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1984-11-28 第101回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十一月二十八日(水曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員異動  八月八日     辞任         補欠選任      青木 薪次君     村田 秀三君  九月四日     辞任         補欠選任      村田 秀三君     稲村 稔夫君  九月十四日     辞任         補欠選任      市川 正一君     下田 京子君  九月二十日     辞任         補欠選任      下田 京子君     小笠原貞子君  十月一日     辞任         補欠選任      稲村 稔夫君     村田 秀三君      小笠原貞子君     市川 正一君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      喜屋武眞榮君     青木  茂君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         堀江 正夫君     理 事                 板垣  正君                 岩本 政光君                 鈴木 和美君                 中野  明君                 市川 正一君     委 員                 大鷹 淑子君                 大浜 方栄君                 岡田  広君                 北  修二君                 志村 愛子君                 松尾 官平君                 村田 秀三君                目黒今朝次郎君                 藤原 房雄君                 井上  計君                 田  英夫君    国務大臣        国 務 大 臣        (総務庁長官)  後藤田正晴君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      河本嘉久蔵君        国 務 大 臣       (沖縄開発庁長        官)       河本 敏夫君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        総務政務次官   岸田 文武君        北方対策本部審        議官       本多 秀司君        北海道開発庁計        画監理官     滝沢  浩君        防衛庁防衛局調        査第二課長    太田 洋次君        防衛施設庁施設        部連絡調査官   大場  昭君        環境庁自然保護        局企画調整課長  加藤 栄一君        環境庁自然保護        局計画課長    田村久仁夫君        環境庁自然保護        局保護管理課長  瀬田 信哉君        沖縄開発政務次        官        大城 眞順君        沖縄開発庁振興        局長       小林 悦夫君        外務省北米局安        全保障課長    沼田 貞昭君        外務省欧亜局長  西山 健彦君        外務省欧亜局審        議官       都甲 岳洋君        文化庁文化財保        護部記念物課長  田村  誠君        水産庁漁政部協        同組合課長    上野 博史君        水産庁振興部沿        岸課長      窪田  武君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する 調査  (派遣委員報告)  (北方領土返還促進に関する件)  (ソ連外相訪日要請に関する件)  (北方領土隣接地域振興基金造成に関する件)  (旧漁業権者の補償に関する件)  (日ソ漁業交渉問題に関する件)  (北方領土への墓参に関する件)  (北方領土副読本に目する件)  (沖縄所在の四ダムの返還に関する件)  (北方領土俯瞰施設早期造成に関する件)     ―――――――――――――
  2. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十七日、喜屋武眞榮君が委員辞任され、その補欠として青木茂君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事市川正一君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) この際、後藤田総務庁長官河木沖縄開発庁長官岸田総務政務次官及び大城沖縄開発政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、これを順次許します。後藤田総務庁長官
  6. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) このたび再度総務庁長官を拝命いたしました。今後引き続き全国民的な課題であります北方領土問題の早期解決に向けまして、微力ではございますが誠心誠意取り組んで職責遂行に当たる覚悟でございます。  委員長初め委員皆様方の格別の御叱正、御鞭撻を心からお願い申し上げましてごあいさつといたします。(拍手
  7. 堀江正夫

  8. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) このたび沖縄開発庁長官を拝命いたしました河本敏夫でございます。  国の内外の諸情勢が極めて厳しい中にあって沖縄振興開発という重要な職務を担当することとなり、責任の重大さを痛感いたしております。微力ではございますが、全力を挙げてこの職責を果たしてまいりたいと存じますので、委員長初め委員皆様の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。(拍手
  9. 堀江正夫

  10. 岸田文武

    説明員岸田文武君) このたび総務政務次官を拝命いたしました岸田文武でございます。北方問題の重要なことを痛感いたしまして、後藤田長官もと誠心誠意努力をさしていただきたいと存じます。  委員長初め委員皆様方の御指導、御鞭撻のほど心からお願いを申し上げます。(拍手
  11. 堀江正夫

  12. 大城眞順

    説明員大城眞順君) 沖縄開発政務次官を引き続き担当することになりました大城眞順でございます。  もとより微力ではございますが、河本沖縄開発庁長官もと沖縄振興開発計画という重要な職責遂行全力を傾注する所存でございますので、委員長初め委員皆様方の御指導と御鞭撻を心からお願い申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  13. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) 沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般当委員会が行いました北方領土周辺地域実情調査のための委員派遣につきまして、便宜私から御報告申し上げます。  去る九月二十六日から二十八日までの三日間、私、板垣理事岩本理事稲村委員藤原委員井上委員喜屋武委員北海道に派遣され、北方領土周辺地域実情調査を行ってまいりました。なお、この間小笠原委員現地において全日程の行動をともにされました。  日程第一日は、まず釧路から根室納沙布岬へ向かう車中において北海道根室支庁当局より説明及び要望を聴取いたしました。納沙布岬では歯舞群島等北方領土を展望し、望郷の家、北方館、四島のかけ橋等を視察いたしました。次いで根室市内において根室市、別海町、中標津町、標津町、羅臼町の当局者及び関係団体代表者から説明及び要望を聴取いたしました。  日程第二日は、快晴のもと根室市から海上保安庁巡視艇「やまぎり」に搭乗し、国後島を間近に臨みながら羅臼に向かい、この間根室海上保安部長等から管内業務につき説明を聴取いたしました。  羅臼においては国道三百三十四号を知床峠へと上り、眼下に国後島を一望して北方領土問題の間近さを肌で感じてまいりました。  次いで標津町においてサケの遡上状況及び北方領土館を視察し、さらに中標津町において開陽台より北方領土隣接地域振興状況等を視察いたしました。  第三日は、現地から釧路空港を経て羽田へ帰着いたしました。  今回の調査における地元要望の主なものを紹介いたしますと、北方領土問題について国際世論への働きかけを重視する観点から、サミットで北方領土問題を話題として取り上げるよう働きかけてほしいこと、総理及び外務大臣現地視察を行ってほしいこと、全国的に北方領土問題の学習資料副読本とするよう措置すること、北方領土隣接地域振興基金について最終目標額百億円の造成早期に達成すること、北方地域の旧漁業権者に対して早急に救済措置を講ずること、北方領土問題対策協会の行う旧漁業権者及び北方領土居住者に対する融資枠を拡大するとともに融資を受ける権利を代々継承できるよう法改正してもらいたいこと、根室地域基幹産業である水産業が衰退を続けているので経営維持安定資金償還期限現行七年を十五年ないし二十年に延長し、貸付限度額三十トン未満船現行二千五百万円を七千五百万円に引き上げるなど各般の対策をとってほしいこと、北方地域への墓参は人道上の問題でもあるので、墓参中断以前の方式により、せめて六十五歳以上の高齢者の願いがかなえられるようその実現を図ってもらいたいこと等であります。  以上が現地要望であり、これらすべてを一挙に解決することは困難かと存じますが、現地の切実な状況にかんがみ、可能なものから一歩一歩対策を進める必要があると痛感した次第であります。  これをもって派遣委員報告は終了いたします。  なお、別途詳細な報告書を提出いたしておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  15. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は、本委員会具体的質問に入る前に、北方問題、とりわけ北海道という特殊地域に対して大変情熱を持って国政に当たられてきたといううわさを聞いております、私どもの先輩でございます、今回北海道開発庁長官に就任されました河本先生からこの機会所信と抱負を尋ねたいと思うのです。  今、委員長から委員会視察報告にもございましたように、現在北方問題については、領土問題並びに周辺海域における漁民の安全操業墓参の問題、漁業権の問題、根室地区安定振興対策の問題、そして北方領土隣接地域振興基金造成など大変な問題を抱えているわけでございますが、この機会長官の御所見を伺いたいと存ずるところでございます。
  17. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) このたび北海道開発庁長官を拝命しました河本でございます。  北方領土隣接地域は、北方領土返還要求の拠点として重要な地域であることは御承知のとおりであります。地域を振興し住民の生活を安定させることは私に課せられた重大な任務であると心得ております。このため、私といたしましては地元要望を十分に聴取いたしまして、関係行政機関理解協力を得て全力投球したいという考えでございます。どうか委員長初め委員各位特段の御支援と御理解をお願いする次第でございます。(拍手
  18. 鈴木和美

    鈴木和美君 なお私の質問を通じて具体的な問題についての所信をまたお伺いしたいと存ずるところでございます。  さて、私はこの機会に、依然冷えた状態にあります日ソ関係でございますが、本年に入り故アンドロポフ書記長葬儀の際に行われた外相会談を初めとして、政府民間を含めた日ソ間の対話機会が数多く持たれてきたと思うのであります。特徴的に挙げましても、まず一つは、九月にはニューヨークで、昨年は大韓航空機事件の影響で実現しなかった外相会談が持たれまして、御案内のようなグロムイコ外相からは、訪日対話の一部として原則的に肯定するが、訪日すれば領土問題が持ち出されるであろうし、そうなれば話し合いの余地がなくなるというような難色を示された態度が表明されたようであります。  また二つ目には、アフガン問題で中断していました議員交流も再開いたしまして、クナーエフ政治局員安倍外相、また中曽根首相との会談では、グロムイコ外相訪日条件ができることを期待しているというようなグロムイコ外相のメッセージが伝えられたと思うのであります。また三つ目には、故ガンジー・インド首相の国葬に出席した中曽根首相チーホノフ・ソ連首相とのニューデリー会談が開かれたわけでございます。  ただいま三つの特徴的な問題を取り上げましたが、外務省にお尋ねしたいと思うのでありますが、ソ連側にこの会談などを通じまして何らか領土問題などについて態度の変更が具体的にあったかどうか、この点についてお伺いをしたいと存じます。
  19. 西山健彦

    説明員西山健彦君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、本年に入りましてから種々高いレベルでの日ソ政治対話というものが行われたわけでございます。その機会に我が方からは常に北方領土問題を提起いたしまして、この問題の解決なしには日ソ間に真の友好関係というものは生まれ得ないということを繰り返し主張したわけでございます。しかし、ソ連側態度は依然極めてかたいものでございまして、こうした一連の政治対話を通じて領土問題に関するソ連態度特段変化があったとは認められないというふうに考えております。
  20. 鈴木和美

    鈴木和美君 特にお尋ねしたいと思うのでありますが、チーホノフ・ソ連首相中曽根首相会談をしたときに、未解決の懸案もあるが対話交流を包括的に促進していきたいという中曽根首相の述べたものに対して、今までソ連側は未解決の問題という表現は使われていなかったと思うのでありますが、チーホノフ首相もそこで未解決の問題ということをわざわざ述べたというように新聞が報道しているのでありますが、この点については外務省はどのように表現意味合いをとっておられましょうか。
  21. 西山健彦

    説明員西山健彦君) ソ連側はこの領土問題に言及するときには、常に、いわゆるとかあるいは括弧つき、後にタスなどで出すときにはそれを括弧で囲むとか、そういう形容字句とでも言うべきものを付しておりまして、我が方といたしましては、これをソ連側が領土問題の存在を認めたものというふうには考えていない次第でございます。  こういうふうな形容字句を付さずに、未解決の諸問題には領土問題が普通含まれているということをソ連側がはっきり認めました一九七三年の田中・ブレジネフ会談と同様にこれをとらえることは妥当でないというふうに考えております。
  22. 鈴木和美

    鈴木和美君 もう一つお尋ねしておきますが、その会談のときに中曽根首相が、グロムイコ外相が来日されるなら自分責任において受け入れの環境づくりのため万全の準備をすると発言したというように報道されていますが、この具体的な内容、また外務省はこの発言に対してどういうふうに対応されましょうか。
  23. 西山健彦

    説明員西山健彦君) この日ソ首脳会談に先立ちまして、先生も御指摘なさいましたように、クナーエフ政治局員団長といたしますソ連最高会議代表団訪日いたしましたわけでございます。その際に、この一行の身辺警護等には万全の措置が講ぜられたこともありまして、ソ連側といたしましても、訪日が極めて快適な環境もとで行われたことを評価するということを、わざわざ指摘してきているところでございます。  チーホノフ首相との会談において総理は、このような事情を念頭にお置きになりながら、グロムイコ外相訪日すれば警備を含む快適な滞在の諸条件を確保いたしまして、このような静かでかつ落ちついた環境の下でゆっくりと、じっくりと有益な話し合いをしたい、そういうふうな趣旨を述べられたものというふうに我々は理解いたしております。
  24. 鈴木和美

    鈴木和美君 意見を述べる前にもう一つ聞いておきたいのですが、当委員会で先般私も質問を申し上げましたが、ポーランド問題に関する対ソ措置の一部解消の問題でございますが、先般、ニューヨーク安倍外相との会談が行われたときに、共同コミュニケにもあったようですが、対ソ措置の撤廃の必要を強調したというように報じられているのでありますが、御案内のとおり、ポーランド制裁措置は大きく言って四つございますね。その四つの問題に対して、私は最近見ておりますと、事実上制裁措置というものが客観条件が変わっていないから解消していないんだという態度をおとりになっているようですが、事実関係をずっと見てまいりますと、もう既に撤廃されたというような事実関係にも一部うかがえるのでありますが、この特別措置の解除に関して最近外務省がとられている態度などについてお伺いしておきたいと思うのです。
  25. 西山健彦

    説明員西山健彦君) 御指摘のとおり、先般の国連総会の際に日ソ外相会談が行われたわけでありますけれども、我が方といたしましては、昭和五十六年以来開かれていなかった貿易支払協定に基づきます貿易年次協議というものを再開することとして、その用意がある旨をグロムイコ外相に伝えたわけでございます。これは一昨年二月以来、我が方がとってきておりますポーランド関連対ソ措置一つを解除するものでありますけれども、この対ソ措置ソ連の自制を促すという意味において既に一定の成果を上げたというふうに私ども考えておりまして、他の西側諸国動向等も考慮しつつ、現状において適当と考えられる範囲におきましてこの措置を終了させたものでございます。  先ほど先生も御指摘のとおり、対ポーランド関連措置というのは幾つかございます。そのうち、状況の推移に応じて慎重に、ケースバイケースながら徐々に緩和した部分もございますけれども、しかし基本的に申しまして、他のアフガン、ポーランド関連措置、これは現状それ自体がそれほど大きく変わったというふうにはまだ考えられませんので、当面これを堅持する、そういう方針には変化はございません。
  26. 鈴木和美

