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1984-01-19 第101回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年一月十九日(木曜日)    午後一時一分開会     —————————————    委員異動  十二月二十八日     辞任         補欠選任      仲川 幸男君     松尾 官平君  一月十七日     辞任         補欠選任      大城 眞順君     岩本 政光君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安恒 良一君     理 事                 林  ゆう君                 平井 卓志君                 福田 宏一君                 松尾 官平君                目黒朝次郎君                 服部 信吾君     委 員                 石本  茂君                 岩本 政光君                 大浜 方栄君                 河本嘉久蔵君                 倉田 寛之君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 出口 廣光君                 夏目 忠雄君                 原 文兵衛君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 久保田真苗君                 菅野 久光君                 本岡 昭次君                 太田 淳夫君                 刈田 貞子君                 佐藤 昭夫君                 安武 洋子君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  細田 吉藏君        郵 政 大 臣  奥田 敬和君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        日本国有鉄道再        建監理委員会事        務局次長     林  淳司君        行政管理庁行政        監察局監察官   北村 圀夫君        大蔵省主計局主        計官       涌井 洋治君        通商産業省立地        公害局石炭課長  宮副 信隆君        運輸大臣官房長  松井 和治君        学省鉄道監督   永光 洋一君        運輸省航空局長  山本  長君        郵政大臣官房首        席監察官     加藤 祐策君        郵政省貯金局長  澤田 茂生君        郵政省人事局長  三浦 一郎君        労働省労働基準        局長       望月 三郎君        労働省労働基準        局安全衛生部安        全課長      加来 利一君        会計検査院事務        総局第二課長   竹尾  勉君        会計検査院事務        総局第三局長   秋本 勝彦君        会計検査院事務        総局第五局長   中村  清君        日本国有鉄道総        裁        仁杉  巖君        日本国有鉄道常        務理事      繩田 國武君        日本国有鉄道常        務理事      三坂 健康君        日本国有鉄道常        務理事      岩瀬 虹兒君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君        日本国有鉄道常        務理事      須田  寛君        日本電信電話公        社総裁      真藤  恒君        日本電信電話公        社業務管理局長  神林 留雄君    参考人        日本鉄道建設公        団理事      松尾 昭吾君        日本放送協会専        務理事      坂倉 孝一君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十六年度特別会計歳入歳出決算昭和五十六年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十六  年度政府関係機関決算書(第九十八回国会内閣  提出) ○昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算 書(第九十八回国会内閣提出) ○昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (第九十八回国会内閣提出)     —————————————
  2. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨年十二月二十八日、仲川幸男君が委員辞任され、その補欠として松尾官平君が選任されました。  また、一月十七日、大城眞順君が委員辞任され、その補欠として岩本政光君が選任されました。     —————————————
  3. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事松尾官平君を指名いたします。     —————————————
  5. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 昭和五十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、運輸省郵政省日本国有鉄道及び日本電信電話公社決算について審査を行います。     —————————————
  6. 安恒良一

    委員長安恒良一君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  8. 安恒良一

    委員長安恒良一君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょうは運輸省郵政省関係でありますが、それに入る前に、理事会の皆さんの御了解を得て一件だけ緊急質問をしたいと思います。  きのう九州三井有明鉱坑内火災がありまして、新聞テレビ等では、亡くなられた方あるいはまだ坑内に閉じ込められている方あるいは脱出して病院に収容されている方など報道されておるわけでありますが、亡くなった方については心から哀悼の意を表し、坑内に閉じ込められている方については夕張炭鉱の二の舞を踏まないように最大努力をしてもらいたいし、負傷された方については一日も早い回復をお祈りしたいと存じます。  そういうことを述べながら、この三池有明火災現況、一番新しい現時点において亡くなった方がどのくらいいらっしゃるのか、坑内に閉じ込められている方が何名いらっしゃるのか、あるいはこれに対する政府対応現地状況などについて、知り得る範囲で結構ですから、冒頭現況について通産省からお答え願いたい、こう思います。
  10. 宮副信隆

    説明員(宮副信隆君) お答えいたします。  災害は、先生おっしゃいましたように、昨日十八日の午後一時五十分に福岡大牟田市にあります三井炭鉱有明鉱発生いたしました。災害の種類は坑内火災ということでございます。  ちょうど十二時五十八分ころ、係員がその有明鉱の二百二十メートルレベルベルトコンベヤー連絡斜坑という付近を検査しておりましたところ、そのナンバー一〇ベルトコンベヤーが燃えているのを発見いたしまして、直ちに会社側は十四時五分、二時五分に全坑、有明鉱の中で働いておられる方々に対して待避命令を発令いたしております。災害発生いたしました当時、有明鉱には七百七名の方が入坑して働いておられました。待避命令が出まして六百十四名の方が自力で脱出されてこられました。その自力で脱出されました六百十四名のうち三名は一酸化炭素の被害を受けておりまして、直ちに入院されておられますが、命にはいまのところ別条はないという報告を受けております。残り九十二名の方が坑内に取り残されたわけでございます。きょうの十二時の段階ではこの九十三名のうち七十七名の方が地上に出てこられた。残念ながらそのうち六十八名の方がお亡くなりになられまして、九名の方が一酸化炭素中毒で入院されておるという状況でございます。それで、まだ坑内には現在十六名の方が閉じ込められているということでございます。  救護活動につきましては、現在会社側救護隊員約百名以上が入りまして、罹災者救出消火活動に当たっております。  通商産業省といたしましては、事故判明後直ちに担当参事官現地へ急行させております。もちろん、この前に私ども地方支分局として福岡鉱山保安監督局というのがございますが、そこから直ちに係官五名を派遣しておりますが、それに加え、本省からは担当参事官現地へ急行させました。  さらに、本日午前には、佐藤政務次官石井立公局長現地へ急行しております。通産省といたしましては、人命救助、現段階におきましては人命救助を最優先として、坑内に残されておられます罹災者救出最大限の努力を払っているところでございます。  なお、この災害がきわめて甚大であることから、本日の閣議におきまして総合的な災害対策を速やかに実施するために、関係省庁の協力のもとに災害対策本部が設置され、通商産業大臣本部長となられました。こういう災害対策本部のもとで、先ほど申しました人命救助あるいは罹災に遣われて入院されている方々治療等について万全の処置をとっていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  11. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは私の聞き違いかどうか知りませんが、一時間ちょっと前に私がもらったメモでは六十五名が死亡負傷十一名となっているんですが、いま課長説明では死亡が六十八名、負傷九名、こういう発言があったんですが、負傷者のうち三者が、その後、私がコメントした後に死亡したのかどうか。やっぱり亡くなった数倍関することですから、再確認を求めます。
  12. 宮副信隆

    説明員(宮副信隆君) 現在の数字は、先ほど先生のお持ちの数字から死亡が三名ふえております。新しい情報として入っております。それから負傷者が三名違うんではないかということでございますが、それは自力脱出されました中の三名が負傷者の統計としては入ってきているということで三名違っております。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大体わかりました。ただ、新聞報道ですからなかなかわかりませんが、たとえば福岡の通産局への通告が十五時五十分で、火災発生後二時間以上たっておるとか、あるいは大牟田警察署には全然通報がなくて、大牟田警察署が十八時五十分のテレビニュース火災発生を知って、そして逆に会社の方にこれは本当なのかといって通報したとか、こういう点から見まして、やはり事故発生後の通報体制救援体制、あるいはそれに対応するあり方、どうもこれ優秀鉱と言われておる炭鉱にしてはずさんな面があるんじゃなかろうかと、こんな気もいたしますので、この点についてもひとつしかるべくやっぱり対応する必要があるんではなかろうか。  それから、最も大事な点は、本件事故発生の原因については、いろいろ今後調べられると思うのでありますが、いわゆるベルトコンベヤー摩擦による発火だ、いわゆる自然発火ではないと。ベルトコンベヤー摩擦の問題については、労働組合側からナンバー一〇のベルトコンベヤーについては注意を要するぞということを再三前もって指摘されておったところが火災発生の場所だと、こういうふうな、これは新聞報道ですからまだわかりませんが、そういう点になりますと、これは人災だという点がはっきりしてくるという点であります。したがって、人災だとなりますと、今後補償その他の問題でも大変私は問題を醸し出すと思いますから、そういう意味も含めて、早急に真相をつかんだら、われわれにその内容を明らかにしてもらいたい。もちろん衆参両院災害対策特別委員会あるいは各政党の方々もやはり派遣されておりますが、そういう点について明確にして、この前の夕張炭鉱の問題であれほど苦労して、いまだに夕張問題が解決しないという段階で、優秀鉱と言われるこういうところで発生したのはきわめて遺憾であります。そういう点で、これは現時点では早急に全貌を明らかにして、対応に過ちのないように、こういうふうにお願いするしかないと思っております。  それで、労働省にお伺いしますが、こういうことになりますと、労災補償あるいは負傷者に対する一酸化炭素中毒をしないようにという対応の仕方がいろいろあろうと思うのでありますが、労働省担当対応の仕方について、理時点でひとつお示しを願いたい、こう思います。
  14. 望月三郎

    説明員望月三郎君) 労働省といたしましては、昨日、福岡労働基準局におきまして災害対策本部を設置をいたしました。と同時に、大牟田監督署現地対策本部を設置して担当官本省から中央産業安全専門官派遣をした次第でございます。また、けさ安全衛生部安全衛生課長現地派遣をしたわけでございます。  また、労働省の要請に基づきまして、労働福祉事業団の大牟田労災病院ではCO中毒に備えまして医師その他の関係職員を待機させるとともに、筑豊労災病院九州労災病院からCO中毒治療用移動式高圧酸素タンク、それから医師タンクオペレーター等現地に移送を完了して治療に当たっております。  また、福岡県下の労災病院及び産業医科大学に対しまして、CO中毒患者入院受け入れ体制準備を命じております。目下、そういう形で救援体制をやっております。  それから労災につきましては、これはできるだけ早い支払い体制をいま準備中でございますので御了解をいただきたいと思います。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 緊急ですから、通産省労働省対応について特段の配慮を要請し、わかった段階では速やかにわれわれに全貌対策について御報告を願うことを要請いたしまして、この件については終わります。  関係者御退席しても結構です。どうもありがとうございました。  本題に入りますが、五十六年度の会計検査報告を見ますと、不当、不正事項が依然としてあるわけでありますが、収入関係で九件で二十二億三千七百八万円、国鉄関係が二件で不正が四百六十万。支出関係で総計が百四十三件、十八億二千五百六十六円、運輸関係が三件、国鉄関係が二件。まあ前年度から見れば改善された傾向があるわけでありますが、やはりこれらの不正行為防止について、運輸省なり国鉄は基本的にどういう取り組みをしているのか、まず冒頭考えを聞かしてもらいたい、こう思います。
  16. 松井和治

    説明員松井和治君) 五十六年度の決算検査報告におきまして、運輸省関係会計検査院から不当事項といたしまして三件の御指摘をいただきましたことは、まことに遺憾に存じておるところでございます。  このうちの一件につきましては、私ども出先機関におきまして契約をいたします際の積算のミスでございまして、私どもといたしましては契約の差額、つまり過払い分返還を求めますと同時に、今後の再発防止のために審査体制の一層の強化を図ったところでございます。  残る二件につきましては、いずれも補助事業の実施及び経理の不当ということで御指摘を受けたわけでございまして、私どもといたしましては補助事業者に対しまして今後適正な執行に努めるよう通達をいたしますと同時に、補助金過払い分返還あるいは工事の手直しを命じまして、また私どもといたしまして今後、補助金交付に際しての審査体制をより一層強化するということに努めまして、今後の再発防止してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  17. 繩田國武

    説明員繩田國武君) 国鉄には職員不正行為が二件ございまして、一件は土地の代金百八十万円を、実は会津若松の保線区で職員が預かったのでございますが、これを正規に戻入いたしませんで着服した事項でございます。これにつきましては、全額本人から返還させまして、懲戒免職処分をいたしておりますが、今後、この種の者に現金を一切さわらさないで銀行の振り込みにさすように、万全の措置を通達等でやっております。  それから二つ目には、実は乗車券券売機ナンバーリングを逆回しいたしまして二百八十万円を着服した事項でございまして、これにつきましては管理局長会議で厳に戒めまして、なおかつ通達等で厳しく言ってございます。実は単能式という機械がございまして、これがこの種の事故防止に完全でございませんので、この機械をメモリーで全部こういうことができないような機械に現在取りかえつつございます。そういうようなことで、もちろん本人から全額返済させまして、懲戒免職監督者処分をいたしておるような次第でございます。
  18. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それからもう一つ、ついでですから、これは本岡先生がおやりになる関係がありますから余り私は深入りいたしませんが、ただ、私は決算委員会は二度目の勤めなんですけれども、これだけはちょっと私は一言言っておかないとこれは勘弁ならぬなと思いますのは、郵政省でありますが、この五十六年度の会計検査報告を見ただけでも二十五件の七千八百十万九千六百十六円、莫大な、いまの国鉄運輸省に比べればもう単位二つも違うと。しかもこの特質は期間が非常に長い。このナンバーの百二十七号などは九年間。九年間不正が発見できなかったというのは一体何をやっておったんだろうかと。番号の百二十九は二年半。百四十は六年。こんなに六年も九年も不正が発見できなかったというのは、郵政省には監察官がおるはずでありますが、監察官は一体何をやっておったのかと。  それから、どうしても勘弁ならぬのは百二十七と百二十九。特定郵便局長がポケットしておったと。これは管理者ですな、完全に。これもちょっとわれわれは常識で考えられないことであります。  それから金額が非常に多い。百十二号は千八百九十六万、百十四号は千五十九万、それから百十七号は千八百六万。もう一千万単位の金を九年間にもわたってポケットしておって、それで今回会計検査院に発見されたと、こういうような事案であります。これは私が東北であるから言うわけじゃありませんが、分布を見ますと、東京関係が十二件、近畿が七件、信越二件、北越一件、東海三件、中国三件、四国、九州東北は各一件、都会になるほどこういう案件が多い、こういうことでありますから、私はこの問題きょう提起をして二つだけ申し上げます。  これは返還したからいいと、こういうものでは私はないと思うのであります。国鉄は去年は三百円事件で長い間勤めた国鉄職員が解雇されまして、年金から退職金から全部パーになったという事件がありました。総括質問段階後藤田官房長官は、処分には各官庁の甲乙はないということを総括質問官房長官がこの委員会で答弁をしておるわけであります。したがって、この国鉄郵政省不正行為にかかわる問題についていつ返還をしたのか。この内容を見ますとまだ返還しないのがありますが、いつ返還したのか。それから行政上の処分などについてはどういうふうに始末をしているのか。その件についてきょうは時間がありませんから、この原本があるわけでありますから、この原本に従って文書で私まで御提示願いたいということを要求いたしますが、いかがでしょうが、関係省
  19. 加藤祐策

    説明員加藤祐策君) お答えいたします。  まず郵政監察について申し上げますが、現在七百名の監察官と二百名の監察官を、その他事務職三百名の合計千二百名で監察組織を持っております。これに対しまして郵便局は一万九千、職員は三十万、そのほか簡易郵便局が四千三百ございまして、こういったところを年に半分、二年に一回、一万五千局程度の考査を行っております。それから郵便の不着、その他お客様からの御申告等調査事項が十万件を超しております。そういった仕事の中で長年にわたって……
  20. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そんなこと聞いてないよ、私は。
  21. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ちょっと待ってください。資料を出していただけるかどうかということだけに答えてください。
  22. 加藤祐策

