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1984-04-09 第101回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月九日(月曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  三月十九日     辞任         補欠選任      鈴木 和美君     丸谷 金保君      目黒 今朝次郎君   菅野 久光君  三月二十一日     辞任         補欠選任      市川 正一君     橋本  敦君  三月二十二日     辞任         補欠選任      菅野 久光君    目黒今朝次郎君      丸谷 金保君     鈴木 和美君      橋本  敦君     市川 正一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         板垣  正君     理 事                 岩崎 純三君                 鈴木 和美君                 中野  明君                 市川 正一君     委 員                 伊江 朝雄君                 大浜 方栄君                 岡田  広君                 志村 愛子君                 青木 薪次君                目黒今朝次郎君                 藤原 房雄君                 井上  計君                 喜屋武眞榮君                 田  英夫君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖縄開発庁長        官)       中西 一郎君    政府委員        北方対策本部審        議官内閣総理        大臣官房総務審        議官       橋本  豊君        沖縄開発庁総務        局長       関  通彰君        沖縄開発庁総務        局会計課長    大岩  武君        沖縄開発庁振興        局長       藤仲 貞一君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        防衛庁防衛局運        用第二課長    上田 秀明君        防衛庁経理局施        設課長      大原 重信君        防衛施設庁施設        部連絡調整官   大場  昭君        防衛施設庁施設        部施設管理課長  伊部 元康君        環境庁企画調整        局環境影響審査        課長       加治  隆君        環境庁自然保護        局企画調整課長  佐々木喜之君        外務省北米局安        全保障課長    加藤 良三君        農林水産省農蚕        園芸局果樹花き        課長       武政 邦夫君        林野庁指導部森        林保全課長    原 喜一郎君        運輸省航空局飛        行場部管理課長  松浦 道夫君        運輸省航空局飛        行場部計画課長  井上 春夫君        運輸省航空局管        制保安部管制課        長        小山 昌夫君        郵政省電波監理        局放送部業務課        長        村瀬 龍児君        建設省河川局水        政課長      青木 保之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○昭和五十九年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十九年度特別会計予算内閣提  出、衆議院送付)、昭和五十九年度政府関係機関  予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管北方対策本部沖縄開発庁)及  び沖縄振興開発金融公庫)     —————————————
  2. 板垣正

    委員長板垣正君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  去る三月十九日、鈴木和美君が、同二十一日、市川正一君が一時委員辞任されたため、現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 板垣正

    委員長板垣正君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事鈴木和美君及び市川正一君を指名いたします。     —————————————
  4. 板垣正

    委員長板垣正君) この際、御報告を申し上げます。  去る三日予算委員会から、本日午前の半日間、昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、北方対策本部沖縄開発庁び沖縄振興開発金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  中西国務大臣から説明を求めます。中西国務大臣
  5. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 昭和五十九年度の沖縄開発庁関係及び総理府北方対策本部関係予算についてその概要を御説明申し上げます。  初めに、沖縄開発庁関係予算について申し上げます。  昭和五十九年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち沖縄開発庁予算要求額は二千百六十三億七千三百六十七万九千円であり、これは前年度の予算額二千百六十四億一千六百七十四万円に対し、一〇〇・〇%となっております。  次に、予算要求額の主要な項目について御説明いたします。  第一に、沖縄開発庁に一括計上されております沖縄振興開発事業費は、総額一千九百七十一億五千二百二十二万一千円で、前年度予算額に対し九九・一%となっており、その内容は、来年度が第二次振興開発計画を軌道に乗せる上でも、また、昭和六十二年の国民体育大会開催準備を進める上でも重要な時期でありますので、特に公共事業関係費について、対前年度比九九・八%と全国九九・一%に比べかなり配慮したものとなっております。  この沖縄振興開発事業費の内訳といたしましては、ただいま申し上げました公共事業関係費として一千八百二十億五千四百万円、公立学校施設整備費等内容とする沖縄教育振興事業費として百四億八千三百万円、保健衛生施設等施設整備費等内容とする沖縄保健衛生等対策諸費として十二 億一千百万円、ウリミバエ等の根絶を目的とする植物防疫対策費等内容とする沖縄農業振興費として三十四億四百万円を計上しております。  これらの沖縄振興開発事業費予算につきましては、特に、(一)農林水産業振興基礎条件整備、(二)水資源開発等、(三)道路・港湾・空港等交通関係施設整備、(四)生活環境施設整備、(五)保健衛生対策促進等につきまして配意をいたしております。  第二に、これら当庁に一括計上される振興開発事業費以外の諸経費について申し上げます。  第一点は、沖縄における経済の振興及び社会の開発に必要な資金を融通するために設けられている沖縄振興開発金融公庫に対し、その業務の円滑な運営に資するための補給金として百十八億九千五百万円を計上しております。  なお、同公庫昭和五十九年度における貸付計画は一千二百億円、また、地場産業への出資計画は、四億円を予定しております。  第二点は、土地関係等事案に係る特別支出金不発弾等の処理、対馬丸遭難学童遺族給付経費等いわゆる沖縄の戦後処理問題の解決を図るために必要な経費として十九億一千六百万円を計上しております。  これらの経費を含め、沖縄開発庁一般行政経費等として、総額百九十二億二千百四十五万八千円を計上しております。  引き続き、昭和五十九年度の総理府所管北方対策本部関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  内容に入る前に、御了承願いたいのでありますが、本予算は五十九年七月から総務庁予算となりますので、予算書上は六月末までの現行組織による三カ月予算総務庁の九カ月予算に区分されておりますが、便宜上、通年予算説明させていただきます。  昭和五十九年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、北方関係予算要求額は十三億二千七百三十七万一千円であり、これは前年度の予算額十三億三千七百九十万円に対し、九九・二%となっております。  次に、予算要求額の主な内容について御説明いたします。  まず、北方対策本部に必要な経費は六千六百六万四千円であります。  また、北方領土問題対策に必要な経費は十二億六千百三十万七千円でありますが、その主な内容は、北方領土問題対策協会補助金四億五千六百三十四万二千円及び北方領土隣接地域振興等基金造成費補助金八億円であります。  北方領土問題対策協会補助金は、同協会に北方領土問題その他北方地域に関する諸問題について啓発宣伝等を行わせるに必要なもので、昭和五十九年度においては、特に、北方領土返還要求運動推進母体である県民会議の充実・強化を図るため、県民会議代表者全国会議を開き、広く意思統一を行って全国的な運動を推進する等のための経費を計上しております。  また、北方領土隣接地域振興等基金造成費補助金でありますが、これは昭和五十八年四月一日から施行された北方領土問題等解決促進のための特別措置に関する法律に基づき、北海道が設置した基金造成に対し、国がその一部を補助するための経費であります。  以上をもちまして、昭和五十九年度沖縄開発庁関係予算及び総理府北方対策本部関係予算説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いをいたします。
  6. 板垣正

    委員長板垣正君) 以上で説明は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 青木薪次

    青木薪次君 青木であります。  中西総務長官は非常に熱心な長官として、長官就任後早速沖縄を訪問されたと新聞報道されまして、私も部屋が隣でありますからその意味でも敬意を払っておるのでありますが、特に長官沖縄を訪問されて気づいた点、特に強烈な印象を持たれた点、その他今後に対して、今も予算説明があったわけでありますが、この予算上の点等について、特に配慮されたこと等について御答弁を願いたいと思うのであります。
  8. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 常々私もお隣におりまして尊敬申し上げておりますが、青木先生からお話がございましたように、例年ならば年末予算編成でございますが、ことしは一月の二十日過ぎの予算編成になりまして、そんな関係予算の前に沖縄を訪問することができまして大変有意義であったと喜んでおります。短時間ではございましたが、実情を拝見さしていただきました。地元の方々も沖縄振興開発については御熱心でおられますし、沖縄開発庁事務当局自身大変熱意を持って仕事をしておるという実感を抱くに至りまして特に感銘をしたのですが、わずか二泊の旅行でございましたが、ある意味では非常な愛着心を持つに至りました。これからもいろいろな努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。  活力ある県民づくりということで第二次振興開発計画が緒についたばかりでございますが、何よりも基地沖縄にあるというような特殊事情もございます。したがって、他府県とは程度の差と言える地域もなくはございませんが、全般的に申し上げて特殊な環境のもとにおられる。  いろいろな感想を持ちましたが、新しい技術が特に第一次産業で芽生え始めております。これは全国的な問題でもございますが、亜熱帯地域ということもございまして特殊な有利な条件もある。そのほか観光事業のこともございますし、また六十二年には国体の開催も予定されておる。いろいろな問題がある。なおさら、これは視野を広げてという問題になると思うのですけれども国際センターをつくるというようなこともございまして、未来に対して広い視野沖縄県の開発振興を図ることは決して不可能ではない。県当局の御努力も必要でございますし、我々自身もいろいろな意味合いで関心を持ってともに歩んでいくことが必要ではなかろうか、かように思いました。
  9. 青木薪次

    青木薪次君 私は選挙区にも全く関係がない沖縄北方問題を相当期間選んでいるということは、沖縄がやはり日本本土に対して第二次世界大戦のときも献身的な犠牲的役割を果たしたという、この重大な犠牲の上に今日の沖縄があるということ、そしてまた目立った産業基盤というものが確立されておらないということ、そういうような形の中でいろいろな歴史的、文化的な風土の上に成り立った今日の沖縄どいうものに対して、私たち日本の国全体の問題としてこの沖縄を将来ひとつ繁栄と福祉の上に成り立った平和な郷土とすべきである、こういう私の信念に基づいて私はこの沖縄北方問題の委員にみずから進んで就任をいたしておるわけでありますが、そういう立場から考えてまいりますと、今日沖縄の抱える最大の問題は私はやはり基地問題だというように考えておるわけでございます。  第二次振計の成立のときにも、あるいはまたこの延長の関係等についても、沖縄振興計画というものについて私ども努力をいたしてまいりました。その中に沖縄基地整理縮小返還跡地有効利用というものが、これが強調されなければならないというように考えております。確かに軍用地として土地を接収された地主の中にはいろいろな立場の人、いろいろな考えの人があるでありましょうけれども、これらを総じてさまざまな問題が発生をいたしておると思うのでありますが、その中に私は、このごろ新聞をにぎわしておりますところのグリーンベレーというような形のもの、これは特殊部隊ゲリラ部隊でありまするけれども、この沖縄配備の問題が出ておりますが、これに対して大臣はどんなふうにお考えになっておられますか。
  10. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 今般沖縄にその配備が開始されました特殊部隊グリーンベレーにつきましては、米軍はこれを抑止力というものを欠陥のないものにするという観点から配備を行ったものであるというふうに承知いたしております。
  11. 青木薪次