    鈴木和美君 先般、私から述べるのもどうかと存じますが、中道四党の、佐々木委員長団長にして訪ソされたときの報道が、読売新聞とか朝日新聞を見ますと、グロムイコ外相訪日に前向きの姿勢をとったとか、訪日が可能だというようなアリエフさんとの話とか何かが報道されているわけでございますが、大変私はありがたいし、中道四党の皆さんに御苦労を謝したいと思うのであります。  そこで、私が一番今問題意識を持っておりますのは、北方問題に関する返還運動、国民的な運動というのはそれなりに進めていかなければならぬことは当然だと思うのですが、今まで領土問題が解決しなければなかなかテーブルにつかないというような態度をとっておった両国が、経済問題との兼ね合いで逐次人的交流を含めながら接近をしながら、両面から対策をとろうというような態度変化というか好転というか、そういう状況にあるように思うのですね。そのときに中曽根首相自分責任で、つまりグロムイコ外相訪日条件をつくるというようなことを述べられているということは、領土問題がそっちのけになってしまって、単なる経済的な問題だけが先行して、結局領土問題は取り残されるというような危険があるんじゃないのだろうかということを大変心配するのでありますが、そのような私の心配などについて外務省はどういう見解をお持ちになりましょうか。
  27. 西山健彦

    説明員西山健彦君) 私ども考え方は、たびたび従来も申し述べておりますとおり、この領土問題の解決なくしては長期的に安定した良好な政治関係というものはソ連との間にできない、それができなければやはり長期的に安定した経済関係というものもできない、こういうことでございまして、決して領土問題を棚上げしてそれでほかの分野での協力の面を進めていこう、そういう考え方は持っていないわけでございます。しかしながら、同時に民間の方々の御努力によりまして、以上のような基本的な立場に立ちつつ、個々のさまざまなケースについて経済交流を進めていかれる、そのこと自身は結構なことである、かように考えている次第でございます。
  28. 鈴木和美

    鈴木和美君 時間がございませんので最後にお尋ねしておきますが、今申し述べましたような経済協力との関係バム鉄道の問題が最近新聞をにぎわしておるようでございますが、この問題が、来年でしょうか、東京で会議が開かれるというときに、必ず経済協力の問題が話題になると思うのですね。したがってこのバム鉄道、第二シベリア鉄道の問題に対して外務省としてどういう態度をおとりになるのか。また、特にこれは経済団体の方が主になるわけでございますから、外務省として経済団体との間にどういうような話し合いが進められているのか。これはある読売新聞によりますと、バム鉄道軍事目的に使われることを大変心配しているというような記事などもございますが、包括をいたしましてバム鉄道問題について御所見を伺っておきたいと思います。
  29. 西山健彦

    説明員西山健彦君) ソ連との経済関係は、先ほども一般的に申し述べたとおりでございますが、互恵の見地から進めるということで来ているわけでございます。政府としましては、従来から日ソ関係、これは政治経済等分野を含め全体としてとらえるべきである、このように考えておりまして、いわば無原則な政経分離という態度はとらない、これを基本方針としてきたわけでございます。御指摘の第二シベリア鉄道あるいはバム鉄道と呼ばれているこの鉄道が、九月の末に敷設だけ完了したというのは事実でございまして、その沿線の開発をめぐっていろいろと今後具体的なお話が出てくるかもしれないと私ども考えておりますが、しかし^これにつきましても以上申し述べましたような基本的な立場を踏まえて、具体的な案件ごとケースバイケースで慎重に検討していく、そういう考え方でおります。  なお、この鉄道の持ちます軍事的な意味につきましては、確かにいろいろと意味合いがあろうかと存じます。特に現在のシベリア鉄道よりも北の方にございまして、そういう意味で後方の連絡線の強化というような意味合いでも、あるいは物資の輸送能力の上においても、当然そういう意味合いは持ってくるであろうということも、私どもは認識いたしております。したがいまして、そういうことも常に念頭に置きつつ、ケースバイケースに事を処してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  30. 鈴木和美

    鈴木和美君 双方から対話活動などをしながら主たる目的を達成しようという方針は私も賛成でございますので、ただ鹿を追う者山を見ずの例えではございませんけれども肝心かなめのところを忘れないような方向で対処していただきたいと存じます。  さて、次の問題に移らせていただきますが、総務庁及び開発庁にお尋ねすることになると存じます。  北方領土隣接地域振興等基金についてでございますが、この法律ができ上がりましてから、事務的でございますが、昨年度、本年度でそれぞれ十億、国八徳、道二億で二十億円が造成されているということになっておりますが、間違いございませんか。
  31. 本多秀司

    説明員本多秀司君) 先生おっしゃるとおりでございます。
  32. 鈴木和美

    鈴木和美君 御案内のように、この法律では、基金への補助金は五年度以内を目途として交付されることになっておりまして、私から申し上げるまでもなく、法案の提案理由説明では、基金の総額として百億円を想定し、できるだけ早く交付することになっていると思っています。ところが、二十億という現状を見ますと、間もなく五年ということになるわけでございますが、これからどういう手だてでこの百億円、つまり八十億円を積み立てるかという、これからの方向について考え方を聞かせていただきたいと思います。
  33. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この特別法制定の際の立法の経緯、それからまた現地の方々のできるだけ早く百億円という基金の目標を達成してもらいたい、こういう強い御要望があることは私も十分承知をしておる次第でございます。したがいまして、対策本部長としての私の立場は、こういった御要望を踏まえながら、できる限り最大限の努力をしてみたい、かように考えておるわけでございます。ただ、何しろ厳しい財政状況が続いておりますので、残された期間内で最大限の努力はしてみよう、かように今考えているわけでございますので、この席で直ちにいついつまでにどうするとか、あるいはまた場合によれば期限をどう考えるとかいったようなことについてお答えできないことはお許しをいただきたい、最大限努力はしたい、かように考えております。
  34. 鈴木和美

    鈴木和美君 長官、答弁の出番がちょっと早かったようだったんですが、実は私が大変現地の皆さんからお話を聞いておりまして、今長官もいみじくもおっしゃられましたが、大変不安を持っているわけです、国の財政がこんな状態であるということはだれも知っておるわけですから。しかし、立法の経緯のときには、議員立法とはいいながらも、政府の提案理由その他法律のでき上がった一番最後のところに大体の目標金額も入れておったわけです。だから、五年間で何とか対策をとってもらえるんだなとみんな思っているわけです。しかし、そういう財政の中で大変なものですから、今おっしゃられたようにこの三年間で八十億は達成できるというように努力なさるんだろうか、つまり法律どおりにやれるんだろうか、もう一つはこのままずるずるいってしまって、もう五年が過ぎてだめだというようになるんだろうか、それとも時間はちょっと延びるかもしらぬけれどもやるよということなのか、その辺について方向だけでもはっきりしてもらいたいというような意見が大変強いわけです。  これは長官御存じだと思いますが、開発庁にちょっとお尋ねしますが、この運用益について、簡単で結構ですから、どういうふうに重点的に使われているかということを先に開発庁から答弁していただけませんか。
  35. 滝沢浩

    説明員(滝沢浩君) 運用益の問題についてお答え申し上げます。  五十八年度の運用益が三千二百万、五十九年度九千百八十万という運用益がございまして、その対策のうち三つの柱がございまして、一つが隣接地域の振興対策事業、二つ目が世論の啓発事業、三つ目が元居住者の援護事業、この二つ目三つ目につきましては総務庁にお願いしておりまして、一つ目の隣接地域振興対策事業につきまして当庁が所管しております。  初年度の経費でございますが、隣接対策事業につきましては二千五百六十万、これはホタテの増殖事業に使っております。それから、五十九年度につきましては七千九十四万円を持ちまして水産資源の増大対策事業外数項目について補助することといたしております。  以上でございます。
  36. 鈴木和美

    鈴木和美君 時間がございませんので詳しくお聞きすることもできませんが、私は今までの経過や現地からの要望開発庁が運用益でやられている事業もたくさんございますが、何といってもつまり地域産業の振興というんでしょうか、産業政策のところに大きな運用益のお金がかかっているわけですね。もちろん、教育とか文化とか生活環境の問題だとか北方領土返還の宣伝費だとかたくさんあるわけでございますが、産業政策に重点が置かれて振興が及んでいるということだけは十分踏まえておかなければならぬことだと思うのです。そういう意味で、もう一度私は恐縮ですが後藤田長官にお伺いいたしたいんですが、先ほども申し上げましたように、よもや五年が過ぎても、これはしようがない、切ることもあるんだぞというようなことのないように、しっかりした対策を早目にとっていただきたいと思うのです。  なお、来年度の予算がどのぐらい計上されるのか、もし差し支えがなければその辺の見通しと現実の問題をお聞きしたいと存じます。
  37. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) ただいまの御要望を踏まえての御質疑に対しましては、私も本部長として先ほど申し上げましたように、立法の際に政府と党との間にいろいろな意見がございまして、それらも承知をいたしております。そういうことでございますので、とにもかくにも最大限の努力はひとつしてみたい、このことだけははっきりとお答えをいたしておきたい、かように考えておるわけでございます。
  38. 鈴木和美

    鈴木和美君 どうぞ本件につきましては、国会というところでそれぞれの代表が集まって決めた法律でございますから、まあ法治国家の今日、決めたものはぜひ実現してもらいたいと私は思うのです。たまたまグリーンカードじゃございませんけれども、決めてもひよんなことになるような場合もありますので、国民の政治信頼のためにも長官の御努力をなおお願い申し上げたいと思うのです。  それでは次に、北方地域の旧漁業権者に対する救済措置についてお尋ねをしたいと存じます。  御案内のように、いろいろ調べてもみたり、御承知だと存じますが、北方地域の旧漁業権についてはGHQの覚書によって消滅し補償の根拠がないというようなことで、補償措置は講じられなかったと思うのです。その後三十六年に北方地域漁業権者などに対する特別措置法が成立して、国が交付する十億を基金として北方協会によって旧漁業権者や元居住者を対象とする事業資金及び生活資金のための融資事業が行われることになっているような経過だと思うのです。そこで、大変私が事務的にお尋ねしたり、それから関係省庁との間にもお話をしているんでございますが、十億というお金が出されたときに補償の件はもう終わったんだというようなことをおっしゃっている方もおるし、国会の答弁を見てみますと、これは補償権じゃないんだというような国会答弁も実はあるんですね。そういうことなどがございますから、ぜひ本件について携わっている方で詳しい人がございましたら、この法律ができ上がったときの経過について簡単で結構ですから聞かせていただきたいとまず思います。
  39. 窪田武

    説明員(窪田武君) お答えいたします。  昭和三十六年に北方協会に交付した十億円のうちの今御指摘北方地域の旧漁業権の補償額に見合う額とされております七億五千万円につきましては、昭和二十五年、新漁業法の施行の際に行われました旧漁業権の補償の例に従って算定されたものと承知しております。
  40. 鈴木和美

    鈴木和美君 北方地域漁業権補償推進委員会というのがあることは御存じだと思うのです。委員長が石崎喜太郎さんでございますが、それから社団法人北海道水産会がございまして、この人たち皆さんがおっしゃっているのには、要望書にもはっきり書いてあるわけなんですが、「政府は、北方領土における旧漁業権はG・H・Q覚書により消滅したとしているが、この覚書は単に行政権の暫定的停止を目的としたものであり、かつまた次の諸点により旧漁業権のみが失効したと言う見解には納得できない。」つまり一つは鉱業権の問題、二つ目には不動産の問題、三つ目には二十七年などにとられた伊豆諸島の旧漁業権の補償などから見て、漁業権のみが失効したというような見解には納得できないということをおっしゃっているんですが、これに対する政府の見解はいかがですか。
  41. 窪田武

    説明員(窪田武君) 北方四島なり小笠原なり沖縄の旧漁業法に基づく旧漁業権につきましては、今先生がお読みになったとおり、昭和二十一年の一月二十九日付のGHQ覚書による行政分離によりまして消滅しておりまして、新漁業法の施行、これは昭和二十五年でございまして、これに伴って行われました旧漁業権の補償の対象とはなり得なかったということでございまして、この考え方といたしましては、国といたしましては法律上その補償を行うことはできないということでございます。
  42. 鈴木和美

    鈴木和美君 昭和三十六年の法律の手当てのときの考え方として、旧漁業権者には補償がそれで行われたというような見解なんですか。
  43. 窪田武

    説明員(窪田武君) 法律的には旧漁業権の補償はでき得ないということでございまして、ただ北方地域におきましては、現在置かれている特殊事情がございますので、旧漁業権の補慣の例に従って資金手当てをしたということでございます。
  44. 鈴木和美

    鈴木和美君 もう一度お尋ねしますが、法律的には補償することができない、けれども地域住民の現状などを考えながらそういうニュアンスを入れて、つまり融資というか生活援助というようなことで七億五千万を出した、こういうふうに理解していいですか。
  45. 窪田武

    説明員(窪田武君) はい、さように理解しております。
  46. 鈴木和美

    鈴木和美君 そうしますと、私はやはりこの漁業権の補償推進委員会が述べていることはもう一度これから検討してみなければならぬと思うのです。例えば一つは、鉱業権については昭和二十二年二月、商工省鉱山局長通達により、国において一時停止の見解がとられている。不動産については昭和四十五年四月、法務省通達により、所有名義人の相続について、暫定的取り扱いは認められたというようなことなどから見まして、漁業権の問題だけは大変冷遇されているというふうに私は考えざるを得ません。したがって、政府の見解と相違しますが、なお本件については私どももこれからもっと国民的な、また関係者の協力などを得まして、取り扱いを法律的というか、考え方の整理を一歩進めてまいりたいと思っています。  そこでもう一度お尋ねしますが、つまり国が出した七億五千万の算出根拠というものは、どういう点から七億五千万が出されたんですか。
  47. 窪田武

    説明員(窪田武君) 七億五千万円の積第の考え方といたしましては、昭和二十五年の新漁業法の施行に伴って行われました旧漁業権に対する補償の考え方と同様、対象となるものは旧漁業権の価値であるということの基本的な考え方もとに算定したと承知しております。
  48. 鈴木和美

    鈴木和美君 旧漁業権の価値とか実績というのは何ですか。私はわかりません。
  49. 窪田武

    説明員(窪田武君) 旧漁業権の価値といいますのは、この漁業法施行法の旧漁業権の算定の基礎といたしまして、まず旧漁業法による専用漁業権につきましては、得べかりし一年分の漁獲金額、つまり一年分の平均漁獲量に平均単価を乗じて得た額として算出しておりまして、これが五億九千万円と計算されております。  また、定置・特別漁業権につきましては、一定年間分の賃貸料に見合う額といたしまして約一億六千万、合計いたしまして七億五千万としたと承知しております。
  50. 鈴木和美

