運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-09-18 第101回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年九月十八日(火曜日)    午前十時二十四分開会     —————————————    委員異動  八月七日     辞任         補欠選任      岩本 政光君     岩崎 純三君      平井 卓志君     後藤 正夫君      菅野 久光君     佐藤 三吾君  八月八日     辞任         補欠選任      林  ゆう君     斎藤 十朗君      安恒 良一君     菅野 久光君  八月九日     辞任         補欠選任      斎藤 十朗君     平井 卓志君  九月四日     辞任         補欠選任      本岡 昭次君     梶原 敬義君  九月十一日     辞任         補欠選任      梶原 敬義君     本岡 昭次君      菅野 久光君     稲村 稔夫君  九月十七日     辞任         補欠選任      岩崎 純三君     下条進一郎君     —————————————    委員長異動  八月八日安恒良一委員長辞任につき、その補  欠として佐藤三吾君を議院において委員長に選  任した。     —————————————   出席者は左のとおり。      委員長        佐藤 三吾君      理 事                 下条進一郎君                 福田 宏一君                 松尾 官平君                目黒今朝次郎君                 服部 信吾君      委 員                 石本  茂君                 河本嘉久蔵君                 倉田 寛之君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 曽根田郁夫君                 出口 廣光君                 夏目 忠雄君                 矢野俊比古君                 稲村 稔夫君                 久保田真苗君                 本岡 昭次君                 太田 淳夫君                 刈田 貞子君                 安武 洋子君                 三治 重信君                 木本平八郎君    国務大臣        外 務 大 臣  安倍晋太郎君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        厚 生 大 臣  渡部 恒三君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    田川 誠一君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       河本 敏夫君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        防衛庁防衛局長  矢崎 新二君        防衛庁装備局長  山田 勝久君        防衛施設庁長官  佐々 淳行君        外務省国際連合        局長       山田 中正君        大蔵省主税局長  梅澤 節男君        大蔵省銀行局長  吉田 正輝君        大蔵省国際金融        局次長      野崎 正剛君        国税庁直税部長  冨尾 一郎君        文部省初等中等        教育局高等学校        課長       阿部 憲司君        厚生省健康政策        局長       吉崎 正義君        厚生省生活衛生        局長       竹中 浩治君        通商産業省機械        情報産業局長   木下 博生君        気象庁長官    末廣 重二君        労働大臣官房政        策調査部総合政        策課長      甘粕 啓介君        会計検査院事務        総局第一局長   西川 和行君        会計検査院事務        総局第二局長   竹尾  勉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十七年度特別会計歳入歳出決算昭和五十七年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十七  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和五十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  去る八月八日の本会議におきまして、本委員会委員長選任されました佐藤三吾でございます。甚だふなれでございますが、皆さんの御指導と御協力を賜りまして厳正、公平な委員会運営を行い、この重責を果たしたいと念願をいたしている次第であります。どうぞよろしく御支援、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。(拍手)
  3. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) まず、委員異動について御報告いたします。  去る八月七日、平井卓志君、岩本政光君及び菅野久光君が委員辞任され、その補欠として後藤正夫君、岩崎純三君及び私、佐藤三吾が選任されました。  また、去る八月八日、林道君、安恒良一君及び斎藤十朗君が委員辞任され、その補欠として斎藤十朗君、菅野久光君及び平井卓志君が選任されました。  また、去る九月十一日、菅野久光君が委員辞任され、その補欠として稲村稔夫君が選任されました。  また、去る九月十七日、岩崎純三君が委員辞任され、その補欠として下条進一郎君が選任されました。
  4. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事後藤正夫君及び下条進一郎君を指名いたします。
  6. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 次に、昭和五十七年度決算外二件を議題といたします。  本日は第一回の総括質疑を行います。  これより藤波内閣官房長官に集中的に質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 久保田真苗

    久保田真苗君 けさは中曽根総理が箱根で読書中とかいうことで、藤波官房長官がお出になっていらっしゃいます。ずっといていただけるのかと思ったらそうではないそうで、大臣外遊ラッシュで大変お忙しくていらっしゃるので無理もないと思いますが、私どもとしましては質問の関連が保てず、大変やりにくうございます。困るということを一言だけ申し上げておぎます。  さて、今関心を集めております長野西部地震についてまずお伺いいたします。  九月十四日に起こりましたこの長野西部地震につきましては、被害を受けられた方々に心からお見舞いを申し上げます。また救助に当たっていらっしゃる方の御尽力に対して感謝を申し上げます。  この地震につきましては後ほど気象庁に詳しくお伺いいたしますが、被害状況及び内閣として今後の対策についてお尋ねしたいと思います。特に今現在大変心配されておりますのが、御岳山から流れ出した土砂流によりましてダム状のものができ、それが損壊することによって二次災害が憂えられているわけでございます。これについて早急な手を打つ必要があると報ぜられておりますが、これを含めてお願いいたしたい。  また第二の点といたしましては、地震につきましての決め手となりますのはやはり地震予知予防対策にあるというふうに思いますが、これにつきましても内閣としての対応を伺いたいと思うわけでございます。  最後に、政府地震対策責任体制について、どこがどういうことをしていらっしゃるのか、特にこの予知につきましてはどういう官庁がこれを責任を持って担当しておられるのか、この点について伺いたいと、こう思います。  よろしくお願いいたします。
  8. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 九月十四日の午前八時四十八分ごろに発生をいたしました長野西部地震につきましては、それぞれ報道機関を通じて報道されておるところでございますが、長野王滝村を中心に山崩れなどによりまして甚大な被害発生させております。現在までに判明をいたしております被害状況は、死者、行方不明者二十九名、家屋の全半壊九十六棟などとなっておりまして、まだ村民の多くが今なお避難をしておる状況でございます。  政府といたしましては、十六日の午後一時十分に、国土庁長官本部長とする昭和五十九年長野西部地震非常災害対策本部を設置をいたしまして、木部の会議を開催をし、当面の緊急措置としてまず第一に行方不明者捜索、救出に全力を傾注するといったことなどを決定をしたところでございます。  さらに翌十七日、昨日は稻村国土庁長官団長とする政府調査団現地に派遣をいたしまして、現地状況をつぶさに調査をしたところでございます。  なお、きょう気象状況が許せば建設大臣もヘリで現地に飛ぶという予定にいたしておりまして、現地十分連絡をとりながら対策を講じていく、こういうことにいたしておるところでございます。  さらに昨日、政府調査団が帰京いたしました後、本部会議を開きまして、今お話しのように二次災害防止被災者救済対策被災施設早期復旧などにつきまして十二の項目にわたって決定をいたしたところでございます。現地では余震の回数は少し少なくなっておりますけれども堆積土砂の再流出などの二次災害のおそれもありまして、また非常に不安な状況が続いておりますので、いろいろちょっとした流言、うわさ話のようなのが飛びますと、それが実際の情報のようにして伝わる。非常に心理的に住民方々が不安におののいているという状況にありますので、そういったことも含めまして、被災地住民方々が一日も早く平穏な生活に戻ることができますようにいろんな角度から、これは村当局県当局とも連絡をとりまして、政府としての万全の措置を講じていくように努力中でございます。  なお、お話がございましたように、何といいましても予知体制整備していくということが、日本のように非常に地震の多い国にとりましては大事なことでございまして、政府中心といたしまする行政の大きな責任だと、このように感じておるところでございます。従来も政府の方でいろいろ予知をさらに充実をさせていくように努力をいたしてきておるところでございまして、関係省庁などの十分連絡をとりまして、今後ともその対策をさらに前進をさせていくようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  9. 久保田真苗

    久保田真苗君 大変抽象的なんでよくわからないんですが、できましたらもう少し二次対策について、今どういう手を打ちつつあるかということと、それから予知につきましてはよほど反省が必要なんじゃないかと思うんです。もちろん直下型地震というのは予知が難しいと言われてはおりますけれども、この長野西部の地点につきましては、これが日本で八カ所の特定地域一つになっておりまして、特に今回の地震は初めてではなく、五十年代の前半に王滝村でもって同じようなマグニチュード五・三の群発地震があったということです。また、御岳山の水蒸気の爆発もあった。しかし、その後おさまったので監視体制が解かれたというふうに報道されているわけです。こういうことではさいの河原と同じようにいつでも後手後手に回らざるを得ないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。したがいまして、私は、これはやはり観測予知責任を負っている一官庁の問題ではなくて、これは内閣として取り組んでいただかないとこのようなことは、東海地震は今非常に関心をお持ちですけれども東海だけの問題じゃなくて、日本全国にわたる、いつどこに何が起きるかわからないという国なんでございますから、政府として観測予知体制、これの総見直しをして整備していただくという、そういう体制を組んでいただかなければ、今後ももう繰り返しは当然起こるというふうに考えます。でございますから、この点について官房長官の御所見を伺いたいわけでございます。
  10. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 第一次の緊急対策を講じました後、国土庁長官団長として現地に赴きました後決定をいたしましたことにつきまして、少し具体的にお話を申し上げたいと思いますが、一つは引き続いて行方不明者捜索全力を挙げる。当然のことでございます。  それから、引き続いて被害状況早期把握に努める。  三つ目に二次災害発生防止に万全を期する。特に土石流、堆積土砂の再流出、山腹の拡大崩壊等による災害から住民の生命を守るため適切な対策を講ずる。  四番目に被災者避難者救済対策に万全を期する。これは食料、飲料水など全部含めてでございます。それから水道の早期復旧を図る。これも生活のために緊急を要することかと思います。  五番目に道路につきましては、当面不通箇所早期解消全力を傾注する。また、被災箇所早期復旧を図る。  六番目に林業関係につきましては、治山及び林道施設早期復旧を図るとともに、被災林家及び被災森林組合の林地及び林業施設について適切な復旧措置を講ずる。  農業関係については、農地及び農業用施設早期復旧を図る。  中小企業関係については、被害実態に応じ被災中小企業者に対する災害貸し付け等適切な措置を講ずる。  学校教育については、授業の早期再開に努める。  社会福祉施設等公共施設早期復旧を図る。  災害弔慰金等早期支払いに努める。  地方債の配分、特別交付税措置など適切な地方財政措置を講ずる。  以上のほか状況に応じて緊急適切に措置をすると、こういった第二次の対策を講じまして早速昨日から動き出しておるところでございます。  なお、御指摘のございましたいわゆる予知体制整備につきましては、我が国におきます地震予知観測体制について測地学審議会の建議がございまして、こういった趣旨に沿いまして昭和五十一年十月に内閣に設置されました地震予知推進本部事務局は科学技術庁の研究調整局に置いておりますが、この本部中心関係省庁の緊密な連携のもとに観測研究を行っておりまして、地震予知技術の向上に努力をしてきておるところでございます。  また、関係機関で得られましたいろんな観測データ等の交換、検討の場として関係省庁から成る地震予知連絡会議が設けられて今日に至っております。  気象庁におきましては、全国を対象にいたしましていわゆる大中小地震観測網整備をして常時監視を行うとともに、地震情報など防災上必要な情報を提供をしてきておるところでございます。  先生が今お話しになりましたように、日本の国は地震ということからいきますと、いっどこでどういう大きさのものが起こるかわからないと言われるぐらいに、日本全体がいわば地震国と言われるような状況でございますので、そういった中で、予知技術の改善や、あるいはいろいろ集めましたデータをもとにいろいろ検討を進めるといったことを常時行ってきておるところでございます。  ただ、多発地帯に今お話しのように常時その監視機関というか調査機関と申しますか、そういうものを置いてやっていくかどうかということにつきましては、これは政府、県、市町村一体になってやっぱり地域のいろいろな御意見等も踏まえて進めていくということも大切でございますし、まあどういうふうにそれでは重点的にそういった体制をしいていくかということになりますと、これは専門的な考え方に基づかなきゃいかぬところもございまして、したがいまして、そういったことも含めていろいろ政府としては検討を進めてきておるところでございます。  今後とも地震多発地帯あるいはそのおそれのある地域等につきましては、ただ政府本部があるということだけではなしに、現地中心にいたしまして事前にいろんな予知技術などを駆使した対策を講じていくといったような手だても講じていかなければならぬというふうに考えておりままして、今後ともそういった点に十分留意をいたしまして対策を講じていくようにいたしたいと、このように考える次第でございます。
  11. 久保田真苗

    久保田真苗君 一言だけ。  災害復旧も結構なんですけども、緊急にそれはやっていただかなきゃなりませんけれども、この予知予防、この点につきまして、総理番頭役となさいまして、本当にただ考える、これまでこうやってきただけじゃなく、本当に決意を新たに取り組むように総理にひとつ進言していただきたい、決意を新たにしていただきたい、こう思うわけです。いかがですか、よろしいですね。
  12. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 中曽根政治として国民皆さんにお呼びかけをいたしておりますいろいろな言葉の中に安定、安心、安全の政治ということを申し上げておりまして、こういったいろいろな災害等から国民生活の安全な体制をつくり上げるということは政治の非常に大きな使命であり責任である、このように考えておりますので、今後とも先生の御趣旨をよく総理にも伝えまして、内閣総理大臣が先頭に立ってそういった体制を整えていくように努力をいたしたいと存じます。
  13. 久保田真苗

    久保田真苗君 次に、神奈川県逗子池子弾薬庫跡の問題につきまして一言官房長官大蔵大臣にお願いいたします。  ここには御承知のように米軍住宅建設する件がございまして、非常に貴重な自然を壊しながら、また埋蔵文化財を無視してこういうことが行われつつある。私もこの委員会で何回も、また本会議でも総理に対して取り上げたわけです。  逗子市長は、市長選挙のとき、この米軍住宅反対を唱えて当選いたしました。しかし、ことし六月、市長米軍住宅建設池子にすることをやむを得ないとして、選挙公約を覆しまして賛成に態度を変えた、これで逗子市民が自然と子供を守る会等の母親の集まり、その他学者の方々などが八月十四日から一カ月間リコール請求署名を始めまして、きのうその最終的な集計が発表されたわけです。これが一万八千三百六十七名となったと発表されておりまして、これは逗子有権者総数四万三千百九十六人の四二・五%に当たりまして、若干の無効署名を考慮しても解職請求に必要な法定数を、つまり有権者総数の三分の一ですが、確保したと見られております。政府既定方針を変えることを非常にしたがらない、こういうことがございますけれども、この住民熱意、二十一世紀に緑を伝えていきたいというこの熱意をひとつ耳を傾けていただきたい。官房長官からはこの状況、この数字の重みについて御所見を賜りたいと、こう思うわけでございます。  大蔵大臣には、もうお聞きになったことかと存じますけれども、この土地につきましては、土地所有関係等に非常に問題、疑義が残っております。つまり、れっきとした民有地があるほか、民間人名義となって、国はこれを国有財産、未登記の国有財産だと言っているような土地がございますけれども、数多くございますが、その立証はされておらないわけです。こういうことがございます。また、法外な面積を要求しているということもございまして、非常に住民の反発を買うのは当然だと、こう思います。いろいろな問題があることでございますから、昭和五十七年度からたしか調査費がついておるのでございますが、調査費調査費でございます。調査費をつけたんだからこれは既定方針だというようなことでなく、こういう疑義を残しながら着手するということは関係大臣責任問題にもなることでございます。でございますから、今後の予算等につきましては慎重にも慎重を期していただき、また代替地の工夫なども、これは国有財産大蔵省の所管なんですからぜひお考えいただきたい、このことを私はきょう強く希望いたしまして、そして大蔵大臣の御所見を伺いたい、こう思います。
  14. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 逗子にあります池子弾薬庫の森が、非常に美しい自然にあるという状況につきましては、私昨年官房長官をいたしております間に、何回も逗子住民の代表の方々もお見えになりまして、大きな写真なども見せていただきまして、とてもきれいな森といういうことも、状況も伺っておりまして、お話もいろいろ聞いてきておるところでございます。  ただ、今回市長リコールが起こりまして、その手続が進んでおるということを承知をいたしておるところでございます。  先生御高承のように、安保条約の第六条に基づきまして、米軍家族住宅建設をしていくということは日米安全保障体制を維持してまいります上で非常に大事なこれまた課題になっておりまして、いろいろと検討いたした結果、池子弾薬庫跡住宅建設をする、こういう運びに話し合いが進んできておるところでございます。何とかまあ両方の要請を両立てきないものかということで、いろいろ政府としても考えてきておるところでございますが、美しい自然を保全をしつつ、かつこの安保体制上の責任も果たすという両方課題にこたえていく以外にない、こう考えまして、できるだけ住宅建設面積のことを考えるとか、あるいは自然を保護するために最大の配慮をするとか、そういったことを念頭に置いてこの問題を前進をさせていきたい、このように考えておる次第でございますので、どうか深い御理解を賜りますようにお願いを申し上げたいと思う次第でございます。
  15. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま藤波内閣官房長官からお答えがありましたように、池子弾薬庫内の、逗子市民方々の御要望につきましては、内閣から私どもの方へもおりておる課題でございます。  ただ財政当局としての立場で申し上げますならば、現実問題は今防衛施設庁が今後どのような進捗状況対応をなしていくのかということの後初めて概算要求、こういうことになるわけでございますので、まことに概算要求が出ていない今日の時点で申し上げますならば、そのときの財政事情とか、あるいは優先度とか、そういうことを総合的に勘案して対応すべきであるということが、これは原則的なお答えになろうかと思いますが、今先生が御指摘なすったような問題が存在しておるという認識だけは、私どもテークノートさせていただくという答弁で本日のところは、仮定でございますものですから、御容赦をいただきたいと思います。
  16. 久保田真苗

    久保田真苗君 しっかり覚えていらしていただきたいと思います。  時間になりました。これで終わります。
  17. 本岡昭次

    本岡昭次君 私は、官房長官人勧問題と現在国際問題になりつつあります精神障害者の人権問題の二点について伺います。  まず人勧問題ですが、五十七年度決算審議がきょうから始まります。その重要問題の一つに五十七年度人事院勧告四・五八%、金額にして三千三百二十億円の凍結問題があると考えます。五十七年当時、予算委員会中曽根総理は、五十七年度年度として六兆一千億という歳入欠陥を前にして、やむを得ず人勧の凍結を行わねばならないとしてこの人勧を見送りました。また、昨年は昨年で六・四七%の勧告に対して二・〇三%という値切りを行い、憲法違反とも言うべき暴挙を政府は二年続けて行いました。このために五十六年から今日まで三年間、公務員の生活は厳しい犠牲を強いられ、例えば四等級課長補佐で約六十万円、六等級係員で約四十四万円、行(一)、行(二)の平均で約四十三万円の収入減という状況をもたらしております。本年度については、去る八月十日、人事院が国会と内閣に対して国家公務員の給与を平均一万五千五百四十一円、六・四四%を五十九年四月から引き上げるように勧告しています。これは五十七年度勧告の凍結による積み残し分四・五八%が官民較差としてこのような額にあるいはパーセントになってきたものであります。  官房長官として、この五十七年度勧告の凍結分四・五八%、これをどうするのか、これについての所見を伺いたい。
  18. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 五十七年度における給与改定の見送りという措置は、極めて厳しい財政状況の中でやむを得なかったものである、こんなふうに私ども考えておる次第でございます。いわば財政の非常事態宣言といわれるような状況の中での措置でございまして、まず公務員から隗より始めよということで、政府と国家公務員、いわば身内のような立場で非常に厳しい決定をしたわけでございまして、先生御指摘のように、法の趣旨から照らしまして非常に残念なことではありましたけれども、やむを得なかったものと、このように考えておる次第でございます。引き続いて抑制措置を五十八年度においても講じてきておりまして、それらが先生御指摘のように今日官民較差が非常に開いた形で勧告、五十九年度勧告が行われてきておると、こういう数字になっておることも承知をいたしておるところでございます。  これらをどう考えるかというお話でございますが、当面政府といたしましては八月十日に人事院勧告五十九年度分が出されましたのを受けまして、第一回を八月十日に早速給与関係閣僚会議を開き、そして先般第二回の会議も開きまして、完全実施に向けて誠意を持って今決定に向かって努力をいたしておるところでございまして、なお政府部内にいろんな角度からの意見がございまして、調整を要しておりますので決定に至っておりませんけれども、さらに日程を調整をして給与関係閣僚会議を開いて決定をしていくようにいたしたいと、このように考えておる次第でございます。  当面残っておる分をどうするかという御質問に対しましては、五十九年度分として勧告が出された全体を完全実施に向けて誠意を持って取り組むと、こういうお答えしかできませんことを御理解をいただきたいと存じます。
  19. 本岡昭次

    本岡昭次君 もう一点、同じ問題について官房長官に伺っておきます。  今も長官の話にありましたように、政府が完全実施ができなかった根拠として挙げている最大のものは、財政事情が非常に厳しかった、非常事態宣言まで発した状態であったからだということであります。その財政事情でありますが、国債の累積額が百二十兆円になっているという問題を理由にするにしても、これをすべて償還するには何十年もかかる問題であります。また、六十五年度赤字国債脱却までということになれば、政府のこの公約が本当に達成されるかという問題については定かでありません。五十九年度という問題が、既に公約がもう破られているわけであります。そうなりますと、いつまでたってもこの人勧の完全実施という問題が財政事情から出てこない。私はこんなむちゃくちゃなことはないと思う。当面、財政事情がある程度苦しいのはわからないではない。しかし最近発表された五十八年度決算を見ると、幸い税の自然増収が四千五百億円にも上っています。しかも五十九年度税収は、慎重な経済企画庁でも一兆円以上、民間調査機関では一兆二千億もの自然増収が期待できると、こう言われています。財政事情を理由に完全実施を見送ることはもはやできない状態にあると私は考えます。このような状況下で万一完全実施をしなければ、政府人勧制度そのものを無視するというよりも、制度そのものを認めないということに私はなってしまうんではないかと思います。この点を踏まえて、再度官房長官の見解を伺っておきたいと思います。
  20. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 五十七年度分を見送り、五十八年度抑制をいたしてまいりました主たる理由は財政状況と、こういうことになっておりますことは先生御指摘のとおりでございます。ただ、この人事院勧告をどのように実施するかという問題は、財政状態だけで決するべきものではないというふうに考えて、総合的に検討もしてきたという事実がございます。  それから、今先生お話がございました自然増収等も期待できて、財政状況も、国債の発行高は別として、だんだん好転をしてきておるのではないか、そういった状況につきましては、いずれ大蔵大臣から、またお聞きをいただきたいと思いますけれども、財政状況一つ。  それから国民世論でありますとか、経済社会情勢でございますとか、いろいろな角度からやっぱり国政全般をよく検討をして、勧告に対してどのように実施していくかということを決するべきものと、こういうふうに考えておるところでございます。  特に、公務員の生活状態とか、あるいは勤務に対すると気の問題であるとか、あるいは新しく公務員に人材を確保するといったような問題等からも、当然いろいろ検討がなされて人事院勧告が行われておるものと、このように考えておる次第でございますので、よく国政全般をにらみ回しながら、関係閣僚会議の意見をよく聞いて検討を進めていくようにいたしたい。  財政状況というのは、ことしも抑制を大幅にしていくという理由にはならないではないかという発言も、この給与関係閣僚会議の中で閣僚からの発言としても既に出ておりまして、総合的に検討してまいらなければならぬ、このように考えておる次第でございます。
  21. 本岡昭次

    本岡昭次君 時間がありませんので、今の長官の答弁に反論したい点が幾つかあるんですが、また次の機会に譲ります。  それでは、二点目の国際問題になっております精神障害者の人権問題について伺います。  八月十五日と十七日にジュネーブで開催されていた国連の差別防止・少数者保護に関する小委員会に国際人権連盟と身体障害者インターナショナルから、日本の精神衛生行政は国際人権規約などに違反をしている。また、「多くの病院での患者の扱いは動物以下」などという厳しい告発が行われております。ところが政府は、これらの指摘を謙虚に受けとめる立場をとらず、外務省は厚生省の言うことをうのみにして、二十日、答弁権を行使して反論を行った。しかし、その内容に大変問題があるばかりでなく、どうも閣内不統一の嫌いもあります。  そこで官房長官に伺います。  私は、政府の我が国における精神障害者の人権問題に関する現状の認識が非常に甘いと思っています。今回の国際人権連盟の告発については、主要国際通信社の大部分が打電をし、中には国内取材を始めている通信社もあります。既に放映を開始した外国テレビもあります。その取り扱いを単に宇都宮病院事件としたレベルでなく、日本における精神障害者の人権という取り上げ方になってきております。これらはいずれもその底流に、我が国の現状は経済的には先進国、人権的には後進国というこのアンバランスが存在しているという立場からの取り上げ方であります。少なくとも日本が国際経済市場で対等公正な経済活動を目指すのであれば、人権問題に関しても先進諸国のレベルまでに早急に改善されていかなければならないと私は考えますが、官房長官として内閣の立場からの答弁をいただきたい。
  22. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 宇都宮事件が起こりましたときに、何回も本岡先生からいろいろな御指摘、御指導をちょうだいをいたしまして、私もよく厚生省と連絡をとりながら勉強もさせていただいてきたところでございます。  精神障害者の人権の保障につきましては精神衛生法、人身保護法などにより、制度的には十分配慮されておると、こういう建前に立っておるわけであります。したがいまして、いろいろこの制度の趣旨が生かされてまいりますように、入院時の扱いとか、あるいは入院患者の処遇についてガイドラインなどを設けることによりまして、それぞれの病院等で適切さを欠くことのないように、厚生省としても十分指導をしてきておるところでございます。しかし、国際的にもそういった意見が出されておるというようなことも踏まえまして、ただ制度ができておるからそれでいいんだということでは、いかにも建前の話になりますので、十分この法の精神が生かされていくように、さらに厚生省の指導を強化していかなければなるまい、このように考えておる次第でございます。  いろいろとジュネーブで開催をされました国連の小委員会における御意見等、まあ日本はやっているんだからということではなくって、よくこの御指摘のありましたことを頭に置いて今後の指導を進めていくようにいたしたいと、このように考えておる次第でございます。
  23. 本岡昭次