    青木薪次君 まあ表向きはそういう説明をいたしておるかもしれませんけれども、これは少数精鋭部隊落下傘等訓練もやる、しかも通称言われておりますのは、少数精鋭部隊をもって第三国の転覆も図るというようなことが国際的にも宣伝をされているわけでありますが、そういう点についてはどんなふうな理解をしておりますか。
  12. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 米陸軍特殊部隊、このグリーンベレーと称しまする部隊が、能力といたしまして、非通常戦、あるいはテロリストに対する作戦安全保障への支援、心理戦等々の多様な能力というものをも有していることは事実であると存じております。しかし、その部隊そのものの活動の内容ということに即して申し上げれば、特殊部隊グリーンベレーとは、そのいろいろの技術的な分野、例えば空挺、偵察、通信、火器の取り扱いといったものに高度の訓練を経た一種の専門的な能力の高い人から成る少数精鋭部隊というものである、そこに尽きるというふうに考えておるわけでございます。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 それから今沖縄の当面する問題についてちょっと一つずつ質問をいたしたいと思うのでありますが、時間がありませんからこのグリーンベレーの問題はまた後日に譲ります。  北部ダムとして四つのダムをつくったんですね、これも振興計画の大きな柱だと思うのであります。この場所アメリカ日本から提供している施設の中に入るわけです。ダムの本体はこれは返還をするけれども水面はひとつアメリカ軍に使用さしてくれというようなことがあるわけでありまして、しかもその内容は、渡河訓練をやる、それからヘリコプターによるところの消火訓練などをやるというように言われておるわけでありますが、この点についてはいかがですか。
  14. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 北部訓練場につきましては、これは米軍がみずからの訓練のために使用したい、その優先度の非常に高い区域であるというふうに承知いたしております。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 これは飲料水ですから非常に問題があると思うのです。したがって衛生上も問題がある。私は沖縄には時々お邪魔いたしましてそしていろいろなところを見さしてもらっておりますが、衛生上にも問題があると同時に、感情的に大変問題がある。もしもここでいろいろな作戦訓練有害物質なんか使った場合においては水面を使うし、渡河訓練などをやるわけでありますから、これがもう感情的にもとても耐えがたいということを現地の人は言っているんです。その点については、これは外務省答弁するというよりも私は長官答弁の方がいいと思うのですがね、長官外務省という立場よりも私はそういう立場がいいと思うのですが、外務省答弁なさいますか、こういう点について。
  16. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 事実関係に関するところがございますので、私から答弁をさしていただきたいと存じます。  今先生指摘のとおり、四ダムの貯水池は地位協定の第二条四項(b)の適用のある施設区域となるということではございますが、米側がそこで訓練を実施いたしまする場合には水中爆破は行わない、あるいは恒久の建造物の建設は禁止する、それから仮設建造物は使用後撤去される、汚染防止のために万全の措置を講ずるというようなことが昭和四十九年の合同委員会合意されておるわけでございます。このように私ども沖縄の水の問題、衛生の問題ということについては大変深い関心を有してはいるわけでございますけれども、今申し上げましたような合同委合意が存在するということについて一言言及さしていただいた次第でございます。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 特に、そのほかに那覇基地における自衛隊落下傘降下訓練計画もあるし、それから特に私がいろいろと心配いたしておりますのはACMIです。このACMIというのはこれは沖縄本島北東空域へのいわゆる空中戦闘技量評価装置、この設置問題は安全上の課題を残したまま昨年の十二月十六日に日米合同委員会で決まっているわけですね、この点についてはどういうふうに理解しておりますか。
  18. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 御指摘ACMI空域設置という点につきましては、基本的には現在も米側の提案を受けまして防衛施設庁において検討中の段階でございまして、まだ日米合同委員会合意を得たという段階には至っておりません。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 ACMIの機能上の問題についてはどんなふうに考えていますか。
  20. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 一般的に申し上げれば、ACMIF15パイロット練度向上維持のために必要不可欠のもので、そういうものとして米側において非常に優先度の高いプロジェクトとして日本側に提案されたものであるというふうに承知いたしております。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 これは今説明も若干ありましたけれども沖縄本島北東空域に徳之島の東の部分、特に北大東島、南大東島の北部に至る空域に対して設定をされているわけでありますが、このF15練度向上ということをうたっておりまするけれども、このことについてはちょうど皆さん沖縄へ行くときに必ずここを通らなければならない、民間航空機の航路として大変航空管制上も問題のある空域であります。ですから、F15練度向上ということについて硫黄島だとかいろいろ各地が候補に上ったわけでありまするけれども、結果としてここに一つ白羽の矢が上ってきているということについて、これは民間航空機管制官方にも物すごい反対が実は今もあるわけでありますが、こういう点については、これは日米安全保障条約があるから仕方がないのだ。ちょうど外務省の今の考え方を聞いていると、やはりその目的のためにはこれは設定やむなしという立場に立って、強力に運輸省やあるいはまた防衛庁も含む日本側アメリカ条約を盾にとって説得して押さえつけたというようなことが現地には伝わっております。  したがって、この点については外務省はどのような立場でこの危険な空域設定することについて了解し、または了解しつつあるか、具体的な項目について内容検討実施段階においてしているかという点について、現状とその従来までの態度について私は答弁をしていただきたいと思います。
  22. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 民間航空交通の安全の確保ということがこれが至上の要請であるということについては外務省日本政府の一員として全く同じ意見でございます。それは当然の前提でございます。他方、このACMIと申しまする戦技訓練評価装置設定空域、これは日本がその安全を依存しているところの米国のパイロット練度向上にとって非常に重要な訓練であるという説明米側から受けているわけでございます。そういうところを受けまして、現在ACMI空域につきましては日米関係当局間、施設庁等を中心にいたしまして検討中でございますが、まだ最終的な結論が出たというわけでございませんのは先ほど私が申し上げたとおりなんでございます。  いずれにいたしましても、米側がその要望しておりますACMI空域公海上に位絶するというふうに承知しております。したがって、私、法的に申し上げれば、この空域地位協定に基づいて施設区域として提供するものではない。我が国としては、先ほど申し上げましたような民間航空交通の安全ということを念頭に置いてその所要の調整が行われることを前提に、米軍当該空域訓練のために使用する、これを政府として認めるか否かというところ、これが問題の本質であるというふうに考えておるわけでございます。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 かつて盛岡上空雫石におして自衛隊機民間航空機が衝突いたしまして、私どもの静岡県の遺族会なんかは何百人も死んでしまった。私も長く運輸委員会に所属いたしておりまして、特に日本の空は過密の中の過密であるということで、当時の政府側答弁によれば、まず民間航空機優先という立場に立ってひとつこの空域設定をしようじゃないか、これは米軍であろうと自衛隊であろうとそれは問わないという話であったわけであります。  ですから、そういう点を考えまして、訓練空域というものについて再検討しようという空気が漂っており、しかもアメリカとしてはこんなに空のラッシュのこの空域設定する、すなわちここはホテルホテル水域及び空域ということになっているわけでございまして、ABCDEFと、このラインの中にさらに東方に向けて、公海上かもしれないし、その公海上の空かもしれないけれども、やはりこの点は大変な飛行ラッシュの箇所であるという点について、なぜほかに場所がないわけじゃないのだからノーと言えないのか、この点が初めから条約ありきということで日本航空機の安全とかその他の問題は、そのことを担保しないで、まず初めにアメリカとの話し合いがありきと。アメリカ航空機F15戦闘性練度向上があるということを考えて、こういったしか日米安保条約施設に関する協定区域にあるかもしれないけれども、そういう点を認める態度については納得できないという、こういう立場現地空気である。私は皆さんからの陳情も受けているわけでありますが、この点についてはやはり先に安保条約があるから仕方がない、こういう立場に立っておられるのかどうなのか、今後どういうようにこの問題についてひとつ話し合いをしていくのか、最終決定はまだしていないという先ほどの話もあるわけでありますが、その点についていかが考えますか。
  24. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 私先ほども答弁申し上げましたように、民間航空交通の安全ということはこれは至上課題でございます。問題は、それを前提として日本日本裁量権に基づいてどのようなことを米軍に容認するのかというところに帰着するわけでございまして、そこが問題の本質であるわけでございます。私ども立場からいたしますと、やはり日米安保条約の第五条において日本を守る義務を負うている米国、その中核の一つをなす米空軍のパイロットというものが戦技訓練向上のために訓練を行わなければいけないという必要性はこれまた理解できるところなのでございます。ちなみに、このACMI空域における訓練というものは実弾を一切使用するものではございません。一定の空域内において航空機航空機訓練を昼の間に高高度において実施するというのがその内容でございます。こういうことを踏まえまして、私どもといたしましては先ほども申し上げましたとおり、まず民間航空交通の安全の確保、これは絶対の要請である。そしてそれを前提として日本裁量権の範囲内において米軍にどのようなことを認めていくのかというところにその本質があるのだろうというふうに考えておるわけでございます。
  25. 青木薪次

    青木薪次君 将来の課題もさることながら、現、在嘉手納基地からACMI空域へのF15戦闘機のルートと、そして今の私が申し上げたように、民間航空機とのふくそう関係をどうするかという問題はこれは大前提としなきゃいけない。それからもう一つは、そういう中における安全をどう担保していくか。御承知のように、今沖縄の空は米軍訓練空域にあわせて自衛隊の飛行機も飛んでいるわけでありますから、まさに軍事空域でがんじがらめだと、新しくこの訓練空域を非常に精度のすばらしいものを持ってきて訓練するということについては大変問題があるんじゃないかというように考えているわけでありますが、この点については、あなたの答弁を聞いていると、安保条約第五条によって仕方がないのだ、こういう立場に立ってこれを推進するのかどうなのか、この点をひとつ確認したいと思います。
  26. 加藤良三

    説明員加藤良三君) これまで私が御答弁申し上げましたところをもう一度取りまとめて申し上げますと、民間航空交通の安全の確保ということはこれは至上の要請でございます。その枠内におきまして、またそれを前提といたしまして我が国は米軍にとって非常に優先度の高い課題であるところのACMI空域の設置ということ、これが双方にとってよく調整のとれた形で実現されるということが望ましいというふうに考えております。
  27. 青木薪次

    青木薪次君 ですから、ACMI設置に伴う現在漁業補償とか、あるいはまた諸問題処理の窓口となる防衛施設庁が今回一応空域については合意を見たわけでしょう。そうなりますと、それを先取りするような形でもって沖縄とか鹿児島などの漁業組合と関連水域の中において漁業の補償問題等について施設庁、外務省としては話に入っているんですよ。遅くとも六月までにはこれをひとつ日米合同委員会政府間の合意に持ち込みたい、こういうように私は聞いているんですよ。この点については確認してよろしゅうございますか。
  28. 大場昭

    説明員(大場昭君) 今、先生のおっしゃいましたとおり、現在ブイの設置につきまして関係機関とそれから関係各県の漁業関係者と調整中でございます。
  29. 青木薪次

    青木薪次君 ですから、調整中ということは、あなた方は意思を持って、単なる中へ入っていくというのじゃなくて意思を持って早く、六月ごろまでにひとつ合意を取りつけたいという立場で説得を含めて関係各団体と話し合い中である、こういうふうに確認していいのですね。
  30. 大場昭

    説明員(大場昭君) そのとおりでございます。
  31. 青木薪次

    青木薪次君 初めからそう言えばいいのですよ。何だか頑張って頑張って頑張っているんだけれども、安全問題を優先的にしながら将来ともひとつ政府としてはできるならば沖縄県の県民の立場に立ちたいという気持ちを持ちつつも、しかも条約があるので非常に悩んでいる、しかしまだ最終的に決めたわけじゃない、将来話し合いがあるというようなことじゃなくて、決めたい、ACMIを何とかひとつこの空域を設置したい、こういう意思が先立って話し合いをしながら説得に努めている、こういうように確認をいたしたいと思うのであります。  そうしますと、かつて日米の防衛の定期協議で元大村防衛庁長官が将来自衛隊がこの空域を使いたい、こういうことを言っているわけでありますが、この点はそういうふうに考えているんですか、自衛隊は。
  32. 上田秀明

    説明員(上田秀明君) お答えいたします。  ACMI、そういう訓練評価装置を自衛隊が使って訓練をするということが一般的に申し上げまして航空自衛隊練度向上に役立つ、こういうことは自衛隊側としてもそういう認識でございますけれども、今御指摘米軍訓練用に設置が検討されておられるこのACMI、具体的には沖縄周辺のACMIについてこれを自衛隊が使用するかどうか、あるいは使用さしていただくかどうかというようなことにつきましては具体的な計画はございません。
  33. 青木薪次

    青木薪次君 確認をしておきますが、先ほど外務省からも答弁があったし、今は防衛庁からも答弁があったわけでありますが、民間航空機の安全問題についてはこれは絶対的に担保する、このことをひとつ確認しておきますが、よろしゅうございますか。
  34. 小山昌夫

    説明員(小山昌夫君) お答えいたします。  先生からの御質問によりますと、過去——現在までに米軍と航空局との間でいろいろと経緯がございまして、それに対して私どもは御説明をまずいたしたいと思います。そしてその後で民間航空交通の安全問題についてお答えいたしたいと思います。  このACMIの問題につきまして最初に米側から提案のありましたのは昭和五十六年でございます。当初は沖縄の本島の北西方向の空域ACMIを設置したいというような要請がございました。航空局といたしましてはこれを慎重に検討いたしまして、その結果、民間航空交通の円滑な運航と安全に支障があるというようなことで米側に対しまして五十七年の八月にお断りいたしました。そして、この辺の空域は同意できない旨返答し、再考を求めた次第でございます。その後、日米両国間におきまして技術者レベルで再三再四検討いたしまして、五十八年の九月に再度防衛施設庁から航空局に対しましてこの問題の米側から新しい提案があったということの連絡がございました。その場所は、先生が御指摘になりましたホテルホテル、通称W173の空域の上方でございます。沖縄の本島の北東方向の空域でございます。 これにつきましても私ども十分検討いたしました結果、この新提案の通過する航空機は非常に数が少ないということと、当該空域と航空路との安全間隔の設定に十分間隔がある、さらにはレーダーの誘導のスペースも確保できる、そして最も重要である現在の航空交通の流れを一切変える必要がないというようなことを確信いたしましたので、これは民間航空交通に支障がないというぐあいに考えた次第でございます。そして昨年の十二月に一応技術的な検討を終了して、防衛施設庁へことしの一月その旨御連絡を申し上げました。  この安全問題につきましては、まず航空交通の流れが確保できるということと、さらにはやはり現在行っております最も安全と言われている航空交通の流れに支障を来さないという面がございますので、私どもはこれにつきまして十分に自信を持っておる次第でございます。さらに、先ほど御指摘のありました民間航空交通の流れと、また一、手納から当該空域の戦闘機の訓練に往復する米軍機との間の安全確保ということでございますが、これにつきましては、米軍側と特に経路だとか高度とかそういうものをある程度決めまして、そして安全を確保する、管制間隔を十分にとる、さらに十分にレーダーによる監視を行うというようなことで安全を確保するというぐあいに考えております。  さらに詳細の点につきましては、今後検討を進めまして、そして一層運航の安全に努めるつもりでございます。
  35. 青木薪次

    青木薪次君 例えば空域もそうでありますが、それから飛ぶ高低ですね、それらがエリアの関係で大変問題が起こっているし、沖縄の那覇空港あたりでも、これもやはり自衛隊との併設がされているわけでありますが、もう指呼の間に嘉手納基地があるというようなことでしょっちゅうニアミスのようなことが起こっている。そこへ新しくこのACMIをつくるわけでありますから、これは相当精度の強力なもので嘉手納基地にちゃんと管制のセンターをつくって、アメリカ本土との間に光ファイバーで通信をつないで、そして自衛隊との関係やその他についてやっているわけでありますが、まず先に、訓練第一、安全第二というようになることは私はわかっている。だからひとつこの点については厳しく、安全という問題を第一に持っていくように私は皆さん方を励ましている。追及しているんじゃない、励ましている。そういうことで、本来ならあそこにいる伊江先生がこれは質問しなきゃならぬ問題で、本当は私が何もやらなければならぬ問題じゃないが、与党とか野党の問題じゃないということで、大臣これはよろしゅうございますね。
  36. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 外務省あるいは運輸省防衛庁、それぞれ答弁がございました。帰するところは安全性の確保ということでございます。十分留意してまいるように心がけたいと思います。
  37. 青木薪次

    青木薪次君 この問題で若干時間をとって、余り時間がありませんが、日米間で返還合意のあった基地施設区域について、現在までに返還が実現したものの数と面積とその比率について説明をしていただきたいと思います。
  38. 大場昭

    説明員(大場昭君) 昭和四十八年一月の日米安全保障協議委員会第十四回会合、四十九年一月の第十五回会合、五十一年七月の第十六回会合において了承されました沖縄県における施設区域の整理統合計画は面積にして五千七百三十万平方メートルでございまして、そのうち約二千万平方メートルが返還され、その割合が三四・八%になっております。
  39. 青木薪次

    青木薪次君 私の資料によりますと、昭和五十七年三月末現在までに返還された面積は一千九百十七ヘクタールで、わずか三三・三%にすぎない。特に、移設の条件つき返還という問題があるんですね。いわゆる代替地をくれなければ返還しないぞという話ですね。この移設の条件つき返還施設返還達成率は二二・一%で、わずか二割、狭小な沖縄の中で移設先を見つけることがなかなか困難だ。移設先の候補が上がっても、地元との調整返還条件等でアメリカ軍との調整作業が極めて難しくて返還は暗礁に乗り上げた形になっていて困っているということが現地からの実は報告なんですけれども、そのように確認してよろしゅうございますか。
  40. 大場昭

    説明員(大場昭君) 現在、移設工事中のものもございますし、また移設先地の見込みが立たない、また土地所有者の意向もございまして、例えば伊江島補助飛行場のように、返還が、移設が困難であるというようなもの、それから土地所有者の意向がございましてなかなかそのような移設工事にも踏み切れないという嘉手納弾薬庫の一部、そういうものもございます。
  41. 青木薪次