    鈴木和美君 農水省は、この北方地域漁業権補償推進委員会要望書というのは御存じでございましょうか。
  51. 窪田武

    説明員(窪田武君) 直接この団体の方からは来ておりませんが、北海道庁の方から取り寄せて承知しております。
  52. 鈴木和美

    鈴木和美君 そうしますと、この要望書の中にも出ているのでありますが、つまり七億五千万という算出根拠と、今回融資枠をぜひ九十三億に拡大してくれぬかという要望がございますね。その九十三億融資枠拡大という問題を見てみますと、推進委員会や水産会の要望書の中には旧漁業権者救済に関する、つまり九十三億円の算出根拠というものがある程度出ていますね。これは御存じだと思うのです。  そこで、今七億五千万という話を今日ベースに直してみるとこのくらいになっているんじゃないか、したがって一人一人に補償するということはできないにしてもせめて融資枠はこのくらい拡大してくれということで、私は要資金量の算出根拠をずうっと見さしてもらったんですが、なるほどと思うところがたくさんあるわけです。そういう意味から見ますと、今農水省は七億五千万のつまり融資枠というか、貸し出すというような事業にしているからもうどうにもできないという態度をおとりのようでございますが、本件に関してなお再考する余地というものはございましょうか。
  53. 窪田武

    説明員(窪田武君) 先ほど申し上げましたように、旧漁業権そのものに対する補償につきましてはこれは法律上でき行ないということでございまして、昭和三十六年におきましてその辺を勘案して、北方四島における特殊事情を勘案して一応措置したものでございますので、現段階でこれについて再検討する考えはございません。
  54. 鈴木和美

    鈴木和美君 私はまず分けて、旧漁業権者に対する補償というもの、つまり漁業権の補償ですね、これについて一つの論争というか、見解の違いということを先ほど述べたんです。旧漁業権の補償というものはまだまだやる必要があるし、法律的に見ても経過から見てもやるべきであるという見解に私は立っているわけです。しかし、皆さんの方はそういう見解にまだ立ち得ないんだということですから、これはこれで置いてなお詰めましょうということを先ほど述べたんです。この補償は一たん置きます。  そこで、あなたも先ほど述べられたように、この漁業権の補償というものを、つまりお金で一人一人に出すわけにいかないから経済の実態や生活の実態を見ながら、事業として七億五千万のお金を出したわけでしょう。補償権としては出せないけれども意味合いを含めて出したとあなたはおっしゃったですね。その延長線の中にこの九十三億円はあるんじゃないですか。だから、補償権というものを算出根拠に入れればこういうことになるんだけれども、補償権として何とかしてくれということではないでしょう、この九十三億は。融資の枠を拡大してくれということで九十三億はあるんじゃないですか、いかがですか。
  55. 窪田武

    説明員(窪田武君) 先ほど申し上げましたように、北方地域漁業権補償推進委員会からの要望書につきましては私ども直接聞いておりませんで、先ほど申し上げました北海道庁の方から取り寄せたところでございますので、内容をよく見まして検討をしたいと思います。
  56. 鈴木和美

    鈴木和美君 開発庁にちょっとお尋ねしますが、この漁業権の補償などについて総合御指導なさっているというか、調整されている開発庁ですが、こういう要望というのは開発庁でも実態はおつかみになっているわけでしょう。つかまれていないですか。
  57. 滝沢浩

    説明員(滝沢浩君) 今手元にはございませんが、そういう問題があるということは聞いたことがございます。
  58. 鈴木和美

    鈴木和美君 それでは開発庁でも、相互の調整機関ですから、要望書などについてもさらに検討してほしいと思うのです。  それで、今農水省の方からお答えになったことは九十三億についてもこれからよく調べて調整してみようというお答えでしょうか。何かそこのところもごもごと言ってよくわからないんですが。
  59. 滝沢浩

    説明員(滝沢浩君) そういう問題があるということは承知しておりますので、よく勉強してみたいと思いますが、水産庁が最終的に御判断になる問題だと思いますが、いい方策があるかどうか水産庁とも相談してみたいと思っております。
  60. 鈴木和美

    鈴木和美君 開発庁の見解はわかりました。  それで水産庁の方はどうなんですか。やはり検討してみようという態度でございますか。
  61. 窪田武

    説明員(窪田武君) はい、検討したいと思います。
  62. 鈴木和美

    鈴木和美君 どうぞ鋭意検討していただきたいと思うのです。  そこで、時間がございませんから先ほどの七億五千万ですね、委員会で御答弁いただいてもちょっと私完全にのみ込めないものですから、できれば後ほどで結構ですから私に勉強の機会をつくっていただきたいと思うのです。私の部屋でも結構ですから、そのようにお願いしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  63. 窪田武

    説明員(窪田武君) 後ほど参上したいと思います。
  64. 鈴木和美

    鈴木和美君 次に、もう一つはよく現地からお話が出てまいります中で、この北方の漁業権の補償の問題のときに必ず出てくるのは、最近になって沖縄と小笠原の問題と比較すると大変いわゆる均衡を失しているということを聞くんです。そこで、沖縄と小笠原について見舞い金が支払われたということをよく聞くんでございますが、これはどこにお尋ねしていいかわかりませんけれども総務庁で、大変恐縮だと思うのですが、沖縄、小笠原に関する見舞い金を支出されたときの関係省庁というんでしょうか、そういうことを調べて私にぜひ教えてもらいたいと思うのですが。私も実は困っているんですが、昭和二十七年のときに沖縄とか奄美などに関して日本政府南方連絡事務所を設置したとか、それから本件に関しても、当時古いことで役所もまた再編が行われているものですからどこに電話していいかわかりませんので、総務庁でその世話役というのをしていただきたいと思うのですが、どなたか御答弁いただけませんか。
  65. 本多秀司

    説明員本多秀司君) 先生今御指摘の小笠原それから沖縄に関しまして、住民に対する交渉がいかなる機関でどのような形でその補償等が行われたかという事実につきましては、後ほど私ども関係機関に照会いたしまして、調べた結果を先生に御報告させていただきたい、かように思います。
  66. 鈴木和美

    鈴木和美君 ありがとうございます。  そこで、よく話に聞くんですが、沖縄にしても小笠原にしても当時返還に伴って米軍との関係がございまして、それでまあ米軍の演習とか基地利用とか、そういうような関係で損害賠償というんでしょうか、そういう性格が強くて見舞い金が支払れたということを俗称役所の人からは聞かされているんです。役所の人からですよ。ところが、現地北海道の漁業者の人たちから聞くとそうじゃないと言うのですね。そういうようなことがございますので、その点もぜひ関係省庁と、お世話いただくときに、私がそんな話をしていたというようなことも含めてぜひ御協力を賜りたいと思うのです。いかがですか。
  67. 本多秀司

    説明員本多秀司君) かしこまりました。
  68. 鈴木和美

    鈴木和美君 それでは、その次に移らせていただきますが、今の問題と大変関連がございます北方領土問題対策協会融資事業について総務庁にお尋ねいたしたいと思うのですが、北方領土問題対策協会融資事業、国から交付された十億円を基金として旧漁業権者及び元居住者を対象に行われていると思うのです。そこで、元居住者については、昭和二十年八月十五日まで引き続き六カ月以上居住した者ということで、元居住者の子とか孫は融資の対象となっていない。そこでぜひこれも、元居住者の後継者も融資を受けられるような制度の改正と十億円の融資の枠というものを拡大してくれぬかという要望が大変強いわけですね。そこで、本件はいつも取り上げられまして、そのときの政府の答弁を調べましたところ、元居住者の高齢化とか経済状態を考えて私は早急に結論を出すべきだと思うのですが、検討する、検討するとお答えになっているんですが、どういう検討が今されているのか、その点について関係者の方からお答えいただきたいと思うのです。
  69. 本多秀司

    説明員本多秀司君) 先生がおっしゃるとおりでございまして、元居住者、終戦当時はたしか一万七千人ぐらいであったかと記憶しておりますが、現在約六千人の方々が死亡されておる。そして現在生存されている方々につきましても高齢化が進んでおる。したがってその方々がいわゆる本土に引き揚げられた後、お子さん、あるいはお孫さんがおできになっているので、そういう人たちに対してもこの十億円の融資の資格者として考えていただきたいという御要望現地等からも非常に強いものがあるということを承知しております。  私ども具体的に、ではその要望を受けてどのような検討に今着手しつつあるかということでございますが、一つは、一体元居住者の方々の現時点における実態がどのようになっているか。本土に引き揚げてこられてから後にお生まれになったお子さんが一体どれぐらいおられるのだろうか。あるいは、もしでき得れば経済状態とか、そういうことについての調査を、実は元居住者の方々が関係いたします関係団体の方にお願いいたしまして、そういった資料の収集、整理に今着手し始めたところでございます。  以上でございます。
  70. 鈴木和美

    鈴木和美君 どうぞ現地要望が大変強いわけですから、いつも検討中だけじゃなく、さらに進んで対策をとっていただきたいと要望しておきます。  最後ですが、日ソの漁業協定問題について外務省にお尋ねを申し上げます。  これも御案内のとおり、日ソ、ソ日漁業協定の期間の長期化に関する交渉がずっと行われてきたと思うのです。報道によると、このたび両協定を一本化するということで長期化することが合意された、大変喜ばしいことだと思うのです。新協定の仮署名が行われることになるわけですが、これはいつごろ行われることになるのでしょう。
  71. 西山健彦

    説明員西山健彦君) これにつきましては、実は今週中にもその可能性があるというように私ども見ておりますが、ソ連側が今いろいろな諸会議が開催されておりまして、非常に関係者が忙しいということで、私どもまだ向こう側の確定的な返答を得ていない、そういう状況でございます。
  72. 鈴木和美

    鈴木和美君 そこで、現行の日ソ漁業協定、つまり暫定なんですけれどもソ連の最高会議幹部会議に基づいて北方領土周辺に二百海里水域が設定されたのに対して、我が国としては、これは漁業に関する線引きにすぎず、北方領土問題に関する我が国の主張に影響を与えてはならないという立場から、御案内のように八条の問題があるわけですね。この問題、日ソ、ソ日の本件領土二百海里問題に関する、かつては相打ちとよく言っておったんですが、これは新協定になるとどういうふうに文言が入るんでございましょうか。
  73. 西山健彦

    説明員西山健彦君) ただいま先生が御指摘になりました点は私どもも非常に注意を払って交渉してきたところでございまして、基本的には従来のものと全く同様の文言が含まれることになるわけでございます。
  74. 鈴木和美

    鈴木和美君 それで双方の、日ソ、ソ日の協定の文言、日本語を見させていただいておりますが、それが調整されて大体今までの考え方と同じであるというように理解してよろしゅうございますか。  つまり、これは漁業だけの問題だよということが明文化されているということでしょうか。
  75. 西山健彦

    説明員西山健彦君) その部分に該当するところは、「この協定のいかなる規定も、」「海洋法の諸問題についても、相互の関係における諸問題についても、いずれの政府立場又は見解を害するものとみなしてはならない。」こういう従来どおりの条項が入ることになります。
  76. 鈴木和美

    鈴木和美君 わかりました。  それからもう一つは、サケ・マス漁業に関する日ソ漁業協力協定の改定交渉ですが、これも前回私が当委員会質問したときには、もうすぐにでも調印できるんだというようなお答えで、やれやれと思っておったんですが、四回やっても何かそこまで運んでないわけですね。したがって、何が問題点でそうなったのか、そして次回はどういう性格でいつごろ持たれるのか、その見通しについてお答えいただきたいと思います。
  77. 西山健彦

    説明員西山健彦君) 御指摘のとおり、本年の五月以来四回にわたって交渉をしてきたところでございます。現在なお交渉中でもございますので、詳細に立ち入りますことはお許しをいただきたいと思うのでございますけれども、要するに最大の焦点はまさしく我が国の漁船によるサケ・マス漁獲の取り扱いでございまして、国連の海洋法条約の中の遡河性資源、これはサケ・マスでございますが、この取り扱いに関する条項の規定ぶりを念頭に置いて、具体的にこういう考え方を新しい協定の中にどういうような形で規定すべきか、それが最も難しい問題であるわけでございます。したがいまして、今後の見通しにつきましても楽観はなかなかできない状況であるというふうに考えざるを得ない状況であります。  具体的に次回協議の時期はいっかという御質問に対しましては、本年の十二月に予定されております日ソ双方の二百海里水域における明年の漁獲に関する実体交渉の日程との関係もございますので、現時点では確たることは言えないわけでございますけれども、私どもといたしましてはできる限り早急に交渉を再開いたしまして新協定締結のための努力を続けていく、こういうふうに考えている次第でございます。
  78. 鈴木和美

    鈴木和美君 細部は時間がございませんので、どうぞ現地関係者の心配のないように積極的に進めていただきたいと思うのです。  さて、委員会報告の中にもございましたんですけれども外務省として墓参の問題について、六十五歳という高年齢者以上だけでもいいからそこへ行かしてくれぬかということの強い要望がございますね。したがって、それは査証とかそういう手続上のところが一番問題なのか、それとも軍事施設があるからいかぬというのか、何かうまい方法で解決してもらいたいという気持ちがあるんですが、外務省の御見解いかがですか。
  79. 西山健彦

    説明員西山健彦君) この問題も私どもといたしましては非常に御同情申し上げておりまして、何とか実現の運びに至らないものかと、あらゆる機会ソ連側にこれを求めているわけでございます。  御承知のとおり、昭和三十九年から五十年まで途中若干中断はあったにいたしましても墓参ということは実施されてきたわけであります。しかしながら、五十一年に至りまして、ソ連側がそれまで行われてきましたところの墓参参加者の身分証明書による渡航という慣行を無視いたしまして、こういう地域へ行くに当たっては他のソ連領域への渡航と同様、我が国の旅券とそれからソ連側の入国査証、これを要求するという立場をとったものでございますので、北方領土との関係でやむを得ず中断しているというのが現状でございます。  しかし、その後毎年政府レベルの墓参申し入れを初めといたしまして、ずっと要請は続けているわけでございますけれども、先方はただいま私が申し述べましたような態度を変えるに至っていない次第でございます。しかし、御指摘のとおり、高齢の方々がぜひ墓参をお帰りになってやりたいというお気持ちは身にしみるほど私どももよくわかりますので、今後そういうことも十分に念頭におきまして、その身分証明書方式で渡航ができますように粘り強く努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  80. 鈴木和美

    鈴木和美君 私の時間が参りましたので、後藤田長官に今の北方領土問題に絡んだ墓参の問題で六十五歳以上だけでも行かしてくれということで、これは人道上の問題だと思うのですね。そういうことでこのぐらいは何が難しいということがあったとしても、まあ相手方にいろいろな事情があったとしても、私はやはり人道上の問題を訴えていけば何とかしてもらえるというような気持ちなんでございますが、本件に関しての努力をしていただくことの決意をぜひ述べていただきたいと思うのです。後藤田長官の本件に関する答弁をいただいて私の質問を終わります。
  81. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) ただいま外務省の方からお答えいたしましたように、いろいろな厄介な問題もございますけれども、大変お気持ちは私にはよくわかることなんでございますから、政府としても最大限の努力をしてまいりたい、かように考えます。
  82. 板垣正