    本岡昭次君 後ほどの時間で詳しく外務省との間で質問をいたしますが、官房長官にもう少し的を射た答弁を願いたいんですね。今この問題は私が言っておりますように国際的な問題に発展しつつあります。現に、きのうの夕刊、けさの新聞もごらんになったと思います。国際人権連盟がまた中曽根総理大臣あてにその反論の抗議書簡を出してきています。  その反論というのは、精神障害者の人権をどう守るかということの反論じゃないんですよね。日本政府が国連の場で反論した。政府責任で反論した。しかし、それが事実と違うことを国際のこの場でやったということがけしからぬと言ってきているんですね。どういう方法で人権を守ればいいかという方法論の問題なり技術論の問題なりを論議するんならいいんですけれども、そのレベルじゃないんです。事実を無理に覆い隠して、そして偽りの答弁を国連の場でやった、そのことをけしからぬと、こう反論しているんですよ。事実は一つなんですよ。だから、私は何が事実であるかという問題を後の時間でやりたいと思うんですが、こういうことを官房長官として恥ずかしいとお思いになりませんか、国際的な場でうそを政府の立場で答弁したという言われ方をしているんですよ。そのことを一言言ってください。
  24. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 先生御指摘の文書の不適切な発言といいますのは、患者の死亡が職員の暴行によるものであるということについては確定されていないという箇所がございますので、そのことが指摘をされておるものかと思うのでございます。この事実につきましては捜査当局の捜査によりまして関係者が今、逮捕、起訴され、現在公判中でありまして、裁判所の判断がまだ決定されていないという今状況にありますので、その意味で確定されていないと述べたというふうに厚生省からも私ども聞き取っておるところでございます。  したがいまして、事実関係はそういうことでありますのでそういう表現、意見になっておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、抽象的ではございましたけれども日本における障害者の人権が守られていくようにさらに努力をしなきゃいかぬと、こういう考え方を先ほど御答弁で申し上げたところでございます。
  25. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最初に、先ほど同僚委員からも御質疑がございましたけれども長野県の西部地震に関しまして政府対応をお尋ねしたいと思うんですが、私ども地震発生直後に対策本部を設けまして現地に国会議員団あるいは県会議員団、地元の党員等の救援活動等にも当たりましたが、その中でいろいろと現地の様子等もお聞きいたしまして、昨日、政府災害対策本部に対しまして緊急の申し入れを行いました。  その要点を申し上げますと、これは被害状況が広範かつ大規模であることにかんがみまして激甚災害特別措置法に基づく激甚災害の指定措置を早急に講ずること、あるいは行方不明者の救助、捜索全力を挙げる、そして被災地域の住民生活の安定確保を図るためにガス、水道等の早期の供給、あるいは生活関連物資の確保に努めること、あるいは生活道路の確保に早急に当たること、あるいは御岳山南側に流出しました五百万立方メートルに及ぶところの土石流による二次災害危険地域、あるいは学校の裏山等の危険地域に対しましての緊急措置をとるように、あるいはヒノキ等を含めまして約二百億円と言われます林業被害につきまして、その緊急の治山事業等を実施をしてもらいたい、あるいは先ほど同僚委員からもお話がございましたけれども地震観測網の設置、あるいは地震予知体制の強化をぜひとも図ってもらいたい、特に御岳山観測網につきましても至急に設置する等の要望をいたしてまいりました。  特に、御岳山噴火に対しましての観測網につきましては、五年前の御岳山の噴火の際にも災害対策特別委員会等でもこれが強く要望されまして設置をされましたところ、三年前にこれが撤去されたということも報道されておるわけでございますが、そういったことも含めまして同僚からも質問ございましたけれども、我が党としてもこの災害、大勢の死者、行方不明の方を出しております相当な災害でございますし、この地震というものは予知し、そして防いでいかなきゃならない、しかしこの天災で起こることはやむを得ないけれども、その被害をどうしても最小にとどめるような努力政府としてしてもらいたい、こう思いまして、最初に政府としての見解を、態度を、対策をお聞きしたいと思います。
  26. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 長野西部地震状況が、昨日、団長として現地に参りました国土庁長官から、きょうの閣議の前にも話が出たところでございますが、想像して出かけた以上に悲惨な状況であったということを報告としてもたらしてきておるところでございます。  したがいまして、緊急措置として講じなければならぬ幾つかのこと、例えば行方不明者捜索、それから避難をしております住民方々生活物資の補給等を中心にいたしまして、一日も早く災害状況が復旧をし、かつ平穏な生活に戻ることができるように最大の努力をしてまいりたい、このように政府として強い決意を持っておる次第でございます。また、そのための努力をいたしておるところでございます。  同時に、今先生からお話のございました日本の国におきます地震との関係を考えてみまするときに、さらに予知体制を充実をさせまして、これは大蔵大臣、隣におられますけれども、予算が少ないとかなんとかと、金がないとかいうことを一切理由にしないで、とにかくやろうと思うことは全部やって国民皆さん方の御期待にこたえる、そういう体制が必要である、こういうふうに考えておりまして、人命などを中心として考えましたときに、さらにさらにこの地震予知体制などは整備をいたしまして、なかなか難しいことではございますけれども、幾らかでも前進をして、住民皆さん方に安心感を与えていくように努力をしていくことは行政、政府の大きな責任である、このように考えておりますので、こういった地震の起こりました機会にその決意をさらに強くいたしまして努力をいたしてまいりたい、このように考える次第でございます。
  27. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、防衛関係費の問題でございますけれども、このGNP比一%の枠の問題につきましては、当委員会におきましても、あるいは予算委員会等、あるいは内閣委員会等でそれぞれ論議をされてきたところでございますし、政府は常にその歯どめを守りつつ防衛計画の大綱水準の達成を図っていくんだということを繰り返してお話しになってまいりました。  ところが、先日のNHKの政治討論会、これに防衛庁長官も出席されたわけでございますけれども防衛庁長官のそのお話をお聞きしておりましたところ、長官は防衛力を一日も早く防衛計画の大綱水準を達成することは国際的な公約である、こういうことを強調をされているわけでございますね。しかし、この防衛費の歯どめにつきましては、これ、公約であるかどうかについてはこれは言及をしていない。言及をしていないということは公約であるということをはっきりと認識をし、認めているんだと、このようにもとれるわけでございますけれども、しかし五十一年度の防衛関係費の対GNP比一%枠の決定につきまして、本当はこのGNP比一%程度とするはずであったと聞いているんだというふうに述べられていらっしゃるわけですね。そういうことから感じますところは、このGNP比一%以内という決定の変更の可能性を間接的に防衛庁長官としては表明されているんじゃないかなと、こういうような感じにとれるような発言であるわけです。また、最近発表されましたところの五十九年度の防衛白書——「日本の防衛」の中で、五十九年度の防衛費につきましては対GNP比〇・九九%、こうなったということを触れておりますけれども、国際的に比較するとこれは対GNP比だけでなくて国民一人当たり負担額あるいは対歳出予算比などにおいて欧米諸国よりかなり低いと、こういうことが述べられているわけです。その反面、GNP比一%の枠は守りますよということは、一言もこれは触れられていないわけです。  こういうような点を考えてみますと、防衛庁の姿勢そのものはこれまでの政府答弁とはだんだんと変わってきつつあるんじゃないかということが感じられるわけですけれども、しかし国民の立場から見ますと、これは五十一年に閣議及び国防会議決定された政府の意思でございますから、防衛費の対GNP比一%の枠を守るということはあくまでもこれは政府の公約であると理解していますし、あるいは国際的な公約であると、このように理解をしているわけですが、政府としては今までの姿勢には変更がないのかどうか。防衛庁としてはそれを徐々に変化さしていこうと、そういう姿勢も見られるわけですが、その点のしっかりとした歯どめを官房長官として御答弁願いたい、こう思います。
  28. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 防衛庁長官の発言の中身は詳しく聞いておりませんが、先生御指摘のように、昭和五十一年の三木内閣の防衛費に関する閣議決定の方針につきましてはこれを守っていく、これからもその努力をしていくと、こういうことで政府の態度は非常に明らかになっておりますので、そのように御理解をいただきたいと存じます。
  29. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それで、政府の態度には変化がないということでございますが、防衛関係費のGNP比一%以内とするこの閣議決定の予算あるいは決算についての関係につきましては、この委員会におきましても同僚委員あるいは私も質問しましたけれども、その点で明らかになっておりますことは、一つは予算編成に当たりましては過去の決算ベトス対比のGNP対比で一%の枠にはまっているということを十分考慮して決めていると、こういうことが一点ありました。二点目は、一%の枠につきましては決算ベースにおいてもこれは閣議決定趣旨に沿って努力すべきであると、こういう防衛庁長官の発言もありました。  第一点につきましては、これは多少技術的な面になりますので後日またいろいろと取り上げたいと思いますけれども、第二の決算ベースの点につきましては、当初の防衛庁長官のこの閣議決定趣旨に沿って努力するべきであるということが、四月十日の参議院予算委員会でございますが栗原長官の発言を見ますと、そういう趣旨が生かされることを期待しておりますというふうに表現が微妙にこれが変化をしているわけです。その点、やはり当初長官の発言がありましたように、閣議決定趣旨に沿ってその努力をすると、こういうことで実態は変化がないと、こう思うんですが、その点もどうでしょうか。
  30. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 予算の当初の段階での一%以内ということと、決算におきましてもその枠内でいくということは当然そのように従来考えられてまいりましたし、今日の政府におきましてもその方針を守っていくように努力をすると、こういうことで一致をいたしております。
  31. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 五十八年度の一般会計決算概要が七月三十一日に発表されたわけですけれども、総額が五十兆六千三百五十三億円になっておりますけれども、この中で防衛費の総額はどの程度になっておりますか。
  32. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 五十八年度決算は現在作成中でありまして、まだ詳しくお答えする段階ではありませんけれども、各省庁が提出をいたしました決算報告書により取りまとめたところによりますと、防衛関係費の決算額は二兆七千六百二十二億円となっております。
  33. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今、官房長官のおっしゃった数字を見ますと、五十八年度の名目GNPの実績見込みは二百七十九兆五千億円、こういうふうに見込まれていますけれども、それから見ますと防衛費は約一%以内でおさまっているような感じになりますけれども、これは、先ほど同僚委員からも人勧の問題が出されましたけれども、やはり人勧を値切ってこの一%以内におさめた、そういうことが言えるんじゃないかと思うんですね。やはりこの一%の枠を守っていくために人勧を抑制した、このことは厳しく反省をしてもらわなけりゃならないと思うんですが、やはり今後もこの枠を決算においても守っていく、その決意があるかどうかお聞きしたいと思うんです。
  34. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 昨年、五十八年度に防衛費を一%以内に置くために人勧を抑制したという御指摘は当たっていないというふうに思います。あくまでも防衛費の問題は防衛費であり、国家公務員の給与——人事院勧告をどのように実施するかはまさにその勧告をどう政府が態度決定していくかという問題であるというふうに考えておりまして、そのためにこちらがこうなるという関係ではないということは明らかに申し上げておきたいと存じます。決算ベースにおきましてもGNPの一%以内におさまるように、今後ともこの方針を変えないで努力をしてまいりたい、このように考えております。
  35. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それから、もし万一GNP比が一%を超えて、いろいろなこういった期待が裏切られるような、外れるようなことがあった場合でも、このような人勧等の実施によって意図せざる結果が起こって一%を超えたような場合であっても、これをもってGNP一%枠を撤廃したり、あるいは新しい歯どめを実施しようとする、そういう根拠に私たちはしてもらいたくない、こう思いますが、その点どうでしょうか。
  36. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 今申し上げましたように、やっぱり国家公務員の給与をどう持っていくか、人事院勧告にどのように対応して政府の態度を決めるかということと、それから一%以内におさめるという防衛費の問題とはまた全く別の問題である、片方の理由によって片方がこうなったというようなことは言いわけとしてなかなか簡単にできることではない、むしろこういうふうに考えておりまして、一%以内におさまるように防衛費の問題については最善の努力をしていく、人勧人勧でこれを完全実施に向けて誠意を持って取り組む、こういう努力をしていくという方針は二つのものである、こういうふうに考えております。
  37. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 時間がないので次へ移ります。先だってTI社製の半導体不良の可能性が発見された、こういう事件があったわけでございますが、その中で、やはりP3CあるいはF15戦闘機につきましては日本の自衛隊でもこれは使っているわけでございますが、その点どのように対処されておりますか。
  38. 山田勝久

    説明員山田勝久君) テキサス・インスツルメンツ社製の集積回路、いわゆるICでございますけれども、これに欠陥があると米国の国防総省が発表したということは承知いたしておるわけでございます。したがいまして、この集積回路が自衛隊の装備品に使用されている可能性がございますので、防衛庁といたしましても、事実関係、それから自衛隊における使用状況等につきまして現在、鋭意調査を行っているところでございます。
  39. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 向こうにも詳細を問い合わせすると書いてありますが、その点はどうですか。
  40. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 現在、米国の状況調査しておるわけでございますが、今までのところ大体四千七百ぐらいの種類のものがございます。そのうち二千二百につきましては問題ないという調査結果が出ておりますが、今現在、二千五百について米国の方で調査をいたしております。そういった結果を順次得る所存でございます。
  41. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは、自衛隊の中でも主要装備でございますし、国民の血税をもって購入している部分でございますので、早急に調査をして万全を期してもらいたい、このように思うんですが、官房長官どうですか。
  42. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) さらに調査などを徹底するようにいたしたいと存じます。
  43. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、発足しました臨教審につきましてお聞きしたいと思うんですけれども、この二十五人の委員がそれぞれ選任をされて臨教審も発足したわけでございますけれども、この中に、やはり子供の教育を専門的に研究をしている教育学者の代表が一人も入っていないという、専門的な立場からの批判もございますんですが、こういう点はやはり人選の際に必要ではなかったかと思うんですが、この問題につきましては専門委員でカバーをするのであれば、専門委員の構成について具体的に報告もしてもらいたいと思います。その点どうでしょうか。
  44. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 御指摘のように、教育を専門とする学者の方々が入っていないではないかということにつきましては、当初から何か専門的な話に入っていくよりも、やっぱり国民各界の御意見をまず聞いて、そして専門委員をお願いをして、その委員方々と専門委員方々のいわば共同作業のようにして、論議を深めていっていただくというふうに持っていったらというのが当初から考えにありまして、御指摘のようなことになっておるところでございます。専門委員を選びます際には十分そのことを念頭に置き、また同時に、現場の先生などの御意見ももっと聞いたらどうかとか、本当に子供たちの身近にいる御父兄などの御参加もいただいたらどうかとか、いろいろな御指導や御注意はいただいておるところでございます。まず初めから政府なり事務局なりで固まったものにしてしまわないで、岡本会長を中心といたしまして臨教審委員方々で、まずこの審議会をどう持っていくかという御論議をいただいて、そしてその何回かの御論議を踏まえて専門委員等の御委嘱もしていくようにする方がむしろ趣旨に沿うかと、こういうふうに考えておりますので、まだ今の段階では専門委員をどういうふうにお願いをするかという方針を決めておるわけではありません。審議会の委員方々の自由闊達な御意見をしばらくやっていただいて、専門委員選任の方向に向かって動いていったらと、このように考えておりますが、御指摘のことは十分念頭に置いて今後作業を進めていくようにいたしたい、こう考える次第でございます。
  45. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 また、運営方針としまして、議事録の概要を公表する、こういった発表をされておりますけれども、今どの程度のものが概要として発表できるのか。その点どうでしょうか。
  46. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) このことにつきましても、事務局の方で案を準備しないで、審議会の二十五人の先生方にいろいろ御意見を出していただいて方針を決めたところでございます。  それに基づきますと、九月十四日の第二回の総会におきまして、一つ、会合の都度審議の概況を公表する。これは、会長なりスポークスマンの役割を持つ方から公表のあることかと思います。二番目に、審議経過の概要は取りまとめて適宜公表する。これは、速記録をさっと全部出すということではなくて、大体こういうふうにして審議が進んでおりますというようなことの概況を公表する。それは、こう何回かを一回の一まとめにして、こういう流れでございますというような説明が外に出るということにすれば、全部ほとんどもう外へ発表しておるのと同じようなことで、むしろそれよりも教育上もいろんな意味を持つことができるのではないか、こういうふうな考え方に基づきまして、こういう方針が審議会で決められたというふうに聞いておりまして、非常にいい線が出たなと、こう思っておる次第でございます。できる限り審議会の審議の中身が国民皆さん方にもうまく伝えられて、そしてさらにそれに対して国民皆さん方が一つ一つどうお考えになるか、各界の皆さん方の意見がさらにこの審議会に瀞せられて、その国民皆さんの声もよく聞きながら審議会の審議がさらに進む、こういうことになってまいりますと、当初から考えておりますように、国民総参加の審議、教育改革の論議、こういうふうに発展をしていくのではないかというふうに期待をいたしておるところでございます。
  47. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後に、報道されているところによりますと、予算が非常に不足をして非常に運営に苦慮しているということでございますが、やはり総理がこれは設置をした臨教審でありますし、成功させるためにもしかるべき予算措置が必要じゃないかと思うんですが、その点、しっかりとしたバックアップをしてもらいたいと思いますが。
  48. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 一部そういうふうな情報が流れたようでございますけれども、確かに年度の途中から出発をした審議会でございますので、御心配をいただく向きはございますけれども、十分政府としてこの審議会を大事にして、ひとつ委員方々建設的に、自由闊達に御論議をいただきたい、このように考えてお願いをいたしておるところでございますので、予算で不便をするというようなことは絶対ないようにしてまいりたいと思いますし、大蔵大臣もお見えでございますので、念のためにお願いを申し上げておきたいと思う次第でございます。
  49. 三治重信

    ○三治重信君 きょうは総理にかわっての官房長官の御出席のようでございますが、また総理ばっかしじゃなくて、各省大臣もきょうのやつについては、非常にきょう理事会をやったところで、前もって早くから国際会議があるとか何とか言って欠席の連絡があったところと、きのうになって初めて海外出張でできぬとかいうことで連絡があったということで、内閣の各省庁の大臣じゃなくて、各省庁がこの決算委員会に対して、こういう総括質問の第一次、第二次に対する注意というものが僕は非常に、国会が休会中に入っちゃっている。休会中に入っても決算委員会は、開会中に総括質問とか何とかやると各大臣いろいろ支障があるだろうということで、こうやって皆さん休みの中でも特別考慮してやっているんで、これを政府の方が、どうしても国際会議とか外国との関係でやむを得ない人があるのはあれだけれども、それはこういうふうな決算委員会の総括質問の第一次、第二次に対して、これは予算委員会と同じで各大臣出るということになっているわけなんだから、それに対して予算委員会との関連を考えると、各省非常にそこに注意が散漫じゃないかと思うんですが、これはひとつ官房長官から——総理が出たときにいつも言うんだが、決算委員会予算委員会と同じように扱ってくれと言うと、それはそのようにします、こう言っているんだけれども、現実にこうやって総括質問開いてみると、各省大臣、休会中だから、それからまた、いろいろの行事予定のところでどうしても出られぬというのは、わかり次第、きちんと連絡あってしかるべきだと思うんだけれども、非常に内閣の各省庁の間に緩慢、非常に事前によくやってくれるところと、それはほったらかして、いよいよ質問通告が行って初めて、ああ、そんなことがあったのかというような格好で大臣の欠席通知を持ってくる、だから理事会でもめちゃうということになるわけなんですが、これはひとつもう一遍この決算委員会に対して各省の大臣じゃなくて、各省庁の官房長か会計課長かなんかがきちんともっと真剣に大臣の行事予定とか何とかについて関心を持って、こういう決算委員会があるからこれはどうだということを省内できちんと注意をして、その計画が練られるようにすべきだと思うんですが、ひとつどういうことですか。
  50. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 決算委員会——委員会によって重視していい、重視しなきゃいかぬということではありませんけれども、国会全般を大事にしていかなきゃならぬことは行政府の当然の姿勢でございますが、わけても予算委員会と並んで決算委員会の御審査に対しまして最大の配慮をして臨ませていただかなければならぬ、配慮というのはやっぱり出席の要求があれば出席をして当然お答えをしていく、事実関係などを明らかにして御審査に供していく、こういう態度でなければいかぬということを重々今までも繰り返し述べてきておるところでございます。参議院の改革協議会の小委員会の報告などにも決算審査の充実といった項目が挙げられてきておりまして、それに対しましても誠意を持って対処するという中曽根総理の答弁もしてきておるところでございますので、ただ今日、大変申しわけありませんけれども、国際会議あるいは海外におけるいろいろな二国間の話し合い等の要請がございまして、今日国際社会におきます日本の地位が高まったものと、そんなふうにいささか自負するところはございますけれども委員会の審査に対しまして欠席をする大臣が目立っておりますことは大変申しわけのないことである、このように考えます。今後、さらに連絡を密にいたしまして、決算審査がさらに充実をされますように政府としての対応をさせていただきたい、一層そのことを徹底をしてまいりたい、このように考えておる次第でございますので、どうか御理解をお願いをいたします。
  51. 三治重信

    ○三治重信君 各省庁の間に非常に差があるから、ちょっと官房長官にお手数を煩わすよりほかにないんじゃないかと思ってお願いをするわけです。  それで、今、何というんですか、国鉄については三十一年に赤字になってから急速に赤字化されていて、いずれ、民間会社のように赤字になれば、それはもう倒産寸前になれば人員整理なりが行われてしかるべきだ、こう思っていたんですが、なかなかやらなかった。ところが、ここ二、三年急速にやるようになって、そうなってくると、これは余剰人員が出た、どうしようということで、新聞を見ていると、国鉄だけがやっているみたい、これは政府は何やっているのか。ところが、私なんかが役人やっていたときの三十六、七年のときにはえらい景気がよかった。それでも石炭産業は、石油がどんどん下がったために石炭がほとんど売れなくなった、急遽方向転換せにやならぬということで非常に石炭対策審議会で大騒ぎをして、我々失業対策をしょってやったわけなんですが、そういう姿勢が国鉄のこういう大改革で、みんな二十兆の赤字だ、大変だ、国鉄はまた二万五千の余剰人員が出たそうだと言うだけで、国鉄監理委員会がやっているから政府はその答申を受けてやればいいんだというふうに思っているかもしらぬけれども、国鉄監理委員会もそういう国鉄の人員整理に対してどうすべきかということについてのやつは存外図られていない。どうも私は、国鉄の改革について金目のことばっかり、地方ローカル線のことは言われるけれども、やはり基本は人の整理であると思うんですよね。国鉄がもう赤字になってだめになれば、それは非常に労働集約的な産業なんだから人が余るのは当然なわけなんで、それに対する対処がなければこれはちっとも進まぬ、そういうことに対して、政府は何か国鉄改革に対しては、国鉄監理委員会や国鉄監査委員会ですか、というものに任せ切っちゃって、高みの見物みたいな格好をしているみたいのがどうも解せないんですが、そういうことに対してどうなんですか。
  52. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 国鉄の再建監理委員会からいろんな意見が出されて、国鉄当局も、あるいは労働者の方々も真剣にお取り組みをいただいております。その中でやっぱり一番大きな問題は何といっても人件費、そして余剰人員。だんだんと合理化していけば、その分だけ人員が余ってくる、この方々の問題をどうするかということが一番大きな問題であるということは御指摘のとおりでございます。しかも、多額に上っておる借金どうするかとかなんとかという、いわゆる物、金の話と違って、生きた人の話でございますから、これをどういうふうに持っていくかということは非常に難しい、また非常に大切な問題であるというふうに認識をいたしておるところでございます。  しかし、今、先生から御指摘がございましたように、こういった余剰人員の方々の問題をどうするかということにつきましては、今当面、労使でいろいろお話し合いも進んでおるところでございますけれども、再就職の問題であるとか、いろんな問題があろうかと思うんでございます。そういうことにつきましては、今後とも労働省などを中心にいたしまして、政府全体でやっぱり取り組んでいく構えが非常に大事であるというふうに思うわけでございます。国鉄当局も随分苦労をいたしましていろいろな努力をいたしておるところでございますけれども、さらにその苦労を政府全体の苦労として、みんながいろいろな角度から手伝っていく、努力をしていくというような体制をとって努力をしていくように、今後さらにひとつ徹底をしていくようにいたしたい、先生からの御指導に沿うよう努力をしてまいりますことをこの機会にお答えを申し上げておきたいと存じます。
  53. 三治重信