    青木薪次君 この返還された面積は、返還軍用地跡地の現況調査によりますと、復帰前後を合わせて九千六百八十四ヘクタールで、公共事業の完了済みが一四%、公共事業等の実施中が一一%、計画中八%となっているわけでありまして、一方、個人や企業の利用状況が一六%、自衛隊施設として利用しているのが四%環境保全地区が三五%、そして現在未計画のままになっている遊休地が一二%も実はあるわけでありますが、これはこのように確認してよろしゅうございますか。
  42. 関通彰

    政府委員(関通彰君) ただいま先生指摘のとおりでございます。沖縄県が実施いたしました「返還跡地の利用状況」の調査結果によりますと、先生指摘のとおりでございます。
  43. 青木薪次

    青木薪次君 沖縄振興計画の中心は私はここに実はあると思うのであります。復帰後に間もなく策定されました沖縄振興開発計画は、軍用地については大規模かつ高密度に形成され、しかもその多くが地域開発上重要な本島中南部地域に存在しているわけです。沖縄市を中心とする中南部都市圏の形成に影響を与えているという状態なので、開発を進める上でできるだけ早期にその整理縮小を図る必要があるということが実は強調されております。御承知のように基地経済から将来脱却をしていく。そして沖縄県の皆さんは第二次振興計画にもありますように、公共事業等を優先としながら現地の農業、水産業、観光等をだんだんいわゆる産業基盤を拡大する、ここに私は問題があると思うのでありますけれども、跡地及び跡施設産業振興及び社会資本整備のために活用するということが、これがいわゆる命題です、課題です、基本的な課題です。  ですから、その基地整理縮小という問題については、沖縄県のこれはもう県民の命なんですから、そういう点について私はやはり今日もう少し政府としても熱心にひとつこの問題について基地整理縮小、跡地利用という問題に対して国の努力が必要だと私は考えているわけでありますが、そのために土地有効利用を図る地方公共団体等が実施する公共事業費について、先ほど大臣のお話によりますと、一〇〇%認められたということでありますけれども、そういうことを中心といたしまして、さらに財政措置を積極的に講博すべきときだと思うのでありますが、跡地利用基金計画というのが昭和五十一年ごろ実はできたんですよ。これが第二次振計で落とされてしまったんです。この点についてはどういうようにお考えになっていますか。
  44. 関通彰

    政府委員(関通彰君) 返還跡地の利用の促進につきましては、沖縄開発庁といたしましても鋭意努力を続けているところでございます。  具体的には市街地周辺におきましては、高率の国庫補助によります土地区画整理事業を実施いたしております。また、農地におきましては、土地改良事業を優先的に採択いたしまして、返還跡地が有効に利用できるように努力しているわけでございます。ちなみに、土地区画整理事業でございますと、沖縄は十分の九の高率の補助率を適用いたしております。また土地改良事業につきましては、県営の補助整備でございますと、沖縄の場合十分の七・五という大体本土の倍近い高率の補助率で事業を実施しているわけでございます。また、このほか土地区画整理事業を実施いたしまして、その中にできます学校とかあるいは道路とかの公共施設、ただいま先生指摘のありました公 共施設につきましても、先生御案内のように沖縄特別措置法によりまして十分の十あるいは十分の九という高率の補助率で公共施設整備を図っているところでございます。  現在実施いたしております土地区画整理事業は十六カ所でございます。中には既に完了したものもございますが、含めまして十六カ所でございまして、また土地改良事業を実施いたしておりますところが二十カ所でございます。これらの箇所で高率の補助率で事業を実施しているわけでございます。  ただいま先生指摘がございました基金のお話でございますが、ただいまも御答弁申し上げましたように、沖縄の場合、十分の九、十分の八という非常に高い補助率で事業を実施いたしておりますので、この特別措置があります間、これらの事業は推進できるものというぐあいに考えております。
  45. 青木薪次

    青木薪次君 先ほど中西長官が特に公共事業関係振興開発事業費ですか、一〇〇%にするために努力したと、その努力は私も認めます。ただ、長官振興開発事業費だって対前年比で〇・九%マイナスになっているのですよ。それから公共事業関係費についても振興計画発足後初めてマイナス〇・二%という予算になったわけです。これはほかがマイナスだから仕方がないのだということではなくて、沖縄は先ほど私が申し上げたように、いわゆる内地の公共事業を中心とする補助金やその他、そういった国全体の中で沖縄を認めるという、そういうフレームの中に第二次振計というものがあるというように解釈いたしておりますので、そういう立場に立って私はやはり沖縄振興計画を見ませんと、例えばこの計画を達成するために必要な財政の伸びということを考えなければいけない。沖縄をひとつ経済発展させるために伸び率を何%程度に将来見ていったらいいかというようなことについて、私は過去に六%の伸びを見たんですね。それが今日では計画が立てられないという状態になっているわけでありますけれども、厳しい財政環境というものはわかりますけれども、来年度以降も公共事業費の伸びを現在の情勢では期待できる情勢にないのでありますから、政府はこの点について第二次振計等を達成しようとするフレームについて最後にお聞きいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  46. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) ただいま御指摘のとおり、大変厳しい財政環境にあるわけでございます。  御案内のとおり、各種公共事業の長期計画などと同様に残念ながら沖縄振興開発計画もその影響を免れないところでございますが、私どもは五十九年度予算の中でも第二次振計の中の緊要な課題あるいは今御指摘のような重要な問題につきましては予算の配分を重点的に行っております。例を挙げて申し上げますと、今青木先生指摘土地区画整理事業につきましては、五十八年度に対しまして二二・三%増の三十七億八百万円を計上いたしておる次第でございます。全体が厳しい中でございますので、今申し上げましたように重要なものを重点的に取り上げていく、こういうことが現在における対応の方法であろうかと思いますが、なお今後とも一層の努力をしてまいりたい、かように考えております。
  47. 青木薪次

    青木薪次君 終わります。
  48. 中野明

    ○中野明君 私は、北方関係は同僚の藤原委員にお願いをして、沖縄関係について二点お尋ねをいたします。  まず、大臣の先ほどの概要説明にもありましたように、今、二次振計に入りまして、しかも六十二年の国体というものを目標にして着々と努力をされている沖縄でございますが、大臣も御承知のように、沖縄交通事情というものは大量輸送機関がないために大変な混雑をしております。特に那覇市は道路の整備がおくれて、私どももたびたび沖縄に参りますが、ラッシュ時にはどうしようもなくて、普通車で行っておると飛行機にも乗りおくれるというようなこともたびたびありまして、結局途中でタクシーに乗りかえて、バスレーンを走らなければいかぬというぐらいに大変な渋滞であります。それをカバーするために都市のモノレールということが計画されまして、大分進んでいるやに聞いておりますが、このモノレールの建設計画の概要と進捗状況を最初にお話しいただきたい。
  49. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) お話しのとおり、沖縄には鉄軌道がございません。陸上交通が主として自動車に依存しているわけでございますが、市街化の進展に伴いまして特に那覇都市圏の交通混雑は非常に著しいものがございます。那覇モノレールはこのような状況に対応するために企図されたものでございまして、昭和五十六年度から予算を計上いたしまして沖縄県及び那覇市においてモノレールの実施計画調査に着手しているわけでございます。  このモノレール計画の概要でございますが、那覇市赤嶺から汀良に至る延長約十一キロメートルのものでございまして、型式は跨座型のモノレールを考えております。なお計画路線につきましては現在那覇空港ターミナルにこれを接続するとの方針のもとに沖縄県等において検討を進めておりまして、空港接続部分を含めますと全延長は今申し上げました約十一キロメートルから約十四キロメートル程度になる見込みでございます。また、このモノレール道の建設費の総額はインフラ部とイソラ外部の合計におきまして五十七年度価格で約六百億円を見込んでおります。このほかに関連道路の整備費として約二百五十億円が必要とされています。  その進捗状況でございますが、五十六年度以降モノレール道の実施計画調査を継続実施するとともに、これに関連する道路の改築事業等について毎年重点的に予算を配分いたしましてその整備促進に努めてきたところでございます。現在モノレールの本体工事の着手に先立ちまして、沖縄県等において軌道法に基づく特許の申請及び都市計画決定等の諸手続につきまして準備を行っているところでございますが、事業の資金調達あるいはバス路線との調整等の問題も残されておりますので、これらの問題点について見通しをつけた上で本体工事に着手するよう県及び那覇市を指導しているところでございます。  なお申し忘れましたが、モノレール事業の経営主体といたしましては第三セクターとして沖縄都市モノレール株式会社が去る昭和五十七年九月二十二日に設立されているところでございます。
  50. 中野明

    ○中野明君 このモノレールは結局空港ターミナルから出発しないと私は意味がないと思うのですが、空港から出発するに当たりまして基地の中を通るという路線が最有力ということで、防衛庁の方からクレームがついているというようなことが報じられているんですが、その点、防衛庁の方はどういうことになっておりますか。
  51. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  沖縄県が交通網を整備いたしますためにモノレール計画を現在検討中でございまして、赤嶺駅から民航ターミナルに至る経路として現在陸上自衛隊が使用させていただいております那覇訓練場内を通過させたい旨、県から現地部隊及び施設局に説明がなされております。県の路線選定に当たりましては、交通の利便性とか経済性その他十分な検討を加えられてのことと存じますけれども、当庁の立場といたしましては、部隊運用上の観点からの意見もあるところでございまして、ただいまの時点では現地調整を図っている段階でございます。したがいまして、クレームをつけているということは少し当たらないと私ども考えております。今の時点では私ども防衛庁としての意見は特に差し控えさせていただきますけれども、今後円満な解決が図られますように柔軟な姿勢で対処してまいりたい、このように考えております。
  52. 中野明

    ○中野明君 そうすると何が何でも反対ということじゃないわけですね。県と路線も調整をして前向きに検討したい、こういう考えですか。
  53. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおりでございます。柔軟な姿勢で前向きに対処してまいりたいと思います。
  54. 中野明

    ○中野明君 これは国体に向かって何とか交通難の解消ということ。また、交通渋滞というのはやはり経済発展に大きな阻害になっております。長官現地にもたびたび行かれておるでしょうし、御承知のとおりですので、ぜひこれは早期に話し合い解決するように指導もしていただいて、そしてモノレールが一日も早く完成するように格段の御努力をお願いしたいと思うのですが、一言お答えをいただきたいと思います。
  55. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 当面いろいろな問題があるということも今応答の中でも出ました。そういったこと、それから、私、実は神戸出身でございまして、神戸にはモノレールがあります。この経営の問題、まあいろいろな問題があるんですが、そういったようなことも参考にしていただいて、第三セクターがうまく運用されていくということを期待いたしたいと思いますが、よく前向きに検討をしてまいりたいと思います。
  56. 中野明

    ○中野明君 それじゃ次の問題に移ります。  核抜き本土並みということで沖縄が本土に復帰したわけですが、いまだに二次振計に入りましたがなかなか、本土並みに近づいておるところもありますが、随分おくれているところもあります。その一つにテレビの見えないという、難視というのは私年来主張しておりますが、まず郵政省、沖縄県のテレビの見えない世帯数、難視世帯をNHKと民放と両方に分けて概況を説明してください。
  57. 村瀬龍児

    説明員(村瀬龍児君) お答え申し上げます。  NHKのテレビが見えない地域は南北大東島でございまして、約七百六十世帯ございます。民放の場合でございますと南北大東島に加えまして沖縄本島を除く島々、特に先島地域でございますが、約三万八千五百世帯ございます。
  58. 中野明

    ○中野明君 それで、NHKは今回放送衛星を打ち上げまして空から電波を送るわけですが、南北大東はこれでカバーできると思うのです。そしてその他の地域にも少し残っておるようですが一応カバーできるんじゃないかと思いますが、この南北大東の今回の放送衛星による受け方といいますか、カバーの仕方はどういうふうに考えておられますか。
  59. 村瀬龍児

    説明員(村瀬龍児君) 南北大東島につきましては現在までは中継回線がございませんし、また、非常に離れておりますので地上の放送波が届かなかったということで難視ということになっておりましたが、今回放送衛星二号が打ち上げられることによりまして衛星放送の受信が可能となるわけでございます。またかなりの世帯がまとまって存在をしておりますので、NHKといたしましては南大東島に衛星放送を受信する中継局をつくりまして、そこで衛星放送を受けまして、それをVHF帯に変換をいたしまして地上と同じ状態で受信できるようにするための中継局を現在建設中でございます。衛星放送が開始されます五月までには完成をする予定ということになっております。
  60. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、南北大東の人たちは現状のテレビで経費をかけずにそのまま見られる、こういうことですね。
  61. 村瀬龍児

    説明員(村瀬龍児君) 先生指摘のとおりでございます。ただ、受信料だけはお支払いいただくことになろうかと思います。
  62. 中野明

    ○中野明君 それはわかっておりますが、要するにチューナーとか、そういうものは一切なしで普通のテレビでそのまま受けられると、こういうことですね。
  63. 村瀬龍児

    説明員(村瀬龍児君) 衛星放送受信用の特別のアンテナとかチューナーは必要といたしません。現在の地上のVHF帯の私どもが東京で見ておりますテレビと同じ物で受けるわけでございます。
  64. 中野明

    ○中野明君 そこで大臣、今報告がありましたように、本島を除いて宮古、石垣、先島はもう全然民放は届いてないわけです。非常にテレビに対する関心というものは、これは今日テレビを離れて生活は考えられないというような時代に入っておるわけですが、特に民放も免許を受けて県域放送ということで鋭意努力をしているわけですが、いまだに復帰十年たって第二次に入っているわけなんですが、三万八千世帯の宮古、石垣、先島方面は全然届いていない、こういうことで沖縄のVTRですか、これの売れ行きが全国平均の三倍も売れているという、ダントツにVTRが沖縄では売れるということです。それは結局民放が届いていないという、苦しい生活の中からでも何とか人並みのものを吸収したい、こういう姿じゃないかと私は見ているわけでございますが、そういうことについて、これは民放ですから経営というものがその裏側にあることは私も認めますけれども、今日そんなに赤字であるとは私は思いませんし、何とか民放に努力をしてもらって、郵政省が免許更新のときにいろいろ指導をするんでしょうけれども、一日も早く先島方面にも民放の波が届くような、そういう努力が必要だろうと私は思います。  それにはやはりお金のかかることですので、いわゆる低利のお金を融資する沖縄振興開発金融公庫ですか、そういう方面から低利の資金を融資してでもやはりテレビが見えるように、県民の要望にこたえてやることが本土並みということにもなるんじゃないか、こう思うのですが、総務長行としてこの問題について今後のことを含めて御所見をお聞きしたいと思うのです。
  65. 関通彰