    説明員加藤祐策君) 後ほど先生の方へお届けさしていただきます。
  23. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃそのおたくからの報告を見て、改めてまた必要があれば次の委員会が、あるいは総括締めくくり段階で私の方から見解を表明します。  次は、きょうは決算委員会でありますが、運輸大臣とか国鉄総裁がかわったばかりでありますから、ひとつわれわれに見解を聞かしてもらいたいと思うのであります。  まあ第二次中曽根内閣資産公開とか、田中排除、こういうものについて総裁声明をしておるわけでありますが、運輸大臣としてもこの中曽根声明あるいは資産公開などについては基本的にはこれに従うという形で運輸行政をやられるのか。特にそういう点について大臣の基本的な見解を聞かしてもらいたいと、こう思います。
  24. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) お答え申し上げます。  先ごろの中曽根総理の、いま田中排除というお言葉がございましたが、声明はこれはもう私ども当然のことだと考えておりまして、その線に沿って第二次中曽根内閣は運営されると、かように深く信じておるところでございます。  資産公開は政治のいわゆる倫理化の中のほんの一つの項目でございまして、これで能事終われりというわけにはまいりませんが、まず手始めにやろうと、こういうことにいたしたものでございまして、もちろん賛成でございますし、今後もこれは続けてやるべきものだと、かように考えております。
  25. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この国鉄再建問題についていろいろあちらこちらで言われておるわけでありますが、私は前の長谷川運輸大臣国鉄財政再建監理委員会俗称亀井委員会亀井委員会関係をどういうふうに位置づけるのかということを基本的にお伺いしておったわけでありますが、この亀井委員会大臣との関連ということについてどういうお考えを持っているか、お聞かせ願いたい、こう思います。
  26. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 日本国有鉄道再建監理委員会は、ご案内のように行政組織法上の第八条機関総理府に設置されておるものでございます。もうこれらの法律のことについては前国会で御審議を願いましたので、私があえて申し上げるまでもなく先生よく御存じのとおりでございます。  運輸行政責任はどうなるかということでありますが、行政責任はあくまでも内閣に所属し、そして運輸行政に関しては運輸大臣責任を負っておるのでございます。したがいまして、途中の経過はいろいろあろうと思います。  再建監理委員会の任務や権限等法律で明定されておるところでございますけれども、最終的には内閣行政責任を持つということは憲法上当然のことでございまして、あくまでも運輸行政については運輸大臣総理の指揮を仰ぎながら責任を持つと、かように考えておる次第でございます。
  27. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それはまあ確認いたします。  そうしますと、当面最大の課題であるこの膨大な借金、累積九兆、長期十八兆と言われるこの問題についてはいろいろ議論されておるわけでありますが、大臣は、これは新聞記者の会見では、この赤字の問題は、名案があればとっくにこんなものは処理したと、いろいろ考えたけれども名案がないからいま苦労しているんだと、同時に赤字の問題は、単に国鉄運輸省だけの問題ではなくて、政府全体の問題だと、こういう御発言をしておるように承っておるわけでありますが、私も基本的にはそうだと思うんであります。したがって、この赤字の問題に対する認識と対応の仕方について、当面一番大事な問題でありますから、大臣の御見解を聞きたいと、こう思うわけであります。
  28. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 間もなく二十兆円になんなんとするような累積債務を国有鉄道が持っておるわけでございます。一体なぜそのような累積債務ができたかということに対して徹底的な分析がなされなければならないと思っております。何かずるずるとこう仕事をサボっておったり、いろんなことでできたというような感じを抱いておる方があるかもしれませんが、決してそのようなものではないのでございます。この大きな累積債務にはそれぞれの理由があってこれだけの債務になっておるのでございます。  したがいまして、私はこの性格を一応は承知しておりまするけれども、さらに根本的に徹底的に研究をして、どうしてこれが起こったものであるか、その原因によってそれに対応する対策を立てなければならない、かように思っておるのでありまして、これを国有鉄道ひとりにやれと言ってもできることではないと思っておりますし、また行政責任をあずかっております運輸省だけでこの問題を解決するということも、これは非常にむずかしいんじゃなかろうかと。それで、私は、むしろこの法律にも書いてございますけれども再建監理委員会の非常に大きな仕事、あるいはもう一番大きな仕事ではないかと思っておりますが、この問題を掘り下げていただき、どうこれに対処していただくかということが国鉄再建の大きな前提になるものと、かように考えておる次第でございます。  いま、一部、名案があれば云々というような新聞記事のお話がございましたが、これはもうこれから取り組んでいただくということでございまして、私ども個々にはいろいろな考え方を持っておるわけでございますけれども、これから監理委員会がこの問題を中心にいろいろ御検討になる。しかし、監理委員会だけに任せておくということでなくて、われわれもこれをどうしたらいいかということについて十分な検討をいたしたいと、こう考えておる次第でございます・
  29. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣ね、私も大なり小なり国鉄で四十何年飯食ってきた男ですからね、それはそのとおりだと思うんです。  それで、ひとつお願いですがね、私は監理委員会というところが、独善とまで言ってはちょっと酷かもしれませんが、社会党の運輸委員のわれわれと具体的な数字なり政策なりについてかみ合った議論をするということなどについてはきわめて、全然ゼロとは言いませんが、社会党の運輸委員の連中何を言うかというぐらいの気持ちで、大分ごりっぱな監理委員会の皆さんいらっしゃるので、組合側との対話等についてはどうかということになると、ばらばらとりっぱなことを言っちゃって、組合側は何を言うかという形で議論をかみ合わせようとしない。私は非常に遺憾だと。じゃあ、国会に出てきてわれわれと討論をせいと言うと、非常勤で忙しいからなかなか国会に出てこれないと。じゃあ、あなたが言ういわゆる監理委員会だけではだめだと、国鉄だけではだめだと、運輸省だけではだめだとなれば、どっかの場で同じデータを持って、あるいは違うデータでもいいですよ、お互いにデータを持ち寄って、フリーで、問題の赤字の原因はどこにあったのかと、どうすればいいのか、あるいは場合によったら学者、文化人でも結構だと思うんですよ、そういう方々も入れて、国民的な視野で、やっぱりこの国鉄の、あなたが言った単に政府だけの問題じゃないとするならば、国民的な視野で赤字の原因と問題点と今後の対応ということをやっぱり討議すべきである。そのリーダーシップを亀井委員会がやるというならば、私たちは肯定したいと思うんですよ。そういう意味での運輸行政の長である運輸大臣と監理委員会、その関係をそういう角度からぜひ国民的なものにしていくと、野党の意見もよく聞くと、組合の意見もよく聞くと、利用者の意見もよく聞くと、地方自治体の意見もよく聞くと、そういう形でこの国鉄の問題と取り組まない限りはどうも一方通行になってしまうと、こう思うんですが、この私の提起に対して新しい大臣としてはいかがでしょうか。
  30. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 国鉄再建監理委員会がどういう状況であるかということについてのまあ御批判はいま承りましたが、私としましてはこれがどうであるということを発言する立場にございませんので、これは御勘弁をいただきたいと思います。しかし、私が先ほど申し上げた運輸行政の所管大臣でございます。国会の国政調査権なり立法権、こういう関係からして、私ども運輸行政に対する当面の責任国会に対して負っておると、かようにもう深く存じておるわけでございまして、したがいまして、御趣旨にございますような各方面の意見を広く聞くと、国民的な立場からいろいろ考えるということについては、行政として責任がございます。そういう意味で、国会でもあるいは運輸委員会、あるいは予算、決算委員会、いろんなところで十分の御審議を賜るようにお願いしたいと思っておりまするし、また私ども再建監理委員会に申し上げることは、御決定をどういただくかということは再建監理委員会の御権限でありますが、私どもの御意見は十分に申し上げると、そういうことにしたいと、このように私は考えておる次第でございます。
  31. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣ね、ここ一、二年の動向を見てますと、私はこれは国会へ来てことしで十年目ですが、ずいぶん国鉄問題、運輸行政については私は私なりに国会の場で議論をしたつもりであります。まあ他の先生方もいっぱいやっております。しかし、監理委員会とか臨調の動向を見てみますとね、国会で議論していることはあれはもう別な角度から議論しているのであって、あんなものはと言っちゃ語弊がありますが、国会国会で、一々国会のことを耳に聞いていると臨調も国鉄財政再建もできないと言わんばかりに国会の論争を受けとめているということについては、私は遺憾だと思うのであります。それをあなたに追及したってしようがありませんから、いまあなたが言ったとおり、運輸行政とか国鉄の問題については、やっぱり国会の運輸委員会決算委員会、あるいは予算委員会、あるいは社労委員会などで論じられた問題をやっぱり軸に、運輸行政の長の責任者として、臨調の問題なりあるいは亀井委員会に言うことは言っていくと、行政はその点できちっとやっていくと、そういうお考えだと、こういうふうに前向きに受け取って間違いありませんか。
  32. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 申し上げるまでもございませんので、国権の最高機関である国会の御意思というものは、これは行政に間違いなく反映させていかなければならぬ、これはもう当然のことでございます。したがいまして、いまおっしゃいましたような趣旨で、私は十分国会の諸先生、各党、また皆様方の御意見につきましては、そのままできるできないという問題はともかくといたしまして、十分に反映をさせて考えさせていただき、そして施策の上にあらわしていくように行政を持ってまいりたいと、かように存じておるのでございます。まあおっしゃることそのまま結構でございますと申し上げるのと同じことでございます。
  33. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それからもう一つだけ。この分割民営問題についていろいろきのうも何か監理委員会がやったそうでありますが、それは内容はわかりません、われわれは。この分割民営という問題について、大臣はもうわれわれ青年部時代から鉄道部長をやっておったベテラン中のベテランの先輩でありますからとやかく言う必要はありませんが、分割民営問題について記者会見で述べておられることについて、その真意はわれわれも酌み取っておるつもりでありますが、新聞報道のとおり間違いがないか。いわゆる北海道、四国等についてはそれなりに適当な方法が考えられる、あるいはローカル線についてはそれなりに第三セクターを含めて考えていく必要があるであろうけれども、メーンラインの問題については、やっぱり経営の一元化ということが必要だということをあなたは説いておられると、こう私は思うのでありますが、この大臣見解といいますか考え方について私の受けとめ方に間違いがあるかどうか、ひとつなかなか言いにくいところもあるでありましょうけれども、支障のない程度でひとつ真意を聞かしてもらいたいと、こう思うのであります。
  34. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) お答え申し上げます。  目黒先生すでに御案内のとおり、第二次臨時行政調査会の答申に国鉄の改革の大きな柱、基本的な柱として分割民営化、民営ではなくて民営化という言葉を使っておりますが、そういうものを掲げておられるわけでございます。内閣は、法律に従ってできた臨時行政調査会でございますし、答申を尊重いたすことになっておることはもう申し上げるまでもございません。また、国鉄再建監理委員会が臨調答申の線に沿って、国鉄の改革について具体的にいろいろ計画その他を打ち出すということになっておることも御承知のとおりでございます。したがいまして、基本的にはそういう線でこれから再建監理委員会がいろいろ御議論をなさる、もうすでにある程度の御議論がなされておるというふうに私ども承っておるのでございます。したがいまして、運輸省としてまだ公的な見解、この問題についてどうであるということを申し上げる段階にございません。政府としては、また政府の中の一省の運輸省として、運輸大臣としては臨調の御答申を尊重すると、こういうことに相なっておるわけでございますから、正確に物を申せば、それ以上のことをいま申し上げる段階にございません。私は、いま御指摘がございましたように長年国有鉄道の経験もございますし、いろいろな経験を持っておりまするので、私見はいろいろ持っております、私見は持っております。実際にどうしたらいいだろうかというよりも、こういうことは大変むずかしいんじゃなかろうかと、困難な問題ではなかろうかというような点については若干の意見を持っておるわけでございますが、国会のこの場所において私が私見を申し述べる立場にいまございません。とにかくここで言い得ることは、分割民営化が本当に役に立つ、国鉄再建のために本当に役に立つと、そして国民の皆さんのためにもなるということでなければならない。これだけは確かである、これだけは確かなんです。ですから、そういう見地からりっぱな案が出されることを私どもは期待し、そしてそういう案をつくってもらうように、私ども先ほど申し上げるように、私どもも意見を十分申し上げるし、それから国有鉄道の立場も、総裁にも申し上げておるんですが、国鉄総裁も総裁の立場から御意見は十分言ってもらいたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。  どうも奥歯に物の挟まったような言い方かもしれませんが、真意はそういうことでございまして、本当に国鉄再建に役立つ、国民の皆さんの役に立つ、そういうような再建方式をお立ていただくようにお願いもしたいし、われわれもそういう方向に向かって努力をいたしたいと、こういうことでございます。
  35. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 公的な問題と私的な問題、二つありましたから、言わんとするところもわかります。しかし、あなたの人格とあなたの経験を尊重して中曽根さんが運輸大臣に指名したんでしょうから、やっぱり自分の主張を通すための努力ということを、これは私は言いっ放し、あなたの答えは要りません、あなたの信念を生かすための努力ということを私は心から要請しておきたいと思います。  ここで、大臣ばかり言ってもしようがありませんから、総裁、総裁は今回就任に当たっていろいろ言われておるわけでありますが、お客さんを大切にする、そういうことを筆頭に言っておりますが、私は同時に第一線に働いておる職員とその家族にやっぱり希望を持たせるということが必要じゃないか。最近私も現場に立ちますと、もうじめじめして何でもこのごろの総裁以下国鉄の幹部は、もう自民党の交通部会とか臨調とか亀井委員会にぺこぺこ頭を下げて一体何をやってるんだと、こういうことで特に若い十代、二十代の諸君などはもう国鉄には魅力がないと、そういうことまでずばずば青年部の諸君が言っておるわけであります。したがって、私はお客さんを大切にするということと同時に、職員とその家族に希望を与えると、そしてやはり労使関係をきちっとすると、組合をそれなりに人格を尊重すると、痛めつけるだけが能じゃないと。そういうことがやっぱり私はいま大臣の話を受けて国鉄再建をやる場合には、新しい総裁の一番大事なポイントではないかと、こう思うわけでありますが、総裁の新任の基本方針を、私の言っておることに間違いがあるかないかを含めて、まず初めての国会でありますから、御見解を聞かせてもらいたいと、こう思います。
  36. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) お答えいたします。  ただいま目黒先生から御指摘がございましたように、私、就任に当たりまして、お客様を大切にということを申しておりますが、と同時に職場に幸せをという言葉も言っておるわけでございます。私、四十五年ほど鉄道に絡んだ仕事をしておりますが、その実感といたしまして私はいま申しました二つのことが私の考え方の基本にあるわけでございます。いま先生から御指摘がございましたように、いままで赤字赤字というようなことで職場の第一線の人たちに決して明るい希望を持つような雰囲気がなかったという事実もあると私は思っておりますが、私はやはり鉄道が毎日ほぼダイヤどおりにこういうふうに動いているという基本は、第一線の職員方々努力の結晶であるというふうに思いますので、ぜひ職場の第一線の方々が幸せになるように、希望も持てるようにというふうな方向で努力をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。先生のお説のとおりでございます。
  37. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ぜひそういう気持ちを持ってやってもらいたいと思うんですが、やはり具体的には、あなたは監理委員会の問題は、応援団という言葉はこれは新聞社の方が使ったのかあなた自身が使ったのかは知りませんが、この監理委員会の問題の位置づけについてはいま大臣から話がありました。しかし、監理委員会についてもやはり言うべきは言うという言葉を使っております。お客さんを大切にする、職員に希望を持たせる、労使関係を安定させるという視点から、やっぱり三十何万の親分としては言うべきは言うということを私は言ったものだと、こう思いますが、やはりどうしても意見がかみ合わない場合もあるでありましょう。しかし、あなたは何といっても国鉄総裁なんでありますから、国鉄職員なり家族の立場に立って労使関係の安定を思って、やっぱり監理委員会といえども言うべきは言う、場合によっては労使一体となって言うべきは言うという場合もあり得ていいではないか、またあるのがしかるべきじゃないかと、それが職員に希望を持たせると、この総裁のためならば命を捨ててもやろうと、そういう気持ちになっていくんではなかろうかと、こう思うんでありますが、この言うべきは言うという視点はどういう基本的な考えで言っておられるのか。やはり全国鉄職員に向かってあるいはOBも含めて家族に向かって、総裁としてやっぱりきちっと言うべきは言うということは何を意味するのか、表明をしてもらいたいなあとこう思うんです。
  38. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) ただいま申しましたように、国鉄がこういうふうに運営されております基本は、役職員一同が一生懸命で努力しているということがベースになっておると思うわけであります。先ほど監理委員会との関係につきましては、細田大臣からいろいろお話がございました。私もその筋に従って行動するわけでございますが、監理委員会といたしましてもいろいろなお考えをお持ちになるわけでございますが、これに対していま先生から御指摘がございましたような実務者の長としての意見というものは、しっかり監理委員会に申し述べなければいけない。この点につきましては、先ほど細田大臣からも国鉄総裁にもそういうことを言うべきであるという示唆をしたというお話がございましたが、そのとおり承っておりますので、いまいろいろな問題について勉強いたし、機会あるごとに監理委員会に対しても私どもの立場からの意見ははっきり申し上げたいという意味でございます。
  39. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 今後具体的な問題にかみ合って総裁に決断を要請する場合もあると思いますが、その際にはひとつ耳を傾けて聞いてもらいまして、やはり決断するときは決断してもらいたいということを要請しておきます。  それからもう一つ、当面のこの五九・二のダイヤ改正、貨物のダイヤ改正の問題について二、三要望しておきます。総選挙の関係もありましたので私も国会に余りいなかった関係もありますから、国鉄側からその後詳細な説明をまだ受けておりません。おりませんが、もうきょうは十九日でありますから、あと二週間足らずでなるわけでありますが、一つはこの貨物の今回のダイヤ改正、大変なやり方の改革と言っては変でありますが、大幅な改革であります。でありますから、私はあなたが人事問題に非常に執念を持っておるということを承って非常に感心しております。したがって、今回の貨物のダイヤ大改正は、この貨物の改正を計画をし、実施をし、そしていま踏み切ろうとしておるわけでありますから、この問題についてあなた方が考えた社会党のわれわれに、組合の皆さんに、第三者の皆さんに一応説明したことが軌道に乗るまでは、私は基本的にこの問題にかかわった人事を中央、地方を含めてかえるべきではないとこう思っております。二年なり三年なりあなた方が考えた問題に一定のけじめをつけるまではかえるべきではないと。その締めくくりをきちっと人事面と運用面でやるべきだと。こういう考えについてどうかと。二番目には、相当程度過剰要員が出るということもわれわれも仄聞しております。また、実態も見ております。この過剰要員についてどの程度の過剰要員であるか。行管からは四万人なり五万人ぶらついているという話も、こう言われておるわけでありますが、やはり過剰要員対策をどうするかということを対内的にも対外的にもきちっとしないと、国鉄はだらしないという社会の批判だけが返ってくるということでありますから、この過剰要員についてどうするのかという基本的な考え。第三点は、いわゆる自治体と業者について一〇〇%オーケーをとったことではないと思うんでありますが、この自治体と関係業者に対して基本的にどういうふうにして御理解を得ておるのか、こういう問題。それから第四点として、この「財界」の三十ページ、これはおたく見られた。この「財界」に出ておる、これは細田前の政調会長もお顔が出ておるわけでありますが、このヤードの後始末について、ヤードの跡地利用について、こういう「財界」とかで言われるようないわゆる一部特定者の利益誘導のために跡地を利用するなんてことはもってのほかだと私は思うのであります。少なくともこれは公共交通をやってきた国鉄を中心とした、そういうものを中心としたいわゆる都市開発あるいは国鉄の従業員の皆さんが幸せになるためのいろんな投資、そういうやっぱりこういうものを大事にして新しい希望を国鉄職員に持たせる、そういうことをすることを通じて日本の経済に運輸業界から参画をしていくと、そういう視点に立って跡地利用を活用を考えるべきであって、特定財閥とか私財者の食い物になってはならない。東京のあそこのところ、新橋の後ろ、あそこは五千億ですから坪百万、坪百万で五千坪、五千億、あそこだけで。ですからそういうことについて私は総裁としてきちっと態度を示すべきだと、こう思うんですが、この四点について総裁の見解を聞きたいと、こう思うんです。
  40. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 第一点の五九・二に伴いますいろいろな施策を実施する。その間に大事について配慮をしろという御指摘でございます。実は私は国鉄の運営の一つの弱点といたしまして、役員並びに管理局長その他部長等も含めまして非常に在任期間が短過ぎるのではないか、もう少し長くいて現場との対話あるいは心の通じ合いというようなものをすべきではないかということを、これも私の考え方の基本として持っております。今度の五九・二のダイヤ改正につきましても、実はそういう観点からいろいろと検討をしたのでございますが、常務理事の任期が参りまして、私も来たばかりでございますので、いろいろ事情を聞きましてやむを得ないかと判断いたしまして交代をいたしましたが、なおこの常務理事国鉄顧問としてしばらく残ってもらいまして、そのけじめをきっちりつけてもらうということにいたしてまいりたいということで承認をしたわけでございます。  過剰人員の問題につきましては担当理事から一回説明させます。  次に、自治体あるいは業界との了解の問題でございますが、これも先生御承知のとおり昨年の初めからこの問題については国鉄も地方との交渉と申しますか、お願いを繰り返しておるわけでございますが、まだ一、二残っておるわけでございますけれども、これらにつきましても最近の情報ではどうやら御理解を得られるというようなことでございますので、支障なく行われるのではないかというふうに現時点では判断をいたして、ぜひ先生の御指摘のとおり百年の歴史を覆すような大きな貨物の変革をやり遂げたいというふうに考えておるわけでございます。  第四番員の御質問でございますが、「財界」等で貨物の跡地につきましていろいろな話が出ておることは私もよく承知しております。実は細田大臣からも御就任直後に国鉄の土地というものは大事にしなければいけないという御注意もございまして、実は私もでき得ればいま先生の御指摘のございましたような国鉄自体で開発するというようなことにつきまして何とか考えていきたいと思いますが、これらにつきましては金の問題あるいは法律的な問題等も絡んでまいりまして、今後もう少し勉強いたしましてまたいろいろお願いをしなければならぬと思いますが、いま細田大臣の御指摘もございますので、先生の御指摘のとおり進めてまいりたいと思っておりますので御了承願いたいと思います。
  41. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 御指摘のありました過員の問題についてお答え申し上げます。  行管で五十六年度お調べになりました時点は、昨年の一月の時点でございまして、五十七年十一月に約一万二千人のダイヤ改正による合理化をいたしておりましたんで、行管がちょうど御調査になった時点は現場に相当な過剰人員がおったということは言えると思います。しかし、その後五十七年度末に二万七千人退職をいたしておりますので、総体の数字の中では一応つじつまは合うといいますか、そのような現象が生じないというふうになっておるわけでございますが、ただ地区あるいは職種によりましては若干そういう現象が目立つ点があるかと思います。  五十八年度に入りまして合理化が促進いたしますにつれてそれぞれの現場に過員が生じ、それらはことし三月にやめる者の穴埋めで解消を図るわけでございますが、そのためには今年度どの程度の退職人員が見込めるかということとの関連でございます。特に今年度は二万八千九百人もの要員削減を計画いたしておりますし、退職人員は年金が一年延びました関係でわれわれが予想しているほどやめないというふうな現象が生じますと、先生指摘のように過員が生じるという現象が出てくると思います。したがいまして、私どもは、過員が出ましたならば増収活動に活用する、あるいは無人駅を巡回するとか、あらゆる方法を通じまして国鉄経営改善に積極的に役立つように、それぞれの地方局で知恵を出して活用を図っていく、あるいはいろんな職種転換の教育等も実施して、職場でぶらぶらすることのないように活用を図っていくという所存でございます。
  42. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間がありませんから要望をしておきます。  行管から四万何千人とかというこの新聞が出てきますね。まあ行管に私は文句があるんですが、総選挙の真ん前に、幾ら国鉄が憎たらしいからといって、公示直前の十一月の三十日ですか、いまから選挙をやらんとする直前に、国鉄は四万人ぶらついてるなんという新聞でやることについては、政治的意図がなとこう思っているわけですが、きょうはまあ議論しません。しかし、あなたが、いま三坂常務がそういう気持ちであるならば、ああいう記事が出た場合には国鉄はしかじかの理由でこうなんだということをやっぱりプレスに発表して、不要な誤解を解くためにもやっぱり努力をすべきじゃないか。それを放任しておいてここで何ぼ弁解したって、もう新聞社が発表した問題についてはぬぐい切れない、いわゆる国鉄職員はだぶついて遊んでいるというイメージを与えている何物でもない。したがって、こういう提起に対しては時期を失せず的確にしかじかだということをやっぱり反論して、あるいは説明をして国民の誤解を解くという努力は今後とも私はすべきだとこう思いますから、これは要望として言っておきます。答えは要りません。  それから、時間がありませんから次は関西空港の問題について二、三いたします。運輸省にかかわる、国鉄にかかわる問題で、丸森線の問題であるとか、あるいは仙台の仙石線の問題であるとか、あるいはまるかんタクシーの問題、旭川におけるハイタクの問題などについては準備したんですが、いろいろ行政側、関係者で現在努力中だと、こういうことでありますから、きょうは質問を保留いたしますから、その関係で御出席の皆さんにはおわびいたしますが、よろしくお願いしたいと思います。  最後に関西空港問題でひとつお伺いします。  私は十一月の七日に関西空港に関するいろんな問題についてまとめて質問をいたしまして、十五日に答弁書をもらいました。しかし、どうしても私は納得できないのは、いままで大蔵省関係が関西新空港の問題について、非常に計画がずさんである、あるいは内容的にまだまだ詰めなければこれだけ巨大なプロジェクトをやることについては問題があるというふうに再三指摘しておったわけであります。最近でも、去年の十一月の六日、五十八年十一月六日の各社の新聞を見ましても、運輸省案は問題にならぬというふうに、高飛車といいますか、そういう見解を表明しておったわけでありますが、私の質問書に対する回答には全然そういうことが触れてない。したがって、大蔵省は今回の関西新空港の問題についてどういう態度をとっていらっしゃるのか、関西財界にねじ伏せられたのか、あるいは某新聞が言っているとおり、竹下大蔵大臣も関西の皆さんにやられちゃったとか、あるいは運輸省がなりふり構わずにとにかく着工すればいいんだとか、そういうことがあるわけでありますが、いままでの大蔵省の対応運輸省対応についてどういう変化があったのか、基本的に大蔵省、運輸省見解を聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  43. 山本長

    説明員(山本長君) 昨年八月末の概算要求におきまして、運輸省から財政当局に対しまして関西国際空港の事業主体の設置に関する概算要求を提出したわけでございます。この要求の背景になっております考え方と申しますのは、先生も御存じのとおり、空港の基本的な施設につきましては全額政府出資の公団でもって建設し運営に当たる、一方、空港の附帯設備と申しますか、ターミナル地区等の整備につきましてはこの公団と地方公共団体及び民間経済界の出資にかかわるいわゆる第三セクターでもって建設し運営していただく、こういう構想を背景として大蔵省に対しまして出資の概算要求をいたしたものでございます。  この概算要求をいたしましてから、大蔵省と種々いろいろ激しい折衝がございました。また現段階においてもその状態でございます。ただ、この要求をいたしましてから財政当局との議論の中で、この私たちの事業主体につきまして、なお厳しい現財政事情というものをやはりもう少し深く配慮すべきである、全額政府出資公団ということではなく、やはりもう少し行財政事情も十分配慮すべきであるとか、あるいは民間活力の積極的な導入を提唱した臨調答申の趣旨を尊重する必要があるとか、あるいは従来方式の公団方式よりは、国、地方公共団体、民間経済界が一体となった協力責任体制をつくることが望ましいではないか、法人形態としては弾力的効率的な企業的経営が可能となるようなことが望ましいではないか、こういうふうな意見もあり、また私たちも、そのような観点からはこの事業主体構想においてそういう考え方を取り入れるべきであるというところから、本年一月早々でございましたけれども、空港を一元的に建設運営する事業主体として、特別立法に基づくところの株式会社により本事業を実施したいということで、要求の変更を行った次第でございます。  この時間が短い時間でございますけれども、いままでの折衝経緯を踏まえ、私たちとしては、現下の情勢においてこういういろんな情勢を考慮いたしました事業主体について、どうしてもこの案で認めていただきたいということで、現在なお折衝を重ねておる、こういう段階でございます。
  44. 涌井洋治

    説明員(涌井洋治君) 大蔵省といたしましては、本事業着手のためにはまず採算性を確保することがこれが必須の条件であると考えておりまして、それは従来と全く変わっておりません。そういう前提に立ちまして運輸省とこれまで議論を重ね、検討を続けているところでございます。
  45. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大蔵省が五十八年十一月六日に、これは公式に発表したかあるいは非公式がはわかりませんが、各社が共通しておることですから多分大蔵省の意思だと思うんですが、いわゆる公団と第三セクターを統合する、それから地元負担を拡大させる、三つ目には建設場所を内陸に近づけて事業費の圧縮を図る、こういうことについて運輸省側に意思表示をしたというふうに報じているんですが、これは間違いありませんか。
  46. 涌井洋治

    説明員(涌井洋治君) 運輸省との議論の過程では種々いろんな議論をしていることは事実でございますけれども、その議論の経過についてはこれは答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  47. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この公団と第三セクターの統合の関係はいま航空局長から新会社設立の関係についてちょっと話がありましたからそれはわかりますが、しかし、私は、いま大蔵省が言っていた問題とちょっと食い違うのは、運輸省は五十八年の七月八日、事業主体構想案発表という中で、地方自治体、地方の負担を五百二十億負担せいという内容を発表した。ところがことしの一月の六日の新会社の地元負担を見てみますと二百億になっている。私の答弁書にもこの点はあいまいもことしている。やはり国の財政が厳しいから地方の負担を出してもらう、あるいは中曽根さんの民間の活力活用という点から見ると、去年は五百二十億、ことしの一月は二百億ということは、何か言っていることとやっていることが全然チンプンカンプンだ、こうなっているわけでありますが、なぜこんなに地方負担が後退してしまったのか。これはどっちですか、運輸省ですか大蔵省ですか、ひとつ後退した理由を聞かしてもらいたいです。  それから大蔵省は、従来地方負担をふやせと言っていた主張から見ると、この現状を大蔵省はきょうあすの予算の内示の際にどういうふうに、仕方がないと思っているのか、もっと努力せいと、こう思っているのか、大蔵省の見解を聞きたいと、こう思うんです。
  48. 山本長

    説明員(山本長君) 先生に質問主意書でお答え申し上げましたときに、なおいろいろ調整中でございますから、詳しい数字のことは書類として先生に差し上げた数字には載っておらないわけでございますけれども、私たちが当初の二本立ての事業主体として要求いたしましたときの考え方といたしましては、地元負担と申しますか、地方公共団体からは、この事業費のうち出資として第三セクターに対しまして三百五十億を期待いたしたい、民間出資といたしましては百七十五億期待をいたしたい、合計の数字先生ただいまおっしゃられた五百二十五億でございます。今回私たちが修正要求をいたしました株式会社方式によりますところの全体の基本構想は、地方公共団体として二百億円、民間、経済界として二百億円、合計四百億円という考え方を背景といたしておるのでございます。これは出資の額でございます。出資の額につきまして五百二十五億円と四百億円ということで差がございますが、これにつきましては地方公共団体あるいは経済界との協議調整の結果、かかる数字にいたしたわけでございまして、また将来の株式会社でございますから配当ということを考えましたときに、その配当負担というものを小さくしていくという配慮もあったわけでございます。  そこで、先生がお尋ねのこの地元負担と申しますか、先生の御質問の中には地方公共団体と民間とをあわせて地元とおっしゃっているように理解するわけでございますけれども、私たち出資についてはこういった考え方でございまして、この比率は国が三分の二という数字になります。それから地方公共団体と民間あわせまして三分の一という比率になるのでございます。それに対しまして私たちが八月段階提出いたしましたものは国が七九・三%、約八割、それから地方公共団体と民間をあわせまして約二割、こういうことでございます。こういった比率から見まして地方公共団体と民間との出資の比率というものが高まっておるということが言えると思うのでございます。ただ、金額的に見まして、出資の額だけを比較いたしますと先生のおっしゃるとおりではございますけれども、この会社に対する支援の形といたしましては出資だけではございません。この会社に対する特別の低利の融資あるいは無償資金の融資、こういうふうなことを引っくるめて地方公共団体、民間の負担あるいは国の負担ということを考えていかなけりゃならぬわけでございますが、非常に複雑でございますので説明を省略させていただきますが、その基本的な考え方はいま出資のところで申し上げました三分の二を国で、三分の一を地方公共団体と民間ということで負担をしていただく、こういう基本的な考え方でもって計画をつくってまいりたい、現在の計画もそうなっておる、こういうことでございます。
  49. 涌井洋治

    説明員(涌井洋治君) 現在大蔵省におきましては、運輸省からこの一月に改めて出し直されました特殊会社案につきまして、出資、低利融資を含めてどの程度の金利負担軽減が図られているか、採算性の見通しがどうなっているかについて検討を進めているわけでございますけれども、今回の案の方が出資だけでなく低利融資を含めて総合的に勘案しますと七月段階よりも地元公共団体、財界の負担は大きくなっているとわれわれは理解しております。
  50. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、大蔵省、五十九年度あなたの方で、二、三日前の新聞で出ておったわけでありますが、資金運用部資金の貸し付けについて、地方自治体の関係の穴埋めについては停止をする、五十九年から。資金運用部、おとといかな、日本経済の新聞国鉄関係も一千億カットなんという見出しで上がっておったでしょう。これは資金運用部の郵便貯金とか簡易保険などのあれが入りがなかなか悪いんで地方公共団体への貸し付けは停止する、こういう通達が出ておったようですが、これが実施されると、あなたの方は負担金について前回よりもいいと、公共団体とか民間の負担が。一面では資金運用部の貸し付けを地方の貸し付けを抑えますよと。だと地方自治体はなお苦しくなるんじゃないですか、五十九年度から。金の出どころはびっびっと締めておって、こっちの負担の方は結構ですと言ったら、地方自治体これは干し上がるだけじゃないですか。そういうことはこれ可能なんですかね。私の常識では、貸し付けは貸さないよ、出す方だけ出せよと言ったんじゃ、地方自治体パンクしちゃうじゃないですか、これ。関西空港にかかわる大阪とかあの辺の自治体がパンクしちゃうじゃないですか。その点はどうなんですか、財政的に、大蔵省。
  51. 涌井洋治

    説明員(涌井洋治君) 具体的な個々の自治体の財政状況についてわれわれ承知しているわけでございませんけれども、今回の運輸省の案につきましてはその運輸省案の出資を前提にして了解が得られているとわれわれは運輸省から聞いております。
  52. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、運輸省説明している各地方自治体が金を出資することについては、五十九年度のこの貸し付け停止の通達は適用しないと、そういうふうに考えていいんですか。この私の書面では全般的に甲乙なく適用すると、こう読んでいるんですよ、資金運用部の貸し付け停止。ところが、あなたは地方自治体知りませんなどということは、裏を返せば運輸省がやっていることについてはこの通達の例外として地方自治体が穴があけば貸しますよということに聞こえるんですが、運輸省その点はどうなんですか、大蔵省と。
  53. 山本長