    板垣正君 私も先般九月二十六日から現地の視察に同行してまいったわけでございます。現地からのいろいろな要望については先ほど特別委員長からの御報告のとおりであります。  これに関連して、今、鈴木委員からも幾つかの問題が出されました。私も触れたいと思っておりましたことも幾つか含まれております。これは、委員会が視察をし、委員会として現地要望にこたえての発言でありますので、そうしたことで受けとめていただきたい。したがって重複はなるべく避けてまいりたいと思います。  現地では、外務大臣あるいは総理大臣にぜひ現地を視察してもらいたいという要望がございます。安倍現大臣は昨年八月に現地に行かれていると思いますが、この対策本部長であられる後藤田長官はまだ現地の御視察の機会がないんじゃないかと思いますが、ぜひこれを実現していただきたいと思いますが、まずその点をお伺いいたします。
  83. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私も実は本部長として一日も早く現地を見させていただきたい、かような念願を持っております。  言いわけじみて大変恐縮でございますが、私の役所は何しろ七月一日に新しく発足をしたというような事情、さらにまた行政改革あるいは人事院勧告の処理、大変厄介な問題を抱えておりまして、今日まで現地へ参ることができないことを大変遺憾に思っておりますが、できる限りひとつ早く機会をとらえて参りたい、かように考えております。
  84. 板垣正

    板垣正君 ぜひお願いをいたしたいと思います。あわせて、総理現地視察についてもひとつ閣内で、長官からもよろしくお願いいたしたいと思います。  次に、先ほどの報告にもありましたが、との問題を国際的な場で取り上げてもらいたい。その一環としてサミットの場で、ポツダム宣言なりあるいは講和条約等に関連した国が皆出てくるわけでありますが、そういうところでこの北方問題を話題にしてほしい、こういう要望があるわけでございますが、長官としてはいかがお考えでございますか。
  85. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この問題は、やはり、国内世論の喚起と並んで、国際世論の場で北方四島が我が国固有の領土であるといったようなことをぜひ理解してもらうような処置を講ずる必要があると私も考えております。ただ、問題は、それが果たしてサミットという場で主張することが適当なのかどうか。これらは外務当局とよく相談をしてみたい、かように考えておるわけでございます。  なお、また、国際世論に訴えるというようなことで例の地図の問題等もございまして、先般党の方からその問題でアメリカその他へ参りまして、地図の是正方についての訴えをして、これは相当な成果をおさめておると思いますが、これらもやはり一つ国際世論への訴え方の道であった、かように考えておりますが、いずれにいたしましても、政府としては国際世論の喚起ということについて絶えざる努力をしてまいりたい、かように考えております。
  86. 板垣正

    板垣正君 次に、北方領土副読本の配付について。  これも現地要望が非常にございますし、現に着手されつつあるわけでございます。外務省におかれてもこの北方領土復帰期成同盟を通じてまず北海道に、根室でつくられたこの副読本でありますが、これが小学生用で、これが中学生用でありますが、私も中を拝見しまして非常によくできていると思うのであります。何と申しましても粘り強くこの問題を提起し続けなければならない。これを支える次の世代がこの北方領土教育と申しますか、そういうことについて十分理解をし、世論の大きな支えが肝要な時期であろうと思うわけでございまして、その点外務省で続けておられる努力について私も評価をいたしておりますが、その点外務省のそうした趣旨なり現在の計画の現状についてまずお伺いいたしたいと思います。
  87. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 北方領土関係につきましての副読本の意義につきましては、ただいま先生から御評価いただきまして私どもも大変ありがたく思っております。まさに学校教育の中におきまして北方領土問題について次の世代の人々に十分これを理解してもらうことが必要だという趣旨は先生指摘のとおりでございますので、私どもといたしましてもこの線に従って努力を続けている次第でございます。  具体的には、北方領土復帰期成同盟を通じて北海道を中心にまずこの、実現を図ろうということで、昭和五十九年度より六十二年度までの四年間で北海道内の小学校五年生と中学二年生の全員に行き渡るように副読本を配付するということで、それを社会科の時間に適宜活用していただきたい、こういう考えで努力をしてきたわけでございますが、第二年度に当たる六十年度におきましては、これを四年度にわたるということではなくて三年度で完了したいということでただいま予算要求をしているわけでございます。こういう形で北海道がもちろん返還運動の拠点に当たりますものですから、三年間にわたってこれが実現した暁には、全国的にもこれをさらに広げていきたいという考えで、総務庁の方とも御相談をしながら、なお努力を続けたいと考えている次第でございます。
  88. 板垣正

    板垣正君 ぜひこれは強力に進めていただきたいと思うわけですけれども北海道を三年かかってやって、それから全国に及ぼすというのはこれはいかにも悠長なことではないかと思うのですね。予算的にもこの期成同盟を経てやりますからいわゆる補助金の形をとる。補助金だから削るんだと、これをふやすということすらなかなか容易でないということも伺うわけであります。そういう点でこの意義はまことに大きいものがありますので、全国の小学校五年生なら五年生、中学生にこの副読本を読まして学校で扱っていただくという、なるべく足並みをそろえて早く実現できる方向で、これは長官もひとつ担当の本部長として、予算的な面でも全校に配ってみても原価百円ぐらいの木だということですね、それで格段の、こういうことでもばっとやったというふうな姿があらわれるようなことでひとつ御高配願いたいと思いますが、長官いかがでしょうか。
  89. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この問題も大変重大な問題だと私は考えておるわけでございます。したがいまして、こういった予算編成の厳しい時期でございますけれども、来年度予算にも私どもとしては御趣旨のような線に沿って一日も早く全国に広めたい、こういうような意味合いで要求をいたしておる段階でございます。精いっぱいの努力をするつもりでございます。
  90. 板垣正

    板垣正君 総務庁でも既に予算の要求もしていただいておるということでありますので、ぜひ早急にこれが徹底されるようにお願いをいたしたいと思います。  次に、基金早期造成の問題は先ほど御質問もありましたし、お答えもありましたのでこれは省略をさしていただきますが、非常に期待が大きいとともに、言うなれば北方領土返還運動に対する、また現地に対する一つの国の意思のシンボル的なものになっていると思うわけですね、百億の基金をつくって不動の決意をあらわす。現地も頑張っていただこう、こういうシンボル的なものとも言えると思うわけでありますから、厳しい財政の中でありますが、ぜひとも五年以内にこの百億の目的を達成されるように格段の御努力を御要望いたす次第であります。  さらに、旧漁業権者の問題も先ほどございましたのでこれは省略させていただきますが御検討いただき、いつ行っても同じ要望が出る、何回も私も現地に参りましたが、同じ要望を聞いて帰ってきて、というような繰り返しが続いているわけでございます。関係当局も検討を進めていただいていると思いますけれども、なるべくこうしたものについても前進を図っていただきたいと思うわけであります。  これに関連していわゆる元居住者あるいは旧漁業権者に対する融資の権利継承の問題ですね。先ほど元居住者の場合全くこれは継承が認められておらないということでございました。また、旧漁業権者の場合は子、配偶者一代限り認めるということで、これについてもさらにこれを継承してもらいたい、認めてもらいたい。こういう要望が出ているわけであります。これも息の長い運動で、現地の人たちは原点に立っているという立場から格別の配慮を願いたいと思いますが、この点は総務庁ですか、関係のところでひとつ御答弁をいただきたいと思いますが。
  91. 本多秀司

    説明員本多秀司君) 今、先生指摘のとおり、元居住者の方々の融資の継承をそのお子さんであるとかあるいはお孫さんにまで拡大する時期に来ているのではないか。私ども、先ほども鈴木先生の御質問に対してお答えいたしましたように、具体的な検討の内容としまして元居住者の方方のお子さんの実態あるいはでき得れば経済的な状況、そういうデータにつきまして元居住者で結成されております千島歯舞諸島居住者連盟、こういった団体にお願いいたしまして資料の収集整備に着手したところでございますので、そのデータが整備され次第本格的な、前向きな検討に入っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  92. 板垣正

    板垣正君 今のは元居住者ですね。現在の旧漁業権者、子、配偶者は認められておるが、さらにそのあともという、これは水産庁ですか、総務庁ですか、お願いします。
  93. 窪田武

    説明員(窪田武君) 融資関係の対象者のお話でございましょうか。
  94. 板垣正

    板垣正君 そうです。融資の対象者として旧漁業権者の場合、子と配偶者までは認められておる。さらにそれをその次の代にまで継承を認めてもらいたい、こういう要望について伺っておりますか。それについてどういう見解をお持ちか伺いたい。
  95. 窪田武

    説明員(窪田武君) 旧漁業権者の現在における実態をも調査の上、検討してまいりたいと思います。
  96. 板垣正

    板垣正君 次に漁業関連の問題でありますが、漁業の再建整備特別措置法に基づく融資の問題であります。  これは先ほど委員長報告にもございましたが、この融資についての償還の期限を、現行七年を十五年ないし二十年に延ばしてもらいたい、あるいは貸し付けの限度額を現在の二千五百万円を七千五百万円まで拡大してほしい、こうした要望に対して見解を伺います。
  97. 上野博史

    説明員(上野博史君) 今、北海道を初め、日本の漁業というのは大変苦しい状況にございまして、経営者の方々が自分の経営の再建を図るために長期のこういう資金を欲しいという気持ちは大変よくわかるわけでございます。そういう事態に対応いたしまして漁業経営維持安定資金という制度を設けておるわけでございますが、これは経営が非常に苦しくなって予定どおりの償還ができない、債務の償還ができないという事態が発生した経営者に対しまして債務の繰り延べのための資金を提供するという趣旨のものでございます。  しかし、考え方といたしましては、将来の再建の可能性を見て可能だというふうに考えられる場合にお貸しするというのが融資の基本の原則でございまして、再建の可能性については、やはりある程度の期間内にこれは御自分の大変な御努力をいただいて再建を図っていただくということはお願いをしなければならないという感じがいたすわけでございまして、資金の償還期間が長ければ長い方が楽だというのはわかるわけでございますけれども、やはりそこにはある程度の期間内に再建を完了してほしいということもあわせ考えなければならないんではないかというふうに考えます。  それからもう一つは、この資金制度というのは制度資金の中でも大変珍しい、今申し上げましたような性格のものでございまして、政府の非常に厳しい財政状況もとにおきまして、これ以上に長く償還期間を設けて財政負担の増大を来すということについて、やはり考えなければならない問題があるというのが実情でございます。  それから、貸付限度額の問題につきましては、現在の制度のもとにおきましても特認という道があるわけでございまして、七千五百万の限度まで事情によっては融資をすることができるような制度になっておりますので、北海道庁の方から御協議がございますれば検討してみたい、かように考えております。
  98. 板垣正

    板垣正君 融資の幅については相談に乗る、協議によって七千五百万円までの融資も考えられる、こういうことでございますね。ぜひ、現地の方からもそうした要望が出てまいると思います。よろしくお願いいたしたいと思います。  次に、墓参の問題も先ほど御発言がございましたが、これも大変切実な問題であります。引き続き努力をしていただきたいと思いますが、あわせて、これは直接北方領土との関連ではございませんが、とにかくソ連内の日本人墓地、これは膨大な数にわたっているわけであります。ソ連本土で少なくとも抑留中に亡くなった方が約五万五千名おる。こちら側の資料によっても日本人墓地は三百カ所にわたってあるはずである。ところが、現在までソ連側から正式に通告のあった墓地はわずか二十六カ所、三千九百余名についてのみ通告があった。これはまことに、今の時代に五万を超す人間が一体どこでどうなってしまったのか、全く言語道断なことでありまして、この点については外務省も折衝を重ねていると思いますが、北方の墓参、これも高齢の方が多いわけであります。ぜひ引き続き努力していただきたい。  あわせて、そうしたソ連の墓地について、たまたまソ連に行かれる方はハバロフスクとかイルクーツクとか、ああいうところに日本人の墓地がありますから、あれでもう全部済んでいるような受け取り方もございますけれども、決してそうではない。こういうことについてもひとつ努力していただきたいと、あわせてお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  99. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 先生指摘のように、ソ連の領土内で亡くなられた方々の関係者の御心情をしのびますときに、私どもとしても非常に同情を禁じ得ないわけでございますので、毎年この件につきましてはソ連側に対しましてさらに事情調査をするようにというふうに申し入れてきているわけでございます。  実情は、先生指摘のように十分に満足のいく結果が得られていないことを私どもとしても遺憾に存じておりますので、今後ともこの努力は続ける所存でございます。  北方領土に対する墓参の問題につきましては、関係者の方々の非常に強い御要望、それから非常に理解し得る情勢もございますし、ソ連側が一九七六年以来とり続けた態度というものを変えるように、それまで行けた手続でなぜ現在行けないのかというところは、人道上の見地からも非常に問題がございますので、私どもとしては機会あるごとにソ連側に伝えているわけでございますけれども、今後とも、先生の御指摘のように、私ども努力を続けていきたいというふうに考えている次第でございます。
  100. 板垣正

    板垣正君 ぜひ御努力を願いたいと思います。  次に、北方領土におけるソ連の最近の軍事力の現況についてお伺いいたしたいと思います。  これは十一月三十日の「フライデー」という、この巻頭にごらんになっておられると思いますが、国後の基地の写真が写されております。私が気になりますのは、見出しとして「日本のノド元に迫ったソ連精鋭部隊の秘密基地を空撮」こういうことでありますが、「小鳥のようなセスナ機でも、北海道から五分もあれば到達できる国後島に、これほどの軍事基地がいつできていたのか。自衛隊が知らなかったならよほどの怠慢。知っていても国民に知らせないのなら、その真意はどこにあるのでしょう?」と、この写しできたスクープのカメラマンが言った云々とございます。ことしの防衛白書にも、一個師団と推定されるソ連の軍事力が配備されておる。普通の師団が持っていないような長距離砲や何かも持っておるというふうなことは防衛白書にも明らかにされておりますが、防衛白書程度ではなかなか一般には周知されない。特にこうした写真が出され、今のような報道がなされますと、ある程度国民に不安感をもたらすものもあるのではなかろうかと思うのであります。  またこれと別に一部の新聞報道等では、樺太にミグ31が配置されたのではないか、あるいは北方四島にもいわゆる太平洋艦隊の海軍歩兵師団、この部隊が配置される可能性があるんではないか、こういうこともいろいろな筋からの報道、情報として掲載された、こういうのがございます。そういう点で、我々の固有領土である北方四島に、しかも、着々として軍事基地を強化しつつあるということは見逃せないことでありますとともに、その動向については防衛庁なり、情報を掌握されている限り国民の前になるべく明らかにし、理解を求めるということが必要であろうと思うわけであります。ひとつ防衛庁で現在つかんでおられる北方四島におけるソ連の軍事力について御報告願いたい。
  101. 太田洋次