    政府委員(関通彰君) 沖縄開発庁で承知しております事情を簡単に要点だけ申し上げさしていただきますと、御指摘のように沖縄の民放二社、宮古、石垣と先島地区には放送が届いてないわけでございます。島民からは強い要望があることは私ども十分承知いたしております。ただ、放送が届きません大きな理由は、やはり先生指摘経費、経営の問題でございまして、何分にも距離が遠いところと、ケーブルの設置、それからその維持の経費の問題、また島での中継局の設置の問題等にかなりの経費がかかるというぐあいに考えられておりまして、これが最大のネックになりまして、テレビ局側からも具体的な事業計画が立てられないという状況にあるというぐあいに理解いたしております。沖縄の民放局、本土との回線にもかなりの経費がかかっておりまして、それもかなり経営を圧迫しているというぐあいに理解いたしております。ただ、新しいメディア等も開発されてまいりますので、私どもこの問題は引き続きできるだけ早く民放が先島でも放送できるような方法を私どもなりに努力をしたいというぐあいに考えている次第でございます。
  66. 中野明

    ○中野明君 今のお答え大体わかりますが、大臣に、結局先島——僻地へ行くほど経済的には苦しいわけです。そういう人たちが高いVTRなりあるいはCATVにお金を払ってまで苦労して求めたい、人並みに吸収したい、情報も知りたい、こういうことで非常な苦心をしているわけです。郵政省も免許更新のときにはそれなりの指導はしておられると思いますが、しかし経営が苦しいからということでほうっておったのではいつまでたっても話もつかないと思いますので、何かそのところを低利の資金を融資するなりしてでも努力をしよう、こういうような配慮が必要じゃないか。NHKはそれなりの努力を放送法の精神にのっとってしてきまして、やっと先島も長年かかって私どもも推進をしてきたわけですが、やはりもう十年たって二次振計にも入ろうというときですから、民放にも強力な要請というものが必要な時期じゃないか、このように思いますので、大臣の将来構想を含めた所信をお聞きして終わりたいと思います。
  67. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) お話の点、中継局をつくるのに十億円ぐらいかかるという話と、それから海底ケーブルの回線の運営、これは年間のことのようですが一社当たり二億二千万円ぐらいかかる、経営上の問題がもう当然民放二社にとっては出てくるわけでございます。その辺をどういうふうにするか、また民放二社が手を挙げて郵政省の方へ話を持ち出してくるのはいつなんだろうかというような問題も絡むわけでございますが、私どもとしましては住民の便益ということを考えますと、このままでいいとは思えません。二社、民放関係の会社とも連絡しながら、何かいい方法がないものか検討いたしたいと思います。
  68. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私、大臣にお伺いをいたしておきますが、大臣就任早々、ことしの一月十七日ですか、北方領土視察をなさいまして、北方領土返還運動の新しい展開を求めていかなければならないというような記者会見の御発言があったようでありますが、この大臣の御発言の中には、これから新しい展開というか、運動論、こういうものを何か示唆しているようにも思うのですけれども、実際に御視察なされて、またこういう御発言をなさったその真意といいますか、その辺ちょっとお伺いしておきたいと思うのですが。
  69. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) どういうふうに持っていくのが一番いいのか、外交上の問題でもございますし、大変難しいのですが、これはもう粘り強くやっていくということを瞬時といえども忘れてはいけない問題だと、民族的な非願でもあるというふうに痛感をいたしております。そして、三千四百万名を超える署名も集まってまいりました。四十二都道府県になりましたか、県民会議も結成されてまして、いよいよ盛り上がっておるように思っています。思わないことだったんですが、実は政府広報番組でない番組で、民放が北方領土の問題を取り上げておるというのをたまたま拝見したことがございます。だから、いろいろな角度でいろいろな人が考えてくださって、いろいろな著作物もどんどん出ているというような現状でございますが、そういったことを踏まえて、新しく考えられることは何かというのが私に与えられた課題でございますが、できれば国際的な理解をいろいろな角度から深めていくということもしなければならないのではないか、かように考えておるところでございます。
  70. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 当委員会では、私も十数年所属しておりまして、いろいろな角度から議論がありました。そういう中で、やはり国内的な啓蒙と国際的な啓蒙、そしてまた国際的にはこの現状というものを各国に対して知らしめる手だてというのは非常に薄いのじゃないかというようなことも随分議論になったこともございました。大臣現地をいち早く視察なさったという、こういうことで、新鮮なところでいろいろな発想があったのかもしれません。ぜひひとつ積極的にお取り組みをいただきたいと思うのです。  きょうは時間もございませんから一つ一つ申し上げることもできないのですが、次は、きょう予算の委嘱審査ということですから、予算のことにちょっと触れたいと思うのでありますが、北方関係予算要求、総理府関係でこれ十三億二千七百三十七万一千円ということですが、これは前年対比ですと九九・二%、〇・八%減になっているわけですね。この十三億かそこらの予算のところも、これは全体的にシーリングということで去年の予算編成大綱のときに出ていることはよく存じております。財政的にも大変だということですが、最も力を入れよう、しかも十三億か十四億——五十兆という大変な国家予算の中でわずかな運動費の予算がやはり同じように切られる、防衛費だけは大きく突出をして、こういう小さな予算が一律にやられるというのはどうも納得いきませんし、公共事業等につきましても、また北方領土問題等解決促進のための特別措置法、これによっていろいろな計画を立てているんですが、本当は地域振興のために新産とか工特と同じような扱いを受けるということですが、財政再建期間中はこれは据え置くということですから、そういうことを見ますと、こういう特別な扱いというのはでき得ないとしましても、わずかの予算の中でこの運動を展開しようという、しかも、今国論として盛り上がりつつある、総務長官おっしゃったとおりそういう中ですから、こういうのは前年比で一律に減らさなければならないというのはいかがか。総務長官もやはり予算折衝の中に実際お加わりになってこういう実態というのはよく御存じだと思いますけれども、大蔵省との折衝があるかもしれませんが、どういうお考えでこれは取り組まれたのか。少なくとも真っ先に北方領土へ行ってみようというぐらいの中西長官であるならば、この十三億かそこらの予算ならば何としても前年を下回るなどということのないような強い御意思があったんではないかと思うのですけれども、その辺どうでしょう。
  71. 橋本豊

    政府委員橋本豊君) この減額になっておりますのは例のマイナスシーリングの関係でございます。特に広報関係経費は統一査定で非常に厳しく査定が行われたわけでございますが、それでいきますと、一割減ならば四千五百万ぐらい落ちるところを一千万円程度でおさめたということで、これは非常に大臣にも頑張っていただきましたし、大蔵にも理解を得たところでございます。  それから、先生も御案内のように、北海道に対して補助金八億円を五十八年度から交付しておりますが、これはマイナスシーリングの中でございますけれども、最初から満額をつけていただいたということで大臣にも御尽力いただき、関係方面でもいろいろと御協力をいただいたということがございますので、この点ひとつ御理解いただければありがたいと思います。
  72. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 その十三億、その中の基金が八億というのですから、それは努力していないとは私言いませんけれども、あっちにもこっちにも聖域を設けるということになると大変なことかもしれませんけれども、十三億そこそこの予算の中で大臣の御努力もそれは多としますけれども、少なくともその中の基金が八億ということで、わずかな中で、そして今盛り上がりをつくっていこう、しかも国内だけじゃない、国際的な関係を持っているということでありますから、これはもう大臣、ことしは決まってしまって——決まったというわけじゃない、あすかあさって決まるらしいのですけれども、これをどうするというのは難しいことかもしれませんが、来年度につきましては、これは個々の問題については努力したということかもしれませんが、総枠として、ぜひ世論の盛り上がり、国際的な啓蒙運動というこういう観点からいたしまして、そしてまた十三億、十四億というわずかの金額の中でありますから、ぜひ前進さしていただいて、ここだけはひとつ聖域をつくってもらいたいものだこう思うのです。大臣、どうでしょう。
  73. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 概算要求が済んだ後、予算の閣議決定前に着任したものですから、前のやつを引き継いでしまったようなことになったんですけれども、お話を伺うまでもなく、できればもっとふやしたいものだなあと実は思っております。だから、ことしの概算要求前には皆さん方ともよく御相談しながら、もうこれでいこうというかたい決意のもとでの取り組みをやっていきたい、かように考えます。
  74. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今度は着任前というわけにいきませんからね。もう着任しているわけですからかかわり合いがずっと深くなるわけで、ぜひひとつ頑張っていただきたいと思います。  それで、北方領土問題等解決促進のための特別措置法、こういう法律までつくりまして、計画を立てて振興計画を策定する。しかし、実際計画を立てましても予算づけがなければならぬわけで、各省庁の予算、それを開発庁が統括しているということですが、これは言いたいことはいろいろあるんですが、一つは何といっても地元に住民が定着をし所得が上がる産業振興ということが大事だと思うのですけれども、まあ当地としましても、何としても農業、漁業、特に漁業ですね。世界三大漁場の一つと言われるりっぱな漁場があるわけです。政府でもこのための施策はいろいろ考えておるようですが、この地方は漁船漁業というよりも沿岸漁業の振興ということが非常に大事なことだろうと思います。そういうことで大規模増養殖場とか、こういうことで魚礁とかいろいろなことをやっておるわけですけれども、漁業振興、沿序漁業の増養殖の振興策、これは具体的にはいろいろなことをやっておるわけですが、ぜひひとつ、大臣一つ一つこの漁業振興策について御認識をいただいて、これの予算づけ、これは各省庁またがることかもしれません。特に漁業ということですから農林省だと思いますけれども、個々の産業の基盤、取も大事な漁業の振興ということにぜひひとつ力を入れていただきたい。そうでなければ、どんなに絵をかきましても、そこの振興がなければ地域の住民の所得の向上はございません。  しかも、ことしは非常な寒波で、今まで流氷なんか来なかったんですけれども、この辺は流氷で大変な被害を受けておる。これは実際もう少したってみないと被害の実態が明らかにはならないのかもしれませんけれども、漁業というのはやはり自然界の大きな影響を受ける。そういう中で悪戦苦闘しておる。二百海里時代を迎えまして非常に漁業も制約を受ける中でこの地域の人たちは頑張っているわけですから、こういう漁業振興、そしてまたことしの流氷被害、こういうこと等も勘案しまして特にひとつ力を入れていただきたいと思いますが、この被害の状況とか、それから今後の政策、これは予算やなんか見ていますから、ことし何するかというのは絶対わかりますけれども、特に大臣に強く強く要望しておきたいと思いますし、それから来年度の予算ではぜひひとつこれは大幅に振興できるように具体策を御検討いただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  75. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 技術的にいろいろ詰めなければいかぬ点もあると思いますが、先ほど政府番組でない民放での北方領土の問題について触れました。それで今先生の御質問で思い出したんですが、実は昆布協会がスポンサーでやっていました。  それで、昆布についての被害も若干あるということも聞いておりますが、確かにあの辺の沿岸の漁業をどうするかというのは大問題で最盛期には五万人ほどあそこで漁業に従事しておったといいますから、いきなりそこまではいかないまでも、前向きに漁業振興を十分に考えてまいりたいと思います。
  76. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 昔、千歳の昆布なんというのは、この部屋一回りするぐらいの立派な昆布がとれたんですよ。それを人工的にやろうということで、いろいろ技術的なことについても解決のめどもあるようであります。それから、民放をごらんになったということですが、それほど地域の人たちが真剣に取り組んでおるということです。それに対して行政がおくれをとるということではならぬだろうという、ぜひひとつ計画を立てましても、予算づけがなかなかうまくいかないということのために絵にかいたもちにならないような、あくまでも地元の産業に、一時的じゃなくて定着的に産業振興に結びつく、こういうことで御配慮いただきたいと思います。  それから、もう時間がありませんが、北方地域総合実態調査費というのが年間五百万から六百万ぐらいずっと四十七年からあって、いろいろ実態調査なさっておるようですが、これはお話を聞きましても、北方地域総合実態調査費ということで実態調査をしているということですが、何を調査をして、そしてまたこれの実態調査によってどういうことが明らかになったのか、今後またどういうことについて取り組もうとしているのか、これをちょっとお聞きして終わりたいと思います。
  77. 橋本豊

    政府委員橋本豊君) これは北方対策本部の方でいろいろな施策を実施するために必要な実態調査ということで、主として北方領土の元居住者の終戦時における人数、それから帰りましてどういうふうに生活しておられるか、それからその調査時点における元居住者の状況、そういうふうなものを中心に四十七年からずっと調査を続けてきているわけでございます。  これは今まで出ている資料などにも北方領土の元居住者の人数が一万六千人程度であったというふうなこともかなり出ておりますけれども、調査をやるたびに動きがございまして、昨年の二月現在では一万七千人をちょっと超えているというふうな数字が出ております。引き揚げが、北方領土がソ連に占領された中で脱出してきた人、それからその後樺太経由で強制的に送還されたというようなことがございまして、それで北海道に大体八割ぐらいの人が居住しておるんですけれども全国的にかなり広く散らばっているというようなことがございまして、なかなか実態がっかめないということで、その実態調査を常に追跡してやっておるということでございます。そのほかに北方領土元居住者の生活状況とか、あるいはときには考え方、意識の問題等も聞いたりして、その施策をどういうふうにやっていくかというふうなことでやっておるわけでございます。  もし必要でございましたら、後で年度ごとの事項をまた御説明させていただいてもよろしいです。
  78. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今後もやはりこういう形のものは続けるという……
  79. 橋本豊

    政府委員橋本豊君) はい。  それから、特別措置法ができておりますので、その特別措置法による施策を行うについて必要な実態調査も続けていきたいというふうに考えております。
  80. 市川正一