    説明員(山本長君) お答えさせていただきます。  先ほど私の答えの中で地方公共団体、民間含めまして在来の案に比べまして負担が大きくなっている、こう申し上げましたが、これを地方公共団体と民間というふうに分けてみますと、地方公共団体の負担の比率というものは若干当初の案よりは高くなっておりますけれども、さして大きな負担の増にはなっておりません。また、来年度におきましては、この大きな計画の中の取りがかりの時期でございます。長い将来の問題はともかくといたしまして、来年度につきましてはさしたる大きな金額ではないと私たちは考えておる次第でございまして、地方公共団体につきましても、この事業主体につきまして中心的な役割りを果たしていただくことになると考えられております大阪府につきましても、この案につきまして御賛同を得ておる次第でございますし、またこの大阪府につきましては、自治省また大蔵省というところとも関係をいたしておるものでございますので、私たちのこの要求が実現できるように自治省、大蔵省もこれをお認め願いたいということで現在折衝を続けておると、こういう段階でございます。
  54. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間が来ましたから、これは大蔵省と運輸省、予算編成の関係で出たり入ったりしておったものですから、どこまでできょう切り上げていいのか、もうけさまで、けさになっても大蔵省との関係で、質問をやめてくれ、いやあしたに延ばしてくれ、いやこうすれ、ああすれと、こう、もう質問するほど、ほんとかっこう悪くて、私もまあまあまあまあ、ですからここはやめますが、引き続きあした建設省関係ありますから、この続きは明日、関西新空港と建設省関係はきちっと関係ありますから、あす建設省関係のところでいまの問題の続きをやります。どうしてもその両方の関係は、答えは納得できません、私は。ですから、あす引き続いてやることによって、さらに大蔵省が悪いのか、運輸省が悪いのか、両方がいいのか、私が悪いのかを解明したいということで、時間の関係もありますから、ここでやめます。では明日やります。
  55. 本岡昭次

    本岡昭次君 まずNHKにお伺いをいたします。  NHKが、放送衛星など新メディアの開発と受信料問題がどうかかわっていくのかということについて尋ねたいと思っています。  四日後の一月二十三日には初めて実用放送衛星BS2aが種子島宇宙開発センターから打ち上げられ、ことしの五月ごろには衛星からの放送が開始される予定と聞いています。打ち上げ当日私も科学技術特別委員会のメンバーとして種子島に視察に参りますので、この問題については私は非常に大きな関心を持っております。これによって放送界は、過去のラジオからテレビへの変革にも匹敵する革新的なニューメディアの時代に入り、新たな質的転換を遂げるものと私は思っています。技術革新がもたらしたこのような画期的な時代の転換期に当たり、その背後でこのニューメディア開発には多額の経費を必要とすることを改めて思い起こし、その費用を一体だれがどこまでどのように負担するのかという問題を十分論議することが必要だと私は思っております。この観点から若干の質問をしてまいりたいと思います。  まず第一点は、BS2の経費についてでありますが、NHKはBS2開発、打ち上げのための費用分担として総額約六百十億円の六割、三百六十億円を年度ごとにどのように予算措置をしていくのか。またBS2本体については減価償却していかなければならぬと思いますが、そうした関係の予算措置はどうなのか。さらに、衛星放送実施のための送信設備の整備、番組制作など費用も相当かかると思いますが、一体どのぐらいかかるのか。また、多額の諸経費が必要になってくると思いますが、そうした諸経費の合計額はどのぐらいになるのか。こうした費用面について一括お答えいただきたいと思います。
  56. 坂倉孝一

    参考人(坂倉孝一君) ただいま先生からお話ございましたとおり、来週にはわが国で最初の実用の放送衛星が打ち上げられるわけでございますが、私どもは、五十五年度以降国会で御審議をいただきまして予算措置をいたしてまいっておりまして、これまで約二百三十億この製作、打ち上げのための経費があるわけでございますけれども、今後の必要見込み額を含めますと、この六機それからその後予備機が上がるわけでございますけれども、これを合わせますと、いま先生お話ございましたように総額で三百六十億円が見込まれているわけでございます。  それから、そのほかにつきましても、いろいろこの衛星のほかに、この衛星に番組を送りますような施設の整備といった面もございますし、それからこれに乗っける放送の内容といったようなものもあるわけでございますけれども、この放送につきましては、これは難視聴の解消をするというのが大きな目的でございますので、当初におきましてはそういった番組の経費というものはそれほど大きな額ではないわけでございます。しかしながら、減価償却といったことでは、やはり相当な額も見込んでいかなければならないわけでございますけれども、この減価償却は所定の方法によりまして、これは定率法によりまして行っていこうと思っておりますけれども、こういった諸経費は五十九年度以降では三カ年で約五百億程度というふうに見込んでいるわけでございます。
  57. 本岡昭次

    本岡昭次君 第二点として、BS2の料金というんですか、これに伴うところの費用、それと有効利用について伺っておきます。  このBS2のチャンネル数は二で、この二つのチャンネルはすべてNHKが使用をするということになっています。そうすると、NHKの負担は、すなわち受信料という形で視聴者にこれははね返ってくる。当然そういう仕組みになりますが、この二チャンネルの放送は、いまも説明があったように四十二万という難視聴世帯解消のためということですが、そのための多額の負担をその他三千万近い視聴者が負うという結果になりますが、こうした問題について国民の納得を得ていかなければならぬと思いますが、そういう点についてどのような努力をNHKとしていま払っていますか。
  58. 坂倉孝一

    参考人(坂倉孝一君) NHKといたしましては、テレビ、ラジオを含めまして、放送の全国普及ということがNHK存立の大きな目的でございまして、私どもは放送開始以来この全国の放送普及ということに努力をしてまいったわけでございます。しかしながら、地上施設によりまして全国の難視聴を解消するということは、非常に難視聴地域が散在をしてまいります今後ということを考えますと非常に経費的な負担も多いわけでございまして、これはやはり科学の進歩とともにこういった放送衛星というような、一挙に難視聴の解消を図れるといった形でもって、この全国に放送を普及するという義務を果たしていきたいというふうに考えるわけでございます。この地上施設との対比で申しますと、結論的に申し上げますと放送衛星の方がメリットがあるわけでございますけれども、いま先生指摘のとおり、確かに放送衛星というのは多額の経費を要するわけでございます。しかしながら、そういった一挙に難視聴を解消するというメリット、それから私どもは、やはり冒頭先生がお話しになりましたように、今後の将来というものに向かいまして放送衛星というものが持っております。その可能性というものを、やはり未来に向けて考えていかなければならないんではないかということで、段階的に今後ともこの放送衛星についていろいろな難視聴解消、あるいは同時に普及ということについても十分配慮してやってまいりたいと思いますけれども、ただその経費の面につきましては、やはりNHKの持つそういう本来の使命というものを十分御理解をいただきまして、視聴者、国民各位の納得のいく方向というものでいかなければいけないと考えますので、NHKといたしましては、今後の経営の目標に、経営の効率的な推進ということを第一に挙げまして、そういった効率的な事業運営を図りながら、こういった点に対する努力も十分国民の皆様の御理解を得るように放送を通じまして、あるいは視聴者会議等国民の直接の視聴者の方々の御意見を伺うといったような場を通じまして、こういった御理解を得るよう努力をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  59. 本岡昭次

    本岡昭次君 私は、余り国民の理解を得るような努力が払われていないと思うからいま質問をしているんですがね。最近、放送衛星の問題でNHKはよくテレビでいろいろやっていますが、その負担が国民のところへはね返ってくるというところはすぽっと皆落ちて皆説明、いいことはいいことはでやっているわけで、そこはちょっと片手落ちだと思うんです。  そこで一つの案ですが、放送衛星が上がってそこから衛星放送がされると、これは新しい放送サービスなんですが、それは非常に選択的なもので全視聴者を対象とすることにならぬわけですから、この衛星の放送を受信する人だけには特別の受信料を取って、徴収してその維持をやっていくということも考えられぬことないと思うんですが、どうですか、その辺は。
  60. 坂倉孝一

    参考人(坂倉孝一君) 先ほど申し上げましたように、当初におきましては、これは難視聴解消ということを大きな目的といたしましてこの衛星放送を実施していくわけでございますけれども、やはり先ほどNHKの将来の経営計画についての審議会を昨年設置いたしまして、そこでいろいろ学識経験の先生方の御意見もちょうだいして昨年末に答申をいただいたわけでございますけれども、やはりその答申書におきましても、将来についてはそういった方向も検討すべきであるという御趣旨の提言をいただいているわけでございますけれども、私どもとしては、当面はやはり難視聴解消ということでこの総合料金ということでやっていくべきであるというふうに考えておりますけれども、将来やはりこの衛星放送による受信機がどういった速度で普及していくか、なかなか予測しがたいわけでございますけれども、やはり将来につきましては、十分普及状況等を勘案しながら先生の御趣旨の点についても検討を深めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  61. 本岡昭次

    本岡昭次君 もう一つの問題としてNHKの巨大化、肥大化という問題があると思います。NHKは放送衛星によって新しく二チャンネルを加えて、地上局の現在のテレビ一波、ラジオ三波に合わせて計七つの電波を持つということになります。かねてからNHKの肥大化、巨大化についてはいろんな批判がありましたが、このことからさらに私は、NHKに対する批判がそうした観点から強められると思います。そして、先ほどから盛んに私が言っておりますように、そのことは結局、受信料に皆はね返っていく。新しいことはみんないいことなんだ、だからいいことをやるんだから国民の皆さんも負担してください、そして、受信料が上がったってしんぼうしてください。精度の高いいいテレビが見られるんですからということだけでは私はいかぬと思うんですが、NHKは、今後こうした七つの電波を独占するというんですか、そういうことについてより国民的にどういうことを考えているのかということと、最後にいま言いましたように、新しいメディアをどんどんと開発していく、そのことによって五十九年から六十一年までの間に、この三カ年の費用を見た場合に千五百四十八億円の累積赤字というものが予想される、これはひとつ視聴者の皆さんの御理解を得て何とかせにゃいかぬだろうというふうな報告が出ている。そういうこと全体を考えたときにいいまのままの対応では、私は国民の理解は得られないんじゃないか、こう思いますので、再度その点についてお伺いして終わりたいと思います。
  62. 坂倉孝一

    参考人(坂倉孝一君) まあ今後の放送ということにつきましては、当初先生から御指摘のございましたように、やはり非常に放送環境といいますか、将来に向かって大きな転換の時期を迎えていると考えるわけでございます。やはりそういった状況の中で、この放送衛星の持つ意味というものは非常に大きいわけでございまして、私どもはこれまでこういった新しい将来に向けての研究開発ということに努力をしてまいったわけでございまして、やはりその成果というものは視聴者の皆様、国民にお返ししていくということが一番重要なことだと思うわけでございますけれども、確かに先生指摘のとおり、私どもが国民の多様な要望におこたえするのは、どこまでも拡大をしていけばいいというような考え方に立つものではございません。私どもは、今後の経営の大きな目標を効率化の徹底ということを立てまして、その中で大きな要員の削減計画等も含めまして徹底した効率化方針でもって進んでいこうというふうに考えているわけでございます。そしてこの波の数、放送系統の問題に対しましても、これはなかなか将来を予測する、いつの段階でどういったような普及状況になるか、あるいはこの社会状況、経済状況の中でそれをどう考えるか、予測が大変困難でございますけれども、私どもといたしましては、その社会的な理解と納得をいただけるような効果的な放送体系あるいはその経営規模といったようなものも十分考えながら、視聴者の方々の御理解を得る方向に努力をいたしたいというふうに考えるわけでございます。
  63. 本岡昭次

    本岡昭次君 どうも質問が十分かみ合わなくて残念ですが、最後に私の方から要望をしておきます。  いま諸物価が公共料金の値上げを中心としてどんどんと上がっていっている。減税を相殺してしまうような増税が用意されているということの中で、NHK問題が、また公共料金問題として国民の負担にはね返っていくということは、当然新しいメディアをどんどん開発していくということの、中から想定をされるわけで、そういう観点から私はいま質問をしたんですが、いま専務の方からあったように、国民の十分合意と納得というものをどういう形で得ていくのかということについては、ひとつ慎重に対応をこれはしていっていただきたい、こう思います。もちろん、NHKの料金が昭和四十年の初めごろからの諸物価の引き上げられる状況から見れば、一番低位にあるいうことはよくわかります。諸外国の中でも受信料は安いということも理解はしておりますけれども、そういった面について何回も言いますけれども、本当に国民の受信料によって賄われているNHK。だから、十分納得と合意によってそうした負担増の問題については時間をかけて考えられていくべきだという点を特に要望しておいて終わりたいと思います。  それでは、次に郵政省に伺います。  会計検査院決算報告の問題について目黒委員の方からもうすでにちょっと質問がありましたが、私は、五十七年度の決算検査報告の中に見られる問題を中心に、郵政省内にある、起こっている不正問題についてただしてみたいと思います。五十七年に指摘されてある特徴的なことは、管理者である特定郵便局長が十二年間にわたって三億六千万円という多額の不正行為をやったということが特徴であるわけなんですが、先ほど目黒委員からありましたように、毎年毎年そうした不正行為があって、そのたびに遺憾であります、一生懸命防犯をやります、これから起こさないようにやりますと言っておってもやはりこういうことが起こる。一体その防犯管理の責任者は、この特定局の局長が十二年間にわたって三億六千万円という高額の予想もできぬようなことをやってのけたこのことについて、どういう所見を持っているかお伺いしたいと思います。
  64. 加藤祐策

    説明員加藤祐策君) 御指摘の元赤池郵便局長太田某の事案につきましては、まことに言語道断でございまして、弁解の余地のない事案だというふうに考えております。ただ、私ども監察官といたしましては、先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、七百人の監察官と二百人の監察官補、その他事務職三百人の倉計千二百人で考査、捜査、調査等の事務を処理しているわけでございますけれども、赤池郵便局につきましても、実は二年に一度考査を行っております。残念ながらその考査で太田某の犯罪を見つけることができなかったわけでございまして、この点は監察といたしましてもまことに残念に思っている次第でございます。と申しますのは、太田某が行いました犯罪行為は主として定額貯金の預入と払いでございますけれども、お客さんとの関係と役所内の処理を別にいたしております。つまり役所の中の書類を見ますというと、それはそれなりに矛盾がないようにでき上がっているわけでございます。お客さんの中には、その局長を非常に信用いたしまして、うちに置いておくよりは局長の方で預かってくれというようなことで証書その他を局長に預けておりまして、それをよいことにいたしまして、彼が長年にわたって郵政省始まって以来の未曾有の犯罪を引き起こしたと、こういうことでございます。  監察といたしましては十分に反省もいたしておりますし、これからこういう事案に取り組むべく、まず第一番といたしましては、太田某が行いましたのはまだ郵便局の作業が手作業でございました時代でございますので、現在はオンラインのリアルタイムになっておりますから同じような犯罪は起こせないというふうに考えておりますけれども、それでは絶対に起こせられないかということになりますというと、いまここで申し上げるのはいかがかと思いますが、悪く考える者にはやるチャンスはまだ多少残されていると。そういうものにつきましては監察が徹底的に追及をするあるいはお客さんとの間に入りまして調べさしていただくというようなことで対応してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  65. 本岡昭次

    本岡昭次君 第一線で、雨の目も風の日も雪の日も、車に乗って千円というような零細な金額を献身的に集め回って、郵便貯金の業務に専念している外務員の皆さんのことを思うと、本当にこれは許せないと思うんですよ、こういうことを。本当に私は腹が立ちます、そういう立場から。  そこで、もう一問だけこの点についてちょっと聞いておきたいんですが、五十二年度の国会に対すも郵政省説明書というのがありますね、こういう不当事項が起こったときにこういう対応をしますと。そこにはこういうことが書いてある。「全特定郵便局長を対象とした特定郵便局長防犯対策打合せ会の開催その他業務取扱上必要な防犯対策」をやっていく云々と、こう書いてあるんですよ。このときすでにもうこれは行われているわけです。  そこで、私が思うのは、この局長は二十年もそこに勤務しておったと、局長として二十年間いたという問題と、それと局長自身が非常にギャンブル狂で、あるいはまたオートレース場なりに出入りしていたとか、絶えずそうした犯罪と結びつく要因というものがあるというふうな状況にあっても、なお特定郵便局長であるがゆえにその問題に具体的にメスを入れられなかったというところに僕は最大の問題があるんじゃないかと思うんです。これが他の職員であれば、ギャンブル狂であるとかあるいはどうもこれは私生活がよろしくないぞといったらそれはかえるでしょう、異動をさせるとか。そういうことがあっても、それであなたがおっしゃったように考査に入ってもやっぱりわからなかったというところの一つの原因にそういうものがあると思うんですが、あなたどう思いますか。
  66. 加藤祐策

    説明員加藤祐策君) 五十五年に御指摘のようにうわさが飛びまして、私どもの方でも一応の調査をいたしました。飯塚にございますオートレース場に頻繁に通っているようだといううわさがございました。それに基づきまして調査をいたしましたが、その時点では実は飯塚から山口県の山陽というオートレース場の方に移っておりまして、私どもの方で現認をすることができなかったという、これは監察のミスでございますけれども、ございました。  それから一般的に管理監督の立場にあります者は、普通局とか、われわれでございますというと現金にさわるとかあるいは証書にさわるという機会がございませんので、犯罪を犯すということが不可能なんでありますけれども、特定局長には貯金の奨励や保険の募集等を課してございますので、そういう外野活動をする。それからもっと小さい局になりますというと局長自身が窓口に座って事務を取り扱うと、こういうことになっておりますので、一般の職員と同じように犯罪を犯す危険と誘惑、その他もろもろ同じようにあるというふうに考えております。しかし管理者でありますから、厳しくこれに対応しなければならないということは事実でございまして、おっしゃいますように、五十三年の御回答申し上げました内容に基づいて、五十三年の二月から九月まで全国の特定局、一万八千ほどございますけれども、全局のローラー考査を実施したわけでございますが、この際も残念ながらこの赤池事件については見逃してしまったと、こういうことでございます。
  67. 本岡昭次

    本岡昭次君 特定郵便局長がこういう犯罪を犯したときの上司の責任というのはだれがとっておるんですか。
  68. 三浦一郎

    説明員(三浦一郎君) 特定局長のあれでございますが、当該郵便局を管理監督すべき地位にあった地方の郵政局長それから地方監察局長、それにこの責任がございまして、これに対しましては厳重注意ということにいたした次第でございます。
  69. 本岡昭次

    本岡昭次君 大臣大臣の在任中ではございませんが、これからのこともありますので、こうした不正事項についての、絶対これをなくしていくという事柄についての大臣の決意を伺って次にいきたいと思います。
  70. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) いま本岡先生指摘の赤池事件報告を就任早々聞いたわけでございますけれども、大変なショックを受けました。本当に汗とあぶらの結晶とも言うべき大事な預貯金を預かっておる、しかも特定郵便局長という管理職、しかも責任者としての犯罪でございますし、大変長期にわたって空前の多額の横領をやったという形で監察官から報告を聞いたときに、私自身本当に何ともやりきれない、いまも申し述べましたけれども、全く弁解の余地なしという悪質な事件であると思っております。しかも、太田某なる人は何か地域の非常に小まめに世話をする名士であった、しかも預貯金者の絶大な信用があって、何でも預けっぱなしで任されておったくらいに、非常に小まめな世話役で通っておったようでございます。職員の信用も非常に厚くて、残業も率先してやる——これは悪いことをするために結果からいくと残業しておったわけでございますけれども職員間の信用も含めて大変なそういった形では人気があったということで、こうした多額犯罪に及ぶ間に予知できなかったことはまことに遺憾でございます。  そういうことから申しまして、私も今後こういった特定局に対する監察の強化はもちろんでございますが、基本はやはりこういう大切なお金を預かっているという局員、職員のモラルの問題でもございます。防犯意識を高揚することはもとよりでございますし、こういった予知も含めて定期的な監察を強化してまいることを命じました。そしてまた、システム化と申しますか、オンラインが形成されてまいりましたので、こういった形のシステムを急ぐことによりまして、できるだけこのような犯罪というものを撲滅しなきゃならぬと思っております。今後ともひとつ厳重にそういった意味で、監察官はもとより、職員のモラル高揚に全力を挙げてまいりたいと思っております。
  71. 本岡昭次

    本岡昭次君 国民のための郵便貯金ということで、私も郵便貯金業務そのものに大きな信頼を置いてますし、これが一層これから発展をしていかなければならぬという立場で、こうした不正行為そのものを絶滅していくように努力していただきたいと思います。しかし、先ほど言いましたように、それのよって来る原因が制度というものにやはり幾つかの原因となるものがあるというふうに考えられる場合は、大胆に制度そのものも変えていくべきではないかという気がします。それは先ほど言いましたように、特定郵便局制度という問題につきまして私はかねがね疑義を持っていたんですが、今度の問題も言ってみれば全国の九四%が特定郵便局であるということを考えてみるときに、これは重要な問題だと思います。そこで、一万七千七百一人、これだけの特定郵便局長がいるわけなんですが、この局長の任用という問題については他の郵政職員と違った方法がとられているというふうに聞いていますが、いまどういう任用方法がありますか。
  72. 三浦一郎

    説明員(三浦一郎君) 特定郵便局長の任用でございますけれども、これは国家公務員法とそれから人事院規則に基づきまして、競争試験以外の能力の実証に基づく試験、選考という形で行っております。それで、具体的には特定郵便局長任用規定、これでやっておりまして、この規定によりますと、特定郵便局長、年齢は満二十五歳以上の者、それから相当の学識才幹ある者、こういった者を任用する、こういうことにいたしております。
  73. 本岡昭次

    本岡昭次君 国家公務員法ができて三十七年も経過をしておりまして、その法律に基づいて郵政職員は初級、中級、上級職のそれぞれの採用試験を受けて、そして勤めているわけなんですよ。特定郵便局の中に現在局長代理とか、あるいは主事、主任、そうした郵政職員として採用されて、それは試験採用なんですが、そして働いている人がいると思うんですけれども、三十七年もそうした制度が定着し、優秀な人材がたくさんいると思うんですが、その人材を差しおいて、先ほど言ったように全国の一万七千七百一人も別の任用で局長が任用されるということがどうも私は合点がいかない。もうこの段階にくれば局長代理とかあるいはまた主事、そうした立場にある人たちを部内からどんどんと局長に任用していく、そういうことによって今回のような犯罪を防止していく一助にしていく、こうしたひとつ大胆な特定郵便局長の任用問題について検討を加えるという考えはありませんか。    〔委員長退席、理事目黒朝次郎君着席〕
  74. 三浦一郎

    説明員(三浦一郎君) 国家公務員法施行三十数年たっているわけでございますけれども、特定郵便局制度、郵政事業とともに百年以上の歴史があるわけでございます。そして、当初からいたしまして特定郵便局長、特定郵便局というものを地域に密着いたしまして郵政サービスを提供する、こういったことのために地域で信望のある責任感と活動力のある人物、これを広く部内外から簡抜する、こういった方針を持ってまいってきたところでございます。こういったものでございますけれども、なお現在、特定郵便局長、普通局あるいは特定局の管理者から主事、主任、これらからも任用いたしております。ちなみに昭和五十七年度の特定郵便局長の任用総数約千二百でございますけれども、そのうち主事クラス以上の役職職員からの任用者、これは約六割強ということになっております。
  75. 本岡昭次

    本岡昭次君 いま主事クラスから部内の登用が六割に達している、こういうことですが、参考までに、そうしたら部外の任用というものがあるんですが、また世襲制によって局長になっていかれる方、あるいは局舎を提供したことによってなるという方もあるように聞いておりますが、それではそういう人たちは他の四割の中ではどういう割合を占めておるんですか。
  76. 三浦一郎

    説明員(三浦一郎君) 世襲ということはございませんで、基本的にはあくまでも特定局長任用規定に基づきまして選考によって採用するというのが基本でございます。それで、五十七年度におきまして、部内からの任用が約千百、それから部外からの任用が約百名でございます。そして、局舎のあれでございますけれども、年度につきましては資料ございませんけれども、とっておりませんけれども昭和五十七年度につきまして局舎所有関係局長が所有しておる局舎というものは約六割でございます。
  77. 本岡昭次

    本岡昭次君 最後にこの問題について質問しますが、私は特定局の局長のそれぞれについていま別に攻撃しているわけでも何でもないので、制度そのものをもっと近代的にしたらどうかという立場で議論をしているわけなんですが、特定局の局長が人事異動をする、あるいは地域の中で、大異動はする必要ないと思いますが、地域に密着するという、そういう範囲内において局長が交流するということはあり得るのか、そういうことは絶対ないのか、それはどうですか。
  78. 三浦一郎

    説明員(三浦一郎君) 特定郵便局、先ほど先生がおっしゃいましたように、一万七千、全国にあまねく設置されておりまして、地域と密接に関連しておる、そしてその特定局長の信望をもって地域の郵便サービスをやるというのが基本であるわけでございます。そういったことでございまして、これを転勤を実施するということになりますと、特定局の持っている地縁性、これが希薄化する、こういったことでございますので、特段の事情があるといった場合を別といたしまして、制度としてこれを取り入れるのはいかがかと存じております。
  79. 本岡昭次