    ○三治重信君 今のところ、九月十三日に各紙が、国鉄当局がやっている余剰人員の処理の問題について報道しているわけなんですね。ことしは二万五千だけれども来年は三万になる、その中で、高齢者の退職促進、休職制度の導入、出向の三つの対策を立てて組合との交渉に入ったと。組合との交渉に入るのは、労使の関係はこれは国鉄当局ですね。しかし、国鉄当局が組合と交渉をやる、その裏づけを、国鉄が、あなたたちこういうぐあいにする、これだけ人を削減したい、しかしこういうふうに受け入れ態勢を準備しているから、それでのんでくれと、こう言わなければ、考えだけでいってのんでくれと言っても、それはどうするんだ、出向といってどこへ行くんだ、どういうふうになるんだと、こういうふうなことに対してはどうも見ている限りにおいては国鉄当局は余り準備はしてない。ところが、民間の方の人員の整理とかなんかのときには、もう会社側が全部用意をして、そして、こういうことだからどこの会社へ何名出向される、ここへ何名行きたい、だからこれでのんでくれ、こういうふうに組合に具体的に言って組合との折衝に入って、それで組合が、そういう条件ならそれじゃのもうかと、いつでも具体的な話になるんですよね。国鉄当局と組合との話というのは、どうも国鉄当局のやる意欲だけが先になって、中身になってくるとないものだから、労使が激突をしてしまう、こういうふうに見れる。  この中でも、関連事業のやつが、何千人かにやろうと思うのだけれども、現在では二百社で千三百人ぐらいしかめどがつかない、二千人予定していたやつが千三百人ぐらいしかめどがつかぬなんというやつが新聞に出ちゃうんですね。新聞に出ちゃうというと、これは労使交渉に行ったって、二千人も出向やると言ったって新聞見たら千三百人しか用意してないじゃないか、何でこんな二千人なんて言うんだと、こういうようなことになって、労使交渉が進まぬわね、全然。だから、国鉄がやろうと思うんなら、それに対してその人員の裏づけを、退職促進なら、退職者に対してはどういう条件で、何人は受け入れ態勢の予算措置ができているからやりたいと、できれば退職促進なんというやつは鉄道管理局別ぐらいに示されるような、殊に出向なんというやつは具体的に受け入れ態勢を受け入れ側とちゃんと話をしてから組合への提示をやらぬことには、これは何かかえってアブハチ取らずになる。こんなこと官房長官に言ってもしようがないんですけれども、事ほどさように、そうだとすると国鉄当局だけでこういう退職者の失業対策というものを処理さすような体制でおっては、これは国鉄の整理合理化というのは僕はいかぬと思う。実際上、人員の削減に対してやるというのは政府が、各省庁が、運輸省も労働省もだけれども、それは直接本気になってやらぬと、僕は国鉄一企業に失業対策を任せておくのは一それでしかも実施の問題だから、これは国鉄監理委員会とか、計画をつくるところの、知恵を出すところのやっと違うと思うんだが、ここをひとつしっかり考えて、ひとつ具体的な、国鉄だけにやらさぬで、運輸省にも労働省にも指令して、もっと政府として対処の具体的な失業対策についてやるべきだと思うんですが、ひとつ考慮してほしいと思います。
  54. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 御指摘のとおりでありまして、余剰人員の労働力をどのように誘導していくか。まあおやめをいただくときの条件とかいろんなことは労使話し合って決めていくことになりますけれども、その後どうするかということは国鉄当局も随分苦労をしておるようでございます。  しかし、何回も申し上げますけれども、これは国鉄当局だけでできることではないというふうに思いますし、何か国鉄が全部悪者みたいなことになって、やめていくのが当然だみたいな空気になっておられますことを、そういう状況があると、非常にこれは今まで長い間御苦労して働いてこられた方々に対しても随分つらいことになりますし、担当省であります運輸省、それから当然失業をいたします場合のいろいろ相談に乗る労働省などを中心にいたしまして、さらにきめの細かい政府全体の努力をしていくように徹底をしてまいりたい。  今までいろんな業界が配置転換とかいろんな業種転換とかいろいろしていく。それはもとがどういうふうにこれからなっていくかと。例えば炭鉱がだめになったときなんかも随分いろいろな関連会社つくったり、あるいは同じ系統の資本の別の会社へ誘導したりというようないろんな御努力があったわけですが、一つ言えば、何といいますか国鉄全体がこれからどういうふうに持っていくかということの最終決定になってないというところが確かにあるわけです。そうすると、国鉄が関連企業などというものをもっとつくれるのかとか、いろんな点についてなかなか、こういったらいいなこうやったらいいなと思っていても思い悩むところがあるだろうと思うんですね。ですから、その最終の国鉄のどう持っていくかという方針が固まっていないだけに、なおきめの細かい努力をしないとこの問題というのはなかなか解決していかないだろうという気がいたしますが、そういうようなことも十分頭に瞬いて努力をいたしてまいりたいと存じます。
  55. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 以上で内閣官房長官に対する質疑は終了いたしました。  藤波内閣官房長官は御退席いただいて結構でございます。  それでは引き続き、総括質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  56. 久保田真苗

    久保田真苗君 安倍外務大臣はあさってたしかお立ちになって、メキシコの後、国連総会に出席されるということでございます。  そこでこの際、短時間の中ではありますが一つ御注文をしておきたいと、こう思うわけでございます。  それは、先般六月に大臣が出席され、そこで演説をなさったジュネーブ軍縮会議の結末についてなんでございますが、このジュネーブ軍縮会議に外務大臣として初めてお出になり、また、特に全面核実験禁止に関する具体的な提案をされたことは私は大変よかったことだと思っております。しかし、内外の期待がございましたにもかかわらず、この結果は大変残念な結果に終わっておりまして、日本が一生懸命支持をし、かつ日本の議長が誕生することも期待しておりました全面核実験禁止についての作業委員会の設置が見送られたということでございます。せっかくの御提案も討議を深める場がなく残念でございました。  ここで注目しなければならないのは、これが単に作業委員会が設置されなかったということだけでなく、これは過去には軍縮会議の作業部会が存在しておったわけでございまして、それが更新すらされなかったという、このことでございます。一たん設置されたものが更新されないのは例外的だというふうにも聞きます。でございますから、この面についての討議が非常に後退を強いられたのではないかと私は恐れるものでございます。  そこで、大臣にお伺いしたいのは、私はこのままで引っ込んではいけないということだと思うのです。それは、大臣が行かれて具体的に提案されたというその日本の信用の問題でもあるし、またこういうことでうやむやに流れてしまったということをそのままにしておくということは、今後ともそういうふうにしても構わないんだというように思う人が出るということを恐れます。国際社会というものは私の乏しい経験からもそういうところだと思うのでございます。  そこで、お伺いいたしますが、この作業委員会が実現しなかったというその理由をどういうふうにごらんになっているか、また、今回出席されます国連総会でこれに対してどういう巻き返しをなさるおつもりか、これをお伺いいたします。
  57. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まず、軍縮会議における核実験禁止に関するアドホック委員会の設催につきましては、同委員会の果たすべき任務の範囲につきましてソ連を初めとする東側諸国の立場とアメリカを含む西側諸国との立場が対立をいたしまして、残念ながら本年の軍縮会議において同委員会の設置には至らなかったわけでございます。大変私も残念なことであると思うわけでございますが、我が国は、先ほどもお話がございましたように、本年六月に私が軍縮会議において提案をいたしましたステップ・バイ・ステップ方式につきまして真剣な検討が行われるようにするためにも、軍縮会議の明年の会期において同委員会が設置されるように最大限の努力をしていく考えでございまして、私は委員会が設置されなかったことは非常に遺憾であると思うわけでございますが、これはまさに東西対立ということを背景にしてああいう結果になったわけでありますが、日本自体は、日本としましては決してこれであきらめるものではありませんし、私が提案をいたしましたステップ・バイ・ステップ方式というのは、私は今日の核軍縮をさらに現実的に一歩進めていく提案である、こういうふうに確信をしております。したがって、これに対する反響も相当私は各国の中にはいい反響があったというふうに考えておりますし、そういう立場からこの方式はあくまでも推進をしてまいりたい。最終的には全面禁止というところにいくわけでございますが、現実的な形でステップ・バイ・ステップ方式を推進していきたい。  残念ながらことしは討議できませんでしたけれど、来年には委員会が設置をされまして日本の提案が論議されることを期待をして、そのために努力を、国際的な協力を取りつける努力を積極的に行っていきたい、こういうふうに思っておりますし、今回の国連総会の場もそうした日本の立場を理解をせしめるいい機会でございますから、いろいろの努力を重ねてまいる考えでございます。
  58. 久保田真苗

    久保田真苗君 一口に言えば、東西の対立の中でということなんでございましょうけれども、これについて少し具体的にお伺いしたいと思います。  アメリカは、検証漏れということを非常に問題にしまして、例えば南米等で核探知の機能が欠損しているとか、核実験はカムフラージュできるのだとか、いろいろなことを挙げているということでございます。しかし、もしあらゆる悪い場面を想定して検証の問題を取り扱っていくならば、それは恐らく核軍縮につながっていく道はほとんどないのではないか。あらゆる悪い場合を想定するということが、実際にはもうそういう核実験禁止などへ進んでいく意思がない、そういう口実だという批判があるわけでございます。これにつきまして、どういうふうにごらんになりますでしょうか。
  59. 山田中正

    説明員山田中正君) 今御指摘ございました米国の立場でございますが、米国政府も従来から一貫いたしまして長期的目標としての核実験全面禁止を掲げております。私どもは、この米国の基本政策には何ら変更はないと理解いたしております。  ただ、御指摘ございました検証の問題でございますが、核実験の地下核実験、これはやはりある程度の検証が、手続が明確になりませんとその禁止の約束が誠実に実施されておることを確認する手段がございません。やはり必要にしてかつ十分な程度の検証措置というものが必要であろうと思っています。これは我が国も含めまして西側諸国の共通の認識でございます。
  60. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは、検証の問題が出ておりますが、ステップ・バイ・ステップを大臣が提唱なさるにつきましては、それは当然検証というものを要件としているわけでございます。大臣の演説の中にはこの一年間に約五十回の核実験が行われたというそういう指摘をしておられるんでございますが、外務省はこのデータはどこから入手なさったんでしょうか。
  61. 山田中正

    説明員山田中正君) 昨年一年間の実験回数、これは探知できましたのが約五十回でございます。その基礎となっておりますのは、アメリカの場合につきましては公表したデータがございます。また、スウェーデン等におきましても探知をいたしております。そのようないろいろな資料を総合いたしまして推定いたしました数字でございます。
  62. 久保田真苗

    久保田真苗君 やはり大臣の演説の中で、一つの提案としまして日本の高度の地震探知技術を一層提供する、こういうことを提案しておられるわけです。具体的にはそれはどういうことを考えておられるのか、それをお聞かせいただけますでしょうか。
  63. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは日本地震国でありますし、地震探知能力、探知技術というのが非常に進んでおります。また、日々進んでおるわけでございまして、そうした科学的な日本の先進性をひとつ検証という場で活用するということは、非常に検証を進める上において大事な国際協力になるわけでございますから、日本としてはこれに積極的に協力する考えであるということを表明をしたわけでございます。  私は、こうした技術が進めば、今の場合はまだまだ探知できないとか検証できない核実験が随分あるわけでございますが、最終的には全面禁止に至る、全体的なほとんどの核実験というものが探知できる、検証できるというところまで行くのじゃないか、そういうふうにすることが目標でございます。それにはやはり地震探知技術というものが大きく役に立つ可能性もあるわけで、これは軍縮会議で私が演説で申し上げたわけでございますが、これに対しましても、各国とも非常な関心を示しておることは事実でございます。  したがって、こうした問題をもっと各国で真剣に取り上げられて、我々の協力が具体化することを念願をしております。
  64. 久保田真苗

    久保田真苗君 検証の可能性につきまして後ほど気象庁長官にお伺いいたしますが、引き続き外務省に伺いたいのは、ことしの三月十五日、ジュネーブの軍縮会議地震専門家グループというのがございますね。その地震専門家グループが軍縮会議に報告書を提出したわけです。この報告書には、現在残されている地下核実験が問題なんですが、その監視体制設立のため、次のようなことを勧告しているわけです。  それは、世界の地震観測所から五十カ所以上を選び、そして各観測所の地震観測はディジタル記録し、最新の機器で標準化する。北半球だけでなく南半球にも設け、海底測定点を設置する、あるいは地震データをディジタル化して自動的に世界データ交換網、これは世界気象機関、WMOの通信システムを利用するということでございますけれども、この勧告に基づいて、この十月十五日から二カ月間監視体制設立のための実験が行われるということでございます。日本も当然参加すると思いますけれども、これに参加する日本の協力体制を御説明いただきたいと思います。
  65. 山田中正

    説明員山田中正君) お答え申し上げます。  今先生からお話がございました世界気象機関を通じての世界じゅうにデータ交換のネットワークをつくるという考え方、これはもともと日本気象庁の方から御提案いただきました構想でございまして、それが実現してまいっておることを私ども大変喜んでおるわけでございますが、先生お話ございましたように、十月十五日からニカ月間の交換実験がございます。  我が国につきましては、この実施計画の専門家グループに気象庁から御協力をいただきまして御参加いただいておりますし、このデータ交換の実験が始まります際には気象庁の御協力を得て、積極的にこの交換実験に参加したいと、かように考えております。
  66. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは気象庁長官、大変お忙しいところ御苦労さまでございます。幾つか御質問したいんですが、それでは今の関連で、この地震専門家グルーブの勧告に基づく軍縮会議の実験に協力していく体制、どういうことをどういう決意でおやりになるか、この点についてちょっと一言お願いしたいと思います。
  67. 末廣重二

    説明員(末廣重二君) お答え申し上げます。  地下核爆発実験の検証をいたしますためには、一国のデータではこれができないのでございまして、地球上をある程度覆います観測網、網でもって検証いたさなければなりません。したがいまして、その網の結び目に当たる各観測点間のデータの交換ということが必須の事項になってまいります。そのために日本といたしましては、WMOの、既に現存いたします通信網を使ってデータの交換をしてはどうかということで、これが先生御指摘の軍縮会議のもとにあります地震専門家グループで取り上げられたわけでございまして、我が日本といたしましては当然日本の内外はもちろんのこと、遠い外国の地震観測いたしておりますので、そのデータを分析いたしまして十月十五日からのデータ交換テストにこのWMOのネットワークを通して各センターへ流すということに参加する予定でございます。
  68. 久保田真苗

    久保田真苗君 先日報道されたところですが、七月十四日のソビエトの核実験をウプサラ大学の地震センターがキャッチし、場所がセミパラチンスクで、マグニチュード六・九というような発表をしているんです。これに一分おくれて我が国の松代観測所から、これを裏づけるような波をキャッチしているということなんでございますけれども、これにつきましてはこういうキャッチしたものがほかにも幾つかあるのか。  また、気象庁とされましては、この核実験をその意味で探知していく常時の体制ですね、その点はどうなっているのか、そこのところをお聞かせいただきたいと、こう思います。
  69. 末廣重二

    説明員(末廣重二君) 先ほども御答弁申し上げましたとおり、私ども日本の付近のみならず太平洋の向こう側であるとか、ある場合には地球の反対側に起こったような遠い地震も、遠いところで起こった地震による津波の警報のため、あるいは地震観測の国際協力の上から観測をいたしておりますし、そのための施設の向上も近年図ってまいりました。したがいましてそのような技術の向上、施設の向上に伴いまして自動的に地下核爆発実験による地震もいやでも検知してしまうというわけでございまして、御指摘のとおり先日のセミパラチンスクの核実験のみならず、米国の核実験等も我々で記録した例が過去に幾つもございます。
  70. 久保田真苗

    久保田真苗君 今話題になりました地震専門家グループの勧告に基づく実験に参加なさる、こういうことなんでございますけれども長官とされましては、例えば地震データを国際的に交換していく、そういう実験体制を常時的につくっていった場合、そのデータの積み重ねを行ったとしたら、どの程度の核実験までが現在の状態で探知できると、そういうふうにお考えになりますでしょうか。
  71. 末廣重二

    説明員(末廣重二君) お答え申し上げます。  現在のアドホックグループと称しております軍縮会議の下部機構でございます地震専門家会議の今までの検討によりますと、世界で約五十カ所の、これは南半球も含めまして観測所が協力してデータを交換し、適切なセンターが解析をするならば、地震にいたしましてマグニチュード五程度に相当する実験に伴う震動は、これを検証できるというふうな結論が出ております。ちなみにマグニチュード五程度の地震と申しますのは、地下核爆発実験の場合には一種の人工地震でございまして、これを火薬の爆発量に換算いたしますと約二、三十キロトンから七、八十キロトンの爆発に相当するわけでございます。
  72. 久保田真苗

    久保田真苗君 長官の御発言の中で、いやでもソビエトやアメリカの核実験をキャッチしてしまうことがあるという、こういうことなんでございますけれども日本が全面核実験禁止に向かってステップ・バイ・ステップというような、そういう努力を積み重ねていくのだといたしますと、どうしても検証あるいは探知能力ということが決め手にならざるを得ない。その意味で気象庁に期待される役割が大きいんじゃないかと思うんですが、核実験を探知する業務は気象庁が傍受されてしまうというだけじゃなく、常時体制としてそういうことをやっていくお考えはありませんか。
  73. 末廣重二

    説明員(末廣重二君) 先生御指摘の気象庁のこれからの態度でございますが、核実験による地震だけをキャッチしてそのほかの地震はキャッチしないというわけにはまいりませんので、いわば自然に起こる地震も、人工的に起こる地震もまぜて観測されてしまうわけでございますから、どうしてもそこで振り分けるということをしなければならないわけでございまして、それには相当の知識と施設を要するわけでございます。現在までのところ、気象庁といたしましてはそこまで踏み込むという決意はいたしておりませんけれども、先ほども大臣御答弁になりましたとおり、日本地震国で、地震に対する知識も豊富でございますし、施設も世界一級のものがそろっておりますので、そういったものを御活用いただくという意味で従来同様御協力は申し上げていくつもりでございます。
  74. 久保田真苗

    久保田真苗君 外務大臣、今のような御答弁なんですけれども、これは外務大臣の今回推された具体的提案というものは、どうしてもこれがなければできないんじゃないかと私は思うのです。その点についてどうお考えになるか。  また、日本にそのような地震学のすぐれた知識、技術があるということなんですが、さらにもっと人材も施設も要するという御答弁なんですが、外務大臣とされましてはこの外交を推されるためにやはり内閣においてこういう要求を強くお出しになっていく必要があるというふうに私は思いますが、大臣のお考えはどうでしょうか。
  75. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 外務省としましては従来から気象庁の協力を得まして地震専門家、アドホックグループに専門家を派遣する等、同グループの作業促進に積極的な貢献をなすべく努めてきておるわけでございますし、今後ともステップ・バイ・ステップ方式の実現を通じまして核実験全面禁止を達成するため、気象庁を含む関係各省とも緊密に協力しながら核実験探知のための国際的努力に積極的に貢献をしてまいりたい、こういうふうに思っております。そのために外務省あるいは外務大臣としてなさなければならない協力は惜しみなく行ってまいりたい、こういうふうに思っております。
  76. 久保田真苗

    久保田真苗君 関連で申し上げてまことに失礼でございますけれども気象庁長官、けさ私官房長官に対して長野西部地震のことをいろいろ御要望申し上げました。  その中で非常に重要なことは、やはり地震予知、そしてこれに基づく予防対策、これがどうしても決め手にならない限り日本の現状は脱却できないんじゃないかということを申し上げたわけでございます。それについてやはり政府責任体制としまして気象庁観測予知責任を持っておられるわけでございます。それで今回非常に残念なことは、王滝村の地震というものが五十年代の初めにも群発地震観測されましたのです。ところがその後おさまったということでいろいろな機器を取り外し、解除した、そういう状況がございますね。それで、現在では新聞報道によりますと四十キロも離れたところにしか地震計もないと。地殻のひずみを計測する計器もないし傾斜度をはかる計器もない。このような状態でございますと、地震観測体制が万全だとは決して言えないんじゃないか。これが繰り返しであるということを特に強調いたしまして、気象庁長官、これにどうやって対応していらっしゃるおつもりか、それをひとつお聞かせいただきたいと思うのでございます。
  77. 末廣重二

    説明員(末廣重二君) 確かに先生御指摘のとおり、先年の王滝村付近の群発あるいは御岳山の爆発の場合には臨時観測点を設置いたしましたけれども、その後活動が全く終息いたしましたので、臨時の観測点を撤収したことは事実でございますが、現在私ども日本じゅう百を上回る非常に高度の地震観測所を常時稼働させておりまして、二十四時間の観測体制をとっているわけでございます。したがいまして、王滝村を含めましてそのすぐ真近あるいは直上にこそ観測点はございませんが、決してあそこが穴になっていたということはないということは御理解いただきたいと思います。ただし、このような内陸の浅いところに発生いたしますいわゆる直下型地震については、まだどういうふうにして地震が起こるかという仕組みも十分にわかっておりませんために、予知ということは極めて困難でございまして、業務的に結びつけるというところまでいっておりません。しかし私ども予知とそれからそれを裏づける防災ということが大変大切であるということは十分認識しておりまして、気象庁に所属いたします気象研究所に直下型地震研究を担当する研究室を昭和五十九年度に新設いたしまして鋭意研究を進めているところでございまして、今後とも関係の機関、大学等と密接に御協力いたしまして予知の実用化に一層邁進してまいりたいと思っております。どうぞ御叱正をよろしくお願いいたします。
  78. 久保田真苗

    久保田真苗君 盲点があったとは思わないとおっしゃるんですが、現に気象庁の専門の職員の方が新聞報道に出ているんですが、王滝村自体での有感度回数はもっと多かったのじゃないかと、現地情報をもっと適切に把握していれば活断層が見つかったりあるいは予知の手がかりが見つかったかもしれないと残念がっていらっしゃるとあります。これはよろしいですけれども、お帰りになりましたらこういう方たちとひとつせひこれをよく検討していただいて、こういう何といいますか、後から残念がるようなことが絶対にないようにお願いしたいと思います。  そこで大蔵大臣にお願いしたいんでございますけれども、私今回の地震のこともありまして、また核実験のこともございまして気象庁の予算を見せていただいたんです。これは昭和五十六年から見せていただいたのですが、ともかく横ばいもいいところだと思います。五十六年九億一千万、五十七年十億八百万、五十八年十一億四千二百万、五十九年九億、そして国債が五百四十九億と、こうなっているんでございますね。これに対しまして、直接の比較はできないのかもしれませんけれども、防衛庁の防空ミサイルシステム、米国製のパトリオットに更新する、これはまけにまけて七千億だというんです。七千億。片方、地震の探知に必要なものは十億。そのうちの全部じゃございませんよね。核実験をキャッチした、セミパラチンスクのをキャッチした群列地震探知システム、これだと約四億しか使っていない。このアンバランスは余りにもひどいアンバランス。特に地震の方は国民の生命財産に直接関係をしているわけなんです。ひとつこういう大局的な目でこういった地震関係の七百倍もの予算がパトリオット一つのシステムに割かれるという、これが本当にバランスのとれた国民の幸福を守るゆえんなのかどうか、ひとつぜひお考えになっていただきたい。  そして先ほどから話題になっておりますように、群発地震観測、探知していく、あるいは平和外交を進めるための核実験をせめてスウェーデン並みぐらいに自信を持って公表できる程度のそういった核探知の技術を向上し、設備していただきたい、こういうふうに思いますんですが、大蔵大臣いかがでしょうか。
  79. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる地下核実験の探知というものに対してどういうことをしていいのか、私の乏しい知識で答弁の能力の範囲を出た質問じゃないかというふうに私は思います。この群列地震観測システムというようなことは概略の震源決定を行うものであって、いわゆる地下核実験を探知することを目的としたものではないというふうな説明を聞いたことはございますが、今のいわゆるパトリオットの所要経費と群発地震対策との比較というような問題が、比較の仕方として、国政諸般のバランスをとりながら防衛予算等決定していくという比較対照として適切であるかどうかということについて私もにわかに御判断をお示しする準備をいたしておりません。が、今おっしゃいました問答を私なりに聞かしていただきまして、いわば地震国であるだけに地震探知能力等がすぐれておる、それが大きな国際問題であります地下核実験等の探知に寄与するということがあるという議論そのものについては、私は大いに傾聴をさしていただきました。ただ、予算と直ちに結びつけてこれを具体的にお答えするだけの能力を持ち合わしておりません。
  80. 久保田真苗

    久保田真苗君 私が申し上げたいのは、要するに、平和外交を内閣として進める、そのために外務大臣努力しておられる、そういう状況の中で日本が平和のための役割を果たすための資源の配分が、このようなことではその役割が果たし切れないのではないかということを申し上げたかったのでございます。  それでは外務大臣に再度要望さしていただきますが、各地方自治体の相次ぐ非核宣言アピール等でよく御存じのとおり、——今これには入りません。御存じのとおり、今国民は非核三原則の堅持について非常にこれを熱望し、危機感を持っているという、こういうことを背景にして国連総会にも御出席になり、またアメリカの国務長官ともお会いになって、これが反映されますようにぜひ御尽力いただきたい、このことをお願いいたします。
  81. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 日本はもとより非核三原則は遵守していく決意でございますし、核兵器を絶滅、全面的な核実験の禁止に向かって、日本としてもこれからもあるいは国連を通じましても積極的な外交努力を重ねていく決意であります。
  82. 本岡昭次

    本岡昭次君 国連における差別小委員会日本政府の答弁の問題について幾つか質問をいたします。  国家公安委員長が何か時間の御都合があるようなので、初めに、ちょっと順序が狂いますけれども、二点直接その問題にかかわって御質問をさしていただきます。  まず、先ほども官房長官の方が宇都密病院の患者の死亡問題について日本の答弁は間違いがなかったというふうな意味の話があったので、これについてひとつ国家公安委員長に聞きたいんです。  この差別小委員会における日本政府の答弁の中には、患者の死亡が病院の職員らによってなされた行為によるのかどうかについては確認されていないと、こう言っているんですよ。もしこれが真実であるならば、政府はなぜこの病院職員らを患者に対する傷害致死容疑で逮捕してそして起訴をしたのか。警察や検察庁が確認したこの事実は、この政府の答弁の中からは確認されていないということになっているんです。国家公安委員長としてこの問題をどのように考えられますか。
  83. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 宇都宮病院の問題につきましては、警察としては、ことしの三月に入院患者に対する傷害致死及び傷害容疑で看護助手等五名を逮捕いたしましたのを初めとして、暴行傷害等の暴力事犯、証拠隠滅等の容疑でこの病院の看護助手等二十七名を検挙いたしました。そして、六月に宇都宮検察庁へ送致、送付をしていると、このように報告を受けているのでございます。このように認識をしております。
  84. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、確認されていないというこの政府の答弁は、これは真実を故意に隠そうとする意図がありありと見えて私は全く不愉快なんです。今公安委員長が述べられたように、傷害致死容疑で逮捕し起訴されているということが事実なんですよね。それを言わないで、確認されていない、なぜこういうことを国際的な場で言わなければならぬのかという問題なんです。公安委員長、どう思いますか。
  85. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) 私どもは、警察の当局といたしまして今申し上げたようなことしか申し上げるわけにまいりませんで、なぜそういうことを国連の小委員会で言われたかということは、ちょっと私の方からは申し上げるわけにまいりませんで、詳しい日本側の答弁と申しますか、日本側の発言については私はまだよく承知しておりません。ただ、言葉遣いとしては確認した、あるいはコンファームされていないというような表現を使っているようでございますが、詳しい発言要旨を見ておりませんので何とも私どもの方から今申し上げるわけにまいりません。
  86. 本岡昭次

