国民多数の意識にあるというふうに国民多数が信じておるというふうに理解いたしております。
  302. 木本平八郎

    木本平八郎君 アメリカの分析では、死刑囚というのは犯行のときに大体一文なしたとか、知能がきわめて低いとか、無教育だとか、友達がいなくて孤独だとか、欠損家庭に育ったということですね。こういうふうに失業率だとか貧困率、文盲率のようなものが非常に大きな相関性を持っていると。たとえば殺人犯の職業を見た場合でも、これは日本の場合ですけれども、無職が五一・一%と、あるいは食べる物もなし、宿泊所もないという極貧状態の者が四七・二%いると。それでそれよりもちょっとましな貧困状態が四三・一%で、両方合わせて九一%というふうな統計もあるわけですね。こういうことであれば凶悪殺人はむしろ社会福祉の課題じゃないかという気がするんですがね、それでまた一方、科学捜査力だとか、確実に検挙される、検挙度を高めることですね。犯人は自分だけ発覚しないとか逮捕されないというふうな錯覚を起こしてやっているわけですね、実際は相当検挙率は高いわけですけれども。こういうふうな、むしろ死刑よりもこっちの方、科学捜査力だとか検挙率だとかあるいは先ほどの社会的な政策、こういった面の方がきわめて重要じゃないかという気がするんですけれどもね。これは法務省ではなくて政府としてになるでしょうけれども、いかがでしょうね。
  303. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) 先生おっしゃいますように、凶悪犯罪の防止という観点からいきますと、教育あるいは社会福祉がますますさらに発展充実するということがきわめて効果的であるということはそのとおりであろうかと思います。また、科学捜査力の充実によりまして検挙率がさらに高まりますれば、それによってまた凶悪犯罪の減少にも役立つということは確かにそのとおりでありますし、望ましいことであろうかと思います。それとは別に、現状を見ました場合に存置やむを得ないということを繰り返しているとおりでございます。
  304. 木本平八郎

    木本平八郎君 この死刑の問題については、私自身が非常に強い関心を持っているというのは、現状もさることながら将来の問題なんですね。これはどうしてかというと、死刑というのは人道的な面も一応問題にはなりますけれども、政治的に悪用されるということがもう古今東西の歴史の中にいっぱいあるわけですね。たとえば一九六七年から七六年までの十年間に、世界で普通の一般の犯罪で死刑を受けたのは大体七千五百人おるらしいんですけれども、そのうちの約五千人が処刑されている。ところが、これに対してこの十年間に政治犯として処刑されているのが五十万人いるというふうに推計されているわけですね。それで七六年以降も、よく出ていますように、アルゼンチンで一万五千人の人が行方不明になっているとか、エチオピアだとか赤道ギニア、ウガンダ、グアテマラ、カンボジアなどで政治的失踪が数万人単位で発生している。こういう状況で、非常に死刑というものがそっちの方が数的にも問題的にも大きいわけですね。  現在の日本というのはそういう可能性はもう絶無だともちろん考えられるわけです。しかし、戦時中の私の経験でも、将来どういうふうに政治、経済、社会が変わるかわからないという不安があるわけですね。戦時中なんか私なんか完全な軍国主義者だったわけですね。それがあんな、いまから考えたらどうしてああいうことをと思いますけれども、教育でああいうふうに人間というのは、民族というのはなってしまうと思うんですね。そういうことで、将来日本の政治体制もどう変わるかわからない。そのときに、死刑がなければこれはやっぱり一たん復活してからやらなきゃいかぬ。それはまあめちゃくちゃに、いきなり何もやらずにばっと処刑するということもあり得るかもしれませんけれどもね。ところが死刑制度が残っているとすぐ適用されて、ほとんど即決裁判のようにしてはばっと政敵がやられてしまうという危険もあるわけですね。したがって、死刑のようなものはできるだけ廃止できるときにしておいた方が無難じゃないかという気がするんですが、これは将来の仮定の問題なんですけれども、世界的なこの政治犯の、政治に使われているということについて、ちょっと観点は違うんですけれども、どういうふうなお考えでしょう。
  305. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) 先生おっしゃいましたように、死刑制度が政治的に乱用、悪用されるというような事態は、いまの日本で、将来も考え得られないと思いますし、またあってはならないことだと思います。それと、現在死刑を廃止できるときにできるだけ早く廃止した方がいいというところまではちょっと考えにくいかと思います。
  306. 木本平八郎