    市川正一君 私、冒頭に日米農産物交渉に関連して伺いたいのであります。  昨日、牛肉、オレンジなどの輸入自由化枠拡大について日米交渉の決着がついたと伝えられております。第二次沖縄振興開発計画でも沖縄の地理的、自然的条件を生かして肉用牛の飼育、ミカンやパインの栽培で意欲的な増産計画を立てております。しかし、今回の日米交渉の結果はこうした計画に重大な影響を与えることは明らかであります。中曽根総理は、交渉終了後の談話の中で関係者には心配をかけないようにする、こう言っておりますけれども政府はどういう措置をとるつもりなのか。  先ほど長官沖縄に行ったときの印象として、その有利な条件を生かして第一次産業振興を図ると、こうおっしゃいました。そこで長官として、この問題についての見解をまず伺いたい。
  81. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 御質問は、農産物の自由化問題との関係でこれと競合するような農産物をどうしていくのか、こういうところにあろうかと存じます。そういうことでお答えを申し上げます。  確かに御指摘のように、沖縄の農業の中には海外農産物との競合というものを余儀なくされている農産物がございます。例えば、今お話のパインがその一つの例でございますが、ただ、そのパインは地域によりまして、これは主として土壌条件等によるわけでございますが、その地域の基幹作目となっているというような事情もございまして、簡単にこの転作を図るということが容易でない、こういう状況もございます。ただ、今お話しのような情勢もございますので、私どもといたしましては今後は優良品種の導入、あるいは栽培技術の改善等を進めまして、パインにつきましても生産性の向上を図り、需要に見合った生産というものを心がけていかなければならないと考えておる次第でございます。  また、先ほど長官からお話がございましたように、第二次振興開発計画におきます沖縄農業の目標は、生産性の高い亜熱帯農業の確立ということでございますが、近年その例として冬から春にかけまして本土向けの出荷が著しく増大を示しておる野菜、花というような新しい分野がございまして、この生産出荷の増大は今後とも有望というぐあいに考えられておりまして、農業関係者も非常なこれは意欲を持っているところでございます。そういうことからいたしまして、私どもといたしましてはこうした新しい分野の伸長を助成するために、今後とも基盤整備あるいは諸条件整備というような面において一層の努力をしてまいるということがあるいは御質問の趣旨にもかなう方向ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  82. 市川正一

    市川正一君 そんな夢みたいな話をしてもらっては困るのですよ。農協の中央会は既に抗議の談話を発表しております。  例えば、今度妥結したオンンジの輸入量が、国内の伊予カン生産量に匹敵する十二万六千トンになるというふうに言われております。沖縄では温州ミカンを栽培しているんですが、温暖な気候を利用して本土産の端境期にこれを出荷している。しかし、これはまともにオレンジと今度は競合することになるんですね。そういう問題について一体どういうふうに沖縄の、いわば大事な産業を守っていくのかという問題なんです。  私、時間がないので今パインのことをおっしゃった、土壌の改良も決して容易でないということもおっしゃったわけでありますが、だとすればそれに対してやはり資金の援助だとか、あるいはこういうことをやると——中曽根総理は農業関係者に心配かけないと、こう言っているわけですが、それが単なるリップサービスではなしに、沖縄に対してもこうするというような基本的姿勢をこの際明らかにしていただきたいので、長官、ぜひその決意と所信を述べていただきたいと思います。
  83. 武政邦夫

    説明員(武政邦夫君) 先生先ほど御指摘のパイナップルのことでございますが、パイナップルにつきましては昨年七月に二十三条一項のガット提訴されまして、昨年の七月並びに九月と一応二回、先生がおっしゃられるように、沖縄におけるパイン産業の重要性というものを我が方も相手方に十分説明して、これまで推移してまいりました。  そういう意味からは、沖縄産業であるパイン産業が壊滅的な打撃をこうむらないように、いやしくも自由化などということにならないようにという努力をこれまで傾注しておりますし、実はこのパインにつきましては、昨日、アメリカ側で行われました農産物交渉の席では、私どもが承知している限りでは行われなかった、こう聞いております。それでこの問題は、さらに今月中に再交渉をするということになっております。その再交渉の席でも、先ほど沖縄開発庁の方からも御説明があったように、沖縄県におけるパインの非常な重要性というものを説明いたしまして、自由化はもちろん、沖縄県におけるパイン産業に大きな影響を与えないように、そういう努力をさらに傾注してまいりたい。また、その後、先生のおっしゃられた対策についても私ども考えてまいりたいと、こう考えております。
  84. 市川正一

    市川正一君 私は、沖縄県民はこの問題について非常に深刻な、同時にまた、非常に切実な関心を持っておると思うので、ひとつ長官頼みますよ。  時間がないので、次に私は那覇基地救難訓練問題について聞きたいのであります。農林関係の方、どうぞお引き取り願って結構です。  先般、沖縄自衛隊の南西航空混成団の防衛部長から那覇空港事務所の小川所長に対して、那覇基地自衛隊の救難降下訓練を月二回実施したい旨の話があったと伝えられております。この要請に対して小川事務所長は、現在の那覇空港の状況から総合的に考えて難しいと対応を表明しておられるんでありますが、一方では、庄子那覇基地司令は運輸省とダイヤの調整をしているというふうに言明しております。どういう調整をしているのか、運輸省からまずお聞きしたいと思います。
  85. 松浦道夫

    説明員(松浦道夫君) お答えいたします。  私ども那覇空港事務所からの連絡によりますと、この一月と三月の二回でございますが、現地の航空自衛隊の南西航空団というところから空港事務所の方に、那覇空港の隣にあります自衛隊基地の中でパラシュートからの降下訓練をしたいということで、その場合にどういう問題があるだろうかという問い合わせがあったという報告がございます。  なお、その詳細、具体的な内容までは聞いていないということでございますし、また、私どもから防衛本庁の方にその件につきまして御照会申し上げましたところ、具体的な計画はないというふうなお答えでございました。  以上のような状態でございます。
  86. 市川正一

    市川正一君 そうしますと、小川事務所長としては、現在の状況から総合的に考えてこれは難しいという見解を表明されているというふうに伺っているんですが、それは間違いございませんか。
  87. 松浦道夫

    説明員(松浦道夫君) 一般論として申し上げたというふうな話は聞いております。それは、那覇空港というのは、御承知のとおり、発着回数の比較的多い空港でございますのでただ、安全かどうかという確認をしますためには、具体的な飛行ルートでありますとか、時間帯でありますとか、そういうところを検討しませんといけませんが、やさしいものではない、そういうことを申し上げたと、それだけでございます。
  88. 市川正一

    市川正一君 今お話があったように、持ち出してきているこの訓練空域というのは運輸省が管理する那覇空港の那覇管制機関の飛行場管制圏内に入るわけでありますが、実は去年の夏、板垣委員長を初めとして私ども委員会も現地沖縄に視察に参りました。その際に、那覇空港が軍民供用であるがゆえに安全の点でも重大な問題があること、現に軍用機と民間機のニアミスが続出しているということ、こういう状況を一刻も早く解決すべきことがそのときにも最大の問題の一つになった、私、このように記憶しております。  そういう状況のもとで、さらに沖縄空港の飛行場管制圏内において自衛隊がパラシュート降下の救難訓練を行うというふうなことになれば、これはまさに民間航空の安全運航を維持する上で重大な支障になるということは明らかであります。  私は、この点で、運輸省が一般論として難しいとかいうことでなしに、実際問題としてこういうことはやはりできないという明確な態度をもって対応さるべきであるというふうに考えますが、そのために伺いたいのは、こういうふうな自衛隊及び米軍との共同使用で、しかも運輸省が管理し、飛行場の管理権を持っているところで自衛隊のパラシュート降下訓練を許しているような例が全国でほかにもありますか。私はないと思うのですが、いかがですか。
  89. 松浦道夫

    説明員(松浦道夫君) お答え申し上げます。  私どもの、運輸省の管理しております空港の中では、あと現在ございますのは新潟空港に一カ所ございます。それだけでございます。
  90. 市川正一

    市川正一君 新潟はやっていますか。
  91. 松浦道夫

    説明員(松浦道夫君) やっております。
  92. 市川正一

    市川正一君 これは改めて私どもも調べますが——なるほど、新潟ですね。  そこで伺いたいのですが、長官、こういうふうに沖縄の空、そのまたいわば入り口である那覇空港に自衛隊訓練を、こういう危険な状態をさらに上積みするというふうなことについては、長官としてはどういう御所見でございましょうか。
  93. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 航空路の安全ということは何よりも大事でございます。私、詳しくは知りませんが、自衛隊の方も民間航空の方もよく相談をして、絶対にそういうことがないように対処をしてくれるものであろうと確信をいたしております。
  94. 市川正一

    市川正一君 次に、私、ACMI訓練空域設置問題について伺いたい。先ほど同僚議員もこの問題を取り上げられました。これによって明白なことは、那覇空港と東京、大阪、福岡を結ぶ民間航空機が集中する航路に米軍訓練空域が今までよりもさらに接近するという問題であります。  そこで、ACMI訓練空域での訓練機は十数機がマッハ二以上で空中戦の模擬戦闘をやる。さっきは実弾を撃たないと外務省は言っておりましたけれども、実弾を撃ったらもっとこれはえらいことです。そういういわば空中戦の訓練をやる空域がそこから逸脱の可能性はないとお考えなんですか、政府は。その点、どうですか。運輸省でも結構です。
  95. 小山昌夫

    説明員(小山昌夫君) お答え申し上げます。  私どもがこの点につきまして米軍及び防衛施設庁からいろいろとお伺いしているところによりますと、このシステムは今までの訓練を行っているシステムと違いまして、最も精密な機械を使った、電波その他を使った施設でございまして、その辺の、逸脱するというようなことはないというぐあいに聞いております。
  96. 市川正一

    市川正一君 訓練空域の逸脱の可能性は今までよりもはるかに大きくなるんです。  私ここに持ってきたのは航空図でありますが、(資料を示す)この黒い部分が民間機の機影です。そしてこのオレンジ部分が今度新しく訓練空域にしようというところです。そして、先ほど同僚議員の御質問にもあったホテルホテル、W173の空域がここですね。ここも接近しているんです。いわば、ある意味ではオーバーラップしているん です。こういう空域訓練をやる。これでも支障はないとあえて断言されるんですか、運輸省は。
  97. 小山昌夫

    説明員(小山昌夫君) お答え申し上げます。  私たちも専門家といたしましてこの問題につきましては相当慎重に検討いたしました。そして、先ほどお答え申し上げましたように、当該空域の中を現在まで通過している航空機は、大体一日に一機か二機。したがいまして、その航空路とそれから当該空域、この間隔は約四十キロほどでございます。現在よりは一、二機、通過したところを狭くするために多少狭くなることは事実でございます。しかしながら、安全の支障に対しましてはないというぐあいに考えております。
  98. 市川正一

    市川正一君 先ほど来同僚議員の質問に対して政府側民間航空航路の安全確保は絶対至上の課遜であるというふうなことを何遍も繰り返しておる。しかし、それは口先だけじゃないですか。実際にはアメリカの言いなりになっておるぱしなくもその根源に日米安保条約があるんだということをさっき外務当局は言っておりました。  沖縄の空は今どうなっていますか。那覇空港の管制空域は、あなたも当事者なら御存じのように日本全国の空港と同じように半径九キロ、五マイル以内、高度九百メートル、すなわち三千フィート未満、これを航空法によって告示されています。そのとおりですね。ところが、実際には嘉手納飛行場及び那覇飛行場周辺のレーダー進入管理制権をアメリカに奪われている影響から那覇空港の飛行管制空域の高度は六百メートル、二千フィートに押さえられているじゃないですか。いわゆる嘉手納RAPCONでありますが、このことは運輸省確認できますね。
  99. 小山昌夫

    説明員(小山昌夫君) お答え申し上げます。  航空法上の管制圏というものはございますが、実際上運用するに当たっては管制区、進入管制区及び、管制圏、業務調整協定その他いろいろ取り決めによって制約されることもございます。
  100. 市川正一

    市川正一君 だから、結論として、いわば規制されているんですね。
  101. 小山昌夫

    説明員(小山昌夫君) 協定上取り決めによって規制されることもございます。
  102. 市川正一

    市川正一君 いや、ございますじゃなしに、今どうなっているんですかと言って那覇空港のことを聞いているんですよ。
  103. 小山昌夫

    説明員(小山昌夫君) 現在、協定によって取り決められて、制限されることに一部なっております。
  104. 市川正一

    市川正一君 要するに、現在形で言ってほしいのです。今、規制されているんですね。イエスかノーか。
  105. 小山昌夫

    説明員(小山昌夫君) 協定によってそのとおりでございます。
  106. 市川正一

    市川正一君 そこで私、今、嘉手納のRAPCONの存在を言いましたが、それに象徴されているように沖縄空域アメリカの占領下にあると言って決して過言じゃないのです。沖縄の空はまだ返還されておらぬのです。先ほどニアミスのことを申しましたけれども、那覇空港の管制官のアンケートによると、その四分の三が軍用機の管制指示違反などによるアメリカの軍用機が絡んでおるんです。  それでも、私は運輸省に聞きたいのです。外務省はさっきから何や言うとりました。しかし、日本の国民の、県民の命と安全を守る運輸省としてはこの沖縄の空の状態、このオレンジのこういうところをあなた方これで了解を取りつけた。国民に責任持てますか。私は、なおそれでも安全だと言い、なおそれでも強行すると言うのか、もう一度しかと確かめたい。
  107. 小山昌夫

    説明員(小山昌夫君) その空域につきましては、私ども管制技術者として安全だと確信しております。
  108. 市川正一

    市川正一君 私は、時間が参りましたので、こういう点で沖縄県民の安全、命を守る大事な分野の責任をお持ちの中西長官がぜひこの問題について検討していただき、総合的立場でよく御研究を賜ることを最後に強く要望いたしまして、所見を伺って私の質問を終わります。
  109. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 沖縄県当局とも意見の交換をし、運輸省防衛庁それぞれの実情も踏まえてよく検討させていただきます。
  110. 井上計

