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国務大臣(
岩動道行君) 運輸省の船舶局長から専門的な立場でいろいろ申し上げたことは私
どもも十分に理解ができるわけでございます。
今御
質問のありましたように、
原子力船時代は来るのかという非常に大きな問題を提起されたわけでございますが、この
原子力船「
むつ」による
研究開発を進めようとした当時は、ある程度定量的に今世紀中には何隻か
原子力船をつくる必要があるだろうと、こういう一つの見通しがあってスタートいたしたものと理解をいたしております。しかし、その後時代の変遷によってなかなか定量的なことが言えない時代に入ってまいりました。しかし、先ほど運輸省の方からも御
答弁申し上げましたように、定性的には私は必要な時代が来ると。しかも具体的に二十一世紀の初頭ということまで申されたわけでございますが、私もそのように理解をいたしております。
特に、先般伏見委員からもお話がございましたけれ
ども、山縣
先生という船舶の権威の方の潜水船として考えることも必要ではないかと、こういうお話もあったわけであります。これは潜水艦ではなくて潜水船として、それが船の運航能力を非常に
効率化させると、こういう大変貴重なお話があったわけでございますが、そういうようなことも念頭に置きつつ、さらに私は長距離輸送というものが
日本の経済にとっては大変大事なものであると。ヨーロッパやアメリカはその多くの資源を割に近いところから運ぶような地政的な状態にありますが、
日本の場合には大変遠くから長距離輸送を大量にしなければならない。この点は私は欧米と基本的な事情が違うのではないか。したがって、私が聞いたところによりますと、例えばドイツのオット・ハーン、これは極東航路を一つの目標としてやった、そして
日本にも寄港をしたいということを考えていたけれ
どもその実現ができなかった。こういうようなことから
原子力船の実用化については中止をしたと申しまするか見送った、こういうようなことを言っておったという話も聞くわけでございます。
一方また、先ほど船舶局長も申し上げましたように砕氷能力のある船、これはこれからの北極の活用あるいは南極の活用ということを考えた場合には、私は極めて大きな期待が
舶用原子炉に持たれるのではないかと考えるわけでございます。
先般私は、運輸省の船舶
技術研究所を
視察をさしていただきました。そうしてこの
研究所においては砕氷船をつくるための大きな新しい施設を、世界に例のない施設を持っております。それは北極からの油のことも念頭に置いての話であったと思います。ああいうところで普通の舶用機関で一時間に三ノットぐらいで進んでいくと、せっかく積んだ油を全部燃やしてしまって、帰ってきたときには空っぽになってしまう、こういうようなおかしな現象もないではないということも専門家から伺ったわけでございます。
となりますと、航続力の非常にある
舶用原子炉の船というものは、私はそういう面からも、
日本のエネルギー
政策の
観点からも極めて大事な一つのポイントではないか。そういうようなことを考えますと、
リードタイムはございまするけれ
ども、私
どもは今のうちにやはり
原子力船の
研究開発というものはやっておくことが大事なことではないか、このように考えているわけでございまして、現在在来船と比較してどうの、そして
原子力船時代は来るのか、こういうことになりますと今直ちにお答えはできませんけれ
ども、そういう将来展望を考えた場合には、私は
舶用炉の
研究開発というものはぜひ続けていくことが必要である、こう考えているわけでございます。
そのような
意味におきまして、今回の
法案の
統合につきましても、
日本原研というすばらしい
研究成果を上げておりますところで、
先生がおっしゃったように
基礎研究にも重点を置きながらやっていくということは大変大事であり、またこの
統合についての御理解をお示しをいただきましたことに対しては心から感謝を申し上げ、御
審議をお進めいただければ幸いであると思うのであります。