    木本平八郎君 まあそういうことだろうと思います。しかし、これはやはり政治家としてはその辺のことも考慮しておかなきゃいけないんじゃないかと思って、きょうは大臣おられないから質問したわけですけれどもね。  それで、実は暫定措置として、死刑をすぐ廃止するというのは少し無理があるかもしれない、日本の現状では。しかし死刑の執行停止をすると。ついこの間、国連の犯罪防止会議で五年間のモラトリアムをやろうという話が出ましたですね、そのとき日本は反対しちゃったわけですけれども。それで、これを無期懲役に下げると実質上は十五年ぐらいで仮釈放されているわけですね。したがって、死刑囚を十五年間でなにするというのは非常に抵抗があるかもしれない。しかし死刑執行停止だと事実上は終身拘束されるわけですね。二十年か三十年たって二十一世紀にでもなればもう死刑はやめた方がいいということになるかもしれないですけれども、そういうふうな一応死刑執行停止というのを過渡的に採用するという点についてはいかがでしょう。
  307. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) これは刑法改正の論議の過程におきましても、いま先生のおっしゃるのと若干違うかもしれませんが、死刑をやめて無期懲役、それも現在のように、現在のようにといいますか、十五年なり何なりたちまして仮釈放になるという無期ではなくて、何としても釈放にはならない絶対的無期刑というのを死刑にかえて置いたらどうかという意見もなされたわけでございます。ただ、これに対しましてはいろいろな反対といいますか違う意見もございまして、絶対的無期刑、一生もう何が何でも出られないというようなものは、死刑よりもといいますか、きわめて残酷な刑になるのではないかという面と、それから、刑務所等矯正施設におきましてはその者の社会復帰を図るために教化改善の措置を講ずるわけでございますが、そういう絶対的に出られない、絶対的無期の収容者に対して、これが教化改善ということはもうまず不可能に近いというような意見もございます。そういうことで、その絶対的無期刑、出られない無期刑というものを置くということにつきましては、なお非常に問題が多いのではないかと思います。
  308. 木本平八郎

    木本平八郎君 死刑廃止はこれはまあそう結論を急ぐことはないかもしれませんけれども、どんどん時代が変わっていって状況が変わっていっているわけですから、少なくともしょっちゅうその論議を深めていただきたいと思うわけです。  それで最後にちょっとテーマを変えまして、いわゆる国が民間相手に訴訟をやっているケースがあるわけですね。これは各省にかわって法務省の訟務局が担当されているということなんですけれども、これはここに私統計ももらったんですけれどもちょっとよくわからないし、そちらの方でもよくおわかりにならないので、数字的には少しなにがあるかもしれませんけれども、趣旨だけ理解していただきたいんですけれども、要するに、これは昭和五十七年度の調査ですが、訴訟事件が大体八千二百件以上あって、そのうち一審の判決が出たものが六百三十四件ですか、ある。そのうちで国が敗訴したものが百三件で、一六・二%国の方が負けている。また、国が二審に控訴したものは大体その一年で五十件ぐらいあるというわけですね。これは単純にできないですけれども、大体百件のうちでその半分ぐらい、四八・五%ぐらいは国側が控訴しているわけですね、被告になっている場合は別ですけれども。  それで、その中でさらに二審でも敗訴しているものが三百二件中四十三件、一四・二%敗訴している。こういうこの一四・二%の敗訴率というのが訴訟の常識として高いのか低いのかというのは私は全然わからないんですけれども、世間では国が意地になって民間相手に裁判しているということもあるというふうに聞くわけですね。国側も三審制度を享受する権利はもちろんあるわけですけれども、国というのはやっぱり国家権力を背景にしているんですから、その権力の行使には少し自粛というか自重があってもいいのじゃないかと考えるのが一点ですね。  ことにいま国の財政が苦しいときだから、訴訟費用、大したことはないかもしれませんけれども訴訟費用、あるいは高等裁判所の方でもそういう経費がかかっているわけですから、一審で負けた場合に訟務局の中で、これは皆法律の専門家ばかりですから、そういう中でセルフコントロールの意味でこれについて控訴するかどうかというのを検討していただいて、そしてこれはやっても負けそうだとか勝てそうにもないとかいうのは、各省に話をして、もうちょっとこれはやめた方がいいよということをアドバイスしていただくようなことができないかどうか。  それから、国もさることながら地方でもそういうことがあるわけですね。それで地方の方がよけい意地になってやっているということを聞くわけですけれども地方にまでそういう指導ができないものだろうかというふうに感じるんですが、その点いかがでしょう。
  309. 藤井俊彦

    説明員(藤井俊彦君) お答えいたします。  御質問のように、勝つ見込みのなさそうな事件は控訴を見合わせたらどうかということでございますけれども、もとより当然でございましてまことにごもっともな御質問だと思います。法務省といたしましては、国側敗訴の事件がありました場合に、これを控訴あるいは上告するかという検討に当たりましては、きわめて慎重に行っているところでございます。今後もいままでと同じように慎重に行ってまいりたいと思っているわけでございます。  それから、第二点の地方自治体にも少し指導する可能性はないかという御質問でございますけれども、御承知のように、訴訟につきましては、地方自治尊重の原則からいたしまして、自治体の訴訟では法務省が関与できる事件と関与できない事件がございます。関与できない事件につきましてはいかんともいたしがたいところでございますけれども、関与できる事件につきましては御指摘のようにアドバイスをいたしまして、そのようなことのないよう努めてまいりたいというふうに思っております。
  310. 木本平八郎

    木本平八郎君 質問終わります。
  311. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 他に御発言もないようですから、法務省自治省警察庁裁判所及び公営企業金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十二分散会      —————・—————