    説明員(太田洋次君) お答え申し上げます。  先生指摘ございましたように、現在地上軍部隊としましては戦車それから装甲輸送車、火砲、対空ミサイルそれから攻撃ヘリ、これはMI24と呼ばれておりますけれども、こういうものを装備した地上軍部隊が配備されておりまして、その規模は現在一個師団規模になっておるということでございます。それから航空部隊といたしましては、ミグ23、これは第三世代に属します最新型の戦闘機でございますけれども、これが約四十機ほど配備されておるというのが特徴でございます。そのほか国境警備隊が約三千人程度、それからそれが使います警備艦が十数隻いるということを把握しております。それから先生指摘ございましたミグ31でございますけれども、これはソ連全土で約五十機以上配備されているというふうに見ておりますが、これにつきましてはそういう数が全土に配備されております関係上、極東方面においてもそういう最新型の航空機が配備されている可能性は排除できません。  それから第二点目、海軍歩兵師団の配備でございますけれども、海軍歩兵師団は全ソ連で約一万六千人いると見ております。その内訳は太平洋艦隊に一個師団、それから北洋艦隊に一個旅団、バルト海艦隊に一個旅団、北海艦隊に一個旅団が展開されていると見ております。この太平洋艦隊に属します一個師団につきましてはウラジオストク方面に配備されておるというふうに見られておりますけれども北方領土に配備されているのではないかという一部の報道もございますが、これが北方領土に配備されているというふうには防衛庁は見ておりません。それで先生指摘ございましたように、防衛庁といたしましてはできるだけ、例えば五十四年度の白書から毎年北方領土状況につきましてはできるだけ詳しく紹介しております。それから例えばミグ23という最新型の戦闘機が配備されてまいりましたときにも、防衛庁の側から公式に発表しております。こういうことでまた当委員会での御質問のように、国会の質疑を通じましてもできるだけ正確な状況を公表する努力をしております。今後とも先生指摘の点を踏まえまして、適時適切に正確な状況をお知らせしてまいる努力をしてまいりたいと思っております。
  102. 板垣正

    板垣正君 関連して。一個師団と推定されるというのは、人数で言えば約一万というふうに考えていいかどうか。  もう一点は、あそこにいる師団は第三自動車化狙撃師団、そういうふうに既に特定できているかどうか、その点二つ。
  103. 太田洋次

    説明員(太田洋次君) 地上軍部隊の総数につきましては、約六千五百名以上というふうに見ております。  それから、これが自動車化狙撃師団かどうかということでございますけれども、実際にはソ連の本土、極東方面におきます普通の師団と人数の規模から見ましてもそこまでまだ達しておりませんで、そういう意味で自動車化狙撃師団というふうな呼び方はしておりません。
  104. 板垣正

    板垣正君 終わります。
  105. 藤原房雄

    藤原房雄君 同僚委員からいろいろお話がございましたが、私も現地を視察した者といたしまして、地元からいろんな要望がございました。    〔委員長退席、理事板垣正君着席〕 それらのものを時間もありませんから集約いたしまして、何点かの問題についてお伺いをしていきたいと思うのであります。  最初に、後藤田長官から北方領土の問題については国民的課題であるというようなお話がございました。大臣、大変お忙しい立場にあることは十分にわかるのでありますが、今度は北方対策の本部長という責任ある立場でこの北方領土の今後の国民的な世論形成ということや対外的な問題や、また元居住者、また地域振興、こういう問題について御推進をいただくわけでありますが、先ほどはあいさつということで短いお話だけしがなかったのでありますけれども、この北方領土に対する大臣の御認識ですか、もう一歩ひとつ深いところをお話いただければと思うのでありますが。
  106. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は、この日ソ間の友好関係の維持増進ということは極めて重要なことであると、思いますけれども、しかし、その基本はやはり領土問題、この解決があって初めてその基礎の上に本当の意味での永続的な友好関係が築き上げられるものである、かように考えておるわけでございます。    〔理事板垣正君退席、委員長着席〕 今日主権国家によって国際社会はでき上がっておるわけでございますが、やはり一番シビアな問題は私は領土問題である、かように考えているわけでございます。それだけにこの北方四島が我が国固有の領土であるということは、これは歴史的にもそれからまた国際条約の上においても、明確なことではないのか、こういうような基本的な観点に立って、あらゆる機会をとらえて日ソ関係、両国関係ですから、ソ連に対して粘り強く訴え続けていくことが必要である。しかし、同時にその日本の主張を粘り強く主張するためには、やはり一つは国内世論の喚起というものもこれは肝心なことであろう。それと同時に、国際世論に我が国の主張が正しいものであるということも、これもまた訴え続けていかなければならない。同時に、御質問の中にもございましたように、北方四島から国内に帰ってきた人の処遇の問題、そして同時に周辺関連地域の振興、こういった幅広い国内対策、これも厳しい財政の状況でありますけれども、当然のことながら政府としては最大限の努力を尽くしていくべきものであろう、こういう基本的な考え方の上に立って、微力ではございますけれども、私の役所の所管の仕事でもございまするので、全力を傾けてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  107. 藤原房雄

    藤原房雄君 大臣の今のお話、それを受け継いでぜひひとつ真剣にお取り組みをいただきたいと思うのでありますが、やはり沖縄と違いましてそこに百万近い住民がいらっしゃるというのとは異なる非常に難しさがあるわけでございまして、それだけに地元の方のお話を聞くといいましても、現在はそこにお住みになっていらっしゃらない、そしてだんだん老齢化しておるというこういう中でのことでありますから、そういう中で政府もいろんな施策を講じておることは私ども十分わかっておりますが、先ほど来同僚委員からもお話がございましたように、やはり地元の方としては担当の方にぜひ地元に来て地元の現実を見ていただきたいというのが切なる願いであり、ちょうど私どもが視察に参りましたときには総理が私どもと一緒に釧路空港に降りたということでございまして、一緒に降りてどうしてここまで来ないんだ、そういうお話もあったわけでありますが、スケジュールやいろいろなことがあったのかもしれません。しかし、地元の方としては、総理が目の前まで来て、国民的な課題とかいろいろなことを言っていながら、お寄りいただけなかった。日本の国としても最大の外交課題であるにもかかわらずということから、総理にというお話も地元から先ほど同僚委員からお話しがあったように強く強く要望があったわけであります。長官といたしましても、今までは担当は総務長官であったわけでありますが、歴代総務長官もお忙しい中をいらっしゃっておりましたけれども、ぜひひとつ時間を見ていただいて、現地に臨まれ、そしてお話し合いをする、さらにまた理解を深めていただきたい、このように思うのでありますが、そういうことで、非常に難しい国会運営の日程の中でありますけれども、最大限の御努力をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  108. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 先ほどお答えを申し上げましたように、できるだけ早い時期に機会を見て現地を見させていただきたい、かように考えております。  なおまた、総理も、これは私の推測でございますけれども、できる限りやはり現地へ行きたいという強い御希望は持っていらっしゃると思います。当委員会の本日のこの御質疑等も総理にお話しをしまして、総理のスケジュールもいろいろございましょうから、よく検討させていただきたい、かように考えます。
  109. 藤原房雄

    藤原房雄君 外務省にお伺いいたしますが、ことしの九月ですか、いわゆる地図外交といいますか、自民党の方々が、地図及び地球儀の問題で国務省の方、また関係の方々にお会いしていろいろお話しになったことは新聞に出ておりました。これはもう数年前以来当委員会におきましてもこの問題については議論もして国際世論ということを言っておるわけでありますけれども、それを具体的に今どういうふうに進めているのかということや、外務省としてはそういう予算は一体どうなっているんだという、こんなこと等をいろいろ議論したことがございました。外務省も手をこまねいているんじゃなくて、五十六年ですか、平和条約締結国四十八カ国の中でどうなっておるかということをいろいろ調べたことがございましたですね。四十八カ国の中で入手できなかった七カ国を除いて四十一カ国の地図、その中で北方四島を日本領と明記したものは一つもなかった、こういうことが新聞報道をされておりましたし、また当委員会でもたしかお話があったと思うのですが、外務省もこういうことを踏まえまして鋭意間違った事実はこれから訂正し、正しい理解を進めていきたい、このようにもお話しになっておるんですが、あれから指折り数えて三年、四年になるんですけれども、また外務省としましては予算として、これは去年ですか、外務省の啓発宣伝喪九億二百万、北方対策本部啓蒙宣伝関係費というのは一億四千四百万円ですか、このくらいの予算を計上していろいろ努力をしているんだということですが、まあ十数年来国内世論と国際世論、これの形成は遅々として進まないじゃないかというのが当委員会での問題で、そういう中で私どもはやっておりますということですが、今回、自民党の、この問題については大きく報道されて私どもも見ておるんですが、外務省国際世論形成のために五十六年にこういう調査をしたというその後どういうことを今日まで進めてきたのか、またこれからさらにどういうことに力点を置いてこの国際世論の形成ということについて努力をしていこうとするのか、その辺についてお伺いしておきたいと思うのですが。
  110. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 地図の件につきましては、やはり外国におきまして我が国の北方領土問題が正しく理解されるということが重要であるということで、先生指摘のように私どもとしても過去から努力してきているわけでございます。また、先生指摘のように最近議員の方々が国務省及びアメリカの地図会社を訪問いたしまして非常に積極的な反応を得てお帰りいただいたということでその御努力を私どもも非常に評価しておるわけでございます。外務省がとりました措置といたしましては、随時各国の地図の誤りが発見されましたときには、これに対して訂正を申し入れているわけでございますけれども、特に昭和五十四年に総点検いたしまして記載ぶりを調べましたところいろいろと誤った点がございましたので、在外公館に調査を指示するとともに、五十五年の七月にこの結果を踏まえて各国での地図を刑行している出版社に対して訂正申し入れを行った次第でございます。  御承知のように、地図につきましては一回出版されますとその改訂がかなり長い期間行われない、大体数年に一回というような頻度で行われるということもございますし、それから国によっては地図については現実に支配している状態を反映させる方針をとっているというようなところもございまして、直ちに結果があらわれるというようなことはなかなか期待できないわけでございますけれども、例えばトルコにおきまして北方領土の地図の記載方法が我が方の訂正要請に基づいて改められたというような事実は確認してございます。  このように、これは非常に地道な努力ではございますけれども、粘り強くまた継続的に行っていく必要がある努力でございますので、政府としては今後とも先生指摘の点十分に踏まえまして努力を重ねていきたい、こういうふうに考えております。  それから、御指摘の国際的な世論を盛り上げるためにどういうことを考えているかということでございますけれども、基本的には先ほど来出ておりますようにこの問題は二国間の問題でございますけれども、私どもとしては、やはりソ連が一九七六年以来この問題について解決済みであるとか問題は存在しないというような形でテーブルに着こうとしない点を非常に遺憾としておりますので、国際的に理解を深めることによって二国間の交渉の環境づくりをしたいと考えております。そういう意味で国連の演説で取り上げたり、それからいろいろな会談の際に国際的な理解を求めるためにこれを取り上げるというようなことはしてきているわけでございます。御承知のように、特に私どもから要請したわけではございませんが、九月に国連におきましてシュルツ国務長官がグロムイコ大臣との間でこの問題を出されたというふうに連絡を受けております。それから呉学謙中国外相もグロムイコ外相との会談で、特に日本側から要請したわけではございませんが、領土問題についての従来からの日本政府立場の支持を表明していただいたというようなことがございまして、国際的にもこういう問題が理解された具体的なあらわれが出てきているということは私どもとして心強いことだろうと思いますので、こういう形での国際世論づくりというものについては今後とも努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  111. 藤原房雄

    藤原房雄君 国際世論づくりというものは、これは非常に息の長いことだろうと思いますが、地道に進めていかなければならぬことだろうと思いますし、また政党は政党としての働きがあるわけでありますけれども、やはり政府機関としての正式な働きかけというものも大事なことだろうと思います。いろんな調査をなさったり、何らかの姿勢が見えるような気がするんですけれども、さらに関係のところにつきましてはひとつ気を配って着実に進めていただきたいと思うのです。  それと、いろんなお話を聞きますと、NHKの国際放送ですね、ラジオ日本というのは非常に大きな影響力を世界各国に持っているんじゃないか。これは外務省というよりNHKということになるんでしょうけれども総務庁でひとつ御検討いただきたいと思うのですが、二十一カ国で一日三十七時間放送しておるということですから、これの反響というのは非常に大きくて、当初は、二十七年これが始まったころは六百通そこそこしか反応がなかったんですけれども、聴視者からの投書が最近は五万通とか六万通とかいうことですから相当関心を持たれている。こういうことからしまして、これはどういう表現をするのかということは非常に難しいことだろうと思いますけれども、日本の立場、日本の主張といいますか、こういうものが何らかの、私的なPRみたいにしょっちゅうしゃべるわけにはいかないでしょうけれども、大事なときにはやはりこのことについてはきちっと述べるというには非常に諸外国に対しての影響力が大きい、また信頼、関心の高まりというのは非常にあるということから、これもそれなりの大きな国際世論形成上の大事な一つの働きをなすのではないか、こう思うのですけれども、確かに国連総会のような大きいところでお話をする、またロビー外交とかいろいろなことでお話をする、こういうことも大事なことだろうと思うのですが、日本にある、そしてまた大きな影響力を持つNHKのラジオ日本というのは、これまた一つの大きな働きをする可能性が十分に秘められていると私は思うのです。これはどういう形でどうするかといういろいろな問題があろうかと思いますけれども、ぜひこれは総務庁で御検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  112. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) おっしゃるようにNHKの放送番組で取り上げていただいて国際放送をやっていただくということは、やはり大きな力ともなり、影響力の大きいことであろう、かように考えるわけでございますが、御案内のように現在の放送法でNHKは自主編成権というものがあるわけでございますので、政府としてこれに対して直接関与するというわけにはまいらないということでございますので、その点は御理解を賜りたいと思いますが、今、先生のおっしゃったようなことは非常に重要なことでございますので、内々の連絡といいますか、そういったようなことでこういう貴重な御意見があったということは、NHK側にも私の方からお伝えしておきたい、かように考えるわけでございます。
  113. 藤原房雄