    井上計君 沖縄問題についていろいろと伺いたいと思いますが、時間がありませんから要点だけ申し上げますのでまた簡潔にお答えをいただければありがたいと、かように思います。  先ほど来同僚議員のいろいろの質問等がなされております。もちろん基地問題も重要であります。また自衛隊問題も重要であります。米軍訓練問題ももちろん重要であります。私はそれを否定するものではありませんけれども、ただ、現実には沖縄の県民所得が全国平均をはるかに下回っておるという事実、それで失業率が本土に比べて約倍であるという事実、これらをまずどう解決していくか、どのように解消していくかという問題を考えていかなければ沖縄の私はやはり県民の福祉とそれから幸せ、上活の安定はあり得ない、こういう観点から幾つかの提言をしてまいりたい、こういうように思います。  私は、復帰七、八年前から縁がありまして沖縄へ参りまして、特に沖縄の中小企業の高度化等について指導をしてまいりました。そういう関係で現在でも年に数回そのような個人的な用件で指導に行っておりますから、沖縄のいわば一般の人たちの声をかなり聞いておるつもりであります。  当委員会にも沖縄出身の先生方が数人おられますからこんなことを申し上げて失礼でありますけれども沖縄の人たちはどちらかというとなかなか遠慮がちであって自分たちの本当の考えていることを口に出して言わない、こういうふうな点がある、こう思います。一部の人はところが逆に声を大にして、針小棒大だとは言いませんけれども、非常に大きくまた叫ぶ人がある。だから、何か一般に伝えられておるのは、そういうふうな一部の人たちの声が大きく伝えられて大部分の人たちの声がなかなか一般に伝えられていない、本土の多くの人たちが理解していないというふうな面があるのではなかろうか、こう思いますから、まず第一番の要望でありますけれども、多くの人たちが何を考え、何を望んでおられるか、そういう問題を沖縄開発庁としてもぜひ今後とも重点的に取り上げていただきたい、これが第一点です。  そこで、幾つかの私提案をいたしたいと思いますが、何といっても沖縄振興開発に欠かぜないのは、やはりこれからまず観光の開発であろうと、こう思います。それからもう一つは、東南アジアの貿易をさらに今後考えていく場合に、沖縄のあの地理的な条件を生かして沖縄を東南アジアの貿易の基地にする、そういうふうな開発、この二つをぜひ考えていかなくちゃいかぬと思います。それがまた同時に我が国全体の国策に沿っておるのではなかろうかと、こう思いますけれども、この点については長官いかがお考えでありますか。
  111. 関通彰

    政府委員(関通彰君) 御指摘の観光の振興でございますが、沖縄の経済にとりまして観光は非常に大きな産業の一部門であることは御指摘のとおりでございます。  観光客の状況は、復帰後海洋博が終わりました後、昭和五十一年ごろは年間八十三万人まで落ち込んでおりましたが、大変順調に観光客が伸びてまいりまして、昭和五十六年には五十一年当時の倍以上の百九十三万人の観光客が年間に入っております。現地に落とします金が約二千億円というぐあいに、沖縄の経済に非常に大きな貢献をしてきたわけでございます。ただ、その後五十七、五十八とやや横ばいでございまして、昨年が百八十五万人、対前年比でマイナス〇・〇二、二%と、やや停滞ぎみであったのでございます。しかし、地元でも大変観光客の受け入れ態勢の整備には努力をいたしておりまして、昨年は沖縄本島及び石垣に大型のホテルがオープンするというような受け入れ態勢の整備も進んでおりまして、ことし一月の観光客は対前年比で七・二%と、久しぶりにかなり大幅に増加いたしております。二月も対前年比で四・六と、順調に伸びておりますので、今年の観光客は前年を上回る期待ができるのではないかというぐあいに考えておりまして、開 発庁といたしましても観光の受け入れ態勢の整備に関連いたします事業の推進にさらに努力したいというぐあいに考えておる次第でございます。  第二点の東南アジアヘの拠点としての産業振興という御指摘でございます。  もう御指摘のとおり、沖縄産業振興という見地から見ますと、本土市場から遠隔な地にあるという不利な条件でございますが、反面、東南アジアの玄関口であると、まあ有利な条件もございます。第一次振興開発計画におきましても、この点にも着目いたしまして、諸般の基盤の整備を進めてきたわけでございますが、何分にも復帰後の経済の激変ということもございまして、東南アジアの拠点としての産業の形成ということでは進展が見られなかったわけでございます。第二次振興計画におきましては、これまで十年間にわたりまして整備いたしてまいりました基盤を土台にいたしまして沖縄産業振興をさらに図っていくという計画にいたしておりますが、具体的には、例えば第二次振興計画の中で非常に重要なプロジェクトの一つであり、本年着手いたしました中城湾の開発計画というのがございます。中城湾の開発をいたしまして、後背地に工業基地を形成する。産業基地として、また流通の拠点として中城湾の整備を進めようという計画を進めているところでございます。地元では非常に長期的には、中城湾は東南アジアヘの流通の拠点港といたしまして、またその後背地の工業基地は東南アジアヘの流通拠点の産業振興の目玉として整備いたしたいというぐあいに考えておりまして、私どもも、やや長期的な話になりますが、そのような方向でさらに整備を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
  112. 井上計

    井上計君 今いろいろと振興開発についての御計画等、お話がありました。観光開発についても、確かにおっしゃるようにこの一、二月若干ふえておるようですが、またしかし全体の、日本からいろいろな海外へ出る観光客等の比率からいうとまだまだ少ない、もっとふやせる余地がある、方法があるというふうに思うのですが、それについて、これはお答え要りませんが、石垣島で東京あるいは大阪から直行できるような大型ジェット用の飛行場の確保、新設計画がある。ところが、それについて自然保護という面で随分と反対運動が起きておる。ところが、実際に私、三月初めでありますが、久々に石垣島へ行ってまいりましていろいろと聞きますと、石垣島の大部分の人たちはあの空港の新設拡張に賛成なんですね。そういうふうな人たちの声が余り大きくなくて、一部の反対者の声の方が非常に大きいというふうなことも聞いておりますし、それらについても今後の計画等進めていただくことについて、また大いにひとつ十分なる配慮をしていただきたい、かように思います。何といっても私は沖縄の観光開発が進めば、グアム島であるとか、あるいはハワイであるとかというふうなところへ出ていく人たちがもっともっと沖縄に観光に行くんではなかろうかというふうに思います。  それと関連をしますけれども、現在一般歳出から国鉄についての補助金が、これはもう数年来、年大体七、八千億円程度ずつなされておるわけであります。沖縄の人たちに言わせますと、この不満があるんですね。沖縄には国鉄は何にもない。沖縄の県民まで一般歳出からのそのような国鉄へのいわば補助についてやはりこれを負担する必要は全くないではないか。しかし、一歩譲って、それなら沖縄に対しては、航空運賃あるいは沖縄と本土との間の往復する船賃等々について少しでも沖縄の人たちの本土との交流が、あるいは本土からもっと沖縄に来る人がふえるようにそういう補助金を出してもいいではないかという大変素朴な声も実はあるわけですね、予算面からいってそう簡単なものではありませんけれども。まあこれらのことを考えながら、今後の観光開発をひとつ考えていく必要がある、こう思います。  それから、工場団地と工場建設等についてのお話がありました。先ほどちょっと申し上げましたけれども、東南アジアヘの輸出あるいは貿易基地とするという方法の一つですが、専売公社が五十九年度以降東南アジア向けにたばこの輸出量をうんと拡大をする、増大をする、こういうふうな計画があるやに聞いておるんですが、あるとすれば、私は沖縄にありますところの専売公社の工場を、かなりやはり老朽化しておるようですから、これを拡大をして、拡張をして、東南アジア向けのたばこの輸出、これについての沖縄をもっともっとその中心基地にする、こういうことも必要ではなかろうかと思いますが、これらの計画等について開発庁御承知であればまたお答えをいただきたいと、こう思います。それでもう一つ、ついでに申し上げます。  そこで、この工場等の誘致の問題であります。本土から特に先端産業等についての誘致も考えられておるようでありますが、これにはいろいろな悪条件があるんですね、沖縄という土地からいって。この悪条件一つが、沖縄は大変塩害、潮風の害が非常に多いのです。そのために、建築物の構造等についてはやはりかなり特殊な構造をしなければいけません。それから、どんな特殊な構造をしても機械、特に工作機械、精密機械等については塩害のための消耗が非常に激しいのです。だから、本土も沖縄も同じ機械の耐用年数であることについては私は適当でないと、前からそう思っておるんですが、沖縄は特例によって沖縄での工場、特に本土から沖縄へ行く工場等についての建物、あるいは沖縄の現在の企業を含めてのそのような機械の耐用年数の特例短縮というふうなものをぜひ大蔵省に働きかけをしてそういうふうなことを実現をしたらどうかと、こう思いますが、これらについてどうお考えか。  まあ、沖縄問題については以上でありますから、ひとつ簡単にお答えをいただければ結構であります。あと、北方問題について若干質問をまだしたいと思っておりますから、まとめて提言とお尋ねをしておきます。
  113. 関通彰

    政府委員(関通彰君) 第一点のたばこの問題でございますが、沖縄には専売公社のたばこ工場がございまして、沖縄特有の銘柄の「ハイトーン」等の生産をいたしております。専売公社は民営化の問題がございまして、民営化いたしましてもこれらの工場はもちろん引き続き従来の銘柄の生産を続けるというぐあいに私ども伺っておりますが、ただ、海外輸出の問題につきましては、専売公社はことしの四月から新たに海外部門を別に会社をつくられまして、日本たばこインターナショナルというところで担当されるというぐあいに伺っております。また、具体的にその東南アジア向けの生産をするかどうかというところまでは私ども承知いたしておりません。  それから第二点の、機械の償却の問題でございますが、沖縄は非常に特殊な事情がございまして、実は沖縄振興開発特別措置法で機械の特別償却制度を盛り込んでおります。あるいは先生御案内かと存じますが、工業開発地区内の工場につきましては、優遇措置といたしまして工作機械については三分の一の特別償却制度がございます。通常の償却のほかに三分の一の特別償却ができるわけでございます。現にこの償却制度が適用されまして特別償却が行われているわけでございます。三分の一でございますので、かなり高率の特別償却というぐあいに申し上げられるかと存じます。これは塩害特別ということではございませんで、沖縄の諸般の特殊事情に対する特別措置ということでございます。  もう一点私ども承知しておりますのは、今年度から通産省が、特に塩害防止設備につきましての補助金制度を新たに設置されたそうでございます。まだ沖縄に適用例がございませんが、できるだけこの制度の活用も図りたいと思いますが、税制につきましては、先ほど申しました三分の一の特別償却制度がございますので、これへのさらに上乗せは困難かと存じますが、既存の制度が有効に活用できるように、私どもさらに努力したいと思っております。
  114. 井上計

    井上計君 特別償却制度については私も承知しておりますが、沖縄は本土で十年耐用年数がある 機械が大体五年です、沖縄の寿命は。そういう意味で、三分の一は適当でないというのが一つ。もう一つは、初年度特別償却の三分の一は、あくまでもこれは税の繰り延べですからね。だから、若干あることはあるんですけれども、それが実際にそれほどメリットがあるかというと、いささかどうであろうかという面もありますから、なおまたひとつ御検討ください。  また、専売公社のことについてもひとつお調べをいただいて、積極的にそういうようなことを進めていくようにぜひ長官にもお願いをしておきます。  それじゃ次に、北方問題についてお伺いいたしますが、返還要求運動の啓蒙について、先ほど長官からごあいさつの中にありましたけれども、見ますと、北方領土問題対策協会に対する補助金として四億五千六百万円が支出されることになっておりますけれども、聞きますと、北海道で、新年度といいますか、この八月か九月ごろに、小学校の五年生と中学校の二年生用の副読本ですか、何かに北方四島返還のことについてのものを発行する、それについての補助金をこれからもらうことになっておるというふうなことをちょっと聞きましたけれども、それがどういうものであるのか。あるとすると補助金の金額、それからもう一つはその部数、おわかりならひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  115. 橋本豊

    政府委員橋本豊君) 先ほど先生がおっしゃいました根室の方で副読本を出すというのは、従来現地特別対策費という形で出していたものであろうと思います。  ただ、昨年度、五十八年度から例の北方特別措置法ができまして、基金が積まれて、その中には、北海道内における啓発というものも基金の対象事業になっておりますので、今後はその部分が少し整理をされて新しい形になるかもしれませんが、今出るというのは、今年度出るということでございますれば、従来の経緯から若干経費が振り分けられるかもしれません。ちょっと細かいことはこの場でわかりませんので、また後ほど御説明さしていただきたいと思います。
  116. 井上計