    本岡昭次君 赤池の犯罪はいまあなたの言ったことが逆に利用されたわけでしょう、地域の信望ということが。だから、それはうらはらの関係に私はあると思うんです。だから、そういう地域の信望のある人を局長に据えたら貯金がたくさん集まるだろうということじゃなくって、それはやはり郵便貯金そのものの商品の中に国民の願いというものと一致するという、そして、あるいはまた郵便局そのものの仕組みも近代化していくという、そういうところで新しい貯金事業というものを進めていかなければ——いまあなたのおっしゃった、それはもちろん大事ですよ。大事だけれども、そこだけに依拠していくということはどうかと思います。それはまた別のところで議論さしてもらいたい。私の意見です。  次に、郵便貯金問題について伺います。  最近郵便貯金の増加状況はどうなっていますか。一時は何かもう目の色を変えて周りからたたかれていたようですが、最近はどうですか。
  80. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 最近の貯金の増加状況でございますが、先生いまおっしゃられました大変伸びた時期が一時期ございました。それは金利の天井感と申しましょうか、大変高い金利の時代がございまして、そのときに一時増加をいたしたというのが五十五年でございますが、これを除きまして五十三年からの傾向を見てまいりますと、それ以降すっと伸び悩みの状況にあるということが言えると思います。ちなみに本年度の増加状況でございますが、十月自体をとりましても純増実績というのが四百五十一億という純減でございましてマイナスでございました。こういうようなことに象徴されますように不振であるということが言えるわけでありますが、十二月末現在で純増実績が二兆六千億ということでございますが、対前年で見ましてもこれが八五%、前年実績を四千五百億下回るというような状態が今日の増加状況でございます。
  81. 本岡昭次

    本岡昭次君 そういうふうに郵便貯金が伸びない原因というのはそれはたくさんあると思いますが、素人考えで私が思いますのに、預け入れ制限額というのは三百万円というところで抑えられているというこのことではないかと思うんですね。ところで、その三百万円というふうに制限が決められたのはいつですか。
  82. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 三百万という郵便貯金の一般の限度額というのが決められましたのはいまから十年前の四十八年十二月でございます。
  83. 本岡昭次

    本岡昭次君 十年前の四十八年にたしか百五十万円が三百万円になったというふうに記憶しているんですが、それから十年たっていますが、この十年間のたとえば国民一人当たりの所得あるいはまた平均貯蓄保有額、そういうふうなものを見てみるとどのような変化が見られますか。
  84. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 四十八年からの変化でございますが、まず一人当たりの国民所得についてでございます。これが四十八年当時が八十八万円、今日が百九十万円、それから平均貯蓄保有額でございますが、これは一世帯当たりで見てまいりますと二百十万円、これが六百六万円ということでございます。また、一世帯当たりの平均貯蓄目標額を見てまいりますと、八百七十四万円というものが千八百七十二万円といずれも二倍ないし三倍というような数字になっておるわけでございます。
  85. 本岡昭次

    本岡昭次君 いまのその問題をもう一つ細かく検討する材料にして、その十年間で個人の可処分所得とかあるいは米価とか賃金ベース、こうしたものの指数を用いて三百万円というものをスライドをしていくと一体どういう金額になりますか。
  86. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 四十八年を一〇〇とした指数で見てまいりますと、いまお話ございました個人の可処分所得につきましては二・二倍ということでございます。米価で見ますと一・八倍、それから賃金で見ますと二・四倍ということでございますので、これをそれぞれ三百万円に掛けますと四百五十万円から七百二十万円というような数字が出てまいります。
  87. 本岡昭次

    本岡昭次君 郵政省は当然そうした実態から預け入れの総額制限額を上げるように要求していると思うんですが、本年はどうですか。
  88. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 総額制限の引き上げにつきまして、一般の総額制限を三百万円を五百万円に引き上げたいということ、あるいは特に高年層について一千万円の別枠を設ける、いわゆるシルバー貯金の創設、高齢化社会を迎えての対応ということで特別な枠を設けるということ、あるいは住宅建設促進、持ち家促進という観点から住宅積立貯金の総額制限額、これも五十万円でございますが、これを百万円に引き上げるというようなことを要求いたしているわけであります。しかし、総額制限額の引き上げということにつきましてはマル優等の非課税枠も拡大をするということにもなりまして、一種の減税措置ということにもなるわけであります。現下の財政事情等から見て大変厳しい状況にあるというふうに私どもは判断をいたしておるわけてあります。しかし、いずれも私どもの郵政事業につきましての郵政審議会の御指摘、御意見でもございますし、また国民の皆様方からの強い要望でもございまして、今後さらに広く理解を求めるように努めてまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  89. 本岡昭次

    本岡昭次君 私もよく外務員の方とお話する機会があるんですが、やはり外務員の方の直接貯金をされる方との接点で出てくる話というのは、いま言った問題がやはり一番多いようで、やはりこの問題は相当がんばって国民のためにも上げていくべきだと、私はそう思います。  そこで、いま言いましたようにそうした直接各家庭、事業所に回って郵政の貯金業務をやっている外務員の役割りというものが非常に大事で、そうしたところから国民の願望というものを知り、またそれを送り込んでいくということになり、サービスのこれは一番重要な部分だと私は考えているんですが、しかし、話してみると、外務員の皆さんが将来の問題なりについて非常に不安を持っておられるという点もあるんですね。郵政省としてこの外務員の役割りというのはどう考えているのか、また郵政大臣ね、大臣として一番末端で働いている人たちのことをどう思うか、これは一番大事なことだと思うんですが、郵政省大臣の立場からこの外務員の役割りの重要性という点をどう考えているかちょっと聞かしておいていただきたいと思います。    〔理事目黒朝次郎君退席、委員長着席〕
  90. 澤田茂生

    説明員(澤田茂生君) 外務員でございますが、第一線の貯金セールスマンとしていろいろ活躍をしてもらっているわけでありますが、郵便貯金のそもそもの使命が国民の貯蓄心の涵養を図るということ、それから貯蓄の実践を促すという意味でこの外務員の第一線の活動というものは大変大きな役割りをいたしているわけであります。いろいろ各家庭を回りましての訪問活動を通じていろいろ郵便貯金サービス、商品の浸透と申しますか、それを通じましての貯蓄心の涵養というようなこと、あるいはお客様にいろいろ便益を図るということで窓口の延長としての役割りというようなことをやっているわけであります。  なお、積立郵便貯金というのがございます。これはある意味では月掛けでございまして、やはりこつこつとためていくというのが貯金のコツでございまして、そういうことによって貯蓄心を涵養していこう、それを外務員の方々が集金をして歩くというようなことで地域のある意味では各家庭の貯蓄コンサルタントとしての役割りというようなことも果たしながら、郵便貯金事業の本来的な使命達成に活躍をしているということでございます。
  91. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) いまの局長答弁に尽きておるわけでございますけれども先生指摘のとおり、大変地域に密着した第一線での預貯金者に対するサービスを外務員が行っておるわけでございます。このような外務員のじみちな努力がなければ今日のような郵貯がこれだけ大きなものになってきたということはとても考えられないわけでございまして、はっきり言えばまさに源泉と申しますか、そういった形で第一線に働いておる外務員の重要な役割りというのは私たちも痛感しておるところでございます。このことがひいてはわが国の経済発展にも大きく寄与しておるわけでございますし、今後とも外務員の重要な役割りを認識して、こういった国民に密着したサービスに徹するように指導してまいりたいと思っております。
  92. 本岡昭次

    本岡昭次君 最後に大臣にお伺いをして、この郵政問題についての質問を終わりたいと思います。  いまずっと、不正の事項の態様の問題から特定郵便局長の問題、そして郵便貯金の現状と将来の問題等々について質疑をしてきましたが、今後の郵便貯金の問題を考えていく場合に、金利自由化というふうな問題にどう対応するかということ、あるいはまた預金者へのサービスをどのようにこれからより強化していくのかといったようなこと、新しい商品を開発して国民の大切なお金が目減りをしないように、また、金利の中においてより財産が蓄積されていくことに協力をしていく、そういういろんな郵便貯金の役割りを考えていったときに、皆から集めた金が財政投融資のところへ全部回って、そしてそれはもう大蔵省がすべて使って、集めた側の郵政省がそれについて口出しできないという状況に問題があり、そこのところを切りかえていかなければこれからのこの郵便貯金の問題の基本的な解決はないんではないかと私は思っています。そういう意味で、この郵便貯金として集まった金を、やはり出した人の、金を預金した人の立場に立ってそれをどう使っていくかというふうな、その自主運用ですね、主体的にそれを運用していく、そういうことがどうしても必要だと私は思うんですがね。その点について大臣はどうお考えですか。それを伺って終わりたいと思います。
  93. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 先生の御提言はまことにありがたいと思います。特に、最近の金利自由化の動きの中でいろいろなビッグとかワイドとか、民間金融は金利自由化の非常に多様な、そういった国民側のニーズにこたえてやっておるわけでございます。そういう点から、そういった郵便貯金の増強をめぐる環境というものは厳しくなってきておることは御存じのとおりでございます。先生もいま御指摘なさいましたように、郵貯が財投の大変な資金になっておることも事実でございますし、そのことが逆にまた非常な制約も受けておるわけでございます。こういった金利自由化の方向に対して、預貯金者サービスという観点から見ますと、確かに郵政省独自としてもその資金の直接運用というものがまさに焦点の問題となっておることは事実でございます。したがいまして、今年度の予算要求におきましても、郵便貯蓄資金による、とりあえず国債引き受け一兆円をまず突破口として、そういった形で自主運用をさせていただきたいと、これも目下鋭意努力しておるといったのが現状でございます。まさに御指摘のとおりで、金利自由化の時代の趨勢に対応して、しかも、預金者サービスを確保するといった点から私たちもその線に沿って努力をしてみたいと思っております。
  94. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは最後に、国鉄運輸省に一点だけ伺って終わりたいと思います。  昭和五十三年度から始まっている国鉄福知山線の宝塚−篠山口間の複線工事が、昭和五十八年予定も含めて、決算ベースで二百七十二億円の建設費を投入して進行をしております。また、同じこの丘庫に智頭線という工事がありまして、この智頭線の工事は、昭和四十一年着工して五十七年までに二百五十一億円の建設費を投入しながら工事が中止されて、風光明媚な西播磨の山野にコンクリートの柱なんかの残骸、トンネルが、もうこれ使えるのかと思うような形で放置させられているんですね。  そこで伺いたいんですが、いま言いました智頭線を一体どうするのか、どうなるのかということと、それから、まさか智頭線のようなことには現在福知山線は通っておりますからならぬと思いますが、この宝塚−篠山口間の複線電化工事というのがいつ完工するのか、その点についてお伺いしておきます。
  95. 永光洋一

    説明員(永光洋一君) 智頭線につきまして御説明を申し上げますが、先生御存じのとおり、国鉄の再建法によりまして特定地方交通線の取り扱いが四千人未満については基本的にはバスに転換するということで、鉄道の特性はその分野においてはむしろ他の代替機関の方がいいと、こういう考え方からバス転換を求めておるわけでありまして、これとの整合の関係上、開業後輸送密度が四千人以下と思われますものにつきましては現在工事を、いわば凍結といいますか、中止をしておるわけでございまして、現在、この智頭線につきましても輸送密度等から見ましていわゆる工事を中止した線になっておりますので、当面工事を再開することはなかなか現状におきましてむずかしいというふうに考えております。  ただ、御案内のように、国鉄新線につきましても、地元で、どうしても工事を継続して再開し、開業したいという希望がありますと、地方におきまして第三セクターというような形で工事を再開し、開業を目途にという地元の御要望に応ずる制度もございまして、現時点においても、東北地方あるいはその他におきましてもそういう形で、国鉄新線でなくて第三セクターの線として開業も進めておりますので、そういう面も勘案してわれわれとしては取り扱いたい、こういうように考えております。
  96. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 福知山線の宝塚−篠山口間の線増工事についてお答え申し上げます。  この工事につきましては、五十二年九月に運輸大臣の御認可をいただきまして、現在、用地買収、トンネルの新設及び改築工事を中心に鋭意施工しているところでございます。一方、国鉄の設備投資につきましては、先生もよく御承知のとおり、五十七年九月の閣議決定あるいは五十八年八月の国鉄再建監理委員会の提言等におきまして、老朽設備取りかえ、安全対策及び環境保全のための投資のうち特に緊急度の高いものを除き、原則として停止をすべきであるという方向が示されておりまして、五十八年度予算におきましても五十七年度に比しまして六八%というきわめて厳しい縮減を受けているわけでございます。福知山線につきましては、御承知のとおり、沿線に北摂ニュータウンを初めといたしまして計画入居人口十万人を超えるような開発計画が現実に着実に進められておりまして、都市交通線としての使命が高まり、鉄道の特性が十分発揮できる分野であるということで、本件工事は国鉄といたしましてもきわめて重要な工事であるということと考えておりまして、今後も工事の進捗に最大限の努力をいたす所存でございます。
  97. 本岡昭次

    本岡昭次君 最大限の努力をしてもらっているのはわかるんだけれども、いつ完成するのかと言っているんです。
  98. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 今後の五十九年度以降の予算のつき方によるところが非常に大きいところでございますので、まことに申しわけないことでございますが、現時点で開業の時期等について明確に申し上げることはできないことをお許しいただきたいと思います。
  99. 本岡昭次

    本岡昭次君 その途中にある三田までの開通も見通しはつかぬですか。
  100. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 三田までの開通につきましても、まだ相当巨額な工事が残っておりますので、やはり五十九年度以降の工事経費のつき方を見て今後検討を進めていくということと考えております。
  101. 本岡昭次

    本岡昭次君 いつになれば、それでは何年度に完工するという見通しがつけられますか。その見通しもいつつくかわからぬということですか。
  102. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 五十九年度の単年度の予算だけでは消化し切れないほどの工事が残っておりますので、五十九年度の国鉄予算並びに六十年度以降の国鉄予算について、いろいろ国鉄としても予算の実施を見ながら検討をしていかなければいけないというふうに考えております。
  103. 本岡昭次

    本岡昭次君 最後に、運輸大臣に質問して終わりますが、この問題を論議しておる中で、これは冗談話ですけれども運輸省のある人が、それは本岡さん、土木会社でも建設会社でも建設途中に倒産をしたら、それはその工事は途中で終わって後続けられへんでしょうと、国鉄だって同じことですよと、こう言う。さっきの智頭線もそうですよ、二百五十一億も使って、コンクリートのかたまりがずっと並んでいるだけということでほかされている。そういうことが国鉄に対する不信につながって、そしていま言っている福知山線で複線電化の問題も本当にできるのかどうかという問題について地元住民は物すごく不安を持っている。それが普通の線の状態ならいいんですが、いまも答弁あったように、この工事をやっている福知山線沿線には北摂北神ニュータウン、北神戸、それから西宮とかいろんなところがニュータウンを建設して、人口二十万人という人たちが新しくそこに住むという大規模な住宅開発事業というものが行われている。その中心は北摂ニュータウンというところで住宅・都市整備公団が国家的な事業として推進している。それは、その複線電化ができることによって足が確保されて人が入ると、こうなっている。卵か鶏の話じゃありませんが、ニュータウンができたら汽車をつけたるというふうな話も聞いたりするので、それは全く逆じゃないかと。足が確保されて初めてそうした大規模住宅開発というものが成功するので、そういう意味でいまのような答弁では、これは夢のニュータウンというものが神戸の北側にたくさんできる。鉄道のそれはコンクリートの残骸でしょう。それが今度は、開発したけれどもそこに人も住まないというふうなことが国家的なひとつ事業として現出するというふうなことは許されないと私は思うんです。運輸大臣としてこれは責任ある答弁をいただいておきたいと、こう思います。
  104. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 最初に智頭線についてちょっと申し上げたいと思いますが、智頭線は御承知のように、もう九〇%以上の道床工事が終わっておるわけでございます。全体としても工事費の半額以上がかけられておる、もう一息で線路がつながるということになっておりますし、智頭線自体は陰陽連絡——私も実は山陰なんでございますが、陰陽連絡の最優秀線になる可能性を持った鉄道として工事が始められたものでございます。まことにもったいない線なんでございます。鳥取と姫路の間がと言いましょうか、鳥取と関西とが直結すると、山陰本線よりもはるかに短絡をするということになる線路で重要な線路だと私は心得ております。  そこで、いま鉄監局長からお答えいたしましたが、新線建設は一応交通密度四千人以下はオールストップになっておりますけれども、大変もったいない話で、国家の投資として、大きい意味での国家の投資として非常に不経済、しかも開通すれば私は相当これ生きていく線だというふうに思っております。そこでですね、やはりこれは、だからといってこれだけを新線建設としてやれという話にはなかなかなりかねる。やはりこれは地元の皆さんと地方公共団体も御敵力いただいて、第三セクター方式その他を至急に考えていただくべき性格の線ではなかろうかと。全国私はいろいろ新線を承知しておりますが、その一番先頭に立っておるような大事な線ではなかろうかというふうに思っております。いま直ちに建設線としてやれと言われましても、これはできない仕組みになっておるということを御了承いただきたいと思います。  それから、福知山線の複線化の問題、もうおっしゃるとおりなんでございまして、もう私鉄であれば恐らくこれは完成をして、土地開発なども一緒に、住宅政策、住宅の問題その他一緒にあるいはやっているかもしれません。とっくにでき上がっておるかもしれません。そういうものなんでございます。ただ、国有鉄道いま再建の途上におきまして、五十九年度予算これから御審議をいただくんですが、工事経費を最小限度に食いとめて、安全確保以外の工事経費は原則的にはとにかくとめるんだというところまで、極端な厳しさに相なっておるというわけなんでございます。そこで、もう考えようによるとばかばかしいような、国家的な見地から見るとばかばかしいような話になっておるんでございますが、残念ながら国鉄財政の現状では、これを工事経費によってどんどん促進をしていく、必要性はわかっておるわけでございますけれども、促進をしていくわけにまいらないと、こういうかっこうに実はなっておると思うのでございます。そこにやはり、何といいましょうか、大きく考えますと、運輸政策の見地から見ると矛盾がある。国鉄の経営という問題とそれから地域の開発なりその他全般の交通政策との間に矛盾があると。これは明瞭にさようだと思うのでございます。これはここだけではありませんけれども、ここなども代表的な例の一つではなかろうかと、こう思うんでございまして、これをどうしたらこの矛盾が突破できるかと。といって国有鉄道の工事経費をいまふやせということは、再建途上の国鉄についてはとてもとてもいまできそうもない相談であると、こういうことになるわけでございます。  私は、国鉄再建監理委員会がどうしても二年間という時限で国鉄財政再建ということをおやりになるということになっておるわけですけれども、こういった種類のいわゆる投資の問題につきましては何らか別な工夫がないものだろうか、こういうことを私はどうしても考えていかなきゃならぬのじゃないか。国鉄が借金をして、あるいは鉄道債券でこれをやるということでなくて、何らかの方法でやることが全体として非常に大きな利益をもたらすわけですから、ですからこのところは私は、いまの形のままではいま国鉄の岡田常務が答えたようなとおりのことになってしまうわけでございまして、この辺のところは地元の皆さん方ともいろんな点でよく話し合っていかなきゃならぬのじゃなかろうかと、私は大局から見てそのように考えておる次第でございます。  先生のおっしゃることはもうごもっともなんで、私鉄ならもうやってますよ、これは。やって、そして土地もうんと買いまして、住宅建てまして、どんどん工事は進めておるだろうと思うのです。そういうことができないという国有鉄道、しかも財政がもう逼迫して、工事経費は抑えると言われておる国鉄、こういうところに問題がある、こういうことでございます。おまえの話聞いても解決にならぬじゃないかと言うかもしれませんけれども、必ずしもそうじゃございません。やはり何らかの知恵をここはしぼっていかなければならぬのじゃなかろうか。必要性は十分にあるというふうに考えておる次第でございます。
  105. 服部信吾

    ○服部信吾君 初めに、ちょっと私鉄運賃の値上げ問題について少々お伺いいたします。  この二十五日から大手私鉄十二社の運賃が平均で一三・五%値上げになる。その後四月には国鉄運賃の値上げが待っておる。都営地下鉄とか、あるいはタクシー、バスの値上げ、かなり値上げラッシュが続いているわけであります。私鉄の会社はそれぞれ独自の経営方針をやっているわけでありますけれども大臣も国民生活の足を預かる者として、こうしたいわば官業的とも言える一斉値上げのあり方について今後見直すべきであると、こういう意見もあるわけですけれども大臣、この点についてどのようにお考えでしょうか。
  106. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 運賃はいわゆる公共料金でございまして、安ければ安いほどいいというのは当然でございます。しかしながら、一面から考えますると、輸送の安全あるいはいろいろな改良、たとえば大都市付近の私鉄については、このごろもうよくごらんになるように立体交差が進みましたりあるいは複線化が進みましたり、車両についても冷暖房が全部できましたり車両の列車のスピードアップがやられましたり、いろいろやられているわけでございます。そういう安全の保持やそれから必要な乗客のための改良のための経費も要るわけでございます。また、賃金の面も、これはこのごろはきわめて徐々でありまするけれども上がってまいるというようなことでございます。したがって、やはり経営ということも考えませんと、これをいたずらにただ安ければよろしいということで抑えましても、これはしわが後へ寄るということになるわけでございます。したがって、私どもは徹底的な合理化をやる、そしてなるべく低位に抑えるということはやらなければなりませんけれども、適正なる運賃というものについてはどうしても考えていかなければならないのではないか。  そこで、やはり私ども運輸省でいままでやっております方法は、相当期間を置きまして、ある程度のローテーションを置いて十分経理内容その他を、あるいは経営の内容を調査をしました上で、しかも運輸審議会で厳重な審査を経た上で私鉄運賃を改定をいたすと、こういうことにいたしておるわけでございます。乗客にとりましては御迷惑でございますが、大きい目で見ますと、これが乗客に安全の問題としてあるいは改良の問題としてはね返ってくるようにしなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  107. 服部信吾

    ○服部信吾君 私鉄問題につきましては了解いたしました。  次に、国鉄の再建問題に関してお伺いいたします。  大臣は大変運輸行政についてはベテランという、四十五年間鉄道輸送に携わってこられた実績もあるようでございます。いま未曾有の危機的状況にある国鉄を改革するには最も適当な人を得たと、このようにも考えておるわけでありますけれども大臣国鉄に対する考えですけれども、私も大臣の「国有鉄道を語る」、こういうものをじっくり読ましていただきました。大臣の理想とする国鉄像と申しますか、国鉄は本来こうあるべきだ、こういう問題ですね。国鉄に対して、大臣も初めてでございますので、ひとつこの点について御答弁を願いたいと思います。
  108. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 大変大きな御質問でございまして、まさにそのことについて、実は先ほど目黒先生の御質問にお答えいたしましたように、第二臨時行政調査会があの答申を出しておるわけでございますし、またそれを受けて国鉄再建監理委員会でただいまいろんな角度から御検討の最中でございます。その際に、かくあるべしなどということを私が申し上げることは実は必ずしも適当ではないと、かように考えております。もっとも、再建監理委員会の皆様方には私の考え方はいろいろ申し上げたいし、また運輸省としての考え方も公式なものも申し上げたい。十分申し上げて、言うならば最終的な案をおつくりになるときに聞いていただこうと、かように思っておる次第でございます。  私、総括的に大体申し得ることは、これはもう臨調の答申にもございますし、私自身も臨調の答申にある程度の影響を与えたと自負してもおるんですけれども、公共企業体というものが昭和二十四年にできましたけれども、これが必ずしもりっぱに動いていない。むしろいわゆる国の悪いところと民間の悪いところとがかなり出てまいっておるということが私は大きな事実だと思います。もちろん、いまの国鉄の困難な事情というのは、基本的にはモータリゼーションとそして航空機の非常なる発達、こういう環境が一番本当は大きいことなんでございまして、国有鉄道の労使が大変間違ったことをやったためというよりは、周囲の環境が非常に悪化しておると、それに対応ができなかったということ、それから国有鉄道の投資というものに対しての国の考え方というものが、これがやはりある種の転換がなさるべきであったのが、それがなされないままに国有鉄道の借金という形で膨大な投資がなされたこと、これがやはり基本的な事情にあると思っております。もちろん、労使が一〇〇%非常によくやったというふうに私弁護するつもりもありませんし、さようなことがあるとは思っておりません。足りない点が多々あるということはこれにつけ加えられるべきでございましょう。そういうことでございまするので、これらの点についてどうメスを入れていくか、こういうことによってこれからの国有鉄道をどうしていくかということが出てまいる、かように存じておる次第でございます。  それから先の話になりますときわめて具体的なことでございますので、多少の私見は持っておりますが、また私の、運輸大臣としてでない、書物などにも多少私見は書かせていただいておりますが、この場所では大臣としての発言は遠慮をさしていただきたい、かように思っておる次第でございます。
  109. 服部信吾