    本岡昭次君 その問題は、あと厚生大臣と外務大臣にお伺いします。  今は、国家公安委員長ははっきりと逮捕し起訴していると。そのことは事実、事実なんですよ。そのことをはっきりさしておきます。閣内の不統一なんです、はっきり言えば。  それから、国家公安委員長、これは後の問題に関連するんですが、宇都宮事件というのは極端な例外であるというところから始まるんですよね。事実に全く反している。厚生大臣、そうですね。あなたと私と何遍もやりとりした。極端な例外であるというところから始まる。なぜここまで国連の場でうそをつかなければならぬのか。  国家公安委員長に次の問題を聞きます。  私の手元に栃木県河内町白沢の聖十字病院、今また問題になってきている。この患者からの告発のここに文書があります。テープも私は聞きました。実にひどい実態なんですね。これは事前に連絡してありますから大臣は御存じだと思いますが、この訴えによれば、看護人によって何回も暴行された女性患者は複数、一人じゃなくてたくさんの人があるというんですね。それから、他にまた暴行傷害それ以上ともとれる事件が証言されております。そして、法令によって精神病院に強制的に拘禁されている女性患者を看護人が当直室へ連れ込んで暴行を働くなどと信じがたいことがここでは行われている。結局、その女性が意を決して先日告訴をしたという事実があります。  国家公安委員長に伺いますが、これらの問題、既にもう逮捕されていると思いますけれども、厳重にそして厳正に対応を願いたいし、そしてすべて残さずこの事件を警察の権威によって解明をしていただきたい、このように思うんです。  なぜ私はこのようなことを強く言うかといいますと、行動制限が行われていわば治外法権下にある我が国の精神病院は、今言いましたような聖十字のようなことを、宇都宮ももちろんそうですが、たくさんこういうものがあると考えざるを得ないんです。ただ、そのことが患者の告発でしか明らかにされないという問題なんです。  さらに栃木県の隣の、これは北関東のある県では、その病院でやはり看護人が同じように女性患者を保護室内で数回にわたり乱暴して、そのうちの一人が妊娠をしてしまったというふうなことが出てきておりますし、そのために産婦人科院で中絶をさせたという話まであります。こうしたものを含めて、とにかく真偽のほどを明らかにしていただきたいと思います。ひとつ公安委員長決意をまず伺っておいて、御退席願っても結構でございます。
  87. 田川誠一

    国務大臣(田川誠一君) お尋ねの河内町の聖十字病院における女性入院患者に対する暴行事件でございますが、この件につきましては、去る九月八日に栃木県宇都宮警察署におきまして、本人からの告訴がありまして、その告訴を受理いたしまして、関係者から事情聴取など所要の調査を今行っているところでございまして、今おっしゃいましたようなこともあるいはあると思いますが、とにかく警察といたしましては、犯罪の容疑が成り立てば厳正に対処していく、こういう方針で臨んでおるわけでございます。宇都宮病院の問題についてもそうした態度でやってきたつもりでございまして、警察としては犯罪容疑が成り立てば断固として取り締まってまいるつもりでございます。
  88. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは外務大臣に伺います。  今も申し上げましたように、去る八月二十日、日本政府が国連の差別防止・少数者保護に阻する小委員会で、国際人権連連盟、身体障害者インターナショナルなどの日本の精神衛生行政は国際人権規約などに反するというこの告発に対して、答弁権を行使して反論をしたということは御存じであろうと思います。また、昨日、これに対して国際人権連盟が抗議書簡を中曽根総理あてに発したことについても御存じだと思います。この問題についてまず、外務大臣としてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  89. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 国連の差別防止・少数者保護小委員会におきまして、八月十七日、国際人権連盟及び身体障害者インターナショナルの二非政府組織より、我が国の精神病患者の取り扱いにつき問題が提起をされました。よって、本件の主管官庁である厚生省にこれを通報するとともに、同省に我が方対応ぶりの資料をまとめてもらいまして、八月二十日、同小委員会において、本件についての我が国の事情を説明をしたところであります。  外務省としましては、我が国の精神衛生行政の一層の適正な運用のために主要先進国の現状の把握に努めること等を通じまして、厚生省に対し鋭意側面的な協力を行っているところでございます。  なお、国際人権連盟の総理あて抗議書簡につきましてはいまだ受け取っておりません。したがって、その正確な内容をいまだ承知しておらないのでございまして、コメントは差し控えさしていただきたいと思いますが、我が国における精神衛生行政に対する国際的関心の高まりのあらわれとも考えられるわけで、外務省としても当面関心を持って見守ってまいる考えであります。
  90. 本岡昭次

    本岡昭次君 まだ反論の書簡を入手されていないということでありますが、ひとつ考え方の問題として外務大臣にお伺いしたいと思います。  先ほども私は官房長官お話しをしたんですが、精神障害者の人権をどのように守るかという問題の論議じゃなくて、これは事実が歪曲され、ゆがめられて国連の場で報告されたということに対する抗議なんであります。  それを今から具体的に二、三申し上げますが、そこで外務大臣、この国際人権連盟が出した抗議書簡、やがて外務大臣もごらんになると思います。また、首相あてですから首相にも見てもらいますが、どうですか、これは民間の団体だということで外務省として無視されますか。それとも言っている事柄について再調査をして、返事をその連盟に送付されますか。あるいはまた、国連の場で再び政府答弁としてなさいますか。その三つのうちのどういう方法をこの書簡について中身を見なくともいずれかの方法があると思うんですが、大臣としてどうですか。
  91. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはまあ受け取っておりませんので、ここではっきりしたことを申し上げる段階ではございませんが、しかし、総理あての抗議書簡でございますから必ず来ると思います。これは真剣に内容について検討いたしまして、厚生省とも相談しながらこれに対する対応を決めてまいりたいと、こういうふうに思います。
  92. 本岡昭次

    本岡昭次君 対応をされるというんですから、無視するんじゃなくて、書簡でもって返事をするか、あるいは国連の場で再答弁するか、いずれかの方法でこれに対応するというふうに理解してよろしいですか。
  93. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 主管官庁である厚生省とも十分相談をいたしまして対応をしたいということでございます。しかるべく処理をしなきゃならぬと、こういうふうに思っております。
  94. 本岡昭次

    本岡昭次君 そこで、具体的な答弁の中身、私も外務省から直接答弁の英文の分と、それから日本語に訳した要旨をもらっております。それで私も読みまして、おかしいと、事実と違うじゃないか、こう考えました。それは同じようにこの国際人権連盟の方もとらえているんですね。その中で、たくさんあるんですが、三点だけ取り上げます。  まず第一点は、今言いました、先ほど国家公安委員長の方に述べてもらいましたこの患者の死亡が病院の職員らによってなされた行為によるのかどうかについて確認されていないという表現であります。これは先ほど国家公安委員長の発言にもあるとおり、事実を正確に表現している文章ではありません。したがって、これは傷害致死容疑で逮捕し、起訴されているという事実をありのままに書くべきである、こう思いますが、外務大臣いかがですか。
  95. 山田中正

    説明員山田中正君) お答え申し上げます。  先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、本件についての対応ぶりにつきましては、主管官庁でございます厚生省に御相談いたしまして取りまとめをお願いした次第でございます。国際的な舞台での答弁ということを頭に置いて作成したものでございますが、先生今御指摘ございました起訴の事実は私ども承知いたしておりますが、この文言の内容については厚生省の方からお答えいただいた方がいいかと思います。
  96. 本岡昭次

    本岡昭次君 外務省が責任を持って国連の場で答弁したんでしょう。責任持って答弁できないようなことをなぜ国連の場で述べるんですか。外務省の方から答えてください。
  97. 山田中正

    説明員山田中正君) お答え申し上げます。  我が国の国内の体制から申しまして、精神衛生、これは厚生省が主務官庁でございまして、厚生省の方で政府全体の立場の取りまとめをお願いいたしたわけでございますので、厚生省の方からお答えいただきたいと思います。
  98. 本岡昭次

    本岡昭次君 そういう無責任なことをやってくれるから、こういうことになるんですよ。  厚生大臣、率直に私の言うように、やはり事実を書いた方がいいんじゃないんですか。
  99. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 今お話を聞いておったところで私が判断させていただきますと、向こうでうそを言ったということではなくて、恐らく、今これは起訴されておりますが、裁判中のもので、いずれが黒、白と法律的にはまだ確定してないと、そういう意味のことをこれは事実ありのままに申し上げておるのだというふうに推察いたします。
  100. 本岡昭次

    本岡昭次君 事実のありのままというのは国家公安委員長が報告されたのが事実なんだ。だから、知らない人たちがこれを読みますと、しかし患者の死亡が病院の職員らによってなされた行為によるのかどうかについては確認されていないということでは、判断のしようがないじゃないですか。ここですぐにこの問題の答弁というのは無理だろうと思うんですが、ひとつ厚生大臣、外務大臣あるいは国家公安委員長、それぞれ関係するところとこの表現の問題について再検討を願いたいと思うんですが、どうですか。
  101. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) ただいま外務大臣からも御答弁ありましたように、この国際人権連盟からの書簡、これまだ私どもの手元に届いておりませんので、内容は推察するだけでございますから、これはもう近く届きますから、これを熟読玩味させていただいて、私どもの方で間違いがあれば、もちろん過ちは調整しなければならないし、これはよく御相談申し上げて、皆さん方に納得のしていただくような対処をしたいと思っております。
  102. 本岡昭次

    本岡昭次君 国際人権連盟が言ったからというんじゃなくて、それももちろん大事なんですが、私たちの手元にもこれあるんですよね。だから、私たちに対して、それはもう一遍再検討してもらわないといかぬと思います。また厚生省だけの決算委員会もあると思いますので、そこでまた再度詰めさしていただいて、きょうはとにかくこれは正しくない表現であるという認識はしてもらったと思いますから、次に進みます。  二番目に、先ほども新しい聖十字病院の問題を国家公安委員長にただしました。この政府答弁の冒頭に書いてあることが、日本の精神病院で虐待がなされているとの報告は「極めて例外的」であるというふうなところからスタートする。外務省、何をもって「極めて例外的」というふうにここで最初から断定してかかっているんですか。根拠を言ってください。
  103. 山田中正

    説明員山田中正君) お答え申し上げます。  繰り返しになって恐縮でございますが、この問題が提起されたことに対しまして、まずそういう事件が起こっていることについては遺憾であるという表明はいたしております。ただ、今先生御指摘の具体的なこの例の国内における比率と申しますか、そういうものの判断につきましては、主務官庁である厚生省の御判断を仰いだわけでございますので、具体的な理由については恐縮でございますが厚生省の方から御聴取いただきたいと存じます。
  104. 本岡昭次

    本岡昭次君 どうも外務大臣、もう外務省が答弁しておきながらすべて厚生省、厚生省ですよ。これだけのことを国際的な場でやるんですから、十分中身をかみ砕いて外務省自身も納得したものをやらなければだめじゃないですか。ひとつ外務大臣聞いておいてください。  宇都宮事件が極めて例外であるのかないのかという問題なんですがね。宇都宮事件以前にも精神医療委員会というところが出している雑誌ですね、全部事件になっているんですよ。警察が取り上げて、虐待の。それが十全会事件、栗岡病院事件、安田病院事件、伊藤病院事件、中村病院事件、秋田病院事件、大和川病院事件というのは特に挙げられているんです。そのほか、警察に調べさして挙げさしたら枚挙にいとまがないほどあるんです。しかもその宇都宮事件が起こって今日まで六カ月、その間にそれではなかったのかというと、これはまたたくさんあります。私が取り上げただけでも田中病院事件、上毛病院事件、七山病院事件、そして成田病院事件、聖十字病院事件というふうに次々と患者の人権を侵害し虐待しているというのが出てきているんです。一体こういう事実を前にして宇都宮病院事件が極めて例外であるということをどうして言えるんですか。これは聞けばだれでも怒りますよ。外務大臣、率直にどうですか。今私が言いました事実で極めて例外というところから始まる反論として正しいですか。
  105. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私も政治家としましては、今おっしゃるようないろいろな事件といいますか精神病院事件については関心持っておりますが、外務省としましては、これはもう精神病院の実態なんか外務省が知るはずがないわけですね。これはまたそういう立場にないわけですよ。ですからやはり主管官庁である厚生省がこれ、精神病院についての実態等は熟知しておられまして、そのための行政をやっておられるわけですから、外務省は外国に対しまして日本の主張を出す場合はやはり主管官庁である厚生省の意見を聞き、厚生省の判断をこれは日本政府の判断として外務省が伝えると、こういうことでございますから、これはあくまでも基本的な判断認識というのは、知らない外務省がすべきことではありませんし、やはり厚生省の判断、それを受けて政府として外務省が諸外国に、あるいは国際会議でこれを伝えると、こういうことをやっているのが外務省だと、こういうふうに思います。
  106. 本岡昭次

    本岡昭次君 しかし、あなた、私が今言ったようなことを、中で極めて例外という表現が日本の精神病院問題についての正しい記述の仕方かどうかということは判断できるでしょう。精神病院問題は外務省は門外漢だ、今私が言ったじゃないですか、だから、あなたに教えてあげた。そのことをもってどう思われますか。それはひとつ答えてく、ださいよ。
  107. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはやっぱり私からお答えをする、私自身も政治家としては関心持っておりますが、しかしこれ、その判断は私がもう何も専門家でないわけですから、やはり政府責任における判断というものは、答弁というのはこれは軽々に私が行う筋合いのものではなくて、やはり主管官庁である厚生省の責任者である厚生大臣がこれは答弁すべき筋合いのものじゃないかと、こういうふうに思います。
  108. 本岡昭次

    本岡昭次君 日本政府も困ったことですね。しかし、あなた自身が率直にそれはちょっと例外と思いにくいですねというふうなことすら言えないのですか。閣僚というものは不自由なもんですね。渡部大臣どうです。
  109. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 今外務大臣からお答えしたとおり、この問題についての責任は全部厚生省にございます。
  110. 本岡昭次

    本岡昭次君 責任のあり方を問うているのじゃないのです、例外か例外でないかということを問うているのです。
  111. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) これは本岡先生から今年の予算委員会の始まる早い時期から宇都宮病院の問題、また総合的な精神病院の問題、いろいろ御指摘をちょうだいいたしまして、厚生省としても都道府県等を通じて全国の精神病院の実態調査等を進めてまいりまして、私どもはこれが我が国の精神病院の全体であるというようなことであったら、これは大変なことでございまして、これは一あくまでも例外的に起こった特殊の問題である。しかし率直に言いまして我が国の精神衛生対策、世界の先進国の中で進んでいる方にあるかというと、こういう点には我々も非常に反省を持っておりますので、今後こういう問題が二度と起こることのないように精神衛生対策の充実に努めておるわけでございます。
  112. 本岡昭次

    本岡昭次君 どうもはっきりしないですね。厚生省、ちょっと時間がないので一つ先に聞いておきますが、さきの七月三十一日、当院の社会労働委員会で、私が大阪の七山病院の問題の調査をお願いしたんですが、その後どうなっていますか。
  113. 吉崎正義

    説明員(吉崎正義君) 七山病院につきましては、去る八月八日に大阪府が立入検査を行いました。その結果でございますけれども、無資格者による脳波検査でありますとか、あるいは同意入院の手続等、先生の御指摘のありましたことを十分実は解明できませんで、その内容にさらに不明の点がございましたので、再度の調査を指示したところでございます。大阪府におきましては現在再調査中でございますので、その調査結果を待ちまして適切に対処してまいりたい考えでございます。
  114. 本岡昭次