    藤原房雄君 今、大臣おっしゃるように法的な規制とかいろいろなことがあることは私どもも十分承知しておりますが、また機会がございまして御検討のときにはその中にぜひひとつ入れていただきたい。そのほか国際世論、もう四十年経過を いたしておるわけでありますけれども、戦後四十年の中でまだまだみんなで英知を集めて地道に積み重ねなければならない問題もあるのではないかと思います。そういうことでぜひ一つ一つのそういう積み重ねの相乗作用でこういうものが推進されていくように、こういうことで私どもはこれを見ていきたい、こう思うのであります。  ところで、最近の日ソ間の関係を見ますと、先ほども同僚委員からお話もございまして答弁もございましたが、国連の場ではございますけれども、外相同士がお話をするとか、高級事務レベルの協議があったとか、それから円卓会議が開かれる、ソ連の最高会議幹部会が来日するとか、弔問外交が行われたとかいう、こういうことで今までアフガン問題以来閉ざされていましたものがやや話し合いの場ができつつある。過日はまた、同盟、中道の方々が行っていろいろなお話をしたということでありますが、こういう場でもソ連の主張は一貫してもう領土問題については存在しないという原則論で終始しているわけですね。そういう中で我が国としてこの国家的課題としてこれを貫くにはやはり辛抱強い、息の長い対ソ交渉というものが必要になってくるんだろうと思いますけれども、しかし、今までなかなか話し合いもできなかったときから見ますと、やや何らかの緩和の兆しが見えたように思うわけでありまして、機会あるたびにこの主張を貫き通さなければならないだろうと思います。  そういう中にありまして、ことしの一月ですか、訪日をいたしましたアメリカ議会の代表団の方々が、新聞報道によりますと北方領土返還決議を行う用意があるという発言をしたとか報じられておりますが、また、先ほどお話のございましたシュルツ国務長官、呉学謙中国外相がグロムイコ外相に対して北方領土返還を迫ったとか、また、国連総会を舞台にして安倍・グロムイコ会談グロムイコ外相が自民党の地図ミッションに対しまして大変な厳しい批判をしたとか、いろいろな一連の動きがあるわけですけれども、こういうこと等については、私どもはこれを報道で知る以外にないんですけれども外務省としてはこういう一連の動きについて日本とソ連との関係をどのように見ていらっしゃるのか、そういうことについての外務省の受けとめ方、これをちょっとお伺いしておきたいと思うのです。
  114. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 先生指摘のように、ことしの三月に前アンドロポフ書記長の亡くなった際の弔問外交以来、具体的な日ソ対話の場が数多く持たれてきたわけでございますけれども、そのような対話を通じまして、お互いにこのような厳しい関係の中にある日ソ関係においても誤解をなくし、そしてお互いの立場理解し合うという意味から対話が重要であるということで対話を続けてきておりまして、それがそれなりに効果を持ってきたという評価はソ連側もしております。ソ連側は、最近そういう意味では日本を重視しているんだということを、例えば九月の安倍大臣とグロムイコ大臣との会談でも、二度にわたってその点に言及いたしております。そのように対話を通じてお互いの立場理解というものは進んでいるわけでございますけれども、基本的にソ連側日ソ間の基本問題についての立場はまだ変化の兆しが見られていないということは非常に残念に思っております。私どもとしては、やはり厳しい情勢にあればあるほどお互いの対話というものは今後とも続けていくという中で、ソ連側が日本の立場を真に理解するということを求めていき、そしてその結果としてソ連側が具体的な問題について話し合いをしていこうという雰囲気が出てくることを願いつつ、今後とも対話を続けていきたいというふうには考えております。  国際的な問題につきましては、先ほど先生から御指摘のように、いろいろな形で国際的に北方領土問題が話題になり、そしてそれがソ連との関係でも取り上げられるというようなことで、例えばグロムイコ大臣が九月に安倍大臣との会談の中でこの地図ミッションの問題に触れたというようなことは、ソ連側も国際的にこういう問題が話題になり、関心が強まっているということに対して、やはりこれを気にしていることの一つの証左ではないかと思っております。そういう意味では、これが直ちにソ連が考えを変える要因になるとは思いませんけれども、しかしそれなりの、ソ連側がそれを気にせざるを得ないという状況ができてきているということは、私どもとしては注目していいことではないかというふうに考えております。
  115. 藤原房雄

    藤原房雄君 あと、地元のいろいろな陳情がございましたが、重複する点もあるんですが、墓参問題、これはいつも私が立つと言っておるんですけれども、今回も地元から、せめて老い先短い六十五歳以上の方々についてはということでお話がございました。先ほどいろいろ答弁もありましたけれども、今までの交渉の中で隘路になっている問題点もあるわけですけれども、人道上ということで、しかも六十五歳といいますか、これは老い先短い方々のためにということで、向こうの方では旅券やビザということが一つの問題になっているんだろうと思いますけれども、しかし、お年寄りの方々に対しては特別な配慮をしようとか、こういう考え方とか兆しというのはないのか、また、そういうことについての交渉というのはしたことがあるのかどうか、ちょっとお伺いしておきたいと思うのですが、どうでしょう。
  116. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) 私どもとしましては、北方領土墓参の話は、まさに現地におられた方々が先祖の霊を弔いたいという極めて素直な、人道的な感情に発したものであるということでございますので、全般的にこういう感情を基礎として従来行われたとおりの墓参が行われるべきであるということをソ連側に伝えてきているわけでございます。  先生指摘の高齢の方々の問題につきましては、特に今までその観点から取り上げたことはございませんけれども、今先生がおっしゃったような点を踏まえて、今後これをどういうような形で反映させてさらにソ連側の説得を続け得るかということを検討してみたいというふうに考えております。
  117. 藤原房雄

    藤原房雄君 今、中国の残留孤児の方がいらっしゃっている。それは身近に、立場は違うのかもしれませんけれども、戦後四十年いまだに父祖の地を胸に抱きながら年老いていくという、こういう方々の立場は、私ども日本人ならばだれしもがわかることだろうと思いますし、五十一年以来中断しておる問題でありますので、外交交渉、人道上とか人情論だけで済むのかどうか難しいことだろうと思いますけれども、六十五歳以上の方々の心情というものをぜひひとつ強く訴えていただきたいと思います。  また、地元の方々としましては、先ほどお話がございましたが、十年以上行っていませんから墓地なんか一体どうなっているのだろうか。清掃管理、自分たちが万が一行けないとするならば、彼岸とかお盆とか日本のそういう行事と向こうとは違うのかもしれませんけれども、交渉のときにそういうことに対してもきちっとしてもらうということで、それは費用負担やなんかは日本で持たなければならないんだろうと思いますけれども、先祖を大事にする、そこに日本人の今日までの大きな発展があったんだろうと思いますが、目の前にいらっしゃる、墓地に行けないという人たちの心情からいいますと、行ければ一番いいわけですけれども、次善の策として清掃管理、またそういうものに対しての年々の何らかの心が届くような施策、こういうものに対する配慮というものも交渉の中にぜひひとつ一項目入れていただいて強く訴えていただきたいものだと思うのですが、いかがでしょうか。
  118. 都甲岳洋

    説明員(都甲岳洋君) この北方領土墓参の問題につきましては、基本的にはやはり従前のとおりのやり方で、お互いの立場を害することのないような方法で墓参が実現するということが基本だとは思いますし、そのための努力は続けたいと思いますけれども先生がおっしゃられたような墓地の整備状況についてソ連側にその調査を要請するというような点は、新たな視点として私どももこれを心にとめまして、具体的にソ連側にどのような形で持ち出すかということを検討してみたいというふうに思っております。
  119. 藤原房雄

    藤原房雄君 地域振興ということで振興基金のことも、これは先ほど来同僚委員からもお話がございましたので、法律制定のときにはどういう話でどうなったのかわかりませんが、地元の方々としては、やはり六十二年までに百億ですか基金がきちっとなるものと認識をいたしております。途中でいろいろなお話があったんだと思いますけれども、数少ない方々が日本の国、世界に世論を喚起しようということですが、自分の生活が十分でなくて、地域の発展が十分でなくて自分の窮状を訴えるということも非常に難しいことであって、また、法律のできた趣旨というものもやはり地域の大きな発展なくして北方領土返還はないというところにあったんだろうと思いますけれども、この基金造成問題についても先ほど長官からもお話がございましたが、本年度の概算要求の中にも八億ということですから、今までと変わらない予算ということのようでありますけれども、どういう約束であったのか、また法文上どうだったのか、いろいろなことについては私も勉強さしていただいておりますけれども、しかし地元の受けとめ方としましては、五カ年の経過を踏まえましてこの金額というものが、ちゃんと百億の基金ができるのだろうかということについては非常に危惧を抱いておる。皆さん方にお聞きしますと、百億という約束をしたのかしないのか、いろいろな言い方をするんですけれども、いずれにしましても、地元地域振興のためにということでありますから、地元地域振興にそれが本当に役立つような方向で、財政とかいろいろな問題については地元の方もわからないわけじゃありませんし、私の方も当然それなりの理解を持っておりますけれども、それなりの有効な手だてを、特に今度は、今度はというと前の人はどうなんだということになりますけれども、実力大臣が長官でありますから、この辺のことについてはぜひ予算、またそのほかの問題について御努力をいただきたい。これもぜひひとつお願い申し上げたいと思います。  次に、地域振興ということについて大事なことでありますが、一応計画を立てて二年を経過したわけであります。この二年間を通しまして地域安定振興対策事業の実施状況、それから来年度の概算要求、時間もありませんから特に重点的にこの地域にやろうということについてはどのようにお考えになっておるのか。これは開発庁だと思いますけれども中標津の空港とか、それからやはり漁業が中心の地域ですから魚礁とか、こういうものを重点的にやるべきだということで、先ほどもお話ございましたように、漁業者は大変な苦境に立っていることはもう御存じのとおりで、二百海里以後特に先ほど融資の枠を拡大せよというふうなお話も結局そういうところに帰着するんですけれども、この重点施策、また明年度の予算、こういうものについてひとつ御説明いただきたいと思います。
  120. 滝沢浩

    説明員(滝沢浩君) 根室地域の振興につきましては、内閣総理大臣が定めました基本方針に基づきまして知事が策定する実施計画ということに従って予算措置を講じていくということで、具体的に申しますと、地元からの要望政府部内で設置しました関係省庁連絡会議の中でよく聴取いたしまして、予算の編成並びに実施計画の策定過程で十分その重点配分を行っていくという仕組みをとっているわけでございます。  明年度の重点事項ということでございますが、私どももあの地域について何とか安定、振興を図るという観点から二つばかり重点事項を考えているわけでございまして、一つ先生今御指摘のありましたように、中標津空港のジェット化を促進していくということで、現在千二百メーターの滑走路を千八百メーターに延伸しまして、ジェット化が促進されて地域の幹線航空路網を形成するというようなことが大事だと思っております。それが一つでございます。  もう一つは、あの地域はやはり何といたしましても基幹産業水産業でございますので、栽培漁業の振興を図るということでございまして、新規に、海域開発基幹事業という大型魚礁の設置を中心として栽培漁業の振興を図っていくという事業に明年度から着手していきたいということで、そういう二つの問題を重点的に考えながら、北海道開発庁としては予算の獲得に頑張っていきたい、こう思っているわけでございます。
  121. 藤原房雄

    藤原房雄君 沿岸漁業の振興策については、今お話がありましたけれども、やはり私どもが行きましたときは、組合長さん、漁船漁業ですね、これは非常に窮地に立っている。これはさっきもお話がありましたけれども、日本全体の問題なので、北転船も今どうしようかということで減船問題が起きておりますし、今日までも減船共補償、こういうことでやってきている。そこへまたさらにということですから、当地におきましても、当然二百海里以後というのは、漁船漁業につきましてはいろいろな問題があることはもう先ほど同僚委員からお話があったとおりです。これは漁業再建整備特別措置法による経営維持安定資金の償還期限の延長とか、それから貸付限度額とか、これはさっきも答弁がありましたけれども、この制度はいろいろあるんだろうと思いますが、地元としましては、この制度を本当は限度枠を広げるとか、期間を延長してもらいたいという要望がありました。  それから、中小の漁船がサケ・マス漁の行われた後仕事がなくなるので、三十トン未満の船の棒受け網によるサンマ漁、これをぜひひとつ認めてもらいたいということと、それから小型船のイカ流し網、早くこれは認めてもらいたいということ。それから小型船秋サケはえ縄漁業について企業化のめどがついたので操業を認めてほしい。こういう漁業に対する、しかも漁船漁業についての要望が非常に多うございまして、今までもいろいろ試験的にやるとか、日本全体としましても難しい問題があるのは私ども十分知っておりますけれども、しかしその中の可能性のあるものもあるのではないかと思うのですが、地域振興を叫びながら、実際ここだけの問題ではないということもありますけれども、これはぜひ当地の現状からしまして、できることはひとつ早く結論を出してやるようにしていただきたい、こう思うのです。  それから最後に、時間もありませんから一遍に聞いておきますけれども、北対協の融資のこともいろいろお話がありましたけれども、さっき実態調査をしておりますというお話なんですけれども、実態を調査するということは、これは今一万七千人の方々がこっちへ帰ってきて、三分の一ぐらい亡くなったという現状からしまして、何らかの対策を講じなければならないときにきているという、そういう認識の上に立っての調査だろうと思うのですが、調査の結果を踏まえまして、どういう形になるかは別として、やはり制度改正ということは考えなければならないことだろうと私は受けとめて先ほど聞いておったんですけれども、そうなのかどうか。必ずしもそうじゃない、川べたけれどもやるという前提のもとじゃなくて、どうなっているか調べましたということなのか。  それから、来年は四十年という時を迎えるわけなんですけれども地元でもこの四十年で何とかひとつ国内世論というものを起こさないと、老齢化して、また地元の人自体もだんだん意識が薄らぐような嫌いがある、こういうことでいろいろなことを考えているんですけれども、当然これは国としましても考えるべきだし、お祭り騒ぎとか建物を建てるとかということだけではなくて、もっと地についた活動が必要だろうと私は思うのですけれども、そういうことについて国もてこ入れする、またさらに国がリードするような形で何か考えていかなければならないことだろうと私は思うのですが、そこら辺のことについて四十年だからというあれもありませんけれども一つの節目であることには変わりない。だんだん老齢化する中で、本当に地元としては意識の薄らぐ非常に大事なときに、ひとつここで何かをという非常に強い気持ちがこの前の視察のときのお話の中にもございましたので、大臣ぜひひとつこれは頭の中に入れていただきたいと思うのです。  以上三点について。
  122. 本多秀司

    説明員本多秀司君) 最初の実態調査に着手したのは単なる調査のためではなくて、法改正の検討を前提とした調査でなければならないと、おっしゃるとおりでございます。私どももそういう観点で実態調査に着手したわけでございます。  それから、二点目の来年四十年の節目に当たりますので、単なるお祭り騒ぎではなくて、いわば地道な北方領土返還要求の推進を図っていかなければならないということで、まさに先生おっしゃるとおりでございまして、私どももその地道な啓発のための施策の一つといたしまして、昭和六十年度から五年計画におきまして、全国の中学生を対象としたいわば副読本の作成に外務省その他関係団体協力しながら作成に当たっていきたいということが四十年目の節目の一つの施策として考えられるのではないかと思っております。  それから、元居住者の方々に対する措置でございますが、先生おっしゃるとおり、高齢化が進み、そして亡くなっていかれる方もふえてまいっておるわけでございますので、来年度既に先ほど先生指摘基金のいわば運用益によってこの施策を進めておるわけでございますが、北方ライブラリーという、まあ仮称でございますが、元居住者の方々の当時の生活体験等を記録に残して、そういう元居住者の方々が返還要求運動の拠点としてさらに一層先頭に立ってもらう、そういった施策も現在進めつつあるということでございます。
  123. 窪田武