    ○服部信吾君 大臣の御答弁非常に微妙なところでありまして、確かにこの「国有鉄道を語る」ということを分析さしてもらいますと、明らかに国営論者なんですね、これ。ですからたとえば、これはちょっと読ましていただきますと、「私は昭和三十年から、国鉄というのはやはり公社というのはまちがいではなかろうか、国有国営に返すべきではないか、国の鉄道にすべきではないか、こういうわけのわからないものにしておくと国の悪いところと民間の悪いところの両方になるのではないかということで三木運輸大臣の時に、昭和三十年ですが、国鉄経営調査会をつくりましたその時に私は国鉄は国有国営に返すべき」と、こうはっきりこれは五十五年に言っているわけですからね。「私は本当は昭和三十年以来、現在の国鉄ができ上がってすぐから国有国営論者ですが、しかし現実問題としてこれを国有国営に返すということになると、実際問題はどういうふうにやって」と、こういうことでありますけれども、臨調答申等におきますとやはりちょっとこれと違うんじゃないかと。これは私的考えでと、こういうふうに言われるかもしれませんけれども大臣この辺はどうでございますか。
  110. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 昭和三十年当時、私がさようなる主張をしまして、当時、有沢広巳先生を会長とする国鉄経営調査会というところで、昭和二十四年にできたばかりのものをもう一遍国有国営に直すと、昔の鉄道省に直すということは反動だと、いまできてまだ数年しかたっておらない、昔の官僚の鉄道に直すということはこれは問題だよと、こういうこともございまして、私引き下がったわけでございます。その経緯が私の本に書いてあるわけでございます。しかし、現在の時点において、こういう国有国営の鉄道に直すというがごときことは、これは私もいま申しておるわけではございません。これは言うべくして不可能なことでございます。ただ、私がさように申しておりますのは、国有国営であったならばいまの鉄道とは投資の問題その他いろんな点で非常に違った形のものになっておったのではなかろうかということは言えると思いますが、もうこれは過ぎたことでございますので、これから前向きにこれはどうするかと、先ほど申し上げたような投資の問題その他についてどう考えるかということなんでございまして、そういうことから私の現在考えておりますことは、臨調答申も同じでございますが、いわゆる公共企業体でなくする、民営化ということをやる以外に方法はもうないと、かように考えておるわけでございます。
  111. 服部信吾

    ○服部信吾君 要するにこの発表ですね、これは五十五年の話ですからそんなに古い話じゃないんですけれども、ただいま大臣の御答弁でよくわかりました。  次に、監理委員会についてちょっとお伺いしたいと思います。  日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法では、もう御承知のとおり六十二年七月までに臨調答申を尊重した効率的な経営形態の確立を決定することになっております。監理委員会はその二年前の来年、六十年七月までに総理に対してこの改革の青写真を出すと、このように聞いておりますけれども、監理委員会としては現在大変各方面からいろいろ御勉強なされているところでございましょうけれども、よく亀井委員長も講演などで臨調答申を尊重する、分割民営化ということを言われているようでありますけれども委員会の大勢の方向ですね、現在どのようにまとまりそうなのか、また今後のスケジュールをも含めてあわせてお伺いしたいと思います。
  112. 林淳司

    説明員(林淳司君) お答え申し上げます。  スケジュールにつきましては、ただいま先生指摘のとおりでございまして、法律で六十二年の七月三十一日までと、その時点までに国鉄事業の再建のための体制を整備すると、こうなっておりますので、それに向けましてその準備期間も考慮しまして、その前半の約二年間、すなわち来年の七月、まあ半ばごろでございますか、来年半ばごろまでに監理委員会としては結論を出して総理の方に御提出申し上げると、こういうスケジュールで現在審議をやっておるところでございます。  それから審議の方向でございますけれども、これは目下詳細ないるいろ分析、検討、調査、あるいは各方面からの御意見の聴取というふうなことをやっている段階でございまして、まだ結論めいたものを現段階で持っているわけでございません。ただ、御指摘のとおり、昨年の法律によりまして国鉄事業再建は臨調答申を尊重して行うと、その臨調答申を尊重して行うというその方針、基本方針に従って監理委員会の仕事を進めていくと、こういうふうにしなさいと法律上なっておりますので、監理委員会としましては臨調答申を尊重するということを基本線として、その方向に沿って目下いろいろと検討を進めておるということでございます。
  113. 服部信吾

    ○服部信吾君 臨調答申を尊重して進めるということですから、ある面から言えば分割民営化の方向で進めると、このように私は理解しておきます。  次に、国鉄の総裁にお伺いいたします。  国鉄の総裁というのは大変なお仕事だそうでございまして、大臣の「語る」というこの中にも大変なことが書いてあります。国鉄の総裁というのは、英語で言いますと「チケット・フォア・ザ・ヘブン」と。天国への道というのです。僕は天国への道よりチケット・フォア・ザ・ヘル、地獄への道じゃないかと、こう思うのですけれども、大変なときに総裁を引き受けられまして、民間の民鉄関係も大変御経験があると、まあ国鉄のOBの中ではある面から数少ない分割民営の方向、論者と言われておりますけれども国鉄の経営形態について総裁のひとつ御見解をお伺いいたします。
  114. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 私、一部の新聞で分割民営化論者であるというふうな報道がされましたけれども、私は決してそういうふうに主張しているわけではございません。ただ、先ほど大臣も御答弁されましたように、現在の国鉄の公社のままではなかなかむずかしいということは事実でございますし、民間の経験から申しましても少し、というか、かなり形が大き過ぎるので、いろいろな経営施策等が徹底し得ないということでございます。そういうことでございますが、一方民営という面につきましては、経営者の責任を明確にする、あるいは競争の原理を取り入れるというような面で確かにメリットはございますし、分割という面ではいま申しましたスパン・オブ・コントロールというような面で徹底し得るというメリットがあると思います。ただ、国鉄が現実に恐らく百年とは申しませんが、七十年ぐらいの間一体として経営をされ、戦前には非常にうまくいっていたという実績も一方あるわけでございます。そこで、いまのいろいろな公共企業体の欠点を取り除きまして管理もうまくいくというような方向があるのかないのかというようなことを考えますと、いろんなことが考えられるわけでございますが、いずれにいたしましても先ほど大臣が御答弁されましたように、現時点におきましては監理委員会が長期債務の問題あるいは経営のあり方というようなものについて、いろいろと御勉強になっているわけでございますので、こういう席で私の個人的な見解を申し上げるというのは差し控えたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、企業の長といたしまして、われわれの考えておりますことにつきましては監理委員会に対して十分御意見を申し上げ、反映していただくように努力を重ねてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  115. 服部信吾

    ○服部信吾君 大臣、総裁、また監理委員会の方から御答弁いただきましたけれども、とにかく未曾有な経済的破綻の中で現在の公社制度ではちょっと対応できないと、何とか変えなくちゃいけないということは、ある程度認識が大体出てきたような気がします。その中で総裁の責任あるいは権限が甘いとか経営原則を無視した国鉄に対する過度のいろんな支配介入を排除できなかったとか、また職員自身も親方日の丸的な意識も多分にあった、経営センスが余りなかったとかいろいろなあれがあるわけです。したがって、民間的な経営形態を導入するという考え方はある程度理解が、コンセンサスが出てきたのじゃないのか、このように思います。経営規模の問題、すなわち国鉄を分割することがじゃ果たして経済再建にどうつながるのか、なかなかむずかしいところもあると思います。したがって、民営化と分割は私は何となくいま言っていると、民営分割、民営分割と二つが同時で一緒に行われる、こんなような国民の間でもあれがあるように思いますので、ある程度の民営化と分割というのを少し分けたような考え方でもいいのじゃないのか、このように思いますけれども、この点民営分割を臨調答申尊重ということで言われております監理委員会どのようにお考えでしょうか。
  116. 林淳司

    説明員(林淳司君) 現在まだそこら辺のところについてどういう形がいいのかというところまで審議が進んでいるわけではございません。ただ、昨年成立いたしました法律によりましても、効率的な経営形態ということと、それから関連して、長期債務等の諸問題の処理ということを一体的に総合的に解決をしていくと。しかも、それは臨調答申を尊重してやっていくということでございますので、その辺の基本的な考え方というものを踏まえて適切な結論を出していくべきだろうとは思っておりますけれども、現段階で、おっしゃるような点について分割の問題や民営化の問題、これを一緒にすべきか分けるべきかというふうなところまで議論が進んでいるわけではございません。
  117. 服部信吾

    ○服部信吾君 運輸大臣はどっちかというと分割問題に対しては、まあいろいろなものを読ましていただきますと異論を唱えております。分割しないと経営再建は困難と考えることについてはどのように考えていらっしゃいますか。この点、大臣のお考えをお伺いしておきます。
  118. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) どうも若干誤り伝えられておるような傾向もありますので、この際ちょっと申し上げておきたいと思うんですが、分割の問題につきましては比較的容易に分割ができるだろうと。容易と言っちゃ語弊があります。分割するにはいろいろな問題あるにはありますけれども、分け得るというものがあるということについて否定しているわけではございません。  ただ、私が申しておりますのは、本州をどういうふうに分割するかという場合には、非常になかなか方法をよく考えませんとうまくいかなくなる可能性があると。しかし、全然これができないということを言っておるわけではございません。その辺がどうも一般にはなかなかずばりいろいろ言っておらないもんでございますから、どうも分割反対だとか何とかというふうに抽象的に言われてしまうわけでございますが、そういう意味ではないんでございまして、よほどよく考えませんと、機械的にただ分けるというようなことではなかなかうまくいかない。よく考えてやらなければならないということを申し上げておると、かように御理解いただきたいと思います。
  119. 服部信吾

    ○服部信吾君 時間がありませんのであれですけど、国民とすれば、極端な話が国鉄がこれだけ厳しい状況にある。そうすると、国民とすれば運輸大臣もまた国鉄総裁も監理委員会もみんな一つ考えちゃって、どうも何かばらばらな意見が出ていると。ある方は何か臨調答申で、要するに民営化を進めると。ところが、こちらの方じゃ何か国有化とかいろいろ国民の方もなかなか迷っているというようなことがありますので、その辺早いとこひとつまとめていただきたいと、このように考えます。  次に、行政監察に関連してちょっとお伺いいたします。  国鉄は目下五十六年五月に策定した経営改善計画に基づいて経営の合理化、減量化を進めております。行政管理庁は国鉄が進めている経営改善への努力が十分かどうかを調査するため行政監察を行い、去る五十八年十一月にその結果を発表しました。大臣に対して勧告を行ったわけでありますけれども、以下国鉄経営改善を促進する立場から国鉄の経営合理化、減量化について若干の御質問をしたいと思います。  まず初めに、行管庁、国有鉄道に関する行政監察の概要を簡単に説明していただきたい。そして、この指摘に対して運輸省としては国鉄に対してどのような指導を行ったのか、この点についてお伺いしておきます。
  120. 北村圀夫

    説明員(北村圀夫君) お答えいたします。  日本国有鉄道の監督行政監察結果についてでございますけれども、そのねらいといたしましては、経費の節減、要員合理化の徹底を中心にいたしまして四項目十三事項にわたりまして昨年十一月二十八日に運輸省に勧告いたしました。  具体的には、項目別に概要を御説明いたしますと、まず第一には、設備投資の抑制の項目でございますが、六つに分かれておりまして、一つには貨物、荷物関係工事の原則停止をすること。二つには、電化、CTC化工事につきまして極力抑制すること。三つには、軌道関係工事につきまして、高規格のレールに取りかえますいわゆる増強投資は極力抑制すること。四つには、宿舎工事につきまして新規建設を停止すること。五つには、福利厚生関係施設工事につきまして工事の停止措置をとること。最後のその他各種工事につきましても同様の措置を図ること。以上でございます。  あと二つ目の項目でございますが、資材の調達及び管理の適正化の項目につきましては、まず一つには、既存車両をできるだけ活用いたしまして新規の車両新製をできるだけ抑制するということが一つございます。二つ目には、資材の在庫管理の適正化を図ること。資材調達関係は以上でございます。  あと、また要員合理化の徹底の項目につきましては、まず一つは、業務量に対応いたしました要員管理とその結果避けがたく生じますところの過員の活用対策を確立すること。二つ目には、委託業務の見直しを行うこと。三つ目には、駅とか保線区、機関区等におきます現業機関におきます業務運営の改善を図ること。以上が要員合理化の細目でございます。  最後に、研究開発業務の合理化でございますが、この項目につきましては二つございまして、一つはリニアモーターカー等の研究等技術開発の合理化を図ることと経費の節減を図ることでございます。二つ目には、鉄道技術研究所におきます研究業務の管理改善を図ること。  以上四項目十三事項でございます。
  121. 永光洋一

    説明員(永光洋一君) いま行政管理庁の方から御説明がありましたように設備投資、それから資材調達、要員合理化及び研究開発業務の合理化の四点にわたりまして御指摘を受けたわけでございまして、現在国鉄に対しましてこの指摘事項についての検討とこれに対する適切な改善措置を現在求めておりまして、ヒヤリング等行っておりますが、この指摘の趣旨を踏まえまして今後の業務運営の改善に取り組みたいと、かように考えております。
  122. 服部信吾

    ○服部信吾君 まあ要員合理化のほか、国鉄の設備投資関係工事あるいは資材の調達及び管理、それから研究開発事業についていろいろ抽出調査を行って、その結果、二千二百二十二億円に上る投資額がむだであると、このようなことが指摘されているわけであります。そのうち設備投資関係工事が二千五十九億円、多大な金額であります。この中で特に目立つのが貨物、荷物の関係工事についての指摘であります。  そこで、ちょっとお伺いしたいのですけれども、まず貨物、荷物関係工事についてでありますけれども、先ほど行管庁の指摘にもありましたけれども、たとえば十四年間三百億円かけて新設した最新鋭の総合自動化ヤードが、五十九年二月に予定されているダイヤ改正でヤード機能が不用になるとか、あるいは貨物駅設備増強のために二万八千六百平米の用地を取得したけれども、実際に使用されたのは二〇%足らず、残りの二万三千三百平米の用地は遊休化しておる。こういうような投資のむだがかなり指摘をされ、報告されているわけであります。近年、貨物、荷物の輸送量は減少方向にある。行管庁は、輸送動向の見通しにも的確さを欠き、対策の見直しも十分じゃない。社会変化に十分対応できないようになっている。このように指摘をされておりますけれども、その辺のところはどこにあるのかお伺いしたいと思います。これは行管庁と国鉄。  それから、これはひとつ横浜の地元なんですけれども、高島ヤードというのがあるわけでありますけれども、いろいろ見さしていただきますと年々いろいろこの取り扱いの数とか、そういうものがだんだん減ってきておる。そういう中で、たとえばいま横浜市では「みなとみらい21」計画という大きな計画をしておるわけですけれども、ちょうどその真ん中にこの高島ヤードがある、こういうことですので、こういうときにひとつもう少し有効的な、横浜市なんかともよく相談しながらこの高島ヤードの件についてはやっていただきたい。  たとえば、先般日本相撲協会で、あそこの両国のあれを売ったとか、売却、非常にタイムリーなことやっていらっしゃると思いますけれども、これからこういうようなこともひとつ考えたらどうか。そういうことでこの高島ヤードなんかにもし何かそういう関係考えがありましたらばあわせて御答弁願いたいと思います。
  123. 北村圀夫

    説明員(北村圀夫君) お答えいたします。  貨物、荷物関係工事に関する指摘のその原因についてでございますけれども、先ほど先生からお話がございましたように、今回行管庁が出先を動員いたしまして貨物、荷物関係の設備投資の実施状況を実地に調査いたしました結果、施設、設備の稼働率が低いものがあるなど非効率な投資事例が見られたわけでございます。これらのかなりと思われる投資の主な原因でございますが、一つには先ほど先生からお話ございましたように、貨物、荷物輸送動向の見通しに的確性を欠いたことが一つあろうかと存じます。あと二つ目には設備投資の計画の見直しも必ずしも十分でなかったこと、二つのことが主な原因ではないかというふうに理解しております。
  124. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 貨物、荷物関係の設備投資におきまして結果として非効率となった事例があったということにつきましてはきわめて深刻に受けとめているわけでございますが、まず貨物につきましては、四十八年のオイルショックあるいはその後の低成長、それからモータリゼーションの進展等によりまして、予想しがたい輸送量の停滞もしくは減少を招いたわけでございます。したがいまして、現在国鉄といたしましては、貨物駅の数の大幅削減を初めといたしまして直行輸送体系を中心とする抜本的な輸送改善を計画をし、いま実施しようとしているところでございますが、この行政管理庁の御報告にもございますように、主として四十年代の前半以前に計画を立て、用地買収あるいは工事に着手をいたしました。地並びに施設等につきまして、きわめて低効率あるいは遊休化したものが生じてまいったわけでございます。今後これらの用地や施設につきましては、国鉄の経営改善に役立つよう旅客輸送施設への転用あるいは関連事業開発、用地貸し付け、資産充当ということで財政の改善に役立つように活用してまいりたいということを考えております。  なお、荷物関係につきましても国鉄荷物輸送の近代化、効率化を目途といたしまして設備投資を計画をし、これも主として四十年代の前半に計画をし設備投資を行ったわけでございますけれども、近年御承知のように民間宅配便の著しい成長によって国鉄の荷物輸送量が大幅に減少したために、遊休化した設備が生じていることも事実でございます。これらの設備投資につきましても、貨物関係の設備と同様に有効な活用を図ってまいりたいということを考えております。  また御質問のございました高島ヤードの件についてでございますが、ここにつきましては今回予定いたしております五十九年二月のダイヤ改正の時点におきましても、山下埠頭でございますとか磯子、根岸の関係の貨車の操配の基地として存続化する必要があると考えておりますけれども先生も御指摘がございましたような大規模な土地開発の計画も進められておりますので、これの計画の中心でございます横浜市ともすでに十分お話し合いをいたしておりまして、その土地に見合ったふさわしい使い方を考えていきたいというふうに考えております。  なお、近傍にございます、先生もちょっとお話がございましたが、東横浜の在来の貨物跡地につきましては、市とも十分御相談の上、土地区画整理事業区域に編入をし、一部を売却するという措置を講じた次第でございます。
  125. 服部信吾

    ○服部信吾君 次に研究開発業務についてでありますけれども、行管庁は例のリニアモーターカーの研究開発、これは実用化の時期が将来にわたるため研究の緊急性がちょっと認められないと、当面研究の減速を行う、このように勧告をしているわけでありますけれども、最近国鉄といいますと、年金が破産したとか、いろいろ合理化とか、何となく暗いイメージで、本来ならば本当に最も大事で国民の足となるべき国鉄のイメージが何となくイメージダウンしている。そういう中に、僕なんかこれはリニアモーターカーなんというような問題、これは一つの夢のような、夢でもかなりもう実験もしているだろうし、かなりのお金をかけてやっているようでございますけれども、この辺、国鉄総裁及び大臣、どのようにこの指摘についてはお考えでございましょうか。
  126. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) いま先生指摘のように、非常に国鉄が暗いイメージの中で、一つの明るい話題として浮上式の鉄道の研究ということがあり、御承知のとおり宮崎でも実験線がございまして、かなり進んでいるということでございます。これに関しましての研究のあり方につきまして行管から御指摘があるわけでございますが、将来の鉄道のあり方としていままで一生懸命で勉強してきたわけでございますが、今後これをどういうふうにするかということは、国鉄の財政が非常にむずかしいという中と絡みまして、いろいろな御批判があるという事実がございます。  そこで、私も着任早々でございますのでまだ十分検討しておりませんが、この一年間、とりあえずいままでの研究を進めるとともに、今後のあり方を基本的に検討してみたいというので、私といたしましてはちょっとしばらく時間をかしていただきたい。その中でフィージビリティースタディーを含めまして、もう少し今後のあり方を探ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  127. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) リニアモーターカーについてはただいま仁杉総裁が申し上げたとおりでございますが、原則論的に私が考えておりますことは科学技術の振興、いま鉄道に関して言うならば、鉄道技術の振興のための金は苦しい中でもやはり出すことの方が正しいと、将来のことを考えながら出すことが正しいと、基本的にはさように思っております、程度にもよりましょうけれども日本国有鉄道が持っております技術はいま世界の最高水準をいっておるものでございます。これを維持することが私は必要であると、かように考えております。原則的にはさように思っておるわけでございます。
  128. 服部信吾

    ○服部信吾君 次に、会計検査院から国鉄の用地、建物民間貸し付けについて指摘を受けているわけであります。国鉄の土地、建物の貸し付けは五十七年度、全国で七万八千百件。検査院は、このうち東京、大阪などの十鉄道の一部二千六百九十六件、金貸し付けの約三・五%を調べた結果、四百六十三件の不適正を指摘されているわけです。本当に二千六百九十六件の中で四百六十三件という大変大きな、二〇%ぐらいの不適正を指摘されておる。そういうことでこの点についてちょっとお伺いしたいんですけれども、たとえば未利用地を積極的に活用し、増収に努めようとのこの姿勢はわかりますけれども、実情は多くのむだ貸し付けがかなり行われていることが明らかになっているわけです。まあ会計検査院指摘を受け、どのような改善措置がとられたのか、五十七年度のこの国会に対する説明書の中身では何を言っているのかさっぱりわからない、こういうふうになっておりますので、この辺について国鉄にお願いしたいと思います。  それから安過ぎた料金、民間でしたら考えられないような非常に安いお金で貸し付けをしておる、こういうものが指摘されているわけでありますけれども、こういうものはたとえば指摘されたら、普通民間でしたらすぐに後で徴収されると、こういうふうなことがあるわけですけれども、過去の損失なんかは放棄してしまうのか、また用地、建物の民間貸し付けの規定が本社、管理局の間で徹底されていないんじゃないか、その後貸付規定が改善されていないのか、むだ貸し是正のためどのような措置をとるのか、いつまでに実施するのか、この辺についてお伺いをしておきたいと思います。
  129. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 土地等の固定資産の管理、運用につきましては、従来から適正な管理と効率的な運用を図るべく努力をしてきたところでございます。また、増収の面におきましても、たとえば国鉄の事業用地あるいは関連事業の用地として近い将来に使用する計画があるような土地につきましても、暫定的に第三者に使用していただくということで、少しでも増収の実を上げようというようなこともやってきたわけでございますけれども、最近におきます第三者による土地使用の様態が多様化をしてきたというところから、全社的な取り扱いに不統一な面を生ずる、また管理面にも適切を欠くものがあるということで、これらの面で今後改善を図っていけば、さらに増収が図れるのではないかという趣旨の改善要求を、処置要求を受けたわけでございます。確かに御指摘のような点がございますので、これらの土地建物貸付規則等の適用基準の明確化、制度の趣旨の徹底、取り扱い方の明確化を、先生も御指摘ございましたように、各管理局に十分徹底をさせまして処置を図っていきたいというふうに考えております。  なお、具体的な個々の項目に対します改善処置につきましては、現在鋭意立案中でございまして、近々その基準の適用方に関する通達を出す予定にいたしております。なお、お話がございました過去取り損ねた料金についてはどうするかという問題につきましては、今後の契約の更改の時点から新しい料金によるものを収受をすることといたしたいと考えておりますので、御了承を賜りたいと思います。
  130. 服部信吾

    ○服部信吾君 いずれにいたしましても検査院、あるいは行政監察によっていろいろとむだが指摘されているわけであります。そういう中で特に国鉄がこういうふうに厳しい財政再建をやろうという中において、このようなむだがあるということは、またこれ国民も大変不信を抱くと思いますので、どうかひとつこういうことのないようにやっていただきたい、このように考えます。  それからあと、成田新幹線についてでございますけれども、この問題はもうさんざん国会内でもやられておると思います。まあ会計検査院の五十七年度の指摘においてもかなり厳しい指摘がされております。いままで五百四十三億円を投入したけれども、土屋以降東京までは全然どうしようもないと、こういうふうなことで指摘をされております。いずれにしても、成田空港というのはこれからの国際化を迎えてわが国の表玄関ですし、大変重要な空港であると思いますので、この辺、この成田新幹線について大臣、これもうそろそろ結論を出していただきたいと思うんですけれども、これについてどのようにお考えでしょうか。
  131. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) お答え申し上げます。成田が、御案内のようにアクセスが非常に不便であることは、もう言うまでもないところでございます。それにはどうしても道路のほかに鉄道をできるだけスピードアップしたもので、成田と東京都内を結ぶということが絶対に必要でございます。当初新幹線が計画されましたのもそういう考え方から出たものでございますが、その後、ただいま御質問の中にもございましたが、種々のいきさつがございます。そこで、いみじくもあなたのいまおっしゃいましたように、方向をもっとはっきりさせなきゃいかぬという時期がもう来ておると思います。そこで、これにつきましては、できるだけ早い時期に鉄道の成田−東京間をどういう形のものにするかと、そして、いま成田の新幹線の工事で一部停車場等金をかけておりますが、そういうものをどうして生かすかと、こういうことについてなるべく早い時期に結論を得、そういう方向で進めてまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
  132. 服部信吾

    ○服部信吾君 この問題につきましては、たとえば新東京国際空港アクセス関連高速鉄道調査委員会——八十島委員会というそうですけれども、ここからいろいろな提言がされて、五十六年五月にこの会を発足さして、五十七年五月にいろいろ、A案とかB案とかC案とか出して、そしてまあこれを運輸省の判断にゆだねておるんだと、こういうようなことがありますけれども、この委員会からはどんなことが報告されて、それに対して運輸省としてはどのような対応をしたのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  133. 永光洋一

    説明員(永光洋一君) いま申されましたように、高速鉄道として成田空港と都心を結ぶべきいかなるネットワークがいいかということで調査委員会でいろいろ御議論をいただきまして、国鉄が主としてやるA案、あるいは民間の京成と地元の鉄道事業者が糾合してやるB案、あるいは暫定的に総武線等を使うC案と、いろいろな考え方が三つ出ております。それで、実は現在、B案といいますか、民間の事業者を糾合してやることにつきましては、これは国鉄がやることと違いまして、それぞれ協調してやらなければなりませんで、そのあたりが現実にできるかどうかということを至急詰めたいということで、鉄建公団内に関係業界が集まった研究会を設けまして、至急その民間による高速鉄道の可能性というものを詰めております。そういう案の可能性につきまして至急詰めまして、行政的にいま大臣が言われましたようにいずれかの形で——八十島委員会から複数の案を提示されておりますので、その中で一番効率的で、あるいは地元にも納得のいただける案を早急にとって、現在の成田の国際空港関係に投資した設備がむだにならないような形で有効に活用したいと、かように考えております。
  134. 服部信吾