    本岡昭次君 時間が参りましたので、外務大臣と厚生大臣にそれぞれ答弁を求めて終わりたいと考えます。  それで外務大臣、問題がどこにあるかという、いずこにあるかということは、もうよく御理解いただいたと思います。あなたはあなた自身の考え方を持っておられるようですが、厚生大臣がそこにおられるので、他の責任あることを私の言葉で言ってはいかぬとお思いになっていると思うのですが、私は、政府の国連における答弁の問題は外務省が中心になって、厚生省そして国家公安委員長あるいは関係するところが一遍よく論議をして、そして国際的な場で恥をかかないように、また私たちがこのことを国会で審議している者が見たら一度にこんなうそを、でたらめを、事実ではないというふうなことが出されることがないように外務大臣として一度、この日本精神障害者における人権問題を外務省の責任において一度これを調査をする。もちろん独自でやれませんから、それは厚生省なり関係のところと連絡してやる。そして、その上で再度答弁をやり直すということについてひとつ回答をいただきたい。それは何も国際人権連盟が来たからじゃなくて、私たちがこれを見て間違いだという立場であなたに言っているんです。  それから厚生大臣、やはり責任は厚生省にあるようでございます。厚生大臣が一々この文章を書かれたとは私は思いません。しかし、厚生省の関係者がこの恥ずかしい文章を出したわけですから、厚生省として率直にこの問題について反省をして、中身の、内容の訂正を国連に対して行う作業を私はすべきだ、こう思うんですが、その点について、外務大臣、厚生大臣、それぞれ答弁をいただいて私の質問を終わります。
  115. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 国連における国際人権規約に違反しているかどうかという問題につきましては、これはやはり日本の法律、この場合は精神衛生法でありますが、これが国際人権規約に決める要件を満たすものであるかどうかということも一つの大きな判断であろうと思いますが、私どもは同法は国際人権規約に違反しているとは考えておりませんし、また、日本政府がまとめまして、これは外務省が厚生省と相談いたしましてまとめました判断も、先ほどから申し上げましたようなそうした法律に違反するものでもないし、あるいは国際人権規約というものに基づいたものである、こういう確信のもとに出しておるわけでございますが、いろいろとこれに対する批判等も出ておるわけでございますし、これは今後のこともございますから、さらに御意見等も踏まえながら厚生省とも十分な連絡、相談をして、いやしくも今後いろいろのそしり、批判を受けないように努力をしてまいる考えであります。
  116. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 私ども、宇都宮病院そのものは院長の特殊な性格もあり、いろんな問題が御指摘のように起こっておるのでありまして、これは厳しく反省をしていかなければならないことでありますが、同時に、この宇都宮病院をもって我が国の精神病院全体を論じられるということは私どもにとって心外なので、そのようなお気持ちを申し上げたわけでございますが、先ほど申し上げたように、だからといって私ども我が国の精神衛生対策が一〇〇%完璧なものだなどとは思っておりませんし、その後もいろいろと本岡先生からも反省すべき幾つかの問題の御指摘をちょうだいし勉強をさせていただきますと、西欧の先進国家に比して我が国の精神衛生対策の立ちおくれというものもこれは謙虚に反省しなければならない問題でございますから、きょう御指摘をいただいた先生のお気持ちを十分にそんたくいたしながら、今度近いうちに届いてまいりますそれらのものをよく慎重に調査いたしまして、過ちがあれば率直にこれは反省するし、またこれは極めて重要な国際信用の問題でありますから、過ちがなければ私どもの態度を堂々と主張させていただきますし、これはきょうの先生のお気持ちを十分酌み取って過ちのない対処をしてまいりたいと思います。
  117. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      —————・—————    午後一時四十四分開会
  118. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十七年度決算外二件を議題とし、総括質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  119. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 私は、まず投資減税政策の今日的意義について大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。  投資減税をめぐるこれまでの論議は、昨年まで三年間にわたる長期不況を背景にもっぱら投資減税が不況対策としてどの程度の景気浮揚効果を持つのか、そういう観点から行われてまいりました。しかしながら、私は投資減税は景気対策のほかにより重要な使命を持っているものと考えております。我が国経済が国際化の時代に対応して生き延びるためには技術立国を目指し、先端技術型の産業構造へ転換していかなければなりません。今や日米ハイテク戦争の時代と言われており、米国では技術革新のため投資税額控除などの思い切った企業税制を採用しているのであります。我が国の中小企業の諸君もこういう時代の趨勢を敏感に感じ取って、革新型中小企業への脱皮を目指して模索を続けている段階であります。我が国の企業税制も技術革新型産業構造へ誘導するという二十一世紀に向けての長期的視点に立つ政策理念のもとに考えるべきものと思うのであります。  中小企業の設備投資促進税制は二年間の時限措置として今年度いっぱいで期限が切れることになっております。今日、景気が好転し、設備投資も大企業を中心に回復してきた状況のもとで、ともすれば政・財・官界の一部に投資減税は不要という意見も聞かれます。しかし、私は、中小企業をハイテク型産業構造へ移行させるという長期的視点に立って、当面の景気が上昇したとか下降したとかいう一時的現象にとらわれることなく、投資減税政策は進めていかなければならないものとかたく信じておるのであります。  投資減税の政策目的について、大蔵大臣政治哲学をお聞かせいただければ幸いに存じます。
  120. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この投資減税という問題が議論されるたびごとに、ある面からいわゆる租税の特別措置である、租税の特別措置というものは、考え方によれば税で支払うべきものを支払わないで済むということは、逆にいわばこの租税支出という言葉が最近使われておりますが、それに相応するいわば補助金をもらったと同じではないか、こういう議論が間々行われることは事実でございます。  それは税制というものがそのときどきの経済、財政あるいは社会のニーズ等に従って議論される場合にまああり得る一つの議論ではあろうと私もそのようには考えております。  それといま一つの批判的な考え方というのは、今先生からもおっしゃいましたいわばこの投資減税というのが結果としてそういう減税措置があったから投資が行われたのか、そうでなくして企業経営者自身の責任で投資を行ったのか、それの区別が判然としない、こういう議論もまた行われるわけであります。  したがって、投資減税ということになりますと、私どももそれが具体的問題についてそのときどきの情勢、そしていま一つは先ほどの議論の中にもお述べになりましたいわば中小企業の持つ最近の考え方からいたしまして、いわゆる中小企業だからどうしてくれということではなくして、産業構造の改革の中に中小企業そのものも位置づけられておるべきものだという、いわば意欲からする新しい位置づけというものが行われてきておる、そういうようなもろもろの背景を考えまして考えられるものでございますので、したがって、この先端技術産業に対する税制上の措置についても増加試験研究費の税額控除措置あるいは五十九年度改正ではテクノポリス地域に立地する場合の投資、そういうことに償却を認める措置を講じてきておるわけであります。  したがって、私は今の私の投資減税に対する哲学というよりも、むしろ杉元さん自身の中小企業も産業構造改革の中で生きていかなければならないという物の考え方の大きな変化と、そして中小企業の持つ潜在的意欲というものが大いにあることに対する一つのあるべき姿としての投資減税と、それは当面の景気浮揚ということではなくして、恒久的な国際競争力とか中小企業の持つあるいは国内的な企業の競争力とか、そういうようなものを前提に置いて考えるという杉元さんの御意見というものは私は正しいというふうに理解をいたします。
  121. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 ありがとうございました。  以下、細かく中に入ってお答えをいただきたいと思いますが、商工中金の調査によりますと、中小製造業の主要機械設備の経過年数は年々延びて、機械設備の老朽化が進んでいることを示しています。ことしになり若干改善されましたが、これをもって老朽化傾向がとまったとは言えないと思います。機械設備の老朽化は生産性の低下を招き、ひいては国際競争力を弱めるばかりでなく、中小企業と大企業との生産力の格差を拡大させることになります。  一方、右調査は、中小企業経営者の設備更新に対する意欲が本年に至って高まりを見せてきていることを示しています。これは景気が回復局面に入り、将来に明るい期待を持つようになったことにもよりましょうが、私はむしろ中小企業者が経営を取り巻く環境の変化と、ひたひたと寄せる技術革新の波を肌で感じ、その対応関心を向けつつあるからだと思うのであります。  そこで、大蔵大臣にお伺いいたしますが、中小企業の機械設備を老朽化、陳腐化から若返らせ、その生産性を高めるためには投資減税を強力に推し進める必要があり、それは経営者の投資意欲の高まっている今こそその効果が大きく期待できると信じますが、大蔵大臣の御見解はいかがでありましょうか、お示し願いたいのであります。
  122. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 従来から中小企業者等の機械の特別償却、さらに中小企業構造改善計画等にかかります機械等の割り増し償却、あるいは中小企業技術体化投資促進税制、そういう租税特別措置を講じてきておるところでございます。いわゆる租税特別措置というものは、特定の政策目的を実現するため、税負担の公平、その他の税制の基本原則をある程度犠牲にして講じてくるからこそ特別措置であるわけであります。したがって、常々個々の政策目的と税制の基本原則との調和を図る見地からそれは絶えず吟味していかないと、吟味の対象としてそれは置いておかないといけないものであるという考え方が基本的にはまずあるわけであります。  したがいまして、五十九年度に、今申し上げました中小企業技術体化投資促進税制を設けた。こういう状態にありますことを考えてみますと、租税の特別措置であるという考え方からするならば、絶えずそれは整理合理化の対象に置かるべきものであって、したがって、これを絶えず新設し、拡大していくという方向で眺めるべきものではないではないかというふうに考えるわけであります。  したがって、また現在の実情を見ますと、いわゆる中小企業の製造業の設備投資というものは全体として今増加傾向を見せております。したがって、いつも、最初にも申し上げましたように、そういう傾向を見せておるときに新規追加投資でない投資も減税の対象に結果としてなるわけでございます。  したがって、そういう問題は、投資減税制度があったからなされたものか、なくても企業の責任においてそれはなされたものであるかという判別がつきにくいだけに、それが拡大傾向にあった場合は、やっぱり財政の面から見れば、これはまさにいわゆる減収が生ずるという結果になるわけでありますので、したがって、投資減税制度の持つ最初おっしゃいました哲学そのものは、これは私も理解をいたしますが、いざそれを現実に当てはめてみました場合は租税の特別措置であるという考え方に立つ限りにおいて、絶えずやっぱり吟味の対象に置かなければならない性格のものであるというふうに思います。  したがって、五十八年度調査と比べて、最近そういう製造業における機械がかなり若返りつつあるという今日現状でございますので、いわば老朽化、陳腐化がさらに今進んでおるという現実の状態ではないではなかろうかというふうに私は理解をいたしておるところであります。
  123. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 ただいまの大臣の御答弁ですが、私の手元にある資料でございますが、大企業の方は更新が非常に進んでおるが、中小企業は進んでおらぬ。ほんの少しは進んでおりますが、格差はどんどん拡大されておる、こういう実情にあります。しかし、これについて時間もございませんのでこのままにして先へ進めさせていただきたいと思いますが、また、ただいま御答弁をいただきましたことで、一部さらに具体的にさせていただいて、あるいは重複して御質問するようになって恐縮でございますが、お願いをいたしたいと思いますのは、中小企業の設備投資に関して、現在、特別償却を認め、あるいは税額控除を認める設備投資促進税制がありますが、これは今年度いっぱいで期限が切れることになっています。  私は、前に申し上げましたようないろいろな根拠から、これを廃止しないで今後も継続し、さらに発展させる必要があると私は考えておりますが、大蔵大臣の御所見を重ねてお伺いをさせていただきます。  また、小資本ながら機動性に富む中小企業は、先端技術特に応用技術の分野ですぐれ、しかも相互に協力し合い刺激しつつ拡大発展していくことが期待されています。同時に、これら中小企業の研究開発活動を活発化させるための政府の施策が強く求められていると思うのであります。  この見地から、私は施策の一つとして試験研究費に対する減税措置は極めて有効であると信じておりますが、大蔵大臣の御所見をお示し願いたいと思います。
  124. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、試験研究の問題についてでございますが、いわゆる先端技術産業に対する税制上の措置として、従来から増加試験研究費の税額控除措置を講じておるわけであります。それから、五十九年度改正におきましても、テクノポリス地域に立地する場合の投資につき特別償却を認める措置を講じてきたということでございます。したがって、この先端技術産業進出企業に対してさらに新たな税制上の優遇措置を認めるということになりますと、やはりこういう厳しい財政状況の中で租税特別措置の整理、合理化が一方では求められておるという現状から考えてみますと、新たなる措置というものをとるということは、私は困難な状態ではなかろうかというふうに考えておるわけであります。  これらの問題は、いずれにいたしましても税制全体の問題を、政府税制調査会の方で国会等で議論の行われた点、すなわちきょうの議論もそのまま素直に報告して、この議論の糧としていただくことになっておるわけでありますが、客観情勢からして、私は、新たなる措置というものに対しては非常に消極的にならざるを得ないではなかろうかと、そういう認識を持っておるところであります。したがいまして、また延長要望の問題もございましたが、この延長要望という点につきましても、一応租税特別措置というものは大原則としては絶えず吟味、見直しの対象に置けということになっておりますものを、これからの推移、そして税制調査会等の議論以前に、私からそれらの問題は当然のこととして杉元さんの御意見は受け入れられるでありましょうというようなお答えは、これはまあ残念ながら私どもの置かれておる対税制調査会との関係からしても申し上げることはできない課題であるということを御理解をいただきたいと思うわけでございます。杉元さんの論理を否定しておるわけではございません。
  125. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 ありがとうございました。  次に、中小企業に対する金融政策について御質問を申し上げます。  最近、中小企業の政府系金融機関離れという現象が起きています。具体的には中小企業金融公庫及び国民金融公庫等についてでありますが、これら公庫の一般貸出額が前年比マイナスになり、しかも融資残高の伸びが徐々に低下していることをあわせ考えますと、中小企業にとってこれら公庫の魅力が減退してきていると言えるのではないかと思います。大蔵大臣は、こうした中小企業の公庫離れという現象をどのように御認識になっておられますか、お伺いいたしたいと思います。  なお私は、公庫離れの原因は、公庫の金利水準が民間に比べて必ずしも低くないこと及び審査基準の厳格なこと、この二点にあると思います。まず、金利水準についてでありますが、中小公庫、国民公庫、環衛公庫などの一般貸出基準金利は今七・九%で、罠間金融機関の長期プライムレートと同率であります。最近の金融資金のだぶつきによって民間の金融機関は、中小企業に対しても、七・九%はおろかそれ以下の金利で融資するようになりました。その結果、政府系金融公庫の貸付残高の伸び率の減少、民間金融機関、特に都市銀行の対中小企業貸付残高は大きな伸びを示し、明らかに利子の面からの公庫離れが進んでいることを示しています。次に、審査基準の厳格なことについてでありますが、融資を求める中小企業経営者の立場から考えると、手続の難易、担保、保証人等に関する条件がきついかどうかは、融資先を選択する際の重要な要素になります。今日のように金融資金のだぶつきが目立つときは、なおさら経営者の選択に有利と言えると思います。  さて、政府系金融機関は、赤字の出ることを恐れる余り、民間金融機関に比べ手続は煩瑣、担保、保証人等の条件が厳しく、これも公庫離れの原因になっていると思うのでありますが、これらに対する大蔵大臣の御所見をあわせてお伺いいたしたいのであります。なおまた、公庫離れを防止する効果的な対策についてお考えを御明示いただければ、幸いだと存じます。
  126. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今御指摘なさいましたとおり、まあ国民金融公庫法を読んでみましても、第一条には「国民金融公庫は、庶民金庫及び恩給金庫の業務を承継し、銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金等の供給を行う」と。また中小企業金融公庫法によりましても、「中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」と。まあ環境衛生金融公庫法の場合は多少違いますが、そういう目的でもともとは設立されたものであります。事実、今日までのそういう政府関係の金融機関を考えてみますと、一番最初戦後の混乱期にできたものは復興金融金庫というものが存在をいたします。したがって、我が国全体の経済力あるいは国民の貯蓄力、そうしたもの等の過去を振り返ってみましたときに、それなりに果たしてきた役割というものは私は大変あったものではないかというふうに思っておるものであります。  しかしながら、今日の実態はどうかと、こういうことになりますと、いわば我が国の中小企業というものがそれぞれの自覚において、言ってみれば市中金融の中へ十分に適応できるような体力を一つはつけてきたではないかという問題がございましょう。それからいま一つは、やつ。はり今現実はいわば資金がだぶついておるという表現でございますが、そのとおりであろうと思います。全体としてそういう公庫が依然として必要なのは、だぶつく場合もあれば非常にまた厳しい場合もあり得るというところに、この公庫がいつまでも必要な一つのゆえんがあるわけでございます。  今、現状においてこの御指摘の点を分析いたしてみますならば、いわゆる金融緩和下におきまして、民間金融機関が中小企業に対してかなり積極的に貸し出しに応じてきておるということがやっぱり一つの大きな、公庫離れという表現をお使いになりましたが、私はいわゆる市中銀行、市中金融機関全体が積極的に貸し出しに応じてきておるという環境が、まず第一には指摘されるべきものと思うわけであります。しかしながら、まだこの中小企業の中にいわゆる業種的ばらつきというような点があるということも、やっぱりこれはないがしろにすべきではないというふうに思っておるわけであります。したがって、この最初の国民金融公庫等はまさに融資の対象にならざるものを対象にした。それから今日は、言ってみれば中小公庫等による中小企業に対する量的補完の必要性ということは依然として私は今日続いておるではなかろうかというふうに思っておるわけであります。  それからいま一つ、手続、担保、保証人等々の問題が厳格に過ぎはしないかという問題でございますが、これはやっぱり、いわばその企業責任において行われるところの民間金融機関と、公的機関たるいわば公庫等におきましては、その企業責任のみの問題と公的機関というものからする責任という問題とが、やっぱり底辺には私は存在しておると思うわけでございますけれども、提出書類の簡素化を図りますとか、そういう点においても可能な限りの簡素化をもってこれに対応していこうということと、それからいま一つは、御案内のように零細な業者に対して無担保、無保証という融資もございますので、それなりにケース・バイ・ケースで弾力的に対応を行ってきておるではなかろうかというふうに考えるわけであります。  それからいわゆる金利の問題でございます。この問題につきましては、今、杉元さん御指摘なさいましたとおりの金利の体系でございます。この問題につきましては、それは民間金融がいわば資金がだぶついて積極的に貸し出しの対象として中小企業を非常に意識しておる今日の段階におきましては、その金利という問題ももとより私は安易に融資が受けられるという形で、少々の金利を問題の外に置くということもあろうかと思いますけれども、政策的に必要性の高いものについては今日なお長期プライムレートを下回る低利の貸し付けも行っておるわけでございますので、まさにそれらもケース・バイ・ケースで対応しておる課題であるというふうに認識をいたしておるところでございます。
  127. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 この問題についてのこれからの期待等について、大蔵大臣にお伺いいたしたいと思うのでありますが、一九六〇年代の高度成長期にあっては、民間金融機関は大企業の資金需要にこたえるのが精いっぱいで中小企業にまで手が回りかねていました。したがって、政府系中小企業金融機関は中小企業が必要とする資金を量的に確保するという使命を持っており、そこに存在意義があったのだと思うのであります。しかし、オイルショックの後我が国の経済は安定成長期に入り、企業は新しく困難な時代を迎え、いずれも減量経営を余儀なくされ、また、みずから合理化に努めてまいりました。このとき、大企業は金融面での合理化を自己資本比率を高めることに求めましたが、このことは徐々に金融機関への依存度を低め、さらに大企業が金融と資本の国際化を進めるに伴い、いよいよ金融資金のだぶつきを招来したのでございます。この資金を抱えた民間金融機関は資金の貸出先を中小企業に求めつつあることは、大臣ただいまのお話のとおりであります。高度経済成長期のように政府系中小企業金融機関が民間資金の絶対量の不足を補い、成長の牽引力としての役割を持っていた時代には、民間との競合はそれほどでもありませんでした。しかし、今日では民間機関との競争に立たされていると思うのであります。今後金融の自由化が進行することによって民間相互の競争はさらに激化し、同時にこれに伴って公庫等の環境もまた一段と厳しくなると思われます。そうして政府系中小企業金融機関はこのままではこの競争に耐えられなくなるのが明らかであると思うのであります。  そこで、大蔵大臣にお伺いいたしますが、高度経済成長期における政府系中小企業金融機関の使命は明確でありました。しかし、今日のように民間金融機関との競合、ある意味では劣勢、公庫離れの現象の中で今後はどのような位置づけをお考えでいらっしゃるのか、また公庫等にとっては新しい変革期とも言える現在、新しい理念をどうお持ちでありますかお示しを願いたいのであります。
  128. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今御指摘なさいましたとおりでして、高度経済成長期、そして当時の日本人でございますから当然のこととして貯蓄性向は高かったものの、絶対の量として私は考えてみますときに、これはまさに大企業中心の融資体系というものにあったというふうに思います。そして今御指摘なさいました自己資本比率の拡充と、さらには特に最近いわば金融の自由化あるいは国際化の中で、私どもも例えば政府関係の公社公団等についても毎日保証のサインをするように、転換社債でございますとかいろいろな民間企業の資金調達手段というものも国際化してきておりますだけに、どうしても貯蓄性向が世界で一等高い日本でございますだけに、金融機関としては厳しい競争の中に健全な中小企業への融資先というものに対してアプローチをしていくという傾向になっておることは事実であります。そうなると一つ考えられることは、かつての復興金融金庫はその必要性がある程度なくなったんでございましょうけれども、今まで必要であったものが、考えようによれば補完的役割というよりも、最初は丸抱え的役割で必要であったものが、今日既に補完的役割としての機能をいろいろ政府関係の金融機関というものが果たしておる。そうなると、時には民間とのむしろ競合が出ておるんではないかと、こういう批判も受けるわけであります。歴史的に見ますと、その都度絶えず必要な存在として国会で立法していただいて機能してきた金融機関でありますが、その時代の変遷の中で対応の仕方というのは確かに変化をしてきておることは事実であります。さてそこで、さようしからばということになりますと、いわば政府関係金融機関、国民金融公庫もそうです、中小企業金融公庫もそうでございます、さらには開発銀行もございましょう、輸出入銀行もございましょう、そうしたものの果たす役割というものの新しい理念を持つべきじゃないかと、こういう議論が、これは今お出しになったわけでございますが、そういう議論があることは私ども承知しております。したがって、しかしながら従来歴史的この経過をたどってできてきた制度、そしてそれが現状の中で対応していっておるわけでありますから、今それをすべてを洗い直して政府関係金融機関というものを見直すべきものか、あるいはやっぱり現状までの歴史的経過の中の現実の面をとらえて、そこに何らかの変化を求めていくことかということになりますと、これは大議論のあるところだと私も思うわけでございますので、勢い私なりに政府関係金融機関の今後果たすべき役割とは何ぞやと、こういうことになりますと非常にお答えにくい問題でございますが、そういう時代の変遷に対応して、十分また国際化あるいは自由化の中でもそれなりの目的が機能していくような工夫は、絶えず意見を聞きながら我我も対応していかなければならないことだという事実認識だけは持っておるつもりでございます。
  129. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 ありがとうございました。  続いて、環衛関係についてお尋ねをいたしますが、御承知のとおり環衛関係営業は、衛生水準の維持、向上という公共の福祉のため、一般の物品販売業、サービス業等にはないいろいろな制約を受けております。そこで、国はこれらの営業者がこの制約を克服して、衛生水準の維持、向上に進むことができるように力をかす。この目的に沿って制定されたのが振興指針、振興計画等に関する事項であると理解していますが、厚生大臣の御見解を承りたいと存じます。
  130. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 先生御指摘のとおりでございます。
  131. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 ありがとうございました。  次に、振興指針は厚生大臣が作成し、それを受けて組合は振興計画を作成し、大臣の認定を受けるということになっています。厚生大臣によって振興指針が作成されるまで、そして組合がこれを受けて振興計画をつくり、大臣の認定を受けるまでには相当の日数と手数を要します。さて、このようにして振興計画が認定された組合の組合員にして初めて環衛公庫の振興事業貸し付けを受けられるのでありますが、その金利は七・八%であります。基準金利七・九%とは〇・一%、近代化利率七・八五%とはわずか〇・〇五%しか低くありません。このように手続は煩瑣で実利のない制度は利用されず、現在わずかに長野県のクリーニング業一件のみであります。公共の福祉の観点から特別な制約を受けつつ営業を続ける者に対する現実の恩恵、その中核は環衛公庫の有利な融資にあり、営業者もそれを熱望しているのであります。この事実について厚生大臣並びに大蔵大臣はどのようにお考えになるかお伺いいたしたいと存じます。
  132. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) お話しの振興計画でございますが、環衛業の施設の改善向上、あるいは経営の健全化等を通じて衛生水準の維持、向上を図る、それからまた消費者の利益を擁護するというような目的で振興計画がつくられておるわけでございます。その一環といたしまして、振興計画ができました業種につきまして特別の融資制度ができておるわけでございまして、貸付限度額の上乗せでございますとか特別利率の適用を行っておるわけでございます。現在、先生お話しのように基準金利に比べまして〇・一%だけ低いということでございますが、この融資制度は五十八年度に設けたばかりでございまして、その後本年度におきましても対象施設設備の追加等を行っておる段階でございます。今後もいい利率の問題も含めましてできるだけ前向きに検討してまいりたいと思っております。
  133. 吉田正輝

    説明員(吉田正輝君) 環衛公庫の業務状況についての大蔵省の見解でございますけれども、環境衛生金融公庫は最近の融資実績で見ますと、確かに全体といたしまして先生御指摘のもの以外でも年々低下してきております。それは昭和五十六年度以降でございまして、これは基本的にはやはり景気低迷に伴う環境衛生業者の設備投資の手控えというようなものが背景としてはあるのではないかなというように考えております。しかし全体といたしましては、環境衛生公庫は近年の課題となっておりますホテルとか旅館等の防災用対策とか等の振興対策等で国の政策課題に対しては適切に対応しており、法律上与えられました任務でございます環境衛生関係営業の衛生水準の向上と近代化の推進を図る上でその役割を果たしていると、なお依然また大きいものがあるというように考えておるわけでございます。
  134. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 今の大蔵省の御答弁はちょっと見当が違った御答弁だと思いますけれども、時間がございませんから先へ進めさせていただきます。  最近環衛公庫についても公庫離れの現象が出てまいりました。昭和五十八年の貸し付けを五年前の昭和五十四年のそれと比べてみると、件数で三割強、金額では二割五分も減少しています。これは環衛公庫の貸し付けが前に述べたように条件において魅力が減退しつつあるのが原因ではないかと考えるのでありますが、厚生大臣の御見解をこの際承りたいと思います。  また、同じ期間、営業施設数は一二%も増加しているにもかかわらず、環同組合の組合員数は、わずかではあるが、毎年減少の傾向にあります。このことが万一環衛公庫を初め営業の振興に関する制度の不徹底によって環同組合の魅力が減退しつつあることを意味するとしたら極めて重大なことだと思いますが、厚生大臣の御所見をお伺いさしていただきます。  いろいろ御質問させていただきましたが、私の真意は、環衛関係業者に対する厚生大臣大蔵大臣の御理解と温かいしかも力強い施策をお願いすることにあります。このことを申し上げて、適切な御答弁を期待しながら質問を終わらせていただきます。
  135. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 先生御指摘いただいたとおり、確かに環衛金融公庫と民間金融機関との金利の差が非常に縮まっていることがこれ魅力のないものにしておること、これはございます。私どもも重々この点反省いたしまして、先ほど政府委員から答弁がありましたように、その改善策を今検討しておるところでございますが、しかし同時に、それだけではございませんで、やはり環衛業、先生承知のように開業、廃業、非常に慌ただしい、激しいこれ仕事でありますので、この点の理由もあるかと思いますが、しかし今先生御指摘の環衛業の対策は大変大事なものに私どもも存じておりますので、これからもっと魅力のある、皆さん方のために役に立つ振興策を講ずるために努力してまいりたいと思います。
  136. 杉元恒雄

    杉元恒雄君 どうもありがとうございました。    〔委員長退席、理事目黒今朝次郎君着席〕
  137. 服部信吾

    ○服部信吾君 最初に防衛庁長官に厚木の基地の問題についてお伺いいたします。  地元住民約五十万人ですけれども、大変騒音で悩んでおる、そういうことで神奈川県といたしましても長洲知事を初め、近隣の六市長が国の方に陳情なり請願を行っております。  視察した方々は異口同音にうるささを通り越してこわいと。また住民は、もう忍耐の極限に達しておる。そして五十七年度の横浜地裁の裁定におきましても、受忍の限度を超えるもの、このようなあれが出ておるわけであります。いかに騒音がすごいか、私も行ってまいりましたけれども長官一度現地を視察されましたか。もし視察されたんでしたら感想なり一言述べていただきたい。
  138. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) まだ実際に行っておりません。行っておりませんけれども、各方面からお話を聞いておりまして、相当のものだ、耐えがたいと、そういうようなお気持ちはよく理解しているつもりでございます。
  139. 服部信吾

    ○服部信吾君 ぜひ一度行ってみていただきたいと思います。  そこで、去る十二日の日に全国の知事会がございまして、その中で長洲知事が長官に対していろいろと御質問をされましたところ、大変注目される御答弁をなされております。特に長官が答弁をなされた中で、艦載機の夜間訓練、これが厚木基地に集中しているのは問題である、他の飛行場を探す必要があるが、これは高度な政治的配慮が必要とされるため、私の国務大臣としての責任で総合的、きめ細かな配慮をしながら努力しておる、このように答弁されておりますけれども、これをもう少し具体的に御説明を願いたい。
  140. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 厚木でのみ艦載機の訓練ということになると、先ほど申しましたとおり、地域市民方々が耐えがたいということになりますので、分散をしなきゃならぬと。その場合に今までの経過を見てみますと、やはり十分に総合的な見地で果たしてやってきただろうかどうか、あるいはきめ細かい配慮というものであったかどうかということを実は反省しているんです。これは防衛施設庁に任せるということよりも、防衛庁長官として責任を持ってひとつやらにゃならぬ、その場合の基準としては総合的に考えなきゃならぬ。もう一つはきめ細かい配慮、そういうことでやっていかなきゃならぬという決意表明を申し上げたわけでございます。ですから、同時に私が長洲知事に申し上げたことは、要するに厚木の方さえ静かになればあとはもう適当だというようなことじゃ、これまずいんであって、あなたは関東地方の知事会の会長もやっておられる、基地の方の会長もやっておられるということなので、日米安保という重要性にかんがみてこれは必要なんだと、だから全体として考えてやろうというようなことで、ひとつ御配慮いただきたいということまでつけ加えたわけでございます。そういう意味でございますので、私の決意表明でございます。
  141. 服部信吾

    ○服部信吾君 その決意表明だか答弁だかわかりませんけれども、その中で厚木飛行場が大変だというようなことで、移転の問題というようなことの中で、いわゆる厚木、横須賀から百五十キロ圏内ということを移転場所として検討しておる、こういう御発言もあったわけです。  私も神奈川庁舎へ行きましていろいろお話を聞いてきましたけれども、これは米軍の要請ですか、また長官としても何か根拠があってのことですか。
  142. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) この厚木を中心として百五十キロというのは、今までも施設庁としてお答えしてきているんです。関東地方並びにその周辺、厚木を中心として百五十キロないし百八十キロ、そういうものの表現でございまして、今までと別に変わっておりません。
  143. 服部信吾

    ○服部信吾君 ということは、もうこの百五十キロから百八十キロ内で厚木から移転した場合のそういう飛行場をつくると、こういうことのもう決定なわけですね、これは。
  144. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) そういうことで、今候補地をいろいろと物色しておると。  なお、この際申し上げておきますけれども、候補地がどこだということになりますと、何といいますか、説明を聞かない前から反対だ反対だと、こういう声が起きまして、これは非常に私どもとしては困るわけでございまして、まずどういうことになるのかよくこちらの説明を聞いていただきたい、説明を聞いていただいた上でそんなものは受け入れられない、いや、これは考える余地があると、そういうふうにしていただきたいという旨も同時に長洲さんにはお願いをしたわけでございます。
  145. 服部信吾

    ○服部信吾君 そうすると、横須賀、厚木から百五十キロ圏内というと大体幾つぐらいの飛行場があるんですか、それでできれば県名まで。
  146. 佐々淳行

    説明員(佐々淳行君) お答えいたします。  まず、なぜ百五十キロなのかというお尋ねが先ほどございました。米軍の要請であるかどうかというお尋ねでございますが、御承知のように、ミッドウェーが横須賀からインド洋であるとかいろいろなところへ出かけてまいります。そして、乗組員が約五千人おるわけでございますが、そのうちの特にパイロットたちの家族が横須賀地区に居住をいたしておりまして、長期間洋上生活をして戻ってきた場合、アメリカ側はファミリーセパレーションという言葉を使っておりますが、家族がばらばらになっておることが大変士気にかかわるし、安保条約の有効かつ円滑な運用のために、何とか乗組員が訓練の期間中も横須賀の家族のところへ戻れるようにしてもらいたい、こういう趣旨でございます。  百五十キロ、どれくらいの範囲内で幾つ入るかというお尋ねでございますが、地理的にお考えいただきますとおわかりのように、茨城県とか千葉県とか、こういうところに所在する飛行場、こういうことに相なろうかと存じますが、現時点、施設庁といたしましてはたびたび答弁を申し上げておりますように、そういう既存の飛行場について御協力をお願いできないかということ、それから適当な候補地に新設できないかという方策、三番目は浮体飛行場——これはまだ世界にございませんけれども、そういう新しいやり方で解決つかないだろうか、この三本立てでやっておりまして、特定の飛行場のどこそこをどうしたい、こういうことは、私どもそれを特定して申し上げるということを差し控えております。  いずれにせよ、三本立てでやっておるうちの既存の飛行場の利用の可能性、こういう点はいろいろと検討させていただいております。
  147. 服部信吾

    ○服部信吾君 今言われたとおり三つの、地元の方からも海上浮体等代替施設訓練とか既存八つの飛行場とか、それから新設、この三つがあるということなんですけれども、ちょっと海上というののはなかなか難しいんじゃないか、そうなりますと既存の八つか新たなる飛行場ということで、この二つのどちらになるかということは今調査しているんですか。それで、調査費なんかも五十八年には四百万ですか、五十九年が一千万で、六十年は何か二千万ぐらいの調査費の要求をしておるというようなことがあるようですけれども、防衛庁としてはどういう、特にどちらの方に力を入れているかということを伺いたい。
  148. 佐々淳行

    説明員(佐々淳行君) ただいま御指摘のように、五十九年度は一千万の調査費をいただき、六十年度概算要求につきましては二千万円要求をしておるところでございまして、この三つのやり方については同時並行的に現在検討をいたしておりまして、残念ながらまだそのどれを最優先にするかという見込みが立っておらないと、そういう段階でございます。
  149. 服部信吾

    ○服部信吾君 それはわかりました。  それで、現在厚木基地の夜間訓練日数も年間何か八十日ということで大変困っているわけでありますけれども、当然これからどこに決めるかということは恐らく早急に検討になると思いますけれども、決まったにしてもまたこれから大変日数がかかる。そういう面から考えて、今まで三沢とか岩国ですね、こういうところにある程度分散をすべきじゃないか、そういう考えは米軍とも折衝はしておるんですか。
  150. 佐々淳行

    説明員(佐々淳行君) お答えいたします。  この厚木の夜間離着艦訓練につきましては、私も実は現地を視察させていただきまして実際その騒音の現状を聞いてまいりましたが、この訓練のための飛行場としては余り適切な飛行場ではないという判断をいたしております。  米軍とは、ちょうどことしはお盆の一番暑いときに重なりまして大変騒音問題が厳しくなりましたので、例えば飛行高度あるいは旋回の半径、あるいは訓練の時間、これの規制等についてお願いをするとともに、三沢、岩国になるべく分散してくれないかと、こういう要望をいたしました。アメリカはこれは大変理解をして、実は厚木で消化をいたしましたのは三分の一程度でございまして、その他は、そのファミリーセパレーションという、さっき申し上げました家族と一緒になれないというアメリカ側としてはふぐあいがあったわけでございますが、三沢、岩国に相当数を分散して訓練を終了したと、こういう経緯がございます。
  151. 服部信吾

    ○服部信吾君 時間が余りありませんので長官にお伺いしたいんですけれども、百八十キロ圏内と、ここまである程度具体的に出ているわけですし、防衛庁長官の答弁の中にも私の国務大臣責任として解決すると、こういう厳とした言明をしておるわけです。そういうことで、大体これはいつごろそういうめどをつけるのか。何か新聞等の報道によりますと、防衛庁長官の在任中に何か決定するような、そのくらいの強いあれが出ているわけですけれども、ひとつこれはいつごろをめどにやるのか、そういうことをひとつお伺いして、大変地元住民の人たちもこういう報道を見て喜んでおりますので、そのところをひとつお伺いいたしまして質問を終わります。
  152. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私が国務大臣としての責任と言うのは言わずもがなのことなんです、本当は。今までの方も防衛庁長官責任を持たなかったというわけじゃない。しかしながら私自体とすると、これに対して自分の気持ちとして、私の責任でこれはめどをつけなきゃならぬという意思表示をすることが必要だということで申し上げているわけでございます。決して遅くしようとかなんとかという考え方でなく、できるだけ早くということです。ただ、ここでいついつまでと申し上げるということはこれは御勘弁をいた充きたいと、こう思います。
  153. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは引き続きまして伺いますが、一点ちょっと最初に聞いておきたいのですけれども、主税局長さんお見えになっていますけれども政府税調におきまして利子配当課税についての議論がされて先ごろ中間報告がなされましたんですが、それでは七つのいろんな意見が並列されているということでございますが、報道を見ますと、主税局長はこれを三つか四つの案に絞ったということが報道されていますが、それはどのような内容なんですか。
  154. 梅澤節男