    説明員(窪田武君) 先ほどのサケ・マス漁終了後の三十トン未満船の漁業、何かないかというお話でございましたが、まずサンマ漁業につきましては、豊凶の差が激しかったり漁価の変動が多いものですから、サンマ漁業者自体が現在臨時休漁等の生産調整事業を実施しているという事態でございまして、このような時期に新たにこれを新規参入させるということはなかなか困難であるというふうに考えております。  また、小型のイカ流し網漁業をやらせてほしいという要望があることも存じておりますが、これにつきましても、既存のイカ釣り漁業との間に漁場競合による紛争なりあるいは操業上のトラブル、あるいは流し網というのは非常に長うございますので、イカ鈞りと違いまして、トラブルを多発せしめること等、さらには漁業資源の問題がございますので、新たに沿岸小型漁船によるイカ流し網漁業を認めるということはなかなか困難であるというふうに考えております。  さらに、最後にサケ・マスの、小型の秋サケのはえ縄漁業なりを認めてほしいということでございますが、このサケ・マス資源につきましては資源そのものがふ化放流事業等によりまして維持、増大されておるということでございます。その場合に再生産用の親魚の確保なり、あるいは北海道以外、本州へ回帰する秋サケとの関係、あるいは沿岸の定置網漁業との関係がございますので、現在、一部ではございますが試験操業によりましてサケの来遊がどうなっているかという点等も調査しておりまして、これにつきましては現在まだ結論が得られていない状況でございます。道庁とも相談しておりますが、現段階ではこういう沖取り漁業のサケ漁業につきまして新たに許可を与えるということは困難であるというふうに考えておるところでございます。
  124. 市川正一

    市川正一君 先般の本委員会北海道への委員派遣に私は他の委員会との関係で参加できず、我が党からは小笠原議員が参加いたしました。それを踏まえて、かねてから本委員会においては外務大臣の出席のもとにいわゆる北方関係問題について突っ込んだ議論をいたすことを求めておりましたが、残念ながらまだ実現を見ておりません。私はこの際、来る通常国会ではぜひその機会を実現されることを委員長にも改めて御要請を申し上げたいと存じておりますが、ただ、先ほど板垣委員の御質問に関連いたしまして、一言だけ私ども立場をぜひ後藤田長官に、もうお時間でございますけれどもお聞き取りおきを願いたいということをお許し願いたいと思います。  まず、いわゆる北方領土問題について、私ども日本共産党はサンフランシスコ条約二条(c)項を廃棄して国際法に基づいて南北全千島の返還を要求すべきであるという立場を主張しております。  歯舞、色丹、国後、択捉という北方領土ということで四島だけを切り離して、そして返還を求めるというのは、日本が平和的に取得した得撫以北の千島も永久に放棄することになる。こうした今の政府のいわば当面の解釈を副読本という形で押しつけることは日本の将来に大きな不利をもたらすことになりかねない。ですから、副読本をつくるとするならば、将来の日本を背負う子供らに今の政府の当面の解釈を知らせるんではなしに、歴史的な事実に基づく内容をきちっと教えるべきであるということを、これはことしの八月に衆議院の沖特委で我が党の岡崎委員後藤田長官との間でやりとりがございましたけれども、私は改めてこの機会にもう一度明白にさしておきたいというのが一点であります。  もう一つは、ソ連国後、択捉などに軍事施設をつくっている問題であります。我が党は、それがソ連による現在の千島占有状況を一層固定化するものであり、日ソ両国の平和友好関係を促進する上で極めて遺憾な事柄だ、こう考えております。しかし同時に、これは日本が米ソの二大軍事ブロックの中で西側諸国の一員という立場をとって、そして軍事的にも中曽根内閣が海峡封鎖だとか不沈空母だとかシーレーン防衛などといって三沢を初め現に在日米軍基地の強化に積極的に乗り出している、そしてソ連の領土問題解決環境づくりをおくらしている一つの大きな原因であるということを私は指摘しなければならぬのであります。  そこで、先ほど五十九年度の防衛白書が出されましたけれども、この防衛白書についてはいろいろな批判が各方面から出ております。例えば東京新聞の九月十六日でありますが、「脅威強調し過ぎの声」「ソ連戦力を過大に計算」というような論調も現にあるわけであります。そして、私はこれが本論ではございませんので詳しくは申し上げませんが、例えば八二年度防衛白書でソ連の脅威ということが何々と見られるというのは二十六カ所です。何々と推定されるというのが三カ所です。何々と言われるというのが二カ所です。何々と予想される、何々と考えられるというのが各一カ所、こうした推定に基づく叙述が実に三十三カ所も出てくるのであります。私は、こうした記述とかこうした評価の点において政府日ソ間の平和と友好を真に促進する立場に立って対処されることを強く要望いたしたいのであります。  長官には、私の方からは要望いたしておりませんでしたが、会がおありだと聞いておりますので、お引き取りいただいて結構です。  それで、私は、本日は沖縄問題で残された時間を質問したいのです。  まず、沖縄県の北部ダムの管理の問題であります。いわば県民の命の水がめとも申しますか、そういう飲料水、生活用水の大部分を賄う沖縄本島北部にある福地、新川、安波、普久川のこの四ダムが七二年五月の日米合同委員会の合意によって工事完了後日本に返還され、同時に貯水池部分は地位協定第二条第四項(b)適用の施設として提供される、こうなっております。ところで、この四ダムは返還されたのか、返還されていないとすればその理由は何か、その見通しはどうなのかということをまず簡潔に伺いたい。
  125. 大場昭

    説明員(大場昭君) 北部四ダムの工事につきましては最近完了していると承知しておりますが、現在現地において米軍及び関係機関の間で返還及び提供の細部手続につきまして話し合いを行っているところでございます。この話し合いが整い、かつ貯水池部分の地位協定第二条四項(b)の適用の施設区域の返還の手続が完了した時点において北部四ダムの用地の返還が行われるものとなるところでございます。
  126. 市川正一

    市川正一君 私の伺っているところでは福地ダムがまだできていない。その再開発の終了が一九八八年ごろだというふうに聞いているんですが、そういうことですか。
  127. 小林悦夫

    説明員(小林悦夫君) ただいまの御質問でございますけれども、現在北部の四ダムは辺野喜ダムと一体となって開発されることになっておりまして、この辺野喜ダムの完了が昭和六十二年ころまでかかる予定でございます。先生指摘の福地ダム、それから新川ダム、安波ダム、普久川ダム、この四ダムは既に本体工事を完了いたしておりまして、供用をいたしております。
  128. 市川正一

    市川正一君 そうすると、次から次へそういういろいろな再開発が進む。今、昭和六十二年とおっしゃったですね。ということになりますと、合意から既にもう十五年以上実行が引き延ばされるということになるわけでありますが、私は、これはいわば県民の命の水がめとも言うべき、ここを即時返還すべきという声は当然だと思うのですが、そういう返還を求める意思は政府にございませんか。
  129. 大場昭

    説明員(大場昭君) もう既に本体工事は完了しておりまして供用されておりますので、現在返還手続につきまして米側と細部調整しているところでございます。
  130. 市川正一

    市川正一君 そうすると、このダムでの最近の米軍の訓練状況はどうなんでしょうか、最近五年ほどの訓練の内容と回数などについて承りたい。
  131. 大場昭

    説明員(大場昭君) 昭和五十五年から昭和五十六年夏にかけまして、福地ダムの施設区域内の湖面を使用しまして大体月一回ぐらいの割合でゴムボートによる訓練を行ったことはございますが、それ以降北部四ダムの湖面を使用して訓練を実施したことはないというふうに聞いております。
  132. 市川正一

    市川正一君 最近は事実上訓練をやられていない。しかし、いつまた再開されるかわからないということもまた言えるわけですね。  ところで、七四年二月の日米合同委員会の協議で、四ダムの、先ほども申しました二4(b)ですね、この移行後の訓練について八項目の訓練内容と四項目の条件が合意されたと聞いておりますが、その内容を承りたい。
  133. 沼田貞昭

    説明員(沼田貞昭君) お答えいたします。  昭和四十七年の合同委員会の合意でございますが、その内容は、一つは、既に出ている話でございますけれども、北部四ダムの用地はダム建設中は地位協定二条4項(a)により共同使用される、それからダムの建設工事の完了後はこの用地の返還を受ける、ただ貯水池部分については地位協定二条4項(b)の適用のある施設区域として再提供されるということが第一点でございます。  それから第二に、この二条4項(b)のもとで提供される貯水池における米軍の訓練につきましては、浮き橋の建設と使用、水質浄化訓練、水域渡河訓練、小型舟艇訓練、磯波訓練、水陸両用車の使用による訓練、ヘリコプターによる消火訓練、ヘリコプターによる空海救助訓練の八つに限定されるということが言われております。また、以上述べましたような訓練をするに当たりましては、水中爆破ということは禁止する、それから恒久建造物の建設を禁止する、それから仮設建造物を使用した後にはこれを撤去する、それから汚染防止のため万全の措置をとるという四つの条件が適用されることが言われております。
  134. 市川正一

    市川正一君 そうしますと、今八項目の訓練内容を伺ったのでありますが、それから児ますと、例えば消火剤だとかあるいは機械油とか、場合によっては米兵のし尿ですね、こういうおよそ水源地に投入されては絶対ならぬものが使われる、あるいは投入されるおそれも十分予想されるわけです。それは一九八一年、昭和五十六年以前の米軍の訓練の、あるいは演習の実態から言えることであります。  そうしますと、これらを具体的に防止する、あるいは除去するという措置が明らかにされていなければならぬのでありますが、そういう保証はあるんですか。
  135. 沼田貞昭

    説明員(沼田貞昭君) お答えいたします。  私、今、昭和四十七年の合同委員会合意と申し上げましたが、昭和四十九年の間違いでございますので訂正させていただきます。  今御質問の点でございますが、先ほど申し上げましたように、この合同委員会合意の中で米側として汚染防止のために万全の措置をとるということが合意されているわけでございます。  それから今日の状況について申し上げますと、先ほど施設庁の方からも申し上げましたように、最近この地域において訓練は行われていないわけでございますが、今までの訓練ぶりを見ても汚染防止について十分に配慮して訓練を行っていると承知しておりますし、これまで汚染につながるような訓練を行ったということは私ども承知しておりません。また、米軍は訓練の実施について米軍の中で一定の規定を設けて、そういう汚染というようなことが起こらないようにしているというふうに承知しております。  また、もう一点つけ加えさせていただきますと、この北部四ダムは先生の御指摘のように沖縄の方々にとっての水がめというような役割を果たしておるわけでございますが、沖縄におります数万人の米軍関係者も沖縄県と同様このような水源に飲料水を依存しているわけでございまして、米側としてもその水質保全という問題については私ども日本政府が関心を持っていると同様に関心を有しているものと承知しております。
  136. 市川正一

    市川正一君 私は今の答弁では何らの保証はない。今までそういう汚染の事実は承知していないと言うけれども、実際にあそこに缶詰の缶が放置されていたりという事実を衆議院で我が党の瀬長議員が指摘いたしました。  ですから、結論的に申しますと、現実に訓練に使われていないということであるならば、私は、七二年五月十五日及び七四年二月の合同委員会の合意を白紙に戻して、そして即時全面的に日本に返還するように米側と交渉すべきであるということを強く主張し、要求いたします。  時間がありませんのでこの問題はまたその後の政府の対応を見ながら、取り上げることにいたしまして、次の問題に移らしていただきます。  ヤンバルテナガコガネという我が国最大の甲虫が沖縄本島の北部の国頭村で発見されたのは御承知のとおりであります。これは学術的にも極めて貴重な発見とされております。この保護の問題についてはことしの三月に参議院の予算委員会で我が党議員も取り上げたところでありますが、その際に政府対策をとるということを申されたのでありますが、最近の報道によりますとこれが密猟で絶滅の危機が伝えられています。政府はこの保護のために具体的にどんな措置をとられたのか、まず伺いたい。
  137. 田村誠

    説明員田村誠君) ヤンバルテナガコガネでございますが、今先生のお話がございましたように、本年一月に沖縄本島北部で発見されたことが報ぜられまして、沖縄県としましては直ちに、二月の十六日ですか、県条例によりまして県の天然記念物に指定されたわけでございます。  その後のことでございますが、本年六月に国立科学博物館の動物研究部長であられる黒沢博士が新種として国立科学博物館研究報告に発表されたわけでございます。国あるいは沖縄県としましてはこれを十分調査しなければいけないということで、本年七月ごろから実際に調査が始まっているわけでございますが、五十九、六十年度の二年継続事業ということで、琉球大学教授等を調査陣といたしまして分布状況あるいは生態に関する調査を始めているということでございまして、この調査は現在も続行中ということでございます。  ただいま先生からお話がございましたように密猟が相当行われているというようなことでございますが、沖縄県教育委員会としましては、これに対し取り締まりについて沖縄県県警の方に協力を求める一方、国頭村でございますが、村内の民宿関係の方に文書で協力を呼びかけている、あるいは国頭村に対してパトロールの強化を指示しているというふうに聞いております。また先週でございますけれども、県の教育委員会と名護の警察署が一緒になりましてパトロールにも当たっているというようなことも聞いているところでございます。
  138. 市川正一

    市川正一君 今お話があったように、県の方は指定をしたわけですね。私は、国としても早急に指定をしないと手おくれになると思うのですね。  その際に、伺うんですが、この甲虫の生忠の条件が限られているので、種の指定だけでなしに私は地域的な広がりを持った保護が必要だと思うのですね。特にこの地域はヤンバルテナガコガネだけでなしにヤンバルクイナあるいはまたノグチゲラなど貴重な動植物が生息、繁殖しております。ですから自然環境保全法に基づく自然環境保全地域、特別地区、野生動植物保護地区、そういう指定の方法を活用すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  139. 田村久仁夫

    説明員田村久仁夫君) お答えいたします。  先生指摘のとおりに、ヤンバルテナガコガネは沖縄本島北部地域の森林域に生息しているということを聞いております。環境庁といたしましては、この生息環境等にいまだ非常に不明な点が多うございますので、自然環境保全地域等の指定要件に適合するかどうか、こういう点につきまして沖縄県から早急に詳しく状況を聴取いたしまして、その他関係方面とも御相談してまいりたいと考えております。
  140. 市川正一