    ○服部信吾君 八十島委員会からA、B、C案が出て、特に何というんですかな、検査院の指摘なんかを受けてまた新しく成田新高速鉄道関係者研究会というのをつくったわけですね。この研究会でB案を検討しているわけですか。この点について。
  135. 永光洋一

    説明員(永光洋一君) 実は、A案とC案というのは国鉄がやるという形になっておりますので、これはまあ単独の事業者でございますので、それぞれの、われわれなりあるいは国鉄自体が検討すれば一応の結論が出るわけでございますけれども、それと比較検討する形のB案と申しますのは、いま申しましたように、東京都営あるいは京成電鉄、北総開発等々、いろんな業界のルートが絡んでおる線でありますので、その点につきましてはやはり各関係の業界等とも協力なりが要るわけでございますので、その点については特にやはり関係者が集まっていろいろ研究する点が多々あるわけでございますので、そこを重点に研究をいたして——もちろんそれを研究しながら、やはり他の案につきましての比較検討等も行いますが、主として重点的にはその面を検討いたしておる、こういうことでございます。
  136. 服部信吾

    ○服部信吾君 この研究会は要するにB案を検討すると、こういう会ですね。これはやっぱりいつごろかまたこの研究会の報告とか、そういうものが出されるんですか、この点についてお伺いしておきます。
  137. 永光洋一

    説明員(永光洋一君) もちろんこの研究会におきまして得られました結論につきましてはまとめまして、したがって、これによってこの成田問題のアクセスについての一つの大きな資料なりあるいは一つの糧にいたしたいと、こういうふうに考えております。
  138. 服部信吾

    ○服部信吾君 この成田新幹線、大臣ね、もうこれそろそろ何とか結論出して、方向性も先ほど言われましたけれども、出していただきたいと思います。  そういうことで、まあ何といいますか、最初は新幹線構想と。東京−成田三十分、六十五キロと、こういうようなことで来たんですけれども、だんだん新幹線というのが消えてきちゃって国鉄高速鉄道とか、こんなふうにもなったような気がするんですけれども、新幹線構想というのはもう大臣、これ消えちゃうんですかね。そしてこの三つの案のどれかを探るぞというような感じになるんでしょうか。この辺について。  それから最後に、先ほどめどをつけると言いますけれども、大体いつごろにめどをつけるのか、この点についてお伺いをしておきます。
  139. 永光洋一

    説明員(永光洋一君) 成田の新幹線の取り扱いにつきましては、われわれといたしましては、いま申しております、これにかわると申しますか、いわゆる空港のアクセスあるいは千葉県通勤、通学問題に対応する新たな高速鉄道のめどがつきました段階——早急にめどをつけ、その段階におきまして処理をいたしたいと、かように考えております。じゃ、そういうめどはどうだということでありますが、われわれとしては、できれば今年内にという気持ちで作業をいたしたいと、こういうふうに思っております。
  140. 服部信吾

    ○服部信吾君 今年内ということでございますので、ひとつよろしくその辺のところをお願いいたしたいと思います。  最後に、いろいろ国鉄問題について、会計検査院等においても従来から大変赤字問題については重大な関心を持って検査をされてきたようでありますけれども、先ほどの行管庁の監察にも指摘がありましたが、過去、国鉄に対し貨物、荷物など検査院としてこの指摘事項などをお伺いして、この国鉄問題については終わりたいと思います。
  141. 中村清

    説明員(中村清君) いま御指摘がございましたように、国鉄赤字問題につきましては事態が非常に深刻であるというだけに、会計検査院としましても従来から重大な関心を持って検査を進めてきたと、こういうことでございます。  まず、昭和五十五年度の決算検査報告におきましては貨物の問題を取り上げたわけでございますけれども、貨物部門の営業成績について見ますと、原価が収入を大幅に上回っておりまして、その収支差額は国鉄赤字の過半を占めるという経営の大きな圧迫要因になっております。したがいまして、収入とそれに要した原価の実態について細部にわたって分析をいたしましたが、原価の低減を図ることが緊要であると、こういう見地から、特に掲記を要すると認めた事項として問題を提起したわけでございます。  引き続き、五十六年度決算検査報告におきましては荷物の問題を取り上げたわけでございますけれども、荷物の営業成績が著しく悪化しておりますので、その原因を分析するとともに、国鉄が行っている各種の収支改善策にもいろいろと問題点があると、こういう点を指摘いたしまして、抜本的な対策を講ずる要があるという見地から、特に掲記を要すると認めた事項として問題を提起をしたわけでございます。  さらに、五十七年度の決算検査報告におきましては旅客の問題を取り上げたわけでございますけれども、旅客営業は言うまでもなく国鉄の収入の大宗を占めておりまして、将来にわたる健全経営の基盤を確立する上で根幹となるものですから、収支悪化の原因を分析いたしました結果、利用者の需要に合った、より効果的な営業体制を整備して増収に努める一方で、職員の業務効率の向上などによって経費の節減を図ることが緊要であると、こういう見地から特に掲記を要すると認めた事項として問題を提起したわけでございます。  以上のように三年間にわたりまして貨物、荷物、旅客の問題をそれぞれ取り上げましたのは、会計検査院の場合は、会計検査という立場から独自の原因分析を行いまして国鉄の再建に絡んで問題を提起する必要があると、こういうふうに考えたからにほかなりません。  なお、このほか、最近三年ばかりを申し上げたいと思いますが、不当事項としては計二十四件を決算検査報告に掲記しておりますけれども、これらのうちには工事の施工不良、それから工事費、役務費の積算過大、こういった従来からの指摘タイプに属するものもありますが、そのほか、特に国鉄経営の現状を踏まえまして、業務執行体制等に踏み込んで検査を実施いたしまして、その結果として業務の効率的な運営に起因する不経済事項、こういう事態につきましても指摘すると、こういう問題も含まれております。  以上でございます。
  142. 服部信吾

    ○服部信吾君 最後に郵政省の電電公社関係についてお伺いいたします。  初めに当面の最重要課題である電電公社の経営形態の改革問題に対する新郵政大臣見解をお伺いしたい。  それから、先日、アメリカ商務次官オルマー氏と本格的VAN、いわゆる付加価値通信の自由化について大臣は話されたようでありますけれども、この問題に対する大臣見解をお伺いしたいと思います。
  143. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 最初の電電改革でございますけれども、御存じのとおりに、新行革大綱に沿いまして、去年の九月十三日、政府と自由民主党の行革推進本部常任幹事会からすでに十一項目にわたる形で提案がなされました。その線を手がかりといたしまして目下具体的作業に入っております。何せ郵政始まって以来の大変な、百八十近い法案にも関連をいたしますことだけに、精力的にいま作業を進めている段階でございます。今国会提出の運びでございますので、どうかひとつ御協力をお願いいたしたいと思います。  次にVANシステムの問題でございますけれども、御存じのように大変な新しいメディアとして注目されておるわけでございます。御指摘のように、去る十三日金曜日でございますけれども、アメリカのオルマー商務次官が私を訪問いたしました。そしてこのオルマーさんから、日本はこのVANシステムに対して何か一部外資あるいは技術の面の導入について非常に厳しい規制、二〇%という具体的な数字を挙げました。そういう形で規制するのはけしからぬじゃないかというお話でございました。まあ私も二〇%という数字は初めて聞いたわけでございますし、あなたは一体そういう数字をどこから聞いてきたんだ、私はまだ白紙でございますよという形で、向こうの方が何かこれは弱ったというような顔をしておりましたけれどもい現実に新規の事業参入、そして電気通信分野の活性化を図ろうという形は基本的な姿勢でございますし、しかし、かといって通信の秘密、安全性、信頼性といったような見地からも検討を加えなきゃいけない重要な問題でございますし、アメリカと違ってこのVANのシステムの問題においてはやっぱり十年くらい立ちおくれておると言ったらおかしいですけれども、その面ではまだ日本はアメリカと比べると後発国の立場でございますから、そういった面も十分検討を加えながら慎重にやってまいりたいといま目下、仮称でございますけれども、電気通信事業法という形の法案を準備中でございます。
  144. 服部信吾

    ○服部信吾君 それでは最後に電報事業に対する大臣並びに公社総裁の基本的見解を求めて終わりにしたいと思います。  総裁は、以前、電報事業はもう用済みだと言って、また後で撤回されて将来廃止する、このようなことも言われておりますし、逓信協会雑誌というのがありまして、そこで電気通信局長と郵務局長が対談しておりまして、そして、もう要するに電報事業については廃止すべきだ、私も同感と、こういうふうなことも出ておりまして、その後これがまた訂正されて、そうじゃないんだというような意味が出ておりますけれども、この電報事業についてどのようにお考えになっておりますか。  そうして、この電報事業の収支改善を図るために電電公社では、五十七年六月の「今後の事業収支計画について」の中で、五十九年度において電報料金の改定、夜間サービスの見直しによって百億円程度の増収、節減を見込んでいる、このようになっておりますけれども、来年度この料金値上げがあるのかどうか、ちょっとこの点についてもお伺いしておきます。  これで終わります。
  145. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 総裁からまた御答弁があると思いますけれども、ただ現実問題として電報が非常に少なくなっていると言ったらおかしいですけれども、減少していることは事実でございます。しかし、現在でもやっぱり扱い高四千三百万通ということでございますし、主に慶弔、サラ金督促が大変なお得意さんのようでございますけれども、しかし、確かに新しい通信メディアの開発によって、電報業務の深夜配達等々では非常にコスト高になって、これが大きな赤字累積の原因になっていることは御承知のとおりでございます。しかし、やはり慣習化して非常になじんできたものでございますし、とりあえずは電電公社も努力しておるようでございます。電報受付局の統合問題とか、あるいは電報配達の民間委託とか、こういった形で中継局、交換局の統合とかいろいろ考えて、工夫して努力しておるという実態でございます。しかし、これは近い将来にわたって電子郵便等々ももう窓口がうんと今度はたくさん数をつくりますし、都道府県庁所在地にはもうことしじゅうにもそういった設備をやる段取りでございますし、電子郵便等々の普及化を含め通信メディア全体の関係において今後総合的に検討して、できることならこういった赤字の累積を最小隈に食いとめてまいりたいと思っておるわけでございます。
  146. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) いま大臣が御説明ありました線に沿って、いま具体的にいろいろやっておりますが、電報の通信の設備が人手をたくさん必要とする、ずっと古い設備が非常に多いものですから、それをさしあたり新しい、人手の非常に少なくて済む設備にかえることをすでに始めております。  それから、いま大臣がおっしゃいましたように、電報の受付局あるいは発信局、受信局というものをずっと少なくても済むようなやり方が新しく考えられますので、いまの現在の発信局、受信局の数あるいは配達局の数というものを半分以下あるいは三分の一ぐらいまでに少なくしても世の中に御迷惑はかけない、交通事情もよくなりましたので、配達の。そういうことも入れまして鋭意いま進めておる状態でございます。  それともう一つ、かなりの人数の配置転換を必要といたしますので、目下組合と具体的な配置転換についてのいろんな相談をいたしまして、大体私ども考えておる線に近い形で結論に近づきつつあるということでございまして、この設備の面と人的な面と大体改善のめどがいまつきつつある状態でございまして、あと二、三年の間にかなり大幅な合理化ができる可能性を持っております。しばらく時間をかしていただきたいと思います。
  147. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最初に、時間がございませんのであれですが、今回指摘を受けました郵政省の特記事項につきましては、先ほど同僚議員から質疑もございましたし、大臣からのいろいろな所信表明もございました。五十六年決算の検査以後も相次いで起こっておるような状況でございますが、先ほど御答弁ありましたように、こういったことがなくなるように、着実におっしゃったことを実行していただきたいことを最初に要望しておきます。  そこで次に、NHKの方、お見えになっておりますね。どうも御苦労さんでございます。雪の中をどうもありがとうございました。  二、三お尋ね等をしておきたいんですが、実は前坂本会長、この方が逓信委員会におきまして、五十七年夏ごろには、NHKの長期ビジョン審議会の検討結果を国会報告する、こういうことを最初におっしゃっているんですけれども、この点の報告はどのようになっておりましょうか。
  148. 坂倉孝一

    参考人(坂倉孝一君) 五十七年の一月にNHKの長期ビジョン審議会の答申をいただいたわけでございまして、その答申をいただきまして、そこに盛られました提言につきまして、それを今後のNHKの事業運営にいかに反映さしていくかということで、直ちに会長以下全役員をメンバーといたします検討会議を設けて検討をいたしてまいったわけでございます。その後、約一年にわたりまして多角的に検討を行ってまいりました。  御承知のとおり、調査報告書は、八〇年代における公共放送事業体としてのNHKという、非常に長期的な視点に立つというようなもので、問題はいろいろな、多岐にわたった問題でございます。私どもとしては、いろいろ六つの小委員会に分けまして鋭意検討を行ってまいりまして、比較的早く結論の得られた問題は、先生御承知のように五十八年度の事業計画の中に織り込んでまいったわけでございます。  それから、さらにその後、五十八年に入りましてからは、経営計画会議といったような形で次の、今後つくってまいります経営計画に反映させるという努力をいたしてまいりまして、その結果、経営構想という形でもってそれを取りまとめまして、これは昨年、NHKの今後の経営構想のための審議会を設置いたしました。その審議会にもそういう経営構想というような形でもってこの検討をしていただいたわけでございます。  私どもといたしましては、さしあたりましてはこの経営構想といったような形で取りまとめたわけでございますけれども、さらにこれにつきましては、ただいま今後の経営計画というものを取り進めておりまして、こういったところにさらに、経営構想に長期的な視点も踏まえてさらに取りまとめていこうというふうに考えているのが現状でございます。
  149. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それからもう一つ、昨年の三月の逓信委員会におきまして、地方放送局体制の見直しと通信部の整理等を五十八年以降見直しを行っていく、具体案を検討中だという答弁ございましたが、その点はどのように進んでいますか。
  150. 坂倉孝一

    参考人(坂倉孝一君) これは五十五年度以降の効率化計画ということで、現在もその計画を推進中でございますけれども、この地方局体制の見直しというものも当然その中でもってさらに努力を継続いたしてまいっているわけでございます。地方局体制の見直しにつきましては、今年度からは、具体的に申し上げますと、NHKには各県に県庁所在地だけではなくて、県内の複数局というような形で、複数の地方局のある個所があるわけでございますけれども、そういったところの、県内に複数局のあるようなところの業務体制の効率化という点に踏み込みまして、あるいはそういった問題と同時に、それぞれの全国の放送局の宿泊体制を縮減するといったような観点からも、地方局の体制の見直しをやっているわけでございます。  通信部の見直しにつきましても、そういった地方局体制の見直しの一環としてこれを進めてまいるというわけでございまして、これからの基本的にこういった地域の特性に応じたローカル放送をどう効率的に、しかもその地方の方々のローカル放送の充実といった御要望にこたえながら、しかもそれを効率的に実施をしていくかという点について、さらに詰めた検討をしているわけでございますけれども、これはローカル放送のやり方ということにつきましても、いままでのような画一的なやり方ではなくて、もっと重点的なやり方といったような放送そのものの刷新といったようなことも考えておりますし、それにあわせまして要員の体制も総合的に検討をいたしてまいっているわけでございます。そういうようなことで、通信部の見直しにつきましても、そういった形の中の一環といたしまして、道路交通網の整備でございますとか、情報通信手段の発達といった、そういう地域需要の変化に合わせまして、これは先生御承知のように、従来相当やってまいったわけでございますけれども、今後につきましても、ただいま申し上げましたような基本的な考えに基づきまして、ローカル放送、地方局体制全般の見直しの中の一環として、さらに継続して進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  151. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまお話をお聞きしましたんですが、要するに坂本前会長がおっしゃった国会報告するということが実行されていないと。それから、昨年の委員会におきまして、具体案を検討し、これを五十六年度以降見直しを行う予定であるということも、この具体的なことは一つも進んでないということですね。ですから、国会に約束したことは必ず実行してもらうようにこれからもしていただきたいと思うんです。  それで、先ほど同僚委員からお話がありましたけれども、これからまたいま新たな負担をという点もいろいろ起こっているわけでございますので、そういった点でしっかりと、国会で予算、決算をいろいろと審議をしてもらう立場からも、国会で約束したことを必ず実行する、こういう姿勢をやはり貫いていただきたい、このことを要望しておきたいと思うんです。  そこで、川原会長も三月の答弁の中でやはりおっしゃっておりますことは、「より能率的な少数精鋭主義に徹していく、そういう自己改革が」最優先さるべきだ、ということをおっしゃっているわけですね。これからも労使交渉等の問題があろうかと思いますが、その点努力を重ねていただきたい、このように思います。  そこで、NHKの赤字が千五百四十八億円と、そういうことになっておりますけれども、その要因を見てみますと、衛星放送などニューメディアの経費負担が大きくなっているわけですけれども、これからの放送ニーズの多様化、そういうことにこたえていく必要もありましょうけれども、そういったことからまた国の大幅な負担増につながっていく、あるいは国民の間の受益のアンバランスから負担の不公平、こういうことを招いてはいけない、このように思うわけですけれども、そういった点からやはり経営計画をしっかりと見直しすることが必要じゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。
  152. 坂倉孝一

    参考人(坂倉孝一君) ただいま先生の御指摘の点につきましては、新しい経営計画を策定をしていかなければならないということで、昨年この経営計画に関する審議会という、外部の有識者の先生方を委員にお願いをいたしまして、そこで検討をしていただいてまいっているわけでございます。その報告書を昨年暮れにいただいたわけでございまして、NHKが今後経営計画をつくるに当たっての幾多の提言をその中でいただいているわけでございます。  その中には、ただいま先生の御指摘のございました財政問題というような点も含まれているわけでございまして、私どもはこの提言の御趣旨を尊重しながら、ただいま鋭意この経営計画の詰めを行っているというのが実情でございます。
  153. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後に郵政大臣、やはり大臣としてもこのNHKを指導監督する立場から、いまいろいろと専務理事からお話しのありました経営計画、この中身を十分検討されまして、国民の負担増加をできるだけ抑制するようなことでNHKと十分これは話し合いをしていただきたい、このように私も要望するわけですが、その点について一言お伺いして終わります。
  154. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 自己改革を含めた厳しい切り込んだ経営計画をいま作成中だと聞いております。ただ郵政省といたしましては、いま御指摘のとおりに、これがすぐ直ちに受信料の値上げという形で国民負担につながらないように望んでおるところでございますし、いまNHKとしては一万五千人体制ですか、非常に経費を圧縮しながらも合理化に積極的に取り組むという姿勢に出ております。  そして、特にニューメディアの技術開発にも触れられましたけれども、こういった負担はあるわけですが、BS2の打ち上げによってかねての懸案でありました難視聴が解消されるという大きな国民的なメリットもあるわけでございます。  そして、公共性という点からいっても、最小限のコストを見込んで、私の方の聞いておるところでは、ことしまではまあまあ、来年からはこういった形で相当厳しくなるというようなことも聞いております。これらの点を含めまして、ただいまの御指摘の趣旨はまことに私も同感でございますし、厳正に注目してまいることをお約束いたします。
  155. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  156. 安武洋子

    ○安武洋子君 まず最初に、三井有明鉱の事故についてお伺いをいたします。  これはまだ事故の全貌がわかっておりませんし、私ども共産党は小沢衆議院議員を団長にいたしまして現地に調査に入っておりますので、その結果に基づきまして日を改めて御質問を申し上げたいと思います。  いずれにいたしましても、大変な人命が奪われるというふうな悲惨な事故でございまして、私どもの記憶には北炭夕張の事故が記憶に新しいところでございますし、またこの三井三池ではせんだって大事故の二十周年の追悼集会を行うというふうなことをいたしております。この十年、三池の場合、少ない場合でも年に二人、多い年で八人という犠牲者を出し続けてきておるわけでございます。こういう事故が起こりましたときには、政府では、再びこういう事故の起こらないように指導してまいるというふうな御答弁を繰り返してこられておりますけれども、一体いままで炭鉱についてどのような安全対策の面で御指導をなさってこられたのか、もういままでのような繰り返しては、私はだめだと思います。こういう事故を契機にして、一体どのような対処をされようとなさっていらっしゃるのでしょうか。まずお伺いをいたします。通産、労働、それぞれにお伺いをいたします。
  157. 宮副信隆

    説明員(宮副信隆君) お答えいたします。  御指摘のように、三井三池炭鉱有明鉱で昨日災害発生し、多くの方が犠牲になられた。現在、死亡七十四名、それは二時二十分現在でございますが、確認されております。さらに行方不明として坑内に十名の方がまだ残っているということで、現在鋭意救護作業をやっているところでございます。  炭鉱災害を減らすためにどういうことをやってきたかということでございますが、現在、この坑内火災の原因につきましての原因究明と申しますのは、これから救護隊の作業が一段落した時点から本格的に取り組みたいということで、現在もっぱら救護隊、人命救助という点に最大の力点を置いて取り組んでいるわけでございますが、一部原因としてベルトコンベヤー火災ではないかということも言われているわけでございますが、まだ原因としてはっきりいたしませんが、ベルトコンベヤーの安全性につきましては、私ども通産といたしましても非常に長期にわたりまして、その安全性を向上させるために努力をし、炭鉱の方にも指導してきたものでございます。  たとえば、ベルト自身の燃えにくいような難燃性のベルトにかえていくということを手始めに、さらにスリップを起こすことによってそこに摩擦熱が生じると、そういうものについてのスリップ・リレーの設置、それから電動機に過負荷がかかった場合の電源を切るような装置とか、さらに、もしそこで加熱いたしまして煙が出ました場合にはその煙をいち早く感知して警報を流す、その警報も集中監視的に素早く対応ができるようにする、そういうことにつきまして長年かかりまして努力してきて、その体制についてはかなり自信を持っていたわけでございますが、今回仮にそのベルトの関係の事故としました場合につきましては、どういう点が原因であったのか、今後人命救護作業が一段落しましたところで徹底的に原因を究明し、今後の再発防止に努めていきたいと考えております。
  158. 加来利一

    説明員(加来利一君) 労働省といたしましては、鉱山の保安の確保につきましては鉱山保安法に基づきまして、通商産業省から御紹介にいま上がっているところでございますが、私ども労働者の生命と健康を守るという立場から、今回のような事故が起こるということはまことに遺憾なことでございますので、災害発生時における調査、原因の分析等について通産省と十分な連絡をとりつつ、また政府火災災害防止対策本部の一員として努めてまいりたいと、これまでもそのようなことで、一般的な状況としましては鉱山災害防止するという観点から鉱業労働災害防止協会という協会などを設立いたしまして、お互いに通産省労働省共管をしながら自主的な労働災害防止活動を促進するといったような点での援助等は行ってきたわけでございますが、さらに今後とも通産省と連絡をとりつつ進めてまいりたいと、このように思います。
  159. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、事故の全貌がわかりましてから、改めて御質問をいたしとうございます。どうも急に呼びまして失礼いたしました。どうぞお引き取りくださいませ。  次、閣僚の資産公開の問題について両大臣にお伺いをしてまいります。  あすから三十一日まで各自に御発表ということを承っておりますが、実施基準を拝見いたしますと、名義変更などによる資産隠しの余裕がある、こういうこととか、中曽根総理の御試案では政務次官の資産公開も行うというふうになっておりましたけれども、これも外されるというふうなことで大変甘いものになっております。  私どもは以前から閣僚、政務次官の資産状況国会報告して公表することを義務づける。そして配偶者名義についても本人と同様に扱うというふうに資産公開の必要性を訴えてまいっておりましたが、その立場から見ましても非常に今回の基準は、世論がしり抜けだというふうに申しておりますけれども、世論の指摘どおりだと言わざるを得ないと思うわけです。まるでざるで水をすくうようなものではないかというふうに思うわけです。  ところで、報道ではすでに夫人名義の資産の公開とか、あるいは実施基準にない資産の項目につきましても公表しようと、こういう閣僚がおられるというふうに聞いておりますけれども、両大臣の場合、実施基準を超えて発表される御意思がございましょうか。奥田郵政大臣は大変奥様のことを気になさっていらっしゃるようでございますが、お答えいただきます。
  160. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 初めてのことでございますし、基本的には先生の御指摘に全く賛成でございます。  とりわけ、政治不信と申しますか、こういった形で政治家の資産形成に対する疑惑が国民の皆さんから強く指弾されておるときでございますから。ただいま私だけにこのルールから外れた形でやる意思がないかというような……。
  161. 安武洋子

    ○安武洋子君 両方。
  162. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) ああそうですか。皆さんの合意に従ったルールで公開をいたしたいと思っております。
  163. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) ただいま御指摘のような政務次官がやめになったというようないきさつについて私は詳しく存じません。  資産公開につきましては、かねがね非常に国民の皆様の中からも御要望のあるところでございますし、当然のことだと思っております。私も用意もいたしておるのでございます。  家族の問題をどう扱うかという問題でございますが、私などの場合は実は昔から共有にいたしておりますので、一緒に発表せざるを得ないことになっております。これは家内の意向で初めからそうなっておるので、このごろしたものではございません。さようなわけでございます。  これは手始めみたいなものでございますから、これからだんだんよくしていくということにするんじゃございませんでしょうか。私、賛成でございます。
  164. 安武洋子