    井上計君 先日、北海道から知事を初め、例の請願に見えましたときに伺いましたら、従来出しておるんです、若干ね。余り効果がないというふうなことを指摘しましたら、新年度は補助金をいただくことになりましたので、小学校五年用と中学校二年用に出しますと、こういうことでありましたから伺ったんですが、じゃ一度またお調べください。  そこで、私は副読本も結構でありますけれども、やはり何といっても、問題は北方四島が不法に占領されて駆るという事実、これが国民の中にまだまだ浸透していないのですね。浸透していない理由はどこに原因があるかといいますと、まず一つは、やはり学校の教科書にある。  私は、しばしば当院の決算委員会でも言っておりますけれども、あるいは予算委員会でも昨年言ったことがありますが、まず、小学校、中学校、高校の教科書をずっと見ましても、北方四島が不法に占領されておると、こう記述されておるのは一つしかないのですね。あとは不法という文字は全くされていないわけですね。それから、なぜ北方四島が占領されておるのかという占領の事実記載が全くないわけですね。八月十七日以降樺太から千島列島、北方四島と、最終的に九月の三日北方四島が武力で占領されたわけです。ということは戦後占領されておる。こういう事実が、実は教科書にもどこにもないのです。マスコミもほとんど書かないのですね。だから、国民の中には、北方四島の返還運動をすることはいたずらにソ連との間に対決機運をさらにあおるばかりだからやめたらどうだという声もあることも事実なんですね、そういう認識がないですから。だから、そういう啓蒙をもっとしていかなければいかぬ、こう思うのです。今ここで私は教科書問題にとやかくは言いませんけれども、それをまず考えていかなくちゃいかぬ。だから、北方四島がいかに不法に占領されておるかという事実を国民にもっともっと知らしていかなければいかぬ、こう思います。中には合法だという人もあるんですね、というのは、日本はサンフランシスコ条約で北方あるいは千島列島を放棄したではないか、放棄したから日本返還運動の権利がないという人もあるわけです。確かに千島列島は放棄しました。しかし、放棄したけれども、千島列島をソ連の領有と認めるということとは全く違うわけですね。そういうことについても、私はぜひ啓蒙をもっともっとしていかなくちゃいかぬ、こう思います。  時間が実は来たので、あといろいろあるんですが、そういうことについて、北方四島が不法に占領されておることがいかにこうであるかというふうな事実をもっと国民に知らす。さらに、北方四島が返還されると、先ほど同僚議員からも質問の中にありましたが、世界で有名な漁場でありますから、国内の魚の値段等が大変安くなるとか、そういうふうなことをもっともっと知らすことによって、国民に北方四島返還のいろんな機運がさらに高まるであろう、これは要望しておきます。  それからもう一つ提案でありますが、わずか四億円程度しか北方四島の返還についての予算がないわけです。お金がないからやむを得ぬと思いますけれども、そこで、これは、ある団体からこういう実は提案を持ち込まれておるんですが、先般中曽根総理の提唱で緑の運動をするために緑の宝くじというのが何かつくられたと聞きました。同じように、北方四島返還の宝くじをひとつ発行したらどうか、二月七日の北方領土の日ですか、そのときを中心として全国民に知ってもらうために、北方四島返還宝くじ、これらのものをひとつ発行したらどうだという実はアイデアを持ち込まれておるんですが、ぜひ御検討いただきたいと、こう思います。  時間が過ぎましたから以上で質問を終わります。お答えいただければ大変結構ですが、まあ御検討いただければそれで結構であります。  以上で終わります。
  117. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 第二次振計が名実ともに実っていくためには、私は二つの大きな柱があると思っております。  それは、振興開発事業費の中身、それから振興開発金融公庫の中身、この二つが車の両輪としてスムーズに走ることによって第二次振計が名実ともに実っていくと、こう思うのです。  そこで、私、先ほど来長官のこれを見まして、文章表現というのは政治的配慮から考えるとするならわからぬわけではないけれども、少なくとも数字に対してはひとつ厳粛なごまかしのないようにとらえてもらわぬといけない。これはすべてに通ずる私は原点であると思っておりますので申し上げたい。それは何を指摘したいかといいますと、開発予算要求額は二千百六十三億七千三百六十七万九千円、そして、これは前年度予算額の二千百六十四億一千六百七十四万円云々と、一〇〇%となっておりますけれどもね。マイナス四千三百万の減でありましょう。同額であるならば一〇〇の数字が生まれるわけですがね、四千三百万減ですよ。こういうことはありのままに述べてもらわぬといけないということを申し上げておきたいと思うのでありますが、そこで、開発事業費、時間がありませんから詳しい数字は申し上げませんが、開発事業費も十八億二千六百万の減になっておりますね。それから、開発金融公庫も百五十億の減になっておる。その減額の理由が何であるのか、そして五十九年度資金の需給の見通しは一体これで大丈夫であるのかということも実は一問一答したいのですけれども、きょうはそういうわけにまいりませんので、問題として一応投げておきたいと思います。  そこで、資金別に見ますというと、住宅資金を除き他の資金枠はすべて減額になっておりますね。ところが豊かな沖縄の県づくり、そして活力ある沖縄の県づくりということがよく言われておる。またうたわれておるにもかかわらず、その活力の源泉になるのは、何と申しましても中小企業資金、生業資金のこの中身が活力につながるものだと私は確信いたしております。ところが、その面から三百九十五億が、これは現年度三百五十億 になっておるわけですね、減じておる。それで十分一体対応できるのかどうか、四十五億の減になっておりますね、八八・六%ですか、四十五億の減になっております。これで本当に名実ともにおっしゃったこととその中身が裏腹にならぬでスムーズに実っていくかどうかということを私は疑問を持つのであります。  次にもう一つ沖縄地場産業を育成していくという面から非常に重要な費目がございますが、それは出資出資の項目ですね。出資に四億円計上されておりますね。これは沖縄の平和経済開発地場産業の育成面から大きな活力になるわけなんです。そこで、五十九年の出資計画も四億打ち出されておる。その出資計画はどのようになっておるのかということを聞きたいのです。その前に、五十六、五十七、五十八、三年間で十二億の承認が得られておるわけなんですね。ところが、それがまことに遺憾なことに、十二億認められておりながら、それが繰り越されておる。そうしますと、出資対象の企業が沖縄にはないのであるかどうか。その点から、積極的な出資のその趣旨を啓蒙啓発、あるいは努力をしていただいて、それが活用されることにつながらなければ、これはまた絵にかいたもちにしかならないはずであります。  そこで次に、私がどうしても頑張ってもらわなければいけないと思うことが、今年度の事業実績を大づかみで見た場合に、二〇%以上の予算が未消化になっておりますね。貸付予算千三百五十億の予算化が千六十七億しか消化見通しがついておらぬ。まことに遺憾なことであります。  そこで私は、こういうふうに、金庫の中にはありながら、なぜそれが流れていかないのか、活用されないかということは、いろんな点から究明しなければいかぬと思うのですが、きょうはその時間もございませんので、ちょうど、私が疑問を持っておったのは、予算はあるけれども、借り入れる手続がうるさくて、借りたいけれども、余りにもうるさい手続があるので、それが寝かされておるのか、こういうことも疑問を持っておったところへ、岩瀬公庫理事長、新しくおかわりになった理事長が現地でこういうことを述べておられますね。研究開発型企業に対して沖縄の若者は意欲ある若者が非常に多いことを自分は知った。そういうことであるので、豊富な産業開発資金を振り向ける考えを持っておる。積極的にそこに目を向けていきたい。ところが、次にこうおっしゃっているんです、資金借り入れの手続が面倒でわかりにくいとの声が大分あるということを自分は知ったと、こういうことなんです。  どうか、本当に活力ある豊かな沖縄づくりにつなぐ、名実ともに実っていく予算でなければ、私は、また絵にかいたもちにしかならない。せっかくとってもまた繰り越し、あるいは流す。ところが、その必要がないのであるかということになると、大いに必要があるわけなんで、それを当局の立場からもしっかり再検討してもらって、再確認してもらって、そして啓蒙啓発していただく、あるいはまた現地の若者たちもそういう意欲を十分持っておるということを御理解願って、それが完全につなぎとめることができるようにしていただきたいということを、まず私は、予算のきょうの長官の御説明を順を追うて聞きながら、そして私がそれを今申し上げたとおりにまとめてあるわけでありますが、そのことに対して、もう一問一答する時間がございませんので、今申し上げたことに対する長官の御見解と、それから出資の四億に対する沖縄には出資する有望な企業がないのであるかどうか。あるけれども寝ておるんだということになるのであるか。その点についてお答え願いたいと思います。
  118. 関通彰

    政府委員(関通彰君) 御指摘のございました最初の、開発庁の予算総額が一〇〇・〇の件でございますが、これは計算いたしますと九九・九八%になりまして、四捨五入しまして一〇〇・〇と表示したものでございます。御理解いただきたいと存じます。  それから、公庫関連の御指摘でございますが、まず、事業計画で五十九年度の融資の総額が前年度予算に比べて減っているという御指摘でございます。これは実は、一にかかりまして五十八年度千三百五十億の融資を用意いたしたのでございますが、実際の融資の見込みが、先生もおっしゃいました千六十七億で、かなり下回るわけでございます。実は沖縄産業振興のために私どもも、融資額が不足するというようなことはございませんように、十分融資額を財政部にもお願いいたしまして確保いたしているんでございますが、ここ三、四年の推移を見ますと、どうしてもやはり実際の融資額は千百億円前後でございます。余分の資金を持ちますと、それだけ利子も払わなければなりませんし、公庫の財政を圧迫いたしますので、私ども、これまでの数年にわたります融資実績、それから、今後さらに産業振興のために資金ショートはしないようにということを勘案いたしまして、千二百億の事業計画を決定した次第でございます。  特に御指摘のございました、中小企業資金が減っているということへの御懸念でございますが、本年度、中小企業資金として用意いたしましたのが三百九十五億でございますが、本年度の実績見込みが二百八十五億で、これを百億下回る見込みでございます。さらに有効活用を図ってもらうということも考えまして、実績よりは六十五億上乗せいたしました三百五十億の資金を用意いたしておりますが、私ども、十分これで資金需要にはこたえられるというぐあいに考えております。  関連して申し上げますが、もっと有効利用を図るように努力しろという御指摘でございます。私どもも、せっかく用意いたしました資金は十二分に活用していただきたいということでいろいろ努力をしているつもりでございます。  例えば、公庫は直接支店を余りたくさん持っておりませんものですから、地元の琉球銀行、沖縄銀行等の窓口を通しまして、できるだけ一般の方々が利用できやすいようにいわゆる委託業務をいたしておりますが、貸付実績の半数近くが現在民間の窓口を通っております。それから、特に中小企業の資金を私ども産業振興のためにもっと活用してもらいたいということで、地元の中小企業団体等の意見も聞きながら努力いたしておりますが、特別な、有利な制度もつくっておりますので、これを中小企業団体のいろいろな夜間の会合なんかにも公庫の職員を差し向けまして、制度の説明をするというような努力もいたしております。  昨年、特に融資が下回りましたのは、沖縄の経済がやや停滞いたしておりまして、資全篇要がやや落ちていたということもあろうかと存じますが、昨年の暮れからことしの初めにかけ面して、はっきりした上向きの傾向も出てきておりますので、私ども、五十九年度は用意いたしました資金が十二分に活用できるようにさらに努力したいというぐあいに考えております。  それから出資でございますが、沖縄公庫は、昭和五十二年度から新たに出資をする機能というのを付与されまして、これまでに五社に対しまして四億三千万円の出資をいたしております。五十九年度も四億の資金を用意いたしておりまして、地元の新しい会社を設立して事業を興したいという対象企業に対しまして出資をいたすつもりでございますが、何分にも新たに事業を興すという事業でございますので、端的に申し上げまして、お話は私どももいろいろ伺っております、そして産業振興のためにできるだけその事業を興すように、私どもも諸般の努力をいたしますが、やはり具体的に会社を設立して事業を興すというのはかなり限定してまいりまして、結果的には、これまで五十三年以降五社の出資にとどまっているということでございます。昨年は宮古の食肉センターに出資をいたしておりますが、五十九年度も、対象事業、私ども産業振興の見地からも、さらに出資の実績が上がるように努力したいというぐあいに考えております。
  119. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間も差し迫ってまいりましたので、もう一つお尋ねいたします。御検討お願い したいことがあります。  沖縄の農業生産を上げていくために、どうしても再生産意欲を、そして希望の持てる、こういった基本的な姿勢から、沖縄における特殊病害虫、この問題がどうしても重視されなければいけない。そこで、その面から開発庁と、それから林野庁、防衛施設庁環境庁に簡潔に次のようにまとめて答えていただきたい。  まず、その前に何を私は皆さんにお聞きしたいかといいますと、その特殊病害虫の中で特に開発庁につながるのはウリミバエの問題、それから林野庁と防衛施設庁環境庁に対しては、実は今沖縄で非常に大きな問題となっております松くい虫の空中散布のことで、野鳥の会の皆さんからもぜひ、昆虫が死滅するから、それから世界的な学界に貢献するところの沖縄独特の生物がたくさんおる、詳しくは申し上げられませんが、そういった保護の面からも空中散布をやめてほしい、こういうことでこのように現地の新聞でも非常に大きく取り上げられておる問題であります。そこで問題点は、それぞれのお立場から被害の状況をどのようにとらえておられるのか、それに対する対策はどう持っておられるのか、そしてそれに対する実施方法、この項目にまとめて簡潔に答えていただきたい。以上要望申し上げて、私の時間はもうないと思いますので、お答え願って終わりたいと思います。
  120. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 沖縄の農業振興を図る上でウリミバエ、ミカンコミバエ等の特殊病害虫の防除が重要であることは、御指摘のとおりでございます。主要病害虫のうち、まずウリミバエにつきましては、被害軽減のための薬剤散布による防除を実施するとともに、五十三年に久米島において根絶に成功いたしました不妊化虫放飼法により沖縄県全域の防除を目標にその根絶を図っているところでございまして、五十九年度からは宮古群島について事業を開始することとし、その後沖縄群島、八重山群島の順に計画的に防除を進め、できるだけ早期に根絶を期したいと考えております。  この計画推進のため五十九年度予算におきましては、マイナスシーリングのもとではございましたが、植物防疫対策経費につきましては対前年比八・五%増の十一億四千四百万円を計上いたしまして、最も重点的に配慮をいたしたところでございます。
  121. 原喜一郎

    説明員(原喜一郎君) 沖縄県におきましては、先生御案内のように、大変台風等の被害が受けやすいということでございまして、森林の保全というのは大変重要なわけでありますが、特に民有林におきましては、この面積の約二割がリュウキュウマツで占められております。したがいまして、このリュウキュウマッの保全というのは沖縄県におきます非常に重要な関心事でございますけれども、これが昭和四十八年に約一千立方の被害を受けております。その後やや減少の傾向にあったわけでありますけれども昭和五十五年度以降、特に夏の高温でしかも雨が少ないということで、これは松くい虫の繁殖にとりまして大変都合のいいと申しますか、そういう条件にあるわけでございますが、したがいまして、五十七年度には約一万六千九百立方の被害が出ている、こういうふうなことでございます。まだ五十八年度につきましては、県の方で詳細取りまとめ中でございますけれども、五十七年度の一割減の大体一万五千立方程度になるんではないかというふうな報告を受けているわけであります。  これに対します対策につきましては、特に本島の中央部と申しますか、中心に発生しておりますので、これ以上松くい虫をこの地域以外には蔓延させないというふうなことで、これまでも被害木につきましては伐倒したものをさらに焼却するというふうな特別伐倒駆除と申しておるわけでございますけれども、そういうふうな措置を講じたわけでございますが、昭和五十八年度からはこれらの措置に加えまして、被害の拡大を何とか防止したいということでヘリコプターによります予防効果の高い薬剤の散布をあわせて実施しておるわけでありまして、この面積は五十八年度におきましては、被害面積の約七%に当たります百六十五ヘクタールで実施いたしております。こういうふうなものを行います場合に、やはり天然記念物等の貴重な野性動植物の生息地、あるいはまた学校、病院等の周辺の松林にはこれは空中散布を行わないというふうなことで、これ以外の場所に行います場合にも、関係の地元の方々にこの薬剤防除を行います必要性、あるいは使用薬剤の問題、散布の方法等の問題につきましても周知徹底を図りまして、御理解と御協力を求めているわけであります。沖縄県におきましても、この薬剤防除を実施しておりますのは林務担当部局でございますけれども、事前に十分に環境保全部局等とも協議いたしまして、地域の方々にも周知徹底を図りまして、自然環境あるいはまた生活環境の保全に十分に配慮した中で実施しておると承知いたしております。
  122. 板垣正