    市川正一君 御相談している間に絶滅してしまうのですよ。それで気がついたときはもう手おくれだったということになりかねないんです。県の方は既に指定しているわけですよ。だから国の方もまず指定をして、そしてそれに値しないというのだったらそれは後で手直しをすればいいんですよ。だから早く、早急にやはりそういう指定措置をとるということをひとつ検討してくれませんか。
  141. 田村久仁夫

    説明員田村久仁夫君) 一つ地域を指定するわけでございますので、地元関係者等いろいろ御協議を申し上げていかなければならぬ問題がございます。そういう点を踏まえまして県の方と十分協議してまいりたいと考えております。
  142. 市川正一

    市川正一君 最後であります。  その際、従来保護を図る場合に政府対策は、北定はするが具体的には何もしないという声もあるんですね。そういう批判もあります。そうではなしに、具体的で効果のある対策を望みたいのであります。その際に、専門家とか研究家の努力をもっと重視する必要があると思うのです。実は私も鳥類保護議員連盟の一員であります。会員として、議員連盟としてやっておりますが、野鳥を保護するために野鳥の会が鳥の聖域、バードサンクチュアリーというのをつくっておりますように、例えば昆虫のサンクチュアリーといった構想もその一つだと思います。こうした民間運動に対して政府が積極的な援助を与えることが今日重要だと思いますが、文化庁、環境庁、開発庁所見を伺って質問を終わりたいと思います。
  143. 田村誠

    説明員田村誠君) ただいま先生のお話のございました点についてでございますが、一般に文化財の保護につきまして研究者の人あるいは地元の方々など民間協力が大変大事であるというようなことは私ども考えているわけでございますが、文化庁としても文化財パトロール制度というようなものを補助事業として設けているわけでございますけれども民間の方々が地元の県や町村等と連絡をとりながら保護保存に協力していただくということは大変有効であり、私どもとしても期待しているところでございまして、こんな形が育つことを地元の県あるいは市町村と十分連絡をとりながら可能であればそういうことを進めていただくというようなことで対処していきたいというふうに考えております。
  144. 加藤栄一

    説明員(加藤栄一君) 環境行政におきましても民間の方の御協力が非常に重要であるというふうに認識しておりまして、環境自然保護関係民間の団体あるいはボランティアの方に対します御協力をいただくために、私どもといたしましてもそのために各種の施策を考えてまいりたいというふうに考えております。特にこういう地域を決めまして民間の方々がその地域の自然を保護するという運動も最近非常に活発になってきておりますので、私どもといたしまして現在何らかのそれを助長する措置を検討してまいりたいというふうに考えております。
  145. 井上計

    井上計君 本日、委員会の冒頭に堀江委員長から去る九月の当委員会北海道、北方四島問題についての視察の報告がなされました。また現地におきまして各種団体から切実な要望等また説明をお聞きいたしまして、我々は百聞は一見にしかずという古いことわざどおり本当に視察をしてよかったな、またその視察の成果をできるだけ速やかに実現をするように努力をしなくてはいけない、このように強く感じたわけであります。実はその視察の結果、国立公園地帯にある施設の問題、環境保全との整合性の問題等につきまして、その視察の直後十月四日の決算委員会におきまして私は質問を行い、また要望をいたしました。後藤田長官そのときにもお聞きいただいておりますし、また御返事をいただいておりますからあえてきょう特別にお聞きをすることもないかと思いますけれども、いま一度確認と同時にさらに強力にお進めをいただきたい、こういうことでお忙しいのに実はお残りをいただいたということで申しわけないわけでありますが、最初に環境庁にお伺いをいたしたい、こう思います。  その十月四日の決算委員会での質問また提案のときに、当時の上田環境長官もお聞きをいただきまして、その後十月十四日でありますか、上田環境長官現地を視察されまして、現地の代表とまたよく話し合いをする、そうして前向きに検討を約束をしていただいた、こう聞いております。そこで、再確認の意味でありますけれども、現在あの知床峠の横断道路に設けられました駐車場、あそこは国後島を一望に見ることが実はできない地点である。あの約二キロほど下に見返り峠というのがありますけれども、そこへ立ちますともう文字どおり国後島が指呼の間、一望のもとに見渡せて、我々固有の領土がいまだにソ連に占領されて返ってこない、そのような悲痛な叫びがあの島から起き上がってくるような感じを受けたわけでありまして、この地点にぜひ何らかの施設をつくるべきだというのがそのとき視察をした堀江委員長以下我々全員の期せずして一致した意見であったわけであります。そとで、さる提案をしまた再度お伺いをするわけでありますが、その後環境庁はそれについて検討をどのような方向で進めておられるのか、それから具体的にどこまで進んでおるのかということ等についてひとつお伺いをいたします。
  146. 田村久仁夫

    説明員田村久仁夫君) お答えいたします。  本年十月四日の決算委員会におきまして、先生から御指摘のございました知床峠一帯の展望施設の件につきましては、現在北海道及び地元町等関係機関で協議を進めていただいているところでございます。  先生御承知のとおりに、十月十四日、環境庁前上田長官が参りまして、ちょうどあいにくみぞれの降って突風の吹く中、長官現地へおりまして、いろいろ問題点をつぶさに見せていただきまして、私も同行させていただきました。その後、地元羅臼の町長さん、それから北海道根室の支庁長からいろいろ御陳情を受けまして、大臣といたしましても今後地元の意向を踏まえて、地元の調整の結果を見て前向きに考えたいというお答えをいたしたことは先生指摘のとおりでございます。そういうことでございますが、見返り峠は、先生指摘のとおり、私も現地を見てまいりましたけれども、北方の国後島を見る展望地点としては一番いいところであるということは十分に承知しているわけでございます。  当該地域の展望施設の設置につきましては道路の問題とか交通の問題とかいろいろの問題があるようでございますので、環境庁といたしましては今後北海道その他関係機関と十分協議の結果の意見を踏まえまして、慎重に対応してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  147. 井上計

    井上計君 あなたが上田長官に随行されて現地を見られて、そして見返り峠が確かに最適だというふうにお感じになって、そこで今のお答えでありますけれども、慎重に検討してというお話ですけれども地元もそれを要望し、我々当委員会の視察の結果も全員が期せずして一致した。そういうふうなことですから、もう私は特別に検討とかどうとかという必要はない。むしろ積極的に一日も早く進めていくというふうなことでいいと思うのですが、なお慎重に検討される理由というのは何ですか。
  148. 田村久仁夫

    説明員田村久仁夫君) お答えいたします。  先生御承知のことと存じますけれども、知床横断道路の国道をつくる際にいろいろ国立公園との調整の問題がございまして、これにつきましては地元のいろいろな意向を踏まえてああいう形の道路にいたしたというふうに私は理解をいたしております。御承知のとおりに、ああいう道路で非常に季節的にしか使えない道路でございまして、産業目的、それから当然北方領土が見えるという非常に展望のきく道路でございまして、現在の利用を見ますと、産業道路とまたひとつの観光道路と申しますか、そういう北方領土の見える道路として利用されているというふうに理解をいたしておりますが、何せ道路のいろいろな問題がございますし、交通の安全の問題、それから土地所有が国有林の問題その他ございまして、関係機関でいろいろ御調整をいただかなければ、環境庁独自であれをどうのというわけにはまいらないというのが実態かと存じます。
  149. 井上計

    井上計君 環境庁として、あなたとしてはそれ以上のお答えはできぬと思いますが、実は後藤田長官も笑っておられますけれども、何もそんなに難しくあれこれといろいろな条件、法規を照らして考える必要はなかろうというふうに私ども思うのですね。また、今交通の問題等々あると言われましたが、現在できておる展望台、我々はもう素人考えでも、なぜ駐車場を後ろに持っていって道路を前に持ってくる、だからみんな道路で展望するわけでしょう。交通の危険ということは、もうはっきりわかっておる。なぜ、最初からあのような道路設計になったのか。それは、要するに国立公園地帯の中にあり、特にいわば産業道路としてつくるんだから、観光用ではないんだという何か変に固定した考え方であのようなものがつくられたんではなかろうかという実はそういう気持ちさえするんですね。  それから今見返り峠のことについてはもちろん専門家の皆さん方がいろいろと検討されるでしょうけれども、スペースは十分あるわけですよね。そしてそれほど国立公園としての景観を損なうというふうなことじゃなくて、十分自然保護と国立公園としての景観と、そういうようなものの適合をうまくさしたようなことで実はあそこにできる。特に地元も特別そこに恒久的な建築物をどうこうというふうなそれほどの大きな希望は無理であろうということから考えていない。期間中望遠鏡等を置いて、そしてビニールかなんかでもかけておく。冬になればそれを撤去する。要するに、そこで皆さんがバスなんかでとまって、安全に見られるような場所を早くつくってほしい、こういうことですから、まあ慎重も結構でありますけれども、ひとつ速やかに検討をされて、年間、ことしも大体五月から四カ月間のわずかなあの道路の使用期間でありますけれども、聞きますと、何か約七十万人を超えた通行量であった、来年はもっとふえるであろうということでありますから、何といっても全体的な北方四島促進の運動の国民的な合意を得るためにはもっともっと積極的に進めていただく。もちろん環境庁だけの問題じゃありません。北海道開発庁の問題、また地元の問題、いろいろありますけれども地元はもうとにかく切望しているわけですから、環境庁も特にひとつお考えをいただきたい、こう思います。それは環境庁に要望しておきます。特にお答え要りません。後でまたもう一つ質問があります。  そこで後藤田長官にもう何も申し上げることはないと思うのですが、十月四日の決算委員会でも申し上げ、後藤田長官から非常に心強いお返事をいただいておりますが、再度、長官のお立場長官の実力からいうと、そんなものは一言のもとにもうやると決まってすぐできるだろうと思うのですよ。だから来年の春、次の開通までに何とかひとつやる、やる方向に長官ひとつ御努力をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  150. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 関係の諸機関とよく相談しまして、一日も早くこういうものができ上がるように努力をいたします。御案内のように一つの仕事をやるときに関係機関が多いといろいろな厄介な問題が出てきて、各方面で御迷惑をとかくかけがちなんですが、これはよくないことですから、できる限りひとつ調整をさしていただきたい、こう考えております。  ただ、この問題は当初はたしか知床でしたか、あの峠はこれはどこの機関も問題がなくて大体話がまとまっておったと聞いているんです。その後、例の見返り峠の方がいいんじゃないか、こういうお話が出たものですから、その点で多少調整に手間取っておるんではないか、かように私は推測をしております。殊にその場合に一番私どもが意を用いなければならぬのは、やはりあれは羅臼と斜里とこの二つの町の話し合いがうまくいかぬとなかなか進めにくいというような点もあるようでございますから、そこらも含んだ上で環境庁その他ともよく話し合いをして、できるだけ早く実現するように努力をしたい、かように考えております。
  151. 井上計

    井上計君 今長官のお答えの中にありました羅臼と斜里ですね、この両町の間にまだ完全な合意が得られない、若干の意見の相違があるということは私も聞いております。地元の話を聞きますと、それらについても今協議中であり、近く意見の一致を見て再度また関係方面にお願いをするということでありますが、意見の一致を見ましたらひとつ速やかにお願いをしたい、こう思います。  また十月四日のときにも私長官に御要望いたしましたが、担当大臣としてできるだけ早く現地をごらんをいただきたいし、また先ほど来同僚委員からもそういう御要望がありました。長官もお忙しいでしょうからいつ現地へお行きになるかわかりませんが、それらのものがもう結論が出て大体具体的にいついつこういうふうなものができるぞというふうな答えを持って長官に行っていただくと、地元はもう大歓迎であろう、こう思いますので、特にそのようにお勧めをしておきます。  そこで、今の河本開発庁長官にもやはり十月四日の当時お聞きをいただいておりますけれども北海道開発庁としてもこの問題は速やかに実現できるように、ひとつ関係部門としてぜひ御協力をいただきたいと思っていますが、その後の検討はどうですか。
  152. 滝沢浩

    説明員(滝沢浩君) 問題はいろいろございますと思いますので、関係機関とよく相談しながら対処していきたい、こう思っております。
  153. 井上計

    井上計君 長官、もうどうぞ結構でございます。長官のお答えはいただきましたので、ひとつくれぐれも切に要望しておきます。  環境庁、もう一問、やはり十月四日の決算委員会で同じように関連したことで質問をしておいたんですが、例の双湖台にあります仮設トイレ、実は私は使わなかったんですが、委員長、皆さん使われて、あんな汚いトイレではかえってそれはマイナスだ、特に外人観光客が多い中であんなものはどうにもならぬ、こういうふうなことでありまして、私は、国立公園地帯にあるからということで制限された仮設トイレ、そのあり方、今後の問題等についての要望、提案をしておいたんですが、これは双湖台のトイレ等についてはその後どういうふうに進んでいますか。
  154. 瀬田信哉

    説明員(瀬田信哉君) 双湖台の公衆便所につきましては、先般十月四日の決算委員会先生の御指摘を受けまして、早速私ども現地に阿寒国立公園管理事務所というのがございます。この管理事務所を通じまして、便所を管理しておりますところの阿寒町、町でございますが、一層の清掃あるいは清潔の保持に努めるよう指示をいたしました。その結果、もうちょっとシーズンを終わりましたけれども、シーズン中には朝夕に清掃をしているというふうに承知しております。  それからあの公衆便所は北海道の施設と申しますか、設置者が北海道でございますので、公衆便所の補修すべきところがあるかどうかというようなことにつきまして、これは予算を伴いますので来年の修繕になるかと思いますけれども、実はあす二十九日に北海道庁の方でも現地調査をいたしまして、修繕すべきところは修繕するというふうな段取りを整えていたところでございます。  さらに、そのときに御指摘ございましたいわゆる手洗い水の問題でございます。先生案内のとおりあの地点は水場がございませんので、いつも流れるような水洗便所というふうにはまいりませんけれども、何らかの形で簡易の手洗い水と申しますか、そういったものを設置いたしまして、少なくとも衛生上余りひどい状況ではないというふうなところにまでは実現をしようということでございます。
  155. 井上計

    井上計君 早速いろいろと手配をしていただき、またいい方向に向かっておるようでありますから、これについては御努力を多といたします。  ただ、今後も、このようなことを発言した直後はやや改善されても、日がたつとまたもとのもくあみ、もっと悪くなるというふうなそういう例が多いわけでありますから、常に、これは双湖台だけに限りません。あるいは先ほど申し上げている知床峠もそうでありましたが、それだけに限らず、全国的に国立公園地帯にあるいわばいろいろな制限を受けておる仮設トイレというふうなものがそういう状況にあるということも聞いておりますので、そういう面については特にひとつ今後とも常に怠らないで努力をしていただきたい、これを要望しておきます。  質問を終わります。
  156. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会      ―――――・―――――