    ○安武洋子君 資産を公開していただくというのは、閣僚の資産高でベストテンをずっとつけていくというふうなそういうものではございませんで、やはり大臣という職権を利用していやしくも私腹を肥やすようなことがあってはならないというふうなことで、これをチェックするということでございます。だから一度だけの公表ということでは資産の増減はつかめないわけでございます。だからすなわち、これは意味がないというふうなことになってしまうわけでございますから、任期から考えましても少なくとも年に二回ぐらいの公表がなされるというふうになって、初めて有効に作用するのではないかと、こう思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。両大臣資産公開を定期的におやりになる、こういう御意思はございませんでしょうか。
  165. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) そのとおりで同感でございます。
  166. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 初めてのことでございますから、これから倫理関係委員会ができたり、いろいろなことでもっと全般的にいろいろ検討することになると思いますね。その中でいまおっしゃったようなことも当然検討されるべきではないでしょうか、さように考えております。別段の御異議はございません。役に立つようにしなければ何にもならない。
  167. 安武洋子

    ○安武洋子君 御異議がないということでございますが、政治倫理の確立という点で国民が最も望んでおりますのは、有罪判決を受けながら居直りを続けておられる元総理田中さん、これへの厳しい対応でございます。この田中型の利権政治の一掃ということがないがしろにされて、そして閣僚の方の不十分な資産公開で国民の怒りをそらそう、これで倫理が確立したというふうなことでは、私はだめだというふうに思うわけです。しかもこういうことは一回きりというふうなことでは全く意味がないというふうに思います。このようなことで私は倫理の確立、政治の腐敗、これがなくなるというふうには思えないわけですけれども、両大臣はどういう御所見をお持ちでございましょうか。
  168. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) おっしゃるとおりでございまして、先般の中曽根総理大臣声明の中にも、倫理の問題について相当反省をしたいろいろ声明がなされておるわけでございます。ただいまのお話の中の、閣僚の財産公開で全部が終わったなどというふうには総理大臣考えておるはずはございません。これからいろいろなことを国会の中でも、また政府や党の中でも考えていこう、こう言っておられることでございまして、内閣が誕生早々手始めにこれをやるということであろうと私は解釈いたしております。
  169. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 何といっても一つのステップとして評価したいと思いますし、いま先生が御提案なさった線にも拡大さるべきであると基本的に考えております。できることならば、大臣だけじゃなくて与野党の先生方も含めてそういった姿勢が必要であろうと私は思います。
  170. 安武洋子

    ○安武洋子君 与野党なんて、私どもにまでも同じようにおっしゃらないでいただきとうございます。  問題を次に進めてまいります。  昨年の緊急提言でも言われておりますけれども国鉄は、債務の軽減のために資産の売却、これを積極的に進めるということで、未利用地とか、不用地の売却処分を促進しようとされております。この資産売却に対しまして財界がウの目タカの目でねらっているというのが私は正直なところだというふうに思います。中でも注目されておりますのが、新宿、梅田、錦糸町の国鉄用地について今後どのようにされようとしているのかということが注目されているのではなかろうか。売却をされるというお考えなのか、それとも売らないとすれば、開発利用をどういう形態で進めようと考えておられるのでしょうか。さらに、二月一日の貨物合理化で新たに廃止を強行しようとなさっている大阪の吹田操車場、それから川崎の新鶴見操車場、こういうところについては今後どのように扱おうと考えておられるのでしょうか。この点をまずお伺いをいたします。
  171. 岩瀬虹兒

    説明員(岩瀬虹兒君) 昨年の六月以来、新宿、梅田、錦糸町等の用地につきまして、その開発の仕方について検討を重ねてまいってきております。これらの用地に共通して言えますことは、貨物駅という用地の性格上、敷地が非常に大きいにもかかわらず、道路等の都市施設との接続条件が考慮されていないわけであります。また、今後用地を活用していくに当たりましても、敷地内にいわゆる街路等の公共施設が必要であるわけでありますので、そのような基盤をどのように整備していくかについて検討をしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、まだこの最終的な利用計画、それから具体的な成案を得るには至っていないわけでございますので、まだその事業主体、事業内容等を申し上げるまでになっていないわけでございます。  いずれにいたしましても、国鉄がみずから活用をしてまいりますか、あるいは売却するか等の処理方を決めておるわけでございませんが、どのような場合でも国鉄の財政再建に最も寄与するような方法で考えてまいりたいというふうに考えております。  それから、大都市周辺にあります吹田の操車場あるいは新鶴見の操車場についてでございますけれども、これらは御承知のように、輸送の拠点ということでいろいろな国鉄の輸送機関が付随しているわけでございます。今般は貨物輸送の改善ということで、輸送方式が変わりますと一応操車場としての使命は終わるわけでございますけれども、たとえば機関区でありますとかその他の機関がありますために、いろいろな作業がまだ残るわけでございます。また、操車場で申しますと、御承知のように、上り本線と下り本線の間にいろいろな施設がございますので、そういうものをやはりいろいろ整理をしてまいりませんと用地は使えるようにはならないわけでございます。それとはまた別に、大都市周辺にありますまとまった土地でございますので、これを使うに当たりましても、ただなし崩しに売却していくということでは非常に意味がないわけでございますので、何とかそういう意味でお役に立つ方法で使ってまいりたいというふうに考えております。そういう意味で、関係省庁とか周辺の地方自治体と折々相談をしている段階でございます。
  172. 安武洋子

    ○安武洋子君 いずれにしましても、資産の売却というのは金額的にも膨大なものだけに、私は、慎重にしかも厳格にやられなければ大変なことになると思います。  そこで、それに関連をいたしましてお聞きしますけれども、兵庫県西宮市の甲陽園東山町一番二十四及び一番二十五にある国鉄の遊休地の売却問題でございます。  国鉄は現在、私が申し上げました兵庫県西宮市の甲陽園東山町一番二十四及び二十五にあるこの土地を売却する計画を持っておられるようでございますが、その経過を簡単にお話しください。
  173. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 先生のお話のございました。地につきましては、山陽新幹線六甲トンネルを掘りますときに、そのトンネルのズリ捨て場の用地といたしまして四十二年に取得をしたものでございまして、工事終了後不用地となって現在に至っているものでございます。そういった場所でございますので、当該の土地は公道にほとんど接していない、また傾斜地である、平地の部分が約四分の一ぐらいしかございません。そういったことから単独利用が非常にむずかしいということで、これまでも売却を計画いたしておりましたけれども、買い手もつかない状況でありました。しかしながら、国鉄の経営改善計画の一環として資産充当に資するため、五十八年度の売却予定物件として積極的にセールスを進めていたという状況でございます。
  174. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、セールスを進めておられるこの土地でございますが、この土地の跡にマンション建設の計画がございます。この当該地では森林公園に隣接した傾斜地でございますし、山林でもあり、地盤も軟弱であるというふうなことで、この開発をめぐりまして住民と建設業者の間で合意が成立いたしませんで、いまなお交渉が継続をされております。そして国鉄にも再三交渉を繰り返しておられますが、このことは御承知でございますか。
  175. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) そういう積極的にセールスを進めている状況の中で、この付近の土地約二万五千平米——隣接地でございますが、を所有している某業者から、当該地の払い下げの要請が口頭でございました。これは五十七年の七月ごろございましたが、その後五十八年七月に至りまして、当該地付近の自治会の方々からこの二万五千平米の土地の開発等について、環境破壊につながるものであるということで御反対がございまして、したがって、当該地の払い下げあるいは払い下げの時期について開発の業者と地域の住民の方々との間の話し合いがつくまで払い下げを延期をしてほしいという御要請を文書でいただいております。
  176. 安武洋子

    ○安武洋子君 私はここを調査いたしました。この売却予定先であるのは株式会社朝日住建という建設会社でございますが、まだ国鉄との売買契約が行われていないにもかかわらず、一年以上も前にすでにボーリング調査を終了いたしております。そして、ここに私は持ってきておりますけれども、造成平面図、それはもちろんのこと、基礎工事の平面図までも完成をいたしております。その上に、なお西宮市に対しまして、五十八年四月五日に建設の概要書、それから五十八年の十月十四日に中高層建築物計画書、こういうものまで提出をいたしております。売買の契約が行われるまでは、これはもう当然のことでございますが、国鉄の財産でございます。それにもかかわらず、まるでわが物のごとくに一年以上も前にすでに地質調査のボーリングをやる、それから各種建設計画、これを地方自治体に提出する、こういうふうなことを国鉄は一般的に認めてなさるんでしょうか。国有財産なら、たとえ入札が終わった後でも、契約が成立して権利が譲渡されるまではこのようなことは許されないはずでございますが、いかがなんでしょうか。
  177. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) いま先生が御指摘のような事情につきましてはつまびらかではございませんけれども、恐らくボーリングは隣接地で朝日住建が持っている土地においてなされたものと考えております。それから、国鉄の土地を合わせました地域につきまして、仮に開発を計画するとすればどのような図面が書けるかということを朝日住建の側が書かれたことは、国鉄としては関知をしていないところでございます。
  178. 安武洋子

    ○安武洋子君 とんでもないことで、ここに私は図面を持ってきておりますが、どの地点でボーリングがやられたかということは、線を引きまして、この地点でボーリングがやられたという中に国鉄の売却予定用地が入ってございます。この図面も、国鉄売却予定地に八号棟ということで二十戸建てるというふうにちゃんと図面まできちっと引いてございます。それを国鉄が関知しないというふうなことは、ボーリングをやるというふうなことは近隣住民も気がついている、そしてそういうことはないしょでできるような話ではございません。国鉄は一般的にはこんなことは、だからいまの弁明をお聞きしますと許せないことをしているから国鉄が関知するところではないと、こういうふうに御答弁なさっていらっしゃるんですか、それともお許しになるわけですか。現にやったという証拠がここに業者の側から提出をされております。
  179. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) その点につきましては、ちょっと私の方、事情がはっきりいたしませんので、早急に調査をいたしまして別途御報告を申し上げたいというふうに思います。
  180. 安武洋子

    ○安武洋子君 貴重な財産なのに、そういうずさんな御答弁しか出ないということが私は国鉄の現状であろうかと思うわけですが、国有財産の場合ですね、国有財産中央審議会の有効利用の答申に基づきまして公共団体への売り渡しを優先すると、こういう扱いになっておりますけれども国鉄資産の場合はどうなっておりますんでしょうか。
  181. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 国鉄資産の場合、当該地の形状からいたしまして、先ほど御説明申し上げましたように、公道にほとんど面していない、しかも傾斜地であって、公道に面する部分も公道から傾斜で十九メーターぐらい下がっているという点がございますので、本件の土地につきましては、隣接地の方がもし利用していただけるとすればそれが一番有効な利用方法である、売却価額もそれによって高く売却することができるのではないかというふうに考えておりますが、いずれにしましても、その辺の問題につきましては、地域住民の方々とこの朝日住建との間の隣接地の開発についてのお話し合いがまとまるまで推移を見たいというふうに考えております。
  182. 安武洋子

    ○安武洋子君 そんなこと聞いておりません。国鉄としては原則はどうなっているんですかと。国有財産の場合は国有財産中央審議会の有効利用の答申に基づいて公共団体に売り渡しを優先すると。国鉄、そうなっていないんですか。  それから、先ほどからのあいまいのお答えに対してもう一つちゃんと言っておきますけれども国鉄の所有地をボーリングして地質調査をしたから、ここが一番軟弱である、だからここに対しての栗コンによる地盤改良が必要であるというふうなこういう図面まできちっと出ているということは、いかにおっしゃろうとここで地質調査もなされているということがはっきりしているわけですから、そういう逃げ口上を言われないで、そしていま私が聞いたこの原則についてはどうなのかということをきちっとお答えください。
  183. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) ボーリングの点につきましては、まことに申しわけございませんけれども、ちょっと私ただいま事情を承知いたしておりませんので、早速調査をさせていただきたいというふうに思います。  それから、財産を売り渡す場合につきまして、当該財産がもし地方公共団体等、公有目的、公共目的に利用されるということであれば、当然それが優先をされます。
  184. 安恒良一

    委員長安恒良一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  185. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 速記を起こして。  質問が通告されておったら、答弁をきちっとしてください。
  186. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) あらかじめいただいておりました御質問の中には、そのボーリングがされていたかどうかということについての詳細な内容をいただいておりませんでしたので、ちょっと調査が不十分でまことに申しわけございません。
  187. 安武洋子

    ○安武洋子君 ここの問題について、私どもはこの朝日住建の売買問題についてというふうなことできちっと御通告をいたしておりますからね。調査はそういうふうにきちっとしてきてくださらないといけないわけです。いまも私はちゃんと姿勢を正していただきたいと言うのは、やはり公共団体への売り渡しを優先するという原則が国鉄の中にだってあるということを、何だか隣接地の方に利用していただければそれがいいんだというふうなことですりかえてごまかそうとなさっていらっしゃるから、そういうことは改めていただきたいと思うんです。  そこで改めてお伺いいたします。この本件の場合でございますね、業者と住民との紛争を解決させるというふうなことで合意を成立させないといけないわけですから、そういうことで市がこの国鉄用地の売却をもし申し入れるというふうなことがございますと、公共用地としてこれを優先的に払い下げるという原則に基づいて取り扱いをなさいますでしょうか。
  188. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 市からの御要請があれば、それを優先して払い下げをいたすようにいたします。
  189. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃ、私どもへの情報では、市は当初購入の意思は持っておりませんでした。しかし、住民との紛争の中でこれを解決するということで、購入をしてもよいという意向に変わりつつあるように聞いております。私は、単に国鉄の都合だけで隣接の方に利用してもらったらいいんだと、その業者がもうボーリングもして、平面図も何もかも全部やってしまっている、こういう既成事実をでっち上げているわけですから、    〔委員長退席、理事目黒朝次郎君着席〕 こういうところに、私は、単に地域住民との協調の問題も考えないで払い下げるというふうなことを一方的におやりになるというふうなことではなく、周辺住民とも協調できる結論を出すように努力をしていただきたい、こう思いますが、いかがでございますか。
  190. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 先生指摘のようにさせていただく所存でございます。市からの払い下げの御要望がございますれば、それに応ずるように考えてまいります。
  191. 安武洋子

    ○安武洋子君 問題は、大臣も聞いておいていただきたいんですけれども、今後遊休地などの処分がふえてくると思うんです。その際に、国有財産の場合はすべて競争入札、これに付されることになっておりますけれども国鉄の場合には特別な場合は随意契約と、こういうことができることになっております。今回の問題もこの随意契約によって行われようとしたというところから生じてきている問題でございます。まだ譲り渡しも受けない間からわが物顔に使っていくというふうなやり方がまかり通っているわけです。土地の場合に限って申し上げれば、国有財産に競争入札ができて国鉄資産ではできないということはあり得ないわけで、可能な限り随意契約をやめて、そして競争入札を行うようにすべきだと、これが先ほども私は何かあるんじゃなかろうかと疑惑を抱いてしまうわけですけれども、そういうふうな政財界との癒着などの疑惑を持たれない第一歩であるというふうに思いますけれども、それについて御所見を伺います。
  192. 細田吉藏

    国務大臣細田吉藏君) 国有鉄道は御承知のように膨大な土地を持っております。特に貨物関係状況が変わってまいりますことによって土地が余るといいましょうか、余剰の土地が出てまいる、こういうことでございます。これをどうするかということが国有鉄道の財政再建に絶大な関係を持っておるわけでございます。これにつきましていかがわしいことがあっては大変困るわけでございまして、これをどうするかということについてはルールを確立しなければならないと思っております。これは立体的な利用も含めましてどういうことにすることがいいのか、こういう点について、一つ一つ任意にいろいろやり方が変わったりいろいろしてはいけないんじゃないか、一般的な何かやはりルールを確立しなければならないと、かように実は考えておるところでございます。これは国鉄再建問題に関連して非常に重大な問題と理解をしておる次第でございます。
  193. 安武洋子

    ○安武洋子君 もう一度私どもの主張を申し上げておきますけれども、やはり競争入札をできる限りやっていくべきだというふうに考えます。そのことを主張いたしましえ、時間の関係上運賃値上げの問題に移らせていただきます。  国鉄は、四月実施で運賃値上げを実施しようとしておりますけれども、その基本的な内容はどのようなことでございましょうか、お伺いいたします。
  194. 須田寛

    説明員(須田寛君) 現在、運賃改定の中身につきましては目下作業をいたしておるわけでございますけれども、大体の考え方といたしまして、国鉄が従来とってまいりました全国一律の運賃制といったてまえがございますけれども、これの維持がかなり輸送市場の状況等から困難になってきておりますので、やや地域別運賃に踏み込んだような考え方を導入した運賃改定をお願いしたい、こんなふうに考えておりまして、たとえば大都市圏の場合若干上げ幅を抑制するとか、あるいは地方のローカル線につきまして若干割り増しをちょうだいするとか、そういったようなことにやや踏み込んだ運賃の改定といたすべく現在作業をいたしておるところでございます。
  195. 安武洋子

    ○安武洋子君 国鉄運賃は、五十二年にこの運賃値上げの法定制の緩和がなされましたけれども、それ以降一昨年まで連続五年値上げがなされております。昨年は値上げをされておりませんが、この間の運賃アップ率を単純に計算いたしますと、五年間で実に一五四%、一・五倍以上もなっているわけです。消費者物価の上昇を大幅に上回るような異常な値上げでございますが、まあこういうことでは当然客離れも進行いたします。この間の乗車人員は四億四千万人も減っているというふうに統計が出ております。値上げすることによりまして客離れが進み、経営悪化の原因になっております。だから、むしろ運賃を抑制してサービスを改善する、輸送量をふやすというのが私は経営の常識ではなかろうかと、こう思いますが、いかがですか。
  196. 須田寛

    説明員(須田寛君) 御指摘のように、やはりサービスを改善いたしまして一人でも多くのお客様に御利用いただくというのが基本であることは私も同感でございますが、やはり私どもの置かれております現在の財政状況からいたしまして、やはりある程度は運賃改定のお願いをいたしませんと、サービス改善でお客様がふえるものだけではとてもいまの経費は賄っていけない、こういったような状況でございますので、大変厳しい情勢でございますけれども、いろいろ工夫をいたしまして運賃改定にもお願いを申し上げているような状況でございます。ただ、やはり私どもあくまで運賃改定にもお願いいたしますけれども、基本はサービス改善によりましてより多くのお客様に御利用いただくことだと思っておりますので、そういう面でこれからもなお努力は重ねてまいりたい、こんなふうに考えております。
  197. 安武洋子

    ○安武洋子君 昨年、大蔵省は値上げを主張しております。しかし、それに対して国鉄運輸省が反対をして値上げをしなかったということは、その一因としまして、やはりこれ以上の値上げというのは客離れを招いてしまう、これが私は心配なさったことだろうと思います。一たん離れました乗客というのは別な乗車ルートを見つけますからなかなか戻ってこない、こういうことがあるわけです。だからやはり私はこの運賃値上げをやむを得ないというような安易な立場に立って客離れをますます進行させていくということは間違いだというふうに思うわけです。  報道によりますと、今回の改定では大都市圏の運賃、これは私鉄との競合等を考えまして、山手とか大阪環状、こういうところは据え置くというふうに聞いております。据え置き区間を単に黒字線だからということにとどめないで、私はやはり積極的に線区を拡大していくべきだ。たとえば関西で申しますと、京都と西明石間あるいは湊町−奈良間というふうな、環状線に隣接しているわけです。こういう国電区間にも据え置き区間をやはり拡大すべきだと、こういうふうに思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
  198. 須田寛

    説明員(須田寛君) いま先生指摘がございました、山手環状線並びに大阪の環状線の据え置き等につきまして、研究いたしておることは事実でございますが、先ほど申し上げましたように、まだ成案を得ておりませんので、一つの検討過程ということでお許しいただきたいと思うのでございますが、そのようなものを検討いたしております理由は、やはり大都市圏と申しますのは非常に収入上のウエートの高いところでございます。したがいまして、やはり改定をお願いするということはそれなりの増収をお願いすることでございますから、やはりそういった収入という面からも据え置きには一つの限度があるということがまず第一にございます。  それからもう一つは、やはり国鉄の大都市圏の路線と申しますのは、いま先生の御指摘のございました京都−西明石間におきましても、その外縁部の他の地域への路線にずっとネットワークでつながっているわけでございますから、それらの地域とのバランスということもやはりある程度は考えなければいけない。そのようなことを考えました場合に、やはり運賃の据え置き等を考えますのは、非常に限定された地域で考えていかざるを得ない、こんなふうに考えております。ただし、いまお話がございましたように、私鉄との競合いたしております区間、たとえば京阪神間でございますようなところには、現在特定の割引制度というものをつくっておりますので、こういったものの拡充等の方法も別途ございますので、その辺は輸送市場の状況をよくにらみ合わせながら適切な措置をとってまいりたい、このように考えております。
  199. 安武洋子

    ○安武洋子君 その特別割引区間なんですけれども、この特別割引区間というのは九十区間設けられております。私どもは大都市圏はうんと運賃を抑制して割り引くべきであるというふうに考えているわけです。今回、一定割引区間をふやすということを考えていらっしゃるという報道がございます。私どもはこういうことは大いにやるべきだというふうに思うのです。たとえば関西には特定割引区間が二十五区間ございますが、二十区間までが神戸−京都間の国電区間でございます。うち十六区間というのが三ノ宮、元町、神戸を基点の昇降駅にする区間になっております。それでこれ、中身を見ますと、しかし大変矛盾がありまして、近い駅の方が運賃が高くなるというような逆転現象が出ないように工夫はされておりますけれども、割り引き駅を過ぎると急に高くなる、こういう矛盾が一つあるのと、それから時間のかげんで私はもう細かい例は申し上げませんけれども、    〔理事目黒朝次郎君退席、委員長着席〕 神戸から山崎駅まで行きますと、直通で行く方が途中で一たんおりて切符を買い直す人よりも高いという矛盾が生じます。これはおわかりだろうと思いますけれども。こういう同じような現象というのがほかにもたくさんあるというふうに聞いております。割引運賃は大いに結構ですけれども、前後駅との矛盾が出ないように、やはり運賃体系というのはなだらかにしていくべきだ、整合性を持たせなければいけない、そういう観点で割引区間のポイントをふやすべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  200. 須田寛

    説明員(須田寛君) 先生おっしゃいますように、やはり運賃の矛盾と申しますのはお客様に大変違和感を与えますので、もちろんそういうものは極力絶滅すべきだと考えておりますので、今回運賃改定をお願いいたしますに当たりまして、またいまの特定割引区間等を改正いたします際には、極力そういう矛盾の起こらないように努力をしてまいりたい、こんなふうに考えております。ただやはり運賃がどうしても端数処理をいたします関係で、若干区間いまのような矛盾が現実にございますので、これはある程度やむを得ない面もございますけれども考え方といたしましてはあくまでそういう矛盾の生じないような、先生おっしゃる、お言葉をかりますとなだらかな運賃にするように、そういうふうに極力努力をしてまいりたい、こう思っております。
  201. 安武洋子

    ○安武洋子君 ではそういう矛盾をできるだけなくするということで努力をしていただくとともに、私は地方交通線の問題についてもお伺いしたいわけです。  先ほどの御答弁にもありましたように、明治以来、今日まで一律運賃制がしかれておりますけれども、これを崩すような割り増し運賃の導入、このお考えを示唆されましたけれども、一体これはどのくらいの割り増しを行うお考えなのでしょうか、それとまた地方線の割り増しにつきまして、今後いつまでにどれぐらいの幅で引き上げるお考えなのでしょうか、お伺いをいたします。
  202. 須田寛

    説明員(須田寛君) 先ほども申し上げましたように、まだ最終的な成案を得ておりませんので、ちょっと割り増し率等は考えておりませんが、やはりあくまで地域のローカル線を御利用のお客様に急激な御負担の増ということは避けるべきでございますので、段階を追いながらやらしていただきたいと考えております。したがいまして、まだ最終的にいつまでどの辺まで上げるのかという御質問につきましても、これからのやはり輸送市場の動向もどうなるかということは大変微妙でございますし、また並行しております私鉄とか、あるいは地方のバスの運賃の動向等もございますので、その辺をにらみながら慎重に考えると、あくまで段階を追ってそういう他の交通機関との間のバランスを失しないように考えながら地方交通線の割り増し運賃は導入さしていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  203. 安武洋子

    ○安武洋子君 そういう運賃割り増しを導入なさればますます地方交通線の客離れが進んでいくと、そして廃止対象線への転落になるということになりかねないわけです。地方交通線の利用者という、そしてまたその地方住民というのはこれは本当に大変な差別状態に置かれていると思います。駅はどんどん無人化される、その駅の管理というのは、駅の整備というのはその周辺住民、地方自治体におっかぶせてしまっている。中には高校生を扱う駅などは高校生の集改札、それを学校の先生がやるというふうなことで国鉄は知らぬ顔をしている、あるいは清掃とかトイレのくみ取りとかというふうなことなどは、駅周辺の住民とかおるいは地方自治体におっかぶせていると。こういう中で、大変列車が長くてというよりも、列車は当然なのでしょうけれども、ホームがそれより短い。だから線路に飛びおりなければならない、こんな状態も放置されているというふうなことで、運賃だけが割り増しになっていくというふうなことでは、私はこの地方交通線を利用なさる皆さん、あるいはそこの地域住民の皆さん本当に割り切れない思いが皆さんなされると思うんです。きょうのように雪が降りますと、こういう除雪も十分にやられないわけですから、交通安全上も危ないわけです。私は、こういうことは絶対にやめるべきだというふうに思いますけれども、いまのような実情の上に立ってでもまだ割り増しをおやりになるおつもりですか。
  204. 須田寛