    説明員(梅澤節男君) 先般中間報告をちょうだいをいたしたわけでございますけれども、その際に、郵便貯金を含みますいわゆる非課税貯蓄制度の検討の視点として、税制調査会の中間報告ではただいま委員が御指摘になりましたように七つの視点が掲げられておるわけでございます。つまり、現状の制度の手直しといいますか改善といったような考え方から、この制度全体を将来は廃止してしまおうという案に至りますまでの七つの視点でございますが、ただ、この七つの視点を前提にいたしまして今後税制調査会で御議論いただく場合に、税制当局、つまり私ども大蔵省あるいは自治省当局に対してまして、もう少し制度の具体的な設計と申しますか、そういったものを仕組んで、それを前提にもう一度議論をするという意味での専門的技術的検討を要請されたわけであります。  したがいまして、私どもは今これから作業に入っておるわけでございますが、この七つの視点は文字どおり視点でございまして、いわばこの七つの点はいろいろ組み合わせるという場合も生じ得るわけでございまして、中間報告に出ておりますのが七つの案ではないわけでございます。したがいまして、今後基本的パターンといたしまして三つになりますか四つになりますかあるいは五つになりますか、なるべくその数が少ない方がいいわけでございますけれども、私どもがそういうふうな作業をしておりますのは、中間報告に示されたものから大蔵省として案を絞るという意味ではございませんで、今後税制調査会なり各方面で御議論をいただく場合のいわばたたき台になる、議論が合理的に行われるような形での案を三つなり四つなり五つの形で示すというふうなことを申し上げたわけでございます。
  155. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 では次に入りますが、五十七年度の税収額は決算ベースで当初予算の見込み額と比べまして六兆円に上る巨額な減収を招いているわけですけれども、その結果五十六年度を大幅に上回る税収不足が生じたわけです。また、この税収不足を穴埋めするために赤字国債を当初予算を三兆四千億円も上回って追加発行して、そのために財政再建計画は五十六年度に続いて失敗したわけです。  その原因としましては、景気対策らしいものをほとんど行わないにもかかわらず五十六年度と同じような高い経済成長率を見込んだこと、実質五・二%と高い予測を立てて税収見積もりを高めたことにあるのじゃないか、こういうふうに思うわけです。民間の研究機関の多くは三ないし四%の実質成長率を予測しておりますし、実績は三・三%とこれは民間の方が予測が的中している、政府の経済見通しは大きく狂っておるわけでございます。  そこで第一にお伺いしたいことは、五・二%の経済成長率としたのは五十七年度の予算編成を容易にするためにこれを水増しをしたのじゃないか、こういう疑問があるわけですが、その点に対しての長官の御意見はいかがですか。
  156. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 五十七年度の当初の経済見通しが実績と相当乖離をいたしておりますが、このやはり一番大きな原因は、第二次石油危機による世界経済、特にアメリカ経済の回復が非常におくれたということだと思います。特にアメリカ経済は五十七年度はマイナス二%というマイナス成長になりまして、これが世界経済全体の足を大きく引っ張ったと思います。それからなお、五十七年度の補正予算の際、補正予算の規模がやや小さかった、そういう点も影響しておると思います。  いろんな背景があろうかと思いますが、政府見通しが相当大幅に下回ったということは私どもも反省をしなければならぬと思います。
  157. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そういう反省に立たれましていろいろな改善措置を講じてみえると思いますけれども、やはり適切な経済予測を行うことが経企庁としての大きなこれは責任ではないかと思いますので、その点どのような改善措置を講じたのかお伺いしたいと思うんですが。
  158. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 今一口で言いますと、世界経済は激動期でありまして、例えばことしのアメリカ経済なども年の初めにはアメリカ政府は五%成長と言っておりましたが、春にはこれを五・九%に修正をし、つい先ごろ八月の中旬には七・二%に修正をしております。わずか半年ばかりの間に非常に大きな修正をしなければならぬくらい今経済が大きく動いております。日本の経済もことしの初めは四%台の成長と考えておりましたが、現在は五%台の成長には間違いなく行くんではないか、このように思います。  こういう経済の激動期には経済の実情に合わせましてできるだけ頻繁に経済見通しを修正をして、そして間違いない資料を民間に提供する、民間の経済活動の材料にしていただく、こういうことが必要でなかろうか、こういうように考えております。
  159. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そのような重要な任務があると私も思っておりますので、今後の努力を期待したいと思います。  ちょっと大蔵省にお聞きしますけれども、五十八年度決算の剰余金でございますけれども、二千五百六億円の処理についてはこれはどのように処理されるんでしょうか。国債整理基金に全額繰り入れるようなことも開いてますが、その点どうでしょう。
  160. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この剰余金の使途につきましては、財政法の第六条の規定で、その二分の一を下らない金額は翌々年度までに公債の償還財源に充てなければならぬということになっております。  それと、私どもがさらに政府としては特例公債償還までの間は全額公債の償還財源に充てるということを基本としておると申しておりますのは、これは昭和五十年でございましたか、大平、当時大蔵大臣の特例公債償還までの間はその全額を充てる予定でありますと、こういうのが一応の方針として続いておるということでございます。  ただ、現実問題として、これも太田委員百も御承知のことでございますが、いわば五十五年にやりました四百八十四億の剰余金の措置とか、それから五十七年度の千四百七十二億円の措置とかという問題は国会の御同意の中で、五十五年の場合は剰余金の処理の特例に関する法律を出したわけです。それで財政法第六条の適用除外をした。五十七年の場合は五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律、これで財政法第六条の適用除外をしたというような例はございますが、政府の方針としては先ほど申し述べましたように、財政法の規定に基づいて、しかも五十年の大平答弁というものが一応継承されておるという姿勢をとっておるところであります。
  161. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 五十九年度の税の自然増収につきましては、五十八年度に続きましてこれが四千五百三十九億円ですけれども、一兆円以上ということが推定されておりますけれども、これに対する経企庁あるいは大蔵省の見通しはどうでしょう。
  162. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは今判明しておりますのは七月末税収、こういうところまででございます。累計しますと前年比が六・五%の伸びとなっておりまして、予算では六・九%の伸びを見込んでおりますので、それよりは今のところまだ下回っておるということになるわけでございます。税収実績が予算額の二割にも満たない今の状態でございますので、確たることを申し上げることは困難でありますので、引き続き経済情勢等の動向等も見ながら注視してまいりたいという考え方に立っております。したがいまして、私どもとしては可能な限り聞き取り調査などいたしまして、そういう見通しをつけたいものだと思っております。  まさにいささか私の私的な感じで申し上げますと、例えば六月で綿紡なんかが大変よろしゅうございますと、ああこれはいいぞという印象になってみたり、また七月あたりで酒なんかが落ち込みますと、これは困ったなという感じになってみたりしておるというのが偽らざる今日の心境でございますので、大変まだ六・九の伸びのところ六・五、現状におきましてはそういう段階でございますので、まさに推移を見守っておる、こういうのが偽らざる心境でございます。
  163. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 経企庁長官どうですか。
  164. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 今大蔵大臣からお話のように税収年度は六月から始まって、六月と七月しかまだ実績が出てない、こういうことでもありますし、それから経済が激しく動いておりますから、やはりもう少し時間がたちませんと正確なことは私はわからないのではないか、こう思います。
  165. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは六十年度の経済運営についてお伺いしますけれども、今各省庁から六十年度につきまして概算要求が出そろっておるわけですが、これから予算編成に入るわけですけれども、昨年の半ばごろから景気上昇が続く中で、最近の我が国の経済運営をめぐりまして二つの考え方が主にあるんじゃないかと思うんですけれども、その一つは五十八年度の実質経済成長率に占めます民間部門の寄与度が着実に上がってきておる、したがってあえて財政が出動しててこ入れしなくてはならないほど景気低迷の状況ではない、むしろ財政再建のために歳出カットを続けながら赤字国債を削減する絶好のチャンスである、これが一つですね。それからもう一つは外需依存型の経済成長、税収の状況下にありまして、速やかに内需拡大の主体性のある経済政策をとるべきじゃないか、そのためには公共投資の増加あるいは投資減税、あるいは所得減税等の措置を行うべきじゃないか、こういう考えがあろうかと思うんですけれども政府は現段階におきましては第一の考え方をとり続けていくつもりなのか、あるいは変更された部分があるのか、その点お聞きしたいと思うんですが。
  166. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 経済運営の問題についていずれ河本大臣からお答えがあると思っておりますが、まず六十年度ということになりますと、率直に申しまして今税収のお話をいたしましたが、現時点で具体的な方針を申し上げるということは非常に難しいんではなかろうかというふうに思っております。  ただ、財政当局から見てみますと、いわば我が国財政は巨額の公債累増と大幅な財政赤字によって厳しい状況にある。一方、行財政改革を推進してその対応力を図ることが緊急の課題であるという旗はもちろん立てておるわけであります。したがって、いわば財政の出動によるところの景気拡大策というようなことを期待するような財政状態にはないということが言えるのではなかろうかなというふうに考えておるところであります。
  167. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 現在の経済の動きを簡単に申し上げますと、第二次石油危機から数年ぶりで経済が上向いてきたことは事実であります。しかし、景気の回復の状態はまだそんなに力が強いとは言えないと思います。そのために業秘、それから地域等によるばらつきが残っておりますし、失業率も二・八%という高い水準であります。また倒産も相当高い水準が続いておりますが、これは要するにまだ力が十分ではないと、こういうことが言えると思います。  それから、経済の個人部門、特に個人消費それから住宅投資が政府見通しを下回っております。これは、要するに個人の所得が伸びないからだと、このように思います。ここに一つの問題点があろうと思います。  それから企業部門、特に民間の設備投資は当初の政府見通しよりも相当上回っておりますが、これは、今後数年間経済は上向くであろうと、アメリカ経済も多分大丈夫じゃないかと、こういう判断から民間の設備投資が最近非常にふえてきたと、このように判断をしております。  それから、輸出は年初よりも相当大幅に拡大をいたしております。  そういうさまざまな動きがございますが、まだ経済全体としてはそんなに強い状態ではない。私どもは、いわゆる我が国の潜在経済成長力がまだ十分発揮できていないと、こういう感じを持っております。  そこで、これからの経済運営をどうするかということでございますが、今、大蔵大臣、財政に頼った成長を期待するのはよくないと、こういうお話でございますが、それはそのとおりだと思います。ただ、我が国の状態を見ますと、一口で言いますと、投資がまだ不十分である、いろんな面での投資——社会資本投資、それから民間設備投資、投資が不十分、伸びてはおりますが、まだ不十分だと、こういう感じがいたします。  一方で資金過剰、貯蓄過剰の状態が続いておると思うんです。そこで、新年度になりましてからもう二百数十億ドルの資本が外国に流出しておると、こういう状態でございまして、これはもちろん円高という背景もございましょうが、やはり国内で金余りの状態であると。したがって、この国内の金余りの状態をもう少し工夫して経済全体の活力を回復するために活用することができないかどうか、これがこれからの非常に大きな課題になるのではないかと。やはり潜在成長力をある程度十分発揮できるようなそういう経済運営をするという点では私はどなたも異議はないと、こう思うんです。ただ、そのための資金調達をどうするかということについてこれから議論が出てこようと、こう思っておりますが、繰り返しますけれども、国内では資金過剰の状態でありますから、工夫をすればいろんな案が浮かんでくるのではなかろうかと、このように思います。
  168. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そこで、河本長官は先ほど五十九年の成長率は実質五%程度と、これは実現できるんじゃないかと言われているわけですけれども、その経済見通しが経企庁の試算となると、こういうふうに報道されているんですが、政府改定とどうしてこれはできないんでしょうか。その点どのようないきさつがあってこれは正式に改定されないのか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
  169. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 四月から六月の国民経済統計、いわゆるQEがここ二、三日中に正確に出てくるのではないかと、こう思いますが、それを見た上で経済見通しをどうするか判断をしたいと、こう思っております。  先ほど私はアメリカ政府がことしになりましてから三回経済見通しを修正したということを申しました。それは、こういう経済が激しく動いておるときにまできるだけ正確な経済情報を明らかにして、そして民間の方々に参考にしていただくと、こういうことが大事だと、その点私はアメリカのやり方を評価しておるわけでございますが、日本も今後そういう形をとったらどうかと、こう思うんです。しかし、なかなか内閣全体が相談をして経済見通しを変えるということになりますと、これはもう大変なことでありまして、なかなか時間がかかります。そういうことがございますので、仮に修正するにいたしましても、今回は経済企画庁限りで最近のいろんな経済指標を分析をいたしまして、新しい経済動向、経済見通しを明らかにして参考に供したいと、このように考えております。
  170. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど経企庁長官お話の中に、経済はまだ力が弱いというお話もあったわけですけれども、アメリカの景気回復に引っ張られたような形でもって日本の景気上昇が今一方では進んでいるわけですけれども、その一方でまた内需の不振あるいは国民生活水準の停滞現象が生まれていると。先ほど個人消費の伸び悩みの問題があるということをおっしゃっておりましたが、これは八月二十三日の総務庁の家計調査報告によりましても、国民の消費支出が伸び悩み現象にあることははっきりと出ているわけですが、この国民消費の伸びない原因についてはどのようにお考えでしょうか。
  171. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) これは、私一言で申しますと、所得が伸びないと、ここにもう最大の原因があると、こう思っております。所得が伸びませんから自由に使えるお金がふえない、したがって消費が伸びないと、こういうことだと思います。
  172. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 所得が伸びないというお話があったわけでございますけれども、もう一点ですが、アメリカの景気が非常に良好になって、日本の米国向け輸出もそれに誘われて回復を続けてきているわけですけれども、そのアメリカ経済の景気指標が六月、七月とここニカ月連続でマイナスになっておりますし、小売動向あるいは失業率等も七月は悪化の指標が出ているわけですね。こうしたアメリカの経済の先行きについてどのように長官はお考えになりますか。
  173. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) さっきもちょっと触れましたが、ことしの上半期のアメリカ経済の伸び方は少し私は行き過ぎではないか、八%台の実質成長、こういう高い成長はやはり長続きさせるのにはどうしても無理だと、こういう感じがいたします。やはりアメリカ政府も言っておりますように、五%前後の経済成長を続けたいと、こういうことを言っておりますが、そこで下半期四・九%という目標を設定しておるわけでございまして、来年度以降も、一九八九年まで四%ないし五%成長を目標にすると、またそれは可能であると、こういうことを言っておりますが、この五%前後の成長ということは、私は現在のアメリカの経済情勢から見て、特に物価が非常に安定しておると、こういう点から考えまして、若干気をつければある程度はいけるんではないかと、このように思います。
  174. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 しかし、ある程度の危険な指標も出ておりますので、アメリカの無気の後退ということについても十分考えて対処していかなきゃならないと思いますし、先ほどお話がありました個人消費の問題、所得の伸び悩みの傾向が続いているために、勤労者の生活水準及び勤労意欲というものが上がらないためにまた個人消費も低迷をすると、こういう結果になっていると思うんですけれども、景気が低迷をしているときと違いまして、景気が上昇しているときにはGNPの伸び率に応ずるようなやはり賃上げというものが景気拡大に貢献するんじゃないかと、こういうふうに思うんですが、その点長官どのようにお考えでしょうか。
  175. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 賃上げの問題は、一口ではなかなかこうだと断定できないと、こう思うんです。ただしかし、現在の状態を申し上げますと、経済は回復期にありまして、ある分野では拡大期にあると、こう思いますが、ただ、この景気回復がまだ個人の段階に及んでない、個人の所得にはね返ってないと、これが事実だと、このように思います。したがいまして、経済の実情に合ったようなベースアップが行われるということが望ましいわけでありますが、しかし、原則的には、これは労使双方話し合いの上で行われることでございますので、それ以上具体的なことは、これは民間でお決めになることでございますから、政府の方からはこれ以上のことは申し上げかねると思います。
  176. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろんな点を考えてみますと、時間がないのであれですけれども、    〔理事目黒今朝次郎君退席、委員長着席〕 やはり今後の一つの傾向としましては、アメリカの景気のスローダウンあるいは輸出の抑制という事態も考えておかなければならないと思いますし、日本の設備投資にいろんな動きがあるとしましても、輸出関連が今中心になって、輸出の高い伸びが、これが鈍化しますと輸出関連産業における投資も低下してくるんじゃないかと思うんです。そのときに個人消費が盛り上がっておればまた自律的な内需拡大ということも考えられますけれども、個人消費が盛り上がりに欠けているし、低い賃上げですとそれも今後に期待できない、こういうことになるわけですけれども、そのアメリカ景気との連動を防ぐためにも、さらに積極的に日本はアメリカ及び世界的な景気回復を維持拡大するためにもひとつ潜在的な活力を最大に発揮することが国際的に必要な時期になってきてるんじゃないかと思うんですが、ですから、したがってそのために内需拡大策を大いに図っていく必要が今あるんじゃないかと思うんです。  またそこで、先ほど賃金の決定につきましてはお話ありましたけれども、まさしく民間の賃金の決定につきましても、今まで民間の賃金の決定によってその後人事院勧告等が出されまして後追いをしているはずの公務員の給与のアップ率が、逆に今度は赤岡等の民間賃金のアップに大きな心理的な影響を与えているのが事実じゃないかと思うんですが、そういった点を考えますと今後の景気拡大にも影響ありますし、ぜひともこの内需拡大策と並行して、公務員の給与アップにつきましても人事院勧告の完全実施を私は要望しておきたいと思うんですが、その点いかがお考えでしょうか。
  177. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 人勧をどう取り扱うかということはまだ給与対策閣僚会議でも結論を出しておりません。もう少し経済や財政の経過を見まして第三回目の会議を開いてそこで検討すると、こういうことになっておりますが、原則的に申しますと、五十七年、五十八年と人勧をストップしたり部分的に実施しておると、こういう状態でございますし、経済や財政の状態がいい方向にずっと展開すると、こういうことになれば私は当然完全実施をしてしかるべきだと、このように考えておりますが、これはもう少し財政と経済の動きを見た上でよく相談しようではないかと、こういうことになっております。
  178. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、防衛庁の予算の執行問題についてお伺いをいたします。  防衛庁、今回防衛白書を発表なさっておられますけれども、この中でも新対潜ヘリコプターシステム、これですが、こういうものを五十八年度から開発を行っていると発表をされておられます。これによりますと、海上自衛隊が現在使っております艦載の対潜ヘリコプターHSS2Bの後継機として、現在米軍が使用しておりますシコルスキー社のSH60Bの機体に我が国で開発する機器を搭載すると、こういう研究開発だというふうになっております。この新対潜ヘリコプターの使用目的、そして性能、開発の年度ごとの予算、また今後の計画、それから研究開発の委託会社など概要をお知らせください。
  179. 矢崎新二

    説明員(矢崎新二君) 御質問が幾つかに分かれておりますので、私からまずこの新対潜ヘリコプターの開発の目的等につきましてお答えを申し上げたいと思います。  海上自衛隊が現在持っております対潜ヘリコプターのHSS2Bという種類でございますが、これは将来の潜水艦の能力向上等の状況を考えますと、長期的に見て能力向上を図っていかなければいけないという必要があるわけでございます。その場合に、現在のHSS2Bの機体をそのまま使ってやろうということを考えましても能力上に限界があるという点が一つございます。それからもう一つは、アメリカにおきましてこの同型機の生産がもう中止されておるといったような事情もございます。したがいまして、将来長期にわたりましてこのHSS2Bのものを維持していくことは困難でございまして、どうしても後継機が必要であるというふうに判断をいたしておるわけでございます。しからば、将来の対潜機といたしましてどういうものを考えていくかということでございますが、機体の問題と中の装備品の問題と二つあるわけでございます。機体の問題といたしましてはいろいろ検討いたしましたが、結局アメリカのSH60Bというもの以外に適当なものがございませんので、この機体を導入しようというふうに今考えておるわけでございます。  もう一つの搭載の装備品のものでございますけれども、これはアメリカのものとは海上自衛隊の運用構想が違っているというような問題もございまして、必ずしも海上自衛隊が考えております構想に適合したものではございません。したがいまして、海上自衛隊の考えている運用構想に適しましたいろんな情報処理装置でございますとか、ソーナーでございますとか、そういったようなものの装備について開発をしていかなければいけないというのが現状でございます。今回、新対潜ヘリコプター艦載型システムの開発を行うというのはこういった目的のために実施をすることにいたしているものでございます。  あと装備局長から技術的な点を含めて補足してお答え申し上げます。
  180. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 引き続きまして後段の御質問にお答えさせていただきます。  ただいま防衛局長から御答弁ありましたように、本件はSH60B型機の機体を使用いたしまして、それに搭載するための戦術情報処理表示装置、それからデータリンク、そして三番目に自動飛行制御装置などの装備品を含む新対潜ヘリコプターのシステムを開発するためのものでございます。先生御指摘のように五十八年度から着手したものでございます。このために昭和五十八年度予算におきましては、新対潜ヘリコプターのシステムデザインに約八千万円及びSH60B型機の機体一機分約四十四億円を計上したわけでございます。  引き続きまして、五十九年度予算では、この新対潜ヘリコプターの研究開発に必要な設計及び五十八年度に調達をいたしました機体の改造を行うための経費、並びに第二番目の機体としての一機分と搭載装備品等の調達を内容といたしまして、約百六十三億円を計上いたしたわけでございます。六十年度も含めまして今後は搭載装備品の試作、飛行試験等に必要な予算を要求することといたしておりますが、昭和六十年度概算要求におきましては、五十九年度に調達をする機体の改造及び主要開発装備品の試作にかかわる費用、それからその他の搭載装備品や整備用の機材などの調達の経費を要求中でございます。  それから、このシステムを担当する企業でございますけれども三菱重工業でございます。選定に当たりましては各社の希望、こういうことをやってみたい、こういうプログラムを担当したいという調書をいろいろ調べました結果、結局三菱重工が最終的に希望社として残り、私どもの方ではこの企業が技術力、設備の面で本事業を計画どおり進めるために十分な能力を有すると判断をいたしまして、三菱重工業にこれを担当させることにいたしたのが経緯でございます。
  181. 安武洋子

    ○安武洋子君 私ちょっと聞き漏らしたかもわかりませんので、念のためにもう一度お伺いいたしますけれども、この研究開発に対します五十八年度の予算のうちで、これは本体と補用品になっているというふうに思いますんですが、その内訳は一体どうなっているか、もう少し詳しくお知らせください。
  182. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 機体、補用品、技術資料など、いろいろな面からなっておりますけれども、それぞれの金額は、今後のまだいろいろ第二号機その他の商談が行われますので、その関係で公表は差し控えさしていただきたいと思います。
  183. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、私が会計検査院から聞きましたのですが、これは五十八年度の執行結果でございます。それは機体が三十三億三千六百五十万円、それから補用品が六億五千二百八万円、それから技術資料が三億九千五百九十五万円、計四十三億八千四百五十三万円、これにプラス開発分担金、こう思いますが、これは間違いございませんか。
  184. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 五十八年度の予算あるいは契約実績といたしまして、全体を含めまして約四十四億円と申し上げさしていただきます。
  185. 安武洋子

    ○安武洋子君 これは執行結果ですから、私は会計検査院からこのように聞いているわけなんです。ですから私は、これは間違いないというふうなことで、まあおっしゃいませんので質問を進めさせていただきますが、この中に含まれております技術資料三億九千五百九十五万円の件でございますが、この技術資料というのはシコルスキー社からどのようなルートで買われまして、現在どこが保管をなさっていらっしゃるんでしょうか。
  186. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 御指摘のこの技術資料でございますけれども、これは日本国内における販売権というものは三菱重工業株式会社が有しております。したがいまして、この三菱重工がアメリカのユナイテッド・テクノロジーズ・インターナショナル社から輸入したものでございます。これをさらに防衛庁が購入したと、こういう経緯になっておるわけでございます。なお、蛇足でございますけれども、三菱商事が若干介在いたしておりますけれども、この三菱商事の介在は三菱電工業の代行業務を行っているものでございます。  それから、この資料は防御庁が購入いたしましたが、この資料を使いまして新しいシステムを開発するということで、この開発担当の企業である三菱重工業株式会社に現在貸し付けておりまして、現在のところ三菱重工が保有をいたしておるところでございます。
  187. 安武洋子

    ○安武洋子君 これは現物、今どこにございますか。
  188. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 現在三菱並工業にございます。
  189. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、シコルスキー社の技術資料、これは三菱重工が買って、そしてそれを防衛庁が買い上げて、そしてそれをまた三菱重工に貸与すると、こういうことでございますね。一部三菱商事が入っておりますが、これは代理店ということでございますから。大変私どもにとりましては不可解なことが行われているというふうに思うわけです。過去にF15戦闘機とかあるいはP3Cの技術資料と、こういうものをこういうふうな形で防衛庁お買いになったことがあるんでしょうか。今までは一体どこが買っておりましたのでしょうか。
  190. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 同様な資料、航空機の運用あるいは改造その他で技術資料を購入する場合が、過去、先生の御指摘のようにございました。これを二つの場合に分けて私ども運用をいたしているわけでございます。一つ先生御指摘のようなF15あるいはP3Cなど、国内でライセンス生産を行う場合に必要な技術資料の場合でございます。この場合は、ライセンス生産を担当する企業が購入しているわけでございます。それからもう一つは、E2CあるいはC130、輸送機でございますけれども、こういったものの場合には国内でライセンス生産を行いません。機体をそのままアメリカから買ってきてそれを運用いたすわけでございますけれども、その場合の運用に必要な技術資料は防衛庁が購入いたしております。したがいまして、過去のこのような二つのパターンを考えますと、今回のSH60Bの機体というものに関する技術資料は第二番目のケースに該当するものでございますので、防衛庁が購入したわけでございます。
  191. 安武洋子