    委員長板垣正君) 答弁は簡明にお願いします。
  123. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) 環境庁の自然保護局でございます。  御質問の自然環境保全上の問題につきましては、ただいま林野庁の方から御答弁がございましたとおりでございまして、松くい虫防除のための農薬空中散布は自然環境保全上重要な地域は避けていただくということを基本にいたしまして、実施計画に当たって都道府県の林務部局と環境保全部局がよく話し合いをいたしまして計画をつくっていただくというようなことで県庁を指導いたしております。
  124. 伊部元康

    説明員(伊部元康君) 御説明申し上げます。  沖縄におきます米軍基地におきましては、現在十二施設で貴重なリュウキュウマツが松くい虫に十七万五千本やられておるということでございまして、これは残念ながら去年よりも被害が拡大いたしております。これに対しまして、米軍防衛施設庁で相協力いたしまして、三月十七日現在でございますけれども、そのうち十三万六千本の伐倒焼却駆除を行いました。なお作業を継続中でございます。  今後のやり方でございますけれども防衛施設庁及び米軍といたしましては、やはり従来どおり伐倒焼却駆除の方法により主として対処いたしたいというふうに考えておるところでございますけれども、しかし何分にも被害が拡大いたしておりますので、他の方法、すなわち先ほど御指摘のございました空中散布の方法につきましても現在検討をいたしております。万が一空中散布の方法を行うということになりました場合には、自然環境の保護に十分意を尽くしまして、万が一にも沖縄県民の皆様に御迷惑がかかることがないように十分な配慮を行ってやりたい、かように思っております。ただ、目下のところは検討中でございます。
  125. 田英夫

    ○田英夫君 一カ月ほど前に私の友人から手紙をもらいまして、それによりますと、ある民間のテレビ放送、三月十八日の放映を見ていたところが「海は泣いている」という放映があったということで、実は先ほど井上委員が取り上げられた石垣新空港の問題でありますけれども、この私の友人は戦時中まさにその白保地区で守備隊長をやっていたという人物だものですから、その現地の自然を非常によく知っているし、そこで骨を埋める覚悟をしていたので非常に懐かしいところである。その自然が壊されることはまことに残念だ、こういう趣旨の手紙をくれたわけであります。それ以前からこの新空港の問題は耳にしておりまして、自然保護の立場から反対をされている幾つかのグループの方々にもお会いをしましたし、二月には私の仲間の菅直人衆議院議員が現地へ参りまして調査をし、その報告も聞きました。さらに、先ほど井上委員も言われましたように、現地では石垣新空港の建設は現地の発展につながるという意見が非常に多数であって、石垣市議会あるいはその他の町村の議会の皆さんの陳情もいただきまして、そのお立場からの御意見も聞いております。  そうした中できょうはこの問題について伺いた いのでありますが、まず運輸省に伺いますが、既に八二年ですか、空港建設について許可を出しているというふうに聞いておりますが、これは間違いありませんか。
  126. 井上春夫

    説明員井上春夫君) 間違いございません。
  127. 田英夫

    ○田英夫君 運輸省が空港建設、これは沖縄県が建設するということですが、国がつくる場合でも県がつくる場合でも、いずれにしても、どういうことを基準にして許可をするのか、簡単に答えていただきたいと思います。
  128. 井上春夫

    説明員井上春夫君) まず一つは需要の点でございまして、十分に需要がある、それが必要性につながるわけでございますが、それが第一点でございます。それから空港をつくる場合にはやはり周辺の社会環境あるいは自然環境に大きなインパクトを与えるおそれがあるものでございますので、そういう点配慮をいたしまして、地域社会と十分調和がとれるような計画であるということがその要件の第二だと思います。第三番目は建設費その他が費用便益的に見て妥当であるということ。それから第四番目はやはり安全でかつ安定的な空港の運用が可能な計画になっておる、そういうところが判断基準の主なるものでございます。
  129. 田英夫

    ○田英夫君 今回の新空港の場合は第一、第二の問題が重要かと思います。つまり需要が果たして新空港をつくるほどにあるのかどうかという問題、つまりそれは観光資源として、観光地として今後発展をしていくかどうかということにつながると思います。もう一つは周囲の環境ということでまさに自然保護の問題と関連をする、こういうことで、許可されたということについては、私は意見は差し控えますけれども、そこに問題があると思いますね。  観光という立場からまず伺いたいんでありますが、沖縄全体のことはさっきお答えがありましたが、石垣島については現在年間どのくらいの観光客が入っていて、今後どうなるという見通しを持っておられますか。
  130. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 詳しい数字は持ち合わせておりませんが、沖縄全島の入り込み観光客の約一割が八重山に行っておるというのが常識でございます。今後の見通しでございますが、第二次振興開発計画におきましては現在約二百万足らずでございますが、これを最終年次までに三百万人に増加を期待するという一応の絵がございます。
  131. 田英夫

    ○田英夫君 私の調べたところですと大体現在年間六十五万から七十万、これは八〇年から八二年、五十五年から五十七年という数字であります。運輸省はこれを一九九〇年には百六十万になるであろうと。つまり六十五年です。こういうふうに推測をしておられるという話を聞くんでありますが、現在七十万ぐらいのものがあと何年か後に百六十万になるという数字が根拠になっているというふうに聞くんですが、これは事実でしょうか。
  132. 井上春夫

    説明員井上春夫君) 事実でございます。新石垣空港の計画は実は昭和五十五年に策定されたものでございます。昭和五十四年までの実績推移を踏まえまして推定されたものでございます。石垣に限らず、我が国の航空需要は昭和五十四年度を境にいたしまして、それまで年率一〇%を超える急成長から一転して停滞に移り、いまだに横ばいの状況を続けておるという状況にございます。石垣空港の航空需要も同様でございまして、昭和五十四年までは非常に高い伸び率を示しておったわけでありますけれども、五十五年以降は横ばい状況が続いておるということでございますので、今にして考えますと、当時推定をいたしました航空需要というのはかなり高過ぎたのではないかということは事実でございます。  全国的な航空需要の見直しを現在進めておりまして、その作業の中で若干の下方修正をしないといけないのではないかと、こんなふうに考えているわけでございます。
  133. 田英夫

    ○田英夫君 私が危惧しますのは、まさにそのことであって、せっかく、極端な言い方をすれば、自然が壊されることを代償にして、新空港をつくったにもかかわらず、これが需要が伸びない。計画によると、一日にジャンボ機十便を含めて三十二便が飛ぶということは、空港としては相当大規模なものになるわけでありますから、もう一つの問題は、果たしてこうした空港をつくることによって現地の石垣島、沖縄皆さんが潤うのかどうかという、観光収入という意味で潤うのかどうかという基本的な問題ですね。  既に、先ほども答弁がありましたように、石垣島に大きなホテルを建設する。この百六十万というようなことになるのが事実ならば、それはもう現在の施設では到底間に合わないわけでありまして、大きなホテルが次々につくられなければならない。ところが、現に今計画されているものを聞きますと、これはいわゆる内地の大手の観光企業のホテルでありまして、しかも当初進出を計画したときには、その従業員の大半は現地皆さんからということであったにもかかわらず、聞くところによると、むしろ過半数は内地から連れていくんだというようなことになってきてしまっているということを現地で聞くのであります。となると、せっかく多くの観光客が行かれることになっても、結果的にはそれは内地の大きな企業が潤うということになってしまって、現地に確かにお金はある程度落ちるでしょうけれども、それは決して期待したようなものにならないということになるのではないかという、そういうことを危惧します。  私、きょうは、これは私見を申し上げて、頭の中に入れて御検討いただきたいので、言いっ放しになって恐縮ですけれども。もう一つ、自然を破壊するのではないかというこの二番目の環境の問題であります。環境庁もおいでになっていると思いますが、現在、運輸省は許可をした。こういう段階で、次の段階でどういうことが行政的に起こってくるか。私の聞いているところでは、近く沖縄県がある水面を埋め立てるということが必要なために、水面を埋め立てるための公有水面の埋立申請を建設省に出される。そして、建設省に出されると建設省は当然これに対して検討を加えられ、同時に自動的に環境庁が環境について調査をされる。あるいは、沖縄県の調査を見るんでしょうか。その辺の手続をちょっとそれぞれ建設省、環境庁、おいででしたらお答えをいただきたいと思います。
  134. 青木保之

    説明員青木保之君) 本件の埋立免許権者は、県知事でございます。したがいまして、埋立免許の申請は沖縄県知事に出されるわけでございますが、申請がございますと、県知事は遅滞なくその申請の内容を告示いたしまして、それから申請書及び関係図書を、その告示の日から起算して三週間公衆の縦覧に供し、かつ期限を定めて、地元石垣市の意見を徴するということになってございます。で、地元石垣市は、議会の議決を経て意見を出すということになってございます。また、告示がありましたときは、埋め立てに関しまして、利害関係を有する者は、縦覧期間の満了の日まで知事に意見書を提出できるようになってございます。その上で、県知事は埋め立ての免許をしようといたします場合には、その面積が五十ヘクタール以上でございますれば——本件は五十ヘクタール以上あるようでございますのでこの要件に該当いたしますが、建設大臣の認可を申請するわけでございます。建設大臣は、認可をしようといたしますときには、環境庁の意見を求めた上で認可を行わなければならないということになってございます。そこで、県知事は建設大臣の認可を得た後に、免許をする場合は免許を行いまして、免許の日、免許の内容等を告示するというような手続になっております。
  135. 加治隆

    説明員(加治隆君) 環境庁の環境影響審査課長の加治でございます。  公有水面の埋立法の手続につきましては、公有水面埋立法第四十七条第二項の規定によりまして、一定の要件に該当する埋め立てにつきましては主務大臣の認可に際しまして、環境保全上の観点から環境長官の意見を求められることになっております。したがいまして、その際に十分に慎重に審査いたしまして所要の意見を申し上げることになっております。  以上でございます。
  136. 田英夫

    ○田英夫君 これも私の意見を申し上げることになるわけですが、現地はいわゆるサンゴの中から魚がわいてくるという言葉を現地の漁民の皆さんが使っているくらい非常に豊富な漁業資源のあるところであると同時に、日本で最も大きな規模の立派なサンゴ礁の地域である。学者の方の中には世界的に非常に貴重なサンゴ礁の資源といいますか、サンゴ礁である、こういうことを書いておられる方もあります。そうした自然ということをひとつ十分考えなければいけないのではないか。確かに現地皆さんの中には新空港を待望する御意見が非常にあるわけですね。  このことと直接関連はありませんけれども、自然保護と開発という問題は我々が今直面をしている非常に大きな問題ではないだろうか、あるいは人類的な問題じゃないかというふうにさえ思うわけです。これからの我々が直面する政治の課題としては非常に大きな核軍縮と自然保護という問題がそれこそ人類的な課題じゃないかとさえ私は思っておるわけで、そういうことを言うのはいささか大げさかもしれませんが、かつて群馬県、新潟県にまたがります尾瀬沼の開発の問題、私は毎年行っておりますけれども、これに関連をして、東京から新潟へ貫通する道路の建設に対して、自然保護の立場から反対の運動が起こったときに環境長官がこれを決断をもってとめられたということがあります。このときも現地の住民の皆さんの中には開発を望む声が多数あったことも事実であります。  時間がありませんから、最後に大臣一つ要望しておきたいことは、今この御答弁がありましたような状況であります。そこで、確かに本当に開発を望み、観光ということに期待をつなぐ皆さんの声も貴重でありますし、自然を守れという声も大切であります。そして今御答弁のありました官庁はそれぞれのお立場からこの問題に対応をしておられる。しかし、沖縄開発庁というところはまさにそうした中で沖縄県民の皆さんのことを考える官庁として存在をするわけですし、また沖縄は戦争中のあの日本の中でただ一県だけ戦場になったという悲惨な歴史を持ち、戦後長い間占領されていたという中で、だからこそこの特別委員会も存在をするわけでありますから、ぜひ大臣がそういうお立場からこの問題に積極的にタッチをしていただきたいということをお願いして、最後に御意見を伺って終わりたいと思います。
  137. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 大臣の御答弁の前に私から一言申し上げておきます。  ただいま田先生のお話でございますと、専ら観光開発のために企画しておる、こういうぐあいに受け取れたわけでございますが、この新空港をつくります背景にはもちろん観光開発も大きなポイントでございますが、野菜、花卉等を本土へ運ぶという新しい農業の発展、それからまた畜産の振興、こういうことに伴いまして貨物が非常に増大する、そういうことになりますと本土に直行便というものをつくらなければいけない。直行便ということになりますと、現在のボーイング737のような小さなジェット機ではこれはとても飛べないわけでございまして、かなり大きな機材を使用しなければいけない、こういう背景もありまして新空港を沖縄県が企図したわけでございます。沖縄県のために一言つけ加えさせていただきます。
  138. 田英夫

    ○田英夫君 大臣お答えになる前に、それが出たならちょっと一言。最後にあと一分ありますから。  そのこともちゃんと調べましたよ、今、花卉や魚類、野菜のことも言われましたけれども、確かに現地の人たちは初めそれに期待をつないだんですよ。しかし、実際に運ぶということが具体化しそうになってきて、値段を調べてみたらとてもそれじゃ引き合わないということになっているんですよ。それは調査が足りませんよ、そちらの方は。大臣最後にひとつ答えてください。
  139. 中西一郎

    国務大臣中西一郎君) 各党とも、環境というお話は白保地区がどうだからということでなしに、私も大変関心を持っております。  そこでこの空港の問題でございますが、結論的に申しますと沖縄県知事が最終的にどういう判断をするかというところに帰着するだろうと思いますが、その間ただいま関係のお役所それぞれ答弁がございました、それぞれ真剣に取り組んでくれるだろうと思いますが、全国民的な視野で納得のいく結論を出すようにいたしたい、かように思います。
  140. 田英夫

    ○田英夫君 どうもありがとうございました。
  141. 板垣正

    委員長板垣正君) 田君の質疑を終わります。  他にも御発言もなければ、これをもって昭和五十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、北方対策本部沖縄開発庁び沖縄振興開発金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 板垣正

    委員長板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会      —————・—————