    説明員(須田寛君) いま御指摘の点、大変私どもも身につまされるものがございますが、やはり、いま地方交通線の収支状況が収入の五倍の経費を要して、しかも国から、多額の財政援助をちょうだいしておるというふうな実情がございますので、やはり何とか御利用の皆様方にも何がしかの御負担をお願いしたいというそういう気持ちから、地方交通線の割り増し運賃というのは何とかお願いしたいという気持ちはやはり変。わりません。ただ先生がおっしゃいますように、そのためにお客様が大変減りまして、結果的に収入が得られないようなことでは何にもなりませんので、やはり地方交通線のいろんな営業上の努力、工夫、サービスの改善もその一つかと思うんでございますが、そういうふうなものをいたしまして、極力実効の上がるような改定をお願いしたい、こう思っております。  それから、いまも御指摘ございました地方の無人駅等の問題もございますけれども、やはりこれも経費の節減の一環でございまして、何とか御協力をいただきたいと思うんでございますが、安全だけは絶対に問題のないように、安全の確保にだけはくれぐれも留意をし、しかもまだ、私どものいまの施策の範囲内ではできるだけの努力をして、地方の皆様方の足としてお役に立っていけるように、こういう努力はこれからも続けてまいりたいし、また一層の努力を傾けたい、こう考えております。
  205. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまのにずいぶん反論がありますけれども、時間の関係で、私はやはり採算性から見るべきではない、公共交通としての立場を優先すべきだということを申し上げておきたいと思います。やはりこういうことをしますと、地方交通線の廃止に拍車がかかってまいります。赤字の原因というのは地方交通線、これはわずかで、やっぱり上越とか、東北新幹線で三千億から三千五百億の赤字が出るとか、あるいは青函トンネルを開通させると毎年八百億の赤字になるとか、こういうふうな過剰設備投資とか、こういう借金の利払いとか、こんなところにやはりメスを根本的に入れるべきだということを申し上げておきます。  運賃問題の最後に通学定期の問題をお伺いをいたします。  通学定期代というのは運賃の値上げとか、割引率の引き下げで、この五年間の間に実に八回も値上げされているわけです。この負担増というのは大変なものでございます。たとえば山陽線の姫路駅がございますが、地方交通線である播但線を利用する学生、これは朝夕超満員になります。姫路から甘地駅にあります市川高校に通うといたしました場合、高校生の、この場合は二十一キロでございますが、五十二年から五十三年当時は三カ月定期を買いますと五千三百十円で通えました。ところが、いまは一万四千九百八十円、実に二・八二倍と、こういうことになっております。この間の一般運賃の値上げが五四%。ですから、一般運賃の値上げに比べましてもその三・三七倍も通学定期が上がっていると、物すごい異常なアップでございます。さらに姫路から福崎という駅がありますけれども、福崎高校があります。ここに通う生徒をとってみましても、十八キロでございますので、五十二、三年当時は三カ月定期で五千五十円ございます。ところが、いまでは一万三千五百九十円、二・七倍なんです。消費者物価と比べてもいかに異常な値上がりかということがおわかりだと思います。  これがさらに今度の値上げと地方交通線の割り増しで運賃が仮に二〇%引き上げられると、こういうことになりますと、姫路−甘地間の学割り定期というのは三カ月で一万七千九百八十円にもなる。五十三年の春には一カ月で千七百七十円程度の定期代、これが六年後には毎月六千円ということになるわけです。これでは、国鉄を学生は利用せざるを得ないと、こういうどうしても国鉄に頼らざるを得ないところから本当にひどい取り方をしているということで、その学生と父母の負担というのはたまったものではない、まことに異常であると。こういう異常なやり方を私はもう改めるべきだというふうに思います。御見解を伺います。
  206. 須田寛

    説明員(須田寛君) 先生が御指摘ございました二十一キロのところを例にとって五千三百円、五十一年当時という御指摘がございましたが、この当時通学定期の割引率が実は八四・五%の割引をさしていただいておりました。それが先ほど御指摘ございました五十七年度になりまして一万四千九百八十円になったというお話がございましたが、この際の割引率が七三・二%でございます。と申しますのは、通学定期は五十一年当時非常に高い割引率でやらしていただいておりましたものですから、やはり値上げをさしていただきます際に、一般の運賃値上げのほかに通学定期につきましては割引率の引き下げを少しお願いをいたしまして、これがダブルにききましたのでいまのような結果になったものでございまして、現在の七三二一%という割引率も必ずしも適正かどうか私ども若干疑問を持っておるわけでございますが、そういう割引率の修正がダブったからでございます。したがいましてこれからいろいろどうするかという問題でございまして、今後の問題としては検討さしていただきますが、やはり非常に割引率につきましては依然として通学は高い状況でございます。しかし、やはり連続五年間割引率の修正をさしていただきましてかなり直ってまいりましたので、今後どのようにするかは、いまのような御通学の皆様の御負担という問題もございますし、一般の運賃の値上げ率をどうするかということとの絡みもございますので、慎重に考えてまいりたいと思っておりますが、通学定期のこのキロのところが非常に高く出ましたのは、いまのような通学定期の割引率の修正をさしていただいた結果だということをひとつ御理解いただきたいと思っております。今後につきましても慎重にいろいろなそういったお客様の御負担の状況あるいは他の交通機関の実態等も見ながら検討していきたい、こう考えております。
  207. 安武洋子

    ○安武洋子君 割引率の修正をしたから上がって当然だというふうに聞こえますけれども、割引率の修正をしていったということ自体がそもそもおかしいことで、私はけしからぬというふうに思うわけなんです。何よりもかによりも、まず通学者、学生ですからね。その学生の足をきちっと確保していくというのが国の施策でなければいけないわけでしょう。ですから、割引率を修正したからいま高くなっているんだと、前がいかにも安いというふうな言われ方ですけれども、そうじゃなくって、私は割引率の修正をもとに戻すぐらいな、やはりそういうことをやられなければいけないということを言っているわけです。ですから、もういままでのような、もうそこから必ず取れるというふうな学生のところにこんなひどいしわ寄せをおやりになるんではなく、割引率の修正をもとに戻すとかいうふうなことで、こういうふうな通学定期の値上げ、これはもうおやめになるべきだと、そのことをもう一度申し上げます。
  208. 須田寛

    説明員(須田寛君) いまの御指摘は十分承っておくわけでございますが、ただ、一言弁明をさしていただきますと、地方交通線においては特にそうなんでございますが、通学輸送というのは非常にピークの輸送として車両をそこに固定をいたしまして、その車は昼間遊ぶわけでございますが、私どもとしてはかなりやはりそれなりの投資をさせられております。したがいまして私どもは、いまの割引率が適正かどうかということは別の議論でございましょうけれども、ある程度の割引率是正をお願いしたかったというその気持ちだけはひとつ御理解をいただきたいと思います。ただ、今後につきましては、いま先生もおっしゃいましたようないろんな情勢を勘案して、慎重にお願いしてまいるつもりでございます。
  209. 安武洋子

    ○安武洋子君 この学生たちはホームに飛びおりなければならないというふうな大変な通学をいたしておりますし、高校の先生がなぜ国鉄職員に成りかわって改札をやるんですか。そんなことまで国鉄は押しつけていて、そして通学定期はどんどん値上げをしていく。そういうことを十分考えられて、私はこの是正をやっていただきたいということを再度申し上げておきます。実は私ここに国鉄の分割民営の問題、電電の分割民営の問題、この問題をやらせていただくということで監理委員会からもお越しいただいておりましたが、雪が降ったので時間を短くせよ、それに協力せよということでございますので、これで質問をきょうは終わらせていただくということにいたします。
  210. 木本平八郎

    木本平八郎君 雪の関係がありますので、できるだけ短くやらせていただきます。  私の場合、電電公社の電報問題についてなんでございますけれども、これは先ほど同僚議員からも質問がありましたので、それを踏まえた上で私は電報の完全民営化という観点から質問さしていただきたいと思うわけです。  まず、公社にお聞きしたいんですけれども昭和五十八年三月七月付で公社が電電公社の電報事業の総合経営改善構想の骨子というのを出されておりますが、これによると昭和六十年から改善策を実施して、六十三年度には改善事業を軌道に乗せたいというふうにここではおっしゃっているわけですけれども、その場合企業形態はやはり民営を考えておられるのか、それとも公社内での改革なのかという点を公社の方にまずお伺いしたいんですが。
  211. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) 電電公社の経営形態問題については、先生御存じかと思いますが、昨年末政府の方針等も出まして、今後どうするかということにつきまして現在郵政当局の方でいろいろ御検討されております。私どもとしてはそういった形態の中でこういった電報事業も扱うということになるかと思います。
  212. 木本平八郎

    木本平八郎君 その場合、公社としては当然適正な料金で、それでしかも収支バランスをとるというふうに、事業自体として採算がとれるようにされるおつもりだと思いますけれども、お確め願います。
  213. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) 先生いま御指摘の「骨子」というやつがあるわけでございますけれども、私どもその中では、なるべく早い時期に現在大変な赤字を出しております電報事業について収支をバランスさせたい、こういうふうに思っております。  これについては、たとえば要員、人間の問題をとりましても、あるいは現在いろいろな仕事を実は郵政省さんの方にお願いしておりますけれども、そういった問題、これらすべて人間にかかわるものですから、大変いろんなむずかしい問題が多々あるかと思いますが、私どもとしてはできるだけ努力いたしまして、こういった線に近づける方向で最善の努力を尽くしたい、こう思っております。
  214. 木本平八郎

    木本平八郎君 六十三年度に一応の収支バランスができて軌道に乗ったという段階で、電報関係で大体何名ぐらいの要員を予定されておりますか。
  215. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) 大変むずかしい御質問なんですけれども、いまちょっとお話ししましたように、現実の人間の生身といったものが大変絡んでおりますので、明確な数字先生にお話しするわけにはいかぬところもあるんでございますけれども、現在の電電公社だけで電報に従事している要員が大体一万五千名弱ぐらいおりますけれども、私どもはぜひこれは半分程度あるいはできればそれ以下ぐらいにはしぼっていきたいなあというようなことで、現在いろんな施策を進めております。
  216. 木本平八郎

    木本平八郎君 先ほど同僚議員の質問に対して総裁が、いま自分としては組合ともいろいろ話ししていると、そして二、三年の間に思い切った合理化ができるだろうと、それで大体それの構想は自分の考えに近い方向でまとまる予定だというふうにお答えいただいたと思うんですけれども、その点でまずこの二、三年というのは先ほど私が申し上げたこの骨子の六十年から六十三年ということにあるのかどうかということが第一点、それから第二点は、総裁のお考えの範囲というのがいまの人員の問題も含めて、あるいは料金その他で組合とお話しになったというのは特に人員の問題だと思うんですけれども、その辺の何が、ちょっとお聞かせをいただきたいんですがね。
  217. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) 御質問にございました六十三年というのをめどにいま考えておるということでございまして、それで二、三年と申し上げたわけです。それと私ども、御存じと思いますが、INS構想というものを立てまして、交換機をディジタルの交換機にかえるということでいま着々そのように実施しておりますが、そういうふうになってまいりますと、いまの通信線の性能がいままでとすっかり変わりまして、現在のように電報の通信線は電報の通信線で、電話の通信線と全然別にあるという現在の姿が一緒になってしまいますので、それでそういうことも考えましていま業務管理局長が申しましたように、人の使い方というのがすっかり変わってくるということでございます。それと、新しいそういう状態になりますと、ファクシミリと電話と電報と一緒に使えるというふうなことにもなりまして、まず、さっきの御質問のときも申し上げましたけれども、電報の送り方の技術というものがすっかりいまと別物になってまいりますので、そこでかなりの合理化ができるということと、さっき申しました受付局あるいは配達局その他のことがいまのようにたくさんの局を持たなくても、お客の方には二問に実用上現状と変わらない状態でずっと少ない局の数で始末がつくということになりますので、そういうふうなことを総合して合理化したというふうに考えております。  それともう一つは、そういうふうな新しい設備になりますと、ファクシミリと電報と何だかんだというものが一緒になってまいりますので、これはちょっと時間がかかると思いますけれども、いまのかたかな電報というものが恐らく世の中の御要求がなくなるんじゃなかろうかというふうにも考えておりますし、郵政の方でいまお始めになりました電子郵便とのドッキングみたいなかっこうになりまして、恐らくいまのかたかな電報というものがだんだん自然と消えていくんじゃなかろうかというふうにも考えております。
  218. 木本平八郎

    木本平八郎君 いまのその問題について少し突っ込みたいんですけれども、時間の関係がありますので次に移って、いま総裁もちょっとおっしゃいましたように、そういうニーズがだんだんなくなっていくんじゃないかということは、これはもうだれしも考えるところだと思うんです、われわれ国民の側から見ましても。  それで、もしもいろいろな手を打っても、これだけの年間千二百億という赤字のお荷物ですから、もしもこれ、私は直感的なんですけれども、六十三年度で電報事業というのはまず再建できないんじゃないかと思っておるわけです。その場合、もう電報サービスやめるということも可能だと思うんです、現状の日本の通信システムから考えてですね。ところが、これをやめるということになると、大して影響がないと思いますけれども、どういう影響がまず国民生活に出てくるだろうかということですね。それで、その影響の程度によっては、いまぴしゃっとやめた場合にどういう影響が出てくるか、管理局長に御答弁をお願いしたいんですがね。
  219. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) いまの御質問、先ほど総裁の答弁とも若干関連しますので総裁の答弁を少し補足さしていただきますけれども、かたかな電報は世の中にそぐわなくなってくるだろうというお話をしましたが、その前に新しいいろんな設備もできますし、要するにニューメディアと申しますか、現にファックスを使ったようなものも、たとえば電子郵便を代表としてございますが、かたかな電報といったものはだんだんなくなっていくけれども、たとえば、普通の平文の漢字まじり——ワードプロセッサー等もございますね。あるいはファクシミリというような形で、単に字だけではなくて、絵とか回とか、こういったものも出る。あるいはコンピューターを使ったいろんな大量情報通信、こういったものは、実は私どもこれから出てくるんじゃないかと思いますが、そういった中で新しい形の——電報というとちょっといまの形を思い出しますので別の言葉を使いますと、公衆的な記録通信と、こういったものが伸びていくんじゃないかと思うんですが、これは将来のことでございますのでそこまで話すのはなにかと思いますが。  現在も電報は先生御存じのとおり、四千万通を超えるぐらいでございます。その主体は、御指摘のとおり、慶弔電報であり、先ほどちょっとほかの先生のお質問で出ましたが、サラ金電報とか、そういったものはございますけれども、私ども考え方としましては、現在料金等の関係もございますが、いずれにしてもお客がお使いになっておるということでございますので、私ども申し上げたとおり、経営のやり方はうんとこれから合理的、効率的にしていきたいと思っておりますが、やはりこれがなくなるということは、先ほど言った将来の形も含めて考えると、やはり国民の皆様の利用勝手という点から見ると若干問題があるんじゃないかと、実はいまそんなような考え方でおるんでございます。
  220. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、その前に一つだけ、もう一つちょっとその点で質問したいんですけれども、要するに、将来はファクシミリだとか、あるいはニューメディアとか電子郵便とか、いろいろなことに変わっていくと。しかし、変わっていくまでの間、このいまの電報事業というものの赤字が、重荷が電電公社にずっとかかってくると思うんですけれども、それは、将来のそういうようなニューメディアができた段階でここ当分の赤字は十分に負担できると、カバーできるというふうにお考えかどうかという点なんですが、その辺はいかがですか。
  221. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) 現在私ども、いまの電報というかたかな電報だけで計算いたしますと、御存じのように膨大な赤字を出しております。いま御説明申し上げましたことをもって着手しておりますのでだんだんこの赤字は減っていくと思いますが、と同時に、やはりかたかな電報の需要もだんだん減っていくんだろうと思います。いま説明申し上げました新しいメディアもこれに入れていきまして、記録通信という考え方で、電報という概念を記録通信という考え方に変えていきながら、いま御説明申し上げたようなことをだんだん入れていきましてバランスがとれるように持っていける自信はあるのでございますけれども、さっき御説明申し上げましたように、電報というものをやめろという御命令がない限り私ども勝手にやめるわけにはまいりませんので、しばらくバランスするまでは時間をいただきたいと申し上げたんですが、だんだん減っていきますので、いまの全体的な電話その他のメディアの増加傾向から見ますと、電電全体といたしましてはバランスした経営を続けていける自信は持っております。
  222. 木本平八郎

    木本平八郎君 いま総裁から、通信としての慶弔電報が中心になってきているわけですね。私、実はこの点で思うんですけれども、電報というのはコミュニケーションの手段じゃなくなっているんじゃないかと。もうすでに、慶弔電報の場合、何もおめでとうとかお悔やみを言うのに電報要らないわけですね、電話で済むと。ところが、たとえば、祝電が来ていますとか弔電が来ていますという証拠書類みたいなものが要るので、セレモニーの道具になっているわけですね。このセレモニーの道具であるという性格変えが非常に重要だと思うんですよ。したがって、今後できるだけ電報事業を大きくするためには、セレモニー用品としての、まあ新商品ですね、これの販売という方向に向くべきじゃないかという気がするわけですね。  それからもう一つついでに質問しますけれども、電報事業というのは、初めの明治時代のスタートは、やはり通信手段を全国に広げようという、公共サービスを広げていく、それからサービスのレベルを上げていくという非常に公共的な使命が大きかったわけですね。ところが、もう全国にぴしっと行き渡ってしまって、しかも、電話ができてしまったと。この段階では、いかに電報事業というものを効率的に運営するかということが非常に重要になってきたと思うんです。このいまの二つの点、効率化の点と、先ほどのように新商品としての、セレモニー商品という新商品ですね、こういうものを売る、ハンドルしていくということになると、やはり官業だとかあるいは公社の経営形態というのはきわめて向かないと。昔は非常によかったけれどもいまはもう性格的には合わなくなっていると。したがって、こういう商売をやるには民営というか完全な株式会社というか、それが非常にいいんじゃないかと思うんですけれども、まず総裁、民間におられたんですけれども、どうですか、そういう考え方というのは。
  223. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) 電報というものが、現在の法体系のもとでは全国至るところにということになっておりまして、過密社会、過密地域だけですといま先生のおっしゃいますような考え方で、純粋な民営の会社がやりましてもかなり採算はいいものになるだろうと思います、民間式にやりますと。しかしながら、全国どこでもというこの大前提がございますものですから、これの前提を外さない限りなかなか電報で民営の会社として自立できるかということになりますと非常に問題じゃなかろうかと思います。仮に過密地域だけを民営にやらせあということになりますと、今度は十一項目で指示されている全国の義務という方からきますと、今度は私ども非常にダメージがさらに大きくなるということも考えられるんです。
  224. 木本平八郎

    木本平八郎君 確かにいま総裁がおっしゃるように、公共サービスという面が非常に強いわけです。しかし逆に、これは郵政大臣にお伺いしたいんですけれどもね、もういまの状況だと過疎地帯まで電報、たとえば雪の中をきょうじゅうに電報配達しなきゃいかぬというニーズというものは非常に減ってきているし、あるいはその辺は少しがまんしてもらってもいいんじゃないかという電報の性格上そういうことになってきてるんじゃないか。だから、過疎地帯にサービスするために膨大な赤字をやってるということは、もう日本全体のコミュニケーションシステムを考えてみても余り要らないんじゃないかと。だから、公共性というものを、この電報に関する限り、減らしてもいいんじゃないかと思うんですけれども郵政省としてのお考えはどうでしょうね。
  225. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) いま御指摘のように電報事業の収支改善というのは事業経営上非常に大切で、先生のように民間のそういった事業で経験のあられる方にしてみると、将来の電報の行く末、いままでのデータ通信、ファクシミリ、問題は電話の普及もありますね。そういったことでもう公社では経営は成り立たぬけれども、民間サービスだったら十分やれるだろうという御指摘はわかります。しかし、やっぱりまだ電報も通信分野の中では重要な一つの分野を法的にも決められておるわけですから、いま公社全体の民営化の見直しをやっておる段階でございますし、いま電報だけ取り上げて言うと赤字だ、そしてこういう点がまずいんだ、だからこれは民営化にしたらいいんだという御議論はわかります。わかりますけれども、いまこれだけを取り出して考えるということは、いま郵政省としてもまだ現在の段階においては、たとえ慶弔サービスといえども通信政策の重要な一つであるということで注目していきますけれども、全体として見ていきたいということです。
  226. 木本平八郎

    木本平八郎君 いま郵政大臣のそのお話で、一番最後にもう一度お話をお聞きしたいと思うんですけれども、私は確かにいままだ民営化は早いというふうなお考え、あるいは全体と一緒にというお考えはわかるんですけれども、電報だけはどうやってみてもこれもう再生できないんじゃないかと思うわけですね、環境条件その他から考えまして。したがって、公社全体の民営化その他をお進めになるのももちろん結構だと思います。しかし、もうほかの電話その他はそういう形式でまだ非常によくなるチャンスがあるんですけれども、私は電報に関してはそのチャンスがないからいま切り離した方がいいと。しかも、私の民間の感覚からいくと、電報といえども民間がやった場合には十分に経営が成り立つという感じがするわけです。この辺はちょっと後で総裁に感触的にお伺いをしたいんですけれども、民間の場合だったら、たとえばいま弔電を打ちますね。そのときに一万円なら一万円の香典をついでに届けてくれと言えば、向こうで一万円の香典を袋に入れて持っていってくれるというふうなことも民間ならできるわけですね。小包だとか宅配便でもわかるわけですけれども、全然、はっきり言ってお役人がお考えになるのと商売人が考えるのと発想が違うわけですね。したがって、たとえば電報をクイズ番組ならクイズ番組のやりとりに使うとか、何とかして売り込もうということを民間なら必死に考えるわけです。そういう点で、私はこの際完全に頭を切りかえて、それでたとえば電報事業を民間に払い下げていただく、完全に。そのときに、たとえば料金はこの範囲だとかサービスのレベルはこれということで公開入札なら入札して民間に落札する。公社が自分で株式会社にして株式をお持ちになってどうこうでは私は完全にやっぱりだめだと思うんですよ。将来株式を開放しますということでもうまくいかないと。むしろもうこの際官業を民間に払い下げるというふうな発想でもってやられれば民間であるいは引き受けるんじゃないかという気がするわけですね。引き受けないかもしれません。引き受けないかもしれないけれども、一たんそれをトライしてみるという価値はあるんじゃないかという気はするんですが、その辺大臣いかがでございますか。
  227. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 先生指摘のように、いま、今度初めて民営化の改革案が出ているわけですね。それで、今度、公衆電気通信法をもう全部なくして、結局新しい電気通信事業法、これは今度の国会でお願いすると。そうするとこれから、通信分野の中ではいままで民間は参入する機会がなかったでしょう。それが今度は民間が参入できますよね、新しいいろいろな形態で。民間は参入できるし、そして民間活力を培養するためにもそういう法律改正するわけです、新しく、新規に。だから、いま先生のおっしゃった、電報だけは私たちの分野でありますよと、そう言って、附帯サービスも付加価値の高いサービスもやりますよという形で民間が参画する形になっていけば自然的に、新しい電電形態の中ではこれはやめても国民抵抗もないし、むしろ新しい方がサービスがいいということになったら、先生の言われるとおりのそういった形で民間の通信事業をやろうという人が、この電報分野で参入する機会も出てくるということになると思います。
  228. 木本平八郎

    木本平八郎君 総裁にお伺いしたいんですけれども、民間的な発想ですね。総裁は大会社を経営されておりまして、この電報だけを考えた場合、直観的に、これは個人的な見解で結構なんですけれども、民営——完全な株式会社に払い下げた場合、これうまくやっていけそうか、総裁の御経験でやっぱり電報はむずかしいんじゃないかと思われるか、その辺の感触をちょっとお聞きしたいんですが。
  229. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) これはさっき申しましたように、いま大臣がおっしゃいましたように、新規参入に対して全国的な義務を負わせないという条件がつけば、さっき申しましたように、結構民間でやれるんじゃないかと、新規参入ができるんじゃないかと思います。
  230. 木本平八郎

    木本平八郎君 それじゃ最後に大臣にもう一度お願いしたいんですけれども、今度の国会で電電公社の改革案がいろいろ出てくると思うんです。その中で、特殊法人だとか段階的に民間会社に移していくという構想がいまもう発表されていますね。ところが、ぜひこれお願いしたいのは、ただ単に形式的に特殊法人化、まあそれはやらぬよりも、公社の形態よりも私はいいと思うんです。いいと思うんですけれども、そのときにぜひ本当の——本当と言ったらおかしいんですけれども、民間企業と同じような競争原理というか、もうぎりぎりまで押し詰められて競争していく、これがつぶれたらわれわれも失業するとか食っていけないとかいう、そういうものをできるだけ大幅に取り入れていただぎたいと思うんですけれども。これは電報事業だけじゃなくて、電電公社全体の民営化の方向についてそういうふうに御指導していただきたいと思うわけですけれども、最後にその辺の御所見をお伺いしたいわけです。
  231. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 通信幹線に関しては、そうはいってもいまいわゆる全国ネットのサービスという形は、いまのやっぱり電電の技術力、そしていままでの持っておる施設というものがやはりどうしても欠くことはできないです、これは通信主権の面から言いましても。しかしいま御指摘のように、できるだけ新規参入のニューメディアの分野でいろいろやはり新しい形態の電電と切磋琢磨して民間の活力を導入して、この通信分野の中でもそういった競争の中でがんばっていってくれることを私も期待しております。
  232. 安恒良一

    委員長安恒良一君) 他に御発言もないようですから、運輸省郵政省日本国有鉄道及び日本電信電話公社決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明二十日午前十時三十分に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時六分散会      —————・—————