    ○安武洋子君 違いますでしょう。第一番目のライセンス生産の場合はわかります。しかし第二番目にお挙げになりましたけれども、今回のこの技術資料といいますのは、E2Cとか云々で先ほど言われました、機体をどのようにして運用するのかというふうな技術資料というものは防衛庁が買っていたということでございますが、これは技術資料とは申しましても、これは品物を買ったときにそれをどういうふうにして運用すればいいかという単なる説明書のようなもので、こんな高いもの、何億もするというふうなものではないはずでございます。御一緒にしていただいては私は困ると思います。これは全く、技術資料とここで言われておりますのは、単なるこれは普通の場合でしたら図書費というふうに言われておりまして、そういうものを買えば必ずついてくるというふうなもので、例えば変な例えでございますけれども、けさテレビでやっておりましたが、御飯の炊き方なんというので電気炊飯器が出てきておりました。電気炊飯器の扱い方とか、そういうふうなものについてくるというのが今まであなたたちがお買いになった資料であろうというふうに思います。しかしこの電気がまをどういううふな材料を使ってどうやればいいかと、そしてどういう炊き方をしたときにこのようなデータがどう得られるかというふうなものが、ここで言われている技術資料であろうというふうなことで、混同していただいては全く困るというふうに思います。だから、これは当然三菱重工が買って三菱重工が使うのが当たり前というふうに思いますけれども、なぜ防衛庁が買いまして三菱重工に貸与すると、こういう形をおとりになるわけですか。
  192. 山田勝久

    説明員山田勝久君) パターン、二つ申し上げさしていただきましたけれども、もちろん今回の技術資料は機体にかかわる図面等の資料でございますけれども、これは航空機のフライトに必要なものでございますし、またそのフライトをするための改造、改造したものをフライトすると、こういう関係で、改造あるいはこの開発をする中での改造、そして開発した後それが現実に目的に沿ったものになるためには、当然航空機の飛行というもののテストを行うわけでございますから、そういった意味で、まさに技術資料と申しましても、E2Cその他の飛行の際の資料もかなり似通ったものでございます。  電気がまの御例示を引かれましたけれども、航空機というものはアドバンステクノロジーで、かなり複雑なものでございます。改造する技術も複雑でございますし、またフライトのための技術も、これまた相当の複雑な高度なものでございます。私どもこういった技術資料を購入する際の価格決定というものをいたすわけでございますけれども、当然E2Cの場合あるいはC130の場合、過去のいろいろなケースというものを参考にいたしまして決めたものでございまして、どちらかというと、P3CあるいはF15のようなライセンス生産をするものとそうでないものとの区分けというものが決定的に大きいものであると私ども判断をいたしております。
  193. 安武洋子

    ○安武洋子君 私が聞いたことのお答えになっておりません。私はこういうものを三菱電工が買って三菱重工が使うのが当たり前なのに、なぜ防衛庁が買って三菱重工に貸与するという形をおとりになるのかということを聞いておりますし、航空機はそれは電気がまに比べてうんと複雑なぐらいはだれもわかります。しかし例で挙げただけであって、あなたたちは故意に図書費と技術資料をここで混同なさっていらっしゃるから、私がわかりやすく御説明を申し上げただけでございます。  お答えください。なぜ防衛庁がこんなものを買って三菱重工に貸与するという形をおとりになっているんですか。
  194. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 航空機でございますから、ただいま私御説明させていただきましたように、改造した後、それをフライトテスト等行うわけでございます。このフライトテストは防衛庁で行うわけでございますから、私どももまたこの技術資料というものを十分そしゃくをいたしまして、この計画を実行していく、そういうわけでございます。私どももこの技術資料をそしゃくし、フライトテストその他行うわけでございますので、防御庁が所有しているというのが一番妥当であると判断をいたしたわけでございます。
  195. 安武洋子

    ○安武洋子君 防衛庁が所有するものをなぜ三菱重工に貸与するという形をとっているのかということにお答えがありません。それから、従来ロイヤリティーとか開発費、それからノーハウ、こういう使用料などというのは直接経費としまして扱われてきたと思います。防衛庁が直接買うのではなくて、メーカーが購入をいたしまして、それを製品に割り掛ける、このことは予定価格の算定基準に関する訓令で原則にしてこられたというふうに思いますけれども、違うんでしょうか。お答えいただきます。
  196. 山田勝久

    説明員山田勝久君) まず、三菱重工がユナイテッド・テクノロジーズ・インターナショナル祉との関係で国内販売権を持っているという点が一つございます。それから、ライセンス生産を行う場合には、先生御指摘のように、生産担当企業が技術資料を購入いたしまして、防衛庁はその費用というものを実は調達機数に割り掛けまして支払っているというケースでございます。これはいわばライセンス生産による量産を行う過程でございます。今回のように数機購入するということではございません。したがいまして、ライセンス生産を行う場合には、先生御指摘のように、技術資料は生産担当企業が購入をする、そしてそれにかかった費用は、特別割り掛け費と申しておりますけれども、調達機数に割り掛けて防衛庁が支払っている、こういうケースでございます。このたびのケースはそうではない、数機を買ってそれを改造する等々のための技術資料でございますので、私最初に第一区分と申し上げましたライセンス生産の場合の割り掛けと今回のケースは異なるわけでございます。
  197. 安武洋子

    ○安武洋子君 防衛庁の装備品等の調達といいますのは、これは防衛庁設置法の三十六条及び装備等役務の調達実施訓令に基づいて行われていると思います。これで調達できるのは動産などの有形のものでございます。訓令の別表にこれはもう大変詳細に明記をされております。例えばノーハウの使用権のような無形な財産、この調達は私は含まれていない、こういうことに思いますけれども、一般論としてお伺いいたしますが、この法解釈お聞かせください。
  198. 山田勝久

    説明員山田勝久君) ただいま先生御指摘の、装備品等及び役務の調達実施に関する訓令というものがございます。この第三条を援用いたしまして、別表にどういうものを買ったらよろしいかという表がございます。それにはいろいろの項目、機材等が載っておりますけれども、この別表の「注」の3というところを見ますと、次のように書いてあるわけでございます。「この表に掲載する輸入品以外の輸入品(部品を除く。)及び技術研究本部に係る試作品又は技術調査研究委託費支弁に係るものは、この表に掲載されているものとみなす。」ということで、「注」で書いてございますので、今回の技術資料という一つの物品、これを調達実施本部というところでこの訓令に基づきまして買うことができたということでございます。
  199. 安武洋子

    ○安武洋子君 だれもそんなことを聞いておりません。私は、防衛庁が装備品を調達するということは防衛庁設置法の三十六条、装備等の役務の調達実施訓令に基づいて行われている、一体この中にノーハウの使用権のような無形の財産の調達、これも一般論として含まれるのか、法解釈はどうなんだと、そのことを聞いております。
  200. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 私どもが購入をいたしましたものは一般には技術資料と言っておりますけれども、十六冊ございますが、これを買える。それはこの「注」に書いてありますように、「この表に掲載する輸入品以外の輸入品」というふうに見るわけでございます。
  201. 安武洋子

    ○安武洋子君 何度言ったらわかるんですか。私は法解釈聞いているのよ。そんな法律をあなたのそういう勝手な解釈で曲げられるんですか。この三十六条、これによって装備等役務の調達実施訓令に基づいて行われるわけでしょう。これは間違いございませんでしょう。そこは有形なもので、そして訓令の別表に詳細に明記されているわけですよ。その中にノーハウのような無形なものが含まれているのかどうかということを、それだけを聞いているのに、なぜそんな要らぬことをごちゃごちゃいっぱい言うの。ちゃんと答えてください。
  202. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 今回のノーハウというものも実は物品に化体されているというふうに私ども考えているわけでございます。
  203. 安武洋子

    ○安武洋子君 それは重大問題で、ノーハウと一般的に言うのはそんな有形なものじゃないんですよ。無形なものだから私は一般論として法解釈として聞いているのに、この中に無形財産のような権利の調達が認められるというふうにあなた法解釈ねじ曲げちゃうんですか、ここで。それでいいんでしょうか。おかしいでしょう。もう一遍ちゃんと法解釈として答えてください。
  204. 山田勝久

    説明員山田勝久君) ノーハウにもいろいろございます。今回の場合はこの技術資料というものの中に入っているわけでございます。
  205. 安武洋子

    ○安武洋子君 ちょっと委員長、注意してください。私は一般論、これに対する法解釈を聞いているのにちゃんと答えようとしないんです。ちゃんと答えさしてください。
  206. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 速記を中止してください。    〔速記中止〕
  207. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) それでは、速記を起こして。
  208. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 例えばでございますけれども、ノーハウには物品に化体されたもの以外にも、いわゆる手に手をとってと申すのもちょっとあれですが、いわゆる技術指導という形態もございます。そういう場合のノーハウもございます。
  209. 安武洋子

    ○安武洋子君 もうそんなむちゃくちゃなことをよくおっしゃると思いますが……まだ言うの。
  210. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 私申し上げましたように、物品に化体されたノーハウというものもございますし、それからただいま手に手をとってというふうな表現をいたしましたが、これ別の言葉を使いますと役務という形態がございます。そういうものもございます。
  211. 安武洋子

    ○安武洋子君 だれも役務のことなんか聞いておりません。役務はちゃんと調達できる中に入っているの。無形の財産、こういうものの権利が調達できるのかどうかということに、私の言うのに終始一貫わかりながらそらしていらっしゃるということで、私は次、もう一つお伺いいたしますけれども、防衛庁設置法の第五条四項「所掌事務の遂行に直接必要な装備品、船舶、航空機及び食糧その他の需品並びに役務を調達する」ということになっております。この項に基づきましてもあくまで調達できるのは、武器などの有形のものと労務に限られております。それで、ノーハウの使用権の調達というのはこれは私は含まれていないと。これも一般論でお答えください、法解釈であなた、法をねじ曲げているんですよ。これは大変なことなんですよ、物しか買えないというの。
  212. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 技術資料という物、今回の場合十六分冊でノーハウがそこに含まれている、物品として購入できるわけでございます。
  213. 安武洋子

    ○安武洋子君 ノーハウがどうして物品だとあなたそういうふうにおっしゃるんですか。私は法解釈を聞いているの。この法解釈ではそんなことなっていませんよ。ノーハウー物品なんということにももちろんそんなことは出ていませんけれどもね。その以前の問題として物しか買えないと、こういうことになっているわけでしょう。だから、私はこういうふうな無形財産のようなものがこれには含まれていないということをちゃんと申し上げておきます。  このシコルスキー社からの技術資料というのはノーハウの使用権なんですよ。あなたはそれを言われたくないばかりに一生懸命物品だ、物品だと、こういうふうに先ほどから物品と一体だと、何か手に手をつないでとかね、そんなことばかりおっしゃっている。  そこで、私は質問を進めますけれども、私はここに三菱重工とそれからシコルスキー社の技術提携契約を持っているんです。これはアメリカの国防総省とそれから防衛庁の承認指導のもとに契約が行われている、私企業間のものではないというふうな、協定と同じものなんですね。この第六項(b)、これを見てみますと、三菱重工は本契約に基づいて提供されたデータ情報及び書類がシコルスキー社の代理であるUTI、これは先ほどから出ておりますユナイテッド・テクノロジーズ・インターナショナル社です、ここの所有物であることを承認したとなっているんです。結局UTIの所有物であることを承認したと、承認しているんですよ、となっていると。所有は明らかにこれじゃUTIのシコルスキー航空部門のもので防衛庁のものではないと、だから物品だと、物品買ったんだと、こういうことをおっしゃいますけれども、物として買ったことにこれじゃ全くならないではありませんか。
  214. 山田勝久

    説明員山田勝久君) まさにユナイテッド・テクノロジーズ・インターナショナル社と三菱重工の契約というのはございます。その中には、先生おっしゃったように、防衛庁の今度の新しいシステムというものを前提とした契約になってございます。私、明確でなかったかもしれませんが、技術資料に化体されているノーハウと、ノーハウが技術資料に化体されている、したがってこれは物品だと、こういうふうに申し上げておりますが、その技術資料というのは別名、先生の御指摘のように、ノーハウの使用権という言葉でこの技術資料というものは言うこともできるわけでございます。技術資料はノーハウの使用権を含むと、そしてこれが物品たり得る、それは物というものに化体されているからであると、こういうふうにお答えをさしていただきます。
  215. 安武洋子

    ○安武洋子君 そんなおかしな理屈はどこにあるのでしょう。技術資料そのものの所有権というのはこれは明らかにUTIにあるということに、契約で承認をしているではありませんか。  さらに十二項です、ここの十二項には、契約満期時またはSH60Bを採用しない場合は提供されたすべてのデータ情報及び書類を三菱重工からシコルスキー社の代理UTIに返却すると、返却するんですね、こういうことになっている。ということは、防衛庁は物品として買ったのではなくあくまでもノーハウの使用権を買ったにすぎない、こういうことがはっきりするではありませんか。
  216. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 先生おっしゃるように技術資料、ノーハウの使用権ということでございますが、このノーハウの使用権というものが実は物品たり得るかということでございますが、物品たり得ると私ども判断をいたしたわけでございます。ノーハウが化体されている技術資料そのものの管理を私どもが行っていくというわけでございますので、これは大蔵省様の御管理になっておる物品管理法というものがございますけれども、その物品管理法による物品として管理をしているところでございます。
  217. 安武洋子

    ○安武洋子君 物品管理法、それに基づいて管理をするということがそもそも間違いであって、物品たり得ないわけでしょう、ノーハウ、これ全部返してしまうわけですからね。契約満期のとき、それからこれを採用しないときは全部返せと、こうなっているんですよ。さらにはっきりしていることは二条一項です。対価の支払いが規定されておりますけれども、それを見ますと、「データおよび情報を提供することに同意したことに対する対価」、そんな物というのは全然出てこない。要するにデータ及び情報です。これを提供すること、これに同意したことに対する対価として三菱重工はUTIに対し百五十万ドル支払う、こういうふうになっております。そして書類への対価など全く含まれていないと。ノーハウの使用権以外のこれじゃ何物でもないじゃありませんですか。
  218. 山田勝久

    説明員山田勝久君) 実はノーハウというのは、先ほどから申し上げましたように、いろんな設計図でございますとか、そういったいわゆる十六分冊あります物品としての中に化体されているわけでございます。したがいまして、ただいま先生御指摘のございましたような金額、これは技術資料代ということで呼ぶことができると存ずる次第でございます。
  219. 安武洋子

    ○安武洋子君 それはへ理屈。十六冊もみんな返さなければならないし、しかもこの対価の中には、それは紙に書いてくるでしょうけれども、しかし、向こうではっきりと百五十万ドルの対価というのはデータ及び情報を提供することに同意したからと、その対価だ、こうはっきりなっているわけです。  そこで、通産省、大蔵省に聞きます。  三菱重工とUTI社の間に締結されました技術援助契約につきまして、外為法第二十九条に基づきまして双方の届け出がなされている、こう思います。これは外国企業の工業所有権の使用権の設定という契約が締結された、こういう趣旨で届け出られていると思いますけれども、いかがでございましょうか。ちょっと簡単に答えていただきたいんですが。
  220. 野崎正剛

    説明員(野崎正剛君) お答え申し上げます。  ただいま先生御質問の三菱重工とユナイテッドニアクノロジーズ・インターナショナルの技術導入契約の締結に関します届け出書につきましては、外為法の二十九条第一項に基づきまして昨年、五十八年の七月十五日付で受理されております。そして同法第三項によりまして七月の三十日から契約の締結ができることになっているということは事実であります。
  221. 木下博生

    説明員(木下博生君) 通産省といたしましては、今大蔵省の方から御説明ありましたように、昨年の七月その届け出を受理しております。
  222. 安武洋子

    ○安武洋子君 外国企業の工業所有権の使用権の設定という契約が締結されているわけですけれども大蔵省にさらにお伺いをいたしますけれども、私の調査では、UTI社はこの技術資料の対価百五十万ドルに対する国内源泉所得税としまして、所得税法の百六十一条七項に基づく約三千万円の税金を納入していると思います。本件のような百六十一条七項に基づく納税といいますのは、外国企業が工業所有権の使用料などに対する対価、すなわちノーハウの使用料などを受けたことに対する税金だと、こういうふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  223. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) お答えいたします。  個別事案の中身にわたることは御答弁を差し控えさしていただきたいと思いますが、一般論として申し上げさしていただきますと、外国の法人が国内において業務を行っている者から工業所有権その他技術に関します権利、それから特別の技術による生産方式、もしくはこれに準ずるものについての使用料、またはその譲渡による対価の支払いを受けた場合には所得税法の規定によりまして、先生御指摘の条文によりまして国内源泉所得ということになりまして、これに対しましてはその外国法人に対して二〇%の税率による所得税が課税されるということになっております。またこれの対価の支払いをする者は、支払いの際に二〇%の税率により所得税の源泉徴収を行ってこれを納付するという規定になっております。
  224. 安武洋子

    ○安武洋子君 これは明らかに譲渡ではございませんから、使用料にかかる国内源泉所得税ということがはっきりするわけです。ですから防衛庁は先ほどからもう随分とへ理屈ばかりおっしゃっております。いかに言い逃れをなさろうと、技術資料は明らかにこれはノーハウの使用権以外の何物でもないわけです。買える規定が全くないと、補完する規定もない、こういうノーハウの使用権を無理やりに法をねじ曲げて、しかも三菱重工が契約、購入したものを防衛庁がなぜ肩がわりをしてやるのか、こういうことなんですね。私は全くおかしいと。これについては防衛庁内でも相当な論議があったというふうに私は聞き及んでおります。  それで私、ここで会計検査院にお願いをいたしとうございますけれども、本件の検査といいますのは来年度から行われると聞いております。私の申し上げたことも含みまして、もしこの検査をなさるということでございますと、こういうことを含みまして十分の検査を行っていただきたい、こういうお願いを申し上げますが、会計検査院どうでございましょうか。
  225. 竹尾勉

    説明員(竹尾勉君) お答えいたします。  御趣旨を体しまして、その趣旨で十分検査してまいりたいと、このように考えております。
  226. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、この件を調査いたしまして本当に偶然としたんです。これは本当に軍需産業と防衛庁との癒着以外の何物でもないわけですね。企業のリスク、それから技術資料に投ずる資金の運用、これを円滑にしてやるというふうなことを考慮した度の過ぎた思いやり以外の何物でもないわけなんです。しかもそれを、法をねじ曲げてまでこういうやり方をするということは、金額のいかんを問わず、これは金額も大変な金額ですけれども、こういうことを認めますとどういうことになるかと。これは軍需産業の研究開発費の肩がわり、これが際限なく行われていくという突破口になるわけです。そしてついには、これは兵器輸出国と言われておりますけれども、なるんじゃないかと、こういう道につながっていくわけなんですね。こんな無法なことは絶対に認められません。  だから、開発費の総額は三百億にも上るというふうに言われておりますけれども、私は、この新対潜ヘリコプターの研究開発、これは直ちに中止をすべきだと、このことを要求いたしまして、私の質問を終わります。
  227. 三治重信

    ○三治重信君 大蔵大臣に御質問しますのですが、五十七年はいまだかつて見ない歳入欠陥を生じた年なわけなんです、五十六年度に次いで。一般的に、これも決算委員会でも非常に議論になって、経済の見積もりが高かった、世界経済が非常に、ことにアメリカを中心として経済不調が続いたということであるわけなんですが、私は一面、財政再建を余りにも急ぎ過ぎたために歳入見積もりを従来どおりして、そして財政再建のつじつまを合わす予算措置を講ずるようにした意図が、五十六年、五十七年と非常にあるんじゃないかというふうに思っておるんです。また、その結果として、この五十八年度、五十九年度で非常に厳しい財政見積もり、財政の抑制というものが生まれてきた、こういうふうに思うわけなんです。  その五十七年度の六兆円の財政見積もりの不調というのは、五十六年度のいわゆる財政赤字の三兆円の上積みがあったということで二重に五十七年度は多くなったと思うんです。ここに五十六年度、五十七年度の財政の見積もりの過大——これは大蔵省だけの責任じゃなくて、やはり経済企画庁の経済見通しのいわゆる惰性というものもあり、財政債権の意欲というものから高目の経済成長というものがどうしても欲しかったと、こういうこともあるわけなんです。その中で、一番財政見積もりを過大にしたときの、いわゆる後遺症と言うんですか、そこは一体何であるかというふうに反省してみると、どういうふうにお考えになりますか。
  228. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに五十六年……まあ五十五年というのは四百八十四億という剰余金が出る状態であったと。それで一応、初めに一兆円の減額ありきという形で予算も国債を一兆円減額して組んだと。そこでやっぱり私は、第二次石油ショックというものの影響がもろに出たのが五十六年、五十七年ではなかったかなと。確かにその日本経済の中だけで見ますと、それなりにあの第二次石油ショックからは他国に比べればうまく脱却したという評価をする人もございますが、世界同時不況というものが結果としてまず五十六年の減収につながり、そこでその当時は、五十六年は、まだ決算前に見込むわけですから、それの土台が今おっしゃいましたとおりげたが狂って、それで六兆円というものが出てきたと。だから、この二年を含めたものは、やっぱり税収というのはいろいろ聞き取り調査しましたりして積み上げていくわけでございますけれども、結局は、世界同時不況の影響を受けてそういう事態に結果としてならざるを得なかったというふうな反省をすべきではないかなと思っております。
  229. 三治重信

    ○三治重信君 そういうことなんですが、その結果として五十八年度、五十九年度えらい締め上げの、歳入部門は見積もりを多くできぬから歳出をぐっと絞ろうと、こういう本来の、いわゆる財政当局とすれば歳入増より歳出の抑制、削減という本来の姿に帰ったいい反省材料になったと僕は思うんですが、この点はどうなんですか。
  230. 竹下登

    国務大臣竹下登君) やっぱり本来の財政、非常に下世話な言葉で言えば、入るを図って出ずるを制すると、そうすると、あの五十七年の六兆円に及ぶ歳入欠陥でげたの下がったところで、成長率も結果としては三・四が三・七になりましたけれども、三・四で見込んでいったというのはやっぱりそれの反省に基づいてやったということではないかというふうに思っております。しかしその時点で、いずれにしても五十九年度の赤字公債脱却の公約は大体ついえ去りつつあったということではないかと思います。
  231. 三治重信

    ○三治重信君 そこで、そういう昭和五十六年、七年の非常な財政再建の意欲が完全につぶれた、だから、五十九年赤字財政脱却というふうな非常な目標から方向転換せざるを得なかったと。これは五十六年、七年の歳入欠陥一つの大きな事実上の反省材料の結果だと思うんです。それによって結局財政再建というのは、赤字国債を減らすことより歳出をどうして抑えていくかということの方へ方向転換してきた大きな反省材料を得ただろうと思うんです。  それにしても、五十八年、五十九年と財政抑制をやると、今度は六十年度の予算編成になってくると、非常な苦痛からまた逃れようという議論が若干ずつ出てきているやに、来年度の予算編成を目前にして新聞では出ているわけなんですが、総理大臣大蔵大臣は、いやいやそうはいかぬと、やはり財政緊縮をしていかなきゃいかぬ、こういうことで五十八年、五十九年の予算編成態度を貫こうという固い意欲が見られるわけなんですが、私はそういう全体として歳入増より歳出を抑えてそうしてやはり財政再建をやるというのは、非常に消極的な意見のようなんだけれども、この現時点でやっていくためには、やはり国民に耐乏生活をやってもらうためには、補助金なり何なりを減らした方がいいか、あるいは税金を余計払った方がいいかという、本当の何というんですか、問い合わせなり、世論的にどちらを望むかと、こういうことを本気になってひとつやられたらどうかと思うんです。アメリカのレーガンさんは財政赤字を、どんどん積み上げるのは私も反対なんですが、しかし一つのいい方法は、やはり減税をして、そして何といいますか、民間に実質的な活力を持たして財政再建を図るんだと、国民の税負担を増加さすということはやはり国民経済によくないんだと、こういう基本姿勢を非常に持っておられるということについて一つの実験をやっておられる。そのためにアメリカ経済がえらい高利子にもかかわらず強力な経済復興を来していると。それはまだ本当の評価が出ていないわけなんです。  そこで、どうしても、やはり私はどうも大蔵省のやり方は、財政抑制とともにこれにも限度があるから何とか増税を早くしたいという気持ちが非常にあるように思うんですけれども、やはり大蔵大臣とすればこの大きな赤字財政の穴埋めをどちらに余計力を入れてゼロに持っていこうとされているのか。増税の方なのか、財政抑制の方で自然増収を待って財政赤字を、歳出を抑制して財政赤字を埋めるのか。それとも財政の抑制は限度があるから歳入増を図ってやるんだと。これは六十五年度までの大きなやつの一つの、前半の六十年度、六十一年度が財政編成のターニングポイントだと思うんですけれども、その大きな視点はどちらに持っていこうと思っておられるのか。
  232. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは非常に難しい問題でございます。  きょうまでどういう姿勢かと申しますならば、今おっしゃいましたように、いわば歳出削減という大きな柱を建てて、そしてサービスをおとりになりますか、あるいは若干の辛抱をお願いしますかという問いかけをしておるとでも申しましょう。そういうことで、国会の問答等を通じながら国民のコンセンサスがどこにあるかを求めていこうということで、いわば試算などを出して要調整額を示してそこで問答をしましょうと、こういうのが今の段階だと思うんであります。いずれは国民の選択がどこにあるかというめどをつけなきゃいかぬ時期があると私は思います。そこで、制度施策の根本にまでさかのぼった削減もいたしましたが、私は六十年度予算編成というのは、もう相当削ったからないではないかというようなイージーさにあってはならぬと。やっぱり今おっしゃいました言葉どおりターニングポイントであるという面で、なおかついわばまず初めに歳出削減ありきということで、これに臨まざるを得ない。その中で初めていや国民の方でこの部分については負担増もあってもいいではないか、この部分はやつばりサービスの削減でいくべきじゃないかという問いかけに対する答えが結局出てくるんじゃないか。その答えを国会の議論等を通じながら集約していくのが私どもの立場じゃないか。だから、今日の時点でどちらにウエートをかけているかとおっしゃると、まだその問答の段階である、こういうことかなあというふうに考えております。
  233. 三治重信

    ○三治重信君 まあうまいことを言ってはっきりしたことを言わないわけなんだが、それにしても税の執行上不公平税制の是正というものは、これは増収になっても、増収は期待できても国民に税の負担増という感じを持たさぬことが一つあって、大蔵省の方とすりゃ苦労はあるけれども、税の不公平、不公平税制の是正ということに大いに力を入れてもらいたいと思うわけなんです。  そこで、一つ最近、これは具体的な例なんですが、マル優問題はやりたいんですが、きょう余り時間がないからやらぬですが、不正のマル優の税金、これは国税庁がやって、銀行が不正のマル優をたくさんやって、何十億かやっているやつについて、殊に大阪国税局のやつが八月二十七日の朝日に出ているわけなんですが、そういう国税庁がせっかくマル優のインチキを摘発して、そして追徴金、税金を取り立てる。それから加算税も今度取った。加算税はとにかくとしても、税金を取ったやつが、いわゆるやみの預金者やなんかから取り立てられてない。みんな銀行が八〇%は肩がわりしている、こういうのが大きく出ているわけなんですが、こういうことが僕は非常に不公平税制だと思うんですよね。銀行にしてみれば税金を、マル優を不正にやって利子のやつを税金取られたと、取られたのはしようがない、その上にまたそれは経費として全部落とすと、こういうふうになっているわけなんだが、こういうのをもういま一歩進めて、こういうようなのは八割を金融機関が肩がわりしているというやつを経費として認めないといった措置というものは、どうしてできないんですか。こういうようなのが経費としてやるから、みんな払った税金はみずからそれはそれで終わりと。国税庁の方はそれで終わりかもしれない。というのもちょっと不公平税制からいくと、まあそうでなくても、何というんですか、一般の法人税から、法人に対してはいわゆる交際費の課税、交際費をゼロにして、交際費をみんな利益として税金を取り立てるぐらいのめちゃくちゃなことをやっていながら、片方は取るべきところから取らぬで、負担をしたやつをそのまま経費として認めるというのは私はちょっとおかしいような気がする。こんなのは、払ったのはやはり損金としては絶対、税金の不正の、取るべき税金を取らぬで、そしてやったやつについては絶対そんなのは経費として認めないと、こういうふうにやるべきだと思うんですが、その点はどうなんですか。
  234. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 今先生御指摘のマル優関係の不正利用を金融機関に対してかかっていくという場合の話でございますけれども、基本的には利子に関する税金は源泉徴収制度のもとにございますので、私どもとしてはまず第一に金融機関からそのような不正な扱いをしたマル優に係る源泉所得税を納付していただくということで、まず第一にお願いしているわけでございます。その後金融機関としては、私どもとしてはそれを本来の預金者の方に求償していただいてるというふうに私どもとしては理解をしております。私どもとしてはこのマル優預金の調査の際には基本的には、このような銀行が本来の預金者に対しまして求償しなかった、いわば、言ってみれば取れるものを取らなかったような場合には、基本的にはそれも一種の追加的な預金利子の支払いだというふうに理解をして、それにつきましては基本的に取るものを取らなかった金額につきましては一種の利子の支払いとして源泉徴収を行っております。また、これを納税者の立場から見ますと、私どもとしてはできるだけこれを利子所得として捕捉をし総合課税の対象に含めていくということで取り扱いをする方針でございます。これは、どうしても相手がわからずにということで求償ができなかったりということがございましたら、それはその段階で一般の貸し倒れ損失として損金に算入することは認めざるを得ないというふうに考えております。
  235. 三治重信

    ○三治重信君 そこは、税金で肩がわりするやつはまあ損金に認めるということなんだけれども、それはおかしいと思うね。そうしないというと、もう銀行なんというのはいつまででもマル優でどんどこどんどこ預金しちゃう、預金競争でやって、それであと税金取られたって、それは損金で認めてもらえればそんなのへっちゃらだということになるわけなんで、そんなものを損金として——交際費ですら一銭も認めぬで全部税金取っているのに、そんな不正に支払ったやつの支払いの補充に、損金に認めるというのはここはおかしいと思うんだが、ひとつ検討してください。  時間がないから、せっかく厚生大臣お見えになっているのでひとつ厚生大臣、まあ代表なんですが、来年度の予算の要求で、高率負担のやつは一割削って予算要求をする、こういうふうなことが出ているわけなんですが、殊にそれは厚生省だけじゃないんですけれども、厚生省が一番多いから代表的にきょうは御質問するわけなんだが、そうすると自治省の方にしてみれば、その一割負担分を何にもしないで一割ばんと負担しなくちゃならぬからということで、完全に地方自治への負担の転嫁だと、こういうことになってけんかになるわけね。本当に高率負担なり何なりを減らしたり地方にこういうことをもっと財政節約せいと言うならば、これは高率負担を減らすというのも一つの手段だし、そういうぐあいにやった場合に地方財政全体として歳出を減らすことも指示しないと、これはもう全く税金一割、高率負担だけ一割減らすということになれば地方が丸々かぶると思うのは当然なことだと思うんですが、こういうようないわゆる予算節約を中央でやると、地方自治体にしてみればこれは非常な一方的なしわ寄せだと、こういうふうに思うのは当然なわけなんです。我我が財政改革で言っているのは、不要不急の補助金を削れというのと、むやみやたらにやっているやつをもっと制限せいと、やっている膨張のやつを必要な最小限度に制限せいと、こう言っているわけなんで、そいつを高率負担だけぽっと削るというような予算要求は、それは厚生省だけは大蔵省に対してばいいかもしれないけれども、これは一割節約しましたでいいこと。地方自治体にとってみれば大変な迷惑なんで、行政改革というものは何だ、地方に財政負担だけをよこすということになって、どうもこれは僕は臨調の方針に反すると思うんですけれども、これは大蔵大臣の方もこういうことを指導しているのか、厚生省の方はマイナスシーリングでやむを得ずこういう知恵を出したのか、その点ひとつ両大臣、どうもこれは臨調の、何というんだな、安易な考え方に寄せ合っておると思うんだが、これじゃ地方自治と中央とのけんかになっちゃうと思うんですが、どうですか。
  236. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず私の方から一般論といたしまして、補助率の引き下げにつきましては今後の予算編成の過程を通じながら、厚生省のみならず各省庁との要求の内容を整理整とんしまして、そうして自治省と協議しながら最終的に結論を出していくと、こういうことになろうかと思います。したがって、今おっしゃいましたように、国の負担を地方にツケ回しすると、転嫁するということを考えてはいけないぞよと。まず心に言い聞かしておるのは、もう一遍もとに返って国と地方との間の役割分担のあり方、それぞれの事務、事業ごとにどの程度関与していくか、あるいはこれはまさに地方そのものの課題として処理してもらうかというような考え方を基本として、これから対応していくということでございます。国と地方の財政事情等ももちろん念頭にないわけじゃございませんが、基本的には役割分担を原点に返って相談していくという姿勢で対応しなきゃならぬなと。ですが、今の場合、私としては各省から出てきておりますのを整理整とんするという段階なものですから一般論しか申し上げられませんが、厚生省の方は具体的な問題としてお答えがあろうかと思います。
  237. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 今、大蔵大臣からお答えありましたが、七月二十五日の行革審の意見書がございまして、七月三十一日の閣議において補助金等の整理合理化の一環として高率補助金についても見直しを行うことが政府の基本方針として了解されました。この方針に基づく具体的な処置ということで関係各省で協議を行い、高率補助については私ども一割カットということで予算要求をしておるわけでございますが、この問題は今先生御指摘のように国と地方との負担の見直しという非常に大事な問題でありますし、また私どもとしては、これ、財政どんなに厳しくても地域住民にわたるところの社会保障の水準は下げられないというこれは決意がございますし、こういったものとどの辺で調整がつくものか、いろいろ難しい問題があるようでございます。また先生の御指摘のように、やはり適正化というのもこれ大変大事な問題でございますので、これらの問題いろいろ総合勘案して、今後予算編成の過程において大蔵省あるいは自治省と十分相談をいたしまして、できる限り関係団体等の理解と協力を求められるという形で結論を出してまいりたいと思っております。
  238. 三治重信

    ○三治重信君 高率補助の上積み分だけ一割減らすというのは、大蔵省に対する予算要求官庁としては非常に安易なやり方なんだけれども、これが地方のいわゆる財政改革に及ぼす考え方として僕は非常に反発を感ずる考え方だと思うんですよ。もう大蔵省の一方的な補助金の金額を減らす。だけれども、第一線でやる自治体にしてみればその予算規模が減るわけじゃない。そんなことをされればそれは全部どこから金を持ってくるんだと、おまえら自分でやっているやつをみんな削れということは、地方自治よりか、むしろ地方で単独でやる仕事をみんな減らして補助対象のやつに負担を持ってこいと、こういうことを安直に言うことになるわけではないですか。そういうことになってくると、大蔵大臣にもお願いしておくんですが、補助金の使用状況やむだ遣いというものについて、やはりもう少し歳出規模、地方自治体がやる規模そのものを、事業費そのものを減らすことが先へいかぬと、高率補助だけ減らしていくというと地方の財政はぼうんとふくらんで財政が破綻すると。これはどうしても事業量を減らす、補助事業に対して地方の出先機関が、高率補助も減らすけれども、また不急不要の工事——工事は別として、厚生関係のやつでも労働省関係のやつでもやはり事業量を減らしていけと、ここをそれひとつしっかり見直してやっていけと。それは厚生大臣が言うように、生活保護費でも生活保護費の規模そのものを、ここは家賃を一割削る、こういったやつは、今までテレビ聞いていたやつもいいがテレビやめて今度はラジオだけを聞くという経費の削減の締め方というのはよくないけれども、そうでなくて安易にもらっているやつは、そういうやつはもっと切れということをやれば、ある程度予算削っても歳出全体が減ればそこである程度地方財政の負担も減る。こういう歳出全体の規模をどうして補助対象の社会保障費なり何なりというものを減らすか、各地方自治体が。そういうことについてしっかりした指針をやってかみ合わせぬと、僕はこれは本当にアブハチ取らずにならぬかと思うのだ。これで地方自治体がまんまと受け入れたら、それこそ大蔵省の一部が言うみたいに国の財政よりか地方の財政の方が甘いんだ、だからのんだんだというようなことに結果としてなる。やはり国はもう少し、国の補助事業をやってもらっているからにはやはり地方財政もやり方についてルーズなところがある、これをこういうぐあいにしてみなさいと、こういうものも含まれていかぬと、財政規模全体を縮小することもかみ合わせていかぬとこれは大変な地方とけんかになる、六十年度予算編成、けんかになると思うんだが、そこをひとつ注意してやってもらいたいと思います。  終わります。
  239. 木本平八郎

    木本平八郎君 まず文部省にお伺いしたいんですが、単身赴任の問題は、一番大きな原因と言われているのは大体子弟の転入学の問題なんですね。特に高校生の転入学が非常に大きな問題になっているというふうな状況で、これにつきましては一月の二十五日のこの決算委員会で私文部省に質問申し上げて、それでその結果かどうか、三月一日付で初等中等局長の通達ということで文部省から都道府県及び教育委員会に通達を出していただいた。そして転入学及び編入を大幅に条件緩和するようにという通達を出していただいたわけですね。現在十八府県で非常に積極的にやっていただいておると思うんですが、この数ちょっと確めたいのですけれども、非常にその点は極めてありがたい状況にいっているわけですけれども、まだまだこれは非常に今後とも緩和していかなきゃいかぬと思うわけですけれども、この辺のスケジュールですね、今後どういうふうに文部省としてはこういうふうな指導をなさっていくのかというふうなことをまずお伺いしたいわけです。
  240. 阿部憲司

    説明員(阿部憲司君) お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘のように、本年の三月一日付をもちまして、初等中等教育局長名で各都道府県教育委員会に通知を発しまして、高等学校生徒の転入学問題につきましては可能な限り転入学試験の実施回数をふやすこと、またできるだけ四月当初にも実施できるようにすること、またさらには転入学のための特別の定員枠を設定するなどの配慮をするように指導したところでございます。  またその後、この七月二十日には学校教育法施行規則の改正を行いまして、これまで欠員のある場合に限って転学を許可することができるということになっておりましたのを改めまして、欠員のある場合に限らず、「教育上支障がない場合には、転学を許可することができる」ようにせよと、そのような改正を行いまして、同日付をもちまして関係の機関にその趣旨の徹底を図るための通知を流したところでございます。このような趣旨を受けまして、各都道府県におきましてもいろいろと現在検討が行われておる状況でございまして、例えば東京都におきましては、つい最近に、転入学試験につきましては四月上旬に行うよう、従来三月だったのを繰り下げまして転勤者の子弟の転入学の便宜を図るようにするなど、いろいろな指貫が講じられているというふうに承っているところでございます。今後とも各都道府県の状況を十分把握しながら、各都道府県に対しまして、文部省の通知の趣旨に沿いまして可能な限り転勤者の子弟の転入学が可能になりますよう、弾力的な取り扱いにつきまして一層指導してまいりたいというふうに考えております。
  241. 木本平八郎

    木本平八郎君 ぜひ今後ともその緩和の方向に向けて指導していただきたいと思うわけです。それでこの問題が解決しますと、これは統計では四七%ぐらいという理由も挙がっておりますので、相当単身赴任の問題は解決できるのじゃないかと思うわけです。ぜひ今後ともひとつよろしくお願いします。  次に、大蔵省にお伺いしたいわけですけれども、サラリーマンが転勤する。それで諸般の事情でどうしても単身赴任せざるを得ない。これは単身赴任自身が非常に大問題と思うわけです。私の経験でも極めて非人道的だという感じがするわけですね。これについてはまた後で別途私の意見を申し上げたいわけですけれども、とりあえずの問題としてはどうしても単身赴任が避けられないということで、企業もそれぞれいろいろな手当も出しているわけですね。大企業の中で大体七割ぐらいが別居手当を出している。金額ではいろいろばらつきがありまして、一万八千円から三万四千円、あるいは大体三万円ぐらいというふうな基準でなっているようなのですね。これ労働省の何か試算では年間二十六万円ぐらいという数字を出されているようなこともあるのですけれども、金額はちょっとおきまして、大蔵省の御見解では、これは生活費だ、したがって非課税にはだめだ、所得税に加算して税金かけるのだというふうに言っておられるのですね、新聞なんかで承りますと。ところが、要するに、これやむを得ずに二重生活をさせられているのだと。いわば必要経費なわけですね。それでこういうものを、これは帰宅旅費、これも労働省のなにですけれども、五十万円ぐらい年間かかる。こういう経費も私はこれは必要経費だと思うわけですね。これが非課税にならないというふうな今大蔵省の見解のようなのですが、その辺の事情をちょっと説明していただきたいわけです。
  242. 梅澤節男

    説明員(梅澤節男君) 赴任手当の税法上の取り扱いにつきましては、ただいま御指摘のように従来から御議論があるわけでございますが、今の所得税法の考え方と申しますのは、被用者つまり雇用されている人の勤務に対する報酬というのは、それぞれの職務の性質、内容に応じていろいろな対価が払われるわけであります。それぞれ企業の企業体系によりましてそれが本俸とかあるいは各種手当とかいろいろな名前がついておるわけでございますが、いずれにいたしましても、そういった形での対価として払われるものは所得税法上はやはり給与そのものであるということで所得税の課税対象になるわけでございます。ただいま委員がおっしゃいましたように、遠隔地に単身赴任の場合に、各種の生活費のかかり増しがあるという問題があるわけでございますけれども、それは一つは企業では相当部分のところでただいまお話がございましたように手当が払われておるということでございまして、その部分だけを税法上必要経費として課税の対象外に置くということは、少なくとも我が国の所得税法、特に現在の給与所得並びに給与に伴う必要経費として給与所得という概算控除のシステムを認めておるところでは、なかなかこれを所得税法の中で非課税扱いにするという問題、非常に難しい問題があるわけでございます。  この点につきましては、昨年十一月の税制調査会の答申におきましても、これは単身赴任手当だけに着目した議論ではございませんけれども、ここで述べられております考え方といいますのは、さまざまな国民生活態様の中から特定の条件や特定の家計支出を抜き出して、税制上しんしゃくすることにはおのずから限界があるという基本的な考え方。同時に、特定の条件や特定の家計支出に着目して税制上しんしゃくする場合の客観的基準を見出すことは困難であるという実質上のバランスの問題があるわけでございます。つまり、手当という名前で支給された場合には非課税になるのか、あるいは企業によってはそういう手当が支給されない場合があるのかもしれないということでございまして、いろいろ御議論があるとは思いますけれども、税制の議論としてはおのずからやはり限界がある。やはりそれは企業の立場から職務に対応する相当の報酬であるとすれば、それは税引き後の手取り等も勘案した段階で手当額の問題として解決してもらうのがやっぱり基本ではなかろうかということでございます。
  243. 木本平八郎

    木本平八郎君 いや、確かにそういう解釈ですけれども、どうも実感として理解できないわけですね。  一つ例を挙げますけれども、長期出張というのがございますね。長期出張していて、私ももう何遍も経験あるわけですけれども、向こうでホテルに泊ったら大変だからマンションを借りる、下宿するということで一年間おった場合、これは経費で認められるわけですね。これと、別居手当とサラリーマンの立場としては同じだと思うんですよ、経費ですからね。この辺はむしろはっきり申し上げて出張旅費の方がまだ余裕がある場合が多いわけです。というのは、これはなにしますけれども、これたった三万円でしょう、月に。三万円じゃ小遣いにもならぬし、犬の費用だってこれ以上かかりますよね。これじゃもう足を出すのがもうわかり切っているはずです。ところが、出張旅費の方がまだ余裕があるわけです、私も経験がありますけれども。そういうものには経費として認めておいて、こっちは足まで出ているのに経費として認めないというこの辺はどうなんでしょう。
  244. 梅澤節男

    説明員(梅澤節男君) 出張旅費はただいま御指摘のありましたように経費という観点よりも、そもそも所得税法上非課税になっておるわけでございます。これは被用者の職務上の必要に応じ必要な経費を被用者に支給するものでございますから、支給を受ける人にとってはそれは所得でも何でもないという考え方に立っておるわけでございます。ただ実態といたしまして、長期出張というような格好で出張旅費が支給されておって所得税法上したがって課税されてないという事態と、一年なり二年なりの遠隔地勤務の場合にそれが手当という名前の給与として支給される場合に、税法上の必要経費として認められないという相違点がございますことは御指摘のとおりでございますけれども、繰り返しになりますけれども、やはりそこは税法で個々の生活実態までしんしゃくするようなきめの細かい税制を組むということ自体に非常に限界があるということと、やはり基本的な考え方といたしましては、勤務に伴う生活費的なものとしてやはり別居手当という名の給与が支給されます以上は、やはり本来の給与と区別いたしまして、これを非課税扱いとするということは所得税法の世界ではなかなか難しいということでございます。
  245. 木本平八郎

    木本平八郎君 この議論をしても私も素人ですからどうしてこういうそれだけの差があるのかわからないわけですね。別居手当だって会社の命令でいや応なしに行かされるわけですね。そこで生活しなきゃいかぬわけです。それで支払わなきゃいかぬ経費でしょう。それを片一方は生活費であって片一方は経費だというふうな、これはやっぱり今局長おっしゃったように手当とかなんとかいう名前の問題じゃなくって、実態がどうなっているかということなんです。その辺をこれ大臣にお聞きしたいんですけれども、やはりきめの細かいことをやれないとおっしゃいましたけれども、やはり政治というのは少しきめの細かい思いやりのあることをやっていただかないと、やっぱりなかなかこれほどだんだんこれから税金も重くなっていくわけですよね、国民の負担も。そのときにやっぱり四千三百万もあるサラリーマンの中でこれちょっとついていけないわけですね、そういう冷たい考え方だと。やはりその辺には温かい配慮をしていただく必要があるんじゃないかと思うんですが、その辺いかがでしょうか。
  246. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは御承知のように、私ども今の税制というのは、一番近いところでは五十八年の十一月の税調の答申というのが、バイブルでもございませんが、基礎になっておりますね。それには確かに「客観的基準を見出すことは困難であること等を考慮すれば、新規の特別控除を創設することは適当でない」と、割にきちんと否定的に書かれておる。その中身は、今御議論がございましたように、いわゆるさまざまな国民生活態様の中から特定の条件とか特定の家計支出を抜き出すことの困難性というのが指摘されてあるわけです。なるほど私もこの御議論を聞いておって、今度は仮に非課税とする場合は、支給の行われていない企業の従業員とのアンバランスをどうするか、それから単身赴任手当の支給のかわりに高い水準の給与の支給が行われておる企業もある。そうなると非常にその間に不公平が生ずると、こういう、大部分の議論はそういうところにもあったわけであります。  したがって、公務員の場合で見ましても、いわゆる寒冷地手当とか、生活上私が北海道へ転勤した場合というようなことでも、やっぱりこれも給与支給の一形態であって、当然それも課税対象になっておるわけです。そうすると、今の単身赴任の分だけを論理づけて抜き出すというのは確かにこれは難しい問題だなということは私もたびたびの議論の中でそれなりに理解して、そこでしたがって今日の時点でもこうして先生ときょう議論しますね。それをやっぱりもう一遍税調へは正確に報告して議論をしてもらう課題ではあるんですが、今のところの結論というのはまさに五十八年十一月の税調答申の土台の上に立っておれば、先ほど申し上げたように、非常にこれを抜き出すということは難しい問題だという感じがしております。
  247. 木本平八郎

    木本平八郎君 そういうことで、ぜひもう一度税調にお伝えいただきたいと思うわけです。そのときにぜひこの三万円というのは、これはちょっと余りにも低過ぎて生活費どころじゃないと、小遣いにも足らないということなんで、せめて扶養控除並みに、今度上がりまして三十三万円ですね、三十三万円でもこれ人間一人食っていけるなんてちょっと考えられないわけですけれども、この議論はちょっと別にして、せめてそのくらいまで別居手当の課税限度も引き上げるというふうに御考慮をいただきたい。  それから、現実に今別居手当とか帰宅旅費ですね、こういうものはみんなもう赤字になっておるのですね、現実には。これはそういうことをやるのはその個人の円山だと、こういうふうな御議論も大蔵省にはあるようですけれども、その議論はちょっと別にします。  それからもう一つ、今大臣が言われた中で、手当を出している企業と出していない企業があるということなんです。しかし、サラリーマンの側からすれば、もらっておろうがもらっておるまいがそれだけのものは出ていっているわけですから、ぜひもらってなくても単身赴任している人の帰宅旅費と別居手当は、これは推定、労働省の二十六万円と五十万円ですか、それでもう結構ですからぜひその辺は考えていただきたいと思うわけです。  時間がありませんので最後にちょっと労働省にお聞きしたいわけです。  今の議論で、実は非常にこの単身赴任の問題は私も先ほど非人道的だと言ったんですけれども、こういうものがあるということ自身がおかしいわけですね。その辺どういうふうにお考えになっておるかということも聞きたいんですけれども、要するに例えば単身赴任するということが、家族連れていけないという事情がわかっていると、それでこういうことが非常にぐあい悪いというふうなことですね。あるいは転勤の時期を四月とか、できるだけうまく夏休みを挟んでというふうなことは、各企業の人事部は全部知っているんです。ところが、実際に人事を決めているのは末端なんですね。末端の営業部の部長だとか何とか、そういう人たちは営業は知っていても人事のことは知らないわけですよ。それですうっと出しちゃうと。それで例えば三月十五日赴任なんということで決めちゃうわけですね。それで人事部にやると。人事部はもう手続部ですからそれの言われたとおりにやっていると。会社の中でもっともっと人事のそういう指導、研修をすればいいじゃないかという議論はもちろんあるわけです。あるんですけれども、要するにその末端の考え方、極端なことを言えば昔の赤紙か召集令状みたいなもので、お国のために必要だからもう粋骨砕身、身を挺して行けというふうな感覚がいまだに残っているのですよ、実際。こういうことを、だから例えば内示期間をできるだけ長くしてやるとか、そういう配慮がまだ追っついてないんですね。経済成長にそういう人事の考え方が末端では追っついていないわけです。  そこで申し上げたいのですけれども、要するに今そういう状況で単身赴任しているのは四十、五十が多いでしょう。管理職ですね。これは労働組合の保護もないというふうなことで。それからもう一つは、転勤を拒否すると、私もありますけど、サラリーマンとしてはこれは命取りになってしまうわけですね。それで、こういうことなんだけれども、もう時代がやっぱり変わっているということをもっと企業としても知る必要があるわけです。この辺がもっと企業勉強しろということはいいんですよ、しかし、いいんですけれども、結論的に申し上げて、日本は労働のモビリティーも非常に少ないし、こういう非常に閉鎖された労働環境で、こういうところではやはりいま労働三法のように政府が労働法を決めて企業にやらしていますね、あれと同じように、やはり労働省の指導というのが一番大事じゃないかという気がするわけですよ。サラリーマン新党というのは単身赴任廃止というものを、十年間で廃止しようじゃないかということを提唱していくつもりですけれども、ぜひ労働省の方も、例えば限定勤務地方法だとか、それから転勤猶予登録制度の導入とか、そういうようなものをぜひ企業を積極的に指導していただきたいと思うんですよ、これは企業の問題だということじゃなくつて。それで、少なくとも、現在の進歩した社会における労働とはいかにあるべきかという、何というんですか、労働哲学みたいなものを、これを労働白書なんかでやっぱりちゃんと明示していただいて、勇敢に単独で行って切り込んで討ち死にしてくるという、そういうばかな働き方はもう時代おくれなんだということを、働く方にも言うし、企業にも認識してもらうというふうなことをぜひお願いしたいわけです。これは大臣に来ていただかなきゃいけなかったかもしれませんけれども、ぜひその辺を御考慮いただきたいと思うんですが、感想を伺いまして私の質問を終わります。
  248. 甘粕啓介

    説明員(甘粕啓介君) 私どもも単身赴任の問題につきましては、できるだけ家族ぐるみで赴任していただきたいという気持ちは同じでございますし、そのための条件整備にいろいろ努めなければいけないというふうに思っておりますが、今先生の方からのお話もございましたように、暴本的にはこれ労使で話し合ってもらうことで、つい先日ですか、日経連と全民労協の方でこういう問題につきましてお互いに今後前向きで検討し合おうというような話ができたようでございますが、私どももそういうための条件整備という点につきましてはできる限り努力をしていきたいというふうに思っております。
  249. 佐藤三吾

    委員長佐藤三吾君) 本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は十月四日午前十時に開会し、本日に引き続き、総括質疑を行うことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十三分散会